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2006-03-22 第164回国会 参議院 総務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月二十二日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月十六日     辞任         補欠選任      平野 達男君     平田 健二君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         世耕 弘成君     理 事                 景山俊太郎君                 森元 恒雄君                 山本 順三君                 高嶋 良充君                 内藤 正光君     委 員                 小野 清子君                 尾辻 秀久君                 柏村 武昭君                 木村  仁君                 椎名 一保君                 二之湯 智君                 山崎  力君                 吉村剛太郎君                 伊藤 基隆君                 高橋 千秋君                 那谷屋正義君                 平田 健二君                 藤本 祐司君                 蓮   舫君                 魚住裕一郎君                 澤  雄二君                 吉川 春子君                 又市 征治君                 長谷川憲正君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君    副大臣        総務大臣    菅  義偉君        総務大臣    山崎  力君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        人事院事務総局        職員福祉局長   吉田 耕三君        人事院事務総局        給与局長     関戸 秀明君        警察庁交通局長  矢代 隆義君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君        総務省自治行政        局長       高部 正男君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        総務省自治税務        局長       小室 裕一君        総務省情報通信        政策局長     竹田 義行君        総務省統計局長  衞藤 英達君        総務省政策統括        官        清水 英雄君        財務省理財局次        長        日野 康臣君        国税庁調査査察        部長       松川 忠晴君        文化庁長官官房        審議官      辰野 裕一君        厚生労働大臣官        房審議官     宮島 俊彦君        社会保険庁運営        部長       青柳 親房君    参考人        日本郵政公社副        総裁       高橋 俊裕君        日本郵政公社理        事        山下  泉君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十八年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十八年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十八年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (内閣所管人事院)、総務省所管公害等調  整委員会を除く)及び公営企業金融公庫) ○独立行政法人情報通信研究機構法の一部を改正  する法律案(第百六十三回国会内閣提出、第百  六十四回国会衆議院送付) ○独立行政法人消防研究所の解散に関する法律案  (内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十六日、平野達男君が委員を辞任され、その補欠として平田健二君が選任されました。     ─────────────
  3. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 去る十六日、予算委員会から、本日一日間、平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣所管のうち人事院公害等調整委員会を除く総務省所管及び公営企業金融公庫について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。     ─────────────
  4. 世耕弘成

  5. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会日本郵政公社総裁高橋俊裕君及び日本郵政公社理事山下泉君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 予算説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 二之湯智

    二之湯智君 おはようございます。二之湯智でございます。  竹中大臣始め局長に、私の持ち時間は三十分でございますからどれぐらいの質問ができるか分かりませんけれども、お考えをただしたいと思います。  まず、政府は、昨年六月に閣議決定いたしましたいわゆる経済財政運営構造改革に関する基本方針二〇〇五、骨太の方針では、二〇一〇年初頭に国、地方を合わせた基本的財政収支、いわゆるプライマリーバランスを黒字化するという目標を掲げられておりますけれども、国及び地方長期債務残高は二〇〇五年度末現在で七百七十四兆円に上っており、私はそう簡単に政府がおっしゃるように達成できるものではないと、このように思っておるわけでございます。  ところで、日本は昭和四十年代の初めから、いわゆる高度経済成長のときから、全国的に経済は良くなっているんですけれども、政治的にはどうも革新自治体全国に非常に多く登場してまいりまして、その方たちの公約は言うなれば、非常にあめ玉行政というかばらまき行政というか、やや住民に対してこびを売るというような、そういう政策が非常に進行してきたと、これはやっぱり私は事実だと思うんです。その反省から中道保守首長が誕生いたしたわけでございますけれども、なかなか、いったんそういう革新自治体が実施した政策は、幾ら保守中道首長といえども選挙の関係もあってなかなかそれを変更することができない。これがずっと今日まで私は、地方自治体のある意味じゃこのオーバーサービスといいますか、ここまで自治体がしなきゃならぬのかというような素地をつくってきたんではないかと、このように思っているんです。  もちろん、大阪市などに見られるような非常に極端な無駄遣いというものは削減を求めなきゃなりませんけれども、一方では自治体行政サービスというのは、福祉にしろ教育にしろ住民生活に直結しているものも多くて、むやみにこの水準を切り下げるということもまたできないのも事実であるわけでございます。地方財政健全化するためには歳出の抑制は是非とも必要でございますけれども、住民生活への一定の配慮も私はまた一面必要ではないかと、このように思うわけでございます。  竹中大臣は、自治体が行う行政サービスのいわゆる最低限、シビルミニマムというんですかね、つまり自治体住民に対してどの程度まで行政責任を負うべきかと、こういうことについて、大臣、ひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  10. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) お答えを申し上げます。  二之湯委員は本当に、地方自治そして地方財政現場を本当によく御存じで、そういう観点からの御懸念、いろいろお持ちであろうかと思います。  地方団体が行っております行政サービスには、これは教育でありますとか少子高齢化対策、そして治安対策環境対策住民生活に非常に大きな影響のある事務が大半を占めているというふうに思っております。この地方団体が、義務教育生活保護などいわゆるナショナルミニマムとされているサービスを供給するというのはこれはもちろんのことでございますけれども、やはりそれに加えて、地方実情に即して住民が真に求めているサービスを適切に供給することによってやはりトータルとしての住民満足度を高めていくということは、これはやはり地方自治行政の要諦であるというふうに思います。  したがいまして、国としてはそうした地方自治行政が可能になるような地方財政仕組みをやはりしっかりと準備するということが重要である。そして、できるだけ国の関与を縮小して、地方税充実を図ることによって真に必要な行政サービス地方自らがその権限責任財源で提供できるようにするように、そういうふうに地方分権を進めていくことが重要であるというふうに思っております。  そのシビルミニマムについて、ここまではミニマムだというようなことをなかなか明確、具体的に申し上げるのは難しゅうございますけれども、今申し上げたような考えに基づいて、しっかりと見るべきところを見ていきたいと考えております。
  11. 二之湯智

    二之湯智君 医療制度改革介護保険見直しなどによりまして、今後国民負担は確実に増加せざるを得ないということを思うわけでございます。自治体住民から一番身近な行政主体でございますから、住民の暮らしや福祉にきめ細かい目配りをしていかなければならない、そういう責任もあるわけでございます。  最近では、乳幼児の医療費無料化だとか障害者自立支援策などの地方単独事業を実施したり、あるいは介護保険制度も変わりました。これを、国の制度よりもより、よりきめ細かい負担区分を設定して、住民ができるだけ負担が軽減されるような、そんな激変緩和措置もとることが必要であるわけでございます。いろいろな分野において、国基準よりもよりきめ細かく住民負担軽減を図っておるというのが地方自治体の大きな役割でございます。そういう面で、基礎的である自治体はある程度生活弱者あるいは経済弱者立場に立ってこの行政を進めていかざるを得ないという、そんな役割を持っているわけであります。  自治体無駄遣いばかりがここ数年指摘されておりますけれども、私は、地域の実情を踏まえた独自の住民福祉取組までが一概に否定されてしまってはならないと、このように思うわけでございます。そういう意味におきまして、そのための財源を確保すべきだと、このように思いますけれども、竹中大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  12. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 確かに委員御指摘のように、一部の自治体のその目立った非効率のせいで全体が非常に悪い印象で語られている、そういうことは厳しくやはり排除して、しっかりとした現実に基づく議論をしなければいけないと思っております。  何といいましても、やはり最も身近な自治体でしっかりとしたことをやっていただく、そしてそこで受益負担がしっかりとかみ合うような形で住民から目に見えるようなその仕組みをつくっていくということが、やはり結果的に簡素で効率的な行財政運営を可能にしていくものであると思っております。地方財政計画歳入の大宗は、これは自主財源であります地方税と、地方固有財源であります地方交付税でございます。歳出全般にわたる効率化に向けた見直しは、これは当然図るわけでございますけれども、地方財政計画において適切な規模地方単独事業等々もちゃんと計上して、地方団体創意工夫を生かして政策を展開していく、そのための財源を確保するというのはやはり重要なことであろうと思っております。  なお、地方歳出削減は、地方団体がそれぞれの現場でその施策の取捨選択、優先順位付けを行って住民の理解を得ながら進めていくべきものでございます。したがって、その地方の個別の事業を取り上げて、ここが無駄だとかそういうふうなあげつらうような議論ではなくて、地方財政健全化に向けた取組について、十分に地方とも協議をしながら進めていくと、これが肝要であろうというふうに考えております。
  13. 二之湯智

    二之湯智君 若干通告とは質問、順番が変わりますけれども、ひとつお許しをいただきたいと思います。  地方分権一括法や今回の三位一体改革で、国から地方への権限財源移譲が進んだと言われておりますけれども、権限の割には財源移譲は進んでいないと、そういうことが各地方自治体から聞こえてくるわけでございまして、まだまだ分権は道半ばの感じがするわけでございます。御存じのように、国と地方のいわゆる税収は国が三、地方が二、しかし、仕事は国が二、地方が三ということで、できればこの税収が一対一になるというこういうことが非常に望ましいわけでございまして、将来的にはそういう税源配分是非とも実現していかなければならないんではないかと、それが真の意味地方自治の確立ではないかと、このように思うわけでございます。  今後、恐らく地方財源ということも、先ほどからずっと論議されておりますように、消費税が増税になったときには現在の五%の一%を地方取り分だということじゃなくて、より多く地方財源のためにその消費税分地方に任す、回すと、こういうこともひとつ是非ともしていただかなければならないわけでございますし、さらにはまた、今は一時的に一%のうちの都道府県がそのうちの〇・五、そしてそのあとの市町村が〇・五ということで、やや大都市がその行政サービスとか消費という観点から見れば取り分が非常に少ないと、こういうこともございますし、そういうこともよく含めてこれから地方財源充実のために努力をしていただきたいと、このように思うわけでございますけれども、真の意味日本の社会が地方分権を確立するということにおきまして、国と地方関係が対等、平等の立場にも立つためにも、やはり地方税財源充実ということが是非とも私は必要になってくるんではないかと、このように思うわけでございますけれども、そういうことに向けて、竹中大臣の決意をお伺いしたいなと、このように思うわけです。
  14. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、歳出歳入一体改革で、諮問会議等々でも国と地方の在り方、そして財政健全化、いろんな議論が行われておりますけれども、今委員がおっしゃったような視点、正に地方分権は道半ばであって、そして地方財源充実、そして国と地方の対等な関係を築いていくということは、私はやはり議論基軸、座標軸として揺るがしてはいけないところであろうと思っております。  その意味では、具体的に一つ問題になりますのは不交付団体が余りに少な過ぎるのではないかと。よく出る例として、名古屋市のような大きな規模の、そして経済が活性化しているように見えるようなところでも実は交付団体であると。これで良いのかということで、先般もやはりその不交付団体をもっと増やすような仕組みづくりをしなければいけないということになったわけでございますけれども、そのためには当然のことながら、もちろん一方で歳出スリム化、必要なスリム化を行いますけれども、やはりその税源配分を見直すということを行わないとこれは達成できません。私はその意味では交付団体、不交付団体割合を変えようという議論が出てきたのは良いことだと思っております。  そういう視点基軸に入れて、税源配分見直していくということ、それを国と地方財政健全化の中で達成していくということを、この歳出歳入一体改革の中で是非実現したいというふうに考えております。
  15. 二之湯智

    二之湯智君 正直なところ地方財政は今後もますます厳しくなることが予想されているわけでございます。そういう中にあって、私は受益負担関係をやっぱり明確にしていかなければならないんではないかと、このように思っておるわけでございます。全国一律のサービスならば全国の一律の税というわけでございますけれども、独自のサービス自治体が展開しようと、こういうことになれば、やはりこのそれぞれの自治体が独自の財源を見付けて、そして国と違ったサービスを提供すると、こういうことは当然だと思うんですね。ところが、なかなかだれが一体この施策お金負担しているのかというのはいささか国民に見えにくい。だから、国民は要求すればするほど各自治体首長が東京へ行って補助金をもらえるとか、交付税を増額させてもらえるとかいうような非常にこう、もう甘い一種の幻想をいまだにずっと持ってきているわけですね。  特に、私はいつも、私も大都市出身市会議員でございますけれども、この大都市で軒並み老人に、七十歳の老人にこの市バスとか地下鉄を無料で乗れるといういわゆる敬老乗車証というのを発行しているんですね。最近はやや所得によって多少負担をしてもらっている自治体もあるようでございますけれども、私の出身京都市でも、今年からようやく、去年の、昨年度からようやく最高一万五千円、最低で月二百五十円という負担の、そういう区分市民の方に負担してもらっているというそういう制度になりましたけれども、それ以前は毎年単費で五十五億円ぐらいですね、敬老乗車証お金を費やしているというこういうことだったんですね。これではなかなか、お年寄りなどますます増えてまいりますので、その市民に、四人が一人がそういう敬老乗車証で乗っておりますと、ほとんどそのバス、私も昨日バスに乗りましたけれども、ほとんどの人が敬老乗車証で、現金払っている、二百二十円払ったのは私ぐらいしかいないというようなのが実態なんですね。  それで、一方この地方公営企業というのは、民間の発想からすればもう破綻寸前なんです。破綻なんです、実際は破綻しているんですよ。破綻している地方公営企業市民にそこまでサービスしなきゃならぬかと。逆に言えば、そういうサービスをすることによって一般会計から公営企業お金を入れるというそういうこともあるようでございますけれども、私は若干これは地方財政実情考えれば、ちょっとやり過ぎではないかと、このように思ったりするわけです。  そういう、ところが、なかなか今その余分なサービスするためには、恐らく課税自主権を行使して、そして市民負担を求めていくと、こういうことをすればいいじゃないかと、国の方はそのようにおっしゃっていますけれども、なかなか日本税制所得消費、資産の分野に非常に精緻な税制になっておりますから、なかなか地方団体がそのすき間を見付けて課税客体を見付けるということは大変難しいですね。  私の出身地京都市でも、十数年前に平安建都千二百年記念事業のために、まあ観光社寺古都税というものを掛けようと、こういうことになったんですね。拝観料にプラス一〇%ぐらいの負担観光客にしてもらおうと。これがまあ神社仏閣の猛反対を受けまして、これはまあとんざしました。それで、今から五年前ですかね、横浜市がいわゆるJRAの売上げに課税しようと。これはまあ当時の自治省総務省に同意が得られなかったと。  なかなか、課税自主権という言葉は独り歩きしているのでございますけれども、なかなか地方自治体がまとまったお金市民サービスに十分提供できるようなまとまったお金税収としてあげるようなそんな課税自主権は実際のところ行使できないのではないかと、私はこのように思うわけでございます。  そういう意味において、地方分権課税自主権地方自治体に付与されましたというようなことを言って地方自治体は喜んでおりますけれども、なかなかそういう言葉だけが独り歩きして、実際は課税できないというのが実情だと思うんです。もし大臣ならば、一体課税自主権をどのように行使しようと、そんな策があればひとつ教えていただきたいと思います。
  16. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 地方分権ビジョン考える上での非常に重要なポイント一つがそこであるというふうに私も思っております。私もう口癖のように地方の自由と責任という言葉を使わしていただいておりますけれども、その自由の中の一つの重要なポイントに実は課税自主権の問題が入ってくるというふうに考えております。  この課税自主権、これ、今、標準税率によって課すということで、それで、必要な財源については課税自主権を行使して財源が確保できる仕組みになっていると。しかも、その課税自主権の拡大については、確かに旧自治省総務省も少しずつそれが拡大してくるような仕組みは取っているわけです。そして、地方でも、現実個人住民税超過課税の例とか法定外税の導入、これは、廃棄物リサイクルを推進するとか、廃棄物の排出を抑えるというようなことを目的にしたものも少しは出てきているわけですが、実はいかんせん、やはり全体の税収で占める割合を見ると本当に寂しいまだ状況であるということだと思っております。  それを、じゃ、どうするかということでありますけれども、やはりここは、こういう仕組み仕組みとしては広がってきたにもかかわらず、それが現実には思ったほど、期待されたほど広がっていない理由についてきちっとやはり分析をしなければいけないということだと思うんです。  一つは、なかなか、今委員もちょっとおっしゃいましたように、税目としてのすき間がないというようなこともあるかもしれません。もう一つは、やはりこれは住民を説得するのは大変ですけれども、そこまでやって頑張るだけのインセンティブがない、今の仕組みではないのではないかということも考えなければいけないのだと思います。  確定的にこれだと、これが原因だと、これを取り除けばうまくいくはずだというようなことを私自身、今の時点でちょっと申し上げられる材料はございません。ただ、この問題意識は例の懇談会にも伝えておりまして、やはり課税自主権がしっかりと現実問題としてワークするような形に持っていかなければいけない、そのための議論を深めてくれということは専門家には伝えております。そこを是非、我々、もう少ししたら何らかの一つの方向を示したいと思いますので、その時点におきまして先生方にもよく御議論を賜りたいと思っております。
  17. 二之湯智

