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2006-06-01 第164回国会 参議院 財政金融委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年六月一日(木曜日)    午前九時三十一分開会     ─────────────    委員異動  五月三十一日     辞任         補欠選任      平野 達男君     主濱  了君      前川 清成君     尾立 源幸君      山本 孝史君     藤末 健三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         池口 修次君     理 事                 岩井 國臣君                 田村耕太郎君                 中川 雅治君                 櫻井  充君                 峰崎 直樹君     委 員                 田浦  直君                 田中 直紀君                 鶴保 庸介君                 野上浩太郎君                 溝手 顕正君                 若林 正俊君                 尾立 源幸君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 主濱  了君                 富岡由紀夫君                 広田  一君                 藤末 健三君                 荒木 清寛君                 山口那津男君                 大門実紀史君                 糸数 慶子君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        与謝野 馨君    副大臣        内閣府副大臣   櫻田 義孝君        法務副大臣    河野 太郎君        経済産業大臣  松 あきら君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        後藤田正純君        農林水産大臣政        務官       小斉平敏文君    事務局側        常任委員会専門        員        藤澤  進君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官        兼産業再生機構        担当室長     広瀬 哲樹君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        防衛施設庁施設        部長       渡部  厚君        金融庁総務企画        局長       三國谷勝範君        金融庁総務企画        局総括審議官   中江 公人君        金融庁検査局長  西原 政雄君        金融庁監督局長  佐藤 隆文君        法務大臣官房審        議官       深山 卓也君        法務大臣官房司        法法制部長    倉吉  敬君        農林水産大臣官        房審議官     佐久間 隆君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        迎  陽一君        中小企業庁経営        支援部長     古賀 茂明君        環境省水・大気        環境局長     竹本 和彦君    参考人        慶應義塾大学経        済学部教授    池尾 和人君        日本証券業協会        会長       越田 弘志君        日本公認会計士        協会会長     藤沼 亜起君        株式会社東京証        券取引所代表取        締役専務     飛山 康雄君        日本証券業協会        副会長      増井喜一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○証券取引法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○証券取引法等の一部を改正する法律施行に伴  う関係法律整備等に関する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○金融商品取引監視委員会設置法案櫻井充君外  五名発議) ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 池口修次

    委員長池口修次君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、平野達男君、前川清成君及び山本孝史君が委員を辞任され、その補欠として尾立源幸君、主濱了君及び藤末健三君が選任されました。     ─────────────
  3. 池口修次

    委員長池口修次君) 証券取引法等の一部を改正する法律案証券取引法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び金融商品取引監視委員会設置法案、以上三案を一括して議題といたします。  本日は、三案の審査のため、参考人として慶應義塾大学経済学部教授池尾和人君、日本証券業協会会長越田弘志君及び日本公認会計士協会会長藤沼亜起君、以上三名の方々の御出席をいただいております。  この際、参考人方々にごあいさつを申し上げます。  本日は御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  参考人方々から忌憚のない御意見を承りまして、今後の審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いします。  本日の議事の進め方でございますが、まず池尾参考人越田参考人藤沼参考人の順序でお一人十五分程度でそれぞれの御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答え願いたいと存じます。  また、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おき願いたいと存じます。  なお、参考人及び質疑者ともに御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず池尾参考人からお願い申し上げます。池尾参考人
  4. 池尾和人

    参考人池尾和人君) 慶應義塾大学池尾と申します。  本日は、こうした場で意見を述べる機会を与えていただきまして有り難く光栄に存ずるとともに、感謝いたしたいというふうに思っております。  それで、私は経済学者法律学者ではありませんので、御審議中の法律の詳細について言及するというよりは、こうした法律を通じたルール整備が現在の日本経済にとって必須の課題になっているというふうな点について意見を述べさせていただきたいというふうに思っております。  それで、お手元に意見陳述のためのメモ参考のための論考を配付していただいていると思いますので、メモの方に沿って意見を述べさせていただきたいと思います。  それで、冒頭からそもそも論になって大変申し訳ないんですが、金融取引というのは、まあ言ってみれば約束を売り買いしているわけでありまして、約定した将来時点において特定の条件に従ってお金を払うという約束と今のお金を交換しているというのが金融取引でありますから、金融取引に当たりましては、取引に先立ちましてはその約束の内容がどの程度確からしいものであるかということを確かめる必要がありますし、それから取引をした後におきましては、その約束をちゃんと守ってもらわなければいけない、履行を確保しなければいけないということが金融取引にとって条件になるかというふうに思います。  したがって、取引に先立った面については情報開示の点ですね、それから、その取引後の約束、契約の履行確保という点におきましては法的な保護というふうな面におきます制度整備が十分になされていない限り、いわゆる市場型の金融取引というのは成り立ちようがないということが言えます。  情報開示法的保護についての制度整備がなければ市場型の金融取引は実行不可能でありまして、そうした場合には、いわゆる当事者間の間で関係を取り結んで、その関係を通じて情報を得たり約束履行を強いたりするような形の、相対取引というふうに称しておりますが、制度整備が不備な状況の下においては相対型の金融取引しか実行可能ではないというのがまず申し上げたい点であります。  それで、我が国におきましては、従来圧倒的に相対型の金融取引が支配的な傾向であったわけですが、その背景には様々な条件があると思いますが、一つは制度面での整備というのが不十分であったということが大きく影響しているのではないかというふうに考えております。  ところが、現段階日本経済を考えますと、市場型の金融拡大する必要が非常に、近々の課題というよりは、もう十年とか二十年前から市場型の金融をもっと拡大すべき段階日本経済というのは至っているんだというふうに思います。  その市場型の金融拡大すべき理由に関しては、主なものとしてだけでも三つほど挙げられると思いますが、ここでは余り時間もありませんので、その点については立ち入って説明することは省略させていただきたいと思いますが、御参考に、配付しました私の論考の六ページ以下のところでそうした理由について改めて記載しておりますので、後でごらんいただければというふうに思います。とにかく、現在の日本経済におきましては市場型の金融拡大する必要に迫られているということです。  しかしながら、市場型の金融拡大するためには、先ほど申しました二面におきます制度整備というのが不可欠であるということで、単なる規制緩和とか自由化を進めるだけではなかなか市場型金融拡大は望めないということが言えると思います。  もちろん、規制緩和自由化というのは必要なことでありまして、時代に合わなくなったあるいはもう不必要になった規制等を撤廃するということは是非どんどんやっていただきたいというふうに思いますが、しかしながら、そうした規制の撤廃というのは、言ってみますと言わばスクラップ化でありまして、時代に合わなくなったものはスクラップ化すればいいわけですが、スクラップだけでは物事はなかなか良くならないという面はもちろんありまして、やはりスクラップ・アンド・ビルドをしなければいけなくて、ビルドの面での制度整備ということがやや全体として立ち後れていたんではないかという印象を持っております。  一九九六年から進められましたいわゆる金融ビッグバンの結果といたしまして、自由化規制緩和という点に関しましてはかなりの前進が実現されたというふうに思っておりますが、御案内のように、その際、日本版金融サービス法を制定するというふうな動きもあったわけですが、そのこと自体はそのままの形では実現せず、金融商品販売法というふうな形の法律が成立するにとどまったというふうなことからも、制度整備という点では不十分なところが残ったんではないかというふうに考えております。  現在御審議中の法律金融商品取引法、俗に投資サービス法と呼んでおります法律に関しましては、言わば日本版ビックバンのときに未実現に終わった金融サービス法制定への再挑戦というふうな位置付けで理解できるかというふうに考えておりますが、今回に関しましては、是非法案の成立を図っていただいて、大きな成果が上がることを期待したいというふうに思っております。  最後にですが、ルールを制定するということは、立派なルールをつくるということは大切なことなわけですが、そのルールについてはやはりしっかりと遵守していただく体制を併せてつくることが必要であるというふうに思っております、それは当然のことですが。そうしたルールの遵守を図る体制、いわゆるエンフォースメントの体制について最後少しお話をさせていただきたいというふうに思います。  それで、ちょっと印象論のような形になって誠に申し訳ないんですが、私は従来、我が国におきましては、金融資本市場のために金を掛けるという発想が乏しかったのではないかというふうに思っておりまして、金融資本市場のために金を掛けるというふうな形の発想は余りなくて、結果的に、金融資本市場のために日本経済として割り当ててきた資源の量というのは極めて限定的、限られたものであったと。  その結果として、俗っぽい言い方で恐縮ですが、どうも日本資本市場は安普請な資本市場という感じがいたしておりまして、やはり、何というんですか、節約できる費用はもちろん節約すればいいわけですけれども、惜しんではならないものまで惜しんでしまうとやはりそれなりの貧弱なものしかできないというところがありまして、やはり現時点において、金融資本市場のためにもっと金を掛けるといいますか資源を割り当てるということがまず大切ではないかというふうに考えております。  したがって、金融資本市場に関するルールをエンフォースメントする体制についても、まず当面する課題は、まず人員予算増強するということだというふうに思っております。組織体制をいじる以前に、まず人員予算増強すべきであるというふうに思っています。  霞が関の常識の範囲からいえば、金融庁に関して最近異例の人員増強が図られているということになるのかもしれません。それで、行政改革の中で公務員を減らしていくという大きな方向性からいえば、それに反する形で金融関係については人員増強が図られているということなのかもしれませんが、やはり日本資本市場にとってどれだけの人員が必要かという観点からすると、まだまだ不十分な人員予算しか金融行政には付けられていないんではないかというふうな気がいたしております。  したがって、まずはそうした面での増強を図るというのが当面の課題であると。で、やや中長期的には、横断的なルールにふさわしい形の規制監督体制省庁の再編成というふうなことも展望するような形でじっくりと考えていく必要があるだろうというふうに思っております。  ただ、横断的ルールにふさわしい規制監督体制というふうに口で言うのは簡単なんですが、どういう体制が本当にふさわしいのかということにつきましては、経済理論的にもなかなか難しい問題であって、今後もっと考えていかなければいけないというふうに正直なところ思っております。  というのは、大西洋の両側で違う体制を取っているわけですね。イギリスアメリカという二つの国際金融センターを抱えた国々において、同じアングロサクソンのイギリスアメリカにおいて、金融規制監督体制かなり対照的なものに現状なっているということが事実の問題としてあります。  御案内のように、イギリスにおきましては、巨大なFSAというふうな官庁にその規制体系が一元化されているということがあるわけです。それに対しまして、米国におきましては、歴史的経緯等々があるわけですが、資本市場に関するだけでもSECとCFTCというふうな形で現物と先物で規制監督機関が分かれておりますし、それから銀行に関しては、預金保険公社とか財務省の下の通貨監督局とそれから連邦準備制度というふうな形で、連邦機関だけでも三つありますし、それから、アメリカ連邦と州の間での権限というふうな形でも分かれておりまして、非常に分立した構造にあるわけです。アメリカにおけるそうした分立した構造という、規制監督機関が分立しているという構造は、当然重複とかの無駄を招いているという批判も受けているわけですが、他方で相互規制監督機関の間で牽制が働いて、その結果のプラスの効果というのも観察されるわけです。  例えば連邦機関が、何というんですか、動きが鈍かったときに、州当局が自らの権限を使って行動することによって連邦機関の行動を促すというふうなことも実際のケースとしてあるわけでありまして、分立していると申し上げましても、我が国とちょっと違うところがあると思うんですね。  我が国の場合の省庁間の縦割りという場合は、重複を認めないといいますか、権限かなり切り分けを完全にやって、テリトリーを完全に分けてしまったような形の縦割り構造になっているわけですが、アメリカ機関は、まあ悪く言えば互いに権限争いをしているところもあるわけですが、重複をしている面がありまして、それが無駄につながるという悪い面もあるんですが、一面では相互牽制競争になるというふうな面もありまして、したがって、イギリス型の単一組織がいいのか、米国のようにある程度分立をして規制監督機関の中にも競争を持ち込んで牽制を持ち込むというふうな在り方がいいのかというのは、簡単に経済理論的に考えて結論が出るというふうな話でもありませんので、この点についてはより時間を掛けて十分に検討をしていくということが必要ではないかというふうに思います。  だから、そのためにも、まずはある程度リソースがそこに割り当てられるという保証がないと、人員がいない中でそういう議論をしてもほとんど余り実際意味がないということになりかねないかと思いますので、我々もっと日本金融資本市場のために金を掛けていくというふうなことを決めることが必要ではないかというふうに思っております。  大変雑駁になりましたが、以上で私の意見とさせていただきます。どうもありがとうございました。
  5. 池口修次

    委員長池口修次君) ありがとうございました。  次に、越田参考人にお願いいたします。越田参考人
  6. 越田弘志

    参考人越田弘志君) 日本証券業協会会長を務めております越田でございます。よろしくお願いいたします。  常日ごろ諸先生方には証券市場証券界に対しまして御理解、御支援をいただきまして、この場をかりまして厚く御礼申し上げます。  株式市場は三年前の四月に日経平均株価が七千六百七円を付け、バブル崩壊後の最安値を付けましたが、その後の日本経済企業業績回復、不良債権問題の処理による金融不安の回避などにより、現在株価は一万五千円から六千円台で推移しています。この間、国を挙げて日本経済再生のため証券市場活性化に取り組んでいただきました。例えば、連結決算時価会計などの企業会計整備ラップアカウント、ETFなどの新商品導入金融機関郵便局による投資信託販売などの証券投資のチャネルの拡大日本銀行銀行等保有株式取得機構などによる株式需給対策委員会設置会社会社法改正などのコーポレートガバナンスなどの改善など、証券市場活性化策が相次いで導入されました。  その中で、特に証券税制改正において、貯蓄から投資への政策を推進するため、株式売買益配当金に対する一〇%の軽減税率を始め種々の措置を講じていただきましたが、これらの措置は諸先生方の多大なる御理解、御支援のたまものであり、この場をおかりして重ねて御礼申し上げます。  私ども証券市場に携わる者といたしましては、かねてより証券市場活性化に心掛けておりますが、活性化証券市場に多くの投資家参加があってこそ実現されるものであります。証券市場に多くの投資家参加していただくためには、証券市場透明性公正性向上投資家保護枠組みの強化が欠かせないものであります。  そのような意味で、金融社会環境の変化に対応し、幅広い金融商品サービスについて、包括的、横断的な利用者保護枠組みを構築することを目的とした金融商品取引法案が今国会に上程され、本委員会において審議されていますが、金融商品取引法は、利用者保護を確保しつつ利用者利便向上を図るというもので、我が国金融資本市場の一層の活性化貯蓄から投資への流れを確実なものとするための必要な制度整備であると考えております。速やかな法制化実現を期待しているところであります。  金融商品取引法では、国民は、投資家保護ルールの徹底により安心して金融商品を利用できるようになる一方、証券会社は、規制柔軟化により、多様化するニーズに応じた顧客満足度の高い金融商品サービスの提供が可能となり、我が国経済の一層の活性化に資するものと考えています。  今回の金融商品取引法投資家保護を主目的としておりますが、証券市場活性化観点からの施策の推進も引き続きお願いしたいと思います。  現在、我が国貯蓄性向が急速に低下していますが、世界史上類を見ない我が国の急速な高齢化社会の到来を考えると、我が国経済活性化個人金融資産の効率的な運用が必要であり、証券市場振興策は引き続き重要な課題であります。我が国は、貯蓄から投資へと大きな政策転換を行い、個人投資家証券市場への積極的な参加動きが始まっていますが、欧米諸国と比べ、証券保有の普及はまだ低い水準にとどまっており、貯蓄から投資へは、いまだに道半ばの状態であります。  現在の優遇税制平成十九年度までの時限措置ですが、証券投資の魅力を高め、証券投資を普及させるため、優遇税制の継続を是非お願いしたいと思います。  次に、投資教育の充実についてお願いしたいと思います。  アメリカでは、二〇〇二年、国語、読み書きや数字の習得と同じように金融経済教育重要性を認めた落ちこぼれ防止法が成立しています。さらに、二〇〇三年に公正かつ正確な信用取引に関する法律が制定され、その中で金融リテラシー・教育委員会設置が定められました。この委員会は、アメリカ財務省の長官を委員長とし、教育省、労働省、証券取引委員会連邦準備制度理事会など投資教育に関連した二十の連邦機関で構成されています。それまでばらばらに行われていた金融教育を、財務省のリーダーシップの下で全体として調整を図る仕組みができ上がりました。アメリカにおいては、従来、投資教育については政府が関与せず、民間NPOによる草の根的な活動が中心であったことからすると、大きな方向転換と言えます。  我が国では、貯蓄から投資へを実現するため投資教育への取組が始まっているものの、教育現場への浸透は、遅々としたものにとどまっています。投資教育は、国民の生存にとって必須のものであり、我が国においても政府が一丸となって取り組まなければならない重要な課題であると思います。そのためには、関係省庁業界団体その他、民間企業NPOも含めて横断的な連携を強化する必要があります。アメリカのように、例えば投資教育基本法のような根拠法を策定し、国を挙げて投資教育に取り組む体制づくりが急がれるのではないかと思います。国会においても是非検討をお願いいたします。  最後に、昭和二十三年、一九四八年に制定され、六十年近く慣れ親しんできた証券取引法という証券界憲法がなくなることに、証券界に長くいる者として一抹の寂しさを感じますが、金融商品取引法が、貯蓄から投資へという新たな時代における金融資本市場の新しい憲法としてその役割を果たしていくことを期待しております。  私ども証券界といたしましても、更なる証券市場活性化に取り組むとともに、今回の金融商品取引法導入証券市場信頼向上につながるよう努めてまいりたいと存じますので、諸先生方におかれましても引き続き御支援を賜りますようお願い申し上げ、私の冒頭陳述といたします。  ありがとうございました。
  7. 池口修次

    委員長池口修次君) ありがとうございました。  次に、藤沼参考人にお願いいたします。藤沼参考人
  8. 藤沼亜起

    参考人藤沼亜起君) 日本公認会計士協会会長藤沼亜起でございます。  本日は参議院財政金融委員会参考人としてお招きいただきまして、本当にありがとうございます。  まず、カネボウやライブドア等公認会計士がかかわった会計不祥事の発生は誠に残念であり、大変に遺憾に思っております。日本公認会計士協会は、これらの事件を厳粛に受け止め、公認会計士社会的使命を自覚し、公認会計士監査信頼性回復のため、自主規制を一層強化し、会員と一団となって監査品質確保に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。国民の期待にこたえるよう最善の努力をする決意でございます。  協会は、去る五月十一日に会長声明中央青山監査法人に対する行政処分について」を全会員に公表いたしました。当該声明においては、今回の処分を中央青山監査法人の問題としてとらえるのではなく、公認会計士全体の問題として認識し、公認会計士業界が一丸となって監査の信頼回復に取り組む決意を表明するとともに、監査を担当している会員に対して、本年三月期決算会社の監査について、社会的使命を自覚し、監査の品質の維持、向上に全力を投入して取り組むよう強く要請いたしました。そして、今回の行政処分を奇貨とした不当な被監査会社の争奪や公認会計士の引き抜き等の行為については、協会は倫理規程に基づき厳正な対応を取ることを明らかにし、三月期決算に係る監査の繁忙期を迎えていることから、公認会計士監査の現場に動揺や混乱を招き、資本市場に影響することのないよう注意を喚起をしたところでございます。  協会は、本年七月の定期総会において、自主規制強化のため、協会組織・ガバナンスの改革関連の会則の改定を行うこととしております。さらには、本年の秋に開催予定の臨時総会において、監査の品質向上策として、上場会社を監査する監査事務所の登録制度を導入するための会則改正及び職業倫理規則の包括的整備に係る会則の改正を目指して具体的な施策に取り組んでいるところでございます。平成十六年四月に施行されました公認会計士法に伴う一連の施策に加えまして、現在検討中の自主規制強化の施策が一体となって機能し、さらに公認会計士監査審査会によるモニタリングを受けることで公認会計士監査信頼性回復に向かうものと確信をしております。この場をかりまして、議員の先生方におかれましては、協会の一連の自主規制施策の取組に対しまして御理解と御支援を賜ることをお願い申し上げます。  さて、金融商品取引法案につきましては、ディスクロージャーの一層の充実強化のための数々の制度が導入されております。協会は、是非この国会での成立をお願いする次第であります。  第一に、財務報告に係る内部統制について、経営者の評価と当該評価にかかわる監査人の監査といういわゆる内部統制報告書制度の導入が織り込まれたことであります。  協会は、財務諸表の適正性は、第一義的には財務諸表の作成者である経営者がその職責を全うすること、次に、当該財務諸表の適正性を第三者の立場で監査し担保する監査がその職責を遂行することにより確保されるものであると説明してまいりました。  この制度は、財務諸表の作成者である企業が財務報告に係る内部統制を整備し、その有効性を評価し円滑に機能させることで財務諸表の質を確保するものであり、当該制度の導入により財務諸表の信頼性向上するものと期待しております。  第二に、有価証券報告書の適正開示に関する経営者確認書の導入であります。  これは、経営者が有価証券報告書の記載内容の適正性について自ら確認し、署名して、その責任を投資家に明らかにするものであります。経営者が確認するとなると、作成段階において担当者間での緊張感と責任感が高まり、不実記載の防止には相当に寄与するものと期待しております。  なお、経営者が確認書に署名できるのは、財務報告に係る内部統制が整備され、それが有効に機能していることが前提であります。その意味で、経営者確認書と内部統制報告書は表裏一体の関係にあると考えております。  第三に、会計情報をタイムリーに投資家等に提供する四半期報告書の導入であります。  企業を取り巻く経営環境は激しく変化しており、ビジネスリスクが高まっておりますので、投資者からはタイムリーな情報開示が求められます。四半期財務諸表については、公認会計士はレビューにより検証業務を行うことになります。  四半期報告書の導入により、会社は迅速かつ適正な会計処理が求められますので、会社の財務報告に係る内部統制が整備されており、かつそれが有効に機能していることが重要であります。その意味では、内部統制報告書と一体となって四半期報告書の制度化が図られることを協会は要望してきたところであります。  第四に、虚偽記載を行った場合の経営者等の実行行為者及び企業に対する刑事罰、さらには幇助罪としての監査人の刑事罰が強化されたことであります。  有価証券報告書の虚偽記載は、証券市場参加している一般投資家の期待を裏切ることになりますので、個人金融資産貯蓄から投資への移動を促進するめには刑事罰が強化されることは当然のことと理解しております。  以上、内部統制報告書、経営者確認書及び四半期報告書の導入と刑事罰の強化が一体となって、ディスクロージャーの信頼性は相当に向上するものと考えております。  第五に、集団投資スキームであるファンドを幅広く新法の規制に取り込む枠が設けられたことも投資者の保護観点から必要な措置であると考えます。  ライブドアの会計不祥事を踏まえ、協会は、投資事業組合に対する監査の深度を高め、投資者の期待にこたえるよう、去る四月六日に会長声明を公表し、会員に注意を喚起したところであります。  投資事業組合の問題は、連結範囲の決定に関する会計上の実務指針等の整備が十分でなかったという問題もありましたので、現在、投資事業組合等の連結の範囲に係る実務指針等の作成作業が企業会計基準委員会で行われております。協会投資事業組合等に対する監査の実務指針を策定する作業に着手しております。  最後に、協会は、財務諸表の適正性の確保には従来から経営者、監査人、監督官庁、証券取引所等関係者について包括的な制度の整備をお願いしたところであります。本法案には協会の要望が相当に取り入れられており、十分な審議の上、今国会で成立することを再度お願いする次第であります。  本法案では、上場会社に対しては財務諸表作成者である経営者の責務が強化されております。監査人も今回の法制度整備に甘んじることなく、会計監査のプロフェッションとして自主規制を一層強化し、公認会計士監査信頼性確保に全力で取り組む決意であります。  以上でございます。
  9. 池口修次

    委員長池口修次君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 参考人の皆さん、今日はありがとうございます。時間が限られてますんで早速質問に入ります。  池尾先生の話、執行が大事だという話、全くそのとおりだと思うんですね。この法律の成否は執行の効率を上げられるかどうかいかんに私もかかわっていると思います。  監視体制についてお伺いしたいんですけど、監視体制で監視委員会の強化ということがよく言われまして、私もこれ大賛成なんですね。人員予算も増やすべき、もうこれは当然のことだと思います。  もう一つの監視体制としては、私、証券取引所の監視体制がもっと充実強化されるべきだと思うんですね。監視委員会と東証の役割分担というのがあると思うんです。監視委員会というのはもう逮捕するのが目的ですから、まあぶっちゃけた話ですね、やはり泳がせるということが大事になってくる場合もあるんですね。しかし、泳がせている間に投資家が被害を被る可能性があるわけです。それを防ぐのが私は証券取引所の役割だと思うんですね。  どういうことかというと、ニューヨークやナスダックでやっているようなアーリーアラームですか、タイムリーアラーム、早期警告制度ですね。とにかく、例えば今不正な取引が行われた可能性が高いですと、これから調査に入りますと。この株の動きはちょっと異常です、これから調査に入ります、問題があるかもしれません、そういうことを個人投資家にもしっかり伝えていく、こういう体制の強化が私必要になると思うんですね。とにかく早めに、異常な取引があった場合、それによって株価に影響を与えるかもしれないというおそれがあるわけですけど、しかし、ねじ曲がった可能性のある株価を放置しておくことの方の罪が大きいと思うんです。  証券取引所における執行の効率を上げるための早期警告制度、私、強化すべきということを自民党本部でも酸っぱく東証の役員の方々に言っているんですけど、この辺り、池尾参考人はいかが思われますか。
  11. 池尾和人

    参考人池尾和人君) 御指摘の趣旨はそのとおりだというふうに思います。  それで、金融規制に限らず、一般に公的な規制というのはある意味でちょっと矛盾した構造を持っておりまして、規制をする側とされる側を考えたときに、規制をされる側の業者の方が実は、自分自身でビジネスをしているわけですから、ビジネスに関する情報は豊富に持っているわけですね。で、規制をする側の当局というのは間接的にかかわっているだけですから、情報は少ないわけですね。そうすると、情報を余り持たないものが情報を持っているものを規制するという非常に基本的に矛盾した構造がありまして、そういうのを経済学では情報の非対称性というふうに表現しておりますが、その非対称性があるんですが、その情報の非対称性が金融取引の場合は年々深刻になってきているという面があると思います。  これは、金融取引が複雑化、高度化していく中で、実際にビジネスをやっている人間が何をやっているかというようなことについて、なかなか監督当局が十分な情報を得られないというふうな傾向が世界的に強まっていると思います。  そういう構造がありますから、金融規制の場合には自主規制機関の役割というのが非常に重要になる。その業者と公的規制当局の中間に存在して、今申し上げたような情報面のギャップを埋めながら、全体として規制の、ルールの遵守に関しての実を上げていくというふうなところで自主規制機関の役割というのは非常に重要、以前から重要ですが、ますます重要になってきているというふうに考えます。  それで、日本証券業協会自主規制機関ですが、証券取引所の役割は御指摘のように非常に大きいと思います。例えば株式の分割の、百分割とかの例があったわけですが、あれに関しても東証は一応の警告はしていたんですが、商法で分割を認めた、法律で認めたのを取引所がいけないというふうに言うのはどうかというようなところで多少遠慮があったようで、事後的に考えますと十分な警告を果たさないままに過ごしてしまったという面があったかと聞いております。  今後はそういうところの遠慮はなく、自主規制機関としての役割をやはり果たしていっていただく必要があるというふうに考えております。
  12. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 次に、越田参考人のお話の中で投資教育というお話が出たんですが、私も正に賛成だと思うんですね。賛成なんです。投資教育というのは、貯蓄から投資の流れを進めるという意味でも大切ですけど、その中で私、重要になるのは二つのポイントだと思うんですね。  私、今の投資のノウハウ本が非常に出回っていることに対して非常に危惧を抱いています。といいますのは、投資のノウハウ本いろいろ見てみますと、本当にこんな本で、まあもうかるのかということもありますけど、こういうやり方を教えていいのかということですね。  何が欠けているかというと、まずは投資道徳が欠けていると思うんですね。投資というのはもう尊い行為なんだと、投資を通じて社会の発展に貢献していくんだという、こういう投資道徳みたいなのをアメリカで教えているわけですね。しかし、日本投資教育というと、投資の技術向上とか昔からあるようなチャート分析とか、ああいう本ばっかり出ているんですけど、本来の投資道徳を教えてから投資の技術を教える。投資の技術というのは、単純にもうけるためじゃなくて、不正行為を行う可能性があるものに対して自己防衛能力を高めると、そういう意味もあると思うんです。  まずは投資道徳を教えて、そして投資技術を教える、それがあっての投資教育だと思うんですが、いかが思われますか。
  13. 越田弘志

    参考人越田弘志君) 正に先生のおっしゃるとおりでございます。投資道徳という点に関しては、昨今のいろんな、ライブドアを始めとしたマスコミが取り上げている問題にいたしましても、法律上問題がある点はもちろんのこと、法律の盲点を突くような点が散見されます。かつてならば、当局に問い合わせてそれは芳しくないという答えが返ってくればそれで収まるもの。ただし、法律上問題がないという解釈をすれば法律の趣旨を無視して強行するという面が出ておるんではないかと思います。正におっしゃるとおりでございまして、自己防衛能力を高めるためには投資教育は必要であると。  例えば、昨今問題になっております新規公開株を登録を受けてない業者が勧誘する、そして詐欺的な行為を働いて被害者が出ておるということがマスコミに出ておりますけれども。例えばSECにおいては、SECのホームページに、ある新規公開株、出るという、これに応募してくださいというような一つの、何といいますか、例えとして掲げて、それに応じてきた顧客に対して、このような甘い条件でこんな非常にぼろい話でどうしてあなたは応募されるんですかというような反対のリサーチをやっておるということを聞いておりますけれども。  私ども一番心配なのは、やはり投資そのものの原理原則を正しく理解していただいて、そしてリスクも十分御承知の上で投資していただくということが必要であって、ましてや自己防衛能力ですら自分で維持できないというところは非常に日本投資教育の欠如の最たるものだと考えておりまして、先ほど申し上げましたように投資教育重要性を感じております。  政府当局のアンケートの結果あるいは我が業界でのアンケート結果を見ましても、やはり例えば株式投資をするということに対して、お金がないからできないという答えの次に、知識がないからできないという答えがその次に多いと承っております。やはりそういった意味で、正しい投資教育というものの認識を改めていただきたいと、このように考えております。
  14. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 ありがとうございました。  それと同じことがやっぱり消費者金融問題にも言えると思うんですね。やっぱり金融教育の欠如というのがああいう多重債務者を生んでいるという側面もあると思いますんで、投資だけじゃなくて、全般的な金融教育というのは非常に大事だと私は思います。  今度は、藤沼参考人の方にお話をお伺いしたいと思います。  党本部でもよく議論をさせていただいているんですが、やはり監査法人を巻き込んだ不祥事が今相次いでいるわけですね。根本から考えていかなきゃいけないと思うんですけど、これよく会長にはお話し申し上げているいつもの話なんですけど、やっぱり根本にはインセンティブのねじれという問題があると思うんですね。株主のために監査をするのに、監査報酬や監査人の選定は経営陣によって行われるというケースが非常に多いと。やっぱり経営陣寄りの監査になってしまう可能性が日本の場合高いわけですね。  それを防ぐためにアメリカでは独立取締役のみから成る監査委員会というのがあるわけですけど、サーベンス・オックスレー法で規定されていますけど。日本はこれからどうすべきかということをちょっとお伺いしたいんですけどね。  アメリカと同じような監査委員会という制度を義務付ける、上場会社に関しては義務付けるという考えもあります。又は、今、商法の中で監査役という制度、形だけは非常に良くできているんですけど、監査役の選任の仕方が非常に望ましい形になっていないということがありますんで、適合性といいますか、要件をやっぱり法律に書くというのが私は重要じゃないかなと一つ考えているんですね。  やっぱり一定の会計の知識が必要である。一定の商法、証取法に関する法律の知識も重要であると。経営管理全般についての知識、これも必要である。この三つは、そのメンバー全員でそろえばいいかもしれませんし、一人一人が全部持っていたら一番理想的なんですけど、そういう要件を商法の中に書いていくということも一つの案じゃないかと思うんですけど、参考人はいかが思われますか。
  15. 藤沼亜起

    参考人藤沼亜起君) ありがとうございます。藤沼でございます。  正に田村先生がおっしゃるように、監査監査人の独立性の問題というのは、要するに、一般の方からすれば、監査する企業に選任されて、また報酬ももらっているではないかと、そういうところに本当に独立監査人としての職責が全うできるのかという、これは監査始まって以来の問題でございます。  それでは、じゃ、だれがその監査報酬を払ったらいいのかという、こういうことでございますけれども、これはずっと議論されてきたわけですけれども、資本市場を利用して資金調達をするという、企業が最大の受益者でありますから、その監査に対して企業は払うということは、そういう面では合理的であると。  じゃ、実際にその報酬を支払うあるいは監査人の選定にだれがかかわるべきかということで、先ほど田村先生のおっしゃったとおり、欧米諸国では独立の取締役会によって構成される監査委員会のメンバーが経営者とは独立した観点から株主等の利害関係者のことを考えて監査契約あるいは監査報酬を締結すると、決めると、そういうことになっているわけです。  日本の場合には、残念ながらその外部取締役の外部性についての定義が明確ではないと。そういう面では欧米諸国と比べて本当の意味での独立性がどこまであるのかという問題があります。また、監査役会、監査役の機能というもの、それぞれ権限も強化される方向にありますけれども、本当の意味での経営者からの独立性というのがどこまであるのかというようなことは問題であると思います。  私はそういう面で、経営者からの独立性、外部性を強めるという、そういう措置が必要なのではないかなというふうに思っておりますし、また、専門性、米国のサーベンス・オックスレー法では、専門性といいまして、最低、オーディットコミッティーの中の一名は経理、財務の専門家を入れろということになっておりまして、そういう専門性も必要であると。  あともう一つは、やっぱりスタッフ機能の充実ということも、これも見逃してはいけないことだと思います。監査役になったとしても、自分一人で会社、大きな会社の監査を全部、会社に目を光らせるということはできませんので、そのやっぱりスタッフの充実、このこともやはり大事だと思いますので、そういうような包括的な会社内部の、言うなれば外部監査人の味方が強化されるということがあれば、そういう面で監査、このねじれの問題は解決に向かうのではないかというふうに思います。
  16. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 もう一つ、今、監査法人、監査人に対する非常に厳しい風が吹いていまして、まあ不祥事が相次いでいますからしようがないことだと思うんですけど、金銭的なものを含めて罰則強化、登録制も導入すべきだという議論、まあ他党の議論は存じ上げませんが、自民党の中の議論に限っていえばそういう傾向になっていまして、ますます風当たりが強いということをお感じになっていると思うんですね。  一方、そのリスクの方は、監査法人、監査人から見たリスクは高まっているんですけど、じゃ、リターンはどうかというと、やっぱりアメリカなんかから比べると二けた違うわけですね。二けた小さいわけですよね。リスクとリターンが見合ってこないという状況が生まれつつあると思うんですよ。  そうすると、監査法人、監査人というのは監査すること自体非常に怖がってくる。そうすると、何が起きるかというと、よく分からない企業、新興企業の監査をお断りするという事例が結構出てくると聞きます。そうしますと、監査難民とよく言われるんですけど、監査が受けれない企業がこれから増えてきて、監査が受けれずに財務諸表が発表できないと上場廃止になりますんで、せっかく上場したのにだれも引き受けてくれない、監査を引き受けてくれないということで監査難民が出てくるという可能性があるわけですね。  このリスク、リターンが非常にアンバランスであるということ、罰則が強化される反面、監査報酬は依然として安いままであると。だったら、そんなリスクは取りたくないから監査しないよと。そして、今度は上場企業に跳ね返ってくるわけですね、上場廃止という形で。こういうおそれが出てくるわけですけど、実際この辺りどうお考えなのか。また、リスク、リターンをバランスさせるためには何が必要なのか。どう思われますか。
  17. 藤沼亜起

