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2006-08-29 第164回国会 参議院 総務委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年八月二十九日(火曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  六月十六日     辞任         補欠選任      河合 常則君     木村  仁君      野村 哲郎君     小野 清子君      水落 敏栄君     椎名 一保君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         世耕 弘成君     理 事                 景山俊太郎君                 山本 順三君                 高嶋 良充君     委 員                 小野 清子君                 柏村 武昭君                 木村  仁君                 椎名 一保君                 山崎  力君                 吉村剛太郎君                 高橋 千秋君                 那谷屋正義君                 平田 健二君                 藤本 祐司君                 蓮   舫君                 澤  雄二君                 吉川 春子君                 長谷川憲正君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君    副大臣        財務副大臣    赤羽 一嘉君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        金融庁総務企画        局参事官     山崎 穰一君        総務省郵政行政        局長       須田 和博君    参考人        日本郵政公社総        裁        生田 正治君        日本郵政公社理        事        佐々木英治君        日本郵政公社理        事        岡田 克行君        日本郵政公社理        事        斎尾 親徳君        日本郵政公社常        務執行役員    塚田 爲康君        日本郵政株式会        社代取締役社        長        西川 善文君        日本郵政株式会        社執行役員    伊東 敏朗君        日本郵政株式会        社執行役員    白金 郁夫君        日本郵政株式会        社執行役員    白川  均君        日本郵政株式会        社執行役員    高橋  亨君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○行政制度公務員制度地方行財政選挙、消  防、情報通信及び郵政事業等に関する調査  (日本郵政公社平成十六年度財務諸表承認に  関する報告に関する件)     ─────────────
  2. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る六月十六日、野村哲郎君、河合常則君及び水落敏栄君が委員を辞任され、その補欠として小野清子君、木村仁君及び椎名一保君が選任されました。     ─────────────
  3. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のため、本日の委員会金融庁総務企画局参事官山崎穰一君及び総務省郵政行政局長須田和博君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のため、本日の委員会日本郵政公社及び日本郵政株式会社役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のうち、日本郵政公社平成十六年度財務諸表承認に関する報告に関する件を議題といたします。  まず、政府から説明を聴取いたします。竹中総務大臣
  8. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 日本郵政公社平成十六年度財務諸表につきまして、その概略を御説明申し上げます。  本件は、日本郵政公社法第六十四条第二項の規定により、日本郵政公社が提出した財務諸表について承認した旨を国会報告するものです。  まず、日本郵政公社全体ですが、貸借対照表については、平成十七年三月三十一日現在、資産合計三百八十七兆八千七百二十二億円、負債合計三百八十一兆七千三百二十九億円、資本合計六兆千三百九十二億円となっております。損益計算書については、経常収益二十兆六千三百三十三億円、経常費用十八兆七千五百二億円、経常利益一兆八千八百三十億円、当期利益一兆二千三百七十八億円となっております。  次に、郵便業務ですが、貸借対照表については、資産合計二兆二千三百三億円、負債合計二兆七千五百三十九億円、資本合計マイナス五千二百三十五億円となっております。損益計算書については、営業利益三百七億円、経常利益二百六十二億円、当期利益二百八十三億円となっております。  次に、郵便貯金業務ですが、貸借対照表については、資産合計二百六十四兆八千六百四十九億円、負債合計二百五十九兆五千九百二十七億円、資本合計五兆二千七百二十一億円となっております。損益計算書については、経常利益一兆二千二百三十五億円、当期利益一兆二千九十五億円となっております。  最後に、簡易生命保険業務ですが、貸借対照表については、資産合計百二十一兆二千六百八十八億円、負債合計百十九兆八千七百八十一億円、資本合計一兆三千九百六億円となっております。損益計算書については、経常利益六千三百三十三億円、契約者配当準備金繰入額千二百七十三億円となっております。  なお、監事及び会計監査人意見を記載した書類においては、いずれも監査の結果、財務諸表等平成十六年度の日本郵政公社財産等状況を正しく示しているものと認められております。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  9. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 次に、日本郵政公社から説明を聴取いたします。生田日本郵政公社総裁
  10. 生田正治

    参考人生田正治君) おはようございます。日本郵政公社生田でございます。  ただいま議題となっております日本郵政公社平成十六年度の財務諸表並びに監事及び会計監査人意見概要につきまして御説明申し上げます。  まず、公社全体の貸借対照表について申し上げます。  平成十六年度末の資産合計は三百八十七兆八千七百二十二億六千七百万円でございます。一方、これに対する負債合計は三百八十一兆七千三百二十九億七千三百万円でございます。その結果、資産合計負債合計差額である資本合計は六兆千三百九十二億九千四百万円となっております。  次に、公社全体の損益計算書について申し上げます。  まず、経常収益は二十兆六千三百三十三億二千二百万円でございます。次に、経常費用は十八兆七千五百二億五千七百万円でございます。以上の結果、経常利益は一兆八千八百三十億六千五百万円となりました。これに特別損益を加え、さらに、簡易生命保険業務契約者配当準備金繰入れ額を差し引いた結果、当期利益は一兆二千三百七十八億九千三百万円となりました。  この当期利益一兆二千三百七十八億九千三百万円は、全額利益剰余金として資本に積み立てました。このほか、資本にその他有価証券評価差額金として一兆三千三百七億五千万円を計上したため、資本合計は六兆千三百九十二億九千四百万円となっております。これにより、自己資本比率(総資産額に占める資本総額の割合)は、公社設立時の〇・三%から一・六%となっております。  続いて、郵便業務郵便貯金業務及び簡易生命保険業務のそれぞれの業務区分ごと貸借対照表及び損益計算書について申し上げます。この業務区分ごと貸借対照表及び損益計算書は、公社全体の貸借対照表及び損益計算書の内訳という位置付けとなっております。  まず、郵便事業について申し上げます。  当年度末の郵便事業区分に係る資産合計は二兆二千三百三億九千三百万円でございます。一方、これに対する負債合計は二兆七千五百三十九億四千九百万円でございます。その結果、資産合計負債合計差額である資本合計マイナス五千二百三十五億五千六百万円となっております。  次に、郵便業務区分に係る損益計算書について申し上げます。  まず、営業収益は一兆九千二百四十八億五千百万円でございます。次に、営業原価は一兆七千九百四十一億八千五百万円、販売費及び一般管理費は九百九十八億九千三百万円でございます。以上の結果、営業利益は三百七億七千二百万円となりました。これに営業外収益八十一億三千三百万円を加え、営業外費用百二十七億三百万円を差し引いた結果、経常利益は二百六十二億二百万円となりました。さらに、特別損益を加えた結果、当期利益は二百八十三億三千七百万円となりました。  この当期利益二百八十三億三千七百万円は、全額利益剰余金として資本に積み立てましたが、資本は依然として五千二百三十五億五千六百万円の債務超過となっております。  引き続いて、郵便貯金業務について申し上げます。  まず、当年度末の郵便貯金業務区分に係る資産合計は二百六十四兆八千六百四十九億八千七百万円でございます。これに対する負債合計は二百五十九兆五千九百二十七億九千二百万円でございます。その結果、資産合計負債合計差額である資本合計は五兆二千七百二十一億九千四百万円となっております。  次に、郵便貯金業務区分に係る損益計算書について申し上げます。  まず、経常収益は四兆九百八十九億七千九百万円でございます。次に、経常費用は二兆八千七百五十四億二千三百万円でございます。以上の結果、経常利益は一兆二千二百三十五億五千五百万円となりました。これに特別損益を加えた結果、当期利益は一兆二千九十五億五千六百万円となりました。  この当期利益一兆二千九十五億五千六百万円は、全額利益剰余金として資本に積み立てました。このほか、資本にその他有価証券評価差額金としてマイナス百七十二億九千二百万円を計上しました。その結果、資本合計は五兆二千七百二十一億九千四百万円となっております。  引き続いて、簡易生命保険業務について申し上げます。  まず、当年度末の簡易生命保険業務区分に係る資産合計は百二十一兆二千六百八十八億五千三百万円でございます。これに対する負債合計は百十九兆八千七百八十一億九千八百万円でございます。その結果、資産負債合計差額である資本合計は一兆三千九百六億五千五百万円となっております。  次に、簡易生命保険業務区分に係る損益計算書について申し上げます。  まず、経常収益は十四兆六千六百五十億八千五百万円でございます。次に、経常費用は十四兆三百十七億七千八百万円でございます。以上の結果、経常利益は六千三百三十三億七百万円となり、この中から、内部留保として価格変動準備金に五千二百十三億三千七百万円を積み増ししました。これを含む特別損益を加えた結果、千二百七十三億五千二百万円となり、全額契約者配当準備金に繰り入れました。  資本合計については、設立資産負債差額四百二十六億千二百万円に加え、その他有価証券評価差額金として一兆三千四百八十億四千三百万円を計上したことから、一兆三千九百六億五千五百万円となっております。  なお、監事及び会計監査人意見書では、監査の結果、財務諸表公社財産損益等状況を正しく示しているものと認められております。  これをもちまして概要説明を終わらせていただきます。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  11. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 自由民主党景山俊太郎です。  郵便郵便貯金簡易保険郵政事業につきまして、昨年の通常国会においてこれを民営化するとの内容の法案政府から提出されました。途中、本院の本会議で否決され衆議院が解散されるということがありましたが、その後召集された特別国会で可決、成立したことは、皆さん御承知のとおりであります。  本院においても、郵政民営化関連法案審議のため郵政民営化に関する特別委員会を設置し、連日集中的に審議を行いました。衆議院と同様でありますが、本院におきましては、国会審議の中で懸念され示されました事項につきまして特に附帯決議を行ったところであります。  本日は、郵政公社平成十六年度の決算に関する審議ということでありますけれども、来年十月の郵政民営化を控え、特に本院の附帯決議法案審議の際の政府答弁が着実に守られていくのかという観点からたくさん質問いたしますので、よろしくお願いします。  まず、本題に入る前に、郵政民営化後の四つの事業会社CEOCOO候補者が先ごろ内定したようであります。このCEOCOO候補につきましては、竹中大臣が主導的に人選を行って西川社長が同意したということを我々聞いております。  そこで竹中大臣にお尋ねいたしますけれども、大臣がこのCEOCOO候補を実質的に選定されたのであれば、大臣としては、この経営陣で各事業会社経営は万全であり、グループ経営も順調にいくということを確信されていたということでありましょう。郵政民営化法や各会社法を読みましても、四事業会社役員総務大臣が任命するとは書いてありません。竹中大臣は、総務大臣としてではなく一有力政治家としてこれらの方々を選定されたのかと思いますけれども、総務大臣としてというよりは政治家竹中大臣としてのお考えを聞きたいと思います。
  13. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 景山委員の今の御指摘で、私も昨年の大変暑く長い夏を思い出していたところでございます。本当に熱心に御審議をいただき、郵政民営化に向けての動きが着実に進捗しつつある状況であると考えております。  CEOCOO候補者人選の件でございますが、これは今委員も御指摘くださいましたように、これは法律上、言うまでもなくこれは日本郵政株式会社がその子会社である会社の人事をお決めになるものでございます。実質的にも、これは西川社長中心になりまして各方面と御相談をしながらお決めいただいたものでございます。私もその過程でいろいろ御相談を受けまして、いろいろその経緯を聞かせていただいておりますけれども、私自身は西川社長中心に大変良い人選をしていただいたというふうに考えているところでございます。  今の委員お話の中で、会社経営は万全にいくのかと、グループ経営も順調にいくのかと、万全、順調というそのお話がございましたけれども、これはもう言うまでもなく、四事業会社経営はいずれも大変難しい点を抱えております。であるからこそ、CEOCOO候補者皆様方には、これまでの経験を生かしながら、グループとして一致団結して経営に当たっていただかなければいけない、そして、それを統括する立場として西川社長が大変重要な役割を果たしていかなければならないと考えております。  当然のことながら、経営者皆様方にはこれまでの国会審議を踏まえて、これはもう本当に時間を掛けて熱心に国会審議をいただきました。我々も真摯に答弁をしたつもりでございます。この郵政民営化の意義について十分に御理解をいただかなければいけませんし、現実にその候補者皆様にはそのような御理解をいただいていると考えております。西川社長中心とした経営の手腕に期待をしているところでございます。  万全かということに関しては、まさしく万全を期してやっていただきたいというふうに考えておりますし、グループ経営に関しましても、このグループ一体性をしっかりと保ちながら、同時につかさつかさでの責任をしっかりと果たしてやっていただけるものというふうに確信をしております。
  14. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それでは、西川社長に伺います。  CEOCOO候補に内定したと言われる方々とはこれまで特段の御面識はなかったと思います。この方々経営者としての能力にはいささかも不安がないということですか。また、本院の附帯決議金融二社の全株式処分後も各事業会社グループとしての一体経営を行うことを求めております。西川社長がこれまで面識もなかった経営陣グループとして一体感が持てるのでありましょうか。伺います。
  15. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えをいたします。  CEOCOO候補者は、この各候補者選任経緯はただいま大臣から御説明があったとおりでございまして、いずれも私が全く面識がないという方では必ずしもございません。浅い、深いはございますが、それはよく承知をしておった方でございまして、直接もちろん事前に改めてお目に掛かりましていろいろお話をさせていただいた方々でございます。  要は、これまでの御経歴等から、郵政民営化という重要な国家プロジェクトを担うにふさわしい適切な知識、経験能力等をお持ちかどうかということでございまして、その点、全く御心配がない、心配のない方でございましたので、竹中総務大臣にも御相談の上、内定をさせていただいたというものでございます。  今後、これらの候補者方々一体となって、承継実施計画の策定、さらには、来年十月の民営化に向けての準備作業を進めまして、グループ経営にそごを生じないようにしてまいる所存でございます。  以上でございます。
  16. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 いろいろお話しになりましたけれども、実際そうであったかどうかよく分かりませんけれども、しっかりとやっていただきたいということは、そのものであろうと思います。  先ほども述べましたとおり、本院の附帯決議金融二社の全株処分後も含めたグループ経営を求めているのでありますから、西川社長におかれましては、そういう個人としての感情いろいろあったと思いますけれども、グループ経営陣一体感の醸成や認識の共有化に今後はぐくんでいただいて、きちんとした郵政民営化を図っていただきたいと思います。  それでは、本題に入ります。  郵便局ネットワーク維持と三事業一体経営についてであります。  さて、郵政事業というのは、明治近代国家の幕開けとともに、百三十二年の長きにわたり我が国の最も基礎的な社会基盤として政府直営により行われてまいりました。三年半前の平成十五年四月に、これを一体的に行う国営の新たな公社として日本郵政公社発足いたしました。郵政公社発足自体は既に平成十年の中央省庁等改革基本法で決定していたのであります。発足前の日本郵政公社法案審議は、郵便分野を民間開放する信書便法案と相まって大変な困難を窮めたのであります。郵政公社発足後も、自由民主党内では、郵政改革について民営化という予断を持つことなく、不断の検討を重ねてまいりました。  平成十六年一月には、郵政事業改革に関する特命委員会を設置いたしました。委員長長野県知事になられました村井仁先生でありましたが、当時を思い起こします。九月までの間に計二十四回開催をいたしました。途中、郵政関係団体からヒアリングを行い、郵政事業改革に当たって留意すべき事項ファクトベースとして取りまとめをいたしました。引き続き、平成十六年九月には、自由民主党関係部会合同郵政改革に関する関係合同部会を設置いたしました。十二月までに十一回開催されました。平成十六年十一月からは、郵政政策小委員会でも、政府郵政民営化考え方について、総務部会合同で議論を開始いたしました。  これらを踏まえて、十二月には、政務調査会から郵政改革についての申入れを政府に行いました。平成十七年一月から四月までの間、郵政改革に関する政府自由民主党検討委員会を計十四回開催をいたしました。与党側が長年懸念していた事項については、政府側の歩み寄りにより、最終的には四月二十七日に郵政民営化法案に関する政府与党合意が成り立ったわけであります。  こうした長い経緯をたどり郵政民営化関連法案は昨年の通常国会に提出されるのでありますが、その後、国会審議においても様々な懸念が示されたことから、与党による所要の法案修正政府答弁に加えて、本院においては独自に附帯決議を行いました。  少々長くなっておりますけれども、ここで申し上げたいことは何かというと、自民党は郵政事業につきましてずっと以前から、守るべきものは守り、改革すべきものは改革すべく、常に真摯に検討を重ね、これを政府与党として実行してきたところであります。  政府郵政民営化の方針を明らかにして以来、我が党の多くの国会議員心配した点が二つあります。一つは、民営化すると郵便局ネットワーク維持されなくなるのではないかということ、いま一つは、郵便局において郵便貯金保険の三事業サービス一体では提供されなくなるのではないかということでありました。  そこで、まず一つ郵便局ネットワーク維持についてお尋ねいたします。  郵便局については、民営化後もあまねく全国に設置しなければならないとされ、特に過疎地においては、法の施行の際現に存する郵便局ネットワーク水準維持することを旨としなければならないと定めております。民営化時ではなく、民営化後においても二万四千六百の郵便局ネットワークは確実に維持するということでよろしいのでありましょうか。  先ごろ公表されました日本郵政公社業務等承継に関する実施計画骨格におきましては、この点が必ずしも明確でありませんので、西川社長に確認の質問をいたしたいと思います。
  17. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えをいたします。  今般の骨格では、郵便局ネットワーク維持に関しまして、三点明らかにしております。  第一点は、承継の際に郵便局で提供されているサービス水準維持されるよう各社の業務等を定めること、第二点は、現在の郵便局は、民営化時には郵便局会社郵便局郵便貯金銀行の直営店など、三事業会社お客様窓口として引き続きサービスを提供すること、さらに第三点といたしまして、郵便局の設置について、郵便局会社法に定めるあまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置する義務及び総務省令で定める基準に従うこと、この三点でございます。  郵便局会社におきましては、このような骨格に示した考え方に基づきまして、国会附帯決議にも盛り込まれた郵便局ネットワーク維持に努めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  18. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 郵便局ネットワークを守るということでありますね。  次に、二つ目でありますが、三事業サービス一体的な提供について伺います。  郵便局は、郵便貯金保険の三事業サービス一体的に提供する拠点として全国津々浦々に地域住民に親しまれてまいりました。  ここで、郵便貯金銀行及び郵便保険会社にはユニバーサルサービス法律上の義務は、義務付けは行われておりません。長期の安定的な代理店契約を通じて、郵便局において今後とも郵便貯金保険の三事業サービス一体的に提供し続けていくということでいいでありましょうか。その点をお答え願いたいと思います。
  19. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えをいたします。  現在の郵便局において提供されております郵便貯金保険の各サービスのうち、郵便窓口業務につきましては郵便局において提供する旨、郵便局会社法に規定されているところでございます。そして、郵便貯金銀行郵便保険会社がそのお客様をカバーするためには全国郵便局ネットワークを代理店として活用することが不可欠でございますので、貯金保険サービスにつきましては、移行期間経過後も含めまして全国郵便局郵便貯金銀行郵便保険会社の代理店としてサービスを提供していくことになるというふうに考え、そういう設計をいたしておるところでございます。  したがいまして、郵便局における郵便貯金保険サービス一体的な提供は今後とも変わらないという考えでございます。  以上でございます。
  20. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 しかしながら、移行期間終了後に果たして金融二社を含めたグループ経営維持できるかどうかについては非常に懸念を持っております。  それは、先日、西川社長は我が党の会合におきまして会社間の持ち株の、株式の持ち合いは考えていないと、こういうふうに発言をされました。郵政民営化法では持ち株会社は移行期間中に金融二社の全株式を処分することが義務付けられていることから、移行期間終了後において金融二社を含めたグループ経営が不可能となるのではないかとの懸念があったところです。これについては、政府与党の間で、経営判断により他の民間金融機関と同様な株式持ち合いをすることが可能であり、その結果、株式の連続的保有が生じることを妨げない、こういうことを確認しているところでございます。そのことは本院の附帯決議にも明記されております。西川社長の株式の持ち合いは考えていないという発言は、政府与党とのこうした調整の過程とか本院の附帯決議を無視するものであり、移行期間終了後はグループ経営が不可能となるのではないかという懸念が再び生じておるのであります。  そこで、西川社長に改めて尋ねますけれども、移行期間終了後において会社間の持ち株の、株式の持ち合いはやはり考えていないのか、その点を聞きたいと思います。
  21. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えをいたします。  この株式の持ち合いにつきましては、移行期間終了後、持ち株会社郵便局会社郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式を取得することは妨げられておらず、他の金融機関と同様に株式の持ち合いは可能であり、結果として両社株式の連続的保有も可能とする、可能となる旨、政府与党との間で合意がなされているということは十分承知をいたしております。  会社間の株式の持ち合いは考えていないというふうに申しましたのは、ちょっと株式の持ち合いということについての解釈について、私、一般的な株式の持ち合いと、一般事業会社との間の株式の持ち合いというような誤解がございまして、間違った答えをしてしまったということでございました。それを否定したものでは決してございません。  また、この合意も踏まえまして、郵政民営化法上、移行期間終了後は株式の連続的保有が可能であるとともに、移行期間中であっても、法第百五条、第百三十四条の決定などにより、普通の銀行、保険会社となった郵便貯金銀行郵便保険会社の株式については、持ち株会社の一〇〇%子会社である郵便局会社が取得することを可能としている旨の郵政民営化大臣国会答弁がなされておるということも承知をいたしております。  郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式を処分後に再取得するか否かにつきましては、この合意や国会答弁を念頭に置きながら、また両社と郵便局会社との間の長期安定的な代理店契約に基づいた関係の今後の推移などを踏まえながら検討してまいる所存でございます。  以上でございます。
  22. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それでは、この間のは誤解であったと、こういうことでありますね。
  23. 西川善文

