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2006-06-06 第164回国会 参議院 国土交通委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年六月六日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         羽田雄一郎君     理 事                 伊達 忠一君                 脇  雅史君                 大江 康弘君                 山下八洲夫君                 西田 実仁君     委 員                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小池 正勝君                 末松 信介君                 田村 公平君                 中島 眞人君                 藤野 公孝君                 松村 龍二君                 吉田 博美君                 加藤 敏幸君                 北澤 俊美君                 輿石  東君                 佐藤 雄平君                 田名部匡省君                 前田 武志君                 山本 香苗君                 小林美恵子君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   北側 一雄君    副大臣        国土交通大臣  江崎 鐵磨君        国土交通大臣  松村 龍二君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       吉田 博美君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        法務大臣官房司        法法制部長    倉吉  敬君        国土交通大臣官        房官庁営繕部長  奥田 修一君        国土交通省総合        政策局長     竹歳  誠君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君        国土交通省自動        車交通局長    宿利 正史君    参考人        独立行政法人都        市再生機構理事  村山 邦彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○建築物安全性確保を図るための建築基準法  等の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院  送付)     ─────────────
  2. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建築物安全性確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会法務大臣官房司法法制部長倉吉敬君、国土交通大臣官房官庁営繕部長奥田修一君、国土交通省総合政策局長竹歳誠君、国土交通省住宅局長山本繁太郎君及び国土交通省自動車交通局長宿利正史君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建築物安全性確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会独立行政法人都市再生機構理事村山邦彦君を参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 建築物安全性確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 田村公平

    田村公平君 おはようございます。  自由民主党の田村公平でございますが、この建築基準法の一部を改正する法律案、昨年秋から発生しましたいろんな問題が起きました。そして、国土交通大臣におかれましては、極めて異例な早さで対応をされたように思います。その結果を受けてこの法案が出たように承知をしております。  しかし、振り返ってみますと、伊勢湾台風で当時のGDPの四%ぐらいの被害があった、それを受けて激甚災害制度というものができました、三十四年ぐらいにできたと思いますけれども。それから三十八年間、あの阪神・淡路の大震災ですら本激のA基準にはなりませんでした。  実は、お隣におられます市川先生昭和六十一年、私の記憶が間違っていなければ国土庁の防災局長でもありました。何回も陳情に行ったことがあります。そういう中で、国会議員に当選させてもらって、激甚災害制度を四%から標準税収の〇・四ぐらいまで下げまして、地方公共団体標準税収が三十兆円程度であれば一千四百億円ぐらいの被害があれば激甚災害のAになる。その間三十八年間、つまり行政対応というのは、幾らその間に新潟の佐藤先生の御家族災害に遭われて亡くなったり、高鳥修先生もいろんな形でその制度を変えようとしてきた。なかなか変わらないのが、だからお役所仕事というんでしょうか、行政の、一度つくったらなかなか変えないと。  今回、変えるに至った、私はあの法案がないよりは変えた方がいいと思っています。しかし、非常に、これからるる申し上げますけれども、何でここに来てこんな早い期間にこの法律改正案を出してきたかということをまず住宅局長にお伺いをしたい。
  8. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) このたびの耐震構造計算書偽装事件というのは、私ども建築行政に取り組む者にとりましては一種の非常事態でございます。今、自然災害の例を出されましたけれども行政にとって一種の非常事態でございまして、最初はもちろん現実に危険な建築物に住んでおられる方々がおられるわけでございまして、この目の前の危険をどういうふうに除却するかと、除去するかという一点に努力を集中して取り組んでおったわけでございますけれども、これを取り組む過程で建築行政上のいろいろな課題についていろいろな御指摘も受けましたし、私ども自身特定行政庁とともに様々な問題意識を持ちまして、このことから逃げないで、この際、いろいろな懸案についてはしっかりテーブルにのせてこれに対する対応をきちんと取っていきたいと。  この考え方については、北側大臣の指揮の下に、建築行政に携わる者が一つになって取り組んでまいったわけでございます。今回お願いしておりますのはその法律改正の第一弾でございますけれども、残りました課題につきましても引き続ききちんと検討し尽くした上で、第二弾で今回テーブルにのせた課題については措置し切ると、そういう心構えで取り組んでいるところでございます。
  9. 田村公平

    田村公平君 土木で造った構造物というのは大体設計の三倍以上の強度を持っているというふうに承知をしておりますけれども建築物なかんずくその中でも住宅住宅というのは公が造る住宅もあれば個人が造る住宅もあるでしょう。その中で、その住居という住宅というものは、言わば賃貸で入ろうとその人の生活の基盤になるところですよね。  それで、昔の住都公団ですか、今都市再生機構になっています。これはこの委員会でも随分論議されたと思いますけれども八王子欠陥の問題、あるいはつい、私、金土日月と選挙区にいましたから細かい情報は知りませんけれども、港区の住宅公社のアパートで高校生エレベーターに挟まれて亡くなりました。気の毒というよりも何かもっとつらい、何かそこに、その高校生自分自身自己責任か何かがあって事故に遭ったというんなら分かるけれども普通エレベーターが開いたままでせり上げていくなんというのは考えられない。あるいは、今問題になっております六本木ヒルズ、別の件で問題になっております、この回転ドアでやっぱり児童が挟まれて死んだ。  建築物というのは、躯体だけじゃなくしてそれに附属する、余り回転ドア付きマンションというのは私も聞いたことがありませんけれども、あそこの住宅棟も、そこは僕は入ったことがないから分かりません。しかし、港区の住宅公社の、極めて普通の人、ホリエモンみたいな人じゃなくて普通の人が入るそういう構造物の中の、エレベーター構造物だと思いますし、PL法との関係、あるいは住宅や、共同住宅含めて、個人住宅含めてですよ、一戸建ても、メンテナンス、管理というのは非常に大事だと思っています。  これはこの法律との関係において、あるいは今の計算書になるのか、私は法律家じゃありませんのでよく分かりませんけれども、これ一体どういうふうになっているのか。それから、八王子公団マンションの件では改修費が五百億円、これは国民税金でしょう、はっきり言えば。何をやってきたんですか。あるいは、今回の問題で、報道によれば千八百九十七棟分の構造計算書がない。ないというのは一体どういうことなんですか。何をやっているんですか。私らがちょっとここにスケジュール表を持っていて、それは酒に酔っ払って、あら、どっかになくしちゃった。それは分かるけれども、図面というのは、その建物を全部はつって中開けるわけにもいかぬし、非破壊検査なんていったって莫大な金掛かりますよね。  その基になる当然備えておかなければならないものが、会社なら倒産してどこかに散逸してしまったということがあるかもしれないけれども、いやしくも住宅局長経験者事務次官経験者がトップに座っておるようなところの組織においてそういうものがないということは、これ住宅局長、どういう構造になっているんですか。
  10. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 現在の独立行政法人都市再生機構の前身でございます住宅都市整備公団、さらにその前の日本住宅公団時代から、我が国共同住宅といいますか集合住宅供給パイオニアとして仕事をしてきた法人でございますんで、いろいろな住宅生産のモデルとなる仕事をすべき役割を担ってきておりました。今日においてもそういう役割を担っておると思うわけでございます。そういう意味では、御指摘のように、設計図書のうち一部の構造計算書を紛失してしまったというのは非常に遺憾なことでございまして、問題意識を持っております。  構造設計図はもちろん持っているんですが、構造計算書の部分について散逸してしまったということで、今都市再生機構では、これまで供給した共同住宅について、五十六年より前に供給したものも含めて、基本的には現在の耐震基準にきちんと適合しているということを確認する、確認して居住者皆様に安心してもらうということが非常に大事でございますので、古いものについては的確に耐震診断を行う、そのための支援は行うと。で、五十六年以降のものについては構造設計図書から構造計算を新たにやって、そういったものを備えるということで、信頼を回復すべく努力をしているところでございますので、きちんとそういうことをやり切って、皆様信頼を回復できるように努めるべきだというふうに考えているところでございます。
  11. 田村公平

    田村公平君 都市再生機構の方から来てもらっていると思いますけれども。  私ら田舎の人間ですから、昔の住宅公団なんというのは高ねの花なんですよね。戦後、うちなんかもおやじが満州から引き揚げてきて、借家住まいから始まって、やっと家建てて、ふろはもらいぶろで、ふろといったって五右衛門ぶろだった。今はそんなことないんですが。  しかし、戦後の住宅政策の中のパイオニアといって、せめて住みたい団地に、あるいは団地族とか、そういう歴史、つまり、確かに山本局長がおっしゃる、我が国住宅産業を引っ張ってきた、あるいは住宅公団指定品目壁材とかいろんな、住宅というのは物すごくいろんなものを使うわけですから、総合産業ですから、公団指定になったらもうそれだけで建材屋さんは、あるいはメーカーは自信と誇りを持ってきた。  そういうことがありながら、ここまでの一連のことについて、公団自身は、つまり今機構ですけど、これどういうふうに今思っているわけですか。反省があるのか、恥を知っているのか。こういうことが起きたら、その前に、千九百何年だっけ、分譲を始めて、八九年から四十六棟、八九年から九二年にかけて分譲して大問題になったじゃないですか。そのときにきちっとした管理しておけば、こういう問題が去年から一連起きてきても胸張っていられたはずなのに、何かそういう誇りというんでしょうか、何も誇りというのは偉そうにしろと言っている意味じゃない、先駆者としての自覚、組織としての在り方、現にどういうふうに考えるかをお聞かせ願いたい。
  12. 村山邦彦

    参考人村山邦彦君) お答えいたします。  先生指摘の、主として八王子マンションで五百億というようなお話もございました。公団分譲しました平成元年八月から平成四年三月にかけまして入居しました九百十九戸、全四十六棟のマンションがございますが、これは六つの管理組合団地で構成されているものでございますが、ここに施工上の瑕疵に起因します大規模な瑕疵問題が発生しておりますのは事実でございます。住宅を購入された方々に大変な御不便や御迷惑をお掛けしたことについては、大変申し訳ないというふうに思っておるところでございます。  機構としましては、瑕疵問題の解決に向けて、各団地管理組合補修在り方について協議を行いまして、合意をいただいた団地から補修工事の適切かつ迅速な実施に努めているところでございまして、引き続き解決に向けて努力してまいりたいと考えているところでございます。  現在、合計四十六棟中四十一棟については管理組合補修又は改築合意済みでございます。四十一棟の中で補修工事は二十一棟でございます。そのうち工事完了しましたのは四棟という状況でございまして、現在工事中は十七棟という状況でございます。一方、改築工事の方は二十棟ございますが、工事完了しているものが三棟でございます。現在工事中で十七棟を推進中ということでございますが、四十六から四十一を引きました五棟ございますが……
  13. 田村公平

    田村公平君 そういうことを聞いているんじゃない。そんなことを言い始めたら、保存義務の三割も紛失していると、おれ、一々細かい数字でやらぬといかぬから。そういう揚げ足取り的なことを言っているわけじゃないの、こっちは。思想とか哲学とか形を言っているわけ。あなた方の誇りはどこに行ったのかとか。そうでしょう。そういう組織としての在り方を大所高所に立ってね、おれは検事でもなければ警察でもねえんだから、たるんでるんじゃねえかということを言っているわけよ、分かりやすく言えば。それについて機構の役員はどういう思いで、どういう反省点に立ち、どういう方向にこれから持っていくかということをお伺いしたいと言っているわけで、四十九引く何とか、そんな、それ、やってもいいよ。
  14. 村山邦彦

    参考人村山邦彦君) 失礼いたしました。  私どもとしましては、確かに今申し上げたような施工不良を生じた住宅団地につきましても、その時代の最先端の住宅のありようというようなものを提案しようというようなことで取り組んだプロジェクトでございました。大変地形的に難しいとか、あるいはその時代の、バブル期の難しい情勢といったことがございましたが、意気込みとしてはそういうようなことを目指して取り組んできたものでございますが、こういうことに至りまして、猛省をしなければならないということで、組織を挙げてこの問題の解決を図っていこうということで取り組んでおるところでございまして、そういうことを通じまして、一つは、私どものそういった問題を起こさないような力をきちんと組織的に蓄えるということと、それから再発を防止するための様々な手段を用意をして、既に現在履行をしているところでございます。施工指導の問題、検査の問題あるいは業者選定の問題、そういった個別の問題についても取り組んでいるところでございます。  また、今後は、私どもが与えられた独立行政法人の新しい役割使命というようなことで、都市再生民間を誘導するというようなことも私どもに課せられた使命でございますので、そういったハードに関する技術ですとかソフトに関する技術といったものを生かして新しい役割使命の中で取り組んでいけるように、そういった面でも努力をしていく必要があるというふうに考えているところでございます。  いずれにしましても、構造計算書を紛失した問題なり瑕疵の問題なり、こういったところの問題を起こしているという状況では国民信頼が得られないということでございますので、それぞれの課題につきまして、先ほど住宅局長からも構造計算書問題についての取組の方向といったことをお話しいただいたわけですが、そういったものに沿って努力をしてまいりたいということでございます。
  15. 田村公平

    田村公平君 あのね、段違い平行棒なの。もっとさ、違うんだよ、もう時間の無駄になってくる。だからいろんな雑誌に、週刊誌等に書かれちゃうわけ。使って欠陥マンション分譲偽装を使って欠陥マンション分譲、はでたらめとか、今度は建て替えを誘導、耐震強度偽装元凶小川忠男建設省住宅局長の跡なんて、一杯週刊誌なんかに書かれちゃうわけ、そんなことばっかり言っていると。  おれはそんなことを言っているわけじゃないのよ。もっと格調高いことを言っているつもり。普通の言葉でしゃべってあげようと思ったら、あなたの答弁聞くと段違い平行棒だから、おれ、ついのぼせて、かっかしてこなきゃならない。本来、私は知性と教養にあふれる、だれも言ってくれないから自分で言わなきゃならないけど、と言われておったのが、もう時間の無駄。  よっぽど組織をきっちり引き締めてやっていかないと、機構自体が必要ないですよ。信頼にこたえる、何言っているんだ、だれも信頼してないんだから、今。入居者の、分譲受けた人の立場になってごらんなさいよ。これからだんだん、何で今日機構呼んだかってこれから分かってくるから。  ここ第二十四委員会室ですよ。地下鉄の有楽町線が通るたんびにがたがたがたがたがたがた。おれ総務委員長をやっているとき四階だったけど、委員長席にいたってけつあおられて、がたがたがたがたがたがたって。私だけが感覚が鋭い、そうじゃないんですよ。ここ一応分館でしょう、国会の。こういう建物は時間がたてばそれだけに外壁を含めて風格が出てこぬといかぬ。しょっちゅうこんなもの建て替えているようじゃ駄目なんですよ。じゃ、どこがこの設計監理やったかと。官庁営繕部なんですよ。  昭和四十年以前は、今、前庭の先に公園になっていますけど、木造モルタル二階建ての議員会館がずらっとありました、かまぼこ兵舎のような。四十年代から第一議員会館ができ、第二議員会館ができ、参議院会館ができました。これ、最初赤いれんが色だった。れんがでちゃんとやっていた。それが、不思議な話だよね、れんが、ぼろぼろぼろぼろ落ち始めて、ドリルで穴開けて、外壁に、鉄の棒打ち込んで、金網でネット張ったんですよ、けがしちゃいけない、それでも収まらぬかった。  じゃ、その後どうなったか。軍艦色みたいなあのネズミ色の樹脂を張って、三枚で横締めだった窓が今一枚窓のスイング式になった。おかげさまで、東京も最近は大雨降ることが多くなった。雨降ると、私がおあずかりをしておる、私も仮の姿ですが、たまたまみんな国会議員として、国民の財産、税金で造った本会議場やこういうところで、あるいは議員会館議員宿舎仕事をさせてもらっているだけの話。雨漏りするんですよ。  たかだか昭和四十年ごろに造った建物が、今度、改築する、また。また何百億。こういう、それは官庁営繕部なんですよ。官庁営繕部のもっともっとお化けのような出先みたいなのが当時の住宅公団でしょう。今の機構にそれが流れとして引き継いできている。つまり、一番権威がなければならない、なおかつ法律の原案を作る、法律審査し通すか決めるのは我々の国会仕事ですけれども通常業務においてもそういうことをやっていくのは昔の建設省じゃないですか。  もっと言うと、分館のことも言った、議員会館。例えば、私は、現在、現時点で衆参両院で一番新しい議員宿舎参議院南棟であります。あみだくじで当たって、皆さんも全部同じ経験していると思います。ふろのない、洗濯機の置けない清水谷からスタートして、ああ私にとっては有り難いな、大事に使わぬといかぬな思って入ったら、まず最初に入るのはトイレですよね。トイレに入ったら、私が借りたところは七三一なんですけど、引き戸になっています。テーピングしてあるんです、それは設計監理するために。七〇八のテープが打ってある。そのテープもはがしていない。今でも置いてありますが、いつでも、今日は写真持ってこようかと思ったけど、あんまり露骨だから、一応これでも与党の一員ですから。  そして、しばらくたったら、TOTOのバスユニット欠陥で使い物にならぬから、別の棟のところに行って、体育室のわきにシャワールームがあるから、それを一週間シャワールーム使えって言われた。屋外設置にしてあるところの東京ガスの冷暖房のユニットを囲い込んであるその中に、囲い込んだ中に機材があるんですが、断熱材で養生してその上をステンレスの缶でうまく押さえてあるんですけど、これ、幅は二十センチ、これが十センチぐらい、だから二十掛ける十の大きなクラッシュ入っている。テラスに水道の蛇口があるんですが、それの右四十度ぐらいのところに直径五センチぐらいのはつり掛けてやめた跡がそのままある。それだけじゃないんです。食器棚やいろんな棚が一杯あるのはいいんですよ。ねじ止めをきれいにしてないからある日突然ドアががちゃっとなって、つり戸棚が。トイレのかぎが掛かる、こういうふうになっている、取っ手はそのうち抜ける。ねじが付いてなかった、下に。物すごい、一体、これも全部官庁営繕部なんです。  もし、民間建設会社国発注県発注仕事でそんなことやったらえらいペナルティー取られて、次から指名回避ですよ。つまり、設計、監理、施工を含めて何もしてないことなんですよ。だって、七三一の部屋に七〇八の引き戸が入っていること自体が、じゃ段取り何もしてなかったということじゃない。  それから、坂路って言うんです。地下に駐車場があります。車、自分で運転しているもんで、しょっちゅう腹がどすん、どすんって、おれよっぽど乱暴な運転しているかと思ったら、違う。設計が悪いわけよ。アール取りながらなだらかなあれで回さぬといかぬのを、型枠大工が下手やったかどうか知らぬけど、がっちゃんにしてしもうた。がっちゃんて、こう、階段ふうに造ってしまったわけですね。そんなばかな。ごみ捨て場のところのドア、何回やっても開かぬ、キーキーキーキー。何の検証もしないで受け取っている。これが宿舎。一番新しい宿舎ですよ。それが官庁営繕部の実態なんですよ。  私、民間のことを言うと、そこに住んでる人の資産価値が下がりますから、一応三菱地所というのは日本一のはずなんですよ。そこに手付金打った。そうすると、三菱の営業がやってきて何と言ったと思いますか。あなたの家族構成を知らせろと。私は家内と娘二人ですよ。危なくて言わない。何でだと。いや、下の階の人が家族構成知らせろと言った。じゃ、下の階の人の家族構成をおれに知らせろと、向こうは駄目だと。三菱地所というのはえらい会社ですよね。私は下の子がアトピー性皮膚炎なもんですから、じゅうたん敷きは困るんで、モデルルームに行ったのは青田買いですから、フローリングにしてくれと。それもお断りだと。何でかなと、天下の三菱地所さんが。よく考えたら、厚さが足りてないから、子供でもいてどんどん騒がれたり、じゅうたん敷かなきゃ音が下に抜けるということじゃないかなというふうに思って、さあこれから解約するのに大変。僕は、三菱っていうと、一応土佐が生んだ偉大な英雄の一人に入っているんですよ、岩崎弥太郎。これはもう盗人よりもひどいなと。だから、場所も言いませんよ、施工業者も言わない。  しかし、東京へ出てきて賃貸含めて七か所転々としてきました。ついの住みかを結婚して三十年もすれば買いたいなと思って、買ったやつは欠陥マンションですよ。入居して一年しないうちに、一年じゃないですよ、畳半枚分のアルミサッシのはめ殺しが内向けてひっくり返って粉々ですよ。雨降ったら雨漏りですよ、六階のペントハウスが。もう資産公開しているから、一応億ションですよ。そこの社長はだれ。建設省OBが社長になっているんですよ。これは名前言ってあげますよ。長谷工ですよ。  そんなの、おれみたいに結構口うるさいやつでもそんな目に遭っているから、一生懸命、普通に働いて住宅ローンを起こしてやっている人なんか気の毒というか、言っていく先もないでしょう、私も言っていく先ないけど。そういうのが今の住宅における現状なんですよ。  だから、これから後、建築確認とか建築主事の問題に入っていきますけど、これは山本繁太郎さんを責めるとかそういう意味じゃないんですよ。たまたま、運悪くと言っちゃいけないかもしれないけれども住宅局長という立場にあって、私は前に何回か写真もお見せしたことちょっとありますけれども、一般はまだひどい。  パチンコの玉ありますよね、あれ持って、十個ぐらい持ってぱっと床に、何かゆがんでいるように見えるからと思ったら、ざっと片っ方に寄っていく。先ほど言いました長谷工だって億ションですよ。システムキッチンがどう見ても、私が目が悪くなったかなと思ったら、違うんですよ。はめ込みがゆがんで付けている。民においてはそういうことはもう日常茶飯事に行われている。そういう今の住宅、先ほど言いましたよね、ここの会館のことも宿舎のことも。これ、どう思われます。
  16. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 非常にたくさんのことをおっしゃったんで、ちょっと私の方からコメントをする言葉もあれなんですけど、今お話伺いながら、私、若いときに熊本県庁に勤めたことあるんですけど、熊本県に本田製作所の二輪の工場がありまして、その関係で本田宗一郎さんの社員に対するメッセージをつづった本を読ましてもらいまして、その中に本田製作所で物づくりに取り組む社員の喜びというのを書いた部分がありまして、本田宗一郎さんはそれを三つの喜びと言っているんです。世界一の水準でいいものをつくる喜び、世界一の水準のいいものを取り扱う販売者の喜び、最高の喜びが世界一のいいものを買ったという喜び。この三つの喜びで自分たちの仕事は成り立っているんだということを書いておられて、私、若いときだったですけれども仕事をするというのはそういうことなのかというふうに思った経験があるんですが。  この我が国において住宅生産を担う、いろんな方々住宅生産を担います、今先生が具体的な問題点を指摘していただきましたけれども。その住宅生産を担うことの基本的な意義といいますか志といいますか、そのことをきちんと踏まえてこの仕事に取り組むと。できることなら一番いいものをつくるんだと。単に建築基準法が最低基準を定めているからそれをクリアすりゃいいという志の低いことではなくて、いろいろ制約はあるかもしれぬけれども、いいものをつくるんだと、いいものをお客様とやり取りをするんだと、販売員もそういうやり取りをすると、買ったお客様も本当にいいものを買ったと喜んでくれると、そういう形で我が国の建築生産の高度化に取り組むことができたらということを思いながら今先生のお話を伺ってたんですけれども。  それを突き詰めれば結局人の話にもなり、単に今回国会に、単にと言ったら大変御無礼ですけれども国会にお願いしている法令の改正だけではなくて、これに取り組む人々の志といいますか、技量も含めてどうやって高めていくかということは非常に大事だと思いながら伺ったんですが、そういう気持ちで今回の改正も全体の中に位置付けてこの仕事に取り組んでいきたいと思う次第でございます。
  17. 田村公平

