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2006-04-20 第164回国会 参議院 国土交通委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月二十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         羽田雄一郎君     理 事                 伊達 忠一君                 脇  雅史君                 大江 康弘君                 山下八洲夫君                 西田 実仁君     委 員                 太田 豊秋君                 小池 正勝君                 末松 信介君                 田村 公平君                 中島 眞人君                 藤野 公孝君                 松村 龍二君                 吉田 博美君                 加藤 敏幸君                 北澤 俊美君                 輿石  東君                 佐藤 雄平君                 田名部匡省君                 前田 武志君                 山本 香苗君                 小林美恵子君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   北側 一雄君    副大臣        国土交通大臣  松村 龍二君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       吉田 博美君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        警察庁交通局長  矢代 隆義君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部技術参事官   舌津 一良君        国土交通大臣官        房長       春田  謙君        国土交通省総合        政策局長     竹歳  誠君        国土交通省道路        局長       谷口 博昭君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君        国土交通省鉄道        局長       梅田 春実君        国土交通省自動        車交通局長    宿利 正史君    参考人        日本身体障害者        団体連合会会長  小川 榮一君        DPI日本会議        ・交通問題担当  今福 義明君        国際医療福祉大        学大学院教授   野村  歡君        全日本視覚障害        者協議会総務局        長        山城 完治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○高齢者障害者等移動等円滑化促進に関  する法律案内閣提出) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  高齢者障害者等移動等円滑化促進に関する法律案審査のため、本日の委員会日本身体障害者団体連合会会長小川榮一君、DPI日本会議交通問題担当今福義明君、国際医療福祉大学大学院教授野村歡君及び全日本視覚障害者協議会総務局長山城完治君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 高齢者障害者等移動等円滑化促進に関する法律案を議題といたします。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変お忙しい中、本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  参考人方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査参考にしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。  まず、小川参考人今福参考人野村参考人山城参考人の順序でお一人十五分ずつ御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人方々の御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず小川参考人お願いをいたします。小川参考人
  5. 小川榮一

    参考人小川榮一君) 小川でございます。大変、こういう機会をちょうだいいたしまして、重責に感じております。着席させていただきたいと思います。  高齢者障害者移動円滑化促進に関する法律案に対する御要望を、日本身体障害者連合会長でございます小川榮一でございます。  一つ、初めに、平成六年に制定されました高齢者身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物促進に関する法律ハートビル法及び平成十二年に制定されました高齢者身体障害者等公共交通機関を利用した移動円滑化促進に関する法律交通バリアフリー法等により、これまでに、駅、ターミナル空港等旅客施設での段差の解消や視覚障害者誘導用ブロック設置身体障害者用トイレ設備公共交通機関バリアフリー化の推進など、私たち障害者公共交通機関等を利用して移動する際の利便性並び安全性向上が一段と進んできていることについては高く評価するものであります。  そして、このたび、この二つ法案の、両法案対象外であった道路路外駐車場都市公園等を追加、新設・改良時のバリアフリー化を義務付け、これらの既存施設や百貨店、病院、福祉施設など既存建築物バリアフリー化努力義務対象になる本法案は、障害者にとり社会参加促進に大きく前進をするもので、大変有り難いと思っておりますが、地域によせる一体的、連続的なバリアフリー化向上となる本法案の制定に大きな期待を寄せるものであります。  二つ施策に関する基本的視点。  ユニバーサル社会実現二つ、限定されない行動範囲のための連続的な移動経路確保三つ、本法案と関連するバリアフリー促進施設関係省庁連携強化による政府一体となった着実な強化お願いしたい。四つ国民バリアフリーに関する意識向上に向けた心のバリアフリーへの積極的な取組五つバリアフリー化取組に対する支援充実強化六つ、市町村の基本構想策定事業実施に至るすべての段階における当事者参画の徹底、七つ障害者基本法障害者自立支援法にあるような三障害対象としたバリアフリー施設展開八つ学校教育社会教育を通じたバリアフリー意識啓蒙普及お願いいたしたい。九つ選挙権の行使に係る建物やアクセスなどバリアフリー化促進、国連での審議中であります障害者権利条約並びに条約に基づいて制定されるでありましょう障害者差別禁止法整合性のあるバリアフリー施設展開お願いしたい。十一、東横インの例を見るまでもなく、悪質な業者に対する罰則強化も御検討いただきたい。  大きな三番、基本的施策視点。  一つハード面整備。  旅客施設車両等における整備。  一つ駅等における転落防止施設ホームドア可動式ホームさく点状ブロック等整備二つ、一日平均利用者数五千人未満旅客施設におけるエレベーター及びエスカレーター設置三つ、時間制限せず常時利用できる上下双方エスカレーター整備など、四つ車いす利用者やオストメートが利用できる多機能型公衆トイレ設置及びトイレまでの移動バリアフリー化整備も併せてお願い申し上げたい。五つ旅客施設及び車両内における日常だけでなく緊急時等においても対応できる音声文字表示案内や職員の対応整備六つ福祉タクシー導入の一層の促進七つ車両内における電動車いすを含む車いすスペース確保八つコミュニティーバス観光バス高速バス等を含めたノンステップ導入の一層の促進も御検討いただきたい、お願い申し上げたい。九つ、旅客船や旅客機内における通路やトイレ等バリアフリー化促進、十、旅客機利用の際にする電動車いす対処方法の配慮、十一、ターミナルビル内の搭乗口とロビー間のカート等における移送の補助、十二、駐車場ターミナルビル間の移動手段バリアフリー化促進お願い申し上げたい。  括弧二番、道路。  一つ歩道橋へのエレベーター設置義務化二つ歩道整備歩道幅拡大放置自転車等に対する罰則点字ブロック設備促進三つ音声信号機設備普及促進四つ、電柱や道路上の看板等の撤去、五つ屋根付駐車場整備促進及び電動車いす等が使用できる駐車スペース拡大など。  三つ建築物。  一つ床面積二千平米未満建築物の新築及び増改築に関するバリアフリー化義務化。二番、敷地内及び館内における誘導ブロック設置車いす利用者を配慮した動線整備三つエレベーター前やトイレ内等における音声情報案内整備促進及び案内係等要員教育指導四つ、緊急時における誘導対応教育指導五つ共同住宅学校におけるバリアフリー化義務化。  二つ目バリアフリーに対する国民意識啓発。  一つ障害の様態や障害者に対する正しい理解のための育成二つ、心のバリアフリー育成三つユニバーサル社会実現啓発四つ公共の場におけるマナー意識啓発。  大きな四番でございます。支援措置基本的標準適合。  各種補助金の交付。二つ地方公共団体の助成を実施する場合の地方債特例三つ固定資産税等への課税の特例など。  大変、具体的な課題よりも多くの問題点お願い申し上げましたが、どうぞよろしくお願いを申し上げて、日本身体障害者団体長としての意見の陳述に代えさせていただきます。  ありがとうございました。
  6. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) どうもありがとうございました。  次に、今福参考人お願いいたします。今福参考人
  7. 今福義明

    参考人今福義明君) DPI日本会議交通問題担当今福義明です。よろしくお願いいたします。  私は、電動車いすを使用する障害者です。また、私はDPI日本会議交通問題担当として聞いていただきたいことがあります。  二〇〇〇年に現在の交通バリアフリー法成立して、現在までの五年間に、同法成立以前と比べて、同法のバリアフリー化対象公共交通機関は飛躍的にバリアフリー化されました。特に、地下鉄や大手鉄道事業者大手バス事業者駅設備車両バス車両バリアフリー化は驚くべき変化です。同法の成立によって、多くの移動制約者が円滑に移動できるようになりました。  また、同法の大きな特色である自治体による基本構想策定により、駅を中心とした重点整備地域歩道バスターミナル等整備も、だれにでも使いやすいユニバーサルデザイン観点が生かされるようになってきました。  しかし、新たな問題も出てきました。その点を是非聞いていただいて、これから審議される交通バリアフリー新法をより良いものにしていただきたいと願うものです。  一点、私たちは、一乗客、一利用客として、他の乗客と同じように対等に扱われたいと強く願っています。ここで言う私たちとは、電動車いす使用障害者だけではもちろんなく、手動車いす使用障害者も、視覚障害聴覚障害知的精神障害を持つ人たち、そして高齢者や乳母車を押す人たちも含めてです。ですから、交通バリアフリー新法においては、私たちを一乗客、一利用客として明確に位置付けてほしいのです。一乗客という考え方はちょっと分かりにくいかもしれませんが、一乗客と同じように利用したい。利用できる情報を得たい、情報を得れるようにしていく努力を求める記述を盛り込んでいただきたいと思います。  例えばです。この観点がないと、例えば数百億円を投じて導入される次世代新幹線車両においても、私たち車いす使用乗客はデッキでしか乗車できないという、安全でない、円滑でない、快適でない乗車を強いられることが予想されてしまいます。例えばですが、二〇〇五年三月十九日にデビューしました小田急の新型特急において、私たち車いすの者が安全に乗れるスペースがないんです。トイレに行くにもカフェを通らなければならない、非常に車いすスペースというものが狭い。何百席もある席の中で、乗客としてわずか一時間の乗車が円滑にできないという現実があります。つまり、既存バリアフリーの仕様において一乗客として位置付けられていないためにそのようなことが起こったんだと考えます。  今、私たち公共交通機関を安全に安心して移動したいと強く願っています。そのために、私たちにとって安全ではない、転倒や転落事故が起こって大けがや心的トラウマになるようなキャタピラ式階段昇降機や急勾配スロープバス障害者高齢者に対する無理解な不接遇による事故が二度と起こらないようにしていただきたいと思うのです。  具体的には、ホームからの転落防止に最も有効なホーム可動さく整備数値目標を立ててください。現在、国内には大中小合わせて九千五百駅の駅がありますが、ホーム可動さく設置されているのはまだ三%の二百七十駅ほどです。新設駅においてもホーム可動さく設置されないということになっています。是非ホーム可動さく設置を義務付けていただきたい。視覚障害者の方だけではなく、車いす障害者の私たちの仲間もホームから転落していることがあります。その事例報告書に載っています。  また、車いす対応エスカレーター交通バリアフリー基準から除外してください。二〇〇四年、二度にわたって車いす使用者車いす対応エスカレーターから転落事故を起こしました。重傷になりました。国内千五百基車いす対応エスカレーター導入されていますが、確かに順次エレベーターが付いていますが、車いすエスカレーターで上から下に降りるとき正に絶壁に立たされた思いです。ロシアンルーレットのごとく、いつだれが落ちるか分かりません。このように車いすのだれもが不安に、恐怖に思っている安全でない昇降機交通バリアフリー基準に入っていること自体がおかしいと考えます。是非除外していただきたいと思います。  また、国内全駅から交通バリアフリーガイドラインにも入っていないキャタピラ式階段昇降機を全廃してください。これは、二月七日に東京メトロ永田町駅において、券売機を積んでいたキャタピラ式昇降運搬機が落ちて、一人の方が死亡した、二人の方が重軽傷になられたというのと同じ構造のものが私たち車いす障害者国内的に運んでいるんです。これは大手民鉄、例えばJR東日本には千七百駅のうち五十基ぐらいあります。このような危ない機械を是非撤廃していただきたい。  また、聴覚障害者の方の強い要望である、公共交通機関における緊急時のお知らせ文字情報サービス数値目標を立ててください。  三番、現行交通バリアフリー法基本的趣旨は、公共交通機関を利用する障害者高齢者移動円滑化にあることは言うまでもありません。しかし、過去五年間、信じられないことですが、交通バリアフリー法移動円滑化基準適合している設備で、車いす障害者等乗車拒否あるいは利用拒否された事例が報告されています。鉄道路線バスなどの公共交通機関によって、納得できない不合理な理由乗車拒否あるいは利用拒否されたら大変につらいです。現代社会では考えられない抑圧です。どうしてこんなことが起こるのでしょうか。これは障害理由とした差別ではないでしょうか。また、大きな矛盾だと思います。是非交通バリアフリー新法においては、新法趣旨に違反するようなことが起こらないように法文に盛り込んでいただきたいと強く願います。  例としては、ハンドル式電動車いすを使用せざるを得ない障害者の人が、交通バリアフリー基準適合した新型エレベーター乗車拒否されたり、いまだに新幹線において乗車拒否されています。新幹線はすべて交通バリアフリー法移動円滑化基準適合した車両を持っているわけです。その車両においてすら乗車されないというのは考えられないことです。また、ノンステップバス、国や市区町村補助金を出して運行しているノンステップバスの多くが、路線固定されず時刻を固定されずして、つまりいつどこに乗れるバスが走っているのか分からないという状況に置かれています。千葉県はすべての路線がそうなっています。このようなことは乗車拒否と同じことだと思います。また、現在市区町村が建設する図書館や公民館でバリアフリーでない設備ができるものは全くないと言っていい中で、コミュニティーバスバリアフリーでないものが走ったりします。これもまた矛盾だと思います。また、大型のリフトがありながら電動車いす障害者乗車拒否していた例といったこともあります。  四番、交通バリアフリー法における移動円滑化基準バリアフリー化適合設備の中には、事業者による適切な操作運用がなくては、つまり駅員さんとか運転手さんの適切な操作、介助がなくてはそれらの設備そのものが十全に機能しない設備が幾つかあります。それらの設備をいつでも利用できるように操作運用接遇サービス義務化してください。  私たち車いすにとっては、ホーム車両との段差すき間において、国内九千五百駅の一〇〇%に近い形でまだまだ一人で乗り降りすることができません。そんなときに、交通バリアフリー法の中に位置付けられているのは、ホーム車両との段差に支障を感じるときは一以上の設備を備えなければならない、これが具体的にはホーム渡り板携帯用スロープなんですが、これは駅員さんが使ってくれないと使えないわけです。ですから、このようなホーム渡り板や、あるいはバスにおけるスロープや座席の跳ね上げ、固定の仕方、これらも運転手さんがしてくれないと駄目な設備なわけです。これらの設備操作接遇サービスについては、是非義務化していただきたいと思います。  ありがとうございました。
  8. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ありがとうございました。  次に、野村参考人お願いいたします。野村参考人
  9. 野村歡

    参考人野村歡君) 参考人野村歡でございます。  今年の四月から国際医療福祉大学大学院というところに職を変えましたが、それまでは日本大学理工学部というところでこれまで四十年間、高齢者障害者皆さん方生活環境整備の在り方を研究してきた者でございます。  レジュメに沿ってお話を申し上げます。  一、新法に対する全体評価ということですが、これまでお話がありましたように、両法、ハートビル法交通バリアフリー法ともに十分に社会で役割を果たしてきたというふうに私は評価をしております。しかし、この両法が一体化することによって、更に高齢者障害者地域生活をすること、あるいは社会活動参加がより活性化されるのではないかと大いに期待をしております。また、新法は、先生方のお手元に参考資料というのが配付されておられるかと思いますが、その百二十五ページから百五十六ページにユニバーサルデザインに対する考え方という実はペーパーがございます。この懇談会におきまして様々な障害者団体あるいは高齢者団体あるいは事業者団体からの御意見をいただいてそれを取りまとめたものでございますが、そのかなりの部分がこたえていただいているということで、懇談会取りまとめ役として大変感謝しているところでございます。  二、新法に対する個別評価でございます。  法の名称がほんの一字変わっただけでございますけど、これは大変実は意味を持っている。ということは、これまでの法律では「身体障害者等」という言葉になっておりましたけれども、今度は「障害者等」というふうに、この二字が削除されているわけです。これは、今までは「身体障害者等」の「等」の部分知的障害者及び精神障害者を読み込むのだという解釈がされておりましたけれども、これは平成五年に障害者基本法という法律ができておりまして、ここではっきりと「「障害者」とは」ということで三つ障害を明示しているわけで、そういう意味におきましては、私は障害者基本法整合性が図られた形であるということで評価をいたします。  二番、交通バリアフリー法ハートビル法一つ法律に一本化された、さっきも申し上げましたけれども、これは法律がきっちりと守られていれば本当は問題がないはずなんですが、現実にはいろいろなすき間があるわけでございます、現場において。そういう意味では、現場環境整備するときによりスムーズになるのではないかというふうに思います。例えば、道路整備される、あるいは建築物整備される。しかし、その道路建築物の間に段差があれば何の意味もないということが現実にたくさん今まであったわけです。そういうことから考えると、今度はそういうことがなくなってくるのではないかというふうに思います。  また、新法では、基本構想を定めるに当たって協議会設置ということがうたわれております。これは交通バリアフリー法ではかつて位置付けられておりましたけれども、新法では当然ハートビル法関連建築物も包含されることになりますので、更に大きな視点基本構想が企画立案できるというふうに期待しております。ただし、この基本構想は、設定することができるというレベルにとどまっておりますので、それが設定されなければまだ効力が発揮できないということになりますので、その点についてもこれから御配慮いただきたいと思います。また、高齢者障害者等当事者参加ということが、これが明記されたことは大変評価をしたいと思っています。  三番、駅を含まない地区重点整備地区とするということですが、これまでは駅を中心としてその半径五百メートルあるいは一キロということに基本構想が策定されておりましたけれども、必ずしも駅を中心として発展している都市ばかりではないわけで、そういたしますと、そういうところでもこれからこの基本構想が実施できるということで私は大いに期待をしているわけです。  さらに、四番目に、交通バリアフリー法関連対象物都市公園路外駐車場、それから道路が入っておりませんが道路まで拡大されたことにより、高齢者障害者地域居住あるいは生活圏が更により拡大されまして、いろいろな障害がない人たちとの生活格差がより少なくなるのではないかというふうに思っております。  そういう意味で、新法に対して大変評価をしたいわけでありますが、さらにまだディテールの部分については決められているわけではございません。そういう意味で、それも含めて今後の課題という形でまとめさせていただきました。  法の趣旨への国民理解促進というのがございます。ただいま今福参考人からもお話がありましたように、乗車拒否あるいは放置自転車あるいは道路上の不法占有物件、そういうものがたくさんあるわけで、これは国民皆さん方の御理解をよりいただかないとなかなか達成できない。法律の上では施設設置管理者責務あるいは国民責務が明記されているものの、現実には十分な成果を収めているわけではございません。それによって、継続的な政府広報あるいは公共広告等で法の趣旨をより徹底していただきたいと思います。更に付言させていただきますと、法の対象となる建築物でいいますと二千平方メートル以上ということになっておりますが、この法の精神からいえば、すべての建築物がこの法を守るべき性格のものであると私は考えております。この限定していることは、これは行政手続上の問題でありまして、そういうことを考えますと、国民意識啓発がこれからより重要になるのではないかというふうに考えております。  二枚目に参ります。  基本構想策定への誘導ということ、これ先ほどちょっとお話をしてしまいましたけれども、法の二十五条におきまして、この法の基本構想の設定ということがあります。これは自治体でこの基本構想策定を置かなければ何にもならない、そういうことで、この協議会が置かれるように、国あるいは都道府県、政令都市レベルで更にここのことを強く推進する方策といいますか、手段をお考えいただくとより効果的ではないかというふうに思っております。  三番、施行令、規則を策定する際の配慮ということで、これから施行令あるいは規則等が、作るに当たってディテールが決まってくるわけですが、その中に、今まで以上に考えていただきたいことは、情報障害と言われる視覚障害あるいは聴覚障害への配慮した基準の検討ということがございます。これまでの基準は、主として肢体不自由者を対象としたものであります。聴覚障害視覚障害、ないということではありません、ありますが、更にこれを充実することが必要ではないかと思います。  その下の黒ぽちですが、今の法律建築物、交通機関をどうやったら利用できるかということに対しては随分配慮がされているわけですが、それでは災害時が発生したときに一体どういう状況になるのか。これについては、十分検討されているとは私は思えません。ということは、例えば地震あるいは風水害、火災、そういうことになりますと、第一次避難所になるのは学校でございます。その学校生活施設でないために、そこで実は大変皆さん、高齢者障害者の人が苦労してその避難生活を送っておられるわけです。そういうことから考えると、私はやっぱりいざという場合の配慮ということがこれから必要でありますし、さらに、その学校に避難をするということは大事なことですが、一方で、社会福祉施設におきましても、これは二十四時間施設ですから、そういう非常時に対する対応ということをこれから検討していくことが私は重要なことではないかというふうに思っております。  それから、その下の子供の利用ということがありますが、次世代育成支援ということが叫ばれており、また平成十六年の十二月にそのプランが出ておりますが、そこにはバリアフリープランということが書いてありますけれども、余りディテールのことについては触れられていない。少なくとも、これから基準を考えるときには小さな子供さんがいるということ、まあ六本木ヒルズの例を見るまでもなく、あるいは私の経験では、橋の欄干がガードレールで造られているためにその間に大きなすき間が空いている、そうすると子供さんがその間から落ちてしまうということは十分に考えられる、そういう現状がまま、まだあちこちにあるというふうに思っております。  さらに、将来的には次の事項について検討をお願いしたいということで、今回の法律では難しいかもしれませんけれども、四番、建築物の用途別、面積別に対象建築物を検討していただきたい。  例えば、今は建築物では床面積が二千平方メートル以上というふうになっております。ここで決められている特定建築物の中には、二十項目ありますが、一つ建築物で二千平方メートル以上あるのはなかなか難しいというような建築物もあります。もちろん、それは不特定多数の人が利用するからということではありますけれども、ならば、そういう建築物についてはもう少し面積を下げて、よりこの法律が有効に働く方法があるのではないか。また、官公庁の建築物については、基本的には国民の税金を使って建てられている建築物ですから、こういうものについては面積をもうとにかくできるだけ下げて検討していただきたいというふうに思います。  その下に書いてある、小規模建築物というのがあります。これは面積二千平方メートル未満でございますので、こういう建築物は実は対象外になってしまうことが大変多いわけですが、しかし、我々の生活の中でコンビニエンスストアあるいはファミリーレストランというのは、かなりこれはもう身近なものでございます。そういうところが法の対象から外れるということは、やはり国民の日常生活を保障するというレベルまでにはこの法律は至らない部分がある。そういう意味において、この部分については何か附帯決議等で御検討いただけないだろうかというのが私の個人的な意見でございます。  そして最後に、五番目になりましたけれども、建築物の用途別基準の採用ということで、今は、特定施設という言葉があります。これは特定建築物建築物の中のどういう部分をかつてのハートビル法で適用されるかということになりますが、移動経路ということで、玄関、廊下、階段、エレベーター、そしてまあ便所ということが付いているのが中心ですが、現実建築物にはそれぞれ目的がございます。その目的を達することができなければ、その建築物に近づけたとしても、意味がないわけですね。  そうすると、それぞれの持っている建築物の目的を達成せしめるような配慮ということが今後必要ではないかと思います。例えば劇場の客席であるとかあるいは音楽ホールの席であるとか、そういうこともあるでしょうし、ホテルで客室に泊まるということが実は大変意味があるわけで、それが泊まれなければ何の意味もないわけですから、そういう意味において、この法律が更に有効に国民の皆さんの生活に大きくいい効果を現すためには、そういう細かい部分について今後御審議をお願いしたいというふうに思います。  以上でございます。
  10. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ありがとうございました。  次に、山城参考人お願いいたします。山城参考人
  11. 山城完治