    参考人西川善文君) はい。
  24. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それでは、一月に設立されました日本郵政、これは株式会社であります。現在は一〇〇%の政府出資であります。株式総会そのものは、財務省の理財局の担当官が出席するだけの、形式的と言っちゃ失礼でありますが、そういうものと推察されます。この点、日本郵政の本当の株主というのは国民全体であります。西川社長が、仮に郵便局ネットワークは守る、三事業サービス一体的な提供を守るとおっしゃるのであれば、西川社長はこれまでの経過をもっとよく知っていただいて、そして附帯決議等もよく理解をしていただいて、国民から負託を受けた我々国会議員意見をよく聞いて、我々国会の議論を尊重すべきです。  このことについて、今後、我々国会議員意見を実質的な株主として尊重する用意があるかどうか、西川社長に伺いたいと思います。
  25. 西川善文

    参考人西川善文君) 日本郵政といたしましては、郵政民営化に至る国会審議附帯決議等を踏まえ、承継会社がこれまで公の機関として培ってきた安心、信頼を礎といたしまして、民間企業としての創造性、効率性を発揮し、社会と地域の発展に貢献していくよう努力してまいる所存でございます。  こういった観点から、先般の骨格を公表したところでございまして、これを重要な通過点といたしまして、引き続き関係各位の御理解と御指導をいただきながら、特に国会の先生方からの御意見も十分に踏まえながら検討してまいる所存でございます。  以上でございます。
  26. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 さて、竹中大臣郵政民営化によって質の高い多様なサービスが提供されるようになることがメリットの一つとおっしゃいました。また、生田総裁は、郵政公社にとって民営化の意義とは、公社のままでいるよりは、一つ、国民にとってより良いサービスが提供できる、二つ、公社にとって健全な財政基盤をつくり、国家にも役立てる、役立つ、三、三つでありますが、働く職員にとって将来展望があり働きがいのある公社をつくる、この三つのビジョンであるということをおっしゃいました。  しかしながら、郵政民営化関連法案が可決、成立した後において、必ずしもそのような民営化とはなっていないのではないかという懸念が出てまいっております。以下、このことについて質問いたします。  まず、六月に郵政公社から公表されました集配拠点等の再編についてであります。  集配再編については、郵便事業において一層の効率化が必要であり、また、分社化によって集配郵便局の職員の帰属が郵便局会社郵便事業会社とに分かれざるを得ないことを考えればやむを得ない施策という点もあろうと思います。しかし、集配事業を行わなくなる郵便局が所在する地域の住民の皆さん方がサービスが低下するのではないかという不安を抱くのはもっともではありませんか。  この点、今年に入ってからの報道によりますと、全国千の郵便局が集配事務を行わなくなる予定であり、その多くが地方に集中していることが明らかになるに及び、我が党でも二月以降相当な激しい議論をしてまいりました。六月には、公社から引き続き関係自治体に丁寧な説明を行うとともに、再編によりサービスを変化する項目についてサービスが低下しないよう代替措置を講じることで再編計画を公表する旨を、そういった報告も受けました。郵政公社においても、高橋副総裁以下、いろいろと地方を回って努力もされておることも知っております。しかしながら、一部にはいまだに集配局でなくなることによってサービスが低下するのではないかとの懸念があることを指摘しないわけにはいきません。  そこで、生田総裁に尋ねますけれども、公社として、地域社会のこのような懸念を今後どのように解消され、本当にユニバーサルサービスを守るか、その点お聞きしたいと思います。
  27. 生田正治

    参考人生田正治君) お答え申し上げます。  民営化したわけでありますから、二つの使命を同時に満たす必要がある。一つは、きちっと国民の利便性も含めたパブリックな使命を果たす、もう一つは、国家の保護なしに自律的に企業として維持発展する企業性であります。  そういう観点から、集配拠点の再編計画については大きな前提を経営としてきちっと設けております。一つは、利用者の方にマイナスにならないように、利便性が落ちないように、むしろ増進できるようにきちっと設計すると、二に、頭の体操、理論だけでできるということじゃなくて、現実に照らして本当にそれで質が落ちずにサービスが提供できるか、この二つを実証していくと、こういうことであります。本施策の実施に伴いサービスが変化する場合、多少変化する場合があるわけでありますが、変化する場合はそれに代替するサービスを入れてむしろトータルとして良くするということに配慮すると、こういうことであります。  一方、現在の郵便事業経営体質を何が何でも黒字化する必要があるわけでありますが、事業性を確保していくためには、過去何十年も見直されていなかった徒歩と自転車をベースにした集配のシステムというものを、高速道路もあり、バイクと自動車の時代に合ったように近代化していくことがやはり必要であり、その意味におきまして集配局の配置というものの見直しは必然的に必要になってくると思います。  すなわち、進化している社会インフラに合わせて内側の効率化も進めていくということでありまして、これは民営化するしないはよくまだ分からないときに、二年前からずっと検討していたやつがやっと成案を今出てきて、それが民営化のタイミングにちょうどミートしてきている、こういうことであります。とすれば、民営化を完全な形で迎えるためにも公社のうちにしっかり取り組むべき課題であると認識いたしておりまして、公共性と事業性を両立できるような体制を構築していくと、こういうことを考えているわけであります。  サービスの低下を懸念している自治体がいらっしゃることはよく承知しております。もう何遍も御説明役職員が回っておりますからよく承知しております。もう一〇%を切りまして、本当にまだ難しいところは大体五%ぐらいになっているのかなというふうな気がいたします。そこで、サービス面でどのような御不安があるのか、その内容を個別具体的にお伺いいたしまして、それについて、今までもやってきておりますし、引き続き対応策をしっかり行うと同時に、説明して御納得いただく努力を徹底していこうと思います。  このように、民営化関連法や附帯決議あるいは国会答弁で求めておられる現在の郵便局の利便性や公共性につきましては、再編後も引き続きしっかり守ってまいりますし、モニターしていくつもりでおります。また、再編実施後も公社の期間内に再編の状況をきちんとフォローいたしまして、必要に応じ個別に業務方法やサービス提供の方法が必要があれば見直しを実施していきたいと、かように考えております。
  28. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 御説明は分かりましたけれども、田舎に行きますと、もう本当に高齢化で、ひまわりサービスとか今までいろいろ郵便局がやられた本当に公的なサービスというものを期待している方もあるわけであります。そういった点が本当に落ちないように、住民の皆さん方が分かったと、これならやれるということをきちっとまた、大変でありましょうけれども、努力して説明をしていただきたいと思います。  次に、今年一月以降郵政公社検討されているという郵便局改革マスタープラン、このことについて伺います。  郵便局改革マスタープランにつきましては、専ら民営化後の郵便局会社内部におけるマネジメントの体制の問題であります。私は、本来、日本郵政公社の協力を得ながら検討すべきであると考えます。  ただし、このマスタープランなるものの概要を伺いますと、これまで正に百三十二年の長きにわたって郵政事業を支えてきた特定郵便局の在り方、これに影響を与えるものであります。局長個人の処遇にも大きくかかわるもののようでもございます。改革を進めるに当たりまして、特定郵便局長を始めとする関係者の十分な理解と協力を得ることが私は望ましいと思います。  また、とりわけ特定郵便局は、その地縁性また人縁性、人との関係ですね、そして連絡会、部会等の集団的機能によってこれまで公的な役割を担ってきたとされます。マスタープランは、さらに民営化、分社化が全国郵便局の地域密着性を損なうようなことはあっては決していけません。  ここで、去る六月に我が党が全国特定郵便局長会からヒアリングを行いましたところ、例年の特定局長の退職者が七百から八百名程度であるところを、来年三月末で退職を希望している特定局長はその時点で千七百二十四名であったということであります。  生田総裁は、三つの経営ビジョンの一つにおいて明るい将来展望を持てる働きがいのある公社をうたい、昨年の国会審議においても、欲を言えば働く職員に雇用も含めて明るい将来展望があるんだというものをしっかりと見させていただく必要があるのかなと思っておりますし、私もその努力をしなければならないと思っておりますと答弁をされております。この言葉をそのまま用いるならば、特定局長にこのような大量の退職希望者が出ているのは、生田総裁がマスタープランによって特定局長の将来展望を失わせてしまったのではないかと考えます。そういう仮説も十分成り立つと思います。さらに、このような状況は、現行の労働条件及び処遇が将来的にも低下することなく職員の勤労意欲が高まるよう十分配慮することとした本院の附帯決議に反しているということも言えなくもありません。  この考え方について、生田総裁の御見解を伺いたいと思います。
  29. 生田正治

    参考人生田正治君) お答え申し上げます。  これも集配再編と同じように、こういう施策というのは半年や一年考えてもできないんです。二年半ぐらい前から、どうやって何十年も改革がなされてなかったシステムを近代化するかということをずっと勉強してきて、検討してきて、やっと成案ができたのが、たまたま民営化がその後で決まってきたので大体合ってきていると、こういうふうにまず御理解いただきたいと思います。  郵便局改革というのは、民営分社化に伴う枠組みの変化も今では十分踏まえながら、法令、国会附帯決議国会答弁等を十分尊重し、お客様の利便性は当然維持します。そういうことの前提で、単に維持するだけではなくてむしろ増進するということを前提に置きまして、内部的に同じ機能をより効果的、より生産的に達成する仕組み、すなわち、市場で競争するわけですから、民営化は決まったわけですから、市場で通用する仕組みに可能な改善をしていこうと、こういうことであります。  郵便局改革との関連で、特定郵便局長の退職希望が多いのではないかという御指摘がありました。  民営化につきましては、そもそも特定郵便局会はそれ自体初め反対していたわけですから、もちろん局長の中には、なかなか不安も払拭できないし消化しにくいという考えの者も多数いるということは、私は承知しております。  しかしながら、法案可決後は、労働組合もそうなんですが、全般に新しい時代の到来というものを正確に理解いたしまして前向きに対応をしてくれております。全国特定郵便局会の方もその方向にありまして、心情的に民営化がどうしても十分消化できないという層もある一方、必ずしも、特定郵便局長たくさんいますから、局だけでも一万九千あるわけですから、いろんな意見がありまして、中には民営化の将来展望というものをよく考えまして、将来への発展の機会ととらえて前向きに考え、むしろ早く実施したらいいんじゃないかという意見も公式にある程度出てきているのが現状であります。  民営化により公社時代の規制が次第に外れるわけでありますから、近代化を進めまして、自己責任においてむらなくよく努力すれば事業維持発展し、その結果、事業維持されてパブリックな使命も自律的に果たすことができる。パブリックな使命を果たすためにもやはりやらなきゃならないことはやるべきでありまして、こうした点をよく職員に理解してもらって前向きになってもらうように努力するのが私ども経営の仕事であると考えております。私自身も、今春以来、沖縄から北海道まで全国四十か所を参りまして、二、三百人の職員相手に私一人との対話集会をずうっと重ねてきております。今日もこの会議の後、出掛けます。  そういったことも含めまして、次第に民営化の内容というものを多くの職員が理解し、前向きの対応をする。やはり事業は人ですから、前向きになったときに初めていい民営化ができると思います。特定郵便局長たちもその例外ではないというふうに私は確信いたしております。  ちなみに、先ほどおっしゃったように、来年は千七百人ぐらい退職するだろうということでありまして、前年よりもちろん多いわけでありますが、例えばこれは大きな変革があるときにはかなり増えるんです。例えば、事業庁から公社になるときも同じような現象がありまして、やっぱりこうやってぐっと組織変わるときは、ちょっとまあ、もう一つの潮どきかなという考えられる方たちがかなり出てくるわけでありまして、必ずしもみんながそういうムードであるということではなくて、そういう改革に伴う、一般的と言ったら語弊があるかも分かりませんが、一つの傾向であろうというふうに思います。  いずれにいたしましても、より良い民営化、分社化の実現に向けまして、郵便局改革につきましてもできる限り理解、そして納得を得られるように、今後とも経営陣挙げまして、あるいは幹部職員を挙げまして引き続き十分なる対話を進めていきたいと、かように考えております。
  30. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 マスタープランの中で特に局長の処遇に大きくかかわるものの一つが局舎の借料でありますね。本院の附帯決議では、十三項ですが、特定郵便局の局舎の賃貸借料は、現在、適切な算出基準に基づいて算出されているところであり、民営化後も引き続き適切な算出基準に基づく賃貸借料を維持することを求めております。  ところが、公社のマスタープランでは、この局舎借料につきまして適宜適正な額に改定するとしているということでありますけれども、これが事実であれば、本院の附帯決議に少し違反しているんじゃないかと、この点が考えられます。  また、集配特定局の買取りの問題も最近出ておるようでありますが、この点について総裁の答弁をお願いしたいと思います。
  31. 生田正治

    参考人生田正治君) お答えいたします。  これまで大体局舎の借り上げは一年契約を原則でやってきているわけなんでありますが、附帯決議等でできるだけ長期にしろということで、現在、一部分、まだ始まったばっかりでありますが、三年契約ぐらいにそれの趣旨にのっとって長期化を図っている過程にあります。  次に、借りる料金といいますか、料率でありますが、算出基準につきましては、市場の実勢価格を見ながら、また不動産鑑定士の意見も十分聞きながら、公正にかつ適正なレベルで見直しを行っているところでありまして、決して今御指摘のような不当ないしは不適正な料率の見直しはいたしておりません。  いずれにいたしましても、何事につきまして公社といたしましては、法律、それから国会附帯決議、それから答弁、総理、竹中大臣、私も答弁しました、そういったものは十分に尊重しながらすべてのことを取り進めているということを申し上げたいと思います。  それから、マスタープランで建物の一部買取りというやつは、集配が無集配になるときに、それをそのままオーナーさんといいますか貸主にお持たせするのはいかがかということで、縮小するわけですから、そういったものについてはいったん買い取らしていただきましょうと、それも極力公正な値段で、経済的な、何といいますか、マイナスのインパクトがないように公正に買い取らしてもらいましょうというお話合いをしまして、総論的には全特の幹部は一応趣旨としては了解ということで、今個別にお話合いを公正に取り進め中と、こういうことであります。
  32. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 マスタープランで郵政公社から提起されている事項は、そもそも民営化以降の郵便局会社内部のマネジメント体制に関する問題であると思います。このことから、特定局長会との直接の意見交換を含め、公社が主導的にマスタープランの検討を行ってきましたのは郵政民営化法上問題ではないかという疑問が一部出ております。こうした疑問に対します生田総裁の御見解を伺いたいと思います。
  33. 生田正治

    参考人生田正治君) 先ほどから申し上げておりますように、マスタープランも集配再編も、民営化論議以前から、とにかく郵政事業を健全化して、健全化することによりましてパブリックなサービスも自律的にできるように検討してきたものが、二年、三年の検討を経ましてやっと成案が出てきて、それがたまたま昨年の民営化と時期的にぶつかったと、こういうことでありまして、後から決まった民営化のゆえに計画を一時ストップするということは郵政事業の健全化をその間中断することになりますので、これはやはり継続してやっていくべきことだと考えております。  ただし、これはおっしゃるとおり郵政株式会社民営化後に大きく影響することでありますから、西川社長には私から趣旨を折に触れお話しいたしまして、趣旨の御理解を得ながら取り進めているというのが現状であります。  郵便局改革は、郵便局の在り方につきまして数十年間大きな見直しがなかったと。社会の進化に適合しないで、制度疲労も率直に言ってあります。社会通念や経済常識にそぐわない部分もあるかと思います。その結果、非効率あるいはコスト高になるというふうなこともあるわけでありますから、民営化する以上、民営化しなくてもそうなんですが、公社法自体が自律的な独立採算制を要求しておりますから、しなくても同じでありますが、市場競争に通用する仕組みに可能な改善をしていこうというものでありまして、決して特定郵便局長だけをターゲットにしているのでは全くなくて、多岐にわたる聖域なき改革のそれは一部分であると、こういうことであります。  この郵便局改革につきましては、当事者である郵便局長の理解と協力を得ると同時に、新会社における勤務条件として決定すべきものでありますから、公社としてはできる限りの整理を行った上で、比較的近い将来、しかるべき時期に準備企画会社に引き継いでいく、こういう考えでおります。
  34. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 今もお答えになりましたけど、民営化後の郵便局会社内部のマネジメント体制について、今後、日本郵政検討を行うということであり、引継ぎということでありますが、その際、あくまでも公社のマスタープランを検討の出発点にされるのですか。それとも、マスタープランはいったん白紙撤回して、もう一遍会社として検討に着手するのか、その点を西川社長、どうお考えですか。
  35. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えをいたします。  実施計画骨格にもお示しいたしましたが、地域に密着した身近な郵便局ネットワークを通じて商品、サービスを分かりやすく提供していくということを郵便局会社経営の基本方針とするわけでございますが、その中でも郵便局別の損益管理を経営管理の基本とするということにいたしておるところでございます。こうした経営方針が徹底されまして経営管理が適切に行えるように会社組織の在り方についても更に検討を進めなければならないというふうに考えているところでございます。  今後、郵便局会社の特にこの中間管理機能の在り方についていろいろ問題とされているところでございますけれども、この点につきましては公社考え方もきちんと承りつつ、必要に応じて関係者の御意見等も参考にしながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  36. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 いずれにいたしましても、マスタープラン、まだまだこれから議論があろうと思いますから、我々も今後もこのマスタープランにつきましてはいろいろ報告を伺い、議論をしていきたいと思います。  次に、去る六月に出されました総務省の郵便におけるリザーブドエリア、競争政策に関する研究会の報告についてお尋ねします。  今年一月に設置されましたこの研究会におきましては、信書便法施行以降、一般信書便事業への参入がないことを踏まえまして、郵便におけるユニバーサルサービスを確保しながら競争の促進によるサービスの一層の多様化、国民の利益還元を実現するための施策について幅広く検討を行ったということだそうであります。  しかし、私は、この報告書には極めて重大な問題があると認識いたしました。それは、民間業者が一般信書便事業に参入するに際しまして特定の地域からの段階的に参入許容すると、いわゆるクリームスキミングを認めていることです。郵政公社はこうした段階的な参入が認められますと、三大都市圏での売上げ減少だけで一千八百億を超えるということが予想されると聞いております。  郵便事業におきましては、公社化以降あらゆる効率化施策が行われてまいりましたが、更なる効率化によって一千億規模で費用を削減することは不可能ではないでしょうか。仮に、効率化によって一千億規模で費用を削減しようとするのでありますれば、例えば過疎地においては各世帯までの配達をやめて公民館などに一括配達するとか、週六日毎日行っている手紙、はがきの配達を週三日にするとか、こういったように現在のサービス水準を劇的に落とすというようなことが考えられるわけでありますけれども、生田総裁、どうお考えですか。
  37. 生田正治

    参考人生田正治君) 私は、本件を考える場合に前提、考える前の前提が必要だと思います。一つは、民営化を御審議いただいたときの法律の内容は無論のこと、国会附帯決議国会答弁の遵守、そういったことでありまして、具体的には自律的に少なくとも品質を落とさないユニバーサルサービス維持、これが可能かどうか、可能にすることが前提になる。それから、郵便局ネットワーク維持することも前提になる。それから、雇用を尊重するという原則がありました。雇用の尊重も前提になると考えております。  そういう前提を私が常に考えているということで、以下、意見を申し上げます。  先進国で日本だけが信書という概念を用いてリザーブドエリアをつくっております。日本だけであります。日本の市場はその結果、既に世界で一番世俗的な言葉で言えばぐしゃぐしゃになっておりまして、実質的に自由化が進んでいると言わざるを得ないと思います。諸外国にはメール便競争は存在しないわけであります、リザーブドエリアですから。彼らは外形基準でやっております。ところが、初めに示されました原案というのは正に大都市におけるいわゆるクリームスキミングを当初三年間認めるという内容でありまして、私は全く想定外だったので、率直に言うとこれもびっくりしたという感じを受けました。  仮に首都圏、近畿圏、愛知圏、大都市圏の相互間だけでクリームスキミングをやられると、もうはがきも封書も同じだ、五十円だと、新しい人はできると思います、手軽にできますから。そういうことになるとすれば、そういうクリームスキミングの結果、我々の方も郵便も同様に五十円に下げるとすると、よしんば取扱量は全部防衛できたとしましても、単純計算で五十六億通ですから年間千八百億円程度になると、損失になるというのは先生御指摘のとおりでありまして、おまけにこれで一部分のシェアを取られるともっとこの金額ははらむと、こういうことであります。  その結果、大都市圏で利益を上げて、わずかな大都市圏で利益を上げて、その力で逆ざやの広い地方を含め全国ユニバーサルサービスを辛うじて維持しているという現在の経営の構造というものは容易に崩壊されると言わざるを得ません。結果としてユニバーサルサービス郵便局ネットワーク維持、雇用の尊重ということも困難になるだろうということを強く申し上げまして、最終的に出てまいりました総務省案は、段階的にとか慎重にという修飾語が加わっておりますが、本質においては変わっていないと私は考えております。  私といたしましては、民営化スタートの時点では少なくとも民営化論議をしたときの前提条件が維持されるべきであり、仮に民営化スタートと同時にその土台を崩すのであれば、その理由の十分な説明と、ユニバーサルサービスをどうするのか、郵便局ネットワーク維持をどう考えるのか、雇用の尊重の原則はどこへ行ったのかというようなことをよく考えていただきまして、民営化法とその審議過程の議論との整合性の見地から、改めて政治的に基本に立ち戻って高度の御判断をいただく必要があると考えております。  ドイツを始めとする先進国は十年から十五年以上のスパンで産業政策的に外形基準を使いながら、料金とかウエートであります、外形基準を使いながら、段階的に粛々と自由化を進めてきております。私自身は経済人といたしまして、何事につけ、一貫として全般的に自由化の方向と競争原理の導入を支持してきている立場にあるのでありますが、それにいたしましても、競争原理の導入、あるいは自由化というものにはそれなりの前提条件やルールが必要であると、かように考えております。
  38. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 西川社長にも同じことを尋ねますが、実施計画骨格を見ますと、郵便事業会社経営見通しは信書便事業の規制緩和の影響を織り込まれていないようであります。この報告のとおり段階的に参入が認められ、実際にそのような参入が行われた結果、仮に郵便事業会社利益が一千億規模で減少するようなことがあれば、郵便事業会社としては経営が行き詰まることになるんじゃないかと思いますが、その点どうですか。
  39. 西川善文

