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2006-04-20 第164回国会 参議院 財政金融委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月二十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十八日     辞任         補欠選任      広田  一君     平田 健二君      加藤 修一君     荒木 清寛君  四月十九日     辞任         補欠選任      尾立 源幸君     江田 五月君      平田 健二君     広田  一君      荒木 清寛君     谷合 正明君  四月二十日     辞任         補欠選任      江田 五月君     尾立 源幸君      大塚 耕平君     藤本 祐司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         池口 修次君     理 事                 岩井 國臣君                 田村耕太郎君                 中川 雅治君                 櫻井  充君                 峰崎 直樹君     委 員                 泉  信也君                 片山虎之助君                 田浦  直君                 田中 直紀君                 鶴保 庸介君                 野上浩太郎君                 溝手 顕正君                 若林 正俊君                 江田 五月君                 尾立 源幸君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 富岡由紀夫君                 平野 達男君                 広田  一君                 藤本 祐司君                 山本 孝史君                 谷合 正明君                 山口那津男君                 大門実紀史君                 糸数 慶子君    国務大臣        財務大臣     谷垣 禎一君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君    副大臣        総務大臣    山崎  力君        財務大臣    赤羽 一嘉君        国土交通大臣  江崎 鐵磨君    大臣政務官        総務大臣政務官  古屋 範子君    事務局側        常任委員会専門        員        藤澤  進君    政府参考人        警察庁長官官房        長        安藤 隆春君        防衛庁防衛局次        長        金澤 博範君        防衛施設庁施設        部長       渡部  厚君        金融庁総務企画        局長       三國谷勝範君        金融庁検査局長  西原 政雄君        金融庁監督局長  佐藤 隆文君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        財務省主計局次        長        松元  崇君        財務省理財局長  牧野 治郎君        財務省理財局次        長        日野 康臣君        国土交通大臣官        房官庁営繕部長  奥田 修一君        国土交通省都市        ・地域整備局長  柴田 高博君    参考人        日本銀行総裁  武藤 敏郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○国有財産の効率的な活用を推進するための国有  財産法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 池口修次

    委員長池口修次君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、尾立源幸君及び荒木清寛君が委員辞任され、その補欠として江田五月君及び谷合正明君が選任されました。     ─────────────
  3. 池口修次

    委員長池口修次君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国有財産の効率的な活用を推進するための国有財産法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として財務省理財局長牧野治郎君外十一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 池口修次

    委員長池口修次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 池口修次

    委員長池口修次君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国有財産の効率的な活用を推進するための国有財産法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁武藤敏郎君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 池口修次

    委員長池口修次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 池口修次

    委員長池口修次君) 国有財産の効率的な活用を推進するための国有財産法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 岩井國臣

    岩井國臣君 今回のこの法案自体につきましては大賛成ですし、特に私自身質疑することはありません。質問はないわけでありますが、国有財産に絡む話はいろいろやっぱりございまして、この際、この法案と関連していろんな問題を提起させていただきたいと思っております。  時間が余りありませんので、本会議方式で、先に私がばばっと質問言っちゃって、後でまとめて御答弁いただくというふうな、ちょっと委員会としては変則なやり方でございますけど、そんなことでやらさせていただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  目下、我が国経済の光と影がいろいろと問題になってきておりますけれども、私は、国土政策上の問題として地域力ということが緊急かつ根本的な問題になってきていると考えております。そして、現下の財政力の下では、いよいよPFI地域通貨の問題と本格的に取り組まざるを得ない状況になってきているのではないかというふうに考えております。  PFI地域通貨普及を図る上で最大の問題となるのは、財務省体質だと思っております。財務省の知らしむべからずよらしむべしという古い官僚体質改革の邪魔になってきているのではないか、私はそう考えております。私が間違っているのかもしれませんけれども、こういった国土政策上、緊急かつ根本的な問題であるPFIとか地域通貨の問題が全く議論にならないのは、私たち国会議員にももちろん問題があるとは思いますけれども、財務省にもそういう古い官僚体質が残っているからではないかと、こういうことでございます。  では、始めますけれども、PFI地域通貨に関する私の考えは、担当の方に既に私のホームページで勉強しておいてほしい旨申し上げてあります。  財務大臣PFI地域通貨普及を図る必要があるとお考えかどうかは別といたしまして、まず最初に、PFI地域通貨についての御認識をお伺いしたいと思います。PFI地域通貨の今日的課題は何だというふうにお考えになっているかと、まあこういうことであります。  それでは次に、国の財政状況についての認識についていろいろと問題提起させていただきます。  財政金融委員会では、理事会で相談し、委員長名政府にお願いいたしまして、国の財政に関する貸借対照表、いわゆるバランスシートに関する説明資料を作っていただきました。今日、お手元に配付されております。「国民経済計算一般政府)と国の財務書類貸借対照表の比較」がそれでございます。  国の財政に関する貸借対照表、いわゆるバランスシートは今二種類あります。財務省作成のものと内閣作成のものの二種類でございます。お手元資料にはその違いが説明されております。  そこで、まず国のバランスシートについて質問いたします。  沖ノ鳥島という島があります。中国政府に言わせれば、あれは島でなく岩だそうでございますけれども、あれは日本国財産でございます。沖ノ鳥島日本国政府が今まで投じてきた金は幾らでしょうか。また、費用対効果で言うところの効果、いわゆる値打ちはどれぐらいあるのでしょうか。まず二点についてお答えください。そして、財務省貸借対照表では、沖ノ鳥島は本当の値打ちではなく投資額が計上されておりますけれども、果たしてそれでいいのかどうか、その点についてもお答えいただきたいと思います。  さて、河川では、知事が管理する一級河川も二級河川もその土地国有財産でございます。そして、市町村が管理する準用河川国有財産でございます。青道国有財産でございます。青道準用河川も含めて河川がすべて国有財産になっていることの理由を明らかにしてください。  ところで、いわゆる赤道はだれの財産でしょうか。二級国道と都道府県道市町村道も本来国の財産ではありませんか。河川道路では法体系が違っていますが、国の財政に関する貸借対照表、いわゆるバランスシート法体系の違いによって国の財産になったりならなかったりするのはおかしいのではないかというふうに思うんですね。  私が思うに、国の財政に関するバランスシートというのは、地方公共団体のものも含めて国全体で表現するという内閣府の考え方の方が正しいのではないかと思います。地方公共団体のものも含めるのが国際標準だと思いますが、違いますか。  私の家の家計についてバランスシートを作るとしたら、私の財産女房財産と明確に区別できないので、女房の分も含めた全体で作るだろうと思います。私のバランスシート女房バランスシートの区別はしないわけですね。それと同じで、地方公共団体日本国ですから、日本国バランスシート地方公共団体のものも含めて作るのが正しいのだと思います。財務大臣、その辺いかがお考えでしょうか。  ところで、皇居はちゃんとバランスシートの対象に計上していただいておるので評価額を除いて問題はありませんけれども、そのほかに国有財産で抜け落ちているものはないでしょうか。バランスシートに記載する資産は、売るつもりがあるかないかは関係なく、どれだけの値打ちがあるか、それを評価してその評価額を計上すべきであります。すべて落ちがなくそうなっているかどうかということの指摘をさせていただきます。  次に、非金融資産の主なものに焦点を当てて私の考えを申し上げたい。  内閣作成国民経済計算では、生産資産としての固定資産三百二十六兆円と土地百二十八兆円の二つがあります。二つ合わせて四百五十四兆円。一方、財務省作成財務書類では、公共用財産を除く国有財産四十二兆円と公共用財産百三十一兆円の二つがあります。二つ合わせて百七十三兆円です。片方平成十五暦年末であり、片方平成十五年度末の数字でありますが、四百五十四兆円と百七十三兆円で全く違うんですね。どこがどう違うのでしょうか。一般国民にも分かるように説明する必要があると思います。  財務省バランスシートでは、内閣府の場合と同様に年金積立金資産に計上しておりますけれども、内閣府の場合と違って、年金債務についても財政計算における所要の積立金相当額平成十五年度末で百四十三兆あるわけでありますが、それを公的年金預り金として負債に計上しておられます。しかし、年金債務債務考えるべきなのかどうか、そこが問題なのです。制度にかかわる義務的経費考えるのが正しいのではございませんか。将来、消費税増税分でその積立金相当額を支弁することができるのではありませんか。私は、債務として計上するのはおかしいと思います。十六日の財政金融委員会で申し上げたように、これ三月ですね、債務債務負担行為義務的経費とは峻別すべきであります。徴税力に関係するものまで債務に計上するのはおかしいと思います。  次に、公共事業の正しい認識について触れさしていただきます。  三月十六日の財政金融委員会で、私はPFIの問題を取り上げました。問題は利子ですが、利子は国は負担しないということが肝要だと思います。その点、例えば、函館から札幌までの新幹線はどっちみちやらなければならない事業であります。少なくとも利子分鉄道事業者側で負担するとして、国際入札に掛ければいいのではないかと思います。オーストラリアマッコリーなどが名乗りを上げてくるのではありませんか。もちろん、日本企業も色気を持っているはずでございます。  北海道の問題が出てきたところでついでに申しておきますけれども、第二青函トンネルが必要ではありませんか。現在の青函トンネル新幹線によって容量がパンクするはずでございます。もしそうだとしたら、第二青函トンネルPFIでやることにして国際入札にすればいい。オーストラリアマッコリーなどが名乗りを上げてくるのではありませんか。  くどいようですが、財務大臣に再度申し上げます。PFIは、本来、貸借対照表でオフバランスになるはずでございます。財務省は、景気刺激のため国土交通省を督促して、どっちみち将来やらなければならない公共事業PFIでやるべきだと私は思います。問題は利子ですが、利子は国は負担しないということが肝要であります。開発利益が十分あれば利子はそれでもって吸収できる。そういう公共事業を探し出し、国際入札にすればいい。財務大臣考え、いかがでございましょうか。  次に、財政再建の方法について申し述べたいと思います。  国債金利が増大すれば、プライマリーバランスが取れていても、債務が増え、財政再建は遠のく。したがって、財政再建に当たっては国債金利をも問題にすべきではありませんか。私は、本来、プライマリーバランスを問題にするのは間違っていると思います。中曽根内閣では、プライマリーバランスを問題にするのではなくって、財政再建の目標を赤字国債の削減に置いたのであります。これが正しいのであります。  ところで、財政再建財政危機状況を見ながらやるべきだけれども、財政危機状況とは何か。財政危機状況とは、経済規模GDPならGDPでいいと思いますが、に対してどの程度の純債務があるかということではないかと思います。財務大臣、いかがでしょう。  最後に、私は、次のような経済運営を提案したいと思います。  長期金利が上昇しないような金融政策も動員しながら高めの経済成長を目指す、いわゆるポリシーミックスであります。そのために、まずは無駄な公共事業を廃し、経済効率の極めて高い公共事業を重点に置くようにする、公共事業のビッグバンを行うということですね。その際、将来どっちみちやらなければならない整備新幹線などの大型公共事業は、PFI、つまり民間資金活用して緊急事業として集中的に行う。  次に、おおむね五%の名目成長率をターゲットに、長期的かつ計画的に積極的な財政運営を行う。そのため、日本橋の景観形成事業や、観光道路電線地中化事業などの観光立国を実現するための夢の公共事業は、PFI、つまり民間資金活用して長期事業として計画的に行う。地域介護地域医療並びに地域教育などのためのインフラ整備地域における観光振興のためのインフラ整備は、地域通貨、つまり無利子資金活用して長期事業として計画的に行う。  以上ですが、財務省は、PFIについて海外の先進事例も調査の上、しかるべき検討をしてほしい。財務大臣、いかがでしょう。検討をさすと約束していただければと思います。  それでは、地域通貨について次に取り上げたいと思います。  総務大臣私的懇談会地方分権二十一世紀ビジョン懇談会というのがあります。そこで破綻法制議論が進んでいるやに聞いております。ローカル・オプティマムなどとうまいことを言っておられますけれども、結局は、企業競争原理である選択集中過疎地域を切り捨てるのではないか。私は、総務省のみならず、竹中大臣考えには大いなる疑問を感じております。地域政策は共生と分散ですよ。選択集中ではないというふうに思います。  地方分権改革推進会議では、中山間地域における町村等、小規模基礎自治体総合行政を確保し、豊かな生活圏を構築することは、急激な人口減少が見込まれる中、国土保全の観点からも重要であると言っていただいておりますけれども、過疎地域を切り捨ててはならない。私たち歴史伝統文化を生きています。歴史伝統文化に生きているのではありません。だから、過疎地域という影の部分にも光を当てていかなければならないのであります。伝統こそ大事なのであります。  この際、政府過疎地域を切り捨てている点を一つ例として指摘しておきます。  例えば、通信インフラでいえば、過疎地域といえども、もはや都市と同等のブロードバンドを実現し、地理的、地域的なデジタルディバイドの解消を目指すべきであります。ところが、そうはなっておりません。政府のe―Japan計画というのがあります。そこで、学校、図書館、公民館、市役所などを高速、超高速で接続する地域公共ネットワークの全国的な普及について、二〇〇五年度までの実現を目指し、地方公共団体等への支援を行うとともに、都道府県情報ハイウエーと接続することによって全国的なブロードバンドネットワークを二〇〇五年度までに構築するということになっていたはずなんですね。ところが、看板に偽りがあったのではありませんか。政府はうそをついたらいけませんよ。  さて、話が変わりますけれども、財務大臣は、日銀完全民営化、つまり貨幣発行独占権の廃止ということについてお考えになったことはありますでしょうか。まあ多分ないでしょうね。しかし、ハイエク貨幣発行自由化論というのは御存じだと思います。ハイエク貨幣発行自由化論というのは、その国の中央銀行日本でいえば日銀ということになりますけれども、それも完全民営化しろというものであります。郵政民営化は良いとして、日銀完全民営化というのは、まあ私もちょっとそれはどうかなと、あり得ないとは思います。しかし、ハイエクの言うことにもある種の真理があるのではないかと考えております。  そこで、「エンデの遺言」という本があります。これは今はやりの地域通貨必要性日本人に訴えたものでございます。総務省は、平成十五年七月に、加藤寛千葉商科大学学長座長とする、新しい経済活動を伴う地域経済活性化に関する研究会という研究会をつくられまして、平成十六年三月にその報告書が出ております。こういう新しい経済活動を目指した研究会をつくったねらいというものは地域通貨にあったのではありませんか。  私は、三月十六日の財政金融委員会で、過疎地域等農山地域活性化のためには地産地消とそれを支える地域通貨というものが不可欠であるという考えから、一つ問題提起をさせていただきました。しかし、実は、この先の話があるのでございます。  地域通貨というものが過疎地域等農山地域に根付いたら、これを地域コミュニティーのみならず各種コミュニティー普及させて一国二通貨制に持っていくのです。そして、もし、もしもですよ、もしそういった贈与経済市場経済、つまり円の経済の一〇%ほどの力を付けることができたら、多分、私の直観ですけれども、増税しなくっても十年ほどで財政再建はできるのではないか。  今日は地域通貨問題提起にとどめさしていただきますけれども、後日、もし機会がございましたら、一国二通貨制の問題について議論をさせていただきたいと考えております。  地域地産地消の原則に従って、地域通貨はしかるべき経済力を持った、経済学的に意味のあるものにする必要があります。すなわち、地域通貨は、地域経済活性化し、新たな地域雇用というものを生み出すものでなければならない、私はそう考えております。そのためには、地域における各種NPO各種ビジター産業を育成しなければならないのでありまして、それが問題の核心であります。地域経済活性化、その前提として地域通貨制度化が必要なのであります。つまり、私は、市場経済贈与経済混合経済、すなわち一国二通貨制度なるものが今必要になってきているのだと考えております。  地域通貨が真に経済学的に意味のあるものであるためには、地域において通貨が自由に発行でき、かつ、中央銀行発行通貨と交換できるものでなければならないと思います。私は、そのような一国二通貨制度を真剣に考えておりまして、政府の前向きの検討をお願いしたいのであります。複雑系経済学あるいは進化経済学というのが最近出てきておりますが、そういった最新の経済学を踏まえた先駆的な検討をお願いして、私の質問を終えさしていただきたいと思います。  あと、ひとつ答弁よろしくお願い申し上げます。
  9. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、岩井委員の御質問を私、問題提起十分正面から受け止められたかどうか自信がない点もあるわけでございますが、できる限り御答弁をさせていただきたいと思います。  それで、まず冒頭、PFI地域通貨の今日的課題は何かというお問い掛けがございまして、委員が大変御尽力されたPFI法に基づきまして、政府としては効率的、そして効果的に社会資本を整備する、管理していくと、そして質の高い公共サービスを提供する、こういうために民間資金、能力を活用しなければならないということで、PFI方式の導入、これは積極的に進めていく必要があると思いますし、現にそういう方向になっているんではないかと思っております。  それで、PFI事業を実施する際の今日的課題につきましては、その大規模事業規模等事業の特性に見合った資金調達手法、それからこういったもののリスクについての官民の分担の適正な在り方は何か、それから公共事業計画、設計、建設、維持管理の各段階で民間事業者創意工夫を発揮するその機会をどうつくっていくかと、こういう点の検討の必要があるというふうに承知をしているわけでございます。  いずれにせよ、今後とも、民間事業者の経営上のノウハウあるいは技術、こういったもの、つまり民間創意工夫をどう生かして事業コストを縮減していくかと、PFI活用を通じて政府資金を一層有効に使っていくと、私たちも模索をしなければならないと考えているわけでございます。  それから、地域通貨についてのお尋ねでございますが、前回、三月十六日も御答弁を申し上げましたが、現在、全国各地地域通貨が発行されて流通されているわけですが、これらにつきましては参加者同士の物、サービスの交換あるいはボランティア活動等に用いられて、地域コミュニティー活性化、それから委員もおっしゃいましたですが、地産地消と、こういうものを目指して使われているというふうに承知しております。  それで、一般的な地域通貨の今日的課題としては、先ほど委員もお引きになりましたけれども、総務省も参加しました新しい経済活動を伴う地域経済活性化に関する研究会と、加藤先生があの座長を務められたものでございますが、この報告書を拝見しますと、地域通貨考え方はまだ一般に広く浸透していないと、そういう地域通貨認知度信頼度の問題が一つあると。それから、人気のある商店に地域通貨がたまって流通しないという地域通貨の特定の個人や商店への集中あるいは滞留の問題があると。それから、地域通貨の交付の方法等、店頭におけるオペレーションの問題があると、こういう三点が指摘されていると、私もややにわか勉強でございますが、そういうことを一応勉強いたしました。  それから、委員がお挙げになりました「エンデの遺言」でしょうか、あのオーストリアの実験例も、一年ぐらい行われた後、結局訴訟で違法であるということになったというふうに聞いておりますが、我が国でも、現在の紙幣類似証券取締法には地域通貨一般的に換金が確保されたものである場合、またはどこでも、だれでも、何にでも利用できる場合にはこの法に抵触するというふうに考えられるわけでございまして、この辺をどうするかという議論もまた必要なところではないかというふうに思っております  それから、次に国の財政状況について、まず沖ノ鳥島日本国政府が今まで投じてきた費用が幾らで、それが費用対効果でいうところの効果は何かということでございますが、沖ノ鳥島については国直轄の災害復旧事業あるいは海岸保全施設整備事業ということで、北小島や東小島の護岸整備などを実施してきているわけでございますが、公共事業関係費としては累計六百十三億円の投資を行ってきたということでございます。  それから、この投資額に対する効果、いわゆる値打ちについては、これはこの島が東京から千七百キロ離れておりますし、居住者のいない孤島であるという極めて特異な環境でございますので、海岸事業における通常の費用対効果分析というものにはなかなかなじまない面が率直に言ってあると思っております。  ただ、この島はもう私が申し上げるまでもございませんが、我が国の国土面積を上回る約四十万平方キロメートルの排他的経済水域を有するといった極めて重要な意味を持った島でございますので、今後とも適切な保全に努めていかなければならないのは当然のことでございますが、なかなかその効果というのを一言で申し上げるのは難しいことではないかと思っております。  それから、その国の財務書類における貸借対照表上、沖ノ鳥島については島の土地そのものに客観的な価額を設定することができない。先ほど申し上げたようなことでございますので、護岸工事に支出された公共事業費の累計額を取得価額とみなして減価償却費を控除した価額で計上しているということでございます。こういう取扱いは、財政審等で会計学者やあるいは公認会計士といった専門家で、に議論をしていただきまして、省庁別財務書類作成基準というものを作っていただきましたが、それによってこのような扱いをさせていただいているということでございます。  それから、河川青道等も含めてすべて国有財産になっている理由は何かということでございますが、これは私より岩井先生の方がよく御存じのことでございまして、私どもも国土交通省にどういうことだと聞いてお答えをしているという、国会というのは知っている方が知らない者に聞くという一つの例でございますが、河川については自然工物でございまして、水系ごとに治水、利水対策を推進して広域にわたる水資源の開発及び利用を図る必要があることから、河川に存在する公有地については国有財産として国が所管していると。うなずいて聞いていただくと有り難いと思っておりますが、そういうことでございます。  それから、河川はそういうことだが道路はどうかということで赤道、いわゆる赤道についてのお尋ねがございましたけれども、いわゆる赤道というのは道路法の適用対象外ではあるけれども生活道路等として使用されていた国土交通省所管の国有財産、かつてはそうでございましたが、平成十年五月二十九日に閣議決定されました地方分権推進計画に基づきまして、平成十二年度から平成十六年度にかけて基本的に市町村へ譲り渡してきたというところでございます。  このため、平成十五年度の国の財務書類における貸借対照表では、当該年度末時点で国の所有でありました赤道が計上対象となるわけでございますが、道路を含む公共用財産についてはその公共事業費の累計額を取得価額として貸借対照表に計上することとしておりますので、この赤道については取得価額はゼロということになっておりますので、貸借対照表上における計上価額はゼロとなっております。これは、この扱いは、先ほど御議論になりました青道についても同様でございまして、ともに公共用財産である河川道路でこの資産計上上の考え方に違いがあるわけではございません。  それから、国のバランスシート地方公共団体を含めるべきだという御議論でございました。  これは、御指摘のように、国連の設定した基準に基づいて内閣府は国民経済計算というのをやっているわけですが、これは各国の経済状況等の国際比較を行えるようにするという観点から、国によって中央政府それから地方政府、役割分担に違いがあるということがございますので、中央政府、地方政府、それから社会保障基金を合わせた一般政府という概念をつくって、そして物事を整理していこうという考えで成り立っているわけでございますので、中央政府と地方政府を含めたストックの財政状況について、内閣作成一般政府貸借対照表で開示されているということでございます。  他方、国の財務書類における貸借対照表は、考え方が少し違っておりまして、予算執行に関する説明責任を果たすという観点から作られておりまして、財政活動の主体である国を単位として作成すると、こういう考えで作っておりますので、各々の趣旨、目的が異なっておりますから、一方が正しくて他方が間違っているというとらえ方は必ずしも適当ではないのではないかと考えております。  なお、国と地方の間で整合性を図りながら公会計の整備について一層推進をしていくということは大事な課題だと考えておりまして、総務省や地方と連携を図りながらこうした課題にも取り組んでいきたいと考えているところでございます。  それから、貸借対照表上に計上されております資産評価額等についての御議論でございますが、バランスシートから抜け落ちている国有財産はないかということでございますが、公共用財産につきましては、会計検査院の検査を経た上で国会に提出される決算書における公共事業費の投資累計額を基に計上しているということが一つ。  それからもう一つは、公共用財産以外の国有財産、それから貸付金等の債権、物品の価額につきましては、国有財産台帳など、法令の規定によって各省庁に整備が義務付けられている帳簿によって網羅的に管理されているところでございまして、貸借対照表におきましては、会計検査院の検査を経た上で国会に報告されているこういう帳簿上の現在額を基に計上しているということでございますので、国の資産としては適切に貸借対照表上に計上されているというふうに考えております。  それから、バランスシートに記載する資産は、売るつもりがあるかないかにかかわらず、どれだけの値打ちがあるかを評価して、その評価額を計上すべきではないかという御指摘がございました。  国の財務書類貸借対照表では、公共用財産のように時価を反映した価額で管理されていない資産につきましては、企業会計と同様に、取得原価、公共用財産の場合は公共事業費の累計額でございますが、そういう取得原価を基に計上すると。それから、公共用財産以外の国有財産のように時価を反映した価額で管理されている資産についてはその価額を基に計上する、こういう取扱いをしておりまして、それぞれの資産の性格に応じて適切な評価、適切な方法をもって評価を行って、その評価額を計上しているところでございます。  こういう考え方は、財政審で会計専門家の方々による御議論を経て取りまとめられた、先ほども申しましたが、その考え方に基づいて行っているというところでございます。  それから、内閣作成国民経済計算財務省作成財務書類では非金融資産について計数が食い違うという御指摘がございました。平成十五年末の国民経済計算一般政府における固定資産及び土地の合計額は、御指摘のように四百五十四兆円となっておりますが、財務省作成の方では、平成十五年、貸借対照表でございますが、公共用財産以外の国有財産及び公共用財産の合計額は百七十三兆円となっておりまして、そこに二百八十一兆円の乖離があるわけでございます。この違いは、主に国民経済計算上の一般政府貸借対照表には地方公共団体資産が含まれている、国の方にはそれが含まれていないということによるものと考えております。  それから、バランスシート年金債務を負債計上していることについての御議論でございますが、国の財務書類における貸借対照表では、我が国の公的年金制度が各年の保険料収入でその年の給付費を賄うという、いわゆる賦課方式の財政運営を基本としておりますので、将来の年金給付に係る債務全体をその負債として計上する扱いとはしていないんでありますが、ただし、我が国の公的年金制度におきましては、将来の年金給付の一部に充てるため一定の積立金を保有しておりまして、その積立金が資産サイドに計上されております。この積立金は、将来の年金給付以外の目的のために取り崩すということは想定されていないものでございますから、こういうことの対応上、負債サイドにも同時に所要の積立金相当額平成十五年度末で百四十三兆円になりますが、これを公的年金預り金として計上する扱いをしているわけでございます。  この点も、公的年金の積立金見合いの額を負債に計上するという考え方も、財政審等々で御議論をいただいて、その扱いにのっとっているわけでございます。  それから、PFI公共事業を実施して景気刺激を図るべきではないかということでございますが、我が国経済は今民需主導の景気回復が続いておりまして、今後とも、一つは公共投資依存から脱却して構造改革を推進して民間主導の経済成長を図る必要があるということがございます。それから、我が国の社会資本整備は格段に進捗してきておりまして、人口減少社会ということが来ることを踏まえますと、引き続き既存ストックの有効活用、あるいは新規投資の抑制というのが必要ではないか。それから、国の長期債務残高を様々な変動リスクに対応可能な水準に引き下げていく必要があるわけですが、PFIの導入によりましても、国が負担すべき部分を民間が代わって負うというわけではなくて、将来の国の財政負担が発生するといった点にも留意する必要があるというふうに考えております。  それから、委員の御主張の中に、国がPFIをやるに当たって、国が金利を負担しないということがポイントであるという御議論がありまして、そのようなPFI事業選択する必要があるというお考えでございました。  この点は私まだ十分理解ができていないのかもしれませんが、PFI事業者の事業費支出と、それからその対価収入との間にはどうしても時間的なずれが生ずるだろうと思うんですね。そうすると、資金調達コストというものが発生いたしますので事業者は何らかの形で金利相当分を対価に含めるんじゃないかというふうに考えられまして、結局国が対価を支払う場合には実質的に金利相当部分が負担になるのではないかというふうに、そこはどうも委員のお考えと違うようでございますので、また他日でもゆっくりその辺を御教示いただきたいと思うわけでございますが、一応現時点での私どもの考え方は以上のようなことでございます。  それから、財政再建に当たっての債務のとらえ方についての御質問ですが、OECD発表の数値によりますと、二〇〇四年末の日本のグロス、総債務残高、これはGDP比約一六〇%であるのに対して、そこから政府の保有する金融資産を差し引いたいわゆるネットの債務残高はGDP比約八〇%に、まあすぎないと言っていいかどうか分かりませんが、そういうことでございますので、GDP比八〇%ということであれば、それにより我が国の財政状況は危機的と言うには当たらないんじゃないかという指摘があることは私も承知しております。  ただ、このネット債務残高の考え方でありますが、先ほどの年金債務をどうするかということと関連してくるわけでありますけれども、年金積立金についても政府の保有する金融資産として差し引かれて、このOECD数値のものによるのは差し引かれて計算しているわけでございまして、先ほど申し上げたように、完全な賦課方式によって公的年金を運営している国々とは異なりまして、政府が将来の年金給付のために保険料を財源として年金積立金を持っていると。これがGDP比約四割に当たるものを持っているわけですが、これは年金以外のために、つまり借金を返すために充ててよいものではございませんので、国債や地方債の財源だというふうにカウントすることはできないというふうに思っておりまして、これを差っ引いて、つまり結局、財政が利くかどうかというのは、どれだけ最後国債や地方債を返さなきゃならないか、最後は税金という財源で返さなきゃならないかと。その財源がどれだけあるかということが問題であるとすれば、今のようなネットで議論することはこの年金の取扱いということで私は問題がある、やはりグロスで考えるのが正しいのではないかというふうに考えているわけでございます。  それから、PFIについては海外の先進事例も調査してしかるべき検討をすべきだという御指摘については、私どもそれは努めなきゃならぬと思っております。  先ほども申し上げましたように、民間事業者の経営上のノウハウあるいは技術、こういう創意工夫を生かして事業コストを縮減していくという、各国でどういう工夫があるかということは私どもも十分研究してPFIによって財政資金の効率的な使用ということに努力していきたいと考えております。  しかし、これは個別の事業PFIをどう使っていくかということはまず事業実施官庁の方で御検討を、私どもも決して後ろ向きでいるわけではありませんので、まず事業実施官庁で事業の性格に応じて十分御検討をいただきたいと思っております。  うまくお答えできたかどうか分かりませんが、以上、一応答弁とさせていただきます。
  10. 岩井國臣

