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2006-04-06 第164回国会 参議院 国土交通委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月六日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月四日     辞任         補欠選任      西田 実仁君     遠山 清彦君  四月五日     辞任         補欠選任      北澤 俊美君     水岡 俊一君      遠山 清彦君     西田 実仁君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         羽田雄一郎君     理 事                 伊達 忠一君                 脇  雅史君                 大江 康弘君                 山下八洲夫君     委 員                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小池 正勝君                 末松 信介君                 田村 公平君                 中島 眞人君                 藤野 公孝君                 松村 龍二君                 吉田 博美君                 加藤 敏幸君                 輿石  東君                 佐藤 雄平君                 田名部匡省君                 前田 武志君                 水岡 俊一君                 西田 実仁君                 山本 香苗君                 小林美恵子君    国務大臣        国土交通大臣   北側 一雄君    副大臣        国土交通大臣  松村 龍二君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       吉田 博美君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        財務大臣官房審        議官       青山 幸恭君        厚生労働省職業        安定局次長    高橋  満君        国土交通省道路        局長       谷口 博昭君        国土交通省海事        局長       星野 茂夫君        国土交通省港湾        局長       鬼頭 平三君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○海上物流基盤強化のための港湾法等の一部を  改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、北澤俊美君が委員辞任され、その補欠として水岡俊一君が選任されました。     ─────────────
  3. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  海上物流基盤強化のための港湾法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会財務大臣官房審議官青山幸恭君、厚生労働省職業安定局次長高橋満君、国土交通省道路局長谷口博昭君、国土交通省海事局長星野茂夫君及び国土交通省港湾局長鬼頭平三君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 海上物流基盤強化のための港湾法等の一部を改正する法律案議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 末松信介

    末松信介君 おはようございます。自由民主党の末松信介でございます。昨年の港湾法の一部改正に続きまして、今回もこの港湾法改正質問を担当させていただきます。よろしくお願い申し上げます。約三十分でございます。谷口局長、わざわざお出ましをいただきましてありがとうございます。  世界神戸港のコンテナ取扱量世界第四位でありましたのが一九八〇年でございます。そのころはシンガポール港も大したことはなかったんですけれども、当時神戸に比べて六割程度だったんですけれども、二〇〇四年には実に神戸とけた違いの数字になりまして、香港に次いで実は世界第二位という、そういう地位を占めるに至ったわけであります。ちなみに、東京が十七位、横浜が二十九位、名古屋三十一位、神戸三十二位、大阪三十九位という、そういうような順序になってしまったということなんですけれども。  平成十五年の国交省海事レポートによりましたら、東京港湾料金を一〇〇とした場合、シンガポールが六四でございます。リードタイムに関しましては、平成十六年に日本が二・八日でありましたんですけれども、ここまで一応圧縮はできたんですけれども、実はシンガポールは二十四時間以内を達成しているわけであります。  諸料金につきましては、いろいろと港湾規模であるとか人件費等々の問題もありますんで、すぐにこれ解決できる問題ではないんですけれどもリードタイムに関しましては、なぜシンガポールに決定的な差を今日付けられているのかということ、いろんな雑誌とかいろいろな港湾のそういった特集なんか見ていましてもおおよその原因は分かるんですけれども、昨年、山本香苗さんも同じような質問されたんですけれども、この決定的な理由というものをちょっと冒頭明らかにしていただきたいと思います。
  7. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) お答えを申し上げます。  近年、アジア域内、特に東アジアにおける港湾間の競争が大変激しさを増す中で、日本港湾、今委員から御説明がありましたように、その地位を総体的に大変低下をさせてございます。これは、アジア地域の急速な経済成長に加えまして、アジアの諸港を始めとする海外の港湾と比較して、コンテナ一つ当たり取扱いコストが高いということと、リードタイムを始めとするサービス水準が低いということによるものと認識をしてございます。  今御指摘のありましたリードタイムについてでございますが、委員から御説明がありましたように、例えばシンガポールが二十四時間以内、韓国が二日以内とされている中で、日本の場合は、平成十六年三月時点で今お話のありました約二・八日ということで、アジア諸国に比較して時間が掛かるという状況になってございます。これは理由がいろいろあるとは思いますが、私ども認識といたしましては、輸出入なり港湾関連手続簡素化、あるいは情報化IT化といいますか、それを含めた効率化が後れていること、あるいはコンテナターミナルフルオープンがまだ完全にできていないということが主な原因であるというふうに認識をしてございます。
  8. 末松信介

    末松信介君 これ、かなり以前から予測できたのかもしれないんですけれども、こういう結果を招くに至った時期はいつごろがその一つターニングポイントになってきたのかということですよね。その要因というものについて改めてちょっとお話をしていただけますか。できましたらその対応策というものを、局長の今頭の中でありましたらちょっと述べていただきたいと思うんですけれども。今、正にこの法案の中身に含まれているとは思うんですけれども
  9. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 正確にターニングポイントがいつかということについて私自身もはっきり認識はしておりませんが、私ども行政の中で、平成八年に中枢中核国際港湾構想というものを出さしていただきました。そのときに、やはり日本港湾国際競争力が相当落ち始めている、特に日本と欧米を結ぶ基幹航路に就航するコンテナ船日本を抜港をするという事態が徐々に出始めているということが大変私ども行政の中で問題になりました。  そういう中で、多分同じような時期だと思いますけれどもシンガポールではIT化相当国施策として進めるということで、例えばポートネットトレードネットというようなものが始まっていましたし、韓国の釜山港でも同じような情報化がかなり進んだ形になってございます。そういう意味で、日本の場合はそういう点について後れを取ってきたというのが実態ではないかと思います。  ただ、先ほど冒頭に委員が御説明をされました昨年の港湾活性化法、いわゆる港湾活性化法における港湾法の一部改正の中で、FAL条約への批准に対応した港湾手続等簡素化についてかなり大胆に進めるということにいたしましたし、さらに、それを更に一歩進めて最適化プログラムというのを今作ってございます。最終的には、平成二十年ごろには民間方々が望むような形のシングルウインドー化が多分完成をするという中で、先ほど申し上げましたようなアジアの主要港に追い付くような努力をしておるというのが一点と。  もう一つフルオープン化につきましては、後ほどの議題にも多分なると思いますが、スーパー中枢港湾プロジェクトにおいて、できるだけ貨物を大規模ターミナルに集めることによって、そこを夜二十四時間完全に動くような形にできるような環境づくりをするというようなことが最終的な目標ではありますけれども、その前段として、夜中若干ゲートが開いてない時間帯がございますんで、そういうときに、例えば東京港と横浜港の間に貨物の行き来を夜中にやるようなための二十四時間対応型の共同デポというふうなことについても十七年度から補助をできるような仕組みをするというようなことで対応をしてきているところでございます。
  10. 末松信介

    末松信介君 いろいろとお話伺いまして、港の二十四時間オープンということ、このこともお話を伺っておりまして、それの進捗を望むところなんですけれども。  ちょうど私が県会議員になった昭和の六十年ごろだったと思うんですけど、亡くなられた京都の高坂先生が、ちょうど当時は神戸貿易センタービルという一番高いビルがありまして、そこのてっぺんへ来られて講演をされたんですけれども、あの当時、ちょうど名古屋とソウルとがオリンピックの誘致で競争しておったんですけれども、結局名古屋負けたんですよ、勝つと思っていたら。そのときの話だったんですけど、高坂先生の話は、日本という国がいかに世界が分かっていないかと、疎まれているかということが分からなかったということを一つ言われたんですよ。それと、貿易センタービルの上から見られたとき、この神戸港だって、当時、八一、二年だと思うんですけれども、これ、先はどうなるか分からぬという話をなさったことを覚えているんですよ。一九八一年、二年、三年、その辺りだと思うんですけれども、正に予測は当たったと。高坂先生の頭の中にはいろいろな情報等が入っていたんだろうということを思いますんですが。  それで、今、発展途上国と言われたこのアジア地域、これは新工業国になりまして、今はもう東アジア共同体というような発想まで至るに至ったと。実際は、その域内貿易量を見た場合には、これはEUが四・七倍、この二十年間で四・七倍膨らんだと、NAFTA、ここの地域は四・四倍と、アジアは実に二十年間で七・二倍に膨らんだということでありますから、当然、共同体構想というのは、これはいろいろと、各識者なりあるいは議会でもいろいろと論じられていくのは当然、当たり前のことではないかなということを思うんですよね。極めて、このアジアの港ということが大きなテーマになってきたと今思っているんですけれども。  シンガポールはこの保税制度手続というのが非常に、まあ保税制度手続がないということで伺っておりましたんで、非常に簡素化していく、事務簡素化するのが非常にやりやすいということを伺いました。九九年一月一日には新世代システム、バージョンツーですか、これが動き出したと。さかのぼること一九八九年、トレードネットというので、処理手続が二日間であったのが、まあこれは大げさだと思うんですけれども、十五分間に短縮されたということ、こういうように言われているんですけれども、実際のところを私、見に行ったわけじゃないんでよく分からない。  このシステムが導入されるまで、貿易業務を行う企業従業員の方というのは、通関手続のために二十種類の書類に記入をして関係省庁提出をしてたということなんですよね。品目ごとにやりますから大変な時間が掛かって、一件当たり二時間から三時間、貨物によっては夜通し掛かったこともあるということなんですけれども、このトレードネット導入後は、貨物種類関係なく入力書式が統一をされて、コンピューター画面上で処理できるようになったと。そのため、五分から十分足らずで入力できて、各省庁への申請はオフィスから一度で行えるようになって、申請後三十分から一時間で関係省庁から許可の連絡を受けることが可能になったということだそうでありますけれども。  いずれにしましても、あれだけダイナミックなそういったシステムを構築していっているということでありますんで、なぜ日本がそれができなかったのかということを、高坂先生の話を考えながら、我々、本当に理解に苦しむところもありますんですけれども、とにかくこれから港の、今の日本港湾というのが若干停滞ぎみでございますんで、対応いただきたいということを要望申し上げたいと思います。  二つ目は、外国資本の参入についてお伺いをしたいわけなんですけれども。  我が国におきまして、北九州のひびきコンテナターミナルを運用しておりますひびきコンテナターミナルシンガポール企業、PSAが三四%出資して、この筆頭株主となっております。また、那覇港の新港地区公共コンテナターミナルを運用する那覇国際コンテナターミナルでは、フィリピンの企業が六〇%出資をしまして、地元港湾六社が残り出資するという形での運用が行われているわけなんですけれども。一方、アメリカ議会では、議会外国企業による自国の港湾管理に反対し、運営を断念するという事態も生じております。  そこで、今回の改正案では、公社民営化に関しては民間からの出資が可能になるという利点が一つうたわれているわけなんですね。港湾管理者が二分の一以上の株式を保有することが条件付けられております。しかし、神戸埠頭考えましたら、九百億の債務がありますんで、そう簡単に民間出資してくると思えないわけなんですよ。その場合に、不適当と思われるような外国企業出資をしてきた場合にはいろいろと問題を生じかねないんじゃないかなという不安を抱くわけなんですけれども、そのことについての見解局長からちょっとお伺いしたいと思うんです。
  11. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 今般の法律改正案におきまして、今委員からお話のありましたように、埠頭公社民営化後の株式会社につきましては、発行済み株式の五〇%以上を港湾管理者が保有することを義務付けてございます。  今御指摘のありましたように、仮に外国資本残り株式取得をするということが起こったといたしましても、五〇%以上を港湾管理者が持っておりますので、港湾管理者の大きな責任の下で適切な会社経営が担保されるというふうに考えてございます。  さらに、株式会社業務に関しましては、今回の民営化ということを通じまして、経営自由度をできるだけ与えるということで、これまでの埠頭公社に課せられていました規制、そういったものをできるだけ緩和するということをしておりますが、その一方で、重要財産処分等につきましては引き続き国土交通大臣認可にかからしめるということに加えまして、適切な業務運営を担保するための必要最小限監督命令を国が発することができるという規定を置いてございます。  こういったことから、埠頭公社ターミナル管理運営につきまして、民営化後につきまして、今委員の方からございましたような御懸念については、多分、十分対処がし得るものというふうに考えてございます。
  12. 末松信介

    末松信介君 アメリカ議会の場合は、これドバイの方のあれですよね、舞台が、で、ドイツの会社、イギリスの会社かあれは、が運営をされているところということになってきまして、その会社アメリカの方に、港に出資をしているということで、いずれにしても安全保障上の問題が大きなウエートであるということはいろいろとニュースから聞かされておりますんですけれども。  とにかく、日本の場合には安全保障上の問題という観点が余り、欠落している点がちょっとありますので、そういう点を見た場合に、この外国企業出資という点について、別にそれを拒絶する理由は何にもないとは思うんですけれどもね。国民に理解が求められるような在り方というものを、どういうことかということをちょっとこれよく認識をしていただきたいなということを思います。  分かりにくいんですよね、やっぱり。外国資本が入ってくるといったらハゲタカとかいうようなことで、そういう発想で言われる議員もたくさんおられますんで、そのことについてちょっとお話を申し上げただけでございます。  三番目に、埠頭公社民営化コストダウンにつながるかということについてお尋ねを申し上げたいと思うんです。  埠頭公社民営化につきましては、岸壁などの貸付先貸付料の基準、また届出に関する規定並びに整備計画認可規定を削除するということによって料金設定自由度が高まることが、これは評価できると思うんですけれども下物公共化制度要求につきましてはなかなか簡単には認められないという状況にあろうかと思います。  公共施設貸付料の原価の内訳などの仕組みが変わらない中で、経費を節減するというのはもう非常に、その部分というのは見当たりにくいと思えるんですよね。それが一点と、これ民営化になったら法人税を支払わなきゃならないという問題が起きてくるわけなんですよ。  そうして考えていったら、逆に貸付料というものが料金のアップに結び付くんじゃないかということすら予想がされるわけなんですけれども民営化のメリットというのは港湾管理者方々は感じておられるのかどうかということをどのようにお考えか、御答弁を願いたいと思います。
  13. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 今回の法律によりまして埠頭公社株式会社化することができるようになるわけでありますが、財団法人の場合に制限をされていたといいますか、禁止をされていました株式取得が自由にできるようになります。これによりまして、事業の多角化でありますとか、あるいはほかの民間企業との連携の幅が広がるということに併せまして、管理人件費調達コスト削減等が期待をされるということでございます。  今お話のありましたように、埠頭運営にかかわる規制についてもできる限り緩和をするということにしておりまして、この会社創意工夫自主性が十分発揮できるという状況の中で運営の十分な効率化が図られるということになるというふうに考えてございます。  ただ、今委員が御指摘になりましたように、民営化をされて、それが例えばその埠頭料金を高くするようなことでは元も子もございませんので、こういった規制緩和に加えまして、私ども、今埠頭公社に与えられております無利子貸付け等支援制度、これについては新しく民営化される会社についてもその措置を引き続き与えるというようなこと、あるいは税制優遇措置についても最大限の支援を行うということを考えておりまして、こういった施策、総合的に行うことによりましてコスト削減につながる、これが結果的に港湾コストを下げるという方向に働くものと考えてございます。
  14. 末松信介

