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2006-05-31 第164回国会 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月三十一日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月三十一日     辞任         補欠選任      荒木 清寛君     風間  昶君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山崎 正昭君     理 事                 阿部 正俊君                 岩井 國臣君                 加藤 敏幸君                 松井 孝治君                 谷合 正明君     委 員                 太田 豊秋君                 柏村 武昭君                 岸  信夫君                 坂本由紀子君                 田村耕太郎君                 中川 雅治君                 福島啓史郎君                 山内 俊夫君                 山本 一太君                 犬塚 直史君                 尾立 源幸君                 大江 康弘君                 黒岩 宇洋君                 津田弥太郎君                 富岡由紀夫君                 白  眞勲君                 藤末 健三君                 風間  昶君                 大門実紀史君                 近藤 正道君                 亀井 郁夫君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君    副大臣        外務大臣    金田 勝年君        財務副大臣    赤羽 一嘉君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君        常任委員会専門        員        桐山 正敏君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       小川 和也君        外務大臣官房参        事官       梅田 邦夫君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君    説明員        会計検査院事務        総局次長     石野 秀世君    参考人        国際協力銀行理        事        武田  薫君        財団法人日本国        際協力システム        理事長      佐々木高久君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府開発援助等に関する調査  (ODA関係予算に関する件)  (ジャワ島中部地震災害に対する支援に関する  件)  (ベトナム政府高官汚職事件我が国のOD  Aに関する件)  (ODAに対する評価会計検査に関する件)  (スマトラ沖地震災害に係る緊急援助に関する  件)  (対中国ODAに関する件)  (海外経済協力会議の在り方に関する件)  (東アジア共同体構想に関する件)  (対フィリピンODAに関する件)  (ODA改革と顔の見えるODAに関する件)     ─────────────
  2. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、荒木清寛君が委員を辞任され、その補欠として風間昶君が選任されました。     ─────────────
  3. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会参考人として国際協力銀行理事武田薫君及び財団法人日本国際協力システム理事長佐々木高久君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 政府開発援助等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 民主党・新緑風会の黒岩宇洋でございます。  冒頭ではございますけれども、このたびのジャカルタ中部地震で五千七百人にも上る大変な数の犠牲者が出られました。この皆様に心から哀悼の意をささげ、御冥福をお祈りするとともに、一日も早い復興を願う次第でございます。外務省を始めとする政府におきましては、我が国としてできる限りの支援策を施してくださるようお願い申し上げます。  それでは、本日、私、この後、様々なODA関連について質問をさせていただきますが、この後、インドネシアに行ってきた白議員の方からもこの地震関係のことで質問をさせていただきます。私、黒岩と、白議員で黒白はっきり付けますので、麻生大臣安倍官房長官、よろしくお願い申し上げます。  まずはODA予算額の今後の方針等について麻生大臣にお聞きしますけれども、〇五年のサミットで、小泉総理は今後五年間でODA実績百億ドルの増額というものを表明しましたけれども、御承知のとおり、今一般会計ではODA予算どんどん減額の一途です。この公約をどうやって実現するのか、その点につきましてお聞かせください。
  7. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、昨年四月、小泉総理の方からミレニアム開発目標に寄与するためということで、御存じのように今ODAの対GNI比率は〇・七%を目標ということになっておりますが、日本の場合はGDP自体が圧倒的に大きいということもありまして、この数字からいうと非常に低いところになっているんですが、日本にとってふさわしいODAの水準を確保していくということを踏まえて、昨年の七月に行われましたG8、グレンイーグルズ・サミット、イギリスで行われたサミットで、ODA中期目標を今後五年間で百億ドル積み増すということを目指すんだということを表明をしております。  このODA事業量は、一般会計財源だけでいいますODA部分と、無償資金協力とか、また技術協力、そのほかにも円借款等やその他いろいろな部分債務救済、また国際機関への出資、拠出、これ全部含めて計算されるルールになっております。厳しい財政状況ではありますけれども、少なくともODAのあらゆる手段を用いて、引き続き、国際公約ということになっておりますので、この実現に向けて努力をしていきたいと考えております。
  8. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 百億ドルの実績を伸ばす、この百億ドルという中の伸ばすこの内訳、今大臣幾つかおっしゃいましたけれども、この中の、今、債務救済という言葉を使いましたけれども、これはどのくらいの額を見込んでいらっしゃいますか。
  9. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) お答えを申し上げます。  債務救済の額でございますが、当分はっきりして見込まれるものとしてはイラクに対する債務救済ということで、これは二〇〇五年の実績数字で既に三十二億ドルを計上いたしておりますが、これはトータルで六十億ドル強になるということでございます。  あと、そのほかに、いわゆる最貧国に対する債務救済といったもの、あるいはアフリカの一部の国に対する債務救済といったものがこの五年間の間に見込まれるということでございます。
  10. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 それで、トータルでお幾らですか。
  11. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 済みません。そこはこれからきちっと交換公文を結んで金額が確定をしてまいりますので、何億、幾らというところまで確定をいたしておりませんが、概算で申しますと恐らく九十億ドルぐらいということになると思います。
  12. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 私、事務方に聞いておりまして、九十二・四億ドルだそうです。要は、百億ドルを増額すると言っていますけれども、これは、債務救済という言葉は分かりづらいですね、これ、債務救済とか債務削減というと何かいいことをしているようなんですが、要は債務免除ですよね、借金棒引きですよ。現実にはこれ借金棒引きで、百億ドルのうち九二%はこれ棒引き公約を実施するということですよね。  それで、更に話を進めますが、じゃ、この借金棒引きしたわけですよ、約一兆円ものお金を。この負担は一体だれがするんですか。
  13. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) まず、今のお話の点でございますが、この債務救済につきましては、そうした債務を免除することによって当該途上国が利用し得る資金資源がそれだけ途上国にとっては助けになるということで、これは国際的にきちっとそういう意味でのODAに認定をされるということになっているわけでございます。  それから、先ほどのお話の中で、百億ドルといった中でこれが九二%ということでは必ずしもございませんで、元々のベース数字というもの、これは二〇〇四年の八十九億ドルという日本ODA実績がございますが、それを二〇〇五年から五年間で百億ドル積み増すといった場合に、実はその二〇〇四年の数字も一定の高さがあるわけで、これはほかに一般会計等を含めて補てんをしていく必要がございます。  それから、債務救済、これは債務キャンセルを行った場合には、それは例えばJBIC債務の債権、あるいは貿易保険債務キャンセルを行った場合にはそれに対してしかるべく引き当て、補てんをする必要がございます。
  14. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 局長、お願いします。時間限られているんで、私が聞いたことにだけ過不足なく答えていただけますか。  じゃ、とにかく、その一兆円の額、借金棒引きですから、本来返してもらうべき借金棒引きしたわけですから、その分はだれが負担するんですか。
  15. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) これは我が国としてそれらの資金負担をするということになっております。
  16. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 我が国というのは、一体具体的にだれですか。
  17. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 例えば、JBICにつきましては、そうした債務救済のために私ども予算の中で外務省から交付金ということでその予算引当金として積んでおります。
  18. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 だから、その予算というのはだれがお金を払ってつくり上げるものなんですか。
  19. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) ただいま私が申し上げました交付金として積んでいる資金一般会計からの交付金でございます。
  20. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 だから、一般会計からの交付金ということは税金ですよね。だれがその税金払っているんですか。外国人が払っているんですか。
  21. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) これはそういう意味では我が国国民、あるいは我が国法人ということになっております。
  22. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 そのことを即答でお聞きしたかったんですよ。私が申し上げたいのは、結局は国民負担しているわけですよ、このODA増額に対して。  麻生大臣、それでお聞きしますけれども、私は、基本的には、ODAというのは世界にとっても我が国にとっても大変意義深いこれはものだと思っております。ですから、私はどんどん増額していってもいいと思っているんですよ。  それが、一般会計では毎年何%とか減らす。それでいながら、実際には懐が一緒ですよ、財布は一緒ですよ。国民としては増えているわけです。何でこんなことをしなきゃいけないのか。私の疑問点は、要は、正々堂々と一般会計予算で増やすことを、この御理解国民にしていただき、そして政府内部でも御理解をいただくという、このことを私は外務大臣として責任を持ってやっていただいて、そして正々堂々と一般会計なんかを増やしていくべきだと。財務省もそうすればお金を出してくださざるを得ないでしょうという、こういう視点なんですが、外務大臣、御見解をお聞かせください。
  23. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、今言われましたように、一般財源を伸ばしていくと。民主党意見としては、どんどんODAを伸ばすための予算を増やせという御意見なんだという具合に理解をするべきなんですか。
  24. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 私の個人的な意見
  25. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) あなたの個人的御意見。ああそうですか。  みんなそういう御意見ばかりだったら、また世論もまた違ったものになってくるんだと思いますけれども、なかなか黒岩先生のような方も余り大勢いらっしゃるわけではありません。
  26. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 増やしましょうよ。
  27. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) それで、基本的に個人的な御意見として参考にさせていただいて、応援者がいられることは大変有り難く存じますが、ODA自身としては、これは基本的には、日本の場合のやり方として、ほかの国みたいに施しとはちょっと全然違う感じで日本の場合はこれまでやってきたというのが、日本ODAが極めて大きな影響を与えたものだと思っております。  特に、アジアに傾斜配分した時代がありました。そういうときに、結果として、やっぱり働くという、勤労とか勤勉とかいうものがお金一緒に付いてきた結果、間違いなくアジア国々は非常に伸びることができた。これは、今インドやらカンボジアやら皆行かれるとそういった人がいると思いますので、そういった効果があらしめるようにうまくいっているということを見られた方々は御理解を結構していただけるんですが、なかなか今のような御理解いただける方は少ないのが現状だと思っております。  現実問題として、切手になったりお金の裏に刷り込まれたり、いろんな形で感謝の意を表されている国々もあるのは事実ですけれども、なかなか一般的には理解をされないというところだと思いますので、私どもとしてはこれは回り回って日本のためになるんだと思っておりますので、是非この点は私ども黒岩先生のような御理解をしていただける方を増やすように努力をしていかねばならぬと思っております。
  28. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 そうですね。その努力を私も大変期待しております。  これ、ODA予算といったときに、本当に複雑で分かりづらいんですよ。一般会計予算を使うときもあります。そして、ODA事業予算、こういった言葉も使いますね。そのODA事業予算の中にも、要は、完全なる払ったお金だけのグロスの場合もあるし、今大臣のおっしゃった円借款で戻ってきた分を引くネットで数字を出すときもあるわけですよ。また、更に分かりづらいのは、先ほど申し上げたODA事業実績ですね。これは小泉総理が使った数字です。これになりますと、年度ではなく年ベースであると。こういったことが錯綜して、国民からすると、一般会計だと減っていると言われながら実際には国民負担が増えているという、これでは若干何かまやかしに遭っているような、そんな気がするということも私はODAの信頼を損ねるのではないかという、この疑義についても後でまた御検討いただきたいと思っております。  先ほど大臣が、我が国ODA特異性といいますか特色としていわゆる借款なんですよね、贈与ではなく。これはいわゆる贈与率ということで、他の国々は平均九割方は贈与です。我が国に至っては五割ぐらいなんですけれども、これからもこの高い借款比率というものを見直す、そういった方針は特にはございませんか。
  29. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) ただいまの御指摘でありますが、借款によります経済協力というのは、例えばその途上国発展に必要な経済社会インフラ整備ですね、そういったような大規模に行う場合に非常に意義を有しているというふうに考えます。実際に我が国は、振り返りますと、世銀等からの借款を活用しながら第二次世界大戦からの復興を果たしたという経験を有しておるわけであります。我が国としては、こうした自らの実績も踏まえて、経験も踏まえて、円借款アジア諸国中心に供与してきて、これらアジア諸国経済発展基盤づくりに貢献してきたという経緯もあります。  そして、円借款は、御承知のこととは思いますけれども、道路とか電力、かんがい、上下水道、環境対策等といった、経済成長を通じた貧困削減を目指す途上国の高い開発ニーズ、必要な経済社会インフラ整備、こういったものに対応するということがまずあるわけであります。  最近では、これに加えまして、ミレニアム開発目標の達成に対して貢献する、あるいはイラク復興支援を始めとする平和の構築による国際環境安定化努力に貢献するといったような新たな課題も生じてきているということが言えると思います。こうした新しいニーズが出てまいりますと、すべてに無償資金協力重点的に対応するということは困難でありますので、円借款の積極的な活用を図るということが重要であると、このように考えている次第であります。
  30. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 副大臣がおっしゃられたとおり、この借款比率というのは今後のODA地理的配分という戦略大変影響を及ぼしますよね。やはり借款ですから返してもらわなければいけませんから、ある程度経済が自立しているところ、要はアジア重視になっている、これは非常に密接な関係があるわけです。  ただ一方、今世界的にこのODA大変注目を集めているのがアフリカ地域でございます。このアフリカ地域にもこの三年間でODAを倍増させるという、こういったことも発表されているんですが、先ほど副大臣があえておっしゃった、借款についてはこだわっていくという、このこととこの地理的戦略アフリカとか、このたびソマレ首相がおいでになりましたけれども、太平洋州地域とか、こういった地理的戦略との兼ね合いで、円借款のこの比率とはどうやって整合性を持たせていくのか、この点お聞かせいただけますか。
  31. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) アフリカODAに関しましては、アフリカ開発会議通称TICADと言うんですけれども、これを中心にしてアフリカ支援を行ってこれまできたというのが実績なんですが、いわゆる国際社会の中における対アフリカ支援強化という動きが今黒岩先生指摘のとおり顕著になってきていると思っております。特に、昨年の四月のアジアアフリカ首脳会議においていろいろな御意見が出て、この場で小泉総理の方から、三年間でアフリカ向けODAを倍増するという旨が発表されておられます。  この国際公約実現に向けて目下努力をしているところなんですが、予算全体がどうなるかというところにもこれはよるんですが、アジア地域については引き続き大綱が記しているように重点地域としてやっていきますが、アフリカというのは今まで余り日本としてはそんなに力を入れてやってきたところではありません。はっきりしております、ここのところは。そういった中で、未来というものを結構大いに考えにゃいかぬところだと思いますので、私どもアジア諸国で結構うまくやれたところだと思います。しかし、これはアジア地域性もあったかもしれません。したがって、アフリカに同じやり方してうまくいくかどうかは別です。したがって、そこらのところはよく重点やら何やらよくよく選択した上でやらないとなかなかうまくいかないのではないか。  例えば、アフリカは五十三か国ありますけれども、全体、大まかに言って、GDPだけでいったら三分の一が南アフリカです。三分の一がエジプトとモロッコです。残り五十か国で三分の一ですから。大きさの比率からいくと、国数とは別に、GDPの大きさからいくとそういうことになります。したがって、その中で貧しいところでも、例えば特定の国はこれまでどんなに苦しくても必ず円借の分はきちんと返済してきている国があります。棒引きを絶対言わない。もう頑張って返しちゃうという国というのが幾つかあります。そういったような国々というのは明らかに借りた金は返すという意識がきっちりして、借りた金はもらえるものだというように考えていないという哲学は大事なところです。これは物すごく大事でございます。  ポーツマス以来、日本は間違いなく、借りた金を一回も滞りなく返し切った国というのは多分借りた国の中では日本だけ、これは世界銀行がよく言う話ですけれども。そういう意味では、借りた金は返すというきちんとした当たり前の話ができるというのがきちんとしみ渡っているところとそうじゃないところとの違いというのは、僕は経済とか努力とかいうものには非常に大きく影響すると思っておりますので、日本としては、日本と同じように資源がなくても、資源があるから成功したんじゃない、資源がなくてもうまくいった国というのをきちんと、いい例が我々ありますので、その例をきちんとやっていくというようなことがアフリカに対する考え方を、最初にスタートさせるときはここからスタートさせようということで指示をしたところであります。
  32. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 大臣のおっしゃることは私もよく理解しておりますし、同感でございます。  私があえて申し上げたいのは、この地理的にどう配分するかというのは、これはまさしく戦略です。で、アフリカにすべきかどうかというのは、これは専門家皆さんとも私、意見交換してもこれは分かれるところですから、どうするかというのは専門家皆さん等も含めてどうするかをこの後選択すると思いますが、借款比率というものは、これは私は、あくまでも目標ではなく戦術ですから地理的戦略の中にしっかりと借款比率というこの戦術を踏まえて複合的な外交戦略を練っていただきたい、これは要望として出しておきます。  話を進めますけれどもODAに対する評価というものが国外、国内でも様々なところで行われておるようです。  米国のシンクタンク、いわゆるCGDと呼ばれる世界開発センターが発表しております開発貢献度指数、これも通称CDIと呼ばれていますけれども、これ残念なことに我が国は〇三年、始まって以来三か年連続最下位ですね。で、これ〇五年に至っては、もう明らかに断トツの数値最下位になっている。この評価について、外務省としてはどういう御見解をお持ちか、お聞かせいただけますでしょうか。
  33. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) ただいま委員指摘のアメリカのシンクタンクCGD、これはセンター・フォー・グローバル・ディベロプメントといって世界開発センターですね。ここが開発コミットメント指標というのを、独自の指標を出しております。  CDIというコミットメント・ツー・ディベロプメント・インデックスですね。この独自の指標によりまして、七つ政策分野、これが、援助貿易、投資、移民も入っております。そして環境安全保障技術というこの七つ政策分野先進国ランク付けを行いました結果、日本が三年連続最下位であるというふうになったということは承知しております。  これにつきましては、民間のシンクタンクが独自の手法で援助効果数値化をし、発表したということ自体に異を唱えるつもりはありませんが、これを評価するに当たりましては、この開発コミットメント指標という指標そのもの借款が過小評価されていたり、それから移民の受入れと援助開発に与える影響を同等のウエートで単純に合算してランク付けをしているといったような問題点があると、このように考えております。  したがいまして、この指標先進国開発問題への取組を公正に評価しているとは言えないものと考えておりまして、この指標を用いて国際的な比較を行うことは適当ではないと、このように考えております。
  34. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 私、総論としては、今、金田大臣がおっしゃったことに賛成なんですよ。かなり指標もばらばらですし、なおかつ我が国にとってどう見ても不利なものが同等に取り扱われているところがあるんです。  ただ、副大臣、先ほど異を唱えるつもりはないと、これは実は三年前に古田当時の局長がおっしゃった言葉ですよ。私たちは大いに異を唱えてほしいわけですね。国際の場においては、場においては、自分のことを主義主張でしっかり言わなかったらこれ認めることになってしまうんですよ。これに対して、外務省として異を唱えるなら一体今までどういうことをしてきたのか、このこともお聞かせください。
  35. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 公表すること自体に、民間のシンクタンクが公表すること自体に公表するなというふうに言うという意味において異を唱えるつもりはない、こういうことを申し上げたのでありまして、この評価につきましては、正にこれはこの開発問題への先進国の取組を公正に評価しているとは言えないと、この指標はですね、ということは私どももこれまで何回も指摘をしてきたところであります。二〇〇三年七月、二〇〇三年九月、それからその後も様々な形でこの指標については私どもから指摘をしてきたところであります。
  36. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 個別具体なことは聞きませんけれども、今時点で私が知り得る限り、OECDのセミナーとかで一部の研究者が異を唱える、そういうことを主張するというまで聞いているんですけれども、なかなかまだ公の場でしっかりと唱えていると私のところにはまだ聞き及んでないんで、この点は毅然とした態度で挑んでいただきたい。そうでなければですよ、これ二十一か国のうち、数値を見ると、もう本当に二十位とかなり差を開いて最下位の二十一位ですよ。こんなことがまかり通っているのでは、先ほど冒頭大臣に私が申し上げた、国民の信頼を更に広げていくということに対して物すごいそごを生じると、このことももう本当によろしくお願いします。  ちょっと済みません、時間がないので申し訳ありません。申し訳ない。官房長官を呼んでおりますので申し訳ない。  国内評価で、内閣府の行った世論調査で、これ昨年の世論調査なんですけれども、積極的に海外援助をすべきかどうかというこの質問に対して、大体五分五分なんですね。ただ、過去におきますと、この二十年間でどんどん積極的に活用すべきというものが減ってきています。さらには、余りしない方がいいという数字がどんどん上がってきているんです。  この点におきまして、安倍官房長官は内閣府の世論調査の担当大臣でもありますし、このたびの海外経済協力会議のメンバーでありますので、この国内の評価についてはどうお考えか、お答えください。
  37. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 先ほど先生が御指摘になったように、我が国経済援助国民の税金を主たる原資としているわけでありますので、国民の支持、御理解が不可欠だと、このように考えておりますが、内閣府の世論調査の結果、ここ数年、経済協力に対する厳しい見方が増加傾向にあったことは事実でありますが、最新の調査、平成十七年の十月に実施したものでありますが、積極的に進めるべきだが若干ではありますが増加を、三・三ポイント増加しまして二二%、なるべく少なくすべきだが若干減少しましてマイナス二・六減りまして二三%となっておりまして、この回答理由からも経済協力の透明性や成果に対する国民評価の好転も見られるわけでございます。  いずれにいたしましても、経済協力については積極的に進めるべきだが二二%、現在程度でよいというのが四四・六%でございまして、現在の額も含めて肯定的にとらえているものは六割を超えているというふうに理解をしております。  政府としては、我が国経済協力について引き続き国民の皆様から評価をしていただくべくしっかりと対応していかなければならないと、こう考えております。
  38. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 事実関係は官房長官のおっしゃったとおりです。  ただ、一年単位では上がったり下がったりあるんですけれども、やっぱり何十年掛けてこれが下がっているという、こういうトレンドがあるんで、決して一年の調査で安心することなく、国民の信頼を更に上げていただくよう、これはお願いしておきます。  それで、これは内閣府の世論調査を今、一つの数字で出したんですけれども、私の方でも各新聞の世論調査を分析してみると、中身においては肯定的なものも批判的なものも半々なんですけれども、特に批判的なものの御意見の中で、この存在そのものを否定するという方はそんなに多くないんですよ。むしろ、ODAの運用や実施方法に対しての批判が多いんですね。  この後、私、外務大臣にお聞きしたいのは、私、だから総論としてはODA意義を認め、そしてどんどん増額していってもやっぱり世界的な評価を得ることが重要だと思っておるんですが、今言った運用等については若干の問題があるのではという、こういう私の指摘なんです。  そこで大臣、ちょっとかなり外れたことをお聞きしますけれども大臣のお宅の風呂おけが壊れて水漏れが発生したとします。大臣、まず何をなさいます。
  39. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 風呂おけが壊れたら最初に何をするか。まず水を抜く。まず水を抜かないとどうにも直しようがないから、まず水抜くんじゃないでしょうか。
  40. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 済みません、私のとんちを更に超えて抜いちゃうんですか、抜いちゃうのはまずいんですね。まあ抜くのはいいんですけど、やはり当然その水漏れを修理しますよね。しますよね。水漏れを修理せずに、水が減ったからといって上から、じゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ蛇口で流す、そんな家庭はありませんよね。ここが重要なところなんです。  ですから、今後増額するという、これはまあ私は蛇口に例えるんですけれども、その前にやはり不効率な、ないしは不適切な使われ方とかして水漏れが起こっていたら、これはやっぱり修理しなければいけない、このことは多分御同感いただけると思います。  それで昨今、ベトナムで、ある汚職事件が起きました。これは、あるサッカーくじの多額なこれ汚職ですか、不正事件を追っていたところ、そこに政府の高官が関与していたんです。これは通常PMU18と呼ばれる、これはベトナム交通運輸省の一つの管理局なんですが、この高官が、多いときで月に二億円ものお金をこのサッカーくじにつぎ込んでいた。さらに、ベンツを二百台買いあさって政府高官に献上していたと。しかし、この高官といえど、月々の月給は数百ドル程度だそうです。円にして数万円ですよ。  結局、どういうことかといいますと、このPMU18が管理している世界各国から受けた援助の多額なお金を結局は横領していたんですね、この高官が。このことが明るみに出て、この運輸省の副大臣は逮捕されましたし、大臣も引責辞任しているという、こういう事件が起きました。  これは、もちろん日本政府としても承知している事案ですけれども、このことに対して、これ、我が国からも多額なODAが行って、そこを管理しているところですよ、このPMU18というところは。この事件に対して外務省としてはどういう対応を取られたか、簡潔にお答えください。
  41. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) ベトナム交通運輸省第十八事業管理局、PMU18の高官による汚職疑惑事件につきましては、我が国としては様々なレベルでベトナム政府に対しまして真相の徹底究明と再発防止について累次にわたり強く申入れをしてきております。また、現地大使館を通じまして可能な限りの情報収集に努めておるところであります。  さらに、付け加えますと、PMU18が実施機関である我が国ODA案件が当初予定されておりましたとおりに実施されているかどうかにつきまして技術的な確認を行うために、JBIC及びJICAの関係者が案件管理業務の一環としてベトナムに出張もいたしました。  外務省としても、今後ともベトナム政府の捜査の状況等を見守るとともに、ベトナム政府に対して真相の徹底究明を強く働き掛けて、可能な限りの情報収集に努めてまいる所存であります。
  42. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 この問題は四月の決算委員会でも取り上げられたんですけれども、そのときに、同じく金田大臣はこう答弁しています。PMU18の件に関しまして、ベトナム日本国大使館の方からベトナム交通運輸省に確認したところ、ODA資金については効率的かつ適法に使用されているという回答に接しているわけでありますと。要は適切だと、この時点では認識を国会で答弁されているんですね。  今のお話だと若干認識が変わってきているようなんですが、いつ、どのように認識が変わったのか、お答えください。
  43. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 認識は変わっているわけではありません。ただいま答弁したとおりであります。
  44. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 でも、適正に使われていると答弁しているわけですよ。で、そのときは特に調査等もするとはおっしゃっていません。  しかし、今のお話だと、要は問い合わせて徹底究明するという、徹底究明というのは問題意識があってすることですよね。これは認識が変わられたんではありませんか。
  45. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 若干補足をさせていただきますが、この今回の事件とそのODAとのかかわりということでございますが、先ほど答弁を申し上げましたとおり、私どもの方からベトナム政府に対して、これは事態がどうなっているのかと、あるいは真相はどういうことなのか、そういったことを累次にわたって照会をし、かつ、そこを速やかな捜査を進めてほしいということを申入れをしております。  そうした過程で、そのベトナム側の方から、現在までのところそういう、この問題についてODA資金が流用されたという、そういった事実というものは発見をされていないということをベトナム側が言っていると。そのことについて、先ほど来申し上げているとおり、そのことについては変わっていないということでございます。
  46. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 その回答を受けたのはいつですか。そして、先ほど副大臣がおっしゃった、いわゆる一般の業務として現地に行ったというのは、五月二十一日に行って五月二十六日に帰ってきているんですよ。この時間的な経過について、局長、端的にお答えください。いつその回答を受けて、いつ回答を受けたんですか。
  47. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 先ほどのベトナム側のやり取りでございますが、何度かございますが、一番近いところでは五月二十三日に東京で先方の関係者が訪日をしたときにやり取りをしております。その前にも、五月九日あるいは四月二十六日、そういったことでベトナム側からただいま申し上げたような見解を聴取をいたしております。
  48. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 その五月二十一日から行ったJICAとJBICの人たちというのは、これは調査団と認識してよろしいんですか。
  49. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) これは、JICA、JBIC、これはベトナムでいろいろなODA案件をやっております。今回、いろいろな形で関係の案件についていろいろな報道がなされております。そういったことを踏まえまして、技術的な確認を行うために、JICA、JBIC、いずれも自分の実施をいたしておりますプロジェクトについては、この案件管理、案件をきちっとフォローアップをしていくという必要があるわけでございますので、そういった案件管理業務の一環として出張をいたしたものでございます。
  50. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 局長、お聞きしたことにイエスかノーかで答えてください。調査団かと聞いて、調査団じゃありませんね。だって、これ通常の業務って聞いていますもの。だって、案件を見に行くなんて当たり前です。それやらなかったら大問題ですよ。  実は、この事件が発覚してすぐに、イギリスの援助庁とワールドバンク、世界銀行はすぐに調査団の派遣を発表したわけですよ。このイギリスよりは十倍のODAをつぎ込んでいる、六百億円もつぎ込んでいる我が国ですよ。その我が国が何でいち早く調査団というしっかりした真相究明、何度も言いますが、国民から預かっている税金を六百億円投入している、その国の不正疑惑に対してなぜ調査団をしっかり出さないのか、国民理解できるような御答弁を願います。
  51. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 先ほど来、繰り返しになりますが、私どもとしては、ベトナム側に対して累次にわたりその申入れ、真相究明を求めているということでございます。  現在、ベトナム政府側、港湾部門を中心に捜査を進めているということでございますので、まずはそのベトナム側の真相究明の動向を注視したいということでございまして、これは、当然ながらベトナム側の捜査をある程度踏まえて、それに対して日本政府としてしかるべき調査団を出して、そこできちっとした調査を行うと、もし必要であればですね、それが最も効果的であろうというふうに考えております。
  52. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 何度も申しますけれども我が国国民が納めた多額の税金が使われているというときに、相手国の捜査を待ってからとか、そんな答弁しているようだったら、先ほど安倍官房長官にお願いしたODAの信頼、国民の意識というものが高まるわけないじゃありませんか。  もうこれ時間ないんで、本来、政治家である麻生外務大臣にも国民の納得することを聞きたいんですけれども、このPMU18というのは様々な問題を今まで発覚しているんですよ。例えば、現地の少年がこのPMUが造った道路の鉄筋コンクリートを盗みに行ったと。そうしたら、掘ったら鉄筋コンクリートじゃなくて竹くいが出てきたと。これ日本だけじゃない、海外でもこうやって偽装工事をやってかなりお金を水増ししている可能性とか、どんどん今追求されているんですよ。この点も本当にお聞きしたかったんですが、ちょっと時間がないんで。  それともう一つあるのが、橋の、ロンビン橋ですね、ロンビン橋。これ、現地の報道だと、八メートルの川幅しかないところにODAで百メートルの橋ができたと。現地の人はそこを渡るたびにわざわざ何か上ってから渡らないといけないとか。これは外務省に聞いたら、実は川幅が三十メートルで、民家とかをかわさなきゃいけないんでということがあったんですけれども、これについても様々な問題点、当初の計画が一千万円だったのが一億まで跳ね上がったとか、こういうことがさんざん言われているんですよ。  これについて、外務省として事実関係をどう把握し、お聞きしたいのは、この橋一本に対して一体本当に幾ら使ったんですか。当初の計画の額が幾らで、現実には実績として幾ら使ったのかということをまずお聞かせいただいて、そのうち、今申し上げたこのロンビン橋にかかわる不正に対して、不正疑惑に対して外務省としてどういう対応をしてきたのか、これ簡潔にお答えください。
  53. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) ただいま御指摘のございましたそのロンビン橋でございますけれども、これ全体として、このメコンデルタ地域において相当多くの橋をまとめて改修をするということで、無償資金協力を供与をするということで、全体として三十七億円の供与を行っているものでございます。  これにつきましては、実際にその当初設計の段階からいろいろ調査をやっていく過程で、例えば、先ほどちょっとお話に出ましたが、住民の問題、あるいは、それから地盤が、測定をしたところ、ここへ橋げたを置こうと思ったところが、そこが非常に緩いということで、それを位置を変えたりというようなことで設計変更があったということは事実でございます。  そうした際にも、当然ながら、これはベトナム側、これは事業の実施主体はベトナム側でございますんで、ベトナム側の要望に応じて、日本側もそれをきちっと審査をして、JICAもそれでいいということでそういった設計変更を行ってきたということでございます。  全体のコストの問題でございますが、これ、先ほど申し上げました、これは全体プロジェクト、その二十の橋梁建設と、それからほかにいろんな橋の資材供与の一部として行っておりますんで、その個々の、この橋ごとに幾らという形でのそのコストということでは少なくとも私の手元にございません。
  54. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 麻生大臣、今お聞きになられてどうお考えになりますか。いいですか、日本で橋を五十本架けてまとめて五十億だなんて、こんなことを国会で報告して通ると思いますか。これこそ海外で行われている、繰り返しますが、我が国の税金から行っているお金をどうやってコスト管理しているかという話がこれ全くできていないことの証左ですよ。五十本まとめて幾らなんて、橋を、そんなもの大根のまとめ売りじゃないんだから、こんなことをやっているようでは、これを今平気でこのODA特別委員会で答弁しているんですよ。この状況をまず改めるところから私は外務省皆さんにはお願いしたい。  で、もう時間ないんで、これ、実は今の橋も先ほどの竹のくいが出てきた道路も、これ同じコンサルタント会社が絡んでいます。大変このODA関係では有名なあのPCIですね、パシフィックコンサルタンツ、何でしたっけ、インターナショナルだ、これなんですよ。これ大変、不正が発覚して、もう多額な受注を受けているところですね。これが、この会社が十八か月も指名停止になりました。それがこの三月二十日に解けてしまったんですよ、幸か不幸か。この三月二十日以降はどうなんですか。もういきなりPCIは受注しているんですか、ODAを。しているかどうかだけお答えください。
  55. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 先ほど御指摘がございましたが、三月二十日で、それまでのその十八か月間これは指名停止措置が続いていたわけでございますが、三月二十日をもって解除をされたということでございます。そういう意味では受注をしておりますということでございます。
  56. 黒岩宇洋