    田村公平君 もっと本当は突っ込んだ議論のやり取りをしたいんですけど、今局長の立場で言えるのはそれぐらいかなと言っちゃ失礼かもしれませんけれども、私は、こう一杯言ってきたのは、建物、それが個人の、公共が分譲しよう、賃貸しようと、あるいは個人が建てようと、家ですよね。共同住宅マンションと言おうと、名前はいいんです、一戸建てと言おうと。その家に対する安全性信頼性は一姉歯の問題だけじゃなくして、もうどこでも出てきてるんですよ。あれ全部もし本当にチェックしたら大変なことになるんじゃないか。友達の中に確かに東工大出て一級建築士の事務所やってるのもいれば、清水建設の設計部にいる人もいますよ、同級生に。物すごい不安感持ってますよ。  それで、何で言うかというと、例えば住宅金融公庫の時代に、それまでは公庫融資というのは一世代限りだったけど、世の中の社会構造の変化に伴って二世代でも融資するとかリフォームでも融資するとか、そういう形になってきて、そうこうしてるうち住宅金融公庫というのはなくなるんだと。何でも官から民へ、官から民へって、イーホームズだってそうでしょう。民間に建築確認下ろすというやり方にしてきて、よう考えてみたら建築主もそれから設計に携わった人も何か悪の連関みたいな、で、一番損するのはエンドユーザーであるそれを購入したお客さんなんですよね。何でこんな形になってきたのって。  例えば、自動車の整備して車検を取る民間車検場、これもこの前、ごまかしてとか一杯ありましたよね。扇大臣のときもありましたよ。まあ自動車ならとは言いませんよ、それは死に至ることもあるけれども、エンジンちょっとおかしいな、ブレーキの利き悪いなといったら路肩に止めてできるけれども、家なんて分解するわけにもいかぬじゃないですか。あるいは、航空法の一部を改正してこれも官から民へとこう行った。エンジンの調子が悪いからってちょっと窓開けてエンジン直しに行けるんですか。飛行機なんかそのまま墜落ですよ。  だから、ここで全部、飛行機のことまで全部言う必要ないんだけれども、つまり、指導官庁としての住宅政策に取り組む姿勢、冒頭申し上げましたように、焼け跡のやみ市の中からバラックを建て、より水準の高い住宅づくりという中から来て、住宅環境を含めた基本法のことも審議させていただきました。住宅というものに対する国土交通省の考え方というんでしょうか、在り方というんでしょうか、そういう根性というんでしょうか、哲学というんでしょうかね、そういうものをよっぽどしっかり持ってないと。だって、ここには建築物安全性確保を図るための建築基準法の一部を改正する法律案と、何にもなしに建築基準法の一部を改正する法律案だったら私もここまで言いません。こういうことについて、どういうふうに住宅を持っていこうとされておるのか、いまひとつやり取りの中で見えてこない。見えてこないから機構の人はあんな段違い平行棒みたいな答弁しかできない。  私、情けないですよ。もっと、皆さん専門家でしょう、素人じゃないでしょう。どうして我がことのように思って取り組んでくれないんですか。これもし全国中継していたら怒り狂いますよ、さっきのような答弁していたら。姿勢の問題ですよ。私はだれかれが憎いとか、だれかれを陥れよう、そんなつもりで言っているわけじゃないですよ。あなたの答弁なんか聞いたらもう典型的な逃げなんだよ。個人攻撃しているわけじゃない。答弁も要りません。だけど局長、再度今の私のこの思いを聞いて、我が国のあるべき住宅、もう一度答弁お願いします。
  18. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 建築物でも一番身近なのが生活の本拠となります住宅でございます。住宅の性能、その一番ベースになるのが安全性でございます。安全性をもちろん基本とした住宅の質を高めていくと。そのためにどうしたらいいかという問題意識に立脚してさきに基本法を制定していただいたわけですけれども、まず基準法のことも含めて原理原則の部分を申し上げますと、住宅などの建築物を建築しようとする方がしっかりした建築計画を立てていいものをつくっていくというのが、これが事柄の入口でございます。そのために、建築計画を立てるに当たっては建築士法によって資格を与えられた方に建築計画を立ててもらって、これをしっかりつくっていくと、これがベースでございます。  しかし、建築投資というのは大変な財貨、サービスも使いますし、御指摘いただきましたように、いったんおかしいところがあれば、でき上がった後にこれを是正するというのは大変なエネルギーが掛かるわけですので、本来、その原理原則は今申し上げたとおりでございますが、建築確認制度において、建築計画が少なくとも最低限の法律が定める基準は満たしているかどうかということを行政的に確認をしようという仕組みになっているわけでございます。  それが両方の面で、建築主が建築計画を立てる段階でも問題があり、それを確認過程でもチェックできなかったというのが今回の問題状況だと受け止めております。その部分については今回の法律改正で的確に措置をしたいということですが、基本的には、建築主が将来にわたって意味のある建築計画を立てて、建築投資をするんだというふうに考えて行動していただく、行動していただけるようにどう環境整備をするかということに力を尽くす必要があるというふうに考えている次第でございます。
  19. 田村公平

    田村公平君 テレビ見ていますと、こんなひどい欠陥住宅ありますというのはよくやりますよね、一級建築士の人入って。あの人たちは、あそこのテレビまで取材に応じて出すというのは物すごい勇気要っているんですよ。周辺の方々や、だれが施工をしたか、すぐ分かりますよ、そんなのは。そして、自分資産価値がゼロになっていく、周辺の人にも、ゼロになっていく可能性がある、恨みつらみ買う、近隣との接触というか普通のお付き合いすら危なくなっていく、それを覚悟でテレビに出ているんです。あれが氷山の一角じゃないんですよ。言いたいけれども、言ってしまったら、今の住宅ローンを組んでいる価値が下がってしまう。だから、私も固有名詞挙げなかった。過去の分言ってしまったら、今住んでいる人たちかわいそうだし、おれのところも大ごとになってしまう。  だから、そういう自分の買った分譲マンション、あるいは自分が一生懸命造った戸建てあるいは分譲もあるでしょう。そういうことで買って住んでおるので、欠陥が見付かってもなるだけ言いたくない。そういうエンドユーザーと監督官庁の在り方。  だから、僕は、機構の答弁なんかも全然なっていないよ。私ら悪くないって、わずかな構造計算書がなくなったんじゃなくて、三割もなくなっておいて誤差のうちじゃないでしょ、三割なんというのは。だから、また私はこの質問するのは非常にもうむなしくなってくるね、こういう質問をすることが。  何かあれば、理事さんだっけ、あなたの名誉のためにもう一回だけ。
  20. 村山邦彦

    参考人村山邦彦君) 答弁の機会ありがとうございます。  やはり、私どものこうした構造計算書紛失問題につきましても、あるいは欠陥住宅施工不良というような問題につきましても、誠に私ども申し訳なく、真摯に反省しているところでございます。  お話をお伺いしておりますと、やはり改めて私ども役割というのは、模範的に、住まいづくりにしましても、あるいは団地という町につながるようなまちづくりというようなことにつきましても、国、国民と、期待に沿って模範的なものを示していくというようなことが私どもの課せられた使命であったというふうにも考えるわけですが、そういった期待あるいは使命というものにこたえていないというところについて、大変申し訳なく思う次第でございます。  今後、こういった問題というようなことについて全力を挙げて、個々具体の今後の防止策あるいは現在起こっておる問題への解決ということについて、全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考える次第でございます。
  21. 田村公平

    田村公平君 ちょっと法律の用語の中に建築主事、建築主事と出てきますが、私もいろいろ勉強をさせてもらって、建築主事という方がどういう資格でどういう形でなっているかというのは承知しておりますが、いま一度、建築主事という用語の規定を教えてください。
  22. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 建築基準法の規定に基づきまして建築確認を行う特定行政庁は建築主事を置くこととされておりまして、建築確認とか検査はこの建築主事が行います。それからさらに、平成十年の法律改正によりまして、民間の確認検査機関もこの建築主事と同様に確認検査を行うことができることとしているわけでございます。  この建築主事は、まず一級建築士で一定の実務経験を有するということを前提に検定試験を受けます。建築基準適合判定資格者検定という検定試験を受けまして、これに合格した者が登録を受けて適合判定資格者となるわけでございます。この適合判定資格者から建築主事を特定行政庁が任命するということになるわけでございます。
  23. 田村公平

    田村公平君 参議院国土交通委員会の調査室がまとめた参考資料の中に、国土交通省からいただいた資料として、建築主事一人当たりの建築確認件数の推移というのがあって、平成十年の改正までは、一人当たり、平成八年は六百四件、九年が四百九十五件、十年が四百四十九件。指定確認検査機構制度が開始された十一年からは、四百四十四件、三百九十七、三百十三、二百五十五、二百十五、そして十六年度が百八十六件、一人当たり。平成十六年度は、その指定確認検査機構検査員がやるのが一人当たり三百十九件と。これは、もちろん景気の変動もあるでしょうが、しかし、一人当たりですよ、平均ですからばらつきがある、中身も違うにしても、三百十九件とかそんなオーダーをやって本当に見ているかいねと言いたくなる。  例えば私の高知県では、発令されている者は、高知県庁として七名、人口三十万を超えている高知市ですから、これは置くことができるじゃなくて、置かなければならないになっているんですかね、これも七名。つまり、高知県レベルでいうと建築主事はたった十四名です。市町村合併して今三十五市町村になっていますけれども、県の面積は七千百平方キロあって、それにもってきて最近は、ここ十年ぐらい前から、県外資本ですけれども、どんどんどんどん、景気が悪いものですから地上げの影響も受けなかったけれども、ちっちゃな家がなくなってそこいらを、あるいは撤退した企業の跡地にマンションが建っているんです。  この前も視察で行かせてもらったときに、郡山の方、福島の方見ていたら、新幹線、見とっても、昔私が出張で行ったときと全然違って、結構高層のマンション一杯建っている。そこで確認業務というのは本当にできるのかいなというのが偽りのない疑問。  もう一つ言わせてもらうと、その人たちは恐らく図面だけ見ていると思うんです。うちのように、うちというのは高知県、四国山脈なんて三本の構造線が走っていて年間十センチ、二十センチ動いているところが幾らでもある。急傾斜、砂防指定、一杯ある。そういう土質だとかそういうことまで、地すべりが起きそうだとか、ここはアンカー打たなきゃ駄目だとか、土圧だけでは、こんな基礎造っちゃ駄目だとかいうことが果たして図面を見て分かるのかねと。高知市なんというのは、七つの川が集まって、その堆積した上に、なおかつ海がだんだん沖へ下がってできているから、南海大地震来たら一発で液状化になると思いますよ。そういう建てる場所、下、周辺、山が迫っている、そういうことを含めた総合的な判断をした上で建築確認は下りているんでしょうか。私、エレベーターの一件で何かおかしいなと。  どうですかね。
  24. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 建築確認は、基本的には、御指摘いただきましたように、建築申請図書に基づいて、法令の基準に適合しているかどうか、地盤のことも含めまして審査するのが原則でございます。これに対しまして、もちろん中間検査とか完了検査は、現場に赴いてこれを検査するという仕組みとなっております。
  25. 田村公平

    田村公平君 そうはおっしゃいますけど、現実問題の対応として、私もそれは地元に帰りゃ建築主事だって友達の中にいますよ。だけど、たった十四人でそんな、そういうのを絵そらごとというんですよ。それは、答弁はそれでいいかもしれない。だったらこんなことは起きてないんだから。改正する以前からの話だから。だって建築確認でしょう。確認書を出すわけでしょう。判こついた方は何の責任もないじゃないですか、はっきり言えば。法律を見たって、建築士には物すごい厳しくなっているけど、それを出した方の責任はどうなるんですか。建築許可証じゃないでしょう。確認をしておるだけ。そこに私は何かトリックみたいなのを、何かお上が偉くて、建築主事とか特定行政庁とかいう普通の者には分からぬような言葉を使って、それで、はい、どうぞって、住んでみたらおかしかったと。  私は、これちょっとトータルで考えて、じゃ何のために土砂災害防止法を作り、レッドゾーン、イエローゾーンまで決めて、税制上の優遇措置も決めて、そういう一番ある意味で力のない人がなけなしのお金を出して造るものについてはもっと行政は親切に、気配りとか情を持ってやるべきじゃないでしょうかね。私がもし建築を請け負ったら、それはなるだけ人夫さんも遊ばせたくないし、段取りがある。早く確認下ろしてもらって、早くたたき上げたいですよ。金利負担のこともある。しかし、受け取る人はそこを、一生の住みかです、ついの住みかにせぬといかぬわけですから。  だから、私はちょっと土質のこと、地質のことから周辺のことまで言ったのは、図面だけでは分からぬと思うので、是非これは、私は十一時一分まで時間あるけど、十一時ぐらいまで質問しておいて後で答弁というのは何かルール破りになるのでそういうことはしたくないもんですから、ちょっと手前に締めくくり的に、今まで私が申し上げてきたことを含めて、どうですか、この建築基準法だけじゃなくしてトータルで、せっかく基本法も作ってと言っているんだから、向こう百年ぐらいに耐え得るような法体系、業界の指導を含めて、そういうものをつくる気は、大臣、この際ありませんかね。
  26. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 本来はいろんなことを想定して制度の改正を事前にきっちりとしていくべきなんでしょうが、なかなかそういうことができないというのが常でございまして、私は、今回このような耐震強度偽装事件、起こりました。また今、田村先生の方から、このような事件だけではなくって、建築における様々な問題点について御指摘がございました。  私は、もうこの際本当に徹底して、徹底して、今、田村先生がおっしゃったように、これから本当に百年通用していけれるような、そうした信頼できる、そういう制度を是非この機会に構築をさしていただきたい、そういう思いで今、議論をしているところでございます。  また、先ほど来機構や営繕のお話もございましたが、機構であれまた官庁営繕であれ、これはプロ集団でございます。そのプロ集団として、建築界のプロ集団としてやはり模範を示していかないといけない立場にもかかわらず、機構で今回のような事件、また構造計算書を紛失する、私からもこれはもう厳しく機構に対しては指導をさしていただきましたが、こういうことはもうあってはならないわけでございまして、そういう専門家集団、プロ集団でそうした問題を起こしていること自体がやはり大きな問題、我が国建築業界そのものの問題がその背後にやはり横たわっているのではないかというふうに本当に言われかねないわけでございまして、私は本当に機構においてはこの八王子の問題、また構造計算書の紛失の問題、しっかり深く反省をしていただきたいというふうに思っておりまして、しっかり対応さしていきたいというふうに思っております。  いずれにしましても、本当に住宅を取得する側の立場に立って、いい住宅が、いい建築物が供給されるような、そういう建築サイドの問題、また建築行政の問題、しっかりそうした制度が構築できますように全力で取組をさしていただく決意でございます。
  27. 田村公平

    田村公平君 私が百年と言ったのは、人がこれからどんどんどんどん地方から転勤があったり大都市から動く。どのマンションというか、どのアパートに行っても安全だという共通認識が持てるようにしてほしい。そして、六月一日から民間の人がどんどん取り締まれるようになって随分すっきりはするようになったけど、固有名詞を挙げて申し訳ないが、溜池の全日空ホテルができたおかげであそこは物すごい渋滞する、事故が増えました。ハートビル、バリアフリーのときに二千平米以上といったけど、駐車場なんか義務付けなきゃ駄目ですよ。こんな汚い都市は世界じゅうでも首都の中では珍しい。景観だとかそういうもの関係なしに、みんな銭もうけのためにぼんぼこぼんぼこ造り回ってでたらめな都市の形になっている。  そういう意味で、地方に行ったら田園都市なら田園都市なりの美しさ、心の安らぎがある。都市に出てくれば機能美の中に一種の美しさがあり、機能美というのはそういうものですから、安らぎもある、そういうトータルなことをやっていただきたいんで先ほど申し上げました。  大臣の積極的に取り組んでいただけるというお言葉をいただきましたので、今年の九月以降どうなるかなと思いつつも、それはそれとして、しっかりしたことを、まだ私は来年七月まで任期はありますんで、引き続き国土交通委員会では頑張っていきたいと思っております。今日はありがとうございました。
  28. 前田武志

    ○前田武志君 民主党・新緑風会の前田武志でございます。  同僚議員の田村議員とのやり取りを聞きながら、我々が今、建築全般に対する危惧、そして建築というのは我々一般の国民にとっては人生の舞台であり、家族の活躍の一番の源泉になるところであり、しかも、それを建てるのは専門家でございますから、その専門家との信頼関係、そしてまたそういう住宅が集まって町をつくっていくわけですから、当然これは大きな公共的な意味合いを持っている。そこに行政の責任、役割、そういったものも出てくる。日本の場合にも、既に建築基準法あるいは都市計画法等ができて百年近くなってきているわけなんですが、そういう中で今危機的状況を迎えている、その危惧というもののやり取りがあって、我が国土交通委員会らしい質疑をされたなというふうに思います。  そこで、今回の建築基準法の改正、建築士法もあるんでしょうが、先ほど大臣あるいは局長の答弁等にもありましたように、耐震偽造問題を契機としての、とにかく目の前、何としても国民に対して責任を果たさなきゃいかぬというそういう官側の、政府側の気持ち、国民に安心してもらえるように善後策を講じなきゃいかぬということで取り組まれたと、こう思うんですね。  いささか何か泥縄式と言っちゃ語弊がありますが、ここまで慌ててやるだけの本当の内容になっているのかどうかということについて、私なりにこの経緯、審議会の経緯であったり、あるいは去年の暮れから当委員会においても耐震偽造については参考人を招致したり、あるいは政府との議論もいたしました。そういうことを踏まえて、いささか疑念があるんですね。その辺のことを中心に聞いてまいりたいと思います。  まず最初に、例の欠陥マンション、これは構造偽装構造設計偽装であったわけですね。それに対して、今度は先ほども指摘のあった港区の公営住宅ですか、あのマンションの事故というのは、これはもう全く痛ましい事件ですね。あの高校生のこと、その家族のことを考えると、本当に胸の詰まる思いがいたします。これは設備の欠陥であったわけですね。  まず、この港区のマンションについて概略をお知らせください。どこが建築主であって、どういう建物で、いつ建築確認をやり、原因だとか何とか、今事件として捜査されているわけですから、そこに及ぶようなことを聞こうとしているわけじゃありませんので、ここの参考になることについて御報告を願います。
  29. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今回、東京都港区のシティハイツ竹芝におきまして、男子高校生市川大輔さん十六歳が十二階のエレベーター出入口で挟まれ亡くなられるという痛ましい事故が発生しましたことは誠に遺憾でありまして、亡くなられた方の御冥福をお祈りするとともに、御遺族にも心からお悔やみを申し上げる次第でございます。  シティハイツ竹芝の施主でございますが、港区からヒアリングしましたところ、施主は港区長、設計は株式会社設計室、施工は、建築物全体につきましては、長谷工、日産、トピー建設の共同企業体でございます。エレベーターにつきましてはシンドラーエレベータ株式会社東日本事業本部、工事監理は株式会社設計室でございます。  また、建築確認につきましては、この建築物は建築主が特定行政庁でもある港区でございますために、設計段階では港区から東京都の建築主事に建築計画を通知いたしまして、これを受けた東京都の建築主事が内容を審査の上、港区に法令に適合する旨の通知を行うという形で事務処理が行われております。  また、シティハイツ竹芝の住宅部分の管理形態でございますが、当初から港区は財団法人港区住宅公社に委託管理をしていたわけでございますが、自治法に基づきまして、今年の四月一日から、この財団法人港区住宅公社指定管理者として指定して管理してきたというふうに聞いております。  建築基準法では、エレベーターにつきましては、所有者などは建築士あるいは国土交通大臣が定める一定の資格を持った者に検査を行わせまして、その結果を定期的に特定行政庁に報告しなければならないとしております。従来は国とか特定行政庁建築物についてはこうした義務がなかったわけでございますが、さきの法律改正で国とか特定行政庁建築物についても点検を実施することにしたわけですが、港区については、平成十七年六月から一年以内ごとに劣化等の状況について点検を実施しなければならないという規定を設けたところでございます。  シティハイツ竹芝の場合は、昨年、平成十七年の九月にこの法律が定める点検を実施したと聞いております。  以上でございます。
  30. 前田武志

    ○前田武志君 あるいはちょっと聞き逃したのかも分かりませんが、これはいつ設計施工されたのか。それからもう一つは、この設備関係については類設計と、こう言っておられましたが、これは元請のはずで、どういう専門設計事務所にやらせたのか。詳しいことはいいんですよ。要するに、こういう建築基準法の改正の中で我々素人には分かりづらいのは、専門分野が幾つかに分かれているものですから、一体実質的にはこのエレベーター設計施工はどこが責任を持っていて、しかし形態上は建築確認申請等の責任はどこにあったのか、それでいつやったのか、これを教えてください。
  31. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) これは公共団体が建築行為を行うために確認申請ではなくて計画通知となっておりますけれども、実際に審査する事務はほぼ同様でございます。  この計画通知を港区から東京都に行いましたのは平成九年五月六日付けとなっております。  工事が終わりまして、完了検査済証を東京都が完了検査をした上で港区に対して交付いたしましたのが平成十年の三月二十三日となっております。
  32. 前田武志

    ○前田武志君 ちょっと年月を聞いたのは、前の建築基準法の改正が平成十年、もちろん阪神震災等を受けて七年ぐらいから、もっと前からですか、検討しておるわけですから、そういうものが入ってきたんだろうと思うんですが、いずれにしろ、構造偽造にしろ今回のエレベーター事故にしろ、今の仕組みでは対応できなかったということですよね。  そんなこともあって今回の慌ただしい中での建築基準法の改正ということになったんでしょうが、元々平成十年の建築基準法の改正、これがどういう経緯でやられたのか。本当にあの建築基準法の中に、住宅の安全あるいは建築物の安全というものを基本的に、根本的に見直して、それぞれの建築者といいますか、施主、それから設計者、そしてまた行政、それぞれの責任をきちっと考え、建築物の安全、町の安全、そういうものを見通してこの十年の改正がされ、そして今回それでもうまくいかなかったから部分修正するんだというような考え方で来ているのかどうか。  その辺の基本的な流れみたいなものを踏まえて、大臣は、この建築基準法の十年改正、今回の改正、どのように受け止め、位置付けをされているのか、まず冒頭お聞きをいたします。
  33. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 平成十年改正につきましては幾つかのポイントがあると思うんですが、一つは、やはり建築確認検査につきまして民間機関に、一定の要件の下でそうした能力のある民間機関に民間開放したというところが一つ大きな改正でございました。  あと、性能規定の導入、性能規定化の問題や中間検査の導入等の改正もあったわけでございますが、この民間機関へ、建築確認検査についてもやっていただくと、民間開放したということについては、従来、特定行政庁の建築主事の建築確認検査だけでは十分にその期待されていることができていないと、そういう中で民間の力もかりていこうということになったというふうに理解をしております。  建物、年間の建築確認件数というのは当時百万件近くあったというふうに、今も七十五万件ぐらいあるわけでございますが、さらに中間検査を導入していく、完了検査もしなければならない、そういう中で、特定行政庁だけでは十分な確認検査体制が取れない、そういう中で民間機関の力をかりる民間開放へというふうにつながっていったというふうに考えております。  これ自体は、私はこの方向は間違っていなかったというふうに考えております。完了検査率も、当時は三八%でございましたが、今もうその倍ぐらいになってきておりますし、また本来行政がやるべき違反建築物の是正、これについても減少をしてきております。やはり十年度に比べますと半分ぐらいになってきておりますし、また建築主事の数も、一千九百人でありましたのが、現時点では民間検査員等も合わせますと三千四百名というふうになってきているわけでございまして、執行体制が強化されてきているというふうに思っているところでございます。  今回の改正につきましては基本的な考え方を変えているわけではありません。むしろ、今回の事件を通じまして、見落としたのは指定検査機関だけではなくて、特定行政庁の方でも見落としがあったわけでございまして、それはこの建築確認検査制度そのものにやはり不十分なところがあったと考えて、この検査体制について強化をさせていただいているところでございます。  新たに今回の改正の柱としては、建築確認の審査方法並びに検査方法についてきちんと指針の策定をしてそれを公表していくだとか、また一定の高さ以上の建築物につきましては第三者機関が専門家の方々にきちんとピアチェックをしていただくだとか、そうした建築確認検査の厳格化をさせていただいているところでございますけれども、これは建築確認検査という考え方について、平成十年改正の基本的な考え方を変えているわけではなくて、それをしっかりと補強していこうということで改正をさせていただいているところでございます。
  34. 前田武志