    末松信介君 局長のお考え支持はしたいということを思うんですよね。ただ、小泉総理が言われる、民でできることは官から民へということ言われますけれども、これはちょっと港湾のこの問題とはちょっと次元の違う、同じ土俵で議論しちゃいかぬ問題だと私思っていますので、やっぱり物流システムを構築するために起債をしたり、いろいろ借金をしましてそういった敷地を造ってきたわけなんですからね。ですから、やはり私は、民営化する以上はきちっとしたそういった環境整備というのは、シンガポールはやっぱり国策でやっていますから、韓国国策でやっていますので、そういう発想是非財務当局とも御折衝いただきたいということをお願いしたいと思うんですよね。  これ、質問じゃなくて要望なんですけれども、この上下分離の問題というのはやっぱり大きな問題でございまして、是非ともに、この問題については港湾業界からも強い要望が出されていますし、港湾状況を少しでも知る議員は大きく支持をしていくと思うんですよね。一方で財務省は、当然、資産の圧縮、歳出の削減ということを前提に考えていますけれども、しかし、その対象とこの港湾の問題とは、ちょっと私は同じ舞台で議論しちゃいかぬと思うんです、僕は。そう思うんですよ、これは。神戸の港をずっと見ていまして、私そう思いますんですよ。是非その点お願いしたいということと、債務平準化、償還の平準化もありましたけれども、この延長につきましても、重々、今年度御検討、十八年度も引き続き検討していただきたいということを思っています。  姫路港の管理事務所行政調査に行ったことがあるんですよ。私、県議の話よくするんですけれども昭和六十三年、建設委員長やっていたんですけれども、そのとき、行ったとき、やっぱり委員というのは姫路港を見たときに、ガントリークレーンとかもうほぼそろっていましたので、常にもう稼働率とか入港船はどれだけとか、費用対効果の質問をするんですけれども、所長がやっぱり言ったのは、クレーンとかこういうものは人間生活でいったら茶わんはしだと言うんですよ。だから、茶わんはしだから、あって当たり前ですから、そこの数字を議論することはおかしいんですから、別の質問を続けてくださいということを堂々と言われたんですよ。私は、そういう点でなかなか立派な心構えだと思っていますので、どうかその点、御理解をいただきたいというように思います。  次の質問は、時間迫ってきましたので、神戸港への支援についてなんですけれども、阪神・淡路大震災で被害を受けた神戸埠頭公社は約九百億の債務を抱えております。非常に民営化に向けて厳しい状況でありますけれども、しかし、先ほど数字を申し上げたように、神戸港は国際競争力に資する役割などからもいいますと、言うまでもなく我が国にとりましてはこれ基幹港でありますので、是非ともに、この重要港湾である神戸について、民営化を進めていくためにいろんな施策というものを講じていただきたいということを思うわけなんですけれども、多額の債務圧縮する諸施策あれば見解をお述べいただきたいと思っています。
  15. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 委員地元神戸港のお話ですが、コンテナ貨物量も近年増加傾向にありまして、公社埠頭ターミナルにおいても取扱貨物量が増えているというところで、神戸港を取り巻く環境、徐々にではありますけれども改善をしているというふうに私どもも見てございます。今お話しのありましたように、神戸埠頭公社債務、大変抱えてございます。そういう中で、埠頭の再編、集約化を進めておられまして、債務圧縮を図り、経営スリム化に努められてございます。こういった取組に対して、私どももできる限りの応援をしていきたいというふうに思っています。  一方で、基幹港でありますので、神戸港にいかに貨物を集めるかということが将来的に神戸港のいろんな財務を改善する上で大変重要なポイントでありまして、今スーパー中枢港湾への指定を契機にいたしまして、大阪港との広域連携施策についても検討を進めていただいてございますし、内航フィーダー輸送活性化を図って、スーパー中枢港湾貨物ができるだけ集まるようなネットワーク化の取組も進めていただいております。さらに、やはりコンテナ船が大型化することに対応した大型の岸壁もやっぱり必要でありますので、今年度十六メートルの大型のコンテナターミナルの新規整備に着手をするということにいたしました。  いずれにいたしましても、民間の事業者あるいは港湾管理者と協力してスーパー中枢港湾施策を進めていくという中で、私ども神戸港の再生に向けて精一杯のお力添えをさしていただきたいというふうに考えてございます。
  16. 末松信介

    末松信介君 神戸港という、大変日本で一番優れた機能を持っていた港だと思ったんですけれども、随分落ち込みが激しゅうございます。そういう点で、震災でも大きな被害を受けています。震災の被害というのは、五兆八千億が住宅で一番大きかったんですけど、その次は港で一兆円でしたから、やっぱり大きな債務を抱え続けているという状況が続いていますので、是非そういった支援というものを御要望申し上げておきたいと思います。  特にこれ、神戸港が昔は四位だったけど、今三十一位に落ちたというんですけど、これ、ある面で仕方ないですわね、地方のやっぱりコンテナターミナル、地方港でたくさんできましたから、これは。シンガポールなんかは選択と集中で、もう国策でこの港ということで集中していますから、私はもう、四位とか一位のクラスに戻ってくる、シングルの数字に戻ってくることはあり得ないと思っていますので。ただ、フィーダー船ですね、積替え貨物というのをやっぱりもう一度、地方港から釜山に行くんじゃなくてやっぱり神戸に戻ってくるような、そういったシステムというものを全体的にとらえて、是非そういう施策をこれからも進めていただきたいというように思います。  次の質問は道路に関係する問題でございまして、一問の質問のために谷口局長にお越しいただいたこと、本当にもう何とお礼とおわびを申し上げていいか分かりませんけれども。  実は港湾の、二問あるかな、港湾競争力の確保につきまして、やっぱり強い港というのは、これは一つターミナルが提供する行政サービスの良否ですよ。いいか悪いかというやつ。これはもうターミナルの規格であるとか数量とか、あるいは荷役や料金の問題とか情報の管理の在り方というのが一つです。二つ目は接続性、これはもう航路網の充実ですよね。三つ目は、これは港湾全体の安全性、効率性、例えば防波堤一つ取ったってそうですよ。四つ目は何かといったら、これはサービス圏へのアクセスということでありますから、道路や鉄道、背後の自分たちの持つ経済圏にどういうように荷物送っていくかということでありまして、道路が一番重要な課題になってくるわけなんですよ。  今、神戸港の近くというのは、阪神高速道路神戸線も走っています。浜手バイパスという港湾局の造った道路もございます、これ、神戸市がやっていますね。ですけれども、しかし、一番大きな期待というのは大阪湾岸線、湾岸道路でございます。長田区の駒ヶ林、ややローカルな話題で先生方、済みません、もう。長田区の駒ヶ林から垂水ジャンクションまでは都市計画決定を平成六年九月にやったんです。しかし、六甲アイランドから長田区駒ヶ林まではないと。しかし、この道路というのは、将来的には六甲アイランドからポートアイランドへ入ってきて、そして神戸の工場街の和田岬へ行って長田へ行くという道路なんですけど、ここは今、都市計画の決定を行うための今作業を進めているわけなんですけれども。  この事業につきましての、各公団が民営化されたわけなんですけれども、この事業の見通しということについて、是非進めていただきたいわけなんですけれども、今の状況等について、谷口局長状況説明と決意表明をお願い申し上げたいと思います。
  17. 谷口博昭

    政府参考人谷口博昭君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、道路行政の課題の大きな柱の一つとして国際物流の効率化というものがあるかと思います。大阪湾岸道路につきましては、延長八十キロメートルあるわけでございますが、神戸港のほかに大阪港、堺泉北港、関西国際空港等の国際的な空港、港湾があるわけでございますので、そうしたことを直結するということが肝要かと思っておるわけでございます。  全体八十キロメートルのうち、五十九キロメートルについては既に供用中ということでございまして、西伸部二十一キロメートルにつきましては、委員指摘のとおり、長田区駒ヶ林南—名谷ジャンクション間につきましては、延長六・四キロメートルでございますが、平成六年九月に都市計画決定がなされているということでございます。残り約十五キロメートルにつきましては、平成十七年、昨年の十二月から兵庫県において都市計画決定の前提となる環境影響評価の手続を開始させていただいているということでございまして、国としても早期決定に向けまして最大限の協力をしてまいる考え方でございます。  また、これと併せて事業手法や早期効果発現を図るための段階的整備の手順などについて検討を進めさせていただいております。また、併せてコスト削減、また景観デザイン、神戸中枢部に当たるということでございますので、シンボルとなるべく景観デザインなども併せて検討させていただいております。  いずれにしましても、一体となってつながらないと大きな効果発揮できないということでございますので、最大限努力していきたいと考えているところでございます。
  18. 末松信介

    末松信介君 推進方よろしくお願い申し上げたいと思います。  最後に一点、あそこは阪神高速から名神へ道路は抜けていきますね、三号神戸線は。一方で、南側に湾岸道路が走っておると、六甲アイランドから。ここを是非接続をすべきじゃないかという議論が地元でございます。  この名神高速道路、名神湾岸連絡線ということについて、確かに機能的だと思うんですよね。災害あったときにやっぱりこれ格子状の道路を造るということをいろいろとうたわれたわけなんですけれども、これについて考え方、お述べいただきたいと思います。
  19. 谷口博昭

    政府参考人谷口博昭君) お答えいたします。時間がないので、簡潔に答えさせていただきたいと思います。  全体四キロメートルということでございますが、延長は短いわけでございますが、土地利用上はいろんな制約があるということでございます。  この道路につきましては、平成十年の六月に地域高規格道路の計画路線に指定をさせていただいておりまして、同年、平成十年の十二月には全線を調査区間というようなことでいろんな検討を進めさせていただいているということでございます。  いっときも早く計画を固めるよう、地元と鋭意調整を進めさせていただきたいと考えておるところでございます。
  20. 末松信介