    参考人山城完治君) 山城といいます。よろしくお願いいたします。  今日、こういう場をいただきまして、本当にありがとうございます。  それで、私は視覚障害、視覚情報障害なんですけど、視覚障害というのは当たり前のことが分からないというのがあるんですよね。それをまず言いたいと思うんですね。  視覚障害になって町を歩くときにいつも思うことは、自分が今どこにいるか分からない。自分はどこにいるのかな、駅のどこにいるのか。例えばここにいて、ここは全体の中の、この部屋のどこにいるのかというのが分からない。それから、どっち向いているか分からないというのがあるんですね。私は議員さんの方を向いているのかどうなのか、これが分からない。それから、歩くときにどう歩けばいいのかというのが分からないというのが視覚障害。つまり、皆さんにとっては何でもないこと、当たり前の情報がないというのが視覚障害者なんですよね。  例えば一つの、この法律の例でいいますと、法案が出ているみたいですけれども、出ていますけれども、点字の法案がないわけですね。私たちはその当事者であり、今度のその法律のまあ主役の一角であると思うんですが、その私たちがその法律を読むことができない、点字が出てない。これは、こういうことはやっぱり改善していかなきゃいけないなというふうに思うんですね。  まあそういうこともありますので、私は、法律の全体に触れるんではなくて、視覚障害者の立場から、特に命やけが、安全にかかわることについてを中心お話ししていきたいというふうに思います。  それで、まずここに三つの不自由と三つの遅れというのがあるんですが、視覚障害者社会参加、そして平等な暮らしのために、私たちは、三つの不自由と三つの遅れ、この克服が課題だというふうに考えているわけです。  三つの不自由、これはまず歩行、移動の不自由、読み書きなどの情報入手と発信の不自由、それから就労の不自由です。三つの遅れというのは、制度と技術開発、障害を補うための制度と技術開発の遅れ、それから視覚障害者に対する理解啓発の遅れ、それから人権と民主主義の遅れというふうに私たちは整理をしています。  これを一々説明していくと大変なことになりますので、まず簡単に、この三つの不自由というのは、まあ病気の治療で言いますと、表治法というか症状療法ですね、対症療法、それから三つの遅れというのは根本療法というふうに認識していただきたいなというふうに思います。これらをやっぱり解決していかなきゃいけないということが非常な私たちにとっての課題であり、社会地域課題にもなるのかな。また、私たちはそういうふうなことをやっぱり踏まえていきながらいろいろと行動もしていかなきゃいけないなというふうな思いです。  さて、この今度のバリアフリー新法の中で、やっぱり歩行、移動の問題にどうしても触れなきゃいけないわけですけれども、私たちが町を歩くときに、ここに四つのバリアのことを書いてありますけれども、「落ちる、ぶつかる、つまずく、迷う、見えぬ歩行の四難儀」というふうになっていますけれども、これは、唱えていただければ七・七・七・五になっているんですね。三・四・四・三・三・四・五というふうにちゃんと言いやすく私はしているつもりなんですけれども、ここの中で、これを私たちはまず解決していかなきゃいけないというふうに思っています。  落ちる、これは痛いですよね、当たり前、けが、もう一番これは落ちるのは困る。ぶつかる、これもしょっちゅうです。つまずく、迷う。これは視覚障害者が、全盲の者が歩くということは落ちることであり、ぶつかることであり、つまずくことであり、迷うことなんですね。これが今の社会の現状だと。これを解決していくのがこのバリアフリー新法のはずだと私たちは確信をしているんですけれども、これを、法律を読んでいると、なかなかそういうものになるのかなというのが見えてこないというのが正直な私の印象なんですね。  その中でとりわけ説明をしなきゃいけないのが、まず駅のホームからの転落の問題です。駅のホームは欄干のない橋である、全盲者の歩行は綱渡りというふうにしていますけれども、正にそのとおりなんですね。  今日、視覚障害者の仲間も傍聴に来ていますけど、ここに来ている人はみんな駅から落ちている、ホームから落ちています。まあおしなべて、おしなべて半数、弱視者も入れて半数、全盲者も入れれば三人に二人が落ちているわけですね。毎日歩く視覚障害者はどうかというと、これはもう九割方落ちていますね。私たちの仲間は落ちてない人を探すのが大変。まあ昔はこう言われていまして、仲間で話すと、おまえホームから落ちたことあると言ったら、まだと。まだ一人前の盲人じゃないねと。まだそれが続いているということです。  具体的に言いますと、去年の十一月にも、私たちの知り合い、仲間が二人落ちているんですね。ここに、対策のところに書いてある可動式ホームさく、この可動式というのが大事なんですよ。  というのは、十一月に一人落ちている男の人は東急池上線で落ちているんですが、ここは固定式のホームなんですね。この固定式のホームさくというのが危険でして、さくって付くと大体人が減るという策、対策なんですね。さくと言うと人が減るという対策。それで、固定式は、これはくしの歯が欠けているように空いていますから、ここから視覚障害者は落ちるんですね。池上線では、私の知る限り、四人ほどの仲間が落ちているんですね。こういうことからしても可動式ホームさくというのは絶対必要です。  それからもう一つ。そうはいっても、可動式ホームさく、そう簡単に付かないよというふうになりますよね。そうすると、やっぱり、まあ言えば可動式じゃないところは落ちて当たり前なんです。そうなると、落ちるということになると救わなきゃならないですよね。そこにやっぱり人が要るんですね。  これは私の経験をちょっとお話ししますけど、もう十数年前に私の目の前でホームから落ちた人がいたんですね。私もこういういろんな運動をやっているから、いやあと思ったけど、飛び降りて、まあ二人で上げようと思ったんですね。そうすると、上がらないんですよ、百二十センチ、百三十センチですね。いやあ、一回降ろして、どうしようかなと思って電車の向こう側を見て、来ないかなと思いながら、そうしたらもう一人降りてきたんですね。三人いたら上がったんです。ここで分かった、三人いりゃ上がるんだなということが分かりました。  それともう一つは、駅員さんがちゃんと電車を止めてくれる、そうしたらやっぱり私たちも安心して、私たちもじゃないけど、安心してそういうことができるわけですよね。そういうことを強く感じました。だから、やっぱりホーム要員必要なんですよね。だけど、実際は減っている。実際、私がその現場のときにも駅員さんはいませんでした。そういうことが状況だということなんですね。  次に、音響式信号機の問題です。  これも私たちにとって非常に危ないところの一つなんですけど、この信号があることによって、視覚障害者は、まず横断歩道があるんだな、それから今青信号なんだな、それから渡る方向がある程度、ある程度分かる。逆を言いますと、それも分からないで渡っているんですよね。それが視覚障害者、とりわけ全盲の実態なんです。ここに対策、音の出る信号機を付けてほしいということが書いてあります。  私言っておかなきゃいけない。私の子供が生まれたときに、ちょっと出生届けに行こうと思って感じたことがあるんですよね。それは、私ちょっと見えるんです、〇・〇一ぐらいなんですけど。そうすると、信号見えなくて、車が同じ方向に渡ったんで、私もああ青かなと思って渡ったんですね。そうしたら、向こうへ行ったら人が立っているじゃないですか。ああ、しまったな、信号無視やっちゃったなと思ったんですね。でも、ちょっと何となく分からない、何となく不満が残ったんですね。考えてみたら、いや待てよ、おれ、信号無視してなかったな、そうすると、無視しているのは信号の方だなということに気が付いたんですね。つまり、視覚障害者の存在、それでやっぱり渡らなきゃいけないということを行政の方がきちっと認識してない。まあ言葉はきついけど、無視しているということがあるんですね。それを私は強く思いました。  それから、私もう一つ、子供と一緒に渡ったときに、ここは信号が青のとき渡るんだよと言ったときに、私はずっと待っていたんですね。そうしたら、ずっと、何か向こうに赤いのが見えたから赤信号だと思ったら、五分ぐらいたっても変わらないんでおかしいなと思ったら、子供が、お父さん、ここ信号ないよって笑ったんですけど、つまり信号が見にくくなっているんですね。それから、周りが赤い電気なんか一杯ありまして信号が分からないという状況が生まれてきています。  それからもう一つは、これは将来的に是非エスコートゾーンという横断歩道の点字ブロックというのも是非付けていくように、そうしたら安心して渡れていくなというふうに思っています。  最後に、私はまちづくりのことを考えるときに、まちづくりってやっぱり民主主義であり、社会参加を進めるものなんだな、その到達点なんだなというのをよく思います。  一つだけ言わせていただきますと、交通バリアフリー法エスカレーターができましたけれども、このエスカレーターに点字ブロックで誘導しない仕組みを国はつくっているんですね。そうするとどうなるかというと、階段のないところ、エスカレーターだけのところには点字ブロックの誘導がなくなってしまうんですね。点字ブロックは道ですから、私たちにとって道がなくなるという状況が生まれています。今、町を歩く者にとってエスカレーターはなくてはならないものですね。これを是非視覚障害者にも使えるようにしていただきたいということを思います。  私は、今回の法律で、後の方に要望を一杯書いてあります。しかし、私たちにとって、じゃどうなのかという辺りが非常に見えてこないということを思います。それは、この法の中に羅針盤というんですかね、羅針盤としての権利規定の問題、それから予算措置が、エネルギーがどうなるかという予算措置の問題等々がやっぱりあると思います。その辺を是非議論していただいて、私たちの安全な歩行移動確保するような、そういう法律に一歩でも前進させていただきたいというふうに思います。  どうもありがとうございました。
  12. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  なお、大変恐縮ではございますが、時間が限られておりますので、簡潔に御発言くださいますようお願いを申し上げます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 末松信介

    ○末松信介君 どうもおはようございます。自由民主党の末松信介でございます。今日は四人の参考人の皆様には、日ごろ当たり前のことに我々気付いていないということを御指摘いただきまして、誠にありがとうございます。  まず最初に、野村参考人にお尋ねをしたいと思うんですけれども、実は今回の法律、先生もう既にペーパーに御指摘のとおり、身体障害者等の等が取られて障害者ということになりましたので、広くあらゆる障害者対象対応していくということになっている点が大きな特徴でございます。三年前の夏、ハートビル法が改正されて施行されたんですけれども、そのときにある新聞の社説を見ておりましたところ、一歩前進であるけれども足らざるところがあると。どういうところかといったら、先生が御指摘になった情報障害者聴覚障害者についてどの条文にも盛り込まれていないということが三年前の夏に書かれていたわけなんですよ。  具体的な例として、極めて当たり前のことなんですけれども、ホテルで一人で泊まったときに非常ベルが聞こえないということとか、館内のアナウンスが聞こえないということ、車のクラクションも聞こえないということ、病院での名前を呼ばれても聞こえないということで、そういう点で非常に聞こえない不利益とか精神的な苦痛ということが述べられていたわけなんですけれども、その中で、米国の障害者を持つ米国民法あるいは消防法並みに聴覚障害者に対して光とか音増幅とか振動、文字で知らせる、そういった規定を盛り込むべきであるという指摘があったわけなんですよね。  私は思うんですけれども、今日実際、山城参考人あるいは今福参考人もお越しになったわけなんですけれども、この今回の法律というのは更に一歩前進をしたわけなんですけれども、そのまだ足らざる視点という点はどこかということを聞きたいんです。むしろ足らざる点よりもどう実行に移していくかという各論が大事だとおっしゃるかもしれませんけれども、今ここで先生だったら何が欠けているかという点がありましたら、指摘を是非いただきたいと思っています。まずお願いします。
  14. 野村歡

    参考人野村歡君) 視覚障害をお持ちの方は聴覚によって不十分なところを補い、聴覚障害をお持ちの方は視覚によってその不自由な部分を補うと、こういうことでございます。そういたしますと、視覚も聴覚も両方とも障害があると、そういう情報を欠くときには非常に苦労される。日本には、ちょっとはっきり分かりませんが、多分二千人ぐらいの方がそういう方がおられるわけで、行く行くこういう法律が更に完備する方向に行くとすれば、やはり一つそういう問題があるのではないかというふうに思います。
  15. 末松信介

    ○末松信介君 ほかに先生御指摘の点がありましたら。それと、ほかの参考人皆さん方、今回の法律、七十条ぐらいできているのかな、こういう視点がもう少し盛り込まれたらとか、今後将来見込んだ場合、ここを補っていくべきじゃないかという点があったら是非この機会に教えていただきたいと思います。
  16. 野村歡

    参考人野村歡君) それでは、視覚障害聴覚障害でもっと基準の中に組み入れてほしいことは、今先生の御指摘のように音声情報を更に多く提供していただきたい。あるいは、私も町を歩いているときに感ずることは、サイン計画がかなり不親切ではないかというふうに思います。  実は、細かいことですが、今日私は永田町の三番から六番の出口に出ると、一番、二番の出口はどこにあるかと一切書いていない。それから、七番、八番がどこにあるかということも、三番—六番のところに上がっちゃったらどこにも書いていない。これは我々にも不便なサイン計画です。そういう見方をすると、本当に視覚障害聴覚障害の方にサイン計画が十分いっているかというのは非常に疑問を感じます。  それから、外国に行きますと、いわゆるピクトグラムといいまして、絵文字による方法があります。私も皆さん方も外国に行くと、「i」と書いてあれば、これはインフォメーションセンターであるという情報はすっと分かるわけですね。そういう絵文字によるサイン計画というのは私は更に重要なふうに思っています。  また、知的障害の方には、漢字の表記は分からないけれども平仮名だったら読めるという方はかなりおられるんです。そういうことによって町を歩くときにその表示をもっと気を付ければ、ずっと便利になるというふうに考えております。  以上です。
  17. 末松信介

    ○末松信介君 じゃ、今福参考人にお尋ねを申し上げます。  「ここが疑問 バリアフリー新法案 DPI日本会議」ということで、細かくその問題点、施行されてもこういう問題が残りますよということを書かれておりまして、昨晩ちょっと目を通していてなるほどなということを感じたわけなんですけれどもね。  当然、交差点付近にあります広告塔であるとか放置自転車とか、こういったものはもうけしからぬ話でして、これはもう道路管理者なりあるいは公安委員会当局が当然それを取り除くということをやっていかなきゃいけないし、条例もあるわけなんですけれどもね。  私、思うんですけれども、山城参考人お話もありましたように、一回これ線路に落ちた方、落ちないと一人前じゃないという話がちょっとありまして非常に怖いなと思ったんですけれども、ホームドアというんでしょうか、これを設置してほしいと。わずかに今まだ二百七十駅しか付いていないと、九千五百四十四駅全国であるわけなんですけれども。こうしたことを考えたら、もっと進捗させなきゃいけないと思うんですけれどもね。  実際、今の日本の財政状況です。自治体も非常に厳しいわけなんですよね。予算を、財政措置を伴わないでできるバリアフリー促進と財政措置を伴うことによって進められるバリアフリーということで、それと分けることができると思うんですよ。もう一つは、短期的、中期的、かなり長期的というそのスパンで考えていくという、そういう並べ方ができると思うんですけれどもね。  ちょっとお答えはしづらいと思うんですけれども、その辺も踏まえまして、まず簡単にできることはこういうことじゃないかと。さっきの広告塔とか放置自転車がそうなんですけれども、それ以外で、こういうことをやってくれればそういった障害者方々にとってもバリアフリーはどんどん進んでいるんだということが分かるような例というものを挙げていただきたいということを思うんです。  できましたら、小川参考人山城参考人に、象徴的、まあ最優先解決課題としてこれを是非やってほしいというものを、もう余りにもすそ野が広くて何から手を付けて分からぬぐらいたくさんありますんで、最優先課題というものがありましたら、解決すべき課題というものがありましたら、お話をしていただきたいと思います。
  18. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) それでは、まず最初に今福参考人
  19. 今福義明

    参考人今福義明君) 今のお尋ねの件で、やはりまず先にどうしても言っておきたいのは、まず予算措置が伴うものはやっぱり必要なことだと思うんです。つまり、スケールメリットといいますか、国が例えばノンステップバスを標準のバスとして位置付けていただいて国の中でもノンステップバスのみを生産するとなったら、コストが相当にやっぱり下がるんではないかなと私たち素人的には考えるわけです。つまり、国の目標として、やはり五万八千台をすべて本当はだれもが乗り降りしやすいノンステップバスにしていただきたいわけです。  国内に現在ノンステップバスが約八千台近くあるんですけれども、その比率の中身的には、都内に約二千五百台から三千台あって、まだノンステップバスが一台も入っていないのが、国が示した資料によると、秋田県とか沖縄県だといったところに、じゃあと五年たったらどれだけ各地には満遍なく入るんだろうかといったときに、やはりノンステップバスを標準とした位置付けでヨーロッパのようにしていただくことによって、スケールメリットといいますか、そのことによって企業の方もいいものが、よりいい、フルノンステップバスというんですけれども、全く段差がないノンステップバスが出るんじゃないかなということがあると思います。  費用の伴わない面で、観点を知ったら、あっ、これは利用者にとって大変好評だしいいなあというのは、是非、先ほども言いました、国内、私たちのやはり身近な乗り物であるのは鉄道なわけでして、この交通バリアフリー法鉄道に相当力が入っているんですね。それで、九千五百駅のうち、これはホーム車両との段差すき間が全くないというのも、確かに二〇〇五年の二月三日に開業した七隈線においてわずか十六駅はできたんですが、それ以外はすべてホーム車両との段差すき間があるわけです。  そのときにおいて、ホーム渡り板というのは、ホーム車両との段差すき間、つまり段差すき間のところにはすべてホーム渡り板が役に立つということがこの五年間に分かりまして、国内的には約六千駅あると国は報告しています。これは非常に安いものです、数万円とか、手作りでやったら木で作ってもいいわけですから。これを安全なものにしていただいて、普及して、なおかつ駅員さんとか運転手さんがいらっしゃらないときに、運転手さんはずっと必ずいますけれども、それをきっちりと出せば非常に満足度が上がるし、地方において利用の円滑化が進むと考えます。また、これは、商店や航空機や船舶やタクシーや、あらゆるものに段差すき間を埋めるこの板一枚が大きな効果をするものだと考えます。  そして、もう一つ、費用は掛かるけれども、それは通常掛かる費用で、これを入れていただいたらより良くなるというのは、やはりこの五年間で分かってきたことは、何か新たな設備を付けるとき、駅を改造するときとか新型車両を造るときとか、そういったときにできるだけ多くの障害当事者がそこに入ると。そのことによって、ああしてほしい、こうしてほしい言ったときに、費用の面だけを考えるんではなくて、そのアイデアを取り入れて改良すればすごく満足度が高まるんですね。そのいい例が中部国際空港でありますとか愛・地球博なんかにおいては、完璧というものではありませんが、非常にいいものができたと私は思っております。  以上です。
  20. 小川榮一

    参考人小川榮一君) 小川でございます。  今、末松先生から御意見、お尋ねをちょうだいしたわけでございますが、私は、身体の、特に私、原爆患者でございます。体が極めて、一見上肢を見ますとどこが障害なんだろうと、こういうことを尋ねられるわけでございますけれどもが、広島の原爆患者でございまして、常に生きていて良かったという、心の中では私は、やはり四十五年前から、社会参加促進をしてほしいと、自立して参加して交流して生きがいを感じる、これやはりどんなにハンディを持っていても、生きているというあかしのためには、交流をする中でやはり励ましもちょうだいしたい、それから人の心ということでは、やはりどんなことがありましても自分一人では生きていけないと、こういう思いを込めますと、移動する手段の交通関係については最大の関心事でございます、障害者にとりますと。  本日も、大変私は、私が自身で気付かない点もございましたけれどもが、これが地域でやはり理解をしていただけるような財政的な関係、私も地方議員を、一人ではできないということで地方議員四十年間、一昨年までで私務めてまいりました。当時はハンディを持っている者に対する意識が大変厳しゅうございました。どっかにハンディがあるのに、不具という言葉を私聞かされて、やはりこれは私自身では、ここでくじけてはいけないということで、四十年間旗振り続けてまいりました。ですから、やはり沿革、大勢の方々理解をしていただく、これが最も大切であろうかと思います。  一昨日は、私、栃木県の那須のふもとから今朝も飛んできたわけでございますけれどもが、やはり交通手段、これが一番社会参加の大きな道でございますし、おとといは那須の方の会議に出ましたときに、交通バリアフリーの陳述の際にはどうかひとつ、代表でその場に参画できるのだから国会議員の先生方国民啓発できるような状態のお願いをしてきてくれと、切実なお願いでございました。これも音声の出ない方、それから視力の方の強い要望でございますので、どうぞ今日の参考人の御意見ということを先生方に御理解していただいて、国においては、私はやはり関係省庁、全体の省庁に、障害者問題は私は今日は決して厚生労働省だけでないと、国民全体として先生方に御指導、啓発お願いしたいということを、特に心を込めて先生方お願いを申し上げたいと思います。どうぞひとつよろしくお願い申し上げます。  以上でございます。
  21. 山城完治

    参考人山城完治君) 私は、コストの問題、確かにコスト、可動さくなんか掛かると思います。それでも、安全ということはやっぱりきちんと保守、何というか守るということをまず是非位置付けていただきたい。それで、可動さくもいろいろな形でやっぱり研究したり作っていって、開発していって、それがないと、初めから高いなということではなかなかコストも下がらないと思うんですよね。やっぱり安全を守るという視点に立っていただきたい、これが大事じゃないかなと、一つ思います。  それから、じゃ安くてできることというふうに言われますと、すぐ思うのは、一つは音響式信号機なんかのときに特に思うんですが、標準装備にしてしまえば、わざわざ音響式信号機、バリアフリー対応というふうにするからやっぱり高くなると思うんですね。標準装備にしていくと安くなっていくと思います。  それからもう一つ、安全にとって大事なことというのは、やっぱり統一することだと思うんですね。バリエーション、個性を出すところと、それから統一して、例えばトイレの、私たちトイレ入るとどこに流すボタンがあるか分からなくて困ることがありますよね。それは、その辺は最低限度のところはやっぱり統一をして、そして個性の要るところには大いに個性を出していただく。その、何ていうか、バランスを是非広げていっていただきたい。  もう一つ言わせていただきますと、山手線では、山手線のホームの内回りと外回りとでは、アナウンスの声が男性の声と女性の声と統一されているんですね。そうすると、男性の声は外回りなんですけれども、あ、外回りだなということをすぐ分かりますから、詳しく聞かなくても分かるわけです。そういったコストを掛からないでやると、その辺は、もっと言うと、障害者、利用している者とのやっぱり話合いというんですか、一緒に歩いてみたりするということを、今この法律にもありますけれども、そういうことをどんどんどんどんやっぱりしていく。そうしていく中で、だんだん質も変えていくということをやっぱり粘り強くどんどんどんどんやっていただくというふうに、それが大事だというふうに思います。  以上です。
  22. 末松信介

    ○末松信介君 時間が参りましたので、この辺で終えたいと思うんですけれども、最後に、野村先生、災害時や非常時の避難を含めた基準の検討ということを書かれていますけれども、私、今、神戸市、ちょうど阪神・淡路大震災のときに神戸市におりましたんですけれども、やはりあの特徴というのは、まずは戦後初めて都市直下型の地震が起きたということと、高齢化社会を日本が迎えて初めて起きた大地震であったということ。そのときにやはり高齢者障害者対応ということについていろんな議論がなされました。透析患者の方なんかたちまち困ってしまったんですよ。こういった問題、死角になる点、しっかりと踏まえながら、先生方からのいろんなまた御指導いただきたいと思っております。  今日はいいお話を聞かしていただきまして、ありがとうございました。
  23. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 民主党の佐藤雄平でございます。  今日はそれぞれ参考人の方、貴重な、そしてまた本当に身に迫ったお話を聞かしていただきまして、ありがとうございました。  私も、今考えると、おととい質問をさしていただいたんですけれども、参考人の皆さんの話を聞いてからの質問の方がよかったかなと今思っておりまして、その中で、それぞれ参考人の方から聞いた中でなるほどなと。たまたまこうして傍聴人の席を見ておりましたら担当の竹歳局長が来ておりまして、先ほどの今福さん、特に山城さんの話については一つ一つ何かうなずいておられましたんで、多分に実現するであろうと、そんな思いをしております。  この法案の中で質疑をさせてもらったとき、私はどうしても、出身が福島県、小川さんの隣なんです。そして、五千人という数字とそれから二千平米、これがどうしても気になっちゃって、どうも大都市部、もちろん大都市部も大事でありますけれども、地方からすると、地方はどうなっているのかな。障害者はもちろんでありますけれども、高齢者の比率からすると地方の方がはるかに高い、そんな中で思ったわけでありますけれども、五千人規模を中心というふうなことでやっておりますと、約三分の二が大都市中心の旅客、人の集まるところになってしまうんです。  今度は二千平米というふうなことになってくると、今度、来月からまちづくり新法というのをまた議論をするんですけれども、このまちづくり新法の中で、やっぱりコンパクトシティー、ちっちゃな町、いわゆる郊外に行った量販店から町並みのにぎわいを戻そうということで、ちっちゃな町になってくる、コンパクトな町になってくる。そうなってくると、物買い、それから飲食店にしてもいわゆる二千平米以下のところがほとんどになってしまうんですね。そうしますと、障害者の皆さん、そしてまた高齢者の皆さんの利活用をするときに、そこが対象になっていないとどうしても不便を掛けてしまうであろうと、そういうふうな中でそれぞれ質問をさせていただきました。  小川参考人、そして今福参考人、そして山城参考人、この辺を中心に、今国会で出された本法案に対してそれぞれ私は要望があると思うんですけれども、先ほどもお聞きしましたが、まずその五千という数字、二千平米以上と、これについての御感想をお伺いしたいと思います。
  24. 小川榮一

    参考人小川榮一君) 今の、大変佐藤先生から有り難い御意見をちょうだいいたしましたが、私は東北線、いわゆる宇都宮線からも、先生、五千人以下ということを強く遠隔の方々が、なぜ五千人という基準を国は定めているんだと、五千人のところから乗った障害者と、降りるところはやはり二千人あるいは千人ぐらいの駅に降りなければならないんじゃないだろうかと。これ、おととい私は、実は那須塩原で強く、先生、御指摘をちょうだいしたので、どうかひとつ先生方にも、乗るときには障害者としての施設から乗せていただける、しかし降りるときには千人の駅もありましょうし、大都市に向かうとき、これが私どもが社会参加という状態で、この壁はやはり取っていただければということで御要望を私も申し上げている次第でございます。  ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  25. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 あと、二千平米ってありますね。これは先ほど野村先生からもお話しになったんですけれども、これは税制上の恩典があるかどうかというので。だけど、つくる方からすれば税制上の恩典というのは極めて有り難い話ですから。そういうふうな点からすると、私は使うのはもう本当に、今もその話しましたけれども、町の中で二千平米以上の売場面積持っているというのはもう体育館以上ですからね、もうほとんどが町には以下の商店だと思いますんで、その件についての御感想を。
  26. 小川榮一

