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2006-06-05 第164回国会 参議院 行政監視委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年六月五日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月二十九日     辞任         補欠選任      蓮   舫君     大塚 耕平君  六月二日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     若林 秀樹君      大塚 耕平君     主濱  了君      渡辺 秀央君     大江 康弘君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         荒木 清寛君     理 事                 中原  爽君                 福島啓史郎君                 岩本  司君                 浮島とも子君                 風間  昶君     委 員                 狩野  安君                 柏村 武昭君                 北岡 秀二君                 後藤 博子君                 山東 昭子君                 田中 直紀君                 橋本 聖子君                 松山 政司君                 水落 敏栄君                 足立 信也君                 大江 康弘君                 岡崎トミ子君                 芝  博一君                 主濱  了君                 田名部匡省君                 松岡  徹君                 若林 秀樹君                 福本 潤一君                 吉川 春子君                 近藤 正道君                 荒井 広幸君                 亀井 郁夫君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    沓掛 哲男君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        与謝野 馨君    副大臣        法務副大臣    河野 太郎君        厚生労働大臣  赤松 正雄君        環境大臣    江田 康幸君    大臣政務官        環境大臣政務官  竹下  亘君    事務局側        常任委員会専門        員        西澤 利夫君    政府参考人        内閣官房郵政民        営化推進室内閣        審議官      吉良 裕臣君        内閣府政策統括        官        林  幹雄君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      伊東 章二君        警察庁交通局長  矢代 隆義君        金融庁総務企画        局参事官     山崎 穰一君        総務省行政評価        局長       福井 良次君        法務大臣官房審        議官       三浦  守君        厚生労働大臣官        房審議官     岡島 敦子君        厚生労働大臣官        房審議官     黒川 達夫君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        厚生労働省政策        統括官      太田 俊明君        社会保険庁長官  村瀬 清司君        社会保険庁運営        部長       青柳 親房君        環境大臣官房審        議官       黒田大三郎君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    由田 秀人君    参考人        日本郵政公社理        事        藤本 栄助君        預金保険機構理        事長       永田 俊一君        日本郵政株式会        社執行役員    白川  均君        日本郵政株式会        社執行役員    高橋  亨君        日本郵政株式会        社執行役員    伊東 敏朗君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関  する調査  (行政活動状況に関する件)     ─────────────
  2. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月二十九日、蓮舫君委員辞任され、その補欠として大塚耕平君が選任されました。  また、去る二日、大塚耕平君、小川勝也君及び渡辺秀央君が委員辞任され、その補欠として主濱了君、若林秀樹君及び大江康弘君が選任されました。     ─────────────
  3. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会政府参考人として、理事会協議のとおり、内閣官房郵政民営化推進室内閣審議官吉良裕臣君外十四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会参考人として、理事会協議のとおり、日本郵政公社理事藤本栄助君外四名の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。  本日は、行政活動状況に関する件について質疑を行うことといたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 自由民主党福島啓史郎でございます。  今日は竹中大臣地方自治地方財政につきましてお聞きしたいと思います。  実は私、昨日、山口県自由民主党県連大会がありまして、知事あるいは首長さん、いろいろお会いしたわけでございますけれども、口々に地方財政の非常に厳しさを訴えておられました。また、五月の三十一日には地方自治危機突破大会が開催されました。  竹中大臣は、金融財政、また経済担当大臣としまして不良債権処理日本経済復活に向けて手腕を発揮されたわけでございます。また、今後の経済運営におきまして成長を重視すると。私も全く同感でございまして、成長を重視しなければ財政再建も遠のくわけでございますので、成長重視経済運営が重要だということでは認識を共有しているところでございます。しかしながら、この地方自治に関します政策につきまして、竹中大臣地方自治のあるべき姿あるいはその方策が明確に伝わってこないうらみがあるわけでございます。  今日はまず、竹中大臣に、地方自治のあるべき姿及びそのために必要な方策につきまして、まずお考えをお聞きしたいと思います。
  9. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 冒頭に非常に包括的な重要な御質問を賜りました。ありがとうございます。  地方自治、特に地方財政が大変厳しい状況に置かれていると、私も総務大臣を拝命して七か月、もう様々な声に接しております。そういう中で、私たちとしては地方を正に、私は、地方でできることは地方で、分権に終わりはない、改革に終わりはない、その中で地方の自由と責任自立、自由、責任自立というのがやはり目指すべき一つの姿、キーワードであろうと思っております。  そういう中で、総務大臣として一体どういう政策を進めていくべきかというふうに考えましたときに、さきの三位一体改革、これはもういろいろ先生方にも御尽力を賜りました、そしていろんな御議論を賜りました、いろんな御批判があるということも承知をしております。しかし、土俵を限って、補助金改革、そして税源移譲交付税改革という土俵を限って、とにかくこれまで何十年も動かなかったものを動かすというところにようやく来た、それを引き継いで地方分権考えますときに、やはりより長期地方分権のあるべき姿を見据えながら今やるべきことをやっていくということに是非踏み出さなければいけない、そのような非常に強い思いを持っております。  そうしたことから、懇談会、これ総務大臣の私的な懇談会をつくりまして、専門家の方々に十年後の分権の姿を見据えながら今何をやるべきかということの議論最終段階に差し掛かっているところでございます。  これ、あくまでも一つ懇談会でございますから、ここは何かを決定する場ではもちろんございません。私自身にインプットいただいて、そして私自身はこういう政策を取りたいということを、その試案、試しの案につきましては、先般、経済財政諮問会議報告をさせていただいたところでございます。  重要な点は、これはパッケージでやらなければいけません。何か一つのことを、二つのことをやって、それで地方分権ができるという問題ではないと思います。まず、国と地方関係を明確にするための分権一括法のようなものの根本的な議論をする、そしてその中で自立のための税源移譲等々も行う、そしてさらには、交付税在り方そのもの地方の自由と責任がより明確になるような形での新型交付税に着手して、これ一気にやるのは現実的ではありません、しかしそういうものに着手しながら、それをパッケージで動かしていく、そういう姿を目指さなければいけないと思っております。  最終報告は間もなく出ますし、また引き続きいろんなところで私自身考えを述べさせていただくつもりでございます。
  10. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 今、竹中大臣からいわゆるビジョン懇地方分権二十一世紀ビジョン懇談会報告書(案)のお話がありました。今言われました自由、責任自立、私は非常に重要なことだと思っております。  このビジョン懇につきまして、今言われました経済財政諮問会議で説明されたわけでございますけれども、必ずしも反応がかつての竹中経済財政担当大臣のときと比較しまして、特に民間関係委員から必ずしも全面的な賛成ではなかったんではないかというふうに聞いているわけでございますけれども、このビジョン懇のねらい。さらに、三位一体の次なるステップを目指してこれは骨太方針に反映させていかなきゃならないわけでございますね。この骨太方針につきまして、このビジョン懇見解とそれから経済財政諮問会議での議論というのは必ずしも一致、これもこれから一致させていかなければならないわけでございますけれども、少し意見が食い違っている面があるように思いますけれども、その点を含めてこのビジョン懇のねらいなどについてお聞きいたしたいと思います。
  11. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、ビジョン懇のねらいでございますが、先ほど申し上げましたように、三位一体改革を踏まえて、より長期的な観点からあるべき地方自治の姿を、分権の姿を描く、そしてそれに向けて長期の工程を頭に置きながら今何から手始めにやっていかなければいけないか、そのプロセスを明確にしたい、そのための行政責任者に対するインプットをしてもらいたい、それがこの懇談会のねらいでございます。  実は今委員、先般の諮問会議での様子について御言及をくださいました。ちょっと新聞の報道でどのように行われていたのか、改めて確認はいたしますが、実は私が提案をしまして、そのとき同じく民間議員ペーパーが出されております。実は、書かれていることはほとんど一致しております。その意味では、改革方向性については、私は民間議員方向とほぼ一致しているというふうに認識をしております。ちなみに、民間議員の一人であります本間先生はこちらの懇談会のメンバーでもいらっしゃいますので、そういうことからも、方向はある種当然一致するものだというふうに思っております。  ただ、この議論というのが、極めてやはり今の難しい地方財政制度をどう変えていくかということで、技術的、専門的なことがございます。そういう意味では、これがなかなか報道等を通じて国民に伝わらないというもどかしさを感じております。これは今後地方財政議論していくときの非常に重要なボトルネックになるのかなと思います。  ちょっと余談で恐縮でございますが、昨日、初めて道州制についてのタウンミーティングを行わせていただきました。大変熱心に多くの方が御参加くださったんですが、実は質問された、挙手をして質問された方の三分の二は公務員の方でした。それだけ公務員にとってはこの問題、大変よくある種の理解を踏まえて関心があるんですけど、一般の方がどうも分かりにくいと。交付税基準財政需要新型交付税というふうに申し上げても、一般の方はなかなかやっぱり難しい、分かりにくいのだと思います。  そういう点を踏まえた私たちのやはり積極的な情報の公開、周知を含めた政策論議を展開していかなければいけない、そのようにも思っております。
  12. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 それで、そうした議論国民関心を呼ぶ上で重要な点は情報開示だと思うわけでございます。  で、このビジョン懇にもありますけれども、何事も現状把握することが重要であるわけでございまして、このビジョン懇情報開示指摘評価するところでございますけれども、今まではどちらかと言えば、この情報開示フローの面、それも自治体のみのフローの面だけだったわけでございます。しかし、私は重要なのはストック情報開示ではないかと思うわけでございます。それで、そのストックも、言わば第三セクター含めた、会社で言えば連結ベースでのストックバランスシート作成すべきだと思うわけでございます。  そうしたときに、例えば、私は心配するわけでございますけれども、例えば大阪市など、第三セクター含めたバランスシート債務超過になっているんじゃないかという、そういう心配もしているところでございます。  この第三セクター含めた連結ベースバランスシート作成し、債務超過であれば再生スキームを作らなきゃならないところですね、自治体の。これは、アメリカでも連邦破産法は州の承認を得れば自治体にも適用される、現にその実例もあるわけでございますけれども、こうしたストックベースでの情報開示及び再生スキームについての竹中大臣見解をお伺いします。
  13. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ストックベース情報把握開示が必要だという福島委員の御指摘は、もう全く私もそのとおりであると思います。そもそも、自由、責任自立、それ、どれを取っても、こういうストックベースの事態の把握なくしてそれはあり得ないわけでございます。当然のことながら、責任議論するときにはそのストックについての責任、まあおっしゃった破綻法制と呼ぶか再建法制と呼ぶかはともかくとして、そういったものについても、先ほど申し上げましたようなワンパッケージ議論をしなければいけない状況になります。  実は、公会計公的機関会計についてストック情報把握開示というのは、やっぱりこれは遅れておりました。国についても、これは約五年間掛けて整備をして、国のバランスシートはある種一つですけれども、その一つバランスシートを、ストックのを作るのに五年掛けておるわけですね。これを千八百の自治体全部についてやるというのは、実はちょっとなかなか大変な作業でございます。しかし、これはどうしてもやらなければなりません。  実は、地方公社、第三セクターを含む地方バランスシートにつきましては、十七年九月にその作成モデル提示をしております。そして、都道府県政令指定都市に対しまして作成公表を要請しまして、十七年度末までに、つまりこの三月ですね、今年の三月に全都道府県政令指定都市でようやく公表済みになったという段階でございます。まあ都道府県政令指定都市ですから、ある程度の規模のところはこれで公表されたことになりますが、これを市町村に広げるということが重要になってまいります。  そこで、これも実はパッケージでやらなきゃいけないと私が先ほど申し上げましたうちの行革地方行革の中に入っているんですけれども、連結バランスシートを含めた財務書類整備について、本年四月に、これも総務省の中に新地方公会制度研究会を設置をしまして、そのような観点から先般、非常に急いで専門家報告書を取りまとめをいただいております。  この報告書では、連結バランスシートを含めた財務書類の、財務諸表の体系的な整備を促進するために、原則として国の作成基準に準拠しながら、そして現在の総務省方式の活用も含めまして、二つ作成モデル提示をしております。そして、おおむね三年程度を目途に、連結バランスシートを含めた財務書類整備するように要請してまいりたいと思います。国の一つバランスシートを作るのに五年掛かったわけですが、我々は千八百を対象に是非三年で実現したいと思っております。その際も、基準を明確にして、地方自治体にそんなに大きな負担が掛からないような形で、現実的な形で是非その公表を目指すつもりでございます。  あわせまして、正に債務超過云々というお話でございますが、実は今の再建制度、あるわけですし、再建制度、それなりに役割を果たしてきたんですが、実は委員指摘のとおり、これフロー概念だけなんです。ストック概念がございません。このストック概念を含めていわゆる破綻制度をどうするかということについてもこの提言の中に盛り込まれております。  これ、まあ破綻と言うとどうしても誤解があるんですけども、一般の企業のように清算型の破綻というのはこれはあり得ません。行政サービスをやるわけですから、すべて再建型です。すべて再建型でやらなければいけない。その場合に、破綻という言葉を使う方が良いのか悪いのかという議論も含めて、これはいろいろ議論を賜りたいと思いますが、心はやっぱりストック概念をしっかり入れたいということと、もう一つ破綻しちゃいけないわけです。したがって、そうならないように、ストック指標も含めて、早期是正と言いますから、予防の措置をしっかりとその中に組み入れているということが重要であるというふうに考えております。  そういった点も含めて、是非、正にパッケージでこの体制整備を図りたいと考えております。
  14. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 是非連結ベースで三年以内に作るように、強力なる指導をお願いしたいというふうに思います。  次に、地方財政交付税についてお聞きします。  地方財政計画、これは全体の地方自治体財政計画でございますけれども、特に十五、十六、十七、十八と毎年減少をしております。十五年は約一兆四千億、十六年が一兆五千億、それから十七年が九千億、十八年が六千億の縮減になっております。もちろん、地方単独事業等見直し等を反映したもの、これは合理性があるわけでございますが、しかし毎年大幅な減になっていると。特に、地方交付税について見ますと、十五年が一兆五千億、それから十六年が一兆二千億の減になっているわけでございます。この特に十五、十六、特に十六年の、十五、十六と二年にわたる二兆を超えるこの縮減地方自治体に大変なショックを与えているわけでございます。  三位一体改革の言わば休戦協定がこの十八年で終了するわけでございますが、十九年以降に向けて、先ほどの危機突破大会など、各自治体の長は、首長さんは、このままでは最低限住民サービスもできなくなるという危機感を持っております。あらかじめ削減ありきの交付税見直しについて強い危機感を持っているのに対しまして、担当大臣として、竹中大臣、これにどう対応するお考えなのか、まずお聞きしたいと思います。
  15. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 地方交付税は言うまでもなく地方固有財源でございます。財源として見る限り、地方固有財源でございます。そして、支出項目として見る限り、これ就任以来、もう様々な立場で私は主張させていただいているんですが、これは中間的な支出でございます。地方には地方社会保障支出があり、公共事業支出があり、人件費支出があり、そういうものが最終支出であって、国から地方への移転的な中間支出、それをターゲットにして削減ありきという議論政策論としておかしいと、政策論たり得ないということをこれは閣内でも私は一貫して主張してきております。  なかなかこれ、御理解いただけない面もあるんですが、ようやく、私は地方財政、よく社会保障が重要な項目であると、そして地方財政が重要な項目である、人件費が重要な項目であるというふうに言う方いるんですが、私は社会保障地方財政を横に並べること自体が間違っているんだということを申し上げてきたつもりです。なぜならば、地方財政地方の中には社会保障があり、公共事業があり、人件費があり、そういう中で、ようやく、私が申し上げたような中間支出であるということは閣内でもようやく理解されつつあるかなというふうに思うんですが、それでもやはり地方財政に対して私が懸念するような見方、交付税削減ありきのような議論が残っているということについては私も大変危機感を持っております。そういう危機感地方自治体から見た非常に大きな不安になっていると思います。そもそも、仕組みを変えるということと総額をどうするかということは本質的にはこれ違う話なわけですけれども、にもかかわらず、これが混同されて非常に大きな不安が地方自治体にはあるというのが現状であろうかと思います。  重要な点は、これは、歳出削減はこういう財政状況ですから国も地方努力をしなければいけません。歳出削減には努力は必要ですが、それはあくまで国と地方が納得いく形でやっていただかなければいけない。福島委員も言われましたように、成長は結構であると。成長の結果、税収が上がって、地方税収が上がって、結果として中間支出であるところの交付税を削ることができるような状況が来るんであるならば、それはそれでもちろん悪いことはないわけです。しかし、議論が逆転するような、まず交付税削減ありきというような議論にならないように、閣内でもこれ、強力に主張を私自身としてもしていきたいと思っております。
  16. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 そのためにも、地方自治サイドに立った言わば社会保障等制度設計についての意見をやはり総務大臣としても述べることが私は重要だと思うんで、そうした御努力をお願いしたいというふうに思います。  また、交付税自体もいろんな問題が私はあると思っております。例えば、これは自助努力をして歳入を増やしてもその七五%は言わば差っ引かれるということで、自助努力分は二五%しか自分のところに返ってこないわけですね。そういう言わば差額補てん的な仕組みでいいかどうかという問題がまずあります。  それから二番目には、特に森林等面積を抱えたところ、森林面積等交付税評価の配分の単位にしてくれという年来の強い主張があるわけでございます。  また、国の関与を減らした場合、国の関与縮減した場合の住民サービスがその分、財源として与えられた財源が本当に住民サービスに回っているのか、最低限住民サービスが確保されているかというチェックをどういうふうに今していくかというような問題。  さらに、不交付団体を増やしていくということがこのビジョン懇でも出ておるわけでございますけれども、そうすれば私は水平的な再配分というのを考えざるを得ない。ドイツでもやっているわけでございますが、私は地方消費税というのはその一種の水平的配分の例ではないかと思うわけでございますけれども、そうした水平的配分をやることを考えていかなければならないかと思いますが、そうした交付税制度の論点についての御見解をお伺いいたします。
  17. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 交付税については様々な論点が本当にあると思います。今、そのうちの重要な部分を委員指摘くださいましたわけですけれども、これ、総務大臣としてこの問題に向き合ってどのように解決していくかということをずっと議論してきた中で、今の時点での考え是非申し述べたいと思うんですが、私は、やはり今の地方分権の最大の問題は、一つ行政サービスが、これが国の仕事なのか地方の仕事なのかよく分からないと、非常に多層的になってあいまいになっていると。国が様々な関与基準付けを行っている、そういうものが非常にあふれているという、これがやっぱり私は問題の本質であろうというふうに思います。  結果的に見ますと、国が関与して基準付けを行っているから国がある程度財政的にもそれを基準財政需要という形で面倒を見る仕組みになっている。それが不幸なことに、一部の自治体では、面倒を見てくれるんだからということで地方行革の遅れ等々に、一部の自治体ではあるけれども、やっぱりつながっていろんな不信を招いている。私は、やはり国の責任、国が責任を負うところは国が責任を負う、地方責任を負うところは地方責任を負う、そういう形をしっかりとつくっていくということがこの改革の私は本質だと思います。  であるからこそ、先般のその懇談会でも、新分権一括法、これをやはり議論しようと。三位一体改革を踏まえて、国と地方の役割分担、関与の在り方、それと負担の在り方を抜本からもう一度見直す新分権一括法をまず議論しようと、そういうところから私は交付税改革が始まらなければいけないと思っております。  その上で、やっぱり国の関与をなくしていくわけですから、国の関与をなくしたところについては、ない部分については、これは各地方自治体で一定額の一般的な財源が必ず確保されるようにして、それが要するに標準的な満たすべき歳入ですね、それを確保するような形で、そこで自由度を持っていただく、自由度を持っていただくから責任も持っていただく、そういう仕組みに変えていくことであろうかと思います。  実は、分権一括法議論は必ずやらなければいけない。これは各省間違いなく反対意見が出ると思いますが、総務大臣としては是非これを推進したいと思います。  ところが、一方で、気が付いてみますと、今、国の関与付け、義務付けが行われていない部分が今でもございます。これ、論者によって一割だという人から二割、三割だという人までいろいろいらっしゃいますが、この関与付けのない部分については、これを先行して、私が申し上げるところの新型交付税という形で、人口や面積等々分かりやすい基準で一定額の歳入を保障するという形に切り替えていくことが考えられるのではないかと、そのように実は考えているところでございます。  もちろん、これ、単純に面積、人口というと、面積の大きい北海道はいいけれども面積の小さいところはどうなるんだという議論になるわけでありますけれども、これは現実的に制度設計段階でクリアしなければいけない問題であろうかと思います。  税源移譲等々、将来的には水平的な調整も必要になるのではないかというお話がございました。  私は、将来の問題としては御指摘のような問題を考えなければいけないと思います。ただ、いろんな改革を通して思うのは、やっぱり大きな方向を決めるのが先なんです。そして、大きな方向を決めた上で、方向を決めるからこそ詳細な制度設計議論に私はなっていくんだと思います。どうしても不安がありますので、必ず制度設計議論がぱあんと頭に浮かんで、それで非常に議論が混乱する場合があるんですが、私は、今委員おっしゃった最後の部分というのは非常に制度設計の重要な部分だと思います。  まず方向議論する、そして方向が決まった段階で今度は責任を持って現実的な形で制度設計を行っていく、私は制度設計はそういう方針を取れば必ずできると確信をしております。  現状認識は以上のとおりでございます。
  18. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 制度設計の前に方向が重要だというのは、私は全く同感でございます。  それで、先ほど権限一括配分法を考えておられるというお話でございました。  たしか平成十一年ですか、第一次の地方分権一括法出たわけでございます。私もそのころ役所におりまして、それに携わったわけでございますけれども、今非常に議論を呼ぶわけですね。私は、むしろそういう議論にエネルギーを割くよりも、あらかじめ全部地方の事務とする、つまり、全部というか、もちろん外交とか安全保障とかを除きますけれども。つまり、道州制を、例えば五年以内に道州制を実施するんだという方針を法律で決めれば、そのことは要するに権限はおのずからもう道州に行くわけですね。つまり、そこでどの権限を残すかというような非常に時間の掛かる議論はなくなるわけでございます。もちろん、基礎的自治体であります、基礎的自治体と道州との間の権限等の配分の問題はありますけれども、人材と財源とそれから権限は相当程度道州に移行される、移管されるわけでございますので、その摩擦が私は少ないわけでございます。  したがって、正に大筋を示すべきだ、これはむしろ政治的な決断だというふうに思いますけれども、道州制を要するにやるんだということを明確に打ち出すことが私は望ましい方策だと思うわけでございます。  このビジョン懇の冒頭にもありますけれども、私は全く同感なんですけれども、要するに欧米に追い付け追い越せという時代、これは正に中央集権が効率的だと思います。しかし、それを達成した後、私は、価値観が多様化しているわけですね、さらに目標が多様化している。そういうときには、多様なアプローチを許す仕組み、多様なアプローチを許し、かつその中で競争していく、それが私はこれからの行政、政治の在り方ではないかと思うわけでございます。これは、ちょうどヨーロッパで、拡大EUで、国家よりもリージョナルなアプローチということが重視されるのとまさしく同じだというふうに思うわけでございます。  したがいまして、政治としてこの道州制を打ち出し、それに沿った制度設計を更に進めていくという方策が、今の分権一括法のアプローチよりも、私は、何といいますか、摩擦が少なく、かつこれから正にこの五年、十年でやらなきゃならないことだというふうに思うわけでございますが、その点についての大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  19. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、後半で委員がおっしゃった多様な価値観を容認して実現する制度こそが成熟した市民社会の方向である、これはもう全く私もそのとおりであると思います。  民間でできることは民間で、地方でできることは地方でというのは、要は現場を信じて現場に任せると、そういうことだと思います。そこに多様な価値観があり、多様な工夫があり、成熟した市民社会にふさわしい制度が実現していくということだと考えております。  それとも関連いたしますが、分権一括法との関連で、これ全部地方でやるということを原則にしてはどうか、また道州制の推進法のようなものを念頭に置いておられるのか、これを期限も含めてしっかりと位置付けてはどうかと。  私は、分権一括法というふうに申し上げたのは、実は同じようなことで、地方六団体の検討委員会地方分権推進法というふうな言い方をしておられます。考えていることは、要するに抜本的に国と地方の役割分担、権限を見直せということで、まあ気持ちは同じなんだと思いますが、その見直すときのやり方としては、道州制を並行して議論しながら議論するというのは当然あり得ることだと思います。また、原則地方だというような議論の立て方から、それでいてどうしても必要なものを国がやるというような議論の立て方というのも、これは私は議論の仕方の問題としては当然あり得るのだと思っております。  ただ、いずれにしても、そういうことを議論するという方向をやはり決めることが重要なのではないかという思いでございます。  それと、道州制に関しましては、これが適切な方向であるという地制調の答申をいただいておりますが、同時に、その答申の中には、しかしこれは国民的な議論が必要だと、国民的な議論をしっかりやれという答申もいただいております。  私は、是非総務省としてはこの国民的な議論をしていただくための場の設定を含めて、しっかりと工程を議論しなきゃいけないと思っておりますが、その進捗を見定めながら、国民的な議論の高まりを見ながら、今委員指摘のようないろんな問題に判断をしていくということが必要ではないかと考えております。
  20. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 要するに、明治維新は実質的には私は廃藩置県で始まったと思っております。大臣の廃藩置県、これは廃県置州だと思います。道州制によって日本を改革していく、その方針是非竹中大臣打ち出していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  21. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 福島議員の後に続きまして、自民党の橋本聖子でございます。引き続き質問をさせていただきたいというふうに思います。  沓掛大臣そしてまた竹下政務官、本当にお忙しい中お越しをいただきましてありがとうございます。幾つかの問題に絞って質問をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  先週から大変マスコミも取り上げて話題になっている一つが、六月一日から始まりました違法駐車の取締りの強化ということでありますけれども、ちょうどこの民間委託といいますか、されましたその六月の一日に、議員会館を出発いたしまして、銀座を通って、ちょうど東雲の方に、勝どきですね、奥の方に、奥と言うと申し訳ないですけど、に行きました。そうしましたら、いつもの往復の時間の半分ぐらいだったんです。  やっぱり、いや、すごいなというふうに、運転する側の自分自身の立場を考えれば、これからは大変だなというふうに思ったり、そこを通過をすることを考えると、特に銀座なんかは、本当に恒常的に渋滞をしている地域というのは大変なスムーズな状況になったなということで、この違反取締りが強化をされたということがこんなにも違うのかなというふうなことを六月一日は特に実感をした日だったんですけれども。  ただ、この違法駐車の取締り強化によっては、例えば宅配の業者、そしてまた駐車運営会社との法人契約を結ぶということがあったり、また一人だった乗務員をやはり二人にして、取締りに対してはもう大変なコストアップを余儀なくされているというような、そういうような実態もあるという報告を受けておりますし、また実際に、マスコミ等でも、そういった住民の皆さんや、また業者の皆さんが大変なこれから問題を抱えたというようなことをクローズアップされているのを目にしているわけなんですけれども、ただ一方では、郵便物の集配車、公益性などに配慮して駐車や進入禁止などの規制から除外することが各都道府県の道路交通規則などで定められているわけですけれども、さらには、宅配便と競合するゆうパックは違法駐車取締り除外対象になっていますが、宅配業者からは不公平だというような声も上がっているというようなことがあります。  これについて、まだまだいろいろな課題があるかなというふうに思いますけれども、現段階ではどのようなお考えをされているのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
  22. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) お答え申し上げます。  現在、郵便物の集配車、バイクあるいは四輪の車でございますが、一定の交通規制、これは通行禁止ですとかあるいは駐車禁止でございますが、除外されております。  これは、郵便物の集配に関しまして、従来郵便事業が国営であり、またこれが国営の公社に引き継がれているということ、そして、郵便物が全国あまねく公平に低料金で配達されるなど、郵便が国民にとって重要な通信手段と位置付けられてきたこと等を踏まえましてこのような措置を講じてきたものでございますが、今後、郵政の民営化が進められるということでございますが、これに伴いましてこれらの車両の扱いをどうするかということにつきましては、この郵便事業の公益性を考慮しつつも民間事業者とのイコールフッティングの確保を図る必要があると考えておりまして、具体的にどのような範囲でその郵政事業の民営化後、その使用車両についての除外規定を存置するかどうか、これにつきましては、関係機関や関係者の方々の意見を今聞いているところでございまして、今後、民営化後の郵便事業株式会社の事業の形態を見極めながら判断してまいる考えでございます。  ただ、宅配業者との関係でございますが、見直しの方向として、現在、改正道路交通法の、ただいま御指摘いただきました施行に伴いまして、都市部のある一部におきましては駐車の取締りを強化する方向でございまして、したがいまして、イコールフッティングということでこの宅配事業者の車両についても除外を認めるなど、この規制の対象から除外する車両を広範に認めるということにつきましては、これは駐車秩序の維持の観点からは困難であると考えております。  私ども、ただ、駐車規制そのものにつきましては、この事業が日々の業務に支障がないようにということで、二年間掛けまして規制の見直しをしてまいりました。全国で十八万キロメートルほどの道路におきまして駐車規制を行っておったわけでございますけれども、二年間掛けまして見直しを行いまして、様々な方々の意見も踏まえまして八・五%ほどの分につきましてはこれを解除し、あるいは緩和する、緩和するといいますのはある時間帯は認めるということでございますが、このような措置を講じてきておりまして、したがいまして、実態を踏まえました、業務に支障のないような形での運営ということは考えておりますが、イコールフッティングということでございますと、ただいま申し上げましたようなふうに考えているところでございます。
  23. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 ありがとうございます。  今、十八万キロに及ぶ調査ということを二年間掛けてしていただいたということですけれども、一点、ちょっと確認も含めてお話をまた再度お聞かせいただきたいんですけれども、介護事業者また福祉の関係者の方たちからは、やはり歩行困難なお年寄りや障害者を送迎、そしてまた介助する場合は取締り対象外にできないかというような声が上がってきておりますし、又は病院ですとか又は保育園、こういった場所はやはり生活や業務に影響が大きい場所としては配慮をできるだけしていただきたいというようなこともありまして、こういったことは、やはり警察として関係機関、市民の意見や要望、これを、わがままでは良くないわけでありますけれども、場所や地域、時間帯というようなお話がありましたけれども、やはり弱者に対しての配慮、そしてまた子供たちの安心や安全ということを考えた中でも、是非これからも市民の意見というものを、また地域性というものをかんがみて考えをしていただきたいなというふうに思うんですけれども、その点についてはどのようなお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  24. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) お答え申し上げます。  現在、介護保険法に基づきます都道府県知事の指定を受けました訪問介護事業者、あるいは健康保険法に基づきまして厚生労働大臣の指定を受けました訪問看護事業者等の方々につきましては、これは駐車をしようとする場所を管轄する警察署長におきまして申請に基づき駐車許可の措置をとっております。これは駐車の禁止がされているところでありましても許可があれば駐車できるということでございます。また、駐車禁止規制自体の見直しにつきまして今申し上げたとおりでございますが、このようにこの駐車禁止規制の見直しや、あるいは駐車禁止の許可あるいは除外等の措置を講ずることによりまして、真に駐車が必要な車両につきましては駐車が可能となるように配慮することは必要なことでございまして、まずそのように考えております。  それで、今後この今の新しい駐車取締りの制度が定着していく中で、現在の制度によりまして除外等の措置の対象となっております車両以外のものにつきましても、あるいは以外の形態のものにつきましても、現実に問題となるものがあるのであれば、これは関係者から業務の実態とその必要性につきまして十分お伺いいたしまして、除外の措置その他何らかの措置を講ずる必要があるかどうか、これにつきましては検討してまいりたいと考えております。
  25. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 ありがとうございます。  今、申請に基づいてそういった弱者、障害者また介護事業をされる方につきましては各管轄の警察署が申請に基づいて許可を出しているということなんですけれども、実際には、今の段階でですけれども、なかなか、障害者の方たちもこのシステムにまだ慣れていないというせいもあるかと思いますけれども、申請をしてもなかなかそれが厳しいんだというようなお話も直接聞いておりますので、柔軟な対応だけではこの問題というのは進まないかというふうに思いますけれども、是非そういった方々の意見も聞いていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  今お話しさせていただきましたように、この制度のまずねらいというのは、やはり違法駐車による事故や迷惑駐車をなくするということと、次に民間委託によって警察官をその分犯罪捜査に集中させるためなんだというふうに思います。交通ルールの合意形成というのは町づくりの一環でもあると考えますけれども、取締りの必要性を住民に対してよく理解をされることが私はまず一番大切なことではないかなというふうに思いますし、また警察官は、一定期間後にやはり事故防止などの成果というものを公表をしていく、そしてまたその公表することによって理解を得るようにしていくことが必要なんではないかなというふうに思います。  入札で七十四法人の約千六百人が今駐車監視員になって、初年度の委託料は約八十億円という報告といいますか、金額をお聞きしたんですけれども、これによって警察官が五百人分労力が減らされるということですから、この点についても、その分、やはり今子供たちの例えば取り巻く環境というのが大変な状況になっているというようなことを考えますと、今この現段階で五百人分、八十億円という部分がほかの捜査に対して、住民の、国のこの安心、安全というものに対しても目が向けていけるようになっているんではないかなというふうにも思いますときに、やはり一定期間後に市民への対応や事件の解決などにどのぐらいの成果が上がったのかというようなこと、そしてこの民間委託をした違法駐車というものがどれだけ良かったのかというようなことを、やはり日ごろから警察の皆さんはそれだけ地域のために頑張っているわけでありますので、そういうようなことも公開をしながら理解を求めていくということが必要なんではないかなというふうに思いますけれども、当然そういったことは公表していく、段階を追ってやっていくんだというふうに思いますけれども、現段階ではそれに対してどのようなお考えをお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
  26. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 橋本委員指摘のとおり、この六月一日から民間の駐車監視員制度が導入されたわけでございますが、橋本委員もその日いろいろ車で実地をごらんになったということですが、私も六月一日の朝、ずっと通ってみました。確かに通過するという立場に立つと大変いい制度だなと思いますが、今委員も御指摘のありましたように、沿道施設を利用する立場に立つとまたいろいろな問題もあるんだなという両面の面があるというふうに思います。  何はともあれ、この制度は、今年の三月でございますか、二年間掛けまして駐車禁止区域をいろいろ見直し、そしてそれを実施するに当たって、今御指摘のように犯罪が多発いたしておりますので、そちらの方に警察官を充当していくとなると、なかなかこの交通駐車規制に回せる人も限界がございますので、そこで民間の方々の協力を得ようという形でこの民間の駐車監視員制度が導入されたわけでございます。  私、各監視員の方々と接触してまいりましたけれども、これに携わるためには監視員の資格を取得することが必要ですので、またそれから訓練も必要でございますので、皆さんかなり充実して実施をよく分かっておられるというふうに思いましたが、初日ですからかなりの皆さん緊張感もございました。しかし、これからこの制度国民の間に根付かしていくためには、今委員指摘のとおり、個々のいろいろな問題がございますので、そういう問題について的確に公表あるいは効果を測定したり、全体としてどうなるのか、そういうものを見極めながら、そしてそのことをまた国民公表しながら、そういう直すべきところが必要が出てくればそれを適切に直しつつ、この制度国民全体に喜んでいただける、元々交通政策というのは、都市の国民生活を向上させ、あるいはまたその経済活動を活発化させていくためのものでもございますので、そういう大きな目的が達成することがうまくいっているのかどうか、そういうことも見極めながら、必要あればまたその見直し等を的確に行っていきたいというふうに考えております。
  27. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 ありがとうございます。  初日というのは、特にいろいろなシステムのトラブルもあったようで、民間委託を受けた方たちも大変な緊張感の中で行われているんだなということをマスコミの報道を見ても感じたわけでありますけれども、特に都市部では、交通事故や渋滞の原因となっていることによって、もし万が一その駐車が違反がされていなければ、一分一秒の命というものの争いの中で、救急車が少しでも早く病院に行けたのにというようなことがよくあるというふうに聞いておりますので、そういった緊急車両、そしてまた交通弱者の通行というものを妨害するような弊害というのは、これはもう絶対になくしていかなければいけないことでありますので、取締りと併せて、違反をさせないためのやはり基盤整備、そしてまた、住民のやはりそういった意識の改革というようなものにも併せて啓発活動というものを行っていただきたいなというふうに思っております。  そしてまた、宅配業者等につきましては、やはり住民の生活というものがありますので、是非、これはまた少しずつ進んでいく中で、地域の声ですとかそういったシステム上の不具合があるようであれば、住民やまた業者のわがままということは別にいたしまして、是非いろいろな考え方を示していただきたいなというふうに思います。  とにかく、今いろいろな事件が多発しておりますし、またこういった中で、こういう今までほかの犯罪捜査ですとか、いろいろな安心、安全を守るために警察官の皆さんがそういったところに力を注がなければいけない部分をこういう民間委託をすることによって安心、安全がほかの面でしっかりと守られていくということは、もう大変なすばらしい私はことだというふうに思っております。  特に、私自身の主人も警察官でありますので、そういうようなことは理解をしている一人だというふうに思っているんですけれども、是非こういったいい、すばらしい制度というものを、やはり常に、どのように国民の皆さんに、生活の中に反映されていくのか、安心、安全がこのようになってきているんだというようなことをやはりしっかりと時期を見て公表をして、理解を求め、そしてこういったことに対しての意識改革というものも是非進めていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  ありがとうございました。  次、少子化について質問させていただきますので、大臣、結構です。
  28. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) じゃ、大臣、どうぞ。
  29. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 次に、少子化対策について質問をさせていただきたいというふうに思います。  六月中に総合的な少子化対策の取りまとめを目指しているということで、これまで財政再建に向けて歳出削減改革を進める中で、経済的な支援策の拡充など難しい空気があったように思いますけれども、これまで我が国は本当に、少子化対策というものに対してはここ数年は、全力を尽くしてといいますか、かなりの力を注いできたんではないかなというふうに思うんですけれども。  ただ、ここに来まして、先日もマスコミ発表されましたが、合計特殊出生率が一・二五ということで、大幅に低下をしたわけであります。雇用保険から最大一千億円程度を回すというような案も出ているようですけれども、やはり十分な財源の手当てを含めたより具体的な対策を講じるべきではないかな。やってきた割には全く別な数値、一・二五というような数値が示されているということ、これはなかなか、今の若い方たちの意識の変化というのも問題にはなっているようですけれども、政府としてより具体的な対策を講じていくべきという声が多く上がっていますけれども、これについてまずお伺いをしたいというふうに思います。
  30. 林幹雄