  11. 古屋範子

    大臣政務官(古屋範子君) 地理的情報格差の御質問にお答え申し上げます。  地理的な情報格差、いわゆるデジタルディバイドの是正につきましては、総務省といたしましても喫緊かつ重大な課題であるという認識を持っております。これまでも、民間事業者支援、市町村に対する国庫補助、地方財政措置を講じてきたところでございます。  委員厳しい御指摘がございました地域公共ネットワークにつきましては、二〇〇五年七月現在で都道府県を含む全自治体のうち七一・六%の整備済みとなっております。したがいまして、e―Japan計画等での目標に掲げました二〇〇五年度中の全国整備の目標達成は実情は困難であるという見込みが出ております。  このために、先般策定されましたIT新改革戦略において地域公共ネットワークの全国整備を引き続き目標として掲げた上で、地域イントラネット基盤施設整備事業による支援を引き続き実施するほか、新たに昨年度からICT基盤整備事業過疎地域自立促進重点事業の対象に加えまして、過疎対策事業債により重点的に支援いたしますとともに、さらに今年度から条件不利地域におきまして、地域の特性に応じたICT基盤の整備に取り組む地方公共団体を支援いたします地域情報通信基盤整備推進交付金を創設するなどして、目標達成に向け強力に取り組んでまいりたいと考えております。  総務省といたしましても、こうしたデジタルディバイドの是正を図ることで、いつでも、どこでも、何でも、だれでもネットワークにつながることができるユビキタスネット社会の実現を目指しまして、地域経済活性化、また安心、安全な日本をつくるために今後も様々な施策を講じてまいりたいと考えております。
  12. 岩井國臣

    岩井國臣君 情報通信の話は、ちょうど財務大臣もおられますので、是非総務省から強力に予算要求して、本当にデジタルディバイドがなくなるようにひとつ、これからはやっぱり高度情報化の時代ですから、地方といえども必要なんですよね。だから、切捨てにならないようにひとつよろしくお願いします。  それから、今、与謝野大臣がお見えになりましたので、先ほどの質問と関連をして申し上げますが、従来大変、竹中さんの考えと与謝野大臣考えとが違っていたけど、大体意見の一致を見て、お互い協力しながら一つの路線を出していこうじゃないかというふうなことになったようで、今朝の日経に、与謝野大臣が自民党の中川秀直政調会長と事前に協議し、成長力強化で意見が一致したと、この上で、成長力を高める第二、第三の議論を進めていく、そのように記者会見で言われたようであります。大臣答弁要らないですけど。  要するに、これから財政再建どうするかということについて、名目成長率日銀総裁は実質成長率だと、こうおっしゃっているわけでありますけど、そこのところの議論が極めて大事でありまして、私は今日いろいろ申し上げましたけど、結局ねらいは財政再建どうするかという、それ第二の議論、第三の議論、第四の議論をやっぱりやらないと駄目だということを申し上げたかったわけでありますので、是非、財務省の方もこれだと、これ一つしかないんだと決めないで、いろんな意見がありますよということでひとつ前向きな議論を、検討をよろしくお願いしたい。我々もやっぱりそういう目でいろんな議論をやっていきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。  以上で終わります。
  13. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 民主党・新緑風会の富岡由紀夫でございます。  国有財産法の改正に伴って質問させていただきたいと思います。  この法案に関連して、いろんなやっぱり国の資産、負債、債務改革というのは密接に関係しておりますので、行革との絡みも含めて質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、谷垣議員が、これ財政諮問会議に提出した資料でしょうかね、「資産債務改革における資産売却について」というペーパーをお作りいただいて、私どももいただいているんですけれども、その中で、不用不動産の売却について御説明がこの中にされてありますけれども、今後十年間に売却収入の目安として約一兆円の一般庁舎、宿舎の中から選んで売却しようという計画がありますけれども、この選定基準について、まず概要を教えていただきたいというふうに思っております。
  14. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) お答えをさせていただきます。  今お尋ねのありました三月十六日の経済財政諮問会議で提出いたしました資料でございますが、これ、基準につきましては、公務員宿舎の有識者会議をやっていただいておりますが、その先生方の御議論も踏まえて設定させていただいたわけでございますが、具体的に申し上げますと、公務員宿舎につきましては、集約化を進めることにより、都心三区は原則売却、それ以外も法定容積率に対する利用率五割未満のものについては売却するという基準に基づきまして積み上げた結果、〇・五兆円ということになったわけでございます。それから、庁舎につきましても法定容積率に対する利用率五割未満のものについて集約を進めるということで、この売却基準に基づきまして積み上げた結果〇・五兆円、合わせて一兆円の売却収入の目安をお示ししたということでございます。
  15. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 今御説明いただいた基準にのっとって、私の出身地である群馬県についてどういった物件が対象になるかということを事前にお尋ねしましたところ、教えていただいた物件が今お手元にお配りした三件でございます。  今の基準だけからすると、容積率の問題とか五割未満の問題という、そういう基準だけでいくと、群馬県内に該当する物件はもっと一杯あるんですけれども、この三件になったというのはどうしてなんでしょうか。
  16. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) 今御説明申し上げましたが、庁舎を高度利用して、そして余剰地を売却していくということでございますから、高度利用になじむ地区ということで、私ども、大体、政令指定都市あるいは県庁所在地の全国ベースの平均地価が大体平米三十万円となっておりますので、これを超えるものがそういう高度利用になじむということで、三十万円で足切りをしているということでございます。
  17. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 この平米三十万円以上のところの積み上げで国全体で一兆円ということでよろしいんでしょうか。
  18. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) 先ほど申し上げました容積率基準でございますね、それに基づきまして、さらに、高度利用するということでございますから、高度利用になじむ地区ということで今申し上げた三十万という基準を設けまして、それを超えるものをピックアップしているということでございます。
  19. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 それで、じゃこれを、今の該当する物件を売ったときにどのぐらいの金額になるかということをやらないと、この一兆円という数字は出てこないと思うんですけれども、そのときの算出方法について教えていただきたいと思います。
  20. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) これ算出方法は、膨大な国有財産があるわけでございますが、今申し上げました基準を形式的にざっと当てはめまして、それに該当するものを個々に積み上げたというように御理解いただきたいと思います。
  21. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 具体的に、ちょっと事前に教えていただいたんですけど、国有財産台帳の価格にある一定の料率を掛けて出されていると思うんですが、それを教えていただきたいと思います。
  22. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) 申し訳ありません。そこの換算のところをちょっと申し上げるのを落としておりましたが、国有財産台帳価格は基本的に相続税路線価でやっておりますので、特に庁舎はもう相続税路線価で統一されておりますので、これを公示価格に直すために、大体相続税路線価が公示価格の八掛けということになっておりますから、それを割り戻して時価に換算していると。  それから、公務員宿舎でございますが、二十三区内に所在します財産は基本的に路線価で再計算をいたしまして、それを今申し上げたように公示価格に割り戻して時価を算定しております。  それから、二十三区以外の財産でございますが、これは件数が膨大なものでございますからサンプル調査を行いまして、そうして、国有財産台帳価格と路線価にまず一・六倍ぐらいの差があるということで台帳価格に一・六を掛けまして、路線価をまた公示価格に戻すときには、八掛けになっておりますからそれを一・二五で割り戻すということで時価を換算いたしております。
  23. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 今の説明ですと、一般庁舎については台帳価格、これ路線価ですからそれの一・二五倍すると、八〇%相当分を割り戻すということで一・二五倍すると。宿舎については、まず一・六倍して、それから更に一・二五倍すると、すなわち二倍ですね、台帳価格の二倍の価格を算出してそれを売却の目安の金額とするということでございますね。  それに基づいてちょっと計算したのが、今お手元に配った資料でございます。  例えば、前橋合同庁舎というのは三千四百七平米あるんですが、国有財産の台帳に載っている金額は十四億七千六百三十一万一千八百六十八円ですね。これ、平米当たりで割りますと四十三万三千三百十七円という金額になっております。この金額を、今言った計算方法によって、今のこれ、庁舎ですから、この台帳価格の一・二五倍した金額が、ちょっと黄色で網掛けした部分でございますけれども、売却試算額という形で十八億四千五百万の金額になっているということですね。これで計算していると。  江木住宅とか表町の宿舎というのはこれは宿舎に該当するから、一・二五倍だけじゃなくて補整の意味で一・六倍をしているということでございますので、台帳価格が三億三千九百万円のやつが倍で評価されていると。そして、当然のことながら、単価も倍で計算しているということでございます。  私は、たまたまこのすぐ近くに住んでいるものですから、この価格が非常に実勢と違っているんじゃないかというふうに素朴に思いまして、実際の平成十七年度の路線価を調べてみましたところ、この右側のところですね、前橋合同庁舎については平米十九万五千円と、江木住宅については八万四千円、表町の宿舎については七万五千円ということです。さっき御説明いただいたように、路線価は約その公示の八割程度ということですから、これを一・二五倍して割り戻すと、時価単価って書いてありますけれども、一・二五倍した金額で、平米当たり上から順番に、二十四万三千七百五十円、十万五千円、九万三千七百五十円となります。それで、面積に割り掛けて出しますと、時価が、前橋合同庁舎については八億三千万、江木住宅については二億三千六百万、表町の宿舎については六千九百万という数字でございます。  この辺の相場については、地元の不動産業者にも確認して、まあ妥当なところだろうということで私も確認を取っております。  これを見ますと、このいただいた資料に基づく試算額、売却試算額見ますと、実際の相場に対して、前橋合同庁舎については二二二%の金額で評価していると、江木住宅については二八七%、二・九倍、表町の宿舎については四五一%、四・五倍の価格でこの売却の物件を評価していると、対象物件を評価しているということでございます。  たまたま群馬県の物件だけがそうなのかというふうに考えればいいんでしょうけれども、一兆円をこれによって国の資産債務改革をするということで出した元のベースになる資料が、足下の数字が違っていると本当にこの改革が成功するのか、うまくいくのかどうか、私は甚だちょっと疑問でございます。  谷垣財務大臣の議員の個人の名前で出した資料でございますので、私はまさかこんなちょっと乖離しているとは思っていなかったんですけれども、非常にちょっとそれでショックを受けております。谷垣財務大臣も多分そこまではチェック入れてなかったと思うんですが、こういうことだと、この計画全体自体が本当に絵にかいたもちになってしまうんじゃないかというふうに私は思っているんですね。私は、谷垣財務大臣の、何というか名誉にもかかわる問題でございますので、私はもう一度、いま一度この内容について精査を御指示された方がよろしいんじゃないかなと私は思っております。  台帳の価格が、元々ベースの価格が路線価よりかなり高い金額なのに、更にそれを高く評価して、あたかもそれを売ることによってかなり売却収入が国の中に入ってくるんじゃないかというような青写真ができちゃっているんですね。だから、そういったことで、谷垣財務大臣、この資料の中身について、今言ったような中身がございますので、これに基づいてちょっと御意見というか、お考えをお伺いしたいと思います。
  24. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) 済みません。  先に事実関係だけ一言御答弁させていただきますが、今回お出ししましたこの計数でございますが、これ三月の段階で財源となる売却資産がどのくらいあるかというのを一定の機械的な試算で、かつその段階での台帳価格、これは平成十三年三月三十一日現在のものでございますが、その価格に基づいて機械的にはじいてみたということでございます。  当然、今後、台帳価格の改定、これは十八年の三月三十一日付けで行われますので、それで台帳価格の改定も行われます。そうしますと、恐らく同じ機械的な基準を当てはめても、一種ボーダーライン上にあるようなものは、売却対象になったり売却対象にならなかったりという入り繰りはあるだろうというようにそれは考えております。ただ、それでも我々としては、そんなに大きな、我々が見込んだ売却収入の見込みが変わってくるというようには考えておりません。
  25. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 国有財産台帳、今局長からも御答弁申し上げましたように、今年変わるわけでございますので、当然そういったものによる見直しは必要だと思いますし、今後、具体的に売却の計画を立てていくときには、そのときそのときの最新の資料によって訂正をしていくということはやらなければいけないと思っております。
  26. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 これ、ちょっと機械的にやられたということなんですけれども、機械的にやるにしても、ややちょっと、何というんですか、ざくっと、粗いやり方じゃないかなと思っているんですね。評価額の四倍以上の、実勢価格の四倍以上の価格で見込んでいるというのは、これこそ本当に絵にかいたもちだと私は思っていますので、サンプリング調査するんであれば、もっと精緻なサンプリング調査をしていただいて、やっていただきたいと私は思います。  これ、ちょっと参考までにお話しすると、さっき言った平米三十万以上が対象ということだったんですが、今言ったように、基準で、台帳価格を宿舎については二倍すると、合同庁舎、庁舎については一・二五倍するということで、出た数字が平米当たり三十万を超えていれば対象になるということなんですが、時価で計算すると三物件とも平米で三十万も行ってないんですね。そもそも、売却対象の対象にすら、これは外れてしまう物件なんですね。だから、厳密に言うと、資産売却で、これ三物件で二十八億三千九百万見込んでいますけれども、ゼロなんですね、さっきの基準でいうとね。群馬県においては売却対象物件なくなりますよということになってしまうんだと思います。  だから、これは群馬県だけなのか、本当にそうなのか、私はちょっと、やや、非常に心配なんで、実際にやるときはもっと精緻にやっていただくのは、それは当然のことなんですが、この一兆円という見込み、これがもう結構いろんなところで独り歩きしていますから、この一兆円自体が私は本当に信頼できるものなのかどうか、ちょっと心配なものですから、財務大臣にしっかりとその辺は、何というんですか、算出根拠についてフォローしていただきたいなと思っております。ちょっとこの物件については、じゃそのぐらいとさしていただきますが。  それと、ちょっと算出根拠が非常にあいまいだということで今質問させていただいたんですが、算出の仕方があいまいだということで質問さしていただいているんですが、非常にちょっとマニアックな話なんですけれども、ちょっと飛びますけれども、事前に昨日お話ししていた運用面における改革の中で、保有と賃借をちゃんと検討してやっていくんだという、今回改正の中で御説明いただいております。物件を買って建ててやった方がいいのか、建物を自前で建てて使った方がいいのか、それとも借りて使った方がいいのか、それをちゃんと検討していきましょうと、いろんな民間の知見なんかも交えてやっていこうということでお話しされていて、参考資料として出された資料が、手元にいただいたんですが、「保有と賃借のコスト比較(試算)」ということで、第四回国有財産制度部会資料という資料をいただいたのがあるんですが、私、これをちょっと見さしていただいて、あと、いろんな不動産の管理する協会とか団体とかですね、あと一級建築士にもいろいろと確認したことがございます。それ見たら、もう十一年以上使う場合は保有する方がいいという結論に出してあるんですけれども、たまたまこの物件はそうなんですけれども、そのときの出し方が非常に、本当にこれだけでいいのかなと私は思っているんですけれども、もし、今手元に保有と賃借について、今の言った資料があれば、この出し方について、考え方について、大体概略でいいんですけれども、御説明をしていただきたいというふうに思っております。
  27. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) この保有と賃貸のコスト比較の出し方でございますが、まず、具体的なコスト比較に当たりましては、庁舎等の建設費、修繕費及び維持管理費等々、それから民間施設の賃借料の総コストを見積もりまして、それから、国に還元される法人税それから消費税、これを控除した上で、それを国債金利で割り引いて現在価値にいたしまして、それで総額を比較するということにいたしております。  それから、保有コストを算出する際には、当然でございますが、国有地上で建て替える場合であっても、土地を新たに購入して庁舎等建設する場合とコストが同額となるように土地保有に係る機会費用を考慮するということにいたしております。  私ども、これで完全だとは思っておりませんで、今後、国土交通省等ともよく意見を交換しながら、その計算に加味すべきその他のコストの有無、あるいはコスト見積り方法の精緻化、それから賃借物件の特定方法といった細目について更に実務的に検討をしていきたいというように考えております。
  28. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 是非それやっていただきたいんですけれども、見ただけでも、まず、資金調達コスト、ファンディングコストが一・五%でずっと見ております。あと、売却収入の運用益、賃借のときのコストの削減額というところも一・五で見ているんですけれども、金利が五十年間で、これタームで見ていますけれども、ずうっと一・五で本当にいいのかなと私は思っているんですね。これ、金利が二倍、三倍に、置いた金利の二倍、三倍になっちゃうと、こういった保有と賃借のコスト比較がもうすぐ逆転しちゃうんですね。金利が三倍になれば、調達費用がもう三億円から九億円以上、十億円ぐらいになっちゃうと。逆に、売却収入の運用益は、九億円が二十七億、三倍であれば約三十億ぐらいになるということになると、こういう単純な比較ではできないんじゃないかと私は思っているんですね。  さっきちょっと言いましたけれども、谷垣財務大臣が出した資料もそうですけれども、こういった資料が出てくると、これが独り歩きして、あたかもこの基準で算出すれば保有と賃借の議論がもうどんどん進んでいくんじゃないかというような感じが私しているものですから、そこのところはしっかりと考えていただきたいと思います。  あと、細かいことを言えば、大規模修繕費の金額も建築費の五〇%で計算しておりますけれども、いろいろと専門家、有識者に確認しましたら、こんな数字じゃ収まるわけないということでございます。二倍、三倍掛かるケースもあるということです。大規模修繕は、これ五〇%で見ておりますけれども、ほかに建物の場合は設備費が、建築価格の大体四割ぐらいが設備費ですから、設備の場合は、減価償却というか、耐用年数が大体二十年とか二十五年ぐらいですから、そういったことを含めると、このコストはもっと莫大になるはずなんですね。専門家にこれ見てもらいましたら、これは余りにも、何というんですか、検討項目が少な過ぎるということでございましたので、これをしっかりとやっていただきたいと思います。  こういったことを今回は法改正の中でやっているんじゃなくて、運用面でやっていると。運用面でこういったことをやるということでございますので、我々のところは、こういった資料がない限り、全然知ることができないんですね。こういった大事な、保有か賃借か、国の資産の本当にスリム化に寄与するのか、しないのか。大切な問題だと思うんですが、こういったことをどうして運用面で全部任してしまうのか。この点について、財務大臣に対してお考えをお伺いしたいと思います。
  29. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今回の国有財産行政の改革のうち、運用面でどういう改革をしているかということでありますが、一つは、効率性の向上策として、先ほども議論がございました、二十三区内の宿舎の移転再配置について有識者会議民間の視点から検討を行っていただくと、それから合同庁舎整備の際、建て替えと民間借受けのいずれのコストが少ないか、今も御議論がありましたけど、そこら辺りも有識者会議でもう少し詰めていただいた議論をしていただかなきゃいけないと思っております。それから、国の余剰容積率を有償で民間活用させるということも考慮すると、こういったことを運用面で行いたいと思っております。  それから、手続面での透明性、公平性の向上という点では、地方公共団体等に対する未利用国有地の売却ルールを明確化すると。それから、政府出資の評価を現在の出資累計額方式から純資産額方式へ変更すると。それから、物納財産などは原則として、優遇措置、無償貸付けあるいは減額売払い等の対象外とすること。それから、売却可能な未利用国有地等に関する情報提供を拡充する、こういったことを行うこととしております。  今後は、法律改正による改革と、今申し上げたような運用面の改革を併せて効率性を一層重視していきたいと考えております。
  30. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 有識者にお伺いするときに、もう幅広く、いつも偏ったところの人から聞くだけじゃなくて、いろんなところから聞いていただいた方がいいと思います。  私も民間にいたもんですから、いろいろとそういう知り合いがいて聞きましたところ、ちょっと見ただけでも余りにもおかしいということだったもんですから、その辺はしっかりと考えて、首をかしげていただいて、全くおかしいというふうにお考えですけど、それがおかしいんじゃないかと思うんですね。もうはなからそういうふうに決め付けちゃって、自分たちがやったことは正しいという考えのようなんですけども、そういうことじゃおかしいと思います。それをしっかりと謙虚に構えていただいて、幅広い意見を聞いていただきたいと思います。  次の質問をさせていただきます。  今回の改革の中身で、平成二十七年度までにいろんな資産の圧縮を図るということで行革法の中でうたっているんですけども、GDP対比でいって目標を掲げておりますから、成長率がどのぐらいになるかによって圧縮額も変わってくると思うんですが、法案で、こういった法案を提出されている以上、ある程度めどというか、そういった達成見込みを描いていないと、さっきのあれじゃないですけど、絵にかいたもちになってしまうもんですから、具体的などのようなイメージを、GDPの成長率とその圧縮額のところを財務大臣はお考えなのか、法案提出者として、関係提出者としてお考えを教えていただきたいと思います。
  31. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今おっしゃったように、平成二十七年度末までにおおむね国の資産規模を対GDP比で半減させるという目安があるわけでございます。  それで、委員がおっしゃいましたように、今後の名目成長率がどうかというようなことによってかなり変わってくる面がありますが、かなりの程度の資産の圧縮をしないとなかなかここにたどり着かないということで、このための手法としては、国が保有する資産は、これは厳選しなければならないですが、できるだけ売却をしてやっていくと。それから、財政融資資金貸付金残高の縮減を維持すると、そして歳出削減を徹底すると、こういうようなことが基本的なことではないかと思います。  それで、こういう中で、先ほどお引きにもなりましたが、三月十六日の諮問会議で、歳出歳入一体改革との関連で、売却して財政再建に資するものという観点から約十一・五兆円の目安をお示ししたところでございますが、これは売却して財政再建に資するものという観点でやったものでございますので、さらに、財源とならない財政融資資金貸付金のようなものの圧縮をどうしていくかということを具体的に検討していかなければならないわけでございまして、今度の法案でも、こういう国の資産債務改革の具体的内容、それから手順、実施時期については今年度中に工程表を作成するということになっております。そのところでもう少し具体的なものを詰めまして、極力早期にお示しできるように努めていきたいと思っております。
  32. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 多分具体的な数字は、正確にはもちろん成長率をどう置くかによって違うんで出ないと思うんですけれども、今までのトレンド、過去五年間とか十年間ぐらいのトレンドから見て、GDP成長率というのはそんなに大きく何というんですか、見込みがずれるとは私は思っていないんですね。だから、ある程度の数字は当然数字を置けば出てくると思うんですけれども。  圧縮の、どこを圧縮するか。さっき言ったように国の財政のところは今十一・五兆円ぐらいしかないというお話なんですけれども、それ以外のところは今貸付金の圧縮というお話がありましたけれども、貸付金の圧縮というのは具体的にどのような、ここが一番やっぱり大宗を占めると思うんですけれども、どういうイメージでこれが減らすことができるのか、ちょっとお考えを教えていただきたいと思います。
  33. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) おっしゃるように、財融特会の貸付金を圧縮していくということがメーンになると思うんですが、平成十三年度以降、財投につきましては郵貯等の預託義務を廃止するといった改革がございまして無駄な事業の見直しを行ってきていまして、今のところ財投残高はピーク時の三割減となってきているわけです。  それから、毎年毎年の財投規模も、最盛期の四割より小さくなっている。最盛期は四十兆を超えておりましたが、現在は十五兆台でございますから、これを、こういう方向をまた今後続けていかなければならないだろうと。精査してこの財投規模を圧縮していくということがまず一番ではないかと思います。そこら辺りをどういうふうにやっていくかということは、今後の、先ほど申しました工程表の中で検討させていただきたいと思っております。
  34. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 これから、具体的にはそうなんですけれども、今の圧縮の仕方が本当に何もしなくても自然体で圧縮になっちゃうのか、それともある程度かなり努力しないと圧縮ができないのか、その辺のニュアンスというのがもし分かれば教えていただきたいと思います。
  35. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今申し上げましたように、財投の規模自体相当圧縮してきましたので、これから精査するとしましても、相当やはり努力をしないとなかなか圧縮は厳しいのではないかなと思っております。それから、特に今後地方向けの貸付けなどをどうしていくかというような問題もございまして、その辺り今後のいろいろ検討することが相当あると思っております。
  36. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 そういった意味で、自然体でどのぐらい、まず今言ったように努力しないといけないということなんですけれども、ベースの部分で自然体でどのぐらい圧縮になるのかということを昨日ちょっと事前に分かれば教えてほしいということで通告させていただいたんですが、この貸付金の約定返済予定見込額、個社別に分かる範囲で教えていただきたいと思います。
  37. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) 個社別ということでございましたが、個社別も一応用意はしてありますが、全体の方が恐らくイメージが分かりやすいと思いますので、そちらでまず御答弁させていただきたいと思いますが、毎年度の財投計画、それから繰上償還がどうなるか、これが今後の償還額に影響してまいりますので、確たる見通しをお示しすることは非常に難しいわけでございますが、十七年度末までに貸し付けられたもので国の特別会計、一般会計を除く財投機関に対する貸付け全体について、今後一切財投貸付けが全く行われないという極端な仮定を置きますと、現時点で将来にわたる償還額の見込みが出せるわけでございます。  それを申し上げますと、平成十八年度では二十五・八兆、平成十九年度では二十八・一兆、平成二十年度では三十一兆、それから平成二十一年度では二十二・七兆、平成二十二年度では十六・五兆、平成二十三年度では十三・四兆、平成二十四年度では十二・二兆、平成二十五年度では九・八兆、平成二十六年度では八・九兆、平成二十七年度では七・九兆となりまして、その総額は百七十六・四兆円となります。  ただ、これは先ほど申し上げましたように政策的ないろんな要請で財投貸付けをやっているわけでございますが、そういう新規の貸付けが全く行われないという、そういう極端な前提に立ったものであるということは是非御理解願いたいというように思います。
  38. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 多分、約定返済のほかにまた新規の貸付けもあるでしょうから、純減ベースでどのぐらいになるかというのは、まだこれから努力目標の範囲内だと思うんですけれども、貸付先の、まあ政策金融機関なんか特に私はちょっと注目しているんですけれども、住宅金融公庫とか国民生活金融公庫とか、中小企業金融公庫、まあいろいろとありますけれども、そこに対する貸付けがどんどん回収されるわけでございますね。ですから、そうすると、そこがまた更に貸しているところはどこかというと、一般の国民向けに貸付けをしているわけでございますので、国の財政改革で無理やりそういった政策金融機関向けに貸した金額を回収することが間接的に国民に対する融資の貸し渋り、貸しはがしにならないように私は注意する必要があるんだというふうに思うんですが、この件について財務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  39. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほど理財局長答弁いたしました内容は、理財局長からも申し上げましたが、全く新規貸付けをゼロにするという、あんまり、あんまりというか、やや非現実的な仮定でございますので、それで進むなんということではもちろんございません。当然、財投は今もおっしゃいましたけど、中小企業向け融資、そのほかいろんな重要な役割を担ってきておりますので、特にまた政府金融機関の改革もございまして、どういう設計をしていくか等々いろんな問題がございますから、先を読みにくいところがございますけれども、やっぱり必要な機能は大事な政策的ツールでありますから果たしていかなければいけないと思っております。  で、かなり今までの財投改革で圧縮してきて、まあ岩盤に突き当たったかどうかは別として、かなりもう抑制してきておりますので、今後はかなり努力をして、何というんでしょうか、無駄なところ、不必要なところというものを見付け出していかなければならないんだろうと思っております。
  40. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ありがとうございます。  それでは、ちょっと与謝野大臣にお伺いしたいんですが、昨年十一月の経済財政諮問会議で、小泉首相が、まあ土地の価格が高いところは全部資料を出してもらって売却の検討をしなくちゃいけないという趣旨のお話をされまして、財務省は不可能だと言っているんだけど本当にそうかということで、そういった指示をされた、発言をされたというふうに伺っているんですけれども、そういった発言があったのかどうか、お伺いしたいと思います。
  41. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) この小泉総理の御発言は議事録として公表されております。  総理はこう言われました。国有財産の額は大きくないだろうが、土地の価格が高い、特に都心の官庁の宿舎の資料を全部出してもらう。この部分は売却不能と財務省では考えているようだが、なぜ不可能なのか、よく調べてもらいたい。財務省が不可能だと思っても、一般の人が考えれば不可能じゃないと思うところがある。財務省だけではなく、全役所にどれだけ宿舎があるか資料を出してもらう。特に土地の価格の高いところ、財務省が売却は不可能と言っているところも出してもらい、その理由を聞きたい。私は不可能じゃないところがあると思う。これが正確な御発言です。
  42. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 そういった発言を受けて、今回の宿舎の見直しについて有識者会議というものが財務省の中にできたんだというふうに思っているんですが、この財務省が不可能だと言っているところを精査する会議財務省の中につくることについて、与謝野大臣はどうお考えですか。小泉さん、小泉総理は財務省は不可能だと言っているのに何で財務省検討させているのか、私はちょっと腑に落ちないんですが、その点についてはいかがでしょうか。
  43. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) この話は前段がありまして、やはりその都心で土地の高いところというのは有効利用をすべきである、また有効利用するについては民間の知恵をかりるべきだと、こういう御発言は総理が以前しております。私は、この御発言を聞いて、その延長線上にある御発言だというふうに伺いました。  もちろん、財務省の中に委員会つくっても、その委員会はいろいろな御意見も世間に発表されますし結論も明らかになるわけですから、そう財務省御用達の審議会とも私は思いません。思いませんが、経済財政諮問会議の中にもきちんとこれを見てフォローアップしていこうということで、専門的な委員会と申しますか調査会を設けてこの問題を取り扱っていくと、そのように決めたところでございます。
  44. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 その組織を、四月七日の中間取りまとめに、つくるというふうに書いて確かにあるんですが、それを具体的にいつ発足してどういった役割を担ってもらうのか、教えていただければというふうに思います。
  45. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) まだ、専門調査会をつくるというところまでは決めましたけれども、いつつくるのか、どういうスケジュールで審議を進めていくのかというのはこれから決めるところでございます。
  46. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 谷垣財務大臣にお伺いしたいんですが、今あるその財務省の中の有識者会議を六月に、まあ取りまとめ、ある程度報告を出した後、改組して、また新たな役割を担わすというような報道があったんですが、その具体的中身、その組織の、会議体の役割というのはどういったものなのか、教えていただきたいと思います。
  47. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今開催しております有識者会議、おっしゃったように、六月目途に宿舎の移転、再配置のグランドデザインを取りまとめていただくという予定で作業していただいておりまして、中身はその民間の視点から国家公務員宿舎の都心からの移転、それから跡地売却等、どう促進できるか、それから都市再生や土地の高度利用等にどう供するかというようなことを検討していただいているわけです。  それで、六月に取りまとめていただいた後、今委員おっしゃったように、総理にも御了承いただいて改組いたしまして、庁舎等も含めた国有財産全般の有効活用について検討していただくと、フォローアップもしていただくと、そういう予定にしております。  私どもとしては、こういう中で、民間の知見をできるだけ吸収して、国有財産を有効活用していくということにしていきたいと。そして、今、与謝野大臣からも御答弁のありました、経済財政諮問会議に設置される専門調査会ともよく連携を取っていきたいと考えているところであります。
  48. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ちょっと私はよく分からないんですけれども、今、与謝野大臣からさっき説明していただいた専門調査会の役割と、今、谷垣財務大臣からお話ありました六月に有識者会議を改組した組織、ともに国有財産の、何というんですか、処分について検討するということなんですけれども、どこをどういうふうに切り分けして役割分担をされるのか、ちょっとその辺が明確になっていないと私は思っているんですが、与謝野大臣、いかがでしょう。
  49. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 実は、歳出歳入一体改革の中間取りまとめというのを第八回の経済財政諮問会議で決めたわけでございます。その中で、改革のいろいろな基本原則を決めまして、原則六のところに「資産売却を大胆に進め、バランスシートを圧縮する」、まあこれが原則になっているわけですが、その具体的な内容として次のように決めたわけでございます。「資産売却収入は原則として債務の償還(ストックはストックへ)に活用する。資産債務を両建てで削減し、金利変動リスクを軽減する。地方にも同様の改革を要請する。諮問会議の下に専門調査会を設置し、国・地方を通じた資産債務改革、特別会計改革、公会計制度改革のあり方を検討し、その改革を加速する。」ということで、この専門調査会は資産を売却するということだけではなくて、広く特別会計あるいは公会計制度等を含めた問題をきちんと検討してまいる、そういう専門調査会を設けることにしたわけでございます。
  50. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 今のお話聞くと、専門調査会の方は範囲が広くて、財務省の中の有識者会議を改組する部分は国有財産だけに絞ってやっていくということなんですか。国有財産の取扱いは両者で取扱いするのか。その辺はどういう位置付け、何か重複しているような感じを私は受けるんですが、いかがなのかなと思います。
  51. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 当然、重複する部分はあると思います。思いますが、不用な国有財産を売却して財政再建に資するようにするために、きちんと物事が進んでいるかどうかということもやはり監視していなきゃいけないという意味もありますし、また、こういう専門調査会で具体的な問題が提起された場合に専門的な見地から検討して結論を出すということもやっていただかなければなりません。谷垣大臣の方の作業と多少は重複すると思いますけれども、専門調査会は専門調査会で意義のあることをやってまいることになっております。
  52. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 要するに、経済財政諮問会議財務省はやっていることを重複するのかしないのかというところに帰するわけですが、与謝野大臣のところで、経済財政諮問会議でおやりいただくのは、やはりマクロ経済全体を見ながらその中で財政再建を大きくどう進めていくかということをいろいろ議論していただいているわけですので、そういう観点から資産債務改革をどう進めていくかというのを見ておられる、そういう専門調査会だろうと思います。  私の方は、もう少し具体的に国有財産の管理、総括というものをやっているわけでございますので、それを具体的に進めていくときに、いろいろ手法もそのときそのときに応じて民間の手法も取り入れて洗練させていかなければなりませんので、そういう個別具体的と言うとちょっと言い過ぎでございますが、国有財産管理と、こういうそれの手法の、何というんでしょうか、リファインというような観点からやらせていただくということだろうと思います。
  53. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 何となく分かったような分からないような感じがするんですけれども、やっぱりイメージとしては、元々小泉さんは財務省にはできないと言っておきながら財務省の中にうまくその検討機関を設けちゃって、それで具体的な検討結果、さっきの資料じゃないですけれども、何というんですか、鉛筆をなめたような圧縮計画を出して、財務省さんがその分野は放さないんだというようなイメージをちょっと受けるんですね。  だから、今回の六月改組するのも、小泉首相は認めちゃったという話なんですけれども、それもちょっと、丸め込まれてだまされちゃったような感じがしないでもないんだと私は思っているんですけれども。そういった意味で、何か縄張争いをやっているんじゃなくて、本当に国の資産をどうやったら効率化できるか、スリム化できるかという観点で、余り重複感のないように無駄のない会議体の中で議論をしていただきたいなと私は思っております。  さっき言ったように、財務大臣の名前で出すような資料は特に精査していただいて、指示を徹底していただいて、そういった現状と乖離のないような、本当に現実性のある改革に資するような議論をしていただきたいなというふうに私は思っております。  与謝野大臣には質問、ありがとうございました。──いいです。  じゃ、今のを受けてお考えがあれば教えてください。
  54. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 決して、権限とか縄張争いということではなくて、専門調査会をつくるについては谷垣大臣と十分お打合せをさせていただいた上で、むしろ谷垣大臣の方が積極的に、それならむしろつくってほしいということでつくったわけでして、そういう意味では、何か意見の相違があって諮問会議側に専門調査会をつくったと、そういう経緯ではないということだけ御理解をいただければと思います。
  55. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ありがとうございました。  与謝野大臣は終わりました。質問は終わりました。  ちょっとさっき質問しながら気付いたんですけれども、この不用不動産の処分について、売却のいろんな、一兆円という数字がさっき御説明いただいたんですが、この検討をするときに、これは庁舎と社宅だけだったんですけれども、いわゆる保養寮というか福利厚生施設、そういった物件もあろうかと思うんですけれども、これは検討材料として検討したんでしょうか。ちょっとこれは事前に質問していなかったんですけれども、そういった検討も当然されたんだと思うんですが、その辺についてお伺いしたいと思います。
  56. 池口修次