    参考人小川榮一君) 大変ありがとうございます。  地域格差という状態から先生考えますと、私どもの地帯では、やはりどうしてもそれ以下の状態ということについても御指摘のとおりお願いを申し上げたいということでお願いをしているわけでございます。社会参加ということについては、やはりハンディを持つ立場の者も人という状態の権利をお認めいただければ大変有り難いと。  大変ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  27. 今福義明

    参考人今福義明君) まず、駅に関しては、一日乗降客五千人以下の駅に関しても、今回の新法においてはできる範囲のというか何か、小規模の駅に関してもバリアフリー化していくとのことで、大変期待しているところであります。  交通バリアフリー新法ができる前から、新設駅においては、国内の九千五百駅のうちでも、五千人未満の駅であっても、いわゆる橋上通路や地下通路を通るようなところにおいてはエレベーターができる傾向にあったわけです。また、交通バリアフリー法の基準に一〇〇%適合はされていないにしても、この五年間において五千人未満の駅でもバリアフリー化整備がなされてきたことは十分分かりますので、それを更に二〇一〇年に向けて、やはり先ほども、私の所見ですが交通バリアフリー法というのは鉄道バスに非常に重点が置かれ基準も厳しくなっておりますので、やはり乗った駅がバリアフリー設備でも降りる駅がそうでない、つまり多くは観光とか移動するとき、またあるいは地方から移動するときにおいても、駅とかバスとかいうのはすべてA地点からB地点、B地点からC地点に行って初めて役に立つものですので、一〇〇%にならないと極端な話、利用ができないということがあるわけなんですね。  ですから、是非できる範囲のバリアフリー設備を、障害当事者の参画、高齢者等の参画を踏まえて実現していただきたいなと思って、かなり駅に関しては期待しております。  しかし、建築物に関しての五千平米というのは、これは……(発言する者あり)あっ、二千平米ですか、二千平米に関しては相当不安、問題があると思っております。  というのは、何万平米というような建築物において、都内なんかはもう雨後のタケノコのように新設ビルが建っておりますが、結局先ほどの野村先生のときにありましたように、建物の主要な用途、つまり飲食店のレストラン街であったらレストランに入れて初めてその主要な用途になるわけですが、通路とかトイレができても、レストランに入るのに要するに段差があったり、店舗内段差があったり固定いすであったり高いカウンターであったりすると、車いすの者はアクセスできない。また、視覚障害者にとっては点字メニューがなかったり選べなかったりとかすることだと思うんですけど。  例えばの例ですけども、秋葉原駅にできたヨドバシカメラで、二十七店舗あっても十店舗近くが店舗内段差があって入れない。これは決してヨドバシカメラが珍しいことではなくて、丸の内ビルであるとか、もうあらゆるところがすべて相当な比率にああいうような店舗内段差があり、入れないというようなことが何万平米の建築物においても起こっているわけです。  また、それは宿泊施設においてはもう全く指摘されているとおりでして、是非、建物の主要な用途、目的が達成できるようにしていただきたい。つまり、利用できることを目的とした法文を入れていただきたいと思います。
  28. 山城完治

    参考人山城完治君) 私、五千人と二千平米ですけど、私は効能書きだと思っているんですけどね。だから、そこにやっぱり薬が、効能書きが除外されているんだなというふうに、私はそういうふうに理解しているんですけど。  例えば、点字ブロック、私、点字ブロックは命綱だと言いましたけど、点字ブロックがないとどうやって歩くと思いますか。つえをホームの縁に垂らすんですよ。そうすると、電車がこう来ますね、つえをはじき飛ばす。そうしないと道がないわけですから、ホームの縁につえを垂らして、電車が来たらぽおんとはじかれるようにして歩かなければ、つまりホームは歩けないですね。昔はそういうふうにみんな歩いていたんですけど、そういうことが起こり得るということをまず言いたいと思います。  それから、お店のことですけど、私たちもお店行きますけど、大体は地域の小さい店の方がやっぱり近いですからね、苦労して交通機関使わなくても、使うの大変ですから、行きます。そうすると、やっぱり入口が分からなくて、入口で迷うということがしょっちゅうあるんですね。よく僕なんかはラーメン屋さんと思ったら何か乾物屋さんだったり、そんなこともうしょっちゅうですね。  それから、私らの仲間で、この間、去年の十一月ごろやっぱりあったんですけど、新宿の、あれもヨドバシカメラだったかな、そこで数段の階段があったんですね。そこで、七十歳ぐらいの高齢の人なんですけど、そこで転んで、そこでお店の人とちょっといろいろとけんかみたいになっちゃったんですけれども、そういうことが起きるんですね。それ、そんな階段なんか、やっぱりもうちょっと配慮を、ちゃんと点字ブロックを入口に敷くとか、そういうことをすればいいと思うんですけど、そういうこともできないんだよというふうなこれ理由になっちゃうということがあるということを是非見ていただきたいというふうに思います。
  29. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 ありがとうございました。  野村参考人に、野村参考人は理工学部というふうなことで、技術的な障害者の様々な施設について勉強なさっていると思います。私も、福島県に日本大学の工学部があって、あそこの佐藤平という教授がおりまして、あの人は福島県の障害者の何か技術的な顧問をやっておりまして、様々な話を聞いたことあるんです。  先般、県に帰ったときに、こんな話を実は聞きました。障害者でも、視覚障害者のずっと通路がある、そこを車いすで走ると凸凹があってしようがないと。ですから、車いすとそれから視覚障害者の両方並立ができるような何か施設を造ることはできないだろうかと、そんな話を聞いてきたんです。  これは、先生御専門家でしょうから、そういうふうな中で何か技術的にそういうふうな開けるようなことがあれば、ひとつお伺いしたいと思ったんです。
  30. 野村歡

    参考人野村歡君) 技術的にはなかなか難しい点がありますが、一つの例として、デンマークの横断歩道を見ますと、横断歩道の三分の二ぐらいは段差をきっちり造っている、要するに視覚障害がある方は段差がないと道路歩道か分からないということですね。それから、残りの三分の一は車いすが通れるように段差がない、要するにスロープで付いている、そういう工夫をされているところがあります。多分、これはアメリカでもそういうことがかなり進んでいるのではないかというふうに思います。ということは、やはりバッティングをする。  ということは、車いすの人を考えれば視覚障害の方には不便だし、車いすのことを考えると視覚障害の方には不便、こういうことがありますので、これはまだ研究を続け、技術開発ができる可能性はあると思います。  ただ、大事なことは、車いすを、車いすの方はたくさんおられるわけですけれども、視覚障害がある方はその段差が分からないと命取りになるという、要するに安全のぎりぎりの部分なんですね。それと不快か不快でないかというレベルはやはり問題を整理する上で大変重要な点であると私は認識しております。  以上です。
  31. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 ありがとうございました。  おとといの質問をさしてもらっている中で、財政的な支援の話がありましたけれども、財政的な支援についてはそれぞれ、財務省も起債を認める、交付金をお出しになるというふうな答弁をいただいております。それから、これハートビル法の中で、ロビーだけがハートビル法に合っているとハートビル法の建物になる。しかしながら、本当は泊まるというふうなことがホテルの場合は主であるというふうなことで、その部屋について云々という話がありました。それについても質問をさしていただきましたら、今回の法律を改正を認めていただいた暁にはこの移動円滑化基準を見直したいと考えておりますと。ホテル客室のバリアフリー化につきまして、障害者団体やそれからホテルの事業者など各方面の意見を広く伺いまして、円滑化基準をこの新しい法律が制定されましたときに併せて検討さしていただくという極めて前向きな答弁をいただいておりますんで、皆さん方に報告しながら質問を終わらしていただきます。  御苦労さんでございます。
  32. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  本日は、四人の参考人の皆様方、大変にお忙しいところ本当に貴重なお話を幾つもお聞かせいただきまして、誠にありがとうございました。  私の方から、まず初めに、小川参考人今福参考人、そして山城参考人の三方にお聞きしたいと思います。  今回のこの法律案、またこれからのユニバーサル社会をつくっていく、あるいはバリアフリーをもっと促進していくと、こういうことで法案が審議されておるわけでありますが、ここでよく言われることでございますけれども、今日もお話をお聞きして、本当に当事者の方々でなければ分からないことを、本当に多くのことを教えていただきました。そうした障害をお持ちの団体の皆さんもいろいろ全国にございますし、またその団体の中に入っておられる方でもいろんな困ったこと、御不安に思っていらっしゃることに遭遇されている方、もう本当に様々だというふうに多分思うんですね。  それで、このユニバーサルデザインを進めていくためにも、いわゆる継続的にもっとこういうふうにした方がいいというような改良点を次から次へとやはりしっかりと伝えていく、そしてまたより良く改善していくという、まあ横文字で恐縮ですが、スパイラルアップというようなことをよく言われるわけであります。  そこで、お三方にお聞きしたいことは、そうした継続的な改良をしていく、もっとこういうふうにしてほしい、利用していてもっとこういうふうにしてほしいというようなことを、あるいは御要望やまた御意見、またいろんな苦情等を含めて、そうしたことを伝えていく手段なりその伝える場なり、そしてそれがしっかりと反映されていくという、こういうことがいずれにしても大事だろうというふうに思うわけでありまして、そうしたこれまでの御経験を踏まえられまして、また団体のいろんな所属されている方々の御意見も踏まえまして、そうした御要望や苦情といったものを当局に対して伝える場合にもっとこういうふうにした方がいいんじゃないかということを、御経験を踏まえて、お三方お一人お一人からお聞かせ願えれば助かります。  よろしくお願いいたします。
  33. 小川榮一

    参考人小川榮一君) 大変有り難い御質問でございます。  私も先ほどちょっと申し上げましたけれどもが、障害者の願いということについては非常に多種多様化、ハンディを持つその部分におきましても非常に多いわけでございます。そういう中で、今回の三位一体の改革という状態で、地方にこの障害者問題も行き届くような指導ということを、私は、是非とも国会の先生方に御指導を、それぞれの立場の先生方がふるさとの行政当局にも私はお願いしていただければ大変有り難いと。先ほどの福島県の佐藤先生、私、お隣なもんですから、障害者団体も交流を深めております。それから、今の西田先生の御意見是非とも、障害者問題は非常に多種、多岐にわたっていると、そういうことについて行政当局ができるだけ把握していただきまして、改善ということについては見直しということで私は対応していただければ大変有り難いと、こういうふうに思いますので、是非とも本日の委員先生方には、里に帰りましたら、やはり地域の福祉ということについて御指導、御鞭撻、理解をしていただけるような方策を取っていただければ大変有り難いと思います。  以上でございます。
  34. 今福義明

    参考人今福義明君) 私はふだん、私だけではありませんが、私たちはふだんから、毎年、例えば都内でしたら鉄道事業者八社さんとかバス事業者さん十三社さん、そのほか様々なところにお話合いの場を持っている関係で、これまでの経験で言えることは、今回の新法においても、いや現行法において書かれているということは非常に大きな効果がありまして、この五年間で分かってきたことは、やはり是非盛り込んでいただきたい。鉄道においてもバスにおいても建物においても実質的に一乗客、一利用客として利用できるように努めてほしいということを是非書いていただいてもらうと。そして、障害当事者だけに限らず、当事者の声を聞いて参考にしてほしいと。今回それが新法において入るんで、それが非常に期待もし、評価するところでもあるんですが。そうしていただくことによって初めて聞いていただく前提ができるんで、やはりそれを是非新法に盛り込んでいただきたいと。  そのことによって、文句言いたいために言うわけではなくて、より良い乗り物であり、より良い建物にするために私たちお願いしているわけですけど、その意見を十分取り入れていただくことがいいし、それを交通バリアフリー法の条文のどこかに、それもパンフレットの分かりやすいところに書いていただくと非常に有効かなと。その先ほどの例が、先ほど言いましたホーム車両との段差すき間を埋めるホーム渡り板交通バリアフリー法のパンフレットのところに書いてありますから、これを言えば、あっそうだねと、法律で必要だからこれは必要だねというのは、やっぱり事業者はそういうふうに理解してくれるわけで、ですからその点をよろしくお願いしたいと思います。
  35. 山城完治

    参考人山城完治君) 継続的発展という意味だと思いますけど、それを実現するために、私が感じていることは、やっぱり専門家がいないということですかね。私たちも毎年、交通事業者などと会うんですが、替わっちゃうんですよね。そうすると、ぱっと戻ってまたやり直しと、こうなるんですね。ああ分かってもらえたかなと思ったら替わっちゃうというのがまず一つ、そういうのがもうしょっちゅうあるんですね。またかと思いながらお話をするんですけど、そういう繰り返しになっているというのが現状だということ。  それから、継続的発展をやっていくためには、やっぱり障害者が後に引けないというんですか、もう発展させなきゃいけないような障害者が、当事者が職員として、行政としてやっぱりいるということ、そして私たちとコンタクトを取って話し合って勉強してやっていくという、そういう体制づくりというのがポイントじゃないかなというふうに思います。  以上です。
  36. 西田実仁

    ○西田実仁君 ありがとうございました。  この継続的な発展ということで、大変に皆様から貴重な御意見をいただきました。  私は地元は、先ほどの佐藤先生とは違って大都市圏でございまして、埼玉県でございます。埼玉県は、一日の利用者五千人以上の駅が実は全国で一番多いところでございます。しかしながら、市町村のそうした基本構想がどの程度定まっているかというと、大変に厳しい状況にございまして、先日も埼玉県内の県北地域のある駅に行きまして、いや、そこはまだバリアフリーになっていないという状況でありました。新しく今法律を審議しているというお話を地元の方ともしておりましたけれども、じゃ、ここの駅はこれまで三分の一ずつだったけれども、全部国がやってくれるようになるんでしょうかという、そういう非常に単刀直入なお話をいただきまして困ったわけでございますが。  結局、正直言って現実的に起きていることは、やはり五千人以上だとしても市町村の財政がやっぱり厳しいと、結局お金の問題にやっぱり帰結してしまっております。思いはまず、どうそういう住民の方々にも御負担いただくという、しかしこのユニバーサル社会バリアフリーをつくっていくということで御協力いただくというまず理解を必要とするわけでありますが、こうした、結局財政の問題に帰結するようなことをどう考えていくのかというのは大変大きな問題だというふうに正直言って現場では思うわけでありまして、野村参考人是非お聞きしたいと思います。  こうした、このペーパーにもございますが、「自治体が積極的に基本構想を策定する方向へ国の積極的なご指導をいただきたい。」と、こういう記載になっておりまして、指導するにしても、別にお金を出すだけじゃございませんで、そういう意味では、それでもやはり進めていくためにはどうしていくのかというこの財政の壁というか、そういう社会をつくっていくということであればもっとやるべきなのか、やはり今みたいな枠組みで三分の一、三分の一、三分の一ということでやっていくことがやっぱり大事なのか。  この辺、大変難しい問題ですが、現実にはやはりそこにぶつかっておりまして、住民の皆さんの御理解社会教育ということも含めて、是非野村参考人の御意見を賜りたいと思います。
  37. 野村歡

    参考人野村歡君) 多少厳しい発言かとは思いますが、お許しいただきたいと思います。  これまで高齢者障害者の問題は福祉の問題であるというところから大体出てきているわけですね。要するに、福祉というのはある意味では哀れむべき者、いわゆる高齢者障害者、低所得者と、そういう視点から出てきて、その人たち生活の最低限を保障するという考え方が割と強かったわけでございます。  しかし、この問題に関してはそうではなくて、やはり同じ福祉でも公共の福祉ということで、すべての市民の幸せのために、あるいは外国では、一人の権利、生活権という権利、それを守るんだということになるわけです。そうすると、福祉という視点でとらえますと、どうしても財政が十分でないというようなことで今までは後回しにしがちでありましたけれども、一人の人間の権利を守るということになれば、これは基本的人権ということにかかわってくるわけですから、これは第一にやらなければいけない問題であると。それはお金があろうとなかろうと、やらなければいけないことはやるということが私は非常に重要ではないかというふうに思います。  そういう意味で、私も含めて、これから少しこういう問題を考えるときには、視点、ベースになる視点を少し変えていく必要があるのではないかと私は思っております。  以上です。
  38. 西田実仁

    ○西田実仁君 そういう意味で、ベースになる視点を変えていくべきだというのはもう正にそのとおりだと思いますが、そうしたことを住民の方々、納税者の方々にしっかりと、お互いに共有していくと、私も含めてですが、そうした社会教育全般の在り方ですね。学校教育でもそうですし、学校だけではなくて、一般社会人になって、特に毎日、朝、通勤電車で、満員電車に乗ってくるような人が埼玉には一杯いるわけですけれども、そういう人たちにもやっぱり理解してもらわなければならないことが一杯ございます。  そうした社会教育の在り方ということについて、もし御意見がありましたら、お願いいたします。
  39. 野村歡

    参考人野村歡君) この問題はもう三十年、四十年前から言われて、なかなか解決できない問題であります。  それは、根本的には、やはり障害ということに対して正しい知識を持たない、要するに私は無知という、あんまりいい言葉でない、それがまずベースにあって、そのために誤解が生じる、それから実は差別や偏見が出てくると、この四段階に実はなっているわけですね。  しかし、私どもの長い歴史を見ると、奈良、平安では一部の障害者が祈祷師であるとかあるいは宮廷の音楽師であるとか、そういうことで恵まれていた方もおられますけれども、それ以後、千何百年にもわたって実は差別の時代が続いてきたわけです。そして、今いきなりノーマライゼーションといっても、なかなかそれを理解するまでには至らない部分があります。  ただ、私どもはそこであきらめてはいけないわけで、それを更に、そのノーマライゼーションということはどういうことかということを国民の皆さんにやはり理解をしていただく努力をあらゆる場面でしていただきたい。特に学校教育等に、あるいは鉄道であれば従業員の皆さん方に新人研修をするときに必ず入れるとか、そういうような方策をこれから真剣に考えていかなければいけない時期かなというふうに思っております。  以上です。
  40. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  今日は、四人の参考人の皆さん、貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。皆さんの御意見をお聞きしておりまして、私も、やっぱり当事者でないと気付くことができない点が本当に随分あるということを改めて痛感をさせていただいたわけでございます。  それで、私は、お聞きしたいのは、まず今福参考人山城参考人にお伺いしたいと思いますけれども、今回のいわゆる新法の中に、いわゆるバリアフリーの基準については政省令で定められるということになっておるかと思います。そうしますと、障害者を始め当事者の皆さんのその基準を作る上での、その関係者の皆さんの声を反映する、そういう参加ということがしっかりと規定はされていません。そうしますと、今日私がここでお聞きしたようなことがどのように反映されていくのか、どういう形で基準が作られていくのかということは大変ポイントになるのじゃないかというふうに思うんです。  その点で、皆さんのやっぱり御意見が基準を定める段階からでもしっかり反映ができるということが仕組み上作られることが大変重要かと思うんですけど、この点、今福参考人山城参考人の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  41. 今福義明

    参考人今福義明君) ありがとうございます。  正にそのとおりだと思います。交通バリアフリー法ができたときに出された基準において私がはっきり言えることは、私たちの多くがその基準に参画できなかったということで、もちろんその提示された意見に関しては意見は出しましたが、それは改正された点もありますが、認められてない点の方が多かったということで、その基準どおりに設備が造られたことによって、あらゆる設備というのは、バスにしても十年から十五年、鉄道車両においてはもう三十年とかそれぐらいのスパンのものに関して、その基準どおりに造られたものから使えなくなったりすることが多いわけですから、是非この基準に、より良く、できるだけ多くの人の声の入ったいいものができるということが本当に実質的な意味での利用ができるかどうかだと考えております。ですから、そういった仕組みについてもきっちりと位置付けていただきたいなと思っております。
  42. 山城完治

    参考人山城完治君) 私、お話を聞いて思ったことは、よくあることですけど、政府が何かやろうとするとき、パブリックコメントというのをよくコンピューターで、インターネット上でやるんですね。あれが困ったことで、いついつまでに、一週間後が締切りだからパブリックコメントをさあ出せというふうなことで、よくあるんですけれども、それをまず探せないという、私あんまり得意じゃないもので、友達から聞いたらもう一日前でうわっと思ったというのがしょっちゅうあるんですね。  そういうことはあるので、一定のやっぱり、今日点字の話しましたけど、こういうふうなことをやりたいと、そして私たちも参加できるような仕組みをしっかりつくって、資料等ですね、しっかりやっぱりつくって、やり取りしながらやるような仕組みを、まあ大変だと思いますけれども、これやらないと社会参画の意味がないわけじゃないですか。そのことを是非お話ししたい。  具体的な例なんですけど、東京都なんかも私たちもしょっちゅう要望を言っててやるんですけど、膨大な資料というか、基準出す前に、普通の字でですよ、どんとくれるんですね。さあ意見ちょうだい。意見ちょうだいと言われてもな、これ読んでもらわなきゃ、まずな、どうしようかなということから始まるわけですね。そうしたら一年ぐらい掛かりそうだなという話になるんですけど。まあ技術的にはいろいろな、コンピューターの技術も進んでますから工夫してできるんですけれども、そういうことができてないですね。  じゃ、どうしたらいいかということも含めて、やっぱり、何というか、対話型に、もういろんな、やればできるんですよ。やって、どんどんお互いに投げ掛けてやっていくような努力をやっぱりそれこそ継続的な発展で積み重ねていかなきゃいけないと思いますので、踏み込んでお願いしたいというふうに思います。
  43. 小林美恵子

    小林美恵子君 そういう仕組みを是非つくっていただきたいという御要望、私も本当にもっともなことだなというふうに痛感をしております。  それで、少し細部にわたってお聞きしたいと思いますけれども、先ほど山城参考人今福参考人も可動式さくの重要性等はお話しいただいたと思うんですけれども、その可動式さくの重要性や、さらに道路の問題では音響信号の重要性とかいうお話もお聞きしました。本当にその辺の推進というのは重要だなというふうに感じるんですけれども。  一点、いわゆる誘導点字ブロックですね、これも命綱だというお話がありましたけれども、それが大変不備になっているということがございました。そのエスカレーターへのいわゆる誘導点字ブロックが中断されていることが、現場でどういうふうに起こるのかという点、山城参考人お話しいただけるでしょうか。
  44. 山城完治

    参考人山城完治君) 私たちの仲間、例えば六本木というのは階段数二百何十段あるんですね、階段が、出るまでに、駅から。それを私たちの仲間は、誘導がないから階段で行かなきゃいけないんですね。もしエスカレーターで行ったら、エスカレーター上がって、また移動したりしなきゃいけないんですね。それをブロックがないから迷い迷って、迷うということはまたぶつかるということでもありますからね、そういうふうにして行っているという状況がまず一つあります。こういうのをなくしていただきたい。  それから、特に駅のホームエスカレーターがある場合、ホームエスカレーターがある場合、ホームからエスカレーター移動しようとしているときに、そこはエスカレーターしかない場合はエスカレーターを探すわけですね。すると、エスカレーターを探す余り転落する状況があり得るわけですよ。私たちの実際の仲間でも、中村橋の駅で利用している仲間は、わざわざエスカレーター使わずに階段までずっと歩いていくわけですよね。そういうことをしているということもあります。  それから三つ目は、都営大江戸線なんかそうなんですけれども、エスカレーターのすぐそばに、あれ、何でしょうかね、柱があるんですね、シャッターの関係かなと私は思っているんですけど、エスカレーターのすぐ近くに柱があるんですね。そこに、エスカレーターの方にちょうど行くときにぶつかる、ぶつかりやすいところにあるんですね。そういう状況もエスカレーター誘導があればなくなるというふうに思っているので、これは法律ではないという話ですけれども、是非是非誘導お願いしたいなというふうに思っています。  以上です。
  45. 小林美恵子

    小林美恵子君 もう一つ、私、今福参考人山城参考人にお聞きしたいんですけれども、この法案を審議する前に関係者の皆さんからお聞きをしますと、ここはやっぱりハードの面ですねというふうにおっしゃる方が多かったんですけれども、やっぱり私は人員の配置ということも重要じゃないかなというふうに思うんですけれども。  例えば、今回、JR東日本でも対話式券売機導入と引替えにみどりの窓口が廃止されようとしています。また、券売機についても、更に改札についても、ましてやホーム転落防止についても機械を導入するだけに頼るのではなくって、やはりホーム要員や有人改札、みどりの窓口の人員配置、やっぱり人の配置がされてこそ皆さんの移動が安全に円滑に行う最大の保障だというふうに私は思うんです。  この点での御意見を、済みません、お二方にお願いしたいと思います。
  46. 今福義明

