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2006-03-29 第164回国会 参議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月二十九日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      那谷屋正義君     神本美恵子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山本 香苗君     理 事                 岩井 國臣君                 西島 英利君                 岩本  司君                 藤原 正司君     委 員                 岩永 浩美君                 大仁田 厚君                 小池 正勝君                 小泉 昭男君                 田村 公平君                 中川 義雄君                 野村 哲郎君                 松村 祥史君                 大久保 勉君                 神本美恵子君                 島田智哉子君                 松下 新平君                 水岡 俊一君                 浜田 昌良君                 仁比 聡平君    衆議院議員        災害対策特別委        員長       大野 松茂君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣防災)        )        沓掛 哲男君    副大臣        内閣府副大臣   嘉数 知賢君        総務大臣    山崎  力君        国土交通大臣  江崎 鐵磨君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        平井たくや君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        内閣府政策統括        官        榊  正剛君        原子力安全委員        会事務局長    片山正一郎君        金融庁総務企画        局審議官     谷口 博文君        総務大臣官房総        括審議官     荒木 慶司君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        文部科学大臣官        房審議官     井田 久雄君        文部科学大臣官        房技術参事官   舌津 一良君        厚生労働大臣官        房審議官     岡島 敦子君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     広瀬 研吉君        国土交通大臣官        房審議官     安原 敬裕君        国土交通大臣官        房審議官     加藤 利男君        国土交通大臣官        房官庁営繕部長  奥田 修一君        国土交通省国土        計画局長     小神 正志君        国土交通省河川        局長       渡辺 和足君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君        気象庁長官    長坂 昂一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (災害時の共助在り方に関する件)  (原子力発電所耐震安全性に関する件)  (学校施設及び官庁施設耐震化に関する件)  (過疎地集落移転に関する件)  (被災者支援充実必要性に関する件)  (首都直下地震への対応に関する件)  (福岡西方沖を震源とする地震復興対策に  関する件) ○地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律  案(衆議院提出)     ─────────────
  2. 山本香苗

    委員長山本香苗君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十八日、那谷屋正義君が委員を辞任され、その補欠として神本美恵子君が選任されました。     ─────────────
  3. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  災害対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府政策統括官榊正剛君外十二名を、また、地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府政策統括官榊正剛君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言お願いします。
  6. 野村哲郎

    野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。  質問に先立ちまして、常日ごろより災害対策に大変御尽力をいただいております大臣を始め政府関係者皆様方に心から感謝を申し上げる次第でございます。  災害は忘れたころにやってくる、そういう言葉がございますが、裏を返せば、我々が災害を忘れ、これを非常に軽んじてしまうんじゃないかという戒めをしているのではないか、こういうふうに実は思うわけであります。  昨今の災害を少し振り返ってみますと、大変、ここ二年余りの間にいろんな災害がございました。平成十六年には、六月から十月にかけまして十個の台風日本にやってまいりました、襲来いたしました。そして、その台風の影響で、全国で二百十一名の尊い命が亡くなっております。さらに、七月には新潟を始め、福井、福島等々で豪雨災害がありまして、二十一名のこれも死者を出しているところであります。また、十六年の十月、新潟中越地震もございました。死者五十九名、そして重軽傷者四千八百名という大変痛ましい地震でありました。当時、この災害対策特別委員会に、知事に就任されたばかりの新潟県の泉田知事がお見えになりまして、涙ながらに訴えられたのを本当に脳裏に刻んで離れません。こういう痛ましい事故災害が非常に十六年には起こったわけであります。  しかし、十七年になりますと、三月に福岡西方沖地震がございました。私も現地に飛ばさしていただきましたけれども、玄界島のあの住宅あるいは学校等々、大変破壊された状況を見ましたときに、死者こそ少なかったわけですが、島民の皆さん方、大変な苦い、苦しい思いをされているのを目の当たりにしたところであります。また、九月には台風十四号が上陸いたしました。これは西日本中心でありますけれども、二十九名のこれも死者が出ている。  こういうふうに、大変私は、台風もそうですけれども、地震も、そして豪雨も、いろんな形でこの十六年、十七年がございましたが、去年から今年にかけましては北陸なり東北を中心とする豪雪、こういう形で考えていきますと、この二年余りの間に豪雨台風、そして地震豪雪、ありとあらゆる災害が集中したのではないか、こういうふうに思うわけであります。  このように、災害列島日本、まさしく五百名近い方々が亡くなったこのことを私どもは決して忘れてはいけない、こういうふうに思うわけであります。このような災害の現実を風化させてはならないし、また、時間の経過とともに社会の関心もやはり徐々に薄れていくのではないのかと。したがいまして、いまだ被災者皆さん方のいろんな傷はいえていない、こういうふうに思います。  したがいまして、そういう意味におきまして、先般、大臣の方から所信表明がございました。これに関連して、質問をただいまから申し上げたいと存じます。  さきに大臣所信表明におきまして、災害による被害減少するためには、各個人や地域コミュニティーによる自助共助取組を一層推進していくことが不可欠であると述べられております。そして、平成十八年度の防災対策重点ポイントにも、災害への備えを実践する国民運動展開が挙げられているところであります。私も、災害被害減少を図るために自助共助取組を強化し、備えを実践することが肝要なことと認識をいたしております。  そこで、この備えという視点から、災害備えるという視点から三つほど、三点ほど質問を申し上げたいと思います。  まず第一点でありますが、自らの備え、そして地域コミュニティーによる備えについて質問申し上げたいと思います。  今年の豪雪被害地域におきましても、高齢者方々雪下ろし作業中の事故が多発しまして、やはり自らの備えに限界が出てきているのではないのか、こういうふうに思います。こういったことにおきまして、各自治体地域における支援体制に大変苦慮しておられると聞いております。  一方、我が国では消防団組織地域共助組織の核として私は大きな機能を果たしてきているし、今後もその機能を果たしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。しかし、高齢あるいは過疎の進んだ地域におきましては、災害発生時の共助組織の核となるべき消防団につきましても、その存在そのものが危惧される、こういう状況にあるというふうに思います。その理由を申し上げますと、ここ七、八年の間に全国消防団員の数は十万人程度減少いたしております。さらに、消防団員高齢化の問題もございます。私の地元鹿児島では高齢化が進みまして、五十歳以上の割合が団員の中が二五%、三十歳未満はわずか一割しかいない、こういう状況になってございます。このように、消防団員の数も減少し、なおかつ高齢化も進んでおります。こうした地域では共助取組を行おうにも行えないような状況が早晩訪れるのではないかと、こういうふうに私は危惧いたしております。  そこで、過疎化高齢化の進んだ地域における国民運動展開、特に災害時の共助在り方について、自治体への指導を含め国としてどのような対策を講じるのか、御所見をお伺いいたしたいと思います。
  7. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 今委員指摘のとおりでございまして、この消防団制度というか、消防団は、地域防災の中核的な組織としてこれまでいろいろな活動をしてきたところでございますが、御指摘のような状況、特に地域における若年人口減少、それからサラリーマン人口の率の、サラリーマン化率というんでしょうか、そういった方々の増加によりまして、人員の確保に非常に各地とも苦労しているという実態がございます。  そういった中でもどうしたらいいかと、これはそれぞれのところで非常に苦労していろいろな施策をやっているところでございますけれども、考え方をひとつ切り替えるといいますか、一つには女性消防団の、女性の方の消防団員になっていただくという方向も今各地でやられているところでございますけれども、それも含めて幅広い地域方々にこの消防団活動に参加していただきたいという考え方で、何とか人を確保したいということでやっておりまして、その中では、公務員であるとか郵便局職員であるとか、あるいは農協の職員、あるいは住んでいる大学生の方、そういった方々入団促進をとにかくやっていこうではないかということでございます。  そういったことと同時に、全部が全部消防団活動にというわけにはいかないけれども、ある特定のことだったら参加してもいいと、参加できるというような方々に対して、特定活動ということで、機能別団員とか、あるいは機能別の分団を導入していこうというその促進を進めているところでございまして、その機能別というのは、例えば大規模な災害時には出ていただくと、日常的な、まあ小さなところはともかくとして、大きなときはとにかく参加していただくと。あるいは、予防広報活動、こういったところは日時がある程度、何というか、突発事態というわけではないことができますので、そういった時間的な余裕のあるところでその予防とか広報活動をやっていただくと。そういったことがこの特定活動というふうな考え方の中でございます。  具体的な例としては、愛媛県の松山市において郵便局員による機能別団員をつくるであるとか、あるいは福岡県の立花町の女性による予防広報分団というものをお願いしたり、あるいは退職団員の再任というような例もございます、まあOB団員という形でございますが。こういった点は、瀬戸市でも行われております。  こういった団体が幾つかはございまして、そういったところで何とか大事なこの消防団活動をしっかりしたものに今後ともやっていくように努力していきたいというふうに思っておりますし、今後のそういった意味での充実強化といった面について取り組んでいきたいというふうに思っております。
  8. 野村哲郎

    野村哲郎君 山崎大臣から大変この示唆に富んだ御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  昔から、村八分という言葉がございます。その二分は、葬式と火災には必ず、村八分にしてても加勢をするという、これが言わば集落機能の私は共助の原点だと、こういうふうに思います。しかし、集落機能が今低下した中では、今おっしゃいましたようなやはりこの共助在り方、これも消防団をやはり中心としたそういう共助在り方というのをしっかりと御指導をしていただきたい、こういうふうに思います。  続きまして、二つ目備えについて御質問申し上げたいと思います。  実は先般、先般というよりも先週、大変ショッキングなニュースが流れたわけでありますが、金沢地裁判決のありました、地震に対する原子力発電所備えについてお伺いをいたしたいと思います。  三月二十四日に、金沢地裁におきまして、北陸電力志賀原発二号機について、耐震性に問題あり、こういったことで運転差し止め判決が出たことは御承知のとおりであります。これは、原告側の勝訴といった視点のいろいろ新聞の論調も目立つわけでありますが、私はこれは勝った負けたの話ではない、こういうふうに思います。こういう次元の話ではなくて、大切なのは地震発生時の原発安全性そのものだ、こういうふうに思いますし、国民生命をどう守るか、このことに私は力点を置きたいと思います。  その原発安全性議論する中では、やはり危険性のみを強調し、国民の不安をいたずらにあおったり、また過度の安心感を与えることなく、やはりそのリスクを客観的に評価しまして、科学的に基づく安全性確保に取り組むべきだと、こういうふうに思います。  そこで、地震は起こってみないと分からない、こういうことをよく言われます。そのぐらい地震による災害は計り知れないものがあると思いますが、今回の裁判所の判断は、これは民事訴訟でありまして、まあその判決そのものに国がコメントするそういう立場にないことは十分承知をいたしております。しかし、この原発耐震設計審査指針は国が策定したものでありまして、その意味におきましては説明責任があろうと、こういうふうに思います。  したがいまして、地震発生時における原発耐震性について政府はどのようにお考えになっているのか、御所見をいただきたいと思います。
  9. 広瀬研吉

    政府参考人広瀬研吉君) お答え申し上げます。  原子力発電所耐震設計につきましては、原子力安全委員会が定めました耐震設計審査指針に基づき、国が審査をいたしております。  具体的には、敷地周辺活断層や過去の地震などの詳細な調査に基づきまして、想定される最大の地震動にも耐えられるよう設計をされていることを確認をいたしております。運転開始後も、適宜その時点で得られました最新知見を踏まえた安全確認を行っているところでございます。また、一定以上の大きな地震動を感知した場合には原子炉が自動的に停止される仕組みとなっております。  このように、原子力発電所耐震安全性確保されていると考えております。今後とも万全を期し、国民皆様信頼を得られるよう努めてまいります。
  10. 野村哲郎

    野村哲郎君 今お話がございました耐震設計審査指針というのは一九七八年に策定されまして、そして一九八一年に一部見直しが行われておりますが、もう既に二十五年が経過いたしております。そのために、いろんな直近の事例に基づいて二〇〇一年から見直しが進められていると伺っております。  一方、原子力発電所の中には、この耐震設計審査指針が定められる前、つまり二十五年以上前に建造されたものもあると聞いております。このように、指針前に建設された原発がどの程度あるのか、また、指針策定前に建造された原発についてはどのような対応を行っているのか、お伺いをいたしたいと思います。  あわせて、現在進められております指針見直し、既に検討に入ってから五年、どうしてこういう長期間の審議が必要なのか、あるいはいつ策定が終わっていくのか、今後の見通しにつきましても併せてお伺いをいたしたいと思います。
  11. 広瀬研吉

    政府参考人広瀬研吉君) 先生御指摘のように、現在の耐震設計審査指針は昭和五十三年に策定されましたが、策定前に原子炉設置許可を行った実用発電炉は二十八基ございます。これらの実用発電炉につきましては、平成七年の兵庫県南部地震を契機といたしまして、当時の資源エネルギー庁が現行の耐震指針考え方に基づく評価を行い、耐震安全性確保されていることを確認をいたしました。その内容は原子力安全委員会に報告をし、公表をいたしております。  したがいまして、現在運転中の実用発電炉五十五基のすべてにつきまして、その耐震安全性に問題はないと考えております。
  12. 片山正一郎

    政府参考人片山正一郎君) 原子力安全委員会耐震指針検討分科会における検討状況について御説明を申し上げます。  原子力安全委員会耐震指針検討分科会におきましては、最新地震学地震工学科学技術的知見を反映させて原子炉施設耐震安全性に対する信頼性を一層向上させることを目的に、平成十三年七月以来、耐震設計審査指針改訂に向けた議論を進めておるところでございます。  この分科会におきましては、最新知見を反映すべく、指針の具体的な改訂案につきまして、例えば基準地震動はどうすべきか、あるいは耐震設計方針はどうすべきか、あるいは確率論的な安全規制体系への本格的導入に向けた課題はどう対応したらいいのか等、検討が行われているところでございますが、これまで、地震学地震工学等知見の蓄積あるいは関連する技術開発の成果の取り入れに関して多方面の専門家意見を調整するという過程で様々な認識が示されているところでございまして、現在まで精力的な議論が進められているという状況でございます。昨日もこの会合が開催され、現在議論は大詰めの段階であるというふうに考えているところでございます。  耐震設計審査指針改訂の時期につきましては、原子炉施設耐震安全性についての国民皆様からの関心も高いということを十分認識しているところでございまして、専門家間での意見が集約され、是非、早期に改訂指針の取りまとめが行われるよう、全力を挙げて努めてまいる所存でございます。
  13. 野村哲郎

    野村哲郎君 この全電力発電量の二五%を占めております原子力発電全国十七か所あるわけでありますが、そういう意味では大変我々にとって、生活するにとっての必然性というのはこれはもう十分理解しているわけであります。しかしながら、先ほど申し上げました過去の実績からも、地震列島日本であります。したがいまして、この地震に対する備え、これについては、もう今お話がありましたけれども、是非とも万全を期して、国民生命の安全を是非とも確保していただきたい、強くお願いを申し上げたいと思います。  それで、次の三つ目備えについてでありますが、私は、いろんな地震が発生した、あるいはまた集中豪雨台風等々で、公共施設備え、特に学校施設耐震化対策等々についてお伺いをいたしたいと思います。  学校施設耐震化に向けましては、学校施設耐震化推進指針策定されまして、今文科省の方でも御指導をいただいておる、こういうふうに伺っておりますが、ただ、新聞で読んだ限りでありますけれども、昨年の四月時点での、二十五年前に建設された全国の小中学校施設八万棟のうちに診断を終了したのが五六・三%、そして耐震基準を満たすのが五一・八%、こういった、約半分であります。しかも、これは県別によっても大変取組の差が出ておりまして、神奈川県で八〇・六%あるかと思えば、これは最低のところで恐縮なんですが、香川県では三一%、こういった自治体による格差も出ているように聞いております。  申し上げるまでもなく、これらの施設は、いろいろ災害のときの児童生徒の安全を守るというのが大前提でありますが、災害が起こった後の地域皆さん方避難場所としてその役割を持っているわけであります。したがいまして、こういった二つ役割を持つ公共施設、この学校施設耐震化を今後どういうふうに加速させていくのか、具体的な方策とスケジュールをお伺いいたしたいと思います。
  14. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、学校施設というのは子供たちだけではなくて地域住民避難場所でございますので、その安全性確保というのは文部科学省としても極めて重要であるというふうに認識しておるところでございます。このため、国の財政状況が極めて厳しい中ではございますが、文部科学省として耐震関連予算確保に最優先で取り組んできたところでございます。具体的に申し上げれば、平成十七年度補正予算におきましてもこの学校施設耐震化のために二百七十七億円を確保し、さらに十八年度当初予算におきましても一千九億円ほどを見込んでおるところでございます。  次に、文部科学省としては、耐震化を進めるためにまず耐震診断を実施することが重要であるというようなことから、国土交通省所管補助事業を活用するなどによりまして、十八年中に耐震診断を完了するよう、学校設置者でございます市町村に対して強く要請をしているところでございます。また、これに重ねまして、近々行う予定にしておりますけれども、来年度、この四月一日現在におきます公立学校施設耐震改修状況調査を行いまして、その結果について、これまで都道府県ごと公表をしておりましたけれども、それを市町村ごと公表するということで、その市町村ごと耐震診断実施率あるいは耐震化進捗状況について公表をしようというふうに考えているところでございます。  このような取組によりまして、耐震性実態を踏まえつつ、地方において緊急性に応じて計画的に耐震化を進めていくことが重要であると考えておりまして、文部科学省としても最大限の支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  15. 野村哲郎