    二之湯智君 地方交付税の総額は国税五税の一定割合とされているわけでございます。しかしそれでも、地方に配分するだけの十分ないわゆる税額は確保されないわけでございますから、毎年多額の国債を発行し、交付税特会からの借入れと、それによって地方財源保障をしておると、こういうのが実態であるわけでございます。これが、最後は地方は、国が、泣き付いたら何とかしてくれるんじゃないかということの一つ地方の甘えの構造というんですかね、いわゆる国依存体質がいまだに断ち切れてないと、このように思っているわけです。ところが一方、国の方も、自治体にかなりの仕事を義務付けている以上、やはり一定、きちんと面倒を見る、またそういう必要もあるわけなんですね。  さらに、今後日本の国は高齢化がますます進んでまいりますと、地方自治体財政負担というのはこれから非常に増えてくるんじゃないかと。  例えば国民健康保険事業、これなんかも誠に赤字で、もう青息吐息というのが実情ですね。恐らく、大都会なら百億、二百億の一般会計からの補てんをしなければ国民健康保険財政が回っていかないという、あるいは介護保険でもそういう国基準よりも、激変緩和するためにある程度地方自治体負担していかなきゃならぬと、こういうことですね。  さらにまた、生活保護費なんかも、最近また基準が下げられましたけれども、これもますます高齢化がなってまいりますと、お年寄りのいわゆる生活保護世帯というのは増えてくるわけですね。お年寄りの場合はいったんそういう生活保護をもらうと死ぬまでもう保護を続けなきゃならぬという、こういうことなんですね。まあ若干、かつてのような急カーブで生活保護費は伸びてないようでございますけれども、やはり微増で、いう傾向が続いているようでございます。  それで、さらに、この日本の社会が、地域社会が崩壊してきていると。つまり、地域と家庭のセーフティーネットが崩壊して、ますます住民は何でもかんでも行政に頼むという、役所に頼み込んでいくということで、役所としてはなかなか断り切れないから、また余分な負担が要るということで、地方の今の実態は、これからある意味じゃ金を、無駄なところは削減しなきゃならぬけれども、トータルとしてはますますお金が必要になってくるような、そんな日本の社会の現状だと思うんですね。  したがって、毎年政府は臨時の財源対策を重ねるんじゃなくて、もう最低の市民サービスを行うならまあこれだけは必要だろうということをもう最初から渡すと、こういうことを、必要になってくるんじゃないかと。したがって、これからこの交付税率の引上げというようなことも視野に入れて地方財政の確立に努力をしていかなきゃならぬだろうと、このように思うんですが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  18. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今の最初からの三十分間の議論の中で、委員が冒頭おっしゃいましたように、正に国民にとって、住民にとって必要な財政需要を確保しなければいけない、これはやはり住民の切実な願いであると思います。そのための仕組みはちゃんとつくらなければいけない。しかし一方で、今正に委員がおっしゃったように、これが実はともすれば国依存の体質をつくってしまう、それは避けなければいけない。その意味では地方の正に自立が必要なんだけれども、やはり税源は税源で偏在をしている、そのための調整は何らか必要であると。そういう様々な非常に複雑な、連立方程式を解くような形で今の制度制度なりに機能をしているという面があるんだと思います。  しかしやはり、改革道半ば、今の制度制度なりにうまくみんな工夫をしてきたんだけれども、このままではいけないだろうというふうに思っている。その中で、今委員は、先ほど、やはり税源配分見直して、できるだけ自主、税をやると。今、交付税の税率についても見直すというお話だったと思います。これ、やっぱりワンパッケージなんだと思うんですね。例えば、例えばですけれども、うんと地方が独自の地方税を、税源移譲を受けるならば、交付税の額そのものは減らすということも、これはあり得るわけでございますので。しかし、税源が確保できないんだったら交付税役割が必要だと、そういうやはり関係にあるんだと思います。  そこは、したがって、やはりトータルに考え制度設計をしていかなければいけないということだと思いますが、いずれにしても、これは委員も重ねて強調されましたように、地方が自主的に財源を持って自主的な判断でいろんなことがやっていけるような仕組みをつくる、そのための権限移譲もする、財源も保障する、それがもう地方分権の揺るぎない方向だと思っております。その分、同時に責任も持っていただく。やっぱりそれがくっ付いてくるんだと思うんですけれども、そういう方向に向けて、是非歳出歳入一体改革に絡めて我々としてはしっかりとした方向を出していきたいというふうに思っております。
  19. 二之湯智

    二之湯智君 最後の質問になるかと思います。自治体病院の件に関してお伺いしたいと思います。  最近の日本の風潮といいますか、どうも医療や介護の現場でも、きつい、汚い仕事を避ける傾向があるようでございます。したがいまして、お医者さんを志す人も、高い志を持って、何とか人の命を救いたいとか、医は仁術であるとかいって、患者があれば深夜でも飛んでいって往診するというのは若干昔のような話になってしまったような感じがするわけでございまして、まあ中にはそれは立派なお医者さんもいらっしゃると思うんですが、そういうことで、なかなか二十四時間体制で構えなきゃならぬ小児科とか産科が、どうもそういう志す人が少なくなってきたようでございまして、これは自治体病院においても例外ではないわけでございまして、小児科とか産婦人科のお医者さんの確保には随分と頭を悩ましておられるようでございます。  私の地元の京都市民病院は幸いに、京都大学と京都府立医大という立派な大学がありまして、医者の確保は十分確保できているようでございますけれども、地方の都市へ行けば、あるいはへき地の自治体の病院に行けばなかなかお医者さんの確保ができないと、このような実態です。  娘を嫁にやって、都会にやってお産だけは親元でと、こういう親心があるわけでございますけれども、娘が帰ってきたって、近くに産婦人科の開業医もないわ、それで、地域の町立病院だとか市民病院行ったって産科もないわ、小児科もないわ、こういうことじゃお産にも帰れないと、子供が小さい間は里帰りもできないと、長期的な、こんなのが実態であるようでございますから、是非ともこの充実を図っていただかなきゃならぬわけでございます。  特に自治体病院は、そういう、何というんですかね、不採算部門を担っているということから大変大きな責任があるわけでございまして、しかし、構造的に赤字体質なんですね。自治体病院協議会の決算報告ではもう多くの病院は黒字決算ですというような報告を出しておるようでございますけれども、これは一般会計からの大幅な繰入れで何とか表面上は収支を繕っておるようでございますけれども、なかなかこれも大変でございます。しかし、これはやはり少子化対策という観点からも自治体病院の小児科の医師の確保ということは私は喫緊の課題ではないかと、このように思うわけでございます。  そういう面でも地方自治体にも、もちろん病院自身にそういう財源確保対策は独自にはないわけでございますから、国の方としてもこの自治体病院の小児科の医師の確保と優秀なスタッフの確保ということについても応分の財源負担をひとつ積極的にしてもらいたいと、このように思うわけでございますけれども、いかがでございましょう。
  20. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 小児科、産科の医師確保等についての御質問でございます。  これにつきましては、非常に不規則な勤務体制とか過重労務などを背景といたしまして、全国的に医師不足が生じ、極めて深刻な状況だというふうに我々も認識しておるところでございます。  例えば、社団法人の自治体病院協議会の昨年八月の調査によりますと、直近の約一年間の間に全国自治体病院のうち七十五病院で派遣大学から小児科医の引揚げが行われるというようなことも生じておりまして、自治体病院の開設者でございます市町村長、病院長、医師確保のために本当に東奔西走されているというのを我々も聞いておるところでございます。  こうしたことから、平成十五年に厚労省なり文科省とともに三省庁の連絡会議というのをつくってございますけれども、その下に、関係学会なりあるいは医師会、有識者等を構成員といたしましてワーキンググループをつくりまして、いろいろ検討をしてまいりました。その成果に基づきまして、関係三省庁から地方団体に対しまして、小児科なり産科におきます医療資源の集約化とか重点化ということの推進について積極的に取り組まれるように、我々から通知をしてございます。  また、そういった場合にも財政措置が一番問題でございますので、総務省として、平成十五年度から小児医療あるいは小児救急に係ります経費の一部について一般会計から税で病院事業会計に繰り出す経費としてこれを明確化いたしまして、繰り出しの一部についてはちゃんと特別交付税で措置いたしますよという対策を講じておるところでございます。  今後とも、関係省庁と連携の上、小児医療体制確保の重要性にかんがみまして、引き続き必要な財政支援に努めてまいりたいというふうに考えております。
  21. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 竹中大臣、お久しぶりでございます。十月の十四日、郵政民営化特別委員会での質問以来五か月ぶりなんですけれども、今日一貫して、ちょっと午前と午後に分かれますが、格差、この格差ということを一つのテーマにして質問をさしていただきたいと思います。  まあ格差といっても、最初の質問は都市と地方の格差、で二番目、これは官と民の格差、で最後、情報の格差、まあいわゆるデジタルディバイドと言われるように、ここについてお聞きしたいと思います。  まず、都市と地方の格差についてなんですが、都道府県民所得ということを考えると、東京が当然一番ということになっていますが、二番が愛知県で、三番が私の静岡県なんですが、最後は、一番低いところが沖縄県であります。で、沖縄県の中にも市町村間の格差というのがございまして、一番低いところが宮古島の城辺町というところで、これ百十九万七千円ぐらいだもんですから、相当東京なんかと比べると格差が大きいということになっているんだろうと思いますが。  当然、そういう地方、地域の中にはストックがあるところとストックがないところ、で、ストックがあってもうまく生かし切れてないところとかいろんな点で格差というのが生じているんだろうと思います。そういった面を、過度な格差をなくしていくということもやはり大きな重要なテーマなんだろうなというふうに思っているんですが。  そういう意味で、そうして努力をしてもなかなかうまくいかないところ、あるいはストックがないところというところに対してやはり国はある一定の支援をしていく、そういう流れの中から補助金であるとか交付税だとかそういった制度が生まれてきているんだろうというふうに認識をしているわけなんですが、この三位一体の改革、まあ一段落したというふうに多分政府の方では思っていらっしゃるのかもしれないんですが、このポスト三位一体の改革といいますか、三位一体の改革第二弾というんですかね、税財政改革の第二弾、これについて、まあ基本的な考え方というのは大体分かるんですけれども、具体的にどういうことが考えられるのか、どういうことを考えて今後支援をしていくのか、格差是正に努めていくのかということをまず第一問目にお聞きしたいと思います。
  22. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今日は広く格差の御議論をいただくということでございますが、格差の議論というのは本当に難しい、議論そのものは難しいというふうにかねて思っております。  都市と地方ということでありますが、実は東京と沖縄、例えば私の地元の和歌山の中での実は格差というのが非常にございます。都市と都市の間の格差というものもございます。その意味では、格差そのものがどういう状況にあるかという実態把握そのものを含めてなかなか難しい面がありますので、なかなか一面的な議論はできないなというふうにいつも思っております。  かつ所得での格差、これはフローでの格差、フローの所得での格差でありますから、逆に言うと東京や大阪のようなところは相当のフローの所得がないと生活できないというような厳しい環境があるという面もございますから、そこら辺の前提がなかなか難しいなというふうに、これはいつも、これは大変感想、印象で申し訳ございませんが、思っているところでございます。  藤本委員お尋ねの、今後の第二弾をどのようにしていくのかということでありますけれども、今までの三位一体の改革というのは、これ要するに補助金削減して、削れるものを削ってその部分を税源移譲しようと、で、そこによって生ずる税源の偏在などについて必要な調整を交付税で行おうと、それ、一つの土俵でやりました。これはとにかく取っ掛かりが何もありませんでしたので、補助金削減と税源移譲という非常に限定された、しかし非常に分かりやすい土俵で議論をいたしました。  そこでの土俵の議論としては、まあ御評価いろいろあろうかと思いますが、とにかく苦労して三兆の税源移譲を初めて行ったという意味での一つの成果があったと思うんですが、私は、やはりこれを更に発展させていくためには土俵そのものを少し広げて考えていただかなければいけないなというふうに思っているんです。  そういうこともありますので、もちろん補助金の改革、税源移譲、これからも重要だというのはもう全く私は否定をいたしませんけれども、更に国と地方関係地方の自由度をもっと高めるためにはどうしたらよいのかと。自由度とともにその責任を果たす体制をどのようにつくったらよいのか、そしてその中で国税、地方全体の財政健全化をどのように行っていったらよいのか。だから、先ほども、今議論出ましたけれども、税源配分見直しとかもこれ当然必要になってまいりますし、少し土俵を大きく広げるための準備をしたいというふうに思っているんです。  それが実は私がつくった懇談会でございまして、懇談会で、まあ十年ぐらい先のより中期的なビジョンを一つ描いていただいて、じゃそれに向けて当面の二年、三年どういうことをやっていくかということの議論是非集中的に行いたいなというふうに思っております。  その中では、格差の問題へ戻りますけれども、要するに元々の資源の賦存状況が違うと、これは資源が大量に賦存しているところとそうじゃないところがあるということは、これはもう議論の前提としてしっかりと認識して行おうということは懇談会でも議論をしていただいておりますので、そういう中で、格差の問題もしっかりと念頭に置きながら、皆さんに納得していただけるような議論是非進めたいというふうに考えております。
  23. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 まあ自由度、地方の自由度を広げるということであれば、要するに、自治の原則といいますか、その自治の原則と対極にある均衡の原則というのがあって、むしろその均衡の原則から自治の原則へとシフトしていくようなことを考えるというような理解もできるのかなというふうには思うんですけれども。  ただ、その自治の原則を進めてしまうと、例えば住民というのは、安いコストで高いパフォーマンスの自治体に移りたくなるわけですよね。当然、自分のコストは、少ない負担で高いパフォーマンスのあるところに移りたくなる、まあこれ、現実的ではなくて論理的な話として。そうならば、AとBを比べてBの方がそのコストパフォーマンスが高ければ、Aに住んでいる人はBに移る。で、BとCと比べてCの方が良ければまた移っていくということで、論理的に考えれば、現実的な話ではないんですけれども、論理的に考えると、そうやってどんどんどんどん自然淘汰される自治体があって、最後に一つに集約されることになるわけなんですが、ただそうはいっても、一つ自治体にみんなが住むということはあり得ないことなので、どうしても今ある、住んでいるところで生活をしていくということになるんだろうと思います。  そうなると、おのずと自治の原則、もう完全に自由裁量と責任の中でやっていくと、どうしても住民側の中でも不公平感が出てしまって、やはりコストパフォーマンスの高いところはいいサービスを安いコストで受けることができる、でも、そうじゃないところはその逆になるということになるんだろうと。その中で、やはりある程度均衡の原則ということで、補助金なり交付税というもので大体ある程度一定サービスにしていきましょうよと。その辺の、どの軸、この軸の中のどの辺にポジショニングするかということが非常に重要なことになってくるんだろうなというふうに思うんですが、ただそれをやっていくときには、やはり中央と地方の、この間の委員会でも大臣おっしゃっていたように、役割分担をやはりきちっと見直していかないといけないということに多分つながってくるんだろうと思います。  で、中央と地方役割分担を見直しますよということはもう以前から言われているんですけれども、具体的に、これいつの時点で、どういう期間で、いつまでにこの中央と地方役割というのを整理をされるという予定なのかをちょっとお聞きしたいと思います。
  24. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、自治と均衡については考えるべき座標軸であるというふうに私も思います。ただ、まあどちらかにシフトさせるとかということではなくて、そこをしっかりとバランスさせると。どのようなところでバランスさせるのか、ここはやはりいろんな意見が出てくるんだと思いますので、そこは是非切磋琢磨して、どこがバランスさせるのがいいかということは議論をしていく必要がある問題であろうというふうに思っております。  で、国と地方役割の分担、これまあしっかりと議論をすることが必要だと。これはもう皆さん同意されるわけですけれども、じゃどこかで、これは国、これは地方というふうにうまく線引きができるかというと、実は地方分権一括法のときも大変皆さん苦労されて、それで今、まあいろんな御意見はあるけれども、一応の線引きができていると。これについて、今後更に必要なところを見直していくということだと私は思っておりますので、これをガラガラポンで、いつまでにもう一回全部見直すというような、こういう作業はちょっと私は考えられないのではないかというふうに思っています。  現実に今ある制度を前提にしながら、それでここは見直していこう、ここは見直していくというような議論を、これは不断に行わなければいけない議論だと思うんですね。その懇談会の中で明示的に議論していただけるものは是非していただきたいと思いますが、それで何か一つの完成品ないしは半完成品のようなものができるというふうにも考えておりません。  ただ、いずれにしても、国と地方役割分担について、今よりはもう少し明確にする方がいいんじゃないかということは皆さん思っておられると思いますので、まあどこまで議論が進むか分かりませんが、その中で問題の提起をさせていただきたいと思います。その懇談会の問題提起を受けて、具体的にどのような制度づくり、場合によっては法律が必要かどうかというのは、これはちょっとその議論が出てきた段階で、先生方にもよく、皆様方にも御相談をして進めていくべき国家の骨格にかかわる重要な問題であるというふうに考えております。
  25. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 いろいろ各省庁の綱引きとかもあろうかと思いますので、これなかなかそう簡単にえいやでできるもんではないだろうというふうに私も認識をしていますが、やはりある程度大枠でそういうところを提示していくということは必要なんだろうなというふうに思います。  で、財政面での地方に対しての格差是正ということの中で、この間からお話がございました、本来地方の固有の財源である地方交付税というのがあるんだろうというふうに思いますが、この交付税特会についてちょっとお聞きしたいと思うんですが、交付税特会には二つの勘定があるということは御存じのとおりで、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定と二つあるということで、まずその後ろの交通安全対策特別交付金勘定、いわゆる交通反則金、これについて、ちょっと警察庁の方々、今日も来ていただいておりますので、ちょっと教えていただきたいことがあるんですが。  この交通反則金というのは、基本的には交通違反をした人から徴収するのが交通反則金のはずだというふうに認識しているんですが、ということは、理想を言えば、今全体で八百億近くあると思いますけれども、これ理想を言えば、この交通反則金というのは少なければ少ないほどいいわけで、ゼロになればなるほど、近づけば近づくほど、まあ現実的にゼロということはなかなか難しいかもしれませんが、ゼロになることがベターであるという、好ましいというふうに思うわけですね。  つまり、交通違反をする人が少なければ少ないほど安全であるということになるわけですが、一方で、その交通安全施設というのはこの反則金収入のあるなし、多い少ないにかかわらず、交通安全施設というのは、整備というのは必要であるということも一方では正しいんだろうというふうに思いますが、この収入源として、少なくなればなるほどいい反則金というものを原資の一部として交通安全施設を行うというふうに考えるというのは非常にちょっと分かりにくいんですけれども、この辺りについての警察庁の考え方をまずお聞きしたいと思います。
  26. 矢代隆義

    政府参考人矢代隆義君) お答え申し上げます。  交通違反はない方がいいわけでありまして、またそれに伴いまして、交通警察活動も少なくて済めばそれにこしたことはないと考えておりまして、ただ現実には、増減はございますけれども、ずっと交通違反があり、またそれに伴う取締りがあるという現実があるわけでございます。  そこで、そこの得られた反則金収入でございますが、交通安全施設整備は公安委員会、県の公安委員会とそれから道路管理者、これは市町村や県でございますが、とで分担して行っております。それで、都道府県公安委員会が行う交通安全施設整備については、基本的には都道府県の一般財源で賄っておるわけでありますが、ただ、交通事故防止、非常に重要な施策でございますので、国としてもこの交通違反者が納付する反則金の額に相当する額を御指摘の交通安全対策特別交付金として地方公共団体、県と市町村ですが、これに交付しておりまして、その一部を都道府県公安委員会の交通安全施設等の整備の経費に充てているということでございます。  つまり、基本的には一般財源で賄うわけでありますけれども、それに加えまして、この交通安全対策特別交付金等の財源を継ぎ足して行っていると、こういうことでございます。
  27. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 まあ、それは分かっているんですけれども、要するに交通安全施設整備というのは、交通違反があるなしにかかわらず必要なものであるということは間違いないんだろうと思いますけれども、ですから、公安委員会がやっているものにプラスして、それを交付金として配付していると、その一部分を使っているということになると思いますが、とにかく交通安全施設というのは必要なものであるということで考えれば、その不安定にどんどん少なくなっていくものを、一つの原資の一部分としてやっていくのはおかしいんじゃないですかという指摘だったんで、今、ただ現実はこうですよという話だけだったもんですけれども、ちょっとそれに対しての考え方として、おかしくないのかどうかというところをちょっとお聞きしたいと思います。
  28. 矢代隆義

