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2006-03-30 第164回国会 参議院 国土交通委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月三十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         羽田雄一郎君     理 事                 伊達 忠一君                 脇  雅史君                 大江 康弘君                 山下八洲夫君                 西田 実仁君     委 員                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小池 正勝君                 末松 信介君                 田村 公平君                 中島 眞人君                 藤野 公孝君                 松村 龍二君                 吉田 博美君                 加藤 敏幸君                 北澤 俊美君                 輿石  東君                 佐藤 雄平君                 田名部匡省君                 前田 武志君                 山本 香苗君                 小林美恵子君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   北側 一雄君    副大臣        国土交通大臣  江崎 鐵磨君        国土交通大臣  松村 龍二君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       吉田 博美君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君        国土交通大臣官        房長       春田  謙君        国土交通省総合        政策局長     竹歳  誠君        国土交通省都市        ・地域整備局長  柴田 高博君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君        国土交通省海事        局長       星野 茂夫君        国土交通省港湾        局長       鬼頭 平三君        国土交通省北海        道局長      吉田 義一君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○宅地造成等規制法等の一部を改正する法律案(  内閣提出衆議院送付) ○独立行政法人に係る改革を推進するための国土  交通省関係法律整備に関する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  宅地造成等規制法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会国土交通省総合政策局長竹歳誠君、国土交通省都市地域整備局長柴田高博君及び国土交通省住宅局長山本繁太郎君を、また、独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律整備に関する法律案審査のため、本日の委員会総務省人事恩給局長戸谷好秀君、国土交通大臣官房長春田謙君、国土交通省海事局長星野茂夫君、国土交通省港湾局長鬼頭平三君及び国土交通省北海道局長吉田義一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 宅地造成等規制法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 小池正勝

    小池正勝君 おはようございます。  自由民主党の小池正勝です。  宅造法の一部改正について御質問をさせていただきます。  今回の宅造規制法改正は、今まで集中豪雨等への対応が主であったものを、地震地盤災害への対応に変えるということで、これはもう従来からこれへの対応をしていただきたいという要望が強かったわけですから、正にそれにこたえるという改正だろうと思います。とりわけ地震は、阪神淡路でも地盤災害と言われるものがありましたし、その後、地震というのは新潟でもあったし福岡でもあったし、各地で起こっていまして、正に日本は地震列島なんですから、それへの備えとして、安全、安心のためにこの耐震ということについて積極的に政府を挙げて取り組んできておられるわけです。昨年は耐震改修法ができました、改正ができましたし、それから耐震促進税制北側大臣を始め皆さんの御努力ででき上がったわけでございます。  私どもは積極的にそれを進めて、是非お願いしたいと思っているんですが、この地震耐震とか災害復旧とかというときになると必ず出てくる話、この委員会でも必ず出てきましたし、災害対策委員会でも必ず出てくる話なんですが、その災害復旧あるいは災害予防、大事なんだけれども、個人資産には税金は入れられませんということを政府の方は一貫してよく言っておられるわけですね。それがネックになってきているというのがいろんな場面で出てきておるわけです。  しかしながら、今回のこの宅造規制法改正案を読ませていただくと、正にこの宅地という個人資産にある意味では国費を投入するわけでございますから、ある意味では一歩前進と私は言えるんではないかと正に評価したいと思っているんですが、今まで難しい難しいと言われておったのに、正に一歩前進になった、国費を投入していただけるようになった、その理屈はどんな理屈なんでしょうか。
  6. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 宅地補助関係でございますが、阪神淡路大震災、それから新潟中越地震におきます宅地被災状況を見ますと、大規模盛土造成地滑動崩落崩壊等が起きた場合には、盛土の上の住宅一つ一つが単独にやられるのではなくて、広範囲な土砂の流動によりまして道路等公共施設等を含めまして地域全体に甚大な災害を引き起こしております。これ自身、私もあの阪神淡路のときには現地におりましたし、あの仁川の大規模崩落等を見ておりますし、大変な被害を及ぼしました。末松先生もよく御存じのとおりでございます。  このような災害に対しましては、個人敷地単位予防対策を行うということには限度がございます。また、災害が発生すれば、その後、地域復旧・復興に膨大な費用お金が掛かるわけでございます。このため、大規模盛土造成地全体の安全性確保する上で広範な被害発生を防止するということについて、高い公共性が認められるものでございます。  こうしたことから、平成十八年度予算におきまして、造成宅地防災区域という法律に基づく新しい区域でございますが、この指定を受けました区域等におきまして宅地所有者等が実施いたします、共同して実施されます盛土耐震化工事に対しまして、国と地方公共団体合わせまして二分の一を支援する制度というものを創設を盛り込んだわけでございます。
  7. 小池正勝

    小池正勝君 この話はもう従来から、個人資産個人の財産への国費の導入は難しい難しいということになった中で、今のような理屈付けといいますか説明でやっていただけると、これは正に一歩前進だろうと私は思っております。  そこで、具体お話をさせていただこうと思いますが、宅地というのを我々購入するときにすぐ考えるのは、便利である、交通至便であるとかいうことがどうしても優先してしまって、宅地安全性というのはもちろん考えなければいけないんだけれども、余り情報も持ってないし、余り考えない。むしろ、情報が不足していると言った方が正確なんだろうと思うんです。  そこで、今回は宅地ハザードマップを作るんだというお話を聞きましたが、具体的にどんな内容なんでしょうか。
  8. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 御指摘のように、宅地を購入するといった場合にその地域がどういう地域であるかということがなかなか我々も分からないわけでございまして、地震揺れに強い地域か弱い地域なのか、あるいは水害が起きたときにそれが浸水する地域なのか、どの辺まで浸水するのかどうかというようなこと、あるいは津波が来るのかどうかというようなこと、これらの安全性防災に関するものというのはなかなか分かりにくいことがございます。  そういう中で、特に阪神淡路大震災以降、積極的にこれらの情報市民に知らしめることによりまして、自らがどういう地域に住んでいるのか、安全性確保を図っていこうという方向が非常に強まってきてございます。そういう意味で、各地水害だとか地震だとか津波ハザードマップ作りというのが行われておるわけでございますが、今回我々が考えておりますのは、目で見て余り分からないんですけれども、その宅地地震揺れのあったときに大規模崩壊するおそれがあるのかどうかということについてハザードマップを作って、市民の皆様に周知をしていこうとするものでございます。  具体的には、今までの、過去の地形図あるいは航空写真と現状の地形図航空写真とを見比べまして、まずここが大規模盛土がされたかどうかというのをスクリーニングいたします。その後、現地調査等を踏まえまして、過去の阪神淡路大震災のときの被害状況等を照らし合わせまして、この地域はどうなるのかというようなことを明らかにした上でハザードマップという形で住民皆さんにお知らせするものを作っていこうと、それによりまして安全というものに関して考えていっていただこうとするものでございます。
  9. 小池正勝

    小池正勝君 ハザードマップの作成は義務付けられるんでしょうか。
  10. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) ハザードマップにつきましては、これは法律義務付けということにはいたしてございません。  このハザードマップにつきましては、先ほどの委員の方から御指摘いただきまして御評価いただきました宅地防災工事と同様に、予算でもちまして、来年度予算からこのハザードマップを作る公共団体に対しまして助成することができることになってございますが、これは義務付けではございませんで、各公共団体に対しまして国といたしましてはそういうハザードマップを作るように要請し、指導をしていきたいと考えておりますし、それに対しまして来年度から本格的に三分の一の助成国庫助成が付くことになってございます。できるだけ進めていきたいと考えております。
  11. 小池正勝

    小池正勝君 河川の場合は、法律改正して洪水ハザードマップ義務付けられたんです。宅地はなぜ義務付けないんですか。
  12. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 宅地につきましては、まず委員の方から冒頭御指摘ありましたけれども、宅地に関する、今回初めて宅地地震の振動による大きな被害に対する新たな規制基準を追加したわけでございまして、これまで実際よく分からなかったわけですね。  宮城の五十三年の地震のとき、あのときに、初めてかどうか分かりませんけれども、宅地が大きな被害を受けたということが明らかになりました。ただ、そのときはそのメカニズムが余りよく分かってなかったと。阪神淡路大震災で大変大きな被害を受けまして、そのとき以来、学識経験者先生学者先生方から研究が始まったと。で、かなりそのメカニズムが明らかになってきた。今回、中越地震の後、特にその辺をも明らかにされたということでございまして、非常に宅地に関する安全性だとか防災の問題、地面の中にあるということもございまして分かりにくかったと。今回初めて、そういうことの知見を踏まえて基準化したわけでございます。  河川につきましても、当初は義務付けはされておりませんでしたけれども、法律改正等によりまして義務付けされたものでございますが、宅地は、そういう意味では宅地防災、いわゆる地震対策というのはスタートしたばっかりだということでございますので、いろんな施策を一気にやっていこうということも一つの手かもしれませんけれども、着実に進めていきたいという具合に考えております。
  13. 小池正勝

    小池正勝君 今のお話は、宅地については、技術的に見てもまだまだ河川とかみたいに技術的にそのメカニズムがまだよく分かってない部分があるので、まずは第一歩として予算補助にして、いずれは義務付けというようなことまで考えていきたいと、こういう趣旨ですか。
  14. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 河川の場合と宅地の場合というのはかなり違うと思うんですよね。河川というのは自然の川でございまして、見ればどこに川が流れているかというのは分かりますし、それによる浸水の状況というのもある程度分かりますし、非常に広範囲にわたって洪水が起きた場合には被害が生じるというようなこともございまして、しかもそれがかなり計測しやすいものになっているんじゃないかと私は思います。  それと比べてちょっと、宅地の場合はかなりスポット的に、特に大規模造成宅地ということになりますと、スポット的に幾つかこうあるわけでございまして、それを法律義務付けまでしなくちゃいかぬかどうかということについては、今ここでそうすべきだということが言えるかどうか、私にもちょっと分かりません。  いずれにしましても、今後、まずこの制度がスタートしていくわけでございますんで、この制度に従って、制度といいますか予算制度でございますですね、どれだけの公共団体が、どういうことで、どれくらいまでいくかということ等も見ていく必要があるんではないかという具合に考えております。
  15. 小池正勝

    小池正勝君 その辺は是非、このハザードマップには期待が大きいですから、是非積極的にお願いしたいと思います。  従来、その宅造お話というのは、従来の宅造規制法というのは新しく宅造工事をするということについての規制というのが主たる目的みたいなところがあって、既成宅地への対応というのは余り想定してなかったというのが正直なところだろうと思うんですよね。一方で、急傾斜地法というのがあるけれども、これは自然斜面というのが前提ですから、これも駄目だと。そうすると、既成宅地の安全ってどう考えるかというんで、ちょうど法律的な穴みたいな部分になっておった、で、そこへの対応をしていただけたと。正に一歩前進だろうと思うんですが、具体的に、ではどんな工事をさせるんですか。
  16. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 工事概要といいますか基準概要といいますか、工事概要になろうかと思いますが、これまではどちらかといいますと、現行法の中では風水害対象といたしまして、宅地がけ崩れ等災害を防止するということに対しまして、のり面崩落防止のための擁壁を設置するなどの基準を作ってございました。しかし、これまでの地震の教訓を踏まえまして、こういう盛土造成地の安全を確保するためには、今までのような基準だけでは、工事だけでは確保できないと。で、昨年五月から学識経験者に入っていただきました宅地のこの防災のための検討会を設置しまして、一月に結論を出しました。  その中でいろんな議論をしていただいたわけでございますが、この埋立盛土が大規模地震によりまして崩壊をする大きな原因というのは、地下水が、この埋立地と元の基盤のところの地下水が影響することによってずれるということでございまして、一番のこの工事ポイント安全性確保ポイントというのは、この地下水をいかに抜くかということでございます。そういうことで、地下水を抜くような排水溝を造る、あるいは間隙水を外に抜くための、縦の間隙水を抜くためのものを造っていくというようなことが中心となってまいります。
  17. 小池正勝

    小池正勝君 具体お話で恐縮ですが、徳島県の徳島市のところに眉山という山が町のど真ん中にあります。これは万葉集にもうたわれた山ですが、その裏山、中津浦、中津山というところなんですが、ここはがけ崩れが、正に既成宅地既存宅地です。これは国土交通省の方にもお話ししてありますから御存じかと思いますが、がけ崩れが頻発しております。もちろんこれは既成宅地です。余りにも危ないんで、今住民は避難しております。一方で、余りにも危ないから、県が、これは事業者に何回言っても事業者が聞かないもんですから、県が代執行までしてその事業者お金を請求していると、費用を請求しているというふうな事案でありました。御案内かと思いますが。極めて危険な状況なんです。代執行までするぐらい危険な状況。しかし、そこは暫定措置で緊急の代執行をしたという状況であって、抜本策はまだまだというところなんです。  こういう、正にこれは既成宅地既存宅地ですけど、既成宅地ですけれども、これも今回のこの改正案対象になると考えてよろしいんでしょうか。
  18. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 今回の法改正によりまして、造成宅地防災区域と、既存宅地について危険なものについて指定をいたします。これは、法律改正後、都道府県知事等におきましてその必要性を判断してその区域指定が行われることになりますが、制度上はどういうところを区域にするかということでございますが、相当数居住者等被害を及ぼす災害が毎年のように発生しております一団の造成団地の場合は、災害の危険が切迫しているものとして関係市町村長意見を聴いた上で区域指定を行うことが可能であるという具合に考えられます。  それから、その予算との関係で申し上げますと、この十八年度予算の大規模盛土造成地滑動崩落防止事業、これは造成宅地防災区域指定がなされた大規模盛土造成地でございまして、相当数の人家だけではなく、都道府県道等の重要な公共施設被害を及ぼすおそれのある崩落等災害発生危険性があると認められるものについて、宅地所有者等が実施する耐震化工事に対して助成をするというものでございます。  だから、今御指摘地域がこういうものに当たるのかどうかということにつきましては、今後、県におきまして現地調査等を行いまして、以上のような要件に該当するということであれば、当然、造成宅地防災区域にも指定もできるでしょうし、あるいは新しい予算制度の活用というのも可能になるという具合に思います。  いずれにしましても、具体事案につきまして、現地に即して都道府県知事等が判断されるものという具合に考えております。
  19. 小池正勝

    小池正勝君 ここは数十軒の住宅がありますし、国道、県道も近くに走っておりますし、正に今おっしゃったような案件であれば私は該当するんではないかと思いますが、いずれにしましても、もう住民が避難しておる、しかも県が危ないと思って代執行までしたという事案でございますし、是非早急な対応を、当然これは県との関係もあるんでしょうけれども、是非早急な対応をお願いしたいと思います。  続きまして、今度は住宅局長さんにお願いをいたします。マンション耐震偽装お話でございます。  これも当委員会で再三議論がされました。そんな中で、これはもう居住者の安全あるいは居住の安定が一番だということを再三大臣おっしゃっておられまして、正にそのとおりだろうと思うんです。そのときに、まずマンションの代金を借金して入っている人、その既往ローンについて支援といいますか優遇といいますか、していただけないかというお話をして、住宅金融公庫はまずやっていただいた。ところが、私このことを二月の三日の当委員会でも質問しましたが、民間金融機関の方は、抽象的なことばっかり言って、具体的には対応を当時していただけなかった状況でした。しかし、住宅金融公庫で借りている人よりも民間銀行で借りている人の方が圧倒的に多かったわけでございます。  そんな中で御質問させていただきましたところ、北側大臣から積極的に民間金融機関についてもきちっとやらせるという力強い御答弁をちょうだいしたわけですが、その後どうなったでしょうか。
  20. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) この問題に対処する上で、危険なマンションに設定されました民間住宅ローンについての対策が非常に大事だということを二月三日の委員会小池委員からも御指摘いただきまして、北側大臣から、この件については金融担当大臣協力を求めた上で、民間金融機関問題意識をきちんと投げ掛けて協力をお願いしているということをお答えいたしました。その後、国土交通大臣問題意識にこたえる形で、具体的には二月十四日に、全国銀行協会全国信用金庫協会などの五団体機関の連名で申合せがなされました。  内容としましては、まず既往ローンにつきましては返済据置期間を設定すると、最大三年間。それから、返済期間の延長をすると、これも最大三年間返済期間延長する。それから、据置期間中に可能な範囲で金利を引き下げるということを申し合わせていただきました。それから、危険なマンション除却建て替えを行うに当たりまして抵当権の抹消について協力すると。それから、新しくでき上がりましたマンションに新たに抵当権を設定する際の抵当権順位等設定ルールを申し合わせていただきました。さらに、居住者が新しいマンションを取得する際の新規のローンの貸出しの申入れがあった場合には審査を弾力化するといったような、この三点を申し合わせていただいたところでございます。  国土交通省としましては、居住者負担の軽減と、それからスムーズに建て替えを進めるということができますように、この申合せに基づいて関係機関が適切に対応していただくことを期待しているところでございます。
  21. 小池正勝

    小池正勝君 そして、今回の法改正案の中では、これから新たに建て替えとか住宅を建てるという方について住宅金融公庫が支援するという内容になっているわけですけれども、それは大変積極的で、正にこの入居者の安定、居住の安定、安全を図ることが必要ですから、正に積極的な対応だと思うんですが。  その際に、この当委員会参考人が来られて、一月の十九日でしたか、グランドステージ住吉というところに入居している清水さんという参考人が来られまして意見陳述をされたんですが、その中でこういう表現があるんですね。国土交通省建て替えというのを、マンション建て替えというのを提示しているスキームということによると、都市再生機構にやってもらうという話になっているわけですが、清水参考人はこうおっしゃっているんです。都市再生機構委託先とした場合と比較し、民間に依頼して建て替えた場合の方が住民負担が軽くなると、こうおっしゃっているんです。  なぜそんなふうになるんだろうか。逆に言うと、都市再生機構がやるというやつについてももっとこの負担が軽くなるように、住民負担が軽くなるようにしていただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  22. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 国土交通省関係公共団体からの要請に基づきまして、都市再生機構がいろいろ技術的な相談に応じております。  それから、具体的にマンション再建計画を立てていくためにたたき台等が要りますので、一番最初に第一次の検討素案の策定を行いまして、今年の初めに、一月の初めに公共団体に提示しました。マンションのいろんな条件はそれぞれ区々でございますのでいろいろ異なるんですが、非常に粗々に前提条件を設定して一次検討素案は提示したところでございます。各提示された公共団体都市再生機構の作業結果を基にしまして居住者計画概要とか追加負担の額を提示したわけでございますけれども、前提がそういう形なので、一月十九日に清水さんが当委員会お話しになったときの前提となっている案はそういう案であったわけでございます。  その案に対しまして居住者の方々からは、この委員会でも清水さんもおっしゃいましたけれども、追加負担額を縮小できないのか、それから従前の面積を圧縮するというのもなかなか受け入れ難いので従前の面積を確保するような方法はないのかとか、いろいろな要望が出されました。それを踏まえまして、都市再生機構では更に公共団体と話を進めまして、具体の各敷地条件とかも整理した上で二次検討素案を整理しまして、今公共団体に提示しているところでございます。  この中で、建築計画とか発注方式の見直しでコストを削減したり、あるいはすべての敷地でそういうことが可能なわけではないんですが、周辺の市街地との関係で可能なところでは総合設計制度を適用して容積率を引き上げるといったような手だてを講じることで居住者負担の軽減を図っているところでございます。こういうような形で、具体的な案に基づいて居住者の方々の理解を得ることに努めまして、建て替え計画が前に進みますように努めてまいりたいと思っております。
  23. 小池正勝