    野村哲郎君 今御答弁をいただきましたけれども、やはりスピード感を持って是非とも取り組んでいただきたい。十七年度中に診断を終える予定だ、こういうお話が、十八年度ですか、終わる予定だということでありますので、やはりこれは、地震はいつ起こるかも分からないし、先ほど言いましたように災害いつ来るかも分かりません。したがって、そのことはやはりスピードを持ってやらないと、五年か十年で計画的にやれる話じゃないと思いますので、どうかその取組も強化していただきたいと思います。  次に、被災者生活再建支援金支給事業について御質問をしようと思っておりましたが、時間の関係もございます。これはもう質問取りのときに御要望も申し上げておりますので、どうかその意を是非とも酌んでいただきたいと思います。  これは、ほとんどこういった災害の問題出てこないと思いますので、是非ともあと一項目取り上げさしていただきたいと思います。実は、災害対策としてはなじみのないことと、こういうふうに思いますが、いまだに戦後処理が終わってない、こういう事例として特殊地下ごう、いわゆる戦時中の防空ごうについてお伺いをいたしたいと思います。  特殊地下ごうにつきましては、さきの大戦で防空ごう用として設置されまして、これは私の鹿児島だけじゃございませんで、まだ全国に残存いたしております。平成十三年度の調査では五千三個でありましたけれども、十七年度、直近の調査ではこれが一万二百八十か所まだあるという調査結果が実は出ております。そのうち、陥没があるとかあるいは崩れてしまうおそれのある、いろんな問題を抱えている危険箇所がまだ千二百十か所ある、こういう調査結果が実は出ております。  私は、なぜここでこういう問題を取り上げたかといいますと、実は二〇〇五年四月に私の鹿児島で、このごうに入りまして遊んでいた中学生四人が一酸化炭素中毒で死んだという大変痛ましい事故が起こったわけであります。このような災害を防ぐには、特殊地下ごうの場所や規模を把握しまして、埋め戻したりあるいは出入口を封鎖する、こういう手段しかない、こういうふうに思います。  これらの特殊地下ごうは、当時の国策として軍部あるいは地方公共団体の指導によって設置されたものであり、これは私は戦後処理として国の責任において処理されるべきものと考えております。したがいまして、鹿児島で起きましたような痛ましい事故が二度と発生しないよう、戦後六十年のこの節目を迎えた今日、私は、国が主導権を持って当時の負の遺産の解消に取り組むべきではないか、そういうふうに思いますので、更なる積極的な支援対策をお願い申し上げたい、こういうふうに思います。  したがいまして、どうかこのことについての御答弁を、丁寧な、そして積極的な御答弁をお願いしたいわけであります。よろしくお願いいたします。
  16. 加藤利男

    政府参考人(加藤利男君) お答えを申し上げます。  国土交通省は、農林水産省、林野庁と分担をいたしまして、先生御指摘のとおり、戦時中に旧軍、地方公共団体等が築造いたしました地下ごうのうち、陥没、落盤などによりまして非常に危険で放置し難いものにつきまして、防災上の見地から公共団体が埋め戻しなどの対策を講ずる場合に特殊地下壕対策事業ということで補助をいたしております。ただいま先生の御指摘にもございましたように、私ども、昨年四月の事故を踏まえまして、鹿児島の事故を踏まえまして三省庁で調査をいたしました。その結果については先生御指摘のとおりでございます。  そして、私どもとしては、これらの地下ごうについては明確な目標を持って対策に取り組むことが非常に重要であるというふうに認識しておりまして、現在、都道府県等に対策事業計画の策定ということでお願いをいたしております。今後さらに、この今申し上げました対策事業計画の中で盛り込まれます目標の実現に当たってどういう措置が必要になるか、そういう必要な措置については公共団体及び関係機関と協議、調整してまいりたい、そのように考えてございます。  以上でございます。
  17. 野村哲郎

    野村哲郎君 大臣、この地下ごうの問題を取り上げますと、これは今お答えありましたように、各省庁にまたがっているんですよ。そして、責任の所在、これも非常に不明確であります。もう六十年たっているもんですから、その防空ごう、特殊地下ごうは国交省だ農林省だあるいはどこだという形で非常に、言わば省庁にまたがるもんですから、私はどうも責任の所在が不明確だと、こういうふうに思います。  今お話をしましたように、一万か所からあって、しかもその中の一割方は大変今危険をはらんだ防空ごうであります。これは人命にやはりかかわる問題でありますんで、是非とも国の責任において処理されますように強く指摘しておきたい、こういうふうに思います。  以上で質問を終わります。
  18. 藤原正司

    ○藤原正司君 民主党の藤原でございます。  私は、ある意味では選挙区、地域をお持ちの先生方の場合、言いにくいことを私が申し上げるかもしれませんが、是非誤解なさらないように聞いていただければと思います。  私は、この災害対策特別委員会、昨年ですか、で九州の台風、あるいは今年に入りまして北陸地方の雪害、こういうところを視察さしていただきました。また、一昨年には新潟中越地震というものも発生しまして、あれらの被害を考えたときに非常に共通的な問題があると。地震にしても豪雪にしてもあるいは台風にしても、これは自然現象であります。この自然現象とその共通的である過疎高齢、空洞というこの三つが重なり合うと大きな被害になってくる、あるいは被害からの、災害の復旧が大変遅れると、こういう現象が出てくるわけでありまして、これからこういうところに対してどういうメスを入れていくのかということが災害対応上にとっても極めて重要である、こんな視点から質問さしていただきたいと思います。  御承知のとおり、昨年から我が国の人口は減少の時代に突入をいたしました。年金改正時に政府が予測したよりも二年も早く減少時代に突入をしたわけであります。約一億三千万というピークであった我が国の人口は、恐らく二〇三〇年には一億一千八百万、さらに二〇五〇年、今世紀の中ごろには一億人を切るんではないかという見方がされておりますし、また、この中の年齢構成といいますか、こういう面で見ますと、現在の現役世代が約七千八百万、六一・三%を占めているのに対して、二〇三〇年にはこれが六千四百万、数にしまして一千四百万人減り、率にして七・二ポイント減少します。これに対して、逆に高齢世代は、現在が二千五百万、全体の一九・四%というものが、二〇三〇年には数で三千五百万、比率でいきますと二九・六%。要は、一千万人高齢者は増えて、率にして一〇・二%増加する。すなわち、少子高齢化というものを伴った人口減少というのはこれから急激に進行していくというのは、これはもう間違いのないわけでございます。  ただ、これは国レベルの話でありまして、例えば都道府県単位あるいはもう少し小さい行政区単位で一体どうなっていくんだろうかというのはなかなか推計が難しいようであります。国単位の場合は人口移動はほとんど考えなくてもいいんですが、これを細かく区切れば区切るほど人口移動がありますので推計に誤差が出やすいと。しかし、今日までの傾向から推し測る限り、地方において少子高齢化といいますか、高齢化あるいは過疎化というものがますます進行していくんではないかというのは想像に難くないわけでございます。一方、我が国の財政は、御案内のように、国、地方合わして七百八十兆円の借金があると。しかも、当面これはずうっと増えていくと。大変財政事情は厳しいものがあると。  こういう中で、今まで一億三千万人用に形成してきた我が国の国土というものを、人口がこれからどんどんどんどん減っていく。そして、地方においては過疎化高齢化が進んでいくという中、しかも財政的には大変厳しくてなかなか対応ができない。ある人の試算によれば、現在の公共的な設備、道路とか橋だとか、そういうものを維持するだけでも、もう近い将来、今の公共事業費は全部それに食われてしまうと、新しいものを何か造っていこうというのはできなくなってしまうというふうな見方をする人もあるように、一億三千万人用につくった国土というものを、今後、こういう少子化、高齢化、人口減少、財政のピンチという中でどういうふうに我が国の国土というものを描いていけばいいのか。この点について、国土交通省、まあ大臣がおられないいうんで、責任ある方の御答弁を求めたいと思います。
  19. 江崎鐵磨

    ○副大臣(江崎鐵磨君) 藤原先生おっしゃられるように、少子高齢化、本当に憂慮に堪えない次第であります。人口の減少は、当然、国力の低下にもつながります。  そして、先生の御質問ですが、この人口減少は、地域社会の維持、また国土の保全管理、経済などに大きな影響を与えること、御承知のとおりであります。我が国も、政府も、この深刻な問題をとらえて早急に取り組まなければならない、強い思いを持って今日に至っております。  具体的には、今後、特に地方において大幅な人口減少が予想される中、地域社会の維持が困難な地域の拡大、森林、農地の荒廃などの問題が深刻化するときに、また都市においては、急速な高齢化などに伴いニュータウン等のオールドタウン化、中心市街地の衰退などが当然予想されるわけであります。  現在策定中の国土形成計画においては、特に市街地の再編や森林、農地の適切な管理など、人口減少下における国土利用上の課題への喫緊な対応、都市と農山漁村の交流や観光産業の振興、二地域居住の促進等による地域の活性化並びに防災・減災対策の推進を始めとする安全、安心な国民生活の実現を志し、既存ストックの有効活用などによる国土基盤整備などの政策課題について真摯に取り組んでいるところであります。  人口減少社会にふさわしい、豊かで安心できる国民生活の実現に向けた国土のグランドデザインを国土形成計画において今後しっかり提示してまいります。
  20. 藤原正司

    ○藤原正司君 何かちょっとぴんとこない。私はそれほど具体的なことを聞いているというわけではなくて、人口が収縮をしていくわけです、我が国の国土の中で。しかも、それは過疎化高齢化という形を取りながら収縮をしていくときに、今まで一億三千万人用につくり上げた国土というものを、これを保全していく、守っていくということだけでいいのでしょうかというようなことを含めて、むしろ、その省庁の作る計画というよりも、副大臣の政治家としての思いを聞きたかったわけでございます。  是非その辺を御理解いただきたいと思いますし、それと、確かにこの人口減少高齢化という問題は、田舎で、地方の方でも大変ですけれども、数少ないデータでいきますと、都会の方でも、例えば千葉県の浦安というのは非常に高齢化比率の低いところ、七・七%ぐらいしかない、ところが二〇三〇年には二三・五%ぐらいになるんではなかろうかと。これは急激な高齢化でして、先ほど言われたような市営住宅やああいうものが老人アパートに替わりかねない部分というのもあって、またそれは、都市部は都市部としての対応というのも必要だというふうに思うわけでございます。  そこで、これらのものをこれから考えていく上で何らかの手だてになるツールというものを考えたときに、一つは、防災集団移転促進事業というのがあるわけでございます。この防災集団移転促進事業についてお手元に簡単な資料を配付をさしてもらっておりますけれども、この点の、事業の概要について御説明をいただきたいと思います。
  21. 安原敬裕

    政府参考人(安原敬裕君) 質問にお答えいたしたいと思います。  防災集団移転促進事業、これは昭和四十七年に制定されました防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律、この法律に基づきまして、災害が発生した地域などのうち、住民の居住に適当でないと認められます地域内にあります住居の集団的な移転を促進するものでございます。  その事業の内容といたしましては、市町村が移転先の住宅団地の用地の取得造成、住宅を建設される方の住宅ローンの金利の補助、移転先の住宅団地内の道路などの整備、こういった事業を行う場合に国がその四分の三を補助してその取組支援していこうというものでございます。
  22. 藤原正司

    ○藤原正司君 この目的の中に、住民の居住に適当でないと認められるという、この適当でないと認められるというのは、どちらかの立場から見て適当でないと認められる、すなわち行政側なのか、そこに住んでおられる住民側から見ての適当でないと思われる、どちらから見た考え方なんでしょう。
  23. 安原敬裕

    政府参考人(安原敬裕君) 居住に適当でない地域といいますのは、先ほど申し上げました法律の中におきまして移転促進地域と定義されてございます。その移転促進地域とは、災害の危険が著しく高いということから、住民の生命、身体、財産を災害から保護するために住民の集団的移転を促進することが適当であると認められるものでございます。  もう少し具体的に申し上げますと、仮に災害復旧事業や防災工事をしたとしても依然として災害による危険を回避することができない区域でありまして、そういう意味で住民そのものを、住居そのものを防災上より安全な地域へ移転することがよいという地域でございます。そういった意味では、住まわれる住民の方にも、また行政の両方にとっても必要な施策であろうと考えております。
  24. 藤原正司

    ○藤原正司君 ちょっと質問を省略しながら行くかも分かりませんので、その点よろしく。  この防災集団移転促進事業の中に、最近の主な実施地区ということを見ますと、北海道の奥尻の、あれはたしか津波によって島全体が何か波によってなめられてしまったような地域であるとか、あるいは長崎の普賢岳あるいは北海道の有珠山、結局その自然現象というか危険な状態がずっと継続していて、そこに居住されることが適当でない、危ないよと、危ないからちょっと移転した方がいいですよという感じですよね。ですから、主として住民側の事情、行政が何もしなくてもそこへどんどんどんどん溶岩が噴出する、あるいは灰が降ってくる、そういうところはもうそこに住むこと自体が居住者にとって極めて危ない。危ないから、もうちょっと、国もお手伝いしますから、ちょっとよそへ引っ越したらどうですかと、こういう法律ですよね。だから、ある意味ではこれは住民サイド側に立って移転を促進する法律だと、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  25. 安原敬裕

    政府参考人(安原敬裕君) 先生おっしゃいますように、正に住民の方がそこに住むということが非常に危険を伴うわけでございます。そういうことで、住民の方のためにもなるということでございます。
  26. 藤原正司

    ○藤原正司君 次に、今度は総務省が所管されている事業で、過疎地域集落再編整備事業というのがございますが、この事業の趣旨について御説明をいただきたいと思います。
  27. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) お答えいたします。  過疎地域集落再編整備事業の趣旨でございますが、過疎地域の集落はコミュニティーの基礎単位としまして、住民相互の生活を扶助したり、農地、林地や地域の伝統文化などの地域資源を維持するなど、重要な機能を担っているところでございますが、人口の著しい減少高齢化の進展などによりまして、集落としての基礎的条件が著しく低下するような場合、あるいは基礎的な公共サービスの確保が困難な地域に住居が孤立点在するような場合が生じるところでございます。  過疎地域集落再編整備事業は、こうした基礎的条件が著しく低下した集落や孤立点在する住居を基幹集落などに移転することにより、これらの地域に住む住民の方々の生活を維持していくことをねらいとするものでございます。
  28. 藤原正司

    ○藤原正司君 これらの事業の中で、主な、こういう点について補助事業をやりますよという点につき、ありましたら御説明をいただきたいと思います。
  29. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) この事業には大きく分けまして二つのタイプがございます。  一つは、集落移転タイプと申しまして、集落としての基礎的条件が著しく低下した集落を基幹集落等に移転する事業であります。もう一つが、へき地点在住居移転タイプと申すもので、基礎的公共サービスの確保が困難な地域に孤立点在する住居を基幹集落等に移転する事業でございます。  このいずれのタイプも、交通条件が悪く、医療、教育等基礎的な公共サービスの確保が困難であることなどを要件とするものでありますが、集落移転タイプは、集落を前提としておりますことから移転戸数をおおむね五戸以上としております。一方、へき地点在居住移転タイプは、孤立点在する住居を前提としておりますことから移転戸数を三戸以上としておりまして、移転戸数で若干の差があるところでございます。両タイプとも補助対象経費は同じでありまして、移転を円滑にするための生活保障費、移転先の住宅建設等への助成費、団地造成費、団地に必要となる道路、下水道等の生活関連施設整備費などを対象としておりまして、補助率は二分の一以内となっております。
  30. 藤原正司

    ○藤原正司君 この事業の趣旨を大まかに判断するに、要は、過疎化ということで非常に便利の悪いところに幾つかの住居が点在をしていると、そのことに対して、行政側としても住民サービス、行政サービスをきちっとやろうとしても非常に効率が悪い、あるいは金も掛かる。効率が悪いということは行政コストも高く付く。そういうところに対して、済みませんけどもう少し便利のいい里の方へ出てきていただけませんかと。こういういろんなタイプがありますけれども。  例えば、へき地点在住居移転タイプというのはそういうことで、むしろ先ほどの防災の集団移転に比べますと、本来、きちっと合法的な地点に住む限り、法に定められた行政サービスを行うのはこれは行政の責任でありますけれども、さはさりながら、余りにも便利の悪いところに散在、点在をするというところに対して、集中した、何といいますか地域に比べて同じような行政サービスをしようとすると非常に効率が悪くなる。それを、効率の悪いのをあえてカバーして、同じレベルを合わそうとするとコストが高くなる。そういうのであれば、済みませんけれども引っ越していただけませんかと。むしろ、先ほどの防災のための集団移転が、危ないですよ、危ないからこっち来なさいというのに対して、いやいや、ちょっとやっぱり大変なんでちょっと来てもらえませんかと、むしろ行政側のニーズの方が強い法律というふうに理解してよろしいか。
  31. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) ただいま委員指摘のとおり、行政側のそういった行政効率というような観点があることは御指摘のとおりでございますが、もう一つは、先ほども申しましたように、その地域に住む人々が、やはり集落が非常に小さくなる。例えば、大体人間がまとまって住むには十戸ぐらいの戸数があることが、いろんな意味で助け合いをするというようなことから考えましても望ましいわけですが、それが五戸になり三戸になるというようなことになりますと、生活上も非常に、例えば病人が出たとかいう場合にも非常に困るわけでありますので、それと、先ほど申しましたように点在しているような場合、こういったことを考えまして、行政のサイドのニーズと住民の方々の生活のことを考えましてこのような施策を行っているところでございます。
  32. 藤原正司