    ○前田武志君 今の大臣の御説明で、今回の改正というのは、建築確認体制、その仕組みであったり執行であったり、この方向は間違っていなかったが、その辺にいろいろ穴があったということで強化をしたということで、具体的に第三者機関のチェックを入れるというようなこともお話がありました。  罰則規定も含めて、局長、端的に言えば、その強化というのが、そういう新しい制度を入れると同時に罰則であったり規制であったりその辺も強めていると思うんですが、その辺はまとめて言うとどういう方向を考えているんですか。
  35. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) まず建築基準法の方は、民間確認機関に対して、これまで指定した、国土交通大臣とか都道府県知事が専ら指定した観点から監督をしていたわけでございますけれども、個別具体の建築確認の事務についての指導監督が必ずしも十分でなかったんじゃないかという問題意識に立って、本来確認事務を行う特定行政庁が、個別具体の確認事務について指定確認検査機関に立入検査をしたり、いろいろ監督をできるように強化すると。その結果を問題があれば指定権者に報告をして、指定権者が監督上必要な処分をするという、こういう流れを用意したというのが民間確認機関については一番大きなポイントだと思います。  それからもう一つは、建築士法の方では、御指摘いただきましたように、あらゆる違法行為についての罰則をきちんと今考えられる一番大きな量刑に改定をさせていただいて違法行為の予防効果を図る、確保するという観点からの改正をお願いしております。  その二点が一番大きいと思います。
  36. 前田武志

    ○前田武志君 実は、この建築基準法、そもそも論に立ち返りますと、平成十年の建築基準法の改正というものについても既にあちこちでも議論されているんですが、いろんな疑念がございます。元々、日本のやはり敗戦であったり、その後のとにかく住宅の量を確保するだとか、それから元々伝統的にある日本の住宅在り方、個人住宅はほとんどが先般議論いたしましたように軸組みの木造住宅であって、普通は近所の顔の見える範囲の大工の棟梁であったり工務店であったり、そういったところがやってくれて、維持管理もまあまあそういったところが責任を持ってやっていくような制度だったわけですが、この十年の改正というのは非常に大きな変化ですよね。  それについては既に、これは関岡英之さんですね、「拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる」、これはまあ日米の定期協議のあの話であるわけですが、レコメンデーションというんですか、前はサブミッションと、こう言っていたのが最近はレコメンデーション。要するにアメリカの毎年、規制改革についての日本に対して、かつては提案、提案というかサブミット、サブミッションですから上申するみたいな感じなんですけれども、最近はレコメンデーションで、アメリカが日本に対してこうせいと指導をしているような感覚ですよね。訳語はどうなっているのかよく知りませんが。  確かに、八〇年代後半からの日米の経済摩擦、そういった状況を踏まえて、九〇年代初めぐらいから、この建築関係のこともあるいは建設市場の参入の問題も出てきた。そして、この関岡さんなんかは非常にうまく冒頭まとめてくれているんですね。この方は元々は銀行家ですね。しかも、日本の金融がどんどんどんどん、銀行が大きくなってきて、規制緩和の中で証券業務をやり始めたころに世界、特に中国なんかでもやっておられる。ある、思い至って銀行を辞められて建築の勉強をされた。そして、その建築の学会等で出席しているときに、実はこの日米構造協議の流れの中で日本が相当のことを押し付けられてこの建築基準法の改正にまで至ったのではないかということを、かなり詳しくその当時の外交上の文書等も入れて書いておられるんですね。御本人は今、小説家としてなかなかすばらしい小説も書いておられる。私自身はお会いしたことはないんですが、尊敬する方であります。  この方のを見ておりましても、確かにスーパー三〇一条というのが九〇年代初頭にありましたかな。覚えているんですよ。カーラ・ヒルズというUSTRの大使が出てきて、女性大使で、まあ大変な剛腕ぶりだったですね。たしかスーパーコンピューターと、そして木材と、それからもう一つ何かありましたですね。この三つのたしか市場開放というのを、ああ、そうそう、人工衛星だったですね、スーパーコンピューター、人工衛星、そして木材、言わば建材ですよね、そういったものを自由化、規制緩和させて、市場にアメリカが出ていけるようにしろと、そういうのが性能規制というものに変わっていったというふうに言われております。  したがって、この平成十年の法改正に至る当時の建築審議会のいろんななされた議論をまとめたのがありますが、これを見ておりましても、規制緩和というものが第一に出てくるんですね。性能水準を明確化して、海外基準とも整合性を図るようにと。それから、もちろん市場の力、当時の始まってきた官から民へということでしょうか、市場というものを最大限使うようにというようなことですね。そこで官民の役割分担、これが恐らく、指定確認機関の民営化というものにつながったのではないかと、こう思うんですね。  そういう中で、安全というのは、たまたま平成七年に阪神大震災があったもんだから、この阪神大震災の惨状に対して安全、住宅の安全、建築物の安全、これを確保しなければならないということで議論に入ってきた。しかし、この答申を見ていると、安全というのはこの三つの分野の一番最後の三つ目なんですね。その辺から、どうもこの建築基準法というものの改正が、まあ私流に言えばちょっと鬼っ子みたいな感じがするんですよ。  これは、もちろんこういう性能規制が駄目だとか、市場原理がどうかだとか言っていることではないんですよ。本当に、先ほど田村議員が議論されてたような日本の建築物あるいは住宅のいろんな過去の歴史というのは、日本の場合には、震災があり、あの過ぐる戦争があり、大都市は全部焼かれた、そういう中で、しかも木造文化なんですからね、木の文化なんだから、そういう日本の特徴がある。しかも地震国なんです。  その日本の、ある意味では悲哀もあるこの歴史を踏まえてここまで発展してきた建築文化あるいは住宅というもう我々国民一人一人、家族にとって掛け替えのない舞台、そこに思いを致して、本当にこの建築物住宅、これの安全と、そしてそれが街区を、町をつくり、その町が風格のある町になって、付加価値を付けて、ブランド力も出ていく、住宅自身も年々リフォームを加えて価値が出てくる、流通する、そういう方向にしっかりとした議論をして、改正してきているのかなということに疑問を覚えるわけですね。この議論を始めると、まあちょっと今日、今回の建築基準法の改正の趣旨とはちょっと収まり切れないというところがあるので、もうこれ以上のことは余り申し上げませんが。  そんなことを踏まえて考えると、先ほど大臣も御説明ありましたが、指定確認検査機関について、年間の確認件数というのは随分と多いですね。  ちょっと局長、簡単に、この日本と比較して米英仏、こういうところではこういう建築確認の在り方というのはどういうことになっているのか。要するに、行政庁ですべてやっているのか、あるいは民間にやらしているのか。特徴があれば御紹介をください。
  37. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) ちょっと手元に資料を持ってきていないので誠に恐縮なんですが、例えば米国はそれぞれ各州で建築コードを規定しておりますけれども、同じ地震に見舞われる西海岸なんかにおきましては、行政のサイドで建築生産の各過程で、建築計画はもちろんでございますが、建築生産の各過程できちんとした検査をした上で最終的にこれを使わせると。もちろん、それに要する費用は建築主が拠出するわけでございますけれども、そういうふうな枠組みで前に進むと。  しかし、基本的には、我が国のように行政が法適合性を行政行為として確認をすると、確認をした上でなければ建築行為に入ってはならないという規定を置いているのは非常に独特な制度だというふうに認識をしております。
  38. 前田武志

    ○前田武志君 そこで、この指定確認検査機関、今回の事件で処分をしたようですね、幾つかのこの機関。処分の概要と、要は、これからこの規制を強化し、処分も罰則も強化していく、あるいは立入検査をやるというようなことになってくるわけですけれど、その立入検査というようなことも本当にどういうふうに行政庁がやれるのかなと。現実にどういう仕組みでやろうとしているのか。余り恣意的なものでもいかぬでしょうし、そしてまた、処分についても基準というようなものが必要でしょうし、その辺の議論は進んでいるんですか。
  39. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) まず民間確認検査機関に対する処分でございますが、これは五月二十九日に、姉歯元建築士が関与した偽装物件について建築確認を行った民間指定確認検査機関に対して処分通知を手交したところでございます。  具体的な処分の内容は、イーホームズ株式会社指定の取消し、日本ERI株式会社は五百平米を超える建築物の建築確認についての三か月間の業務停止、それから株式会社東日本住宅評価センター、それからビューローベリタスジャパン株式会社は監督命令ということで処分をいたしました。  処分の基準でございますが、行政手続法の考え方に沿いまして、今年の三月三十一日から四月三十日まで、処分基準についてはパブリックコメントの手続を経た上で処分基準を定めまして、これに基づいて処分をいたしました。  基本的な考え方は、確認検査の業務に従事する確認検査員が確認検査の業務に関して重大な過失などによって構造計算書偽装を看過したと、それによって構造上大きな問題のある建築物が現実にこの世にでき上がるという結果を生じさせた、そのことをもって処分事由としたものでございます。  それから、民間確認検査機関への立入検査などの監督を実務的にどうやって的確にするかということについては、御指摘のとおり、私どもも大変問題意識を持っております。従来は指定要件がございます。指定要件、指定したときの要件が時を経るに従っていろいろ変わってくるわけですが、少なくとも指定した要件はクリアしているかどうか、常に、という観点から定期的に立入検査をして、帳簿あるいはヒアリングによってこのことを確認をするということを定期検査の目的にしておりました。  ただ、具体の確認行為等につきましても、違法行為を行っているというような通報も随時入ってくるものですから、そういったことがあった場合は緊急の立入検査をするということをやっていたわけでございますけれども、今度の事案で、偽装を見過ごすというのが民間確認機関、特定行政庁もですが、民間確認機関に出てきたために、昨年の十二月一か月間掛けて、官庁営繕部などの技術者も動員をして、大臣指定したすべての民間機関に立入調査をして、サンプリングで審査の過程も調査しました。これは非常に異例ですけれども、初めてそういうことをやりました。  そのことも踏まえまして、指定した国とか都道府県が指定機関に対してどういうふうに立ち入るのか。それから、今回特定行政庁も個別具体の事務について立入検査できることとしますので、どういう観点から、どういう形で立入検査をすることが目的にかなうやり方になるのかというのを少し専門家の方も集まってもらって検討しようということで検討会設けております。これの結論も得て、今回、法律改正認めていただきました暁には、立入検査の具体的なやり方についても間違いのないように進めていきたいと考えておる次第です。
  40. 前田武志

    ○前田武志君 議論をしながらどうも釈然としないんですね。なかなかうまく表現できないです。  例えば建物建物はもう我々自分のマイホームであれば、施主である私どもがもう本当にいいものを、安全ないいものを、しかし幾らでも金を注ぐというわけにいかないから、信頼できる建築家であったり棟梁であったり、自分の利益を専門家が代表して安くいいものを造ってくれるわけです。先ほど来問題になっているマンションであったりあるいは公営のアパートであったり、これはエンドユーザーは一般の国民であるわけですね、市民でありますけれど、建築主はこれはディベロッパーであったりするわけですね。  この法体系の中で、そういうディベロッパー自身が本来想定しているのは、建築主というのは自らを傷付けるようなことはしませんから、いいものをちゃんと安くという、そういうインセンティブが働くだろうという前提ですが、今やその集合住宅マンションなんというのは、これはエンドユーザーと建築主が違うわけですから、このディベロッパー、業者、建築主の方に何らかのやっぱり法的な枠組みというものも必要になるのではないのかなというふうな感じを持ってたんですね、今お聞きしながら。  今はこの指定確認検査機関の話をしているわけですが、さて、そこで、どんどん規制を強め、立入検査をやり、罰則を強くし、今住宅公団技術の方は帰られたようですが、情けない話ですよね、建築家が。我々、建築家を信頼しているんですよ。今でも私は、自分が発注する建築家は信頼しますよ、またそういう人でないとお任せしませんから。しかし、どうもあの事件を契機に、建築家も性悪説みたいな感じで規制、取締りの対象になってきたような感じがするんですね。  そこには、行政制度の仕組み自体にも欠陥があるからこういうところに追い込んでいっているのは、これはいろんな方々がいろんな断面で言っておられることで、私もその面は随分あると思うんです。ところがなかなか、そこは行政の無謬というか、とにかくまずは罰則を強化だとか規制を強化の方向に行ってしまっている。第二弾、第三弾と抜本的な改正をされるわけですから、ここで申し上げておきたいのは、ここはもう拙速でもしようがないということなら、それはそれで今やるにしても、是非その辺のところを根本的な議論をしていただきたいなと、こういうふうに思うんです。  さて、この建築基準法改正については、我が民主党の方も、拙速ではありましたが政府がこうやって出してきたのに対して独自の法案を用意したわけですね、まあ衆議院の方では実らなかったわけでございますが。その中のかなりのところは基本的に政府案と一緒のようですが、住宅建築物については、こういう社会経済の変化の中で、特に集合住宅なんか中心に街区が形成されるとなれば、そこは建築主事、むしろ特定行政庁の方が責任を持ってすべて建築確認業務をやるべしという、そういう法案になっていると私は理解をしているわけですが、それは一つの考え方としてあるんですよね。これだけ罰則強化し、もう責任をある意味では持とうとするなら、その方向に行かざるを得ない。しかし、現実にはこれはまあとてもとてもやれるものじゃない、およそ現実的じゃないということも分かるんですね。私自身はそう思うんですね。そこが中途半端になっていると思うんですよ。  更に言えば、この建築の安全というものは一体この建築確認検査で保証をしているものかどうかということにもつながっていくわけですね。本来は、持家なんというのは自分でしっかり安全なんというのはそうやって確保してきたものなんですよね。専門化してきていますから、だから本当に信頼できる建築家に頼んでというようなことだったんですが、今申し上げたような、とても、そのエンドユーザーとこの建築主が違ってきたものですから、なかなかそうはいかなくなってきた。  そこで、ここにあるのは、一連のこの建築偽装の問題に関して緊急調査委員会を開かれましたね。そして、住宅局がこの質問事項に答えておられるわけですが、その中の二十六番目、建築確認について、国民の間には、確認が下りたことにより、人命の安全だけではなしに財産の保全も保証されるという誤解がある、このような建築確認への国民の過大な期待という誤解を解くためにはどのように努力をしてきたのか、またこれからするつもりなのかという問いに対して、住宅局の方は、この建築基準法は最低基準を定めているものだと、そして建築物の安全の確保に関する直接的な義務は設計者が負うものであると、こう明確に答えておられるわけですね。  確かに、最近のこの一連の騒動の中で、何かこの耐震基準さえクリアすればもう安全というふうに誤解をされかねない風潮にあるのを非常に私は危険に感ずるわけなんです。あくまでも建築物の安全というものは施主の利益であって、いいものを造り、更に安全度を高めれば、それだけ値打ちが上がっていくんですね。そしてまた、そういう建物で構成される町というのは非常に安全な町になっていって、そしてまた、そこに安全プラス、安全だけではなしにいろんな、住生活基本法でも議論したように、いろんな付加価値、景観であったり伝統であったり、コミュニティーのこの良さといいますか、お付き合いのしやすさだとか、そんなことも全部含めていい町ができて構成されるようになれば、それが良好な町になっていく。これはすべてお上のやることじゃないんですよ。自らがしっかりやっていく、それをどれだけ支援し応援し、それでもどうしてもやれない、これだけ複雑になってきた、そこを行政がしっかりとチェックし誘導していくと、支援していくというのが本来なんだろうと思うんですね。  私なんかは古い大和の出身ですから、自分の町や村や田舎に行くと、もう本当にそんなもの、お上なんか入ってきたら、もう途端に駄目になるんですよね。むしろ、自ら一生懸命つくってきたところが風格のあるいい町になっていますし、家もそうです。大和では、局長いつか宣伝してくださった、大和の建て倒れと、こう言っていただいたが、大和棟、田舎建てと、こう言いますが、今でも旧村の、旧村といいますか、元々の奈良に住んでおられる方々住宅地の団地の中でも好んでそういう家を建てるんですね。  話がちょっとそれてしまいましたが、そういうことで、この住宅基本法の中での思想というと、やはり安全については最終的にどこが責任を持つべきだと、どういう思想でこの建築基準法は組み立てられているんですか、局長
  41. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) これ今、きちんとした建築物を建てていく際の法制的な枠組みについて幾つかの論点を御指摘いただいたと思うんですが、まず最低限の安全性に関連しては基準法がもちろん基準を定めているわけですが、それを端的に例えば耐震安全性の関連で申し上げますと、実は二段階の基準を持っていまして、五十六年より前にあった基準も今現在も維持しているんです。それは通常、例えば鉄筋コンクリートの建物であれば、その耐用年数期間中に何回か経験するであろうような規模の地震、具体的には震度五強ぐらいの地震の場合は、経済的価値が損傷されない、損なわれない、びくともしない、そのビルの一生のうちに来る地震では経済的価値が損なわれないということを前提に基準を設けていまして、それは今も維持しています。  それに加えて、五十六年に新たに基準が作られたのは、その建物の一生のうちに一回来るかどうか分からないような激烈な地震、震度六強とか七とか、直下でありましたけれども、そういうものが来たときに、経済的価値は損なわれてしまう、いろんなものが壊れてしまうけれども、非常に枢要な躯体部分がぺしゃっとなったり、ばたんと倒れたりはしない、そういうことによって人の命を奪うような損傷はしないというのがその第二の基準でして、それはまずきちんと建築物を造る人にも、これを利用する人にも御理解をいただく必要があると思うんです。  その上で、やっぱりある程度大きい地震が来てもしっかりした建物を造りたいと建築主の方が思われた場合は、基準法が求めている最低の強度プラス三割増しとか五割増しの強度で建築活動をやっていくと。しかしいずれにしても、それは建築主が設計士に、専門家である建築士にお願いして設計をして、そういうものを実現していくと、そういうものを期待しているということが言えると思います。  ただ、先ほどから何回も先生指摘いただきましたけれども、建築主と最終的にこれを利用されるユーザーが異なる分譲形式の住宅取得というのがかなり普遍的になってきたために、その部分について最終的な消費者の利益をどう保護したらいいかと。これは今住宅の品確法で売主に民法の特例で十年間の瑕疵担保責任を強制規定で負わせていますけれども、それをしかし実効的に担保するためにはどうしたらいいかという議論は別途ございます。これは次の改正に向けて今御検討いただいている最中ですけれども、そういう課題、領域はございますけれども、原理原則の部分は先ほど御説明したとおりでございます。
  42. 前田武志

    ○前田武志君 今局長指摘の中にありましたが、要はやはり専門家である建築士、設計者の責任というのが一番重いんだろうと思うんですよね。したがって、今回の改正の中でどういう位置付けになってきたかというのを、まだ建築士であったり建築士事務所であったりについて二、三質問をするつもりでございますが、ここが本当にしっかり責任を果たす、そして使命感を持ってやるという制度にしていかなければ、日本のこの建築法を取り巻く環境というのは暗いんじゃないかなと、こういうふうに思います。  そこで、これ余談なんですが、田村先生のお顔を拝見していてふっと思い付いたんですが、三菱地所の社長さんに会ったんですよ、せんだって。あの丸ビルを新しくされましたね。これ、なかなか立派ですねと話していたら、いや、前田さん、これは法隆寺始め五重塔が倒れずにここまでずっと残っている、あれは非常にその心柱が地震をうまく、地震力を分散させていく構造になっていて、それを研究して、実はそれを応用してこのビルは造っているんですよと、こういうふうに言っていました。それこそその地所の設計陣が研究したんだろうと思うんですけれども。  本来、それぞれの建物というのはやっぱり建築士及び建築事務所が技術の持てるものをすべて注ぎ込んで施主の要望にこたえていいものを造っていく、とにかくそういう方向に持っていく必要があると思うんですね。  したがって、ここで申し上げたいのは、これは大臣にお聞きしようと思うんですが、単体の建築確認、ここは設計士がもうよほど責任を持ってやらないと、一々行政庁が、建築主事が単体一件一件チェックして、それでクリアしたから安全というふうになっていってしまいますと、私は建築文化上も良くないと思っているんですよ。  一つの考え方としては、きちっと国民の建築を守るなら全部役所でやれというのも一つの考え方ですよ、我々民主党の。これは一つの考え方。しかし、私は、実はこの建築の関係というのは、ここで一度もう本当に過去をすべて清算して抜本的に考え直すべきだと、こう思うものですから、その方向性も含めて議論をしているんですよ。  何か先ほど来、今回の改正というのはもうひとつしっくりこないねというのはそういうところでございまして、民間指定機関というところに一歩踏み出したなら、単体は指定確認検査機関に任せる。そこは、民で設計したその設計士がきちっと本当にやっているかどうかというのを確認機関が、更に程度を高めた確認機関がきちっとそこをチェックしていく。しかし、あくまでも建築物というのは、単体以上にその単体で構成される町、そこが良くなっていく、コミュニティーが良くなっていくというのが恐らく国やあるいは地方公共団体が一番責任を持って考えていかにゃいかぬところでしょうから、したがって集団規制の方については特定行政庁がしっかりとチェックをしていって良きまちづくりを誘導していく、そういう方向を考えるべきじゃないかと。これは私の一つの投げ掛けでございますが、どうお考えですか。
  43. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 今、前田先生からおっしゃられた考え方というのは、建築の設計の専門家の、相当な専門家の権威の先生の中にも今、前田先生がおっしゃったような考え方をおっしゃる方がいらっしゃるんですね。むしろもう建築確認については行政はいいよと、行政やらなくていいよと。むしろそれはもう民間の我々専門家に任せておけというふうなことをおっしゃって、で、おっしゃっているとおり、都市計画等のまちづくりにかかわる、そういう集団規定にかかわるところをしっかりチェックしたらどうなんだと、こういう考え方、私十分そういう考え方があるんだろうというふうに思っております。  ただ、そうしたら現状でそういうことが、本当にそういう意味ではまさしく抜本的な見直しになるわけでございますが、こういう耐震偽装事件があってそもそも建築士に対する信頼が大きく揺らいでしまっていると。こういう中で、そういう抜本的な、ある意味では逆の方向になるわけですね、の見直しというのは、私はなかなか困難ではないかと正直なところ思っておるところで、むしろやはり従来の基本的な枠組み、建築基準法で最低の基準を定めて、その最低の基準に適合しているかどうかを行政がチェックをしていくこの建築確認検査制度という基本的な枠組みを維持しながら、一定の建物、今回特に問題になっていますそのようなマンション分譲マンション等については、やはり高度な、専門家の方々にきちんとピアチェックをしていただくようなこういう体制でやるべきではないかと、こういう考え方で見直しをさせていただいたところでございます。  私は、前田先生のおっしゃっている、まず建物安全性等について、個体の建物の問題については建築サイドの方がまず一義的にきちんと責任を持つべきであるとおっしゃっておられるのは、全く私もそのとおりであると思っているんです。やはり設計施工する、また建築主のサイドで建物を造り出すわけでございますから、そこの方々がやはりまずしっかりと責任を果たしていただくと、また果たしていただけるような政策を出していくということが非常に肝要であるというふうに思っております。
  44. 前田武志