    小池正勝君 終わります。
  24. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 おはようございます。民主党の北澤でございますが、今回の法改正について御質問を申し上げます。  この法改正に先立ちまして、総合的な宅地防災対策に関する検討会の報告書というのはいただいておるわけでありますが、これによりますと、中越地震等の体験を基にして、いよいよ我が国が大規模地震の活動期に入ったという大きな観点からこの法改正対策が取られたんだというふうに思います。  ただ、そこで、地球上の表面的なことは分かるが、地下のことはなかなか分からないんですよ。私の住んでいるすぐ西の山にも茶臼山というのがありまして、大きな地すべり地帯なんですけど、いまだに動いているんです、いまだに。そこは、今日、輿石さんもいるが、山梨から武田信玄が諏訪を攻め、上州を攻めて、最後に北信濃へ入ったとき、一番最初に陣を置いたそこなんですよ。したがって、土地の人たちは、武田信玄が京へ上る途中で病死したんで、その怨念でまだ山を動かしているんだろうなんて言っていますが、そこを見ると、昔の人は知恵があるなと思うのは、その周辺やその下は集落、そこだけすぽっと抜けているんですね。こういうふうに集落があって、ここだけは抜けているんですよ。やっぱり昔の人たちの知恵だなというふうに思うんですが。  そこで、今度の改正で過去の法律に基づいて宅地造成をした部分と、それからこの法改正によって今後対象になる地域との二つに分かれてこの法律は影響を及ぼすんだろうというふうに思いますが、基本的なことですけれども、どういうふうな影響を及ぼすのかをちょっと説明してください。
  25. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 地震から家屋、住宅安全性確保し、国民の生命、財産の安全性確保するというのは非常に重要な仕事だという具合に考えてございます。  住宅、建築物の耐震化というのをもうかなり我々は言ってきたわけでございますが、これと併せまして、宅地耐震化を推進することというのも、御指摘のように地震から免れることのできない我が国にとって大変重要な課題でございます。特に、阪神淡路大震災新潟県の中越地震等で大規模な谷埋め盛土造成地崩落等が多数発生して大変な被害を発生したという教訓を踏まえますと、こうした盛土造成地安全性確保することも急務であると認識しているわけでございます。このため、今御指摘のように、今回の制度改正では、新規に造る場合と、あるいは既存宅地、この二つにつきましての安全性確保について新たな基準等を作ったわけでございます。  まず、新規に造る場合の宅地造成工事許可の基準に、新たに盛土宅地崩落等を防止するための耐震基準を盛り込むことにいたしてございます。また、宅地造成工事規制区域外の開発工事につきましても、これは都市計画法の開発許可の基準に同様の基準を盛り込むことにいたしてございまして、これによりまして、新規に造成される宅地につきましては、地震時の安全性の向上が図られるものという具合に考えております。  それからもう一つ既存にある造成地でございますが、これも、大地震時に変動、崩壊等を起こし広範な被害を発生させるおそれが高い大規模盛土造成地等につきましては、災害防止のための対策を行うことが必要となりますので、そのために、都道府県知事等がそうした土地の区域造成宅地防災区域として指定しまして、当該区域の中に住んでおられます宅地の所有者等が保全対策を講じていただくという具合にいたしてございます。  また、このような対策を講じていただくために、これは予算でございますが、来年度予算におきまして、造成宅地防災区域等におきまして宅地所有者等が実施する耐震化工事に対しまして、国、地方で二分の一を支援する制度の創設を盛り込んだところでございます。  このように、今回の制度改正は、御指摘のとおり、今後新規に造成される宅地及び既存造成宅地の双方の耐震性の向上をさせるために総合的な宅地防災対策を講じようとするものでございます。
  26. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 ありがとうございました。  今日は、方向性とすれば、もう時代の要請で、こういう改正は必要だろうというふうに思いますので、専ら局長に御答弁をいただきますが、大臣、場合によっては最後の方でまたお聞きをするかもしれませんので、(発言する者あり)いや、そんなことは言っていません。  そこで、今までの法規制の下に宅地造成工事規制、この規制を掛けておりまして、その区域指定を各都道府県に法の下に要請をしていったわけですね。これが、いろんな資料をもらっていますが、非常に少ないわけですけれども、その実態というのはどうですか。
  27. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 現行の宅地造成工事規制区域は、市街地又は市街地となろうとする土地の区域指定するものとされておりまして、個々の造成宅地単位、スポット的というんではなく、脆弱な地盤等を抱える既成市街地の区域など広域に指定され、将来の造成工事も含めて長期にわたって規制することが主として想定されております。  昭和三十六年に本法制定の契機となりました豪雨災害によりまして大きな被害を受けました横浜市等では、丘陵地を中心に市域の約三分の二の区域指定されております。また、シラス台地を抱えます鹿児島市だとか、丘陵地の多い広島市、神戸市など、広域に指定されております。  このように、地域が、非常に風水害等によって危険だというような認識をされている地域、県についてはかなりの幅広く指定されているわけでございますが、一方で、既成市街地であっても、丘陵地や傾斜地や脆弱な地盤等が目立った形で存在しない多くの地方公共団体や都市部以外の地域におきましては、小規模宅地造成工事から規制される宅地造成工事規制区域を広域に指定し、将来的に規制を継続させようとすることについて、現実的には慎重な対応であるのが実態という状況にございます。
  28. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 国土交通省も、法案作るに当たってこういう誠に分かりやすい絵をかいていただきましたが、今度の改正法はこれ一枚見ると少し、一生懸命で読んでいると、大体これ一枚で質問もできるように、なかなかよくできておりますが。  ただ、こういうものを作っても、今の話で、昭和三十六年に法が成立して三十七年の施行でしょう。これは私が学校終わって一万五千円の初任給のときですよ、もう四十数年前。それから延々として、この資料を見ますと、一部大都市は確かに今局長お答えになったように指定をしていますが、嫌なんですよね、嫌なんですよ、こういう規制を掛けられること自体が。だから、なかなか規制を掛けなかった。それは一部大都市、横浜やあの辺よりは私の住んでいる長野県の図面で地すべり防止区域見れば、それこそあばた面になりますよ、長野県は。でも、それ長野県は掛けていない。そういうことをよく考えると、今度のこのハザードマップを掛けて、造成宅地防災区域指定というものを指定していくのはなかなか慎重でなければならぬというふうに思うんですが、この辺のところは後ほどお聞きしますが。  ところで、資料をいただくと、全国平均で二・七%、先ほど申し上げたように、長野県を含めて十八県で全県無指定になっておるんですよね。それで四十四年間経過してきて、また更に新しいものをしようと、こういうわけですね。この辺についての国民意識とそれから法との間の乖離、そういうものをどういうふうに認識しておられます。
  29. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 御指摘いただきましたように、長野県も含めて十八の県で指定の実績がございません。これは新潟中越地震起きましたけれども、新潟県もこの指定が受けておられませんでした。指定を受けている地域はございませんでした。全国各地には、そういう意味で、指定は受けていないんだけれども、既存の、例えば盛土というのはたくさん存在いたしてございます。しかしながら、この県を見てみましても、長野県、今おっしゃっていますけれども、長野県なんかも非常に危ない地域もあるんじゃないかと、おっしゃるとおりだろうと思います。  また、地震も、戦後は非常に地震のない、非常に極めて平穏な時代に我々過ごしたわけでございまして、関東大震災が起きてからもう七十、八十年近い、八十年以上になりますですかね、大きなものも来ておりませんし、それから東海、東南海・南海地震というような非常に大きな地震もいつ来るか分からないと言われておりますけれども、これも昭和十九年、二十一年に東南海、南海が起きて以来、東海は百五十年以上も来ていないわけでございまして、そういう大きなものも来ていないわけでございまして、いつ地震が来るか分からないという状況にございます。また、中越地震のみならず福岡の地震なんかは、これまで地震が起きたことがないと、有史以来ないと言われたところでもああいう大きな地震が起きたわけでございまして、地震に対するこの間の我々国民の考え方が、少し安心していたというようなこともあるんじゃないかという、そういうものもあるんではないかと思ってございます。  いずれにしましても、今後、首都直下、東海、東南海・南海、宮城沖等の地震等の発生の切迫性も懸念されておりますし、日本全国どこでも地震が起きる可能性があるわけでございますので、長野県のようなところも含めて、新規の区域指定規制区域指定というのも必要になろうかと思いますし、それから新しい既存造成宅地安全性確保をするための指定というものを急いで進めていく必要があるのではないかという具合に考えているところでございます。
  30. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 現状はそういうことだろうと思うんですが、私が言うのは、災害は来ないとなかなか認識できないという今意味のことをおっしゃったけれども、それを法律を作って放置しておいた国土交通省自身が自覚をしなきゃいかぬという意味を込めて言ったわけ。四十四年間も二・七%という数字で放置しておいたわけでしょう。だから、大規模地震がこれから来る可能性が非常に高くなったということで改めて認識を高めるということは大変結構なことではあるけれども、そういう意味での法を立案した国土交通省自身が高い意識を持たなければ都道府県も付いてこないんだろうというふうに思いますよ。だから、その辺はしっかり都道府県との間のコミュニケーションはしていただきたいというふうに思います。  周期的にこの大きなのは来るんですよ、それはね。私は、自分の体験しか言いませんが、賢者は歴史に学んで、何とかは、余り立派でない人は体験に学ぶというけど、まあそこのところは勘弁していただいて長野県の体験を言いますが、私の住んでおる善光寺平、あの一円も江戸中期に大地震があって犀川が止まって、それが一気に崩落してあの一帯を全部、大水害が起きたんですよ。  だから、いつ何が来るか分からないということはだれでも分かっているんだけど、多分おれの生きているうちは来ないだろうと思うのが大体人情ですな。私は気象庁の長官に、この前、何か用があってお行き会いしたときに聞いたら、それは今想定されているのは一〇〇%地震は起きますよと、こう言うんだよね。しかし、それが十五年だとか二十年の間とか、最近はもう非常に狭まっていっておるようですがね、そういう意味での重要性というのは私も認識していますが。  そこで、今お話をいただいた全国平均で二・七%というのは、この数字の取り方が悪いんだ。日本の領土全部のうちの二・七でしょう。それは、人間が家を建てる場所というのは、この法律から基づいて言えば、人間が家を建てる可能性のある地域を分母にしなければ国民だってなかなか納得できないですよ。だから、例えば山林だとか河川だとか道路だとか、そういうようなものを外した上で分母にしてやったら、これ大体何%ぐらいになるんですか、二・七でなくて。
  31. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 面積の割合の話でございますが、国土交通省の土地利用現況把握調査、これによりますと、農地、森林、道路、河川等を除きました我が国の宅地面積は約百八十二万ヘクタールとなってございます。  一方で、宅地造成工事規制区域は全国で約百万ヘクタール指定されておりますが、現行の宅地造成工事規制区域は、宅地だけではなくて森林だとかそういうものももちろん含まれてもございます。横浜市の場合、市域の約三分の二が指定されておりますと申し上げましたが、当然宅地だけではなくて、農地、森林等も含めて幅広く区域指定をされてございます。  したがって、全国の宅地面積のうち、どの程度が宅地造成工事規制区域指定されているものかについて、ダブりがあるものですから統計上明確ではございませんが、百八十二の宅地に対して規制区域自身は、宅地以外のものももちろん含みますが、百ございますということで、あとは類推でございますが、幾つかの政令市におきまして写真などから判断しますと、宅地造成工事規制区域のうち、おおむね五割から六割程度、半分ぐらいが宅地であると考えられますので、その割合が全国全部同じだという具合に仮定いたしますと、全国の宅地のうち区域指定されている面積はおおむね三割程度になるんじゃないかという推計もできるんではないかと思っております。
  32. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 それでも三〇%ですわな。  そこで、少し話を進めますが、この懇談会の中でいろいろ真剣に御協議をいただいたような状況はお聞きをしておりますが、先ほども小池さんの御質問の中でハザードマップお話が出ましたが、これを実際に作成をするということになると、この手順、それからそれに対する予算、そういったものはどんなふうに想定されておるんですか。
  33. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) ハザードマップの作成方法につきましては、御指摘の検討委員会、昨年の五月から今年の一月までやりました検討委員会の中で、いろんな有識者の皆様方からこういうようなやり方でやればいいという御提言をいただいてございます。  その手順でございますけれども、大地震時に崩壊する危険のある大規模盛土造成地をどうやってまず見付け出すのかという手順でございますが、この谷埋め盛土の抽出作業というのは、具体的には過去と現在の航空写真あるいは地形図等をデータ処理いたしまして、開発前の標高の値と開発後の標高値の差分から盛土の位置を抽出するというのが一般的でございます。このようにいたしまして、まず大規模な谷埋め盛土を抽出いたします。  その後、現地踏査を行いまして、個々の盛土造成地にかかわる形状を見ます。これは幅と深さとの関係がどうかとか、どれぐらいの範囲にあるのかとか、地山の勾配がどうなっているのかというのを見ます。また、土地利用状況がどうなっているのか、そこは住宅があるのかないのかとか把握しまして、それに過去の災害事例、阪神淡路のときの事例等の分析結果を踏まえた危険度評価によりまして変動の可能性のある盛土造成地を特定するという、非常にちょっと技術的なことで恐縮でございますが、ということであります。  その上で、更に当該造成地につきまして現地でより詳細な調査を実施しまして、安定計算といいますのは滑るかどうかという計算でございます。滑っていく力とそれを抑えていく粘り、粘りの方が負ければ滑ってしまうわけでございまして、その安定計算等によりまして変動、崩落等の危険を把握することになります。この現地調査のやり方は、簡易な物理探査手法によりまして、地面の持つ力、地耐力だとか地下水位がどれくらいまでの高さまであるのかということを測定して行うことが一般的でございます。  この安定計算の結果、地震発生時に地震動によって生じる滑り力が地盤や盛土の抵抗力、粘りを上回ると判断された造成地につきましては変動、崩落等危険性が高いものとしてハザードマップに位置付けるということになります。  予算の話でございますが、地方公共団体は、このような変動予測調査に要する費用につきましては来年度予算からその三分の一を国が補助することにいたしてございまして、例えば一つの市町村で作る場合どれぐらい掛かるのかということだろうと思いますが、例えば神戸市程度であれば、神戸市を例に取ってみれば約二千百万ぐらい掛かるのかなと、横浜市であれば約三千万ぐらい掛かるのかと、まああくまでも現在の概略の推計でございますが、そういうオーダーになるのかなと。場合によってケース・バイ・ケースで、お金がもっと掛かるもの、もっとたくさん調査しなくちゃいかぬもの、あるいはもっと簡単に終わるもの、いろいろあろうかと思います。そういう状況であるというように考えております。
  34. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 これからですが、しかしそうは言ってもこれ、全く新規の予算ですからね、よくこの御時世に財務省を説得したなと。その衝に当たった人はなかなかの腕の者だと思いますよ。新規の予算、今、しかも地面の下の見えもしないところの話を持ち込んで予算を取ってくるというのはなかなかのものだと思いますよ。局長を褒めているんじゃなくて、その前に大分苦労した人がいるんでしょう。  神戸であるとか横浜は、先駆的な意味でこれスタートしてもらえばいいんだろうというふうに思います。  そこで、ハザードマップ作成の前提として、危険な大規模盛土造成地は全国で約一万三千か所と、先ほどの何か難しいことを言って拾い出したものがね。そのうちの公共施設等に重大な被害を与えるのは一千か所と推計していると。これは私の理解をはるかに超えておりまして、どうしてそういうことが推計できるのか分からぬのですが、簡単に分かりやすくお話しいただけますか。
  35. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 北澤先生には、財務省との衝に当たった職員、お褒めいただきましてありがとうございます。私の後ろの方に座っておりまして、彼らが全部やっているわけでございまして、本当にありがとうございます。  まず、今の一千か所の問題でございますが、これも非常にまた技術的な話になりまして恐縮でございますが、大地震発生時に地すべり的な崩落を起こす危険がある大規模盛土につきましては、概略的な推計を行ったところ、全国一万三千か所程度のオーダーと。  具体的にどうしたかということでございますが、これは南関東のある地域で、阪神淡路大震災等の被災事例の分析結果を踏まえまして、どれぐらい盛土造成地が変動するかという予測を行いました。それを基に、これを全国の台地又は丘陵地に存するDID地区、人口集中地区で見られるという具合に仮定して広げて計算したものでございます。そうすると、一万三千程度あるということでございます。  また、その中で、被災した場合に公共施設等に重大な被害を与えるおそれがあり、対策を行う緊急性が高いと思われる盛土造成地につきまして、これも、その地域を見まして、そこから類推しまして十三分の一程度、一千か所程度のオーダーになるものと推計したものでございます。しかし、これはあくまでもそういう概略的な推計でございまして、今後、各地公共団体におきまして、それぞれの地域ごとに変動予測調査を実施しまして、危険な盛土造成地の把握を早急に行うことが必要であるという具合に考えております。
  36. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 全国一律の掛け率みたいな話ですよね、今の話だと。この懇談会の報告を見ても、土砂、地盤については未解明のことも多いが、それは自然が一様でないからであると、そういうふうに言っていますね。ですから、全国を一律で掛け率でやって千か所というのはちょっと乱暴な話なんですよね。予算を取ったりするときのものとすればそれはそれでいいが、そこから国と都道府県との関係の中できちんとした指導とか話合いで、自然を熟知したその地域の人たちの了解を得てやっていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。  そこで、今までに造成された住宅地というのは、造成宅地防災区域指定の、ハザードマップ指定されて公表されますと、その時点からその人たちの財産権というのは侵害されるというか評価が低くなるわけですね、と私は思うんですよ、そういうふうに公表された時点でだれしもきっと思うと思いますよね。  さらに、区域指定をされれば災害防止措置の責務を負わざるを得ないということからすると、その面でも負担が増えるというようなことから、我々は既存法律に基づいてきちんとした団地を購入したと、何の瑕疵もないと、なのに新しく法律を掛けて私たちの財産が目減りをすると、さらには費用負担をしなきゃならぬと、こういうふうなことから、場合によっては見解の違いから行政訴訟を起こしてくるかもしれない、争いにもなる。そういうことを私は想定しますけれども、国交省としてそういうことを想定しているのか、あるいはまたそれに対してどういう措置を考えておるか、その辺を聞かせてください。
  37. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) ハザードマップということは、そこに住んでおられる地域皆さん方、あるいはその住宅が非常に危険だということを明らかにして世間に公表するわけでございまして、御指摘のように、それによって土地の値段がぐっと下がるんじゃないかというような心配が非常にございました、過去はですね。  私の経験からいいまして、ちょうど阪神淡路大震災のときに兵庫県庁におりまして、あの地震の直後雨が降り出して、二次災害対策というものを真剣に考えました。  特に神戸は六甲山のがけ地がたくさんあるわけでございまして、それのハザードマップを実は持っておりまして、それを公表するかどうかという議論をしました。その中で、これを公表したときに、住民にいたずらな混乱を招いて、しかも土地の値段が下がるというようなことの反発があるんじゃないかという意見もあったわけでございますが、この際、やっぱり人命というのが第一であるからと、積極的に公表しようということで公表したのを私は経験いたしております。もちろん、その後、それによって混乱があったということはございませんでした。  多分、これの時期ぐらいを契機としまして、その後、水害ハザードマップだとか地震ハザードマップだとか津波ハザードマップというものを作って、積極的に住民に公表し、住民自らが自分の生命、財産の安全についてよく考えてくださいよというのが定着していっているんではないかなと思っております。  例えば、そういうことでマップ、たくさん出てきているわけでございますが、それが地価下落につながったという事例は我々聞いてというか、確認はしておりませんし、平成十年に東京都が地震関係の危険マップというものを出しましたし、十三年に横浜市も地震マップも出しましたが、これらも大きな混乱はなく、住民等の防災意識向上等の前向きな効果がむしろ逆に出ているということを伺ってございます。  この造成宅地防災区域につきましては、被害が起きますと、この盛土の上の人家が被災するだけではなく、被害が及ぶ範囲が広範囲にわたることから、周辺地域全体の安全性確保という観点からも指定を行う必要があるものでございますし、指定される宅地の所有者への情報提供と理解を得る努力、こういうものを行うことは当然であろうということを考えてございます。  御指摘のような混乱が起きないように、我々も住民皆さんと十分情報交換をしながら、対応を重ねながらリスクコミュニケーションというものを進めることによりまして、いたずらに不安を覚えることなく必要な対策が取れるように努力していきたいという具合に考えております。
  38. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 それじゃ、少し具体的なことに今度入っていきたいと思いますが、この区域指定を行って災害防止措置の債務を負わせるわけですが、これは具体的に言うとどんな工法でやるのか。これ、素人同士がやるんですから、分かりやすいむしろ御答弁をいただけると思うんですがね。  それから、土地所有者を含めてその費用負担、当然、団地ですから道路がありますからね、そういう意味での費用のアロケーションというか、そういうようなものはどんなふうに想定されておるんですか。
  39. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 宅地防災検討会によりまして我々御指導いただいて今回提案をさせていただいているわけでございますが、この盛土造成地の場合、崩落危険性があるのはどういう場合かということでございますが、具体的には地下水が、これが、元の地面と盛土との間の地下水というものが非常に作用する。これによって、揺れたときに、地震時の揺れによって作用し、それによって崩落が起きるという具合に言われてございます。  地下水位の上昇によりまして崩落等危険性が発生している場合には、地下水を除くための排除工、あるいは縦に間隙水圧排除工というものを、パイプを打つ、あるいは地表の水を排除する排除工を造る、こういうようなことで安全性を向上させる工法が有効であるとされております。まずは、地下水を抜いて地下水位を下げるということが一つでございます。また、造成宅地が斜面上にありまして、活動そのものを止める抑止力向上が必要である場合には、くいとかアンカーなんかを打って元の地面に留めてしまうと、こういうものも有効であるとされてございます。  これらの事業の一か所当たりの費用でございますが、アンカー工と地下水の排除工を併用した方法で従来の工事実績等から、盛土造成地一ヘクタール当たり八千万円程度と考えられております。一ヘクタールの造成地に四十戸の住宅がある場合、一戸当たりの費用負担は単純計算しますと二百万円程度、そのうち二分の一の公的支援を受けるということになりますので、個人負担額は百万円程度と計算されます。  そして、このアロケーションといいますか、実際の事業の実施に当たりましては、この地方公共団体や当該造成宅地上に存する公共施設が幾つかございます、公園だとか道路とかあるわけでございますが、これらは宅地ではないわけでございますが、この公共施設の管理者等も含めた形で宅地所有者等の話合いが行われることが我々は期待いたしておるわけでございまして、地方公共団体などのあっせんなどによりまして、公共施設の管理者が応分の負担を行うということも想定されるんではないかという具合に考えております。
  40. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 今、個人で大ざっぱに言うと百万ぐらいの負担と、こういう話ですが、その後公共団体負担するということになると、この百万から公共団体のものを公共団体負担すれば減ると、こういうことですか。
  41. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) そういうことでございます。公共団体の管理者は宅地の中には入っておりませんので、彼らが出していただければその分減っていくということになります。
  42. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 公共団体ということになると、想定されるのは道路の管理者ですね。それから、電柱があれば電力会社。それから、いろんなものが想定されると思いますが、その辺のきちんとしたものは、多分これから政令だか省令で決めるんだろうと思いますが、その準備は大体できているんですか。
  43. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) これらをどういう具合の形で事業を実施していくかにつきましては、ガイドライン、技術指針、そういうもので分かりやすいものを我々用意して公共団体等に周知徹底していきたいという具合に考えております。
  44. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 今伺ったような状態ならば、今盛んに地方で行われている下水道化の費用よりは安くなるから、まあ受け入れられる金額かなと今ちょっと安心したわけですが。  そこで、住宅地ですから、住宅密集地域ですよ、特に神戸だとか今、横浜とかああいうところからすれば。そうすると、そんなに広くもないところへしっかり家建てて庭を造って、そこの地面の下ということになりゃ、現実的に工事ができるのかどうかという心配がありますよね。  だから、この程度のことをこういうふうにするというような工事マニュアルがあるのか。それから、これ多分これから作るんだろうというふうに思いますが、おおよそ想定されたものはあるんですか。
  45. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 工事を、どういうような工事のやり方があるかというようなことにつきましてもガイドライン等で明らかにしていきたい、分かりやすくしていきたいと考えておりますが、住宅密集地でございましても、造成宅地のり面がある場合は、高くなっている場合、のり面がある場合には、そののり面に、先ほど言いました排水施設等を下から設置することによりまして対策工事が可能であると考えられますが、今委員指摘なのは、多分、谷を埋めた盛土等で、のり面がなく平らになってしまって、どこが埋めているのか分からないというような平坦な造成宅地の場合であろうかと思いますが、しかも住宅が密集しているために、地下水の排除工というのを宅地の上で施工することが困難になると思います。  しかし、この場合、工法としましては、必ずしも宅地の上あるいは宅地の中で排水施設を設置する必要はなくて、造成宅地上の道路の側溝を利用しまして、その道路の側溝に横方向の水抜きを行うという手法も、ちょっと技術的で何を言っているか余りお分かりにならないかと思いますが、水抜きを行うという手法も一般的には行われております。側溝を使ってそこから横方向にパイプを出して水抜きを行うということ。あるいは、横方向の水抜きが困難な場合もあるわけでございまして、この場合には縦方向の井戸を掘ると、取水井と言っておりますが、井戸を掘りまして、この井戸に対して地下水を排除するためのパイプを設置するというようなことも可能でございますし、道路敷等を利用して施工することも可能でございます。  こうしたことを組み合わせれば、住宅密集地でも対応が、効果的な対策が施工することが可能ではないかと考えております。
  46. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 言葉の上ではそういうことだろうと思いますが、それはなかなかそうできない。側溝を利用するなんといったってね、粘土質の上から水を引くわけでしょう。だから、その粘土質が側溝より……(「下だよ、下」と呼ぶ者あり)そうなんですよ。  私は信州だから、リンゴ畑がたくさんあるんですよ。リンゴ畑というのは、大体傾斜地のリンゴがおいしいということになって、平地から生産は始まったんだけど、みんな山地行っている。西日の当たるリンゴの方が、うちのはうまいよと言うと、いや朝日の当たる方の山のリンゴの方がうまいよと言って、これ結論は出ていないんですけどね。そこは、大体水道がみんな、傾斜地だから水道があるんですよ。その人たちは何しているかというと、みんな井戸掘って、そこへ地下水をためて処理している。だから地面が動かないんですよ。それを今度は平らにしてしまったところで水抜きをするというのは、これは至難の業ですよ。  地附山の災害というのがあったんですね。これは昭和六十年、ちょうど当時の竹下大蔵大臣が、私が県会議員から参議院の選挙に出るというんで応援に来ていただいて、後援会が終わった後、お茶飲んでいたら、竹下先生のところへ、どういう形だったかは忘れましたが、ぱっと連絡が来て、これこれ北澤、おまえの地元で今山が崩れているようだよと、こう言われて、それから二十四人が亡くなったのかな、これは大変な災害だったんですよ。これは、特別養護老人ホームを全壊して、六十数戸の家屋が全部土砂に埋まって、もうテレビで映していると山がばあっとこう下りてくる、それは大変なもんだった。  その後、どういう工法で地滑りを今止めているかというのを見ますと、それは膨大な金が掛かっているんだよ、これね。それで今止まっていますよ。これは、地下で水をこう寄せてくる、人間が立って歩いていけるような穴掘って止めているんですね。だから、本当に安全にするということになったらそれは大変なことですよ。  そこで、もう時間もありませんから最後にお聞きしますが、今回のこの改正によってこれから、これからですよ、今議論をしていたのは既存宅地ですよね。だから、これから新規に造成する工事というのは、既存のものに対してもこれだけの規制を掛けていくから、新しいものは地震が起きても心配がないと、こういうふうに理解していいんですかね。
  47. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 新規のものの安全性確保でございますが、これは、今回新たに作成されます耐震基準に従いまして想定する範囲の外力に対する安全性確保を図ろうとしているものでございますが、これで完璧かということでございます。  これは、委員指摘のように、この検討会の報告書の中にも書いているわけでございますけれども、地面の下のことでもありますし、また学問の研究という、あるいは知見というのは刻々いろんな経験等を踏まえて新たなものが出てくるわけでございまして、現状は一二〇%かということについては、土砂、地盤等について未解明のことも多いわけでございます。今後の研究等の進展により、更に新たな基準だとか対策というものが必要になってくる可能性ももちろん残されているという具合に考えております。  ただ、防災行政といたしましては、常に現時点で、その時点での最新の技術的知見を基に取り得る対策を講じることが必要でございまして、今後も、制度の運用で得られた知見や各種の研究結果等を踏まえまして、宅地防災対策につきまして必要な措置をとっていきたいという具合に考えております。
  48. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 将来のことを完全かということになれば、それはなかなか分かりにくい。  この元法が四十四年前にできたものを改正しなきゃならなくなってきたということからも当然のことだというふうに思いますが。  今、局長は地べたのことはなかなか分かりにくいと、こう言いました。それで思い出しましたが、金丸信先生の公判を私もちょっとお付き合いさしていただきましたが、あの人はいつも、いや、足でちゃんと踏んでいる地面のことは大体分かるが空のことは分からぬと、それよりまだ分からねえのは地べたの裏の下の方でやっておることは分からぬと。まあこれはどうも本当の地べたじゃなくて、政治の裏の方の話だったようでありますが。  そうは言ってもこの時代ですから、相当なもう科学が発達してきている中で、この法改正で迫りくる大地震に対して国民に対して安心を提供するという意味でのメッセージは各都道府県を通じてしっかりやるべきだというふうに思っております。  大臣にお待たせをいたしましたので、この法案の持つ意味を、今度は全国で指定しろと言ったら二・七%だなんという話じゃなくて、いや、きちんとするというような決意も込めて御感想をお願いをいたします。
  49. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 専門家の先生から言わせますと、我が国、今、地震の活性期に入ってきたのではないかというふうな説をおっしゃる方もいらっしゃいます。現に、ここ数年も比較的大きな地震が続いているわけでございまして、昨年は住宅建築物の耐震促進法について改正法案を通していただきました。今回、今度は宅地の方の耐震化、防災対策についての法案を今御審議をいただいているところでございますが、両方兼ね備えましてしっかりと安全、安心の国土づくり、地震に備えての国土づくり、しっかりと地方公共団体と連携を取らしていただきまして、また国土交通省、国がしっかりリーダーシップを発揮して頑張ってまいりたいと思います。
  50. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 終わります。
  51. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  ただいまの大臣からも、専門家によれば地震の活性期に今入ってきたという御指摘がございました。今回のこの法律改正によりまして、国土交通省といたしましては、この危険な大規模谷埋め盛土宅地造成につきまして、先ほどあくまでも概略的な推定であるということで約千か所全国にあると報告されているわけであります。そして、この約千か所につきまして、今後十年で、先ほどの大臣の御指摘ではございませんが、地震が大変に活性期に入ってきているということも踏まえて、今後十年間でこれを半減しようという、そういう目標をお立てになっていらっしゃるわけであります。  まず、局長にお聞きしたいと思います。今後、どういうスケジュールでこの十年間で半減というのを目指していくのでしょうか。
  52. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) このまず目標でございますが、今後十年間で半減させるという目標でございますが、これは先ほど申しました総合的な宅地防災対策に対する検討会の最終報告におきまして、全国一千か所程度の存在すると想定されます危険な大規模盛土造成地について今後十年間でその数を半減させるということを目標とされているわけでございまして、国土交通省といたしましてもそれを目標に対策を実施してまいりたいと考えてございます。  この目標達成に向けまして、もちろん公共団体等と連携を取りながら進めていく必要があるわけでございますが、予算上の問題といたしましても、予算で御審議いただきまして通していただきましたけれども、来年度予算におきまして既存造成宅地に係る変動予測調査、ハザードマップ地下水排除等の大規模盛土滑動崩落事業について支援します宅地耐震化推進事業、この創設が盛り込まれたところでございます。  こうした目標を多くの関係者と協議しながら、改正法の適切な運用、この予算補助制度ハザードマップ作成、適切な情報公開、あるいはこれによります防災意識の向上、各種施策を総合的に実施しまして、目標達成に向け努力をしていきたいという具合に考えてございます。単純に言えば、十年間に五百ですから、一年間に五十、単純に計算をすれば五十程度をなくしていくということになろうかと思います。
  53. 西田実仁