    黒岩宇洋君 もうしているんですよ、アルゼンチンでもフィリピンでももうしているんです。  先ほど申し上げた竹のくいだとか今の橋とか、これはまだ不正案件には入っていないんですよ、入っていないんですよ。だから、こういう調査を全然せずに、疑惑が起きても調査をせずに、そのまま指名入札を再開しているんですよ。だから、これでは大臣、水漏れが止まりませんよ、止まりません。しっかりと水漏れを防いでからでないとお金は注げませんよ。  これの検査という意味で、今日、会計検査院に来ていただいていますけれども、様々な、今後いろんな調査をすると思うんですけれども、これはもうお願いでとどめておきます。済みません。ベトナムでもこういう案件、不正の疑惑が起こっていますんで、会計検査院としても、これはもう会計検査戦略上、どこに調査に行くとは言えないでしょうけれども、ベトナムでこういうようなことがあるということを頭の隅に入れていただいて是非行動していただきたい。このことをお願い申し上げて、で、私ちょっと自分の持ち時間使い過ぎたもので、とにかくODAをしっかりしたものにしていただくということをお願い申し上げて、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  57. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲でございます。  まず、先日のインドネシア・ジャワ島中部を襲った地震におきまして、多数の被災者の皆様に対し、謹んでここでお見舞いを申し上げます。  さて、ここで今回の地震につきまして、日本政府が緊急無償資金協力として拠出することにした約一千万ドルについてお聞きしたいんですけれども、このお金はどのように使われるものなんでしょうか。
  58. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 今回のインドネシアにおける地震災害に対しましては、今、白先生お話ございましたように、日本政府として緊急の支援ということで一千万ドルというその供与を表明をいたしております。これは当然、今回の災害に向けて必要となるその必要な資材、物資の購入あるいはその後の施設の整備、そういったものに使われるということでございます。
  59. 白眞勲

