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2006-05-30 第164回国会 参議院 財政金融委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月三十日(火曜日)    午前九時三十一分開会     ─────────────    委員の異動  五月三十日     辞任         補欠選任      尾立 源幸君     前川 清成君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         池口 修次君     理 事                 岩井 國臣君                 田村耕太郎君                 中川 雅治君                 櫻井  充君                 峰崎 直樹君     委 員                 泉  信也君                 田浦  直君                 田中 直紀君                 鶴保 庸介君                 野上浩太郎君                 溝手 顕正君                 若林 正俊君                 尾立 源幸君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 富岡由紀夫君                 平野 達男君                 広田  一君                 前川 清成君                 荒木 清寛君                 山口那津男君                 大門実紀史君                 糸数 慶子君        発議者      櫻井  充君        発議者      富岡由紀夫君        発議者      平野 達男君        発議者      広田  一君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君    副大臣        内閣府副大臣   櫻田 義孝君        経済産業大臣  松 あきら君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        後藤田正純君    事務局側        常任委員会専門        員        藤澤  進君    政府参考人        内閣府政策統括        官        高橋  進君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        防衛施設庁施設        部長       渡部  厚君        金融庁総務企画        局長       三國谷勝範君        金融庁総務企画        局総括審議官   中江 公人君        金融庁監督局長  佐藤 隆文君        金融庁証券取引        等監視委員会事        務局長      長尾 和彦君        金融庁公認会計        士・監査審査会        会長       金子  晃君        外務省北米局長  河相 周夫君        農林水産大臣官        房審議官     佐久間 隆君        経済産業省商務        情報政策局消費        経済部長     谷 みどり君        環境省水・大気        環境局長     竹本 和彦君    参考人        日本銀行総裁   福井 俊彦君        日本郵政公社執        行役員      池田 修一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○金融商品取引監視委員会設置法案櫻井充君外  五名発議) ○証券取引法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○証券取引法等の一部を改正する法律施行に伴  う関係法律整備等に関する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 池口修次

    委員長池口修次君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  証券取引法等の一部を改正する法律案証券取引法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び金融商品取引監視委員会設置法案の三案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁総務企画局長三國谷勝範君外十名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 池口修次

    委員長池口修次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 池口修次

    委員長池口修次君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  三案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 池口修次

    委員長池口修次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 池口修次

    委員長池口修次君) 金融商品取引監視委員会設置法案議題といたします。  発議者広田一君から趣旨説明を聴取いたします。広田一君。
  7. 広田一

    広田一君 私は、民主党・新緑風会の提出者を代表して、ただいま議題となりました金融商品取引監視委員会設置法案につきまして、その提案理由及び内容概要について御説明を申し上げます。  貯蓄から投資へ、間接金融から直接金融への流れを加速させることは、我が国経済活性化を図る上で必要であります。  しかしながら、ここ数年来、証券市場に係る不祥事あるいは混乱がマスコミ等で報道されない日はありません。ライブドア事件に象徴されるように、多くの証券不祥事個人株主に多大な損害や不安を与えてきました。こうした状況では、一部デイ・トレーダーを除いて多くの国民は安心して市場参加することはできません。市場に厚みを加え公正な価格形成を図るという意味からも多様な投資家参加が望まれるところであり、そのためにも、証券市場監視監督機能強化が求められている次第であります。また、投資に対するトラブルは口座開設数割合から見ても商品先物が圧倒的に多いのが実情であり、この分野での監視体制強化も急務であります。  現在、金融庁に属する証券取引等監視委員会は、いわゆる八条委員会と位置付けられ、自らが行政処分を下すことができません。また、発足から十数年を経過した現在においても、その活動を支える人材の確保が十分になされているとは残念ながら言えません。市場に精通したエキスパートを育成するためには、人事権を持つ独立した行政機関とする必要があります。人材の育成、体制整備なくして、今後見込まれる金融業の幅広い融合や国際化の中にあって急速に変化する金融市場の適切かつ十分な監視は到底できません。  政府は、今回の証券取引法等改正案において幾つかの前進は見られるものの、それだけでは十分ではありません。私たちは、有価証券投資者等に対する保護のためにも、また、公正で透明な市場の達成のためにも、現在の証券取引等監視委員会を根本から改革、強化し、英国に見られる金融当局から独立したFSA金融サービス機構のような組織を構築することが必要であると認識しております。  ここに、独立性が高く、かつ幅広く金融商品取引監視する権限の強い機関を創設し、金融商品取引における投資者等の横断的な、かつ統一の取れた同レベルの保護を図っていく必要性がこれまで以上に高まったと確信をし、金融商品取引監視委員会設置法案を提出した次第であります。  以下、内容概要を申し上げます。  第一に、証券取引金融先物取引その他これらに類似する取引の公正を確保し、有価証券投資者及びこれに準ずる者の保護を図るとともに、有価証券流通等円滑化を図るため、内閣府の外局として金融商品取引監視委員会を設置することとしております。この委員会はいわゆる三条委員会として位置付けられ、自ら行政処分を行う権限を有することとなります。  第二に、金融商品取引監視委員会所掌事務のうち、その主なものは証券会社等検査その他の監督に関すること、有価証券報告書等審査及び処分に関すること、公認会計士及び監査法人に関すること、証券取引法の規定による課徴金に関すること等でありますが、今回提出した法案におきましては、信託受益権販売業抵当証券業及び商品投資販売業も範囲に含めるほか、商品先物取引における投資者保護を十分なものとすることが早急に求められていることにかんがみ、商品先物に関する検査監督権限を加えることとしております。  また、委員会は、証券取引商品先物等金融商品取引に係る犯則調査権を持つこととしております。  今後、銀行、保険、証券等業務の垣根が低くなり、一体的な金融行政必要性が高まることが予想されますが、それに対応して、将来、金融取引全般に関する監督監視業務への移行も視野に入れ、企画立案機能金融庁に留保しつつ、監督監視機能強化に特化させた内容といたしました。  第三に、金融商品取引監視委員会委員長及び委員は、独立してその職権を行うこととしております。  第四に、金融商品取引監視委員会は、委員長及び委員四人をもって組織し、委員長及び委員は、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとしております。  第五に、委員会事務局を置くこととし、事務局には証券取引法に規定する課徴金に係る事件についての審判手続を行う審判官を置くとともに、地方機関として、所要の地に地方事務所を置くこととしております。  以上が本法律案提案理由及びその概要であります。  独立性の高い金融商品取引監視委員会の創設は、金融取引における市場参加者の不公正取引に対する抑止力になるとともに、不公正な取引を行った者に対して機動的かつ的確に処分を行うことができるようになり、公正、透明な市場の確立につながることを確信をいたしております。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますよう心からお願いを申し上げます。  以上です。
  8. 池口修次

    委員長池口修次君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  証券取引法等の一部を改正する法律案証券取引法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び金融商品取引監視委員会設置法案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 田中直紀

    田中直紀君 自由民主党の田中直紀でございます。  証券取引法等の一部を改正する法律案について、質問をさせていただきたいと思います。  まず、この法案趣旨説明の中に貯蓄から投資ということで市場機能強化をうたわれておるわけでありますが、我が国家計部門貯蓄の方を質問をいたしたいと思いますが、我が国家計部門貯蓄率低下の問題がございます。金融分野におきましては、規制緩和を進め、いわゆる商法を改正し、あるいは会社法施行をされました。貯蓄から投資という掛け声の下に金融商品は大変多くなってきたわけでありますけれども、日本家計貯蓄率は、御存じのとおり、八〇年代は二〇%ございましたけれども、二〇〇一年には五%になり、あるいは二〇〇四年には二・八%に急落しておると、こういう状況でありまして、いわゆる投資家の一翼を担う一般方々といいますか国民は、大変そういう面では投資する余裕がなくなっておる生活実態ではないかと、こういうふうに感じるところでございます。  超低金利政策貯蓄率低下に至っておるんではないかと、こういう関係がありますので、まず、日銀総裁お出掛けでございます、どうもありがとうございます。まず第一に、超低金利政策がこの貯蓄率低下にどういうふうに関係しておるか、これが第一点でございますし、またこの低下我が国経済にどういう影響を及ぼしておるか、こういう点につきまして、二点につきましてまず総裁に伺いたいと思います。
  10. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) お答えを申し上げます。  委員指摘のとおり、日本家計貯蓄率でございますけれども、過去を振り返ってみますと、長い目で見て低下傾向にあるということは御指摘のとおりでございます。  私ども、その分析も及ぶ限りやっておりますけれども、基本的には、やはり日本人口構成高齢化人口構成の中で高齢化世帯割合が増えるにつれ貯蓄率が下がっているということが明確に認められます。しかし、最近数年の動きを見てみますと、それだけでは説明できないより大きな幅で貯蓄率が下がっているということがございます。なかなかそこのところを正確に突き止めることは難しいんですが、高齢世帯だけでなくて中堅世帯、これは比較的安定的な貯蓄率でございますが、若い世帯貯蓄率をかなり下げている、つまり消費性向を上げていると。不況の中にあって所得見通しが余り良くなかったときも、一方でやはり魅力的な商品がどんどん出るということで、若い世帯は結構消費をし続けていた。最近のところは、景気回復傾向の中で将来所得見通しに対する明るさが出てきて消費者マインドが好転し、つれて新商品等に対する支出が一層増えているというふうなつながりの下で、こういう現象が起こっているというふうに思います。  低金利政策影響という意味では、様々な所得の中で利子所得が非常に細っているというふうなことが、これに直接、間接影響がある可能性はもちろんございます。長い目で見て、こういった問題はすべて正常化方向にあると思いますけれども、日本経済にとりまして、これから先は経済景気回復局面が大変長くなりまして、これからも長くしていくと。経済成熟段階に入ってまいりました。経済牽引力は、民間部門において設備投資よりは個人消費経済を引っ張ってもらわなきゃいけない状況消費者が将来に対して明るい見通しを持ち、マインドも明るくなり、貯蓄率を下げながらでも消費に対するマインドが強いということは当面経済動きと非整合な動きではないと、こういうふうに考えております。
  11. 田中直紀

    田中直紀君 今のお話の中で、高齢化の進展に伴って貯蓄率の数字が非常に低くなっておると、こういう御説明一つございましたが、勤労者家計の可処分所得はこの五年間で四・三%減少してしまいました。中堅の方が安定をしておると、こういう御判断発言がありましたけれども、やはり働き手が所得が減ってきておると、こういう事態でありますから、当然その貯蓄率低下というものに大きく影響をしておるんではないかなと、こういうふうに思いますし、御指摘のとおり、超低金利政策の下で家計の利息は、利子低下しておるわけでありますから影響はあろうかと、御指摘現象内容だと思います。  そして、高齢者が増えてきておりますけれども、私は残念ながら、貯蓄を取り崩してきておるということは非常に肌で感じるわけでありますし、近い将来貯蓄率はゼロやマイナスになるんではないかという予想も既に出てきておるわけでございまして、そういう面では、長期的に金融市場逼迫にもなると、こういうことも言われておるわけでありますので、総裁、その辺の長期的な展望において、この問題、どういうふうにとらえられているか、もう一度御答弁をお願いします。
  12. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 長期的というお話でございますので、この先やや長い目で見た場合、金融政策正常化方向性は更に進むと。今、家計部門所得の中身を見てみますと、代表的なものとして賃金所得、それから利子所得、それから株式を持っておられる方は配当所得というふうなことがございます。景気回復とともに賃金所得そして配当所得は徐々に既に回復過程に入っている、利子所得だけが回復過程に入るのがやや遅れているという状況でございます。長い目で見て、金融正常化が進めば、こうした三つの所得源泉はそれぞれバランスの取れた形で回復していくということがございます。  それから、経済全体との関係で、長期的には、やはり貯蓄投資源泉でありますので、非常に大事だということは言えると思いますけれども、経済がグローバル化しております中でこのことを改めてとらえますと、やはり企業部門が常に先行的にイノベーションを進め新しい魅力的な商品サービスの開発の可能性というものを広げていく、そのことによって内部の貯蓄も動員し、外部の貯蓄も招き寄せられるような魅力的な投資機会を次から次へと提供していくと、ここが生命線になってくると、そういうふうに思っております。  国内の貯蓄がベースとして非常に大事だということは委員指摘のとおりでございます。
  13. 田中直紀

    田中直紀君 その辺を注意深く見ていただきまして、政策を遂行していただきたいと思いますし、これ以上貯蓄率低下していくということになりますと、当然金融市場逼迫もあろうかと思いますし、また経常収支の問題、そしてまた国債の引き受け手一般方々状況も変わってくると思いますので、国民経済に、あるいは勤労者生活者に目を向けていただいて、日銀も定量的な分析を是非行っていただきたいと思います。  せっかくお出掛けいただきましたので、ゼロ金利政策解除の問題に若干触れさせていただきますが、総裁は、ビハインド・ザ・カーブにならないように金利水準はゆっくりと調整するとの先般の御発言がございました。この解除の対応につきまして、前の発言の中で、当座預金残高を慎重に削減している中で所要準備額六兆円は政策判断一つ基準ではないかというような御発言も以前あったわけでありますが、その点、所要準備額六兆円という目標削減をしてこられておるようでありますけれども、その辺がやはり一つ大きな判断基準になるんでしょうか。内閣府のデフレ脱却判断というものには左右されないと、こういう御発言もありましたので、日銀独自に御判断をされるんだと思いますが、その辺、最近の状況をお伺いいたしたいと思います。
  14. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) お答えを申し上げます。  この委員会でもたしかお答えした覚えがございますけれども、確かに現在当座預金残高削減過程を進めております。かなり低くなってまいりまして、間もなく十兆円という残高を割ろうかというふうなところまで来ております。  以前の、昔のと申しますか、かなり以前の短期金融市場と違いまして、市場を構成しているメンバーとか市場を構成しているメンバーそれぞれの資金繰りの構造というものが随分変わってきておりますので、今委員がおっしゃいましたような五、六兆円というふうないわゆる準備預金制度に基づく所要準備額水準に短期的に一挙に行けるかどうかというふうな、金融市場における取引の慣れの問題がございますので、それは一挙に行けるかどうか分かりません。しかし、一応当面の、何と申しますか、削減でき得る現実的な下限というところにはもうしばらくすると行くんではないかと。したがって、ごく短期的に当面という期間を置きますと、削減について、削減した結果の残高についてこれの何かターゲットを持っているというふうなことはございません。と同時に、ゼロ金利政策脱却するかどうかということと、こうしたある残高水準当座預金残高が到達するかどうかということとは全く別の問題と、ゼロ金利政策をいつ脱却するかどうかは今後の経済物価情勢次第であり、事前に我々としては予断を持っていないということを繰り返し申し上げているとおりでございます。  四月末に展望レポートを出させていただきまして、この先二年間ぐらいの経済見通し日本銀行の標準的な見通しを出させていただきまして、これは持続的な日本経済の成長に平仄の合った見通しであるので、こういうふうに経済現実に推移するならば、適切にゼロ金利脱却のタイミングを我々は突き当てることができるだろうというふうに申し上げました。現在もそういう状況でございます。
  15. 田中直紀

    田中直紀君 ゼロ金利解除につきまして大変御苦労され、また適切な判断をされるという信頼を持っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  超低金利政策で、先ほどお話しさせていただきましたように、大変生活は疲弊しておるというのが一般状況ではないかと思いますし、一方で、最近は大手銀行は好決算をしたと、こういう報道もされておるところでありますので、私個人の見解でありますけれども、やはりゼロ金利解除は早い時期が妥当ではないかというふうに思料しておるところでありますが、銀行状況も報道されておりますが、日銀としてこの状況を、コメントがありましたらちょっとお願いいたしたいと思います。
  16. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 金融機関の収益は直近の決算等で非常にすばらしいものがあると、委員指摘のとおりでございます。また、家計部門所得状況を見ておりますと、利子所得回復が遅れていると、これも事実でございます。ただ、ゼロ金利政策からの脱却、今後の金利政策の展開につきましては、私どもの目標は、やはり持続的な日本経済の拡大というものをきちんと金融面からサポートしていくと、ここに尽きるわけでございまして、今御指摘にありましたような金融機関状況家計部門状況十分念頭に置きながらも、ようやく量的緩和政策からの脱却ができた程度に、企業部門回復もすばらしいんですけれども、やはり全体を見てみると、少し俗な言い方ですが集中治療室からようやく脱却してきたということでありますので、企業部門状況も丹念に見ながら、この企業部門金融部門家計部門、それぞれ全体がバランスの取れた形で、もうイザナギ景気を超えて更に伸びようというこの景気回復を本当に現実のものとしてつなげていくための判断というものを正確にやっていきたいと、そういうふうに考えております。
  17. 田中直紀

    田中直紀君 せっかくの機会なんで、もう一問で終わらせていただきますが、金融危機対策日銀が保有した株式取扱いにつきまして質問させていただきます。  二〇〇三年の九月までに大変株価が低迷したときに、日銀金融危機対策ということで大量の株式を保有をされておると思います。最近は株式も非常に上がってまいりましたから、含み益が出ておるのではないかと、こういうようなことも報道されておるわけでありますが、その売却というのは、やはり株式市場に与える影響というのはあろうかと思いますし、また利益の取扱いにつきまして質問をさせていただきたいと思います。
  18. 福井俊彦

    参考人福井俊彦君) 委員指摘のとおり、日本銀行では、異例の措置として金融機関から株式の買入れを行いました。持ち合い等に基づく金融機関株価変動リスクを回避すると、その軽減努力を促すというために必要やむを得ない措置として日本銀行が行った措置でございまして、買い入れました額も二兆百八十億円と、おっしゃるとおり大変巨額に上っております。  これの処分でございますが、平成十九年十月以降に開始をして、平成二十九年九月末までに終了するということになっています。要するに、株式を買い入れましてから大体五年ぐらい据置期間を置いて、その後十年ぐらいの幅を持ってスムーズにこの処理を進めたいということであります。  株式処分に当たりまして、既に二つの大きな方針を立てています。一つは、株式市場情勢を勘案しながら、ある程度の時間を掛けて、市場マイナスのインパクトを極力与えないと。つまり、市場に極力中立的に売っていくと、これが一つであります。もう一つは、日本銀行としてできるだけ売却損を被らないと。日本銀行売却損を被りますと、最終的には国家に御迷惑を掛ける可能性もありますので、できる限り売却損を回避すると。日本銀行は積極的に株でもうけようと思っているわけじゃないんですけれども、損をしますと大変御迷惑を掛けますので、そこはやはりプリンシプルとして守りながらやっていきたいと、こういう二つの原則を立てております。  まだ売却開始のときまで若干時間的余裕があります。具体的な処分方法はそれまでの間に、今後よく検討していきたいと、こういうことでございます。
  19. 田中直紀

    田中直紀君 どうもありがとうございました。  日銀関係は終わりますので、福井総裁、どうもありがとうございました。御退席ください。
  20. 池口修次

    委員長池口修次君) 総裁、結構です。
  21. 田中直紀

    田中直紀君 与謝野金融大臣にお伺いいたします。  日銀も今保有をいたしておりますが、政府もこの株式低下、株価が低いときに相当保有を国の関係でしているんだと思いますが、政府日銀も含み益として七兆円のこの含み益があるんではないかと、こういうふうに報道されておりますけれども、政府の方はどうされますでしょうか。
  22. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 政府の方でございますが、銀行等保有株式取得機構が株式を所有してございます。  現在、十四年二月から買取りを開始しまして、買取り額は現在のところ一兆五千八百六十八億円ぐらいとなっているところでございます。含み益につきましてはおよそ一・一兆円ぐらいあるところでございます。
  23. 田中直紀

    田中直紀君 この銀行等保有株式取得機構の株式でありますが、これは今も市場売却しているという状況になっておるんですか。
  24. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 現在、まだこれを売却する段階には至ってございません。こちらの方につきましても、ある程度買取り期間が過ぎましてから、時間を掛けまして売却していくことを考えているところでございます。
  25. 田中直紀

    田中直紀君 預金保険機構の分はどうなっているんですか。
  26. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 預金保険機構の方でございますが、これにつきましては、実際の処分で基本的に優先株式の含み益、これが毎年転換価格の見直しがなされまして、また算定の基礎となる株価は日々変動するものでございますので、こちらの方の含み益というのは日々変動するということにつきましては御理解いただきたいと思います。  なお、預金保険機構におきます公的資金の回収等につきましては、昨年十月二十八日に金融改革プログラムにのっとりまして、「公的資金の処分の考え方について」を公表したところでございまして、これに沿いまして今後とも適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
  27. 田中直紀

    田中直紀君 どうもありがとうございました。  この法案の罰則の強化について質問させていただきます。  経済犯罪を受けて厳罰化をしようと、こういう状況になっておりますけれども、経済事犯を裁く法律の適用でありますけれども、とかくこれは違法なのか適法なのかと、あるいは故意か過失になったのかというような境界の判断が非常に経済犯罪というのは難しいと聞いておりますし、最近の状況、大型事件と言われておりますけれども、何が虚偽記載か、風説の流布かと、こういう基準もはっきりしていないというようなことに思われているような下でのこの罰則の引上げという状況でありまして、私は経済活動に不必要な萎縮効果を与えてしまうんではないかという懸念を持っておりますけれども、大臣、見解いかがでしょうか。
  28. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) まず、罰則を強化するに当たっては法務省の意見を聞いていくわけですし、また法務省は刑の均衡という観点からいろいろ意見があるわけでございます。  十年という刑期というのは意外に日本の刑法の体系の中では長いわけでして、従来の考え方ですと、言わば身体犯とかそういうものに懲役十年というのは適用されていまして、なかなかこういう経済犯、形式犯と言うと言い過ぎなんですけれども、ここに十年というのはなかなかなかったわけでございますけれども、やはり投資家あるいは預金者、こういう方々保護するためには罰則を強化すべしという意見も非常に強く、今般、罰則の強化に踏み切ったわけでございます。これは先生御指摘のように、なかなか実は十年といっても厳しい刑罰規定を置いたということは先生御指摘のとおりでございます。  もう一つは、やはり人を罰するんであれば構成要件等もしっかりしてなきゃいけないじゃないかというのが多分先生の御質問の御趣旨だと思います。これは、百五十七条の規定を見ますと、やや通常の刑罰規定とは違って、ぼんやりとは言いませんけれども、不正行為という表現で「不正の手段」という言葉が使われております。  これは、構成要件がはっきりしていないために刑罰規定としては不完全ではないかという、そういうことを御指摘になる方がおられますが、これは最高裁の判例でもこの条文は間違っていないということでございまして、この最高裁の判例を読みますと、証券取引法第百五十七条第一項に言う「不正の手段」については、最高裁判例において、有価証券取引に限定して、それに関し社会通念上不正と認められる一切の手段を言うとされておりまして、さらに最高裁の判例は、文理上その意味は明確であり、それ自体犯罪の構成要件を明らかにしていると認められると、こういう判断をされておりますので、私どもとしてはこの最高裁の御判断に従って物を考えているわけでございます。
  29. 田中直紀

    田中直紀君 この法律におきましては四半期ごとに有価証券報告書を提出すると、こういう状況になっておるわけでありまして、企業活動の中で当然、最近は会社法施行もありました。各会社も株主総会に当たって定款の変更ということで大変忙しくやってきておるわけでありますが、四半期ごとの、三か月ごとの報告というのは非常に企業にとっては、大事な報告でありますけれども大変な作業になるわけでありますし、一方で、今百五十七条の御見解を述べていただきましたけれども、やはり企業の方々がそれを、この条文をきっちり理解をして、そしてそれに適合するように公認会計士の皆さん方と相談をしてやっていくということになりますと、大変私は混乱があるんではないかと、こういうふうに思いますし、風説の流布については、当然これは株式でありますから、今テレビなんかでも非常に経済問題取り上げられておりますが、メディアの報道がどういうふうにかかわってくるか、この法律によって、メディアをどういうふうに規律を持ってもらうか、あるいはそういう面ではこの経済事犯の中にその分野も問われるのか、こういう問題もあると思いますけれども、メディアの関係はどんな状況でしょうか。
  30. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) ただ、うわさを流すと犯罪になるというのは証取法の考え方ではありませんで、風説を流した上でやはり何らかの利益を得ようということと組み合わさった概念でございまして、そこのところはやっぱり厳格に書いてあると私は思っております。  メディアの方々がいろんな経済評論をするということは全くこれは自由であると思いますけれども、ただメディアの方々も報道人としての責任感を持ってやっていただかなければならないのはもう言うまでもなく当然のことであると思っております。
  31. 田中直紀

    田中直紀君 ちょっと質問飛ばしまして、公認会計士監査審査会長の金子会長にお出掛けいただいておりますので、質問させていただきます。  中央青山監査法人が所属会計士の不正で業務停止命令を受けたところであります。会長はインタビューの中で、昨年から監査法人を点検していただいておるというふうな中にあって、どの法人にも不正を防ぐ仕組みの不備が少なからずあったと、こういう印象をされておるわけでありますが、中央青山監査法人は上場企業八百社を監査しておりますし、とかく、これは世間のうわさに限るんではないかと思いますが、この監査法人はどうも何か不祥事を起こしそうなところもあるんだというようなことが聞こえてくるところもあります。  具体的に、やはりいい時期にどのような状況なのかということが、発表していただくことによって市場も安心をするところもあろうかと思いますし、きっちり監視をし、そしてまた正すべきところは正していくという姿勢に入れるんだと思いますが、ちょっと御見解をお願いいたしたいと思います。
  32. 金子晃

    政府参考人(金子晃君) お答えをいたします。  公認会計士監査審査会は、昨年十月に公表をいたしました四大監査法人に対する早急な検査等の措置の方針に基づきまして、現在、監査の品質管理の観点から中央青山監査法人を含む四大監査法人に対して検査を順次行っているところでございます。個別の検査状況につきましては発言を差し控えさせていただきたいと思いますが、四大監査法人検査が一巡いたしました段階で、これらの監査法人における監査の品質管理の全般的な実態について取りまとめ、六月末を目途に公表する予定でございます。  なお、ただいま御指摘のありました日経のインタビューでございますけれども、四大監査法人に対する検査の着眼点並びに検査の品質管理に問題が認められた場合に審査会がとり得る措置につきまして一般論を述べたものでございますので、そのように御理解をいただければというふうに思っております。  検査の結果については、ただいま申し上げましたように、六月末に概要を発表し、そして市場の信頼性を確保するように可能な限り努めていきたいと、こう考えております。
  33. 田中直紀

    田中直紀君 審査委員会業務もある程度限界があるという印象をちょっと感じましたけれども、カネボウの粉飾決算事件に関する、検査審査会は、立入検査だとか点検だとか、どういう手法で粉飾決算が行われたかというようなところは調査をされておるんでしょうか。
  34. 金子晃

    政府参考人(金子晃君) 先ほど申し上げましたように、我々審査会では、監査法人の品質管理体制がどうなっているかというところに着目をして検査をいたしております。公認会計士監査審査会は、その過程の中で、監査法人の品質管理体制がどうなっているかということを判断するために個別の監査案件についても検査を行っておりますけれども、それはあくまで法人全体としての管理体制を把握するためということでございます。  したがいまして、個別監査事案につきまして我々がその検査結果を発表するということは、これは我々の検査対象になっております監査法人並びにその監査対象である企業の事業活動に影響を及ぼすおそれもありますし、また、我々の検査を円滑に進行させるという点でも問題があるというふうに思いますが、現段階においては発言を差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしても六月末に検査概要については公表をいたす所存でございます。
  35. 田中直紀

    田中直紀君 金融大臣に伺いますが、中央青山監査法人は上場企業八百社監査をしておりまして、カネボウのこの粉飾決算から売上げを上げたというような報道されておりますが、そういう手法がこの監査法人個別だけだったのか、それともやはり八百社の上場企業が本当に大丈夫なのかというのがいまだに明確になっておらないというのは大変市場で心配されるわけでありますけれども、六月末まで待つといっても、品質管理を監査法人はどの程度やっているかということなんで、個別企業はどうなんでしょうか、おそれはないんでしょうか。
  36. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 当然、処分されるのは中央青山という監査法人でございまして、その顧客である各企業に何ら責められるべきとがはないわけでございます。したがいまして、処分に当たっては、当然そういうこの事案に全く関係ない人たちに何らかの重大な影響が及ぶということは私どもとしては避けなければならないということは当然考えてきたわけでございます。  もう一方では、処分は、やはりカネボウの刑事事件も進んでおりますし、そういうこととのタイミングの問題もございまして、実際には仕事ができなくなるのは七月、八月という時期でございます。ここは決算をやる会社は相当少ないというふうに我々判断しておりますし、またその七月、八月という抜けた期間は一次監査ということもできるようになっておりますし、またアメリカの市場に上場しているところはこれは除いているとか、顧客たるいろいろな企業に対する影響はゼロにはならないにしても、できるだけ考えられる範囲で極小化するというのが処分をするときの金融庁の物の考え方でございます。
  37. 田中直紀

    田中直紀君 そうしますと、八百社については虚偽がなかったと、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  38. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) そのお得意様である企業もいろいろ社内で今後の、監査法人とどうするかということは相当議論になっていると思いますが、今特段このことによって大打撃を受けたとか、そういう話は今のところ私ども把握をしておりません。
  39. 田中直紀

    田中直紀君 最近の経済事犯は規制緩和の進展に従ってルール違反と、こういうような新しい事犯が多いわけでありますので監査体制強化していこうという議論も起こっておるところでありますし、民主党も法案を今日出されたようでありますが、透明性高い運用をしながらも、やはりしっかりした監視体制というのが望まれるんだと思いますけれども、大臣、どのような御見解でございますか。
  40. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私、証券監視委員会、一応、金融庁の組織図を見ると何か金融庁の中にあるように見えますけれども、実際はその業務は全く私からも独立していますし、金融庁長官からも独立をしております。もちろん、組織ですから人事とかそういうことに関してはつながっている部分ありますけれども、業務自体はもう全く独立をしていると。いろんな事柄を監視委員会は取り扱っておりますけれども、これはもう全部済んだ後に私に報告があるというくらいで、そういう意味では極めて独立性の高い、それから、いろんな方が想像するよりははるかに調査能力を持った機関に成長しつつあると思っております。
  41. 田中直紀

    田中直紀君 監視体制と、それからやはり経済事犯が大型化してきておると、こういう状況でありますから、被災者救済をどう今後対応していくかと、こういう問題もあるかと思いますが、大臣の御見解がありましたらよろしくお願いします。
  42. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 犯罪被害者をどう救済するかというのは、刑事事件であれ、また経済事件であれ、極めて重要でありますけれども、例えばおれおれ詐欺のときのお金というのは銀行に滞留しているわけですけれども、銀行はそれをすぐ返してくれるかというと、ほかにもっと、ほかの被害者が出てきたら自分たちが法律的に困ってしまうというんで、裁判所に行って判決もらってきてくださいというようなこともあります。そういう被害者救済の迅速性をどう確保するかということ。  それから、やみ金事件ではスイスの銀行に大量のお金が振り込まれていた、それを何とか取り戻して被害者に分配しようと、こういう努力をしているわけです。これは、被害に遭った方々に対してできるだけお金を回収してお返しするというのは、民事の手続を経てやる場合もありますけれども、やっぱり国が関与できる場合には、そういう工夫もこれからしていかなければならないことの一つだと私は思っております。
  43. 田中直紀