    ○西田実仁君 先ほど予算の話もございましたが、大変な御努力もいただきまして、新規の予算確保して今回この宅地の地盤防災についての予算が含まれました。  今、単純に計算すれば年間に五十か所というお話ございました。今、平成十八年度予算につきまして、当初十一億円の要求をされたと思いますが、結果として三億円という結果になっていると承知しております。この三億円でどの程度、何か所ぐらい、特に危険度の高いところからおやりになるということになると思います。何か所ぐらいできるんでしょうか。
  54. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 五十か所と、単純に言えば五十か所でございますというお話ししましたが、先ほども申し上げましたように、例えば一か所当たり八千万とすれば、それに国費率四分の一とすれば十億円程度になるわけですね。来年度の予算は三億円の予算が付いてございます。これは、制度改正の初年度で来年度あるということ、それから改正法の施行が半年間であるということ、そういうこともありまして、パイロット的に調査や事業を実施する地方公共団体をまずは支援したいと考えてございます。地方公共団体にヒアリングをした結果では、まず平成十八年度は独自の予算で予備的調査等を実施し、本格的な調査、事業等は平成十九年度に国庫補助を受けて実施するとしている団体もございます。  今後、平成十九年度に必要になる予算額等は、これはまた来年度の、平成十九年度予算概算要求時までに検討してまいりたいと考えてございますが、この三億円の中身でございますが、一億円がハザードマップ作りになってございまして、二億円が宅地の実際の工事に考えてございます。  ハザードマップにつきましては、国費が一億円の、補助率三分の一でございますんで三億円、ハザードマップとして事業費は三億円、それから工事関係は、国費が二億円でございまして、四分の一で、これは四倍しますと八億円程度ということでございまして、具体的に何か所とは決めてございませんけれども、先ほど、ハザードマップであれば、横浜、神戸であれば二千百万とか申し上げましたけれども、十か所程度ぐらいの予算確保できているのかなと、それから工事費も、先ほど言いましたように、一宅地八千万ということであれば十か所程度の予算確保されているのかなというのが概略感じているところでございます。
  55. 西田実仁

    ○西田実仁君 今年はパイロット的にやっていくということで大体十か所程度というようなお話もございました。来年から本格的におやりになっていくと。  先ほどちょっと聞き忘れましたが、今後十年間で半減させるということでございますが、そうすると残りは、やはりこの地震の活性期に入っているということを考えると、もっとスピードアップしていくことになるんでしょうか。
  56. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) できればそういう具合にしていきたいと考えてございますが、当面はこの十年間の目標達成に向けて努力をしていきたいというように考えております。
  57. 西田実仁

    ○西田実仁君 この規制する場合、あるいは監督を行うのは都道府県が行っていくということであります。指定区域につきましてハザードマップを作成して、その後、都道府県がこうした造成宅地防災区域指定していくという、そういう仕組みになっております。  そういう意味では、今の大きな目標を達成していくためにも、指定する主体である都道府県に対しまして国としての取組の方向性あるいは指針というものをしっかりと出していく、それによって地方公共団体の取組を促していくという、こういうことも必要になっていくと思われますが、それ、具体的にどのようなことをお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  58. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 御指摘のとおりでございます。公共団体、都道府県等が進めていく必要があるわけでございますんで、都道府県等の担当の皆さん方がまず十分この必要性を認識してもらわなくちゃいけません。この特に谷埋め盛土造成地危険性というのについては、これまでもそうでございますが、地方公共団体防災担当者でも十分認識していない場合が多いんじゃないかという具合に我々考えています。そういう意味では、国からの十分な情報提供をしていくということが必要であろうと考えてございます。  国土交通省は、これまでも地方公共団体制度改正の方向性について意見交換する機会を設けてまいりましたし、本省の担当官が各公共団体へ直接出向きまして、各地域状況を踏まえまして今後の取組方針等について意見交換も重ねてまいってきてございます。  今後、ハザードマップの作成だとか造成宅地防災区域指定等に係る適切なガイドラインというのも作っていきたいと考えてございます。また、それを公共団体に通知していく。そして、本省、各地整備局、連携しまして、地方公共団体が必要な指定調査等を実施できるよう働き掛けを行ってまいりたいと考えてございます。特に、地域ブロック単位で地方公共団体に集まっていただきまして情報交換をいたしまして、ああうちではこうしている、おたくはそこまで行っているんですかというようなことをやることによりまして、お互いに相互に啓発し合う場というものを設けるというのも一つの効果的な場のというか、やり方ではないかというようなことも考えております。
  59. 西田実仁

    ○西田実仁君 この現行法において、宅地造成工事規制区域内の宅地所有者に対します改善勧告というのは大体年間に二百件から四百件ございます。現行法でもそうした規制がこの規制権者である都道府県からなされているわけであります。  これ今、大体この改善勧告、年間二百から四百件ぐらいなされていますが、実際これ改善、どの程度されているんでしょうか。どういう現実を掌握されているんでしょうか。
  60. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 現行法に基づきます勧告関係でございますが、都道府県知事等災害の防止のため必要があると認める場合に宅地所有者等に対して行うこととされているものでございます。これは、本事務は地方公共団体によります自治事務として行われておりますが、国といたしましても、毎年梅雨どき前等にちゃんと点検をしてくださいというような通知、技術的助言といってございますが、これを毎年出してございまして、勧告に係る措置が的確にとられているか否かについての確認を行ってくださいというようなことを指導いたしてございます。  勧告を出した後の宅地における対応各地公共団体ごとに異なりますが、例えば兵庫県だとか大阪府なんかは、毎年五月の宅地防災月間中に宅地防災パトロールというものを実施しておりまして、その中で、兵庫県の場合、前年度に勧告を行った宅地についても点検を行っていると聞いてございます。これと同様の取組が多くの地方公共団体において行われているところでございまして、本法に基づく勧告の実効性を確保するための対策が適切に取られているものと考えてございますが、実際どの程度が改善されているかということでございますが、二百件近く勧告されてございます。擁壁の軽微なクラック等で勧告を行う場合も多いわけでございまして、巡視点検の結果、状況が悪化していない場合、あるいは被害の程度が軽微であると思われる場合は改善命令まではいっていないと、勧告を繰り返し出すという運用をしている公共団体も多いようでございます。  各地公共団体とも、勧告を発した宅地については巡視点検を定期的に行っているところであり、危険が切迫していると判断される場合には、年間数件でございますが、改善命令に至っているという状況でございます。
  61. 西田実仁

    ○西田実仁君 こうした改善勧告を受けた地域宅地防災工事融資資金というのが住宅金融公庫であると思います。これを使って改善をしていくというスキームになっていると思います。しかしながら、この住宅金融公庫宅地防災工事資金の融資実績を見ますと、毎年大変に融資実績が少ない。大体年間で二件とか四件ぐらいしかない。これが今現行法におきます実績として残っているわけでございまして、新たに法改正をして、様々都道府県に対するフォローアップをしていくというお話もございました。  しかしながら、それを受けてこの公庫の、今度は機構の宅地防災工事融資資金を受ける場合に、余りにも実績が少ないという過去の経緯がございまして、これはやはりこの融資条件の見直しとかもっと利用しやすくするとかいうような改善が必要なんではないでしょうか。
  62. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 現行、宅地防災の融資制度がございます。実績がそれほど多くないということは事実でございますが、ただ、今回は法律に基づきまして区域を決め、そこをかなり重点的に耐震化工事を進めていこうとするわけでございます。  これが進んでいけば、二分の一は公費で対応できるわけでございますが、残りの二分の一は自己負担となるわけでございまして、そうした場合にかなりこの住宅金融公庫宅地防災融資というのが私は有効に使われていくんではないかという具合に考えておりますし、期待をいたしているところでございます。
  63. 西田実仁

    ○西田実仁君 今おっしゃったように、自助努力がこれ求められて、指定した区域に住んでいる人は自助努力が求められていくわけですが、こうした改正案趣旨を個々人に、宅地の所有者にどう伝えていくのか、具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  64. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) まず、造成宅地防災区域指定に先立ちまして、まずハザードマップを作りまして公表しまして、この地域、この宅地は危ないんですよということの必要な情報開示をまず行っていくこととしております。その際、地震時に崩落等の危険がある造成宅地盛土造成地の判定基準については、なるべく分かりやすいガイドラインを作成いたしまして、技術的助言としまして地方公共団体に通知するほか、広く公表してまいりたいという具合に考えております。  そのような形で宅地危険性に関する正確な情報を幅広く住民と共有し、その内容を各地域ごとに地方公共団体や専門家等から丁重に説明住民と対話を重ねていくいわゆるリスクコミュニケーションを進めていくこと。これで、具体的にこの宅地が危険だと指摘された場合でも、住民がただいたずらに不安を抱くだけではなくて、必要な対策の実施に向けてやらなくちゃいかぬねという取組が進められますように、こういう環境整備を図っていくことが必要であろうという具合に考えておりまして、各公共団体にはよく指導していきたいという具合に考えております。
  65. 西田実仁

    ○西田実仁君 そうした危険な盛土ハザードマップを作成してそれを公開していくということですが、この地域がその指定を受けているかどうかということに加えて、その指定を受けた地域がどの程度今耐震補強がなされているのかという進捗度合いも含めてきちっと公開していくということが必要だと思うんですね。  そこに新しく土地を購入しようと思う人もいるわけでありまして、いつまでにやるのかという、今、国土交通省で例えば橋梁の耐震補強についてはそういうプロセスも公開していると思いますけれども、そうしたことも含めて、指定されているか指定されていないかということだけではなくて、それに対してどう対処を取っているのかという、また今どこの地点まで来ているのかということを含めて公開すべきではないかと思いますが、いかがでございましょう。
  66. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 大規模盛土造成地につきましては、地震時の危険性というのが必ずしも十分認識されてないという状況にございます。御指摘のとおり、宅地所有者だけではなく、新たに宅地を購入される方々に対しましても幅広く必要な情報開示を行うことは重要であるという具合に考えております。  今後、宅地防災に関します各種の情報を、地域広報への掲載あるいはホームページの活用、これらによりまして、不動産関係事業者も含め、幅広く国民に提供し、宅地防災知識の普及に努めていく必要があろうと思っております。また、こういたしましたリスク情報の公表やそれに伴う混乱等を回避するためには、この造成宅地の変動予測の前提、根拠、こういうものを明らかにするということ、さらには、宅地所有者等による危険への対処方法や行政における対応策を併せて周知することが望ましいと考えております。  したがって、今後作成いたします宅地ハザードマップに係るガイドラインの中で、そうした留意事項を明記していきたいという具合に考えております。
  67. 西田実仁

    ○西田実仁君 この造成宅地防災区域指定につきましては、今言われたようなこのリスク情報をどう開示していくのかという中で、例えば宅建法ですね、施行令を改正することによって重要事項説明対象に加えるべきではないか、その宅地指定されているかされていないかということも含めて、ということも検討されてはいかがかと思いますが、いかがでございましょうか。
  68. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 宅地建物取引業でございますが、不動産の購入者が知らないで取引することによりまして後で重大な不利益をもたらすおそれのある一定の事項について、必ず購入者に説明すべき重要事項として列挙いたしてございます。  今回の法改正によって新たに設けられますこの防災区域につきましては、不動産の購入者にとって重要な関心事項になり、その区域内であるかどうかは客観的に示すこと、こういうことも可能ではあろうかと思います。しかしながら、一方で、宅地耐震性そのものの評価ということについてはなかなか難しい部分もあるわけでございまして、何をどこまで説明できるか等の観点から更に検討していく必要があるんではないかと思っております。
  69. 西田実仁

    ○西田実仁君 いずれにしても、個人の自助努力が大変に求められるような法改正になっておりますし、まさかそういう指定されると思ってなかった宅地の所有者の人も出てくるわけでございまして、そういう意味ではこの危険度の周知徹底、これは国が枠組みを決めて終わりではもちろんなくて、都道府県に対しましてもきちっと、技術的な助言も含めて、きめ細かくやっていくということを求めて、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  70. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  今回の改正案は、新潟中越地震などを踏まえまして、造成された宅地などの安全性確保を図るために宅地造成に伴う災害防止の措置を講ずるものとなっています。それは大変私も重要だというふうに思います。  そこでお聞きしたいんですけれども、いわゆる地盤災害が集中する盛土・切土宅地の安全対策を行っていく上でその必要とする箇所数、まあ箇所数については先ほどの議論の中でも出ておりますけども、改めてその箇所数と、そして私は住宅数もどの程度あるかということをお聞きしたいと思います。
  71. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) まず、箇所数でございますが、大地震発生時に地すべり的な崩落等を起こす危険がある大規模盛土造成地でございますが、概略的な推計でございますが、全国およそ一万三千か所程度のオーダーで存在すると想定されます。また、このうち、被災した場合に公共施設等に大きな被害を与えるおそれがあり対策を行う緊急性が高いと思われるものは、ある特定の地域で実施しました詳細予測調査の傾向から類推しますと一千か所程度のオーダーになるという具合に想定されますが、これはあくまでも概略での推計でございます。  住宅およそ何戸程度存在するのかということでございますが、千か所自体が先ほど言ったような形での類推でございますので、悉皆調査によるものでございませんので、住宅数までは推計をいたしておりません。
  72. 小林美恵子

    小林美恵子君 先ほどの御説明でいきましても、特定な地域を抽出してということでございますし、住宅数についてはなかなか把握はできていないということでございますので、それはそれで私は早急に調査をすることが本当に必要だと思いますけれども、その点、改めて確認をしたいと思います。
  73. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) この調査はあくまでも、今回法律を提案するに当たり、あるいは予算を要求するに当たりまして、この総合的な宅地防災対策に関する検討会の報告の中で、検討会の中で有識者の先生方の研究結果から出されたものでございます。しかし、これはあくまでも、先ほど言いましたように、類推的な、概略的な推計でございまして、まずこれが実際どこまでどれだけあるのかということにつきましては、各地公共団体においてしっかりした調査をしていただきたいというように考えておりますし、当然そのときには住宅の数というのも把握されるんではないかという具合に考えております。
  74. 小林美恵子

    小林美恵子君 それで、そういう調査を行われまして、それでいわゆる災害防止の対策工事を行うことになるかと思いますけども、もうその際にやっぱり必要なのは、やっぱり住民合意が大変重要だというふうに私は思います。その住民合意を行う上でも、対策費用がどうなるのかということはかぎを握るというふうに思います。  この点も、先ほどの議論でももう出されておりますけど、ここはすごく私大事なことなので改めてお聞きしたいと思いますけれども、いわゆる今回の改正案造成宅地防災区域での災害防止工事、また既存宅地造成工事規制区域内の住宅に関して行う災害防止工事は、負担はどのような割合になるのか、お聞きしたいと思います。
  75. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 今回の大規模盛土造成地の滑動崩落防止事業一か所当たりの費用につきましては、アンカー工と地下水排除工を併用した方法で、従来の工事実績等から推計しますと盛土造成地一ヘクタール当たり八千万円程度と考えられます。  一ヘクタール当たり四十戸の住宅があるとした場合、一戸当たりの費用負担は単純計算で二百万円程度、そのうち二分の一の公的資金を受けられるといたしますと負担額は百万円程度という具合に計算されます。
  76. 小林美恵子

    小林美恵子君 これは一例であると思うんですけれども、百万円といいましても、なかなか個々人にとりましては多額な負担だというふうに思います。  ですから、それを本当に合意をしていくという点になりますと、やっぱりその個々人に対する負担の軽減というのが必要だと思うんですけれども、これにつきましても、先ほどから議論出てますけれども、私も、本当に負担の軽減する上では、滑動崩落なので影響を受ける道路や公共施設などの管理者にもやっぱり負担を求めて個々の負担の軽減を図るということは大変重要だと思いますけども、この点いかがお考えか、改めて確認したいと思います。
  77. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 残りの百万円の部分につきましては、当然住宅金融公庫融資の、今回法律改正お願いしてございますが、対象になります。また、この残りの部分でございますが、宅地耐震化工事は通常、宅地所有者等の合意形成により共同して行う必要がございますが、実際の事業の実施に当たりましては、地方公共団体や当該造成宅地上に存する公共施設の管理者等も含めた形で宅地所有者等の話合いが行われるということを我々も期待しているわけでございまして、地方公共団体のあっせんなどによりまして公共施設管理者が応分の負担を行うということも想定されるんではないかという具合に考えております。
  78. 小林美恵子

    小林美恵子君 想定されるということではなくって、しっかりとそういう方々に負担もしていただくということで運用されるということを私は是非やっていただきたいと思いますが、改めてそこを確認したいと思います。
  79. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) この件につきまして、国の方から、法律上あるいは予算制度上そこが、義務的に公共施設の管理者が出さなくちゃいかぬということになっているわけでもございませんし、そこを必ず負担をしなさいというのはちょっと行き過ぎかと思いますが、ガイドライン等でそういうようなケースもあり得るということについては書かしていただきたいという具合に考えております。
  80. 小林美恵子

