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2006-03-16 第164回国会 参議院 国土交通委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月十六日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         羽田雄一郎君     理 事                 伊達 忠一君                 脇  雅史君                 大江 康弘君                 山下洲夫君                 西田 実仁君     委 員                 太田 豊秋君                 小池 正勝君                 末松 信介君                 田村 公平君                 中島 眞人君                 藤野 公孝君                 松村 龍二君                 吉田 博美君                 加藤 敏幸君                 北澤 俊美君                 輿石  東君                 佐藤 雄平君                 田名部匡省君                 前田 武志君                 山本 香苗君                 小林美恵子君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   北側 一雄君    副大臣        国土交通大臣  松村 龍二君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       吉田 博美君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        警察庁生活安全        局長       竹花  豊君        金融庁総務企画        局審議官     谷口 博文君        国土交通大臣官        房長       春田  謙君        国土交通省総合        政策局長     竹歳  誠君        国土交通省土地        ・水資源局長   阿部  健君        国土交通省都市        ・地域整備局長  柴田 高博君        国土交通省道路        局長       谷口 博昭君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君        国土交通省鉄道        局長       梅田 春実君        国土交通省自動        車交通局長    宿利 正史君        国土交通省港湾        局長       鬼頭 平三君        国土交通省航空        局長       岩崎 貞二君        国土交通省北海        道局長      吉田 義一君        国土交通省政策        統括官      杉山 篤史君    参考人        首都高速道路株        式会社常務取締        役        日月 俊昭君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○国土整備交通政策推進等に関する調査  (国土交通行政基本施策に関する件) ○運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 羽田雄一郎

  3. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国土整備交通政策推進等に関する調査のため、本日の委員会首都高速道路株式会社常務取締役日月俊昭君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、国土交通行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 山下八洲夫

    山下洲夫君 おはようございます。民主党・新緑風会の山下洲夫でございます。  早速でございますが、去る三月九日に大臣所信をこの委員会で伺わせていただきました。この所信の冒頭には、国土交通行政の最重要課題は、国民皆様の安全と安心を確保するものでありますと、このように大きくうたわれておりますし、全く私もその意味では同感でございます。  特に、私は率直に申し上げたいと思うんですが、小泉内閣になりまして、日本の良き伝統でございました安心やあるいは安全を壊してしまったのではないか。この所信にも多く出ているわけでございますが、特に住まいの安全を始め、あるいは乗り物の安全、食の安全、もう子供の安全まで今や失われている、このように思います。また一方では、防衛施設庁のあの官製談合やあるいはホリエモンを代表しているように、またホテル東横インのような、それこそもう完成して確認後のまた法律違反を行う、いわゆる今日法律違反をしてもばれなきゃいいんだと、金さえもうけりゃいいんだ、金をもうけた方が勝ちなんだ、このような風潮をどうも小泉政治は生んだ、そのように思えてならないんです。  そこで、今回も、耐震構造計算偽装にいたしましても、あの姉歯だけではなくて次から次へと出てきている、そのような気がしております。この構造計算偽装にいたしましても、ばれなきゃいいんだと、ばれても、あの記者会見を見ておりますと、罪の意識もないように私は感じます。ばれてしまって運が悪かったな、こう思っているんじゃないか、そのような気もしてならないわけでございます。そのようなことにつきまして、大臣、いかがな所信をお持ちか、お述べいただきたいと思います。
  8. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今回の耐震強度偽装事件、また東横イン事件等を振り返りまして私自身が感じておりますのは、少なくともこうした事件にかかわっている企業、また本来国家試験受かられて、国家資格を与えられている人たち、こういう人たちモラル社会的なモラルというものが低下をしてしまっているのではないかということを感じております。  これは、もしかするとこうした耐震偽装事件東横イン問題だけではなくって、日本社会全体にそうしたモラルに対する意識が弱くなってきているのではないかと、そこは本当に危惧をしているところでございまして、私は、やはりそういうモラルを高めていくための対策といいますか努力といいますか、そうしたことをしっかりやっていかないといけないというふうに思っています。私は、一番根底的といいますか、ところは、そこの問題ではないかと思っております。  そうしたモラル低下に伴いまして過度なコスト競争が行われていると、そうしたことが今回の事件の背景になっているのではないかというふうな指摘もあるところでございます。もちろん、コスト削減ということは大事なことでございますけれども、安全を犠牲にすることは、これはもうあってはならないわけでございまして、きちんと法令の基準というものを遵守した上で健全な競争をするということが当然のことであるというふうに思っているところでございます。  今回の事件を踏まえまして、建築士法建築基準法等、しっかり見直しをさせていただきたいと考えているところでございます。
  9. 山下八洲夫

    山下洲夫君 ただいまの大臣の御答弁には共鳴するところはたくさんあるわけでございますが、どうも小泉内閣というのは、勝ち組がいいんだ、このような風潮を生んでいるのではないかなということを危惧しているんです。  特に、日本人というのは心の豊かさとか、あるいは文化や歴史を大切にしてきたわけでございますが、今日はそういうものを大切にする人の方が駄目であって、パソコンの前で、それこそ株を一生懸命眺めながら、そしてもうけた方がいいんだと、この風潮があるからホリエモンのような者をあれだけ自民党が立てたんじゃないかなと、持ち上げたんではないかなというような……(発言する者あり)ああそうですか、自民党の一部だそうでございますが、危惧をしているところでございます。  そういう中で、この問題はその辺に置きたいと思いますが、耐震強度偽装建物でございますけれども、姉歯建築士によります偽装の件数は、未着工を含めまして九十七棟と言われております。ちょっと三月六日現在でございますが、マンションが五十六棟、ホテルが三十八棟。また、サムシングによります偽装物件でございますが、これマンションが三棟と言われておりますけれども、ただしサムシング仲盛昭二社長は故意による偽装は否定をしております。それは私も承知しておりますし、そういう中で福岡市は、異なる二つ計算書をつなぎ合わせたものだということで、偽装として認定しております。  また、最近では、あの札幌市の二級建築士でございます浅沼良一氏の偽装マンションが三十三棟と言われているわけですが、そのうち五棟で札幌市は偽装として確認をしていると。合計で百三十三棟でございますか。特に二級建築士資格のない構造計算をして、それが例えば計算上は合法であっても、資格がないのを含めてこれは合法であれば違法とは認めないのか、これちょっと疑問を感ずるわけでございますが、何か札幌市では五棟というようなことも言われているんですね。  いずれにいたしましても、このようにいろいろと偽装があちこちで発覚してきている。ひょっとしますと、マンションはもちろんのこと、それ以外、あるいはビジネスホテルであれ、あるいはオフィスビルであれ、もうちょっと丁寧に耐震強度調査をしますと、もっともっと新たに日本じゅうから出てくるんではないか、このような私は心配もしておりますが、丁寧な調査をする意思はあるのか、また今日なさっているのか。そしてまた、今日までのこの偽装建物の発覚から見て、今後まだこういう新たな物件といいますか、出ると思うのか。その辺についてちょっとお知らせいただきたいと思います。
  10. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今回、札幌の方で偽装物件が判明したということは、これはほかの姉歯建築士やまた姉歯建築士関連するヒューザー等々の物件では全くないところから偽装物件が出たわけでございます。そういう意味で、私はこれ極めて深刻にこの札幌偽装の件については認識をしているところでございます。国民皆様自分の住んでいるマンションは大丈夫なのかと、そういう不安が広がっているのは当然のことでございまして、しっかりとそうした不安を除去していくためにできる限りの対策を取っていかねばならないと考えております。  今、国土交通省の方では、一つは、姉歯建築士が関与した物件、これは二百五件あるわけでございますが、それをすべて調査しようと、これ二百二件まで終わりました。この二百二件終わりまして、そのうち偽装が判明したのが九十七件でございます。さらに、姉歯建築士はかかわっておらないが、木村建設等関連企業等が関与している物件、これが五百八十一物件ございます。これの調査を進めておりまして、調査が終わったのが四百二十八件。このうち偽装が判明したのが委員も今おっしゃった福岡市の三件でございます。したがって、今合計この関連物件で百物件偽装が判明をしておると。この残りの部分についても、物件についても、できるだけ早く調査が完了するようにさせていただきたいと思っております。  で、それだけではなくて、これは国会でも御指摘もちょうだいし、サンプル調査をやろうということで、一つ全国指定検査機関の監査に入りました。その際に、全国指定検査機関が持っております構造計算書、その中でやはりマンションの、共同住宅の、そういうものを抽出をしてまいりまして、これが約百物件ございます。この百物件について、今、これは全くその姉歯建築士とはかかわらない、また関連会社とかかわらない物件でございますけれども、その約百物件について今調査をしているところでございます。さらに、それとは別途五百物件についてサンプル調査、これはもう無作為に全国から持ってまいりまして、その調査もさせていただくことということで今進めているところでございます。この合計六百件につきましては、できるだけ早く調査が終えれるようにさせていただきたいと今進めているところでございます。  また、特定行政庁地方団体の方でも自ら、様々マンション等中心といたしまして、耐震度が大丈夫かという調査を独自にされている地方公共団体もあります。そういう結果についても掌握をさせていただきたいと思っております。  さらには、民間のディベロッパー自身が、自分が施工した、自分がまた注文したそうしたマンションにつきまして独自で調べている企業も出てきております。そういうのも調査をさせていただきたいと、報告を受けさせていただいて、ちゃんと公表をさせていただきたいと思っているところでございまして、こうした様々取組を今しておりますので、そうした結果を踏まえて、その後の判断をさせていただきたいと考えているところでございます。  また、委員も御承知のとおり、耐震診断耐震改修補助事業につきましては大きく拡充を今させていただきました。これにつきまして、是非活用をしていただけるように、地方公共団体としっかり連携を取らせていただいて、これも従来と違った大幅に拡充した補助制度になっておりますので、これの活用をしっかり図っていきたいというふうに考えております。
  11. 山下八洲夫

    山下洲夫君 全国的になるべく早く調査をしていただきまして、その調査結果を国民皆さんに明らかにして、そして一日も早くマンション等にお住まい皆さん方安心、安全を確保するためには、調査結果を発表し、これ安全であったとかそういう報告ができるように是非努力をしていただきたいと。もしまた新たな問題点が発覚しましたら、それについてはまた厳しい対応をしていただくよう要望しておきたいというふうに思います。  そういう中で、耐震強度計算法でございますが、これについて伺わさせていただきたいと思います。  許容応力度等計算、これは昭和二十五年に導入されまして、昭和五十六年でございますか、二次設計がなされたと。地震の力で横から力が掛かっても倒壊しないだけの強さを持つように計算変形影響等を細かく考えていないということのようです。それから、限界耐力計算というのがございます。地震の揺れ、変形影響を考える、柱などにひびが入り、建物変形して大きく揺れるという設定も可能になると。地盤の状況も考慮すると。それぞれに応じて倒壊、崩壊に対する安全性を検証する高度な計算方法と。そのほかに、まだエネルギー法地震建築物が受けるエネルギーが、建築物を揺れたり損傷したりすることにより吸収することができるエネルギーを超えないことについて検証する高度な計算方法と。それからもう一つ時刻歴応答解析と。これは、高さ六十メートル以上ですし、大臣認定を取得するということでございますから、これはまた別途超高層耐震強度計算方法だろうと思いますが、これを除きましても三つの方法があるのかな、あるいは絞り込めば二つ方法かなと思ったり私もしているわけでございますが。  そういう中で、せんだっての新聞にも出ていたわけでございますが、新宿の姉歯物件でございます。あれにつきましては、計算方法として許容応力度等計算でやりまして〇・八五だったと、そして限界耐力計算をやったら今度は一を超えたということでこれ安全なんだと。二つ計算方法で安全と安全でないということがこういう建築物に出た場合、どちらを信用すればいいのか。それは、オーナーによっては自分の都合の方を信頼することもあるでしょうし、今度は、もし買う側からすれば、やはり少しでも安全な方を安心するでしょうし、そうしますとかえって、二つの違った結論が出るということは、安全に対する、ますます混乱をさすんではないかなというふうに思うんです。この辺はきちっと整理をすべき問題ではないか。  特に、四通りと申しますか、あるいは絞り込んで二通りとしてもいいです。二通りでやれば二通りとも安全が確認される、それ以上でないと駄目とか、もう少し基準をしっかりしないと、それこそ混乱をさすと思うんです。その辺についていかがでしょうか。
  12. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 建築基準法は、我が国にある建築物あるいはこれから生まれる建築物が最低限満たしていなければならない基準を定めるものでございますが、御指摘構造安全性につきましては、第二十条に構造耐力と称しまして規定を設けております。「建築物は、自重、積載荷重、積雪、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次に定める基準に適合するものでなければならない。」とした上で、「一 建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。」と。これはすべての建築物に適合される技術的基準と。それで、その上で一定以上の大きな建築物について、この一号に定めるもののほか、「政令で定める基準に従つた構造計算によつて確かめられる安全性を有すること。」としております。  ただいま引用していただきました計算方法構造計算方法政令で定めておりまして、政令の第八十一条に、「建築物構造計算は、次の各号のいずれかに定める構造計算によらなければならない。」とした上で、引用していただきました許容応力度等計算、それから限界耐力計算というのを定めております。ただし、これにはただし書がありまして、これら二つ方法と同等以上に安全さを確かめることができるものとして国土交通大臣が定める基準に従った構造計算をやる場合はこの限りでないとしていまして、これがエネルギー法でございます。それから、次の条に超高層建築物の特例というのがございまして、引用していただきました時刻歴応答解析できちんとやれと、こう書いてあるわけでございます。  それでまず、そういう構造でございますので、その中で大きく、許容応力度等計算限界耐力計算、この二つについて御説明さしていただきたいと思うんですが、今の御指摘の中で、許容応力度等計算は、例えば地震時に力が作用して建築物変形するというようなことを前提にしないとお話しになったかと思うんですが、実はそうではなくて、詳細に検証するんではなくて、一定の仮定を置いて、係数を使って、変形一定のものとして仮定した上で計算するという方法でございます。したがって、詳細な情報がなくてもそういう仮説を使って計算していく。仮説を使うがゆえに、ある程度のアローアンスといいますか余裕を持って計算するというものでございます。したがって、非常に実用的に、我が国一定規模以上の大きな建築物設計する場合は、ほとんどこの許容応力度等計算が使われております。いろいろな事柄を前提を置きながら概算的に計算するもの、概算的に計算するから一定余裕を持っているということでございます。それに対して限界耐力計算は、それぞれの地震のときの変形とかも建物の揺れ方とかも細かく想定して計算してまいります。  そこが違うわけでございまして、そういう意味で、余裕を持った実用的な許容応力度等計算による計算方法安全性を証明する場合も法律上許されておりますし、ぎりぎり細かくデータを集めて計算する限界耐力計算も規定されておりまして、これは、設計者がどういう方法安全性を検証するかは選択できるように法律上なっております。  したがいまして、こういういろいろな技術の進歩に従って実務的に的確に安全性を検証するという方法はこれからも採用していくことになると思いますが、問題はその的確な運用でございます。  実は、専門家からも社会資本整備審議会にいろいろな御意見が出ているんですが、限界耐力計算は非常に専門的に高度なものなので、生兵法はけがのもとだという主張もあるんです。そのこともありまして、きちんと的確に運用されるようにするために、今、国土技術政策総合研究所とか建築研究所、それから日本建築防災協会に設けました、今回の事案に関連して、違反是正計画支援委員会と、士会の最前線の先生方集まっていただいておりますけれども、これらの構造計算について、事例に即して必要な情報、それから計算をする場合の入力の考え方整理しておりまして、その結果を中間報告指摘されております構造計算書内容に係るガイドラインの作成に反映させて、構造計算審査が適切に行われるように努めてまいりたいと思います。
  13. 山下八洲夫

    山下洲夫君 許容応力度等計算というのも、昭和五十六年に二次設計が導入されまして、保有水平耐力計算という方法で。それから、限界耐力計算というのは高度な計算とおっしゃいましたね、今、高度な計算生兵法をやるとちょっと大変なことになるかも分からぬと、難しいということですよ、計算が。  この四種類ありまして、四種類の全部解説書をきちっと読みませんけど、許容応力度等計算のみ、一番簡単なんでしょうね、高度な計算方法という言葉はないんですよ。あと、限界耐力計算につきましては、エネルギー法にしたって時刻歴応答解析にしましても、すべて最後には高度な計算方法と。高度な計算の方がなお優れているんだと思うんですね。だから、一番安易なやつでやっても、一番安易な計算方法でやっても〇・五とか、要するに一を切っているのがたくさん出てきたということでございますので、そのことを考えればなお問題だと思います。これはまた後ほど触れたいと思います。ここでもう時間なくなっちゃうと困っちゃいますんで、後ほど触れたいと思います。そのことだけは是非認識しておいていただきたいというふうに思います。  続きまして、一つは、社会資本整備審議会中間報告が去る二月二十四日に出ましたから、そのことを中心に、また、国交省としましても建築基準法建築士法等改正案の骨子がどうもできたようでございまして、我々はまだ説明を受けておりませんが、新聞紙上で多少の内容は承知しているわけでございますが、その辺に絡めて若干質問させていただきたいというふうに思っております。  特に、二月二十四日に中間報告を出されました社会資本整備審議会建築物安全性の確保のための建築行政の在り方についてでございますが、この中間報告は、どうもマスコミ報道によりますと、意見の取りまとめが随分苦労されたようでございまして、いろんな意見がたくさん出たと、四分五裂の状態じゃなかったかなというふうにも言われております。私もある程度読ましていただきましたが、大事なところはどちらかというと先送りになっているような嫌いもないではないわけでございますが、この辺につきまして、この中間報告につきまして、大臣、どのように評価されているのか、大変いい中間報告であるのか、大したことないなと、これは余り、期待より駄目だったなと思っていらっしゃるのか、その辺について考えをお願いします。
  14. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今回の耐震偽装事件を公表されましたのは昨年十一月の十七日でございました。十二月の十二日の日に私の方から社会資本整備審議会に諮問をさしていただきまして、そして今年の二月二十四日、あの中間報告を取りまとめいただいたわけでございます。年末年始も入った中で非常に短期間ではございましたが、精力的な御論議をちょうだいいたしまして、まずは緊急に措置すべき内容につきまして取りまとめをいただきました。私は大変感謝をしているところでございます。  今回の緊急に措置すべき施策につきましては、今最終の調整をさしていただいているところでございますが、幾つか柱がございます。  一つは、一番大きな柱は、一定の高さ以上の建築物については、特定行政庁、また指定検査機関であれ、そこでの建築確認だけではなくて、第三者機関における構造計算審査を、ピアチェックと言われているものでございますが、これを義務付けていこうということでございます。これが一番大きな柱だと私は考えているところでございますし、そういう意味で建築確認検査の厳格化をしていこうと。  それから二番目に、指定確認検査機関に対する監督の強化をしていこうと。特定行政庁においても指定確認検査機関に対して立入検査ができるような、そういう権限を持っていただこうと考えております。  さらには、建築士に対する罰則の強化、これについても、懲役刑の導入も含めた罰則の大幅な強化についてさしていただきたい。  さらには、住宅の売主、これは瑕疵担保責任を負っているわけでございますが、瑕疵担保責任を負っていても、倒産をしてしまえばこれはそれが実行できないわけですね。住宅の取得、これは一生に一度あるかないかという大きな買物でございまして、そういう意味で、住宅の取得者、消費者の方々に対する保護というものがやはり課題があったというふうに考えておりまして、これについては、これ第一弾でございますが、この瑕疵担保責任についての情報開示を、履行確保措置をとっているかどうか、とっていればどういう内容か、そうしたものについての情報開示をしっかりと徹底をしていこう。  そうした内容についての取りまとめをさしていただきまして、今月中に建築基準法建築士法等の改正を提案をさしていただきたいと考えているところでございます。  これですべて終わったわけではもちろんございませんで、今、社会資本整備審議会では更に御論議をいただいておりまして、この夏までに建築士制度に係る課題、先ほど建築士制度に係る課題だとか、その他、さらに、今回の問題を受けまして検討すべき課題につきましてはこの夏ごろまでに取りまとめをお願いをいたしまして、そして制度の改善をさしていただきたいと考えているところでございます。
  15. 山下八洲夫

    山下洲夫君 この社会資本整備審議会中間報告の「はじめに」というところにも、再発防止策を講じ、一日も早く国民安心して住宅取得や建築物の利用ができるよう、建築基準法建築士法及び住宅の品質確保の促進等に関する法律に係る建築行政上の諸課題を検証して制度の見直しに早急に取り組むことが求められていると、なかなかすばらしいことが提起されているんですね。  その上で、一番肝心な施策の実行に向けて引き続き検討すべき課題、今大臣も触れられたんですが、建築士制度に係る課題、まあ専門分野別建築士制度の導入やら、あるいは建築士の資質、能力の向上とか云々、こういう大切なところはこの中間報告でもまだ結論出ず先送りになっている。あるいは、今度の法改正をなされようとしている骨子の中でも、一番大事なのは、私は、施策の実現に向けて引き続き検討すべき課題、建築士制度の抜本的見直し、専門分野別の建築士制度の導入、建築士の事務所の業務の適正化、工事監理業務の適正化、建築士の資質、能力の向上、建築士会及び建築士事務所協会等への加入の義務付け、報酬基準の見直し、こういうところが一番私は大事だと思うんですね。これが、一番大事なところを先送りされちゃっているんですよね。ここをまず最初に取り組むべきじゃないかというふうに私は思っております。  そういう中で、それは今の段階では提起だけしておきたいと思うんですが、今回のこの建築行政の見直しのきっかけになったことは、何といっても姉歯がきっかけだと思うんですね。あの構造計算偽装問題で大変世論をびっくりさせた大きな事件だったと思うんです。ですから、いろんなことでいろんな角度から大変な議論が巻き起こったというふうに思っています。一言で言えば、現在建築主や施工業者に、結局、設計事務所といいますか、あるいは意匠設計を含めて、特に構造設計なんかはもう下請化されちゃっていると。そういう状況だから、安価な報酬で我慢をしながら一生懸命言うことを聞いてやった結果が、こういう大きな問題が起きたと思うんですね。  ですから、今申し上げました、まず建築士制度の抜本的見直し、ここを先に改正してやることによって、私は偽装問題というのは大きく遮断できるんじゃないか。それこそ、安心した、安全な、また独立した設計事務所で設計ができるようになって、安価な報酬で我慢するんじゃなくて、一定の適正な報酬も確保できるんじゃないかというふうに思うんです。そちらを後回しするというのは何でですか。それについて、住宅局長で結構でございますから、考えがあったら御報告いただきたいと思います。
  16. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今回の事案を踏まえて対処すべき課題の中で、建築士制度の抜本的な見直しが非常に大事だという御認識、御指摘いただきましたけれども、私どもも全く同じ認識でこの仕事に取り組んでおります。  ただ、先ほど大臣の答弁でもありましたように、今回の課題をしっかり社会資本整備審議会で御検討いただいておりますけれども、最初の二か月間で中間報告の段階までに検討を尽くしていただいて、今回、通常国会に法律改正案として整理できる事柄と更に検討を尽くすべきものと仕分けて、今の課題が後者の方になったということでございまして、ただし、建築士制度の中でも、例えば中間報告でも「早急に講ずべき施策」として書いていただいておりますけれども、設計等に関与したすべての建築士の名称を明示することとか、違反設計、名義貸しを行った建築士に対する懲役刑の導入などの刑事罰の強化、それで建築士が禁錮以上の刑に処せられた場合の行政処分の強化といったようなことは講じます。その上で、それ以外のいろいろな課題につきましては引き続き検討すると。  例えば、資格の更新制の御指摘もいただいておりますけれども、期間の経過を理由に資格を喪失させることとなるために他の資格とのバランスも考慮しながら必要性を検討する必要があるとか、専門分野別の資格制度についても社会的な意義等を更に明らかにする必要があるとか、職能団体への加入を義務付けるというようなポイントについても、厳しい参入規制となりますので社会的必要性を明確化するといったような検討課題を指摘していただいておりまして、こういったものを夏までにきちんと吟味した上で方針を取りまとめていただくと。  それで、所要の改正を更に次の国会でお願いすると、そういう方針で取り組んでいるところでございます。
  17. 山下八洲夫

    山下洲夫君 建築を確認するためには、これ自治事務だったから、例えば〇・五以下については国も一定の補助金を出して一生懸命建て替えを行おうとしているんですよね、自治事務だったから。  そのことを考えますと、どうも、施主や設計士やそちらの方の罰則ばっかりは強化したんですけれども、自治事務として責任がある部分は何にもまだ今回は出てきていないんですね。そちらは、片方だけは一生懸命罰則を強化しても、これこそ民間泣かせということじゃないですかね。じゃ、自治事務の責任はなかったんですね。ないんですね。その辺はどうですか。
  18. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今回、資格を得た一級建築士が故意に偽装をして、構造安全性に欠ける建築物をこの世に生まれ出させたということでございますけれども、これに関連して、御指摘は、建築確認の過程で的確にチェックできなかったということについてどう考えるのかという御指摘だと思いますけれども、民間の建築確認機関が偽装を見過ごしたケースもございますし、特定行政庁がこれを見過ごしたケースもあるわけでございます。  このことを踏まえまして私どもがまず十二月以降取り組みましたのは、建築確認制度の総点検でございます。指定民間機関にも立入検査をしてしっかり点検をしましたし、特定行政庁における確認事務についても点検をした上で、課題を抽出しまして、審議会の御検討を経て中間報告を得ているわけでございます。先ほど大臣の方から紹介申し上げました、一定規模以上の建築物構造計算については第三者の目で審査してもらうような仕組みといったような枠組みもその結果提起していただいているわけでございまして、そういうことを踏まえて的確に制度を見直していくということで取り組んでいるわけでございます。
  19. 山下八洲夫