    参考人藤沼亜起君) 監査報酬の問題は、まあ、私が監査報酬安いと言うのも何か余り格好良くないということはあるんですけれども、私ども公認会計士協会で三年ぐらい前に、監査報酬ということではなくて監査時間の国際比較、米国、カナダ、イギリス、フランス、ドイツということで、四大法人からデータをもらいまして、サイズ別に、業種別に比較してみました。監査時間ですから必ずしも監査報酬とは密接、まあ密接に関係しているとは思います。そういう面でやはりかなり大きな差があるというようなことで、日本監査時間、監査報酬というものはやはり欧米と比べて十分なものではないというふうに思います。  また、今回いろんな会計不祥事があって、監査人に対する責任強化の問題、あるいは監督強化の問題ということを言われていますけれども、こういうようなことで、監査人、今の段階ではリスクに対して非常に敏感になっておりまして、監査契約、先生のおっしゃるように、新しい企業が来て監査を引き受けてくれと言ったときに、本当に引き受けたらいいのかどうか。  といいますのは、現在の公認会計士法の中では、監査法人の社員というのは無限連帯責任ということになっておりまして、引き受けたはいいんだけれども、そこがおかしくなっていろんな問題を起こすということになると、会社の不祥事が即座に監査の、いわゆる適正性ということとは関係ないんですけれども、基本的には会社の不祥事に巻き込まれてしまうということで、監査人が萎縮してしまうということが懸念されるわけです。  そういう面で、特にベンチャー企業につきましては、これ、二〇〇〇年の初めにマザーズですとかいろいろ新興マーケットができまして、そこでいろいろIT企業の経営者の人たちが企業公開して、そこの中にライブドアも入っているわけですけれども、企業道徳、道徳観とかいろんな問題があってああいう不祥事が出てきたわけですけれども、そういう面で、それが過度に監査人が防御的になっているのではないかと、そういうことで監査難民の話が出てきていると思うんですね。  そういう面で、我々の方としては、今実際に、実は中央青山さんの処分の関係公認会計士協会にいろんな問い合わせ、相談窓口を設けたわけですけど、問い合わせが来ております。現在のところ約百七十件ぐらいの問い合わせがありまして、中には監査法人を紹介してほしいみたいな話がありまして、それについては協会挙げて対応できるようにしたいというふうに思っています。  そういう面で、新興企業の経営者の教育等も大事だと思いますし、会計士自身がやっぱりそれに合う報酬をもらえるようなシステムをつくり上げなくてはいけないのではないかなと、というふうに思っております。
  18. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 皆さん、ありがとうございました。  終わります。
  19. 尾立源幸

    尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立源幸でございます。  池尾先生のお言葉をおかりいたしますと、高質な市場をつくるために三人の参考人方々には御努力いただいていることに心からまず感謝をしたいと思いますし、私たち民主党も、今回、一連の事件を受けまして党でいろんな研究会をいたしまして、余りにも自由ばかりが先行して競争ルール整備やまた経済司法というのがおろそかにされてきたのではないかという問題意識に立った上で、このたび五つの視点で改革案を提案をさせていただきました。プレスには発表しておるんですが、皆さんのお手元にはひょっとしたら届いていないかもしれませんが、五つの分野、すなわち、会計監査分野、市場監視機能の強化、公開会社法の導入、さらに投資事業組合、取引所改革と、こういった分野で我々も提案をさせていただいておりますので、また是非ごらんいただければと思います。  そこで、早速でございますが、池尾先生の方にまず質問を一問させていただければと思います。  先生も今日のメモのところで、高質な市場、正に制度整備というのが不十分ではないかという御指摘をいただいておるわけでございます。  そこで、私が一つお聞きいたしたいのは、これまでの約十年といいますか、この金融自由化の中で金融サービス法というところから出発をいたしまして、今回の金融商品取引法というところにどんどん落ち着いてきたとは思うんですが、先生もこのメモの中で、またお話の中でも図らずもおっしゃっていらっしゃいますが、横断的ルールにふさわしい規制監督体制を構築すべきだということでございますが、ただし、すべてを一つにするのが最適だとは限らず、相互重複した担当領域を持ち競争牽制し合うような行政組織もいいというふうに、こういうふうにおっしゃっておられますが、これは実行可能性、今の段階ではこれはしようがないんだというお考えなのでしょうか、改めてお聞きをしたいと思います。将来的には、いや、そこも一元化していくべきなのかと、改めてお聞きしたいと思います。
  20. 池尾和人

    参考人池尾和人君) やや繰り返しになりますが、とにかく当面は人員予算を増やさないことには話が始まらないというのが私の議論でありまして、ある程度現行の体制の中でそういう申し上げたような面での増強を図っていって、そこでの成果を踏まえながら次のステップを展望していくというのが現実的ではないかというふうに考えております。  それで、最終的な姿に関しては、これも最初の意見陳述の中で申し上げましたが、私自身としても、こういうのがいいんだということを断言できるところまで考えはまとまっていないといいますか、経済学の中でもそこまで議論が収れんしてきているわけではないというのが率直な現状だというふうに思っております。  だから、一方で、いわゆる金融コングロマリット化みたいな動きがあるわけでして、大規模で複雑な金融グループというのが登場をしているわけですね。そういう大規模で複雑な金融グループを効果的に監督していくためにはどうしたらいいのか、機能別の監督体制ではそうしたグループの監督というのはなかなか難しいんではないかというふうな観点からは、ある種総合的な監督機構を設立するという考え方にメリットがあるという話になるんですが。  他方、私は経済学者のせいかもしれませんが、やはり競争的な要素というのは民間市場参加者にだけ求められるんではなくて、政府の中にもそれから規制監督体制の中にもある種の競争的な要素というのを入れ込んでおくことが全体としての効率性を上げる上で意義があるんじゃないかというふうにも考えておりまして、一元的で統一的な体制をつくればいいような気もするんですが、でも、そういう監督機構が独占的に存在する場合に、その監督機構が本当にミッションをきちっと遂行していくということの保証がどこで担保されるのかというふうな問題が起こってきますので、ある種の牽制が働くような仕組みを最初から組み込んでおくという必要性はやはり高いというふうなことを考えますと、いろんな要素がありまして、簡単にこういう体制にすればいいんだというふうな、一言でちょっと断言できないというのが率直なところであります。
  21. 尾立源幸

    尾立源幸君 ありがとうございます。  それではもう一問、ちょっと分野が外れてしまうかもしれませんが、今回の法律案の中で、三十八条の禁止行為という中に、実は不招請勧誘をどうするかという問題がございます。その中で、ずうっとこの委員会でも議論をしておるんですが、行政の方はこれを政令で分野を定めるということになっておるわけです。その中でよく言われるのが営業の自由と消費者保護と言いますが、そのバランスなんだということなんですが、先生、その辺りはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  22. 池尾和人

    参考人池尾和人君) 私は、実際の法律ルールに落とし込むのはなかなか難しいんですが、考え方としては、金融商品を大きく三つぐらいのカテゴリーに分けまして、一つは、基本的に元本が保証されているような金融商品ですね。それから二番目は、損失が発生したとしても元本まで、元本の毀損でとどまるようなタイプの商品、それから三番目の類型は、損失が発生した場合、当初の出資額といいますか、を上回って更に追加的な損失負担をしなければならないような可能性のある商品ですね、いわゆる追い証を払ったりしなきゃいけないような商品というふうに、概念的に三つに分けた場合に、最後に申しました元本を超えて毀損するおそれのあるような商品に関しては、基本的に個人向けに販売する場合、不招請勧誘をルール化した方がいいというふうに個人的には考えております。
  23. 尾立源幸

    尾立源幸君 池尾先生、非常に明快な有り難い案をいただきまして、ありがとうございます。我々も、十分にこれを参考に今後の議論をさせていただきたいと思います。  それでは、監督機能ということで、証券業協会越田社長の方にお話をお聞きしたいと思います。若干厳しい質問になるかと思いますが、規制、そういった意味を大事にするという意味で、ちょっと厳しい質問をさせていただきたいと思います。  まず、金融庁証券会社市場仲介機能等に関する懇談会、これは御承知かと思いますが、ここで議論されたことが日本証券業協会自主規制ルールに反映されるというような大体の流れになっておるということですが、それでよろしいでしょうか。
  24. 越田弘志

    参考人越田弘志君) おっしゃるとおりでございます。それ以外にも、今回の懇談会の結果として、証券業協会に新たな項目を検討するよう要請されている部門もございます。
  25. 尾立源幸

    尾立源幸君 その前提に立ちまして、少しこの懇談会で議論されていることを私入手いたしました。題目は、「市場プレイヤーとしての証券会社の自己規律の維持について」、正に証券会社さん自身にも自己規律が要るんだよということの中で、「当局としての問題意識」という中で、当局というのは金融庁のことでしょうか、から言っている意見としまして、証券会社の法令遵守部門等が事前に審査、検証することが考えられる取引の一例として、「会計操作目的・脱税目的が疑われる資金調達・運用等のスキームの提案・検討」が掲げられている。こういうことは証券会社の法令遵守部門でよく見なさいよという意味かとは思うんですが、私もこれは大変重要だと思っております。これは、ある意味で資金調達をされる、また参加してこられる方に対して、そういう目で証券会社はきちっとチェックしなさいよということだとは思うんですけれども。  一方、大変残念なことに、ちょっと今世間を騒がしております証券業協会会員さんの中、その中の、当然投資事業組合等々を活用していろんな利益を上げられるような仕組みをつくっていらっしゃると思うんですが、今回、特定はいたしませんが、例えばSPCを使って連結の対象に含める、含めないというような、ある意味で粉飾決算、また利益操作だと疑われても仕方ないようなことをされている会員さんがいらっしゃるわけですが、こういう状況に関して、証券業協会さんとしてはどういうチェック機能を持っていらっしゃるんですか。つまり、自分のところの会員についてどのようなチェックをされているのかということをお聞きしたいと思います。
  26. 越田弘志

    参考人越田弘志君) 証券業協会におけるチェックという点に関しましては、証券会社独自へのチェックは可能でありますが、グループ会社あるいは関連会社へのチェックまでを行うということにはなっておりません。
  27. 尾立源幸

    尾立源幸君 今、連結決算というのが基本的に主流だと思うんですが、その中には当然、証券会社単体だけではなく、その他のいろいろな会社が入ってくるわけですが、そういう意味では、連結決算を基にチェックはできないということでしょうか。
  28. 越田弘志

    参考人越田弘志君) 連結決算を基にチェックというのは我々は監査法人に頼っておりまして、我々は証券会社独自へのチェックということに関して行っておるということでございます。
  29. 尾立源幸

    尾立源幸君 分かりました。その後のことについてはちょっと協会会長さんの方にお聞きしたいと思いますが、いずれにしても、市場参加者に厳しいことを言いつつ、自分のところの会員さんがそうではないというようなことにならないように是非、何というんですか、自主規制もきちっと今後やっていっていただきたいと、これは要望をさせていただきたいと思います。  それでは、藤沼会長の方にお聞きさしていただきたいんですが、改めて、今回の証取法の一部改正案に多くの御提案が盛り込まれたという、評価されるべき点、幾つか申されました。私もそのとおりだと思っております。ただ、まだまだというところも多分あるんじゃないかと思いますが。  まず、今協会さんの、証券業協会さんにもお聞きしたんですが、やはり自主規制というのがまずは大事かと思います、会計士さん自身の。そういった意味で、再発防止、一連の事件を受けて、もう一度どのような自助努力が働くような仕組みを入れられたのか、改めてお聞きしたいと思います。
  30. 藤沼亜起

    参考人藤沼亜起君) 昨年のあのカネボウの問題が発生いたしまして、そこで、西武のときもそうだったわけですけれども、やはり会計士が長年同じ企業に関与していると。これは本人次第ということはあるわけですけれども、やはり外から見ると、癒着があるんではないかとか、慣れ、慣れ過ぎちゃったんではないかという、こういう問題があるということで、協会としては、これ自主規制で、アメリカ並みの会計士の、関与会計士の交代制、ローテーションを導入いたしました。これは実は自主規制で、どうして自主規制だということなんですけれども、これは法律で、公認会計士法の改正で、二〇〇四年から七年間にわたってローテーションをするという公認会計士法の規定があるわけですけれども、ただ、スタート時点が二〇〇四年ですから、実際に七年ということになると二〇一一年ということになりまして、そこで初めて交代すると。  公認会計士協会自主規制としてその二年前、二〇〇二年から実は七年制のローテーションを実施しろということになっておりまして、公認会計士協会自主規制でも二〇〇九年に初めてやっぱり交代するということになりまして、そういう面でこれはよろしくないということで、四大法人については公認会計士の数も多いものですから、監査の責任者、トップの関与社員については、業務執行社員については五年で交代すると、インターバルの期間も五年と、その他の関与社員は七年ということで、それはもう四月一日から、今年の四月一日から全部適用と、こういうことにしております。これはかなり大きなチェンジでございまして、監査法人の方もそれに対応して一生懸命やっているというふうに理解しています。  あと、中堅の事務所については、これサイズ、公認会計士の数がそんな多くはないものですから、これはできるだけ速やかにそういう方向でローテーションを早期化するようにということで要請しております。  その他、監査事務所に対して品質管理体制総点検をお願いしたということと、あと四大事務所については上場会社の八割以上の監査をやっておりますものですから、ここについては協会監査事務所の品質管理体制について今フルタイムのレビューアーを二十人にしておりまして、そこで四大法人については二年に一度ずつチェックするということにしているわけですけれども、昨年はああいうことがありましたので、全四大法人について品質管理レビューを実施すると。その後を受けて、今公認会計士審査会が検査をして、その検査報告が近いうちに出るということになっております。  また、やはり大事なのは、独立性、倫理規程、特に独立性が非常に重要でございますので、それについて、独立性についてのいわゆるルールの見直しを行っています。
  31. 尾立源幸

    尾立源幸君 一点お聞きしたいんですが、公開会社を監査できる監査人を限定するという、登録制というのはどうなんでしょうか。
  32. 藤沼亜起

    参考人藤沼亜起君) 公認会計士協会会員処分、自主規制による会員処分という会長権限なんですけれども、それがある程度限定されておりまして、戒告、その次に会員権の停止、金融庁に処分の申請というようなことになっておりまして、一般の会員会長から戒告を受けるとか会員権の停止ということはかなり緊張をするわけですけれども、ただ、一部の会員はそれほどでもない人もいるようだということで、上場会社の監査を担当しているのは現在約二百五十事務所ぐらいあります。  そこについては、やっぱり一般大衆から多くのお金を集めておりまして、非常に重要な会社だということで、上場会社を監査を担当している事務所の部会をつくろうと。それに、事務所については誓約書を出してもらって、ホームページ上、その上場会社の監査事務所のリストを出して、もし会計士協会の品質管理レビューとか、あるいは金融庁の処分等も含めて、何か規律違反があればそれをホームページ上で表示すると。そういうことで、そのホームページをほかの世界、インベスター、投資家も見られるし、あるいは証券取引所とも連携をすると。  そういうことで、それを公開するということによって規律を高めようと。規律違反のもので非常にひどい事務所の場合にはその登録リストからの除名も含む処理を取ろうと、そういうことで自主規制を強化したいと、そういうふうに思っております。
  33. 尾立源幸

    尾立源幸君 ありがとうございます。  ちょっと時間がなくなってまいりまして、最後になりますが。  最初に、会長として、会計士協会全体の問題としてこの一連の不祥事はとらえるというふうにおっしゃったわけでございますが、東洋経済のちょっと文章を引用させていただきますと、具体的に申し上げますと、中央青山の方々が上場会社に今おわび行脚というか説明に回られている中で、こういうふうにおっしゃっていると。まず最初に、問題を起こしたチームは別部門で、自分たちは関係ないとの説明があったというふうに、こういうふうに企業の方がおっしゃっているわけでございます。これは会長のおっしゃっていることと違うわけでございまして、この辺もきちっとやっていただかないと、業界全体として問題としてとらえているという会長の言葉と、担当、現場レベルでは全然意識が違うと、こういうことは正していって、これが本当ならですね、いただかねばならないと思います。  それで、もう一個質問なんですけれども、実は先ほど証券業協会会長さんにお聞きした件でございますけれども、実は報道によりますと、これはもう実名も……
  34. 池口修次

    委員長池口修次君) 時間が過ぎておりますので、まとめて。
  35. 尾立源幸

    尾立源幸君 はい。  日興コーディアルグループが会計処理の変更をするという発表がございました。すなわち連結対象を範囲を変えるということですが、私、この連結対象の範囲を変えるというのは相当な理由がないと監査上は許されないと思うんですが、会長の、最後にどういった場合にこれが許されるのかお聞きして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  36. 藤沼亜起

    参考人藤沼亜起君) こういうSPCその他の投資事業組合の会計処理の会計指針というのは、非常にまだはっきりしておりません。といいますのは、企業会計基準委員会の方で今現在作成中ということでございますので、私の今の段階でそれが正しいとか正しくないとかということについてはコメントは控えさせていただきます。
  37. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 公明党の荒木清寛です。  まず、池尾参考人にお尋ねいたします。  今日、市場型金融拡大をすべきというお話がございました。私も先生の本を読ませていただきまして、間接金融から直接金融へと、そういう単純化した考え方ではないんだということがよく分かりました。確かに日本の事業者の九九%は中小企業でして、そうした企業が直接社債を発行するというわけにはなかなかいかないわけでありまして、私もやはり、更に銀行がしっかり改革、変わってもらわなければいけないということを痛感をしておるわけでございます。  不良債権の処理も大方終わりまして、確かに現場を歩いておりますと、そういう業績のいい企業にはどんどん銀行お金を借りてくれというふうに言いに来ているんですが、なかなかベンチャーの資金とか、そうしたものの調達は難しいという現実もあるわけであります。  そこで、この市場型金融拡大と関連をして、金融機関あるいは銀行がどう変わっていかなければいけないのか、またそれは金融機関の自主的な取組に任せておけばできる話なのか、更なるそういう制度の整備あるいはルール改正ということが必要であるのか、お教えをいただきたいと考えます。
  38. 池尾和人

    参考人池尾和人君) 御指摘にありましたように、もっと銀行に対してリスクマネーを供給しろとか、そういう要望は強いわけですけれども、他方で、銀行というのは預金を扱っている金融機関でありますから、預金者保護ということも非常に重要な課題になるわけでありまして、やはり預金という形で集めたお金を余りリスクの高いところで運用するというのは、預金者保護という観点からは好ましくないということがあります。  したがって、預金取扱金融機関という意味での銀行に直接期待をするというのは、そういう面で私は限界があるというふうに思っておりまして、そういう限界を克服する意味でも市場型の金融拡大が必要であると。つまり、ややリスクの高いところへの貸付け等のもとになる資金は、預金という形で集めるんではなくて、もっとちゃんとリスクを取ってもらえるようなところから資金を調達して貸すという形にやはりすべきである。そこを、何というんですか、伝統的な銀行のビジネスのスタイルのままで今後もやろうとすると、それは無理があるだろうというふうに考えております。それで、そういうところについては、当事者としての金融機関の方ももちろん認識はされていて、深まっていて、改革の努力というのはされていると思います。  それで、そういう努力そのものを政策的に特に推進する必要性があるかどうかについては、余り私は重要な必要性があるようには感じておりませんが、金融機関の間での競争が一層そういう過程で強まっていくと、やはり問題を生じさせるような金融機関が出てくる可能性はありまして、そういうところに対する手当てという面での行政の役割というのは大きいと思うんですが、それは競争の結果が社会的混乱につながらないように、もし問題が起きたときにはちゃんと処理をするという、そういう面での行政の役割は大きいと思うんですが、競争そのものといいますか、産業政策的な意味でかかわる必要性は余り大きくないんではないかというふうに個人的には考えております。
  39. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 もう一問も池尾参考人にお尋ねいたします。  エンフォースメント体制についてお話がございました。結局、先生はイギリス型とアメリカ型のどちらを日本としては参考にすべきだというふうにお考えなのか。先ほどのお話ですとそれを十分検討しなさいということでしたので、そうであれば、アメリカ型についてのいわゆる一長一短のお話が先ほどございましたので、イギリスではこのFSA型についてはどういうメリット、デメリットがあるのか、教えていただきたいと思います。
  40. 池尾和人

    参考人池尾和人君) 基本的には、先ほどもちょっと触れましたが、俗に言う金融コングロマリット化が進行して、非常に大規模で広範な業務に携わるような複雑なタイプの金融グループが登場していると。そういうグループを効果的に監督していくという意味では、幅広い金融業務をすべて一括して見るという、そういう機関の存在に基本的なメリットがあるというふうに考えられるかとは思いますが。  ただ、ちょっと俗っぽい言い方になりますが、聞くところによりますと、イギリスFSAというのは金融ビジネスをやっている人からいうと評判は余り良くないというのがありまして、横柄だとかそういうことが、それはまあ逆に言うと効果的に規制をやっているからそういうふうな言われ方をするのかもしれませんが、単独の独占的な監督機関であるということで牽制が働きにくい面がやはりあって、それが監督機関として高圧的な態度に出るとか、そういうふうなところにつながっているような要素もあると思いますので、やはりいいところばっかりで全くデメリットはないというふうには言い切れないというふうに思っております。
  41. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、越田参考人にお尋ねいたします。  投資教育を充実をすべしということは全く同感でございます。ただ、それをやったとしましても、なかなか一般投資家からすると、一般投資家といいますか一般庶民からすると、株式取引というのはなかなかそう簡単なものではないと思うんですね。そういう株価動きを始終見て、あるいはその企業の業績を勉強してというようなことは、なかなか時間もありませんし、大学の経済学部でも出なければ難しい問題だと思うんです。  したがって、そうは言っても、もっともっと株を買っていただきたいと思いますが、と同時に証券会社の方も、今投資信託という商品もありますね。ただ、株価が、日経平均が上がっている割には余りそのパフォーマンスもそれほどでもないというお話も聞くわけでして、株はなかなか難しいけども銀行預金では満足しないという、ある程度のそういうリスクは取ってもいいけどもという方がいらっしゃるはずなんですね。そういう方を対象に、もっとそういう魅力のある商品証券会社としても開発をすべきであると考えますが、いかがでしょうか。
  42. 越田弘志

    参考人越田弘志君) おっしゃるとおりでございます。魅力のある商品を開発するということに関しましては、国内ばかりではなくて海外も含めて、現在証券会社、いろんな新しい商品を出しております。また、今回、金融商品取引法がもし国会を通過いたしますと、これはこれでまた新しい新商品の開発につながってくると思います。  先ほど御指摘の投資信託は、アメリカでも一九八五年から二〇〇〇年にかけて預金が株式市場、特に投資信託と四〇一kを通じて大きなビッグシフトが起きたという経緯がございまして、日本でも昨今投資信託にはかなりお金が集まる状態になっております。  先ほどその運用成果云々というお話がございましたが、確かにあのITバブルがはじけたときには基準価額が下がったことは事実でございますが、現在それもほとんど基準価額を回復してきておりますし、特にその後つくられた投資信託に関してはかなりの成果が出てきております。  また、株式を入れないで非常に安定型の、特に今お年寄りがお好みの分配金をできる限りたくさん取ると、例えば四半期に一回であるとかあるいは毎月であるとか、こういった分配金に重点を置いた投資信託が預金に代わってかなり人気が出ておるというのも事実でございます。
  43. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 もう一問お尋ねいたします。  この証券税制の優遇措置ですね、十九年度までの時限措置ですから今後どうするのか、我々もしっかり議論をしていきたいと考えます。ただ、時限措置ということでありますし、一方で今格差社会ということが言われまして、そういう税制を通じた所得の再配分ということも注目をされるわけでございます。  そういう意味では、私は、私の考えを言えば、これはあくまでも時限措置であるなというふうに思うんでありますけども、仮にこれを継続しない場合、それほどそういう株式市場といいますか、に大きな影響があるんでしょうか。まあ影響はないわけじゃありませんでしょうけども、もう株価回復していますし、何とか軟着陸できるのではないかという感じもいたしますが、いかがですか。
  44. 越田弘志

    参考人越田弘志君) インドの株が四日間で一七%暴落したという記事が日経金融新聞に載っております。インドも外人が大量に買って、その外人がかなりその四日間で売ったということでありますが、そのきっかけは、やはりキャピタルゲイン課税を強化するという情報が流れたのがきっかけだったと日経金融新聞には載っております。  日本も、先ほどお話しのとおりに、平成十九年度一杯でもしこれが二〇%に強化されるようなことになりますと、それでは一〇%のうちに売っておこうという動きは外人のみならず国内からも出てくることは必至であります。それがために、早くこの証券税制に関しては何とか一〇%の継続の方向で結論を出していただきたいと考えております。  といいますのは、実は証券市場が非常に株価が暴落したときに、やはり株価対策といったことで、日本銀行あるいは銀行株式取得機構、それから預金保険機構を中心にして、当時のお金で買ったものが現在十兆円近くになっておりまして、これも平成十九年度から売却が可能になります。  それに加えて、外人がここ三年間で二十六兆円も株を買っておりまして、先ほどのインドではございませんが、証券税制の結果いかんによっては当然外人も売ってくるし、それに加えて二〇〇七年問題として国内からも株価対策のときに支えた株が売却されてくるという事態が想定されまして、私ども、この証券税制に関しては非常に危機感を持って見ております。
  45. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に、藤沼参考人にお尋ねいたします。  今回の会計不祥事は我々も重大にとらえておりまして、正に公認会計士全体のそういう信頼失墜にもなっているわけですね。ただ、私は、先ほど参考人おっしゃったように、こうした問題はあくまでも自主規制がベースであるべきだと考えております。それは、公認会計士という専門家ですから、高い倫理観というのが求められているわけですし、公認会計士協会というのが強制加入団体であるということも、まずは自主規制がベースであるという考え方かと思います。  ただ一方で、政府の方でも、監査法人に対する刑罰の導入ですとか、あるいは法律による登録制度を設けたらどうかというようなことも検討されているというふうに承知をしておりますが、そうしたことではどこが不都合なのかということをお尋ねいたします。
  46. 藤沼亜起

    参考人藤沼亜起君) まず、先生のおっしゃるように、我々、会計監査のプロフェッションというか職業人でございますので、規制強化あるいは監督強化、刑事罰等、そういうようなものの前に、まず我々自身がきちっと自分たちの業務を点検して、それを公認会計士協会会員ルールどおりにきちっと仕事をしているのかどうかを厳しく見ていく、ルール違反があるものについては協会で必要な処分をすると、こういうようなことがまず第一ではないかというふうに思っております。  今、話の中で、一つは責任の強化の中で、よく刑事罰、証券取引法に基づく罰で、公認会計士は主犯にはならないんですけれども、というのは財務諸表の虚偽記載というのは経営者がやるわけですから、それを幇助したとかあるいは共犯になってしまったということで公認会計士の個人としての罰が設けられておるわけです。それを、監査法人という法人についても審査体制等についての責任があるはずだから、そこについても、法人についても罰を設けろ、これが刑事罰の議論だと思うんですけれども、私どもは、やっぱり監査法人というか、我々のプロフェッショナルファームの性格というものをよく理解していただきたいということなんでございます。  といいますのは、業務は、例えば今大手の四法人は、監査人のパートナーという社員でございますけど、四百人以上。それがそれぞれの業務、法定監査だけでも二千三百社という、中央さんのケースですけど、それぐらいの大きな仕事をそれぞれ業務担当がそれぞれ仕事を行っているということでございまして、それでしかも無限連帯責任という、こういう縛りの中でやっているわけでございまして、そういう面ではかなり企業のようなものと大分性格が違う組織体でございます。  それと、あと、我々の公認会計士監査法人というのは非常に脆弱性がありまして、その脆弱性は何かといいますと、基本的には我々の資産というのは、企業、会社ですね、それと従業員、スタッフなんですね。アンダーセンのケースで一番いいんですけれども、あれは書類を破棄、監査調書を破棄したということで、刑事罰を掛けられるということで訴えられたと。それだけで顧客の流出が始まってしまったと。ヒューストンのオフィスでそういうことが起こったから、全米のアーサー・アンダーセンのクライアンツがいなくなってしまったと。裁判は結果的にアンダーセン勝ったんですけども、そのときには何も残ってないと。  だから、そういう面で、二千三百社とか多くの企業、しかも四百人以上のパートナー、従業員も三千人もいるところが一つ二つのたまたまの問題事例でもって全部が崩壊してしまうと。そういうことで、法律、刑事罰をするということの論理は分かりますけども、それの効果が非常に壊滅的な影響を受けるということで非常に反対しているということでございます。
  47. 大門実紀史

    大門実紀史君 今日はお忙しいところありがとうございます。  まず、池尾先生、池尾参考人にお伺いいたします。  池尾先生はもう国会おなじみでございまして、何回も私もお話聞かせていただいておりますので、金融全般のことというよりも、ちょっと具体的な点でお伺いしたいと思います。  先ほどありました商品先物取引の不招請勧誘問題がこの委員会で与野党を問わずきちっとすべきだという議論が今続いているところでございます。先ほど池尾先生が言われたお考えはもう私たち意を強くしたところですけども、池尾先生は経済産業省の産業構造審議会の商品取引所分科会にもずっと御参加されていると思います。本来、この経産省の産業構造審議会のこの分科会で不招請勧誘問題もきちっと禁止しようという方向が出るべきだと私は思っておりますけども、この分科会で池尾先生含めて何人か不招請勧誘については意見を言われていると思うんですけども、どうもそこに至らないようでございます。  この分科会にはもちろん業界団体の方も参加されているわけですけども、詳細な議事録が公開されない分科会でもございますので、この分科会でどういう議論になっているのか、不招請勧誘の禁止が、だれが抵抗しているのか、だれがうんと言わないのか、その辺も含めて、状況を教えていただける範囲で教えてもらえればというふうに思います。
  48. 池尾和人

    参考人池尾和人君) 確かに、私、産業構造審議会の委員に再任されまして、商品取引分科会に所属するようにという辞令はいただいたんですが、部会自体はこの間開かれたことがないというのが実情でありまして、改正商品取引所法の施行の実情を見ているというのがその事務局側からの説明ということだと思うんですが、その改正商品取引所法が当初の実を上げているのか、やはり問題が解消されず消費者被害等が減少していないのかというようなことが、もうほぼ、何というんですか、趨勢が確認できるような時点に来ていると思いますので、私個人としては再び部会が開かれることを希望しておりますし、部会開かれれば、そこでその実情を踏まえて、先ほど申しました私の意見といいますか考え方に従って意見表明等を積極的にしていきたいというふうに思っておりますが、しばらくないんですよね。
  49. 大門実紀史

    大門実紀史君 去年の十二月まで開かれておりまして、池尾先生も出られて、結局、この今回のこちら側の取引法にちょっと任しちゃって様子を見ていようと。本来なら、私申し上げたとおり、この産業構造審議会で先にすぱっと出すべきだったのを一遍投げて、それで様子を見て雰囲気によってまたやっていこうという流れのようで、非常に小ずるいやり方だと思っておるわけですけれども、是非また開かれたら頑張っていただきたいというふうに思います。  越田参考人にお伺いいたします。  一言。先ほどのインドの株価の下落とキャピタルゲイン課税のお話ですが、余り脅しのような言い方を国会でされるのは適当ではないと、海外投資家の別の側面もありますので。ちょっと私が意見言う場ではありませんけど、申し上げておきたいと思いますので、気を付けていただきたいなと思います。  お聞きしたいのは、信用取引のことでございますけれども、証券会社投資家から株資金を借りて大きな取引をやる信用取引でございますね。これが大きな損害を生むケースもネット取引が普及することによって出てきておりますけれども、信用取引の過熱を心配する声も今出ております。  この信用取引というのは、まあ御存じの方は御存じですけれども、つまり、証券会社から借り入れる際の担保の掛け目が今上限八割になっていて、委託保証金率が下限三割になっていると。つまり、百万円の株を証券会社に差し出すと、差し入れると、百万円の掛け目八割ですから八十万、それを三割と見立てるわけですから二百六、七十万円。つまり、百万円の株を差し入れると二百六十万か七十万ぐらいの取引ができると、これが信用取引でございますけれども。この掛け目と保証金率ですけれども、これはこのままでいいのかという議論がこの間出ております。  そもそも、元々原則七〇%の掛け目だったのが、バブルの後ですかね、九〇年ぐらい、バブルの最終ですかね、株価のてこ入れの特例で八〇%になったという経過がありますけれども。この間、東証なんかでもこの資本、この取引規制をやっていこうかということとか、いろんなところでそういう信用規制が出ております。  これは、この間のライブドア問題でもそうでしたけれども、この信用取引で大分大損した方もたくさん出ているわけですけれども、この信用取引の在り方、越田さんは、現状をいかが思われるか。  例えば私、東証で訪問したときに意見言ったんですけれども、取引所によって違ったっていいじゃないかと、内閣府令の範囲ですからね。例えば新興市場、マザーズとか、過熱しているところはもっと厳しくしてもいいんじゃないかとかいう意見を申し上げていたところでございますけれども、その辺、信用取引の今の現状について、越田さん、いかがお考えか聞かせてもらいたいと思います。
  50. 越田弘志

    参考人越田弘志君) 信用取引の掛け目の変更についてでありますけれども、これに関しましては、日本証券業協会は掛け目の変更に関する権限が全く持っておりません。ために、私どもが掛け目が高過ぎるとか低過ぎるとか言っても犬の遠ぼえという感じでございます。それで、信用取引そのものに関しましては、市場の流動性といった面を考えまして、非常にこれはこれで大きな機能を果たしておると考えております。  また、この特別口座になりまして、損益の計算をするときに、顧客にとっては信用取引であると一回ごとの売買で損益が、計算がはっきりと出てくると。ために、その損益通算の、税制申告その他にとってはこちらの方がかえって便利なんだというようなことで利用されてるお客も多いと聞いております。
  51. 大門実紀史

    大門実紀史君 信用取引は、この前NHKでしたかね、やっていましたけれども、今このままでいいのかと、ネット取引との関係でいろいろ出ているところでございます。  藤沼参考人にお聞きいたしますけれども、この信用取引というものが過熱したりどんどん膨らむということになると、私は会社の経営にとってもいろんな余り良くない影響も出てくると思うんですが、御見解あればお聞きしたいと思います。
  52. 藤沼亜起

    参考人藤沼亜起君) 会社の経営というのは証券会社の経営ということですか。それとも普通の会社が投資……
  53. 大門実紀史

    大門実紀史君 普通の会社。
  54. 藤沼亜起

    参考人藤沼亜起君) もちろん企業がそういう信用取引等をやる目的が何なのかということがまず第一にあると思いますね。だから、それでその信用取引によるリスクを把握した上で企業がそういう取引を行っているのかどうかと、その辺のところのリスクとそれに対するリターンがどういうことになっているのかと。そういうことを調べた上で監査人としてここの会社は健全なことをやっているのかやっていないのかという判断になると思います。  そういう面で、今はどっちかというと、本業に専念するというのが一般的な経済人の認識だと思いますので、もしそういうようなことがあっていれば、それはそれどういう目的だということになるのではないかというふうに思います。
  55. 大門実紀史

    大門実紀史君 越田参考人にもう一点お伺いしますけれども、先ほどのネット取引のことなんですけれども、今インターネットで素人の方が、若い方も主婦の方もどんどん入ってきております。その中で、先ほどの信用取引でいきますと、証券会社の方は信用取引で貸し付ける金利収入が入りますから信用取引やってほしいわけですけれども、そのときのリスク説明が十分なのかどうか。ライブドアでは相当一般個人投資家信用取引で被害を受けたということですが、そのリスク説明ですね、ネット取引のときの。非常に簡単にやれるんですね、あれ。その辺はいかが御認識でしょうか。
  56. 越田弘志

    参考人越田弘志君) リスク説明に関しましては、特に信用取引のリスク説明に関しましては、証券業協会自主規制ルール、そして各社の自主規制ルールにおいて、顧客にはよく説明し、そしてその条件の変更その他もよく説明するようになっております。  ただ、御指摘のように、ライブドアの問題が表面化して、ライブドアが連日売り気配で値段が付かないときに、某証券会社が掛け目の変更を即日に行ったという事態が発生いたしまして、その点に関して協会としても検討いたしまして、こうした御批判に対して、まず担保掛け目を変更するケースの顧客への説明、それから担保掛け目を変更する場合の顧客への通知、それから担保掛け目の変更の決定から実施までの一定期間の設置ですね、即日ではなくて一定期間置くというようなことを義務付けたということでございまして、一応の対策は打ったということでございます。
  57. 大門実紀史

    大門実紀史君 ちょっと時間がありますので、池尾参考人に、池尾先生にもう一度お聞きしたいんですけれども、今消費者金融、サラ金問題も大問題になっているわけですが、池尾先生がおっしゃっている中で、要するに多重債務ですね、本人の支払能力を超えて貸し付けるという、そうするとまた繰り返しほかで借りていくという借金の繰り返しになると、その連鎖を断ち切ることが重要だという非常にいい御意見を表明されておりますけれども、その部分に限っていくと、新たな制度として自己破産に関する幾つかの提言をされておりますけど、どういうようなことが考えられるのか、お考えになっていることを、もしあればお聞きしたいと思います。
  58. 池尾和人

    参考人池尾和人君) 私は、現状における消費者金融業界の問題点として一番大きいものと私が考えておりますのは、やっぱりビジネスモデルが業者と利用者の間で完結していないといいますか、利用者以外のところからの返済の可能性を前提にしたような貸付けが行われたりする。例えば、未成年ないし若い二十歳代の者に貸し付ける場合は親とか親族が返すことを期待して貸し付けるとか。そういう形で、それとか、ほかの業者から借りて返すことを期待するとかいうような形で、業者と利用者の間で完結したような形のビジネスモデルになっていないと思われるところが最大の問題点だというふうに思っておりまして、したがって、だから契約は守るのが当然ですし、借りた金は返すのが当然なんですけれども、ほかのところから借りてこないと返せないというふうな状況に追い込まれた場合には、比較的簡易な手続で免責が受けられるような道を開くことが、かえって過剰与信等を抑制する効果があって好ましいんじゃないかというふうに個人的には思っております。  それに関して弁護士の方とかと議論をしていますと、現状においても破産手続等はかなり改善されてきているので、むしろそういう制度の存在等を知らしめるというふうなことの方が実効性という意味でいうと先決ではないかと。現行の制度をもっとそういう場合に積極的に活用するように呼び掛けていくというふうな形が当面の対応として考えられるんじゃないかというふうなことで、どれだけ制度そのものを新たにつくる必要があるかどうかについては、ちょっと私自身、法律の専門家ではないので分かりかねるところはあるんですが、そういうふうなことで思っております。
  59. 大門実紀史