    小林美恵子君 ガイドライン等ではそういうこともあり得るという御答弁でした。  私、そういう何といいますか、住民皆さんにとりますと、例えば、これも先ほども議論が出てございますけれども、購入する際にその宅地が一体、その宅地の地盤が危険なのかどうなのかということは、やはり今の段階では分からないと思うんですよね。やっぱり、そういうところがどういう状態なのかということが購入する際にも分かるということが非常に私は大事なことだというふうに思います。  そこで、改めてそういうことを購入する際に情報提供していく上で、いわゆる宅建業法による重要事項の説明にも記載をするなども含めまして、こうした検討は是非していただきたいと思いますが、その点はいかがですか。
  81. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 宅建業法では、不動産の購入者が大事なことを知らないで取引することによって重大な不利益をもたらすおそれのある一定の事項については、必ず購入者に説明すべき重要事項として列挙しております。  今回の法改正によって新たに設けられます造成宅地防災区域につきましては、大地震時に地すべり崩壊の危険、崩落の危険のある大規模な谷埋め盛土等について指定されるものでありますから、不動産の購入者にとっては非常に重要な関心事項であります。だから、そういう区域指定されれば、それは客観的に示すことが可能だと思います。  それを超えて、さらに、その宅地がどれぐらい危険であるかとか、そういう耐震性そのものを評価するということになりますと、まだ技術的に幾つも解明しなくちゃいけない課題があると思います。  今回の法改正を受けて、宅地安全性と重要事項説明との関係について更に技術的な検討を進め、今後の進展も踏まえて、宅地建物取引業者が何をどこまで説明できるか、こういうことについて更に検討を深める必要があると考えています。
  82. 小林美恵子

    小林美恵子君 さらに、私は今回の法改正で、工事を促進する上でも工事の検査の体制強化も必要だということをまず指摘をしておきたいと思います。  それで、次に、こうした大体安全措置を講じなくてはならないそもそも危険な地盤での宅地造成、開発そのものについて質問したいと思いますけれども、そもそも一九六一年の宅地造成規制法の審議の際の政府の法案提案理由というのはどういうものだったんでしょうか。
  83. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 宅地造成規制法が当初提案されたときの提案理由でございますが、その概要でございますが、中身はこういうふうなことが言われております。  昭和三十六年六月の梅雨前線豪雨によりまして各地災害が多発し、特に神奈川県、兵庫県等の丘陵地等におきましてがけ崩れ等災害により、大きな被害が出ました。こうしたがけ崩れ等災害が当時、宅地造成が行われたところ又は造成中の箇所で多く発生していたこと、また当時、旺盛なる宅地造成需要が、今後、宅地造成がどんどん増えていくという、そういう需要が見込まれていたことを踏まえまして、宅地造成に関する工事について災害防止のために必要な規制を行う必要性が認識され、宅地造成等規制法が提出されたものでございます。
  84. 小林美恵子

    小林美恵子君 要するに、災害防止の必要な規制を行うということを目的に一九六一年、法案が出されたということでございますけれども、私どもは、そもそもそういう自然を壊して山を開発している、いわゆる乱開発はやめるべきだということをずっと国会の審議でも主張してまいりましたけれども、法成立以降、今日まで宅地造成規制法に基づく造成宅地、いわゆる許可された面積ですね、これはどの程度なのかということと、地震、豪雨により被災した面積はどの程度になっていますか。
  85. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 宅地造成工事の許可面積でございますが、これは昭和四十九年がピークでございまして、七十一平方キロメートルでございますが、その後ずっと減少しておりまして、近年では年間その四分の一、三分の一程度の二十平方キロメートル程度でございます。昭和三十七年度から平成十六年度までの四十二年間の累計面積は約一千八百平方キロメートルとなっております。  この区域内で発生するがけ崩れ等災害発生状況については毎年調査を実施しておりまして、例えば平成十六年度は三十一件となっております。ただし、許可された造成地が含まれているか否かは調査からは分かっておりません。
  86. 小林美恵子

    小林美恵子君 この法律に基づくいわゆる許可面積というのは一千八百平方キロメートルだと。一千八百平方キロメートルといいますのは、私が住んでおります大阪府の面積にほぼ匹敵するものでございます。つまり、大阪府の面積ぐらいのいわゆる自然とかを削って、そういうところに宅地が造成されてきたっていうことになりますよね。私は、そういうこと自体がもう本当にどうだったのかというふうに問いたいと思うんですけれども。  そもそも、宅地造成規制法の厳格な審査、検査によって許可された盛土造成宅地が被災しているということにつきましては、この法律の技術基準に一体どこに欠陥があって、これを今後どういうふうに改正して、それでどういうふうに、その改正することによって本当に被災がなくなるのかという点を改めて聞きたいと思います。
  87. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 現行制度は台風等の集中豪雨の際に造成地造成宅地におきまして発生するがけ崩れ等災害を防止することを目的として、造成により生じたがけののり面崩壊防止のために擁壁を設置するところの基準を定め、それによりまして宅地造成工事安全性確保しようとするものでございます。  この制度がなければ、昭和三十六年の法制定以前と同様、毎年のように宅地造成地におきまして災害が発生し、多くの人命、財産に被害が発生したんではないかという具合に思われます。宅地造成工事規制区域内で発生するがけ崩れ等災害は、これ許可があってのかどうかは定かではございませんが、近年では年間数十件程度となっておりまして、この安全性確保に本制度は一定の効果を上げているというぐあいに考えてございます。  しかし、地震によります大規模谷埋め盛土造成地崩落等が多数発生したという教訓を踏まえまして、今回宅地耐震確保にかかわる基準を法令上明確にしようと、それによりまして新規宅地造成に係る安全性を従来以上に確保しようとするものでございます。  以上でございます。
  88. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、最後に大臣にお聞きしたいと思います。  そうは局長さんおっしゃったとしましても、そういう危険なところで被災は起こっているのは事実でございます。  それで、宅地造成規制法の目的は、山地、斜面地における乱開発抑制対策と造成される宅地の安全確保だったと私は思います。ところが、国交省の総合的な宅地防災対策に関する検討会報告も、大きな被害は谷や沢を埋めた大規模造成地に集中していると。今回提起する盛土滑動崩落対策もなおまだ検証不十分だと、下流域の被害も含めて盛土造成宅地が大きな被害をもたらすと、しかも被災後の事後対策費が開発費を上回る巨額なものになるということも指摘をしています。つまり、これは山地、斜面地における宅地開発そのものが大きな矛盾を抱えているといういわゆる検討会指摘だと私は思います。  こういう指摘を受けているわけでございますから、この際、危険ないわゆる山地や斜面地での宅地開発そのものをやめることが危険な宅地を生まない最大の保障だと私は思いますが、この点、大臣、いかがですか。
  89. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) この宅造規制法は、先ほど説明がありましたように、むしろ豪雨災害等によるがけ崩れから住民の方々を守っていこうと、こういう趣旨法律が作られたものでございます。必ずしもこの法律が作られた当時は、地震災害に備えるというふうなことで想定したものではありませんでした。その後、阪神の震災があり、また中越の地震があり、専門家の方々の研究が進む中で、やはり地震による地盤災害ということに対する備えというのが重要だということで今回この法改正をお願いをしているところでございます。  昭和三十年後半から四十年といいましたら高度経済成長時期でございまして、都市に人口がどんどん集中してくると、そういう中でそういう若い人たちの住まいの受皿をつくっていかないといけないと、こういうことが極めて社会的に求められた時代であった中でございました。今は人口が減少する時代に入りました。そういう中で、確かに今委員のおっしゃっているとおり、これからの都市の計画、都市計画の在り方を考えますと、やはり危険なところ、危ないところ、そういうところにはやはり住宅を造らないようにしていくというふうな考え方というのは、これからようやく人口が減少する時代の中で私は、日本の国土の中でもそういうことを思考できるような時期になってきたのではないかと思うんですね。  また、今国会では都市計画法の見直しについてもこれから御議論をいただくわけでございますが、そういう大きな変化の中で我が国の都市計画、また国土形成の在り方について是非議論をさしていただきたいというふうに思っているところでございます。
  90. 小林美恵子

    小林美恵子君 終わります。
  91. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上です。  まず初めに、危険箇所の半減目標についてお伺いをいたします。  本法案によりますと、造成宅地防災区域指定のみならず、災害防止措置を講ずる宅地所有者など、積極的な取組が必要となっております。このために、国土交通省は、平成十八年度予算において、大規模盛土耐震化補強工事及び宅地ハザードマップの作成に対する支援、いずれも地方公共団体への補助として国費十一億円を要求しましたが、結果として三億円、うち耐震化補強工事への支援が二億円、宅地ハザードマップの作成支援が一億円が計上されることになりました。  このような金額で十年間に危険箇所の半減が可能になるのでしょうか。また、今後この補助制度を含め支援策を充実をしていくことは考えておられるかどうか、お伺いいたします。
  92. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 御指摘いただきましたように、来年度予算三億円、国費をいただいてございまして、一億円はハザードマップ作成ということで、事業費でいいますと三千万円、それから宅地耐震化のための事業といたしまして二億円、事業費といたしましては八億円、それぞれ十か所程度と先ほど申しましたが、そういうようなことで進めていきたいと考えております。  これは、十八年度、初年度であるということと、それから法が施行されまして半年程度しか時期がないというようなこともございます。また、公共団体等におきましては、十八年度は自ら自分の調査等でもってやっていこうと、本格的には十九年度以降やっていこうというような都道府県等もあるわけでございます。初年度ということで三億円の事業で進めていきたいと考えてございます。  この千か所を十年間で半減させるという目標につきましては、多くの関係者と共有いたしまして、この法律を通していただきましたら、この改正法の適切な運用、そうしてまた、この予算補助制度に加えまして、ハザードマップでもって住民の皆様方に適切な情報開示を行うこと等によりまして、みんなで協力して目標達成に向けて努力をしていきたいというふうに考えております。
  93. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 宅地個人の財産であります。その宅地耐震化補強工事国費を投入するためには、支出に見合うだけの公共性、公益性が必要です。宅地改修工事にかかわる支援措置についてどのような公共性、公益性があると考えておられますか、お伺いいたします。
  94. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 阪神淡路大震災、また新潟中越地震における宅地被災状況を見ますと、大規模盛土造成地滑動崩落等が発生した場合に、盛土の上の住宅等に加えまして広範囲な土砂流動によりまして、道路等公共施設等を含め地域全体に甚大な災害を及ぼし、被害をもたらすということになります。  このような災害に対しましては、個人敷地単位予防対策を行うことは限度があります。また、災害が発生いたしますと、地域復旧・復興には莫大な費用を要することになります。このため、大規模盛土造成地全体の安全性確保することで、広範囲な被害発生を防止するということについて高い公共性があるという具合に考えております。
  95. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 平成十八年度の税制改正要望として、国土交通省は、盛土宅地にかかわる耐震改修促進税制の創設、耐震改修費用の一〇%程度の税額控除を要求していましたが、結果として認められませんでした。これが認められなかったのはどのような理由なのでしょうか。また、既存制度を活用した税制面での対応は考えられておられるのでしょうか。いかがでございましょうか。
  96. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) この宅地改修工事にかかわります税制改正要望は、住宅耐震化工事にかかわる税制要望と一緒になって、我々要求さしていただきました。  この宅地部分につきましては、宅地造成等規制法の一部改正に伴う税制上のこの措置というものについては、今後法案の内容を見て検討するという具合にされております。  具体的に言いますと、この造成宅地防災区域指定されました宅地で実施されます宅地耐震化工事費用等の所得税法上の取扱い、一定の場合の雑損控除の適用等ということになりますが、今後法律が通った後、税務当局に確認していきたいという具合に考えております。
  97. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 よろしくお願いしておきます。  本法案によって指定されました宅地造成宅地防災区域内の宅地所有者等は、擁壁設置、災害防止のための措置を講ずるよう努めなければならず、宅地所有者の自助努力が求められております。  そこで、この本制度の実効を期待するためには、法案の趣旨を広く国民に周知をし、その必要性について十分理解を得ておく必要があると思いますが、どのような取組をしていくのか、またどのような予定があるのか、お伺いいたします。
  98. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 地震が少ないと思われておりました渕上先生の御地元の福岡でも、福岡県西方沖地震発生いたしましたように、全国どこでも地震が起きる可能性がございます。また、大規模な首都直下だとか東海、東南海・南海地震といった大規模地震の起きる可能性も逼迫が懸念されております。このように、宅地安全性確保することは全国すべての地域で喫緊に取り組むべき課題でございます。  特に、谷埋め盛土造成地危険性については十分に認知されてないという場合が多いわけでございます。今後、宅地防災に関する各種の情報地域広報への掲載、ホームページの活用等によりまして幅広く国民に提供し、宅地防災知識の普及に努めてまいりたいと考えております。また、専門家からも分かりやすい形で各種の情報提供がなされますよう関係学会等にも働き掛けをしていきたいと考えてございます。  今回の制度改正につきましても、今後私どもが作成いたします各種のガイドライン等を地方公共団体関係者はもとより幅広く国民に情報提供することで、この新しい造成宅地防災区域制度に関する理解が得られるよう努力してまいりたいと考えております。
  99. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 危険な大規模谷埋め盛土は全国に千か所あると推定をされておりますが、谷埋め盛土以外の危険な造成地についても指定されるのでしょうか。また、地震以外の災害も想定をして指定するのでしょうか。
  100. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 今回の改正法におきます既存宅地の危険な部分、要するに造成宅地防災区域につきましての定義でございますが、宅地造成に伴う災害で、相当数居住者その他の者に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地区域とされております。そういう意味では、必ずしも大規模盛土造成地に限らず亀裂の発達しているところ、溢水等の著しい変状が認められるところ、こういうところは集中豪雨等による災害発生の危険が切迫している宅地等につきましても、造成宅地防災区域指定を行い、必要な防災対策の実施を促すこととしたいという具合に考えております。
  101. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 既に工事が完了し住宅が建設されている造成宅地危険性は外見上簡単には識別できないものと思われますが、都道府県知事は指定に当たって、危害を生ずるものの発生のおそれを適切に判断する技術及び能力を有していると考えていいのでしょうか。指定の責務を負う都道府県、政令都市、中核都市及び特例市に対し、指定基準について説明や助言をする体制をつくる必要はないのでしょうか、お伺いをいたします。
  102. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) 宅地造成の際に必要な防災措置に関する技術的な指針として、現在、国土交通省宅地防災マニュアルというのを作ってございますが、これは阪神淡路大震災後の平成十年に改定いたしまして、宅地耐震確保に関する考え方も既に盛り込んだところでございます。  本マニュアルは、既に多くの地方公共団体等が宅地造成工事許可及び開発許可の義務遂行上、実務的に参考にされてございます。都道府県等の担当者は、既にこうした実務を通じて一定の技術的な知見があると、蓄積があるというように考えてございます。そういうような中で、国土交通省といたしましても、これまでも今回の新しい制度につきまして地方公共団体意見交換をしてまいったり、本省の担当官が各公共団体へ直接出向きまして、各地域状況を踏まえた今後の取組方針等について意見交換を重ねてきたところでございます。  今後、ハザードマップを作成するということ、造成宅地防災区域指定をどうやってやるかというようなこと、これらにつきます適切なガイドラインを作成、通知するとともに、各地整備局とも連携いたしまして地方公共団体等にもそこに入っていただきまして、お互いに啓発しながら積極的な取組ができますよう働き掛けを行っていきたいというように考えております。
  103. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 現行法では、宅地造成工事規制区域内の宅地所有者は、その宅地を常時安全な状態に維持するように努めなければならないと規定をしているのに対し、今回の法案では、造成宅地防災区域内の宅地所有者は、災害が生じないようその造成宅地について擁壁等の設置又は改造その他必要な措置を講ずるよう努めなければならないとしていますが、後者の宅地所有者に対して、より具体的な努力義務を課していますが、この規定を実効あるものにするためにどのような方策を取るようにしているのでしょうか、お伺いをいたします。
  104. 柴田高博

    政府参考人柴田高博君) この宅地耐震化工事等の防災対策の実施に当たって、実効性あらしめるためにどうすべきかということでございますが、一つは、先ほどから申し上げておりますように、来年度予算におきます予算支援の措置、工事を行う場合には公的支援を半分、二分の一の公的支援を行いますということ、あるいは住宅金融公庫融資、こういうものの支援措置を活用して、所有者等によります対策の実施を促していきたいと考えてございます。  また、事業の実施に当たりましては、地方公共団体や当該造成宅地上に存する公共施設の管理者等も含めた形で宅地所有者等の話合いが行われることが期待されているところでございまして、地方公共団体のあっせんなどによりまして公共施設管理者が応分の負担を行うということも想定されているところでございます。  また、その前段としましては、この造成宅地は非常に危ないんですよということをハザードマップ等で住民にきっちり知らしめていくということも、これらが適切にスムーズに実施される前提にあるのではないかというように考えております。  こういうようなことを連携をしながら、関係機関が連携しながら実行に努めていきたいというふうに考えております。
  105. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  106. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  宅地造成等規制法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  107. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、大江君から発言を求められておりますので、これを許します。大江康弘君。
  108. 大江康弘

    ○大江康弘君 私は、ただいま可決されました宅地造成等規制法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     宅地造成等規制法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、全国に約千箇所存在すると推定される特に危険な大規模谷埋め盛土を今後十年間で半減させることを目標とし、次の諸点について適切な措置を講じ、本法の運用に遺憾なきを期すべきである。  一、宅地安全性に係る技術基準の明確化とその信頼性の確保を図ること。    また、地方公共団体による盛土の変動予測調査が適切に行われ、調査結果を踏まえたハザードマップが迅速に作成・公表されるよう、必要な支援を行うこと。  二、造成宅地防災区域指定に際し、盛土面積、宅地形状等の観点を踏まえた災害発生の蓋然性及び公的関与の必要性に係る基準が明確にされるとともに、具体指定に当たっては、当該地域の実情に配慮した対応となるよう、関係者間の意見の調整を図るなど、その環境整備に努めること。  三、既存宅地造成地耐震化工事の実施に向けて、地方公共団体宅地所有者等の間で合意形成が円滑に行われるよう、指針を示すなど必要な指導・助言を行うこと。  四、大規模盛土造成地における滑動崩落防止施設の設計・整備に当たっては、技術面等の必要な支援を行うとともに、その後の維持・管理が適切になされるよう十分配慮すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  109. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいま大江君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  110. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 全会一致と認めます。よって、大江君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、北側国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。北側国土交通大臣
  111. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 宅地造成等規制法等の一部を改正する法律案につきまして本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝を申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。大変にありがとうございました。
  112. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時まで休憩いたします。    午後零時九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  114. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律整備に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  115. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 自由民主党の伊達忠一でございます。  今回提出されました、今委員長がおっしゃいましたように、独立行政法人に係る改革を進めるための国土交通省関係法律整備に関する法律案、これについてお聞きしてまいりたいと、こう思っております。  まず、今回の改正は、平成十六年十二月の今後の行政改革の方針と、そして平成十七年十二月の行政改革の重要方針、いずれも閣議決定でしたものでございまして、小さくて効率的な政府を実現する観点から行政改革の一環として取り組むものであると、こう思っております。そして、十七年度末に中期目標期限が切れる国交省の十一の法人について効率的かつ効果的な運営を図る、行政法人の土木研究等の改正をしようと、こういうものなんですが、具体的には独立行政法人の土木研究所と北海道開発研究所を統合して土木研究所とすると。そして、その役職員の身分は非公務員にするというものでありますし、また一方では、同じ独法の海員学校と海技大学校を統合して、そして海技教育機構とすると。同じくこの役職員の身分は非公務員にすると、こういうことでございます。そのほか、建築研究所ですとか七法人の役職の身分も非公務員にするということでございまして、民間と大いに人事交流をしたり、また外部からのいわゆる血液を注入したりということで、お互いに切磋琢磨していい成果を上げようと、そしてメリットの大きいものにしていこうと、こういう内容のようでございますが、私も正直言ってずっと大臣の下で御指導いただいて、国交省にお世話になっていて、何となくこの改革にはちょっとしんから賛成できないと、こういうところがあるんですが、しかし、私も正直言って小泉政権を支えている与党の一員でございますから、その辺踏まえてひとつ質問をしていきたいと、こう実は思っております。  そこで、まずお伺いしますが、北海道土木開発研究所と土木研究所との統合ということは、どのような経緯でするようなことになったのか、それをまずお聞かせをいただきたいと、こう思っています。
  116. 吉田義一

    政府参考人吉田義一君) 御指摘独立行政法人北海道開発土木研究所は、平成十三年四月からこの三月までの中期目標期間におきまして、本州などとは異なる気象、地質条件下にある北海道における土木技術上の諸課題を解決することを目標に研究を行ってきております。この間、平成十五年の八月一日に閣議決定が行われまして、これは中期目標期間終了時における独立行政法人の組織、業務全般の見直しについてということでございます。この中で、主務大臣独立行政法人の組織、業務全般について極力整理縮小する方向で見直すこととする旨が定められました。  その後、平成十六年十二月十日に、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会から、北海道開発土木研究所と土木研究所との研究業務の一体的実施との方向性が示されました。国土交通省としては、この方向性も踏まえまして、土木研究所及び北海道開発土木研究所の土木研究は、土木技術という共通の基礎の上に成り立っており、研究者の知見の相互交流や研究成果の共有による研究活動の効率化、研究成果の質的向上を図ることが可能であるとの観点から、両法人を統合するとの趣旨の見直し案を国土交通省独立行政法人評価委員会に諮りまして、同年十二月二十日に決定したところであります。  なお、この統合を含みます独立行政法人の見直しにつきましては、同年十二月二十四日に今後の行政改革の方針として閣議決定されております。
  117. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 その総務省の評価委員会たるもの、私は、よく実態を分からないで、似たようなもんだから一緒にすればいいんじゃないかというようなことでこういう勧告を出したんじゃないかなという気がするんですが、実際問題これだけ離れたところで一緒にさして、形だけしてしまって、本当に簡素になるのかということを後ほどお聞きをしたいと、こう思うんですが、私もその辺はちょっと疑問を呈しているところでございます。  そんなことから、特に北海道、この寒冷地、冬は内陸では今でもマイナス三十五度ぐらいになるような地域で、考えられないいろんなことが起きる、そういうものを追求をしていくという研究所でございまして、いわゆる北海道で土木技術に関するこの研究機構は私は重要なものと考えております。  それだけに、この北海道開発研究所は今までどのような成果を上げてきて、北海道に対する、いわゆる寒地地域に対して貢献をしてきたのか、その辺をお聞かせをいただきたいと思っています。
  118. 吉田義一