    政府参考人矢代隆義君) 今後、まあこれまでもそうでございましたけれども、今後とも更に交通事故防止対策を推進していくためには、議員御指摘のように、安定的な交通安全施設等整備のための予算の確保が必要であります。そのような考えで、各地方団体とも進めておるものと承知しております。  ただ、これを更に充実させるために、現在、現実にありますその反則金収入というものを、これも加えてこれに充てていくということはそれなりの合理性があるわけでございまして、したがいまして、繰り返しになりますが、更に一層安定的なそういう予算が確保されることはこれは重要であると考えますけれども、現在の地方財政の状況を勘案しますと、現在の交通安全対策特別交付金のこの制度、これは維持していくことが重要であると考えております。
  29. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 全然答えてないんですが、これちょっと今日たくさんあるものですから、この辺でやめちゃいますけれども。(発言する者あり)いやいや、あのね、いや、止めちゃいますって、反則金については言いますが、それであれば罰金、反則金でなくて罰金というのはどうして国に上がったまま地方へ配付されていないで、反則金だけがそうなっていくのか、そこら辺の合理性がちょっと分からないんですよ。  罰金というのは要するに交通違反をして、まあ重い交通違反あるいは同じ交通違反で反則金を払わなきゃいけない人が駄々こねて払わなかったと。で、簡易裁判所に行くとこれが罰金になるわけですね。罰金の場合は、国に上がったらそのまま一般会計にそのまま入ってくるんですが、反則金は、反則金の部分だけが地方へ交付金として配付されるわけですね。それの今の話でいけば、罰金だって反則金だって同じ扱いをしないとおかしいんじゃないかなと思うんですが、それに対してはどうですか。
  30. 矢代隆義

    政府参考人矢代隆義君) そのお考えは確かに一面ではそのとおりかと思います。  ただ、この反則金収入も実は国に入っておるのでございまして、罰金あるいはそれに代わるものとしての反則金、これはいずれも国に納付されております。これは、罰金はこれは国が科するものでありますし、またそれに代わるものということで、この法的な本質にかんがみまして国の収入にしておるわけでございます。その際に、この制度は、反則金の収入をそのまま地方団体に納付するというのではなくて、国の収入のそれに見合う額を、相当する額を国から地方団体に交付しましょうと、こういう制度でございます。  したがいまして、そのときに、考え方としては確かに、じゃ罰金の相当額についても交付しましょうという制度も概念的にはあり得るわけでございますけれども、ただ、罰金と申しましても、交通法違反もありますし、それから道路運送車両法違反もありますし、様々な違反伴う罰金というのはあるわけでございます。  それで、制度的にはこの罰金と、それから罰金に代わるものとしての反則金、この制度二つがございますので、そこで、当時の判断といたしまして、この反則金に相当する額、この部分を地方団体に交付しようと、こういう判断をしたわけでございます。
  31. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 例えば、スピード違反でいきなり昔、最近はどうなのかな、いきなり免停になるというと簡易裁判所に行ってそこで金額が決まる、それは罰金になるんでしょうけれども、最初から。反則金が、元々反則金だったものが簡易裁判所に行って罰金になったというものと反則金とを分けて考えるということの合理性が見いだせないということの説明をいただきたい。  当時そういうこともあったんですがこうしましたというんじゃなくて、じゃどうしてそういうふうにしたのかということの答えは全然いただいていないんですけれども。
  32. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 矢代交通局長、的確に答弁してください、質問内容に。
  33. 矢代隆義

    政府参考人矢代隆義君) 罰金という場合に、業務上過失致死傷罪に伴うもの、これも罰金でございます。それから、道路交通法違反伴うもの、これも基本的には罰金でございます。それから、道路運送車両法関係の様々な罰金がございます。その罰金は、これは国の雑収入としてそういう収入になりますけれども。それから、罰金に至る前の反則金、これは、反則金を交通違反者が国に納付した場合には公訴提起をしないという制度でございます。で、公訴提起をしないということは、これは刑事手続に行きませんので罰金には至らないわけでございます。これが反則金でございます。  そこで、国として、地方団体に交通安全対策のためにどれだけのものを、どの部分を交付するかというときに、様々なそれは、その判断は概念的にはあり得るだろうとは思いますけれども、そのときの国と地方との関係考えまして、国の反則金の収入額に見合う額、この部分を地方団体に交付したと、こういう判断をしたわけでございまして、それ以上のものではございません。
  34. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 いや、判断をしたと言われて、してみると、ああそうですかとなってしまうんですけれども、どうしてそう判断をしたのか全く理解できないんですが、まあ公訴権の話が出てきましたけれども、それであれば、例えば反則金をそのまんま地方自治体に移せばいいじゃないかという議論もあるだろうと思うんですね。いったん国に上げないでそのまま地方自治体に税源として移せばいいじゃないかと、それに見合ったものと、ということになるんだろうと思いますが、多分、そうするとお答えは、公訴権というのは国に属するものだという、多分そんな答えしか出てこないんだろうなあというふうに思うんですけれども。  まあ多分、そういうことで考えると、その反則金の扱いというのを、今いったん国に上げて地方へ下ろしてきていますけれども、それじゃそれをそのまま一般会計の中に入れて交付金にしないという方法もあるんだと思うんですが、それはどうなんでしょうかね。
  35. 矢代隆義

    政府参考人矢代隆義君) まず、一般会計に入れるかどうかということと、それから交付金にしないというこの二点でございますか。それで、後の方の交付金、その相当額を交付金として交付するということについては、先ほど来申し上げていますように、交通安全対策、地方団体におきます交通安全対策を進める上で必要であるということで、この交付することは必要であると考えます。  それで、その前提といたしまして、一般会計で経理するか、あるいは、現在は特別会計に直入しておりますけれども、そのような処理にするか。これはすぐれて技術的な問題でございまして、現在、交通安全対策特別交付金は、地方においては地方財政のこれは一般財源とされております。譲与税のようなものなんですが、そこで、交付税措置を講ずるに当たりましても、この譲与税などと同様に交通安全対策特別交付金は……(発言する者あり)
  36. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 静粛に。
  37. 矢代隆義

    政府参考人矢代隆義君) 地方団体の収入額とされておりまして、したがって、特別会計でこれを、その交付金の方を処理しているわけですが、これとの見合いで特別会計の方で反則金も処理するということでございまして、それなりの合理性があるものと考えております。
  38. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 今の制度説明をいただかなくても、それは分かって聞いておりますので、そんなことはどうでもいいんですけれども、その交通安全対策特別交付金という特別会計の特会の勘定を廃止してしまって、廃止して今約八百億です。この間からの議論で、地方財政の安定というところがやっぱり重要であって、この不安定で、少なくなればいい、なっていった方がこの世のためだというものを財源にして地方財政に組み入れて地方は大変だと、だから組み込んでいくというのも何かおかしな話だと。  もっとこれは固定的なきちっとした財源で、やはり交通安全整備というのはやっていかないといけないので、これはもう既に反則金というのは一般会計の中に繰り入れるだけであって、それを地方交付税、交付金として地方に渡さなくてもいいんじゃないかと。むしろもっと別のことを考えればいいんじゃないかなというふうに思っていて、まあその地方財源が約八百億減少することになります、今は。でも、そういう不安定なもの、少なくなっていくことが理想であるものをそういうところに入れ込むこと自体もおかしいんじゃないかなというふうには思うんですけれども、これ、交付税の問題、特会の問題ありますので、竹中大臣、その考え方についていかがか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  39. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 交通安全対策交付金について、将来少なくなる額であるのでもっと安定的な財源を確保した方がいいのではないかという御趣旨かと思いますが、将来の制度としてはもちろんそういうことも考えられるのかなと思いますけれども、現状におきましては、少なくとも交通安全のいろんな施設整備をするのに当たりまして貴重な財源であるわけでございまして、毎年八百億円前後の収入が上がっておるわけでございますから、我々としては、厳しい地方財政考えますと、やはり交通安全対策の施設整備に向けて、これを一つの貴重な財源として確保していきたいというふうに考えておるところでございます。  そういったものも、しかも全体の交通安全対策の施設整備の中での反則金の割合を見ますと三割から四割という程度でございまして、これでは全部が賄えていないという状況にもあるわけでございますので、そういった状況もまた考えながら地方財政全体の中でこれは有効に活用させていただくのが一番、今の状況ではよろしいのかなというように考えております。
  40. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員の御意見、やり取りを伺っていまして、基本的には今局長から、総務省としての立場ということになりますと局長から答弁させていただいたとおりでございます。  反則金、罰金の問題は、ちょっと私たちはお答えする立場にはございませんけれども、これは委員も御指摘のように、日本全体から見ると、なければない、つまりだれも違反しないにこしたことはない。その意味では、言わばこの性格というのはウインドフォール・プロフィットというか、ある種私たちが目的をもって調達するものではこれは全然ないわけであります。しかし、そこにそういうプロフィットといいますかレベニューがある以上、これをどのように有効活用させていただくかということは、これは一つ政策判断として我々は考えなければいけないということなのだと思っております。  そういう観点からいうと、委員の直接の御質問は、将来についての財源についてしっかりと対応していかなきゃいけないのではないかという観点については私もそのとおりであるというふうに思います。ただ、今そこにある、一つ財源として活用すべきものがあるという観点からいうと、今のような形で当面は使わせていただきたい、そして、将来的なものについては実態を見ながらしっかりと判断をしていきたい、それが私たちから申し上げられる基本的な立場でございます。
  41. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 あるから、せっかくあるものを使わないと損だみたいな話になるのかもしれないんですけれども、それであれば、やっぱり絶対的に必要なもの、先ほど大臣地方の自由度を高めるとか自主性を高めるということでいえば、必要なところに必要なものを使うということが必要なんだろうと思いますので、本当に交通安全として、交通安全を守るというか、危ないところに対してはそういう施設を造っていくけれども、本当にその額が全部必要かどうかというのはその地方の自主性に任せられるような財政の形にしていく方が私は多分いいんだろうなというふうに思っていまして、これは反則金だけの問題ではなくて、これ先ほど二之湯委員からもお話がありましたとおり、いわゆる交付金、交付税の中身、あるいは税源移譲といったところでむしろ財政を安定化させていくということも重要なテーマなんだろうというふうに思っているわけなんですね。  その中で、交付税のことについてお聞きしたいんですけれども、交付税の中には法定五税で端数がいろいろあって、所得税及び酒税は三二%、これはそのままなんですが、法人税は三五・八という小数があったり、消費税の場合は二九・五という、〇・五ポイントというのが付いていたり、非常に端数があって何か数字合わせにしか見えなかったんです。当時変えたときの数字合わせというような感じがするんですが、この辺もっとうまくきれいにできないかなというのがあるんですが、その一方で、この中で一番偏在性の少ないものとしては消費税があるということは多分いろいろなところで議論されているんだろうと思います。  この中で、消費税、これをやはり地方財源として移していくというのが先ほど二之湯委員からもあったとおりなんですけれども、竹中大臣もその方向で考えられるというようなお話があったわけなんですけれども、これについてちょっと考えてみたいなというふうに思いまして、少し具体的にお聞きしたいと思いますが、消費税収というのは今四%、プラス地方税は百分の二十五が地方に行くということで一%で合わせて五%という理解なんですが、消費税で四%というのは金額にしておおよそお幾らなんでしょうか。
  42. 小室裕一

    政府参考人小室裕一君) 税収の額についてのお尋ねでございます。  一番新しい決算として平成十六年度の決算ということで、委員お話しのように、消費税分四%見合いと地方消費税分一%相当ということで、数字としましては、消費税の方の税収が九兆九千七百四十三億、約十兆円でございます。それに対しまして、一%見合いの地方消費税の方の税収としましては二兆六千百三十九億、おおむね四分の一程度、そんな数値になってございます。
  43. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 そうすると、地方の分は、交付税はいったんまとまって、それで地方消費税は一%で、あと四%はいったん国からまた交付税として配付されるわけなんですけれども、四%のうちの二九・五%、つまり約十兆として、計算しやすいので十兆として考えると、そのうちの二九・五%というと二兆九千五百億になるだろうと思いますが、それはそうじゃないんですか。
  44. 小室裕一

    政府参考人小室裕一君) 今委員が計算していただきましたけれども、済みません、正にその十兆分の二九・五%、そのとおりでございます。ちょっと私、勘違いしました。全体の十二兆五、六千の何%という意味じゃなくて、そういう意味では正に八〇%に見合う十兆円の二九・五%、そういう計算でございます。失礼しました。
  45. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 そうなると、先ほどの地方消費税分が二兆六千億ぐらいで、今言った二兆九千五百億かな、ということになると、合わせると大体五兆五千億ぐらいかな、が地方地方消費税プラス交付税の部分になるんだろうというふうに思うんですけれども、その四%のうちの二九・五%というのではなくて、例えばこの四%のうちの一%をそのまま、要するに地方消費税を一%ではなくて、もうそのまま二%にしてしまって、法定分から地方消費税を取り除くという方法もあるんだと思います。あるいは、その四%の割合を変えていく。地方消費税というのは偏在性が少ないということで理解されていれば、法定分として入れるんではなくて、もうそのまんま地方財源、税源移譲として移してしまう。  とにかく、例えば、今トータルで五%ですから、五%のうちの例えば半分を、二・五%をそのまんま地方財源として税源移譲してしまって交付税としてのカウントから外してしまうという方法もあるんじゃないかな。仮に半分、二・五%を移動させる、税源移譲すると、今よりも地方の方は八千億、トータルですけれども、地方分として八千億円がプラスされると。  先ほど言いました反則金、これ八百億減りますけれども、むしろここで八千億の収入が入れば、自由度が増して、交通安全に必要であればそこに掛ければいいことだし、そうでなければほかのところに掛けられるという自由度が増していくというような考え方もあるので、これ今の二・五、二・五というのは一つ考え方でありまして、そこを多少の配分はあるんだろうと思いますけれども、そういう考え方で税源移譲しておくと。それで、反則金については、非常に罰金との合理性も少ないだろうし、減っていくようなものに対して税源の一部として考えるというのもちょっとおかしな話だなということで、例えばこの特会の中身を変えてしまうというような考え方もあるんだろうというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか、大臣
  46. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、藤本委員は、個別論から入って、そして数字を踏まえて御提言を下さっているわけですけれども、物すごく簡単に申し上げると、委員がおっしゃっているのは言わば交付税から地方税への税源移譲ということですよね。もうそのものずばりなのだと思います。これまでの三位一体改革では、補助金を改革していって、補助金から地方税への税源の移譲であったわけですけれども、今回、今委員がおっしゃっているのは交付税から地方税への税源移譲、それを一つの具体的な形として今おっしゃっているということだと思います。これ、今後議論しなければいけない一つの課題であるというふうに私も認識をしております。  同時に、しかし、この問題は、今の地方財政計画そのもののつくり方、つまり財政需要を、地方に必要なやはり財政需要がある、それについては、これは交付団体、不交付団体全体にあるわけですから、消費税についてはこれ財源の偏在が少ないとはいっても偏在がありますから、それによって消費税が上がるところとそうじゃないところも出てきますから、そういう問題をどのように考えるかという非常に大きな問題がそこにはあるということだと思っております。  ただ、不交付団体を、先ほどの答弁と重なるんですが、不交付団体を減らすということになりますと、これは何がしかの歳出削減した上で、それでも何がしかの税源移譲はこれは絶対必要になりますので、その場合に、委員がおっしゃったような問題意識も含めて、これは幅広く考えていかなければいけない課題になるであろうというふうに思っております。
  47. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 分かりました。ありがとうございます。  それで、あと住民税、地方住民税、個人住民税、これについても一つ考え方としてあるのかなと思うのは、大臣も、多分国会議員の皆さんそうなんですが、東京と地元、東京の方は東京と一致する部分があると思いますが、東京と、地元に帰って二つのところで公共サービスを受けているということは間違いないんだろうと思うんですが、その住所の概念というところがちょっとはっきり分からないんですが、住民基本台帳法上の住所というのが多分住民票を持っているところで、そこに住民税を納めるということになって、一かゼロかになるわけで、ほかのところには納めることはできないということになっているんだろうと思いますが、例えばこれ、住民税についてもうちょっと柔軟に考えて、全額とは言いませんが、その一部分というのを例えば別のところに納めることができるような仕組みとか、そういうことは考えられないのかなというふうに思っているんです。  例えば別荘を持っている方もいらっしゃるし、マルチハビテーションを進めていらっしゃる方もいらっしゃる。そういうような方は二か所、三か所から実際の公共サービスを受けているわけですから、そのコスト負担をその方がするという考え方の方が恐らく私は正しいのかなというふうに思って、それが三十か所、四十か所というとさすがにとんでもない話になるんですけれども、ある程度区切って、住民票を置いているところには五〇%以上納めなきゃならないとか、何かそういうようなフレキシブルな対応ができないのかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  48. 小室裕一

    政府参考人小室裕一君) 藤本委員の方から、大変現代社会にマッチした形での御発想をいただいたんですが、私どもの今の整理をちょっと申し上げますと、御案内のとおり、住民所得割の納税義務者は、市町村、都道府県の場合は都道府県、その市町村内に住所を有する個人とされております。この場合の住所を有する個人というのは、お話があったように、原則として住民基本台帳に記録されている者とされているわけでございます。したがって、それにのっとって個人住民税の課税団体も納税義務者一人につき一つの市町村、都道府県に限られているわけでございます。  そういう中で、マルチハビテーションといいますか、複数の住居あるいはサービス自治体からのサービスを受けている人について複数納税するという仕組みはどうであろうかというお話でございます。  私ども、そういった点について、現在の時点で理論的及び実務的な面で幾つか課題があると思いますので、今のお話とのかみ合わせで申し上げますと、まず理論的なところですが、お話がありましたように、地方団体教育福祉サービス、これ対人サービスが非常に多くなっているわけでございますが、基本的には住所のある者に対して行われる。例えば公立学校ですとか児童手当、介護などもあるかと思います。特に国保ですね、拠出金等。そういう意味では、居住の実態に応じた市町村のサービスという、受益という意味では住所地というのは一つ大きなよりどころであろうと思います。  それから、税制全体で考えた場合に、住民税だけの議論でなくて、実際にそこに住んでなくても、例えば別荘を持っていれば当然固定資産税を納める。あるいは先ほど来議論がございました消費関係でいうならば、そこの地域で消費をすれば地方消費税も回ってくる。そういう意味で、必ずしも個人住民税だけでなくて、ほかの税目を考えた点というのは理論的に申し上げられるんだろうと思います。そういった際に、あえて法定外税にまで及ぶことですが、例えば別荘税とか、こういった法定外税、今委員のおっしゃった受益との関係でという理論構成で行っているところもございます。これが理論面でございます。  それからもう一点、実務面から見て幾つか申し上げたいんですが、そうすると、複数の住所、居所がある場合に、複数の市町村でどのように分割するのか、あるいは合理的な分割基準というのを設定できたとしても、年度途中で動く場合等あって、その辺は実際実務になったら大変だろうという議論があります。  加えて、最後ですけれども、住民税トータルとしては増えるわけではない、増収にならないわけですが、その一方で、市町村の側からは課税事務、それから納税者の方からは申告とか特別徴収ありますですね。それに加えてやっぱり特別徴収義務者、いろいろと源泉徴収のような形で取っていただいて、そこら辺の問題というのもありますので、そういう意味で、理論面、実務面から課題があるというところが今私どもの認識でございます。
  49. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 いや、いいアイデアだと思ったんですけれども、今の説明聞いてなるほどなと思ってしまったんですけれども。でも、もうちょっとフレキシブルな対応というのは、そのほかのことも含めてやっぱり税制考えていけるんじゃないかなというふうには思っています。  ちょっと交付税の話ばかりになってしまって、次に全然、官と民の方へ行けなくなったんですが、最後ちょっと交付税について、関連することでお聞きしたいんですが、交付税のいわゆる基礎データというのは多分国勢調査を使っているんだろうというふうに思います。五年に一回やられている国調なんですが、最近は、個人情報の問題であるとか、あとNHKなんかの受信料がなかなか徴収できない一つの理由として、オートロックのマンションが非常に増えてきたとか、それを理由にされると困るんですけれども、NHKの場合については。ほかにもいろんな問題点というのが環境の変化によって起きているんだと思います。  国調も、国勢調査もなかなか取りにくくなってきたというような、全数調査の場合は非常に難しい、サンプル調査と違うので困難性が高まっているんだろうというふうに思うんですが、統計データというのが正確でないと、そうしたデータを基にしていろんな政策考えるのも不正確になってしまうということの中で、各種統計を整備する立場として、今の課題であるとかあるいはその対応策というものをどう考えていらっしゃるのかということをお聞きしたいと思います。
  50. 衞藤英達

