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2006-02-08 第164回国会 参議院 国際問題に関する調査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年二月八日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員氏名     会 長         西田 吉宏君     理 事         山東 昭子君     理 事         大塚 耕平君     理 事         佐藤 雄平君                 大仁田 厚君                 岸  信夫君                 末松 信介君                 田村耕太郎君                 伊達 忠一君                 谷川 秀善君                 中川 雅治君                 二之湯 智君                 西銘順志郎君                 水落 敏栄君                 大石 正光君                 木俣 佳丈君                 工藤堅太郎君                 郡司  彰君                 富岡由紀夫君                 広野ただし君                 前田 武志君                 浮島とも子君                 加藤 修一君                 澤  雄二君                 大門実紀史君     ─────────────    委員異動  二月七日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     小川 勝也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         西田 吉宏君     理 事                 岸  信夫君                 山東 昭子君                 西銘順志郎君                 大塚 耕平君                 佐藤 雄平君                 澤  雄二君     委 員                 大仁田 厚君                 末松 信介君                 田村耕太郎君                 伊達 忠一君                 谷川 秀善君                 中川 雅治君                 二之湯 智君                 水落 敏栄君                 小川 勝也君                 大石 正光君                 工藤堅太郎君                 郡司  彰君                 富岡由紀夫君                 広野ただし君                 前田 武志君                 浮島とも子君                 加藤 修一君                 大門実紀史君    事務局側        第一特別調査室        長        三田 廣行君    参考人        大阪大学大学院        法学研究科教授  坂元 一哉君        NPO法人岡崎        研究所理事長・        所長       岡崎 久彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○国際問題に関する調査  (海外派遣議員報告)  (「多極化時代における新たな日本外交」のう  ち、日本の対米外交(今後の日米同盟在り方  )について)     ─────────────
  2. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) ただいまから国際問題に関する調査会開会をいたします。  委員異動について御報告を申し上げます。  昨日までに、加納時男君、松田岩夫君、野上浩太郎君及び木俣佳丈君が委員を辞任され、その補欠として西銘順志郎君、伊達忠一君、谷川秀善君及び小川勝也君が選任をされました。     ─────────────
  3. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が三名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、会長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事岸信夫君、西銘順志郎君及び澤雄二君を指名をいたします。     ─────────────
  5. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  国際問題に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人出席を求め、その意見を聴取をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  8. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) 国際問題に関する調査を議題といたします。  まず、先般、当調査会委員中心とする議員団海外派遣をされましたので、この際、派遣議員団の団長を務めました私から報告をいたします。  昨年十二月十日から十六日までの七日間、EU統合拡大等に関する実情調査並びにチェコ共和国及びベルギー王国政治経済事情等視察のため、市川一朗君、南野知惠子君、直嶋正行君、前田武志君、澤雄二君、そして私、西田吉宏の六名が参議院から派遣をされました。  我が国は、米国EUに次ぐ極となり得る東アジア念頭共同体構築に向けた検討や議論を重ねてきております。このような観点から、二度の世界大戦を通じて欧州各国が戦い、対立している状況に終止符を打つべく、共同体の創設を目指し、半世紀を掛けて現在のEUをつくり上げてきた経験と様々な課題や変化を調査することは、本調査会等における東アジア共同体構想に関する議論の一助となり、さらに我が国東アジアにおける外交を展開していく上で参考になり得るものと考えます。  このような視点から、EU執行機関である欧州委員会本部並びにEUの原加盟国であるベルギー及び新規加盟国で著しい発展を遂げているチェコを訪問し、EUの現状と課題等について積極的な意見交換を行ってまいりました。  現行EUを創設しようとした一義的目的は、欧州各国の平和と安定と自由であり、特に国民にとってこれらは重要であって、その観点から、EU周辺国とも安定と友好の関係を維持していこうとしているとの説明がなされました。また、EU域内人口は四億五千万人に達しているが、これらの人々の歴史文化、言語、宗教等は異なっているが、うまく融合している、世界には様々な経済圏文化圏があり、種々の対立やテロの問題も出ているが、民主国家を標榜するEUの融合は一つのモデルになるのではないかとの意見が共通の価値観を有しているあかしとして印象に残りました。  現在、二十五か国に統合拡大をしたEUは、世界の一極を占める米国に追い付く努力をしており、EU政策のキーワードを経済成長雇用創出に置いておりますが、一昨年五月に新規に加盟した十か国も欧州への復帰を果たすとともに、EU加盟による経済活性化期待している面がうかがえました。  EUは、統合拡大深化、すなわち深まりを遂げる一方、欧州憲法条約批准延期中期財政予算をめぐる大国間同士の確執、拡大への疑問などの問題も惹起されておりますが、ベルギー欧州担当国務大臣は、各国国民に対してEUのアプローチを理解してもらう努力を重ね、EUは何を目指していくべきか、欧州とは何かを議論していきたい、また、EU域内経済強化をしていく上で拡大が良い結果を生んでおり、経済発展小国だけが利益を受けているばかりでなく、大国の国々にも利益になっている、結果として大国小国も平等であることを忘れてはならないと説明しておられました。欧州委員会高官もこれらの課題を乗り越える意思を表明しておりましたが、拡大にはイスラム国家であり、人口も多いトルコとの交渉が難しい問題であるとの認識も示されました。  チェコの第一外務次官との意見交換では、政府外交レベルでは話せないテーマ、事項を議会外交議員外交で協議できるという意味議会レベルでの外交を歓迎したい、また、日本チェコ両国の結び付きを深めていきたいとの考えが表明されました。特に、日本チェコへの投資はドイツに次いで多く、日本に対する期待が大きいと感じました。これに関連しますが、チェコでは百五十八社の日系企業が進出をしており、派遣団一行も自動車の合弁会社視察をし、我が国企業欧州における雇用経済発展に寄与している実情を確認できました。  最後に、今回のEU拡大統合等実情調査において、EU課題一つになっている少子高齢化問題がありますが、EUではチェコを含め出生率が低く、少子化、これに伴う高齢化経済成長との関連で問題となっております。欧州委員会経済財務担当高官は、EU圏の総人口は減っていく傾向にあり、その結果、労働人口高齢化していくだろう、年金の問題を考えると高齢者女性雇用率は高まると予測をしているとのことでありました。雇用政策面では、若年労働者雇用創出を考えると同時に、退職年齢の延長も念頭に入れていかねばならないとのことであります。また、チェコ財務担当高官は、社会保障政策面で子供のいる世帯の女性に対する年金の優遇、義務付けられている私的年金への税の補助等措置を実施ないしは検討しているとのことでございました。  以上が今回の調査概要報告でありますが、EU拡大深化について課題があっても乗り越えるという欧州委員会事務局幹部の信念がうかがえると同時に、ASEANを中心として我が国も検討している東アジア共同体との相違性も認識でき、今後の議論参考となる示唆が多くあったと考えております。  簡単ではありますが、これで私の報告を終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。  以上でございます。     ─────────────
  9. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) 次に、本調査会調査テーマである「多極化時代における新たな日本外交」のうち、日本の対米外交に関し、今後の日米同盟在り方について参考人から意見をお伺いした後、質疑を行いたいと思います。  本日は、大阪大学大学院法学研究科教授坂元一哉参考人及びNPO法人岡崎研究所理事長所長岡崎久彦参考人に御出席お願いをいたしております。  なお、岡崎参考人は所用により遅れてお見えになりますので、御了承願いたいと思います。  それでは、一言ごあいさつを申し上げます。  坂元参考人におかれましては、御多忙中のところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  本調査会では、日本の対米外交について重点的かつ多角的な調査を進めてまいっておりますが、本日は、今後の日米同盟在り方について参考人から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。本日は御苦労さんです。  なお、本日の議事の進め方でございますが、まず坂元参考人岡崎参考人の順でお一人三十分程度で御意見をお述べをいただいた後、午後四時ごろまでをめどに質疑を行いたいと思いますので、御協力お願いをいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、坂元参考人から御意見をお述べいただきたいと思います。坂元参考人、よろしく。
  10. 坂元一哉