    大門実紀史君 終わります。ありがとうございました。
  60. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数です。  まず最初に池尾先生の方にお伺いいたします。  これまでいろいろ質疑はもう出尽くした感じもいたしますけれども、しんがりの質問でございますのでダブることもあるかと思いますが、改めて伺います。  まず第一点に、預金や保険などを対象にしたより包括的な法制について、どうお考えになっていらっしゃるのか。あのイギリス金融市場サービス法をどのように評価していらっしゃるのか。  二点目に、アメリカ型のSECか、それからイギリス型のFSAかといった議論、先ほども出ておりましたけど、この両者の比較について御意見をお伺いしたいと思います。
  61. 池尾和人

    参考人池尾和人君) 金融審議会の第一部会で議論をしておりました過程では、今回の投資サービス法を将来のあるべき金融サービス市場法へ向けたステップであると。金融商品販売法が最初の、ホップ・ステップ・ジャンプであればそのステップであって、ジャンプとして次に、より包括的な銀行、保険も含めた金融サービス市場法を目指すべきだというふうな考え方を表明される委員が割とたくさんおられました。  ただ、私はちょっと違う考え方といいますか、をしておりまして、必ずしも最初から今の法律をステップというふうに位置付ける必要はないというふうに思っておりまして、銀行、保険も含めて包括的な一本の巨大な法律にするのが本当に適正かどうかというのは、もっとしっかり考えていい問題ではないかというふうに私自身は思っております。  だから、もちろん、何というんですかね、保険の皮をかぶった投資商品とか、預金の皮をかぶった投資商品みたいなものが現実には存在するわけでありまして、そういうものは当然今回の法律の対象に含めなければいけないわけですが、本来的なといいますか、伝統的な生命保険のようなものとか預金のようなものまで一つの法律の中で位置付けるのが一番効率的なやり方かどうかというものについては若干疑問を持っておりまして、繰り返しになりますが、最初から今御審議されている法案をステップとかいうふうに言うのは失礼な話でありまして、これはこれでゴールとして、もちろん完璧な制度というのはありませんから絶えず制度の見直し、進化というのは図っていかなければいけないと思いますが、この法案はこの法案として十分意義のあるものであるというふうに思っております。  あと、監視体制につきましては、先ほどの繰り返しになりますが、これも、監視体制も私は全部を一つにするのが必ずしもいいとは思っていないというのが先ほど申し上げた趣旨のあれです。
  62. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 先ほども申し上げましたけれども、アメリカ型のSECかイギリス型のFSAかといったその議論の中で、両者のその比較について御意見がありましたらお伺いいたします。
  63. 池尾和人

    参考人池尾和人君) 組織を幾つかに分けるというのには基本的に長所、短所が両方ありまして、組織を分けることによって、先ほど申し上げましたが、お互いの間で牽制が働くとか相互チェック、同じことですが、競争関係が発生するとか、そういう面で組織の規律をむしろ高める効果があるという面ではメリットだと思うんですね。  ただ、組織が分かれるといろんな面で重複的なコストが発生するというデメリットもありますので、問題に応じて、重複を避けて一元化した方が効率的なのか、牽制とか、相互牽制を働かせることの方に重点があるかというふうなことで、組織をどの程度統合するのか分離させるのかというのが決まってくると思うんですね。  だから、その重複のコストが大きいか牽制のメリットが大きいかというのはケースとか状況によって変わりますので、常にこっちの方がいいとかいうふうなことが、少なくとも経済学の立場からは断言し得ないというところがありまして、日本の現状とかから考えて、日本の現状においてどちらのメリットないしコストが勝っているかということを判断していかなきゃいけないということだと思っております。考慮しなきゃいけない要因としては、いわゆる金融コングロマリット化みたいなものの進展というのをどう考えるかというのが一つ大きなポイントとしてはあると思います。
  64. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、越田参考人の方にお伺いいたします。  自主規制機関として協会の果たしてきた役割をどう評価されていらっしゃるのか。また、証券業が金融商品取引業へと拡大されて日本証券業界の業務の重要性も増すと考えられますが、今後の取組についてお伺いいたします。
  65. 越田弘志

    参考人越田弘志君) どう評価するかというのは、まあ私どもは当然自分たちの成果を評価しておりますけれども、それを余り大きな声で申し上げるとまた御批判も受けますが、ただ、余り謙遜して申し上げても会員証券会社から何を言っているんだと言われますので、そこは難しいところであります。そういったことで、昨年公表されました金融審議会の報告書では、以上のような表現を使って我々を評価なさっておられます。自主規制機関の在り方については、自主規制機関としての性格を最も強く有する証券業協会と同等の機能を各機関が有することとすることにより、自主規制機関の機能強化を図るべきであると、このような評価をしていただいております。  次に、その証券業界にこの金融商品取引法が成立した上での業務の重要性が増すと、今後の取組についてというお話でございますが、まず、一つとしては、多くの投資家市場参加が得られるように公正な市場の構成と証券投資の魅力の向上に努力していきたいと思っております。  それからもう一つは、やはり先ほど申し上げました投資教育金融教育の推進ということを考えておりまして、当面の課題といたしましてはこの二つを考えております。
  66. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございます。  次に、藤沼参考人にお伺いいたします。  公認会計士、そして監査法人の役割がクローズアップされている中で、その職務やそれから果たすべき役割が国民に十分に理解されていないのではないかというふうに思うわけですが、この広報活動の取組がもっと必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  67. 藤沼亜起

    参考人藤沼亜起君) 確かに、会計監査といいますと、会計監査の示す役割がどういうものなのかということがなかなか皆さんに理解されづらいということは事実だと思います。その一つの理由は、やはり日本の戦後からのいわゆる経済の仕組みの中で、間接金融、要するに銀行の貸付けによって企業は資金調達をしてきたと、したがって企業は一部の債権者に対して情報を公開すると、こういうことが主な役割というか、こういうことで財務情報金融機関等に出すということで、一般投資家というものが、そのものが余り育ってこなかったという問題があるのではないかというふうに思います。そういう面で、海外のように公認会計士あるいは公認会計士監査民間経済の中から必然的に発生してきたという、そういうようなところの違いがあるのかと思います。  それで、今時代かなり変わってきておりまして、貯蓄から投資へということで、個人金融資産をいわゆる貯蓄から投資に移していくという中で、証券市場資本市場が非常に注目されてきている。その中で、財務情報の正確性、これをだれが担保するのかと、そういうことで会計監査人、独立監査人の役割が重要になってくると。  こういうことで、私どもこの辺のところをPRしたいということで、ひとまずは若年層からということで、これは越田会長のところと同じなんですけれども、今ハロー会計というプロジェクトをつくりまして、中学生のところに、中学生、高校生ということなんですけれども、会計とは何かということを具体的な事例を挙げて説明するようなことを全国各地で展開しております。  また、各大学にも、いわゆる後進者育成ということで、やはり後継者がこの業界に入ってこないと市場の重要なインフラである会計士が育たないということで、その辺のところも、大学に行って、いわゆる会計士試験に是非とも受かってほしい、受けてほしいということでPRをしております。  この分野についてはまだまだ努力することがあると思いますので、私どもいろいろなことを企画して会計監査の役割、重要性についてPRをしていきたいというふうに思っています。
  68. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  時間も限られておりますけれども、最後に御三方に、今回の改正を踏まえて残された課題あるいは次の改正法の課題としてどのようなものがあるというふうにお考えになっていらっしゃるか、一言ずつお伺いいたします。
  69. 池口修次

    委員長池口修次君) それでは、池尾参考人越田参考人藤沼参考人の順でお願いします。
  70. 池尾和人

    参考人池尾和人君) 先ほども申し上げましたが、完成された制度というのは私は存在するとは思っておりませんので、制度というのは絶えず進化といいますか進化させられていくべきものだと思いますので、今後とも見直しが多分必要だとは思っておりますが、やっぱり当面の課題は、本日の意見陳述で申し上げましたエンフォースメント体制でどれだけ実を上げられるかということが大きいかと思っております。  だから、ルール自体の整備を一層やる必要性が残っているかもしれませんが、そういう必要性が仮に大きく残っていたとしても、今回あったルールがエンフォースメントできないようであれば全く意味のない話になりますので、現状の体制人員の中でどれだけのエンフォースメントがなしていけるのかというところで、やや繰り返しになりますが、より人員増強等を図って強化していくというふうな方策が併せて必要ではないかというふうに思っております。
  71. 越田弘志

    参考人越田弘志君) 金融商品取引法の実施状況を十分に見極める必要があると考えておりますが、課題といたしましては、先ほどから話が出ておりますように、エンフォースメント体制の一体化、それからあるいは金融商品取引業者を管轄する官庁の一本化といったことが今後の検討課題ではないかと考えております。
  72. 藤沼亜起

    参考人藤沼亜起君) 会計不祥事の後を受けて、監査法人の責任強化ということが言われておりますけれども、先ほどの御質問の中で、刑事罰を掛けたらどうだというような話がありましたけれども、私どもは、それは監査法人の特殊性から解体論につながってしまうので、もしそういう形で将来、監査法人についての問題を考えるならば、責任強化という考えならば、一つは課徴金というような制度も考えた方が現実的ではないのかということと、あと、監査法人自身が非常に古い法律といいますか、公認会計士法は変わったわけですけれども、社員の無限連帯責任て、これ非常に、合名会社の法律に基づいたものがいまだにあると。これは、社員が四百人とか五百人というような事務所に無限連帯責任というのは、これは非常に、ほかの国でもないような制度なので、これも見直していただきたいというふうに思っております。  また、監督強化ということにつきましては、私どもは、これは監督強化はそれはそれで大事だとは思いますけれども、まず第一に大事なのは、やはり我々自身の、公認会計士自身が自らの業務を改善して、それを公認会計士協会が厳しくチェックしていくという、自主規制体制を強化することだというふうに思っています。そこを、足りないところを、例えば公認会計士監査審査会、そういうところが別の角度から厳しく見ていただくということで、その連携を強化することによって国民経済的にも一番いい効率的なエンフォースメント体制をつくることができるのではないかというふうに思っております。  以上でございます。
  73. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  以上で終わります。
  74. 池口修次

    委員長池口修次君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人方々には、長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見を承りまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時三十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  75. 池口修次

    委員長池口修次君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  証券取引法等の一部を改正する法律案証券取引法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び金融商品取引監視委員会設置法案の三案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁総務企画局長三國谷勝範君外十二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 池口修次

    委員長池口修次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  77. 池口修次

    委員長池口修次君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  三案の審査のため、本日の委員会参考人として、理事会協議のとおり、株式会社東京証取引所代表取締役専務飛山康雄君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 池口修次

    委員長池口修次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  79. 池口修次

    委員長池口修次君) 証券取引法等の一部を改正する法律案証券取引法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び金融商品取引監視委員会設置法案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  80. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございますが、今日、事前に質問通告をしていた直後といいますか、今日の朝、東京新聞の、これ何面でしょうか、中央青山監査法人の新しい理事長になられた片山さんという方が、東京新聞のインタビューの記事がございまして、午前中も実は、尾立委員藤沼さんに、公認会計士協会会長に中身をお尋ねしていたんですけれども、残念ながらきちんとした答弁返ってきませんでした。  ちょっと本当は資料を皆さんにお配りすればよかったんですが、なかなかそれ間に合いませんでしたので、どういうことをインタビューでしゃべってられるかということについて、新聞記者はこういうふうに言っているんですね。「一時国有化された足利銀行や日興コーディアルグループでは監査問題が解決していないが。」と、こういうふうに質問したら、「足利銀行では収束に向けて取り組み、日興問題でも過去の決算で訂正報告書が必要かどうか検討したい。監査をめぐる問題がこれ以上表面化しないよう、総点検する」、もう一度申し上げます、「日興問題でも過去の決算で訂正報告書が必要かどうか検討したい。」。これは、私は大変大きな変化だと思っています。しかもこれは大変大きな問題をはらむ問題だと思います。  この問題は、この二月に、私は日興コーディアル証券ベル24のMアンドA案件を、これをSPC、特別目的会社通じてこれを全額いわゆる非上場の会社にしてしまったプロセスについては何度もお話し申し上げました。これは、連結対象に加えるべきじゃないかということをめぐって、実は、いや、会計原則からすれば、会計規則からすればこれについてはいろんな意見があるんだと、こういう話だったわけです。  金融担当大臣、このいわゆる新しい片山新理事長が、これはやっぱり再検討していきたいと、訂正報告書が必要かどうか検討したいと、こうおっしゃっておられることについて、金融担当大臣としてはどのように判断をされているのか。
  81. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先生がこの問題、度々この委員会で熱心に取り上げられてこられたわけでございますが、実は、直接まだこの件は伺っておりませんので、また個別の問題でございますので、直接的なコメントはできないわけでございますけれども、検討したいということが事実であれば、しばらく待っていただいて、検討の結果を先生も私の方も見るということになると思います。  いずれにしましても、連結決算の基準というのは、度々この委員会で申し上げましたけれども、実質的に支配しているかどうかということが一つのメルクマールでございますので、そういう面からも、恐らく、再検討してみたいということですから、言葉どおり再検討されるのではないかと思っております。
  82. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 恐らくこれ、再検討をせざるを得ない理由はあるんだと思うんですね。と申しますのは、私も前回お話ししたんですが、このいわゆる日興コーディアルを担当していた中央青山、この中央青山が処分を受けたわけであります。そうすると、引き続き日興コーディアルとしてもこの中央青山にやってもらうのか、その場合も株主総会で恐らくその説明が求められると思いますね。そして、他のいわゆる監査法人に頼むとすれば、監査法人とすれば、いや、問題になっていると、国会で問題になっているということはもうよく御存じでございますし、いろんな、国会以外も随分これは伝えられているわけであります。とすれば、この問題について、そう簡単に引き受けましたと、こうならないわけですね。  やっぱり、この自分たちの連結対象範囲については問題があったんだなと、このことを認めない限り、実は日興コーディアル証券の監査法人が次にだれになるのかということは、どんな監査法人にとっても実は大変高いハードルになっているんじゃないかと、このように私は思うんですが、担当大臣、どう思われましょうか。
  83. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 手元に東京新聞の朝刊がございますけれども、これは新理事長が言っておられることは、やはり新しい気持ちで出直すときに、監査をめぐる問題がこれ以上表面化しないよう総点検するということで、きれいな形で再スタートしたいというお気持ちを表したんだと私は読んで、そのように理解をします。  そういう中で、具体的には足利銀行とか日興コーディアルというのが具体的に出ておりますので、そういうものを含めて新しい気持ちで出直すためには、すべて過去問題にされたようなこともきちんと点検した上で再スタートしたいと、そういうお気持ちであると思います。  したがいまして、総点検すると、こう言われていますんで、総点検されるものと私は思っております。
  84. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこで、これは金融担当大臣にお聞きするよりも、ちょっと委員会にお願いがあります。これまで私は、これまでの中央青山の理事長をやっておられた奥山さんですね、参考人にと、こう要請していたわけですが、この新しい理事長さんがこのように考えておられる根拠、これはやっぱり大変重要なんで、この委員会参考人として招致を要請したいと思います。
  85. 池口修次

    委員長池口修次君) 理事会で協議いたします。
  86. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 実は今日は、大分県の豊和銀行という問題について議論をしたいと思ってやってまいりました。なぜ、おい、金融商品取引法とちょっと違うんではないかということをおっしゃっているんですが、そうじゃないんであります。私がなぜこの問題を取り上げたかというのは、今の問題とも絡むんです、監査法人の。  この間、私は前回、たしかちょっと言葉が過ぎたかなと思うんですが、要するに粉飾決算というのがこの日本に非常に横行してきていると。どんどんどんどん粉飾問題が新聞紙上をにぎわしていると。で、中央青山がああいう処分を受けたと。中央青山だけじゃありませんね。この豊和銀行は、担当しているのはあずさ監査法人だと思うんです。いろいろたくさんの監査法人が上場企業を含めて決算をしているわけであります。  なぜこのような粉飾決算が多発するんだろうかなと。これは談合問題が、まあ談合問題ほどは多くないんじゃないのかなというふうに思われているかもしれませんが、私は、案外これは、粉飾決算というのは意外と多かったんじゃないのかなというふうに思っている一人なんです。  なぜそういうふうになっているのかということを考えると、護送船団行政の下でのいわゆる監査法人というのは、どんな役割だったんだろうかなと。これは、今日はこれ質問通告しておりませんが、後でもし、私のこの意見にもし感想があれば、大臣のお話をお聞きしたいんですけれども。  大体、終戦直後の、高度成長時代に右肩上がりの経済だった。そして、大体モニタリングしていたのは、これは監査法人が監査をするというよりも、このいわゆるメーンバンクが、この企業はおかしくなっているんじゃないかとかこの企業は問題があるんじゃないかということは銀行の融資を通じてモニタリングしていたんじゃないのか。  そして、何か問題が起きたら、銀行に問題が起きたりある問題が起きた場合には、必ず大蔵省や、まあ今でいえば財務省かもしれない、金融庁かもしれませんが、あるいは行政当局がこの問題を、合併させたり様々な手法を通じて問題をある意味では制御していくということで、まあ言ってみれば、会計監査監査法人というものは戦後導入されたけれども、日本においては、会計監査を受けるというのは、有価証券報告書を提出するときに監査の証明書がなきゃまずいからとにかく付けていったと、こういう実態があって、やはり監査法人自身が独立性というものが必要とされない時代が随分あったんではないのかなというふうに私は思っているんです。  そういう時代監査法人がどのような監査をしていたのかなと。そうすると、いや、銀行に言われるままに、あるいは行政当局がこうしたいからということに、あるいはその企業の経営者の言われるままにどうも監査をしているのが常態化していたんじゃないのかなというふうに私は思うんです。これは、いわゆる高度成長時代ならばいざ知らず、あるいは護送船団行政が進んでいるならいざ知らず、これからは、直接金融時代になってくると、有価証券報告書、この虚偽記載も大変大問題になってきておるわけですけれども、こういう問題が本当に正しいのかどうなのかというのは、証券市場というところを通じて資本調達をする、あるいは貯蓄から投資へと国民投資行動が変わってくる、こうなってくると、今までのような監査の在り方であったらこれは本当に資本市場の要請にこたえられないと。  それで実は私は、この監査法人の問題というのは、あるいは会計監査の問題というのは極めて重要であり、この機会に、私はやはり、監査法人が本当に独立していくために改革を進めなきゃいけないと。それで、あの日興コーディアルの問題やあるいはこれから述べる豊和銀行の問題について、本当に一体どうなっていたんだろうなと、こういうことで質問をさしていただきたいと思っているんですが。  私が今述べたようなことについて、与謝野大臣、どのようにお考えなんでしょうか、まずお聞きしたいと思います。
  87. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 多分、先生言われましたように、日本監査は多分緩かったんだろうと思います。それと、どうしても監査法人が監査をする会社と親しくなっているうちに監査も甘くなるということもしばしばあったんだろうと思います。それと同時に、日本監査は残高証明をチェックするような監査でございまして、期末の瞬間風速のところだけを測って監査をやるということで、期を通じて、全期、一つの期を全体、流れを見て監査をするということは多分余り日本監査では行っていないというふうに思っております。  そういう意味では、貯蓄から投資という言葉もありますし、またきちんとした情報開示をして投資家保護するという観点、あるいはきちんと情報開示をして、取引先、顧客、すべての方々に会社の実情をきちんと把握していただく、そういうためには監査の正確性、真実性というものがこれからますます重要に私はなってくると思います。したがいまして、今のような監査、これで十分なのかどうかということは常に考えながら進んでいかなければならないと思っております。
  88. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 午前中、藤沼会長も、実は監査料の問題とか監査の独立性の問題とか監査の質の問題なんかについて随分おっしゃっていました。  私は、一時期、監査法人の監査料の問題とか、それはそれで独自に、余りにも今の仕組みじゃまずいんじゃないかなと、こう思っていたんですが、まあもちろんまずいことはまずいんですが、何が今監査にとって非常に重要なのかといったときに、やはり市場と司法の力じゃないか、ルールの力じゃないか。  つまり、下手な監査をすると、粉飾決算が分かると、ばれると、これが大変な損害賠償を請求されると。つまり、それをやったら大変だと。そうすると、適正な監査をするきちんとした監査法人、適正な監査をする人が実は監査を求められるような、そういう方向へ持っていくことを通じて監査料の適正化を図っていかなきゃならない。  そういう意味で、私はやはり、これ、もちろん今度の金融商品サービス法は監査の問題だけじゃないんですけれども、全般にそういう意味で、日本の今までのルール、この弱さ、それから罰則の余りにその不十分さ、それがルーズな監査を実は再生産さしていたんじゃないかというふうに思っているんです。そういった点についてはどのようにお考えになっていますか。
  89. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 多分、日本監査法人が受け取っている監査料というのは、例えばアメリカ監査法人がアメリカの会社の監査をやったときの監査料に比べますと、多分数分の一であると私は思っております。  会社の方も監査お金を掛けなければならないと思いますし、やはり監査法人の方も、自分のやっている監査というものが非常に社会的に重大なことであって、それには責任が伴うという自覚を持ってやっていただかなければならないと。そのために法整備が必要ということであれば、これは国会の皆様方としっかりと論議をしながら、どのような点を補っていくべきかということは金融庁としては積極的にやらしていただきたいと思っております。
  90. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それでは、各論といいますか具体例から入っていきたいと思っています。  四月二十八日でございますが、大分県の豊和銀行金融庁から経営改善を求める早期是正措置を受けたと、こういうニュースが我々のところに入ってきたわけです。私も実は、いやもう日本金融機関の不良債権問題はもう終わったんだと、前任者の竹中金融担当大臣、元の大臣ですか、伊藤大臣がおられましたからその前ですね、竹中大臣は高らかに、もう不良債権問題がある、これはもう日本経済にとって一番大きい改革しなきゃいかぬ課題なんだと、こうおっしゃっていて、当然もう不良債権問題は終わったのかなと、こういうふうに思っていたわけでありますが、実はそうではなかったということでございまして、豊和銀行金融庁が早期是正措置を発動したわけでありますが、その理由及び背景を、簡単にで結構でございます、教えていただきたいと思います。
  91. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先生御指摘のように、豊和銀行は、四月二十八日に、十八年三月期決算の業績予想修正を公表した際、このように述べております。  監査法人との協議を経て算出した自己資本比率が健全行の国内基準を下回る見込みとなったことから、本日、金融庁より早期是正措置命令を受けたと、これが豊和銀行の説明でございます。  また、自己資本比率が健全行の国内基準、すなわち四%を下回る見込みになったことについては、次のように述べております。  十八年三月期決算においては、抜本的な不良債権処理を行う必要があるとの認識から、金融庁の検査結果を踏まえ、極めて厳格に自己査定を行った結果、予想を上回る与信関連費用を計上することとなったため、まあこれが豊和銀行側の御説明でございます。
  92. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 要するに、金融庁が検査に入って、そしてその検査の結果、あなたのところのこれは不良債権だよと、もっとこれはきちっと処理し、引き当て積まなきゃ駄目だよと、こういうことで実は予想以上に膨らんでいったと、これがここに書かれてあるわけですね。  そこで、まず金融庁、検査のことについてお聞きしたいんですが、過去五年間ぐらいにこの豊和銀行に対して何回ぐらい、そして回数が少なければ、いつからいつまで検査に入ったのか、教えてください。
  93. 西原政雄

    政府参考人(西原政雄君) お答え申し上げます。  豊和銀行に対する検査でございますが、過去五年、今回の検査も含めまして三回の検査を実施しております。  今回の検査は平成十七年九月期を対象とした検査ですが、今年の一月の二十六日から立入りを開始いたしまして、三月の二十九日に立入りを終了しております。  前回の検査は、平成十六年の三月の十日から立入りを開始しまして、四月の十三日まで。それから、その前の検査でございますが、平成十三年の十月の三十一日に立入りを開始いたしまして、その年の十二月の二十日に立入りを終了していると、こういうことでございます。
  94. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ありがとうございます。  その間の豊和銀行の自己資本比率、ちょっと調べてみたんですけれども、今度は自己資本比率が二・一%ぐらい、二・二%に下がったというんですけれども、皆さんのお手元に、「一、豊和銀行自己資本比率推移」と書いてありますが、ずっとその間検査されても、十二年度から十六年度までは七・八から六・八七と、ちょっと低下傾向ですけれども、それほど、四%を大きく下回らなかったと。これが十七年度、すなわちこの三月三十一日の決算ではこれは二・二%まで下がったという、これが今回のいわゆる検査に伴って、いわゆる不良債権の処理を進めた結果二・二%に下がったんだと、こういう理解でよろしゅうございますね。それかどうかということだけお聞きしたいんです。
  95. 西原政雄

    政府参考人(西原政雄君) 今回の検査は、平成十七年の九月期を基準としまして検査を行いました。  それで、先ほど申しましたように、立入り終了が三月の二十九日ですが、検査結果を通知しましたのが四月の十四日、それを踏まえまして、十八年の三月期、この検査結果も踏まえまして、それを反映させた結果として十八年三月期の自己資本比率が今述べられたような数字になったということでございます。
  96. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ちょっと金融担当大臣にあらかじめお聞きしておきたいことがあるわけです。それは、金融庁長官が、これは記者会見の中で記者から、豊和銀行がいわゆる公的資金の注入などを申請するというようなことについて質問があったわけでありますが、そのことについてこのようにおっしゃっているんですけれども、こう理解してよろしいかどうか。  要するに、なぜそうなったのかということについて、これは大口の与信先に対する管理が十分でなかったということから、その与信集中のリスクが顕在化をして健全性の基準を下回るところまで不良債権処理が必要となったということでありまして、特異な事例だったと思います、地域金融機関全般に何か問題があることの現れとしてこういう問題が生じたということではないと思いますと。後でいろいろ書かれておりまして、要するに、今リレーションバンキングシステム通じて結構向上しているんだと、こういう理解を新聞記者の皆さんに記者会見でしゃべっておられますが、与謝野担当大臣も同様の認識を持っておられますか。
  97. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 五味長官と全く同一の認識でございます。
  98. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それでは、皆さん方もちょっと眠いかもしれませんけれども、退屈なお話かもしれませんが、この豊和銀行というのを、ちょっと私、皆さんに資料をお渡ししましたので見ていただきたいんですが、この連結の貸借対照表が資料二として載せております。  これは単位、十億円ですから、それぞれ今、十八年三月期の決算は五千三百五十億円の資産であると、その前は五千六百六十億ということでございまして、合計の資産が少し下がっておりまして、その大半は貸出金。要するに、銀行は企業に貸出しをするわけでありますから、それが一番大きいウエートを占めているということでございます。  今度は負債の方はどうなのかというと、負債・資本のところでごらんになっていただきますが、負債・資本の合計五千三百五十億円、そのうちの預金が大体五千百五十億円ということで、負債の大半は預金であるということでございまして、ある意味ではこの銀行というのは比較的分かりやすいといいますか、皆さん方から預金を五千億以上集めて、それを貸付けに回してその利ざやでもって商売をしているんだと。  で、どのぐらいの利ざやが上がってくるのかというと、次の二ページ目の資料を見ていただきたいんですが、損益計算書ということで三年間、十六年、十七年、十八年で貸出金の利息として大体毎年百十億から百二十億と。なぜそうなるのかということは、貸出し時の利息と、それから企業に貸し出している利息と預金利息との利ざやが問題になるわけでありますが、貸出金の利ざやは、平成十六年三月期が二・八九%、平成十七年三月期が二・七九%。それに対して、ごめんなさい、二・九七と二・八七です。一方の預金の利回りの方は〇・〇八ということで、ほとんど預金金利は払っていないということです。ですから、その差額の利ざやが二・八九と二・七九と。これを大体掛け合わせるとおおむね年間百二十億円のいわゆる利ざやの差が入ってくるわけです。  経費はどのぐらい掛かっているのかということを次の三ページ目に、営業経費ということで、単体でしかちょっと見せておりませんが、給料、諸手当、そのほか記載をしているとおりでありまして、大体八十億円前後です。  そうなってくると、この銀行は、百二十億大体安定的に経常利益があって八十億の経費が掛かっている、そうすると残り利益は四十億というのが大ざっぱな流れだということを理解をしていただきたいわけです。  それで、そういうところが一体どうなったのかということで不良債権のところの実態を見てみたところ、不良債権は、十六年、その三ページ目の五番目の豊和銀行における不良債権でございますが、この中身を見てみますと、大体引き当てているときは、十六年三月期というのは四十億円程度引き当てている、十七年三月期はこれが七十二億にちょっと跳ね上がっているわけです。  先ほども、検査は三回あったと申し上げましたけれども、その三回に実はなかなか見事に対応しているんじゃないかと思うんですが、その次の四ページ目を見ていただきたいわけでありますが、この豊和銀行というのは、大体通常はいつもぎりぎりの、まあ四十億もうけがあるんだけれども、不良債権があるために実際の当期純利益というのはどのぐらいになっているのかというのは、この資料六の上の、上段の真ん中の当期純利益を見ていただいたら分かるんでありますが、十四年三月期の実績は三十二億の当期純利益がマイナス、赤字ということですね。それから、翌年はまた四億四千六百万、翌年は三億六千六百万、十七年三月期が今度はまた赤字が増えて十七億赤字になっているわけです。そして、次の十八年三月期は、後で出てくるんですけど、もっと赤字になるわけです。  問題は、実は何でこんなふうで、この数字を見ていって、これは平成十四年三月期で当期純利益三十二億四千百万。経常利益が六十九億だったのに当期純利益が減っているということは、多分その差額であるところの三十六億五千九百万円というのは、きっと何かを処分してそこからその穴埋めをしたに違いないんです。つまり、不良債権処理をここでやった。本来ならば、これで完全に終わっていれば、きれいな債権が多ければ、当然翌年からは四十億近い利益が上がってしかるべきなのに、依然として四億四千六百万、三億六千六百万と。  どうしてそうなっているかというと、またその不良債権の処理に、引当金に毎年のように四十億近い不良債権処理を充てているということなんです。そして、十七年三月期の決算というのは、十七年三月期ということですから、先ほどの検査があった翌年になってくると、このように経常利益が赤字になり、当期純利益は赤字になってしまう。どうもこの流れを見たら、ある会計士さんがこう言ったんです。これ、峰崎さん、粉飾決算しているからこうなるんじゃないのと、こう言ったわけです。  ちょっと豊和銀行というのは、大体九〇%が大分県内、九〇%が大分県内で、九〇%が中小企業という典型的な第二地銀の実態なんですけれども、貸出し先はどんなところに、業種に貸し出しているかというのをこの資料七に記載をしたわけです。豊和銀行貸出し先残高明細表ということで、ちょっと黒い網を掛けておりますが、建設業、卸売・小売業、不動産業、通常これは不況三業種と言われた。このいわゆる不況三業種というのは、東京では、もう大都市ではこれはいろいろ建設業もラッシュ。卸、小売もなかなか勢いがいい。不動産も、森ビルが建てたとか、いや、あそこのヒルズがどうのこうのといって大変なにぎわいを示しているわけです。地方は、御存じのように、この辺りは全然ひどいわけであります。  その意味で、この豊和銀行の主要経営推移を見、あるいは豊和銀行の貸出し先残高の明細を見るにつけ、どうもこの銀行の不良債権処理というものは、いつも徹底的にやった徹底的にやったと言っているけれども、どうもこれはおかしいんじゃないのかなというふうに私どもはちょっと見えるんですが、このように疑いがあるというふうに私は見ているんですけれども、この今、私の見方に対して、大臣、個別のことに対してはなかなか答えにくいかもしれませんけれども、一般論としてで結構ですから、この銀行のこのいわゆる決算、あるいは不良債権の推移、なぜこんなふうになっているのか、ちょっと御意見があったらお聞かせ願いたいんです。
  99. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先生はよく分析されておられまして、やはり豊和銀行の貸出し先というのは、建設業、卸・小売、不動産業と不況三業種にも相当の貸出し残高がございまして、こういうものが収益を圧迫してきたということは十分予想されることでございますが、先生がお話になりました豊和銀行の十四年三月期の決算につきまして、私どもの知っていることを申し上げますと、十四年五月二十八日付き決算短信において、連結子会社である株式会社ほうわファイナンスの清算費用を含んで貸出金償却、引き当て費用が増加したことから、市況低迷による有価証券減損処理によって有価証券関係損益が減少したことを赤字決算の要因として同行は挙げております。
  100. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いや、私は具体的にあると思うんです、例があると思うんですよ。問題は、そういう金融庁の検査が入って、不良債権を落としなさいよと。そのときは赤字を出してでもとにかくやるんです。しかし、翌年から、じゃそれで終わったのかと思うと、実は終わってない。四年後にまた検査が入る。そうするとまた不良債権の赤字処理に出る。そして、今年一月から入ってまた不良債権の処理が徹底している。その結果、もうとうとう耐え切れなくなって自己資本比率が二%台ちょいになってきたわけですね。  この間、本当に不良債権処理というものを、不良債権と言われているものを本当にこれは処理をしてきたんだろうかと、きちんと、というところに、どうもそうではないのではないかというふうに私は思っているんですけれども、その点どうだろうかということを私は質問したわけなんですが、まあよろしゅうございます。  ちょっと時間があと十五分で私も交代しなきゃいけないので、今日、全部質問できなければ、また六日の日にまた私自身時間がいただけますので全部そこでやりたいと思いますが、まず確かめなきゃいけないところだけちょっと確かめさしていただきたいと思うんです。ありますか、何か、今の。
  101. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 個別の金融機関の決算に関するコメントは差し控えさせていただきたいわけでございますが、豊和銀行を含む金融機関の決算は、自己責任原則の下、当該金融機関が会計基準等にのっとった会計処理を行い、会計監査人による監査を経た上で確定するものであり、豊和銀行の過去五年間の決算についても、こうした適切な手続を経て行われているものと私どもは承知をしております。
  102. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 本当に適切であればよかったわけですよ。まあ、それは恐らく金融担当大臣としては、いや、適切に行われているということだったんだろうと思うんです。  そこで、今から、本当に適切だったのと。資料の五ページ目に豊和銀行の資産査定が、これは正に自己査定だったわけであります。その自己査定について、本当にこういう状態であれば問題はないんだけどなというふうに私は思うわけでありますけれども、しかし、どうもそうではないという一つの証拠があるんです。  何かといいますと、私、質問要旨に書いたわけでありますが、豊和銀行の二〇〇五年のアニュアルレポート第十九ページに「次期の見通し」ということで次のような文章が記載されているんです、このアニュアルレポートというのを調べたわけでありますが。  その中にどういうふうに書かれてあるかというと、ちょっと読み上げますと、平成十七年度は不良債権問題の終結に向け、お取引先に対し、再生部門と過剰債務部門とを区別するなどの抜本的再生支援策を講じるため、貸出金関係損失は九十億円程度となることを想定しております。このため、単体の業績は、経常収益百四十七億円、経常利益、赤字でマイナス二十八億円、当期純利益マイナス二十億円を予想しています。  これを、今私が読み上げたことについて、ごらんになって、大臣、これどういうふうに思われましたですか。
  103. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) この件についても個別の問題ですからコメントは差し控えさせていただきますが、一般的に言いますと、次期の見通しというようなものを発表する場合には、その時点において見通せる事象を勘案して、取締役会等の適正な手続やルールに従い、また、必要に応じて会計監査人との協議等を経て開示されているものと承知をしております。
  104. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これ、次期にはもう九十億円マイナスになりますよと、要するに不良債権処理をしますよと言っているんですけれども、出ますよということを言っているんですよね。ということは、もう、前の期に九十億円もうあるんだということを認識しているからこういう表現になっているんじゃないですか。そういうふうに理解できませんか、大臣。じゃ、もしよければ検査局長でもいいですよ。
  105. 池口修次