    政府参考人(林幹雄君) お答え申し上げます。  今お話ございましたように、昨年の出生数及び合計特殊出生率とも過去最低を記録したばかりではなく、その減少幅も近年になく大きいということで、少子化がますます深刻な状況にあると受け止めてございます。  一方で、少子化対策に関する政府・与党協議会におきまして、これから取りまとめる予定の新たな少子化対策の重要性、これが一層増してきていると考えておりまして、少子化の背景にございます社会意識を見直し、家族の重要性の再認識を促し、また、若い世代の不安感の原因に総合的に対応する必要があるため、具体的には、子供の年齢ごとの様々なニーズや懸念に応じ、総合的、体系的、多角的に少子化対策を立案、推進すること、また、子育ては第一義的には家族の責任であるといたしましても、子育て家庭を社会全体で支援すること、また、全家庭対策として施策を推進すること、保護者の経済力が概して低い乳幼児期の支援の強化等、新たな発想で取り組むこと、さらに、子育て期の家族がともに過ごす時間を増やすことができますように、働き方の見直しや社会の意識改革を図ることといったようなことによりまして少子化対策の抜本的な強化、拡充、転換を図っていかなければならないと認識しておるところでございます。  今御指摘ございましたように、厳しい財政状況下でございますが、関係省庁とも十分に協議、調整いたしながら、必要な財源の確保に努めてまいりたいと考えております。
  31. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 ありがとうございます。  もうちょっと踏み込んでお話を聞かせていただきたいんですけれども、今いろいろな具体的な案を述べていただいたんですけれども、子育て支援や労働の専門家八人で構成をする専門委員会が、十回の議論を経て五月の十五日に提出をしていた報告書、これを見させていただきますと、子育て支援の環境整備されていない現状では経済的支援のみでは子育ての安心感にはつながらないとして、働き方の見直しと地域と家庭の多様な子育て支援をまず取り組むべき課題と位置付けまして、乳幼児手当などはあえて盛り込んでいなかったというような報告なんですね。  施策の実効性と優先順位というのは、これはすごく見極めるのが大切なんですけれども、ここはもう一つは難しい点だというふうに思うんですけれども、この点についてはどのようなお考えをしていますでしょうか。
  32. 林幹雄