    参考人坂元一哉君) 大阪大学坂元でございます。  本日は、お招きくださりありがとうございます。今後の日米同盟在り方につきまして、最近考えておりますことを少しお話しさせていただきたく思います。  かつて、国際政治学者高坂正堯は、日本外交のあるべき姿を、アメリカとは仲良く、中国とはけんかせずという言葉で表現いたしました。教授が亡くなってから今年で十年になります。私は、教授が今存命であれば、現在の日本外交をどのように評価されるか、そのことをよく考えます。  この正月、くしくも朝日新聞と産経新聞という、リベラルと保守の世論を代表する二つの新聞が高坂教授の別の言葉をそれぞれ引用して論説を展開いたしました。教授言葉を思考の手掛かりにしたいと考えるのは私だけではなさそうです。  私は、今挙げた教授言葉をもじって申しますと、ここしばらくの日本外交は、アメリカとは更に仲良く、中国とはなるべくけんかせずと、そういう姿勢になるんだろうと考えております。以下は、アメリカとは更に仲良くという部分について、一つ提案のようなものとお考えください。  現在の日本の安全と繁栄がアメリカ合衆国との良好な関係に基礎を置くことは改めて言うまでもありません。では、その良好な日米関係が何に基づくかと申しますと、これは両国の間で、政治経済文化、様々なレベルで様々なこれを支える要素がございます。しかし、その中で何より重要なものはといえば、やはり安全保障互い互い安全保障協力するという約束ほど両国を強く結び付けるものはないと思います。日米安保条約日米同盟は、その意味安全保障そのもの機能、すなわち東アジア勢力バランス日本に有利にして日本の平和と安全に貢献するという機能だけではなくて、日米両国を強く結び付けるかすがいのような機能も果たしていると考えます。  ただ、このかすがいという機能から日米同盟を見ました場合に、この同盟には一つ弱点がございます。それは、大分変わってきたとは申しましても、依然としてこの同盟が、基地を貸して安全保障を得る、そのことを基本とするものであり、互い互いを守るという通常の意味での同盟関係の側面が弱いことです。  基地を貸して安全保障を得るという形、基地安全保障交換と言ってもよろしいでしょうが、この形の安保協力日米それぞれに大きな利益がございます。ございますから長続きしてきたわけでありますけれども、残念ながら、ややもすると互いに感情の摩擦を生じさせやすいところがございます。  と申しますのも、基地を貸す方は、借りる方が基地負担と危険を十分に理解していないではないかと疑い、逆に基地を借りて軍隊を置く方は、自国の若者に命のリスクまで負わせて抑止力を提供しているのに評価されない、こういう不満を抱く、しばしばそういうことになりやすいからです。例えば、今回の米軍再編の問題、これは米軍再編日米同盟をすり合わせる問題と言った方が正確ですけれども、この問題でもその摩擦が出てきたように思います。  日本における基地整理統合に関しては、抑止負担バランスということで進められたわけです。それは当然のことだと思います。ただ、抑止というのは目に見えにくく、負担というのは目に付きやすい。ですから、この二つバランスと申しましても、どうしても負担をどう減らすかということがクローズアップされて、そうなりますと、今度は米軍の方が、あっ、何なんだと、おれたちはただの負担かと、こうなって面白くないということになります。  誤解のないように繰り返しておきますが、私は抑止負担バランスはとても大事だと思います。ただ、同盟基地を貸して安全保障を得るというだけに限定されたままですと、そのバランスを図る作業が双方に不満をもたらしやすいと、そう心配するわけです。お互い安全保障上の必要があるから同盟を結んでいるけれども、基地安全保障交換だけですと、どうも互いに心が通わない。せっかくのかすがいが、かすがい機能を果たさなくなってしまう、むしろ摩擦の種になる、そのことをどうしたら避けられるか、それを考えるのです。  私は、これまでずっと、日米同盟強化するには、基地を貸して安全保障を得るという形だけではなくて、互い互いを守るという形を強化する必要があると言ってきました。それは、冷戦が終わって国際環境が大きく変わったと、それに日本も過去半世紀の間、自衛力の育成に努め、それなりの能力を持つようになっている、そういう状況からくるところもございます。ですが、それと同時に、そもそも基地を貸して安全保障を得る、その形で同盟のきずなが強いものになるだろうか、日米両国関係かすがいとしての機能をしっかり果たせるだろうか、そういう基本的な問題を意識するからであります。私は、互い互いを守るという形の協力強化すれば、抑止負担バランスということも今より気持ち良くお互い図ることができるのではないか、そう考えております。  そういう観点から今度の米軍再編を見ますと、私の目には、一昨年来、世間の注目を集めております重要な論点、すなわち沖縄普天間基地を始め日本国内米軍基地整理統合米陸軍一軍団司令部座間基地移転弾道ミサイル防衛協力体制整備、こういった論点ですが、それらの論点以外に特に注目すべき、少なくとも長期的には注目すべき論点があるように映ります。それは西太平洋マリアナ諸島最南端に浮かぶ米国領島グアム日米同盟の将来に果たす役割です。  グアムは、皆様御存じのように、日本から飛行機で三時間ほどで行ける常夏の島で、毎年多くの、何十万もの日本人が観光に出掛けておりますが、実はこの島は、米国米軍再編において、日本、イギリス、そしてインド洋のディエゴガルシアと並んで世界大米軍即応展開を支える戦略展開拠点一つと位置付ける島でもあります。  ラムズフェルド国防長官は、いったん米軍展開必要性が生ずれば、世界のどこへも所要の戦力を十日以内に展開し、敵を三十日以内に撃破し、その後三十日以内に次の場所での戦闘が可能になるようにする、そういう体制をつくることを理想として米軍再編を推し進めています。その米軍の迅速な展開能力を支える前進指揮司令所あるいは兵たん補給拠点一つに挙げられるのがグアムでして、グアムにあります広大なアンダーセン空軍基地原子力潜水艦基地であり、空母も接岸できるアプラ軍港などの施設が今後これまで以上の戦略的意味を持つようになると思われます。  ちなみに、レジュメに書きましたように、米軍再編につきましては、軍事評論家江畑謙介さんの「米軍再編」という御本を参考にしてお話をしております。  昨年十月に日米政府がまとめました米軍再編日米同盟に関する中間報告では、そのグアム日米同盟における役割が明らかになっております。まず、沖縄駐留の第三海兵機動展開部隊司令部グアムに移転します。これにより、沖縄からは七千名の海兵隊隊員及びその家族が県外に移転することになります。これはアメリカ政府沖縄基地負担軽減策の目玉として示した提案です。沖縄県も歓迎していると聞いています。  この中間報告ではまたグアムにおける日米共同訓練強化がうたわれています。これはアメリカグアム訓練施設を拡張するのに合わせた措置だと言います。  これのどこが注目に値するかと申しますと、前者につきましては、一つにはこの島への司令部移転につきまして日本側から資金的援助約束をしております。で、これをどういう建前で資金を出すのかと、それはこれから政治的に一つの争点になるのではないでしょうか。しかし、そのことより私が注目しますのは、この移転した海兵隊のその後の使い方について、日本は何ができるだろうかということです。  抑止負担バランスと言いますが、グアム海兵隊司令部が移転して基地負担が減った分、抑止力維持のための日米間の仕事の分担はどう変化するのだろうかという問いでございます。私は、米国側にはこの移転した海兵隊日米同盟目的に即して移動をする場合には、日本側から輸送、整備補給などの後方支援協力を得られるとの期待があると思います。今すぐにということではなくても、将来的にそういうことができるようになるならば、これは日米互い互いを守るという形の協力を増やすことになると思います。  後者、すなわちグアムにおける日米共同訓練強化は、自衛隊米軍相互運用性能力即応性向上に貢献します。既に陸上自衛隊航空自衛隊共同訓練を行い、成果を上げていますが、特に航空自衛隊は、広い訓練空域を使って、日本ではやりにくい電子戦訓練ができますし、電子戦訓練ができますし、米軍との真剣な訓練戦技向上にも役立つそうです。昨年初めて実弾を使った空対地射爆訓練を行ったとも聞いております。こうした訓練は、自衛隊米軍協力して日米同盟有事対応能力を高め、東アジア軍事バランス日米両国に有利なまま維持するのに大いに役立ちます。  今、経済だけでなく軍事的にも台頭しつつある中国は、このグアム戦略的価値をよく知っております。台湾海峡有事を考慮して、台湾の東方からグアム方面への海域調査にも余念がありません。一昨年の中国潜水艦による日本領海侵犯事件は、グアム周辺への偵察から帰還する途中で起きた事件だと言われています。  そのことにも関連いたしますが、防衛大学校の太田文雄氏は、推測と断りながらも、中国が東京都の沖ノ鳥島をあくまで岩だと主張して日本排他的経済水域を認めないのは、この島がグアム台湾のちょうど中間点にあると、その戦略的価値を考慮してのことではないかと興味深い指摘を行っておられます。将来、中国潜水艦隊が更に増強されていくということになれば、グアム台湾に近い沖縄グアム沖縄の間のシーレーン防衛日米同盟の重要な関心事にならざるを得ないと考えます。  報道によれば先週、米国防総省は、安全保障政策の指針となる四年ごとの国防戦略見直し、QDRを公表しました。この中で、台頭する中国については、これを米国と軍事的に競い合える最も大きな潜在力を持つ国と指摘し、将来的にライバルになる可能性があるとの警戒感を鮮明にしています。その上で、太平洋には、空母を五隻から六隻に増強、七十隻保有する潜水艦の六割も太平洋に向けるなど、大西洋からの戦力シフトを打ち出しています。これは注意すべき動きだと思います。  私は、日米同盟強化発展を望んでいます。ただ、同盟強化発展と申しますと、大概は、まず米国側強化発展構想が生まれて、次に米国のイニシアチブで提案ないし要求があり、そしてその後、日本はそれにどう対応するかを考える、時にはその考えることで国内が大もめになると、そういう話になりがちです。私は、たまにはこちらから積極的にアイデアを出せないものかと思います。  例えば、このグアムに関してはどうでしょう。そのことを考えますと、半世紀前の歴史的エピソードが思い出されます。一九五五年、時の外相重光葵は、吉田茂が締結した安保条約、つまり旧安保条約ですが、その改定を目指して私案、私の案という形ですけれども、米国政府に対し、西太平洋条約区域とする相互防衛条約提案しています。訪米した重光は、安保条約には米国日本防衛義務が明示されていない、旧安保条約はそういうものでございましたが、明示されていないなど不平等なところがあると訴えて、ダレス国務長官条約改定を迫りました。しかし、ダレス長官は、重光外相の話を聞いた後一言グアムが攻撃されたら日本グアムを守りに来ることができるのかと反論したのです。西太平洋相互防衛と言うのなら、当然、日本西太平洋米国領グアムが攻撃されたら助けに来てくれるのでしょうねという反論です。ダレスは、日本憲法上も実力上もグアム防衛には貢献できないと決め付けていたのです。重光は、もしグアムが攻撃されたら日米対応を協議すると食い下がったのですが、ダレスは、これは協議の問題ではなくて相互防衛の問題であると、つまり互い互いを守ることが問題なんだとして、重光提案を拒絶しました。  旧安保条約は、その五年後に岸信介首相の下で改定されました。しかし、新しい条約は、わずかに、日本国の施政の下にある領域、つまり日本沖縄返還まではこの日本沖縄は含んでおりませんが、日本において日米いずれか一方が武力攻撃を受けたら日米は共通の危険に対処する、その意味でのみ相互防衛約束するものでした。つまり、日本と在日米軍日米が共同で守るということを約束するだけで、あとは基地を貸して安全保障を得る旧条約の基本を変えるものではありませんでした。しかも、この新条約でうたった日本と在日米軍日米が共同で守るという約束でさえ、その共同防衛にちゃんとした実質が伴うのは大分後年になってからのことです。  冷戦中は、ソ連との全面戦争が前提でしたから、対ソ封じ込めの重要な基地である日本を守ることは米国の安全にも死活的な利益になりました。ですから、日本アメリカが共同で日本を守る、それだけでも双方に大きな意味がありました。しかし、冷戦後はそうはいきません。地域紛争やテロとの戦いで相互性を求めようとするならば、日本国の施政の下にある領域を超えた場所での防衛協力が必要になります。  一九九七年、日米両国は新しい日米防衛協力のための指針、ガイドラインを制定しました。この中で、日本周辺で有事が発生したときには、公海上、これは戦闘が行われている区域とは一線を画するという条件付ですが、公海上で米軍に対して後方支援、後方地域支援を行うことができることになりました。二〇〇一年のテロ特措法では、インド洋での洋上補給協力、二〇〇三年のイラク特措法ではサマワでの人道復興支援を行い、現在も続けているわけです。  様々な評価がございますが、これらは皆、冷戦後に自衛隊米軍安保協力の幅を広げて、日米同盟基地を貸して安全保障を得るというだけの関係から脱却させようとする努力の表れと見ることができます。もちろんその努力は、日本にできる範囲でできる限りの協力をするというものでありまして、例えばイギリスの協力の仕方とは違うし、ドイツの協力の仕方とも違います。しかし、現在、日米同盟関係が過去最高の状態にあると言われるその大きな理由が、こうした日本内の努力米国政府が高く評価していることにあるのは間違いございません。  私は、中間報告に盛り込まれたグアム役割を見て、日米同盟に新しい地平が開けると思っています。この島が、基地負担の軽減にしろ、訓練基地としての利用にしろ、日米同盟強化に今後大事な役割を果たしていくのは間違いないでしょう。だとすれば、あとは、基地を貸して安全保障を得るというだけの関係から脱却する、その努力の延長線上でこの島に関して日本は何ができるのかを考えることになろうかと思います。  一つは、日米同盟といいますと、安保条約上、日本アメリカ基地を貸すわけでありますが、私は、貸すばっかりでは面白くないところもありますので、突拍子もない話かもしれませんが、何か協定を結んでグアム訓練目的基地を借りたらどうだろうかと思っております。まあそれが現実には難しいとしましても、そのくらいの気持ちでグアム基地施設訓練に使わせてもらえばよいのではないかと考えます。そういうことなら、先ほど触れました海兵隊グアム移転にかかわる資金援助の話も、早く出ていってほしいからお金を出すという後ろ向きの理由ではなくて、訓練施設の事実上の、言葉はあれですけれども、利用料のようなものとみなせるのではないでしょうか。  もう一つは、日米協力してグアム沖縄の間の公海上のシーレーン、この安全のためのシーレーン防衛を行うことです。これは事実上、グアムの共同防衛につながります。それができれば、半世紀前、日本日米同盟互い互いを守る同盟に変えようとした、その際の障害を取り除くことになります。もちろん、日本は今のところ、正面切ってグアムの防衛に協力するとは言えないでしょう。というのも、政府が、同盟の理論的基盤である集団的自衛権について、持っているが行使できないという不思議な憲法解釈を取り続けているからです。  近年、この政府憲法解釈への批判が高まっていて、少なくとも限定的には集団的自衛権の行使を認めるべきだという議論が強まりつつあります。実際のところ、万一、日本が武力攻撃を受けた場合における日米の共同防衛も、新ガイドラインにおける後方地域支援も、またテロ特措法に基づく洋上補給も、すべて限定的な集団的自衛権の行使として説明した方が無理がないのであります。  それでも、この不思議な憲法解釈の変更は簡単ではなさそうです。解釈の変更ではなく、憲法改正が必要だとの意見もあります。この院の中にも様々なお考えがあるかと存じます。集団的自衛権の行使に対する慎重論の背景には、いったん集団的自衛権の行使が認められると、日本の軍事活動はどこまでも広がり、戦前の二の舞になるのではないかという不安があるようです。しかし私は、この不安は世界日本の現実を考えれば杞憂にすぎないと思います。思いますが、それでもやはりそういう不安を国民が抱かないで済むように工夫する必要はあるでしょう。  集団的自衛権の行使に関して、私自身は、一昨年、二〇〇四年の二月十八日、参議院の憲法調査会参考人として陳述を行っております。詳しくはその記録をごらんいただければよいかと思いますが、私の基本的な考えは今の憲法でも集団的自衛権は行使できるというもので、その解釈に基づいて地理を限定した範囲で集団的自衛権を行使するための法律を制定する、この法律が歯止めになるわけですけれども、さらにその法律の範囲内でも武力行使そのものには慎重な政策を取ると、そういう前提で、日本の領土、領海、領空、そして公海とその上空、そこにおいて集団的自衛権の行使ができればよいと考えております。  日米同盟は、海洋国家同士の同盟ですから、これだけでも互い互いを守るという色彩が随分と濃くなるはずです。もちろん、沖縄グアムの間の公海上のシーレーン共同防衛も堂々と行うことができます。実際に戦争にならないようにする抑止力が問題ですから、日本の行動を誤解されないように、堂々と行うというのは大事なことかと思います。  さて、以上のように、私は、米国との良好な関係が大切で、日米同盟互い互いを守るという方向で更に強化しなければならない、そのためにグアムがこれから大事なポイントになる、集団的自衛権は限定的でもよいから行使できるようになるべきだと申し上げました。こう申し上げますと、本日私とともに意見を述べられる岡崎大使からは大体において御同意をいただけると確信しております。  しかし、私のような考えには、日米関係は大事だけれども、余り大事にすると、これまでの対米追随を継続するだけで日本外交の自主性はいつまでも回復できないではないか、日本外交の地平は狭いままではないか、横暴なアメリカに従うしかないのは悲しいといった批判が出てくるかと思います。これらの批判は戦後ずっと存在してきた批判であります。戦後の日米関係とともに還暦を迎えた批判と言ってもよいわけです。それだけ古くから続いてきた批判ですから、それに対する優れた反批判も歴史が長いわけでございます。  本日は一言だけ申し上げます。  日米同盟在り方に対するこの手の批判は、力の強い者への自然の反発に裏打ちされております。そして私は、やや皮肉な物言いですが、そういう反発の背景にある日本人の気概をむしろ頼もしく思います。それがなければ日本の将来は暗いかもしれません。反発する気概は自尊心から生じるものです。そして、国民が自尊心を失えば国家の独立は危うくなります。独立自尊の大切さはつとに福沢諭吉が説いたところでございます。私は、日米同盟日本人の気概と自尊心をどのように取り込んで活力を増していくか、それが今後も日米同盟日米関係の最重要の課題だと考えています。グアムの事実上の共同防衛で互い互いを守るという要素を増やしたらどうだと、米国側に言われる前にこちらからアイデアを持ち掛けたらどうだという考えも、結局はそういう課題を意識してのことでございます。  ただ、力の強い者への反発ということに関して付け加えますと、アメリカの力が幾ら強大だと申しましても、それにはやはり限界がございます。  イラク戦争前に、アメリカの一極支配ということがしきりに言われました。なるほどアメリカ政治、軍事、経済その他において他を寄せ付けない力を持っております。だから世界をリードするのですが、これを見て、これからの世界アメリカが何でも勝手に決めることになるのではないか、そういう世界になったら困るし危険だという言説がはやりました。今でもかなり根強くあるかもしれません。ですが、イラク戦争で分かったことは、アメリカ世界でだれにも負けない軍事力を持っていて、戦争になったら無敵だけれども、イラク復興の困難、中東政策全体のつまずき、そして同盟国、友好国への支援要請、これらに見られますように、何でもかんでも自分一人で自分の思うとおりにできるわけでもありません。  アメリカは無敵ですが、決して全能ではないのです。アメリカ世界の多くの問題に関与するため、その力が分散されます。ですから、ますます同盟国、友好国の協力が必要ですし、アメリカの力すべてが他の一国の力と対峙するわけではありません。米国の力を議論するときには、そのことも忘れてはならないと思います。  いずれにしろ、我々は、無敵だが全能ではない国と仲良くしております。そこに私は、日本外交にとっての大いなる安心とチャンスを見いだすのであります。  御清聴ありがとうございました。
  11. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) ありがとうございました。  岡崎参考人、お越しをいただきましたので、一言ごあいさつを申し上げ、お願い申し上げたいと思う次第でございます。  御多忙中のところ、本調査会に御出席いただきましてありがとうございます。厚く御礼申し上げます。  本日は、今後の日米同盟在り方について忌憚のない御意見を賜りたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。どうぞお座りのままでごあいさつ結構ですよ。
  12. 岡崎久彦

    参考人岡崎久彦君) のっぴきならない先約ございまして、少し遅れましたこと、おわび申し上げます。
  13. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) それでは、岡崎参考人から御意見をお述べいただきたいと思います。岡崎参考人、どうぞ。
  14. 岡崎久彦

