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2006-04-27 第164回国会 参議院 国土交通委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月二十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      松田 岩夫君     西銘順志郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         羽田雄一郎君     理 事                 伊達 忠一君                 脇  雅史君                 大江 康弘君                 山下洲夫君                 西田 実仁君     委 員                 太田 豊秋君                 小池 正勝君                 末松 信介君                 田村 公平君                 中島 眞人君                 西銘順志郎君                 藤野 公孝君                 松村 龍二君                 吉田 博美君                 加藤 敏幸君                 北澤 俊美君                 輿石  東君                 佐藤 雄平君                 田名部匡省君                 前田 武志君                 山本 香苗君                 小林美恵子君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   北側 一雄君    副大臣        国土交通大臣  松村 龍二君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       吉田 博美君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        国土交通大臣官        房長       春田  謙君        国土交通省総合        政策局長     竹歳  誠君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君        国土交通省鉄道        局長       梅田 春実君        国土交通省航空        局長       岩崎 貞二君        国土交通省政策        統括官      内村 広志君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○派遣委員報告高齢者障害者等移動等円滑化促進に関  する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  高齢者障害者等移動等円滑化促進に関する法律案審査のため、本日の委員会国土交通大臣官房長春田謙君、国土交通省総合政策局長竹歳誠君、国土交通省住宅局長山本繁太郎君、国土交通省鉄道局長梅田春実君、国土交通省航空局長岩崎貞二君及び国土交通省政策統括官内村広志君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 高齢者障害者等移動等円滑化促進に関する法律案を議題といたします。  先般、本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。山下洲夫君
  5. 山下八洲夫

    山下洲夫君 おはようございます。民主党新緑風会山下洲夫でございます。  委員派遣について御報告申し上げます。  去る二十四日及び二十五日の二日間にわたり、高齢者障害者等移動等円滑化促進に関する法律案審査等に資するため、大阪府及び兵庫県を訪れ、調査を行ってまいりました。  派遣委員は、羽田委員長伊達理事大江理事末松委員加藤委員佐藤委員前田委員山本委員小林委員渕上委員、そして私、山下の計十一名であります。  以下、調査概略を御報告いたします。  一日目は、新大阪駅構内交通バリアフリー施設現状について、JR東海、JR西日本大阪交通局からそれぞれ各施設概要及びバリアフリー化進展状況について説明を聴取した後、駅構内の設備を視察いたしました。  新幹線新大阪駅におきましては、障害者対応型エレベーター音声知地図案内板点字案内板障害者対応型多機能トイレ等を、また、東海道本線新大阪駅においては、障害者対応型エレベーター、多機能トイレ等を視察いたしました。  説明者からは、バリアフリー施設設置する上で駅舎やホームの構造上の制約から十分な広さを確保できないケースもあること等の問題点が挙げられる一方、委員からは、点字案内板について現地点から目的地までの距離が認知できるよう改善の方途について意見がありました。  また、大阪市営地下鉄におきましては、障害者等のために設置された幅広の改札口からホームに至る一連動線車いす利用者対応し得るトイレスペース確保、ベンチに座りながら利用できる公衆電話設置など配慮の跡が散見されました。  大阪交通局によれば、交通バリアフリー法基本方針を踏まえ、平成十五年に市営交通バリアフリー計画を策定し、全職員対象としたバリアフリーに関する教育訓練実施しているとのことであります。  新大阪駅構内は、広大な敷地を有し、人の移動も激しいことから、バリアフリー施設利用者への身体への過大な負担が強いられることのないよう、特に各路線間を結ぶ通路等移動がスムーズとなるよう、各社の更なる連携が望まれるところであります。  二日目は、神戸市に赴き、本年二月に開港した神戸空港バリアフリー施設現状について視察いたしました。  まず、車中において神戸空港概要について、次に神戸商工会議所において神戸空港におけるバリアフリー状況についてそれぞれ説明を聴取いたしました。  神戸空港は、だれもが容易にアクセスでき、安全、快適に利用できるユニバーサルデザインの考えに基づき、平成十七年度に国土交通省支援を受けて自律移動支援プロジェクト実証実験を行っております。ビル内にICタグや無線の発信装置を配置し、特殊な携帯端末を通じて、必要な情報音声や文字、映像で得られるシステムや、視覚障害者が自分の位置を確認しながら音声案内によって目的地まで移動できるシステム実験などが主たる内容であります。  委員からは、利用者からの要求要望意見反映方法等についてただされました。システムの構築について、設計や工事の各段階においても学識経験者障害者意見を取り入れているが、エレベーターエスカレーターが狭隘であるとの意見が寄せられていると説明がありました。  続いて、神戸空港内のバリアフリー施設を視察いたしました。  空港内は大きな絵文字、いわゆるピクトグラムを多用することで視認性の優れた施設整備とともに、ビル内の動線を最短化するなどの工夫が行われております。また、オストメート対応の多機能トイレが八か所設置されているほか、ポートライナー神戸空港駅においては、空港同様の配慮に加え、ホーム車両乗降口との段差を二センチメートルに軽減する等の措置が講じられているとのことであります。  以上が調査概略であります。今後、調査した内容について委員会質疑の中で十分活用していく所存であります。  なお、四月二十五日は、JR西日本福知山線列車脱線事故が発生してから一周年に当たり、我々は、尼崎市総合文化センターアルカイックホールで行われました追悼慰霊式に参列いたしました。  北側国土交通大臣からは、鉄道事業者への監視監督の強化を、また、JR西日本山崎社長からは、全社員挙げての安全確保についてそれぞれ誓詞が述べられましたが、御遺族による「慰霊のことば」につづられた安全への切なる願いを再認識し、悲惨な事故再発防止に向けて、当委員会において今後とも真摯な取組を行ってまいりたいとの決意を新たにしたところであります。  最後に、長時間に及ぶ私ども調査に御協力いただきました関係方々に対し、心から厚くお礼を申し上げまして、御報告を終わります。  以上です。
  6. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。     ─────────────
  7. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 本案修正について、山下洲夫君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山下洲夫君
  8. 山下八洲夫

    山下洲夫君 私は、民主党新緑風会日本共産党及び社会民主党護憲連合を代表して、本案に対し修正動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  その趣旨について御説明申し上げます。  ハートビル法制定に加え、平成十二年に交通バリアフリー法が成立したことにより、公共交通機関ではエレベーターエスカレーター設置され、ノンステップバスも普及し始めるなど、バリアフリー化進展しております。しかし、以下指摘する諸点については、課題解決進展が見られません。  まず、施設等についてバリアフリー化がなされているにもかかわらず、その利用を拒否され、あるいは利用に際して不快な思いを強いられるケースが後を絶たないことが挙げられます。移動が保障され、移動を拒むことができないという規定が欠けているからであると考えます。  次に、施設等高齢者障害者にとって真に使いやすいものとなるためには、当事者の参加が不可欠です。特に、事業実施段階できめ細かな配慮がなされることで施設利用しやすさに格段の差が出ることがあります。  また、利用上の支障が生じた場合、報告とそれに基づく改善が行われる仕組みが重要です。現在、利用拒否高齢者障害者事故に関する情報が把握されているとは言えません。したがって、いかなる対策が必要でかつ重要であるかの判断も十分にできない状況となっております。  以下、修正案に沿ってその内容説明させていただきます。  第一に、目的に「高齢者障害者等移動の権利を有すること及び社会活動参加する機会を与えられるべきこと」を明記することとしております。  第二に、知的障害者などへの対応も必要であることから、定義において、高齢者障害者等の範囲を「心身の機能上の制限を受ける者」に拡大しております。さらに、特別特定建築物に「災害が発生した場合に公衆の避難の用に供される特定建築物」を追加し、建築物特定施設に「ホテルの客室」を追加することとしております。  第三に、地域内の統一的、計画的なバリアフリー化を進めるために地方公共団体の責務として「総合的かつ計画的な移動等円滑化実施」を規定しております。  第四に、高齢者障害者等意見反映させた施設設置を進めるため、公共交通事業者等が講ずべき措置として高齢者障害者等意見反映のための措置を講ずるとともに、転落の防止等安全性確保のための適切な支援を提供するよう努力することとしております。  第五に、特定事業実施に関して高齢者障害者等意見反映について規定し、利用者利用しやすい施設整備を進めることとしております。  第六に、移動等円滑化に係る措置が講じられた施設利用については、公共交通事業者等特定建築物所有者等車いす利用を拒むことができないこと、拒む場合にはその理由を示さなければならないこととしております。  第七に、国が事故情報を把握し公表するとともに、それに基づき必要な措置を講ずることとしております。  第八に、国は、移動等円滑化に関する進展状況に関する調査を行い、その結果を公表することとしております。  以上が修正案趣旨であります。  何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  9. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 高齢者障害者等移動等円滑化促進に関する法律案及び山下洲夫君提出修正案について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 おはようございます。民主党新緑風会加藤敏幸でございます。  ただいま民主党新緑風会日本共産党並びに社会民主党護憲連合により提案されました高齢者障害者等移動等円滑化促進に関する法律案修正動議に関し、同じ会派に属する者ですが、修正案内容に関して一つ質問さしていただきたいと思います。よろしゅうございますか。  提案されております修正内容の全般につきましては、それぞれこの委員会の場において、法案審議あるいは参考人意見聴取の場でも取り上げられたテーマに関連しており、その中には、与党の委員先生方々を含め、恐らく共通した問題意識幾つかあると、このように思っております。  その一つでございますが、高齢者障害者旅客施設特定建築物利用する際にこれを拒否された場合の対応の問題があると思います。  これは修正案の五十二条と五十三条にかかわるところですが、内容的には条文の新設というものです。修正案は、車いす及び歩行補助車、これはハンドル式電動いすも入っているものと理解いたしますが、正当な理由なくこれらの方々の使用を拒んではならないと規定してあります。今日、バリアフリー化が進んでいても、場所や対応者によっては実際に乗車拒否入場拒否が行われていることが多いことはこの委員会審議でも頻繁に紹介されてきましたが、やはり法律としてこのような禁止規定が必要だと私も考えます。  問題は、この禁止規定に関して法の実効性がどのように担保されるのか、この点が最も重要だと考えますが、提案者より御見解をお伺いしたいと思います。
  11. 山下八洲夫