    山下洲夫君 耐震強度計算法ですけれども、許容応力度等計算、これが一番簡単な計算なんですよね、計算方法構造計算では。それを特定行政庁も見逃したと、あるいは民間の専門機関も見逃したと。これは偽装であろうがなかろうが、計算方法を見逃したことは事実なんですよね。だけれども、民間に対しては今回一杯ペナルティーをどんどんつくりまして、設計だけで懲役一年、着工したら懲役三年と、こんなですね。行政の方がそういうことを見破れなかった、その責任というのはどこにあるんですか。ないじゃないですか。だから言っているんですよ。片一方だけ責任がないんであれば、片一方にはないんであれば、国があれだけ関与して補助金等を拠出する必要もないと思うんです。  その辺はもうこの辺でおいて、法案が出ましたらじっくりやらしてもらいますので、この辺でおきたいと思いますが、そういう中で、ますます建築の高度化が進んでくると思います。そうしますと、建築士の専門別分野については先送りになっておりますけれども、専門分野別の資格制度にそろそろもう入った方がいいんではないかと、そのように私は思うんです。  特に今、建築士の業務は、どうもこの間、私も分かりましたのは、建築物設計や工事監理を行うのに大きく分けて、意匠だ、構造だ、そして設備だ、大体三つが言われております。そして、今回の一番問題になりましたのは、構造設計偽装が問題になったんですが、いずれにしても今日もう特化をされているということでございますから、せっかくここまで特化をされているのであれば、もっとそういう意味ではこの特化をいい方向に導いていく、分業化していく、そういうことをもう考えてもいいんではないか。そういうことを早急に導入すべきではないかというふうに思ったりするわけですが。  今日も、大臣法律専門家でございますのでいろいろと難しい問題点もよく理解されていると思いますが、現在の一級建築士は、その方に能力あるなしにかかわらず、意匠、構造、設備、全部資格を持っていらっしゃるんですね。だけど、現実的には特化をしてそれぞれ専門分野別で行っているということでございますから、その資格制度の導入について是非もう踏み込んだ方がいいと思ったりするんですが、大臣、その辺についてプロの法律家としてどのような認識をお持ちか、御報告いただきたいと思います。
  20. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今一級建築士と言われる方は約三十万人強いらっしゃるんですね。このうち資格を持っていらっしゃっても仕事をされていない方もたくさんいらっしゃると思いますが、資格を持っている方は三十万以上いらっしゃる。そのうちいわゆる構造専門の設計士の方々というのはどれぐらいいるかといいますと、約一万人なんですね。この一万人の中で、なおかつJSCAといいましてこういう構造について極めて経験もある、専門性も高いと、こういう方々、JSCAに入っている方々というのはそのうちの二千五百人ぐらいなんです。  一級建築士の方であれば、今委員のおっしゃったように、もちろん構造設計できるんですが、じゃ実際、構造設計できるかというとできないわけでございまして、それはごく一部のこの今申し上げた構造にかかわる設計士の方々が建物構造について設計をされていらっしゃる。大半の意匠の設計士の方々は、逆に言うと、その構造設計について自ら専門性豊かであるとは必ずしも言えないわけでございまして、一級建築士といっても非常にその中身が分化されてしまっているという実態があるというのはもう御指摘のとおりでございます。こうした建築士の方々の実態というのをよく踏まえまして、より安全な建物が供給されるように、特に構造設計の方々、構造設計を担当されている方々に私は少し光を当てていかないといけないというふうに思っております。  そういう意味で、その中で、委員のおっしゃった専門分化をしていくということも検討しなければならないというふうに考えておりまして、ただ、その際に幾つか問題点があります。その問題点、もう詳細申し上げませんけれども、その問題点についてよく検討をさしていただいて、今委員のおっしゃったことをよく踏まえまして、この夏までの論議の中で建築士の在り方について取りまとめをしていきたいというふうに考えております。
  21. 山下八洲夫

    山下洲夫君 私も幾つかの問題点というのは理解できるんです。一応資格があった者が、その資格を持っていながら現実には構造なら構造計算ができないと。私なんかも、自動車の運転免許証でいいますと、随分昔取ったもんですから自動二輪が勝手にくっ付いていますけれども、一度も乗ったことがないから乗れないというのと同じだと思うんですね。そういうところもあると思うんです。だけれども、資格資格として持っていますからそれを剥奪することはできませんので、その辺についてはある程度の知恵が必要かなというふうに私は思っています。  盛んに言われていますのは、今、意匠、構造、そして設備と、こんなことを言われておりますが、一つ是非提案したいんですが、私はそれ以外にもう一つ、基礎も大変重要じゃないかなという気がするんです。私は素人ですから分かりませんけれども、基礎というのは地中の中で見えないところでございます。これ土木工学なのか土木の方になるのかよく分かりませんが、岩盤がどの辺にあってどういうくいを打てばいいのか、あるいは地盤によって大きくまた基礎というのは変化すると思いますので、基礎もある程度きちっと考えた方がいいんではないかというふうに一方では思っています。  それからもう一つ資格を剥奪することはできませんから、そういう意味で考えていきますと、一級建築士を例えば五年なら五年経験をなさったと仮にいたします。そうしましたら、その上にステップアップ化した専門分野別の建築士資格制度を導入するというのも一つ方法ではないかなというふうに思うんですね。そのときに、意匠というのはなかなか感性の問題だとか芸術性もありますから、意匠にいたしましても、やっぱりその上のステップアップした、例えばハイパー構造設計士とかハイパー意匠設計士とかもう一つランク上をつくって、そこについての新たな試験制度を導入すれば、資格を剥奪することはいたしませんし、そういうことを是非提起したいんですが、その辺について、大臣、いかが思いますか。
  22. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) よく勉強させていただきたいと思っております。  いずれにしましても、私も問題意識としまして、建築士制度の在り方、これ昭和二十五年の法律なんですね、それ以降大きな改正はほとんどされておりません。実態として、この法律の制度の内容と実態との間に相当大きな乖離ができてしまっているのではないかというふうに思っております。その中で、建築士制度について抜本的な私は見直しをしなければならないと思っておりまして、今委員のおっしゃったお話につきましても、是非参考にさせていただきたいと思います。
  23. 山下八洲夫

    山下洲夫君 もう時間がありませんからちょっと急ぎたいと思いますが、建築事務所の開設について抜本的に見直した方がいいんではないか、これも先送りになっているんですね、と思うんです。  現在の、現行といいますかね、現在の法律でいきますと、建築士資格を取得しただけでは報酬を得て他人の建築物設計や工事監理を行うことはできないことになっていて、業として他人の建築物設計や工事監理を行うには建築事務所を設置し、都道府県知事に登録すると、このようになっております。  大臣はそれこそ法律家ですから一番詳しくてその点いいわけですが、ちょっと皆さんのところへ「建築士との比較」という表を配らせていただきました。(資料提示)この表でございますけれども、上に建築士、不動産鑑定士、弁護士、司法書士、行政書士、医師云々とずっとずらっとあるわけです。この縦軸に、特に「登録」と「会への加入」のところが一番大事だろうと思うんですが、建築士につきましては、登録につきましては国土交通大臣又は都道府県知事への登録と、会への加入は任意の建築士会へ加入すると。不動産鑑定士も、不動産鑑定士名簿又は不動産鑑定士補名簿に登録をすると、これも任意の不動産鑑定士会に入る、加入すると。医師が、厚生労働大臣ですが、やっぱり任意の医師会となっております。それ以外の弁護士、あるいは司法書士、行政書士、社労士、公認会計士、弁理士、税理士、この辺につきましては、登録はそれぞれの連合会、弁護士で申し上げますと弁護士会に登録をする、そしてこれは強制であると。まあ司法書士以下同じでございますが。  私、建築士もこのように強制の会へ加入をさせていく、そういう方向を取っていくべきではないかな。今日では、例えば、私、建築士資格は持っておりませんが、私自身が建築事務所を開くことできるんですね、一級建築士雇えばいいんですから。そうではなくて、少なくとも建築事務所を開設するためにはまず一級建築士資格を持っていないといけない、そしてきちっとそれぞれの会に、仮称建築士会と言わせていただきますが、例えば建築士会の会に加入をする。そういうことをしないと事務所を開くことができないということにすれば、今日のように下請化されたりあるいはゼネコンが別会社をつくってやったり、そういうことを避けることができるんではないかなと。そのことによって設計事務所の独立性が高まれば高まるほど報酬も適正な報酬になってくるでしょうし、そしてお互いに切磋琢磨して勉強もし、倫理規定もきちっと弁護士と同じようにできてくればこういう偽装の心配もなくなり、また行政も安心して任すことができるんじゃないかというふうに思ったりするんですが、その辺についてはいかがでございますでしょうか。
  24. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) ちょっと私事でございますけれども、私は弁護士の資格持っておるわけでございますが、国会に来てからは弁護士活動は全くやっておらないんですね。裁判所にも行ったことがないと。だから、なかなかこれから戻るのも大変だなというふうに思っているんですが。平成に入ってから全然やっておらないんですが、ですが、弁護士会の場合は今おっしゃったように強制加入でございます。だから当然、毎年毎年弁護士会費も払うんですが、様々な研修とかあるんですね、弁護士会の中で。弁護士倫理について十年、二十年とか定期的に、これ強制的に、私なんか弁護士業務全然やってないんですが、それを受けないと、弁護士倫理の研修を受けないと懲戒されるんですね。厳しくなっているんですね。私が幾らそんな仕事やっていませんよと言っても駄目なわけでございまして。  私は、今回、この建築士姉歯建築士という本当に悪意でこのような偽装をやった、とんでもない話であるわけでございますが、国とか県とかそういう公の機関がそういう建築士をしっかり監視、監督、もちろんしていかないけないんですが、これは当然そんなの限界があるわけでございまして、私はやっぱりそういう業界の中できちんと社会的な責任についてお互いに啓蒙し合う、共有し合う、倫理について研修をし合う、そうしたことが非常に私は大事だと思っていまして、まずは自らのそういうグループ、団体の中でしっかりと自分たちのモラルを上げていく、社会的な地位を上げるためにしっかりとこういうことをやっていこうじゃないかというふうな提案をしていただく、そうした取組が必要だと思っているんですが、これが今委員のおっしゃったように任意の加入でございまして、実際入っている方々も限られているわけですね。  会としての自律的な活動というのが必ずしも十分に行われていないわけでございまして、私は、今回の建築士制度の見直しのやはり非常に大きな論点の一つとして、この建築士制度をやはり強制加入という形にして、建築士会にするのか事務所の方にするのか分かりませんが、これは今検討しているところでございますけれども、やはり強制的に加入して、入らなかったら仕事ができないと、その代わりその会ではきちんと自律的な活動をしっかりやっていただくというふうなことをやっぱりしていただかないと、幾ら公の監視監視といってもここは限界があるわけでして、そういうふうなことをやっぱり建築士というのは衣食住の住の極めて大事な安全の部分等かかわっていらっしゃっている大事な資格なわけでございますので、そういう方向で是非検討していただきたいというふうに私は思っているところでございます。
  25. 山下八洲夫

    山下洲夫君 今大臣お話がございましたとおり、大臣は弁護士会に加入なさっていまして、倫理規定を始め大変弁護士会厳しいわけでございますから、それに準ずるような会にし、強制加入すれば立派な建築設計の措置、何といいますか、立派な建築設計士がどんどん生まれてくるんではないかなと私は思いますから、また同時に、報酬もそれに見合った報酬に自然になっていくというふうに思いますので、是非前向きに早急に検討いただきたいというふうに思っています。  まだたくさん質問したいのがあるわけですが、金融庁、お見えですか。せっかくお呼びしましたんで、金融庁にちょっと二点ばかり質問させていただきたいと思います。もう簡単に申し上げます。  本当ならこれは経産省が正しいかも分かりませんが、一つは割賦販売法の抗弁権の接続について簡潔に説明いただきたいと思います。
  26. 谷口博文

    政府参考人谷口博文君) 抗弁権の接続についてのお尋ねでございますけれども、抗弁権、つまり相手方の請求に対しましてこれを拒絶、反論する権利でございますが、これが接続されるということは、すなわち直接の原因者以外の者に対しましてもそれを主張し得るということでございまして、具体的には割賦販売法、ただいまありましたように、これは経産省の所管の法律でございますけれども、ここにおきまして割賦販売業者との間で商品に瑕疵が存在する等のトラブルが生じました場合に、購入者は販売業者との間に生じている事由を持って支払の請求をする割賦購入あっせん業者に対抗することができるというような内容のものと承知をいたしております。
  27. 山下八洲夫

    山下洲夫君 それで、今回耐震偽装問題で退去されるマンション居住者の皆さん、もう大分退去は進んでいると思いますが、そういう皆さんに対しまして地域住宅交付金を活用したりいろいろとなさっているんですが、その辺は別にいたしまして、政府としては追加住宅ローンの全額住宅金融公庫で面倒見るようにまた法改正も提出されるわけでございますが、そういう中で銀行協会も一定の理解は示しておりますが、返済の一時繰延べ等の要請があった場合に真摯に対応に努めると、この程度なんですね。  そこで、私は、銀行というのは、それこそ今回のこの住宅ローンの融資にしましても、例えば販売物件の、幾らか知りませんが、販売物件の、新築であっても八掛けぐらいしか融資は最高でもなさっていないと思うんです。一〇〇%融資していないと思うんです。しかも、その上に立ちまして、仮に、山下洲夫が仮にローンを組むとしますと、私はもちろんのこと、既婚者で家内もいれば家内は保証人になると。昔は第三者までくっ付けていましたが、最近はそこがちょっと緩んでいるようでございますが、保証人を付けると。そして、山下洲夫が死んだときは取り損なっちゃいかぬからというんで生命保険にも強制加入をさせると。しかも、その上に、火が出たらまた取り損なっちゃいかぬからといって火災保険にも強制加入すると。四重五重もいろんなしがらみで絶対に回収するぞという姿勢で臨んでいるのが金融機関だと思うんですよ、銀行だと思うんですよ。だけれども、現実には、そのマンションならマンションを購入した八掛けの価値しかなかった、そういう意味で融資をされたと思うんですね。だから、それだけで十分だと思うんですね。まあ火事になって資産価値が下がりゃ別なんですけれども、死んだって資産価値は下がらないんですからね。  そういうことを考えますと、このような偽装、価値がないというのを見抜けなかった銀行にも責任があると思うんですね。そうしますと、私は、割賦販売法にみならって銀行もそういうときには銀行自らが責任を持つと、そういう制度にすべきだと思うんですが、これは金融庁と住宅局長にも御答弁いただきたいと思います。
  28. 谷口博文

    政府参考人谷口博文君) 住宅販売業者が住宅を販売するに当たりまして、銀行など金融機関が購入者に対してローンを供与するという場合でございますけれども、販売業者、それから銀行などの金融機関、それから購入者というこの三者の間に割賦販売法が予定しておりますような関係があるのかどうか、こういったような点も慎重に考えて検討していくべき課題があるのではないかと考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、本件の、耐震偽装事件の被害者である住宅ローン債務者の方々の救助にかんがみまして、民間金融機関として可能な範囲で協力することが望ましいということで対応しておるわけでございまして、今後ともそういった形でその対応を見守っていきたいと思っているところでございます。
  29. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 既往の住宅ローンについての考え方あるいは今回事案に即しての取扱いについては、金融庁の方から話していただいたことに付け加えることはないわけでございます。  住宅政策上の課題としまして、住宅ローンについて、住宅の価値に着目してローンが設定されると。で、いろいろなことがあったときに住宅の価値をもってそのローンを償還すると、それで終わりといういわゆるノンリコースのローンがあれば、より消費者にとって的確なローンと言えるんじゃないかという指摘もございます。これについていろんな勉強を重ねているわけでございますけれども、現状、惹起したことを御説明しますと、我が国の中古住宅の流通の現実なんかからしますと、新規の住宅を取得して直ちに中古住宅となって価値がずうっと漸減していくわけでございます。そういう中で、的確にノンリコースローンを設定できるかどうか、設定した場合にその貸付条件はどういうふうになるんだろうかと、利息とかですね、ということを考えますと、まだまだ課題が多いと思いますので、引き続きそういう観点からいろいろ勉強していきたいと思っております。
  30. 山下八洲夫