    ○白眞勲君 そのほかに約二千万円相当の緊急支援物資を送るということですけれども、この違いというのはどこにあるんですか。
  60. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) この二千万円相当の物資につきまして、これは現物としてインドネシア側に、私ども具体的にはJICAが保管をしております物資を現物としてインドネシア側に届けるというものでございます。  先ほどの一千万ドルは、資金供与を行いまして、それによって必要な物資あるいは資材を調達するというものでございます。
  61. 白眞勲

    ○白眞勲君 実は私、昨日までインドネシアに行っておりまして、日本が緊急無償支援資金協力として一千万ドルを拠出したというニュースというのは現地の方々ももう知っておりました。そういった面では非常に印象深いなということだと同時に、やはり私たちはアジアの友人としましてこのような対応というのが重要なんだなということも改めて痛感したわけでございます。  ところで、ここで、一昨年起きました、これもインドネシアのあの地域で起きたインドネシア・スマトラ沖地震の支援状況につきましてお聞きしたいんですけれども、その折、日本援助は百四十六億円行われました。現在、そのうち支払われた金額は幾らになるんでしょうか。時間が限られているんで、金額だけで結構でございます。
  62. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 現在、五月二十六日現在でございますが、支出が確定した金額が約八十二億円、そのうち実際に契約業者に対する支払が完了した額が約三十二億円となっております。
  63. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、百四十六億円の中から八十二億円が取りあえず行き先が決まっていると、で、実際に支払われた金額、百四十六億円のうちの三十二億円しかないということだと思うんですね。そうすると、百四十六億円の中から八十二億円を引いた約六十億円というものは今どうなっているんでしょうか。
  64. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) これは、百四十六億円につきましては、インドネシア側との間でどういうプロジェクト、どういう事業、あるいはどういう資材に使用するかということについてはすべて決定をいたしておりますが、当然ながらいろいろなプロジェクト、建設をする、あるいは資材の調達をするということで、どうしてもその調達手続、入札手続、あるいは設計の手続、いろいろな手続がございます。  先ほど申し上げましたが、その契約が、支払が完了したものあるいは支出が確定したものというものは、そういう意味では業者契約がその入札等の手続を経て完了したものということでございますが、それに至らないが、まだ手続中のものがまだその分残っているということでございます。
  65. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私聞いたのは、その約六十億円ですね、残っている六十億円というのは今どこにあるんでしょうか。
  66. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) これはインドネシア政府の下にその調達代理機関としてJICSというものが雇用されているわけでございますが、そのJICSが管理をしている口座にございます。
  67. 白眞勲

    ○白眞勲君 JICSさん、いらっしゃると思うんですけれども、現在その残りの六十億円、約六十億円、それと支出が完了まだしていない、支出していないお金も大分ありますよね。三十億円としてまだ約百億円、まだ百億円ぐらいがJICSの口座に眠っているというか、置いてあるという形になりますよね。これ利子は今幾らになっているんですか。
  68. 佐々木高久

    参考人佐々木高久君) お答えします。  現在までに利子は約六万円付いてございます。この利子につきましては供与資金に繰り入れて援助資金の一部として使用いたします。
  69. 白眞勲

    ○白眞勲君 もう一年以上たっているのに六万円しか付いてないんですか、もう一度お聞きいたします。
  70. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) このノンプロ無償、百四十六億円につきましては、日本政府からまずインドネシア政府の口座に支出をされます。その上で、使途が決まったものについて、先ほど申し上げましたJICSが管理する口座に移るということでございます。  ちなみに、このJICSが管理する口座ということは、通常の言わば決済用の口座ということで、その口座につきましては金利は付きません。
  71. 白眞勲

    ○白眞勲君 でも普通は、いわゆる普通の会社でいう当座預金ということですよね、そうしますと。そうすると、これ百億円が一年間以上も眠って、これ国民の税金ですよ、これも、さっきの黒岩さんの話じゃないですけれどもね。実際にこうやって支払われる金額がまだ残り、それだけのものが残っていて、これ利子が一%としたって一億円ですよね、年。そうですよね、一億円。それが六万円でございますってさあっとこう言われちゃうと、私もこうちょっと、ずっとこけちゃう部分があるんですけれども、これってどうなっているんですか。それでよろしいと思いますか、大臣
  72. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 金利がたくさん付いた方がいいに決まっていますけれども、それはなかなかそうだけとは言い難いんで、当座預金、日本でも付きませんし、百四十六億定期で預けているわけではありませんから、それはなかなかちょっと、六万円がけしからぬという話を言われたいのかもしれませんけれども、システムとしてそうなっておるんであればやむを得ぬのじゃないでしょうか。
  73. 白眞勲

    ○白眞勲君 やっぱり、支出にしても何月何日に支払うということが決まっているのと、それが大体このぐらい、三か月後だな、六か月後にこれは払われる金額だなというのが決まれば、その間は私は普通の、例えば麻生大臣だって百億円もし持っていらっしゃったら、それを当座預金に入れないで、三か月だけでも大型の、何ですか、定期預金、大型顧客というんですか、大口顧客、大口顧客の定期預金に入れようじゃないかと普通は考えると思うんですけれども、それは自分の金だからであって、やっぱり何か何となく、何か人の金なんだよねみたいな感じになっているので、意識があるんですけど、この辺ちょっと、もうちょっと気合を入れてやっていった方がいいんじゃないかなと思いますけど、大臣どうでしょう。
  74. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、白先生、資産運用で金をもうけようという発想が基本的には役人にはないんだと思いますけどね。僕は、元々そういう人たちなんだと思うんですね。ですから、今こうすればいいんじゃないかという知恵があれば、そういった知恵を教えておあげになると、それを運用してやる、稼ぐことは知るかもしれませんけど、そういう知恵を持っているやつが役人になりますと逆に余り危ない橋渡るようなことになりかねませんので、そういったのは安全に安全にということになるんで、資産運用でどうのこうのしようという気は余り基本的にはないんじゃないかなというのが背景かなと思いました。
  75. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私は別に株式みたいに非常に危険なものに運用しろと言っているわけじゃなくて、元金保証とか、そういったところのそういう定期に入れるくらいのことはやってもいいんじゃないかということを申し上げているわけなんですね。  その辺は是非これからよくやはり工夫していただいて、せっかくの国民の税金、そして百四十六億円が一億円でも二億円でもこれインドネシアの人たちのために使われるのが増えるんであるならば、それはそれで私はこしたことないというふうに思っておりますので、是非その辺は御認識していただきたいなというふうに思っております。  そういう中で、医薬品がその中に、百四十六億円の中に入っているかと思うんですけれども、この受渡しというのはいつになりましたでしょうか。  早く答えてくださいよ。
  76. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) だれかな。
  77. 白眞勲

    ○白眞勲君 質問通告していますよ。
  78. 佐々木高久

    参考人佐々木高久君) お答えいたします。  医薬品につきましては、アチェ州の全域の二十三か所に約百二十種類の医薬品を配布する事業でございますけれども、昨年の七月に業者契約を締結いたしまして、八月上旬から納品が開始され、九月末にすべての納品が完了してございます。
  79. 白眞勲

    ○白眞勲君 皆さん、今お聞きになったと思うんですね。一昨年の十二月の津波、それの一月に百四十六億円が決まって、実際に医薬品がすべて届き、七月から契約を始めたんですよ、六か月後に契約を始めて、医薬品の、それで九月にすべての医薬品が出されたと。当然、何かの理由があってそういうふうになったと思います。私も、それは外務省さんからも説明をいろいろ聞きました。  でも、また今回このような地震が起きて、毎日報道で、水、医薬品、テント、食料が足りない足りないというような、もうこれ本当に一刻を争うようなこういう今状況にもなっているわけなんですね、今回の地震。ですから、もう過ぎてしまったことだけれども、今回は是非そういうことのないように、私も国民の一人としてアジアの友人に対してなるべく早く届けていきたいという気持ちがあるわけですけれども、官房長官、政府としてどうお考えでしょうか。
  80. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 今回の地震に対する援助につきましては、ただいま委員からいろいろと御指摘がございました。  スマトラ沖地震の際の援助について、もし反省すべき点があればしっかりと反省し、生かしながら教訓を生かしていきたいと、このように思っておりますが、今、私も今日初めてこのやり取りを聞いたわけでございますが、そこのところはしっかりと督励をしていきたいと、このように思っております。
  81. 白眞勲

    ○白眞勲君 初めて聞いて、多分驚かれた部分もあるんじゃないかなというふうにも思うんですけれども、今、一応一千万ドルですよね。たしか一千万ドル決めているということですけれども、今後、追加ということは考えているんでしょうか。その辺につきまして官房長官、お答えいただきたいと思います。
  82. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 現在、死亡者数、死傷者数の数も増えているわけでございまして、現地のニーズ、状況等をしっかりと把握し、また検討していきたいと、このように思っています。
  83. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非、本当によく検討していただきたいと思うんですね。  一応二千万円相当の品物というのをすぐに、迅速に対応されたということはいいかと思いますし、また、自衛隊ももう入ったということも聞いております。そういう面では非常に迅速に動いているなというふうにも思うんですけれども、もうこれは早いにこしたことないというふうに思いますので、安倍官房長官もこの委員会が終わったらすぐにまた戻って、どうしようかということを検討していただきたいと思います。  もう一度、もう一度御答弁お願いします。
  84. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 必要な物資は必要なときに届かなければ意味がないわけでございますので、当然緊急性のあるものについてはしっかりと必要なときに届くように我々も手配をしていくべく努力をしていきたいと思っております。
  85. 白眞勲

    ○白眞勲君 その中で、前回の、私、このODA特別委員会で財務省の竹本副大臣が、一昨年のこの津波に関しまして、インドネシアのこの津波に関連して、財政面において、このインドネシアの財政面において十分配慮しながらこれから対応していきたいというふうに御答弁されているんですね。  財務副大臣にお聞きしたいんですけれども、今回の地震も相当ひどい状況になりましたよね。また、報道によりますと、インドネシアの、何ですかね、GDP、二〇〇六年の一月から三月のGDPが、実質国内総生産率が四・六と。通年目標の六・二から大分低いという中での今回の地震だということで、元々財政負担も三十億ドルを超えているという非常に大変な状況だと思うんですけれども、今後、日本の対インドネシア円借款について、副大臣としましてどのような考え方を持っていらっしゃるんでしょうか。
  86. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) 今般のまずジャワ島の地震発生直後に白先生、現地に足を運ばれたということに心からまず敬意を表したいと思います。  一昨年のスマトラ島沖の大震災の折に私も谷合参議院議員とともに発生後三日目に現地に行かせていただきまして、やはり現地に行かなければ分からないなということが多かったわけでございます。その点も踏まえまして御答弁させていただきたいと思いますが。  まず、やはり何をおいても緊急的な対応ということは、先ほど外務省から御答弁ありましたように、今回、総額一千万ドルの無償資金協力の実施と約二千万円相当の緊急物資の提供及び緊急援助医療チームの派遣をなされたことでございまして、これはやはり一番大事なことではないかというふうに思っております。  円借款を通じての復興支援につきましては、今後、外務省中心関係省庁集まりまして、現地の被害状況また復興需要及び先方の政府の要請等々を見極めながら我が国としては検討してまいりたいと、そう考えておるところでございます。
  87. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非、今後またよく配慮して前向きにこの辺りの検討というのをしていただきたいというふうに思っております。  今お手元にお配りしました資料をごらんいただきたいと思うんですけれども、まず三枚目の方から行きたいなと思っているんですけれども、英語で書かれているように見えるけど、実はこれインドネシア語でございます。  これは実は私がBAPPENAS、インドネシア開発企画庁から受け取った資料でして、何が書いてあるかというと、その百四十六億円のそれぞれの内容というもの。この内容はこれ英語で書かれているんで、表に、見ていただければよくお分かりになるかというふうに思います。  それで、ここで一つ聞きたいんですけれども、何ですかね、この下にあるJICSフィーって書いてある、三億一千百万ですね、これ。これ見ると、前の御答弁では、百四十六億円の、JICSのいわゆる手数料というのは二%プラス二千五百万円ぐらいだという御答弁だったんですけど、これを見ますと、そのJICSのフィーを入れてトータルが一番下の表なんですけど、一二五四六という数字が出ているわけですね。つまり、残りのこの二〇五四、この二十億円を除いてこれ見ると、JICSの手数料になっているんですけれども、ちょっと変じゃないでしょうか、お話、今までの御答弁とですね。つまり、二%だったら、二%プラス二千五百万円で、合計で三億一千百万円なら、この二十億円を、最初からこの二十億円を入れたら、三億一千百万なら分かるんですけれども、そうじゃないんで、三億一千百万がここに書いてあるというのはどういうことなんでしょうか。
  88. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) ただいま白先生から御提示がございました資料につきましては、これは四月の時点だと思いますが、その時点でインドネシア側が、大体こういうものを考えているということでリストアップをしたということでございまして、これで全部確定をしたとか、あるいはこれですべて網羅をしたということではないわけでございます。  したがいまして、先ほどのお話にございました二十億円という部分については、まだそこはきちっとこの段階では使途が確定をしていないということでございますが、先ほどのそのJICSのフィーという部分も、その意味では全体を想定をして、全体としてその契約が行われた場合に幾らになるかということを計算をして、そういう意味では二十億円、契約が進んでそれも実施されるというその場合に、フィーが先ほど二%で幾らになるか、それプラス二千五百万円、それを足すとこの数字になるという、そういう想定をした額でございます。
  89. 白眞勲

    ○白眞勲君 ほかの方は、想定といっても相当大ざっぱな表なんですよ。JICSさんのフィーだけがぴたっと決まっているんですね、これ。  ですから、普通は、私は表として書くんであるならば、この横にJICSフィーがそれぞれのあれによって二%ですよということを書いて、最後にこんなになりますねというのはいいんだけれども、この表を見ると、まるでもうJICSのフィーだけが最初に、いただくものだけは何かいただこうみたいな、そういうイメージしか与えてないんですよ。それをどうお考えになっているんでしょうかということなんですよ。
  90. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) この表は、インドネシア側が自分たちでどういう案件を考えているかということで、インドネシア側の言わば概算計画表ということでございまして、私どもがこれをこう書けということで指示をしたということでもございませんし、これはインドネシア側が、このJICSに対するフィーが、先ほど私、全部その契約がこのとおり全部埋まった場合ということを申し上げましたが、そういった場合に、言わばこの上限額としてこれだけになる、言わば上限額としてこれだけ取っておかなきゃいかぬねということでインドネシア側がそこにセットしてある数字ということでございます。
  91. 白眞勲

    ○白眞勲君 何かあると、何かインドネシア側がやったからさというような感じのニュアンスしかちょっと取れないんですけれども、じゃ、この資料を持って、四月の十二日に日本大使館の渡邉公使、あるいは外務省さんが言うには飯村さんも、飯村大使も一緒だったということなんですけれども、四月の十二日にアルウィ大臣のところにこの資料を持っていっているわけですね。  ということは、インドネシア側の資料だ資料だと言っても、日本側がアルウィ大臣に持っていければ、これは日本側が持っていった資料にしか見れないと思うんですよ。日本側がこういうものを持っているというふうにニュアンスとして取られかねないと私は思うんですけれども、どういうふうに思われますか。
  92. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) これは、確かに四月の十二日に大使の飯村がアルウィ大臣と面会をした際に、確かにこの資料を用いて説明をしているということがあると承知をいたしております。  他方、これはちょうどこの前日、四月十一日にインドネシア側から提示があった資料ということでございまして、アルウィ大臣に、全体として今こういうことで考えられていますということを説明する上で一番適当な資料ということで、大使の方がアルウィ大臣のところにお持ちをしたということだというふうに理解をいたしております。
  93. 白眞勲