    山下洲夫君 ただいま加藤先生から質問ございました修正案のポイントについて御答弁をさせていただきたいと思います。  この修正案と同様の法体系を持っていますのが、平成十四年十月から施行された身体障害者補助犬法だと思います。この法律は、盲導犬、聴導犬、介護犬公共交通機関飲食店で拒否してはならないことを法文上明記しているわけでございます。  そこで、この禁止規定となっています、ただいまお話ございました拒んではならないということをどのように実効あるものにするかという質問でございますが、一つは、修正案の要綱第六の一と二に提案していますように、公共交通事業者等あるいは特定建築物所有者等車いす利用を拒む場合はその理由を明らかにさせるということ、そして拒んだ件数やその状況主務大臣等報告をさせる、そして主務大臣等はその報告をまとめて概要としてこれを公表させるという一連の手続をもって一定実効性が担保できるのではないか、そのように考えています。報告公表ということで事業者所有者意識改革一定インセンティブ効果をねらうということでございます。  そして、なお、先ほどお話ございました修正案車いす及び歩行補助車につきましては、ハンドル式自動車いすも含んでいると理解していただいて結構でございます。  もう一つは、身体障害者補助犬法にありますように、国民理解を深めるための措置を講ずるということです。  同法の第二十三条は、国及び地方公共団体は、教育活動広報活動を通じて、身体障害者の自立及び社会参加促進のために身体障害者補助犬が果たす役割の重要性について国民理解を深めるよう努めなくてはならないとしています。やはり、国民理解に向けた広報活動で周知徹底することが何よりも一番大切だと考えております。  例えば千葉県では、障害者補助犬同伴の受入れについて県民だよりや新聞、テレビによる広報を行うとともに、飲食店やあるいは旅館、ホテルなどの事業者団体商工会議所にポスターを配付をいたしております。これは、平成十六年度に四千部配付されたということであります。また、補助犬同伴を断られた場合は障害者福祉健康福祉センターなど県の機関で相談を受け、断った施設に対して法の趣旨をしっかりと説明をし適切な対応を求める措置を講じておられるということでもあります。  また、注目すべきところでございますが、補助犬同伴を断ることは障害者人権を侵している疑いもあるということで、国の機関であります法務局に対して人権救済申出を行うことに協力する姿勢を打ち出し、県としても障害者差別をなくすための条例の制定を検討中だということも伺っております。  こういったことも先進的な自治体の取組として参考にしていただければ幸いだと存じます。  なお、バリアフリー法案では、第四条二項で「国は、教育活動広報活動等を通じて、移動等円滑化促進に関する国民理解を深めるとともに、その実施に関する国民協力を求めるよう努めなければならない。」と規定しておりますので、先ほど申しました車いす利用を拒むことを禁止する修正案規定につきましては、この条文によって具体的な広報活動が展開されるものと考えております。  以上でございます。
  12. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ありがとうございました。  私、二回目の連続質問ということになります。既に委員会参考人皆様方意見聴取を行いましたし、これもまた先ほど報告のありました大阪神戸交通バリアフリー状況視察と、そういうふうな内容も踏まえまして、あるいはまたただいま御提案のありました修正案も念頭に置きながら、以下幾つかの前回から残された課題について引き続き質問をさしていただきたいと思います。  さて、冒頭、少し本題から離れますけれども前回に引き続き、国土交通省官製談合天下り関係について再度触れさせていただきたいと思います。  最初に、国土交通省発注水門工事に関する官製談合問題でございますが、前回北側大臣は、国土交通省内部としても鋭意調査を進め、その結果を公表したいと、このように言われまして、その決意を多といたしますものですが、聞き忘れましたので、この調査進捗状況なり公表の時期の見通しと、この辺のところを含めて、まずお伺いをしたいと思います。
  13. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) この水門工事につきまして、過去の同種工事に係る入札契約状況についてしっかり調査をするようにということで私の方から指示を出しまして、これにつきましては、二十四日、ですから、今日が二十七ですから、今週の月曜日に個々の入札予定価格、それから落札金額契約方式などを公表をいたしました。引き続き更なる詳細な入札契約状況につきまして調査、整理を進めまして、来月中にも取りまとめを行いたいと考えているところでございます。  あと、前回委員会でも申し上げましたが、今は公取調査に入っております。私どもといたしましては、公取調査に全面的に協力をするように省内に申しておるところでございまして、公取調査をしっかりと協力するとともに、見守っていきたいと考えております。
  14. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 しっかりと調査をされるということを要望いたしますし、是非とも北側大臣の手で私はきちっと明らかに始末を付けていただきたいと、これが要望でございます。  さて、前回国土交通省天下り実態につきましてもお伺いをいたしました。国家公務員法において規制されております離職後二年間、その離職前五年間に在籍していた国の機関特定独立行政法人又は日本郵政公社と密接な関係にある営利企業への就職について、人事院承認を得て就職したものに限定して数字を私、使わせていただきました。離職後二年後の民間企業への再就職離職前のポジション関係しない企業への再就職実態、あるいは国土交通省が所管する独立行政法人公益法人への天下りについて、これについては前回数字あえて追及をしておりません。  これにつきまして、大臣は、人事院並びに大臣承認の大半は地方出先機関や外局のノンキャリア官僚であることを強調され、こういった天下り実態官製談合とは言ってみれば余り関連性はない、あるいは薄いと、そのような表現をされたように私は受け止めておりますけれども説明するまでもなく、国土交通省、また旧道路公団入札に係る談合事件のこれまでの経過を見ても、明らかに天下り談合事件というものは非常に深い関係にあり、だれが、あるいはどんなポジション人間民間企業に再就職しているかという区分けの是非の問題ではなく、発注側人間退職後に受注側人間になると、それが現実どういうふうな問題を起こすのかということであると、このように思います。すなわち、現在の再就職システム、このような状況の中で疑惑が持たれているということであります。  公務員制度改革問題は別の機会議論を譲るといたします。昨日の行政改革推進法特別委員会の中でも非常に議論が行われましたけれども、やはり官製談合事件がここまで来ますと、公務員制度全体として議論をする、そういう必要性、そういう場面と、国土交通省独自に議論すべき場面、この二つがあるのではないかと私は考えます。  国土交通省としては、前回申し上げましたけれども、全体の職員数が多い、あるいは公共事業を中心的に抱えている、そういうふうな状況の中で、幾ら職業選択の自由があるとはいえ、私は、国土交通省として特別の配慮をしなければならない、あるいはしていただきたいと、このように考えますし、それだけの重みのある省庁であるというふうに思います。  既に国土交通省関係する公益法人に対して随意契約事業発注や委託が行われている問題が、そういう指摘をされておりますが、国土交通省におかれましては、再度、旧来からある一家意識に根差したそういう体質の改善あるいは思い切った人事施策の変更とか、そういった省内改革是非断行をしていただきたいと。小泉内閣改革の総仕上げをやろうとされている、その中心に公務員制度改革やあるいは効率的な行政支出と、これがテーマになっていることでございますので、是非御努力をしていただきたい。  野党は余りこういうことを言わずに政府のミスを待った方がいいのではないかと、こういうこともありますけれども、しかし、与野党の立場にかかわらず、国民が期待している国土交通行政が本当に信頼あるものに、私は、与野党協力して今日からもうやっぱりそういうものをなされていくということが大切ではないかと、そう思っているということでございますので、あえて意見を申し述べさせていただきましたけれども、もし大臣の方で何かあればお聞かせいただきたいと思います。
  15. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 昨年、橋梁談合事件がございました。これは、旧日本道路公団発注するものだけではなくて、直轄橋梁工事についても談合事件があったわけでございます。特に、旧日本道路公団の方では官製談合があったということで、今まさしく公判になっているところでございます。  この橋梁談合事件を受けまして、国土交通省といたしまして、前回も申し上げましたけれども指定職以上の幹部につきましては、退職後五年間は、これはもう橋梁受注業者受注企業というだけではなくて、そもそも直轄工事受注企業への再就職をしないということで取決めをさせていただき、また全職員についても、この橋梁談合で重大な法令違反を犯しました四十七社の再就職につきましては、当面の間、すべての退職者対象として退職後の期間を問わずに再就職をしないというふうに決めさせていただいております。  また、これらに加えまして、国土交通省発注公共工事受注実績のある企業におきましては、退職後五年間が経過していないすべての国土交通省退職者について新たに営業担当部署へは就任をさせないよう要請も行ったところでございます。  こうした取組橋梁談合事件の後に私ども決めさせていただいて、今実施をさせていただいているところでございます。  先般も申し上げましたが、民間企業への再就職天下りの問題につきましては、実態というのは、前回申し上げましたように、地方職員方々、そしてキャリアではなくてノンキャリの一般の職員方々の再就職の問題が実を言うと実態としては大宗を占めているんだということを申し上げました。  私がそう申し上げた趣旨は、決して談合との関係で申し上げているわけではなくて、やはり公務員の方々というのは、できるだけ意欲を持って仕事をしていただくためにもできるだけ長い間、定年まで、できましたら定年まで公務の世界できちんと働いていただけるように、そうした制度をつくっていかないといけないと思うんですが、実態としては先ほど申し上げたような実態になっておると。これを変えていくということは、単にキャリア公務員についての再就職についてどうするこうするという話ではなくて、本当に国土交通省のノンキャリの方々、一般職員方々も含めて、また地方の出先の職員方々も含めて、全体としてどうしていくのかということを考えていかないと、実質的にはなかなかこの再就職の問題というのは解決付かない問題であるという意味で私は申し上げておるところでございまして、なかなか一気にはこれを、じゃもう天下りは禁止だという形でできるかというとなかなか難しい問題であるということを御理解いただきたいという意味で申し上げたところでございます。  問題はやはり早期退職慣行にあるわけでございまして、この早期退職慣行については是正をしなければならないということでこれまでも取組をしております。本省についてはよく総理がおっしゃっておりますけれども平成十五年から十九年度まで段階的に引き上げて、平成二十年度までに三歳以上引き上げると。引き上げてこれを五十五・四歳、まだ五十五・四歳なんですけれども、ただ、これだけではなくて、我が省独自の取組といたしまして、地方整備局、地方職員方々についての早期退職慣行についても、これもやっぱり見直しをしなきゃいけないということで、おおむね五年間で段階的に平均勧奨退職年齢を五十六歳から五十八歳に引き上げるということで今取組をさせていただいているところでございます。  こうした早期退職慣行を是正していくということとともに、私は、公務員制度についての基本的な在り方そのものもやっぱり考えていかないといけないんじゃないか、年功序列、またピラミッド型の人事構成、これをやっぱり変えていかないといけないんじゃないかと思うんですね。そういう意味では、スタッフ職をしっかり整備充実をしていくだとか、それから幅広い民間との人事交流、これは必要だと思います。  こうした人事交流をしっかり進めていくだとか、さらには、私は給与体系の問題もあると思うんですね。給与体系についても、何か年齢ごとにどんどんどんどん増えていくというのではなくて、あるところではもう頭打ちにしていくようなことだっていいと思うんです。そうした給与体系のありようにもさかのぼって複線型の人事管理をしていくということによって、全体としての公務員の制度改革をしていかないといけないのではないか。そうしたことを推し進めることによって、できるだけ公務の世界で働いていただけるような、そうした制度をこれはしっかりとつくっていかなならないというふうに考えているところでございます。  先ほど早期退職慣行についての是正について取り組んでいるというふうに申し上げましたが、その成果は少し出てきておりまして、二年前に比べますと、営利企業への再就職につきましては、これは二割程度もう既に減少をしてきております。さらには、公共事業発注環境を担う地方整備局におきましては、二年前に比べると三割近く再就職承認件数が減っているというふうな状況にもなっておりまして、こうした取組をしっかりと着実に進めさせていただきたいと思っております。
  16. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 頑張ってくださいということを申し上げますし、こういうことを言う野党は世界の、一杯野党ありますけど、一番親切な野党じゃないかなと、こんなふうに思います。  さて、前回質問に引き続きまして、ハンドル式電動車いすに関して改めましてお伺いをしたいというふうに思います。電動車いすのJR特急や新幹線への乗り入れ問題でございます。  前回質問いたしましたように、このハンドル式電動車いすのメーカー側の改良努力が必要であるということと同時に、鉄道事業のサイドも車両の改造を図るなどの努力が必要ではないかと考えます。  JR各社は、現在、通路がある新幹線や特急の車内では、重量が重く回転半径が大きい、移動が困難で他の乗客に危険として、このハンドル式電動車いすの受入れを認めていないという状況にあります。しかし、前回、鉄道局長も少し紹介をされましたけれども、JR東海、JR西日本では、来年春に導入の新幹線N七〇〇系の新型車両で障害者の皆さんなどが利用する多目的室のスペースを現行より二五%広げて二・七八平方メートルとし、ハンドル式電動車いすの受入れを検討されていると、こういうお話でありました。  私、ややJRの皆さんに関しては熱心さが足りないと、こんなふうな印象を持っていましたけれども、ようやく少しその動きが見られてきたかなと、こういうふうな気がいたします。他のJR各社にもこういった取組をするように、国土交通省の立場で車両の改善について一定程度指導していくべきではないかと考えますけれども、御見解をお願いします。
  17. 梅田春実