    参考人岡崎久彦君) いただいております時間が三十分でございますんで、三十分、まあこれだけの方がおそろいでございますから、やっぱり一番大事なことだけ申し上げたいと思います。それは、やはり今後、日本の政策をどうするかということでございます。  アジアで日本が孤立しているというんでございますけれども、これは構造的な孤立なんですね。日本日米同盟だけができるように、これはもうありとあらゆる国会答弁でもってできるようになっているんです。ところが、それ以外の国とが何もできないようになっているんです。これはもうこの構造を変えない限り日本の孤立というものは避けられないですね。もうアジアだけじゃなくて、これ世界的に孤立ですけれどもね。  要するに、世界の国というのは、どの国でも一番心配なのは国民の安全、あとは経済の繁栄ですけどね。国民の安全にとって日本という国は、これ何の役にも立たないです。これが日本体制上そういうふうになっている。ですから、これ孤立するというのは自ら選んで孤立しているんですね。それを例をもって申し上げたいと思います。  私は、八八年から九二年までタイの大使をしておりました。それで、八四年というのは、これ中国が南沙群島まで進出してきた初めての年でございますね。  中国というのは非常にこれは大きな国で、ゆっくりとゆっくりと動くんでございますけれども、四九年に国をつくりまして、それからすぐ朝鮮半島と。それから、五九年になりましてやっとチベット制圧ですね。それから、主に国内建設に集中しておりまして、外国に出てきたのは、西沙群島でさえもたしか七五年か六年です。それで、南沙群島まで出てきましたのが一九八八年、これが私がタイに赴任した年でございます。  それで、そのときに、時のタイの総理大臣はチャチャイという総理大臣です。で、日本の防衛庁長官が公式訪問をしておりました。それで、チャチャイ総理大臣が日本の防衛庁長官に言ったことは、どうも中国が南シナ海に出てきてうるさくてしようがないと、これから日本海軍とタイの海軍が南シナ海で共同演習しようじゃないかと、そうやって自衛をしておけば中国も出てこられないと。それを公式に申しました。  これに対して、これはもうその場で私は、この問題若干知っていたものですから、知恵を付けまして、共同演習はできないけれども訓練ならいいと。そんな話してもお分かりにならないと思いますけれども、共同演習ですと集団的自衛権の行使になるんです、共同訓練ならばならないんです。そういうことになっていると。そんなことを言っても、実際やることはほとんど同じですから。そんなことを言ってもお分かりにならないと思いますけど、それが一応、国会答弁みたいな形でもって返事をしておきましたけれども。もう訓練だろうと演習だろうと、日本は絶対その話に乗れませんと。  その時期に、もし日本の海上自衛隊を出して共同訓練をしようと、ましてそれが中国の南方進出に対して抑えになろうと、これはもう全然問題にならないです。これはもう軍国主義者というか、右翼、軍国主義者、好戦主義者と言われて、これもう全然問題にならないと。それを伝えるだけでも私は危険感じたぐらいですね。もちろん伝えました。公式の電報で伝えていますけれども、これ何の反応もないですね。これは反応しようがないです。ちょっとでも反応したら批判されますから。そういう日本は国だった。今でもそうかもしれないですね。  それで、その後タイは、非公式ですけれども、非公式というか裏からですけれども、同じことを言ってきております。これも日本は全く何の反応もしません。で、タイは幾ら言っても日本は反応しないと、そういう状況がちょっと続いている。そうしますと、タイという国はこれは外交の天才ですから、第二次大戦でもってこっちに付いたりあっちに付いたり上手に立ち回って独立を守った、そういう外交の天才ですから、ああ、これは日本は何の役にも立たないなと、これはよく分かります。それから後は中国を許容する政策ですね、中国の政策になびく政策。それから後は大体中国の政策の言うとおりになっているというのがタイの外交でございます。特に、最近のタクシンは非常に親中国です。これは、特にタクシンがそうでありますけれども、それに至る過程でも、もうとにかく日本は何の頼りにもならないと、だんだんだんだんとそちらに流れていったというのが事実でございます。  日本が過去二十年間ぐらいの間にもうどれだけのチャンスをミスしているかということですね、集団的自衛権行使の問題ですね。それは本当に数え切れないです。  冷戦が一番ひどかったのは一九八〇年、八〇年代ですね。ソ連がカムラン湾を一大海軍軍事基地にしまして、そこにソ連の艦艇をどんどん送り込むと。そこに来た艦艇が、今度は日本海まで来てウラジオストクに来ると。これ、その中にはミンスクという航空母艦もあると。そういう状況がございました。  当時もまた、中近東はもう、今もそうですけど、いつもごたごたしておりまして、七九年のシャーの革命がありまして、八〇年にはイラン・イラク戦争と、それで非常に航海の危険もあった。それで、アメリカの第七艦隊がパトロールをするんですね、マラッカ海峡からインド洋を通って。これがもう大変なつらい任務なんですね。これはもう鉄板の、甲板の上でこれ外を見ているわけですから、甲板の上は夏はもう日中四、五十度になると。それで、夜になって下に入っても冷房利きませんから、これすぐ四十度ぐらいになるんですね。船に大体冷房が入ったのは今のイージス艦が初めてですから。今のイージス艦も、あれはコンピューターを守るための冷房で、乗員のための冷房じゃありませんから。  で、あのころはまだイージス艦がない時代。そのつらさは今度の海上自衛隊が行って初めて分かっていますよね。ところが、それを第七艦隊がやっている。それで、まあ二、三か月ごとの交代でしょうけれども、非常につらい任務をしている。そうすると、通る船、通る船が全部日本のタンカーだという。それで、一体どうして日本の海上自衛隊は一緒にパトロールしてくれないんだと。これは、水兵辺り、もう相当の上のレベルからもそういう声が非常に強かったんです。  ただ、まあペンタゴンの一番上の人間だけはそれは分かっていますよ。日本に集団的自衛権というものがあって、行使を禁止というものがあって、そこに行けないんだということが、それが分かっている人が百人いないでしょうね。でも、百人はいます。それはペンタゴンの日本関係者ですね。これ分かったら大変なことですよ。  つまり、これはアーミテージが時々言っていますけれども、日本海で日本の護衛艦とアメリカの駆逐艦が一緒に並んで走っていると。で、日本の護衛艦がやられそうになったらアメリカがすぐ助けに来る。アメリカの方がやられても、日本はこれ助けに行けない。そんなばかな話があるかと。これが分かっているのはペンタゴンでも百人ぐらいでしょうね。これがもしアメリカ国民全部が知ったら、それは本当に怒りますよ。こんな同盟があるかと言って。それがまあ集団的自衛権だ。しかし、水兵なんかは分かりませんからね。非常なその不満を持って勤務している。  ところが、日本はこれできないんです。どうしてかというと、日本の海上自衛隊が、これはまあできると言ったって出しませんけれどもね、もう当時の雰囲気では。もう怖くて出しませんけれども、理論的には出せた。出しても日本の船しか守れない。アメリカの船やインドネシアの船は守っちゃいけないんです、集団的自衛権の行使になるから。  しかも、もっと変な話は、日本の船なるものがないんです。日本の持ち船で、船長も日本人ですけれども、船籍はほとんどリベリア船かパナマ船籍なんですね。これは便宜船籍です。そうしますと、日本の海上自衛隊がパナマ船籍、リベリア船籍の船を守ることはどうかというと、これは集団的自衛権の行使に当たるんですね、法制局の解釈で。守っちゃいけないんです。  もうそんな話って、皆さん、どうしてそういうくだらない議論をするんだとおっしゃるでしょうけれども、もうそれは今までの国会答弁の積み重ねでそうなっているんですね。そうすると、行ったって守るものがないんですね。だから、どうせ、また、守るものがあったって、その当時の雰囲気じゃ行かせないですけれどもね。  で、もしあのときに日本が海上自衛隊を出していたらどうなったかと。そのときはもう東南アジアはもろ手を挙げて賛成です、日本が来てくれたということで。先ほどの、タイの総理大臣の発言から見ても分かるとおりです。  それから、当時は中国さえも賛成です。中国は、八〇年代の初めというのはソ連の脅威、これがもう何より第一。日本は、日本に、あのころなら、日本同盟できる国であったら中国とさえ同盟できたんだ。日本にGNPの二%を使えと言ったのもそのころです。それで、私は防衛庁おりましたけれども、中国のいろんな軍の代表団が日本に来たいんですね。で、日本に来ると言わないんで、メキシコへ行った帰りに寄るとか、そういう口実でもってしょっちゅう来て、来て、日本の防衛庁の幹部に会いたいと。そういう時代もあったんです。しかも、カムラン湾にソ連が大海軍持ってますから、中国自身のシーレーンが脅かされている。で、中国も大賛成です、そのときもし日本が出ていれば。  それで、もし日本の海上自衛隊が出ておりますと、それは海上自衛隊というのは規律は正しいし、能率はいいし、それから、ほかの国の水兵というのは悪いことばっかりしますけれども、規律厳正ですからね。だから、東南アジアの国では、それはもう絶対に評判いいはずなんだ。それで、すべてをきちんとやって、しかも、それで日本の軍隊というのはもう一度東南アジアを攻めに来るような軍隊でないということは、みんなもうよく分かります。で、もし、あのときに派兵、派兵というか、パトロールしていれば、日本という国の東南アジアにおける地歩というのは確立していたはずなんだ。  日本は、戦後半世紀、もう大変なお金と技術援助、好意、ありとあらゆるものをみんな東南アジアに注ぎ込んできた。にもかかわらず、例えばFTAなんというのは、今はやっていますけれども、初めに中国がFTAを言い出した。中国のFTAなんというのは何にも内容はないはずなんだ。それでも中国が言ったら、ああ、じゃそうしましょうと。こういう中国の言うことをやっぱり聞かざるを得ないと。それはどうしてかというと、日本安全保障にとっては全くのゼロなんですね。日本と仲良くするということがその国の安全にとって何の意味もない、全くゼロなんだ。  それは、もっと端的な話申し上げますと、これは実はちょっと、リストを自分でチェックしてないんですが、人から聞いた話ですけれども、今度の日本の常任理事国入りですね。あれは各国がスポンサーを付けて決議案を出すと。例えば、ドイツの常任理事国入りはフランスとベルギーなんかがちゃんとスポンサーになった。それから、インドに、インドがもちろんセイロン、スリランカですね、スリランカとかネパールなんかがそれを支持している。それから、ブラジルも周りの国が支持している。ところが、日本はアジアの国が一つも支持してないですよ。それで、近い国といえばキリバス。キリバスというのは南太平洋の島ですよね。その辺りは共同提案国になっているんだ。アジアと名の付く国が一つも入ってないんだ。  インドネシア、タイなんというのは、日本が戦後どれだけの善意とお金をつぎ込んで、日本の金城湯池であるべきなんだ。やっぱり中国が怖いんです。その意味日本は、これは全く孤立しているんですね。それはどうしてかというと、もうたった一つですよ。集団的自衛権というのが行使できないからだけです。  つい、つい二、三日前も何かいろんな話をしていましたら、日本はアジアで孤立していると言ったけれども、じゃ、インドと同盟したらどうだと、そういうような話があって、そのアイデアは別に悪くはないんですけれども、同盟って何するのということですよ。何の役にも立たない国と同盟するということは、意味成さないですよね。インド洋のパトロールをインドと一緒にやれるという話ならば、それならもうすぐにでも乗れる話なんだ。ですから、民主党の前原さんがマラッカ海峡、インド洋のパトロールぐらい一緒にやったらどうだと言うのは非常な正解だと思います。  これを今やろうとすれば、これは中国は反対でしょうね。それで、東南アジアは内心黙ってます。内心は日本に来てほしいんだ、だけど黙ってます。だけれども、これを日本アメリカと一緒になって強行すれば、これまた反対できない、だれも反対できない。これを実施すれば、今からでも遅くないです、日本は東南アジアにおける自分の力を回復できます。過去二十年、三十年間、日本がどれだけのチャンスをミスしているか。これは全部、集団的自衛権行使の問題です。これはもう国民に対して恐るべき損害を与えているんですね。  それで、集団的自衛権そのものの話は皆さんもよく御存じと思いますけれども、もう一度復習しますと、集団的自衛権は日本はあるんです。これはむしろ憲法上あるんですね。というのは、憲法を作って、それから後に国連加盟、日米安保条約、サンフランシスコ平和条約、これ全部結んでおりますけれども、その中にそれぞれ項目があって、日本は集団的及び個別的自衛権を有すると書いてある。しかも、憲法には条約遵守義務が書いてある。ということは、日本は集団的自衛権を持っています。  これは、ただ私の解釈じゃなしに、これ、大体憲法の有権解釈権というのは裁判所が持っているんだ。裁判所が、いろいろ判決出しておりますけれども、憲法九条は日本固有の自衛権を否定するものでないと。固有の自衛権を否定するものでないというのが今のところ裁判所の有権解釈です。  固有とは何かということなんですけれども、これは、英語というのは変な言葉でもって、何かよく分からないんです。英語の、日本の固有の自衛権というのは国連憲章の固有の自衛権取っているんですけれども、国連憲章は五十一条に、各国は固有の集団的及び個別的自衛権を有すると書いてある。英語はインヒアラントって、インヒアラントっていうのは、これはもう何というか、初めからあるというような意味ですね。これでは意味は成さないんですけれども。  これは、フランス語が、国連憲章というのはフランス語の正文なんですね。フランス語の正文によりますと、これは、ドロア・ナチュレール・ドゥ・ディファンス・レジティームですか。だから、正当防衛の自然権となっておる。インヒアラントということは自然権なんですね。つまり、いろんな憲法とかありとあらゆる法律がある、その前からある権利が自然権なんです。人間が眠る権利とか、食事をしたりする権利、息を吸う権利とかですね、息を吸ったら炭酸ガスを吐く権利とかですね、これは、いかなる憲法といえどもこれは否定できないですからね、否定したって意味がないですからね。だから、そういうのは自然権ですよね。  だから、集団的自衛権というのは自然権としてあるんですね。憲法上の文面上ある上に憲法解釈上もある。それを、これは本当にもう何とも言いようがないんですけれども、権利はあるけれども行使は許されないという判断をずっと続けてきているわけですね。  これはもう皆さん、特に自民党の皆さんはもう私の意見に完全に御賛成だろうと思いますから今更言うこともありませんけれども、どうしてこういうむちゃくちゃなことを言っているのか本当に分からないですね。まあ、私、これは多分、東大法学部がいけないんだろうと思うんですよね。これは要するに、東大法学部というのは六法全書の勉強ばっかりしていますから、あるテキストの解釈しかできない。その前の法哲学になると、みんな何だか分からないんですね。常識の、一般庶民の常識からいえば、権利があるということは行使できるということなんですよ。権利があって行使できないといったら、ただばかだって言って、ばかだって言ってしまえばそれで済む話なんです。それを、権利があるけれども行使が、憲法上行使が許されないって、そういうことを一生懸命書いて何か形を作っているというのは、これは本当に日本の法学教育の誤りですね。  そんなことを言ったら、世の中に取引というものは成立しないですよ。物を買って、私は物を、お金を払うと。そうすると領収書くれますよね。領収書をもらったんだからその商品よこせと言うと、相手が、確かにあなたは領収書を持っていると、だからあなたはこの物品を受け取る権利があると、だけどその権利を行使することは許されないと。これ取引成立しないですよ、人間社会の。そういう訳の分からぬことをこれだけ長い間、これちょっと本当に、それで、それがただその言葉だけの上ならいいですけれども、先ほど申し上げました日本外交、それから日本国民の繁栄にとってどれだけの害を及ぼしているかですね、この過去二十年間ですね。  という意味で、これは、私はもう一言だけ一番大事なことを申し上げるといえば、集団的自衛権行使の解釈を変えるとも言わないですね、そもそも権利があって行使できないというのは解釈じゃないですから、ばかを言っているだけですから、だからもうばかなことは言わないということでもって、これはいろんなことがもう、いろんなことが解決します。そこで、それができればということで、結局、この日本外交の展望というのが、展望というものは開けてくるわけですね。  そこで、今後のアジアの情勢でございますけれども、これは中国の軍事力というのはやはりこれ相当な脅威です。これ、今はまだ脅威ではないとも言えるんですけれども、軍事問題というのは長期的に考えなきゃいけない。  具体的に申しますと、東シナ海の平和はどうやって保たれているかと。それは日本の海空軍兵力が圧倒的強いんです。それで、しかも日本が専守防衛であって平和主義の姿勢を取っていると。今度、中国が政策は極めてアグレッシブです。これはもう勝手にどんどん海底のガスを掘ったり、それから艦船が自由に出没したり、これはもうあたかも中国が大海軍を背後に持っているかのごとく傍若無人にやっている。だけども、力がない。結局、力のない国が、アグレッシブな国は力を持たない、日本のように力を持っている国が平和主義、専守防衛である、これならバランスが取れるわけです。それで東シナ海というものの平和が保たれている。  これが崩れますと、例えば力が五分五分になってくるとこれはどういうことが起こるか、ちょっと。例えば大陸棚の理論によりますと、もう中国の大陸棚というのは沖縄の近海まで延びていますから、そこまでの地下資源というものはこれ中国が勝手に何をやってもいいんだということもできるわけで、今の中国のビヘービアからいえば、力がなくてもあれだけのことをしている。まあこれは日本が力を使わないということを見越した上でのことでありますけれども、あれをやるんですから、これ力のバランスが崩れてきますとこれ相当な難しい状況になってくる。  それで、過去、これいろんな統計がございますけれども、結局、過去、日本アメリカも共通して言っておりますことは、過去十数年間中国の軍事費というものが毎年二けた増えていると、一年を除いて。一年といったって、たしか九%ぐらいですから、実質上そうですね、二けた成長。これ、十年間の二けた成長というのはかなり恐るべき、十数年というのはかなり恐るべきことなんです。まあ、元の大きさがどうかということがありますでしょうね。元の大きさは、これはアメリカの国防省、国防省の推定、それからロンドンの戦略研究所の推定、これもう大体一致しておりまして、公表の数字の二、三倍であろうと。日本の予算が今は大体五兆円として、七兆円ぐらいだろうと言っておりますね。それが毎年十何%ずつ増えていると。  しかも、特に急に増え出したのが一九九七年からですね。九七年から、それまではこれ中国のインフレを差し引くと、本当に二けたになるのが九七年からです。ただ、まあインフレということが中国の物価というか武器調達の費用にどれだけ反映されているか、これはまた全然別の議論があり得るんですけれども、取りあえずはインフレというものを差し引けば、九七年から先はもう完全に二けた成長、十数%増えている。  しかも、その九七年に陸軍を五十万人削減しているんですね。つまり、人件費を減らして、しかも全体の額を増やしている。これは近代化ですね。これは兵力を近代化する場合の常套手段です、全くの。例えば一九二五年の日本の宇垣軍縮、四個師団削減したときも、あれ一次大戦でもってヨーロッパの兵器がうんと進歩して日本が後れてしまったものですから近代化しなきゃいかぬと、そのために四個師団削減したんで、これはまあ近代化の常套手段です。ですからそれを、それを始めたのが九七年とすると、もうそろそろ十年近くなる。これは相当な力になっている、なってくるんですね。そうすると、極東のバランスというものがいつか崩れてくる。  それからもう一つは、どうもこの膨大なお金、これ正直申しまして、それだけのお金を使っていれば東アジアバランスを崩すことはできたはずなんです。それをまだやっていないんですね。それは一体何をやっているかというと、恐らくはこれ推測で、私の推測でございますけれども、アメリカの推測も同じでしょう、心の中では。それから、平松さんとか、そういう専門家の推測も同じでございますけれども、やっぱりICBMですね、大陸間弾道弾に相当な金を使っている。これは、要するに冷戦時代の米ソ間の恐怖の均衡、それと同じようなものを作ろうとしている。それも、それも十分想定できます。ということで、極東の軍事バランスというものがだんだん悪くなってくる。  そこで、最後の結論に参りますけれども、例えば朝鮮半島、台湾海峡、これについての軍事バランス、これは国際的ないろんな書類がございますけれども、見ますと、日本の軍事力というのは特に近代的な非核の海空軍力に関しては世界第二位と言って差し支えないんです。アメリカの次です。イギリスより強いですから。この力が朝鮮半島、台湾海峡の軍事バランスの中でゼロに計算されているんですね。これは非常に不思議な不思議な状況なんです。  台湾海峡なら中国の攻撃能力台湾の防衛能力と第七艦隊の来援能力、それを足してこちらの方が強い、こちらの方が弱いと、いつになったら追い付くと、そういう議論になってくるんですね。これが、日本が集団的自衛権を行使できると決まった途端に、これは別に行使できるってことで、するとは全然限らないんですけれども、理論的に行使できると決まった途端に、日本戦力を全部そこに計算しなきゃいかぬ。そうしますと、東アジアの戦略環境というのは一変します、もう非常に安定します。恐らく二十年、三十年単位で東アジアの戦略環境というのは安定して、非常にこれ、平和で安定した地域になります。  それが平和で安定してない限りは、中国は、いつかは日米の間を裂けるかもしれない、あるいは日本を脅かして日本の兵力あるいは基地を使えないようにさせられるかもしれない、その期待を持って外交を行いますから、いつまでたっても問題が起きると。ところが、日米同盟の力というものは、これは一体であるということになりますと、戦略環境というのは一遍で安定します。もう二、三十年間平和で安心していいような状況になります。これまた集団的自衛権の行使の問題です。  そこで、最後に、これ日米同盟というものは日本にとって非常に大事なものなんですけれども、だから、これはもう日米同盟さえ維持していりゃ大体、我々まあこういういい生活していますけれども、この生活を我々の子供や孫の代まで大体保証できます。これ、同盟切って保証しろったって私は全然そんな自信ありませんけれども、この同盟さえあれば今我々がやっているこういう生活、それは維持できます。これは日本としては得なんです。  だから、アメリカにとって得かどうかという問題があるんですね。アメリカにとって得なように日米同盟をつくっていかなきゃならない。それは、これはもうアーミテージが何度も言っていることでありますけれども、日米同盟を米英同盟と同じようにする。つまり、アメリカは一応覇権国なんですけれども、アメリカ大陸にこもっていると。それで、旧大陸にはドイツとかフランスとかロシアとか中国とか、もう一筋縄でいかない国がたくさんある。これを扱うには、東に大西洋を挟んでイギリス、西に太平洋を挟んで日本と、これが極めて信頼できる同盟国ならば、これはアメリカの国際国家戦略というのは非常に楽になるんです。むしろこれが理想型になるんです。ですから、日米同盟アメリカにとって理想型になると、そういうふうに外交を持っていけば、これ日米同盟万全です。そうしますと、我々日本国民の、これ我々全部です、これもう左翼の方も全部含めて日本人全部の安全と繁栄、これは二十年、三十年、守れると思います。  以上でございます。
  15. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) ありがとうございました。  これより質疑を行います。  本日は、あらかじめ質疑者を定めずに質疑応答を行いたいと存じます。  できるだけ多くの委員の方々が質疑を行えることができますよう、委員の一回の発言時間は五分程度でお願いをいたします。  また、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございますので、よろしくお願いします。  なお、理事会協議の結果ではございますが、まず大会派順に各会派一人一巡するよう指名をいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、岸信夫君。
  16. 岸信夫