    委員長池口修次君) どなたかお答えができる方。──牧野局長
  57. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) お答えをさせていただきます。  今先生御指摘の保養施設等でございますが、これにつきましては、従来から国有財産の有効活用という点で、きちっとした使用がなされているかとか、そういう面で実地監査を行ったり、それに基づいて指導を行ったりとか、そういうことはしております。  ただ、今回の宿舎、庁舎を出すときに、その分が積算に入っているかといいますと、それは入っておりません。
  58. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 じゃ、そこは手付かずということでございますか。  これは手を付けなくてよろしいんでしょうか。財務大臣、御意見をお伺いしたい。保養寮とか、そういった福利厚生施設はどうなんでしょうか。検討、その資産を見直すときの対象として検討しなくて本当にいいのかどうか、ちょっと考え方を教えていただきたいと思います。
  59. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) 今回出しました試算は、国有財産の中で一番整理、集約化して余剰の土地を生み出しやすいものということで、大きな固まりで九兆六千億というのが十五度末ベースであるものですから、それをまず対象にして検討したということでございまして、それ以外の財産がすべて聖域で、検討対象ではないということではございません。  特に、今御指摘のありましたような保養施設といいますか、研修施設といいますか、そういったものにつきましては、実際に使用効率の悪いようなものについては当然整理をしていく方向で検討していきたいというように考えております。
  60. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ついでに思い出したんであれなんですけど、普通の感覚でいうと、まず最初に、何というんですか、民間だと、そういった今、保養寮とかどんどん売却して、リストラしていて、まず業務に関係ないところからリストラを進めていくと、資産の売却を進めていくという動きをして、その後、庁舎とか、庁舎というか、そういう本当の使用しているオフィス、事務所とか、あとは宿舎とか、見直しをしているんだと思うんですね。まず、そういった不要不急の分野を見直して、それからあと、業務にどれだけ本当に必要な分野を残して売却していくかということを検討するんだと私は思うんですけれども、そういったことは今後検討されるんですか。
  61. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) お答えをさせていただきます。  保養施設は、純粋な保養施設といいますのは現在ほとんど処理が済んでおりまして、もう数か所しか残っておりません。それ以外に研修施設とか、そういったものがあることは間違いございませんので、そういったものもこれから見直しの対象にしていきますが、今回ともかく、三月十六日に財務大臣から諮問会議に提出いたしましたのは、要するに財源になるものが幾らぐらいあるかというその財源を示すということだったものですから、まとまって金額の出る宿舎、庁舎にまず着目して行ったということで、研修施設まだ残っておりますが、その中で仮に非効率なものを何らかの線引きをして売り払うとしても金額的にはそんな大きなものにはならないと思いますので、そういう財源になるものをお示しするために出した基準だということで是非御理解をいただきたいと思います。
  62. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 でも、最終的には精緻にこれから進めていく議論の中で多分議論していかないといけない項目だと思うんですが、あと、さっきの宿舎の議論をするときに、基本的に、今空いている部分とか、さらに容積率がまだ残っている部分、それをいろんな集約して見直しをしておこうということなんですけれども、そもそも業務として本当に宿舎が必要なのかどうかというところを見ていく必要があるんだと思うんですよね。  国会対策で、近くにこの東京であれば必要だとか、緊急のときにいろんな危機管理の対応で宿舎が必要だという部分も確かにあろうかと思います。転勤が多いからそれに対応する宿舎も必要だと、業務上必要な部分はあろうかと思っているんですが、そうじゃない部分もあるんだと思うんですよね。  本当に業務に必要な分野と、福利厚生的な意味合いである宿舎、寮、そういったものがあるんだと思うんですけれども、そういった区分けというのは検討すべきだと私は思うんですが、それについて御意見をお伺いしたいと思います。
  63. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) お答えいたします。  そういう検討をいたしておりまして、特定の官署に勤務する職員のために一時に多数の宿舎を設置する必要があるということで宿舎を設置しておりますのが、自衛隊で六万戸、それから公共事業の現場に近いところということで二万戸、林野で五千戸、それからあるいは行刑施設で一万戸、それからへき地で三千戸、これ合わせますと約十万五千戸になります。  それから、転勤者でございますが、これで、大体平均在職年数が三年間なものですから、それに基づいて転居を伴う転勤者がどのくらいいるかということを試算しまして、それから必要な戸数を概算いたしますと九万八千戸ということになっております。  主なものはこの二つでございます。
  64. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 今回議論しているのは何のためにやっているかというと、財政上の問題、それはひいては国民にしわ寄せが寄ると、負担が行くということを避けていくためにやっているんだと私は思っているんですけれども、そういったことからしますと、ちょっと検討するのは大変でしょうけれども、本当に一戸一戸の物件を、さっきみたいにざくっと四倍以上の評価して、これを、売る物件を調べたりするだけじゃなくて、一戸一戸やっぱり全量検査をしていただいて、業務の見直しも含めてやっていくことが本当の国民の負担軽減に私はつながるんじゃないかと。  金額は大きくないかもしれませんけれども、そういったことをやることが必要だと私は思っているんですが、この考え方について財務大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  65. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これから具体的に工程なりそういうものを考えていく中に当たりましては、やはり一つ一つの精査というものがなければいけないんだろうと思います。  財政諮問会議等々で、大きなマクロの方向から大体どのぐらいのことを想定して今後財政再建を進められるかという観点からあのような資料をお出ししたわけですが、それを進めていくためにはもう少し緻密な、足を地に付けて進まなければいけないというのは当然のことだろうと思います。
  66. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 その辺をしっかりと検証していただきたいと思います。  あとちょっと、今回の国有財産法案については予算関連法案ということで位置付けられて議論させていただいているんですが、予算関連法案という理由は、歳入の面、歳出の面、どこのことを言ってそういうふうに位置付けているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  67. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) 今回の法改正が予算関連法案となっている理由でございますが、今回の法改正によりまして新たに国有財産を円滑に売却するための交換が可能となります。  この交換を行う際に、交換する財産の価額が等しくない場合はその差額を金銭で補足しなければならないこととされておりまして、このために、平成十八年度一般会計歳出予算におきまして国有財産の管理処分に必要な経費として新たに今申し上げました交換差金を計上することとしておりまして、この本法案を成立させていただきませんとこの交換差金の支出が不可能になるということでございますので、予算関連法案として提出させていただいたわけでございます。
  68. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 金額は、幾ら予算を計上しているんでしょうか。
  69. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) 今回の法改正により新たに可能となる交換を行うために必要な交換差金でございますが、平成十八年度一般会計歳出予算に三億円を計上いたしております。また、新たに可能となる交換による売却収入としては、平成十八年度一般会計歳入予算に約百八十三億円を計上いたしております。
  70. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 分かりました。そういった理由で、三億円の歳出で予算関連ということですね。分かりました。  ちょっと先ほどの質問岩井先生の質問にもちょっと関連するんですけれども、国の財務諸表というかバランスシート資産管理の在り方なんですが、私は、さっきは国民経済計算ですか、内閣府の関係の問題も議論になりましたけれども、私は国有財産台帳と国の財務書類、これの違いについていろいろとお伺いしたいと思うんですが、これはともに財務省作成している資料なんですが、同じ省庁が作成しているのに違った数字が二つ出てくるというのはどういうことなのか、イメージ的に分かるように、ちょっと教えていただきたいと思います。
  71. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) 国有財産台帳と国の財務書類、その評価額、数字が違うのはなぜかという御質問だと思いますが、それぞれ作成目的が異なることによっての金額に差異が見られるということだと思います。  まず、国有財産台帳につきましては、国有財産を適正かつ効率的に管理し、また処分するために、国有財産の現況及び財産的価値を把握するという目的で調製されたものでございます。一方の国の財務書類につきましては、先ほど大臣からの御答弁もあったかと思いますが、一つは国の財政状況を国民に分かりやすく説明する目的、もう一つ財政活動の効率化、適正化に資する財務情報を提供するために企業会計の考え方活用して作成されていると、こういった違いから額が違ってきているわけでございまして。  ちょっと具体的に簡単に申し上げさせていただきますと、まず償却資産についてと有価証券及び出資金についてと、あと道路河川などの公共用財産について、それぞれ国の財務書類国有財産台帳の違いについて簡単に申し上げたいと思いますが。  まず、償却資産につきまして、国の財務書類の方では毎年度減価償却額相当額を控除していると、一方の国有財産台帳につきましては、五年ごとに評価替えを行って一括して減価償却相当額を控除するという違いがございます。  有価証券及び出資金については、現状、国の財務書類につきましては、市場価格のあるものについては時価の額を計上しておりまして、市場価格のないものについては取得価格を計上しております。ただ、これ独立行政法人等の例えば財政状況が悪くなったりとかして出資金等の価値が著しく低下した場合には、相当の減額、強制評価減を行っております。国有財産台帳につきましては、有価証券については取得価格を、出資金については出資の累計額を計上しております。  最後に、道路河川等の公共用財産につきましては、国の財務書類には掲載をさせていただいておりますが、国有財産台帳には掲載はしておりません。それは、道路法と河川法に基づきましてそれぞれ別途の台帳が作成されることになっておるということでございます。  こういった違いがございます。
  72. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 済みません、ちょっと時間がなくなってきたんで、最後の質問をさせていただきます。  事前に通告させていただいていたんですが、使用許可を基本的にはやめて、これからは貸付けに切り替えるということでございました。その使用許可をしていて使用料が大きく入っている物件、今まで年間の使用料として受けている金額の上位四社というんですか、ぐらいを教えていただけるということだったものですから、その数字と、それを今度使用許可から貸付けに変えたときに貸付料として入ってきます。どのぐらい国の入りとして歳入上の効果があるか、このことによってどのぐらいの効果があるのか、教えていただきたいと思います。  それと併せて、基本的にすべて使用許可はもう認めなくて、原則はすべて貸付けに切り替えるのかといったその辺の運用、これ運用でやるんですか、その辺のところをどういうふうに考えているのか、教えていただきたいと思います。
  73. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) お答えをさせていただきます。  まず、現行の使用許可で収入が大きいものは何かということでございますが、羽田が百十三億円、それから伊丹が十七億円、千歳が六億円、福岡、すべて空港でございますが、二十四億円、合計しまして百六十億円ということになっております。  今回、貸付制度を導入いたしまして、これは使用許可と違いまして、当然借地借家法の適用を受けるわけでございますから、使用許可よりも強い権利を借主が持つということで、それに見合って民間の賃料相当の負担をお願いするということになろうと思います。  で、新たに造るものについてはできるだけ、貸付けをできる規定ではあるんですが、この法律の貸付けの規定に沿うようなものについては、財政収入の観点から、今後新たに設置するものについてはできるだけ貸付けでやっていきたいというように考えております。  それから、今申し上げました現に使用許可でなされているものでございますが、これは私どもとしても当然、貸付けの規定ができましたので、そういう方向での御検討が望ましいとは思っておりますが、ただこういった個々の行政財産で貸付けと使用許可のいずれを適用するかというのは、今の具体的なケースでいいますと国土交通省が御判断されることになると思いますので、今の段階でいつどうなって幾ら収入が上がるということはちょっと申し上げられませんので、その点は御容赦を願いたいと思います。
  74. 池口修次

    委員長池口修次君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十一分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  75. 池口修次

    委員長池口修次君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、江田五月君が委員辞任され、その補欠として尾立源幸君が選任されました。     ─────────────
  76. 池口修次

    委員長池口修次君) 休憩前に引き続き、国有財産の効率的な活用を推進するための国有財産法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  77. 平野達男

    ○平野達男君 民主党・新緑風会の平野達男でございます。  今日、国有財産法の審査、審議でございます。この国有財産法につきましては、中身についてはいろいろ議論のあるところでございますけれども、仮にこれが可決されたとすれば、この法律に基づいてしっかりとした財産管理をやっていただきたいということを冒頭申し上げまして、今日は、この国有財産法と密接な関係にあるとはなかなか言い難い案件につきまして、以下ちょっといろいろと質問をさしていただきますが、最後にまたこの国有財産法にはちょっと戻りたいというふうに思います。  今、非常に市場で注目を浴びておりますのは長期金利であります。この長期金利につきましては、三月九日、量的緩和の解除がされたときは、たしか一・六%台で推移しておりましたけれども、ここ何日間、急速に上がってきた。四月の十八日は、一時的でありましたけれども、二%台、二%でしたかね、まで行って、六年八か月ぶりの水準になったというような報道が流れていました。  実は、前回の財政金融委員会で私は、何で長期金利上がらないんでしょうかという、誠に今にして思えば的外れな質問をしておりまして、今日は全く反対の質問をしなくちゃならないという、そういう状況に追い込まれております。  まず、この長期金利が今、今日は一・九%ぐらいで、少しまたちょっと戻ったようですが、そういうその前後で推移しているということですけれども、まずこの長期金利の最近の状況についてどのように認識されているか。  それからまた、先般の質問とは今度は逆の質問になってしまいますが、何でこんなに金利の上昇が起きているのかということについてお尋ねをしたいと思います。特に、金利の上昇が起きていることにつきましては、例えばインフレ期待が高まっているんじゃないかとか、リスクプレミアムが大きくなっているんじゃないかとか、あるいは長期物については、日銀総裁が衆議院の財務金融委員会では、これは海外の影響を受けているんだとか、何かいろんな要素があるような感じがします。  この今の金利の状況についての認識と、最近の金利の急速な上昇がなぜ起きたのかということについて、財務大臣と与謝野大臣にそれぞれ見解をまず冒頭お伺いしたいと思います。
  78. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 御指摘のように、足下、長期金利は上昇傾向で推移しておりまして、今日は今委員おっしゃいましたように、一・九ぐらいのところでございますが、四月の十八日には一時二%を付けたということでございます。  この金利がどうというのは、私なかなか言いにくうございまして、これはもちろん景気や物価の動向とか、それから財政金融政策、いろいろ複合的な要因によって変動するもので、その原因を一概に申し上げるのは難しゅうございますが、私が今感じておりますのは、デフレが緩やかながらも継続しているような状況の下で金利が急に上がっていくということは、景気にも悪影響を及ぼすし、決して望ましいことではないと考えておりまして、その意味で足下の金利上昇のスピードは少し速過ぎるのではないかと懸念しているところでございます。  それで、なぜ上がっているのかというのもなかなか申し上げにくいんですが、ただ、いろいろ市場関係者の間に今後連続的に利上げが実施されるのではないかというような思惑があって、このことが足下の金利上昇の一因になっているという指摘もあるようでございます。  そういう観点からいいますと、三月九日の日銀金融政策決定会合で、当面の金融政策運営につきまして、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境が当面維持される可能性が高いというふうに決定されておりまして、こうした考え方をマーケットが必ずしも正しく受け止めてないのではないかという懸念を私は持っているところでございます。
  79. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 問題は、長期金利はだれかがコントロールできるのかという問題が私はあるんだろうと思います。多分、短期的にコントロールすることはできても、中長期的に長期金利をコントロールすることはできないというふうに私は思っております。  これはお金の出し手と取り手の関係で決まってまいりますし、また日本の国内の金融市場だけで決まるわけではなくて、海外の金利の動向等も当然反映されてくるわけであると思っております。今の動きは、多分世界の長期金利と連動した並行的な変動ではないかと私は考えております。
  80. 平野達男

    ○平野達男君 与謝野大臣答弁に立てば、この長期金利のある程度の上昇はこれはやむを得ないというような結論もちょっと導かれるんじゃないかなという感じがします。一方で、谷垣大臣の、市場には連続的にこれから、まあアメリカがやっているように短期金利を上げていくんじゃないかというような観測がなされてて、それが影響しているんじゃないかというような見通しがあるということに立てば、これについては若干の是正の措置はあるのかなという感じがします。  そこで、谷垣大臣の言われたような見方というのは、例えば四月十八日の夕刊の日経新聞にも出てまして、日銀が今夏にもゼロ金利を解除するとの予測が強まったことで上昇傾向が強まっているという、かなり断定的な報道がされているわけですね。これについて日銀はどのような見解を持っておるのか。  これがもし、そういうものがもし本当に原因だとすれば、日銀総裁が否定したところの時間軸の設定というのがもっと必要になってくるんじゃないかという議論がここから惹起されてくるんじゃないかなという感じがするんですが、それに対して日銀はどのような見解をお持ちでしょうか。
  81. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) 御指摘のように、このところ長期金利上昇しておりますし、若干ボラタイルな動きが高まっているということであります。  今、両大臣からお話がありましたとおり、その背景は何かということでありますが、幾つか要因があると思いますが、一つは、基本的に我が国の景況感の改善、それを反映した株高といったような状況、それから第二に、米国など海外の長期金利の動向が指摘されておるわけですが、第三番目に、先行きの金融政策運営に対する見方にばらつきがあるということかと思います。  日本銀行の今後の金融政策の運営ということにつきましては、実はこの前々回の政策決定会合の際にも対外公表文ではっきりと表明しておるわけでございますけれども、これは既に繰り返し日本銀行から発信していることでございますのでもう御承知のことかもしれませんけれども、ちょっと繰り返させていただきますと、無担保コールレートをおおむねゼロ%とする期間を経た後に、経済・物価の情勢に応じて徐々に調整を行う、これは今後の金融政策の方向でございます。この場合、経済がバランスの取れた持続的な成長過程をたどる中にあって、物価の上昇圧力が抑制された状況が続いていくと判断されるのであれば、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境が当面維持される可能性が高いということでございます。  現時点において、私どもはこれを踏まえた上で更に申し上げますと、いつ、どういうタイミングでゼロ金利を解除して金利を引き上げていくのかということについては全く予断を持っておりません。これは総裁も繰り返し御答弁申し上げていると思いますけれども、今後の金融経済情勢に関連するもろもろのデータを見ながら判断されるべきことであって、あらかじめシナリオがあるわけではないということでございます。
  82. 平野達男

    ○平野達男君 今の答弁と先ほどの谷垣大臣答弁に関連しますけども、今副総裁答弁された緩和的な金融環境が当面維持される可能性が高いと考えているということについては、谷垣大臣は、ちょっと今手元資料がないんですが、これが先ほどの話では、どうも市場、マーケットによく理解されていないんじゃないかと、この脈絡がですね、そしてもっと日銀説明責任、説明してもらいたい旨のちょっと発言をされていたように思います。  今の武藤総裁のような説明で、谷垣大臣は納得されますか。
  83. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) やっぱり、武藤総裁がおっしゃいましたように、幾つかの要因があるんだろうと思います。  それで、先ほど与謝野大臣もおっしゃったことですが、長い間、グリーンスパンさんが、なぜ長期金利が上がらないんだろうと言っておられたような状況は、なぞだと言っておられたわけですが、そういう状況はやや変わりつつあるなと私も思っておりますが、やっぱり当面どういうふうにマーケットが今後の金融政策の展開を見ていくかという点では、今のような副総裁説明をもっともっと浸透させていただきたいなと思っているわけであります。
  84. 平野達男

    ○平野達男君 若干、衝突を期待したんですけども、まあそういうことですね。  じゃ、与謝野大臣に、ちょっと質問通告申し上げてありませんが、ちょっと御見解を賜りたいと思います。  読売新聞に、「安倍官房長官は十八日の記者会見で「日銀はゼロ金利政策で日本経済を下支えしてもらいたい」と日銀に金利面での景気下支えを続けるよう求めた。」という報道がなされています。これは本当かどうか、私確認しておりません。しかしこれ、もし本当だとすれば、こういう見解について、与謝野大臣はこれを支持されますか。
  85. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) オーバーナイトの金利をどうするかという問題は、実は量的緩和を解除した後に、オーバーナイト以外の金利が市場実勢に応じて少しずつ自己修正と申しますか、平準化と申しますか、動いているはずであります。そのカーブはかいたことありませんが、恐らく、一週間物、一月物、一年物とこう、それぞれ経済状況に応じてそれぞれのカーブを修正していると思います。  その修正が終わった段階に、オーバーナイト物がどうなるのかということなんだろうと思いまして、それが一体いつの時期になるのか、どういう状況でそういうことが行われるかということは分かりませんけれども、オーバーナイト物がゼロという世界は、多分世界の金融の世界の中では異常な政策の一つじゃないかと思っておりまして、いずれ是正されるべきであることは間違いありませんが、それがいつのタイミングが最も望ましいかということはこれからの問題であると私は思っております。
  86. 平野達男