    田中直紀君 では引き続きまして、法案の中の集団投資スキームについて、役所の方で結構でありますが、お願いしたいと思います。  民法の任意組合、投資事業組合が悪用されたと、こういうことで今回規制の対象になっておるわけでありますけれども、一方で、投資事業組合に加えて投資事業有限責任組合と、これは中小企業を中心としてファンドの支援をすると、こういう、経済産業省で管轄しているんでしょうか、非常に育ってきておるというような状況もありますし、また、これから商法の匿名組合、これ名前は匿名組合になっておりますが、やはりいろいろな地域の方々が出資をして優良な事業を展開していこうと、こういう制度でありますから、確かに悪用されたことは制限をしていかなければいけませんけれども、この法律の中で、今まで育ってきておるような組合についてはやはりしっかりと状況を把握して、そして対処してもらうということが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  44. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) お答え申し上げます。  近年、金融技術の進展あるいは企業の資金調達方法の多様化等を背景に組合形態によるファンドの活用が進んでいることは承知しているところでございます。  今後、銀行等によります間接金融に過度に依存した構造を転換し、幅広い主体が分担してリスクを負担をするような、そういうような金融システムの構築を図っていきます上で、御指摘のベンチャー企業育成や事業再生を目的とするファンドなど、組合形態のファンドの多様化が進展すること自体は望ましいことだと考えているところでございます。  ただし、ファンドの持分の販売、勧誘を幅広く行うような動きも見られます中で、現状では投資者保護のための規制にすき間があり、多数の一般投資家を対象としたファンドに関する投資者被害事例が生じていることも事実でございます。  このために、今回の法案におきましては、利用者保護ルールの徹底を図ります観点から、ファンド持分に関します包括的な定義を設けました上で、一般投資家向けにファンド持分の販売、勧誘等を行う者に対しまして業者としての登録を求めますなど、所要の規制を整備しているところでございます。これによりまして利用者が安心して投資を行う環境が整備されますと、ファンドの健全な発展にもつながるものと考えているところでございます。  一方、プロ投資家を対象とするファンドの持分の販売、勧誘等を行う業者につきましては、一般投資家を念頭に置いた規制を相当程度簡素化することといたしまして、業者としても登録義務ではなくて届出制とするなど、金融活性化、これを阻害するような過剰な規制とならないように配慮した制度設計としているところでございます。
  45. 田中直紀

    田中直紀君 そろそろ時間になりますので最後にさせていただきますが、先日、当委員会でジャスダック証券取引所あるいは東証、そしてまた大手の証券会社に視察をさせていただきました。大変、ジャスダックはベンチャー企業が千社ぐらい登録されておりまして十九兆円の市場になっておると、こういうことでありますので、非常にベンチャー企業が育ってきておるんではないかと、非常に活気がありました。東証に行きましたが、システムの障害に対処するということで相当能力アップを図ってきておりましたし、証券会社におきましては金融商品、非常に多くの金融商品が生まれてきておると、こういうことで非常に市場が活況付いているんではないかと、こういうふうに思った次第であります。  その中で、二〇〇一年に東証で創設したREITですね、不動産投信、これは三兆円の規模になっておると、こういうことでありますし、東京のビルはREITのおかげでどんどんどんどん建ってきておるわけでありますが、需給バランスがどうなのかなと心配するぐらいでありますけれども、一つはREITの状況とこの法案における対処の方法、そしてまた東証における経営改善に、大臣、どういうふうに対処をされておるか、この二点だけお伺いをして、終わりにさせていただきたいと思います。
  46. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 最初のREITにつきまして、私からお答えさせていただきます。  御指摘のとおり、不動産投信、J―REITでございますが、これは十二年の法改正によりまして投資信託等の運用対象が不動産などに拡大されまして、また十三年九月にこれが証券取引所への上場が開始されて以降、その規模は着実に拡大しております。現在、上場不動産投資法人は三十三銘柄、時価総額は約三・五兆円となっているところでございます。  今回の投資法人制度でございますが、現行の投資信託あるいは投資法人法に投資法人の仕組みに関する規定が置かれておりまして、これにつきましては今回もこの規定を引き続き維持しているところでございます。  なお、現行の投資信託・投資法人法には、資産の運用を行う業者に関する参入規制あるいは行為規制も規制されております。今回の法案では、資産運用を行う業務金融商品取引法上の金融商品取引業に統合されますため、これらの関連する規定につきましても整備を行っているところでございます。
  47. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 東証につきましては、やはり日本を代表する市場であり、また日本経済のかなめの場所でございますので、東証のシステムが昨年から今年にかけて何回かダウンしたというのは大変ゆゆしきことであったわけでございます。  その東証も能力アップをして相当の量の取引を消化できるような体制になりましたけれども、やはり今のシステムで今後やっていけるのかという問題があります。東証はこのいわゆるコンピューターによる取引システムを抜本的に改めようということで既に内部で相談が始まっておりますし、私どもとしてはそれを促すように努力をしております。  一方では、東証のルールというのがありますが、この東証のルールが世界的に通用するものかどうかと、これも検証していただかなければならないと。この検証の方も相当進んでおりますので、私は、西室社長の下で東証は極めて自主的に、世界経済にも影響のある東証の内容をきちんとしたものにしようという最善の努力を私は尽くしておられるというふうに考えております。
  48. 田中直紀

    田中直紀君 ありがとうございました。終わります。
  49. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず、与謝野大臣にお尋ねをいたします。  幅広い金融商品を対象とする投資家保護法制に関する議論は、平成十年六月の旧大蔵省時代の新しい金融の流れに関する懇談会におきまして、幅広い金融商品サービスを対象とし、金融の機能面に着目した横断的な法制ということで金融サービス法構想を提言をしたことに始まります。今年は平成十八年でありまして、八年後ようやくこの金融商品取引法が提案をされたわけでございますが、なぜこれだけ時間が掛かったのか、もう少し迅速な対応ができなかったのか、大臣にお尋ねをいたします。
  50. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 我が国は、一九九〇年代後半にいわゆる日本金融ビッグバンとして、フリー、フェア、グローバルの三原則を踏まえた金融システム改革が開始されたわけでございます。また、この時期には、当時着手された改革の進展状況も踏まえつつ、金融サービスを幅広くとらえ、これに整合的に対応し得る機能別、横断的な法的枠組みとして、いわゆる日本金融サービス法について検討することが必要であるとの指摘もなされました。その第一歩として、平成十二年に金融商品販売法の制定と集団投資スキームに関する法整備が行われました。その後においても、証券市場改革に取り組む中で、特に証券決済システムの改革として、短期社債、CPのペーパーレス化、社債、国債等のペーパーレス化、株式等のペーパーレス化などの法制化を通じて横断的な証券決済制度の構築を図っております。  また、この時期、いわゆる不良債権問題を解決して金融システムの安定化を図ることが特に重要な政策課題であり、金融庁としてもそのための制度面の対応として累次の法制度をお願いする一方で、市場法制に関しても、利用者保護に向けた規制の横断化の取組を進めてきたところでございます。  政府は、このように日本金融サービス法構想が打ち出された以降において、我が国市場をめぐる広範な課題に対応し、市場機能を中核とした金融システムを構築していくために累次にわたる改革を着実に進めてきたところでございます。今回の法整備はこうした成果の上に立ち、投資性の強い金融商品サービスを幅広く対象とする横断的な利用者保護法制を整備するものであって、日本金融サービス法の理念を相当程度実現するものであると考えております。
  51. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 民主党の提案者にお尋ねいたします。  先ほどの提案理由によりますと、御提案法案というのは、英国に見られる金融当局から独立したFSA金融サービス機構のような組織を構築することが必要である、このように言われております。  私の承知している範囲では、民主党の従来の主張というのは日本版SECを創設をする、こういう御主張であったと思います。今回この考え方が、そうではなくて、イギリス型を目指すということに変わった理由について簡単に説明していただけますか。
  52. 櫻井充

    櫻井充君 荒木委員お答えしたいと思います。  冒頭、野党の提案に対して質問していただきましたこと、心から感謝申し上げます。ありがとうございます。  その上で、御指摘がありましたとおり、結論から申し上げれば、我々はアメリカ型のいわゆるSECからイギリス型のFSAに対して変更いたしました。  その理由を何点か申し上げたいと思いますが、まず一つは、我々がモデルとしていたアメリカにおいても、米国会計検査院の報告書を見ると、アメリカは現在、金融行政において、銀行、証券、保険、先物など様々な法律があり、それから様々な検査機関があると。こういう体制において、決してばらばらにあることそのもの自体は失敗ではないけれども、国際的な金融複合企業などを規制していくためにはむしろ統一した機関があった方がより効率的ではないのかと、そういうふうに報告されてきております。  それから、国際的な流れを見ても、イギリスだけではなくて、ドイツを始めとするヨーロッパ諸国においてより横断的な金融行政の方に方向転換が図られてきていると。多分その背景にあるのは、銀行や証券そして保険というものが従来よりは垣根が更に低くなって、むしろ業態ごとに規制するよりは横断的に見ていった方が、規制した方が効率的で、なおかつ効果的であるということがあるからだろうというふうに承知しております。  それからもう一つは、消費者保護という観点から見たときに、業務ごとに法律が存在して監督規制というものがばらばらに存在するよりは、一元的に、包括的にあった方が消費者保護が図られるんではないだろうかと、そのように考えているからです。  この点に関して申し上げますと、我が国の例を見ても御理解いただけるかと思いますが、今回問題になっております商品先物の不招請勧誘に関してですが、これに関して言うと、いわゆる証券を中心とする金融商品と、それから商品先物によって異なってきていると、そのために消費者保護が図られないんではないか。この点に関しては、先日の財政金融委員会において御党の山口委員指摘されているところでございます。  こういった消費者保護の立場から考えてみても、横断的に、要するに業務ごとの規制ではなくて、商品全体に対して監督していった方がより消費者保護が図られ、効率的になるのではないか、いろいろ議論した結果そうなりまして、今後、そのイギリス型のFSAを目指していきたいというふうに考えているところでございます。
  53. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうした意味では、今回提案をされております金融商品取引法の考え方と共通する部分が相当ある、このように私は理解をいたしました。  櫻井委員はもう結構でございます。
  54. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございました。
  55. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、与謝野大臣に引き続きお尋ねいたしますが、今回の法案の基になりましたのは昨年十二月のいわゆる金融分科会第一部会の部会報告ということでございまして、その中には、金融商品全般を対象とするより包括的な規制の枠組みの検討については、引き続き精力的な検討を続けていくということでございます。また、先ほど大臣からは、この間累次にわたるいわゆる投資家保護の法制を整備をしてきた、こういう御説明でございました。そうした意味では、いわゆるこの平成十二年の日本金融サービス法がホップ、今回の法案がステップ、そして将来的には預金や保険等を含めたイギリス型の金融サービス市場法的なものがジャンプという、こういう期待が投資家の中には高いわけでございます。  金融庁は、そういう意味では、私が今言いましたような、これで終わりではなくて、更にそういう包括的な法制を目指していく考えである、このように考えてよろしいですか。
  56. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 平成十二年に続きまして、今回の法案は改革の次なる段階として投資性の強い金融商品サービスに関する横断的法制を整備するものでございまして、日本金融サービス法の理念を相当程度実現しているものと考えております。  さらに、その包括的な法制を目指しているのかということも先生の御指摘の中にあったと思いますが、今回の法案においては、商品先物取引を含め、投資性の強い金融商品サービスに関する横断的な投資者保護法制が整備されているものと考えておりますけれども、政府としては、まずは今回の法案をお認めいただいた上で、法案に盛り込んだ利用者保護ルールの徹底にしっかりと取り組んでいくことが必要であると考えております。
  57. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 はっきりとはおっしゃいませんでしたが、これで終わりだという趣旨ではないと考えます。  そこで、先日も我が党の山口委員が申し上げました不招請勧誘の禁止の問題でございます。法案で言いますと、この金融商品取引法三十八条三号になります。  そこで、金融商品につきまして横断的な利用者保護ということでございますけれども、三十八条三号では金融商品取引につきまして、政令で指定をすれば不招請勧誘が禁止をされるということで、外為証拠金取引についてこの政令指定を考えているということが答弁されているところでございます。一方で、商品先物取引につきましては、この商品取引所法によりまして再勧誘の禁止については規定されておりますけれども、この法律からは政令で指定をしまして不招請勧誘を禁止をするということはできないわけですね。それが均衡を失している、利用者保護になってないということを山口委員も強く申し上げたところでございます。  答弁では、この商品先物取引金融商品取引法の直接の対象とはしていないものの、業法において基本的には金融商品取引法と同様の利用者保護ルールを適用することとしている、これはたしか櫻田副大臣が答弁されたのを私は読んだわけでありますが、しかし、今申し上げたように、基本的に同様という言い方でございますけれども、同様のそういう保護ルールになっていないわけですね。ここは私率直に言いまして、私も問題であると思います。  もちろん、この商品取引所法は昨年五月に改正が施行されて、そこで再勧誘の禁止規定が導入されたばかりである、こういう事情もありますし、単にこれは金融取引ということだけではなく、そういう現物取引の生産流通をめぐるいわゆるそういう政策と不可分でありますので、単にこの金融商品金融取引という視点のみの規制では、規制をするわけにはいかないということもよく分かるわけでございますが、やはりどう考えても同様の利用者保護になっていないということは事実であろうと思います。  そこで、投資者保護の法体系は今回で終わりでないわけでありますから、次の段階としてはそうしたことも含めて、もう同等の利用者保護金融商品全般、金融取引全般について行われるように更に検討をしていただきたい、このように考えますが、副大臣、いかがですか。
  58. 櫻田義孝

    ○副大臣(櫻田義孝君) 不招請勧誘の禁止規定は、顧客が自ら積極的に業者に働き掛けない場合には情報を得ることが困難でありますので、顧客の新たな金融商品サービスへの自由なアクセスを制限する面がございます。このため、金融商品取引法案では不招請勧誘禁止の一般的な枠組みを設けつつ、これを一律に適用するのではなく、取引の性質や利用者被害の実態等を勘案して対象範囲を定めることとしているところであります。また、商品先物取引につきましても、昨年五月に施行されました商品取引所法の改正において、再勧誘の禁止規定及び勧誘受諾意思確認義務の導入など、利用者保護の観点からの規制強化が図られているところでございます。これらの処置により、取引に関する苦情も引き続きあるものの、現時点では改正法施行前に比べ減少傾向にあることを踏まえて、不招請勧誘の禁止規定を盛り込むことはしていないところでございます。  いずれにしろ、商品先物取引に関する利用者保護の徹底を図るため、引き続き所管官庁において検査監督の充実を図るなど、商品取引法における再勧誘の禁止規定等の厳格な運用を図ることが必要と考えているところでございます。
  59. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 もちろん、そういう厳格な法の運用によりまして投資家の被害を減少させていただきたいと思いますが、先日の指摘にもありましたように、国民生活センターに寄せられている苦情も外為証拠金取引よりも商品先物の方がずっと多いわけでございまして、これは場合によってはこの法の適用にとどまらず、新たなそういう法体系の在り方も検討しなければいけない、このように私は強く思っております。  そこで、この問題はこれだけにしまして、次にいわゆるプロ、アマの問題ですね。これも運用を間違いますと一般投資家に不測の被害を与えるということにもなりかねません。今回の法案では一般投資家とプロの投資家に区分をしております。この法律によりますと、法案によりますと、この一般投資家と特定投資家、この特定投資家になりますと、規制の簡素化、明確化などを通しまして多様なニーズに応じた金融商品サービスの提供を受けることができるということでメリットも大きいわけでございますが、正にこれはもう自己責任の世界に入っていくわけでありますから、リスクも高いわけでございます。  特に、三十四条の四第一項の二号に書かれております、この選択によりまして特定投資家に移行が可能な一般投資家、こういう分類があるわけですね。これに当たれば本人の申出により特定投資家に移行ができるわけでありますが、それに該当する要件としましてこの三十四条の四、一項二号では「前号に掲げるもののほか、その知識、経験及び財産の状況に照らして特定投資家に相当する者として内閣府令で定める要件に該当する個人」ということでございますね。財産、経験、知識を中心に、一定の要件を政令で定めるということでございます。  この点、欧米の例では、一億円を超える純資産を持つ個人がこうした移行可能な一般投資家に当たる例が多いようでございますけれども、昨今の我が国状況を見ますと、一億円、大変な金額でございますけれども、そういうお金を持っている方も決して少なくないわけですね。したがいまして、内閣府令でこの要件を定める場合には、一億円超というよりも、もう少しこのハードルを上げるべきではないか。あるいは単に預金を持っているというだけではなく、その資産構成等も十分踏まえて移行可能な一般投資家を認定するような仕組みにしなければならない。  これは政令に委任されている部分でございますので、この政令の定め方につきまして厳格、ハードルを高くしていただきたいという意味で見解をお尋ねいたします。
  60. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 御指摘のとおり、個人が特定投資家に移行する場合につきましては、いろいろな手続的な要件を定めておりますほか、法律におきまして、知識、経験、財産の状況に照らして特定投資家に相当する者の要件を定めているところでございます。  これにつきまして、諸外国の例でございますけれども、御指摘のとおり、アメリカにおけます自衛力認定投資家というのは純資産で百万ドル、これは一・一億円程度に相当するかと思いますが、そのような例。あるいはEUの適格投資家は五十万ユーロ、これは大体約七千万円に相当するかと思いますが、それを超える金融資産を有し、あるいは頻繁に大口取引を行っていると、こういったことが要件とされているところでございます。  この点につきましては、投資家保護という観点も踏まえながら、今後、国会での御審議を踏まえ、またいろいろな各般の御意見も踏まえながら定めてまいりたいと考えているところでございますが、いずれにいたしましても、今回、この個人から特定投資家への移行という、あるいはこの制度が、これから始まる制度でございます。御指摘のとおり、これが投資家保護に欠けることのないよう、今御指摘いただきましたような諸外国の例、こういったものを十分に踏まえながら、そういったものを踏まえた上で、さらに、例えば財産の状況につきまして、資産の合計額から負債額、負債の合計額を控除した額が一定額以上であることを求める、あるいはその資産のうち有価証券等の合計額が一定額以上であるというようなことを十分踏まえながら、投資者保護に欠けることのないような、そういう基準を設定してまいりたいと考えているところでございます。
  61. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、公開買い付け制度につきまして一点お尋ねいたします。  これは改正の二十七条の十三第四項でございますが、これによりますと、公開買い付けの後における株券等所有の割合が政令で定める割合を下回らない場合は、公開買い付け者に応募株券等の全部の買い付け等を義務付ける、こういう全部買い付け義務というのが新たに導入されましたけれども、こうした制度を設ける趣旨について御説明願います。
  62. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) まず、現行制度でございますが、公開買い付け者が応募株券等の数の合計、これが公開買い付け時に公表しました予定数、これを超えますときは、現在ではすべてを買い付ける義務はなく、案分比例の方法により買い付けることが認められているところでございます。  しかしながら、今回では、手当てをする内容でございますが、この公開買い付けの額が非常に大きくなりました場合に、残った株が非常に少なくなる、手残り株が少なくなる。そういったことになりますと、場合によりましては上場廃止というような状態になりまして、その手残り株を抱えることとなる零細な株主が著しく不安定な地位に置かれる、そういったことが想定されるわけでございます。  こういったことで、金融審議会の第一部会、公開買い付け制度等のワーキンググループ、ここの検討におきまして、例えば公開買い付け後の株券の所有割合が三分の二以上となるような場合、こういった場合に限りまして、公開買い付け者に全部買い付け義務を課すことが適当との御提言をいただいたところでございます。この考え方を踏まえまして、今般の法案において制度の見直しを提案さしていただいているわけでございまして、この審議会の御指摘を踏まえた制度を、さらにまた政令の中でその数字等を定める方向で検討してまいりたいと考えているところでございます。
  63. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今も答弁にありましたが、このワーキンググループの報告では、公開買い付け後の株の保有割合が三分の二を超えるような場合にはそうした全部買取りを義務付けるべきであるという、この提言がなされているわけでございまして、そうしますと、この法律で、政令で定める割合を下回らない場合というのも、おのずからその三分の二ということになりそうであります。  それであれば、わざわざこんな政令にということにしないで、もうこの法律の中に書いて提案を欲しかったんですが、どうしてそういう持って回ったことにしたんですか。
  64. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 現在、基本的なことは法律に書きますという一方で、金融技術やIT技術の進展などを背景にいたしまして、金融取引が複雑高度化するとともに、新たな金融商品サービスが次々に現れると、こういった状況の変化などにも対応して機動的な対応が求められる場合もあると考えてございます。その場合に、必要に応じ政省令への委任も行っているところでございますけれども、三分の二につきましては、会社法上の特別決議ができる割合、これを参考といたしましてワーキンググループの報告において提言がなされていると承知しております。ただ一方、会社法上、特別決議要件は定款においてより厳しくすることができることとされているところでございます。  今後、各企業の決議要件をめぐる実務実態が大きく変わるようなことがありましては、変わるような場合には、場合によりましてはこういったことにつきましても機動的な対応が必要になると、こういった考え方からこのような提案をさしていただいているところでございます。
  65. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 この法案につきまして、最後に金融担当大臣にお尋ねをいたします。  金融資本市場の複雑化や国際化の中で、金融庁証券取引等監視委員会の役割も更に増大することになります。ちなみに、私は今回のライブドア問題の摘発につきましては、様々な意見はありますけれども、私は、いろいろ調査をする範囲では、証券取引等監視委員会は随分頑張った、このように評価をしておるわけでございます。更に役割を果たさなければいけないわけでございますが、そうした意味では、公認会計士、弁護士、金融機関出身者等、市場に詳しい金融のプロを積極的にこうした機関に採用することが今後の課題であると考えます。  現在、こうした金融のプロは金融庁あるいは監視委員会に何人おり、またこれを今度どのように拡充をしていくおつもりなのか、大臣の決意をお尋ねいたします。
  66. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 委員指摘のように、本当の専門家が必要であるわけでございます。現在、金融庁証券取引監視委員会においては、裁判官、検事、弁護士といった法曹関係者、公認会計士、デリバティブ等の金融実務経験者など、民間専門家を積極的に採用しておりまして、本年五月一日現在で二百三十二名、この二百三十二名のうち証券取引等監視委員会には九十一名が在籍をしております。内訳を申し上げますと、裁判官、検事、弁護士、総勢三十八名、うち監視委員会に行っております者が十一名。公認会計士は四十名、うち監視委員会に行っております者が十四名、金融実務経験者は百五十四名、うち監視委員会に六十六名ということで、相当な専門家が集まってくださっているわけでございます。  このように民間専門家等の積極的な採用に加えまして、証券取引にかかわる高度の専門知識を有する職員の育成を図る観点から、広く証券市場の動向等最新事情の習得や、実際の検査、調査事務に即したノウハウ等の取得など、様々なねらいの各種専門家の研修の実施により専門性の高い職員の確保に努めてまいりたいと思いますが、一方では公務員の定員縮減ということもありまして、金融庁としてはなるべく人数を確保したいと思っておりますが、政府全体との関係、特に行革との関係の中で、私どもとしては人員の充実ということを関係方面によくお願いをしていかなければならないと思っております。
  67. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 我々も与党としてしっかり応援しますので、更なる人材の確保にお努めいただきたいと思います。  最後に、法案とは関係をいたしませんが、預金者への金融機関の利益還元、この声が最近多いものですから、大臣お願いといいますか要請をしておきます。  大手の六銀行グループの平成十八年三月期決算は、税引き後利益が合わせて三兆一千億円と、バブル期を超えまして過去最高を更新をしました。しかし、巨額な公的資金を受けて過去最高益を稼ぎ出したにもかかわらず、定期預金金利の引上げが小幅にとどまる等、あるいは振り込み手数料も依然として高いなど、預金者への利益還元がなかなか私も含めて実感できないという状況でございます。  そこで、金融庁として、預金者への利益還元を大臣として金融機関に要請をすることはできるはずでありますから、そうした多くの国民の声にこたえてよくお話をしていただきたい、このように思いますが、いかがですか。
  68. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 確かにいい決算は出しておりますけれども、まだ公的資金は残っておりますし、預金者に払う金利というのはまあスズメの涙、もちろん配当もしておりませんし、また税金も払っていない、まだまだとても一人前とは言えないと私は思います。  しかしながら、全体として社会の中で若干でも賃金水準が上がっている、あるいは配当は一般企業は増やしていると、そういう状況の中で、預金者だけが成長の果実を全く受け取れないというのは、それは不自然なことであって、やっぱりいずれの時期か預金者もまた預金したことの果実を受け取れるという、そういう経済状況金融状況にならなければならないと私は強く思っております。
  69. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  70. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 民主党・新緑風会の富岡由紀夫でございます。よろしくお願いいたします。  まず、今回の法案ですが、まず第二条で有価証券の定義を民法上の組合、そして商法上の匿名組合など、あらゆる形態を含めた投資集団スキームによる権利を包括的に対象とした点は非常に画期的であり、これは高く評価したいというふうに思っております。  ちょっと最初は、法案の事務的な中身について質問をさせていただきたいと思います。  金融商品取引業、今回の法案における業の定義をまずお伺いしたいと思います。現行の証券取引法では、営業の定義として、一般的な解釈として、営利目的があり、反復継続性のある行為で対公衆性の認められる行為であり、単に自己のポートフォリオの改善のために行う投資目的での売買等は、利益を目的として頻繁に行っていても証券業には当たらないとの一般的な解釈がされておりますが、金融商品取引業における業の定義もこれと同様とされることが望ましいというふうに思っておりますが、この点についてどう解釈したらいいのかお答えいただきたいと思います。  と申しますのは、とりわけ今回規制対象に加えられたデリバティブ取引等々について、自己のポートフォリオ改善のために行う売買等が金融商品取引業に該当するか否かが個別に判断することになると実務上の混乱が非常に大きくなるおそれがありますので、そういう観点から確認をさせていただきたいと思います。
  71. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) お答えいたします。  御指摘のとおり、現行証券取引法でございますが、証券業につきまして「次に掲げる行為のいずれかを行う営業」と定義しておりまして、この営業の概念につきましては、御指摘のとおり、営利目的、反復継続性、不特定多数の者を相手とすること、対公衆性、これを要件とするものと解されているところでございます。  この中で、事業会社が行う自らのポートフォリオの改善のための取引につきましては、これも御指摘のとおり、利益を目的として反復継続して行っていても、通常は不特定多数の者を相手とするという対公衆性の要件を満たしませんことから、証取法の業規制の対象である証券業には該当しないものと解されているところでございます。  今回の法案でございますが、業概念の明確のために業規制の対象となります金融商品取引業につきまして、これを「いずれかを業として行うこと」と定義しまして、営利性は要件としないこととしているところでございます。  しかし、今回の法案におきましても引き続き反復継続性、対公衆性については必要としているところでございまして、事業会社が行います自らのポートフォリオの改善のための取引は、通常は対公衆性が認められませんことから業規制の対象であります金融商品取引業には該当しないものと考えられるところでございます。
  72. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ありがとうございます。  次に、今回、行為規制におけるプロとアマの区分がされておりますけれども、そのプロとアマの区分の、内閣府令で、詳細は内閣府令で明示されることになっておりますが、その時期はいつごろになるのか、ちょっと教えていただきたいと思います。  と申しますのは、これ実務レベルなんですけれども、そういうプロとアマの顧客管理を金融機関はする上でいろんなシステムの開発等々ありまして、準備開発期間が必要となります。この法案施行される直前に政省令で示されたんではそういった実務的な時間が足りないおそれがありますので、その観点からそういったことを考慮して早めにそういった政省令で明示していただきたいことを要望しつつ、いつごろになるのか教えていただければというふうに思います。
  73. 櫻田義孝