    岸信夫君 自民党の岸信夫でございます。  坂元参考人岡崎参考人におかれましては、大変貴重な御意見を賜りまして、心より感謝申し上げる次第です。  さて、日米同盟でありますけれども、広い意味でのこの日米の良好な関係の構築というものは、これ戦後六十年、ましても今後も我が国外交のバックボーンであり続ける、このように考えるわけですけれども、一方、我が国の置かれているこの状況、特に東アジアにおける外交の展開というものを考えたときに、特に中国との関係を踏まえた上で日米同盟をどう考えていくか、これは常に我々も考えておかなければいけないわけです。  日米同盟というものは、我が国にとっての目的というのは、やはり我が国を取り巻く極東、東アジアの平和と安定を確保する、それによって経済の繁栄、また地域の発展を目指していく、このためにも不可欠なものであるというふうに思うわけです。  極東アジアにおけるこの在日米軍基地の戦略的重要性というものは、戦後の冷戦構造の中において、これは一致した認識でもあったわけです。特に、米国においてもそうでありましたし、ソ連と対立している中国においてもこの重要な役割を果たしてきたわけです。  極東の冷戦構造というのは、ソ連が崩壊した後も中国や北朝鮮がそのままの政治体制で残っている現状においては、ヨーロッパの冷戦後とはまた違うわけでありますけれども、先ほどからもお話がございますように、そのソ連の脅威が去っても、今度はそれに代わって中国が台頭してきている。東南アジアの諸国にとっても、以前は中ソの覇権競争の中でバランスを取ってきた部分がありますけれども、今この中国に対してなかなか物を言える状況でなくなってきているようなところです。  この件につきましては、先ほど岡崎大使の方からもお話がありましたとおり、日本のこれまでの態度にもある程度責任があったのかもしれないわけですけれども、その中国にとってのこの日米同盟、彼らの覇権の追求には大きなまた障害になっている。昨年の2プラス2で日米台湾問題に若干触れました、共通の戦略目標ということで若干触れたことに対して中国が過剰なまでの反応を示した、このことからもこれが非常に明らかであると思います。  今の、その一方で、アメリカ状況というものを見てみますと、ブッシュ政権、非常に親日的な関係、今非常にいい関係にあるブッシュ政権ですけれども、この政権が第二期目に入りました。今まで知日派とか親日派と言われていた人たちがまた政権から離れておるわけです。二期目がこれからだんだん終わりに近づいていくと、当然、このブッシュ政権もレームダックということも考えられますし、また、イラクの状況を今見ていますと、またこれもアメリカ国内では非常な批判にさらされている。また、民主党がその次に政権を取っていくことというのもあるわけですけれども、その場合の揺れ戻しということもあるかもしれません。日本への風向きが今後大きく変わってくるという可能性もまたここにあるわけですけれども、ここでやはり我々としては日米の揺るぎないその信頼感の醸成というのが何よりも必要なんだろうというふうに思うわけです。  先ほどからお二人の参考人のお話を聞いておりまして、やはり今、特に議題になっています米軍の再編問題、これを我が国がまとめていくことと、その一方で、集団的自衛権、この問題を我々自ら解決していく、このことが今後の日米同盟、信頼関係の構築には、親交には大変重要な欠かせないものなんだろうというふうに思うわけです。  ただ、再編問題は、やはり我が国、私の地元の岩国でもそうですけれども、それぞれの地域で大変な問題になっております。また、集団的自衛権、これはあるのかないのかということも含めてこれまで議論もしてきたわけでありますけれども、こういったことがアメリカサイドからどのように見ているのか、今の日本状況議論状況というのをアメリカサイドではどういうふうに見ているのか、この辺りについてお尋ねをしたいと思うわけですけれども、我が国は今、自ら国を守っていくというその独立国家としての意思をきっちり示していかなければいけない時期でありますし、一方で、その地域あるいは世界に対する責任というものも果たしていかなければいけない。相互協力とかお互いの国の価値を高めていく、共同していくということもこれは求められているわけです。  先ほどからお話がありましたとおり、この日米関係日米同盟を進めていく、このことが地域の安定につながる一方で、アジアの、特に中国からは反発を受けている、こういう状況にあるわけですけれども、これを反対側から、アメリカから見たときにどのように映っているかということについてお二人の参考人から御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。じゃ、坂元参考人からお願いいたします。
  17. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) それでは、坂元参考人
  18. 坂元一哉

    参考人坂元一哉君) お答えします。  今度の、先ほど挙げましたQDRでは、太平洋重視とともに、同盟国というのがアメリカの国力にとって最も重要な資源の一つと、こういうふうに確認をしたわけです。これは、考えますと、二〇〇一年、二十一世紀になってからの日米関係、まあテロ以降の日米関係でございますけれども、やはり日米同盟強化のための日本努力もそれはかなりのものがあったというふうに思うわけであります。  思い出しますと、真珠湾攻撃六十周年記念のときにブッシュ大統領が、テロ特措法に従ってインド洋上でこの日米の両艦船が協力してその安全保障協力をしているということを高く評価したこともございます。その後は、イラク戦争、これはアメリカ国内でもいろんな議論があるわけでございますけれども、そういうテロ戦争、イラク戦争、こういうところでの日本協力について非常に高く評価しているというのが前提だと思います。その上で、今、特にアメリカ日本にああしてほしい、こうしてほしいということが直接にはまだ伝わってこないような感じがいたします。というのは、やはりアメリカ自身がいろんなほかの問題で忙しいんじゃないかなというふうに思うわけであります。  ですから、我々は、アメリカというものが、先ほど申しましたように、力はあるけれども世界のいろんな問題に関心を持たなきゃいけないという国でありますから、このアジア太平洋においては日本にかなりのことをしてもらいたいなと思っているという前提で、我々がどういうことができるか、どういうことができないかということを言ってあげるというのがいいんじゃないかというふうに思います。ちょっとお答えになっているかどうか分かりませんけれども。
  19. 岡崎久彦

    参考人岡崎久彦君) アメリカがどう思っているかという御質問でございますけれども、これは、まず一般論としては大変難しいんでございます。アメリカというものはございませんで、アメリカのだれが何を言っているかという、そういう話なんですね。ただ、それからまた、表に言えないこともあるんですね。内心はこう思っているけれども、表に出すと内政干渉になるから言えないと、そういうこともあるわけでございます。  ただ、一番のテキストになる指針は、紀元二〇〇〇年の秋のアーミテージ報告です。これはアーミテージ報告という、まあ我々呼んでおりますけれども、実際アーミテージ報告でいいんでございますけれども、アーミテージは民主党のジョーゼフ・ナイを巻き込みましてアーミテージ・ナイ報告と、要するに民主、共和両党の政策であると、ということを表に出して、それで言っておりますけれども、そこでアメリカ期待していること、これ実はアーミテージは二〇〇一年から国務副長官になるわけです。それで政権に入るわけです。ジョーゼフ・ナイはその前の、これはたしか九六年の一月だと思いますけれども、もうペンタゴンを辞めておりまして、ハーバードに帰っている。お互いに個人の資格ですから、個人の資格だから何を言ってもいいと。そういうことでもって、これをもし公式の場で言ったらば内政干渉とか何か言われるおそれがある。だけれども、それを自由自在に言ったというのがアーミテージ報告なんです。  で、アーミテージ報告は、これはもう先ほど私が申し上げましたことと同じことなんで、いろんなことを言っておりますけれども、とにかく日本にとってずばりこれが大事というのは二点です。一つが集団的自衛権の行使を認めろと、それからもう一つは、将来の目標として日米関係を米英関係と同じように持っていきたいと、その二つなんですね。それが、ブッシュ政権ができましてからアーミテージは要職に就いたもんですから、ですから必ずしもそれをはっきり言わなくなったと。ところが、これもまあ内部の話でございますけれども、国務省の連中に聞くと、日米関係どうすると、そういう話になったら、あれはバイブルだと、すぐあれを見て、ああ、あれにこう書いてあると、だからそれに沿った線の発言をすればいいんだと、ということで、ブッシュ政権の第一期におきましてはこれが全くアメリカの政策と言って良かったと思います。  で、アーミテージも実は初めに、一年ぐらいは黙っておりまして、だんだんとそこに書いてることを公式の場で言うようになりました。それを言ったのが、多分二〇〇二年の暮れごろから言って、それからいろんな記者会見でも言うようになって、それから最後に、これ、テキスト持ってくれば良かったんですけれども、最後にコーリン・パウエルに、自分の長官ですね、にちょっと同じようなことを言わせております。それでまあ一応固めたつもりだったんでございましょう。  ですから、アメリカのその本当の心の中を言えば、日本が集団的自衛権を行使してイギリスみたいになって、世界のあらゆるところでもってアメリカのパートナーとしてイギリスのようにいつも肩を並べていてほしいと、これがそうなってくれれば一番有り難いと、ということだと思います。  ところが、アメリカという国は一つじゃございませんで、特に、まあ二種類ですけれども、一つは戦前の反ファシスト時代の人がまだまだ年寄りでは残っておりまして、やっぱり日本はかつての敵だったというように思っている人もいないことはない、これはほとんどもう影響力ございません。むしろ影響力があるのは日本の左翼の、これは日本の場合いつもそうなんですけれども、日本の左翼の影響を受けたリベラルですね。これがちょうど日本の左翼が言うようなことを言っております。日本は平和憲法を守ってればいいんだとか、また逆になって、アメリカとしてはアジアにおいてたった一つ同盟ではなしにほかの国にも目を配るべきであるとか、これ大体、それを言っている日本側の論者とアメリカの論者との関係とかいって、大体のつながりは分かるんでございますけれども、それが一種の、何といいますか、アンチテーゼとして、これはもうブッシュ政権の第一期の間はほとんどもうゼロに等しい影響力です。ですけれども、数えればニューヨーク・タイムズの社説に一度、二度出たことがあるとか、そういうようなのはございます。これにはやっぱりちょっと警戒しなきゃいけないと。  それと、親日派が全部、政権去りましたですからね。アーミテージ、ジム・ケリー、トーケル・パターソン、マイケル・グリーン、これ全部去りまして、残りは別に反日ということはないんですけれども、例えば今度、アーミテージの後任のゼーリックという人は対中関係でもって自分の存在を示そうと、中国から信頼されているところを示して自分の存在を示そうと、そういうところのある人でありますし。  いずれにしても、今の小泉・ブッシュ関係が続く限りはこれはもうずっと心配ない話でありますけれども、やっぱり若干今のままでいいかというと、これはむしろ同盟をいつも強化する形で持っていかないと崩れる心配はございます。そのためには、また同じことを申しますけれども、集団的自衛権でございます。
  20. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) それでは、佐藤雄平君。
  21. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 民主党の佐藤雄平でございます。  ことわざに遠くの親類よりも近くの他人と、こんなことわざがあります。先ほど両参考人の貴重なそれぞれの話を聞いている中で、坂元さんの方から、日米同盟についての批判も、また反発も必要であると、そんな点から二、三お伺いをさしていただきたいと思います。  一つは、小泉・ブッシュ京都会談ありましたですね。このとき、会談が終わってから小泉さんは、日米関係が良好であればあるほど中韓、アジア諸国との良好になれると、こんな話をしました。これはもう当然のことながら、日米安全保障条約のいわゆる同盟というふうなことを前提とした話であろうということを多分私は諸国が感じていたのではないかなと、そんな思いをします。それをずっと聞いておりますと、何かやっぱりトラの威をかりた外交みたいな感じがする。まず一つは、この発言について、東南アジアの皆さんはどのようにこれひとつ感じただろうかなと、これを両参考人にお伺いしたい。  さらにもう一つ、これが進んでいくと、アジア諸国の皆さんは、どっちにしても日本アメリカなんだと、同盟国なんだ、軍事同盟なんだと。だとすれば、全く場合によっては主権を実行してないんであろうと。だから、日本との関係日本との外交、交流は、アメリカとの交流をしておけば、これは日本との関係は、まあある意味ではつながっていくであろうと、ややもすれば私はそんなことが思われるんじゃないかなと、そういうふうな危惧をしております。このまず二件について。  さらにまた、日米安全保障条約ですけれども、これは軍事同盟であります。これは締結したときはもう当然のことながら、そこには仮想敵国があるという前提の中で締結をしたと思うんです。その当時は私はソビエトであろうと。ソビエトが崩壊した。となると、この軍事同盟日米安全保障条約の軍事同盟の中の仮想敵国というのはどういうふうなところに置いているのか。まあこれ、仮に中華人民共和国だとすれば、中国とは友好条約を結んでいるわけですから、あえて中国から言わせれば、とんでもない話だということになってしまうと。そういうふうな意味合いでのいわゆる安全保障条約の仮想敵国条項をどういうふうに両参考人は理解しておられるか、この件についてお伺いしたいと思います。
  22. 坂元一哉