    政府参考人衞藤英達君) 今お話しの前年実施の国勢調査でございますが、先生お話しのように、全国的には順調に進んだものと認識しております。  ただ、都市部を中心にいたしまして、今お話しのオートロックマンションでありますとか、それから共働き世帯の増加、それから単身者世帯の増加がございまして、かなり不在がちな世帯が増加しております。こういったことで、なかなか世帯に接触が難しいというようなことがございました。また、接触できた場合が大体ほとんどでございますが、そういう場合であっても、プライバシー意識の高まりなど、かなり難しいというようなことがございました。  そういうことで、記入でありますとか回収につきまして、かなり前回、前回といいますか、今回大変だったわけでございましたが、こういう問題がございますので、今年の一月から有識者によりまして懇談会を開いておりまして、様々な問題、それから特に調査員の業務の在り方、それから国民への周知の方法等を含めまして、今幅広く検討を行っているところでございます。  かなり根本にわたる話でございますので、ちょっとお時間をいただいてやっておりますが、この懇談会につきましては、夏ごろまでには改善の基礎、基本的な方向を取りまとめたいと、かように考えてございます。  以上でございます。
  51. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 どうもありがとうございます。  それでは、次の質問に移りたいと思いますが、先ごろ提出されました行革推進法の中でも、公務員の総人件費の問題というのがあったかと思います。  この件に関しては、いわゆる官民比較という点をやはり考えていかないといけないんでしょうが、この総人件費の、その総人件費という定義というのもちょっとよく分かりにくいんですけれども、よく、いわゆる人事院の方で国家公務員の関係についてのいろんな制度というのを官民比較という点でやられているんですが、人事院で総人件費に関するすべての項目に対して把握されているんでしょうか。
  52. 関戸秀明

    政府参考人関戸秀明君) 人事院で行っております官民比較の総人件費関係といいますのは、最も精緻に伝統的にやってきておりますのは給与についてでございます。  給与につきましては、月例給与について、四月一日時点で民間の給与と国家公務員の給与を比較するということでやっております。また、特別給については特別給として行っております。ただ、そのほかの関係でございますけれども、その総人件費というのはどこまで入るのかということございますけれども、そのほかについてはそれぞれの所管のところでやっておりますし、それに協力して一部人事院も今まで調査を行ったということはございます。
  53. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 それぞれそのほかのところでやっていらっしゃるということなんですが、給与のフリンジというか、諸手当なんかの部分については多分人事院の方である程度決めてそれを各省庁で管理監督しているという認識でよろしいんでしょうか。
  54. 関戸秀明

    政府参考人関戸秀明君) 今申し上げました給与についてでございますけれども、月例給につきましては俸給、基本的な俸給ということだけじゃなくて、国家公務員に支給しますそのほかの諸手当、住居手当とか扶養手当等がございます。そういうものも含めた全体の給与、一部実績的な給与除かれますけれども、一部の給与を除いた全体の給与として民間の給与と国家公務員の給与を比較いたしておりまして、そのほか例えば住居手当等につきましては基本的には部内の、公務内の配分の問題として制度を決定しております。  ただ、配分の問題として決定するときにも民間の状況というものを参考にしながら決めさせていただいております。一番大事なところは、給与については、月例給について総給与額、全体としての給与を民間に合わせるということでそこをしっかり押さえているということでございます。ただ、制度、基準は人事院で決めますけれども、その後決定は要件に照らして各省給与権者が行っております。
  55. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 総給与ということだと思います。だと今御説明ですが、退職金については把握されているんでしょうか。退職手当ですね。
  56. 戸谷好秀

    政府参考人戸谷好秀君) 退職手当につきましては、総務省人事・恩給局の所管に属しています。  私どもの方で退職手当を支給するにつきまして、御案内のとおり、五、六年ごとに実施する民間企業退職金実態調査の結果を踏まえて官民均衡を図っております。また、国家公務員の退職手当額、それぞれ出された額につきまして、私どもこの比較のための調査で集計値を把握しているという状況でございます。  以上でございます。
  57. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 要するに、退職金の方は総務省の人事・恩給局の方でやられていて、それ以外の総給与については人事院の方でやられているという解釈でよろしいんですよね。人事院に。
  58. 関戸秀明

    政府参考人関戸秀明君) 在職中におけます給与と退職時におきます退職手当ということに関しましては、先生御指摘のとおりでございます。
  59. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 それでは公務員宿舎、公務員宿舎に関してはその管轄といいますか、管理監督の責任というのはどこが持っているんでしょうか。  これは例えば、我々なんか、まあ我々というか、サラリーマンをやっていたときなんかは結局、自分の給与というのは、そういう住宅の手当という話は先ほどありましたけれども、社宅を持っているところであれば、それはある面その給与を会社が補てんしているような考え方というのもできる部分もある、まあその額によってだと思いますけれども。そういうことがあるとなれば、それは一つの給与としてみなすことも可能なのかなというふうに思うんですが。  まあそれは、その議論はさておいて、官舎といいますか、公務員宿舎、これについてはどこがどのような管理責任を持っていて金額を決めていらっしゃるのかということ。
  60. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) お答え申し上げます。  国家公務員宿舎の維持管理につきましては、宿舎法第五条の規定に基づきまして、合同宿舎と省庁別宿舎とで分かれております。全省庁の職員が貸与の対象となっております合同宿舎につきましては、財務大臣が維持管理をする。他方、同一の各省各庁に属する職員のみが貸与の対象となっている省庁別宿舎につきましては、各省各庁の長が維持管理をするということになっております。  この省庁別宿舎の維持管理につきましては、宿舎法の第六条に財務大臣の総括権という規定がございます。これによりまして、財務大臣は各省各庁の長に対しまして、省庁別宿舎の維持管理の状況について報告を求めることができるというふうにされております。したがいまして、省庁別宿舎につきまして、宿舎の所在地とか設置箇所数、戸数等について私どもが把握しております。  それから、宿舎使用料の関係について御説明いたしますと、個々の宿舎使用料の決定、あるいは貸与承認等につきましては、宿舎法令上、維持管理機関が行っております。したがいまして、省庁別宿舎の宿舎使用料等についてはそれぞれの各省各庁が行っているということでございます。
  61. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 それでは、例えば民間でも社宅を持っているところがある。あるいは持っていないところもあります。この社宅、いわゆる民間事業者の社宅であるとか、それとのいわゆる官民比較というのはどこか、人事院かどこかでやられているものなのか、あるいは財務省の方でやられているのか、ちょっとお聞きしたいんです。
  62. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) お答え申し上げます。  人事院では、毎年、民間企業従業員の勤務時間等の勤務条件の状況の把握を、調査しております。その中で、民間企業における社宅の使用料というものを調査しております。従来は、社宅の保有形態別の調査というのを行っていなかったんですけれども、最近の民間の状況を踏まえまして、平成十六年に自社保有及び借り上げ社宅を保有する企業の割合を調査いたしました。その結果は、百人以上の企業で平均六三%、五百人以上の企業で八二・三%で、そういう社宅あるいは借り上げ社宅を有しているという結果が出ております。
  63. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 まあそれは保有割合ということだと思いますけれども、それに対してのいわゆる家賃補助になるんだと思いますけれども、これは自社保有のものと借り上げ社宅は多分違うんだろうなと思いますけれども、その辺についての調査も人事院でやられているんでしょうか。
  64. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) 今申し上げましたように、それらの社宅の使用料、幾ら従業員の方が払っているかという調査はいたしております。それから、今先生御指摘のような住居に入っていたら幾ら手当が出ているかということになりますと、これは民間では給与種目の中で住居手当等で出ておりますので、先ほど答弁いたしましたように、民間企業の給与の一部としてそれは給与比較の対象として把握しております。
  65. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 それは、給与の一部としてまあ民間の場合は出しているところもあるんだろうというふうに思いますが、この価格の、価格というか家賃についての比較もされているんでしょうか。
  66. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) 民間の使用料、社宅使用料が幾らかということは把握しております。その比較という御指摘ですが、大きさとか、大きさというのはその住居の広さとか立地条件とかございますから、どういう形で比較するかということはございますけれども、例えば自社保有社宅の場合、まあ公務に比較的近い六十五平米から八十平米の社宅における平均の使用料というのは二万八百三十三円という結果になっております。
  67. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 それは、地域別ではなくて全国一緒くたになって、ざっと全部の中で平均幾らというふうに出しているものなんですか。
  68. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) 私の今申し上げた数字は全国平均でございます。
  69. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 先ほど百名以上の企業で六三%というお話がありましたけれども、そういったところの社宅はどこ、例えば東京都二十三区の中にどのぐらいあってそれは幾らでというような区分では調査はされていないんですか。
  70. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) そのような集計というんでしょうか、は行っておりません。
  71. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 というと、やはり、先ほどから都市と地方の格差というのが出てきていると思いますが、所得だけではなくてそういった不動産の価格においても相当の差があって、地方に多ければ多いほどやはりその辺は価格が下がってくるというのはもう当然と言えば当然の話だと思うんですけれども、その辺りをやはりきちっと評価できるような形にしていかないと、本当の意味での官民格差を、格差というか比較をしているというふうに言えないんだろうなというふうに思います。  ちょっと時間が来ています、少なくなりましたので次の質問に移りますけれども、今東京都の中で結構話題になっている官舎、公務員宿舎が幾つかあります。まあ新築してこの二月から入居し始めているというところが三軒茶屋とか池尻大橋とかというのにもあるんだろうと思いますが、その辺の、新築住宅を集約化しているという多分説明なんでしょうが、どのような基本方針で集約化をしようとされているのかをちょっと教えてください。
  72. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) お答え申し上げます。  公務員宿舎の整備に当たっては、老朽化した宿舎を中心に、できるだけこれらを集約立体化して建て替えるということで敷地の有効活用を図ることを基本として整備を行っているところでございます。
  73. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 というと、要するに高度利用をするなりして、たくさんいろんな郊外、郊外というか、都心の中にある古いところに住んでいる方をそういうところに移していくことによって周りのところは大分減らすことができるというような意味合いで考えていいんですね。
  74. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) そのとおりでございます。
  75. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 まあ基本的な考え方というのはそれでもいいのかなというふうに思うんですけれども、じゃそれぞれ個々見ていったときに相当優遇されているところがあるんじゃないかと。まあよく最近話題になっていますが、南青山だとかという話がありますが、それはこっちへ置いておいて、今新築されて二月から入居されてきている目黒東山住宅、ここは多分場所を御存じの方はああ、あそこねというふうに分かるんですが、公務員宿舎の城下町みたいになっていまして、その元々あった駒沢住宅だけではなくて、そのほかにいろんな住宅、例えば関東財務局のアパートであるとか外務省の寮であるとか、防衛庁の宿舎とか厚生労働省の東山宿舎もあの一帯ですよね。そうなってきたときに、まあ今回はその駒沢住宅のところだけの建て替えなんですけれども、先ほどのお話で財務省管轄のものと各省庁別というのがあるので、多分ほかのところは手出しができなくて、結局うまい効率ある使い方ができないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、それについていかがでしょうか。ちょっと午前中時間がありませんので午前中の質問はこれだけにしますけれども、いかがでしょう。
  76. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 都内の宿舎の整備の在り方でございますけれども、先ほど申し上げましたように、都内のいろいろな老朽化した宿舎を一か所にできるだけ集めて合同宿舎化をして集約立体化をする、これが国有財産の有効活用の面で最も重要ではないかなというふうに思っております。  先ほど旧駒沢住宅、今、目黒東山住宅と言っておりますけれども、これも都内の他の老朽化した宿舎二十か所を集約立体化して建てたものでございまして、まあ計画した当時、これにふさわしい規模の宿舎跡地がほかになかったことから、あそこの場所に一か所に集めて建てたということでございます。
  77. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 午前中最後の質問でしたけれども、要するに今の質問はその駒沢住宅の部分だけをどうするかという回答なんですけれども、それ以外、一杯そこに宿舎があるものをもっとうまく効率よくできないものなのかなというところの問題提起なんですが、午後もちょっと具体的に目黒東山住宅についてお聞きしていきたいと思っております。  どうもありがとうございました。
  78. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時三十四分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  79. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十八年度総予算委嘱審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  80. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 午前中に続きまして質問をさせていただきます。  午前中の最後に、この東山住宅の話をしました。午前中最後のときにちょっと申し忘れてしまったものですから今申し上げますと、警察庁の方、もしいらっしゃるんであれば、ごめんなさい、もうこれでよろしいですので、委員長、退席していただいて結構でございます。
  81. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) はい、どうぞ、じゃ。
  82. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 それで、まだ質問たくさん残っておりまして、先に、冒頭もう謝っておきますが、放送と通信の融合に関係することで、まあ著作権のこととかいろいろ質問したいと思っておりますが、もし時間がなくなったら大変申し訳ないですけれどもその質問は割愛させていただく場合があるということを、済みません、申し訳ない、先に申し上げておきます。  それで、目黒東山住宅についてなんですが、今度ちょっと、先ほどマクロ的な話をしましたので、具体的にお話ししますが、これは建ぺい率ってどのくらいなんでしょうか。財務省。
  83. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 目黒東山住宅の建ぺい率のお尋ねでございますけれども、これは法定で六〇%ということになっております。
  84. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 法定のことはいいんですが、実際にここでどのぐらいの建ぺい率で建てられているんでしょうか。
  85. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 実際の建ぺい率は二三%程度となっております。
  86. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 六〇%の法定率のところで二三%というのは、具体的に言うとどういうことなんですか。よっぽどゆったりと造ったという解釈でよろしいんでしょうか。
  87. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 目黒東山住宅の建て方についてでございますけれども、建ぺい率、法定上建ぺい率が六〇%、また容積率が二〇〇%という第一種中高層住居専用地域でございます。実際にこれを建てた容積率で見ますと、国有財産台帳ベースではほぼ一〇〇%でございますけれども、建築基準法上の面積に置き直して大体九割ぐらいの法定容積率を使っているという状況でございます。  敷地がゆったりめに見えるというふうな御指摘でございますけれども、目黒東山住宅の敷地は、この住宅を建設する以前から東京都の広域避難場所に指定されておりましたことから、宿舎の整備に当たっては最大限容積率を活用して建物を塔状に分けて建てることにより空地を多く確保すると、そういった配慮がなされて設置されたものでございます。
  88. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 午前中でお話ししたとおり、この東山住宅、これは、それだけじゃなくてほかのいろいろな財務局のアパート、関東財務局のアパート、外務省の寮とか、これ全部同じというか、近くの敷地になっている、一体化されているんですけれども、それを合わせると、ここの建ぺい率の二三%ぐらいですか、というそこだけで空地を確保するということじゃなくて全体で確保できればいいのに、ここのところは相当ゆったり造っているんじゃないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  89. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 先ほど申しましたとおり、ここは東京都の広域避難場所と指定されておりますけれども、ここの宿舎の跡地だけでなく、その周辺の公園も含めて広域避難場所として指定をされておると承知しております。
  90. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 じゃ、そういう、建ぺい率二三%、法定で六〇%で、まあ相当の空地、空き地があるということで全く問題ないと、そういうことでいいんだという解釈でよろしいんですね。
  91. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 先ほどから御説明している趣旨は、国有地のその使い方、建て方の効率性という観点からいって、例えばその建ぺい率だけを満たそうとすれば、まあ平たく建てる、逆にその容積率との関係でいけば、まあ言わば高い建物をそれぞれ建てる、そういう建て方があります。  私どもは、先ほど来申し上げているように、広域避難場所という指定をされておりますから、むしろその建ぺい率を満たすやり方ではなくて容積率をできるだけ活用した建て方をして、効率的な建て方をしていると思っておりますので、そもそも無駄に空き地をつくって建てているというふうには考えておりません。
  92. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 つまり、敷地についてはゆったりめに取っているけれども、高層化して延べ床面積といいますかね、その全体の容積率の中で二〇〇%のまあ約九割ちょっとぐらいですかを満たしていると、そういう解釈になるんだろうというふうに思いますが、ここの東山住宅について言うと、何パターンというか、部屋の、一Kが何部屋、三LDKが何部屋で、それぞれ何平米ずつあるか、ちょっと教えてください。
  93. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 目黒東山住宅の住宅の仕様のお尋ねでございますけれども、全体で五百四十五戸ございまして、そのうち単身者用、これは一Kでございますが、三十四平米と、それから世帯用の、我々c規格と言っておりますが、六十四平米のもの、そういったもので構成をされております。
  94. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 これは、一Kと三LDKとで合わせて五百四十五ですか、五百四十四ですか、になるということなんですが、これ仕様として、まあ最近よく批判されているのは、ほかの高層億ションみたいなそういう高級なマンションと仕様的に差がないんじゃないかと、外観としても非常に豪勢なものになっているというような批判があったりするんですが、これについては、これやはり仕様を見ないと、三LDKだからどうのということは言えないんだろうと思いますけど、この仕様書といいますか、間取り等の公開はされているんでしょうか。
  95. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 宿舎の間取りについては公開をしておりません。これはまあ宿舎全体についてセキュリティーとの関係もありますので、そういった点で間取りは公開をしてございません。
  96. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ごめんなさい。セキュリティーの関係で間取りを公開しないというのはどういうセキュリティーなんでしょうか。どういう意味でしょうか。
  97. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 宿舎の造り方の形態にもよりますけれども、宿舎によってはやはり中に公開空地を設け、近隣の住民の方が入ってこられるような、そういった形態がございます。宿舎のその間取り全体のレイアウトを明らかにすることによって、もしその外部から侵入をしようとする者からすると、どの辺から侵入すればどういうことができるかという情報を国の方で提供するのは不適切かなというふうに考えておるわけでございます。
  98. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 これはオートロックでしょうか。
  99. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 目黒東山住宅についてはオートロックを使っていると承知しております。
  100. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 これ、何階建てでしょうか。
  101. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) それぞれ、これは四棟建っておりますけれども、八階建てが一棟と、十三階から十五階建てのものが三棟ございます。
  102. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) まだ、理財局次長、質問続きますから、じゃ、もう答弁席にいてください。
  103. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 どうも、御配慮ありがとうございます。  それで、相当高層なものなんで、その中でまだ、オートロックであると、かなりセキュリティーがあるんですが、それで間取り図を公開しないというのは、やはりそこでもまだ更にセキュリティーに問題が、公開してしまうと問題があると、そういうことなんでしょうか。
  104. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 一応万全を期しているということで御理解いただきたいと思います。
  105. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 それで、例えば私がこのマンション、マンションというのかな、宿舎ですね、マンションと言ってしまいましたが、宿舎を少し見せてくださいということであれば、それは見せていただけるんでしょうか。
  106. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) これまで外部の方にお見せすることは差し控えさしていただいております。
  107. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 そうなってくると、これが本当に民間と比較して適当なものかどうかというのは全く判断できなくなってしまうんですけれども、それはどうお感じになりますか。これ、かなり、相当、私は必ずしも、何というのかな、いろんなマスコミ含めて豪華過ぎるというようなことに対して、本当にそうなのかというところをやっぱり明確にする必要があるんじゃないかなと思って言っているだけであって、それを追及するために言っているだけではないんですけども、我々でさえもやはりこれは見せていただくことはできないということでしょうか。
  108. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 国家公務員宿舎が豪華な造りになっているのかどうかということでございますが、ちょっと今手元に具体的な資料を持ち合わせておりませんけれども、宿舎建設に当たっての建設単価というものを設定をいたします。そのときには、具体的には、ちょっと正式な協議会名は覚えておりませんけれども、例えば住宅金融公庫とか都市再生機構とか、そういったところで公共的な建物を建てる場合の建設単価というのを定めておりまして、国家公務員宿舎を建てる場合もそうした単価に準拠して建設費を求め、そして入札に掛けて建設をしているということでございますので、決して、特に例えば民間のいわゆるマンションなどに比べて豪華であるといったようなことはないというふうに認識しております。
  109. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 それで、この間、都市再生戦略チーム座長の早稲田大学の伊藤滋先生が公務員宿舎を視察されて、その中で、こんな一等地にこんな安さだよと言っていたやさき、すぐにその後、その宿舎がウォシュレットじゃないんだよと言っていろいろ騒いでいたんですけど、ウォシュレットじゃなくて今どき床暖房もないんだよというふうに言われてたんですけども、そんなの普通のマンションというか普通のアパートだったら当たり前で、ウォシュレットもないし床暖房もないというのは普通なんですが、伊藤滋先生がそういうふうに言われていたんですが、この東山住宅はウォシュレットでしょうか。
  110. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) ウォシュレットではないということだそうでございます。
  111. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 この一K、三LDK、それぞれ家賃はお幾らなんでしょうか。
  112. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 一Kの方は現在一万五千九百八十五円、それから三LDKの方が三万四千八百二十五円でございます。  これらの使用料は現在経過期間中の使用料でございまして、十九年四月からは一Kの方が一万八千七百三十九円、三LDKの方が四万八百四十一円になることが予定されております。
  113. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 これは駐車場は付いているというふうに聞いておりますが、駐車場の台数分ですね、何台付いて、それがそれぞれ幾らの賃料になっていますでしょうか。
  114. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 駐車場は全部で三百二十七台分が付いておりまして、その賃料は五千円でございます。
  115. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 私、先ほど三LDK三万四千八百二十五円って、おっ、これ駐車場でも安いなと思ったら、それが三LDKの家賃だったというのでちょっと驚いているんですが、ここのいわゆる相場、目黒東山住宅近隣といいますか、そこの相場というのは御存じでしょうか。
  116. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 私どもは近隣の民間家賃の相場は把握してございません。
  117. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 つまり、相場観は全く関係なく、いわゆるもう全体の中で公務員宿舎の単価を決めているから相場は見なくてもいいんだよということで見ていないんだろうというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  118. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 宿舎使用料の決定につきましては、これは民間相場と比べて設定するという仕組みにはなってございません。宿舎の使用料というのは宿舎法第十五条第一項の規定に基づいて算定されるものでございますけれども、標準的な建設費用の償却費、それから修繕費、地代、そして火災保険料に相当する金額を基礎とし、これに転勤等の場合に明渡し義務が職員には課せられておりますので、こういったことなどを考慮して算定された基準使用料、これに宿舎の専用面積を乗じて求めるということになっております。したがいまして、こういった法律に基づいた使用料の算定をいたしております関係上、民間賃貸住宅の水準というものを私どもは必要としてないということでございます。
  119. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 一応、念のため、相場、大体どんなもんかというのをお知らせしておきますと、一Kでこの三十四平米ですと、その近くに新築で一Kを建てたところがありまして、それを見ると十六万円です。三LDKは、正に今年できたものがないので、〇二年、二〇〇二年で、平米単価で見ると四千五百円ぐらいですので、六十四平米換算すると二十八万から三十万、これがその近隣での相場観なんですね。そうすると、仮に二十八万円とすると、ここの三万四千八百二十五円ですから今、それを、差額を見ますと、相当な差額になっているんですね。  これは特にみなし給与として課税対象に今のところなっていないんだろうと思いますが、これ、例えば礼金、敷金は当然ありませんので、普通に民間で借りたりすれば二年ごとに借換えすると、その借換えの手数料とかが入ってきますので、大抵、私、ざっと計算すると、四年間で普通にその近くを借りるのと比べると一千五百万円ぐらいが、まあ得をするという言い方、変なんですが、千五百万円ぐらいの差が出るんです、たったの四年間で。これ、八年間勤めると、そこに住み続けると三千万円ですね。十六年間、例えば三十五歳から五十二歳までいると、これ六千万円ぐらいそこで差額が出てしまう。六千万円というと、相当な資産形成ができるんじゃないかなと思いまして、これを、安価なそうした公務員宿舎に関しては、課税対象、みなし給与として課税対象されないのかなというふうに思っているんですが、それについてはどういう、現状どうなんでしょうか。
  120. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 宿舎の使用料についての算定方法は先ほど御説明いたしましたけれども、宿舎というのは営利を目的としておりませんし、それから、先ほどもちょっと触れましたが、転勤等の場合には退去が義務付けられているということで、民間の賃貸住宅を借りる場合に付く借家権、こういったものもありません。そうしたことから、民間賃貸住宅とはもう本質的に異なり、それぞれの賃料を比較することは適当でないと私どもは考えております。  それで、今お尋ねの宿舎使用料の賃料の水準からいって、みなし給与として課税すべきではないかという御質問でございました。  使用人がその雇用主から住宅を貸与されている場合には、その受ける経済的利益に対する課税関係につきましては、これは国税庁の所得税基本通達に定められておりまして、国家公務員も民間の給与所得者と同様の取扱いとなっております。具体的には、国家公務員宿舎の使用料がこの通達で定める計算式に基づいて算定された通常の使用料の額の五〇%相当額以上であるときは、その給与所得者が住宅を貸与されることにより受ける経済的利益はないものとされ、課税関係は生じないとされております。  さらに、この場合において住宅の貸与に係る経済的利益の有無を、個々の住宅ごとではなくて、貸与している住宅の全部又は事業所等ごとの住宅の全部を基として判定して差し支えぬ旨についてもこの通達に定めてございます。  こうした通達の規定に基づきまして、平成十五年九月に財務省が行いました使用料の調査では、全宿舎の使用料合計が約二十五億六千万円となりまして、通達により算定した通常の使用料合計の五〇%に相当するものが約七億三千万ということで、この七億三千万を上回ったということで、所得税法上課税対象となる経済的利益は生じないという、そういった結果を得ているところでございます。
  121. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ちょっと複雑なんですが、要するに、それぞれの個々の宿舎で決めるのではなくて、全国にあるすべての国家公務員の宿舎すべてをトータルで合算をした上でそれを算定しているので、これは課税対象になるような宿舎は今のところ存在していないと、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  122. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 先ほど申しましたとおり、所得税基本通達では、住宅の貸与に係る経済的利益の有無を、個々の住宅ごとではなくということになっておりまして、貸与している住宅の全部又は事業所等ごとの住宅の全部を基として判定して差し支えないというふうに規定されておるところでございます。
  123. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 今の規定ではそうなんだろうということなんだと思いますが、先ほど来、都市と地方の格差が非常に拡大している部分もあるということの中で、そういうストックのやはり評価というのも大分都市と地方が違う。それなのに東京都心と地方とを同じようにそれをひっくるめて考えるということになっているのは、何かやっぱり腑に落ちないところがあるんだろうというふうに私は思っておりまして、例えば、仮に二千万円の収入の人が百人いましたと、二百万円の人が百人いましたと、じゃ平均を、その全体の所得の平均は一千百万ですからそんな低くないですねと言っているのと同じであって、それぞれの地域地域でやはりある程度これを分けて考えていかないと、全部低い方に引っ張られてしまってそういう結果になるんじゃないかなと思いまして、これはやはりみなし給与として課税対象とするような仕組みというのもやはり考えておかないと、ある人はとっても得をしているけどある人はそうではないという非常に不公平感が出てきてしまうような気がしてならないんですが、それに対してはいかがでしょうか。
  124. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) これは──じゃ、国税庁松川調査査察部長。  どうぞ隣の空いてるマイク使ってください。
  125. 松川忠晴