    ○平野達男君 私は、このゼロ金利政策で日本経済を下支えしてもらいたいというのは、気持ちとして何となく分からないわけではないんですが、この逆効果として、余りゼロ金利ゼロ金利にこだわってますと、片っ方で、これは金融緩和状態が続きますから、インフレ期待がどおんと出てくる可能性もある。  そうすると、金利がそのままずっとゼロ金利で抑えられますと、あるべき水準と実際の金利との中に差が出てきて、実質金利がもう低下してしまいますから、不用意に、要するに景気を刺激する可能性もあるということで、余り不用意に、正に不用意にゼロ金利政策で日本経済を下支えしてもらいたいというような発言は、こんな発言はしない方がいいんじゃないかなというふうに私は思います。  いずれ、ここの部分について、専門家、プロフェッショナル集団がいるわけですから、ここについて前からずっと言ってきたという話ですけれども、適切に判断する話だろうということで、逆にこんな言い方をしますと、だから日銀は、政府がこんなこと言ってるから、じゃやっぱり日銀さんは連続的に、連続的じゃない、近い将来にゼロ金利解除するんじゃないかという憶測を呼ぶ原因にもなりかねないんじゃないかなということがありまして、これ官房長官が言ったら、これこのとおりだとすれば、政府公式見解になりますからね。  これについて、もうちょっと突っ込んだ答弁をちょっとお聞きしたいと思います。
  87. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) しょせん、ゼロ金利と申しましても、オーバーナイトのインターバンクの金利であって、私はそんなに大騒ぎすることなのかなというふうに個人的には思っております。  他の金利水準というのは、それぞれ市場実勢に応じて自己修正をやっているわけでございまして、そこのインターバンクのオーバーナイト物だけが政策的にいつまでもそこに張り付いているということは、多分長期間にわたってはあり得ないんだろうと思います。ただし、その時期については、それは日銀金融政策として独自に御判断されることだと思っております。
  88. 平野達男

    ○平野達男君 ちょっと若干話題が変わるかもしれません。お手元資料を今日は出さしていただきました。これは「日米のイールドカーブの比較」ということで、最近の趨勢を、これは日銀さんにお願いして作っていただいた資料であります。  日本と米国、一枚目の資料なんですが、見ますと、日本はかなり勾配が急になっているということであります。米国はほとんどフラット化しているという、極めて違った状況にあります。  もう一枚めくっていただきますと、御承知のようにアメリカは短期金利、FFレートなんですけれども、累次にわたって小刻みに上がってきています。上げてきていますけれども、十年物の国債の利回りは余りそれに変動を受けていないという、そういう状況にあるんですね。  これ見ますと、この状況日本にぱんとこう持ってくるわけにはなかなかいきませんが、いわゆるゼロ、オーバーナイト物のあれを多少上げたとしても、アメリカなんかに比べれば、アメリカなんかでは長期金利影響ありませんよと。日本でもどれだけ影響が出てくるかというのは、ちょっとなかなか予想し難いところがありまして、この辺りも少し市場に何かの機会を通じてちょっと情報提供していくこともいいんじゃないかなというふうに、これは意見としてあります。  そこで、副総裁にちょっとお伺いしますけれども、このイールドカーブの差というのはなぜ出てくるのかということをちょっと御説明いただけるでしょうか。
  89. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) 正にこのグラフにありますとおり、日米のイールドカーブというのははっきりと違った形状になっておるわけでございますけれども、この状況について、実はアメリカにおきましても御承知のとおりいろいろ議論が行われて、グリーンスパン前FRB議長は、これはなぞであるというふうに最後言われました。大グリーンスパン議長がなぞであると言う状況でありますので、なかなか解説は難しいんですけれども、ただ、ごく最近はアメリカの長期金利も上昇傾向をたどり始めております。  長期金利は基本的に、将来の経済あるいは物価に関する市場の見方を反映するというふうに考えられておりますのに対しまして、短期金利は金融政策そのものの影響を強く受けるということであります。アメリカの場合には十五回にわたって〇・二五%ずつ引き上げてまいりましたので、一%から現在におきましては四・七五%まで政策金利が上がってきておるということであります。我が国の場合には短期金利を御承知のとおりゼロ金利で抑えておりますので、その結果、このような違いが出てきているということであります。  仮に、長期金利が将来の経済・物価情勢を反映しているということでありますと、アメリカの場合には一時、このグラフにありましたとおり、短期金利が上昇した局面で、例えば〇四年七月とか〇五年七月前後を見ますと、長期金利が逆に下がっているという極めて不思議な状況であったわけでございます。これに対しては、アメリカの経済の先行きに対して多少見方が慎重になっているんじゃないかというような解説も行われました。しかし、一方で、新しいバーナンキ新議長は、世界的な資金の過剰な状況資金過剰がこういう状態をもたらしているんだというような分析をされております。  いずれ、我が国の場合もそうですけれども、マーケットがきちんと反応をし、正常に作用していけば、しかるべきところに落ち着いていく可能性が十分高いのではないかというふうに考えております。
  90. 平野達男

    ○平野達男君 今の御答弁の中にあった、世界的な資金過剰、それからあと、今原油がまたすごい高値を今出しています。そういう中で期待インフレ率が高くなってきたりすると、またやっぱり金利が上がってくるというような、そういう状況にあるんだろうと思います。  年度当初に二%の長期金利というか、それがなったというのは、二%で予算編成をしていた財務省にすれば本当にこれは気が気でないと思います。その一方で、だからといって長期金利はコントロールできるものでもないと。しかし、そうはいっても、いわゆる不要な、いわゆる不要なというか的外れのインフレ期待、あるいは不要なリスクプレミアムが働くような状況というのは、これはつくっちゃならないんだろうと思います。  ここに、もし政策の発動の余地があるとすれば何かあるのかなという感じがするんですが、この長期金利を不用意にというか変動しない、あるいはある程度市場の実態を反映しないような、上昇させないというような手段というのは何かあるんでしょうか。財務大臣日銀総裁にちょっとお聞きしたいと思います。
  91. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 長期金利を長期間コントロールすることは難しいというのは先ほど与謝野大臣の御答弁にもあったとおりで、私もそう思っております。  現在できることは、ちょっと観点は違いますけど、二つあるんだと思いますね。  一つは、先ほど武藤総裁がおっしゃった、市場がややボラタイルな状況にあると、先行きの見通しが十分付けにくい、また当局がどういうふうに考えているかも分かりにくいというような局面は、できるだけ市場に透明性を持ってもらうような工夫が必要じゃないかということは一つあるんだろうと思います。しかし、それも主として、先ほど来のお話のように、なぜ長期金利かというと、ちょっとそこは舌をかむところもございまして、本来それは短期金利なりそういうところの話だと思いますが、今の局面でいいますと、短期、中期だけではなく長期もややボラタイルになっているんじゃないかと、ですからそこはできるだけ市場の先行きを見渡せるような努力が必要じゃないかと思っているわけであります。  それからもう一つは、言うまでもなく、いわゆる政策努力によってリスクプレミアムが上がっていくのを避けるということでございまして、これはもうるる申し上げるまでもございませんが、やはり財政改革等々に対する道筋をきちっと示し、その上でマーケットの対話をきちっとしながら健全な国債管理政策を取っていくということではないかと思います。
  92. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) 日本銀行といたしましては、現在の日本銀行経済、物価に対する見方、それからそれに基づく金融政策運営の考え方というものを丁寧にマーケットなり国民に説明していくということが非常に重要なことだろうというふうに思います。これは、いわゆる展望レポート、我が国の物価と経済の見通しを半年に一回、日本銀行として公表しておりますけれども、今月の末にはこれが公表されることになっております。物価安定の下での我が国経済の持続的な成長というものがどのように見通されるのか、長期的に見てリスク要因というものはどんなものがあり得るのかといったようなことについて、この展望レポートの中である程度明らかにしていくと。それをマーケットの方がそしゃくをしていただきまして、しかるべき価格形成を適切に行っていただくように私どもは期待したいと思っておるわけでございます。  繰り返し申し上げますけれども、長期金利そのものについては、将来の物価なり経済の動向によって決まるという要因が非常に大きいので、直接これに効果的な影響を与えるということはできないというのは、これは一般的に御理解いただいていることかと思います。その上で、今申し上げましたような対話を、コミュニケーションをしっかりやっていくと、そしてこの長期金利の動向に我々は十分な関心を払っていくと、そういうことであろうかと思っております。
  93. 平野達男

    ○平野達男君 この金利の動向については私もよくウオッチをしていきたいと思います。  そこで、国有財産法とはちょっと更にまた関係のないアイフル問題になりますけども、武藤総裁は、もう私の方は、委員長がよければもう結構でございます。
  94. 池口修次

    委員長池口修次君) 副総裁、もしあれなら結構です。
  95. 平野達男

    ○平野達男君 今市場というか、かなり話題になっているのがアイフルの業務停止問題、業務停止命令、それから例のグレーゾーン金利をどうするかという、そのことであります。  そこで、アイフル株式会社が、突然と言っていいんだろうと思いますが、全店業務停止命令が出されたわけですね。その概要につきまして、背景、概要につきまして、今日は時間がございませんから簡単でいいですから、政府委員の方からちょっと御説明いただけるでしょうか。簡単で結構です。
  96. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 御指摘いただきましたように、アイフルに対しましては、去る四月十四日、近畿財務局が全店舗について三日間、違反行為のあった店舗については二十日ないし二十五日間の業務停止命令を行ったところでございます。これは、近畿財務局が行いました立入検査及びその後の報告徴求の結果、以下のような法令違反が認められたということでございます。  具体的には、貸金業務取扱主任者が、顧客からの委任を受けていないにもかかわらず当該顧客からの委任状を偽造して、戸籍謄本等の公的証明書類を町役場から取得した、あるいは債務者の補助人、後見人でございますが、から契約を取り消す旨の意思表示書面を受領したにもかかわらず支店長等が債務者に対して取立てを継続した、さらには債務者に対し執拗な督促、架電等を行い、債務者を困惑させたと、こういったケースが認められたということでございます。  さらにまた、こうした違反事実が発生いたしました原因といたしまして、当社における社内規定等の不備あるいは取立て行為に関する指導の不徹底といった本社における体制整備の手抜かりといったことで、内部管理体制の不備が認められたということでございました。  この点にも着目いたしまして、違反行為のあった店舗だけでなく、全店舗に対する業務停止処分としたところでございます。
  97. 平野達男

    ○平野達男君 違反行為があった、いわゆる不法取立てですけども、違反行為のあった店舗については三店と、それから、センターでしょうか、二つ、全部で五店ということになりますけども、この五店というのが、これ立入検査、検査は昨年の六月から十月までにわたって行われていたということなんですが、何店の店舗に検査が入った結果こういう五店の結果が出てきたのか、これ御紹介いただけるでしょうか。
  98. 西原政雄

    政府参考人(西原政雄君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、アイフルに対する検査、昨年の六月から十月に掛けて入っていたわけですが、検査結果通知を出したのが十二月二十日でございます。  御指摘のとおり、検査の場合には本店だけではなくて必要に応じて支店等の営業所にも入ってくるということでございます。これは、どういったケースで、どこにどの程度入るかということでございますが、これは一般論として申し上げますと、やはり相手の規模の問題、それから営業所等に対する様々なその情報……
  99. 平野達男

    ○平野達男君 一般論なんてどうでもいい。
  100. 西原政雄

    政府参考人(西原政雄君) はい。  で異なってくるわけです。  それで、今回のそれじゃアイフルについてはどうかというお尋ねでございますが、個別の検査における、どこにどれだけ入ったかということにつきましては、やはり相手方、あるいはこれからの貸金業者に対しての予断を与えかねないということで答弁は差し控えたいと思いますが、ただし、この程度の大きな、大手の貸金業者に対する検査について大体どのぐらい入っているかというのを申し上げますと、おおむね大体十程度、十店舗程度、この程度には立入りをしているというのが実態でございます。
  101. 平野達男

    ○平野達男君 まあ、打合せをしたときよりも一歩二歩踏み込んだ答弁をされました。  今の答弁をそのまま引き受けますと、十店舗だったかどうかは別として、十店舗入ったと仮定すれば、うち五店に違反行為があったと、こういうことになりますね。そうしますと、これは、アイフルというのはまさしくもう、今回の業務停止命令の中にもありますけれども、もう全店を挙げてこういうものをやってきたと言われてもしようがないという、そういう状況だと思うんですが、まあ数は正式に出せませんから、見解を問うというのはなかなか難しいかと思いますが、与謝野大臣、どのように思われますか。
  102. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) まあ、こういう種類のものは一罰百戒ということだろうと思っております。
  103. 平野達男

    ○平野達男君 一罰百戒。  時々、与謝野大臣答弁されますと、今のは何だったのかなと思うときあるんですが、まあ今のは分かりました。  要は、百店舗入って五店舗に違反があった、百店舗検査に入って五店舗に違反があったというのと、十店舗に入って五店舗に違反があったというのは全然違うんですね。そうしますと、そこから出てくるのは、これだけあちこちでやってきたであろう違反行為が何で今まで表面化されなかったんだろうかという疑問がそこから出てくるわけです。  これは、今まででどのような情報が上がってきて、それに対してどのような対応をされてきたのかという、まあこれは監督責任ということが今度は次に問題にされてくると思うんですが、与謝野大臣でも政府委員、与謝野大臣答えづらければ政府委員で結構ですから。
  104. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 私ども監督をいたします際には、利用者の方々からの苦情であるとか、様々な情報を受け取りますので、そういったことを最大限に活用し、また私どものキャパシティーの中で定期的に検査に入り、あるいは苦情等が多い場合の報告徴収といったことも含めまして、様々なこういった対応を組み合わせることによって実態を把握すると、こういう流れの中でやってきているということでございます。  それで、お尋ねのなぜ今まで違法行為が確認できなかったのかというお尋ねでございますけれども、一つの私ども思い当たりますのは、今回の処分に当たりまして確認した違反行為は、いずれも平成十六年一月の貸金業規制法の改正によって拡充された規定に該当する事例であったということでございます。  平成十六年一月のこの改正によりまして、例えば第十三条第二項、これは債権管理あるいは取立て等に当たりまして不正な又は著しく不当な手段について禁止すると、こういう規定でございます。この規定が新設されました。また、第二十一条第一項、これは取立て行為に関する具体的な禁止ということを定めておりますが、ここの条文におきましても、これに該当する行為というのがある程度具体的に法律上明文化されたということがございました。  ということで、それ以前であれば言わば不適切とされるにとどまっていたような行為等につきましても明確に違法と認定できると、こういった環境が整ったということがあろうかと思います。  私ども当局といたしましては、この平成十六年一月の貸金業規制法改正に際しまして、その改正内容についての説明会等を通じて改正趣旨の業者への周知徹底を図ったということでございますが、当社においてはこの改正の趣旨が十分に重く受け止められず、十分な対応がなされていなかったということであろうかと思います。  今後につきましては、同様の違法事例がほかにもあり得るという前提に立って、緊張感を持って厳正かつ適切な監督に努めてまいりたいと思っております。
  105. 平野達男

    ○平野達男君 そうすると、想定されるのは、こういうことは大分前からかなり頻度高くやられてきたということでありますし、その前提を踏まえれば、今のお話ですと、平成十六年の法改正で取立て違法行為、取立ての違法行為についての規定が入ったということなんでという御説明でしたけれども、その立法がそもそもちょっと遅かったということがまず一点言えますね。  それから、二点目は、今の答弁の中にもありますけれども、この立法についての趣旨の徹底がほとんど図られていなかったということであろうと思います。これについては、金融庁さんもそこの部分の反省というか、これはしっかりしなくちゃならないと思うんです。  そこで、また引き続きこのアイフルの話に戻りますけれども、その十六年以降この不法行為が続けられていたとすれば、繰り返しになりますけれども、かなり広範な頻度にわたってやられていたということになりますと、違法行為によって収益を上げていたということになりますね。これはこういう認識でよろしいでしょうか。
  106. 池口修次

    委員長池口修次君) どなたに。佐藤局長
  107. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 結果的に違法行為を含む全体の営業の中で収益が上がっていたということであろうかと思います。
  108. 平野達男

    ○平野達男君 こういう違法行為がありますと、例えば課徴金制度なんというのは、これは証取法の中にでしたか、あるんですけれども、この貸金業法の中には残念ながら今のところ規定はないということなんですが、しかし、ないからといって、かなり広範にこれだけわたってきて仕事やってきて収益上がってきて、上場もしてますよね、この会社は。この会社の不法に上げた収益をどういうふうに扱うかというのは、これはやっぱり真摯に真剣に議論しなくちゃならないと思うんですが、これ、与謝野大臣、どのように思われますか。
  109. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 当社の違法行為につきまして、監督当局といたしましては、貸金業規制法にのっとり業務停止処分というのを行ったところでございます。仮に違法収益の没収というようなことをするためには、別途の法令上の根拠が必要でございます。貸金業規制法上、現在そのような根拠規定はございませんので、現行法令のその執行という観点からは難しいということであろうかと思います。  私ども、この利用者保護という行政目的に照らして、どのようにすれば最も効率的かつ効果的な目的を達成できるかということを考えるのが必要であろうというふうに思っておりますけれども、貸金業規制法上、貸金業者に対する規制の実効性を図るべく、言わば制裁といたしましては、違法行為に対する制裁といたしましては、御案内のとおり、登録取消しであるとか業務停止といったものが規定されておりまして、まずはこれらの監督ツールを有効に活用していくということが違反行為の抑止のために重要であるというふうに思っております。  なお、業務停止を行いますと、私ども通常これを公表いたします。公表いたしますと、その停止そのものによる直接的な効果といたしまして経済的損失が生じる、会社に生じるということはもちろんでございますが、それに更に加えましてレピュテーションの大幅な低下ということがございますので、それに伴う営業収益の低下といった経済的損失といったことも起きるのではないかというふうに思っております。
  110. 平野達男

    ○平野達男君 後段の話と不法に収益を上げた話というのは、これはやっぱり切り離して考えるべきだと思います。制裁はあくまでも制裁ですから、制裁が発動される前の収益をどうするかという問題は、制裁が発動されたからといって相殺されるものではないというふうに思います。  そこで、これから法律改正なんかも視野に入れてるようですけれども、その法律改正の検討項目の中に、こういう違法な行為によって収益を上げた場合の罰則規定、例えば課徴金でありますとか、そういったものの制度をやっぱり入れるべきじゃないかと思いますけれども、与謝野大臣、どうでしょうか。
  111. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 違法収益というものを没収するためには法律的な根拠が必要である、これは局長が御説明したとおりでございますが、そういうものが必要かどうかを含めて、今後検討はさせていただきたいと思っております。
  112. 平野達男

    ○平野達男君 それで、じゃ、アイフルをちょっと離れまして、次の問題で出てくるのは、先ほどのお話の中で、十六年で法改正をしましたということなんですが、この不法取立て行為が他の消費者金融の中でもやっぱり行われているんじゃないかというのは当然疑問として出てくるわけです。かつて武富士が二〇〇三年と二〇〇四年でこれ一店舗業務停止命令になった経過があります。それから、昨年の十一月は、これは消費者金融じゃなくて商工ローンですけれども、事業者向けの金融なんですが、貸金業なんですけれども、SFCGですね、SFCGが、これは全店舗業務停止命令を出されたことがあります。  こういったことがずっと続いているわけですけれども、特に消費者金融に限ってでいいですから、これは大手と言われるものも何社かございます、こういったものの実態把握についてはこれからどうされるんでしょうか。
  113. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 他の貸金業者における事例でございますけれども、例えばこの平成十七年及び平成十八年におきまして、アイフル以外の財務局登録の貸金業者で、今回のアイフルと同様の取立て行為を規制している貸金業法の二十一条一項の違反と、こういうケースで業務停止処分をいたしました業者が三社ほどございます。  それで、どういう実態把握をしているのかという点につきましては、先ほどの御答弁とやや重複いたしますけれども、私どもとしては従来から、利用者の苦情等を活用する、あるいは立入検査及びそれに続く報告徴収と、こういったことを通じて実態把握に努めておりまして、その結果、貸金業規制法に照らして行政処分を行うに足りる事実関係が認められると判断された場合には厳正に処分を行っているということでございます。  今後につきましては、これまでと同様、私どもといたしましては、この今回のアイフルと同様の事例がほかにもあり得るという認識に立って、緊張感を持って、立入検査、報告徴収、苦情等の一層の活用といったことで的確に貸金業者の実態を把握してまいりたいというふうに思っております。
  114. 平野達男

    ○平野達男君 最後のところがかなめの答弁だったと思うんですけれども、これから緊張感を持ってという言葉がございましたけれども、立入検査をやると。これ、やるやらないはこれなかなか表に言えないということかもしれませんが、これ、やるということだというふうに理解してよろしいんですか。
  115. 西原政雄

    政府参考人(西原政雄君) 今、監督局長からもお話ありましたが、検査局といたしましても、各財務局を通じまして情報を的確にとらえ、それを基にしっかりとした検査を今後絶えず取り組んでいきたいというふうに考えております。
  116. 平野達男

    ○平野達男君 いずれ、このアイフルという会社はそれなりのやっぱり収益を上げてきた会社だと思います。同じようなグレーゾーンという金利の中で同じような仕組みで貸金業をやってきて、ほかの会社だけがそういうことをやってこなかったというのはとても考えられない。まあこれは断言する証拠がないからとても言えませんけれども、そういう前提に立った場合にはしかるべきやっぱり対応はあるべきだということだけはちょっと強く申し上げておきたいと思います。  それから、先ほど、こういう業務停止命令を掛けることでしかるべき制裁、つまり信用をなくすとか収益が落ちる場合があるんだというようなことが想定されると言いましたけれども、SFCGのホームページから取ったんですが、これは、取ったところによりますと、今中間期の連結業績につきましては、昨年十二月の業務停止の影響がありましたものの、この影響を克服し、増収増益を達成いたしましたと。こういう例もありますので。  しかし、これ見ますと、金融庁、ちょっとばかにされていますね、正直言って。これはちょっと私はふざけているんじゃないかと思いますね。これ業務停止命令をまじめにとらえてないですよ、これは。  と言ってコメントを求めたらコメントいただけますか。
  117. 池口修次

    委員長池口修次君) だれに質問しますか。
  118. 平野達男

    ○平野達男君 佐藤監督局長、お願いします。
  119. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) ある特定の会社の半年あるいは一年間の業務全体の結果を数字で示す決算、これを見ただけでその業務の実態というものを判断するというのは必ずしも適当ではないというふうに思いますが、今御指摘のようなホームページの記述につきまして感想のようなことを申し上げますと、業務停止を受け、それを受けて内部管理体制を改善し、適法な業務運営に努めていくという、そういう流れの中で、適法な業務運営としての結果という部分と、それから違法な業務運営によって収益が上がってくるといった部分と、両方が論理的には混在している可能性があろうかというふうに思います。
  120. 平野達男

    ○平野達男君 その両方の中で、もしいい方を取るならどんどんこれから業務停止命令出したらいいですよ。これで要するに一生懸命になって問題克服して増収上げるから。  そんな答弁じゃないでしょう、これ。もうちょっとやっぱり緊張感を持ってやった方がいいですよ。全然、だから、緊張感を持って緊張感を持ってと言うけど、まずここの場でもう緊張感がないですよ、もう。こういう、ホームページでこんなの出されて、そんなさらっとした答弁で済ませられるようなやっぱり話じゃないと思いますよ。  この背景の中にあって、どれだけの要するに例えば消費者が迷惑を被ったか、あるいは事業者が迷惑を被ったか、全然何も感じられないじゃないですか、これは。ここから緊張感持たなくちゃ駄目じゃないですか、本当に。  大臣、一言。
  121. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 局長を責めていただいても気の毒だと思いますので。書いたのはそのホームページを作った会社でございます。  やはり、処分を受けた以上、それを謙虚に受け止めて業務改善を行ったということをやはり述べていただきたいというのが本当の気持ちでございます。
  122. 平野達男

    ○平野達男君 今ここで局長をかばったってしようがないですよ。やっぱり私の趣旨はもうとにかく緊張感がないということですよ。  そういうことで少し、ちょっと決意ぐらい少し言ったらどうですか、まともに。
  123. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私どもは、業者を処分しますときには、法令に照らし、また事実関係を的確に把握して、法律、法令に基づいて厳正にやっているわけでございまして、そのことについては今後とも緊張感を持ってきちんとやってまいる決意でございます。
  124. 平野達男

    ○平野達男君 いずれ、先ほどの佐藤局長答弁は、そういうペナルティー、業務停止命令を出すことによって収益その他にもそれなりの影響が出るはずであるという答弁にもかかわらず、実態問題としてこういう結果が出ていると。これは会社が努力したということもあるかもしれませんけれども、もうそもそもこういう結果が出てくると、本当、業務停止命令という今の措置自体が本当に適切なのかどうかということも併せてやっぱり検討しなくちゃならないということだろうと思いますよ。  それから、次の質問に移りますけれども、与謝野担当大臣は最近不愉快なことがあるということで、大門委員質問に答えて、コマーシャルのことだったと思うんですが、取り上げておられましたけれども。どうですか、最近はその不愉快な気持ちはなくなりましたか。
  125. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 予算委員会答弁で、やはり家に帰ってテレビを見ますと消費者金融のコマーシャルが延々と流れると、余り見ていて愉快ではないと。かてて加えまして、私が超一流の銀行だと思ったところと消費者金融が一緒にコマーシャルになっていると、これもまた何か、自分が時代に合わないのかどうか分かりませんけれども、余り愉快なことではないといつも思っております。
  126. 平野達男

    ○平野達男君 最近、各会社が自粛でコマーシャルの時間をちょっと縮めたとか、そういったことが言われていますけれども、やっぱりまだそれじゃ不十分という感じでしょうか。
  127. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 今の方々の金銭感覚は分かりませんけれども、何か消費者金融のお金を、いわゆるカードを使うと同じような、キャッシュディスペンサーのような感じで使ってしまう、実はそれが高利のお金だという意識が余りない、しかもテレビで流れているので、それがごく日常的なものだというふうに考えるに至ると、これは余り健全なことではないと私は個人的には思っております。
  128. 平野達男

    ○平野達男君 その認識は私も本当に共有します。  ただ、今のところ、強制的にただCMやめろということもこれはできませんし、やっぱり本当に、各会社も今のような大臣答弁を聞いてもっと真剣にやっぱり考えてもらいたいという気持ちは私も強くあります。  そこで、ちょっと時間がなくなってまいりましたが、次のテーマに移りますけれども、いわゆる出資法で定める上限金利と、もう一つの法律は利息制限法ですね、で定める金利との間がいわゆるグレーゾーンと言われておりまして、そのグレーゾーンの中でいわゆる貸金業者が仕事をしているということでありますけれども。今報道を見ますと、グレーゾーンについての見直しをすべきだということで、あした、たしか何か懇談会の報告書が出るんですか、まあどういう報告書が出るか分かりませんが、どうやらこの間、今までの一連の与謝野大臣の御発言を聞いていますと、利息制限法に合わせた形でグレーゾーンをなくすという方向なのかなというふうに思いますが、そういう認識でよろしいでしょうか。
  129. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) まだ私は考え方を決めているわけではありません。これは明日、懇談会の有識者の方々が御意見をまとめられる、それを座長がまとめて発表されるということでございますので、その座長のまとめられたものを拝見したいと思っておりますし、一方では与党の中でも、例えば自民党では金融調査会の中でそういう問題を取り扱っておられるというふうに聞いておりますので、これは与野党また国会でのいろいろな御意見をお伺いしながら最終的には物を決めていかなければならないと思っております。  ただし、最高裁は幾つか判決を出しておりまして、その判例というものは、やはり我々、今後の立法作業の中、あるいは法律改正の中で尊重していかなければならないということは当然であろうと思っております。
  130. 平野達男

    ○平野達男君 最高裁の判決というのは、私も詳しく読んだわけではありませんけれども、厳密に運用すべきだということで、十七条、十八条でしたか、そこに記載された書面にしっかりとした記載が必要だとかという、そういう判例ではなかったかと思います。それだけ見ますと、じゃ、その記載事項をちゃんとやればグレーゾーン使ってもいいのかねというふうな、そういうような考え方も出てくるかと思います。一方で、今回のアイフルの件は、いわゆる違法取立てといわゆる高金利、いわゆるグレーゾーンでの仕事というのは関係があるということを示唆しているのかどうか、その点だけちょっと確認したいと思いますが、政府答弁でも構いません。
  131. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 特別特定の因果関係があるとは思っておりませんけれども、貸金業の在り方についての議論の一助になっているのではないかと思っております。
  132. 平野達男