    参考人西川善文君) 先生御指摘のとおり、今回の骨格にはこの影響を織り込んでおりません。と申しますのも、この提言を受けまして具体的にどのような措置を講じるかということについて、ただいま政府において検討されておる段階であるからでございます。  しかし、郵便ユニバーサルサービス確保義務、雇用や勤務条件についての配慮義務を負っている中で、急激かつ大幅な規制条件の緩和が実施されるということになりますれば、何とか黒字の確保を目指しております郵便事業会社経営に与える影響は大変に大きなものがございまして、制度の企画立案に当たっては慎重な検討をお願いしたいところでございます。  以上でございます。
  40. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 仮に報告のとおり信書便事業の規制緩和が行われますと、現行のような郵便ユニバーサルサービス維持できなくなる事態に立ち至るというおそれが極めて高いと思います。こういったようなことがもし法改正になりますれば、我々としても反対せざるを得ません。  間もなく小泉内閣が退陣して新内閣が発足することになるんですけれども、総務省として、新内閣発足後において報告書の内容を踏まえた信書便法の改正作業を、まあ将来のことでありますが、改正するつもりがあるかどうか、この点、竹中大臣にお聞きしたいと思います。
  41. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 御議論いただいておりますユニバーサルサービス義務、これは本当に国会でも真摯に御審議をいただきましたし、我々が守らなければいけない極めて重要なポイントであると思います。  例の研究会は、そのユニバーサルサービス義務についてしっかりと御検討いただいて、諸外国の例も踏まえながら、今後、そうした中でどのようにそれを自由化を進めていくかということを御検討いただいたものと思っております。  実は、ヨーロッパ等々でこういう議論も以前からしっかりとなされております。そうした議論の一つの方向としては、ユニバーサルサービスを確保するためのリザーブドエリアというのは大変重要であるというのが一つの認識。一方で、しかし、そのリザーブドエリアというのは時とともに必ず変化をしていって、できるだけそれを小さくしていって競争を促進していかなければいけない、これが二つのやはり方向だと思います。  私は、研究会はその二つの方向に沿った考え方を今してくださって報告をしているというふうに認識をしております。  新内閣発足後どうするかということ、これはやはり今申し上げたような世界の傾向を踏まえて、現実に日本の制度をどのようにしていくのかと。もう一度言いますけれども、ユニバーサルサービスを確保するためのリザーブドエリアは必要であります。しかし、そのリザーブドエリアというのはやっぱりできるだけ小さくしていくというのがやはり目指すべき傾向であるということ。特に、郵政はこれから非常に大きな国の資産を引き継いで民営化されて、郵政は自由度を得ていきます。郵政が自由度を得ていく中で、ほかの民間業者が、じゃ別のところに参入する自由度がないのかというと、これはやはりまた別の不公平の問題も出てまいります。  そうした観点から、しっかりと新内閣においても制度設計に関して議論が、検討が進められていくことを私は期待をしております。もちろん、委員御指摘のように、このユニバーサルサービス義務維持できなくなると困ります。そうならないように、これはボトムラインでありますけれども、しかしできるだけ参入、自由にほかの皆さんの民間業者が参入できるような、その方向で検討をしていただけるものというふうに思っております。
  42. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それでは、金融二社の窓口業務手数料に課される消費税について伺います。  生田総裁から、昨年来、金融二社の窓口業務手数料に課される消費税につきまして、通常、窓口業務を一体で行う民間金融機関では発生しない特別の負担であり、民間金融機関に比べて極端に不利な条件が置かれているとして、免除されたい旨が要望していただいております。  公社としてこの問題についてどうお考えなのか。また、西川社長にも、今後こういった経緯を踏まえてどういうお考えなのか。また、今日は財務省、わざわざおいでいただいてありがとうございます。この問題についてかねてから郵政公社が主張してきたように、民間とのイコールフッティングから問題であるばかりでなく、金融二社の経営に大きな影響を与えることになるならば、郵政民営化の成否そのものにかかわってくると思います。本院の附帯決議にもありますように、何らかの特例措置を考えるべきだと、設けるべきだと考えます。  そこで、副大臣にもお尋ねいたしますが、この問題について今後どう対処すべきか、税務当局を代表して来られたという立場はもとよりですが、郵政民営化を失敗させてはいけないと、こういう立場で政治家としてのお考えを伺いたいと思います。
  43. 生田正治

    参考人生田正治君) 公社としては、昨年と全く考えは変わっておりません。昨年度、竹中大臣、麻生大臣を始め、税調の先生方始め、多くの方たちにお話しいたしまして、大方の御理解は得たわけでありますが、昨年決めなくても現実問題とならないものですから、現実問題となる来年、すなわち今年、制度的政治課題として考えようと、こういうことにしていただいております。  消費税の免除を要望した趣旨は、今先生も御指摘のありましたように、金融会社の今後の経営、ひいては郵便局会社、持ち株会社経営に大きな影響があると、こういうことでありますし、免除しないという論理には、まあ私の勝手な見方かも分かりませんが、論理的にもやはり難しい点があるんじゃないかと、こう考えたわけであります。  つまり、課税を主張される方は、消費税に例外なしと、こういうことでありますし、銀行法が改正されたから銀行も代理店使えるじゃないかと、こういう二点になるわけでありますが、しかしながら郵政民営化には民営化でイコールフッティングというキーワードがあったはずでありますし、銀行法が改正されましても、銀行はほとんどの部分は自分の店を持っているわけですから、代理店を使うというのは多分売上げの数%になるのかならないのかぐらいだろうと思うんであります。他方、私どもは、法律上の制度設計として全部任さなきゃならないと、こういうことであります。もちろん、今度、直営店の問題が出てきましたから、多少それは抜けるところもありますが、大きくは代理店を使わざるを得ない、こういうことで立場は全く違うと思うわけであります。  いずれにいたしましても、この消費税というのは郵政民営化される郵政の二金融機関にとりましてはエクストラの費用になるわけでありまして、イコールフッティング、逆の方向からのイコールフッティングに明らかに反すると思います。  なお、昨年は私が主としてすべての先生方、関係先にお願いに参上し、やったわけでありますが、今年は、立場上、日本郵政株式会社西川社長に前面でやっていただくのが筋であろうと思うんで、そのように西川社長にお願いを申し上げているところでありますが、公社といたしましても必要に応じまして側面的にバックアップを続けていきたいと、かように思っております。
  44. 西川善文

    参考人西川善文君) 公社考え方と全く同様でございますが、一般の金融機関が窓口・渉外業務を自前で行うか代理店に委託するかの選択の自由を持っておるわけでございますが、金融二社は基本的に郵便局会社に窓口・渉外業務を委託するということを前提としたビジネスモデルということとなりますので、金融二社から郵便会社へ支払われる業務委託手数料に消費税が課されるということになりますれば、一般の金融機関に比べて重い負担を負うことになるわけでございます。  本件に関しましては、参議院の附帯決議等々におきましていろいろ御議論をいただいたところでございますが、そうした経緯、事情を十分勘案いたしまして、日本郵政といたしましても、金融二社の窓口業務委託手数料に課税される消費税につきましては免税措置を講じていただくよう関係方面に要望することとしている次第でございます。  以上でございます。
  45. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) まず、景山先生におかれましては平素より、郵政民営化を失敗させてはならないと、強い決意の下で真摯なお取組をいただいておりますことを、まず心から敬意を表する次第でございます。  御指摘の郵政民営化に伴う税制措置についてでございますけれども、これは昨年来の国会法案審議における様々な御議論、また先ほどから出ておりますが、本院での特別委員会での附帯決議を重く受け止めまして、政府部内はもとより、与党税調の中におきましても真摯な検討が行われたところでございます。その結果、社会・地域貢献基金に対する無税積立てを認めることとされたものと承知をしておりまして、政府としては、この措置が円滑な民営化の一助となりまして郵政民営化が着実に進められていくものと期待をしているところでございます。  他方、御指摘の消費税につきまして、郵便貯金銀行郵便保険会社が窓口会社に業務を委託した場合のみその委託手数料に掛かる消費税について特別な措置を講ぜよと、こういった御主張でございますが、この点につきましても様々な検討がなされてきたものと承知をしております。  先ほど生田総裁の御答弁にもありましたが、財務省の現状の立場といたしましては、民間金融機関等も窓口会社に業務を委託する場合には消費税が掛かると、こういった点から、こういった点における民間企業とのイコールフッティングの確保という点ではいかがなものかという指摘や、また、まあ言わずもがなでございますけれども、消費税は財・サービスの取引の対価に官民問わず同様に課税させていただいているというのが消費税の制度、性格であり、ここをいじるのはなかなかそう簡単なものではないなというのが正直な感想でございますが、先生、政治家としての考えを聞かせろということでございますので、私も郵政民営化を失敗させてはならないという立場に立つ一人といたしまして、平成十八年度の与党の税制改正大綱にも「民営化委員会における三年ごとの見直しに当たり、郵政民営化に係る新会社経営状況等を見極め、必要に応じ所要の検討を行う。」というふうに書かれておりますので、私も政治家としてしっかりと、この郵政民営化プロセスをしっかり認識をしながら、より成功につながる最善の措置をとるように努力をしていきたいというふうに思います。  以上でございます。
  46. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 時間が参っております。
  47. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 我が党は責任と実行力のある政権与党として国民のために今後も郵政問題に取り組んでまいりますことを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  48. 高橋千秋

    高橋千秋君 民主党・新緑風会の高橋千秋でございます。  一時間お時間をいただきまして、竹中大臣とこうやって向き合うと昨年の特別委員会を思い出しますが、思い起こしてみると、去年の明日が衆議院選挙の告示日でございまして、早いものだなというふうに思います。あれ以降、郵政法案が、郵政民営化法案が通過をいたしまして、我々から見ると、小泉さんは、小泉総理は郵政民営化法案を通過をさせるということにエネルギーを注がれて、それが達成されたわけでありますが、小泉総理から見ると郵政民営化法案は通過が何かゴールであったような感じがいたしますけれども、竹中大臣にとってどう思われるのか分かりませんが、あれ以降、どうも郵政に関する熱情というかパッションは余り感じられないんですけれども、国民にとって、そして郵便局関係で働いておられる方、それぞれにとってはあの郵政民営化法案はゴールではなくてスタートであったというふうに私はとらえておりますし、正に今それぞれの地方、いろいろな現場へ行きますと、まあこれはどうなるんだろうということでしっちゃかめっちゃかの状態に今なっておりまして、正にあの法案で通過をして様々な問題がスタートもしております。  今日のこの委員会で、閉会中でありますけれども、こうやって集まってやらなきゃいけないという、それは先ほど景山委員の方からもありましたけれども、与野党問わず、これだけ三百四十兆円という大変な資産を持っている、国民の財産を壊滅させてはいけないという強い思いがあって、今日、閉会中の審議になったと思うんですけれども。  私も、今回のこの質問に立つに当たって、地元の郵便局も幾つか回ってまいりました。特定局長会の役員の方にもいろいろじっくりとお話も伺いましたし、労働組合の方々とも、全郵政、JPU、それぞれの幹部の方ともお会いをして現場の御意見を聞いてきました。それから、毎晩座談会というのをやっておりまして、地域の方々とこの郵便局の問題についてもどうなんだという話をじっくりさせていただいておりまして、これは私一人の意見ではなくて、そういう国民全体の思い、意見だということも含めて質問をさせていただきたいなというふうに思います。  まず、生田総裁、昨年の特別委員会の中でもずっと答弁をしていただきました。いよいよ来年の十月、もうあと一年ちょっと、一年と一か月ぐらいしますと民営化ということになるわけでありますが、生田総裁、これまで経営手腕を発揮していろいろ頑張ってこられておりまして、それなりにやられていることに対して敬意は表したいと思いますけれども、先ほど決算の報告もありましたが、偏りもかなりあるようでありますし、経営環境は今後厳しくなっていくという、そういう見通しもあると思います。  総裁の、これから十三か月の間、どういう思いで取り組まれるのか、どういう役割を果たしていかれるのか、そのことをまずお伺いをしたいと思います。
  49. 生田正治

    参考人生田正治君) お答え申し上げます。  全般に関しまして私は全く楽観をいたしておりません。大変深刻なかつ真剣な取組を要すると考えております。  まず、経営の内容を見てまいりますと、三事業経営につきましては、公社はスタート以来三つの経営ビジョンを出しましてその実現に努力をしてきております。極力改革を前倒しいたしまして経営改善努力の真っ最中でありまして、過去三年に限っていいますと、政府に御承認いただいている中期経営計画を上回る実績を一応は上げてきております。  公社法という枠内で物を見る、そして郵政事業の過去と今を比較する、こういう切り口から見ますと、改善は進んでおりまして健全性を増してきているわけでありますが、公社法の枠は横に置きまして市場から眺めると、客観的に眺めるという手法を取りますと経営は極めて厳しい、こう言わざるを得ないと考えております。  まず、一に郵便は、先ほど御報告したのは十六年度なんだけど、今の十七年度、この三月期でいきますと、郵便は二十六億の黒字というんですが、一兆九千億も売上げを上げていて二十六億というのは、まあ言わばゼロと考えざるを得ないと思っております。  これは、収益面では減収幅が、いろいろな努力によりまして、ゆうパックを伸ばしたり、いろんな努力をいたしまして減収傾向には歯止めが大体掛かったわけでありますけれども、費用面で、マーケットにおける労働需給の逼迫によりまして労賃が随分上がっております。そういったことのプレッシャーによりましてコストがかなりかさんで所期の利益が出なかったと、期待した利益が出なかったということであります。三年間の累計の利益は五百七十二億円となりまして、中期経営計画の目標の五百億円を上回っておりますけれども、黒字構造への転換というのは今真っ最中でありまして、効果が出るのにはまだ多少時間が掛かりますので、まだまだ予断を許さないと、こういうことであります。  郵便貯金は、金融環境が順調だったので一兆九千三百四億という黒字に、十七年度でありますが、なっております。一見、この額だけ見るといいように見えるわけでありますが、株価の値上がりによります金銭信託運用益が一兆二千四百億もありますし、また資産の主力が預け入れ替え六か月後は自由という定額貯金であるということでありますので、金利上昇期に入りまして、これも正に楽観を許さない。  簡易保険は、株価上昇によるキャピタル益が八千四百五十九億もありまして、内部留保の積み増しが九千三百十八億と、一応十六年度よりもかなり良くなっているわけでありますが、商品メニューが貯蓄型と、ちょっとでも保障型の方にやろうと思いますと民業圧迫という大合唱が起こりまして全くできませんで、貯蓄型がほとんどでございますので、新規契約が激減現象にまだ歯止めは掛かりませんで、最盛期、年間新規契約保険料一千億あったのが、今、半分ないしは半分以下になってきているという基本的な問題を抱えております。  三事業とも公社法の枠内では過去との比較では改善しているんですが、市場において同業他社と比較いたしますと、利益率というものは大体二分の一から三分の一しかない。これが公社法の枠を外していただきまして、民営化経営の自由度を増していただくことによりまして、総資金は減っても利益は十分に維持あるいは拡大できると、早くそういう方向に行く必要があると、こういうふうに考えております。  先生御指摘の私自身の役割、使命をどう認識しているかということでございますが、三つ申し上げます。  一つは、アクションプラン、要するに今期の業績目標を立てております。あるいは、CSをやるとかESをやるとかJPSを進めるとか、いろんなアクションプランを持っております。それを貫徹することであります。与えられた経営環境、経営条件の中でベストの状態に改善しておくことが民営化後の各社が発展していくジャンプの土台を固めるものだと認識しております。  二番目は、民営化準備に関しまして、来年十月一日の民営分社化実施を確実なものにする。そのための準備作業に万全を期する。日本郵政株式会社準備企画会社と十分連携いたしまして、これに最善を尽くしていこうと思っております。  三番目に申しますが、三番目が極めて重要だと私は考えております。あらゆる面でよく申し上げますが、私は事業は人だと思います。やはり職員がやる気満々で、よく事態を理解して前向きに対応して民営化に入っていってくれれば民営化はうまくいくと考えております。したがいまして、私ども幹部、役職員、最善を尽くしまして、職員に民営化の意義、可能性、具体的に何をやるのかということを理解してもらいまして、できるだけ全員を前向きに明るく士気高く新会社に移行できるように最善の努力をしていく、こういうことが使命として大変重要だと考えております。
  50. 高橋千秋

    高橋千秋君 先ほど総裁の方から前向きに明るく民営化を迎えたいというお話でありましたが、いろいろ調べていくと、どうも現場は前向きに明るくというにはちょっとほど遠い雰囲気が実はあります。特に、九月には所属が決まるということもあって何か戦々恐々としているという、前向きに明るくというよりも、何かどうなるんだろうとおろおろとしているというのが現状ではないかなというふうに思いますし、決算について言えば、先ほど十六年の決算の話と十七年の話があり、二兆円の売上げがあって二十六億円の利益というのは、はっきり言ってまあ企業とすればいかがなものかなという、そういう利益だと思います。  ただ、これは当然経営努力というのもまだまだ足りないんだろうと思うんですけれども、一方で、郵便というのはそう利益が出るものではないという一方の意味も当然あるはずだと思うんですね。だから、そういうこともやっぱり、去年のあの委員会の中での質疑でもさんざんその話が出ましたけれども、やはりそのことを考えた上でやっていかなきゃいけないというふうに思っております。  特に、私はJA出身なんですが、農協出身なんですね。そうすると、同じような、農協と郵便局というのは地域で今まではちょっと助け合うような雰囲気の、農協の中に郵便局があったりするところも幾つかあります、私の地元でもあるんですが。ところが、今回のこのことによって農協と郵便局というのは正に、対立関係じゃないけれども、競合関係にかなりなってくる部分もあります。一方で、農協の経営を考えてみると、よく言われるのが、貯金業務がほとんど、貯金といわゆる共済事業ですね、ここがほとんど利益を出して、営農指導なり経済事業というのは赤が出てきて、それを貯金業務の方で補てんをしているというのが現状なんですね。これは郵便局状況によく似ているんですね、やっぱり。  考えてみると、農協がなぜそういうふうになっているかというと、営農指導、経営指導があったり経済事業があるから貯金がしてもらえたり、保険に入ってもらったりということができるわけで、郵便局の場合も同じように、郵便業務があるから郵便貯金があったり、簡保があったりというのだと思うんですね。ここの部分をやっぱり忘れてはいけないんだろうというふうに思うんです。  その意味で、さっきの二十六億しか純利益がなかったという部分については、これは当然改善をしていただきたいと思いますけれども、やはりそういう業態になっているんだということは、やっぱり頭のところで理解をしておかないといけないんだろうと思うんです。  先ほど、総裁の方から前向きに明るくというお話があったものですから、私は是非それを、そうなってほしいと思いますけれども、ただ、現状はそうなってないということをやっぱりトップの方は御理解をしていただく必要があるんではないかなというふうに思います。  質問の通告でさしていただいている二番目のところで、コンプライアンスの徹底の部分を通告さしていただきました。ここ数か月ずっと見ておりますと、あちこちでいろんな不祥事が出ております。  ずっと見ておりますと、最近だけ出ているのかなと思うと、これはそうでもなくて、過去から郵便局の不祥事というのは幾つかあって、毎年かなりの数の方が処分を受けておられる。これはやっぱりずっと、まあ郵便局に限らずコンプライアンスの徹底というのはそれぞれの組織、企業において課題であって、いろいろ努力をされているわけでありますけれども、まあそれにしてもここのところ一杯出てきているというのは、まあ民営化になるということがあってかも分かりませんけれども、かなり出てきておりまして、このコンプライアンスの徹底ということが大変民営化控えた中で重要になってくると思うんですけれども、この点についてどう対処されていくのか、お伺いをしたいというふうに思います。
  51. 生田正治