    ○白眞勲君 そこで、このお手元の一枚目と二枚目の資料を見ていただきたいと思うんですが、これは外務省のホームページの資料なんですけれども、特に二番目、三番目ですね、ごめんなさい、三番目のところが、この資料①はこれ二月の二十七日の時点では、ちょっと読みますと、昨年四月の十二日、インドネシア側のアルウィ大臣から渡邉公使に対して追加の要望を伝えたにもかかわらず、結局受け入れられなかったという指摘がありますが、事実関係はどうなっているのですかという答えに対して、そのような事実は一切ありませんということで、ばちっとこう言ったわけですね。  それで、それに対して私は、三月のたしか二十三日の日に聞いてみたら、飯村大使も一緒に行っているからこういう答えじゃおかしいんだと、渡邉公使も実際にはアルウィ大臣と会っているわけだということが、今、佐藤局長の御答弁であった、その翌日がこの②の部分でして、②になると、これは本当は二十四日ということですが、私の質問の翌日に、早速補足説明みたいな形で、二番目と三番目を付けてくださって、こういうことですということを書いていただいたと。これは私は国民に対して説明非常にいいなというふうに思うんですけれども。  そこで、この三番目の、飯村大使とアルウィ大臣意見交換においてはということ、それがその二番目についての、アルウィ大臣が渡邉公使に対して津波被災支援につき追加の要望を伝えたという事実、こういったものを一切受けていませんということをおっしゃっているわけなんですけれども、私がアルウィ大臣とお会いして直接聞きましたところ、その折、やはりインドネシアの日本大使館の渡邉公使とお会いして、この表にあるのとは別の新しい、つまりさっき持ってきたあの表がありますよね。そこには確かにVOCセンターと書いてあるんですよ。  で、十番目ですね。③の十番目にサポート・フォー・ボケーショナル・トレーニング、これはつまり職業訓練センターをサポートすると書いてあるんだけれども、その一番下の数字の二〇五四、つまり二十億円がまだ残っているから、この新しい職業訓練センターをそれを使って造ってくれんかというふうに言ったと、アルウィ大臣がですね。それに対して渡邉公使は、いや、それはなかなかいいアイデアだから考えましょうという答えをしたまま何の返事もないんだけどねということなんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。
  94. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 私ども承知をいたしておりますのは、この四月十二日の面会の際、これは大使の飯村がアルウィ大臣のところに面会に訪れ、そのときにアルウィ大臣といろいろお話をしたと。それで、先ほどの、飯村大使が職訓センターを訪問をした報告とか、あるいは防災対策の必要性とかいろいろなお話をしたということでございますが、その面会の際にアルウィ大臣の方から、個々の具体的な案件について、インドネシア側から追加の要望としてこういうことをやってほしいということがあったというふうには私どもは一切聞いておりません。
  95. 白眞勲

    ○白眞勲君 恐らく佐藤局長、今もおっしゃったように、承知しておりません、聞いておりませんということだと思うんですね。これもう佐藤局長のお立場からすれば、聞いても、向こうからそう言われたらそう答えざるを得ないと私は思うんですよ。  で、公電もあるということですから、是非公電の方、一応出していただきたいと思います。
  96. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 私ども申し上げているのは、私どもとしてその公電によってその承知する限りのすべてを申し上げている、先ほど私が申し上げたのは正にその内容でございます。
  97. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、その公電を出してくださいと言っているんですけど。
  98. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 私として内容についてきちっと説明をしているということでございます。内容は以上のとおりでございます。
  99. 白眞勲

    ○白眞勲君 公電あるというふうに前回の外交防衛委員会でおっしゃっているじゃないですか。公電出していただきたいと思うんです。お見せいただくことはできないんですか。──じゃ、委員長、是非これをお願いいたします。
  100. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 後刻理事会でこの点について協議をさせていただきます。
  101. 白眞勲

    ○白眞勲君 実は、私、皆さんのお配りしたペーパーとはちょっと違うんです。ここにこう書いてあるんですけれども、ここに、実はアルウィ大臣が自分の字で書いたやつなんです。それを持っているんですよ。そこには、ニューVOCトレーニングというふうにここにちゃんと書いているんですね。それで、それに対して、ウィー・ウィル・コンシダーという言葉が書いてあるんですよ。これ、アルウィ大臣書いたって言うんですよ、自分で。あっ、そうだ、そうだと言っているんですよ。  ですから、これ佐藤局長さんは今承知しているということですから、これ、委員長、是非、これもう佐藤局長さんじゃかわいそうなんですよ。ですから、ちょっとインドネシア大使館の渡邉公使あるいは飯村元大使を委員会に呼んで一度お話の方を聞きたいと思いますので、よろしくお計らいお願いいたします。
  102. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) この点につきましても、後刻理事会で協議させていただきます。
  103. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、私が申し上げているのは、問題は、これは相手国の大臣の執務室で日本の大使の人間が、日本大使館の人間が話した、そして、それに対して向こうの大臣が要望についてそのままになっているというのは非常に外交的な非礼を伴うことではないかなというふうに、もしこれが本当であるならば私はそういうふうに思っているんですよ。  だから、ここを徹底的に私はやっていかなきゃいけないなというふうに思っておりますので、是非、大臣、下向いていますけど、よろしくお願い申し上げます。
  104. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、佐藤に御同情の言葉をいただきましてありがとうございました。立場がたがうとなかなか、そこの現場にいなかった人間としてはなかなか答弁のしづらいところはよくある話なんだと思いますけれども、きちんと調べて対応させていただきます。
  105. 白眞勲

    ○白眞勲君 前向きな御答弁、本当にありがとうございます。  それで、最後にちょっと会計検査院に、あとちょっとだけお願いしたいんですけれども、今も黒岩委員からもありました。やはりこういった問題、ほかにもいろいろなやっぱりODA、この関係について調査しなければいけないことは一杯あると思うんです。会計検査院としてこのODA、これ日本国民で行われている税金ですけど、どのぐらい、どの程度のチェックを会計検査院としてしているんでしょうか。お願いいたします。
  106. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) お答えいたします。  ODA事業につきましては、我が国が多額の予算を投じて実施しているということでございますので、それで国民の関心も非常に高いということから、我々も外務省国際協力銀行、国際協力機構などを対象に検査を実施しておりますとともに、場合によりましては援助の相手国に職員を派遣しまして現地の調査を実施しておりまして、その結果、その援助効果が十分発現していないのではないかというような状況を検査状況として検査報告に掲記してきているところでございます。  個々の事業におきまする実際の入札、契約等につきましては、これは相手国実施機関で行われるものでございます。したがいまして、それについて直接相手国を検査するという権限はないということは御理解いただきたいのですが、我が国の多額の予算を投じて実施されているということはそのとおりでございますので、適切な手続に従って経済的、効率的に行われることがやはり重要であろうというふうに考えております。
  107. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 白君、時間が来ております。
  108. 白眞勲

    ○白眞勲君 最後になります。  官房長官にちょっと最後にお聞きしたいんですけれども、私、こういった今、黒岩委員問題点というのも指摘されました。やはりこれは政府として、やはり外務省の組織ももちろんそういったもので、あるいは会計検査院も頑張っているという中で、政府として官房の中にそのような新たなチェック機関というものもつくる必要性があるんではないかなと私は思うんですけれども、官房長官、最後に御見解をお願いしたいと思います。
  109. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 効果的なODAの実施のためには、事業実施後の評価を適切に行い、その後の改善につなげていくことが重要であるというふうに認識をしております。また、評価に当たっては、客観性を確保する観点から、政府外の第三者の関与を得ることが重要ではないかというふうに考えておりますが、このような考えに基づきまして、ODAについては政策プログラム及び個別プロジェクトの評価を行っております。その多くについては、外部有識者並びにその他の援助国及び被援助国の関係者の関与を得て実施をしております。  外務省においては、学識経験者やNGO出身者などから構成されるODA評価有識者会議評価を実施しているところでございまして、そういう意味におきましては、委員が御指摘された、また御懸念をされましたように、いろいろな問題があればそうしたところにおいて第三者の目が入るということではないかと、このように思っております。
  110. 白眞勲

    ○白眞勲君 終わります。
  111. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合正明です。  まず、ジャワ島の中部地震の方から質問させていただきたいと思います。  政府におかれましては、このたび、十一億円の無償資金協力並びに支援物資の決定、また国際緊急支援隊の派遣、並びに今般、自衛隊の医療支援の派遣といったことを迅速に決定していただいたと。そういったことに対しましては、高く評価したいと思います。また、現地の大使館の方におかれましても、日本大使館員が即座に現地入りする、またジョグジャカルタの方には連絡事務所を建設する予定だとも聞いております。そういった迅速な対応が今必要だろうと、そのように私も思っております。公明党の方も、日曜日に対策本部を立ち上げまして、昨日、冬柴幹事長、また本委員会委員でもありますけども高野委員が現地に入りまして、本日現地入りする予定でございます。  いずれにしましても、この迅速な支援、また緊急支援だけでなくて、例えば被災を受けたところには、世界遺産に指定されている仏教遺跡でありますとか、あるいはヒンズー教の寺院があるとか、そういった文化財の修復といったことを含めて復旧・復興支援に積極的に貢献していただきたいと、そのことをまず要望させていただきます。  質問をさせていただきたいのは、やはり初期の情報収集というものが大事であろうと。迅速に対応しているのは、もうこれまでの蓄積で大分そういうことができているんだろうと私も思います。ただ、初期の情報収集におきましては、これはまだまだ改善の余地があると思っております。特に、情報収集するための人数が現地で足りているのかとか、あるいは現地に早速入っているNGOなどと情報のシェアリングはできているのか。緊急物資を提供するということだけじゃなくて、情報収集を支援するといったことも考えられるのではないかと思いますが、この点についてお伺いいたします。
  112. 梅田邦夫

    政府参考人(梅田邦夫君) お答えいたします。  今先生の御指摘のありました情報につきましては、それが極めて重要であるということはまさしくそのとおりだと思います。    〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕  その観点から、先ほどもお話がありましたけれども、地震が発生した二十七日にジャカルタの大使館に対策本部を設けるとともに、大使館員三名及びJICAの職員をジョクジャカルタの方に派遣いたしました。それで、現時点では、ジョクジャカルタの方には館員が六名、それからJICAの職員も駐在して、情報収集それから支援活動に努めております。  それから、NGOの方でございますが、既に日本のNGOは八つ現地に入って活動をされておるということで、現地の政府の事務所と緊密に連携を取りながら活動をしております。今後、更にNGOの方で現地に入るという情報もございますので、引き続き緊密な情報の交換、収集というものに官民合わせて努めていきたいと思っております。  以上でございます。
  113. 谷合正明

    ○谷合正明君 しっかりやっていただきたいと思います。  次に、対中国円借款について質問をさせていただきたいと思います。  まず、外務大臣にお伺いいたしますが、中国の円借款の供与につきましては、昨年、日中両国間で、オリンピックの年、二〇〇八年、開催前に打ち切るということで合意をしているわけでありますけれども、平成十七年度分の円借款の供与については今年三月末ですね、通常三月末に閣議決定するのを、これが見送られたというわけでありますが、まずこの見送られた理由について説明をいただきたいと思います。
  114. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、対中国の円借款につきましては、日中関係取り巻きますいろいろな事情がありまして、これを受けて政府内部の調整にいろいろ御意見を拝聴させていただいて、その結果として年度内の供与の決定というのを見送ったというのが背景です。諸般の事情をいろいろ勘案したというように御理解いただければと存じます。
  115. 谷合正明

    ○谷合正明君 その後の報道では、五月以降に対中円借款の閣議決定を行うというふうな報道も一部出ております。無償資金協力についても、これも打ち切る方針が固めたというふうな報道もあります。  まず、こういったことを今後決定するのを、恐らく海外経済協力会議、新設された海外経済協力会議でそれこそ戦略的に判断されていくんだろうと思いますが、五月八日に第一回目の会議がありましたが、この会議の中で対中円借款のことですとか無償資金協力の打切りについて議論されたのか、またあるいは、今後、対中ODAについてどのように取り扱っていく予定なのか、この点について官房長官にお伺いいたします。
  116. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 海外経済協力会議の中で議論した中身につきましては、相手国との関係上、外交上の機微に触れることがあります。また、閣僚間の自由な意見交換を活発化させ、機動的、実質的な審議を推進する観点から、審議内容は非公表としているところでございますが、今委員御下問の対中円借款につきまして、では、この協力会議におきまして、海外経済協力会議におきまして議論するかどうかという御下問でありますが、今後、海外経済協力会議において対中経済協力を取り上げる方向で考えております。  その際には、日中関係全般を総合的に勘案をし、環境やエネルギー等の戦略的な視点を踏まえつつ議論をしていきたいと、こう考えております。
  117. 谷合正明

    ○谷合正明君 ありがとうございます。  そこで今、日中の関係全般について考慮するということでありましたが、先日、カタールのドーハで日中外相会談がございました。その際、日中関係の改善の流れができつつあるということで、そういうコメントを外務大臣の方からいただいていると思います。  この三月に閣議決定見送りとした際の理由として、今外務大臣の方から諸般の事情というような御答弁ございましたが、実際にこの日中関係の改善の流れができつつあるというふうに、この日中外相会談の後、そのように言われております。これはつまり、この円借款の閣議決定ができる素地というものが醸成されてきたという認識として承っていいのか、その点について外務大臣にお伺いしたいと思います。
  118. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 遠く十一時間半掛けて会ったことになるんですけれども、その会議の結果がまあ従来の感じとは少し変わってきたものになりつつある、流れができつつあるなというのは、正直な実感ではあります。  これまでありました日中外相会談という、かなりとげとげしかったりぎすぎすしていたものとは大分変わっていたというのが過去何回か同席した人の評価ですから、そういった形になってきていると思いますので、状況としては少し改善しつつあるとは思いますけれども、それが直ちにこの円借款のあれに直ちにつながるかどうか。これは先ほど官房長官の言われましたいわゆる経済協力会議等において検討させていただきたいと存じます。    〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕
  119. 谷合正明

    ○谷合正明君 いずれにしましても、見送りについても理由が求められるわけでありますし、また再開に当たってもこれまた理由が求められるわけであります。それ相応の、それが公表できるかどうかは別としてロジックが必要だと私は思います。国民が注目している、ある意味注目をしてしまったというか、注目しているこの円借款の問題についてはやはりタイミングというものが大事だと思います。  あと、円借款につきましては、今は環境と人材育成といったところに、あるいは植林だとか、そういったところにもう限定されているわけでありまして、そういったことも総合的に考えていただいて、いずれにしましても、私個人としては、もうそろそろ決定していただいていいのではないかと、そのように思います。  今、海外経済協力会議についてお話が出ましたが、これは原則非公表だということは重々承知しておりますが、ただ余りに情報がないもので、幾つか確認させていただきたい点がございます。  まず、この会議は、第一回目の会合が五月八日に開かれましたが、今後どういったペースで開かれていくんでしょうか。
  120. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 本会議につきましては、外交日程を勘案しつつ機動的に開催することを基本としておりますが、当面はおおむね月に一回程度を、一回程度を目安に開催する方向で検討をいたしております。
  121. 谷合正明