    政府参考人吉田義一君) 北海道開発土木研究所は、北海道の開発の推進に資する土木技術の向上を図るという使命を有しました寒地土木技術の総合的研究機関でございます。その前身は昭和二十六年七月に発足しました北海道開発土木試験所でありまして、平成十三年四月に独立行政法人北海道開発土木研究所となったものであります。  北海道は東アジアと極東ロシアの接点に位置していまして、先生指摘のように、中心都市札幌でも東京と比較しまして年平均気温が八度低いと、また、雪の量、累計の降雪量が五メートルを超える地域でございます。  このように、本州等とは異なる気象、地質条件下にあります北海道におきまして、地吹雪による視程障害でありますとか春先の融雪出水、流氷や結氷、泥炭性軟弱地盤による不等沈下など、道路、河川、港湾、農業、水産といった多岐の分野にわたります研究を実施しまして北海道開発に大きく貢献したものと考えております。  具体的には、泥炭性軟弱地盤上での建設工事の設計、施工などに関します指針やマニュアルの取りまとめ、また、吹雪による視程障害や吹きだまりによる交通事故を防止するためのマニュアルを取りまとめるなど、本州等とは異なる気象、地質条件の北海道におきます社会資本整備の推進に寄与してきたところでございます。
  119. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 今局長お話しされましたように、大変大きな成果を私は上げてきていると、こう思っております。そして、これは何も国土交通省にかかわることだけではなくて、いわゆる北海道農業という、食料を安定的に供給する北海道の食料基地としてのそういうような役目の研究もしているわけでございますし、今おっしゃったように、評価委員会の分科会でも大変高く評価をしているということでもございます。それだけに、評価委員が恐らく一名多いんですかな、たしか九名という分科会のそういう体制にもなっているということだと私は思っております。それだけやはり、何というか、重要性が大だということの私は一つの現れだろうと、こう思っているんですが。  そこで、皆さんのところに写真の付いた資料を配付してございますが、(資料提示)これは御存じのように、平成八年の二月に、真冬ですが、豊浜トンネルで、積丹の方で、いわゆる千百立米というんですかね、想像できないんですが、三万トンという、この左側のこの黒い石の部分が、これが真っすぐそのトンネルの真上を突き破って下に落ちたということでございます。考えられない事故。そして、そこに通っていた乗用車二台、そしてバスの真上に落ちて十九人が亡くなって、そして乗用車に乗っていた一人が亡くなったと。そして、数人がけがをしたということなんですが。  これは、いろいろとこれだけの実績のある北海道の研究所で究明をしてきても、これというきちっとしたその原因の究明ができないままに終わったんです。私も当時道会議員だったものですからすぐ現場に駆け付けてみたんですが、それはそれはもうとても専門家がびっくりしているという事故でございました。いわゆるその岩と岩との間に溶けて水が流れる、そしてまた、さっき言ったようにマイナス何十度としばれるものですから、今度はまたしばれる、そうするとまた溶けるという繰り返しで、それがすとんと落ちてしまったという事故なんですが。  その研究所の今の方々、私もよく承知をしているんですが、合併をする、統合することによって勇退をするんですが、このしっかりとした原因究明がやっぱり何となくできなかった、できないで去るというのが誠に残念だと。おおよその見当付いている。学者の皆さん方が、もう本州からも随分権威のある人たちも来ていろいろと調査していただきましたが、まだはっきりした結論出ていないんですが。  そういう、まだまだやっぱり究明していかなきゃならない、そういう重要な研究所であるのに、これをつくばの土木研究所と一緒にしてしまうということでございますので、これは統合するわけですね。するということになって今後の要するに寒地に対する研究の必要性はどのようになっていくのか、また私は北海道のこの寒地の研究が後退をするんではないかというような懸念をするんですが、この辺はいかがでございますか。
  120. 吉田義一

    政府参考人吉田義一君) 先生指摘の豊浜トンネルの事故でございますけれども、懸命の救出活動にかかわらず、二十名の方が亡くなりました。大変残念なことでございました。  この事故の原因等でございますけれども、これにつきましては、当時の事故調査委員会からもテストフィールドでの長期のモニタリングの必要性についての提言を受けまして、北海道の厳しい気象、それから地象条件下にある岩盤の挙動を的確に把握するための計測機器でありますとか、調査手法の開発あるいは岩盤の内部の挙動の検討、こういうところについて提言も受けまして、今更に調査検討を進めているところでございます。  こういうことを進めるための御指摘の今後の北海道開発のために必要な調査研究体制でございますけれども、これにつきましては北海道の気象、地質条件を踏まえて研究を実施する方が効率的であること、さらに北海道開発行政との緊密な連携の下、研究開発や技術指導、災害支援を実施する必要があることから、統合後におきましても北海道の現地に寒地道路や農業基盤に関する研究組織を存置することとしております。  さらに、今般の土木研究所の統合によりまして、一体的な技術指導や成果の普及、さらに、積雪寒冷地という地域特性に応じた凍結路面でありますとか圧雪路面に関します効率的な研究開発など、一層の研究活動の効率化、研究成果の質的向上を図ることが可能と考えておりまして、更に努力してまいりたいと思っております。
  121. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 効率的な研究が可能ということなんですが、先ほど私もちょっと冒頭申し上げたように、例えば普通我々が民間的な感覚で考えると、統合するということは、例えば二か所に事務所があって、統合することによって一か所の夜勤で済むとか、例えば人員をかなりリストラできるとか、お互いに、こっちでない技術をこっちで持っているから外注しなくても統合することによって自前でできるとかというようなことが普通は我々考えられる統合ということだと、こう思うんですが、今局長言ったように、効率的なということになると、今度一緒になると言わば本社が土木研究所に変わるわけですから、名称も。  そうすると、本社がという言い方、企業でいうと、分かりやすく言うと、本社がつくばであって営業所が北海道だと、こうなるわけですね。そうすると、今まで北海道の開土研で、いろいろと自分の研究所で物事を決めていろいろとやれてたことが、今度は一々本社に伺いを立てて、いわゆる本社的な役目をする理事長がいるところに伺いを立てて、そしてやっていかなきゃならぬ、打合せしなきゃならぬということになると、これはちょっとやっぱり事務的にも相当私は量も増えるだろうと、こう思いますしね。ですから、それがかえって複雑になって仕事が増えるということは、簡素で効率的な行政ということに局長これならないんじゃないかということに、私はこう思うんですけれども、ただ二つを一つにしたというような感じかなと、こう思うんですがね。  そんなことから、いわゆるいろんな大規模地震だとか何か災害が発生するこの背景として、国民の間で安心、安全というものが、そのニーズが非常に特に高まってきていると私は思うんです。そういうことから、土木研究所と北海道開発土木研究所のその安全、安心に関するこれからの研究等の推進状態と今後の見通しというのはどういう具合になっていくものですか。
  122. 春田謙

    政府参考人春田謙君) 今先生指摘のように、いわゆる大規模地震につきましては、世界で発生している数の二割が我が国で発生しているというようなところでございますし、また最近は、台風、集中豪雨、あるいは降雪というような被害も頻発をしているわけでございます。  こういう我が国の状況を踏まえまして、土木研究所及び北海道開発土木研究所では、地震による災害、あるいは土砂の災害、氷雪の災害、こういったようなものに対して、国民の安全を図る観点から研究開発を重点的、集中的に実施をしてきたところでございます。  具体的には、例えば土木研究所では、土木構造物の経済的な耐震補強技術に関する研究によりまして、道路橋あるいはダムなどの土木構造物に対する耐震設計法、補強法を開発をいたしまして、また、のり面、斜面の崩壊軽減技術、こういったものの高度化の研究によりまして、斜面の高度な監視手法を開発をすると。こういった成果を技術基準等に反映させていくと。こういうことを通じまして安全性の向上に寄与してきているところでございますし、北海道開発土木研究所では、氷雪災害による重大事故防止に関する研究によりまして、吹雪による道路視程障害、あるいは雪崩による重大事故の発生メカニズムを総合的に検証いたしまして、その成果を防雪さくなどの吹雪対策に反映させているというようなところでございます。  今後とも、両研究所統合ということで、北海道についてはいわゆる北海道の特殊な自然環境というものもございますので、北海道において研究所を設けるという、そういう体制を取るというところでございますけれども、そういった体制を取りながら、統合した土木研究所におきまして、いろいろな土木技術という共通の知見というものを共有しながら、更にそういったものを発展させる形で、自然災害等の防止に必要な研究開発を重点的、集中的に実施をいたしまして、優れた成果の創出によりまして、安全、安心な社会の実現に向けて貢献をしていく必要があるというように考えております。
  123. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 であれば、私はそこをむしろ一層自主性を持たせて、更に強固な独立した形にしてあげるということが、むしろ簡素で今官房長が言った目的が達成する私は近道でないかなという気がするんですが、これは一応そういうことでとにかく統合をして、できるだけデータをお互いに共有し合って、そして協力し合ってと、こういうことだろうと、こう思っております。  そういうことから、私はこの研究所というのは非常に日本にとっては大事な私は役目だと、こう思っているんですが、いわゆる、今まで両研究所とも自分たちの目標また課題について大変な努力をしてきていると、こう思うんですが、研究費の推移なんていうのはどうなってきているのか、それから今後どういうような考えを持っておられるのか、お聞きしたいと思います。
  124. 春田謙

    政府参考人春田謙君) それぞれの研究所の研究費の関係でございますけれども、まず土木研究所につきましては、研究費に充てます業務経費、受託研究経費、これにつきまして、現在の中期目標期間というのが平成十三年度から十七年度の五年間でございますけれども、ほぼ毎年約三十二億円というような金額で推移をしてございます。  一方、北海道開発土木研究所の研究費に充てる業務経費、受託研究経費につきましては、平成十三年度、約二十七億というところでございましたが、途中はいろいろ前後しておりますけれども、平成十七年度、約二十億ということで推移をしているところでございます。  今後につきましては、国の財政状況は非常に厳しいところではございますけれども、業務の効率的な実施を図っていくという中で、安全、安心の確保といった国民のニーズ、あるいは社会的要請の高い課題については重点的、集中的に研究開発を実施をしていくという必要があるものと考えております。
  125. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 そうすると、要するに、北海道の開発土木研究所については、十七年から二十については、七億です、三億ですか、二十億ですね。
  126. 春田謙

    政府参考人春田謙君) はい、二十七億が二十億……
  127. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 二十億に。七億ですね、七億が削減になっていると、こういうことなんですが、私は、よく言われることに、この日本というのは資源のない国だと。要するに、すばらしいのは日本のこの知恵と能力だと、こういうことをよく言われて、それで、アメリカだとかああいう欧米というのはもうそういうものにすごく金を掛けていくんですね。ですから、日本人の優秀な人がみんな向こうに研究に行って、そして成果を上げて、ノーベル賞を取って、それがいろんな薬なんかの開発の場合は、それが薬品になって産業になって雇用が生まれてと、こういうことなんですが、私はやっぱり、この日本というのは研究費をへずっていっていいのかなという気がするんですが、これやっぱりもう少し私は研究費増やしていただきたいと、こう思っている一人でございます。むしろ削るよりも増やしていっていただきたい、そして研究をやっぱり充実していっていただきたいと、こう思うんですが。そうするといろいろと、今度独立行政法人になって、いろんなことをお聞きしますと、独自にいろんなことが、採用も独自でできる、人減らしも独自でできる、それから、いろんな情報を集めていろんな研究のデータにしようとするといろんな人との付き合いも広くなる、業者との付き合い、会食なりゴルフも場合によってはやることになってくるでしょう。  そうすると、ちょっと人事院に聞いたところによると、公務員倫理法というのは全く該当しないんだと、こういうことなんですね。まあある面で私は非常にいいことだと、こう思っています。あれを僕は、倫理法というのはどうしてももう少し緩やかにしていかなきゃならぬ、あれは、まあ後から、議員立法だったんですが、そうしようと、こう思っているんですが。そういうようなことはいわゆる公務員倫理法のあれは該当しないんですか、これは。
  128. 春田謙

    政府参考人春田謙君) 国家公務員倫理法の適用関係でございますけれども、いわゆる独立行政法人の中で、今回、いわゆる非公務員化ということに伴いまして、国家公務員倫理法の適用からは外れることとなります。  ただ、国家公務員倫理法の中で、同じ法律の中の条文で四十二条というのがございまして、いわゆる倫理の保持のために必要な施策を、この非公務員化された独立行政法人につきましても、そういう施策を講じなければならないという規定がございまして、それぞれの法人で自主ルールの作成など、所要の措置を講じるということになってございます。国におきましても指導監督をしてまいりたいと考えております。
  129. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 そうすると、ある程度は該当、どういう具合に使っていくかということでしょうけど、やはり人件費だとかなんかというのは、これは税金から出ていっているわけです、交付金で出ていっているわけでございますから、全く本当の民間だというような扱いにしちゃっていいのかどうか。  この辺も、やっぱりちょっと行政の縦割りということがあるんでしょうが、私もちょっと人事院に聞いたら、いや、もう自由ですと、飲んでもゴルフやっても。そうしたら選挙運動もいいんですねと言ったら、いや、いいんですと、こう言うんですね、選挙運動もやっていいと。じゃ、いろんな業者はもちろん、機械を納める業者とかなんかいるでしょう、そういう人とのあれというのは、仮に癒着があって好ましくないことになったら贈収賄的なものも適用されないんですねと、こう言ったら、そうですというような言い方をするんですね。ただ、これは正確には法務省の方に聞いてくださいというような言い方をしておりました。  だけど、その辺がどうも役所、まあ準役所だと思うんですが、納得のできない、ちょっと中途半端な形だろうと思うんですが、やっぱりきちっとその辺はしないと後々やっぱり私は問題が起きると、こう思いますので、是非お願いをしたいと、こう思っております。  そこで、ちょっと時間なくなってしまったんですが、最後に大臣にお聞きをしようと思うんですが、安全、安心に関する研究や技術指導を始めといたしまして、土木研究所と北海道開発土木研究所が実施しているこの業務は非常に公共性の高いもので私はあると思いますし、その公正中立な、かつ高度な判断が私は必要と考えるんですが、非公務員になった今、お話を、官房長とやり取りをしたようなことを踏まえて、業務に支障が生じることはないんでしょうか。その辺をお聞きをしたい。大臣、お願いします。
  130. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 土木研究所と北海道開発土木研究所、この法案が通りましたならば統合をするということになるわけでございます。  しかし、今後とも、非公務員化されるとはいうものの、公益性また公共性の高い研究開発また技術指導を行っていくということは、今後ともこれは変わりはございません。これからもそういう役割を担っていただかないといけないわけでございます。  ちょうど十八年度から新しい中期目標の設定をし、そして新たに中期計画が策定をされるわけでございます。その中で、そうした今後とも公益性、公共性の高い研究開発等につきまして、しっかり明確に定めていきたいというふうに思っているところでございます。  それと、非公務員になるものの、役職員につきましては秘密保持義務を課すことになっておりますし、それから、みなし公務員規定が設けられておりまして、刑法その他罰則の適用に関しましては公務に従事する職員とみなすというふうに今後ともなっておりまして、公正中立な業務運営の確保は図られていくものというふうに考えております。  特に、災害があったときに、土木研究所であれ、また北海道土木研究所であれ、大変貢献をしていただいているわけでございますが、その災害時の対応につきましては、これからも災害対策基本法の指定公共機関に定められておりまして、防災業務計画に従って災害時の対応を行う責務を両研究所は有しているわけでございます。また、国土交通大臣は、災害の発生その他特別の事情によりまして急を要するような場合には、研究所に対し必要な業務を実施すべきことを指示することができるというふうになっておりまして、これはもう変わりありません、災害時の対応につきましても、今後とも的確に行えるものというふうに考えているところでございます。  これからは、非公務員化なりましたら人事交流が活発に行えるようになるわけでございまして、災害対応を含めた技術力の向上が図られていくものというふうに期待をしているところでございます。
  131. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 ありがとうございます。  是非ひとつ支障のないようにお願いしたいと、こう思っております。  海員学校だとか海技大学校のことなんかも通告してあったんでございますが、時間でございます。誠に申し訳ございません、終わらさせていただきます。ありがとうございました。
  132. 田名部匡省

    田名部匡省君 民主党の田名部匡省でございます。  一年ぶりに質問するので、もう何をやるかよく分からないで質問することも多いと思うんですが、よろしくお願いをしたいと思います。  私は改革論者でありましてね、農林大臣二期やらせていただいたときも、農協の合併と漁協の合併をやれと、農家を食い物にしちゃいかぬということから、いろんなことをやりました。まあなかなか難しいものでありますよ、相当の覚悟を持ってやらぬと。そういうことから、今の日本を見ておって、少子化がどんどんどんどん進んで、高齢化が、有り難いことに、人生わずか五十年と言った、昔は、もう八十、九十が当り前になってきた。そこで、今、国会でも一体この財源の問題どうするかということになっているわけですね。  私は、石油公団合併、廃止するときに、行政監視委員会で石油公団総裁と二回やりました。とうとう公団がなくなって合併しちゃったんですね。その次やったのはODAの問題で、田中眞紀子大臣のときですけれども、中国になぜ毎年二千億も援助するんだと。あの国は五百億あっちこっちへくれている国だよといってODAが、一兆円のODAが九千億になったでしょう。その次、北朝鮮の米の問題やりました。毎年、米送ってやりましたよね。送ってやるということはね、向こうで調達しなくて済むんですよ、ただですから。その金が余っているはずだと、何に使っているんだと言ったら、調べようがありませんと言う。テポドン造ってこっちへぶっ飛ばしてきたんじゃねえかと。  そういうことを考えて、いろんなことをやっていかなきゃならぬ。その中の私は一つがこの特別会計だったんですよ。もう余りにも無駄が多過ぎるということで石油公団に取り組んだときは、堀内さんが通産大臣でした。まあとにかく無駄が多いということは、あの人も事業家ですからね、分かって、もう意気投合してやっちゃったんですよ。それは、国民が郵便貯金預けたり簡易保険預けると、まあ小泉総理は民間にしちゃったけども、その金が特殊法人会計として貸し付けられておったんですね、資金運用部に預託したものが。その総額が二百兆円ぐらい当時あったんですよ。  そのときに私は、いずれにしても、どういう形を取ってみても、今またいろんなことを今提案になっていますけども、そこに国民の税金を投入しないで、もう全く民間としてやるというのなら、私は大賛成であります。何をやっても、やっぱり国が融資をしたり出資をしたり、いろんな形でやっていくわけですね。結局は国民の負担になっているわけです。ただじゃないんですよ。最後のツケは全部国民が負担した金があっちこっち回って使われて、中には赤字を出したり、いろんなことをしていると。こういう感覚を持ってやると、やっぱり特殊法人というのは私はもうどんどんどんどんやめていった方いいという考え方で前にその問題取り組んだんですね。  道路公団もやりました。まあとにかく、この本四架橋、委員長のときに私は皆さんと一緒に視察に行ったことあるんですよ。神戸から淡路島へ渡って、皆さん記念写真写していたから、私はあそこに行って一分間に何台通るか数えてた。七台でした。それから、アクアライン。堂本さんの応援の帰りにあそこ通ったんです、私は。私の前二台走って、後ろを見たら一台しか来なかった。それで、国会へ来て一体どのぐらい通るという計算だと。一分間に百台とか何とか言ってましたよ。そうして、その赤字をみんな国民が負担しているんだ。ただというのはないんですよ。それ言うとみんなびっくりしているんです。  宮澤さんのときでしたか、私、国の借金が全体で幾らありますかと言ったら、五百何十兆円です。冗談じゃないって。大きな会社連結決算やるんですと、貸した先赤字出しているでしょうと、皆、やってみてくださいと言ったら、九百何十兆円になりましたよ。それで、青森県議会行って県は幾ら借金あると言ったら、一人八十二万と。八戸市は幾らあると言ったら、七十二万。一人一千万借金しているんだよと、うちへ帰って何人家族か足してみてくれと言って。しかも、毎年四十二兆円からの借金をして予算組むでしょう。これいつ返すか分かんないんですよ、だれも。六十年利息払って返し終わるんだって、今年の分は。来年借りたら来年から六十年。おぎゃあと生まれた赤ん坊が六十になったとき、今年の我々が審議しているこの予算の借金がなくなることをやっているんですよ。それで、片方では少子高齢化、少子高齢化って言う。その時代にどうするかということをきちっとやっぱり持ってやっていかないと。  そういうことで、私は特別会計というのは本当に必要なのかどうか。中には必要なものあると思いますよ。しかし、なるたけはもうそういうものをやめていくということが私は一番大事だと、こう思ってやってきました。いずれにしても、どんなところに、この法人に貸しても何しても不良債権がたまって借金だらけになると、最終的には国民がまたこれを負担しなきゃなんないでしょう。こういうことをやってて本当にこの国もつのかなと。  田中角栄先生、列島改造論のころですね、私は当選して間もなくのころで、もう感激しましたよ。やっぱり地方を良くしなきゃという、あの人は物すごい発想を持っておった。都会よりも地方だと、そういう理念を持ってあれだけのことをやったというのは、私は今もって、本当に地方にとっていいことやってくれたなと。  今だってそうですよ。東京は景気良くなっているかもしれぬけれども、私の青森県へ行ってみてください。毎年五百人自殺しています。シャッターは閉まるし、顔を見ると、仕事ない、仕事ないとみんな泣き入れてきますよ。こんな不況にして、この中でも地方出身の人たちもおると思うけれども、良くなっていないでしょう。  そういうことをいろいろ考えながら、国土交通委員会としても、本当に必要なものは私はどんどんやっていいと。なるたけ無駄なものを廃止していく。かつて私は静岡空港反対、やってきました、あそこへ行って。何も高速道路、新幹線、空港、羽田すぐそばにあるのに、ここに何で空港必要だと言って。まあ造っているんでしょう、恐らく。土地収用法掛けなきゃやれない土地が一杯ありましたけれども。  ですから、今後、やっぱり公共事業はやるなとは言いませんけれども、本当に何が必要かというこの重点をきちっと決めて、私はやっていくべきでないかと、こう思うんですが、大臣、まず御所見をお伺いしたいと思います。
  133. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 我が国にとりましては、財政を健全化していくというのは、今、田名部先生おっしゃったように、もう私は本当に至上命題。我々の時代じゃないんですね、本当に次の世代、次の次の世代のことを考えて、財政負担をできるだけ軽くするようにしていくことが今の世代の私は大きな役割だと、私も思います。したがって、財政健全化に向けて歳出改革をしっかりとやっていかねばならないというふうに思います。  公共事業も例外ではございません。公共事業につきましても、これまでも抑制をしてまいりました。ピーク時の今はもう半分ぐらいの量になっているわけでございますけれども、それだけに、優先順位というものを明確にしながら、やはり必要な事業というのはありますので、優先順位を明確にしながら、重点化しつつ、またコストを抑制をしつつ、必要な事業はしっかりとやっていきたいというふうに考えております。
  134. 田名部匡省