    参考人坂元一哉君) 小泉首相が仲良くすればするほどとおっしゃったのは、これが外交の基礎だというお話以上のものではないと私は思っておりますが、一つ、トラの威をかりた外交、トラの威をかるキツネということでしょうが、私はトラになるよりはキツネの方がましだというふうにいつも思っておるわけであります。日米同盟なしでということになりますと、これはやっぱり周りが日本をトラに見てしまう恐れもあるわけでございまして、賢いキツネになって、トラの威も時々はおかりして外交を進めていくということになるんではなかろうかというふうに思います。これはアジアがどう見るかどうかということでありますけれども、私はそれほど心配しておられないというふうに思うわけであります。  それから、アジア諸国、アジア諸国と言われたときのアジアというのが一体どの範囲かということがやっぱり問題になりまして、中韓とおっしゃっていただければ、まあそれでということで分かりますし、まあ中国と、この場合はですね、韓国は米国同盟国でありますから、間接的には日本とも安全保障関係もあるということですので、中国ということでお話しだというふうに伺って、最後のその仮想敵国、中国が仮想敵国でないでしょうねということでありますが、私は、これ意味の問題でありまして、要するにどこが仮想敵国、ソ連、確かに冷戦中はソ連を仮想敵国としてこの同盟抑止力強化したわけでありますが、その仮想敵国がなくても、この今の東アジアの平和と安定というものに現状維持ではなくて現状を打破しようという力が動けば、それに対してそうではありませんよという形でこれを抑え込むような、そういう抑止力というのは、これは必要になってくるというふうに思います。これは仮想敵国ということではなくて、まあ、具体的に台湾海峡の問題でも、それから具体的にこれは朝鮮半島の問題でも、これはやはりアジア全体の、東アジア全体の抑止力と、そういう何か変なことが起こらないようにするという、そういう前提を作らなきゃいけませんので、そのための同盟ということであります。  何か敵国というと友好条約に反するんじゃないかということになるわけですけれども、まあそれは、中国の中で例えば軍事演習なんかをしたときに、どういうふうに見ておられるか分かりませんけれども、それをお互い敵国の、何かけんかをすると、そういうことではないわけであります。岡崎大使もおっしゃいましたように、中国の軍事的な増強ですね、これは民主党の代表も脅威と呼んでおるわけでありますけれども、この脅威ということにはやはり将来的に対応しなきゃいけない。だからといって、中国が敵だということを言う必要は私はないのではないかなというふうに思っております。
  23. 岡崎久彦

    参考人岡崎久彦君) 日米同盟を良くしていればアジアの問題は良くなるんだと、これは小泉さんも言われて、それから最近も、もうアメリカ大使も、シーファーですね、記者会見で同じことを言っております。これが一つの決まり文句になっておりまして、ですから、そうすると、これについての説明ぶりが要るわけなんですね。それで、この発言の出典は、それは別に私が言ったからということではございませんけれども、私も若干責任があるわけでございます。  それで、私が本来の趣旨で申し上げましたのは、これはちょっと大ざっぱな話なんですけれども、アジアというのは非常に複雑な地域でありまして、ヨーロッパと比べて、いろんな独立変数のある多次元方程式、これは解くの大変であると。つまり、南北朝鮮がどうなるか分からないし、統一朝鮮がどうなるか分からない。中国が将来どうなるかも分からないし、中台関係がどうなるか分からない。これ全部は分かりませんから。しかし、だから、多次元方程式なんですけれども、非常に簡単なのは、この方程式の解は日米同盟というものの当たりが圧倒的に大きいんですね。軍事力の合計からいったら問題なく大きいですしね。それから、経済力からいっても、技術力、資本力、全部一番大きいですから、一番大きなものが安定していればあとの変数が若干変わっても大丈夫と、そういうことでございますね。ですから、まず日米同盟を大事にしていて、それからあと、日中関係でも何でも考えればいいのでありまして。  それで、その場合に、失敗した場合でも損害が非常に少ないです、日米同盟を強固にしておけば。ところが、日米同盟が崩れたら、この損害は計り知れないです。ですから、まず日米同盟。理屈を付ければ、日米同盟をしっかりさして、どうやってももう日本に対して揺さぶりを掛ける意味がないと、いろんな形の揺さぶりを掛ける意味が全くないと、そうなりますと日中間の問題の種はなくなりますから。いろんな種を使って揺さぶりを掛けている。幾ら揺さぶってもこれは意味がないということになれば、これは隣ですから友好関係しかないということで、やっぱり日米関係強化すればそれで、日米関係強化とすることが、失敗しようと失敗しなくても、日中政策にとって答えであろうと、そういうことであります。  ですから、私のさっきの多次元方程式論からいえば、あらゆる問題ですね、例えば将来の日中関係どうする、それから朝鮮半島問題どうする、将来の統一朝鮮対策どうすると。答えは一つなんですね。禅問答みたいなものなんです。日米関係強化と。これをまず言って、それからあとはその都度ということでございますね。また、その全体の値が全然違いますから、大きな問題と、問題の大小、軽重が全然違う問題でございますから、大の問題をまず大事にすると、小の問題はその都度その都度、そういうことでございます。  それで、アジアの反応ですけれども、東南アジアと初めちょっとおっしゃいまして、東南アジアなら、これは日米同盟強化すればこれはもろ手を挙げて賛成です。日米共同でマラッカ海峡からインド洋までのシーレーンを守ると。これは前原代表もおっしゃいましたけれども。これは、それを言えば今中国は反対します。で、中国の反対をおもんぱかって東南アジアは黙るか、否定的まで言いません、ですけれども、黙り込んでしまう。ところが、内心は大歓迎なんです。そうなれば、今度は中国の圧力に抵抗できますから。だから、日米同盟強化ということは、これはもう中国対策として東南アジアがもう完全に賛成でございます。中国が反対するのは当たり前なんですね、それはね。韓国はちょっと余りここで詳しく申し上げる必要はございませんけれども、今議論する価値ないと私は思っております。
  24. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) それでは、澤雄二君。
  25. 岡崎久彦

    参考人岡崎久彦君) 仮想敵国は……
  26. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) 失礼しました。
  27. 岡崎久彦

    参考人岡崎久彦君) 日本には仮想敵国がないんです。これは私、大変苦労しまして、私、防衛庁で三百回ぐらい答弁したんですけれども、仮想敵国が禁句で、これは言っちゃいかぬことになっているんです。いつ、どこからどういう敵が来ても必ず守れるようにと、これ全部そう書いてあるんです、防衛計画の大綱でも何でもですね。私はもう大変困りまして、国会答弁のときに仮想敵国と言ったらもう直ちにしかられるものですから、面倒だからソ連ということにしまして、もしソ連が攻めてきたらと、そう言っておりました。ですから、当時は仮想敵国はソ連でございます。当時は仮想敵国はソ連でございます、ソ連。  ただ、同盟というのは外交の中で最も長期的かつ基本的な問題なんです。それで、日本の一番の外交の失敗は日英同盟の廃棄。これはやっぱりロシアの脅威が、帝政ロシアの脅威がなくなったからなんです。ところが、あれが結局、私の、これは私の解釈でございますけれども、やはり日本を戦争に導いた最大の、どれが一番大きいといえば、日英同盟の廃棄が最大の原因でございます。  それは、やはり極東の島国でありまして、七つの海を支配するアングロアメリカ世界、これと付き合っていれば国民の安全、完全に守れますから、いつどんなことがあって長期的にどう変わろうと国民の安全と繁栄を守れる。それ以外のチョイスですと、それは危なくてしようがないです。という意味で、これは仮想敵国以前のジオポリティックスの問題でございます。
  28. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) はい、どうぞ。
  29. 澤雄二

    澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。  坂元岡崎参考人、今日は本当にありがとうございます。  日米関係というのは、同時にアジアの関係でもありますし、なかんずく東アジアとの関係だと思いますので、日米東アジアの関連についてお話をお伺いしたいというふうに思います。  これまでのこの調査会議論を振り返ってみますと、日米同盟は堅持する、維持する、強化をする、一方で東アジア共同体構築というのも志向しようじゃないかというのが多数意見に今なりつつあるような気がしております。しかし、そのそれぞれに懸念があるという意見も出されているところでございます。  日米同盟は、去年の十月の2プラス2で「未来のための変革と再編」と題して、新たな同盟関係、共同声明として発表されました。トランスフォーメーションを始めとしてミサイル防衛。このミサイル防衛は、情報共有化ということでは日米関係、物すごく進ませる、若しくは今後進ませる、進ませたと思っています。  坂元先生がさっきちょっと引用されましたけれども、テロ特措法のときのインド洋のイージス艦派遣のときに、インフォメーションかインテリジェンスかという情報提供の中身についてすごい国会で議論されましたけれども、それは何かもう遠い昔の議論みたいで、このミサイル防衛ではとっくにそれを乗り越えています。そうでなければ、もう防衛なんかできないからであります。  そのことは、情報の共有化だけではなくて、作戦の統合ということにも今進みつつあって、先月は離島防衛を想定した日米共同訓練アメリカ本土で初めて、サンディエゴでありますが、行われました。こういうふうに、この二、三年の間に日米安全保障体制というのは物すごく大きな変化をしているというふうに理解をしています。  しかし、先ほど双方に懸念があると申しましたけれども、このように日米同盟強化されればされるほど、その必要性を十分に認識していても、例えば国連改革のときは日米の利害、必ずしも最初は一致したとは言えません。それから、最近では気になるのは、靖国参拝でブッシュ大統領を始めとしてアメリカ側がこれに懸念を表明しました。これなんかは、まあ余り深く議論は今日はいたしませんけれども、ある意味ですごく気になるところであります。というふうに、必ずしも一〇〇%利害が一致するわけではないと。  そうすると、いつも浮かんで消えてくる懸念は、先ほどから言われていますように、日本アメリカのパートナーとして巻き込まれたくないことにも巻き込まれざるを得ないんじゃないか、それは避けることできないんじゃないかという疑問、経済的な側面においても何か制約されるのではないかという不安、懸念がずっとあるわけです。  坂元先生おっしゃいましたけれども、それは歴史的に日米同盟があったときからずっとその懸念は続いていることだというふうにおっしゃいました。そうだと思うんです。そうだと思うんですが、それは国際情勢とかいろんな情勢の変化によって多分その中身も変わってきていると思います。ですから、今は今の時点での懸念、不安、心配事はあるんだろうと思います。  一方、同時に、東アジア共同体というのを構築しようとします。この東アジア共同体というのは、ヨーロッパでEUが成功しつつありますけれども、これはフランス、ドイツ枢軸の長い歴史のある政治的意思がありましたけれども、東アジア共同体というのはそういう政治的意思があったのかというと、歴史的には余りなかったんじゃなかろうかというふうに思います。そして、共同体へ動き出したときの一つの懸念は、これも先ほどから議論されていますけれども、中国の主導によって中国中心の秩序になってしまうのではないかという懸念であります。  こういう懸念はあるんですが、一方で全く逆のことも言えるわけですよね。日米同盟強化というのは、先ほど言ったその中国の懸念を抑止する力もあります。一方で東アジア共同体を構築するということは、これは当然中国との関与をしていく。中国との関与をするということは、アメリカに対して今度は逆に抑止力、バーゲニングパワーを持つということ、日本の行動を限定的かもしれないけれども少し拡大できるかもしれないというようなことが、同時に相反することがあって、大事なことは、その中で日本外交戦略をどう考えるかということであると思うんです。  先ほど佐藤委員が小泉総理の発言を引用されました。私も同じ発言引用したいと思うんですが、日米首脳会談後の記者会見で、日米関係が良ければ良いほど中国、韓国と良好な関係を築けると。私は、ちょっとこの言葉を私なりに替えてみました。それは、日本中国、韓国がそれぞれアメリカとの関係が良好であれば日中韓の関係も良好であるというふうに私は替えてみました。そうすると、これは東アジア共同体というのをつくったときに、やっぱりアメリカにも門戸を開くべきだということに通じるかもしれません、この価値観は。大事なことは、アメリカと日中韓の三国が相互に重要な補完関係を持っているという事実であります。  現在、東アジアの地域協力というのは、EPA、FTAの経済統合、地域的にはASEANがハブとして急速に今発展してきています。先ほど岡崎先生言われましたように、中国経済の成長は物すごいし、軍事力の増強も大変なものがあります。こういう状況の中で外務省が何をしているかというのを見ると、残念ながら何か対処的に次から次へと手を打っているだけで、長期的な戦略、しかも短期的な戦術もないんではないかというような気がいたします。  お二人に、外務省に対して、我々に対して、長期的戦略、短いスパンの戦術、こういうことが一番大事だということを聞かせていただければと思います。岡崎先生は、大戦略として集団的自衛権と日米強化だとおっしゃいましたけれども、それ以外にあればお話を伺いたいなと思っております。  以上です。
  30. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) それじゃ、今度は岡崎参考人から。
  31. 岡崎久彦