    ○藤原正司君 そこで、ある事象というものを例示してみて、この今二つの事業が適用されるかどうかということをお尋ねしたい。私が今これから挙げる具体事象は特定地域を指しているわけではありません。一般論として、頭の中にあることはありますけれども、そうではなくて、あくまでも一般論として特定地域を挙げているものではないと。  そこで、ある地域、すなわちこの過疎地域集落再編整備事業の趣旨に合致するような地域、すなわち孤立散在する住居、こういうふうな地域があって、極めてそれは数戸ぐらいしか家がないと。そこは別に特別の産業があるわけではない。高齢化された方の住居がわずか数戸あるだけの地域で、そのための取付け道路はそこで行き止まりですと。どこかへつなぐ道路でもありません。  実は、その道路はその孤立散在する数戸の手前で、例えば台風によってがけ崩れを起こして、そしてその、市道でありますか県道でありますか、道路が流されてしまったと。しかし、孤立散在する住居は別に台風によって一切の被害を受けていない。道路さえ戻ってくれば、道路さえ回復すれば昔の生活にそのまま戻れる。しかし、その道路の復旧のためには相当のお金が掛かる。例えば、その数戸が移転するための費用よりも十倍以上高く金が掛かるという場合に、一体この災害対策としては、この道路を原状復旧するということになるのかどうか、国土交通省のお考えをお聞きしたいと思います。
  33. 渡辺和足

    政府参考人(渡辺和足君) 災害復旧の制度でございますけれども、これは公共土木施設災害の復旧事業ということでございまして、被災した施設を原形に戻す、また原形復旧することが著しく難しい、困難であるとか、また適当でないという場合につきましては従前の機能を復旧すると、こういうことを目的とした制度でございます。したがいまして、この災害復旧事業に当たりましては、基本的には公共土木施設を元に戻すということを目的としているものでございます。  また、災害により、もし道路の機能が果たせなくなって集落の孤立等が発生した場合に、それを解消するために緊急的に必要な事業ということもありまして、その場合につきましては応急復旧事業というのがありまして、この応急復旧につきましても災害復旧事業の対象として実施すると、こういう形になってございます。
  34. 藤原正司

    ○藤原正司君 それで、今申し上げましたようなケースに対して、先ほど、防災集団移転の事業と、もう一つは過疎地域集落再編整備事業、この二つの面から見て、仮に、この道路をわざわざ元に戻すのはすごいお金が掛かると。その点在する数戸さえ里に移っていただければ、特段の大きな金を掛けてその道路を戻す必要はないと、仮にですよ、利便上戻す必要はないというふうな場合に、その点在する数戸が里側に移転する、これに際して、先ほどの二つの事業は対象になり得るか、ならないのか。国土交通省と総務省の見解をお尋ねしたいと思います。
  35. 安原敬裕

    政府参考人(安原敬裕君) 防災集団移転促進事業につきましては、先ほど、その要件といたしまして、その区域が災害の危険度が高く居住に適当でないということが、これが要件となっております。したがいまして、御指摘のございました孤立した集落というだけではその要件を満たさないと。つまり、この促進事業の対象にはならないものと、こういうふうに考えてございます。
  36. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) 進入道路の損壊によりまして集落が孤立するような場合の対応につきましては、ただいま委員指摘のように、災害復旧事業に多額の費用を要するような場合にありましては集落移転による対応検討する必要があり得るものと考えます。  ただし、集落移転の場合には、集落に住む住民にとって生活の基盤が大きく変化してしまうことになるわけでございますので、災害復旧事業と集落移転事業とのコストの比較を行うだけではなくて、移転に当たって地域住民の合意形成が図られるということが重要であると思います。  市町村におきましていずれの方法を取るかについて十分検討いただきまして、地元住民の合意がなされ、補助要件に該当する場合には過疎地域集落再編整備事業により支援できるものと考えております。
  37. 藤原正司

    ○藤原正司君 今おっしゃる住民合意というのは極めて大事な問題だと思っております。  今、二つの事業、私が指摘したようなケースに対して二つの事業が適用されるかというと、結果的にどちらも引っ掛からないんです。過疎化という問題に対して何らかの手だてを講じるという視点でもなければ、もう現に災害が起きる、あるいは起きて被災する可能性が高いので、危ないですから引っ越してくださいよというものでもない。それだけに、二つの事業はまともにいくと適用対象にならないということであります。  もちろん、私は、そういう過疎化されたへき地であったとしても、生まれ育った地域でありますから、そこで生涯を終えたいという思いは極めて強いものがあると思いますし、それは大変大事にしていく必要があると思っています。しかし一方で、人口減少がどんどん進行していく中で、地方を中心高齢化過疎化というのはどんどん進んでいくこともこれまた事実でございます。  市町村合併して行政の効率化ということは確かにある。それはもちろん首長は一人で済むわけですし、議員さんも少なくて済む。あるいは組織、役所の組織にしたって重複した部分を効率化できる。いろんなものはあるけれども、結果として、市町村合併によって面積が二十倍になったけれども人口は二割しか増えていないとか、あるいは都道府県の二割を占める市になったんだけれども人口は五%しかいないとか、そういう非常に広大なエリアを持つに至っている新しい市が、あるいは町が発生をしているわけであります。  しかも、そういうエリアが広大になっているということと、しかもそこは過疎化されて高齢世帯がたくさんお住まいになっていると。こういう中で行政効率というのはますます低下しているわけで、コストは増大をしていく。結局はそれは国民負担という形で支えていかなければならないわけで、この二つの要請、住民側の要請とこれからの行政コストという要請、どううまくマッチングさせていくかということは大変大事なことではないかなというふうに思うわけであります。  私は、その場合に、一番先に戻りますが、一億三千万人用に形成した国土は何が何でも守らねばならないというふうに立つのか。例えば、先ほど言いましたように、非常に奥の方の過疎化された地域で、そして道路が寸断されて、非常に回復には高額の費用が掛かる。影響があるのはそこの数名、数戸の家だけだという場合に、本人、住民の同意を得ながら里へ引っ越していただくと。そのことによって膨大な復旧予算は軽くて済むし、引っ越し予算、仮に、私はおりたいんだと、道路さえちゃんと直してくれりゃ今までどおり生活できるんだからおりたいんだということに対して、何とか同意をしてもらおうと思えば、ほとんど負担のない形で引っ越ししていただくと。  もう高齢世帯なんですから、そんな今更自分のお金で立派な家建てたって、あと何年住むか分からないという方もおられるわけですから、金の支出の大きな負担が伴わないような形で、例えば里へ引っ越していただく、そのことによって膨大な設備復旧予算は軽減される、そして過疎化対策も成るというようなことが、僕は、画一的に一斉にやれという意味ではなくて、そういう事象事象が起きたときに、そういう選択肢というものがあってもいいのではないか。  道路についても、昨日、役所の方にお尋ねすると、廃道という制度がある、道路をなくすという制度はあるけど、廃道というのはまず現実的にはほとんどあり得ないとおっしゃった。確かにそうです。今まで道路あったものをもうほったらかしにするというのは大変なことだ。大変なことだけれども、それは一億三千万人がこれまで活動してきた、その支えるものとしてやってきたわけで、これからどんどんどんどん減っていくときに、今までどおりのものを維持しなければならないという原則を絶対に持ち続けなければならぬのか、場合によっては原則外という運用も可能なんだという選択肢を持ち得るかというのは、私は、これから本当に大事なことではないか。  その意味では、私の指摘した事例というのは、災害復旧というものと過疎化対策というものをうまくひっ付けて、結び付けて、そしてできるだけ住民の負担がないように、そして合意が得られるような形、こういう事業というもの、こういう選択肢というものがあってもいいんではないかと。そういう検討する余地があるんではないか。これからの、今までの原則というものを少し超えて原則外という在り方を考えてもいいんではないかと、こういうふうに思うわけでありますけれども、この点についてお考えをお聞きしたいと思います。国土交通大臣はいないので、副大臣
  38. 江崎鐵磨

    ○副大臣(江崎鐵磨君) 非常に藤原先生の御意見、新しいお考えだと先ほど来伺っております。  ただ、これはかなり啓蒙啓発も必要でしょうし、先ほど御高齢の方といったお話がございました。過疎地に居住する御高齢の方、御高齢の方になればなるほど自治愛郷というか、自分の生まれ住んだところ、どんな事情があってもなかなか立ち退きたくないと。さあ、これをどう説得するかといったことを、私は非常に至難であり、ただ藤原委員お話、これ正に新しい御意見であり、私どももくみしながら今後の私は課題にするのがベターではなかろうかなと、そんな思いで伺っておりました。
  39. 藤原正司

    ○藤原正司君 ちょっと大臣には、防災担当大臣には通告をしていなかったんですけど、防災担当大臣は石川県の御出身でございます。都市部も、あるいは地方というのはへき地も抱えて、私が申し上げたような部分も選挙区にお持ちだというふうに思っております。  これからそういう地域を考えていくに当たって、今私の指摘したような問題についてどういうお考えをお持ちか、ありましたら御答弁をお願いしたいと思います。
  40. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 実は、昭和四十年に山村振興法という法律ができました。当時は経済企画庁の総合開発局に置かれたんですが、山村振興ですから課長は農林省、その次に関係あるのは道路関係だからというので私が建設省から総括補佐で出ました。そのとき盛んに議論されたのがこの集落の、いわゆる、ごとの移転でございました。集落の再編成、その中において数軒あるそういうものを移した方がいろんな面で、本人にとっての福祉の面でも、また行政の効率面でもということでいろいろ議論されましたが、なかなかこういういろんな有識者の方々のところでそういうことは言うべきではないと、やはりそこにいる人たちを重点的にということであったんですが、今、あれから四十年たちまして、ようやくそういうことがここで議論されるようになったんだなあというふうに今感銘深く聞いておりました。  やはりこれからのこの限られた日本の国土面積でもあり、これから人口も、今おっしゃるように一億三千万からもう少し、どんどん減る、少し減るでしょう。そういう中にあって、日本国民がみんな現状の豊かなこの生活を維持しながら、そして国際競争力を保持しながらやっていくためにはどうするかというやっぱり一つの大きな転換期だなあ、そういう中でやはり住民の十分のそういう理解を得ながら、またそういうことが進められるということであれば、やはり新しい制度の導入なども検討して、みんなで検討できる、そういう時期が来たのではないかなというような思いがいたしております。  以上です。
  41. 藤原正司

    ○藤原正司君 ありがとうございます。  次に、被災者生活再建支援法、先ほど自民党の先生、野村先生が質問予定されておりましたけど、カットされて、恐らくダブる部分もあるんではないかなというふうに思うんですが。  で、この支援法に言及する場合、どうしても、これまでいろんな場所、いろんな委員会、この国会の場で指摘されたやっぱり問題として、なぜ家屋の改修や建て替え等に伴う本体部分への支援ができないのかということが、やっぱりこれは触れざるを得ないわけであります。  これは、各自治体の要望の中にも非常に多く込められていて、確かに平成十六年の改正によって改修だとかあるいは建て替えの周辺的な部分、周辺的な部分についての支援というものが充実をされてきた。それは認めます。しかし、すべて建て替えあるいは改修をやる場合に対象になるかといったら、すべてを必ずしもカバーしているわけではないわけ。ある意味でいえば隔靴掻痒といいますか、靴の上から足をかいているようなもので、本当にストレートに改修や建て替えに必要なところにびしっと支援をするということになっていないわけであります。これ、何でできないのか、もう一度聞かしていただきたい。
  42. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 今先生がおっしゃられるのは、まあ一つ、住宅本体に対するその対象経費をこの中には今認められていないということに対してのことかなと思いますので、そこに焦点を当ててお話しさせていただきたいと思います。  本当にそれは、私たちも若いときからこういう財政をずっとやってきたんですが、特に私はこの災害復旧などの問題をやってきたんで、現地、何か災害があれば現地へ行っていろいろな対応をすることを役人時代もやっておりました。政治家になってからも私は、平成四年から十年まで六年間、自民党の災害対策委員長代行ということで、いざというときにはいつも現地へ飛んでいってやっていたんです。そのときやっぱり非常に苦労したのは、公共的ないろんな施設についてはこれを復旧するいろんな対応が、制度がありますからそれができるんですけれども、被災した人に対するいわゆる個人的ないろいろな面での面倒というのがなかなか見れませんでした。  それがちょうど平成十年の法律、そして平成十一年の制度として、そういう被災を受けた人が生活再建するために、わずかでもありますけれども、百万円というお金を限度として交付することができる制度ができたわけで、これは本当に画期的なことだなと思っておりまして、二年前にこの金額がいろいろ制度的に、建物の除去費であるとかローンのものであるとかいろいろすることによって、二百万円増になり、三百万円までが最高限度額として交付できるようになったわけで、それはそれなりに大きな飛躍だったというふうに思っています。  二年前のこの法案を通すとき、朝早く、私も自民党のところに朝参りましていろいろやったんですけれども、余り出てくる人は少なかったんですけれどもね。いろいろやって、三百万というところにまでに来たんです。でも、その三百万の中にはいわゆる住宅本体の、そういうものに対する補償的な意味のものは入っていないわけなんです。その入らない理由は、伝統的にやって、やっぱり日本人として、いわゆる自分の固有財産、そしてその財産は自由にいつも排他的に処分できる、そういうものについてはやはり国がするということではなくて、やっぱり自分でそういうものをやっぱりきちっとつくり上げていく、あるいはそれを保全していく、あるいはいざというときに予防していく。そういうことはやっぱり自分でやるべきだという、そういう思想がもう明治以来脈々として続いているというのが全くその中心にある。その周りを何とかいろいろ工夫しながら今やってきたのが現状だというふうに思っています。  しかし、これから、じゃそれがどんどん、本体が問題を解決できるかといえば、これはなかなかやはり、そういう支援するお金というのは国民の税金であるわけですから、そういう国民的な理解が得られるかどうかとなると、これまた非常に難しい問題で、やはり自分自身でそういうものに対するは、保険に入るなど、あるいは予防する、そういういろいろな措置を自分等で講じていく。しかし、政府としても、そういう場合における税制上の優遇措置とかそういうものについてはいろいろ次々と手を打ってきているのでございまして、そういう面で、我々としても、こういう、いざ災害を受けた人に対する支援をいろんな手で工夫しながら、現状までやってきたというのが実情であるというふうに思っております。
  43. 藤原正司

    ○藤原正司君 大臣、できるだけストレートに話してほしいんですが。  個人の財産形成に国がかかわるということがどうかというおっしゃり方をされた。国といいますか、公がですね。しかし、これ、実際都道府県はいろんな、台風だとかいろんな被災に対して給付事業をやっているんですね。この場合は、別に本体だ、建て替えだ、言っていないんですよ。要は全壊か半壊かという被害の規模に応じて出すわけで、その使い道をどう使おうとそれはおまえに任せますよということなんです。だから、何も私は本体に金を出せとか、半壊、改修に金を出せとかいうんじゃなくて、そういう面で実質的に、実質的に本体に対しても支援が行き渡っているわけでして、それが、公がそういう民の資産形成に手助けをするというのも、好ましくないと言えば、こんなの、都道府県のやっていることみんな間違いになる。そういうことになってしまうんで、都道府県でもほとんどがやっているわけです、実際に給付事業をやっているときには。だからその意味では、当然その理屈は通らないというふうに私は思います。  もう一つは、支援制度といいますか、共済、兵庫県が共済を去年スタートさせました。これは、やっぱり国がやってくれることよりも、いよいよもう辛抱がたまらぬようになってきて、これはもうわしらでやらにゃいかぬと、こんな形でスタートしたと思うんですけれども。これはそれなりに思い切った、やっぱり阪神・淡路大震災の被害をまともに受けた地域として、やっぱりこれからはきちっとした対応が必要だという思いがこの共済制度をスタートさせたと思うんですけれども。  国として、この兵庫県が発足させた住宅再建共済制度という、この動きをどういうふうに評価して、そしてこの本法でありますこの支援制度、これとの関係をどのようにとらえていかれようとされるのか、お尋ねをしたい。
  44. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 兵庫県の方で保険制度を共済という形でおつくりになったというふうにも私どもよく伺っておるところでございます。  私どもとしては、地域といいますか、そういうところの方々は、言わば地域づくりといいますか、そういう中の一環としてそういう共済制度をおつくりになったものだというふうに理解をいたしております。  先ほど大臣の方からも答弁いたしましたように、私どもといたしましては、住宅本体を対象経費に加えるということについては、大臣も申し上げましたとおりでございますが、こういった側面を援助するという観点から、平成十八年度の税制改正で、地震保険料の控除制度、それから耐震改修税額控除制度、こういうものの税制を創設をいたしまして、その耐震なり自ら地震保険で守るといったものを援助したいというふうにも考えておるところでございます。
  45. 藤原正司