    ○前田武志君 そこで、今ピアチェックのお話も出てきたわけですが、局長にお尋ねしますが、このピアチェック、何か中央の方に学者や専門家が入る、そういう何か組織をつくってというようなことも聞いているわけなんですが、実際には、特に構造関係でいうと地震ですから、これは地盤がどうなっているか、そこの断層がどうなっているか、これはもう地域ごとに全然違うんですね。もう本当に道路を越えて、阪神震災の例では道路を越えて反対側とこっち側とではもう全然違ったとか、いろいろあります。やはりその辺のところについてもピアチェックも各地域でできるような体制をつくっていくべきなんだろうと思うんですね。というよりも、それは分権の思想であり、やっぱり一番近いところでその地域に合った建物と、こういうことになっていくわけですから。  そこで、建築士の問題について言えば、約三十万人もいる建築士ですから、それを弁護士や会計士というわけにはいかない。資格は独占しているわけなんですが、そこにも非常に問題があるというのが今回のこの罰則強化へつながったんでしょう。しかし、そこをどうこうというのはなかなかいじりにくい。片一方で、業としてやるのは、建築士事務所というものを構成して初めて設計業務ができるわけですよね。これは建築士法に書いてあるわけだから。  建築士事務所協会ですか、各府県にある、これを集めた全国の組織については指定機関にしたというようなことで多少位置付けをしたというふうに政府側は言うわけですが、本来、この建築士事務所協会というものを各府県ごとに強制加入させるようにして、そして設計事務等についてこの業を行う事務所の責任というのを明らかにしておく。そこがまたピアチェックなんかの、直接の受皿とは言いませんが、ピアチェック等の地域における一つの大きな支えになっていくというようなことも考えられる。まあ一つのアイデアですから、このことをどうこう言うんじゃないんですよ。もう少し建築士事務所協会というものの位置付けをしっかり責任も明確にする必要があるんじゃないかということについてどうですか。
  45. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 建築士事務所協会のお話の前に、構造計算の適合性判定の機関についての御指摘がありましたが、これは制度として……
  46. 前田武志

    ○前田武志君 もう時間が大分なくなってきているので。
  47. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) はい。制度として都道府県知事に指定していただいて、各地域のいろいろなまちづくりセンターとかございますので、そういうところを指定して、そこに専門家が来ていただいて構造計算適合性判定をやっていただこうと思います。  それから、御指摘のとおり、建築士は業として営む場合には建築士事務所を構成してこれを登録するということを法律上求めております。建築士事務所は、建築士として仕事をする場合に建築士事務所協会あるいは建築士事務所協会の連合会に参画を義務付けるという議論も確かにいただいているわけでございますけれども、利益を上げることを目的とした株式会社一つの協会に参加を義務付けるという例は本邦ではまだございません。ございませんので、そういう議論もありますし、実際に仕事をするのは建築士事務所ですので、建築士の団体への義務付け、それから建築士事務所の協会との関係、それぞれいろんな論点がありますので、これはいろいろな団体の御意見を伺いながら、どういうふうに整理するのが今回の問題の解決、これは具体的に建築士の資質を自主的な努力によって高めていくという一番の目的があるわけですけれども、照らして、どういう形が一番いいか、事務所ないし事務所協会の位置付けも含めて夏までしっかり検討をしていきたいと思います。
  48. 前田武志

    ○前田武志君 最後の議論になりますけれど、戦後の住宅の量の確保というようなところでは建て売り住宅というものがどんどんどんどん建ちまして、建て売り住宅なんというのはもう本当に二十年ももちませんよね。十年かそのぐらいで、また所得も上がってくると建て直しております。日本の住宅文化というのがすっかりもう、何といいますかね、もう消耗品、スクラップ・アンド・ビルド。それはもう量を確保する時代には致し方がなかったのかも分かりませんが、住生活基本法というのを議論してついに出された、こういうような時代には、これからの建築物在り方というのは本当に根本的にもう考え直して位置付けをしていく時代に来たと、こう思うんですね。  安全性、そして建築物が構成する町、それの継続性、サステーナブル、その辺のところを考えると、今回の建築基準法の改正の方向というのは私が申し上げたような方向と考えていいのかどうか、最後に大臣の御見解をお聞きして終わります。
  49. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 住生活基本法で御論議いただいたわけでございますが、住生活基本法で定めておる基本理念、それはあくまでこれからの住環境等のまさしく政策の方向性を出しているわけでございまして、それと建築基準法とか今回の改正とが矛盾するようなものであってはならないと考えております。  今回のお願いしております改正はあくまで第一弾でございまして、これから夏に向けて建築士法についても大きな見直しをさせていただきたいと思っておりますし、また住宅のエンドユーザーの利益の保護のための仕組みについても今検討をしているところでございまして、そうしたものを総合したところでまた御評価をいただきたいと思っておりますが、方向性としては、今、前田先生のおっしゃった方向性できちんと議論をさせていただきたいと考えております。
  50. 前田武志

    ○前田武志君 終わります。
  51. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  52. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建築物安全性確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  53. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 民主党・新緑風会の山下八洲夫でございます。どうぞよろしくお願いします。  午前中も田村先生あるいは前田先生質疑をお聞かせいただきました。少しばかり重複するところがあろうかと思いますが、お許しいただきたいと思います。  今回の提案されました建築物安全性確保を図るための建築基準法の一部を改正する法律案、役所からカラー刷りでヒアリングをされます。これを見るのが一番分かりやすいんですけれども、大きく分けて六項目の改正点が示されております。率直に申し上げまして、すばらしい頭脳の持ち主の住宅局長さんを始め優秀なスタッフで改正されたと思うんですが、よくよくこの法律案を見ていきますと、至って中途半端だなと。せっかくこのような法律案を改正するのなら、もっと突っ込んでもっと抜本的な改正をすべきではなかったか、このような印象も持っております。  少しだけ結論を申し上げますと、今回の法改正は、差し当たって、どちらかといいますと、特定行政庁については権限は強化しましたけれども、特に建築士については罰則を始め厳しい処分がずらりと並んでいる、このような法律案じゃないか、このような気がしております。  それはさておきまして、今日は、私は三十一日の日に本会議で久しぶりにこの建築基準法について質問させていただきました。その質問で、復習を兼ねながら大臣の答弁もしっかり読ませていただきまして、大臣の答弁を補足する質問をさせていただきたいなと、そのようにも思っている次第です。  よくよくこの大臣答弁を読ませていただきますと、慎重に検討しますとか、十分検討いたしますとか、否定もしておりませんし、肯定もしていらっしゃらない。実に巧妙な、それこそ法律家並みの法律家だなというような答弁をなさっておりますので、やっぱり本会議ではなくて委員会でございますと前向きなしっかりした明るい答弁がいただけるんだろうと、そういうふうに思って質問させていただきますので、是非そのような答弁をまた期待しておきたいと思います。  そこでまず最初に、これは本会議で質問させていただきました、設計施工分離を促進すべきではないかと。なぜかといいますと、設計施工業者の下請になってはチェック機能がどうしても働いてきませんので、設計施工を分離して、厳しいチェックを実現するためにはやはり、また後ほども触れたいと思いますが、建築士の地位と独立性も高めることも必要でありますし、そのためには資格試験の段階から改革も必要であろうと思います。特に、そういう中で設計施工分離を促進ということで質問させていただきました。  私も改めて、施工というのはどういう意味かと、施主とはどういう意味かというのを広辞苑で引きましたら、施工工事を実施すること、施主は建築主でございますので、やはり設計施工工事を実施する人が一緒になるとそこにはまたいろんな問題点が起きてくるんじゃないか、このように思いますので、私はやはり設計施工は分離が正しいだろうというふうに思っています。  これに対しまして、本会議場での大臣の答弁を読ませていただきますと、建築士の地位と独立性を向上させていくことは私も今後の重要な課題であると認識しておりますと。しかし、設計施工の分離を促進せよとの御提案につきましては、設計施工を一貫して行う方式につきましては、設計意図を十分理解した施工や、施工方法も含めて検討された適切な建築計画の設計が可能となるといったメリットもございます、両者を分離することが直ちに適当であるとは考えておりませんというふうに、直ちにというのが付いておりますので、将来はどうなのかなと思ったりするんですが。  やっぱりこの答弁では、大臣は分離はしない方がいいんだというふうに答弁なさっているんですが、やはり今回ヒューザーがどちらかといいますと施主でございましょうし、木村建設が施工でありましょうし、平成設計はこれは設計事務所だけれども、姉歯は平成設計から使われたこともありますし、あるいは木村建設から使われたこともございますし、あるいはヒューザーからやっぱり構造は姉歯さんだよというような言葉もあったようでございます。こういうことを考えますと、こういう問題が起きるのはやはり施主やあるいは施工に力があるからこういう問題が起きるということになりますので、ここはしっかりと分離した方がいいというふうに私はあえて判断、再度するわけでございますが、大臣、やはり本会議と同じ考え方であるのか、一度、大臣のお考えを披瀝していただきたいと思います。
  54. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 今回の事実関係を通して山下先生のおっしゃっている意図も理解できるわけでございますけれども、ただ、世の中に行われている様々な建物の建設の中で、それを一律的に禁止することがどうなのかということを申し上げているわけでございます。実際、設計施工とが分離せずに一体として行われることによってあるメリットというのも、これは事実としてあるわけでございまして、それを一律に分離をすべしということはいかがなものかというふうに考えているわけでございます。  また、今委員の方からは、施主というふうにおっしゃいましたが、建築主からやはり不当なコストダウンのプレッシャーを掛けられるということもあるわけでございまして、その場合は単に設計施工分離ということで目的が達せられるわけではないというふうにも思っております。  いずれにしましても、大事なことは、冒頭おっしゃいました設計士の方々の地位を向上させる、また独立性を確保していくということを図っていくことが非常に大事なことでございまして、それは非常に私どもも大事な課題として、この夏までに建築士制度全体の見直しをしようということで今論議をしている最中でございますが、建築士の専門分化の問題、また報酬の問題、更には団体への加入の義務付けの問題、こうした問題、今並行して議論しておりまして、そういう中で建築士の地位の向上、独立性の強化ということを是非図らせていただきたいと考えております。
  55. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 ヒューザーの関係で申し上げますと、集合住宅、しかも十階建てとかというかなり大型のマンションであるわけですね。普通の消費者が一戸建ての住宅を注文住宅で建設されるというときは常識的に、工務店かあるいは大工さんの棟梁に、予算はこれぐらいで家を造りたいんだけれどもと言って相談をしますと、大体設計もしてくれて、希望を言いますと、その設計でここはこう直しましょう、ああしましょうと、常にコミュニケーションを取りながらだんだんだんだんと形ができていくということでございますから、設計士さんがどこにいらっしゃって、大工さんの棟梁とあるいは工務店のどういう関係があろうと、これは一体であっても余り私は問題は起きないというふうに理解しております。  ただ、マンションのようなもう二十戸も三十戸も一緒になっている集合住宅というのは、やはり施主といいますか、要するにディベロッパーといいますか、そういう皆さんが結局は設計士に設計をさすと。そうしますと、どうしてもそこにコストの面から無理が来ますので、こういう問題が起きたと思うんですね。  ですから、やはりある程度そういう問題については、もうこれ以上答弁を求めませんが、この点についてはやはり分離をしていく、その方向の方が正しいんではないかというふうに思っておりますので、是非今後も課題として検討の中に入れておいていただきたいというふうに思います。  今、設計士さんの地位の向上、そういうことのお話があったわけでございますが、これにつきましてはまた後ほど触れさせていただきたいと思いますが、やはり今建築の高度化によりまして、それこそ建築士の専門分野別資格制度にすべきではないかなというような、またそういう時期にも来ているんではないかというように私も思っております。  特に、建築士の業務は建築物設計工事監理を行うことにあるんですが、設計についてはこの間、我々素人までしっかり覚えたわけですが、大きく分けますと意匠設計、そして構造設計、それで設備設計と、この三つの分野に分かれているということが我々も理解できました。建築士はそれぞれの分野に特化して今ほとんど業務を行っているんじゃないかと。だから、設計事務所を持ってもあるいは特定行政庁にしましても、それぞれの専門分野を持っていないとなかなか検査もうまくいかぬだろうというような感じも私はします。  ですから、そういうことを考えますと、これからはやはり資格制度にしましても、このように専門分野へ分けた資格制度も今後の視野に入れていく時期に来たんじゃないかと思いますが、その辺につきまして、ある意味では喫緊の課題ではありますけれども、今の一級建築士さんなんかのやはり資格の問題等もありますから、大変いろんな難しいハードルはあるということは十分承知しております。その辺についての考え方がもしおありでしたら、披瀝いただきたいと思います。
  56. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今年二月に、社会資本整備審議会の建築分科会の中間報告におきまして、施策の実現に向けて検討すべき課題一つとして、専門分野別の資格を設けることについて御指摘をいただいております。私どもとしましても、建築士制度に係る大変大事な課題であると認識しております。  建築士制度に係る課題、この専門分野別の資格の制度も含めてでございますが、それぞれ社会的必要性、それから実際に運用した場合の実効性、それから見直しの具体的な中身、方法、そういったことについて更に検討しなければならない事項がたくさんございますので今回の改正案では見送られたものでございますけれども、今現在、社会資本整備審議会において引き続き御検討いただいておりますので、夏ごろまでに方針を取りまとめていただいた上で、国土交通省としてそれを踏まえて所要の見直しをお願いする考えでございます。
  57. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 それで、盛んに話されておりますのが、今申し上げました意匠設計あるいは構造設計、設備設計と、このように言われているんですね。素人ながら考えますと、設備設計で多分命にかかわることはそんなにないんじゃないかなというような気がするんですね。設備というとどういうことかというと、ふろ場なのかなと。あるいは最近事故が起きましたけれどもエレベーターとか、あるいは台所とか水回りとかそういういろんな、あるいはエアコンとか、そういうのを設備設計なのかなと思うんですが。  もう一つ、一番やっぱり命にかかわって重要なのは、今日、前田委員の質問の中でも若干言葉として出ておりましたが、基礎というのは大変重要ですね。地域によりましてそれこそ地盤というのはみんな違いますから、基礎というのは大変重要だと思うんです。ですから、その点考えますと、基礎も基礎設計というんですかね、これは土木工学の方になるのかよく分かりません。そちらの方にも十分、今後百年もつような立派な建物を造っていった方がいいわけでございますから、注視をしていただいて、その辺も一般的に言われております意匠あるいは構造、設備、それプラス基礎ということも是非マンションとかビルとか、そういう大きな建物については前向きに検討していただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。  その上に立ちまして、一級建築士のやっぱりステップアップ化をして、専門分野別の建築資格を制度化する以外ないだろうというふうに思っております。なぜかといいますと、現在の一級建築士は、本人が構造の計算ができるできないは別にし、あるいは意匠設計ができるできないは別にしまして、一応一級建築士に合格をしますと、意匠もできますよ、あるいは設備もできますよ、あるいは構造もできますよと、超高層の意匠もできますよと、本人ができるできないは別問題です、いう資格をお持ちなんですね。オールマイティーになっています。  オールマイティーになっていますけれども、結局はどうも構造設計設計士さんはかなり少ないようでございますし、そこにやっぱり専門分野別になっているということを考えますと、もう一つ、やっぱり今後、一級建築士を今お持ちになっている方がそういう資格を剥奪することはできませんので、やっぱりステップアップさせて、例えばハイパー構造設計士というような名称がいいか悪いかは別にしまして、例えば一級建築士で五年間経験して、これだけの研修受けて、これだけのあるいは試験に受かれば例えば構造のより高度な資格を与えますよと、こういうような制度にそろそろ検討していってもいいんじゃないかというふうに思っているわけでございますが、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
  58. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 御指摘のとおり、今の建築士の資格制度は、例えば一級建築士については資格を持てば建築士の権能すべて与えられる、排他的に与えられるという制度になっております。    〔委員長退席、理事大江康弘君着席〕 そういう制度を今前提として、専門分野別の建築士の資格の検討を進めているわけでございます。  その場合、今御指摘ありました構造の問題、仕事につきまして、一定の実務経験を踏まえて資格を付与するといったようなことも当然論議の対象になっているわけでございますが、御提案いただきました、建築士が自己研さんを自ら励まして技量を高めていくという際の目標になるものとして期待されるハイパー建築士の資格ということについての考えでございますが、これを制度上位置付けるに当たりましては、これ専門別の資格制度そのものもそうなんですが、今ある一級建築士の資格とどういうふうに切り分けるか。非常に難しい構造計算についてはハイパー構造建築士でなければできないと、普通の一級建築士ではできないというふうに切り分けて持っていくのかというような御検討を今、検討課題がございます。  それから、専門家の方々からも御指摘いただいているんですが、国が定める資格制度として専門化、専門分化させた上で、今の一級建築士の制度と、更に全く新しい資格制度とするということが非常に複雑になってしまうのではないかと。実は、建築士会連合会では独自の会としてのいろいろな努力をしておられる。その積み重ねもありまして、制度として新設することについてはいろんな議論があるわけでございます。  私どもとしましては、一級建築士の資質とか能力を維持向上させるという課題につきましては非常に大事な課題だと思っておりますんで、実際、先ほど御紹介しました社会資本整備審議会の中間報告でもこの必要性が指摘されておりますんで、今御指摘いただきました事柄、専門分野別の建築士の制度と併せまして、まず高等教育機関の教育課程の充実という問題、それから建築士としての職能倫理を徹底させるための職能団体を通じた倫理教育等の充実、それから建築技術の高度化とか複雑に的確に対応した能力の維持向上のために新しい技術等をきちんと習得する方策、その徹底方法、そういったことが課題として残されていまして、今建築分科会で御検討いただいているところでございます。
  59. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 確かに住宅局長が今申されたように、今の一級建築士の皆さん方、それぞれの資格をお持ちですから、その上に例えばハイパー建築士のようなものを導入するというのは、いろんな困難な面があるということはよく理解できるんです、理解ができるんです。  ただ、今の一級建築士、あるいは宣伝するときに、その上に私は構造についてはハイパー建築士の資格を持っていますよと、余分なコマーシャルが、宣伝ができるわけです。そうしますと、お客さんの方は、ただの構造の資格を持っている人よりやっぱりハイパーの方が何となく優秀だなと、じゃそちらへお願いしようかと。そうすると、そういう資格を持っていない方はまた研さんをして、よし資格を取ろうかということになってくるわけでございますし、そういう意味ではそこに切磋琢磨が出てくるんだろうというふうに思います。だから、いろいろな困難があると、そういうことを導入するということには困難があるということは承知しております。だが、まだこれから十分、そういう制度をすぐには導入できなくても、例えば三年後、五年後、十年後、そういうことをやはり視野に入れながらやっぱりしっかりと検討していっていいんじゃないかと。  といいますのは、先ほどもちょっと触れましたけれども、ますますこの建築技術も大変高度化、複雑化しているわけでございますから、そうすればするほどますます専門分野別が必要なわけですね。  こんなことを大臣の前で、大臣に申し上げると釈迦に説法でございますけれども、弁護士の世界でございましたって、刑法に強い人、民法に強い人、民法の中でもまたいろんな分野にそれぞれ細切れでますます精通していかないとこれからなかなか生きていけないんじゃないかなというような感じもしますし、やはりどこの世界だって私はだんだんそのように専門分野的になってきているというふうに思いますんで、是非、その辺についてはしっかりした今後の課題として押さえておいていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  先ほども少し出ましたけれども、その上に立ちまして、やはり私は、今回姉歯さんのような問題が起きた。これはやはり、余りにも一級建築士というのは資格を取るのが難しい割には収入が伴っていない職業の一つかな、そのような印象も持ちます。  ですから、あのような偽装も出てしまったんではないか。特に、施工主やあるいはディベロッパーや、また社長は資格を持っていないけれども設計事務所の下請、そういうところでコストが徹底的にたたかれているというところで無理が起きているんだろうというふうに思いますので、そのことを考えますと、やはり建築士の皆さん方、しっかりと地位を向上させないといけないと。そのことが一つは収入増にもつながってくるというふうに私は思います。そうすると、ある一定の収入増になれば悪いこともしなくなるんですよ。自然に抑止力も働いてきます、誇りも持つようになると思うんです。  そのことを考えますと、やはり本会議でも私は申し上げたんですが、一つは建築士会に強制加入をさすと。このことはやっぱり大変重要なことだなと改めて強く思った次第でございます。  それに対しまして大臣の答弁は、建築士の会への強制加入の必要性につきましては、今、専門分野別の建築士制度の抜本的見直しについて議論をしているところでありまして、それと並行いたしましてこの問題については十分検討してまいりたいと考えておりますと。十分検討してまいりたいと考えておりますというふうにお答えになっていらっしゃるんですが、この十分という理解も私はなかなか苦しいんですけれども、やっぱりこの問題については早急にやっぱり検討して早急に結論出した方がいいだろうと、そう思えてなりません。  それこそ、大臣所信のときの質問のときも私皆さんのところに配らせていただいて質問したわけでございますが、会への強制加入になっておりますのは弁護士さん、司法書士、行政書士、社会保険労務士、公認会計士、弁理士、税理士と。この皆さん方は、資格を持っていても、結局はそれぞれの会に強制的に加入して初めて事務所を持って活動ができる、仕事ができると、こういうシステムになっているんですね。  建築士さんはそういう会が、強制加入の会はありません、任意のが四つぐらいあるようでございますけれども。任意のに加入していらっしゃる方もあるし、姉歯さんのようにどこにも加入していない方もいらっしゃると。そういうこともありますので、やはりいろんな、地位もばらばらになっておりますから、そういうことを考えますと、一つはやはり強制加入さすべきではないか、そう思っております。  それからもう一つは、この社団法人日本建築士事務所協会連合会、今度の参考人質疑で自民党さんがこれは参考人でお呼びのようでございますけれども、この「建築士法の抜本改正の提言」について、この中にもやはり課題一つとして建築士及び建築事務所の団体への加入義務化と、できれば弁護士法、税理士法、多数類似規定と、こういうものに強制加入した方がいいんじゃないかということがうたわれておりますし。  それから、私、少しさっき建築士の試験難しいと申し上げたんですが、この建築士の試験の概要を見ますと本当に難しいんですね。  最終合格率は約一割ぐらいと書いてございますけれども、受験の要件でございますけれども、建築、土木の学歴と実務経験が必要。まず二級と木造建築士の場合は、大学、三年制短期大学、高等専門学校、専門学校の建築課程卒業者は実務経験が不要と。土木課程卒業の場合は実務経験一年以上、高校の建築又は土木課程は三年以上と。一級は、上記の学歴に加えて二年から四年以上の実務経験が必要と、このようになっているんですね。大変受験の要件も難しいんです。  試験の内容ですけれども、一級の場合なんですが、学科は四つに分かれているようですね。二級もそうですね。学科は四つに分かれています。学科Ⅰでいいますと、主として建築計画、環境工学、建築設備に関するものと。二つ目でいいますと、建築法規に関するもの。三つ目でいいますと、構造力学、建築一般構造、建築材料。四つ目でいいますと、建築施工、建築積算に関するものと。こういうことでありますと、やっぱり構造とかあるいは設備とか、そういうのがある程度分かれているような試験の内容だなというふうになっておりますが、やっぱり一級でも二級でも、建築の試験を受けようということになれば、やはりオールマイティーではできないから、もう受ける前から構造中心でいこうとか意匠専門でいこうというふうに分かれているような、私もこれ勉強したことも見たこともありませんから分かりませんけど、そんなような印象を持ちました。  そういうことを考えますと、やはり一つは、強制加入で進めた方がより建築士の皆さん方も誇りに持てますし、そして仕事もしっかり自信を持って、なお一層、今よりやれるようになるんじゃないかと、そのように思えてならないわけでございます。この辺について、大臣、いかがでございますでしょうか。
  60. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 今回の事件を受けまして、先ほど申し上げましたように、建築士の独立性また地位の向上を図っていくということが非常に大事である。また、そういう観点から、建築士の団体への加入の義務付けについて今まさしく検討をしているところでございます。これは、建築士試験に受かって仮に資格を取ったとしても、その団体に加入をしないと活動ができないと、こういうことになるわけですね、強制加入というのは。  そういう意味で、一種のこれは規制を強化していくということにつながっているわけでございますが、私は、これは今住宅局の方にお願いをしておりますのは、やはり行政が建築士の方々を日常的に監督するといってもこれ限界があるわけでございまして、建築士の方々がやはりその組織、団体の中でお互いに啓発をし合い、また教育の場を与え、場合によっては、建築士として問題のあるような仕事をされた方については、会の中できちんと懲戒規定も設けて自律をしていくというふうな在り方をやっぱりしていった方がいいんじゃないのかということは前から申し上げているんです。  ただ、問題は、先ほど山下先生もおっしゃっていただきましたが、建築士の団体もいろんな団体がありまして、建築士会がありまして、建築士事務所協会がありまして、それ以外にまた、ほかにも専門分野別の団体があったりだとか、いろんな団体がありまして、それぞれが我が団体に加入義務付けをすべきだっておっしゃっているようなところもありまして、その辺のところもよく調整をしないといけませんし、それから先ほどの専門分野化の問題がありますね。専門分野化を仮にした場合に、じゃ、その専門分野別のやはり団体ができてくるのか、その団体へのやっぱり加入の義務付けになるのかとか。  いずれにしましても、今後の建築設計士の方々在り方を大きく変えていく話になりますので、加入の義務付けをするにしてもやはり実効性のある形でやっていく必要があると思っておりまして、考え方としては、私は是非その加入を義務付ける方向で検討してもらいたいということを申し上げているんですが、どういう形でやるのがいいのかということを今まさしく建築士団体の方々とも協議をしながら、また専門家の先生方の審議会での御議論を経ながら、今まさしく議論をしているところということでございまして、今委員のおっしゃった御趣旨の方向でまさしく今議論をしているんだと、それについてもこの夏までに取りまとめる方向で検討しているところでございます。
  61. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 まあ行政が建築士さんなんかをあるいは監督指導はなかなか難しいというようなお言葉もございましたが、今日、法務省お見えですね。  大臣は、先ほど申し上げましたように法律家でございますので、多分、法務省も弁護士さんを指導監督というのはなかなかできないんじゃないかというふうに、私はそういう意味では思うんです。そして、今それこそ大臣がお話ございましたとおり、構造とかあるいは意匠とか設備とか専門分野別、だが、今司法の世界、弁護士の世界も専門分野別で仕事をどんどんどんどんなさっているんではないかと。また、そうしないとなかなかやっていけない、こういう状況になっているんじゃないかなというような気がいたしておりますので、その辺についてはもう私が申し上げなくても大臣の方が詳しいわけでございますし、大臣の方が、専門分野別に会をつくらなくても、例えば仮称建築士の会一つつくって、そこへ四団体の皆様方もその会に全員加入する、ゼロからのスタートというようなことでやっぱり取り組んでいく、それぐらいの勢いがないと私は、建築士の皆さん方の地位の向上もなければ、これからの発展もないだろうというような気がいたしますので、あえて申し上げておきたいというふうに思います。  そこで、今日、法務省にもおいでいただいたわけでございますが、弁護士活動や司法書士の活動を行うためには、それぞれ、ちょっと先ほど触れたんですが、自治組織に強制加入をしないと弁護士や司法書士の活動はできないということになっていると思うんです。これが一つですね。  それからもう一つは、資格を持っていない第三者、いわゆる資格を持っていない第三者が株式会社法人を開設をしまして、そして弁護士さんなら弁護士さん、司法書士さんなら司法書士さんを雇用をして、たった五人でも十人でもいいです、私が、山下八洲夫は弁護士の資格は持っていないんですけど、山下八洲夫が株式会社山下事務所を設置して、そこへ弁護士さん雇用して弁護士活動をやるということは禁止されていると思うんです。  もし弁護士法に基づく弁護士法人を設置する場合は、設立者ももちろん弁護士の資格を持っていないと、司法書士さんもその資格を持っていないとできないというふうになっていると思うんですが、それで間違いございませんね。
  62. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 委員御指摘のとおりでございます。
  63. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 そういたしますと、司法書士さんでも弁護士さんでもいいんですが、資格を持っていない人が弁護士法人あるいは株式会社でつくりたいんだと、何でこんな規制をしてつくれないんだと、おかしいじゃないかというような御意見というのはございますでしょうか。
  64. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 規制緩和の流れが非常にございまして、そういう規制緩和をしていくべきだというお考えの方の中にはそういうことをおっしゃっている方もおられます。
  65. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 いらっしゃるけど、まあまだ仮にいらっしゃっても少数派だというような考えでよろしいですね。
  66. 倉吉敬