    参考人生田正治君) それに直接お答えする前に、一言だけさっきのに補足させていただきますと、確かに改革ですから、不安を持っている人、結構たくさんいました。だけど、だんだん変わってきています。一生懸命手分けして話し合い、できるだけ話合いをすることによりまして前向きに大きく変わりつつあるという事実も御認識いただきたいと思いますし、更にその努力を傾注していきたいと思います。  コンプライアンスについてお答えいたします。  今般、総務省から経営改善命令をいただいております。これを非常に厳粛に受け止めまして、更に努力をせにゃいかぬと、こういうことを心に刻むとともに、おわびを申し上げたいと思っております。  実情を率直にお話しいたしますと、単年度ベース、その年その年、単年度ベースで見ますと、コンプラ意識というのは次第に浸透いたしまして、事態は徐々にでありますが改善の方向にあるわけでありますが、とにかく公社化とともにコンプラという意識を、あるいは概念をきちっと導入して浸透させまして総点検に入ってきていると。それで、二年あるいは二年半掛かっていろんなものが今明るみに出てきて、改善の渦中にあると、こういうことであります。  先般、改善命令を御指摘いただきまして、その中にもリファーがありましたが、幾つかの件を見ますと、最近のやつで金額の大きいやつ上位三つ見ますと、一番が長岡局事件というやつで、これ七年前なんですね、郵政省の時代です。それで七年間ずっと吹きだまっていますから二十七億円。それから、二番目に大きいと御指摘のある千葉Bee—One局事件というのは、実は十三年前からずっと吹きだまっていまして、その結果十一億円。それから、福岡渡辺局事件というのは、これは五年前から出ておりまして、吹きだまって七億円ということで、それをやっぱり二年ぐらい掛けてやっと捕まえて、現在総掛かりでそういうものを整理すると同時に、将来的に起こらないようなシステムづくりに今邁進していると、こういうことであります。  コンプライアンスの徹底につきましては、経営の最重要課題の一つと、これはもう公社発足のときから位置付けておりまして、本社でのガバナンス・コンプライアンス委員会の設置、コンプライアンス基本方針の策定、コンプライアンス・マニュアルの全職員への配付、総点検と、過去にさかのぼっての総点検ということを全社を挙げて取り組んでおると。  私は、昨年来、ただ、でもこれはいずれにしてもやらなきゃならないわけでありますが、民営化になるわけでありますから、これはもう待ったなしになったわけであります。民営化に向けて、コンプライアンスの徹底は不可欠の条件整備でありまして、意識の改革を徹底し、抜本的に事態を改善する、もうシステムとして改善する、それで市場に受け入れられることをすることが事業をしていくことの大前提となるということで、役員会でもう毎回と言っていいぐらい役員、幹部始め皆と議論をいたしまして、全軍に呼び掛け、幹部陣頭指揮で現在努力の真っ最中と、こういうことであります。  こうした総点検のプロセスで、残念ながらコンプライアンス違反というものが、今数を見ますと、過去のものが何割か占めているわけでありますが、たくさん出てきておりまして、今日の切り口で見ますと深刻な状況であるというのは率直に認識いたしております。  そこで、ガバナンス・コンプライアンス委員会に加えまして、大体過去のやつが整理が終わりました今年の五月に、関係役員をメンバーとする内部統制強化本部というのをつくりまして、山下総裁代理を本部長といたしまして、これはもう日常業務といたしまして、現在役員主導で全社的、横断的な取組の最中で、抜本的な改善策を来週ぐらいにも取りまとめるつもりでいるところであります。  同本部では、緊急度の高い課題を整理いたしまして、抜本的な解決につながる改善策を検討すると同時に、民営化を控え、正常な姿で民営化につなげるように、何とかもう整理し切ってきれいな格好で新会社につなげるように万全の努力をしていきたいというふうに考えております。  日本郵政公社では、今日までの、正に積年にわたる郵政事業体の負の部分、不備を一掃すべく、内部統制強化本部を中心に、意識、体質の改革を含めまして市場レベルの内部統制体制の構築を民営分社化までにやり遂げ、適切な形で引き継げるようやっていくつもりでいることを申し上げたいと思います。
  52. 高橋千秋

    高橋千秋君 コンプライアンスについては、これはやるというのは当然のことで、企業とすれば是非やっていただきたいと思いますし、やらなきゃいけないんですが、いろいろ小さな郵便局回りますと、コンプライアンスはやらなきゃいけないんだけども、その通達が何か大郵便局と二、三人の郵便局と同じことをやらなきゃいけないと、これでもう業務に物すごく支障が出るんだという声もあったということは伝えておきたいというふうに思います。その辺はちょっと考えてほしいなと。福岡や名古屋や、そんなところの郵便局と、村の二、三人の郵便局と同じ資料を出さなきゃいけないというのもいかがなものかなというのはありましたので。ただ、コンプライアンスをちゃんと徹底しなきゃいけないというのは当然のことだと思いますので、是非やっていただきたいと思います。  冒頭に、随分変わってきたというお話が、反論がありましたが、そのあえてまた反論するんであれば、全特の中に全特ネットというホームページがありまして、これは会員の方しか見れないホームページで私には見れないんですが、それをプリントアウトしたものをいただいたんですけども、その中にいろんなやり取りが個々細かに出ております。今回のマスタープランについても、マスタープランの現状及び当面の諸情勢についての意見交換というページがありまして、そこにずらずらと出ております。この中を見ると、総裁が言われているような前向きな雰囲気というのはないんですよね。かなり不安な声が、全国のこれは特定郵便局長さんの意見ですけれども、出ております。  私もいろんな労働組合の方々と会っても、前向きという雰囲気ではとてもないということは、やっぱり総裁、御理解をいただきたい。多分、総裁の周りにおられる方は前向きになってきていますよと多分言っていると思います。言っていると思いますが、現場はそうじゃないということをやっぱり御理解をいただかないといけないんではないかなというふうに思います。後でまた質問しますが、幾つかの公社から通達として下りてきているいろんな指令やそういうことに対しても、現場ではかなり反発が出ているということもやっぱり、総裁の耳には多分入ってないんだろうと思いますが、現場はかなり厳しい意見を持っておられるということをやっぱり言っておかなきゃいけないんではないかなというふうに思います。  竹中大臣、簡単で結構です、余り時間がありませんので。今、それぞれ総裁から報告がありました。こういういろんな現状、それから課題、様々、大臣として、あの法案を通された責任者として、まさか大臣はあの法案通過がゴールだとは考えておられないと思いますが、そのことについてどういうふうに取組をされていくのか。九月になって辞められるのか、そのまま総務大臣になられるのか、ほかの大臣になられるのか分かりませんが、そういう先のことも含めてお考えをお聞きしたいと思います。
  53. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 手短に答えろということでございますので。  今までの高橋委員と総裁のやり取りの中で、今の現状認識についてはもう語り尽くされていると思います。我々としては公社を監督するという立場にあるわけでございますけれども、いろいろ議論されましたコンプライアンスの徹底、そして郵便業務基盤の健全化の確保、そうしたことについて取組を求めているところでございますし、また、郵便料金収納に係る経営改善命令も発出したところでございます。こういうことを踏まえて、正に委員御指摘のように、民営化の段階が始まったばかり、取組が始まったばかりでありますので、是非国民の信頼、期待にこたえて円滑な民営化を進めていっていただきたいというふうに考えております。  これからの手続、これからの進め方につきましては、来年の春には実施計画を正式にお出しをいただいて、これは政府の認可が必要になります、その認可を通して、国会でいろいろ御審議いただいたことがきちっと反映されているかどうか責任を持って判断をしたいと思います。その前段階としまして、これは法律にはなかったことでございますけれども、小泉内閣の間にその骨格については出していただいて審議をしたいというふうに考えまして、七月の末にその骨格というのをお出しいただいたわけでございます。これにつきましても、今郵政民営化委員会を含めていろいろ検討をいただいております。この検討を踏まえて、必要な措置、例えばこういう点についてはより深めてもらいたいとか、そのようなことについては、近々我々としての考えを示して、改めて取組を強化をしていただきたいというふうに思っております。  この点は、日本郵政株式会社に対しましても、また必要に応じて公社に対しましても、よく話合いをしながら、しかしお願いすることはしっかりとお願いしながら、そこの正にパッションを持って、この郵政民営化、是非国民の期待にこたえて実現をしていきたいと考えているところでございます。
  54. 高橋千秋

    高橋千秋君 竹中大臣にはパッションは残っておられると思いますが、小泉総理には最近ちょっとパッションを感じないもんですから、ちょっと懸念をしております。  その中の一つとして、幾つか、今も七月末に出されたというようなお話がありましたが、過去の、ここ数か月の動きを見ておりまして、先ほど景山委員の方からも特定集配局の統廃合の問題が出ましたけれども、サービスの問題についてお伺いをしたいと思います。  集配郵便局、現在四千七百局ある、そのうちの千局ちょっとを、廃止をすると言うと廃止じゃないというふうに言われました、これは拠点整備だというふうに言われましたが、この拠点整備をされると。それから、三千六百局の時間外窓口を廃止をするということが出されておりますけれども、まずこの目的を郵政公社の方からお伺いをしたいと思います。
  55. 塚田爲康

    参考人(塚田爲康君) まず集配再編のそもそもの目的でございますけれども、これまで集配特定局といったような小さな郵便局でございますけれども、郵便貯金保険といった三事業一体としてやっていると、一人の職員がやっているということでございますけれども、分社化が決まったということでございまして、これによりまして職員を各会社に振り分けるということでございまして、そのための職員管理とか業務運行を的確に行うということが必要になってきたということと。  それから、先ほども総裁からございましたけれども、現在の郵便ネットワークというのはある意味で明治時代の徒歩による郵便区というものをベースとして形成されておりまして、近年の交通手段の発達とか道路の整備状況、こういうことの時代の変化に対応するということで、効率的なネットワークを構築する必要があるだろうということでございまして、先生御指摘の千局でございますけれども、いわゆる集配機能の部分を近隣の郵便局に移転をするということで集約をするということでございますし、集配拠点の再編に伴いまして、いわゆる区分事務というものがございまして、内務の事務でございますけれども、これにつきましてはその地域の統括センターというのを設けまして、そこに区分機を配置いたしましてこれを集中処理をするということでございますので、今総括センター以外の郵便局につきましてはいわゆる内務職員というのはなくなるということでございまして、配置はしないということでございますので、三千六百局につきましては郵便の時間外窓口というものを廃止するということでございます。
  56. 高橋千秋

    高橋千秋君 拠点整備というのは、やっぱり経営効率化ということを考えれば当然必要になってくるんだろうと思うんですが、過去にも幾つかの拠点整備というのは多分行われてきたんではないかなと思うんですが、その例があるのか。それと、質問通告してありませんけれども、こんなに大量の拠点整備というのはなかったんだろうと思うんですけれども、そのことに対して不安の声がかなり強いわけですけれども、そういう点、大丈夫なんでしょうか。
  57. 塚田爲康

    参考人(塚田爲康君) 集配拠点の再編でございますけど、かつては郵政省時代から、まあ十三年から十七年度ぐらいにかけて五年間ぐらい、いわゆる郵便区統合というもので全国二百四局をやってまいりました。今回、分社化が決まったということで、先ほど申し上げたような職員管理とか業務運行をしっかりやらなきゃいけないという観点から、これを、全体千局になりますけれども、かなり大幅な形でこれを集約するということでございます。それについては今までの、かつての実績もございますので、対応できるというふうに考えております。
  58. 高橋千秋

    高橋千秋君 これ、その千局の特定集配局の拠点整備、マスコミには廃止ってがあんと出ちゃったんですね。で、それを見た地域の方々は大変不安に思われている。  実はそのことを地元の自治体に、首長さんや議会に対して特定局長さんたちが説明に行っておられます。特定局長さんたちは、実は自分たちは納得をせずにそれを説明をしなきゃいけない。で、それに対して郵政公社の方からQアンドAがかなり細かく出されておられまして、中身も見さしていただきました。こういうふうに言われたらこういうふうに答えなさいというのがありました。で、説明して納得しなかったらどうするんですかということが書いてあって、そこに見ると、納得するまで説明しろって書いてありました。それで、実際のところは、納得するまで説明しろと言われて、そんな説明、じゃどうするんだという話になりますが、実際のところ、まだ納得されてないところがかなり多数あると聞いておりますけれども、その実態はいかがなんでしょうか。
  59. 塚田爲康

    参考人(塚田爲康君) 現在、集約関係の自治体というのが全体で九百九十六ありまして、そのうちの約九十九が納得をされないという、賛成をしないという自治体でございまして、そのうち住民説明も拒むいわゆる自治体というのが四十強あるというふうな実態でございます。
  60. 高橋千秋

    高橋千秋君 ということは一割ですね、約。納得しない場合はどうされるんですか。
  61. 塚田爲康

    参考人(塚田爲康君) 納得されない自治体の理由というのは、いわゆる自分のところから集配機能がなくなる、集配特定局というんでしょうか、それがなくなるという話とか、それが小さな町に移るということだということが結構多いんでございますけれども、事サービス関係につきましては、私どもこの集配再編をする大前提といたしましてサービス低下をさせないということでございまして、個別具体的に、先ほど、納得されないという納得の中にどういうところが実際にサービスの低下を起こすのかというのを具体的に承って、それについて私ども対応策を出して説明をし御納得いただくというようなことで進めているということでございます。
  62. 高橋千秋

    高橋千秋君 ということは、最終まで納得しなかったらどうされるんですか。
  63. 塚田爲康

    参考人(塚田爲康君) サービス面においては十分納得できるんだろう、納得していただけるんであろうというふうに考えております。
  64. 高橋千秋

    高橋千秋君 それは希望であって、向こうが納得しなかったら、最終、そこまで行っても納得しなかった場合は強行してやるということですか。
  65. 塚田爲康

    参考人(塚田爲康君) あくまで今回の施策は自治体のいわゆる御理解というのが前提でございますので、そのように努力をしていきたいというふうに考えております。
  66. 高橋千秋

    高橋千秋君 答えになってなくて、最終納得しなかったら、それじゃどうされるんですか。
  67. 塚田爲康

    参考人(塚田爲康君) 大変繰り返して申し訳ございませんけれども、御納得をいただくまで頑張るということでございます。
  68. 高橋千秋

    高橋千秋君 そんなことでできないじゃないですか。納得しなかったら納得しないんだから、じゃ納得するまで延々やるんですか。期限が来年の十月一日に来るわけですから、それでどうするんですか。納得するまで説得しますって、そんな、現場の人大変ですよ、これ。特定局長さんたちは地域の人、自治体とも仲よくやって、地域の方々と本当にコミュニケーションを取って一生懸命やってきているんですよ。その中で、相手が納得しないのにそれじゃ納得するまで説明しますと言ったって、それはおかしいと思うんですが、いかがなんですか。
  69. 塚田爲康

    参考人(塚田爲康君) サービス面におきましては、様々なサービス低下についての御不安とかそういうものがありまして、それについては、私ども、いかなる手段を使ってもそれを解消いたしまして、そういう不安のないような形で御説明をして、納得していただくという以外ございません。
  70. 高橋千秋

    高橋千秋君 私は、地域の方々が納得をした上でそういうことをやっていくというのは当然のことで、今も言われたように、前提になっているわけですから、当然努力をするというのは当たり前のことなんですけれども、今一割の方が、一割の地区で納得をしないというのはかなり高率ですよね。  私はそのQアンドAを読ませていただきましたけれども、かなり官僚的な書き方が延々してあります。その文章を読まなきゃいけない特定局長さんたちもかなり反発をそのことに対してしています。何かその辺が冷たいような感じがするし、実際のところ、昨年の特別委員会の中でもサービス低下はさせませんと大臣も何度も言われました。そのことを考えると、サービス低下にならないようにされるということではありますけれども、まずその部分で非常に地域の方々は不安を持っておられます。  もう一方で、さっきの三千六百局の窓口、時間外窓口の廃止、これはもう完璧にサービス低下になるんじゃないでしょうか。いかがなんでしょうか。
  71. 塚田爲康

    参考人(塚田爲康君) 時間外窓口につきましては、それを廃止するということ自体はサービスの低下になるというふうに考えておりますけれども、私ども、そういうものにつきましては代替措置を講じたいということでございまして、こういう郵便の時間外窓口を使われるものとしては大体三種類ぐらいございまして、一つは切手とかはがきを買うという話と、それからもう一つはいわゆる小包とか書留を差し出すという話と、それから三つ目は、これが一番利用が多いわけでございますけれども、いわゆる不在通知書が各家庭に御不在のときに入れるわけでございますが、それを取りに来るという、こういう三つのもので大体サービスがあるわけでございますけれども、そのうちの最初についてのその購買につきましては、郵便局の周りにいわゆる切手の取扱販売所というのがございまして、そういうものでそれを周知して御利用いただければ時間外でも対応できるということでございます。  それから二番目の、いわゆる小包の、書留の差し出しでございますけれども、これについては私ども集荷に伺うと。これまでも小包につきましてはいわゆる集荷というのをやっておりますけれども、それを書留とかいわゆる速達ということで、郵便局に絡む業務でございますけれども、そういうものについては私ども集荷をさせていただくということでございます。  それから三番目のマルツの関係でございますが、これにつきましては、私ども、今まで不在通知書を入れまして、あとは郵便局に取りに来てくださいというようなサービスを行ってきたわけでございますけれども、世の中宅配便に代表されるようなところを見ますと、やはりそういうものにつきましてはこちらから配達し切るというのが今民間では原則になっておりますので、私ども、そういうような形で変えまして、いわゆる外務の職員に携帯等を持たせまして配達をし切るというような形で、今のようなサービス低下の部分を代替措置を講じてそれを維持するというようなことを考えているということでございます。
  72. 高橋千秋

    高橋千秋君 今答弁聞いていると、何かすごく良くなったような雰囲気になるんですが、現実はそうじゃないんですよ。現実、郵便局でいろいろ聞きますと、そんなことできるわけないじゃないかという声が物すごく強いんですよ。さっき、携帯持たしてそれで配達させるというようなことなんですけど、そんなことが、一々一つ一つのことができるのか。ましてや、今回、後でまた質問しますが、人員配置のことを考えると、とてもそんなことは対応し切れない。明らかにこれはサービス低下につながる。そこまでやるんであれば、多少なりとも窓口、こんなに三千六百も減らさなくてもいいはずではないのじゃないでしょうか。  私の地元の三重県の津市というところは、この元旦に合併をしたんです。琵琶湖より広い広さになりました。ここで夜間窓口開く郵便局というのは一つか二つぐらいになるというふうに言われています。これだけ広いところでそういう状況になるというのがもう明らかになってきて、もうこれは明らかにサービス低下につながっているんじゃないでしょうか。  大臣、これ、万が一にもサービス低下にならないというふうに答弁をされました。これはどう見てもサービス低下につながると思いますけど、いかがでしょうか。
  73. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 詳細は今、塚田執行役員からお話がありましたが、我々はもちろん最初から民営化においてサービスを、利便を低下させてはならないということで、利便性の原則というのを五原則のうちの一つに掲げて全体の制度設計をしてきたつもりでございます。  今回の郵政公社の改革そのものは、これは総裁が別の場で御答弁しておられますけれども、民営化するしないにかかわらず、ある程度やっぱりやっていかなければいけない改革ということでありますので、民営化と直接すべてが結び付くわけではないというふうに理解をしておりますが、国会で私が答弁をさせていただいたときには、特にその三つの点でしっかりとサービス維持する、それができるはずだということを申し上げました。  一つは、やはりそこに郵便局があると。局の配置において御迷惑を掛けないというのがポイントでございます。今回、集配局が無集配局になっても局の配置そのものが影響を受けるわけではもちろんございません。  第二点は、その窓口でしっかりと三つのサービスが提供されると。それはしっかりとなされなければ、それが利便だというふうに申し上げました。今回、集配が無集配になってもそれによって三つのサービスが影響を受けることはないというふうに聞いております。  三つ目は、その他の社会貢献サービス、ひまわりサービスが分かりやすい例でございますけれども、そういうようなものに関してもしっかりとやっていただく。これに関しては、公社の方でもいろんなサービスを続ける、そして代替的なサービスも含めてしっかりとサービス水準維持すると、そういう御努力をされるというふうに聞いております。  もちろん、これ、社会は生き物、そして組織も生き物でありますから、寸分たがわず同じことをするというのはこれは難しい面があります。現実に、国がやっている間でも公社がやっている間でも郵便局の数は年間数十局少なくなっていっているわけです。そのことも御答弁をさせていただきました。年によっては七十局ぐらい年間局を閉じているというふうに承知をしております。しかし、全体として、寸分たがわずというわけではないけれども、全体としてしっかりとサービス水準維持できるように、そしてその具体的な内容としては、局の配置であり、三つのサービスの窓口における提供であり、そして社会貢献も続けるということである。こうした点については、公社においても引き続きしっかりとそれを踏まえていろんな詳細な計画をお立てになっているというふうに承知をしておりますし、この精神は民営化された後の日本郵政株式会社にも引き継がれるというふうに理解をしております。
  74. 高橋千秋

    高橋千秋君 昨年、郵政特別委員会で七月二十日に平野委員、私の同僚が竹中大臣に質問をしております、この問題についてですね。郵便局ネットワーク水準維持するという水準の中には、郵便局の数とサービスの質、両方入るのかという質問に対して、「我々は国民の利便を考えてそういう制度設計をしておりますので、ネットワークサービスのそのサービスまで含めた質と量の水準だとお考えくださって結構でございます。」という御答弁をされておられます。国民の利便性に万が一にも支障が生じないよう適切に対応してまいりたいと、こういうことも付け加えられておられます。  そのことを考えると、全く寸分たがわずそのままいくということはないというのは、それは当たり前のことです。これは企業も動いているわけでありますから当たり前のことですが、この三千六百の窓口を閉めるというのは寸分たがわずということには私は当てはまらないというふうに思うんですね。寸分たがわずじゃない、多少の変化ではないというふうに思うんです。四千、かなりの数あるうちの三千六百という数を減らすわけでありますから、これは大サービス低下に私はつながると思いますし、そのことを私は、そういう部分はあの特別委員会の中でも大臣生田総裁も、全くそういう話はあのとき出なかったんですよね。質も量も維持するというふうに言われているわけで、このこと自体をあの郵政特別委員会の中で、まあうそとは言わないけれども、隠してそれこそゴールを目指しておられたんではないかなというふうに思うんですが、いかがですか。
  75. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほども言いましたけれども、今回の公社の措置というのは郵政民営化と直結するものではありません。郵政民営化を意識して改革をしておられることは確かでありますけれども、民営化するしないにかかわらず効率化をしなければいけない、そういう問題として時間を掛けて議論してこられた、それは先ほど総裁も答弁をされたとおりでございます。  それと、サービスの質の、まあこれは考え方でございますけれども、例えば社会貢献についてはしっかりと継続をするというふうに聞いておりますし、また窓口についても、夜間の窓口等々についても代替施策が実施されるというふうに聞いております。そのことについて、今各地で、このような代替施策を実施するから理解をしてほしいということを一生懸命説得、御理解を求めているというふうに聞いています。その意味では、質についても、正に良質の水準そのものを維持する、そういう精神で今公社は改革をしてくれているというふうに理解をしております。  もう一つ、隠していたのではないかという御指摘でございますけれども、これはもちろんそういうことは断じてございません。この集配拠点の再編につきましては、平成十七年十月の郵政民営化関連法案成立を受けて公社が自発的に本社案を作成して、その後、支社等の意見を踏まえ、十八年三月末に公社としての再編案を取りまとめたものと聞いております。あの議論をしているときに、私はこういうことがいろいろ議論されているということは、私自身は承知をしておりませんでした。公社としては、当然のことながら、常に改革のことはいろいろお考えであるというふうに思います。したがいまして、少なくとも私が法案を提出して審議する段階でこのことを承知をしてそれで隠していたというような事実は、これはもう全くございません。そのことについては是非とも御理解をいただきたいと思います。
  76. 高橋千秋