    ○平野達男君 いずれ、マスコミでは、今回のアイフルの事件がグレーゾーンの見直しに拍車を掛けたというような見方をしていますですね。しかし、前段のお話を聞くと、アイフルの事件は余り関係なくて、懇談会はある程度早くからやってきて、最高裁判例なんかを踏まえた上で貸金業の在り方について議論をしてきたということで、別の流れがあったということなのかと思いますが。  私が言いたいのは、そういう因果関係を明らかにすると同時に、あわせて、今、貸金業界の悪いところばっかり今注目を浴びています。確かにそれはしようがないと思います。徹底的にこれは洗い出す必要があると思います。  その一方で、やっぱりいろいろの情報を聞きますと、話を聞きますと、やっぱりグレーゾーンでないと仕事ができないし、その仕事をすることによって助かっている方もいるという話もありまして、この辺りもよく見極めた上で、すべてにおいての実態把握をした上で、あした、懇談会で報告書があるようですけれども、このグレーゾーンの金利の在り方については、やっぱりしっかり検討していただきたいというふうに思います。  ただ、直観的には、やっぱり高い金利でやれば、当然貸倒れリスクそれだけ勘案しなくなる、どんどん貸す、貸す一方で貸したらやっぱり取り立てたくなる、取り立てたくなるからやっぱり違法取立てになるという、そういう類推が成り立つような感じがしますので、そこの点は非常に重要だというふうに思います。  ということで、時間がなくなりまして、国有財産法については通告していたかな、してなかったような気もしますけれども、大変申し訳ありませんでしたけれども、国有財産法に関連して二点お聞きしたということで、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  133. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございます。  今、平野委員から国有財産法に関連してお話がありました。私も、本当はそちらの方に行きたいところなんですが、やはり国有財産法のところから入っていきたいと思いますので、最初は少しそちらをさせていただいて、あと、特に財政再建問題といいますか、大変重要な課題になっていますので、是非その点に触れていきたいというふうに思います。  そこで、最初に谷垣大臣、この法律というのは何の目的で、まあ分かり切っているかもしれませんけれども、出された法律なんでしょうか。
  134. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今回、幾つか国有財産法の規定を変えまして、国有財産をできるだけ有効に使う、あるいは売却をしていく等々の場合にも、やりやすい方向を、施策を、施策といいますか、手段を取り入れまして、先ほど申し上げましたように国有財産の有効利用を図っていくということだろうと思います。
  135. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 当たり前のことを聞かしていただいたんですが、どうも、先ほど経済財政諮問会議の与謝野大臣の方から、都心三区の公務員住宅は余っているやつは売れとか、とにかく売却先にありきというか、資産圧縮先にありきという感じがして、本当にこれは売るべきものなのか、これは保有すべきものなのか、レンタルすべきものなのか、この点についてやはり冷静に考える必要があるんではないかなというふうに私自身は考えている一人なんです。  その意味で、その観点から、例えば東京二十三区、先ほど三区ですか、都心三区の宿舎跡地を積極的に売却する方針を示されているわけですけれども、あるいはいわゆる二十三区内の、あるいは先ほど群馬県の例を挙げて出されておりましたけれども、ああいう例を挙げて全国的に恐らく展開されるんだろうと思いますが、一番分かりやすい例で、その都心の三区の公務員住宅を売却することが有利である、必要であるということの積極的な根拠というのは何なんでしょうか。
  136. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 基本的に、現在のような財政事情を考えますと、国有財産、できるだけ有効に利用して、有効に利用できていないものは集約化するなどして高度利用をして、不必要になったものは一つはやはり売却するということが基本であろうと思っております。  それで、今、峰崎委員のお問い掛けは、もっと多様、初めから売却ありきということではなくて、もっといろんな利用の仕方もあるんではないかと。例えば、貸付けというようなこともあるかもしれませんし、共同で、民間と例えば共同で一緒に利用するという、これは貸付けやいろんな手法を使うのかもしれませんが、いろいろ考えたらいいのではないかという御趣旨も含まれていたと思いますが、私ども、売却以外の手法を排除するというつもりはございません。  ただ、幾つか考えておかなきゃならないのは、やはりどれが国にとって一番有利なことであるかということは当然考えなければいけないと思いますし、その辺りはそんなに頭を固くしているつもりはございません。
  137. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 実は防災ということを、もちろんこの中にも防災の観点をうたってあるんですけれども、非常に私は重要な観点じゃないかなというふうに思っていまして、今日はたしか国土交通の方からも来ていただいていると思うんですけれども、先にまずこの質問から行きましょうか。  山手線の中にある公務員宿舎はどれぐらいの数の公務員が今住んでおられるのか。これは財務省でしたか、数字でございますんで。
  138. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) 山手線内に所在する国家公務員宿舎数は平成十八年の一月一日現在で三千九百四十四戸ございます。このうち入居されている戸数は三千八百七十八戸となっております。
  139. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこで、ちょっと警察庁の方に、大変私もちょっと失礼したんですけれども、警察は地方公務員だったんで、これはなかなか比喩がないんですが、私、ちょっと、二十三区内の警察署というのはどのぐらいの署員がいて、そしてその二十三区内に住んでいる人はどのぐらいいるのかという話を聞こうと思ったんですが、ちょっと余りにも突然だったものですから、恐らくそれは全部できないということで、丸の内警察署ということを一つの例にとって、そこには、何人のいわゆるそこに署員がいて、その人は、二十三区の都心に住んでいる人はそのうち何人いるのかと、ちょっとそれだけをお聞きしたいと思います。
  140. 安藤隆春

    政府参考人(安藤隆春君) お答えいたします。  警視庁に確認しましたところ、本年四月十八日現在でありますが、丸の内警察署に勤務しております警察官の人数は二百九十四名でございまして、そのうち二十三区内に居住する者は百二人、約三五%となっているということでございます。
  141. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ありがとうございました。  まあ二十三区といっても、東京も二十三区といったら広うございますが、しかし私は山手線の中ぐらいはどうかなと思っていたんですが。  関東大震災に匹敵するような直下型の地震というのは、今朝もちょっとゆらゆら揺れてあれっと思ったんですけれども、恐らくこれ相当の確率で襲ってくることは間違いないと思うんですね。その意味で、今ヒューザーだとか、あるいは姉歯物件だとかいろいろ大問題になっているわけですけれども、そういう意味で言うと、今のお話はたまたま地方公務員だったんですけれども、いざというときに、この防災という、あるいは緊急事態が起きたときに、やはり都心三区に住んでいる人たち、あるいは都心三区の中において、例えば集合化して更地ができちゃったというようなときに、その土地をじゃ民間にお貸ししましょうと、あるいは民間に売却しましょうという形で展開をしていくということで本当にいいんだろうかなという、ちょっとそんな思いを持つんですが。  その点、防災上の観点、さらには都市景観、建築基準法には都市景観に留意しなさいというふうに私は書いていないというふうに思っているんですが、そういう意味で言うと、そういう都市景観についてどうなんだろうか。  さらに、空き地、つまり公園緑地のような形にすると、その周りのいわゆる地価が上昇するという効果も上がるというふうに聞いています。とすると、それは固定資産税の引上げ、あるいは将来的には相続税の、いわゆる路線価にまで跳ね返ってくるんでしょう。  そういう形で国民の、いわゆる全体の調和の中で物事は組み立てないと、いたずらに、これ二十三区で今どんどんマンションが、高層のやつがどんどん建っているから、今売ったら売れ売れどんどんで、これはいいぞと、こういうふうにはならないんじゃないかなというふうにちょっと思えてならないんですが、江崎副大臣、今日わざわざ来ていただきまして、ありがとうございました。もし、その点について御意見あればお聞かせ願いたいと思います。
  142. 江崎鐵磨

    ○副大臣(江崎鐵磨君) 峰崎委員とはウズベキスタン以来御指導賜っております。  特に、先ほど谷垣大臣からお話がございましたが、国有地、この払下げがどんどん進んだときに、何といっても私は高度利用がしっかり推し進められれば、これもやっぱり防災とか、そうした点において役立つのではなかろうかなといった思いを特に強く持っております。  委員御指摘の、特に都市の防災機能向上を図り、安全で安心できる都市を実現することは国土交通省の大切な責務であります。都市内に多くのオープンスペースが必要であることに加えて、大地震等災害が発生した際の避難地や災害復旧活動の拠点を計画的に確保していくことなどが大切であると、委員おっしゃるように私どもも対応いたしております。  かつての阪神・淡路大震災や新潟県の中越地震の際には、都市公園が都市の貴重なオープンスペースとして、延焼防止、避難場所、救援・復旧活動の場として少なからず機能したところであります。災害時の公園の防災機能について、今後の必要性、大いにこれからも取り組まなければならないと思うものであります。全国の地方公共団体においては防災公園の整備を計画的に推し進めており、国としてもこれからの取組に対し、重点的な支援を行うといった固い決意で臨んでおります。  また、従来より、売却予定の国有地について地方公共団体が取得し、防災公園として整備を行っている例もあり、そのようなケースも含め、今後とも地方公共団体市町村が行う防災公園の整備について積極的に取り組んでまいる所存でありますので、どうぞ峰崎委員始め、各委員には格段の御理解とお力添えを賜りますよう、特にお願いを申し上げる次第であります。
  143. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ありがとうございました。  それで、今REITというのがございますね。不動産証券化して、それを東証一部上場しているわけですけれども、あの利率は今どのぐらいの利率になっているか御存じでしょうか。どなたか、構わないんですが、国土交通大臣、分かりますか。大体四%か五%ぐらいで回っているんではないか。ちょっと今下がっているかもしれませんね。大体そんなものだろうというふうに思うんですが。  そうすると、私が何でREITを出したかというと、いわゆる土地を有効活用した場合に、特に都心二十三区辺りで今そういう、森ビルだとかいろんなところが造っていますけれども、そうすると、いわゆる利ざやが、そこから上がってくる利ざやがやっぱり六%あるいは五、六%は上がってくると。そうすると、これは国債の長期金利なんかよりはるかに高いわけです。そうすると、これは今売却していくよりも、長期的にこれ持っていってレンタルをした方がこれは有利になるんじゃないかなというふうに、そういう金利裁定というんですか、そういう観点から見て、いわゆる今売却した方がいいのか、それともこの土地はもっと別の活用方法をもって国が保有しながらそういう形でレンタルした方がいいのか、こういう観点からこういう売却問題、国有財産の売却問題というのは議論されたことがあるんでしょうか。その点ちょっとお聞きしたいと思います。
  144. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今委員がおっしゃったような観点も今後の議論には私は必要だろうと思っております。  それで、私どももそういうことが全く念頭にないわけではございませんが、今までの議論はどちらかというと売却を中心に議論してきたことは事実でございます。それで、できるだけ有効活用して、集約化なりして不用になったところは売却すると。  なぜそういうことを中心に考えてきたかと申しますと、土地というのは結局価格変動リスクを有する財産でございますので、将来のその地価動向についてあらかじめ確たる見通しを立てることは難しいと、国においてそういうリスクを取ることは難しい面があるかなというのが一つございました。それからもう一つは、いったん、そういうことになりますと貸付けということになるわけですが、いったん貸し付けた場合には売却する際の支障となるおそれがあるといったようなことで売却を中心に考えたわけであります。  ただ、最大限有効活用していくというときに、売却のみにこだわるという必要は必ずしもないんでございまして、今おっしゃったようないろいろな最近の金融技術等々がどう使えるかということはよく考えていかなきゃなりません。私どもは今、民間の有識者で会議をしていただいておりますのも、そういう辺りも十分御議論をいただきたいと、こういうふうに考えているわけであります。
  145. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、先ほどの都心三区の公務員住宅でいろいろ集合して空き地が出たと、そういうところは全部売却というのは既定路線ではないわけですか。
  146. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 既定路線というわけではございませんが、何が一番有効かということは考えていかなきゃいけませんが、先ほど申しましたように、基本は売却で考えているわけでございます。  ただ、結局、いろんなところを売却するとなりますと、いろいろなかなり大きな土地になりますと、それぞれの自治体等々がどういう都市計画、先ほど景観等々もおっしゃいましたけれども、どういう利用計画を立てて考えていくか、あるいは都市計画の中で考えていくかというような問題等も当然出てくると思いますので、その辺りも十分すり合わせをしながら、今後具体的な処分と申しますか、そういうものを考えていかなければならないんだろうと思います。
  147. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そういう意味では、非常に幅広に考えていきたいということですので、是非、国民の貴重な財産ですので、その点は慎重に判断をしていただきたいなと思うんです。  それで、実は合築の問題なんか出ておりますが、行政財産である国有地を民間人に貸し付けていくということで、その場合の地代とか、あるいはその税の扱いはどういうふうになるんでしょうか。
  148. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) 合築の場合、まあこれ言わずもがなですけど、民間が保有する建物の床面積が底地の保有割合を上回る場合には、その割合に応じて民間から国に地代が支払われることになります。その場合、不動産鑑定評価等に基づき適正な地代を国は徴収することになります。そのときの国税の取扱いにつきましては、その相手が、民間の相手が法人であれば法人税、個人であれば所得税ですけど、それぞれ損金又は必要経費として算入されることになります。加えて、国が国有財産民間に貸し付ける場合、そこの当該の貸付け部分につきましては、国は固定資産税に相当するものとして市町村市町村交付金を支払うことになります。  以上です。
  149. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、固定資産税は払わないけども、取らないけども、固定資産税相当分を割合に応じていわゆる合築していただく人に、民間の方にそれが入ってくると、割り当てられると、こういう理解でよろしいんですね。
  150. 山崎力

    ○副大臣(山崎力君) この場合、いわゆる国有地等に関しての固定資産税、これは地方税ということでこちらの方から言わせていただきますが、これは当然入らないわけでございます。国の方から払うということはないわけです、国有地その他につきまして。ですから、その部分で、その国の方が民間にお貸ししているという部分の相当分というものを国から市町村へという形で、国有資産所在市町村交付金という形で交付すると、こういう形になっております。
  151. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いや、言いたいのは、そこに合築するわけでしょう、その空いた部分。そうすると、そこに入った民間の方の固定資産税相当分は、まあ、いや固定資産税に代わる給付金を国が出すときに、その一部は民間からも拠出していただくんでしょうねと、こういう理解なんですけど。言っていること、意味分かります。じゃ、局長
  152. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) お答えさせていただきます。  今御答弁ありました市町村交付金を交付する場合、これは国が地代を受け取っている場合でございますから、その場合には公租公課と同じで、市町村交付金の分はその地代の中に織り込まれると、そうして国が受け取るという形になります。
  153. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 その地代の中に含まれているから、その部分、まあどのぐらいの割合かは別にして、受け取っているということですね。  そうしたら、今度合築をするときに、例えばその合築するところの建物を民間の人が建てて、それをREITにしようと、REITの対象物件にしようと、これは財務大臣、許されるんでしょうか。
  154. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) その対象部分が、REITの対象物件とすることは許されるわけでございます。
  155. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 許される。
  156. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) はい。ただ、もちろん、国有財産法に基づきまして、合築の条件というのが行政上の用途又は目的を妨げることとならず、その相手方が行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認められる者と、こういった条件もちろん付きますが、REITの対象物件であるかないかというのは問われません。
  157. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、REITのようなものにするのと、あるいはそれを別の証券化の対象にしたり、ファンドに組み込んだり、そういう様々な新しい金融手法は、その国有財産の上で、国有財産の、行政財産の目的を阻害しない限り許されると、こういう理解でよろしいわけですね。
  158. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) もちろん、個々の事案に即して検討する必要があるという回答になるわけですけども、そのような理解でよろしいかと思います。
  159. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 最後に、ちょっとこの問題でお聞きしておきたいんですが、過去に国有財産の売却をした事例で、非常に、かねてから新聞社、まあどこの新聞社とは言いませんが、大手の新聞社、地方に行けば地方紙もあるんですけども、そういうところに、よく、いわゆる国有財産を言ってみれば売却をすると。そのときに、どうも新聞社というのは本来なら政府に対してきちっと物申してくれなければ困るんだけども、どうも弱腰になるのは、この国有財産の払下げのときにいろいろその便宜を図ってもらったせいじゃないかと、こうよく言われるんですよ。  そういう意味で、政党はちょっと今レンタルしているようでありますし、資料をいただきましたんで分かりましたんですが、この新聞社と、テレビでいわゆる東京にキー局がありますけども、このキー局のいわゆる売却をしてもらった事例。これは売却してもらっていても、自分でほかの民間土地から買ったというのは別に構わないんですけども、元々の種地というか、ある新聞社が買ったときに国有地の払下げであった場合、そういう事例で売却の時期、売却の面積、売却の価格、そのときの、現在の、その売却したものの現時点における路線価というんですかね、このちょっと数字を出してもらいたいというふうにお願いをしたいと思うんですが、財務大臣、大丈夫でしょうね、これ。
  160. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) お答えをさせていただきます。  今御要請いただきました国有財産の売却に関する件でございますが、我が方の保存文書等の期限は過ぎているんでございますが、不動産登記簿でございますとか、そういったものを追跡調査いたしまして、後日になると思いますが、資料としてお示しさせていただきたいと思います。  ただ、先生おっしゃいました売却価格でございますが、これは行政機関の保有する情報の公開に関する法律というのがございまして、売却先の同意が得られない場合には従来より公表を差し控えておりますので、その点は御理解を賜りたいと思います。
  161. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 相手側の新聞社とかテレビ局がこれは出してもらっちゃ困ると言われれば出せないと、こういうことなんですか。それはちょっとしかし、天下の公器たる新聞が、あるいはテレビがそういうふうに答えるとは思いませんので、そうでないことを祈っておりますけれども、是非努力をしていただきたいと思います。  さて、まだまだ本当はこの国有財産の問題あるんでしょうけれども、ちょっと私も関連する方にまた移らしていただきたいと思いますので、先ほど警察の方とかあるいは江崎副大臣、今日は本当にありがとうございました。それから総務大臣の方も多分もう質問することはないと思いますので、委員長、もしよければ。
  162. 池口修次

    委員長池口修次君) じゃ、財務省及び内閣府等以外は退席してもらって結構でございます。
  163. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこで、先ほど平野議員との話の継続になってくるわけですけれども、最初に私は、今、経済財政諮問会議で二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスの黒字を図っていこうということで鋭意いろんな論議をされて、情報公開されておりますから大変興味深く読ませていただいておりますし、なかなか白熱した議論だし、総理大臣が相当厳しいことをおっしゃっていることなども承知をしているわけでありますが、どうも前提条件で、この経済の二〇一〇年代の見通しの前提の中で、石油価格の上昇というのが、もう七十ドル、WTI、ウエスト・テキサス・インターメディエートか、ちょっと難しい名前のアメリカの代表的な石油の種類なんだそうですけれども、これがもうバーレル七十ドルを超えたということで、たしかゴールドマン・サックスが、去年だったでしょうか、いや、これバーレル百ドル超すよと、こういうことだったんです。  その意味で、いわゆる日本経済の中期展望と言われているものの見通しの前提になっているところは、一体全体こういう七十ドル以上に上がっていくということを予定してたんだろうかということ辺りからややちょっと聞いてみたいわけでありますが、大臣、これはやはりそういうふうに見ておられたんでしょうか。
  164. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 原油が七十ドルに乗せるというのは本当に想像しなかったことでございまして、これが世界経済日本経済にどういう影響を与えるかというのはきちんと分析を実はしなければなりません。当面は、日本は昭和四十年代の石油ショックのとき以来省エネに努めてまいりましたし、例えば電力の石油に対する依存度も一〇%前後になっておりますから、まだまだ生活に直接響いているという実感はないわけですが、いずれ響いてくるはずでございます。  かてて加えまして、原油価格が上がりますと、私どもが通商の相手としている国々の経済、これが減速する可能性があります。アメリカ経済にしろ中国の経済にしろ、私どもの大事な経済の相手方、ここの経済が減速をしますと当然日本にも間接的な影響が及んでくるということで、原油価格の高騰というのは日本経済あるいは世界の経済にとって私は最大のリスク要因であると思っております。
  165. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 最大のリスク要因だと。  谷垣大臣は、恐らく、ワシントンに行かれる、多分この問題も議論になるだろうと思うんですね。そうすると、いわゆるオイル価格の上昇というのは一時的なものなのか、それとも、今私はかなりもう構造的なものになっているんじゃないかというふうに思っているんですけれども、その辺り、なぜこういうものが起きてくるんだろうか、そしてこの状態は、更にこれはバーレル七十ドル以上に上がる可能性もあると。  こういうことについて、その原因と、そしてそのことが日本経済に大変深刻な、ある意味世界経済にも影響を及ぼすというふうにおっしゃいましたけれども、谷垣大臣はその点について、特になぜこういうふうになっているのかということについてどんな認識を持っていらっしゃいますか。
  166. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、今までG7等でも常に最近は議論の焦点でございまして、かなり議論は大体出尽くしているような気もするわけですが、一つは地政学的要因と言われているものがございまして、今イランの動向であるとかあるいはナイジェリアのいろいろな国内情勢であるとか、こういうようなものが原油価格に大きく反映していることは、これはもう疑えないところだろうと思います。  もう一つは、やはり最近、ある意味で世界経済非常に順調に回っておりまして、新興市場国等の発展も著しいということがございまして、そういうようなことがやはり原油価格全体の、原油の需要というものを増やして価格に反映しているという面もあろうかと考えております。  それともう一つは、そういういろんな原因が絡み合っているわけでございますが、もう一つ最近我々力を入れて議論してまいりましたのは、何というんでしょうか、やはり市場の不透明さが価格形成をゆがめている面もあるというようなことで、できるだけ情報を、正確な透明な情報を世界じゅうでやはり得られるような努力が必要ではないかと、こういうような議論もしてまいりましたし、また、産油とか精製とかあるいは輸送も含めまして必要な投資が十分行われていないようなことがあって、やはり必要なところに必要な投資が回っていくような努力も必要じゃないかとか、いろんな議論をしてまいりましたけれども、複合的な要素がありまして、簡単に、じゃ、もうここら辺りで先が見えたなというわけにもなかなかいかない状況ではないかというふうに考えているわけでございます。
  167. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 本当に満遍なく答えていただいたんですが、私は、最後におっしゃった投資がなかなか出てこないというのは、どうも株主資本主義というんですか、どうもオイルメジャーが、六十ドル、七十ドルまで上がり始めてきたら、本来なら、あっそんなに価格上がるなら設備投資もっとやっていいじゃないかと、こうなるのに、この自分たちが、上がってきた価格の中で利益を株主に配当しろという圧力というものが非常に強くなり過ぎているんじゃないのか。  そういう意味で、供給ネックといいますか、供給、つまり中長期的に、これはリスクが高いというのは我々もよく知っていますし、恐らく懐妊期間も長いんだろうと思うんですね、お金を投資して。いわゆる、そういうことにお金を投資するよりも、短期的に、それこそ株主に配当で還元しろとか自社株を買って株価をもっと上げろとか、どうもそういう傾向に現在の資本主義というのがなりつつある、そのことがこういう問題をもたらしている一つの要因になっているんじゃないかという、そんな議論はG7等では議論なさることございますですか。
  168. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 現在の株主等々の配当の動向というのは、必ずしも今まで十分議論があったというふうには記憶しておりません。私も余り英語が得意でないものですから、あるいはそういう議論が行われているのに聞き漏らしているかもしれません。
  169. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 日銀の副総裁、お待たせいたしましたけども、今の石油価格の問題は、日銀の最近の総裁の発言なんかを聞いていますと、あるいは記者会見聞いていますと、とにかく日本経済絶好調と、日本経済はもう本当に順風満帆で行っているんだよと、こういう議論で、まあそこまで言っていいのかなといいながら、私も時々今言ったオイルの値段とか長期金利の問題だとか言っているんですけども。  この状態というのは、日銀のいわゆる金融決定会合やあるいはこの間の三月八日、九日の会合で、この石油価格の値段は危ないぞということについて相当白熱した議論はあったんでしょうか。
  170. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) 石油価格の先行きについて、日本銀行の政策委員会の中でも将来におけるリスクとしてほぼ毎回議論がなされております。  なぜこの、去年の十一月ごろでしたか、WTI一バレル六十ドル切るような状態も一時あったんですけども、昨日は七十二ドル、御指摘のとおりでございまして、こういう変化がなぜあるのかということになると、谷垣大臣が御説明されたとおり、世界経済の需要、世界経済の成長が順調なものですから需要面での逼迫があるというのが一つと地政学的要因ということでございますが、いずれも先を見通すことがなかなか難しい。世界経済の先行きについては、どちらかというと、比較的今後まあ我々が予想し得る範囲内においては順調に拡大を続けるという、そういう見方が多いようでございますので、この需給の逼迫というのは基本的に今後も続く可能性が高いように思います。  ただ、それでは、これだけの高止まりした原油価格が世界経済にどのような影響を及ぼしたかということになりますと、これは何とか今のところそれをこなして、世界的にそれではインフレが高進した状況かというと、必ずしもそうではない。日本におきましても御承知のとおりの状況でございます。  今後、この原油価格がこのまま高止まりする、あるいは更に上がっていくというような状況になりますと、これが非産油国に対して一種の課税をしたような状態になりますので消費が減退すると、あるいは世界的にインフレ懸念が強くなるというような形で世界経済が減速する、まあひいては日本経済にも悪影響が及ぶということは十分リスクとしては認識しなければならないというふうに思います。  ただ、我が国の場合、現状におきましては、エネルギー効率が外国と比較いたしますとかなり高いということがありまして、原油価格の高騰が実体経済に及ぼす影響というものは相対的に小さいというのは事実だろうと思います。なお、引き続きこの影響については今後とも十分注視していく必要があるというふうに考えております。
  171. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 谷垣大臣、もう一つ、アメリカのいわゆる経常収支の赤字です。GDPの六%を超えているんです。  いわゆるこれ、たしかプラザ合意の辺りのときは三%台強だったと、こういうふうに言われていて、もうそれよりもはるかに上回っている。そうすると、後で金利がどういうふうになっていくかということにも、まあ長期金利が少し上がり始めたと言われていますが、そうすると、ホームエクイティーローン、つまり住宅価格、住宅のですね、低金利に伴うその低金利分を、言ってみればそれを消費に回せるということで、この間ずっとそれが増えてきたわけですけれども。今度、金利が上がり始めたら逆回転し始める。そうすると、アメリカの、まあ双子の赤字、三つ子の赤字と、こういうふうに呼んでもいいんでしょうけれども、それと石油価格の上昇とあって、世界経済の牽引役として今まで輸入をどんどん増やして、中国や日本含めて、アジアを含めてどんどん、まあショックアブソーバーじゃないですけれども、受け入れていた国が、大きくこれ変わる可能性というのはあるんじゃないのかなと、こう思えてならないんですけれども、そういう、こう破断点というんですか、これはもう相当の際どいところまで来ているぞと、こういう認識はお持ちになっていませんかね。
  172. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、またG7等の議論で常に、何というんでしょうか、通奏低音みたいにある議論でございまして、今ある世界のインバランスと申しますか、その中でやはり最大のものはアメリカのいわゆる双子の赤字、これがどうなっていくのか。  今おっしゃいましたように、うまくそれはファイナンスされておりまして、主として日本、中国あるいは産油国等々の金が流れていくという構造になってうまく、まあうまく回転をしているということは事実でございますけれども、これがいつまで続くかという懸念、これが基本的な問題であろうということで、それぞれ三極それぞれ課題があるわけでありますが、アメリカについてはそういう財政構造等々の改革が必要ではないかという指摘がこのところずっと行われているわけでございます。  ちなみに、ヨーロッパはいろんな構造問題があるじゃないかと、それから日本財政を含む構造問題だと、まあ概括的に言えばなっているわけでございますけれども、そういう中で恐らく、このところずっと議論されておりますし、この週末から参りますG7でも多分議論になると思われますのは、今まで、先ほど申しましたように、世界経済は比較的順調に動いてきたわけですが、その一番のポイントは、低利の資金が潤沢に供給されてきて、発展途上国等も非常にそういうことでうまく動いてきたというのが全体うまく回ってきた一つの要素だと思いますが、今のところ、先ほどからの御議論のように、長期金利の動向もちょっと変わってきたというようなことで、そうなってくると、金利がやや上昇局面にあるとなると、今まで流れていた金の流れが変わってくるのではないかと、こういう辺りがやはり今回また議論になってくるんではないかと。  ちょっと峰崎委員のお問い掛けに十分答えられたかどうか分かりませんが、そんなことが議論になってくるんではないかと思っております。
  173. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 G7に行かれる前に、是非私は双子の赤字あるいは三つ子の赤字を解消していく努力はアメリカに求めていく必要があるんではないかなというふうに思っていますので、是非よろしくその点しっかり頑張っていただきたいと思うんですが。  さて、今、原油の問題と並んでもう一つは金利の問題なんですけれども、先ほど平野議員のお話を聞いていまして、ちょっと私は余りにも客観的に皆さん方お話しなさって、だれがこの長期金利の引き金を引いたのかというところは少しちょっと一歩踏み込んでみる必要あるんじゃないか。  つまり、日銀の八日、九日の決定会合というのは決して、今も潤沢にゼロ金利で、今二十兆ぐらいですか、二十数兆円、まだ、三十兆から落ちていると思いますが、これはまあ数か月間続くというふうにおっしゃっているんですね、まだ。しかし、明らかに、先ほど平野議員がおっしゃったように、私は、その時間軸というものを設けていないんですよね。もう、要するに、市場関係者にしてみると、いつ、じゃ今度は金利上昇があるんだろうか、短期金利上げられるんだろうか、オーバーナイト金利が幾らになるんだろうかということについて、もうみんな予想し始めているわけですよね。つまり、そういう意味で、これまでのゼロ金利解除のときとか様子は明らかに変わってきていると。  そして同時に、もう日本は今まで潤沢に提供していたリザーブを、もうこれをどんどん六兆円なら六兆円という法定のところまで行くんだよと。そうすると、これまでのキャリートレードが、つまり日本の安い金利でそれを海外に持っていくとか、そういうこのキャリートレードも実は手じまいになってくるとか、そういう形でECBもたしか金利が、日銀よりもたしか後だったと思いますけれども、そういうことを勘案すると、これはもちろん短期金利と中長期の金利分けなきゃいけないんですが、明らかにやはり、これからはもう金利上昇は避けられないなと、こういう市場の関係者が思い始めているのは、私はやはり日銀の八日、九日、これが間違ったとか言っているんじゃなくて、それがいわゆる金利の上昇の引き金をやはり引いたのではないかなと。  そういう意味で、世界の動きと連動していますというんじゃなくて、世界の動きを日銀自身も実は引っ張ってきていると、こういうふうに見るべきじゃないかと思うんですが、武藤総裁、どうでしょうか、その点は。
  174. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) 世界の、米国、ヨーロッパにおける長期金利の上昇が日本にも何がしかの影響というような申し上げ方をしましたけれども、そういう受け身だけで動いているというようなことを申し上げたいということでは決してございません。  量的緩和政策、これを解除した経緯はもう重々御承知いただいていると思いますが、その後、私どもはいわゆる新しいこの金融政策、今後の金融政策運営に当たっての新しい枠組み、新しい考え方というものを発表させていただきました。これについては、まず物価安定の下での持続的成長というものを今後どのように見込むかどうか、それから長期的なリスクというものをどのように考えるかというようなことをいろいろ総合的に勘案して今後の政策を運営していくんですということを申し上げているわけでございます。  量的緩和政策というデフレ下における誠に異例な金融政策、これを消費者物価、コアの消費者物価がゼロ%を上回るまで続けますということをはっきりと約束したというのは、言わばそういう非常時における中央銀行としては異例の政策でありました。そこから脱却した後、これをどのようにマーケットとのコミュニケーションを取っていくかというのはまた大きな課題でありまして、そのときに新しい枠組みというものを発表し、それに基づいて今後考えていきますということを申し上げているわけでございます。  先ほどちらっと申し上げましたけれども、いわゆる展望レポートにおいて、その辺りについてどのように我々の考え方を整理していくか。これはまだこれからのことでありますけれども、一つのマーケットとのコミュニケーションの手段であるというふうに考えております。  その上で申し上げますけれども、結局、今後次々と毎月のように出てくるいろいろなデータを見た上でゼロ金利についてどうするかということを考えるのであって、あらかじめ予断を持っているわけではないということは申し上げざるを得ない。特に、量的緩和解除後、昨日では三十兆から三十五兆ありました日銀当座預金残高が二十三兆円台まで低下してまいりました。依然として短期金利は、オーバーナイトの金利は極めて安定した状況にありますので、私どもとしては順調に円滑にこの当座預金の削減が行われつつあるということであります。この状況が続きますれば、数か月のうちにはいわゆる所要準備までの量に順調に引き下げることが可能なのではないかと、そういう可能性が高いのではないかと思っております。  現時点においては、その量的な当座預金残高の削減を円滑に順調に行っていくことが極めて重大なことでありまして、その段階でゼロ金利の今後についてどうするかというのは余り予断を持って語るのはいかがなものかということから、私どもの新しい枠組みに基づいた考え方を展開していきたいということを申し上げているわけでございます。
  175. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 副総裁、これ参議院の調査室で作ってくれた「経済のプリズム」という一番新しい号なんですけれども、そこの中で要領良く今度の問題点について、先ほど時間軸というものが今回は特徴点としてないよと、それで、このいわゆる新しい枠組みが出された点について二点問題を指摘しているんです。  それは何かというと、ゼロから二という数字は、片方はゼロというのは、物価バイアスがあるから事実上これはデフレのことを容認しているんじゃないのか。いや、多分、恐らくゼロ以上という意味ですよというふうに、平均取って一%ですよというふうにおっしゃるのかもしれませんが、ゼロから二という数値を出されているときに、ゼロというのは実質上これはデフレですよと、まだ、バイアスがあるから。バイアスがない、少なくなったという人もありますけれども。で、上は二%、これはかなりのインフレですよと。こういう非常に幅があり過ぎるんじゃないのかという点が一点と。  それからもう一つは、これはかねてからインフレターゲット論者や物価参照論者などが言うように、どうもそこのいわゆる、何といいましょうか、数値目標というものの性格があいまいであると。いや、これはあいまいなんで実は総合的に判断できるからいいんだという、日銀には日銀考え方があるのかもしれませんが、その二点がこのいわゆる新しい枠組みを出されたときの、その市場の関係者が一体どういうふうに見ているのかなというところにやや問題があるのかなという指摘をされています。  もしこの点については後で意見があったら教えていただきたいんですが、もう時間もあと十五分しかなくて、実は今日はいわゆる公的債務のところの関係で、日銀との関係、是非議論したいなと思ってやってきたわけであります。  ちょっと今日は余り全部触れませんので、もしかしたら今度は、今の行政改革の特別委員会が参議院に来ますから、そこでもっと本格的にやらせていただきたいと思うんですが、一点、どうしてもちょっと私、日銀あるいは財務省財務大臣にまずお聞きしたいと思うんですけれども、この間のいわゆる国の借金、ずっと増え方を見ていて、非常に気になるところがあるわけです。何が気になるかというと、一般的な中長期債が増えてくるということもそうなんですが、短期の借金が物すごく増えてきているんです。  何で増えたのかというのはもう皆さんもよく御存じだろうと思いますが、例の、日銀が、一つは国債管理政策に日銀が非常に積極的に対応し始めている。例の借換えにおける日銀の短期国債の乗換えというのがあります。この数字ちょっと調べてみたら、〇一年に、二〇〇一年に四兆九千七百億、二年が三兆三千七百億、三年が六兆四千四百億、〇四年が十三兆二千億、それから〇五年が二十三兆四百三十六億と。しかもさらに、この〇五年、二〇〇五年は一部再乗換えを可能にしてしまっている。  乗換えというのは、後でまた詳しくお話しになるのかもしれませんが、財務大臣、こういうふうに日銀に乗り換えさせているというのは、これは法的には何の根拠でこれは乗り換えさせていっているんですかね。何かちょっと事前に言ってなかったんで、逆に武藤総裁の方が昔財務省におられたので詳しいのかもしれませんが、この乗換えというのは、これは再乗換えまでできるというのはどこかに法的な根拠はあるんでしょうかね。ちょっと事前に質問通告してなかったので失礼とは思いますが、もし分かれば教えてください。
  176. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) これは、もう私も大分前のことしか存じ上げませんのであるいは不正確かもしれませんけれども、国債の償還が来たときに、現金で償還されるか、それとも借換債という形で償還されるかと、二つのやり方があるわけでございます。これは、日本銀行の立場から見ますと、我々にとっては新発債の直接引受けは、これは財政法上認められていないということであります。それから、それに限りなく類似して紛らわしいようなことは余りすべきでないという、そういうこれは日銀サイドに気持ちがあります。  しかし、この借換債がどういう理由で行われているのかということを、財務省政府の方のお立場を伺いますと、結局、過去において大量発行したときの償還のこぶが集中するときがあるわけなんです。それがマーケットにどういう影響を及ぼすかということに対して非常に細心の注意をされていて、そういうマーケットにおける国債の借換えの凸凹をならすという、そういうことが必要だという基本的なお立場であるわけでございます。それは、日本銀行の立場にとりましても、マーケットに対して余り偏った影響を及ぼすというのは、これは決して望ましいことではありません。そういう意味で、借換えに当たって一定の乗換えを行うということは我々の立場からも合理的なことであろうと、程度にもよりますけれども。  したがって、一定の、無条件ということではありませんけれども、例えば乗換えに当たって、一年の証券で乗り換えると、TBで乗り換えるということであれば、一年たてば今度は償還が来て現金償還がなされるということであれば、決して日本銀行サイドの資産に悪影響を及ぼすものではないだろうと。それに対して、マーケットに対してはマーケットフレンドリーなそういう国債管理政策ができるであろうということで、私どもとしては日本銀行の立場で応じられる範囲内において行っているということであります。  ただ、ごく最近の私の理解では、かなりこのこぶの修正というのが行われて、もうこれからの大きなそういうこと、乗換えを計画しているということではないのではないかというふうに伺っておりますけれども、それは私の方の理解でありますけれども、そういうことでございます。
  177. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 財務大臣、後でまた分かったら教えてください。  再乗換えもしているわけですよね……
  178. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ちょっと私も今レクを受けまして、今、武藤総裁がおっしゃったようなことでございます。
  179. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 後でまた。  日銀総裁、再乗換えも応じているわけですよね、二〇〇五年。だから、まあルールがあるんでしょう、多分、いわゆる今おっしゃったように、TBに、一年たって、その後は現金でもらうということになっているそうですから。それをまた再乗換えをすると。そうすると、いや、まあ一年だから余り問題ないだろうと。しかし、これ大体〇五年が二十三兆ですが、〇六年はこれちょっと下がるんですよ。多分ちょっと下がると思うんですが、やっぱり二十兆円近く実は再乗換えしているんです。そうすると、根雪のようにずっと毎年これ上がってくると、これ、短期国債をずっと引き受けているのと余り変わらない構造になってきていると思うんですね。ちょっと時間がないんで先へ進めます。  それで、今度は短期債務の急増というのがあります。これは言うまでもなく、例の外為特会の為券、いわゆる為券を発行して、そして一年以内に償還を義務付けているというものですね、これ日銀さん。これは、〇二年度、二〇〇二年度は六十九兆円までいいですよと。〇四年度は百四十兆円まで枠が拡大したんです。  それで、その間一度足りなくなって、財務省の方から、いやちょっとその持っているアメリカの財務省証券を担保にして、それを軸にまたいわゆる円資金を引っ張り出して、そして買ったというようなこともあったんだろうと思うんです。私、あったというふうに聞いているんですが。  この一年以内の償還の義務付け、これが実際上はもう借換えが常態化しているんではないかと。今どのぐらいの残高があるかというと、〇二年の十二月に四十三兆五千億円だったいわゆる短期債務が、〇五年度末、五年度末ということですからこの三月三十一日かな、百六兆七千四十四億円と、これ三年間で六十兆円もこれは増えているんです。これずっと繰り返しこうなっているんですが。私、今度、小泉さんに、あなた三十兆円は守った守ったと言っているけれども、実はこれ六十兆円も増やしちゃっているんですよ、その短期の借金そのものは。  これ怖いのは、短期金利が上がったら、すぐこれ火が付くんじゃないんですか。総額百兆を超えていますよ、先ほど言った百六兆七千四十億と。一%の短期金利の上昇で何と一兆円すぐこれ上がってくるわけですよね、外為の。これは、外為特会にはいや資産と負債これあって、いろいろこれ今どうするというのは議論されていますけれども、いずれにせよ、こういう形で日銀が言ってみれば財政の下請みたいな形に、独立性がありながらこういう状態になってしまっているという御認識はありますでしょうか。
  180. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) いわゆる外為特会の債券、為券につきましては、昔は日本銀行が直接引き受けていたことがありますが、最近では日本銀行の直接引受けは行っておりません。マーケットから買っているということであります。  なぜ短期証券の方が増えているかといいますと、実は量的緩和を行うに当たっては、日本銀行としては市場から債券を買って現金を供給するというそういうオペレーションを、いわゆる買いオペをやるわけでございますが、長期債券を買いオペで積み増していきますと、これは解除のときになかなか難しい問題を生じます。といいますのは、自然の期落ちによって債券残高が減るという、その度合いが低くなるということであります。  したがって、できれば我々は、長期資産ではなくて短期資産を持つ方が日本銀行としては資産構成上望ましいということがあります。したがって、私どもは、短期債券を特にどこかから押し付けられて増やすとかいうことではなくて、私どもの判断において長期債から短期債の方に運用が移ったということが、私、数字を、今突然のお話なのですべてそしゃくしておりませんけれども、そういうことが恐らく反映されているのではないかというふうに思っております。
  181. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 本来、長期債を買うか短期債を買うかとかいったときに、景気が悪いときに短期債なんて買わないんじゃないですか。大抵長期債買うんじゃないんですか、非常に金利が低いから。それでまず確定しておくのが当たり前で、景気が悪いときにこういうものを短期でもって買わざるを得ないような状況になっちゃったんじゃないんですか。経済法則とは逆のことをやっているんじゃないですか。私はそう思っているんです。違うのかな。後ろで何か変なことを言っているけれども、やじられていますけれども、そう思いませんか。景気が悪かったんだから、悪いときにどういういわゆる、これはもちろん国債管理政策の中で中期、短期、どういうふうにやるかということはあると思うんですが、やっぱり金利が低いときには私は長期を増やしてやった方がいいんじゃないかなと思いますけれどもね。
  182. 武藤敏郎