    田名部匡省君 そこで、一般会計は分かっていますけれども、この特殊法人等、こういう特別会計の予算というのはどのぐらいあるんですか。
  135. 春田謙

    政府参考人春田謙君) ちょっと済みません。今、ちょっと数字の方、持ち合わせていないものですから、ちょっと今、持っているものでちょっと確認しておりますので。
  136. 田名部匡省

    田名部匡省君 まあ後で結構ですから。  特殊法人から、いろんなものあるわけですから、そっちの方がどのぐらいの予算で、どうなっているのか。恐らく、一般会計より相当多いはずですよ。特別会計、幾つありますか。特殊法人、まあ公益法人もありますが。
  137. 春田謙

    政府参考人春田謙君) 私ども国土交通省の所管の特別会計でございますけれども、全体で、道路特会、治水特別会計、港湾整備特別会計、空港整備特別会計、都市開発資金融通特別会計、自動車損害賠償保障事業特別会計、自動車検査登録特別会計、七特会でございます。
  138. 田名部匡省

    田名部匡省君 七特会でどのぐらいになりますか、金額は。
  139. 春田謙

    政府参考人春田謙君) ほぼ五兆七千億。まあこれは十八年度の歳出予算の額でございますけれども、ほぼ五兆七千億というオーダーでございます。
  140. 田名部匡省

    田名部匡省君 かつて私が堀内さんとなんかやったころ、特別会計はあのころで三十一ぐらいあったと思いますよ。それは保険料や目的税、年金、医療、そんな事業収入を主な収入源としてね。その三十一の特別会計は予算でその当時三百八十七兆円。まあ特別会計間のやり取りもありますけれども、一般会計の当時二・五倍ぐらい特会の方があったんですよ。今も余り変わらないですか。
  141. 春田謙

    政府参考人春田謙君) 済みません、ちょっと全体の数字を持ち合わせておらないものですから、申し訳ございません。
  142. 田名部匡省

    田名部匡省君 北側大臣、どうですか。
  143. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) ちょっと数字は私も持っておらないんですけれども、大幅に、今、田名部先生がおっしゃった時代に比べますと、歳出の規模も大きく減っているというふうに思っております。
  144. 田名部匡省

    田名部匡省君 一つ一つやっぱり各省で全部きちっとやってもらって、我々に提示をして、で、我々がどこを廃止していくか、どこを削減していくかということをやらないと、予算は衆議院だ、決算は参議院だって、私は、あの当時、同じことをやるなと、本会議場で言ったはずですよね。衆議院は予算をやりなさいと、参議院は徹底的に決算をやると、こういうふうに分けるべきだということを当時あの本会議場で言ったことあるんですよ。で、小泉総理、あんた、踏んだりけったりという言葉があるが、その後何と言うかは知らないが、あんた知っているかと。国民が納めた税金をあっちこっちに貸してあって、赤字を出して、これにまた補助金を出す法案が出てきたと。  いずれにしても、私は不思議に思うんだけれども、国会というのは四十兆円も、幾らも借金しても担保要らないんですよ。私は事業をやったことあるけど、毎月の支払に困って、借りに行くと貸さないと言って、乗用車を売ったりゴルフの会員権売って資金調達してやったという経験があるんです。ところが、国会というのは、もう四十二兆円も借金するのに、担保はないから、私は本会議場で言っているでしょう、国会議員も今度借金するときは家屋敷担保にしてくれと、賛成するかと、あんたたちは。足りない分は国家公務員も家屋敷担保にして毎年の借金をやるということを私は本会議場で言ったことありますけどね。  いずれにしても、小泉総理、昔は私は派閥一緒で、高輪宿舎の三階に一緒に住んでいたんですから。そのころからよく知っていますけれども。いずれにしても、本当にもっと困っている国民のことをよく考えて、行政がやらなきゃ。  私はおかげさまでオリンピック三回行きました。世界選手権五回、全日本の監督もやらせていただきました。どうも、スポーツやって国会来たら全然違うんですね。基本をしっかりやったんです。ところが、国の基本があっち行ったりこっち行ったりするでしょう。それから、上手なのと下手なのと一緒にチームつくっていますから、上手な選手は下手な選手を一生懸命かばって、敵に追っ掛けられるとパスをもらいに行って攻撃したもんですよ。まあ、これがないんだ。しかもルール守ってやるでしょう。政治家になったらルールがないところで試合やっているような気分がして、もうちょっとやっぱり国民に政治家の姿勢をきちっと見せると、このことは大事じゃないですか。  私は、本当にこの国心配していますよ。子供たちまで犯罪を犯す。どうです、事件と事故の多いこと。そういうことの方が、予算の審議も大事ですけれども、根本的に我々はこの国をどうするかと、こういうこの理念とあれをきちっと国民に示してまじめにやるということでないと、みんな国会議員がやった後始末みたいな処理をあんた秘書だとかみんなが責任かぶってやってるでしょう。まあ、もう法案と別の方へ行っちゃったけども。ただ、基本がそういうところにあって、何でもやらないと駄目だという思いがしておるんです。  大臣どうですか。大臣は、そういうのは哲学も理念もしっかり持っておやりになっているから、留任させられて頑張っているんだろうと思うんでね。私の考え、おかしいのかどうか、意見あったら言ってください。
  145. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 政治に携わる者、また行政の幹部として国民に奉仕をしていかないといけない者、いずれにしましても、私は、一つ一つの政策も大事ではございますけれども、やはりビジョンといいますか理念といいますか、今委員のおっしゃった哲学といいますか、そうしたものをしっかり持っていくことは本当に大事なことだというふうに思います。  今、社会が非常に価値観が多様化している時代ではありますが、そういう中にあっても、やはり政治家の目指すべきものというものはそんなに難しい私は話ではないというふうに思っておりまして、それはやはり我が国の、また我が国国民の幸福をどうつくっていくのかというところがやっぱり政治の原点であるというふうに思っているところでございまして、そのために何ができるのか、何をするのかということが大事だというふうに思っております。
  146. 田名部匡省

    田名部匡省君 そこで、今回のこの法案でありますけども、非国家公務員にしますよということを言っているわけですけれども、非国家公務員になってもみなし公務員でありますから、退職金はすべて通算になるわけですね。どうですか。
  147. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 今回の制度改正によりまして、独立行政法人について非公務員化を行うということでありますが、併せて退職金については法令上の手当てを行いまして、公務員時代、それから非公務員時代、これを通算をいたしまして、実際に独立行政法人をお辞めになる際、当該独立行政法人の規定に従って勤続年数に対応したものをお支払いすると、そのような取扱いをやらせていただいております。
  148. 田名部匡省

    田名部匡省君 退職金も恐らくもうそれ全部通算になっていくわけですから、これ一体何のために非国家公務員化するのかよく分かんないんですよ。このまま置いておきゃいいじゃないですか。おまけに、人件費は全額これ税金から出るわけですから、本当に見せ掛けの今回の政府のこの提出法案でないかと私はずうっと思ってるんです。何が変わるのかというのはぴんと伝わってこないんですけども、どうですか。
  149. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 今回、独立行政法人について非公務員化の取扱いをさせていただいておりますけれども、制度的な違いということについて少し個別にお話をさせていただきますと、まず独立行政法人で公務員型と非公務員型、どこがどう違うのかということでございますが、一つは、まず労働基本権に関しまして、公務員型に比べ非公務員型は争議権を持つ形になる。それから、給与、退職手当、採用あるいは民間との交流でございますが、これは公務員型につきましては、国家公務員法あるいは国家公務員退職手当法その他法令に基づいて規制されておりますけれども、非公務員型でございますと、当該管理者の定める個別の規定に基づいて比較的弾力的に対応することができる、そういった違いがございます。また、雇用保険につきましては、公務員型では加入不要ということですが、非公務員型につきましては雇用保険法あるいは労災保険法といったようなものに加入していただくという形になります。  こうした違いは実際の業務運営にどのように現れてくるのかということでございますけれども、私ども実際に今回の独法の業務を運営するに当たって、やはり独法の仕事、大きな部分は人で支えられている部分がございます。その人の運用、処遇といった点につきまして、今回の非公務員型への移行によりまして、そのそれぞれの独法の果たすべき目的に従った弾力的な採用、あるいは様々な人事交流といったようなものを今回この非公務員化によって実現できることになると。このことが、逆に言えばこれまで以上に独法が本来果たすべき使命を果たす上で、いわゆる一番大切な財産である人事運用に関して、様々な知見を外部から、あるいは自らの職員の人事能力を外部に発信すると、そういった弾力的な対応ができるようになるということが極めて大きな要素であるというふうに考えております。
  150. 田名部匡省

    田名部匡省君 まあよく分かりませんがね。何か無理してやってるなという感じがするんですよ。役所より民間の方いいというなら完全に民間にしちゃえばいいんじゃないですか。何か民間でもない役所でもない真ん中くらいに置いといて、やる方だってすっきりしないんじゃないですか。  さっき言ったでしょう。何に金が掛かっても国民が負担してるんですよ。その人たち、あなたたちのようないろんな特例があって、恩典もないし、そういう人たちから見たら、何でこんなことくるくる回してやってるんだろうなと、ぐらいにしか分かりませんよ。これがやれば仕事が倍進むんだというなら別ですけども、どうもいまひとつ僕はここへぴんと来ないんです。  これからもこの独立法人というのをどんどんどんどん、こっちが余ったなといってつくって増やしていくんですか。いっそのこと民間にしちゃえばいいんじゃないですか。本当、中途半端なまねして。国民が負担しないんならいいんですよ。どうですか、もういっそこんなのやめて、民間でできることは民間の人たちに頑張れ、やれと、こう言った方が、こっちで税金払ってこっちでもらってるみたいなことやってるからおかしいと私は言うんです、一般の国民から見れば。そう思いませんか。
  151. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 今回の独立行政法人に関しましては、従来いわゆる国の仕事としてやってきたものを、これからは民間のマネジメントの在り方、そういうようなものを活用しつつ、より効率的な、あるいは弾力的な、ニーズに対応した弾力的な経営ができるような、マネジメントができるような形でそうした組織体制に改めていこうということで、元は国の仕事を民間のマネジメントの技術を取り入れた新しい組織形態として組み替えたものが独立行政法人でございまして、何もないところから半分、その民間だか役人だか分からない中途半端な組織を何もないところで一生懸命つくったというようなものではございません。  したがって、今後独法というのがどういう形になるかということは、まさしく国の業務というのをできるだけ民間にやっていただくと、あるいはやれるものはやっていただくと。また、今回の独法の試験研究法人等々ございますが、なかなかやはり民間として経営が成り立つには事業採算性が取り得ないというような業務、こういうものについても、先ほど申し上げましたように、非公務員型というような形での独立行政法人にすることによって、よりその人的な能力を最大限活用して効率的な業務の遂行ができると、そういうようなものがこれからあり得るとは思いますけれども、要は元々国の仕事でやっていたものについてどういう組織形態が、先生おっしゃるように国民の負担というものを軽くする意味で、できるだけ無駄を省く、あるいは効率的に国の仕事をやっていくという意味でこうした組織形態を御提案させていただいておるということでございます。
  152. 田名部匡省

    田名部匡省君 何か聞いているとだんだん分からなくなってくるんですよ。マネジメントがどうの、民間の効率的な部分を取り入れてと。やっぱり駄目だったということでしょう、あなた方が今までやってきたのが。効率的でなかったんでしょう。そうじゃないですか。いや、今私が聞いていてそう思ったもの。民間のマネジメントを取り入れたり、民間の効率的なこともやってと。民間の方がよほど良かったということになっちゃうんですよ。それならばもうこんな特殊法人だの公益法人なんていうのはやめて、民間に任せりゃいいというだけの話だというふうに思うんですが、そう感じませんか。
  153. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) ちょっとマネジメントという言葉があれだと思いますが、国家公務員、いわゆる公務員型というのは、それなりの法令によって組織の運営管理について一定の法令上の縛りがございます。その縛りの中でどれだけ業務を効率的に進めていくかという部分については、ある程度やっぱり法令上の縛りの限界がございます。  民間のマネジメント、つまり組織の管理ということを考えていただきますと、やはりその組織に属する人材の能力を最大限活用すると、あるいは組織に足らざる外部からの人材能力を受け入れていくと、そういうことを弾力的にやって組織全体としての成果を上げていくというのが民間の管理の手法だと思います。そういうものを公務員型のままではダイレクトには導入しにくいと。したがって、今回非公務員型という形にして、より民間型の管理手法というのをいわゆる今まで国がやっていたような仕事についても取り入れる道を開くと、こういうことでございます。
  154. 田名部匡省

    田名部匡省君 分かりますか、皆さん、聞いておって。もうさっぱり私、ああ、そうかという胸を打つような答弁が聞こえてこないんです。何かいろいろ世の中厳しくなって、こっちは減らしてそっちを増やして、もう何とか仲間を残したい、残したいという、そんな感じしか受けないんですね。さっきから言っているでしょう、民間にした方が効率的で自由にやれて、それでいくんだと私は思うんなら分かるけども、何か答弁聞いていると、そっちでもない、こっちでもない。(発言する者あり)いやいや、皆さん、聞いていて、いやそうだと、こう思いますか。私だけかね、思わないのは。
  155. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 公務員か民間かという分け方を今先生ずっとおっしゃっておられるんですけども、例えば公共性のある仕事、公益性のある仕事を民間の方々がやっている場面というのは非常に多いんですよね。営利か非営利かという問題と公益性があるかないかという問題とはこれまた別の問題だと私は思っていまして、そういう公益性、公共性がある仕事はみんな公務員がやらないといけないという考え方は恐らく違うんだろうと思うんです。  公益性や公共性がある、国民や市民住民にとってプラスになる、多くの方々にとってプラスになる仕事、そういう仕事をすべて公務員が担っていくという時代ではなくて、もちろん公務員の方は担うわけでございますが、公務員でない方も公共性、公益性のある仕事を担っていただく、やっぱりそういう時代にこれからしていかねばならないという考え方まずあるんじゃないかと思うんです。  例えばNPOなんて最近出てきてますけど、昔そんなのはなかったですよね。NPOというのは民間ですけども、民間側でございますけども、公益的な業務、公共的な業務をしていこうということでNPOができ上がってきましたですよね。というのは一つの私は例だと思うんですが。  従来公務員がやっていた仕事の中で、これからもやっぱり公共性、公益性があるけれども、公務員という身分ではなくて別の非公務員という身分になっても、またそういう、今回でいいますと独立行政法人という組織で非公務員になったとしても、公共公益的な仕事を、これからも重要な仕事をやっていただくということでございまして、そうすることによって、何か公共公益性のあるものは全部公務員がやるんだということから、そうでないようにしていこうという一つの流れの私は現れだというふうに理解をしております。
  156. 田名部匡省

    田名部匡省君 まあ話は何となく分かるけども、実態を見ておって胸を打たないんですね。  やっぱり政治家としての理念、哲学というものを、昔の政治家は、私が当選したころ、それぞれ見て大したもんでしたよ、田中角栄先生、福田先生、皆おって。今の政治家、だんだんそういうものはなくなったなという、理念もなきゃ哲学もねえ、何となく一般の人と同じような感じでね。(発言する者あり)いやいや、本当ですよ。政治家の根底にある理想とかあるいは理念とか、そういうものは私は昔はあったと思っている。残念ながら、最近はどうも政治家も一般の人も何か同じになっちゃっているみたいで、そういうものを感じなくなってきているんですよ。やっぱり昔は、私が当選したころはすごかったですから。派閥の争いもすごかったけど、委員会でのやり取りなんかだって本当にすごかったですよ。  そういうものがもうだんだんなくなってきちゃって、人間にとって何が幸せで、何が一番大事かというのがこの国からなくなってきたんじゃないかなと思う。そのことが、お年寄りの問題にしても、子供たちがあれだけ人を殺したりなんかするというのは考えられない。こんな社会に何でなったのかなということを考えると、いずれにしても、この今の政治、小泉さんは、私は、はっきり言って昔は一緒の派閥でしたから、どうもやっていることを見ると、どこへ向かって走って、どうやって国民のあれをきちっとやってやろうかというのを感じないんですよ。一生懸命やっていることは分かりますけれども。  いずれにしても、政治家にとって本来大事な理念とかそういうものは、もう自分でそう思ったら、選挙で落ちてもこのためにやるんだということをやっぱり訴えるぐらいでないと。何かそのときになると、そっちへ行ってみたりこっちへ行ってみたり、そういう人が政治家になると迷惑するのは国民だから。(発言する者あり)いやいや、皆さん本当にしっかりしてくださいよ。  そういうことを私は、官から民へと、こういう話をされたときに、ああ、いいことだと、何でもかんでも役所がやる時代でないと。もう金も流れてね、そっちへ。そうして、小さな政府が実現されて、私は一番先に道州制やれって相当前から言ったんですから。これは、ここにいる皆さん、どう思うかは分かりませんが。  私は青森県から出てきてここに住んで、雪は降らないし氷は張らないし、ここにいるとぼけるみたいな感じですよ。青森へ帰ると、本当にもう家の屋根ぐらいまで雪降っているんですから。そういうところにおって、様々な苦労をして、出稼ぎが多くて、私が県会議員のころは、集団列車というのがあって、中学生の子供たちが夜行寝台に乗って東京出てくるのを送りに行ったおじいちゃん、おばあちゃん、ホームで泣いていた。送る方も送られる方も。それ見たから、これは駄目だと、何とかしなきゃならぬと思って国会へ来たんですよ。これだけは失いたくないと、こう思っている。今だってそうでしょう、まだ差があるでしょう。  大体ね、田舎というのは山や林が多いものだから、災害地震が来ると崩れちゃうんですよ。農家の人たちが、田んぼや畑の真ん中に家を建てる人はいませんよ。どこへ建てるんですか、山すそですよ、皆。だから私は、八戸から浅虫と青森行くときにもうそればっかり見て走っている。あそこは危ないな、ああ、ここはがけの下に家あるな、一番危ないのは浅虫でした。これはもうばあっとがけですから、皆。もう気になってしようがないんですよ。あの新潟地震、よくあの子供は岩の中にはまって助かったもんだと思って、ああいうのを見ると、本当に都会の生活と地方の生活はいかに違うかと。  だから私は、道州制にして、そうすると大体、東北は東北、北海道は北海道で権限と財源を渡してもらえば、我々に合ったことをやれるからというのに、こんなところにぞろぞろ皆さん陳情に来るでしょう、地方から。夜になるとホテルで、招待されて、私は行っていつも説教するんだ。地元に帰って地元のホテルでやれって、これ、何ぼ喜ぶかって。あの陳情というのをやめろって僕は昔から言ってきたんですから。県民の金使って、ぞろぞろぞろぞろ出てきて、ホテルに泊まって料理食って、四泊五日ももらってくるんですから。今、三時間もあれば青森から東京に新幹線で来る時代に、こういう無駄なことをいまだにやっていると。  だから、やっぱり余り国が権限持つのでなくて、地方に、もう道州制にして権限と財源を渡して、おまえたちがつくりたいものを、何をやりたいか考えてやれといったら、その地域に合ったものが始まりますよ。  どうですか、私の道州制に、大臣、賛成してもらえませんか。
  157. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) もう将来は、そういう自分たちのこと、自分たちの地域のことは自分たちで決めると、権限も財源も責任持って、自分たちが判断をするために地方の方にきちんと持たせると、そういう地方分権の流れというのは非常に大事だと思います。  そういう意味で、道州制というのは今後しっかりと論議をしていかねばならないというふうに思っております。
  158. 田名部匡省

    田名部匡省君 私は、おかげさまで、よくカナダ、アメリカに、オリンピックや世界選手権で随分行きました。みんな道州制なんですね。もう本当に違いますよ。  市役所へ訪問したら、ぽつんぽつんと人がいるんですよ。それで、今はやりのこれやっていまして。で、市長さん、職員はこれで全部ですかと言ったら、そうだと言うんです。これだけでこんなのをやっているんですかと。あなたのところはどうなっているんですか、いや、この五倍もいると。向こうから、何やっているんですかと聞かれましてね。もう全部、肝心なことはやるけど、あとは任せちゃうんですよ、市民に。  あれ見てきて、これはえらいことだなと思って、帰ってきてから、私は、やっぱりああいうふうにしなきゃならぬと。学校だって遠くに建てて、子供たちはスクールバスで、学校建てないで車で運んでいるんです。まあカナダなんというのは広いですから、冬も厳しいしね。  そういうことをずっと世界を見て歩いて、モスコーへ行ったときもそう思った。私が大学四年のときですから、世界選手権、全日本に選ばれて。国交がなくて、あれは、自民党政調に津村さんという、あのとき砂田さんがまだ、第一、国会議員になっていないときですよ。私の大学の先輩で、河野一郎さんの秘書をやって、漁業交渉か何かでモスコーへ行ったときに世界選手権をやるというのが分かって、日本も入れてくれと言ったら、それでオーケーになっても、行き方なかったんですから。香港まで、国境を、川を渡って、北京、瀋陽、長春、ハルビンと、試合と合宿やりながら一か月、それからモスコーに入っていったんですから。  その時代からいろんな国を見ておって、悪いところも目に付いたけれども、いいところもいろいろ見て歩いた。だから、この日本へ帰ってくると、何とかあそこと同じようないい国にしたいなという思いで、うるさいことばっかり言いましたけれども、今までも随分、そういう意味では、国民に負担を求めない努力しようという思いからこんなことに取り組んだんです。こんなちっちゃな国でこんな無駄なことをやっている国というのは珍しいですよ。ここにいるとこれは当たり前だと思うかもしれぬけれども。ですから、国民に負担を求めない努力をいかにしていくかということが、これからの少子高齢化時代にもう今から手を付けておかないと駄目だと。  とにかく基本がしっかりしていないんですよ、大臣、国の。基本というのは動かすものじゃないんですね。スポーツだって基本をしっかりやる。上手なのと下手なのとチームつくっているでしょうが。下手なやつはすぐ取っ返されるんですよ。うまいやつは勘がいいから、味方になるなと思うと、遠くへ走って出せと言う。出すやつは下手だから出ていかない。敵に追っ掛けられて取っ返されるから、そばへ行っておまえ助けておまえが受け取っておまえが攻めていけと言って、全日本の監督のときは怒ってばっかりいた、うまいやつを。仲間をそういうことという。しかも、私はバスケットも両方やってたものですから、これでも高校二年のときは青森県大会優勝して名古屋のインターハイ行ったんですから、バスケットで。三年のときはキャプテンやって、県大会全部優勝して、東北大会で優勝して、福島国体に東北代表で私は出た。で、冬はアイスホッケー、スケート履いて。一年生からインターハイ、国体へ出たんですよ。  だから、よく勉強する暇あったなってみんなに言われるけど、しなかったから良かったんだ、これ。こっちの方が鍛えられましてね。そういうことを見ておって、皆さん、バスケットでもサッカーでもフェイントというプレーあるでしょう、相手を抜くときに。あれ敵に掛けるんですよ。政治家になったら味方にフェイント掛ける人が時々いるんで、やってられませんよ、本当に。  まあ余計なことを申し上げましたが、どうも私はこの辺の人たちのように根っから政治家になり切れないで、もう三十何年政治の世界でやってきましたけど、どうしても抜けない。まあ最後までこれでやり通すと、こう思っていますから、少しぐらいのことじゃ信念変えませんからね。  時間大分残っておりますが、この辺で終わらしていただきますが、大臣、どうぞ今私が申し上げたような考え方で、困っている者を助けると、この世の中つくりましょうよ。で、子供たちが人を殺したり、あんな悪いことをすると親の責任ですよ、これは。世の中おかしくなったから子供がおかしくなったんで、そういう世の中をつくるためにはまず政治家が、一億もらって、いや記憶にありませんなんというのは、あれは駄目ですよ、あなた。一万円なら忘れていたというのはあるけども。だから、政治家もそういう意味ではちゃんと子供たちの前でリーダーとして頑張っていただきますようにともに力を合わして頑張ることをお誓いして、終わります。何か大臣、ありましたら言ってください。
  159. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  独立行政法人につきましては、評価について、しばしば大局観がないんじゃないかというような批判がされることがございます。それは、何のためにこの独立行政法人が存在しているのかという大きな根本的な政策評価との連動だというふうに思います。  そこで、今回この法律案に示されてございます土木研究所及び北海道開発土木研究所を統合する、あるいは海員学校及び海技大学校を統合すると。この新しいそれぞれの機関、その裏付けとなるべき国の政策目標というのはどういうところにあるのか、また、これまでそれぞれ分かれていたわけですけれども、そのそれぞれ分かれていたときの政策目標と、このたびの新たに提案されている統合された新しい機関におけるその裏付けとなる政策目標について、大臣にお聞きしたいと思います。
  160. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 今回のこの法案では、土木研究所と北海道開発土木研究所につきまして統合をさしていただきたいということをお願いをさしていただいています。もう一つは、海員学校と海技大学校につきまして統合をさしていただきたいということでございます。  これ、それぞれ、前者につきましては土木技術という共通の基礎の上に成り立っている組織でございます。そういう意味では非常に共通性がある組織なわけですね。今回の統合によりまして、北海道の積雪寒冷な自然条件を踏まえた寒地土木も含めまして、土木技術に関する研究開発、技術指導等を一体的かつ効率的に実施することが可能となるというふうに考えております。  もう一つ、海員学校と海技大学校につきましては、これもともに海員の教育というところがあるわけでございますが、今回の統合によりまして、基本教育から高度な教育まで一貫したカリキュラムに基づく教育の実施ができることになるようになるわけでございまして、また、海技大学校、海員学校にはそれぞれ人材がおり施設があるわけでございますけども、この人材や施設の相互活用によって実務教育を全国展開できると、このような大きなメリットもあるというふうに考えております。優秀な船員を効率的に養成することが可能となるような組織に、統合の後、是非さしていただきたいと思っております。
  161. 西田実仁