    参考人今福義明君) 正にその点なんですが、しかしながら一点どうしても観点として強調したいのは、やはりバリアフリー化のハードの整備は徹底的にしていただきたい。その観点は、すべての移動制約者が自立的に、自分、平たく言えば一人で乗り降りできる、それは鉄道バス、あらゆる公共物や船舶に至っても、その観点でまずハードの整備を徹底的に追求していただいて、しかしながら、運転手さんや駅員さんや乗務員さんの、暫定的な途中経過として設備補助が要るというときにおいては、やはりそれは必ず安全で適切な駅員さんの、駅員さんというか、その人的な配置が必要だなと思います。是非、人的な適切な配置人数というのは一体どれぐらいなんだろうかということを一度議論していただきたいなと思う次第です。
  47. 山城完治

    参考人山城完治君) まず、みどりの窓口の廃止の問題なんですけど、対話式券売機というのができているらしいんですけど、これは私は直接見ていない、仲間が見に行ったら、タッチパネルの券売機でこれは全く買えないというふうに言っていました。そういう中で、みどりの窓口廃止というのは非常に困りますね。  今、まず私たち、皆さん、オリンピックで、話は違いますけど、視覚障害者の種目というのは人がサポートするのは多いんですよね。情報を補っていくというのはかなりやっぱり大変なことなんですね。そうだというふうに私は認識しているんですが。機械ではなかなかできないようなことが人でやっていただくということが間々あるんですね。  まず、改札では、改札というのは切符を、通るだけじゃなくて、ここで情報を得るんです、私は。何番線はどっち側ですかとか、トイレはどっち側ですかとかですね。私は、なるべく駅員さんとごあいさつして、そして情報を聞くというふうなくらい駅の改札は大切にしています。改札がもしなくて、みどりの窓口でも、いろいろとそこでいろんな情報を伺ったり、切符買うのもそうですけれども、そういうふうなこともあるんですね。  だから、災害の話も出ていましたけれども、これはどうしてもJRの方なんか行くと、やっぱりお金がないんだということで削減するんですが、私たちは円滑じゃなくてまず安全のためにも人が必要、特に迷うというのがまず視覚障害者の非常な特徴ですので、人が要るなというのは毎日そういうふうに思っているところです。  以上です。
  48. 小林美恵子

    小林美恵子君 最後になりましたけれども、小川参考人にお伺いしたいと思います。  今回の法案で、市町村は、基本構想を立てる際に、当事者の皆さんの参加が、組織することができるというふうに、協議会ですね、なっております。  それはそれで私も大変重要なことだというふうに思うんですけれども、ただ、皆さんが参加されて、どういうふうな構想にするか、計画にするかというと、随分何回も検討を重ねないといけないんだろうなというふうに思うんですね。そういう際に当たりまして、御苦労もあるかと思うんですけど、いわゆる合意形成をしていく上で、協議会の運営等で国が今後どのようにそういう協議会に対して支援をしていくべきなのか、その点で御意見あったら教えてください。
  49. 小川榮一

    参考人小川榮一君) ありがとうございます。  私は、長い障害者運動の旗を振っている立場から、比較的に地域方々障害者問題ということが浸透してきた地域にあるものですから、格差が非常に現実の中で、日本身体障害者連合会という立場で私も各地を巡って歩いているわけですが、今先生がおっしゃるように、当事者が、各市町の、地域障害者問題に理解をしていただくということについては、やはり行政指導ということが私は大変大切でないかと、こんなふうに感じておりますので、先ほどもちょっと触れましたけれどもが、先生方が地方におきます格差のないような情報を行政当局にも御指導いただくような、こういう状態をつくり出していただければ、先生、大変今後の弱者救済の道が、弱者自身の意見が吸い上げられるような状態につくり上げられていただければ有り難いと思います。  以上でございます。
  50. 小林美恵子

    小林美恵子君 ありがとうございました。
  51. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社会民主党の渕上でございます。  四名の参考人の方、本当に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。  皆さん方お話を聞いていて、先ほど成立をしましたバリアフリー法、ハートビル法というのが、皆さん方生活の中に、日常活動の中に大変評価されているというお話でございました。その報告を聞きまして、私は大変心強く思い、同時に、この場でこういう法律を作っていくということがいかに皆さん方生活に対して寄与していくのか、同時に、皆さん方がどのようにして日常的な生活、そして日常的な行動に参加をしていく、そのためにどういうことが国として、法律としてできていくのかということを非常に深く考えさせられ、同時に、現場から直接こういう生の意見を聞いて、法律の果たしてきた役割、評価というのを、評価いただいたことというのは、大変私うれしく意見として聞かさしていただきまして、本当にありがとうございました。  そこで、幾つかの質問者の方からも、お答えをいただきましたけれども、やはり現行あるいろんなハード的な施設面について皆さん方要望をされていることについてすぐさま一挙にできるということではありません。徐々にしかできないわけです。したがって、現実皆さん方要望実現をしていく間に時間差がございます。  その時間差をどのようにして埋めていくのかということは、やはり私は、そこは国民各位が持たなきゃならない心のバリアフリーをどうしていくのかというところが最も大事なことではないか、障害者に対する理解をどのようにしていくのかということが最も大事なことではないかと。したがって、現実皆さん方要望実現できるまでの間というのは、駅であれば駅員であるでしょうし、バス停でいけばバスに乗られるときの状況だろうし、そこでどのような方が手助けをしていくかというようなことなどを含めて考えますと、やっぱり障害者に対する問題の意識ということをどのように国民理解をしていくのか、どこで国民がそういう皆さん方に対してサポートできていくような状況をつくっていくのかということが大事なことではないかというふうに思います。  先ほど野村参考人の方からは、そういう社会に対して正しい知識を持たないことが一つの大きな問題だ、そこから派生をする誤解の問題であり、そこから生まれてくる差別や偏見というものがやっぱり社会の大きな問題だというふうに言われ、そこを直していくためには教育だというふうに言われましたが、再度、こういう心のバリアフリーの問題について、四人の参考人方々、どのような御意見を持っておられるのか、まずお伺いをしたいと思います。
  52. 小川榮一

    参考人小川榮一君) ごもっともであろうかと思います。  大変、ノーマライゼーションという言葉を先ほども先生から提言されましたけれどもが、そのノーマライゼーションという、その心ということについても非常に地域方々に浸透しておりません。  私は、障害者理解していただきたいと、こういうことを申し上げることについては、障害者自身の当事者団体がその地域地域でしっかり自立をして、皆さんに御迷惑を掛けないような努力もしていると、こういうことを私はまず第一に掲げております。と同時に、自立をするという姿勢の中で、それでは、参加できない、自立できない方々に対しては優しさをという状態で、当事者団体としては、友愛という訪問と情報ということを私は提供、当事者団体長という中で情報を提供いたしております。  それで、やはり国民の皆さんに、地域の皆さんに御理解をちょうだいするためには、心のバリアというものについては教育ということが一番大切かなと、教育と福祉ということについては一体であると、こんな感じを持ちまして、格別に教育に携わった方々障害者問題を訴え続けてきているのが今日の状況でございます。  大変私見も交えましたけれどもが、私はやはり、人と人との権利を理解していただく、主張する前に、やはりどうしても理解をしていただくということについては心の課題が最優先課題ではなかろうかと、こんな感じを持っております。どうぞ、今後ともよろしくひとつお願いいたします。
  53. 今福義明

    参考人今福義明君) まず、交通バリアフリー法が二〇〇〇年にできたときの時点で私、ざっくばらんな話、私たち障害者でいつも鉄道事業者とかバス事業者には話してきたことから具体的な実際の自分の感じを言いますと、やはり私たち社会参加したい中で鉄道バスを利用していく中で、試行錯誤しながら出ていって乗車拒否されたり、あるいは円滑に使えるようになったりする中でという感じだったのですが、これはやはり交通バリアフリー法一つの大きな私の評価ですが、やはりダイナミックにあらゆる交通機関、公共交通機関バリアフリー化が基準を含めて転換したと。  この五年間、一つはそれが、全体的に国としてのバリアフリーの水準というものが見えてきまして、そこで今後、その基準のことに関してとかは、やはりもっとそれまでの経験とか直していただきたい点がより分かってきたので伝えていきたいなというのがあるわけですが、そういったことがあります。  基本構想において期待するところは、これも同じことなんですが、やはり考え方一つとして、次の段階としては、やはり自宅から駅までといったことを入れて、基本構想という構想の中に交通計画というようなものをやはりきっちり入れていただいて、障害者高齢者の人が自宅から重点整備地域のエリアとか駅かあるいはどこか遠くへまで行けるような移動の保障という観点ではなくてでもいいので、移動というものをやはりちゃんとできることによって地域が活性化し、障害者高齢者自身も活性化し、いろんな満足度が高まるわけですね。  ですから、点としての小規模店舗が幾らバリアフリー化されて、おいでおいでとパンフレットやPRや幾らされてもそこへ行けないということで、そこに行ったら行ったでちゃんとその中のエリアの移動ができなかったりすると不満がたまるわけでして、是非その点、移動というものを、それぞれが移動円滑化、最も交通バリアフリー法の目的たることを中心に置いて、交通計画というものを基本構想に置いて立てていただく観点を入れていただきたいと思います。
  54. 野村歡

    参考人野村歡君) 渕上先生の御発言の中に時間差を埋めるというお言葉がありましたが、これをハードとソフトの連携といいますか、そういう視点でちょっととらえてみたいと思います。  実は、ハードの問題が出てきたのは一九五〇年代の後半でございます。それまではヨーロッパ、欧米、すべて住民の理解と協力で成り立った。すなわちソフトがあって、そのソフトが、一九五〇年代の後半になりますと高度経済成長を各国遂げます。そうすると、なかなか時間がない、人に対する配慮がない、それを埋めるのが実はハードだというとらえ方になってきます。  しかし、日本の場合は逆でございます。ハードがあってソフトがもうなくなってしまったところに実はハードの問題が直接出てきた。そうすると、そのハードが足らないじゃないかというところになるわけです。  一例を申し上げますと、こういう運動ができたときの初めに、スロープの勾配何度にしたらいいかと私のところに随分電話が掛かってきました、設計事務所から。十二分の一、すなわち十二メートル行って一メートル垂直に上がるのが普通の基準です。その次の設計事務所の言葉はみんな同じです。そうするとみんな、そのスロープは上れるんですかと。すなわち、ハードができるとすべてそのハードに頼ってしまう。そういう機運が、今でもこういう環境整備されると、場合によっては、私たちの税金でこういう障害者高齢者配慮できたのよ、それがあるからあなたたちいいじゃないのという逆効果すら生まれかねない状況にあります。ということは、そういうことは絶対あってはいけないわけで、このハードとソフトがうまく連携していくような仕組みをやはり考えなければいけない。  そのときの教育というのは、事業者に対する教育と、あるいは市民に対する教育と、それぞれその対象者別にきめの細かいプログラムを作ることが大事だと思います。ただ、私は、今までいろんな小学校等でやっている副読本という紙の上の教育は、皆さん教室でお利口にしていればそれで済んじゃうわけですから、そういうことはもうこれからはほとんど効果がないと私は思って、やはり体験学習を基本にした教育が大変重要であると私は理解をしております。  以上です。
  55. 山城完治

    参考人山城完治君) 私、沖縄の出身なんですよね。それで、出てきて思ったのは、東京はやっぱり歩きやすいんですよ。沖縄は電車がないというのもありますけど、非常にやっぱり歩きやすい。だから、東京の方が視覚障害者の仲間も外出したりする人が多いんですね。沖縄だとやっぱりバスで複雑ですからなかなか外出しないというのがあるんですね。だから、私言いたいのは、やっぱりまず出られるようにしていくと。障害者が普通に出ていって、どんどん出ていって、そして町の人に接するという面がまずあると思います。  それから、今指摘ありましたとおり、やっぱり一緒に行動すると分かるというのがありますね。点字ブロックを付けていただくときも、私たちが、役人、党の方なんかと一緒に付けていただくと、なるほどなとそばで聞こえ、声がするんですけれども、一緒に話し合いながらやるということもありますし、晴眼、目の見える方と一緒に点検していくとやっぱり分かっていただく。私たちも、実は私たちはさっき言ったように当たり前のことが分かっていないんで、駅がどうなっているかというのは分からないことが一杯あるんですね。そういうことを一緒に教えていただくということもあります。そういう意味で行動、もうこれからはやっぱり、もちろん知識として入れる、それから行動として、何というかな、広げていくという面があると思います。  それからもう一つ大事なことで、子供たちの教育はもちろんあれですけれども、なかなか大人になるまで待っているわけにいかないですから。私が思うには、やっぱりマスコミというんですかね、この通信の手段をやっぱりもっと活用していただいて、障害者の実態、体験だとかそういう要望だとかいうのをマスコミ辺りを通じてもっともっと広げていただいて、すべての国民がなるべく分かるような状況をつくるような努力、必要じゃないかなというふうに思います。  以上です。
  56. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 野村参考人にお伺いしますけども、今もお話ありましたように、障害者にとって最も必要なものが情報。今情報をどのような形で提供するといいましょうか、どういうところが不足して、どういうところが問題点なのか、やっぱり受け手の側としての障害者方々だとか高齢者方々にどういう情報を提供していくかということは最も大事なことではないかと思うんですが、その点、先生いかがお考えでしょうか。
  57. 野村歡

    参考人野村歡君) 情報障害視覚障害聴覚障害情報というのはそれぞれその手法が違うわけですが、私が知っている限りにおきまして、視覚障害を例に取りますと、例えば今、山城参考人は文字情報しかないわけですね。これを音声情報もあるし、例えば、もう一つネットにおきましては音声読み上げソフトというのがありまして、文章を読んでくれるわけです。そうすると、ペーパーであっても音で聞くことができる。それが非常に有効だと。そうすると、例えば国であるとか自治体のホームページ等が音声読み上げソフトであれば、かなり国が開示できる情報はリアルタイムで入れられると、こういうことになるわけです。  そういう意味で、たしか科学技術庁等ではそういう委員会がたしかもう立ち上がって、ユニバーサルデザイン情報というのがあるかと思いますが、例えばそういうようなことで、これから技術が進むことによっていろいろな情報提供の方法があると私は確信しております。
  58. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  59. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言お礼を申し上げます。  参考人方々には、長時間にわたり御出席をいただきまして、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございます。今後、皆様方の御意見委員会の審議の中で十分に活用していきたいと存じます。  委員会を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  60. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  高齢者障害者等移動等円滑化促進に関する法律案審査のため、本日の委員会警察庁交通局長矢代隆義君、文部科学大臣官房文教施設企画部技術参事官舌津一良君、国土交通大臣官房長春田謙君、国土交通省総合政策局長竹歳誠君、国土交通省道路局長谷口博昭君、国土交通省住宅局長山本繁太郎君、国土交通省鉄道局長梅田春実君及び国土交通省自動車交通局長宿利正史君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  62. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 高齢者障害者等移動等円滑化促進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  63. 末松信介

    ○末松信介君 自民党の末松信介でございます。  午前中、四人の参考人方々から今回の新しい法案につきましていろいろな考え方をお述べをいただきまして、それを踏まえて質問をさしていただきたいと思います。  まず、交通バリアフリー法では、特定旅客施設の一日当たり平均的な利用者数を五千人以上の施設とされておるわけなんですけれども、現在全国の駅数は九千五百四十四ございます。で、一日五千人未満の駅は実は六千八百九駅あると、これ平成十五年度の国土交通省の資料でございます。市町村の中には、乗降客五千人以上の旅客施設のない市町村は千八百二十存在をしているわけであります。しかし、公共交通機関及びその周辺のバリアフリー化は、都市、地方に関係なく、人の暮らしあるいはまちづくりには重要な課題でありまして、欠かせないものでございます。  そこでお尋ねしたいのは、佐藤雄平先生もよく言われるんですけれども、五千と二千のこの数字というものが大変気になると。まず、五千人ということにした、位置付けたその根拠というものをお聞きをしたいということと、都市部と地方との格差の是正につきましてその方針をお伺いしたいと思います。
  64. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) まず、なぜ五千人以上としたかというお尋ねでございます。  現行の交通バリアフリー法の基本方針では、一日当たりの平均的な利用者数が五千人以上の旅客施設について、これを平成二十二年までに原則としてすべての旅客施設についてバリアフリー化を図るということを目標としておりまして、現在この目標の達成に向けた取組を優先して進めているところです。  なぜ五千人かということなんでございますけれども、全部の統計を調べましたところ、一日当たりの平均的な利用者数が五千人である旅客施設バリアフリー化が、これは平成二十二年までに実現すれば全体の利用者の九割がカバーされるということで、まず第一段階の目標としてこの五千人ということを設定し、二十二年までに原則バリアフリー化するんだということとしたのが理由でございます。  そこで、そういう設定をすると地方部と都市部と大きな格差が出るじゃないかと、それについてどう考えるのかという第二のお尋ねでございます。  交通バリアフリー法におきましては、この面的な整備を進めるときに重点整備地区というのを設けるわけでございますけれども、これが正に今申し上げました五千人以上の乗降客がある駅を中心とした徒歩圏を対象として、その駅と徒歩圏内の道路についてバリアフリー化を進めるということです。したがって、結果的に多くの利用者のある都市の駅やその周りはバリアフリー化が推進されてきているところでございます。  この五千人以上の駅でございますと四九%がバリアフリー化が進んでおりますけれども、先ほど御指摘のありました六千八百余の五千人未満の駅数ではこれは一二%ということで、都市部と、まあ大きいところと地方で格差が出ているというのは事実でございます。  そこで、本法案におきましては、今までは五千人ということで線引きをしてきたんでございますけれども、一日の平均乗降客が五千人以上ではない駅とかその周辺、それから駅がなくても高齢者方々障害者方々がお使いになるような施設が集中している地区については、重点整備地区を設定して面的にまちづくりを進めることができるようにしたと。そういう中で、協議会とか提案制度も設けて皆様方の御意見を伺いながらまちづくりをしていこうということでございますので、今回の法案によりまして五千人未満の、五千人を超えないようなところはどうするんだという問題については一応の方針が明確に示されたと考えます。  そこで、駅につきましては、実は五千人以上とか未満にかかわらずバリアフリー化しなくちゃいけないというような構えになっているわけでございますが、そうはいいましてもやはり五千人以上のところに重点が置いてこられたということです。平成二十二年までに五千人以上の駅については全部バリアフリー化しようということを目指しておりますから、その後どうするのかということで、これはやはり地方の駅の利用実態等々よく考えながら、効果的なバリアフリー化の措置の在り方も含めて検討していきたいと考えております。
  65. 末松信介

    ○末松信介君 まずは五千人以上をきちっと整備していきながら、提案制に基づいて五千人未満もきちっと対応できるという方向ということでございますんで、まあ量に対応するという、量に対応するということ大事なんですけど、一隅を照らすという考え方というのは非常に極めてこれは大事な話でありまして、今日の参考人方々でも、五千人未満の駅への対応ということについては決して忘れては困るという話であります。その点、そういった細かな提案等々、市町村からいろいろ出てくる提案につきまして御配慮いただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。  それで、実は交通バリアフリー法に基づきまして、五千人を超える駅、まあ私の地元だけちょっと取り上げさしていただくんですけれども、兵庫県内の駅舎、これ百七十二駅あるんですけれども、百三十六駅、七九・一%でもうバリアフリー化が進んでおるということで、非常に急速に対応していただいたわけなんですけれども、しかし、これからのバリアフリー化を進める駅舎というのは構造上非常に難しい問題を抱えておると、いわゆるバリアフリー化を進めるにしましても困難駅舎と言われるところなんですね。こういった駅舎の一つにJRの甲子園口があったんですけど、十五億円のお金を付けて今回対応するということになって大変喜んでおるわけなんですけれども、今後こうした困難駅舎が増えてくるということ思えるんですよね、五千人以上の乗降客を抱える駅へのバリアフリー化について。  そのとき、こういった構造上の問題を抱えている駅舎に対して一体どういうように具体的な対応を打っていくのか、この点、御見解を伺いたいと思います。
  66. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) 先生今御指摘のいわゆる整備困難駅というものでございます。  駅にも大体、今回の対象にしていますのは大体二千八百強あるわけでございますが、いわゆる整備困難駅といいますのは百三十ぐらい全国的にございます。全体の駅は古い駅も結構ございますので、駅の物理的な形状あるいは用地の確保というような点から工法が非常に難しい、あるいは工費が非常に膨大になるというようなケースが多々ございまして、事業者としてなかなかこのバリアフリー化には踏み切れないというのが実態ではございます。  ただ、この駅のバリアフリー化につきましてはまず鉄道事業者が、こういう既存の駅でございますから、努力義務が掛かっております。様々な事例、最新の技術などを駆使しまして、工法も工夫していただきまして、できるだけコストを縮減してやっていただくことが肝要だというふうに思っているところでございます。  こうした駅の場合は、市町村あるいは都道府県など地域の関係者が一体となって駅の在り方を考えるということも大事なことでございます。例えば、駅周辺の開発と一体となった駅の整備を検討する、こういうことで、バリアフリー化だけではなくて駅の周りの付加価値の向上、あるいはもっと便利にするというようなこと、あるいは町の顔にするというようなこと、こういうようなことも考えていただいて、鉄道事業者にとって投資のインセンティブにもなってまいりますから、こういうような方策を取って一緒になって進めていくというのも大変重要なことだというふうに思っているところでございます。  今回の法改正では、基本構想の作成に際しまして、提案制度あるいは協議会設置というような仕組みを設けることになっております。従来以上に、事業者あるいは地方自治体等、地元の方々との緊密な連携の下でバリアフリー化の推進を図っていくことがより一層可能になるというふうに考えているところでございます。  こうした仕組みを活用しながら、整備がなかなか難しい駅につきましても、連携してできるだけ推進をしていきたいと。私どもといたしましても、そうした取組に対しましては可能な限り支援を行っていきたいというふうに考えているところでございます。
  67. 末松信介

    ○末松信介君 プラットホームが大変狭いところにエレベーター設置するとか、いろんな難しい問題あります。大臣は御存じかもしれませんけれども、阪急の春日野道の駅でもやっぱり狭かったということで、いろんな課題が残っておりますんですけれども、この百三十駅ですね、是非ともに地元とも十分な協議を進める中で、是非ともにそういったバリアフリー化を進めていっていただきたいということ、もうこれはその地におられる地元の議員さん、あるいは地域方々、一番お詳しゅうございますんで、その点十分御理解をいただきたいと思っています。  次に、重点地区整備についてお伺いを申し上げます。  このバリアフリー化を進める重点地域につきましては、地元の兵庫県においては交通バリアフリー法に基づいて二十か所を重点地域に実は定めたわけであります。それと、独自に福祉のまちづくり条例を制定しまして、現在百五十五地区を市町が重点地区として定めておりまして、バリアフリー化を図っております。  今回の改正によりまして、駅前だけではなく、多くの市民が集まる地域でも重点地区を決めることができるようになりましたが、その施設相互間の移動が通常徒歩で行われる地区の徒歩圏とはどの程度の距離の範囲を想定しているのかということを一点伺いたいということ。  二つ目は、当該旅客施設利用者が使用する施設が徒歩圏内に位置しない場合もあることを踏まえ、より長距離の経路を一体的に整備していくためには計画策定エリアをより広くする必要性が生まれてこないかと思うんですけれども、この点をまず二点目お聞きしたいと。  更に質問を続けたいんですけれども、そのためには、地区公共施設における取組だけではなくて、駐車場などの民間の管理者の協力が不可欠でありますけれども、そのような場合、実効性のある重点地区整備をどのように進めていかれるおつもりかということ、これはもう基本的な要するに国交省のスタンスをお述べいただきたいと思います。
  68. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) まず、徒歩圏の範囲でございますけれども、通常五百メートルから千メートルというのが歩いて生活、歩いていける距離だというふうに考えて、現行の交通バリアフリー法重点整備地区を定めるときにもそのようなことを一応念頭に置いて進めております。  それから、高齢者のための施設等々、そういう施設が集まっている場所と駅が離れているというようなときに、かなり広く指定しないとうまくいかないんではないかというお尋ねでございます。  これについては、従来ですとそういう遠くに離れているところは元々対象にならなかったわけでございますけれども、そこは今度はちゃんとやろうということになりました。で、駅と結ぶ道路が、その地区が離れていても、その駅と結ぶ道路、これについては、こういう特別な経路ということで併せて整備すると。必ずしも全部含んで大きなエリアを指定するというよりは、その特別なエリアと駅を結ぶ道路をきちっと整備するというのが一つ考え方でございます。  それから三点目に、駐車場等、民間の事業者の協力が不可欠だと。正にこの点が非常に大事な点でございます。  基本構想を作りますと、そこでは様々な事業を実施することになります。法律上これを特定事業と呼んでおりますけれども、六つございまして、公共交通施設、道路駐車場都市公園それから建築物、交通安全施設と、これが六つが特定事業になっているわけでございまして、この基本構想を作るときに、こういう事業の関係者一同にお集まりいただいて計画作りをまず進めようということです。  そのときに、こういうことをやってほしい、ああいうことをやってほしいといういろいろな要望があると思いますけれども、民間側としてはなかなかそこまではできませんねというお話が、いろんなやり取りがあると思います。そのやり取りの結果、これは私がやりましょうと言ったことは、同意したということで計画に位置付けられるわけです。同意できなかったような部分については、より長期的に取り組むというような、そういうような仕組みになるんではないかと思います。  で、その特定の事業について更にどうするかというと、いや、その事業をどれぐらいの期間で完成させるつもりですかというようなことも併せて決めますし、場合によっては資金計画とか、そういう財政上の裏付けがあるのかどうかというようなこともチェックするということになります。  そういうふうにせっかくみんなで協議をして作った計画が何かのいろんな都合でなかなか進まないというときにどうするかというんで、この法律の中では、そういう場合には市町村が要請をまずしてみると。要請してもなかなか、余り合理的な理由がないのにやってくれないというときには勧告をすると。勧告をしてもといったら命令になって、さらに命令に従わないときは罰金とか、法律の枠組みというのはそういうふうになっているわけでございますけれども、一応同意したものについては、そういう法律的には完結したような形で実行がされるというようなことがございます。  それから、やはり先ほど申し上げましたように、この基本構想を作る協議会というのが非常に重要でございまして、計画を作る、構想を作る段階だけではなくて、作った後の実施に関する連絡調整という、こういう大きな役割があります。  最後に、実は今までの事例を見ますと、基本構想を作ってから特定事業計画の策定まで時間を掛かっている事例がございますので、今回、基本方針におきまして、そういう特定事業の計画の早期作成の重要性についても明記していきたいと考えております。
  69. 末松信介