    山下洲夫君 まだたくさん質問を残しているんですが、少し早く終われって要望が出ていますんで、次の法案のときに引き続き質問させていただきまして、今日はこれで終わります。  ありがとうございました。
  31. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 おはようございます。  山下先輩議員に引き続きまして民主党・新緑風会、加藤が大臣所信に関しまして質問をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず最初に、北側大臣は平成十六年九月に国土交通大臣に就任されて、一年半にわたり小泉内閣の中で要職を務められておりました。そこで、その小泉内閣の旗印である改革が国土交通省の行政の中でどのように実現されてきたのか、お伺いしたいと思います。  大臣所信では、社会資本整備の効率化、公団の民営化や独立行政法人の推進などを改革として並べておられますけれども、小さな政府あるいは聖域なき構造改革、こういった視点から国土交通省としての改革の実績あるいは目標、目的とは一体何なのか、まずここを大臣よりお話をいただきたいと思います。
  32. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) まず、改革が国土交通行政の中でどのように進められているのかという御質問でございます。  幾つか申し上げますと、公共事業の改革を進めさせていただいているところでございます。今、公共企業が全体として抑制をせざるを得ない、そういう中でやはり一つはコスト縮減をしっかりやっていこう、また事業評価、終わってからの事業評価を厳格に実施をしよう、さらには既存ストックを有効活用するなりソフト施策との連携を進めるなど、財政資金が限られる中でより社会資本整備を効果的、重点的に推進していこうということで取組をさしていただいているところでございます。  また、公共投資の水準につきましても、これは景気対策のために大幅な追加が行われておりました平成の初めのころの水準を目標に抑制をしていくという目標があったわけでございますが、これもほぼ達成できたというふうに考えているところでございます。  次に、官から民への改革でございますが、これにつきましては道路関係四公団の民営化の問題、民営化を昨年十月一日に実現をいたしました。また、住宅金融公庫につきましても直接融資からは撤退する、原則撤退する、また都市再生機構についてもニュータウン事業からの原則撤退等、民間の活動領域というものを拡大を実施いたしました。  さらに、国から地方への改革という点では、まちづくり交付金だとか地域住宅交付金、さらには地域再生基盤強化交付金という形で制度の創設、拡充を行いまして、地方の自主性、自立性を高める補助金改革というのも行わしていただいたと考えているところでございます。  今、やはり財政を健全化していくというのは、これは容易な問題、簡単な問題ではないと思いますが、これはやはり至上命題だと思います。そういう意味で、財政の健全化を着実に進めていくためには、一方で予算規模自体は抑制せざるを得ない、しかし社会資本整備についてやらないけないところはたくさんある、そういう中でやはり事業を効率化し重点化し進めていくということが大切である、その中で民間でできることは民間に、地方にできることは地方にというふうな改革も進めてきたというふうに考えているところでございます。
  33. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 そこで、少し視点を変えさせていただきまして、私は、国土交通省における改革、こう言った場合に、今いろいろ申し述べられました、確かに多くのテーマに取り組まれた、あると思います。しかし、基本的には既得権益をどうなくしていくのか、既得権益との戦いが国土交通省における改革の私は本丸ではないかと、このようにも思うわけであります。  確かに、一般会計の公共事業費は大幅に減ってきております。しかし、膨大な特別会計の問題ということは残されておりますし、あるいは分権化が進んでいない、あるいは事業別配分の硬直化といった問題についても余り解決されていない。まあ改革を良しとせず既得権益を守るという力もなお働いているんではないかと、こう思うわけであります。また、国全体としての政策の優先度や効率化といった、そういう視点が働いているのかと、こういうふうな課題もあると。  私は、大臣に内閣の旗印であるこの改革と、そして今申し述べました既得権益の関係についてどのように考えておられるのか、ここをお伺いしたいと思います。
  34. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 先ほど申し上げましたように、我が国財政はもう余裕がない状況にあるわけでございます。やはり優先順位を明確にして、また重点化をしっかり進めていかないといけない。一方で必要性、社会資本整備の必要性というのは、よく無駄な事業、公共事業と言われますが、私はそうじゃないと思っているんです。必要性は、もうどの事業だって必要性はあるわけですね。むしろ、そういう必要性があるものの中で優先順位というものをやはり明確にしていくということが、もう限られた予算しかないわけでございますので、そこの優先順位、プライオリティーというのを明確にしていくということが非常に大事だというふうに思っております。  そのためには、従来国でやっていたものをむしろ地方でやっていただいた方がより効率的に実施できるじゃないか、また民間でやってもらうものはどんどん民間にやってもらって、民間で公益的なサービスや事業をやってもらおうじゃないかと、こういう流れ自体は正しい方向で、やっぱりその道しかないというふうに私も思っているんです。  今、公共事業については、今委員もおっしゃっていただいたように、平成十年度に比べましても、これ補正後の金額と比較しますと、もう五割以上削減をいたしました。また、特別会計につきましても、道路整備特別会計につきましても、これは平成十三年度予算と比べましても二八%縮減をしておりますし、治水特別会計に至っては四〇%の縮減、港湾特会についても三七%の縮減ということで、特別会計についても大幅な縮減を一般会計同様進めさしていただいて、重点的、効率的な執行というものに努めているところでございます。  道路関係の四公団につきましては、これは当たり前の話といえば当たり前の話なんですが、道路特会からの出資につきましては、平成十三年度には約五千億円の出資しておったんですが、今年の予算ではもう九百七十九億円と、八一%減ということでございますし、空港特会についても、成田会社も民営化されました。平成十三年度は百十六億の出資があったわけでございますけども、平成十五年度以降はもう出資を取り止めていると、こうした改革に取り組んでいるところでございます。
  35. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 私は大臣の考え方あるいは実績について異を挟むということではないんです。ただ、今やっぱり優先度をどう考えるかというのが政治そのものだとこう言われたわけで、その優先度を考える中に、今国会では国民の安全、安心と、これがやっぱり優先度の中で基軸としてしっかり確立されるべきだと、これが私どもの主張であり、やっぱりポイントだと。そして、このことは私はそんなに差はないんではないかということを思いつつ、次の質問に入っていきたいんですけれども。  改革改革と大上段に私どももそういう言葉は使っております。しかし、大きな改革だけが改革ではないんではないか。つまり、国民の安全だとか安心だとかという視点に立ったときに、小さな改革も私は大切な改革ではないかと、こういう視点が今残されておるんじゃないかなということで、若干雰囲気が変わってきますけれども、自賠責保険、この被害者の救済という点で少し質問をしていきたいと思います。  まず、交通事故被害者という言わば被害者の弱者救済という立場に立って御質問するわけですけれども、交通事故は平成十六年度で死者数は七千三百五十八人、これは傾向としては減少傾向にある、これはいいことでございます。ただ、負傷者の方は百十八万人台で、これは大体大台が続いている。つまり、日本人の百人に一人は交通事故に遭遇し負傷しているという、こういうことであります。  当然ここには自分の責任ではなく被害を受けて苦しんでおられる方々、家族も含めて自ら体の傷、心の傷か、そういうようなものを受けておるわけでありますけれども、ここから立ち直るためにも最低限被害者への適正な補償がなされる必要があると。しかし、現実は、すべてのケースではありませんけれども、幾つかの割合で最低限の適正な補償が行われていないために更に心の傷を負っている、つまり被害者というのは場合によっては二回事故に遭って苦しまなければならない、こういうふうな状況がやっぱりあるわけです。  今日、公的な補償制度の枠組みがあったといたしましても、このことの制度に血の通ったそういうふうな改善、改革をやっぱりやっていくことが大切ではないのか。そのために整備、制度整備、これは行政レベルでいっても政治にとっても重大な私は政策課題だと、こう考えているわけであります。  まず、公的な補償制度である自動車賠償責任保険の制度的な目的、理念についての御説明をお願いしたいと思います。
  36. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) いわゆる自賠責保険についてのお尋ねでございますが、自賠責保険は、自動車の運行によって人の生命又は身体が害された場合において、その損害賠償を保障する制度を確立をして被害者の保護を図ると、こういう目的でございます。この被害者保護の実効性を担保するために、この法律の中で、自動車は自賠責保険の契約が締結されているものでなければ運行の用に供してはならないということで、保険の契約を強制をしております。  あわせまして、車検の折に自賠責保険が締結されているかどうかを確認することによりまして、無保険者をまず排除するということ、それから二つ目は、加害者側に免責立証責任を課すことによりまして事実上の無過失責任主義が明確化されているということ、それから三点目は、被害者が保険会社に直接保険金の支払を請求できるということにしておりまして、これらもろもろの被害者保護の実効性を担保するための制度が設けられているということでございます。
  37. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 つまり、被害者保護がこの制度の最大唯一、目的であると、こういうふうなことでございます。  そこで私は、この自賠責責任において、問題は任意が入っていない、自賠責保険だけに入っているケースということで少し考えていただきたいんですけれども、被害者が悲惨な状況に追い込まれる制度的な問題の一つが、傷害の場合の給付金において後遺症のない場合の限度額が百二十万円になっている点だと、このように考えておりますし、私の支援者からもそういう声を、事実、現実の問題として受けておるということであります。  この傷害給付金は、治療費に加え、休業補償、慰謝料も入っており、重傷の場合やむち打ち症など、長期の治療が必要な場合は治療費が足らなくなると、こういうふうな状況が発生をするということであります。  そこで、まずデータとして、自賠責において支払われる傷害の給付金の平均的な金額、また限度額の百二十万円でカバーされている率がどのぐらいか、またこの限度額を超えるケースではどのような実態となっているのか、分かる範囲で結構でございますので御説明いただきたいと思います。
  38. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) お尋ねの点でございますが、傷害に対する自賠責保険の支払額を平成十二年度以降の五年間について見てみますと、平均の支払額が四十万三千円となっております。このうち、損害額が限度額の百二十万円以下のケース、その件数は、支払件数全体に占める割合、いわゆるカバー率で見てみまして、同じく平成十二年度以降の五年間で平均八五%であります。逆に、損害額が限度額百二十万円を超えた事例、これは五年間の平均、約十八万件、一五%を占めているという実態になっております。
  39. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 つまり、一五%ぐらいが百二十万円で収まっていないと、こういうことでございますね。収まっていない場合はどうなるのということが、被害者保護がそこの一五%の人たちについてどういう形で貫徹されているのかということが本日の私のこの質問の趣旨でございまして、つまり限度額が百二十万円ということで、やっぱり被害者が大変な目に遭っているという私は事態があるんだと。  そこで皆さん、現在、病院、病院というのはいろいろありますけれども、多くの場合、交通事故は自由診療対応としている。で、加害者が任意保険に加入していないことなどが途中で判明してくると、まあ支払能力がないのではないかと、そういう予断に立って、病院側が長期療養や長期入院を拒否するというケースも見られているということであります。  また、厚生労働省の指導を無視して、交通事故の場合は社会保険が使えないと強弁して被害者が引き下がらざるを得ないケースもあったり、あるいは健康保険に切り替えても被害者側は自己負担分の三割をこれは払わないかぬわけですから、自分に責任がないのになぜ三割払わないけないのかということもあるわけでありまして、そういうやりきれない立場に追いやられるケースもあります。  これらのトラブルは、自賠責におけるこの傷害に関する支払限度額をやはり大幅に引き上げることによって幾つかのケースで救済される、解決できるのではないかと、このように私は考えるわけでありますけれども、国土交通省として、この限度額の引上げについてどのような、検討する意思があるのかないのかということも含めてお伺いしたいと思います。
  40. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) まず一般的に申し上げますけれども、自賠責保険の支払限度額につきましては、賃金、物価水準、あるいは社会保障制度における給付水準など、社会経済状況を総合的に勘案をして自賠責審議会において検討した上で政令で決まっております。  先生御指摘のとおり、傷害につきましては現在百二十万円となっております。この百二十万円につきましては、昭和五十三年以降、支払額がおおむね現行の百二十万円の範囲内にあるということで引上げがされておりませんで、平成十二年の六月にこの自賠責審議会の答申がなされました折にも、現行水準が適当であるという判断がされております。  先ほど申し上げましたように、傷害のカバー率は、平成十二年度、今申し上げました答申が出されましたときに八四・五%でございました。平成十六年度の実績が八五・二%ということで、基本的にこのカバー率に関しては大きな変化がないということでございますが、いずれにしましても、この限度額の引上げに関しましては、任意保険の普及状況や、あるいは加害者が任意保険未加入の場合でも、自賠責保険によって基本補償を確保するという観点を踏まえて判断していかなければならないと、このように考えております。
  41. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 その任意保険の普及率は七一・一%、平成十六年三月。これは自動車共済を含めて八〇%弱であるというふうに認識をしております。いろいろと制度の改正が行われて、ひき逃げ無保険者による事故の被害補償など、いろいろ充実されてきたことも事実でありますけれども。  しかし、今の答弁を聞く限り、カバー、保護されないケースがやっぱり発生しているということですし、そういうことを審議会でどういう審議をされているのか分かりませんけれども、やっぱりそれを残していくということじゃないんですか。私は、改革の中に血の通った、温かみのある、弱い立場の人を救っていくという、その小さな改革だって大事にしてくれなきゃ、大きな改革ばっかり言ったって、本当に国民の目から見て、生きているのかと、そういうふうな政治を求めておるんじゃないですかという視点からこの問題についてお伺いをしているということですけれども、すべては審議会にゆだねるということだけでは私は駄目ではないかと、このように思います。  と同時に、やはり被害者のこの保険をめぐる制度の中で一番大きな問題は、ほとんどの自賠責も任意保険も、これ大手の保険会社がもうやっておるわけです、現実。この人たちは、優秀な弁護士を雇って、トータルとしての経営の、まあある種の目的を背負ってやってくるわけですけれども、被害者は個々に分断されておるわけですよ。被害者というのは自分で選んでやっておるわけじゃないということを含めて、この双方の力関係ということから見て、本当に被害者保護という観点に立ったこの保険制度の実態になっているのか。  なっているケースもあるでしょうけれども、なってない、残されたケースにやっぱり光を当てていくというふうなことを含めて、言わば最近は弁護士会や司法書士、行政書士の皆さん方努力で補償交渉に関するルール化も進んでいるということは聞き及んでおるわけですけれども、こういうふうな被害者に対する支援施策、こういう点も含めて国土交通省のお考えをお聞きしたいと思います。
  42. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) 加藤先生御指摘のような適正な自賠責保険の支払ということは極めて重要なことだと思っておりまして、国土交通省の行政の中でも重要な部分だと思っております。  そのような適正な自賠責保険の支払を確保するという観点から、現在、日弁連の交通事故相談センターが無料の交通事故相談を行っておりますのに対しまして補助をやっておりますし、一方、政府としては、平成十三年度までの政府再保険制度がありました折には、再保険金の支払審査の過程で、本当に適正な支払であるかどうかをチェックしておりました。  で、平成十四年度からこの政府の再保険制度が廃止をされたわけでありますが、この際に、適正な保険の支払を確保するという観点で新しい仕組みが導入されております。一つは、支払について保険会社から被害者へきちっと情報を提供をするということ、それから二つ目は、死亡や重度後遺障害、あるいは支払をしない場合については保険会社から国にきちっと届出をしてもらうこと、それから国は届出内容をチェックして、支払基準に該当しないような保険会社の支払については、必要な指示、公表、命令といった措置を講ずることによりまして保険金の支払の適正化を図っております。また、紛争処理機関といったものを設置をして、事後チェック体制を現在整えております。  いずれにしましても、この被害者救済対策の充実、あるいは適正な運営につきましては不断に検討していく必要があるものと考えております。
  43. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 是非、苦しんでいる皆さん方に光を当てるような、こういう小さな改革も大臣には取り組んでいただきたいと、こういうふうなことを申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。  次は、モーダルシフトの推進ということでございます。  鉄道、海運のモーダルシフトの推進が言われて久しいということでございまして、大臣所信においても、道路交通の円滑化、海運、鉄道の活用や物流総合効率化法の活用等のグリーン物流の推進ということも述べられておられましたけれども、大体このモーダルシフトは何のために、どのような目的意識を持って推進されるべきなのか、北側大臣所信を是非お伺いしたいと思います。
  44. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 地球温暖化対策というのは、本当に急がれる大事な対策であると考えております。  運輸部門はCO2の排出は全体の約二割でございまして、その中でも自動車からのCO2の排出が多いわけでございますが、そういう意味で、この運輸部門におけるCO2の排出をいかに小さくしていくかということは、これは喫緊の課題だというふうに認識をしております。  それぞれのモードごとに、例えば自動車であれば低公害車を開発普及するだとか、鉄道、海運の利便性を向上するだとか、こうした対策を取ってきているわけでございますが、さらにモード横断的に、今おっしゃっているモーダルシフトだとか積載率を向上するだとか、物流全体の効率化を進めていくこともCO2の排出を抑制していく大きな手段だと考えているところでございます。  自動車と、まあトラックとですね、トラックと鉄道を比べてみますと、トンキロ当たりのCO2の排出量は鉄道はトラックの八分の一と。内航海運、船と比べてみますと、船とトラックでは船が四分の一でございまして、やはりこういう自動車交通のトラックから鉄道へ、できたら船へというふうにシフトをしていくというのは、環境対策、省エネ対策として極めて有効であるというふうに考えているところでございます。  モーダルシフト化率というのがございまして、物流の量はどんどん増えておりまして、確かに鉄道や海運も輸送量は増加してきているんですが、しかし全体としての伸びがもっと大きいということもございまして、トラックによる輸送量というのがやはり飛躍的に伸びておりまして、全体としてのモーダルシフト化率というのはむしろ低下傾向にあるというのが今の現状でございます。  やはり企業の方々に、荷主の方々に、また物流業者の方々に、やはりトラックから鉄道へ、そして船へというふうにシフトをしていくためには、それだけのやはりインセンティブといいますかね、そういうものをしっかり持たせる必要があると思いますし、また業界の方々、荷主側の方々も含めて御理解、協力が不可欠だというふうに思っているところでございます。  今、昨年の四月から経産省とも連携を取らしていただきまして、グリーン物流パートナーシップ会議というのを設置をいたしまして、これを活用しまして荷主企業と物流事業者の連携を今図らしていただいておりまして、様々な課題への対応を図らしていただいているところでございます。  いずれにしましても、荷主企業、物流事業者、そして私ども、しっかり環境負荷の小さい物流体系を構築をしていくべく積極的に推進をさしていただきたいと考えております。
  45. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 まあモーダルシフトの宣伝とは言いませんけれど、場をいただいたというのか、大臣に適切な発言をしていただいたと思いますけれども。  私は、モーダルシフトというのは、環境の視点だけではなくて、国土交通体系を俯瞰したときのベストミックスというこれは視点があるということで、これはまた別の機会に私、時間を掛けてやっぱり議論すべきだと思います。  今日は、やっぱり環境を前面に置いたモーダルシフトと、こういうふうな議論で行って、その中で、今言われましたことで、いわゆる鉄道モーダルシフトを推進していくということを考えていけば、内航ということは別に置きまして、何といっても私はJR貨物の経営を、健全化と言うと大変申し訳ないんですけれども、いわゆる経営をきちっとしていくための環境整備、ある意味でてこ入れが不可欠であると、このように考えているわけであります。  貨物車両の更新、貨物駅の整備、さらには幹線における貨物専用線の建設など、言ってみるとJR貨物に投資されたここ十何年間の私は更新投資とかいうのは余り十分ではなかったんではないかと、こういうふうなことを踏まえまして、とにもかくにも鉄道モーダルシフトについては、やっぱりコスト面、あるいは納期にかかわるスピード面、こういうことを含めた両面において競争力を付ける必要があると。そうしなければ荷主の方々が顔を向けてくれない、単なるモーダルシフト、環境だけを言っても振り向いてくれないと、こういうふうなことがあると思いますので、このモーダルシフト推進の戦略的な政策の実行が必要であると思われるので、ここら辺についての答弁をいただきたいということと、ちょっと順番が、大臣の方がグリーン物流パートナーシップ会議ということを、またそれへのモデル事業ということに触れていただきましたんで、あえて言えば、今補助金等いろいろやっておりますけれども、そこは更に強力にやっていくということがないと、荷主の方も商売でやっているということがありますから、やっぱり強力にこのモーダルシフトの方に振り向かすためには、更なる国土交通省さんとしての私は工夫が要るのではないかということを踏まえて、御答弁何かあればいただきたいと思います。
  46. 梅田春実

    政府参考人梅田春実君) 先生御指摘のJR貨物でございますが、私どももその経営の基盤の強化は大変重要だというふうに考えております。  最近のJR貨物の経営状況でございますが、増収に向けました営業努力などによりまして、平成十三年度以降は四期連続で経常黒字を達成しておりまして、ようやく黒字の基調が定着しつつあるという状況でございます。  しかし、物流市場におきましては、トラック等も含めまして非常に厳しい競争関係にございます。運賃が下落する傾向にもございますし、また近年の災害の続発によりましてネットワークの寸断が起こるというような不安定な要因もございます。そういう意味で、JR貨物の経営環境はなかなか厳しいというふうに認識しているところでございます。  御指摘のように、モーダルシフトの担い手として重要な役割を果たすわけでございますが、この基盤強化に資するためには、インフラの整備や老朽化した機関車、貨車の更新などが大変重要でございまして、そういう観点から政策的な支援を行っているところでございます。  具体的には、財政上の支援といたしまして、現在、山陽線の鉄道の貨物輸送力、これを増強する工事をやっております。これにつきまして、私どもも国庫の方から、十分の三でございますが、補助をしておるところでございます。  また、税制上の支援措置といたしましては、高性能の機関車あるいは貨車に掛かります固定資産税の軽減、あるいは旧国鉄からの承継資産、たくさんまだございますけれども、こういうものにつきましての特例の措置を講じているところでございます。  また、モーダルシフトの推進におきましては、消費者あるいは荷主などの意識の向上も重要な要素でございます。昨年度からでございますが、鉄道貨物輸送に積極的に取り組む商品や企業を認定するエコレールマーク制度というものを取り組みまして、今年度からこのマークの制度を発足させたところでございます。これまでに五商品、二十一企業に認定を行っております。これは、レールをたくさん使って運んでいただく企業とかあるいは商品につきましてマークを付けまして、できるだけ消費者にそういうマークの付いたものを買っていただきたいという制度でございます。  今後とも、こういうハード、ソフトの両面からの施策を展開いたしまして、経営基盤の強化を図ってまいりたいと思っております。で、鉄道貨物輸送としてのモーダルシフトの役割を十分に果たせるように取り組んでまいりたいと考えております。
  47. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 是非しっかりとした取組をお願いをしたいと思います。  次に、耐震構造計算偽造問題にも関連をして、特定建築物耐震改修の促進等について御質問をしていきたいというふうに思います。  まず第一に、こういう質問は余りないと思いますけれども、阪神・淡路大震災において倒壊したりあるいは傾いたり、そういったマンション等建物の、そういう原因分析がきちんとされたのかどうか、お伺いをしたいというふうに思います。耐震構造に問題があったのか、あるいは手抜きがあったのか、施工不良があったのかと、そういうふうなことについて調査が行われているのかどうか。ここはどうでしょうか。
  48. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 少々お待ちください。  その前の質問のときに杉山政策統括官がお手を挙げていらっしゃいましたので、よろしいですか。
  49. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 失礼しました。
  50. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) それでは、そちらの方から。
  51. 杉山篤史

    政府参考人杉山篤史君) 失礼いたしました。  先生の方からグリーン物流パートナーシップ会議の補助事業の件でお尋ねがございましたので、お答えをさしていただきたいというふうに思います。  御案内のとおり、本年度はグリーン物流パートナーシップ会議におきまして、モデル事業といたしまして三十三件の推進決定をいたしました。このうち十五件が鉄道、海運へのモーダルシフトに関するものでございまして、この三十三件のうち二十一件の事業につきまして国土交通省あるいは経済産業省から補助金の交付決定をしたということでございまして、うち八件がモーダルシフトに関する事業でございました。  で、この補助事業につきましては、本年度八億円でございましたが、平成十八年度には大幅に拡充をいたしまして四十億円ということで、大幅に拡充をする予定でございます。この四十億円を活用いたしまして、これから十八年度の事業に取り組んでいきたいという具合に考えている次第でございますが、この取組に当たりましては、今までモデル事業ということで、その先進的な取組だけを対象にしておりましたが、さらに、これに加えまして、そのモデル事業を更に普及するような普及型の事業につきましても補助対象にしていきたいということで、すそ野の拡大に努力をしていくということも考えております。  さらには、本省、中央だけではございませんで、地方版のグリーン物流パートナーシップ会議なども設置いたしまして、地方での事業の掘り起こしといったようなことにも努めてまいりたいと思っている次第でございまして、いずれにいたしましても、今年度に比べまして、来年度は大幅にこの補助事業の拡充に努めてまいりたいと思っている次第でございます。
  52. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 失礼をいたしました。  山本住宅局長
  53. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 阪神・淡路大震災の被害建築物の検査は行っております。建設省が委員会を設置しまして調査を行いました。その調査に取り組んだ一番の問題意識は、五十六年の耐震基準は妥当なのかと、これを見直す必要はないのかという問題意識調査を行いました。  旧耐震で建築されました建築物と新耐震基準で建築された建築物の被害状況の比較を行っております。そのほかに、建築物設計面での問題はなかったか、あるいは施工面での不良はなかったかということも併せて調査をしております。  その結果ですけれども、昭和五十六年以降の建築物につきましては大きな被害は少なかったわけでございますが、それでも例えば一部に、鉄筋コンクリート造の建築物における適切な耐震設計が行われなかったために生じたと考えられる被害、これはピロティーの被害でございます、広々一階を使うために壁を設けないというためにそこが破壊されたといったような被害でありますとか、鉄骨造建築物の溶接不良、これは施工不良でございます。それから、木造の建築物における耐力壁が足りないといったような問題、あるいは接合部の施工不良といったような状態が見られたという報告を受けております。  なお、この調査の結果、五十六年基準は妥当である、これを維持すべきであるという結論を得ているところでございます。
  54. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 その点は私としても評価しておるわけであります。  ただ、これはまあ私、自分の経験の中で感じたことでありますけれども、結局、耐震偽造問題で、一連の報道の中でヒューザーの小嶋社長が発言をした中で私が一番引っ掛かったのは、ある場面で、この偽装問題は今公表せずに、実際の地震が来たときに明らかにするということにしてほしいと、これをばあっと報道したわけですよ。そのとき私は感じたのは、ああそうなんだと、地震が来ない限り、強度不足であっても、つまり発覚しないと。そういうふうな要素を持っているのが、ああ、この建築物のいわゆる耐震性能の問題ではないかと。  ある意味で、阪神・淡路大震災のときは、言われたように、個々の建物の責任追及ということも実は住民の間では随分声があったんです。私もその一人としていろいろ言った。だけども、復旧優先、一年以内に取り壊さないと公的援助を受けられませんから、解体費用を含めて。そういうふうな面で、私はやはり、結局、多少手を抜いても分からなければいいのではないか、いや、分かったときは世の中大騒動なんだから、小さな手抜きだとか、責任なんか追及されることではなかったというふうな、私は悪い意味でのそういう学習効果もあったのではないか。つまり、ある種のモラルハザード的な状況が起こっているのではないか。  だから、私はある意味で、そういうふうな、やっぱり手抜きをしたとか強度不足の設計をしたとか、そういう問題状況についてはしっかりとした責任を追及する、そういう体制をやっぱり組み込まなければ、まあ分からなければ逃げおおせるんだという状況をつくってはいかんなと。これは、私も五十を過ぎて借金をして、だから今、耐震偽造でマンションで困っている人たちの苦衷は本当によく分かります。だから、そういうようなことを含めて、この辺のところをどうお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。
  55. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 今回の耐震偽装事件で違法な偽装をした設計士、また違法な行為を行ったその他の人たちに対しても、これはもう厳正に厳しく行政処分をしていかねばならないというふうに考えておりますし、今後とも事実関係が解明され次第、しっかりと対応を、厳正な対応をさしていただきたいというふうに考えているところでございます。  今回のこの耐震偽装事件については、設計の段階で構造計算書偽装をされたものでございます。先ほど来の御質問にもありましたとおり、姉歯建築士のかかわったところだけではなくて、札幌福岡でもそうした偽装の案件が出てきておるわけでございまして、国民皆様の不安が高まっているのは、これは当然の話でございまして、その不安を解消していくために全力で取組をさしていただきたい。  今、様々サンプル調査もさしていただいておりますが、元々、昨年の衆議院選挙終わりまして特別国会開かれたときにこれ全会一致で通していただきましたが、耐震改修促進法の改正をさしていただきました。その国の基本方針は一月に定めさしていただき、各地方においても、地方団体においても年内に基本計画、耐震改修計画が策定をされます。そこで具体的に各地域ごとの目標とかその目標を達成するための計画について策定をしていくことになるわけでございますが。  住宅建築物耐震改修事業、この補助事業につきましては補正予算でも三十億付けさしていただき、そして本予算でも大きく予算を拡充さしていただきました。また、税制改正についても今御議論をいただいているところでございますが、提案をさしていただいているところでございまして、こうした様々な取組を総合的に活用してこの耐震化、住宅建築物の耐震化を強力に進めさしていただきたいと考えているところでございます。
  56. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 ありがとうございます。  実は、この耐震偽装問題について細かな質問があったわけですけれども、これは山下議員の方の質問、答弁の中も少しありましたので、ダブってやることはないなということで割愛をさしていただきたい。用意された局長さんにはもう大変申し訳ない、出番がなくて大変申し訳ないんですけれども。  お許しをいただき、少しこの偽装問題と絡めて次の、ちょっと大臣が今答弁いただいたことが、ちょっと前後することになるんですけれども、私は、この偽装問題と、もう一つ、いわゆる昨年の秋の国会で通した、賛成した法案との関係でいくと、前門の耐震偽装問題、前門の虎ではなくて耐震偽装、後門の既存不適格と挟み打ちに遭っていると、私たちは、という気がするわけでございます。言ってみると、一九八一年の建築基準法改正前に建てられた多くのビルがやっぱり逆に倒壊の危険性が、これはもう潜在的というんですか、ううっとこうはらんでいるということであります。先ほど局長の方から答弁がありましたですよね。  結局、この一九八一年の基準というのは、まあある意味で人命という視点からいって有効だということの確証を阪神・淡路大震災のときにはある程度持ったんだということになれば、逆に言えば、八一年の基準に不適格なものについてのリスクというのは逆に確認されているというふうにも言えるわけであります。  実は、昨年、先ほどの耐震改修促進法の改正が行われたのが、十月二十七日の参議院のこの委員会で審議が行われて、私、質問しておったんですよね、ちょうどその日に。その前日とその日にイーホームズの藤田社長が国土交通省の担当係長に偽装の発覚のメールを送って、翌日、二十八日は藤田社長と担当係長が面談をしていると。そういう情勢の中で、私どもは耐震改修促進法の改正の審議をこれ真剣にやっておったということでございます。  そこで、まあ前門の耐震偽装、後門の既存不適格と、こういう二つの問題を私ども抱えておるわけでありますけれども、このいわゆる既存不適格という表現がいいのかどうか、八一年の基準にやっぱり達していない建物が現実今どのぐらいデータとしてあるのか、少しお話をいただきたいと思います。
  57. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 前門の耐震偽装、後門の既存不適格という御指摘でございました。胸にぐさりと来たところでございます。窮まっているわけでございますけれども。  今の実態、御説明する前に、一言だけ御説明さしていただきたいと思うんですけれども、昭和五十六年に導入しました新耐震基準は、実は二階建ての構造になっております。一階、第一次の基準は、中規模程度の地震、震度五強程度ですが、に対してほとんど損傷しないと、経済的価値が損なわれない。私たちの普通の言葉で言えばびくともしないと。中規模程度の地震が来てもびくともしないという基準でございます。  それに対して、二階、第二次の基準は、ほとんどまれにしか発生しないと、大概発生しないと、だけど、いざ来たときに命に危害を及ぼしてはいかぬと、これは震度六強とか七程度の地震が来たときにばたんと倒れたりぺしゃんと崩壊したりして人命に危害を及ぼすことがないようにするという基準がありまして、それぞれ力を前提に、この建築物はそういう力を持っているということを確認して進んでいくという基準でございます。  既存不適格はこの二つ基準を満たしているかどうかを、主として五十六年より前の建築物について検証するわけでございますが、実は五十六年以前に持っておりました旧耐震基準は、ほぼ、今、二階建て構造の一階部分の基準とほぼ考え方は同じでございます。昔の人たちは、鉄筋コンクリートで建物を造って、中規模の地震が来てもびくともしないというものを造っていたわけでございます。それじゃ、でっかい、著しい地震が来たときは平気だったかといいますとそうじゃなくて、中規模程度でびくともしない建物を建てておけば、著しいものが来て人の命にかかわるようなことはないだろうと推定していたわけです。しかし、実際には宮城県の地震で崩壊して人の命が失われたケースがあったということで第二の、二階の基準を設けたわけです。  したがいまして、耐震診断では、五十六年より前に建てられたもののうち、新耐震の基準、特に二階部分の基準をクリアしているかどうかということが主眼ですけれども、調査してまして、各県が耐震診断やっているアンケート調査を二年前に私ども整理したものがあるんですが、用途によって古い建物で新耐震をクリアしていない率が違うんですが、全体込み込みでやりますと、総数ベースで四四%ぐらいが古い建物であっても新耐震基準をクリアしているという結果が出ています。  そういったようなことを整理しますと、私たち今一番関心があるのは、大勢の方が御利用になる建築物、特定建築物の場合、今ストックが三十六万棟あると推計しておりますけれども、このうちの、今の用途別とか全部推計してやっているんですが、おおよそ二五%の九万棟は新耐震基準を満たしてないと推計しております。それが事実でございます。
  58. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 という状況にある中で、私どもの方は建物の安全と国民生活の安全をどうするかということで、建物の安全という視点に立って今国会もいろいろ議論をしておるわけですけれども、是非ともここのところはしっかりとした対策をやっぱりやることが重要であるというふうに思いますので、先ほども御見解をいただきましたけれども、再度、大臣の決意表明というとすぐあれですけれども、私はここをしっかり国民安心感を与えていただきたいと、こう思います。
  59. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 私、一年半前に大臣に就任して直後に中越地震があったわけでございます。その後も福岡県の西方沖地震等もございました。  我が国地震多発国、マグニチュード六・〇以上の地震が、世界じゅうで起こっているそうした地震の二割は日本で起こっていると。やはり、この地震に対する備えというものをしっかりしていかないといけない。その一番のかなめは建物、住宅の耐震化をしっかり進めること、これが減災対策のかなめであるというふうな観点から、昨年、耐震改修促進法について大きく改正を全会一致でお認めをいただいたわけでございます。  そして、先ほど申し上げましたように、これから、今七五%の耐震化率でございますけれども、目標もきっちり決めさしていただいて、この十年のうちにこれを九〇、少なくとも九〇%以上に持っていくということで目標も定めさしていただいて、国の基本方針も定めました。そして、地方においても、それぞれその地域の特性に応じて計画をこれから作っていただきます。また予算についても、耐震診断耐震改修についての予算も大幅に拡充をさしていただく今、予算案について御審議もいただいているところでございますし、税制についても、これは本当に一昨年からまとめておったんですけれども、当然耐震改修すれば費用が掛かります。その費用について所得税から控除ができる、さらには、地方税においては固定資産税も軽減できるというふうな仕組みも取り入れていただきました。  そういう意味では、私は、制度としては、相当この耐震化に向けての制度はメニューとしてそろってきたというふうに思っていたやさきに今回のこの耐震偽装事件があったわけなんですが、私は、そういう意味じゃ、制度のこうした耐震化を進めていくための見直しだけではやっぱり不十分でしてねということを今回よく分かったんですけれども。  もう一つはプレーヤーの問題です。建築に携わるプレーヤーがやっぱりしっかりしていただかないといけないわけですね。幾ら制度を立派にしても、その設計士であれ施工者であれ、この建築に携わる方々、また建築確認をする行政の側、ここのプレーヤーがしっかりと機能をしないと、幾ら制度立派でもそれはもう耐震化なんて本当に進めるかどうかこれは分からないわけでございまして、ということを痛感しておりまして、しっかり建築基準法建築士法も含めまして今回見直しをさしていただきたいと考えているところでございます。  もう一点、私は、この制度と、それからこのプレーヤーの問題と、もう一つ国民皆様意識ということがやはり耐震化を進めていくためには非常に大事だと思っておりまして、私は今回の耐震偽装事件を受けまして、これは本当に被害者の方々には大変な御苦労、心労を掛けているわけでございますが、国民皆様建物に対する、安全性に対する意識というのは物すごく今高まっておるというふうに思います。そういう意味では、非常に逆説的な言い方でございますが、この建物や住宅の建築物安全性を増していくために耐震性を強化していく、それを進めていくための国民皆様意識も非常に強くなってきているのではないかというふうに思っておりまして、是非私は、今年はしっかりと日本建築物安全性を増していく、また耐震性を増していく、そういう大きな転換点にある年にしていきたいという思いで一杯でございます。
  60. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 命と生活を守る重要施策として、緊急事態、こういう思いで取り組んでいただきたい、ここは我が党も更に加速したような対策を取るべきだと、このように思っていますけれども、それはまた後日に置きまして、時間の関係で次にスーパー中枢港湾についてお伺いをいたします。  なかなか港湾について国会で議論されることはないわけですけれども、我が国の港湾の競争力が著しく低下をしておる。シンガポールだとか上海とかには負けていると。そういうふうないわゆる港個々の競争力の視点と、もう一つは物づくり日本という、製造業が日本の外貨の九十何%を稼いでこの国のなりわい、基礎をつくっているというそういう状況の中で、国際競争力を支える、物づくり日本を支えるやっぱり競争力のある港湾、効率的な港湾、これをどうするかと。こういう視点で私はやっぱり大きな議論が残っているし、そういうふうなところでスーパー中枢港湾がどう機能していくのかという点。  そして三つ目は、コストについては三割ダウン、今三日掛かっている荷揚げの日数については一日に短縮したいということを具体的に目標にされていますけれども、それは一体いつまでにやるのか、そして今スーパー中枢港湾というのは広域の港になっていますから、それぞれ埠頭会社あるいは港湾管理者間の有効な連携をどうしていくのか。そういった点で大きな課題が一杯ございます。  そういう点、大変申し訳ないんですけれども、この三つを一括して一度に質問をいたしましたので、適切に順次お答えをいただきたいと、このようにお願いします。
  61. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) お尋ねのありましたスーパー中枢港湾プロジェクトについてでございますが、このプロジェクトについては今年度より取組を本格化をさせていただいております。  進捗状況についてまずお答えを申し上げますと、昨年の五月に改正をいたしました港湾法の施行を受けまして、昨年の七月の四日でございますが、京浜港、これは東京と横浜を併せた港ですが、名古屋港、四日市港、大阪港、神戸港の五港をスーパー中枢港湾といいますか、法律上は指定特定重要港湾と言っておりますが、それに指定をしまして、それ以降順次各港において特定国際コンテナ埠頭、これも法律名、法律の用語ですが、いわゆる次世代の高規格コンテナターミナル、これを運営する事業者の認定を行い、それぞれ事業が開始をされております。  これに関連しまして、ハードの施設整備を含めて私ども最大限の今支援を行ってございますし、さらに、こういったそれぞれの港の取組に加えまして、内航船によるフィーダー輸送、そういったものに関する社会実験によって、スーパー中枢港湾とそのほかの地方の港との連携による効率性の向上、そういったことにも努めております。  さらに、一つの湾に二つの港がございます。そういった港が連携して機能をしっかり果たしてもらうために、経済界が中心になった例えば国際物流戦略チームなど、そういったものによりまして官民併せて取組を一生懸命しておるということでございます。  今お尋ねのありました具体的な目標達成年度ということでございますが、これは各港の事情や荷主あるいは船社の考え方等によって港ごとに異なってくるというところがございますが、私どもの腹づもりといたしましては、取りあえず現時点におきましては最も早い港で早ければ十九年度に、遅い港も含めて全体で二十二年度ごろにはこの目標が達成できるように関係者共々精一杯頑張っていきたいというふうに考えてございます。
  62. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 これもまた大事な日本の拠点で、私やっぱり物流というのは、特に製造業、物づくり日本にとってやっぱり大切な、これは前、決算委員会大臣とも大分やり取りしましたけれども、ことでありますので、是非とも民間の製造業は皆会社の中で必死になってコスト削減やっておる、これで日本を支えているんだと。外の周り、塀の外のコスト削減、物流から始まりまして行政コストも含めて、それは周りの私たちが頑張らなきゃいかぬのではないかという視点で更に御努力をいただきたいというふうに思います。  そしてまた、スーパー中枢というのは全部太平洋に向かっているんですよね、港湾は。やっぱりアジアの、日本海側のやっぱり対ロシア、対中国貿易を含めたそういうふうなところも是非視野に置いて、大きな港でなくても、効率的な港をきっちり整備するということもお忘れないようにということを少し申し上げておきたいと思います。  次に、空港整備の問題でございますけれども、今日は北九州空港が何か開港で、二月十六日、私の誕生日には神戸空港が開港だということでございました。ただ、これはテレビ含めていろいろ議論があります。九十七も要るのか要らないのかとか、せっかく造ったけれどもあんまり飛んでないじゃないかとか、地元に赤字ばっかりばらまいておるんではないかとか、何か中央では特別会計に赤字がたまって、いろいろある中でこういうふうに地方空港がやっぱり開港されたということを国土交通大臣としてどう評価され、あるいはどう感想を持っておられるのか。これは松村大臣の方で少しいただきたいと思います。
  63. 松村龍二

