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加藤敏幸君 ここを生きた協議会にさせていく、現実そういうものをつくっていくということが本当に一番のポイントだというふうに思います。議事録等については、公開することができるという精神じゃなくて、都合の悪いことがあればそれは協議会の中で相談をして決めていただくけれ
ども、できれば広く公開した方がいいんだと、こういう精神ではないかと、このように思います。
さて、それに関連いたしまして、もう
一つ重要なポイントが残っております。今回の法改正は全体として
バリアフリー化を大きく
促進していくものと判断はできますけれ
ども、不十分な点として
幾つかあると。その
一つは、苦情処理策が確かでないということであります。
前回の
委員会でも
山本議員が
国土交通省のホットラインステーションのことに触れられましたけれ
ども、総合
政策局長がその運用について
説明をしていただきました。簡単に言えば、これは個々の苦情を個々のセクションが
対応して、
情報提供者に個別にこの結果をお返しするという個別
対応の苦情処理策であったというふうに思います。
やはり重要なことは、
高齢者、
障害者等の皆さん方が、差別事例や不満に思ったところを個人的に電話をしたりインターネットに書き込むのではなくて、正式な苦情処理
機関に持ち込んで、そこで組織的に
対応していく、こういうことではないのかと思います。様々な
問題点が生じた場合、例えば九州や北海道の人が一々東京の
国土交通省に電話をしたりはしないんじゃないかなと。あるいは、その電話をして、たらい回しにされたという、過去そういうふうな事例もあったということであります。
そこで、この苦情処理
機関の問題でありますけれ
ども、これは
前回議論した法の
目的と密接にかかわる
課題であります。いわゆる憲法に根差した権利という私は
大臣が発言をされたと。しかし、法の
目的の中には、公共の福祉に資すると、こういうふうに書かれてあります。これは行政学的な論争、
議論になるわけでありますけれ
ども、この苦情処理を公的に
対応する場合には、やはりそれは侵してはならない権利というものがあって初めてこの苦情処理がしっかりと公的な
場面で処理されると、こういうふうな権利
関係があるというふうに思います。
現在、差別的取扱いに対する、すなわち権利侵害に対する救済
措置というふうなことでは行政的救済がやっぱり一番
機能しているというふうに思いますし、実例で言えば、男女雇用
機会均等法というものがあり、例えて言えば、行政的救済として、募集、採用、解雇にかかわる女性差別の紛争において都道府県労働
局長による紛争解決援助策とか
機会均等調停
委員会による調停、それからセクシュアルハラスメントでは
企業内における苦情処理制度の
整備義務付けと、このようにいわゆる権利侵害等に対する苦情処理については各面いろいろ努力をされているし、今日的
状況でいえば、司法救済のみではなく行政救済を含めた広くいろんなレベルで救済をしていくということが必要だと思います。
権利を侵害されたと受け止めている
高齢者、
障害者等の皆さん方が直ちに損害賠償請求という行動に出るということではなくて、そこは、自分たちに対して特別な
配慮だとか恩恵ということじゃなくて、ある基本的な権利に根差した主張に対してはしっかりとした社会的な
対応を当然のこととしてしていただくと。そこには堂々とした対等の
関係というふうなものがなければ本当の意味での苦情処理ということにはならないし、この
法律が目指している、
高齢者の皆さん方、障害等をお持ちの皆さん方にはやはり社会全体としてその
移動をできる限り保障していくという、これが近代国家日本としての国の正に到達した私は品格のある社会の実現なんだと、こういう理想に基づいて、私はしっかりとこの苦情処理というふうなものを受け止めていただきたいと、このように思います。
これから
高齢者がだんだん増えてまいります。私の両親ともに足が悪くて
移動が困難だと。ここにおいでの健康な議員
先生方もいずれはそういう
高齢者として立派なお仲間になっていくし、日本は世界で一番高齢化が進むし、お隣の中国は更に、一人っ子政策ですから、日本の倍速で高齢化していくと。そういうふうな
状況を見たときに、正にこの
バリアフリー化というのは日本が先鞭を着けたやはり世界に誇れる制度なんだという思いを込めて、私はこの苦情処理を含めた
システムというふうなものもしっかりつくっておいていただきたいと。
やや発言が大げさになったような思いもありますけれ
ども、これが私は思いであり、またそういうふうな精神で冒頭
修正案の
提案もされたんではないかと、このように思っております。
移動の権利ということについて、
大臣は否定をされているわけじゃなくて、やはり気持ちとしてはそうなんだと、こういうふうなことも言っておられますので、苦情処理
機関の考え方あるいはその
課題について
是非とも前向きな御検討をいただきたいということと同時に、御見解をお
伺いしたいと思います。