    委員長池口修次君) どなた、答えますか。金融庁佐藤監督局長
  106. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 上場企業が決算発表いたしますときに、次期に、次の期についての見通しを併せて公表することが多いわけでございますけれども、その時点におきましては、確たる高い確度でもってこうなるという部分と、それから今後の見通しにかかわる部分とがあろうかと思います。そういった見通しにかかわる部分については、その期の決算に直ちに反映するということよりは、その期の決算においてはその時点で明確になっていることを反映して決算をつくると、こういうことであろうかと思います。
  107. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 正に発生主義の原則ですよね。その時点において発生しているものはその時点で会計の中に表さなきゃいけない。このいわゆる豊和銀行の、監査人も多分見ていると思いますが、アニュアルレポートで書いてあることを見ると、九十億円は来期必ずもう実はこれ不良債権処理その他でやんなきゃいけないんですということを宣言しているんです、これ。そうしたら、それ、その時点で上げなきゃいけないんじゃないですか。この九十億円というのは後で百七十九億円というふうに倍ぐらいになっちゃうんですよね。  そうすると、ここの時点でなぜ、九十億円という現実に不良債権として認めたものが発生しているのに、その時点ではなぜ会計上、会計原則からすれば、発生主義からすれば、当然その時点で認識するのが原則じゃないんですか。当たり前じゃないですか。それをやってないんじゃないですか、これ。どうですか、大臣
  108. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 個別の銀行の決算についてはコメントを差し控えたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたとおり、この次の期の見通しというのは不確実な要素も含んで見通しを立てるということだろうと思います。個別のことはちょっと申し上げられませんけれども、不良債権の残高がかなり大きいといった場合には、そこから一つの期が経過するに伴って新たな与信コストが明確なものとして認識されることになるといった流れがあろうかと思います。そういったことも含めまして、将来の予想見通しとしてその業績予想というものを出しておられるのではないかと推察いたします。一般論でございます。
  109. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 幾ら一般論でもですね、こういうふうに書かれているということは、現実にこういうものがもう既に不良債権の実態として存在しているということを、これは不良な部分とそうでない部分に分けてということまでわざわざ書いてあるわけですよ。ということは、こういうところでやはり発生主義の原則に立ってきちんとした会計処理がなされていないということを私はこれは表しているんじゃないかと思うんですよ。これ会計士の皆さんに本当聞いてみたいところなんですが。今一般論でいろいろ答えられていますが、具体的に固有名詞でなかなか分かりにくいのかもしれません。  そこで、粉飾ではないだろうかというふうに私は思っているわけでありますけれども、実は、もう時間もあと十分程度に下がりましたんで、質問の方をちょっとやや先に飛ばさしていただきたいと思うんですけども、実はこの平成十八年三月期の決算短信、これによって実は明らかになってきたことがあるわけであります。それは何が明らかになってきたかというと、二十二億円の特別利益を上げているわけです。どうして特別利益を上げているのかなと思って、もう一方で貸付けの金額を調べてみたら、貸付けの金額がおおよそ五百億円減っているんです。  つまり、優良な貸付先があった、不良な貸付先があった、トータルとしてこの銀行は、率直に申し上げて本来ならば四十億円の利益が上がる、そういう会社なんだけども、不良債権があるためにもうゼロ%か、若しくは時々その氷山の上にちょこっと顔が出るぐらいの利益を出すぐらいの、実質的にはゼロぐらいしか生まないような債権しか持っていなかった、これが貸付けの実態だと思うんですね。総資産に対する利益の割合というのは、平成十五年、平成十六年、みんなこれは三億とか四億のそこそこのあれなんですよ。それだけしか上がっていない中で貸付金が五百億落ちているんですよ、この一番、十八年三月は。そして、その分で実は特別の利益が二十二億上がっているんですよ。この中身は何なんですか。
  110. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 御指摘の点に該当いたしますと思われますのは、豊和銀行が五月二十五日に公表をいたしました十八年三月期の決算短信に記述がございまして、当行は住宅ローン債権の流動化を実施し、その譲渡益二十二億五千九百万円を特別利益に計上しているという旨が記載されているということでございます。
  111. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ところで、それはいつ住宅ローン債権はつくられて、それはいつ販売したんですか。
  112. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 個別金融機関の個別の取引でございますので、詳細を説明することは差し控えさせていただきたいと存じますが、この住宅ローン債権の証券化につきましては、三月八日、本年の三月八日でございますが、豊和銀行自身が適時開示を行っております。この公表資料によりますと、この本件証券化の概要につきまして、当行の保有する住宅ローン債権の一部約四百億円を信託銀行に信託し、その対価として得られる信託受益権のうち優先部分約三百二十億円について証券会社を通じて投資家販売する予定である。優先受益権の受渡し日は平成十八年三月二十九日(予定)と、こういった記述がなされております。
  113. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そういうスキームでどなたが売ったかというのはもう一般投資家以上は分からないわけですね。  ちょっと念のためにお尋ねしますが、西日本シティ銀行というのがこれ三十億ほどこのいわゆる豊和銀行に融資をすること、約束がなっているんですけれども、そういうことになっていますね。そこがまさかこのいわゆる住宅ローン債権を買ったということではないんでしょうね。
  114. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 証券会社を通じまして一般投資家販売されたというふうに承知をいたしております。
  115. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 はい、分かりました。  そこで、この二十二億円の売買というのは、これは証券化をして、そしてその優良な部分を一般投資家に売買したということでその売買益二十二億が入ったということなんですが、そうすると、四百億で二十二億ということは大体五%ぐらいの言ってみれば利ざやということになりましょうか、売買利益。  先ほどから何度も言っているように、この銀行はほとんどいわゆる貸付先はゼロ%のその金利しか入ってきてないんです。ひょっとしたら不良債権の査定いかんによってはこれマイナスになるかもしれない。そのときに、優良な債権である住宅ローン、これ私、住宅ローンというのはたしかBIS規制でも五〇%のリスクウエートですから、民間銀行に貸すよりもはるかにこれはいいんですよね。ウエートが低いわけです。つまり、安全だと、有利であると、そして四%ぐらいの利ざやが稼げる。これを実は売っ払ってしまうと、この残された四千五百億は、五千二百億ですから四千七百億ですか、貸付けが減る。そうすると、この銀行はとらの子のいわゆる住宅ローンで利ざやが稼げてたのが、それを売っ払っちゃっていいもんだから、売れるもんだから、そして残されたいわゆる債権というのは、貸付資産というのは一体、これはもう劣化して大変これ問題なんじゃないですか。  これ、商法に何かそういう規定があったんじゃないですか。商法第二百四十五条第一項、商法だったか会社法だったか、どっち、忘れてしまったんですけれども、ちょっと古いものになっているかもしれません。商法の、営業の全部又は重要なる一部の譲渡を行うためには株主総会の特別決議を経なければならない、こうなっているんですよ。  一般的に、私は、住宅ローン債権をつくってそして販売する、住宅公団がそういうのをやっている、大いに結構だと思うんですよ。ただし、住宅ローンのいわゆる利益率はここでいったら四%になっている。ほかのいわゆるもっともうかるところを持っているということならいいんですけれども、この銀行に関しては多分最も優良なその債権を売っ払っちゃったんじゃないですか。だって、さっきから何度も言っているように、ほとんどこれ利益上がってきてないんですから、このいわゆる何年も。赤字になることはあったとしても。  そうしたら、こういうものを売却をするということについての問題は大変大きい問題を残しているんじゃないんでしょうかね。二十二億円をこれ計上すること自身の正当性も実は会計上疑われるんじゃないですか。この点どうなんでしょうか。一般論で結構ですから教えてください。
  116. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 個別金融機関の個別の取引の会計処理でございますので直接のコメントは避けさせていただきたいと思いますけれども、一般論で申し上げますと、各金融機関が個別具体の取引を実行するに当たっては、関係する各種法令や会計ルール等の適合状況、取引の適切性等を十分にチェックするなど、適切な審査を行うことが求められているというふうに認識をいたしております。  その中で、貸出債権の証券化によるオフバランス化というものは一般的に行われておるわけでございますが、一般論として申し上げますと、優良な債権を適切な価格により売却しているということであれば、それは不適切とは言えないというふうに思います。  ただ、いずれにいたしましても、各種法令、会計ルールに適合していること、取引の適切性を十分にチェックして各種リスクの状況等について的確に把握すると、こういった適切な審査を行うことが求められるというふうに認識をいたしております。
  117. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 まあ役所ですからそういうふうに答えるのかもしれません。しかし、状況をよく見てもらいたいんですよね、これ。さっきから何度も言っているように、この銀行はほとんど利益率が上がっていない銀行で、ゼロ%でしかですよ、いわゆる貸付けに対するリターンが。その中で住宅ローン債権というものを四百億もそれを証券化してしまったら、この残された企業という一つのゴーイングコンサーンというのはどうなるんでしょうねと。そういうことから判断して、商法のいわゆる背任に当たりませんかということを述べているんですよ。  だから、売り方が適切であったか、そういうことを聞いているんじゃないんですよ。それが法律上の法令の解釈で言えば、あなた方が言っていることが正しいのかもしれない、間違っていないのかもしれない。しかも、私は全体としてそういうふうに解釈をしないと、こういうときの監査やあるいは決算の在り方というのは私は間違えると思うんですよ。  今日はもう時間ありません。私、これ何も豊和銀行がけしからぬと言って、大分に恨みがあって言っているんじゃないんです。この銀行を何とかつぶせとかそういうことを言っているんじゃないんです。一つの氷山の一角として、後で、次回で述べたいと思うんですが、恐らく相当な、こういういわゆる第二地銀とか地銀とか、そして協同組合的な農林関係だとか漁業関係のいわゆるそこの辺りは本当はどうなっているんだろうねということをしっかりしないと、地域経済が発展しないんじゃないんですか。大手だけが何とか身ぎれいになっていったけれども、それで大手でそこは経済は発展したかもしれない。しかし、末端の中小企業の抱えている地域金融というのがこういう状態になっているから地域経済がおかしくなっているんじゃないですか。  大臣、竹中大臣はもう金融問題終わったなんて言っているんですよね。こんな実は大変な問題を残しながら実は今別の大臣になっていかれているんですけれども。是非、こういう地域経済を発展させるためには地域金融がしっかりしなきゃいけない。その地域金融をしっかりさせるのには、地域のいわゆる監査の在り方とか、あるいは企業経営の在り方、コンプライアンスの在り方、こういうものをやはりきちっとこの機会に、私はこの間の与謝野大臣の答弁を聞いていて、与謝野大臣だったらこれやってくれるんじゃないんだろうかというふうに私は思っている一人ですので、最後にそのことを聞いて、残りの部分、是非、これは次回に質問をさせていただくということで、その質問を聞いて終わりたいと思います。
  118. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 地域銀行を良くするというのは、その地域社会にとりまして大変大事なことでございます。例えば、足利銀行に早く正常な姿に戻ってほしいというのは栃木県民の非常に強い御要望である。そういう例を見ましても、やはり地域社会の中にあります銀行の健全性というものは地域経済にとって大変大事な地域の柱であると思っております。  ただ、地域の銀行が良くなるために、やはり地域社会、地方の経済が良くならなければならないわけでして、むしろそちらの方が私は基本ではないかと思っております。現在の景気の状況を見ましても、東京圏とか東海、近畿とかまだまだ経済が良くなっているのは地域的に偏在をしているわけでございまして、本当に日本の経済が地域の区別なく良くなっているかといったらまだまだ地域差があると。そういう地域差を克服するためのやはり政治的な配慮、政策運営もまた必要であると。そういうことがやはり地域の銀行金融機関の健全性をも回復させると、そのように私は考えております。
  119. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ありがとうございました。
  120. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末健三でございます。  私は、与謝野大臣とは四年前ぐらいに私がまだ大学の先生だったころにお会いして、日本の経済政策について議論させていただいたことがございまして、またこのような場で与謝野大臣と議論ができることを喜ばしく思っております。  私は、今日一つ問題にしたいのは、取引所の問題でございます。  今回の法改正におきまして、取引所の問題はほとんどタッチされてない。先日、大久保委員からも話がございましたが、海外の商品取引も問題にされませんし、また皆様のちょっとお手元にお配りしてます資料をごらんになっていただきますでしょうか。一枚目でございますけれど、証券取引所等の比較、国際比較を作っております。ただ、この比較なんですけど、なかなか作るの大変でした。なぜかと申しますと、各省庁ばらばらなんですよ。金融庁は証券取引所しか分かりません。経済産業省は商品取引、先物取引しか分かんない。農水省は自分のところしか分かんない。各役所がばらばらにやっていますんで、資料作るのが大変だったという話ございます。  やはり今回問題となりますのは、各省庁縦割り。本日午前中も、池尾慶應大学の教授、先生からもお話ございましたけれど、省庁の再編も考えた上で横断的なルールをつくるということについて全く着手されなかったことは問題であると御指摘を受けましたが、私もそう思っております。  ただ、まず、御質問に移らさせていただきたいんですけれど、今回ライブドア事件を発端としましていろんな議論が起きているわけでございますけれど、今年一月にシステムがストップしました、東証のシステムが。この責任は明確になっておりません。二月の議事録を見ますと、今調査中ですと、調査を行って報告しますということで、責任は追及されないまま。そしてまた、三月末に東証から金融庁に出された報告書を見ますと、システムが止まった理由は分かるものの、どういう責任があり、そしてそれに対する処分は全く言及されてないという状況でございます。  昨年十二月に東証の方におかれましては、取締役の辞任、代表取締役の減給を含む大規模な処分を行っておられる。その理由は、一つは、昨年六月に発生しましたシステムの障害、そして昨年十二月のジェイコムの株の誤発注をめぐるシステム不具合、それに伴って処分が、三人の方が辞任し、そして六人の方が減給処分を受けているという状況。  一方で、今回のこの一月のシステム停止、ウォール・ストリート・ジャーナルにおいては、トーキョー・ストップ・エクスチェンジ、ストックじゃないですよ、ストップですね、ということがもう見出しにぼんと載っちゃうぐらいの大きなインパクト。そして、かつ長い期間、システム運用時間を短縮するという、この国の金融インフラを支えている東証、その責任はどこに行ったかという余りにもお粗末、余りにも無責任なことが行ったわけでございますけれど。  東証は、今回の一月のシステムストップの責任の明確化、そして処分についてどう考えるか、お答えください。短くお願いします。
  121. 飛山康雄

    参考人(飛山康雄君) 本年一月十八日の売買停止につきましては、今先生御指摘のとおり、いわゆるライブドアショックと呼ばれる突発的な注文の件数の増加があったわけでございます。  あったとはいいましても、結果として、そのシステム能力の増強が間に合わず、市場を二十分間停止するということになりましたことは、非常に市場運営者として責任を痛感しているところでございます。  それで、取引の停止、その後の取引時間の短縮につきましては、処理能力を超えた場合には決済が付かなくなるということがありますもので……
  122. 藤末健三

    ○藤末健三君 原因は読んでいますから、資料を、やめてください。責任の明確化と処分のことを聞いていますから。
  123. 飛山康雄

    参考人(飛山康雄君) はい。  その市場への影響を最小限にとどめることで経営判断して行ったものでございまして、私どもとしますと、市場の安定的な運営を果たして、もって市場に対する信頼性を取り戻すということが私どもの責任ではないかというふうに考えております。その観点から、順次システム能力の増強を図ってまいりまして、現在では実績値の二倍のキャパシティーを得るということに至っております。  今後も、そういった対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  124. 藤末健三

    ○藤末健三君 短く、的確に答えてください。  責任の明確化されているかどうかという意味では、されてないじゃないですか。そして処分さえも発表されてない。  大臣、聞いてくださいよ。六月二十二日に東証は株主総会開きます。役員の入替えがある。何と、昨年十二月に処分された方が役員になるんですよ、今度。どう思われますか、大臣、今の誠意がない答弁。責任の明確化をされましたか、処分はどうされるんですかということについて一切答えない。どうですか、大臣、どう思われますか。お答えください。
  125. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) やはり東証は、社長を初めきちんと自ら責任を取って辞められたということで、東証の最高責任者が責任を私は明確にされたと思います。  ただ、これは人事の問題でございまして、東証の本当の責任はやはり将来に向かって証券市場整備していくこと、このことに情熱を傾けていただくことが東証の今後の責任であると私は思っております。
  126. 藤末健三

    ○藤末健三君 よろしいでしょうか。東証の責任は信頼性を得ることだと思うんですよね。御指摘のとおりです。信頼を得るためにきちんと責任を明確にする、処分すべき点は処分をするですよ、必要なことは。よろしいですか。それが信頼を得る道であり、システムを増強するというのは小手先でしかないんですよ。いかがですか。東証さん、もう一回お答えください。私ちゃんと話を入れているんですからね、これ。もっと誠意ある対応してくれなきゃ困る。お願いします。
  127. 飛山康雄

    参考人(飛山康雄君) ちょっと繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、一月十八日のケースは、その前に起こりました十一月三十日、十二月八日の前二回のケースとはちょっと違っておりまして、このまま、一月の十八日のケースでございますけれども、そのまま取引を継続するというふうな場合には全取引について決済が付かなくなるということで、社長以下の経営判断ということで停止をさせていただいたわけであります。  今でもこの措置は正しかったんじゃないかというふうに思っておりまして、その見通しそのものが甘かったんではないかということがあるわけでございますけれども、その前のところで一応それなりにその能力増強の対応を図ってまいりましたし、その後、十八日の約定件数というのは、その後四百三十八万件ということでもうぎりぎりの線だったわけでございますけれども、その後を見てみますと四百万件を超える約定件数というのはないわけで、非常にひとつ、今となってはもう反省点でございますけれども、予測が非常に難しかったということがあります。  こうした観点から、全体、具体的な処分までは必要ないだろうということで処分は行わなかったわけであります。私どもの責任としますと、今申し上げました、将来に向かってきちんとしたシステムを安定的に提供していくというのが責任ではないかというふうに考えているということでございます。
  128. 藤末健三

    ○藤末健三君 今、株主がオープンじゃなくてよかったですね、本当に。六月二十二日の株主総会で、十二月に、ちょっとこの間ですよ、半年前に処分を受けた方が役員になるような人事があっていいかどうかというのは、僕は正直疑います。  次の質問に移らさせていただきますけれども、東京証券取引所さんが作られた中期経営計画、三月二十二日付け、ここにございます。A4四枚。これだけ。一方、これは尾立議員と昨年の十一月にロンドンのストックエクスチェンジ、証券取引所に行ったときにいただいたやつです。これだけの枚数がある。  枚数が多けりゃいいというものじゃないかもしれませんよ。しかし、よろしいですか、専務。この国会において西室社長はおっしゃいました。これは衆議院の井澤議員との会話の中で、戦っていくツールとして東証の上場であるとおっしゃっているわけです。東証としてこういう中期計画しか書けない会社、上場できますか。イエスかノーかで答えてください。できる場合はイエスと答えてください。
  129. 飛山康雄

    参考人(飛山康雄君) ちょっと今の先生の御質問でございますけれども、この中期経営計画というのは、私ども株式会社移行のところで、毎年ローリング方式で見直しを掛けながら、それぞれの期間の基本的な考え方とか経営財務指標、事業戦略を具体的に、概括的にまとめているものでございまして、その肉付けは各部においてやるということになっております。  それで、株式の上場の件でございますけれども、私どもとしますと、国際的な市場競争に打ちかっていくということの有力なツールであるとは考えておりますけれども、今現在は、まずはシステムインフラを含む東証に対する信頼の回復向上に全社を挙げて取り組むというのが基本でありまして、今も高まっております自主規制機能の強化などに、そういうことに一つ一つ取り組んでいくと、その上で上場を考えたいというふうに思っておりますので、今ここですぐに上場をという話をしているわけでは……
  130. 藤末健三

    ○藤末健三君 イエスかノーか答えてください。質問に答えてください、イエスかノーかだから。これでできるんですか、上場が。
  131. 飛山康雄

    参考人(飛山康雄君) この中期経営計画そのものじゃなくて、何をやってきたかということが大事でございますので、その内容によるんではないかというふうに考えております。
  132. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に同僚議員の皆さん、そして役所の皆さんに申し上げたいんですよ。東京証券取引所は株式会社で民間であるかもしれませんけど、我が国の大事な大事なインフラなんですよ、この国がこれから金融市場で戦うための。そういう自覚が僕はないように思います、私には、今の答弁聞いていると。  これを見てくださいよ、どれだけやっているか。本当に作っておられるなら後でください、そして、これの裏バージョン作っているならば、ちゃんと。お願いします、それは。  そして、金融大臣是非お聞きしたいんですけど、この四枚、ぺらぺらの紙、どう評価されますか。
  133. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私は、東証は日本金融市場の中心的な存在の一つとして、この事件を契機に更に自覚を深めたと私は思っております。  二つのことを私はどうしてもやっていただきたいと思っておりまして、それは、東証の売買システムは、アクセス速度も遅いですし処理能力も限界がありますし、またシステムとして複雑過ぎるということもありますので、システム自体を一新していただきたい。それから、東証としていろいろな市場の規則を作っているわけですから、これは国際的に通用する自主規制のいろいろなルールを確立していただきたいと。この二つを早急にやっていただきたいということは、いろいろな機会を通じてお願いをしているところでございます。
  134. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非やっていただきたい。  ただ、大臣、一つだけ申し上げますと、先ほど大臣がおっしゃった情報システムを中心とする信頼性という話は、東証の中期計画の二番目のポイントなんですよ。一番目のポイントは何かと申しますと、国際的な市場競争における競争力の強化を図りますと書いてある。私は、これが正しいと思うんですよね。ITがきちんと、システムはきちんと信頼性があるというのは当たり前なんですよ、こんなの。  まず当たり前のことからやるということをおっしゃっているかもしれないですけれど、一月に起きた事故の責任、だれか分かりませんと。十二月には確かに処分があったかもしれませんよ。一月以降の事故の責任は明確になってないんですよ。その責任さえ明確にできないところがちゃんとやれるかという話は、僕は非常に疑問だと思います。それは是非考えていただきたいと思います、これは。野放しにしちゃいけません、絶対。  いや、もう本当に、僕は今日の御答弁聞いていると、もう一国民として憤りを感じます、私は。  次にお聞きしたいのは、この中期計画の中におかれまして、先ほど申し上げましたように、国際的な市場競争における競争力を図るということで、特に、今日西室社長がおられなくて残念なんですけど、西室社長が今までの国会における審議におかれまして、特にアジアを中心に展開していきたいということをおっしゃっておられます。そのアジアにおける具体的な取組をどう考えておられるかということについて、東証さんから伺いたいと思います。お願いします。
  135. 飛山康雄

    参考人(飛山康雄君) 今、米欧間におけます合従連衡の動きが高まっているわけでございますけれども、そうした動きが早晩アジアに及んでくるということはだれにも否定できないことだろうと認識しておりまして、その観点から、国際戦略の一端としてアジア戦略というものが非常に重要なものになっているというふうに認識しております。東証は、アジアのリーディングマーケットになるという認識の下に、アジア企業の上場の促進でございますとか、各国取引所との連携強化などの将来に向けた戦略を明示しまして、その実行に努めていくというところでございます。  それで、連携強化の観点からいいますと、去る五月十八日に日中の証券会議を開催したり、そのことによりまして、今まで日中両国の証券取引所ですとか行政機関とが一堂に会するということはなかったわけでございますけれども、そういう機会があったということ。それで、その議論の内容におきましては、東アジアにおける証券市場の在り方について、現時点ではアジアにおいて欧米で起きているようなドラスチックな動きが生じる可能性は小さいものの、一方で、アジア経済の発展状況や地理的な要因を考えますと、域内における交流、協力関係を促進する必要があるだろうということで、日中両方で意見の一致を見ることができました。  こうした会議を深めていくということによってアジアとの連携を深めていきたいと思っておりますし、また、アジア企業の上場促進ということにつきましては、証券会社、弁護士、会計士とも連携を取りながら、積極的に現地に赴いて誘致活動を行っているというところであります。  また、JDRによる上場につきましても、現株による上場、選択肢の一つとして認識しておりまして、アジア企業の中にはそのような意向を持っているところもあるようでございますので、今後は、実務面の検討を踏まえて、その対応を図ってまいりたいということで戦略を考えていきたいと思っております。
  136. 藤末健三

    ○藤末健三君 皆さん、この一枚目のページちょっとごらんになっていただけますでしょうか。一枚目のページの表の下から三つ目に外国企業の数と書いてございます。私がこれ調べた時点でいきますと、東京証券取引所、今二千約四百の上場企業があると、そのうち外国企業が二十七。これはちなみに一九九一年見ますと百三十あるんですよね。どんどん減っています。先ほどアジアの話が出ましたけど、私、アジアの証券取引所も調べました。シンガポールを見ますと、どうなっているかと、右から二つ目でございます。六百八十のうち二百十六が外国企業になっているという状況です。  先ほどJDRの話もおっしゃっていましたけど、西室社長が、衆議院で越智議員との審議の中で、JDRは十社程度を考えているということをおっしゃっていたんですけど、十社程度で足りるかどうかという話、それが一つ。  そしてもう一つは、この二十七という数字を例えばほかの国のレベルにするとしたら一けた増さなきゃいけないわけですよ。どういうことをされるかということを具体的に教えてください。先ほどの話は、カンファレンスを開きました、何となくやっていますよとしか聞こえませんので、是非お願いします。
  137. 飛山康雄

    参考人(飛山康雄君) 西室が十社と申しましたのは、JDRということじゃなくて現株上場を含めて十社ぐらいを上場させたいと、年内にですね。というのは、昨年もそうでございましたけれども、上場が一社ということでございますので、今年は十社ぐらい目指していきたいということで、そういうふうに申し上げたということでございます。  それから、二十七を増やしていくという点については、これ地道にやっていくしかしようがないということでございますので、中国とか韓国とかいろいろなところに、先ほど申しましたとおりで、証券会社、それから弁護士、公認会計士帯同でいろいろな企業を回って、今勧誘に努めているということでございます。
  138. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非私は東証さんに一つお願いしたいことがございまして、是非、上場の支援を行う証券会社と連携を取っていただきたいと思うんですよ。やはり中国で、アジアで展開しようと思った場合に、上場担当の証券会社が行ってやっぱりやらなきゃいけない、先導しなきゃいけないと思いますし、また、もう一つお願いがありますのは、今東証さんというかマザーズで特に話を私が聞きますのは、何か事件があるために審査の基準が変わったような感じになっちゃうと。  実際に東証の方の話をお聞きしていますと、東証自体は粛々と事件が起きても変わらずにやっているけれども、引受審査を行う証券会社が、東証さんの雰囲気を見ながらどんどんどんどんきつくしたり緩くしたり変えているということを聞いておりますので、是非東証さんとあと証券会社関係、もっと綿密にやっていただきたいと思います。  そして、アジアの展開を是非進めていただきたいし、あと私は、やはりJDRというのは一つのキーだと思っています。JDRを是非進めていただき、やっぱりアジアとの関係金融のインフラとしての立場から進めていただきたいと思います。  次に、私がお聞きしたいことは、国際競争力ということがこの中期計画、東証さんの中期計画に出ておりましたけれども、本当に今どういう状況かと見ますと、今世界は例えばニューヨーク・ストック・エクスチェンジがドイツ取引所とユーロネクストの統合の競争をしているような状況。そして、ナスダックはロンドン・ストック・エクスチェンジ、ロンドン証券取引所に出資する。そして、近くのアジアを見ますと、オーストラリアの証券取引所と何とシドニーの先物取引所が合併するというような、今取引所間の合併などの動きが非常に動いているわけでございます。このような世界的な動き金融庁としてどう見られているかということにつきまして、大臣からお話をお聞きしたいと思います。お願いします。
  139. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 市場というのは、公正な取引、公正な価格形成、確実な決済、こういうことが必要でありまして、だれが市場を持っているかということはほとんど実は市場の機能の本質とは関係ないことだと私は思っております。ただし、日本市場日本に存在する以上、やはり我々の手で十分な制御が利く形にしておく必要があると思っております。
  140. 藤末健三

    ○藤末健三君 その制御が利く形というのはどういうことをお考えなんですか、教えてください。
  141. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 必要な規制を掛け、それに従ってもらう、また日本証券取引法等一連の関係法令等が厳しく遵守される体制のことを言っております。
  142. 藤末健三

    ○藤末健三君 僕はこれ、与謝野大臣に一つお願いがあります。それは何かと申しますと、金融庁設置法の中の四条、所掌事務というのがございまして、その二項に国際業務に関する制度、これ金融の国際業務に関する制度の企画及び立案とあるんですよ。規制じゃないんですよね、設置法上の書いてあることは。規制は下の方に書いてありますけれども、所掌事務の二番目に、国際的な制度の企画立案と書いてあるんですよ。是非日本国内を守りますよ、我々が監視できるようにしますよということにちょっと聞こえるんですけれども、もっと国際的に我々日本の資金がもっと生かせるようにしようという発想はいかがでございましょうか。
  143. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) それを、市場がだれが支配しているかということとは全く関係のないことだと思っております。
  144. 藤末健三

    ○藤末健三君 私も同感でございます。市場をだれがコントロールするかということは関係ないとは思うんですけれども、少なくとも国内の証券取引又は金融市場ルールというのは金融庁が非常に管理監督されているわけでございますので、その運用が一つあると思いますし、もう一つ大事なことは、国際的に、西室社長もおっしゃっていましたけれども、国際的に政府市場の人間が、取引所の人間が連携しながら国際的な舞台でいろいろな交渉をすることは必要であるということをおっしゃっているんですよ。私もそう思います、これは。  ですから、是非とも国際的な金融システムの在り方、当然我が国にとって大事な金融システムの在り方を企画立案された上でどうするかということを私は考えていただきたいと思います。このまま自然にほっといてどんどんどんどんMアンドAが図られるということじゃまずいと思うんですよ、私は。  例えば、これで見ていただきますと、取引所の時価総額というのを私計算させていただきました。各国のユーロとドルの関係とかもございますけれども、このちょうど表でいきますと下から四つ目の項目でございますが、注五とございます、取引所の時価総額。  これを見ていただきますと、何とドイツの取引所が一番高いんですよ。取引量はそんなに多くないのに、ドイツの取引所は非常に時価総額が高い。その時価総額の高さをもって例えばユーロネクストとの統合を図るとか、またロンドン取引所に統合のアプローチをするとか、そういうことをしているというのがドイツの取引所の状況でございまして、この理由を調べてみますと、幾つかの論文や記事がございまして、これ完全に書き切れなかったんですけど、どういう商品を取り扱っているかというのは非常に重要であるということでございます。ドイツ取引所は、デリバティブで金融先物を三角に書いてございますけれども、非常にこのデリバティブの利益率が異常に高い。そして株価が高く評価され、その力を持って各ユーロネクスト、ロンドンLSEとかのMアンドAを提案できるということになっております。  ここで私がお話したいのは、東証が今の一つの形として持ち株会社形式、ホールディングカンパニー形式の経営形態を考えておられるということでございますが、もし持ち株会社形式を取られるとすると、ちょうどこのドイツの取引所は、ホールディングカンパニーがあり、その下に証券取引所、そして先物、金融先物、いろんな取引所がございます。オプション取引もまた別に持っているという状況でございまして、ホールディングカンパニーの下にいろんな取引所を持ってくるというような事業展開も考えられると思うんですけれども、そのような今後の拡張についてどう考えているかということについて、東証からお話を聞かせてください。お願いします。
  145. 飛山康雄

    参考人(飛山康雄君) 東証の組織形態でございますけれども、今現在御審議いただいております金融商品取引法案におきまして、自主規制機能を担う組織というものが複数選択肢が用意されたということでございます。それは自主規制委員会設置でございますとか、自主規制法人の設立、さらに今先生おっしゃいましたとおりで、持ち株会社形態の下に自主規制法人を設立するということなど、いろいろな選択肢が用意されております。  私どもといたしましては、市場開設者自らが判断することができるということでございますので、法案成立後に新たな法的枠組みの中で自ら有する自主規制機能マーケット、自主規制の機能とマーケットの機能、その双方を強化し、さらに国際競争力というような観点を見ながらどういう組織形態がいいのか、改めて議論してまいりたいと思っております。  それで、金融先物取引などへの事業の拡大でございますけれども、これも市場の利用者のニーズとか、それから市場の効率性、利便性、それから競争力の観点といったことを真剣に考えながら、先生御指摘のことも踏まえて、様々な可能性について検討していきたいというふうに考えているというところでございます。
  146. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非とも日本を代表する証券取引所と申しますか、取引所として活動をしていただきたいと思います。  ただ、本当にくどいようですけれど、僕は今の東証さんのこの中期計画とかいうのではなかなか非常に難しいんじゃないかと思っておりまして、ちなみにほかの取引所の収益構成を言いますと、ドイツ取引所は二〇〇三年においてデリバティブが大体三割、利益の三割を稼いでいると。ユーロネクストも三割を稼いでいるという状況でございます。一方で、ロンドン証券取引所はこの時価総額は安うございますけれども、デリバティブなんかの利益は二・四%しかないと。恐らく東証さんはもう一%ないと思うんですよ、細かいデータ出ていませんけど。  そういう状況でございますので、是非とも全体的な取引所の在り方の議論がまずは先決だとは思うんですけれど、本当に国際的に競争力がある取引所をつくるということ、ですから、この中期計画の中で、アジアは国際競争力が付けてきますよということが第一番目に上がっているんですけれども、読んでみると何も書いてないんですよ。  じゃ、国際競争力って何なんですかって。情報システムをきちんと動かすことが国際競争力じゃないと僕は思います。だから、本来あるべきやはり企業の価値を最大限に上げれるようなことをやれるかどうかということを是非金融大臣が率先して考えていただきたいと思いますけれども、いかがでございますか。大臣、お願いいたします。
  147. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先生が心配されていることは、私も実は心配をしておりまして、やはり東京市場が世界のどこの市場とも競争に負けないぐらいしっかりした市場にしなければならないと。それはシステムの問題もありますけれども、東証で例えば取引できる商品、これは株だけでいいのかと、デリバティブ、金融先物等々、いろいろできるようにした方がいいんじゃないかというような問題もあります。  それから、既に日本商品のはずなのにアジアの市場に負けているものもあります。例えば、日経の先物、日経二二五の先物は大証でやっていますけれども、どうも取引高を見てみますと、シンガポールの方が上になっていると。これはちょっと悔しいなと思うわけでございまして、そういう意味ではシステムをしっかりしなきゃいけない、信頼性も高くなければならないですし、また市場としての多様な機能を持っている、多様な商品を扱える市場であるということも確立しなければならないと思っております。
  148. 藤末健三

    ○藤末健三君 大臣が踏み込んだ御回答、本当に有り難いことと思います。是非ともこの我が国、私はやっぱり我が国金融インフラの一つとして東証はあると思いますので、その観点から是非やっていただきたいと思いますし、また、一つお願いがございますのは、私、よく中国に伺うんですけど、中国は今、証券市場ほとんど機能していないんですよ、実は。中国のベンチャーがどうなっているかと申しますと、もうナスダックに行っちゃう。ただナスダックに行けるところはいいんですけど、ナスダックに行けないところは資金調達できないんですよね。  私が中国のそのベンチャーの人間に何人かお会いして言われたのは、もし日本市場が使えたらうれしいと、ナスダックまで行けない我々のような人間が、もし会社が日本で資金調達ができ活動ができたら、アジアとしてはすごく動きやすくなるんではないかということを言っておりましたんで、是非ともそれは進めていっていただけないかと思います。やはり相手の政府政府との間、やっぱり中国政府との間をきちんとやっていただき、その下に東証さんがおられる、そしてその下に証券会社があるという、僕はそういう縮図だと思うんですよ。  ですから、先ほどのJDRも含めまして、アジアにおけるこの日本の今力があるうちに、どれだけその金融インフラをアジアワイドで展開できるかというのは非常に大きな使命だと思いますので、本当、与謝野大臣がおられるうちに絶対進めて、何か、済みません、おられるうちに絶対進めていただきたいと思いますし、あと、また金融庁の方とお話しして私が非常に感じますのは、金融庁の方の脳みそがやっぱり監督管理に行き過ぎなんですよ、いや、本当に。  設置法読んだことありますかと言ったら、余り読んだことがないんじゃないかなというお答えをいただいていまして、やはり金融庁の役割は、四条の一項にありますように、国内金融制度の企画立案が一です。二が、大事なのは、国際業務に関する制度の企画立案、二なんですよ、これが。それから、銀行とか銀行持ち株会社、信用金庫などの監督なんですよね。ですから、この順番を是非金融庁方々の中にこれ徹底していただけないかなということをこれ深くお願いします。  まずは、この国の金融制度の在り方を考えていただき、そしてできれば、私は、アジアにおける我が国金融力の発揮、是非やっていただかなければ、今やらなければ私はまずいと思います。もうシンガポールとか、後でお話ししますけれども、シンガポールとか香港の取組を聞いていると、もう必死ですよ、彼ら。まだ規模は小さいですけれども、これ成長率で見たらもう負けていますからね、我々。いや、これ本当に、見てください。国際展開もそう、含めて。ですから、是非とも、先ほど日経の話がございましたけれども、アジアワイドの展開を金融庁が率先して、大臣が率先してやっていただくことをお願いしたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。  それに伴いまして、一つございますのは、私は、将来この東証さんが株式を上場されて海外の取引所との統合を進めようという話が多分出てくると思うんですよ。今ここでちょっとはっきりさせていただきたいのは、株式の二〇%以上の保有をする場合は、金融庁と申しますか、政府の認可が必要ということでございますが、この政府の認可、どういうふうにお考えかということを伺いたいと思います。  ちなみに、証取法と申しますか金融取引法におきましては、百六条において幾つかの条件を書いています。業務の健全かつ適切な運営が行われること、公共性に理解を示すこと、そして社会的信用を有することでございますが、本当にこの額面どおりでやっちゃうのかどうかということをお聞かせいただけますでしょうか。  じゃ、金融庁さん、お願いします。
  149. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) それぞれ個別、どうしても仮定の要素がございますけれども、一般論として申し上げますと、海外取引所を含めまして、証券取引所の株式を一定数以上取得しようとする者から許可の申請を行われた場合、これは先生今御指摘ございましたとおり、現在では証取法百六条の四にいろんな基準が書いてございますけれども、そういった個別の申請の内容に応じまして、法令の規定に基づきまして金融庁としては適正に対処してまいりたいと考えております。
  150. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非裁量が働かないようにやってください。それだけお願いします。この書いてある内容に従ってきちんとやっていただくことをお願いしたいと思います。  ちなみに、ほかの国がどうやっているかというのを調べますと、この二〇%枠みたいなことはないんですよ。例えば、イギリス、フリーです、自由です。アメリカは、取引所の定款に書いている。そして、フランスを調べますと、フランスは通知義務です、認可じゃありません。という状況でございまして、これの二〇%の認可につきましては今後議論をする必要が私はあると思っております。  次に、これが大事なところでございまして、資料の二枚目を見ていただけますか。私が苦労して作った資料をごらんください、皆さん、是非とも。これは頑張って作りました。各取引所の省庁のOB数でございます、OB数。取引所でございます。これを見ていただくと、いろいろ感無量になるところもございますけれども、取引所に果たしてその省庁のOBがおられていいのかなということがあるんです、本当にどうかと。私自身、役所の方の本当に能力を生かすということはすごく大事だと思います。  ただ、私が考えますのは、これ大臣にちょっと質問させていただいてよろしいですか。今度ワールドカップあるじゃないですか。ワールドカップがありますと。そのとき、ある国の監督は審判出身ですと、ある国の監督は。審判出身が監督をしているチームとチームが戦うときに、本当にフェアにやるだろうかというのはちょっと不安になりませんかね。あるチームの監督、審判、今までずっと笛を吹いて審判していた方、仲間が一杯いますよ、審判の。その方が監督になって試合をするときに、ほかのチームの方、これフェアになるかどうかというのすごく心配になると思うんですけど、大臣、いかがですか、これについて。
  151. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私は心配しておりません。人間はそれぞれの立場でその責任と義務を果たしていくと、それが普通だろうと思っております。
  152. 藤末健三