    政府参考人倉吉敬君) 少数派と申しますか、まあそういうことになろうかなと、法務省としてはそのように認識しておりますが。
  67. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 そこで大臣、ちょっとお尋ねしたいんですけど、建築士の資格を持っていない建設会社がディベロッパー、平成設計も木村建設の社長の奥さんが一時社長をやっていたようですね。いわゆる設計事務所を開設をして、そこへ資格を持った方を雇用して業務を行うとか、現行ではできるようになっているんですね。  それで、私、本会議でそのような趣旨のことを、やめた方がいいんじゃないかと、やはり資格を持った方が法人をつくって行うべきじゃないかというような質問をさせていただきましたら、大臣の答弁はこのような答弁になっているんです。事務所開設者を建築士に限定し、建築士法人制度を導入することにつきましては、会社組織による建築事務所を開設することができなくなりますので、その導入に当たりましては慎重な検討が必要であると考えておりますと。  これもなかなかすばらしい答弁であるわけでございますが、やはり個人で事務所を、建築士さんが個人で事務所を設置しようと、あるいは法人で設置しようと、やはり設置者は資格を持っている方にすべきだというのが当然じゃないかと思うんですね。そうしないと、なぜ、私、弁護士さんの資格を持っていない方に弁護士法人の事務所設置ができないかと、やはり法律仕事は責任を持ってその法律の専門家にやらしなさいという倫理規定から来ていると思うんですね。やっぱり建築だって同じだと思うんですね。一級建築士さんなら一級建築士さん、その倫理規定の中で責任を持ってきちっとやれると、そういうふうなシステムにしていくと。  ですから、先ほど申しました強制加入の仮称建築士の会にも、個人ももちろん加入しますけど、こういう事務所も加入さして、そして事業なら事業、設計という事業、あるいは設計という仕事なら仕事、しっかりとしていただくというシステムの方がよりいいと思いますので、これから当然、今後、加入問題や建築士をどのように扱うかというときに当然議論になると思いますから、これからは、一人ではなくて、それぞれどの士の分野でありましても大きな集団で仕事をなさるという時代に入っていますので、是非その辺も含めて一緒に検討課題にしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  68. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 弁護士の場合は、先般の司法制度改革の一環の中で法人制度というのもできたんですよね。それまでは、逆に、そういう株式会社はもちろんのこと、法人格を持って弁護士事務所をやっていること自体ができなかったわけですね。個人があくまで弁護士事務所を構成すると、こういう形だったわけです。それが、弁護士法人制度というのが設置されるということになったわけです。  それとやっぱり建築士の場合違うのは、今現に建築士というのは、例えば一級建築士で申し上げますと、(「三十万」と呼ぶ者あり)ええ、建築士の数自体が三十万超えているわけでございまして、ちょっと今実態がどうなっているかというのを調べてみましたら、法人事務所だけで約五万五千あるんですね、五万五千。個人でやっているのが三万七千なんです。この法人でやっている五万五千の中には恐らく多くの建築士さんが入っていらっしゃる。そして、恐らく建築設計そのものの量、これ、数字は統計がないんですけれども、量は、もう恐らくこの法人でやっていらっしゃる一級建築事務所が圧倒的に実務を担っていらっしゃることが多いと思うんです。もう有名なところもたくさんございます。  全部これ株式会社でございまして、既にこういう実態にあるものを、もう株式会社では駄目ですよと、ついては建築士法人制度にしますよと、建築士だけですよと、かつ無限責任になりますから、何か過失があって損害を例えば建築主に与えたような場合には、無限責任でその建築士法人に入っている建築士の方々が無限責任を負うと、こういうことになるわけでございまして、これは今のこうした実態からするとなかなか容易ではないのではないか、現実に。むしろ、弁護士の場合はそもそもそういうのがなくて、みんな個々人でやっていたところにいきなり司法制度改革の中で弁護士法人という新たな制度をつくって、今そういうのに法人化をしているところ、事務所があるということで、そういう意味でちょっと設計士、建築士の場合とは今置かれている状況が全く違うのではないか。むしろ、先ほど来申し上げていますように、私は、肝心なことはその独立性や地位の向上を図っていく、また責任の所在を明確にしていくということが大事で、そのためにどういう手段がいいのかということで検討すべきではないかというふうに考えております。
  69. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 確かに、弁護士法の改正がありまして、十三年の六月に全会一致で成立しているんですね。司法書士につきましては十四年の四月に全会一致でこの法人ができるよという、成立しています。だから、年月日は間違っているかも分かりませんが、一番古いのは公認会計士で、昭和四十二年だったですか、三十八年か四十二年か、それぐらいに法人格が持てるようになっているんですね。今、そういう意味でいろいろなところでどんどん法人格が持てるようになってきているんです。それは一人ではできないということも一方にあろうかと思うんです。それと同時に、大勢で行った方がより、それぞれのまた専門分野でより利便性も高まるということもあろうかと思うんですが。  それはそれとしまして、それは、建築士事務所あるいは建築士さんは数が多いからなかなか難しいんだということでもないと思うんです。それは、知恵を絞れば、激変緩和というのがあるんですから、例えば猶予期間を置いていくとか、いろんな知恵は幾らでも出てくるんですから、最終的に収れんしていけばいいわけでございまして、一気に今日この法律が通りましたから来年の一月一日からやりますよと、これだったら大混乱を起こすと思いますけれども、五年掛けるのか十年掛けるのかは別にしまして、やはり知恵を絞ってやれば私はできると思いますので、そういうふうに健全な方向に持っていく方が私はやはりベターでありベストだろうというような気がいたしますので、あえて申し上げておきたいというふうに思います。  もう時間も大分来ましたので次へ移りたいと思いますが、次は例の十年間の瑕疵担保責任の問題について質問させていただきたいと思います。  皆さんの前にこの安っぽいビラを配らせていただきました。国会台三丁目マンション、ヨンキュッパですと。随分安いんですけどね、このマンションは。これまた配らしていただきましたが、いわゆる現在の住宅ですけど、十年間の瑕疵担保責任の保証があるわけでございますけど、これ本会議場でも申し上げましたけど、新築一戸建ての場合が平成十六年度でわずか二八・四%、そしてマンションに至っては新築でたったの一・一%と、こうなっているんです。やはり、私、ある宿舎の新聞ばっと開けましたら、一日でこんなすばらしいのが、これは日経新聞で、一日でこんなに一杯がばっと新聞折り込み、マンション広告が入っていたんです。もうすごいんです、見ますと。こんな立派なのが入っていたんです。もう、この倍のもあります、億ション、こんなにたくさん出ているんです。  だけど、これ見ますと、物件概要というところは、私、眼鏡掛けていますが、眼鏡掛けていても小さくて読みたくないような細かい字でわっと書いてあるんですね、本当に。読みたくないという、読む気持ちにならぬ、そういう小さな字で書いてあります。  ですから、これは当然保険の有無なんか何にも関係ないと思うんですが、それで、私はやはり、特に一戸建ての建て売り住宅、注文住宅じゃございませんよ、建て売り住宅、同時にマンション等を購入するという、いずれにいたしましても、住宅を普通の消費者が購入するというのは一世一代の大変な高い買物をですね、慎重に慎重を期して確かに購入されると思うんです。それでも明くる日は価値がゼロになったマンションを購入した方も大勢この間いらっしゃったんですね。明くる日は価値がゼロになっちゃったと。今でも眠れない日が続いているんじゃないかなと。また家が欲しいんだけど、二重ローンになっちゃって買うにも買えないと、今のマンションは売るにもゼロ円だと、ローンだけ残っているというのが大勢今も苦しんでいらっしゃるんですね。  そういうことを考えますと、瑕疵担保責任があるといっても、ヒューザーのように本体がつぶれてしまえば、瑕疵担保責任も何の意味もないんですね。そうしますと、少なくとも、特にマンションの場合は青田買いですよ。全然違った場所でモデルルームを見て購入される方もいらっしゃいます。モデルルームというのは一種類しかないんですから。例えば、そのマンション五十戸なら五十戸の中、十種類の部屋があっても、部屋は一つしかモデルルームはないんですから、全然青田買いなんですね。現実にこういうのを造りますといったって、現物はそうなっているかどうか建ち上がらないと分からないということを考えますと、なお私は、一つは、瑕疵担保責任の保険に入っているか入っていないか、入っていなきゃ入っていないと言うことを義務付けるということが一番大切だと思うんですよ。  今回の政府案でいいますと、要するに、購入するときに説明の義務を果たすということになっているんですね、購入するときに。購入するときはもうお金払うときなんですからね。  その前に、私はこのヨンキュッパの安いマンションですけど、ここに瑕疵担保責任の保険は、有無は、入ってませんのところに丸してあるんですね、丸。設計住宅性能評価書の有無、ありませんと、無。建設住宅性能評価書、有無、無って。そして、このチラシを見て、ヨンキュッパだし、国会の周辺かと、ちょっと安過ぎるなと、これは危ないぞと、もうチラシ見ただけで買わないと思うんですよ、これ。  これは、見た目は立派で、ああ、買いたいなと思うけど、肝心なところは読みたくないんですね、読みたくない。こうなってるんですね。  そうしますと、やはりこの瑕疵担保責任のとこぐらいは老眼鏡を掛けなくても読める程度のやはり有無の義務付けをするということは、先ほど申しましたとおり、消費者にとってはもう一世一代の最大の買物ですから当然じゃないかというふうに思うんですが、その辺について、購入時の、今までは一歩進んでいるんですよ、進んではいるんですけど、もう一歩進めてここまで義務付けると。そして、ある程度老眼鏡を掛けなくても読める範囲で掲載するということを義務付けた方がいいと思うんですが、その辺の考えについて一言説明をいただきたいと思います。
  70. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 今御指摘ございましたように、不動産の購入というのは消費者にとっては大変な大きな買物でございまして、情報の開示ということは非常に大事だと思います。  それで、実はこの私人間の契約関係について、トラブル防止というのは実は不動産だけではございませんで幾つかございます。例えば旅行業法とか、それから割賦とか金融先物とか、幾つかございまして、この取引のこういうトラブルが起きそうな契約関係につきましては、取引の一定の段階で情報開示を義務付けると。旅行業法については例えば広告の段階でも広告するときは一定の情報の開示しろとなっているわけであります。  では、なぜこの不動産というような大事なものについてその広告の義務付けを政府案で書いてないのかということになるわけでございます。  不動産につきましては、今先生正に青田買いとおっしゃいましたけれども、まだ物ができる前に広告をするということが広く行われているわけでございます。ということは、その段階で保険を付けるということはほとんどないって、先生ここに、チラシにも書いておられますけれども、青田買いの場合にはほとんど保険というのが設定しにくいんではないかと考えるわけで、多くの場合には保険がないというような広告になってしまうんではないかなということでございまして、やはり取引の一定の段階でということで、一番固いところはやはり不動産の契約の段階でございますので、契約の段階、お金を払う前にきちっと説明をしてそういう条件ならお金を払うということが必要ではないかと考えたわけです。  不動産については、では野放しかということになるわけでございますけれども、これについては先生御案内のとおり、公正取引委員会関係の不動産公正取引協議会というのがございまして、その多種多様な不動産関係の広告につきましては一定の自主的な規制ということで、専門的かつ機動的なルールが行われておる。そういう意味で、契約と直接関係ない段階でございますから、字が小さいとかいうことがございますが、契約のときにはもちろん大きな字できちっと御説明するということになっているわけでございまして、情報開示というのは大変大事な問題でございますけれども、この不動産の取引という事柄の性質上、この広告の段階での義務付けというのは大臣が御答弁しましたように、必要性や妥当性を慎重に検討する必要があるという考えでございます。
  71. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 例えば、私もマンションの、何というんですか、モデルルーム拝見してきましたけれども、買う意思がないときには、こう見ていたってそんなに営業マンも親切に説明しませんよ。    〔理事大江康弘君退席、委員長着席〕 多分、五万円なら五万円の手付金でも支払えば、おお、買うんだなということで多少は真剣に説明なさいますけれども、まだ手付金も、例え五万円の手付金も収めないうちでしたら、今おっしゃったように保険の有無とか、あるいはこれは例えばどういう壁紙を使っていますかとか細かいこと質問したって、面倒くさがって教えてくれませんよ。それぐらいやっぱり、なかなかしたたかですよ、それは。  ですから、それならあんな高い物件で、何千万もするような物件で、青田買い、青田売りしているほかの物件ありますか、何か。
  72. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) そういう何千万というようなオーダーでは不動産が一番典型だと思います。
  73. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 青田売りしているのはマンションだけなんですよ。建て売り住宅も建てたのを売っているんです、あれは。建てたのを。だから、一応建ち上がったのを間取りから材質から自分の目である程度見れるんです。マンションは、モデルルームは見ますよ、見れますよ。モデルルームと同じ部屋だけじゃないんですよ。いろんな部屋になっているんですよね。部屋数も違えば平米数も違えば、違うんですよ。それをしかも青田売りしているんですよね、それを認めているんですから、青田売りを。  そうすると、青田売りの段階でも間違いなく保険に入るなら入りますということを広告で宣言さすとか、入ってなかったらここで今度は虚偽の広告になるんですから。それぐらいのことはできる。もしそれができないなら、青田売りを禁止するとか、そのことを、どちらかを選択すべきだと思いますよ。その辺いかがですか。
  74. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 正に先生今御指摘のように、青田売りで物件がはっきりしないからこそ保険というものが、保険会社もどういうものに保険を掛けるというのができないんではないかと。広告の段階では、保険の有無ということを広告で義務付けるといってもほとんどないというようなのが取引の実態ではないかと我々考えているわけでございまして、やはり、もう少し形がしっかりした段階でなら、そういう契約の前とかできるんではないかということでございます。広告にはいろいろな段階がございまして、もう直前にやるものと、それから事前に予告広告のように幅広いものがあるというのが取引の実態であることを御理解いただきたいと思います。
  75. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 これもみんな予告ですよ。ひどいのは一年先、一年半先に完成ですよね。予告広告なんですよ。だから、予告広告でもこんな立派な写真が付いているんですよ、予告で。こんなの。こんな立派な、これ付いているんですよ、予告広告で。それぐらい予告ができるんなら、それに見合った商いをしてもらわないと、不動産会社も責任を持っていただかないといけないと思うんですよね。  だから、まだ建っていないから保険会社が査定しづらいといえば、保険会社に知恵がありますから、そこの会社の内容を見て、ああ、ここなら大丈夫だなと思えば保険料も安くなるでしょうし、ここは危なっかしい会社だなといったら保険会社も保険に乗りませんよ、簡単に言えば。そうでなかったら、そういうことで保険が適用なかなか難しくなってくれば自然に青田売りも減って、じゃ完成してから売るようにしようかというふうに不動産会社も考えるでしょう。  だまされる方が悪いというお話もありましたけど、それは、だまされる方は、少しでも、高い物件だから安いものを買おうと一生懸命努力してヒューザーをつかまされたというのもあるかも分かりませんが、やはり買う方にとっては先ほど言いましたように一世一代の大きな買物ですのであえて申し上げておきますので、今後の大きな課題として検討をいただきたいというところで今日は終わっておきたいというふうに思います。  それで、先ほどもちょっと触れたんですが、一戸建ての私は注文住宅はそこまでする必要はないと思っているんです、一戸建ての注文住宅は。  地元の工務店さんか、さっき言いましたように、大工さんの棟梁辺りに、おい、家を造りたいんだけど、ちょっと造ってくれぬかいのうと。そして、じゃ、どういう家で、素人だが、こんな家を造りたいんだと、予算はこれぐらいなんだと、で、今度、だんだんだんだん設計して、やり取りして。そして、田舎ですと、我々、田舎だと、プレハブメーカーで造らない限り、地元の工務店や大工さんにお願いすると建前というのが今でもあるんですよね。楽しくもち投げもやるんですよ。今ハウスメーカーはやらぬのですね。ちゃんと幕で囲って、上まで、外から見えないようにして、そして一生懸命ハウスメーカーは個人住宅を建てていると。そして、同じ注文住宅でも、田舎の大工さんや工務店は、丸裸にして見てくださいよと言わぬばかりにして建てていると。これが大きな違いだと思いますよ。  ですから、私は、そういう注文住宅というのは、施主さんはしょっちゅう建てている段階を見ていますし、そして建前なんかが昔では中間検査みたいな感じだと私は思うんですね。そういうことを考えますと、瑕疵担保責任とかそういうものは余り心配しなくていいと思うんです。だから、すべてやれと言っているんじゃないんですよ、私は。  だから、先ほど言いましたように、マンションとか、あるいはミニ開発で五軒や十軒か知らないけれどもちょろちょろっと建て売り住宅やっていますよね、あれも随分手抜き工事でだまされて泣いている人がたくさんいますよね。ああいうものについてはやっぱり瑕疵担保責任あるなしということをきちっとやりなさいよと言っておりますので、その辺を含めて、再度御答弁をいただきたいと思います。
  76. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 十分先生のおっしゃっていることは理解した上で、必要性、妥当性について慎重に検討させていただきたいと思います。
  77. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 そうしましたら、自動車局長さんはいらっしゃるな。今、自動車、オートバイの車検は何台ぐらい一年間になさっているか。同時に、民間車検工場でどれぐらいと、それから特定行政庁であります陸運局で何台ぐらい車検の検査証というんですか、を発行しているか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  78. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) 自動車の継続検査のお話だと思いますけれども、年間、平成十六年度の実績で約二千二百万台でございます。このうち約千六百万台が指定整備工場、いわゆる民間車検場で点検整備を受けまして行われているものでありまして、残りの約六百万台は私ども独立行政法人であります自動車検査独立行政法人検査を受けまして、しかしいずれも、最終的に私どもの運輸支局等で自動車車検証の有効期間の延長の手続を取っているものでございます。
  79. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 それで、皆さんの手元に自動車車検制度というのをお配りさせていただきました。自動車を車検取る場合は、一つ指定整備工場に持っていくもの。そうしますと、指定整備工場というのは指定されておりますから、一般的に言われている民間車検場ですね、民間車検場。そこが今度は書類を、そこで整備点検をきちっとやりますと責任を持って最寄りの運輸支局へ持っていくと、書類を、車は持っていきません。こういう方法。これが今お話ございましたとおり、年間でいいますと、いわゆる二千二百十九万台のうち約七二%の千六百万台ぐらいが持っていかれると。これ書類だけでやっていますね。  それからもう一つ、認証整備工場。これは何かというと、民間車検と言われている、要するに検査はしますけれども車ごと運輸支局に持っていって許可をもらうということでございますね。これがざっと二〇%ぐらいなんですね、ざっと二〇%ぐらい。  自動車ユーザー自身というのが三つ目にありますけれども、これは個人が車検をして個人で運輸支局へ持っていくと、こういうシステムになっています。  それで、特に指定工場の、これで車検を要するに運輸支局が発行しているんですけれども、これで何か合理性に欠くような、不都合というようなことはあるでしょうか。今まで、これやっぱりこんなことはやめた方がいいなと、もう必要ないじゃないかといった、やっぱり何かそういう、何でもいいから、不都合のようなものが起きたことあります。
  80. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) この民間車検場といっております仕組みは極めて私ども有効な制度だと思っておりまして、いわゆる民間能力の活用ということでその率を基本的に拡大する方向で従来から対処しております。  なお、不具合という意味では、大きな不具合、制度設計上の不具合ではありませんけれども、残念ながらいわゆるペーパー車検とかあるいは保安基準に適合していないのに保安基準適合証を出すといった不正事案がありまして、これが昨今少しずつ増えているということで、残念な事態でありますが、私ども、監査の充実、厳しい処分ということで今対応しているところでございます。
  81. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 そこで、建築確認済証の、民間確認検査機関の物件を私は最終的には特定行政庁が発行してもいいんではないかなということで、質問するためにこれをちょっと参考に使わしていただいた次第でございます。  今、要するにイーホームズなんか、あそこで検査を、審査ですか、をしましたのがあそこで検査済みになってしまうということですが、自動車につきましては、いずれにしましても、民間検査をしましても最終的には運輸支局という特定行政庁検査証を発行すると、こういうシステムになっていますね。  本会議で、このことにつきまして、特定行政庁が発行するようにすべきではないかと、最終的にはという質問をいたしましたら、大臣の答弁では、もう時間が余りありませんので結論だけ申し上げますが、手続、審査期間等の面で合理性を欠くという問題点もあると。それから、建築確認制度の厳格化、確認検査機関に対する指導監督の強化、建築士等に対する罰則強化など、政府案で再発防止に取り組んでいくというような云々の答弁をなさったわけでございますが、あの横浜裁判ではございませんが、いずれにいたしましても、最終的には、今回も特定行政庁に責任が来たということを考えますと、最終的には自動車と同じように特定行政庁で最後の判こはつくようにすればいいんではないかなという気がするんです。なぜかといいますと、これからますます責任が私は逆に重くなるんじゃないか、このような事件が、偽装事件が起きただけに、特定行政庁の責任も重くなってくるんじゃないかなという印象を持っております。  そうしますと、特定行政庁にしてしまえば、民間のところで審査をしましても、最終的に書類だけでもいいですけど、提出をするという格好になれば、例えばA民間検査機関はえらいいつも受付から発行まで早いなと、ちょっとこれは一遍監査でもしてみるかという気持ちにもなるでしょうし、そういうものが見えてくるんではないかと。そうすることによって民間検査機関に対するプレッシャーも掛かりますから、そうするとだんだん民間検査機関もより良いものになっていくというふうに思いますので、そのような方向性にした方がいいんではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  82. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 民主党の案の場合は、建築主の方が建築確認申請書を民間確認機関に出された場合、民間確認機関からいただくものは、建築済証ではなくて確認証と。これは、申請図書は法令に適合していますということを確認した確認証をもらいます。確認証をもらった上で、改めて建築主の方は申請書を全部そろえて、確認証を乗せて建築主事のところに持っていって、建築主事が改めて確認済証をいただく、それで初めて建築工事に着工できるという仕組みを提案しておられるわけでございます。  ただし、この確認証が添付されている場合は、この申請図書が法令に適合しているということのあかしだから建築主事は審査しなくていい、一切審査しないで検査済証を出すと、そういう仕組みを提案していただいているわけでございます。  これに対して、現行の制度ですと、民間に建築主が出せば民間が建築済証をくれますので、そこでもう着工できると。ただし、民間機関はこういうことを確認しましたよという報告書を特定行政庁に出しまして、特定行政庁はそれを見て、先ほどのお話ですと、えらいこのイーホームズは短い期間で何本もやっているなと、ちょっときちんと検査しなきゃいかぬというふうに考えた場合は、今度の法令改正いただければ、そういうことを確認した特定行政庁民間機関に立入検査をしてちょっと見せてくれと、どういうふうになっているんだということができる仕組みになっているわけですが。  いずれにしても、民間機関が確認済証を出して、それで直ちに建築主は建築できるわけでございます。それに対して、今度は二重になると。そういうことで、建築主にとっても何のために民間自分は確認申請するのかしらという問題意識を持たれると思います。  一方、特定行政庁は、民主党案の法案では民間機関の確認証があれば一切審査しなくて確認済証を出していいと。というのは、法律上確認があったものとみなすと書いてありますんで、民間の確認証があればですね。だから、確認済証を出すことをしなきゃいかぬし、出すことが義務付けられますけれども。しかし、自分の名前で確認済証を出す以上、しかも申請図書が全部そろっている以上、一切それを見ないで自分の責任は全うできるのかしらと、やっぱりきちんとポイントだけは見なきゃいかぬというふうに考えられる方も、法律上の要請ではありませんけれども、あるかもしれないと。  そういうことを特定行政庁の立場、それから申請者側の立場をこう考えますと、いろいろ、果たしてこれが合理的な制度かどうかということについて吟味をしなきゃいかぬ問題点があるというふうな認識で民主党案を見させていただいたということでございます。
  83. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 民主党案にえらい固執されているようでございますが、民主党案は否決されましたので、そうではなくて、私言っておりますのは、だからこの自動車を例示に出したんです。自動車程度のことであれば、いずれにしましても最終的には特定行政庁の責任だったんです、前回もね。あの民間検査したんであっても、最終的には。  そうしますと、やはり特定行政庁が最終責任を持つのであれば、最終的な判こぐらいは、確認ぐらいは特定行政庁は出してもいいではないかと。自動車の場合は年間、先ほど言いましたが、二千五百万台ぐらいの大変な数ですよ。それをやっているんです、現実に。それで不都合はないんですよね、別に。不都合はたまに、最近ちょっと偽装が増えたと、車検偽装が増えたと、改造というのかな、そういうのが増えたということをおっしゃっていますけど。そういうところは厳しい処分をして民間車検場の資格を取り消せばいいんですから。そういうふうにやっていくことがより前進するんじゃないかというふうに思って申し上げているんです。  もう時間がなくなりましたので、最後に一つだけ意見を申し上げて終わりたいと思いますが、いずれにしましても、今日までどちらかというと、今日までの建築基準法というのか、土木建築というのか、一方ではざる法であるし、もう一方では非近代的なことをやっていたからこんないろんな問題が出たんじゃないかなと。ある意味では、建築というのは意外にまあまあ主義でやっている嫌いもありますから、これを機会にもう少しめり張りの利いた、やはりそういう業界にしていかないといけないだろうと、業界の方も。そのように私は印象を持ちました。  ですから、何でも、だから過去には手抜き工事もあればコストダウン、手抜き工事というのは、入札のとき、ある意味では少しでも安くする、安くしたら下請から孫請、ひ孫請とどんどんどんどん投げていく、そういうことが起きて結局は手抜きにつながっていくというようなことになりますから、そういうことにならない、近代的なやはり業界により一層一緒になってしていきたいなということを申し上げて、今日は時間になりましたから終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  84. 山本香苗