    末松信介君 時間になりましたので、もう一本あるんですけれども、終わります。ありがとうございました。
  21. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 おはようございます。民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。  海上物流基盤強化のための港湾法等改正について、前回に引き続き質問をさせていただきます。短い時間ですけれども、七十分間お付き合いをお願いをしたいと思います。  私は、前回も申し上げましたけれども、製造業を基盤とする、いわゆる職域を背景とした議員でありますから、日本のこの製造業をいかに復興させていくか、回復させていくかというのが一番大きなねらいであります。産業の発展なくして雇用の確保とあるいは働く皆さん方の生活の向上はなかなかなし難いと、こういう視点に立って、やはりこの製造業、物づくり日本と、これをいかに今後発展さすかと。  そういうような意味で、前回も申し上げましたけれども会社の中における努力というのは、これは労使が必死になってやっておると、朝から晩まで血の汗を流しながらやっていると。ところが、会社の外のコストはどうなっているんだ。水も高いではないか、エネルギーは高いではないかと、こういろいろあるわけですけれども、物流コストにも大きな問題があると、あったと。  ここをどうするかという視点で、今回、港湾国際競争力を付けていくんだと、こういう視点での施策、こういうことからとらえますと、私は、それなりに意味のある重要な改正法案であると、このように考えております。  しかし、幾つかの法案が、四本あるいはそれ以上絡んできておるし、法改正の目的が必ずしも一本すぱっと一つの筋が通っていないんではないかと。まあ広く考えていくとみんな関連しているねということではありますけれども、言いようによっては抱き合わせ販売的なこともあるのではないかと、こういう問題も感じておりますけれども、その抱き合わせの仕方をここでうずうず言ってみても前向きではないと、こういうふうなことでございますので、それは置いておきまして、直ちに内容について御質問をさせていただきたいと思います。  まず第一に、経済のグローバル化等の進展によりまして、我が国の高い物流コストが産業活動、国民生活に大きなマイナスの影響を指摘されているということは先ほど申し述べたとおりであります。物流サービスの効率化、高度化に対する要請が日々一層強まってまいりまして、そこで港湾に関しましても、港湾運送事業法の改正を手始めに規制緩和がいろいろ行われてきました。現在では、地方港を含め全国的に事業者の事業免許制が許可制に切り替えられて、需給調整規制が撤廃されているという状況にあります。  一般的に規制緩和には光と影、いろいろと指摘されておりますけれども、そういった面があるわけでありまして、いわゆる参入規制撤廃により過当競争料金ダンピングを引き起こしたり、あるいは大手の参入やその市場支配力によって中小零細事業者が淘汰されたり、あるいはそこで働く皆さん方、労働者の皆さん方の労働条件が引き下げられると、そういうふうな事態も起こりかねない。現にタクシー業界、大阪ではそういうふうなことが問題指摘されているという状況にあります。  行政としては、そういう事態が起きないように常時対策を取っていく必要があると考えられますけれども港湾運送事業の規制緩和、具体的には、主要九港における港湾運送業の規制緩和を始め、二〇〇〇年十一月以降いろいろ規制緩和が行われてきましたけれども、その影響などを今日時点どのように政策評価されているのか、お伺いしたいと思います。
  22. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) お尋ねのありました港湾運送事業についてでございますが、これはもう委員御案内のとおり、港湾運送事業といいますのは、日々の業務量の波動性が大変大きい、あるいは労働供給事業的な性格を有するというその事業の特性から、過去において暴力的労務手配師などの悪質事業者の参入、又は零細事業者の乱立など混乱の歴史を経験したことを踏まえまして、事業参入につきましては需給調整規制に基づく免許制、運賃・料金につきましては認可制が導入されたところであります。  こういった規制、今申し上げましたような港湾運送に関する秩序の確立とか、あるいは港湾の安定化に大いに効果を発揮をしてきたところでありますが、他方で、硬直的な料金あるいは夜間荷役が行われないなどといったサービスの質の問題などが指摘されるようになりました。このため平成十二年に、今お話のありましたように主要九港、特定港でございますが、先行的に規制緩和を実施をいたしました。  この規制緩和の効果でございますが、三つほど申し上げたいと思います。  新規参入あるいは利用者ニーズに対応した運賃・料金の設定、こういったものが着実に行われてきているなど、事業者間の競争が促進をされつつあります。二つ目は、平成十三年の十一月の港運労使の合意によりまして、港湾荷役作業の三百六十四日二十四時間フルオープン、これはターミナルの作業についてですが、正月の元旦だけお休みをさせていただくという、そういうことが実現をしたこと。三つ目としては、港湾運送事業者の作業の共同化、あるいはターミナルオペレーター業への展開、そういったものが進むなど事業の拡大が進んでございます。こういった効果が挙げられます。  こういった効果に対しまして、船会社さん、あるいは荷主さん、港湾管理者さんに対してアンケートを私どもしておりますが、サービスの向上や港の活性化があったということについて一定の評価をいただいているということでございます。  こういった成果を踏まえまして、今お話のありましたような地方港につきましてもこの規制緩和を実施をするということで、昨年の、いわゆる港湾活性化法で公布をしていただきましたが、それに基づいて本年五月に施行することにしてございます。
  23. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 港湾における過去いろいろな問題があったと、沖仲仕と言われた時代から歴史的な経緯を踏まえて今日に至ったということでありまして、そういう状況をしっかりと踏まえていただきまして、また、労使が三百六十四日二十四時間稼働というのは、これ半導体工場と全く一緒でありまして、半導体工場は設備更新のときに休みになるというメンテナンス日があるわけですけれども、ここまで一生懸命努力をしているということでございますので、そのことを踏まえてやっぱり近代的な港湾労働の実態ということを期待をしたいと思います。  そこで、厚生労働省に今日お越しをいただいておりますけれども世界的に貿易量が拡大をして、さらに海運業の国際的な再編が行われている中で、港湾民営化規制緩和港湾労働者の雇用システムの弾力化という施策は、これは世界的な流れになっていると思います。我が国港湾もこういった流れの中にあり、そこで更なる競争力の強化が求められているというわけでありますけれども、こういった現状の下で、やはり港湾における規制緩和や合理化のしわ寄せが雇用労働分野にも波及しているのではないかといった懸念があるということでございます。  例えば、今では夜間作業も行われていますけれども、安全衛生対策がいわゆる三百六十四日二十四時間操業体制の中で万全に行われているのかどうか。労働災害が起きていないのか、あるいは一人一人の労働時間が増えていないのか、福利厚生は後退していないのか。また、ターミナルオペレーション業務において事業再編が行われ、中小事業者が倒産したり雇用不安、あるいは事業者にとっての不安が起きていないのか。あるいは港湾労働の高度化に伴う教育訓練がしっかりと行われているのかなどなど、心配すればいろいろあるということでございますし、こういう心配についても我が議会の中ではしっかりと議論する必要があると。  こういう視点から、厚生労働省に対しましては、ここ五年間ぐらい、港湾労働の実態を今言ったような視点からどのようにとらえておられるのか、あるいは必要な対策を講じておられるのか、お伺いしたいと思います。
  24. 高橋満