    ○藤末健三君 いや、これ一般の話ですよ。この間ワールドカップでちょっと有名な審判の方がおられましたけど、そういうカリスマ的な審判の方が、審判の世界に力を持った方がどこかの、ジャパンの監督になったとされるじゃないですか。そして、試合をしますよと。この人、だってサッカー知らないじゃないかと、審判はできるけど。その人がトップに立って試合するわけですよ。ちゃんと審判できるかどうか不安になると思うんですけど、どうですか、これ。
  153. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 余りサッカーや何か詳しくないのでうまいお答えができないんですけれども、審判から監督になるような人があるとすれば、監督としての能力と人格を持っておられる方だろうと思うし、監督から審判になる方がおられるとしたら、それなりに公平な人格を持っておられる方ではないかと想像をしております。
  154. 藤末健三

    ○藤末健三君 ありがとうございます。  人格も大事だと思うんですけど、ただ、一般、世間的に見られると、いやおまえちょっとおかしいんじゃないのと言われる可能性高いと思うんですよね、ということがここで起きているわけですよ。  何を言いたいかというと、取引所を監督する審判の親玉が取引所のトップなんですよね、実際、親玉だった人が。そうすると、やっぱり何が起きるかというと、本当にきちんと審判というかフェアに見てくれるのかなということは僕はすごく不安になると思うんですよ。これはあると思います、はっきり言って。その方々、本当に優秀な方だと思います、僕も。能力あると思うんですけれども、思いますし、同じことをせっかくですから農水省の方と経済産業省の方、ちょっとこの表を見てどう思われるか、ちょっとお答えいただけますか。
  155. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) 経済産業省の本省課長相当以上の勤務者が商品取引所に在籍していることは事実でございますけれども、この点については、取引所が求めるような資質要件と、当省のOBが個人的に有しております知識、経験、能力を踏まえまして、その適材適所というふうな観点からそういうふうな選任が行われているものと承知しております。  もちろん、公務員の再就職については、いわゆる天下り問題について国民の強い批判があることを真摯に受け止めて、押し付け的なものはもう厳に慎むというふうなことが必要であると思っております。
  156. 藤末健三

    ○藤末健三君 農水省の方、お願いします。
  157. 佐久間隆

    政府参考人(佐久間隆君) 商品取引所は農産物等につきまして先物取引を行うために設けられております会員組織でございます。その役割として、公正な価格形成及び適正な取引がなされるよう商品取引所法に基づきまして、農林水産大臣又は経済産業大臣によりまして設立の認可や監督がなされますとともに、法令、定款等において規定されます透明、中立的なルールの下で公開により運営されているということでございます。  このような商品取引所の役員に農林水産省の出身者が在籍しているというのは事実でございますが、これらの者はいずれも当該商品取引所の総会におきまして会員の総意によりまして役員と選任されたものでございますし、在職中の行政経験を通じて得られました商品の生産、流通についての知見を有する者である、あるいは中立的な立場の者が商品取引所の公正かつ適正な運営を確保する上で必要であると、こういったような判断に基づいて選任されたと考えております。
  158. 藤末健三

    ○藤末健三君 取引所において選ばれましたというのは確かに向こう側はおっしゃったかもしれませんけれど、何かメリットがあるから多分選ばれていると思うんですよね。そして、農水省などの経験は非常にその取引所の運営に役に立つというのは僕もそう思います、それは。ただ、ちょっと与謝野大臣、せっかくだからこの表を見ていただきます。よろしいでしょうか。  農水省のOB、下から二番目でございますが、東京穀物商品取引所に四名行かれているんですよね。農水行政の知識が必要だと私も思いますけれど、四人も要るかという気がするんですけど、大臣、いかがですか、これ。所管外ですけれど、一政治家としてどう思われますか。
  159. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 多分、ちゃんとした能力を持って、また穀物商品取引所が必要な人間がそこで働いているんだろうと私は思っております。
  160. 藤末健三

    ○藤末健三君 これやっぱり見て私は思うんですよ。一つは、やはり監督をされるところのOBがいると、多分、まあそういうことはないかもしれませんけど、はたから見ると、やはりちょっと透明性、公平さが薄れるんじゃないかなという気が少しします、正直申し上げて。やっぱり、管理する人のところのOBがいると、監督の情報が流れるかもしれませんし、検査が手ぬるくなるかもしれないと一般的に僕そう思うと思うんですよ。  そして、もう一つあるのは、仮にどんな優秀な方がおられたとしても、同じ取引所に複数名の役員がいるというのはちょっと異常じゃないですか。いかがですかね、これ。僕は大証に対してこれ言及しなかったのは、大証は調べますと、民間経験が長い方が、すごい長い方がおられるんで申し上げないんですけれど、特に、農水省さんのこの四人というのは、僕はちょっと、こんなに農業行政のスペシャリストがおられなければ動かないものなのかなということを思います。  そして、大臣、もう一つ大事なこと。一枚目にちょっと戻っていただいてよろしいですか、一枚目。一枚目で左から三番目にシカゴ商品取引所とございますよね、シカゴ商品取引所。今、シカゴ商品取引所の力はすごいですよ。極端な話言うと、世界の価格を決めれるぐらいの力がある。なぜかということを自分なりに調べてみました。やはり、株式会社形態であるし、ホールディングカンパニーの形態であるし、もう一つ大きなことは、ここにございますように、金融から農業から工業までの先物すべてやれるんですよ。大臣、これ見ていかがですか。  我々民主党は、今回、いろんな各省庁ばらばらのものを一本化しなきゃいけないということを申し上げましたけど、これは何かというと、役所の方々の問題じゃないんですよ。この国のために必要。これからの社会でこの市場における価格のコントロールがどんどん上がるんですよ。今、石油のプライスはどう決まるか。ニューヨークの先物市場で決まったものがWTIの価格に反映され、それが世界じゅうに回っているんですよね。投機的なお金で決まっちゃう。食料も同じですよね、シカゴで決まるんですよ。  ですから、我々が今何をしなきゃいけないか。これから中国が成長する、アジアが成長する中で、石油が足りなくなる、食料が足りなくなる。だれが価格をコントロールできるかということはすごく大事でございまして、今回、各省庁、本当に縦割りのままなってしまいましたけれど、必ずこの先物取引所は統合化するような方向に向かわざるを得ません。そうしなければ、我が国の生き残るインフラができないです、これは間違いなく、ということは絶対申し上げます。  そして同時に、この二枚目にありますように、何となく何か天下りポストが欲しくてやっているんじゃないかなということを世間に誤解を与えるようなことは役所の方も僕はなさるべきじゃないと思います、私。優秀な方、先輩方々が力を社会のために使っていただくのはいいと思うんですよ。しかしながら、やはり桃の木の下で冠を正さずといいますよ、君子は。ということをきちんとやっていただきたいと思います。  そして、最後、私が本当にやりたいことがございまして、三ページ目ちょっとごらんになっていただけますでしょうか。金融庁の仕事の一番目、日本金融制度の企画立案でございます、ちなみに。で、日米の株式市場を比較しますとどうなっているかと申しますと、アメリカは下の市場に行くほど数が多いんですよね、三角形になっています。だんだんだんだん少ない、下の市場からだんだん上に上がっていくようになっていると。ところが、日本どうなっているかというと、頭でっかちなんですよ、逆三角形。ですから、何を言いたいかというと、小さな企業、お金が必要な、資金が必要な小さな企業が資金を調達できないんですね、これが。非常に大きな問題点。  例えば、ここにございますのは、これは経済産業省が作られた元気なモノ作り中小企業三百ってあるんです、三百。見ていると、すごい企業です、もう世界でここしか作れないというものを一杯作っている。ところが、この三百社のうち、株式を上場し、直接金融から資金を調達しているところ、何社だと思われます、三百のうち。(発言する者あり)一けたじゃない、十六社なんですよ、十六社。たった十六社ですよ。  こういう状況を見て私が思いますのは、あと、ちょっと時間もありますけれども、例えばヘラクレスとかマザーズという新興市場があります。この中で、東証マザーズ、ヘラクレスにおいて製造業は何%かと申しますと、東証マザーズは一七・一%、ヘラクレスは九・六%です。ちなみに、ナスダック、アメリカの新興市場で製造業は三七%。これだけものづくりは大事だ大事だ大事だと言いながらも、新興市場にはサービス業がほとんどなんです、今。  こういう状況を経済産業省はどう思われますか、お願いします。
  161. 古賀茂明

    政府参考人(古賀茂明君) お答え申し上げます。  今、モノ作り中小企業三百社の御紹介をいただきました。これ、全国から様々なネットワークを通じまして集めて発表させていただいたわけでございます。今言われたとおり、非常に技術力の高い立派な企業が入っているわけでございまして、そういう会社の中で株式市場から資金調達をしている企業は十六社しかないと、少な過ぎるんじゃないかという御質問かと思います。  もちろん、中小企業が資金調達をする場合に株式市場を利用するかどうかということは、様々な要因から決まってくると思います。  一つは、中小企業側の意識の問題というのもございまして、実はいろいろ私もそのものづくりの社長さん方ともお話しすることがございますけれども、必ずしもそういった株式市場を使って資金調達をしたいという人たちばかりかというと、結構そういうことにむしろ消極的だというような方もおられます。これは意識の問題が一つございます。それから、どちらかといえば銀行とのお付き合いが深くて、しかも非常にうまくいっていて、融資で十分やっていけるというようなことをおっしゃる方もございます。それからあと、経営戦略の問題として、他人の資本が入ってくることによって自由度が失われるんじゃないかというようなことを心配をされるというようなところもございます。  ただ、もちろん、だから必要ないと言うつもりは全然なくて、そのニーズがあるという場合もあると思いますし、意識もだんだん変わってきていると思います。せっかくこれだけいい技術力を持って世界で競争できるという会社があるわけですから、日本経済のためにも、そういう会社が株式市場を通じて資金調達をして一段飛躍をしていただくということが日本経済活性化につながるということだと思いますので、そうしたことは、様々な要因ございますけれども、是非活発に行っていただけるようにというふうになっていけばいいのではないかというふうに思っておりますが。
  162. 藤末健三

    ○藤末健三君 私も、その中小企業の方々、何社か僕、存じ上げている方、おられるんですよ。ただ、古賀部長がおっしゃっていることはその受け売りなんですよ。経済産業省が、あなたは上場して資金を調達して世界と戦ってくださいと言わなきゃ駄目なんじゃないですか。この三百社なぜ選んだかって、次の日本を支える三百社っておっしゃっているんですよ。であれば、銀行の融資とかじゃなくて、資金市場からきちんとお金を持ってきて、そして投資して、急激に成長してくださいとおっしゃっていただかなきゃ困りますよ、そんなことじゃ。いや、本当ですよ、これ。本気で言っています、僕は。中小企業の方がこういうふうな気持ち、すごくマインドがないと、株式市場使わないからいいんですよとほったらかしにするようなことだったら、経済産業省は僕は要らないですよ、本当に、そんなことおっしゃるぐらいだったら。(発言する者あり)いや、厳しくないですよ。こんなの当然ですよ。  大臣、済みません、最後によろしいですか。僕と経済産業省さんの議論を聞いていただいて、そしてこれ、金融庁のパンフレットがございます。金融庁のパンフレットの一番始め、金融庁の施策の一番目の一でございますけど、健全な中小企業や次世代を担う新産業に対して必要な資金提供が円滑に行われるようにやりますと書いてあるんですよ。一番目の一です、これ。  是非大臣お願いしたいんですけれども、このような、アメリカのようにしろとは申し上げませんけど、やはりきちんと頑張れる中小企業の方が、銀行融資じゃない、直接金融による資金を調達し、そして急激に成長する、リスクを取って急激に成長するような土台を作っていただきたいと思うんですけれども、いかがでございますか、大臣。お答えください。
  163. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) どんな市場にしろ、上場するというのは相当手間の掛かることでございまして、中堅企業ならいざ知らず、日本の中小企業はなかなか市場に上場するだけの手間暇を掛ける余裕はない、むしろ銀行から間接金融で資金を調達するというのが今常道になっております。ただし、やはりこれからは直接市場から資金を調達して新しい分野に投資していくと、そういう傾向はますます強まっていくわけですから、そのことに対しても、経産省といわず金融庁といわず、政策で後押しをしていく必要があると思っております。
  164. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いします。  このピンクシートとかグリーンシートとか、この比較表を書きましたけれど、やはりアメリカ投資家がリスクを取るという精神ができているんですよ。日本のやっぱり金融庁の方とお話をしているとよく感じるのは、投資家保護投資家保護おっしゃるんですよ。じゃないです。  一方、大事なことは、金融庁我が国金融システムの立案と企画なんです。ですから、お金を使う産業界の方も考えてください、必ず。そして、この例えばピンクシート七千銘柄ございますけれど、非常に緩いんですよね、情報公開の基準が。そういうことも考えた上で、金融庁方々、そして経済産業省の方々に新しい金融制度、企画立案していただくことをお願いしまして、質問を終わらさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  165. 尾立源幸

    尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立源幸でございます。藤末議員に続きまして質問させていただきたいと思います。  今朝、午前中でございますが、当委員会参考人の方にお越しいただきまして、意見を聴取しておりました。その中で、池尾教授ですか、慶應義塾大学の、大変いい意見をおっしゃっておりました。  早速ですが、ちょっと御披露させていただきたいと思いますが、私は消費者保護と営業の自由、これをいかにバランスを取るのがいいんでしょうかという、こういう質問をさせていただきました。そうすると、教授がおっしゃったのは、私は三つにカテゴリーを分けたいと。その三つというのは、一つは、商品のリスクとリターンで分けるということなんですが、一つは元本が保証される商品。もう一つは、幾ら損を出しても元本をなくすことですべてが完結してしまう商品。それともう一つは、元本以上に追い証とかが発生するような商品。そういった意味で、この三つに分けて、特に不招請勧誘については、三番目の元本を割って追い証が発生するようなものは不招請勧誘の対象とすべきだと、このようなお話をされたわけです。多くの委員も聞いていらっしゃいましたけども、はっとするような思いでございました。  そういった意味で、与謝野大臣、この一つの案だとは思いますが、大門議員からもちょっと質問があったんですが、この池尾先生は、経済産業省ですか、の商品取引の方の何か委員も兼ねていらっしゃるということで、まだそういった意見を開陳されてないということなんですけども、そういった意味も含めて、金融大臣としてこの考え方はどうかなというふうに思われるか、少しお聞かせください。
  166. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 金融商品には、今先生が分類されたような分類というのは当然あるわけでございます。リスクの高いものはもしかしたらリターンも高いかもしれないという部分もあります。  問題はやはり、そういう分野に自分のお金を掛けるという、掛けるというか投資するというか、そういう方々がやはり、あらかじめ自分が投資するもののリスクというもの、リターンというものはどういう構造になっているかということを十分な知識を持つということが必要で、ただただ勧誘のときの甘い言葉に乗って泥沼に入っていくというようなこと、これはやっぱりシステムあるいはいろいろな規則等々で防がなきゃいけないと、やはり告知すべきことはきちんと告知をして投資をする方に投資機会を提供するということでなければ私はならないと思っております。  無知に付け込んで物事をやるというのはやはりひきょうなことであると思っております。
  167. 尾立源幸

    尾立源幸君 今回の考え方、法案の中でも、外為の証拠金取引等については不招請取引を禁止するような予定だというふうに聞いておりますけれども、そういった分類からすると、商品先物もある意味で性格は同じなんじゃないかなと思っております。一般投資家向けという限定はあるんでしょうけれども、私はそういった意味で同列に是非扱っていただきたいと思いますし、多くの国民はそのことを望んでいるというふうに思っております。  万が一そういう要求が通らない場合においても、例えば、今大臣がおっしゃったように、一般の投資家がよくこのシステムを理解した上で取引を始めるべきだとおっしゃっているわけでございますから、やはり、例えば、業者において一日セミナーをやるとか研修を受けてからじゃないと取引参加をできないとか、少しそういったハードルを設けるとか、当面の間はですね、そんなことも考えていってもいいんではないかと思いますが、こういったアイデアはどうでしょうか。
  168. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) いろんな考え方があると思います。金融庁としては、この法案を提出するに当たってはやはり横断的な投資家保護ルールというものを考えたわけでございますが、商品先物については是非経済産業省、農水省のお考えを聞いていただきたいわけでございますが、やはりこういう分野に投資する方々に、投資を行うことによって発生するいろいろな状況、すなわち利益を出す状況、損をする状況、こういうものをきちんとやはり説明をする、しかも丁寧な説明をするということは欠かしてはいけないことだろうと思っております。  是非、経産省、農水省にもこれについてのお考えを問うていただきたいと思っております。
  169. 尾立源幸

    尾立源幸君 池尾先生もおっしゃっていたんですが、省庁それぞれが監督するというのは現状ではやむを得ないだろうと。逆に、マーケット主義者でいらっしゃるということで、それぞれが監督についても競い合うのもこれは一つの行政の在り方じゃないかというふうにおっしゃっていました。私はちょっとそうは思わないんですけれども。ただ、いい情報是非交換し合っていただきまして、大臣のリーダーシップで是非、農水、経産の方にもそういうふうな考え方を広めていただければなと思っております。済みません、質問通告をしておりませんでしたけれども。  では、本論の方に行かしていただきたいんですが、今、与謝野大臣に求められていること、我々が期待していることは、ある意味金融自由化の中でゆるゆるにしてしまったこの部分を今きちっと監督管理機能というのを高めていくべきだと、その部分を我々期待をしております。  本来ならばセットで、金融自由化したときに今議論をしているようなこの法案をセットで持ってきていれば、もう少し未然にいろんな問題も防げたのじゃないかなと思っております。それは前回申し上げました、少し遅いぞというふうに私申し上げたんですけれども。いずれにしても、一歩、二歩も前進していただいているわけですから、その点は評価したいと思います。  ただし、これはほとんど諸外国でもう既に実施されているような制度がどんどん入ってきているわけですから、金融庁におかれましても、先ほど、二項の企画というところで相当研究を私はされているものだと思います、これらの制度を持ち込む上で。まさか日本が独自で考えたと、金融庁さんが考えたわけではないでしょうから、ほとんど諸外国のいいところを持ってきて利用する、これは我々の得意な部分だと思います、日本人として。それは結構なことだということをまず申し上げたいと思います。  そこで、今回、財務報告に係る内部統制の強化という面で、これまた導入されることになりましたが、実はこれをもう既に導入しているアメリカにおきましては、中小規模の上場会社、この場合に、内部統制の報告、監査というものを一部免除や非適用というのが議論されていると言われております。これは、SOX法、サーベインズ・オックスレー法が非常に内容が厳しいもので、コストも思った以上に掛かるというようなことも原因だというふうに言われております。  我が国も結構、経営者の皆様、同じように感じていらっしゃっておりまして、配付させていただきました資料の一ページ目、これは野村総研がこの二月に発表したアンケート調査結果でございますが、まず、財務報告に係る内部統制の強化に関する負荷はどうなるかといった場合に、まず図一で見ていただけますように、非常に大きいと感じる方が四二・六%、大きいという方が三七・九パー、まあ八割近い方が負担になると、これはまあ当然だと思います。それと、もう一個、図の二の方でございますが、じゃ、どういうふうにこれから取り組むんですかということでございますが、具体的な作業を開始したというのが二〇%ぐらいになっております。ということは、まだ八割の方は余り準備具体的にはしてないということなんですけれども。    〔委員長退席、理事峰崎直樹君着席〕  そういった意味で、今後、我が国でもこの内部統制の強化を図っていく上で、いろいろ中小規模の上場会社の方々から、アメリカと同じように免除してくれとか非適用にしてくれとか、こういうような話が出てくるかもしれないと私は危惧しております。しかし、新興マーケットの企業でも中小規模の企業でも、私はやっぱり同じようにリスクはあるんじゃないかと思っておるわけでございます。  そういった意味で、この法律がスムーズに実効性を持つためにどのような取組をされているのか、金融庁からお聞きしたいと思います。
  170. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) まず時期の問題でございますが、財務報告に係ります内部統制の有効性に関します経営者による評価と公認会計士監査を、これを実務に適用していくためには、これらの評価及び監査の基準、それから実務指針、これが策定される必要がございます。企業や監査人において体制整備などのために相応な準備期間が確保される必要があると考えているところでございまして、このため、本法案では、内部統制報告制度につきましては平成二十年四月以降に始まる事業年度から適用することとしております。  次に、この基準の在り方でございますが、現在これは企業会計審議会の内部統制部会において検討をいただいているところでございます。昨年十二月の段階でまとめられましたこの部会報告におきましては、先行して制度が導入されましたアメリカにおける制度の運用の状況も検証し、制度導入に当たりましてのコストの負担が過大とならないための方策として幾つかのことが考えられております。  やや技術的な話になりますが、一つにはトップダウン型のリスクアプローチ、二つに内部統制の不備の区分の簡素化、三点目に、これはダイレクトレポーティング、直接報告業務といいますが、これはしなくてもいい、それから四点目は、内部統制監査と財務報告監査、これを一体的に実施する、五点目は内部統制監査報告書と財務諸表監査報告書の一体的作成、それから六点目は、監査人と監査役、内部監査人との連携といった提言がされているところでございます。  この具体的な評価、監査手続等の詳細につきましては、このような提言も踏まえながら引き続きしっかりと検討を深めてまいりたいと考えております。
  171. 尾立源幸

    尾立源幸君 また、是非その進捗具合については別の機会に聞かせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、監査の実務の方の質問に移りたいと思いますが、若干冒頭に、与謝野大臣が先ほど、今の日本監査のフィー、報酬が低いということをおっしゃった。まあそれは正しい御認識だと思います、世界の中に比べて。それはいいんですけれども、もう一個は、今の日本監査は残高証明みたいなもんだと、こんなふうな言い方をされたんですけれども、それは違うということを申し上げたいと思います。  フィーは少ないながらも、期中監査というのもやっておりまして、この内部統制の評価というのが前提にあって、その内部統制がしっかりしている会社は期末の監査を、範囲を少なくしてもいい、その内部統制がめちゃめちゃですと期末の監査をしっかりやらなきゃいけないという、こんなことも考えながらやっておりますので、フィーはしかしながら大変少ないということは申し上げておきます。  私は、アメリカの企業の監査をやっておりましたが、そこは我々のために監査室を一つその会社につくっていただいておりまして、我々監査人が常駐しているような、もう一年じゅうそこにいって、正に我々の仕事場がその会社であるような形で監査にかかわっておりました。一方、日本の企業さんの場合は、まあお客さんが来たような感じで扱っていただきまして、期末に、おっしゃるように、何週間か行くというのが基本だったと思います。  そういった意味で、受け入れる側も随分意識が違うもので、そんな意識を持っていらっしゃるかと思いますが、少なくとも期中監査や内部統制評価をやった上で監査をやっているというふうに御理解をいただきたいと思います。  それではもう一つ、コンプライアンスを高めていく上で、一つ法令等々で厳しく縛るというのはもちろんあるわけですけれども、もう一つ大事なことは、しっかり内部からの通報制度というものがないとこれは実際うまく機能しない。これはコンプライアンスの権威の郷原元検事がおっしゃっているんですけれども、絞めるのを絞めるだけやっちゃうと、またノルマを課せば課すほど今回の社会保険庁のようなことになっちゃうと。あれはコンプライアンス、法令遵守の間違った使い方だというようなこともおっしゃっていたんですけれども、そういった前提があった上で質問に移らせていただきたいと思います。  今回、ディスクロージャーをしっかりしていくということはいいことなわけでございますが、例えば監査人が企業の法令違反を見付けた場合に、じゃどうするのかということでございます。通常は我々、経営者に警告をするわけでございますけれども、経営者がそれを無視するような場合、おれが責任取るんだからいいんだみたいなことを言われてしまうと、なかなか監査人としてはそれ以上のアクションが取りにくいという、こういうジレンマに陥るわけでございます。  そこで、金融庁にお伺いしたいんですが、現在この監査人が法令遵守違反を見付けた場合、どのような制度になっているのか、御説明をいただきたいと思います。    〔理事峰崎直樹君退席、委員長着席〕
  172. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) お答え申し上げます。  会計監査人が監査の過程で経営者の違法行為を発見した場合でございますが、これは会社法の三百九十七条というところに規定がございますが、監査役等に報告しなければならないこととされております。なお、違法行為の結果、財務書類に虚偽がある場合におきましては不適正意見を表明することとされております。会計監査人がこうした役割をしっかり果たすことがまずもって重要であると考えているところでございます。  なお、これに加えまして、職務上の守秘義務の解除に足る正当な理由があれば、刑事告発等を行うことも否定されるわけではございませんが、御指摘のとおり、監査人が不正を発見した場合に捜査機関に対して通報する義務というのが課せられているわけではございません。
  173. 尾立源幸

    尾立源幸君 前回の質問でも申し上げましたけれども、監査役というのは会社の経営者によって基本的に今選ばれるような仕組みになっております。その方に通知をして握りつぶされてしまうことがあるのかどうか分かりませんが、結果的には粉飾決算が防げないというような事態があった場合に、私はこれはジレンマ、先ほど言いました、やっぱり投資家、株主のことを考えれば、これは意を決してしっかりとただしていくべきだと、このように思うわけでございますが、そういった意味で、例えば、最初は監査役に言う、経営者に言う、それでも聞かない場合は金融庁に言うと、こんな制度はできないものか、いかがでしょうか。
  174. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 非常に難しいんではないかと思います。  これ、監査人は、そういう報告は、いろんな基準やなんかにかなっていないということは天下に表明できるわけでございますから、どこかに通報するということよりは、監査をされる方は別の方法でこのことを周知できるのではないかと私は思っております。
  175. 尾立源幸

    尾立源幸君 私が申し上げているのは、大臣がおっしゃった、例えば期末の監査で何かを見付けた場合には、例えば監査意見に表明すればいいと思うんですけれども、期中で見付けてしまったような場合、これは意見を表明する場所というのはないんですよね、実は。もう監査役が聞いてくれなかったらそれで終わりと、そんな制度になっているわけです。  ですから、監査意見書というもので表明できないような場合を想定して質問させていただいているわけです。いかがでしょうか。
  176. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) それは期中であれ、やはり監査人は監査役にきちんと報告するあるいは経営陣に直接物を申すということで、聞き入れられなければ職を辞するしかないと私は思っております。
  177. 尾立源幸

    尾立源幸君 分かりました。監査人もそれぐらいの倫理観を持ってやれと、責任感を持ってやれということだと思います。  それでは、監査法人に対する行政処分で、今回カネボウの件で、これも前回指摘させていただきましたが、中央青山監査法人がこの行政処分に当たっておりますが、この行政処分が実は余り実効性がないんじゃないかと、私、調べれば調べるほどそう思ってきまして、お聞きしたいと思います。  そこで、何でかといいますと、実はこれは雑誌で恐縮なんですが、週刊東洋経済という雑誌が出ておりまして、そこの記事で、今、中央青山監査法人方々が一生懸命営業に、おわびと説明と多分営業だと思うんですが、回っておられるわけですが、そこにこんな記事がございました。  つまり、まずお会いしたときに、企業の方に、問題を起こしたチームは別部門で自分たちは関係ないと、このようにおっしゃっているそうなんです。実は、先ほどの朝の参考人質疑の中でも藤沼会長が、カネボウの問題は一中央監査法人だけの問題でなく業界全体の問題としてしっかり取り組んでいきたいと、こんなふうにおっしゃっている矢先に、こういう発言をしながら監査法人が営業に回っているわけですね。しかも、内情を御承知のとおり、この中央という昔の監査法人は、部屋制というんですか、何部、何部という、一部、二部、三部という縦割りの割と徒弟制度のきついところでございまして、ある意味、この発言私よく分かるんです。一部、二部、三部、四部、例えば五部とありまして、一部と三部の間では昔は全然交流がないと。一部は一部だけですべて仕事が完結してしまうというような構造になっていたわけです。  そういう意味で、多分その意識がまだあっておっしゃっていると思うんですけれども、大臣、このお話を事実とすれば、どのようにこのお話を聞いてお感じになりますか。
  178. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) その部分だけ切り取って読めば、その方の感想としては正直にその方の心境を語っているんだろうと、私はそういうふうに思います。監査法人についても、五名や十名でやっているわけではなくて、千五百名を超える公認会計士の先生がおられるわけですから、多分他の分野でやっていることは全く知識がないと思っております。  しかしながら、やはりそこに属している公認会計士の方は、そこの法人の名前を使って仕事をしているわけですから、直接関係なくとも、やはり法人の下で働いている意味では、法人の名前から恩恵を受けている場合もあるわけですから、やはり責任は少しは感じていただかなければならないと思っております。
  179. 尾立源幸

    尾立源幸君 こういう縦割りの意識というのは、また今回の不祥事の私は一つの原因だとも思っております。そういう意味で、このことが本当かどうかというのは、確かに報道なので分かりませんが、是非、心の中でそうは思ってても、なかなか、それをトークに営業してもらっちゃ私は困るんですよね、行政処分を下されているという状況をかんがみれば。是非大臣もこれを見過ごさないで、もしそういうことがあれば、そういうトークはやめろというふうに言っていただきたいと思います。  それともう一点ですが、これは法務省にお聞きしたいんですが、実はほとんどの日本の会社は三月決算でございますので、これから株主総会を迎えるわけでございます。中央青山の場合は七月から業務停止ということなんで、七月、八月は監査人の地位をもう失ってしまうということでございますが、通常であるならば、この六月に株主総会を迎える会社が中央青山と今まで契約しておった場合、引き続き中央青山を監査人として選任するかどうか、これはどこでどのようにだれの責任で決めるのか、御説明をいただけますでしょうか。  もし株主総会の議題でこの監査人の変更を申し出ない限り、議題に上げない限り、自動的に中央青山に決まってしまうという私は理解をしていますし、そうお聞きしておるんですが、そこの部分はもう省いていただいて結構ですので、こういうふうに七月から業務停止が決まっているような監査人を抱えている場合、どういうことを株主総会で決めていかなければいけないのか、お聞かせください。
  180. 深山卓也

    政府参考人(深山卓也君) 中央青山監査法人を会計監査人としております個々の具体的な企業で、取締役、役員の方が株主総会でどういう行動を取るべきかというのを一つ一つ全部御説明するわけにいきませんので、ごく一般論で申し上げますと、業務停止処分を受けた監査法人を会計監査人としている株式会社においては、処分がされたことに伴ってどのような対応策を講ずるのか、これ、いろんな選択肢があると思いますけれども、これについて取締役は株主総会において説明をすべき責任があるということになるんだろうと思います。
  181. 尾立源幸

    尾立源幸君 株主総会で説明をすべきだということだと思います。  それで、会社法三百四十六条では、七月、八月のその業務停止というのは、これは監査人の欠格事項に当たるということで、もし欠けた場合には、遅滞なく監査人を選任し、それができない場合は仮監査人を選任することとなっているということなんですけれども、それでよろしいでしょうか。
  182. 深山卓也

    政府参考人(深山卓也君) 今の御指摘のとおりでございます。
  183. 尾立源幸

    尾立源幸君 分かりました。  それで、実は資料のこの二ページ目を見ていただきたいんですが、これも東洋経済に載っておった資料を私の方で再度作らせていただいたんですが、これは実は中央青山監査法人が顧客にそのおわびと報告と営業を兼ねて回っているときに出している表でございます。それはどういうことかといいますと、今法務省の方からお話ございましたけれども、七月、八月に業務停止ということ、いわゆる監査人としての資格がなくなるということで、じゃ、どう対応すればいいのかをケースごとに、A、B、C、D、E、Fというふうに分けて説明をしている表でございます。  例えば、Aを見ていただけますでしょうか。例えば、もう七月、八月には監査人になれないということは分かっているわけですから、あらかじめ株主総会で他の法人を選任するケースというのはこのAでございます。御丁寧に、括弧の下に、当法人は不再任と書いてあります。この場合はどこで決議するんですかといったら、総会選任決議というところに丸が付いておりますし、その場合は仮会計監査人や共同監査人というのは必要なく、また監査人不在の期間もないと。これは非常に標準的なパターンだと思います。  例えば、そうじゃなく、どれを説明させていただきましょうか、例えばBですか、株主総会で他法人を選任するとともに当法人を期限付きで選任するケース。これは、要は二人を選ぶというケースでございます。株主総会で七月からの監査法人を一つ選んで、また九月から共同監査人ということで中央青山を選ぶという、これまた監査人不在の期間はないということでございます。  しかし、一つ説明資料で首をかしげたくなるのはこのCとFでございます。C、これはどういうことかというと、株主総会で当法人を期限付きで再任するケース。再任するということは、これは九月からということなんでしょうか、そうすると七、八が抜けてしまうわけですね。そうすると監査人不在の期間があるというふうに書いてあります。  もう一つ、F、見てください。これは、株主総会ではなくて、監査役によって同じように九月一日に当法人を仮会計監査人に選任するケースということで仮会計監査人に丸が付いております。このときも、九月一日ですから七、八というのは監査人が不在になってしまう、そういうことが書いてあるわけでございます。  そこで、注をちょっと読んでいただきますと、これもきっちり、やっぱり弁護士さんが作られた文章ですからこういうふうに書いてあります。会社法上、会計監査人が欠けた場合には遅滞なく会計監査人か仮会計監査人のいずれかを選任すべきですので、上記のC、Fのケースは正当な又は合理的な理由に基づく遅滞により結果的に会計監査人の不在期間が生じたケースを想定していますということで、意図的にやったんじゃなくてたまたま、ずっといろいろ選んだんだけれども結果的に不在になっちゃったというんなら許されるんじゃないですかということを多分これは言っているんだと思います。  そういうふうに、これは正に、もう一つ、こんなこともおっしゃっているんです。業務停止期間中に監査報告書の提出などの重要な監査業務がないことなどの条件を満たせば仮会計監査人が不在でも違法とならないと、こういうふうにおっしゃっておるわけでございます。これはだれが言っているかというと、中央青山の営業の方が言っているわけでございます。  ですから、要は、七、八は暇だから、大した業務もないから空白をつくっても、九月からきちっと我々がやりますからいいんじゃないでしょうかと、こういう、平たく言えばそういうセールスなわけでございますが、法務省、この件について違法性がないのかどうか、御見解をまずお聞きしたいと思います。
  184. 深山卓也

    政府参考人(深山卓也君) 中央青山監査法人がどのような説明をしたのかということは承知しておりませんが、今の御指摘のとおりの説明をされているということを前提に説明をしますと、一般論としては、既に委員御指摘のとおりですけれども、遅滞なく会計監査人が選任されないときには一時会計監査人の選任義務が発生します。この遅滞なくというのは、できるだけ早くという意味ではございますが、条文の文言として正当な理由がある、あるいは合理的な理由がある遅滞というのは許容されるという趣旨で一般的に使われております。  そうしますと、具体的な事情の下で、個々の会社の規模、状況等は様々ですので、具体的な事情の下で合理的な期間と考えられる期間が経過してもなお会計監査人が選任されない場合にこの一時会計監査人の選任義務が法律上発生するということになります。つまり、その選任義務がそれぞれの会社で発生するか否かというのはそれぞれの会社の事情、事案ごとに個別的な事情を考慮して判断をされるということで、一律にこうであればこうというような基準があるわけではないと思っております。  したがいまして、今の業務停止期間中の監査報告書の提出などの重要な監査業務がないことなどの条件を満たせばというのが、これ一般的にそのとおりであるということであるとするとやや問題があるのではないかと思っております。
  185. 尾立源幸