    山本香苗君 公明党の山本香苗です。  本会議に引き続きまして今日も質問させていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  本題に入る前に、住宅に関しまして一つお伺いをさせていただきたいと思います。  先日新潟に行ってまいりまして、新潟県中越地震から一年以上、二年近くたつわけでございますが、今なお多くの方が仮設住宅の生活を余儀なくされておられます。そうした中で、旧山古志村の住民の皆様方から御意見を小一時間ほどお伺いする機会がございまして、その中では、国の方に対してはもう本当にいろいろと支援をしていただいて有り難いという感謝の言葉がたくさん続きました。と同時に、何としても山古志に戻りたいと、引き続き支援をお願いしたいという切なる御要望を伺ってまいりました。  そこで、まず北側大臣に、一年半以上、二年近くたちますが、新潟県中越地震後の復旧・復興支援に対するお考えを伺いたいと、御決意を伺いたいと思います。  と同時に、いつも誠実な答弁で定評のあります山本局長にお伺いしたいと思いますが、山古志地域の中では特に被害が大きくて、今なお避難指示が継続している六つの集落がございます。ここにおきましては、どうにかしてそこに戻ってくるということで住宅を建設をしなくちゃいけないわけなんですが、この六つの集落においては、小規模住宅地区等改良事業というものを活用して集落の再生を図ろうとされていらっしゃいます。しかし、この事業を使おうとした場合に、原則と付いておりますが、この連続住宅共同住宅であることが求められております。  私も余り都市部以外のところで生活したことなかったので、今回行って、本当に住まいというものは地域地域によって異なってくるものだなということを実感したわけでございますが、山古志地域のような中山間地域では共同住宅を建てるスペースというものがそもそもなくて、また木造一戸建てというのが基本であります。  そこで、局長にお伺いしますが、この事業では住宅再建の際に、原則は先ほど言ったとおりでございますけれども、特別な理由がある場合においては例外的な措置も認めておられると伺っておりますが、是非、山古志地域集落の再建におきまして、特別な理由がある場合と認めていただきまして木造一戸建ての住宅による再建を図らせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  85. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 国土交通省といたしましても、山古志の方々が早く元の生活に戻れるように最大限の支援を今後とも行っていきたいと考えております。  河道閉塞を起こしました芋川流域の旧山古志村の寺野、東竹沢地区では今直轄砂防事業を実施をしておりまして、今年の秋の完成を目指して砂防堰堤の整備を進めているところでございます。また、その他の地すべり、多数の地すべりが発生をしたところがございまして、新規に今年度より直轄地すべり対策事業に着手をしているところでございます。  それから、道路の方でございますが、県管理の二百九十一号につきまして大規模に崩壊をいたしました。これにつきましても、三けた国道、県管理でございますけれども、直轄事業として災害復旧事業を実施をしているところでございまして、これにつきましても今年の三月にトンネルが開通をいたしまして、今後、橋梁区間と併せ、これも今年の秋の全線開通を目途に本復旧を推進してまいりたいと考えておるところでございます。  一日も早く皆様が戻れるようにしっかりと取組をさせていただきたいと考えております。
  86. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 小規模住宅地区等改良事業の事業執行方針についてのお尋ねがございました。  この事業の制度は、元々は法律に基づく住宅地区改良事業というものがございまして、これは大都市の安全性等に問題のある住宅市街地を収用方式なども採用しながらきちんとした耐火構造住宅市街地としてつくり替えていくための非常に強烈な制度でございますけれども、そこまで規模の大きくない場合であっても、予算制度として少し弾力的に仕事をしていこうということで、予算制度上認められた制度でございます、小規模住宅地区改良事業と。  ただ、この制度は、福岡西方とか今度の中越のときのように、地震で被災した地域、これは当然安全上問題のある住宅がたくさんあるわけでございますので、その住宅地域を復興するために使えるということで大事な制度として使わせていただいているわけでございます。中越についてもこの制度を活用して、きちんと将来にわたって使える住宅市街地にしていくということで臨んでおります。  ただ、元々できました制度がそういうことでございますので、事業の結果新たに建築する住宅は原則として耐火の建築物あるいは準耐火の建築物、建て方についても、連棟式ですね、連続住宅あるいは共同住宅であるといったようなことも求めているわけでございます。  ただ、御指摘ありました現在の長岡市、旧山古志村の地区の今までの住まい方、集落で住んでおられる場合であってもある程度疎に住んでおられるといったような住まい方を前提に、予算制度の要綱で定める特別の事由がある場合に当たるかどうかをきちんと吟味をして事業を進めてまいりたいと思います。  したがいまして、御指摘に従って、長岡市、今計画立てていますので、よくしっかり相談して、最終的に山古志の方々がきちんと災害から立ち直って生活していけるように、せっかくの制度でございますので意味のある形で仕事を進めていきたいと思いますので、よく長岡市と相談してまいります。
  87. 山本香苗

    山本香苗君 局長、どうもありがとうございます。現場でも山本局長ならきっと対応してくれるであろうという話をしてまいりましたので。  お話の中にも出てまいりましたが、そもそもこの事業自体が大都市というものが想定で、中山間地域が想定されていなかったところもあると思いますので、是非よくお話を伺っていただきまして、現場とそごのないような形での支援をしていただきたいと思っております。  では、本題の方に入っていきますけれども、今日はなるべく諸先輩方と質問がかぶらないような形でやらせていただきたいと思うわけでございますが、今日ちょっと被害マンション居住者方々の支援というのが出ておりませんでしたので、先にそちらの方からいかせていただきたいと思います。  今回のきっかけとなりました姉歯元一級建築士による耐震強度偽装事件から半年以上がたつわけでございますけれども、現時点におきます被害マンション住民の支援の進捗状況というものを正確に教えていただきたいと思っております。また、この進み具合に対します国交省としての認識はどのようなことになっておりますか。よろしくお願いいたします。
  88. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今回事案による危険な分譲マンションについての対応策の進捗状況でございますが、まず保有水平耐力比が〇・五未満の分譲マンションでございますが、基本的に居住者などの安全と居住の安定の確保のために、地域住宅交付金を活用して、相談、移転から取壊し、建て替えに至る総合的な支援策を昨年の十二月六日に提示をいたしますとともに、補正予算で地域住宅交付金五十億円を計上していただきました。  こういうふうに、国と公共団体、協力して支援策をパッケージで提示したということ、その中で、移転費、仮住居費についての助成を実施したということで、これまで対象となるマンション十一棟ございますが、このうち十棟の居住者の退去を完了いたしました。当初入居戸数の九七%に当たりますけれども、三百戸の退去が進んでおります。残りは一棟九戸となっております。  また、建て替えでございますが、都市再生機構などが作成しました再建計画案を基に居住者方々地方公共団体との間で検討が進められておりまして、十一棟のうち一棟については除却工事が始まっております。また、七棟について建て替えの推進決議が行われております。このうち一部はもう既に具体的な再建計画に基づいて合意形成のための、まあ建て替え決議ですね、法律上の、のための調整が進められていると認識しております。  今後、居住者方々が可能な限り早期に合意形成をして、建物の取壊し、建て替えといったことを円滑に進められますように、公共団体と十分連携を取って取り組んでまいります。  それから、保有水平耐力比が〇・五以上一・〇未満の分譲マンションでございます。補修、耐震改修になるわけでございますが、これが分譲マンション十五棟ございます。これにつきましては、耐震改修によって基準法に適合させると、安全性確保するということが必要であるわけですが、まず売主、建築主がヒューザー以外の五棟、十五棟のうち五棟はヒューザー以外の売主ですから、これは建築主が自ら耐震改修等に向けて建築物の現況についてコンクリート強度の調査を今実施しております。これは改修の基本計画を作っていただくということでございます。それに基づいて実施計画を公共団体と管理組合が作るという段取りになります。  それから、建築主がヒューザーである十棟については、確認を行った特定行政庁か又は指定確認検査機関が、今、先ほどのヒューザー以外の売主がやっていると同じこと、建築物の現況調査とかを行って基本計画を作ろうという段取りを進めております。耐震改修基本計画を作って初めて工事の概要とか概算費用が明らかになりますので、それを基に最終的に意思決定を、合意形成をするという段取りでございます。  区分所有の分譲マンションだということで、合意形成に非常に手間取っております。非常に困難な仕事ですけれども、公共団体と力を合わせて一歩でも二歩でも前に進むようにということで取り組んでおるところでございます。
  89. 山本香苗

    山本香苗君 最後の方で御答弁いただきましたとおり、今いわゆる保有水平耐力比が〇・五以上一未満のところでは、耐震、建て替えではなくて改修という形でやっていただく話になっていて、五月の二十五日の日に関係自治体と国交省との間で申合せをされたというふうに伺っておりますけれども、この申合せに基づいて具体的にどのような耐震改修を地方自治体とともに進めていくことになるのか、お伺いいたします。
  90. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今御指摘のタイプの分譲マンションにつきましては、耐震改修等によって安全性確保するということですけれども、耐震改修の推進を図るために、これまで協議会をベースに国と公共団体で打合せを度々実施してまいりました。  これは何を検討してきたかというと、基準法への適合のための手順とか支援ですね、支援の在り方などについて検討してきたわけですが、改修の場合、分譲マンションの上の方、上層部と下の方とで改修工事による影響が非常に違うわけです。例えば、下の方だけ外にフレームが付くとか、それで見晴らしが悪くなるとか、場合によっては部屋の中にある柱が下の方の階だけ大きくなると、居住スペースが小さくなるとか、使い勝手が悪くなるというようなことがあるわけでございます。そういったことで合意形成も非常に難しいと。  それから、戸当たりの工事費もかなり大きいということで、従来私どもが想定しておりました住宅建築物耐震改修等事業という補助制度がございます。既存不適格、耐震改修を応援するという、これは大体工事費の一五・二%を国と地方で折半して応援するという制度なんですが、とてもそれでは間に合わないというような事情がありましたり、そういったことを公共団体とずっと検討してまいりまして、今御指摘ありました五月二十五日の構造計算書偽装問題対策連絡協議会で耐震改修の実施方針について申し合わせたところでございます。  申合せの中身は、今後の耐震改修の進め方でございますが、まず耐震改修基本計画の策定と実施計画の提出の期限についておよその目安を定めて、それを目標に頑張ろうということが第一と、それから、それを踏まえて耐震改修工事を今年度内に着手しようという目標を掲げました。それから、肝心の耐震改修工事に対する支援ですけれども、必要に応じて地域住宅交付金を活用して耐震改修費用全体の三分の一を目途に助成することにしようといったようなことを中心に申合せをしまして、こういう危険な分譲マンションが所在する公共団体においては、この申合せに沿ってそれぞれ適切に判断をして耐震改修を進めていただけるものと考えているところでございます。
  91. 山本香苗

    山本香苗君 今回、その申合せに基づいて、今最後、支援のことについて御答弁いただきましたけれども、地方自治体が地域住宅交付金を使って三分の一を目途に支援するということになったと。残りの部分は三分の二あるわけでございますけれども、そこは住民の皆さん方に御用意いただかなくてはいけないと、全員がそれに対して参加できないと改修もできない、そこまでたどり着けないわけでございます。  そこで、今回こういう形でやっていただいて大変有り難いと思ってはおりますが、いろいろお話を聞くところによりますと、残りの自己負担分を用意できない分、例えばできない、難しい方、例えば年金暮らしなので民間の金融機関ではローンを組むのが難しい方というのが、数が多いわけではございません、多いとは聞いておりませんけれども、わずかでありますがおられるというふうにお伺いしております。  そこで、今回の事件で建て替えする際には、たしか住宅金融公庫におけるローンを組めるように特別な配慮をしていただいていると思いますが、この改修におきましても同様の配慮をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  92. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) これは、耐震改修においても自己負担分のファイナンスがきちんと付くというのは非常に大事なポイントであると私ども認識しております。これは、今年の三月三十一日に成立させていただきました宅地造成等規制法等の一部を改正する法律で、金融公庫法を改正して、災害融資の特例を延長するということをこの危険な分譲マンションについて措置していただいたわけですけれども、これは建て替えの場合だけでなく、今御指摘いただきました耐震改修に当たって自己負担分についても使える制度となっております。  ただ、何といいましても、ローンでございますので返していただかなければ貸せないんで、その部分については、それが前提でございますが、いろいろな特例措置を講じて、いろいろ厳しい方についてもお貸しできるようにしたいということで、具体的にはこういうふうな制度となっております。  まず、最長二十年の長期固定ローンで通常の基準金利よりも〇・二%低い、これ建て替えもそうでございますが、金利についてはそうでございます。それから、今回の事案については、公庫の担当者が資金計画をきめ細かく御相談に応じることで、個々の世帯に応じた返済計画を検討した上でローンを設定しようということで、例えば居住者が自己資金を用意できない非常に困難な状況だということに配慮して、実質融資率は通常八〇%上限でございますが、これについて一〇〇%に引き上げると、これ建て替えもそうですが。それから、返済資金を審査するための収入審査ですが、同居していない親族ですね、連帯債務者の収入、ほかのところに住んでいる子供の収入とかそういったものを合算して申請するということを認めるといったような弾力的な対応。それから、融資に手数料が付いています、三万六千円余りの、これも免除するといったような柔軟な条件で御利用いただきたいということで相談に応じているところでございます。
  93. 山本香苗

    山本香苗君 午前中も議論がございましたけれども、先週の都市再生機構分譲した八王子市内のマンションについて、初めは問題ないと言っていたのに、結局、調べたら、耐震強度基準の五八%しかないマンションがあったということが判明しました。また、その以前には、保存すべき構造計算書を保存していなかった等、最近、この都市再生機構による不手際というものが続いております。  今、山本局長からも、この被害マンション居住者方々の支援で都市再生機構という名前が出てまいりましたけれども都市再生機構等が作成した再建計画案を基に、現在、被害マンション居住者方々地方公共団体との間でいろんな検討が進められておりますが、このような一連の都市再生機構対応ぶりを見ておりますと、率直に申し上げまして、このまま本当に任せて大丈夫なんだろうかなという不安を禁じ得ません。  そもそも、そこに実際お住まいになっていらっしゃる方はもっと不安であろうかと思われますが、大臣はこのことにつきまして六月二日の日の記者会見で、都市再生機構からお話を伺うと、住宅局等において機構の方からその内容について聞かせていただくことになると思いますとおっしゃられておりました。  そこで、お伺いしたいんですが、大臣はこのことについて実際お話を伺われたのかどうか。伺われたのであれば、それに対してどういう対応を具体的に求めていかれるのか。もし伺っておられないというのであれば、なぜ伺われておられないのか、併せてお伺いします。
  94. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) この都市再生機構の問題につきましてはいろいろありまして、いろいろありましてというのもあれですけれども、まずは施工のミスの問題があるんですね、施工不良の問題が。  これは、入居したのが平成元年から平成四年、実際にこれが明らかになったのは平成十五年でしたかね、もう大分前の話なんです。この問題自体、たくさんの世帯の方々いらっしゃるわけでございまして、これについて、それぞれ建て替えるのか若しくは補修で済むのか、それぞれの棟ごとに協議をずっとやってきて、まだ協議が調わないのは五棟ぐらいあるんでしたかね、があるんですね。ほかのところは、一応もうどうするかという方向は決まっているわけでございます。この話については、もう当然、以前から、これはもう平成十五年の話ですから、以前から私のところに当然御報告をいただいているところでございます。  先般報道あったというのは、これ耐震強度の基準が云々かんぬんと、これは報道でございますので、実際耐震強度がどうなのかというのは、そもそもこれ構造計算書がなかった分なんです。これについて、構造計算、再計算をしたものを住民の方々が専門家の方に持っていかれてこういう数字が出ているということなんですが、これについても、一度きちんと第三者機関で、専門機関でこの耐震強度がどうなのかをきちんと調べるということをさしていただきたいというふうに思っているところでございます。  また、この構造計算書をなくしたこと自体問題なんですけれども、再計算をしたもので実際どうなのかと、設計上の耐震度がどうなのかということはきちんと調べますし、あと施工の問題は施工の問題で別途残っていまして、こちらもこれをどう改修していくのか、これについても、この建物について、棟についてどう改修をしていくかということについて、都市再生機構ではなくて、これはもう専門の権威ある機関で、そうした改修で本当に大丈夫だとオーケーが出していただけるような内容の計画を出していただくということで、今対応をしているところでございます。  都市再生機構の方からは、逐一報告を受けております。
  95. 山本香苗