    政府参考人高橋満君) お答え申し上げます。  港湾労働につきましては、議員も御承知のとおり、港湾荷役のいわゆる波動性といったようなことから、常用労働者のほかにいわゆる日雇労働者を始めといたしました企業外の労働力というものにも依存をせざるを得ない状況というものがあったわけでございまして、そうした場合の就労に際しまして、先ほどもお答えがございましたとおり、第三者が不当に介入をして中間搾取が行われるといったような弊害というものが過去において生じてきた経緯というものがございました。  こうしたことから、昭和四十年、ちょっと古うございますが、相当昔にでございますけれども港湾運送に必要な労働力の確保、さらに港湾労働者の雇用の安定等を図ることを目的として港湾労働法というものが制定をされたわけでございまして、私ども厚生労働省は、これに基づきまして港湾雇用安定等計画、ここで様々な対策の指針というものが盛り込まれておるわけでございまして、この計画に沿いまして各般の港湾労働対策を講じてまいってきたわけでございます。  さらに、平成十二年におきまして、この港湾労働法が改正されまして、港湾運送事業主間でそれぞれの常用港湾労働者を相互に活用していくということを可能といたします、いわゆる港湾労働者派遣制度というものが導入をされたところでございます。こうしたことを通じまして、港湾労働者の雇用の安定ということにるる努めてまいったところでございます。  先ほども指摘のございました港湾国際競争力を強化するという観点から、港湾の三百六十四日フルオープン化あるいはスーパー中枢港湾プロジェクト等々、港湾におきます規制緩和あるいは合理化ということが逐次実施をされてきておるわけでございますが、こうした規制緩和等が労働者の労働環境というものにどういう影響を与えてきたのかというお尋ねでございますが、例えば御指摘のありました労働時間とか労働災害という観点で見てまいりますと、港湾労働者の年間総実労働時間、これはここ五年ほど見てまいりますと、ほぼ二千二百時間前後、この辺りで、そう大きく変化をしてはおりません。  それから、災害の発生状況、特に死亡災害でございますが、死亡災害の発生状況もここ五年ほど見ますと、かつてから見ますと相当大きく減少しておりまして、この五年間におきましても年間十件台で、むしろ減少傾向を示しておるということでございまして、そういう点から見ますと、現在までのところ、この規制緩和によって港湾労働者の労働環境が悪化をしておるということではないと一応私ども認識をいたしております。  それから、教育訓練の問題でございますが、確かに御指摘のとおり、港湾荷役技術が非常に大きく高度化されておる中で、それへの対応として大変重要な課題であるわけでございます。私ども厚生労働省におきましては、特に若年技能者の育成確保という観点から、港湾職業能力開発短期大学校というものを設置、運営をいたして、その努力をいたしているところでございます。また、あわせて、財団法人港湾労働安定協会が運営をいたしております港湾技能研修センター、ここにおきまして、協会の方で港湾労働者を対象とした各種の技能講習を実施をしていただいておりますが、これに対しても各般の支援をしていくなどの取組に努めておるところでございます。  今後とも、国土交通省とも連携しながら、この規制緩和あるいは合理化というものが労働市場や港湾労働者に悪影響を及ぼさないような形で適切に対処してまいりたいと考えております。
  25. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 差し当たって悪い傾向はないということでございますけれども、さらに、ある意味で監視をやっぱり続けていただきたいし、教育訓練等しっかり支援するということもお願いをしておきたいと思います。  さて次に、今回の法改正では、経済特区で試験的に実施した施策を全国展開していこうという項目が二つございます。こういった政策の展開は確かに一つの方法論であると、このように思いますけれども、しかし特定の、特別の条件下で成功したものがほかの場所でうまくいくとは、これは必ずしも言えないのではないか。こういった政策展開には、まず先行事例についての政策評価がしっかりとされていると、されなきゃならないと。そういうふうなことをもってある程度その政策の普遍性が検証されるという、こういうふうなことが必要ではないかと、こういうふうに思いますし、加えて、その政策を他の地域に展開されるという場合には、その地域に明確なニーズがあると、このことが必須要件ではないかと思います。  今回の法改正において、この特区での先行事例の政策評価をどのようにされたのか、お伺いをしたいと。また、そういった施策が全国の港湾で求められているのかどうか、いわゆる全国の港湾管理者が意欲を持って同じことをうちもやりたいと、そういう積極的なニーズがあるのかどうか、その辺の事情を御説明いただきたいと思います。
  26. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 構造改革特別区域に関するお尋ねでございますが、まず、今回の特区の全国展開、二点ございますが、埠頭施設といいますか、行政財産の貸付けの方について少し事例に基づいて御説明をさせていただこうというふうに思います。  この埠頭施設の貸付けにつきましては、岡山県の水島港、福岡県の博多港、沖縄県の那覇港、この三港において本制度を活用した貸付けが実施をされております。この貸付けが実施されましたことによりまして、実際に埠頭運営する者の土地や建物の使用について法的な位置付けが明確になるということ、あるいは運営の安定や長期的視点に立った設備投資が可能になる、そういうことに加えまして、従来の使用頻度に応じて使用料を支払うという使用許可制度と異なりまして、一定額で埠頭施設の貸付けを港湾管理者から受けられるということから、安定的な埠頭経営が促進をされるということになります。  そういった結果、利用者であります船会社要望に応じた埠頭運営者が必要と思う施設整備、これを行うとともに、利用者が埠頭運営者に支払う利用料金が低減化あるいは柔軟化されるというような様々な取組が行われているわけでございます。  もう少し具体的に申し上げますと、岡山県の水島港の例でございますが、先ほどちょっとお話出ましたガントリークレーンの利用料につきましては、三十分当たりそれまでは三万円であったものが二割ぐらいお安くなって二万五千円になるというようなことでありますとか、あるいは薫蒸倉庫の利用料金、今までは一日単位、二十四時間で使用させていただいていたものが一時間単位ということですから、短時間で終わればその分だけ料金は安くなるというようなことになります。もう一点、博多港につきましては、コンテナの修理場の整備とかあるいは管理棟のテナント料の低減、そういったことになり、管理棟のテナント料については、これはそれほどではありませんが、五%ぐらい、二千円、一平方メートル当たり二千円という料金が千九百円になるというようなことでございます。  こういう港湾の効率的な運営を実現する制度として、今回の特区制度、大変有効であるということと、特段の弊害も見られないということから、構造改革特別区域推進本部評価委員会というところで御議論をいただきまして、特段の弊害もないのでこれを全国展開したらどうかという評価意見をいただいたものですから、それを踏まえながら、私ども今回全国展開をすることにしたものでございます。
  27. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 職安次長はもう、ありがとうございました。  そういうことで政策評価して非常によかったとお褒めをいただいたんで、ほかのところでもきっとどんどんどんどん使ってもらえるだろうということでこういうふうな提案になっておるんですけれども、私が申し上げておるのは、それは営業の口上でしょうと。いい製品ができた、これはテストマーケットではうまくいったと。しかし、そのときに、もっときめ細かく、各対象のところに行って、そのことを導入してくださいと言う、そういう営業の更に生きた活動を含めてやった方が政策展開としてはいいんではないんですかと。これはほかの経済産業省でも相当私しつこく言ったんです。お役人さんは立派だし頭もいいし、いいことを一杯つくるけれども、自分の足を使って自分たちの作った法律を売り込みをするというところをやることが今の時代に求められておるんじゃないんですかということなんですけれども、何かありますか。
  28. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 今回のこの法律改正の概要といいますか内容につきまして、既に港湾管理者には御説明をさせていただいておりまして、一部の重要港湾港湾管理者におきましては、港湾の効率的運営の観点からこの貸付制度の利用についても検討をし始めていただいているというふうに聞いてございます。  今委員から御指摘のありましたように、更に営業をすべきだということでもございますので、そういったいろいろな港湾管理者検討状況も踏まえながら、私どもといたしましても、この法を制定をした後、施行までの間に関係者に対して更に周知徹底を図って、この制度がうまく運用されるように努めていきたいというふうに考えてございます。
  29. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 足で稼ぐ霞が関ということで、是非頑張っていただきたいと、このように思います。  次に、我が国港湾が真に国際競争力を持ち得るかと、こういうテーマで少しお話をお伺いをしたいというふうに思います。  港湾の国際競争にとって我が国、まあ強力なライバルの一つとなっている上海では、昨年十二月に洋山という、太平洋の洋に山、洋山深水港という巨大なコンテナ港が開港いたしました。コンテナの年間取扱量は二百二十万TEU、二十フィートコンテナ一個分換算と、こういうことでございますけれども、ほぼ横浜港並みで、中国政府と上海市は二〇一〇年には一千五百万TEUを目指し、自由貿易区の建設と併せて更なる港湾機能の強化を図ろうとしております。これが完成すればアジアの物流地図は大きく変わるとさえ指摘をされておりまして、特に自由貿易区は完全無税の取引、貨物の二十四時間モニター監視、最新の通関システムの下での貨物移動を可能にするという言わば究極の保税エリアだと、このようにも言われておりまして、中国の戦略的な港湾整備政策だと、こういうふうに言われております。  現在、こういった東アジアの国際的拠点港湾の台頭に対抗いたしまして、我が国でも、これは一般質疑の部分でもお答えをいただきましたけれどもスーパー中枢港湾の整備が進められているというふうに理解をしておりますけれども、上海の今言ったような港湾の戦略性との対比でいけば、我が国のものは何となく一歩一歩という歩兵的、そういう漸進的な取組でやって見劣りをしておるのではなかろうかと、港湾関係の人々の中でため息が漏れておるのではないかと、こういうふうに思います。  港湾競争力強化に関する戦略については、それぞれの国の港の特質、港の背景地の実態、あるいは製造業の実態など、様々な要因を総合して打ち立てていくべきでありますけれども我が国としての港湾基盤強化に関する国家的戦略をどこに置くべきか、末松議員の議論の中にも少し関連がございましたけれども、改めまして御見解をお願いいたします。
  30. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 加藤委員は物づくりに長年携わってこられた議員でございますが、今質問の冒頭でおっしゃいましたように、そういう物づくりのメーカーの方々もいかにコストを縮減するか、その中でやはり物流をいかに簡素化するか、効率化するか、そういうところに本当に知恵を絞っていらっしゃるというふうに思っております。  現に、我が国の物流を考えますと、特に海から、量でいきますと九九%以上海から出入りをしているわけでございまして、やっぱり我が国のそういう基幹産業でございます製造業、その製造業が空洞化しないためにも、私はこの物流基盤というものをしっかり整備をしていくということが、また物流を効率化していくということが非常に大事であると。それは我が国国際競争力を維持向上させていくために最も重要なテーマの一つだというふうに私も認識をしているところでございまして、特に港におきましては、その整備について、先ほど末松委員からお話がございましたが、東アジアの大きな主要港に比べますと少し立ち後れてしまったという状況がある中で、しっかりとこの港の、主要港の整備をしていかなきゃならないというふうに思っているところでございますが。  ただ、港といいましても、我が国は四囲が海に囲まれていますんで、特定重要港湾重要港湾、こういう大きな港だけでも百二十八もあるというふうな、地方港も含めますと千以上ある、こういう本当に港がたくさんある国でございますが、そういう意味では、この国際物流というようなことを考えますと、やはり選択と集中といいますか、予算には限りがあるわけでございますので、やはり絞ってそこに集中的に投資をしていくというふうな対策を取っていかないといけないということでスーパー中枢港湾の指定をさせていただきまして、このスーパー中枢港湾におきましては、これから三年から五年の間で、先ほど来お話が出ておりますアジアの主要港と並ぶ、そういうコストサービス水準を実現を目指してまいりたいと思っております。  コストについては、例えば釜山港と同じぐらいにするために三割ぐらい下げていきましょう、それからリードタイムについては、これも今三日近く掛かっているわけでございますが、これをもう二十四時間以内にしていこうと、こういう目標を明確にさせていただいて、今総合的な取組をさせていただいているところでございます。  ハード面におきましては、このスーパー中枢港湾プロジェクトをしっかりと進めていくということでございまして、名古屋港の方は既にもうスタートいたしました。横浜港は元々あるわけでございますが、関西においても大阪神戸と今事業を進めているところでございまして、水深十六メートル級の大水深岸壁の整備をしっかりと推進をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。  これとともに、こういうハードの対策とともに、やはりソフト面での対策もやらにゃいけないことが一杯あるというふうに思っていまして、その一つがやっぱり規制の改革の問題だというふうに思っております。  先ほどもお話が出ておりましたが、港に船が入る際にたくさんの手続があるんですね。六省庁手続があるんですよ。経済産業省、農林水産省、厚生労働省、財務省、法務省、海上保安庁、国土交通省、六省一庁ですね。これの手続を、このIT化が進んでいる時代でございますので、先ほど港湾局長が答弁しておりましたが、ワンストップサービスでできるようにやっぱりしていかないといけないということで、シングルウインドー化というのを今一生懸命進めようということで、何とかこれを、平成二十年でしたね、二十年度には是非実施ができるように、もう、一つの画面ですべての手続ができるというふうに是非させていただきたいというふうに今関係省庁とも連携を取って進めているところでございますし、また昨年の法改正ではメガターミナルオペレーターによる運営事業制度というものを創設をさせていただきまして、事業の効率化を進めていこうということをやらせていただいておりますし、さらには今回の法改正におきましては、既存の埠頭公社ターミナル管理運営効率化、これは埠頭公社株式会社化でございますけれども、をしっかり進めさせていただきたいと思いますし、また単に港だけではなくて物流という観点からは、コンテナターミナルの近くに位置されますロジスティクス拠点、そこではもういろんな加工だとか物流をめぐる様々なことがなされるわけでございますけれども、そういうロジスティクス拠点の構築についても無利子貸付制度の創設をするなど、そういう法改正も今回お願いをしているところでございまして、ほかにも内航フィーダーとのネットワークの連携強化だとか二十四時間フルオープンサービスの推進だとか様々あるわけでございますが、総合的に冒頭申し上げました目標に向けてしっかりと、港湾競争力強化に向けてしっかり取組をさせていただきたいと思っております。
  31. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 そういう決意で、決意だけではなくて実績を是非上げていただきたいと、このように思います。  少し視点を変えまして、私は忘れてはならないポイントの一つの中に海運モーダルシフトの推進があると思います。これは単に地球温暖化対策ということにとどまらず、海運によって内陸輸送の物流のコストダウンが行われれば、製造業の競争力大幅アップにもつながることになると。そのためには、港と道路の問題だけではなくて、港と鉄道をつなげるための港湾設備が急がれるということは当然のことであります。例えば、港における貨物線路の整備やヤードの整備ということ、あるいは生産地、消費地との間のモーダルシフトネットワークを密にするという、そういう意味で内航海運の振興を前提とした地方港の整備といったそういう課題もあるんではないかと思いますけれども、現在の施策と今後の展望についてお伺いしたいと思います。
  32. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) モーダルシフトの推進、特に海運を利用したモーダルシフトの推進のための取組についてのお尋ねでございます。  港湾におきましては、陸上輸送と海上輸送を円滑迅速に結ぶ複合一貫輸送、これに対応した物流拠点を整備するなどによりまして、国内海上輸送の利用促進を図ってモーダルシフトを推進、これまでもしてきてございます。  具体的には、特に国内の主要な港におきまして、フェリー輸送あるいはロールオン・ロールオフ船による輸送、そういった輸送に対応した内貿ターミナルの整備をハード面としては実施をしてきてございます。さらに、こういった港の岸壁の整備に加えまして、内陸にそれを運ぶ場合のターミナルへのアクセス道路の整備でありますとか、やはりフェリーからトレーラーが降りたときの駐車場みたいな、乗り込む場合もそうですが、そういう整備も加えてやってございますし、特に今委員の方から御指摘のありました鉄道と海上の接続という意味では、十八年度予算におきまして、コンテナターミナルの背後に鉄道積替え施設というものを整備をするような予算措置をしてございます。  こういったことによりまして、国際海上コンテナ貨物の鉄道を利用した内陸への輸送あるいは内航フィーダー輸送への社会実験も進めておりますので、そういった内航フィーダー輸送の利用促進等々に我々も今後ともモーダルシフトの推進という観点から鋭意施策を講じていきたいというふうに考えてございます。
  33. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 先ほど大臣の方から、三〇%のコストダウンを目標にということを力強くお話をしていただきましたけれども。  そこで、私は民間でずっと仕事をしておりましたもので、社長が三〇%のコストダウンと言うと、すぐ専務、常務は、それは一体どういうふうなコストの内訳になっておるのか、そしてそのコストの項目ごとに、じゃ、どれだけ下げていくのか、Aというコストは半分にできるのかできないのか、じゃBは、これはもう五%ぐらいしかできませんね、Cに至ってはひょっとしたらなくすことができるか分からないということを各担当がこれ因数分解をして細かくやっていって具体的な目標を作っていく、最後はいつまでできるんだ、駄目押しが入ると、これは民間の現場の話であります。  港湾の利用コストという場合には、入港料、それからとん税というとんでもない税金、とん税がある。ターミナル費用、荷役料、パイロット料やタグボート料などが挙げられますけれども、具体的なコストダウンの方法論とか目標とかございましたら、お願いをしたいと思います。
  34. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 港湾コストにつきましては、ただいま委員の方からお話のありましたように、入港料あるいは水先料金等の船舶関係費用あるいは施設使用料等のターミナル関係費用、そして荷役関係費用によって構成をされてございます。  こういったコストにつきまして、先ほど来御議論をいただいておりますスーパー中枢港湾におきましては、国、港湾管理者民間事業者が一丸となって、コスト、サービスの向上に資する施策を展開をいたしまして、コンテナ貨物の取扱量を増大をさせ、それを効率的に扱うことによってスケールメリットを発揮して、船舶関係費用でありますとかターミナル関係費用あるいは荷役関係費用について、それぞれについて低減を図って、結果としてコンテナ一個当たり港湾コストを約三割低減させようというふうに思ってございます。  もう少し具体的に話をしろということでございますのでもう少し加えさせていただきますと、私どものもくろみによりますと、スーパー中枢港湾で指定をいたしました特定国際コンテナ埠頭、いわゆる次世代の高規格コンテナターミナルにおきましては、一つターミナルの単位で百から百二十万TEUぐらいのコンテナの取扱いを想定をしてございます。その場合、従来のというか、今までのコンテナターミナル、一ターミナルの一・五倍から二倍ぐらいの貨物を扱うということになりまして、先ほど言いました船舶関係費用、ターミナル費用、荷役関係費用、それぞれおおむね一〇%かそれ以上が低減が可能になるだろうと。  したがいまして、これらをトータルにいたしますと、全体で三〇%ぐらいのコスト低減が可能であるというふうに見込んでございますし、スーパー中枢港湾を指定をする前に各港湾管理者から提出をいただきました目論見書の中でも、そういった貨物量を実現をすることによってそういった費用がそれぞれ具体的にこのぐらい低減できるという数字もいただいているところでございます。
  35. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 会社でいえば、ただいまの答弁は、常務の、営業常務の、社長、販売台数増やすから一個当たりの単価は安くなりますよと、こういう説明になるわけですけれども、これ民間会社じゃそれだけじゃ足らぬと。やっぱり製造プロセスを、棚残はどうなっておるんだとか、材料費の仕入れコスト下がらへんかとか、そういうふうなことを含めてやっぱり利用コストというのは下げていくという努力をしていただきたい。  今日は国土交通省に対する経営指導の時間じゃないですからこれ以上は申し上げませんけれども、先ほど足で稼いでくださいとか、それからコストダウンというのは単にその売上げ台数増やせばということじゃなくて、きめ細かに一つ一つ追っ掛けていかないとなかなかできないんですよというのは、もう民間の中で、これ何百年じゃないですけれども、まあ百年ぐらいやってきた成果でありますので、そういうようなことも私はやっぱり、安全も民間に学んでくださいと。これ、前回申し上げましたけれどもコストダウンも是非民間の手法を謙虚に学んでいっていただいて、世界で一番競争力のある港湾を是非成し遂げていただきたいというふうに思います。こういうようなことで、先ほど大臣の方のお話も聞いておりますので改めてはもうお伺いしませんけれども、よろしくお願いをしたいと思います。  さて、このコストの中で、先ほど申し上げましたけれども、税金、つまり、とん税、特別とん税という項目がございました。現在、外国貿易船の入港に対してとん税が一トン当たり十六円、地方税である特別とん税がトン当たり二十円、合計三十六円が負担されております。しかも、とん税は日本国の国税でありながら船が入港する港ごとにこれが徴収されるという、どうなっているのと、そういうふうな側面があります。  いろいろと調べましても、このとん税は、学問的にはいろいろ古い内容であって時間が掛かるわけでありますけれども、年間税収二つ合わせても二百億円程度の最も小さな税源でないのかなと、こんなふうに思っております。しかし、これもコスト一つであり、手間暇が掛かるというふうなことで、まあここの場でとん税廃止という答えはこれは出るはずはないんですけれども、これどうするのですかと、こういうようなことで財務省の御見解をいただきたいと思います。
  36. 青山幸恭