    ○副大臣松村龍二君) 神戸空港につきましては、先ほど先生の誕生日、二月十六日に開港したわけでございますが、幸い一日当たり七路線二十七往復の国内線が就航しておりまして、開港からほぼ一か月が経過しましたが、設置管理者である神戸市が取りまとめた利用状況の速報値によれば、開港から三月十二日までの間の一日当たりの平均利用者数は八千百九十六人、平均搭乗率、これはロードファクターと言いますが、これは七三・七%、特に羽田路線の平均搭乗率は八四・三%と高い水準を示しております。御参考までに申し上げますと、平均搭乗率の全国平均は六二・九六%でございます。現時点においては神戸空港は順調に利用されているものと評価しております。  地方空港の問題につきましては様々な議論がございますが、空港の配置的側面からの整備全国的におおよそ概成したということから、我が国の空港整備は現在旺盛な航空需要に対して空港容量が不足している大都市圏拠点空港の整備に投資を重点化しておりまして、一般空港については離島を除き新設を抑制するとともに、従来の量的拡大からハード、ソフトの組み合わせや、既存空港の十分な活用中心とする質的充実に重点を移しているところでございます。
  64. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 言ってみると、もうそろそろサチュレートというんですか、飽和状態になり、ただそれらの空港の効率化を図り、目的とした地域振興であるとか交通の効率化だとかそういうふうなことを考えていくと、やっぱり首都圏空港の整備というのはいつまでたっても残っておりますなと。ここをしっかりやらなきゃ、せっかくたくさん造った地方空港の値打ちも上がらないということはもうはっきりしておるわけでありますので、この辺り首都圏空港の整備についてお話をいただきたいと思います。
  65. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 先生御指摘のとおり、国際競争力を強化する、あるいは物流面についても頑張っていく、国際交流を促進していく、こうしたことで大都市圏拠点空港の整備は非常に重要だろうと思っております。特に首都圏につきましてもその課題は大きいものと思っております。  現在、一つは羽田空港でございますけれども、今三本の滑走路で運用しておりますけれども、もう一本の滑走路を造って空港の容量を、年間今大体三十万回ぐらいでございますけれども、四十万回強に増やしていきたいと、このように思っているところでございます。今、漁業補償等の手続をやっておりますけれども、速やかに終えまして、二〇〇九年までには何とか完成したいということで努力をしておるところでございます。  この羽田空港でございますけれども、現在は国内の旅客線だけに使っておりますけれども、この四本目の滑走路ができましたら、近距離の国際線でありますとか、深夜、国際の貨物便、こんなものも飛ばしていきたいと、このように思っております。  成田空港でございますけれども、これも二本滑走路ございますが、一本は二千百八十メートルと少し中途半端な形になっておりますので、是非このもう一本の滑走路を二千五百に延ばしたいということでございます。二〇〇九年度には何とかこれもやっていきたいと思っておりまして、今努力をしていると、こういう状況でございます。
  66. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 膨大なお金を投下をしているという状況にある、この辺も質問を用意をしておったんですけれども、関空の二期工事を含めて、さてどう算段をするのかという大きな課題があるわけですけれども、私、決算委員でもございますので、これはまた決算委員会でしっかりと、参議院は決算をしっかりやるということでございますので、どうぞ準備の方もしておいていただきたいということで、割愛をしたいと思います。  最後に、公共事業の問題でございますけれども、国土交通省、治水治山、日本列島は歴史的に祖先がすばらしい治水治山をやってきた。国民の命と財産を守るためにということでいろいろやってこられたわけでありますけれども、私は公共事業をどういう視点でやるのか、最初も少し議論がありましたけれども、やっぱり安全、人の命、生活、これを守るのが国土交通省の職分であって、単に改革をして銭を減らしていったら点数が上がるんだと、私はそんなことで国土交通省国民から期待されているその任務を果たし得るのか。  また、もっと小さなことでいけば建物の耐震の問題ですよと。それから子供の通学路、歩道のないところを子供が列をつくって歩いていていつ車にはねられるか分からない。バイクだって危ない。そういうふうな、こういう環境のそういうようなことを一つずつ小さなことでもしっかり、それは大臣がしっかりすくい上げて、そこに命を吹き込んでいくというそういう行政でなければなりませんよと。大きな掛け声で格好いいこと言ったって国民生活のニーズに間に合わないんだと。  そういうふうな意味で、いろいろ過去問題もあって指摘されて、やや萎縮されたような部分もあるけれども、私はしっかり命と安全、子供、それを守っていく国土交通行政国土交通省の公共事業なんだと、そういう決意と哲学と理念を、一杯言いましたけれども、持っていただくことを最後大臣、やっぱり言ってほしいよと。一言、そうでしょと。改革だらけで国民生活が幸せになれるわけじゃないんだと、これ別に反小泉を言えとかそういうことじゃないんですけれども、是非ともよろしくお願いいたします。
  67. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 激励ありがとうございます。国土交通省はもう今委員のおっしゃっていただいたとおり、一番大きな役割は社会の安全と安心を確保する、これが国土交通省の最大の使命であり役割だと思います。大きな話だけではなくて、国土の様々な分野におけるそうした安全、安心確保のために全力を挙げて取組をさしていただきたいと考えております。
  68. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 予定しました質問終わりましたので、以上であります。
  69. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時十六分休憩      ─────・─────    午後一時二十一分開会
  70. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、国土交通行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  71. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 自由民主党の伊達忠一でございます。  大変お忙しいところ、本当にもう、今日は予算委員会も開会中でございますし、そんなことで私どもも是非期間内に法案を上げたいということから、今日、私が質問に立たせていただいて、そしてまた、副大臣、そして政務官、政府の方々に御答弁をいただきたいと、こう思っておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  私もかつて国土交通省大臣政務官をさせていただきました。本当にもう多岐にわたって、もうマンモス省庁ということで仕事の量も大変だなということを私もつくづく感じたのでございますが、しかし、私が去ってから、私がまあついているのかどうか分かりませんが、それからまあ鉄道事故から災害から本当にもう、飛行機の事故からマンション姉歯の問題から、大変なことばかり起きておられて、本当にもう休む暇もないんじゃないかなと、こう思っております。本当に幹部の皆さん方に心から私は敬意を表したい、こう思っております。  そんなことから、先般、大臣所信表明を聞かさせていただいて、私もまあ後からゆっくり読まさせていただきました。何としても安心、安全、国民皆さん方にしていただこうといういろんな施策を六つの柱に立ててやってきておるわけでございますが、その中で重要施策を別に掲げておりまして、その中に北海道の総合開発の推進というふうなことを固有名詞も挙げていただいて書いていただいているわけでございますが。何というんですか、「その他、北海道総合開発の推進」、まあその他という、特にとかね、更に北海道の総合開発を推進、そんなようなちょっとこの表現を使っていただければなと、こんなことを思っているところでございますが、しかし、気持ちの上では、本当にいやそんなものじゃないよと、優先的に北海道の開発をやるんだよという気持ちなんだろうと、こう思っております。  そこでお聞きをしたいんですが、いろいろと今行革でいろんなこの見直しが行われておりますが、よく北海道、二重行政であるとか、道州制が今非常に特区ということでいろんな議論もされているわけでございますが、北海道、広い北海道でございますし、いろんな、北海道開発庁、かつては大臣もいた省庁でもございますが、そんなことから北海道開発法というものがございます。これはどういう趣旨でもって、いつごろ作られたのかということをお聞きをしたいと、こう思っております。
  72. 松村龍二

    ○副大臣松村龍二君) 伊達先生、北海道について御質問でございます。  私も昭和五十年代の半ばに北海道警察本部に勤務したことございます。道の東西南北あるいは中央、各地も訪問をしたことがございまして、そのほか北海道に対して認識をいろいろ持っているわけでございまして、北海道の問題は非常に重要な問題であるということで真剣に取り組んでおりますので、よろしくお願いしたいと思います。  御質問の点でございますが、北海道開発法は、昭和二十五年、北海道における資源の総合的な開発に関する基本的事項を規定することを目的に制定されました。  あの時代を振り返りますと、まあそれ以後に生まれた方で振り返られない方もおありかと思いますが、まあ振り返りますと、大変に日本的に食料が不足していたと。北海道は、ニシン、バレイショその他豊富な農業の生産地である。あるいは、エネルギー資源が石炭ということでございまして、北海道が大変にそういう点で特徴があった。また、海外からたくさんの邦人が引き揚げてくるというような状況の中で、北海道の開発というものが認識されたのかなと思います。  そのようなことから、当時は未開発資源が豊富に存在する北海道を急速に開発することが国家的要請であるとされているにもかかわらず、北海道開発事業を各行政機関が個別に実施していたため、総合性、統一性を欠いておりました。このため、北海道開発法を制定し、また北海道開発事業を総合的に実施する機関として北海道開発庁を設置し、北海道に投入される国の事業の効率性を発揮させることとしたものであります。  その後、我が国経済社会の変化や発展に伴い、それぞれの時代の要請に即応して広大な土地などの北海道の資源の活用を図るため、北海道の総合開発を進めてきております。
  73. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 法律ですから、そんなような書き方なんでしょうけど、いわゆる広い北海道、食料的にも安定した供給をしなきゃならぬと、資源も豊富だし、そしてやはり社会資本の開発なんかも、非常に財政的にも乏しい、そして広いということから、国がやっぱり責任を負って、国の責任で整備をしていこうというようなこの意味じゃないかと思うんですが、その役割についてちょっと聞かせてください。
  74. 松村龍二

    ○副大臣松村龍二君) 北海道は、全国の約四分の一を占める耕地面積、ゆとりある広大な国土空間、北方型の豊かな自然環境、美しく雄大な農村景観、開拓の歴史からくる開放的な風土など、他地域にはない優れた特性と個性を備えた地域であります。一方、北海道は積雪寒冷という気候、広大な地域に人口や機能が分散している地域構造、水害、地震、災害等多発する自然災害など、特有の制約条件を抱えております。  このような制約を抱えつつも、北海道はその優れた特性を生かし、安全な食料の安定供給、自然環境の保全、資源エネルギー問題の解決、観光、保養の場の提供などに寄与しておりまして、今後もこのような我が国の抱える基本的問題の解決に大きな役割を果たすことが期待されております。  北海道が国の課題の解決に寄与し、期待される役割を十分に果たしていくため、北海道開発を引き続き推進していく必要があると考えております。
  75. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 そういうことなんですよね。ですから、私は、まだまだその制度に基づいて私は北海道開発というのはやっていかなきゃならぬ、後からまたいろんなそのデータを取って質問をさせていただきますが。  まあそんなことから、一方においては、北海道開発の在り方を考えるために、昨年十一月から、国土審議会、いわゆる北海道開発分科会という、その中の、審議会の中の分科会というのがございます。私もその委員になっているんですが、次の北海道総合開発計画を検討しようということで、これに着手をしたわけでございますが、この内容、大変正直に言って人数も多うございますし、手間暇掛けて、金も掛けて審議をしております。これについて副大臣としてどう思われるか、御意見を伺いたいと思います。
  76. 松村龍二

    ○副大臣松村龍二君) 現行の第六期北海道総合開発計画は、平成十年に閣議決定されたところでありますが、計画策定後約八年が経過し、北海道においては、全国を上回るテンポで進む人口減少、少子高齢化、東アジアの急速な成長に伴う、韓国、台湾、中国等から、これらの国々が豊かになったということもございまして、交流人口の増加など、経済社会は大きな変化に直面していることから、国土審議会北海道開発分科会が平成十七年十一月に基本政策部会を設置し、第六期北海道総合開発計画の点検と新たな計画の在り方についての検討を行っているところであります。  具体的には、北海道開発の基本理念に基づきまして第六期北海道総合開発計画の目標がどのように実現されたのか、人口減少、少子高齢化や経済のグローバル化の進展、地球規模での環境、エネルギー問題の高まりなど、北海道開発をめぐる新しい時代の潮流に対応し、新たな計画がどうあるべきかについて審議を行っております。  今後の審議につきましては、本年夏には中間報告を、平成十八年度末を目途に最終報告を取りまとめる予定で進めております。
  77. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 やっぱりそういう時代に移り変わりになってきたと、こう思うんです。やはり国際化の時代。そしてまた、特にどんどんどんどんやっぱり経済成長して文化が進んでいく。そうしますと、特に北海道は過疎過密といいますか、これは地方は全部そうなんでしょうけど、一極集中的になってしまうというようなことから、地方の整備というのをどうしたらいいかというようなこと、北海道を含めてそういう問題で今我々も総合開発計画の中でいろいろと議論をしているところでございまして、是非、そういうものをまとめてきております。是非それを、これからもそのことをしっかりとやっぱり北海道開発の中に生かしていただきたいということをお願いを申し上げたいと、こう思っております。  それでは次に、実は先ほども申し上げたんですが、昨日もいわゆる北海道道州制小委員会というのが毎週行われてまして、先々週ぐらいまでは週に二回ずつ行われて、それこそタウンミーティングもやっていて、何か北海道、大した優遇されているんじゃないかというような話みたいな話から、ちょっと誤解を生じてきているような面もありますので、是非ちょっとお伺いをしたいんですが、確かに先ほど松村大臣が言ったように、北海道開発というのは広い北海道をこうやって国が責任を持って開発をしていくんだよと、だからいろいろと地方でやる事業というのはちょっとやっぱりほかの県とは、広いからその補助率だとか何かも違うんだよという制度をつくって、少しでもよその県に追い付いていくようにしようというようなことだろうと、こう思うんですが、そんなことから、国道と河川の中に開発事業を円滑に進めるために特例というものがございます、かさ上げの部分なんかを含めて。これらの趣旨については、今ちょっと私も私なりに触ったんですが、ちょっと詳しく局長の方から御説明いただければと、こう思っています。
  78. 吉田義一

    政府参考人吉田義一君) 北海道特例の趣旨及び内容でございますけれども、北海道開発事業におきましては、一、歴史的に北海道開発が国の責任と国の負担により進められてきたこと、二、北海道は安全な食料の安定的供給、自然環境の保全、資源エネルギー問題の解決などに大きな役割を果たすことが期待されておりまして、大きな開発可能性を持つ北海道の開発は長期的な国の施策として重要であること、三、開発の歴史が浅く、社会資本の整備が遅れており、また面積が広大である反面、人口が希薄であることなどから、財政力が脆弱な北海道の地方公共団体にほかの都府県並みに負担させることは適当でないこと、以上三点を理由としまして、道路、河川、港湾、空港、農業農村整備など、国策としての性格のより強い事業におきまして国庫補助負担率が本州等よりも高く、また直轄事業が広い範囲で進められているところでございます。
  79. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 まさしく私はそうだと思うんです。  それで、それを今は財政的に非常に厳しいというようなことから、どんどんどんどん人員も、開発庁の職員も半分になりました。それから予算もどんどんどんどん減ってきています。これはいろいろと公共事業の削減とかいろんなことができているわけでございますが、私は毎回道州制、そしてまた小委員会に行ってみて、確かによその県の議員さんの風当たり、またこれを担当する、まとめていこうとしているこの執行部の人たちからバッシングを受けるというか、何だ北海道ってこんな特例があったのかとかという大したうらやまがられるような言い方をされるんですが、私は決してそんなことない、そんなことは自慢にならないことなんですが。  実は皆さんのところにちょっと資料を配らさしていただいていると、こう思うんですが、(資料提示)自動車税の積雪軽減措置の廃止というこれを配らさしていただいておりますけど、実は、これを北海道の人たちも知っているという人は少なかったんです。四十年ぐらい前から、北海道、とにかく御存じのように雪が降るともう一か月ぐらい国道、道道、生活道路が除雪されなくて車が通れない。そして、かつての先輩の人たちが、三百六十五日東京みたく乗れるところと、何で北海道みたくもう一年、冬のうちは半分も乗れないところと同じ税金を何で払わなきゃならないんだということで大変大騒ぎになったと、こういう話を聞いております。そのことから、これは北海道での条例なんですが、それは確かにそうだなと、税金というのはやっぱり平等で公平でなきゃならないと、これはもう不公平じゃないかと、こういうことで、実はA地区とB地区に分けて、除雪のある程度行き届くところと届かないところに分けて税金を、これ税率をカットしている、削減をしていると、こういう例なんです。  これは恐らく今日ここにおいでの委員の方たちもそう気付いて、そんなのあるのかというようなことを思っているかもしれませんが、こういうのがあるのが私は幸せなのか、こういうところに、こういう条例だとか何かがない、特例がないところに住んでいてどんどんどんどん発展するようなところ、新幹線も来る、高速道路も来る、そういうところに私は住んでいる方が幸せなんだろうと、こう思っております。  そんなことから、実はこれをやっと今の時期になったら、まあ一か月まで除雪が行き届かなくて通れないということはないだろうということで、北海道も御存じのように再建団体に陥るか陥らないか、大変財政的に厳しいところなものですから、これを実は、何というか、道の議会に提案をして、ある程度取ることになりました。これはまた大騒ぎになって、とにかく乗用車の人たちは大したことないと言ったら怒られるかもしれませんけど、一級と二級に分けてこの違いがあるんですが、この税率が八十二億なんです、北海道で。これはまあ随分議論したんですが、上げるんでないよと、これは今まで本州のお年寄りだとか女の人だってきちっと払っている税金を除雪が行き届かないって割り引いていたんだから、今度はそういうことがなくなったんだから、まともに税金を決めたとおり取るんだからと、値上げでないんだからということで、だけど、ハイヤー協会だ、トラック協会だ、いろんな業界は台数が多いからいろいろな問題があって三年に分けて上げたと、こういうことなんですが、こういう地区に住んでいる我々ということを見るときに、担当している吉田務官は北海道に早速行かれたそうでございますが、実情を見て、こういうことを見てどう思われるか、お聞かせいただきたい。
  80. 吉田博美

    大臣政務官吉田博美君) お答え申し上げます。  今、伊達政務官の方から、このような状況について、特に資料を見せていただきまして、かなり……(発言する者あり)ああ政務官、申し訳ございません、前の政務官でございます。伊達委員の方から、この地図を見てかなりの広範囲にわたって軽減措置がなされたなと思っているところでございます。八十二億というかなりの額でございますが。  実を申しますと、私どもの、羽田委員長も御存じでございますが、長野県にもございまして、長野県には野沢温泉村と栄村にございまして、本当に一定の地域でございますが、いまだにまだ軽減措置を行っているわけでございまして、ある意味では、そこには、もう一か月間、二か月間、三か月間ぐらい通行不能な地域でございますから、そういう状況からしたら、うらやましいなと思っているような状況もあるわけでございまして。  先生御指摘のとおり、自動車税の積雪軽減措置の廃止により、短期的には道民の負担、皆さんの負担の増加があるという側面はあるかも分かりませんが、一方では、除雪体制や除雪水準が向上しているという実態や、それに伴う道民生活の利便性の向上、さらには税収増による地方の自主財源の充実という側面もあり、総合的、長期的な評価も重要ではないかと思うところでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  81. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 いや、そういう地域で皆さん頑張っておられるということについて、お互いに、前政務官、現政務官がそういう地域だったということについて本当に私も共鳴するわけでございますが。  しかし、特例というのはこれだけではなくて、例えば沖縄も特例がございます、また離島なんかもあるのでございますが。ですから、私は、そういうある地域というものが決して、ない地域の方が圧倒的に多いわけでございますから、うらやましいというようなことには、今回の道州制のいろいろな今議論している中にも、ならないんじゃないのかなという気するんでございますが。  そんなことから、こういうような北海道、ましてや北海道は特に先ほど申し上げたような北海道開発法というようなものがございまして、それで少し一生懸命応援をしながら、国が応援をしながら、社会資本整備だとか何か、こうやってきているんですが。  それでも、今議論になっているのは、要するに、まだまだそれでもうちの知事に言わせると、昨日、小委員会に来て四十分ぐらい訴えていったそうでございますが、北海道は離島だと、孤島だということで何とかしてほしいというようなことを言っていったそうでございますが、よそと比べてインフラだとか高規格道路という、社会資本整備というのはどういうような差になっているのか、ちょっとお聞かせをいただきたい。
  82. 吉田博美