    政府参考人梅田春実君) 先生御指摘のハンドル型電動車いすでございますが、回転の半径が大きいとかあるいは重いということで、かつては鉄道では使っていただくのは困るということでございました。しかし、平成十五年の三月に私どもを始めとする関係行政機関あるいは身体障害者の団体の方々、あるいは公共交通事業方々調査研究会を設けまして、その利用要件を取りまとめてその周知徹底を図ってきているところでございます。  こういうことでございますので、前回も申しましたけれども、ハンドル型の電動車いすを使用する必要がある、また操作をすることができる方につきましては、乗降口あるいは車両内のスペースが広くて段差のない車両において利用ができる、また利用の可能な駅もエレベーター等の整備に伴いまして逐次増加しております。平成十六年六月の調査に比べまして、平成十七年七月の調査では百八十駅増加しているところでございます。  しかしながら、御指摘のように、現在供用されております新幹線等のデッキ付きの車両につきましては、乗降口あるいは車両内の通路が狭い、あるいは置き場所もないというようなことでございまして、このハンドル型の電動車いす利用というのがなかなか困難でございます。  しかしながら、御指摘のように、JR東海では、来年春に導入いたしますN七〇〇系におきまして多目的室のスペースを拡大すると。これに伴いまして、乗降口やあるいはデッキ部、それからホーム、それから通路、こういうところにおきましても安全かつスムーズに移動が可能なのか、あるいはダイヤが混乱したときにどうするのか、新型車両の運行が取りやめになったときにこの電動車いすの方をどうするのかという、いろんな取扱いの問題もございますので、現在検討をしているところでございます。  私どもといたしましては、このような取組につきましては、やはり鉄道事業者、これから新たに車両を造るというような場合には、当然こういうことを念頭に置いて車両の開発に努める必要があるというふうに考えておりますので、そのように指導してまいりたいと思っておりますが、前回も申しましたように、そもそもこの電動車いすというのは回転の半径が大きい、あるいは重いと。元々、鉄道利用に適さない、余り考えてないような設計になっております。  私ども、車両側でもできるだけ使えるように努力してまいりたいと思っておりますけれども、このハンドル型の電動車いすのメーカー、こういう方々においても、できるだけ鉄道においても使えるような、そういう設計にしていただきたいというふうに、機器の開発に努めていただきたいというふうに思っておりまして、既にこういうメーカーに対しましても、鉄道利用に適した機器の開発を進めるよう働き掛けをしているところでございます。
  18. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 法律上、いろいろ整備をしていくということと同時に、やっぱり一つの技術的な工夫といいますか、展開が高齢者障害者の皆さん方の移動能力を飛躍的に高めていくという要素もあると、そういうふうなところからも少し前回質問申し上げました。  火曜日の視察では、短時間ではございましたけれども自律移動支援プロジェクト神戸実証実験というものも少し見させていただいたということであります。高齢者障害者移動の自由化、そして特に、より安全に移動するという視点から科学技術の支援というふうなものも大切になっているというふうに思います。  そこで、この実証実験の目指すところとかそういう内容について、予算を含めて簡潔に御説明をいただきたいと思います。
  19. 内村広志

    政府参考人内村広志君) お答えいたします。  国土交通省では、ユニバーサル社会の実現に向けた取組の一環といたしまして、我が国最先端の情報通信技術を活用いたしました、いつでもどこでもだれでもがよりスムーズに移動できる環境づくりを目指します、先生今御指摘の自律移動支援プロジェクト平成十六年度より神戸等におきまして推進しているところでございます。平成十六年、十七年度におきましては、神戸あるいは愛知万博等におきまして障害者方々にも実際にモニターになっていただき、体験をしていただきながら実証実験を行ったところでございます。  本プロジェクトの推進に当たりましては、東京大学大学院の坂村教授を委員長といたしました自律移動支援プロジェクト推進委員会、これは平成十六年三月二十四日に設置いたしたものでございますが、この下に本分野に造詣の深い学識経験者方々関係省庁、それから地方公共団体民間企業等のほかに、実際利用者となられます障害者の方も加えました方々が一同に参画いたしました検討会におきまして検討を進めながら進めているところでございます。  今後とも、これらの実証実験を踏まえまして、各方面の関係者や主体的な取組意欲のある地方公共団体との連携を踏まえまして実用化に向けた取組を推進してまいりたいと、かように考えております。
  20. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 予算はどのぐらいですか。
  21. 内村広志