    高橋千秋君 それは、ここで隠していたなんというのは言えないですよね。正に、でも、その民営化の問題とこの問題は別だと言いますけど、国民が見てこんなの別だなんてだれが思いますか。民営化法案が通ったからこうなったんだというふうにみんなは見ていますよ、そんなのは。三千六百の窓口閉めてサービス低下につながらない、携帯電話でやり取りして配達させますと、そんな単純なものではないと思いますね。  実際のところ、私の地元の東海地区だけ考えてみると、まあ東海地区は比較的景気がいいと言われている地区で、工場進出も非常に多いんですが、最近、人の採用が非常に難しくなってきています。特に、臨時職員なんかはなかなか採用できない、派遣の職員なんかもなかなか集まらないという状況が今あります。  そういう中で、この三月、来年の三月末でかなりの郵便局の方が辞められます。予想以上にこの三月末で辞める方が出てくるようであります。それは、勧奨退職制度ももう今期で終わりという話も流れていたりして、民営化になるから一気に辞めてしまおうかという方が出てくるんだろうと思うんですけれども。東海地区でいうと、十九年三月末の想定で、内務の方で千五十人辞められます、それから外務の方で八百人、これだけの方が足らないということになってきます。  一方で、特定局にこれだけの人を配置するという想定というか、大体人数の配置がそれぞれ示されているようなんですけれども、私が行ったある特定郵便局で、当初、郵便業務の方の外務の職員で、郵便の方が五人、それから貯金保険の方が三人という八人体制でやる、外務職員ですね、という計画があります。  ところが、このうちの二人が、五十五歳、五十七、八歳の方お二人がこの三月で辞められます。そうすると、五人、三人というのを四人、二人にしなきゃいけない。まあこれは頑張れよということになるのかも分からないけれども。しかし、実際のところ、これを臨時職員、ゆうメイトというんですかね、あの方で補充するしかないのかなと。新規職員の採用は当面ないというふうに伺っておりますので、これでいくと臨時で対応せざるを得ない。  ところが、さっき申しましたように、東海地区では臨時職員なんて今どき来ないんですよ、郵便局でそんな配達業務をやってくれるような人というのが。そんな高い給料を出せないですしね。そうなれば、どうやってこれ人を確保するんだと。逆に、私はその特定局へ行ったときに、何とかなりませんかというふうに特定局長さんに言われました。  こういうことを考えてみても、さっきの携帯で連絡取って届けさせますなんということができるんでしょうか。その人員の確保についても、それからそういう配置の問題についても、九月ぐらいに所属を大体決めていくということらしいんですけれども、予想以上に辞めていく人が増えてきている中で、そのサービス維持するために人員を配置していかなきゃいけない。一人当たりの効率を良くするというのも当然だと思いますけれども、一方で、やっぱりそれは限界がありますから、そういうこともきっちりとやっぱり考えておられると思うんですけれども、このことはいかがなんでしょうか。そういう予想以上に辞めていかれるということも考えた上でやられておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  77. 佐々木英治

    参考人佐々木英治君) 各郵便局におきまして私ども公社が定めております常勤職員が不足した場合、私どもは欠員と呼んでおりますが、そういう場合には非常勤の職員を活用して総体的にその必要労働力を確保しているというのは今先生も御指摘されました。  それで、先ほどの先生のお話の中に高齢者の勧奨退職の関係がありましたけれども、この高齢者、来年の三月に例年よりも多い高齢者の勧奨退職が見込まれております。といいますのは、これは六月時点で来年の三月に勧奨退職を希望している人を聞いたところ、そういう傾向が出ているということでございますが、別途正式に希望を把握した上でまたその決定をしたいということを考えております。  ただ、この勧奨退職ということにつきましては、経営判断に基づき実施するものでありまして、必ずしも希望どおり全員が承認されるとは限らないという制度になっておりますし、また、この理由等を聞いてみますと、来年の三月がいわゆる公社時代における最後の勧奨退職であるということをまた私ども言っているものですから、民営化したら勧奨退職がもうなくなるんじゃないかというふうなことで、それならば早めに手を挙げておこうということで手を挙げようと思っている方もおられるというふうなことも聞いておりますので、最終的なまだ数ということではございません。  いずれにしましても、そういう高齢者で辞められた方の不足部分につきましては、私どもとしては新規採用とそれから非常勤の職員でその後埋めをしていくというふうに考えております。  新規採用の関係につきましては、来年度、郵便局等で採用する一般職につきまして約四千三百人の採用を行う予定でございます。  この採用数につきましては、各事業における効率化計画あるいは経営見通しを総合的に勘案して決定しているものでございますが、地域によっては、この新規採用以外に、一般的に発生する常勤職員の不足に対して非常勤職員の活用というのも、これも必要不可欠でございまして、今先生御指摘ありましたように、地域によりましては、固有の地域事情等によりましてその確保が非常に困難な状況にあるということも事実でございます。私どもとしては、より一層求人情報等の媒体を活用してこの募集を積極的にやっていくとともに、事業体としてのイメージアップを図って、非常勤職員の確保に努めてまいりたいと考えております。
  78. 高橋千秋

    高橋千秋君 今どき求人情報誌に出して来るようなものじゃないんですよ。実態が多分分かっておられないと思います。現場は今もう大変人の採用というのは難しくて、特に頑張っていただけるような優秀な人を集めるというのは大変な状況にあります。  そういう中で、さっき新採を採るというお話ありましたけれども、外務の方は補充がないというふうに聞いております。内務の方だけだと。結局、さっきの窓口の廃止によって対応策を三つ取られるというお話ありましたけれども、結局は人海戦術でやらないと無理なんですよね。その中で、外務の補充はしない、正職員の補充はしない、それから臨時で対応するということなんですが、臨時ははっきり言ってなかなか、なかなかというかかなり厳しい状況の中で、サービス低下にはなりませんというのは私はちょっとおかしいんじゃないかなというふうに思っておりまして、そういうことも考えてちゃんとやられておられるのか非常に疑問を感じます。  時間も余りありませんのでこのことだけを集中できませんが、私は、昨年のあの竹中大臣とのやり取りの中でも何度も何度も出たのは、やはり国民にとってどうなんだと、民営化法案を通過させるのは、これは国民にとって幸せになることだから民営化法案を通してくださいというお話だったんですけれども、まあ十年後、二十年後まだ分かりませんけれども、当面のところを見ると、いきなりこういうサービス低下につながるようなことが出てきたということを見ると、私は、決して国民にとって明るい対応を考えられるというものでは私はないというふうに思います。  一方で、あの中で、昨年のあの大騒ぎの中で、自民党の方で紙芝居やられましたですよね。もう何かバラ色の、郵政民営化になればバラ色の社会になるみたいなことで、最終的に言うと、もう何か、村に都会に行っていた若者たちが帰ってくるみたいな、そんなことまであそこには書いてありました。幾つかあったのは、レストランだとか、それから何かオープンカフェができますだとか、コンビニになりますだとか、まあいろいろ書いてありました。コンサートのチケットを郵便局で取れますとか、いろいろありました。  一方で、それはまあ民業の圧迫につながるんではないかなという意見もありましたけれども、今回のこの計画の中にはそういう新規事業についてはやらないというか、入っていないんですよね。あれ、もういろいろあった中で、それは民営化になればこんなバラ色の郵便局が待っていますみたいな、バラ色の社会が待っていますみたいなところを出されたわけでありますから、こういう中に多少でも入っているのかなと思いましたけれども、入っていないというのはどういうことなんでしょうか。これは西川社長の方にお伺いしたいと思います。
  79. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えをいたします。  郵便局会社の新規業務につきましては、総務大臣への事前届出によりまして行うことが可能ということになっておるのは御承知のとおりでございます。これは、郵便局ネットワークという国民の貴重な財産を活用して地域住民の利便性を高めるため多様な業務に進出できるように設計されておるということでございまして、私どももいろいろな新規業務について検討を進めております。  ただ、今般の骨格におきましては、民営化時において新たに提供したいと考えております商品、サービスといたしまして、自動車保険等の損害保険の提供や産直ギフト等のカタログ販売等を掲げさせていただいております。これはかなり絞った格好になっておりますが、これは、郵便局会社は新しいコンセプトの会社でございまして、拠点数も従業員数も膨大な会社でございます。そういった観点から、現行業務をまず円滑に承継することが第一だというふうに考えておりまして、その上でこれらの新規業務を一つ一つ遂行をさせていくことが次につながるものと考えているわけでございます。  今後とも、新規業務につきましては、多様な可能性があるということを踏まえまして、積極的に検討をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  以上でございます。
  80. 高橋千秋

    高橋千秋君 先ほどのゴール論ではありませんが、ともかくゴール目指して、いいことを並べ立ててともかく去年あの法案を通過させたというふうに私は思っておるんですけれども、あのときにもう一つ問題になったのが外資に対する敵対的買収への防衛策ですけれども、このことも今回は示されておりませんけれども、もうあれから八か月たちましたが、十分な検討をされておられると思いますが、いかがでしょうか。
  81. 西川善文

    参考人西川善文君) 今回提出をいたしました実施計画骨格におきましても、御指摘の敵対的買収に対する防衛策につきましては、他の民間会社における検討、導入状況を踏まえて、適切な措置を定款において規定する旨記載をいたしております。今後、他の金融機関等における検討、導入状況等も参考にしながら、金融二社につきまして最も有効かつ適切と考えられる具体的な方策を導入してまいりたい、検討してまいりたいというふうに考えております。
  82. 高橋千秋

    高橋千秋君 時間がもうあと一分になりましたので最後の質問にしたいと思いますが、大変失礼ではありますけれども、大先輩の西川社長が今回そのトップに就かれたわけでありますが、就かれるときにいろいろちまたで、三井住友銀行頭取時代にもいろいろありました。その方がコンプライアンスの徹底を図れるのかという声もあります。先ほど景山委員の方からそれぞれのCEOCOOに対するいろいろなお話がありましたけれども、そのことに対しても、私は竹中大臣のお知り合いの方を使われているというふうにも聞いておりますが、そうではないと多分言われますが、まあ実際のところは、客観的に見るとそういう方が非常に多いというふうに思います。  その辺大変心配をしておりますので、もう時間が来ましたので最後にしますけれども、そういう本当に国民にとって疑念を抱かれるようなことをやっぱりやっては駄目だと、それは当然のことだと思いますが、この八か月見ると、何か大丈夫かいというような声が非常に出ているということをお伝えをして、来年の十月一日、民営化になるわけでありますけれども、そのときに本当に、さっき生田総裁が言われたように、明るく前向きにできるのかどうかという、そういうふうになれるように是非努力をしていただきたいということを申し上げて、質問とさせていただきたいと思います。
  83. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 塚田参考人、手短にお願いいたします。
  84. 塚田爲康

    参考人(塚田爲康君) はい。ただいま先生の御質問の中で集配拠点の関係で御説明する自治体、九百九十六と申し上げましたけれども、六百六十七の誤りということでございました。深くおわびいたします。
  85. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋正義でございます。  本日は、日本郵政公社二〇〇四年度決算審議の場ではありますけれども、既に〇五年度の、五年度期末期決算が発表されておりまして、今後の郵政事業についての議論のためにも〇五年度の決算の数値を踏まえて質問を行いたいというふうに思います。  なお、私に与えられた時間も三十分ということで、前回ややオーバーをしたというそういう前科がございますので、何となく時間を厳守してしっかりとやっていきたいというふうに思っておりますが、そういう意味で郵便事業に対象を絞ってお尋ねをしていきたいと思います。  〇五年度決算の郵便事業の単年度利益については、先ほど来からありましたように、二十六億円の黒字ということでありますが、これは前年度の二百八十三億円からの大幅減収となっているわけであります。これは減損会計の適用六十八億円や民営化への対応経費八億円など、経営努力とは無関係に支出せざるを得ない特殊要因を差し引いても百億円程度の利益しかなく、アクションプラン・フェーズ2における計画値二百五十億円を大幅に下回っているわけであります。  この結果について、先ほどから本当にもう大丈夫なのかという声が大きく出されておりますし、私も全く同感であります。足下をしっかり見詰めた民営郵政グループの、とりわけ郵便事業会社の旅立ちとならない限り、先般公表された民営化後の経営計画なるものが砂上の楼閣にすぎず、無残なてんまつを迎えることになりかねないとの問題意識を鮮明にしつつ、その姿勢をただしていきたいというふうに思っているところであります。  まず、郵便事業公社化された〇三年度から黒字に転換することができましたけれども、しかしこれは、生田体制の下で職員のリストラ、ファミリー企業等の取引の見直しなど経営合理化に努めた成果であったというふうに考えています。ただし、公社発足時にはぬれていたぞうきんも、かなり絞ってきたがゆえに乾きが目立つようになった現実がある。有効なコスト削減策が手詰まり感を強めつつある現状では、こうしたことは非常にこの先不安であるというふうに言わざるを得ないというふうに思います。  ところが、郵便の取扱数はインターネットメールなどの普及に伴い年々低下をしています。アクションプラン・フェーズ2で成長市場ともくろむ小包や冊子小包の分野は民間と激しい競争が行われており、ヤマト運輸などもこの分野へのてこ入れを発表しているところであります。また、ダイレクトメールへの積極的な営業攻勢が収益改善の大きな柱として立つかどうかも心配になってくるところであります。先般といいますか通常国会の中で住民基本台帳の閲覧の禁止の法改正について私の方も質問をさしていただいたところでありますけれども、個人情報にかかわる保護意識が高まる中で、公社が胸算用するようなDM関連市場に大きな期待を寄せることには残念ながら得心がいかないところであります。  これらの状況に対する評価を含め、郵便事業の収益向上の展望等について、公社の見解を改めて伺いたいと思います。
  86. 岡田克行

    参考人(岡田克行君) 郵便事業は、ゆうパックやカタログを内容とする冊子小包の増加などによりまして、郵便物数は年々減少しておりましたけれども、十六年度二・三%の減少から、昨年度の決算であります十七年度は〇・七%の減少と、減少幅が小さくなってまいりました。これに伴いまして、経常収益の減少幅も、十六年度は三百九十二億円とかなり大幅な減少がありましたけれども、十七年度は百四十六億円ということで、減少幅に歯止めが掛かりつつあるという状況でございます。  先生御指摘のダイレクトメールの関係でございますけれども、住民基本台帳の閲覧により取得した名簿を利用するような事例といいますものは、個人情報保護意識の高まりによりまして、もう大変減少したんじゃないかというふうに私の方も見ております。しかし一方で、このダイレクトメールの分野は、受取人の方でその送付の御了解を得たもの、例えば通販事業者の顧客へのセールスの案内ですとかカード会員への商品紹介のダイレクトメール、こういった分野は増加しておりまして、これらの商品は大変レスポンス率が高いものですから、広告宣伝分野での有用性は高まっているんじゃないかというふうに考えております。  こうした観点から、私ども、一定地域の全戸に配達するため名簿を必要としないタウンプラスという新しい商品を昨年の九月から開始いたしまして、企業の御好評をいただいております。このタウンプラスは、郵便局が配達するという点で信頼性がありますので、受取人から差し出し企業への問い合わせも多くて、こういった問い合わせを踏まえてまたダイレクトメールを出せるということで、郵便の二次利用的な効果もございます。  今後とも、ダイレクトメール、あるいは先生御指摘のありましたやっぱりゆうパックなど成長が期待できる分野へ積極的な投資を行いまして、一方、生産性の向上も図りまして、郵便事業が黒字構造となるように努力していきたいと考えております。
  87. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今お答えいただいたお話の中では、本当に大丈夫なんだと、明るいことがたくさんあるんだというふうな感じに受け取れなくもないんですが。しかし一方で、多くの国民は、そうではなくて、非常に大丈夫なんかいなと、郵便事業会社、単独になっちゃって大丈夫なんかいなという、そういう心配がまだまだ根深くあるんではないかというふうに思いますので、そのことを踏まえて今後様々対応していっていただかなければいけないんではないかというふうに思います。  また、一方で、先ほどもコンプライアンスの問題で出てまいりましたけれども、長岡郵便局不適切収納事件、二十七億円の損失発生というのがありました。それに、典型的なゆがんだ競争意識というふうに言いましょうか、根を張る土壌がなぜ生まれたのかもこの際ただしておきたいというふうに思います。  これらに見られるゆがんだ競争意識とも言えるものは、年賀状販売などにおける営業目標という名のノルマ達成へ自らが買い上げざるを得ない状況に追い詰められるなど、いわゆるタコ足、あるいは業界では自爆というふうに言うらしいんでありますけれども、手段を問わず勝ち抜かねばならないとの強迫観念に近い思いを郵便局員の個々のレベルにまで蔓延させているんではないかというふうに思うところであります。  局単位、個人を問わず、このような過当な競争意識や限度を超えたノルマ主義などによってもたらされた不健全な回路、不幸の連鎖を遮断するために何が求められていると考えられるか、具体策も含めて確たる答弁をお願いいたします。
  88. 岡田克行

    参考人(岡田克行君) 郵便事業は独立採算制の下で健全な経営を確保する必要があるため、目標を掲げて職員に努力を求めておりまして、これは他の企業体と変わるものではございません。営業目標はこうした観点から設定しているのでありますけれども。  したがいまして、職員に対するノルマを課すようなことはしておりませんが、先生御指摘のように、過去において、営業目標をノルマととらえて、それを達成するために年賀状を金券ショップに販売するなどの不適正な営業があったということは承知しております。こうしたことのないように、これはもう公社になって以降、かなり強くこの不適正営業の是正については強力に今指導しているところでございます。  また、今般、総務省から経営改善命令が発出されまして、私どもこの内容を厳粛に受け止めまして、その業務の改善、内部管理体制の強化に真摯に取り組みまして、信頼の回復に全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。
  89. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 次に、リザーブドエリアにかかわっての御質問をさせていただきたいというふうに思いますが、先ほども質問ありましたが、リザーブドエリアは、竹中大臣答弁によりますと、ユニバーサルサービスをまず確保すること、そしてリザーブドエリアをできるだけ小さくするというふうなことの二点についてお話がされたわけであります。  郵政民営化関連法案の審査時には、再三にわたって民営化段階では現行のリザーブドエリアを続けるというふうに答弁されたというふうに私は記憶しているところでありますが、その舌の根が乾かないうちに、先ほど言われた私的研究会、郵便におけるリザーブドエリアと競争政策に関する研究会が設置されて、私から言わせれば、それがなし崩し的手法による検討が進められてきたんではないかという、そういった経緯があると言わざるを得ません。  六月末にまとまった研究会の報告書は、公社の独占状態にある一般信書便の規制緩和をうたい、公社郵便網の民間開放のほか、特定地域からの段階的参入を容認する可能性にまで言及をしているわけであります。先ほど質問にもありましたが、総務省は来年の通常国会での信書便法改正を検討しているという話もちらほら聞こえてくるところであります。  当たらずとも遠からずという方向性ならば、クリームスキミングが行われ、結局は小回りの利く民間信書便事業者に多くの分け前が行き渡ることは理の当然ではないかというふうに思うわけであります。もし、こうした競争政策至上主義の形でリザーブドエリアのなし崩しがどんどん行われていくならば、行く行くは我が国の郵便ユニバーサルサービス網の大崩壊につながる公算は高まるばかりではないかというふうに懸念をするところであります。  そこで、大臣にお尋ねをいたします。  信書便法によって民間開放を実施するに当たり確認された一般信書便事業ユニバーサルサービスを要件とし、このための全国エリアにおけるポスト約十万本の設置義務規定の厳守こそが長い目で見れば国民的な利益にかなう選択たり得るはずだというふうに思うわけであります。  国民多数が望むならばとの前提条件付で百歩譲るとしても、民営化から一定期間は、現行のリザーブドエリアを堅守した上で、郵便事業会社における盤石の経営基盤を築くことに専心する、その成果をいただいた後に初めて段階的な自由化の是非にかかわる検討が行える環境が整ったと判断すべきではないかというふうに思うわけであります。  大臣には、納得できる答弁をお願いいたします。
  90. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほども御答弁しましたが、基本的な考え方というのは明確であると思います。  今も委員もリピートしてくださいましたけれども、やはりリザーブドエリアが重要であります。それはユニバーサルサービス義務を果たすために重要になっているというのは、これは第一に確認しなければいけないところでございます。しかし同時に、これはEUの競争政策などに典型的に現れておりますけれども、極力そのリザーブドエリアをやはり小さくしていってできるだけ競争的にしていかなければいけないというのも、これまた世界の明確な、明白な傾向であるというふうに思います。そのことを私自身、これまでも何度か答弁をさせていただいていると思っております。  そのような状況の中で、研究会でいろいろ研究をいただいて、そして検討の結果を取りまとめをいただいているところでございます。総務省において、この六月に取りまとめられました報告を踏まえまして、信書便事業における民間参入を促進するための具体的な制度設計はどのようにあるべきかというところの検討を今行っているところでございます。これはまだ検討を正に今しているところでございますので、その結果、どのような時間的なスケジュール、タイムスケジュールで、どのような内容になるかということは、正にこれ、今後の検討の結果に懸かっているところでございます。  十万本のポストの厳守が必要だという委員のお考えは委員のお考えとして賜りますけれども、そこはやはり専門家の間ではいろいろな御意見があるところであろうと思います。  委員がもう一点おっしゃいました、ある程度の経緯を見る必要があるのではないかと。そこは、段階的にはしっかりと見るべきものは見なきゃいけないという思いは私も持っております。  いずれにしましても、ユニバーサルサービス義務が果たせるように守ります。そのために、リザーブドエリアが重要であるというような認識はしっかりと持ちます。ただし、世界の傾向としてはそれをできるだけ縮小して競争を促進していこうという方向の中で、適切な制度設計を是非行いたいというふうに考えております。
  91. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 この郵政民営化にかかわって、この郵便事業にかかわらず、要するにこれまで国民が受けてきた様々なサービス、ひまわりサービスも含めてそうしたサービス維持というものを何としてもやるんだということと、一方で、他の民業との関連性というもののはざまで、そこが非常に難しいところなんだろうというふうに思いますけれども、やはり国民が、本当に多くの国民が望んでいるところは、やはり今までのそのサービスを絶対に低下させてほしくないというのがまず大原則にあるんではないかというふうに思うわけで。まあ大臣答弁理解できなくもないんですが、どうもその競争の方に少し力点が置かれつつあるなという不安を抱かずにおれないような状況なんで、是非、もちろんそのこともあるんでしょうけれども、今申し上げましたように、国民の利益といいますかサービスの今まで受けていたもの、これの低下というものを絶対にあってはならないということが大前提ということでお願いをしたいというふうに思いますが。  民間信書便事業者が参入してくれば、ユニバーサルサービス維持の十字架を背負う郵便事業会社経営が窮地に立たされることが本当避けられないのではないかというふうに考えますが、公社の方ではこれについてどのようにお考えでしょうか。
  92. 生田正治