    政府参考人(林幹雄君) 今お尋ねございました少子化社会対策推進専門委員会、猪口大臣と八人の専門委員から成るわけでございますが、この委員会では、現在、少子化対策の中心となっております子ども・子育て応援プランに掲げられました三つの検討課題、すなわち、地域や家族の多様な子育て支援、働き方にかかわる施策、経済的支援の三分野を中心に議論を行ったところでございます。いずれも少子化対策として重要であるという認識委員に共通しておりましたが、このうち、地域や家族の多様な子育て支援と働き方にかかわる施策を優先すべきという意見委員が多かったということはございます。  内閣府といたしましても、少子化対策のみならず、男女共同参画推進のためにも、地域の子育て支援サービスの充実や仕事と育児の両立支援と働き方の見直し、これが重要であると考えております。  しかし、また一方で、経済的支援が重要であるとする専門委員もおられ、また世論調査ではほとんどの場合に第一位の要望となっております。さらに、猪口大臣地方各ブロックに出向いていった県知事との政策対話の中でも経済的支援の要望は非常に強いものでございました。  したがいまして、少子化対策としてどの分野を優先的に進めるかというよりは、働き方の見直しや仕事と育児の両立支援の推進、地域における子育て支援サービスの充実とともに経済的支援の充実に関する施策を総合的に展開することが重要であり、これら三分野全体を拡充していくということが重要であると考えております。  今月中の新たな少子化対策の取りまとめに当たりましては、政府として子供を産み育てやすい社会を着実につくっていくという強いメッセージを国民に伝えることができるよう、少子化対策を打ち出せますよう関係省庁と十分に協議、調整しながら進めてまいりたいと考えております。
  33. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 ありがとうございます。  今お話をしていただいた点、本当に重要なことですけれども、ただ、今の若い方たちのいろいろな意識調査、またアンケート調査をさせていただきましたときに、経済的な支援が充実をされた、また働きやすい環境、そして子供を育てやすい環境整備をしていただいた、ただ、じゃ、それだけで子供を産みますかというとそうでもないというようなこともこれは一方であるわけでありまして、やはり子供を産み育てることの喜びというのも同時に分かってもらえるようなまた教育というのも、またそして地域、学校、そしてまた家庭、こういった連携というのも必要なんではないかなというふうに思います。  また、我が党で、女性局が約一万人からのアンケート調査を行ったちょっと一つなんですけれども、いろいろ奨学金制度そして子供が多いほど優遇される税制措置、いろいろな問題がトップを占めているんですけれども、その中で、地域によって、特に地方は産みたくても産めない状況、これはやはり、各都道府県立のような大きな病院であっても、地方に行くと今は産婦人科の先生がいないんですね。また、産婦人科学会の方にお話を聞きますと、訴訟が多いのでリスクを背負うから産婦人科になりたいという若い生徒がいなくなってしまっているというような現状であります。  そういうことを考えますと、これは省庁を超えて少子化対策というものにどう取り組んでいくのかということが必要だというふうに思いますので、是非そういった面も加えましてよろしくお願いをしたいというふうに思います。  今日はどうもありがとうございました。  続いて、時間のない中で恐縮ですけれども、最後に、有害駆除されたニホンザルの有効利用について、これまたちょっとしつこいように思われるかもしれないんですけれども、私、環境委員会にも所属をして、先日もこの質問をさせていただいたんですけれども、そのときの答弁では駆除個体の利用は制限していないということだったんですけれども、これは県のレベルでは明確に利用を禁じているんですね。それで、熊本県に問い合わせをしました。また、熊本県からもお話があったわけなんですけれども、捕獲したニホンザルは安楽死させるように指導があったという回答が来ております。  駆除個体の利用を制限していないと環境省はお話をされました。製薬会社など企業の研究機関、また大学、これは手に入るのであれば欲しいということで、年間一万頭を超える駆除個体をすべて殺さなければいけないということなんですが、環境省が前回示していただいた答弁によるのとちょっと今違う状況になりまして、やはりそのことについてもう一度ちょっとお話を聞かせていただきたいと思いまして。
  34. 竹下亘

    大臣政務官(竹下亘君) 結論から申し上げますと、御指摘のとおり、地方自治体では禁止をしておる自治体があるというのは承知をいたしております。ただ、これは環境省がそうしなさいと言ったわけではなくて、最終的には各自治体の判断によって特定計画などを策定しておると、その中で行われているものと理解をいたしております。  ただ、その背景には、環境省として、鳥獣被害を受けた人から申請がある、あるいはその人の依頼を受けて申請がある場合は、その依頼に関する文書をきちっと確認しなさいと、あるいは審査に当たっては捕獲した個体の処理方法を明確にさせなさいといったようなことを平成十三年一月に通達を出しております。これは目的を偽った捕獲の防止に努めるためというのが大きなねらいなんです。さらに、平成十五年からは省令を改正をいたしまして、捕獲許可申請の際に捕獲後の処置について申請書に記載していただきたいということも書いておるところでございます。  先ほど、熊本にお問い合わせされたという話がございましたが、実は熊本でかつて、被害だということを名目に実験用に大量に取得したという、まあ言葉は悪いですが、不正な事態があったものですから、それは防がなければならないと。ただ、先ほどお話しになりましたように、一万頭から一万三千頭を捕獲しておりますが、すべて安楽死あるいは苦痛を与えない処置をするということになっておることも、現実にはそうなっていることも事実であります。  一方で、実は飼育した猿を実験用に使いなさいということも言われておりますが、今現実には文科省の調べですと三百頭ぐらいが実験用に使われておると。ぶっちゃけた話、一頭三十万円ぐらいが相場なんだそうでございます。外国からアカゲザルを輸入してやりますと、これは輸入一頭五十万円ぐらいするという状況にありますので、それなら捕獲した一万頭を使えないかという利用する側の声が出てくることも当然だとは思いますが。  一方で、特定計画を作る際にいろんな方の意見を聞くわけですが、猿を実験用にするのはかわいそうじゃないかと、捕獲したならやっぱり安楽死させるべきではないかという立場の方の御意見もございまして、そういったものを総合的に勘案をして今、基本指針を作っている作業中なんですが、技術マニュアルの見直しに取り組んでいかなければならないと考えておるところでございます。
  35. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 橋本君、簡潔にお願いします。
  36. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 済みません、ありがとうございました。  もう時間が過ぎました。いろいろ質問を用意させていただいていたんですけど、恐縮ですが、これで終わりたいというふうに思いますけれども、マニュアルの作成について、各都道府県ではちょっとそれぞれの県によって違いがあるというようなこともありまして、是非その中で徹底をした形の中で指導をしていただければというふうに思います。  今日は、済みません、どうもありがとうございました。
  37. 大江康弘

    大江康弘君 民主党・新緑風会の大江でございます。  今日は、こうした場を与えていただきましたまず我が党の岩本理事に本当にお礼を申し上げたいと思います。また、先輩、同僚の仲間の皆さんにもお礼を申し上げたいと思いますし、同時に、委員長や与党の先生方にもお礼を申し上げたいと思います。一時間、時間をいただきました。私は、どうしてもこれを、この問題を実はやりたかったわけでありまして、ずっとお願いをしてきました。今日はそういう機会に恵まれましたので、よろしくお願い申し上げます。  その前にというか、元々聞きたい本題ではなかったんですけれども、まあしかし、社保庁、いろんな問題が起こってきました。ちょっと二点ばかり長官と社保庁にお尋ねをしたいと思いますけれども、まず第一点。この五月の二十二日ですか、東京、大阪、長崎の三つの社保局で、いわゆる不正の免除問題、年金の、こういうことが発覚をいたしました。それからいろいろと、三重が出たりということで大臣も大変御機嫌が悪くなったりということでありますけれども、今日時点でどういうことになっているか、ちょっと状況を聞かせてください。
  38. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) 去る五月二十七日に、厚生労働大臣出席の下、緊急に全国の社会保険事務局長会議を開催をさせていただきました。そして、全国の社会保険事務所において不適正な手続を行った事例の有無、その状況につきまして確認、調査をしております。  その結果、二十六の社会保険事務局管内の百か所の社会保険事務所において約十一万件、特に個々人の申請の意思を確認しないまま承認手続を行った事例が十の社会保険事務局管内で四十三の社会保険事務所においてあったということを、五月二十九日、第一次調査報告書で御報告を申し上げたところでございます。  その後、今回の調査の結果以外に問題事案がないのかどうか、あるいは今回の事案の具体的な全容がどうなっているのかということを徹底的に解明しなければ駄目だということで、現在進行形でございまして、最終数字についてはいましばらくお待ちいただきたいと思います。  また、厚生労働大臣の指示によりまして政務官の下に民間有識者による特別委員会を設置されることになっておりまして、この特別委員会、明日、第一回目を開催するというように聞いておりますけれども、外部の目からも十分な検証を行っていただきたいというふうに思っております。
  39. 大江康弘

    大江康弘君 これ、いつ終わるのか、それとも果てしなくエンドレスなのか分かりませんけれども、これ以上数字が増えないことを祈るわけでありますけれども。  長官、もう一点。長官、司馬遼太郎の「坂の上の雲」という本を読まれたことがあるかどうか分かりませんが、ある種、国民書的な、そういう存在感のある司馬さんの本だと思うんですけれども。  この「坂の上の雲」、いわゆるこれは、あの坂の頂上に見える空の上に白い雲がなびいていく、その雲を望みながらいわゆる坂を上り詰めていくという、この明治の時代の近代化する日本を書かれたんですね。ところが、司馬さんは、あの坂の上を上り切ったときに果たしてそこからどんな日本が見えるかという、そこは書かれていなかった。どうも司馬さんというのは、明治の時代は評価をするけれども昭和の時代は余り評価をされておらないような、そういうことを私は司馬さんの本を読んで感じるんですけれども。  いわゆるその坂の上を我々が今上り上がった、そうしたら我々は一体、その坂の頂上の、頂から一体どんな姿を見たか。それは、正に我が日本が先進国を成し得た姿を見たんですね。ところが、この先進国が今、本当にこれから継続していくのか。これ、先進国を維持していくというのはなかなかしんどいんです。これ、いろんなシステムを維持していくということはしんどい。小泉さんが総理になってこの五年余り、改革改革と言って、これは一方では当たっている部分もあるんですけれども、しかし私は、戦後六十一年、日本がやはりここまで来た、いや、それ以前にやっぱり日本がここまで来た一番大きな私は要因は、正に日本の国民がお互いの信頼関係というもの、人間の信頼関係、あるいは国民が政府を信頼する、政治家を信頼する、あるいは田舎に行けば住民の皆さんが正に、江戸時代の言葉ではありませんけれども、お上を信頼してやってきた、そういう信頼というもののこの関係がしっかり構築されていたから私はやっぱり、いろんな要因があっても、やっぱりここが日本人というものがここまで上り詰めてきた私は一番の大きな要因だと思うんです。  ところが、残念なのは、この間、五月の二十九日に、この社保庁の不正免除問題が起こったときに、決算委員会で我が党の若林委員だとかあるいは松井委員の質問の答弁に大臣はこう答えているんですね。もうだれも信用できないと。「私が政治生命を懸けたら正しく報告してくれるという人たちを相手にしているんだったら、こんなこと私は申し上げません。」。そして、ここまで言い切っているんです。「正直言って一人一人が信頼できない。」、「それだけで私が信用できるかということになると、外部の目も入れなければならない」、これは後どうするかということの話ですけれども。同じような答弁を若林議員のところにもしてるんです。「残念ながら、私も人を信じたい、人を信じたいけれども、この件については信じられない。」。  まあ、国のある省庁を束ねるトップの大臣が、自分の部下や自分の職員を国会の質問の中で信じられないという、こんなことまで答弁しているような、本当に国の私は社会保険庁というこの一つの組織というのは正常なのかどうなのかと、大変私は心配に思う一人であります。大臣をここまで言わしめた、そういう原因をつくってきた。私は村瀬長官、今、辞めろコールいろいろあります、それは私は今すぐ辞めろという立場に立つものではありません。二年前に、平成十六年の七月ですか、総理に請われて、自らのポストを捨てて、やっぱり国のためにということでこの決断をされたということは、私はある意味立派であったと思うんです。それだけに、この社会保険庁の問題に限らずいろんな問題が昨日今日、ここ一年、二年、私は長官がなったから起こったというふうには思いません。  だけど、ここまで大臣が答弁をしなければいけないという今の実態の中で、果たして国民が、商品としては全くいい商品でないと言われておる今の国民年金の問題、こういうことをこれからやはりどんどんどんどん納付率を高めていかないけないときにこんな問題が起きたわけでありますけれども、どうします、これ長官、この信頼のないようなこういう中で一体長官はどうしていくんだという。長官に最後のこの質問ですけれども、これだけちょっと一回しっかり答えてください。
  40. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) 委員お話ありましたように、私は、一昨年の七月に民間から社会保険庁長官として就任をさせていただきました。そのときの理由は、無駄遣いであるとかサービスがなっていないとかいろいろありました。その中で、不祥事案件も私が就任以降、明文化されるといいますか明らかになってまいりました。その中で、今回の事案が一体全体何だろうかという私なりに考えていることをお話し申し上げたいと思います。  まず、第一次調査報告書で御報告申し上げましたように、改めて社会保険庁全体のガバナンスの問題、それからコンプライアンスの欠如の問題が明らかになったところでございます。就任以降、私が何に一番重点を置いてやってきたかといいますと、職員の意識改革が極めて大切であるとの認識の下、様々な改革に取り組んできたつもりでございます。  しかしながら、残念ながらこういう事態が生じたということは極めて残念であると同時に、国民の皆さんに対して私自身もおわび申し上げなきゃいかぬだろうというふうに思っております。  今後、年金事務の信頼回復についてどうしていったらいいかということで、私自身考え方は、第一点目は、やはり現在進めております業務改革、これをやはり国民の視点に立ってどんどんどんどん進めていくべきだろうというふうに思っております。それから二つ目が、現段階まで残念ながら変え切れなかった職員が一杯いたわけでございますけれども、私は働く職員の意識を徹底的にやはり変えることが必要だろうというふうに思います。それから三点目に、さはさりながら、やはりガバナンスが利いてチェックがしっかりできる体制を構築しない限りは組織としては成り立たないと。  この三点をやはり一体的に改革を進めてこそ、初めて社会保険庁は信頼ある組織に変わり得るんだろうというふうに思っております。  そのために、今回の問題でございますけれども、私自身がまずやらなきゃいかぬことは何かといいますと、まず第一に、実態の解明、これは第一次報告書でも御報告申し上げましたけれども、これを徹底的に進めまして全容を明らかにするとともに、事の本質が何なのかということを明確にすべきだろうというふうに思っております。それと同時に、第二は、二度と今後このような問題が起こらない仕組みを構築することであろうというふうに思っております。  現在、私の下に実態解明チームというものを編成をいたしまして、今週末から全国の全事務所に人員を派遣いたしまして、今回の免除に関しましては全数調査を徹底的に行うこととしております。その結果につきましては、先ほどお話し申し上げました政務官の下の有識者による検証委員会においてこのやり方がいいのかどうか、何が問題あるのかと、本質について徹底的に検証をしていただきたいというふうに考えております。  一方、今回の問題が起こった本質につきまして、特に関係者につきましては、この実態解明後に速やかにやはり厳正な処分をせざるを得ないというふうに考えております。  また、それと同時に、本当に信頼を得るためには、現在法案を出させていただいていまして、この部分の中に書いてございますように、公的年金事業に従事させることが不適切な職員、この方々がもしいるとするのであれば、新組織への移行について、そこで新たに採用しないということまで決断をせざるを得ないと。一方、職員について意識を徹底的に変えてくれるということであればこれは変えてもらうと、こういう作業をやっていく必要があるんだろうというふうに思っています。  どちらにしましても、実態解明、それから個々の責任問題、ここをしっかりした上で断固とした決意の下で組織体質の徹底的な変革に私自身は臨んで、早く明確にしたいと、このように考えております。
  41. 大江康弘