    政府参考人青山幸恭君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおりでございますが、とん税でございますけれども外国貿易船が開港、これ全国に百二十港ございます、に入港するという事実に着目いたしまして課税しているという分でございまして、間接税の一種でございまして、使途は特定しておりません。一般財源でございます。  もう一つですが、特別とん税というのがございます。これは昭和三十二年でございますが、ちょっと古い話で恐縮でございますけれども、とん税の税率を改正いたしまして、五円からトン当たり八円にしました際に、国内船主の負担軽減のために、日本船舶のみに課されます固定資産税、これの税率を半減するということでいたしたわけでございますが、これに見合う分ということで地方の方に譲与税という形でこれがスタートしたというものでございます。なお、地方財源として使途を明示せずに譲与するという、いわゆる地方の一般財源でございます。  委員指摘とおり、これらでございますが、外国貿易船が開港に入港した際に、船舶の純トン数というのがございます。これ、純トン数というのは船舶の貨物あるいは旅客を積載する部分の容積ということでございますが、これを課税標準として課すものでございまして、とん税はトン当たり十六円、それから特とんが二十円ということになってございます。開港ごとに一年分、これは入港三回分に相当するわけでございます、これを一時納付いたしますと当該開港への四回目以降の入港に対しましては課税しないということにされているわけでございます。  税収でございますけれども、とん税と特別とん税合わせますと二百三億。とん税が九十億でございまして、特別とん税が百十三億でございますが、この百十三億につきましては、開港の港湾施設を管理いたします市町村に全額譲与されているというところでございまして、市町村としては一般財源という形で使われているわけでございます。  現行の、じゃ、とん税法とか特別とん税法の議論でございますが、これは昭和三十二年にきちっとした形にしたわけでございますが、その際の税率でございますが、トン当たり、純トン当たり、一トン当たりとん税が八円、一時納付の場合は二十四円でございまして、特別とん税は十円でございまして、一時納付の場合は三十円でございました。これを昭和三十九年に引き上げまして現行の税率にしたと。それ以来ずっとそのまま引き上げておりません。こういうこと等によりまして我が国の、逆に言えば港湾国際競争力に配慮してきたというところであるわけでございます。  なお、この納付手続でございますが、昨今の電算化の流れもございますので、平成十一年度から私どもの通関情報処理システム、NACCSというのを利用して納付できるようにさせていただいたというところでございます。  外国のことをちょっと申し上げさせていただきますと、アメリカ、オーストラリア等につきましても同様のいわゆるとん税制度を取ってございます。アメリカは金額的には、北米、中米等の港からの入港につきましてはトン当たり二・三円とか非常に安い仕組みになっておりますが、例えばイギリスでございますとトン当たり七十九・七円とか、オーストラリアでございますと大体日本とほぼ同じような部分でございます。  お隣の韓国でございますけれども、手元にある数字でございますが、トン当たり十五・四円という形で、一見安そうに見えるんでございますが、これは各港への入港ごとに納付ということで、日本の場合、三回目まではまとめて払うというやり方は取っておりませんので、割引制度はないという形になってございます。  なお、中国につきましても、これはかなり、数字的に申し上げますと、例えば一トンを超えるものにつきましては、九十日まで錨泊する場合ということでございますが、これはトン当たり九十六・三円、三十日までですと四十八・一円という形で、かなり中国の場合高くなっていると。こんなのが国際比較でございます。  今後どうするかという議論でございますけれども、先ほど来申し上げましたように、他方で、もちろんコンテナ船の船主、船主協会の方からは大型化に伴います負担増ということで税率の引下げというもちろん御要望もございますが、他方、これ自治体の立場からいいますと、特別とん税でございますが、これは港湾施設を管理している市町村に全額譲与、しかもこれ一般財源ということでございますので、逆に、以前は税率を引き上げろというような議論が逆にございまして、こういう両方の意見を勘案した上で検討する課題ではないかなというふうに考えております。
  37. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 まあ財務省はいろいろうまいこと言ってとは言いませんけれども、一回くわえたものは放さないと、こういうことだと思いますけれども、まあここで議論してもしようがないので、やはりしっかり議論を今後していただきたいということを申し上げたいと思います。  さて、埠頭公社民営化問題につきまして幾つか御質問をさせていただきます。  まず端的に言って、財団法人のまま、あるいは公社のままではなぜいけないのと。現在の行政仕組み規制がどのように事業展開の足かせになっているのか、まずここを明らかにしていただきたいと思います。
  38. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 現在の各港にあります埠頭公社でございますが、委員も御案内のとおり、昭和五十七年に行政改革の一環として、東京湾と大阪湾にありました京浜外貿埠頭公団、阪神外貿埠頭公団の二つの公団を廃止をいたしまして、それぞれ港ごとに港湾管理者が全額出資をする財団法人として新たに生まれ変わりました。それが埠頭公社というものでございます。  それまでは公団ということで国が出資をし、港湾管理者出資をする特殊法人としてコンテナターミナルの建設あるいは管理運営というものを実施をしておりました。その業務を承継をするということと、もう一つは、コンテナターミナル管理運営する、日本にとって大変重要な役割を果たす公社であるということから、外貿埠頭公団の廃止及び承継に関する法律というものを作りまして、国が相当程度関与をする形でその埠頭公社の、例えば船会社さんに貸し付ける料金の定め方とか、そのそれぞれの、ある程度長期にわたる整備計画あるいは毎年度の事業計画、そういったものの認可でありますとか、相当しっかりと国が、まあ手取り足取りとは申しませんが、それぞれの公社のやられることについて監督をしてきたということがございます。  ただ、そういう中で、御自身でなかなか国際競争力を強化をするという、あるいは船会社を呼んでくるという中で、コストを自由に決められないというようなこととか、あるいは船が、コンテナ船がどんどん大きくなる中で、言ってみれば、そのコンテナ船を受け入れるための施設自身を相当大水深のものを、先ほどマイナス十六メーターというお話大臣の答弁にございましたが、そういったものを造るに当たって、下物から造っていくと相当の資金量が要るということの中で、我々の行政対応としては、大きな岸壁については基本的には公設民営化の方式を取ってございます。  そういう意味で、これからの埠頭公社の役割というのはむしろ管理運営が中心になっていくだろうという中で、今までの形よりは、むしろ自由に料金を決め、あるいは戦略的、多角的な事業が展開できる、そういった形の組織にすることの方がより望ましいということで今回この法律を出さしていただいているということでございます。
  39. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 じゃ、そのことを前提にして、効率的な運営をするということからいったら、私はやっぱり人の問題が一番大きいんでしょうなと、こうなると思います。例えば、今の埠頭公社のように、経営感覚においては民間的でない方々が、いわゆる自治体から出向、派遣、こういう形で来ておられていると、それが株式会社にすれば名刺も変わるし。しかし、やっている人は替わらないということであれば、人は替えずに形だけ変えるということでは、本来その目指すところが達成されるのでしょうかと。  例えば、財団法人東京埠頭公社について言えば、理事長が元東京港湾局長、二名の常勤理事さんが、一人は東京都理事、一人が内閣府沖縄総合事務局、常勤監事が旧運輸省港湾局の室長さんというふうに、経営陣というのは皆さんそういう経歴を持った方々だし、職員の皆さん方も東京都などからの出向者、派遣者が多い。他の埠頭公社の実態も恐らく似たり寄ったりだとこれは思います。  そういうふうな実態の中で、今局長が御答弁で言われたような創意工夫だとか、そういうようなものが達成されるということが約束していただけるのかどうか、そこを少しお話しいただきたいと思います。
  40. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 正に新しい会社になって、そういった創意工夫を生かして新しい経営に取り組んでいただくということが私ども今回のこの組織の改編にとって一番ポイントだろうというふうに思っています。ただ、会社の人事とか雇用関係につきまして、当然新しい株式会社になった会社自身がお決めになることではございますが、正に委員からも今お話がありましたように、創意工夫を生かすという意味で、民間のノウハウを経営にいろいろ取り入れていくということが大変重要であるというふうに私も思っております。  そういう意味で、外部の優秀な人材をできるだけ活用していただくということについて、今回のこの改革の趣旨にかんがみまして、そのそれぞれの会社経営判断の中の一環として取り組んでいただくということについて、私どもも期待をしたいというふうに思っています。
  41. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 これは新しく株式会社化された経営陣、その経営の主体的な意思で行われるということですから、いつもそう言って逃げられて、それ以上はつかまえられないということで議論は途絶えるわけですけれども。しかし、結果的にこの株式会社化、民営化というものがどれだけの成果が出るかというのは、これは二年たち、三年たてば、これは経営的な数値として出てくるわけですから、そのときに、じゃ、ここで議論したことがどうだったんだと、もうそのときには法律ができて、はい、さようならということでは政策評価にはならないということで、我々参議院では決算重視だと。決算委員会で本当にその経営成果をしっかりそのときにはびしっとやるということでなければ、何でもつくりっ放し、やりっ放しということになっちゃうんじゃないかなと、こんな感想も持つわけであります。  そういうようなことで、もう少し細かなことを申し上げますと、この東京埠頭公社の事業の中に、これは直接国土交通省が管理はできない、内容では、してないとは思いますけれども港湾関係の事業のほかに建設発生土処理受託業務というのがありまして、これは業務収入の三六%を占めてるという、言わばこの東京埠頭公社の仕事の中に三六%も、残土を処理をするというんですか、請け負っているというこういう事業があるわけですから、じゃ株式会社化するときに、それも一緒に事業範囲としてするのかとか、まあいろいろ細かな問題もあるのではないかということもございますし、また株式会社になると、何でもかんでも民営化したらうまくいくという、何かマインドコントロールをされてるんじゃないかなと、こう思うようなところもあるわけですけれども。  民営化して株式会社になると、これはもう公務員じゃないですから、ある部分は、まあこんなことを言うと変ですけども、やりたい放題とは言いませんけども、やっぱりそこは公務員と民間とは違った理屈で管理はされておりますよと。例えば、業者に対する発注だとか、そういうふうな物を調達するとか、そういうふうなときに民間の資材の部長さんのところは四畳半は空っぽにしておかないかぬと、盆と暮れにはと、こういうふうな笑い話もあるぐらいですね。それはそれでしようがないわけですよと、民間は。お役人がそういうことをしたら怒られるけれども民間の場合は、バックリベートとかいうのは業界業界によっていろいろこれは扱いがあってということになるわけです。  これはこれで、民間会社には民間会社のあるリスクなり問題があって、特にこういうふうな事業独占にやっぱりなっちゃうという、こういう株式会社というのは野放しにするととんでもない不祥事が起こり、そしてそのことは手が付けられないということもあり得るんですよということを含めて、私は、何でもかんでも民営化、何でもかんでも株式会社がすばらしいということではないんだというような問題点もこの場でやっぱり指摘をしておかなきゃならないということを申し上げまして、株式保有を、これは公的な組織がやるから問題ないというお答えがあるかも分かりませんけれども株式を持っておるということと直接日常業務管理するということは少し差があるということも含めまして、何か御感想がありましたらお願いしたいと思います。
  42. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 株式会社になった後、きちんと外貿埠頭のより効率的な管理運営に向けたしっかりとしたことができるのかというお尋ねでありますが、先ほどもお話を申し上げましたが、二分の一以上を港湾管理者が株を保有をするということを義務付けてございます。  そういう意味で、経営者としての港湾管理者自身がチェックをする、あるいは港湾管理者の監査が行われるということのほかに、御案内のように、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律、これに基づきまして、毎年度、外部監査法人による監査、これも行われることになります。あるいは財務諸表等の公表、さらには株主総会等における株主への説明責任、そういったものが義務付けられますので、そういう意味で、健全な経営に必要となる経営の透明性、これはきちっと確保されるというふうに私ども考えているところでございます。
  43. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 それは普通の会社でも外部監査はやっておるわけですけれども、それでもライブドアの問題が起こるわけですから、そういうようなことをやっぱり、ちょっと私はしっかりと受け止めておいていただきたい。受け止めるだけでも、これは間に合うのかなということですけれども、これはまた次回の議論になってくると思います。  さて、未利用埋立地の処分の期限緩和の問題ということがございますけれども、まず全国的に見て現時点での未利用埋立地の実態、特に十年制限に引っ掛かっている未利用地はどのぐらいの広さになっているのか、お伺いしたいと思います。
  44. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 平成八年から十七年までの十年間に竣工をいたしました埋立地、全体で約五千二百ヘクタールございます。このうち、平成十七年末現在の未処分地が約千三百ヘクタールございます。  さらに、ついでに申し上げますと、このうち、竣工後五年以上経過しておりますのが約五百ヘクタールございます。今回、特区の制度を活用して処分の制限期間の十年から五年の短縮措置の適用になるのはこの五百ヘクタールということでございます。
  45. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 そこで、具体的な事実といたしましては、横浜港の商業業務施設用地三・四ヘクタールのうち、これはまあいろいろな社会経済情勢変化等により、クラブハウス用地、サッカーのですね、クラブハウス用地として一・八ヘクタールをこれは賃貸と。十年間の貸付期間ということで、その賃貸料が月額一平方メートル当たり七百円ということで、この土地は平米当たり譲渡処分予定価格が三百二十四万円、坪ですると約一千万円と、こういう予定処分価格だったのが、今いろんな情勢の中で日銭を稼ぐことも大事だということで、賃貸料を取ってクラブハウスに貸し付けると。こういうふうなことが、まあこういう活用の仕方でやっぱり日銭も稼がないかぬなと、ペンペン草を生やしておってもしようがないなと、これは一つの判断だと思います。  そこで、こういうふうに、もうやむを得ない、何とかしなきゃならないということでこういう期限緩和ということをされるかも分かりませんけれども、納税者の立場でいえば、高いお金を掛けて埋立地を造ったわけですよね。それで、処分価格が坪一千万円、平米三百二十四万円。これはみなとみらいですから非常に場所がいいということで、それが七百円の賃貸、賃貸ですからこれ売るわけじゃないんですけれども、というこれは商業的、経済的価値しか今のところ生まないということになると、何か国の金を使って、地方の税金を使ってばあっと埋立てして、あとはなかなかうまいこと活用でけぬから、まあこれは安く、言い値で使わせてあげようというような、まあたたき売りとは言いませんけれども、たたき貸しみたいな、そういうようなことが発生をするということはやっぱりおかしいんじゃないのと、こういうふうなことになろうかと思いますけれども、その辺の懸念について、これから一体どう考えますかということを少しお伺いしたいと思います。
  46. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 今御紹介のありました横浜港の例でございますが、当初は商業業務施設用地として埋立ての用途を決めたわけですが、処分が計画どおりに進まないということから、暫定的に、暫定的にですが、地元のプロサッカーチーム支援企業から要望のあったクラブハウスとして賃貸しを行ったということでございます。  ただ、この貸付期間は十年間ということで設定をされておりまして、その後は当初の計画どおり、商業業務用地として処分をするということでございます。賃貸し料の設定につきましては、埋立て権者である市の条例によって審議会にお諮りをしてその価格を決めたというふうに聞いてございます。  こういった例も含めまして、今回のこの特例措置によりまして、先ほど申し上げました五百ヘクタールのうち特区の制度の対象になりましたのは、今例で申し上げました横浜市のほかに青森県の八戸港、北九州市の北九州港、福岡市の博多港、大阪市の大阪港、この六件で特区の制度を活用したわけでございますが、このうち埋立地の処分が行われましたのは三つの港で十一件、二十四ヘクタールということになってございます。  そういう意味で、この特区の制度によって迅速かつ柔軟な用地処分が可能となったということで、臨海部の活性化あるいは地域経済の活性化に資する未処分地の有効利用、有効活用が図られたものというふうに考えてございます。
  47. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 後始末としての適切性ということだと思うんですよね。ほったらかしにしてもしようがないから一円でも稼いでいってそれを役に立てるということは、それはそれで私は経済的な合理性があると。ただ、何でそんなに広い何ヘクタールものがペンペン草が生えなきゃならないのですかというところの問題が一番大きいし、納税者の立場でいえば、何百兆円もの借金が抱えているその一つ原因に、使えもしない土地を埋立てするために必死になってそのお金を使ってきたんではないかと、結果的に、未利用地ということからいけば。そういうふうなことを全国あっちこっちでやっていたら、それは借金が山ほどできてもしようがないねということの問題はありますと。  したがって、そこでできた未利用地を、これから一円でも二円でも回収するという使い方の中で、まあ随分もうけたねとか、ひょっとしてずっと待っていたんじゃないかとか、そういうふうな変な目で見られない、勘ぐられないような行政としての仕組みということについては、私はこれ、しっかりつくっておかないと、これはもう納税者が反乱起こすんじゃないかということもあり得ると思いますので、これ以上は申し上げませんけれども、是非よろしくお願いしたいと思います。  ちょっと答弁は、時間があれですので次の質問に移らせていただくということで、よろしくお願いしたいと思います。  最後に、水先制度の問題点ということでございますけれども、まあ結果として日本の船員さんが減ってるねと。海洋国家日本世界を雄飛した我が日本で船員さんが随分減っちゃったねと。そういうことの中で、今回、水先制度を改正をしていろいろと対応しようということになっていますけれども、しかし船員さんが、海の男と海の女性も含めて減っているというこの状況の中で、やっぱり資格要件を緩和しても結果としてなお深刻な事態を今後招くということは、私は、避けられないということであり、人件費の安い外国人船員に切り替えるということも大きな原因だったわけでありますけれども、私はここは少し抜本的な対応策というふうなことを、やはり日本人船員の確保と海の安全なりシーレーンをどうやって確保する、いろんな要素から大切なポイントであるということを含めまして今後の対策をお伺いし、かつ、水先人会の法人化ということを今度法律で強く要請するということでありますけれども、これ、水先人たって数百人しかいないわけですから、千人いない中で、国会議員よりも少ない、こういう人たちが全国組織をつくると、その組織運営コストというのは大変掛かるわけですから、その辺のことについてやっぱり考えてあげないと、命令するだけでは能がないんじゃないかということを含めまして、二点御質問をしたいと思います。よろしくお願いします。
  48. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 二点御質問をいただきました。  まず最初の、今後の船員の確保育成策ということでございます。  ただいま先生がお話ございましたように、我が国の外航海運の分野におきましては、厳しい国際競争と、あるいは収入のほとんどが外貨建てだということで、結局、大幅な円高が進む中で、為替リスクを回避する意味でコストのドル化というのがこの外航海運の分野では大変進んで取り組まれてきました。その結果、外国人船員の導入ということが急速に進んだと、反対に日本人船員の減少が進んだと、こういう状況にあろうかと思います。  ただ、実は、こうした流れが最近、私どもとしては、ちょっと一定の歯止めが掛かりつつあるのではないかと、こういう認識でございます。ある意味で日本人船員は減るところまで減ってしまったというようなのが現在の状況認識かもしれませんが、実は一方で、従来、船の運航といった分野に船員の職域というのがイメージされていたわけですが、こういう分野に加えて、例えば船舶管理でありますとか、あるいは今回法案を御審議いただきました安全マネジメント、それから環境面、大変重要な課題でございますが、こういうものの企業内のマネジメント、そういうものに携わる中核的な人材として実は日本人の船員技能を有する海技者というのが大変重要だという認識が浸透しつつあるというのが私どもの現状認識でございます。  実は、こういう認識に立ちまして、現在、労使、日本船主協会と全日本海員組合、この間で、言わばそういった幅広いキャリアパスを有する新しいイメージに沿った海上技術者の確保育成策をどうやってやっていくかと、お互いに協力して必要な人材育成について手を携えて取り組んでいこうじゃないかと、こういう観点からの実は今話合いが持たれております。おおむね今年の六月を目途に方向性を出していこうということで、これは、当座、雇用にかかわる部分がございますので、労使の間でまず真剣な話合いをしていただきまして、私ども、その議論の方向性に沿って官と民、あるいは国と、行政民間との間の役割分担、適切な役割分担の下で行政としても必要な取組をしっかり進めていきたいなというふうに考えておるところでございます。  現状では、もちろん手をこまねいているわけではなくて、若手船員の育成のためのトライアル雇用でありますとか、あるいはいわゆる船長、機関長といった幹部船員の育成のための、そのためのいろいろな制度といったようなことを真剣に今取り組んでいるところでございます。  以上、第一点でございます。  それから、第二点の法人化に関連いたしましては、これは私ども、今回の法人化はユーザーである船主団体からもいろいろ御要望をいただきまして、まさしく外部から見える形で透明性のある事業運営をやっていただく中で、コストを反映した適切な料金設定ということを目指す一つ仕組みとして法人化を導入させていただきました。これに伴って過重な負担になることがないように、そこは制度設計面で最大限配慮してまいりたいというふうに思っております。
  49. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 終わります。
  50. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  51. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、海上物流基盤強化のための港湾法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  52. 西田実仁