    山本香苗君 では次に、建築確認検査制度についてお伺いさせていただきたいと思います。  今回、本会議でもお伺いをさせていただきましたけれども、本当に今回の事件で私たちが唖然としたのは、単に姉歯元一級建築士がそういった故意にやったということもさることながら、確認申請を審査する担当者がもう次から次へと偽装を見逃してしまった、気付かなかったということでございました。  そこで、まず確認をさせていただきたいわけでございますけれども、この建築確認検査制度を、今回制度改正するという中で、非常に重要なポイントが第三者機関の創設ということになっているわけであります。  大臣から丁寧に御答弁を本会議でもいただいたんですが、どうしても具体的にイメージができませんので、もう一度具体的に御説明をいただければと思います。
  96. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今回の偽装物件の偽装の内容でございますが、単純に構造計算書を差し替えたといったようなものももちろんあるわけでございますが、それだけではなくて、コンピューターで計算途上のものを数値を差し替えたり、あるいは出力結果の一部を巧妙に修正したりしたものまで非常に、要するに偽装の態様自体が非常に多様だということがまず事実としてございます。  単純な差し替えなどであれば、的確な審査をすればこれをチェックきるわけですけれども、数字を切り張りしたり巧妙に修正したというようなものは、構造計算書を再計算したり、あるいは専門家が詳細に中を見て審査を実施しなければ偽装を発見することは困難であった、そういう事例も存在したことは事実でございます。  しかしながら、偽装を見過ごしたという事実は、民間機関だけでなくて一部の特定行政庁でもあったわけでして、そのことを真摯に受け止めて、建築確認の仕事自体を総点検して、そういうことがこれから二度と起きないように防止策を講じるというのが今回お願いしている改正案であるわけです。  改正案のポイントを幾つか申し上げますと、まず高度な構造計算を要する背の高いビルなど一定規模以上の建築物につきましては、構造計算について指定構造計算適合性判定機関による適合性判定を義務付けると、必ずピアチェックを受けて、それでオーケーが出たものについて建築確認を下ろすという仕組みにまずいたします。  それから、三階建て以上の共同住宅については中間検査を義務付けるといったようなことをいたします。  それから、国が定める指針というものを作りまして、建築確認にしても中間検査、完了検査にしましても、それぞれのステージで何をポイントに審査すべきかということについて国が指針を定めて、それに従って特定行政庁民間確認機関も審査、確認あるいは検査をしていただくといったようなことを、措置を講じたいと考えているわけでございます。  これらの措置によって、先ほど今回の事案でいろんな偽装の態様があったと申し上げましたけれども、これは故意による偽装はもちろんですが、単純なミスまで的確に必要な審査といいますかチェックができるというふうに考えております。
  97. 山本香苗

    山本香苗君 済みません。いろいろと御説明いただいたんですが、その質問ではなくて、第三者機関の制度設計を具体的に御説明いただけませんかということなんです。
  98. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 大変御無礼いたしました。  この指定構造計算適合性判定機関、タブルチェックの具体的な内容ということでございます。  これは、都道府県知事がこの機関を指定するということにしておりまして、構造計算審査を専門的に行う公正中立な第三者機関でなきゃいかぬということで、実際に審査をする判定員としては、建築構造を専門に研究しておられる大学の教授あるいは構造設計の実務者を選んでいただいて審査するわけですが、指定機関としては、それぞれの都道府県に建築住宅センターってございます。東京ですと財団法人の東京都防災・建築まちづくりセンター、大阪ですと財団法人の大阪建築防災センター等がありますので、そういったところを指定して、今のような専門家を集めて審査を具体的にタブルチェックをしていただくというようなことを想定しております。
  99. 山本香苗

    山本香苗君 何か今日はちょっと余り、済みません、かみ合わない感じになってきましたけれど、ちょっと二つ続けて聞きますね。  今、第三者機関、どういう形のものが具体的に指定されるだろうかというところまでお話いただいたわけなんですけれども、今回の事件が起きまして、我が党内でも、いろんな有識者の方々や実際構造計算に携わっていらっしゃる方々等々からもいろんな意見をお伺いしました。  その中で、私も非常にこれは効果的だろうな、また、我が党の申入れの中にも入れさしていただきましたけれども、いわゆるお医者さんのセカンドオピニオンのような制度で、つまり同じ能力若しくはそれ以上の構造設計の能力がある人、言わばライバル同士によるピアチェックというものをしっかりやっていくというのが効果的だと思ったわけなんです。  設計の現場で、ああいった故意に偽装するまでもなく、普通の構造計算をされる設計者の方でも、常識の量を超えるような仕事を抱える中で、うっかりミスをしてしまうようなこともあると。また、昨今高度化して専門化している構造設計審査できるというのは同程度若しくはそれ以上の能力を持つライバルしかないということで、ライバル同士でチェックし合えば安心だということを現場の構造設計をやっている方々でも感じていらっしゃるわけです。  このピアチェックの方式の導入について、日本建築構造技術者協会の方々も、JSCAの方々も提案されておりますけれども、このピアチェックという、このJSCAの方から提案されているピアチェック方式というのが、今御説明いただいた第三者機関の中にどのように具体的に反映されると理解すればよろしいんでしょうか。
  100. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 御指摘のように、セカンドオピニオンといいますか、ほかの専門家がきちんと見て間違ってないかなということをチェックするという方式を取る場合に、どの局面でそういう方式を取るかによって二種類ある、我が国の場合あり得るわけです。  建築分科会でもその点非常に詳細に吟味されたわけですけれども、それは、建築計画を建築士が立てて、これから確認申請をしようとする前に、同僚の同じような専門家たちに見てもらって間違いがないということをチェックしてもらうという方式と、建築確認過程で同じような専門家に見てもらって間違いがないということをチェックするということで、二つのフェーズがあるわけですけれども、元々建築確認のような仕組みを持ってない、法令に従った建築計画を立てるのは建築士の職能であるというふうな制度でやっている国々では後者の部分はございませんので、建築設計するときにはお友達といいますか同僚の専門家にきちんと見てもらってチェックすると、これがセカンドオピニオンという言い方にもマッチしてますし、ピアチェックという言い方にも非常にそぐう方式なんですが、ただ、建築分科会の御議論の中では、そういう建築計画を立てる局面と確認申請をして建築確認過程でこれをチェックするということを考えますと、やはりそれぞれ申請する前の段階だとそれを検証するのがなかなか難しいし、制度として構築するのはやはり確認済証を下ろす前に専門家にチェックしていただくことが必要だろうということで、思想としては同じ思想ですけれども、建築計画をきちんと第三者の専門家に審査をしていただいて、間違いがないということを確認をして最終的に確認済証を下ろすという仕組みでございますので、考え方としては同じなんですが、そういう建築確認機関が、建築主事であれ民間建築確認機関であれ、建築確認機関が確認を下ろす際にこの第三者判定を義務付けようという、今回法律でお願いしております仕組みとなっているわけでございます。
  101. 山本香苗

    山本香苗君 では、そのいわゆる構造計算適合性判定機関における判定員の方というのは、国交省令で定める要件を備える者のうちから選定するという形になっておりますけれども、どういう人が判定員になることを想定されておられるんでしょうか。現役の構造設計者が判定員になることも想定内でしょうか。
  102. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) この構造計算適合性判定員は、建築に関する専門的な知識及び技術を有する者ということで国土交通省令で定める予定なんですが、具体的には、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、大学とか短期大学又は高等専門学校において建築構造を担当している教授若しくは助教授、それから試験研究機関において建築構造分野の試験研究の業務に従事して高度の専門知識を有する者と、それから三番目のジャンルとしまして、今御指摘がございましたけれども、建築構造設計に関して相当の実務経験を有し、少なくとも十年以上の実務経験を有して専門的な知識を有する構造設計者あるいはその経験者、OBですね、ということで、例を引いていただきましたけれども、社団法人の日本建築構造技術者協会の建築構造士、それから各都道府県に建築士事務所協会に所属している耐震診断の業務を行う建築士、そういったような専門家を想定しております。必要な構造計算適合性判定員を選任できますように、JSCAなどの関係団体にも協力を求めてこの体制の整備を進めてまいりたいと考えております。
  103. 山本香苗

    山本香苗君 OBという話もありましたけれども審査ばっかりやっていると見抜く力が落ちるということを現場の方からもお伺いしました。現役の構造設計士だったときは設計図と構造計算書のポイントをぱっと読む直観があったけれども審査に専念するようになってくるとその力が落ちてしまって見逃してしまったというような事例もあるそうでございますので、是非、現役の構造設計者の方が判定員としても活動し得るような制度にしていただきたいと思っております。  ちょっと時間が迫ってまいりましたので、次、建築士法改正につきましてちょっとお伺いします。  今回、建築士は、構造計算によって建築物安全性を確かめた場合においては、その旨の証明書を設計の委託者に交付しなければならないという形になっておりますが、この点について、今のJSCAの会長が衆議院の方の参考人質疑の方に来られて、今回のこの法改正は重要だという、大事な一歩だというふうな形で評価された後に、こうした専門資格制度ができるまでの暫定的な処置であっても、構造設計を担当した建築士の記名押印とすべきですと発言をされておられました。  JSCAとしても、今回の事件について四項目から成る提案をされておりますが、その一項目めとして、現在のシステムの中でもう既にできることといたしまして、建築確認申請時に構造設計を担当した建築士の氏名と電話番号を記入させることを提案されておられます。この法律が成立しても、施行されるまでの間かなりの時間がございます。この法律が施行されるまでの間、暫定的にでもこの確認申請の用紙の様式の中にこの構造設計した者の名前、そういったものを書き込むこととしたらいかがかなと思いますが、どうでしょうか。
  104. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 一刻も早く必要な措置は運用上であっても講ずべきだと、御指摘、非常によく分かるわけですけれども、実は現行の建築基準法の施行規則では、確認申請書は、複数の設計者がいる場合は代表になる建築士、建築士事務所だけを申請様式に記載して、他は別の紙に記載すると、こうなっているんですが、一方、建築士法では、建築士は設計を行った場合にはその設計図書に記名、捺印をしなければならないとされておりまして、分野別にそれぞれの建築士が設計を行った場合には、それぞれが担当した設計図書に記名、捺印して、当該設計に対する責任を明確化するということが法律で明確に求められているわけですが、しかし現実には、今回構造計算書偽装が行われた物件の特に確認申請書ですね、確認申請書が非常にクリティカルなものですから、とか設計図書で、元請の設計事務所の建築士だけ名前が書いてあって設計に関与した建築士が不明確であったというのが現実としてたくさんあったわけでございます。  このような状況を踏まえまして、建築分科会で取りまとめた中間報告では、早急に対応すべき事項として、この仕事を担当したすべての建築士について、氏名、所属する建築事務所の名称などを確認申請書とか工事監理報告書、設計図書に記載させることが必要だということを明確に指摘していただいておりまして、今も御質問の中にありましたけど、申請様式が基準法の施行規則に規定されているわけですので、これを運用だけでやるというのはなかなか難しいというふうに考えておりまして、やはり中間報告の指摘内容を踏まえて今回法改正をいただいたということと併せて、施行規則の改正を行うという手続を取らざるを得ないと思っております。  したがって、設計等に関与した建築士の書類上の明確化も、やはり法律改正、その施行と併せて施行規則を改正して行うと、そのために若干時間が掛かるということをお許しいただきたいと思うんですけど。
  105. 山本香苗

    山本香苗君 代表者の名前は書かなくちゃいけないということは書いてあるわけですけれども、ほかは書いちゃいけないとは書いてないんですよね。それを追加的に書くということもできないわけですか。
  106. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) これは必要的に記載すべきだということを法令で義務付けますので、この様式にきちんと、どのような申請書類であっても、確認申請であっても、必ずそれを記載しなければいけないということを法律上義務付けますので、そういう方式として施行規則がありますので、どうしても施行規則を変えなければ、運用だけでそういうことをやってもいいですよとかやるべきですよという仕事の仕方は、この部分については非常に難しいと思っております。
  107. 山本香苗

    山本香苗君 今回法律を改正して、それが施行されるまでの間でもいろいろともう確認申請は幾らでも出てくるわけでありまして、この事態を本当に重く受け止めるのであれば、この部分については施行規則の方を先に変えるという形でも対応ができないのかなと思ってお伺いをしたわけなんですけれども局長の力をもっても駄目でしょうか。
  108. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) やっぱり完全に要するに行為を義務付けるということですので、やはり一片の省令を改正して公布したと、それでということはなかなか難しいと。どうしても周知期間が必要だという認識でございます。
  109. 山本香苗

    山本香苗君 というのも、言ってみれば、言わば今の状況ではだれでも構造設計ができること、本当はちゃんとした資格を持った人がきちっとやるということが、性善説に基づいて考えれば、やっていただくのが筋だと思うんですけれども、言わばだれでもできてしまうようなことを許してしまうような状況を一刻も早く変えなくちゃいけないという、現場からもそういった意見があるわけでございますので、何とかできないかなと思っております。  最後に一つだけお伺いをさせていただきたいと思います。五月の二十九日の日に日本建築士会連合会が、建築士の二六%が発注者から工事設計などについて過度なコストダウン要求を受けた経験があるというアンケート結果を発表されておられました。その内容は、いろんなコストダウンなど無理な要求を受けた場合の対応策として、多くの方は、性能を確保した上でできる限り努力するとか、法律の範囲内で応じるだとか、無理を言われた発注者とは縁を切るという答えもあったわけでございますけれども、その中で見逃せないのが、ほかに仕事がないから仕方なく従うと、そういうふうに答えた建築士もおられたそうです。  こうしたアンケート結果を国交省としてはどう受け止めておられるのかということと同時に、本会議でもお伺いしたんですけれども、いわゆるこの報酬の部分については、一九七九年に建設省時代に告示一二〇六号が出されていたそうなんですけれども、これが今の状況ではほとんど使われていないというふうに伺っておりますけれども、先日の本会議大臣から、設計監理の報酬基準について、今日における業務実態も踏まえ、見直しを行うことが必要であると考えておりますという御答弁をいただきました。今後、こうした実態も含めて、どういう考え方で、またどういう形で見直していくのか、最後にお伺いして終わります。
  110. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 建築分科会の中間報告の中でも、建築士の地位や報酬につきましては、重層的な業務体制の中で、特に構造設計や設備設計を担当する建築士は、対外的に設計への関与が十分に明確にならない、責任分担があいまいになるおそれがある、一方で契約関係上、弱い立場になって十分な報酬を得られないなどの問題も指摘されているところでございます。  今回の改正案におきましては、構造設計や設備設計を担当する建築士の契約関係上、弱い立場の改善を図るという観点から、設計に関与したすべての建築士の氏名などを明らかにさせることで、その役割と責任を対外的に明確化することとし、元請、下請の契約の際に書面の交付を義務付けるなどの措置を講ずることとしております。  報酬基準の見直しですが、具体的な報酬額を設定することは公正な競争を阻害するおそれがあるといった難しい問題がありますものの、中間報告におきまして設計及び工事監理の報酬基準についてその内容の見直しや実効性を確保するための方策について検討する必要があると指摘されているところでございますので、これにつきまして、建築士制度の見直しと併せて総合的な検討を行う必要があると認識しておりまして、夏ごろまでに方針をまとめていただいて、その結果を踏まえて所要の見直しを行ってまいる所存でございます。
  111. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  耐震強度偽装事件発覚からこの間、新たな構造計算偽装、改ざん、そしてまた耐震強度不足の建築物が広がって、もう国民の中では、我が家は本当に大丈夫だろうかと、もう不安が強まるばかりです。しかも、被害マンション住民の多くの方々は、いまだなお、建て替えも生活再建の見通しもないまま日々を過ごされています。正に、建築行政に対する国民信頼が根本から揺らいでいると。  こうした中で今回の改正案が出されてきたわけでございますけれども、ここで私は大臣にお伺いしたいと思います。四月二十四日の日経アーキテクチュアのアンケートによりますと、改正案建築物安全性に対する国民信頼は回復できるとは思わないと回答されているのが五三・五%に上っておりました。大臣はこうしたアンケートの回答、動向をどのようにお受け止めになられますか。
  112. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 今回の改正案につきましては、社会資本整備審議会建築分科会において、意匠、構造、そして法律、保険等各分野の有識者の方や、また消費者団体の方々の御意見をちょうだいいたしました。また、別途この審議会以外に緊急調査委員会をつくりまして中間報告をいただいております。そこでも様々な方から御意見をちょうだいをしております。また、各方面から寄せられた要望だとかパブリックコメントも踏まえて中間報告を取りまとめていただきまして、早急に講ずべき施策について今この法案を御審議をいただいているところでございます。  さらに、これは第一弾でございまして、専門分野別の建築士制度の導入など建築士制度の抜本的見直しなどにつきましては、更に引き続き検討すべき課題ということで、夏ごろまでに方針を取りまとめまして所要の改正措置を講じたいと考えております。
  113. 小林美恵子

    小林美恵子君 いえ、私がお伺いいたしましたのは、このアンケートの中で、今の改正案では国民信頼はまだ回復はできると思わないという方が五三・五%いる。これについてどう思われますかとお聞きしたわけでございます。改めてお伺いします。
  114. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 余りそういう民間のアンケートについてコメントをする必要もないと思ってお答えしなかったんですが、このアンケートそのものが建築業界全体の意見を代表しているとは考えておりません。先ほど申し上げましたように、この法改正、緊急に措置すべき内容をつくるに当たりましては、多くの方々の御意見を賜って取りまとめをさせていただいたところでございまして、私は、第一弾としてこの法改正を御審査いただいているわけでございますが、さらに、残された課題についてもしっかり対策を取って、国民皆様信頼を回復できるようにしっかり取組をさせていただきたいと考えております。
  115. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、こういう動向もあるということは、やっぱり大臣もしっかり認識をされるべきだというふうにあえて申し上げておきたいと思います。  では、順次質問させていただきますけれども、今回の耐震強度偽装事件では、建築物安全性を守るべき立場の建築士が、その社会的責務を放棄をして安全性よりもコストダウンを優先させて構造計算書偽装を行い、最悪の例では、必要な耐震強度を七割以上も低下させたマンションが建設され販売されていたという大変衝撃的なものでございました。  そもそもどうして、建築の安全性確保して、建築主の立場に立って工事施工者を指導するべき立場の建築士が自らの責任を放棄するような仕事をしてしまうことになるのかと。  先ほど紹介がございましたけど、私も五月二十九日発表されました日本建築士連合会が行ったアンケートのことを出したいと思いますけど、この回答で、建築士の二六%が、発注者から常識を逸脱するようなコストや品質低減の要求を受けたことがあると答えておられます。先ほども指摘がありましたけれども、その中で、ほかに仕事がないので仕方なく従うと答えた建築士もいたということ、ここは本当に重要な問題だと思うんですけれども、先ほど局長は、いろいろ御答弁ありましたけれども、本質的なところで私は御答弁されていないと思います。  改めて、なぜこうした圧力に負けて違法な設計を行ってしまう、仕方なく従うというふうになってしまう、このことについてどうお考えでしょうか。
  116. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) まず、国民皆様にきちんとした安全な建築物を生産、供給するという観点から考えますと、法律上の資格を持った建築士は、当然でございますが、法令上遵守義務を負っているわけでございます。コスト削減のプレッシャーに負けて法令で要求された安全性を犠牲にするというようなことは当然許されることではないというふうに考えております。  しかしながら、現実の仕事の実態につきましては、建築分科会の中間報告でも御指摘をいただいておりますけれども、例えば建築士の地位や報酬につきましては、重層的な業務体制の中で、特に構造設計や設備設計を担当する建築士は、対外的に設計への関与が十分明確にならない、責任分担があいまいになるおそれがある一方で、契約関係上弱い立場になって十分な報酬を得られないといったようなことを指摘されているわけです。  今回の改正案におきましても、構造設計や設備設計を担当する建築士の契約関係上弱い立場の改善を図るための措置ということで、設計に関与したすべての建築士の氏名等を明らかにさせることによりその役割と責任を対外的に明確化することとして、元請、下請の契約の際に書面の交付を義務付けるなどの措置を講じることとしております。  中間報告におきましては、加えまして、専門分野別の建築士制度の導入、構造設計とか設備設計等についてでございます、や建築士事務所の業務の適正化、それから報酬基準の見直しなどの建築士制度の見直しについて引き続き検討する必要があると指摘されておりますので、これらの課題につきまして、建築士制度の見直しと併せて、総合的な検討を進めた上で所要の措置をお願いしてまいりたいと考えております。
  117. 小林美恵子

    小林美恵子君 今、建築士の地位の問題でありますとか、また契約上弱い立場にあるということが御報告をされて、その点について見直しを図っていくということでございましたけれども、そこでちょっとお伺いしたいと思いますけれども、建築士の独立性につきましては、欠陥住宅問題が深刻化する中で、従来から改善されるべき問題とされてきたと思います。  九八年のこの建築基準法改正案の審議の際にも、私どもの中島武敏議員は、我が国の場合には建築士等のいわゆる専門職の独立した機能というのは厳密に保障されていない、基本的な体制が確立されていないというのが実態だと申し上げていました。さらに、雇われ人である建築士が自分の雇用主の手抜き工事を現認したら直ちに告発せよ、こういう趣旨の規定が実情に合わないということは業界のだれしもが認めていると。で、旧建設省もこうした矛盾を見て見ぬふりしては駄目だということで、建築士の置かれている実情の是正こそ必要だと指摘をしてきました。  それが今回、施工、監理、厳格な検査というレベルを超えて、設計段階での偽装という建築士制度信頼性を根本から揺るがす非常に深刻な事件になりました。  そこでお伺いしますけれども、いわゆる国交省として、建築士の独立性という、こういう大事な問題を軽視していたのではないでしょうか。
  118. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) まず、法律に基づいて建築士が位置付けられている地位というものについて確認する必要があると思うんです。  建築士法は昭和二十五年に制定されまして、一定の知識、技能を有する建築士に建築物設計等をさせると。それから、これ、要するに建築物設計は建築士にさせるということをまず決めて、あわせて、その表裏の関係にあるんですが、建築物の最低基準を定める建築基準法と車の両輪として機能させることで国民皆様が日々御使用になる建築物の質の確保と向上を図っていこうということで出発して今日まで来ているわけでございます。これまで、建築基準法と建築士法とが相まって機能すると、この点に一番の重点を置いて建築物安全性確保と質の向上が図られてきたと私どもは今現在認識しております。  このうち、建築士について、法令に基づいて業務独占を与えられた資格者でございますので、つまり建築士しかできない領域を法律で明定しておりますので、建築基準法等の法令に適合した建築物設計工事監理の仕事を建築士が行わなければならないとしているところです。そのことに加えて、御指摘のような建築生産現場の問題意識を踏まえて、平成九年には、建築士事務所の仕事の適正化を図る観点から書面の交付に関する規定の整備、それから建築士事務所の業務の適正化を図る観点から指定法人制度を導入したこと、そういったような形で建築士の業務の適正化を図ってきたという認識でおります。
  119. 小林美恵子