    政府参考人内村広志君) 失礼いたしました。  予算につきましては、平成十六年度四億八千万、十七年度四億九千万、十八年度で七億一千八百万の予算を付けていただいているところでございます。
  22. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 このお話を聞きましたし、見させていただきまして、いいことやっておるなと、こういうことをどんどんどんどんやっぱりやっていくことは大事だと、こう思いましたけれども、やっぱり予算が少ないと。随分いろいろなところにお金を使っているんですけれども、もう少しどんと、もっと使わないかぬのじゃないかと、こう思いますけれども、私は、国土交通大臣になったらとは言いませんけれども、やはり使ってくださいということを申し上げたい。  それから、昨日のテレビでも報道されておりましたし、新聞にも載っています、一人が乗れる二足歩行ロボット、早稲田とテムザックという北九州の会社が共同で開発したと。私、これを言っていたんですよ。いわゆるこういうふうなガンダムタイプで、やっぱり乗って、障害者の皆さん、高齢者の皆さんの気持ちが反映されて、二足歩行で、これで階段上り下りするということをやっていけば、新幹線の方だってもっと簡単に受け入れることができるということが、やっぱり世の中が科学技術が発展をして、それが民生に寄与すると、そういうふうな視点で私はやっぱり努力すべきじゃないかということで、こういうネタは我が国には一杯あると。  ただ、これを本当に実用化するためには、一番大事なのは、これを開発するメーカーは安全基準なんです。この機械を提供したために起こるやっぱり問題、危険、このことをこの開発メーカーが全部、無限責任を負うわけにいかない。それはやはり世の中がきちっと、国が安全基準ということを定めた上で、それをきちっと守る以上においてやっぱりどうか出してくださいと。この安全基準というのは個別企業ではできないんです。だから、そこを社会化していくというプロセスで是非国土交通の皆さん方が知恵を出し、やっぱり大きく貢献する場面があるのではないかと、こういうふうなことも考えますし、経済産業省を含めましたやっぱり総合的な、省庁の壁を越えて、高齢者障害者等の皆さん方のためにという気持ちがあるなら私は大きくこういうふうな政策を展開さしていただきたいと、このように思います。  これを言い始めるともう三十分ぐらいすぐたちますので、この程度で終わらしていただきますけれども、もし何か御意見があれば発言をしていただきたいと思いますけど。
  23. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今のその二足歩行のロボットですとか、先ほどの自律移動支援プロジェクト、私も現場に何度も行かしていただいておりまして、状況を見さしていただいております。  今、加藤委員のおっしゃったように、日本の持っているこの技術というものを活用いたしまして、障害者の皆さんや高齢者方々が自律移動をより円滑化できるというふうなことというのは非常に大事なことであると思っております。しっかりと、今委員のおっしゃった安全基準の問題も含めまして、政府全体でこうした技術開発がしっかりと進んでいくように、予算面も含めましてしっかり取組をさしていただきたいと考えております。
  24. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 それでは次に、特別特定建築物に学校を加えるということで、これも、これ私、本会議質問した項目の一つでありますけれども、学校自体のバリアフリー化について、私は国としてこれは急ぐべき重要な課題であるというふうに考えております。  文部省からもいろいろと御答弁をいただきました。確かに、障害児教育の在り方の問題、あるいは建物改修に関しては、耐震改修の問題もあって、総合的な校舎建て替え施策というものを追求しなければならないとも思います。特に学校に関しましては、数が多いだけに、財政の問題もあると。  しかし、阪神・淡路大震災や一昨年来の大規模な水害のことを考えれば、やはり避難所として活用されるのは、公民館などもありますけれども、学校が圧倒的に多いということで、そこには多くの高齢者障害者の皆さん方が駆け付けるというわけで、最低でも段差解消などのバリアフリー化はやっていかなければならないと考えます。  そこで、私は、特別特定建築物については学校を入れるのに依然として抵抗があると、それが現実だということなら、最低でも災害時に住民の避難場所となる施設というものを政省令で規定し、それは学校の体育館とか附属するトイレなど、このようなものを示唆すると、そういうやり方があると思います。  本会議北側大臣はこの問題に関して、地方公共団体の判断により条例で義務化できると答弁されておりますけれども、私は避難場所という枠組みで解決できるのではないかと、このようにも思いますので、再度、国土交通省としての見解をお伺いしたいと思います。
  25. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 地震などの非常災害時に地域の子供たちからお年寄りに至るまであらゆる方々が避難されるわけですので、避難場所となります建築物のバリアフリー化を進めるということは非常に大事な課題だとまず認識しております。  そのことを前提に聞いていただきたいんですが、避難場所となりますこの避難地は、具体的には災害が想定される現場の実態に即して公共団体が地域防災計画で指定をされます。したがいまして、今回、このハートビル法以来の法律でアプローチしておりますその新築の特別特定建築物について基準を定めて義務化するというこの枠組みは、あらかじめその新築時にすべてが想定されるわけではないので、なかなか一般的にはなじみにくいとまず考えております。  具体的な話でございますが、公民館などは不特定の方、地域の方ではありますけど、不特定の方が御利用になりますので、これは特別特定建築物になります。それで、義務化してこれはやっていきます。  学校ですけれども、これまでの答弁でお話ししておりますけれども、必ずしも学校一般は高齢者の方とか障害者の方の利用頻度が高いわけではないので、特別特定建築物にすることはなかなか難しいのですが、大臣の答弁にもありましたように、条例で位置付けは可能です。それはまずやります。やることが可能です。  それから、建築物のバリアフリー化についての事業法律でお願いしておりますけれども、建築物特定事業ですね、位置付けておりますので、公共団体が地域の実情を踏まえまして基本構想に位置付けていただければ、既存の建築物の改修も含めましてバリアフリー化を応援することは可能な制度となっております。  御指摘いただきました学校のバリアフリー化についての支援につきましては、文部科学省の助成措置ございますけれども、基本構想に位置付ければ建築物特定事業となりますんで、そういうふうな形で公共団体が取り組まれる場合には国土交通省の補助制度も活用可能でございます。関係行政機関と連携してしっかりこの問題、取り組んでまいります。
  26. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 次に、当事者の参加ということでございますけれども、基本構想の作成に対する住民提案あるいは協議会の設置と、こういうものがこの法律の中に規定されているもの、こういうことでございますけれども、形式に終わってはいけないということを本会議でも主張させていただきました。この当事者の参加システム機能させる方法として、大臣より、提案採否については市町村は公表し、提案を採用しない場合はその理由を明らかにしなければならないことと、まあこれは法律にも書いてありますことですが、また、これらの制度が有効に活用されるよう、その趣旨や運用の在り方について、基本方針等においても明確に示していくと、このように答弁されましたけれども、ちょっと抽象的ではないかと、このように思います。  この参加システムが本当に有効に機能していくためには、もう一工夫していく必要があるのではないかと考えます。特に協議会については、当該地域の様々な利害がぶつかるということも容易に予想されますので、基本的には基本構想作成にかかわる協議での重要な段階ではその議事録を公開するとか、あるいはこの協議会は単に基本構想を作成するときのみではなく、バリアフリー化事業の各段階で、事業のチェック、監視、評価を行えるような機能を持たせることなどを考えるべきではないかと思います。このことは、国土交通省も言われているいわゆるスパイラルアップに資するためのいわゆる大変生きた意見を吸い上げるということにも役に立つと、このように考えますけれども、再度御見解をお伺いしたいと思います。
  27. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 御指摘のとおり、今回このバリアフリー参加型のシステムというものをつくりまして、それをきちっと機能していく必要があるということでございます。  今具体的に御提案がございました、例えば議事録の話でございますけれども、この法律におきましては、「協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。」ということが二十六条六項に書いてございます。この協議会自体、高齢者障害者等方々、様々な方が、当事者が参加しておられる協議会でございますから、基本的に元々オープンな組織であると思います。したがって、その議事録の公開について大きな問題はないと思いますが、いずれにせよ、何をどのタイミングで公開するかとか、そういうことは協議会の判断により法律に基づいて行うことが可能であると思います。  それから、構想を作る段階だけではなくて、その後の事業のチェック、監視、評価というお話でございますが、正にこの協議会は、構想作成段階のみならず、構想の実施に係る連絡調整も行うということで、十分フォローアップをしていくようにしてまいりたいと思います。
  28. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ここを生きた協議会にさせていく、現実そういうものをつくっていくということが本当に一番のポイントだというふうに思います。議事録等については、公開することができるという精神じゃなくて、都合の悪いことがあればそれは協議会の中で相談をして決めていただくけれども、できれば広く公開した方がいいんだと、こういう精神ではないかと、このように思います。  さて、それに関連いたしまして、もう一つ重要なポイントが残っております。今回の法改正は全体としてバリアフリー化を大きく促進していくものと判断はできますけれども、不十分な点として幾つかあると。その一つは、苦情処理策が確かでないということであります。前回委員会でも山本議員が国土交通省のホットラインステーションのことに触れられましたけれども、総合政策局長がその運用について説明をしていただきました。簡単に言えば、これは個々の苦情を個々のセクションが対応して、情報提供者に個別にこの結果をお返しするという個別対応の苦情処理策であったというふうに思います。  やはり重要なことは、高齢者障害者等の皆さん方が、差別事例や不満に思ったところを個人的に電話をしたりインターネットに書き込むのではなくて、正式な苦情処理機関に持ち込んで、そこで組織的に対応していく、こういうことではないのかと思います。様々な問題点が生じた場合、例えば九州や北海道の人が一々東京の国土交通省に電話をしたりはしないんじゃないかなと。あるいは、その電話をして、たらい回しにされたという、過去そういうふうな事例もあったということであります。  そこで、この苦情処理機関の問題でありますけれども、これは前回議論した法の目的と密接にかかわる課題であります。いわゆる憲法に根差した権利という私は大臣が発言をされたと。しかし、法の目的の中には、公共の福祉に資すると、こういうふうに書かれてあります。これは行政学的な論争、議論になるわけでありますけれども、この苦情処理を公的に対応する場合には、やはりそれは侵してはならない権利というものがあって初めてこの苦情処理がしっかりと公的な場面で処理されると、こういうふうな権利関係があるというふうに思います。  現在、差別的取扱いに対する、すなわち権利侵害に対する救済措置というふうなことでは行政的救済がやっぱり一番機能しているというふうに思いますし、実例で言えば、男女雇用機会均等法というものがあり、例えて言えば、行政的救済として、募集、採用、解雇にかかわる女性差別の紛争において都道府県労働局長による紛争解決援助策とか機会均等調停委員会による調停、それからセクシュアルハラスメントでは企業内における苦情処理制度の整備義務付けと、このようにいわゆる権利侵害等に対する苦情処理については各面いろいろ努力をされているし、今日的状況でいえば、司法救済のみではなく行政救済を含めた広くいろんなレベルで救済をしていくということが必要だと思います。  権利を侵害されたと受け止めている高齢者障害者等の皆さん方が直ちに損害賠償請求という行動に出るということではなくて、そこは、自分たちに対して特別な配慮だとか恩恵ということじゃなくて、ある基本的な権利に根差した主張に対してはしっかりとした社会的な対応を当然のこととしてしていただくと。そこには堂々とした対等の関係というふうなものがなければ本当の意味での苦情処理ということにはならないし、この法律が目指している、高齢者の皆さん方、障害等をお持ちの皆さん方にはやはり社会全体としてその移動をできる限り保障していくという、これが近代国家日本としての国の正に到達した私は品格のある社会の実現なんだと、こういう理想に基づいて、私はしっかりとこの苦情処理というふうなものを受け止めていただきたいと、このように思います。  これから高齢者がだんだん増えてまいります。私の両親ともに足が悪くて移動が困難だと。ここにおいでの健康な議員先生方もいずれはそういう高齢者として立派なお仲間になっていくし、日本は世界で一番高齢化が進むし、お隣の中国は更に、一人っ子政策ですから、日本の倍速で高齢化していくと。そういうふうな状況を見たときに、正にこのバリアフリー化というのは日本が先鞭を着けたやはり世界に誇れる制度なんだという思いを込めて、私はこの苦情処理を含めたシステムというふうなものもしっかりつくっておいていただきたいと。  やや発言が大げさになったような思いもありますけれども、これが私は思いであり、またそういうふうな精神で冒頭修正案提案もされたんではないかと、このように思っております。  移動の権利ということについて、大臣は否定をされているわけじゃなくて、やはり気持ちとしてはそうなんだと、こういうふうなことも言っておられますので、苦情処理機関の考え方あるいはその課題について是非とも前向きな御検討をいただきたいということと同時に、御見解をお伺いしたいと思います。
  29. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 御指摘のございましたように、乗車拒否や差別的取扱いに関する苦情につきまして、現在、国土交通省ではホットラインステーションということで、当事者からのお申出に基づきまして対応しているということでございます。このバリアフリーに限って申し上げますと、十七年度で約五十件近いこういうお申出がございまして、個別に事業者に対してそれをお伝えし、事業者の方で、自分の方が悪かったということで謝罪に行かれたり、その後の解決策について個別に話し合われているというような事例も多々あるわけでございます。  そこで、今先生の方から御指摘のあったのは、そういう個別対応ではなくて、もう少しきちっとした組織的な対応をすべきではないかというようなことではなかったかと思います。  この問題には大きく二つあると思いますけれども、まず組織の面から申し上げますと、今、国土交通省の担当部局がやっているわけでございますが、これと別途に組織を新たにつくると。例えば、カナダではそういう局のようなものを設けて年間四十件程度の調停も行っているようでございますが、組織を新たにつくるということになりますと、こういう行革の時代でございまして、もちろん必要なものはやっていかなくちゃいけないと思いますが、そこはなかなか大きな問題があると思います。当面、私どもとしては今の組織をより活用すると。手続についても、もう少しマニュアル化するとかワンストップ化というお話もございましたので、そういう今の組織を活用しながらもう少しきちっと組織的に対応できるようにしたいと思います。また、たらい回しというようなお話もございましたが、私どもとしては、実は交通消費者行政という立場から、地方運輸局とも緊密な連携を取りながら、苦情の処理等についても適切に対応をしていきたいと考えております。  いずれにしろ、今先生からもお話ございましたように、そういうお申出をされる方は、損害賠償をしたいとかいうことよりも、むしろ非常につらい思いをしたと、せっかくノンステップバスとかそういうハードが整備されているのに乗車拒否をされてしまったとかいうお話でございますので、私たちとしてはそういう、公共交通事業者との関係ではいろいろなパイプもあるわけでございまして、また法律上も、不当な乗車拒否については、これは是正命令という仕組みもございますので、そういう手段も活用して組織的な取組を更に進めてまいりたいと思います。
  30. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 残りの質問もわずかになってまいりました。  視点を変えまして、鉄道駅のホーム管理について、この委員会を傍聴しておられました方から感想が述べられました。最近、駅によってはホームに売店やら立ち食いやら、新大阪駅には一杯飲み屋さんまで、いろんなものがどんどんどんどんできてきて、ホームが本当に狭くなっておって、障害者でなくても危なっかしいんだと、そういう視点で商売優先じゃないのか。それから、いろんな、売店だって、新聞だとか納品だとか、売店の面積の周辺にいろいろ物を置いたり、買物する人たちが列をつくったり、お金払うのに気が取られて周囲に対する注意が散漫になったりというふうなことで、不安全な状況をつくっている一つの要素にそういうものがあるのではないかという意見をいただいたわけでありますけれども、この点について、国土交通省として鉄道管理者等に何らかの指導はできないのかを含めまして、御見解を賜りたいと思います。
  31. 梅田春実