    政府参考人松川忠晴君) お答え申し上げます。  いわゆる社宅家賃に対する課税関係の取扱いについてでございますが、先ほど来財務省の方から答弁がございますように、これは一定の算定式で盛った基準との関係で判断しておりますが、これは公務員でも民間企業の社員に対しても同様の算式で判定しているわけであります。そこで御理解いただきたいのが、給与所得全体を視野に入れて取扱いが定められておるということでございます。  で、その上で、現在の所得税基本通達においていわゆるプール計算が認められているのはどうしてかということでございますが、所得税基本通達に定める計算式により算定しました通常の使用料の額というのがございます。これにより経済的利益の供与があるかどうか判定するわけですが、この通常の使用料の額というのは、全体として見れば妥当な基準になっていると考えられますけれども、個々の家屋の老朽の程度、構造等の違いによりまして、必ずしもその利用価値を反映しないものもあるわけでございます。  また、新築家屋の場合は、その一定の算式でございますので、相対的に高く出る場合があるわけですけれども、そういう場合は、間々往々にして新築家屋の場合は若い社員、収入の比較的、相対的に低い者が借りている場合もあるという場合には、その負担感としてどうかという問題もございます。  で、こういうふうな状況を勘案しまして、全体として雇用主が住居を貸与したすべての給与所得からその住宅の状況に応じて均衡の取れた使用料を徴収している場合には、課税の在り方としては、住宅の貸与に係る経済的な利益の有無を、個々の住宅ごとではなくて、貸与している住宅の全部又は事業所等ごとの住宅の全部を基として判定して差し支えないという趣旨を基本通達で定めているということでございます。
  126. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 ちょっとこれももう少し議論したいところですが、ちょっと時間がなくなってしまいましたので次の質問にしますが、庶民感覚というか、普通の感覚でいったら、これだけ差があるものに対して課税対象とならないというのはどうも納得いかないなというところがあると思いますので、これはまた今後、ちょっと検討として私も考えていきたいなというふうに思っています。  この目黒東山住宅、今これ空き室状況、入居率といいますか、それはどの程度になっていますでしょうか。
  127. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) この目黒東山住宅はでき上がったばっかりで、今順次入居を進めているところなんで、ちょっと空き室が、率がどのくらいなのかというデータは今ございません。
  128. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 午前中のときに、午前中に、財務省だけではなくてその他いろいろな各省庁の宿舎もあるということだったんですが、財務省として、あるいは総務省としてでも結構なんですが、各宿舎の全体の、どこがどのぐらい空いていて、どこがどのぐらい今待ちが入っているとか、そういうのは分かっているんでしょうか。
  129. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 今のは、全体の宿舎の入居割合のようなことでしょうか。
  130. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 入居……
  131. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 挙手をして。
  132. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 済みません。  例えば、どこの宿舎はどのぐらい空いているとか、どこの宿舎はキャンセル待ちが入っているとかって、そういう状況を把握していらっしゃるでしょうか。
  133. 日野康臣

    政府参考人日野康臣君) 午前中にもお話し申し上げましたけれども、合同宿舎は当然財務省が、財務大臣が管理をしておりますし、省庁別宿舎につきましても各省各庁の長が管理をしておりますけれども、財務大臣が総括権を行使いたしまして、それぞれの戸数等は把握しております。実際、省庁別宿舎、合同宿舎、全部合わせまして、未入居の比率が大体四%ぐらいということは把握しております。  ただ、個々の宿舎で、どこそこ宿舎の何号室がどう空いているかどうかということについては、特に省庁別宿舎についてはそれぞれの各省各庁の方で把握をされているということでございます。
  134. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 竹中大臣にちょっとお聞きしたい、御参考までに。担当ではないかもしれませんが、御参考までにお聞きしたいんですが。  今の話でいうと、財務省は財務省の部分あるいは合同庁舎、各省庁は各省庁でやっているということのようですが、アメリカなんかのショッピングモールなんかで空き室が出ると、そのマネジメント、ファシリティーマネジメントというか、そういうのでちゃんとこうすぐに入れ込んでいって効率よく使うようにしますよね。あるいは、売上げがない、あるいはお客さんが少ないところは入れ替えるというような形なんかはよくやる。  これ、タウンマネジメントなんかでもその手法は使って効率よくやるということを考えたときに、全部縦割りでばらばらになっていると、これ全体像が見えなくなってくる。だから、そういうのをやっぱり一括的な情報管理をしながらマネジメントしていくというような方法が私は必要なんだろうというふうに思いますが、いかがでしょうか。これ、最後の質問でございます。
  135. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 財産の管理、国全体の財産の管理、ちょっと担当しておりませんので詳細の事情も分かりかねますが、効率的に効果的に資産を活用するという観点からいろんな工夫がなされなければいけないと思っております。  もちろん、財務省理財局でもそういう問題意識を持って一生懸命やっておられるというふうには承知をしておりますが、更にどういうことが可能かということは、その部署におきましてもしっかりと御検討いただけるものというふうに思っております。
  136. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 終わります。
  137. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  今日は予算委嘱審査ということでバッターをいただいたわけでございますけれども、若干質問をさせていただきたいと思います。  予算でございますので、やはり無駄遣いは駄目よということで、当然どの会派もそこをしっかり質疑をしているわけでありますが、私ども公明党も、無駄は排除ということで、かつまた行政改革あるいは公務員の総人件費削減というような要請もございます。  ただ、私は仕事、職員だけ減らせばいいという話ではなくて、やはりその前提として仕事を減らさない限り、やはりむやみに人を減らしても大変なことになるなというところでございまして、私ども公明党は、事業仕分という表現で、やはりもう一度、国あるいは公共団体がかかわっている事業を、本当に必要なのかどうか、あるいは国だけじゃなくて県あるいは市町村に任せるべきものがあるんではないか、民間でいいんではないのか、あるいはそもそもその事業はもうやらぬでもいいんじゃないか、常に本来点検をすべきものだというふうに思っておりまして、そういう作業をまとめて事業仕分という、今まで法律用語には余りなかったかもしれませんけれども、そういうことをお訴えをさしていただいております。  しかも、仕分のやり方も、単に首長が、あるいは省庁のトップが必要かどうかという判断するだけではなくして、各部署が、担当部署が、あるいは第三者委員会みたいなものを作って、本当にその有効性、必要性等を訴えていただく、それをオープンな場で質疑、討論するというような形で仕分していくべきであるというふうに考えているところでありますし、またどしどし推進をしていきたいというふうに考えているところであります。  一方、国の方でもこのたび、例えば、いわゆる市場化テスト法というようなものも提案、提出されているところでございますけれども、いわゆる公共サービスも官民競争入札あるいは民間競争入札あるいは廃止の対象とするというようなものを選定をした上で、それを民間なりに委託していくというような手法を考えているようでございますけれども、まず総務省として、この事業仕分というような概念をどのようにとらまえておるのか、お聞きしたいと思います。
  138. 高部正男