    ○副大臣(櫻田義孝君) 今回の法案では、特定投資家制度を導入し、顧客がいわゆるプロに当たる特定投資家一般投資家であるかによって規制の適用を区別することにより規制を柔構造化しているところであります。特定投資家の範囲においては、法律上、適格機関投資家、国、日本銀行投資家保護基金その他の内閣府令で定める法人と規定されておるところでございます。  このように、特定投資家の範囲の具体的内容について内閣府令に委任されている部分があることから、議員御指摘のとおり、業者が顧客の情報管理やシステム対応といった施行に向けた対応を行う際には内閣府令の内容にて明らかになっていることが必要であると考えているところであります。内閣府令につきましては、国会での御審議を踏まえた上で、行政手続法に基づく意見公募手続、いわゆるパブリックコメント手続を経て定めていくことになりますが、施行前の業者の準備の必要性も勘案し、特定投資家の定義についてもできるだけ早期に明示できるよう努めてまいりたいと思っております。
  74. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ありがとうございます。できるだけ実務上弊害のないようにお願いしたいと思います。  続きまして、今回の法案の目的の一つとして、金融資本市場国際化への対応というのがうたわれております。しかしながら、ちょっと法案の中身を見てみますと、とりわけ銀行と証券の業務の問題、この問題は余り国際化が図れてないような感じに読み取れます。具体的には、旧証券取引法の六十五条がそのまま三十三条にほとんど変わらず残って今回の法案に記されているというような状況がございます。  こういった点を踏まえて、今後、金融市場国際化をどういうふうに考えていくのか、お示しいただければと思います。
  75. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 現行の証券取引法においては、銀行等の金融機関について同一法人内における融資業務と証券業務の間の利益相反への懸念等から、証券取引法第六十五条による銀証分離を図ってきたところでございます。金融機関による証券仲介業務の解禁について提言した平成十五年十二月二十四日の金融審議会第一分科会報告、「市場機能を中核とする金融システムに向けて」という文書の中においても、依然として金融システムにおける資金仲介の大宗を担っているのは銀行であり、第六十五条の根拠となった利益相反や銀行の優越的地位の濫用の可能性は今なお重要な論点であると指摘されておりまして、なお証券取引法第六十五条の意義が失われていないとの現状認識を踏まえて、金融商品取引法案においても銀証分離の考え方を維持して金融商品取引法案第三十三条において同じ趣旨の規定を整備しているところでございます。  欧州においては、ユニバーサルバンク方式により銀行、証券の兼業が可能となっておりますが、米国においては、一九九九年、グラム・リーチ・ブライリー法により金融持ち株会社制度が創設されて、銀行持ち株会社に比べてその業務範囲が拡大されたものの、銀行、証券の直接的な兼業は引き続き禁止されております。このような国際的な動向を踏まえれば、金融資本市場国際化への対応として銀行、証券分離の廃止が必要との御指摘は当たらないものと考えております。  今後、金融審議会の中で中長期的な金融制度の在り方等に関する議論が進められる際に、仮に銀証分離規定に関する議論が行われる場合には、当該規定の意義を十分に踏まえて行われることになるのではないかと考えております。
  76. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 この点についてはいろいろと議論もありますので、今後の課題としてまたいろいろと質問させていただきたいと思います。  続きまして、与謝野大臣に引き続きお尋ねしたいと思います。  最近、与謝野担当大臣が金利と成長率に関してへ理屈をこねるどこかの大臣に対して一蹴したというような報道があったり、あとサラ金業者に対する的確なCMに関する発言とか、あと業務停止を処分をした三井住友銀行の元頭取である西川さんに対する経営責任を明確に認めたという発言とか、あと大手金融機関、先ほども質問にもありましたけれども、好決算を上げていますけれどもまだまだ半人前だと、法人税も納めていない半人前だというような発言等々、非常にダイレクトな発言は、私は、非常に分かりやすくて国民の多くの皆さんも好感を持っているところがあるんじゃないかというふうに思っております。そういった意味で、与謝野金融担当大臣は次期総理大臣候補として私は非常にふさわしい人ではないかというふうに思っております。そういった前提を踏まえてこれから質問させていただきたいと思います。  担当大臣がまた、報道によりますと、村上ファンドについて発言をされております。村上ファンドは今回シンガポールに移転したわけですけれども、それに伴って、投資活動はまだ日本で行っているわけですけれども、シンガポールに移転したからといって日本の法令が適用されないということはないというような趣旨の発言をされておりますけれども、これは、投資顧問業を廃止したけれども、新しい金融商品取引業の登録、届出は必要になってくるというような認識でよろしいんでしょうか。お答えいただければ、お願いしたいと思います。
  77. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) シンガポールにはシンガポールの法律があって、シンガポールの国内で活動をされる場合には当然シンガポールの法律が適用されるのは当然であるわけですが、シンガポールというのは実に法律が厳しくて、麻薬を何グラムか持っていただけで死刑になってしまうという大変厳しい国であるというのはよく知られているわけでございます。  仮に、シンガポールに本拠を置くファンドが日本市場においていろいろな取引を行う等々の言わばファンドとしての活動をやった場合には、日本国内において活動をされる場合には当然日本の国内の関連法案が適用されるということは当然でございまして、外人であろうが日本人であろうが、外国籍の企業であろうが日本籍の企業であろうが、法律の適用については全く差異はないということを申し上げたつもりでございます。
  78. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 個別の話になるとお答えできない部分もあろうかと思うんで、一般論としてお尋ねしたいと思いますが、外国人が日本の資金を日本株で運用する場合、今回の法案の改正によって運用業としての登録は必要になってくるのかどうか、教えていただければと思います。
  79. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) お答えいたします。  個別事案にもよるわけでございますが、一般論として申し上げますと、日本国外で組成、設立されましたパートナーシップや法人等につきまして、日本の居住者から出資を募る行為は金融商品取引法案の適用対象となり得るところでございます。  具体的には、金融商品取引法案におきましては、投資家保護の観点から、いわゆる集団投資スキーム持分の自己募集、これは当該スキームの設定者自らが募集する行為でございますが、これを新たに規制対象としていることから、一つには、投資運用を行う業者が日本国内の居住者に対して出資の勧誘を行う場合、二つ目は、外国でパートナーシップ等を組成しました業者が日本国内の居住者に対して出資の勧誘を行う場合、こういった場合にも金融商品取引法案の規制が適用されまして、同法に基づく登録又は届出を求めることになると考えているところでございます。
  80. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ちょっと個別の事案という話ですけれども、まあ一般論としての今御回答ありがとうございます。  続きまして、この村上ファンドなんですけれども、阪神の星野仙一シニアディレクターも、このファンドは好ましくないとはっきりテレビで発言しておりました。天罰が下る、村上ファンドが許されるなら日本も終わりだと、経営に関与するなら私は辞任するとまで発言、おっしゃっております。そして、昨日の報道にありましたように、阪急が阪神株をTOBを掛けるということで、まさしく会社の屋台骨がもう本当に崩されようと今しているところでございます。  こういうお金を大量につぎ込んでその会社の株価を上げて、経営権を乗っ取っちゃうぞと、それが嫌だったらちゃんと配当上げろとか、そういったことを使って、乗っ取られるの嫌だったらTOBでほかのところに高く買ってもらう交渉をしろとか、まさしく、何というんですか、利益だけを追求して、その会社の従業員の気持ちとかその会社を全く考えないような行動だと私は思っているんですけれども、こういうずる賢いやり方でまじめにやっている人たちをばかにするような行為、これが法律の中では違反ではないということでまかり通っているんですけれども、こういったことが本当に許されていいのか、私は非常に疑問に思っております。  こういった観点、こういった点について、与謝野大臣のお考えをちょっとお伺いしたいと思います。
  81. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 何年か前から会社は株主のものという伝説のような話が流布されて、それを信じた方がたくさんいるわけですけれども、会社という存在は、株主が確かに所有権を持ち、議決権を持っておりますけれども、会社というものはやはり従業員のものであり、取引先のものであり、またお客様のものであるんだろうと私は思っておりまして、商法の規定から会社はだれだれのものと、商法限りにおいて言えばそうですけれども、社会的な存在としての会社というのは従業員、顧客、納入先、下請、そういう関係を持っている方々のものであるというのが常識的な考え方であると私は思っております。
  82. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 私もそう思っております。配当ばっかり要求して、会社の経営自体が本当におかしくなってしまう、長期的な会社の成長が見込めなくなってしまうという弊害が非常に今危惧しているところでございます。  そういった今、与謝野大臣のお考えも伺って、私もそうだというふうに思っているんですけれども、しかしながら、今言ったように村上ファンドみたいに、そういったことと全く違う方向でアクションを起こすファンドがあるということは、これは私は非常にゆゆしき問題だというふうに思っております。  こういったところをやっぱり何らかの形で規制していかないと、本来であれば、こんなの人間としてのモラルとしてやっぱり当然持っていないといけない部分だと思うんですけれども、それが通用しない人間がこの市場の中に入ってきているわけですから、それを何らかの形でやっぱり規制するなり、そういったことを統制していかないといけないと思うんですけれども、そういった観点から、今後どういったことが市場監視する上で必要になってくるか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。御見解をお伺いしたいと思います。
  83. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 非常に難しい御質問なんで、どうやったら規制できるのかということでございますが、やっぱり社会的評価というものも言わば投資家たちの行動をある程度コントロールするものではないかと私は思っております。  ただ、ファンドがいろいろ自由にやったとしても、やっぱり現にある法律あるいは東証の規則を含めて、すべてのルールにのっとってやっていただかなければなりませんし、また法律の範囲内であると同時に、やっぱり社会的に評価を受けられる活動を希望としてはやっていただきたいと、私はそう思っております。
  84. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 本当に、そういったことを理解して市場の中でいろんな人が活動していただければ本当はいいんですけれども、そうじゃない人がいるんで、これは本当に今後の課題として、そういう考え方のない人をどうやってそういう正しい考え方に持っていくかということは非常に難しい問題だと思いますけれども、これからいろいろと議論をさせていただきたいというふうに思います。  続きまして、今回、TOBの規制の改正も含まれておりますけれども、これ新聞報道で出ていたんですが、TOBをやらないといけないケースで三分の一超の株を取得する場合ってありますけれども、ただ、具体的な中身については政省令でお示しされるというふうになっていると思います。ただ、新聞報道では、その具体的な中身というのは、三か月間に市場外で五%、市場内外合計で一〇%超を取得するケースはTOB規制に引っ掛かるというような報道もされていますけれども、政省令でこの辺はどういうふうにお示しされるお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  85. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 三分の一のルールの趣旨から御説明申し上げたいと思いますけれども、現行制度におきましては取引市場外における買い付けの場合で著しく少数の者から買う場合には公開買い付けによらないことも可能でございますが、その場合であっても、買い付け後の所有割合が三分の一を超えるような場合には公開買い付けをしなければならないと、これがいわゆる三分の一ルールと言われているものでございます。  しかしながら、この三分の一のルールにつきまして、例えば市場内外を組み合わせまして三二%ぐらいまでは市場外で買い付けまして、その三分の一を超えるところだけ市場内で買うというようなことがあり得まして、そのような場合に、態様によりまして、公開買い付けによらなくても三分の一超の株券等を実質的に所有する、そういうようなこともあり得るのではないかといった問題があったわけでございます。  本法案におきましては、このような態様の取引に対応するために、市場内外におけます買い付けなどの取引を組み合わせまして、急速な買い付けの後、所有割合が三分の一を超えるような場合、これは公開買い付け規制の対象となることを明確化しているものでございます。  御質問の政省令の件でございますけれども、これにつきましては、その期間と、それから急速に買い付ける幅と、それからその際、市場外でどれだけ買っているかと、この三つがあるわけでございますが、現在、その期間につきましては、これは現在の公開買い付け期間の上限、これが六十営業日でございますので、これは月に直しますとおおむね三か月程度ではなかろうかと、これが一つ基準でございます。  また、その期間内に行われる大量の取引等でございますけれども、これもいろいろな実務者等の意見、あるいは国会の御審議、そういったものを踏まえながら決定していくことになるわけでございますけれども、御指摘のとおり、全体として一〇%超の取得を行うような取引であって、市場外における買い付けが五%を超えるような場合には取引の規制の対象とすることが基本ではなかろうかということで、今後更に検討を深めてまいりたいと考えているところでございます。
  86. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ありがとうございます。具体的に決まり次第、早めに御明示いただければと思います。  続きまして、与謝野大臣にまた引き続きお伺いしたいと思います。  新聞報道によりますと、週内に、財政・経済一体改革会議の下部組織である実務者会議が開催されると伺っております。その中で、経済財政の担当大臣としていろいろとお考えをお示しいただけると思いますけれども、一つお伺いしたいのは、今いろんな歳出削減政府はいろいろと行っております。これ自体は非常にいいことなんですけれども、その中で、今問題になっているいろんな、この委員会でも議論になりましたけれども、日米両政府が試算した在日米軍の再編に伴う経費、これは莫大な、何兆円、数兆円というふうに言われておりますけれども、これから今算出されるというお話ですけれども、この取扱いがやはり日本の歳入歳出の改革をしていく上でやっぱり大きなポイントになってくると私も思っております。  これについて、防衛費も聖域としないというお話ありましたけれども、そういう発言が報道されていますけれども、通常の防衛予算内でこの経費についても賄うというふうに、聖域を設けないということはそういうふうに考えてよろしいのかどうか、御答弁をお願いしたいと思います。
  87. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 実は、歳出削減は与党の方で、どこまで切り込めるのかというのを今必死になって作業をしております。しかし、委員指摘のように、米軍再編に伴う経費というのは当初考えていなかった経費でございます。  まず問題は、例えば今後五年間で、年にして一体幾ら要るのかという数字もまだ出てきておりませんし、これをどう取り扱うのかというのは課題でありますけれども、現在はまだ議論が始まっておりません。今後の課題としては、委員指摘のとおり重要な課題であると、これは財政再建ということよりは予算編成の基本的な考え方の問題として重要になってくるんではないかと私は思っております。
  88. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 財政再建に余りというか、予算編成というお話ですけれども、やっぱり数兆円といっても財政再建に非常に大きな影響力があると思いますので、やっぱりそういった観点で、先ほどちょっと言いましたけれども、聖域を求めない考え方を貫いていただいて、本当の財政再建を目指していただきたいというふうに思っております。  続きまして、歳入の点でお伺いしたいと思うんですが、先日、NHKの番組で与謝野大臣は、二〇一一年、一五年、二五年で必要な税率が違うということで、段階的な消費税の引上げを示唆するような発言がありましたけれども、やっぱり今後、こういった歳入の面から消費税の引上げ、増税というのが具体的に検討していかないといけないと思うんですけれども、今、与謝野大臣の描いている青写真というか、お考えをお示しいただければというふうに思います。
  89. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) プライマリーバランスを到達するというのは、それはほんの第一歩でございまして、プライマリーバランスは達成できたけれども、その後、公債残高が発散的に増えていくということはやっぱり避けなきゃいけない。そのためにどういう歳入構造をつくっていくのかというのは、まだ政府の中でも党内でも本当の議論は始まっていないと思っております。  しかし、直面する困難とか難題をやっぱり政治は逃げてはいけないんだろうと思っておりまして、歳出削減がどこまでできるのかと、あるいは、例えば二〇一一年に本当に足りないお金は幾らなのか、こういうことを計算してまいりますと、どの程度の規模の歳入が必要になってくるかということが分かってまいります。分かってまいりました段階で、これを税制全体の中でどうやって消化していくのかと。これはどの党であれ多分避けて通れない議論であるというふうに私は思っておりまして、そのときには勇気を持って物を言わなきゃいけないと思ってはおりますけれども、やっぱりどの党も選挙は怖いというのは共通しているんじゃないかと思っております。
  90. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 選挙が怖くて増税の話ができないというのはどの党も同じというふうにおっしゃいましたけど、まあ分かったような分からないような、確かにいろんな難しい問題をはらんでいると思いますが、ただ本当に、今、日本の置かれている現状は、財政赤字の問題を考えると、本当にそういったことも言っていられないんじゃないかというふうに思っております。  ただ、今財政赤字が、この間、私が質問さしていただいたとき答弁で、国と地方を合わせると、短期も合わせると千兆円を超えているというお話でした。だから、今言ったようにプライマリーバランスの問題、均衡を図って財政再建をやっていかないといけないと、歳出歳入の改革をやっていかなきゃいけないというお話ですけれども、是非、国民の皆さんには、どうしてこういうことになったのかということをまず冷静に判断していただいた上で、今の現状をこれからどうやって切り抜けていったらいいかということを考えていく必要があると思います。  やはり、そういった意味で、まあ、与謝野大臣が悪いわけじゃないですけれども、いろんな歳出をたくさん無計画にいろいろやっていった結果が今の日本の財政じゃないかというふうに思っております。まずその責任を明確にした上で、国民の皆さんにこれから増税のお話をさしていただいて御理解を求めるという、そういう私はステップが必要になってくるんじゃないかなと思っております。今は財政大変だから増税という、単純に言っただけじゃ納得していただけないと思います。今まではこういうことで過った、過ったというか、こういう形で借金を膨らませてしまったんで、これはこれとして反省しなくちゃいけない。新たに、したがってこれをこのまま放置するわけにいかないんで、増税を皆さんに御理解いただくという、そういうやっぱりステップが必要じゃないのかなと私は思っております。  そういった意味で、是非、これから避けて通れない課題として増税の問題が来るんですけれども、今言った財政赤字、千兆円を超えている借金があります。今、先ほど低金利で、日銀福井総裁もありましたけど、まだ何とか、何というんですか、利息の負担も、政府の負担も少なくて済んでいるんですけれども、これから景気回復してゼロ金利も解除をして、金利も既に、長期金利も二%近くまで上がってきております。  金利もかなりこれから変動すると思いますけれども、この財政赤字の、債務残高の観点から金利の動向についてやはりいろいろと注意されていらっしゃると思いますけれども、ただ、そうはいっても適正な経済成長を行っていく上では適正なそういった利息の引上げもやっぱり当然のことながら付いてくることだというふうに思っておりますけれども、その辺のバランスを与謝野大臣はどういうふうに見ていらっしゃるのか、お考えを持っていらっしゃるのか、教えていただければと思います。
  91. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 確かに、財務省的に考えますと国債の金利負担が大きくなるのは嫌だと、低金利がいいと。例えば、借換債を含めて市場に出ていく国債というのは毎年百五十兆あるわけですから、一%長期金利が上がれば確実に一兆五千億利払いが増える。これ二年目になりますとそれがまた累積しますから、ということで、これだけ債務残高が大きくなりますと、利率というものがえらい財政に効いてくる構造になってしまっております。  ただし、一方では、委員よく御承知のとおり、金利というのは経済の中で資源配分を適正化するための重要なツールなわけでして、そういう経済の方の考え方からすれば、余りにも金利が低い水準にあるときに資源が適正に配分されるのかどうかという問題を指摘してくださる方もおられます。  これは、もう一つ政府の中で議論している話の一つに、長期金利はだれかがコントロールできるのかという問題があって、我々はできないと。それから、いや、できると言う人ももちろん政府の中におられるわけですけれども。多分、長期金利は市場で決まってくるもので、人工的に長期間にわたって政府ですらコントロールできないものだろうと、私はそのように思っております。
  92. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 金利はなかなかそういう難しい面を持っていまして、一概にこうだと言うことは言えないと思うんですけれども、これは是非一般論でお伺いしたいんですけれども、今の日本日銀がゼロ金利、そして量的緩和という極めて異常な形で金融政策を取ってきましたけれども、量的緩和を解除してゼロ金利のタイミングもこれからいつになるのかというふうに言われております。  この日銀の問題はあれとして、本来であれば、金融政策、金利を使った、金利政策を中央銀行としては一番ツールとして使っていくべきだというふうに思っているんですけれども、一般論として、中央銀行金利政策が有効に機能するためにはそういった金利水準というのがどの程度あれば適当であるか、そういった、何というんですか、成長とその辺を踏まえた上で適正なる金利水準というのはどのぐらいなのか、もし御所見があればお伺いしたいと思います。
  93. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) そのレベルは分かりませんけれども、常識的な金融政策をするためには金利を上げて引き締める、インフレを抑制する、金利を下げて景気を加速させるという、そういう両方向の選択があるんですけれども、今のような水準では、日銀は中央銀行として片肺飛行になっているんじゃないかなと、私はそう思っていまして、下げる余地のない金利水準というのは、金利政策の手段を完全に奪ってしまっていると、そういう状況だろうと思っております。
  94. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ありがとうございます。  ちょっと話題を変えまして、最近、金融庁は様々な業者を処分しております。三井住友、中央青山、損保ジャパン等々あります。  私は、処分するのはやっぱりせざるを得ないような背景があるんだというふうに思っておりますけれども、ただ今回、例えば中央青山を処分するときに、業務に支障がないように、お客さんが決算を迎える時期等々を考慮しながら処分の時期を配慮するというふうなことがされていますけれども、これはある意味やや本末転倒な私はことじゃないかなというふうに思っているんです。  余り市場処分しても影響がなければ処分してもいいんですけれども、今処分するにもそういった配慮をしなくちゃいけないというのは、やっぱり四大監査法人とか、あと銀行であれば三大金融グループとか、そういった業界の寡占状況がやっぱり大きな私は意味合いを占めているんだと思うんですね。三つのうち一つ処分しちゃったら、これは金融市場影響は多大ですし、四つのうち一つをやっても大変です。私は、こういった寡占状況というのは経済の流れとして進んできて仕方ない面もあるかと思うんですけれども、そういった何か不祥事があったり、若しくは何か不測の事態があったときに国全体の市場というか経済に大きな影響を与える可能性が非常に大きくなったというふうに思っておりますので、私はそういった点も今後危惧していかないといけないのかなというふうに思っているんですけれども、この行き過ぎたというか、今の日本状況というか、国際的にもそうなんでしょうけれども、こういった市場のいろんな業界の寡占化についてどういうふうに、何かお考えがあればお考えを伺いたいと思います。
  95. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 昔は大蔵省の銀行局と相談しながら各社ともいろいろやっていたということですが、ある時期から事後チェック型ということでやってきたわけでございます。  処分が相次いだわけですけれども、これは事務的に淡々とやったことでございまして、相手の大きさとか歴史とか知名度とか、そういうこととは関係なく、そこに事実があり、そこに法令があればそれを淡々と適用してきたというのが今までの処分でございます。  そういう意味では、中央青山につきましては、一方では刑事事件の裁判の進行状況、あるいは顧客の数が二千とも言われる中で、中央青山を処分したとしても、そこの顧客に想定外の損害や迷惑、これは及んではやっぱりそれはお客様が気の毒ということももちろん当然考え、ただ処分の目的は達成しなければならないと。そこはやっぱり一定の社会的な配慮というものは、処分を行うについても、許された範囲ではそういう配慮を行ったということは事実だろうと思います。  ただ、この二千社にも及ぶ顧客の数を考えますと、そういう配慮をするということも処分の本来の趣旨を失わない限り私は許されることだろうと思っております。
  96. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 いろいろと様々なことを考慮しながら処分されたというふうに思います。ただ、今言ったように、そういったことを考えながらやらないといけない状況というのもやっぱり放置しておいていいというわけではないかと私は思っております。こういったこともちょっと、どうやったらいいかということはすぐには出てこないんですけれども、やっぱり考えていかないといけないのかなというふうに思っております。  続きまして、為替に関連してちょっとお伺いしたいんですけれども。先々週も谷垣財務大臣にお伺いしたんですけれども、余り御明快なお話を伺えなかったんで与謝野大臣にお伺いしたいんですけれども。  今、円高もやや一服してちょっと落ち着いているような状況、小康状態というか、のような状況にあるかと思うんですけれども、ただ私は、日本経常収支等々を見ますとやはり円高は避けて通れないんじゃないかなというふうに思っております。二〇〇五年の経常収支も、黒字額は過去最高を計上しております。また、所得収支が、所得の黒字が貿易黒字を上回ってしまったというようなことも、現象も起きております。もう本当に貿易だけじゃなくて、そういった資本政策の面でも日本の円がかなり世界に広がってきているんじゃないかなというふうに思っております。  この日本とアメリカの円とドルを見た場合の経済のファンダメンタルズの観点からどのように見ていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  97. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 長期的には円というものの水準というのはファンダメンタルズで決まってくるんだろうと思いますが、短期的には日米の金利差で今皆さんが買ったり売ったりされているんではないかと私は思っております。  いずれにしても、為替の場合には急激な変化というのは望ましくないわけでして、なだらかに高くなったり安くなったりするというのは、それはファンダメンタルズを反映することですから、それはやむを得ないことであると思いますが、急激な変化、特に東南アジアで何年か前に経験したような投機的な資金が入ってきて一国の通貨をめちゃくちゃにしちゃうと、こういうものに対しては戦わなきゃいけないわけですけれども、円ドルの関係市場で自然に決まってくるものだろうと私は思っております。
  98. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 市場で自然に決まるべきだと私も思うんですが、その一方で日本はこれまで為替介入をされてきました。その残高も八千六百二億ドルぐらい行っていまして、約九十五兆円くらい、百兆円弱ですか、九十兆円を超している金額であります。私は、これは今言った市場の本来あるべき為替水準をゆがめている要因の一つじゃないかなというふうに思っているんです。  日本の短期証券の財政的な負担もありますけれども、そういった、何というんですか、為替水準をゆがめる要因であるこの外貨保有高というのは、外貨準備高というのはやっぱりある時点で少し減らしていくとか、そういった対応を考えていかないといけないと思うんですけれども、この保有高について、外貨保有をしていることについて大臣はどう思われるのか、お考えを伺いたいと思います。
  99. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 貿易で黒字を積み重ねてきたわけですから、当然膨大な外貨準備を持つことになったわけでございます。そのほかに、円売りドル買いという、世間では介入と言われているものも相当やったわけでございまして、多分これ、その当時やった方になぜやったのかということは一度私は個人的に聞いてみたいと思っておるんですが、二十兆も三十兆も介入をしたわけですが、しかしあの介入の特徴は非不胎化の介入であって、言わば円資金を市場に流したという効果も実はあったんではないかと私、個人的に思っていまして、それをちょっとその当時の責任者に聞いてみたいと思っております。
  100. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 是非聞いていただいて、御報告いただければというふうに思います。  私は、この外貨準備、介入して積み上がった分については、やっぱりいつかは売るんだというふうに思っているんですけれども、これはどういう場合に売るのか。想定ですけれども、どうやったら、どういう状況であれば売れるのか、どういうケースで売るのか、ちょっと私もよく分からないんで、分かる範囲で教えていただきたいと思います。  この外貨準備をそのまま放置するわけにはいかないと思うんですね。いつかは売ると思うんですけれども、どういう場合に売るのか、どういうケースで売るのか、教えていただければと思います。
  101. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) これ、谷垣さんを呼んで聞いていただいた方が的確な答えが出てくるんじゃないかと思います。  外貨準備というのは外為特会にあるお金、プラス民間の方も一杯持っておられるわけでございまして、外為特会だけの話に限定すれば恐らく百億ドルちょっとじゃないかと思うんで、日本の外貨準備、八千五百億ドルぐらいありますから、外為特会の分というのは全体から考えれば実はそんなに大きくないんです。これは谷垣さんのお財布の中に入っていますので、谷垣さんに是非聞いていただきたいと思っています。
  102. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 谷垣さんもそうですけれども、やっぱり経済、財政全体をつかさどる、担当される与謝野大臣にもかなりそういった、何というんですか、政府の方針について決定権はあるんじゃないかと私は思っておりますので、是非指導力を発揮していただいて、総理大臣候補にふさわしい振る舞いをしていただければと思っております。  ちょっとなかなかお答えづらい質問だったんで、ちょっと先ほどの、何というんですか、TOBについて私聞くのを忘れてしまった項目が一つありまして、是非ちょっと聞いておきたいんで、戻ってしまうんですけれども、お願いしたいと思います。  先ほど、三分の一を超える場合はTOBの規制に掛かってしまうということなんですけれども、例えば三分の一以下に持っていたんですけれども、例えばその株が自己株取得等々によって市場に出回っている株が減ってしまった場合、結果として三分の一超になってしまうようなケースもいろいろあろうかと思うんですね。そういった場合にはこの規制はどういうふうにかかわってくるのか。処分の対象になるのか、損害賠償とかそういった発生するケースも民事上起きる可能性もあるかと思うんですけれども、そういったことをこの場合、そういったケースはどういうふうに想定していらっしゃるのか、教えていただければと思います。
  103. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 公開買い付け行為は、基本的に買い付け行為が対象でございますので、買い付け行為をしないで自然に保有割合が単純に増加したということだけでは規制の対象にはならないということになろうかと思います。
  104. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 あと、念のためにお伺いしますけれども、転換社債とか株式交換等々によって三分の一を超える場合もこの規制の網に引っ掛かるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  105. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 一般的な考え方といたしまして、公開買い付けは潜在的な議決権を持っている株式、そういったものも対象となりますので、例えば転換株式とかそういったものも買い付ける段階では所要の計算式に従いましてこの対象になり得るところでございます。ただ、その行使とか、あるいは新株予約権のそういった転換権の行使とかそれ自体はこの規制の対象にはならないということでございます。
  106. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ありがとうございます。  ちょっと軟らかい話をお伺いしたいんですけれども、事前にちょっと通告していたんですが、今いよいよワールドカップが始まろうとしております。今回は日本じゃなくてドイツで行われるわけですけれども、この効果、ワールドカップもどのぐらいか分かりませんけれども、経済的な効果があろうかと思うんですが、このワールドカップの与える経済的な効果をもし算定されているようであれば教えていただきたいと思います。
  107. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 幾ら幾らという話はなかなか分からないわけですけれども、ワールドカップの中継を見るために薄型テレビを買ったり、スカイパーフェクトと契約をしたり、もろもろのことはあるでしょう。また、ドイツに旅行される方も出てくるんではないかと思いますし。ただ、最初の方をみんな負けちゃうと余り経済効果がなくて、勝ち進んでいくと結構盛り上がるんじゃないかなと思っております。
  108. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 是非、日本が予選を突破して、本当にどんどんどんどん勝ち残って、本当に決勝戦出れるぐらいまで行っていただければ、日本の直接的な経済の効果だけじゃなくて、日本の、何というんですか、活力も、元気も上がってきますので、そういったことを是非祈念したいと思っております。  ワールドカップで日本が勝ち進むことを祈念いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。今日はありがとうございました。
  109. 池口修次

    委員長池口修次君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  110. 池口修次

    委員長池口修次君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、尾立源幸君が委員を辞任され、その補欠として前川清成君が選任されました。     ─────────────
  111. 池口修次

    委員長池口修次君) 休憩前に引き続き、証券取引法等の一部を改正する法律案証券取引法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び金融商品取引監視委員会設置法案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  112. 大久保勉

    ○大久保勉君 民主党・新緑風会の大久保勉でございます。この法案に関しまして二度目の質問に立ちます。  商品先物に関しましては不招請勧誘の禁止が必要であるということが当委員会で再三再四議論されましたが、その後、見解に変更はないか、是非確認したいと思います。これまでの説明によりますと、商品先物の苦情の件数が減っている、さらには営業権の自由、こういうことがありまして、不招請勧誘の禁止は必要でないという答弁がございましたが、もう一度確認したいと思います。経済産業省あるいは農水省の参考人の方、お願いします。
  113. 佐久間隆

    政府参考人(佐久間隆君) 商品先物につきまして、顧客が望む場合を除いて、電話、訪問等によります勧誘を一切禁止するいわゆる不招請勧誘の禁止、これを導入することにつきましては、取引について顧客の説明機会が極めて限られてしまうこと、顧客が自ら積極的に業者に働き掛けない場合、情報を得ることが困難となり、顧客の取引への自由なアクセスを制限することとなってしまうこと等ございますので、他の金融商品との均衡等にも考慮しつつ、慎重に検討する必要があると、このように考えてございます。  なお、金融商品取引法案におきましては、不招請勧誘の禁止の対象、これを政令で指定するということとされておりますが、不招請勧誘の禁止を一律に適用するのではなく、取引の性質や利用者被害の実態等を勘案して、その対象範囲を定めることとしているところでございます。  商品取引所法におきましては、平成十六年の改正におきまして、一度断った顧客に対します再勧誘を禁止する措置のほか、迷惑勧誘の禁止、適合性原則の導入などの措置を既に講じてきているところでございまして、取引に関する苦情も引き続きございますものの、現時点では改正法施行前に比べれば減少しているという傾向にございます。  また、検査監督体制につきましても、委託者保護の観点から、農林水産省及び経済産業省におきましてその充実を図ることといたしておりまして、検査官の増員などに努めておりまして、今後とも、法律の適正な運用によりまして委託者保護の徹底を図ってまいる所存でございます。
  114. 大久保勉

    ○大久保勉君 答弁に関しましては先週と全く同じだと確認しました。  特に、他の商品との均衡もありますから、この商品だけ不招請勧誘の禁止にするわけはないとか、こういったことがございまして、私も先週まではそうかなと思いました。  週末、たまたま日経新聞を読んでましたら、先週の金曜日の日経新聞を読みましたら、何と逆のことが書いてあったんですね。「日商協への苦情一四・七%増」ということで、苦情は減っているんじゃなくて、増えているんですよね。また、どういう苦情かといいましたら、不当勧誘、仕切り回避、無断売買と、悪質なものがほとんどです。これ、証券業でしたらこんなの、外務員でしたらすぐに免許の剥奪とか、極めて重大な責任があります。  全然違うじゃないですか。今後、このようなことが起きないようにどのような対策を講ずるか、政府参考人に聞きます。
  115. 谷みどり

    政府参考人(谷みどり君) これまでもお答えしてまいりましたとおり、全国五百か所以上に設置されております消費者センターに寄せられた商品先物取引に係る苦情件数は、これらを合わせました国民生活センターから聞いているところでは、平成十五年度及び平成十六年度には七千件を超えておりましたところ、平成十七年度におきましては四千件程度となっております。  一方で、今先生御指摘になりました記事でございます日商協という団体に寄せられました苦情相談の件数は、平成十六年度百九十一件、平成十七年度は二百十九件と若干増加しております。この増加の要因といたしましては、平成十七年度からこの日商協という団体が全国の消費生活センターに宣伝パンフレットを配布したことに加えまして、平成十七年三月から、この日商協が定める自主規制によりまして商品取引員の広告に日商協の所在地及び電話番号を必ず記載するということを義務付けたことが挙げられます。  このような日商協の努力を通じましてこの相談の認知度が高まりまして、この日商協のあっせん調停制度の利便性がより知られることとなり、商品先物トラブルの解決のために、より以前より活発に活用されるようになってきたと考えております。  いずれにしても、この相談の内容は法令違反である可能性がございます。このような法令違反の可能性があるものにつきましては、経済産業省、農水省とも、引き続き、商品取引員の法令違反行為が確認された場合には、行政処分を含めた商品取引所法の厳正な執行に努めてまいる所存でございます。
  116. 大久保勉

    ○大久保勉君 非常に長い答弁ですが、一言で言いましたら、先週は件数が減っていると。つまり、都合のいいものだけ持ってきて減っていると。こういう政府の対応に対して非常に遺憾に感じます。  じゃ、もう少し確認しますと、この日商協の数字に海外商品先物絡みの苦情は含まれていますか、端的にお願いします。
  117. 谷みどり

    政府参考人(谷みどり君) 日商協の苦情の対象は、会員の国内の商品先物取引受託業務に関する案件でございまして、海外商品先物取引に関する苦情は対象になっておりません。したがいまして、日商協が発表いたしました苦情件数には海外商品先物取引に関する苦情は含まれておりません。
  118. 大久保勉

    ○大久保勉君 つまり、海外に関しては含まれていないと。じゃ、海外の数字はどのくらいですか。
  119. 谷みどり

    政府参考人(谷みどり君) 海外商品先物取引に関する苦情相談件数につきまして、先ほど申し上げました国民生活センターの数字を聞いてみました。相談者が国内商品に関するものか、それとも海外商品に関するものか御理解されていないという案件は含まれておりませんけれども、明確に海外商品先物取引に関する苦情相談件数について国民生活センターに確認をいたしましたところ、平成十七年度末時点の暫定値といたしましては、平成十六年度四百四十九件、平成十七年度三百一件と伺っております。
  120. 大久保勉

    ○大久保勉君 もう少しこれ詳しくやりましょう。といいますのは、そもそも海外商品取引に関してどういう管理がなされているか、私は非常に疑問なんです。  で、これまでの政府説明でしたら、不招請勧誘に関しましては、他の商品との均衡がありますと。ところが、じゃ、どういうふうな均衡かということで、資料の二を見てください。  これは、昨日、政府のレクで実際に確認しました。金融商品取引、今回の法案です。金融先物取引、これは国内、さらには金融先物取引、海外です。不招請勧誘の禁止に関しましては、金融商品取引に関しては一部、マル、つまり、ありますということです。商品先物取引に関しましては、再勧誘禁止ということで、まあ一歩譲って三角にしました。海外取引に関しては全くありません。業者に関しては、金融商品取引に関しては登録制、国内先物に関しては許可制、ところが海外先物に関してはだれでも自由なんです。一番右側に商品先物取引海外分があります。あえて黒くしました。つまり、黒いんです。ブラックなんです。経産省、農水省も把握できてないという実態が明らかなんです。外務員資格制度もありません。自主規制機関もありません。検査体制はどうなっているかといいましたら、問題が起こって、場合によっては検査しますと。氷山の一角です。こういった実態があるということです。  こういう状況でしたら、商品の均衡ということは元々ないじゃないですか。つまり、少なくとも、国内商品先物はいいとしましても、海外商品先物取引に関しまして全く管理もされていませんし、何でもやりたい放題という実態じゃないですか。  まず、この問題意識に対して政府参考人に間違いないか確認をお願いします。
  121. 谷みどり

    政府参考人(谷みどり君) ちょうだいいたしました資料の中で、登録制、許可制を取っていない、外務員制度を取っていない等は御指摘のとおりでございます。  ただ、海外商品先物取引につきましては行為規制で取り締まるという法体系を取っております。不招請勧誘の禁止のところでバツが付いておりますけれども、再勧誘、つまりお客様に対して最初説明をいたしまして、それで要りませんというものに対してもう一度しつこく勧誘すること、これは行為が法令違反という体系になっております。  私どもは、そのような違法な行為を取り締まるために各種のヒアリングをいたしましたり、法令の実施に努力をしているところでございます。
  122. 大久保勉