    参考人生田正治君) 私は、公社に入る前から、経済人として競争というのはいいことだと思っています。自由化論者でもあります。ただし、政策的判断が必ず必要でありますし、自由化あるいは競争導入の場合にも前提やらルールが必要です。したがって、秩序を求める必要がある。それを欠いた単なる自由化は混乱を招くことになると私は考えております。  総務省のこの研究会のヒアリングにも私招かれまして、そういう意味で三つの前提をまず申し上げたんです。まず一に、法令、国会附帯決議国会答弁は遵守する。これは必要でしょうと。すなわち、自律的に少なくとも、今先生御指摘のように、ユニバーサルサービス維持するだけじゃなくて品質も落とさないと、これが前提だと私は置きますと。それから二番目に、郵便局ネットワーク維持する。これもしっかりやる必要があるというのを前提にしますと。三番目に、雇用を尊重させていただきます。これは民営化の原則でしたと。  その前提で申し上げますよということで、私がお願いしたのは、日本だけなんですよね、本当に、あの信書なんというその概念は。だから訳分かんなくなっちゃう。みんな重量とか金額でいっているわけなんで、今からでも遅くないから外形基準に変えていただけませんかと。ただし、そうすると欧米のようにメール便ができなくなっちゃうんですね。だからそれは無理かも分かんない、現実論としては。皆さんやっていらっしゃるから。とすれば、少なくとも民営化論議をしたときの競争条件を悪化させないことが絶対に必要だろうと思いますという意見を言いました。しかしながら、これは全く取りまとめの中には採用を残念ながらいただけなかったわけであります。  仮に、クリームスキミングが大都市圏で行われるとすると、例えば首都圏、近畿圏、愛知圏、この相互間でクリームスキミングがあの案のように行われるとしまして、新規の人は手軽にできると思います。みんな、はがき並みでいいよ、五十円でいいよと、もし言っちゃった場合に、やっぱり郵便も五十円にする必要が、必要なんだろうと思います。そうすると、それによる売上げ減少だけで、仮に全部取扱量を防衛したとしても、年間千八百億円程度、ネットで収入を失うわけであります。  これは、今の債務超過を消して数千億の資本金を仮にいただいたとしても二、三年でまた債務超過ですね。そういう減少になる。で、今の大都市圏の利益を得まして、その力で逆ざやの地方も含めて全国ユニバーサルサービスを辛うじて維持していっているという今の経営構造は容易に崩壊されるわけであります。結果として、ユニバーサルサービスの問題、郵便局ネットワークの問題、雇用の問題、これがすべて非常に難しくなるということが出てくるわけであります。この点は原案のときに強くそういう意見を申し上げまして、一、二週間遅れで出てきました最終案では段階的とか慎重にという修飾語が加わったわけでありますが、基本は今も変わっていないと思います。  私としては、民営化論議あれだけやったわけですから、昨年、そのときに置いた前提、少なくとも、民営化論議をしたときの前提条件が少なくともやはり民営化スタートの時点は維持されるのが公正であるし、当然ではないかと考えております。仮に、民営化と同時にその土台を崩すというのであれば、その理由の十分な説明と、ユニバーサルサービス郵便局ネットワーク維持、雇用の尊重というものをどう考えるのか、あるいは公的資金を入れることを今更考えるのか、民営化法案とその審議過程におけるいろんな討論の内容、そういったものとの整合性の見地から改めて政治的に基本に立ち戻っていただきまして、基本的かつ高度の御判断をいただく必要があると思います。  ドイツを始めとする先進国は十年から十五年のスパンで外形基準を使いながら段階的にそれを落としまして、産業政策的に郵便事業経営の健全性を整備しながら自由化を進めてきております。その出口のところだけまねする自由化というのは私は極めて危険であるというふうに思います。  以上でございます。
  93. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今、生田総裁も懸念される点、幾つか答弁がございましたけれども、そうしたことを踏まえて今後のいろいろな検討の中で是非生かしていっていただかなければいけないんではないかというふうに思っているところでございます。  新しい郵便事業会社というものが発足する前からこういう質問をするのは非常に答えにくいということがあるかもしれませんが、先ほど来から非常に、大変懸念される部分が多いというふうなこと、また三年に見直しがあるとかというふうなお話がございましたけれども、こうした郵便事業について、様々な条件あるいはサービスの低下ですとか利益が十分上がらないですとか、そうしたことの中で、これをもう一度、この部分について再公社化するというふうな考え方というのも一つの中には出てくるんではないかというふうに思うんですが、その点について御答弁をいただけたらというふうに思いますけれども。
  94. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 我々、郵政民営化を是非実現したいというふうに思いまして、詳細な制度設計を行い、また非常に厳しく国会でも御審議をいただいて、最後は選挙ということも踏まえて郵政民営化法案が成立して、その準備を今進めております。その時点で再公社化もあり得るのかというふうに聞かれますと、いや、これはそんなことは考えておりませんというふうにこれは当然我々としては申し上げたいわけでございます。  そもそも今、那谷屋委員にいろいろ御質問、御心配をいただいておりますユニバーサルサービス義務の話にしましても、基本的には郵政郵便の取扱いそのものが環境変化の中でEメール等々やファクス等々の活用等々の中で年々年々大幅に減少していると、ゆうパック等々でかなり盛り返しても、全体として更にまた三%程度の減少をしていると、そういう状況の中にあります。  こういう状況が更に今後改善なかなか容易にはしないであろう、むしろ長期に続くであろうという中で、だからこそ抜本的にこの郵便事業に競争力を付けてもらいたい。そのためには、経営の自由度を持ってもらいたい、国際業務にも進出していただいてしっかりとした基盤を確保していただきたい、それが正に民営化法案審議の中でも我々訴えたところでございます。したがいまして、むしろユニバーサルサービス維持し、国民の利益を確保するためにも民営化をしなければいけないんだというのが我々のよって立つところでありますし、そのための今基盤、準備を一生懸命に進めているところでございます。  もちろん、その時々でしっかりとした見直しを、三年ごとの郵政民営化委員会の定期的な点検も含めまして行っていただくわけでございますけれども、これはやはり郵政民営化がしっかりと実現するように、そうした観点から点検を行ってもらいたいというふうに考えております。  今申し上げましたような、正に所信に基づいてしっかりと民営化を進めて国民の期待にこたえたい、万が一にも国民に迷惑が掛かることのないようにしたいというふうに考えております。
  95. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今答弁いただいた中にありましたように、本当に国民の利益擁護を第一義的に最善の判断を行っていくということで、私はその選択肢の中に、この郵便事業そのものがまた再公社化というふうなことも一つの選択肢として見えてくるということを今、今もちろん言われないのは分かりますけれども、そういうことも十分考えられるんではないかというふうに思うわけであります。  といいますのは、今私の前に同僚の高橋委員の方からも様々サービスの低下についていろいろと御指摘をさしていただいたところでありますけれども、このひまわりサービスというもの一つを取りましても、最近子供に対する犯罪が様々いろんなところで多発しているとか、あるいは配達中に子供の保護を行う協定を結んでいる郵便局が警察の方とも結んでいるとかという、そういういろんな話を聞いたことがございます。  先ほど、今までのシステムというのは明治時代以来の配置であって、徒歩と自転車でということの中で、道路事情とかそういったものの変化の中で、バイク、自動車で効率良くというふうなお話がございました。しかし、私から言わせれば、自転車や徒歩で歩いていた方が様々なひまわりサービスの本質というものには出会う機会が大変多くなっているんではないかというふうに思うわけで、そういう意味では、そういうふうに自動車等で効率良く配達等をするということになりますと、これまでのサービスにやはり低下が生じてくるというふうに言わざるを得ないんではないかというふうに思うわけでございます。  六月二十八日の再編計画においても、ひまわりサービス等の社会貢献施策を引き続き実施しますという、そうした立派な姿勢が示されているわけでありますけれども、だからこそ現実に問われているのは、その決意が絵にかいたもちというふうにならないために実効ある手だてが必要だというふうに思うわけであります。  民営化及び無集配化の余波を受けざるを得ない郵便外務にかかわるこれら無償サービス維持継続に向けて、今後取り得る具体的なメニューについて最大限お答えをいただけたらと思います。
  96. 塚田爲康

    参考人(塚田爲康君) 再編によりまして、先生おっしゃるように、引き続きこういうひまわりサービスといった社会貢献サービスについては提供するというのが基本的なものでございまして、これを堅持するというのが基本方針でございまして、それをどういうふうにやるかということでございまして、一つは、先ほど来お話ししておりますけれども、今郵便物というのは運送便によりましていわゆる集配局というところに運送されるわけでございますけれども、その中で、郵便の外務の方が手区分でいわゆる御家庭に配達する順路ごとに並べ替えるというようなことをやっておるわけでございますけれども、今回の再編に伴いまして、いわゆる統括センターというところに区分機を配置するということで、こういうような区分事務を集中処理をするということでございまして、いわゆる配達センター等に着いたときはほぼ配達の順路が決まっていると、並べられているというふうな状態で来るということで、局内作業が非常に大幅に短縮されるという話が一つございますし、それからもう一つは、今までいわゆる三事業総担という形で郵便貯金保険というのを一体的にやってきたわけでございますけれども、これが再編というか、分社化によりまして郵便のみのセンターになるということで、この外務の職員の方は朝から晩まで勤務時間内の中で郵便の配達をするということでございまして、そういう中から日々の配達時間というのを確保いたしまして、先ほどから申し上げているような従来のひまわりサービスというような社会貢献サービスというものを維持継続をしていきたいというふうに考えておるわけです。
  97. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 もう時間が来ましたのでまとめたいというふうに思いますが、この郵便事業民営化に踏み切った先進諸国の中で、我が国のように地方の疲弊の引換えに大都市圏の繁栄がという構図に典型のいびつな国土の発展過程をたどってきた国が本当にあるのかということをまず言わざるを得ないと。  これは適当な例ではないかもしれませんが、今、もう少し言うと、せんだって、冥王星でしょうか、冥王星が惑星でなくなったというふうなことの中で、教科書会社あるいは学校の方でどういうふうに指導したらいいかというふうなそんな話がございました。今、小学校二年生は郵便局で働く人々ということで、郵便局で働く人の、様々勉強する、それと同時に郵便事業を体験するんです。自分のポストを作る、それからクラスのポストを作る、それから学年のポストを作る。そういうふうな形の中で、そうすると、今まで手紙をもらったことのない子が必ずだれかから手紙が来るという、その喜びを感じるわけです。正に今、このひまわりサービスの大事なところというのはこの中に秘められているんではないかというふうに思うわけでございます。  そういう意味では、やはりこうした、例えば全体の一九%……
  98. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) そろそろまとめて。
  99. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 はい。十年以内に集落が消滅しちゃうというふうなこともある中で、是非こうした問題について、不安について、国民のそうした不安にこたえるべく検討をしっかりやっていただけたらというふうに思う。そのことを御要請して、質問を終わりたいと思います。  以上です。
  100. 澤雄二

    ○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。今日は日本郵政株式会社承継骨格の内容について質問をいたします。  公明党はもとより郵政民営化は大賛成でございます。私もその成功を心から期待している一人でございますけれども、ただ、まだ心配なこと、不満なこと、不安なこともありますので、その点についてちょっとお聞きしたいなと思っております。  その最大のものは、外資系の、外資の金融機関等に郵貯銀行、保険会社が買収される心配はないのかということでございます。この点については、民営化法案審議のときに度々議論されたことを承知しております。そのときの答弁というのは、政府側答弁されましたので竹中大臣がほとんど答弁をされたと思います。最終的な決定、詳細については新会社経営者の方がお考えになることだということでございまして、今日は西川社長がお見えになっておりますので、改めてその点についてお尋ねをしたいということが一つ。  それからもう一つ、このことについて是非質問をしなければと思ったのにきっかけがございます。それは、今年の八月にオーストラリアの議員交流プログラムの一環で超党派議員の一員としてオーストラリアに行ってまいりました。そのときに、向こうの投資銀行の役員の方たちとも話をしました。いろんな話があって、一番最後に、ところで今あなた方は日本にとって一番関心のあることは何ですかと質問をしたら、それは、もちろんという言葉はなかったんですが、ニュアンスとしてはそういう言葉つきで、郵政民営化ですよと言われたんですよね。  それで、民営化法案のときの議論のときにもこの話は出たと思いますけれども、つまり、オーストラリアのお隣のニュージーランドは、一九八七年に株式会社をして、二年後にそのすべての株式をオーストラリア系の銀行に譲渡をいたしましたよね。その銀行は譲渡してもらったから何をしたかというと、早速合理化に手を付けました。一番先にやったことは、郵便局の窓口で銀行業務をしている地方とか郡部にある窓口業務を次々に閉鎖をしていきました。それから、その次にやったことは、普通の銀行だから当たり前でありますけれども、様々なサービスの手数料を引き上げました。それから、新たに口座を維持するための口座維持料というのを新設をしました。  というようなことがあって、地方、郡部の人が非常に不満を持った。自分の近くの銀行がなくなってしまった、一つ。それから、低所得者、小口預金者はその口座を維持できなくなったという不満が非常に高まって、結局、ニュージーランドは何をしたかというと、五年前に政府が一〇〇%出資して、当初ピープルバンクですか、ピープルズバンク、今キウイ銀行と言いますけれども、同じような郵貯の銀行をもう一回つくらざるを得なかったということがありました。  それで、改めてお聞きをしたいなというふうに思います。そのキウイ銀行というのは、五年前に立ち上げて、発足三年で、小口預金者が多いので預金額は二%ですけれども、預金者は六%をシェアするまでに伸びたと、三年間でですね。御存じのように、こういう逆コースをたどったのは、別にニュージーランドじゃなくてドイツ・ポストの銀行もそうでございます。これが買収といいますか、少し事情は違います、これから日本で起きるかもしれないこと。起きることと事情は違うんですが、ただ、外資系の銀行がこれを手に入れたらどうなるかということについてはちょっと示唆に富んでいるところがあるのではないかなというふうに思います。  先ほどもありました参議院の特別委員会附帯決議でも、「商法等の規定を活用し、敵対的買収に対する適切な防衛策を措置すること。」と附帯決議であります。買収されることを心配するよりも、その前にまず上場だと。上場させるためにはビジネスを軌道に乗せなきゃいけないと。やっと軌道に乗って上場したとしても、今度その株式がさばけるかどうかという問題の方が先にあるんだと思われるかもしれませんけれども、やはり、この不安については一体どういうふうにお考えなのか。社長に質問するのは多分初めてでございますので、この可能性についてどういう認識をまず持たれているかということをお聞かせください。
  101. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、株式を上場する以上は、海外の投資家、金融機関も含めまして、海外の投資家がその株式を保有するということはこれはもう避けられない、防げないことでございます。しかしながら、外資等による敵対的な買収については、これはもう国会審議等でもいろいろ御議論があったところでございまして、我々としては、先ほど来お答えいたしておりますように、適切な買収防衛策を導入してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  102. 澤雄二

    ○澤雄二君 今御答弁いただきましたけれども、その実施計画の骨子の中に今社長が答弁されたことが書いてあります。「敵対的買収に対する防衛策については、他の民間会社における検討・導入状況を踏まえ、適切な措置を定款において規定する予定です。」とありますね。  この、ほかの民間会社検討・導入状況をまずこれまで調べられたかということが一つ、それから適切な措置というのはどういうことを考えておられるかというのをお聞かせください。
  103. 西川善文

    参考人西川善文君) 現在、他の民間企業の敵対的買収策の事例につきまして調べておるところでございますが、例えば事前警告型ライツプラン、これは新株予約権の付与ということでございますが、この事前警告型ライツプランや信託型ライツプランなどの防衛策を導入している事例が見られます。これが一般的なものではないかというふうに見ております。  私どもといたしましては、適切な防衛策の策定に向けまして今後更に調査検討を進めてまいりたいというふうに考えておりますが、東証で一定のルールを定められております。このルールにものっとった形で成案を固め、これを定款にも明記していくということにすべきではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  104. 澤雄二

    ○澤雄二君 私も、この質問をするに際して、何か防ぐ方法はあるのかなということを少し勉強をさせていただきました。  株式保有に関する一般的規制について銀行法で定められていることがございます。それは、他者による株式取得では次のような規定がありますよね。つまり、五%を超えて二〇%未満の議決権保有については届出制となっています。この届出は、株式の取得者、つまり買収しようとした人と同時に買収される側も届出をしなければいけない、つまり買収される側も五%を超えた段階で自分たちが買収される可能性があるんだということに気が付くということでございますよね。  この段階で何かそれを防ぐような手だてって今考えていらっしゃいますか。分かるわけですよね、危ないということが。
  105. 西川善文

    参考人西川善文君) 五%以上の株式を取得した場合には、御承知のように、大量保有報告というものを株式投資家の方で提出をしなければならないわけでございますし、銀行の方も、あるいは保険会社の方も内閣総理大臣への届出が必要でございます。  こういう状態になったときに、先ほど申しましたようなライツプランをあらかじめ定款等で定めておきまして、その発動ルールも内々、社内で決めておくと。そのルールにのっとって新株予約権を直ちに付与すべきかどうかということを判断するということになろうかと思うんです。  その場合に、会社が恣意的に判断をするということではマーケットにおきましていろいろな疑念を持たれる懸念もございますので、それを発動するかどうかということにつきましては、外部の専門家による委員会を設けておきまして、その委員会において御判断をいただいて、御審議、御判断をいただいた上で会社の方で決定をすると、こんな手順にすべきではないかというふうに思っておるところでございます。  以上でございます。
  106. 澤雄二

    ○澤雄二君 質問の段取りと御答弁とが錯綜してきまして少し難しくなってきたなと思っていますけれども。  金融庁にお尋ねをいたします。  五%を超えて二〇%未満については今お伺いしました届出制がある。二〇%を超えた場合には金融庁の認可が必要になると思います。認可が必要だということは、拒否をする、認可しないということもあるんだと思いますが、どういう状況のときにそれを認可を拒否することができますか。
  107. 山崎穰一

    政府参考人山崎穰一君) 委員御指摘のように、銀行法におきましては、銀行の議決権の二〇%以上の保有者となろうとする者はあらかじめ認可を受けなければならないこととされてございます。  一般論として申し上げますが、金融庁としては、上記の認可申請がなされた場合には、銀行法上の審査基準である株式の取得資金、所有の目的等に照らして銀行の業務の健全かつ適正な運営を損なうおそれがないかどうか。これは例えば、過度の借入金による議決権の取得となっていないか、短期売買目的による議決権の保有となっていないか等や、申請者及びその子会社等の財産及び収支の状況が銀行の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがないかどうか、銀行の業務の公共性に関し十分な理解を有し、かつ十分な社会的信用を有する者であるかどうかといった点に合致しているか否かについて適切に審査をした上で認可を行うということになってございます。
  108. 澤雄二