    政府参考人梅田春実君) プラットホームの幅並びにプラットホームに柱や売店などの壁を設置する場合のプラットホームの端との間の距離ですね、こういうものにつきましては、鉄道に関する技術上の基準を定める省令というのがございまして、そこで「旅客の安全かつ円滑な流動に支障を及ぼすおそれのないものであること。」というふうに決めているところでございます。具体的に申しますと、売店等をホーム上に設置する場合には、その壁とそれからプラットホームの端ですね、これとの距離は少なくとも一・五メーターは確保するということにしております。しかも、その際、旅客の流動に支障がないように配置を考えるということにしております。  先生御指摘のホームの監視要員の配置につきましては、ホーム上の旅客の安全確保一定の効果があるというふうには考えておりますけれどもホームといいましてもこれ様々な形状もございます。それから、混雑状況は場所によって全く違います。したがいまして、個々の駅の実情を踏まえまして鉄道事業者が適切にそれぞれのホームにつきまして対策を講ずるべきものと認識しているところでございます。  私どもといたしましては、先ほど申しましたような基準に従いまして、旅客の乗降時の安全に支障を及ぼすことがないよう、引き続き鉄道事業者を指導してまいりたいというふうに考えております。
  32. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 私は、国土交通省として国会における答弁としてはそれが一つのぎりぎり、限界だとは分かりますけれども、しかし広く国民の皆さん方が感じている危険に対してどう対応していくのか。それは国土交通省が強権的に鉄道管理者を、もう鼻面を引きずり回すというようなことはこれはできませんけれども、しかしこの法律が目指すものは何なんですか、そしてなぜ権利という言葉がこの法案の骨格に据えられないんですかということを議論したときに、それは国土交通省の皆さん方が、大臣を始め、いろいろ事情があるんだと、しかし一歩ずつでも、ちょっとずつでも頑張って良くしていっているんだよと、そういう行政的努力で状況改善するということを私は主張されていると思うんです。これも日本の歴史の中で方法論としてあると思いますし、そのことを否定しませんし、それなりに成果があったことも私は認めます。  しかし同時に、やっぱり世の中に一つのことをなそうとしたときには、その目的なり、やっぱりその由来、原理原則をしっかりととらえた上でその法律の施行をやっぱり考えていくと。施行論が、法律施行上の問題が先にあって本体がああだこうだという論理の展開では私は本末ひっくり返っておるんではないかと。  そういうような意味で、国土交通省の皆さん方が本件に対して一生懸命努力をされるということについては十分お伺いをしましたけれども、しかしそれで国会での議論が十分かと言えば、私はそうではない。法律を作る国会の立場で言えば、法律そのものの中身をしっかりと、耐震設計を、法律自身のやっぱり耐震構造を確立すると、そういうふうなことも必要ではないのかということを最後に御意見を申し上げますし、それは逆に言えば、本日、山下大先輩が冒頭提案されました修正案の持つ意味ではないのかということで、そのことも与党の先生の皆さん方にも真摯に御検討いただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  33. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  これまで様々な審議、質問がなされてきまして、私としても幾つか確認をさせていただきたいことがございまして質問をさせていただきたいと思います。  これまで何度かこうしたやり取りがございました。その代表的な一つには、本法案の「目的」のところに「高齢者障害者等」と、こういうふうに書かれている。にもかかわらず、「定義」のところに行くと「身体機能上の制限を受ける者」と、こういうふうになっていると。これは分かりにくいというか、誤解を生むんではないかとか、そういう御指摘がございました。これにつきましては、あくまでも本案の目指すところは、もうすべての障害者皆様方あるいは高齢者皆様方対象であると、こういうことで御答弁がありました。とはいっても、そこはやはり心配であるという声は聞こえてくるわけでございまして、それについて、ではどうするのかというと、施設設置管理者に対してのバリアフリー化のための基準、ガイドライン、これでしっかりと担保するんだと、すべての障害をお持ちの方が対象であるということをそこで担保していくんだと、こういう御答弁もございました。  そこで、改めてお聞きしたいと思っております。この基準あるいはガイドラインというところにつきまして、じゃどういう、具体的に、すべての障害のある方が対象であるということが担保されるのか、その幾つかの想定される事例というものをまずお示しいただきたい。さらに、この基準やガイドラインを作成する際における高齢者障害者皆様方、その他当事者を含めた関係者からの参加というものがどうしっかりと担保されるのか、この二点につきまして、政府参考人からお聞きしたいと思います。
  34. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 身体障害をお持ちの方だけではなく、知的、精神障害者の方、また発達障害者方々が、すべての障害をお持ちの方々にこの法案は対応しようとするものでございまして、これらの方々移動し、また施設利用するに際して利便性や安全性を向上させることができる施策を関係者の御意見伺いながら検討していきたいと思います。  具体的な基準等の例示でございますが、まず精神障害者方々、今まで様々な要望を承ってまいりましたし調査もしてまいりました。そこから伺った問題は、疲れやすい、それから薬を飲んでいるために水飲み場が必要、それから薬の副作用で足下がふらつく、暗い空間は不安、不安感を解消するために座るベンチが必要などの御要望をいただいております。  これらのうち、例えば疲れやすさという問題につきましては、既に休憩施設設置という形で基準に位置付けられておりますが、今申し上げましたような御要望につきまして、関係者の御意見伺いながら、さらにどう基準化していくかということを進めてまいりたいと思います。  それからもう一つ、知的障害をお持ちの方でございますが、これらの方々は、例えば誘導ブロックなど、ちょっとした段差でもつまずいてしまう者がいる、それからトイレの機能が多様化してその利用方法が理解できない、それから複雑な操作が必要な機器は苦手であるとか、それから日常行動をパターン化して対応しているので、例えば電車の発車番線が急に変わったというようなことになると戸惑ってしまうというような様々な悩みをお持ちだと、要望をお持ちだということでございます。  この中には、例えばトイレの問題ですと、例えば規格の統一化とか、それからICカードとか、そういう複雑な操作なしにできるような試みができるんではないかと思いますが、この点についても関係者の方の御意見伺いながら、基準化、ガイドラインを作ってまいりたいと思います。  それから、共通の課題として、これは既にこの委員会でも御指摘がございましたけれども、分かりやすい表示という意味で、むしろ情報過多が混乱を招くというような問題もございまして、こういう問題につきましては、統一された図記号、ピクトグラムの採用等が必要になると思います。  それから、いろいろな御要望に対して、実はこの物理的な空間として何ができるかということを今申し上げたのでございますが、技術の発達も待ちながら、技術が追い付かない場合にはやはりソフトで対応していくことということも大変大事だと思います。したがって、基準作りと併せまして、既に例えば国土交通省としても、「「ゆっくり」「ていねいに」「くりかえし」」というようなマニュアルを作成し配付する等も行っておりますが、先日、山本先生からも御指摘ございましたように、コミュニケーションボードを活用するとか、そういう公共交通事業者におきます接遇の在り方とか各種システム改善についても検討し、推進してまいりたいと考えております。
  35. 西田実仁

    ○西田実仁君 今、想定される例示をしていただきましたが、もう一つ私が御質問させていただいた、いわゆる関係者からの参加の担保ということですね、これにつきましても御指摘いただきたいと思います。
  36. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) これは、本法案第四条の国の責務というところに、こういう基準作り、ガイドライン作りは国の基本的な仕事になるわけでございます。基本方針、それから具体的な措置を策定するときには関係者の方々意見反映させるために必要な措置を講じた上でやるということで、実は今の基本方針についてもパブリックコメント等は行っておりますが、更に充実した意見をいただくような措置を講じていきたいと考えております。
  37. 西田実仁

    ○西田実仁君 続きまして、今、加藤先生からも御指摘ありましたが、私も重ねて御質問させていただきたいと思います。  このいわゆるスパイラルアップ、継続的発展ということを目指しまして、この委員会でも参考人の方から大変貴重な御意見、また様々な御要望というものを伺ったわけでございます。その中で、特にこの乗車拒否とかが幾多も事例があるということもお話しいただきました。  ただ、こうしたいわゆる被害というものにつきましては、当然のことながら、高齢者や、また障害のある方が自己申告という形で初めて発覚するのが、まあ当たり前ですけれども、その拒否した側が何か自己申告するということは普通余り考えにくいわけでございまして、そういう意味では、その当事者の皆様方の御意見を、あるいは御要望をしっかりと受け止めていくということが非常に大事になってくると私も思っております。  さらに、それは単なる苦情を受け付けるということを超えて、より良くユニバーサル社会あるいはバリアフリー社会をつくっていくために、本当にその当事者の方しか分からない、逆にそれが大変に貴重な御意見であるということも実感をしているところであります。そうした御意見をしっかりと受け止めていく、そのための機能の強化ということがやはり求められるというふうに思っております。  場合によってはでありますが、私は組織論のことを申し上げるわけではございませんが、例えばタクシーセンターというのが、財団がいいということを言っているわけでは全くありませんが、機能として申し上げておりますが、タクシーセンターなどでは、苦情を受け付けてその事案を選別し、さらにそれを調査、通報、参考と分けて、場合によっては事業者にしっかり通知して、警告あるいは監査ということを行うという一連の流れが非常に安定をして、より良くしていくために、そうした御意見をいただいて生かしていくということが非常に安定したシステム化されておりますし、また要望の受付についても二十四時間、あるいは当然メールで受け付けるというような形にもなっております。  こうした当事者の皆様からいただく御意見を安定してちょうだいし、それをより生かしていく、そういう機能の強化、それを国が直接、個別で今やっているという話ですが、それがいいのか、都道府県や市町村、あるいは別の何か組織が必要なのか、そこはこれからしっかり検討していく必要があると思いますけれども、これを、いわゆる単なる苦情処理ということではない、もうちょっと本当に前向きに受け止めていく姿勢、また機能の強化ということがどうしても必要であると私は強く思っておりまして、ここは是非大臣に御答弁いただければと思います。
  38. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 先ほど来、苦情を受け止めていく、また改善を図っていく、こうしたことにつきまして、行政としても、先ほど来お話ししていますように、ホットラインステーションというのをつくりまして、設置をいたしまして、個別の対応はさせていただいているところでございます。  公共交通事業者におきましても、今回の法律案の中の第八条の五項のところに、公共交通事業者は、その職員に対し、移動等円滑化を図るために必要な教育訓練を行うように努めなければならないと、こういう規定がございます。  幾つかの鉄道事業者等の中には、サービス介助士資格の取得を積極的に進めていると、そうした事業者もございまして、こうした専門家の育成、また配置をしていくとしたことが非常に重要であるというふうに思っておりまして、事業者のこうした取組についてしっかりと更に私ども促進ができるようにしていきたいというふうに思っております。  また、公共交通事業者を含む施設設置管理者の責務といたしまして、同じく法案の第六条で、「移動等円滑化のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」と、こういう規定があるわけでございますが、この中には当然、利用者方々意見についての対応を含めてしっかり措置を講ずる責務を規定をしているところでございまして、このバリアフリー化に係る苦情処理につきましても、こうした責務に基づきまして適切な対応がなされていかないといけないというふうに考えております。  こうした公共交通事業者を含む施設管理者等に対してもしっかり周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
  39. 西田実仁