    参考人岡崎久彦君) さようでございますか。はい。  いや、広範なバランスの取れた御質問で、全部お答えするのは大変でございますけれども。  同盟が一〇〇%一致するはずもないしと、それから巻き込まれる可能性もあると。それはもう正に坂元先生おっしゃったとおり初めからある話でございまして、結局もう問題は大小軽重の問題です。大小軽重の問題として、大きな問題は、どうやったら日本国民の長期的な安全と繁栄を維持できるのかと。それはやっぱり同盟だろうと、日米同盟であろうと。それに対していろいろな、小さな問題です、これは。小さな問題もそれは付随してくると。これはまあ事実でありまして、その場、その場で解決するしかないと、そういうお返事しかできませんでございますけれども。これは、先生のおっしゃったことと同じことだろうと思います。  それから、私はむしろ東アジア共同体について、ちょっとこれ余り褒めた話でもないんで新聞には出ておりませんけれども、私の理解しているこの経緯ですね、それをちょっと御説明したいと思います。  これは、東アジア共同体はですね、元々ASEANプラス3というものがあるんですね。で、ASEANというものはもう日本が営々としてお金をつぎ込んでつくり上げた、支援してきた団体で、ほとんどまあ日本独りで面倒を見ていたところなんですね。ただ、それを、じゃ韓国も中国も入れてやろうというのは、むしろ日本が始めたわけなんです。  当時、ほんの十数年前まで、中国というのはそういうところに出てこなかったんですね。それで、また当時の風潮として、風潮というかムードとして、中国がちょっとでも出てくると、来ても公式論しか言わないんですけれどもね、これで一つ大成功だと、中国が顔を出しただけでも大成功であると、ついに呼ぶのに成功したと、そんなふうな状況で。  ですから、日本がASEANを見て中国を入れてやったと、そういう感じでやってきたんです。そうやってASEANを育てて、ASEANプラス3まで育ててきた。これが日本の戦略であると。で、もうお金だけでございますから、ただ、それが安全保障を伴ってないものですから、一度脅かされると、非常に弱いんですね。もう何にもなくなってしまう。  そこで、中国東アジア共同体ということを言い出した。これは、実質はもうそんな共同体がそんな簡単にできるわけがないんでございますけれども、意図するところが非常に明らかでございまして、おひざ元の北京にASEAN十か国と日本と韓国の首脳を集めて、それで会議をして、で、内容はあってもなくても東アジア共同体という大きな政治目標をぶち上げると。つまり、昔の春秋列国時代の列国の会盟の牛耳を執るということですね。それを中国がやると、そういう話なんですね。これは、極めて政治的で内容が何にもない話なんです。  で、これをどうするかということが大問題になりまして、それは後は、日本はかなり働いているんです。ただまあ、建設的な働きじゃないものですからね、否定的な働きなものですから自慢にもなりませんし、新聞にも余り出ませんですけれども。  それで、まず第一は、それはASEANプラス3と同じじゃないかと、日本が今までやってきたと。同じものをどうして屋上屋を重ねるんだと。これは、東南アジアの国も大体納得できる論理ですよね。それで、それじゃ、そういうことを言うんなら、インドとオーストラリアを入れようじゃないかと。中国はあくまでもアメリカは嫌と言っていますから、それだけは除いて、インドとオーストラリアはまあ入れたらどうかと。これが意外に、これまあそうだという話になると、同じものをつくってもしようがないじゃないかということで、それが実現しました。  これで、既にちょっと中国の目算が崩れまして、それから、今度はその開催場所をどこにしようかということでもって、それが結局、マレーシアに持っていった。これもマレーシアとしてはうれしい話ですから、それもそれで済んだと。そうすると、中国はもうちょっと初めの意図が、目標が全部失われたわけですね。それで、ちょっと鼻白んでしまいまして、もうあの会議のころは、言い出した中国がどうしてあんな後ろ向きなんだという、批判されるような状況になっておりました。  これは日本の働きですけれども、建設的な働きじゃないですから、後ろ向きの、人のやることをつぶす話なんで、余り自慢にはなる話ではございませんけれども、まあそういうことをやっていたということで、むしろそれを政策論からいえば、日本はあそこまで東南アジアを固めて、もう五十年間どれだけのお金をつぎ込んだか分からないんですから、もう今度は集団的自衛権を認めて、安全保障の面でもう少し頼りになる国になると。それで日本外交政策というのは固まると思うんです。それをしない限りは全くの無力だろうと。  それから、ついでにもう一つ日本はちょっと働いたんです。その働きは、アメリカが入れてくれないんで物すごく怒るんですね。それで、それは、怒るのは分かるけれども、APECというものがあるんですね。これもマレーシアがアメリカなしでやろうと言ったのを、無理やりにアメリカとオーストラリアが言ってつくったものですけど。しかも、これ台湾も入っている非常に貴重な会議なんですね、ほかにそんな会議ありませんから。これ、中国があれを、台湾入れたのはもう一世一代の失敗だと言ってるぐらいの、ある意味では台湾の成功なんですよね。そういうAPECがあるんですけれども、このごろアメリカがNAFTAとかああいうところにちょっと夢中、忙しくて、余り出席が良くないんですね。大統領も時々出たり出なかったりする。それで、今度、釜山でやるから、そんなにその東アジア共同体に反対するんならアメリカ出てこいと。これやったのは日本です。そうでなかったらブッシュ来てないです。  その意味日本は働いておりまして、結局、日中覇権争いの中国つぶしですね。これは、ですから余り自慢した話じゃございませんですけれども、まあもう話してしまいましたから、記録に残るのはこれはしようがないですけれども。  そういうことでございます。
  32. 坂元一哉

    参考人坂元一哉君) 先ほど岡崎大使もおっしゃいましたけれども、まあ利害が一〇〇%一致しているわけじゃなくて、その巻き込まれの危険ということで、それはまあ昔からあったことだろうけれども、その時代に応じていろんなことがあるんじゃないかと、そのことをどう考えるかということですから。  私、歴史家として一番その巻き込まれの危険で、まあ昔はやっぱりこれはかなり危ないものはあったと思います。一九五八年の選挙ですけれども、これは非常に、日本政治史にとっては非常に大事な選挙ですけれども、この選挙のときにはソ連の方から、日本には核兵器は置いてないだろうなと、あったら大変なことになるよと。ほとんど核の脅しに近い、選挙中ですよ、そういう発言が来て、あれは日本人何も脅しに乗ってないんですね。ですから、私、北朝鮮のこの核の危機というもの、これは心配ですけれども、かつてもこういうものはあったということを忘れてはいけないというふうに思います。  しかし、それは結局、その日米同盟というものを前提にして、六十年間の歴史はそういう巻き込まれ論というのが、まあ余り大きな、現実の問題としてそれほど心配することではなかったということになるのかなというふうに思います。これはソ連のあの平和的な崩壊というのが一番大きかったと思いますけれども、そういうことだと思います。  そこで、それはエピソードの話ですが、戦略のことで、戦略というのは、もうこれは専門家がおられるわけですけれども、第一人者がおられるわけですが、これはやはり目的と手段の連鎖ということでありまして、国家の目標は何かということがはっきりしていればその戦略がどうだということをいろいろ言う必要はないと思うんですね。  今度、東アジア共同体議論で、外務省の三つの原則ですけれども、一つは開かれたアジア、それから二番目に経済中心といいますか、機能中心と、経済機能から徐々に発展していきましょうと。それから、三番目の言ったこの理念の問題、自由、民主主義、法の支配ということを言ったわけです。私はこれに注目しておりまして、また外務省はこれよく言っているというふうに思うわけであります。  というのは、この戦略、外交戦略と言うときに、東アジアに、我々にとったらどういう国際環境ができたら我々にとって利益になるかということがまず第一だと思うんですね。そうしますと、やはり平和で自由で民主主義的で、そういう、そしてまたみんなが法の支配の中で暮らしていくような世界ができ上がると、そのために日本努力していますというのが、私は、戦略を語るときの第一番目に必要なことではないかと私自身は考えております。その戦略を、目的を実現するための大前提としてこの日米同盟があるということになるというふうに思います。したがって、この日米同盟とその東アジア共同体というようなものが二律背反ということじゃなくて、それは日米同盟という大きな基盤の上に乗った上でのお話かなというふうに思っております。そういうことであります。  一つ余計なことかもしれませんが、そのアジアとの関係といったときに、先ほど岡崎大使は日本の孤立は構造的だというふうにおっしゃいました。これは、要するに日本が独自に安全保障ということを真剣に考えてないということが原因だということだと思いますが、もう一つ構造的に、まあ日本歴史的にやはりアジアと地理的には少し離れたところで生活をしてきたわけでございます。先ほど挙げました高坂正堯はかつて、日本は東洋の離れ座敷に住む国やと、こういうふうに言ったわけですけれども、それはやっぱりこれからも続いていくのかなというふうに思います。  そうしますと、そういう地理的な特性の中で、一九五七年、日本の外務省は外交青書の中に日本外交の三原則の一つとして、日本はアジアの一員と、こういうふうに言ったわけなんですが、この意味が、やはり地理的にややちょっとアジアの歴史的に中心であった中国から離れていて、歴史的、文化的にも違った形の経緯をたどって今がある日本と、中国あるいは中国の周辺諸国との間にどういう関係を築いていったらいいかというのは常に我々難しいものがあるなと、単にアジアの一員と言って済むような話じゃないなというふうに思うわけですね。  現に、一九五六年に日本が国連に加盟しましたときには、重光外相日本はこれから東と西の懸け橋になると、こう言ったわけなんですね。東と西の懸け橋とアジアの一員というのは、それは同じでは私はないというふうに思うわけであります。  ですから、やや、このアジアとの関係というのはこれからいろんな議論が続いていくのかなというふうに思っております。
  33. 澤雄二

    澤雄二君 両先生、どうもありがとうございました。
  34. 西田吉宏

  35. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。  今日は刺激的な御意見をたくさんお聞きいたしました。ありがとうございます。  坂元参考人にまずお聞きしたいんですけれども、限定的な集団的自衛権をまずやったらどうかという御提案ありましたけれども、この間のいろんなのを見ていますと、アメリカが望んでいる、日本に望む集団的自衛権というのは、その日本の周辺とかじゃなくて、もうちょっとグローバル展開なものではないかと思うんですが、その点どういうふうにお考えかを坂元参考人にはお聞きしたいと思います。  岡崎参考人には、一度お話を伺いたいと思っていたぐらいなんですけれども、今日は日米同盟強化とか集団的自衛権に集中していますが、そもそもアメリカがどこへ行こうとしているのかと、アメリカの戦略ですよね。これをよくやっぱりもっと日本は知る必要があるし、もっともっと研究する必要があると思っているところでございます。  で、私、ふだん経済関係の問題ばっかりやっているんで、そういう点でずっといろいろ見てきた部分があるんですけれども、ソ連の崩壊後、アメリカは何を考えてやっているのかと、何をしようとしているのかと。それに同盟があるわけですから、一緒にどこまで行くのかということにもなると思います。  その点で、〇二年にブッシュ・ドクトリンが出ましたけれども、読んでみますと結構、経済の問題が書かれておりまして、簡単に言いますと、グローバル化をアメリカ主導でやっていくと。それと軍事戦略とが一緒に、先制攻撃とかですね、書かれております。  この前、一月三十一日のブッシュさんの一般教書にもアメリカ経済を牽引していくと。つまり、このグローバル化の中、アメリカが主導するグローバル化の流れの中でのいろんな、私、軍事的な戦略も表裏一体であるんではないかなと、専門家じゃないんで今日お聞きしたいんですけれども、思っている部分があります。  ですから、アメリカのこの世界展開みたいなものの軍事のいろんな展開の経済的背景といいますか、そういうものをお考えになっていることがあれば教えてもらいたいし、関連して言いますと、アメリカの軍事費は、岡崎参考人言われたように、今四千三百億ドルぐらいですかね。そうすると、二番目、三番目、四番目の日本とかフランスとかイギリスの十倍ですよね。何でこんなに巨大な軍事予算を持っているのかと、持つ必要があるのかと。それを考えると、余りあれこれの、その中国とか個別じゃなくてですね、もっと基本的な大きな戦略があるような気がします。  アフガニスタン攻撃のときにいろんな議論があって面白いなと思って記憶しているんですけれども、あのときラムズフェルドさんが、これからは地理的にも時間的にも制約のない、終わりのない戦争だと、言い方をしました。で、パウエルさんは、従来のアメリカの、何というんですか、限定的といいますかね、明確な軍事目標があって、達成する見込みがあってというアメリカのずっと長いこの軍事介入の基本線というのがありましたけれども、それをパウエルさんが主張したんですけれども、どっちかというともうそれ、パウエルさんが退けられて、そのエンドレスの戦争論に入ってくると。  で、あの九・一一テロのときも、何ですか、無制限、無制限の戦争みたいなね、正義の、無制限の正義の戦争ですか、何かそんな表現が出てきたりしているんですけれども。  そうすると、アメリカがずっと経済のグローバル化主導しておりますけれども、そういう経済の、マーケットのいろんな世界展開、市場開放とか、そういうことの維持と、あるいは拡大と思ったら、私は正にさっきの軍事費じゃないですけれども、もう無限の軍事費を考えたり、あるいはいろんなことを手を打たなきゃいけないと。こんなふうになったら、そういうことだとすると、日本がそれにどこまで意識しているのかという問題もありますんで、その経済的な背景といいますか、その御存じな部分があれば、岡崎参考人にお伺いしたいと思います。  以上です。
  36. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) それじゃ、岡崎参考人
  37. 岡崎久彦

    参考人岡崎久彦君) よくいろんな資料をお読みいただいて、それで大きな御質問なんで答え方が非常に難しいんでございますけれども、まずもう非常に大きな答えを申しますと、結局、覇権国というものがあるわけですね。それとどう付き合うかという問題なんですよね。で、その場合、これもうどの時代でもそうなんですけれども、例えばイギリスが英帝国であった時代ですね、これはみんなイギリスを頼りにしていると裏切られるんですね。ブリティッシュ・パーフィディーというんですね。それから、インド人はサドンネス・オブ・ブリティッシュ・ポリシーと。これは付いていきますと、これでいいかなと思って付いていくと、ぴしゃっとやられるんです。それで、しまったということになるんですね。これはみんな経験しています。それで経験したにもかかわらずです、かかわらずですね、結局、長期的に見て付いていった方が得だと、そういうことになるんですね。  それは、例えばイギリスに負けた国は全部そうです。オランダは帝国持ってもイギリスに負けましたですね。その後、もうずうっとイギリスに付いている。で、イギリスに付いていたおかげでナポレオンのときは救ってもらえないと、ひどい目に遭いますけれども。まあ戦争終わってみたら、結局まあ付いていて良かったと。フランスもそうですよね、結局ね。フランスもナポレオンで負けて、それで大体イギリスの政策に付いていて、それで今度の戦争でも、その前でも結局イギリスとかアメリカに付いていて、ひどい目に遭いましたけれども、まあ長期的に見たらまあそれで良かったんだろうと、そういう話になるんです。  ですから、その場その場の覇権国のパーフィディー、不信ですね、背信、それはあるんです。それはあるけれども、日本国民がどうやって将来ちゃんと生きていくかということを考えますと、問題はやっぱり大小、軽重の問題なんですね。大きな問題に付いていかなきゃいけないと、そういうことであります。その上で、一体アメリカが何を考えているのかと、そういう御質問になるわけでございますね。  それは、経済は、経済自身はそれほど戦略というものはなくて、これはいまだにブレトンウッズ以来の自由貿易、自由貿易がその世界利益になるんだと。と言いながら勝手に、これ正にブリティッシュ・パーフィディーでありまして、自分の農産品を保護したり、勝手なことはしているんです。しているんですけれども、大原則は経済自由化です。結局、大恐慌の後の保護貿易のおかげで戦争が起こったんだという考えが基本的にございますんでね。  それで、原則論としては、とにかく自由化、それから政府の干渉はなるべく少なくすると。それから、関税とかそれから貿易障害はなるべく減らすと。それは今でも原則はそうなんですね。FTAなんかも全部そうですから、それをやっていると。例外はもう数限りなくあります。例外でだまされるということがまた数限りなくございます。  それから、それと軍事の方が、これが私は、ある意味では長期的な変化もございますし、またある意味では過渡期。テロが重要だといっても、これはテロが重要ということはやっぱり一時的だろうと思います。結局、テロが重要というのは、国境もなくて、どこから何が来るか分からないと。それから、このごろよく言っているんでございますけれども、どこかの国の脅威というよりも、どこかの国が乱れることが心配だと。そこからテロが出てくる。  そういうことを言っておりますけれども、これはいずれにしても、国家の存立に関する大きな問題じゃないですから。やがて、やっぱり米中関係というのが一番大事になってくれば、従来のパワーポリティクスの考えに戻るんじゃないかと私は思っております。だから、今出ている議論というのはかなり、分かりませんけれども、短期的ではないかと。  むしろ長期的にはっきり変わりましたのは、それはもうライスもみんな言っておりましたけれども、ウエストファリア条約以来、三百五十年間続いた近代国家間の関係というのがなくなってきたと。  これは田中明彦さんという先生が、よく言ったと思うんですけれども、冷戦が終わった途端に本出して、「新しい「中世」」という本を書いて、結局、少し乱暴ですけれども、ごく簡単に申しますと、中世というのは法王様がいて、国境なんかなくて、カソリックじゃないとみんな、ハプスブルグが行って、みんな殺しちゃった、そういう時代ですよね。それが主権平等、信教の自由になったのが近代国家と。それが三百五十年続いたんですけれども、どうも主権平等でも信教の自由でもなくなったと。自由と民主主義というのに反するとみんなアメリカにやられちゃうと。それで国境も余りそういう場合尊重されないと、そういう時代になってきたと。それはあるいは長期的な変化かもしれません。それは今後ともある程度続く長期的変化かもしれないと、そう私は思っております。
  38. 坂元一哉