    西田仁君 公明党の西田実仁でございます。  午前に続きまして、今回の海上物流基盤強化のための港湾法等改正案につきまして御質問をさせていただきたいと思います。  今回、この四つの大きな柱の中で、横ぐしとしては海上物流基盤強化ということが共通テーマとして掲げられております。とりわけこの物流の重要性ということは、幾ら強調しても強調し過ぎることはないわけでございます。ちなみに私、地元は埼玉で海のない県でございますが、そうはいっても、やはり当然のことながら様々な生活物資、また工業用製品も始めとして、先ほど午前中も大臣からお話がございましたとおり、九九%以上は港を通じて来ているという、大変重要な物流のかなめがこの海上物流ということになろうと思います。これから日本が人口減少社会に入っていく、そうしたときに特にこの物流を一つの成長政策の一環として位置付けて物流改革ということに取り組まなければならないというふうに私自身は思っております。  先般、大臣の本音トークの中にも物づくりと物流というそういうコラムがございましたけれども、この物づくりのみならず、いわゆるITという社会でも最終的には物流というところに物が乗らなければ消費者の手元に、そこはリアルな世界なわけでございまして、そういう意味でもなおさら物流というものをいかにコスト改革をしていくのか、港湾コスト改革をしていくのかということが大事だというふうに思っております。  そこで、今回のこの法改正が、特にアジアとの時間距離をいかに短くしていくかということにどの程度寄与するのか、貢献するのかという非常に大きなテーマでございますが、初めに大臣からそのことについてお聞きしたいと思います。
  53. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 今委員がおっしゃったように、我が国港湾国際競争力を強化することは喫緊の課題であるというふうに考えております。午前中の質疑でもございましたように、港湾コストの三割低減、またリードタイムを一日、二十四時間以内にしていくということを目標といたしまして、今施策を推進をしているところでございます。  このコスト縮減のためには総合的な対策が必要であるというふうに考えておりますが、この法律案では、埠頭公社コンテナターミナル管理運営効率化を図るため、現在の埠頭公社というのはこれは財団法人でございますがこれを株式会社に変更いたしまして、運営効率化を進めることによりまして港湾コストの一層の低減を図っていきたいというふうに考えているところでございます。  この港湾コスト削減のためには、このスーパー中枢港湾で外貿コンテナ貨物の取扱いの全国の約五割を占めているわけでございまして、やはりここのところを効率化をしていかないといけないということでございまして、今回株式会社化に変更をさせていただいて、それによってコスト削減に資したいというふうに考えておるところでございます。  さらに、もう一点、今回の改正におきましては水先法の一部改正もお願いをしているところでございますが、このことによりまして、この法改正によりまして、コストを的確に反映した料金制度というふうに是非させていただきたいと考えております。水先料金規制につきまして、これまで省令で料金制にしておりましたがこれを上限認可制にしていくという改正でございますが、これによりましても港湾コストの低減に資するようしていきたいというふうに考えているところでございます。
  54. 西田実仁

    西田仁君 この港湾関連の法制につきましては、これまでも数回重ねて法改正というのが行われてきているというふうに承知をしております。港湾運送事業に関する需給調整規制を廃止したり、今回も港湾法の一部を改正していく。恐らくこれで終わりではなくて、これからもまだなさねばならない法改正もあるのかなという気もしております。  私、全く素人でございますので素朴に思いますのは、本当に釜山に並ぼうとするような、あるいは高雄に並ぼうとするような港湾を目指していくのであれば、一見小出しのように見えるような規制緩和ではなくて、一気に改革をしていくということも必要ではないかというような、素朴に思ってしまうわけですが、それにはやはり港湾法の法体系上のいろんな問題もあろうかと思います。そうはいっても、今回の法改正で今大臣が御答弁いただきました。またさらに、必要な何らかの改正あるいは改善というものが、あるいは残された課題というんでしょうか、この港湾コスト改革ということに関しましてもしあれば、参考人の方からお聞きしたいと思います。
  55. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 今委員の方から小出し、ばらばらと出ているという印象を持つというふうにお話がございましたが、午前中の質疑大臣の方から答弁をさしていただきましたように、私どもスーパー中枢港湾につきましては三年ないし五年ぐらいの期間の間に目標を達成していこうということで、それに必要な規制緩和や制度改正、これを計画的に実施をしていくということにしておりまして、いろんな施策を総合的あるいは重層的に組み合わせてこの目標を達成をしていくということでございます。  したがいまして、今委員からも御指摘のありましたように、昨年のいわゆる港湾活性化法では、港湾運送事業について特定港以外の地方港について規制緩和を展開をするということをさしていただくこともいたしましたし、今回の御審議をいただいている法律の中では、今大臣の方からお話ししましたように、財団法人である埠頭公社民営化するということについてもお願いをしてございます。  今後の話につきましてはまだこれからでございますが、やはり港湾国際競争力を強化をしていく、あるいは先ほど申し上げた目標を実現するために必要なことというのはまた出てくるかと思います。そのときには、また法律改正する等の手続が必要になる場合もございますんで、その場合はまた御審議をいただくということを考えてございます。
  56. 西田実仁

    西田仁君 私は、たまたま昨年の十一月ですけれども、公明党の方で視察がございまして、香港の港を見てまいりました。それがメーンの視察テーマではなかったんですが、たまたま拝見する機会がありました。  香港は、もう御存じのとおり完全民営会社がやっておりまして、私が見たところはハチソン・ワンポアというところが経営しているところでございました。大変に先進的なシステムでございまして、この完全民営化している香港がやっているところでも、香港のSARというか特別行政府は、きちっとその民間企業が出してきた計画を諮問し、それを承認するという機能を持ちながら行っているわけでございます。開発投資はもう完全な民営会社、そこで何かあちらに問題が起きているかというと、決してそういうことでもないという、そういう現実を見さしていただきました。  そこで、今回もこの埠頭公社民営化ということが先ほど大臣からもございました。この民営化の在り方についてお聞きしたいと思います。  今回の民営化のスキームにおきましては、民営化会社に対しまして無利子の貸付けを行うということになっております。こういう御時世でございます、なぜ無利子の貸付けを行うのかというその意義、政策的な意義、そして詳細にわたって、この無利子な貸付けをいつまでどのぐらい貸し付けていくのかというような規定が現時点で明らかになっているところで結構ですので、納税者の皆様にこの意義と、またその貸付量も含めてつまびらかにしていただければと思います。
  57. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 先ほどもお答えをしたかもしれませんが、現在埠頭公社が所有をしておりますコンテナターミナル公社埠頭と呼んでおりますが、我が国の国際海上物流の中で大変重要なといいますか、中枢的な機能を担ってございます。これは当然民営化後もその役割は継続をするといいますか、しっかりとその役割を果たしていただく必要があります。そういう意味で、現状においては、少なくとも外貿埠頭管理運営業務が円滑かつ低コストに実施できるように、公社民営化後の会社に対しても引き続き支援をしていく必要がある、そういう観点から無利子貸付けをこの民営化会社に対しても適用をしたいというふうに思ってございます。  ただ、今後貸付けがどうなるかということでございますが、埠頭公社時代には外貿埠頭の建設については大変大規模な投資が必要でございましたけれども民営化会社になりますと、外貿埠頭の建設はむしろ上物といいますか、上屋とか荷役機械の更新など比較的小規模なものになっていくだろうというふうに私ども見込んでおります。そういう意味で、規模的には小さくなりますが、引き続き先ほど申し上げましたように無利子貸付けは継続をしていくと。  ただ、民営化されてある程度軌道に乗り、いろんな事業の多角的な展開によってその経営基盤がしっかりするという時点で、その支援を引き続き継続するのかどうかということについては、またその時点で判断をさしていただきたいというふうに考えております。
  58. 西田実仁