    ○藤原正司君 まあ一つの県でありますから、全体的にそれができ上がっているわけではないので、国の制度とどういうふうに組み合わせるかというような発想ができないというのはまあ理解できる答弁であるわけでありますけれども、しかし、やっぱり本気になってこの被災者支援というものを考えていかないと、ちょっと全体の仕組みが本当に、これ本当に考えてくれているのかなという思いがします。  その中で一つお尋ねしたいのは、新潟中越地震の二、三日前に二十三号台風が来まして、兵庫県北部を中心にすごい水害を、浸水ですね、ここに被害を与えたと。豊岡という市は円山川という川が非常に動水勾配の緩いゆったりした川でして、自民党の大先輩の参議院議員であります今東光さんという方が小説を書かれている中にも豊岡の浸水というのは出てくるんですけれども、普通の浸水はさっと流れてしまうと一日ぐらいの浸水で収まるんですが、豊岡の場合は丸々二日掛かる。つまり、つかりっ放しと。そのために大変大きな被害につながったわけですけれども。  この大規模半壊ということについて、水害の場合は大規模半壊というものが適用しますよと。水害の場合は余り壊れてしまうとか流されてしまうというよりも、むしろつかったことによる被害が大きいんで、大体この支援法でいきますと大規模半壊というものが適用されるというわけですけれども、この支給対象となるには、この大規模半壊には適用してもらえるんだけど、肝心の適用されるテーブルは一個しか付かないわけですね。  ここを見てもらえば分かりますように、資料を付けておりますように、一ないし四と、五ないし八というテーブルがあって、大規模半壊世帯は五―八のみを適用対象とします、一ないし四は対象外としますよと。一ないし四というのは何ですかと、大体家財道具なんかに対する支援なんです。  それで、水につかると一番先にやられるのは家財道具なんです。これは対象外になってしまう。そして、むしろ家屋の再建なんかの周辺費用に対する補助等がこの対象になって、しかも金額は二分の一で百万が上限と、こういうことになっているわけです。  私は、この豊岡の水害に対して、十月に通達を出されて、できるだけきめ細かく、水害の場合でも、半壊、大規模半壊というのが適用されるようなきめ細かい指導がされていることも分かっているし、それは理解をする。そして積極的にこの法律を適用してくれという姿勢も分かる。しかし、積極的に適用しようとしても、先ほど言いましたように、肝心かなめの一番被害を被って、それに対する支援が一ないし四というのは対象外ですよと。これでは、これはもちろん法律、この法律そのものが阪神・淡路大震災を契機にスタートしたもので、地震というのが頭にあるんでしょうけれども、水害というものも対象にした以上、これは水害に対しては極めて不十分な内容であると言わざるを得ないわけです。これは是非見直してほしい。  前回の平成十六年に改正したときに、附帯決議で四年後に見直すということは、二十年ですか、だから検討は十九年ぐらいから始まるわね。これ是非直してほしいんです。これではせっかくの制度が泣いてしまう。しかも、二分の一というのは意味も分からない。この点について御答弁をいただきたい。
  46. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 実は、平成十六年の台風二十三号で兵庫県が大変な被害を被ったところでございまして、実はその被害実態を踏まえて、全壊に当たるのか大規模半壊に当たるのかという点がございまして、その際に、台風災害によります家屋の浸水被害状況を踏まえまして、住宅被害の認定についての被災者生活再建支援法の弾力的な運用を図ろうということで、その積極的活用を図ろうということで、実は例えば壁が床上浸水して二十センチ以上つかるとその壁は四割方壊れたものとみなすとか、そういったような弾力的運用を図ってまいりました。  その結果、例えば平成十六年の台風二十三号の兵庫県でございますけれども、全壊認定数は千二十四世帯という形になっております。平成十七年の台風十四号でございますが、宮崎県では千百五十五世帯が全壊認定ということで、積極的運用ということでやらせていただいておりまして、この全壊の認定がなされたものにつきましては、先生御指摘のとおり、百万円の方の仕組みが動いているということでございます。  それから、四年後に見直すということになっておりますので、それにつきましては、現在の施行状況を毎年毎年私ども把握をすることにいたしておりますので、その結果を見まして考えていきたいというふうに思っているところでございます。
  47. 藤原正司

    ○藤原正司君 是非お願いをしたいというふうに思います。決して、この支援金が再建には十分だとは言わないまでも、国の制度としてやっぱり公平に、だれが見ても、それは多いに越したことはないにしても、やっぱり納得できる制度に是非改めていただきたいということをお願いしたいと思います。  もう一つは、高齢世帯あるいは要援護世帯、非常に経済力の弱いところ、ここについて、この方たちについては、年齢区分と抱き合わせのところでは確かに要援護というような形になっているわけであります。  ところが、実際に大規模半壊に至らなくても復旧には相当のお金が掛かるわけです。そのときに、せっかくいろんな、年収だ、いろんなことを考えてくれても、実際にこのテーブルそのものに乗っからないと。年収は非常に少ないと、少ないんだけれども、大規模半壊にはなっていないと。しかし、その人の経済力から見ると、二百万なら二百万、百五十万なら百五十万の費用が相当大きな負担になってしまう。そういう人たちにとってもう少し、例えば認定に当たって、半壊というのは何%ぐらいだ、全壊というのは何%ぐらいだというところに少しげたを履かせて、できるだけテーブルそのものが適用できるような仕組みを考えるとか、是非やっていただきたいわけです。  その点についてお考えをお聞きしたいと思います。
  48. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 被災者生活再建支援法自体が、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者ということでございまして、経済的理由によって自立した生活を開始することが困難な者に対しましてその自立した生活の開始を支援するということを目的としております。  この生活基盤であります住宅被害認定につきまして、私どもの方で平成十三年に災害被害認定基準というものを作りまして公表いたしまして、公共団体によってこれに沿った取扱いがなされているものだというふうに承知いたしております。  ただ、先生御指摘のような、対象世帯によって認定基準を変えるということになりますと、公平性の観点からこれはちょっと問題があるのかなというふうに感じております。  あとそれから、いわゆる応急修理というのがございまして、災害救助法に基づきます応急修理というものは五十万円程度お金が出るということにはなっております。
  49. 藤原正司

    ○藤原正司君 私は、別に問題は何もないと思うし、確かに丁寧にきめ細かく対応しようという気持ちが逆に複雑さを招いていることも事実なんです。災害を受けた後の対応で申告作業だとかいろんなことを考えると、余り細かく、なるほど平時に机上で読めばよくできておるなと思うんだけれども、これ現実に災害が起きた、地震が来た、あるいは台風が来た、水につかった、さあこれからというていくときに、余りきめ細かな理屈ではなくて、まず被害がどの程度あるのかということと経済能力がどのぐらいあるのかと、ぐらいを考えたときには、先ほど申し上げましたように、高齢世帯あるいは要援護世帯というふうに、これからそれを復旧していく、直していく、生活を再建していく馬力が弱い人に対しては、同じ被害であってもそれはダメージが全然違うわけですから、是非この点も検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それで、次に官庁関係の耐震問題についてお尋ねしたいと思います。  私は、阪神・淡路大震災のときに、今もそうですけれども、神戸に住んでおりまして、あのときに、神戸市役所は新しい高いビルを造ったんです、しかし、隣に旧館がそのままありまして、その旧館のたしか四階が地震によってぺちゃんと座屈するというんですか、四階だけがぺちゃんこになってしまった。たしかあのとき水道局か下水局か何かがあそこに入っていたと思うんですね。そのことで恐らく復旧作業なんかについても大変困難を窮めたというふうに思っております。  そういうふうなことを考えて、私は、こういう災害、とりわけ地震というものを考えたときに、役所の建物は堅牢でなければならないという考え方を持っています。華美にする必要は全くない、しかし堅牢でなければならない。いろんなことが起きても最後に残るのは役所の建物だというぐらいのものを用意しておかないと、これ、もちろん民間の人、すべての人の命と財産を守るということも大事だけれども、さあ、災害が起きてから復旧・復興の拠点になるのは役所なんです。その役所がつぶれてしまったんではどうしようもない。その意味で、私は何も役所にどんどん金を使えという意味じゃない、華美に流れる必要はないけれども、堅牢な最後のとりでとして残り得る役所、とりわけその重要度によってですね、災害の、という気持ち、思いを持っているわけですけれども、これに対して国としてのきちっとした基準というものをお持ちかどうか、簡単にお尋ねしたい。
  50. 奥田修一

    政府参考人(奥田修一君) ただいまの御指摘のとおり、官庁施設につきましては災害時の災害対策活動拠点としての機能が求められるということがございます。このため、私ども、その耐震性能につきましては、官公庁施設等の建設等に関する法律というのがありまして、それに基づく告示で国家機関の建築物及びその附帯施設の位置、規模、構造に関する基準というのを定めておりまして、この中に、その施設の重要度に応じた耐震性能の目標を定めてその達成を図るということとしております。  その基準の中身でございますけれども、特に御指摘のように、災害対策拠点は災害対策の指揮、情報伝達、こういった機能を果たす必要がございますので、その建物が単に安全であるということだけではなくて、災害機能する必要があるということがございますので、この基準の中では、柱とかはりとかいうその構造体の耐震安全性だけではなくて、例えば天井材とかそういう非構造部材、それから例えば自家発電設備とか通信機器、こういった建築設備につきましてもそれぞれ所要の性能を定めております。  さらに、少し具体的に申し上げますと、施設の重要度に応じて耐震性能の割増しを行うということで、構造体につきましてはⅠ類、Ⅱ類、Ⅲ類という三分類をしておりまして、特に重要度の高いⅠ類の場合には一般の建築物に比べて一・五倍、Ⅱ類の場合には一・二五倍、Ⅲ類は一・〇倍、そういう割増しをしております。それから、先ほど申しました非構造部材については、例えば天井の固定をその重要な部分については強化する、あるいは建築設備につきましては電気、水道などのインフラが途絶した場合にも継続して使用できる、こういった措置を定めているところでございます。
  51. 藤原正司

    ○藤原正司君 それで、その定めたものにちゃんとなっているかどうかというのが大事だと思うんですね。いつ定められて、そしてその基準に適合しているかどうかのまず調査、そして対策、それは大まかに言ってどの程度に今なっているのか、それをお尋ねしたい。
  52. 奥田修一

    政府参考人(奥田修一君) 基準の時期でございますけれども、当初は私どもが整備するための技術基準として、最初、重要度係数を導入したのは昭和六十二年でございます。その後に阪神・淡路を受けて平成八年にその基準を拡充して、今般告示にその内容を盛り込んだのは平成十六年ということでございます。  それで、現状でございますけれども、私ども所掌をしております官庁施設全国で約三千二百棟ありますけれども、これにつきましてその基準に合致するかどうかということを診断をいたしておりますけれども、その構造体の耐震性能が基準を満たす割合につきましてはまだ今のところ必ずしも十分でございませんで、Ⅰ類の場合は約二千棟のうち五一%、Ⅱ類の場合には一千棟のうち約六六%、Ⅲ類の場合には二千棟のうち約七〇%ということで、全体で約六八%ということで、必ずしも十分な数値ではないというふうに考えております。
  53. 藤原正司

    ○藤原正司君 このⅠ類というのは非常に重要な建物ですね。例示すれば、内閣府、国家公安委員会、警察庁、防衛庁、金融庁、総務省、まあ大体中央省庁全部網羅されているんですけれども。  これらについて調査は終わった。これらに対して調査は終わったけれども、耐震補強の問題であるとか、骨組みだけではなくて建物そのものの求められる機能がちゃんと保持できるのか、基準を満たしているのかどうか。これ見ると、Ⅰ類に指定されている設備でも、構造体だけの耐震性能では四七%、構造体もそれから機能全部含めたものを含めての性能では二四%しか耐震化が実現できていないというのが十六年度決算検査報告に載っていると。これ、本家本元がそないなっておる。結局、建物そのものは四七%、機能から見たらわずか四分の一。これはいつになったら安心して少々の地震が来てもきちっとした対応ができるような、そういう建物になるのか。これは心配ですよ。  だから、これどういう計画で、あるいはどういう優先順位を持って充実するのか。それは、金がないのも分かっていますから一遍にできないのは分かるけれども、どういう計画を持って、どういう優先順位でこれを、耐震化というものを進めようとされるのか、お尋ねしたいと思います。
  54. 奥田修一

    政府参考人(奥田修一君) お答えの前に一点。先ほど私、Ⅰ類を二千棟と発言しておるところでございますが、実際はⅠ類は二百棟の誤りでございます。申し訳ございませんでした。  それで、今の御質問でございますけれども、先ほど非構造部材、設備すべて含めてという話をさしていただきましたけれども、実は今先生御指摘の、全体がセットで満足しているのは非常に低いということでございます。  実は、構造体につきましてはほぼ診断完了しておりますけれども、設備、非構造についてはまだ診断中でございまして、昨年度末現在で約半数が完了したところでございまして、これにつきましては今年度ほぼ終了できるように努力をいたしておりますので、今年度末の段階で改めて集計をさしていただきたいというふうに考えております。  それで、どのような考え方で改修を進めていくのかということでございますけれども、ただいま御指摘のように、まずはその施設の重要度、それから診断結果ですね、診断結果、その施設が保有している耐震性能、こういったものを勘案いたしまして、緊急度の高いものから重点的、計画的に建て替えあるいは耐震改修を行っていきたいというふうに考えておりまして、特に御指摘のⅠ類の施設については大変重要な施設ということで特に重点的に進めていきたいというふうに思っておりまして、この点につきましては、耐震改修の予算につきましても来年度は今年度の一・六倍ということで、重点的に進めていくという考えでおります。  以上でございます。
  55. 藤原正司

    ○藤原正司君 結局は現状、建物の現状をきちっと正確に早く把握する、これがまずできていないわけですから、きちっと把握した上で、そして何が大事で何を優先的にとらえるべきなのかというものを早急に作ってやっていかないと、今の答弁ではまだちょっと耐震化が進むとはとても思えない。桜田門のこのおりの中の建物ぐらいしか、あれ、耐震化やなというのが分かる以外、全然、これでは本当にできているのかなという思いがいたします。  もう時間になりましたけれども、一番最初私が申し上げたのは、田舎に住むなとかそういう意味ではなくて、私自身も田舎の出身ですから田舎に対する愛着はあるし、住めるものなら田舎に住んでみたいという思いは今でも強いですけれども、しかしどんどんどんどん過疎高齢化が進んでいくという中で財政的にも厳しいと。だから、そういう住みたいという思いと財政側の要請というものを具体的にどうマッチングしていくかというときに、たまたま震災なら、今現状で特にライフラインが残っているなら何の問題もないんです。何かの天災によってそのライフラインが途絶したときに改修に膨大な費用が要るときに、改修なのか移転なのかという選択肢も考えて、一つのきっかけとしてしていかないと、いつまでも今までの、一億三千万人余の国土を何か起きたから原状回復します、原状復旧しますということだけでは、これは新しい視点での国土形成と私は言えないというふうに思っているわけでございまして、是非その点についての新しい視点というものを持っていただきたいというふうに思っているところでございます。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  56. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  本日、私からは首都直下地震への対応について質問させていただきたいと思いますが、その前に、気象庁が来年度から本格実施を検討している緊急地震速報の実施について質問したいと思います。  この緊急地震速報というのは、地震の最初に来るP波という縦波と後から来る横波ですね、S波の時間差を利用して注意喚起を行うということで、その間の数秒、数十秒の間に、家庭であれば火の始末、また工場とかそういうプラントであればいろんなことができるというわけであります。  そこで、まず気象庁にお聞きしますが、来年度に実施予定の緊急地震速報の実施計画はどうなっているでしょうか。特に、国民への速報の提供についてはどうなんでしょうか。
  57. 長坂昂一

    政府参考人(長坂昂一君) ただいま浜田委員からお尋ねがございました緊急地震速報でございますが、この情報を、速報を適切に活用するためには、震源付近ではこの情報が必ずしも時間的に間に合わない場合もあると。それからもう一つは、各地の震度も推定いたしますが、これにも誤差があると。こういった技術的な限界を踏まえると同時に、利用者におきまして情報をいかに利活用するか、あるいは利用の際の心得というものが十分に周知されていないと、場合によっては緊急地震速報が必ずしも地震被害の軽減に結び付かず、かえって混乱、不測の事故等というところも懸念される場合もございます。  したがいまして、気象庁では平成十七年の十一月から学識経験者等から成ります検討会を設置いたしまして、緊急地震速報の早期提供の実現に向けての課題、その対応を御議論いただいているところでございます。この検討の中では、緊急地震速報を各々の住民も含めて広くかつ直接的に提供するには今後十分な周知啓発活動が不可欠である、それから現時点でも混乱なく利用可能な鉄道事業等の分野については少しでも地震災害を軽減する、こういった観点から一定の条件の下で情報の提供を早期に具体化する、時期を申し上げますと、今年の夏ごろからの開始が適当であると、こういった内容の中間報告の取りまとめが検討会で行っているところでございます。  また、委員の御質問の中にありましたテレビ等を介しました広範な提供につきましても、関係機関との連携を図りながらできるだけ早期の実施に向けて所要の準備を進めてまいる所存でございます。  以上でございます。
  58. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 せっかくの速報でありますので、検討会で誤解がない形でのうまい利用の仕方を御検討いただきたいと思います。  次に、この件に関しまして防災担当大臣にお伺いしたいと思いますが、この緊急地震速報については、今お話がありましたように、鉄道関係とか各種発電所関係、また事務所ビルのエレベーターの管理等々、使い勝手を考えていけば各省庁にまたがると思いますけれども、そういう意味では全省庁を巻き込んだ実施体制をつくっていくことが重要と思いますが、この点についていかがでしょうか。
  59. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 緊急地震速報につきましては現在、有識者、内閣府が事務局になりまして、気象庁、消防庁、国土交通省、経済産業省など関係省庁、それからさらにまた、今のお話のありましたような鉄道あるいはエネルギーを始めとする各事業者等、主要な分野の関係者の参加によりまして、具体的な活用方策、今先生御指示の、お話のありましたような鉄道であるとかエレベーターであるとか家電等の各分野での活用方策や、あるいは今本運用に向けた、気象庁長官からお話のありました、本年度の中ごろ、十八年度の中ごろを目途に本運用を、開始に向けた検討を今行っているところでございます。  こうした検討も踏まえながら、今後、緊急地震速報が各分野で適切に活用され地震災害の軽減に資することを期待していきたいと思っていますが、これについてはまた、いろいろまた多くの問題があると思います。このなかなか、P波、S波の時間差ですけれども、いろいろなものによってまたそれが影響されますから、そのことによっていろいろな対応をするわけでございますので、その辺十分お互いに、実行する人の間においても理解を深めながら適切な運用を図っていきたいというふうに思っています。
  60. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。うまく活用していただければと思います。  次に、首都直下地震への対応について移らさせていただきますが、中央防災会議の専門調査会で実施されました被害想定によりますと、中でも蓋然性が高いと言われる東京北部を震源とするマグニチュード七・三の地震で、最大で死者数約一万一千人、建物全壊棟数が八十五万棟、経済被害は国家予算の一・四倍に及ぶ百十二兆円という形になっています。その首都直下地震の特色としては、一都三県で帰宅困難者が最大六百五十万人出ると、こういう想定に対して、予防段階から発災後のすべての段階において各主体が行うべき対策を明確にするために、昨年九月には首都直下地震大綱というのが取りまとめられているわけであります。  最初に、この大綱について防災担当大臣にお聞きしたいと思いますが、この首都直下地震大綱では、発災後三日程度の応急活動期においても首都中枢機能の継続性を確保すると、そうなっていますが、そのために現在実施すべき予防的措置はどうなっているでしょうか。
  61. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) お答えいたします。  首都中枢機能の継続性を確保するための予防対策といたしましては、首都直下地震対策大綱におきまして、首都中枢機関としては、まず建築物の耐震の強化を図ること、災害時に寸断しない通信連絡基盤の確保を図ること、それから非常用電源の確保を図ること、それから電算センターやオフィスのバックアップ機能充実に努めること、さらに五番目として緊急参集要員の徒歩圏内居住の確保等の対策を進めることといたしております。  そして、首都中枢機関が自らの機能継続性を確保するために、各機関ごとに、官庁ですけれども、機関ごとにこのような対策の具体計画としてBCP、いわゆる事業継続計画の策定が喫緊に求められているところであり、これが最も重要な課題であると認識しております。これに併せて、定期的な訓練の実施、さらには食料、飲料水等の備蓄などの緊急災害対策活動の環境整備を図っているところであります。また、首都中枢機関の機能継続性確保に不可欠な電力、電話、道路などのライフラインやインフラの耐震化や多重化等をも実施していくことといたしております。
  62. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 いろいろ大綱には書いてあるとおりでありますけれども、その準備を是非着実に進めていただきたいと思います。  また、この首都地域は国際的にも重要な金融決済機関が集積しております。このため、地震が発生しても、必要な要員が参集し、必要に応じてバックアップへの切替えを行うなどによって、重要な金融決済機能災害の当日中に復旧させる体制に取れるようにすると、そうなっております。  そこで、金融庁にお聞きしたいと思いますが、首都直下型地震時において、我が国主要銀行の決済機能に対する信用不安を起こさせない体制は十分であると言えるでしょうか。
  63. 谷口博文