    大臣政務官吉田博美君) 北海道は広大な土地があり、そして豊かな自然があります。そうしたものを生かしながら北海道の特性を生かして、北海道特例や一括計上などの北海道総合開発の枠組みを使ってインフラ整備に取り組んでいるところでございますが。  下水道の整備率や水道の普及率等は全国平均並みなんですけど、一方、北海道は、そうした中で、半世紀にわたって経済状況は約七倍になって、人口も一・二倍に増えていることは事実でございますが、しかしながら、治水につきましては、既に先生御存じのことと思いますが、昭和五十四年から平成十五年、二十五年間で一兆円を超す水害があるんですよ。これ全国で一番なんですよね。ちなみに、長野県は三番目でございますけれども。そんなような形の中で、我が国の食料基地、観光、保養の主要な拠点として発展をしてきました。これらのことから、北海道の、しかしながら、そういうわけでございますが、特に高規格道路でございますね。高規格道路の整備率が、全国平均が六三%、北海道は四〇%で、二三%低いわけでありますね。  私も、北海道へ行ってまいりましたときに、実は北海道の知事あるいは市長、またお会いいたしましたし、そして北海道の各経済界の代表の皆さんとお会いいたしましたら、皆さん方が異口同音おっしゃっているのは、北海道は今は景気が冷え込んでいると、非常に大変な時期だと、しかし私たちは決して、北海道の特例を生かした中で、おんぶにだっこして北海道は生きていくつもりはないんだと、自立をしたいんだと。この広大な資源の土地を持ちながら、豊かな自然と、そして我々の努力の中で自立をしたいんだと。  しかしながら、現実の問題として、インフラ整備が高速道路一つにしても二三%も後れているんだ、少なくても北海道の整備率を全国平均並みにしてもらいたいと、そして我々は、その中で対等な、同じ土俵の中で闘いたいということを痛切に私も感じまして、やはりそうしたことを踏まえた中で、これからは北海道の優れた特色や資源を我が国の発展に生かすため、引き続き必要な社会資本整備を進めるなど、北海道の総合開発を積極的に取り組んでいくことが必要と考えております。
  83. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 ありがとうございます。力強い御答弁をいただきまして、是非ひとつ北海道を何とかほかの県並みにしていただきたいと、こう思っております。  よく予算委員会でこう言われ、今も議論、今回も随分出ておりましたが、格差というようなことを言っておりました。私は、何も経済的な問題だけが地域的な経済格差ではなくて、こういう問題も私は一つは格差だろうと、こう思っております。できるだけやっぱりみんながそういうような社会の恩恵にあずかれるような、そういう地域の開発というものをやっぱりしていかなきゃならないんじゃないかなと、こう思うんでございますが。  今日は道路局長もおられますから、是非その辺、黙って聞いているだけじゃなくて、しっかりとやっぱり頭に入れていただいて、そしてこれからの予算に大いにやっぱり反映をさせていただかなきゃならぬと、こう思っているんですが。  あわせて、先ほど申し上げたような特例を活用して、併せてそういうものを、後れているものを取り戻していきたい、推進すべきだと、こう思うんですが、これは副大臣にお聞きしましょう。
  84. 松村龍二

    ○副大臣松村龍二君) 繰り返しになりますけれども、北海道は、土地、自然、風土、地理的条件等の優れた特性を活用し、食料、エネルギーの確保、環境を重視した循環型社会の構築、安全で多様性に富んだ美しい国土の形成、ゆとりや真の豊かさを実感できる安らぎの場の提供など、我が国の抱える課題の解決に寄与することが期待されております。  特に、安全な食料の安定的な供給、自然環境の保全、資源エネルギー問題の解決、観光、保養の場の提供などについて様々な先駆的、実験的取組を実施することで、我が国において中心的な役割を果たすことが期待されております。  このため、国は、北海道開発法の枠組みの下、北海道総合開発計画を策定し、地方公共団体、民間団体等を含む多様な主体と連携しつつ社会資本の整備を総合的に進めてきたところであります。  北海道開発を適切に推進する手段として、関係する事業予算を一括的に計上するとともに道路、河川、港湾、空港、農村整備などの事業において、国庫補助負担率が本州等よりも高く、直轄事業が広い範囲で進められてきておるのであります。このような北海道特例の活用などによりまして、引き続き北海道開発を進めていくことが我が国の持続的な発展に向けて極めて重要性が高いものと考えております。  過般、アメリカにおいてハリケーン・カトリーナが参りましたときに、堤防等の整備が州に任して行き届いていなかったということで、ルイジアナのあそこのニューオーリンズが水没してしまったという大変な事故がございましたが、やはり私どもは、全国的な視点、全国的な基準によりまして北海道を開発する、そのために特例を活用するという現行を守る必要があるというふうに考えております。
  85. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 そういう点からいくと、先ほどから言っておられるように、まだまだこの役目というのは終わっていないと。そういう特例を使って、活用してきて、国がそれだけの責任を持ってやってきても、全国平均やっぱり二十何%後れているということでございますから、これを、こういう面では小泉さんの改革というのは何でもかんでも一緒くたにやってしまう、こういう点はやっぱり僕も同じ仲間として批判をしたいなと、こう思っているんですが。もう少しやっぱりめり張りのある形の中で、もう公共事業も平均三%何ぼとかっていうんじゃなくて、やはりもう要らないというような地区があるんですよ。  ですから、この前も私も小泉さんと話したときに、政令都市で新幹線が通っていないというのはどこだか分かりますかと。言いたいんだろう、札幌って言いたいんだろうなんて言っていましたけれども、そうなんですよ。ですから、そういう均衡ある発展ということは、やっぱりこれから私は、大いに後れている地域、やっぱり影になっているところ、そういうところにやっぱり光を当てていくというのが私は政治だろうと、こう思っておりますので、まだまだ、この特例なんというと、もしかすると廃止的なような要素になってくる可能性もなきにしもありませんので、是非ひとつ、しっかりとこの幹部の皆さん始め、まだ守っていただいて、そして、欲は言いませんから、いわゆるよその県並みにひとつするまでしっかりと維持していただきたい、こう思ってお願いをしておきたいと思っております。  それから、実は、私、先般、委員長を始め皆さん方の視察に行ってまいりました。これは委員長の選挙区でもあり、吉田務官の選挙区でもあったわけでございますが、私はこの選挙区に行って、視察に行って非常に参考になったなと思いました。  佐久市ですか、佐久市の三浦市長さんという方は、後から聞いたら、厚生省出身でお医者さんだというようなことを言われておりましたが、要するに、さすが政治力ある地域でもありますから、もう高速道路はどんどんどんどんつながっていっております。それで、その道路もバスで一緒に走らさせて、乗せていただきました。そして、その市長さんも一緒にバスに乗っていろんなお話を、大変ユーモアな市長さんで、お話を聞きました。いや、こういう高速在り難いんだと、こういう高速道路がどんどんどんどんつながって、もう非常に便利になった。そのおかげで、一生懸命やって整備した、医者を集めてきた診療所が暇になって暇になってしようがない。ひどいときは一日一人か二人、ゼロというところもある、ゼロという日もあると言っていましたね。ゼロという日もあるんだと、こう言うんです。だけど、補助金もらって整備しているから廃止するわけにもいかぬしって、これは先生、本当にそのとおりですよ。我々北海道に聞いたらよだれの出るような話で、本当にもう買って持っていけるものなら持っていきたいという感じなんです。そのぐらいこの何というか、半分自慢でしょう、陳情したことが次から次にやっぱり道路が完成してということで、やっぱりどんどんどんどん患者さんが便利になったものだからそっちに行くということなんですが。  私はそれを聞いたときに、ああやっぱり、高速道路というのは、ただ延ばせ延ばせって我々いろんな陳情に来ている人は言っておりますけれども、そうじゃなくて、そういう面にも大いにやっぱり、このへき地の診療というような面からもいっても大きな役割を果たしているんだなということを実は感じまして、しかし道路の地元でございますので、吉田務官に、この必要性というものをどういう具合に思っているか、一回聞かせてください、ひとつ。
  86. 吉田博美

    大臣政務官吉田博美君) 委員の方から、委員長と私の選挙区ということをおっしゃいましたが、もう一人いらっしゃいまして、大先輩であります北澤俊美先生も私どもの選挙区でございますので、御報告をさせていただきたいと思います。  高規格幹線道路の規格の高い道路は、我が国における社会経済の発展にとって極めて重要性が高い社会資本の整備であると認識をしております。  具体的には、例えば社会面では、災害発生時の際、緊急輸送道路や代替路としての役割や、緊急医療施設へのアクセス道路としての役割もあります。また、地球温暖化の観点においても、規格の高い道路は、一般道路に比べて自動車の走行速度が高く、燃費が良くなることから、CO2の排出量の削減が見込まれているところでございます。経済面では、例えば、大都市圏の環状道路によっては渋滞による経済損失を削減し、また規格の高い道路と拠点的な空港、港湾と連結することによって物流の効率化を支援します。さらには、国内、国際併せた観光振興にも大きな役割を果たし、これらは国際競争力の強化につながるものと考えております。  なお、我が国における高規格幹線道路は、平成十七年度末で供用延長が八千八百十四キロメートル、整備率は六三%となる見込みであり、現状ではネットワークとしての機能を十分に発揮していると言い難い状況にあります。このため、今後とも、必要性の高い道路から集中的かつスピーディーな整備を、徹底的なコスト削減を図りつつ、努めてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、神代の時代から山を治め川を鎮めるというのが政をつかさどる者の仕事でありました。しかし、昨今のモータリゼーションの中で、道を切り開くと、道路網の整備がいかに大事かということでございまして、そしてそれを最短距離で結ぶのがトンネルであり、橋梁であると。  そしてもっと重要なのが、やはり高規格道路という、自動車専用道路というのが大きな要望がございまして、先ほどもお話がございました厚生労働省の衛生局長もやられたお医者さんでありますから、その市長さんが、集中医療病院、拠点病院体制の中で、本当に安心して医療を受けれると。このことが長野県の医療費の削減にもつながっておりまして、北海道は全国で二番目に高いわけでありますが、私たちは一番低いわけでございまして、そういうような現状もございまして、そうした中で、本当に私たちは、医療の問題も非常に重要ではありますけれども、私は、道路ができることによって、医療のみならず環境の問題、中小企業の問題、農林業の問題、また教育面にもかなりありまして、実は私事でありますが、私の長女は、私は南信なんです。委員長は東信で、北澤先生は北信なんですね。  南信から東信に行くというのは今までは大変なことなんです。私の長女は佐久市内の高等学校へ入った、全寮制ですけれども。それを毎週土曜日に帰って、日曜日やら月曜日に帰ってくるわけです、寮にね。その間、当然もう私は運転できませんから家内が運転をしてくるわけですが、高速道路を利用することによって一時間短縮できるわけですね。そうしますと、往復で二時間だから、だから家内の運転でもそんなに疲れなくて送れたということが三年間できたわけですよ。これが今最も大きな、中部横断道路を早く造ることによってもっと南信の方と佐久地方との交流ができるわけです。また、三遠南信道路を造ることによって東海ベルト地帯との連携もできるわけです。  そういうことを視察をしていただいたわけでございますので、そうしたことの中で、いかに高規格道路が重要かということを私がお話をさせていただきました。
  87. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 何かうらやましい話ばかり聞かされて、最後には、早くこの中部横断道路をやりたいというような、私の方がこれ陳情しているんですよ。とにかくね、自分も少し、長野県の方は少し時間を置いて、北海道はこれだけ後れているんだから是非ひとつ省庁会議なんかでも強く言っていただきたい、こう思うんです。  それで、私、長島茂雄さんというのは大変ファンだったんですけれども、あの方が不幸にしてあのような病に倒れられました。そのときによく言われたことは、要するに疲労だということももちろんありましたし、ああいうのは前触れなく来る病気なんですが、いわゆる沖縄、宮崎キャンプを行ったり来たり、東京と行ったり来たりしていたと、その温度差が二十度ぐらい違うんで、そういうことが大きな原因だったんじゃないですかなんてよくテレビで、こう言っていたんですが、そんなことからいったら、北海道なんというのは、御存知のように、内陸なんというのはマイナス、今でもマイナス三十三度ぐらいになるわけでございますから、こっちの十五度ぐらいからの東京から行くと大変なもう温度差になってしまうわけなんです。  それで、私もそれを聞いたときに、ああ、やっぱりそうなんだなということを感じたのは、北海道がそういう脳卒中関係の病気というのは非常に多いんですね。それで、素人的にこう言っておられたということは、北海道というのは、先ほど副大臣も言っていましたが、九州と北海道というのは石炭の基幹産業が多かったところなんですが、炭鉱なんかというのはいわゆる八時間三交代でやるんですね。ですから、朝、晩酌、あの人たちに言わせれば晩酌だ、晩酌だと、こう言うんですけれども、朝、用足しに行くと、酒飲んで、これから寝るわけですよね。そういうような不規則な非常に生活が多かったというようなことで、それと要するに、御存じのように、室内が非常に暖かい。ですから、二十二、三度ぐらい平均あるんです。ですから、お風呂上がってなんというのは、下着だけでビール飲むというのが北海道の習慣なんですが、だけれども、外へ出ると二十度、二十五度、マイナス二十五度というようなことで、物すごくその差が激しい。だから、そういう病気が多いんだというようなことをあるお医者さんが言ったことがございまして、そのときに、佐久市の市長さんがバスでずっと乗っていたときに、このことによって大した命が助けられたんだと言っていましたですよね、そのとき。  それで、これももらったんですけれども、それで全国平均が救急車で二十七分だそうです、全国平均で、今搬送の時間というのは。大体、六十八分だというと、大体このたぐいのもの、心筋梗塞的なものというのは一〇〇%亡くなるんだそうでございます。それで、三十分で三〇%と言ったかな、ちょっと詳しくは忘れましたけれども、覚えていませんけれども、何か皆さん聞かれていたんですが、ああ、なるほどなと。そういう要するに時間とやっぱり命というものの整合性というのはこんなにあるんだということを正直言って私もつくづく感じましてね。  それで、北海道なんかは今度は特に、あそこは佐久市なんて雪なかったですよね。もう本当に高速道路でも下でもどんどんともう走れる放題走れるところなんですが、北海道は雪が降って、さっき言ったようにもう一車線になっちゃって追い越しも何もできないんです。だから、救急車も何も意味ないんですよ。だから、高速だとか高規格道路だというとどんどんどんどん走れるんですけれども、下の道路なんて、そういう道路が通ってないところというのはもう要するにバスと同じ。そのけつ付いてずっと、もう一時間三十分で行くところ、冬、もう一時間半といえば、そのままずっと付いていくだけ。途中で追い越してピーポーピーポーと鳴らして追い越すという、その車線が取れないんですよ。ましてや、今年辺りからは非常に除雪体制が悪い。町村は非常にもう財政的に厳しいものですから。  そういうようなことを見ると、私は、これはしかし何とかしなきゃならない。今この病気のあれが百五十万人と、こう言われております。それだけやっぱり多い病気であって、そしてやっぱりそういうへき地の人たちを何とかしなきゃならないということになりますと、やっぱり命を救う道というのは何とかこれ考えていかなきゃならぬ、こう思うんですが、予算云々だけではなくて、これはどうですか、聞いて、ひとつお答えいただきたい。副大臣に。
  88. 松村龍二

    ○副大臣松村龍二君) 私も地元で、ある交通不便な半島の先の漁村で異常出産だということになって、非常に交通が不便なために泣く泣く死んじゃったというふうな例があったという話を聞かされたことがございます。これは一般の道路あるいはトンネル等の問題ですけれども。  高規格幹線道路等の規格の高い道路は、御承知のとおり、渋滞が少なく、医療施設への高速で安定した搬送が可能となるとともに、走行時の揺れも少ないということから救命率の向上においても大きな効果を発揮するものと考えております。  特に、人口密度の低い地方部においては、高度な医療施設は近隣の都市に依存している場合が多いわけであります。昨今の医療の特徴として、産婦人科とかもう特殊な科目のお医者さんが近くにいないというような状況も見られるわけでございます。医療の観点から見た高規格ネットワークの重要性は特に高いと考えております。  また、高規格幹線道路の緊急退出路から救急車を出入りさせることで救急搬送時間を大幅に短縮させることも可能になります。例えば、山形自動車道では、隣接する山形県立病院を緊急退出路で結ぶことによりまして、日ごろ閉まっている緊急退出路を開けて救急車を出すということによりまして、上山市からの救急搬送時間を四十六分、正規では四十六分掛かりますが、二十五分に短縮しております。このように、規格の高い道路は救急治療においても重要な役割を担っていると考えております。(発言する者あり)
  89. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 そうですね。それこそ今、田村先生の話で、特定道路財源なんというのも我々も随分議論させていただきましたけれども、もう少しそういうものを、何でもかんでも全国平均三%公共事業カットだとか、それから例えば稚内から石垣島までなんてよく言うんですけれども、そういう一律の、何でも一律の政策というのは僕はこの細長い北海道というのは当てはまらないと、こう思うんですよ。  というのは、北海道、さっきも言ったように、陸別だとか中川なんといったら三十五度ぐらい今でもなるんですよ、マイナスね。そういうところで、もう寒くてアイスバーンで外にも出れないというようなところと、もう二月の末になったらもう半袖で沖縄なんて、あなた、パークゴルフをやっているところと一緒に福祉政策なんかやったって、これは僕は前から提言しているんだけれども、でも役人さんというのは面倒くさい、そんなこと、きめ細かにやるといったらもう面倒くさがっちゃって、どんどんと大ざっぱにやるんですな。  だから、僕は、そういう点でもう少し、公共事業のカットだって一律三%だとかというんじゃなくて、無駄のあるところはうんと省いていいんですよ。そして、もう要らないというところには、もうそういう高速も何も新幹線も行き届いて、要らないというところにはもう持っていく必要ない。  そういう要するに費用対効果だなんというようなことを今まで言っておられて、いろんな建設をしていくということなので、費用対効果なんかからいったら、北海道なんか絶対一〇〇%と言っていいぐらい私は成り立たないと思っていますよ。ただ、札幌がまあまあになったというのは、正直言ってオリンピックが、冬季オリンピックがあったからあれだけの整備をされたので、じゃ北海道の財政力でもってできたかというと、県並みの補助でできたかといったら、全く私はできないと、こう思っております。  ですから、要するに費用対効果だとか、そんなことじゃなくて、それも僕は駄目だとは言いません。大事だと思っております。ですけれども、やっぱりさっき言った命の道というようなことを、やっぱりどういうところが本当にそういうときに大事か、必要なのかということを私はきちっとやっぱり判断していくべきだと、こう思っているんです。  月曜日の日に民主党の櫻井さんが、お医者さんですな、あの人。櫻井さんが質問、委員会でやっていました。川崎厚生労働大臣に質問して、医療制度を質問しておったんですが、今確かに全国的に集中医療制度というのを都市部にどんどんと総合病院のいろんな科をあれして、あとは診療所にして、それでそこに何かあったら搬送するということなんですが、それを、医療制度の提言をしておったら、川崎大臣が、なかなかそうしようと思ってもなかなかうまくいってないんだと。ちょっと市の、町の名前は忘れましたけれども、あの大臣、三重県だと思うんですが、三重県で九万の市と十万の市があるんだそうですよ。そこでもって、どっちかに、できれば十万の人口の多い方に小児科も入れた中央診療制度というものを確立をしようとしたら、こっちの市でも駄目だと、おれのところでもやると、こう言って、三重医大の小児科の人たちが大変苦労していたと、こう言うんですが、それはやっぱり両方でやって、これは不経済だということはないけれども、やっぱり産婦人科だとか小児科というのは足りないんだから、それはむしろそういう具合にやっていくべきだという話をしていました。  そうしたら、ほかのところはどうするんだと言ったら、それは要するにそういうアクセスで、高速からそういうアクセスでつないで、三十分以内にその子供さんの救急の搬送ができるというようにこれからしていくべきじゃないかということを言っておられて、ああ、これもまた一ついい方法だなと、こう思っているんですが。  しかし、だけれども、よく行政は縦割りだと、こう言われておりまして、じゃ厚生労働大臣が、じゃそこに、じゃここに高速道路を引いてこいと、こっちに造らないで、ここにしか造らないから、小児センター的なもの造らぬから、じゃ引いてこれるかといったら、これまた管轄が違うというようなことに実はなるんだろうと、こう思うんですけれども、そういうような、例えば、よく縦割りだということを言われるけれども、その命の道と医療体制の充実なんというのは、これはそういう連係プレーで議論することはあるんですか。
  90. 谷口博昭

    政府参考人谷口博昭君) お答えいたします。  委員の方から非常に重要なこれからの道路整備に対しての御指摘をいただいたと思っております。  費用対効果ということでございますが、費用につきましては徹底したコスト縮減に取り組まさしていただきたいと思っておりますし、効果の方も、相互便益等計量化できる部分をもう少し命の道という観点からきちっと把握し、的確に費用対効果をしろということではないかと思っております。  先ほど地域の自立というようなお話もちょうだいしました。地域の自立のためには安全で安心してその地域にきちっと暮らせるというようなことが不可欠かと思っております。そういう意味では、今御指摘いただきました医療の面は重要だと思っておりまして、高規格幹線道路ネットワークは、医療施設の迅速な搬送を可能とすること及び医療施設の広域的な利用を可能とすることから、緊急医療サービスの向上等大きな効果があると考えておる次第でございます。  具体的な例を二例だけ御紹介させていただきますが、長野県の南信地域でございますが、伊那、駒ケ根、飯田市を中心とする南信地域では、中央自動車道の開通によりまして広域的な医療システムが構築できたということで大きな効果を上げているという具合にお聞きしております。また、東海北陸自動車道の例でございますが、平成十四年に東海北陸自動車道が供用したわけでございますが、まだ全通ではございませんが、その十四年に供用した沿線では、富山、岐阜県境の中山間地域では県境を越えた広域連合を設立して、東海北陸自動車道の供用と同時に、広域連合内の旧福光町内に南砺中央病院を整備し医療サービスを改善したということでございまして、この結果、岐阜県の白川村から高度医療を受けられる病院までの搬送時間は、以前には七十分掛かっておったわけでございますが、約三十分というようなことで、委員指摘のデッドラインの三十分というようなことで大幅に短縮されるというようなことで、大いな効果があるということになってきておるわけでございます。  そうしたことから、できるだけ早く安心して暮らせるために、高規格幹線道路ネットワークの整備に努めてまいりたいと考えております。
  91. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 その救急医療と道路整備の問題、吉田務官に最後聞こうと思ったんですが、ちょっと時間がなくなったものですから、最後に政務官に住宅関係のことでちょっとお聞きをしたいんですが。  実は、バブルがはじけて、バブル期にどんどんどんどん地上げしたりなんかして虫食い状態になっちゃって、都市部のいい地域が虫食い状態になっています。それで、この対策は行政挙げていろいろと我々もいろんな法案を作りながらやっていっているんですけれども、やっぱり本当に合致した面積があるようなところじゃないとなかなか活用できないというようなことがあるんですが、かつてのやっぱり人たちというのは、かつての人というか、まだ子供さんも片づいてない、そういう人たちというのは、やっぱりある程度部屋も大きいところ欲しい、それから車の駐車場もあるところも欲しいということになりますと、それはもうよほど株でももうけた人なら別ですけれども、普通の勤め人だとかなんかというのはそんな一等地なんてなかなか、もうマンションなんというのは買えないということなんですが、そんなことから最近は北海道ではこういう現象になってきているんです。  もうさっき言ったように、とにかくもうマイナス二十度ぐらいになって、もうアイスバーンになっちゃって、車の運転、我々でさえも恐ろしくてなかなか乗らないという、うちの家内なんか真冬は余り乗らないということにしているんですが、ところが、もうやっぱり七十過ぎちゃうと冬なかなか乗りたくないと、危なくて。そうすると、そういう地域というのは、さっき言ったように、部屋も大きい、駐車場もあるところなものですから、自分たちの金で買えるということは割かし遠くの方を買っているわけでございます。ところが、車ももう運転もやめて駐車場も要らない、そして子供たちも片付いたと、もう二DKぐらいのところで、ぱっと電車に乗ったらすうっともう三越のデパートの地下まで入っていけるような、そういう都心部に移りたいという方が結構多いんです。ところが、やっぱり建ぺい率だとか容積だとかということがあるものですから、なかなか業者もそれを買って建てても採算が合うだけのものになっていかないというのが今の現状なんですね。  それをもう少し都市部だとかなんかのうまく虫食い地域を活用していくというには、どうですか、そういう制度を、やっぱり地域的に規制するか何かして、反面、そういう建ぺいだとか容積だとかというのを緩和していくというような、そういう政策を取って、そして一等地の何百坪、一千坪なんというんならそれはホテルにでもすぐ使えるでしょうけれども、そういううまくその虫食いのところを活用していく方法というのは考えられないものでしょうかね、ちょっと政務官、最後に。
  92. 吉田博美