    ○大久保勉君 ある程度検査しているとか、行為規制があると。しかしながら、この行為規制というのは、言わば競馬場が、競馬の馬券があります、のみ行為をするなとかその程度の規制じゃないかと思います。全く検査されてないというのが実態です。  じゃ、一例としまして質問いたします。これ金融庁質問します。  金融商品取引業の資格を剥奪された業者若しくは金融商品外務員資格を剥奪された営業マンが海外商品先物の販売をすることは可能であるか。つまり、証券業界で悪いことをしたと、もう取引停止、外務員資格剥奪と。こういった業者が、じゃもう別のところに行きます、海外商品先物取引で悪いことをしようと、こういうことに対して取引することができるか。金融庁質問します。
  123. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 海外商品につきましては可能でございます。
  124. 大久保勉

    ○大久保勉君 委員の皆さん、ここなんです。つまり、海外商品先物取引に関しては何でもできるんです。これが問題です。万が一、つまり、万が一という言葉を使います、悪いことをして見付かったら処罰されるかもしれないと。その程度の規制ですから、非常に問題があるはずなんです。  もう一つ、問題点を質問します。  海外商品先物業者が顧客の注文を一〇〇%海外の商品先物取引所につないでいるという確証はあるのか、また海外商品先物業者の全容を把握してない政府が果たして取締りをできるか疑問である、この疑問を払拭する答弁を是非とも政府参考人に聞きたいと思います。
  125. 谷みどり

    政府参考人(谷みどり君) 海外先物取引法におきましては、実際に顧客の注文を取り次がず、自己が相手方となって売買を成立させるという、いわゆるのみ行為でございますが、これは禁止しております。  海外先物取引業者につきましては、議員御指摘のとおり、その業務の開始時から事業者を把握しているというわけではございませんけれども、顧客から寄せられる苦情や相談の情報をもとにいたしまして、必要に応じて事業者からヒアリングを行いまして、それの実態の把握に努めております。  このような努力の結果、例えば昨年度、ある海外商品先物取引業者につきまして、顧客の注文を海外の商品取引所に出すと同時に当該注文と反対の売買を行う注文を出しまして、事実上ののみ行為を行う。そのほか、これだけではございません。法定書面の不交付などの悪質な違法行為が発見されましたため、この会社に対して業務停止を命じるなどしておりまして、海外商品先物取引業者に対する法の執行に努めているところでございます。  引き続き、法の適正な執行に努力してまいります。
  126. 大久保勉

    ○大久保勉君 いろいろ説明をいただきましたが、いわゆる見付かったら処罰しますと。じゃ、全容は掌握できてないということなんですね。この点が金融商品取引あるいは国内商品先物取引と違うんです。だから、商品間の均衡ということは全くないんです。  そこで、是非とも海外商品先物取引に関しましては、業者の登録制度、外務員制度、自主規制機関の、すなわちADRを早期につくるべきと考えますが、もしできない場合は何らかの対策が必要です。そうしないと被害者がどんどん増えます。  そこで、一つ提案なんですが、だから、この海外商品先物取引だけは不招請勧誘の禁止条項が是非とも必要だと思います。本日は公明党の松あきら副大臣にも時間を取っていただきました。是非、これはもう政府参考人ではなくて、政治家として決断してもらいたいんですね。やはり松あきら副大臣としてリーダーシップがあると信じておりますので、是非前向きな答弁を期待しております。
  127. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 御専門でいらっしゃいます大久保先生の正に御指摘のとおり、制度上、参入規制や外務員登録、これは、海外商品先物取引についてはこれが適用されないと。国内の商品取引制度とは異なっているという点については正にそのとおりでございます。  当省といたしましても、これまでも海外商品先物につきましては、現行の規制法であります海外商品先物取引法やその執行によってトラブル防止に尽力しております。当省といたしましては、同法の厳格な執行に努め、トラブルの減少に全力を尽くしてまいりたいと考えております。ここまでは役所の答弁でございます。  私の個人的な見解を申し上げます。ここからはあくまでも個人的な見解でございます。  国内法と、国内の商品先物ですね、この取引と海外と。外国は、諸外国を見ましたら同じなんですね、規制は。それもう先生の御指摘のとおりでございます。ですから、やはりこれは、本来は、外国でもきちんと同じ規制でやっているのでありますので、今、日本は国内法が例えば厳しくなったと。じゃ、海外で、海外においてはそれがないとなれば、やっぱり今度は、先生本当におっしゃるように、逆に海外商品先物取引のトラブルというのが増加する可能性もあると私は心配をしているところでございます。  今、私は大臣ではございませんので、ここで、じゃ、もう先生のおっしゃるとおり、全部、引っ込めてやりましょうなんということは申し上げられませんが、しかし現行の法執行に全力を尽くすことはこれはもう当然でございますけれども、先生のその御指摘を踏まえまして、海外商品先物取引の実態をよく注視をしながら、今後トラブルが拡大してくる事態となれば、一刻も早くというふうに私は申し上げたいんでございますけれども、先生の御指摘のあった方策を含めて、必要となる対策について適切に検討したいと思っております。
  128. 大久保勉

    ○大久保勉君 松あきら副大臣、ありがとうございました。  やはり答弁してもらってよかったと思います。全然ニュアンスが違いますよね、政府参考人と。やはりこれこそが政治家のリーダーシップです。是非、副大臣におかれましてはリーダーシップを発揮されまして、是非この問題の解決に頑張ってもらいたいと思います。  じゃ、これで終わりましたので、退席されて結構でございます。
  129. 池口修次

    委員長池口修次君) じゃ、副大臣、結構です。
  130. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 自分の委員会に行かせていただきます。
  131. 大久保勉

    ○大久保勉君 では、続きまして、金融商品取引法の精神に関して質問します。  この精神といいますのは、問題が発生してその都度直していくということは言わばモグラたたき行政であります。このことを回避し、投資家保護を図るということであります。金融先物、外為証拠金取引等、規制が厳しくなったところから逃げ出した悪いモグラが海外商品先物という畑にまた出てきて悪さをするということにならないか本当に私は懸念しております。  また、モグラの監視をする証券取引等監視委員会が、現状、検査官の人員などの面で少ない、量的な側面で少ないと。このこと以外に、金融庁の事実上従属した機関になっている、また審判・審決機能がないと、質的な面でも劣っております。  今回、こういった点で金融商品取引法の問題点があるんじゃないかという厳しい批判もあると思います。このことに対しまして、是非、与謝野金融担当大臣、先ほどの松あきら副大臣と同じ政治家の答弁を期待しております。是非お願いします。
  132. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 証券取引等監視委員会につきましては、市場の公正性の確保及び投資者保護の観点から、これまでも課徴金制度の導入に伴う調査権限の付与、機構・定員の増強等、その強化を進めてきたところでございます。また、監視委員会委員長及び委員は、法律上、金融担当大臣金融庁長官の指揮監督を受けずに独立してその職権を行うこととされておりまして、その意に反して罷免されない身分保障もされております。  なお、課徴金制度の審判手続については、審判の公正中立を確保する観点から、違反の調査等を実施する監視委員会ではなく、金融庁において審判官が主宰することとしたところでございます。  しかしながら、監視委員会についてはまだまだ歴史は浅く、そういう意味ではこれからも積み重ねるべき経験は多いと考えております。また、市場監視体制強化を図る観点から、今後とも必要な体制整備を図るとともに、人材の厚みや専門性の深さといったものを充実していく必要があるとも考えております。
  133. 大久保勉

    ○大久保勉君 今回の金融商品取引法の最大の問題は、やはり範疇の商品が限定されていると。海外商品先物、国内の商品先物あるいは銀行の貸出し等が入っていないということで、これが最大の欠陥です。是非このことは認めて、次の法改正のときには是非前向きなことをお願いしたいと思います。  続きまして、私ども民主党は、これまで米国をモデルにした日本版SECの必要性を提唱してまいりました。また、法案も提出しておりました。しかし、今国会におきましては、イギリスをモデルとした日本FSAを目指すこととしました。変更した経緯と理由について、当該法案発議者広田一委員に伺いたいと思います。
  134. 広田一

    広田一君 御答弁申し上げます。  その前に、午前中に公明党の荒木委員から私たちの櫻井理事の方に同様の御質問がございました。その際、大変恐縮で、漏れてしまったわけでございますけれども、荒木委員は、去る三月十六日の本委員会におきまして、イギリス型のFSAを検討すべきではないかというふうな御指摘をされました。私たちは荒木委員と同様の思いと問題意識を持って本法案提案しているわけでございますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。  それでは、イギリス型のFSAを目指す経緯と理由でございますが、第一には、消費者保護の徹底であります。消費者の観点からしますと、銀行、証券、保険といった業態ではなくて、提供される金融商品に着目した施策がこれからますます重要になってまいります。よって、イギリス型の金融サービス市場法の早期実施を念頭に置き、旧来の縦割りの業法から金融市場を一元的かつ包括的に管理することが合理的であります。  よって、その意味で、業種ではなくて、商品に着目したFSA行政機関を目指すことは今後とりわけ重要になると考えております。  第二番目といたしましては、これはこれまでの日本版SECとは異なるところではございますが、企画立案機能検査監督機能の分離の必要性であります。  やはり企画立案機能は、これまでの金融庁の取組などを見ましたら、引き続き金融庁に残して、銀行、証券、保険の垣根を越えた一体的な金融行政がより現実的かつ効率的で望ましいと判断をしたわけでございます。  第三に、国際的な状況であります。  英国はもちろん、ドイツなどの欧州諸国ではFSAのような業態横断的な機能を持つ行政機関への転換が図られております。もう一つの対極にあると言われているモデルである米国ですら、金融行政銀行、証券、保険、先物などの業務ごとに複数の法律や規制機関が存続していることに対して、GAOの報告書では、ばらばらの規制構造は失敗しているわけではありませんけれども、国際的な金融複合企業などを監視する統一的な規制機関を設けるべきではないか、こういった御意見が見られるところも重要だろうと考えます。  以上、大きく主に三つの理由から、私たちが新たに日本FSA提案する理由でございます。  以上です。
  135. 大久保勉

    ○大久保勉君 ありがとうございました。  続きまして、投資家保護と健全な市場をつくる観点から質問いたします。  まず、公正な価格形成を中心とした市場機能の確保のために市場阻害行為を禁止することは必要不可欠であります。また、金融機関の利益相反の防止を監督することが健全な市場を育成するために必要である。今回の証取法の改正で、市場阻害行為禁止規定、利益相反行為禁止規定が強化されているかどうか伺いたいと思います。  例えば、証取法四十二条の一項八号及び九号のフロントランニング規制や作為的相場形成の禁止条項が今回の法改正の条文から削除されております。このことは極めて問題だと思いますが、金融庁参考人の御所見を伺いたいと思います。
  136. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) お答え申し上げます。  今般の改正におきましては、例えば罰則の引上げなど全体として市場阻害行為に対する禁止規定は強化されているものと考えているところでございます。  なお、御指摘金融商品取引業者等の禁止行為に関する条文の構成ということについて申し上げますと、御指摘のとおり、法律のレベルにおきましてフロントランニング規制あるいは作為的相場形成の禁止条項は規定しておりませんが、これにつきましては、内閣府令におきまして、証券取引法の委任を受けた現行の内閣府令と基本的に同内容のものを規定することを考えているところでございます。
  137. 大久保勉

    ○大久保勉君 分かりました。政省令で押さえるということですね。  是非注文を付けたいんですが、重要なことに関しては法律の条文に書くべきだと思います。そして国会で議論すべきなんです。こういう肝心かなめなことが外れているということは、極めて重大だと思います。  続きまして、資料三を見てください。  今回、投資家を特定投資家一般投資家に二分し、それぞれ他の投資家に移行できるものとそうでないもの、合計四通りの投資家区分にしております。資料三によりますと、一番は特定投資家一般投資家へ移行不可、二番、特定投資家一般投資家への移行可能、三番は一般投資家でありますが特定投資家への移行可能、四番は一般投資家であって特定投資家には移行できないと、合計四通りがあります。  このことは投資家保護取引実務の効率化の点で理にかなっている点もあります。しかしながら、どの投資家がどのカテゴリーにするかが非常に問題であります。金融商品販売者が、十分な知識、経験、財産がないのに個人投資家一般投資家から特定投資家に移行するおそれはないのか、このことによりまして投資家保護が図られないと、こういった懸念がございます。このことに関して政府参考人質問いたします。
  138. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 今回の法案におきまして、特定投資家制度を導入することとしておりますけれども、御指摘のとおり、一般投資家が特定投資家にふさわしくないのにもかかわらず移行することがないよう、所要の規定を整備しているところでございます。  まず、選択による一般投資家から特定投資家への移行でございますが、この手続はあくまでも顧客側からの申出によって行うこととしております。この場合において、いわゆる適合性の原則が適用されますことから、例えばその知識、経験、財産の状況及び投資の目的に照らしまして、特定投資家としてふさわしくない投資家に対して、選択による特定投資家への移行を勧誘するような業者は当該原則に違反することになるわけでございます。  次に、一般投資家から特定投資家への移行の申出を受けました業者は、これを承諾する場合には、特定投資家に係る特例の内容や当該移行に伴いますリスクを理解している旨について当該申出者から書面による同意を得なければならないこととしているところでございます。  次に、移行の申出をした者が個人である場合には、さらに厳格な手続といたしまして、業者から申出者に対しまして、事前に特定投資家に係る特例の内容や当該移行に伴うリスクを記載した書面を交付しなければならないこと。それから、業者は移行の申出を承諾する前に、申出者が選択により特定投資家に移行可能な一般投資家の要件に該当していることを確認しなければならないことなどを定めているところでございます。  業者がこれらの義務に違反したと認められます場合には、その違反行為自体が監督上の処分対象となり得るほか、投資家につきまして特定投資家として取り扱うことができなくなりますことから、当該投資家を相手方とする取引等において、一般投資家向けの公益性が遵守されていなければ、その点についても監督上の処分対象となり得るものでございます。  こうした規定の整備によりまして、全体として投資者保護が図られるような制度設計としているところでございます。
  139. 大久保勉

    ○大久保勉君 説明は分かりました。  ところが、実務におきまして、業者としましては何とか一般投資家を特定投資家にしたいと。じゃ、書類が必要だったら、いわゆる株式を買いました。その売買契約書類の中に一般投資家から特定投資家に移るような書類にも判こを下さいということで、事実、説明されなくて、投資家が知らないうちに特定投資家になるという懸念もあると思うんですね。まあ、ここはきっちり金融庁検査で悪いことをする業者に対してはチェックしていく必要があると思うんです。  そこで、問題なんですが、今回登録業者が相当増える可能性がありますが、金融庁は現在の人員及び体制金融商品業者全社に対して十分に検査できるのか、このことに対して質問します。
  140. 長尾和彦

    政府参考人(長尾和彦君) 今回の法案におきまして、金融商品取引業者に対する検査というものは私どもの証券取引等監視委員会が行うことになるわけでございますけれども、この法の施行後でございますが、この監視委員会の、先生御指摘ありましたように、対象先あるいは範囲が拡大いたします。ただ、どの程度の数の業者が新たに登録するかなどの状況を、これを見極めながら、今後の検査の進め方などについて検討してまいりたいと考えております。  そこで、現状でございますけれども、ちょっと説明させていただきますと、検査の実施に当たりましては、私ども様々な資料、情報あるいは前回検査結果とか、あるいは検査周期等々、それを総合的に勘案して、また周期的だけにならないように、いろんな意味で情報を集めながら検査対象先を弾力的に選定すると。そうするとともに、限られた人員を有効活用するということで、効率的かつ効果的な検査を実施しているところでございます。今後とも、そういった努力の中で創意工夫をしながら、一生懸命やっていきたいと思っております。  また、そうはいいましても、やはり監視委員会といたしましては、やはり、もう見極めていくわけですけれども、今後の実態を。法案施行後の検査対象事業者数等の状況によっては一層の検査体制整備を図る必要が生ずるということもあるかと思います。そういった際には、私ども監視委員会としては、そうした実態等を踏まえながら、関係各方面の理解を得ながら、必要な体制整備を図る努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  141. 大久保勉

    ○大久保勉君 周期的になることがないという言葉がありましたが、じゃ、周期的にならないということでしたら、ある業者は五年も十年も検査が一切入んないという事態が発生するんでしょうか。ここは再質問します。
  142. 長尾和彦

    政府参考人(長尾和彦君) 失礼しました。ちょっとそこを強調し過ぎたかもしれませんが。  周期ということも一つの要素として考えてはおります。ただ、先ほど言いましたように、限られた人員の中で有効に検査を行う、あるいは様々な情報を集めまして、そうした中で重点的に行くというところも出てきますので、やはりそれは周期、周期といいますか、いろんな、一つ一つ機関から見ればかなりのばらつきが出てくることはあると思います。また、ここら辺は、今後というよりも現状の今の検査やっておりますけど、その検査の基本方針の中でも、周期についての考え方ということで今のような考え方を示しているところでございます。
  143. 大久保勉

    ○大久保勉君 こだわります。ということは、現体制で、現人員では全部定期的にはできないと、そういう言質を取られたくないから周期的にはしませんということでしょうか。もう一度、参考人
  144. 長尾和彦

    政府参考人(長尾和彦君) もうちょっと説明させていただきますと、現在の検査の私どもの基本方針といったものございますけれども、そうした中でも、検査周期に変化を付けることによって検査周期の差別化を図ること、こういったことによって機械的、画一的な選定とならないように留意すると、こういう考え方も考え方の一つとして示しております。  他方、一方、先生の御指摘でございますが、現在も大変、企業、対象者は増えておりますけれども、そうした中で、一番コアになりますといいましょうか、証券会社等につきましてはそれなりの頻度で接しているところでございます。
  145. 大久保勉

    ○大久保勉君 ちょっとまだ満足できないですけど。これだったら海外商品先物と一緒ですよ。ある程度の期間で、少なくとも必ず三年に一回とか四年に一回は検査しますと、こういう体制じゃないと、検査に来なかったら何をやってても分からないという悪徳業者が出てくる可能性がありますから、そこはきっちりやってもらいたいんです。  是非このことは、政治家、与謝野金融担当大臣に確認したいと思います。私は、少なくとも三年に一度、全金融商品取引業者を検査すべきであると考えております。このことに対して大臣の御所見を伺いたいと思います。
  146. 櫻田義孝

    ○副大臣(櫻田義孝君) 先ほど監視委員会の方からお話しして、ダブりますけれども、監視委員会には様々な資料、情報、前回検査結果及び検査周期等を総合的に勘案し、検査対象先を弾力的に選定するとともに、限られた人員を有効活用することにより、効果的かつ効率的な検査を実施していくものと承知しているところであります。  なお、金融商品取引施行後、どの程度の数の金融商品取引業者が新たに登録されるかについては予測することが困難な段階で、全金融商品取引業者に対して三年に一度の割合検査を実施することを宣言することは難しいことにつきましては御理解をいただきたいと思っております。  いずれにせよ、監視委員会においては、本法案により与えられる検査権限を的確に行使することにより、金融商品取引業者の法令の遵守等を図り、公正かつ透明性の高い健全な証券市場を確立するとともに、市場に対する投資者の信頼の保持に努めていくことを期待しているところでございます。
  147. 大久保勉

    ○大久保勉君 分かりました。今回の問題点というのは、登録業者がどの程度増えるか分からないと、だから今からきっちり三年ごとに検査するとは言えませんと、こういうことですよね。つまり、非常に参入障壁が下がってきますから、自由化して何か事件が起こってみないと分かんないという状況なんです。やはり、政府としましては、問題が発生して慌てて処理すると、処分するということにならないように、是非とも前向きな検討をお願いします。  では、続きまして、投資家のカテゴリーとしまして、例えば、病院、学校、宗教団体、地方自治体が株式投資若しくは債券投資などを行うことが非常に増えております。そこで、この四種類の投資家は、一般投資家でかつ特定投資家に移行、いわゆるこの表でしたら、資料三でしたら、三番ですね、三番のカテゴリーになるのか、二番の特定投資家に移行することが可能な一般投資家、あっ、ごめんなさい、これが三番ですね。最初のやつが二番ですね、一般投資家への移行が可能な特定投資家になるか、どのような範疇になるか教えてもらいたいと思います。  政府参考人お願いします。
  148. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 御指摘のとおり、病院、学校、宗教団体、地方自治体、御指摘いただきましたものにつきましては、この②か③、すなわち原則特定投資家一般投資家へ移行可能であるか、又は原則一般投資家で特定投資家へ移行可能であるか、どちらかのジャンルに属することになるものと考えております。  このうち、地方自治体でございますけれども、これはそういった属性等から考えまして、これは選択により一般投資家に移行可能な特定投資家として定めることを考えているところでございます。こういったものといたしましては、地方公共団体のほか政府関係機関あるいは上場会社及び資本金が一定額以上の会社等が考えられるところでございます。  それ以外の御指摘をいただいたものでございますが、これらにつきましては、知識、経験、財産の状況に照らしまして②と③にするか、そこは今度はその際の基準となる財産要件、こういったものを定める中で、属性的に一律に決めるということがいいのかあるいはそういった財産要件等を考慮しながら切り分けていくのがいいのか、この辺につきまして、いろいろな国会での御審議あるいは実務的な意見等を踏まえまして適正に定めていきたいと考えているところでございます。
  149. 大久保勉

    ○大久保勉君 適正に定めるというのはこの法案に書いてありますか、それとも、またお得意の政省令にゆだねるということですか。つまり、病院、学校、宗教団体はどこにどういう形で区別していくか、この法律に書いてありますか。
  150. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 地方公共団体につきましては、内閣府令で定める法人としてその辺は定めるように考えているところでございます。  一般投資家、③のところにつきましても、これにつきましては、その財産基準等を考えながら適切に定めてまいりたいと考えているところでございます。
  151. 大久保勉

    ○大久保勉君 考えているということですね、政省令で後で決めますということで、今回の法案の特徴なんですね、いみじくも。フロントランニングに関して、若しくは市場阻害行為の中の作為的相場形成に関しても政省令と。投資家のカテゴリーに関しましても政省令で詳しいことは決めていくということに、そういう構造になっていると思うんです。  だから、この法律案に関しまして、つまり詳しい内容が分からないけれども、とにかく白紙委任してくださいと、こういう法案に見えてしまいます。是非ともこのことは改善すべきだと思います。これはもう与謝野大臣にこのような批判に対する御所見を是非とも伺いたいと思います。大臣お願いします。
  152. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 国民に義務を課し、又は国民の権利、自由を制限する規制を設ける場合には、基本的に国会で議決をいただき法律によって定めるべきものであり、御指摘のように白紙委任的な規定を設けることは望ましくないと考えております。  一方、金融技術やIT技術の進展などを背景に金融取引が複雑高度化するとともに、新たな金融商品サービスが次々と現れる状況から、こうした商品サービスに対する規制については、専門的な細目事項が増大するとともに、状況の変化に即した機動的な対応が求められております。  このような観点から、今回の法案においても他の業法と同様に、法律において業者が遵守すべき行為規制等について具体的に規定しつつ、専門的な細目事項や状況に応じた機動的な対応が求められるものについて必要に応じて政令、内閣府令への委任が行われております。  ただし、その大半は現行証券取引法に外国証券業者に関する法律金融先物取引法、投資顧問業法及び抵当証券業法を統合することに伴い、現在、それぞれの法律で定めている政令、府令事項を金融商品取引法の政令、府令において規定し直すためのものでございます。  また、政令、内閣府令の内容については、国会で御審議いただく法律の授権の範囲内で規定するものであり、国会での御審議を踏まえた上で、行政手続法に基づく意見公募手続を経て定めていくことといたしたいと考えております。
  153. 大久保勉

    ○大久保勉君 ありがとうございました。  続きましては、銀行と証券の分離、いわゆる証取法六十五条、今回の法律でしたら三十三条に関して質問します。  本日も、富岡委員指摘に対しまして与謝野大臣は、証取法六十五条の意義は失われていないと、また銀行、証券分離は引き続き必要だという御見解がございました。この証取法六十五条といいますのは、銀行有価証券関連業務の禁止をうたった条項であります。  そこで、ちょっと与謝野大臣質問をしたいんですが、じゃ、いわゆる銀行が証券業務をすることができないと、一部だけしてもよろしいということだと思うんですが。じゃ、今十三項目証券業務がありますが、今銀行ができることは何割ぐらいかということを聞きたいんです、これは通告しておりませんが。つまり、銀行は禁止されていますから、何割以下だったら銀証分離の規制に違反しているんじゃないかと、御所見がございましたらお聞きしたいと思います、是非。常識的にお答えください。五〇%でもいいですし、三割でも。
  154. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) やはり銀行、証券と比べますと、銀行の方が力が強いということがある。そういう意味では、優越的地位を持っているだろうと推定されると私は思います。  それから、銀行、証券がやはり同じ法人内で業務をやっておりますれば利益相反になる場合もあるわけでして、もちろん持ち株会社をつくってそこの下に銀行、証券と別々の会社を持つことができるわけですけれども、やはり業務自体は垣根をつくって区分をしておいた方がいいのだろうということがやはり世界の大体の考え方ではないかというふうに我々は思っております。
  155. 大久保勉

    ○大久保勉君 ちょっと質問内容が伝わっていませんで、いや、ちょっとちゃめっ気を出しまして、いわゆる銀行有価証券関連業務をできないということだから、全体の証券業務のうち何割ぐらい許されているのかということで、通常だったら一割、二割は許されていて、残りの七、八割は禁止されていると、それが常識なんです。ところが、是非委員の皆さん、資料四を見てください。証取法六十五条には金融機関有価証券業務の禁止とうたっていますが、今銀行ができる業務というのは十三分の十、約七七%ございます。銀行ができない業務は十三分の三です。明らかにこれ、法律に書いてあることと現実は違うんじゃないですか。つまり、一、二割だけはまだできませんが、ほかは全部できるんです、銀行本体で、子会社を使わず、これが実態なんです。  そこで、大臣質問をしたいと思います。こういったいわゆる法律内容、つまり看板と実態が大きく乖離した条項は早急に改善すべきじゃないかと私は考えています。簡素で透明で分かりやすいが信条の小泉政権のポリシーにこれはそぐわないんじゃないですか。それとも、小泉政権の政策というのは羊頭狗肉の政治の本質が透けて見えているといういい例かもしれません。どっちですか。大臣、御答弁をお願いします。
  156. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先生の御質問の趣旨は、もう六十五条の趣旨は失われているんではないかという基本的な考え方に基づいているのではないかと私は思っておりますけれども、銀行等の証券業務への参入範囲は弊害が小さいと考えられる業務から順次拡大をしてきておりまして、これまで投資信託の窓口販売業務銀行等への解禁等を実施してきたところでございまして、解禁の際には所要の弊害防止措置などを設けているところでございます。  ただし、これらの解禁等については、証券取引法第六十五条の基本的な考え方を変えるものではなく、同条の根拠となった利益相反や銀行の優越的地位の濫用の可能性は今なお重要な論点であると私どもは認識をしております。
  157. 大久保勉

    ○大久保勉君 証取法六十五条は、事実上は骨抜きにされているというのが実態だと私は考えています。そこを認める認めないは別としまして、これが事実なんです。十三項目のうち十個はもう許されているんです。できない項目というのは、社債、株式の引受け、社債、株式の代理、取次ぎ、もう一つはPTSというのがありますが、これは非常にマイナーです。ほとんどのことはできるんです。引受業務だけできないという実態なんです。  ところが、この社債の引受けも類似業務がなされているんです。例えば、現在、銀行のシンジケートローン市場が急拡大しております。半期で十兆円を超えるということであります。資料としまして、資料五、またまたみずほコーポレート銀行投資銀行宣言の中から取ってまいりました。シンジケートローンの市場は、発行市場でなくて流通市場も急拡大しております。このみずほコーポレートのホームページによりますと、「二〇〇五年はローントレーディング元年」、これは蓑田常務執行役員の言葉ですが、「と明言しているだけに、現在はローンの流通市場(セカンダリー市場)の拡大を目指している。」、また「日銀金融庁などの諸施策もローン流通市場の育成を後押しする。」とのことであると。こういった記事がございまして、ローンの売買をすると。ローンというのは、海外においてはプライベートプレースメント、いわゆる社債です。社債を引き受けて流通させる、売買すると。これこそが社債の引受けとほぼイコールなんです。  こういった実態があることに対して、金融庁の御所見を伺いたいと思います。
  158. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) ただいま御紹介いただきましたシンジケートローンに関するみずほコーポレート銀行のパンフレットでございますけれども、シンジケートローンは御案内のとおり、複数の金融機関一つの協調融資団を形成して単一の契約条件の下で貸出しを行う融資手法ということで、リスク分散を図れるといったメリットもあるわけでございますが、これまで、民間の業界団体でございます日本ローン債権市場協会、通称JSLAと言っておりますが、ここがシンジケートローンの統一的な契約書のひな形の作成であるとか、貸出し債権流通市場活性化に向けた提言を行うなど、民間主導で種々の取組がなされてきているというふうに承知をいたしております。  シンジケートローンを含めまして金融機関がどのような融資手法を用いるかということについては、個々の金融機関が適切なリスク管理の下で自主的に判断すべきものであるというふうに思っておりますが、シンジケートローンの活用は、今申し上げた貸出し債権市場活性化といった、言わば市場間接金融を促進するという意義があることは事実でありましょう。それから、金融機関の貸出し債権に係るポートフォリオの観点からも、柔軟かつ適切なリスク管理に資するという意義もあるのかもしれません。  こういった観点から、金融庁といたしましては、主要行に対します経営の健全性確保に向けた取組を促すと。その一環としてリスク管理高度化計画というものの策定と、それに関するヒアリングというのを行っております。この中で、シンジケートローン、CLOを含む市場間接金融に関する取組方針を記載してもらうと同時に、それについてのヒアリングを行う、こういった施策を行っているということは事実でございます。
  159. 大久保勉

    ○大久保勉君 じゃ、一点質問します。  このシンジケートローンというのは有価証券ですか。イエス、ノーで言ってください。
  160. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) これは有価証券ではございません。  なお一点、先ほど答弁に正確を欠いたかもしれませんが、法人でございますけれども、先生御指摘いただきました表の①の特定投資家又は②で、内閣府令で定める法人である一般投資家への移行可能な法人以外の法人は、自動的に③の特定投資家への移行可能な法人という形になる、そういう制度となっております。
  161. 大久保勉

    ○大久保勉君 まず、ローンが有価証券でないという見解でしたら、例えばある会社の融資、ある会社の社債というのは、まあ技術的には、信用リスクという点では全く同じです。また、ローンといえども流通市場がございますから、非常に性格は似ています。  問題点は、ローンを買った投資家と社債を買った投資家、開示義務が全く違いまして、投資家間の平等原則がなくなってしまいます。証取法六十五条があるがゆえにこういった問題がありますから、やはりローンを有価証券としまして投資家保護を是非とも行うべきだと思います。  今回の金融商品取引法の趣旨といいますのは、業法を超えまして、商品を超えまして投資家保護するという考え方でありますから、真っ先にここは直すべきだと指摘して、ここは終わります。  時間があと三分しかありませんので、最後の二項目をまとめて御質問します。  預金保険機構は、現在、優先株式を持っております。その含み益の金額はどのくらいであるか。また、銀行等保有株式取得機構の所有する株式の含み益の現状を伺いたいと思います。
  162. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) まず、預金保険機構が所有する優先株の含み益でございますが、御案内のとおり、いわゆる資本増強につきましては、旧安定化法と早期健全化法に基づきまして十・四兆円が銀行に注入されたわけでございますけれども、そのうちこれまでに六・〇兆円が返ってきておりまして、残り約四・四兆円ということでございます。  この未返済の公的資金の優先株のうち、既に転換期が到来している優先株、これを仮に普通株に転換するといった、そういった仮定を置きまして、現時点での株価を前提として機械的に算出いたしますと、含み益は約一・八兆円ということでございます。
  163. 大久保勉