    ○谷合正明君 この会議につきましては原則非公開となっていると。これは海外経済協力に関する検討会の報告書の中でそのように提言されたわけでございます。外交上の機微に触れることもあるので、先ほど言われたとおり、その審議内容というものは原則非公開だと、非公表だということでございますが、ただ一方で、国民に開かれたODAという考え方もございます。  第一回目の開催につきましては、本当に日時と場所と議題と出席や、もう簡単に書かれたようなものしか公表されておりませんでして、私はもう少し何か情報あってもいいのかなと思うんですね。  特に、海外経済協力に関する検討会、同じ報告書の中には、この海外経済協力会議の審議の結果は適切な形で国民に報告されるべきと書いてあるわけでありまして、少なくとも事後の報告につきましてはもう少し詳しいものを出してもよいのではないかと思うんですが、この情報公開の在り方について、官房長官にお伺いしたいと思います。
  122. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) この海外経済協力会議を設置をした目的というのは、先般、有識者によるODAの在り方の懇談会におきまして司令塔機能を持った会議を設けるべきであると、それは官邸の中に置いて、そしてそこで基本的に、総合的にODAについてそこが司令塔となって、そこでしっかりとした戦略的な議論をしていくべきであろうと。もちろん、人類の理想を追求をするというこのODAの本来の大義がありますし、目的があります。そして、それと同時に、国民の税金を原資としている以上、国益との関係、その中では戦略的な使われ方がしているかどうかという観点から率直な議論、協議をしていこうということで、この会議が発足をしたわけでございます。  そして、その中身について非公表の部分が多いということにつきましては、先ほど申し上げましたように、相手国との関係、外交的機微にわたった議論もしていこうということもございますし、その中で自由濶達な議論をしていくことによって初めて戦略的なこれは議論も深まっていくのではないかと、こういうことでございます。  しかしながら、もちろん我々といたしましても、国民に対して政府が決めていく方針について透明性を担保しなければいけないという義務もございますので、会議の開催日程と議題については前日に公表をいたします。また、会議後、官邸のホームページにも掲載をしているところでございますし、私の方からも記者会見におきまして中身について申し上げることもあるわけでございます。しかしながら、安保会議もそうで、安全保障会議もそうでございますが、この中身につきましては、正にこれは外交上の機微に触れる点も多々ありますので、そこはどうか御承知をいただきたいというふうに思うわけであります。  例えば、ODAを出していくに際しまして、先ほど申し上げましたように、環境やエネルギーという視点も大切でありますが、それとまた例えば、自由や民主主義あるいは基本的人権の状況等々についての議論ということも行うわけであります。そしてまた、我が国との現在の関係等々についての視点もあるわけでございますが、こうした議論というのは、やはりこれはすべてを公表してしまいますと、これは大変機微な問題でございますので、そういうところにつきましては公表は差し控えさせていただきたいと、このように考えているところであります。
  123. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。ただ一方で、もう少し詳しいものを情報提供していただきたいということは要望をさせていただきたいと思います。  最後に、対アフリカODAについて質問をさせていただきたいと思います。  まず、外務大臣にお伺いしますが、このゴールデンウイークに小泉総理アフリカに行かれまして、その前の年でしょうか、今後三年間でアフリカ向けODAを倍増ということを表明しているわけでございます。このように、アフリカ支援というものが大変関心が高まっておりますが、実際、現時点でアフリカへのODA予算目標額ですね、どれくらい達成しているんでしょうか。
  124. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 昨年四月のアジアアフリカ首脳会議、ジャカルタにおいて開かれました首脳会議におきまして、小泉総理は、今後三年間で対アフリカODAを倍増し、引き続きその中心贈与とする旨を表明しております。  これは、このアジアアフリカ首脳会議開催時に確定しておりました二〇〇三年の我が国の対サハラ以南のアフリカODA、対サブサハラ・アフリカODA実績約五・三億ドル及び対アフリカODA実績八・四億ドルという二〇〇三年の我が国実績を基準値といたしまして、これを二〇〇七年の実績においてそれぞれ贈与中心に倍増をしていくという趣旨であります。  なお、今、現時点でどれぐらい達成したかという御質問であります。  二〇〇五年分の数値はまだ集計されておりませんけれども、二〇〇四年の数値につきまして申し上げますと、サブサハラで六・五億ドル、アフリカODA実績九・四億ドルという数字はございます。二〇〇五年分の数値はまだ集計されておりませんけれども、いずれにしましても、本件国際公約実現に向けて引き続き対アフリカ支援に取り組んでまいる所存であります。
  125. 谷合正明

    ○谷合正明君 今お話がありましたが、実際、今後、今、歳出歳入一体改革ありますけれどもODA予算額というものがやはり厳しい目で見られているわけでございます。大幅な増額というものが難しい中で、このアフリカへのODAの額倍増というのをどうやって行っていくのか、そういったことをちょっと端的にお答えしていただけますか。
  126. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 御指摘のとおり、非常に厳しい我が国財政状況の中であります。  平成十八年度の政府ODA予算は、一般会計については七千五百九十七億円、対前年比マイナス三・四%となっておりますが、十七年度補正予算三百四十五億円を合わせてみました場合には七千九百四十二億円となりまして、ほぼ前年度並みの水準を維持できたというふうに考えておるわけであります。  繰り返しになりますが、厳しい我が国財政状況でありますけれども、責任ある国際社会の一員としての国際公約実現に向けて引き続き努力をしていきたいと、このように考えておる所存であります。
  127. 谷合正明

    ○谷合正明君 そのアフリカ支援の中で、今アフリカに対するマラリア対策支援というものがございます。平成十七年度におきましては、このマラリア対策支援の一環として防虫剤をしみ込ませた蚊帳を配布していると、二百五十一万帳をアフリカに配布したという実績外務省さんの方からデータをいただきました。  外務大臣は特にアフリカに、二年間でしょうか、住まわれたということでよく御存じだと思いますが、マラリアを予防するためには結局蚊に刺されない、そのためには蚊帳だとかといったことを現地では実際に使って予防しているわけでございますが、今、日本政府が取り組んでいるのは、その蚊帳に防虫剤をしみ込ませて蚊帳の中に入ってこようとする蚊を殺すという、そういった新しい形の蚊帳を開発して配布しているわけでございます。  これを妊婦だとか子供がいる家庭に優先的に配布するといったことをやっているわけでございますが、一見すると聞こえはいいんですが、ただ、私自身アフリカに過ごしていた経験からすると、蚊帳の中にずっといるということはなかなか大変な暑さの中難しいですし、また、その蚊帳に防虫剤と言っていますけれども、実際の成分は殺虫剤でございますので、そういった殺虫剤が付いている蚊帳の中でずっと暮らしていくというのは、これは本当に乳児だとか妊婦にとって安全なのかといった素朴な疑問がございます。もし私がアフリカに赴任するのであれば、家族には、子供にはまだちょっと怖くて使えないなという思いがあるわけですが。  ただ、アフリカのマラリアというのは大問題でございますので、その意味でこの防虫剤をしみ込ませた蚊帳を配布しているんだろうということは推測するわけでありますが、この安全性についてどれだけ外務省さんの方で認識をされているのか、この点についてお伺いさせていただきます。
  128. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) お話ございましたとおり、アフリカのマラリア対策、この蚊帳でございますが、そこに殺虫剤をしみ込ませてと、それでその効果が長もちするようなものということで配布をしてきているわけでございます。  我々、長期残効型の蚊帳と言っておりますが、この蚊帳につきましては、世界保健機関、WHOの定めた基準に従いまして、人の長期間にわたる使用というものを想定をして安全性評価というものが実施をされておりまして、そういう意味でその安全性というものは確認をされているというふうに承知をいたしております。
  129. 谷合正明

    ○谷合正明君 安全性について承認されているというわけではありますが、実際、その使用注意の中には、もし手で蚊帳を触ったら必ず手を洗うようにというようなことが書いてあります。アフリカというのは、大臣も御案内のとおりに、やはりまず、何というんでしょう、衛生、すぐにじゃ手を洗える環境にあるのかとかいったことを考えると疑問があるわけでございます。特に子供なんかは絶対、触った手、これを口に入れたりですとか、そういったこともあるわけでございます。  もう少し私は、これは日本が大々的にやるマラリアキャンペーンであるんであれば、こういった安全性についてしっかりと検証していただきたいなと。WHOが認めたとか言われていますけれども、本当にどれだけ、だれがどのように認めたのか、どういう基準で認めたのか、これもまだまだはっきりしていないところもございます。WHOが認めたからといってじゃ本当に大丈夫なのかといったこともございますので、そういったことを考えていただきたいと思います。  また一方で、この一つの蚊帳は、コスト的にも七ドルから十ドルというふうにお伺いをしております。非常にアフリカの中では高額な単価だと私は思います。何もこのタイプの蚊帳は絶対駄目だと言いたいわけじゃないんですけれどもアフリカではやはり普通の蚊帳もローカルマーケットで売られているわけでありまして、そういった普通の蚊帳も使うようなマラリア対策支援もあってもいいんじゃないかなと私は思いますので、この点、重々外務省の方で検討していただきたいと思います。  その点御要望させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
  130. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  今日は通告では海外青年協力隊について質問するという予定でございましたけれども、残念ながらやめさせていただきます。  外務省にお願いをした資料が届くべき時間に届かないと、質問を取りに来た人も話の分からない人が来るということがこの間二回続いておりますので、たまたまのことなのか、たまたまが二回続いたのか分かりませんが、いずれにせよちょっと、これは新しい特別委員会でもありますから、常任委員会抱えている外務省が対応が大変だと、何も悪気はないのは分かるんですけれども、ちょっとちぐはぐなことがありまして、資料がありませんので。  ついでに言わしてもらえれば、いずれにせよ、新しい委員会ではありますけれども、大事な委員会として参議院でつくったわけですから、外務省も引き締めて対応をお願いしたいということだけ申し上げておきますけれども大臣、一言あればどうぞお願いします。
  131. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 対応のまずさがあったような感じでございますけれども、気を付けさせます。
  132. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  そういうわけで、突然ですけれども、通告しておりませんが、せっかく総理候補が二人そこに並んでおられますので、少し大きな話を、ODAとの関連ございますが、せっかくの機会ですからお聞きしたいなというふうに思います。東アジア共同体についてのお二人のお考えをこの機会に聞かせてもらえればというふうに思います。  私は国際問題調査会あるいは財政金融委員会等で、経済からのアプローチですけれども、こういう共同体ができればいいなというふうに議論に参加してきたんですけれども、そうはいっても、どういう方向でやっていくのかというような大変難しい問題があるし、意見も分かれるところでございます。ODAのこれからの戦略にもかかわる重要な問題だと思います。  いろんな意見の中には、東アジア共同体なんか幻想だと、なくてもいいと、APECだけでいいと、アメリカ抜きにやるわけにはいかないとか様々ございますけれども、まず安倍官房長官麻生大臣に、東アジア共同体についてそれぞれどういうふうなお考えかを聞かせていただければと思います。
  133. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 大門先生、昨年の十二月の十七日にこの東アジア共同体というのを最初にやらせていただきました。  この背景は、基本的には、今アジアは約三十七億人、アジアの定義もいろいろございますけれども、通常、全人口の約六割、しかもこの地域は今非常にもう飛躍的に伸びてきておりますんで、こういう中において開かれた東アジア共同体というのを目指そうではないかと。何となく東洋人だけというと、何となくおまえらだけというのを、外から見ると何となく妙に密室的な感じがいたしますから、インド、オーストラリア、ニュージーランド等々を入れたところで、ASEANプラス3プラス3ぐらいのところでというところで、少なくとも基本的価値観とか、何というんでしょうか、人権とか、そういったもうある程度基本的なものは一致しておこうではないかと。  そうじゃないと、ヨーロッパのように、例えばキリスト教で一応話が通じているとかいうようなわけには我々の方はちょっといきませんし、言語だけでも、とにかく東ヨーロッパまでだって倍以上こっちの方がありますので、三倍ぐらいありますし、そういった意味では、外から見たら全然ばらばらじゃないかということになるけれども、現実問題として、この地域がまとまってずっといくというのは、他の地域との競争やら何やら考えますと非常に大きな意義があると思いますんで、そこらのところは、違うところは違うと認めた上でどう付き合うかという話しているんだから、そういったところで我々やろうじゃないかと。  かつては、EUだって、始まったEECのときはフランスとドイツが一緒になんかなれるはずないじゃないかといったのがなれたんだし、そういった意味では、今から十年、十五年たつとという話をさせていただいて、少なくとも、まずは、みんなで共通している今の悩みといえば、アジアの人口移動が物すごい多いものですから、SARSみたいなものがわあっと広まっていったり鳥インフルエンザが広まるんであって、人が全然動かないところだったらあんなもの広がらぬわけですから。  そういった意味では、是非、我々としてはこういったようなものをきちんとする前に、まずはこういったところでスタートして、両方で抱えている問題、例えば麻薬とかテロとか感染症とか、いろいろ共通の問題は幾つもあるんで、まずはそれを舞台に上げて、お互いに議論をして、そこそこ、金のあるところとないところ大分違いますんで、ある程度基金もそこそこ出し合って、そういったものでやっていこうではないかということで、欠点をあげつらえば幾らでも出てまいりますけれども、まだまだスタートしたばかりで、これをいかにして育てていくかというのが私どもの観点に置いております。
  134. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) このいわゆる東アジア共同体につきましては、小泉総理がシンガポールにおきまして演説をいたしました。その中にこの東アジア共同体をうたったわけでありまして、これはともに歩み、ともに進むを確かにテーマにしていたのではないかと、このように思います。  そして、この東アジアという地域をどうとらえるかということでありますが、ASEANという範囲があります。また、ASEANに韓国、中国と日本を加えたASEANプラス3と、今までの会議の場もあったわけでありますが、それをもう少しやや大きくとらえていくべきではないか。インドであり、オーストラリア、ニュージーランド、こういう国々は、日本と同じように自由や民主主義、基本的人権、そして法律の支配という価値をともにする国々であります。こういう国々も入れていくべきではないかという中にあって、先ほど申し上げましたように、ともに歩み、ともに進む、こういう共同体をつくり、ここでできることからやっていこうと。  例えば、テロ対策、海賊対策、また覚せい剤等のこういう密輸を取り締まっていくことにおいて情報を共有し、ともに対応を取っていく。また、貧困撲滅の問題もあるだろうと、こう思います。感染症の問題もあるでしょう。そして、さらには、経済において、日本も今FTA等々を、またEPAをそれぞれの国々と結んでいきますが、こういう範囲でとらえていってもいいんではないかという意見もあります。  他方、価値観においてはまだ、この東アジア共同体を構成する、昨年の東アジアサミットに参加した国々の中にはばらつきがあるのも事実であります。ですから、すぐにEUのようなものになっていくとかいえば、それはそうではないわけであります。そしてまた、この東アジア共同体は決して排他的になってはならない、開かれたこれは地域共同体でなければならないというのが少なくとも日本の考え方でありまして、これは大体共有されているのではないかというふうに思うわけでございます。  その中で、米国も入ったAPEC、そしてまたASEANプラス3、そしてこの東アジアサミットと、多層的にマルチの枠組みができるのは地域の平和と安定にとっても資するのではないかと、このように考えております。
  135. 大門実紀史

    大門実紀史君 東アジア、ASEANの諸国は、そもそもこの共同体という発想が始まったのは九七年のアジア通貨危機があって、つまりアメリカの外資含めてやられちゃったと、だからマハティールさんが東アジアの中だけでという、アメリカ抜きでというところから始まっている歴史もありまして、余り広げるのは難しい、広げないでほしいというところと、あるいはもうアメリカまで入れちゃおうじゃないかという意見とか、先ほど申したとおりいろいろ分かれているんだと思います。私もできるところからやっていけばいい、余り先に何か枠組みを考えるよりはと思います。その点では、経済協力、通貨協力、これは先行しておりますから、それを追求していけばなるような形になっていくんではないかというふうに思っているところでございますけれども。  もう一つ、アメリカ抜きで、あるいはアメリカを入れてというところで、もう一つ、これは、安倍官房長官、お聞きしたいんですけども、構想がありまして、北東アジア共同体まで言えるのか分かりませんが、北東アジアでの共同を追求するという構想を打ち出しておられる研究者もおりますし、そう言うほかの国の閣僚の方もおられます。つまり、アメリカと北朝鮮、北朝鮮とんでもない国でございますけども、六か国協議を、そういうものを目指して発展さしていくということによって東アジア共同体全体の安定も含めて模索していこうという考えも出たりしておりますが、この点で、安倍官房長官、そういう方向について、あるいはそういう提案についていかが思われるか、お聞きしたいと思います。
  136. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 今、北朝鮮の問題、主に核の問題を解決をするために六か国協議の場がつくられています。この六か国協議の場、せっかくできた場でありますから、この場を生かして地域の安定、安全保障にお互いが責任を持ち合う、まあ持ち合う形といっても北朝鮮が持っていただけるかどうかというのはなかなかこれは現在の段階では大変疑問でありますが、しかしこの地域の平和と安定のための会議の場、マルチの会議の場として生かしていこうではないかという議論があるのは事実でありますが、しかし、現実問題として、まず最初に解決をしなければいけない核の問題について大変困難な状況に陥っておりますが、北朝鮮が条件抜きでまずこの会議に復活をしなければいけないというのは当然なことであろうと、こう思います。  北朝鮮以外の五か国について言えば、この北朝鮮の問題について五か国がお互いに責任を持ちながら協議をしていくという新しい試み、これは大切な試みではないだろうかと、このように思っているわけであります。  しかし、と同時に、先ほど私が申し上げましたように、同じ方向を向いている、また同じ価値観を共有しているかどうかというのも、やはりこれはマルチの戦略的な枠組みをつくっていく上では重要ではないかと、このように思っております。その点、なかなかこの六か国協議の場というのは、そういう点では少し難しい側面というのはあるのではないかと、こう思っております。
  137. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう一つ、少し時間がありますんで、もう一つふだん思っていることをお聞きしたいと思いますが、東アジア共同体の中で中国がイニシアチブを握るのか日本がイニシアチブを握るのかと、こういうふうなことも言われておりますけども、先ほど出ていました海外経済協力会議で、中身はなかなか微妙なものがあって言えないということですが、そういうところも含めて日本が東アジア共同体でイニシアを取っていこうと、つまり中国以外のところに味方になってもらおうと、こういうことにもODAというのは戦略的に使われていくようなことが、あってはならないとまでは言いませんけども、それは国益が合えばそういうこともあると思いますが、その辺は麻生大臣なんかいかがお考えでしょうか。
  138. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ODAに関しましては、今ODAからどんどん卒業していっている国がアジアに出てきておりますのは大変喜ばしいことだと思っております。  それで、日本の場合は、今中国を例に引かれましたし、この間の中国との会談のときにも、またいろいろ演説のときにも言いますけれども、今、中国で例えば貧富の格差とか、都市と田舎の格差とか、また水の問題とか環境とか公害とか、つい三十年前、四十年前、我々も似たようなことを経験しておりますんで、それを少なくとも我々は克服して今日までここまで来たというのは、断然アジアの中においては我々は実践的先駆者みたいなことをやってきているという。この経験を是非おれたちの方から持っていってもらう、盗んでもらう、みんなまた分けるなんというと、何だこのやろうというようなことになるでしょうから、何となく学んでもらう、それもちょっといかぬか。何となく向こうで、それをいい意味でこれを参考にしてもらうというようなところが一番大事なところかなと。中国の発展の段階を見るにつけ、私どもは今そんな感じがいたしております。  したがって、ヘジェモニーを、覇権をその地域で争う場合、どうしたっていつの時代でも、急激に国が出てきたときは、昔はサラセン帝国、アレクサンダー大帝、モンゴルですかね、モンゴル、ナポレオン、みんなそうですよ。わあっと出てきたときにはもう必ず近くの国はフリクション、摩擦が起きますから、それはもう避けて通れないところなんだと思う。  それをいかにうまく収めていくか、そこそこで折り合っていくかというのは、これは知恵の出しどころなんだと思いますんで、私どもはそういった意味では、隣の国であって、これは嫌だから、波長が合わないから引っ越すというわけにはいかないわけですから、そうするとそこにいかに折り合っていくかというところの知恵はこれからいろいろ出し合わないかぬところなんだと思っております。
  139. 大門実紀史