    ○澤雄二君 今御説明をいただきましたとおりでございますけれども、借金をする、買収しようとしている会社が赤字ではないか、若しくは株の急騰で利ざやを稼ぐためにそういうことをしようとしているのではないかとか、それから、その買収しようとしている会社、それから子会社そのものの経営が健全であるか、それから、そこに働いている従業員たちが普通でいえばまともな人たちかどうかということ、そうでない場合には認可しないこともあり得るよと。ということは、通常、普通の会社が買収しようとしてきたときにはこれでは止められないんだというふうに私は解釈をいたします。  それで、西川社長に改めて伺います。  先ほどちょっとおっしゃっていました。ライツプランという方法があります。我が国では、金融関係についてはWTOとの約束で外資の規制を新たにすることができなくなっている。すると、先ほどの銀行法の規定でもちょっと止めるのは難しいということになると、何か今ある手続、法律ではさっき言われたライツプランというのが何か残された方法かなという気がいたします。  ライツプランというのは、新株を与えるときに制限を加える方法ですよね。一つは、買収者以外の株主だけが行使できる新株予約権を使う。つまり、買収者以外に新株を与える権利ですから買収者のシェアを薄めるということをするということですね、これでね。そういうことが一つ考えられますよと。それから、又は買収者が一定割合以上の株式を取得した場合に買収者の株式を強制的に議決権制限株式に転換する。つまり、株主総会での議決権を与えない株式にしちゃうよと、シェアをそれも落とすということですね。  このライツプランという方法がありますけれども、このライツプランについては、さっき社長も少しおっしゃいましたけれども、いろんな条件が付いておりますよね。まず最初に、企業価値を向上させるという目的の買収は制限ができないですよね。それから、この防衛策についても情報開示を徹底的にしなきゃいけない。それから、さっきおっしゃいました、経営者の恣意的判断ではない、つまり自分たちの立場を守るためにこれを発動するんではないというようなことですね。それから、買収者以外の株主に不利益を与えてはいけない等々、このライツプランを設定するに当たって、また発動するに当たっては様々な厳しい条件があると思うんですが、ただし防ぐのはもうこの手段しかないかもしれない。そういう状況を乗り越えて買収を防ぐというお考えがあるかどうかということをちょっと教えてくださいますか。
  109. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  やはり、この郵便貯金銀行並びに郵便保険会社は、民営化されたとはいえ、国民的な重要な財産でございます、民営化後も。そういう意味から、やはり外資に買収されるというような事態はこれは何としても避けなければならない。それを、このライツプランだけでは不十分かもしれません。したがいまして、さらにどういう方法があるか、引き続き検討を進めてまいりたいと思います。なかなか難しいことかと思いますが、検討は進めたいというふうに考えております。  以上でございます。
  110. 澤雄二

    ○澤雄二君 皆様のお手元に都市銀行と郵便貯金の財務比較という紙を配らせていただいております。  この表の中の一番上の三菱東京UFJ銀行というところを見ていただきたいんでございますが、ほかの銀行でもよろしいんですけれども、一番上にありますので。  これを見ますと、三菱東京UFJの資金量は百六兆、郵便貯金は百九十八兆。これに対して経常利益は、三菱東京UFJは六千八百七十五億、郵便貯金は二兆三千三百十七億。三菱東京UFJ銀行と書いてありますけれども、この計算の中にはUFJ銀行が含まれていないんじゃないかという話もございます。UFJ銀行が含まれていなくて、この数字は三菱東京単体のものだとしても分かると思うんですが、例えば郵便貯金の場合には固定資産税が半分ないとかそういうことがあるのでそのまま比較はできませんが、つまりこの財務諸表を見る限りやはり相当な利益率を郵便貯金銀行は持っていると、この表だけですよ。  つまり、そう考えると、この中には、なぜこんな利益があるかという中には、株式とか債券の運用利益も入っているという話もございました。ということは、二百兆の資金量で運用すると、それだけでもこれだけの利益が出ちゃうんだということにもなると思うんです。ただ、これで単純に判断することはできません。さっき言ったように、この諸表についてはいろんな複雑な組合せがあるので。ただし、これだけ見ると、こういう実態が一方であると非常に、つまりターゲットとしていいターゲットって思われる可能性があるのかなということを感じます。  それで、改めてお尋ねをいたします。済みません、先ほど決意を言っていただいたんだけれども、もう一度お尋ねをいたします。  郵便貯金会社、それから保険会社の買収は、ほかの事例と違って単に外資による乗っ取りということで収まりません。つまり、ニュージーランドのように、そういうところが買収すると経営の合理化を図っていく。経営の合理化を図っていくと、地方の郵便局の銀行業務をやめていくかもしれない。ところが、やめていくとどういうことが起きるかというと、窓口会社経営というのは委託金で成立をしておりますから、その委託金がどんどんなくなるということで、なくなるということは郵便局そのものがなくなることにつながっていきます。これは、ひいては解雇の問題その他にもつながっていきます。  ですから、民営化法案が議論されたときに、今日ここでもそういう議論が一杯ありまして、大変心配された大きなことの二つにユニバーサルサービス維持できるのかということと、今働いている人の雇用の継続はできるのかということでした。で、外資に乗っ取られるということは、この二つとも危なくなるという視点があるんだと思います。この二つを守れということは、公明党は法案審議のときもくどいほど言わせていただいたことでございます。  それで改めてもう一度、西川社長の御決意を聞かせていただきたい。
  111. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  民営化法の枠組みでは、十年の移行期間に株式を処分するということとされておりますが、その間はもちろん、更に移行期間終了後も郵便貯金銀行郵便保険会社郵便局との安定的な代理店契約を締結するということとされております。やはりこれをしっかりと守っていくと、担保していくということが我々に課せられた重要な課題の一つであるというふうに考えております。その上で、更に外資を含めた敵対的な買収の防止策を講じていくという考えでございます。  以上でございます。
  112. 澤雄二

    ○澤雄二君 今社長言われましたように、十年間についてはこの法律で委託業務を維持するようにということで守られるのかなというふうに思います。じゃ、十年先はどうなんだという心配がこの質問の趣旨でございます。それから十年以内についても、外資系がもし買収したとすると、その会社経営判断というのがありますから、つまり、二万の郵便局経営しなくても一万五千でもいいじゃないかという経営判断があったときに、この法律との絡みはどうなるかという難しい問題も出てくると思いますんで、これから大変だと思いますけど、どうかよろしくお願いをしたいと思います。  大臣、ここだけ質問させてください。長い間民営化推進して実現された大臣として、この問題についてどういうお考えなのかお聞かせください。
  113. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、澤委員がお尋ねになった問題意識は、もう制度設計の段階から我々も当然のことながら非常に強く持っておりまして、御懸念のような問題が生じないように、つまり、委員おっしゃったように、本当にユニバーサルサービス維持できなきゃ困るんだということと、それと雇用が維持できなければ困るんだと、そういう思いで制度設計をしております。  その中で、今要素としては買収される、どうかという問題が入ってきます。会社経営判断で自主的に、特に十年たった以降どのような判断をしてくるかというような問題もございます。一方で、しかしこれは自由化、民営化でありますから、他の銀行とイコールフッティングで銀行業、銀行法を適用する状況下で自由を阻害しないような形で制度設計をしなければいけない、まあそういう非常に難しい制約の中での制度設計を行ってまいりました。結果的に、この参議院でも御審議をいただいて法案を認めていただいたわけでありますけれども、私は枠組みはしっかりできていると思っております。  例えば、先ほどの敵対的買収に関しましても、これはまず銀行法の適用を受けますので、金融庁からの答弁がありましたように主要株主規制を受けます。その中でしっかりと判断していく余地が出てまいります。また、これは会社法も改正をされました。これも先生方のおかげで改正をされましたので、その中のベストのもの、議決権制限株式が良いのか、いわゆる新株予約のライツプランを活用するのが良いのか、これはアメリカでもヨーロッパでも少し考え方が違ういろんな事例があるというふうに承知をしております。そのことを正に今、西川社長に御検討をいただいているところでございます。  そして何よりも、やはり十年間の移行期間を設けることによりまして、その移行期間の間に、これは郵便貯金銀行の話もありますが、郵便局会社にも競争力を付けていただかなければいけません。十年たったら各金融機関が競って、いやうちと、うちの業務を委託、受けてくれと、受託してくれと、そういうふうな魅力のある郵便局網にしなければいけないということでもございます。時間を掛けて、しかし、経営努力によってそういったものがしっかりと守られていくようなそういう制度設計にはなっておりますので、是非経営者皆様方には努力をいただきたい。そして、そうしたことの検討、チェックを郵政民営化委員会に適切に行っていただいて、政府が判断すべきところはしっかりと政府が判断していく、それが必要だと考えております。
  114. 澤雄二

    ○澤雄二君 郵政民営化して良かったなと国民の皆さんが思っていただくように是非御努力をお願いをしたいというふうに思います。  ここでちょっと問題を、質問を変えますが、質問を変えるといいますか、多分新しいビジネス、いろんなことを考えていらっしゃるんだと思います。私は、ちょっと一つ素人の考えで思い付いたことがありますんで、ちょっとそれを御提案したいと思うんで、検討していただけないかなということでございます。  郵貯銀行では企業に対する融資、これからされていくんだと思いますし、それから個人向けのローンもされるんだと思いますけれども、個人向けローンについては地銀のライバルになって民業圧迫になるんじゃないかという議論も別に、別途ございますけれども、私は一つお願いしたいなと考えているのは、住宅ローンとか教育ローンではなくて、医療ローンなんです。  私の周りの友人知人も、私も団塊の世代でございますが、だんだん年を取ってきて、親が危ないというか、亡くなったり病気になったりする。自分たちの親が病気になって入院をする、手術をする。保険の適用が利く範囲は、幾ら掛かっても高額医療の限度がありますから普通の方なら八万円で済むんですね。だけど、御存じのように保険の適用が掛からない、ならない医療費って一杯あるわけです、差額ベッドを始めとして。シーツを取り替える、浴衣を取り替えるのは全部お金が掛かりますし、それから汚物処理はそういうサービス料を取られますから、あっという間に月四十万、五十万になっていく。  我々の親の世代というのは医療特約なんかとっても入っていません、我々だって危ないぐらいですから。ということになると、当然親は支払能力はありません、年金生活をして。子供がじゃそれを支払うことになるんですが、我々だって月そんな四十万、五十万の金は簡単に払えない。で、ローンはないのかと探すと、こういうローンはないんですね。つまり、利ざやが薄い。  ですから、普通の都市銀行や地方銀行はこんなものをビジネスにしないんです。だけど、これを、子供を保証人にして、もしこういうことをやっていただければ、これは民業圧迫にはならない、ほかの銀行やっていないことですから。もしこういうことが実現できれば、さっき申しました郵政民営化して本当に良かった、こういうことができるのかという、まあ紙芝居にこのことは多分書いてないと思いますが、本当に喜んでいただける一つになるんで、ちょっとまじめに検討をしていただけないかなということが一つ。  それからもう一つは、多分いろんな人材を集めてこられると思うんです。内部の方も養成されるでしょう。でも、それだけじゃ多分、絶対足りない。そのときに、この間通りましたね、あの行革推進法、あれで、政府金融機関五つの統廃合をしなきゃいけない、多分人をどうするかという問題も出てくると思うんですよ。その中にはいろんな分野のプロフェッショナル、銀行業務でいらっしゃると思うんで、その人たちを登用するということはどうかなということをちょっと考えました。どうですか。
  115. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えをいたします。  先生御承知のとおり、郵便貯金銀行民営化法によりまして民営化当初は公社と同様の業務範囲からスタートするということとなっておりました。新規業務を行おうという場合には、まず郵政民営化委員会での御審議を経た上で主務大臣の認可を得るということが必要だということでございます。  こういう立て付けを前提に今後の新規業務を考えるわけでございますが、まず、その医療ローン、先生御推奨の医療ローンを含めまして融資業務全般につきまして、ただいまの公社には業務経験を持った人がおりません。したがって、これに進出しようとする場合は、まずこの人材確保が必要でございます。もちろん、その内部で教育研修を行いまして育成をするということがまず第一でございますが、外部の経験者を雇用すると、こういうことも考えなければならないであろうというふうに思います。私、政府金融機関の民営化につきまして余り詳しく存じませんのでコメントは差し控えさせていただきますが、そういう外部からの雇用ということも考えなければならないであろうということでございます。  それから、この新規業務、多分ローンと付く以上はこれも新規業務でございますが、医療ローンをやっておる銀行は多分ないんであろうと思います。私どもが新規業務を考える場合、民間の物まねであるとか後追いであるとかいうものを極力避けていかなければならないと考えております。  民営化された郵便貯金銀行ということでありますから、何かそこで新しいものを打ち出していく、できるだけ数多く打ち出していくということがこれまた民営化の大きな意義ではないかというふうに考えております。そういう考えの中で、先生の御提案も含めまして幅広く検討させていただきたいと存じます。
  116. 澤雄二

    ○澤雄二君 これで終わりますが、生田総裁、御出席をいただきまして、私も何度か部会その他で……
  117. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 時間が参っております。
  118. 澤雄二

    ○澤雄二君 はい。生田総裁の話を伺いました。そのときにずっと持ってきた感想でございますけれども、いろんな知恵、工夫をされて郵政公社をここまでされたというふうにずっと思っておりました。生田総裁が総裁で良かったなというふうに思っておりまして、本当に、まだ一年間ございますけれども、その御努力に対して敬意を表したいと思います。西川社長、その後を受け継がれて、容易ではないと思いますが、どうか成功させていただきたいと心からお願いを申し上げます。  今日どうもありがとうございました。
  119. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  郵政公社二〇〇四年度の決算について質問をいたします。  郵政公社は、郵政民営化法が成立した直後、現在の集配郵便局四千六百九十六局のうち約千局での集配業務を廃止して無集配郵便局にするという郵便局再編計画が発覚いたしました。赤旗でも一月の最初に報道いたしましたけれども、半年以上たって公社は全容を発表しました。去年の郵政国会で一度も言及しなかった問題です。  しかも、集配業務を廃止する郵便局過疎地に集中しています。北海道百六十、新潟県五十五、広島県四十六、長野県四十五など、各地で集配局廃止反対の声が上がっています。もしこのことが昨年の郵政国会審議の中で明らかになっていたとしたら、法案衆議院でも通らなかった可能性があるのではないかとさえ私は思うわけです。  そこで伺います。これは正にコスト削減のための、過疎地、離島などもうからない地方の郵便局を統廃合して、その結果サービス、住民サービスを低下させるものではないんですか。総裁、伺います。
  120. 生田正治

    参考人生田正治君) お答え申し上げます。  民営化審議のときはまだ検討中でございまして、この手のかなり構造的に難しい問題というのは検討に二年、二年半ぐらい優に掛かりまして、途中の問題、途中の段階でお話しすることができなかったんで、年末にかけてまとまってきたところで浮上をさしているということでございまして、隠すなんという気は毛頭ございませんでしたし、先ほどの御議論でも、竹中大臣にもその当時は何もお話ししてなかったということでございまして、その辺は事実として御認識いただければ有り難いと思います。  集配再編も郵便局改革も同じなんですけど、先ほど明治以来という話がありましたけども、少なくとも数十年全く大きな見直しがなしに今日に至っていて、その間いろんな社会インフラの進化がありまして、高速道路もあれば自動車やバイクがもう中心になるという時代でもありますし、いろいろ変わってきております。そこで、郵政公社法そのものが自律的な独立採算の経営を求めているわけでありますから、そこで企業としてやはり採算が取れるように、企業が維持できるような改革はどうしてもしていかなきゃならない、社会インフラの進化に合わしてのこちらも必要な改革はしなきゃならない。それが、取りも直さず重大な使命であるパブリックな使命、公的なお役目を果たしていくということが自律的にできる要件になるわけでありまして、そういうことをやるためにも今改革をしているわけであります。  多少今度は具体的に申しますが、集配拠点の再編は民営分社化に伴う枠組みの大きな変化や健全な経営を行うために私は不可欠であろうと思っておりますし、その後、民営化が決まりました。とすれば、いい民営化になるためにも公社の間に取り組んでおくべき問題であると認識しております。  しかしながら、郵政事業は国民生活に直結する事業でございますし、地域住民、利用者の皆様の利便性というものは、これはしっかり維持していくというのを大前提にいたしております。そして、そういった内容を広く国民、地域社会の皆様理解をいただくべく、国会の場での議論等も十分踏まえながら自治体や住民の皆様説明役職員一致して今やっている真っ最中でございます。  これまでの自治体説明におきまして、サービス面での御不満がある場合はそれも伺いました。調整すべきものは調整してきております。現在サービス面でどのようなまだ御不満があるのか、その内容を個別にお伺いしながら、それについて必要な調整はいたしますし、また、内容をよく理解していただくように具体的な対応策というものをしっかり御納得いただくよう御説明していこうと、このように考えている次第であります。
  121. 吉川春子

    ○吉川春子君 全般的なお答えを最初にいただきましたけれども、続けて、集配特定局と無集配特定局のその比較の表を私お配りしておりますけれども、これはどのような差があるのでしょうか。
  122. 塚田爲康

    参考人(塚田爲康君) お配りした表にも書いてございますけれども、まず窓口の取扱時間でございますけれども、集配の特定局といいますのは、平日九時から十七時までの取扱時間のほかに、平日は前後一時間、そして土曜日は八時から十七時まで、日曜日は九時から十二時三十分までということで時間外の窓口を開いているということでございますが、これに対しまして無集配の特定局でございますけれども、平日の九時から十七時までの取扱時間というものだけでございまして、それ以外の時間外の窓口は開設をしていないというのが一点と。  それから、外務事務でございますけれども、集配特定局は郵便の集配とか貯金保険のいわゆる集金、募集などの外務事務を行っておるわけでございますけれども、無集配特定局ではこれらの外務事務は行っていない。  さらに、窓口取扱事務でございますけれども、両者とも、両局とも行っているわけでございますけれども、後納郵便物の引受けの有無ということで若干の差があるということでございます。
  123. 吉川春子

    ○吉川春子君 無集配局と集配局の差を今言っていただきました。そして、無集配局になりますと、土日祝日、年末年始、このいわゆる時間外ゆうゆう窓口、これが閉鎖されるということが大変大きなサービス低下になると思いますし、さらに、これは集配局、無集配局の差で表を作りましたけれども、民営化されることになればゆうゆう窓口の閉鎖ということも行われますので、かなり多くの郵便局において窓口の閉鎖が行われると、先ほど来同僚議員からも質問がありましたけれども、そういうことになります。  それで、竹中大臣にお伺いしたいんですけれども、もうそのサービスの低下は絶対ないんだということを言ってこられましたけれども、これだけ大きな変化があるということはサービスの低下につながるのではないか、その点について大臣はいかがお考えでしょうか。
  124. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 国会答弁でも、サービス低下が生じないようにしっかりとやっていただくということをこれまでも申し上げて私自身きました。その中身としては、これ先ほど申し上げましたように、やはり郵便局がそこにきちっと設置されているということが第一点。第二点は、その局の窓口で三つのサービスがしっかりと供給されるということ、これが第二点。そして第三点としては、関連する社会貢献のサービス等々も行われるということ。そうした点に関しては、今回の再編というのは郵便局そのものをなくすということではこれはございません。そして、窓口のサービスが行われます。社会的な貢献についても、それを代替手段も含めてしっかりと検討して、そのサービスを低下をさせないようにするというのが公社の方針であるというふうに聞いております。また、そうした内容を今地域の皆様方にも御説明をいただいているというふうに承知をしております。  これは総裁も今もおっしゃいましたけれども、民営化するしないということではなくて、しっかりとやっていかなければいけない経営の合理化であるというふうに私も理解をしております。サービス水準が低下しないように引き続き総務省としても注視をしてまいりたいと思いますし、公社にもしっかりと御対応をいただけるものと考えております。
  125. 吉川春子

    ○吉川春子君 これまで非常に身近な地域の拠点として存在してきた郵便局が無集配局になることによって顔も見えなくなり、窓口業務のみとなって看板を掲げるだけの郵便局と。その次は撤退が行われるのではないかということを地元の方々心配をされています。  それで、もう一枚私は佐渡市の地図をお配りいたしました。これがお配りしたもののパネルなんですけれども、(資料提示)佐渡市におきましては、赤く丸を付けました六つの集配局が無集配郵便局となって統合をされてしまうわけです。  それで、佐渡では、果物のカキ、リンゴ、あるいはお米、それから海のアワビ、カキ、ワカメなど、地場産業である農業や漁業と密接に結び付いてゆうパックの取扱いが非常に増えております。現在ですと、朝八時半近くに集配郵便局に電話すれば一時間以内に小包の集荷に来てくれる、一個、二個にかかわらず来てくれる。そして、その昼の佐渡汽船のダイヤに間に合わせるように両津郵便局まで運ばれまして、そして夕方には新潟中央郵便局に届いて、翌日配達という形で、新鮮な海の幸、山の幸が消費者の元に届くという、こういうサービス水準が今後守られるのかどうか、これが非常に心配です。  佐渡でお話を伺って実感したのは、郵便局の業務というのは地域振興と相乗効果を上げているということです。郵便局の公共性というものを強く感じました。多田郵便局のビラには、多田というのは今度廃止される、両津の下の、非常に過疎地域なんですけれども、ここで出しているビラには、一個、二個でも集荷に伺いますと、こういうふうに書いてあるわけです。そして小口、個人のお客様を大切にして、その地域に合ったきめの細かいサービスを行って、宅配便と競いながらそれに勝っていると、郵便局が信頼をかち取っている、こういうサービスは絶対に低下させてほしくない。  これは大事な問題ですので、是非総裁から、低下させないんだということを言っていただきたいと思います。いかがですか。
  126. 塚田爲康

    参考人(塚田爲康君) ただいま御指摘のゆうパックを利用したふるさと小包につきましては、これまで地域の生産者の方と地元の郵便局長さんが連携を図りまして開拓をしてきたという市場でございまして、公社としても大変重要な収入源だということでございまして、それとともに地域の発展に寄与しているということでございます。  したがいまして、集配拠点の再編に伴いましてこのような無集配局となる場合でありましても、地域等の要望に配意いたしまして、先ほど御質問ありましたようないわゆる集荷の関係の整備とか、あと、汽船に載るわけでございますので、そういう運送便の調整をしてきめ細やかなサービス提供をしていくということでございまして、従来どおりのきめ細かな対応をしていきたいということでございまして、今後ともこういうものにつきましては地場産業と連携しながら地域の発展に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  127. 吉川春子