    ○大久保勉君 一・八兆円ですか。
  164. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 一・八兆円でございます。  ただ、御案内のとおりでございますけれども、優先株式の含み益、基本的に毎年転換価格の見直しがなされますし、それから、算定の基礎となる株価は日々変動するものでございますので、不確定なものであるという点を申し上げておきたいと思います。
  165. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 銀行等保有株式取得機構の方でございますが、ここの含み益は十八年三月末現在でおよそ一・一兆円となっていると承知しております。
  166. 大久保勉

    ○大久保勉君 要するに、預金保険機構と銀行等保有株式取得機構の含み益といいますのは二・九兆円、三兆円弱あるということですね。これは国民の財産だと思います。有効に是非とも活用してもらいたいと思います。  では最後の指摘です。  最近、銀行の方が優先株式の買戻し、買入れ消却を行っております。当然ながら株価が上がっておりますから、取得価格といいますのは発行価格よりも高い価格になっております。是非適正な価格でやると、これは大原則でありますから、その際の適正な価格といいますのは、証券会社等にプライスを確認しまして、独立した第三者による適正な価格ということが是非とも必要であります。この点、現状はどのようになっているのか、この点を質問したいと思います。
  167. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 優先株式の買戻しに関する実務は預金保険機構の方で行っておりますが、預金保険機構が優先株式等を処分する際の処分価格は、その時点での市場価格にのっとって算定されるという仕組みになってございます。その際には、基本的に預金保険機構におきまして、証券会社をフィナンシャルアドバイザーに採用してその意見等を聴取した上で、公正中立な手続による適正な価格の決定に資する目的で設置されました優先株式処分審査会、これは外部の有識者で構成されておりますけれども、この審査会の審議を経て処分価格が決定されると、こういう仕組みになっておりまして、これによって価格の公正さを担保しようと、こういう枠組みになってございます。
  168. 大久保勉

    ○大久保勉君 分かりました。  是非、国民の金ですから、非常に公正な価格で買戻しをさせるということを徹底してほしいと思います。また、銀行等保有株式機構の含み益一・一兆に関しまして、もしこれは清算されたら現行法上は一般の株主に全額返って政府には戻ってきません。政府政府保証を入れておりますので、何らかの形で政府に資金が返ってくるような工夫が是非とも必要であります。このことは後ほど議論したいと思いますが、この質問が最後の質問になります。これで終了します。
  169. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 銀行等保有株式取得機構の残余財産の分配でございますが、これは基本的に銀行からの拠出金の範囲までは第一次的に損も得も銀行が負いますが、それを超えた分は、損も得も国庫の方に帰属すると、こういう立て付けになっております。それで、銀行からの拠出金の合計額は二百八十五億円、これに一部一般勘定の損得というのが加わりますけれども、それを超えればその分は国庫納付という形になる制度となっております。
  170. 大久保勉

    ○大久保勉君 終わります。
  171. 前川清成

    前川清成君 民主党の前川清成でございます。  今日は、同僚議員の御配慮により、この財政金融委員会質問させていただきますことをまずもって感謝申し上げます。ありがとうございます。  さて、与謝野大臣にまずお伺いしたいんですが、五月十八日の行政改革特別委員会で、私はサラ金の金利が高いということに関して、アイフルの営業利益が五千四百九十五億円ある、こういうことを総理に申し上げている途中に、与謝野大臣からやじをちょうだいしました。一けた間違っていると、そういうやじをちょうだいしました。今、富岡議員にも確かめてもらいましたけれども、アイフルの営業利益、二〇〇六年、三月末の決算で五千四百九十五億円で正しかったんです。与謝野大臣もその後お調べいただいて不明を恥じていただいていると思いますが、一けた間違っているというふうにやじを、親切な御指導をいただいたのは、一けた多いと、アイフルだったら五兆円ぐらいもうかっている、そういうような勘違いをなさっていたんでしょうか。まずお伺いします。
  172. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) それは、営業利益ということではなくて、営業収益がそれだけになっているという、先生の数字は営業収益という言葉を使っていただくと正確だったと思います。やはり、営業収益、営業費用、そしてそれを引いたものが経常利益でございまして、先生がたまたまお使いになった営業利益という言葉は私どもちょっと理解ができなかったということでございまして、今も御質問の中で営業利益、営業利益とおっしゃいましたが、営業収益ならば先生が正しいんだと思っております。
  173. 前川清成

    前川清成君 それで、大臣も今の五千億円の営業収益ということはよく御理解いただいていると思いますので、大臣にそもそもの質問をさせていただきたいと思います。  今回の提案理由にも、貯蓄から投資に向けて市場機能の確保と、こういうふうに明記されています。この政府の進める貯蓄から投資という政策が正しいのかどうか。貯蓄から投資という政策を推し進めたならば、例えばあの豊田商事事件のように、お年寄りといったような社会的弱者に被害が毎年毎年生じてしまうんじゃないか、そんな危惧をいたしますが、大臣、いかがでしょうか。
  174. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 日本金融システムは、銀行中心の預金、貸出しによる資金仲介である間接金融に大きく依存しており、結果として銀行にリスクが過度に集中しております。これを金融システム全体で幅広くリスクテークが行われるようにすることによって、リスクに柔軟に対応できる経済構造を構築し、我が国経済全体の活性化につなげていくことが望ましいと考えておりまして、こうした観点からこれまでも累次にわたり制度の整備を進めてきたところでございますが、今回の法案投資者保護のための横断的法制を整備し、利用者保護の拡充と利用者利便の向上を図るものであり、貯蓄から投資への流れを加速するものであると考えております。
  175. 前川清成

    前川清成君 私は、貯蓄から投資というこの政策が必ずしも正しいというふうに思っていません。なぜならば、投資家保護消費者保護が余りにも不十分な今の法制度のまま貯蓄を取り崩して投資に振り向けたならば、老後の蓄えさえ、あるいは子供のために残そうとした教育資金さえ取り崩してしまう、失ってしまう、そんなおそれがあるのではないかと心配をしているからです。  だからこそ、投資には私は厳格なルールが必要だと思っています。また、資金力、情報量、そして経験、これで業者と明らかな差があるわけですから、投資家保護消費者保護のルールも確立していかなければならない。厳格なルールもない、消費者保護のルールもない、そんなまま貯蓄から投資という政策だけ推し進めていったならば、それはあたかも反則技何でもオーケーのリングの上で大男と赤ちゃんが殺し合いのけんかをする、そんなふうになってしまうんじゃないかな、私はそんなふうに思っています。この基本的な認識については大臣も御同感いただけるのではないかと思っています。  それで、まず大臣に、今日は商品先物取引について主に大臣にお伺いしたいんですが、商品先物取引というのがどのようなものであるのか、与謝野大臣は御存じであれば、リスクとリターン、整理をして分かりやすくお答えいただきたいと思いますし、よく知らないというのであればそのようなお答えで結構でございます。この点、お願いいたします。与謝野大臣
  176. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私の選挙区でいろんな業者がおります。私の支持者ですが、一人はあめを作っている業者、それから一人はあんを作っている業者、この二人とも実際はお砂糖を先物で買います。小豆を先物で買います。そういう意味で、一年間の自分の材料の仕入価格を固定すると、そういう側面、実物もその中にやはり農産物、工業製品、こういうものの価格の平準化という機能を図っている側面が実はあります。  ただ、若いころから、私の友人なんかが商品取引をやった話を聞きますと、とにかく証拠金が証券や何かと比べて随分小さいので、ちょっと買ったつもりが現物の価格にしたら物すごい額になると。よほど注意してやらなきゃこのことは駄目だということを友達がよく言っておりましたので、そういう意味ではリスクは極めて高い。もちろんうまくもうかったときはもうけは大きいでしょうけれども、やはりリスクは極めて高い分野投資だろうと思っております。
  177. 前川清成

    前川清成君 今のお答えは、商品先物取引政府政策で言う貯蓄から投資という場合の投資に当たる、こういうお答えですか。
  178. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 今回は、法律は同じ経済的性質を有する金融商品について同じルールを適用するとの基本的な考え方の下で、投資性の強い金融商品サービスに関する横断的な法制を整備することでございます。  御指摘商品先物取引についても、こうした観点から、今回の法案において、商品取引所法の一部を改正し、販売、勧誘ルールを金融商品取引法の規定と整合性のあるものに改正することとしており、現行法において既に規定されている行為規制と併せて、金融商品取引法の行為規制の同等性が確保され、規制の横断化が実現されているものと考えております。
  179. 前川清成

    前川清成君 私は、今お答えいただいたようなことは聞いてないんです。政府政策として貯蓄から投資へ振り向けていこうというのがある。商品先物取引貯蓄には当たらないだろう。そうしたら、商品先物取引投資と考えていいのですか。いや、投資ではない、別のカテゴリーなんだ、そうお考えなのか。その点だけお聞きしているんです。
  180. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 典型的には、株式、債券、投資信託への投資を念頭に置いてこの法律を作ってございます。
  181. 前川清成

    前川清成君 今、大臣があえて答えを逃げておられる。それは、商品先物取引が非常に危険だ、投資とは言えないような代物だということを認識されてのことだろうと思います。そうですよね、大臣
  182. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) これは、商品先物には言わばヘッジ機能もございまして、世界じゅうの商品市場というものはそれなりの役割を果たしているわけでございまして、それが先生の言う投資かどうかは別にいたしまして、農産物、工業製品の流通、価格のヘッジには役に立っているというふうに考えております。
  183. 前川清成

    前川清成君 今、私は個人投資家に限定してお聞きしているので、個人投資家が自分の貯金を取り崩して商品先物をやるとき、それは投資ですかどうですかという質問でした。それを大臣、今答えを逃げておられる。  今、大臣お答えになったのは、先日の我が党の櫻井議員の本会議での質問に対して、例えば二階大臣は、商品先物取引は石油など現物取引の価格変動リスクに対して保全機能、つまりヘッジ機能を提供するなど重要な産業インフラであると考えていますと、こう述べられたのと同じ趣旨でしょうし、また中川大臣もこの趣旨のことを述べておられます。  しかし、今の説明大臣のたまたまお知り合いの小豆屋さんでしたっけ、が小豆を買っておられると、そういう御経験をお話しなさいましたけれども、全体として見れば産業インフラとしての機能は全く果たしていないということをこれから申し上げたいと思います。  平成十六年の四月九日、衆議院の経済産業委員会で青木政府参考人は、我が国商品先物市場参加している個人投資家割合についてという質問に対して、一応の推計が入るけれども、金が六三%、ガソリンが七一%、灯油が七七%、原油が五八%、軽油が五六%。これだけは実は業者ではなく個人投資家投資をしているんだ、こんなふうに答えています。  青木政府参考人の答弁のとおりだったら、およそ商品先物の八割ないし六割を個人投資家が占めていることになります。逆に、事業者二割ないし四割、二割ないし四割にすぎないんですけれども、この二ないし四割の中には業者の自己売買も含まれます。そうだとすると、純然たる産業インフラとして機能している部分はごくわずかではないか、私はそう考えています。  大臣は小豆屋さんの例をおっしゃいましたけれども、例えば豆腐屋さんが大豆を先物取引で買っているというようなことがあるんでしょうか。この商品先物取引について、すぐ、大臣始め皆さん方お分かりになっていながら、産業インフラが大事なんだと、産業インフラとしての機能があるんだとおっしゃるけれども、現実は青木政府参考人の言うとおり、余り産業インフラとして機能してないのであるから、むしろ投資家保護消費者保護を第一に考えて立法するべきではないか、私はそう考えておりますが、大臣、いかがですか。
  184. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) シカゴにも商品取引所がありますし、ロンドンにもメタルエクスチェンジもありますし、ニューヨークにもありますし、それぞれ農産物、鉱物等々、やはり価格形成をするためにはやっぱりそういう市場が私は必要だろうと思っております。  また、自分の作ったものを売るという場合の価格のヘッジという側面もあって、商品取引所というのは世界経済の中でやはり重要な役割を果たしていると。その中で個人がどうするかという問題を先生は提起されていると思いますけれども、それはやっぱりそういうところで商品を買ったり売ったりする方々に対して情報の開示、透明性とかその他、そういう方々をどう守るかということをずっと法律で書いてきておりますし、今回もまた書いているわけでございます。
  185. 前川清成

    前川清成君 私が前提とした数字は私が調べたのではなく、青木さんという政府参考人がおっしゃったことを前提にしていますので、それも踏まえて是非議論をお願いしたいと思います。  また、私は今はっきりと、青木さんは我が国商品先物取引についての数字をおっしゃいますというふうに言いましたので、シカゴがどうか、アメリカがどうかと、そんな話は私はしておりませんので。  それで、ちょっと話を広げてみたいんですが、今回の金融商品取引法の三十八条の三号でいわゆる不招請勧誘の規定が設けられています。ただし、その範囲については政令で定めるということになっていますが、一応不招請勧誘の制度が導入されています。  そこで、大臣に、商品先物取引だけではなく、広く今回この法律で不招請勧誘を導入された制度の趣旨をお尋ねいたしたいと思います。
  186. 櫻田義孝

    ○副大臣(櫻田義孝君) お答えさせていただきます。  不招請勧誘とは、取引の勧誘を要請していない顧客に対し、訪問し又は電話を掛けて……
  187. 前川清成

    前川清成君 趣旨だけでいいです。
  188. 櫻田義孝

    ○副大臣(櫻田義孝君) 取引の勧誘を行う行為であります。  現行法上、この不招請勧誘の禁止規定の置かれている法律金融先物取引だけであります。これに対して、金融商品取引法案では、投資者保護の観点からの規制を整備する中で、不招請勧誘の禁止規定につきましても一般的な枠組みを整理した上で、その対象範囲としては、昨年末の金融審議会第一部会報告で適合性原則の遵守をおよそ期待できないような場合とする旨の考え方が示されていることを踏まえ、政令において、契約の内容その他の事情を勘案し、投資者保護を図ることが特に必要なものを定めることとしているところであります。  当政令の具体的な内容の検討は今後進めていくこととなりますが……
  189. 前川清成

    前川清成君 順番に聞きます。
  190. 櫻田義孝

    ○副大臣(櫻田義孝君) 当面の適用対象につきましては、レバレッジが高いことなどの商品性、執拗な勧誘や利用者の被害の発生という事態といった点を考慮し、店頭金融先物取引、いわゆる外国為替証拠金取引を定めることが適当であると考えているところであります。  なお、今後、仮に利用者被害の実態等にかんがみ、金融商品取引法案の不招請勧誘の禁止規定対象に追加すべき金融商品サービスが出てきた場合には政令において機動的に対応してまいりたいと思っております。
  191. 前川清成

    前川清成君 副大臣、私、聞かれたことにまずお答えいただきたいんです。  今、なぜ不招請勧誘という制度を今回設けたんですか、こうお尋ねいたしました。それに対して今副大臣の答えは投資家保護と、漢字五文字しかありませんでした。投資家保護と言われたらもっといろいろあります。断定的判断の提供もそうでしょうし、いろんな制度が盛り込まれています。なぜ不招請勧誘の禁止が投資家保護になるのか、その理由をお尋ねしたんです。そこをお答えください。
  192. 櫻田義孝

    ○副大臣(櫻田義孝君) 昨年来、外国為替証拠金問題につきまして投資者に対して被害が及ぼしていることから、これを防ぐ意味でこれを禁止しているところであります。
  193. 前川清成

    前川清成君 副大臣、今のお答えは答えになってませんよ、被害はほかにも一杯あるわけですから。なぜ不招請勧誘が必要なのか、その理由
  194. 櫻田義孝

    ○副大臣(櫻田義孝君) 適合性原則の遵守をおよそ期待できないような場合には、利用者保護の観点から機動的に対処できる一般的な枠組みを設けることが適当と考えられるということであります。
  195. 前川清成

    前川清成君 結局分かってないじゃないですか。副大臣、分かっておられないでしょう。どうして適合性原則がおよそ期待できないような場合には不招請勧誘が必要になるんですか。不招請勧誘を設けた理由を聞いているんです。カンニングペーパー丸読みだったら答弁にならないんです。  だから、これから後いろいろ議論させていただきますが、不招請勧誘の意義を今回の法案は余り理解していないと。だから、余りにも狭く考えていると、このとおりであります。  それと、副大臣、今のお答えの中に、一か所、うそだとは言いませんが、間違いがありました。今、不招請勧誘、政令で禁止する範囲について外国為替証拠金取引と、そうおっしゃいましたよね。それで間違いないですか。──ちょろちょろすんなよ。
  196. 櫻田義孝

    ○副大臣(櫻田義孝君) 金融先物取引全般でございます。
  197. 前川清成

    前川清成君 分かりました。今の、もうあえて聞きません。  大臣、私は今、今回政令で禁止する範囲について、不招請勧誘を禁止する範囲についてどうですかと聞いて、今金融商品全般です、こういうふうにおっしゃったので、それを前提に進めさせていただきます。  ちょっと、ちょろちょろしないでって。あなた答えたかったら、あなたこっち側おいでよ。もうその政府委員、一切認めないよ、そんなことしてんのやったら。  それで、今の櫻田副大臣お答えの中で、不招請勧誘について、実は余り政府の側が御理解いただけないということがありました。なぜこんなふうに理解されていただけないのか。商品先物取引について、今回、商品取引所法の二百十四条は、不招請勧誘に関する条文を置いておりません。なぜ商品先物取引については置いていないのか、お答えください。
  198. 谷みどり

    政府参考人(谷みどり君) 不招請勧誘の禁止は、お客様に対して新たな商品に対する情報をお届けする機会が奪われるなど、営業の自由の問題にも絡む大変重要な問題であり、慎重な議論が必要と考えております。  商品取引所の法律におきましては、昨年五月に施行されました平成十六年度改正におきまして、再勧誘の禁止という厳しい規制を入れまして、現在その法律の適切な執行に努めているところでございます。
  199. 前川清成

    前川清成君 今日、皆さん方のお手元に、日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会がまとめました、先物被害白書二〇〇五年版をお配りさせていただいております。  これをちょっと見ていただきたいんですが、一番上、アイメックスという会社があります。アイメックスの期首の委託者数は千四百十八です。で、一年間の新規委託者数は千七百十二あります。本来は、今までのお客さんと新しいお客さんと足して約三千百、期末の委託者数は三千百になるべきところ、千六百三十六になっています。すなわち、数の上では期首の委託者の大半が取引を終了しているということになります。  で、真ん中ぐらい、マラソンの野口選手で有名だったグローバリーという会社があります。ここも、期首の委託者数は六千四百四十五、新規の委託者数は四千五百五十六。したがって、本来は期末の委託者数は一万一千になるべきところ、六千八百九十五しかありません。新規委託者数の数だけ従来の委託者が取引をやめている、委託者の大半が入れ替わっているということになります。私の方で全部を足し算させていただきました。全部の業者を足し算させていただきました。期首の委託者数は十万八千二百六十四、新規の委託者は七万四千六百四十九であります。したがって、本来期末の委託者数は十八万二千九百十三になるべきところ、十一万一千五百十三であります。新規委託者の数だけ従前の委託者が取引をやめていっていると、これが先物取引の実態であります。  これが何を意味するのか。商品先物取引をやってもうかっているんだったら取引はやめません。皆さん損をする、だからやめていく。やめていくと自分たちの商売が成り立たなくなるから、また新しい委託者を業者は探してくる。一年間さんざん食い尽くして、その委託者は、消費者は、投資家はやめていかざるを得ない。実はこの繰り返しが商品先物取引なんです。  平成九年の九月八日に、農林水産省の商業課と通商産業省の商務課が共同しまして、委託者保護に関する研究会中間取りまとめ、そういう文書をお出しになっています。  これによりますと、商品先物取引について委託者の数は十万人というふうに書いています。そして、この十万人の八〇%が損をしていると、こういうふうに農水省も経産省も認めておられます。しかも、この農水省と経産省のまとめは委託途中の委託者についてであります。委託途中でさえ八割が損をしている。しかし、トラブルの類型として、仕切り回避あるいは仕切り拒否というふうにあるように、得をしてたらどんどん新しい商売を勧めて勝ち逃げはさせないというのがこの業界だというふうに報道をされています。そうだとすると、実際、毎年約十万人の新規委託者は全部損をして、個人の委託者についてですが、全部損をして、身ぐるみはがされてやめざるを得なくなって撤退していく、それが商品先物だ、こんなふうに農水省の資料でも明らかになっておるわけです。  先ほど与謝野大臣は、わざと、知ってて知らずか分かりませんが、わざと私の質問を回避されました。商品先物貯蓄ですか、投資ですかとお聞きしましたが、投資ですというふうにははっきりお答えになりませんでした。それはなぜか。賢明な大臣商品先物取引がみんな損をするということをお分かりになっているからだと思います。  競輪や競馬、私はやらないからよく分かりませんが、たまに勝つことはあっても、大抵の場合負けてしまいます。こういうのを投資とは言いません。ギャンブルと言います。商品先物取引、農水省、経産省のまとめでも八割が損をしている。これはやっぱり投資とは言えない。  だから、私は、こんな危険なものに、こんな危険なものに一般消費者の方が参加をしてはならないのではないか、そんなふうに思っています。一般消費者をプロの土俵に入れない。そのためには、一般消費者に対して殊更に勧誘することを禁止する不招請勧誘、これしかないと私は思いますが、与謝野大臣、いかがでしょうか。
  200. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 結局、商品先物というのは、しょせんゼロサムゲームでございまして、もうける人がいると損をする人がいるという、そういうことが私は普通の株とかそういう世界とは全く違うものだろうと思っております。  したがいまして、個人商品取引参加する場合には、よほどそのリスクについてしっかりとした知識を持っていないと自分の考えたことと全く違うことが起きると。また、少額の証拠金で相当大きなものが買えますから、非常に知らないうちに高いリスクを背負っているということにもなるわけでございまして、やはり相当な説明責任、あるいはその物事をきちんと相手に告げるとか、そういう厳密なルールでこの世界は私は動いていかなければならないと、そのように思っております。
  201. 前川清成

    前川清成君 厳密なルールで動かなければならないのは当然なんです。ただね、大臣、今私が時間を掛けて御説明したとおり、毎年およそ十万人の方が新規で商品先物参加しておられる。農水省、経産省が認めるところでもその八割の人が損をしている。毎年八万人の人が損をしておられるんです。  これまでだって政府は、金融庁だけじゃなくて農水も経産も、商品先物取引業者に対して甘々の行政指導をやってきたわけじゃないでしょう。今までだって法令を厳しく適用してきたわけでしょう。違うとは思いますけど、建前としてはそうなんでしょう。それにもかかわらず、毎年八万人が損しているんですよ。それでありながら新たに有効な方策を設けないということは、これから先も毎年毎年八万人の方々に損をさせてしまう、それを政府が黙認する、それと同じなんですよ。これは正に国の不作為、国の立法不作為じゃないですか。国の立法不作為については公務員の皆さん方個人の責任は問われないというのが国賠法ですけれども、私は今この場ではっきり申し上げましたよ。だから、あなた方には故意もあれば重過失もある。このまま放置したらあなた方個人の責任が問われるほど重大な違法状態が今残っているんじゃないですか。私は、是非この不招請勧誘を商品先物取引に導入しなければならない、そんなふうに思っています。大臣、いま一度いかがですか。
  202. 谷みどり

    政府参考人(谷みどり君) 御指摘のいろいろな報告を作りましたことは、その後の委託者保護についての各種の法令の前進に役立ててまいりました。例えば、証拠金をきちんと保全する制度が新しくできました。また、昨年五月に施行されました平成十六年の改正におきまして、御指摘の勧誘のところでの説明の責任、適合性原則に合致するような勧誘につきまして規定をいただき、そのガイドラインも作成いたしまして、業界への周知徹底、法令の執行に当たってきているところでございます。  今後とも法令の執行に全力を挙げることによりまして、被害を防ぐ、被害を減少させる努力を続けてまいる所存でございます。
  203. 前川清成

    前川清成君 私は、今日金融庁から頼まれて、是非是非経産省、農水省の政府委員登録してくれと言うから登録したんですよ。今みたいに聞かれてないことで時間つぶされるんだったら、もう一切政府委員認めないよ。今の答えに不招請勧誘のフもないじゃない。僕、そんなしようもない話、してないよ。  あなた、さっき大久保さんの質問に対して、商品先物取引の被害が何人だと言ってた。それ、どうなっているのよ。それは全部立法後でしょう。だから、結局は何ら効果は生じてないんです。経産省や農水省は業界を保護したいのか、何らかの利権があるのか、あるいは天下りしたいのか、何かよく分かりません。  しかし、政府機関であります国民生活センター、これが、平成十六年四月十五日、「商品先物取引に関する消費者相談の傾向と問題点」というようなレポートを発表しています。これによりますと、まず、このレポートの二行目、「商品先物取引に関する相談は、二〇〇二年度には七千五百八十二件にのぼり、十年前の四倍に増加した。」というところから始まります。そして、結局のところどうしたらいいのか。消費者のアドバイスとして、一般消費者は絶対に手を出してはならない。国の機関がここまで言い切っているんです。  国民生活センターが、一般消費者は絶対に手を出すな、そう言っているにもかかわらず、なぜ金融庁、そして経産省、農水省も放置し続けるのか。一般消費者国民生活センターは手を出すな、手を出すなと言っているんですよ。ところが、経産省も農水省も金融庁も、どうぞ手を出しても構いませんよという法案を今回提案してきている。余りにもおかしい。  先ほど、産業インフラとしての側面があるんだというふうに与謝野大臣がおっしゃりました。シカゴやどこどこではそれによって価格は形成されているんだというふうにおっしゃいました。そうであるならば、それはプロの皆さん方でやっていただいたらいいことなんじゃないんでしょうか。プロの土俵にどうして素人を引きずり込む必要があるのか。しかも、農水省、経産省が認めているとおり、八割の方々が損をするんです。むしろ、この商品先物取引に取り組んでいる弁護士の実感からすれば、ほとんど全員が損をして丸裸にさせられてやめていく、それが商品先物取引の怖さなんです。  なぜ素人をプロの土俵に引きずり込まざるを得ないのか。それは今、与謝野大臣おっしゃったとおり、ゼロサム原理であるならば、素人を引きずり込んで、素人を搾取した方がプロがもうかる、だから引きずり込む、こういう理屈になるんですか、与謝野大臣
  204. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 商品先物取引は農水と経産省の担当でございますから私から直接申し上げるべきことはないんですけれども、やはりこれは非常にリスクの高い分野でございますので、それは、一般方々がそういうところにお金を入れるというのはよほど知識もなければならないですし、また注意深くやらなきゃいけないということは、私はそれは両省ともよく御存じのことではないかと思っております。
  205. 前川清成

    前川清成君 いや、それは大臣、そういう縦割りじゃなくて、せっかく今回提案理由で横断的な消費者保護の規制をつくりますと、こういうふうにおっしゃったわけですから、商品先物は農水、経産ですじゃなくて、金融大臣の御決意ですぐに済むことじゃないかと私は思うんです。  それで、もう一度、この農水と通産の委託者保護に関する研究会中間取りまとめ、これを引用させていただきますが、この中で、何が原因で、何がきっかけで商品先物取引をやったかと、そういう問いについて、電話勧誘が四二%、飛び込みが二二%、こうなっています。正に不招請勧誘こそが商品先物を始めるきっかけなんです。  だから、私は何回も何回も、一般素人には不招請勧誘を定めればいいと、価格形成に必要であるというんだったら、それはプロの皆さん方がプロの土俵でやっていただいたらいいと、こんなふうに思っています。  それで次に、損害額の大きさについてお尋ねしたいと思います。  それじゃ、役所も答えたいでしょうから、経済産業省にお聞きします。商品先物取引の一件当たりの被害額はどれぐらいですか。
  206. 谷みどり

    政府参考人(谷みどり君) 商品先物取引における損益は市場全体で見ればプラス・マイナス・ゼロの仕組みとなっており、生産者等の当業者はこの仕組みを利用いたしまして現物市場の売買取引に伴う価格リスクに対するヘッジを行っておりますが、個人委託者につきまして、主務省、私どもが平成十五年、多少古うございますが、平成十五年に行ったアンケート調査によりますと、市場における個人委託者の損益につきまして、損失を被ったという人だけの平均でございますが、当該損失者の平均損失額は約三百七十万円となっております。
  207. 前川清成

    前川清成君 よくそんな白々しいことを言いますよね。明らかな虚偽の答弁でしょう。  ここに「先物取引被害研究」という雑誌を持ってきています。これはこんな薄いんですが、一冊三千円もする本です。この本を経済産業省は公費で購入しておられます。私が今手元に持っているのは最新版、二〇〇五年の十一月号です。その中の四十四ページ以下に判例や和解の紹介があります。  幾つもありますので、すべて出しませんが、判例その一は請求金額が一千五百二十三万八百七十円、判例二は損害額が一千二百四十万三千三百八十円、判例その三は損害額が三千三百六十六万円、判例五は損害額が二千七百七十八万八千三百七十円。三百万円というのはおよそけたが違うんです。  仮に一人二千万円だとしても、年間に十万人の人が参加をしています。すると、年間約二兆円。仮にその八割の損害だとしても一兆六千億円の損失が生じていることになる。もしこのお金が商品先物に回らずに例えば株式投資に回ったら、その分日経平均も上がって日本経済にプラスになるんじゃないかなと私は思っていますが、これについては時間もないし無駄ですので、お答えいただかなくて結構です。  それで、今回、これまた話が大臣に戻りますが、金融商品取引法の三十九条の二、そして商品取引所法の二百十四条の二の二項が被害者からの損失補てんを禁止しています。かつ、ひどいことに、金融商品取引法の二百条の十四号、商品取引所法の三百六十三条で被害者からの損失補てん要求については一年以下の懲役を科しています。  今申し上げたとおり、毎年八万人近い人が損をしている。その人たちが業者に違法行為があったとき賠償してくれと言うのは、これは当然だと思うんです。それにもかかわらず、なぜ損失補てんを禁止するのか。しかもこれについて罰則まで科すのか。この点について与謝野大臣、役所じゃないよ、金融商品取引法なんだから、与謝野金融大臣にお尋ねいたします。
  208. 櫻田義孝

    ○副大臣(櫻田義孝君) お答えさせていただきます。  不招請勧誘につきましては、政令で店頭のみで金融先物取引を指定することと考えているところでございます。  また、いわゆる損失補てん等につきましては、例えば現行の証券取引法第四十二条の二において、証券会社に対しまして、顧客に損失が生ずることとなった場合又はあらかじめ定めた額の利益が生じないこととなった場合には、その全部又は一部を補てん又は補足するために財産上の利益を提供する旨を当該顧客に申し込み又は約束すること、事前の損失補償の申込み、約束、顧客の損失の全部若しくは一部を補てん又は利益に追加するために財産上の利益を提供する旨を当該顧客に申し込み又は約束すること、事後の損失補てん等の申込み、約束、顧客の損失の全部若しくは一部を補てん又は利益に追加するために当該顧客に対し財産上の利益を提供すること、損失補てん等の実行を禁止し、また顧客側にも証券会社に対して損失補償、損失補てんを要求することを禁止しているところであります。  これは、一部の証券会社におきまして、特定顧客に対して多額の補てん、損失補てんを行っていたことが明らかになるなど、一連の証券不祥事が社会問題化したことを受け、その再発を防止し、証券市場の公正性に対する投資者の信頼を回復するため、平成四年に設けられたものであります。  今回の法案では、損失補てんが市場における正常な価格形成機能をゆがめ、市場仲介者として保持すべき中立性、公正性に反し、投資家市場に対する信頼を大きく損なう行為であるということから、現行の証券取引法における損失補てんの規定を金融商品取引法に受け継ぐとともに、商品先物取引においてもこれを禁止することとしているものであります。(発言する者あり)
  209. 池口修次

    委員長池口修次君) ちょっと速記を止めてください。    〔速記中止〕
  210. 池口修次

    委員長池口修次君) 速記を起こしてください。  私からちょっと一言申し上げますが、政府参考人を含めまして、答弁は的確にお願いをしたいというふうに思います。
  211. 前川清成

    前川清成君 今お尋ねしたことと同じことをもう一度お聞きします。  金融商品取引法の三十九条の一項一号で、損失が生じるとき、利益が生じないとき、損失を補てんしてはなりませんと、こう書いています。これはどういう趣旨なのか、損害賠償とはどういう関係にあるのか、この損失補てんの概念についてはっきりお答えください、大臣
  212. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 損失補てんというのは、あらかじめ損をした場合にはそれを補いますと、あるいは得をしない場合には得をしたようにしますという、理由なく相手に利益を与える行為だろうと私は思っております。  そこで、損害賠償責任というのは、故意又は過失によって相手に損害を与えた場合の責任であって、あらかじめ損失を補てんを約束した話と民法上の損害賠償責任とは全く違う概念だと私は思っております。
  213. 前川清成