    小林美恵子君 いや、私はそういう認識が今回の問題を引き起こしている一つの要因ではないかというふうに思いますけれども。  そこで、大臣にお伺いしたいと思いますけれども、いわゆる緊急調査委員会の報告によりますと、建築士のマンションディベロッパーや建設業者の従属化による建築士機能の低下ということが言及されております。今回の法改正でいきますと、建築士等に対する処罰の強化はございますけれども制度的な見直しというのは今年夏まで検討してということで先送りとなっているかと思います。  それで、審議会の方でも、専門別、分野別の建築士制度の導入とか、資質、能力の向上、工事の監理業務の適正化、報酬基準の見直しの検討もされるということでございますけれども、ポイントといいますのは結局、マンションディベロッパーや建設業者との関係で、建築士が自律的で独立の判断ができる、こういうことが確保される制度にするということが一番大事ではないかというふうに思うんですけど、大臣、いかがでしょうか。
  120. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) そもそも建築士というのは業務独占の資格を与えられているわけですね。国家資格でございます。ほかの方々にはこういう建築士の仕事はできません。建築士の資格のある方だけが建築基準法並びに建築士法で建築物設計並びに工事監理ができると、こういう業務独占を与えられている人たちでございます。  そういう人たちが、私はまず、今回のような、姉歯元建築士のようなそうした偽装を故意で悪意で行う、とんでもない話でございまして、そこのことをまず私は問題にしないといけないわけだと思います。多くの設計者の方々というのは決してそうではない、非常にまじめにやっている方が私は大半なんだというふうに認識をしているところでございます。  今おっしゃったように、背景といたしまして、今委員のおっしゃった建築士の方々が非常に弱い立場にあるというふうな状況、また十分な報酬が得られていないのではないかという問題、そうしたことについては社会資本整備審議会の建築分科会においても御議論をいただいているところでございます。二つ問題がありまして、やはり独立性だとか地位の向上をしっかり図っていく必要があると。もう一つは、責任をより明確にしていく必要があると。この二点について見直しをしていかねばならないというふうに考えているところでございます。  建築士制度の抜本的見直しにつきましては、まさしく今議論をしているところでございます。それぞれの問題点がすべて関連しているところでございますので、専門分野別の建築士制度の導入の問題、また建築士事務所の業務の適正化の問題、報酬基準の見直しの問題、さらには建築士会及び建築士事務所協会などへの団体への加入の義務付けの問題、こうした問題につきまして一体として今議論をしていただいておりまして、抜本的な見直しをこの際是非させていただきたいと考えているところでございます。夏ごろまでには意見を取りまとめをし、次の国会には所要の見直しを是非行わせていただきたいと考えております。
  121. 小林美恵子

    小林美恵子君 では次に、建築確認検査制度の問題について質問をいたします。  では、どうして偽装や計算ミス、こういうものが建築確認や施工検査の段階で見過ごされてしまうのかという問題でございますけれども、緊急調査委員会の報告でいきますと、建築確認検査制度の機能喪失として、建築技術の高度化、専門化、確認申請件数の増加等による建築主事の技術的能力、処理能力の低下、民間確認機関の市場競争による審査の形骸化などを挙げておられました。特定行政庁民間の確認検査機関もきちっとチェックができない、一部の機関では繰り返し偽装が見過ごされていると。  ここで私は改めてお聞きしたいと思いますけれども、国交省、この間、民間の確認検査機関も特定行政庁も立入検査をされてこられました。民間確認検査機関の立入検査、これでどういう問題があったと把握されておられるでしょうか。
  122. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今回の耐震偽装事件を契機といたしまして、建築確認検査制度の運用の総点検ということで、再発防止のために、昨年の十二月一日に緊急建築確認事務点検本部を設置しまして、全国の指定確認検査機関、それから特定行政庁に対しまして緊急点検を実施いたしました。  結果として、民間指定確認検査機関、国が指定しました五十機関に係る確認検査業務の点検でございますが、各機関から十件程度抽出された物件について構造審査を点検しました。その際の重大な問題点としては、保有水平耐力の算定結果を審査の過程で確認していなかったもの二件、それから構造計算書構造設計図が合致していないものが見過ごされていたというものが三件、それからプログラムで計算したものについてエラーメッセージの有無の確認がなされていなかったもの二件といったような構造審査上の不備が確認されました。  また、緊急点検時に指定確認検査機関の確認物件から設計条件が特に厳しいと思われるものを抽出しまして、百三件調査をしました。これは、財団法人日本建築防災協会に依頼して検証作業を行ったものですが、再計算等をですね、これについては、五月十一日に、この百三件のうち十五件について構造図と構造計算書の不整合など疑問のある点があるという報告を受けましたので、この検証結果に関係する指定確認検査機関と特定行政庁に問題点、法適合性について精査を今求めているところでございます。  このように複数の指定確認検査機関におきまして構造審査上の不備が確認されたことは極めて残念なことでございまして、今回の改正案では、確認審査を行うに当たり、よるべき方法を厳密に定め、これに従って審査をしてもらうという考え方に立って確認審査に係る指針を定めることとしております。それから、高度な構造計算を要するものについてはダブルチェックを行うこととしているということでございます。
  123. 小林美恵子

    小林美恵子君 次にどうするかということまで聞いてはいなかったんでございますけれども、御答弁、簡潔によろしくお願いしたいと思うんですけれども。  今そういう把握されていた問題が出されましたけれども、繰り返し偽装を見過ごしていたイーホームズも、立入調査で抽出した九十八件の確認案件のうち九割で検査手順が無視されていたと。構造計算書審査も、当初はすべての計算過程をチェックしているとしていたけれども、実はほとんど見ていなかったと。〇四年には約二千件の建築確認を行ったが、構造計算に詳しい検査員は全社で二人しかいないと。国交省も正確な審査を行うには少な過ぎると述べたとございました。営利を目的とする株式会社が公正中立な立場を保持できるとは到底やっぱり考えられない。顧客に対し厳正な検査を徹底し切れず、ずさんな検査が横行するという当初から指摘されてきた問題というのは大変現実のものになったと言わざるを得ないと思います。  私は、改めて大臣にお伺いしますが、こういう企業を放置していた国交省の監督責任というのは重大ではないでしょうか。
  124. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) これも何度も議論になっているわけでございますが、私は、平成十年の改正というのは方向として間違っていないと考えております。  既にその時点で特定行政庁での建築確認検査というのは十分機能をしていない、問題点があるということで、民間参入をしていただき、民間の力もかりて建築確認検査、さらには中間検査もあります、完了検査もあります。また、建築法規に違反するのを摘発しなきゃいけない、これこそ、こういうものをしっかり行政の方でやってもらう必要があると。そうした観点から、建築確認検査事務につきまして民間開放をしたわけでございまして、これは何度も申し上げましたとおり、その後の完了検査の実施率だとか違法建築の減少件数だとか、そういうのを見ましたら、その方向は決して間違っていないんだということについても是非御理解をお願いしたいと思います。現に、特定行政庁ですべてやるというのは、七十五万件も建築確認件数が一年である中で、これは現実にはできない、容易なことではないというふうに私は考えているところでございます。  これまで指定確認検査機関の監督につきましては、指定要件がきちんと確保されているかどうか、年一回程度の立入検査、また毎年度の定期報告を受けておりますし、また通報を受けた場合などには、必要に応じて緊急の立入検査も実施をしてきたところでございまして、これまで国土交通省では、法令にのっかりまして指定確認検査機関の監督を適正に行ってきたというふうに考えております。
  125. 小林美恵子

    小林美恵子君 大臣は、ずっと民間開放してきたことは間違いではなかったんだというふうにかねてから御答弁をされているのはもう私も熟知しておるところでございますけれども、その民間開放によって、例えば特定行政庁ではどうなってきたかということを私は申し上げたいというふうに存じます。  いわゆる確認の検査ですよね、確認検査。これは、二〇〇四年には特定行政庁によるのが三十三万三千で、民間確認検査によるものは四十一万八千に確かになってきました。一方、建築主事の方でございますけれども特定行政庁は〇一年から〇四年でいきますと、百一人減少しています。特定行政庁の職員ですね。建築主事は全国で五十九人減少なんですね。実際、大阪でいきますと、建築確認業務といいますのは、〇三年度特定行政庁で一八・八%、民間検査機関は八一・二%です。〇四年度は九・九%なんです、特定行政庁。あとは民間が九〇・一%です。  この結果、現場ではどうなっているか、こんな告発がございました。建築確認の民間開放によって自治体職員が現場に行く機会そのものも激減してきていると。現場に行く場合でも、ベテラン職員は最初の数回は新人職員と一緒に行くことができても、あとは人手不足のため新人一人で現場に臨まざるを得ない状態だと。このままでは適正な建築確認検査民間機関や住民からの相談に応じることもできなくなるおそれがあるんだということで、要するに、そのことによって特定行政庁がやらなくちゃならない、その体制も、その質も弱体化してきているというのが現場の告発の状況なんですよね。  これで、今回の改正案にも、いわゆる特定行政庁に改めて立入検査ができるというふうなこともございますけれども、私は、そういう状態にしておいたままで本当に人員や体制の問題、自治体任せでいいのかというふうに言わざるを得ないというふうに思います。この点は強調させていただきまして、時間が参りましたので次に質問を回すといたしまして、このことを強調して質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  126. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  昨日から本日、大変マスコミをにぎわしております村上ファンドの村上世彰氏が逮捕されるという事件が起きました。そのとき、象徴的な言葉としてプロ中のプロが誤った、プロ中のプロが誤ったと。なぜプロ中のプロが誤るかということをやっぱり考えてみますと、やはり一つは市場原理、もう一つはやっぱり規制緩和。結果として行き過ぎた行動というのが社会の風潮として何でもやっていいという印象になり過ぎているのではないか。ここらのところはやっぱり一つの警告としてきちっと受け止めていかなくてはならないと私は、裁判の結果これから先どうなるか分かりませんが、そういうふうに思っております。  したがって、やはり民でできるものは民でというのは、何でも自由にやっていいということでは私はないと思うんですね。これは先ほど大臣からも答弁があっておったようでございますし、多くの同僚議員からも質問があっておりました。今回の構造計算書偽装問題の発生というのは、建築物の安全や建築行政に対する国民信頼というものを著しく私は失墜させたものと思っております。  改めて、この法案を提出するに当たって国としてどのような認識をされているのか、お伺いをいたします。
  127. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 今回の問題は、本来法令を守るべき資格者でございます建築士が構造計算書偽装を行い、そしてその偽装指定確認検査機関のみならず地方公共団体でも見過ごしてしまうということでございまして、国民皆様の間に建築物の耐震性に対する不安が広がっていることはもう極めて遺憾なことであるというふうに考えております。  今回の問題につきましては、もちろんこの姉歯元建築士の故意、悪意による偽装によるものでございますけれども、それにとどまらず、やはりこの建築物を造る側の問題、建築物設計施工を行う側の問題、さらには偽装を見過ごした建築行政側の問題、そして分譲マンション居住者方々のような消費者、エンドユーザーの利益をどう守っていくのかという問題、こうした問題があるというふうに認識をしているところでございまして、国民建築行政に対する信頼の回復に向けまして、建築士制度や建築確認検査制度の抜本的な見直しによる再発防止を行ってまいりたいと考えているところでございます。  法改正の中身についてはもう詳細は省かせていただきますが、今回の改正は第一弾でございまして、更に中間報告において引き続き検討すべき課題とされました建築士制度等の問題につきまして、夏ごろまでには方針を取りまとめて所要の改正措置を講じてまいりたいと考えております。
  128. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今回の問題というのは、やはり直接構造計算書偽装を行った姉歯元建築士と同建築士に対して直接、間接圧力を掛けた関係者がおったのではないかと。やはり一連の特異な事件としてこの問題をとらえるべきではないのではないかというふうに私は思います。その後、福岡、横浜、埼玉、札幌などで姉歯氏が関与しない類似の事案が発生をしているということを見ると、やはり今回の法律改正によってこの問題の本質をどう解決をしていくかということをやらないと私はいけないと思うのでありますが、国としては、姉歯個人の問題ではない、やっぱり建築業界全体の問題としてどのような認識をされているのか、お伺いをいたします。
  129. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 今、渕上先生指摘ございましたように、姉歯元建築士が関与した物件ではないものですね、関与していない物件におきましても、福岡県のサムシングが関与した物件で三物件の偽装、さらには北海道の浅沼二級建築士が関与した物件で十七物件の偽装が確認されたとの報告だとか、また偽装ではございませんけれども構造計算の誤りなどの理由によりまして耐震基準を満たしていないものも報告をされているところでございます。  今申し上げた物件につきましては、姉歯元建築士が行った偽装物件と異なりまして、緊急に安全性が問題となるという状況にはありませんが、しかし偽装や誤りなど耐震安全性に問題のある設計を行った建築士が複数見付かったということ、また建築行政側においてその偽装等を見抜けなかったということは極めて遺憾であり重く受け止めているところでございまして、そういう意味で建築士制度や建築確認検査制度を抜本的な見直しをしなければならない、そして再発防止を図っていかねばならないというふうに考えております。
  130. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今回の提出法案につきまして、大臣は三月三十一日の記者会見において、建築サイドの問題、建築行政サイドの問題、住宅取得者の保護の問題等について、今後更に検討をして、徹底して見直しをしていくという趣旨の発言をされておりますし、先ほどもその趣旨に従った発言があったと思っております。  今回の提出法案において積み残した問題点、それから課題はどのようなものがありますか。それからまた、それらはどのような理由で提出法案に反映されなかったのか、お尋ねをいたします。
  131. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今回の事案を契機に問題意識を持ちました課題として、先ほど大臣説明がありましたように、三つの問題意識があるわけでございます。  一つは、建築主から委託を受けて建築計画を立てた建築士サイドの問題、それからこれを確認をする行政サイドの建築確認検査サイドの問題、それから建築主から住宅を購入をしたエンドユーザーの利益の保護の問題と三つあるわけでございますけれども、今回緊急に措置すべきということで主として第二の類型、行政サイドの建築確認検査の厳格化、その部分については相当検討が進みまして、今回の案にもほぼ、ある程度盛り込んでいると思います。  しかし、第一の問題の中核でございます建築士制度の問題、それから消費者利益をいかに保護していくかという課題につきましては、具体的な内容、それから施策についての社会的必要性とか実効性の吟味、それから方法論についても更に検討する必要がある。特に様々な関係団体もございますので、関係団体の意向をきちんと踏まえた上で調整が必要だといったようなこともありますので、今回改正案では措置できなかったものでございますが、引き続き社会資本整備審議会で御検討いただいた上で、方針を取りまとめて、改めて法改正をお願いする所存でございます。
  132. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 とりわけ今答弁のございました問題点の中での消費者の保護の問題については、ここの視点というのが、やはり造る側の方に非常に有利になっておるようでございまして、やはり消費者の視点というものを今後十分検討していただいて、消費者保護の立場でどうかひとつ考えていただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。  住宅を建てる又は購入するということは、自分の力で住宅安全性を確認するということは大変困難なことでございますので、法律制度、そしてそれを運用する行政がしっかりと保護していくことが私は重要だと考えております。  このような観点から見て、現行の建築基準法等の法制度はどのような問題点があるのか、またどのように考えられているのか、お伺いをいたします。
  133. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 特に、今回の構造計算書偽装の事案を契機として、現行の制度上の問題点しっかり御検討いただいているわけでございますけれども、社会資本整備審議会の中間報告で整理していただきました建築確認制度、建築士制度制度的な課題としましては、まず建築確認検査関係では、構造計算の実務は膨大なコンピューターによる計算でございますので、その過程を書面だけで迅速に審査するのはなかなか難しい、それから中間検査の実施が必要であるといったような御指摘をいただいております。  それから、民間指定確認検査機関制度については、公正中立性の確保などの要件の強化あるいは株主構成、確認検査員等の情報開示が必要だといったような御指摘をいただいております。  それから、建築士制度については、罰則の量刑の問題、それからいろいろな情報公開の問題、専門分野別の資格の導入といったような建築士制度の抜本的な見直しについての課題などを御指摘いただいております。  それから、消費者保護の関係で、特に瑕疵担保責任の問題でございますけれども、品確法で売主に義務付けられております瑕疵担保責任を現実に確実に履行していただくための、この担保するための措置が必要だといったようなことを御指摘いただいておりまして、こういった指摘を踏まえて、早急に措置すべきものについては今回の改正案で、残る課題については引き続き検討するということで臨んでいるところでございます。
  134. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 欠陥住宅については以前より社会的に大きな問題となっておりますし、また最近は悪質リフォーム詐欺の問題が起きています。  これらは悪質の事業者によって引き起こされた人為的な被害という点では、今回の構造計算書偽装問題と共通しているものと思われます。特に、被害者への公的支援などの政府の対応には大きな違いが見られますが、この対応の違いはどのような理由によるものでしょうか、お伺いをいたします。
  135. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) まず、今回の事案への対応の中で支援策をワンパッケージで提示したわけですけれども、私ども最も緊急かつ重要な課題は危険な分譲住宅居住者等の安全の確保と居住の安定確保というふうに認識して取り組んでまいりました。居住者方々に速やかに転居していただく、その安全を確保するということ、それから危険な建物を早急に解体して近隣の住民の方々の安全と安心を確保すると、これが極めて緊急性が高くて公益性も高い仕事であると認識してきたところでございます。  ところが、この仕事に本来取り組む必要のある売主であります建築主におきましては、瑕疵担保責任を誠実に果たすという見通しは全く不透明な状況でございまして、時間が経過する中で、この危険性も含めて分譲住宅居住者にすべてのリスクを負わせることはできないというふうな状況にございました。こういったことを踏まえて、十二月六日に地域住宅交付金の活用を中心とした支援策を提示させていただいたものでございます。  こういう今回の事案と今御指摘がありました欠陥住宅ないしは悪質リフォームの問題に係る住宅への対応の違いという御指摘でございますが、今回の事案につきましては、まず危険性の問題ですが、保有水平耐力が〇・五未満であるということで建築物が著しく危険であるということ、それから居住者の所有する資産がそこに住んでいるという生活の本拠になっているということ、一方で区分所有の建物だと、早急な除却とか建て替えを進めるために居住者合意形成による意思決定が必要だということ、それから構造計算書の重大な偽装が建築確認においてチェックされなかったという事実、こういったことを前提として、先ほど言いましたように居住者の安全と居住の安定を確保するために総合的な支援策をどうしても講ずる必要があるというふうに判断したものでございます。  これに対しまして、欠陥住宅あるいは悪質リフォームの問題でございますけれども、こういう住宅につきましては、危険性、事案の危険性は今回と比べて比較することができないということ、それから区分所有者の合意形成を促進するというような実態的な必要性は低いと、そういうこともありまして、一般的に今回の事案と同列に論ずることは難しいのではないかと考えているところでございます。
  136. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 分かったようでちょっと分からぬような感じになりますけれども、まあ基本的なところでそのことは理解できますが、逆にこれは監視強化をして悪質業者に対する取締りを強化する以外ないのかという印象を持ちますが、その点はまた後ほど私どもも研究をしていきたいというふうに考えています。  大地震や台風、火山等の自然災害によって住宅被害があった場合の被災者に対する支援措置は災害対策基本法や被災者生活再建支援法などに基づき実施されていますが、これら自然災害による住宅被害と今回の構造計算書偽装問題における被害との間で公平を欠くとの意見も出ていますが、これらについて国民に対して分かりやすくひとつ説明をお願いをしたいと思います。
  137. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今回の危険なマンションに対する総合的な支援策と自然災害の被災者に対する支援措置、よく比較されて、今回の方が手厚過ぎるのではないかという御指摘をよくいただくわけでございますけれども、例えば阪神・淡路大震災におきましては、まず仮の住居として公共団体が応急仮設住宅を建設しまして仮の住まいを提供したということでございます。今回の場合は、仮の住居として公共住宅等に家賃の助成を受けながら住んでいただいているというような状況でございます。  それから、瓦れき等の災害廃棄物処理によりまして、全額公共の負担で建物の解体を阪神・淡路の場合は実施しております。あわせて、阪神の場合は、建物の解体は全額公費、それから新しくマンションを建て替える場合は、今回の支援策と同じ枠組みでございますが、優良建築物等整備事業によりまして建て替えに対する助成、それから阪神の場合は災害の基金、支援の基金ができましたので、基金からローン負担の軽減を行っております。今回の総合支援策も、マンションの建て替えについては、基本的にはこれらの類似の財政制度とバランスを取りながら、十分配慮した上で支援策を講じているところでございます。
  138. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今回の問題が発生をいたしましたきっかけというのは、指定確認検査機関イーホームズからの連絡でしたが、国土交通省の初期対応が不適切であったのではないかという指摘がございますが、どのようにお考えでしょうか。
  139. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 昨年の十月二十六日にイーホームズからEメールで、改ざんについて特定行政庁に通知する前に国土交通省の方に報告したいという連絡がありました。この日、同じ日に住宅局の建築指導課の担当者からEメールで、本件は申請者と貴社との問題であると考えている、したがって本件については当方に対して特に報告をいただく必要はないという連絡をいたしました。このことは、当初イーホームズからの通知が例えば個別の審査に関する指定確認検査機関から申請者に対する指示などに違反するようなたぐいのものと認識していたためにこのような対応になったものでございます。  しかし、直ちにその後、本件が建築確認の根幹にかかわる大臣認定プログラムの偽装に関する事案であるというメールを再度いただきまして、これを基に二十八日には担当者が藤田元社長と面談を行っておりまして、その後は所要の対応を着実に行ってきたと考えております。  ただ、これは大臣の下に今回の事案についての行政対応を第三者の立場で検証していただく緊急調査委員会、設けられました。緊急調査委員会では、この点について、行政担当者が制度的リスクの存在を認識しておらず、そのため通報が意味する重大性を理解できなかったという御指摘をいただきました。私どもとしては、こんなことは二度とあっちゃいかぬわけですけれども、何が起きるか分かりませんので、こういった指摘をきちんと踏まえて今後の対応は遺漏のないように努めてまいりたいと考えております。
  140. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 やはり、最近は内部告発問題等含めて、こういう情報関係について、やっぱり行政としても住民の願いというか要求というか、住民が問題にしているところは何かというところを早く今度は的確に対応できるような体制というものを省内の中でも検討いただいて、十分これらの問題について対応いただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。  指定確認機関について、定期的な立入検査を含む指導監督において、今回のようなずさんな検査の実施がなぜ把握できなかったのか。それから、指定確認検査機関といっても営利企業であり、関係業界との資本関係を踏まえると、形式的なチェックだけではなく、検査業務の内容が適切かどうかについて踏み込んだ指導監督をすべきであったと思います。  しかし、なおやはり抜き打ち的に検査を行っていくことが今後大事だと思うんですが、技術的なそういう指導監督する人員の配置というのもこれまた非常に大切ではないかと思います。先ほど質問いたしましたそういう住民からの情報に対する対応も大切なことでございますけれども、いわゆる技術的なそういう検査権限を持った人たちの人員の配置ということもこれ大事なことだと思うんでありますし、やはりきちっと予算を付けて人を配置すべきだというふうに私は考えますが、その点も含めて見解をお伺いいたします。
  141. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 非常に大事な点を御指摘いただいたと思います。  大臣指定指定確認検査機関に対するこれまでの立入検査等でございますが、定期的に年一回は立入検査をしてきたわけですけれども、当初指定した要件を的確にその後も維持しているかどうかという点を中心に検査してきております。個別具体の確認事務を的確に行っているかという部分については、この立入検査等では例えば抜き打ち検査等はやってこなかったわけでございます。今回の事案を教訓にそういったようなことが可能かどうか、効果的にやるとすればどういうやり方がいいのかということも含めて今検討会をつくって検討しておりますんで、しっかりやっていきたいと思います。  しかし、そういうことをしっかりやる上で当の国土交通省の住宅局にそういったことをしっかりやる人員体制ができているのかという御指摘は非常に大事なポイントでございますんで、こういう技術的なチェックを行うことが可能となるような組織・人員体制を整備するということでしっかり努力をしていきたいと思います。
  142. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  143. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十四分散会