    ○西田実仁君 今大臣から御答弁いただきましたのは、正にこの第八条第五項におきます教育訓練重要性ということも御指摘いただきました。これにつきましては、参考人の方からも御指摘があった点がございました。  すなわち、公共交通事業者等でいろいろと広く一般的に教育訓練を施していただくことも大事であります。同時に、やはりそういう障害のある方あるいは高齢者方々がどういうところで困っているのかということをより良く知っている、まあ広く一般的に教育訓練を施していただくのと、一方で、専門家というか、そのことをよく分かっていらっしゃる方が、まあ民間の事業会社ですので仕方ないのかもしれませんが、人事異動で二年や三年で替わっていってしまうと、要するに分かってくれている人がいなくなってしまうというようなことを参考人の方からも御指摘いただきました。  こうした意味では、広く一般的な職員の皆さん、従業員の皆さんへの教育訓練ももちろん大事であります。同時に、専門家もしっかり育成していくという、そういうことがこの八条の第五項にも含まれていると、こう考えてよろしいのか、政府参考人からお聞きしたいと思います。
  40. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 御指摘のとおりでございます。  このバリアフリー法、施行後五年ということで、今回改正案を御審議いただいているわけでございますが、やはりハードの整備は大変大事でございますけれども、ソフトの面が極めてそれを補完する意味でも大事だと思います。  それから、事業者の中には大変よくやっていらっしゃる方もいらっしゃるわけですけれども、中には、事業者によって対応が違うとか、それから同じ駅でも駅員さんによって違うとか、いろいろなやはり直接困った問題に直面された方から見ると何とかしてほしいということがあるわけでございます。  そういう意味で、私どももいろんな人材育成プログラムというようなことをやりますが、そういう中に、やはり現場のことをよく知っておられる方を講師にお招きするとか、そういうことでより現場に密着したような対応ができるような努力をしてまいりたいと考えます。
  41. 西田実仁

    ○西田実仁君 当事者の方々の御意見反映ということでいいますと、第二十六条におきまして、市町村が策定します基本構想、ここにおいて、「協議及び基本構想の実施に係る連絡調整を行うための協議会を組織することができる。」と、こういうふうに規定されております。ここにおいていわゆる当事者の皆さんの御意見が、基本構想を策定する段階ではもちろん盛り込まれると、当然そういうふうに書いてあります。  加えて、連絡調整を行うための協議会を組織してそこでも反映されるということですので、ここは確認でございますけれども、そうした高齢者や障害をお持ちの皆さんの御意見は、構想の策定時のみならず、要するに策定するときだけではなくて、それがどう実施されているのかという、アフターフォローというか、そこでもきちっと反映されるというふうに読めばいいんでしょうか。この連絡調整という意味合いにつきましてお聞かせいただきたいと思います。
  42. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) この連絡調整という意味でございますが、今御指摘のように、この基本構想に基づきまして様々な特定事業が行われていくわけでございます。この協議会におきましては、連絡調整という中で特定事業実施段階に当たっていろいろな御意見等を反映させる、そういう場としてこの協議会を活用するということになると思います。  協議会につきましては、実は今回初めて法定化するわけでございますが、今までも基本構想、もうほとんどそういう任意の協議会をつくってやっておられました。しかし、そうすると、作るときだけじゃないかというようなお話にもなりかねないということで、今回の法律の中では、作るときだけではなくてその後のフォローもするというふうにきちっと明記したわけでございます。
  43. 西田実仁

    ○西田実仁君 そこは是非、本当に作る段階から実施、その後のことも、そこにしっかりと当事者の皆さんの御意見反映してより良くなるように運用のほどをお願い申し上げたいと思います。  最後でございますが、この移動等円滑化進展状況をしっかりとチェックしていくということも必要だという審議がこれまで随分となされてまいりました。  バリアフリーユニバーサルデザイン進捗状況についてですけれども、国全体としては、例えば障害者白書とか高齢化白書、あるいは国土交通省における白書等についても指摘されていると思いますが、やはり生活者という視点に立ちますと、身近なところで、我が町でどの程度それが進展しているのかというような、エリアあるいは市町村単位におけますそうした特定事業ごとの移動等円滑化進捗状況がきちっと、ここまで進んでいるということが発信される、そうした情報発信が身近なところで大変必要になってくるんじゃないかと思います。  そうした身近なエリア単位あるいは市町村単位におけます特定事業ごとのバリアフリー状況をしっかり情報発信していくよう国としても促していくべきではないかというふうに思いますが、その点を最後お聞きして、終わりたいと思います。
  44. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 先ほど協議会の機能として連絡調整、フォローをきちっとやっていくというお話があったわけでございますが、正にこの特定事業、何がどこまで進んでいるのかというようなことをきちっと追い掛けていく必要があると思います。  この事業自体は市町村が行うものでございますから、例えば議会においても、市町村の議会においても当然こういうことが議論になると思いますし、その進捗状況公表、正に情報公開ということが、高齢者障害者等を含む関係者の方々の評価とか検証を促すという重要な手段にもなると思います。  国においては、様々な問題について、持続的、段階的な発展を目指すスパイラルアップということをうたっているわけでございますが、地方公共団体も国の施策に準じて進めるということでございますので、こういう特定事業進捗状況等、適切に情報が公開されるように市町村に周知してまいりたいと考えます。
  45. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党小林美恵子でございます。  私、前回に続きまして、バリアフリーの基準を定めるに当たっての件について最初に質問さしていただきます。  そういう基準を定めるに当たりまして、障害者を始め当事者の参画という重要性は度々申し上げてまいりました。  先日、私、障害者の皆さんと御一緒につくばエクスプレスの秋葉原駅、丸ノ内線の霞ケ関、そして大江戸線の六本木駅を調査に行ってまいりました。秋葉原駅は、昨年新設されたということもございますので、エレベーターエスカレーターはもちろんでございますけれども音声案内板も可動式さくも設置をされておられまして、その開閉部分に、何両目か、階段、エレベーター近くなどの位置を示す点字での表示もございました。車両のドア部分にも何両目かという示す点字の表示もございました。そういう意味からしますと、やはり関係者の方々の何度もの意見反映というのがあるんだなというふうに思うんですけど、やっぱりそこは重要だというふうに改めて痛感をしました。  ただ、新設の駅も既存の駅も共通した点があるという点で発見したことがございまして、いわゆるエスカレーターへの点状誘導ブロックは設置がございませんでした。それは国交省としてのまず方針なのかどうか、お聞きしたいと思います。
  46. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) まず、結論から申し上げますと、なぜエスカレーターのところに誘導の点字ブロックがないかということでございますけれども一つは、視覚障害者の方、エスカレーターが上に上っておるか下に下っているかが、これをなかなかブロックで表示することが困難であるという問題が一つありまして、誤って逆進入をすると、この問題をどうするかというのがまず一番基本にございます。  それから、仮に、これが入口である、それから下り口であるということを区別できたとしても、場所によっては時間によって上りと下りが変わるというようなことも乗降客の多いところではあるというようなことで、実はエスカレーターにつきましては誘導ブロックという敷設について規定をしていないんです。  それが今の状況なんですが、その前段は何かというと、交通バリアフリー法に基づく移動円滑化基準でどこに点字ブロックを置く、それからさらにそれを具体化した公共交通機関旅客施設移動円滑化整備ガイドラインと、こういう中で一応決まっているのはそういうことになっています。  そうはいってもというお話がございまして、エスカレーターへの視覚障害者の誘導案内についてどうすべきかと、点字ブロックでやるのはなかなか大変だということで、研究会を設けまして、そこに視覚障害者の方、これは障害のいろいろな種別とか度合い、違う方も九十三人の方からヒアリングを行いまして、平成十四年十二月に旅客施設の音による移動支援方策ガイドラインを作って、こういう音声案内、これによりまして、音声により、これ行き先ですとか上下運転方向の案内を行うということを盛り込んだところでございます。すなわち、ブロックではなかなか対応が困難なので、音声による対応を今努力しているということでございます。
  47. 小林美恵子

    小林美恵子君 音声による対応を努力しているという御答弁でございましたけれども、より良い方向で私は進めていただきたいと思うんですけれども。  その障害者の皆さんがおっしゃっておられましたのは、例えば階段とかエレベーターには当然点状誘導ブロックがあるんですよね。階段で行きますと、六本木というのは本当に段数が多くて大変だなと私も改めて痛感しましたけれども、健常者とは当然対向するといいますかね、上り下りされますから接触する危険性もあると、エスカレーターの方がある意味では進行方向が同じなので、乗れば安全なのだという御意見もございました。  いろいろ御意見はあるかと思いますけれども、私はやっぱり根本は当事者が利用しやすい整備になるかどうかということがここが一番の決め手であると思いますので、ここをやっぱりしっかりと前提にして、その基準、ガイドライン、それから施設整備を行う上でも考えていっていただきたい、この点、確認さしていただきたいと思いますけど、どうですか。
  48. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 御指摘のとおりでございまして、現行の交通バリアフリー法移動円滑化基準やガイドラインの策定に当たりましても、障害者団体の代表や学識経験者などから成る委員会による検討のほか、パブリックコメントの実施によって多くの方々に御意見をいただいて、それを反映しながら策定してきました。  今後の見直しに当たりましても、同様に障害者方々を始めとする多くの方々の御意見を幅広く伺いながら、より安全に円滑に利用できる施設整備のための基準やガイドライン作りに努めてまいりたいと思います。
  49. 小林美恵子