    ○末松信介君 局長から非常に丁寧な御答弁あったんですけれどもね、結局、構想を提案してもらって認めていくと。まあ都市計画決定のようなもんですわな、一つは、やっていこうという、趣旨としては。でも、なかなか計画決定をしても事業着手、そして完成まで至るまでに随分時間が掛かってしまうという。だから、その完成の担保というものがどういうように確立されていくかということがもう、もちろん財源的な措置も要ればいろいろと理解も要るということで、その辺りが一番僕は今回の法律のこの部分では見えないんですよ。いいことをやっていくんですけれどもね、完成への担保という点が非常に見当たりにくいということでして、心配しています。  しかし、やっていくことについては我々賛同しておりますんで、十分その点御認識をしていただいて、提案される市町村ともしっかりと協議をいただきたいというように思っています。完成への担保が必要だと思うんですよね。いつになっても変わらぬなということじゃ困るわけなんですよ。  その次に質問ですけれども、STSの推進についてちょっとお伺いします。  モビリティーの対策としてこのSTS、スペシャル・トランスポート・サービスにつきまして、交通バリア法の制定時に衆参両院で附帯決議がなされまして、その導入に向けての努力されるということがうたわれているわけなんですが、障害者基本計画でも同様の趣旨が示されておりまして、福祉有償運送及び過疎地有償運送に係る道路運送法八十条第一項の許可の取扱いについて、これ二〇〇四年三月の国交省の通達によりガイドラインが示されているわけなんですけれども、NPO等の運行する移送サービスについて一定の位置付けがなされました。  そこで、先般、道路運送法の一部改正によりまして、市町村バスやNPOによるボランティア有償運送の制度化などの措置がとられますけれども、現在、そのSTSの概念とかその促進方法など交通政策及び支援策について具体的に示されてまだおりません。  そこで、STSを更に推進していくためには、運送事業者数とか車両数などの具体的な数値を示して具体化させる必要があるんじゃないかということを思うわけなんですけれども、この点につきまして国交省の考えを伺います。
  70. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) 今お話がありました要介護者であるとか身体障害者などの一人で公共交通機関を利用する人が困難な方、こういう方々にドア・ツー・ドアの個別輸送サービスを提供するというのを、これをSTS、スペシャル・トランスポート・サービスと呼んでおりますが、これにつきましては、これからのといいますか、既に進行しつつある急速な高齢化社会などの事情を背景にして、私どもとしては、ニーズも非常に高まっておりますし、交通政策という意味で極めて重要な政策課題一つであると、こう考えております。末松委員御指摘のとおり、平成十二年のバリアフリー法改正の折に衆参両院の附帯決議も付けられているところであります。  私ども、一つはタクシー事業者がそういう福祉輸送サービスを担うということがまず基本と考えておりまして、従前から、このようなタクシー事業者についての行政手続の弾力化であるとか福祉車両導入についての税制上の措置、こういったことに努めておりまして、現在の実態でございますけれども、事業者数が五千二百九十七事業者、これは今年の一月末でございますけれども、それから福祉輸送に携わっております車両数が八千八百二十九両という状況でございます。  また、平成十八年度の予算で新たに福祉輸送普及促進モデル事業というものをつくりました。この予算によりまして、共同配車センターを設立をしたり福祉車両導入する場合に地方公共団体と協調補助をしていくことにしております。  加えまして、福祉車両導入について、中小企業金融公庫や国民生活金融公庫の低利融資あるいは税制上の措置を引き続き続けていきたいと思っております。  一方で、末松委員お話がございましたNPOなどによりますボランティア福祉有償運送でございますが、これは、従前は道路運送法に基づきまして自家用自動車の有償運送の例外ということで例外許可の扱いにしておりましたが、今国会に道路運送法の改正案を提出をしておりまして、タクシーによる福祉輸送を補完するものとして、安全、安心なサービスとして普及をしていただくような新しい仕組みを提案をさせていただいているところであります。  いずれにしましても、このような施策を組み合わせまして福祉サービスの導入が進むように努力をしてまいりたいと思っております。
  71. 末松信介

    ○末松信介君 ありがとうございます。  STSの場合、海外ではもう七〇年代、八〇年代から欧米を中心に法制化されていたということもありますし、イギリスでは自家用車によります有償運送が禁止されておりましたけれども、七八年から八〇年にかけてもう規制も緩和されているということで、ある面では向こうはもう第二ステージに入りつつあると。日本の場合は第一ステージ少し後半ぐらいにあるんかなということを考えておりますので、期待は大きいものでありますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  時間が参っておりますので、あと十分ですね、次の質問に移ります。  鉄軌道での車両ホーム段差すき間の解消につきましてお伺いをいたします。  交通バリアフリー法の制定時、審議等での重要な課題一つが鉄軌道の車両ホーム段差すき間の解消についてでありましたけれども、いまだ乗車の際、大多数の駅舎では駅員による補助によっているのが現状でございます。移動円滑化基準におきまして、段差につきましてはできる限り平らであること、すき間についてはできる限り小さいものであることとされていますが、このあいまいな基準のままでは今後もその解消は一向に進まないのではないかという、そういうことを危惧するわけなんですけれども、駅舎の形状などによってプラットホームの湾曲がある場合など、その構造上いろんなすき間が必要であることなどもございます。車両種別によって段差が生じることなどの現状も承知しているわけなんですけれども、このことにつきまして、どういうようにこれを解消していくのかということについて、午前中の参考人お話もありましたので、御答弁のほど、お願いします。
  72. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) 先生御指摘のとおり、車いす等の利用が支障なくできるよう、車両ホーム段差あるいはすき間というのはできる限りなくすべきであると私どもも考えているところでございます。  御指摘のような基準につきましては、できる限り小さいもの、あるいはできる限り平らなものというふうになっておりますが、御指摘のとおり、鉄道には全体で一万の駅がございますし、五千人以上でも二千八百ぐらいの駅があるわけです。一つの駅に一つホームではありません、たくさんのホームがある駅もございます。また、駅のホーム構造もいろいろございます。車両もいろいろございます。したがいまして、基本はやはり安全でございますから、車両ホームがぶつかってはいけないわけでございます。衝突しない具体的な寸法を一律に決めるというのは既存の駅の場合なかなかこれは難しゅうございまして、直ちに改修をするというようなことはなかなか困難だろうというふうに思っておりますので、一律に具体的な数字で示すというのはなかなか難しゅうございます。  しかしながら、私どもといたしましては、基本的にプラットホーム車両との間の段差というのは五センチぐらいを目安にしたい。プラットホーム車両の間につきましては二十センチ、車いすの場合は十センチぐらいを目安にしたいということで、そういう基準で指導をしてきているところでございまして、駅や車両を新しく造る際には工事施行認可あるいは車両の確認などをやってまいりますが、こういう目安を踏まえながら、技術的に可能な限りの措置を講ずるよう個別に審査をしてできる限り段差あるいはすき間の解消には努めてまいりたいと思っておりますし、また駅の改良等、様々な機会をとらえまして、こういう面についての事業者取組を加速していきたいというふうに考えているところでございます。
  73. 末松信介

    ○末松信介君 目安を大切にしていただきたいと思います。その実現に向かって進めていただきたいと思います。  午前中も、視力障害者の方にとってホームドアのこともありましたですね。可動さくですね。二百八十七駅ですか、三%しか設置されていないということなんですけれども、予算の掛かる問題でありますけれども、十二分に御理解をいただきたいと思います。  次に、バリアフリーマップの整備につきましてお聞きをしたいと思うんです。  バリアフリーというのもなかなか、こういったバリアフリー的な国家というのは一朝一夕に達成するものでないことはもう多くの国民が承知をするところでありますけれども、しかしながら、利便性の向上を図っていくことは我々の責務でもあります。  そこで、ハードだけではなくてソフト面での対応が必要だと思うわけなんですけれども、旅客施設等のバリアフリー情報について国の指定法人により提供されてはおりますが、各自治体の情報はその取組において差異がございます。また、全国規模での情報整備とか統一などはなされていないのが現状でありまして、ハンディキャップを抱える方々は旅行などの移動の際にはその情報収集に大変苦慮をされていると耳にいたしております。  バリアフリー実現の大きな一つとして、安全性や快適性の高い経路を選択する有効なツールとして全国単位でマークの表記や表現方法を規格統一化させたバリアフリーマップなどを整備してはどうかということを思うわけなんですけれども、付随して、駅前にまちづくりのバリア情報を記したサイン板など、こういったものを設置してはどうかということを御提案申し上げるんですけれども、御見解を伺います。
  74. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 御指摘のように、高齢者障害者方々が安心して外出できると。そのためには、車いすでどこまで行けるのかとか、どのような施設でバリアフリー化が実施されているのか、障害者用のトイレがあるのかどうかとか、そういうことがきちっとあらかじめ分かっているということが非常に大事であると思います。  国土交通省では、従来から駅構内のバリアフリー施設、それから乗換案内の情報を統一的に提供するためのらくらくおでかけネットというようなことも取り組んでまいりました。  今先生御指摘のバリアフリーマップでございますけれども、各自治体やNPO団体等でいろいろな取組がなされていると思います。ただ、午前中の参考人方々からの御意見の中にも、やはり安全に関するものは統一した方がいいんだというようなお話もございました。やはりサインの問題にしろ、それから色覚障害の方については色の組合せとか、そういうことも重要であると思いますので、国土交通省としては、そういうバリアフリーマップ、ソフトの政策の一つとして表示方法の統一化とかそういうようなことについて、今後、関係者の皆様方の御意見もよく伺いながら検討していきたいと思います。
  75. 末松信介

    ○末松信介君 次に、携帯電話の電磁波についてお尋ね申し上げるんですけれども、現在、公共交通機関の車内における携帯電話の使用につきまして、鉄道であればプライオリティーシート付近では限定的に使用が禁止されておりますけれども、実際に、その付近という定義のあいまいさもあって、使用は個人の利用マナーという主観的なものに任されております。  交通事業者や政府において様々な啓発が実施をされておるわけでありますけれども、実効性が極めて不明であると。しかし、電磁波がペースメーカーなどへ与える影響を考えると、車内など公共エリアでの携帯電話の使用について軽視できない問題があります。そこで、例えば携帯電話使用禁止車両設置などを義務付けるなどのこういった法整備が必要ではないかということを、一点、お伺いしたいということ。  二つ目は、新幹線車内で、出発時に車内放送で必ず携帯電話が鳴ったらデッキの方へ行ってくださいと、車内では使わないでくださいと言うんですけれども、かなりの方がやっぱり平気で着席したままで携帯電話を使っておられると。車掌さんも、そこの通路を歩いたときに注意をしないんですね、ほとんど。注意をしないという、こういった問題についてどのように考えられますか、この点、お伺いします。
  76. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) 二点ございました。  実は、ペースメーカーにつきましては、その近くで携帯電話を使用したときに電波による影響を受ける可能性があるという、そういう指摘をいたしました当時の郵政省の電気通信局長からの取りまとめがございました。医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話等の使用に関する暫定指針というものでございます。  こういうものを受けまして、私ども、事業者に周知徹底すると同時に、先生御指摘のように使用を控えるように現在、マナーという点ではございますけれども、お願いをしているところでございます。ペースメーカーの使用者に対して優先席付近で携帯電話の電源を切る、それ以外の場所でも通話を遠慮をするというようなことで、これは各車両、毎回周知徹底をお願いしてやってきているところでございます。  法的整備ということになりますと、これはかなり細かな議論になってまいるかと思います。これは、鉄道だけではなくてもっとほかの部門でも同じような状況が出てこようかと思います。したがいまして、私どもの方から、この法的整備について、関連のところにこういう議論があったことはお伝えしたいと思いますけれども、具体的にどういうふうな法的な問題があり、どういうような対策が取れるのかについては、今後やはり勉強していくべき話だろうというふうに思います。  それから、新幹線車両の問題でございますが、新幹線車両につきましては、車掌が携帯電話を使用中の旅客を発見したときは、先生御指摘のように、しょっちゅうではございませんが、状況に応じて、デッキで使ってくださいというようなことをお願いしているケースもございます。ただ、十分な案内がなされていないということでございますので、更にこうした点については使用を控えるように徹底してまいりたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、この問題、ペースメーカーの乗客への配慮をどうするかという話は、私ども鉄道サイドだけの問題ではなくて関係省庁ともまたがった問題でございますので、今後とも、関係省庁とも連絡を取りながら検討をして、勉強していきたいというふうに思っております。
  77. 末松信介