    政府参考人(谷口博文君) お答え申し上げます。  ただいまお話にありました首都直下地震対策大綱、この中におきまして、発災直後の特に三日間程度の応急対策活動期におきまして継続性を確保するべき首都中枢機関、この中で主要な金融機関及びそれぞれのオフィス・電算センターが掲げられているところでございます。これらにつきましては、発災時の機能継続性を確保するための計画といたしまして、事業継続計画の策定等応急対策備えなどが求められているわけでございます。  金融庁といたしましても、この災害時における迅速な復旧対策や必要最低限の業務継続の確保等が必要であるという観点から、昨年策定いたしました主要行等向けの総合的な監督指針、この中におきまして、まず危機発生時等の情報発信体制あるいは収集体制を含むいわゆるBCP、業務継続計画の策定を平時から行っておくということ、またバックアップセンターの配置などコンピューターシステムの安全対策を講ずること、こういったことなど、災害が発生した場合における実効性ある体制の整備を主要行に対して求めているところでございます。  そこで、実態はどうかということでございますけれども、主要行におきましては、これらを踏まえまして、大規模な災害等が発生した場合における対処計画でありますところのコンティンジェンシープラン、これにつきましては既に整備を行っております。また、このプランに基づきまして訓練も行っているということでございますし、またコンピューターシステムの安全対策といたしまして、プライマリーセンターから離れたところにバックアップセンターを設置すると、こういった対策を取っているというふうに承知をいたしております。  金融庁といたしましては、今後とも、こういう主要行に対する検査、監督等を通じまして、災害時等における主要行の決済機能の安全対策に万全を尽くすよう努力してまいりたいと考えております。
  64. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 主要行においてコンティンジェンシープランを作っておられるとお聞きしまして、またそういう安心をしたわけでございますが、引き続きその体制を維持されますようにお願いしたいと思います。  一応、金融庁への御質問はこれでおしまいですし、気象庁もおしまいでございますので、ここで退席いただいても結構でございます。  次に、最大六百五十万人発生するとされています帰宅困難者について質問を移りたいと思います。  昨年策定された大綱では、帰宅困難者はむやみに移動を開始しないと、そのことを原則としているとなっておりますが、現状ではその内容が余り周知徹底されていないんでないかと思いますけれども、その徹底策はどうなっているでしょうか。
  65. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 昨年九月に中央防災会議で決定いたしました大綱でございますけれども、この中で膨大な帰宅困難者が発生して、応急対策活動の妨げになるということから、むやみに移動を開始しないという基本原則の周知徹底を図るべきだというふうにされております。  私どもの方では、平成十八年度、要するに今からでございますけれども、企業向けの帰宅困難者対策指針検討をきちっと作り上げようということにいたしたいと思っております。その中で、帰宅困難者となりました従業員の行動原則を始めといたしまして、帰宅困難者による地域救援活動等の企業の役割についても整理いたしまして、公共団体とも十分連携して、むやみに移動を開始しないとする原則の一層の周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。  なお、今朝方の新聞にも出ておりますが、東京都においても改めて被害想定をこの件において実施しておりまして、そこでもそれを踏まえて、むやみに移動を開始しないという基本原則にのっとった対策検討する予定というふうに伺っております。さらに、文京区など一部の公共団体でございますけれども、一斉に帰宅の行動を取らないようにすることを要請する内容の条例制定をしてはどうかと、こういうような動きもございます。  そういう動きも十分見守りながら、委員指摘のような周知徹底方に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  66. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 これから十八年度に向けて周知徹底をされるということですが、その周知徹底をした場合に、じゃ今度はその六百五十万人という人数がしばらく数日間いるということで、その非常食、飲料水ですね、そういうものの備蓄の体制をどうするのかという問題であります。また、違った見方をすると、災害のある現場で六百五十万人の方が、何か手伝ってもらえるかもしれないと、ボランティアの担い手にもなれるかもしれないと、そういう目で見ることもできるんですが、そういう活用の仕方もあるんでしょうか。また、その備蓄対策と併せてお答えいただきたいと思います。
  67. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 災害時でございますけれども、企業が従業員や顧客の安全を確保するとともに、事業活動の維持を通じまして社会や経済の安定に貢献するということが重要だろうというふうに思っております。また、企業自らの事業継続だけではなくて、その企業の立地します地域への安全への貢献も重要であるというふうに考えておりまして、御指摘のように、その被災地域での救援活動の担い手としての役割も実は期待をいたしております。  現に、大手町、丸の内、有楽町地区の企業が設立をいたしました東京駅周辺防災隣組というのがございまして、そこでは、帰宅困難者対策とか、ビルの耐震診断をするとか、ガラスの飛散防止対策促進といったような地域防災のための積極的な活動展開をしていただいております。こういったような先進的な取組事例をうまく世間に知らしめて、同じようなことが皆さんやっていただけるというようなことをこれからやっていきたいというふうに思っております。  それから、この大綱の中では、企業が食料、飲料水、生活必需品の備蓄も図るというふうに書いてございまして、内閣府におきましても、企業が果たすべき社会的責任に注目いたしまして、備蓄などの基本的な考え方をきちっと整理をして、またいろんな方々にもお願い、要請をしたいというふうに考えておるところでございます。
  68. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 正にその帰宅困難者はある意味ではボランティアの担い手でありますので、是非その取組を、大手町の例も御紹介ありましたが、広げていただきたいと思います。  そのような形で、足止めされた帰宅困難者にとりまして気掛かりなのは家族の安否という問題でありまして、それについては既に災害伝言ダイヤル、いわゆる一七一というのがありまして、毎月一日にはその訓練ができるというような現状になっています。しかし、それが余り知られてないんじゃないでしょうか。まだまだ国民のなじみが薄いと思います。  そこで、防災担当大臣にお聞きしたいと思いますが、毎年九月一日の地震防災訓練の日に国民全員が災害伝言ダイヤルを積極的に活用して、家族安否確認の訓練を行ってはいかがでしょうか。
  69. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 災害用伝言ダイヤル一七一は、阪神・淡路大震災の際に、大規模な電話のふくそうが続いて被災地の安否確認が難しかった教訓から、電話のふくそうを軽減して、災害時に一般電話から容易に安否確認のため連絡を取ることができる災害用伝言サービスをNTTが平成十年から提供しているものでありますが、NTTでは、防災週間、八月三十日から九月五日、及びボランティア週間、一月十五日から二十一日に災害伝言サービスが体験できるようにいたしております。加えて、平成十六年の防災の日、九月一日からは、毎月一日に災害用伝言サービスを体験できるように対応いたしてもおります。  さらに、携帯電話のメールによる災害用伝言板サービスも、地震などの災害時に通信のふくそうを軽減して円滑に被災者の安否情報を提供でき、国民に安心を与える有効な手段でありますので、平成十六年からサービスの提供もしているところであります。また、災害用伝言ダイヤルと同様に、防災週間、ボランティア週間及び毎月の一日に伝言板サービスの体験ができるようにもなっております。  今後とも、九月一日の総合防災訓練のときに、周知を図ることも含めて、関係事業者等と連携して、災害用伝言ダイヤルや災害伝言板サービスが適切に活用できるよう、その認知度の向上に努めていきたいと思っております。  先生おっしゃるとおり、いざというときには本当に家族のことが心配になりますから、そういうことが、連絡が取れるようにし、また安心して救助対策に当たれるようにしていきたいというふうに考えております。
  70. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。  是非、いい制度だと思いますので周知徹底していただいて、皆さんが試しにやってみるというのはお願いしたいと思います。  帰宅困難者の中には、エレベーターに閉じ込められるという方も多いかと思います。昨年七月二十三日、マグニチュード六・〇の千葉北西地震でも七十八件閉じ込め事件があったと聞いています。しかも、平均閉じ込め時間は五十分で、最長は百七十分であったとも聞いておりますが。  そこで、国土交通省に質問しますが、首都直下地震の場合、エレベーターに閉じ込められる被害はどの程度と想定しているか、またその被害を最小限にするための予防対策はどうなっているでしょうか。
  71. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 昨年七月の千葉県北西部を震源とする地震では、今引用していただきましたけれども、乗客がエレベーター内に閉じ込められる事故が七十八件発生いたしました。首都直下地震が発生した場合にも、相当数のエレベーターにおいて閉じ込め等の被害が発生することが想定されます。  実は、この七十八件のうち七十三件が、地震を感知し最寄り階に停止してドアを開放する地震時管制運転装置が付いていながら、運行時にドアが開いた場合に緊急停止する別の安全装置が優先して作動したということで、階の間に止まってしまって閉じ込められたというふうに考えているわけでございます。  国土交通省では、発災しまして直後の昨年の八月以降、社会資本整備審議会の建築分科会の建築物等事故災害対策部会におきまして、エレベーターの地震防災対策について、千葉県北西部地震の教訓を踏まえて対策検討してまいりました。  具体的には、エレベーターの耐震安全性確保はもちろんですが、地震時管制運転装置が確実に作動すると。非常に、余りにも感度が高いために、揺れでちょっとドアが開いたために、ドアが開いたら緊急停止するという装置が先に作動してしまったというようなことがありますので、その辺りを、本来の地震時管制運転装置の趣旨である地震を感知したら最寄り階まで行って停止してドアを開放するという機能が確実に作動するように、それから、いったん閉じ込められた事故が発生した場合の早期救出・復旧体制の整備、それから、閉じ込めが生じた際のかごの中への適切な情報提供といったようなことを検討してまいりました。  部会では、来月にも最終的に部会を開催して、この地震防災対策の最終取りまとめを行うこととしております。  国土交通省といたしましては、この部会における最終取りまとめ結果を踏まえまして、関係業界とも連携して、閉じ込め事故等の被害を最小限に抑えるために必要な対策を急いで講じてまいりたいと考えております。
  72. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 次に、帰宅したくても住宅が被災し避難せざるを得ない住民について質問します。  首都直下地震では最大避難民は四百六十万人と言われています。その一か月後でも二百七十万人の避難民の、この収容体制はどうなっているでしょうか。特に、従来から体育館等が使われておりますけれども、プライバシー等の問題があります。その収容環境の改善策についてもお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  73. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 委員指摘のように、避難所生活者の数というのが過去の災害と比べまして膨大な数に上ります。ピーク時で四百六十万人、一か月後でも二百七十万人ということでございまして、とても通常の指定避難所を確保するという部分だけでは対応できないというふうに考えております。  したがいまして、公共団体におきまして避難所をまず確保していただくということに加えまして、一時的な疎開とか帰省の奨励、あっせんをするとか、ホテルとか空き家等の既存ストックの活用といったような、様々な対策を取らないといけないだろうというふうに私どもでは考えているところでございます。したがいまして、こういったような、ホテル業界とかそういう方々にも要請をお願いしたりして確保していくということが必要ではないかというふうに思っているところでございます。  それから、避難場所でのプライバシーの確保でございますけれども、特に災害時要援護者についての配慮が必要だろうというふうに考えておりまして、実は災害時要援護者の避難対策に関する検討会というのがこの三月に検討を一応終えまして、一番困っている人から柔軟に機敏に臨機応変に対応するようにしようということでございました。具体的には、和室ですとか空調設備のある部屋の提供ですとか、畳、カーペット等の設置、間仕切り等によるプライバシーの配慮とか、おむつ交換場所の確保といったような工夫、支援が必要だというふうにしているところでございます。さらに、早期のプライバシーの確保のためには、避難所での生活期間が短くなるように、仮設住宅の早期建設、既存ストックの活用だといったような総合的な対策も必要ではないかというふうに思っておるところでございます。  いずれにいたしましても、今後、関係省庁、関係地方公共団体と密接に連携を取りつつ、対策の具体化、実行に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  74. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 是非、プライバシーの確保された避難の体制を検討いただきたいと思います。  以上、首都直下地震について幾つかお聞きさせていただいたんですが、これらに対応した地震防災戦略が近々策定されると聞いております。この死者一万一千人、倒壊家屋八十五万棟、帰宅困難者六百五十万人となっている首都直下地震被害を半減以下にするような地震防災戦略の策定が必要と考えますが、これについて大臣の御決意をお願いしたいと思います。
  75. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 首都直下地震は特に被害規模が膨大であることから、効果的かつ効率的に被害軽減策を講じていくことが必要であります。  このため、平成十七年九月の中央防災会議で決定いたしました首都直下地震対策大綱におきましては、被害軽減について達成時期を含めた具体的目標を定めた首都直下地震地震防災戦略を策定することとされております。同大綱決定を踏まえまして、平成十七年十月には首都直下地震地震防災戦略にかかわる関係省庁会議を開催いたしまして、関係省庁とともに地震防災戦略策定に向けた検討を開始いたしております。  これまでの検討も取りまとめまして、この四月にも中央防災会議を開催して、地震防災戦略を策定してまいりたいと考えております。ここにおいて、今先生の言われました具体的な対策が盛り込まれることになります。それを踏まえて、またその実現のために今後とも全力を挙げてやっていきたいと考えております。
  76. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。  是非、今力強い御決意をお聞きしましたので、その戦略に盛り込んでいただきたいと思います。  また、被害を最小に食い止めるには、国と地方自治体との連携が何よりも重要と思います。災害対策基本法上は、地域防災計画、この見直しは毎年行うこととなっておりますが、実際は何らかされていないというのが実態でございます。  再度、それで防災担当大臣にお聞きしたいと思いますが、これらの大綱、戦略を実施可能としていくために、関連自治体における地域防災計画に対して、改定への期待といいますか、それについて御意見をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  77. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 今申しました首都直下地震では、特に人的被害が膨大となることから、関係自治体においては首都直下対策大綱に示された建築物の耐震化対策、火災対策とともに避難者対策、帰宅困難者対策について地域防災計画において対策充実を図っていく必要があるところであります。  なお、東京都でも同様の被害想定を実施し、対策充実検討いたしております。  さらに、この四月にも中央防災会議を開催いたしまして、地震防災戦略を策定したいと考えておりますが、この地震防災戦略を踏まえまして、関係地方公共団体に対して定量的な地域目標の設定を要請する予定であります。その際、関係都道府県においては地域防災計画において、ただいま述べた対策充実に加え、被害軽減のための対策に関する長期目標の設定にも努めていただくことといたしております。  以上でございます。
  78. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 終わります。
  79. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  福岡西方沖地震からちょうど一年がたちまして、先ほど与党議員からも提起がございました。私もちょうど発災のその当日、子供の保育所の卒園式でございまして、子供たちや保護者の悲鳴が上がる中、お互い励まし合って、そして福岡市内あるいは玄界島を調査を直ちにいたしまして、そのときの本当に甚大な被害というものを改めて思い起こしているところでございます。  玄界島では、今なお本土側とそして島の、その二つに分かれた仮設住宅で厳しい生活を皆さん送っていらっしゃいます。壊滅的な被害を受けられた中で、島民の方々が島は一つの家族だと、こうおっしゃって、島での家族そろって、住民そろっての生活を必死に願われて、困難な、壊滅的な困難と闘いながら、あるいは漁業の再建に必死に努力をしながら、言葉に尽くせない努力をこの一年してこられた。私もこの一年間、何度となく島に渡って懇談をする中で、その御様子をリアルに受け止めてまいりました。  そんな中で、島では被災家屋あるいは土地、これを福岡市が買い上げて整地をし、島民の皆さんに分譲する、ないしは公的住宅を建てていくと、こういう事業が進行することになりました。一方で、生活支援法の適用申請を願う島民の皆さんがたくさんおられるんだけれども、様々な状況でその支給がかなわないという、そういう方も出ていらっしゃるというふうにお伺いをしています。  内閣府として、この玄界島の復興問題について、進行状況と課題についてどんなふうに認識しておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  80. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) ちょうど福岡西方沖地震が起きまして約一年が経過しておるわけでございます。  この災害被害を受けました玄界島の復旧・復興でございますけれども、玄界島の斜面部を含みます被災住宅の密集地区の面的整備が課題でございます。福岡市の方で、地質調査の結果と島民の意向を踏まえまして小規模住宅地区改良事業を実施するということに決定をいたしまして、本年の二月二十八日に事業計画が決定されたところでございます。この事業計画に基づきまして、土地の買収なり建物の除却は既に始まっております。この後は、その買収なり建物除却を終えまして、改良住宅の建設、戸建て用地の造成、道路、公園等の公共基盤整備を実施する予定だというふうに伺っておるところでございます。  また、本事業と併せまして、斜面部の安全確保を図るような治山・砂防施設事業、基幹産業である漁業を支える漁港施設、それから小中学校等の公共施設災害復旧事業を総合的に実施する予定というふうに聞いておりまして、私どもとしても、地元の意向をよくお聞きしながら、被災地の復旧・復興に向けまして必要な措置をきちっととっていきたいというふうに考えておるところでございます。
  81. 仁比聡平