    大門実紀史君 通告もしてないことをありがとうございました。  終わります。
  140. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  スケールの大きな話の後で恐縮でございますが、私はフィリピンにおける一つのODA事業のことについてお尋ねをしたいと思います。  資料として配付させていただきましたフィリピン、ルソン島のアグノ川かんがい事業の円借款のことでございます。これは上流にサンロケ・ダムというアジア最大のダムがあると。そのダムのかんがい部門という位置付けでございまして、事業費が約二百億、このうちの百五十億をJBIC円借款をするということで話が進んでいるようでございますが、今年の二月の二十一日付けの書簡で、現地の住民団体から政府JBICに要請が来ております。これは事業の環境面あるいは社会面での問題点指摘しながら、それが解決するまでは借款については慎重であってほしいと、こういう中身であるというふうに私は承知をしておりますが、JBICとしてはこの書簡に対してどういうふうな対応をされるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  141. 武田薫

    参考人武田薫君) ただいまの御指摘のございました書簡で、住民団体から要請のありました環境、社会配慮、こういうかかる事項につきましては、今後とも本行としましてはフィリピン側関係機関と十分に連絡を取ってまいりたい。  また、本事業の融資につきましては、日本政府とも十分に協議をしながら、引き続き慎重に検討してまいりたいと、こういうふうに考えてございます。
  142. 近藤正道

    ○近藤正道君 ところが、この今の書簡、ここの一番最初に名前を連ねた現地の住民運動のリーダー、ホセ・ドートンという六十二歳の方がおられるんですが、この方が今年の五月の十六日に何者かに射殺をされると、こういう事件が起こりました。現地ではこれは軍が関与しているというふうな、言わばこれまたうわさなんですけれども、これが中心で、かなり騒然とした事態になってきております。  そこで、外務省としては、この反対運動、かんがい事業の反対運動の言わばリーダーが日本政府に要請をした後に射殺をされたという事件の概要についてどういう情報を持っておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  143. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 現地の報道によりますと、五月の十六日の午前、ルソン島中部のパンガシナン州におきまして、帰宅途中のホセ・ドートンさんがバイクに乗った二人組に至近距離から銃撃されて死亡したと、このように承知しております。なお、容疑者及び事件の背景については分かっていないということで報道がなされております。  フィリピン当局は現在捜査中であるというふうに承知しておりますが、本事件と我が国円借款によります支援の意図表明を行いましたアグノ川統合かんがい事業を直接関連付ける事実は現在のところないと承知しております。
  144. 近藤正道

    ○近藤正道君 私は現地の人たちの情報を日本のNGOを通じて何本か聞かさしてもらっているんですけれども、これはもう明らかにやっぱりこの事業の反対のリーダーをつぶすと、この人を殺害することによって反対運動そのものをつぶすと、そういう意図に基づいて行われたものであるということは明らかだということを皆さん言っているわけでございます。  このかんがい事業は、先ほど言いました上流のアジア最大のダム、これによって大量の人たちが移住をさせられる。そして、今度はそれに基づいて下流でかんがい事業を行うと。これに伴ってもやっぱり百世帯を超える人たちが移住をさせられると。にもかかわらず、ろくなアセスも行われていないと。こういうことの中で、現地の人たちが反対運動に立ち上がって、そしてその文字どおり中心で頑張った人、日本政府やあるいはJBICに要請を行った人がその要請の直後に射殺をされるということでありまして、もうこれ、どう考えても、これはこのかんがい事業と無関係とは言えないというふうに見るのが私は常識ではないかというふうに思っておりますが、是非、日本政府は、単にこれを見ているだけではなくて、徹底した真相解明をフィリピン政府にやっぱり求めるべきだというふうに思いますし、この殺害の真相が分かるまでは融資の決定、JBICの融資の決定はやっぱり私は延ばすべきだと、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  145. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 委員指摘のただいまのお話については、いずれにしましても現地でのフィリピン当局による捜査というのが行われているわけであります。こうした動向を見守りながら、また本件、この円借款事業につきましてはいまだその交換公文を締結していない状況であります。そのほか、社会環境面については、何といいますか、本件について関係NGOの指摘される問題点というものは、やはり住民移転の問題、あるいは環境影響評価環境緩和方策を再考してはどうかといったような、そういう主張も行われているというふうに聞いております。  いろいろそういう中で、そういう確認すべき点もあろうかと思いますので、本円借款事業については、融資の検討については慎重を期していく所存であります。
  146. 近藤正道

    ○近藤正道君 慎重に対応したいと、それは結構でございます。是非このところはよくこれから現地の状況を見定めていただきたいというふうに思っています。  フィリピンのアロヨ政権の下でこの種の事件が今年に入って九十件を超えているということでありまして、大変な状況。こういう状況の中で、果たしてODA事業をフィリピンで行うことがいいのかどうかという、そのことさえ私は考えざるを得ないと、こういう状況でございますが。  フィリピン全体の話は仮にわきに置くとしても、今回のこのアグノ川のかんがい事件について、こういうリーダーが、反対運動のリーダーが殺されるということを考えたときに、私はやっぱりODAの大綱だとかあるいはODA四原則の、この国のODA事業の正に原点に立ち返って考えるやっぱり必要があるんではないか、こういうふうに思っております。  ODA大綱では、環境開発の両立だとか、あるいは途上国における民主化の促進、とりわけ基本的人権及び自由の保障状況には十分注意を払うと、こういうことがしっかりうたわれておりますし、援助政策の立案及び実施という項目の中には、適正な手続を確保する、つまり環境面と社会面、その両面で行う事業がどんな影響をもたらすのか十分に調査をして配慮しろと、こういうことが書いてありますし、不正とか腐敗には絶対結び付けてはならないと、こういうふうなことが具体的に書いてございます。  まだ真相は分からぬところがありますけれども、私は、前後の流れからいけば、これは正に今言ったODA事業実施に伴って日本政府がやっぱりきちっと配慮すべき問題と極めて密接にかかわっている問題であると。ですから、是非このことについては慎重の上にも慎重、そして真相をしっかりと見極めて、そうでないというやっぱり確信が持てるまでこの事業は事実上止めるべきだと、私はそういうふうに思います。重ねてひとつ御答弁いただければ有り難い。
  147. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) アグノ川の統合かんがい事業に関しましては、JBICを含みます現地ODAのタスクフォースにおきましても関係者と緊密に連絡を取りながらフォローをしているところであります。また、現地で活動しているNGOとも外務省としてはJBICとともに直接連絡を取りながら随時意見交換もしております。  いずれにしましても、これら現地の状況を十分に踏まえながら、また政府としてはJBICとも緊密に連携を取りながら、本案件実施については引き続き慎重に検討していく所存であります。
  148. 近藤正道

    ○近藤正道君 この事業は日本とフィリピンの二国間の協定ということでどうもスタートしているようでございます。二国間の協定で仕事が始まりますと、とかく現場の思惑をあるいは心配を乗り越えて事業だけがどんどん進むと、こういうことが大変懸念されるわけでございます。是非、あらゆる情報はやっぱり現地にあるわけでございますので、現地でしっかりとやっぱり情報をつかんで、その情報に基づいて事を進めていただくと。単にフィリピン政府からの情報だけではなくて正に現地の、それも現場の情報に立脚をして事を進めていただきたい。  そういう意味では、JBICの役割は非常に大きいと、この考え方をやっぱり大いに大事にして事を進めていただきたいと、こういう思いがございますが、こういう認識でよろしいでしょうかね。
  149. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) そういう認識でよろしいと思います。
  150. 近藤正道

    ○近藤正道君 JBICには、環境社会配慮確認のためのガイドライン、こういうものが作られてあります。〇三年の十月から施行されているわけでございまして、これ以前はいろんな問題がございました。正に環境開発の衝突するような様々な問題がある中でこのガイドラインが作られたわけでございますが、しかし、その後、このガイドラインに基づく申立てが一件もないということでございます。申立てがないということは、それはいいことなんでありますけれども、しかし本当に問題がなくてこのガイドラインが使われていないのかどうか、私は大変懸念をしておりますし、現地の情報に精通しておりますNGOの人たちの話をいろいろ聞く中では、なかなかやっぱりもう物が言えないんだと。現地の住民は、政府の圧力、こういうものがあって、あるいは身辺に危険を感ずることさえある、場合によっては今のアグノ川のかんがい事件の反対派のリーダーが射殺されるような、こういう事件が非常に起こる中で声が上げられないんだと、こういうことを言う人がたくさんございます。  問題のあるODAの事業に対して、現地の住民だとかあるいはNGOの皆さん日本政府に直接物を言う、異議申立てをする、そういうシステムをやっぱりしっかりとつくるべきではないかというふうに思っています。  今日は、今ほど来の議論でODAの事業のかなりでたらめな執行方法はいろいろ出ました。すべてやっぱり税金で使っているんだから、しっかりと無駄遣いあるいはでたらめな使い方についてやっぱり監視をしなければならない、どうやってやっぱり監視をするのかと、こういう議論がずっと続いたわけでございますけれども、是非、日本政府に直接物を言って、そして日本政府の中で第三者機関をしっかりつくって、先ほどODA評価委員会の話が官房長官からありましたけれども、本当に信頼できる第三者機関をつくって、そういう現地の声をしっかり受け止めるシステムをやっぱり構築する必要があると、こういうふうに改めて思うわけでございますが、官房長官の所見をお尋ねしたいと思います。
  151. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ODAの実施に当たりましては、持続可能な開発の観点から、実施機関において環境社会配慮のためのガイドライン、先ほど御言及があったわけでありますが、このガイドラインを策定をして、環境地域社会に及ぼす負の効果をできるだけ回避するように努めているところであります。  具体的には、環境等への負荷が特に大きいと想定される途上国の要請案件については、ホームページでの情報公開や外部専門家のコメントを通じ、環境等への影響の把握方法や緩和策等をプロジェクトに反映させるように努めているところであります。また、ガイドラインに抵触した場合には異議申立て制度も導入をされています。その手続については情報公開が定められており、その情報については政府とも共有されることになります。  また、効果的、効率的なODAの実施のため、ODA事業に対するチェック体制の充実が重要であります。これまで、評価、監査の充実、案件モニタリングの充実等に積極的に取り組んでまいりました。各援助事業の評価については、第三者の視点を入れて行うようにしているところでありまして、今後とも、こうした取組を進めることにより、ODAの適正かつ効果的な実施を図っていきたいと考えております。
  152. 近藤正道