    前川清成君 大臣の今のお答えは、業者の側に違法行為があって、あるいは故意又は過失があって、その場合に損害の賠償を求める場合には三十九条一項一号に言う損失補てんには当たりませんと、こういうことでお聞きしてよろしいですね。
  214. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 損失補てんというのは、あらかじめ約束されているか、何か途中でそういう約束がされたかということですが、裁判上の和解その他客観的に透明性が確保している手続によっている場合は、商品取引所法の主務省令において損失補てんの禁止の例外とする方向で手当てされるものと承知をしておりまして、これらの手続による示談を通じて被害者の損害の回復を図っていくことが適当ではないかと考えております。これは、損失補てんというよりも損害賠償責任に近い考え方だろうと思っております。
  215. 前川清成

    前川清成君 ちょっと今大臣お答えが変わったように思うんですけど、故意又は過失がある、業者の側に、あるいは違法行為がある、その場合には三十九条一項一号に言う損失補てんには当たらないんですね。  だから、例えば業者の違法行為によって損害を受けた消費者の側が、個人投資家が業者に対してお金を払ってくださいと、こういう請求をしても三十九条一項一号にも当たらないし、二号にも当たらないから刑罰も科せられないと、こういうことでよろしいですね。
  216. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) これは経産省の担当者が来ております、また農水省の担当者が来ておりますので、検討している方向を聞いていただきたいと思うんですが、先生は司法の御専門家なんで損失補てんと損害賠償との違いというのはもうすぐお分かりいただけると思うんですが、それでもやはり裁判上の和解その他透明性が確保された上で損失補てんをするということは、場合によっては可能にするということを今検討しているという答弁をさせていただいたわけです。
  217. 前川清成

    前川清成君 大臣お答えが私も分からないから本当に聞いているんです。しかも、これは大臣金融商品取引法にありますので、農水省や経産省のテリトリーじゃないと思うんです。今大臣お答えがちょっとぶれたんですけど、業者の側に違法行為があると、だから損失を求める。それについて、例えば裁判上の和解であるとか透明性が確保されれば損失補てんには当たらないというふうに聞こえてしまったんです。  だから、相手に、業者に違法行為があっても裁判上の請求をしなければ損害賠償を求めることはできないということではないですよね。だってそうでないと、例えば今、谷さんが言ったように、小さな金額の損害、仮に例えば五十万とか百万の請求であっても全部裁判を起こさないといけないということになってしまいます。  それともう一つ大臣国民生活センターというところがあって年間七千件くらい相談を受けているんです。国民生活センター、これ国の機関ですけれども、ここは相談を受けたら、裁判を起こすんじゃなくて、費用が掛かるからね、裁判を起こすんじゃなくてセンターの職員が業者に電話を掛けて、あんたとこもいかんねんからこうこうしてあげなはれ、こうやって示談のあっせんみたいなこともやっているんです。  今の大臣の後半のお答えによりますと、国民生活センターがやっている年間七千件くらいの商品先物取引に関する相談がすべて犯罪になってしまって、国民生活センターを畳まなければならないということになってしまうんです。  だから、最初に大臣がおっしゃったように、業者に違法行為がある、あるいは過失がある、そんな場合に法律上の権利で賠償を請求していく、これは三十九条に言う損失補てんには当たりませんよと。業者に何ら違法行為がありませんと、過失もありませんと、それにもかかわらずおれの損何とかせいと、こう言うていくのは損失補てんですよと、こんなふうに概念を整理していただけるとこれからの実務にも混乱はないし、三十九条というなかなか、大臣がおっしゃったような、証券会社が特定の顧客に対してだけ損失補てんをして市場の信頼を損ねたと、この辺もカバーできるんじゃないかと思いますが、大臣いかがですか。
  218. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 損失補てんというのは、もう全く故意、過失とかそういう世界とは別に、あらかじめ損をしたらその損の分だけ埋めるとか、あるいは途中でおれの損を埋めてくれと言ってやる場合とか、いろんな場合があるんでしょう。しかし、損害賠償というのは、やっぱり相手がなすべきことをなさないで被害を受けたという場合、やはり損害賠償請求は当然できて、これは損失補てん、禁止されている損失補てんとは全く別のものであると思っております。  そこで、現行証券取引法のケースについてお話し申し上げますと、損失補てん禁止が適用されない場合、これ一つは裁判所の確定判決を得ている場合、第二番目は裁判上の和解が成立している場合、第三番目は協会のあっせんによる和解が成立している場合等が定められておりますが、商品先物取引についても商品取引所法に基づく農水省令、経産省令において同様の手当てがなされるものと考えております。
  219. 前川清成

    前川清成君 もうこれ以上時間の都合もありますから議論しませんが、今大臣がおっしゃった確定した判決、裁判上の和解、協会の仲裁、これだけだったら狭過ぎるんですって。国民生活センターでやっている年間七千件の相談が全部犯罪になってしまうんですよ。あるいは、弁護士のところに相談に行ったら全部裁判を起こさなければならなくなってしまうんですよ。悪徳業者の常套句なんですよ、損失補てんは禁止されていますというのが。だから、今おっしゃったような判決だとか裁判上の和解だとかあるいは協会の仲介だとか、こういうのに限定してはいけない、私はそう思っています。  それと、ちょっと大臣にお尋ねしにくいことをこれからお聞きいたします。  私は、先ほど申し上げたように、不招請勧誘が正に一般消費者に対して被害をばらまいている、しかもあたかも損害賠償を封じるような損失補てんの条項が今回入ってしまったと、不思議に思っていました。投資被害で最大のものは商品先物取引であります。そして、商品先物取引から消費者を守るには不招請勧誘を禁止するしかほか方法はありません。そして、消費者に対して不招請勧誘を禁止したところで、プロに対しては商品先物取引が許されるわけですから、産業インフラとして何ら支障がありません。  何で商品先物取引一般消費者に対して不招請勧誘が禁止されないのかなと不思議に思っておりましたら、実は、これは大門議員のテリトリーになるかもしれませんが、二〇〇四年一月四日付けのしんぶん赤旗で、与謝野大臣に対して商品先物業者から二千九百八十万円の政治献金がなされている、これは第一位であります。二位はちょっともう引退された方ですし、三位もちょっと落選された方ですので言いませんが、自民党と民主党に、ちょっと声が小さくなりますが、一億三千七百万円の政治献金がなされている。第一位が与謝野馨元通産大臣、二千九百八十万円と、こんなふうに書かれています。  これほど害悪が指摘されているにもかかわらず、もしも政治献金で政策がねじ曲げられているとしたならば、これはもはや残念ながら政治献金とは言えなくなってしまう、賄賂と言わざるを得なくなってしまうと、私はそう思っています。もちろんその点、与謝野大臣は清廉潔白な方ですから、きっと与謝野大臣のところではなく、あるいは役所のところで何かねじ曲げられているのか、あるいは経産省、農水省の縦割りで政策がゆがめられているのか、私たちにはやぶの中でよく分かりません。ただ、二千九百八十万円という数字は残っています。  そこで、与謝野大臣にお尋ねしたいんですが、このしんぶん赤旗の記事は二〇〇〇年から二〇〇二年までの三年間で二千九百八十万円です。二〇〇三年から二〇〇四年、二〇〇五年、最近の三年間、商品先物業者あるいは商品先物業者の団体からどの程度の政治献金を受けておられるのか、お尋ねいたします。
  220. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) この業界からの政治献金については、すべて私の政治資金規正法上の収支報告で届け出てございます。  まず、平成十七年、昨年の分を申し上げますと、自由民主党の東京都第一選挙区支部に対して、業界におります私の友人の会社、友人がやっております会社、その法人から、一つの会社は年三十六万円、一つの会社は五十万円、これは選挙区支部に対する法人の寄附、計八十六万円でございます。  それから、私の政治団体でございます駿山会には毎月二十五万円の献金を政経政策研究会という団体からいただいております。平成十五年、十六年も同じ額でございますが、この政治団体からの寄附は、昨年の十月末をもって、閣僚就任とともにこちらで辞退をしております。
  221. 前川清成

    前川清成君 前の三年間はおよそ三千万円で、この三年間は約一千万円で、金額はがくっと減っているんですかね。  これ以上お聞きしません。ちょっと時間の都合もありますので、最後に一問聞かせていただきます。  今るる商品先物取引がまさしく消費者被害をばらまいているというようなことを申し上げました。そこで、対案の提案者である、発議者であります富岡議員にお尋ねいたしますが、民主党の対案においてはこの商品先物取引に対する監視監督体制どうなっているのかお尋ねし、私の質問を終えたいと思います。
  222. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 民主党といたしましては、この商品先物取引を含めて預金、保険、証券といった金融サービス全般を対象とした法整備を行った上で、英国のFSAのように、投資性のある商品については金融であるかないかにかかわらず、横断的に監視する機関をつくるべきであると考えております。  現在、商品先物取引については、今議論のありましたように農水省、経済産業省の管轄となっておりますが、我々民主党の案におきましては金融庁との共管となっております。ただ形式的に共管とするだけではなく、共管となった以上は投資者保護を十分に確保することが不可欠であり、経済産業省、農林水産省、金融庁が有機的に連携し合って厳格な検査を実施できる体制を確立することが重要であり、民主党案では、金融商品取引監視委員会にも商品先物についての犯則調査権限を持たせることといたしました。  さらに、我々の民主党案におきましては、この金融商品取引監視委員会内閣府の外局として設置することとしておりまして、例えば公正取引委員会と同様のいわゆる三条委員会と位置付けております。  最近における金融商品取引市場をめぐる様々な問題の発生をも踏まえつつ、新しい時代に対応した監視行政を確立するために、その在り方の根本に踏み込んだ見直しが不可欠であると考えております。組織や人員の拡充は必要でありますが、それだけでは十分でなく、独立性の高い、権限の強い組織を創設することが不可欠であると考えております。  以上です。
  223. 前川清成

    前川清成君 終わります。     ─────────────
  224. 池口修次

    委員長池口修次君) この際、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  三案の審査のため、本日の委員会内閣府政策統括官高橋進君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 池口修次

    委員長池口修次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  226. 平野達男

    平野達男君 民主党・新緑風会の平野でございます。  今、前川委員からかなり鋭い質問が次から次へと出てきました。私の質問も、これからやらしていただく質問は主に不招請勧誘に関しての質問が多くなるかと思います。  そこで、まず冒頭ですが、先ほど前川委員質問の中に金融先物取引に対する投資投資といいますか、いろいろ取引員に誘われて証拠金を預けてその仕組みに参加するものは投資かどうかという質問がございました。  これは、御承知のように商品取引につきましては、特に私はかつて農水省にいましたから、穀物取引所のことをちょっと念頭に置きながらやりますけども、穀物取引所についてはもう御承知のように米から始まって、世界最古の先物市場をつくったのは日本ですね。で、生産者にとっても流通業者にとっても実はこの先物市場というのは大変有り難い社会インフラではあります。  先ほど大臣から御答弁がありましたように、例えば小豆買うときに、先に小豆で一定価格で買っておくと、それで先物市場で売りヘッジを掛けておくとか、そういった形でいわゆる価格変動リスクから免れるということなんですね。  じゃ、しからばその価格変動リスクをどうするかというのが、それを要するに先物市場で、さあいらっしゃい、いらっしゃいという形で、一般投資家といいますか一般消費者の中に買ってもらうというのがこの商品先物市場の仕組みなわけです。  そこで、先ほどの前川さんの質問の中に、これは投資なのか、それとも別物なのかということについては、私は先ほどの大臣の答弁を聞いていますと、商品先物市場の仕組みは説明していましたけれども、まあ本当にそこの答弁は避けられたということで、もう一度改めて、今までの議論を踏まえた上で、あれは投資なのか、それとも投機なのか、大臣のちょっと所見を伺っておきます。
  227. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 厳密な言葉の定義というのは分かりませんけれども、投資と投機かという二つしか選べないとしたら、私は投機という言葉を、投機という言葉を選びます。
  228. 平野達男

    平野達男君 私も賛成であります。  特に穀物市場なんかについては、例えば大豆の生産の状況がどうなるかなんというのは、これはプロの世界では、例えばこれからの気候の変動とか世界全体の需要なんかを見極めながら多分参加すると思いますが、これが取引業を通じた一般消費者になりますと、そもそも先物市場というのはどういうものかということをよく分からないまま参加している可能性が高いんですね。  そうしますと、そういう方々はとても投資とは言えない。むしろ生産者とか流通業者の方々が避けたリスクをしょわされているという意味においては、それを分からないまま行ったんではこれは全く投機に、しかも分からないまま参加させられている可能性が非常に高いんですね。そういうものだと思います。  今、大臣に、投資か投機かということについては二つの言葉しかないということで選択ということで迫ったわけですが、投機という答弁が出たというのは、これはそのとおりだろうと思います。  その上で更にもう一回、先ほど前川委員質問した不招請勧誘。前川委員は、不招請勧誘はなぜあるのかというその意味をるる聞いていましたけれども、それについても答えがない。  ただ、先ほど来の前川さんの議論をしっかり聞いていますと、私はそこにしっかりとした答えが既にあるんじゃないかと思いますが、改めてお伺いしますが、不招請勧誘についての、不招請勧誘はなぜ設ける必要があるのか、規定として設ける必要があるのかあるいは設けられているのか、その考え方について再度お聞きします。
  229. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 不招請勧誘でございますけれども、今回の金融商品取引法におきましては適合性原則というのを定めているところでございます。  一方で、その適合性原則がおよそ期待できないような場合においては更に不招請勧誘ということもあるわけでございまして、これにつきましては、私どもは、店頭の金融先物取引、いわゆる外国為替証拠金取引、これが現在対象となっているところでございまして、政令におきましてもこれを指定する方向で考えているところでございます。
  230. 平野達男

    平野達男君 適合性原則がおおよそ適用できない場合にはという、それはずっと衆議院からそういうふうに答弁されていますね。  しかし、先ほど来の前川さんの質問にはもっと分かりやすいことでこの問題に答えているわけです。要するに、プロとアマ、難しい言葉で言えば情報の非対称性という問題かもしれません。要するに、分かっている人と分かってない人の中に物すごい差がありますねと。分かっている人が分かっていることを全部言わないで、それでこれは、この投資はいいですよというようなもので誘う、それが非常にリスクが高いものだというものについては、これはどんなものであってもやっぱり不招請勧誘ということで、規定でもって消費者のことを保護しなければならないんじゃないかという、そういう考え方じゃないかなと思うんですが、私の言っていることに何かどこか間違いありますか。大臣、副大臣、どちらでもいいです。
  231. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) やはり、投資であれ投機であれ、市場参加するためには相当な知識がないと危険は一杯というふうに私は考えております。  そういう意味では、業者による情報提供、これが不十分だと、業者の持っている情報、お客が持っている情報が全く量、質とも違うと。こういうことは、やっぱり利用者が十分な情報を持ってないとそれだけで不利な立場になると、これは我々分かっていなければならないことだと思っております。  それから、市場にはリスクがありますということもきちんと事前に説明をする必要がありますし、やっぱり紙に大きな字で書いたものを、こんな小さな字で書いてもだれも読まないわけですから、やはり参加者がある程度のリスク、一定のリスクを承知の上で市場参加するということを状況として確保しなければならない、私はそのように思っております。
  232. 平野達男

    平野達男君 基本的にはそのとおりだと思います。  そこで、今大臣の中にいみじくもリスクという言葉が出てきました。実は、私はこのリスクという言葉はここ正に二、三年ぐらいにやっと定着したと言っても、金融とか財政のところにある程度の関心を持って、強い関心を持って臨んでいる人の間の中に定着した言葉ではないかと思います。  私は選挙区が岩手県ですけど、例えば一般方々にリスクと言ったって分かりません。リスクって何ですか、危ないことですかって言えばまだいい方ですよ。リスクなんていう言葉は聞いたことない人もたくさんいるわけです。  それで、そのリスクという概念、例えばここでは市場性リスクとか、それからあと信用リスクとか、あるいはシステムリスクとか、いろいろ言葉がありますけれども、このリスクという概念がいわゆる一般消費者の中にどれだけ普及しているのか、大臣の漠とした感想で結構でございますから、それについてのちょっと御認識を聞かせていただけるでしょうか。
  233. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 最近はもう英語の単語がはんらんをしていて、本当に私は自分自身困っているわけでございますけれども、そういうリスクというのは、本当に我々こう毎日議論している人間は、先生おっしゃるように、ある程度概念はきちんと分かるんですけど、一般の方には恐らくまだ浸透はしてないんだろうと思います。こういうやっぱり損をしたりもうかったりという、そういうことがあるのにもうかる話だけをするという、言わば損をする危険性を全く相手に気付かせないような説明ぶりとか、そういうことに関してはきちんとやっぱり説明をする必要があると、私はそう思っております。
  234. 平野達男

    平野達男君 質問を継続したいんですけれども、もう与党いませんから、今日、委員会もうやめましょう。
  235. 池口修次

    委員長池口修次君) じゃ、ちょっと速記止めていただいて。    〔午後三時十八分速記中止〕    〔午後三時三十三分速記開始〕
  236. 池口修次

    委員長池口修次君) 速記を起こしてください。  じゃ、ちょっともう一回、質問平野達男君。
  237. 平野達男

    平野達男君 私、財政金融委員会、五年間いますけれども、これはもう初めてですよ、この財政金融委員会でこんなこと起こったのは。ほかの委員会で与党が過半数いなくて止まったというのは、例は聞いたことありますし、テレビ中継でも見たことありますけれども、この財政金融委員会ではもう初めてですよ。そのことだけ強く申し上げておきます。しかも、人が来るまでにこんなに時間掛かったんですから、もう皆さん、委員、この国会のそばに、この近くにいなかったということですよね。  そういうことで、私の持ち時間どんどん、もったいないから、質問に入らしていただきます。いいですね、理事。  じゃ、理事の方から指示がございましたので、質問を続けさしていただきます。  先ほどリスクという概念につきまして、一般国民の中にどれだけ普及しているんでしょうかということについて与謝野大臣に一応認識をお伺いしたわけですけれども、まだまだということではなかったかと思います。  それでは、更にもう一歩先を進めて、特にここからは先物取引員、先物取引業者というふうにちょっと限定してお話を進めていただいて結構なんですが、その取引員が、あるいは先物取引業者が勧誘をするときに、そういうリスクが顧客は分かっていないんだということを分かった上で、どの程度分かった上でやっているのか。それを、その前提で、このいろんな法律を仕組むときに、その先物取引員とか業者というのは、自分がこれから相手する顧客というのがリスクという概念がどれだけ分かっていないんだ、あるいは分かっているんだという前提で法律を仕組んでいるのか、その考え方をちょっとお聞かせください。
  238. 谷みどり

    政府参考人(谷みどり君) 商品取引所を規制する法律におきましては、商品取引員は、例えば適合性の原則というものがございまして、顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘を、不適当と見られる勧誘を行って委託者の保護に欠け、又は欠けることとなるおそれがないように、商品取引受託業務を営まなければならないということになっております。また、委託を行うに際しましては、相手に対しまして、商品の性質あるいはそのリスクにつきまして説明をし、書面を交付しなければならないということになっております。この具体的な運用の方法につきましても、ガイドラインを示しているところでございます。
  239. 平野達男

    平野達男君 だから、それは法律上当たり前のことを説明しているんであって、例えば書面で提示するとか、こういう仕組みだということは当然これは説明せないかぬですよ。  要は、しかし先ほど、与謝野大臣も文面でいろいろ小さな字じゃなくて分かりやすい字でというお話でありました。一般投資家は、例えば私も、まあ恥をさらすようなんですが、保険の定款なんかほとんど読んだことありません、字が細かくて。こういうものが、例えば先物取引の中で誘われたときに、仕組みがどうなんだとか全体のものを説明したとしても顧客はなかなか分かってもらえないだろうという前提で、そういう取引員とか何か業者がやるんだろうという前提で法律を仕組んでいるのか。いや、そうじゃない、こういうことを規定の中でこうやれば、取引員とか業者は当然それは守るから大丈夫なんだというそういう認識なのか。  そこは、政府委員じゃなくて、ちょっと大臣なり副大臣、政務官でも結構です。どういう認識で、今回、全体の法律の体系を仕組んだのか、その考え方をちょっとお聞かせください。金融先物でいいんですよ。
  240. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先生御指摘のように、金融商品サービスの勧誘が行われる際に、顧客の知識、経験、財産の状況等の属性に応じ、顧客が十分に理解できるように配慮した説明が行われることは、利用者保護の観点から極めて重要であると思います。  こうした観点から、現行証券取引法においても、いわゆる適合性原則に関する規定、すなわち、顧客の知識、経験及び財産の状況に照らし、不適当と認められる勧誘について禁止するとの規定が設けられておりますが、今回の法案では、考慮要素として、知識、経験、財産の状況に加えまして、金融商品取引等を行う目的、これを追加することによりその強化を図っております。
  241. 平野達男

    平野達男君 私の質問もかなり抽象的な質問になっていますので、そこにダイレクトに答えるのはなかなか難しいかもしれません。ただ、今の規定を幾ら準用したところで、まず、本当に、私の一つ疑うのは、相手は分かっていないということを利用しようと思ったら幾らでも利用できるんですよ。そういう業者にいろいろこういう例えば目的も規定をしましたとか適合性原則なんか言ったって、最初から守る気ないんだから意味がなくなるんじゃないですかということを言いたいんです。  そこで、私は先ほど与謝野大臣にも言いましたけれども、勧誘するときは、これをやったらこんなリスクがありますなんて言う業者いると思いますか。これをやったらこれだけ損しますよ、可能性ありますよ、いいですね。こうやって勧誘する業者いますか。いるわけないですよ、そんなのは。それはもう、これやったらこれもうかります、これやったらいいですよというふうに、いいことばっかりやるんですから。それはすべての、先物だけじゃなくて、物を売るときでもそうですね。ただ、物を買うときには、例えばテレビ買ったり冷蔵庫買ったりしたときは保証が付いているから、まあまだ何となくこれは消費者ということで保護されているんですが、先物とか何かというのは、先ほど損失補償規定の云々という議論がありましたけど、基本的に何もないわけです。  そこで、本当にその制度を分かっている、例えば今回の商品取引所法の中では再勧誘の禁止なんという規定というのが前に入りましたね。だけど、一般国民は再勧誘の禁止なんという言葉なんかもほとんど分からないと思いますよ。それぐらいね、それからあと、繰り返しますけども、金融先物にせよ商品先物にせよ、どういう仕組みでこの先物取引がやられているか、先物取引市場がどういう仕組みになっているか、多分一般取引消費者の方は分からないです。分からないまま、この商品を買えばもうかりますよと言われている可能性がうんと高い。  そこで、この財政金融委員会とか金融の世界の中では情報の非対称性という言葉をよく使います。例えば制度、それからリスク、そういったものを仕組みをしっかり分かっている人が片方にいる。片方では、こう言ったらなんですけども年金生活者がおられる、リスクという言葉さえもよく分かっていない。このすべてを相当程度分かった人が、この人が分かっていないということを分かりながらいろいろなことを説明していく。こういうことはもう情報の非対称性ということで、この解消がない限り非常に大きな問題が出てくるんだと思うんです。  そこで、この情報の非対称性の解消というのは、この法律上はだれが責任持ってその解消に努めるということになっているんでしょうか。これは商品取引法あるいは金融商品取引法、両方ちょっとお伺いしておきます。
  242. 後藤田正純

    大臣政務官後藤田正純君) 先ほども、情報の非対称性については大臣からもお話ございましたが、結論から申し上げますと、業者が顧客への適切な情報提供を義務付けているということでございます。
  243. 谷みどり

    政府参考人(谷みどり君) 先生御指摘の情報の非対称性の解消につきましては、説明責任を課す、またこれに反した場合の損害賠償責任を商品取引員に課すとともに、主務省におきまして法に基づく適切な検査監督を行うことによりまして、委託者が商品先物取引の仕組みやリスクを理解した上で、主体的な判断に基づいて取引参加できるよう措置を講じているところでございます。
  244. 平野達男

    平野達男君 そのとおりですね。だから、勧誘する側に義務を課しているという、今の制度ではそれはしようがないと言えば、仕組み上そうなっているということ、仕方がないという面もあるかもしれませんが、そういう仕組みになっているわけです。まあ別な言葉でいきますと、また片仮名文字が出てきますが、業者側のいわゆるコンプライアンス意識、そこに全面的に依存をしているという、そういう法律体系になっているわけですね。  じゃ、しからば、例えば商品先物取引を扱う取引員、この業者が一体どういう状況になっているかということをちょっと以下、ちょっといろいろ質問したいと思いますが。  私がこの間いろいろ調べたところによりますと、以下はこれ商品取引員ですよ、この商品取引員は八十三社ぐらい今あります。この八十三社のうち、大体毎年、この間、農水省の担当者あるいは経済産業省の説明によりますと、二十社ぐらい検査に入るそうです。その二十社の中の、検査を受けますと、平成十二年から十七年まで毎年六社から七社ぐらい、これ業務停止命令の命令が出されているんです。しかも、これは八十三社のうちの、毎年ですよ、六社、七社が業務停止命令ですよ。これは検査をしっかりやっているとも取れますが、これは、だけど、母数の割には業務停止命令を受ける業者の数が物すごい高い。しかも、これは平成十二年から十七年のデータを見ますと、同じ会社が二回、三回と業務停止命令を受けているんですよ。  これだけ頻度が高く、しかも同じ会社が何回も受けるというのは、これはどういうことか。これはもう大変なことだと思いますし、ただ、これだけ業務停止命令がたくさん出されますと、もう業者側も、事実上のこれはイエローカードを出されていると思いますが、イエローカードを出されようが出されまいがもうへっちゃらな可能性になっている可能性があるんですよ。  こういう状況につきまして、今日は本当は政務官とか副大臣呼んで経産省とか農水省にも聞きたかったんですが、なかなか経産の副大臣も政務官もほかのことで忙しくて余りこういう先物については勉強してる暇がないらしくて、衆議院のいろいろな議事録見ても、まともな答弁していないんですね。だから、今日は私はあえて呼ばなかったんです。この実態について余り政府委員に聞いてもちょっともう答弁期待できないんだけれども、代表して農水省の方からちょっと答えていただけますか。
  245. 佐久間隆

    政府参考人(佐久間隆君) 処分状況でございますが、農林水産省におきましては、委託者保護の観点から行政処分などの法執行を厳正に行うことが不可欠であると考えておりまして、十六年度から十八年度にかけまして商品取引検査官の定員を七名増加いたしました。これを本省、地方農政局と合わせて二十七名体制ということで、さらに、うち一名、昨年より公認会計士を採用いたしております。  八十三社ということで今ございますけれども、このような検査監督体制強化でございますとか厳正な行政処分の結果、かつては百社を超えておりました商品取引員、すなわち商品先物取引の会社数でございますが、現在八十三社ということになっておりまして、確かに御指摘のように繰り返し処分を受けているというところがございますけれども、そういったところの中には退出するというところも出てきておりまして、不適切な業者が商品先物市場から排除される傾向になっているということでございます。  農林水産省といたしましては、健全な商品先物市場が運営されますよう、経済産業省とも連携いたしまして、厳正な法執行、委託者保護の徹底に努めてまいりたいと考えております。
  246. 平野達男

    平野達男君 これだけの業者が出てきたら、業者群としてしっかりとしたコンプライアンス意識を持ってやっているかどうかということに対して農水省と経済産業省は責任持ってやっているというふうに言えますか。そのことをちょっとお聞きしておきます。
  247. 谷みどり

    政府参考人(谷みどり君) 経済産業省、農水省におきまして今後とも厳正な法執行を行っていく所存でございます。これまでの処分の実績、法執行の結果ではございますけれども、この実態を真摯に受け止めまして、今後とも厳正な執行、委託者保護に全力を挙げていく必要があると考えております。
  248. 平野達男

    平野達男君 この行政処分の背景を見ますと、いわゆる説明することをしっかり説明していないとか、本当に基本的なことで引っ掛かっている業者ばかりですよ。  そこで、最初の今日の議論の話に戻りますけれども、こういう業者が何も知らない人にこういう取引がありますよということで声を掛けさせることが本当にいいのかどうかという話なんですよ。これは、これだけの、八十三社があって毎年、平成十七年なんか七社、平成十六年は八社ですよ。これだけの業務停止命令を出している。繰り返しますけれども、この十二年から十七年まで三回業務停止命令を受けたところもある。これが本当に、消費者保護あるいは投資家保護という観点からすれば、こういう業者に、何回も聞いてきたけれども、営業の自由と言いましたか、商売の自由と言いましたか、そういう自由というものを無差別に認めていいのかということなんですよ。  いや、再勧誘の禁止をしています、あるいはいろいろ勧誘するときに目的規定とか何かいろいろ入れて全部いろんな聴取をやることを命じました、それは二次的な話。だけど、一番最初の、分かってない人にそういうものを、こういう業者の方が、取引員がその接点を持つこと自体、話し掛けること自体、これは大変な問題ですよ。これこそ、冒頭の話に戻りますけれども、リスクにさらすことになるんですよ、一般投資家一般消費者を。  与謝野大臣商品取引所法という法律金融庁の所管ではありません。しかし私は、この際、金融先物についても、これは店頭販売のものについては省令でしたか、これは不招請勧誘の対象にするということで、しかし実際には今、取引所のものについても不招請勧誘の禁止の対象になっていますね。今回の法改正によって多分その範囲が縮まる。  だから、本当に消費者保護投資家保護ということを考えたときに、そういう方々にどういう仕組みで臨むのがいいのか、正にここでリスクという概念が出てくると思います。大変な私は、商品取引にしても、金融先物については少なくとも店頭販売については不招請勧誘の禁止対象にするそうですからそこはいいとしても、こういう分かっていない方々に、分かった、しかもその業者はひょっとしたら分かっていないということを逆手に取ってやろうとしているかもしれない。そういう人たちを消費者方に接点を持たせるということは、これは断じてやっぱり禁止するべきですよ。与謝野大臣、そのように思われませんか。
  249. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 金融先物取引を、取引所で行われるものについてなぜ不招請勧誘禁止の対象にしないのかと、この考え方だけ述べさせていただきます。  まず第一に、取引所における金融先物取引については、業者は顧客の証拠金を取引所に預託する義務があり、取引所は証拠金を分別管理していること。第二は、公開市場で価格決定することから、価格が透明、公正であり、業者が約定価格等からさや抜きできない仕組みとなっていること。第三番目は、取引相手方は取引所、すなわち清算機関であり、業者が破綻しても、証拠金、債務履行に影響がないこと等、店頭金融先物取引に比べて取引制度が整備されていると考えております。  したがいまして、今回の法案では、取引金融先物取引については不招請勧誘の禁止対象として指定することは考えておりませんけれども、一方、勧誘受諾意思確認義務や再勧誘の禁止の対象とすることを考えており、これらの規制の厳正な運用を通じて必要な投資者保護が図られるものと考えております。
  250. 平野達男

    平野達男君 与謝野大臣をもってしてもなかなか縦割り行政のあそこから抜け切れないようですね。  私は、金融庁の所管の法律のことについてお聞きしたんではなくて、商品先物も含めた形で一般論として、こういう何回も業務停止命令を受けるような業者、しかも八十三社の中で、繰り返しますけれども、毎年五社、六社ぐらいですよ。そういう業者群が営業の自由という名の下、何も分からない一般消費者方々商品の販売を、こういういい商品ありますよということで勧誘をすることを認めるような仕組みというのは良くないんじゃないでしょうかということで、これは金融担当大臣の与謝野大臣ではなくて、要するに与謝野衆議院議員といいますか、一政治家としてちょっとその考え方、あるいは内閣の一員としてちょっとお聞きしたいと思います。
  251. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 我が家にももういろんな電話が掛かってきまして、私のことを知らない勧誘というのは実にいろいろなもの、商品でまいります。不動産、商品等々、大体私からすればとてもとてもそんな話はという話ばかりでございまして、こういう勧誘の仕方の適否というのはやっぱり国会で議論を更に深めていただく必要があると思います。  今般の商品取引に関する件につきましては、是非、経済産業省あるいは農水省から、なぜそれを禁止しなかったということはもう一度聞いていただきたい。これは、取引の自由とか商品を紹介する機会だとかといろんな理屈はあるわけですけれども、私どもとしては、まあ私どもの守備範囲でないんではっきり物は申し上げませんでしたけれども、それについては農水省、経産省、それぞれ長い歴史がある業界とのことでございますから、そこはもう一度是非聞いてやっていただきたいと思っております。
  252. 平野達男