    大江康弘君 長官、聞けば社保庁というのは非常にこの三つの、いろんなそれぞれの立場立場で分かれていっていて、聞けば大変やはりそこの疎通を図って組織をうまく運営していくというのは難しいということ、私もここ何日かの中で聞きました。まあしかし、せっかく長官はやっぱり請われて来たわけですから、今るる方向性も決意もおっしゃっていただきましたけれども、取りあえず我々は当面長官がどういう行動をされるのか、どういう対処をされるのかということをやっぱりしっかりと見ながらこの国会の中でもチェックをしながらやっていきたいと思いますので、今日は少し頑張ってほしいというエールだけを送りまして、長官もお忙しいでしょうから、長官はもうここでひとつお引取りをいただけたらと、そんなふうに思います。委員長、よろしくお願いします。
  42. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) はい。御退席ください。
  43. 大江康弘

    大江康弘君 そこで、年金局長、済みません、今日は。大臣お願いしたんですが、大臣は衆議院で何か分科会って、まあしかし大臣来ていただいたって余りいい答弁出ないし、局長としっかりと私はこれは今日は議論をしたいと思います。  私は、実は地元の那智勝浦町という町議会からこの抗議文を議決をされたんですね。決議されたんです。それで、これが町の広報紙に載っているんですね。まあ一方的に税金を使ってこういう、私のこの質問の中身も私の論旨も載せないで、一方的に町がこの大江に対して抗議をする決議をしたって、これ町民が見て、まあ今いろいろあるんですね。私は、理解ある地元の新聞がいろいろ協力してくれますから、この間のいきさつをずっと私は私なりに、その新聞が町民の皆さんのために、これは新聞といったってその辺の勝手にあれしている新聞じゃないですよ、新聞協会にちゃんと加盟しておる日刊紙でありますけれども、そこがしっかりと載せていただいておりますから、町民の皆さんはある程度どういうことかということも理解をしていただいておるんですけれども。  実は、三月十四日に私はこのことについて少し質問を予算委員会でいたしました。今申し上げたのが、その後の経過がこういうことになってきておるということですが、少し私は短くおさらいをしたいと思いますが、局長、いわゆるまず第一点、このグリーンピア南紀も含めて十三のこういう施設があるんですけれども、いわゆるこれらの施設に要した建設費用、そしてそれを売り払ったのは幾らであったかということ、まずその数字を教えてください。
  44. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 今御指摘の施設、これはグリーンピアと言われるものの一つでございますが、このグリーンピア事業につきましては、費用総額が三千七百三十億円掛かりました。そのうち、建設に要した費用が一千九百五十三億円で、そのほかは借入利息等でございます。そして、この事業につきましては、すべてについて平成十三年十二月の閣議決定等により、平成十七年度中に廃止することとされ、昨年十二月に全基地の譲渡が終了したところでございます。その売却総額でございますが、四十八億円となっております。
  45. 大江康弘

    大江康弘君 いわゆる、今委員の皆さんからもだれが責任を取るんだということでありますが、第二点目はそれなんです。いわゆる建設費用に比べてこの売却額というのが非常に低い。後で触れますけれども、うちのグリーンピア南紀もそうなんですけれども、これが結局年金財政に非常に大きな負担となって、おもしとなってのし掛かってきた。今の時点で局長、このことの責任というのはどんなに感じてますか。
  46. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) グリーンピア事業自身は昭和四十年代からの長い経緯がありますので、それらの歴史的な経緯の総括的な視点が必要であると思っております。  当時は、年金制度未成熟の段階で、年金の給付が本格化していない時代でございましたので、国会の附帯決議等におきましても、年金積立金を被保険者に福祉還元すべき、もう少し申し上げますと、高齢となり年金を受給するまでの長期にわたり保険料だけ払い続けるという期間が続く被保険者等の福祉の向上を目的として設置してはどうかと、こういう考え方から出てきたものでございます。  このため、グリーンピアの建設に係る旧資金運用部からの借入金の償還財源とか施設の維持管理費につきましては、被保険者等の福祉の向上の観点から、年金特別会計が負担してきたという経緯がございます。  今日的に振り返りますと、グリーンピアは累計で約四千五百万人の方に御利用いただくなど、一定の役割を果たしてきたものという評価もできると思いますが、しかしながら、このグリーンピア事業につきましては、平成十七年度までに廃止するという、先ほども申し上げました十三年の閣議決定がございまして、国の政策として一定の基準の下に地方自治体等への譲渡を進めるべしと、こういうことになってまいりました。売却総額が今申し上げましたような四十八億円にとどまったということにつきましては、大変重く受け止めておるわけでございます。  こうした経緯の中で、平成十六年九月に、年金の福祉還元事業に関する検証会議が設置され、グリーンピア事業だけではないのですが、年金福祉還元事業の意義等について御議論いただいて、昨年九月に報告書が取りまとめられました。その報告書によりますと、こうした事業を含む福祉施設事業の拡大を制御する仕組み、端的に言えば世論あるいは国民、経済社会の潮目の変化を判断する仕組みというのが欠けていたのではないかという厳しい御指摘を受けております。  この報告書や、本日も含めまして、国会等各方面での大変厳しい様々な御指摘を重く受け止めながら、今後こうした潮目の判断を間違えることのないよう、しっかり政策決定に生かしていきたい、そういう責任があるものと考えております。
  47. 大江康弘

    大江康弘君 そこで、もう一点おさらいをします。那智勝浦町のグリーンピア南紀。これはいわゆる譲渡をされたんですけれども、この譲渡の経過と、そしてその後、グリーンピア南紀が今どんな状態になっているかということを、ちょっと簡単に説明してください。
  48. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) グリーンピア南紀につきましての譲渡の経緯とその後の状況という御質問でございますが、旧年金福祉事業団という特殊法人がございました。そこが昭和六十一年四月に、和歌山県に委託して運営を開始したのがこのグリーンピア南紀でございます。先ほど申しましたような閣議決定に基づきまして、平成十五年三月に、まず運営を停止するという措置を講じました。その後、年金福祉事業団を引き継いだ年金資金運用基金という特殊法人におきまして、所在地である和歌山県那智勝浦町及び太地町との間で施設の譲渡について協議を行ってまいりました。昨年六月三十日に売買契約書の締結ができ、同七月十一日に両町議会が施設の取得を議決し、八月一日に両町が売買代金を支払い、施設の引渡し、所有権移転が行われたところでございます。  その後でございますが、昨年十二月二十二日に那智勝浦町議会におきまして、那智勝浦町と事業者として選定したBOAOという企業との賃貸借契約十年間の終了後にBOAOに施設を譲渡する旨の財産処分の議決が行われました。そして、十二月二十六日に那智勝浦町と当該企業との間で十年間の賃貸借契約が締結されたと承知しております。この賃貸借契約に基づきまして、利用予定の施設等には太地町の所有部分がございますので、現在那智勝浦町が太地町から賃貸する方向で調整が進められていると聞いております。このような事情から、当初開業予定と言われておりました本年四月が遅れているという状況にあると推察しております。  なお、太地町の部分につきましては、一部太地町直営による運営を予定しているところがございまして、現に、テニスコート、ゲートボール場等のスポーツ施設や多目的ホール等の施設の利用が始まっていると承知しております。
  49. 大江康弘

    大江康弘君 もう一点、これ百二十二億が二億七千万に化けているんですね、これ。この二億七千万に化けたというこの一つのお金の算出というか、これはどういうことが一つの法律的な根拠になるんですか。
  50. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) そもそもこの譲渡につきましてどういう考え方で臨むかという基本方針を国として立てておりますが、このグリーンピアの施設が年金資金を用いた資産であることや、地域の活性化や雇用の確保等の役割を果たしてきたこと等を踏まえまして、地元の地方公共団体等へ譲渡を優先するという方針でございました。したがって、そのために資産全体を一括して譲渡すること、譲渡後も公共的用途に一定期間用いられること、職員の雇用が確保されることといった条件の充足度合いに応じまして、不動産鑑定を経た時価評価額から一定額、最大五割を減額して譲渡するという方針を基本方針として置いてまいったところでございます。他のグリーンピア施設についても同様でございます。  グリーンピア南紀につきまして、この不動産鑑定による時価評価額、平成十七年一月一日時点でございますが、他のグリーンピア同様、不動産鑑定業者二社に収益還元法、資産が将来生み出す収益に着目して価格を求める方法と承知しておりますが、そうした方法による鑑定評価額を出していただきまして、その平均を算出いたしますと約五億二千万円であったということから、減額の条件を踏まえて五割を減額し、その上でこれらにある、この建物等に係る消費税相当額約一千億円を加えた約二億七千万円を譲渡価格としたというふうに町から報告を受けております。
  51. 大江康弘

    大江康弘君 それで、局長、町が、いわゆる両町が譲渡を受けて、それを先ほど言った中国のBOAOという会社に賃貸契約を一応しているんですね。このBOAOという会社が、聞けばこの平成の十八年、今年の四月三日の産経新聞では、いわゆるだれがBOAOを連れてきたかということに関して産経新聞は、このBOAOを紹介したのは、一昨年に町長や町議有志が海南島を視察、グリーンピアを所管していた旧年金資金運用基金を通じ、BOAOを紹介されたことは認めたと、これが産経新聞に載っているんです。そして、文春には同じようなことがこれあるんですね。  不思議なのは、ではだれが蒋氏、蒋氏というのはBOAOの社長さんらしいんですが、中国の、日本の会社はまた別な人らしいですけれども、那智勝浦町に紹介した方だと。町の担当者は年金資金運用基金と答え、一方の厚労省はそんな覚えはないと首をひねっているんですね。  そして、ここ、これが、私は田舎がこれ和歌山地元で、地元の町が発展していくというのは何も否定しないんです。ここが、この那智勝の町議会の皆さんも何を誤解されておるのか。私は別に町が良くなるのはいいことだと。  しかし、私はなぜこれを問題にするのかというと、町が自分たちの土地で何しようがいいんです。しかし、元はこれ年金資金を、あるいは簡保というこういう財投を使って、国民のお金を使って、先ほど言った三千八百億のものが四十八億に化け、そして今、グリーンピア南紀のように百二十二億のものが二億七千万に化けて、そして最後は幾らに化けておるかといったら、いわゆる今いうBOAOに一億六千万で化けていっているんですよ。何でこんなからくりがどんどんどんどん続いていくのか。  これは後でまた質問しますけれども、これ年金基金がBOAOを紹介したんですか、この新聞、雑誌にあるように。
  52. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 一点、先ほどの答弁、私、言葉じり間違えました。訂正させていただきたいと思います。  南紀の売却価格、約二億七千万を町から聞いておりますとつい申し上げました。これは基金と町の売却の売買契約に出てくる数字でございますので、双方からそのように報告を受けております。  そして、今お尋ねの、年金資金運用基金がBOAOを紹介したのかというお尋ねでございます。  新聞記事にそのような箇所があるのは拝見させていただきました。年金資金運用基金がBOAOという企業を那智勝浦町に紹介した事実は全くないというふうに承知しております。
  53. 大江康弘

    大江康弘君 それはそれを信じます。  これ十二月の二十六日に契約しているんですね。どこの場所で契約されたか、場所を教えてください。
  54. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 町と企業との契約でございますので、契約の場所についてまでは最近まで私どもも承知しておりませんでしたけれども、那智勝浦町によりますと、その調印につきましては経済産業省の大臣応接室で行われたと聞いております。
  55. 大江康弘

    大江康弘君 そうなんですよ。  だから、私は、だけど百歩譲って、例えば経済産業大臣が地元のためを思ってってやるんだったら私はそれはそれでいいと思うんですけれども、どうも紹介したのかしないのか、ここもはっきりしない、御本人もそういうことは言わない。しかし、十二月の二十六日の年末押し迫ったところに大臣室でこんな調印が行われている。普通、こういうことの調印というのは町でやったりとかどっか公の場所でやるというのがこれ通常でありますけれども、なぜこんな場所でやらなければならないのかということも、これ私は疑問です。しかし、それは局長の範疇の話ではありませんからこれ以上聞きませんけれども。  そこで、今、経済産業大臣の部屋でやったということですけれども、これ経済産業大臣から何か基金側にこの誘致の件で相談があったとか、何かそういう話があったんですか。
  56. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 特段の経緯があったようには報告を受けておりません。
  57. 大江康弘

    大江康弘君 了解しました。  そこで、私は国が、もう国と言います、ちょっとややこしいからね。国がいわゆる両町に譲渡をしたときに特約を付けているんですね。要するに契約の中にも表題にもはっきりと書いておるんです。いわゆるこの条件、約束を付けて譲渡しますよということをお互いが納得をして契約をしている。  この特約ということの中身は何ですか、この両町に付けた特約は。
  58. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 詳しい条文の読み上げは控えますが、十年間賃貸契約をした後、一定のこの契約上の義務が果たされているかどうかを確認の上、当該企業に譲渡するというふうな形の特約が付いていると承知しております。
  59. 大江康弘

    大江康弘君 局長、ここが大事なんですよ。これが一番僕は今日は言いたいところの大事な部分なんです。  あなた方がやっぱりこういう条件を満たしなさいよといって、あんなばかな値段でこれ譲渡したんでしょう。いわゆる減額譲渡というのは、そういう一つの特約を守るということの前提に百二十二億が二億七千万に化けているんじゃないですか。あなた方がここをしっかり一番守らさなければいけない部分なんですよ。  ちょっともう一回言ってください。
  60. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 本件につきましては、十四条によりまして、指定用途というものに供さなければならないということが規定されております。これは、売買物件を売買申込書に添付した事業計画及び利用計画に定める用途、こういうものに供さなければいけないというものの中で、それがしっかり履行されているかどうかということを前提に所有権を移転する、こういうふうにされておるわけでございます。
  61. 大江康弘

    大江康弘君 まだこれ詳しく言っていないですね。もう時間もったいないです。私言いますわ。  要するに、この年金資金運用基金財産特約付売買契約書というこの表題なんですね、売買契約書。この特約というのは、いわゆる十三条で用途指定というものが決まっている。それで、十四条で、今局長が一点だけ言いましたけれども、乙は両町相互に連帯して売買物件を売買申込書に添付した事業計画及び利用計画に定める用途、以下指定用途という、に自ら供さなければならない。そして、十五条で指定期間、十年間この物件は売っちゃ駄目ですよということを書いているんですね。要するに十年間、これ、この用途以外のことに使っちゃいかぬ、指定用途に書いている。それで十六条で売っちゃいかぬということをこれ書いているんです。  この十四、十五、十六という、これが特約なんでしょう。このことをちゃんと履行させるということを条件に二億七千万というこんなばかな値段で譲渡をさせているわけなんです。それは、この対価というのは、これは適正かどうかは分かりませんけれども。  その中で、そうしたら、自ら供さなければいけないというのはどういう意味ですか。
  62. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 先ほど申し上げました契約の十四条で、売買物件を利活用計画に定める用途に自ら供さなければならないと定められております。  この売買契約の規定につきましては、十年間所有権を移転しないこと、利活用計画を遵守することを前提に運用するという中で、具体的には、譲渡を受けた自治体がそれぞれ個別の財政事情等がある中で、財政負担等から直営が難しい場合には指定管理者制度や賃貸借契約を選択するというようなことで、各方面の各自治体、グリーンピアを譲渡を受けました自治体の御判断で、十一施設、自治体に譲渡されておりますが、そのうち六施設がこうした形で譲渡の後、賃貸借されている。  こういうことで、ポイントは、所有権を移転しないこと、利活用契約を遵守することというもので、町自らが責任を持って売買物件を利用に供するということではないかというふうに承知しております。
  63. 大江康弘