    西田仁君 今お答えいただきましたとおり、大変にその交通インフラ、これは港湾に限りませんけれども、インフラ整備するには多額のお金を要するということでございます。  上下分離という言い方をよくしますが、今回のこの埠頭公社民営化につきましても、そもそもはやはりその下物資産、岸壁とかを公共化するという一つのスキームがビルトインされていて、そして民営会社が多額の返済負担、資本費をかさむことがないようにする、それでキャッシュフローがきちっと回るようにしていく、そういうスキームになっていたと思いますし、また私自身公共インフラの場合はそうすべきであると、必要であればですね、というふうに思っているわけでございます。しかしながら、この下物資産の公共化ということにつきましては、このスタート時点ではそれはまだこれからということであると承知しております。  そういう意味で、当初のスキームとはやや変形をしている、変更点があると思っておりますが、そういう今現時点でのこの民営化スキームに乗ってこれる公社が本当にあるんだろうかという心配もしてしまいますが、その辺はどのように見通しをお持ちでしょうか。
  59. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) それぞれの今埠頭公社におきまして、港湾管理者といろんな御相談をしていただいているというふうに私ども承知をしてございます。  ただ、港ごとにといいますか、埠頭公社ごとにそれぞれ財政基盤、経営状況等々違いますものですから、若干の温度差もあるように私ども承知をしております。取りあえず、外貿埠頭公団の業務を承継した東京横浜大阪神戸といった公社について、その中の幾つかについては十八年度に民営化のための走り出しが始まるだろうというふうに思っております。
  60. 西田実仁

    西田仁君 これは私の意見として重ねて申し上げますが、やはりこの交通インフラを整備していく、これは集中と選択ということになりますけれども、全部この民営会社にそうした膨大な設備費も賄うような形でキャッシュフローを生むというのは、それはもう不可能に限りなく近いというふうに思っておりまして、必要な交通インフラにつきましてはきちっと公共化していくということも含めて検討を今後していっていただきたいというふうに思います。  併せてお聞きしたいことがございます。今のようなスキームに乗って民営化された埠頭公社民営化されまして、民間会社、二分の一管理者が持つといっても、まあ民間会社になるわけであります。そこで、一応念のためにお聞きしますが、そうした民間会社経営破綻をしないように、どういうような今回の法改正では担保というか対応策というものが検討されているのかということについて念のためにお聞きしたいと思います。
  61. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 民営化会社が、その民営化された後の会社がしっかりとした経営をしていただくということが基本的には前提でありますが、そのために今回の法改正では財団法人時代にいろいろ課せられていた規制についてできるだけ緩和をすることによって自由な経営ができるようにするということが基本でございます。  ただ、その会社自身がやられることについて、今委員の方から御指摘のありましたように、港湾管理者自身が二分の一以上の株を持つことによって、その経営自身がきちんとしっかりとした形でされることについて監督をしていただくということが必要でありますし、さらに、国としても、外貿埠頭管理運営がしっかりされるように必要な監督規定を設けるということによって、そういう経営破綻が起きないように、事前にそれが防げるような形でこの会社運営されるようにしっかり見守っていくというふうに考えてございます。
  62. 西田実仁

    西田仁君 是非そこはもちろん民営化されたとしてもきちっと見守っていただいて、様々なコストを掛けてより良くしていこうということでございますので、お願いしたいと思います。  次に、この水先法の改正につきまして、残り時間もあんまりありませんので、単刀直入にお聞きしたいと思います。  この水先料金は今までの省令料金から認可料金に変わっていくと、コストもより明確化していくと、こういう改善、改正がなされるわけであります。かなり付随的なことかもしれませんが、こういう御時世ですのであえてお聞きしたいと思います。  この水先料金には、船会社から水先料としてパイロットにお金が入り、そしてパイロットからパイロット協会に対して特別会費という形で寄附がなされていようかと思います。その特別会費がそのまま日本海事財団というところに特別交付金として交付をされて、十八億ぐらいある。その日本海事財団から、今度は三つの振興会とかいうのがあって、三十八の公益団体、社団、財団がそこにあるわけであります。この三十八の団体に対しまして、そういう意味ではこの水先料の一部が流れていって公益事業を行っている。まあ様々、教育とか福利厚生も含めて大事なお仕事も随分なさっていると思います。  しかし、今回、こうしたことも改革していこうと、こういうことでございまして、その経緯と、そして公益事業を行っているのであれば、これが今度はなくなるわけですから、入りがまずなくなるということになると、じゃどうするのかと、こういう公益事業、どうしていくのか今後、もう全部なくすのか、それとも必要なものを残していくのか、この辺の改革の道筋についてお聞きしたいと思います。
  63. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) ただいまお話がございました海事関係の公益事業につきましては、これまでの歴史的な経緯等もございまして、その活動の支援に水先人会が大変大きな役割を果たしてきたと、こういう事実がございます。  今回の水先制度の見直しに伴いまして、この公益事業支援の役割についても関係者の間でやはり見直すべきであるということで話合いが持たれまして、今後、関係の公益事業の事務効率化、重点化というのをしっかり行った上で、海運事業者の団体であります日本船主協会が従来の水先人会の役割を担うという形で合意が一応できたわけでございます。  私どもとしては、今後この船主協会を中心とした公益活動の支援のスキームの中で公益活動が適切かつ効率的にやられていくよう、これからきちっと指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございますが、そうした効率化、重点化と併せて、やはり我が国の公益活動として極めて重要な事業につきましては、日本船主協会を始め関係者と連携を密にいたしましてこれら公益事業の円滑化と効率的な推進に取り組んでまいりたい。  御承知のとおり、極めて低金利の中で、財団法人経営基盤、極めて脆弱でございます。やはり、このような形で、まあ一種の社会貢献として、あるいは公益活動の受益者として船主協会さんが主体的な役割を果たしていただけるということを期待いたしたいというふうに思っております。
  64. 西田実仁

    西田仁君 まあ交渉中ということだと思います。船協さんが今までの水先人会に代わってこうした公益事業も支えていくというお話だったと思います。  これは交渉中の話ですから余り、デリケートなのかもしれません。ただ、報道では今まで十八億ぐらいあったそうしたお金が六億七千万ぐらいになるんじゃないかとかいう話も、まあこれは交渉中ですからあれですけれども、報道にはされておりまして、そうしますと、そのオーダーは大体そのぐらいだとすると、もう三分の一ぐらいになっていくということであります。  先ほど私が三十八の団体と申し上げましたが、これを一覧表いただきました。中身まで全部調べる時間がありませんでした。しかし、名前だけ見れば、大体名は体を表すということでありまして、名前だけ見ますと、もうとにかく似たようなものが一杯あるんですね。名前だけでも、中身は分かりません、ですから憶測が入っているかもしれませんが、名前だけ見てもかなり似たような団体もあるんじゃないかなと。そうしますと、やはりこれはその額自体がまず三分の一ぐらいになる、まあ二分の一か分かりませんが、いずれにしても減るんじゃないかという中で、しかし公益事業をやっぱり支えていかなきゃいけないということ、このバランスを取っていくにはやはり正に集中して、あるいは統合していくというようなことも、しっかりと効率化を図った上で必要なものにはちゃんとやっていくという改革が是非とも必要であろうかと思いますが、それにつきまして更にお聞きしたいと思います。
  65. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 先ほどもちょっと御説明の中に申し上げましたが、船主協会さんがこの役割を担うに当たりまして、これまでの公益活動の重点化、効率化というのをきちっと進めていくということを前提としてこの役割を果たしていただくということでございます。  ただいま先生がお話ございましたように、元々は民間の発意でできた様々な公益団体でございます。それぞれの自主財源もございます。その活動が極めて厳しくなったのは今の低金利その他運用がなかなか自主的な利益が上がらないという状況の中で、やはり従来水先人会の方々が担っていただいた支援の役割を船主協会さんに担っていただくと。今回の合意はそういう整理でございますが、やはり統合、効率化、重点化と、こういった観点についてはしっかりやっていかなきゃいけない。それは関係の公益団体も十分承知の上でこうした対応をしていこうということでございます。私どももしっかり指導してまいります。
  66. 西田実仁

    西田仁君 是非、それはしっかりやっていただきたい。  最後に、この機構の造船と船舶勘定の統合につきましてお聞きしたいと思います。  これはもう随分前から指摘されております、この船舶勘定が大変厳しい状況にあると。今回、統合して、まあありていに言えばどんぶり勘定になって効率的じゃよりなくなってしまうんじゃないかというような指摘をする人もおりまして、あえてここで確認さしていただきたいと思います。  この造船、船舶の勘定が統合されることによって、そうした不透明にならないようにどういう担保を取られていくのか、これを最後お聞きして終わりたいと思います。
  67. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 今回の機構の勘定統合につきましては、業務の効率的かつ一貫した運営を行えるようにということでお諮りをいたしている部分でございます。  他方、どんぶり勘定にならないのかという御懸念、御指摘がただいまあったわけでございますが、私ども業務運営の透明性を確保するため、船舶勘定の行う船舶共有建造業務につきましては業務効率化、財政改善、そういった観点から個別の計数整理を行いまして、私ども国土交通省の中に公認会計士の方や学識経験者も入れたきちっとした管理委員会というか、フォローアップのための組織をつくっておりまして、そこのところでしっかり個別に計数を管理し、それを、審議の結果については対外的に公表すると、そういう形できちっとフォローをしておる体制でございまして、そうした体制で透明性は確保してまいりたい。  また、これまで造船勘定でやってまいりました研究開発助成につきまして、これは個別プロジェクトごとに研究評価をやっております。これにつきましても、勘定統合前後にかかわらず、きちっと明確に外部から評価できるような体制で引き続きやってまいりたいというふうに思っております。
  68. 西田実仁

    西田仁君 終わります。
  69. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  先日、私は、日本郵船にお伺いいたしまして、同時にコンテナターミナルも拝見をさせていただきました。海洋物流の発展とともに、私はいわゆる港湾施設の安全というのが本当に重要だなということを痛感してまいりました。  そこで、今回の改正案でございますけれども港湾施設の建設改良に当たり、その技術基準を仕様基準から性能基準に変更して、その安全性を確認する民間の登録機関を新たに設置するということにあります。私は、今日の質問、まずこの点からさせていただきたいと思います。  港湾施設の安全にかかわって海洋構造物の海水劣化の問題なんですけれども、塩害による腐食などで鉄筋コンクリートの劣化が大変問題になっているかというふうに思います。ただ、劣化診断でありますとか補修設計など、専門の技術者は大変不足しているということで、構造物の管理は難しくなっているというふうにも聞いております。こういういわゆる海水劣化問題、政府として海洋港湾構造物のこういう問題に対してどういうふうに対応されているのか、まずお聞きしたいと思います。
  70. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 海洋構造物といいますか、港湾構造物の劣化対策についてのお尋ねでございますが、港湾などの海洋構造物につきましては、その立地条件とか自然条件、大変厳しい状況下に置かれています。特に海洋構造物の場合、今コンクリートの劣化というお話もありましたが、むしろ更に多く使われている鋼材を使った構造物、これについての対策が大変重要だというふうに思っております。  自然条件に応じていろんな防食工法を適切に行ってございますが、更にできた後にもきちんとした点検をするということも大変重要でございまして、そういったものについても、私ども国自身もそうでございますが、管理者にも適切に指導しながら、そういったところについてしっかりと点検をするようにしているところでございます。
  71. 小林美恵子

    小林美恵子君 余り今の御説明では十分に対応されているというふうには現状ではないような私は感を受けるんでございますけれども、同時にもう一つお聞きしたいんですけれども、阪神・淡路大震災など、随分その港湾施設の、何といいますか、損傷といいますか崩壊というのがあったと思いますけれども、そういう震災等を含めまして、最近十年間で港湾施設のいわゆる崩壊、損傷の事故はどういうものがあったかと、それは一体何が要因で、それに対する対応というのはどういうふうになされているかということもお聞きしたいと思います。
  72. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) お答えを申し上げます。  阪神・淡路大震災以降のこの十年間における港湾の被害ということでありますが、すべて自然災害による被害になってございまして、被害額は年平均で約百四十億円という数字になってございます。このうち地震災害としては、記憶に新しい昨年三月の福岡県西方沖地震で博多港が大変な大きな被害を受けましたし、台風災害につきましても、一昨年から昨年にかけて累次の台風によって各地の港湾が大変な被害を受けてございます。こういった自然災害につきましては、設計外力を超える外力が作用をしたことによって被災を受けたということでございまして、再度災害を防止する観点から設計震度あるいは設計波高などの外力の見直しをその都度行ってございます。  また、被害が港湾全体に、先ほどの阪神・淡路大震災における神戸港のような、そういった大災害、大規模の災害の場合においては、必要に応じて技術基準自身を見直すということについても対応しているところでございます。
  73. 小林美恵子

    小林美恵子君 私、例えば台風でありますとか地震で港湾施設がいわゆる大被害を受けるということは大変重大な問題で、この対策というのは本当に大事なことだというふうに思うんですね。そもそも港湾といいますのは、特定の人だけが利用しているわけではないというふうに思うんです。かなり社会的な役割もあると思いますし、そのスペースも大変公共のスペースとして住民生活の安全確保の役割も求められているところだというふうに思います。  そこで、確認の意味なんですけれども、いわゆる港湾だけでなくて、いわゆる港湾の背後人口ですね、全国の港湾の背後人口、それと、港といいますのは随分祭りなんかがあっていろんな方が出入りすると思いますけれども横浜港とか東京港の港祭りなんかの参加者は大体何人ぐらいになっているか、その港湾の安全対策は一体だれが講じているのか、この点も教えていただけますか。
  74. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) お尋ねのありました背後人口という点に関しましては、我が国の人口一億二千六百九十万人でありますけれども、その約四割に当たる五千万人の方々が私どもで言う重要港湾が所在する市町村にお住まいになっているというような状況でございます。  もう一つ東京港と横浜港の港祭りの参加者数でありますけれども、私ども港湾管理者にお聞きをしたところでは、両港、東京が六十八万人、横浜港が六十万人で、東京の場合は八月十三日一日でございますが、横浜については六月の一日、二日という二日間ということでございます。そういう意味でも、大変たくさんの方がこういうイベントのときに港湾に訪れるというのが実態でございます。  特に、こういうイベントが開催をされましたときに一番多分問題になるのは、予期できない地震が起こったときにきちんと安全が確保されているかどうかということでございますが、地震対策につきましては、港湾の施設等を整備するときに、その地域に想定をされておりますある超過確率での地震に対して安全性が確保されるようにこれまでも施設整備をしているというのが状況でございます。  さらに、地震が起きますと、特に太平洋岸の港等では津波が同時に起こってきます。その場合には、なかなか津波地震をハードの施設で防ぎ切るというのは難しいものですから、私どもでは、ハザードマップの作成とソフトの対策も併せて行うことによって人命を守るということを最優先に対策を講じているという状況でございます。
  75. 小林美恵子