    ○西田実仁君 名は体を表すということでございまして、新たな法人、土木研究所、また海技教育機構、それぞれそうした名称に法人としてなるということでございます。  今大臣から御説明いただきましたとおり、この土木研究所というのは土木技術に関しまして一体的に研究をしていく機関となる、あるいは海技教育機構につきましても、この海員学校及び海技大学校が育ててきた人材を、基本から高度な教育まで一体として、やはり一つの教育の機構としてこれから新たになっていくと、こういうことだろうと思います。  だとすれば、名は体を表す法人の名称に示されているとおり、土木研究所につきましては、土木技術ということに着目しますと、ではなぜ港湾空港土木研究所を統合しないのかという疑問がすぐにわいてくるわけであります。また、海技教育機構という教育ということに着目をいたしますと、やはりこれも航海訓練所となぜ統合をしないのかということになろうかと思います。  それぞれこの新しい独立行政法人の目的を今大臣からお聞きしました。今申し上げた二つの点につきまして、政府参考人からお聞きしたいと思います。
  162. 春田謙

    政府参考人春田謙君) 特に土木関係のことについてお答えを申し上げたいと思いますが、土木研究所と北海道土木研究所の統合ということを今回法律内容でお示しをしておるところでございますが、この統合の意味というのは、いわゆる土木技術という共通の基盤の上で、知見の交流であるとか、研究者によるところの知見の相互交流であるとか研究成果の共有ということで、研究活動を効率化あるいは成果の質的な向上を図ろうということでございますが、いわゆる港湾関係の土木につきましては、土木技術という意味では、広い意味では共通する面もないわけではないわけでございますけれども、いわゆる海象、海の関係のいろいろな環境、条件に応じまして土木技術というものを必要とするという面がございまして、そういった意味では、土木技術という共通の基礎の部分で港湾の場合には少し要素の違う部分があるということで、統合という形でもって効果を発揮するということが、意味がどこまであるかという点におきまして、私ども、いわゆる土木研究所と北海道開発土木研究所については、そういう意味で共通の部分というのが非常に生かせる要素が大きいだろうと、こういうふうに考えておるところでございますけれども、港湾土木に関しましては、そういった意味では独自の技術の面があるということで、この関係につきましては今回の統合の対象にはしなかったというものでございます。
  163. 西田実仁

    ○西田実仁君 今、土木に関して先にお答えいただきましたが、今後は御検討に入っていくんでしょうか。
  164. 春田謙

    政府参考人春田謙君) 今後の改革の方向ということでございますけれども、実は今回の改革の中では、今土木研究所と北海道土木研究所の関係を申し上げたところでございますが、いわゆる独立行政法人のありようにつきましては、今後とも必要に応じまして事業とか組織の関係というのを見直していくということを引き続き行っていくということになっておりまして、特に独立行政法人につきましては中期目標期間というものが五年の期間がございまして、この終了時におきまして、組織、業務全般にわたる検討を行うということとされているところでございまして、また中期のいわゆる目標の期間の中でそれぞれの業務をどこまで効率的に行うことができるようになったかというようなものを検証しながら、また中期期間の終了時において検証を行っていくと、こういうことになっているわけでございます。
  165. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 海員学校、海技大学校、それから航海訓練所の関係についてちょっと御説明を申し上げたいと思います。  海員学校及び海技大学校は、主に陸上での施設を用いて学生生徒をいわゆる教育をしている教育機関というふうに位置付けてございます。これに対しまして航海訓練所は、洋上において練習船を用いた実習訓練を実施いたしておりまして、それぞれ業務の性質が異なる。一方で教育といわゆる養成訓練と、この二つで大くくりで今回組織の整理を行うというふうにいたしたものでございます。  特に、航海訓練所の教育訓練に関しましては、実はやはりそれなりの実習船、それから相当の教官を維持していかなきゃいけないということで、これは一つ一つ、まあ船員の養成機関についてはいろいろな教育機関ございますが、一つ一つがそういった実習体制を組むというのは極めて非効率だと。オールジャパンで、そういった教育を受けた船員となるべき人たちを受け入れて、それで総合的に、集中的に養成訓練を行う組織としてでき上がった経緯がございます。そういう意味で、海員学校あるいは海技大学校、そのほかにも実は商船系の大学でありますとか、いわゆる高等商船あるいは水産大学校と、そういったような船員の教育機関がございます。そういう方々の生徒もまあ中立的な立場で受け入れて養成訓練をするということで、今回、それなりの一つの独立した独立行政法人として今回は整理させていただいたということでございます。  組織、今後どうするかということでございますが、船員の養成教育を今後どうやっていくかということについては様々な御意見もいただいております。そういう意味で、全般を見直しつつ、その中でこの組織体制の在り方というのも考えていかなければいけないというふうには考えてございます。一般的には、先ほど官房長からお話し申し上げましたように、中期計画、五か年間の計画でございます。これは制度的に五か年たったら組織の在り方そのものを見直すということでございますので、そのタイミングには確実にきちっと議論をさせていただかなければいけないというふうに思っております。
  166. 西田実仁

    ○西田実仁君 教育と訓練が違うというような御趣旨お話しされたと思いますが、いかほど違うのかよく分かりません。よく船員教育三機関ということで、今申し上げた三つの機関というのは一緒にいろいろと座談会をやったりとか、いろんな機会で御一緒されていることが多いと思いますね。そういう実態も含めて、今後検討していただきたいと思いますが。  そもそも、特殊法人から独立行政法人になる経緯についてですが、ここでお聞きしたいことは、今後の独立行政法人、今回の改正案に包含されていない独立行政法人をどう改革していくのかということについてお聞きしたいと思っております。  そもそも政府の方針としては、特殊法人をどうするかということについては、原則はやはり廃止又は民営化だったというふうに思います。廃止又は民営化できないものについて独法化するという、それが原則、政府の方針だったというふうに思いますが、なかなかそういうふうになっていないのは国交省に関しまして、ほかの省庁もいろいろ似たようなものですけれども、どういう背景があるのかという、まあ根本のところですけれども、官房長、お答えいただけますか。
  167. 春田謙

    政府参考人春田謙君) 今回の独立行政法人、十一の法人について法案で対象とさせていただいておりますけれども、これらの独立行政法人は、いわゆる国が直接行っていた事務を独立行政法人化をしたと、そういう経緯を持っているものでございます。  今先生からお尋ねのありました特殊法人等から移行して設立された独立行政法人、こういったものの扱いについてはどうなるかというお尋ねでございました。  私どもの所管するいわゆる特殊法人等から移行して設立をされた独立行政法人、九つあるわけでございます。これらの独立行政法人につきましては、昨年十二月の閣議決定の中で、これは行政改革の重要方針という閣議決定でございますけれども、この中におきまして、官から民への観点から事業、組織の必要性を厳しく検討をし、独立行政法人として真に担うべき事務事業に特化、重点化することにより一層効率的な業務運営を図ることとされているところでございまして、そういった意味での見直しを行っていくということでございます。  この見直しの期間につきましては、ちょうどそれぞれの特殊法人から移行した独立行政法人が、先ほども申しました中期の目標期間、これが終了するその時点で見直しをしていくということになるところでございます。  また、関連いたしまして、実は融資業務などを行う独立行政法人につきましては、同じく昨年の閣議決定、行政改革の重要方針におきまして、この融資業務については十八年度中、来年度中に見直しを行いまして結論を得るということになっておりまして、私どもの関係では、鉄道建設・運輸施設整備支援機構、それから奄美群島振興開発基金、ここの業務がこのような融資業務、これに当たるようなものがあると考えておりまして、これらにつきましては今のスケジュール、十八年度中に適切に見直しを行うこととしております。
  168. 西田実仁

    ○西田実仁君 海技教育機構についてお聞きしたいと思います。  この海員学校及び海技大学校につきましては、いろんなことが会計検査院からも指摘されているわけでございます。一つは応募倍率が非常に低下している、あるいは海員学校の中途退学率が高いんではないか、若しくは海員学校の就職率が年々低下している、あるいは海技大学校海技士科の方は長年定員割れを起こしている。様々な社会状況というものもあろうかと思いますが、まず、こうした様々な御指摘がなされております、これについてどう手を打っていくのか。  先ほどの質疑の中でも、民間の管理手法を用いるというのが独法化の特徴であるという、そういう御答弁がありました。民間の管理手法をどういうふうに用いて今指摘されているような事柄についてその向上ないし改善を図っていかれようとしているのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
  169. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) ただいま御指摘いただきましたとおり、海技教育機構の船員養成に関しましては、現状、全く問題なしというふうには私どもも考えておりませんで、検査院を始めいろいろな御指摘を踏まえて、次期中期目標の策定に当たっては必要な対応というのをきちんとやっていこうと、そういう取組を今進めているところでございます。  御指摘がありましたように、この組織そのものはやはり海に働く人材を世の中に送り出すということが極めて重要でございまして、それぞれのコースに応じて学生ないしは研修生を受け入れておるわけでございますが、なかなか、応募倍率そのものはかなりの応募倍率になっておりますけれども、現実に最終的に海上企業に就職するという観点から考えますと、例えば中学卒業者を対象としたいわゆる本科、海員学校の本科でございますが、ここでは現実の就職率が約六割ちょっとといったような状況にございます。また、司ちゅう科というのが、司ちゅう・事務科というのがございますが、ここは実際問題として、六十名の定員のところ、洋上に、企業に就職した人数が二十名前後というようなことで、そういう実態を踏まえて実は募集定員を徐々に抑えてはきておりますが、そういった問題があるということは事実でございます。  このため、新たな中期計画におきましては、いわゆる高卒者を対象とした専修科というのがあるんですが、こちらの方は就職率が九割を超えているということでございまして、私どもとしては、その専修科のいわゆる定員を増やしつつ、やはりちょっと本科ないしは司ちゅう科の定員を削減する方向で、より海に人材を送り出すというこの海技教育機構の本来の趣旨に沿った体制づくりを考えてまいりたいというふうに思っております。  それから、先ほどお話がありましたように、海技大学校の個別の講習コースにつきましても定員割れを起こすというような状況が幾つかございます。  原因として幾つか考えられるんですが、やはり現に船員さんとして働いておられる方が一定の期間、この海技大学校でレベルアップのための教育を受けるということについては、大手の船会社であればともかく、中小の船会社であるとなかなかそういう余裕が取りにくいと。  したがって、現在、海技大学校で芦屋の本校と児島にそういう教育組織があるんですけれども、今回の統合によりまして全国にあります海員学校のそういう教育施設を使いつつ、そういう研修を受けれる体制ができるのではないかと。あわせて、現実のニーズに即した研修コースを設定するように、それぞれの事業者の方々と密接な意見交換を行いながら、これは一遍コースを設定するだけじゃなくてその時々の事情に応じて弾力的に研修コースを設定していくと、そういう取組をやっていただくことにいたしておるところでございます。
  170. 西田実仁

    ○西田実仁君 要するに、本科から専修科にシフトしていくということですね。
  171. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) はい。
  172. 西田実仁

    ○西田実仁君 私がお聞きしたいのは、民間の管理手法が、それが今言われた民間の管理手法を取り入れたということなんでしょうか。それは別に民間じゃなくても、そんなに高度なことではないと思いますし、ニーズが多い方に単に移したという、ただそれだけのことだと思います。  実際にこの民間の管理手法というのをどう取り入れていこうとしているのか。例えば管理職に、官民人事交流がしやすくなるわけですから、本当に民間で管理をしている人たち、経営の手法を持っている人たち、こういう人たちをどんどん起用していくということは非常に分かりやすい一つの事例だと思いますが。  具体的に、今言われたことはもう既に措置としてとられようとしていることで、それは結構なことだと思いますが、具体的に次なる中期目標に向けて民間の管理手法を具体的にどう取り入れるのか。そして、そこでは当然のことながらやはり数値目標を設けていくべきであるというふうにも思います。いかがでございましょうか。
  173. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 民間の管理手法をどのように取り入れていくかということでありますが、現在、海技教育機構の経営の中にやはり民間のそういうマネジメントを経験しておられた方々にも御参画をいただいております、理事クラスの中に。そうした方々が今回、非公務員化ということで人事運用、民間との人事交流も弾力的にできるようになると、あるいは様々な形で自らの職員の能力開発ないしは外部の能力を受け入れると、そういったことが自由になるという、そういう環境を生かしていただいて、是非この業務の効率化及び成果をより高める方向にやっていただきたいということで私どもとしては考えております。率直に言えば、これから民間の管理手法をどのように生かしていくのかというのは理事の方々に是非大いに期待をいたしたいという、具体的にはですね。  ただ、総枠として私ども今度の中期計画の中に、そういった管理手法を生かしていただいた上での業務の効率化のための目標というようなものを中期目標として私どもは指示をさせていただきたいと。  というのは、形の上では二つございまして、一つは、やはり業務管理費、一般管理費、業務経費、そういったいわゆるコストの部分について今後中期目標の期間中にどの程度コストの削減を果たしていただきたいというようなことを目標の中に織り込んでまいりたいと。  今考えておりますのは、一般管理費として五年間マイナスの六%、業務経費につきましてはマイナスの二%と、そういった数値目標を示して業務の効率化に取り組んでいくと。それを具体的にどう実現するかというのは、理事者の方々に是非新しい環境を生かしてやっていただきたいと。  それから、人件費、定員の部分につきましても、国家公務員の定員削減というか、人件費削減について一定の方向が出ておりますので、それに準じた形で、期間中いわゆる五%の削減というのを数値の目標といたしまして業務の効率化に取り組んでいただきたい、そういうことを中期目標の中で指示をいたしたいというふうに思っております。
  174. 西田実仁

    ○西田実仁君 先ほど私が指摘しました中途退学率とか就職率とか、こうしたことに対する数値目標は設けないんでしょうか。
  175. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 中途退学率あるいは就職率という部分について目標という形で数値化になじむかどうかというのは、私どもとしては、どこまでコントロール可能な数字なのかという部分がございますので、現時点でちょっと数値化した目標というふうには現時点では考えてないところでございます。  ただ、この組織の本旨が、冒頭申し上げましたように、やはり世の中のために船員になるべき者を世の中に送り出すということでございますので、その本旨にのっとった事業運営のために最大限やれることは努力してほしいと。特に就職あっせんとか、あるいは就業のいろいろなお手伝いといったようなことを含めて、最大限努力してほしいということはこの組織の使命という格好で指示させていただくつもりでございます。
  176. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  今回の国交省関係独立行政法人の統合や非公務員化についての法案は、それぞれ見ますと、個々の業務や役割というのは違いがあるというふうに思うんです。それを一括して提案してくるということは、私は、このこと自体に問題があるということを先、申し上げておきたいというふうに思います。  その上で、今日は、その中で特に海員学校、海技大学校の問題について質問をさせていただきます。  日本は本当に海に囲まれている国でございまして、貿易を始めとする様々な経済活動の面においても、海上輸送によってやっぱり存立しているというふうに思います。その国内物流におきましても約四割を占めて、今後もその重要性は変わらないんだというふうに思うんですね。  それで、海員学校とか海技大学校、私は、海技大学校、芦屋にございますけれども、伺いましたけれども、その海員学校も含めまして、やっぱり輸出入とか国内物流の主力である海上輸送の安定確保を図ることを目的にして、主に海技士資格取得に必要な専門教育を行って、船員の再教育に必要な教育訓練を行っていると。行かしていただいて、本当に貴重な役割を担っているなと私は思いました。  ここで大臣にお伺いしたいと思いますけれども、そういう面で、私は、海員学校、海技大学校の今果たしている役割は大変重要だと思いますけれども、大臣はいかがでしょうか。
  177. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 我が国は四方を海で囲まれた国でございます。まさしく海洋国家でございまして、今委員のおっしゃったように、国内の貨物輸送の四割は内航海運が果たしているわけでございます。極めて大きな役割を果たしている、私たちの生活にとって非常に必要不可欠なお仕事をしていただいているというふうに認識をしているところでございまして、この内航海運業界というのは、今、船員の高齢化等によりまして船員不足も生じつつあることから、内航船員の養成を目的としました海員学校、そして船員の再教育機関である海技大学校、この二つを今回統合さしていただくわけでございますけれども、その担う役割は非常に重要であるというふうに考えております。
  178. 小林美恵子

    小林美恵子君 役割は重要だと。それで、ますます私は、今日の状況においてその役割は更に求められているというふうに思うんですね。  つまり、例えば最近は日本籍船の減少とか、船の大型化による船舶数の減少、漁船の激減による船員数が減る傾向にはございますけれども、同時に現在、大臣もおっしゃいましたけれども、働いている船員の高齢化が問題になっているというふうに思います。二〇〇四年の船員の年齢構成を見ますと、全体に占める四十五歳以上の中高年齢が四八・二%と、約五割近くとなっています。このまま推移をしますと、団塊の世代の退職期を迎えると海運産業の担い手がやっぱり不足してくるというふうに言わざるを得ないと思うんですね。  そういう中で、優れた若手船員の安定的な確保というのは、今後の海運産業の発展のためにも重要な課題というふうに思いますけど、この点、大臣いかがですか。
  179. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 私も同様の認識をしております。  船員数が減少をしておりますし、また高齢化が今委員のおっしゃったように進んでいる状況でございまして、将来にわたりまして海運を担っていく若い船員の方々の育成また安定的な確保というのは極めて重要な課題であると認識をしております。
  180. 小林美恵子

    小林美恵子君 若手の船員の確保というのは極めて大事だというふうにおっしゃいました。  それで、私先ほど若干の数字を申し上げましたけど、本当にもっとシビアな数字を拝見しました。少し古いですけど、二〇〇〇年の船員需給総合調査報告の内航船員の状況というのがございました。それを見ますと、五十歳を超える船員は全体の三七・五%、一方、二十代、三十代の船員はそれぞれ一一・九%、一四・四%と、本当に、もう本当に極端に少ない状況だというふうに思います。  それで、将来の若手船員の不足が深刻化するというふうにもこの報告の中でも指摘されていると思いますけれども、海運業界の方々も、やっぱり団塊の世代が退職期を迎える、退職する時期を迎えると考えると、これから毎年少なくとも千人程度の船員を補充していかなくてはならないんじゃないかというのがございます。  本当に、ますますその船員の教育とか再教育というのは大変重要だと思うんですけど、ところが、二〇〇四年の十二月の総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の勧告を見ますと、これはいかがかなと私などは思うんですけどね。例えば、卒業生の海運への就職者の数や海運業界の低迷などを挙げて、事業の整理、需給規模に見合った船員養成規模へのスリム化など、非常に短期的な視点でこうした海員学校等の業績を見ているんではないかと言わざるを得ないかなと私は思うんです。  就職状況や景気など社会状況の反映もありますし、将来の海運産業にとっては重要な役割を担っているこういう海員学校とか海技大学校の業務に対しまして、つまり効率性だけの視点で評価すべきではないというふうに私は思うんですけど、この点、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  181. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) この若い人たちの養成というのは、本当に大事な課題だというふうには思っております。今委員のおっしゃっているとおり、本当に高齢化が進んでおりますし、一方で、冒頭申し上げましたけれども海運の果たしている役割というのはもう極めて、これはもう内航、外航かかわらず大変大きなものがあるにもかかわらず、なかなか我が国の若い人たちが、船員が増えてこないと。この現実は非常に深刻だと私も認識をしておりまして、これは本当にしっかりとこの若手、若い人たちの養成、教育を取り組んでいかねばならない、これはもうすぐに結果が出ることではないと思いますけれども、時間を掛けてしっかり取組をしなきゃならないというふうに考えております。
  182. 小林美恵子