    政府参考人高部正男君) お答えを申し上げます。  現下の厳しい財政事情あるいはいろんな事情の中で、地方団体がその事務事業につきまして住民に対して適切に説明責任を果たしながら、事務事業そのものの必要性でございますとか公的関与の必要性を十分に検討いたしまして、それが低下したものにつきましては廃止や民間譲渡等を行うと。また、必要性があるとされたものにつきましても、民間委託や指定管理者制度などの活用の可能性等について十分検討を行ってこれらを積極的に活用していくというような、広い意味での地方行革、行政改革、いろいろ検討しなければならないわけでございますが、そういう中で今申し上げたようなことが是非とも必要だと思っておるわけでございます。  議員御指摘いただきました事業の仕分というのも、このために大変有効な方法ではないかというふうに思っているところでございます。
  139. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今局長おっしゃいましたように、先行委員地方財政のお話もございましたけれども、やはり地方公共団体におけるこの事業仕分の導入というものが本当に必要なんじゃないかなというふうに私も考えているところであります。  私の地元の千葉県では、もう昨年九月から三月まで全三千八百の事業を対象に事業仕分作業をやっているというふうに聞いております。特に、エポックなところでは、昨年の十一月十日と十一日にいわゆる外部の参加者による事業仕分けということをやっておりまして、この一事業三十分程度を掛けて見直し作業をやって、二日間で百十二事業及んだようであります。やり方として、コーディネーター役が一人いて、外部参加者として千葉県の職員、また埼玉や神奈川の職員も参加をしてもらって、そういうような行政当局の思いも分かるといいますか、そんなことで種々議論をしたようでございまして、県の職員に聞いてみましたら、県の職員の意識改革になったと、まず第一に。しかも公開の場でやったことが良かったと、第三者からの指摘が非常に刺激になったということでございまして、二月十四日発表の千葉県の資料によれば、この十八年度予算で廃止、民間移行、見直しする事業は二十三事業で、平成十七年度予算との比較では十一億円程度の削減になるということのようでございます。  やはり、ちょっとした数の事業見直しでもこれだけの削減効果があるというふうに考えておりまして、総務省としても積極的に私は推進すべきではないかなというふうに思っておりますが、その事業仕分け制度の導入の必要性とその実施状況についてお聞かせをいただきたいと思います。
  140. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 先ほどお答え申し上げましたように、この事業の仕分けというのも行革の推進ということについて大変有効な手法であるというのは基本認識でございます。  昨年三月に策定いたしました新地方行革指針におきまして、地方団体に対しましてはPDCAサイクルの下に不断に事務事業等の正当性の検証を行うことなどを求めますとともに、昨年十二月の行政改革の重要方針におきましても、「今後、「小さくて効率的な政府」への道筋を確かなものとするためには、与党の議論を踏まえこれまで以上に事業の仕分け・見直しなどを行いつつ、行政スリム化効率化を一層徹底することが必要」とされたところでございまして、これを受けまして、積極的な取組地方公共団体に要請いたします通知を発出いたしたところでございます。  また、先般国会に提出されました、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案におきましても、その事務及び事業の必要性の有無及び実施主体の在り方について事務事業の内容及び性質に応じた分類、整理等の仕分を踏まえた検討を行うこととされているところでございます。  事業の仕分けにつきましては、議員御指摘をいただきました千葉県のほかに、新潟県などにおいても積極的に取り組んでいる団体も見受けられるところでございます。また、行政評価を活用した事務事業見直しを行うに際しまして、事業の要否の検討でございますとか、主体の検討等に積極的に取り組んでいる団体も多くあるところでございまして、地方公共団体におきましては様々な手法を通じて事務事業の必要性等の検証に取り組んでいるというふうに承知しているところでございます。
  141. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今、新潟県のお話も出ましたけれども、九県四市とかいろいろ言われております。地方公共団体も、同じようなと言ったらおかしいですけれども、それぞれ特色を出しながらも、やはり基本的な事業というのは大体予測するところでございまして、やはりうまくいった事例でありますとか、そういう事例というのを、単に抽象的に文書とかそういうのを発出するだけではなくして、こんなふうにここではやってまっせと、こんなふうにやってこれだけ削減になっていますよというようなことをお知らせしてあげれば、じゃ、うちでもやってみようかなというようなことになっていくんだろうというふうに思っておりますが、そういう意味で、何らかの環境整備といいますか、地方団体がやりやすい環境整備というものを総務省総務大臣としてどうお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  142. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員おっしゃるように、優良事例といいますか、ベストプラクティスですよね、そういうのを広く紹介していくということが大変重要だというふうに私自身も思っております。  そもそも、我々も実は、公明党の先生方といろいろ御議論、この事業仕分のことを御議論いただいたのとほぼ時を同じくして、経済財政諮問会議で、我々はワークアウトという言葉を使ったわけですけれども、ジャック・ウェルチが事業を、仕事、不要な仕事を追い出すんだということを言ったわけですけれども、ワークアウトという概念から同じような議論をちょうど始めていたところでございました。そういう中で、いろいろ事業仕分のいろんな御意見も伺いまして、これはやはり国も地方もそういう方向に向かうべきだということでは非常に意を強くしたわけでございます。  総務省として、じゃ何をしているかということでありますけれども、昨年末に私から全国首長さん、そして議会議長さんあてに大臣書簡を発出しておりまして、地方行革の推進に関する大臣書簡というのを発出しまして、その中で、今局長も申し上げましたように、PDCAサイクルを確立すると。だから、成果目標と、それと執行と、それと事後の評価等々をしっかりやってくれと、そして不断に行政改革に取り組むと。その中の、そうすると事業が不必要なものの選別が入ってまいりますので。  しかし、そういう抽象的な話だけではなくて、正に委員がおっしゃったように、地方公共団体の行政改革の取組に関する研究会の報告書でございますとか、それとか行革の事例集についても周知をしているところでございます。これを通して、いろんなそれぞれの工夫を凝らして事業仕分などの事務事業の必要性の検討等々を行っている先進的な取組について、是非お互いの情報を共有していただきたい。  今後とも積極的に情報やノウハウの提供を我々としてはしながら、不断に地方公共団体に対して事務事業見直しに取り組むように要請をしてまいりたいというふうに思っております。
  143. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 まあ、いろんな言葉出てきますけれども、なかなかアルファベットとか片仮名だと私はちょっと分かりづらい部分がありますけれども、そういう同じような思いでやっていただいているなというふうに思います。  そこで、今のお話だとワークアウトという話でございますけれども、結局、自分たちやらずに、ほかの省庁と行政主体、あるいは民間に委託するということだと思いますが、そういう手法がどんどん活用されていくのかなというふうに思います。民間委託の推進あるいは指定管理者制度導入とかいろんな手法が考えられ、歳出削減という意味でも大きな課題と思いますが、しかし同時に、やはり今まで行政主体が担ってきた必要なサービスというものがしっかり提供されているのかどうか、これが非常に大事だなというふうに思っております。その辺をチェックする機能を充実させなければいけないと思いますが、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  144. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 御指摘いただきましたように、ともかく厳しい財政事情の中で歳出削減というような視点でとらえられることが多いわけではございますけれども、元々、公の施設の指定管理者制度につきましても、公の施設の設置の目的を効果的に達成するために必要があるとき、こういうものができるという仕組みになっているわけでございまして、無論、効率的に行政サービスを提供する視点というのは当然大事だと思いますけれども、もう一方でやはり行政サービスの、御指摘いただきましたようにサービスの質、内容といったような視点が大変重要だろうと思っておるところでございます。  そういう意味では、民間委託等を実施した場合におきましても、その民間委託した事業がどういうふうに実施されているのかといったような意味での点検、管理といったことは大変重要ではないかというふうに認識しているところでございます。
  145. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 例えば、簡単な例で言うと、例えば学校給食を表に、民間にお願いをするといったときに、まずくなって子供たちが食べられなくなったらほとんど意味ないなと、やはりおいしさも維持することも行政サービスの維持をするという大事な視点だというふうに思います。  一方でまた、さらに、例えば埼玉県であった例でありますけれども、保養施設を民間企業に委託したら事実上破綻しちゃったという、それじゃ意味がないわけであって、やはり県なら県にしっかり、この事業主体がしっかりした業者かどうかやはりチェックする能力なきゃいけないなというふうに思うんですね。単にこの事業報告受けるだけ、あるいは自己申告、事業内容を、自己申告する内容を聞いているだけじゃ意味ないわけであって、その辺の行政側のスキルアップをどうしていくか。その辺の方策はどのように考えておられますでしょうか。
  146. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 今御指摘いただきました地方団体のその、何といいますか、事業のチェックといいますか、適正に行われているかどうかの内容をしっかり見るという視点で、私ども総務省もどのようにお役に立てるのかということは正に我々の仕事ではないかというふうに思っているところでございますが、既存の制度でいいますと議会制度でありますとか監査委員制度等があるわけでございます。こういう既存の制度でうまく機能していただいて、チェック機能が果たされるようにというようなことがまず一つあるわけだろうと思います。  それからもう一つは、実はこういう仕組みを入れてかなり長い期間いろんな努力をしてきたとはいうものの、いろんなこれだけ民間委託だとか、指定管理者制度なんか特に新しい仕組みでございますので、まだまだ事例の積み重ねが十分ではないというようなところもありまして、特に指定管理者制度なんかでいいますと、いろんな試みをしながら各地方団体いろいろ工夫を凝らしているといったような状況だろうと私ども認識しているところでございます。  そういう意味で、私どもといたしましても、いろいろ私どもなりの勉強をさせていただきますとともに、いろんな試みが各地方団体でやられておりますので、そういう内容、先ほど大臣からお答えもありましたけれども、そういった内容につきましていろんな情報を集めまして、これらを提供するといったようなことについてもこれから努力してまいりたいと、かように考えているところでございます。
  147. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 そこで、今、指定管理者という言葉出ましたけれども、今まで地方団体の管理権限の下で管理業務を委託するという管理委託制度というのがありましたけれども、この九月からはそれも含めて指定管理者制度に移行するかどうかという、そんな移行というふうなことになっていくわけでありますが、もうあと半年の世界でありますけれども、その移行の状況、また移行期限までどのように推進を図っていくのか、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  148. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 公の施設の管理をその民間事業者のノウハウを活用してしっかりとやっていただきたいと。そして、指定管理者制度は本年の九月一日までに移行するというふうにされているところなわけでございます。現在、各自治体、指定管理者制度の導入に向けていろいろ鋭意努力が進められているというふうに承知をしております。  状況やいかんということでございますけれども、平成十六年の六月一日時点で調査をしております。その結果について情報提供を我々としては行っているわけですけれども、地方公共団体からの問い合わせ等に対して個別に適切に助言を行っているというのが今の現状でございます。  この三月に多くのところで議会手続を終えるであろうというふうに我々は見込んでおりますけれども、今後ともこの制度の運用の実態の把握を我々としてはしっかりやっていく、そして各地方公共団体の指定管理者制度の円滑な実施が図られるような必要な情報提供等を今後とも行っていきたいというふうに考えております。
  149. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 そこで、指定管理者を選ぶ段階でございますけれども、新聞等によりますと、いわゆるこの指定される事業者は結構天下りといいますかね、職員だった方が関与をしているとか、そういうことも多いようでございまして、まあ天下りがすべて悪というふうには言わないけれども、職員のOBの再就職先になっているということが多いようであります。  また、場所によっては今まで公開されてきた契約書とか領収書など、委託後は自治体で閲覧できなくなるというような、そんなこともございまして、非常に透明感が逆になくなってきているというような指摘もあるわけでございまして、この指定管理者の選定プロセスを、透明化しっかりしなきゃいけないとは思っておりますが、特に選定基準を策定してその辺の透明化を図るべきと考えますけれども、いかがでございましょうか。
  150. 高部正男

    政府参考人高部正男君) この指定管理者の選定プロセスでございますけれども、議員御指摘ございましたように、透明性あるいは地方公共団体の説明責任をしっかり果たすという点が非常に重要だろうというふうに我々も思っているところでございます。  この指定管理者の制度の運用につきましては、条例、制度の趣旨に沿って適切に運用ということで、条例にゆだねられているところでございまして、指定管理者の選定手続についても各地方公共団体の判断にゆだねられているというところでございまして、幅広い視点から最も適したものを指定するということが重要だろうと思っております。この選定に当たりましては、指定の申請の方法でございますとか選定基準等を条例で定めるということにしておりまして、またその申請に当たりましては複数の申請者に事業計画書を提出させる、住民の平等利用が確保されること等の選定基準を定めておく方法が望ましいといったことを各地方公共団体に周知いたしているところでございます。  いずれにいたしましても、総務省といたしましては、制度の運用の実態の把握に努めまして、各地方公共団体の指定管理者制度の円滑な実施が図られますように、必要な情報提供等を行ってまいる所存でございます。
  151. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 指定管理者制度、活用例というのを見さしていただいたら、例えば北九州市でいえば、この市の公的な観光施設である小倉城やその庭園、水環境館の管理運営、これを市内の百貨店が代行していると。あるいは山梨県でいえば、県の観光施設、ゴルフ場とかレジャー施設、レストランの管理運営を民間のレジャー会社が代行しているというような、非常に魅力あるといいますか、こぞって是非うちにやらしてもらいたいというようなことになるんだろうというふうに思っておりまして、そこでやはりかなり透明感を持って選定をしていかないと、もう民間に任すのはいいけれども、本当にうさん臭い話ばっかり出てくれば、何のためにやっているか分かんないというようなことになりかねないなというふうに思っておりまして、是非そこのところ徹底をしていただきたいというふうに思います。  その上で、この指定管理者による公の施設の管理の実績というものをやはり一定のルールの下に住民に明らかにしていくということが大事、肝要かなというふうに思っておりまして、現在提出が法定されております事業報告書というのがあるようでございますが、その作成基準というものも、たとえ条例であるというふうにいっても、やはり一定の基準に達していくべきではないかなというふうに思っておりまして、その辺の作成基準を総務省としても作るべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  152. 高部正男

    政府参考人高部正男君) 地方公共団体が指定管理者が適正な公の施設の管理を行っているかどうかをチェックするために、指定管理者から毎年度事業報告書を提出させるというふうにしているところでございます。  事業報告書におきましては、管理業務の実施状況でございますとか利用状況、料金収入の実績、管理経費等の収支状況等、指定管理者による管理の実態を把握するために必要な事項を記載すべきものであるというふうに各地方公共団体に周知しているところでございます。  いずれにいたしましても、いろいろな状況の把握にも努めまして、適正な指定管理者制度の運用がなされるように今後とも努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  153. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 もう終わりますけれども、やはり先ほど申し上げたような、突然、委託、指定管理の選定を受けて、そして破綻しましたと、これじゃもうほとんどお笑いの世界でありますし、また市民の、あるいは県民、国民の側からしても、そのサービスというか、せっかく民間あるいは第三セクターであっても、風通しのいい形で出発したわけですから、それがうまくいくようにやはり推進方をお願いをしたいというふうに思います。  以上で終わります。
  154. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  既に三月十六日に当委員会地方税法改正案が審議されて議了していますけれども、持ち時間の関係で前回質問できなかった点をまず伺います。  地方税法の改定で個人住民税所得割の非課税限度額が引き下げられます。所得金額への加算額が三十五万円から三十二万円へと三万円下がります。これによって影響を受ける人、すなわち新たに課税される人は何人でしょうか。税収額は幾ら増えるのでしょうか。
  155. 小室裕一

    政府参考人小室裕一君) 今、吉川委員の方から住民税の所得割の非課税限度額の変更、お話がありましたように、三十五万円掛ける人数プラス加算額、加算額のところが三十五万円から三十二万円に引き下げられる、これの影響という御趣旨であるかと思います。  私どもの方で推定しましたところ、課税対象に新たになる人数といたしましておおむね七万三千人程度、それから、それらの方々に対する税収という意味では、平年度ベースで約九億円となるものと見込んでおります。
  156. 吉川春子

    ○吉川春子君 国保料の算定基礎に個人住民税の税額を採用している市町村では、この非課税限度額の引下げによって国保税の負担も増加する人が増えます。現状でも国保税の滞納で保険証を取り上げられて被保険者資格証明を交付されるケースが大変増えています。通院を控えたり、あるいは病気を悪化させるなど、悲劇も起きています。  低所得者に負担を更に増やせば、国保税の未納者を更に増やすことになるのではないでしょうか。突然のお尋ねですが、大臣、この点についてはいかがお考えですか。
  157. 小室裕一

    政府参考人小室裕一君) 吉川委員、すべて御案内でもって、国保税と住民税との連動という観点でお話があったわけで、大きく申し上げますと、国保税のところと国保料のところとあることは御案内のとおりでございますし、それからもう一つ大きな要素として、住民税の額をベースにしているところと、その前提となっている所得のベースでやっているところ等々、幾つかパターンがあって、それでお話のあったのは、正にその住民税額をベースとしているところは急激な変化等々あるのではないかということで、これはもちろん今回に限ったことではないんですが、お話のように住民税額が動いた場合というときに国保税への影響というものはございます。
  158. 吉川春子

    ○吉川春子君 ございますって、どの程度あるか分かりますか。
  159. 小室裕一

    政府参考人小室裕一君) 今手元に具体的な算式等はございませんが、委員のおっしゃっているのは、国保税への跳ね返りとして住民税額を取っていた場合、当然影響があるんですが、お話の趣旨というのは、非課税限度額という形であれした場合にその影響が大きいということで、済みませんが具体的な数字は今持ち合わせておりません。
  160. 吉川春子

    ○吉川春子君 要するに、国保税の未納者を一層増やすことになると、地方税のその引上げによって。そういうことを私は申し上げまして、実態をつかんでほしいと通告はしたんですけれども、つかんでいないということです。  そこで、大臣、お伺いいたしますが、三位一体改革によって市町村国保税に対する国の負担が、定率負担が四〇%であったものが三四%に減額されて、国の調整交付金も一〇%から九%に減額され、新しく都道府県調整交付金、これが地方税源として移譲されました。これは当然都道府県の裁量によって市町村に配分されるわけですから、国がこういうふうに配分しなさいとか、こういう口出しをする性格のお金ではないと思います。その基本点について大臣にお伺いいたします。
  161. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは国が口出しをする性格のものではない、趣旨としてはそのとおりであるというふうに思います。
  162. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういうものなんですよね、税源移譲ですからね。ところが、厚労省と総務省がかんで都道府県財政調整交付金配分のガイドラインを作成しました。それは、一号交付金、二号交付金に分けて、大変詳しい内容を記しております。  これは厚労省にお答えしていただいても結構ですが、二号交付金の交付内容の④で、保険者の取組医療費の適正化、収納率向上などに資した結果に対して、都道府県ごとの成績評価による交付が望ましいとして、具体的なメニューまで示しているわけですね。国保税収率アップの目的でこのガイドラインをお作りになったのでしょうか、伺います。厚労省でいいですよ。
  163. 宮島俊彦

    政府参考人宮島俊彦君) ちょっと御通告なかったのであれですが、国民健康保険の方では、これまで調整交付金は国の方から全市町村の方にお配りするということになっていた関係で、その中では、保険料の収納率のアップですとか、あるいは医療費の適正化というところに資するところにはこの調整交付金を配るということをこれまでやっておりました。  今回、三位一体改革の中で去年の改正がありまして、都道府県調整交付金というものが市町村の方に配られるということになった関係で、既存の、今まで国が市町村の方にお配りしていたということの趣旨にのっとったものというものが今委員の御指摘のような形でメニューとして今回入ってきたものというふうに御理解いただきたいと思っております。
  164. 吉川春子

    ○吉川春子君 ですから、大臣が答弁されたように、これは国が云々かんぬん言うようなお金ではない。しかし、それを配分するガイドラインというのを厚労省、総務省がかんで作られたわけですね。それは、やっぱり国保税の収納率アップの目的でこういうガイドラインを作ったとしか思えないんですけれども、じゃ何の目的でこういうガイドライン作られたんですか。
  165. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 今回、都道府県調整交付金というものが制度化されたわけでございますけれども、こういったものについて都道府県がどういうように財政調整をしていったらいいのかということについて、地方の方からもいろいろその方向についての問い合わせも多く、ガイドラインをやはりお互い作るべきではないかという議論があったわけでございます。  そういうことを踏まえまして、知事会、市長会、町村会、それに総務省、厚労省、こういったもので検討会をつくって、一定のガイドライン、方向性を示したものでありまして、先ほど大臣も申し上げましたように、こういうことを必ずこうしなきゃいけないということではなくて、一定考え方を示したものというふうにお考えいただければ有り難いと思います。
  166. 吉川春子

    ○吉川春子君 埼玉県の財政調整交付金条例があるんですけれども、それに添付されている国保税徴収対策に係る事業評価基準を見ますと、ガイドラインの指示どおりというべきか、詳しい点数が付けられています。  例えば、収入未済額の圧縮、国保税の状況とか、あるいは現年度収納率の向上、国保税の状況とか、こういうことで百点とか百二十点とか九十点とか、細かく点数が付いているわけですね。じゃ、高い点数を上げるためにはどうすればいいかということも示されていて、例えば、未収決済の圧縮、収納率向上、差押えの実施は三十点とか、公売の実施は三十点、保険給付額からの滞納の控除は十点、資格証明書の交付は十点とか、短期被保険者証の交付十点というふうに評価して、点数化しているわけですね。  滞納者に対して資格証とか短期保険証の交付を積極的にやる町村では点数が高く付く、やらないところでは調整交付金が少ないと、こういうことをガイドラインで示して、示した結果、県は、都道府県はこういう条例を作ったというふうに思うんです。どうですか。
  167. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 御案内のように、国保財政非常に厳しい状況にあるわけでございますので、そういった状況も踏まえながら、それぞれの地方団体でどういうふうに国保財政を再建していくべきかということは日夜努力されているわけでございます。そういった中で、今回こういう都道府県調整交付金ができ、その中でどういうふうにやっていくべきかということについて、もちろんガイドラインもございますけれども、それぞれの団体で今後の国保財政のことを考えながら、それぞれの団体でお考えになっているものというふうに考えております。
  168. 吉川春子