    小林美恵子君 次に、バリアフリーを進めていきます事業者の社会的責務について質問さしていただきます。  特に、鉄道などの大量輸送機関を運営する事業者国民の生活に本当に不可欠な輸送手段を担うもので、特別な私は社会的な責務があると思っています。正に公共交通の事業者として、事故防止はもちろんですけれども障害者の皆さんや高齢者の皆さんを始め移動弱者の皆さん、そういう方々の安全を守って安心を確保する社会的責務がやっぱりあると思いますけど、この点、大臣に確認したいと思います。
  50. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) そもそも公共交通機関は、障害者方々高齢者方々はもちろんのこと、どなたでもできるだけ利用が円滑にされるように、移動が円滑にされるようにしていくということは、これは公共交通事業者としては当然の私はやっぱり責務であるというふうに思っております。  本法案では、第六条で、「施設設置管理者その他の高齢者障害者等が日常生活又は社会生活において利用する施設設置し、又は管理する者は、移動等円滑化のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」という第六条の規定が入っているのもそういう趣旨であるというふうに理解をしているところでございます。  旅客施設につきましては現実の整備可能性もこれ当然踏まえていかないといけないわけでございまして、整備の在り方について種々の義務付けを行っているところでございます。  いずれにしましても、公共交通事業者として、利用者により安全に安心して利用していただけるように努めていくことは不可欠でございまして、利用者施設などの個々具体的な状況に応じて適切に対応がなされる必要があると考えております。
  51. 小林美恵子

    小林美恵子君 それで、私、現状ではどうかというふうに思うんですけれども、例えば最近は自動券売機でありますとか自動改札機、本当に普及をして利用者の皆さんにとっては利便性が図られてきたというふうに一方ではあると思うんですけれども、しかし、逆にまた、みどりの窓口の廃止とか、改札での人による対応が縮小されてきている面もあります。しかも、インターホンとモニターなどの設備で行う遠隔操作が導入され、都市部でも改札に駅員を配置しない鉄道事業者が生まれてきています。私は、これ自体、最大のバリアフリーに逆行しているというふうに言わざるを得ないんじゃないかというふうに思うんですね。  それで、例えば遠隔操作が障害者施設の最寄りの駅となるところでも導入されているというのがあります。  それが、一例を申し上げますと、大阪のJRゆめ咲線で桜島駅というのがございます。ここもこの四月から遠隔操作ですけれども、改札の無人の時間帯が作られました。ボックスの中に入っておられるんですけれども利用客が利用される際にその時間帯にはその人がいらっしゃらないわけです。見えないところにいらっしゃるといいますか、どういうふうに言ったらいいんでしょうかね、そういう状態になっておりまして、障害者の皆さんにとっては本当に利用する際には大変なんだということなんですね。  私は、こういうことは本来、公共交通事業者としてのやっぱり社会的責務を果たしているとこれはやっぱり言えないんじゃないかというふうに思う、そのことを一つ指摘をしておきたいと思います。  それで、資料をお配りしましたけれども、やっぱり私、このバリアフリーを進めていく上で国と事業者の役割は重要だというふうに思います。見ますと、輸送機関分担率でいきますと、公共交通機関の中でも二〇〇三年度で約七割を占めるのが鉄道事業者です。その中でも、旅客の利用が多いのがJRや十六社の大手の私鉄、地下鉄の事業者です。資料にもございますけれども、五千人以上の鉄道の旅客施設バリアフリー目標は二〇一〇年までで一〇〇%、到達は四九・一%ということで、一〇〇%にするためには頑張るということをこれまでの審議でも答弁をされてきました。  しかし、見ていただきますように、事業者によって随分格差があります。例えば大手の私鉄でいきますと小田急電鉄は九〇%、東京急行電鉄は八七%、一方、名古屋の名鉄は二九%、東武、京浜急行や南海電鉄は三〇%台です。しかも、東京メトロは九%などなど、私はどうしてこうした格差が生まれるのかというふうに思うんですけれども、それがひとつ一点お聞きしたいのと、もう一つ、時間がありませんので重ねて質問してお聞きしたいと思いますけれども、この資料をごらんいただきましたらお分かりになりますように、財源問題調べてみました。そうしますと、今申し上げた各社のいわゆる二〇〇四年度の経常利益を見ますと、六千八百七十七億円にもなっています。しかも、余剰金と言われる準備金と積立金の合計をしますと二兆二千九百八十一億円です。一方、バリアフリーの投資といいますのは全部で三百六十九億円。これは新設の駅でありますとか大幅な改築の場合は含まないんだそうですけれども、いわゆる段差の解消の、エレベーターエスカレーターなどの設置をする際の投資というのは三百六十九億円になっているんですね。見てもらいますと、例えば到達が低い名鉄は、百二十七億円の経常利益があってもバリアフリー投資は一億円です。近鉄は二百九十九億円で二億円。私、大阪ですので大阪の私鉄を挙げますけれども、南海は六十億円で一億円です。  私は、そこでお聞きしたいと思いますけれども一つは、どうしてこうした格差が生まれてくるのかと。もう一つは、やっぱり私、鉄道事業者といいますのは公共交通機関です。その法律の中にも、利用者の利益の保護も掲げられていますし、運賃や料金についても、規定についても、適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるというふうにもされています。そういうふうに考えますと、やはり障害者を始め利用者の利便向上をするためには、鉄道事業者の収益を還元することが法律で義務付けられていると私は理解するんですね。そうしますと、私、やっぱりバリアフリー促進していく上では、事業者が財源負担ももっと更に行っていく社会的責務はあると、このことを国としてやっぱり求めていくことは必要じゃないかというふうに思いますけれども、この点、大臣の見解お伺いします。
  52. 梅田春実

    政府参考人梅田春実君) 鉄道事業者によりまして段差解消の進捗率に格差があるんではないかと、その原因は何なんだと、こういう御質問だったと思います。  御指摘のように、現在のところ、一日当たりの利用者が五千人以上の駅のうち段差の解消されたものの割合は、十六年度末でございますが、四九%で一定の進捗を見ているものでございます。  しかし、事業者によっていろいろ事情がございます。例えば、古い駅などホーム幅あるいは階段幅が非常に狭くて、エレベーター等の導入空間の確保が困難な駅を抱えている、その整備に非常に時間を要しているものもございます。例えば、京浜急行、京成などはその例でございます。それから、例えば路線延長が非常に長い、多くの駅を抱えて非常に所在地が広範にわたっている、地方公共団体等とも十分調整を行う必要があるという部分がございます。例えば、御指摘の名鉄などはその一例でございます。  それから、都心部の地下に多くの駅を抱えている地下鉄の事業者、地上の出入口の確保がなかなか難しいというようなものがございます。これは東京メトロがそういうものでございまして、なかなかそういう点で九%というふうに非常に数字的には低いものになっているわけでございます。交通バリアフリー法の施行前からバリフリ化に取り組んでおります関係で実質的に段差解消が図られておりますけれども、その後にこの基準ができまして、その基準を当てはめると合っていないと。例えば東京メトロの場合は、基準適合は九%でございますが、実はこの前からやっているのを含めると五五%ぐらいは実質的に段差が解消されていると、こういうふうになります。ただ今の形式には合っていない。  私どもといたしましては、二十二年度までに原則としてすべての駅にバリフリ化の目標を達成するということで、事業者に対しましては更に必要な支援を行うと同時に、地方公共団体との連携も強化して、自主的な整備も含めて、その整備を着実に進めていきたいというふうに思っております。  それから、もう一点でございますが、利益の点でございます。もう少しバリフリ化に投資を重点化すべきじゃないかという御指摘だと思います。  私ども鉄道事業者の行う投資につきましては輸送の安全確保というのが最優先でございます。これは、それ以外のことにつきましては事業者が経営環境の変化あるいはいろいろな事情を勘案して自ら決定していくものだというふうに考えております。そうした中で、バリアフリー化のための投資、あるいは利用者の利便性、快適性を更に向上させるための投資、こういうものは大分私ども進んできたというふうに思っております。とりわけ、バリアフリー法が成立しましてからは、新設、大規模につきましては法的な義務を、既設の駅につきましては努力義務を掛けております。二十二年度までにすべての駅をバリアフリー化するという目標に向かって、鉄道事業者におきましては、かなりこのバリアフリーにつきまして重点的な投資を行ってきているというふうに思っております。  さらに、私どもといたしましては、こういう点につきまして引き続き事業者に対しまして支援をしてまいると同時に、この目標の達成に向けて最大限の努力をするよう指導してまいりたいというふうに思っております。
  53. 小林美恵子