    大臣政務官吉田博美君) お答え申し上げます。  全国都市再生と規制改革は現下の重要政策であり、御指摘の土地の有効高度利用はとりわけ重要な課題だと考えております。こうした観点から、例えば平成十四年度でございますが、建築基準法の改正によりまして、住居地域で定めることができる容積率の上限をそのときは四〇〇%から五〇〇%に引き上げるなど、容積率、建ぺい率等の規制を見直したところでございます。また、規制の緩和と併せて、御存じのように、市街地再開発事業等の権利調整を円滑化するための支援策を講じ、土地の有効高度利用の隘路を打開することが必要でございます。  平成十八年度予算におきましては、公共施設を含む建物の建て替え等に補助する暮らし・にぎわい再生事業を創設するなど、中心市街地活性化の支援策を盛り込んでいるところでございます。これらの制度の活用により、都市部における土地の有効高度利用を積極的に進めてまいりたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。
  93. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 どうも大変お忙しいところありがとうございました。終わらさしていただきます。
  94. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。副大臣、また政務官、どうかよろしくお願い申し上げます。  本日、国土交通行政に関する大臣所信表明に対する一般質疑でございます。先般、大臣から表明されましたこの所信には、最重要課題として安全と安心ということが掲げられておりました。加えて、その他の重要課題ということにつきまして六点ほど触れられていたわけであります。今日は、まず初めに、私はこの公共交通に対する国のビジョンということにつきまして御質問させていただきたいと思います。  この重要課題、六点ほど大臣がお示しになったわけでございますが、私が理解するところでは、このうち、六つのうち四つぐらいに当てはまるであろう点として、この公共交通、なかんずくLRTの話を取り上げさせていただきたいと思っております。  私、埼玉の選挙区でございますが、さいたま市の中学校の教科書にこういう、国語の教科書ですけれども、一文がございまして、題名は、「古くて新しい路面電車」というタイトルであります。  このLRTというのは、路面電車とまたちょっと違う次世代型という、まあ片仮名で日本人が一番発音しにくいLとRがあって、私も発音が余りうまくないんですけれども、このLRTの長所としてこの教科書には、この車両は超低床であると、床が低いと、超低床の連接車両で、段差がなく車いすやベビーカーでも容易に乗り降りできると、ユニバーサルデザインということにも通ずるわけであります。  そして、町の動く風景として、町中の水平エレベーターという感じの路面電車もあると、こういう意味では観光とかそういうことにもつながっていく、あるいは景観ということにもつながっていく公共交通機関であると。さらに、環境とのかかわりということから見て、電気エネルギーで走る路面電車は炭酸ガスを出さないと、こういうことで大変クリーンな乗り物であるという点も指摘されております。  加えて、経済性についても大変な評価がこの教科書ではなされておりまして、敷設建設費が地下鉄の三十分の一、あるいは高架を走るモノレールの十分の一程度だと、こういう大変優れた経済性についても指摘されているわけであります。  この結論として、中学校のこの国語の教科書では、古くて新しい路面電車、すなわちこのLRTですけれども、未来の都市交通の動脈としてますますこれからも発展していくだろうと、こういう一文が中学校の教科書、さいたま市内で採用されております中学校の国語の教科書に載っているわけでございます。今日は、このLRTにつきまして、副大臣に是非お聞きしたいと思っております。  今、国土交通省では、町中居住あるいはコンパクトシティーという新しいまちづくりというものについて、様々なまちづくり三法の見直しも含めて、今国会でも上程されているところであります。  まず副大臣にお聞きしたいのは、このコンパクトシティーとLRTということにつきまして、とりわけ歩いて暮らせるまちづくりという標榜している中で、このLRTの導入、またコンパクトシティーとLRTとの関係について、国としてどのようなリーダーシップを発揮されようとしておられるのか、これについてまず副大臣にお伺いしたいと思います。
  95. 松村龍二

    ○副大臣松村龍二君) 西田委員にお答え申し上げます。  ただいま先生御指摘いただきましたように、現在の都市は少子高齢化や環境問題、あるいは中心市街地の衰退といった様々な課題を抱えておりまして、このような課題に対応した持続可能な都市づくりを進めることが必要であります。都市内公共交通機関は、都市内交通の円滑化に寄与するとともに、交通弱者に優しく、エネルギー効率に優れたものであり、まちづくりの観点からその普及を図る必要があると認識いたしております。  国土交通省におきましては、都市モノレールや、ただいま御指摘のLRT等の都市内公共交通機関を都市の装置として位置付け、これまでも様々な助成措置を講じ、支援を行ってきたところであります。  その中でもLRTは、次世代型路面電車として、従来の路面電車の車両、走行環境等、大幅に改善した機能的で新しい都市の交通システムであり、上下移動なしに乗降できると、プラットホームなしでおじいさん、おばあさんが苦労なしに乗り降りができるといったことで、高齢者、障害者に優しく、事業費も比較的低廉といった特徴を有しております。一方で、LRTの整備に当たっては、道路空間の再整備が必要となることや、採算性の確保、地域住民を始めとした関係主体間の合意形成等が課題となっているところであります。  このため、国土交通省では、計画策定段階から事業の実施まで様々な支援を行ってきたところでありますが、平成十七年度からは新たに関係部局が各種補助事業を一括採択するなど総合的な支援を行うLRT総合支援事業を創設したところであります。この制度の第一号路線として、富山市におきます富山港線、富山の港と富山駅を結ぶ線でございますが、富山港線が本年春の開業を目指して事業中であります。  引き続き、LRTの整備推進に向けて、国土交通省が一丸となって積極的に取り組んでまいる所存であります。
  96. 西田実仁

    ○西田実仁君 今御答弁いただきましたとおり、国として今進めようとしている歩いて暮らせるまちづくりの中において、このLRTというのは大変に重要な位置を占めている、また、そのために総合事業として進めておられる、こういうお話がございました。  ただ、私の方からあえて申し上げさせていただきたいんですが、やはりもう少しこの国としてのリーダーシップを、そういう国土あるいはその町中居住とか、歩いて暮らせるまちづくりというものを本気で目指そうとするのであるならば、更にもう一歩踏み込んだリーダーシップというものを発揮すべきではないかというふうにも思うわけであります。  その中で、あえて言わしていただきますと、やはりこのLRTが環境とか経済性とかあるいは少子高齢化とか、これから日本が、各都市が遭遇する、既に遭遇している様々な問題に対しまして、持続可能なまちづくりという観点からもこのLRTというのが大変重要であるという御認識に立つのであるならば、やはりこれをもうちょっと格上げして、しっかりと国として、国を挙げて支援していく、やる気のあるところについてはもっと支援していく、こういうことも必要ではないかと思いますが、再度副大臣の御答弁を求めたいと思います。
  97. 松村龍二

    ○副大臣松村龍二君) ただいまお答え申し上げましたように、いざ実現するということになりますと、道路等の調整、あるいは関係者の意向の集約、その他いろいろな努力が必要でございます。  また、国土交通省といたしましても、先ほど省内、いろいろな三つの組織が集合的に総合支援事業をつくっておるわけですが、その主体になりますLRTについては、鉄道局において二十二億、全国で二十二億円というふうな予算額でございますので、今後、全国的に、先生おっしゃるようなことで広めていくということになりますと、そういう環境面の打開と、また予算等の拡充が必要になるものかというふうに存じております。
  98. 西田実仁

    ○西田実仁君 先ほど副大臣から御答弁いただいた中にLRT導入計画ガイダンスの話が触れられておられました。このガイダンスを私も拝見させていただきまして、様々なきめ細かく導入する場合のいろんなガイダンスが盛り込まれております。  そのガイダンスの中には評価というのが一つ入っておりまして、私はこの評価につきまして、今副大臣からもお話ありました、もちろん事業ですので採算重視ということが大変重要になってまいることは承知しております。しかしながら、単なる採算、事業性の評価だけで本当にいいんだろうかということも思うわけであります。  例えば、このLRTの事業性評価に加えて、もうちょっとLRTを導入することによってかかわる、いわゆるステークホルダー、いろんな利害関係者の方々へのメリット、デメリットというものをもっと総合的に評価するという、そういう仕組みが盛り込まれていかないと、いつまでたってもこの事業性評価、採算重視だけで導入が進まないと、こういうことになってしまうんではないか。ひいては、持続可能なまちづくりにつながっていかないと、こういうふうにも思うわけであります。  そこで、国土交通省にお聞きしたいと思います。  このLRTを導入した場合に、四つの視点でそのメリットということについて御指摘いただきたいと思います。一つは個人への効果、また交通事業者への評価、さらに地域社会への効果、さらに四つ目には国あるいは世界への評価、この四つの視点でこのLRTを導入することによってどういう評価がもたらされるのか、また、そうした採算性重視に加えて、こうした視点に立った総合的な評価をしていく、そういう構えがあるのかどうか、これにつきましてお聞きしたいと思います。
  99. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 今副大臣の方から御答弁申し上げましたし、また委員の方から御指摘いただいておりますように、これからの少子高齢化の社会、都市におきましては、現在まちづくり三法の改正ということでも国会の方にお願いいたしてございますけれども、これまでのような拡大したまちづくりから方向転換をし、歩いて暮らせるまちづくり、コンパクトなまちづくりに転換しようといたしております。  そういった中で、交通手段につきましても、これまでの自動車交通に一方的に偏ったものではなくて、歩いて暮らせる、そしてまた公共交通機関、なかんずくLRTのような非常に乗り降りがたやすく、そしてまた手軽に利用できる、またコスト的にもかなり役立つようなものが整備されていくということが今後のまちづくりにとっては非常に重要なことではないかと思っております。  これらの交通手段、LRT等の交通手段が入ることによりまして、人々が町の中心部に集まることができ、そこでもってにぎわいが取り戻せることができまして、活気のある住みやすい、暮らしやすいまちづくりが展開できるんじゃないかと思っております。これによりまして、また環境云々に対する負荷というものもかなり減ってまいりますし、エネルギー問題という面で見ましても、非常にエネルギー効率の良いまちづくりができるのではないかと思っております。  それらのまちづくりを支えるための一つの大きな手段であるという具合に我々は感じておるところでございまして、いろんな場所等を通じましていろんな、今回もまとめました十七年度から総合事業を鉄道局と都市・地域整備局と道路局が一体となって総合的にLRTを進めていこうということで取り組んでいるわけでございますが、今後とも一丸となって、政府一丸、我々一丸となって事業の推進を図っていきたいという具合に考えております。
  100. 西田実仁

    ○西田実仁君 そうすると、今のお答えは、結局LRT導入ガイダンスの中に書いてあるこの評価というのは必ずしも採算性だけを指しているのではなくて、様々な利害関係者に対する効果というものを見た総合的な評価ということで考えてよろしいんでしょうか。
  101. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 評価の問題でございますが、公共交通機関、要するに営業をしなくちゃいかぬものでございますので、採算性の問題というのは非常に重要なことでございまして、そこを抜いては議論、考えられないところでございますが、公共の部分で、事業者ではなくて公共の部分で、公共の方で支援してあげる部分を拡大していく、できるだけ多く公共の方で負担をしてあげるというようなことが重要ではないかという具合に思っております。
  102. 西田実仁

    ○西田実仁君 このLRT導入、もう一問だけさせていただきますが、いろんな仕組みを私も勉強させていただきまして、また一生懸命導入しようとしている人たちからもお話をお聞きしましたが、どちらかというと、やはり自治体から声が上がってくるのを待っていると。まあ、来たら応援するパッケージはつくってあるよと、こういうスタンスだと思っております。  しかしながら、その自治体から声が上がってくるまで、そこまでが実は非常に大変な、地域住民の方々への合意形成を始めとして、あるいは意識改革ということも含めて大変な作業をそこで伴うわけであります。最初のその段階でいきなり自治体が計画をするというケースもあるかもしれません。しかしながら、心ある人たちが、これからのまちづくりということを考えて私的に研究会なり勉強会を立ち上げて、そして地域住民の意識啓発を含めて運動を起こしていくということも十分あって、今進めているところも全国各地であろうかと思います。その場合には、まだそういう意味では今国が用意しているパッケージに届かない、しかしながらそういう芽はある、この芽をどう育てていくのかという視点が私は大変大事であるというふうに思っております。  そこで、具体的にあえてお聞きしますけれども、今のこのパッケージでは、市や公安委員会やNPO、あるいは交通課といった協議会をつくった上でそれを支援するという形になっておりますが、そうではなくて、まだそこまでにも至らない、だけれども導入しようと思って頑張っている民間団体や、あるいはNPO法人、単独でやっているところを支援する枠組みとして、特に住民意識の改革、啓発、さらにはLRTの導入に向けたPR事業に取り組む諸団体につきまして、どのような支援を今できる枠組みがあるのかということについて国交省さんにお聞きしたいと思います。
  103. 松村龍二

    ○副大臣松村龍二君) お答えいたします。  LRTの整備を進めるためには、御指摘のように、地方公共団体はもとより、関係機関、住民の理解、協力が不可欠でありまして、LRTを推進するNPO等の民間団体の活動が重要な役割を果たすものと認識しております。  LRTを推進する民間団体に対する支援といたしましては、LRTに係る制度の紹介、技術的な助言などを行うため、LRTの導入計画ガイダンス、先ほど読んでいただいたということでございますが、昨年十月にこのような導入計画ガイダンスを策定いたしますとともに、民間団体からの依頼に基づき、専門知識を有する国土交通省職員が出向いて講演を行う、いわゆる出前講座、旅費を出していただければ出向くと、こういうシステムでございますが、出前講座を実施しております。  さらに、地方公共団体によりますLRT導入についての検討計画策定に対しましては、道路交通調査員による支援をしておりまして、その際、地方公共団体の検討に民間団体も参画し、一体となって検討を進めていただくことも考えられます。  今後とも、LRTを推進するため、民間団体に対し様々な取組による支援に努めてまいる所存であります。
  104. 西田実仁

    ○西田実仁君 今のお話は、民間団体が公共団体と一緒になった場合に支援する街路交通調査費の話をされたと思います。そうではなくて、まだそこまで至らないでもこうしたことを導入しようと思って民間団体が動いている場合があります。この場合には、LRT導入に向けてそうした民間団体が動いている場合には、どういう支援がそのほかにあるんでしょうか。
  105. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 副大臣御答弁されましたが、基本的にはそういうようなことで出前講座等で本当に真剣に取り組んでおられます民間の団体の皆様のところに行っていろんな講義をする、あるいはいろんなことを御説明するというようなこともやってございますし、非常にLRTは今、先生、委員指摘のとおり、非常に人気がございまして、各地でもってLRTの推進のための民間団体の集まりが起きてございます。  例えばその支援、そのほかの支援といたしまして、公共団体絡みになるかもしれませんけれども、まちづくりと一体となって考える場合には、まちづくり交付金事業がございまして、まちづくりをやられます市町村に対しましてパッケージで支援ができるわけでございますが、その中でも本来事業の街路だとか公園だというような部分以外のところで提案事業という部分がございまして、一般的な場合には国費の一割以内、未満ですかね、一割までのところで提案事業というものが設けられております。その提案事業の中でソフト事業的なものもできるわけでございまして、そういうものの活用というものもできるのではないだろうかという具合に考えております。
  106. 西田実仁

    ○西田実仁君 もう一つ全国都市再生モデル調査というのがあるかと思いますが、ここでそのLRT導入に向けて私的団体が様々なPR事業とか啓発事業にこの枠組みも使うことは可能でしょうか。
  107. 柴田高博

    政府参考人(柴田高博君) 都市再生本部の方で持っております都市再生の調査のモデル事業ございまして、まあ十億円程度のお金で、全国かなりの地域におきまして先導的なまちづくりのための調査に使われているわけでございまして、平成十七年度もそのようなものが使われたと。そのような、一か所当たり約六百万円ぐらいの規模になりますけれども、そういうことも使われております。  十八年度以降どうなるのかちょっと分かりませんが、いろんな各種、できるだけ多くの支援を取り混ぜて我々としても支援をしていきたいという具合に考えております。
  108. 西田実仁

    ○西田実仁君 再三取り上げているこのLRTの導入ガイダンスには、計画の初期段階からの市民との協働ということが掲げられているわけでございます。そういう意味でいきますと、こうしたまだ公共あるいは自治体に上がらない前の、手前の市民との協働に対して更なる支援をしていくことによって、国が今目指している持続性のある、歩いて暮らせるまちづくりということにも資するのではないかと思いますので、引き続きこの支援の拡充を要請して、次の質問に移らしていただきたいと思います。  二つ目の質問は、昨日も予算委員会で私ちょっと厚生労働省関係で質問させていただきましたが、公共交通機関におきますいわゆるAEDの設置につきましてお聞きしたいと思います。  この別館にも既に一階に設置されておりますこのAEDでございますが、今、空港あるいは鉄道あるいはターミナル駅のバス停、こうしたところにAEDがどういう設置状況になっておるのか、分かる範囲でお答えいただきたいと思います。
  109. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) お答えいたします。  鉄道につきましては、平成十七年度末までに少なくとも約百駅でこのAEDが設置し、又は設置する予定でございます。  また、航空につきましては、本年二月時点で、主要空港について見ますと、成田に四十二台、関空に三十五台、中部に三十九台、羽田に五十台、伊丹に二十台設置されているほか、主要航空会社の航空機につきまして、約九割が搭載済みとなっております。  バスにつきましては、少なくとも四つのターミナルにAEDが設置されております。  このほか、旅客船につきましては、平成十八年度末までに十一業者の四十二隻、十二ターミナル等にAEDを設置し、又は設置する予定でございます。  この数字につきましては、取り急ぎ本日現在把握しているところを今御説明申し上げました。
  110. 西田実仁

    ○西田実仁君 取り急ぎ調べていただきまして誠に有り難いと思いますが。  昨日の、私、法務大臣への御質問の中で、これは非医療従事者がこのAEDを使えるようにまあなっているわけです。これは医師法には触れないという、そういう規定になっているわけですが、ただ刑事あるいは民事上はどうなのか。万が一、非医療従事者がそれを使用して、例えば駅とかでですね、心拍停止している人を、心肺停止している人を救おうと思ってAEDを使ったと。万々が一、もしものことがあった場合にということを考えると、刑事、民事上で免責をされないんで、積極的な免責がなければ、これなかなか使えないだろうと。ひいては公共交通機関でもなかなか設置が難しいんではないか、費用の問題というよりもそうした懸念が多いんではないかという指摘をさしていただき、法務大臣からは、もちろんその刑法の三十七条で緊急避難という事項があって、そこによるわけでありますけれども、一般的に考えれば、人の生き死にに関する事態ですので、それによって万が一ということがあっても処罰されることはないであろうと、こういう法務大臣から御答弁をいただきました。  そういうことを踏まえた上で、さらに、この公共交通機関においてAEDを積極的に設置していくという厚生労働副大臣からの御答弁もいただいたわけですが、この公共交通機関におけるAEDの普及について、さらに今のことを踏まえた上で、国土交通省としてのスタンスをお聞きしたいと思います。
  111. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) このAEDにつきましては、欧米では公共の場でこの設置が進んでおります。我が国でも、厚生労働省より一般の人のAED使用に関する報告書が全国に通知されて、公共の場などでの設置が進められております。  例えば、鉄道事業者につきまして、厚生労働省関係の財団によります説明会、こういうことにも積極的に鉄道事業者、参加しておりまして、今御指摘のように、この公共の交通機関の場にこのAEDが設置されるように我々も進めてまいりたいと思っております。
  112. 西田実仁

    ○西田実仁君 ありがとうございます。積極的に是非お願いしたいと思います。  続きまして、道路情報板におけます情報伝達というかなり細かい話でございますが、質問させていただきたいと思います。  昨年、広島とか栃木などで小学校一年生の女の子が誘拐され、殺害されるという大変痛ましい事件が相次ぎました。今、この不審者情報ということにつきまして、自治体におきましても公開をしていくということがいろんな県で始まってきております。これまでも、ひったくりとかあるいは空き巣などの犯罪状況につきましては、各都道府県警が公開をしておりました。そして、不審者についても、やはりこれは犯罪の抑止ということも含めて、そうした不審者情報を公開する動きが全国各都道府県で起きてきていると私は思っております。これは、地域住民からもそうしたニーズがある、最新の、また具体的な情報を求められている、こういう背景もあろうかと思っております。  そこで、お聞きしたいと思います。  この地域にある様々な、そういう意味では情報伝達手段を活用してこうした不審者情報についてもいち早く共有するということが大事ではないかと思っているわけでありますが、高速道路また一般道の道路情報板におきましても、こうした不審者情報の公開、その提供手段の一つとして活用をすべきではないかと思いますが、警察庁、いかがでございましょうか。
  113. 竹花豊

    政府参考人竹花豊君) お答えいたします。  御指摘のように、犯罪を抑止するためには、犯罪情報を地域の皆さんあるいは関係の機関、共有をいたしまして対処することが必要であるというふうに考えておりまして、警察といたしましても様々な機会をとらえ、警察のホームページあるいは携帯メール等の手段を講じまして、情報の提供に努めているところでございます。  御指摘の道路の、何といいますか、電光掲示板のようなものにつきましても、その伝達手段としていかがかというお尋ねでございますけれども、この電光掲示板というのは、まあ車に乗ってる方がごらんになるためということもございまして、非常に瞬間のうちに通過をしていくという、そういう性質もございます。しかしながら、どのような媒体にしろ、犯罪抑止情報を伝達する上で役に立つものであるならば、いろいろ検討した上で、またこうした掲示板の管理者とも協議をさせていただいて、効果的な活用方法があればこれを実施をしていきたいというふうに考えております。
  114. 西田実仁

    ○西田実仁君 今、警察庁さんからそういうお話がありました。こうした不審者情報情報伝達手段としてこうした道路情報板ですね、高速道路はもちろんかなりのスピードで走っております。高速道路上に不審者がうろうろしているということは普通あり得ないわけでありますが、一般道でいいますと道路情報板、その地域においてこういう情報を共有した方がいいという場合も多いかと思います。そういう場合には是非活用を検討していただきたいと思いますが、その上で国土交通省にお聞きしたいと思います。  こうした警察庁との連係プレーの中で、不審者情報情報伝達手段の一つとして道路情報板、気象情報とか渋滞情報はございますけれども、こうした不審者情報についても、警察庁との連携の中で、情報伝達の一つ活用方法としてあり得るんではないかと思いますが、いかがでございましょう。
  115. 谷口博昭

    政府参考人谷口博昭君) お答えをいたします。  道路情報提供装置、いわゆる道路情報板でございますが、全国で、平成十五年度の道路交通管理統計で九千八百三十三、全国でございます。高速自動車国道で五百二ございます。  この目的は、道路工事や交通事故による通行規制情報、降雪等の気象情報等を提供するために設置しているというところは御案内かと思いますが、今警察庁から御答弁ございましたが、警察から不審者情報等を提供する要請を受けた場合には適切に対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
  116. 西田実仁

    ○西田実仁君 その際に、確認でございますが、この道路情報板は自由に書き込みができる、標示できる情報板と、あるいはこの定例句のみ標示可能な情報板ということでお聞きしております。そういう違いがあって、定例句のみ標示可能な情報板の方が圧倒的に数が多いということであります。  今お話しのようなこの情報伝達手段、渋滞情報や気象情報に加えて、仮に不審者情報を伝達する手段としてそれに堪え得るのかどうか、一応確認でお聞きしたいと思います。
  117. 谷口博昭

    政府参考人谷口博昭君) 御指摘いただきましたので、警察庁とよく連携して、よく検討さしていただきたいと思います。
  118. 西田実仁

    ○西田実仁君 次に、大規模空間の天井崩落防止につきまして御質問をさしていただきたいと思います。  これは、昨年事故がございました。この大規模空間を持つ建築物の天井の崩落対策につきまして、国交省のお調べでは、全国で約五千件ほど技術指針と比較して問題のある建築物という調査結果が出ております。  ここでお聞きしたいと思います。この問題というのはどういうことでしょうか。
  119. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 昨年の八月十六日に宮城県沖の地震で崩落した事件にかんがみまして、どういう点が問題があるかということを整理をいたしました。  現地に係官を派遣をいたしまして調査しましたところ、つり天井に十分な揺れ防止対策が取れていない、大きく揺れたことが落下の原因の一つである可能性が高いということを整理いたしました上で、各都道府県に対しましてこれらの措置がとられているかどうかを、対象としましては、屋内プール、体育館、劇場、展示場、空港ターミナル等のつり天井、五百平米以上の空間を有するものを対象として、その点についての調査を実施したところでございます。その防止対策が取られていないものが五千件あったということでございます。
  120. 西田実仁

    ○西田実仁君 その上で、この五千件の中で既に改修が決まっているのは約六百か所ぐらいというふうにお聞きしております。この残りにつきましてはどういうスケジュールで、あるいは国としてどういう支援の枠組みでこの天井崩落防止対策を取っていくのかについてお聞きしたいと思います。
  121. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) そのときに対策の考え方なんかも聴取したわけでございますけれども、公共団体におきましては、所有者に対しまして、管理者でございますが、落下防止対策を取るように指導を行っているところでございます。  全体的にこの五千の案件を解消していく必要があるわけでございまして、具体的には、昨年改定していただきました改正後の耐震改修促進法に基づいて現在公共団体が耐震改修促進計画を策定中でございますが、その中で建築物耐震改修における課題の一つとしてきちんと位置付けて、地震時の総合的な安全対策を進めるということでございますので、そういったような取組を国土交通省としてもきちんと支援していきたいと考えております。
  122. 西田実仁

    ○西田実仁君 そうすると、いつまでにそれはやるということになるんですか。
  123. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 耐震改修促進法の改正は、極めて異例な形でございましたけれども、昨年の特別会で国会において改正していただきました。法の施行は今年の一月に施行いたしまして、国としての方針も公共団体に示したところでございます。  私どもとしては、公共団体におかれてはできるだけ早く耐震改修促進計画を策定していただきたいということでお願いしております。できれば夏までに策定してほしいと、遅くとも今年じゅうに策定し終わってほしいということにお願いしておりまして、その観点から私どもとしても必要な助言、情報提供を進めていく考えでございます。
  124. 西田実仁