    ○末松信介君 時間が参りましたのでこの辺で質問を終えたいと思うんですけれども、新幹線の中で携帯電話を使っておられて、車掌さんが通ってそれを見てデッキに行きなさいと言ったことは、僕は、一年八か月おって見たことはないんですよ。私は見たことはないんです。よく伝えていただきたいと、かように思います。  最後になりましたけれども、このバリアフリーを進めていく上で財政的な問題とのかかわりについてちょっとお話し申し上げようと思いましたんですけれども、これにつきましてはちょっと質問を省略させていただきます。  ありがとうございました。
  78. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。  既に、基本的な項目につきましては本会議において代表質問を行っておりますので、本日は、具体的な課題、あるいは本会議場での答弁でなお不明確というよりも、私としては不足だったと、そういうふうなこと等について今日は議論を深めると、そういう視点で御質問をさしていただきたいというふうに思います。  本件のこのバリアフリー化法に入る前に少し御意見等を申し上げたいと思いますけれども、甚だ私としては残念なんですけれども、国交省の談合問題についてこの前報道がございました。国土交通省発注の水門工事をめぐる官製談合事件で、業界側の幹事社三社が九九年以降、談合廃止の方針を決めて国交省の発注担当者に報告に行ったところ、談合の継続を強く求められたため断念をしたと。そして、これは入札に便宜を図る見返りに多数の国交省OBを業界に天下りさせる談合システムの維持が目的であったと、これは新聞が論評をしておると、こういう内容でありました。  私としては、この報道が事実でないこと、あるいは何らかの誤解に由来しているということを真に願うわけでございますけれども、しかし、逆にこのことが真実、事実であるということならば正にゆゆしき問題であると言わざるを得ないし、まだ今国会で多数法案の審議が残っておるわけでありますけれども、真摯に法案の審議をするためにも、国土交通省としてこれらの問題、こうあってはいけないと、このように思うわけであります。  今日こういうふうな報道に接しても、国民の多くはある意味では驚きもしない状況になっているのではないか。逆に言えば談合事件、贈収賄事件にならされてしまっているのではないだろうかと。私はここが大きな問題ではないかと。逆に言うと、是非とも大臣が率いておられます国土交通省において十分なる自己改革を私はやっていただく、そのことを怠るということがあってはいけないというふうに思います。  私も国土交通委員会のメンバーとして真剣に国土交通政策を、野党の立場ではありますけれども、参加をしていくという立場から、是非ともそういう努力を私は大臣お願いをしたいということと、もう一つは、人事院から出された平成十七年度の営利企業への就職の承認に関する年次報告、これに、人事院が承認した企業への就職は六十六件で、そのうち国土交通省は二番目に多い十件。また各府省庁承認分では、総数六百四十八件中、国土交通省が、まあ母体が大きいということもございますけれども三百五十八件、全体の実に五五%を占めているということでありまして、これが一つの事実であるということでございます。  天下りの問題については、昨日も行政改革特別委員会、これは衆議院の方でもいろいろな形で議論、意見がなされておりますけれども、天下りの問題の要素について、総理答弁等も含めまして、一つはいわゆる上級職の早期退職制という慣行からなかなかやむを得ない実態があるという、そういうふうな意見も聞きますし、また、そういうことであれば個々の役人の皆さん方生活権の問題、そういうふうなこともあるわけですから、直ちにもう浪人しなさいと、そういうようなことを前提とした全面廃止というふうなことも、そうそう簡単に提起するというふうなことは言えないと思います。  しかし、今、小泉内閣が最大の仕上げだということで行政改革関連法案を国会に上程し、我が参議院においても特別委員会設置されたと。この状況の中で、国民監視の中で行政費用、このいわゆる削減なり本質的に公務員の仕事の在り方、国のサービスの在り方等について今相当大きな議論が行われているという、こういう状況の中で、このような官製談合というふうなものが正に報道されるというふうなことでは、これは一体、正に国家的な議論の最中でとんでもない問題発生ということになると思います。  天下りということが諸悪の根源だという意見もありますけれども、私の経験において、民間企業も、いわゆる連結対象対象外にかかわらず関連企業へ会社役員が社長、副社長、幹部として再就職するというふうなことはあるわけです。しかし、民間企業は国際競争だとかマーケットにおいて常に競争にさらされていますから、ゆったりとした仕事をしたり、単なる老後対策で就職したということでは済まされない。社長だとか副社長とか常務で就職した人たちは、むしろ経営責任を厳しく追及される、そのための仕組みとして民間はいろいろな工夫をしておるということでありますから、民間におけるこういう問題と役人の皆さん方の問題とはやっぱり違う状況ではないかと。そういうふうなことを含めて、申し上げたいことは多々ございますけれども、今日はこの辺にいたしまして本件に入りたいと思いますけれども、御感想などありましたら。
  79. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 一つは談合、特に官製談合についてのお話がございました。もう一つは公務員の天下り、再就職の問題がございました。  まず談合、また官製談合の問題でございますが、談合というのは当然これはあってはならない、ましてや官製談合というのは、私は決してあってはならない。今回の水門談合疑惑について報道がなされておりますが、今国土交通省といたしましても、この水門についての入札状況がどうであったのか等々について調査をさせていただいております。また、私の方から、公取の調査については全面的に協力をするように指示をさせていただいているところでございます。調査の結果については、一方で公取も調査をしておりますので、その公取の調査の妨害はできませんから、現時点ではできることには限界がございますけれども、きちんと公表させていただきたいというふうに考えているところでございます。  この再就職の問題なんですけれども、今日は参議院の国土交通委員会でございますので私も率直にお話をさせていただきたいと思いますけれども、国土交通省の場合は、ほかの省庁とちょっと違う特殊性というのは、職員の数が多いというのはもちろんそうなんですけれども、非常に出先の機関も多いんですね。先ほど委員の方からお話しございました再就職の承認状況なんですが、これは平成十七年、暦年の平成十七年の分で、人事院承認が十三件、それから大臣承認が二百二十三件、合計二百三十六件の再就職の承認を昨年一年間でしておるわけですね。  是非、その点で御理解をいただきたいのは、実を言うと私、ちょっと調べさせたんですけれども、このうち本省とそれから出先機関とでどれぐらい数に違いがあるのか、さらにはキャリアとノンキャリアでどのぐらいの差があるのかと、その別にちょっと数字出してくれというふうに指示をしてまとめていただいたんですけれども。  まず、本省か地方かということでいいますと、圧倒的に地方なんですね、出先機関なんです。本省は十三名、地方機関は二百十八名、外局が五名ございます。外局というのは海上保安庁とか、そういう外局ですが、圧倒的に出先機関なんですね。それから、キャリアかノンキャリアかといいますと、キャリアは実を言うと七名なんです、このうち。ノンキャリが二百二十九名なんです。要するに、ノンキャリで出先の機関の職員の方々の再就職について承認をしていると。民間企業です。これが圧倒的なんですね。まあちょっとこれはほかの省庁と少し違うのかもしれませんが、そういう特殊性がございます。  御承知のとおり、一方で公務員の純減の問題がございます。公務員について、政府・与党としてはこれから五年間で総人件費五%の縮減ということで今取組をさせていただいておるところでございまして、当然、五%も総人件費を縮減していくためには公務員の定員についても純減を当然していかないといけないわけですね。そういう中にあって、もちろん公務員の方々がやはり意欲を持ってできるだけ長く公務の世界で働いていただくこと、これが最も大事なことだと思っておりますので、今までのこの早期退職慣行というものについては見直しをしていこうということで今取り組んでおります。しかし、これは一気にはできません。やはり時間掛けてこれは進めていくしかないというふうに思います。それが一つ。  それから、やはり公務員の方々、私もこういうポジションに就いて一年七か月やっておりますが、やはり有能な人ってやっぱりいるんですね、非常に有能な人。で、五十代で退職ですよね。そうすると、今のこんな五十代なんというのは本当に元気で有能で本当にもったいない。だから、そういう方々のやっぱり能力というものをどう活用していくか、これはやっぱり社会的にも非常に大事な私は問題ではないのかというふうに思いまして、だから、天下りということで、その一点で全くそれは駄目なんだと、こういうのでは多分ないんだろうと思うんです。やはり社会的に有能な人たちを活用していくということも大事だと思いますし、ただ、そこで一般国民方々から疑惑を持たれる、疑念を持たれる、そういうことがあってはならないわけでして、そこのところを、今人事院規則等で定めておるわけでございますが、その今の人事院規則でいいのかどうか、そういうことも含めまして、しっかりと厳正に対応していく必要があるというふうに考えているところでございます。  もちろん、官製談合というのはこれはもうもってのほかでございますので、昨年、橋梁談合がございました。橋梁談合の事件、これは日本道路公団の問題ではございましたが、私どもも、このときの橋梁談合に関与をされた企業については、これ四十七社、この四十七社についてはもう当面再就職はしないと決めさせていただきました。また、幹部については、指定職以上の幹部については、これはもうやはり受注、発注の関係のある直轄工事でそういう企業に再就職しないと。一応、憲法との問題がございますので五年間というふうに区切っておりますけれども、就職しないというふうに決めさせていただいて、そうしたルールで国土交通省の中では取り組んでおりますが、ただ、再就職全般の問題としては今前段に私が申し上げた課題があるわけでございまして、これはやはり公務員全体の、今後どうしていくのか、公務員制度改革の中で是非これは、これはもう国会で、これはもう行政側で議論をするだけではなくて当然国会の方で議論していかないといけない大事な私はテーマではないかというふうに思っておりまして、是非、今後とも御指導を賜りたいと思っておるところでございます。
  80. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 前段の問題につきましてはただいま公取が審査中だと、こういうふうなことでございますけれども、その審査を待つことなく、私は大臣自らの手でやっぱり事態の解明をしていただきたいと。私は、大臣が法曹家であって弁護士さんだということを聞いておりますので、是非ともそこはお願いをしたいということと、再就職の問題については、これは民間企業でも工夫しているんです。常務以上の役員については再就職をさせずに顧問という形で処遇はしますと、しかし関連会社に就職するとかそういうことを一切やらないということをやっている企業も多々あるわけなんです。  それは、長い経験の中で、それは関連会社の社長になったら、次の常務より先輩ですから、おまえわしの言うことを聞けと、これは民間会社でも同じようなことが起こっておったわけですから、そういうことを含めて、私は公務員制度の基本的なところも真剣に私はやっぱり改革をしていくという大きな時代に入っているんじゃないかと。これはまた行革委員会で私もメンバーですからやらさせていただきたいと思いまして、バリアフリー法の本来のテーマに帰っていきたいと思います。  まず最初に、これは本会議でも議論をさせていただきましたし、十八日のこの委員会でも同僚議員いろいろ御質問をされたことでございますけれども、まず、何のためにこのバリアフリー化法を今回このような形で進めていくのかといったときの目的というんでしょうか、あるいは根拠といいましょうか、正に権利なのか福祉なのかと、こういうふうな視点の議論が私はまだ残っていると、このように思っておるわけであります。  本会議場では大臣の方から答弁をいただきました。権利という、そういう法文にするということは交通事業に対する国の関与権限の強化や財政支出の大幅な増加などを招くとしてこれを退けられたと、こういう答弁であったと思います。さらに、前回の委員会大臣が答弁されましたのは、それに加えて、仮に権利とするならば、その権利行使が阻害された場合には救済措置としての損害賠償請求権が発生をしてきて、これは極めて大きな請求権ということで、言わば混乱が起こるというんでしょうか、大変なことになるというようなこともこれは答弁として加えられたということでありますから、今日時点ではそれが政府としての見解ではあると、このように思うわけであります。  しかし一方、この法律の中で施設管理者に対して強い要請をしていますよね。第七条ですか、六条ですか。第七条では、国民に対しても協力しなさいという国民責務という項目、条文も設置されておるわけであります。だから、鉄道事業者だとかいろいろな施設、路外駐車場、そういうふうな人たちについても要請をしておるわけですね。  そういう法が、法律が要請をする背景として、その根拠は何でですかと。私たち一般民間人が車いすで動いている人たちに対して協力をせよと、してください、努力してくださいということを法律が要請するときに、何でそういうことをせにゃいかぬのですか。あるいは事業者にしてみたら、やっぱりお金も掛かる、手間暇掛かる、ひょっとしたら売上げに影響があるかも分からないという、そういう環境の中で、法律のこの要請にこたえていくそのときの根拠は何なんですかといったときに、言われるとおり福祉なんですと。しかし、福祉というのは一面、言葉は悪いんですけれども、じゃこれは施しなんですかと、私はそうじゃないでしょうと。  やはり、この法律の適用によって移動の自由を確保される皆さん方の基本というのは、本質的なやっぱり権利から由来する、例えば健康にして文化的な生活を営む権利があるとか、あるいは国会、国連の中で議論されてきた障害者にとっての本質的な権利だとか、そういう権利に根差したそこからくる要請なんだと。いや、そうじゃないと。あくまでもみんなの気持ちから、みんなから、親切心から出ていることなんで、それを受けることができる皆さん方は有り難いですねということなのかといったときに、先ほども参考人の方が、一旅客として、利用者として接してほしいと、私たちもお客さんじゃないですかと、たまたま車いすでやってきているという条件が付いておるだけじゃないですかと。  そこのところに私は、この法律が今対象としている皆さん方のやっぱり心的な、心持ち、これとの関連においても、私はここは、やっぱり一つの議論だし、確かに権利ということになった場合にその権利侵害に対して補償、賠償という議論になってきたときにやっぱりややこしいこともあるし、日本の歴史、伝統の中で権利という言葉を振りかざしてがんがんがんがんやることが逆に一般国民皆さん方理解を損なわせていくような、そういう風土があるかも分からないというようなことを総合的にいろんなことを考えていき、また財政的な限界の中でやっぱりこの施策を着実に進めていくというそういう視点からも、やっぱりある一つの調和点というのは必要だとは思いますけれども、しかし私は、今この段階でここのところの議論をやっぱりしっかりしておく必要があるのではないかということで、御答弁をお願いしたいと思います。
  81. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) ただいまの先生の御指摘は非常に哲学的に重要な部分と、それと法技術的な面と論点が多岐にわたりますので、私の方で先に、少し勉強もして整理もしましたので、まず御説明をさせていただきたいと思います。  まず、この法律をどうして出しているのかという話でございますけれども、やはりそれは、基は憲法にあって、その次に障害者基本法、それから高齢者の関する法律という、まず大きなこの分野の憲法的な法律があると思います。それを私たちは受けて、特にハードの面、特に五年前に作った法律ハートビル法にしろ、そのハードの面をきちっとやっていこうと。午前中にも今福参考人の方から、やっぱりハードとソフトの組合せあるけれども、ハードを徹底的に追求してほしいというお話がありまして、私たちやっぱりそれやらなくちゃいけないんだなと改めて思った次第です。ただ、ハードには時間が掛かるということで、それをサポートするソフト、心のバリアフリーと、こういう体系で進まなくちゃいけないんじゃないかということでございます。  ハードを中心に物事を考えると、それは国、地方公共団体が税金を使って整備するもの、それから、今先生御指摘のように、いろいろな法律による義務付けにより民間の方にやっていただくと。民間の方にやっていただくというのは、例えば公共交通の事業者にとってみれば、それは結局は利用者の御負担ということですから、いずれにしろハードを整備しているときには税金か利用者の負担、どちらかでやっていかざるを得ないということだと思います。  そこで、実は、もし法技術的に言うと、権利という言葉を明確に書いてしまうと、先日大臣が御答弁申し上げましたように、じゃ、それを権利なのだからやらなくちゃいけない、その財源はどうするんだという議論になるというので、なかなか今の段階では難しいというお話がありました。  実は、そういう議論を平成十二年にもやっておりましたところ、DPI日本会議方々からは、そういう議論を国が言うけれども、実はそんな大げさなことを言っているんではないんだと、一乗客、一利用者として我々が乗車拒否をされているという現実があるんだと。せっかくハードが整備されていながら、ノンステップバス来たから乗ろうと思ったら行ってしまったとかいうような、乗車拒否のようなこういう問題があるんですと。だから、そういうことをやはりきちっとやっていただかなくちゃいけないんじゃないかと、元々そこからスタートしているんですというような御意見もいただきました。  実は、私たちもいろいろ勉強して、こんなに乗車拒否のすごい事例があるのかといろいろ伺ってびっくりしたりした面もあるんでございますけれども、この問題は、まあ権利というような議論の以前に、とにかく目前の問題でございますので、私たちは解決をしなくてはいけないと考えております。  今回の法案の中に事業者責務とかいろんな方の責務というのを盛り込んだのも正にそういうことをきちっと対応しなくちゃいけないという気持ちからでもございますし、また極端な場合には、実は乗車拒否というのは各モード別の事業法において是正命令まで行けるような法体系もございまして、国土交通省にはホットステーションというような、そういういろいろな御意見とか苦情を受け止めるところもあって、それで公共交通事業者とやり取りするという仕組みもありますので、そういう形でとにかく今DPIの方々が言っておられるような問題は直接やっていかなくちゃいけないなというのが議論としては整理したところなんでございます。  いずれにしろ、やっぱりこれ時間の掛かる問題ですし、お金の掛かる問題ですから、一つ一つ問題を解決していくというのが今の政府の立場だということでございます。
  82. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 ということで、いろいろと整理をしていただいたということですから、言ってみると、やっぱり高齢者の方、障害者等皆さん方自身が、あるやっぱりこれは限界がありますけれども、移動の自由を得るということは、これは堂々と、堂々とやってくださいと。そのときに気後れしたり、ちょっと乗車拒否に遭ったときに仕方がないかなとかそういうことではなくて、堂々と声を上げてくださいよと。せっかくこのバリアフリー化という前進させる法律があるなら、やっぱり対象となる人たちに気後れだとか、正にそういうストレスが掛かるというふうなことがないようにと。  逆に言うと、権利とは書かないけれども、書かないけれども、意味としては、やっぱり権利というふうなことは当然理解をして、国民皆さん方も堂々と協力をするんですよと、してくださいよと、そういう国民的合意の上でこのバリアフリー化法を皆で進めようじゃないですかと。まあお金の方は限界があるよと、それはまた算段をして、時間を掛けてやっていきましょうと、ハード、ソフトそれぞれ頑張りましょうと、こういう理解でいいんですかということで、どうですか。
  83. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 今、竹歳局長から答弁したとおりでございますが、この法律というのはやはり、さかのぼれば憲法十三条、さらには十四条、また移動の自由というふうな意味では、これは例えば憲法二十一条の表現の自由ともかかわってくるそうです。だから、そういう意味では、やはり私は、憲法上のそういう権利規定に根差しているというふうに私は思います。  その上で、ただ具体的に、この法律の中で具体的な権利ということを位置付けてしまうと、先ほど来、竹歳局長が申しておる、また私が本会議等で、また前回の委員会で申し上げたような問題点が具体的に出てきてしまうということで、法律上は、具体的な権利として現時点で書き込んでいくというのはなかなか容易ではないというふうに申し上げたわけでございます。  ただ、その思想は、今委員のおっしゃったように、加藤委員のおっしゃったように、これはやはり憲法上のそうした権利規定に位置付けられますし、更に申し述べますと、これは、人間というのはこれは差別があるわけですね。年取っている、若い、男と女、日本人と外国人、さらには当然のこととして障害の有無等々、もう人間にはこれ差別というのは当然あるわけでございます。  そういう差別があっても、差別差別差別があっても自由に、できるだけ行動ができるように、社会資本をしっかりと整備をしていこうというのが今回のこの法律趣旨でございまして、それがまさしくその我々がずっと言っておりますユニバーサルサービス、ユニバーサルデザインによるまちづくり、社会資本整備をしていこうと、それがこれからの時代の大きな流れであると。そうすることによって、お一人お一人の人格というものが尊重されることになるわけですし、またお一人お一人の行動が自由になることによって、できるだけ自由に円滑化させることによって、その方々のやはり自分自身を発揮できるわけでございまして、そういうところに今回の法律のやはり一番大事な趣旨が私はあるというふうに思っております。
  84. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 障害があったとしても、移動の自由を確保するようにと。差別があってもという言葉でしたけれども、それは障害があってもという意味だと思いますので、はい。
  85. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) いえいえ。
  86. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 あっ、そうですか。ちょっと、これは議事録に残りますから。
  87. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) そうですね、委員長
  88. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 ええ、ちょっと少し。
  89. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 済みません、差別という意味はそういう意味で言っているんじゃないんです。人間には顔の違いがある、これがもう差別という意味での差別で申し上げているんです、はい。だから、言葉としては差異と言った方がいいのかもしれません、一般的には。一般的には差異といった方がいいのかもしれません。もしその方が適切であるならば、そのように訂正をさしていただきたいと思います。
  90. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 はい。それでは、そういうやっぱり権利に根差してということについては、これからこの法律が仮に決定、採択されたその後、各国民皆さん方にPRするときも、もうそういうふうなことがにじみ出るような努力を、是非公知していただきたい。これはまた、他の委員皆さん方からもこれから要請があるかも分かりませんけど、私は、その点で次の質問に移りたいと思います。  次に、バリアフリー化の事業推進においては地域自治体のやる気、熱意が重要であることは、もうこれは言うまでもありません。東横インの不正改造問題は、横浜市の条例が制定され、違反指導がされていたことからその事件性が明るみになったわけであります。  そこで、国土交通省として移動等円滑化基本構想の作成状況をお伺いをしたいと。あわせて、この基本構想の作成を予定しているが遅れている市町村、さらには全く作成予定のない市町村について、前回の委員会でもアンケート結果等が紹介されましたけれども、それらの情報を総合して、国土交通省としての背景なり分析、事態の本質をどのように分析されているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  91. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 現在の基本構想の策定状況でございますけども、一日当たりの利用者数が五千人以上の旅客施設を今中心にしてやってきたわけでございます。その自治体が五百三十九市町村ございまして、百八十九市町村で二百二十の基本構想が作成されております。このほか、一日当たりの利用者数が五千人以上の旅客施設が存在しない市町村でも十二件、基本構想が作られております。  なぜ作られていないかという理由につきましては、実は既にいろいろな形でバリアフリー化をやっていて今基本構想を作る準備がないというようなこととか予算の話とかほかの事業とのタイミングとかいう理由が挙げられております。  国土交通省としては、この基本構想の作成を促進していくということは非常に重要だと思っております。したがって、各地方運輸局等が主体となってセミナーを開催いたしましたり、未作成の市町村に対するバリアフリープロモーターの派遣とか、それから今回の法改正を契機に、基本構想策定のための経費を補助対象にするというようなことで、財政的にも苦しい市町村にもどんどん基本構想を作ってもらおうというようなことも新しく講じているところでございまして、今後も全国の市町村における一層のバリアフリー化を目指して邁進していきたいと思います。
  92. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 基本構想についてもう少し深めたいと思います。  要は、基本構想を作ればいいということではないと思います。本年一月に出されました総務省行政評価局のバリアフリーの推進に関する行政評価・監視結果報告書では、意外な調査結果が明らかになっております。つまり、基本構想を策定していなくてもバリアフリー化の対策がきちんとできている市町村が結構あるということであります。こうなると、基本構想が必須条件であるのかどうかという点を含めて、基本構想自体の意義とは何なのか、改めてこの委員会の中で私はちょっと議論をしていく必要がある。  このような実態を踏まえまして、今回の新しい枠組みが本当に地域あるいは自治体のやる気というんでしょうか、それにつながっていくのかどうかということも含めまして、御見解をお伺いしたいと思います。
  93. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 今お話ございましたように、今年の一月に総務省行政評価局より、この基本構想制度がうまく機能していないんじゃないかという政府内ではかなり厳しい御指摘を受けてしまったわけでございます。  その具体的内容というのは主として基本構想に関しては四点ございまして、いろいろセミナーとか実はプロモーターとかやっているけれども、それがうまく効果的に活用されていないんじゃないかと、だからそれは活用しなさいということ、それから基本構想の作成から事業の計画までがなかなか進まないと、だからそういう期間を区切ってやったらどうだというようなこと、それから基本方針に基本構想作成後の連絡会議設置を明記したらどうか、それから市町村に対し連絡会議の構成員の範囲を明確にするというような御提言をいただきまして、実はこのうち連絡会議設置とかそれから構成員については法律で今回対応したということがございます。  それから、基本構想を作っていないところでも結構バリアフリーやっているというのは、実はこの法律ができたのは五年前でございますんで、その前からいろいろ福祉のまちづくりとかやっておられるんでそういう結果になっていると思います。  この基本構想が非常に大事だと思うのは、実は協議会をつくるとか、そういう高齢者の方とか障害者の方に参加していただいて基本構想を作っていくというのが非常に大事だと思うんです。結局、我々がこれからやらなくちゃいけないのは、身の回りを自ら点検してみて、自分が車いすで行くとしたらここが問題じゃないかあそこが問題じゃないかというようなことを一緒に作業するというようなお話が午前中もございましたけども、そういう高齢者障害者の方と一緒になって作業をして点検して、自分の町をどうしていくんだという構想を作るということが大事だと思うんです。  だから、もう既に先発している町で、もう自分のところはバリアフリー済んどるから基本構想は作らなくていいというような市町村があるとすれば、実はそれは、まあ先に進んでおる結果そうなっているんですけれども、この法律ではもっと緻密に点検しようということを申し上げているわけでございますので、是非、そういう点も含めて働き掛けをして、その町々に地域地域の福祉の地域計画という昨日御指摘もございましたので、そういう高齢者障害者の方の日常生活社会生活の動きやすいようなまちづくりを進めていきたいと考えています。
  94. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 局長は私と同世代でして、やっぱり霞が関のお役人も私らぐらいの年代になってくるとさばけてきてというんですか、非常に民主化しているなと。古いタイプのお役人の答えならそういう答えじゃなくて、今お答えになったのは、要はこの基本構想が本当に値打ちを出すのは参加型だと、参加型の基本構想にして初めていいものができるんだということを私はおっしゃられたということであって、ということを私は大切にしてこれからやっていただきたいということで、エールを送りまして、次の質問に移りたいと思います。  次が、ホーム転落事故の実態について少しお聞きをしたいと思います。  午前中も参考人お話の中から、このホームからの転落事故が結構多いんだと、非常にある意味でショッキングなお話でございます。一般の鉄道利用者も日常的に、我々はホームに転落というリスクを意識してないと、こんなふうに思います。  まず、転落事故、それから車両接触事故の実態がどうなっているのかということをお伺いをしたいと思います。事故の要因としては、混雑をして人とぶつかっての不可抗力とか、あるいは貧血、あるいは酔っ払って落ちたとか、いろいろ原因があると思いますけれども、あるいは今回問題としております障害者等皆さん方事故ということもあろうと思いますけれども、具体的に事故原因、被害者の種類、特に障害者等皆さん方の場合はどのような問題点を指摘されるのか等、分かる範囲で結構ですので、御説明をいただきたいと思います。
  95. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) 鉄道におきましては、鉄道事故等報告規則というのがございまして、これに定める事故が発生した場合には、鉄道事業者国土交通省に報告をするというようなことになっております。  当該の規則に基づきまして報告された事故のうち、ホームから転落して列車と接触し死傷した事故につきましては、平成十六年度で三十一件発生しておりまして、十五名の方が亡くなられ、十六名の方が負傷されております。  それから今度は、ホームの上で列車と接触して死傷した事故につきましては、平成十六年度八十七件発生しておりまして、五名の方が亡くなられ、八十二名の方が負傷されておるところでございます。  一方、これらの事故のうち、身体障害者に関連するものといたしましては、盲導犬を連れた視覚障害の方が通過中の列車に接触されまして負傷したものが一件ございます。  なお、十六年度に発生しました運転事故の総件数は八百四十七件でございまして、これらの事故件数の割合は百十八件、先ほどのもので百十八件でございますけれども、全体の約一四%ということになっているところでございます。
  96. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 そういったホームでの事故が起こっているということで、それらの対策として最も効果的なのはいわゆるホームドア設置ということではないかというふうに考えています。このホームドア設置につきましては、例えば鉄道自殺防止という観点、これも鉄道事業者にとってはかなり必要性の高い事柄であるというふうに思われます。  ただ、ホームドア設置には膨大な費用が掛かりますし、いわゆる工事期間中の問題とかいろいろ、スペースの問題とかいろいろ多くの困難もあることはよく分かっておりますけれども、流れとしては人命尊重ということ、あるいはバリアフリー化を推進するという視点から今後このホームドア設置についても強力に展開すべきだと、このように考えます。  社会安全性確保へのコスト負担というふうなことは、国民の多くからも、私はよく説明をすれば支持が得られるものと考えます。バリアフリー対策としてどうしても日常的に要望が高いエレベーターエスカレーター設置というのが予算分捕りということからいけば優先されますけれども、今後ホームドア設置に関して国としても思い切った施策展開していく必要があると考えますが、御見解をお伺いしたいと思います。
  97. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) 先生御指摘のとおり、ホームドアあるいは可動式ホームさく、こういうものの設置が進むというのは、ホームからの転落防止等の観点から望ましいと私どもも考えているところでございます。  設置状況につきましては、主として路線新設時に設置されることが多いことでございますが、既設線につきましても設置されるケースが次第に増えてきている状況でございます。  私どもといたしましては、このホームドアにつきましてできるだけ設置をしたいということで指導をずっと続けてきておりますけれども、ホームドア設置するには、御指摘のとおり非常に多額の資金が必要でございます。それから、既存路線やあるいは相互乗り入れの路線の場合などではスリードア、フォードア、いろんなドアの電車が入ってまいりますので、これら様々な列車に対応可能なホームドアを造るということはなかなか難しゅうございます。全部スリードアにしてしまうとかそういうふうにすればいいじゃないかということは、言うのは簡単でございますが、非常に多額の金が掛かります。したがいまして、急速に整備が進まないという状況ではありますけれども、徐々に私どもの指導に従いましてやってきていただけるというところかと思います。  私どもといたしましては、こういうことでホームドアあるいは可動式のホームさくにつきまして順次整備を進めていきたいというふうに思っておりまして、例えば十九年度には、昔できた東京メトロの丸ノ内線につきましてもこうした対策を取っていこうと、整備していこうというようなことでございます。  ただ、こういう問題と同時に旅客の方々が線路上に転落されるというようなこと時々ございますので、まあこれ、いろいろございます。先生御指摘のように、実を言うと酔っ払ってというのが一番多いんですけれども、列車接近放送の実施、あるいは非常停止ボタン、あるいは転落したら検知マットがあってそこで検知できるというような整備もやってきておりますし、また、ちょっと開発中ではございますけれども、ホーム全体をミリ波という電波で覆いまして、転落したら直ちに分かって電車を止めれるような仕組みというような研究もしているところでございます。  私どもといたしましては、補助の問題につきまして、なかなか厳しい財政状況の中でございます。駅のバリアフリー化、二十二年には一〇〇%目標にしっかり頑張っていきたいというふうに思っておりますので、段差の解消には更に努めてまいりますが、このホームドアあるいは可動式のホームさくにつきましても、関係事業者の御理解を賜りながら徐々に進めてまいりたいというふうに思っております。まずはやはり大勢の旅客の方が移動される路線中心にしながら、可能なところから手を付けてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  98. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 是非とも積極的な展開要望しておきたいと思います。  次に、視力障害者の運転免許の制限緩和について、今日は警察庁の方、お越しいただいていますので、少し御質問をしたいと思います。  私は本会議の質問で、設備や建物、乗り物のバリアフリー化を進めていくことの必要性を非常に強調したわけですけれども、それと同時に、高齢者障害者等皆さん方移動する能力を、個々の移動する能力を高めていくための施策の重要性も指摘をさせていただきました。その一つとして、午前中も議論がありましたスペシャル・トランスポート・サービスの整備ということが一つの重要な施策となるということは、これは当然のことでございます。  その関係でもう一つ重要な施策は、障害者の運転免許交付条件を緩和するということ、それによって障害者の方が自分の力で自分を動かすことができる、そうすることができれば、他の人のお世話にならなくてもドア・ツー・ドアでしっかりと対応できるということが可能になるわけであります。  この施策は、障害者自身の移動能力を高めてバリアフリー化の後れをカバーするという視点、さらには行動範囲を広げ、仕事などに必要な対応ができるということで、法の目的にもありますように高齢者障害者等の自立、この自立に資するためにも一つの方法になるのではないかと、大変意義が大きいと私は考えます。  前回の委員会で佐藤議員が取り上げられました。警察庁は道路交通法を改正して、二年後を目途に、聴覚障害者について広角バックミラーの装備、装着、あるいは安全、慎重運転という言葉を使われましたね、を条件に運転免許を交付することを決定されました。佐藤さんの質問があったから今度私もというわけじゃないんですけれども、両方の耳が全く聞こえない聴覚障害者の方は、十八歳以上で八万八千人いると言われています。  この決定については障害者団体も大きな評価をされておるということで、そこで運転免許に関する障害者の欠格条項を調べてみますと、色弱に関しては大きな改善がなされてきましたけれども、視力そのものに関しては依然として厳しい条件が課せられております。両眼で普通自動車ではコンマ七以上、商業用大型バスやトレーラーの場合はコンマ八以上の視力が要請されております。障害者方々の希望は、これはコンマ五に引き下げて、低視力者の自家用車による移動円滑化を図ってほしい、こういうものであります。諸外国の事例でも、EU等を中心にコンマ五以上というのが一般的で、特に日本のコンマ七というこの基準との差が事故等に直結するという明確な私は判断基準、理由はないと、このように聞いております。  この視力に関して、少しでも多くの障害者方々社会参加できるように規制の緩和を図るべきと考えますけれども、警察庁の、事前には余りいい答えは得られないと、こうなっているんですけれども、よろしくお願いいたします。
  99. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) お答え申し上げます。  障害者方々移動能力の向上につきまして、これは大変重要なことでございますので、私どもも様々な取組をしてまいりました。ただ、ただいまは目の視力の問題ですが、これは片目で見た場合の視力と両眼で見た場合では、両眼とも同じ程度でありますと、両眼で見た方が〇・一から〇・二ぐらい高いということでございますが。  それで、ただいまヨーロッパで視力〇・五というのが標準であるという御指摘でございますが、私ども、子細に承知しているわけではないんですが、見た限りでは、実は、両眼の視力で〇・五としている国と、それから片側で〇・五としている国がありまして、一律ではございません。我が国は両眼で〇・七と、片側ですとどちらでも〇・三ということでございまして、全体として比較すると、我が国は必ずしも特に高いというわけではないという印象は持っておるわけなんです。  そこで、運転中におきます視力ですが、これは道路標識、それから目標物の文字等、様々な情報を瞬時に得る必要があるわけでありまして、また歩行者や他の車両の挙動、危険な状況を認知する上でも視力の果たす役割は決定的でございます。  それで、我が国では、免許制度創設時よりこの〇・七以上の視力ということにしてきておりますが、その後は車の性能は更に良くなりましてスピードは上がっておるわけでございます。交通安全、命にかかわるということで、私ども、御質問の御趣旨は十分よく理解できるのですが、これを更に引き下げるということは、やはり安全性の低下につながるということで適当ではないかなと考えておるわけでございます。
  100. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 まあまあ、これ以上ここで押し問答して前進するんなら一時間でもやりたいと思うんですけれども。  ただ、私は、言われたように、必ずしも日本のこの基準が厳しいという印象を受けておられないと局長はお答えになったけれども、私が手元にあります資料を見ますと、やっぱりEU、イタリア、フランス、スウェーデン、アメリカ、ニュージーランドは両眼視、これは視ですね、視力、コンマ五、日本はコンマ七と、こういうふうなことで、この資料で見ればそんな、印象としては日本がきついなと、こうなるわけで、主観の問題でここで議論するということにもなりませんけれども。  ここは是非、将来に向けて、あしたでもいいですから、是非とも改善の方向で、私は是非とも皆さん方のいわゆる参加と自立という視点から、いろいろな工夫も含めて私は御検討をお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきますけれども、初めてネガティブな回答をいただきまして動揺しております。  それでは次に、ハンドル式電動車いすの改良について少し御質問を申し上げます。  もう既に議論の中で、シニアカーと呼ばれるハンドル式電動車いす、この車いすに関しても障害者団体方々からいろんな要望が出されております。利用拒否が結構頻発しているということで、何とかしてほしいというのが大体の要望中心でございます。  事例を少し申し上げますと、横浜に住んでおられる方が実際に鉄道会社に電話をして調べた結果を受けております。  これによりますと、一、横浜市営地下鉄並びに東急東横線は、乗車駅、降車駅の両方にエレベーターが付いていればオーケー。しかも、乗車駅で駅員に降車駅を伝えれば、降車駅ホームで乗務員が待機するというサービスを行っているということであります。  二、京浜急行は、手動車いすJIS九二〇一及び電動車いすJIS九二〇三は対応できるということなので、JIS九二〇三に対応しているシニアカーはオーケーであるという返答であった。  三、しかし、JRは、車いすは問題ないがシニアカーは不可という答えであったと。乗降両駅においてエレベーター設置されていたとしても不可ということで、その理由として、重量的な問題、デッキ、通路のある車両では小回りが悪く、他の乗客にも危険が及ぶとのことらしいと、こういうふうな聞き取り調査をしております。  また、新幹線も、シニアカーは物理的に乗り込みができないとして乗車拒否を貫かれておられると。貫かれておられると、こういうことでございまして、このハンドル式電動いすを受け入れるための対応策は、一つは技術改良ではないかと考えます。  国土交通省の研究会でも検討されてきた経過がありますが、改良点として、一、軽量化、二、小回りが利く回転性能の向上、三、段差乗り越え時における介護者の持ち上げ用の取っ手の装着、四、緊急時に介助者が手押しできるようなクラッチ装置の装着などが挙げられております。国産のシニアカーのメーカーはスズキでございますけれども、これらの技術的改良はそんなに難しいものではないと、こういうふうに思われていますけれども、量産してもうかるような商品ではないので、国としての開発費支援、こういうふうなことを検討していただければと、こういうふうな答えになっております。  これは、経済産業大臣の所管であると思われますけれども、私は、こういった技術改良、また最近は指向性の極めて高いスピーカーも実現しておりまして、この列だけに、ちょうど五十センチに並んでいる人だけに聞こえると。それで、音源というのは極めて回り込みますけれども、そういう非常に指向性の強いスピーカーが出ている。スポット放送ができるというようなものもございますし、話が長くなりますけれども、準天頂衛星一基上がる予定になっていますけれども、ビルの谷間の影響を受けない真上にいる衛星が位置情報もとらえることができる。つまり、XY軸、平面だけじゃなくて、立体的な高さ情報も把握することができる。それを携帯でつなげば、あ、おじいちゃん、三メーター先には段差があるよとか、そういう情報もサービスできるわけです。  そういうふうに、今日我が国が持っている工業力、科学技術力を総合していくことによって、こういう高齢者障害者皆さん方の個々の移動能力を強化していくと、そういうことこそ、我が国が世界に誇るべき一つの、何というんでしょうか、改良点というんですか、努力点ではないかと、これは私の持論でございますけれども、そういうふうなレベルに我が国はあるんだと、このすばらしい力を是非ともこのバリアフリー化推進のために私は活用していただきたい。そういうふうな意味を込めて、ひとつ国土交通省としても、これはよその省のことやから口出しするとまた縄張争いになるからあかんとかじゃなくって、いいことについて積極的な御見解をお伺いしたいと思います。
  101. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) 先生御指摘のハンドル型の電動車いすですね、これは、御指摘のように回転半径が大きい、あるいは重いということから、従来、鉄道では利用をお断りしている場合が非常に多かったと。そこで、平成十五年三月に、私ども関係の行政機関、あるいは身体障害者の団体の方々公共事業者などと集まりまして調査委員会をつくりまして、この利用要件を取りまとめたわけでございます。これを踏まえまして、車両内のスペースが広く段差がない車両において利用が可能である、また利用可能駅もエレベーター等の整備に伴いまして次第に増えてきているところです。  例えば具体的にいいますと、一年前、千三百二十九駅でございます、これ利用可能駅がですね。現在のところ、十七年の七月の調査では千五百九駅というふうに増えてきております。しかしながら、車両によりましては、例えば新幹線みたいに入口が狭くて車いすが回転できるようなスペースがないというような車両につきましては、通路も狭うございますから置き場所もないというようなことで、なかなか難しいというのが実態でございます。  今回、JR東海では、新しい新幹線N七〇〇系に替えてまいりますけれども、こうした御意見等も踏まえながら、今後、多目的室のスペースというものが設けられますから、慎重に検討してまいりたいということでございますが、私ども、是非、先生御指摘のように、メーカー等によりましていろんなタイプのものがございますので、やはり鉄道利用に適しました機器の開発というものをひとつお願いをしたいというふうに思っておりますし、私どもも新造の車両整備する際には、こうしたハンドル型の電動車いすですね、こういうものの利用も念頭に置いて車両を開発し、車両整備していくということでこたえてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  102. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 では、各産業とも力を合わせてやっていくということで、本日の私の質問はこの程度として、残りの件につきましては次回またみっちりやらしていただくことで、終わります。  ありがとうございました。
  103. 山本香苗