    参考人武藤敏郎君) 投資家、民間金融機関等のお立場に立てば、委員のおっしゃるようなそういう行動があってもおかしくないかと思います。  日本銀行は、投資家としてマーケットで振る舞うということではなくて、あくまでも資金供給の、金融政策の量的緩和政策のオペレーションとしてやるものですから、したがって利回りがどうかというよりは、その運用がどのように、資産構成がどのようになるかということは非常に重要であるということをちょっと申し上げたいと思います。
  183. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いや、それはやっぱり国民にとって、日銀納付金とかそういうのが入ってくるわけですから、と同時に、どうやったら有利になるのか、そしてリスクをどうやって少なくすることができるかという観点から私はやっぱり考えなきゃいけないと思うんです。そういう意味で、どうかなという、今のおっしゃっていることについてはちょっと私は納得できないなと思っております。  何か日銀総裁とばっかりやっていて、本当に谷垣大臣、もう時間が本当ほとんどなくなっちゃったんですが、谷垣大臣、六十兆円を増やしたことについて国会で例えば説明責任てあったんですかね。もっと言いますと、いわゆる外為特会で何年やりました、これ。〇三年度で一年間、一年間に四十七回の介入をやったわけです。それは何か、何回やりましたとか、そういうことについてオープンにはなりつつあるということは知っているんですが、このことについて六十兆円、それもしかも非不胎化をしたわけですから、それだけ流動性が提供されたわけです。  このことの与えた影響というのはもう、そして今申し上げたように百兆を超えるぐらいまでどんどん短期は膨らんでいるわけですから、このことに対して国会で、三十兆円の、あるいは十兆円、二十兆円の借金するのも大変だと言っているときに、短期債とはいいながらも、短期の借金とはいいながらも為券をこれだけやって六十兆円も増やしてしまったというのは、これは小泉さん、こんなに借金増やして駄目じゃないですかということを私どもは言わなきゃいけないんだけれども、これについての説明責任というのはありましたですか。
  184. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、予算の外為特会の総則に限度額が書き込んでございまして、その授権の範囲内でやらしていただいているということでございます。  それともう一つは、その結果、介入をいたしますと、為券をあれして介入をするわけですが、それは毎月発表をいたしておりまして、多分どんどん介入しておりましたときも、峰崎委員からも一体どういう理由でやっているんだという御質問を受けたような記憶がございます。
  185. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これだけの金額が、一国際局と、それから恐らく主計局との話もしているのかもしれませんけれども、要するに財務大臣の配下の下で、本当にこれ六十兆も結果的に増やすような財政政策というものを取ってしまうというそのことが、いや、オープンにはしていますよといいながらも、これ国の借金を増やすとなったら法律を作って云々かんぬんだけれども、こういう短期の場合にはそういうことが何もなく進んでしまうということについて、これはやはり予算総則で書くとかなんとかじゃなくて、本来これだけの金額を、短期の借金をせざるを得ないというときには、これは私はやはり国会に何らかの形で法的に義務付けるなり何なりしていかないと、これ財政民主主義という観点から大問題じゃないかと思うんです。そして、それを引き受けさせられた日銀が今これだけの短期金利を前にして、いわゆる短期金利も上がったらいけない、長期金利も上がったらいけない、もう大変な状況に今追いやられているんだろうと思うんですよね。  その意味で、私は、過去のそのことに対して、谷垣大臣、本当に一年間に何十兆も一役所の一機関が、私は余り、何といいますか、国会にその法案を提出して、これだけ我々はやりましたと、あるいはやりたいというのは、予算総則に載せるぐらいでは私まずいんじゃないかなというふうに思えてならないんです。  その意味で、もう時間もありませんので、また長期国債、今度は国債を、市場性国債の問題だとかいろんなことを議論したいことがありますので、それはまた別の機会にするにして、今の点についてお答えいただきたいと思います。
  186. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これはさんざん今まで議論されました、特会があるとよく一覧性がないということの一つかもしれませんが、やはり外為特会というのは正に為替政策をどうするかという固まりでございますから、私は十分予算委員会等でも御審議いただきたいと思っておりますし、それからまた、確かに為替介入やっているよということを私どもから申し上げることはこれはございませんけれども、一月ごとに発表しておりますので、それを見ていただけば大体どのぐらいやっているかと、これはもう事柄の性質上事前にというわけにはなかなかいかないものでございますから、その流れを見ていただいて国会でも十分御議論をいただきたいと思っております。
  187. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 終わります。
  188. 山口那津男

    山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。  このたびの国有財産法改正案につきまして、近年、地震の災害あるいは耐震偽装事件等が起きまして、国民の関心は非常に高いものがあると思います。これに対応して、本年も、税制改正あるいは財政面からの給付制度等を取りまして耐震化促進策を設けているところであります。  ところで、この国有財産に関しまして、国の様々な庁舎、ここが、例えば耐震診断を行っていないものもいまだに若干あるようでありますし、また耐震化を、耐震改修を施していないものというのも相当数に上るわけであります。  このたびの法改正でそれらに対応できる措置もとられているということになるわけでありますが、この方策について、改修あるいは建て替え等も含めてこれまでどのようにしてきたか、これからどのように進めていくか、これらについて、法改正の趣旨も踏まえて具体的に御説明いただきたいと思います。  まず、この庁舎管理を第一義的に当たっている国土交通省、お答えいただきたいと思います。
  189. 奥田修一

    政府参考人(奥田修一君) ただいま官庁施設についての耐震化の御質問がございましたので、まず、それについてお答えをさせていただきます。  官庁施設は災害時の災害対策の活動拠点として機能するということが求められておりますので、私ども、阪神・淡路大震災を受けまして、平成八年十月に官庁施設の総合耐震計画基準及び官庁施設の総合耐震診断・改修基準というのを制定をいたしております。  この基準では、災害対策の活動拠点としての重要度に応じまして耐震安全性の割増しを行うということで、構造体についてはⅠからⅢの三分類にしておりまして、Ⅰ類の施設については一般の建築物と比べて一・五倍の重要度係数、Ⅱ類は一・二五倍、Ⅲ類は一・〇倍ということにしておりまして、今御質問のありました耐震化の現状につきましては、私ども国土交通省官庁営繕部が所掌する官庁施設、全国で三千二百棟ございますけれども、Ⅰ類施設約二百棟のうち約五一%、Ⅱ類施設約千棟のうち約六六%、Ⅲ類施設約二千棟のうち約七〇%、全体で約六八%が基準を満たしているという状況にございます。  これらの官庁施設につきまして、耐震性能が十分でないものにつきましては、その施設の重要度、保有している耐震性能等を考慮いたしまして、緊急度の高いものから重点的、計画的に建て替え又は耐震改修によりその対策を実施するということにいたしておりまして、現在、私どもも、この官庁施設の耐震化対策については最も重要な課題であるという認識の下に重点的に進めておりまして、耐震改修予算につきましては、今年度、対前年度一・六倍となる四十五億円を計上して重点的に進めるということとしております。  また、建て替えの実施に当たりましては、今回の制度改正による特定国有財産整備特別会計による仕組みも活用させていただきまして、庁舎の耐震化を一層推進していきたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  190. 山口那津男

    山口那津男君 国土交通省としては一般庁舎を管理する立場であるわけでありますが、それ以外にも防衛施設とか刑務所、あるいは特別会計で造られる施設等々もあるわけであります。これらの中にも耐震化を施すべき対象というのはあり得るだろうと思いますので、是非、財務当局としても、この耐震化促進のための予算上の配慮というものは、今回の仕組みも含めて、是非配慮していただきたいと思います。  ところで、庁舎ばかりではなくて、今度は公務員の宿舎、これについても耐震化を考える必要があるだろうと思います。これまで、既にその点精査した上で対応が取られているとも伺っておりますが、現状がどうなっているかについてまず確認をしたいと思います。
  191. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) お答えをいたします。  財務省におきましては、建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づきまして、平成九年度から十四年度にかけて、合同宿舎の耐震診断を行ったところでございます。この結果、対象となる千六百六十七棟のうち六棟が耐震上の問題から緊急の対策を要するものと認められまして、これらの宿舎については順次対策を進めておりまして、平成十七年度までに六棟すべてについて耐震対策に着手済みでございます。  なお、今申し上げました緊急の対策を要しないと認められた宿舎についても、耐震上万全を期す観点から順次改修を進めていきたいというふうに考えております。
  192. 山口那津男

    山口那津男君 今お話のあったとおり、緊急対応の必要がありとされた六棟、これについては、言わば優先順位を高めるための一つの分類であるというにすぎないわけでありまして、緊急対応を要しないからといってほっておいていいということにはなりません。まして、国土交通省が中心になりまして国全体で耐震化を、およそ十年ぐらいのめどでこの耐震基準、最新の耐震基準以前に造られた建物について促進策を設けているわけでありますので、是非この宿舎等についても順次御努力いただきたいというふうに思います。  さて、次に伺いますが、国有財産管理という観点から、庁舎、例えばある役所、省庁の庁舎を、個々の役所の庁舎を取り上げた場合に、これを取得する時点では、設計や取得費の手当て等は国土交通省が行うだろうと思います。しかし、実際に使う官庁がその後の維持管理費を年度年度予算で手当てをしていくわけであります。  そして、国有財産の台帳には財務省がこれを、価格をきちんと記載して、減価償却等必要なものはその都度見直していくということで行っているわけでありますが、じゃ、その庁舎が、取得、維持管理、廃棄を含めてライフサイクルコストという観点で一元的にそれらに掛かるフルコストというものが算定できるような仕組みというのは現在あるのかどうか、把握されているのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  193. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) 今御指摘のございました各省庁の管理する庁舎等の施設のライフサイクルコストに関する情報でございますが、官庁施設の整備及び保全に関する業務を行っております国土交通省におきまして、昨年四月より、インターネットを通じて蓄積、分析するためのシステムの運用を開始されておりまして、今後、計画的な保全業務に加えて、効率的な施設運用など、ライフサイクルコストの低減に向けた利用に取り組んでいくというように承知いたしております。  一方、我が方でございますが、本年一月の財政制度審議会の答申におきまして、将来的な課題として、国土交通省と連携し、庁舎等のライフサイクルコスト等に関するデータベースを構築し、庁舎等の改修と建て替えの費用等の比較など定量的な分析に活用していくことが適当であるという提言をいただいております。  現在、この答申を踏まえまして、庁舎、宿舎の効率的な整備方法の検討に資するために、ライフサイクルコストに関する情報、それから改修と建て替えのコスト比較など、そういった分析結果に関するデータの連携をどうやっていくかということにつきまして国土交通省と鋭意検討を進めているところでございます。
  194. 山口那津男

    山口那津男君 今御答弁ありましたように、今現在の時点ではそのライフサイクルコストを正確に算定する仕組みというのはでき上がってはいないということであります。  しかし、昨年の閣議決定等にもありますように、今後の庁舎等の効率的な管理運営を考えた場合には、取得、所有の形式がいいのか、それとも賃借の形式がいいのか、それぞれのコスト比較を厳密に行ってやっていこうという方針が出ているわけですね。しかし、その前提となるコスト計算の仕組みができ上がっていないというのは甚だ心もとないところでありまして、これから是非早急にこの点の整備をお願いしたいと思うんでありますが、大臣、念のため、御決意を伺いたいと思います。
  195. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほど理財局長答弁いたしましたように、財政審からも、そういうものを考えていくべきではないかという御提言をいただいておりますし、私たちも、今委員がおっしゃいましたように、こういうものを整備していくことが庁舎等の効率的な整備・管理方法、それを定量的に検証していくために非常に有効な方法であると思っておりますので、国土交通省とも連携してデータベースの構築、これ取り組んでいきたいと考えているわけです。  それから、新たに庁舎、宿舎を取得する場合には、去年十二月の行政改革の重要方針で、保有と賃借のどっちが有利かというのをきちっと検証して、そして選んでいけとされておりますので、今後、御提案の趣旨を踏まえまして、建設費等の初期費用だけじゃなく、修繕費あるいは維持管理費、こういう将来にわたるライフサイクルとしてのコストをきちっと見積もって、それで個別の庁舎あるいは宿舎ごとの経済的合理性に合った管理方法というのを開発していきたいと考えております。
  196. 山口那津男

    山口那津男君 このライフサイクルコストに着目した選択というのは、施設面だけではありませんで、例えば防衛装備品、これらについても今年は法改正をして、この防衛装備品のライフサイクルコストを管理して調達を考えようと、こういう考え方が既に取り入れられようとしているわけですね。これはその他の役所の装備品についても言えることであろうと思いますし、今大臣からお答えのあった施設の面でも有用な考え方だと思いますので、是非政府のあらゆる調達面を見てこの仕組みを整えることに是非御努力いただきたいと思います。  これらが、仕組みが整ってまいりますと、今度はその維持管理のコストが明確になった場合に、今市場化テストに関する法律を審議しているところでありますけれども、これで、この維持管理というものは果たして官の側で行うべきかあるいは民の側に任せてもいいものかどうか、それをコスト比較をしながら合理的な選択をなすことができるようになるだろうと思うんですね。その点では、この維持管理の点は民間委託して、それに掛かっている公務員といいますか官の負担というものを軽くしていこうと、こういう選択の余地も十分出てくるだろうと思うんですね。  この点についての民間からの強い主張もあるわけでありますが、こういう考え方に対してどういう御見解をお持ちでしょうか。
  197. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) お答えをさせていただきます。  庁舎、宿舎の維持管理につきましては、平成十七年三月二十五日に閣議決定されました規制改革民間開放推進三か年計画におきまして、民間開放を推進するということにされております。  庁舎それから省庁別宿舎の維持管理につきましては、それぞれ使用している各省庁が行っておられるわけですが、この閣議決定に沿って民間委託を推進して、公務員の削減が進められていっているものと考えております。  特に財務省維持管理しております庁舎それから合同宿舎でございますが、これにつきましては、これまでも民間委託が可能なものにつきましてはもう極力民間委託をするということで取り組んでまいりました。  さらに、今回、行政減量・効率化有識者会議から、更に一段の民間委託ができないかと、それで公務員の純減ができないかという御指摘をいただきまして、我々もう本当に絞り切るところまで絞り切ったつもりでございますが、更に民間委託を増やすということでこの会議に御報告をさせていただいたところでございます。
  198. 山口那津男

    山口那津男君 結果の検証も含めて、是非この点も推進を図っていただきたいと思います。  さて次に、公会計制度についてお伺いしたいと思います。  国有財産を管理するに当たっては、この公会計、これは民間企業会計に倣って財務諸表等を整備していこうと、こういう発想でありまして、民間でいえばいわゆる貸借対照表というものに最もなじみやすい国有財産の管理の方法になり得るんだろうと思うのであります。  さてしかし、その官庁会計というのはもう明治以来、従来、単式簿記、現金主義で行われてまいりまして、この点の管理はいまだになお有用性はあるだろうと思っておりますけれども、一方で、この企業会計の手法に倣って、複式簿記、発生主義によって財務諸表を作成していこうと、こういう自治体も現実に既に現れているわけでありますね。  国の取組がどうなっているかについて、まず御答弁いただきたいと思います。
  199. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、山口委員がおっしゃいましたように、従来、単式簿記、現金主義でやってまいりました。それで、今の会計制度も基本的にそれを踏まえた形になっておりますのは、毎年予算を国会にお出しして国会のコントロールを受ける、そして現金の出納をきちっとするという意味からまいりますと、現在もなおこの方式が有用であるという面があるんだろうと思います。  しかし、同時に、国の財政状況を国民に分かりやすく説明していく、それから財政活動の効率化とか適正化を図っていくためには、財務情報を、何というんでしょうか、民間のやり方とも比較検討ができる等々の観点がやはり必要になってまいりまして、企業会計の考え方活用した公会計の整備を進めてきた。  具体的には国の貸借対照表、これ試案の作成に取り組みまして、平成十年度決算分から作成、公表してまいりました。それから、特別会計財務書類、省庁別財務書類と順次整備を進めまして、去年の九月に一般会計と特別会計を合わせました国全体のストックとフローの財務情報を提供する平成十五年度決算分の国の財務書類というものが公表するというところまでこぎ着けまして、これで一応公会計に関する財務書類が一通り出そろったところでございます。  それで、ただ、今委員がおっしゃいました自治体等も複式簿記それから発生主義でやるところが出てきているわけですけれども、まだその複式簿記というのを国が取り入れているわけでもございませんし、この公会計財務書類は後から振り返って発生主義で整理をしているという段階でございます。  今後、企業会計の考え方を参考とした公会計に関する財務書類整備をどう進めていくかということがございまして、この四月から財政審で検討をお願いして、六月ごろを目途に中間取りまとめを行っていただく予定でございます。一応、現段階ではそういうことでございます。
  200. 山口那津男