    平野達男君 せっかくの大臣の御要請でもありますから、政府委員の答弁で結構ですから、といっても政府委員しかいませんから、今の問い、なぜ不招請勧誘、今回、法改正に、金融商品取引法の制定に併せて商品取引所法ですかを改正してそれを入れなかったのか、端的にちょっと御説明ください。
  253. 佐久間隆

    政府参考人(佐久間隆君) 私ども、今回の法改正の趣旨というところを考えますと、取引規制につきまして横断的に整備をすると、こういうところにあったかと思います。  その中で、商品先物取引についての不招請勧誘ということについての検討ということを考えますと、その他の商品商品先物以外の商品金融商品との均衡ということを申し上げているわけでありますけれども、現在、複雑多様化しております様々な金融商品ある中で、どのような形で勧誘の規制をするかといったようなことについては全体、バランスを見て考える必要があるというふうに考えております。
  254. 平野達男

    平野達男君 バランス論で議論できるような話じゃないでしょう、これは。今までのこういった議論、ずっといろいろ議論やってきましたけれども。先ほど言ったように、前川さんも言っていますけれども、プロ対アマ、要するに本当に制度を分かっている人の中に、制度自体分かっている同士の人だったらば営業の自由が多分認められるでしょうと。しかし、情報の非対称性という言葉使ったけれども、取引員等の持っている情報量と何にも分かってない人の中には格段の差がありますよ。そういうところになぜ不招請勧誘という規定をまず設けなかったのかということを聞いているんです。バランスの問題じゃないですよ、それは。答えになってないんですよ、それは。それは設けなくても、その一般消費者がそれで守られますということの返事がなければ、バランス云々なんというのはその場しのぎの答弁ですよ、それは。  もう一回答弁できなかったら、もう答弁できないでいい。今度は大臣なり副大臣なり政務官の方にちょっと答えてもらうという手もありますから。ただし、まともに答えてくださいよ。
  255. 谷みどり

    政府参考人(谷みどり君) 不招請勧誘の禁止は、新たな顧客への営業行為は極めて限られてしまうなど、業者の営業の自由を著しく制限するものであるとともに、情報提供の機会を得ることが難しくなるといった問題があり、一律の禁止を導入することについては慎重に議論する必要がございます。  一方で、議員御指摘のトラブルもございましたので、商品取引員に対して規制の大幅な強化を昨年執行されました法律で行い、禁止行為を拡充し、適合性原則、説明義務の法定、説明義務の違反に関する損害賠償責任の法定を内容とする改正を実施し、それをガイドラインを定めたところでございます。これらの結果、七千件ありました相談件数は昨年度は四千件まで減少をいたしました。  今後とも、このトラブルを減少させるため、法の執行に一層努力してまいることが重要であると考えております。
  256. 平野達男

    平野達男君 要するに、前段の答弁は業優先なんですよ。つまり、取引業が業をするための、いろんな情報を提供して顧客を広げるという意味において、顧客の立場に立っていないんですよ、今の答弁は。それをあからさまに答弁しているだけですよ。  二つ目。データが七千、四千、だから何だというんですか、それは。私が聞いたのは、そういう情報の非対称性がありますねと、それを解消できないじゃないですかということを言っているんですよ。そういう中で七千から四千、四千だって物すごい数ですよ。しかも、今たまたま四千という数かもしれない。これから、例えばもっともっと顧客を広げたいとやったときに、取引員がどんどんどんどん声を掛けるかもしれない。そういうリスクをどうするんですかという話ですよ。  再勧誘の禁止をやったというのも知っています、平成十六年の改正で。そういう問題じゃなくて、私が最初から言っているように、これだけ要するに一般投資家が分からない。私も、そもそも先物取引って何かというのは、実は米についてはある程度分かっていたつもりなんですが、ここ二週間、図書館から二冊本を借りてやっと勉強しましたよ、ああ、こういうものかなと、売りヘッジだ、買いヘッジだとかといって。  繰り返しになりますけれども、結局、今回の場合、顧客は何をやるかというと、生産者も流通業者も嫌なリスクを全部しょうということなんですよ。これは大変なことなんです。こんなものは、仕組みを分かっている人でなければ絶対手を出しちゃ駄目です。そういう商品なだけに、その仕組みなんかは、取引員なんかまともに説明するはずがない、私に言わせたら。まともに説明したら、訳が分からなくてこんなものとってもおっかなくて駄目ですというふうに言うに決まっているんだから。  そういうものを、皆さん方、扱っているという意識が全くないよ。全くないというのは何かといったら、繰り返しになりますけれども、あくまでも業推進だからですよ。それは社会インフラとしては、社会産業のインフラとして重要だというのは分かりますよ。  まあ、ここで、今日は大臣も来ていないし、農水大臣も来ていないし経済産業大臣も来ていませんが、与謝野大臣政府を代表して最後にもう一言、今の私のこういう指摘について、長々としてきましたけれども、何かコメントがあればしてください。
  257. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) まずはこの法案を認めていただきたいと思っております。  今先生がるると御主張なされたことは、私は説得力はあると思っておりまして、やはり業界も役所側も、何らかの形で先物に参加する方々をもう少しうまく守る方法というものをやはり考えていかなければならないと私は今思っております。
  258. 平野達男

    平野達男君 是非その方向で進めていただきたいと思いますし、私ども、ここは財政金融委員会ですから、本当は農水委とか経済産業委員会に出掛けていってこの問題取り上げなければならないかもしれないんです、するのが多分必要かと思います。ただ、ここに来ますと、やっぱり改めていろんな問題が出てくるわけですね。  今回、投資サービス法ということで、横断法とか何かということで、少なくとも去年の今ごろは、広く、幅広く法律を作るというような前触れがありました。しかし、依然として縦割り行政がしっかり生きているんです。しかも、縦割り行政というのは、あくまでも業の観点からしか見ませんね。金融庁も、証券取引業、それから銀行業、保険業という業を見ています。農林省は、やっぱりそれは穀物とか何かの取引の業を見ています。経済産業省もいろんな、何だっけ、まあ、そういうのをいろいろやっているわけです、鉱物だとか石油だとか、そういうものの業を見ていますね。  今、私は、本当に必要なのは、そういう業から今既に、業の観点から、業推進の側から、業を推進する業推進の観点から消費者投資者保護を見るというんじゃなくて、本当にそこから離れて、やっぱり消費者投資家保護という観点が、今の政府というか、今の法律全体にはちょっと欠如しているんじゃないかなというふうに思うんです。  そうすると、商品取引法、商品取引の先物取引を議論するときは、農水省だ、経済産業だというふうに聞かないかぬ。私らは今、消費者ということの保護ということを考えていますから。しかし、消費者保護というのは、だれに、どこに投資するか分からないわけです。といっても、商品先物はこれ投資じゃないんだというふうに先ほど大臣が言いましたけれども、一応ここは投資という言葉で通させていただきますが。  そういう意味では、本当にその業という観点から離れた消費者保護法あるいは投資者保護法、これを今度はそちらの側から見るという、正にそちらの観点に立った横断的な法律というのが次のステップとしてやっぱり私は必要じゃないかなと思うんですが、そこに関しての御認識をちょっと伺いたいと思います。
  259. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先生も官僚組織の中で生きてこられた時期があったと思うんですけれども、権限ということになりますとなかなか大変なものがありまして、なかなかうまく整理整とんができないというのは委員ならばお分かりいただけるんじゃないかと思っております。
  260. 平野達男

    平野達男君 いずれ、金融庁さんもそういうことにトライした節はありますから、そこで多分、農水省と経済産業省の徹底的な抗戦に遭って、まあそこまで言うのならもう面倒くさいやということで多分放したんじゃないかなと私は勝手に想像しますけれども。  しかし、事ここに至りますと、やっぱり業の側から見るというのではなくて、やっぱり消費者投資者の視点から見てどうあるべきかということは、本当に、間接金融から直接金融というようなことに動きを向けるということであれば、いずれ私は本当に必要ではないかというふうに思いますし、農水省と経済産業省に重ねて言いますけれども、今までの答弁では、前川さんの言った質問、私の言った質問に対して答えていないですからね。情報の非対称性ということを何回も何回も言いましたけれども、そういう前提があるときに何で不招請勧誘の禁止規定を入れないのかというのは、消費者の立場あるいは投資者なんかの立場に立って考えた答弁を今度考えてきてください。よろしいでしょうか。  それから、これは同僚議員からの要望でございまして、この先物業者の取引員に関して、農水省、経済産業省から天下りという形で行っているかどうか、これを是非調べていただきまして、この委員会に提出していただきたいと思います。
  261. 池口修次

    委員長池口修次君) 後ほど理事会で協議します。
  262. 平野達男

    平野達男君 私も農水省に二十四年いまして、役所の論理というのも分かっています。  しかし、私も五年前に脱藩した身でありますから、旧藩主に余り盾突きたくないんですけれども、是非、国民の視点、消費者の観点、特に、私は本当に、冒頭言いましたけれども、地元に帰りますと、金融の話というのは有権者になかなかできないです、中身が難しくて。ましてや、リスクなんという言葉は、先ほどの繰り返しになってしまいますけれども、こんな言葉なんか説明したってもう本当に分かっていただけないです。しかし、そういう方にある日突然電話が掛かってくるということはあるんです。これが社会の安定を脅かす一つの最大のリスクだということを最後にもう一度申し上げておきたいと思います。  それから次に、生保、損保の不払問題、不当不払問題について若干お聞きをしたいと思います。  生命保険会社とか損保会社が不当に保険金を払わないというのは、これはもうあり得べからざることではないかと思います。これは、当然、顧客にしますと、あるいは消費者にしますと、セーフティーネットを買っているわけですから。ところが、そのセーフティーネットそのものが完全に否定をされたということになるわけでありますけれども、こういうことが頻繁に起こりますと、これは大変なことになるんだろうと思います。  そこで、ちょっと通告申し上げていなかったんですけれども、生命保険会社では明治安田生命が不当不払では突出しています。じゃ、本当に明治安田生命だけが突出しているのか。あれは、同じような条件で調査をして各社が同じような観点で調査をした結果だというふうに理解してよろしいんでしょうか。  これは、通告申し上げておりませんでしたけれども、政府委員の答弁で結構でございます。
  263. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 突然のお尋ねでございますけれども、一部記憶に基づく答弁で恐縮でございますが、明治安田生命に対する行政処分を行いました後、ほかの生保はどうなのかという問題意識で一斉の報告徴求、これ保険業法に基づく報告徴求でございますけれども、これを行いました。これに基づいて、先日も御答弁申し上げましたけれども、保険金の種類ごと、それから不払とした事由ごと、こういうマトリックスを指定いたしまして、それに沿った回答をするようにということで、一応の共通的な比較ができるような、こういう形での報告徴求を掛けたということでございます。
  264. 平野達男

    平野達男君 そうすると、同じ条件で、各社、同じような基準、同じような考え方で出てきた結果であるというふうに理解しているわけですね。
  265. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) そういうことでございます。  ただ、もちろん、定期的に私ども検査で入っておりますので、検査に入った場合には実地での検証でございますので、おのずとより深い検証が可能になるということはございますけれども、先ほどの報告徴求については共通の基準で行われたというふうに理解しております。
  266. 平野達男

    平野達男君 金融庁検査の結果を見ますと、明治安田生命だけは別書きで書いていまして、ほかは他の生保会社という形でまとめて書いていますね。これはなぜでしょうか。
  267. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 調査の結果でございますけれども、明治安田生命以外の生命保険会社においてはこの不適切な不払というものの件数が明治安田に比べますと非常に少なかったということで、一つ一つの社の名前をあげつらうよりは、トータルでお示しをして、そのトータルしたものが明治安田生命一社よりも更に少なかったと、こういう形でお示ししたわけでございます。
  268. 平野達男

    平野達男君 そこでも、私は一つ提案というか考え方としてちょっと提示したいんですけれども、各社をまとめてやってしまいますと、各生保会社がどういう状況かというのは一般の顧客、国民は分からないんですね。それで、この業者はこうだから要するに業務停止命令を出しましたというのは、金融庁はそれは判断します。そうじゃなくて、これを顧客が顧客として、生命保険会社というのはどの生命保険会社が安心できるかどうかというのはやっぱり判断する権利があるんだろうと思うんですね。  そこで、例えば櫻井議員なんかは、三利源の公開をしろ、三利源の公開をしろということでいろいろ言いまして、今回やっと自主的な公開がされました。私は、こういう不払の実態というのは根幹にかかわる話だから、もちろん詳細をしっかり公表して、それを国民にやっぱり示すべきじゃないかと思います。  その理由は何かといったら、今金融庁さんは明治安田生命以外のあれについては何か少ないからどうのこうのと言いましたけれども、それは行政の判断ですよ。国民が、自分が要するに生命保険の商品を買うときに、この生命保険会社というのはどういう状況かというのは、財務内容以外に過去にどういうことがあったかということも、この保険会社が安心に足るかどうかという判断をする上での一つの大きな要素になるんだろうと思うんですね。  こういうことも私は強制的に公表すると、これがまさしく、また、先ほどの消費者、顧客優先の立場に立った一つ政策じゃないかと思うんですが、そのことに対しての御認識をちょっとお伺いしたいと思います。
  269. 櫻田義孝

    ○副大臣(櫻田義孝君) 当局が保険業法上の開示項目として開示を義務付けることについては、そもそも保険金の不適切な不払や支払漏れの存在が許容されないものであるにもかかわらず、当局としてその存在をあらかじめ想定しているとの誤解を与えかねないことから、慎重に考えるべきであると考えます。
  270. 平野達男

    平野達男君 だから、そこは難しい判断ですけれども、それも業の立場ですよね。  だから、私は、本当に、金融商品を選ぶのとどの保険会社がいいかというのは、もっとやっぱり消費者というか、国民をやっぱり信頼したらいいと思いますよ、そこの部分は。分からない人は分からない人でありますけれども、分かる人は分かるんです。今、何でもかんでも金融庁判断するというのは、ある意味においてはまだ護送船団方式の要するにしっぽを引きずっていると思いますよ。  私は、金融担当大臣がこの間、与謝野大臣が一罰百戒と言いました。まあ意味が分からないわけでもないです。しかし、あの意味するところは、一社をこういう形で罰則やれば、ほかの業者はそれに追随して自主的に自分らのいろんな経営体質を変えるだろうということだと思います。しかし、それで本当にいいのかと。むしろ、そういうことをやったんだったら、やっぱり正にここで市場にゆだねるとかなんとかっていうこと、いろいろ、我々金融のことを議論するときに市場判断するとかという言葉をよく使いますけども、きちっとした情報開示をして国民に示すというのも有力な手段だと思いますよ。  現に、明治安田生命は今契約の解約が落ちていまして、これは、明治安田生命はこれは大変な状況になると思いますが、それは顧客がそういうものをきちっとした情報提示をやったから判断したということです。ところが、他の生保会社がどういう状況になっているかというのは、塊として出されていますから分からない。まあこれは、この問題はちょっと今すぐ答えということはなかなかないと思いますが、本当に、だけど、顧客優先、国民優先ということであれば、そういう情報も、いいことばっかり、営業利益が何ぼ上がりましたとか、そんないい情報ばっかり出すなと。むしろ、顧客が求めているのはこの会社が本当に安心かということだろうと思いますから、そういう観点が必要だということをちょっと申し上げておきたいと思います。  そこで、ちょっと時間がなくなりましたが、最後に、金融庁の担当の法案から離れまして、デフレの脱却について、残された時間、何問かちょっと質問をさしていただきたいと思います。  ここに来まして需給ギャップが二期連続してプラスになったとか、消費者物価指数が六期連続プラス、四期連続プラス〇・五だというような、どちらかというとデフレ脱却を示すような指標がずっと出てきています。先般のIMFの公式見解ということで、これは朝日新聞が報道していましたけども、まあIMFの方は日本はデフレから脱却したというふうに言っているようであります。  これが本当かどうか。まあ、そもそもこのデフレの脱却というのは何をもって判断するかというのは、もうこの間の与謝野大臣説明にもありますけれども、必ずしもはっきりしていないんで、IMFさんもどういう指標でこれ判断したかというのはよく分かりません。ただ、今このデフレ脱却をした判断については国民がかなり注目をしているということでありまして、ここに来て、今与謝野大臣は、デフレ脱却判断するに当たって特にどの要素に着目しておられるのか、もしそれが御説明できるんであれば説明していただきたいと思います。
  271. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私、役所では、もうデフレデフレって言うなって言っているわけです。  最初、デフレっていう言葉を使ったときのことを思い出しますと、いわゆるデフレによって日本経済がどんどん縮小していくというデフレスパイラルという意味で使ったわけですけども、そんな状況ではない。まあ、デフレって英語を使うのはやめようじゃないかと。何と言うんだといったら、一般物価の持続的下落と言うんだそうですが、一般生活者とか年金で生活している方にとっては、物価が上昇しないっていうのはなかなか快適な環境なんじゃないかと私は思っております。  で、デフレデフレと言っておりますけれども、上場企業の決算市場最高になっていまして、そういう客観的なことを考えますと、デフレデフレと大騒ぎする状況なのかというのは、私は個人的にはそういうもう状況ではないんだろうと思っておりますが、役所の言葉や定義だとまだデフレは続いていると、こういうことですが、これは私の生活実感とはちょっと違うなと思いながら役所にいるわけでございます。
  272. 平野達男

    平野達男君 できるだけあいまいにしておきたいということなのかもしれません。  しかし、重ねて質問しますけれども、例えばGDPデフレーターあるいはユニット・レーバー・コストとかと、いろんな指標があります。今、明らかにマイナスであるというのはGDPデフレーターですね。それで、ユニット・レーバー・コストも若干今まだマイナス基調なんですけれども。与謝野大臣は、そういう個別の指標というのは余り気にされていないということなんでしょうか。
  273. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 物価と言ったとき、生鮮食料品は除くとかあるいは原油を除くとかいろんな工夫をしているわけですけれども、生活者にとっては、生鮮食料品も買いますし、原油が高くなれば諸物価上がるんで生活に響いてくるということで、そういう意味では、私は、一般物価の下落という厳密な学問的な意味は別にして、生活実感としては物価が下落しているというふうに感じている生活者はもうほとんどいないんじゃないかと思っております。  ただ、税収とか財政再建を考えますと、やっぱりデフレというのは好ましくない。しかし、デフレデフレと大騒ぎするもう段階ではないんではないかなと私は思っております。
  274. 平野達男

    平野達男君 なぜデフレということについていろいろお聞きしているかといいますと、私はもうずっとこれ質問し続けているんですけれども、どうも定義があいまいなままずっとやっぱり進んでいると。一方で、このデフレ脱却一つの政治的な、何というんでしょうか、意味合いが非常に強くなっているんじゃないかなと。つまり、今までのいろんな小泉内閣がやってきたその政策の結果としてデフレ脱却をしたというような判断が意図的にやられるということについては、これはやっぱり好ましくないなという観点でずっと質問しているわけです。  さらにもう一つ言えば、これと例のゼロ金利解除がセットに議論する節がマスコミなんかではありまして、それが独り走りするというのも、独り歩きするというのも、これは好ましくないんではないかなというふうに思います。  ですから、私は、デフレ脱却というのは、もう重ねて言いますけれども、できるだけ分かりやすい指標、そろそろやっぱり市場に、デフレ脱却と大騒ぎする必要ないんじゃないかと言うんじゃなくて、やっぱりこれだけマスコミがデフレ脱却の時期が近づいてきていると言うわけですから、今ここに来て、どういう要素で、あとこういうものが改善すればデフレ脱却だというようなことをそろそろ情報発信しっかりして、かつまた私の理解では、これとゼロ金利解除は連動しませんと。ゼロ金利ということはもっと別な観点でやっていくんですというようなことを日銀も考えているし、多分、与謝野大臣も考えておると思うんですけれども、そういう情報発信をやっぱりしっかりしておくことが必要ではないかと思いますけれども、その点に関しての大臣の見解をちょっとお伺いします。
  275. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) デフレ脱却宣言というのはもう本当に数か月遅れの話でして、経済運営上、何か意味があるのかという問題が根本にはあります。  しかしながら、国民の皆様方に安心感を持っていただくためには、いずれはもう、持続的な下落は止まっていると、また将来そういうことも起きそうもないと、そういうことはどこかで、学者でも結構ですし政治家でも結構ですが、そういうことは国民に御説明する必要があると私は思っております。
  276. 平野達男

    平野達男君 今の答弁の中で、デフレの脱却というのは、脱却という宣言をするかどうかは別として、脱却の宣言したことによって経済的な意味合いあるいは金融的な意味合いというのはこれはないんだという答弁だったと思いますけれども、その答弁、私非常に重要だと思います。  これがどんどん、これだけが、繰り返しますけど、クローズアップされて、これが起こると何かが起こるんだというようなやっぱり予断が出てくるというのは、これは好ましくないと思いますんで、今の答弁はそういうことだというふうに理解して、時間になりましたので、私の質問を終わらしていただきたいと思います。  最後に、しかしまだ二分ありますからもう一個だけ、与党さんに申し上げさしていただきますけれども、本当に五年間で初めてですからね、こういう状況は、人がいなくて止まったというのは。伝統と格式のある財政金融委員会だというふうに理解しておりますけれども、誠に残念であったということを申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。
  277. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  一言申し上げておきますけれども、この委員会が止まったのはもう一回ありました。私の初質問のときに止まりましたので、その後もう一回ありましたんですね。だから、お互い気を付けなきゃいけないということを申し上げたいと思います。    〔委員長退席、理事峰崎直樹君着席〕  最初に一言お断り申し上げますけれども、先ほど民主党の前川委員に使っていただいた我が党の調査資料でございますけれども、あくまで前川委員が自主的に使っていただいた資料でございまして、決して私が横流しをしたわけではございません。  私は今、与謝野大臣以外の方を調べております。今日もありましたとおり、経済産業と農水が本丸でございます。天下りも含めてその辺をえぐり出さないと、本当に分かってないなというふうに思うところでございます。与野党を含めて、この商品先物については、不招請勧誘についてはもう禁止すべきだという声がこれほど強いと。与謝野大臣もそれをフォローするような答弁をいただいたということですから、最低、この委員会で附帯決議のときにみんなでそれを盛り込んで、早急に経産、農水の商品取引所法ですけれども、そこの改正を求めるということを努力していくべきだという御意見を申し上げたいと思います。  気分を変えて、今日は違う問題をやらせていただきます。  この間、三井住友事件で、あんな事件が起きたわけでして、当事者の西川さんが日本郵政の陣頭指揮を取って大変心配だということを申し上げてまいりましたけれども、そういう点で、今郵政公社が力を入れております投資信託、これがどうなっていくかということを質問したいと思います。ちなみに西川さんは、三井住友の頭取時代に三井住友の投資信託販売をぐわっと伸ばして、メガバンクで一番にした方でございます。二兆七千億ぐらい売ったんじゃないかと思いますけれども。その郵政公社の投資信託販売が、今回の法案の趣旨に照らして言えば利用者保護がちゃんと守られて販売されているのかという点を取り上げたいというふうに思います。  主に郵政公社に聞くようになりますので、せっかくの機会ですから与謝野大臣にお伺いしておきたいと思いますけれども、一言伺いたいと思います。  午前中、大臣の大変いい答弁に私また共鳴いたしましたけど、会社とは何かと、カンパニーとは何かと。それは従業員のためであり、お客さんのためであり、取引先のためであると。それが一番に考えるべきだとおっしゃったの、全く共感いたします。そういう意味で、民営化後の日本郵政、金融とか保険やります、そういうものがやっぱりお客さん第一といいますか、利用者第一になってもらいたいと、そういう会社に、私どもは民営化反対でしたけれども、決まったからにはそういう会社になってほしいというふうに思っておりますけれども、その点、与謝野大臣の民営化後の会社がどうあるべきか、少し見解を聞かしてもらえればと思います。
  278. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) まず、三事業がうまく民営化後もそれ自体維持できることがまず第一だと思っております。少し怪しいのは郵便でございまして、やっぱり郵便は量がどんどん減ってまいりますから、そういう意味で郵便事業の黒字というのを維持するというのはなかなか苦労が多いのではないかと私は思っております。  そこで、いずれ完全民営化になるわけですけれども、私は緩やかに日本金融システムの中に入っていただきたいと思っております。と申しますのは、西川さんが全銀協の会長のときにさんざん我々のところに来られて、郵政民営化になると民業圧迫になるということを言っておられましたので、そういうことを主張されたということも忘れずに会社経営に努めていただきたいと、私はそのように思っております。
  279. 大門実紀史

    大門実紀史君 ちょっと期待した答弁と違って、利用者を大事にするという点でいかが思われるかと思いましたが、恐らく大事にすべきだとおっしゃると思いますので、二度は聞きませんけれども。  この郵便局の投資信託、急速な販売の伸びを示しております。去年十月から販売開始いたしましたけれども、最初はちょぼちょぼだったんですけれども、去年の十二月ぐらいから急速に販売を伸ばしておりまして、四月二十八日現在、いただいている資料によりますと、二十一万二千件、販売金額一千六百九億円、保有口座が約十一万口座、要するに十一万人がもう買っていると。一日当たり十五億から二十億売っている計算だということでございます。  最初に金融庁にちょっとお聞きしますけれども、この投資信託は元本割れのある、リスクのある商品でございます。現在、郵便局は三種類、五商品売っておりますけれども、六月十二日からプラス四種類、このプラス四種類は今までに比べてリスクが高い投資信託商品でございます。その分販売手数料と信用報酬が郵政公社にたくさん入るというものでございます。取扱局も、今五百七十五局が今年じゅうに一千五十三局、平成十九年には千五百五十局に広げると。もうメガバンクを超える店舗を持つ投資信託販売になるわけですけれども。  金融庁に聞きます。この郵便局の投資信託というのは、今回の法改正との関係で、規制とか、どういう関係になるのか、簡潔に教えてください。
  280. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 郵政公社の投信窓販でございますが、現在はいわゆる投信窓販法により規制されておりまして、銀行等の民間金融機関が投信窓販を行う場合と同様の登録金融機関としての規制に服しております。    〔理事峰崎直樹君退席、委員長着席〕  次に、郵政民営化後でございますが、現在の日本郵政公社、これが四つの機能に分割されます。投信窓販法はその段階では廃止されまして、民営化後の郵便貯金銀行又は郵便局株式会社において投信窓販を行う場合には金融商品取引法の適用を受けることとなります。具体的には、郵便貯金銀行一般銀行と同様の取扱いとなり、投信窓販を行う場合には登録金融機関となる必要がございます。次に、郵便局株式会社は一般の事業会社と同様の取扱いとなり、金融商品取引業者又は登録金融機関の委託を受けて投信窓販を行う場合には金融商品仲介業者の登録が必要となります。
  281. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございました。  要するに、完全民営化されれば今回の法案も適用されていくということだと思います。ですから、郵政公社も今回の法案の議論を緊張感を持って聞いていてほしいなと思うわけですけれども。  この間の三井住友、先ほどありました明治安田ですけれども、すべて共通しているのは、もうけ本位というのが基本にあるわけですけれども、ノルマ主義、現場にとっていえば大変なノルマ、成績主義が生んだ事件でございます。社会保険庁の事件も今大変ですけど、いろいろありますが、やっぱり現場のノルマ主義が背景にあると指摘されていますし、サラ金問題だって現場でいえば大変なノルマを与えられているというところが過剰貸付けにつながっていると。すべてノルマ主義がコンプライアンス、法令遵守をおろそかにして被害者を生んできたということでございます。  懸念されるのは、郵便局の投資信託も急速な販売を増やしている中で、そういうノルマ主義とか成績主義とかで無理な販売になっていないかどうかという点であります。投資信託というのは、とにかくお客さんが損しようが得しようが手数料が入ってきますので、手数料を目標にするとそういうことは起きやすいし、特に郵便局はお年寄りや主婦の方の利用が多いということで、金融被害に遭う方も多くならなければいいなと思うところでございます。  そこで、今日は郵政公社の参考人にお聞きしたいわけですけれども、その前に、この参考人の方、私よく分からないんですけれども、郵政公社の執行役員、池田さんですか、あなたは何をやっていらっしゃる方なんでしょうか。ちょっと自己紹介をしてもらえますか。
  282. 池田修一

    参考人(池田修一君) お答えいたします。  私、昭和四十七年に郵政省に入りまして……
  283. 大門実紀史

    大門実紀史君 そんな自己紹介はいいです。
  284. 池田修一

    参考人(池田修一君) そうですか。  現状は、郵政公社におきましては郵便事業総本部と金融総本部の総本部体制、事業を二つに分けまして、その金融総本部の本部長の補佐という立場で仕事をしております。投資信託は内部管理統括責任者ということでやっております。
  285. 大門実紀史

    大門実紀史君 じゃ、投資信託の担当常務ということで来られたと理解してよろしいですか。分かりました。御苦労さまです。  そこで、この投資信託についていえば、去年から生田総裁は、ノルマを設けない、ノルマ主義は取らないと明言されておりますけれども、現場ではそういうノルマ偏重主義ということは、陥っていることはないかどうか、どういうふうにとらえられておられますか。
  286. 池田修一

    参考人(池田修一君) お答え申し上げます。  私ども、この投資信託、昨年の十月から販売いたしているところでございますが、この投資信託は郵便局で取り扱う初めての本格的なリスク商品でございますので、販売に当たりましては、私どもの、先ほども話がございましたけれども、生田も、販売に当たってはまずコンプライアンスに徹すること、それから次に商品に関する説明責任を十分に果たすこと、また、本当に購入されるのかどうかをしっかり確認すること、それからその後に販売後のアフターケアをしっかり行うこと、この四点をしっかり徹底して、中でもコンプライアンスと説明責任に最重点を置いて取り組むように指導を徹底をいたすようにということで今現在取り組んでいるところでございます。
  287. 大門実紀史

    大門実紀史君 コンプライアンスは当たり前で、そういういわゆる、ほかで起きているのは分かっているでしょう、みんな現場にすごいノルマを与えられて、焦っちゃって狂っちゃっているわけですね。そういうノルマ主義はないですかということをお答えしてもらいたい。
  288. 池田修一

    参考人(池田修一君) もちろん、営業でございますので、営業の目安ということで目標というのはお示しして取り組んでいるところでございますが、決して過重なノルマというふうには認識しておりません。
  289. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうはいっても、郵政公社の投資信託には販売目標というのがございますよね。手数料収入の目標もありますよね。  時間がないのでこちらから申し上げますけれども、十八年度でいけば、五千四百億円販売すると、手数料は百三十二億円を目指すというのがありますね。これはさっき申し上げましたけれども、特に去年の末から今年に入ってから、私に言わせれば、つまり西川さんが日本郵政の社長に内定してから、就任してから急速に販売額が伸びて、今年度も高い目標が据えられたわけですけれども、私は最初から西川さんが直接指示したとは思いませんが、西川効果といいますか、投信の西川さんが社長に就任したと、これはもう現場はやるしかないということで始めたこともあって来ているんではないかと思いますが、この販売目標は、もう立てられているのは分かっていますが、これは十三の支社ごとに目標は振り分けられるんでしょうか。
  290. 池田修一

    参考人(池田修一君) 地域ごとにいろいろ経済力も見ながら、また取扱局の数も見ながら支社ごとに定めております。
  291. 大門実紀史

    大門実紀史君 更にそれは郵便局ごとに振り分けられるんですか。
  292. 池田修一

    参考人(池田修一君) 私どもも郵便局ごとまで下ろしております。郵便局ごとまで決めております。
  293. 大門実紀史

    大門実紀史君 じゃ、実態どうなっているか、私の方で調べてみましたので、お話を申し上げます。  これは東京の複数の普通局の貯金課調べてみました。確かに、二〇〇五年十月三日から販売したわけですけれども、最初のころはコンプライアンス重視だと、違反するなと、説明責任を果たすようにと、かなりここは最初のころはよくやられたということですね。ところが、十二月のボーナス商戦に入ったとき、ここから様子が変わってまいりまして、朝のミーティングでも、貯金以外の部署、つまり郵便とか簡易保険とか特定局、ここでもお客さんを紹介するようにというふうに課長が言い出したり、現場では変化が起きております。  この背景には、去年の十二月十四日に投資信託推進対策本部というのが設置されました。これはもう紛れもなく投資信託、名前どおり売れという本部が設置されたわけでございます。この辺りから、なりふり構わず、特に東京では、私が調べた東京では変化が起きておりまして、郵貯、為替の窓口では、郵貯の下ろしたり積んだりするお客さんだけではなくて、振り込みに来たお客にまで投資信託の窓口に誘導するようにと指示が出ております。さらには、窓口利用者の何人中何人が、投資信託の専用ブースがあるんですけどね、そこに来て説明したか、あるいは契約を取ったかと、それによって報奨金が出るという仕組みが導入されたというふうに聞きましたけれども、これは本当ですか。
  294. 池田修一