    ○近藤正道君 終わります。
  153. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございますが、安倍官房長官おられるときに質問ができるようにという特別な自由民主党の御配慮で先にやらしていただきますこと、ありがとうございます。  両大臣に何点かお尋ねしたいと思います。  最初は、発足後間もない海外経済協力会議ODAの改革について官房長官にお尋ねしたいと思います。  海外経済協力会議は、去る五月八日に第一回の会合を持たれたわけでございますけれども、いろいろ課題がある中で、ODAについての新しい政策決定を行ういわゆる司令塔的な役割を果たすのがこの海外経済協力会議だということでございますけれども、そのためには関係省庁をうまくまとめていかなきゃいけない。この前の委員会でも副官房長官から、十分機能するような組織をつくるんだと、安心しておってくれということを言われたんですけれども、どのような形になっているのかということと、同時にまた、ODA戦略的な、効率的な実施の方向について、これからは監視塔から司令塔になるということになるわけではございますけれども、それについて、これからODA改革の方向性について、官房長官からお話を承りたいと思います。
  154. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 本年の四月に、我が国の海外経済協力を機動的かつ実質的に審議をし、戦略的な海外経済協力の効率的な実施を図るため、総理及び少数の閣僚で構成され、司令塔的な機能を果たす海外経済協力会議が設置をされたところであります。  本会議の発足を踏まえ、今後のODAについて、政府内の体制については、海外経済協力会議において、我が国の国益を踏まえた戦略的な海外経済協力効果的に実施するための基本方針を審議し、本方針の下、引き続き外務省を中核として具体的な企画立案、調整を行います。  実施機関については、援助の効率的実施及び顔の見える援助の観点から、円借款技術協力及び無償資金協力の連携を更に強化をするため、実施機関を統合し、JICAが一元的に実施するとの方針に沿って取り組んでいきたいと、こう考えておりますが、そこで、ただいま亀井先生から御質問がございました、経済協力会議がどのように運営されていくかということでございます。  かつては、すべての閣僚が入った海外経済協力に関する閣僚の会議がございました。これはもうすべての閣僚が入っておりますので、事実上そこで話す事柄は大体前もって決めておいて、そして、そこでは事実上いろんなことを承認する場でしかないという御批判もあったわけでございます。  そこで、今度つくりました海外経済協力会議は、そうした轍を踏まぬように少数の閣僚で構成をいたしております。そして、メーンテーブルには基本的に政治家のみが座りまして、そこで戦略的、また国益を踏まえたいろいろな重要な視点の中から、率直な意見交換、実のある意見交換をするということにいたしております。そして、そうした率直かつ実のある意見交換をするためには、これはやはり中身について非公開性を担保しなければなかなか難しいということでございます。また、先ほども答弁いたしましたように、外交関係上微妙な問題も含むことにもなりますので、そういう観点から、基本的には多くの中身につきましては、これは非公開というふうにさしていただいているところでございます。  海外経済協力会議を機動的、戦略的に運営するために、六名の参事官を含む十余名のスタッフから成る事務体制を内閣官房に整備したところでございまして、第一回海外経済協力会議においては、海外経済協力戦略的に進めていく上で重要となる視点など、本会議の基本的な取り進め方や今後の課題について出席者の間で議論し、我が国海外経済協力にとって主要な国、重要な事項について、外交日程も勘案しつつ、機動的に取り上げていくことが望ましいことを確認したところであります。  今後とも、本会議において我が国の海外経済協力に関する重要事項を機動的かつ実質的に審議をしていきたいと、そして司令塔的な役割をしっかりと果たしていきたいと、このように考えております。
  155. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 ありがとうございました。各省庁からも優秀なスタッフが集まって、企画機能としてもそういうものができたんだと思いますけれども、頑張っていただきたいと思います。  次の点でございますけれども、平成十九年度のODA関係予算について両大臣からお尋ねしたいんですが、小泉総理は昨年、昨年ですね、今後五年間、百億ドルのODA増額を表明されたわけでございますけれども、これについては、政府は真水による増額でなくって事業量ベースだということで、事業量ベース増額だというような説明をしておりまして、厳しい財政事情を考えたらやむを得ないかなというふうに思いますけれども一般会計予算増額しないで事業量だけを確保していくというようなことを考えておられるんじゃないかと思うわけでございますけれども、このような形で、いわば形式的な形で事業量の増加をやるんだということで国際社会の了解が得られるのかどうかということですね、一点は。  それから二つ目は、ODA増額を去年いろいろやられましたけれども、結果的には失敗に終わりましたけれども、国連への日本の常任理事国入りの対策的な公約であったんじゃないかと、そのためのマジック、数字合わせだったんじゃないかと、変なことをそういう形で外国から言われるんじゃないかと。これについてはどうお考えかということが二つ目。  それから三つ目は、非常に、百億ドルというのは大変重要な公約でございますので、十九年度のODA予算の概算要求については、安倍官房長官麻生外務大臣はどのような御見解か、承りたいと思います。
  156. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) このODA中期目標を三年間で百億ドル、グレンイーグルズ・サミット小泉総理の方から国際公約みたいな形で言われた部分お話だと存じます。  今御指摘のように、一般会計だけで百億、真水で約一兆という話ですから、なかなかそんな簡単な額ではありませんので、今御指摘のとおり、財政事情等々を考えますとなかなか簡単なわけにはまいりません。はっきりしておると思っておりますので、五年間で毎年二千億ずつ、ちょっとなかなか難しい、今現実八千億ですから、そういった意味では簡単な話ではないと思っております、真水でいきますと。  ただ、国際ルールでは、これはいわゆるそういった真水の部分以外にも、先ほど御指摘のありました、黒岩さんでしたっけ、御指摘のありました債務棒引きの話やら技術協力やらいろいろございますので、そういったものはこれは国際ルールで決まっておる話でもありますので、国際機関への出資している分もその中に入りますし、いろんな形でこのODA実績として計算する国際ルールは確立をされておりますので、そのルールに沿っている間に関しましては海外からいろいろ言われることはないと、基本的にはそう思っております。  ただ、世界じゅう景気の悪かったところはずっとODAを抑えに抑えてずっとやってきまして、こっちはその間はやっておりましたのが、ちょうど世界が伸びてきたときに今度はこっちはこうなってきておりますので、他国と比較すると、ODAをみんな一斉に伸ばしつつある中、日本だけどんどん減らしているというのが、グラフでそういった形になりますので、ちょっと見た目には非常に世界の潮流とは全く逆をやっているような感じに受け取られると存じます。  そういった意味では配慮をしておかないかぬところだと思いますので、来年の平成十九年度の予算というのが概算等々いろいろ始まってまいりますけれども、マイナスみたいになって、それを補正予算で補っているというような感じでこのところ続いておりますけれども、何らかの形で、仮にも国際公約として日本借金棒引きだけでというわけにはなかなかいかぬだろうと思っておりますので、何らかの形で純増の部分をどれぐらいやれるかというところがこれからの話だと存じます。
  157. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 既に外務大臣から御答弁申し上げたとおりでありますが、ODA事業量とは、一般会計財源とする無償資金協力技術協力だけではなくて、円借款債務救済国際機関への出資、拠出なども含めて構成されているものでありまして、各国とも開発援助委員会、DACが定めるルールに従ってODA実績として計算することになっております。  こうしたODA事業量によって援助の量についてコミットすることは国際的に通常行われているところであります。したがって、百億ドルの積み増しが安保理常任理事国入りの数字合わせであるということでは決してないということは申し上げておきたいと、このように思います。  積み増しを目指す百億ドルの内訳については、毎年の予算編成の過程の中で具体的に検討をしていくことになります。平成十九年度予算につきましても、厳しい財政状況を踏まえながら、外務省中心国際公約を果たすべく努力をしていきたい、検討していきたいと、こう考えております。
  158. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 ありがとうございました。  これは通告はしなかったんですが、簡単なことですからお尋ねしたいんですが、実は先週、パプアニューギニアのソマレ首相との会談もあったわけでございますけれども、そういう意味では、太平洋の島国に対する協力という問題について一言お尋ねしたいと思うわけであります。  沖縄で先日開催された太平洋・島サミットで、小泉総理環境問題や津波対策の分野を中心我が国ODAの上乗せを考えているんだということを表明されましたけれども、太平洋の島国はそういう意味では友好国でもございますし、特に、環境分野と津波対策というのは大事なことでもございますので、こうした太平洋の島国に対する経済協力について麻生大臣からお答え願いたいと思います。
  159. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) みんな、先ほどからインドネシアの地震の話題ばっかり出ていますけれども、あれ、ほぼ同じ時期にマグニチュード六・二、六・七がそれぞれトンガとそれからパプアニューギニアでしたか、どこかで起きていると思っております。何せ、海抜一メーターとかいうことになりますので、そういったところで地球温暖化が進むと一挙に全部海底にということになりかねない、悩みいろいろ多い国なんですけれども、私どもとしては、ここらの国々がきちんと対応ができるようなことにならないと、何とも、人口が八万とか二十万とか、いろいろ国といっても市より小さいような感じのところも一杯ないわけではございません。  そういう中であっても、ちゃんと一国一票をみんなそれぞれお持ちのところでもありますし、私どもとしてはそういったところに、太平洋の中に、いろいろかつての日本の南洋庁のありましたところもあるわけで、私どもとしては、こういった国は国としてきちんと対応を、みんな気概に燃えておられるのに対してどんなことをやっていけるのかというところでいろいろ暗中模索なんですけれども、思い付きみたいな話も一杯出てきますので、いや、ちょっとそれやったら多分駄目ですよと、こんなことになりますから、ほかの例、大体こういう例がありますからという、我々経験が、いろいろほかの国でやった経験を渡して、こうされたらどうですというアイデアは一応提供するような形にしております。  いずれにしても、ある程度金の掛かる話だとも思いますので、たしかこの間、島サミットのときに総理の方から、三年間で四百五十億円だったと思いますが、出すことにしていると思いますけれども、いずれにいたしましても、そういった形で役に立てるようにしていきたいと思っております。
  160. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 ありがとうございました。
  161. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 それじゃ、最後になりますが、私の方から、主要な点につきまして、お二人の大臣にお尋ね申し上げたいと思います。  お二人とも、安倍官房長官麻生外務大臣もいずれ国の宰相を目指す方ではないかと、こう思いますので、志のある御答弁をお願いできればなというようなことをあらかじめ申し上げておきたいと思います。ただ、官房長官、記者会見もありますので、ODAも顔の見えるODAでなきゃいけませんけれども、官房長官の顔の見える官房長官でなきゃいけませんので、どうぞお時間になりましたらお立ちいただくように、結構でございますので、そのようにお願いします。  さて、早速入ります。  最初に、官房長官にお尋ねいたしますが、今度、ODAについてだけではございませんけれども、原田検討会がスタートいたしまして、例の海外経済協力に関する検討会ですね、報告書が出ました。事いろんな変化をし、新しい方向を見付けるときには、むしろ問題がここにあるので、そこをどう認識してどう変えるのかというふうな物の見方が必要なんじゃないかなと。えてすると、お役所的に言いますと、いきなり法律改正、こうしますということだけ持ってきて、何のためにそうするのかねというところが、もう一押し分析がはっきりしないところが多いんでございますけれども、今回の原田委員会の立ち上げになった、特に官房長官の私的諮問機関ということでスタートしましたので、あえて申し上げますが、そういう意味での問題認識と、それから報告されました結果に基づいてどういうふうに勘案をしていこうとされるのか、その点につきまして、最初に官房長官にお話をお伺いしたいと思います。
  162. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 海外経済協力に関する検討会、いわゆる原田委員会でありますが、報告書は、我が国の国益を踏まえた戦略的な海外経済協力をいかに効率的に実施すべきかとの観点から、政府内体制及び実施機関の在り方に関する提言が行われております。  報告書におきましては、政府内体制の在り方については十三省庁十五閣僚で構成されておりました対外経済協力関係閣僚会議が、ここでは実質的な審議が行われずに、すべての閣僚が参加をするという会議である建前上、極めて重要な会議ではあるんですが、ここでは自主的な会議ではなくて、ここでは言わば決定機関的な役割を担っていた。やはり実質的な審議、判断という観点からは十分機能を発揮をしてこなかったということを踏まえまして、我が国の海外経済協力に関する重要事項を機動的かつ実質的に審議し、戦略的な海外経済協力の効率的な実施を図るため、司令塔的な役割を果たす海外経済協力会議の設置が提言をされたわけであります。  例えば、安全保障会議におきましては、これは防衛庁だけではなくて、正にこれは総理大臣が入って、官邸が入る形で政策の決定を行っているわけであります。また、経済政策、予算編成の基本的な方針につきましては、経済財政諮問会議の場におきまして、ここでやはり総理も入って、官邸も入って、またここは民間の有識者、専門のマクロ経済学者等々も入って議論がなされるわけでありますが、しかしODAというのは極めて重要な政策的な判断を要するものであるにもかかわらず、今までそれぞれの省庁において検討がなされてきたと。つまり、個々の国については個々の国の事情のみを考えていたわけでありますが、大きな、これは世界じゅうを俯瞰した中で、日本にとっては例えばエネルギーの確保は重要ですねという観点から、だから全体を見てどういうふうに配分していこうかという観点はなかったのではないか。そういう反省点の中で設置を決定したわけでありまして、総理大臣及び少数の閣僚で構成される海外経済協力会議を内閣に設置をいたしまして、五月の八日に第一回の会合を開催をしたところでございます。  顔の見える援助の観点から、円借款技術協力及び無償資金協力の連携を更に強力化するため、実施機関を統合し、JICAが一元的に実施をすることになったと、こういうことでございます。これも、言わば円借款技術協力、そしてそれから無償資金協力と。この中で、例えば円借款技術協力の段階から無償資金協力に移っていって、そしてその後は言わば国際金融の形でという、そういうふうにだんだん卒業していくという過程においても、一元的にこれ政府としても考えていくことができるというこれは仕組みになっているのではないかと、このように思います。
  163. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 時間も余りありませんので、少しはしょって次に参りますが、今、官房長官お触れになりました海外経済協力会議、非常に私は、発想としては当然のこととして一つの帰結かなというふうに思いますけれども、その設置で考えていくということは。ただ、原田報告書でも言われていますが、政府内体制の一元化、あるいは司令塔として明確化していくんだと、こういうふうな表現がございますが、先ほどお聞きしますと、例えば外交の機微に触れる点があるので情報の公開はしないと、こんなふうなことが言われておるようでございますけれども。  私は、議事録を公開するというだけではなくて、それがすべてじゃないと確かに思います。だけれども会議つくって、何か意見交換会で自由にやっているというだけではやっぱり司令塔じゃないんじゃないかなという気がしますので、何か司令塔というのはやはり存在感が感じられるものでなきゃいかぬですね。例えば、何か変わったけれども、どうもあそこで決めたらしいと、らしいでいいんです。議事録オープンにするんじゃなくて、そういうふうな存在感のある閣僚会議であってほしいと。それが、そういうときに議事概要なりをどう出すのかというのはいろいろありますけれども、非公開が原則だから何も出さないということだけで私は済む話じゃないんじゃないかなと。言わば、公開しないけれども存在感を持った閣僚会議であってほしいというふうに思いますけれども、御所見いかがでしょうか。運用方針というのはお聞かせいただければと思いますが、よろしく。
  164. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 確かに、阿部先生のおっしゃるとおりなんだろうと思います。  司令塔というのは、存在感があって初めて司令塔たり得るだろうと、このように思います。そこで、しっかりと議論、協議された結果、重要な方針が、例えばODAの基本的な方針が決まっていくということを、これは正に国民の皆様にも分かっていただけるような工夫はしていきたいと、このように思います。どういう決定をなされたかと、それはどういう視点から判断したかということは、どのようにこれは対外発表ぶりをしていくかということも検討課題として考えていきたいと、このように思っております。  大切なことは、まだ一回しか会合を開いていないわけでありますが、実績を積んでいくことによって、これはなるほど司令塔的な機能を果たしている、そして存在感を持ってちゃんと戦略的に国益にかなった形で決めている、そしてさらには、これはもちろん国際社会が目指す理想に向かってちゃんとODAを活用していると、こう御理解いただけるような実績を残していきたいと、こう考えております。
  165. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 是非、そんなふうな考え方で、一回目の会合だけで、時々集まって重要な意見交換をやるというだけでは、あるいは非難として屋上屋を重ねるようなことになってしまうんではやっぱり意味がないんで、どうかひとつ司令塔としての存在感というのを、一番大事なことなんだと思いますので、是非運用方よろしくお願い申し上げたいと思います。  それで、実務的には、そうするとスタッフというのはどういうふうにその会議をやっていくのかねという、集まってから、さあ自由に話してくださいではどうにもなりませんので、その前にいろんな下準備といいましょうか、というものが大変重要ではないかと思うんですが、先ほど官房長官のお話ですと、官房に十余名の専任のスタッフを置くと、こういうことでございますが。それと、外務省さんとの連携というのをもう非常に綿密にやらなきゃいかぬ話ではないかと思いますが、この点について、最初はうまくいくのかなというのがちょっと心配な面もないではないんで、ちょっとお考え方をお二人の大臣から、それぞれ一言ずつお聞かせ願いたいと思います。
  166. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 先ほど官房長官の方から、海外経済協力に関する検討会報告書の中におきましても、事務の現状、外交政策との関係を考慮し、外務省関係省庁との連携を深めつつ、海外経済協力会議の審議する基本戦略の、役所が書くのは大体こういう文章になるんですが、うまくやれということが書いてあるんですけれども、実際うまくやるかやらないかは、これは人の問題ですから、基本的にはODAの調整やら何やらの中核の任というのを、これは外務省の方が企画やら立案やらはやらにゃいかぬところだと思っておりますんで、いわゆる事務局の人数は限られておりますんで、そういった意味では、外務省とこの協力会議事務局との運営というものを、これはきちんと緊密な連携を図っていかねばならぬということだと思って、これはもう重々心して掛からねばならぬと思っております。
  167. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 それじゃ、安倍長官、記者会見の方がありますので、結構でございますので、どうぞお立ちくださいませ。  さて、麻生大臣にこれから三十分ばかりお聞かせいただきたいと思いますが、まず最初に、お世辞言うわけじゃありませんけれども、このホームページに載っかっています大臣が今年の一月十九日に日本記者クラブでスピーチをされましたときの、私は大変いい内容だなと本当に感心いたしました。実は、他の委員の人たちにもごらんいただいたらどうかというのでお勧めしたりしております。  これは、これから、先ほど顔の見えるODAということを申し上げたし、今も強調されておりますが、そういう意味でも、この考え方、情けは人のためならずということを一つのキーワードにしながら国民の中に理解を広めていく、大変大事なんじゃないかなと思います。  顔の見えると言うときに、私、二つあると思っています。  一つは、それぞれの国々日本援助だよということを表現していくといいましょうか、どう認識してもらうかという顔の見えるODA。例えば橋架けたときに、その橋のたもとに、これは日本援助でできたんですよという、日の丸とともに書いてあるとか、それもあるでしょう。  だけれども一方で、もっと私は少し距離感があるなと思うのは、先ほど、ODAの額の問題もありますが、日本国民向けにODAの必要性なりお金を、先ほど黒岩さんの話ではありませんけれども、みんなのお金を出してでもやっておるんだと、やる必要あるんだというふうな御認識の顔の見えるODAというのをどうつくっていくのかというのは、相当やはりまだ距離感があるやに私は感ずるんでございます。  あえて言いますと、それぞれ私ども選挙ということで抱えています、試練を受けていますが、地元に行きますと、そういうお金あるんならその前にこっちくれよみたいな話を、どうしてもやっぱり出がちなんですね。そこをどうこたえて説得し、世界の中の日本ということのためにはこれが要るんだよということをやっていくためには相当やはり力を出していかないといかぬのだなと思いますし、今までと違った手法でメッセージを出し、かついろんな取組方を、ただ白書を出すということだけじゃなくて、必要なんじゃないかなという気がしますけれども。  まず基本的に、大臣のこのスピーチの精神に盛られたことを踏まえながら、そんな考え方での、いかに国民理解を進めていくかについて今までと違った方策というものを欲しいなと思いますけれども大臣なりのお考えをお聞かせください。