    山口那津男君 自治体の代表の一つであります東京都、ここで先進的な取組がなされております。もちろん、今大臣のお述べになった国の取組というもの、膨大な作業を積み重ねて順次御努力をした大変な成果だと思われるわけでありますが、東京都の資料によりますと、この現金主義のこれまでのやり方については、決算の終了後、そのデータを組み替えて財務諸表を作成するやり方では、財務諸表の作成に時間が掛かる、また、必要なデータが蓄積されていない、なお、財産に関するデータとのリンクがないなど一定の限界があり、その効果を十分に発揮できないことも明らかになったと、こう指摘した上で、日常の会計処理の段階から複式簿記、発生主義を導入することによって、決算を出すときにその添付資料として同時にこの財務諸表も出せるような仕組みを確立したと。これはもう本年度から実施をされるというところまで至っているわけですね。  ですから、国も是非こういうところまで至るべきだと。そうでないと、やっぱりタイムラグがある、後から追っ掛けるということでは、その有用性にも一定の限界が生じるということにならざるを得ないだろうと思います。この点についての見通しを大臣はどうお考えになりますか。
  201. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 東京都等の取組は私どもも十分注意をして、どういうふうな、何というんでしょうか、成果を出されるか、注目したいと思っているわけでございます。  それで、今私どもがやっている財務諸表の公表時期というのは、確かに若干時間が掛かるんですね。省庁別財務書類で申しますと、歳入歳出決算の計数が確定したごとに、その省庁ごとに一般会計、特別会計の財務書類を作って、それを合算あるいは相殺するというようなことで、それから更に関係法人を連結するというようなことをやりますので、大体その発表時期は決算の計数確定の翌年春ごろというふうになっております。  それから、国の財務書類一般会計、特別会計を合算し、さらに、一般会計だけのものと、それから特会と独立行政法人連結したものと、三つの財務書類を作っていくこと。それから、省庁や独立行政法人の間に相当膨大なやり取りがございますので、それから前年度の計数も併せて載せるというようなことをやっておりますと、大体、省庁別財務書類の完成から約五か月掛かるということでございますが、これはまあ一回目でございますので、今後、作業に慣れて手順ができ上がってまいりますともう少しスピードアップ、早期に公表できることも可能ではないかと思っておりますが、やはり限界があろうかと思っております。  それで、東京都等がやっておられるのは、私さっき申しましたように十分注目していきたいと思っているんですが、同時に、これは相当コストも掛かることだと思いますので、そのメリット、デメリット、それから東京都がどういう効果を上げられるか、私ども十分関心を持って研究していきたいと思っております。
  202. 山口那津男

    山口那津男君 大臣がおっしゃられたように、そのコストも掛かるわけですね。国がやろうとすれば膨大なコストになるだろうと思います。東京都でもそのシステム作成に当たってそういう議論がありまして、東京都のシステム確立には約二十四億円のコストが掛かると。しかし、その後、その結果を活用することによって歳出削減等の努力に結び付いて、年間五億円の削減効果が出ると。だから、まあ五年で元を取れると、こういう見通しの下にこのシステムを採用する、そういう決断をしたわけですね。  ですから、国としても是非そこまでちゃんとコスト分析もした上で、やっぱり長い目で見ればそれは有用性があることは明らかだと私は思うわけであります。是非、そのコストを掛けるべきか否か、どれぐらいのスパンでやるべきかということも含めて、鋭意検討すべきだと思うわけでありますが、大臣の御決意を伺いたいと思います。
  203. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 十分研究させていただきたいと思います。
  204. 山口那津男

    山口那津男君 そこで、この財務書類を作ったわけでありますが、これが行政改革のツールとして有効に機能するかどうかというのは、なお作りっ放しではならないわけであります。  まず、その作ったものが正確であるかどうか。これは、もちろん作成部門がそれぞれ所与の正確なデータに基づいてそれを積み重ねていくわけでありますから、およその正確性は推測できるわけでありますが、しかし、なお財務省がこれをまとめたとしても、元のものは各省庁で作っているわけですね。それを取りまとめたというだけでありますから、必ずしもそこで財務省がこれをチェックしたとは言い切れないわけですね。  私は、この財務書類の正確性をチェックできる、公正さを保てる、そういうチェックシステムというものを検討する必要があるだろうと思います。東京都でもこれは別途その仕組みを考えなければならないと、課題としてその認識を持っているわけですね。この点について、財務省はどうお考えになりますでしょうか。
  205. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) まず、財務書類作成そのものにつきましては、会計検査院の検査を受けております歳入歳出決算の計数ですとか、国有財産台帳価格等の計数を基礎として、財務書類作成基準に従って適切に作成されているとも思います。  しかし、先ほど大臣答弁もございましたが、公会計整備の取組につきましては、昨年九月にようやく、平成十五年度決算分の国の財務書類作成、公表されたことでようやく一通り出そろったところでございまして、まだまだ取り組まなければいけない課題は多いというふうに思っております。  今、山口委員が御指摘のように、その正確性をチェックするシステムについては、財務省としても会計検査院とも相談しながら、前向きに検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  206. 山口那津男

    山口那津男君 この点については、民間からは独立性のある公正な第三者機関を新たに設けるべきであると、こういう提言をするところもあるくらいでありまして、やはりこの正確性チェックの仕組みというのは、国民の納得を得られるような形で是非整備をしていただきたいと思います。  次に、財務書類作成基準、これを整備していく必要があると思います。  既に、これを国でつくるに当たって一定の基準というものを定めてつくられたということは承知しているわけでありますが、しかし、これでもうでき上がりというわけでもないだろうと私は思うんですね。特に、自治体でも公会計制度を整備しつつあるということを考えましたときに、それらと比較してだれが見ても分かりやすいような共通性というものも必要だろうと思います。しかし、今、東京都と国のものを単純に比較した場合には、その対応性については必ずしも分かりやすいものにはなっておりません。ですから、この作成基準、不断の見直しが必要だろうと思います。  そういう中で、例えば、先ほど庁舎の維持管理という点についてお尋ねしましたけれども、個別の庁舎についての維持管理のライフサイクルコストというのは今把握する仕組みがないということでありますが、これができ上がってきた場合に、その見通しが仮に確かだとしますと、耐用年数に応じたこの庁舎全体、施設全体の維持管理コストというものが把握できるようになってくるはずであります。そうした場合に、これを例えば長期修繕引当金のような形で数字として計上すると、将来必要になるその修繕あるいは維持管理コスト、これを債務として計上して資料にすると、こういうことも考えられないではないですね。  私は、それをやれという意味ではありませんけれども、そうした意味でも、様々な観点からこの作成基準というものを検討していく余地はまだまだ多いと思います。これらの取組とその検討の責任を持つ場所がどこになるのか、これについてお答えいただきたいと思います。
  207. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) 国の財務書類作成基準は、財政制度等審議会におきまして、専門家の皆様によった議論を経て取りあえず取りまとめられたものでございますが、山口委員の御指摘のとおり、まだその整備を一層推進を図るということは必要と考えておりまして、先ほど谷垣大臣からもお答えがありましたように、財政制度等審議会に対しまして更なる検討をお願いし、この四月四日からその検討が開始されたところでございます。  その論点は、今山口さん御指摘のように、国と地方との整合性ですとか国際基準に対する我が国基準との整合性等々といった論点がございまして、こういったことについて検討がされると承知しております。  そして、このお願いしている検討は、本年六月ごろを目途に中間的な取りまとめをしていただきたいということでお願いをしているところでございまして、財務省としてもしっかりと取組を行っていきたいというふうに考えております。
  208. 山口那津男

    山口那津男君 この財務書類を整備するその有用性として、一つは国全体のマクロ的な視点でこれを分析していくという点もありますが、それぞれの行政機関がそれぞれの事業を行うに当たってその事業のコストがどうなっているかというものを分析するようなミクロ的な分析というものも有用だろうと思います。  そこで、この個別の事業ごとに財務書類作成できるようになっているのかどうか、またこれからどうするのか、この点についてもお伺いしたいと思うんであります。  例えば、一つの役所の部門で、ある事業を行うとすると、その事業費というのは予算に分かるように計上されていると思いますけれども、しかし人件費等の一般的な管理費、これらは一括して別のところに計上されていると。そうすると、その事業がフルコストとして人件費等も含めてどれぐらい掛かっているのかというのは一見して予算書では分かりにくいということにもなるわけですね。これは工夫の要るところであります。  例えば、東京都では、その管理費のところは事業に従事する職員数の比率で案分をするということで仮にコストを出すと。これがその正真正銘のコストになるかどうかは別にして、まあ一つの基準であろうと思うわけですね。  そういう事業ごとのフルコストが分かるような仕組みというものを是非つくるべきであると思いますが、この点についての認識を伺いたいと思います。
  209. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) 今山口さん御提案の、この個別事業ごとの財務諸表の作成ということが可能であれば事業仕分けといったものも進みやすくなると私も思いますが、残念ながら、現行の会計システムでは施策ごとの決算額を把握する仕組みとはなっていないため、個別事業ごとの財務書類を作るということは現状では困難でございます。また、諸外国また民間企業においても、個別事業ごとの財務諸表を作成されているといった認識はまだないわけでございます。  ただ、現在、予算書、決算書につきまして、この表示科目が事業の内容と結び付いておらずに分かりにくいといった同様な御指摘も踏まえまして、表示科目が、項とか事項といった表示科目を政策評価制度上の単位である施策程度のくくりを原則として一致させて、予算と政策評価の連携を強化する方向で見直しを行っているところでございまして、この見直しの成果を踏まえて、省庁別財務書類などをどのようにして見直していくのかということも、同じような回答になって恐縮でございますが、今後検討をしっかりと進めていきたいというふうに考えております。
  210. 山口那津男

    山口那津男君 今、副大臣からも触れられた点でありますが、その予算と決算の対応関係が分かるように工夫をするという取組が行われているわけですね。これは是非やり遂げていただきたいと思うわけでありますが。  本来であれば、この予算とその執行のプロセスとそして決算というものがすべて追跡できるような仕組みというのをやっぱり整えていく必要があると思うんですね。国によっては、この執行面についても管理する部門というものをある程度の独立性を持たして、言わば執行管理者のようなものをつくって、その中間的な過程でこれをチェックできる、あるいは国会に報告すると、こういう仕組みを取っている国もあるんですね。  ですから、やはりこの点は、事業及びその予算の執行過程の透明性を高めるために是非考えていかなきゃならないところだろうと思いますが、この点についてどう御認識されているでしょうか。
  211. 赤羽一嘉

    ○副大臣(赤羽一嘉君) ちょっと細かい話になりますが、予算の執行につきましては、財政法の規定に基づいて、現在、国会の議決単位である項、項目の項ですね、項と、あとは経費の性質を表す目の制約の下に行われておりまして、決算書の方もその執行実績を項と目ごとに明示をしておるわけでございます。  ただ、予算書に今参考として事項別の内訳が記載をされておりますが、決算書の方は付いてないということで、これも大変分かりにくいといった、今、山口委員と同様の御指摘があることも踏まえまして、現在、財務省におきましても、各府省の協力を得つつ、決算書においても事項別の内訳を把握できるよう見直しを検討しているところでございまして、予算が執行されるプロセスが分かりやすいような工夫についてもしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。
  212. 山口那津男

    山口那津男君 東京都はその問題、難点にぶち当たったわけですね。そこで、そのリアルタイムといいますか、執行過程も通じて、最終的には決算のところですべて財務諸表がそろうようなシステムというものをつくったわけであります。そして、その基礎がありますから、事業ごとに財務諸表を割り出すことも可能となりますし、中間的なチェックということもできるようになるという一石何鳥という仕組みを工夫したわけですね。ですから、国の今のやり方では様々な限界というのがまだあるわけでありまして、単に予算書、決算書を突き合わせて見られるような資料を作るという次元の話だけではなくて、やっぱり数量分析もできるような、そういう全体的な取組というのは是非私は必要だろうと思うわけであります。  これができていきますと、別な側面から政策評価というものが順次進みつつあるわけでありますが、これは定性的な評価というものも入ったものでありますけれども、これとその財務書類が結び付けば、個々の事業の仕分、その必要性効果の検証、こういうものがもっともっと精緻にできるようになっていくわけであります。それらを通じて、ひいては予算編成のプロセスに反映されていくということになるわけですね。ですから、PDCA、プラン・ドゥー・チェック・アクション、そのサイクルの確立が必要だと、口で言うのは簡単でありますが、やっぱりその基礎となるようなシステムというものができ上がらないとこれは看板倒れに終わってしまうということですので、この点の整備、促進について、大臣、是非とも強力に、早期に行っていただきたいと思います。
  213. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、山口委員がおっしゃった政策評価ということですが、これは予算を重点化していこう、それから効率を図っていこうという手段の一つとして、私は大変大事なポイントだと思います。  現在、概算要求のときには各府省から政策評価調書を出していただいて、予算編成過程でそれを活用するということをやっております。この活用事例は年末に政策評価の活用状況ということで公表もさせていただいているわけですが、委員がおっしゃったように、これ単なる政策評価というだけじゃなく、予算書、決算書でも表示科目が分かりにくいと。今、赤羽副大臣との間で御議論いただいたわけですけれども、要するに表示科目、項、事項とそれから施策との対応というものをはっきりさせることによって、予算と政策評価の連携といいますか、それを強化する方向を、何というんでしょうか、つくっていくことができるというふうに思っております。  それから、こういうことをやって政策評価と十分突き合わせながらやっていくということと同時に、こういう見直しの成果を企業会計の考え方活用した財務書類にどういうふうに反映させていくかということも検討をしていただくことになっておりまして、これも大事な視点じゃないかなと思っているわけでございます。  こういうことをやりまして、政策評価あるいは財務書類の内容の充実を図って、予算編成過程の、何というんでしょうか、一層の質の向上というものを図っていきたいと考えております。
  214. 山口那津男

    山口那津男君 是非それを進めていただきたいと思います。  そして、最後に伺いますけれども、国のそうした取組と比較して先ほどから東京都の例を引き合いに出してまいりましたけれども、やはり同時に自治体もこういった仕組みを整えていく必要があるだろうと思います。総務省としてはそういう自治体の公会計の整備、制度の整備について促進をしてきたとは思いますけれども、なお未整備のところもありますし、またその基準についてはふぞろいなところもありますし、ばらばらだろうと思います。  これから国との整合性も考えながら、是非ともこの整備促進について努めていただきたいと思うわけでありますが、現状と今後の取組について総務省のお考えを伺いたいと思います。
  215. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 地方の公会計の整備についてお答え申し上げます。  この件につきましては、平成十二年並びに十三年に企業会計の手法を活用いたしましたバランスシート等のモデルを提示いたしまして、地方団体におきます普及定着を図ってきたところでございます。また、昨年の九月には地方三公社あるいは第三セクターなどを含みます連結のバランスシートのモデルを提示いたしまして、都道府県、政令市に対してその作成、公表をお願いいたしました。この三月には全都道府県、政令市で公表済みという状況に至っておるところでございます。  このような成果を踏まえますとともに、さらに今回行革推進法案におきましても、地方においても資産債務管理等の観点から公会計の整備を一層推進すると、こういうふうにされております。したがいまして、先般専門家から成ります新地方公会計制度研究会というものを設置いたしまして、御指摘の非常に先端的なモデルを策定いたしました東京都を始め、関係あるいは先進的な地方団体から取組の実情をお聞きいたしまして、更に議論を深めているという状況にございます。  今後につきましては、こういった研究会の成果を踏まえながら、御指摘のような国の財務諸表との整合性ということも留意しなければいけませんので、こういった観点に立って新しい財務書類の在り方を検討するとともに、地方団体に対しましてその作成、公表を積極的に取り組むように要請してまいりたいというふうに考えております。
  216. 山口那津男

    山口那津男君 今、国会では一方で行政改革議論をしているわけでありますが、今御議論さしていただきましたこの公会計制度の整備とその活用、これはその行政改革の言わば基礎的なツール、道具として極めて重要なものだろうと思いますので、今後とも大臣におかれましては、これらの整備方、大いに御努力いただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。
  217. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  国有地に関連して一点、具体的な問題で質問をさせていただきます。埼玉県の朝霞市のキャンプ跡地について質問いたします。  今地元では国の公務員住宅の移転が大変な問題になっているところでございますが、若干経過を少しだけ申し上げますと、二〇〇三年に国が朝霞市に通知を出しまして、この時点では、朝霞市としてどうその跡地を利用するかを、利用計画を市として、朝霞市として策定してほしいということでございました。二〇〇四年に朝霞市の利用計画の策定委員会が設置されて、二〇〇五年には市民懇談会が設置されて、市民参加でどう利用していくかを検討して、〇八年、二〇〇八年にまとめる作業に、そういう進行スケジュールでやってきているところでございます。  今のところ緑を生かした利用計画ということで、大規模な住宅を建てるということは想定していなかったわけでございますけれども、そういうときに、去年の、〇五年の十二月に、先ほども話出ましたけれども、国が国家公務員宿舎の移転・利用に関する有識者会議を設置されて、そして今年の一月の十九日にその朝霞のキャンプ跡地を移転候補地ということで打ち出したと。で、二月の二十七日に関東財務局が朝霞市に説明を行って、そのときにかなり財務局が先走った言い方をして、これは小泉総理の強い決意なんだと、できるだけ多く移転したいんだというようなことを迫ったわけでございます。  これはもう市当局はびっくりいたしまして、そういう計画で進んでおりませんので、三月の三日ですか、朝霞市長が谷垣大臣に要望に、面談に来られたということで、これは要するに跡地利用を市の意向を尊重してほしいというふうな申入れだったと思います。三月の二十三日には朝霞市議会が意見書を決議しておりまして、これも同様に市の意向を尊重してほしいと、一方的な案を押し付けないでほしいというふうなことでございました。  そういうところで、地元が先ほど申し上げたとおり大変な混乱を今生んでいるわけですけれども、私、四月七日に朝霞市を訪問いたしまして、地元の市民懇談会の皆さんあるいは市の助役さんともお話をしてきました。  要するに、市民の段階でいきますと、唐突な話だと、ごり押しをしてくれるなということと、市から、国の段階の有識者会議が六月にさっき言ったグランドデザインをまとめると、それに合わせてかどうか分かりませんが、市からとにかく六月までに、もうあとちょっとしかないわけですけれども、六月までにこの市民の意見をまとめてくれと言われているとか、いろんな混乱が生まれておりますし、助役さんは助役さんで年内に、当初は〇八年にまとめようと思った案を年内にまとめなきゃいけないということで、何を考えたか急いでいるわけでございますね。  以上が簡単に言えば経過でございますけれども、公務員宿舎を受け入れるかどうかは市民の皆さんが、市が、正確な情報に基づいて市の判断で、市民の判断で決めることだというふうに私思いますし、国がどうこうというよりも、私がどうこうというよりも市民が判断されることだと思いますが、まず情報が混乱しております。誤解が相当広がっております。国の意向とかこの権限の範囲とか正確に伝える必要があると思いますので幾つか質問したいと思いますけれども、時間にちょっと限りがありますので、岩井先生見習ってまとめて聞きたいと思いますので、まとめてお答えいただければと思います。  一点は、権限の問題でございますけれども、そもそも、あくまで市が策定する委員会が、市がどう利用するかを決めることが基本だということ。ですから、国は強いお願いをしているという関係だと。極端に言えば、朝霞市が拒否することが可能なんだということですね。そういう関係にあるということは間違いないかどうかと。あくまで市が決めることということですね、これはどうかということですね。  二つ目は、移転の戸数の話が、二十三区で二万戸がみんな来ちゃうのかという誤解も広がっております。そうすると、今の利用計画全部立てられちゃうと、こういう誤解も広がっておりますが、実際にはそうでないようでございます。あくまで戸数は今言えないということですが、私が聞いているところによると最低千戸、できれば三千戸程度お願いできないかという話が伝わっているようでございますが、この戸数の問題で相当誤解を与えておりますんで、一定のものを示していただきたいと。  三点目は、そういうことをお願いしている、回答してもらう期限の問題ですけれども、さっき言いましたとおり、市は何か慌てて、早く回答しなきゃいけないと、つまり公務員宿舎を受け入れるかどうかを早く回答しなきゃいけないということで、何か非常に慌てております。  しかし、この問題は、そもそも〇八年までに案を作ってくれというのが、国の正式な通知が残っていると思います。国がせかしているわけではないと私は思っておりますけれども、そこははっきりしておいた方がいいだろうというふうに思いますので、基本的にはあくまで〇八年に計画を作ってもらえればいいと。ただ、もちろん国が駄目かどうかを早く返事が欲しいという点はあると思いますが、この回答の期限について、特に国がせかしているわけではないということならば、そういうふうにはっきりとしてほしいと思います。  四点目は、谷垣大臣が朝霞の市長さんに要望を聞かれたと思いますんで、こういう問題に対する基本的な姿勢ですね。私は、現地の市の、自治体の意向を尊重してほしいと思いますが、谷垣大臣の所見をお伺いできればと思います。  以上四点、お願いします。
  218. 日野康臣

    政府参考人(日野康臣君) お答え申し上げます。  まず、留保地の取扱いについての国と地方公共団体との関係でございますけれども、大口返還財産の留保地の今後の取扱いというのが、平成十五年六月二十四日、財政制度等審議会……
  219. 大門実紀史

    大門実紀史君 そういう説明は要らないから。
  220. 日野康臣

    政府参考人(日野康臣君) はい。にありますが、その中に、「関係地方公共団体が、留保地の管理処分の主体である国と緊密に連携しつつ、主導的に実現可能な利用計画を策定していくことが適当である。」というふうに、地方公共団体が主導的に策定していくことが適当ということになってございますので、これはあくまでも、地方公共団体がそういった意味で作っていただき、私どもはそれを尊重をするという関係にございます。  それから、戸数についてでございますけれども、東京二十三区に所在します約二万二千戸の宿舎の中には効率的に利用されているものもありまして、すべてが移転対象となっているわけではございません。また、移転対象となっている宿舎についてすべてを朝霞市に移転することは考えておりません。現在、そのほか小金井とか府中とか横浜など、その他の移転候補地と同様に、移転の受入れ可能性について市の当局と交渉を開始させていただいているという状況でございます。  それから、三点目が回答期限の関係でございます。  私どもの方から回答をいついつまでに出してほしいというようなお願いをした事実はございません。先ほど先生が御指摘ありましたように、公務員宿舎の在り方について今、有識者会議が開催され検討をしていただいているわけですけれども、その会議におきまして、宿舎の移転再配置を早急かつ円滑に進める上で、郊外に新たな宿舎を建設し得る候補地の一つとしてこのキャンプ朝霞跡地が検討の対象となっておりまして、これを踏まえて、朝霞市に対して宿舎としての利用可能性について検討をお願いしたということでございます。  朝霞市におきましては、このキャンプ朝霞跡地の利用計画について検討中というふうに承知しておりまして、宿舎としての利用可能性については同計画を策定されるに当たっての地元の意向を尊重させていただきたいというふうに考えております。  なお、私どもといたしましては、先ほど言いましたように、いつまでに結論を出していただきたいというお願いした事実はございませんが、いずれにせよ、朝霞市で利用計画検討の上、できるだけ早期に何らかの方向性をお示しいただければ私どもとしては有り難いと、こういう立場でございます。
  221. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 朝霞の市長さんに私のところまでおいでいただいていろいろお話もさせていただいたわけでございますが、この種の案件では、地元関係者と調整を十分にやって、そして検討を進めていくということが私は基本だと思うんですね。ですから、この朝霞の件につきましても、地元関係者の方々と十分に協議させていただいて、その御意向を踏まえて、御理解、御協力を得ながら進めていくということだと考えております。
  222. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。いろいろ混乱が整理されたというふうに思いますので、地元の皆さんのじっくりと判断を待っていただきたいと思います。  今回の法案について意見と態度だけ明らかにしておきたいと思いますけれども、国有財産の有効利用、あるいは財政に寄与するために売却するというのは、そのものは賛成でございます。国民の願いでもあると思いますし、大きな流れとしては賛成でございますが、ただ、そういうときこそ私はよくいろいろなことを判断をして分析もしておく必要があるというふうに思って、いろいろこの法案に関連するものを分析いたしましたけど、一言で言うと大変うさん臭いものがあると。  といいますのは、今日はもう詳しく言いませんが、有識者会議に大手の不動産会社、デベロッパーそのものが入っているということですね。しかも、座長さんが業界団体と非常に関係の深い学者さんであるということですね。私、この法案スキーム自体も、これはまあ道具は使いようかも分かりませんけれども、そういう人たちに非常にもうかる、もうけ仕事を与えるものになりかねないし、既にそういうことが、私この委員会で大手町の国有地問題取り上げましたけれども、あちこちで起きているという点がございます。  ですから、官から民というのは、裏を返せば、何のことはない、大企業のもうけ話だったというのも結構あるわけでございますよね。そういう可能性がこの法案には含まれているということで、後々の問題を考えますと、残念ながら賛成できないということでございます。  その国有地全体と利権構造については行政改革特別委員会でじっくりと明らかにしていきたいと思いますので、そちらの方をお楽しみにいただきたいと思いますけれども、そういうことで、法案の態度はそういうことでございます。  この間取り上げてきたサラ金問題、先ほど平野先生からもございましたけれども、今日とあしたが大変重要な局面を迎えているんで、この問題、どうしても取り上げさせていただきたいというふうに思います。  アイフル問題も私やろうと思ったんですけど、平野さんから詳しく、また厳しく追及がございました。アイフル被害はかねてから問題になっておりまして、確かに私も後ればせながらの対応だと思いますけれども、ただ、業務停止命令という断固とした措置をとられたということは、私は、この前の三井住友もそうですけれども、最近の金融庁、与謝野大臣の姿勢というのは、まあ平野先生よりは随分評価をさせていただいていると、大したもんだと敬意を表したいという点も申し上げておきたいと思います。まあ普通天まで持ち上げると必ず落とすもんですけど、なかなか落とすところはなくって、頑張っていただいているというふうに今の段階では申し上げたいと思います。  ただ、このアイフル問題というのは、ほかのサラ金もやっている可能性というのは平野先生指摘されました。同時に、是非与謝野大臣に知ってほしいんですけれども、このアイフルというのは取立ての不当性、違法行為だけじゃないんですよね。  是非、もう簡単に言っておきますけど、例えば不動産担保ローンってなっているんですよ。これはどういうものかといいますと、複数のサラ金から借りてるのを、おまとめローンというんですけれども、まとめて、その代わり債務者あるいは保証人の不動産を担保に取っちゃうんです。これはさすがにほかのサラ金大手はやっていなくて、アイフルだけがやっているんですね。これは大変問題になっておりますし、例えば月八万円の年金生活者に貸し込んで自宅を取っちゃうと、こんなことを平気でやっているわけでございます。こういうもの、不動産担保ローンがアイフルの中で営業収入の二割近くを占めておりますんで、大変なことをやっているということですね。  もう一つ知っていただきたいのは、消費者信用団体生命保険というのがあります。これも簡単に申し上げますと、債務者に保険を掛けるんです。死んだら保険から借金を回収しようというわけですね。これは実際にはいろんな事件が起きていまして、アイフルで取立てで自殺に追い込まれて、しかもそのお金を生命保険からもらうと。ですから、悲しんでいる遺族のところに死亡診断書を送れというふうなことがあって、これは僕はもう人間のやることではないと思っておりますけれども、そんなこともやっております。  具体的な事例でいくと、六十七歳のおばあちゃんがアイフルのわずか六十万円、利息含めてですけど、六十万円の借金で追い込まれて自殺されたんですね。その家族のところに死亡診断書を出せと、この団体生命からお金をもらうためですね、そんなことをやっていたりしております。  一言言っておきますと、このアイフルと提携している保険会社というのは、私はこの委員会で何度も取り上げてまいりました例の明治安田生命ですね。保険金不払をやって大問題になりましたですね。このサラ金にはすぐ保険金をさっと払うわけですね。こういう、みんなぐるになって人を追い込んでいるというふうなのがこのアイフルでございまして、私はこれはもうやみ金と何が違うのかと。このアイフルなんというのはもう合法的やみ金だと言いたいぐらいのところでございますので、こういう今回以外にも非常に、法に触れなきゃいいってもんじゃないんですよね。もう、何というんですか、人間のやることじゃないということをやっているということを知っていただきたいと思いますし、御存じなければ、ちょっとそういうことも含めて所見を一言与謝野大臣から伺いたいと思います。
  223. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 今回の処分は、法令に基づき、また事実に基づいて、金融庁として適正な処分をしたと思っております。  ただ、全体を眺めてみますと、過剰貸付けに関するいろいろな措置が法律の中に書いてありません。過剰貸付けは行政処分の対象になっていないとか、幾つか法令上、皆様方に御検討をいただかなければならない点も出てまいりましたので、明日、実は金融庁の中での貸金業に関する懇談会、一応座長報告書を取りまとめます。そういう中にもいろんな多くの有益な意見が出てまいると思いますので、これは国会の皆様方にもいろいろ御意見を出していただいて、貸金業全体が本当に健全な産業になるように私どもは努めていかなければならないと思っております。
  224. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  そのあした中間まとめが出る懇談会について、これは出る前に大臣がいろいろかえっておっしゃりにくいでしょうから、分かっているんですけれども。これも私は、何といいますか、長年のこのサラ金問題に取り組んできた現場の弁護士さんたちとかいろんな団体の方々の長い間のこの取組の成果でもあるし、直接的に言えば、あの委員会、懇談会の委員の皆さんが大変いい発言をされてこられているし、一部変なのもおりますけれども、金融庁がまたいいリードを今までされてきて、大臣の姿勢と後藤田政務官の頑張り、奮闘でここまで来ているということも評価をしたいと思います。  その上で、少し気になることがありますんで、一昨日の委員会の流れでいきますと、委員会の中間まとめに書いてあるとおりですけれども、おおむね利息制限法の水準まで下げる方向で、下げる意見が多かったということがあって、ただ、どうするかというところで、事もあろうに、こういう案もありますよという形で、利息制限法を上げて出資法に金利を合わせると、こんな意見もあります。あるいは、中間的な金利に一本化すると、こんな意見もありますって併記しちゃったもんですから、一昨日の委員会では委員の方から異論が出て、金利を上げろなんてだれが言ったんだといって相当異論が出て、普通、中間取りまとめをそういうもので出したときは普通しゃんしゃんで、座長が言えば、もう今までの経過もあるから普通しゃんしゃんで通るわけですよね。そこが覆っちゃったんです。駄目だということになっちゃったと。それを後藤田さんがきちっとまとめられて、出資法金利を下げる方向での中間整理作り直すということで一昨日はまとめて終わられたわけですね。ですから、あした出てくるのはそういうものではないというふうに期待をしているところでございますけれども。  その座長メモ、みんなにたたかれた座長メモは、私聞きましたら、座長さん一人で作ったんじゃなくって、金融庁の事務局も意見を言って一緒に作ったということをはっきりレクで聞きました。僕はここでちょっと心配なのは、金融庁自身が高金利を引き下げる方向で頑張っておられるということは疑っておりませんけれども、最後のところで、最後のところで、何といいますか、役人独特の日和見といいますかね、あるいは責任をかぶりたくないといいますかね、それでその業界団体の意見を、こういうのもありますよというふうに併記しちゃったんじゃないかと思う心配が一つ。  もう一つは、これは与謝野さんとか後藤田さんが高等戦術で、そういうのを併記してあそこに出したら必ずたたかれるだろうと、つぶれるだろうというようなことを見越して出されたのかと、そういう、そこまで高等戦術なのか。だったらいいんですけれども、前者の方だと、今後、金融庁の事務方の役人さんの部分ですけれども、対応が非常に心配しているところでございます。  何お聞きしても明日のまとめということになると思いますが、何かおっしゃりたいことあれば、大臣の意見を聞きたいと思います。
  225. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私、局長以下事務方には、座長報告書を作るときには当然事務方が取りまとめやなんかをお手伝いをするわけですけれども、懇談会の意見が正確に反映されるように、言わば金融庁としての考え方や意見というものはもちろん当然入れないだろうけれども、そこは中立的に懇談会の意見を正確に反映する報告書を作んなきゃいけないと。これはもうあらかじめ前から厳命しておりますので、それはきちんと出てまいると思います。  加えまして、これは公開でやっておりますし、また議事録も公開されますので、そこに作り事の入る余地はないと思っております。また、貸手側ももちろん出ておられますが、これはオブザーバーとして出ておられると。オブザーバーも大事な存在でございますけれども、オブザーバーはあくまでもオブザーバーであると私は思っております。
  226. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  明日の出てくるものは非常に期待されると思います。  中間整理でございますけれども、出た後の話ですけれども、結局これは議員立法になるのかというところでございますけれども、もちろん経過があって議員立法というふうになりがちなんですけれども、別に必ず議員立法でなければいけないとは限らないんですよね。そんな縛りはどこにもないんです、経過からしてだけなんですね。私、このまとめは、もちろんこれからの課題一杯あるでしょうけれども、私はかなり前進的な、今までにすると画期的なものが出てくるんではないかということの前提ですけれども、そうした場合、これから議員立法になって、私、予算委員会でやりましたけれども、また業界団体の意向を受けた人たちのぐちゃぐちゃな話になってくるという可能性もあるわけでございます。  私は思い切って、思い切って金融庁の懇談会がまとめられた方向で、金融庁自身が法改正の提案をされたらどうかと。私は、与謝野大臣のときにしかできないことだと。これをやれば、もう歴史に残る金融担当大臣になられると思いますけれども、金融庁として提案する御意思はございませんか。
  227. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 実は貸金業法も出資法も法務省の所管であるわけですから、内閣提出ということになりますと、実は法務省の仕事であるわけでございます。もちろん法務省の方から求められれば、我々積極的に意見を申し上げますけれども、まだそのすべてを予断を持って全部お話ししても間違うと思います。  というのは、明日懇談会の取りまとめが出てまいりますし、また与党の皆様方もまた野党の皆様方もそれぞれいろいろな意見があります。そういう中で、金融庁としてはどの方向が正しい筋道かということも考えなきゃいけない。一歩一歩進んでいく、今はその過程であると私は思っております。閣法でやるか議員立法でやるかというのは今までの経過がございますけれども、内閣提出ということになりますと、実は金融庁の所管でないということでございます。
  228. 大門実紀史