    仁比聡平君 島民で組織をしておられます復興対策検討委員会を始め、福岡市とよく協議をしながら国として努力を更に引き続きお願いを申し上げたいということだけ申し上げて、具体的な点についてはまた改めての機会にさせていただきたいと思います。  西方沖地震では、玄界島だけではありませんで、福岡市内のマンションを始めとした甚大な被害が起こりました。この委員会でも私も御紹介をしてまいりましたけれども、倒壊による死傷者こそ幸い出ませんでしたが、剪断亀裂が入って、再建には大変な困難が現実に生まれています。御自宅のドアからは逃げることができずに、ベランダでお隣との隔壁を突き破って四軒向こうのおうちのドアからしか逃げることができなかった。もしこれが火が出ていたら命を失っていたのではないかというような状況もございました。  そんな中で、福岡県マンション管理組合連合会が、地震地域係数の是正を求めていらっしゃいます。お手元に資料を配付しておりますけれども、まず国交省、この地域係数というのがどういうものなのか、簡潔に説明をしてください。
  82. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 建築基準法に基づく構造計算を行う場合におきましては、その前提となります建築物に作用する地震力、地震でどういう力が建築物に作用するかというその力を求める際に、地域地震係数を掛けるということとされております。  この地域地震係数は、過去の地震記録などに基づきまして、各地で発生すると考えられる地震動の大きさを予測いたしまして、この予測される地震動の大きさの相対比を求めるものでございます。東京都や静岡県など特に大きな地震が発生するおそれが高いと考えられる地域を一・〇とした上で、それとの比較において〇・九、〇・八及び〇・七の地域を定めたものでございます。
  83. 仁比聡平

    仁比聡平君 委員の先生方、御存じだったでしょうか。この耐震偽装の事件が起こって、よく巷間言われるようになりました保有水平耐力一・〇という基準が実は日本各地で一律ではないんだと。〇・九あるいは〇・八掛け、〇・七掛け、沖縄県はそうですが、こういう基準に元々なっているんだと。それは建築基準法に基づく告示でそうなっているんだということなんですね。  西方沖地震は、震度六弱の激しい揺れで甚大な被害をもたらしました。一方で、昨年三月に国の地震調査委員会が発表いたしました地震動予測地図では、震度六弱の地震発生確率というのは福岡では五百年から一千年に一度というふうに予測をされていた、極めて発生確率の低い地域とされていたわけですね。そこで西方沖地震が現実に発生をしたと。ですから、改めて、日本列島のどこで起きてもおかしくないということを前提として地震対策防災対策を進めようというのが我々の認識だと思います。  お伺いをしますと、この地震地域係数というのは昭和二十五年の時点で決められたものが基本的には変わっていないというふうに伺っているわけですけれども、今の現状、大規模地震に対する備えをしっかりしていかなきゃいけないという中で、この地震地域係数をせめて一・〇にしてもらいたいという強い要望があるわけです。この見直しを含めて検討をするべきだと思いますけれども、いかがですか。
  84. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 御指摘いただきましたように、我が国、地震はいつどこで発生してもおかしくないという認識は広まっておりまして、そのこと自体はおっしゃるとおりだと思います。ただ、過去の地震記録などを踏まえますと、発生の可能性がある地震の大きさ、あるいは発生の間隔については地域によって差があるということも事実でございまして、建築基準法の趣旨、特に最低限の基準を定めるという建築基準法の基準といたしましては、地域係数、地震地域係数によって差を設けることには合理性があると考えているところでございます。
  85. 仁比聡平

    仁比聡平君 私も専門外ですからよく勉強をしているところですけれども、〇・八掛け、北部九州でいいますと、この〇・八掛けというのは耐震性能が東京に比べて八割になるということではないんだということなんですね。保有水平耐力と、それからそこに掛かる、建物に掛かる変形、この力が掛け合わされて実質約六割に低下をするんだということを研究者の方が書いてらっしゃる論文を読んだことがございます。これを昭和二十五年のころから基本的に変えないで今後もいくのかということは是非見直しをしていただきたいと思うんですね。  耐震偽装事件が福岡、九州、あるいは北海道にも広がる中で、関係者の中から、ここは地震が起こる可能性は低いからというふうな認識が事件関係者の中から出ている、そういう言葉も出ているわけです。にもかかわらず、元々の基準が九掛け、八掛け、七掛けというままにしておくわけにはいかないと思いますが、少なくとも検討あるいは見直し、この方向での考えを示していただきたいと思いますが、いかがですか。
  86. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) この地域係数、昭和二十六年に導入されました。近年の例えば地震による被害、現実の被害の程度を勘案しますと、新潟県の中越の地震、あるいは今御指摘いただいております福岡県の西方沖地震による被害の程度を考えますと、今のところは私どもとしては、この現行の基準はおおむね妥当だと考えております。したがって、現時点ではこのZ値を一律に強化するということは検討してないわけでございますけれども、ただ、耐震安全性というのは建築物の最も大事な性能でございますので、基準法が定める最低基準、それから、それに更に上乗せしてどういうふうな性能を表示できるかと、建築物の消費者に的確に耐震安全性の性能を、情報を伝達するための方法ですね、については、引き続ききちんと検討してまいりたいと考えております。
  87. 仁比聡平

    仁比聡平君 なかなか局長、渋いんですけれども、初めての問題提起でございますので、これ以上お伺いしません。静岡県などでは自治体独自で上乗せの任意規制といいますか、をしておりまして、一・二というのを基準にするというふうになっているともお伺いをしております。是非大臣も御認識いただいて、御検討政府挙げてしていただきたいとお願いをしておきたいと思います。  もう一点、福岡のマンション管理組合がマンションの構造の総点検を求めているということを予算委員会でも過日、北側国土交通大臣にお伺いをいたしまして、耐震診断あるいは改修の補助事業、これ来年度予算で百三十億円という形で組まれました。これを活用して、しっかり活用して進めさせてもらいたいという御答弁なのですが、お伺いをしますと、これは補助事業ですから、地元の自治体が、地方公共団体が耐震診断あるいは補修についての何らかの事業を組んでいないとこれは活用できない。その自治体がそういう制度を組んでいるかどうかについていうと、かなり厳しい状況があるというのを伺いました。どんな実施状況だと見てらっしゃるのか、それを今後どうしようとしてらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  88. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 御指摘いただきましたように、国が用意しております住宅・建築物耐震改修等事業につきましては、公共団体がその気になって的確に進めるという意思決定をしていただかないと現実には動かないわけでございます。その点について課題があるということは御指摘のとおりだというふうに私どもも考えております。  昨年の四月一日現在で、戸建て住宅につきましては、耐震診断を補助を実施している市町村数が八百、耐震改修に対する補助を実施している市町村が三百五十市町村です。マンションにつきましては、これは更に落ちまして、耐震診断に補助を実施している市町村が三百五十、耐震改修補助を実施しているのは百五十です。非常に問題があるという認識です。  これにつきましては、昨年の特別国会で改正していただきました耐震改修促進法で、公共団体が促進計画を作っていただきます。促進計画を作る中で、公共団体自身ももちろん問題意識を持ってもらいますし、的確に住民の方々に、耐震化の目標を定めて、相談窓口も設置して、さらに地震防災マップ等、ハザードマップ等も作成、公表して問題意識を持ってもらって、それでこの助成制度を取り込んで前に進めていただくという形を私ども考えておりまして、特に、公共団体の中でも住民の皆様に最も身近な市区町村がこの地震防災対策に積極的に取り組んでいただくということが大事でございますので、改正していただいた耐震改修促進法をきちんと前に進める中で、公共団体の積極的な取組を促してまいりたいと考えております。
  89. 仁比聡平

    仁比聡平君 今御紹介いただきましたように、全国二千四百十八の市町村の中で、戸建て住宅耐震診断の制度を持っていると、ここは一番高いんですが、三二・九%で、共同住宅耐震診断の制度は一四・一%しか持ってない、耐震改修に至っては六・三%しか持ってないという、そういう状況なんですね。  この状況の中で、中央防災会議が決定をされましたように、住宅の現在の耐震化率七五%を、これ今後十年で九〇%に引き上げるという上では、これはもう地方任せにはできない、本当に大きな力が必要になるだろうと思います。その点で、大臣の決意をお伺いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  90. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 建築物の耐震化促進につきましては、今委員お話にありましたように、中央防災会議においても国家的緊急課題として位置付け、住宅耐震診断を含め、耐震化を一日も早く進めるべきといたしております。この決定を受けまして、耐震改修促進法の改正、あるいは耐震改修促進税制の創設、補助制度の充実等の様々な対策を、国として、関係省庁が密接に連携して実現してきたところであります。  なお、内閣府におきましては、地方公共団体の耐震診断の実施を促進するため、住宅の所有者等に所在地の揺れやすさ等を示す地震防災マップの作成マニュアルを策定し、これを配布する等の支援を行ってきております。内閣府では、九つのモデル事業を実施して、その成果を踏まえてこのマニュアルを策定したものでございます。  今後とも、地方任せではなく、国として関係省庁との密接な連携の下、住宅耐震診断、耐震改修を積極的に推進し、地震防災対策に万全を期してまいりたいというふうに考えております。  なお、先ほど先生、地震の係数のお話ございましたが、私はこういう関係のことを専門にやってきた人間で、から申し上げますと、やはり地震というのは五十年とか百年単位で起きてくるものですから、やはりかなり前と言われますけれども、そんなに、この地球全体、その地震から見れば差があるものではないというふうに思っております。  それと、安全というものは、これは国民のコンセンサスであるというふうに私思っておりますので、まあここでは地震のそういう話する場所ではないかもしれませんけれども、そういう点は長年やってきた人間として申し上げたいと思います。  以上でございます。
  91. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  92. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 次に、地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  提出者衆議院災害対策特別委員長大野松茂君から趣旨説明を聴取いたします。大野災害対策特別委員長
  93. 大野松茂

    衆議院議員(大野松茂君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  地震防災対策特別措置法は、平成七年六月に、地震による災害から国民生命、身体及び財産を保護するため、地震防災緊急事業五か年計画の作成及びこれに基づく事業に係る国の財政上の特別措置等について定めることにより、地震防災対策の強化を図り、もって社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的として、災害対策特別委員会提出により制定されたものでございます。  その後、平成十三年三月に、地震防災緊急事業に係る国の負担又は補助の特例等の措置の有効期限を五年延長し平成十八年三月三十一日までとする改正を行っております。  本法に基づき、各都道府県においては、地震防災緊急事業五か年計画を定め、各般の施設整備等を鋭意講じてきたところでありますが、昨今の厳しい財政事情により、地震防災緊急事業の進捗率は低い状況にあるとともに、新潟県中越地震福岡西方沖を震源とする地震など近年全国的に多発する地震災害から得た教訓などに伴い、対応すべき新たな課題も生じております。  本案は、地震防災緊急事業の実施の状況などにかんがみ、地震防災緊急事業に係る国の負担又は補助の特例等の措置の有効期限を更に五年延長するとともに、地震防災対策充実強化のために必要な措置を講じようとするものでございます。  次に、本案の主な内容について御説明いたします。  第一に、都道府県防災会議等は、都道府県地域防災計画等において、想定される地震災害を明らかにして、地震防災対策の実施に関する目標を定めるよう努めることといたしております。  また、地震防災緊急事業五か年計画は、都道府県地域防災計画等に地震防災対策の実施に関する目標が定められているときは、当該目標に即したものでなければならないこととしております。  第二に、地震防災緊急事業に係る国の負担又は補助の特例等の措置の有効期限を平成二十三年三月三十一日までとするとともに、この特例措置に公立の小中学校等の屋内運動場の補強を追加することとしております。  第三に、都道府県及び市町村は、想定される地震災害の軽減を図るため、当該地域における地震動の大きさ、津波により浸水する範囲等について、また、これに加えて市町村は、地震災害に関する予報及び警報の伝達方法、避難場所その他の地震が発生したときの円滑な避難を確保するために必要な事項について、印刷物の配布その他の必要な措置を講ずることにより、住民に周知させるよう努めなければならないものとしております。  第四に、本案は、一部の規定を除き、公布の日から施行することとしております。  以上がこの法律案の提案の趣旨及び内容であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  94. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  95. 神本美恵子

    神本美恵子君 民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。  ただいま趣旨説明がございました地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案について質疑を行いたいと思います。  先ほど野村委員の方からもお触れになりました学校施設耐震化問題につきまして、私は文教委員会の方でも幾度となくこの問題について課題意識を持って取り組んできたわけですけれども、この法律改正の中で、公立学校の体育館の国庫補助率を三分の一から二分の一にかさ上げするという、そういう内容も含んだものでありまして、今日は学校施設耐震化促進ということを中心質問をさせていただきたいと思います。  私自身もこの問題に本当に課題意識を持ちましたのは、実は二〇〇二年の一、二月ごろだった思いますが、消防庁が全体の施設耐震化について発表いたしました。そのときに、ほかの施設、様々な公共施設があるんですけれども、その中でも際立って耐震化が遅れている施設として公立小中学校の数字が出ておりました。ちょっと正確なその当時の耐震化率覚えておりませんけれども、それから四年たちました今年でも五一・八%しか耐震化がなされていないという現状にございます。  二〇〇二年以降私は毎年文部科学省にも、どれだけ進捗したのか、耐震化が進んだのか、なぜ進まないのかということをずっと問い続けてまいりまして、文科省としても大変努力をしていらっしゃることは私も承知しておりますが、なかなかそれでも進まないというこの現状を何とかしなければという思いで、この法律改正がそういう意味で、一部ではありますが、体育館のかさ上げということが盛り込まれておりますので、発議者の方々のこの公立学校の遅れを何とかしようという思いも大変共感、賛同するものでございますので、是非これを実効あるものにしたいというその思いで質問を順次させていただきたいと思います。  まず、今趣旨説明にもございました地震防災緊急事業五か年計画、これまで阪神・淡路大震災の教訓を基にこの法律、特措法が制定されて、一度延長され、今度再延長になるわけですけれども、この十年間の進捗率、この計画の進捗率を見てみますと、第一次計画、九六年から二〇〇〇年までの第一次計画の進捗率七六・三%、それから第二次計画、〇一年から〇五年までの進捗率は六九・三%というふうに資料の中で数字が出ておりました。第一次計画では、計画額が十八兆五千三十三億円、実績は十四兆一千百七十四億円。それから、第二次計画はそれぞれ、計画が十四兆一千八百四十三億円、実績が九兆八千二百四十三億円というふうになっております。進捗率が数%ではありますが遅れている、減少しているということがあります。  今の趣旨説明の中でも、進捗率が昨今の厳しい財政事情によって低い状況にあるので再延長するというような御説明ございましたが、これらの実績といいますか、進捗率について所管の内閣府としてはどのような評価を行っていらっしゃるのか。また、この十年間のこの法律の効果というのをどのように認識していらっしゃるのか、まずお伺いしたいと思います。
  96. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 地震防災緊急事業五か年計画の進捗率でございますが、委員指摘のとおり、一次計画が約七六%、現在の計画の二次計画でもやっぱり七〇%辺りということでございまして、まあそうおおむねにとどまっている見込みということでございます。  このように当初計画どおり事業が進まなかったのは、基本的には地方公共団体の財政事情の悪化なり、いろんな各種事業の用地取得の難航といったようなものが主な原因ではないかというふうに考えておるところでございます。  私どもとしますと、言わば目標を立てて計画的に実施していくということが一番重要なことだろうというふうに思っておりますが、ともすれば、都道府県の場合には都道府県全体の計画ということになるものですから、どうしても全体の財政事情というものに左右されてしまうのかなというふうに思っております。  私どもといたしましては、言わば漫然と五か年計画を作るんじゃなくて、国の方も地震防災戦略というのを決定いたしまして、今後十年間にどんなことが必要なのかというようなことを国の方でも決めると。そうすると、都道府県の方もこの十年間でどんなことができるのかというようなことで言わば目標を決めていただいて、足に地に着いた五か年計画を作っていただいてやっていただくということが今後は重要なのかなというふうに考えているところでございます。
  97. 神本美恵子