    山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。  前回に引き続きまして質問させていただきます。どうぞ前向きな御答弁をよろしくお願いしたいと思います。  本法案におきましては、今、加藤委員の方からもございましたけれども、市町村が非常に重要な役割を担うということでございまして、市町村の立場に立って、最初に何点か、本法案につきましてお伺いをさしていただきたいと思っております。  本法案につきましては、一定の道路駐車場都市公園が新たに対象となりますが、その要件はそれぞれどのようになりますでしょうか。
  104. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 今回対象と新しくなる、例えば道路でございますけれども特定道路、具体的には政令で定めることになりますが、高齢者障害者等が日常生活又は社会生活において利用する旅客施設でございますとか官公庁施設、福祉施設等の生活関連施設相互間の、これを結ぶ経路の道路を、そしてそれが通常徒歩で行われると、こういうものを特定道路ということで指定したいと思います。  それから、駐車場につきましては、これは、一般公共の用に供する、二つ目は五百平米以上、それから駐車料金を徴収すると、こういうものを対象とします。  都市公園についても、これも具体的には政令で定めることになりますけれども、高齢者障害者方々が円滑に都市公園を利用していただくということで、特にバリアフリー化が必要な通り道である主要な園路でございますとかトイレとか休憩所等、こういうものを対象としていきたいと考えております。
  105. 山本香苗

    山本香苗君 その中で道路につきまして、道路局長に来ていただきましたのでお伺いをさしていただきたいんですが、法案の第三十二条におきまして、市町村による国道等に係る道路特定事業の実施という項目がございます。これを、その一項めを読みますと、市町村が国や都道府県に代わってその道路整備をやんなさいとも読めるわけでございまして、この一項の解釈をどのようにするのが正しいのか教えていただけますでしょうか。
  106. 谷口博昭

    政府参考人(谷口博昭君) お答えいたします。  今委員御指摘の三十二条の趣旨は、重点整備地区内における道路の一体的なバリアフリー化の推進を図るということでございまして、基本構想に基づき、市町村道のみならず、いわゆる補助国道や都道府県道についても、市町村が道路管理者である都道府県に代わってバリアフリー化を実施することができるというようなことでございます。  道路におけるバリアフリー化実現していくためには、高齢者障害者等が利用する道路について、道路管理者の別なく連続的に整備を行っていくことが特に重要であるという考え方から、この措置により重点整備地区内におけるバリアフリー化に関する取組の推進に大きく貢献できるものと考えておる次第でございます。
  107. 山本香苗

    山本香苗君 局長、重ねてお伺いしますが、管理者が違う場合、市町村が国道等を整備する場合に費用負担はどうなるんでしょうか。
  108. 谷口博昭

    政府参考人(谷口博昭君) 本来の都道府県が費用負担するものをこの規定により市町村がそのままできる、補助、交付金で事業を実施できるということでございます。
  109. 山本香苗

    山本香苗君 市町村が都道府県道をする場合、国道といった場合はどうなるんでしょうか。
  110. 谷口博昭

    政府参考人(谷口博昭君) 補助国道、都道府県道について、本来それぞれ都道府県がやる場合に、市町村がこの規定によって補助を受けられる、交付金を受けられるということでございます。
  111. 山本香苗

    山本香苗君 本法案によりまして、従来よりも国の補助対象拡大したり補助率が引き上げられる等の改善はなされているんでしょうか。
  112. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) この法案は、今までいろいろ御提言をいただいて、よりバリアフリー化社会に向けて制度を整備していこうということでございまして、基本的には各事業制度の上に乗っかっております。  ただ、幾つか改善がされております。  一つは、市町村によっては非常に財政事情が厳しいところがございまして、その基本構想を作ることすらなかなか大変だというところがございます。こういう市町村がございますので、この基本構想の作成を行う協議会に対しまして、バリアフリー環境整備促進事業というもので新たにその経費を補助対象としております。  それから二つ目は、都市地域整備局の事業でございますけれども、駅周辺のバリアフリー化等を実施する都市再生交通拠点整備事業というのがありまして、その地区要件というのが今まで一日乗降客数が一万人以上だったのを五千人まで引き下げてということで、より使いやすくすると。  それから、更に言えば、実はまちづくりそのものでございますから、まちづくり交付金が、平成十七年度が千九百三十億でございましたけれども、今年度は二千三百八十億と大幅に増額しておりまして、こういうものをうまく使うと市町村の助けになるんではないかと考えています。
  113. 山本香苗

    山本香苗君 今回、この法案につきまして市町村の関係者の方々といろいろお話をしておりましたら、市町村におきましても、この交通バリアフリー法に関連する業務を行うところと、いわゆるハートビル法に関連する業務を行うところがそれぞれ異なっているわけですね。また今回、先ほど申し上げたように、法案で新たに公園だとか駐車場だとかいろんなところが対象になってくると関連部局がもっともっと増えてくるわけであります。そういう中で、ある市町村の方では、効率的な事務を行っていくためには関係部局の、関連する部門の一元化が不可欠で、機構改革も必要になってくるんじゃないかとまで考えているところがあるそうなんです。  同じように、国の方を見ても、今日も局長さん、ずらっと並んでいただいておりますが、いろんな関係部局分かれているところがあるわけでございまして、例えば市町村の方からこのもう法案につきまして何か問い合わせをしたいといったときに、それぞれ分けて問い合わせをしなくちゃいけなくなってくるわけなんですね。  一体的に国からしっかりこれを進めていこうという体制を取るんであれば、国にきちっと一つにまとめた対応の相談窓口みたいなものをつくって体制をつくるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  114. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 個別具体的な事業になりますと、それは最終的にはやはりそれぞれの事業部局になると思いますけれども、基本構想の作成とか横ぐし的ないろいろな仕事につきましては国土交通省の方もやはり一丸となってやろうということでございますので、この法案を作るとき自体にもこういう一つの一本化した推進室というのをつくってやっているんでございますけれども、この法案ができた後もやはりそういうきちっと、少なくとも窓口は一本化するというようなことで進んでいきたいと思います。
  115. 山本香苗

    山本香苗君 その推進室というのは、多分この法案を通すために一生懸命やろうというところであって、終わった後きちっとあるかどうかというのは定かじゃないわけですね。きちっとやっていただきたい。残していただいて、法案、これ作って終わりじゃないわけなんですね。作った後の方が大事でございますので、是非、北側大臣、この点はよろしくお願いしたいと思います。
  116. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) おっしゃられているとおりだと思います。やはり、この法案を通していただきましたならば、その後のフォローをしっかりとしていく必要がありますので、窓口がばらばらにならないように、きちんとフォローをしていくための組織はきちんとつくらしていただきたいと思います。
  117. 山本香苗

    山本香苗君 前向きな御答弁、ありがとうございます。  次に、今回の法案で、当事者、住民等の参加の促進というのは一つの大きなポイントであるということをお伺いしました。今日の午前中の参考人質疑、竹歳局長はずっと聞いておられたわけでございますけれども、是非、この基本構想のみならず、いろんな基準を作っていく上で、作成、また実施、検証各段階で当事者の方々の参加が図られるような仕組みをつくっていただきたいと思っておるわけなんですが。  今日は、その参考人質疑の中でお伺いしておりまして、さっき局長も、あっ、こんなこと、こんなたくさん事例があってびっくりしたとおっしゃられておりましたけど、私も資料を事前にいただきまして読ましていただいて、こんなにたくさん事例があるのかと改めて思ったわけなんですけれども、いわゆるバリアフリー法の円滑化基準に適合しているような設備においても、車いす使用者、使用されている障害者方々乗車拒否に遭われたり利用拒否をされたような事例がたくさんあると。こうした当事者の皆さん方の具体的な声、クレームといったものに対して一つ一つ丁寧に対応していけば、正に今回の法案で国に課せられている責務でありますスパイラルアップにつながっていくんじゃないかと思うわけなんです。  そこで、これをどういうふうにやっていくかと。そうしましたら、先ほどくしくも局長の方からおっしゃられておりましたけれども、国交省のホームページ上に設置されているホットラインステーション、これをうまく活用したらどうかと思うわけなんです。  今福参考人が事前に各事務所の方にお配りいただきました資料の中にもこのこと書いてありました。今日御発言の中にはなかったんですけれども、これが、ホットラインステーションに来ているものがどう処理されて公開されるのかについては明らかになってないというふうに指摘をされておりましたが、私は、このホットラインステーションというところを使ってもっと当事者の声が反映できるような、もっと透明性のある運用をしていただきまして、期待にこたえられるようなものにしたらどうかなと思うんですが、いかがでしょうか。
  118. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 国土交通省に設けておりますホットラインステーションにおきましては、様々な分野につきまして国民の皆様からお声が届くわけでございます。その中には、公共交通事業者の提供するサービスに関するものもございます。  今までの運用をまず申し上げますと、そういう個々の御相談があった場合には、担当課を通じて事業者に対して確認を、そんなことが本当にあったのかというような確認とか調査、それから極端な義務違反、法令違反のような場合には法令に基づく是正措置を含む対応と、こういうことを検討すると、で、それを、その結果を相談された方にお返しするという、こういう作業をやっているわけです。  ただ、こういう事例をやはりみんなで共有していくということも大事だと思います。個々のお名前について言えば、やっぱりそれは個人情報保護法とかいろんな問題はクリアをしなくてはいけないと思いますけれども、せっかくのいろいろな個別のケースについて、やはりみんなでこの問題を共有するという意味で、仕組みについても考えていきたいと思います。
  119. 山本香苗

    山本香苗君 是非、皆さんも聞いていらっしゃいますので、具体的に成果を出していただきたいと思うわけなんです。  確かに、ホットラインステーションって私も初めて知りまして、昨日ホームページを開いていろいろ見たら、項目たくさんあるわけなんですね。今回のこのいわゆるバリアフリーの関係のみならずいろんなのがあるわけなんですけど、特筆してこの中でバリアフリーの分、これだけあるわけですから、是非竹歳局長の下でしっかり事例に合わせてそれに対処していけるような体制をつくっていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  今日は文部科学省の方にも来ていただいておりますけれども、加藤委員におかれましては本会議学校のことを触れていただいていたわけですが、私も今回、この学校施設というのは、やっぱり児童生徒の学習、生活の場であると同時に地域コミュニティーの拠点、そして災害時のいわゆる防災拠点、避難所としての役割を果たすということで、単なる子供たちがいるだけでなくていろんな人たちが、不特定多数の方々が来るような場所だと思うんです。そこのバリアフリー化を推進していくことは非常に重要なことだと思うんですが、今回の法案を見る限り、学校についてバリアフリー化がどう進むのか全く分かんないんです。  どういうふうに改善がなされていくのか、文部科学省として本法案をどう受け止めて、これからいかに進めていくのか、きちっとした答弁をいただきたいと思います。
  120. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) 学校施設は、先生御指摘のとおり、そのバリアフリー化を進めるというのは大変重要であるというふうに私どもも思っておるところでございます。  このようなことから、これまでも文部科学省として学校施設のバリアフリー化のために国庫補助を積極的に行ってきたところでございます。また、平成十四年にはいわゆるハートビル法が改正されまして、これに伴いまして学校施設のバリアフリー化を推進するための指針を策定いたしまして、その中で、各学校設置者に対しまして合理的な整備計画を策定するように指導をしてきたところでございます。そのほか、いろいろな事例集を作成したりして周知を図ってきたというところでございます。  今回の法案におきましては、事業の重点かつ一体的な推進を目的として市町村がバリアフリー化基本構想を作成することができるということになっておりまして、この中で学校を位置付けていただきますれば、学校施設におけるバリアフリー化も一層推進が図られるんではないかなというふうに考えております。また、加えまして、文部科学省としても、先ほどのように整備計画を策定することをお願いしておりますので、それらの作成状況を把握して適切なフォローアップを行っていこうというふうに考えております。  このようなことで、関係省庁と連携を取りつつバリアフリー化取組を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  121. 山本香苗

    山本香苗君 なかなか進んでないんですね。学校施設の整備費につきましては、今国会、法改正をして交付金化をしたところなんですけれども、交付金化をしたとしても、その中に、従来同様、補助対象が最低一千万円以上という条件はそのまま残っているわけなんですね。ですから、ちょっとしたスロープや簡易エレベーター設置などが補助対象にならない、だからそれによってバリアフリー化が進まないと、この進まない理由一つになっているわけなんです。  交付金化して地方の裁量を高めるというのであれば、この最低一千万円という縛りを取っ払うべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  122. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) このたびの安全・安心な学校づくり交付金、この創設に際しましては、委員御案内のとおり、現下の最大の課題でございます耐震化に重点を置きつつも、バリアフリー化などの耐震化以外の施設整備上の課題について、文部科学大臣が定める施設整備基本方針に明確に記述することとしております。  この基本方針に基づきまして、優先度が高いと判断される事業に対しまして、従前の補助率や下限額を踏襲して交付金の総額を算定することとしております。しかしながら、実際市町村が事業を実施する段階、この段階におきましては、私ども算定するのは交付金の総額でございます。その範囲内におきまして、例えば効率的な執行で、例えばコストダウンでいわゆるお金が余るというようなことになりました場合、そのお金が下限額を下回る事業、これに充当するということも可能ではないかなというふうに考えておるところでございます。
  123. 山本香苗

    山本香苗君 いえ、そういうことを聞いているわけじゃなくて、この最低一千万というところの要件をどうしますかって、ここを検討しますかしませんかって聞いているんです。
  124. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) 交付金化というのは、いわゆる個別の実施事業そのものについて、一件一件これまでは学校ごと、事業ごとに使い方まで縛りがあったわけでございますけれども、交付金の総額の算定は一千万というルールは維持しつつも、実際に事業を実施するのは市町村の裁量に任されているわけでございますので、結果として一千万以下のバリアフリー化の事業に使われることも許容するということというふうに私ども理解しておりますけれども。
  125. 山本香苗

    山本香苗君 結果として一千万以下になってもそれはオーケーだよという話、そういう話をしているわけじゃなくて、そういう縛りをなくした方がいいんじゃないですかっていう話をしているんです。これは、財務省との話にもなってくると思いますので、是非文科省と財務省との間でしっかり話をしていただければと思っております。  学校施設の耐震化におきましては、北側大臣の強力なリーダーシップの下、国交省の方と文科省の方とで連携を取っていただきまして、今年度中に耐震診断を終了させるんだということで強力に進めていただく体制をつくっていただきました。  そこで、大臣お願いしたいんですが、この学校バリアフリー化につきましても、是非文部科学省と連携を取っていただきまして学校バリアフリー化がスピードアップして進むようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  126. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 先ほど答弁がありましたように、市町村の基本構想で位置付けられたものなどは国土交通省の補助制度も、文科省の制度だけではなくて国交省の補助制度も是非活用してくださいということで考えているところでございます。  国交省といたしましても、学校バリアフリー化をしっかりと支援をさせていただきたい、今後とも文科省とよく連携取らせていただきたいと思っております。
  127. 山本香苗

    山本香苗君 是非、この点につきましてよろしくお願い申し上げたいと思っております。  最後に、二問ほどお伺いしようと思っているんですが、ニュータウンの関係についてお伺いをさせていただきたいと思います。  ニュータウンでは、昭和三十年代、四十年代にかけて官主導で計画的に開発されてきた住宅地でございますけれども、当時の若い世代がどっと移り住んできて、その後ほとんど住み替えが行われないで急速に高齢化が進んできていることが指摘されているわけでございます。  ニュータウン再生につきましては、既に北側大臣に我が党としても申入れを行わせていただいておりますが、こうしたニュータウンにおいてこそバリアフリー化実現が喫緊の課題ではないかと思っておりますが、北側大臣はこのニュータウンにおけますバリアフリー化の必要性をどのように御認識されていらっしゃるでしょうか。
  128. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) このニュータウン、いわゆるニュータウンと言われている地域の問題というのは、このバリアフリー化の問題を始め、非常に課題が多いと。課題が多いといいますか、しっかりとこのニュータウンを再生をしていく必要があるというふうに思っているんです。  例えば千里ニュータウンは、昭和三十七年から入居が始まりましたので、もう今から四十四年前になるわけですね。当時、仮に三十歳で入った方が、もう今や七十代の半ばになっているわけですね。このニュータウンというのは千里だけじゃなくて、多摩でもそうですし、泉北でもそうなんですけども、このニュータウンの地域というのは同じような世代の方々が割と一緒に入ってしまっているでしょう。その方々が一緒に年取っていますんで、それで若い方々は外に割と出ていかれてしまっているんで、特にこの千里ニュータウンの場合、高齢化が非常に進んでおる。また、建物も当然老朽化をしてきているという中で、このニュータウンについてどう再生していくのか。  これは非常にいい立地ですよね。緑も豊かなところに立地されているところが多いですから、むしろこの既存のストックというものを有効に利用して、活用して、これを本当に再生をしていこうというふうにすることが非常に必要であると、緊急性が高いと考えております。  そういう認識から、昨年、国交省の中でニュータウンの今後の在り方について委員会設置をさしていただきまして、昨年の十一月に取りまとめをしていただき、公表をいたしました。そこで、いろんな課題がある中の一つがこのバリアフリー化の問題でございまして、このニュータウンのバリアフリー化、先ほど言ったように、高齢者方々が多い、そしてまた建物が老朽化していると。さらには、公営住宅等でいえばエレベーターがない中層の住宅が多いだとか、このニュータウンのバリアフリー化につきましては喫緊の課題というふうに認識をしておりまして、しっかりと取組をさしていただきたいと考えております。
  129. 山本香苗

    山本香苗君 それで、重ねてお伺いしたいわけなんですが、ちょうど今、千里の話をしていただきましたけれども、大阪府では地元の豊中市と公的事業者などが連携いたしまして、現在、千里ニュータウンの再生に向けた考え方を取りまとめることとなっているそうでございます。これが取りまとまった暁には、是非、重点的かつ速やかにバリアフリー化を進めて、あらゆる人生のステージを快適に過ごせるようなユニバーサルデザインの町のいわゆるモデルケースとして再生していただけますよう、国として最大限の支援をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  130. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) しっかり取組をさしていただきたいと思っております。  先ほど高齢化とか施設の老朽化の話をしましたが、非常に大事なもう一つテーマは、やはりコミュニティーの問題だと思うんですね。今、例えば、防災の問題であれ福祉の問題であれ防犯の問題であれ、やはりいろんな世代が、多様な世代がそこにいらっしゃるというふうにしていかないとなかなかコミュニティーというのは形成できないんですね。ところが、千里のようなニュータウンの場合、高齢化がもう著しく進んでしまって、若い人が少なくなってしまってコミュニティーそのものが十分に機能していないと、そこが非常に大きな問題であると思っております。  そういう観点から、例えば今まで様々、こういうニュータウンについては都市計画上も非常に厳しい規制をしているわけですね。この辺のところも、例えばもう少しその辺の硬直的な規制についてしっかりと今の時代に即するように、また若い人たちが住めれるような、そうした規制の在り方に見直しをしていく必要があると思っておりまして、これから、この千里が多分一番最初なんですけども、次々と、もう千葉のニュータウンとかあちこちのニュータウンがもう次々、そういう意味で老朽化、高齢化、もう順番にやってくるわけですね。そういう意味では、この千里のニュータウンの問題は一番最初のやはり問題だと思っておりまして、是非先進的な取組を、モデル事例としてしっかり取組をさしていただきたいと思っております。
  131. 山本香苗