    参考人坂元一哉君) 集団的自衛権の限定的行使というところにもう少し説明させていただきたいというふうに思います。  私は、その基本的な前提として、アメリカとの同盟、これはまあ日本が多くのことができればそれだけ日本の発言力が上がると、こういう前提で話をしているわけでありまして、この集団的自衛権の行使の場合はどういうことができるかと考えるわけであります。  そう考えますと、まあ日本の実力ということもあるわけですけれども、日本が海洋国家であって、まあそれは海上自衛隊、先ほど岡崎大使は、これは非核だったら世界第二位だとおっしゃいましたけれども、そういう力があるということですが、この憲法上の問題ということで、私の憲法に対する考えは、国際紛争を解決するための手段としての戦争はこれやらないと、こういうことになって、まあこれから憲法改正があるかどうか知りませんけれども、そういう話が出ているわけですけれども、まあこのことは各党あるいは様々な憲法改正案見ても、これを変えるという人は余りいないというふうに思うわけですね。  で、その場合に、この集団的自衛権は、国際紛争解決のための軍事力行使ではございませんから、そうでなければどの場所であっても行使できるということでいいと思うんですが、国際紛争解決のための戦争のように見られるようなやつは、まあ取りあえず控えておいた方がいいんじゃないかというふうに考えるわけですね。  それはどういうことかといいますと、他国の領土、領海、領域、他国の領域で集団的自衛権を日本が行使するというのは、これはできないというわけじゃなくて、政策の判断としてやらない方がいいんじゃないかなというふうに思っております。もう純粋に集団的自衛権の行使と見られるように、その集団的自衛権の行使の範囲を私は日本の領域、領海と、それからその公海とその上空というふうに限ってはいかがかというふうに思っております。で、限り方も、憲法日本は公海だけしかその行使できないとか、そういうことを書くのじゃありません、なくて、法律でそういう場所で行使ができるというふうに書いて、そのことによって行使をすればよいというふうに思っているわけであります。  となりますと、先ほどの、私がグアムまでと、こう言ったんですけれども、まあ地図をごらんになればグアム沖縄から二千キロちょっと離れているわけなんですね。かつて、日本は千海里のシーレーンと、こういうふうに言いましたけれども、まあ私はこのグアムぐらいまでであれば、これは日本周辺というふうにこの近代戦の時代には考えていいのではないかというふうに思っておりますから、もしそういう話になれば、そういう、まあ恐らくガイドラインのその延長でこのことも可能になるのじゃないかというふうに私は考えております。  集団的自衛権のことはそういうことですが、一つ、もうちょっとアメリカの大きな話でということで、まあブッシュ政権、先ほど岡崎大使も言われたように、ウエストパリア以来の関係を変えるというようなことをその戦略文書の中に書き込んでいるわけですけれども、そもそもそのブッシュ大統領の就任演説でも出てきましたけれども、アメリカは人間の自由にとって恵みとなるバランス・オブ・パワーと、勢力均衡をこれから求めていくんだと、こういうことを言っていたわけであります。で、恐らく、今後こういう、まあ人間の自由というものを阻害するようなそういう勢力が出てくれば、これに対する抑止力ということを考えていくということになるのじゃなかろうかと私はまあ思うわけであります。  短期的かもしれないと言われた中東民主化によるその軍事力の行使ということでございますけれども、これは結局、アメリカが、テロが起こってしまって、まあ簡単に言いますと、中東の政治体制にも口出ししなければやっぱり安全は守れないんじゃないかと、こういうふうに考えたんではないかと思います。  ややリベラルな解釈かもしれませんが、まあリベラル派でブッシュ大統領を支持する人たちは、やはりアメリカがこれまで中東からの石油の安定供給ということを余りに大事にするが余りに、この政治体制がどんなんであってもいいんだという形でやってきたと。で、それはその二国間関係でよかったんですが、国内では政治体制が非常にまあ非近代的ということで、まあイスラム原理主義に付け込まれるところがやっぱりあったと。で、現に、まあサウジアラビアからかなり多くのテロリストが出てきた、出たわけなんですけれども、こういうことを見て、やっぱり中東全体の政治体制にもこれからは変化を進めていかなきゃいけないと、まあこういう前提なんじゃないかなというふうに思います。  そのための手段がどういうものであるかというのは別なんですけれども、この努力というのはやはりしばらく続いて、それはやはり必然的に軍事力の行使すらも含まなければいけないということになりますから、しばらく、まあ短期的と岡崎大使はおっしゃいましたが、これはやっぱり続くのではなかろうかというふうに思っております。  ですが、中東の民主化も、徐々にではありますけれども、やはり前向きに進んでいるというふうに私は評価しております。
  39. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) どうもありがとうございます。  以上で各会派の一人一巡をさせていただきました。  これより、午後四時をめどに自由に質疑を行っていきたいと、こう思いますが、現在のところ、私のところには四名の方から通告申請がございます。したがいまして、順次御発言をいただきたいと、こう思いますが、発言者は私の方から指名をさせていただきますので、お待ちをいただきたいと、このように思います。  そこで、御発言いただく方は、次からは参考人を御指名をしていただいたら結構でございます。御両人にという場合は御両人で結構ですし、その点を付け加えていただければと、このように思いながら、二巡目に入りたいと思います。  それでは、山東昭子さん。
  40. 山東昭子

    山東昭子君 御指名がございましたんで、それではちょっと、岡崎参考人そして坂元参考人にお伺いしたいと思うんですが、まあ常任理事国入りということがいろいろな形で報道されておりまして、なかなか難しい壁もあるようでございますけれども、一般国民から見て、本当にその常任理事国入りのメリットというもの、その奥にあるものは何が一番ポイントかというようなことを両先生からお伺いしたいと思っております。
  41. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) どちらですか。
  42. 山東昭子

    山東昭子君 岡崎参考人坂元参考人、両方お伺いしたいと思います。
  43. 岡崎久彦

    参考人岡崎久彦君) 日本政府が国際社会及び日本国民に説明しているのは、これだけの金を払っているんだから、それだけの発言力をくれてもいいじゃないかということに尽きますですよね。それはまた、事実、今度の常任理事国入りの経緯を聞いておりますと、本音でもあるようでございます。  それはどういうことかと申しますと、私も昨年の夏ごろは、日本がまあ常任理事国入りを、要するに国連総会は去年の秋でございますから、昨年の夏からそれを始めている。どうも、見ていると成功しそうもないんですね。それで、一体そんなことをして、これ失敗したらどうするんだということで、それでいろいろ心配して聞きに行きましたら、いや、それはもう、これはもう一貫してやるんだと、一貫して、日本というのはこれだけの金を払っているんだから、ちゃんと発言力を行使すべきだという一貫した方針でいくんで、今回一回だけじゃなしに何回でもやるんだと。  それで、いろいろなアイデアがありまして、一つのアイデアとしては、これはもう部内のアイデアでまだ実現しておりませんのでここでお話ししていいかどうか、まあプライベートなアイデアがあるというふうにお考えいただけばいいんですけれども。単独決議案を出して、それで国の分担金の上限を一〇%にすると、で、常任理事国が全部一〇%払えと、それで日本も一〇%払うと。そういう決議案で、独りでもいいと。それでもし、それでも駄目だと、まあこれ拒否権があるから駄目でございましょうね、駄目なら結果としてはもう払わないと、お金をですね。それで、払わないと、五年、たしか五年払わないと投票権停止になるんですね。そのときにちょっと一年分ぐらい払えば投票権が続くんですね。それをやればいいんだと。  そんなことを言って、これは一体、日本政府にそこまでする度胸があるのかと言ったら、その時点の話ですよ、その時点で上の人、上の人がだれかもよく分かりませんけれども、上の人の話を聞いたら、それも面白いじゃないかと言ったと、それで腹を決めてやれと言われたからやっているんだと、そういう話のようなんですね。  そうしますと、これは大変分かりやすい話で、金払っている以上はそれだけの発言力をくれと。それから、大きな顔して発言しているやつは金を払えと。それは、私としては別に分かりやすい話だと思っております。
  44. 坂元一哉

    参考人坂元一哉君) この問題で、今の言われたことをもう少し美しく申し上げますと、我々、国の形を考えるとともに国際社会の形も考えなきゃいけないわけなんですけれども、これから国連が国際社会のすべての問題、まあ安全保障を含めて、これすごい力を持って解決していくようになるとは思いません。思いませんが、国連というのはやはり国際社会の総意を表す唯一の機関でありますから、そこが決議をしますことには、これはやはりある種の正統性というのが出てくるわけなんですね。で、その正統性の、何といいますか、にしきの御旗といいますか、そういうものから日本が、その形勢に日本が外れているというのがややこれは日本にとって面白くないだけじゃなくて困る問題なんですね。  現に、一九九一年の湾岸戦争のときにも日本は常任理事会に入っておりませんし、それから今度のイラク戦争のときにも常任理事会ではないんです、入ってないんですね、メンバーでは。となりますと、お金だけ取られてということになるわけなんですね。お金は、まあ少しお金持ちですから、まあいいよという人もおられるかもしれませんが、しかし、これはもちろん国民の税金でありますし、そういう話ではないんですね。これはやはり国際社会の形のありようですね、これについて日本が少し発言しなきゃいけないと。で、これは日本利益というだけじゃなくて、国連がきちんとした正統性を代表できるようなものにならなきゃいけないと思うんですね。  一九四五年にステティニアス国務長官が上院で証言いたしまして、常任理事国と言っているけれども、これは一体何だと言われたときに概要を、次のようなことを言いました。つまり軍事力と、世界の軍事力と経済力のほとんどを有している国ということを言ったんですね、大部分を有している、それがアメリカ、ソ連、イギリス、中国、フランス。ちょっと中国、フランスは怪しいんですけれども、だけれどもそういうことを言ったわけであります。今は二〇〇六年ですね、これ違うわけですね。  ですから、これは、今の国連の常任理事国の構成というのは、実は実力も正統性も欠いているというふうなことは、私は日本は今後は少しずつ言うべきじゃないかなというふうに思っております。先ほどこれはとことんやるんだとおっしゃって、聞かれたと、私もそういうふうに聞いておりますが、それはやっぱり必要ではないかと。戦後六十年たってそういうことをきちっと言うことが必要になってきた、そういう時代が来ているのかなというふうに思うわけであります。
  45. 山東昭子

    山東昭子君 ありがとうございました。
  46. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) 前田武志君。
  47. 前田武志

    前田武志君 前田武志でございます。  サウジアラビア大使をたしか岡崎大使、やられましたですよね。せっかくそういう御体験をされている大使なんで、まずイランでああやって原理主義に近いような政権ができ、それからパレスチナもそうですね。一方で非常に統制力を強めているプーチン・ロシア、そしてイランの関係もまあ割といいようですね。アメリカとサウジとの関係、そういう構造の中でこの中東問題というものがどういうふうに展開していくと見ておられるか。要するに、アメリカがコントローラブルな地域ではますますなくなっていっているんじゃないのかなという感じがするもんですから。  それから、坂元参考人には、学問の立場から多分いろんな分析されていると思うんですが、中国を取り巻く国々として、例えばベトナムであったりインドネシア、あるいはミャンマーがどうなるか知りませんが、インド、それから台湾もそうだと思うんですが、それぞれ人口規模であったり経済発展具合であったり、兵力、そしてその伸び率といいますか、そういうものとの相対関係で、中国を取り巻く、もちろん日本もそうなんですが、必ずしも中国、軍事力を強めてはいますが、その中身からいってそれほど非常に脅威に当たるような実力を持っているのかどうか。その辺、計量的に多少とでも分析されているならそういうのを踏まえて、例として、例えば台湾海峡の危機なんというのが割と現実的にあり得るのかどうかというなのを例に取りながらひとつ御指摘をいただきたいと思います。  以上です。
  48. 岡崎久彦

    参考人岡崎久彦君) 前田先生の御質問は恐らく石油関係、エネルギー関係の御質問だろうと……
  49. 前田武志

    前田武志君 ベースには。
  50. 岡崎久彦

    参考人岡崎久彦君) 了解してよろしゅうございますか。  これはやはり本当の大問題でございまして、結論としては、結論としては結局、イラク情勢いかんに懸かるわけでございます。  イラク情勢は、まず経済から申しましても、イラクはこれ戦争を始めたころは二百五十万BDぐらいつくってたんですね。そのときは石油禁輸の下にございましたんで、幾らでも増やそうと思えば増やせる状況だった。ところが、戦争が始まって初めの一年間で、まあ初めは戦争でもって生産減退するんですけど、一年でまた元へ戻る。これから後はもうどんどんどんどん増えるだけでもってもういいかと思っておりましたら、ゲリラがひどくて、ゲリラが特に石油施設中心に攻撃するんですね。それで、いまだに二百五十万行ってないと思います、それから二年間ですね。それで、投資すれば幾らでも出るんですけれども、投資がまたできないんですね、治安が悪くて。つまり、投資した会社が行きますと、ボディーガードが、やっぱりああいうところですから一日に千ドル出さないとボディーガードが付かないと。それはイギリスやアメリカの本当のちゃんとしたボディーガードですよね、警備会社の。それも一人じゃ足りないということになりますと商売できないわけですね、そんな高いもの相手に。ということで、ちっとも増えないんだと。  しかし、これもし増えますと、昨年の秋のIEAの報告でございますけれども、既発見の油田だけでもって今後投資さえしていけば八百万BDまで出ると。そうしますと、今の石油危機なんというのは一遍で解決しますよね。まあ中国とインドの消費が多いと言うんでございますけれども、それでも年間の増加率はせいぜい数十万BDですから、一挙に二百五十万とかが八百万BDになるとなると、エネルギー問題としてはこれ解決する可能性があるんですね。  これをもしアメリカが、これイラク攻撃が石油のためでないとアメリカがもう何度も何度も言ってますですけれども、これを開き直って石油のためだという議論もあるんです。どういう議論かというと、もしあれだけの資源がテロリストとかそういう国に渡ってみろと、これは大変なことなんだと、だからそういう国じゃない国をつくるのが大事だと、そういう説明ぶりあるんですけれども、結局は石油なんですね。ということは、イラクが成功しますと、これ世界の石油情勢というものは随分変わりますです。  これがまたいつどうなるか、これは全く分からないです。ゲリラならまあ鎮圧すればいいんですけれども、テロというのは、これいつ終わるか分からないんですね。  それで、いつか収まるんだろうと思いますけれども、これいつになるか分からない。これが恐らく一年たつか二年たつかですね。私ももうペンタゴンの報告は毎日ちらちらっとちゃんとネットで見ておりまして、アメリカ軍が一体死んでいるかどうか。それで、しばらく、一週間も死人がいないなと思うとまたばあんと起こるんですね。ところが、今日までのところ、一週間か十日ほどないみたいですね、アメリカ人の死者が。これもまたいつまたばあんと何十人殺されるか分かりませんけれども。イラクのテロリズムの終わり方というのはどういう終わり方かというと、ある時期になって、そういえばここ二、三か月死人がないなといったときに終わっているんだろうと思うんです。それが今始まっているのか、あるいはまだ続くのか、それは全く分かりません。  結局、イラクでアメリカが成功するかどうかが、これはサウジとかイランとか全部に影響するんですね。アメリカが二〇〇三年に侵攻しまして、初めに一挙にイラクを取ったとき、このときはみんなもう震え上がりまして、それで、パレスチナのPLOもハマスもおとなしくなる。それから、サウジアラビアも、これはそろそろ民主化しなきゃいけないかなと思って国内の民主化を始める。イランもおとなしくなる。ところが、テロが続いて、いつまでたっても片付かないものですから、これは大丈夫ということになりまして、もうサウジは民主化のペースはもうやめましたし、それからパレスチナではハマスが強くなる。イランは、もう何やったってアメリカは軍事では出てこないと見極めておりますですね。それで、結局、核開発の方に進む、そういう状況になっておりまして、これまたイラクが片付きますと、またこれ情勢変わるんです。  それで、結局、まあお答えになりませんけれども、アメリカが初めの計算は、当初うまくいったように見えて結局うまくいっていないと、これがうまくいくかどうかはもう情勢の見極め次第と、そういうことしか申し上げられない。  むしろ、逆に言えば、あれだけの、八百万BDつくれるところを二百万BDしか出していなくて、それで世界経済は、まあこれ六十ドルになりましたけれども、結構もっていますね。普通は石油があれだけ上がったら経済は駄目になるんですけれども、そうでもないですね、結局もっていますから。  そうしますと、逆に言えば、イラクは一種の含み資産ですね。あれが解決すると急に世界経済が良くなる、含み資産があると、そういう考え方もあるんじゃないかと思っております。もうお答えになりませんけれども、そういう情勢判断です。
  51. 坂元一哉