    ○西田実仁君 この崩落防止の規定ということにつきましては、建築基準法の施行令第三十九条で定められていると承知しております。その内容につきましてどのようなものか、御指摘いただきたいと思います。
  125. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) この内装材の概念に属するわけですけれども、これは、屋根ふき材とか内装材等につきましては、基準法施行令の三十九条で「風圧並びに地震その他の震動及び衝撃によつて脱落しないようにしなければならない。」というふうに規定しているところでございます。
  126. 西田実仁

    ○西田実仁君 脱落しないようにしなければならないと規定されているということであります。  じゃ、どうやったら脱落しないようにできるのか、その具体的な方法は規定されていないということで、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  127. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 施行令で規定されているのはそこまででございます。いろいろな事例がございますので、地震の際のいろんな経験も踏まえて、特定行政庁を通じて注意すべき事柄を技術的助言としてお示ししているところでございます。
  128. 西田実仁

    ○西田実仁君 その技術的な助言でございますけれども、これは横揺れ、縦揺れ、それぞれどっちに対応できるものにするのかとか、様々な学説というか、学者によって意見もあるようであります。  今後の対応でございますが、こうした技術的な基準、崩落防止のための技術的な基準につきまして、あるいはその具体的なマニュアル等を作っていくような、そういう必要性があるんではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  129. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 御指摘のとおりの問題意識を持っております。  実は、このような類似の事案につきましては、平成十三年の芸予でも被害が出ております。そのときにいろいろな問題意識を整理して、特定行政庁には技術的助言をしております。  基本的には、水平の揺れに対して、壁にぶつかってつっている部分が壊れてしまうというようなことがありますので、きちんとした間隔を空けてぶつかったりしないように、それで壊れたりしないようにということを技術的助言としては示していたわけでございますけれども、実は同じような事案が、若干構図は異なるんですけれども、平成十五年の九月に発生しました十勝沖地震で空港ターミナルで天井が落ちました。このときにも更に得られた知見について技術的助言をしております。  その上で宮城のことがあったということなんで、御指摘のような問題意識を私どもしっかり受け止めて、いろいろな経験に照らして、問題点があった事例なんかをきちんと分かりやすく整理して、しっかり助言していきたいと考えております。
  130. 西田実仁

    ○西田実仁君 是非しっかりとした取組をお願いしたいと思います。大変に避難場所としても重要な体育館等もございますので、是非取組をお願いしたいと思います。  続きまして、建設工事現場の施工者の意見反映の仕組みということにつきまして御質問させていただきたいと思います。  この姉歯事件に関しましては、私もいろんな専門家の方にお話をお聞きしました。また、実際に現場監督などを行っている方にもお聞きしたわけであります。普通、そういう方にお聞きしますと、現場でこの物件は何かやたらに鉄筋が少ないんじゃないかというような疑問を持った場合に、それを指摘したとしても、これはまあ新しい工法なんだというようなことを言われたり、あるいはそれがその設計者の売りだというようなことを言われたり、とにかく、何しろ建築確認は通ってるんだからつべこべ言うなというような形のことも言われるというケースがあることを聞いているわけであります。  そういう意味でいきますと、やはり、もちろん、いろんなこの、今後二度とこうしたことを起こさないためにも、制度的なもの、午前中もお話ございました建築士法の問題や基準法の問題、様々あろうかと思いますが、そうしたことも踏まえて、更に加えて、やはり現場で最終的におかしいなと思うその長年の経験、プロフェッショナルな方の意見なりがきちっと吸い上げられていくという仕組みがやはりないと、やはりこれは、それがあった方がよりそういう意味ではこの再発防止ということにもつながっていくんではないかと私は思っております。  工事現場の疑問あるいは異議というものが設計者や元請業者にきちっと伝えられ、またそれが取り入れられていく、そういう枠組みとして建設業法やあるいは建築士法においても改めていくと、変えていくということが、改善していくということが必要ではないかと思いますが、いかがでございましょう。
  131. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 御指摘いただきました課題、非常に大事な課題だと思っております。  特に、建築士法で定めております工事監理に係る問題意識について御説明したいと思うんですが、現行の建築士法では、工事監理者は、工事を設計図書と照合しまして、現実の工事が設計図書のとおりに実施されているのかどうかを確認するというのが仕事でございます。仮に、工事が設計図書のとおりに実施されていないというふうに認めたときは、直ちに工事を施工している建設会社にその旨の注意を与えまして、工事施工者がこれに従わないというときは建築主ですね、工事監理の発注者ですが、建築主にきちんと報告しなければならないというのが建築士法の規定でございます。  さらに、仮に工事中に設計図書の内容自体に問題がある、おかしいんじゃないかと、これはというふうに感じた場合、そういう設計図書の内容自体に疑義が生じた場合には、工事監理者はこの設計図書の設計者である建築士確認をすると。確認をした上で内容がおかしいと認められるときは、設計者である建築士設計図書を修正させるということを義務付けております。もし、さらに、そもそもの設計者が修正しない場合に、設計者の同意を得て、承認を得て自分設計図書を修正するということが基本的な手順でございます。工事監理者は建築士でなければできませんので、自ら修正するという手順でいきます。  このように、工事監理業務につきましては、建築物の質を確保する上で重要な業務でありますので、今回の制度改正、御検討いただいております審議会の中間報告でも工事監理業務の適正化が課題とされておりまして、例えば工事監理の仕事の中身を非常に明確にすることで、委託した建築主に対して報告を的確にするというふうなこととか、あるいは工事監理業務を適正にするための一つ方法として、工事を施工する者と利害関係のない者に、第三者に、第三者である建築士に工事監理を義務付けるといったようなことについて、様々な角度から検討が必要だと指摘していただいているところでございます。  この課題につきましては引き続きの検討課題になっておりますので、夏までに方針をまとめていただいて、その結果を踏まえて所要の法律改正を改めてお願いする方針でございます。
  132. 西田実仁

    ○西田実仁君 もうそういう意味では、施工者も言われたとおりやっていて、だから責任がないんだという時代ではもうないと思います。ありとあらゆる建築物構造建物のプロセスにかかわるあらゆる人が、この安全と安心というものをきちっと担保していく、確保していくということが必要になってくると思われます。今局長からお話がございましたようなことも含めて、是非きちっとした検討をお願いしたいと思います。  時間も残りわずかとなりましたので、まだ、ただ大臣が来られていませんのでもう一つ御質問をさしていただきたいと思います。先ほど加藤委員からも御指摘ございましたが、自賠責につきまして私ちょっとお聞きしたいと思っております。  この自動車事故の後遺症者、大変に増えていると。先日も、交通事故に遭っていわゆる高次脳機能障害になった方々から様々なお話をお伺いする機会がございました。救命率が上がったということは大変に喜ばしいことでございますが、併せて高次脳機能障害という方も残念ながら増えている。そうした方々に対しましては、この医療や福祉といった今までの枠組みだけでは、例えば家族支援という一つ取ってもなかなか十分に行き届かない、そういうことを危惧しているわけでございます。  ちょうど今年は、平成十三年にこの自賠責法の一部改正法律が通った五年の見直しの時期に当たっておりまして、衆議院、またとりわけ参議院の附帯決議におきましては、遺族の心のケアも含めた被害者の保護の充実を図るという附帯条項が参議院において決議されているわけであります。  そうしたことも含めて、この交通事故被害者への支援、この自賠責保険の運用益を使った支援の拡充につきまして、国土交通省からお話をお聞きしたいと思います。
  133. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) 今、西田先生からお話がございましたように、従来より、自賠責保険の累積運用益、これは政府再保険の運用益でございますけれども、これを活用いたしまして、自動車事故の被害者、そのうちの重度後遺障害者に対する介護料の支給を始めとしていろいろな救済対策を講じております。  また、今お話のありました高次脳機能障害につきましても、平成十三年から自賠責保険の支払の対象になっておりまして、年間二千数百人から三千人の方に保険金をお支払いしている状況でございます。  今、西田先生御指摘ございましたように、平成十三年に自賠法を改正いたしました折に、衆参の両議院の附帯決議が付けられておりまして、法施行後五年以内に自動車事故の被害者救済対策について見直し、検討するようにということでございますので、来年度、ちょうど五年目に当たります。一昨日から、そのための検討をする今後の自動車損害賠償保障制度の在り方に関する懇談会というのを設置をいたしまして、議論を開始したところでございます。  私ども国土交通省といたしましては、既に自動車保有台数が七千九百万台を超えるに至っております。文字どおり車社会ということになっておりますが、この被害者の救済対策の推進が国民の安全と安心を確保するという上で極めて重要な課題の一つであると、こう認識をしております。  今後、この懇談会における議論などを通じて、交通事故の被害者に対する支援の充実について検討を深めてまいりたいと、このように思っております。
  134. 西田実仁

    ○西田実仁君 とりわけ、今も私が申し上げた高次脳機能障害の家族の方々は、大変に抑うつ状態になったり、あるいはこの高次脳機能障害の言動に対して大変な疲弊をしている。当事者の障害を憎悪するような、本来あってならないことですけれども、そこまで追い込まれている、そういう御家族の方々も数多くいらっしゃいます。  そういう御家族の方々へのサポート支援の仕組みづくりということにつきまして、やはりこの自賠責の運用、保険運用益におきましても支援の枠組みをもっと広げてもいいんじゃないかと、こう思うわけですけれども、いかがでございましょう。
  135. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) ただいま御指摘いただきました点も検討課題の一つとして議論を進めていきたいと思っております。
  136. 西田実仁

    ○西田実仁君 私のいただいた時間あともう一分でございますので、一応質問したい項目は大体終えましたが、先ほど山下先生から御指摘があった点で、札幌偽装事件につきまして大臣から御答弁いただきました。その際に、サンプル調査全国で合わせて六百件でしょうか、行っているという話がありました。  そもそも、この偽装がどう判明したかというと、自社物件の自主的な再検証が行われて、それによって偽装ではないかということが発覚したわけですね。先ほどの大臣の答弁には、大手デベロッパーからのそういう自主的なこうした再検証も含めてしっかりと偽装の有無ということについても検証したいと、こういう話がありました。  そこで、私お聞きしたいんですが、こうしたやはり全部が全部調査するわけにいかない、サンプル調査ですよね。大手デベロッパーへのそうした自主的な再検証の協力要請というものもしてもいいんじゃないかと。もちろん大手に限ってで、なかなか中小は全部はできないと思いますが、そうした自社物件の自主的な再検証ということについての協力要請を求めるというようなお考えはいかがでございましょう。
  137. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 民間のディベロッパーにおきましては、実は自主的にずっと進めてまいりましたけれども、問題の広がりが大きくなってきたということで、三月三日付けで不動産協会外八団体に対しまして、フォーマットを決めまして、こういう形できちっと体系的に調べてほしいということを要請したところでございます。
  138. 西田実仁

    ○西田実仁君 終わります。
  139. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  まず、先の議員の皆さん、時間の御協力、本当にありがとうございます。  私、今日は、高速道路問題で質問させていただきます。  大臣は、先日の所信で、四十兆円の債務返済、そして真に必要な道路をできるだけ少ない国民の負担で建設すると述べられました。そこで、第二名神高速道路のいわゆる大津—城陽区間、そして八幡—高槻区間の抜本的見直し区間、ここの扱いはさきの第二回国幹会議でどういうふうになされたのでしょうか。
  140. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 二月七日に開かれました第二回の国幹会議におきまして、今おっしゃいました第二名神の二区間三十五キロにつきましては、一つは、構造規格の見直し等によりまして三五%を超えるコスト削減を行い、三五%のコスト削減というのは三千八百億円でございますけれども、この削減を行いまして整備計画における概算事業費を変更すると、これが一点です。二点目が、主要な周辺ネットワークの供用後における交通状況を見まして改めて事業の着工について判断することとし、それまでは着工しないと。三点目に、これらを前提といたしまして、会社が整備する区間とするというふうにしたところでございます。
  141. 小林美恵子

    小林美恵子君 着工について判断し、それまでは着工しないという御答弁でございましたけれども、先ほど、主要ないわゆる周辺ネットワークの関係ですけれども、それは一体どのいわゆる路線を指しているのか。そして、それがいつこれを開通、接続するのか。どういう交通状況を、どの路線の交通状況を見られるのか、この点も教えていただけますか。
  142. 谷口博昭

    政府参考人谷口博昭君) お答えいたします。  第二名神の大津—城陽間、八幡—高槻間に関連する主要な周辺ネットワークについてのお尋ねがございましたが、いろいろあるわけでございますが、第二名神の亀山から大津間や、第二京阪の枚方東—門真などが想定されるところでございます。  これらの道路につきましては、現在西日本高速道路株式会社や国土交通省などにおいて事業を進めているところでありますが、用地買収が路線によって異なりますが、まだ終わっておらないというような状況でございますので、周辺ネットワークの供用時期について明確に述べることは難しいわけでございますが、おおむね三、四年後というようなものを今例示を挙げさせていただいた路線につきましては想定をさしていただいているところでございます。  また、当該周辺ネットワークが完成した場合、現在の名神高速道路や京滋バイパスなどの交通量や交通の流れに大きく影響を与える可能性もあることから、大臣の答弁にございましたように、また国幹会議にお諮りしましたように、主要な周辺ネットワークの完成後の交通状況等を見て改めて事業の着工について判断することとさしていただいておるところでございます。
  143. 小林美恵子

    小林美恵子君 この区間は、先ほどもお話もございましたけれども、いわゆる名神に並行して京滋バイパスが開通していますよね。二〇〇三年開通しました。その京滋バイパスをいわゆる建設するに当たっての理由も名神の渋滞を解消するためだと。同時に、いわゆる第二京阪と一体となって高速道路の利用の利便性を飛躍的に向上させるんだということで京滋バイパスの建設がなされたと私は思っております。  その上に第二名神、今、当面着工しないという話なんですけれども、しかし、計画はありまして、それで第二名神ができますとトリプルの並行になるんですよね。本当にそれがトリプルの並行で必要なのかなという点なんですね。しかも、道路公団民営化の審議の際にも、高速道路建設が一キロメートル平均五十億円の大体費用だということが明らかになりました。この二区間は六倍もの建設費が掛かっていることも明らかにしました。今回の、大臣がおっしゃった三千八百億円の削減案を仮にできたとしましても、二区間で三十五キロ、六千八百億円掛かります。一キロ当たりにいきますと約百九十五億円なんですね。莫大な費用なんです。普通でいくと五十億円がここだけは百九十五億円です。  私、これが本当に無駄な道路を造らないと、本当に国民の負担を少なくすると、こういうことと本当に合致したことなのかと言いたいと思うんですけど、この点、いかがなんでしょうか。
  144. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 道路公団民営化の目的の一番大きな目的は、道路公団の負っているこの債務を四十五年以内に確実に償還をしていく、これが一番の目標でございます。今回の第二回の国幹会議におきましては、一定前提条件、これは将来の調達金利や料金水準等を含めまして、一定前提条件の下で第二名神の抜本的見直し区間も含めて会社整備区間すべてを建設したとしても、すべての債務を四十五年以内には返済できる見通しであるということが確認をされているところでございます。  そして、この民営化の目的のもう一つ柱でございます真に必要な道路はコスト削減はしっかりやりながらも、これはこれからも会社の自主性を尊重しながら整備をしていくということでございます。  そういう意味で、この第二名神につきましては、私はやはりこの人の交流と物流を支える非常に大事な大動脈となる重要な路線であるというふうに考えておりますし、また、災害時においては、現在の名神高速道路が通行止めとなった場合における代替路線としても必要な路線というふうに考えているところでございます。  京滋バイパスというのは、これは非常に国幹道の規格外の道路でございまして、委員も御地元でいらっしゃるからこの京滋バイパスも御存じかと思いますが、この京滋バイパスがそういう意味では大動脈と言うには当たらない道路であるというふうに私は考えておるところでございます。
  145. 小林美恵子

    小林美恵子君 いや、私はやっぱりいわゆる抜本的見直し区間も含めて債務を返済というふうな仕組みをつくっているというようなお話がございましたけれども、結局は九千三百四十二キロすべてを造る仕組みが温存されているということを言わざるを得ないと思います。これではやっぱり無駄な道路を造らないというのは全くの公約違反ではないかということを私は御指摘したいと思います。  そこで、採算の問題についてもお聞きしたいと思うんですけれども、このいわゆる見直し区間の二区間の建設や、管理費用等交通料収入から算出された採算性ですね。いわゆる大津—城陽区間、城陽—高槻区間、それは何%でしょうか。
  146. 谷口博昭

    政府参考人谷口博昭君) お答えいたします。  第二回の国土開発幹線自動車道建設会議の参考資料にございますように、第二名神の大津ジャンクションから城陽間につきましては投資限度額比率は六二、第二名神の城陽—高槻第一ジャンクション間につきましては投資限度額比率は一九となっております。  投資限度額比率につきましては、御案内かと思いますが、管理費用をすべて料金収入で賄った上で更に料金収入で返済できる建設費の割合ということでございまして、先ほどお示ししました、国幹会議でお示しました評価区間全体四十二区間ございますが、大津ジャンクション—城陽間の投資限度額比率は上から六番目、城陽—高槻第一ジャンクション間の投資限度額比率は二十四番目というようなことでございます。
  147. 小林美恵子

    小林美恵子君 上から何番目とか二十四番目とか、そういう問題ではないと思うんです。大体一九%ということ自体が問題だと私は思うんです。  それで、私ちょっと手元に持ってまいりましたのは、西日本高速道路株式会社の債務返済のイメージの試算というのがあるんです。これでいきましたら、二〇〇八年度、いわゆる交通予測に基づく料金収入は六千六十億円です。人件費などの維持費など千二百六十億円、差し引いて四千八百億円なんですけど、結局これが債務返済の原資として機構に払っていくものになるかと思うんですね。そこに新たないわゆる道路建設のための費用といいますのは二〇〇八年度で二千百七十億円です。つまり、元々借金しているのにですよ、借金返していかなければいけないのに新たに二千百七十億円も借金して、そうして四十五年間を試算するというような、こういう流れになっているんですね。  これでいきますと、少しでも交通量、それから料金収入が伸び悩めば返済に影響してくるわけですよね。今でも不採算という状態なのに、私どうして新たに借金してこの道路を造らなくてはいけないのかと思うんですけど、この点、いかがでしょうか。
  148. 谷口博昭

    政府参考人谷口博昭君) お答えいたします。  今の委員の御指摘はそのとおりかも分かりませんが、この民営化の議論の中で、前提として政府・与党の中できちっと議論されて、その枠組みの中でこの国幹会議を経て、今三月を迎えて機構、各会社の方で協定を交わすような準備をしているということでございます。  その前提の中で、高速道路ネットワークをいかに早く建設するかということでございます。大臣の答弁にございましたように、きちっと四十五年で四十兆円に上る債務を償還すると、そのために徹底的なコスト縮減を図って、今御指摘の第二名神につきましても一応償還できるというような枠組みの中で答えさせていただいているわけでございます。着工につきましては改めて判断するという前提でございますけれども、そういうきちっと四十五年で償還できるというようなことで国幹会議にお諮りさしていただいたということかと思っています。
  149. 小林美恵子

    小林美恵子君 ただ、私が指摘したことはそのとおりだというふうに局長はお答えになりました。それはそれで真摯に受け止めていただきたいと私は思うんです。  それで、交通量が予定どおりになるとは限りませんよね。この先、いわゆる補修費用も老朽化すれば増大することも懸念されていきます。償還計画とか会社の経営状況が悪化した場合は一体どうなるのかと。料金の値上げ、税金の投入、国民の負担による償還計画の見直しは、これはもう絶対にしてはいけないと思いますけど、この点は大臣、いかがでしょうか。
  150. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) そのためにまさしく機構がありましてね、機構がしっかりとこの民営化の一番大きな目的でございます債務償還を確かにやっていく、そのための計画がきちんとなされているかどうか、そういうものをチェックしていくのがまさしく機構でございまして、その機構との間で今月の末までに各民営会社との間で協定を交わすということになっているわけでございます。  ただ、今委員がおっしゃったように、先の経済情勢というのは当然今想定しているのと変化してくる可能性は、これはあるわけでございます。そういう意味で、仮に交通量が減少等によって料金収入が当初計画よりも大幅に下回るような場合においては、建設コストの縮減だとか管理コストの縮減を更に実施するなど、また建設計画そのものを見直していくなど、新たな国民負担が発生しないようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
  151. 小林美恵子

    小林美恵子君 先ほど建設計画も見直すということも答弁をされましたけれども、改めて、そういう経営状況が悪化するような状態になりましたら、新規建設などは絶対やめるということですね。
  152. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) 大切なことは、何度も申し上げておりますけれども、債務を確実に償還をしていくというところでございます。それをきちんとチェックをしていくために機構という組織があって、協定も各会社と交わしていくことになるわけでございます。経済情勢が大きく変化して、今おっしゃったように、交通量が大幅に減少するとかそういう情勢になった場合も、国民負担が発生しないように建設計画の見直し等々やっていくということになるかと思います。
  153. 小林美恵子

    小林美恵子君 私、いわゆるこの抜本的見直し区間の実態はどうなのかということも、是非、もう大臣局長も関西の方だと。大臣、大阪の方でございまして、よく御存じだと思いますけれども、私は改めて申し上げたいというふうに思うんです。  今日、お手元にカラーの地図を用意しました。(資料提示)一枚目の地図は、これは枚方の地図なんですけれども、中央のオレンジがいわゆる第二名神の予定、予定区間といいますか、になっています。二枚目は高槻ですね、これです。三枚目は全体なんですけれども。  いずれにしましても、例えば枚方では大体約十キロのうち五分の四が地下で建設される予定に、予定では建設されるんですね。それで、地上に上がってきたときには、船橋地域というところがございまして、六百世帯、二千人の方がお住まいの府営住宅の目の前に高速道路が地上にくっと上がってくるんですね。それから、高架橋で高度を上げながらずっと中学校とか淀川を越えて、それから高槻へ抜けていくという流れになるんですけど、そのときに、私は先日お会いして、マンションにお住まいの方がいらっしゃったんですけど、そのマンションはエレベーターを中央にして左右にお部屋があるわけですけれども、この道路がもし建設されるとしますと、中央のエレベーターから右半分が解体せざるを得なくなるんですね。それでは本当に三十年来住み慣れた方々が、これは本当に、もうずっと本当は住み続けたいというふうにおっしゃっておりまして、私は、先ほど局長が命の道とかいうふうに、安心、安全の道とかいうふうにおっしゃっておられましたけれども、これでは安心して住みたいという住民の皆さんのそれすらも奪うような道だというふうに言わざるを得ないなというふうに現場へ行きまして実感をしてまいりました。つまり、住宅密集地の真ん中を高速道路が突き切っていくというような状態なんですね。  で、二枚目のところを見てもらいますと、これは高槻なんですけど、ここは道路の予定地のそのすぐそばに学校がございます。学校の、本当に小学校の上空をぎりぎり越えて高速道路がこう突き進むという形になるんですけれども、もうそういう点では本当に密集地なわけですね。特に、枚方市では計画予定地、西船橋、南船橋、船橋本町、樋之上、楠葉花園町、楠葉並木等とあるんですけども、一九九四年の都市計画決定時でいきますと、五千二百八十九世帯だったのが今はこの三月で六千八百三十八世帯になっています。  私は、大臣もよく御存じだとは思いますけれども、本当に住宅の密集地をこうして通っていく、しかも世帯数が増えているということはおつかみになっているのかどうか、これは是非お聞かせいただきたいと思います。
  154. 谷口博昭

    政府参考人谷口博昭君) お答えします。  第二名神が通過する枚方市のお尋ねございましたが、人口が約四十万人、面積約六十五平方キロメートルで、人口密度で見れば全国の市町村で上から八十番目程度ということで、人口が比較的密集している地域と考えております。枚方市内の第二名神がある都市計画決定は平成七年の七月に策定されました。現在、当該道路上の家屋数はおおむね三百八十軒程度となっております。家屋数の変動につきましては詳細な調査を行っておるということではございませんが、都市計画法上の一定の制限があることからも、都市計画決定当時と比べて大きな変化はないものと考えております。
  155. 小林美恵子

    小林美恵子君 いわゆる家屋の詳細な調査は行っていないというふうに先ほど局長はおっしゃられました。それ自体が私は本当に問題だというふうに思うんです。  先ほど私は世帯数は増えているというふうに申し上げました。増えているんですよ、本当に着実にね。道路の予定地のその下だけの問題じゃないですよね。当然周辺の方にも大きな影響を及ぼしていくわけですから、そこはしっかりとつかんでいただきたいというふうに思うんです。  それで、そういうことを申し上げまして、私は、最初、局長がいわゆるネットワークの開通といいますと三年、四年後になるかというふうに御答弁がございましたけれども、そういうふうになりますと、判断するのはそれから以降ですよね。ですから、やはりもう整備計画から外していただいて、基本計画に戻して、それでこういう住民の皆さんの重大な悪影響を被る地域住民が求めている必要な環境影響調査もきちんとやり直すべきではないでしょうか。その上で検討すべきではないでしょうか。どうでしょうか。
  156. 谷口博昭

    政府参考人谷口博昭君) お答えいたします。  環境影響評価についてでございますが、第二名神の抜本的見直し区間の環境影響評価につきましては、「建設省所管事業に係る環境影響評価の実施について」ということでいわゆる閣議アセスに基づき行われておりまして、大阪府下の区間につきましては平成七年七月の都市計画決定と同時に実施されております。  当初の環境影響評価からかなり時間が経過しているということで、改めて評価を実施し、また整備計画を見直すというようなお尋ねでございますが、将来交通量につきましては、最新の見通しは都市計画策定時見通しと比べて下回っているなど、環境上悪影響を及ぼす変化が見られないということでございますし、また平成九年度に制定された環境影響評価法附則の第三条により、同法施行前に整備計画が策定された高速自動車国道事業につきましては、同法による評価手続を改めて実施しないことということになっております等々から、現時点では改めて環境影響評価を行う予定はございません。
  157. 小林美恵子