    尾立源幸君 この遅滞なくというのは議論の非常に難しいところで、法務省さんともいろいろやり取りをさせていただいたんですが、これといったもう期間はないということでございます。  ですから、これを議論してもしようがないわけでして、最善の努力をしたけどこれだけ掛かったと。やっぱり、今日監査人を失って明日選べというのは、これは無理な話ですから、それは合理的な期間というのはあるんでしょうけれども、しかしながら、その合理的だというのをあらかじめ設定しておいて、それが遅滞なくの範囲に入るだろうかなみたいなこの使い方は決してやってもらっては私は困ると思います。  ただ、なぜこんなことを申し上げておるかといいますと、いわゆる業務停止の期間を二か月というふうに金融庁の方はお決めになりました。これも前回の委員会で質問をさせていただきまして、回答もいただいておりますが、今、基本は三か月だと。そして、今回、内部統制の状況が悪いから、本来はプラスされると三か月を超えるんじゃないかというようなのが私の意見だったわけですけれども、いろんな理由があって二か月になっております。この二か月というのは非常に微妙な、絶妙な私はさじ加減だなとある意味で感心をしております。  つまり、今申し上げました遅滞なくの範囲に入るといえば入るような二か月というのは期間のような気もしますし、そうでないといえばそうでないと思います。それが三か月、四か月となると、おお、さすがにそれはおまえ違うだろうと、こう突っ込みたくなるわけでございますが、そういう配慮が働いたのかなと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  186. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 処分は監査法人に対してのものでありまして、当然、処分をするに当たっては、全く過ちのない方々に迷惑を及ぼすということはできるだけ避けるというのは当然のことだろうと思っております。  そういう意味では、公に、そういうためにやったということは、だれも言わないでしょうけれども、なるべく累が過ちのない人に及ばないということについてはやっぱり意を尽くしたというふうに私は思っております。
  187. 尾立源幸

    尾立源幸君 まあ、もう決まってしまった処分でございますから、適正にやっていただいているとは思うんですけれども、私申し上げたいのは、こういうふうに大きな監査法人が業務停止を食らうというのは初めてだと思います。そういった場合に、初めてのケースだから何でもいいんだじゃなくて、ある程度何か、金融庁としては何か、ガイドラインというんですか、ここまで介入すべきじゃないというのかもしれませんが、何か中央青山とこういったことに関してはやり取りをされているんでしょうか、その処分後の七月、八月の対応について。いかがでしょうか。
  188. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 私どもとしては、法令の手続に従いまして聴聞もし、昨年出しました基本的な考え方について、こういったことも勘案しながら適正に今回の処分をさせていただいたつもりでございます。  いずれにいたしましても、この処分に当たりましては、今回で起きた事案、それからそれに伴いますこれまでのいろんな加重要素、減算要素等を考えましてこのような形にさせていただいたということでございます。
  189. 尾立源幸

    尾立源幸君 いや、私がお聞きしたかったのは、こういう監査人の交代についてシミュレーションをされ、それを当法人とこういうケースがありますねということで何らかの相談をされているんですかということです。
  190. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 一般論といたしまして、私どもがこういった処分を行います場合に、どういった影響があるかというようなことは私どもなりにいろんな検討はいたします。しかしながら、それをその相手方と事前に調整するというようなことはしておりません。
  191. 尾立源幸

    尾立源幸君 そうすると、この表を見ていただくと、想定内ということですか。
  192. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) その表自体につきましては私どもが直接コメントする立場にございませんが、私どもは私どもなりにいろんな状態を考えながら、法律的な効果あるいはその影響等も考えながら、その上で適正な処理をさせていただいたということでございます。
  193. 尾立源幸

    尾立源幸君 それでは、これ以外の方法論というのはあるんですか。
  194. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 現在、私どもの公認会計士法上の処分といたしましては、一つにはこれは解散、あるいは業務停止、それから戒告と、この三つのものがございます。今回の事案につきましては、この三つのうちの一部業務停止という手段を取らせていただいたということでございます。
  195. 尾立源幸

    尾立源幸君 いや、質問の意味が違うんですけれども。業務停止をされて、そのときに監査法人が取るべき、取り得るべきパターンというのはこれ以外にはないんですかということでございます。
  196. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) いずれにいたしましても、ここのところは、監査というのが今回まず六月まで今年度決算というのが一般的に行われると。その後において、会社法の規定に基づきまして中央青山がその会計監査人になることができなくなると。それに対しまして、新しい監査人を選任する手続、あるいは一時会計監査人を選任する手続、その選択の組合せの問題かと思います。  したがいまして、ここに書いてありますようなことは、大体のところは網羅されている形になろうかと思います。
  197. 尾立源幸

    尾立源幸君 ありがとうございます。  なぜしつこく聞いたかというと、これがまた一つの事例になってくるわけですよね。ですから、そこの遅滞なくというところをどう取るかは別として、こういうことが考えられるという理解をさせていただきましたので、ありがとうございます。  それでは次の、もう一つまた最近これも自虐的に職員の方もおっしゃっていますが、金融処分庁というような話をされている方もいらっしゃいますが、ペイントハウス、この有価証券報告書訂正命令というのが出ました。  これは、実際は八十九億の債務超過だったにもかかわらず約二十七億の資産超過と記載、さらに、連結最終利益も約八十三億の赤字だったのに三十三億の黒字と記載していたということに対する訂正報告でございます。  この命令が出されたというのは何か三十五年ぶりだそうでございますが、この粉飾に会計士がまた意図的にかかわったのではないかというふうな疑問がわくわけでございますが、百十七億の差があるわけですね。大きいですね、百十七億というと。これについて、今御承知の範囲で結構ですので、会計士がどう関与したか、教えていただけませんでしょうか。
  198. 櫻田義孝

    ○副大臣(櫻田義孝君) 公認会計士による個別の監査の問題につきましてはコメントは差し控えさせていただきますが、一般論といたしまして、企業財務情報信頼性の確保につきまして重要な役割を担うべき公認会計士が、仮にその職責を果たさず、適正な監査を行っていなかったとすれば、法令に基づきまして、職業専門家としての責任が問われていくものと考えております。  金融庁といたしましては、仮に法令上問題となる事実があれば、法令に基づき厳正に対処していくところでございます。
  199. 尾立源幸

    尾立源幸君 何かまだ裁判が進行中だというふうに聞いておりますが、恐らく相当な確信を持った上でこの処分を、処分というか訂正命令を出されたと思いますので、またその経緯について明らかにできるときには教えていただきたいと思います。  それでは次は、中小監査法人の問題でございますが、御承知のとおり、今こういったリスクのある会社を監査したくないというところも出てまいりました。当然ですね。訴えられて大きな損害を被るわけでございますから、お客さんを選ぶのも技術のうちというふうになってくるわけでございます。そういった意味で、大手の四法人ですか、ここはできるだけリスクのないものを仕事として引き受けて、リスクのあるものは断るというような風潮になってきていると聞いております。  そこで、お聞きしたいのは、私は今回のペイントハウスも個人の会計士さんが上場会社の監査をされているわけでございますが、個人で上場会社の監査をするというのは相当私は能力的にも厳しいし、やっぱり集団訴訟等々に対しても堪えられるものではないというふうに私は思っておるわけでございます。特に、会計士は無限責任でございますから、訴えられたら身ぐるみはがれるわけですよね。そういった知識、経験という意味でも、能力という意味でも、個人会計士が上場会社を監査することには私は無理があると常々思っておるものでございますが。  そこで、監査ができる能力、資質のある監査人というものを登録してはいかがなものかなと、これは会計士協会にですね、自主規制として、こんなふうにアイデアを持っておるわけでございますが、それに対して金融庁又は金融担当大臣、どちらがお答えなのか、そういった考えはおありでしょうか、今後。
  200. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 御指摘の点につきましては、御指摘のとおり、日本公認会計士協会におきまして、先般、四月六日でございますが、会長声明を公表いたしまして、公認会計士監査信頼性の確保に向けまして、上場会社を監査する監査事務所の登録制を自主規制として導入する構想を明らかにされたと承知しております。  協会では、来年四月からの登録制の実施を目指しまして、今後制度の詳細について検討していく意向と承知しております。専門職業士の自主規制団体としての日本公認会計士協会監査の品質の維持向上等に真剣に取り組まれることは重要なことと考えているところでございます。
  201. 尾立源幸

    尾立源幸君 私が午前中に会長にお聞きしましたところ、この登録制というのはちょっと私のイメージしている登録制ではございませんで、取りあえずまず登録をして、何か不祥事があったらその監査人を消していくというような、そんな登録制らしいんですね。私はそうじゃなくて、監査ができるというクオリティー又はその基盤があるところを登録する方がいいんじゃないかというふうに思っておるわけでございます。金融庁、どんなふうに、そちらはどう思われますか。アメリカではちなみに後者の方でございます。
  202. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) ここにつきましては様々な御意見がおありかと思います。一つには、そういった監査の質というのを規模だけで決めていいのかどうか、あるいは、しかしながら一方で、現状におきまして公開会社の監査というものに対する重要性というのも考えたらいいではないかということで、協会の方でもこれからまたこの点について真剣に検討していかれるものと承知しております。  なお、これと離れまして、私どもとしては、監査の適正化あるいは監査法人制度全体の在り方につきまして、現在、金融審議会で公認会計士制度部会におきまして監査法人の在り方等を検討しておるところでございまして、こういうところでは幅広くいろんな課題検討してまいりたいと考えております。
  203. 尾立源幸

    尾立源幸君 私もこの点については会計士協会にも物を言っていきますので、是非金融庁としても検討に加わっていただいて、そのような、何というか、ネガティブリストじゃないですけど、ポジティブリストにしていただきたいなと思います。  それでは次に、あと二問でございます。与謝野大臣にちょっと前回の発言についてお聞きをしたいんですが、御承知のとおり、大手銀行の過去最高益を出したということが話題になっております。御承知のとおり、三兆一千二百億、これはバブル期の約二倍に達するということでございますが、これに対して与謝野大臣は、公的資金が完全に返済されていないこと、預金金利が低い水準にとどまっていること、法人税が支払えないことを挙げて、まだ半人前だと、こういうふうに以前おっしゃったと思います。  しかし、私、そうは言うものの、キャッシュ、現金では三兆一千二百というのが銀行の内部にまずとどまっておるわけです。これをどう使うかは別といたしまして、現実的には三兆一千二百というキャッシュフローがあるわけですね、潤沢な。これを私は、一つは公的資金ということでまず銀行を助けた、これは国民の税金だと思います。それともう一つは、低い受取利息を犠牲にして我慢しながらやっていると。そういうことでこれは成り立ったものだと思います。普通の会社で言えば、倒産しそうなときに、まず税金を貸してもらえる、それで百円で売っていた商品を二百円で買ってくれと、こういうことをやってもらって初めて銀行は立ち直ってきているわけなんですよね。それは御理解できると思います。  それで、私が申し上げたいのは、ある程度国民に還元、全部とは言いませんが、少しずつでも、半人前でもいいから、少し国民にこの一部を還元すべきじゃないかと、このように思うわけでございます。  そこで、大臣にお聞きしたいのは、政府としては公的資金をまず返せ、それから国民にだという、こういう議論なのか、公的資金も返していただきながら国民に利息や手数料の引下げということでメリットを感じてもらうのもいいんじゃないかと。どっちにお考えがあるんでしょうか。
  204. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 経済のことを考えますと、賃金も若干でございますが上昇していると。
  205. 尾立源幸

    尾立源幸君 資産も増えました。
  206. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) ええ。それから配当も増えていると。そういう状況の中で、やっぱり預金者も日本の経済の応分の果実を受け取るべきだと。それによって個人消費が増えるというのは健全な景気の姿だろうと思っております。  そういう意味では、預金者の金利がまあ常識的な水準まで戻るということは日本の経済運営にとっても大事なことだろうと私は思っております。  一方では、大事なことは、やはり金融機関が本来リスクを取って金融仲介を行うと。この本来銀行が果たすべき社会的使命と申しますか、経済社会における役割をきちんと取り戻すということが大事だろうと私は思っておりまして、萎縮をし、本当に縮こまっているような金融機関では日本の経済の発展にはちっとも寄与していないと。もう貸しはがしとか貸し渋りの時代は過ぎましたけれども、それでもこれからは、健全性を取り戻しつつあるんであれば、銀行本来の社会的な使命、責任である金融仲介ということをリスクを取って行うと、このことを自覚してやっていただきたいと思っております。  もちろん、公的資金もお返しいただければと思っております。
  207. 尾立源幸

    尾立源幸君 三兆一千二百億というのは消費税一%をはるかに超えるわけでございますから、広く薄く国民から集めた利益がこれだけたまっておるわけですから、是非、公的資金、もちろん返していただかなきゃいけませんが、プラス、もうけ過ぎじゃないかという批判もあるわけでございます。私は、そういう意味で、金利を上げるのは、預金利息を払うのは銀行の自由ですよね。別に貸出利息とは連動しなくて私はいいと思うんですよね。そういう意味で、少しその辺を考えてもらえばなと思います。大臣もそういうふうに是非思っていただければと思うんですが、なかなか思っていただけないようなので。  最後に、これも与謝野大臣から積極的な意見をいただきました。実は、銀行にたまったおれおれ詐欺の分配の問題でございますが、至るところに犯罪収益というのは今たまるようになっております。それを没収して追徴して被害者に分配するという、こういった仕組み、大臣是非アメリカなどの例を参考に今後検討していきたいと言っていただいております。  そこで、今後導入していく際に、検討していく際に留意していただきたい点をお話ししたいと思うんです。  それは、一つ、やみ金事件でスイスにたまっていたお金日本に戻してもらって日本で分配するという法制度が整いつつありました。ありましたというのは、参議院では通ったんですが、何か衆議院で止まっちゃって、何か継続か廃案になるか分からないんですけれども、微妙な扱いということで、これは大変残念なんですが、いずれにしてもそういう第一歩ができたわけでございます。  そこで、私は、被害者の掘り起こしという意味で法務省さんはこの際どういうふうに言われたかというと、何万という方が被害に遭われているんですが、じゃ、私が被害者だというのをどうやって名のり出ていただくんですかといったら、広報やホームページというふうにおっしゃったんです。私は、だれにだまされたか分からない事件を取り上げて被害者の方名のり出てくださいといっても、それは私、無理じゃないかと思うんですね、だれにだまされたか分からないわけですから。  そこで私が申し上げたいのは、銀行は、被害者が振り込んでいるわけですから、名前や電話番号というのを分かっているわけなんですよね。ですから、その分配を担当する検察官がそういった情報を何とか銀行の方からいただいて逆に通知をしてあげるぐらいの、そんな制度を私は考えていただきたいです。  そういう意味で、金融庁是非リーダーシップを発揮していただいて、銀行にそういうことに協力しろと、もう被害に遭った方は一杯いるんだから、そういうリーダーシップを取っていただきたいんですが、このことを最後にいたしまして私の質問とさせていただきます。
  208. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 銀行が、警察や検察より正当な手続に基づきまして被害者の氏名等の開示を求められた場合には、情報開示を拒むことはないのではないかと推察しております。  被害者が迅速に被害を回復することが重要であり、まずは現時点における各銀行の対応状況等の実態把握に努めてまいりたいと考えております。
  209. 尾立源幸

    尾立源幸君 ありがとうございます。
  210. 広田一

    ○広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。  私は、二度目の御質問でございますので、前回御答弁を受けたことを踏まえまして、確認の意味を含めて再度御質問等をさしていただきたいと思います。  まず、消費者保護ルールの確立というふうな観点から、先ほど冒頭尾立委員の方からもお話がございましたように、不招請勧誘の禁止について少し具体的にお伺いをしたいと思います。  まず、不招請勧誘が既に禁止されております外国為替証拠金取引におきまして、今回の法改正に伴って、現行法では適用になっております取引取引が適用除外になるかもしれないということが数々の御答弁で明らかになっていたんですけれども、その理由につきまして御説明をいただきたいと思います。
  211. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 金融商品取引法案におきましては、不招請勧誘の禁止の対象につきまして、政令において、契約の内容その他の事情を勘案し、投資者の保護を図ることが特に必要なものを定めることとしております。当面の適用対象につきましては、御指摘のとおり、店頭金融先物取引、いわゆる外国為替証拠金取引の店頭を定めることを考えておりますが、これはレバレッジが高いことなどの商品性のほか、執拗な勧誘や利用者の被害の発生という実態、こういったものを考慮しているものでございます。  御指摘の取引取引の方でございますが、現行の金融先物取引法におきましては不招請勧誘の禁止が適用されていることになっておることは御指摘のとおりでございますが、取引所におけます金融先物取引につきましては、外国為替証拠金取引に関する規制整備した金融先物取引法の改正以後に導入されたものでございます。  その商品性につきましては、一つは、業者は顧客の証拠金を取引所に預託する義務があり、取引所は証拠金を分別管理していること、二点目は、公開市場で価格決定することから、価格が透明、公正であり、業者が約定価格等からさや抜きできない仕組みになっていること、三点目は、取引相手方は取引所、これは清算機関でございまして、業者が破綻しても、証拠金、債務履行に影響はないことなど、店頭金融先物取引に比べまして取引制度が整備すると考えられるものでございます。  したがいまして、今回の法案では、取引金融先物取引については不招請勧誘の禁止の対象として指定することは考えておりませんが、一方で、勧誘受諾意思確認義務や再勧誘の禁止の対象とすることを考えており、これらの厳正な運用を通じまして必要な投資保護を図ってまいりたいと考えております。
  212. 広田一

    ○広田一君 御答弁にございましたように、取引取引の場合は、預託する義務であるとか、業者が破綻しても証拠金というものがしっかり確保できるなどなどで取引整備をされているということでございますが。  確認なんですけれども、つまり、店頭取引取引取引とでは、同じ外国為替証拠金取引であっても商品性が全く違うというふうな御認識なのか。つまり、取引取引の場合は、元本割れであるとか追い証をつぎ込むなんかのリスクの心配は格段になくなってしまうのか。この点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  213. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 不招請勧誘の禁止の対象といたしましては、一つにはレバレッジが高いことなどの商品性のほか、執拗な勧誘や利用者の被害の発生という実態、これを考慮して定めることが必要と考えているところでございます。取引所の先物取引でございますけれども、これにつきましては法施行後に、以後に導入されたものでございます。  それから、今申し上げましたとおり、いろいろな制度も整備されているということで、これにつきましては再勧誘の禁止等で対処してまいりたいということでございます。
  214. 広田一

    ○広田一君 私も三國谷さんの御説明にあるとおり、取引取引が非常に整備をされていると。更に付け加えていけば、市場での価格決定等があって透明度も高いというふうなことは踏まえながらも、その一つの、不招請勧誘の禁止の基準の一つが商品性ということでございます。その商品性の中、更にその商品特性ですよね。特性を考えたときに、店頭取引取引取引という違いだけであって、先ほども御答弁の中にあったようにレバレッジが掛かること、ハイリスクであるという商品特性が本当に異なるというふうに言い切れるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  215. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 商品特性というよりも、やはり店頭の金融先物取引につきましては相当な被害が出たという実態が大きいかと思います。取引取引の場合にはいろいろな制度整備もそれなりに進んでおりますので、そこにつきましては再勧誘の禁止ということで対処してまいりたいということでございます。
  216. 広田一

    ○広田一君 それでは確認なんですけれども、商品性、商品特性につきましては取引所であっても店頭取引であっても違いはないということでよろしいんでしょうか。
  217. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 商品性という面につきましては基本的には同様のところがあると思っております。
  218. 広田一

    ○広田一君 そういうことで、二つ目の基準になります被害の実態等が店頭取引の方が多いというふうなことなんですけれども、まず、ちょっと一般論の整理としてしておきたいんですけれども、業者につきましても、私は店頭取引の業者でも適合性の原則にのっとってきちんと説明を果たす、果たしている業者もいらっしゃると思います。しかしながら、取引取引の業者でございましても適合性の原則を守らず、説明義務違反している業者もあるというふうに考えるわけでございます。  つまり、店頭取引取引取引かということで、こういったところは一般論としては私は明確には区分できないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  219. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 取引所と店頭それぞれの勧誘行為がどのようであるかというのが基本かと思いますが、恐らく御質問の場合に、仮定として一つの勧誘で両方やったという場合にはどうかというようなことを想定いたしますと、勧誘の要請をしていない顧客に対しまして訪問又は電話により取引所外国為替証拠金取引の勧誘を行う際に、店頭の外国為替証拠金取引の勧誘を併せて行うと不招請勧誘禁止規定に違反することになるという具合に考えております。
  220. 広田一

    ○広田一君 その一つの業者が店頭取引取引取引をやっているやつについては、ちょっとこの後の質問でお聞きをする予定だったんです。  その前に、その前の前提として一般論として、繰り返しになりますけれども、その店頭取引であるとか取引取引であるということだけでその業者が適合性の原則を遵守しているというふうには私は区別はできない。まず、ここのところの確認をさしていただきたいと思います。  その後、ちょっと業者が店頭取引取引取引を同時に行っている場合の議論をしたいと思いますので、まずはその前提についての確認をさせてください。
  221. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) いずれにいたしましても、それぞれのその勧誘の行為が取引取引であるか、あるいはそれが店頭の取引であるか、こういったことにつきましてはきちんと業者の側で識別をした上で勧誘することが必要かと考えております。
  222. 広田一

    ○広田一君 そうなってきますと、やっぱり店頭取引取引取引であるからということで、私はこの問題というものは区別するのは難しいんだろうというふうに思うわけでございます。  そして、その上で、先ほど少し御答弁をしていただいたんですけれども、一つの業者が店頭取引取引取引というものを行う場合、私は不招請勧誘の禁止と再勧誘の禁止等ですき間が出てきてしまって、そこが逆に悪用される懸念はないのかなというふうに思ってしまうわけでございます。  つまり、先ほど言いましたように、前提としては、取引所であろうが店頭取引であろうが、この外国為替証拠金取引商品性というものは変わらないわけでございますので、やはりここは同一の適用をもって臨むべきではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  223. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) いずれにいたしましても、取引所外国為替証拠金取引、これは行為として勧誘する、これ自体は不招請勧誘の禁止の対象にはなりませんけれども、勧誘の要請をしていない顧客に対しまして店頭の取引を勧誘する行為、これは厳に禁止されるものでございます。業者がこういった形で不招請勧誘禁止、その規定に違反した場合には、私どもとしては厳正に対処してまいりたいと考えております。
  224. 広田一

    ○広田一君 確認なんですけれども、実態として一つの業者がこの二つの取引を行っているというふうな実例はあるんでしょうか。
  225. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 数から申しますと、現在、取引取引参加している業者数というのは、これは十四社でございます。十四社中、店頭の外為、店頭の取引も取り扱っている金融先物取引業者は六社でございます。しかしながら、この六社につきましては、それが取引取引ということにかりまして店頭の方での不招請勧誘をすることは厳にそれは禁じられているということでございます。
  226. 広田一

    ○広田一君 御答弁としてはそのような整理は可能だろうというふうに思いますけれども、果たして実態としてはどうなのかなというふうな疑問が付きまとうわけでございます。つまり、なぜこれほど問題となっております店頭取引を、あえて取引取引を行っている業者さんが重複して行うのかというところには、やはりそれなりのインセンティブがあるのではないかなと。これを上手に組み合わすことによってまたぞろ同じような被害が私は発生する懸念が大変多いというふうに思いまして、ちょっと繰り返し質問をさせていただいているわけです。  その上で、もう一つの基準といたしまして、商品性と並んで被害実態があったのかどうかと。その実態を評価した上で不招請勧誘の禁止を規定するんだというふうなお答えがございました。そこで、取引取引と店頭取引の被害実態をどのように把握、分析されているのか、お伺いをしたいと思います。  先ほどの御説明であったように、取引取引につきましては法改正によってまた新しく出てきたということなんで、どのような実態把握をされているのかお伺いをしたいと思います。
  227. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 店頭取引につきましては、過去に相当程度苦情相談等があったことは御指摘のとおりでございます。一方で、昨年、金融先物取引法を施行させていただきまして、それ以来これは監督等におきまして相当程度の取締りといいますか、そういうことを行っておりまして、その効果はいずれ現れてくるものと考えているところでございます。  なお、取引所外国為替証拠金取引につきましては、現段階で私どもとして、特に大きな問題が生じているということは現段階で私どもは確認できておりません。  ただ一方、私どもとしては、全体として金融取引に係りますいろいろな相談事あるいは苦情といったことにつきましては、常にこれは敏感に感じ取ることが必要であると考えておりまして、これにつきまして実は、昨年の七月に、これは大変大きな試みでございますけれども、金融サービス利用者相談室というのを設けまして利用者からの相談、情報提供等を受け付けるなど、そういった実態の把握と利用者への注意喚起、こういったことにつきましては組織として取り組んできているところでございます。  こういった取組を通じまして、この不招請勧誘禁止規定に違反した業者、あるいは把握した場合、あるいはそういった状況を把握した場合には、きちんと適正に対応いたしますとともに、そういった不招請勧誘の禁止の対象とすべきような取引類型、これが類型として把握されました場合には政令において機動的に対応できるような、そういうものとして今御提案申し上げている次第でございます。
  228. 広田一

    ○広田一君 確認でございますけれども、私の考え方としては、取引取引につきましては、まだこれが行われてから日が浅いわけでございます。そういった意味で、様々な実態等の把握、分析というものは、まだ私は十分なされていないというふうに思わざるを得ません。  何が言いたいかというふうに申し上げますと、現行法で禁止の対象になっているものを外す場合は、まさしくそこの一つの基準でございます実態というものをきちっと客観的に把握をした上で、これが適用除外になるか否かというものを判断しなければいけないのではないかなというふうに思うわけでございます。  そういった意味で、先ほど来議論してきましたように、商品性につきましては店頭取引であろうが取引取引であろうがその本質においては変わらないということ、また御紹介があったように、それを、二つの取引を行っている業者が重複して存在をしていることなどから考えますと、私自身は当面は現行法どおり、外国為替証拠金取引については店頭、取引所を問わず不招請勧誘につきましては禁止とし、まさしく被害の実態を把握して適用除外等についての検討をすべきではないかなというふうに思うわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  229. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 現行の金融先物取引法上の不招請勧誘の禁止規定でございますが、これは金融先物取引全体を現在対象としておりますが、平成十六年の改正時におきましては、これは、そのとき行われておりました店頭外為証拠金取引による被害の状況等を念頭に置いて導入されたものでございます。  取引取引につきましては、昨年七月に取引が開始されたものでございますので、これにつきましては再勧誘の禁止ということで出発させていただきたいと考えているところでございます。
  230. 広田一

    ○広田一君 再勧誘の禁止ということで出発をしたいということでございますけれども、繰り返しになって恐縮なんですが、なぜそこまで逆に急ぐのかということですね。今回の法改正で、そこをどうしてあえて適用除外をしなければいけないということが、先ほど来議論していてまあ私自身ちょっと腹に入らないというか、疑問に思うわけでございます。  まさしく被害の実態がどういうふうになるのかということをきちっと分析した上で、適用除外をどうするかを検討するのも私は十分考えられるんじゃないかなと思うんですけど、何かあれですか、この関係業界の方からここは適用除外にしてほしいというふうな具体的な要望でもあったんでしょうか。
  231. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) これは不招請勧誘の禁止が一体なぜかというところから来るわけでございますけれども、これは大変強い規制でございまして、不招請勧誘の禁止をいたしますと、例えば新たな金融商品サービス、こういったものにつきまして、顧客の方から働き掛けることができない場合には情報を得ることが困難となると。そういった意味では、新たな金融商品サービスへの自由なアクセスが制限されるといった、そういったおそれがあるわけでございます。  そういうことで、昨年の十二月の金融審議会第一部会報告におきましては、適合性の遵守をおよそ期待できないような場合につきまして不招請勧誘の禁止の対象としようということでこの制度が導入されているわけでございます。  その中で、取引の性質やこれまでの利用者被害の実態等を勘案して考えますと、これは店頭の金融先物取引、これがまさしくこれに該当するということで、これにつきましては不招請勧誘の禁止の対象とさしていただきたいということでございます。
  232. 広田一

    ○広田一君 私たちは、これまで商品先物等については付け加えるべきだというふうな議論の中で、先ほど三國谷さんが御説明されたような、また営業の自由との関連性というところは、一つのそれは論点としては成り立つとは思うんです。  しかしながら、私がお聞きしているのは、現在、現行法で禁止をしているものを適用除外とする場合には、更に説得力のある付け加えた私は御説明がなければならないと、一般論の同じようなことでは私は納得できないのではないかなというふうに思うわけでございます。  そういった意味で考えられるのが、やっぱり関係業界団体から何か強い要望でもあったのかなというふうに思ってしまうわけでございますけれども、ちょっとこの点については御答弁がなかったので、確認をさせていただきたいと思います。
  233. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 金融審議会の第一部会でございますけれども、これにつきまして関係者からどういった意見があったのかということでございますれば、これにつきまして、金融先物取引所からはこれにつきまして除外してほしいという意見が表明されました。このことは事実でございます。  一方、昨年十二月の金融審議会第一部会での審議の結果でございますが、これは店頭金融先物取引に比べまして取引制度がより整備された取引金融先物取引については、不招請勧誘禁止の対象から除外した上で、再勧誘禁止を適用することについて検討を行うことが適当と考えられるという具合にされたわけでございます。  私どもといたしましては、この部会報告を踏まえまして、かつ繰り返しになりますが、取引所において証拠金の分別管理が義務付けられておりますこと、それから価格形成の透明性といった取引金融先物取引商品性を考慮いたしまして、先ほど申し上げました不招請勧誘の禁止の考え方に照らして問題ないと考えられますことから、この対象としないこととしているものでございます。
  234. 広田一

    ○広田一君 その御説明は私もよく理解はできますけれども、私が質問したのは、そういったお話と同時に、審議会の方でも適用除外すべきじゃないかというふうな声が出ているということは私も読まさせていただきました。  しかし、その背景について、何らかの要望、業界団体からの要望があったのかどうか、これを考慮してのことなのかどうか、ちょっとこれは繰り返し私も質問していることですので、少し明確にお答えをいただければと思います。
  235. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 金融審議会につきましては、これは全部公開で、オープンで行っているところでございます。そこにおいて、そういった立場からの御意見も出れば、それに対しましていろいろな御意見も出まして、それを踏まえました上で部会としての報告が作成された、そういう経緯をたどっているものでございます。
  236. 広田一

    ○広田一君 そういうことで、何らかの要望等があったんだろうというふうに理解をするわけでございます。  そこで、この点について最後、与謝野大臣に確認の意味で御質問をさせてもらいたいと思います。  先ほど三國谷さんの方にも同様にお聞きをしたんですけれども、今回の外国為替証拠金取引について、取引取引については現行法上は適用になっているんです。しかし、これが今回適用除外ということになります。  これはどうしてなのかということをずっと議論してきたわけでございますけれども、はっきりしたのが、商品性の本質的な特性については店頭取引であろうが取引取引であろうがそれは変わらないということ。そしてまた、店頭取引取引取引重複して行っている業者も存在をすると。さらには、この取引取引というのはまだ行われ始めてから日が浅いわけでございます。  そういったことを勘案した場合に、私は、当面は現行法どおり、取引取引についても不招請勧誘の方は禁止として、まさしく禁止の基準の一つである被害の実態等を把握した上で適用除外を行うかどうか検討すべきではないかというふうに思うわけでございますけれども、大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
  237. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 局長の答弁と重複する部分がございますが、先生から確認の意味でということでございますので、確認の意味を含めましてお答え申し上げます。  平成十六年の金融先物取引法の改正においては、レバレッジが高いなどの商品性、執拗な勧誘や利用者の被害の発生という実態を考慮して、不招請勧誘の禁止を導入したものでございます。現行の金融先物取引法上の不招請勧誘の禁止規定は金融先物取引全体を対象としておりますが、取引所外為証拠金取引は昨年七月に取引所において取引が開始されたものであり、平成十六年の改正時における不招請勧誘の禁止規定は店頭外為証拠金取引による被害の状況等を念頭に置いて導入されたものであります。  今回の法案においても、不招請勧誘の禁止の対象については改正金融先物取引法と同様に、レバレッジが高いなどの商品性、執拗な勧誘や利用者の被害の発生という実態を考慮して定めることが適当であると考えますが、取引所外国為替証拠金取引は、店頭外国為替証拠金取引に比べ証拠金の取扱い等、取引制度が整備されているところでございます。したがいまして、取引金融先物取引については不招請勧誘の禁止の対象としないこととしておりますが、一方で、勧誘受託意思確認義務や再勧誘の禁止の対象とすることを考えており、これらの規制の厳正な運用を通じて必要な投資保護が図られるものと考えております。
  238. 広田一

    ○広田一君 これまで外国為替証拠金取引に関連して質問させてもらいました。これは、ただ単に、一つの事柄が適用除外になるか否かの問題ではなくて、今回の法改正、本当に消費者保護とか投資家保護というものを掲げて非常に具体的に進展をしているというふうに私も思っております。しかしながら、個々具体的に見れば、逆に後退をしている部分もあるんじゃないかということをここに強く指摘をさせていただきたいというふうに思うわけでございます。  先ほど尾立委員の方から御紹介があったように、やはり不招請勧誘の禁止の基準については、損失が発生した場合、追い証などの元本を超えることがある商品取引については原則として不招請勧誘の禁止を行うというふうな、やはり分かりやすい明確な基準を持ってこの問題には取り組むべきであって、取引取引だからオーケーで店頭取引だから駄目だという非常に分かりにくい私は基準で、これはまさしく不招請勧誘において被害を受けている消費者というものが、その商品性も分からないまま、取引取引であるか分からないまま、店頭取引であるか分からないまま被害があるわけでございますので、そういったまさしく実態を踏まえて、今後これから政省令で定めるということでございますので、検討をしていただきたいというふうに思うところでございます。  それで、次の質問に行きますけれども、先ほど来から適合性原則というふうなお話がございました。これ前回の質問でも私は、投資家保護が健全な活性化した資本市場をつくっていくということを述べさせていただきましたけれども、投資判断に必要な情報を十分に与えられて適合的な商品を自発的に購入した場合は、損をしてもこれは投資家の自己責任だろうと思います。しかしながら、我が国では適合性の原則や受託者責任ということがまだ徹底されておりません。そのことが資本市場の本格的な発展を阻害しているんじゃないかというふうな意見もあるわけです。  今回の改正でも適合性原則が規定されているものの、これに違反した場合は損害賠償義務とか取消し権、無効などのいわゆる民事効果の規定が見送られております。被害者救済に結び付く実効性のあるルールの構築が必要だというふうに思いますけれども、この点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  239. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 今回の金融商品サービス取引に際しまして、利用者被害が生じました場合の民事救済ルールにつきましては、今回の法案の改正の一環を成しております現行の金融商品販売法でございますが、これにおきまして、業者が説明義務を果たさなかった場合に損害賠償責任を課しますとともに、損害額の推定、これが行われているところでございます。  その上で、今回の法案におきましては、この金融商品販売法改正いたしまして、同法上の説明義務を尽くしたかどうかを判断する解釈基準といたしまして適合性の原則の考え方を取り入れることとしているところでございます。  具体的には、金融商品販売法におけます説明義務について、顧客の知識、経験、財産の状況及び当該金融商品販売に係る契約を締結する目的に照らして、当該顧客に理解されるために必要な方法及び程度によるものでなければならないという具合に改正をしているわけでございます。このような解釈基準に従いまして、適合性の原則に照らして業者が説明義務を果たしていないと判断されます場合には、金融商品販売法に基づきます無過失損害賠償責任や損害額の推定規定の対象となりまして民事救済が容易となるような、そういうような措置をしているものでございます。
  240. 広田一

    ○広田一君 私は、適合性がなかなかない人には幾ら説明しても御理解をいただくのは難しいのではないかなと。非常にこういった問題、個人差がございまして、なかなか判定があいまいなところが出てくるというふうに思うわけです。  それで、ちょっと確認なんですけれども、先ほど三國谷さんからお話があったように、説明義務違反については損害賠償の対象になるということでございますので、金融庁としてはこういうふうに損害賠償の対象になっているから大丈夫だというふうに判断をされていると理解してもよろしいでしょうか。
  241. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 私ども、今回、適合性の原則につきましては、今申し上げました金融商品販売法上の民事上の効果、こちらについても今回所要の改正案を提出さしていただいているところでございます。  また、一方におきまして、今回、書面交付義務等におきましても、この適合性原則、そちらの方におきましても、これまでの知識、財産に加えまして、目的といった要件も加えまして、言わば業者ルールとしてのそういった更に充実も図っているというところでございます。
  242. 広田一