    参考人坂元一哉君) 私も中国の周りの国のことをよく知っているわけではありませんが、やや抽象的にお答えしてよろしければ、中国というのは、先ほど日本の地理的位置のことを言いましたが、これはいろんな国と国境を接する中原の国なわけなんですね。こういう国はその特性として、自分たちが弱いと周りから攻め込まれて困るわけなんですけれども、自分たちが余り強いと今度は周りを脅かすということになって、これは非常に外交が難しい国であろうというふうに思っております。  で、東南アジアとの関係で非常に中国はうまくやっていると聞いておりますし、中国とベトナムの関係というのは、まあベトナムの人の心の中はまたいろいろ違うんでしょうけれども、中国との友好ということを、これは経済上の理由もあって進めているということになろうかと思います。  ただ、結局、そうやって周りの国と、ロシアともいいですし、インドとも国境問題が解決いたしました。いいんですけれども、やっぱり大事なのはこの日本なんですね。日本に対してややちょっと突っ掛かっているという感じが私自身はいたします。もう少し何とかならないものかなと思うんですが、これは日中関係にとって得にならないだけじゃなくて、中国の全体のイメージからしても私は得にならないのかなというふうに思っております。  というのは、周りの国は、日中関係見て、まあ日本中国もまあいい加減にしろよとか言いながらも、だけどやっぱり日本が折れてもらってもちょっとなということを考える人は、これは東南アジアの国一杯、探せば一杯いると、探さなくても一杯いると私は思います。  そういう中で日本との関係、これからどうなるか分かりませんけども、やっぱり大きな問題は台湾ということになって、前田先生の台湾とのことということだと思います。まあ私もこの専門家じゃありませんから、平松先生とかですね、杏林大学の平松先生とかの御本なんかを参考にしながらいろいろ考えたりするわけですけども、今、中国に軍事解決ができるようなそういう状況があるかというと、多分、中台だけでもそれはないんじゃなかろうかと思います。  ミサイルを多数並べて、台湾独立になったら大変なことになるよというふうに脅かすわけですけれども、まあそのミサイルは、核弾頭を積まない場合はこれは台湾を侵攻するに十分なだけの打撃力があるということではないんじゃないかと私は見ますが、これは専門家によって、いやそんな甘いよと、あなた、近代戦がもうどんどん、中国の近代化は進んでいるよということをおっしゃる方もおられて、だんだん脅威と呼んでよさそうな状況は出てきつつあると言われております。  で、台湾問題は、結局、私は、国民党の言っているようなやり方というのは、国民党のスローガンのような解決しかないのじゃなかろうかと思います。それは四つの言葉でありまして、自由、民主、均富、統一ということなんですけれども、両岸が自由で民主主義的で、それで貧富の格差も、まあこれゼロになるということないと思いますけれども、もう少し貧富の格差も縮まって、そして最後に統一があるとすれば、そういうことでなかろうかと思うんですね。で、そこまで持っていくために、今のこの緊張を抱えながらも安定した状況というのを続けなければいけないんじゃなかろうかと私は思います。  で、中国は、自分たちは平和的解決だと言いながらも、それが主だと言いながらも、これは平和解決の可能性が失われたら軍事力の行使もあり得ると言っているわけでありまして、これはやっぱり気を付けなきゃいけない言葉じゃなかろうかというふうに思います。  日本としましては、いや軍事的な可能性というのは失われたんだと、だから平和的解決にしてくださいよと言えるような状況に持っていくために、日本独自の力なり日米同盟なりということを考えなければいけないんじゃないかと思っています。
  52. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) それでは、二之湯智君。二之湯君、はい、どうぞ。
  53. 二之湯智

    二之湯智君 若干前の方と重複するような質問になるかも分かりませんけども、岡崎参考人にお伺いしたいんですが、先ほどから中国の軍事力が一九九七年以来から毎年一〇%以上の伸びを示して大変脅威だという、こういうことでございますね。しかし、日米さえ、日米同盟さえしっかりしておればここ二、三十年日本の平和と安定は保たれていくと、こういうことですね。  私はいつも中国のことを非常に肯定的に考えて、中国世界アメリカをしのぐ経済力を持つだろうとか、軍事力もアメリカをしのぐであろうと言う方がいらっしゃる反面、中国はかなり国内的に多くの矛盾を抱えて、かつてソ連の崩壊、私、まだそのとき、なぜソ連が崩壊するのかなというのはよく分からなかったんですが、そういう本が出だしてから数年たったらソ連がああいう形になってしまったんですが、その二、三十年の間に、もう中国は脅威でなくなるか、中国が全く国家として今のようなそんな勢いを持つような国家になってなくて、もう単なる大きな国であって非常に経済的にあえいでいると、低迷にあえぐ、そういう国家になる可能性もあるんじゃないかと、このように思うんですが、それをちょっとお伺いしたいことと、それと、山東議員もおっしゃったんですが、日本の国連常任理事国入りですね。  新聞報道によるとかなりその可能性が高いようなことが、まあいっときそういう報道もありましたですね。しかし、東南アジアの諸国から一国も日本の常任国入りの支持がなかったということは、全くこれ恥ずかしいことなんですね。選挙やる人間が絶対、全然地元から支持がなかったと、こういうことでは日本の外務省は何をしているんだと、もっと日本外交の失敗を、まあ我々与党ですから余り大きな声で言いませんけれども、これはやっぱり、あれだけ大々的に常任理事国入りするんだというので行って、全くああいうぶざまな結果に終わってしまったということですね。これは、よほど日本外交を転換していかなきゃならないんじゃないかと、このように思ったりするわけでございますけれども、先ほども、日本は、経済的に大変援助を受けているけれども、安全保障上の問題で、日本に対して、日本よりも中国に気兼ねしているんだと、こういうことですけれども、これからの日本外交在り方、特に東南アジア外交在り方についてお伺いしたいと、この二点お願いいたします。
  54. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) お二方ですか。
  55. 二之湯智

    二之湯智君 岡崎参考人に、はい。
  56. 岡崎久彦

    参考人岡崎久彦君) 初めは何でしたか。
  57. 二之湯智

    二之湯智君 中国の脅威です。
  58. 岡崎久彦

    参考人岡崎久彦君) あっ、中国の脅威なんですね。  それは、おっしゃるとおりなんでございます。これは現に、小泉総理が靖国参拝されてもデモも起きないと。これ、私、実はこの前の選挙が終わったときに論文書きまして、もう秋の例祭においでになっても大丈夫と、これは、中国はデモができませんと。  まあこれ、情勢判断というのは当たらないと怖いものですからちょっと心配しておりましたですけれども、当たりました。やっぱりできないです。今そんなことしたら、これ全部、反政府デモになりますから。そういう非常に危ない、危ない状況であることは間違いございません。ですから、中国の一体脅威がいつまで続くのか、いつ崩壊するか、これはおっしゃるとおり、確かに情勢判断としては必要なんでございますけれども、ただ私はもう情勢判断の、そればかりやっておりますけれども、結局、情勢判断は心配すべきことを心配するんで、心配しなくていいことは心配しなくていいと、これは当たり前でございますけれどもね。  どういうことかと申しますと、中国が将来、これ国民不満がうっせきして暴動でも起こってばらばらになってしまうと、それから地方分権になってまた軍閥割拠になると、あるいは逆に、経済発展して自由民主化してすっかりもう平和愛好的になって、それで台湾もチベットもみんなもう自治も独立も認めてやると、そうなると。そういうシナリオは皆無じゃないと思うんです。  ただ、中国がばらばらになって弱くなるというようなシナリオは、これは日本が心配することじゃないんですね。中国が心配することなんですね。日本が心配しなきゃいけないのは、やはりこのまま中国経済力もどんどん付けていって、それから軍事力もどんどん付けていって日本の脅威になっていくと、それだけが心配だと。そうでないかとのお答えは分かるんですけれども、私はこれもう十何年同じ議論やっておりまして、それで長谷川慶太郎さんとの対談で本まで出しましたよ。向こうは、中国はもうすぐつぶれるという話で、私は、そうかどうか分からないけれども強くなったら大変だと、そういうことでございますね。  結局、先憂後楽と言うと大げさですけれども、心配することを心配すればいいんで、中国がそういうふうに駄目になるかどうかは中国が心配すればいいことだと、そう思います。  もっとも、御商売している方は、今している投資が混乱でもって駄目になってしまうと、これはどうかと。それで中国の将来はどうかという、この御心配は分かるんです。ただ、それはどんなビジネスにでもリスクは付き物でございますから、だからリスクを考えた上でやっぱり投資していただくということを申し上げる以外はございませんですね。  それから、後ろの、何か、次の質問も忘れてしまいました。
  59. 二之湯智

    二之湯智君 常任理事国入り。
  60. 岡崎久彦

    参考人岡崎久彦君) 常任理事国を、申し訳ございません、何か私、ちょっとぽけっとしておりまして、どういうことでございましたっけ。
  61. 二之湯智

    二之湯智君 東南アジア諸国から日本への……
  62. 岡崎久彦

    参考人岡崎久彦君) ああ、そうかそうか、そうなんですね。  これ、私、分からないんですけれども、東南アジア諸国が支持しないのはおかしいじゃないかということを言ったら、これは東南アジア諸国側の弁解だろうと思うんですけれども、いや、日本だけなら支持してやったと、ところがインドとか何か入っているから支持しないんだと、そういう答えになっているらしいですね。だから、これは極めて怪しいんで、やっぱり中国の圧力だと思います。私はそう思っています。  中国の圧力に対して、いや、日本だけなら支持したという言い方で逃げているんだろうと私は思いますけれども、結局、中国の圧力を跳ね返すには、これはやはり私はもう集団的自衛権と、そう考えております。
  63. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) 加藤修一君。
  64. 加藤修一

    加藤修一君 ありがとうございます。両参考人、大変ありがとうございます。大きな関心を持って陳述をお聞きいたしました。  それで、質疑応答の中で、これは岡崎参考人にお聞きしたいと思っておりますが、時間が制約されている中での意見陳述でありましたので、かなり大胆に、かつ、ある意味で単純化した話になって、単純化したと思っておりますので、ただちょっと確認をしたいなと思ってございます。  集団的自衛権の行使によって中国の圧力を払拭できる、東南アジアの戦略的安定性を確保できる、状況は一変する、ずっと安定する、今のような日本の皆さんの生活を維持できますよと、そういう陳述がありました。私は、一変するという表現、結論というのは非常にインパクトがある言葉だなと、そういうふうに受け取っておりまして、集団的自衛権ということについてはもっと勉強しなければいけないなという、そういう思いはしました。  ただし、ただし書が私はあるんではないかなと思いまして、これはいわゆる伝統的な安全保障の視点からの見方が極めて強いなという感覚に至りました。やはり私は、今や非伝統的な安全保障を加味しなければいけないと、拡大しなければいけない。日米安保条約の第二条では「福祉の条件を助長」とありますが、これは日米間で、私の理解でありますが、国際的な厚生ですね、厚生省の厚生ですけれども、厚生を増大するというふうに私は理解しておりますが、これ、やはり拡大的に解釈すると、ある種の総合安全保障、その伝統的な安全保障と非伝統的な安全保障、それを橋渡しする視点というのがやっぱりこれから極めて重要になるんじゃないかなと、そんなふうに思ってございます。  ですから、岡崎参考人がおっしゃっていた多次元方程式の変数に入ってない変数もあるんではないかなと。時間変数は当然入っているでしょうし、ただ、一定の値である、どうしてもやはり変数化しなければいけないという重要なファクターとしては、私はそのうちの一つは環境という視点じゃないかなと思うんですね。  気候変動の問題というのがありますが、やはり気候安定化を図らなければ人類の将来はあり得ないし、アジアの安定的な成長も健康の被害に至らないようなことについてもないということを考えていきますと、やはりこの分野では、二〇五〇年問題というふうに言っているものがございまして、二〇五〇年までには地球の平均的な温度を二度C以上に上げないと、それを超えると破局的になると、そんなふうに言われておりまして、そのためには二〇五〇年までに日本は七五から八五%の温室効果ガスを削減しなければいけない。まあそれは非常に、今の十倍という話になってしまうんですね。そういう専門家の共通した結論があるわけなんですけれども、私は、岡崎多次元方程式に環境という変数を是非加えていただきたいなと、そんなふうに思っておりまして、この辺についての認識を一つは伺いたいという点です。  二点目は、環境外交はこれから非常に重要な点になると思います。CSRというのは企業の社会的な責任ということでありますけれども、これをもっと大きくして国家の責任という観点から考えていかなければいけない。しかし、事はそう簡単ではないことは私もよく分かっておりますが、中国を更に国際社会に引き入れて国際的な環境上の枠組みで中国の圧力を和らげることができるのかどうなのか、そういう枠組みをつくることをどういうふうに今後考えればいいかという、その辺のところについて、もし見解をお持ちでしたら教えていただきたいなと思います。
  65. 岡崎久彦

    参考人岡崎久彦君) 御質問、おっしゃるとおりでございまして、やっぱり環境問題、これ環境問題だけじゃございませんですね。環境だけじゃなしに、食料、人口ですね、これすべて非常に難しい問題でございますし、それから中国を国際社会に引き入れられるかどうかですね、これも極めて大きな問題なんです。恐らく、これから二、三十年間の外交努力というものがやっぱりそれにかなり傾注しなきゃいけないだろうと思うんです。その点は全く、全く異存ございません。  ただ、それが成功するかどうか分からないんですね。これは分かりません。つまり、これから後二、三十年のうちに、世界じゅうがこれもうみんなで仲良くしようと、人口も制限して、それから資源の使い方も制限すると、それから環境も抑えて、環境の破壊もみんなで抑えるようにしようと。そうなるかどうかですね、するための努力することは当然でございますけれども。環境問題はもう最大の人口を持つ中国とインドが協力しませんですからね、これは自分の国の生活水準を上げる方が大事だと思っておりますから。  そうしますと、結局、戦略というものは最悪の事態に備えるのが戦略なんです、国家戦略というのはですね。これは、ですから軍事戦略を言っている人はいつも極端な場合ばっかり考えておりまして、国の安全とか国の大事ばっかり考えているので。これは宗教家がいつも、生きているんですけれども、生き死にのことを考えているようなものでありまして、それが戦略家なんですね。  そうしますと、これがうまくいけばそれでいいんです。うまくいかない場合どうなったかということです。  そうしますと、これ以上人口が増えて資源もどんどん減っていくと。で、科学技術の進歩でもって破局は少しずつ少しずつ先に先延ばしができると思う。幾ら先延ばししてもいつかはこれは破局が来ますですね。それまでに人類が全部非常にお利口になって、これ全部解決していれば、それはそれでいいんです。そうならない可能性があるんですね。その場合は、結局、国家と民族が乏しい資源を、しかも環境が悪くなって、ますます乏しくなっていく資源を中でもって奪い合って生き延びていかなきゃいけないと。そういう状況になる可能性、これには備えておかなきゃいけないと思う。これ、努力しているからそういうものが来ないということじゃありませんから。  そうしますと、また元のジオポリティクスに戻るんです。その場合は、結局、日本という国は海洋を支配しているアングロアメリカ世界とがっちり組むと。すると、ほかのアジア諸国が相当な混乱とか飢餓が起きるかもしれないんですね。だけど、その場合、日本国民を犠牲にしてほかの国を助けるという、これだけはできないですね。これ、やっぱり日本国民だけはどうしても守らなきゃいけない。そのためには結局、同盟の基本に戻っていくわけです。  その間、おっしゃったとおり、環境外交中国を国際社会に引き入れる外交、これが必要なことはそれは間違いございません。幾ら努力しても成功するかどうかは、これ保証の限りございません。これをしているから日本国民の安全を考えなくていいというものじゃございません。  ということでございます。
  66. 西田吉宏

    会長西田吉宏君) どうもありがとうございました。  予定の時刻まで少々ございますが、ほかに御発言の方はございますか。──ないようでございますので、それでは質疑はこの程度にさせていただきたいと思います。  両参考人一言お礼を申し上げたいと思います。  長時間にわたりまして大変貴重な御意見をお述べをいただきまして、おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。心から代表して厚くお礼申し上げる次第であります。ありがとうございました。(拍手)  お二方のますますの御活躍を御祈念を申し上げまして、本日のお礼の言葉とさせていただきます。ありがとうございます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十四分散会