    小林美恵子君 いえいえ、高槻の方はこれもう本当に大変なんですよね。高槻インターチェンジが造られることによってアクセス道路の整備も計画されています。そのアクセス道路であります牧野高槻線といいますのは、本当に周辺自治会の住民の皆さんからも反対の声が上がっていますけれども、話を聞きますと、都市計画決定されたのは一九六三年です。もう本当に四十年以上も前のことなんですね。そうしますと、車の通行量もその住宅環境も随分大きく変化しているわけです。しかも、第二名神の環境アセスでもう十三年前です。大気の調査が行われたのは季節ごとでございまして、年間四週間しかやってないんですね。これでは本当に住民は不安でたまらないという声です。私は、やっぱりきちっとやらなくてはいけないというふうに思うんです。その点を御指摘を申し上げておきたいと思います。  それで、先ほども申し上げましたけれども、私は、第二名神、抜本的見直し区間、整備計画から外しても国が交通量調整とか環境影響調査を行うということは可能だと思います。何も今計画に置いといてやらなくてもいいんじゃないかと思うんですね。ですから、国幹会議を受けまして、今月中にもでしょうか、高速道路株式会社と協定を結ぶかと思いますが、この区間についてはやっぱり協定を結ぶべきではないということを思いますけど、この点、大臣、いかがですか。
  158. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) これにつきましては、もう既に先ほどの国幹会議におきまして、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、主要な周辺ネットワークの供用後における交通状況等を勘案して改めて判断することとし、それまでは行わないというふうに明記をしたところでございまして、現時点で更に整備計画そのものを見直す考えはございません。
  159. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、それで何が抜本的見直しなのかというふうに本当に思います。本当に住民の皆さんは大変不安に思っておられますから、抜本的というふうにおっしゃるんでありましたら、もうこの際きっぱりと整備計画から外して建設は中止すべきだということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  160. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  大臣所信の冒頭において、国土交通行政の最重要課題国民の安全と安心を確保することだと述べていますが、今国民は不安と不信の中にいると思います。これまで起きてきた航空、鉄道、バス、タクシー事故の増加や、構造計算書偽造問題による住生活基盤への信頼の失墜、さらには雪害など、余りにも多くの問題が発生をしております。これらのすべて、国土交通省が所管をするものでありますし、最重要課題と位置付けるには余りにも多くの問題が発生をしているのではないでしょうか。  まず初めに、この現状を大臣はどのように認識されておるのか、お伺いいたします。
  161. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) もう委員もよく御承知のとおり、国土交通省というのは、陸海空にわたる社会資本を整備し、そして管理をし、そしてまた交通インフラについて整備をしていくという、我が国国土社会資本に係る整備、管理をしている官庁が国土交通省でございます。したがって、当然のこととして、国民生活の安全、安心、また日常の私たちの経済活動の円滑化、そうしたことに資するような社会資本整備をしていく、そしてその安全、安心のための管理監督をしていくことが国交省の最大の役割であり、使命であるというふうに考えております。  今委員の方からおっしゃったように、国民生活の安全、安心を脅かすような様々な事件や事故が起こっているわけでございまして、その一つ一つにつきましてしっかりと事実関係を解明し、なぜそのようなことになったのか、その原因を究明し、再発防止に全力を挙げて取組をさせていただきたいと考えております。
  162. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 大臣の決意は分かりましたが、ただいま大臣のその認識をお伺いいたしましたが、これらの事故が近年増加しているというふうに、どのように認識されておりましょうか。
  163. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) これ、例えば公共交通における大きな事故もあれば、今回の耐震偽装事件もあれば、様々な事件、事故が起こっているわけでございますが、やはりそれは一つ一つ事件、事故について原因究明をしっかりとしていくことが大切であるというふうに思っております。  それらを通じて何か共通するものがあるのかどうか、そこはなかなか難しい問題ではあると思いますが、ただ、今日も午前中の議論の中にもあったかと思うんですけれども、私はこれは国交省だけの話じゃないと思います。むしろ我が国全体、我が国社会全体にわたってモラルというものが低下をしてきている、そういう私は警告ではないかというふうに受け止めておるところでございまして、社会全体のそういう規範というものを強化していく、モラルというものを引き上げていく、そうしたことが大切であるというふうに思っております。  そのためには、私は、そういう社会的な使命だとか役割だとか、そういうことをきちんと啓発をしていくとともに、そうしたことをしっかりやっている方々をきちんと評価をしていくと。やってない、そうしたモラルに反して、法令に違反して様々なことをやっていることについてはもう厳正に処理をしていくと、対処していくということが大切である。それをあいまいにしないということが大事かなというふうに思っております。
  164. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 大臣の認識と合うところ合わないところ、あると思いますけれども、私は、何といっても今進められております規制緩和の結果ではないかというふうに思っています。例えば航空や鉄道では、整備の外注やブラックボックス化が進むとともにコストの削減のために労働者の削減が行われています。このために、職場では整備技術の継承もままならないという現象が生まれております。また、タクシーでは多様多種な運賃が生まれましたが、歩合制賃金がベースにあるために、そこに働く労働者の労働時間が守られない状況が出現をしています。  これらは一例ですが、このような問題が各モードごとに発生しているのではないでしょうか。これらの問題解決のためにどのようになされていこうとしているのか、各モードごとにお答えいただきたいと思います。
  165. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 私ども、経済的規制は緩和をしてまいりましたけれども、見直しをしてまいりましたけれども、安全を含む社会的規制については、合理化こそすれ、緩和をしてきたつもりはございません。  航空に関しましては、昨年来、非常にトラブルが続いております。特にトラブルの多くがヒューマンなエラーに基づくものが多かったと、このように分析をしております。このため、我々、各航空会社、経営者、従業員一体となってヒューマンエラーをなくしてもらう、少しでも少なくしてもらうと、こういう仕組みづくり、こうしたことを中心に頑張ってまいりたいと思っております。  それから、併せまして、私どもの対策、どちらかというとトラブルが起こった後の事後的対策がこれまで中心でございましたけれども、事前の対策もきっちりやっていきたいというそのために、当委員会でもいろいろ御議論をいただきましたけれども、事故、トラブルの情報の収集の仕組みなんかについても考えてまいりたいと、このように思っているところでございます。
  166. 梅田春実

    政府参考人梅田春実君) 鉄道におきましては、昨年のJR福知山線事故、多数の死傷者を生じた重大事故の教訓を踏まえまして、速度超過防止用のATSの緊急整備、あるいはより安全な鉄道を構築するための技術基準の見直し、さらには、運転士に起因する事故を防止するための運転士の資質向上の検討に取り組んでいるところでございます。  また、昨年九月六日に航空・鉄道事故調査委員会の建議がございまして、これを踏まえまして、例えば列車の運転状況の記録装置、あるいは、まあデッドマンというんですが、エマージェンシーブレーキですね、EB装置、これを付けると。あるいは、カーブにおける速度制限装置、これを義務付けるというような技術基準の改正を行う準備を現在しておりまして、また、事業者における今回の法案、安全統括管理者等、安全管理規程の作成による安全管理体制の確立ということで、事業法の改正を含めまして、安全規制につきまして一歩進んだ規制を行いまして再発の防止に取り組みたいということで、全力で頑張ってまいりたいと思っております。
  167. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) バス、タクシーなどの自動車運送事業につきましては、運行中の安全確保がすべて運転者にゆだねられているといった特徴を有しております。このため、営業所ごとに国家資格の運行管理者を配置いたしまして、点呼などを通じて運行の安全を確保するという運行管理制度を基本に、現在安全の確保を図っております。  しかしながら、中小企業者が圧倒的に多いために安全が経営者の意識に左右されがちであったり、あるいは運行管理者任せに安全対策が行われたりということで、現行の安全対策の限界があることも事実かと思っております。  こういうことから、今般すべての自動車運送事業者に対しまして安全確保の責務を課して、安全マネジメントを新たに導入し、企業全体の安全意識の徹底を図りたいと思います。同時に、現在の運行管理制度の徹底と監査の強化ということを三位一体で進めることによりまして、自動車運送事業の安全性の向上を図ってまいりたいと思っております。
  168. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今回の構造計算書偽装問題に関しましては、まず何よりも、危険な分譲マンションの居住者及び周辺住民の安全を最優先に居住の安定確保を図るとともに、再発防止に向けまして一刻も早い全容解明が必要であるという認識から、偽装が行われた可能性のある物件について公共団体と連携して徹底した調査を行うとともに、関係者への事情聴取、民間検査機関への立入り実施検査、審査物件サンプル調査などを行っているところでございます。  特に、今回の問題では、指定確認検査機関だけでなく公共団体でも書類の偽装を見逃してしまったこと、それから一級建築士が故意に計算書偽装して、元請の設計者もその偽装を見逃してしまったと、そのことによって消費者の建築士に対する信頼が大きく損なわれていることといったようなことから、建築確認検査制度、建築士制度などの抜本的な見直しによる再発防止を講ずべきと考えておりまして、いろいろな事務の総点検の結果、それから、大臣の下に置いております緊急調査委員会における検証等踏まえまして、審議会において御審議いただいた上で中間報告をいただきました。これに基づきまして、第一弾の基準法等の改正案をこの国会に提出させていただき、所要の改正を行っていく方針でございます。  残された課題につきましても、極力早期に、今年の夏ごろまでに方針を取りまとめていただいて、それを踏まえて改めて所要の改正をお願いする方針でございます。
  169. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ただいま各モードごとにお答えをいただきましたが、どうも後追いのような感じがしないわけではありません。  で、言われていますように、安全マネジメント計画の仕組みの導入や運送事業者に対する監視監督体制を強化するとのことですが、提出されています法案は安全統括管理者を設けていますが、その中で一定規模以上の事業者となっていますが、一定規模とはどのような事業者を指すのか、お教えいただきたい。  それから、鉄道、バス、タクシーについてもお教え願いたい。  また、安全、安心な車社会を実現したいと所信で述べられていますが、公共交通機関が今日的な状況に陥った原因に、車社会、自家用自動車の増加があります。そこでお伺いしますが、どのような車社会をつくろうとお考えになっているのか、お伺いいたします。
  170. 杉山篤史

    政府参考人杉山篤史君) 今般の鉄道事業法等の一部改正をお願いしているわけでございますが、その中では、先生御質問ございましたように、安全管理規程の作成の義務付け、安全統括管理者の選任の義務付け等を考えているところでございますが、御案内のとおり、この安全マネジメントを構築するという目的は、経営トップが一丸となりまして会社の末端に至るまで安全意識を浸透させるということで、会社全体として安全マネジメント体制を構築してもらうという趣旨でございます。  その対象事業でございますが、現在既に各事業法で運行管理者等の制度がございます。そういった各モードごとの既存のその現場の管理のための制度、あるいは自動車運送事業のように小規模の事業者が大多数であるといった事業もございます。そういったモードごとの事業の実態も踏まえまして範囲を定めてまいりたいと思っているところでございますが、具体的には、鉄道が約九百事業者、それから自動車は約三百事業者、それから海運は約四千二百事業者、航空は約二十事業者程度を適用対象とすることを予定しているところでございます。
  171. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) 渕上先生より、どのような車社会を実現しようとしているのかというお尋ねがございました。  現在、我が国の自動車保有台数は既に七千九百万台を超えるに至っております。この間、マイカーもおおむね定着しつつあるわけでありまして、国民のライフスタイルや地域構造、都市構造も大きく変わってきていると認識をしております。このように、車社会が成熟期を迎える中で、自動車の有する高い利便性を生かしながら国民社会の安全、安心の確保を図るということが大変重要な政策課題であると考えております。  また、我が国は急速な高齢化と少子化が同時に進行して、人口減少社会という今まで経験したことがない課題に直面しているわけでありますが、特に高齢化などの進展によりまして、マイカーでの移動が困難な人々が増加をし、公共交通サービスの社会的必要性がこれまでにも増して増大するという認識を持っております。  さらに、今後は、従来に増して多様な小単位の輸送ニーズにいかにきめ細かく対応していくかということが、公共的な旅客輸送サービスの活性化を図る上でかぎだと思っておりまして、またそれが真の利用者ニーズにかなうものであると考えておるところであります。  このため、自動車交通における利便性や安全性の向上を図るべく、コミュニティーバスや乗り合いタクシー、市町村バス、ボランティア有償輸送など、地域の実情や利用者のニーズに応じた安全、安心な旅客輸送サービスの普及促進などの措置を内容とする道路運送法等の一部を改正する法律案をこの国会に提出させていただいております。  さらに、国土交通省では、先ほど渕上先生からもお話がございましたが、自動車運送事業について、規制緩和後の事後チェック体制をより確実なものとするために監査の強化を図り、この二月一日より実施をしているところでございます。  国土交通省としては、子供からお年寄りまで、また全国どのような地域においても、だれもが安全に、安心して、かつ多様に自動車を利用できる車社会の実現を目指して、安全の確保や環境問題への対応はもちろんでありますけれども、利便性の高い公共交通ネットワークの構築や地域づくり、まちづくりとの調和など、自動車に対する国民社会の多岐にわたる期待、要請に的確に対応すべく、総合的に対応してまいりたいと思っております。
  172. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 交通運輸を始め建設関係においても耐震偽装問題が、姉歯氏でなく、札幌福岡においても発覚をしています。小泉首相の掲げる構造改革は、民間にできることは民間にと言い、各分野における各種規制を緩和をしてきました。その結果がさきに質問したような状況を生んだものだと私は思います。  所信では今もって構造改革を推進すると明言をしていますし、国土交通省はこれから何を構造改革しようとしているのか、具体的にお聞かせいただきたい。
  173. 春田謙

    政府参考人春田謙君) 今、構造改革についてのお尋ねがございました。具体的に幾つか申し上げたいと思います。  一つは、社会資本整備の関係でございます。  安全、安心の確保、あるいは国際競争力の強化、あるいは都市再生、地域再生の推進と、こういう重要な政策課題に対応いたしまして、社会資本整備につきましては重点化を図りまして、限られた予算で最大限の効果の発現を図ることとしておるところでございます。  また、社会資本整備関連いたしましては、コスト構造改革の推進、ライフサイクルのコストの縮減という取組、あるいは事業評価の厳格な実施、あるいはPFIの導入の積極的な推進といった取組によりまして効率的、効果的な社会資本整備の推進を図ってまいりたいと考えております。  また、昨年の四月に施行されました公共工事品質確保法に基づきまして、価格競争から価格と品質が総合的に優れた調達への転換を推進してまいります。また、これに関連いたしまして、談合防止対策につきましては一般競争方式の拡大と総合評価方式の拡充を図ることとしておりまして、現在、中央建設業審議会におきまして市場機能を活用した企業評価のための入札ボンドなどについて検討いただいているところであり、年度末までには中間取りまとめを行う予定としております。  なお、道路関係の改革の中で、道路関係四公団の民営化につきましては、約四十兆円に上る債務を四十五年以内に確実に返済すると。あわせまして、真に必要な道路について、早期にできるだけ少ない国民負担の下で整備することを基本に取組を進めてまいります。また、関連いたしまして、道路特定財源につきましては、昨年末に政府・与党の基本方針が出されているところでございます。この方針に沿って見直しを進めてまいりたいと考えております。  また、独立行政法人改革というのも改革の大きなテーマの一つでございますが、ちょうど十七年度末に中期目標期間が終了いたしますところの所管の十一法人につきまして、この国会に関係の法律案の提出をさせていただいているところでございますが、関連する機関の間の統合を図ること、あるいは効率的な事業の推進の観点から、特に民間との人事交流の促進を図るということで、役職員を非公務員化するというようなテーマに取り組むということにしておるところでございます。  このほかにも構造改革の取組がございますが、具体的に幾つかを御紹介申し上げました。
  174. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 大臣所信において、鉄道、バス等について、地域住民との協働の取組を積極的に支援し、利用円滑化、活性化の推進すると言われております。これでは運輸行政を所管する官庁として鉄道、バスに対してどのような施策を持っているのか、また活性化を図ろうとしているのか見えてきません。中でも、地方の鉄道、バスについてどのような施策を持って活性化を図ろうとしているのでしょうか。具体的にお聞かせいただきたい。
  175. 梅田春実

    政府参考人梅田春実君) 地方鉄道につきましては、通勤通学等地域住民の足、日常の足でございます。そういうことから、従来私ども、近代化補助制度という制度をつくりまして財政上の支援等を行ってきておるわけでございます。しかし、御承知のようになかなか厳しい経営状況でございます。  私どもといたしましては、やはりこの地方鉄道というのは、地域の振興あるいは活性化の担い手として地域の仕組みの中で取り組んでいただき、その維持存続を図る必要があるというふうに考えておりまして、平成十七年度から地域の自治体あるいは住民等地域の方々と連携して、この利便性の向上に向けまして再生計画を作っていただきまして、こういう作っていただいた鉄道につきましては重点的、効率的に支援するという制度改正を行ったところでございます。  具体的には、まちづくり事業との連携を行う、新駅を設置する、あるいはパーク・アンド・ライドの駐車場、駐輪場を整備する、こういうような新しい補助の拡充も図ったところでございます。今回はまた、ATS等についても拡充をしているところでございます。  こういうことで、今後とも地域の関係者が参加した再生支援協議会というものと協力しながら、この地域の鉄道の維持存続をできるだけ図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  176. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) 地方バスにつきましては、住民の日常生活の足であるという意味で、その確保は大変重要な課題であると認識をしております。そのために、従来から、国の補助制度と地方財政措置の組合わせによりまして、総務省ともしっかり連携をしながらできる限りの支援措置を講じているところでございます。  具体的には、平成十八年度予算案におきましてほぼ前年度並みの約七十二億円の国庫補助を確保しておりますとともに、生活交通再生路線補助ということで、新たにコミュニティーバスなど地域のニーズにきめ細かく対応した輸送サービスへの転換を支援することとしたところでございます。  また、地方財政措置につきましても、事業費ベースで前年度の約七百五十億円から約七百六十億円に拡充されるなど、支援措置の充実を図ってきております。  さらに、平成十八年度より公共交通利用円滑化事業を創設いたしまして、地域の交通事業者と地域住民等の協働により、総合交通マップの作成や乗り継ぎ案内情報システムの開発など、公共交通の利用促進、利用円滑化を支援することとしたところであります。  いずれにしましても、国土交通省としましては、今後ともこのような取組を進めることによりまして地域が必要とする地方バス路線やサービスの維持活性化を図ってまいりたいと思っております。
  177. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 首都高速王子線の供用開始からもう三年余が経過をいたしました。供用開始と同時に騒音、振動問題が発生をし、私も現地調査を行ってまいりました。現地の住民の声を聞きまして、旧首都高速道路公団に申入れを行ったり、昨年の委員会で質問いたしました。昨年はやっと専門機関による調査が行われ、抜本的な対策が本年四月より実施されることになっておりましたが、橋梁談合事件の発覚で施工業者がいないとの理由で工事のめどが立っておりません。立っていない状況なんですが、供用開始以来、旧公団は速やかな対応を行わなければならないのに、それを怠って、加害者としての見識に欠けております。  沿線住民として我慢の限界を超えているわけですが、北区の堀船地区にかかわる騒音、振動対策の進捗状況について、今どうなっているかをお知らせ願いたい。
  178. 日月俊昭

    参考人日月俊昭君) ただいま御指摘のように、堀船一丁目の騒音、振動対策につきましてはいろいろやってまいりましたが、さらに、ノージョイント化、それから制振材の設置、これはけたに厚いゴムをくっ付ける、特殊なゴムでありまして、ゴムだけくっ付けるんじゃなくて鉄材と、ちょっと複雑な工事なんですが、かなり専門的な技術が要します。  先生御指摘のように、私ども、こういう工法を地元に御説明いたしまして、昨年の十月に御理解いただいたんです。その後、私たち準備をしまして、昨年の十二月に公募型方式で進めたんですけれども、この理由がよく分からないんですが、応募者がゼロになってしまったわけです。で、大変私どもこれ困りまして、地元の方々にもそういう事情は御説明しています。橋梁談合事件等がございましてなかなか的確な業者が応募してくれないということで、私ども大変頭を悩めております。しかしながら、再度中身をもう一遍精査しまして、現在公募に向けて再び努力をしております。今日時点でいついつまでっていうのがお約束できなくて残念なんですけれども、そのような状況の中で何とか発注に持っていきたいと思っております。  それから、三丁目の方はよろしいですか。  三丁目の方につきまして、防音壁を六十メーター延長しております。その結果を調査いたしまして、近々地元の方々に御説明したいと思っております。  以上です。
  179. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ひとつ積極的にやっていただきたいし、施工者がいないというのもちょっとおかしな話でね。そこは真剣にひとつ探して、努力してください。  ちょっと委員長、あと一つだけ。ちょっと時間超えるけどお許しをいただきたい。よろしくどうぞ。  工事が原因となって家屋の傾斜等に対する補償も解決をしておりませんし、昨年の九月、旧公団の施工ミスと推測される仮設護岸の決壊による大規模な水害が発生をしておりますし、しかし、六か月が既に経過をしていますが、会社側は責任を認めず見舞金程度でお茶を濁そうとしておりますが、いまだに補償のめどが立っておりません。水害補償の進捗状況について、どのようになっているか、お考えお示し願いたい。
  180. 日月俊昭

    参考人日月俊昭君) 昨年の九月四日の台風による大雨ではんらんいたしました。私どもの仮設護岸の鉄板が欠落いたしました。欠落し、落下いたしました。そのために床上・床下浸水が生じてまいりました。その後、私たち、直ちに地元の方々に御説明する場を持たしていただきました。その中で、対策協議会、代表の方々で対策協議会というものを、対策協議会の委員、代表者を決めていただきまして、その後、私たちは代表者と話を進めさせていただいております。十一月の九日、十日にわたりまして各被害に遭われた方の家々を私どもが回りましてお見舞金をお渡ししております。その時点では私どもに、まあ天災的な面はあるんですが、しかし鉄板が落下したということは私どもの責任だと思っています。  そういうことで、一定の費用を負担するために、負担の在り方について代表者の方々と話合いを進めております。大体月に一、二回そういうのを進めておりまして、今まだ相手方のあることでございますので本日の席ではこうだということが言えないんですが、ただし、だんだん私どものお話も御理解いただいて、私たちとしても責任を認めておりますので一定の費用を負担したいと、その方向で調整を今続けているところでございます。
  181. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 大臣、これ、私、一年前に言っているわけですよ。そして、大臣はやると、こう言っているわけですね。ですから、今聞いたような経過ですよ。ですから、ひとつ積極的にこの問題が解決できるようにお願いを申し上げておきたいと思います。  あと、北海道関係についてちょっと時間がなくなりまして、出席していただいた方々に申し訳ありません。失礼をいたしました。またよろしくお願いします。ありがとうございました。  どうも皆さんありがとうございました。
  182. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  183. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。北側国土交通大臣
  184. 北側一雄

    国務大臣北側一雄君) ただいま議題となりました運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  昨年四月の西日本旅客鉄道株式会社福知山線における列車脱線事故、三月の東武鉄道株式会社伊勢崎線における踏切事故、また、我が国航空運送事業者における管制指示違反等の安全上のトラブルを始めとして、最近、運輸の分野における事故、トラブルが多発をしております。これらは、運輸事業者における安全最優先の意識の形骸化、経営部門と現場間及び部門間の意思疎通、情報共有の欠如等に起因するヒューマンエラー等が背景にあるとも言われており、その対策とともに、開かずの踏切対策の促進や事故等の原因究明のための国の調査機能の充実が喫緊の課題となっております。このような状況を受けまして、鉄道、航空、自動車、海運の各分野の運輸事業者における輸送の安全を確保するための取組を強化するとともに、あわせて、踏切道の安全性の向上、交通の円滑化や運輸の安全に関する国の組織体制を強化する必要があります。  このような諸課題に対応するため、このたびこの法律案を提案することとした次第です。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、輸送の安全の確保を法の目的として追加するとともに、輸送の安全の確保が最も重要であることを自覚し、絶えず輸送の安全性の向上に努めることを運輸事業者の責務として規定することとしております。  第二に、運輸事業者は、輸送の安全を確保するための事業の運営の方針に関する事項等を定めた安全管理規程を定め、国土交通大臣に届け出るとともに、安全統括管理者等を選任しなければならないこととしております。  第三に、国土交通大臣は、毎年度、輸送の安全にかかわる情報を整理し、これを公表することとするとともに、運輸事業者は輸送の安全にかかわる情報を公表しなければならないこととしております。  第四に、国土交通大臣は、安全管理規程のうち輸送の安全を確保するための事業の運営の方針に関する事項に係る報告の徴収又は立入検査を適正に実施するための基本的な方針を運輸審議会に諮り、定めることとしております。  第五に、国土交通大臣は、平成十八年度以降の五か年間において改良することが必要と認められる一定の踏切道について指定するものとするとともに、国土交通大臣が定める踏切道の改良の方法に歩行者等立体横断施設の整備を追加し、鉄道事業者等に対し歩行者等立体横断施設整備計画の作成等を義務付けることとしております。  第六に、国土交通大臣は、鉄道事業者等に対し、踏切道の改良に関し必要な勧告及び報告の徴収をすることができることとするとともに、いわゆる連続立体交差事業に係る無利子貸付制度を創設することとしております。  第七に、海難審判庁は、審判開始の申立てに至らなかった海難の調査結果等を踏まえ、国土交通大臣又は関係行政機関の長に対し、海難の発生の防止のため講ずべき施策についての意見を述べることができることとしております。  第八に、航空・鉄道事故調査委員会は、航空・鉄道事故に伴う被害の原因を究明するための調査及び被害の軽減のため講ずべき施策についての国土交通大臣に対する勧告又は建議を行えることとしております。  その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上がこの法律案を提案する理由でございます。  この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
  185. 羽田雄一郎

    委員長羽田雄一郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時八分散会