    ○吉川春子君 佐渡市全体では年間約三十三万個の郵便小包を扱っていて、この分野はドル箱だというふうにおっしゃっていました。佐渡市でお会いしたどの郵便局長さんもこのゆうパックの取扱量を増やすことに本当に努力されて、その結果年々伸ばしてきているわけですね。こういう集配局を廃止してなぜ無集配局にしなくてはならないのか、逆じゃないのかと思います。  佐渡の地図をごらんいただきたいと思うんですけれども、この真ん中の両津港からここの南の方へずっと行きまして赤泊局というところがありますけれども、ここの集配局はみんなもう廃止されてしまうわけですね。だから、ここの郵便局の路線、このコースもなくしてしまう、こういう計画になっているわけです。このことによって引受郵便時間が遅れることが指摘されています。  例えば、現在、多田郵便局の場合に、八時から営業を開始される郵便局に電話をして、郵便を受け付けて一時間程度で集荷に来てもらう、そして両津港から十二時台の船便に載せてそして行くんですけれども、新しい計画では今度はこっちの方から、これが廃止されますので、赤泊の方からこういうふうに集荷が行くわけなんですね。そうすると、現在のサービス維持するのが非常に難しくなる。佐渡汽船のダイヤというものがありますので、それに間に合わなくなってしまって、一便遅れるということは一日遅れるということにつながっていくわけですね。  無集配局にされる多田郵便局や真野郵便局、真野の集配を受け持つことになる佐和田郵便局というものがここにありますけれども、そこも私お訪ねして局長さんに会ってお話聞きましたけれども、こういうものに対して間に合わせるんだという案がいまだに出せないでいるんですね。市長の方も、出してもらいたいと言っているけれどもまだ出してきていないんだと、こういうふうに言っているんです。  総裁さっきお立ちになって御答弁くださるということであっちへ行っちゃったんですけれども、是非、こういう具体的な問題について、今までどおりのサービスをやるというのであれば、この代替案、具体的な代替案を是非お示しいただいて、翌日配達が翌々日配達になって新鮮な佐渡の地場産業に打撃が出ないような、そういうことを是非郵政公社で保証してほしいと。どうでしょうか。
  128. 塚田爲康

    参考人(塚田爲康君) ちょっと具体的な話でございますので……
  129. 吉川春子

    ○吉川春子君 いや、いやいや、ちょっと時間がないので。
  130. 塚田爲康

    参考人(塚田爲康君) はい。済みません。  この佐渡について、御指摘の点が集配特定局長さんとか出されたという話は私、承知しておりまして、それについて、やはり非常に貴重な小包でございますので、そこについてはダイヤについて調整をいたしまして、間に合わせるという方向で今考えているということでございます。
  131. 吉川春子

    ○吉川春子君 間に合わせると。今までどおりということですね。それ、絶対、うなずいておられるし、そうおっしゃったので、そこはもう最低限やっていただきたいと思うんです。  それで、佐渡の市長と議会の副議長にもお目に掛かってきました。地元では、サービス低下をさせるものとして、市長も議会も生田総裁あてに郵便集配業務再編計画の撤回を求めています。七月二十五日付けです。  その理由は、これまでも集配局再編が次々に行われて、佐渡ではサービスダウンになって不平不満の声が多い。集配局では局長中心になって地域に根差した郵便局として市民に親しまれている。三、農林水産の販売にゆうパック利用の農林漁業者が多いが、不便になれば他の方法に移行する。四、土日、年末年始の利用ができなくなる。五、集配範囲が広くなり、二回のものが一回になり、午前に届いていたものが午後になると、こういうことで撤回を求めているわけなんです。  信越支社管内では二十八局、反対している二十八局について実施期間を、九月、十月を来年の三月に遅らせると発表していますけれども、それもそうなのでしょうか。市長の対応についてどうするのか、その点についてまとめて御答弁いただきたいと思います。
  132. 塚田爲康

    参考人(塚田爲康君) 今御指摘のありました二十八局の件でございますけれども、私ども公表はしておりませんで、信越支社の中の内部の決定だということでございまして、それを踏まえまして今後私ども、本社と支社と具体的ないわゆるサービス低下になるのかどうかも含めて実施時期を考えていくということでございます。
  133. 吉川春子

    ○吉川春子君 総裁、こういうサービスの低下を佐渡の場合についてもしないということを確約していただきたいんです。どうでしょうか。
  134. 生田正治

    参考人生田正治君) まず、もう当然のことで御理解いただいているんだけど、やっぱり民営化になるんだということはやっぱり前提としてお互いに考える必要があると思います。となると、何度か申し上げたように、企業性も追求しなきゃなんない、やっぱり独立採算で事業維持しなきゃなりませんから、それと同時に公共性をしっかり守っていくと、こういう二つの使命をどうしてもやり遂げる必要がある。  その公益性をしっかり維持するためにも、お客様への利便性はしっかり守りながら、内側でできる努力、改革、生産性の向上、経済性の改善、これはやらしていただく必要がどうしてもある。そうしないと事業が基盤が揺らぎますし、ひいては公共性の使命も全うできなくなると、こういうことになるわけでありますね。  そういった意味で、今お話を聞いておりまして、佐渡にいろいろな問題があるのかなというのは私も今認識をしたところであります。  どういう問題があるのか。先生おっしゃるように、確かに今日出そうと思うのがあさってになるのでは困りますよね。そういった点、担当役員及び支社幹部が、もう行っていると思いますけれども、現地でよくお話合いをさせていただいて、御納得いただける措置ができるように、最善の努力をするように指示していきたいと考えております。
  135. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間がなくなりました。  大臣にこの締めで伺いたいと思うんですけれども、無集配局になると、今まで例えば十八人体制でやっていた人数が三人になったりするんですね、十八人というのはゆうメイトも含んでいますけれども。そういう中で、過疎が一層促進する、住みにくくなる、これは総務省の責任者としても過疎の促進ということは非常によろしくないのではないでしょうか。  今度の無集配局ということが過疎の促進につながるのではないか、そういうことは絶対に避けてもらいたい、最後に大臣にお伺いいたします。
  136. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、こうした集配拠点の整備というのは、効率化というのは、先ほども言いましたように、郵政民営化を行わなくてもこれはやっぱり組織体としてやっていかなきゃいけないことだと、それが生田総裁の決意であろうと思います。  その場合に、具体的に今委員御指摘のように、その拠点で集配をやっていたところが、いい意味で生産性は上がるということにはなるわけですけれども、拠点を確保して効率化してそこの数が減らされた場合、過疎地の雇用が減るではないかというのは、それはそういう御懸念は当然あろうかと思います。であるからこそ、実は民営化が必要なんだと私は思います。民営化郵便局事業にいろんな可能性を追求していただいて、集配の人は確かにその地域では減るかもしれませんけれども、それ以外のいろんな事業を考えていただいて、地域活性化の拠点になっていただいて、民営化するからこそいろんな事業が可能になるわけですから、それで経済の活性化にも地域の活性化にも資していただきたい、私はそのような観点から民営化が設計をされていると理解をしておりますし、またそのような視点で是非組織そのものを運営をしていただきたいと考えております。
  137. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間ですので終わります、納得はしていませんけれども。
  138. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。  私が最後でございますので、朝来、大臣、そして生田総裁、お疲れだと思いますけれども、もうしばらくお願いを申し上げたいと思います。  先ほど来の各委員の御質問を伺っておりまして、昨年のこの郵政民営化論議、いろいろとこの国会の中でも、また各党でも議論が行われていたわけでありますけれども、私どもが当時感じた懸念というのはなかなか解消されていないなということをつくづく思うわけでありまして、私は民営化には反対の立場でございますけれども、仮に民営化というものを前提に考えるにしても、これから先まだまだ手直しをいろいろ、法律の中でも手直しをしなければならないところがあるんじゃないかということを強く感じていることを最初に申し上げておきたいと思います。  今日は郵政行政局長、ずっと出席をしていただいておりますが、今までのところ御答弁の機会がなかったようでございますので、ひとつ行政局長、大変この難しい時期に就任をなさったわけでありますので、決意のほどを一言だけ先にお伺いをしたいと思います。
  139. 須田和博

    政府参考人須田和博君) 私、この七月の二十一日に郵政行政局長を拝命いたしたものですから、それまでのこの郵政民営化という非常に国民の皆様にとって重要な課題について必ずしもタッチしていたわけではございません。しかし、この郵政民営化というのが基本的に我が国にとって、あるいは国民の皆さんにとって非常に重要な課題ということで、これまで国会の中でも御審議いただき、また国民の皆さん方の多面的な議論があったということは十分承知しているところでございます。  そういう中でこの仕事を拝命いたしたものですから、私といたしましては、法律あるいは附帯決議、あるいは国会での議論を十分踏まえまして、この民営化の手続にのっとりまして、国民の皆さんが本当に喜んでいただけるような民営化が実現するよう取り組んでいきたいと思っております。
  140. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 どうもありがとうございます。  ところで、今日の課題でありますこの公社の決算でございますけれども、大変立派な業績をお上げになっていると思います。その後の状況も順調に推移をしているようにお聞きをしておりまして、まずは生田総裁を始めとして一丸となって努力をされました職員の皆さんに敬意を表したいというふうに思います。  しかしながら、やはり民営化を前にして、今公社が進めておられるいろいろなお取組、先ほど来、一杯質問が出ているわけですが、私の目から見ましても心配だなと思われることが幾つかございます。今日はその点を御質問をさせていただきたいと思います。  最初に、郵便貯金を機械を通じて預入をしたり、あるいは引き出したりするATMと言われる機械が、これは郵便局だけではなくて、もちろん銀行にもたくさんあるわけでございますが、この郵便局のATMの撤去があちらこちらで進んでいるという話を聞いております。これはサービスダウンではないんでしょうか。
  141. 斎尾親徳

    参考人斎尾親徳君) ATMの設置につきましては、郵便局内につきましては、設置スペースが確保できない場合を除きましてすべての郵便局に設置をするということで設置を進めてまいっております。また、郵便局以外の場所につきましては、お客様の利便性を踏まえまして、より利用が見込まれる場所にATMを設置することを基本的な考え方として設置を進めているところでございます。  こうした考えの下に、従前より、郵便局以外の場所に設置するATMにつきましては、郵便局内に設置するATMと比べまして土地、建物の借料、それから警備料などの経費が上乗せして必要となりますので、一定の基準を設けまして、稼働率が低いATMにつきましてはより多くの利用が見込まれるところに再配置をしているところでございます。  なお、ATMの稼働率が低い場合でありましても、一律にATMを撤去するのではなくて、まずは利用促進策を講じるなどの対応を行いますとともに、近くに郵便局がなくて不便な場所、場合など地域の実情を踏まえまして、存置が必要な場合には個々の事情を慎重にしんしゃくしながら適切な対応に配慮しているところでございます。  今後ともATMの設置に当たりましては、限られた経営資源の中でより多くのお客様に御利用いただき、その利便の向上に資するように、地域の実情も踏まえながらきめ細かい適切な対応をしてまいりたいと考えております。
  142. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 公社の立場からいいますと、利用率の少ない機械はもっと利用が見込まれる場所に移そうと、だから再配置なんだと、トータルとしてATMの機械を減らしているわけじゃない、そういう弁解になるんだろうと思いますが、国民、利用者の立場、特に、今までここにATMがあった、それがなくなっちゃった、その地域に住んでいらっしゃる今まで利用していたような方々の立場から見ますと、自分たちはやっぱり見捨てられたのかという気持ちになるんですよね。  私は、かつて宮崎県の小林というところで若いときに勤務をしたことがあります。過疎地でございます。NHKのテレビを見ておりましたら、今日は全国的に全く快晴で日本晴れでございましたと言っているんですけど、自分のところはざあざあ雨が降っているんですね。小林は日本じゃないのかと、こう思ったことがありましたけれども、地域の住民というのはそういうものなんです。  ですから、私は、利用が少ないから移すんだと、それ気持ちは分かりますけれども、丁寧にやっていただかないと、やはり都会に住んで、人がたくさんいる便利なところにいる人たちは利便を受けて、そして地方にいて、人の少ないところにいる人たちは見捨てられるのか。今、地方の重視ということは自民党の総裁選なんかでも改めて叫ばれておりますけれども、やはり地方の栄えない国は国家としても私は成功しないと思うわけでありまして、そういう意味で、こういう施策につきましても柔軟に対処をしていただきたい。  一定の、私、聞きましたところでは、一日に百件程度の利用がないようなところは撤去をするんだとか、周辺の二キロメートル以内に利用できるところがあるんだったらそれは撤去するんだとか、いろいろあるようでございますけれども、余りその基準にこだわられずに状況状況を見ながら柔軟にやっていただきたい、特に負け組と思われないような配慮をお願いをしたいということを申し上げておきたいと思います。  私は同じことが、先ほど来この委員会の中で取り上げられておりますいわゆる集配拠点の再編というものにも当てはまるんだろうと思うんです。公社の立場からすると、確かに集約化はするけれども、サービスは落とさないんだと。配達に行くし、今までそれぞれの郵便局でやっていたサービスは何らかの形で保証をするんだということをおっしゃいますけれども、集約化される、要するに今まで集配郵便局という形で置かれていたその地域におられる人たちから見ると、今まで十人を超えるような規模の郵便局があったのが、窓口に職員が一人いるかいないかのような、まあ、いないということはありませんが、一人か二人のような局になってしまうということによるやっぱりその見捨てられ感といいましょうか、自分たちのところは役場もなくなっちゃった、駐在所もなくなっちゃった、学校もなくなっちゃった、いよいよ郵便局もこういう形でますます寂れていくのか、自分たちの地域はもう駄目なのか、そういう気持ちにさせてしまうことに私は一番の問題点があると思うわけでございます。  ですから、郵便局というのは国の事業ですから、ですからそれはもうサービスを提供するということが基本でありまして、それを低下させないというのが基本でございますけれども、同時に地域の人たちのそういう不安感、暮らしに対する不安感というものを払拭するような私は御配慮というものが必要なのではないかというふうに思っているわけであります。  そういう意味で、この委員会の中でも、既に三月の委員会の段階で、こういう計画があるんなら早く発表していただいて、地域の人に知っていただいて、そして話合いを継続する中でその不安をなくすような努力をしてくださいということをお願いをしてきたわけでありますけれども、四月に公表するというお話が六月の末になりました。そして、九月から実施をされる。私は、やっぱり時間的に相当無理のあるお取組だというふうに言わざるを得ないと思うわけであります。  そういう意味で、本来的には計画を撤回してほしいというふうに申し上げたいところでありますけれども、そうもいかないのであれば、今後も含めて柔軟な対応を是非お願いをしたいと思うわけでございますが、総裁の御見解を承りたいと思います。
  143. 生田正治

    参考人生田正治君) 民営化は決まった前提と、その前提で先ほどもお話ししたわけでありますが、企業性を維持し健全な経営を保つことによりまして、全国のお客様、国民の皆様方に伝統的な大切な使命であるパブリック、すなわち公的な使命を全うしていくと、それも自律的にやっていくということでございまして、今やっていることは、超長期に見直されていなかったシステムを法令や国会決議等を十分尊重し、その結果としてお客様の利便性をしっかり維持しながら内側でできる改革、そういったものをやっていこうと、こういうことでやっている点は是非御理解いただきたいと思います。民営化する以上、市場に出るわけでありますから、市場でやはり生きていけないとこれは使命を全うできません。市場で競争してそれに堪え得る競争条件、こういったものを整備するための改革と御理解いただきたいと思います。  まず、集配拠点の再編計画につきましては、大きな二つの前提を置きました。利用者のマイナスにならないように、少なくとも利便性を確実に確保すること、むしろ改善することと。それから、理論でできるということだけじゃなくて、現実に実際上の検証も経て、本当に質を落とさずにユニバーサルサービスができるか、各地点全部検討すること。実は、これを私が経営委員会でもう一遍検証せよということをやったので、本来なら三、四月に発表できるやつを二か月掛けて再点検やったので、ちょっと発表が遅れました。決してサボったわけじゃないんです。  また、本施策を実施に伴いましてサービスが変化する場合がある。例えば御不在の場合に取りに来るときに、今度は郵便局にないというようなことがありますね。そこだけ見ればそれはマイナスなのかも分かりませんが、そうではなくて代替サービス、もう毎日配達申し上げると、取りに来いではなくて持って伺いますと。もう要するに民間はみんなそうなんですから。そういうふうな代替サービスも含めて考えていただきましたら、質は絶対に落とさずに現行サービス水準維持すると、こういうことになるわけであります。  一方、現在の郵便事業経営体質というのは赤字構造であります。これを黒字構造にどうしても変えなきゃなりません。そのためにはいろんな方策が重要であります。JPSもあればいろんなことがあります。だけど、その一つとして、徒歩や自転車といった過去の交通網を前提とした集配局の配置の見直し、進化している社会インフラに合わせた見直しというものは、やはり内部の、内側の効率化を進めるという意味においてやはり避けて通れない私は改革であろうと考えております。  もちろん利便性は維持いたします。民営化を完全な形で迎えるためにも公社のうちにしっかり取り組むべき課題と認識いたしておりまして、公共性と事業性を両立できるような体制を構築していくためにはどうしてもやらしていただきたい、こう思うわけでありますが、その場合、先ほど先生もおっしゃったように、地方、なかんずく過疎地など、やはり物すごく心配されていると思います、よく分からないだけに。そこはもう本当に丁寧に御説明申し上げて、御納得いただく努力をさせていただきたいと考えております。  サービス低下を懸念される自治体、それはございます。全部十二分に御説明が行き届いていないところがありますから、そういうところあります。そういったところには十分御説明申し上げますし、本当にサービス面で何か支障があるような場合はこれは調整していくと、サービスはダウンさせないというふうなことを具体的に引き続きやっていこうと思っております。  このように、民営化関連法や附帯決議あるいは国会答弁で求められている現在の郵便局の利便性や公共性につきましては再編後も引き続きしっかり守っていくことにしておりまして、先生もう御理解示していただきましたが、撤回なんということじゃなくて、決して利便性を落とさないわけですから、どうやって皆さんによく御説明して納得していただくか、それが私どもの責務だろうと考えております。
  144. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 ありがとうございます。  やはりこの集配拠点の再編計画というのは、どう見ても公社側の一方的な都合なわけですよね。これ、お客さんの利便を高めるためにやるのではなくて、やっぱり公社がこれから民営化というものを前にして一層効率的な体制を目指さなければならないというところから生まれてきているものだと私は思います。ですから、サービスを落とさないということのお約束は、それはもう大変評価をいたしますけれども、同時にその地域の不安感というものを、やはり無理押しをして、皆さんに大きな不安が残ったまま実施をするということのないように、重ねて柔軟な、丁寧な対応をお願いをしたいというふうに思います。  時間がなくなってまいりましたので、もう一つ話を申し上げたいと思いますのが、これも先ほど来御指摘を受けております特定局マスタープランと言われている計画でございます。これは特定局長、そこの、一つの町の一つ郵便局に一生涯局長として勤務をするというのを原則にしてやってきたわけですけれども、これを原則転勤をさせると。そしてまた、六十五歳定年という特例の措置をとってきたわけでありますけれども、これを六十歳定年を原則にするということであります。  私は、これはもう集配拠点の再編計画も含めて思うんですけれども、実にタイミングが悪いと。物事をお考えになるにしても、今は民営化というものを一年後に控えているわけでありまして、私はみんなが一致団結して、よし頑張ろうと、先ほど来出ていますけれども、本当に国民の皆さんに喜んでいただけるような民営化をやろうということで新しい会社に突入をしていけるような体制をつくることが一番大事だと思うわけでありますけれども、そういう時期に私はこういう案を出されたということは甚だもって残念でならないわけであります。  一つには、定年というものは、前にもここで申し上げましたので繰り返していろいろ申し上げませんけれども、国自体が、民間も含めて六十五歳にどんどん延ばしていこうと、この長寿の社会でございますし、年金の受給の時期も遅れてくるわけでございますから、元気に皆さん六十五歳までは働いてもらおうということを言っているときに、逆方向に走っているというふうに思うわけであります。  同時に、労働条件は下げないと国会の中で再三政府の皆さんがお約束をなさったわけでありますから、それにも反する。  そして、最大の問題は、やっぱり働いている特定局長さん始め職員の皆さんの士気が低下すると。自分たちが今までこの地域の中で、ここが自分たちの城だ、ここが自分たちの戦場だ、だから地域の皆さんのために一生懸命やろう、いいサービスをやろう、ごまかしは利かないんだと思ってやってきたものが、いや、そうではなくて、普通局と同じようにどんどんと移ってもらうんだということになったのでは、私はみんなの元気は出ない。  そういう意味で、ここはやはり考え直すべきだというふうに思いますし、先ほどの総裁のお話ですと、理解は進んできているというようなお話でございますが、私がいろいろな人の意見を聞く限りその認識は大変甘いと、恐縮ですが申し上げざるを得ないと私は思います。多くの人たちが大変な不安感に駆られている、そういう状況の中で私はその民営化を迎えなければならないとすると、これはもう新会社に対する営業妨害じゃないかというぐらいにさえ思うわけでございまして、私はここは慎重にもう一度お考えをいただき、あと一年の公社なんですから、公社は国民全体のための仕事を国家の立場からなさるということでありますので、公社らしい一年を過ごしていただきたい。そして、新会社になってどうなるのかということは、これは基本的には新会社にお任せになることではないかというふうに思うわけであります。  私は、今の日本で、多くの方が今触れられておりますけれども、勝ち組、負け組の間の格差がどんどんどんどん広がってきている、都市と辺地の差がどんどん広がってきている、これはやっぱり放置しておくことはできないと思うんです。  そういう状況の中で、郵便局が本当に税金を一円も使わないで、それはもう郵政省の時代から、そして公社になっても一貫して税金を全く投入することなく、お客さんの使ってくださる郵便料金やそういうものを原資にして今日までやってこられて、そして全国津々浦々にこれだけのたくさんのネットワーク維持してこられたというのは、これは大したものだと思うわけでございまして、こういうものをこれからも大事に維持をしていく。そういう意味で、温かい経営というものを目指していただきたいなというふうに思う次第でございます。  本当は大臣にも、総裁にもいろいろお伺いをしたいところでありますが、時間がございませんので御要望だけ申し上げまして、質問を終わらしていただきます。
  145. 世耕弘成

    委員長世耕弘成君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時五十九分散会