    大江康弘君 局長、私あなたが言わぬから、私今十四から十六まで読んだんです。同じことこれ言わんといてください。もう私今日時間がないんです、これ。  それで、自ら供さなければいけないということはどういうことかということを、私はその一点聞いたんです。自ら供さなければいけないというのは、自分がやらなきゃいけないということなんでしょう。それだけ、いいですか。
  64. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) お答えいたします。  直営方式のほか、指定管理者制度方式、賃貸借方式、賃貸借と指定管理者制度を併用する方式などが現に利用されており、これはいずれも、自ら供さなければならないという条項の下ですが、市町村の責任を果たす形として認められているものと理解しております。
  65. 大江康弘

    大江康弘君 まあ私が余り聞いていないことまで答えんといてください。  それで、要するにこの那智勝浦町と太地町、主は那智勝浦町ですけれども、この那智勝浦町が先ほど言ったBOAOという企業に土地建物等の賃貸借契約書というのをこれ取り交わしているんですね、賃貸借契約書。その中で、十年たったらあげますよと、十年賃料払ったら、要するに一億六千万賃料払ったらもう十年後にはただであげますよというようなことを、これうたっているんですね、うたっているんです。  それで、自ら供さなければいけないというこの特約条項がありながら、もう民間の企業に賃貸契約を結んで、そしてその企業が本当にどれだけの国が町へ譲り受けたときの約束を履行するのかどうか分かりませんけれども、この公共性とか公益性というのがうたわれているんですね。この公共性とか公益性というのは、一体これどういうことですか、局長、この言葉の意味
  66. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) グリーンピアのこれまでの設置運営の経緯や、両町が当該物件を購入いたしましたときに立てた利活用計画、こういうものをしっかり守って地域住民等の福祉の向上に資すると、こういうことであるというふうに理解しております。
  67. 大江康弘

    大江康弘君 これ、町がこのBOAOを企業誘致だと言うんですね。これ、企業誘致をさせるためにこういう安い値段で国は譲渡をしたんですか。
  68. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 先ほども答弁さしていただきましたように、どのグリーピアにつきましても、現在の不動産価格というものを鑑定評価していただきまして、それに基づき、基本ルールである、自治体の場合には最大五割減額というルールに沿って数字をはじきましたところが二億七千万ということになったものでございますので、企業誘致云々ということでは全くございません。
  69. 大江康弘

    大江康弘君 それじゃ町が、私、一つだけ救われる思いがしたのは、年金局の中で若い人がこの両町の契約のBOAOとのやり取りを見て非常に問題意識を持って、いわゆる質問書を出しているんですね、メールでやり取りしたと。これ、いただいた。  これ当初、最初、年金局は一個人がやったことだみたいなことを言っておったんです、あなた方は。しかし、これは、一個人がこんなことをやれることもなければ、私は、これをしっかりとただしなさいという私は行為は正しいと思うんですよ。それを、一個人がやったということをちょっと聞こえてきたから、何でそんなことまで厚労省は、年金局はこれ、そんな若い子のしっかり問題意識持ったやつまで私は責任を持ってやらぬのだなということを不思議に思ったんですけれども、その彼がしっかりとこれ聞いているんですね。それで、その中にこれ企業誘致だと言っているんです。  それで、この契約書、賃貸契約書というのは、要するに賃貸というのは、何かを借りて、その借りた、月々だとか年だとかと、そういうことを、金額を定めてある物件をかかわることを賃貸契約と言うわけでしょう。十年賃料払ったら、一億六千万払ったら百二十二億の物件がただになりますよなんという、例えばこういう契約の仕方というのは、これ割賦販売契約と言うんじゃないですか、割賦販売契約。それと、もし十年後にあなたにただであげますよというような契約だったら、もう一つこれ所有権留保付きの割賦販売契約という言葉じゃないんですか。賃貸契約なんていう、こんな表題、おかしいですよ、これ。こういうことをあなた方が認めるということはおかしい。自分たちの大事な、国民の年金を使った物件をこんなことのために二億六千万で譲渡するというのはおかしい。これ、どう思います、この契約の仕方。
  70. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 冒頭おっしゃられた私どもの旧年金資金運用基金の方からの町への様々な問い合わせについて、委員御引用いただきました。これは何も個人で仕事しているわけではございませんので、御指摘のとおり、年金資金運用基金の担当者が、その責務を果たさんがために、両町から一月三十一日に報告書が出てきたものに対してこれはどう理解したらいいのか、町としてどういう説明をなさるおつもりなのかということをきちっとただして、その上でこうした賃貸借契約の位置付け等について基金としての受け止めを、認識の整理をさしていただいた、そのプロセスであると思いますので、まさしく公務であろうかと思っております。  その結果にもかかわるわけでございますが、賃料の合計を譲渡価格として賃貸契約を結んで、十年たって一定のチェックをした上ではあるが所有権の移転をするというようなことは賃貸借契約と呼べるのか呼べないのかという、これはなかなか法律論的な問題だとは思いますが、一般に賃料の評価方法、一般的な話でございますが、賃料の評価方法については幾つかの考え方があるというふうに言われておりますが、その一つとして、現価、すなわち不動産の評価額を基礎として賃料を評価するという考え方があることは否定できないものでありまして、町と企業との両当事者が十分調整の上、こうした整理で合意に基づいたということで賃料が決められたのであれば、これは、それはそれとして一つの決め方ではないかというふうに承知しているわけでございます。
  71. 大江康弘

    大江康弘君 それは一つの決め方ですか、局長。はあ、そうですか。国が特約まで付けて、十四条から私がさっき言った十六条まで、これ特約まで付けて、自ら公益性、公共性を持ってやらにゃいかぬ。そして、十年間はこれにしっかりやりなさい、そしてその十年間は譲渡したり交換したり、そんなことしちゃいかぬということをあなた方が特約を付けて譲渡をしておきながら、今私が申し上げたこんな割賦販売的なやり方で、これ十年間一億六千万払ったら、中国のこの企業にただでこれ行くなんて、それを年金局が認めるというのは私はどうしても納得いかない、これ。局長、そんなこと。  それで、ちょっともう一点聞きますけれども、今日は総務省にちょっと来てもらおうと思ったんですが、ちょっと法律のことだけでありますから私から言いますけれども、いわゆる十二月の二十六日に、先ほど局長が確認されたという、経済産業の大臣室で契約をされる前の四日前に、町議会はこの九十六条の第一項の八号で、要するに財産の処分を決めているんですね。それは、十年後に今言った無償であげましょうということをもう早々と決めているんですよ、これ。これ、こういうことを国と地方との、両町との契約書の中で、これ特約事項の違反にならないんですか。
  72. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 那智勝浦町議会の昨年十二月の議決に関してでございますが、その後、賃貸借契約書が結ばれておりますので、両当事者間では賃貸借契約書ということかと思いますが、この議決につきましては、私どもも総務省の方にお伺いします範囲で申し上げれば、地方公共団体の財産は議会の議決による場合でなければ適正な価値なくして譲渡してはならないという条項に照らして、賃料総額が適正であれば議会の議決を要しないという認識に立った上で、町の方に様々問い合わせをさしていただいたその議会議決を行った趣旨ということでございますが、こういうような三点の御説明を受けております。  町が購入した重要な財産処分であり議会の議決を得ることが妥当だとの弁護士や議会等の見解を踏まえたこと、それから、契約企業が今後多額の投資を行うことにより固定資産税等々賃借料も含めて多くのものが見込まれる中、また十年後の売却を保証することにより、より大きな投資が見込まれること、また市町村合併の協議が始まるというような見込みの中で、今の時点で関係者の認識を議決にしておきたい、こういう考え方に基づいて、法律上は要しないとされておるものでございますが、議決を行ったものであるというふうに承知しております。
  73. 大江康弘

    大江康弘君 あのね、局長、もう少しちょっと時間を丁寧に使うてください。  これ、町が正に、あなたのところの若い人の、問題意識のある立派な若い人がこれ町に、こんなことおかしいじゃないかと聞いたときに、那智勝浦町は何て答えているか。要するに、中国のその企業が来てもらわぬと、高い、これ、これから多くの投資をしてもらうためには何か保証がなけりゃいかぬ。保証しないと、これ来てくれない。そのために、この物件を十年間賃料で払ったらそれを売却額と見て、これただでやるんだということを町がこれ言っているわけですね、それ今局長が言われた。私は、そのこと自体があなた方と両町との間での特約の違反じゃないかということを先ほどから聞いているんです。聞いているんです。  もし、百歩譲って、譲りませんけれども、この九十六条の一項の八号というのは、財産の取得とか処分の規定なんですね。そして、この九十六条のいわゆる一項の六号というのは、要するに適正な対価かどうか、適正な価格かどうかということ、これを議決せにゃいかぬわけなんです。  それじゃ、局長は何か今町がやったことを認めるような発言をしていますけれども、それじゃ、十年間の賃貸契約で賃料というものがなぜ譲渡の売却額にこれなり得るんですか。何でなり得るんですか。それだったら、先ほど言ったように割賦販売契約にするとか所有権留保付きの割賦販売契約ということをしっかりうたわなきゃいかぬ。しかも、あなた方が十年間、これは売っちゃいかぬ何しちゃいかぬということを決めておきながら、そういうようなことを片っ方で認めている。  局長、もう一回ちょっと答弁してください。これ十年間賃料。それじゃこれ賃料と、要するにやるって言っているんですから、ただであげますよと言っているんですから、それだったらこれ一億六千万のどこまでが賃料なのか、どこまでがそうしたらそれの売却額になるのか、ちょっと一回教えてください。
  74. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 賃貸借契約の一条項におきまして、賃貸借契約の履行状況等を踏まえて賃貸借契約期間後所有権を移転すると、こういう趣旨の契約条項があるわけでございます。そういたしますと、譲渡を仮にその時点で、まだ決まってはいないと言われておりますが、する場合の価格はどうあるべきかという点についてのお尋ねであると思います。  今から十年後にどういうような価格を設定して所有権を移転すべきかというのが、一般的にはどういう価格であるかというのはその時点での不動産の価値というものでございますので、あらかじめ見通すことは非常に困難でございますが、両当事者の間の契約に基づいて十年後、仮に移転する場合には賃料の総額というものをしっかりお支払いいただいていること、それから趣旨に沿った事業を行っていただいていることを条件に、そうした価格を現時点でお約束しておきましょうと、こういうような理解をしているんだという当事者からの疎明でございます。  その意味では私どもは、グリーンピアの不動産を譲渡いたしまして、それが趣旨に沿った利用がされるということがポイントでございますので、両当事者間の契約問題であるのかなというふうに承知しております。
  75. 大江康弘

    大江康弘君 局長、そんな答弁本当にしていたら、これ国民の理解もらえぬですよ、これ。本当に。これ何で、しかしそういう答弁しか出てこないんですか、これ。  そうしたら、もう一回契約やり直しなさいよ、これ、あなた方、町とのこれ。だから、しっかりとこの表題も変えて、そしてまた国のしっかりした行政指導の中で、これ町と中国の企業と交わしたこの賃貸契約なんて、これ賃貸契約なんて、表題から間違っていますよ、これ。(発言する者あり)割賦販売なんです、正にそのとおりなんですよ、これ。  これ、国はそういうことをしっかりと十年間見るということが条件であんな安い値段で減額譲渡しているわけなんでしょう。違いますか、これ、局長、もう一回答えてください。
  76. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 合計二億七千万の売買代金というのは、先ほど来申し上げましたような、今委員指摘のような様々な趣旨を体して減額譲渡をさせていただいております。  その二億七千万の中から町と企業との間で賃貸借の価格を設定していただいておると、こういうものでございますので、私どもは、この二億七千万ということに足を置きまして、そしてこの売買契約書に基づいて本来の趣旨に十年間しっかり使われるかどうかということを目を光らせていかなければならない、こういう立場にあると思っております。
  77. 大江康弘

    大江康弘君 もう十年間たつ以前に、もう今おかしな契約をしていると私は言うんですよ、これ。  これね、実は私、法制局に頼んで、この中身によく似た判例がないかちょっと聞いたんです。要するに、平成の七年に天理市であるんです、これ。それで、天理市でどういうことかというと、二十二億の土地を市長が九億でこれ売っているんですね。そして、そのときに、要するに適正な価格だということであるから、九十六条の一項の六の議決はしてなかった。九十六の一項の八号の財産の処分の議決だけ市議会でしてもらって、それが通るじゃないかということでやったけれども、要するに一審も二審もそれは否定されているんです、これ。平成十年の七月の二十八日の大阪の高裁で、九十六の一項の八号の処分の議決だけでは駄目ですよということを言われているんですね、御存じかどうか分かりませんけれども。  私は、正に今那智勝浦町が、適正な対価だから一億六千万でBOAOという企業に十年間月賦で要するに払わせて、十年後にそれをただでやるんだということは何もおかしくない、言っていますけれども、おかしいじゃないですか、これ。おかしいよ、これ。思いません、これ。  それだったら、しっかりと町に対して国がこの契約書の表題を変えさせて中身を変えさせなさいよ、あなた方、これ。そんなこと何もせずに、これ町から聞いている、こういうことだと聞いているなんてそんな答弁ばっかりさっきからして、私は何度も言いますけれども、何で百二十二億の物件が二億七千万に化けて、一億六千万にこれ化けるのか。こんな十二月の二十二日に勝浦の町議会がやったこの一つの議決でこんなことが決まっていっていいんですか、これ。  だから、無償譲渡なんて、この賃貸契約からするんだったら、私は、十年後にもう一度適正価格を見直して、そこでやるのかやらないのか、また本人が欲しいのか要らないのかということをやるのがこれ本来の筋道じゃないんですか、これ。違います。
  78. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 賃貸借契約上も十年後にその企業の側からの申出があった場合という規定のようでございます。また、その間、私どもも関心を持っております利活用計画がその趣旨に沿って現実に事業運営として展開しているかということを町も判断しなければいけません、契約書上。そして、私どもも売買契約書上判断しなければいけませんので、そこのポイントなくして自動的に所有権が移転されるものであるというふうな理解はしておりません。  したがいまして、今後、どのような利活用計画が実施されていくかに注目をしておるところでございます。
  79. 大江康弘

    大江康弘君 局長ね、もう何度も言いますけれども、今後、今後って、今後じゃないんですよ。要するに、こういう契約書を取り交わしていること自体が国との約束を違反しているんじゃないですかというんです。まあ、町はこれを違法性だと恐らく思ってないでしょう。だけど、私は著しくこれ、ただしかしこの判例から言えばこれ違法かも分からない。しかし、著しくこれはもう脱法的な行為なんですよ、これ。脱法的な行為なんです、これ。  だけど、そういうことをあなた方が、それでなくてもこんな年金の使い方をして国民から信頼をなくしておるにもかかわらず、とにかく早く処分したい、何とかこんなもうとにかく要らぬ子みたいに、後は野となれ山となれじゃないですが、こういう形でその処分をした、全部やりましたって胸張るけれども、こんな処分の仕方だったら、こんなこと、煩わしいって思わさなくたってだれでもできますよ、こんな。百二十二億が一億六千万になるんですもの、十年たったら。  こんなばかな話、これ本当に、一体国民にどう説明するんですか、これ。  だから、もう一度聞きますけど、局長、これ、あなた方のこの特約の契約書、この違反じゃないですか、今那智勝浦町がやっているのは。
  80. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 実際の利活用計画の実施がどうなっているか、引き続き、継続的に調査把握をすると、必要に応じ現地に調査に赴くということも含めまして、この契約書の実際の運用をよく監視してまいりたいと思っておりますが。  先ほど御指摘になりました売買契約書の十六条における権利設定等の禁止における規定の趣旨、それから十七条に用途指定の変更の場合には申請して承認を受けなきゃならないという趣旨、こういうものに照らしましたときに、現時点で当該町と企業との間の契約が売買契約書の当該条項に違背するというところまでは私ども考えていないところでございます。(発言する者あり)
  81. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 御静粛に願います。
  82. 大江康弘

    大江康弘君 十七条のことは、いみじくも今私は言おうとしていた。こういうことのために要するに十七条があって、いわゆる私は、今回これ十四条から十六条の違反だから、私は、十七条が当然求められるべき義務的な私は町のやらなければいけないことだと思うんですよ。いわゆる、こういうことを変更するわけですから、国に対してその変更届を出す、そしてそれに伴う納付金を払うということ、これが今聞けばなされていないような答弁だったわけなんですよ。  もう一度聞きます、局長。今の時点で云々言いますけれども、こういう契約書ができてもう既に走り出している、そのことに対して、国は全くこのことに対して違法性だとか、この契約書を違反しただとかという認識はないんですね。
  83. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 契約に基づきまして事業が実際に着手され、運営されていくわけでございますので、私ども売買契約の本旨であります本来の利活用の趣旨というものに照らして、この特約でありますとか、いや、それを変えなきゃならないというときの用途指定の変更等々の申請、こういうものが適切に行われるべきときは行われるように監視していかなければいけないと思いますが、現時点では、私ども、町との間でこの間たくさん意見の交換をさしていただいておりますが、現時点でおっしゃるような考え方には立っておらないところでございます。
  84. 大江康弘

    大江康弘君 そうしたら、局長、現時点でそういうところまで至っておらないということでありますけれども、それじゃ、BOAOから町に対して、そして町から国に対してどんな計画でやるという計画書があるんですか、これ。ちょっと教えてください。
  85. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 事業計画そのものは、町と企業との間の賃貸借契約に基づきまして当該企業が町の方に提出したり、自ら作り提出すると、こういうような性質のものでございます。国に対して一方的に報告義務があるわけではございませんが、一方、先ほど来申し上げておりますように、売買契約に沿ってしっかり運用されているのかというのが私どもの観点でございますので、引き続きそうした実際の事業計画とその具体の展開というものにつきまして町を通じてよく事態を把握し、また町と意見交換をし、改善すべき点があれば改善すると、こういう立場によっておるわけでございます。
  86. 大江康弘

    大江康弘君 局長、間違ったこと言ってはいかぬですよ。報告義務あるんですよ、これ、十九条に。報告義務はないと言ったけれども。あなたは、この契約全く読まれてないんやね、これ。今ここの場所でこれいい加減に答えてるの。あるじゃないですか、これ、十九条で。(発言する者あり)
  87. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) もう時間ですよ。
  88. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 私、先ほど申しましたのは、当該企業が国に対して報告義務はない、しかし町は報告義務がある。それで、町の方によく相談し、調査をいたしまして事態の推移を把握してまいりたいということを申し上げました。
  89. 大江康弘