    山本香苗君 ありがとうございました。
  132. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  私は、今日は主に政省令で定められますバリアフリーの基準にかかわって質問をさせていただきます。  法案では、国で策定する基本指針や移動円滑化基準などの基準につきまして、障害者を始め当事者参加が規定されておりません。ユニバーサルデザインの大綱でも示されている利用当事者の参加を十分に確保するという点からいきますと、こういう規定がないことは極めて矛盾しているんじゃないかと私は思います。今日も午前中、参考人の皆さんのお話をお聞きしまして、やはり当事者の方々の御意見を聞いてこそ初めて気付く、分かるということが随分あるというふうに思います。その方々から直接お話を聞いていただいて基準を策定していくということは、この法案については重要なポイントだと私は思いますけれども。  そこでお聞きしたいと思うんですけど、例えばユニバーサルデザイン考え方に基づくバリアフリーのあり方を考える懇談会のように、委員会形式で、対面で議論をしていただくとか、そういうことも含めて、直接当事者の方々意見が反映できる基準の策定になるように検討していただきたいと思いますが、この点、いかがでしょうか。
  133. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 今後の基本方針ないしは基準、ガイドライン等々、この法律を具体的に運用していくための様々な措置が必要なわけでございます。  実は、この第四条、「国の責務」というところに、「基本方針及びこれに基づく施設設置管理者の講ずべき措置の内容その他の移動等円滑化促進のための施策の内容」、すなわち今おっしゃったような具体的な措置について、高齢者障害者公共団体、施設管理者、いろんな方の意見を聞いてやりましょうということを明文に書いております。その上に更に、スパイラルアップで適時かつ適切な方法で、また一遍決めたことも見直していこうというようなことになっています。  今、具体的には、懇談会のような形をというような御提案がございましたけれども、いずれにしろ、いろんな形で関係者の方々の御意見を伺って作らないと、せっかく作った基準がかえってうまく機能しないというようなことになってはいけないと思っておりますので、今の御趣旨に沿って作業を進めたいと思います。
  134. 小林美恵子

    小林美恵子君 決してパブリックコメントだけで済ますというような方向ではなく、直接聞いて基準も策定していくということで理解をしてよろしいでしょうか。
  135. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) パブリックコメントも行いますが、併せて今のような具体的な措置を講じるということでございます。
  136. 小林美恵子

    小林美恵子君 では、私、一点確認をさしていただきたいことがございます。  先日の委員会で、今回の法案の名称等、また目的等の条文の中にも、いわゆる高齢者身体障害者等と以前は書かれてあったものの身体が削除されました。それで、知的障害者精神障害者も、そして発達障害者も含むすべての障害者対象になるという御説明がありましたけれども、前回の委員会でも、この発達障害者方々について、これまで知的障害者精神障害者の方の交通機関の利用に対する調査は行ってきたけれども、この発達障害者の方についての調査はいまだ行われていないと。それで、関係者の方が本当に随分御要望をされておりまして、私は、そういうふうに拡充をしていくということになりますと、それぞれの障害者方々の状況というのを分かった上でいろいろと進めていかなくてはならないと思いますので、改めて私も今日確認をさしていただきたいと思います。  先日、局長は、発達障害者の方も含めて、これまで分かっていない点については調査を進めていくというふうに御説明がありました。これに、今日も改めて、間違いがないかどうか確認をさしていただきたいと思います。
  137. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 御指摘のように、平成十二年、交通バリアフリー法制定当時、十三年度と十四年度にそれぞれ知的障害者精神障害者の方の調査を行いました。ということで、発達障害者の実態調査につきましても、これらの調査において捕捉されていない事項とか具体的な調査方法についての検証も行いながら、その実施の在り方について検討して進めていきたいと思っております。
  138. 小林美恵子

    小林美恵子君 それでは次に、そのバリアフリーの基準でございますけれども、関係者の方々の御意見を聞いて策定していくということでございますけれども、結局、基準がどのように見直されていくのか、まさかその基準が後退することはないか、こういう不安の声は出ております。  それで、私は、大前提の問題として、基準の見直しというのは当然レベルアップ、決して後退はさせない、この点についてしっかりと約束をしていただきたい。これは大臣にお答えいただきたいと思います。
  139. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 今委員のおっしゃったように、現行の基準をベースにしながら、より良いものとなるようにしっかり検討してまいりたいと思っております。
  140. 小林美恵子

    小林美恵子君 より良いようになるように、後退はさせないということでございました。  それで、私、具体的にお聞きをしていきたいというふうに思います。  まず、今日午前中の参考人の方からもお話がございましたけれども、やはり欄干のない橋と言われている駅のホームの問題でございます。視覚障害者の方に聞きますと、残念ながらお亡くなりになる場所が一番多いのが駅のホームだというお話も別のところで聞きました。  改めてお伺いしたいと思いますけれども、先ほど、二〇〇四年度、転落事故と、それからホーム上での事故等の件数教えていただきましたけれども、駅のホーム転落事故の発生の、この五年間でどれぐらい起こっているか、また駅のホームドア可動式ホームさく設置状況について御説明いただけるでしょうか。
  141. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) 鉄道事故等報告規則に定める事故が発生した場合には、鉄道事業者国土交通省に報告するということになっております。  今先生御指摘の、この規則に基づき報告された事故のうち、ホームから転落して列車と接触して死傷した鉄道人身障害事故、これにつきましては大体毎年三十件から五十件ほど発生しておりまして、ほぼ大体横ばいでございます。  また、平成十二年度から十六年度までの過去五年間で見てまいりますと二百十七件、この五年間で二百十七件でございまして、百八名の方が亡くなられ、百十一名の方が負傷されているところでございます。  十六年度、断面で見ますと、このホームからの転落による鉄道人身事故の件数でございますが、これは十六年だけで見ますと三十一件でございますが、全体の事故件数が八百四十七件でございますので三・七%となっております。  また、統計を取っております平成十四年度から十六年度までの三か年間で見ますと、身体障害者の方がホームから転落して列車に接触した鉄道人身障害事故は報告がございません。  実態はこういうことでございます。
  142. 小林美恵子

    小林美恵子君 もう一つ私はお聞きしました。可動式さくとか駅のホームドア。簡潔にお答えいただけるでしょうか。
  143. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) 可動式ホームさくあるいはホームドアでございます。  これにつきましては、まず可動式のホームさくでございますけれども、路線や駅の新設時に設けられたものが十二路線、百九駅、既設の駅に後から設置されたものが十路線、七十四駅でございます。  それから、ホームドアはすべて路線新設時に設けられたものでございまして、十二路線、百十五駅の設置でございます。  なお、先ほどちょっと申しましたように、既設のもので、東京メトロ丸ノ内線ですね、これは昭和二十九年から三十七年にかけて開業したものでございますが、これにつきましては可動式のホームさくの設置を進めているところでございまして、平成十九年度中の供用を目指しているところでございます。
  144. 小林美恵子

    小林美恵子君 今、今の設置状況をお伺いしましたけれども、私は、やっぱり視覚障害者また身体障害者等の皆さんが本当に駅を利用するに当たりまして安全で移動できるかといいますと、その設置状況は決して十分とは全く言えないというふうに思います。やっぱり促進をしなくてはならないというふうに思います。  特に、駅のいわゆるホームにつきましては、例えば今日の参考人お話もございましたけれども、大阪の視覚障害者の方もこういうふうにおっしゃっておりました。ホーム固定さくはあっても、さくの固定であれば車両ドアの開閉部分固定で開いているので、どこがさくか、途切れているのか分からなくて、中途半端な設置はかえって極めて危険なんだと、だから何としても、せめて可動式さくをということを強い御要望でございました。  私、いろいろあるかもしれませんけど、やっぱりこのホームドアとか可動式さくの設置については、国としてしっかりと踏み込んで対策を講じていただきたいと思いますけれども、この点いかがですか。
  145. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) 可動式のホームさくあるいはホームドアでございますが、先生御指摘のとおり、非常に多額の資金が掛かります。数十億単位の資金が必要になる路線路線によってはそのぐらいのものが必要になります。また、既設の路線やあるいは相互乗り入れ、首都圏では特に多うございますけれども、スリードアとフォードアでは全く扉の位置が異なります。したがいまして、ホームドアを造るということなどは技術的になかなか難しいのが実態でございます。したがいまして、急激にこうした整備を進めるというのは困難であろうというふうに思っております。  ただ、私どもといたしましては、できるところからこういうホームドアあるいは可動式のホームさくにつきましては、諸条件整えながら、整備を進めていきたいというふうに考えておりますので、引き続き強力に指導してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  146. 小林美恵子

    小林美恵子君 今お話がございましたように、車両のいわゆるドアの部分が統一されていない問題でありますとかコストの問題でありますとか、いろいろ問題はあるかというふうに思います。  午前中の参考人の方が、コストの問題とかあるけれども、ただやっぱり安全を考えるなら、何よりも安全を第一に位置付けてほしいというふうにおっしゃっていました。私は本当に当然だというふうに思います。ですから、しっかりとこういうホームドアや、せめて可動式さくですね、これをしっかり設置をするという方向で様々な問題も解決をしていくという、そういう方向で是非とも臨んでいただきたい。この点もまず大臣に確認させていただきたいと思います。
  147. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 構造上の問題、そして財政上の問題等々ございますが、先ほど鉄道局長が申し述べましたように、着実に進めていきたい、推進をしていきたいというふうに考えております。
  148. 小林美恵子

    小林美恵子君 では次に、警察庁にお伺いしたいと思います。横断歩道の音響信号についてお聞きをします。  先日、視覚障害者の方にお聞きしたんですけれども、国会前の横断歩道にも音響信号が設置されていないんだという御指摘を受けました。私は、かつてその問題なんか国会でも議論になったそうでございますけれども、私、改めて今バリアフリー法案を審議をしている国会で目の前にバリアがあるということは大変恥ずかしく思いました。  改めてお聞きしたいんですけれども、視覚障害者の皆さんにとってはやっぱり交差点とか横断歩道というのは大変心配なところだというふうに思うんですね。そこで、いわゆる信号に音響装置の付加されている信号機の設置数とか取組状況について、申し訳ありませんけれども、簡潔にお答えいただけるでしょうか。
  149. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) お答え申し上げます。  音響信号機は大きく二つのタイプがございまして、一つは音響により歩行者用の信号灯器が今青色表示になっているということを知らせるものでございます。もう一つは、チャイムや音声によりまして歩行者用信号灯器が今青になったということを知らせるものでございまして、この両者を合わせまして、これは平成十六年度末でございますが、全国の信号機約十九万基のうち約一万五千基にこれらの装置が設置されております。
  150. 小林美恵子

    小林美恵子君 一万五千といいますと約八%ぐらいなんですね。今後どのように取組をなさるか、それをちょっとお聞きしたいと思います。
  151. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) 音響信号機の整備につきましては、平成十五年十月十日の閣議決定でございますが、社会資本整備重点計画におきまして、交通バリアフリー法の特定経路上の信号機、これ約一万二千基ほどになろうかと思いますが、これを重点的にバリアフリー化を進めるということで平成十九年度までに約八割に向上するという目標を掲げておりまして、各都道府県警察におきましてこの目標に向けて重点的に整備を推進しているものと承知しております。
  152. 小林美恵子

    小林美恵子君 今御説明いただきましたいわゆる音響信号関係ですけれども、例えば二〇〇〇年度と比較をしますと、全信号機設置が一万三千五百四十六基増えているんですね。音響式付加装置でいきますと三千六百三基になります。確かにそれぞれ増やしていただいておりまして、それで先ほどの御説明ありましたように重点整備地区の特定道路を優先に整備をされるということでございますけれども、実際、利用者からいきますと、そこに限定されて果たしていいのかということがございます。利用するところは必ずしも特定道路ではないというふうに思うんですね。そういうふうに考えますと、可能な限り利用者の、利用者といいますか通行される方々が本当に安全で移動できますように個々の要望に対してもしっかり応じていただきたいというふうに私は思います。  それと、午前中、エスコートゾーンも大変重要なんだというお話がございました。これも併せて積極的に警察庁、取り組んでいただきたい、この点いかがでしょうか。
  153. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) 音響式信号機、御指摘のとおり重点特定の路線も必要でありますが、ピンポイントで必要なところもございまして、年間、全国で千百から千二百基ほど整備しますと、大体半分ぐらいはその他のところにも必要なところは整備しながら進めております。  それからエスコートゾーンの御指摘ですが、これは目の不自由な方が最短距離で横断歩道上を安全に横断できるようにということで点字ブロック様の突起物を、五ミリ程度ですが、設置するもの、一定の幅で設置するものでございますが、これにつきましては、実はこれまで各都道府県で実用化してきておりました。ただ、必ずしもその構造が一様ではありませんでしたので、私ども平成十五年度から十六年度にかけまして調査研究をやりまして、突起物の設置に伴う通過交通による、これは音が出ますので、騒音の発生状況、それから歩行者に分かりやすく、かつ車両の通行の障害にもならない突起物の大きさ、高さ等につきまして調査研究を実施いたしまして、その結果をまとめたところでございます。  今後はこれらの調査研究の結果を踏まえまして、これは道路管理者と一緒に整備していく必要がありますので、道路管理者等関係機関と連携しながらこのエスコートゾーンの整備方針を検討してまいりたいと考えております。
  154. 小林美恵子

    小林美恵子君 最後にですけれども、こうした基準についてでございますけれども、関係者の皆さん本当に様々な御要望がございます。その中でも私は、昨年のユニバーサルデザイン考え方に基づくバリアフリーのあり方を考える懇談会の報告の中でも、関係者の皆さんの努力によって施設の整備実現したものの、利用者にとっては使いにくいものになってしまったというものも現にあるようでございます。データではバリアフリー化になっていても運用では問題点があると、そうしたものにつきましても、仮に基準はクリアしていても点検、改修、手直し、今後必要だというふうに思いますが、この点、確認して質問を終わりたいと思います。
  155. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 本法案におきましては、国の責務で、適時に、かつ適切な方法により施策の内容について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるよう努めると明記してございまして、こういう基準等についても皆様方の御意見もいただきながら常に見直していくと、こういう姿勢で取り組んでいきたいと思います。
  156. 小林美恵子

    小林美恵子君 終わります。
  157. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  鉄道バスの需給調整規制が廃止をされ、地方の鉄道バスの廃止が続いておりますが、これは交通機関のバリアフリー問題どころか、移動の選択肢を減少させるものであり、その影響を一番受けるのが高齢者であり障害者であり学生など移動に制約のある人々なのです。  まず初めにお伺いをいたしますが、需給調整前五年と需給調整後の鉄道バス生活路線の廃止状況について、お教えいただきたいと思います。
  158. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) 鉄道事業の廃止につきましては、平成十二年三月一日の鉄道事業法の改正によりまして、事前の届出とされているところでございます。この事前の届出となりました平成十二年三月から現在までの旅客鉄道事業の廃止は合計で十八路線、二百八十四キロになります。  最近の事例といたしましては、平成十七年に廃止されました名古屋鉄道揖斐線、これ、忠節というところから黒野という間でございます。それから、日立電鉄線、常北太田から鮎川の間、のと鉄道能登線、穴水から蛸島の間などがございます。  以上でございます。
  159. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) バスの関係、お答え申し上げます。  バスにつきましては平成十四年の二月に需給調整規制が廃止をされておりますが、それ以降、平成十四、十五、十六年度の実績を見てみますと、乗合バスの全体でございますけれども、平均いたしまして各年八千キロぐらい廃止をしてきております。  ちなみに、規制緩和前の平成十年から十三年で見てみますと、年平均約九千キロぐらい廃止されておりますので、規制緩和の前後で増えたということではありませんけれども、廃止が続いているということは事実としてございます。
  160. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 需給調整以降の、今お話ありましたように、急激に生活路線の廃止が増えておりますけれども、このような過疎化した状況下において、今後どのように移動制約者の足の確保を行っていこうとしているのか、お伺いいたします。
  161. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) 鉄道につきましては、先ほど申しましたように、事前の届出制になっておりまして、一義的には鉄道事業者が判断して廃止を行うという仕組みでございます。  ただ、その廃止に際しましては、鉄道事業法上、国土交通大臣は代替交通機関等の確保に関して地方公共団体及び利害関係人から意見を聴取するということにしております。また、廃止までの間に地方運輸局も参画いたしまして関係者間の調整を行いまして、代替交通機関、例えば代替バスなどの確保を図るということにしているところでございます。
  162. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) バスの状況でございますが、先ほど申し上げましたような路線の廃止、あるいは過疎化の進行などによりまして、交通空白地域拡大あるいは運行頻度の低下による利便性の低下といった状況が生じていることは事実でありまして、私どもも足の確保に精一杯努力をしていきたいと思っております。  具体的には、これ国と地方が適切に役割分担をして維持をしていくという仕組みを引き続き続けていきたいと思っておりますが、国といたしましては約七十二億円の生活路線維持のための補助金、それから地方財政措置として約七百六十億円の措置を活用して維持をしてまいりたいと思っております。  また、今国会に道路運送法の一部改正法案を提出をしておりますけれども、これは従来の路線バスでなかなか維持ができない足の確保部分につきまして、コミュニティーバスや乗合タクシー、ディマンド交通などを普及させることによりまして、地域のニーズにきめ細かく対応するような公共的な輸送サービスを実現をしたいということから提案をさしていただいているものでございます。
  163. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 私は、これまで幾度となくその制定を求めてきましたけれども、やはり移動の権利を保障する上では法的な担保というものが必要であり、また重要なことだと考えるんですが、特に今回の法の一本化に当たって、移動の自由を確保することを明記すべきではないかと思うんでありますが、その見解をお伺いいたします。
  164. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 今回の法案におきましては、高齢者障害者等方々の自立した日常生活及び社会生活確保するということで、ハード面、ソフト面合わせた一本化した法案を出さしていただいているところでございますが、今先生の御指摘の、法の一本化に当たり移動の権利を法に明記すべきではないかという点につきましては、そのための交通事業に対する国の関与権限の強化、財政支出の大幅な増大等の様々な問題点があると考えているところでございます。
  165. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 交通バリアフリー法の第二条の五項に示されました、先ほども質問があっていたようでございますが、特定旅客施設が、施行令において、一日当たり平均的な利用者の人数が五千人以上であることとされました。これはやはり都市部と過疎地域をある意味では差別するものではないかと考えられます。その是正が必要ではないかと思うんでありますが、その点の見解をお伺いしたい。  また、特定旅客施設中心として制定される重点整備地区移動円滑化基本構想対象地域となっていますが、今回の法の一本化により重点整備地区対象となる施設、範囲などについてはどのようにお考えになっているのでしょうか、お教えいただきたいと思います。
  166. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 現行法上の特定旅客施設については、今先生御指摘のとおり、一日の平均乗降客が五千人以上ということでございます。なお、現行法でも実は、五千人未満であっても、利用する高齢者や身体障害者の方の数が五千人以上の駅と同程度以上であるとか、駅の近くに老人ホーム等の福祉施設があるというときには優先的に実施する必要がある、こういうグループになっております。が、いずれにしろ、基本は五千人ということでございました。  そこで、今回の法改正におきましては、五千人以上でない駅やその周辺、さらには駅を中心としない地区であっても高齢者障害者等の日常生活社会生活のために必要な地区については、市町村の判断で重点整備地区を定めて基本構想を作るというように大きく変えたところでございまして、従来、ともすれば大都市ではなかったかという点につきましては、今後は駅の利用者の少ない地方においても大いに活用いただけるものと思います。  ということで、重点整備地区の範囲につきましては、今まで駅中心ということでございましたけれども、それ以外のところでも指定できるようになった、施設につきましても、駐車場道路都市公園等々、幅広く対象としてということになったわけでございます。
  167. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 STSについては、交通バリアフリー法の制定時に附帯決議を付しましたが、その後の進捗状況はどうなっていますか、お伺いいたします。
  168. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) STSにつきましては、私ども、高齢化社会の急速な進展などの背景におきまして、極めて重要な緊急性の高い課題だと認識をしております。  基本となりますタクシーによります福祉輸送につきましては、行政手続の弾力的な運用や税制措置を通じまして、十八年、今年の一月末現在で五千二百九十七事業者、八千八百二十九両の車両により福祉輸送が行われております。  また、タクシーによる福祉輸送を補完するものとして、現在認めておりますNPOなどのボランティアによる福祉有償運送につきましては、同じく今年の一月末現在でありますが、二百四十四地域で運営協議会設置をされておりまして、二百五十六団体が約千四百両の車両によりまして輸送サービスに従事していただいているところであります。  このSTSにつきましては、今国会に提出をさしていただいております道路運送法の一部改正法案の中で、輸送の安全と利用者の利便を確保しつつ、NPOなどの行う福祉有償運送が着実に行われますような新しい仕組みを提案をさしていただいているところでございます。
  169. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 交通バリアフリー法の制定時にも、ホームドア等の設置について議論をされました。移動円滑化基準においても、プラットホームホームドア可動式ホームさく、点字ブロックその他の視覚障害者転落防止をするための設備を設けることとなっています。  しかし、その設置がなされた路線は二〇〇三年の三月現在で、ホームドアが十路線、それから可動式ホームさくが十二路線固定ホームさくが十六路線と聞いております。これはとても多いとは言えない状況でありますが、また事故数においては、ホームから転落死傷者が四十二名、それから、うち死亡者が二十一名、ホーム上での車両との接触死傷者数が六十四名と先ほどお伺いをいたしました。  交通バリアフリー法の目的に、高齢者障害者等公共交通機関を利用した移動利便性及び安全性向上促進を図りとあります。  事故件数は減少をしていないのが現状でありますし、このような状況の中でも、可動式ホームさくホームドア事故防止になって有効なやはり手段であると考えますが、今後、可動式ホームさくホームドア設置をどのように進めていこうと考えられておるのか、また、その支援策があるのかどうか、お伺いをいたします。
  170. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) 可動式のホームさくあるいはホームドア設置ホームからの転落防止等の観点から望ましいというのは先生の御指摘のとおりでございまして、私ども、設置状況につきまして、路線新設時に設置される、これはもうできるだけ設置されるというのは当然のことだと思っておりますが、既設線につきましても設置されるケースがだんだん増えてきております。ここ五年間を見ましても、その前の五年間に比べてやはり増え方はかなり増えてきているという状況でございます。  しかし、先ほどちょっと申しましたように、ホームドア設置するには多額の資金が掛かりますし、それからスリードア、フォードアといった、ドアの位置が異なると、既設の路線あるいは相互乗り入れの路線ですね、こういうところに対応可能なホームドアを造るというのは技術的になかなか困難な部分がございますので、やはりその整備が急速に進まないというのはこういうところにも原因があるんだろうというふうに思っております。  しかしながら、こういう整備は我々も是非やっていきたい、やらねばならない施策であると思っておりますから、条件の整った路線中心ホームドアあるいは可動式のホームさくの整備を進めていくように取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。  なお、先ほどの話でいいますと、予算の話でございますけれども、私ども、この駅のバリアフリー化につきましては、二十二年を目標にしまして、原則として五千人以上の乗降客のあるすべての駅につきましてバリアフリー化をしたいということで着実に整備を進めてきているところでございますので、私どもといたしましては、こうした面、できるだけ頑張ってこの目標を達成したいというふうに思っております。  したがいまして、このホームドアホームさくにつきましては、その諸条件の整ったところにつきまして強力に事業者に働き掛けをしてまいりたいと思っておりまして、先ほど言いましたように、十九年度には東京メトロの丸ノ内線につきまして、これ二十五駅でございますが、可動式のホームさくを設置するということで、現在その準備に入っているところでございます。  できるだけ利用者の多いところを中心にしながら逐次着実に進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  171. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 段差の解消についてお伺いをいたしますが、移動円滑化基準において、車両ホーム段差について、「できる限り平らであること。」とありますが、今も多くの駅では整備が後れているように思われます。これは、基準を明記していることが、ある意味では非常にあいまいな基準になっているのではないか。したがって、ここで法を一本化することによって段差の解消が進むと考えられておりますか、それとも、支援措置があればお聞かせ願いたいと思います。
  172. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) 鉄道ホームとそれから車両段差の問題ございます。  実は、昔はやはり車輪がだんだん摩耗するということがございまして、車両の方がホームより十センチぐらい高いというのが常態でございました。しかし、バリアフリー観点から、ホーム車両の床面の段差をできるだけ解消するということの検討を行いまして、今度は逆にホームより車両が二センチぐらい低くても問題がないという結論でございましたので、平成十四年から鉄道事業者に指導してきております。  古い車両が代替されまして新しい車両に製造されますときには、当然、車両ホームの間の段差はほぼ解消してまいります。したがいまして、今後、車両が新造される、あるいは代替される、更新されるに従ってこの段差は確実に解消されていくものというふうに考えております。  また、従来の車両の中で段差が発生しているというケースがございます。こうした場合には、車いす等の乗降の際に、職員が渡り板を設置するということなどによりまして車いす等の乗降にはできるだけ支障がないように努めてまいりたいというふうに思っております。
  173. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 通告しておった質問、全部終わっていませんけれども、時間でございますので、これで終わります。
  174. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時七分散会