    参考人(池田修一君) 報奨金というのは取っておりません。
  295. 大門実紀史

    大門実紀史君 私、報奨金取っている資料を持ってまいりました。東京支社でございます。  すごいんですよ、何といいますかね、いろんな営業顕彰というのがありまして、営業ニュース、東京支社は営業ニュースを出しておりまして、何とか賞、営業推進施策経費の措置で投信取扱者数掛ける三千円、非取扱者数掛ける千五百円、特別賞というのがありまして、十二月期計画達成局には一律一万円を措置します。投資信託を扱っていない取扱局でも、セミナーに参加してもらったり紹介者を増やすと一人五百円出しますと、特別賞一万円を増額しますと。  こういう、何といいますか、報奨金制度、営業顕彰の実施というのをやっているのをそうしたら御存じないということですか、これは方針に反しているということですか。
  296. 池田修一

    参考人(池田修一君) 私どもの考えといたしましては、コンプライアンスの、きちっと、投信のリスクのある商品を売るということと、それから当然経営でございますから営業をやっていくと、車の両輪と。もちろんコンプライアンスの徹底ということがまず前提でありまして、一つ間違えば営業もばったりうまくいかなくなるというのは十分承知しておりますが、営業の施策、取組施策としてはいろんな方法があるというふうに考えております。
  297. 大門実紀史

    大門実紀史君 これ報奨金制度というのは、じゃ、公社の方針と違って支社が勝手にやっているということですね。その一点だけ、公社の方針でやっておられるかどうかだけ、教えてください。(発言する者あり)
  298. 池口修次

    委員長池口修次君) ちょっとお静かにお願いします。
  299. 池田修一

    参考人(池田修一君) 営業の取組につきましては、各支社がそれぞれ創意工夫しておりましてやっておりますが、営業のいろんな経費の使い方としてそういう使い方もやっているということに承知しておりますが、一律本社でやっているというわけではございません。
  300. 大門実紀史

    大門実紀史君 じゃ、創意工夫は許しているということですね。  もう一つは、先ほどノルマ主義は取っておりませんと言われましたけれども、資料を配付いたしましたけど、これはもう時間がないので細かく言いませんけれども、資料の二枚目に、これは東京支社が各局にチェックリストとして出しているわけでございます。二枚目に、もうチャレンジ目標を達成させると、この動機付けをやっているかとか。項目の十二番、十三番に、明確に月別推進計画、全体、個人別を設定しみんなに見えるところに張り出しなさいと。個人別、月別の声掛け・勧誘・紹介目標を設定して見えるように掲示しなさいという形が取られております。細かく読むと渋谷方式を奨励したり、上野方式奨励といろいろあるんですけれども、とにかく具体的に、東京支社では既にノルマ主義に入っているのがもう資料で、これ皆さんの資料ですからお分かりになると思います。  もう一つは、この投資信託は、まず郵貯課の職員に買ってもらいたいと、買わせると。これは買っていない人のリストを出して、局長が把握するということをやられております。これ暗黙に、それが人事査定というか忠誠心を問うといいますか、これから振り分けが起こるわけですけれども、そのときに自分が移れるのかどうかと、民営化会社にですね。そういうことにも、脅しにも使われているということでございます。  これ全体として、私はどう考えてもほかでも起きてきたようなノルマ主義、現場のノルマ主義に陥っちゃっているんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  301. 池田修一

    参考人(池田修一君) いろいろ、その資料を見ておりませんけれども、私どもそういう投信の取組に当たりましては、基本は先ほど申し上げました四点をしっかりやるという……
  302. 大門実紀史

    大門実紀史君 基本はいいんだよ。
  303. 池田修一

    参考人(池田修一君) その土台の上に立って、経営として拡充をしていくと。またこの投信は間接金融から直接金融へと、まあ市場のあの……
  304. 大門実紀史

    大門実紀史君 そんな話を聞いているんじゃないですよ。
  305. 池田修一

    参考人(池田修一君) 失礼しました。  我々はそういう成果というか、そういうことによって人事をどうしようこうしようということは考えておりません。
  306. 大門実紀史

    大門実紀史君 私が申し上げているのは、こんなやり方が、今はまだ公営の公社ですね、こんなやり方をやっていいのかと。民間銀行がこんなことをやって大変な被害者を出しているわけですよ。同じことを今既に始めていると。この点について、あなたは投資信託の責任者だったらばどう思うのかということを聞いているんですよ。余計なことを言わなくていいから、それだけ答えなさいよ。
  307. 池田修一

    参考人(池田修一君) 営業の行き過ぎがあって、そういうお客様に迷惑を掛けることがないようにしっかり取り組んでいきたいと考えております。
  308. 大門実紀史

    大門実紀史君 お客さんに迷惑掛けるんです、こういうやり方というのは。みんなそうだったんですよ。それがこの委員会ではずっと取り上げられてきたんです。だから、そういうことをちゃんと踏まえないと、同じこと起きたらどうしますか、郵政公社の投資信託で。もう既に苦情来ていますよ。まだ始めたばかりだからあれですけれども、苦情が来始めていますよ。だから、私の質問をよく聞いて、生かしてもらいたいんですよ。そういう意味で申し上げているんで、よく聞いてもらいたいというふうに思います。いろいろ問題点はありますけれども、私は、お客さんにとって一つの問題点としてこれは指摘だけしておきます。  今、郵便局員に渉外外務員の二種を取るようにもう盛んにやっていらっしゃいますけれども、いずれにせよ、この二種の渉外外務員というのは、証券会社でいいますと、証券会社に内定した学生が正式に就職するまでの間に通信教育で取るような資格なんです。合格率七割ぐらいです。そんなものを取ってすぐお客さんに勧めるというようなことが、もう今郵便局では付け焼き刃の、何というか、素人の人たちが大量に投資信託を販売しているということを指摘しておきたいと思いますし、さらに、私は勧誘の方法も大変問題だと思います。  いろんな資料に書いてあるんですけれども、もう結論だけ言いますけれども、簡単に、こんなことを言っているんです。これからはもう預金は駄目ですと、預金しているお客さんにですよ、郵便局のですよ、資産運用しかないと。いろんな金融商品とか預金とかの長期的な利率を比べると株式投資の方がいいとか、もうとにかく預けていても駄目ですよと、そういうことで勧誘して投資信託を買わせるという仕組みになっております。しかも、郵便局の場合は、郵便局なら安心という方が今まで一杯いたわけですね。その信用をバックにあって、そういうことを言われると、まあいつも世話になっている、いつも来てくれるあんたが言うならということで投資信託が今ずっと増えているわけでございまして、お年寄りなんかこれでもうイチコロでございますよね。言われたら、もうそうかなということになります。  問題が更にありまして、東京支社の中で販売切り出し話法集というのを作っております。何が書いてあるかですね。アフターフォロー編というのがありまして、これは問答集ですけれども、買ったときより少し下がったわよねとお客さんが言うと、そうですね、このところ株式市場が下がっていますので、お客様に御購入いただいた何とかファンドは何とかに連動しますので少し下がっていますねと。じゃ、お客さん、こう言うかどうかは別ですけれども、そうよねと、でもまだ買ったばかりだし、たしか投資信託は中長期運用だったわよねと。そのとおりですと、今後の株価がどうなるか予想はできませんけれども、長い目で見ていただきたいと思いますと。こういう問答に私はならないと思いますけれども、こういうのを想定しているわけですよね。私、おじいちゃん、おばあちゃんに長い目で見てくれと言えるんですか。本当こんな問答を平気でやるような問答集作っているわけですね。  さらに、また一つ提案として、下がっているねと言われた人に対して、基準価格の下がっている間に再度御購入をいただき、平均購入価格を下げていく方法もございますと、そんなことできるのと聞いたら、異なる運用対象、運用方針の投資信託を購入することにより分散投資ができますよと。つまり、下がったら下がったでほかのもの買いなさいと、更に買わせるという問答集でございますね。  こんな話法問答集を、これは東京支社の郵便貯金事業部営業課が営業ニュースということでこれ出しているわけですね。こんなものを出して、公社としてこんなことやっていいんですか。これ、今日ずっと議論されている適合性の原則から、説明義務からして、こんな話法を徹底していいんでしょうか。いかが思われます。
  309. 池田修一

    参考人(池田修一君) そう極論をこう申されても、例えば私どもは短期的な転がし売買というのは慎んでおりまして、かなり……
  310. 大門実紀史

    大門実紀史君 これがいいかどうか。
  311. 池田修一

    参考人(池田修一君) それ、局面によりけりだと思うんですが……(発言する者あり)
  312. 大門実紀史

    大門実紀史君 こんなやり方でいいのかどうか。
  313. 池田修一

    参考人(池田修一君) いや、見ておりませんので何ともお答え致しかねますけれども。
  314. 大門実紀史

    大門実紀史君 今言ったでしょう。いいんですか、そんなことでいいんですか。
  315. 池田修一

    参考人(池田修一君) ちょっとそれ見てもうちょっと確かめてみたいと思いますけれども、御指摘のような点があるとすれば駄目なんでしょうけれども、よく見てみたいと思います。
  316. 大門実紀史

    大門実紀史君 まあ、話聞いてお分かりだと思います。まずいです、これ明らかにまずいです。これは明らかにまずいです。今ちょうどこれ、こういうやり方が焦点になっているんです。こんな、リスク言わないんですよ。本当のリスクを言わないんです、説明しないんですよ。更に買わせるわけですよ。こんなの商品先物のどんどんどんどん買わしていくのとそんな変わらないですよ。  見てみてまずいということはもう明らかだと思いますので、東京支社を厳しく指導してもらわなきゃいけないと思います。  もう時間が来たので申し上げます。言いたいことは、これから局を千五百五十局まで広げられると、つまり、まだ今は中心部ですけれども、特定局含めてかも分かりませんね、そうすると、田舎の方の地方の郵便局にこれからこういう営業がどんどん始まるわけです。田舎の方は特にお年寄りが多いわけですよ、郵便局を利用している人は。お年寄りはこの何とかフィックスだの何とか分かりますか。みんな郵便局は信用があると、大丈夫だと、郵便局が言うなら間違いないと思って、預金をしてても損ですよと言われたら、ああそうですかと言ってみんな買わされるということにこんなやり方を続けるとなりかねませんので、必ずこのやり方は被害者をつくるということを私の経験からも厳しく指摘をしておきたいと思います。  私が取り上げた明治安田も三井住友も後で厳しく金融庁から処分を受けました。公社もこのやり方を続けると間違いなく処分を受けるという警告と、すぐ改善をしてもらうということを求めて私の質問を終わります。
  317. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数です。  お伺いいたします。  まず、金融庁及び証券取引等監視委員会検査監督体制についてお伺いいたします。  今回の改正で証券取引法金融商品取引法と改正されることにより、金融商品にせよ取引業者にせよ多様なものを検査監督する必要が出てくると思います。今後、金融庁監督体制をどの程度整備していく必要が出てくるのでしょうか。現状の業者別の検査監督のための体制、人員数、検査等の実施頻度などがどのようになっているのか、そして今回の改正を踏まえどのように体制整備を進めていくおつもりなのか、お伺いいたします。
  318. 中江公人

    政府参考人(中江公人君) お答えをいたします。  現在の金融庁は、御案内のとおり、省庁の再編等を経まして、従前の銀行局、証券局といった業態別の組織ではなく、企画、検査監督監視と、各分野を業態横断的に所管する機能別の編成となっております。  このうち、銀行等の預金取扱金融機関や保険会社の検査につきましては検査局が担当しておりまして、同局の十七年度末の定員は四百五十四名となっております。  また、検査の実施頻度についてのお尋ねでございますが、銀行検査周期につきましては、主要行が平均で一年程度、地域銀行は平均で二年強程度となっております。  金融機関等の監督につきましては監督局が担当しておりまして、同局の定員は二百三名でございます。その内訳は、主要行等を監督する銀行一課が三十一名、地域銀行監督する銀行第二課が十六名、保険課三十四名、証券課二十三名などとなっております。  また、証券会社等検査課徴金調査、犯則事件の調査等の市場監視につきましては証券取引等監視委員会が担当しておりまして、定員は三百七名となっております。このうち、証券会社等検査を行う部門の定員は百七名となっております。  また、証券会社等に対する検査につきましては、検査対象先等に関する様々な資料、情報等を総合的に勘案し弾力的に実施しているところでございますが、これまで証券会社につきましては結果的に平均で二年強程度の周期で検査を行っているところでございます。  今回の金融商品取引法案によりまして、今後幅広い金融商品につきまして横断的な投資家保護ルールを整備していくとともに、これに伴いまして金融庁検査監督の対象も拡大することを踏まえまして、引き続き必要な体制整備を図ってまいりたいと考えております。
  319. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 特に、今回の業者規制の見直しの目的の一つには縦割りの弊害の除去というのがあるわけですが、その点で監督体制整備に当たって、業種それから業者の枠を超えた統一的な視点からの監督を確保していくということも重要であります。  例えば、今回の改正でも、金融商品取引業者であれ銀行であれ保険会社であれ、消費者投資家への商品投資性に応じて適正に金融商品を提供できるようにするといった観点は共通ですから、従来の証券会社といった担当部署に限定されることなく幅広く体制充実を図る必要があると考えますが、金融担当大臣の御所見をお伺いいたします。
  320. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 金融庁としては、これまでも毎年度増員数が限られる中、優先順位を付けて行政体制を逐次整備してきたところでございます。  十八年度においては、市場業務担当参事官や開示業務担当参事官の設置、監視委員会体制強化など、市場行政体制強化を中心としつつも、少額短期保険業者に対する検査監督体制銀行代理業者に対する監督体制金融コングロマリットに対する監督体制整備等も進めているところでございます。  今般の金融商品取引法案の趣旨は、幅広い金融商品について横断的な利用者保護の枠組みを整備することにより、既存の利用者保護法制の対象となっていないすき間を埋めるとともに、現在の縦割りの業法を見直し、同じ経済的機能を有する金融商品には同じルールを適用するというものでございます。  現在、既に、例えば銀行等の行う証券仲介業については、投資家保護を図るため証券取引法上の行為準則を適用するとともに、証券業の視点からもその業務検査監督しているところでございますが、本法案により、今後、有価証券に限らず、横断的な投資家保護ルールを整備していくこと等を踏まえ、引き続き、必要な監督体制整備を図ってまいりたいと考えております。
  321. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、生命保険会社の三利源の開示についてお伺いいたします。  昨日、生命保険会社の二〇〇六年三月期の決算の発表がありまして、長年非公表でありました三利源の内訳を大手十三社中の八社が公表しております。これは、保険金の不払問題を起こした明治安田生命の三利源開示に、ニッセイ、第一生命など四社が追随し、決算発表当日に三井生命や富国生命などが加わり、八社となったというふうに言われております。  そこでお伺いいたしますが、明治安田生命の保険金不払に関連し、いわゆる三利源、利差益、死差益、費差益の開示の問題についてお伺いしたいと思います。  まず、明治安田生命が業務停止処分を受け、その改善策、情報開示の一環として三利源の内訳を開示することに決定いたしました。明治安田生命の保険金不払問題が起こった背景には、経営目標として死差益の拡大を掲げ、数値目標まで定めていたというような点を指摘することができます。また一方、三利源の開示問題というのは保険業界の従来からの大きな問題でありました。その点では明治安田生命の開示決定は評価を与えることができるのではないかと考えますが、業務改善命令以降の明治安田生命の取組状況、特に三利源の開示に関して金融庁はどのように評価されているのか、お伺いいたします。
  322. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 明治安田生命につきましては、御案内のとおり、不適切な保険金の不払など重大な法令違反が確認され、法令等遵守体制、経営管理体制に根本的な問題が認められたということで、昨年十月に業務停止命令と業務改善命令を出したところでございます。  明治安田生命におきましては、この業務改善命令を受けまして、十一月十八日に業務改善計画を当庁に対して提出するとともに、その後、計画の進捗、改善状況を定期的に当庁へ報告を行っているという状況にございます。  この中で、明治安田生命における主な取組といたしましては、一つは、経営管理の抜本的な改革を実現するための経営体制の構築といたしまして委員会等設置会社への移行、二つ目には、総代会の運営方法の抜本的な改革として総代立候補制あるいは推薦制の導入、三つ目といたしまして、保険金等支払管理体制の抜本的な見直しとして、社外の弁護士など外部の目により保険金等の支払の適切性をチェックする保険金等支払審査会や保険金等の支払に関する不服申立て制度の新設、そして四つ目に、経営の透明性向上のための苦情情報の継続的な開示と、こういった取組を行っているところでございます。  これらは全体として望ましい方向への取組だというふうに認識いたしておりますが、明治安田から報告されたこの進捗状況を精査することによって、経営管理体制の抜本的な改善状況を検証をしていくというのが私どもの立場でございます。  なお、御指摘の三利源の開示につきましては、昨日の明治安田生命の決算発表において行われたということでございますが、これは明治安田生命の経営判断において自主的に行われたものというふうに考えておりますが、契約者に業務内容等をできるだけ分かりやすく開示すると、こういう趣旨での取組の一環であるというふうに理解をいたしております。
  323. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 明治安田生命が経営目標として死差益の拡大を挙げて不払を行ったことは問題でありますが、死差益による利益の確保という同様の傾向は生保各社に見られる可能性があります。金融庁が公表している全三十九社ベースの損益内訳を見ても、およそ二・八兆円の利益を死差益により確保しているという実態が浮かび上がってきております。昨日の生保会社の二〇〇六年三月期の決算発表でもそれは如実に表れております。  保険金不払問題に対しては、明治安田のほかに損保各社においても発覚してまいりましたが、こうした収益構造自体に不払の基本的な背景があるのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。  また、最近の保険商品には、死差益から配当に回さない形としているものが主流であると聞いております。本来であれば、こうした商品設計自体を知っていれば契約者自身が不満を持つと思われますが、契約者自身ではなかなか気付くことができません。こうした商品の実態はどうなっているのでしょうか。保険商品の契約時のその説明に関しては金融庁も各種の改善の取組をされておりますが、契約時に配当の出し方などを分かりやすく示させるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  324. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) まず、生命保険会社の収益構造でございますけれども、御指摘のとおり、例えば私ども金融庁で合計ベースで発表いたしております昨年度、平成十六年の決算では、死差益が二兆八千、費差益が六千三百億円、そして利差損が八千七百億と、こういう構図になっているのは事実でございます。  そこで、そのことと不払との関係でございますけれども、明治安田生命におきましては、御案内のとおり、本来、予定死亡率と実際の死亡率の差から出てくる、事後的に発生する死差益について、これを経営目標として設定したということで、これが不払を推奨するような風土を醸成したという、こういう根本的な問題があったのであろうというふうに思っております。こういったことを背景として、明治安田生命におきましては、経営が本来果たすべき機能を発揮しないなど、保険金の支払管理体制に重大な問題が認められたということで不払の問題が発生したのが基本であろうかと思います。  他方、損害保険会社につきましては、付随的特約部分の不払、不払というよりは支払漏れというものが見られたわけでございますけれども、これは商品開発管理体制あるいは支払部門と他の部門との連携が不十分であった、あるいはシステム管理が不十分であった、事務管理が不十分であったと、こういった原因で出てきたということだと思います。  いずれにいたしましても、生命保険会社と損害保険会社で発生原因異なりますけれども、両者に共通して見られるのは、保険会社にとって基本的でかつ最も重要な機能でございます保険金等の支払管理、この点に関する体制整備が十分でなかったということであろうかと思います。この点が一番重要な要因であったのではないかというふうに認識をいたしております。  いずれにいたしましても、この保険金の管理体制の抜本的な改善というのは重要な課題だと思っておりまして、私どもも、例えば監督指針の改正といったことも含めまして、これに注力をしているということでございます。  それから、第二点目でございますけれども、保険商品で配当の仕方について異なる商品があるという御指摘でございます。その実態についてでございますけれども、御指摘のとおり、現在、生命保険会社で販売されております商品には、利差、費差、死差の三利源の合計から配当を行ういわゆる三利源配当商品というもの、それから利差益のみから配当を行う利差配当商品というもの、それから配当を行わない無配当商品と、この三つの類型がございます。平成十七年七月現在のデータを生命保険文化センターの資料で昨日確認いたしましたところ、生命保険会社三十八社がどのような配当方法の商品を販売しているかということについてちょっと調べてみますと、例えばごく一般的でございます定期付終身保険といった商品におきましては、三利源配当を行っている商品を販売しているところが一社、利差配当を行っている商品を売っているところが十三社、無配当商品が十八社と、こんな実態になっております。  それで、こういった点について契約者に対して十分な説明がなされているかどうかということでございますが、それぞれの商品の配当の在り方につきましては、もちろん約款では明記されているわけでございますけれども、このほか募集パンフレット等におきましてその配当の有無について記載されているケースが多いというふうに承知をいたしております。いずれにいたしましても、この保険商品の販売、勧誘に際しましては、顧客に対して保険商品を選択する上で重要な情報が適切に提供されるということが極めて重要でございます。  こうした観点から、本年の二月に私どもの監督指針を改正いたしまして、顧客に対して特に説明すべき重要事項を、顧客が保険商品内容を理解するために必要な情報である契約概要というものと、顧客に対して注意喚起すべき情報である注意喚起情報と、この二つに分けて整理し、顧客に理解しやすい表示、説明により情報提供すべきというふうにしたところでございます。従来の約款の極めて小さな文字で詳細が記されているものとは別に、簡潔でなおかつ重要な情報は網羅していると、こういうパンフレットの作成を義務付けているということでございます。  以上でございます。
  325. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今、いろいろとお伺いいたしましたけれども、三利源についてですが、金融庁、今まで公表できないということでありましたけれども、各社のその公表が増えていけば相対的に競争戦略としての重要性も後退していくと思われますけれども、三利源の開示の在り方について従来の考え方を見直していく考えはないでしょうか。金融担当大臣にお伺いいたします。
  326. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 簡潔に申し上げます。  生保各社が行った三利源の開示は、各社の経営判断により自主的に行ったものでございます。  三利源は各社の競争戦略にかかわる内部管理指標であり、一律の義務的な開示は慎重な検討が必要であると思います。加えまして、保険商品の多様化等から、三利源というような収益分析だけでは共通的、比較可能な形で分析することはなじまないと考えております。今般の三利源の開示は、保険会社の財務状況等の分かりやすい開示に努めている取組の一環と考えております。  いずれにせよ、三利源の開示を一律に義務付けることは慎重な検討が必要だと考えております。
  327. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、基地問題についてお伺いいたします。  米軍基地から発生する環境汚染の問題でまずお伺いしたいと思いますが、沖縄県環境審議会は五月二十五日、沖縄県が制定を進めている環境保全条例、その条例に米軍との環境協定を締結するように沖縄県に答申をいたしました。その答申案によりますと、米軍基地による騒音や土壌汚染が沖縄県の環境問題の最たる課題であるというふうに指摘し、航空機騒音の軽減措置などについて米軍との協定の締結を申し入れています。その内容は、航空機騒音の軽減等基地環境問題に係る協定締結の申入れ。それから二点目に、返還跡地に対する土地利用履歴及び情報提供の申入れ。三点目に、汚染実態の把握のための基地の立入調査の三点であります。  沖縄県環境審議会が県に対し米軍との環境協定を求めている背景には、米軍基地から発生する環境汚染が深刻であるという問題があるからです。  具体的な事例はこれからお話しいたしますけれども、まず外務省にお伺いいたします。このような地方自治体が米軍側と環境協定を結ぶことについての御見解からお伺いいたします。
  328. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答え申し上げます。  今御指摘の沖縄県環境審議会が答申を行われたということにつきましては、報道を通じて私どもとしても承知しておるところでございまして、航空機騒音の問題、返還跡地に関する問題、それから環境実態把握のために関する問題という点が、こういう点を条例に盛り込んだらどうだというような指摘がされているということは報道を通じて承知しているところでございますが、この審議会自身これから沖縄県の方に正式に答申をされるという段階だと承知しておりますので、今の時点で外務省、政府として先走って云々コメントをすることは差し控えたいと思います。  ただ、御指摘のとおり、いろんな問題、例えば航空機の騒音の問題、これは基地の周辺に住んでおられる方を中心として非常にやはり深刻な問題であるということは政府としても十分認識をしておるわけでございまして、その認識を踏まえて、SACO合意の中、SACO合意を踏まえて、米軍との間でいろいろな航空基地、沖縄であれば嘉手納飛行場、それから普天間飛行場、これについて航空機騒音規制に関しまして日米合同委員会の場を通じていろいろな米側との調整もしくは合意、規制を行っているところでございます。  また、環境問題につきましても、御指摘のとおり深刻ないろいろ心配を持っておられるというところは十分理解をしております。  この環境問題につきましては、日米合同委員会の下に環境分科委員会という場がございまして、環境問題についてはそこで米側と協議をしておると。加えて、御承知のことと存じますけれども、平成十二年の2プラス2、日米安保協議委員会の場で、JEGSという在日米軍の環境基準問題について米側と調整をしておりまして、基本的には日本関係法令での環境基準、それから米側が持っています環境基準の厳しい方を基準とするというような取決めを行っているところでございますが、今後とも地元の方々のいろいろな御懸念というものを踏まえて、合同委員会の場を中心に、政府として折衝を行っていく、交渉を行っていくという姿勢でございます。
  329. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今いろいろ御答弁いただきましたけれど、しかし実際に、そういうことをおっしゃいましても、米軍は実際にこの騒音の問題に関しましてもなかなか協定を守っていないというのが実態であります。  ですから、2プラス2の席上でいろいろ協議はされましても、実際に県民に対する負担というのは、今申し上げましたその項目も守られてないという状態、それからさらに、私が質問主意書で質問を申し上げましても、なかなか政府の方はきちんとした答弁をしてくださってないというのが実態であることも指摘いたしまして、次に参りたいと思います。  実は、もう御存じだと思います、委員の皆さんも既に御存じだと思いますが、今朝の午前八時三十分に、この沖縄の米軍再編問題について閣議決定がなされております。これ、在日米軍再編の日本の最終合意を受けて政府が行ったその閣議決定に対しまして、普天間飛行場の移設問題や地域振興策についての主張や要望が十分盛り込まれてなかったということに対する沖縄県知事のコメントがございます。沖縄県としては、県や地元関係市町村と十分な協議が行われたとは言えない中で、このような閣議決定がされたということは極めて遺憾でありますというふうに稲嶺知事も述べていらっしゃいます。  そこでお伺いいたしますけれど、沖縄県は新たな沿岸案に反対しておりまして、閣議決定では何一つ内容が明らかになっておりません。閣議決定で明記すべきことは、日米軍事同盟の推進ではなく地元の負担軽減であり、普天間飛行場の早期返還と早期閉鎖が書き込まれるべきだというふうに思います。  県民の声を無視して、沖縄の新たな軍事拠点とする政府方針は受け入れられないということが今回の沖縄の地元の県民の受け止め方でございますが、そのことについて、防衛庁、外務省に一言お伺いしたいと思います。閣議決定のことについてお伺いいたします。
  330. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 防衛庁からお答えいたします。  政府といたしましては、四月七日に名護市及び宜野座村との基本合意書を結んでおります。それから、五月十一日に沖縄県との基本確認書も提携したところでございまして、これらを踏まえまして沖縄県名護市等の関係地方公共団体と協議を行いまして、それぞれの立場を踏まえて今回の閣議決定を行ったものでございます。  また、この閣議決定におきましては、具体的な代替施設の建設計画、安全・環境対策及び地域振興については沖縄県及び関係地方公共団体と協議機関を設置して協議し対応することとされてございます。  今後とも、沖縄県、名護市及び宜野座村との確認や合意書の内容の実現を図るため、引き続き協議を続けるとともに、本閣議決定の内容を着実に実施してまいりたいと考えておるところでございます。
  331. 池口修次

    委員長池口修次君) 答弁は、いいですか。
  332. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 どうぞ、外務省。
  333. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) ただいま防衛庁防衛局長から御答弁されたことと重なるわけでございますんで短めに答弁をさせていただきますけれども、外務省といたしましても、先般の2プラス2で承認されたいろんな事案、これは基本的に、現在沖縄が負っておられる大きな負担を軽減を少しでも進めていくということを中心とした事案でございまして、外務省としても、沖縄県を始めとする関係地方自治体の御理解を得ながら、できるだけ着実に実現を、実施をしていきたいというのが基本的考え方でございます。
  334. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 基地問題に関するこの質問の中で、先ほどの環境問題それから今の閣議決定の内容でございますけれど、これは先ほども申し上げましたが、沖縄県が求めている内容とは随分違います。沖縄県との文案の調整などもされないまま、沖縄県は二本の滑走路をV字型とするその新沿岸案に対しては明確に反対しておりますし、それから閣議決定をする前の閣僚会議の中でも麻生外務大臣もそれから小池沖縄担当大臣も退席をされたということで、県民の声を全くこの中に反映されてないということで、実際には政府の内部でもこの閣議決定に対しましては調整がされてない状況で進んでいるというのが、本当に県民の大きな不満がうっせきした状態で知事が今回のこの閣議決定に対するコメントを発表しております。  私は、この委員会に参りまして、本当に今のこの日本金融、財政それから財務の状態を考えていきますと、これまでも随分質疑をしてまいりましたが、例えば海兵隊のグアムの移転に関しましても正に不当な米側の要求をそのままのみ込んでいる状態、それから県民の負担の軽減ということを申し上げながら県民の望んでない方向へこういう米軍再編の決着を図っていくというその状況に対しまして、県民の不満は、正に政府のこの見解、本当に基地をこれまで六十年押し付けてきたこの沖縄に対する負担の軽減ということと抑止力の維持というのが正に矛盾だらけの状態の中で県民の声を無視して行われている。そのことに対して本当に遺憾であるという状態、そして、これから正に米軍の基地の再編強化という状態は沖縄に対する基地の恒久化をもくろんでいるというその実態に対しまして、現在、県民のその不満を少しでもこの委員会委員の皆さん、そして今日こちらにおいでの金融担当大臣に対して一言お伝えし、更なる県民の思いは現在のこの閣議決定の中身ではないということを一言申し上げまして、最後に金融担当大臣に、今回のこの閣議決定の中身、正に重要閣僚のお一人としてコメントをいただきたいと思います。
  335. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私の担当分野でないものですから、うまくお答えできるかどうかは分かりませんが、やはりこれからも県民の皆様方の声をきちんと聞く姿勢を政府は持っていかなければならない、そのように思っております。
  336. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今の、直接担当ではないというふうに大臣はおっしゃいましたけれど、先ほどもございました、新たなやはり総理候補のお一人といたしましては、是非とも県民の声を、本当の意味での負担軽減ということで、是非真摯に取り組んでいただきますように要望いたしまして、終わりたいと思います。
  337. 池口修次

    委員長池口修次君) この際、政府参考人から発言を求められておりますので、これを許します。金融庁三國谷総務企画局長
  338. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) 銀行等保有株式取得機構の残余財産の分配につきまして、先ほど大久保委員への答弁におきまして、銀行からの拠出金の合計額二百八十五億円に一般勘定からの損得が加わり、それを超えれば国庫納付と申し上げましたが、正しくは、拠出金の二百八十五億円に一般勘定の損益を調整した額について、これを二倍した額が銀行等に対する分配限度額とされており、これを超えれば国庫に納付する、そういう仕組みとなっております。  訂正しておわび申し上げます。
  339. 池口修次

    委員長池口修次君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  340. 池口修次

    委員長池口修次君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております三案の審査のため、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  341. 池口修次

    委員長池口修次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  また、財政及び金融等に関する調査のうち、三井住友銀行に関する件の調査のため、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  342. 池口修次

    委員長池口修次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十六分散会