    小林美恵子君 そういう御答弁は先ほどもお聞きしたんですけれども、私が今お聞きしましたのは、いわゆる独立行政法人に対する評価委員会の勧告について、効率性だけの視点で評価すべきでないと私自身は思うんですけど、この点大臣、改めてどうお考えか、お聞かせくださいますか。
  183. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 効率性も大事でございまして、ただ、今委員のおっしゃっている趣旨というのは、効率性だけで判断してはならない。やはりこれからの長い将来にわたっての船員の養成というのが非常に重要であるという観点からやはり見ていかねばならないと思っているところでございます。  今回の見直しにおきましては、単に養成定員のスリム化を図るだけではなくて、海事関連企業への就職率が高い専修科に重点を図りました。本科と専修科というのがありまして、もう御存じだと思いますが、専修科の方は高卒対象で二年間の教育ですね、本科の方は中卒対象で高卒資格が取れるというものでございますけれども、先ほど海事局長が答弁しておりましたが、専修科の方の海上就職率は九割、一方で本科の就職率というのは六割になっておりまして、そういうこともあり、専修科に重点化を図って見直しを図ってまいりたいと考えております。そして、効果的に船員の養成を図ってまいりたいと考えておるところでございます。  また、各学校においても、様々、職業紹介等々求職活動を強化をしておりまして、海事関連企業への就職率の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。
  184. 小林美恵子

    小林美恵子君 私、海員が減少してきていると、そうした問題につきまして、やっぱり国として見直すべきところがあるんじゃないかというふうに思うんです。その点について質問をさせていただきたいと思うんですけれども、例えば、政府は一九九九年五月に外国人船員承認制度の導入で、日本籍船の船舶職員を船長と機関長の二人以外はすべて外国人船員の乗組みを認めるとしました。昨年四月からは、特定の船会社に所属する船員を他の船会社の船員として派遣できる船員派遣事業の導入など、若手船員などの、結局は新規雇用の抑制するようなことを私はしてきているんじゃないかなというふうに思うんですね。  海員学校や海技大学校の統合とか、また総務省の評価委員会の勧告のような事業縮小を進めるということは、それ自体やっぱり海運産業に対する国の責任を後退させることになりかねないと私は思いますが、この点はいかがでしょうか。
  185. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) ただいま外航における承認船員制度の問題、あるいは船員の派遣制度お話について御質問ございました。  それぞれの制度、例えば我が国の外航海運における外国人船員の承認制度平成十一年でございます。これにつきましては、我が国の外航海運が厳しい国際競争にさらされる中で、いわゆる職域としての日本船を維持確保するためにぎりぎりの判断として必要な制度ということで、国会に法案を改正をお願いをして、お認めいただいた制度でございます。  また、船員派遣制度でございますけれども、これは率直に申し上げまして、やはりむしろ船員さんの労働保護を図りつつ、これだけ将来の需給が厳しくなる中で、やはりその能力を最大限生かす仕組みとして、私どもはこれも平成十七年に法案の形でお願いをして、お認めをいただいた制度でございます。  いずれにせよ、なかなか船員を増やすということが教育サイドの話だけでは、なかなか現実に就労の機会を確保するということは完結いたしませんで、やはりそれぞれの経営環境の中で、どれだけ本当に我が国にとって必要な船員を養成し、確保していくのかということについての真摯なお互いに意識の共有、労使あるいは私ども役所サイドも含めて意識の共有が必要だというふうに考えておるところでございまして、現在、外航海運につきましては外国人船員が多くなっている現状はこれは認識しつつ、やはり運航管理のコアになる部分についてはしっかりした日本人船員がその中核を担わなければいけない、こういう共通の認識の下にそういった人材をどうやって確保、育成していくのか。それこそキャリアパスをどのように保障していくのかといったようなことを現在労使間で真剣に今議論をいたしておるところでございます。  私どもも、その議論の成果に対応いたしまして必要な対応は図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  186. 小林美恵子

    小林美恵子君 外国人船員承認制度の導入についてのお話がございましたけれども、私は、日本船籍の外航船は船長と機関長の二人は日本人でなければならないと。要するに、たった二人だけというのは、次の世代の外航船に乗り組む船長と機関長は一体どこで経験を積んでいくのかと、優れた技術者として育成されていくのかなというふうに思うんですね。先ほどもしっかりとした日本人の船員が中核になれるようにという、検討しているんだというお話がございましたけれども、本当に後継ぎがいなくなるんじゃないかというふうに思いますので、その点もう一度、しっかりとした後継ぎを育成するという観点での話をお聞かせいただけますか。
  187. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 今お話ございましたように、日本船として必ず日本人船員を乗せなければいけないというのが船長、機関長、二名に限定されておるわけですが、現実には船長、機関長だけそのまま突然やれるようになるわけではございませんので、当然のことながら、インハウスというか企業内でそういった船長、機関長を養成する一定のキャリアパスを用意してやっているというのが大手については現状でございます。例えば、LNG船のようなものについてはほとんど日本人船員フル配乗のようなケースもございます。それぞれの企業の人事戦略の中で、やはりそれはしっかり船長、機関長クラスを育成していくということに取り組んでいただいていると、そのように認識をいたしておるところでございます。  ただ、中小の船会社については、残念ながら、自らの負担でそういった有資格者を育て上げるということはなかなか難しいという状況もございまして、私ども、制度的に外航基幹職員の養成制度と、若干、促成栽培という御批判もいただくかもしれませんが、大卒からさらにある程度一人前の船長、機関長のちょっと手前、いわゆる二級の資格が取れるような研修コースというのを私ども実施をいたしておりまして、そういう形で中小の船主さん方の育成の負担というのをできるだけ軽くするような政策も取り組んでおりますし、さらにトライアル雇用、若手船員育成プログラムといったようなことでOJTの形で若い船員さん方にしっかりした乗船実務の経験をしていただくと、そういう政策で取り組んでいるところでございます。
  188. 小林美恵子

    小林美恵子君 今そういうお話もございましたけれども、私、一つ大きな問題があると思う科目があるんですね。それが海員学校の司ちゅう・事務科です。この科は、船舶の調理師を養成するところで、清水学校のホームページを拝見しますと、来年度募集、二〇〇六年度以降の司ちゅう・事務科の募集は停止をしたというふうにございました。いわゆる内航船における船内供食の在り方の変化もあるかもしれませんけれども、そのいわゆる司ちゅう・事務科といいますのは、昨年、〇四年度ですね、〇四年度は募集四十名に対して六十六名の応募者で、実際の入学者は三十八名で、充足率が九五%でした。私は、社会的ニーズはここにあるんだというふうに思うんですね。  それで、調理師の資格があれば例えば船舶調理師にすぐなれるという、一般の調理師の方が何年間乗船すれば船舶調理師になれるという、そういうシステムもあるそうでございますけれども、しかし、本来一般の調理師になろうという方は、船舶調理師になろうということで入ってくるんじゃないと思うんですね。結局は、船舶の調理師として希望してきているのはやっぱり司ちゅう・事務科に入ってくる方々だというふうに思うんです。この司ちゅう・事務科の方々に対して、廃止をする、募集ももう打ち切ってしまうということは、今後やっぱり船会社が新たな司ちゅう員を求めても確保できない事態が生まれるというふうに思うんですけれども、私はやっぱりここ廃止すべきではないというふうに思うんですけれども、この点、大臣はいかがですか。
  189. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) ちょっと事実関係を先に御説明させていただきたいと思いますが、船舶調理師というのは、長期にわたって航海が必要になってくる等で船内における食物管理あるいは船員の栄養管理と、そういった観点から特別の知識それから技能が必要だということで船舶調理師制度というのを設けてございます。原則として近海区域より遠い区域を走る船については一人乗せなければいけないと。  これになる道でございますが、原則は調理師試験に受かっていただくというのが原則でございます。その上で、私どもの海員学校の司ちゅう・事務科の卒業生に関しては一定の知識、技能を持っているということが確認できるということで、その試験を免除し、一定の航海経験といったようなもので調理師になれると、そういう制度でございます。  今現在、免許を通じて船舶調理師になる方々が年間百二十人ほどございます。先ほど申し上げましたように、司ちゅう・事務科卒業生、その中で、実は海上に就職していただいて船舶調理師になられる方々というのが現実問題としては二十名を切るといったような状況にかんがみまして、やはり限られた人材育成という経営資源を、現実に海に若い船員さんを送り出すという部分で重点化していくということがこの組織の本旨に合うのではないかというふうに考えた次第でございます。
  190. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 小林美恵子君、時間が来ておりますので、おまとめください。
  191. 小林美恵子

    小林美恵子君 はい、分かりました。  若手の船員の確保は大事だというふうに大臣も御答弁をいただきましたけれども、しかし、そうした中でこういう司ちゅう・事務科については廃止をしていくという、一方でそういう現状があるのは私はゆゆしき事態だということを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  192. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上です。  独立行政法人の現状について、長所、それから問題点、総合的にどのように評価しておりますか、まずはそれからお伺いをしたいと思います。
  193. 北側一雄

    ○国務大臣北側一雄君) 独立行政法人の評価いかんという御質問でございます。  各法人は、中期目標、中期計画に基づきまして、運営費交付金及び人員の合理化を図りつつ業務の効率化に取り組んでいるところでございます。  この業務実績につきましては、国土交通省独立行政法人評価委員会で中期目標の達成に向けて順調又は極めて順調との評価を受けているところでございます。ちなみに、十六年度の業務実績を評価した今回見直し対象法人十一法人につきましては、そのうち十法人が順調、一法人が極めて順調という評価をいただいているところでございます。また、各独立行政法人に求められるニーズに合致した新たな業務を実施するなどの取組も見られているところでございまして、独立行政法人に移行したことで業務の無駄を省き、独法自らの自律性、自発性が図られているところも大きいというふうに考えております。
  194. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 役職員の非公務員化にするのはいかなる理由からでございましょうか。それで、非公務員化によりどのような効果があると考えられておりますか。これまでいかなる理由で公務員とされていたのでしょうか。お伺いいたします。
  195. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) ただいま非公務員化の理由ということでございます。個別には法令上の取扱い、先ほど御答弁申し上げましたように幾つかあるわけでございますが、基本的な今回業務運営にかかわる部分として、非公務員化に伴いまして、雇用関係あるいは兼業兼職関係、あるいは試験採用の関係と、そういったような部分が国家公務員法等の法令から離れて、その組織にとって最も適切な基準により運営できるという意味で、先ほど来ちょっと申し上げておりますが、民間の組織管理手法というのを生かす環境ができる。これによって、民間との人事交流の促進によりまして組織の活性化が進み、柔軟で幅広い視野を持った人材が育成できるようになるのではないか、あるいは民間との相互理解あるいは専門的知識の相互活用といったようなものが図られるようになるのではないかというふうに考えているところでございます。  しからば、なぜ今回見直す法人についてこれまで国家公務員だったのかと、こういうお尋ねでございます。独立行政法人平成十三年に国の施設等機関から最初に移行したわけでございますが、このときは、元々国の組織でございましたので、公共性が高い事務事業に万全を期すためということと、あと円滑な移行が求められたということで、それぞれ公務員型の独法としてスタートをさせていただいたわけでございます。  今回の見直しに際しましては、独法、元々独法法で五年の中期目標経過を踏まえてその組織の在り方を抜本的に見直すという方向性が出ておりましたので、政府の方針として、特定独立行政法人に関して、業務を公務員型でなければいけないという部分について明確に説明できない場合は特定独立行政法人以外の独法への移行を進めるんだと、明確に説明できないというよりも、むしろなぜそれができないのかということについて、様々な対応をして可能になるように努力するという見直しの方針が示されました。その結果、研究開発・教育関係法人の役職員の身分の非公務員化を始めとする組織、業務の見直し内容が今後の行政改革の方針と、平成十六年十二月二十四日の閣議決定で決定されたところでございます。  今回の独法は、この方針に基づきまして、個別に非公務員化した場合のメリット、デメリット、そういうものを総合的に評価した上で、それぞれの法人について非公務員化可能と、さらに非公務員化することによって、より組織の活性化を高めることができるのではないかと、そのように判断した次第でございます。
  196. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 非公務員が業務を担うこととなる中で、各独立行政法人の業務運営や人事運用について的確に進めるためにはどのような対応をされようとしているのか、お伺いいたします。
  197. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 非公務員化後の業務や人事運営についてのお話、お尋ねでございます。  非公務員化、すなわち特定独法以外の独立行政法人に移行した後においても、それぞれの独法は独立行政法人として独法通則法及びそれぞれの法人の個別法によりまして必要な行政上の監督あるいは財源措置を講ずるということにいたしております。それぞれの独法、それぞれの使命を持っているわけでございますので、それが適切に達成できるように行政として引き続き指導監督をしていくということでございます。例示でいえば、非公務員化に伴い、従来の国家公務員法等に基づく秘密保持義務が、これが役職員に対して非適用になりますけれども、今回の見直し対象法については個別の独法法にそういった部分について守秘義務等の規定を設ける、こういった手当てをやらせていただいているということでございます。
  198. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 役職員の身分を非公務員化することにより、国家公務員法等による身分保障がなされておりましたが、職員や職員団体の理解は得られているのでございましょうか。また、非公務員化することによって職員の士気というものが低下するおそれがあるのではないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
  199. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 今回の経営形態の見直しというのは個々の職員の身分にかかわる部分でございますので、私ども今回の見直しを進めるに当たって、十分、職員あるいは労働組合と情報を共有しつつ意見交換をやらせていただきました。私ども、今回の改正趣旨を十分御説明申し上げ、現在ではそれぞれの職員にその趣旨を御理解いただいているというふうに考えておるところでございます。今後とも、具体的に今後進めていく中で様々な意見等耳を傾けて、必要な対応というのはやってまいりたいというふうに思っております。  また、職員の士気という面でも、やはり今回の見直しというのを、言ってみれば、組織でより有意義な仕事をするための一つの機会としてとらえていただきたいということをるる申し上げてきたところでございまして、そういう前向きな受け止めを職員の方々にもやっていただきたいし、またやっていただいているのではないかというふうに考えておるところでございます。
  200. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 では、職員の雇用の確保は十分に図られているんでしょうか。また、在職期間の通算など、職員の退職手当に関する規定は、職員が不利益を受けるようなことがないように手当てをしているのでございましょうか。いかがでしょう。
  201. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) まず、退職金でございますが、従前の独法の職員である者については、今回の法改正後、新独法への移行に際しまして国家公務員退職手当法に基づく退職手当は支給せず、この職員が非特定化後の法人を退職し、退職手当を支給を受けるときに、それまでの勤続期間と通算をいたしてそれぞれの独法の規定に基づき支払うと、こういう仕組みにいたしておるところでございます。  また、雇用につきましては、切り替わりに伴う身分上不安定なことがないように、この法律の附則の中に書いてございますが、別に辞令が発せられない限り、当然に非特定化法人の職員として身分は確定するというような規定を設けさせていただいておりまして、雇用上の不安もないように手当てをいたしているところでございます。
  202. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 その点はひとつよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。  特定独立行政法人等の労働関係に関する法律に基づき設立をされました労働組合について、これまで有していた法的地位は保たれるのでしょうか。いかがでございましょうか。
  203. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 現在、特定独立行政法人における労働組合につきましては、今お話がございました特定独立行政法人等の労働関係に関する法律に基づく労働組合として地位が、法的地位が位置付けられておるところでございますが、非特定化後は労働組合法上の労働組合を結成することができるということになっておりまして、そのため、特定独立行政法人等の労働関係に関する法律上の労働組合から労働組合法上の労働組合への移行という手続が必要になります。で、構成員の過半数が引き続いて職員である労働組合については、施行の日において労働組合法の適用を受ける労働組合になるんだということを、法令上みなし規定を置いてございますので、今回のものについてはほとんどこれに該当するということで、当然に労働組合法上の労働組合として法的地位は引き継がれるというふうに考えております。
  204. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 役職員を非公務員とするにもかかわらず役職員に秘密保持義務を課し、また役職員の刑法その他の罰則の適用について、法令により公務に従事する職員とみなすのは適切と考えておられるのでしょうか、いかがでございましょうか。
  205. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) いわゆるみなし公務員制度でございます。これは、民間であってもやはり公的な業務に従事する場合、例えば指定検査機関とかそういう民間の組織についても、やはり公的な業務の公正性、中立性を確保するためにみなし公務員を掛けている部分がございます。  今回の独法につきましても、やはり国のお金を使ってというか予算で公の基準をつくったりという公的な業務を行うものですから、ここの部分についてやはりみなし公務員規定を掛けることが適切であろうと。具体的には、収賄あるいは公務員職権濫用罪といったような刑罰が適用されることがあるということでございまして、これによって公正性、中立性を確保させていただいているところでございます。
  206. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 役職員が秘密保持義務に違反をした場合、罰金は、国家公務員法に基づいて守秘義務違反の場合は一年以下の懲役又は三万円以下の罰金より重い罰則、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金となっているのはどのような理由からでございましょうか。
  207. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 法令に基づく罰則の量刑につきましては、我が国の法体系の中での全体の整合性を確保する観点から、私ども法務省の刑事局とあらかじめ御相談申し上げて、それぞれの量刑を規定をいたしておるところでございます。  今回のその独法法の改正に当たって五十万円と、こういう規定は、直近の非特定独立行政法人の例とバランスを取らせていただいたということで、これまで法改正に際して、あるいは新しく法律を作るときはこの種の刑罰については五十万円以下の罰金ということで、新規立法ほとんどそういう事例となっております。  国家公務員法、確かに三万円と極めて安いんですけれども、当該部分についてなかなか改正の機会がなかったというのがこのようなレベルということの理由ではないかというふうに考えるところでございます。
  208. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 法案では、土木研究所と北海道開発土木研究所の統合、それから海技大学校と海員学校の統合によりまして、先ほどもちょっとお話出ておりましたけれども、どのような効果があるのか、得られるのか、お伺いをします。
  209. 春田謙

    政府参考人春田謙君) 土木研究所と北海道開発土木研究所の統合の方から申し上げたいと思います。  土木研究所につきましては、全国的な社会資本の整備という関係の土木技術の研究を行う法人でございます。また、北海道開発土木研究所につきましては、北海道の開発の推進に資するという観点からの土木技術の研究を行う法人で活動してきておるわけでございます。  今回、両研究所を統合をするという中で、いわゆる土木技術という共通の基礎の上に研究者の知見の相互交流を図る、あるいは研究成果を共有をして研究活動というのを効率化を図るというようなことが可能であるという観点から統合するということでございます。特に、この両法人の関係につきましては、研究成果の普及であるとかあるいは知的財産の活用を促進するということを目的といたしまして、現在、土木研究所に設置をされております技術推進本部というのがございまして、ここで、統合法人につきまして筑波と札幌に横断的にこの技術推進本部というものが束ねをするという形で機能をするということで、全国的な土木技術、北海道の特殊な自然環境の下の土木技術、これを通じまして研究成果であるとかあるいは知的財産権の集中管理ができると、また成果の普及促進を効率的に行うことができると、こういうように考えております。また、研究者の知見の交流、研究成果の共有ということで、そういうものを生かした効果的な実施というようなことが、これは民間も含めてそういうことが可能になるということに発展できるのではないかというように考えております。
  210. 星野茂夫

    政府参考人星野茂夫君) 海員学校と海技大学校の統合の効果でございます。  二点ございます。一つは、新人教育とそれから社会人教育とを統一的にやる。それから第二点として、海員学校の様々な教育施設を海技大学校の実務研修として最大限に活用させていただく。この二つが大きなポイントでございます。
  211. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  212. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  213. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 私は、民主党・新緑風会を代表して、独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律整備に関する法律案について、反対の立場から討論をいたします。  今回の法律案は、独立行政法人の職員を身分上、公務員から非公務員に変更することを主な内容といたしております。  独立行政法人の非公務員化には、行政のスリム化や個々人の能力が発揮できる就業環境の整備などを通じて、より質が高く効率的な業務が期待できるとの主張がなされておりますが、実際には全く逆であり、デメリットばかりが目立ちます。  以下、具体的に問題点について述べます。  まず、業務の効率化が期待できるのであれば、同時に運営交付金の削減が行われるべきです。ところが、非公務員化にしても運営交付金はほとんど変わらず、むしろ増加しているものもあります。何のための非公務員化か、さっぱり理解ができないのであります。  また、非公務員化によって独立行政法人が天下り規制の抜け穴となってしまいます。中央官庁と独立行政法人との癒着関係を絶たなければ、非公務員化は百害あって一利なしです。この問題を解決するためには、独立行政法人のトップの理事長公募や独立行政法人役職員の天下り規制独立行政法人における一般競争入札の義務化など同時に行われるべきですが、そのような措置は全く行われていません。  現在でも官民交流の名の下に民間から人材を公募ではなく指名で受け入れ、その出向先企業に独立行政法人が多くの事業を発注するケースも見受けられます。このような不明朗な事業が更に進む危険性に対しても何ら措置を施さないまま人事交流を進めることは、正に官製談合を助長する結果になります。政府法案のこのような矛盾は、小泉政権の進めるいわゆる小さな政府の実現に固執したためと考えられます。  その結果、今回の一連の改正法案で、独立行政法人の運営が効率化し財政の負担が軽減され、あるいは国民に対するサービスが向上するといった成果は全く期待できないばかりか、非公務員化によって国会のチェック機能が及ばなくなるなどの弊害ばかりが懸念されます。政府の掲げる公務員数削減を実現するための数合わせ的な非公務員化には意味はなく、かえって非公務員でできる仕事であれば思い切って民間に任せるとか、研究であれば大学にゆだねるなどの措置をとるべきです。また、民間でできないものであれば、公務員として責任を持って仕事をするべきであります。  事業の効率化が必要であれば、トップの理事長を民間から招くことこそが組織の効率化に最も資する方策であります。今回の改正案はどちらの手法も選択しておらず、正に官僚の天下り先は確保したまま、無駄な事業も官民癒着もやり放題であります。  以上の理由から、本法律案に反対することを表明し、私の討論とさせていただきます。  終わります。
  214. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律整備に関する法律案に対する反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、行政機能のスリム化、効率化を理由に、法人の事業体制の縮小化を進めることは、国民の命と安全を確保する国の責任を弱めることにつながるからです。  第二の理由は、非公務員化により研究機関などにおける研究環境を一層不安定にし、基礎的研究の後退を招くからです。  独立行政法人の運営は、徹底した企業的効率が追求される仕組みになっています。その結果、各法人は、設立目的などの社会的役割、公益性などの事業の性格、景気動向の影響などの違いを無視した評価にさらされ、一方的な事業統合や、縮小、廃止による効率性、採算性優先の運営が行われてきました。  海員学校、海技大学校では、国内物流の約四割を占める海上輸送分野の安定確保を図ることを目的に、海員養成、船員の再教育に必要な教育訓練を行っていますが、近年、日本籍船の減少、大型化による船舶数の集約化により船員数が大幅に減少し、船員の高齢化とともに、経験ある次世代を担う海員の育成確保が懸念されています。  こうした下で、船員労働市場の需要規模に見合った船員養成規模へのスリム化等の勧告に示されているように、効率性、採算性優先の運営が促進され事業の縮小、後退が進められれば、日本の海上輸送の安全確保に支障を来すことになることは明らかです。  よって、本法案には反対であることを表明いたしまして、反対討論を終わります。
  215. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律整備に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  216. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十二分散会