    ○広田一君 そういうことを踏まえて、説明義務違反については損害賠償の対象になっているので大丈夫であるというふうな判断をしているということでよろしいですね。
  243. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) ちょっと詳しく申し上げます、ちょっと技術的になりますが。  損害賠償の効果としては、私ども、この金融商品取引法以外に金融商品販売法、こちらの方で規定の充実を図っているわけでございます。  一方で、金融商品取引法の適合性原則という問題でございますが、これは判例の問題になってくるわけでございますけれども、これまでの判例におきまして、適合性原則に著しく逸脱した場合、ここにつきましては民事上の不法行為法上も違法となると、こういう判例があるわけでございます。しかしながら、この適合性原則違反につきまして、一律に不法行為法上違法とされているということではなく、むしろ裁判例の多くは適合性の原則の考え方を説明義務に取り込んで解釈していると、こういったケースが多いと考えております。  したがいまして、私どもといたしましては、今回金融商品販売法改正いたしまして、説明義務を尽くしたかどうか、これを判断する解釈基準として適合性の原則の考え方を取り入れたと、この金融商品販売法のところで民事上の責任につきましては適正にさせていただいたと、こういうことでございます。
  244. 広田一

    ○広田一君 それでは次に、集団投資スキームに対する規制についてお伺いをしたいと思います。  前回の質疑におきまして与謝野大臣の方から、ライブドア事件の切り口から質問さしてもらったんですけれども、投資事業組合などのいわゆるファンドについては、新たな包括的な定義を設けてファンド全体を規制の対象にするというふうに御答弁がございました。  これの言わんとするところは、組合員その他いかなる方法をもってするかを問わず、複数の者から金銭なんかを集め、その財産を用いて事業投資を行って、その事業から生じる収益等を拠出者に分配する仕組みを包括的に対象にするというふうなことだろうというふうに理解をいたしております。そういった意味で、まさしく包括的に網が掛かったわけでございまして、これは評価すべきだろうというふうに思います。  しかしながら、包括的といいながらも、実際上はこの規制の網が掛からない場合、すき間がそれでもあるのじゃないかと。例えば、募集勧誘行為を伴わず出資者全員が出資対象事業に関与する少人数の集団投資スキームの場合どのような規制になってしまうのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  245. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 御指摘のとおり、今回のファンドにつきましては相当幅広く規制しておりますが、逆にそれが形式的に画一的になるところもございます。  その中で、このスキームに該当しないものといたしまして二つございまして、一つは、御指摘のように出資者全員が自ら事業に関与しており、出資者を投資者として保護する必要性が低い権利、これはいわゆるそれぞれが納得ずくでお互いに共同してやるようなケースでございます。それからもう一つは、出資又は拠出した額を超えた収益等の配当がなされず、投資としての性格を有しない権利、こういったものにつきましては集団投資スキーム持分から除外しているところでございます。  いずれにいたしましても、この集団投資スキームにつきましては、共同性、受動性といった、そういったいわゆるという概念はございますけれども、そういった言わばほか、第三者の販売勧誘というか、そういったものに広がらないものにつきましては一定の範囲内で除外とされているところでございます。
  246. 広田一

    ○広田一君 そうしますと、例えば我が会派でいいますと、櫻井理事と富岡委員と大塚委員が共謀じゃなくて協議してファンドをつくると、そういうふうなことになったら何の規制も掛からなくなってしまうと。まあこのお三人は非常に倫理観の高い方でございますので、これを使って何か良からぬことをたくらむというふうには考えにくいわけでございますけれども。  しかしながら、今回のライブドアのファンドについて、これも前回質問をしたんですけど、何かなかなか実態よく分からないと、まあ分かっていても言えないということだったんでその全容は明らかじゃないんですけれども、やはり少人数がいろいろ共謀、まあライブドアの場合は共謀して行ったというふうに思われるわけでございます。  そういった意味で、今後も存在すら分からないファンドが野放しになって、良からぬことをたくらむ人が付け込むすき間が存在をするんじゃないかということを強調をしたいと思います。つまり、不正の隠れみのにならないように、規制の掛け方については今回包括的な規制を掛けたということで私も評価しているわけでございますけれども、今後ともこの網の掛け方については検討を続けるように要望をしたいというふうに思いますけれども、この点については与謝野大臣の御見解をお聞かせ願えればと思います。
  247. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 出資者全員が自ら事業に関与する場合には、出資者自身が事業にかかわる意思決定等を行う立場にございます。したがいまして、出資者を投資者として保護する必要性は低いと考えられることから、今回の法案ではそのような場合を集団投資スキーム持分の定義から除外することとしております。  仮に、出資者全員が自ら事業に関与している場合も、一律に規制対象とした場合には、株式等の投資に興味を持つ数名の個人投資家が共同して投資を行う投資クラブ等についても登録又は届出を義務付けることになりかねず、過度の規制となることが懸念されるわけでございます。諸外国におきましても、出資者全員が自ら事業に関与するようなファンドについては規制対象から除外されているものと承知をしております。  なお、出資者全員がファンドの業務に関与しているか否かについては、個別の事案に即して実質的に判断される必要があり、出資者の人数が少数であること等の事実のみをもって出資者全員の関与があると一概に認定することはできないわけでございます。  また、大量保有報告書制度、公開買い付け規制やインサイダー取引規制等市場公正性透明性を確保するための規制は登録、届出義務の対象とならないファンドについても適用されることは当然でございます。
  248. 広田一

    ○広田一君 どうもありがとうございます。  大臣がおっしゃったとおりだろうというふうに思いますけれども、繰り返しになりますけれども、包括的な規制が掛かったことは本当に評価をいたします。しかしながら、まだまだこのすき間を縫って良からぬことを考える方もいらっしゃると思いますので、引き続き、まさしく実態等については把握をするように努めていただきたい。そして何らかの問題点が発生したら、今後もその規制の網というものを広げるようなことをしていただきたいというふうに思うところでございます。  それと、前回の御答弁に関連をいたしまして、大臣の方から、現在許された範囲内での手段は全部法律に書き込んで、投資家保護、ファンドの透明性についても十分意を尽くしたというふうな御答弁がございました。  この点については敬意を表しつつ、しかしながら、昨今、投資事業組合を使ったマネーロンダリングが疑われる事件が発生をいたしております。聞くところによりますと、一九九二年にはこういったことに対応するために疑わしい取引の届出制度というものがつくられております。これも二〇〇〇年には一万件だったのが、二〇〇五年には十万件と激増しているということでございますけれども、今後、海外の口座や投資事業組合を介在させることによって容易にマネロンができ得るということを強く懸念をするところでございますけれども、その対策についてのお考えをお伺いをしたいと思います。
  249. 中江公人

    政府参考人(中江公人君) 委員御指摘のファンドを使ったマネロンについてということでございますが、今回の法改正によりまして、国内だけでなく国外の投資事業組合等のファンド持分につきまして販売、勧誘を行う者に対しましても、原則として業者としての登録を求めまして、マネロン等の防止のための義務を適用することとしておりますので、こうした枠組みを通じまして、マネーロンダリング等への適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
  250. 広田一

    ○広田一君 続きまして、これも御答弁があったことについての重ねての質問なんですけれども、大臣の方から、大量保有報告書制度について、機関投資家に求められる特例報告の報告期限、頻度を短縮するとともに、報告書の電子提出の義務付け云々を通じてファンドの透明性向上を図るというふうに御答弁がございました。  業務上、日常的に大量に株式売買をする機関投資家対象に現行制度で義務付けられている三か月に一度という報告期間を、新法では二週間ごとに短縮するということでございますけれども、この二週間ごとの根拠はどこにあるのか、この点についてお伺いをしたいというふうに思っております。確かにこれをやることによって透明性は確保できるかもしれませんけれども、事務手続なんかはただではございませんので、投資家に負担が掛かってくるんじゃないか、そういうことも踏まえて、なぜ二週間ごとというふうな期間の根拠についてお示しをいただければと思います。
  251. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 御指摘の大量保有報告の特例制度に係ります報告期限、頻度につきましては、投資者に対しまして一層の透明性が確保されるように、機関投資家に対しましてもできるだけ速やかに報告書を提出することを義務付けるべきとの、そういう考え方がございました。一方で、この報告期限、頻度を余りに短縮する場合には、投資行動が過度にオープンとなるのではないか、あるいは機関投資家に掛かるコストや事務負担を増大させることになるのではないかなどの指摘もあるところでございまして、両者のバランスを踏まえることが必要であると考えているところでございます。  これにつきまして、金融審議会の公開買い付け制度ワーキンググループにおいては、そのような観点を踏まえまして真剣に御議論いただきました結果、全体について特例報告は残しますが、その中で頻度、期限につきましては原則三か月ごと十五日以内を二週間ごと五営業日以内へと短縮することが適当であるとの提言をいただいたところでございます。  私どもといたしましては、このような提言を踏まえまして、また、投資者に対する適切な情報開示と、これを通じた証券市場に対する信頼の確保を図ることが現下の状況の下では大変重要なことであると考えまして、特例報告制度の見直しを提案させていただいたものでございます。
  252. 広田一

    ○広田一君 ちょっとその理由についてはよく分からなかったわけでございますけれども、まず信頼を回復するためにこういったやり方で取り組んでいかなければいけないということだろうというふうに思います。  そして、最後になりましたけれども、与謝野大臣に少し御感想というか御所見をお伺いしたいと思うんですが、今私たちは金融商品取引監視委員会設置法案というものを提出をさせていただきました。先日、私も大臣の隣で緊張しながら提案理由を述べたわけでございますけれども、これは与党の皆さんの中にも、この考えはなかなか、日本版FSAの考え方はいい考え方だというふうに共感の輪が非常に広がっているところでございます。  私たちも、貯蓄から投資へとか、間接金融から直接金融へと、そういう基本的なところは本当に金融庁の皆さんと共有をしているわけでございますけれども、一方で、投資家保護というものをもっと徹底させていかなければいけない、そのためには本当に幅広い横断化、そして監視・監督機能というものを強化しなければいけないというふうな問題意識、また今の国際情勢等を踏まえてこの法案を提出させていただいたわけでございますけれども、与謝野大臣のこの私たちの提案についての御所見、将来はこういうふうに行きたいなと、近い将来やってみたいなというふうに思われていると思いますけれども、正直な御感想をいただければと思います。
  253. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 近年、金融サービスの分野においては、業態横断的な販売チャネルの一般化、また第二番目は業態を超えた融合商品の出現、第三番目は銀行、証券、保険等を傘下に収めた巨大な金融グループの出現といった流れが進展しております。こうした流れを踏まえれば、業態ごとに異なる行政機構が存在し、別々に監督を行う体制では、利用者保護の徹底や巨大なグループ、金融グループ特有のリスクの把握等に十分対応し切れないおそれもあると考えております。このため、証券市場行政部門を銀行・保険行政部門から切り離すのではなく、業態横断的な組織の下で市場行政体制の強化を図ることが望ましいと考えております。  しかしながら、監視委員会についてはまだまだ歴史は浅く、そういう意味ではこれから積み重ねるべき経験は多いと思っております。また、市場監視体制の強化を図る観点から、今後とも必要な体制整備を図るとともに、人材の厚みや専門性の深さといったものを充実していく必要もあると考えております。  商品先物取引にかかわる検査監督を共管とすることについては、商品先物取引は農産物や鉱物など現物の生産、流通にかかわる施策と密接に関連することから、まずは現在の所管官庁において必要な体制整備を進めるとともに、違反行為の検査監督に厳正に取り組んでいくことが適当と考えております。  なお、民主党の御提案に対しましては、御労作として心から敬意を表しております。
  254. 広田一

    ○広田一君 与謝野大臣から敬意を表していただいて、大変恐縮をいたしました。今後とも、こういった法案等の審議、また対案等を通じて、より良い金融市場活性化を目指して頑張っていきたいというふうに思いますんで、よろしくお願い申し上げます。  以上でございます。どうもありがとうございました。
  255. 櫻井充

    櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井でございます。  今日は、松副大臣、そして小斉平政務官にお越しいただきまして、本当にありがとうございます。先日の委員会政府参考人の方から意見を述べていただきましたが、全くとんでもない答弁でございまして、今日は是非政治家としての御発言をいただきたいと、そう思っております。  先日は松副大臣から政治家個人として商品先物に関して踏み込んだ発言をいただいておりますので、小斉平政務官からも是非そういう踏み込んだ御発言がいただければ有り難いなと思っておりますし、昨年は議運の理事のカウンターパートとして様々御指導いただきまして、本当にありがとうございました。  今日は法案審査ということなので、法文に沿って若干質問をさせていただきたいと思います。  分かっているようで分からないものが、まず第一条の目的のところにあります、最終的な投資者の保護に資することを目的とするとありますが、その投資者の保護という、この保護は何を指しているんでございましょうか。
  256. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 投資者は自らの財産を投資するわけですから、その投資保護するということでございますけれども、どういう場合に保護ということを考えているのかということは二つございまして、一つは事実を知らされないことによって被る損害からの保護と、それから二つ目は不公正な取引によって被る損害からの保護と、これが私どもの考え方でございます。  今回の法案に則して具体的に申し上げると、まず、事実を知らされないことによって被る被害からの保護を達成する方策として、一つは企業内容等の開示制度、公開買い付け制度及び大量保有報告制度、一つは金融商品取引業者等の行為規制として顧客に対する契約締結前の書面交付義務などを定めております。  次に、投資家が必要な情報を十分に得られていることを前提とした上で、不公正な取引によって被る損害からの保護を達成する方策として、一つは金融商品取引業者等の行為規制としての禁止行為、例えば虚偽告知や断定的判断の提供の禁止等でございます。また、一つは市場における不公正取引の禁止、これはもう株価操作やインサイダー取引の禁止等でございます。  こういうことを定めているわけでございます。
  257. 櫻井充

    櫻井充君 これは、そうすると、この保護という考え方に立つと、今あるものから毀損されるような、マイナスにならないような形の部分に関して全部保護しなさいということなんでしょうか。  つまり、もう一つは、投資家というのは、例えば株式を買えば株主としての権利が生まれてくるはずであって、そういった権利に対して毀損されるようなものに関して保護すると、そういう概念はこの法律の中では担保されないんでしょうか。
  258. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 多分、投資家の権利と株主の権利というのは違うんだろうと私は思っております。  投資家の権利というのは、一般に民法や会社法のような私法上の法令に基づいて与えられるものであり、例えば業者等の違反行為に対して損害賠償を求める権利、株主として会社に対して有する権利などが認められております。  投資といった場合、株式投資する場合もありますし、ほかのことに投資する場合もありますから、この場合はやはり投資家、株主というのはやっぱりきちんと定義を付けて議論をしないと、多分私自身も混同してしまうんではないかと思っております。
  259. 櫻井充

    櫻井充君 投資家イコール株主でないことは、これは確かですね。ただし、その集合体の関係でいった場合には、基本的な考え方からすると、株主というのは、これは一般的に全体の包含からいえば、そこらは全部投資家に当たるということではないということなんですね。そういう考え方でよろしいんでしょうか。
  260. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 投資家という集合があって、株主というのはその部分集合であると思っております。
  261. 櫻井充

    櫻井充君 部分集合体であるということは、投資家としての権利を有することにはならないんでしょうか。
  262. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 当然、投資をする過程では投資家としての権利は生じております。
  263. 櫻井充

    櫻井充君 集合体からすれば、これは株主の方が小さいところにありますから、株主が有している権利というものイコールが、それがすべて投資家の権利になるわけではありませんよね。  そうなってくるとすれば、じゃ改めてお伺いしますが、投資家の権利というのはあるんでしょうか。そして、その投資家の権利があるとすればどのようなものなんでしょうか。
  264. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 理論的には私、研究したことはございませんけれども、投資家の権利というのは、あるとすれば、一つは市場参加する権利がまず第一だろうと思います。その上で、市場参加した上で、公平公正に取り扱われる権利、すなわち必要な情報を受ける、あるいは自分の取引したものが公正な価格形成において取引されると、こういうようなことは一般的な権利として投資家に保障されるべきものだと私は考えております。
  265. 櫻井充

    櫻井充君 そうしますと、今おっしゃられた二点は、実は先ほどおっしゃられた二点と全く同じなんですね。つまり、先ほどは、投資家というのは、情報を知らされないことによって被る被害からの保護であるとか、それから不公正な取引をやって被害を被るところを保護しなきゃいけない。つまりは、これは投資家が持っている権利を保護するということに当たるわけですね。その認識でよろしいんでしょうか。
  266. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 投資機会に参加した者が与えられるべき当然の権利だと私は思います。
  267. 櫻井充

    櫻井充君 そうしますと、この法律はその権利を保障されている法律であるという認識に立ってお伺いすれば、もう一つ、投資家の権利というのは、実は会社法によって認められている権利もあるんだそうなんです、これは済みません、今日は通告していないのかもしれませんが。通告していないというのは、そこまで法務省として準備されていないのかもしれませんが、投資家の権利とは何かという、これは通告はいたしております。  そうしてくると、これは、副大臣においでいただいておりますが、会社法によって認められている権利がございますよね。まずこれが投資家の権利、その内容として認識することでよろしいんでしょうか。河野副大臣にお伺いしたいと思いますが。じゃ、与謝野大臣
  268. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 投資家が株主になることも当然あるわけでございます。投資によって株主になると。で、株主は、言わば株の取得を通じて抽象的にはその会社に対する所有権を有することになります。それから、株主は一定の議決権を持ちます。そのほか、取締役の選任にかかわること等々、もろもろの株主としての権利、立場というものは発生するわけでございまして、これは投資行為に参加した権利とは異質のものであると思っております。
  269. 櫻井充

    櫻井充君 ちょっと今日は時間がないので、また後日このことについてきちんと話をさせていただきたいと思いますが。  その上で、その上で例えば、産業活力再生特別措置法でしたか、ここの中で例えば企業の営業譲渡をされるときに特例措置が設けられております。そのときに株主総会を本来開かなければいけない中で、株主総会が開かれなくてもいいような特例措置がこれは設けられております。これは営業譲渡に関してはこれは全く問題ないと思うんですね。しかし、この特例措置はあくまで営業譲渡であって、株主が有している知る権利、それから今の投資家の中で保護されなければいけない、情報を開示されなければいけないその権利に対して特例措置は設けられていないと私はそう思っていますが、そういう認識でよろしいんでしょうか。
  270. 池口修次

    委員長池口修次君) だれに質問ですか。
  271. 櫻井充

    櫻井充君 これは副大臣です。  つまり、経産、松副大臣にですが、済みません、通告の中で要するに、申し訳ない、通告の中で同法の特例措置がその投資家保護を担保しているのかということを通告しているかと思いますが、そこの中の内容として。もし私の通告が不十分であれば、後で文書でいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  272. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) それに対して直接のお答えではないかもしれませんけれども、商法の中で例えば買取り請求権というのもあります。これは十四日間でありますけれども、この五月一日から商法のこれも変わりまして、今まで片仮名で全部書いてあったのが平仮名になって、二十日間になったと。その株主が三分の二いれば総会を開かなくてもいいのだということになって、これができるということでありますけれども、正に先生がおっしゃっているとおりに、それは法律上開かなくてもそれが議決できる、三分の二あれば議決ができるということであるというふうに思っております。  先生の今お尋ねになったこと直接に対しましては、後ほど調べさせていただきまして、お返事を申し上げたいというふうに思っております。
  273. 櫻井充

    櫻井充君 なぜかといいますと、その産業活力再生特別措置法を見ますと、この目的は結局は、「我が国産業の活力の再生を速やかに実現することを目的とする。」と書いてあって、その保護という、投資家保護という観点に全く欠けているわけなんですね、産業再生だけが優先されると。その意味では、株主総会、どうせ多数の株主がいれば少数株主の意見は無視してもいいということになるのかもしれません。しかし、一々手続を取っているのが大変ですから。ただし、それは営業譲渡という点に関しては特例として穴、法律上の考え方からすれば穴は空いていますが、情報をきちんと伝えるということに関しては特例措置がこれは設けられていないんだろうと、そう思います。  そういう点で、こういう場合の措置をとるに当たっても、本来であれば、きちんとした情報を、少数株主を守るためにも、保護するためにも情報が必要なんではないか。このことについて、法律上、私の解釈が正しいのかどうかについて、後で文書でいただきたいと思います。
  274. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 後で文書で差し上げますけれども、正に先生のおっしゃっているとおり、今個人投資家が増えております。貯蓄から投資へということになっておりますけれども、そうした中で個人投資家の皆様が本当にそれぞれ専門的な知識をお持ちの方ばかりかというと、そうではない。そのときに、いろいろの中で、いろんな難しい法律があることが分からないで投資をしていらっしゃる皆様方の中で、やはり私はこれは情報公開あるいは広報というものをきちんとして、そうした例えば二週間以内に、これは二十日になりましたけれども、これが過ぎると紙くずになっちゃいますから、例えば、そういうことも含めてきちんと対処すべきである。これは各省横断でやっていかなければならないと思っております。
  275. 櫻井充

    櫻井充君 いやあ、すばらしい御答弁、本当にありがとうございます。やっぱり委員会はこうでなきゃ駄目ですよね。本当に今日はそう実感いたしました。ありがとうございます。  時間がないので、じゃ、もう一つ済みませんが、これは農水省からも是非前向きの御答弁をいただきたいと思いますが、商品取引所法を見てみると、実は投資家保護とは書いておりません、投資保護とは書いておりませんでした。これを調べると、目的は委託者の保護に資するということになっているので、恐らくいろんな意味で違うことになっているんだろうとは思います。ただし、問題は、この法律ができ上がったのは昭和二十五年八月五日の第三次吉田内閣時代でございまして、その時代とは相当大きく異なっているんだろうなと、そう思います。  そして、今回、金融庁が相当頑張って、要するに金融商品のところとそれから商品先物のところで、投資家と、まあ与謝野大臣はこの間、投機じゃないかというお話もありましたが、いずれにしても、そういう形で投資されている方々のその権利が保護されるような形にしなければいけないということで、ほとんどすべてのところが横並びになりました。ところが、たった一点だけ違っているのが、何回もここで議論されていますが、不招請勧誘の部分でございます。  そこで、この間は松副大臣から踏み込んだ御答弁をいただきましたが、小斉平政務官是非踏み込んだ御発言をいただきたいと思います。
  276. 小斉平敏文

    大臣政務官(小斉平敏文君) 踏み込んだお答えになるかどうか分かりませんけれども。  商品取引所法では、商品先物取引における店頭取引、これにおきましてはそもそも個人向けの取引そのものを禁止をいたしておるところでありますし、また、取引取引におきましては、平成十六年の法の改正、これによりましていわゆる再勧誘の禁止等々を措置いたしておるところでございまして、利用者保護観点から規制の強化を図ると、そして、この法の適切な運用によって委託者保護の徹底を図ってまいりたいと、このように思っておりますけれども、お尋ねでありますから、そういう対応で万が一まだ問題、あるいは苦情、相談等々が出てきたらどうするのかということであろうと、このように思います。  これから先はもう全く個人的な見解ということでお聞きを賜りたいと思います。  実は私も先日、自宅に丸一日おりましたけれども、午前中だけで十二本電話が掛かってきました。そのうちの十本が不動産等々含めてこの勧誘、これは正に迷惑勧誘なんですよ。非常にそのときに憤慨をいたしました。そういうことから、将来において、商品先物取引だけではなくて、証券や金融等々含めて、あらゆる分野においていわゆる不招請勧誘、これの禁止の動きが出てきたり、あるいは商品先物取引における不招請勧誘、これの苦情等々が、こういうことを、我々が今推し進めようとしておることを講じたにもかかわらず減らないということであれば、これは当然、不招請勧誘の禁止、これを検討すべきであると、私は思っております。
  277. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  農水省、あれ、昨日どちらだったか忘れましたが、役所の方は件数が減ったからという話をされていますが、実際今まだ四千件あって、口座が十二万件ですから、単純に言うと開設者のうちの三十人に一人が苦情を訴えているんですよ。三十人に一人というのはこれは物すごい数でしてね、そのことをもう一度踏まえて是非考えていただきたいことと、それから、この法律そのもの自体が委託者という言葉が使われています。ですから、本当にその業務として必要な人はどうか分かりませんが、関係のないお年寄り、この方々は別に小豆買おうが何しようが関係ないわけですよ。こういう方々はせめて早期にその不招請勧誘をやめさせないと物すごい被害になりますから、是非、政治家として、国民の代表として、省庁をきちんとした形で、まあコントロールというと言葉が悪いかもしれませんが、やっていただければ有り難いなと、そう思います。今日は本当にありがとうございます。  その上でもう一点ですが、今回勉強していて驚いたことは、この証券取引法でせっかく投資家保護というその道具ができ上がったんですが、弁護士さん方が、司法試験の中にこれが入ってこないもんですから、十分理解されない方がいらっしゃるんじゃないかと、そういう御指摘がございました。そして、衆議院の参考人質疑のところでも、ロースクールで教えている割合が極めて低いと。ロースクールで教えている割合が低いのはなぜかというと、司法試験に入っていないからなんですよ。これ司法試験に入って、ロースクールで教えるのが少ないから司法試験の中に入れないんだと法務省おっしゃっていますが、それは逆でして、司法試験の中に選択制として、金融の弁護士さんのスペシャリストをやっぱりこれから育てていかなきゃいけないと思いますので、そういう制度設計をされるべきではないのかなと、そう思います。  我々、済みません、またすぐ医療の話に戻して恐縮ですが、僕らはメジャーと言われる内科、外科、産婦人科、小児科以外のマイナーなものも全部試験があって、その上で、あとは自分たちが専門という形で選択していくことになります。それは、後、医局に入って勉強していってやっていくということになりますが、いずれにしても、選択制なりなんなりにして、そういう大きなものでないものに関してもきちんとした形で勉強、試験の中に組み入れて、もう少しスペシャリストを育てていく必要性があるんじゃないかと思いますが、いかがでございましょう。
  278. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 司法試験の選択科目を決めます司法試験委員会では、ロースクールで教えているどの科目が何校で教えられているかという調査をいたしました。そのときの調査でも、証券取引法を教えている学校は六十八校中半分、三十四校にすぎないということもあって、選択科目の中に入っていないんだろうというふうに思っております。  しかし、この新しい司法試験は三回ほどやってから選択科目の見直しをするということになっておりますので、そのときに必要性があるならば選択科目の中に取り入れるということもあり得ると思います。
  279. 櫻井充

    櫻井充君 いや、これ逆でしてね、逆ですよ。司法試験の中に、司法試験の選択科目の中に入れば教えるようになるわけですよ。なぜならば、合格率を上げなきゃいけないんですから、学校そのもの自体がですね、予備校は。ですから、是非、今の社会のありようを考えていけば、司法試験の中にこういった選択科目、金融なら金融という分野の中で入れていかないと、私は変わっていかないんじゃないかなと、そう思いますけども、総裁候補としていかがでございますか。
  280. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 今年から始まる新しい試験ですので、当初の予定どおり三回程度行ってから見直しをすることになるということに、特に変更はございません。
  281. 櫻井充

    櫻井充君 議論をしたいところですが、ちょっと本当に今日は時間がなくて、ちょっと残念なお答えだなと、私はそう思います。  その上で、私は全くの素人でよく分からないので、実例を挙げて今回のこの法律投資家保護されるのかどうかということについてちょっと質問させていただきたいと思います。  個別具体の名前が挙がりますが、これはあとは一般論としてお答えいただければ、それはそれで結構でございます。  カネボウが産業再生機構入りをいたしました。その後、譲渡を経ていって、最終的には、最終的にはTOBなどを掛けられて、株式譲渡がされていくという過程が随分ございました。そこの中で、例えば、例えばその産業再生機構株式を譲渡を受ける、譲渡される、株式を獲得する、若しくはその産業再生機構が持っているような株式をほかのファンドに株式譲渡していくとか、これはかなり大量のものを譲渡していくわけであって、こういう、普通一般的に考えれば、株式譲渡する場合にはTOBを掛けるというのがルールになっているのではないのかなと思うんですけど、そういった考え方に立っていいのかどうか。それから、特例措置がもし設けられているとすれば、なぜそのような特例措置が設けられているのか、御答弁いただきたいと思います。
  282. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 公開買い付け制度一般につきまして御説明申し上げたいと思います。  なお、個別のことにつきましてはコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、まず、一般原則といたしまして、会社支配権の帰趨に影響を及ぼし得るほどの大量の株券取得につきましては投資者にとりましても重要な関心事であり、投資家への情報開示や他の株主の売却機会の確保が必要であるとの考え方から、買い付け後の株券等所有割合が三分の一を超える市場外の買い付けにつきましては、公開買い付け手続によらなければならないこととされております。これはいわゆる三分の一ルールと言われているものでございます。  なお、一方、どのような特例があるかということの一つでございますが、株券等所有割合が三分の一を超える買い付けであっても、株券等の所有者の数が二十五名未満の場合であって公開買い付けによらないことにつき総株主の同意があるときは、他の株主の売却機会を確保する必要がないことから、公開買い付け手続は強制されないこととなっております。  この中で、種類株式の問題がございますけれども、種類株式につきましては、議決権や配当等の内容が種類ごとにまちまちでございまして、経済的価値が異なってくることから、この公開買い付け手続についても種類ごとに行われているわけでございます。  したがいまして、種類株式に対します買い付けにつきましては、当該種類株式に係る他の株主に売却機会を確保するとの観点から、上記に言う総株主の同意、これは当該種類株式に係る総株主の同意と解されていると、こういった制度になっております。
  283. 櫻井充

    櫻井充君 その種類株式のことによって、他の株式を持っている人たちのその権利というかその利益が奪われるような場合というのはないんでしょうか。
  284. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) これは公開買い付けの手続として総株主の同意という、そういった場合につきまして御説明させていただいたわけでございますが、一方、株式の大量移動ということになりますと、それ以外に、例えば有価証券報告書提出会社でございますと主要株主の異動、こういったことになれば臨時報告書、こういった形での開示制度があるわけでございます。  こういった手段によりまして、投資者への情報提供の機会を確保しているところでございます。
  285. 櫻井充

    櫻井充君 済みません、ちょっと分からないところがあったんでもう一回お伺いしたいんですが、要するに、私がお伺いしたいのは、情報を公開するとかしないとかいうことではなくて、そのほかの株主に対しての権利が保護されるのかどうか、権利じゃなくても結構、その株主が保護されるのかどうかということです。つまりは、普通株式を持っている人たちがいます。それからC種の株式を持っている方々がいらっしゃいます。そのC種はC種でやられることは、それは構いませんが、構いませんが、しかし、そこで経営権が移ることによって、今度は経営権が移っていくことによって、普通株主の方々の権利はどうなっていくのかということなんだろうと思いますね。  ですから、ここを持っている人たち、この部分が大量に売られて、大量だから、ここの人たちが、その何というんでしょうか、経営権を握るような形になっていったとすると、そこの中に参加されなかった、情報も事前に開示されなかった、そういう人たちにとってはこれ不利益を被ることになるんじゃないですか。違いますか。
  286. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 公開買い付けということ、この仕組みに関しましては、情報開示のほかにやはり他の株主の売却機会の確保と、こういうことが一つの大きな考え方でございます。  この中で、種類株式につきましては、それぞれ種類株式ごとにその売却が行われるということでございまして、二十五名未満の総株主の同意があれば、そこにつきましては公開買い付け手続は適用されないと、これが一つの仕組みでございます。  一方で、情報開示ということにつきましては、それぞれ切り口が異なりますけれども、例えば臨時報告書におけます主要株主の異動あるいは大量保有報告書、こういった形でそれぞれの観点からの情報開示の仕組みがあるところでございます。
  287. 櫻井充

    櫻井充君 そういうやり方で本当にその少数株主が保護されるんですか。何回もお伺いしますが、別な株式を持っている人たちがいて、例えばC種ならC種の株式そのもの自体のパイが絶対的に数が多くて、普通株式なら普通株式を持っている人たちが少なかったとしますよね。そうすると、経営権なりなんなりは、コーポレートガバナンスが効けばですよ、そうするとそのC種株式を大量に保有した人たちの意見によってその経営が行われていくような形、まあ取締役とかそういう人たちが決められていくんでしょう。  そういうことが行われていくということは、実はそのほかの一般の株主に対しては、一般の株主の方が実は数が多いんです、これは。今回のカネボウの例はですね。一般の人たちは山のようにいるわけですよ。ただし、後でそのC種の株式を大量に発行して、それを、ちょっと詳しい経過忘れましたが、そういったものの売買を、株式の譲渡をしていくと。そのときに、大量に持っていたのがたしか産業再生機構とカネボウだったかトリニティだったか忘れましたが、たった二つしかないんですよ。たった二つしかないところだから二十五人以下でやっていいと。一般の株主は山のようにいるわけですよ、何万人だったか何千人だったか忘れたけど。だけど、そういうことで大量に持っている人が二十五人以下だからそれでやっていいということになったら、一般の投資家の人たちは全く権利守られないんじゃないですか。  もうちょっと時間がないので、最後、この点について、与謝野大臣、どう思われますか。
  288. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 今の話はTOBのルールの話を言っているんで、株式が一人の方からこちらの方に移動するということによって直ちに他の種類の株を持っておられる株主の権利が侵害されるということは理論的には実は考えられないと。ということは、元々持っておられる方がおられるわけですから、仮に侵害されるとしたら、元々持っていること自体が権利を侵害していることになるんだろうと、理屈の上では。しかし、TOBのルールをここでは議論をしているんだろうと私は思っております。
  289. 櫻井充

    櫻井充君 TOBのルールを確かに議論しております。そのTOBのルールを議論している中で、今のように二十五人以下であれば、しかも二十五人以下でその人たちが大量に持っていれば、あとは少ない株式を持っている人たちが山のようにいたとしても、この人数からいえば圧倒的に多いけれど、あとは大量に持っている人たちだけが優遇されればいいようなシステムになってきています。そこのシステムそのもの自体で、本当にC種以外のものを持っている人たちはそこに参加できないわけですから、そういった形でやることが制度として保護されるのかどうかということを私は問うているだけです。
  290. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 全株主に同意を取り付けるわけでございますから、全部の株主は自分の株を手放すという機会を当然持つわけですから、そういう意味ではTOBのルールとしてはフェアなやり方だと私は思っております。また、種類株で違う株を持っておられる、先生が言われる多数の株主というのは、元々それが、別の方が他の種類の株をどういうふうに所有しているかということにはかかわりなく株主としての権利は存在しているんだと思っております。
  291. 櫻井充

    櫻井充君 ちょっと言いたいことはあるんですが、済みません、時間が来たので今日はこれで終わりにしますが、本当に松副大臣、それから小斉平政務官、前向きな御発言いただきまして、本当にありがとうございました。
  292. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  私も、商品先物取引の不招請勧誘で質問をしようと思いますが、座っておられますか、先日の松副大臣経済産業省の松副大臣の答弁に続いて、今日は今、農水の小斉平政務官から踏み込んだ、つまり商品取引所法の改正検討する方向での前向きな踏み込んだ答弁があったわけですけれども、農水省と経済産業省、役所の方から来ていただいております。もうそろそろ、ここまではっきりとした政治家、政治の方向として皆さんの政務官と副大臣発言されているんですから、違う答弁をもうされるべきではないかと思いますが、農水と経済産業省、それぞれお願いいたします。
  293. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) お尋ねは、商品先物取引に不招請勧誘の禁止を導入すべきではないかという御趣旨の御質問と理解をいたしますが、これにつきましては、商品取引所法につきましては、平成十六年において大改正を行いまして、これによる大改革が進行中でございます。したがいまして、これは実際にいろいろな効果を及ぼしておりまして、業界におきましても新たなビジネスモデルを模索するなど極めて大きな変化が見られておるところでございます。  一般消費者向けの不招請勧誘禁止の御提案は、こうした状況の下で、平成十六年改正における勧誘規制の強化に重ねて、更に追加の規制強化をすべきか否かの御議論であると承知しておりますが、今般の改正法案の中で導入すべきとは考えておりません。  この理由については、何度か申し上げていることかもしれませんけれども、現在平成十六年の改正法を着実に実施している最中であるというふうなこと、それから不招請勧誘禁止の導入はおよそ適合性原則が期待できない取引であるか否かというのがポイントになると思いますが、正に商品取引所法におきましては、その適合性原則というのを法定いたしまして、顧客への説明義務違反に対しては民事救済の容易化を手当てしたところでございます。  また、今般の今御審議いただいている法案で重ねて規制の強化が行われることになっておりますし、それからまた、金融庁の方で政令指定を予定されております店頭取引に関しては、店頭商品先物取引については既に個人向け取引そのものが禁止されているというふうなことでございます。  したがいまして、私どもとしては、平成十六年改正商品取引所法によって、今後更に私どもとしても厳正にこれを執行していくということで、トラブルの減少ということをまずもって図ってまいりたいというふうに思っております。その上で、更にどのような勧誘規制が必要なのか、あるいは必要ないのか、これはそうした結果を踏まえてしっかり見極めていくべき問題と考えております。  不招請勧誘の禁止につきましても、そうした作業の中の一つの案というふうなことで、今後考えていく問題であろうというふうに考えております。
  294. 大門実紀史