    神本美恵子君 おっしゃるとおり、確かにきちんと目標を立てて、五か年なら五か年、十か年なら十か年ということで計画的に進めていくということでやらなければ、なかなかこの計画が実績として上がってこないというふうに私も思います。  そこで、この進捗率の全体を見ますと、例えば都道府県ごとに非常に大きなばらつきがあるということと、それから二十八施設が対象施設として挙げられているんですが、その施設区分ごとに見ましても、進捗状況やその整備状況、若干その進捗状況と整備状況は、率は数字としては変わってくるというふうにお聞きしていますが、ばらつきが目立っているんですね。このばらつきの要因といいますか、何というか、都道府県によってすごく計画的に進んでいるところと遅れているところ、それから施設区分ごとに、後で私も問題にしたい重要な建築物と言われている、そこは落ち込んでいる、それから防災無線に関する整備も遅れているというふうなばらつきがあるんですが、先ほどの御答弁で、ただ漫然とじゃなくて地に足が着いた計画を立てるべきだとおっしゃいましたが、政府としては、この計画について一年目にどれだけ進捗したのか、実施されたのか、二年目に実施されたのかというふうなことは定期的な調査といいますか、集約というのはされてこなかったんでしょうか。
  98. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 誠に恥ずかしながら、毎年定期的に実施するということではなくて、まあ数年置きに実は実施していたというところでございます、正直申し上げまして。
  99. 神本美恵子

    神本美恵子君 正直にありがとうございます。  私は、やっぱり一つ何か計画を立てたら、それが本当に進んでいるかというのは、これはもう初歩的なことだと思います。ただ、事務的には、私も一つの県の計画というのを見せていただきましたが、このぐらい分厚い計画、施設ごとに本当に細かな計画、都道府県は一つの県で各市町村施設をばっと書き出して、本当にあれを集約するのは作業的に大変だろうなと思いますが、こういう都道府県のばらつきや区分ごとのばらつきをなくすためには、是非とも、まあ毎年やるのか一年置きにやるのかということは、作業量やそちらの人的な能力も相談して結構だと思うんですけれども、やはりきちっと計画立てたものは実施していくというためには、定期的な調査をやる必要があるということを申し上げたいと思います。  そこで、施設区分の中で重要な建築物というものがございます。その中身は、公的医療機関等、社会福祉施設、小中学校等、公立盲・聾・養護学校、不特定多数の者が利用する公的建造物というような項目になっておりますが、それぞれ耐震化率が芳しくない建物ばかりです。  公的医療機関、病院等ですが、五六・一%、社会福祉施設六七・二%、小中学校等四五・九%、これは〇四年三月時点ですので、今はどれも少しずつ進んでいると思いますが、そういう数字。公立盲・聾・養護学校六一・九%というような、それから公的建造物五二・七%というふうになっておりますけれども、このように重要な建築物の耐震化の遅れについて、先ほどから本当に、昨年は建築物の耐震化促進法も改正されましたけれども、このような遅れについて、この特措法を十年間やってきたにもかかわらずといいますか、これがあったおかげでここまで進んだとも言えるかもしれませんけれども、なかなか進んでいない、この遅れに対して、政府としてこの重要な建造物に対して何か特に取組があったのかなかったのか、この遅れに対する認識取組についてお答えをお願いします。
  100. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 大変適切な御指導をいただいたという気持ちです。学校は正に次代を担う子供たちの学習の場であるだけでなく、災害時には地域避難場所等として活用されますし、また病院では災害による負傷者の治療が行われ、社会福祉施設災害弱者が利用するなど、いずれの施設地震防災対策耐震化を強力に進めるべき施設というふうに考えております。  しかし、先生おっしゃるように、必ずしも達成率は余り、まあまあというところかというふうな状態でございますが、これを何とかしてこの達成率を高めるためにもということで中央防災会議、これは平成十七年、昨年の九月に開催されたこの中央防災会議におきましては、学校や病院などの公共建築物等の耐震化促進について政府全体の課題として強力に取り組むことが決定されました。この中央防災会議は、総理、全閣僚が出る、そのほか有識者も出る、そういう会議でございます。  この決定を受けまして、例えば学校については文部省と国交省が密接に連携するなど、また病院等については厚労省も含めこれに参加していくなどなど、関係省庁間の連携を強めながら重要施設耐震化を強力に進めていきたいと考え、そういうことも現実に行っているところでございますので、これから徐々にそういう成果が積み重ねられていくものと確信しております。
  101. 神本美恵子

    神本美恵子君 沓掛防災担当大臣としてもこれは非常に重要な施設であるので進めなければいけないというお気持ち、認識は理解しました。しかし、この現状を、五割から六割ぐらいしかない耐震状況について、まあまあなので、言葉じりを取るつもりはございません、しかし、まあまあの現状なので少しずつ進めていきたいというこの認識については、私はちょっと納得しかねるといいますか、改めていただきたいなと思います。  といいますのは、学校施設についても、ちょっと質問の順番変わりますけれども、例えば昨年のパキスタン地震の場合も、我が民主党から視察に行った方のお話やスライドなどを見せていただいたんですが、学校にちょうど登校した子供たちが、その学校が倒壊した下敷きになって一遍に一つの学校で二百人以上の子供が亡くなるという事態が起きたり、それからパキスタンは、行政機関とか病院とか学校とか、そういう公的な施設耐震化がなされていなかったために、被災に対する復旧とか、それから被災した人が病院に運び込まれても病院がつぶれて機能しなかったというような事態で、大変な状況になっていたというお話を聞きました。  そういう意味からは、個人の住宅や様々な建物の耐震化ももちろん大事ですけれども、子供たちが、いわゆる社会的弱者である子供たち、逃げ遅れたりもするかもしれない子供たちが一日の大半を過ごしている学校、しかも地域防災拠点になっている学校、避難した人がそこに逃げてくる場所としても指定されている学校や、それから病院というようなところの、あるいは福祉施設もそうですけれども、の耐震化についてはどこよりも早くやるべき施設という認識是非持っていただきたいと、これはお願いをしたいと思います。  そこで、そこが、早く急がなければいけないところが遅れているということについて、私は、きめ細かなやっぱりチェックをしていくことによって、特に施設区分の中でも、この重要な建築物のところはそこだけでも、もし、さっき言いましたように、毎年調査ができなければそこだけでも毎年定期的にチェックをして年度ごとに整備率をアップするようにという取組が必要だと思いますが、これについては内閣府がやられるのか、文科省、厚労省担当でやられるのか知りませんが、お答えをお願いします。
  102. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) お答えいたします。  学校というのは確かに耐震化が必要であるということは私ども十分認識しておりまして、これまでも学校施設耐震化につきまして、設置者であります地方公共団体に対して耐震点検や耐震改修を進めてほしいというお願いをしてきております。また、これまでも行ってきたこととしては、平成七年の兵庫県南部地震を契機といたしまして全国的な耐震化を図るために制定されました、今回改正が予定されております特別措置法の施行を受けまして、木造以外の校舎の耐震補強事業に対する補助率のかさ上げを行いまして耐震化の推進に努めてまいってきたところでございます。  先ほど先生もおっしゃっていましたように、しかしながら私どもも、平成十四年に消防庁が行った防災拠点となる公共施設等の耐震化推進検討報告書、これによりますと、御指摘のとおり、他の公共施設に比べて避難場所であるべき学校施設耐震化が遅れていたということでございます。文部科学省としてもこの事態を極めて深刻に受け止めまして、これは是非とも省としてその実態確認する必要があるという判断に立ちまして、平成十四年度、同じ年でございますけれども、その年から公立学校施設耐震改修状況調査、これを行いまして、これまで都道府県ごと耐震診断実施率あるいは耐震化率等をまとめまして公表をしてまいってきたところでございます。  今後の話でございますけれども、文部科学省としても、同じこの調査は引き続き行うわけでございますけれども、来年度以降取りまとめる耐震改修状況調査につきましては、いわゆる公立小中学校設置者でございます市町村ごとのデータにつきまして、これまで都道府県ごと公表してきたわけでございますけれども、市町村ごと耐震診断あるいは耐震化進捗状況についてデータを公表するということでいわゆる地域の意識の高まりを期待をすると、そういうようなことを踏まえて耐震化に関する取組を進めていきたいというふうに考えております。
  103. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) 患者の安全を確保し、災害時におきましても被災者に迅速かつ適切な医療を提供していく上で、病院というのは非常に重要なものというふうに考えております。そういう意味で、病院の耐震化を一層進めていく必要があるというふうに考えております。  私ども、平成十七年十月に病院の地震対策に関する実態調査ということで耐震化率等の調査を行っているところでございます。今後、都道府県ごとの病院の耐震化状況公表するといったような取組を通じまして、病院の耐震化について責任のある都道府県においての対応を促していくなどによりまして医療施設耐震化を進めてまいりたいというふうに考えております。
  104. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 委員指摘のように、進捗状況を十分に把握しながら防災対策を進めるということは極めて重要だというふうに考えております。  ただ、実は五か年計画の対象施設について、委員も御指摘ありましたように、実は市町村ごとに、施設ごとにと、こうなっておるものですから、これを定期的に毎年すべて網羅してやるかということになりますと実は結構膨大な作業量になりますものですから、御指摘のような重要な事業につきましては、先ほど文部科学省、厚生労働省さんの方もきちっと把握していただけるということでございますので、私どももそのほかのものにつきましてもきちっとした重要な事業についてはフォローアップをしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  105. 神本美恵子

    神本美恵子君 文部科学省、厚生労働省がそれぞれにそれぞれの所管として調査をしながら、それを結果公表してインセンティブを持たせて進めていきたいという取組を、そこ任せにしないで、この緊急五か年計画の担当、統括の機関としては、それぞれの取組を、そこと連携しながら、その調査結果をいただいてもいいと思うんですけれども、各都道府県がこれだけ今年はやりますという、五か年計画の一年次目の計画に対してどれだけ進捗したかということを都道府県に尋ねるということだけでも、私は、都道府県への自覚を促すし、都道府県はどれだけ進捗したかを各市町村調査するわけですから、そうすると市町村の自覚を促すということになると思いますので、作業的に大変かもしれませんけれども、それがこの法律を実効あるものにする作業なんだという認識是非持っていただきたいと思いますが、いかがですか。
  106. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) そういう意味では、新たに目標を、都道府県に目標を十年分を定めていただいて、で、具体の五か年計画というのを今度新しく制度として導入いたしますので、その新しい五か年計画という意味で、その五か年計画の進捗状況をきちっと把握してフォローアップしていくというふうなことは重要なことだというふうに考えておりますので、委員指摘のようにすべてというわけにはいきませんが、重要な施設につきましてはそのような体制を組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  107. 神本美恵子

    神本美恵子君 ありがとうございます。是非それは進めていただきたいと思います。  そこで、またちょっと学校施設に戻りますが、公立学校施設耐震化がなかなか進まないという、これは私も、二〇〇二年の先ほど言いました消防庁の調査を見てショックを受けて、報道された新聞の記者さんと、書かれた記者さんとお話をする機会があったんですが、その方も、我が子の三十周年という、小学校か中学校か忘れましたが、その記念行事に学校に行かれたそうです。そして、記念行事に参加をしたんだけれども、その消防庁の調査結果が出たすぐだったので、この学校は三十周年ということは築三十年の学校だなと思って、耐震化されているのかどうかを学校の先生、担任の先生か校長先生か、まあ御近所の先生に聞いたそうです。でも、先生方はだれもそれを知らなかったということなんですね。自分自身もそういうことを全く自覚、認識がなかったというようなお話で、恐らく地域住民も、それから子供たちの保護者の方たちも、我が子や孫が行っている学校が果たして耐震化されているのか、もしこの地域地震が起きたときに、あそこが避難所と言われているけれども、そこへ行って安心なのかという自覚がない、自覚といいますか認識が薄いと、私も含めてなんですが。  そういうこともこの遅れの原因になっているのではないかと思いますが、所管の文科省として、こんなふうに遅れてきた原因、そして文科省としては二〇〇二年から熱心に取り組んできたにもかかわらず、恐らく一〇%もアップしてないんじゃないかと思います、この四、五年ですね。相変らず遅れている、その原因といいますか、要因、どのようにとらえていらっしゃいますか。
  108. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) お答えいたします。  まず、耐震化の遅れの原因ということでございますけれども、私ども昨年一月に都道府県教育委員会を通じて、設置者でございます市町村がどのようなことを考えているかということを調査させていただいております。  これによりますと、いわゆる市町村における財政上の理由を挙げる市町村が最も多かったわけでございます。これは複数回答でありますので一〇〇%にはならないんですが、七割以上の市町村がそういう理由を掲げておりました。それからもう一つの理由といたしまして、そもそも学校施設は他の公共施設に比べて数が多いんだという意見、これが二割以上ございました。それからもう一つの理由として、学校の統廃合計画を今検討しているということで耐震診断をせずに済ましているというような、そういうことの理由を挙げているのが一四%ございました。こういうようなことがいわゆる遅れている原因ではないかなと、私どももそう承知しておる次第でございます。
  109. 神本美恵子

    神本美恵子君 そのような遅れている、アンケートによって各設置者である市町村がそういう回答を寄せてきていることに対して、ではその要因、原因を取り除いて推進しなければいけないと思うんですね。  そういう意味で、統廃合とか、それから数が多くて、あるいは古い校舎が一杯あって改築で追い付かないとか、改築というか、改築しなきゃいけない、老朽化対策でとても財政的に追い付かないとかいう様々な理由があると思うんですが、やはり、今の御答弁にもありましたように、一番大きいのは予算措置が困難であるということに集約されるのではないかと思います。  そういう意味で、今回のこの法改正で体育館、国庫補助を三分の一から二分の一にというのは大変大きな意義があると思います。しかし、それで進むのかということについて、私はちょっとまだこれではなかなか進むというふうには思えないわけです。  我が民主党では、この三月二日に、この五年間で、向こう五年間ですべての小中学校の未耐震の校舎を耐震化しようという、そういうある意味では壮大な、壮大なというか、現実的にはもう緊急な、先ほど野村委員スピード感を持って取り組むべきとおっしゃいました。全く同感の、それを実現するために、公立の小中学校等における地震防災上改築又は補強を要する校舎等の整備の促進に関する臨時措置法案を提出をいたしました。その中では補助を、補助率のかさ上げを思い切って、二分の一のところは三分の二に国庫補助、補助率をかさ上げする、それぐらいやらないと進まないのではないかというふうに私は思っております。  文科省としては、今のこの法律改正の補助率かさ上げでどのぐらい、何%ぐらい耐震化率がアップするというふうに見込んでいらっしゃいますか。
  110. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) お答えいたします。  民主党の法案に対しまして私どもの方で意見を差し控えるというのはなかなか難しいことでございますので、ちょっと私どもなりの考え方説明をさせていただきます。  まず、公立学校施設整備に係ります平成十八年度予算におきまして、この耐震化を進めるというのが大変重要なことであるということで、地方の裁量を高め、効率的な事務の執行ができるように、耐震関連事業を中心といたしました一部交付金化を図りまして、いわゆる安全・安心な学校づくり交付金という制度をこの十八年度からスタートさせるということにしております。その中では、例えば文部科学大臣学校施設の整備の基本方針を策定するというようなことが規定されておるわけでありますけれども、その中核的な位置付けになるのがその耐震化というふうに考えております。そういうようなことを踏まえて耐震化対策を推進していこうというふうに考えておるところでございます。  また、現実的な面で迅速な整備促進を図るということから、これまでどちらかというと耐震化を図る場合、建物を全面的に建て替えてしまう方法が一般的であったわけでありますけれども、近年技術開発が進んでおりまして、いわゆる建っている建物につきまして耐震補強をするというようなことが行われるようになっておりますので、そういう耐震補強改修方式に重点を移すと、こういうようなことで、効率的な耐震化の推進に努めるようにしていこうというふうに考えております。  また、別途、前にも説明さしていただきましたけれども、予算確保ということに私ども最優先で取り組んでまいりまして、平成十七年度の補正予算におきましては二百七十七億円を別途計上しているところでございます。それから、十八年度当初予算におきましても、一千億以上の予算耐震化の経費として見込んでいるところでございます。  こういうようなことによりまして、現在、現在といいますか昨年の四月一日時点で五一・八%が耐震化率であったわけでありますけれども、この補正予算及び来年度の当初予算で、これで推定をいたしますと、五一・八%が五八・〇%に上がるんではないかというふうに見込んでおります。  それから、今委員お尋ねの、その補助率をかさ上げしたらどのぐらい耐震化率が上がるかということにつきましては、現在、現実問題としてすべての耐震診断が終わっているわけではありませんので、どこまで耐震補強すればいいのか、改築すればいいのかというのが正確には把握されておらないと、それから実際その方法もいろんな方法がありますので、この場で何%上がるのかというのをお示しするのはなかなか困難かというふうに考えております。
  111. 神本美恵子

    神本美恵子君 これからの五年間で何%上げるかというのはなかなか難しいかもしれませんけれども、見通しを持つ意味では、例えば今五一・八%のものを、まあ民主党は一〇〇%に五年間でしたいと思っていますが、文科省としてはそれはとても今の状況の中では難しいと考えるのであれば、せめて、中央防災会議が向こう十年で九〇%を目標にしていますので、その半分ぐらいまでは、七五%までは行こうとか、そういう見通しというのが、そして見通しを持ってそれに向けて一年一年どのように耐震化率を上げていくかという取組が必要だと思うんですけれども。  文科省学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議というところが昨年の三月に報告書を出しておりますが、その中では、五年間を重点整備期間に位置付け、耐震化整備について、地域間の財政力格差が学校安全性の格差につながらないよう、国の財政支援が不可欠というふうに報告を出されております。  ですから、向こう五年間を重点整備期間に位置付けて、今一生懸命おっしゃったことはこの中で示唆された、指摘されたことを取り入れた取組だと思うんですけれども、向こう五年間でやはりここまでは持っていこうという目標を持ってやる必要があると思うんですけれども、その決意はございますか。
  112. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) 先ほど説明させていただきましたように、来年度の予算からその安全・安心な学校づくり交付金という制度をスタートさせまして、その中で、文部科学大臣として、学校施設施設整備基本方針及び施設整備基本計画を策定することになっております。その中でどのような目標を立てるかということにつきまして、現在検討を進めているという状況でございます。
  113. 神本美恵子