    大江康弘君 私だってこれ読めば分かるんですよ、こんな。企業が直接国に報告するなんということは、これどこにも、一行だって書いてない。それをしっかりと代理義務を果たすのが町なわけなんでしょう。だから、あるんですよ、これ報告義務が。それで、毎年六月の三十日にはしっかりと報告しなさいよということも書かれているんですよ、これ。違います。
  90. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 契約書第十九条第二項に、今御指摘のありました毎年六月三十日までに定期的なこの事業状況報告、こういうものが行われることとなっておりますので、今月末ということでございます。私ども、その報告書の受領だけではなく、もっと町との間で対話を続けまして、必要に応じ、現地に出向いてでも実情を把握していきたいというふうに考えております。
  91. 大江康弘

    大江康弘君 ちょっと私ももう今日は局長の答弁では全く納得いきませんから、またこれ機会をつくっていただきたい、もう時間がありませんので。  最後にちょっとこれ、社保庁、部長ね、いわゆるこういう施設というのはまだまだ残っているんです、これ、たくさん。これ、本当にこんなやり方で国民の信頼をしっかりいただいてやっていけると思います、これ。そこのところ先ほど私は村瀬長官にも聞きましたけれども、もう本当に、もう後がないんですよ、これ。今みたいな私は局長の答弁をされて、とてもこれ納得するわけにもいきませんし、納得はしておりません。これ、社保庁、こういうことを、これあと残りのこの物件も幾つかあると思いますけれども、これ一回最後に、ちょっとこういうことをどうしていくのかということをしっかり答弁してください、これ。
  92. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) 年金の福祉施設につきましては、昨年の十月に独立行政法人の年金・健康保険福祉施設整理機構というのを設立をさせていただきまして、この年金福祉施設、すべての施設を民間への譲渡を進めているという状況にございます。  この機構において実際に施設の譲渡を行います場合には、一つは、不動産鑑定評価の手法に基づきまして適正な価格の設定に努めること、そして二番目には、特段の譲渡条件を付けない一般競争入札によるという原則に立つこととしております。したがいまして、年金資金への損失の最小化を図るということを大原則に事業を進めさせていただいているところでございます。  現に、昭和十七年度、年度の途中からの事業実績でございますが、二十の物件について入札を実施させていただきまして、そのうち九つの物件が現に落札をされております。この金額は合計で六十二億九千万円となっておりますが、これは国有財産台帳上の簿価に対しましては六六%、それから、出資をするときにはこれを時価に直すわけでございますが、この時価で直しました出資額に対しましては一五〇%という形になっておりますので、取りあえず初年度、適切にまずは実施されて事業が始まったものというふうに認識をしております。
  93. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
  94. 大江康弘

    大江康弘君 最後に、年金局長、もう一度私言っておきます。  正にこれ、六月三十日を待つんじゃなしに、こういうような状態でありますから、しっかりとこっちからどうだと言うぐらいの、受け身的じゃなくて積極的にやはり問いただしていくというようなことをしっかりやっていただくということを私はお願いをして、もう一度ひとつこういう機会をつくっていただきたいということを理事さん始め皆さんにお願いを申し上げまして、もう時間がありませんからこれで終わります。  ありがとうございました。
  95. 風間昶

    ○風間昶君 循環型社会形成基本法においても、今の前段の同僚議員の国民のために使われる施設のきちっとした運営がなされての循環型社会でなきゃならないということを私も感じました。  私の方は環境問題について質問をさせていただきます。  平成十二年に循環型基本法ができて、なおかつこの循環基本法では優先順位を付けたわけであります。何といっても、ごみを含めて物質がごみになっていかないように、ごみになるものを発生を抑制していこうということを筆頭に順位を付けて、なおかつ三年前の三月に、この循環基本法にのっとって循環型社会の計画を立てていこうと。そして、十六年、十七年、十八年とこの進捗状況を見計らって、最終的に明年度、十九年に向けてまた基本計画を立て直していくと、こういうことだというふうに私は思うんですけれども。  どっちにしても、一番大事なのはこの発生抑制、ごみの発生抑制なわけでありまして、これはもう容器包装から自動車から食品から家電から全部そうなんでありますけれども、例えばペットボトルなんかでは、近年、製品の改良を通じて軽量化を図ったりなんかするという、技術の革新によるごみ、廃棄物の発生抑制ということが一番私は根っこではないか、スタートではないかというふうに思うんですけれども、三年間経て、来年見直しに向けて、技術革新の点から見たこの循環基本計画の見直しに向けてどういうふうに考えているのか、伺いたいと思いますけれども。
  96. 江田康幸

    ○副大臣(江田康幸君) 先生の御質問にお答えさせていただきますが、先生御指摘のように、我が国は廃棄物を単に処分するべき対象としてではなくて、資源としてとらえて、リサイクルを始めとしてリデュース、リユースも含めてこのスリーRの取組を充実させることによって循環型社会の形成を推進するという立場を取っております。  御指摘の、排出抑制を進めていくためには二つ大変重要である。一つは、やはり国民一人一人の意識の向上、取組の、でございまして、また二点目が、先ほどから御指摘なされている技術革新の努力であるというふうに考えられます。  まず、国民一人一人がこの意識を高めていく。それには、日本古来の自然を敬い限りある資源を大切に使うというもったいないという精神が我が国にはございますが、今、ノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイ・ケニアの副大臣が全世界に向けて我が国のこの心の部分を、取組を紹介していただきながら進めていただいているところでございますが、このもったいないの心を持ってこのライフスタイルを転換していくということが排出抑制に重要な役割を果たすものと考えております。  先生御指摘のスリーRの技術につきましては、事業者の努力を中心としまして、先ほどから御指摘いただいております例えばペットボトルの軽量化、こういうところは大変に進んできておりますし、また軽量化したリターナブル瓶など、製品の設計段階から廃棄物を減らすようなエコデザインの取組が進んでおります。  結論でございますけれども、先生の御指摘の排出抑制効果について、今御説明しましたように、国民一人一人の取組と技術革新のそれぞれの排出抑制効果がどの程度であるかというのをそれぞれ把握することはちょっと難しいところがございます。しかし、これらの取組の相乗的な効果を含めて、これら大きく二つの取組を一層進展するように努めてまいりたいと、そのように思います。
  97. 風間昶

    ○風間昶君 私は技術革新の点だけを伺ったんですけれども、併せて二本柱の国民の意識向上というか啓蒙というのも御答弁いただいたんですが。  今ちょっと気になった副大臣の御答弁で、把握することは難しいというふうにおっしゃいました。これは確かに難しいんだけれども、把握しようとする努力をしないで、少なくとも廃棄物を減量化する目標値は設定できないわけであります。だから、把握しようとしていこうとする努力をきちっとやっぱり提示しないとならないと思いますよ。言い返すようですけれども、把握するのは難しいということで済ましたら、これは少なくとも施策の進捗状況をきちっと点検して廃棄物減量化の数値目標を出せないわけですから、この点についての考え方をきちっと出すことが必要だと思いますけれども。
  98. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 今の副大臣のお答えを少し補足させていただきます。  廃棄物処理法の基本方針におきましては、ごみの平成二十二年度におけます目標を五%削減しようということで目標を立てております。これに向けまして施策を講じておるわけであります。  現在、既に容器包装リサイクル法などの効果によりましてリサイクルなどは随分の進展を見ておりますが、リデュースそのものに関しましては横ばいの状況が続いております。ただいま副大臣答弁されましたように、国民の一人一人のもったいないという心を持ってのライフスタイルの転換と併せまして、今御指摘のありました技術革新による排出抑制を一層進めていくというふうなことで、現在、この達成状況の、平成十七年が中間目標年度にされておりますことから、この達成状況を現在把握に努めておるところであり、いま少し時間を要するわけでありますが、この達成状況が取りまとめられた段階でその結果を踏まえましてしっかりとした形に前進をさせてまいりたいと、このように考えております。
  99. 風間昶

    ○風間昶君 そうなんです。だから、まだ把握が十分できてないということなら理解をすることができるわけであります。できていないと。できないというふうに結論付けないでいただきたいと思います。  それで、個々の問題についてちょっと伺いますけれども、いずれにしても、産業廃棄物の話に今度移らせていただきますけれども、産業廃棄物を委託処理する排出事業者の責任、明確にするということで、特に、そういうことによって社会的な問題になっている不法投棄を未然防止するという意味からも、マニフェスト制度が平成十年の十二月からきちっと行うようにと、すべての産業廃棄物についてきちっと管理をしていくように義務付けられているわけであります。もう七年たっているわけです、現実にね。  それで、このマニフェスト制度が動いているわけでありますけれども、実際にマニフェスト制度の実効性についてというのはどういうふうに環境省としては、国としては評価されておりますか、伺いたいと思います。
  100. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) マニフェスト制度につきましては、平成三年の廃棄物処理法の改正によりまして特別管理産業廃棄物に導入されたものでありますが、御指摘のように平成十年にすべての産業廃棄物に導入されたわけであります。この制度は、産業廃棄物の処理の流れを管理する重要な手段の一つであるというふうに認識をいたしております。  マニフェストは、現在、年間約四千五百万件使用をされておりまして、不法投棄や不適正処理を未然に防止する一定の役割を果たしているというふうに認識をいたしております。ただ、一方で、マニフェスト制度を無視してやみルートへと産業廃棄物を流すアウトローや、それからマニフェストを逆用しまして偽造マニフェストを売りさばくというふうな者もございます。  平成十七年の廃棄物処理法の改正におきましては、産業廃棄物の運搬あるいは処分を委託した者に対しますマニフェストの保存の義務付け、あるいはマニフェスト制度に係ります勧告に従わない者につきましての公表の措置でありますとか、あるいは産業廃棄物の処理を受託した者が処理を終了せずに虚偽の管理票を送付する行為などにつきまして、規制の明確化をするなどの措置を講じたところであります。立入検査の強化などと併せまして、実効性を確保するために努力をしているところでありますが、今後ともこのマニフェストの実効性ある運用が行われるように努めてまいりたいというふうに考えております。
  101. 風間昶

    ○風間昶君 そうしますと、そのアウトローとかいわゆる偽造マニフェストを使うという人たちもいることからしますと、いわゆる情報の一元管理をするために導入した電子マニフェスト制度についてもかなり普及は極めて厳しいんではないかというふうに思うわけですけど、まず、電子マニフェスト制度を導入したことによっての普及率がどのぐらいになっているのか、つかめますか。
  102. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 御指摘のとおり、電子マニフェストの普及率は現在のところ低い状態で、三%程度にとどまっております。
  103. 風間昶

    ○風間昶君 それを含めて、そうすると、電子マニフェストの推進方策というのを、何といいましょうか、根本的に考えなきゃならないというふうに思いますけれども、それはどういうふうに進めていきますか。
  104. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 電子マニフェストは一元的な情報管理が可能となるわけであります。そういう意味で、適正処理を推進する上で非常に有効な手段であると認識をいたしております。しかしながら、その普及率は、運用が開始されました平成十二年度以降、着実に増加はしているものの、平成十七年度末時点で三・五%にとどまっているのが実情でございます。  環境省におきましては、昨年、平成二十年度に普及率を三〇%にする目標を設定をいたしました。大規模事業者などを中心に普及啓発を進めていくこととしております。また、本年一月に取りまとめられましたIT戦略本部のIT新改革戦略におきましては、平成二十二年度に普及率を五〇%にする目標を定めておるところであります。  環境省におきましては、関係する業界に働き掛けまして、電子化に向けた機運を今盛り上げつつあるところであります。今後、更に関係業界と密接に連携をいたしまして一層の普及啓発を行うなど、この目標達成に向けて邁進してまいりたいというふうに考えております。
  105. 風間昶

    ○風間昶君 是非頑張っていただきたいと思います。結構、でも、平成二十年までに三〇%というのはきついですね。もうちょっと現実的に考えていった方がいいような気がしないでもないですが、でも、目標としては評価しなければならないと思います。  次に、産業廃棄物処理と併せて今度は各種のリサイクル法について伺いますけれども、一番最初にデポジット、預託する制度を導入されたのは自動車リサイクルでございます。この自動車リサイクルが、実際に、平成十四年でありますけれども、デポジット制度というのが動き出したのは去年の一月一日でございます。そういう意味では、預託金がどのぐらいあるのかとか、どういうふうに使われているのかということ、なかなか把握が難しいかもしれませんけれども、いずれにしても、滑り出したばかりの自動車リサイクル法について、評価はどういうふうにお持ちですか。
  106. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 自動車リサイクル法は、平成十四年七月に制定されまして、昨年の一月から本格施行をされたところでございます。施行後一年五か月が経過したところであります。  リサイクル料金につきましては、今年の三月までに、四千九百四十万台を対象といたしまして、約四千七百億円が預託されております。現在、走行しております自動車の台数を約七千五百万台と想定いたしますれば、その半数以上の自動車にリサイクル料金が預託されたことになりまして、預託は順調に進んでいるものと考えております。  このように、自動車リサイクル法につきまして、現時点では着実に浸透してきているものと認識をいたしておりますが、引き続きましてこの制度の遵守徹底に向けまして努力してまいりたいというふうに考えております。
  107. 風間昶

    ○風間昶君 それは大したものですね。四千七百億円、七千五百万台のうち五千万台ぐらいの預託があるということですから、きちっとその四千七百億円の使い道を、様々なリサイクル、あるいは離島、特に離島における、油も高騰しておりますから、島には入って来るのは入ってくるんだけれども出ていくことがない中でこの処理に大変困っていますから、十分な利用、活用をしていただきたいというふうに思います。  次に、デポジットの話出させていただきましたので、東京の八丈島でしたでしょうか、島じゅう挙げて瓶や缶に十円のシールを張って売って、その預託金で回収をうまく回していこうということで、自治体がそういう意味では取組を始めたんですけれども、残念ながら四年か五年ぐらいしか続かなかったんですよ。これはやっぱり、デポジット制の持つ問題点を大きく課題として私たち提示しているんじゃないかというふうに思いますので、実現していくことがなかなか困難な部分をどうこれから乗り越えていくかということの視点を含めて、デポジット制について国の施策としてどうしていくのかということをお伺いしたいと思いますけれども。
  108. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 御指摘のように一部の自治体におきまして、今御指摘のありました東京都の八丈町におきましては、平成十年から平成十五年までこのデポジット制度を導入をされておりますし、他にも事例があることは承知いたしております。これらの事例におきましては一定の効果が上げられている一方で、回収容器の管理等の課題があるというふうに理解をいたしております。  私どもとしましては、自治体で様々な工夫が行われまして、それぞれの実情を踏まえた上で、このデポジット制度のような取組も含めまして、積極的にスリーRの取組を実施することにつきましては歓迎すべきことと考えておりまして、今後とも様々な取組が広がっていくことを期待したいとは考えております。  ただ、デポジット制度を全国的に一律に導入するということを考えてみまするときに、市町村による回収から店頭回収への仕組みに転換することになります。この場合におけます回収率などへの影響あるいは小売店におけます回収コストの増大など課題が大変多うございます。こういうことから、引き続き分別収集の徹底等によりまして回収率の向上を図るべきとは考えておりますが、一方、スタジアムなどの限定的な場所で実施する場合には、このデポジットに関しましては一定の効果を見込むことができると考えておりまして、実証事業の実施などを通じまして引き続き検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
  109. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  確かに、新潟とか大分のサッカー場ではリユースカップが利用されているのも事実ですし、うまい使い方といいましょうか、分別収集の方とデポジット、地域や物に応じてやっていくということがこれから工夫が必要かなというふうに思います。  次に、これは私、個人的な意見ですけれども、自動車とか家電とか、いろいろな分野別に分けているんだけれども、いずれにしてもプラスチックの量がこれから多大な廃棄物の一つの大きなジャンルになると思うんです、部品が何であれ、製品が何であれ。そうしますと、将来は製品中のプラスチックを、自動車なら自動車のプラスチック、食品なら食器のプラスチックと、プラスチックを一緒に集めていって、それをリサイクルにしていく方が私はいいのではないかというふうに思っていますが、残念ながら、今のように食品リサイクル、自動車リサイクルと、リサイクルが分かれていますので、ここの兼ね合いをどう考えるのか。私は、間違いなく将来は今の分けているリサイクル法で多少限界が出てくることが危惧されます。この辺については、今直ちにやめろとは言いませんけれども、将来的にそういうことも踏まえて、今後のプラスチックに対する処理をどうするかということが大きな課題だと思いますが、どう考えていますか。
  110. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 現在、廃プラスチックにつきましては、容器包装リサイクル法や家電リサイクル法などの各種のリサイクル法に基づきまして再商品化されているのは御指摘のとおりであります。  これは、個々の製品の種類によりまして、物の性質、流通ルートの特性など様々な違いがありまして、それに応じた再商品化のシステムをつくる必要があるというふうな認識からであります。また、家電につきましては、法律が施行されました平成十三年度に比べまして、ほぼ一貫して再商品化率は伸び続けておりまして、家電に含まれます廃プラスチックの再商品化も進んでおるところであります。プラスチック製の容器包装廃棄物につきましても、制度が施行されました平成十二年度には一五・三%の市町村のみが分別収集を行っていたものですが、平成十六年度には五七・五%の市町村で分別収集が行われておりまして、着実に分別収集、再商品化が進展いたしております。  政府としましては、今後とも各種リサイクル法に基づきます廃プラスチックの再商品化につきまして、一層効果的かつ効率的に推進してまいりたいというふうに考えております。  なお、様々な由来のプラスチックを同じ技術、同じ施設でリサイクルを処理するということは、これ可能でございます。これらの処理を担う事業者に対しましても、必要に応じまして機会をとらえてより効果的、効率的にこういう施設を活用するように助言をしてまいりたいというふうに考えております。
  111. 風間昶

    ○風間昶君 次に、分かりました、食品のリサイクルについてちょっと伺いたいと思います。  横浜市においては、全市挙げてごみの減量に取り組む中で生ごみ減量に物すごい力を入れていまして、今年から電気式の生ごみ処理機の普及のため一台当たり二万円を上限とする助成制度をスタートしまして、一次募集分の二千台についてはもう募集締め切られたわけであります。  この生ごみもまたこれ厄介でございまして、そのままだともう焼却処分するしかないわけでありますけれども、これは考え方として、だから、焼却してバイオマスの方に行くのか、焼却しないで堆肥化の方に持っていっていくのか、ダブルで行くのかセットで行くのか、ダブルのセットで行くのか、あるいはどっちかの方向に行くのかということも含めて、食品リサイクルに関しては、この生ごみの処理に関してはどういうふうに考えていったらいいのか、今どう考えていらっしゃるのか、教えてくださいますか。
  112. 江田康幸