    大門実紀史君 出資法はそうですけれども、貸金業法もかかわりますから、金融庁の所管の部分もございますので、そういうことも視野に入れていただければと思います。  最後にお聞きしたいのは、いずれにせよ、これ引き下げていくという流れになると思います。私、この機会にちょっと大きな、大きな視点で、国民の生活資金融資がどうあるべきかということもこのサラ金問題で酌み取るべき教訓じゃないかと思っております。  今、公的な緊急生活資金融資というのはないことはありません、あるんですけれども、非常に低所得にとか、もう生活保護世帯レベルに近いところでないと貸さないとか、貸す場合も一か月かかるとかですね。非常に、ですから利用している人は一万七千件ぐらいで、サラ金は二千万人ですから、その間の人たちが、今格差が広がってもうぎりぎりで暮らしている人たちが増えているわけですね。そういう人たちが、もうどこにも借りられない、銀行も貸してくれないから、カードとかサラ金にと。で、ここまで、それがつまずいて多重債務まで陥る人がそのうちの十分の一と、こういう道筋になっているところを考えますと、公的な、福祉的なといいますか、公的な生活資金のいざというときのセーフティーネットも、今後このサラ金の金利が引き下げられていくという中で考えていく、検討していくことは必要ではないかと。それが外国じゃ、とにかくこんな日本みたいな巨大なサラ金業が繁栄しているところはありませんから、日本だけですからね、サラ金しかなかったというのはですね。  ですから、そういう公的な、ばくっとした話かも分かりませんが、今後の方向で結構なんですけれども、公的な国民のいざというときの生活資金融資も検討していく必要があるんじゃないかと思いますが、方向性で結構ですが、大臣のお考え聞きたいと思います。
  229. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) なかなか、例えば多重債務者を直接的に救済するというのは恐らく法体系としては極めて難しいんではないかと思います。しかし、事前に御相談にあずかる制度とか、事後に御相談にあずかる制度とか、あるいは破産という形で整理することをお手伝いするとか、様々なことは実はできるんだろうと思っております。  債権債務関係を直接解消するという手だては多分ないと思いますけれども、その周辺において、その方が何らかの立ち直りのきっかけをつかむための公的な御相談というのはあってしかるべきという意見もあります。また、法務省がやります法律の扶助センターと申しますか、そういうセンターができますので、そういうところもいろいろな物の考え方を指導してくれるだろうと思っております。  なお、先ほど答弁の中で法務省所管と申しましたのでもう一度整理しておきますと、出資法は法務省の所管、利息制限法も法務省の所管、貸金業法は金融庁の所管でございます。  以上です。
  230. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。とにかく、これからの公的生活資金といいますか、福祉的なそういうものが求められている時代に入ってきているというふうに思いますので、是非そういうことも含めて今後御検討をお願いしたいと思います。  今日はありがとうございました。終わります。
  231. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数です。  まず、私、一点目に庁舎の耐震整備の見通しについてお伺いいたします。  平成七年一月に発生した阪神・淡路大震災では六千四百三十三人の尊い生命が奪われましたが、地震発生直後の犠牲者の八割以上が建築物の倒壊による窒息死、そして圧死であったと言われています。このため建築物の耐震化に早急に取り組むことが国家的な緊急課題となっており、平成十七年九月二十七日に行われました中央防災会議においても、国の庁舎等は、大規模地震発生時における被害情報の収集や災害対策の指示など緊急時の応急活動の拠点となることから、強力に庁舎等の公共建築物について耐震化の促進に取り組むとの方針が決定されています。  そこで、国土交通省にお伺いいたしますが、国の庁舎のうちに、まず耐震基準を満たしていない庁舎の状況と、これまでの耐震化の取組、そして今後の方針、どのように持っていかれるのか、最初にお伺いいたします。
  232. 奥田修一

    政府参考人(奥田修一君) 官庁施設の耐震性につきまして、私ども、阪神・淡路大震災の被害を受けまして、平成八年十月に官庁施設の総合耐震計画基準、官庁施設の総合耐震診断・改修基準を制定しておりまして、これまでの取組といたしまして、同基準に沿った耐震診断を実施しており、これまで構造体の耐震診断はほぼ終了しておりまして、既に約八十棟の耐震改修を実施してきているところでございます。  現在の耐震化の状況につきましては、所掌官庁施設約三千二百棟のうち、構造体につきまして耐震性能の基準を満たす割合は全体で約六八%ということになってございます。これらの耐震性能が十分でない施設につきましては、施設の重要度、耐震性能等を考慮して計画的に耐震改修又は建て替えを実施するということにしておりまして、耐震改修も重点的に実施することにしておりますけれども、建て替えの実施に当たりましては、今回の制度改正によります特定国有財産整備特別会計も活用させていただきまして、一層の耐震化を推進していきたいと考えております。  以上でございます。
  233. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 平成十八年一月の財政制度等審議会の答申では、耐震性能を満たしておらずに緊急に建て替えが必要となる合同庁舎の整備費用として一千百億円を見込んでおられますが、この整備は今後どのような方針で行っていかれるのでしょうか。
  234. 牧野治郎

    政府参考人牧野治郎君) お答えをいたします。  現時点で緊急に建て替えが必要な合同庁舎として、既存庁舎の耐震性が不足している官署の割合が、面積ベースでございますが、半分以上を占める庁舎、これを対象といたしますと、国土交通省において約一千百億円相当の整備費が必要と見込んでおられます。  合同庁舎の整備に当たりましては、既存庁舎の耐震性の水準、それから入居予定官署のうち既存庁舎が耐震性不足となっている官署の割合、これも面積ベースでございますが、それから災害対策基本法上の位置付けなど、入居官署の果たす防災上の役割などを客観的なデータに基づきまして整備の優先度を判定していきたいと、そして重点的、計画的に対応していきたいというように考えております。
  235. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、特定国有財産整備特別会計、特特会計の整備費ですが、平成元年以降の地方ブロック機関や研究機関などを東京都区部の外に移転したその事業等の関係で増加して、平成四年度にはこれは決算額によりますと二千八百五十五億円とピークに達しましたが、その後、財務の健全性の観点から縮小に転じて、平成十八年度には予算額三十五億円となっています。このような中で一千百億円の整備費をこの特特会計で賄うには何十年も掛かるように思われますが、具体的な見通しはあるのでしょうか。  また、今国会に提出されている行政改革の推進法案によりますと、特特会計は平成二十二年度を目途に一般会計に統合するとしています。これは、この五年間で一千百億円の耐震改修の整備方針をまとめ、実行に移していくというふうに理解してもよろしいのでしょうか。財務大臣の御見解をお伺いいたします。
  236. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今回の法改正では、庁舎の使用について省庁横断的な調整を徹底してやっていこうと、そうして不用となる財産について、いわゆる特特会計の中で必要な耐震性を備えた合同庁舎の整備財源として活用していこうと、そういう仕組みを今度入れていただくわけですね。  それで、確かに今まで、さっき御指摘のように、最近では特特会計の事業費は減少してきておりますが、これは国の行政機関等の移転などにかかわる大規模事業がほぼ完了したとか、あるいはPFI手法の活用で当面の単年度当たり事業費が減ったとか、近年、処分対象財産の処分に一生懸命やってきましたので、借入金残高圧縮に努めてきた、いろんなことがございます。  今度はこういう新しい仕組みを入れていただきますので、それで庁舎の耐震化に取り組んでいくわけですが、御指摘のように、平成二十二度を目途として一般会計に統合されるという予定でございますので、これを念頭に入れて約千百億円が必要と見込まれる合同庁舎の整備について、今後、具体的な計画を作っていかなければならないと考えておりまして、努力をしてそれできちっと仕上げたいと思っております。
  237. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、在日米軍の再編問題についてお伺いいたします。  谷垣大臣の御所見をまず冒頭にお伺いしたいのは、この在日米軍の再編協議の焦点の一つでありますが、米軍普天間飛行場の代替施設に関して、去る四月七日に額賀防衛庁長官と名護市の島袋市長が名護市のキャンプ・シュワブ沿岸への移設で合意したことになっておりますが、この合意は、さきの中間報告で示された沿岸案を大幅に修正し、滑走路を二本設けるという新たな巨大軍事基地の建設で合意をしています。  報道によりますと、谷垣大臣も関係閣僚のお一人として額賀長官からこの大幅な修正案について事前に説明を受け、了承されたということですが、その関係閣僚の会合では財政的な観点からも話がされましたでしょうか。例えば、一本の滑走路を二本にするというのは、これ財政面からいたしましてもかなり財政が増大するわけで、そのような話もなく了承されたのであれば極めて問題であります。  そこでお伺いいたしますが、この厳しい国の財政状況の中で歳出削減が求められている折、しかも沖縄の米海兵隊のグアム移転に関する日本側の移転費用の分担、この負担金が今大変大きな論議を呼んでいる状況の中で、財政面の問題も指摘もなく二本の滑走路を造るということになったのでしょうか。その点について、谷垣財務大臣の御所見を、御見解をお伺いいたします。
  238. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 四月七日に防衛庁と自治体との間で普天間飛行場代替施設の建設に係る基本合意書が締結された。この基本合意に基づく代替施設の所要経費は、今防衛庁は、施設の規模などが今後具体的な計画を策定する中で決まりますので、現時点で建設経費を見積もることが困難というふうにしているわけです。それで、こういうふうに本件はまだ規模などが確定しておりませんので、所要経費について議論できる状況にはまだございません。  いずれにせよ、普天間代替施設の建設の推進は、地元の負担の軽減あるいは抑止力の維持ということに資するものでございますから、今後、地元や米国との間で成案が得られれば、防衛庁からしかるべく予算要求がなされるものと考えております。  したがいまして、まだ規模や建設費が確定しておりませんので、その建設について了承したという事実はございません。
  239. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  それでは防衛庁にお伺いしたいと思います。  まず一点目に、今回合意されました、これは修正案ですね、修正沿岸案において現時点で、先ほど谷垣大臣からもございました、何も分かっていないというところなんですが、何が不明なのか、今この現時点で分かっているところを明らかにしていただきたいと思います。  例えば具体的に申し上げますと、修正されたこの沿岸案の予算、それから施設規模、埋立面積、二本の滑走路の長さ、そして滑走路の方位などお伺いしたいと思います。
  240. 渡部厚

    政府参考人(渡部厚君) お答え申し上げます。  四月七日、防衛庁長官と名護市長及び宜野座村長との間で、普天間飛行場代替施設の建設に係る基本合意書を交わしたところでございます。  その合意の内容といたしましては、一点目、名護市及び宜野座村上空の飛行ルートを回避する。二点目、政府案を基本に、住民の安全、環境の保全、実行可能性に留意する。三点目、防衛庁と関係地方公共団体は、当基本合意を基に誠意をもって継続的に協議し結論を得る。四点目、平成十四年に合意いたしました使用協定に係る基本合意書を踏まえ使用協定を締結する。五点目、米軍再編の閣議決定を行う際には、平成十一年の閣議決定を踏まえ地元と事前に協議をするという内容でございます。  施設の位置あるいは滑走路の方位の概略につきましては、この基本合意書に添付されております図面に示されているとおりでございますけれども、代替施設の予算、施設規模、埋立て面積、滑走路の具体的な長さなどにつきましては、今後具体的な計画を策定する中で決定されるものでございますので、現時点では確たることは申し上げられません。
  241. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今進められている日米のその審議官級の協議について次はお伺いしたいと思いますが、アメリカ側はこの修正された沿岸案について了承したと報じられておりますが、政府側は二本のその滑走路の使用について、明確に着陸用とそれから離陸用と限定して米側に説明をして了承を得たのでしょうか。例えば、その滑走路を着陸用とか離陸用とか限定するのは、その風向きを含めあるいはその飛行場の機能からするとあり得ないことなんですが、そういう時点で米側が本当にこの二本の滑走路、離着陸用ということを了承したのかどうか、この点を明確にしていただきたいと思います。
  242. 渡部厚

    政府参考人(渡部厚君) お答えいたします。  先般の合意につきましては、代替施設の建設につきまして、先ほど申し上げましたように、政府案を基本といたしまして、住民の安全、環境の保全、実行可能性に留意すること、また周辺地域上空の飛行ルートを回避する方向でいわゆる二本の滑走路を使用いたしましたV字型案とすることで合意したものでございます。  基本合意書に添付されております図面で示されますように、代替施設に二本の滑走路をV字型に配置いたしまして離陸と着陸によって滑走路を使い分けるとしたのは、名護市及び宜野座村の強い要請を踏まえまして、いずれの地域の上空も飛行しないことを確保するために防衛庁側から提案いたしまして御理解をいただいたものでございまして、こうした合意内容につきましては米側からもおおむね理解を得ているということでございます。
  243. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に伺いますが、この施設の完成までの具体的なスケジュールについてお伺いいたします。  日米間で最終的な合意がなされますと、閣議決定をして在日米軍再編推進法案を出し、更に基本計画を策定し、実施計画をまとめ、環境アセスメントを経て埋立て申請、工事に着工することというふうに考えます。完成までのこれからのそのスケジュールについて、大まかでも構いませんのでお示しをいただきたいと思います。
  244. 渡部厚

    政府参考人(渡部厚君) お答えいたします。  御案内のとおり、普天間飛行場の移設を含む在日米軍の兵力態勢の再編につきましては、できる限り早く最終的な取りまとめを行っていくための協議を精力的に行っているところでございます。  先般合意されましたV字型滑走路案に係るスケジュールを含めまして、御指摘のような具体的な措置につきましては現時点では決定されておりませんので、お答えができませんことを御理解いただきたいと思います。
  245. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、今回の合意において、普天間飛行場代替施設の建設に係る基本合意書が取り交わされていますが、その中で、政府は、平成十四年七月二十九日に合意した代替施設の使用協定に係る基本合意書を踏まえ、使用協定を締結するとあります。このときの基本合意書は、日米間で代替施設の使用に際し、先ほどもありましたが、安全対策及び騒音対策、環境対策、代替施設への立入り、騒音防止等の適切な司令部の責任、この四点について使用協定を結ぶものでありますが、そのような内容で使用協定を結ぶという、その理解でよろしいでしょうか。使用協定を結ぶかどうかだけ、教えていただきたいと思います。
  246. 渡部厚

    政府参考人(渡部厚君) お答えいたします。  四月七日に名護市との間で合意いたしました基本合意書におきましては、政府は、平成十四年七月二十九日に合意した代替施設の使用協定に係る基本合意書を踏まえ、使用協定を締結するものとするというふうに合意したところでございます。この平成十四年の代替施設の使用協定に係る基本合意書におきましては、今先生御指摘のとおり、安全対策及び騒音対策、環境対策、代替施設への立入り、騒音防止等のための適切な司令部の責任に関する措置といったことについて記されているものと承知しておりますが、今後締結することといたしております使用協定の内容に関する政府としての具体的な方針につきましては名護市との合意内容を踏まえて検討することとしておりますが、現時点では決まっておりませんので、具体的に申し上げられないことにつき御理解いただきたいと思います。
  247. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 最後に伺いますが、閣議決定についてお伺いしたいと思います。  今回のその基本合意書では、平成十一年の十二月二十八日の普天間飛行場の移設に係る政府方針、いわゆる閣議決定を踏まえとあります。さきのその閣議決定を踏まえるという趣旨について、今回どう理解すべきなのか、御説明、できるだけ分かりやすく教えていただきたいと思います。
  248. 渡部厚

    政府参考人(渡部厚君) お答えします。  四月七日に名護市との間で合意されました基本合意書におきましては、政府は、米軍再編の日米合意を実施するための閣議決定を行う際には、平成十一年十二月二十八日の普天間飛行場の移設に係る政府方針、閣議決定でございますが、この政府方針を踏まえ、沖縄県、名護市及び関係地方公共団体と事前にその内容について、協議することに合意するとされているところでございます。  このような基本的考え方に従いまして、今後、沖縄県あるいは名護市及び関係地方公共団体と協議を行っていくわけでございますけれども、現時点におきましては、平成十一年の閣議決定を踏まえてどのように米軍再編の日米合意を実施するための閣議決定を行うかということについては決まっておりませんので、具体的なことを申し上げる段階にはございません。
  249. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今防衛庁に五点お伺いいたしましたけれども、今回合意されましたこの修正沿岸案において、現時点で何が分かっていて何が不明なのか、今御答弁いただきましても分かりませんでした。本当に、具体的に申し上げますと、先ほどの修正された沿岸案の予算、施設規模、埋立て面積、二本の滑走路の長さ、滑走路の方向などもよく分からないわけですが、今回のこの額賀長官が図面の上にただ二本の線を引き、島袋市長との間で合意したにすぎない沿岸案、そのような感じがいたします。  この修正案の内容なのですが、これは県民世論からいたしますと、県民として大きな反発がございます。沖縄の地元二紙の世論調査では七割が反対の意思を表明していますし、県民としてこの修正案を認めるわけにはいきません。地元の世論調査において、県民はなぜ合意された沿岸案に反対なのか、その理由の中で最も多いのが、沖縄の基地の削減にはなっていないということです。新たな基地被害が出るということ、それから自然を破壊するということで多くの県民が反対しています。  結果から申し上げますと、国民、県民にとって、今回の合意は新たな基地建設であって、地元の基地負担の軽減というふうには県民は理解していないということであります。基地被害や環境破壊に懸念を示している、このことを政府は本当に肝に銘じていただきたいと思います。  今回の在日米軍の再編において県民が期待いたしましたのは過重な基地負担の軽減であります。  政府は、那覇軍港や牧港補給基地、キャンプ・キンザーのように、それこそ遊休地になっている、今ほとんど米軍が使用してない、そういう基地を返還すると言っております。例えば、キャンプ桑江の全面返還、併せてキャンプ瑞慶覧や貯蔵施設の一部返還、そして移転費用の日本側負担が問題となっている沖縄の米海兵隊司令部のグアムへの移転など、日本政府が地元の負担軽減と見ているのは、真の沖縄の負担軽減にはなり得ておりません。  地元の負担軽減というのは、県民の生命や財産の危機にさらされる事件や事故、ほとんど米軍関係から発生しているこの事件や事故、そして騒音など日常の生活において被害が生じていることに対してその負担を軽減するのが県民の求めている負担軽減であります。その点で申し上げますならば、真の負担軽減は、一日も早く普天間飛行場の危険を除去することが最優先されるべきだというふうに考えます。  今回の米軍再編において政府が地元の負担軽減となると主張される牧港補給基地、キャンプ・キンザーですが、それと那覇軍港、キャンプ桑江の全面返還、さらに、キャンプ瑞慶覧や貯蔵施設の一部返還は、ほとんどが遊休化し、要らなくなった施設、むしろ米側が返還したがっているその施設を返還する合意内容になっています。  例えば、那覇軍港など年間三十回ほどしか使われていません。これ、沖縄県がアメリカの陸軍に問い合わせて分かった結果でありますが、同那覇軍港へのこの米軍の軍用船の入港は平成十一年がたった三十七回、平成十二年が三十八回、平成十三年が三十九回、十四年が三十五回という、そういう回答がございました。もちろん、キャンプ・キンザーやキャンプ桑江も遊休化しておりますし、米側は要らなくなったその施設を返還するだけのことであります。沖縄の海兵隊の司令部がグアムへ移転することも米側の戦略的な意図によるものでありまして、今県民が本当に求めているのは、この危険な普天間基地の早期返還であります。  普天間飛行場の返還も、今の状況ですと代替施設との引換えということで、忘れていただいて本当に困りますのは、こういう普天間の基地を代替施設を造ってのその返還ということになりますと、巨大な嘉手納基地が今沖縄にはあります、これは四千メートルの滑走路二本を擁し、極東最大の米軍基地であり、沖縄をして不沈空母と言わしめている巨大な基地の存在でありますが、こういう基地を抱えていながら、更に嘉手納飛行場から車で約一時間の場所に名護市の辺野古のキャンプ・シュワブに新たな二本の滑走路を持つ基地を建設する。小さな島にアメリカの空軍と、そしてアメリカの海兵隊の巨大な航空基地を二つ抱えることになってしまいます。  日本政府がどのような厳しい条件を出しても、いったんこのような軍事基地を造ってしまいますと、いかようにも使用されていきます。沖縄県民はそのことをこれまでのこの米軍の基地の実態から見てよく知っております。ですから、造らせないことが県民の最大の目標であるわけです。  この在日米軍の再編の最終合意に向けては、一日も早い普天間飛行場の閉鎖による危険除去と、そして新たな基地建設の合意を撤回していただくように要請をしていく、これが私の沖縄県民からエールを送られている最大な基地の負担軽減でございますが、最後に谷垣財務大臣にお伺いいたします。  先ほども申し上げましたように、今の日本財政が困難な中で新たなこういうふうな施設を造ることに対して、日本のその財政状況と併せてどのような御所見をお持ちか、グアムへの海兵隊のその移転費用のことも併せて御所見をお伺いして、終わりたいと思います。
  250. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今いろいろ県民としての御意見がございましたけれども、私は、今回のは、基本的に沖縄県民の負担を軽減するということと、それから、日米安保の抑止力はしっかり維持していくという目的のためにやるわけでございますが、まだ具体的な経費等は何も決まっておりませんので、今の段階で私としてお答えできることはございません。今後、具体的に決まりましたら、防衛庁等々から具体的な予算要求もあろうかと思いますが、その段階でしっかり議論させていただきたいと思っております。
  251. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今財務大臣のお答えの中に、日米安保の維持ということと、それから抑止力というその観点についてお話ございましたけれど、こういう抑止力の維持のために戦後六十一年もこの沖縄に米軍の基地が七五%というその過重負担を負わせられている、負わされているというその実態を県民は望んでおりません。新聞のアンケート調査の結果の中にも、七〇%以上の県民は負担を軽減してほしいということを強くアンケートに答えております。平和の配当は是非とも沖縄県民にもいただきたい、そういう思いでございます。  どうぞ、今後、まだ決まってないというふうにおっしゃっていらっしゃいますけれど、沖縄の米軍基地の負担軽減というのを米軍の再編協議に合わせて財務大臣の立場からも是非強く要望していくようにお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。
  252. 池口修次

    委員長池口修次君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  253. 池口修次

    委員長池口修次君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、大塚耕平君が委員辞任され、その補欠として藤本祐司君が選任されました。     ─────────────
  254. 池口修次

    委員長池口修次君) これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  国有財産の効率的な活用を推進するための国有財産法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  255. 池口修次

    委員長池口修次君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、櫻井充君から発言を求められておりますので、これを許します。櫻井充君。
  256. 櫻井充

    ○櫻井充君 私は、ただいま可決されました国有財産の効率的な活用を推進するための国有財産法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     国有財産の効率的な活用を推進するための国有財産法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 現下の極めて厳しい国の財政事情にかんがみ、国以外が使用した方が適していると考えられる国有財産については、売却などその有効活用に努めるとともに、国が使用する必要のある国有財産については、財務大臣による監査及び使用調整を責任を持って実施し、民間の視点を積極的に取り入れつつ、PFIなど一層の効率的な活用に努めること。また、地震防災上の観点から、耐震性能を確保した合同庁舎等の効率的な整備に努めること。  一 国家公務員宿舎については、真に必要な宿舎需要に限定し、合同宿舎化等により効率的に整備を推進すること。特に、東京二十三区内の宿舎については、都市再生や土地の高度利用等の観点から、その移転・跡地有効活用を促進すること。  一 国有財産の有効活用又は売却促進に資するため、貸付けを行う国の庁舎等の床面積の余裕部分の状況及び公募手続を広く公表するとともに、売却可能なすべての未利用国有地に関する情報を適時に更新するなど、国民のニーズにより即応した情報を迅速に提供するよう努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  257. 池口修次

    委員長池口修次君) ただいま櫻井君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  258. 池口修次

    委員長池口修次君) 多数と認めます。よって、櫻井君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、谷垣財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。谷垣財務大臣
  259. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
  260. 池口修次

    委員長池口修次君) なお、審査報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  261. 池口修次

    委員長池口修次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会