    ○吉川春子君 ここで竹中大臣にお伺いしたいんですが、具体的に、例えば埼玉県の調整交付金というのは二百四十七億六千万円になるわけです。そのうちの二分の一か三分の一か、どの程度かは別にいたしまして、市町村の収納率アップに比例して、例えば差押えの実施、公売の実施ということで資格証明書をたくさん出したところにはたくさん配分すると、この調整金をですね、こういうようなことになったら大変なことではないかと思うんですけれども、その点について、これは政治家として大臣のお考え是非伺わせていただきたいと思います。保険証をたくさん取り上げた自治体にはたくさんお金を付けると、こういうようなことになったらいけないでしょう。
  169. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと技術的なことは局長にフォローアップしていただくかもしれませんが、基本的にちょっと埼玉県の具体的な事例というのは今、私質問等々もいただいておりませんで分かりませんが、まず、先ほどからいろいろ御議論いただいていますけれども、ガイドラインはあくまでガイドラインでありますので、これはそのガイドラインの位置付けとしてにも書いておりますように、参考資料として定めたものでありますので、そこは趣旨についてはもう先ほどいろいろ答弁をさせていただいたとおりでございます。  委員の御主張、御質問の趣旨というのは、そういう形で都道府県が非常に大きな権限を持って、それで市町村が具体的に、ゆがんだインセンティブのようなものを持ってしまうのではないかということのように拝聴いたしましたが、これはしかし、分権でございますから、国の権限のうち移譲できるものは都道府県に、そして長期的には都道府県から市町村にという形でいろいろ分権を進めていくというのは、これは全体の方向としてやはり認めなければいけないのであろうというふうに思っております。  とりわけ、都道府県におけるこの調整交付金の配分方法の決定に当たっては、これは都道府県と都道府県内の市町村との間で協議の場を設けて、市町村の意見も踏まえて検討するということが前提になっておりますので、都道府県が一方的に何かゆがんだ極端なインセンティブを与えるということではないというふうに認識をしております。  これは、制度がこれから施行されていく中で、我々としては当然どのようにそれがワークしているかということは検証してまいりますけれども、今の時点で、委員が御指摘のような、そういう都道府県が非常に大きな恣意性を持ってしまうということはないというふうに認識をしております。
  170. 吉川春子

    ○吉川春子君 それでは、総務大臣、もう一つお伺いしますけれども、現在国保の滞納者が四百七十万世帯、二〇%弱あるわけですね。市町村の国保の資格証明書の交付数は三十二万世帯、短期被保険者証の交付は百七万世帯あるんです。保険証を取り上げられてはまともな医療を受けられないわけですけれども、にもかかわらず、こんなに滞納が増えているというのは、保険料、税が高過ぎるからではないかと思いますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
  171. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 健康保険制度そのものは、私ではなくて厚労省の方にお答えいただかなければいけないかもしれませんが、国民健康保険は、これは当然のことながら基本的に地域住民の相互扶助の考えで成り立つものであると、これは正に社会保険制度でありますから、被保険者が公平に保険料を負担していただくというのが当然の前提であろうかと思います。他方、本当に困っている人はどうするんだという、これは委員問題意識はこれは我々ももちろん分かるわけでございます。低所得者等の事情のある被保険者については保険料の軽減をする措置が講じられているというふうに承知をしております。  したがって、加入者間の公平を図るということと、そして、この保険事業そのものがやはり存続可能といいますか、持続可能、サステーナブルでなければいけませんので、その意味では、仮に負担能力があるにもかかわらず保険料を納めていないような被保険者については、しっかりとしたそれに対しては対応を講じるということは、やはり私は必要だというふうに思います。  資格証明書につきましても、この保険料の収納を確保する上での一つの手段として国会での決定を経て設けられたものでございますので、これ保険の公平、そして一方で低所得者への配慮、ここをやはり両立させるような仕組みになっているというふうに認識をしております。
  172. 吉川春子

    ○吉川春子君 負担、支払能力のある人が払うというのはそれは当然のことなんですけれども、現実に起きていることは、負担能力がないにもかかわらず払わされて、そして資格証を取り上げられて、そして受診を手控え、手後れで命を落とすといったような悲惨な状況が明らかになっている。こういう無慈悲な保険料、保険証の取上げ政策をやめよということを私は申し上げております。  それで、国民所得は減っているのに国保料は上がり続けているわけですね。例えば、これが一つの原因だと思います。これ介護保険料も含めてですけれども、三百万円の所得、給与で一世帯に二十万六千四百十円、二人世帯で二十二万四千四百十円、三人世帯で二十五万四千円、さらに住民税などの諸税、国民年金などを払わなければならない。こういう低所得者にとって保険料・税がいかに高いかということを示していると思いますし、市町村国保加入、一人当たりの平均所得の年次推移を見ても、九一年には百二十三万だったのが二〇〇三年には六十七万円と、こういう事態になっていると。  だから、私はそういうところからも保険料を取って、取れないのに、今度は保険証まで取り上げるという、こういう政策をやめよということをもう強く訴えたいと思います。  最後に、にもかかわらず、これは厚労省に伺ったらいいんでしょうか。今度は、国民年金保険料が未納となっている人、国保被保険者に対して短期保険者証を交付できる規定を今度置くことにしておりますね。国民年金、国民年金ですよ、の滞納者に対して、国保の保険料を全部払っているにもかかわらず、短期保険証しか渡さないとか、こういうことが行われるということは本当に過酷な、もう山上憶良の時代の税金取立てを思い出させるような、そういうことをやろうとしている。こういうことを実際やろうとしているんですか。
  173. 青柳親房

    政府参考人青柳親房君) 国民健康保険の短期被保険者証の仕組みは、先生も御存じのように、通常の被保険者証と比較して有効期限の短い被保険者証を発行するということを通じまして、市町村が保険料の未納者との接触の機会を増やしまして、市町村の窓口で保険料納付などを直接働き掛けると、こういうことを目的として設けられたものと承知をしております。  今回、私ども、これを国民年金の保険料の納付にも拡大をしたいというふうに考えておるわけでございますけれども、同様に、短期被保険者証の仕組みを通じて未納者との接触の機会を増やすということが一義的な目的でございまして、その際に負担能力のない方には国民年金の保険料の免除の案内を的確に行わせていただき、負担能力のある方には保険料の納付の働き掛けを行うということを通じまして年金受給権をきちんと確保していくと。  あわせて、市町村の医療保険や介護保険、こういったものも現在、あるいは現在国会に提出をさせていただいております医療保険改革法案の中で、特に高齢者の方の保険料につきましては年金から源泉徴収をするというような仕組みも講じていくこととしておりますので、こういったことを併せ考えますれば、こういった制度の安定的な運営にも資するということが目指せるのではないだろうかというふうに考えて対応させていただいているものでございます。
  174. 吉川春子

    ○吉川春子君 もう時間がなくなりましたけど、国民年金とそれから国保と全然違う制度なんですよ。こっちで払っていないからこっちを渡さないという、こういうとんでもないことはやるべきでない。そのことを強く主張して、質問を終わります。
  175. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  来年度予算案において、政府は放漫運営の特別会計への厳しい指摘を受けて、その積立金から十二兆円を取り崩して国債の繰上償還に充てるとしているわけですが、私は、この取崩し自体は賛成だけれども繰上償還には反対だと、こういうことで主張をしてまいりました。それは、まだ景気の回復が労働者や中小企業あるいは年金生活者等に及んでいないばかりか、連年の賃金切下げであるとか医療や年金の負担増で庶民が生活苦を強いられている下で、政府がプライマリーバランスの前倒し達成というその目的のためだけに貴重な十二兆円の取崩し財源のすべてを使うのではなくて、当初予算に盛られた増税の回避であるとか、あるいは医療費の自己負担増の回避によって個人消費を拡大をして景気の底上げに資するべきだと、それが格差拡大が騒がれている下での政治の使命ではないかと、こんなふうに申し上げてきたわけです。なぜ今私がこの国債の繰上償還に反対だと総務委員会の場で言うかといいますと、この地方債の繰上償還については総務省は国と全く逆のことをおやりになっている、こういうことだからであります。  そこで、順次伺ってまいりますが、地方財政法第四条の三では、第一項の終わりの部分で、自治体財源が経費を著しく超えることとなるときに、年度間の調整として積立てなど三つの選択肢を定めているわけですが、災害の場合の箇所というのはこれは全くこれ関係ありませんから、これを除いて、積立て以下の三つの選択肢、これについてまず御説明をしてください。
  176. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 御指摘の地方財政法第四条の三におきましては、地方交付税の額と基準財政収入額、当該団体の税収でございますけれども、そういった合計額が基準財政需要額を著しく超える場合、例えば年度途中で特別交付税が増額配分になったような場合、そういった場合でありますとか、又は前年度に対する一般財源の増加額が義務的経費に係る一般財源の増加額を著しく超える場合、財源が非常に急増したというような場合でございますが、そういった場合には、今御指摘のように災害など必要やむを得ない理由によるほかは、積立てをするとか、あるいは長期にわたる財源の育成のためにする財産の取得をするとか、あるいは地方債の繰上償還、こういった三つの財源に充てなければならない旨が規定されているところでございます。
  177. 又市征治

    ○又市征治君 わざわざ説明をいただきましたが、三つの、積立てであるとか財産の取得であるとか繰上償還、こういったことなどに充てなければならないと、こういうふうに最後を結んでいるわけですね。  これは自治体に関する制限的な規定であるのは当然ですけれども、その三つの中から選ぶ限りにおいて自治体に完全な自主権がある、そういうふうに理解してよろしいですか。
  178. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 地方財政法第四条の三におきまして、御指摘のように積立てなど法を規定しているわけでございますけれども、その優先順位等については特に規定はございません。したがいまして、各団体それぞれの状況に応じまして、財産の健全な運営にとって最も適切な方法をそれぞれの団体で選択するということであるというふうに考えております。
  179. 又市征治

    ○又市征治君 それじゃ、改めて念のために確認をしておきたいと思いますが、仮にA、B、Cの三つの自治体において、ある年に同じ経済事情から一般財源の額が著しく超えることになった場合、A自治体は積立てを選んだ、B自治体は財産の取得を選んだ、C自治体は繰上償還の道を選んだ、こういう三つのケースが出てきたとする。これは何ら問題がないわけで、今御説明のとおり。そうすると、これについては総務省がこうしなさい、ああしなさい、こういう指図をする、あるいは介入をするというところではありませんね。
  180. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) そのとおりでございます。
  181. 又市征治

    ○又市征治君 同時に、この地方財政法第四条の三は、政府に対しても反射的に、自治体がこの三つの選択肢のいずれかにできるよう支援しなければならない義務を課している、こんなふうに思います。それはまあ当然のことだろうと思います。ましてや、それ以外の処分方法を政府自治体に強制することはあってはならない、こういうふうに考えるんですが、その点についての見解はどうですか。
  182. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) それぞれの団体におきまして、地方財政法四条の三の趣旨に沿いまして一番適切な方法をそれぞれの団体が取っていただくということでよろしいかというふうに思います。ただ、その場合に、全体として現在、地方財政、大幅な財源不足にあるわけでございますので、こういう状況の中で、地方財政全体としてどういう判断をしていくかということは、別途判断の余地のある部分はあるのかなというふうに考えております。
  183. 又市征治

    ○又市征治君 それはどういう意味でしょう。私が聞いているのは、政府自治体にこの処分方法について、三つ以外の処分方法について、政府自治体に強制することがあってはならないんではないのかと、こうお聞きしたので、一般論としてはそうだと、こう答えた。しかし、財源不足という、こういう状況の下で、それ以外の判断もというのは具体的にはどういう意味ですか。
  184. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 地方団体の方に実際にその財源の配分が行われ、地方団体の方がそれについてどういうような形でそれに対応していくかということについては、もう御指摘のように、我々の方でこういう方法を取るべきであると、ああいう方法を取るべきであるというふうな余地はないというふうに考えておりますが、配分する前の段階においてどういうふうに考えていくかということについては、十七年度の対応もございますし、現下の状況を踏まえた制度改正をする余地はあるということを申し上げておるわけでございます。
  185. 又市征治

    ○又市征治君 何かえらい含みが残された話ですけれども。  本来、総務省自治体財政自主権というのを擁護すべき立場だと思うんですね。したがって、本則どおりにきちっとやるべきでないか。  先ほど来から説明いただいたとおり、この条文をしっかり読めば、交付税が年度途中で大幅に増えてきた、したがってそれはどういうふうに配分するか。本来ならば、自治体に配分をされて、その自治体でその金が余れば、積み立てるのかあるいは長期のための財産の取得にするか、又は地方債の繰上償還に充てる、こういうふうにこの本則はうたっているわけですね。だから、その前の段階で総務省が勝手に配分するかどうかは別に考える、そういうこともあるんだと。そんなのは、特例法を勝手に作ったからそんなことをおっしゃるんで、これは実は大変問題なんだと私は思うんです。  そこで、大臣に次にお伺いをしますが、今出た話は、二〇〇四年、二〇〇五年と、この二年度にわたって国税の増収による交付税原資が一兆一千六百億円と一兆三千五百億円増加をしたと、これらの処理は、まずは交付税の本則、すなわち第六条の三の第一項に沿って当年度の交付税として直ちに配付すべきだと、このことは前にも私、補正の段階で申し上げました。その上で、うちはもう今年は需要がないので積み立てるんだ、いや、財産を取得するんだ、あるいは地方債の償還に充てるんだというのはそれぞれあってもいいのではないのかと、それが本来的な筋ではないのかと、こうさっきからお聞きしているわけです。  しかし、今局長が言ったように、実際の処理はどうされたか。財政赤字だと、だからといって、総務省としてコントロールすることで、この一兆数千億円、これを離さないで何とか翌年度に回しますと、こういう格好ですね。だとすると、そこで自治体の側からは、じゃ百歩譲って、せめて地方債の償還に回すことを認めるべきだ、是非そうすべきだと、こういう声があったことも事実だと思うんです。すべてだとは言いません。しかし、かなりの声があったはずです。  つまり、先ほどの地方財政法で定められた三つの選択肢のうちの三番目の地方債の繰上償還というものを集団で処理をするという、こういうアイデアだろうと思うんですね。それを地方自治体の側が求めた。これはなぜ求めるか。  それは、臨時財政対策債だけ取ってみても、二〇〇一年度から二〇〇六年度、来年度までですけれども、六年間に、いわゆる折半ルールによって地方全体としては将来の交付税財源の先食いを二十兆八千億円も押し付けられる、こういう格好になるわけですから、これは、地方の側からとってみれば当然じゃないかということだろうと思うんです。しかし、総務省は二年度ともこれを拒否をして、あたかも自分の裁量権のように、翌年度の普通交付税財源に使い回すという道を取ったと、こういうことですよね、簡単に言えば。  このように、政府の、自分の特別会計の余剰金の処分だとか、処分をして国債の繰上償還に一方では使いますよ、こうやっているのと、地方交付税増収分の処分、つまり地方債の繰上償還に関する対応とは全く正反対じゃないのかと、こういうふうに、矛盾しているというふうに言わざるを得ない。  そこで大臣にお聞きをするんですが、特に二〇〇五年度分については、昨年の経験もあって自治体の意見を聞く時間的な余裕が十分にあったんではないのか、そのときにここのところを余り地方の声を真剣に聞かないで一方的に決めた嫌いがある、そういう不満が地方自治体に強いわけで、この点について総務省としても反省すべき点があったんではないのかと、こういうふうに思うんですが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  186. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 又市委員とは、補正の段階以降、この議論をさせていただいております。又市委員の御見識は、我々なりには理解をしているつもりです。  ただ、我々の立場というのは、もう局長が先ほど御答弁させていただいた実はとおりなんでございます。財源配分が行われた後では、それは地方自治体が三つの選択肢でいろいろやるのは自由であると。ところが、どのように配分するかということに関しては、これはやはり、現実に非常に大きな財源不足があるという中で一つ政策判断を私たちとしてはさせていただいたということでございます。  もう一つの、繰り返しになって恐縮なんですが、もう一つ委員の御趣旨は、地方の声をもう少し反映する余地があったのではないのかと、そういう点であったかと思います。  これは、我々としてはそういう、総務大臣地方六団体との会合等々を行っておりますので、事情については説明をしてきたつもりでございます。また、今回の税法についても現実にそのような説明を行っておりまして、今回の繰越分も含めまして、平成十八年度の地方財政対策については、地方団体からも、もちろん委員おっしゃるようにいろんな声はありますが、団体としては一応の御評価をいただいているというふうに思っております。  もう一点、委員がしっくりこないではないかとおっしゃるのは、国の扱いとこの地方の扱いということだと思います。  これは一つ政策判断というふうに申し上げるしかないんでございますが、我々としては、これ、来年度も非常に深刻な地方財源不足が予想される中で、たとえ地方債を返したとしてもまた同じような資金調達をしなければいけなくなるというふうに判断をいたしました。  国は国として、これは、国庫について、全体について私は答弁する立場にはございませんが、国債の発行、返済の平準化とか、平準化というのは言わば資金繰りに相当しますが、そういうことを含めて総合的な判断をなしたものであるというふうに私は認識をしております。  以上の申し上げたような枠組みの中で、是非御理解を賜りたいと思っております。
  187. 又市征治