    ○副大臣(江田康幸君) 先生のまず最初の御質問だと思いますけれども、生ごみにつきましては、これはやはりバイオマス系の廃棄物のリサイクルということで、循環型社会の形成と地球温暖化防止のその両方に資する大変重要な課題と考えております。このため、循環型社会形成推進交付金制度というのを使って、地域におけるバイオマス系の廃棄物のリサイクル推進を支援しているところでございます。特に、循環型社会形成をリードする先進的な高効率メタン回収施設につきましては、通常よりも手厚い支援を行いながらその整備を促進しておるところでございます。  ですので、先生の御質問は、生ごみを焼却して熱回収に持っていくのか、若しくはバイオマスとして堆肥化、肥料、飼料化していくのかということでございますが、結論的に言えば、その双方を進めながらリサイクルを進めていくということを進めておるところでございます。  加えまして、食品リサイクル法に基づきまして、食品製造メーカーやレストラン等で発生する食品廃棄物を肥料や飼料等にリサイクルするということを進めております。  しかし、この生ごみの問題は、発生する場所に応じましてその性状とか量が様々であることや、リサイクルの用途や地域の特性を十分に考慮する必要があることなど、様々な課題があることも事実であります。このために、家庭の生ごみ等のスリーRの在り方につきましては、有識者、関係者から成る検討会を設けてこの検討を進めてきているところで、この夏ごろにはその結果をまとめていく予定でございます。  今後、この検討結果も踏まえながら、関係省庁、地方公共団体、関係団体とも連携してこの食品リサイクルを推進していきたいと総合的に考えております。
  113. 風間昶

    ○風間昶君 今度は、建設リサイクルで問題になりましたアスベストの問題でありますけれども、このアスベストの処理をどうするのかというのは、これはもう大変な問題だと思います。  技術開発についてはいろいろ研究されていると思いますけれども、知っている限りにおいては、溶融固化して固めてこれをきちっと埋設するということもあるんですけれども、むしろアスベストそのものを化学反応で無毒化させるという技術をもうちょっときちっと実際にできるような研究が取られる必要があると思うんですけれども、この二点について伺いたいと思いますけれども。
  114. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) アスベスト廃棄物につきましては、現在はそのほとんどが埋立て処分をされているわけでありますが、処理施設側の受入れ忌避などによりまして、地域によりましては処分費用も大きく高騰いたし、処分が困難になっている状況も見られております。このためにも、埋立て処分に加えまして、御指摘のような無害化処理のルートを開拓することも大変重要な課題というふうに考えております。  このために、高温での溶融技術を用いた無害化処理の実証試験を行いまして無害化処理を実現する基礎を整えるとともに、無害化を円滑に進めるために廃棄物処理法の改正を先般この通常国会の冒頭で行わせていただきまして、無害化処理を行う事業者について国が認定する制度を創設さしていただいたところであります。  現在、御指摘のような技術のことも含めまして、認定制度の施行に向けまして認定の基準の設定などの準備を行っているところでありまして、本制度を活用しながらアスベストの廃棄物の円滑な処理が図られるよう努めてまいりたいというふうに考えております。なお、技術につきましても、更に技術的な進展が見られるよう研究などに努めてまいりたいというふうに考えております。
  115. 風間昶

    ○風間昶君 分かりました。  もう一つ、PCBの問題で、全国五つの拠点をつくって、全国に今まで眠っているPCBの処理をきちっと処理していく、十年掛けて処理していくということは非常にいいんですけれども、処理施設を造るまでの間、当該地元住民の方々に結構丁寧な説明をされたんだけれども、問題は、今動いている北九州、東京都、豊田市、三つを含めて、これから今年できる大阪、来年できる北海道において、稼働中の住民に対する定点、定時的な住民に対する説明といいましょうか、稼働後の住民説明の体制をどういうふうに取っていくかというのは極めて重要なポイントだと思いますけれども、ここをどうするかということについて方針を伺って質問を終わりたいと思いますけれども。
  116. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) PCB処理事業を円滑に進めていくためには、このPCB処理施設の設置を行いまして処理を行うものが、施設周辺の住民に対しまして事業の内容あるいは事業の安全性確保の措置の状況などを十分に説明をしまして理解を得ていくことが大変重要であるというふうに認識をいたしております。このために、処理事業者であります日本環境安全事業株式会社の各事業所におきましては、施設内に見学ルートや情報公開のルートを設置いたしまして施設の運転状況を公開をしております。また、定期的に操業状況を伝えますリーフレットを作成して配布もいたしておりますが、こういうふうなことを通じまして地元住民への積極的な情報提供に努めておるところであります。  日本環境安全株式会社が地元の信頼を受けましてPCBの円滑な処理を進めるためには、このような地域住民の方々に対して情報を公開することは極めて重要なことというふうに考えておりますので、引き続きまして情報公開などがきちんとなされますよう、環境省としても引き続き指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  117. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  118. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  ハンセン病胎児標本問題について伺います。  二〇〇一年五月十一日、熊本地裁らい予防法違憲国賠訴訟の原告全面勝訴から五年、らい予防法廃止から十年が過ぎました。大きな節目のときを迎えています。  昨年三月に、九十年に及ぶ国の隔離政策の誤りを科学的、歴史的に多方面から検証し、再発防止の提言を行うことを目的に設置されたハンセン病問題に関する検証会議報告書も提出されました。今日は、検証会議報告により明らかにされて、社会的に大ショックを与えた、また入所者や御遺族に計り知れない衝撃になっている胎児標本の問題について伺います。  初めに確認いたしますが、御遺族はもとより、人工妊娠中絶を強制された人、断種を強制された人は、標本が残っているいないにかかわらず、同じ苦しみに耐えています。御遺族や関係者一人一人の納得、合意なしには一歩も事を進めてはなりません。また同時に、肉体的にも精神的にも耐えられない状態の人もいます。  一体一体の対応について全療協に相談し、同意書をもって確認することが必要です。拙速な行動は慎むということを約束してほしいと思います。いかがですか、大臣
  119. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 今委員指摘のこの国立ハンセン病療養所に関する問題につきまして、私たちも極めて重要な問題であるという認識をいたしております。  この今御指摘の胎児等標本の供養等の問題ですね。この問題につきましては、ハンセン病問題に関する検証会議最終報告書における提言等を踏まえまして、入居者の代表団体であります全国ハンセン病療養所入所者協議会、全療協の皆さんとの間で協議をしっかりと進めてきたところでございます。  その協議過程におきまして、本年二月には、全療協より、遺族等関係者からの意見調整を前提とした個別の供養等の計画と執行を行うよう意見が表明されました。今後、更なる具体的な協議を踏まえて、今御指摘ありましたような丁重な供養等しっかりとしてまいりたい、そのように考えております。
  120. 吉川春子

    ○吉川春子君 検証会議最終報告、(別冊)胎児標本調査報告は、今回の検証事項の中でこの胎児標本の問題ほど入所者の人間としての尊厳を傷付け続けるものはない、ハンセン病療養所は患者の隔離、絶滅を基本に置いていたこともあり、事実上、療養所内での出産、育児を認めてこなかった、時には生まれてしまった新生児の命が職員の手によって無理やり奪われてしまった悲惨な光景も想像に難くない、またそれを裏付ける相当数の証言がらい予防法違憲国賠訴訟においても見られると指摘しています。    〔委員長退席、理事風間昶君着席〕  そこで伺いますが、優生保護法が制定された一九四八年以降、一九九六年までに行われたハンセン病を理由とする優生手術、人工妊娠中絶、断種の件数をお示しください。
  121. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) かつての優生保護法第十四条第一項第三号におきましては、本人又は配偶者がらい疾患にかかっていることを理由としまして、人工妊娠中絶ができる旨、規定されておりました。国立ハンセン病療養所では主としてこの規定に基づき人工妊娠中絶が行われていたと考えられます。  昭和三十年、これは人工妊娠中絶に関する全国統計の開始時期でございますが、昭和三十年から平成八年、らい予防法の廃止に伴いまして優生保護法の改正が行われた年でございますが、それまでの間、全国の医療機関において当該規定を理由とする人工妊娠中絶件数は三千百七十二件でありまして、当時の状況を踏まえますと、その多くは国立ハンセン病療養所のものであったと考えております。
  122. 吉川春子

    ○吉川春子君 断種等の件数は分かりますか。
  123. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) 断種等の件数につきましては把握しておりません。
  124. 吉川春子

    ○吉川春子君 こういう重要なことをやりながら件数すら把握されていない。本当に大変な問題だと思います。  大臣に伺いますけれども、同報告書で明らかにされた全国の六か所の国立療養所から、ホルマリン漬けにされた、あるいはポリバケツ等に無造作に入れられた胎児と新生児の標本が百十四体も見付かりました。そのうちの五十七例が年代不詳、親の名前も不明、手掛かりとなる何らの記録もありません。本当に医療機関だったのか信じ難い事態です。我が子が標本にされるということについて、両親の承諾を得ていたのでしょうか。何を目的に標本にしたのでしょうか。
  125. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) まず、両親の承諾を得ているかどうかという点でございますが、過去のハンセン病療養所における胎児等標本の作製時におきます両親の承諾の有無につきましては、ハンセン病問題に関する検証会議最終報告書におきまして、両親が承諾を与えたという証言がないこと、両親は自分の子供が標本にされている事実すら知らないのが通常であること、標本化を知っているケースであっても標本化の強制であって任意に承諾を与えたと評価できないといった御指摘がされているところでございます。  それから、大変失礼いたします、恐縮でございますが、先ほど断種の件数につきまして御質問がございまして、把握していないとお答えいたしましたが、昭和二十四年から平成八年までの数字としまして合計で千五百五十一件、これはらい疾患によるものということで当事者の同意によるものということで把握しているところでございます。
  126. 吉川春子

    ○吉川春子君 まあその数字も大変いい加減なものだと思うんですけれども、両親の承諾が得ていないと、そういうことも明らかになっているわけですね、胎児標本について。もうとんでもないことだと思うんですね。  研究目的であれば、解剖承諾書なりの書類、医療行為の行われた年月日、両親の氏名、妊娠何か月で取り出されたのか、その理由等について、付随すべき個人情報が標本とともに保存されているべきですけれども、これも保存されていない。  何のために、その標本が残されたのですか、その理由は何でしょう。
  127. 風間昶

    ○理事(風間昶君) 速やかに答弁をお願いします。
  128. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) はい。  その理由としましては、胎児標本を作製した理由としましては、検証会議報告書におきまして、垂直感染に関する研究、つまり親から子にらい菌の感染が移行するか否かについての研究、それからハンセン病治療薬の胎児への影響に関する研究目的の可能性が指摘されているところでございます。  一方で、残されました胎児等標本や書類の状況から見ますと、学問上の研究を目的として残されたものである可能性は極めて低いとの御指摘もされているところでございます。
  129. 吉川春子

    ○吉川春子君 要するに、垂直感染、母親がハンセン病であったときに、その胎内に宿された子供へらい菌の感染が移行するかどうか、こういう研究のためというのはもう根拠がないよと報告書で言われているわけですね。国際的には一九二〇年代に、もうそうしたことはないんだということが明らかにされています。優生保護法に規定したこと自体が誤りで、強制堕胎された子供は国の政策の犠牲になったのではないかと思われますが、大臣、この点についてはいかが御認識されていますか。
  130. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 今御指摘の点、私もテレビ等で実際に、御家族の方の何というか御発言、この事態に対する取組方、そういったものをテレビ等で拝見いたしまして、まあ相当に、何というか、今から時代の、違う時代の状況でのことであったとはいえ、非常に厳しいその御家族の心情を思ったときに、その心情を察するところ余りあるものがある、そんなふうに思っておるところでございます。
  131. 吉川春子

    ○吉川春子君 その報告書は、一九三五年からは戦争の影響もあって研究する医師が次第に減少して、胎児は研究に使用されなくなったと指摘しています。それでも妊娠中絶だけは引き続き行われて、標本は残り続けました。百十四体のうち八〇%は切開瘡、臓器摘出痕も認められていません。しかも、残りの二〇%については、加えられている切開瘡は解剖の常識を逸脱したものが多く、何をしようとしたのか想像もできない、胎児、乳児の尊厳、生命そのものの尊厳をいたく冒涜するものである、死体解剖保存法に基づきあるべき解剖承諾書もないということが指摘されておりますけれども、入所者らは見せしめだったとも語っています。  しかし、二〇〇一年の文書質問に対する森内閣の答弁は、胎児標本について、旧優生保護法の規定に基づき、人工妊娠中絶が行われていた、母胎外に排出された胎児の標本が、ハンセン病の医学に関する研究に使用されるために保管されていたとしています。これは、今局長が答弁された検証会報告書にも反するわけですね。この森内閣見解は撤回されますか。してください。
  132. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) 二〇〇一年の森総理からの御答弁でございますけれども、その時点におきましては優生保護法に基づきまして行われていたと、らい疾患の場合には人工妊娠中絶ができるということで行われていたという理解の下に御答弁したものというふうに理解しております。  その後検証会議報告書というものが出まして、現在こういう御指摘がされているところでございますので、現時点におきましては、検証会議報告書の御提言の内容というものに従って今後対応をしていく必要があるというふうに考えております。また、現時点におきましては、もう既に半世紀以上前のことでございますので、更に一層詳しい事実関係というものを調査することは難しいというふうに考えております。
  133. 吉川春子

    ○吉川春子君 明らかに、森内閣の当時の答弁は、この検証会議報告と矛盾するわけですね。ですから、その後こういう見解が、事実上違うわけですから、副大臣、このことは撤回された方がいいと思います。いかがですか。
  134. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 今御指摘の点につきましては、本件胎児標本につきましての存在が検証会議最終報告書の提言等により既に公に知られている事実であるというふうなことから、いわゆる医師法に基づく異状死の届出を行ってこないというようなことがございました。今、森内閣当時の決定を、基づいて撤回しろということでございますけれども、それは、今の時点でそうすることは難しいと思っております。
  135. 吉川春子

    ○吉川春子君 局長は、検証会議報告に基づいてやっていきたいと、このように言われたわけです。しかし、森内閣は、母子感染があるから云々かんぬんと、こういう答えをされていますので、明らかに事実に反するので、今の時点ではもう撤回された方がいいと思います。どうですか。ちょっと時間がないので、簡潔にお願いします。
  136. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 撤回をしろということでございますけれども、現在その報告書に示されたとおりであるということにとどめたいと思います。
  137. 吉川春子

    ○吉川春子君 報告書というのは検証会議報告書ですね。──はい。  法務大臣、伺います。  胎児標本百十四体のうち二十九体は、妊娠八か月以上で人工早産あるいは自然分娩と考えられています。日本の法律で、生まれたての赤ちゃんの息の根を止めてよい、ホルマリン漬けにすることを許す法律が、戦前、戦後通してあったら示してください。
  138. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 母親の承諾を受けないで堕胎行為をしたと認めている場合には不同意堕胎罪が成立する場合がございますが、このような行為が母胎の危機を回避するなどの治療目的から行われた場合は、刑法三十七条一項の緊急避難の規定により違法性が阻却され、犯罪が成立しない場合があると思われます。  また、昭和二十三年に施行されました優生保護法では、先ほど答弁がありましたように、一定の条件の下で人工妊娠中絶を許容する規定が置かれていたものと承知しております。それがどの時期から適用されるかどうかというのは法務省の所管ではございませんので、そこは厚労に聞いていただきたいと思います。
  139. 吉川春子

    ○吉川春子君 つまり、その八か月以降生まれて、あるいは自然分娩で生まれた赤ちゃんを、その息の根を止めていいというそういう法律、今言ったのは個々の事例について違法阻却、責任阻却の問題を大臣言われたけれども、そういうことを一般的に認める法律はなかったというふうに理解していいですか。
  140. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 一般的にはございません。若干の例外があるだけでございます。
  141. 吉川春子

    ○吉川春子君 その若干の例外というのは違法阻却、責任阻却等々の問題であるというふうに思いますが、とにかく、その赤ちゃんの命をその時点で奪っていいという何らの法律もないわけなんですね。  それで法務大臣、もう一つ伺いますけれども、胎児等の標本のうち、少なく見ても二五%以上が妊娠八か月以上の人工早産をせざるを得ない時期が選択されていると会議指摘されているんです。したがって、法的には堕胎罪の有無、生きて生まれた場合は殺人罪、あるいは刑事訴訟法二百二十九条検視等についての検討が必要になる事例ではないんですか。    〔理事風間昶君退席、委員長着席〕
  142. 河野太郎

    ○副大臣(河野太郎君) 現行の刑事訴訟法二百二十九条第一項は、変死の疑いがある死体があるときには、その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は検視をしなければならないというふうに定めております。検視を行うべきかどうかは個別具体的な判断になりますが、一般論として申し上げれば、胎児を早産させた後死亡させるような場合には、そのような行為が許容される法規定に該当しない限り、先ほどの例外に該当しない限り変死体として検視が行われる場合が少なくない、つまり、そういうことなんだろうと。仮に通報がなされれば、検視がなされるというふうに思っております。  戦前に施行されておりました旧刑事訴訟法でも、百八十二条第一項に、先ほど申し上げました現行法二百二十九条第一項とほぼ同じ内容が規定されておりますので、通報がなされていれば検視がなされていたというふうに思っております。
  143. 吉川春子