  168. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ODAの場合、先生、これいろいろ言い方があるんだと思うんですけれども、みんな、ヨーロッパはアフリカに、日本の場合は主にアジアに、アメリカの場合は主に中南米に金と技術と人等々をみんな送って同じようなことをやったんだと思うんですね、時期こそ違え。しかし、アジアは成功した。何でアフリカと中南米はうまくいかなかったんだろうかという考え方に立ったときに、私は、アジア国々の文化が違ったとかいろんな表現があるとは思いますが、やったことはほとんど同じです。  特に日本の場合は、一九八五年のプラザ合意以降、二百四十円が百二十円に跳ね上がった円の力を背景に、あの当時は円高不況とかいう意味不明な言葉が続いていましたけれども、自分の国の通貨が高くなってつぶれる国なんかどこにあるかと思っていましたけれども、とにかくその金バックにしてアジアにみんな人件費等々を考えて出ていったんだと思いますが、結果として、出ていった工場が軒並みとは言いませんけれども、多くのが成功した背景は、やっぱりそこには日本人の働く姿があったからだと、私はそう思っています。  先ほど谷合先生がアフリカに住んでおられたと言われましたけれども、私もアフリカに、西アフリカ、シエラレオネというまだ大使館も領事館もないような、今でもありませんけれども、あの危なっかしいところに二年ほどおりましたし、ブラジルにも一年少々住んでいたんですが、いまだかつて、そこで現場で働いている人というのを見たことが私ありません。しかし、アジアの場合は、明らかにそこに日本人が働いているという、いわゆる勤労という精神というのは間違いなく日本ODA一緒にくっ付いて出ていっている。ある意味、最も大きな私は日本のソフトパワーに数え上げられるべきものなんだと、私はそう思っています。  インドに行かれると、もう今はインドの多分地下鉄が一番いい例だと思いますけれども、地下鉄は、これは日本のおかげでできたというのがもう、だれが造ったか分からないように小さく何か端っこの方に書いてあるなんというんじゃない、もう真ん真ん中にどでかく絵がかいてあって、全部日本のおかげですということが書いてあるんですが。同時に、これができるまでの間、徹底しておれたちは働くということの意義日本人の技術者に教えてもらったと。とにかく期日前にできたこれだけ大きなプロジェクトはインドにいまだかつて一個もないんだと。とにかく覚えた日本語はたった一つ、納期という言葉だそうですけれども、納期、納期というのは、きっと多分いった土木屋のおじさんたちも納期の説明英語でできるほど能力、英語がうまかったとは思いませんけれども、とにかく徹底して、とにかくもう何か納期と、もうとにかく時間と納期しか言わないんですって。とにかくもう追い立てられて、結果としてこれだけ大きなプロジェクトを予定より早くできた。かつ、でき上がった地下鉄は今ほとんど十分以内の遅れで全部オペレーションができているというのは、もうインドに交通機関はこれしかないというんでえらく言う。そういったようなものが間違いなく顔の見えるものとして向こうから援助が感謝される。  また、カンボジアいらしたら、お札の裏側見ていただいたら日本橋という橋が見えますけれども、いわゆるカンボジアのお札の裏側にその橋が刷り込まれているんですけれども。  いろんな意味で、日本のそういったものが出ているんだと思いますが、これが回り回って、先ほど黒岩先生のところで御指摘にありましたように、これは国内向けは理解がされているかといえば、それはなかなか、インドの話だって、私、一月一日か二日か行かされた、あれ行かなきゃ多分知らなかったと思いますし、インドで地下鉄に乗ることもなかったでしょうし、そういった意味では、我々はそういったことを経験させてもらったから申し上げられるんで、こういったものはやっぱり日本でもそういったのがちゃんと分かってもらうように、回り回ってやっぱり日本向けの顔の見える部分も何とかせいというのは、私も全く同感であります。  ちゃんと回り回って日本に、こっちに返ってくるんだというところは、東南アジアに旅行に行ったり何かに行けば分かってもらえるところですけれども、なかなかそういう機会もありませんので、それは今ホームページがあるじゃないかとおっしゃいますけれども、これはちゃかちゃかできられる方というのは失礼ですけれども自民党の中の半分以上はいませんから、そんな人は。御年配の方はおできになる方はほとんどありませんから、もう若い人だけ。そういった方々は、おおっとかみんな言われますけれども、とてもじゃありません、私より上の方でそんなことをやっておられる方はほとんど存じ上げませんので。そういった意味ではなかなかホームページって、それちゃんとプリントアウトしてお渡しするか何かしないとなかなかだと思いますので、ちょっと正直この国内向けの効果につきましては、ちょっといろいろほかの手段を使って、広報活動というのかな、そういったものを努めていって、回り回って日本のためになっておるという話をきちんとしていくようにする努力をしていかねばならぬと思っております。  長くしゃべりましたけれども、済みません、肝心なところです。
  169. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 本当にもっと大臣お話ししていただいていいんですけれども、是非委員皆さん方ももう一度、ごらんになっていただいていない人があれば、このホームページに載っていますので、是非お読みいただければ有り難いなというふうに思います。  私もかつて外務大臣をたまたまさせていただきましたけれども、そのときにJICAの写真をお借りしまして、私の生まれ育った言わば母校ですけれども、小学校で五、六年生を相手にパワーポイントで映像を使いながら、やっている仕事を紹介しました。そしたら、例えばアフリカの少女が朝起きてまず最初にやる仕事が水くみに行く仕事だという話とかですね、あるいはカンボジアのポル・ポトのときの地雷で犠牲になって片足をなくした少年の話とかですね、どっかで農業指導をやっている話とか、非常に今まで見たことも聞いたこともないような話だというふうに言われていましたけれども、そういう、もっともっと何か地道な、映像を使ってでもたくさんたくさんそれをやってもらうことが私は日本のそういったふうな認識を高めていく、顔の見えるといいましょうか、顔の見えるって何か分かるというだけじゃなくて。  あとは、今日厳しい話がありましたけれども、そういう面もあるかもしれません。だけれども、大きな感覚で、もっと世界は様々な事情がある中での活動ということを理解してもらっていかなきゃいかぬことなんじゃないかなというふうに思いますので、是非いろんな基軸なりいろんな手法を使って、その辺の理解を高められるようにしてほしいと。  ましてや、先ほどからODAの額のお話がありましたけれども、〇・七%まで目標となりますと、本当に三兆円超えるわけですね。これは夢また夢みたいな話ですよ。今ではもう四十兆円の税収しかないわけでございますので、八十兆円使っているみたいな実態の中で、それを何兆円か増やしていくということは、私は本当に相当な覚悟と新しい物の考え方が要るんじゃないかなと思いますけれども、それはまあともかくとして、もう触れませんが。  そのときに、是非私はあれしてみたいのは、大臣のこれにも書いてございますが、日本ODAの考え方というのは、例えばよく言われるのは、パンを上げるんではなくてパンの焼き方とかあるいはその前提となる小麦の作り方とか、そういうのをやりましょうやということをやっていくんだということをよく言われますけれども、その精神。あとは、大臣は勤労と言われていますけれども、志操のということで、志すと操と書いて志操と言われていましたけれども、そういうふうなことのソフトパワーも非常に大きな力になるんだというようなことを大臣言われていますが、そのとおりだと思いますので、その辺についての、人材の交流も含めて、日本の顔の見える存在感のある日本ODAというのを構築していくことが大事なんじゃないかなと思いますけれども、以上のような点について大臣の、まあ同じような御発言になると思いますけれども、簡単にもう一度お願いしたいと思います。
  170. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 多分、勤勉だと我々はみんなそう信じているんですけれども、今自分の子供に毎朝二キロ歩いて水くんで持ってこいって言って、まずうちの息子やりません。娘も絶対やらぬと思いますね。そんなことは、まず今の子供にそういう勤労を要求しても、まずする子供は今日本にはおらぬと思います。しかし、現実そういうことをやった上で学校に行っているインドの子供とかパキスタンの子供というのは一杯おりますんで、そういう意味では、私は勤労というものに関する考え方というのは、少し我々余りのぼせていると間違えるんで、そんなに勤勉でも勤労でもないんじゃないか、我々程度に勤労な人はほかにいますと、まずそう思っております。  それから二つ目に、やっぱりこの国の場合は、どう考えても向学心が高いということは確かだと思いますんで、向学心がくっ付いている。勤勉プラス向学心、いわゆるもっともっとって、好奇心とかいろんな表現があるのかもしれませんが、それが二つ。この二つまでですと、多分ベトナムに行っても韓国に行っても同じような人多分一杯見ると思いますが、私ども、もう一つこの日本という国がこれまでになった大きな理由の一つに、僕は公徳心、いわゆるパブリックモラルというようなものが、すごい我々の先輩やら何やらは高かったんだと思うんですね。それが証拠に、やっぱりこの国はどう考えても、先進国の中でこれだけ犯罪が少ないところ珍しいですもん。少なくとも、夜中日比谷公園一人で女性が歩けるとかですね、盛り場女性が一人で歩けてるとか。  この間、これアメリカ人の話ですけれども日本に来て一番驚いたもん何だか言ってみろって、日本で一番感心したもん何だか言ってみろと、すしがうまいなんかつまんないこと言うなよと、何が一番印象的だったかと言ったら、地下鉄だと言った。それで、ああニューヨークの地下鉄は汚いからなとそう言ったら、ノーと。最終電車に乗ったら地下鉄の中で酔っ払って寝てたのがいたと、それで、あっ、これがうわさに聞く過労死ってもんだなと思ってじっと見てたと。死なない。数か月いて、この国は夜地下鉄で酔っ払って一人で寝てても盗み、かっ払いに遭わないほどこの国は治安がいいんだということに気が付いて、アスタウンド・アス、驚愕した。考えてみると、外にやたらと自動販売機あると。壊れてんのかと思ったら、入れたら出るということはあの中に金が入っているってことだと。にもかかわらず、ぶっ壊されたり盗まれたりしないというほど治安がいいと。ニューヨークに屋外に自動販売機が林立するなんてことはニューヨークじゃ考えられぬと。それほど治安がいいと。  そういったようなところというのは、やっぱりこの国には、長い間我々は当たり前に思っているけれども、すごい大きな資産、財産なんだと思っております。そういったものが、多分いろんなものと一緒お金とか技術とか一緒に付いて出ていっていると思うんですね、私には。だからみんな、この国に来ると何となく別のものを感じる。今いろんな人が貧しい国から人が入ってくる。犯罪が増えているって、いろいろこれ警察なんかも言うところであります。  しかし、私どもとして、豊かな国に貧しい人が入ってくるのは、これはもうローマの昔から変わりありませんが、やっぱりこの国は金持ちが住みたくなる国、年を取った高齢者、高齢者の方が若い人より金持ってますから、高齢者が住みたくなる国、なぜなら治安がいいから、環境がいいから、なぜならみんな働くから。  そういった意味では、活力ある高齢化社会というようなものを、もし我々が創造するのに成功すれば、これ間違いなく先進国はみんな高齢化するんですから、そういった国々がジャパンという国をまねたいと、ああいった国になりたいと言われるようなものにしていくための支えているものというのは、多分一番最初に言われた、施しをするんじゃない、魚上げるんじゃない、釣りざおと釣り方までは教える、しかしえさはおまえ自分で探して付けろと、そういう多分やり方してきているんだと思うんですよ、我々の先輩のやり方というのは。  だから、何からおんぶにだっこ、日傘までくっ付けない、もう絶対、最後は自分でというところは、最後はやらせているというところが納期、納期と言われて最後に頑張るという言わせるものにさせる、何かそういったこう、正確なまだ分析ができているわけじゃありませんけれども、そういったものが我々に受け継がれているのかなと思って、特に現場の技術屋の人を見るたんびにちょっとじんと来るものがあるほど、特に高齢者と言っちゃ失礼ですな、私も年金対象者ですから、まあ高齢者。とにかく、会社辞めた六十過ぎぐらいの方が実にアジアに一杯今出て技術指導をしておられるのに、結構年配の方が第二の人生を生きがいのようにしておられるというのが、僕は、それがアジアの人たちがこっちを向かせている非常に大きな理由なのかなと。金の額もありましょうけれども、そういった哲学が一緒にくっ付いていっているというところがみそかなと、そんな感じが私の率直な実感であります。
  171. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 一つ、二つ、少し端的にお聞きしますので、お答えいただければと思います。  一つは、我が国ODAは、我が国外交は武力ではない外交をやりましょうということでやってきていますので、そのためには大きな柱だと思うんですね、ODAというのは。そうするためには、逆に言うと国策として非常に大事なことですから、武器の使用ではないけれども、緊張感を持ってそれを使ってもらわなきゃいかぬということなんではないかと思うんですね。どうも、何かお金だからいいんだというようなことで安易に使われることはないと思いますけれども、高度成長期にはそういう形でODAが使われた傾向がないわけではないと。それの影響が少し残っているやに思える部分もありますんで、もっとやっぱり、もしかしたら人殺しにもなりかねない武器の代わりにこれを使うんだよというのは、ある種の緊張感といいましょうか、あるいは政策目的といいましょうか、意識をしっかり持って使ってもらうというふうな固い意思が要るんじゃないかと思いますけれども、一言、お願いします。
  172. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 全く御指摘のとおりだと思います。いわゆる大砲をバックにした外交をやっているわけではありませんので、日本としてはこういったODAというのはすごく大きな外交手段だと思いますが、それを使うに当たってはきちんと緊張感を持ってやるべき、当然だと思いますが、御指摘は全く賛成であります。
  173. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 それから、あともう一つは、実は我がODA委員会に関することでもありますけれども、せんだって新しい試みとしてPNGの、パプアニューギニアのソマレ首相をここにお呼びしましてスピーチをお願いし、若干の意見交換をさせていただきました。言わば立法府としてどうかかわるのかということはいろんな議論がございますが、やはり立法府の中で、外交は政府がやるんですけれども、立法府でも関心を持って、舞台としてここを設営し、おいでいただいて、国民へ顔の見えるというものの一環としてそういう場を用意することも私は意味があるんではないかなというようなことでやりましたが、この委員会という、あるいは国会という、立法府というものは、やはり顔の見えるODA国民理解されるODAという場合にはやはり心して少し関係を持ってもらうように政府としても考えてもらったらいかがなもんだろうかなと、こんなふうに思っているわけです。  したがって、これからの相談事でございますが、私の考えとしては、いずれ政府としても、ODA大綱には書いてございませんが、戦略的に今度ODAを考えるということでございますので、国民に向けてのアピールの一環として、国会に対しても、どういう形かは別にしまして、定例的にODAについての方針なりあるいは評価なりについて御報告いただき、審議をし、国民にアピールしていくということも考えられるのではないかなというふうに思いますけれども、一般的な白書はございますけれども、その辺についてはもう少しルール化できないかなということで今後の相談としていきたいと思いますけれども大臣のお考えをちょっとお聞きしたいと思います。
  174. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 阿部先生の御指摘は、非常にこの特別委員会が発足してからのいろんな経緯を踏まえての重みのある発言だというふうに思います。  いずれにしても、ODAは税金を原資とするものでありまして、その実施に当たりましては我が国国民理解というものは不可欠であると、このように考えるわけであります。その意味におきまして、このODA特別委員会においてODAについて様々な角度からの御議論をいただくということは非常に貴重な機会であるというふうに私どもは思っておるわけであります。  これまでも外務省というのは、ODA大綱にのっとりまして、毎年ODA大綱の実施状況を含めてODA政策についての白書を閣議報告していることは御承知のとおりであります。これを始めといたしまして、ODAの政策実施、評価に関する情報等について、様々な形で公開するといった政策の周知に努めてきているところではあります。  今後とも、こういう国会審議の場を含めまして、ODAについて国民の方々に説明する努力というものを積極的に行ってまいりたいと、このように考えている次第であります。
  175. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 それじゃ、まあいずれこの委員会でも国会としての御相談をさせていただいた上で、政府に対して何らかの要請もするかもしれませんので、どうかひとつ前向きにお考えいただければ有り難いなと思います。  最後に、ちょっと時間もありますので、一つ、少し観点が違いますが、ODAといいますとオフィシャルですわね。でも、海外援助というのはオフィシャルだけではないと思います。NGOということもございますけれども日本のNGOは活動資金の七、八割が多分ODAなんだと思うんです、物にもよりますけれども。ところが、欧米のNGOは逆のケースが多いように聞いてもいます。七、八割はむしろ民間資金による、依拠していると。あとの二、三割は政府援助と共同的に作業として受け入れてやっていくんだというふうなことになりますと、どうも日本の場合のODAではない、言わば自主的なNGOといいましょうか、いうふうな、資金的にもまだまだそういう意味での、国民的な意味での海外経済協力といいましょうか、海外協力活動といいましょうか、いうものが、足場がそう強いものじゃないなと率直に思いますけれども。  外務大臣は、オフィシャルではありますけれども、全体の国際協力を考えたときに日本のこれからのスタンスというのは、特に民間の場合、多くもっとしていってほしいな、なってほしいなと願いますけれども大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  176. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘のありましたように、経済協力開発機構ですかね、あれやら何やらの統計をちょっとかりるんですけれども、NGOの支援額に占める自己資金比率というのは六三%ということになっておりまして、これは、ほかの国と比較してみてもこれは全然低いものではないということは確かなんだと思いますが、これは外務省としては、NGOが自己資金を増やすということは、これは組織としてはある程度安定したものにもなりますんで、活動を拡充する観点から非常に重要だと思っております。  これまでも、NGOが寄附金を募る場合にいろいろ効果的な方法について調査を実施するなどの協力には努めてきたところではありますけれども、更にこの効果的なNGOの側面支援の方法というのは、ちょっと何も金だけの話じゃなくて、もっと別の支援の仕方とかいうのはいろいろ考えてみたいと思うんですが、これ大体役人が考えると、そんなこと全然おれたちは期待しとらぬと、こっちやってもらいたいとかいう話はようある話ですから、よくこれはNGO側の要望も聞いてみないと、これは一方的な話の押し付けはうまくいきませんので、そういった意味で、双方でよく話を突き合わせた上で検討させていきたいと思っております。
  177. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 以上で質疑時間も参りましたので終わりにしたいと思いますが、どうか、一時は一兆円を超えたNGOのときもありました。ただ、そのときには何となく、何かお金があるからやったというような感じが正直あったのかなという気がしますけれども、これからこそが、みんなで出し合ってでもODAやりましょうというようなくらいの雰囲気をつくっていかなきゃいけない時代なのかなと。そのためには、相当やはり戦略的な考え方、あるいはその使い方においても、もっと厳密なチェックを受けるとかいうことも必要なんではないかと。新しいODAの再スタートということを念願をしているわけでございますけれども、どうかひとつ、麻生大臣、大いに力を発揮していただきまして、そうしたふうな新しい路線を敷いていただくように希望を申し上げて、終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  178. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十九分散会