    ○又市征治君 大変御苦労なさっていることは認めるんですけど、やっぱり交付税原資が足りない、あるいは財政が非常に厳しいということは何も今に始まった問題ではなくて、とりわけ交付税問題についていえば、現に、先般も申し上げましたけれども、交付税法の第六条の三、その第二項の規定する引き続き不足する状態が慢性的にあるわけですから、それの解決に当たっては、この条文にあるとおり、所得税などの交付税算入率を引き上げるのが本筋だと、私はそう思うんですね。このことはずっと一貫して私も主張してまいりました。  それを残念ながらずっとやってこなかったわけですよ。その代わりに行ってきたのが交付税特会における借入れであったわけですが、これをやめて、この二〇〇一年度からはこの悪名高い折半方式にして半額を自治体に起債をさせる、こういう方式だったわけですね。しかし、残る半額は政府のキャッシュ払いです。そこで、償還か繰上げかでは政府の利害に大きな違いが出てくるんではないのか、だからこういう道を取っておられるんじゃないかという気がしてなりません。  二月三日に、先般も大臣からお話がありました、私の質問に対して、来年も交付税原資が足りないことは確実なのだから、そこへ繰り入れる方が地方債償還よりも優先すべきだというふうに判断をした、こういう趣旨の下で答弁をされたわけですが、実は地方債も償還に充てると政府にメリットがない。しかし、来年度の交付税原資に一兆円使い回せば、不足額に対する政府の半額補てん、すなわち五千億円が浮いてくる。これがこういう道を選択された理由だったんじゃないんですか。私はそういうふうに読み取れてしようがない。これがまず第一点。  あわせて、二〇〇六年度末補正においても、政府の景気見通しが正しければ、三年続きで交付税原資の増収が出るわけでしょうけれども、仏の顔も三度と言います。今度はきちんと地方に直接配分する、あるいは少なくとも処分方法について地方と事前に十分な協議をすべきではないか。政府は、竹中大臣も、前の担当大臣もお替わりになりましたけれども、その時期、景気は着実に回復の方向、そういうふうな趣旨のことをおっしゃっておったわけで、そういう状況にあるとすれば、同じこんなばかな愚を繰り返すことはないんではないのかということがあるわけで、是非地方ともこの点については十分協議をして対処方法を決めてほしい。できるなら、やっぱり我々は、国も法律によって動いているわけですから、法律本則どおりにやっぱりいくように努力をしていただくように求めたいと思うんですが、見解、いかがでしょうか。
  188. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員がおっしゃるように、これだけ税収不足が続いているんだから地方財源不足が続いているんだというのは我々ももちろん同じ気持ちを持っております。  しかし、この議論を国と財務省との交渉で持ち出すと、財務省も財源、要するにこれだけ赤字を出して不足しているんだという議論に必ずなってしまう。そういう観点で、やはり国も地方もいましばらく歳出削減するということで努力をいたしましょうと、そしてその中で、先ほどから、午前中からも答弁させていただきましたように、私自身も不交付団体を増やすような形でそれに必要な税源配分見直し是非行っていきたいと、それは強い気持ちとして持っております。  したがって、今年の決定云々が決して何か一点、こそくなことを考えているわけではなくて、国も地方もやっぱり大変厳しい状況の中でやむを得ざる一種の調整機関としての選択をしているというふうに私は理解、自分自身を納得させているところでございます。  もう一点、来年度予算、今からいうと再来年度ですかね、予算……
  189. 又市征治

    ○又市征治君 来年の今ごろということです。
  190. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 来年の交渉のときどうする、来年の交渉のときどうするかということについては、これは御承知のように三年ごとにこういうルールを見直しておりますけれども、そのルールの見直しには当たっております。そしてまた、私たちとしても自治体の予見可能性を高めるということもにらんで中期財政ビジョンの作成に取り掛かりますので、より今後、今後更に三年、それ以上の期間についての中期的な見通しを立てて、それで財務省とも折衝しなければなりません。  そういう中で、ルールの見直しの年にも当たっておりますので、今までのことをどの程度総括できるか、是非前向きの議論を進めたいと考えております。
  191. 又市征治

    ○又市征治君 時間が参りましたから終わりたいと思いますが、地方財政自主権というものをやっぱり法律に書かれたとおりに是非頑張っていただく。国も厳しいから、だからそれは何か特例特例ばかりを作っていくというやり方ではなくて、やはりきちっと、先ほど申し上げたような、本来ならば交付税算入率を上げなきゃならぬ、それを特会から借り入れてくる、今度は折半ルールを作っていく、そんなやりくり算段ではなくて、やっぱり本則に基づいて地方自治体を守っていく、そういう立場で頑張っていただくように要請を申し上げて、今日の質問を終わりたいと思います。
  192. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。  三月の十四日にも郵政事業の問題を取り上げさせていただきましたけれども、今日はその第二弾ということでまた郵政事業の問題を質問をさせていただきたいと思っております。  今日は年度末の大変お忙しい中を、日本郵政公社高橋総裁山下理事においでをいただいておりますので、まず冒頭お礼を申し上げたいと思います。  こういう公社の忙しい時期にもかかわらず質問さしていただいております趣旨は、全国の郵便局の関係者が大変不安に思っている動きが今公社で行われていると、そのことについて是非みんなの不安を払拭するようなお計らいをいただきたいと、こういう趣旨からでございます。今日の日経新聞朝刊にも、郵便仕分け、千八十局に集約ということで、効率化狙い四分の一にと、全国の集配郵便局を四分の一にするというお話でございますが、そんな記事が出ておりまして、更にまた不安を増幅しているのではないかなと、こう思う次第でございます。  そこで、まず冒頭お願いしておきたいんですけれども、この新聞記事によりますと、週内にも労働組合に正式に提示をして調整をするんだというようなことも書いてあるわけでございまして、もしそうだとするならば、やはりこういう国会でも大きく議論になった課題でもございますので、早くこの対象となります、つまり集配機能のなくなります千局の広報、局名等を世の中に公表していただきたいと。そして、みんなの目の前で公明正大に議論をしていくことが問題の解決に一番の近道になるのではないかということでございまして、是非お願いを申し上げておきたいと思います。  このことに関連をしまして、三月の十五日、生田総裁が定例会見をしておられます。中身は、公社の平成十七年度の業績見込みについての発表が中心であったようではございますけれども、会見の中で質問に答えて、この千局の集配局を統合するという話についてこう総裁が言っていらっしゃるんですよね。  これは内側の、内側のというのは公社の側の合理化や生産性向上ではなくて、お客様の利便性がより良くなるようにと、そういう心掛けでやっているんだと、こうおっしゃっているわけです。また、こうも言っていらっしゃいます。お客様から見ての利便性は、全般的に良くなっても決して悪くしないと、これが改革の、今度のこの取組の趣旨だということを言っておられるわけでございまして、私はもう、そうであるならば本当に何の心配も要らないというふうに思うわけでございますが、どうも自分の経験から考えてみても、集配機能をなくしていく、集配特定局であったものを無集配局にしていくということで、私は利用者の皆さんにとっても地元にとっても本当に利便の向上があるのかどうかということを大変疑うわけでございまして、御専門の高橋総裁から御説明いただければ幸いであります。
  193. 高橋俊裕

    参考人高橋俊裕君) 今、御質問にお答えしたいと思いますが、千八十局という新聞の記事は、細かなことはまだいろいろと決まっているわけじゃありませんが、今現在、支社それから郵便局、あるいは労働組合等々に情報を提供しまして、意見交換を行いながら今月末までに決めたいと、こういうふうに思っています。それで、四月中には何とか公表したいと、こういうふうに思っておりますのでよろしくお願いしたいと思います。  ところで、お話しいただいた件の中で、御質問の件ですけど、郵政事業が民営分社化されるということで、これまで郵便局の中に郵便事業と窓口局とがあったわけですが、これが分離されることになります。したがいまして、郵便局会社というところでのお客様のサービスということについては、郵便局の窓口を引き続き今後も存置するという形になっておりますし、地域の皆様にはこれまで同様の郵便、郵便貯金、簡易保険のサービスを提供するわけでありますが、さらに、生田総裁がいつも言っておりますように、お客様利便の向上に資するように、ワンストップコンビニエンスオフィスとしての新しいサービスについてもこれから検討していきたいと、こういうように考えているところであります。  また、一方での郵便の事業の方につきましては、これは交通の手段だとか道路の整備状況、こういったことを勘案いたしまして、集配事務や郵便の内務事務といったものを集約しまして、効率的な、競争力の高いネットワークを維持したい、構築したいということが趣旨であります。  郵便集配サービスについても、これまでと同等の品質の高いサービスを提供してまいりますけれども、しかし、一方で、具体的に言いますと、例えば集配局等々で、集配特定局での不在持ち戻り郵便物はどうなるかとか、いろいろな話がございますが、これらにつきましても土日を含めた配達をすることを基本として体制整備をしたい、さらには各地方での集荷の充実といったことで引受け体制も整備していきたいと、こういうことで鋭意検討している最中でございます。
  194. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 ありがとうございます。  私どもが心配しているのは、この新しいサービスが付け加わるというのは、当然のことながら、民営化ということですからいろいろな新しいサービスがこれから行われてくるようになるんだろうと思いますけれども、そうではなくて、今まで確保されていたサービスの水準が下がらないかということを心配をしているわけでございます。  前回の質問のときにも竹中大臣質問さしていただきましたけれども、本院の郵政法案、民営化法案のときの附帯決議にも、郵便局のサービスの現行水準が維持され、万が一にも国民の利便に支障が生じないようにすることというのが付いているわけでございまして、そういうことを政府も真剣に守っていこうと言っているわけでございますので、前回の質問の中にありましたように、土日のサービスだとか、それから先ほど副総裁がおっしゃったような持ち戻りだとか、そういった細かなことで支障が生じないように詳細な分析をしていただきたいと思いますし、そのことの地元あるいは職員に対する説明もしっかりとやっていただきたいと思うわけであります。  そのことに関連をしまして、生田総裁は、同じく定例の記者会見の中で、地元自治体も含めて理解を得るようにいろいろと話をしているんだ、郵便局の職員の理解も深めなければいけないし、何事も納得ずくでやろうと思うと、こう言っておられます。納得ずくというのはもう本当に大事なことでありまして、切捨て御免で終わりになったのではこれはもう問題が拡散するばかりでございますので、是非納得の得られた形で進めるなら進めていただきたいというふうに思うわけでありますが、これ地元に説明を現にもう行っているんだと思いますけれども、納得が得られないときはどうされるのか、お伺いしたいと思います。
  195. 高橋俊裕

    参考人高橋俊裕君) 先ほど申し上げましたように、現在のこの集配局の統合等々については、現在いろいろと意見を調整しているところでありまして、四月になったら公表すると先ほど申し上げましたが、そういった意味でいうと、現時点では地元への説明はまだ行っておりません。これから行う予定であります。説明会につきましては、関係自治体を始めとして、できるだけ私たちも丁寧に説明して、納得をいただけるまで説明をするということでやっていきたいと、こういうふうに思っています。  なお、一部の集配局については既に道路の拡幅計画等々がありまして、局舎の改善とか、こういったものをやっていかなくちゃいけないというところがございますので、こういったところについては既に説明を開始しておりますが、それ以外のところについてはこれからということでございます。
  196. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 ありがとうございます。  これは念のためにお伺いをするわけですけれども、うわさでは集配機能の統合の千局という中には離島の郵便局も含まれるというようなことをお聞きをするわけでありますけれども、例えば沖縄の離島なんというのは候補には入っているんでしょうか。
  197. 高橋俊裕

    参考人高橋俊裕君) 入っております。  既に沖縄についてはかなりいろいろと、今までも集配局の再編といいますか、業務の統合等々が進んでおるんですけれども、今回は全部見直そうということで、もう一度見直そうということで今進めている最中です。私も、そういった意味で、沖縄の離島へ行っていろいろと郵便局の状況等々もしっかりと見てまいりました。
  198. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 前回は理事の皆さんがおいでになりましたので私もついかっとして随分荒い言葉を使ったんですが、今日は副総裁も、大幹部がおいででございますので、失礼なことは申し上げませんが、私は、やっぱり地方住民にとって、特に離島というようなところ、陸の孤島のようなところもございますけれども、今、今日も質問がたくさん出ておりますように、格差というようなものを実感する場面が非常に多いわけでございまして、今まで国が税金を使わずに公社の時代、国営の時代を含めて維持できてきたようなサービスが、民間会社になるという時点になって急に維持ができなくなるというようなことになっては大変でございますので、先ほど来の話、重ね重ねで恐縮でございますけれども、是非早く発表していただいて、地元の話もよく聞いて、そしてそれを尊重していただいて、納得ずくで先に行くように、絶対強行しないようにお願いを申し上げておきたいと思います。  同じく、前回も質問をさせていただいたわけでございますが、特定局長の定年の六十五歳から六十への切下げの件でございます。  不利益を生じないようにするんだという御趣旨だと思いますけれども、どう考えてもこの切下げの趣旨がよく分からないわけでございます。この間、公社の理事さんも、改正高齢者雇用安定法という法律があるんだ、それに即してやるんだということをおっしゃっているわけですが、これをよく読んでみても、むしろ今国が目指そうとしていることは、労働者の定年を六十歳から年金の受給年齢に合わせて順次六十五歳定年に引き上げていこうということであるわけですよね。その最先端を切って、六十五歳定年という特例措置が現在あるものを、それを六十歳に切下げをして、いや、代行的な措置をとるんだから事実上の不利益はないというようなことは、私はもうこの法律の趣旨に反するというか、正に逆行しているんじゃないかというふうに思うわけであります。  厚生労働省のホームページを見ましてもいろんな調査が載っておりますけれども、民間の会社も今一生懸命努力をしながら、何とか六十五歳まで職員が働いていけるような措置をとるということをやっているわけですね。まだ定年の延長というのは全体の方向にはなっておりませんけれども、しかし、定年の延長に努力をしている民間企業もたくさん出てきている。そういう状況の中で、国の事業が模範を示さなくて一体どうするんだろうかという気がするわけでございまして、この点についてのお考え、またお聞きをしたいと思います。
  199. 高橋俊裕

    参考人高橋俊裕君) 特定郵便局長の定年というのは、もう御承知かと思いますが、国家公務員制度の下で、その職務と責任に特殊性があるということによって特例定年として六十五歳というのが認められているということでありますが、今回の民営化、分社化という形になりますと、今までの普通郵便局、特定郵便局、これはその機能が同質化しちゃうと。同じ機能を持つ郵便局という形になります。したがって、そこで働いている人たちすべてに対して同じ定年制を適用しようということで六十歳、一律に六十歳ということにするということを考えているというところであります。  ただし、公社職員から承継される職員の労働条件を定めるに当たっては公社での勤務条件に配慮するものとする、こういうことが言われておりますので、現在、特定郵便局長の任にある人については定年年齢を段階的に他の社員に合わせていくという経過措置をただいま検討しているというところであります。  また、いろいろとお話ございました高年齢者の雇用の安定等に関する法律ということにつきましては、六十五歳までの定年の引上げ又は継続雇用制度の導入又は定年の定めの廃止、この三つのうちのいずれかを導入するという考え方ですが、現在の私どもとしては継続雇用制度という形のものを導入していきたいということで考えておりまして、要するに、六十歳で定年というその時点になったときに、本人の意欲と能力、こういったものをスクリーニングしまして、本人にふさわしい仕事をやっていただくと、こういう形で検討していこうということで進めておるところです。
  200. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 ちょっと納得がいかないといいますか、私申し上げたいことたくさんあるんですが、時間があんまりありませんのでかいつまんで申し上げますけれども。  その改正高齢法の言っているところは、今まで六十五歳に満たないような定年制を定めているところは改めて前進をする措置をとりなさいよと。定年を切り上げるか、あるいは定年そのものをなくしちゃうか、どうしてもその定年を変えることができないんなら、継続雇用という措置をとりなさいよということを言っているわけでありまして、今問題になっている六十五歳まで定年を既にもう認めている状況の中で、それをやめて六十に戻して、継続雇用があるからいいんだと。これはもう法律の読み方を全く私は間違っているというふうに思うわけでございまして、総務大臣にも是非ここは御指導をちょうだいしたいと思いますし、また委員会先生方にも御協力いただきたいと思うんですけれども、こういう形で脱法行為的に、法律、まあこうやって読めば何とか読めるじゃないかというようなことで国の企業が走っていかれますと、それはもう民間の企業に対して物が言えなくなると私は思うんでございます。ここは公社におかれても是非もう一度、よくお考えをいただきたいところだと思います。  いずれにしても、この問題についても、総裁が言っておられるように、納得ずくで強行をしないでやっていただきたいというふうに思っております。  最後に、もう一問だけ、山下理事においでをいただいておりますので、時間がございませんが、お尋ねをいたします。  このたび平成十七年度の公社の業績見込みが発表されました。時間がありませんので私が承知している限りで申し上げますけれども、郵便貯金も九千八百億、約一兆円の利益が出ますし、金銭の信託運用益は別途一兆円の利益が出る、簡易保険も内部留保が一兆円を超える見込みだと、郵便は、まあ大変苦労しておられるようですけれども、売上げ減少に歯止めが掛かって、二百四十三億円の黒字を見込んでいる。非常に努力をして成果を上げられていると思うわけでありまして、これは環境の厳しい中で一応順調に推移していると、こう理解をさせていただいてよろしゅうございますか。
  201. 山下泉

    参考人山下泉君) 今御質問ございましたとおり、十七年度の当期純利益はおよそ一兆円前後ということでございまして、それについての評価という御質問でございますが、郵便につきましては、やはり民間のメール便との競合激化などから引き続き伸び悩んでおりますほか、下期に入りまして労働需給のタイト化から賃金コストが上がっておりますので、まだまだ楽観はできない状況でございますけれども、まあ全体として見ますと、おおむね順調に推移しているというふうに言えるものと思います。
  202. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 ありがとうございます。  安心をいたしました。まあ公社になられて三年目が終わろうとしているわけでありまして、いずれの年も私は厳しい環境の中で精一杯努力をされていい成果を残しておられるように思います。四年目もそうであるように望みたいと思いますけれども、取りあえず、まず今までの成果に対しては敬意を表したいと思う次第でございます。  そこで、非常に順調にこうして努力をして成果も上げてこられているわけでありますから、そうなりますと余計に、今やっておられる改革、その集配特定局を過疎地を中心にして大幅に減らして、そして土曜、日曜も開かないような無集配の局に変えてしまう。恐らく多くの郵便局が、特定局長さん一人と職員が一人か二人というような局になっていくんじゃないかというふうに思うんですね。そのことはもう本当に地域の火を消してしまうような、大変その地域の失望感を拡大することにつながるような気がいたしますので、もう経営が成り立たないというんであればそういうこともあると思うんですけれども、公社ばかりが得をするんじゃなくて、是非国民利用者や職員の視点もお忘れのないように御要望申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  203. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 以上をもちまして、平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣所管のうち人事院公害等調整委員会を除く総務省所管及び公営企業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  205. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 独立行政法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案及び独立行政法人消防研究所の解散に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。竹中総務大臣
  206. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 独立行政法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  我が国の経済社会基盤として、情報通信技術が急速に定着しつつある中、その利活用の拡大を通じた、豊かな国民生活の実現に向け、情報通信技術に係る研究開発の更なる推進が極めて重要になっています。このような状況を踏まえ、情報通信技術分野の中核的研究機関である独立行政法人情報通信研究機構が、その業務を一層効率的かつ効果的に行うことができるよう、今般、この法律案を提出した次第であります。  次に、本法案の内容について、その概要を御説明申し上げます。  本法律案は、独立行政法人情報通信研究機構を、より自主性、自律性の高い業務・組織運営が確保される特定独立行政法人以外の独立行政法人、いわゆる非公務員型の独立行政法人とするほか、所要の規定を整備するものであります。  以上が、この法律案の提案理由及びその概要でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。  引き続き、独立行政法人消防研究所の解散に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  国の消防機能の強化を図るため、独立行政法人消防研究所を解散し、その事務を国が引き継ぐこととする等の必要があります。  この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。  本法律案は、独立行政法人消防研究所は、その法律の施行のときにおいて解散するものとし、その資産及び債務は、そのときにおいて国が承継し、一般会計に帰属するものとするほか、解散に伴う所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律の施行期日は、平成十八年四月一日としております。  以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  207. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十七分散会