    神本美恵子君 そこで、またこの法律案に戻るんですが、この法律の緊急五か年計画の第三次についての今集約が行われているということで、昨年十月末の発表時点では、公立小中学校について七千六十二学校予定額が一兆一千八百二十六億となっておりますけれども、これは、文科省の統計は棟数ですから、これは学校数の集約になっていますのでどのぐらいの耐震化率アップになるのかということは分かりませんけれど、例えば各都道府県が計画しているその予定事業が七千六十二学校なんですね。  文科省としては、この各都道府県の計画それぞれについて、もう少しこういうふうにしてほしい、もっと増やしてほしいというような働き掛けが必要だと思いますし、内閣府としては、先ほど言いましたように、きちっと耐震化率をこの重要建築物について上げるとすれば、各都道府県が計画をするときに、学校耐震化には是非重点的にやってほしいというような要望というようなことは内閣府としてできないんでしょうか。両方にお伺いしたいと思います。
  114. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) お答えいたします。  先ほど申し上げました安全・安心な学校づくり交付金、この制度の中で、法律に明記してあるわけでございますけれども、文部科学大臣耐震化に重点を置くという基本方針を策定いたします。それに基づいた整備計画をまた文部科学省策定するわけですが、学校設置者である市町村はそれに基づいて施設の整備計画を策定すると。私ども、その重点を耐震化に置くということでございまして、それに重点を置いて交付金を交付することになります。  したがいまして、その市町村策定する施設整備計画の中においても、耐震化について記述がない限りその交付金が交付されないことになりますので、結果としては、この制度のスタートによりまして耐震化が一層進むんではないかなというふうに考えておるところでございます。
  115. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 私ども内閣府でも、昨年の中央防災会議で公共建築物の耐震化といった場合に、学校、病院それから庁舎ということで取り上げまして、政府全体の課題として強力に取り組んでいこうというふうに決めたところでございます。  それを受けた形で、例えば文部科学省国土交通省の方で協議をされまして、本年度中に小中学校について診断をするとか、それを踏まえて具体の耐震化計画を作っていくんだということでございますので、こういった関係省庁間の連携を密にしながらこういったものを強力に一歩ずつ前へ進めていきたいというふうに思っているところでございます。
  116. 神本美恵子

    神本美恵子君 正にその省庁間の連携を、文科省としては、都道府県の整備計画を作ってもらって、それを基にした市町村の整備計画を作ると、その整備計画がこの法律に基づく緊急五か年計画にきちっと反映されるように御指導といいますか、各都道府県に対する指導、助言をしていただきたいなと思います。  それで次に、この小中学校施設耐震化に向けては、まず耐震診断すらなされていないというところが大きな問題でございますので、その耐震診断促進するという意味で、我が党の先ほど御紹介しました臨時措置法では、すべての未耐震の学校施設に対して耐震診断を義務化して、耐震診断の結果、未耐震という結果が出たところについて、耐震化されているのも含めてですけれども、その結果を公表して施設ごとに掲示をするという、ちょっとどうかという意見も党内にはあったんですけれども、えっ、この学校耐震化されていないの、こんな学校やりたくないわと、正直、保護者の方に思われるというのは大変ゆゆしき問題ですからどうかなという意見もあったんですけれども、しかし、先ほど言いましたように、なかなか自覚できない、認識できない状況の中では、耐震診断をまずやって、その結果を公表することによって耐震改修補強を促進しようと、そのための方策としてそういうことを考えているんですが。  今、文科省市町村ごと診断結果を公表するとおっしゃっていますが、もう一歩進めて施設ごとに公表するということについてはどのようにお考えでしょうか。
  117. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) まず、耐震診断の推進の具体的な方策ということでございますけれども、まず、耐震化を進めるためには、御指摘のとおり耐震診断をまずやるというのが絶対必要な事項でございます。これを進めるために、私ども、国土交通省と協議をさしていただきまして、国土交通省所管補助事業でございます住宅・建築物耐震改修等事業におきましても、いわゆるその公立学校施設耐震診断に要する経費について補助対象にするということで、先般、各地方公共団体に対し通知を出したところでございます。そのようなことで耐震診断をまずやっていただくと。  期限としても、平成十八年中に終えることを期限として申し上げている次第でございます。  それから、学校ごとの耐震、耐力、耐震化率、何といいますか、Is値ですけれども、これをどう表示するかということでございますけれども、これは私どもは考えておりますのは、あくまでもその市町村ごと公表をするということを考えておりまして、学校ごとのその数値につきましては各設置者であります市町村の判断にゆだねようというふうに考えております。
  118. 神本美恵子

    神本美恵子君 それぞれの権限の問題で文科省がちょっと腰が引けるのは分からないでもないんですけれども、これはやっぱり子供たちの安全ということですから、是非、そういうところだけ市町村設置者ということではなくて、きちっと耐震化が進むように指導をしていただきたいと思います。  国交省と協力、連携をして国交省の予算耐震化耐震診断ができるというようなその取組は、大変私は一歩前進でいい取組だなというふうに思いますが、その予算にしても、今年度が二十億円で、十八年度は百三十億円と非常に大幅にアップしている。これは大変心強いと思うんですが、民主党、我が党の試算では、未耐震の学校すべてを耐震化するには七百六十億必要なんですね。だから、本当に今年度中に完了しようとすれば、民主党は全額国庫でやると、義務化しますから全額国庫でやるとこれだけですよという金額ですけれども、この百三十億全部使い切って、それこそ十八年十二月中に完了することを祈るしかないような感じがしますが、願っています。  次に、もう時間がちょっとなくなってきましたけれども、総務省を今日お願いしているんですが、先ほどから二分の一補助や三分の一補助、まあ三分の二補助にしても、その裏負担というところを地方はなかなかそこのめどが付かないために踏み切れないという現実、現状をお聞きしています。  そこで、地震財特法の方では、いわゆる東海地震地域あるいは少し広げて強化地域になっているところは、地方がその裏負担の分を起債するときの元利償還費を地方交付税の基準財政需要の中に入れると、算入するという手当てをしているわけですけれども、その方式を、この公立学校施設耐震化についてそういう方式が取り入れられないものかと思うんですけれども、総務省おいでいただいていますか。お願いします。
  119. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 小中学校の校舎の耐震化についてのお尋ねでございます。  総務省といたしましても、学校施設耐震化は極めて重要な政策課題である、その推進が急がれているという認識は持っておるところでございます。  そういった中で、ただいま御指摘にありましたとおり、耐震補強などの大規模改造事業の場合には、地方債を充て、その元利償還金について、特に東海地域についてだけ交付税措置をしているというような対応を取っているわけでございます。  そういった現行制度でございますけれども、総務省といたしましては、今回この地震防災対策特別措置法の改正ということがございますので、これに併せまして、耐震補強事業に係る地方財政措置について、従来からの実施しております東海地域に加えまして、特別措置法が制定され緊急に対策を行う必要があるとされております日本海溝・千島海溝周辺、あるいは東南海・南海の各地震防災対策推進地域についてもこういった措置が拡大できないか検討しているところであり、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  120. 神本美恵子

    神本美恵子君 ちょっとよく理解できなかったんですが、この全国の小中学校の耐震改修補強についても交付税措置ができないかということでお伺いしたんですけれども、それについてはいかがですか。
  121. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 御案内のとおり、全体に国、地方、非常に財政状況の厳しい中で、どういったところに重点的に財政資源を投じていくかという課題があるわけでございます。  そういった中で、現在大規模改修につきましては一定の特別措置、特別の法律があります東海地域につきまして交付税措置を行っているわけでございますけれども、今後は、同じように緊急に対策を行う必要があるというふうにされております日本海溝・千島海溝周辺なり、あるいは東南海・南海の各地震防災対策推進地域についてこういう対策を拡大できないか検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  122. 神本美恵子

    神本美恵子君 もう時間が来ましたので、是非地域的な重点だけではなくて、この施設として地域防災拠点にも指定されている施設、公立小中学校は六割以上がそうだというふうに聞いておりますので、そういう意味からも、総務省としてもこれは強化地域だけですというのではなくて、この小中学校耐震化について総務省としてやっぱり推進するという、何といいますか主体性、主体、そういう認識是非持っていただきたいと思います。  先ほど言いました協力者会議の報告の中にもありました、日本では阪神・淡路大震災以来幾つもあちこちで地震が起きているけれども、偶然にも子供が学校に行っているときに地震が発生していないだけであって、もし子供が学校に行っているときに地震が起きていればどういう状況になったか考えるだけでも恐ろしい今の学校状況であるという認識是非とも関係皆さん方持っていただいて、促進をしていただきたいということを強くお願いをしまして、私の質問、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  123. 仁比聡平

    仁比聡平君 先ほどの私の地震地域係数についての質問の中で、大臣の数百年のスパンで物を考えようというような御趣旨の御発言がありまして、私、現実にマンションが壊れて、耐震偽装問題で広がっているその不安と不信ですね、これにこたえられないんじゃないかと思うわけです。あの、そうおっしゃらずに是非検討を、是非お願いしたいということを改めて御要望をしておきます。  公立小中学校耐震化問題に絞って質問をいたしますけれども、これまで全体としての遅れ、あるいは地域によってのばらつきが指摘をされてきました。私の地元の北九州市などは二割台にとどまっているわけですが、まず政府の基本的な構えを伺いたいわけです。  中央防災会議で、住宅については今後十年間で九〇%に引き上げるというこの言わば数値目標がこれ明確に示されているわけですね。学校あるいは病院、庁舎についてはどうなのか。今日、学校についてどうしてそういった数値目標が示されてないのか、この理由をお伺いしたいと思いますが、文科省、いかがですか。
  124. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) 先ほども御答弁申し上げましたが、このたびの安全・安心な学校づくり交付金におきましては、文部科学大臣として基本方針を示すということになっておりまして、その中でどういうような目標を定めるかと、これが一つの検討課題だというふうに思っておりますけれども、その理由というふうに言われるとなかなか申し上げにくいわけでありますけれども、学校施設耐震化というのはいろんな方法がございます。それから地方の財政事情もいろいろあると考えられますので、それを一律にどうこうというのはなかなか難しいんではないかというのが基本的な考えでございます。
  125. 仁比聡平

    仁比聡平君 地方によってもし、この学びの場であり、防災拠点であり、避難所でもあるその学校耐震化の問題について認識においてばらつきがあるということであれば、これは政府が正してもらわなきゃ困るわけでしょう。そんなこと言い訳になんないじゃないですか。財政の問題だということであれば、ここを手当てをしなければ進まないということなんですよね。  五一・八%しか耐震化が済んでいないという数字が先ほど神本委員からも示されたわけですけれども、これは平成十五年を起点として各学校設置者が作っていった三か年計画、これの進捗状況として示されている数字だと思います。平成十七年の四月一日現在で耐震化が済んでいるのが五一・八%で、耐震性がないというものが四八・二%になるわけですね。私からも数字紹介しますが、このうち耐震性がないということが診断によってはっきりしながら未改修のもの、これが二〇・三%あって、耐震診断が実施すらされていないという建物が三万六千五百八十二棟、二七・九%あるわけですよ。  文科大臣は、十八年中に耐震診断を終わらせるんだという趣旨の答弁を今国会でされているわけですが、これまで取り組んでこられて、この現状にあるものを一体どうするのか。ここは重大問題なわけで、今日のような、御担当の方の文科の御答弁ではちょっと納得いかないという気持ちでございます。  これまで耐震診断すら進んでこなかったという原因に、私どもは、耐震診断費用に対する補助が耐震工事を伴う場合に限られているということが障害になっているということをかねてから指摘をしてまいりました。結果、地方自治体が補強工事、改修工事をしない、あるいは財政上できないということになった場合には耐震診断の費用も補助されないということになってきたわけです。私は、この点を、今度文科省とそして国土交通省が連携を取って進めていくという点で、是非この施策は前向きに進んでもらいたいと思っているんですが、三月二十日に文科省国土交通省住宅局連名で促進の通知を出していらっしゃいます。文科省としてどのように進めようとしておられるのか、お答えください。
  126. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) 公立小中学校施設耐震診断につきましては、先ほどの平成十四年度の消防庁の調査もございまして、これを早急に進めなければいけないという考えに基づきまして、平成十五年度を初年度といたします三か年計画を策定していただき、これに基づいて耐震診断を実施してきたところでございます。  しかしながら、ただいま御指摘のように、昨年四月における調査結果によりますと、五十六年以前の旧耐震基準で建てられた建物のうち、耐震診断が実施されているものは五六・三%でございます。これは、前の年の四月一日と比べると一一・一%増であったわけでございます。こういうようなことから、先ほども申し上げましたが、耐震化推進ということで、その前提となる耐震診断を進めるために、先ほどの国土交通省と文部科学省の連名の通知を出しまして、十八年中に耐震診断を完了するよう強く要請をしたというところでございます。今後これを、その結果を踏まえ、耐震改修に努めていただくということを考えておる次第でございます。
  127. 仁比聡平

    仁比聡平君 先ほど同僚委員質問への答弁もありましたが、文科省学校の耐震補強、診断も含めた、この制度そのものを今度お変えになるわけですよね、交付金化をされると。一方で、学校耐震診断あるいは耐震補強を国土交通省所管の、住宅局所管の事業、予算でこれ進めていくというのは、これは設置者にとっては余りこれまで慣れないことではないかと思うわけです。  お話をお伺いをしておりますと、耐震診断については国交省の事業で、そして、どういう改修をする必要があるかが明らかになった後は文科の施設整備の事業で進めていきたいというような、おおむねそういう枠組みなのかなというふうに受け止めるわけですが、住宅局長、そういうこと、そういう理解でよろしいんでしょうか。国土交通省としてどんなふうに進めていくか。
  128. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 地震防災対策の中で、公立の文教施設、特に小中学校耐震化が非常に大事だということを考えますと、何といっても、昨年の特別会で認めていただきました耐震改修促進法に基づく促進計画で公共団体がきちんとそれを位置付けて前に進めていくということが一番大事なんですが、そのそもそもの前提になりますのが耐震診断です。  したがいまして、文部科学省ともきちんと稠密に協議をしまして方針を定めましたのは、それぞれ、文部科学省からは教育委員会施設主管課長に、私どもの建築指導課からは建築行政を担当する課長に対しまして、とにかく耐震診断を早くやろうと、そのために、必要であれば国土交通省が用意をしております住宅・建築物耐震改修等事業の補助金を積極的に使っていただいてまず耐震診断を、元々、十五年を初年度の三か年計画でやろうということをやって、この年度末にやり切れてないという実態があるわけですから、もう遅くとも今年中に、十二月までに全部やり切るという方針でやりましょうということで、両課長から担当部局に通達を出しまして、それをきちんとやった上で耐震改修、地方公共団体の耐震改修計画の中では具体的な整備の耐震化の目標とプログラムをきちんと書いていただくと。そういう計画的な取組ができているかどうかを建築行政の部局もきちんと見た上で改正していただいた耐震改修促進法に基づく既存建築物の耐震化指導、もうめり張りを付けてやっていくんだということで取り組んでいるわけでございます。
  129. 仁比聡平

    仁比聡平君 今のような手だてを今回しっかり打つんだという決意は、今お二人からお伺いをして受け止めたつもりでございます。  問題は、そういう手だてを打ちながら、平成十八年の十二月、もうあと時間はわずかなわけですけれども、ここの中でもし耐震診断が進まないと、文部科学大臣がおっしゃっているように十八年中の耐震診断をやるんだということがもしできないということになったら、一体どうなっているんだということでございますし、今回のような手だてを打ちながら耐震診断も進まなかったという事態が起これば、これは学校耐震化をどうやって進めていくのか、重大な問題として抱えることになるわけです。不退転の決意を持って臨んでいただきたいということを強くお願い申し上げまして、質問を終わります。
  130. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  131. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、岩本君から発言を求められておりますので、これを許します。岩本司君。
  132. 岩本司

    ○岩本司君 私は、ただいま可決されました地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、地震防災対策の一層の推進を図るため、特に次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、全国どこでも起こりうる地震から住民の生命及び財産を守るため、地震防災上緊急かつ確実に整備すべき施設等について、万全な措置を講じること。  二、地震発生時において、地域防災拠点として参集・活用される公立小中学校等の校舎及び屋内運動場、被災者への医療支援等に不可欠な病院施設等について、耐震診断及び耐震改修に必要な財政支援に配慮すること。特に、公立小中学校については、施設ごとの実施状況について地域住民に明らかにされるよう努めるなど、耐震化への取組を加速させる措置を講じること。  三、地域特性を踏まえた被害想定に基づく地震防災対策の具体的な実施目標の設定を推進することとし、その進捗状況について必要に応じ調査を行い、その結果の公表に努めること。    また、地震及び津波に関する国の調査研究を活用したハザードマップの作成及び住民への周知徹底など地域防災力確立のための実効性ある環境整備を行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  133. 山本香苗

    委員長山本香苗君) ただいま岩本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  134. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 全会一致と認めます。よって、岩本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、沓掛防災担当大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。沓掛防災担当大臣
  135. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 本日の決議に関し、防災担当大臣として一言発言させていただきます。  政府においては、関係省庁と密接な連携を取りつつ、引き続き地震防災対策を着実に推進するとともに、本日の決議の趣旨を十分踏まえ、地震防災対策の強化に最大限努めてまいる所存であります。
  136. 山本香苗

    委員長山本香苗君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会