    小林美恵子君 背後の人口は五千万人というふうなお答えでございましたけれども、祭りの人数も教えていただきましてありがとうございました。  要するに、どれだけ港湾が多くの方々に安全でなかった場合、影響を与えるかということがその数字でも鮮明になっているかというふうに思うんですけど、いわゆる港湾の安全対策はだれが一体講じているのかと先ほど質問したんですけど、改めて確認したいんですが、港湾の安全の管理というのは自治体の責任ですよね。もう一度確認します。
  76. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 基本的には自治体が防災に対して責任を持ちますけれども、ただ、その対策として、例えば大規模地震が発生をしたときに、被災者の方々を避難させるとか、あるいは緊急物資を輸送するといったことで私ども耐震強化岸壁というのを整備をしておりますが、そういうものについては国が自ら整備をするということもその一環としてやっているということでございます。
  77. 小林美恵子

    小林美恵子君 自治体と国が責任は持っているという御答弁でございました。  それで、私は改めてお聞きしたいんですけども、いわゆる港湾管理者、安全をしっかり担保しなければならない港湾管理者の問題ですけども、いわゆる自治体の港湾施設整備、発注、設計審査、工事検査、日常施設管理などに当たる人員というのはどれほどあるのかと。特に、特定重要二十港湾について、一九九〇年以降二〇〇五年ぐらいまで、その人数が自治体の一般会計と特別会計による職員数というと一体何人ぐらいになっているのかというのを、それをちょっと教えていただけますか。
  78. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 一九九〇年度から二〇〇五年度までの十五年間の統計の数字お話を申し上げたいと思いますが、特定重要港湾における港湾管理者の職員数ですが、平成二年度、一九九〇年度には五千七十八名、平成十七年度、二〇〇五年度ですが、四千二百二十三名ということになってございます。
  79. 小林美恵子

    小林美恵子君 今御説明いただいたものをお手元の、皆さんのところに資料として配付をさしていただきました。(資料提示)グラフにしておりますけども、御説明いただきましたように、いわゆる特定重要港湾二十港湾管理する職員数、この人数がどれぐらいになってきたかという指標でございますけれども、一九九〇年五千七十八名で、九五年五千六十名、二〇〇〇年四千六百五十九名、そして二〇〇五年度四千二百二十三名ということで、要するにそういう職員数というのはかなりの減少をしてきているということがあるんですね。まず私はそこをしっかりと指摘をしておきたいと思うんですけども。  そこで、この減少している中で、今回の法改正案では港湾施設整備に性能基準が導入されることになっています。この性能基準の導入といいますのは、いわゆる自治体、港湾管理者からの要求で出てきたものですか。それはいかがですか。
  80. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 今回この性能基準の導入をしたいということの背景は二点ございまして、国際的な動きと国内の動きの両面がございます。  まず、国際的な動きにつきましては、WTOにおける政府調達協定あるいは貿易の技術的障害に関する協定、これが発効をいたしまして、それを受けて国際標準化機構、いわゆるISOですが、ISOから我が国に対して性能基準の導入が求められているというのが国際的な動きでございます。  もう一つ、国内的には、平成十六年の三月に閣議決定をされました規制緩和民間開放推進三か年計画、この中で、基準の内容が技術革新に対して柔軟に対応できるものとなるよう、現在仕様規定になっている基準については原則としてこれをすべて性能規定化するよう検討を行うとの政府の方針が示されてございます。  今御説明をいたしましたような国際的な動きでありますとか政府の方針を受けまして、港湾の分野におきましても仕様規定から今回性能規定に改めることとしたところでございます。
  81. 小林美恵子

    小林美恵子君 国際基準というふうにおっしゃいましたけれども、国際基準を、例えば日本の国でそれに合うようにしようと思いましたら、やっぱり現場がどうなのかということを見ることがどうしても私は必要だと思います。現場の方々はどう言っているかということで、この導入といいますのは、まさしく自治体からの要求は、先ほどの御答弁では出てきていないということですよね。  私、横浜市の港湾局建設課の担当者の方のお話を聞きますと、性能基準導入は自治体の要求ではありませんと、国から持ち出されてきましたと。コンクリート部材の性能基準は九九年から導入されていて、性能基準でもレベル一までは仕様基準と違和感はない、しかしレベル三になると建設会社や設計者でないと分からないと。検査、管理維持が心配で、自治体港湾管理者も特に技術者が減少していて、将来の港湾施設管理、安全確保が心配なんだというふうにおっしゃっていました。  交通政策審議会検討もなされてきたかと思いますけれども、それも拝見しますと、いわゆるコストダウン競争の中で開発されている新技術、いまだ性能照査の手法が示されていない信頼設計法などの高度な設計法については、複雑で高度な検証が求められるとあります。こういう複雑な高度な検証というものを一体、審査、検査をどうするのかと。最終的にその管理を負っていくいわゆる港湾管理者の自治体などがどういうふうに対応ができるのかというふうに思うんですけど、この点はどうなんですか。
  82. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 今回の技術基準の性能規定化に伴いまして、多様な設計方法が可能となります。一方で、高度な設計方法を用いた場合に、完成物が機能面あるいは安全面で技術基準に適合しているかどうかの判断に高度な技術的な検証が必要になるわけでございます。  このうち、構造物の安全性の確認につきましては、特に公共の安全あるいは公益上重要な施設を対象といたしまして、高度な設計方法を用いた場合の技術基準への適合性の確認を、従来からの港湾管理者等による審査に加えまして、国又は技術力のある登録確認機関が実施することによって安全性のダブルチェックをするということにしてございます。  港湾管理者は、港湾域内及び臨港地区内に行われる工事の許可等を発出する場合、港湾法に基づいて、港湾の利用及び保全等に著しい支障がないことを審査の上、確認をしなければいけません。そういう意味で、登録確認機関による設計内容の基準の適合確認があるないにかかわらず、管理者の責任者としては、そこは言ってあるわけでございます。
  83. 小林美恵子

    小林美恵子君 つまり、登録機関を改めて設定するという話でございますけれども、つまり民間の登録機関ですよね。この登録機関を設定するといいますけれども、性能設計による港湾施設整備となりますと建設業者にお任せの設計となって、港湾管理責任者の自治体が、私は、安全性を確保できなくなる心配があるというふうに思います。これは横浜港湾管理者の、横浜港の方がおっしゃっているとおりなんですよね。  しかも、先ほど申し上げましたように、大変その港湾管理をされている自治体の職員数というのは激減をしてきているわけですよ。だから、そういう弱体した体制のままで性能基準というのが導入されて、たとえ民間の登録機関がそれを審査をしても、自治体としてはまたそれを確認するということになるわけでしょう。それでは本当に安全が担保できるのかというふうに私は思うんですね。  そこで、私は、最後にこの点、大臣にお聞きしたいと思います。  こういう状態で本当に安全が担保できるのかということと、同時に、本来この、先ほど背後人口が五千万人もいるというふうに御答弁もございました。自治体港湾管理者の重要な責務というのは、港湾施設の安全を確保することだというふうに思います。こういう点から照らすと、そういう体制も弱体化したままでそういう性能基準を導入するということが本当に安全を担保することになるのかどうか、責任が持てるのかどうか、この点、大臣はどのようにお考えですか。
  84. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) まず、小林委員におかれましては、毎回の委員会で御質問いただきまして、本当に心より敬意と御礼を申し上げたいというふうに思います。これは決して、率直に申し上げておるわけでございますけれども。  二つ御質問があったかと思うんですね。一つは、仕様規定から性能規定化することによって本当に安全性が確保できるのかという質問一つ。それと、港湾管理者の人員が減っているじゃないかと、そういう人員が減っている中でなおかつ技術が高度化して本当に安全性がチェックできるのかと、こういう二つの御質問であったかというふうに思います。  まず、仕様規定から性能規定化、耐震偽装事件でさんざん議論したテーマでございますけれども、この仕様規定というのはもう細かなところまで書いているわけですね。構造物の規格等々につきまして細部まで規定をすると。これをしなきゃいけませんよというふうにやるわけですね。技術がこういうふうにどんどん発展してきている中で、やはりこの技術革新に応じて柔軟な対応ができるようにしていくというのは、それはやはり一つの方向性なんだと思うんです。そういう意味で、その性能規定化そのものを私は間違っているということはできないんではないかというふうに思っております。  先ほど港湾局長の方が答弁をしておりましたが、従来の設計方法と異なる方法を用いた場合、完成物が技術基準に適合しているかどうかの判断というのは当然これまでと違った技術的検証が必要となってくるわけでございまして、今回、法案によって登録確認機関制度というものを創設をさせていただきまして、従来からの港湾管理者により実施されております港湾施設の技術基準の適合性の審査と、そして国又はこの技術力のある登録確認機関が適合性を確認する、ダブルチェックを行うことによって港湾施設の安全性を確保していくということでございます。  それと、もう一つの人材の問題でございます。これはもう本当に港湾管理者が、港湾管理者の職員数が減少傾向にあることは御指摘のとおりでございまして、また、こういう技術が高度化してくるわけでございますので、その人材育成をしっかりとしていかないといけないというふうに考えているところでございます。国とそれから港湾管理者とがよく連携を取りまして技術力を継続的に養成をしていかねばならないというふうに考えておるところでございます。  これにつきましては、交通政策審議会からも同様の答申をちょうだいをしておりまして、今後、技術情報等のデータベースをしっかり提供していくだとか、それから国土技術総合研究所による研修なんかもしっかりやるだとか、港湾管理者の技術力の向上を図りまして高度な技術を用いた設計にも十分対応できるよう港湾管理者の指導、支援に努めてまいりたいというふうに考えております。
  85. 小林美恵子

    小林美恵子君 終わります。
  86. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  87. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、日本共産党を代表して、海上物流基盤強化のための港湾法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  港湾は、海上輸送と陸上輸送の結節点として物流や人流を支える交通基盤であるとともに、陸域と水域とが一体となった臨海部の空間であり、公共のスペースとしてこれまでも国民の生命、財産の安全に重要な役割を果たしてきました。しかし、社会経済の変化に伴い、最近港湾のこの面での役割も一層大きくなっています。  港湾の背後地の人口は五千万人とも言われていますけれども港湾利用者のためにも港湾の安全確保は、現在、港湾政策の上で重要課題となっており、そのために国と自治体は本来の責任を果たす必要があると思います。  以下、本法案に反対する理由を述べます。  第一の理由は、外貿埠頭公社株式会社化が埠頭という公共施設管理運営事業をもうけの対象とすること。株主構成によっては、岸壁など港湾施設の利用上で特定企業に不利益をもたらすケースも想定されることなどにより、港湾施設利用者の公平性、透明性がゆがめられるからです。  反対の第二の理由は、重要港湾における岸壁等、行政財産の民間企業への長期貸付け、未利用地、埋立地の処分制限期間の短縮などが港湾地区の公平な利用、住民本位の利用に混乱を招くことになるからです。  反対の第三の理由は、自治体の港湾管理の技術と体制を拡充することなく、民間確認機関の検証任せにして港湾施設整備に性能基準を導入することが水域に造られる港湾構築物の安全確保の後退につながるおそれがあるからです。  以上、申し上げまして反対討論を終わります。
  88. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  海上物流基盤強化のための港湾法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  89. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、大江君から発言を求められておりますので、これを許します。大江康弘君。
  90. 大江康弘

    ○大江康弘君 私は、ただいま可決されました海上物流基盤強化のための港湾法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     海上物流基盤強化のための港湾法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すとともに、適宜施策の検証を行い、適切な見直しにより強化拡充策を講じること。  一、国際海上物流拠点として、我が国港湾国際競争力の衰退を防止し、その強化に向けた転機とするため、外貿埠頭について、公共・公社埠頭集約化や近隣港湾との広域的な連携等の可能性について検討を進めるなど、その管理運営効率化を図ること。    また、必要に応じ、リードタイムコスト削減状況等の実態調査を行い、公表することなどにより、世界的水準での良質かつ低廉なサービスが実現されるようにすること。  二、水先人の確保に向けた資格要件の緩和等に伴い、養成制度が極めて重要となることから、実地訓練機会の確保、水先修業生の費用負担の軽減等を含め効果的で十分な養成方策を検討するとともに、水先人引受けルールの明確化等を図ることにより、ユーザーに対するサービスの向上を図ること。  三、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構については、船舶勘定において多額の繰越欠損金及び債務超過が発生していることから、平成二十一年度までに財務状況の改善を図ること。    また、物流業務において内航海運業が果たしている現状にかんがみ、内航海運の活性化に向けたビジョンを早急に具体化すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  91. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいま大江君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  92. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 全会一致と認めます。よって、大江君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、北側国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。北側国土交通大臣
  93. 北側一雄

    ○国務大臣(北側一雄君) 海上物流基盤強化のための港湾法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝を申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。大変にありがとうございました。
  94. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十四分散会