    大門実紀史君 前段の方はもう何回も繰り返し聞いている話ですけれども、要するに、私申し上げたいのは、この参議院のここでの議論をずうっと積み重ねてきて、副大臣あるいは政務官がそれを踏まえて政治家としての判断を先ほど申されたと。ですから、ちょっと答弁書を読まないで、この議論を聞いていて、そういうことも検討する、視野に入れるべきだというふうに、皆さんのあれでしょう、皆さん、政務官より偉いんですか、副大臣より偉いんですか。そういう政治家の国会の判断を聞いて、取引所法の改正も視野に入れていくと、検討するというふうなことを、ちょっと答弁書読まないで、このよく流れを見て、何回も来られたわけでしょう。何か言うことはないのかということを聞いているわけで、今はだれですか、佐久間さんですか、じゃ、経済産業省迎さん、答弁書読まないで、ずうっと議論聞いていて何か思いませんか。
  295. 池口修次

    委員長池口修次君) 迎審議官
  296. 大門実紀史

    大門実紀史君 済みません。いいですか。  失礼しました、名前間違って。佐久間さん。
  297. 佐久間隆

    政府参考人(佐久間隆君) 平成十六年に商品取引法を改正いたしまして、昨年施行をいたしたところでございます。
  298. 大門実紀史

    大門実紀史君 読まないでいいと言っているんだよ。
  299. 佐久間隆

    政府参考人(佐久間隆君) ええ。その中で、今その施行を、新しい、認めていただいた様々な規制の強化というものに基づいて、今委託者保護の徹底のために検査体制の強化も含め取り組んでいるところでございます。
  300. 大門実紀史

    大門実紀史君 これからどうするかということ。
  301. 佐久間隆

    政府参考人(佐久間隆君) 施行一年を今そろそろ経たわけでございますけれども、その状況を、我々としても更にこの委託者保護の徹底をこの法律の厳正な施行によって図っていきたいというところが現状でございます。(発言する者あり)
  302. 大門実紀史

    大門実紀史君 今、助け船出ましたけれども、問題がもう出ていますけれども、問題が出れば取引所法の改正検討に入ると、このことぐらい、同じレベルのことぐらい言えないんですか。
  303. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) 先ほども私申し上げたように、厳正な執行によって、今のレベルが不十分だという御意見はあろうかと思いますけれども、過去よりも法改正によってトラブルの件数も減っていると認識しておりますし、業界も変わりつつあるというふうに思っております。私どもとしては引き続きこれによって問題を更にないようにしていくという所存でございます。それにつきまして、その上でもし、それは当然いろいろ、将来のことですから更にどのような規制が必要かというふうなことは、それはその状況の推移を見て考えていくべき問題だというふうに考えております。
  304. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう後は本当に二階大臣にお聞きするしかない段階に来ているというふうに思います。  私、ずっと聞いていて不思議なんですよね。この不招請勧誘禁止を政治家の方が非常に何とかしなきゃと思っていますけれども、役所の方が物すごい抵抗していると。これは何なんだろうと。皆さんの言う理由は、今日、尾立さんも触れられましたけれども、要するに営業の自由に抵触すると。ですから、個人の救済を、個人の被害予防、防止よりも業界の利益といいますか、営業の自由の方を優先していると、そんなことばかりおっしゃっているわけですよね。営業の自由のことをおっしゃっているわけでございます。官僚が何でそこまで営業の自由、業界の利益を国会の場で繰り返し繰り返し代弁しているのかということが今回非常に浮き彫りになっているわけですけれども、これ、業界の利益を皆さんが代弁しているというよりも、私はそれだけではなくて、皆さん自身の利益、皆さん自身の利益を守ろうとしているとしか思えないというふうに思います。  資料をお配りいたしました。藤末さんが取り上げられたその続編のようなものでございますけれども、今、理事会では商品先物取扱企業への天下り資料を要求しているところでございますが、私の方は取引所と業界団体の天下りを調べました。具体的には、農水省、経済産業省あるいは金融庁審議会に意見を言ったり、審議会に参加しているのはこのメンバーでございます。具体的に政府に物を言っているのはここにいるメンバーでございます、個々の企業ではありません、であります。  そういうふうに見ていただきたいと思いますけれども、例えば東京工業品取引所、これは金とかアルミとか原油とかゴムとかの商品先物をやっておりますけれども、それとその下の東京穀物商品取引所、これは農産物の先物をやっておりますけれども、この二つは去年の十月に金融審議会に意見書をわざわざ上げております。今回の投資サービス法に入れるなと、自分たちでやるんだと言っておりますし、今日午前中申し上げました経済産業省の中には産業構造審議会があります。その中に商品取引所部会があります。そこに参加しているのもこのメンバーでございます。具体的にはこのメンバーの意見が非常に強く皆さんの答弁にも反映されているわけでございます。  全国商品取引所連合会役員名簿、これは各取引所のトップが役員になっております。調べて見ますと、経済産業省、通産省、農水省の構造改善局長、この森實さんという人はあちこちでよくしゃべっている方でございますね。木村さんという人は衆議院事務局云々と書いてありますけれども、調査室と書いていますが、実は通産省出身でございます。ジェトロ出身でございます。野口さんもジェトロですね。和田さんも農水省、岩村さん農水省、岩野さん農水省、植田さんも通産省。升田さんだけ東京高裁判事でございますけれども、中村さんも農水省。天野さんは連合王国、つまりイギリスの大使となっていますが、実はこの方は退職したときは経産省の大臣官房付けでございます。  つまり、もう判事の方を除いてオール経産、農水というメンバーで取引所のトップが占められていると。この人たちが意見を言って、今回の不招請勧誘だけではなくて、いろんなルールを自分たちの取引所法案の中でやっていくからかぶせるなということを言ってきたわけでございます。  下の方は業界団体日本商品先物取引協会、これは八十数社をまとめている元締でございます。ここも副会長に経産省の大臣官房付けで坂井宏さん。実はこの人、あしたの参考人質疑に出てこられます。いい度胸しているなと思いますけれども。そして、専務理事の山口さん、国土庁となっていますが、この方は農水省が元の出身でございます。ほかのところも農水、経済産業。穀物市況調査会も国土庁になっていますが、実はこの方も農水省出身でございます。  ともかく、見事に全部経産、農水で占められていて、こういう人たちが政府審議会の場に出てきて意見を言い、議論を左右しておりますし、皆さんの天下りの先になっていると。もうみんなぐるでやっていると、私から言わせると。これが見てお分かりになるというふうに思います。  今日来られている方も、佐久間さんも迎さんも大臣官房ということですけれども、見てもらったとおり、大臣官房というのは非常に危ないんですね。こういう方々が、皆さんもそういうところに行きかねないというふうに思います。  今日はこの問題は私は官僚の皆さんに、皆さん自身に聞いてみたいと思って、副大臣とか要請しないで皆さん自身の、何といいますか、直の生の話を聞いてみたいなということで政府参考人でお伺いしたいと思います。肩の力を抜いて本音の話を聞かせてもらいたいと思いますけれども。  私は、ちょっと経過も調べてみましたけれども、見事に、このリストそうですけれども、経産と農水が見事に半々ずつポストを分けております。年によって若干変わりますけれども、大体この中心部分はうまいこと農水と経済産業、元通産で半々に分けているというんですね。  これは過去の天下り、談合、いろんな経験から言えることですけれども、二つの省が一つの業界に天下りポストを確保すると、これはどこかで調整しなければできません。どこかで相談をしてやっているというふうに、過去の例からそういうことがあるわけでございますけれども、これはどこかで調整しているんでしょうか。農水省、じゃ。
  305. 佐久間隆

    政府参考人(佐久間隆君) それぞれ取引所の役員の選任というのは、それぞれの取引所の会員組織として総意として選ばれていると、このように思いますし、また、関係の団体も構成メンバーの総意に基づいてそれぞれ役員の選出というものが行われていると、このように理解しております。
  306. 大門実紀史

    大門実紀史君 じゃ、経済産業省の方にお聞きしますけれども、これ、普通にやっていると経産省と農水省でけんかになります。皆さんにとっては天下りポストというのは死活問題ですね。今年一つ多ければ来年一つもらわなきゃと、こういう世界がリアリティーでございます。経済産業省の方、迎さんですか、どうやってこういうふうにうまいこと振り分けられているか、お聞きになったことございませんか。
  307. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) 基本的には、こうした方々が在籍をしておられるということは、個人的に有している知識、経験、能力と、それからこうしたポストに会員組織等でどういう方を就けたいかというふうな御要望が一致した結果、適材適所ということで実現をしているものと思っております。  そして、今お尋ねの農水、経産というお話でございますけれども、商品取引所に上場している商品が工業製品とそれから農業製品ございまして、また取引所もそういうふうな工業品の取引所、それから農業品の取引所なんかがあるというふうなことで、いろいろそれを束ねるような団体についてどういうふうな人を求めるかということをいろいろその会員の方なりがお考えになった結果ではないかというふうに推測をしております。
  308. 大門実紀史

    大門実紀史君 ですから、だれがお考えになったんですかと聞いているんですよ。
  309. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) 正にこういった機関方々というふうなことでございますんで、その会員で決定をしているというふうな組織については会員の御意向ということだろうと思います。
  310. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は必ず調整システムがあるというふうに思います。まだ資料出たばかりですから、引き続き調べて明らかにしたいと思いますが。  具体的にお聞きしますけれども、じゃまず農水の佐久間さんですけれども、このメンバーの中にあなたの大先輩とか先輩とか元上司おられるかも分かりませんが、直接面識のある方いらっしゃいますか。
  311. 佐久間隆

    政府参考人(佐久間隆君) 私、元々は経済企画庁に採用されましたので、この方たちには先輩はおりません。  当然ながら、農水産物の取引をやっております取引所の方々については、様々な機会を通じてお会いする機会がございますので面識は持っておりますし、また工業品をお扱いのところの方も、そういうような会合などの機会にお会いするというようなところで面識のある方はおります。
  312. 大門実紀史

    大門実紀史君 じゃ、経済産業省の迎さんの方はいかがですか。
  313. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) ここにおられる方で私が役所に入りましてから通商産業省の方におられた時代もございますんで、面識は持っております。それと同時に、私、現職に就きまして当然所管の審議官ということで、こうした方々と面識は持っております。
  314. 大門実紀史

    大門実紀史君 こういう天下りと皆さんの政策決定の関係、これ全くないというふうに言えるんでしょうか。じゃ、今度は農水省、お願いします。
  315. 佐久間隆

    政府参考人(佐久間隆君) 政策の決定については、幅広く関係者の御意見を伺って、その現場を見て御見識をお持ちであるわけでありますから、当然こういう方々意見というのは十分吟味されてしかるべきだと思います。その点におきまして、御見識というのは尊重されてしかるべきだというふうに考えております。
  316. 大門実紀史

    大門実紀史君 天下り問題、いつもそういうふうな答弁でぐるぐる回るわけですけれども、これは非常に、私はこの問題、政治献金の問題もありましたけれども、ほかの問題よりもこの天下り構造が物すごく強く根っこにあると。これだけ見事にこういう配分をして、これだけ、もうほかの省庁ありませんよ。全部農水と経産で占めているというところからいくと、この天下り問題がこの問題の核心だというふうに、先ほどの政治家の答弁と皆さんがこだわるのとの違いはそこにあるというふうに指摘をしておきたいと思います。  今日はこの問題はこれくらいにしておきますけれども、次は総理がひょっとしたらこの委員会最後に出てこられるかも分からないというところもありますので、政治の問題として取り上げていきたいというふうに思います。  この商品先物の問題が不招請勧誘、ならないという問題ですけれども、私は金融庁が、ある意味では経済産業省と農水省に足下見られているんじゃないかなというふうに思うところも流れからいってあるわけでございます。  つまり、日本の役所全体がまだまだ縦割りの領地主義になっておりますから、そういう関係で申し上げたいのは、今回の資料の二枚目に付けておりますけれども、投資サービス法販売、勧誘ルールのところで、当初は、当初はといいますか、金融庁の気持ちとしては銀行の預金と保険も基本的に全部適用したいというふうな意図があったようでございますけれども、結局は投資性の高いものだけに単品で対象にしていくということで、これでいきますとBの2案が一度提案されたわけですけれども、そうはならなくてBの1案プラス投資性の高いものだけ預金と保険についてやると、そうなったわけでございます。この辺はやっぱり経済産業省、農水省からいわせると、まず所管の銀行と保険会社、ちゃんと全部やってないじゃないかというふうな、まず自分たちのところをやってからだろうというふうな気持ちがあったということも漏れ聞くわけでございます。そういう点で、金融庁自身も自ら所管する銀行と保険に対して、きちっとこの販売、勧誘ルールをまず適用するということに踏み出されるべきだったと思います。  これ、細かい結果申し上げませんが、四月二十八日にそういう提案をされておりますけれども、そのときにこの金融審議会の第一部会は、ほとんどの方が、ほとんどの方が、この金融庁がたたき台で出したB—2案の方、銀行も保険も原則適用といいますか広く適用すると、これにほとんどの委員の方は賛成されました。議事録読めば分かります。反対したのは、唯一銀行業界の代表のみずほ銀行の方と、保険業界代表の日本生命の方と、このお二人、ほとんどこのお二人だけでございます。大森市場課長が雑誌の座談会でも私が言ったようなことをはっきりと言っておられると。  つまり、金融庁金融庁で、まあ金融庁が頑張っておられるのは私評価していますけれども、最後のところでやっぱり業界の意見でこのB—2案にしなかったと。業界に配慮したんじゃないかというふうに思うわけでございますけれども、その辺のところを簡潔にお答えいただければと思います。
  317. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 金融審議会の報告につきましては、いろんな経緯、議論を経まして昨年七月の中間整理の段階、それから昨年の報告という段階になっているわけでございます。なお、昨年の中間整理におきましては、銀行法や保険業法についても、販売、勧誘等に関するルールなどについて投資サービス法と一元化することについて検討を行うべきとされていたところでございまして、預金、保険全般を対象範囲とするというような方針が固まっていたわけではございません。  なお、昨年十月に再開された第一部会では、中間整理におきまして対象範囲となる商品についての基準の一つとして示されておりましたより高いリターンを期待してリスクを取るものについて更に検討を進め、そこにおけるリスクとリターンについてそれぞれ、リスクは市場リスクと信用リスク、リターンにつきましては金銭的収益の期待、こういった整理を行ったところでございます。この結果、十二月の第一部会の報告では、具体的な商品の対象として、預金については外貨預金及び円建てデリバティブ預金、保険については変額保険・年金及び外貨建て保険を投資性の強い預金、保険として対象とすることが適当とされたところでございます。
  318. 大門実紀史

    大門実紀史君 そんな答弁聞いているわけじゃないんですよね。なぜ、たたき台といっても金融庁が提案されるときはやる気がなきゃ出しません、やる気がなきゃ出しません。しかも、委員の方大多数が賛成だと。銀行も、保険にも、販売、勧誘ルール原則適用というのは賛成だという意見が多かったにもかかわらず、たった二つの、二人の業界団体意見で結局引っ込めたという形になっているわけでございます。  私、この問題でも天下りがやっぱり背景にあるんですよね。みずほ銀行には元国税庁長官が二人も天下りをしておられますし、日本生命には経済産業省の事務次官が天下りをしております。  ついでに言えば、先ほど藤末さんの証券取引所の天下りのときにいろいろ出ていましたけれども、ここに座っておられた日本証券業協会の副会長の増井さんですね、増井さんは三國谷さんの、前総務局長ですよね。  だから、もうあっちこっちに皆さん天下りしている。そうすると、やっぱりそこからの、業界の最終的な拒否というのはなかなか突破できないということになっているというのは、私はほかの行政に比べてこの間の金融行政は評価しておりますけれども、金融庁の中でもそういうことが起きているということを心配もしておりますし、これからはそういうことがないようにしてもらいたいというふうに思います。  いずれにせよ、この共通する問題が天下りということが明確にあるということを指摘して、天下りを早く禁止しなければいけないということを申し上げて、時間となりましたので、私の質問を終わります。
  319. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数です。  お伺いいたします。  本日、金融庁から、中央青山監査法人に対する行政処分についての資料が提出されました。内容のポイントは、第一に、この処分が旧法の規定に基づいて行われたこと、しかしながら、第二に、この処分はより厳しい基準である平成十七年の三月三十一日の「公認会計士監査法人に対する懲戒処分等の考え方について」に基づいており、業務停止二か月にされた加重・軽減要因を述べています。  そこで、中央青山の処分にかかわる問題につきまして、何点かお伺いしてまいりたいと思います。  去る五月十日、金融庁中央青山監査法人に対し、二か月間の業務停止処分を行いました。処分理由は、カネボウの平成十一年三月期から平成十五年三月期までの各有価証券報告書の財務書類の虚偽記載に対し、監査法人側が虚偽がないものとして証明したこととあります。  新聞報道によりますと、カネボウの粉飾決算が発覚したのが平成十六年十月であるにもかかわらず、金融庁公認会計士三名が起訴されました平成十七年十月から調査に入っていたとありますが、この辺りの事実関係についてまずお伺いいたします。  個別事案についてはお答えになりにくいかもしれませんが、粉飾決算の発覚から、金融庁としてもう少し迅速な対応ができたのではないかと思います。  そこで、これまでの処分事案について、過去平均的にどの程度の期間が掛かっているのか、またこれに短縮するような方向での取組が進められないか、併せてお伺いいたします。
  320. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 恐縮でございます、個別事案の調査過程の詳細についてお答えをすることは差し控えさせていただきたいと存じますが、当庁といたしましては、日々広く情報収集等を行います中で、公認会計士法上、虚偽証明等の法令上問題となる事実があると思料されるときは、監査法人等がどのような監査を行ったのかについて関係者に対する審問等の調査を行うこととしているところでございます。  次に、証券取引等監視委員会におきましても、公認会計士等に犯則事件の嫌疑があれば、必要な犯則調査を行っているところでございます。  今回のカネボウ事件でございますが、証券取引等監視委員会における調査が行われ、その結果として、カネボウの会計監査人である公認会計士四名について、虚偽記載罪に係る共同正犯の事実が判明したとして昨年九月に告発が行われているところでございます。  金融庁といたしましても、平成十七年五月に、カネボウによる訂正報告書の提出を受けまして、訂正経緯等について中央青山監査法人に対しまして公認会計士法上の報告徴求を行いましたほか、十月に会計士三名が起訴された直後からは、関係者に対する審問を行うなど、必要な調査を行ってきたところでございます。  処分に要する期間につきましては、事案によって様々でございまして一概に申し上げることは困難でございますが、今後とも、法令に照らし問題となる事案があれば、こうした方針の下で適切に対処してまいりたいと考えております。
  321. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 中央青山監査法人の業務停止期間中の監査のため、一時監査人を探さなくてはならない企業が多数あるかと思われます。報道によりますと、法務省は、一時監査人を適切な時期に見付けられなかった企業に対し処罰は今回は行わない方針のようですが、今後同じような事案が起こる可能性を考慮し、監査人の変更等がスムーズにできるような体制整備するためには金融庁はどのような方策をお考えなのか、お伺いいたします。  例えば、中小の監査法人にある程度の規模を持つように合併を促したり、監査の断絶を防ぐ枠組みを設けるなどにより監査法人の交代を円滑にするという方法も一つには考えられるのではないかと思いますが、この点、金融庁の見解をお伺いいたします。
  322. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 御指摘のとおり、今回の業務停止処分に伴いまして、株主総会で会計監査人の変更を決議しない場合に、中央青山監査法人が七月に会計監査人の資格を失うことになることは事実でございます。その場合、会社法の規定によりまして、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監査役は、一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならないこととなっております。  監査人の変更、一時会計監査人の選任につきましては、基本的に、まず第一義的に各企業において実情に即した判断が行われることが望ましいと考えておりますが、日本公認会計士協会においても相談窓口が設けられているところでございます。私どもの方としても相談窓口等も開いているところでございますが、こういったことも活用しながら、企業において真剣に検討いただきたいと考えているところでございます。私どもとしても、その動向については十分注視してまいりたいと考えております。  なお、中小監査法人の合併の話でございますが、これはやはり基本的にはそれぞれの経営判断にゆだねられるものでありまして、当庁といたしましては、それを直接あっせん、促進するようなことは考えておりませんけれども、監査法人制度全体の在り方につきましては、今後ともいろいろな形から検討してまいりたいと思っております。
  323. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今回のその処分を受けて、中央青山監査法人と業務提携を行っているプライスウォーターハウスクーパースは新たに監査法人を設立するようですが、今後その監査法人に対する同様の処分があった際に、その顧客や社員がそのまま新しく設立される監査法人に流れ込むということになれば、いわゆる受皿法人となってしまう可能性があると思われます。そうしますと、監査法人の業務停止処分は単なる看板の付け替えにすぎず、処分の効果が十分に表れないおそれがあるのではないかという懸念が生じます。  今回の事案について当初そのような見方もありましたが、まず、今回の新法人についてどのように対処をされるのか。また、今後その処分を行った場合の新法人の設立や会計士の移籍などに何らかの条件などが設けられることは考えられないか、お伺いいたします。
  324. 後藤田正純

    大臣政務官後藤田正純君) お答え申し上げます。  委員御指摘の御懸念はあってはならないことだと思っております。しかしながら、その具体的な姿につきましては、まだ明らかとはなっておりません。仮に、単に器が替わるだけということになりますと、御指摘のような御批判が当然あり得るということでございますので、新法人がもし設立されるのであれば、監査の質がどのように確保されるのかを我々としても注視していきたいと考えております。  なお、御懸念の監査法人の社員の問題でございますが、公認会計士法におきましては、業務停止処分を受けた監査法人の社員は、業務停止期間が明けるまでは他の監査法人の社員となることはできないということとされておりますことを申し伝えたいと思います。
  325. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、自民党において監査法人への刑事罰や課徴金制度の導入検討していくということが確認されたという報道もございますが、その一方で、実務家や学識経験者などからは、監査法人への刑事罰適用については慎重な意見も出てきているようです。金融担当大臣はこのような考え方について、どう評価されていらっしゃるのか、お伺いいたします。
  326. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 会計監査の信頼を確保する観点から、監査法人に対する刑事罰や課徴金を科すことは検討すべきとの議論があることは承知をしております。また、証券取引等監視委員会からも先般、四月二十一日、民事・行政責任のほか刑事責任を含めた監査法人の責任の在り方について総合的な検討を行うよう建議を受けているところでございます。  一方、一般論として申し上げれば、新たに刑事罰等を設けることについては法制的に十分慎重な検討を要する、そのように考えております。  金融庁としては、金融審議公認会計士制度部会を再開し、監査法人制度等の在り方についての総合的な検討に着手したところでございまして、今後、同部会において幅広い観点から御審議をいただきたいと考えております。
  327. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今回の業務停止処分につきましては解散命令に等しいとの声もあるようですが、また大手監査法人への業務停止処分は監査対象の企業などに対して大きな混乱を招く可能性のあることが今回の処分からも明らかになったと思われます。  今後、その処分の程度を様々な段階に分ける必要があるのではないか、例えば業務改善命令などをつくるべきではないかとも考えられますが、金融庁の御見解をお伺いいたします。また、課徴金などの経済的制裁は監査対象企業への影響が少ないという意味でも効果的と考えますが、いかがでしょうか。
  328. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 監査法人に対する行政処分の在り方について、御指摘のように現行法制の枠組みにおける戒告や業務停止等以外に何らかの措置を設けるべきではないかといった御議論があることは承知をしております。このような論点も含めまして監査法人制度等の在り方については、今後金融審議公認会計士制度部会において幅広い視点から御審議をいただきたいと考えております。  なお、現行の法令においても、監査法人が法令に違反したとき、又は監査法人の行う監査証明業務が著しく不当と認められる場合において、同法人の業務の適正な運営を確保するために必要であると内閣総理大臣が認めるときは、同法人に対して必要な指示ができるとされており、必要があればこうした措置も活用していきたいと考えております。これは、公認会計士法第三十四条の二十一の規定でございます。
  329. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 よろしくお願いいたします。  次に、米軍再編に係る閣議決定についてお伺いいたします。  防衛庁の額賀長官は、名護市の島袋市長とのキャンプ・シュワブ沿岸への移設合意、これは二本の滑走路をV字型とする新沿岸案ですが、その合意においてさきのその閣議決定を踏まえると確約し、さらに稲嶺知事との基本確認書においても同様にさきのその閣議決定を踏まえるという文言が明記されています。  そこで、防衛庁に伺いますが、今回の閣議決定ではさきの閣議決定を廃止するとありますが、なぜ廃止としたのか、明確な御説明をお願いいたします。
  330. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) お答えいたします。  先生御指摘の平成十一年の閣議決定であります普天間飛行場の移設に係る政府方針でございますけれども、これにつきましては、この飛行場をキャンプ・シュワブ水域内の名護市の辺野古沿岸域に移設するとの方針の下で安全・環境対策や地域の振興等について規定していたものでございます。  他方、去る五月三十日の閣議決定につきましては、政府としては従来の普天間飛行場代替施設の案を変更いたしまして、この五月一日に日米安全保障協議委員会において承認された案を基本として、政府、沖縄県及び関係地方公共団体の立場や普天間飛行場の移設に係る経緯を踏まえましてということと、それからまた具体的な代替施設の建設計画、安全・環境対策及び地域振興につきましては沖縄県及び関係地方公共団体と協議機関設置して協議して対応することとしております。  このように、今般の閣議決定につきましては、従来の政府方針に代わるものとしての位置付けを明確にするとの観点から従来の政府方針を廃止する旨を明示したものでございます。
  331. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 よく分からない答弁なんですが。  次の質問もさきの閣議決定と関連いたします。  普天間飛行場の移設に係る政府方針においては、基地の使用協定の締結も明記されていました。住民の生活に重大な影響を与える事態は基地への立入りや基地司令官への申入れ等を内容とする使用協定の締結ですが、ところが、今回の閣議決定ではこの使用協定の締結が削除されています。この点につきまして島袋市長は、使用協定の締結は確約済みとの認識を示しており、使用協定の文言が削除されていることに不満を表明し、改めて要求したいというふうに発言しています。  基地の使用協定の締結は、住民側からいたしますと日常生活を守るよりどころでありますし、基地被害から命と暮らしを守るための手だてになります。このような地域住民にとって重要な事項をなぜ削除したのか疑問であります。  そこで、基地の使用協定の締結を削除したその理由、何でしょうか、説明をお願いいたします。
  332. 渡部厚

    政府参考人(渡部厚君) お答えいたします。  使用協定の件でございますけれども、五月三十日の閣議決定におきましては、普天間飛行場の移設について五月一日のいわゆる2プラス2において承認されました案を基本といたしまして、政府、沖縄県及び関係地方公共団体の立場並びに普天間飛行場の移設に係る施設、使用協定、地域振興等に関するこれまでの協議の経緯を踏まえて進めることとしておりまして、御質問の使用協定にもこの部分で言及しているところでございます。  また、普天間飛行場の代替施設の使用協定につきましては、去る四月七日に名護市長と防衛庁長官の間で締結いたしました基本合意書におきまして、政府は、平成十四年七月二十九日に合意した代替施設の使用協定に係る基本合意書を踏まえ、使用協定を締結するものとするとされているところでございまして、今申し上げました閣議決定あるいは基本合意書を踏まえまして、今後適切に対処してまいりたいと考えております。
  333. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今後適切に対処していくというふうにおっしゃっていらっしゃいますが、なぜ沖縄県側が望んでいる使用協定の締結を明確にその文言の中にお書きになれないんでしょうか、再度お伺いいたします。
  334. 渡部厚

    政府参考人(渡部厚君) これは、今回の閣議決定につきましては、平成十一年の閣議決定と異なりまして、普天間飛行場の代替施設の建設というところに限定したものではございません。そういう関係もございまして、先ほど触れましたように、使用協定というところには触れておりますけれども、平成十一年の閣議決定の書きぶりとは違っているということでございます。
  335. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今回の閣議決定では沖縄県や関係市町村との協議機関設置が書き込まれていますが、沖縄県や名護市は既にこの協議機関への不参加を表明しています。この事態はいかに閣議決定が地元の意向を無視したものであるかを物語っています。  先ほども御質問いたしましたけれども、使用協定のその文言も明言をしていないという、その一つから取り上げましても、正に地元の不満というのが、この協議機関への不参加を表明しております。協議機関設置し、協議していくといっても、沖縄県と名護市が不参加では協議のしようもありません。このことから考えましても、沖縄県と名護市が不参加の場合、どのように対処していかれるのか、お伺いいたします。
  336. 渡部厚

    政府参考人(渡部厚君) お答えいたします。  協議機関への参加ということでございますけれども、先般の閣議決定におきましては、普天間飛行場代替施設につきましては、具体的な建設計画、安全・環境対策及び地域振興については、沖縄県及び関係地方公共団体と協議機関設置して協議し、対応するものとするというふうに規定されているところでございます。  それで、沖縄県と名護市の対応ということでございますけれども、五月三十日の米軍再編に関する閣議決定に関しまして、稲嶺沖縄県知事は同日、記者の求めに応じまして、いわゆるぶら下がり取材でございますけれども、そこで、閣議決定は政府がなされることであり、国の考え方であることは十分理解。二つ目としまして、県は基本的な考え方を今後とも主張していく。三番目としまして、協議の場については関係市町村と連携を取りながら話をしていく旨を述べておられます。  また、島袋名護市長は協議機関参加する旨を述べておられたということを承知しておりまして、政府といたしましては、四月七日の名護市及び宜野座村との基本合意書、それから五月十一日の沖縄県との基本確認書を踏まえまして、沖縄県、名護市等の関係地方公共団体と様々なレベルで協議を行ってきたわけでございますが、それぞれの立場を踏まえて今回の閣議決定を行ったというものでございます。  今後とも、沖縄県、名護市及び宜野座村との確認あるいは合意した内容の実現を図るために、引き続き協議を続けるとともに、今回決定しました閣議決定の内容を着実に実施してまいりたいと考えております。
  337. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今回の閣議決定によりますと、普天間飛行場の危険性はそのまま放置され、住民の命と暮らしを守ることができません。もし再び米軍ヘリや飛行機の墜落事故が起きた場合、だれがその責任を負うのでしょうか。政府はそのことを肝に銘じていただきたいと思います。  沖縄県の稲嶺知事は、この閣議決定に対するコメントの冒頭、県や地元関係市町村と十分な協議が行われたとは言えない中でこのような閣議決定がなされたことは極めて遺憾であると不満を表明しております。名護市の島袋市長も同様に、納得できないとしております。なぜ、地元との調整が不十分なまま閣議決定を急いでいるのでしょうか。理解できません。地元との調整を最優先させるべきであり、十分な協議を尽くして地元の意向を反映させてこそ協力が得られると思います。その点、今回の閣議決定は手順において重大なミスを犯していると思います。  一九九九年、平成十一年の閣議決定「普天間飛行場の移設に係る政府方針」と比較しても、今回の閣議決定は地元との協議や、それから調整や内容等において明らかに後退しています。全く地元の意向が反映されない、そういう状況で県民の声を無視して進められた閣議決定であるということを強く申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  次に、米軍基地の環境汚染問題についてでありますが、具体的な米軍基地の環境汚染で四つの事例をまず挙げますと、一点目に、一九九九年、読谷村の嘉手納弾薬庫の一部返還地域から六価クロムが検出されました。地主からの再調査の依頼について、当時の野中広務沖縄開発庁長官は、参議院行革特別委員会の中で照屋寛徳氏の質問に対して、調査は米軍の使用実態を考慮して適切に実施されており、再調査を行う必要はないと答弁されました。このような米軍側の意向に沿った政府側の答弁は今も過去も変わっておりません。  二つ目は、以前にも質問いたしましたが、アメリカの海兵隊のキャンプ・コートニー、これは沖縄県うるま市にございますが、ここでの鉛汚染の発覚であります。この汚染問題は、日米合同委員会の下にある環境分科委員会のテーブルにはのっているようですが、この詳細は明らかにできないとして、沖縄県の基地への立入調査にしても、国の回答はありません。私の質問主意書に対して、この答弁の内容ですが、これを公にすることは合衆国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあるとして、このことに対しての答弁がございません。  三つ目は、二〇〇三年に返還されましたキャンプ桑江北側跡地の方から砒素や鉛や六価クロムが検出されました。環境基準値の二十倍を超える鉛を始め、特定有害物質の砒素や六価クロムが含まれています。  そして四つ目は、旧米軍恩納通信所でございますが、そこからPCBが発見されて、現在、自衛隊の恩納分屯地に収納されております。  以上、いろいろ挙げましたけれども、これ以外にもまだあらゆる汚染問題がございます。政府はその汚染処理問題について取り組まれておりますが、問題は、その環境汚染の実態であります。  そこで防衛庁にお伺いいたしますが、この四つの事例を含め、政府として掌握されている環境汚染の件数を教えていただきたいと思います。
  338. 渡部厚

    政府参考人(渡部厚君) お答えいたします。  防衛施設庁といたしましては、在日米軍施設・区域の提供、返還等を所掌する立場から環境問題について取り組んできているところでございますが、このため、施設・区域からの環境問題につきましては、累次の機会に米側に対しまして、環境保全へ配慮するよう、さらには環境汚染事故が発生しました場合には再発防止等の適切な措置をとるよう申し入れているところでございます。  また、当庁におきましても環境問題に対して対策を講じているところがございまして、御質問の主な環境問題の例といたしましては次のようなケースがございます。  まず、現在提供している施設・区域につきましては、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン及びギンバル訓練場におきまして、これまで米軍の訓練等によりまして訓練場内の一部が荒廃し、降雨時に、雨が降った場合に周辺河川等へ赤土流出が発生していたところ、昭和五十二年度から赤土流出防止のための緑化工事等の障害防止事業を実施いたしております。  次に、キャンプ瑞慶覧におきましては、これまで米軍の運用等によりまして河川等への油流出事故が発生していたところ、平成十一年度から平成十二年度にかけまして油流出事故の防止のための油分離施設を設置いたしております。  なお、キャンプ・コートニー水域につきましては、平成十三年二月、報道等によりましてクレー射撃の鉛弾によるヒジキの鉛汚染問題が指摘されたところでございますけれども、平成十四年六月の日米合同委員会環境分科委員会日本関係者、関係省庁によります調査の結果、食品衛生上の観点からは人の健康に影響を与えるものではないということを確認されております。  以上、現在提供しております施設・区域につきましては五件ということで把握しているところであります。  他方、既に返還された施設・区域につきましては、これらにつきましては返還に伴う原状回復措置を行っているわけでございますけれども、こうした返還の跡地におきまして土壌汚染等が発見されました場合には、国の責任におきまして適切に処理しているところでございます。  具体的には、平成十一年三月に一部返還されました嘉手納弾薬庫地区跡地におきまして、先生御指摘のように同年六月に六価クロム及び鉛が検出されております。  また、昭和五十六年十二月に返還されましたキャンプ瑞慶覧跡地におきましては、平成十四年一月にドラム缶あるいはタール状物質の漏出が発見されました。  また、平成十五年三月に一部返還されましたキャンプ桑江跡地、それから陸軍貯油施設の跡地におきまして、同年の十一月以降、鉛、砒素、六価クロム及び油分土壌、油でございますが、油分土壌が確認されております。  これらにつきましては、いずれも国の責任におきまして適切に処理したところでございます。  なお、先生御指摘ございました恩納通信所跡地でございますけれども、ここにつきましては建物等の取壊し工事を実施しておりましたところ、平成八年三月に汚水処理槽内の汚泥から基準値を超えるPCB及び水銀等が検出され、当該汚泥につきましては、現在、航空自衛隊の恩納分屯基地において適切に保管しているところでございますが、当該返還跡地における土壌汚染等調査の結果、土壌及び水質からは特定の有害物質による汚染は確認されておりません。  以上のように、返還されております施設・区域につきましても五件把握しているところでございます。
  339. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今、環境汚染の実態を御紹介いただきましたけれども、実際にこういう返還された跡地、そして現在米軍が使用している基地の中にもかなりの環境汚染がございます。  環境省の方も、日本環境管理基準という環境マニュアルに沿っていろいろやっていると伺っておりますけれども、環境省の働きもさることながら、やはり現在の、今の環境基準の中において、返還された跡地からのこういう問題、国が実際にその処理を、クリーンアップとしての処理を行っていくという状況ではございますが、実際に地元の県民が使用する段階になって発見されていくような環境汚染の実態もございます。  これ以上この沖縄県に新たな基地被害、環境問題、あらゆることを米軍の基地が存在するために押し付けていくようなことは決してやっていただきたくない、そんな思いも込めて、今回の閣議決定の在り方、そしてこれから米軍再編にかかわる沖縄県の基地負担、これ以上の負担は本当に納得できないという思いを込めて質問させていただきました。  ありがとうございました。
  340. 池口修次

    委員長池口修次君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時一分散会