    小林美恵子君 時間が来ましたので、終わります。     ─────────────
  54. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、松田岩夫君が委員を辞任され、その補欠として西銘順志郎君が選任されました。     ─────────────
  55. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  提出法案に移動円滑化経路協定というものがございますが、移動円滑化経路協定とはどのようなものなのでしょうか。また、今後どのような役割や効果があるのでしょうか、お伺いいたします。
  56. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 地下鉄の駅でございますとか、それから橋上駅のように地上と離れている、地下とか橋上とか、離れている駅につきましては、地上まで降りていくために、上っていくために垂直移動をしなくちゃいけないということで、バリアフリー化のためのエレベーター等の設置が求められます。そこで、最近では、駅自体ではエレベーターを造る場所がないようなケースでも、隣のビル、駅につながる民間ビル利用してエレベーター等を設置して、そういう中でバリアフリー化を図っていくという例が増えているところでございます。  せっかくそのような形で民間の方に協力してもらっても、その所有者が替わったときにそれを維持することができなくなるという問題があります。それから、各種の施設整備現状を見てみますと、それぞれの施設が個別にバリアフリー化をする中で、各施設間の接続部に段差があったりするという連続性が確保されていないという問題があります。  したがいまして、土地所有者等が当事者間の合意によりまして、駅から外に出られるまで一体的、連続的にバリアフリー化された経路を整備、管理しようというのがこの移動等円滑化経路協定の目的でございまして、そういう協定を定めて市町村長の認可を得るということになりますと、所有者が替わった場合でもその協定の効力が及ぶということで、バリアフリー化の努力が安定的、永続的に担保できるということになるわけでございまして、こうした制度を設けることによって重点整備地区内における民間レベルで行われるバリアフリー化のための取組を後押しできると、こういう効果があると考えております。
  57. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 移動手段としてのハンドル式電動車いすは今後広く普及することが予想されます。ハンドル式電動車いすによって移動を保障するためには、先ほどもお話ありましたけれども、車両の開発又は人員の配置など解決すべき課題があります。  車両の開発については、やはり行政が積極的に財政面においてもイニシアチブを発揮する必要があると思います。現場で働く者の過重な労働を避けるために現場での人員配置を進めるよう、やはり業界に指導していくべきではないかと思うのでありますが、どのようにお考えなのか、お尋ねいたします。
  58. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) バリアフリー化のためには、ハード面のみならず技術開発、ソフト面、様々な対応の充実強化が必要だと思います。  障害者方々への対応のための人員の配置でございますけれども、各事業者において保有する施設状況とか具体的な利用状況を踏まえながら適切に対応していただくことが必要でございまして、国土交通省においても、これらの取組促進されるように促してまいりたいと考えております。
  59. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 今回の法案では身体障害者の代わりに障害者等が挿入されましたが、その趣旨というものが余り明確でありません。車いす利用される人だけではなくて、視覚・聴覚障害者知的障害者、精神障害者の皆さん等にも、当然この法案の対象としてみなされるべきであろうというふうに考えます。妊婦や子供連れの方、それから大きな荷物を持った方にもやはり優しい交通機関を目指すべきだと考えるんでありますが、見解はいかがでございましょうか。
  60. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 本法案の対象者でございますけれども高齢者それからすべての障害者方々、それから妊婦さん、それからけがをしている人等が、非常に物理的に動きにくいという方々を何とか動きやすくできるようにしようというのがこの法案でございます。したがいまして、この法案に基づきましてバリアフリー化促進されるということになりますと、子供連れの方とか大きい荷物を抱えた人と、今先生御指摘のような方も移動が容易になるわけでございまして、そういう観点から我々はこの法案を運用してまいりたいと思います。  それから、IT等の新技術の活用と、こういうようなことも大変重要でございまして、ユニバーサルデザインを進めるということから、すべての方々に優しい公共交通機関の実現が図られるよう努力していきたいと思います。
  61. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 提出法案では、基本構想策定時の協議会制度の法定化、それから住民等の基本構想の作成提案制度の創設など、住民などの計画段階からの参加促進する措置が盛り込まれました。これは大変大きな前進と評価をしたいと思います。この中に具体的に当事者がどのように参加できるか考える必要があると思います。  今でも、せっかく置かれた点字の案内板が上下逆さであってみたり、駅のエレベーターが不便なところに設置をされてみたり、駅員を呼ばないと使えなかったりという声も聞かれます。一番状況が分かっているのは、やはり当事者の方の声を計画や事業に生かしていくことが何よりも大切なことではないかと思うんです。したがって、形だけ整って魂が入らないバリアフリーにならないように、やはりこの制度を生かすための人材の育成、登用が課題と考えますが、見解はいかがでございましょうか。
  62. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 公共交通事業者におきましては既にいろいろな職員の訓練等にも努めておられるところでございますが、更にこれをバックアップしていく必要があると思います。鉄道事業者の中には、介助に一定の技能を有する係員を配置する等、人的対応の充実が図られていると承知しております。  国土交通省におきましては、こういう事業者の自主的な取組促進されるように、知的、精神障害者等方々への対応に関するマニュアルの作成とか、公共交通事業者の従業員の社内教育向けプログラムの策定等の施策を実施しているところでございまして、今後ともこれらの施策に取り組むことによって、公共交通事業者における人材育成等を促進してまいりたいと考えております。
  63. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 私は、バリアフリーに関する様々な苦情、問題を受け止める組織を行政の側に設置する必要があると考えます。確かに基本構想に住民が参加をすることは重要ですが、日々の生活で遭遇する諸問題を解決する場を設けることによってバリアフリー法が有効性を発揮をし改善されていくと考えますが、その見解はいかがでございましょうか。  また、設備や施設だけでなく、シルバーパスを充実をしたり障害者割引に対する公費負担制度を創設するなど、ソフト面でも生活交通をだれでも利用しやすいようにすることが必要だと考えますが、その見解はいかがでございましょうか。
  64. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 様々な苦情とかお申出に対する組織的な対応についてでございます。  これにつきましては、例えば国土交通省の中ですと、海難審判とか、それから建設工事の紛争についてはそういう特別の準司法的な機関でやって、大変な大きな件数も処理しているわけでございますが、なかなかそういう新しい組織をつくるというのは今難しい状況にあると思います。しかしながら、我々としては、ワンストップサービス化でございますとか、そういう既存の組織を十全に活用しながらこの問題に的確に対応していきたいと考えております。  それから、運賃等の障害者割引の件でございます。  現在、障害者方々に対する公共交通機関の運賃割引につきましては、この割引による減収というのは他の利用者の負担によって賄う形で行われておりますから、この割引をするかどうかは各事業者の自主的な判断ということでございまして、主として身体障害者及び知的障害者方々に対してこういう割引運賃制度がございます。  この割引対象を精神障害者方々とかその他の障害者に対して拡充するかどうかと。これにつきましても、基本的には事業者の判断になるわけでございますが、国土交通省としては、そういう要望が多数ございますので、例えば鉄道局長、自動車交通局長、航空局長から関係団体に対しましてそういう要望をお伝えして、そういう割引について理解協力を求めてきているところでございまして、今後とも引き続きそういう関係者の理解協力を求めていきたいと思います。
  65. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 ただいまの問題は大変難しいことは分かっておりますが、今回の法案で身体障害者の代わりに障害者という言葉が挿入されると。この文言の意味というのは大変重いものだと私は思いますね。そうすると、障害者の期待というものはそこにやっぱり集まってくると思うんですよ。今答弁でありましたように、多くの問題が集中的に出てきているということは十分ひとつ御理解されて、制度上の問題、昔であれば運賃値上げするときにその問題入れていけばよかったと思うんですよ。しかし、今のような運賃の在り方、ありようの問題の中では、すぐさま運賃の中に入れていくなんというのは大変難しい状況下に、環境下にありますから、どうかひとつ、今のお伺いしましたお話の中でもございましたように、関係するところと十分御協議いただいて、できるだけそれらの要望にこたえていただくように御要望を申し上げておきたいと思います。  最後になりますけれども、私は、これまで幾度ともなくここで質問をさせていただいたわけですが、理念的にはやはり高齢者障害者の皆さんの移動の自由の一つの権利として保障することが重要ではないかと何回も述べてまいりました。私たちはやはり衣食住交について、いつでもだれでもどこでもというキャッチフレーズで、憲法十三条、個人の尊重、幸福権の追求権と、憲法第二十二条の居住、移転の自由、それから憲法二十五条の生存権に基づいた新たな権利、人権として交通権の確立を求めております。これは既に民主党とも共同で交通基本法を提案をしています。  国民だれもが、つまりどこに住もうが、どこにいようが、身体的状態であろうが、自由、安全に移動をして、社会生活に参加することは国民の権利であり、政治の責任でもあると思います。今こそこの交通権の確立ということが大変重要な時期に来ているのではないかと、このように思うのでありますが、大臣の御見解をお伺いして、質問を終わりにします。
  66. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今御審議いただいております法案そのものが、元々は憲法のおっしゃった十三条や二十二条や二十五条に位置付けられたその趣旨を生かしていこうという趣旨でこの法律があるということは、もう私もそのとおりだというふうに理解をしているところでございます。  ただ、この法律の中で、交通権や移動の権利という形で明記をした場合に、その内容が明確化されている必要があると思うわけでございますけれども、例えば新設される施設のみならず既存の施設も含めてバリアフリー化されていない場合には、バリアフリー化を求めることができることとするというふうにまで権利性を認めていきますと、そのための交通事業に対する国の関与権限の強化だとか財政支出の大幅な増大、それをだれが負担するのか等々、こういう課題があるということも是非理解をお願いしたいと思っておるところでございます。  この法律では、第四条から第七条にかけまして、国の責務、地方公共団体の責務、そして施設設置管理者等の責務、そしてさらに、国民の責務と、心のバリアフリー国民の一般の責務として位置付けさせていただいた上で、そして第八条以下で具体的な施策について拡充をさせていただいたところでございます。  この法案が通すことができましたならば、今後、省令とかガイドラインとか、さらには市町村で基本構想が策定されていくということになっていくわけでございまして、そういう具体化の中で、しっかり高齢者方々障害者方々等の移動円滑化がしっかりと進みますように、しっかり取組をさせていただきたいと思っております。
  67. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 終わります。
  68. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより原案並びに修正案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより高齢者障害者等移動等円滑化促進に関する法律案について採決に入ります。  まず、山下君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  69. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 少数と認めます。よって、山下君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  70. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、大江君から発言を求められておりますので、これを許します。大江康弘君。
  71. 大江康弘

    大江康弘君 私は、ただいま可決されました高齢者障害者等移動等円滑化促進に関する法律案に対し、自由民主党民主党新緑風会、公明党、日本共産党及び社会民主党護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     高齢者障害者等移動等円滑化促進に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、高齢者障害者等を含めて誰もが自由かつ安全に移動し、あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるべきであるというノーマライゼーションの理念の下に、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、バリアフリー化進展に向けて、国、地方公共団体事業者及び国民は、それぞれの責務を有するとの本法の趣旨の周知徹底による意識啓発を図るとともに、バリアフリー・ボランティア等の人材の育成等ソフト面についても充実を期し、ハード、ソフト両面あいまった施策を継続的に講じていくこと。    なお、本法に規定する「障害者」については、身体障害者のみならず、知的・精神障害者、発達障害者を含むすべての障害者対象として、その運用に当たること。  二、基本構想に基づく特定事業計画の作成・実施状況について適時調査を行い、その公表を行うとともに、施設の構造又は設備に起因する高齢者障害者等事故についての情報の把握に努め、施設機能の適切な維持・管理及びスパイラルアップが図られるよう努めること。  三、建築物、旅客施設等の事業特性及び地域の実情に応じた計画的な施設整備のため、実施体制に問題を有する施設管理者や厳しい財政状況にある地方公共団体に対し、実効性ある支援措置を講じるよう努めること。  四、災害時の避難所として使用される学校等の施設バリアフリー化促進されるよう関係行政機関との連携を強化すること。また、バリアフリー化が必要な施設には、ホテルの客室等も含めるよう検討すること。  五、国は、施設設置管理者に対し、高齢者障害者等車いすの使用を正当な理由なく拒否すること等が起こらないよう指導すること。また、鉄軌道駅ホーム等における転落防止等のための可動柵の設置等安全上の措置が講じられるよう努めること。  六、ハートビル法交通バリアフリー法の一本化に伴い、関係行政機関対応窓口のワンストップ化等高齢者障害者等からの相談等に適切に対応するよう努めるとともに、重点整備地区におけるバリアフリー化の推進に当たっては、福祉施策との連携が図られるよう関係行政機関は協調・協力すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  72. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいま大江君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  73. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 全会一致と認めます。よって、大江君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、北側国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。北側国土交通大臣
  74. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 高齢者障害者等移動等円滑化促進に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝を申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長始め理事の皆様方、また委員皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。  大変にありがとうございました。
  75. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時七分散会