    ○吉川春子君 この検証会議報告では、職員による殺人というような表現すら出てくるわけですね。私は、これらの問題はその検視以前の問題として、殺人罪であったのかどうか、そういうことのその検討が必要な事例もたくさんあるのではないかと、このように指摘をしておきたいと思います。  で、もう時間がわずかになりました。厚生労働大臣、その検証会議が、今回の胎児等標本の検証の中で最も強調されなければならないことは、ハンセン病療養所の医師始め看護師、医療技師、事務官に至るまで、気付かないうちに医療倫理感覚が麻痺してしまっていたことであり、この風潮は少なからず現代の療養所に引き継がれていると思われることであると指摘している点ですね。  特に、医療の中枢にある医師が人権感覚を十分に持つ必要があると思うんです。医師その他の職員の人権意識を深めるための教育プログラム、これは検察官とか警察とか裁判所に対しては、国連の方から人権教育をせよという勧告が出ていますけれども、こういうその医師等に対してもそういう教育をしっかりとやっていただきたいと思います。いかがですか。
  144. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 今、吉川委員の方からこのハンセン病等に対する医師並びに医療従事者に対してのしっかりとした意識向上、こういうものにしっかりと取り組むべきだという御指摘、全くそのとおりだと思います。現在、療養所におきまして人権に関するフォーラムというものを開催するという取組をしたりしているところもあります。しかしながら、今般ハンセン病問題に関する検証会議最終報告書における提言等を踏まえまして、現在の時点でいいとするのではなくて、更に人権教育を徹底するべく、全療養所に対しまして医師等の職員に対する研修を指示するなど、今回の事態も踏まえてしっかりとした対策を講じてまいりたい、そんなふうに考えております。
  145. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間ですので、終わります。
  146. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  私は、自殺防止対策について関連してお尋ねをしたいというふうに思っています。  自殺者数が八年連続して三万人を超えたと。そういう中で、このたび自殺対策基本法が議員立法で出てくる、そういう方向で準備がされております。そういう中で、安倍官房長官が三月の十六日の参議院の内閣委員会におきまして、今後十年間で自殺者の数を平成十年の急増以前の水準に戻すことを目指して総合的な対策を推進していくと、こういう決意を述べられました。いいことだというふうに思っております。  そして、この自殺予防対策でございますが、これは各NPO団体もそうでありますし、参議院の厚生労働委員会の決議でもそうでありますし、総務省の各種調査でもそうでありますし、また省庁の連絡会議の対策の結論についてもそうでありますが、とにかく自殺の実態把握、これとその解明が当面非常に重要なんだと、このことをやっぱりしっかりやらなければならないと、こういうふうに言っているわけでございます。  それで、安倍官房長官のこの決意といいましょうか目標、これを達成するためにはまず政府が自殺の実態の把握あるいは解明をどのように進めていくのか。このことは非常に大事だというふうに思っておりますが、どういうふうにこれを進めていかれるのか。今日は官房長官来られませんので、厚労省の方からお聞きしたいと、こういうふうに思います。
  147. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 自殺は、今委員指摘のように、極めて日本の現代の社会状況の中で深刻な問題になりつつあると、こういう重要な認識をいたしております。  その実態把握のために何をするのかということでございますが、厚生労働省としましては、厚生労働科学研究等を活用しつつ、遺族の協力を得ながら自殺に至るまでの心理的経過の調査を進めるとともに、地域におけるうつ病等による自殺の発生状況やその予防策の研究を進めるなど、自殺の実態や要因の調査分析を多角的に進めることにいたしております。また、自殺予防総合対策センター、仮称でございますけれども、これを新たに設置する予定でありまして、自殺の実態やそれを踏まえた対策の在り方に関する研究を行うことにいたしております。  今後とも、統計に合わせて、こうした調査研究等を通じて自殺の実態を把握しつつ自殺対策に取り組んでまいりたい、こんなふうに考えております。
  148. 近藤正道

    ○近藤正道君 総務省にお尋ねしたいと思いますが、総務省は、厚労省の自殺死亡統計、これに対して、これは自殺予防対策に十分活用されないので改善する余地があると、こういう調査結果を昨年の十二月の一日に発表しております。  厚労省の統計をより効果的に自殺予防対策に活用するためにはどうすればいいのか、お示しをいただきたいと思います。
  149. 福井良次

    政府参考人(福井良次君) お答え申し上げます。  昨年の十二月一日に自殺予防対策に関する調査結果を関係省庁に通知したところでございます。お尋ねの統計でございますが、厚生労働省の自殺死亡統計につきましては、作成間隔が六年から九年というふうになっておりまして、その実施時期、それから集計項目に関しまして自殺予防対策の関係部局や有識者の意見、要望を把握した上で作成することを指摘したところでございます。
  150. 近藤正道

    ○近藤正道君 このことの質問のレクを先週の末にやらさしていただきました。厚労の方は統計は万全だというふうに言いますし、また総務省の方は一方、統計を自殺対策により効果的に活用するには改善の余地があると。それぞれ自分のところは問題ないと、相手の方にちょっと問題があるみたいな、そういう言い方をする、そういう私は場面に遭いまして、逢着をいたしまして、改めてこの総合的な対策、省庁の垣根を越えた総合的な対策の必要性が非常にやっぱり重要だなというふうに思っています。今回のようなこういうそごのないように、是非総合的な対策をしっかりやっていただきたいというふうに思っております。これはまあ指摘をさしていただきたいと思いますが。  いずれにいたしましても、自殺の六割以上、これは当時、自殺の当時、何らかの形でうつあるいはうつ病、こういう状態だったということが言われているわけでありまして、それでうつ治療法のSSRI、この薬のことについてちょっと質問をしたいというふうに思っております。  SSRI、商品名で代表的なものとしてはパキシルというものがございます。これは抗うつ薬あるいはうつの治療薬としてはこの日本でも最も使われている薬でありまして、人によっては、百万人に近い人たちが使っていると、こういうふうに言われております。  この薬の、薬品の取扱いランクについては三段階があるというふうに言われています。一番レベルの高いのは禁忌、これは投与の禁止、次が警告、これは使ってもよいけれども慎重に使えと、こういうやつ、そして三つ目が取扱注意と、こういう規定になっているわけでございます。  ところで、パキシル、このSSRIの代表的な商品名でありますパキシルにつきましては、二〇〇〇年の十二月にこの国で承認をされております。しかし、副作用のために十八歳未満への投与は禁忌、使わないと、こういう扱いとなっておりました。ところが、ここへ来て、欧米でSSRIの危険性、つまり自殺を惹起する、このSSRIの危険性がより強く指摘されるようになりました。にもかかわらず、厚労省は、それまで十八歳未満への投与を禁止していたのに、今年の一月になってから一ランク下げて禁忌から警告、使ってもいいけれども慎重にと、こういうふうにスタンスを変えました。しかし、欧米の対応は、厚生省は欧米の対応に合わせたというふうに説明をしておりますけれども、欧米はいまだに実質的に使用禁止、つまり実質禁忌、こういう扱いであるというふうに、私、いろいろお医者さんに聞きましたけれども、こういうことを言っておられます。厚労省の認識が違うんではないか、こういうふうに思えてならないわけでございます。  日本は薬害の歴史、これが本当にこの間たくさんございました。薬の扱いについてはとりわけ慎重を期すべきだというふうに思っておりまして、このパキシルに関する我が国の対応はこれでいいんだろうか、甘いんではないかと、こういうふうに思えてなりませんが、いかがでしょうか。
  151. 黒川達夫

    政府参考人(黒川達夫君) 御説明申し上げます。  十八歳未満の大うつ病性障害患者へのパキシルの投与、これにつきましては、先生御指摘のとおり、本年一月、薬事・食品衛生審議会の安全対策調査会において審議されております。そこで、まず、国内では十八歳未満の患者において自殺関連事象の副作用報告はないこと、次に、有効性を示唆する十八歳未満の症例が国内で報告されていること、三番目ですが、関係学会から小児の治療の選択肢としてパキシルが必要である旨、要望書が提出されていること、最後に、米国、英国等においても現段階で禁忌とはされていないこと、これなどから同調査会で、十八歳未満の患者への投与を禁忌として一律に禁止する必要はないが、自殺に関するリスクが増加するとの報告もあるので、投与する際には適用を慎重に検討することを警告の欄に記載することが適当であるとされたところであります。  また、先生のお話にもございました米国でございますけれども、パキシルの添付文書の警告欄に十八歳未満の大うつ病性障害患者に使用するときは医療上の必要性とリスクのバランスを考慮しなければならない、こう記載されておりまして、我が国と実質的に同様の注意喚起がなされているものと考えております。  厚生労働省といたしましては、パキシルなどを始めとする医薬品の安全対策について、その時点その時点で得られた最新の知見等に基づき、薬事・食品衛生審議会の専門家意見などを聞きつつ科学的に評価した上で、今後とも必要な対策を速やかに講じてまいりたいと思っております。
  152. 近藤正道

    ○近藤正道君 BBC放送でこのパキシルの危険性について最近たくさんの報道がなされております。そういうこともありまして、この国で大量に使われているパキシルの危険性、このことを心配する声がいろいろなところで上がっておりまして、私のところでも是非一度聞いていただきたいと、こういう要請がありましたので、今回聞いているわけでございますが。  厚労省は欧米の扱いと日本の扱いに違いがないと、こういうふうにおっしゃっておられますけれども、私も精神科のお医者さんにいろいろ聞きますと、欧米では、確かに禁忌ではなくなったけれども、しかし日本の警告とも違うと、限りなく禁忌、つまり使っちゃならないよという扱いを全面にやっぱり打ち出していると。そこから見ると、日本のパキシルに対する扱いは余りにも寛大過ぎないかと、こういう指摘をおっしゃる方がたくさんございます。  そしてまた、昨年から今年にかけて、パキシルについては自殺だけではない、催奇形とか新生児の禁断症状だとか死産の増加などの副作用のそういうおそれがあるという、そういう研究報告がランセット、これは世界的に本当に著名な医学雑誌でございますが、こういうところにたくさん登場しておりますし、パキシルの製造元会社でありますグラクソ・スミスクライン社、GSK社、これがパキシルの有効性やリスクに関する試験結果を故意に操作したと、こういうことでニューヨーク州の司法長官からニューヨーク州の最高裁に訴えがあった、これは〇四年の六月であります。アメリカでは、個々の被害者に代わって司法長官が裁判を起こすと、そういう一種の代表訴訟的なものがあるわけで、そこにパキシルがかかって訴えられたと、こういうケースもありますし、パキシルの使用によって大人でも自殺しようとする気持ちを強くする危険があることについてGSK社でデータの操作があったということが判明いたしまして、GSK社は一転してパキシルの危険性を今年の五月になって認めた。そして、これを受けて、アメリカの食品医薬局が十八歳以上のみならず二十歳以上についてもパキシル、SSRIは自殺企図の副作用があると、つまり自殺に追い込む、自殺に人を駆り立てる、こういう危険があるというふうに警告をしております。  こういうニュースが、先ほど言いましたけれども、BBC放送等で大量に最近流されている。そういう中で、この日本では規制を強化する方向ではなくてより使いやすいようなそういう方向にスタンスが変わると、これはやっぱりおかしいんではないか、こういう声がたくさん出されております。  こういう海外のパキシル、SSRIに関する情報、皆さんはどういうふうに受け止めておられるのかということが一つと、もう一つは、このパキシル、SSRIの我が国における服用による被害、どんな実態になっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  153. 黒川達夫

    政府参考人(黒川達夫君) まず、医薬品の市販後における安全対策について申し上げます。  この安全対策につきましては、常に医薬品の安全性に関係する最新の情報収集に努めておりまして、得られた情報を科学的に評価した上で必要な措置を適時適切に講ずる必要がある、こう認識しております。  このため、最新の情報収集が図られるよう、薬事法に基づき、医薬品の製造販売業者に対して海外の情報を含めて副作用の発生その他の安全性に関する事項の報告を義務付けております。また、厚生労働省においても、医薬品医療機器総合機構と連携いたしまして、外国の規制当局の情報や主要な医学、薬学関連文献、これらの情報の収集を行いまして、そういった情報に基づき、薬事・食品衛生審議会の意見もいただいた上で必要な対策を講じているところであります。  御指摘のパキシルでございますが、米国食品医薬品局や英国医薬品庁が講じた安全対策など、海外を含めた安全性に関する情報を迅速に把握いたしまして、薬事・食品衛生審議会の意見も聞きながら添付文書の改訂等の必要な措置を講じているところでございます。  それから、二つ目の御質問の、我が国におけるパキシルの関連の副作用の報告状況ということでございますが、まず薬事法に基づく副作用報告、これにつきましては、一般に医薬品との因果関係、これが認められていないものであっても、また情報が不足してなかなか評価が難しいものであっても、これをいただく、また集まってくると、こういう状況になっております。  特にパキシルの自殺関連については、そもそもうつ症状の患者さんは死にたいという気持ちになることがあると、こう言われていることもございまして、これがうつ症状によるものなのかパキシルの副作用によるものなのか、その判断が困難な、こういったような中で、直近約三年間、平成十五年の四月から十八年の五月まででございますけれども、この間の副作用報告の件数は、これは自殺をお考えになられただけのものも含めた自殺関連の副作用でございますけれども、二十四件、こう把握しております。
  154. 近藤正道

    ○近藤正道君 この国は、サリドマイドとかあるいは非加熱製剤ということなどで本当に悲惨な薬害の歴史を持っております。ですから、薬についてはやっぱり慎重の上にも慎重であってほしいと、本当にそういうふうに思っています。それこそ昨年から今年にかけて、海外ではこのSSRIの危険性を具体的に指摘する具体的なニュースがたくさん報道されておりまして、このことについてはやっぱり厚労省としてはしっかりとした説明責任を私は果たす必要があると、こういうふうに思っています。  そしてまた、人によっては、つまりこれはお医者さんでございますけれども、二〇〇〇年までは失業者数と自殺者数、これが言わば並行した関係にあったんだけれども、その後、失業者数は少し減ったけれども自殺者数が逆に増えていると、このことをとらえて、これはSSRIと関係があるんではないかと、こういうことまで言うお医者さん、専門家もいるわけでございます。  こういうことと今の海外のBBCあるいは専門の医学書、医学雑誌等に掲載されている具体的な指摘等に対しては、やっぱり私はしっかりと厚労省としては説明責任を果たして、反論するなら反論する、問題がないんなら問題がない、そういう形できちっとやるべきだというふうに思っています。  いずれにいたしましても、海外の情報と皆さんがやっている具体的な医薬行政、つまりパキシルをより開放しているという方向というのは明らかにやっぱり正反対の方向にありまして、非常にやっぱり心配する声がある。是非情報をやっぱり収集する、知見を収集する、そして、この国内の因果関係はなかなか確定しづらいけれども、被害実態については真剣にこれを契機にやっぱり私は調査をする、そういうことを是非やっていただきたい。それがサリドマイドだとかあるいは非加熱製剤、その他たくさんの薬害被害を出した、私は、言わば前科を持った厚労省の責任だというふうに今私は強く思うわけでございますが、赤松副大臣、いかがでしょうか。
  155. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 今非常に近藤委員からの、実際御自身いろんな角度でお知りになったこと、情報調査されたことに基づいて極めて適切なる御指摘をいただいたと思っております。  今、現状における対応は先ほど来審議官が述べたとおりでございますけれども、しっかりと、今前科があると、こう言われましたけれども、過去におけるそういうケースのようにならないように、しっかりと目配りをしながら対応をしてまいりたいと、そんなふうに考えております。
  156. 近藤正道

    ○近藤正道君 終わります。
  157. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 御苦労さまでございます。  私どもは草の根保守というのを標榜しております。草の根保守、思いやりの改革を進めるということですから、小泉さんの改革とは違います。助け合いとか共生共助という精神、公の復権、こういったものを精神を取り入れ、そしてその制度を形作って思いやりの改革をやった方がよっぽど成果が上がる、経済効果も上がる、こういった観点です。  私たちは、郵政という場をかりて、民営化ということをかりて、実は、当時、政調会長の与謝野先生、そして郵政担当の竹中さん、我々は郵政民営化というものをかりて、実は今問題になっている二極化社会というもの、これの在り方、予防をどうしたらいいかということを語っていたのだと思います。小泉さんと闘っていたのではない、改革改革と言えばそれにもろ手を挙げる時代のムードというものとも闘っていたんだろうと、今私たち考えているわけです。  そこで、こうした私たち考え方に基づいてお尋ねをさせていただきたいんですが、今日は金融と郵政民営化の絡みでお話をさせていただくんですが、冒頭、特定局長会で誤解が非常にあるんです。特定局長会は組合ができない、こういうことを言っております。厚生労働省担当です。現在の公社でも労働組合、特定局長だけの組合はできますでしょうか。そして、これから法律で予定されています新しい会社、恐らく、窓口会社になるかどこになるか分かりませんが、窓口会社でしょう。ここで局長さん方の組合は結成できるかどうか、具体的にお願いしていますから、具体的に答えてください。イエス、ノーぐらいでいいです。
  158. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。  現在の郵政公社の職員の労働関係でございますけれども、特定独立行政法人等の労働関係に関する法律によることとされております。この法律の四条によりますれば、郵政公社の職員は、労働組合を結成し、または労働組合に加入することができるとされておりますので、特定郵便局長につきましても労働組合を結成し、また労働組合に加入することが可能でございます。ただ、使用者の利益を代表する者に該当するため、一般の職員と同一の労働組合を結成し、または同一の労働組合に加入することはできないとされているところでございます。  それから次に、郵政民営化後の特定郵便局長でございますけれども、基本的には労働組合法に照らして判断されることになると考えておりまして、したがいまして、労働組合を結成し、又は労働組合に加入することが可能であるというふうに考えております。
  159. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 局長さん方は組合できないと言っている方もいるんですが、できるということですね、局長。できるということです。──はい。ただし、今あるいわゆる全逓、全郵政さん、この両組合さんのところに入ることはできない。独自にできるということでいいですね。──はい。  さて、それでは、今回、郵政公社は一兆九千億の利益を上げましたけれども、税金に見合ういわゆる国庫納付金は来年度三月どれぐらい納める予定でしょう。
  160. 藤本栄助

    参考人藤本栄助君) お答えいたします。  来年度の額は算定してまだおりませんが、今年の額で申し上げたいと思います。  十七年度決算につきましては、現在、会計監査による監査の途上でございますが、今計算しております公社の負担する固定資産税あるいは国有資産所在市町村納付金等の租税公課の額は三百六十八億円の見込みでございます。
  161. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 あれですよ、六兆円になれば、六兆円の上増しの部分ですよ。
  162. 藤本栄助

    参考人藤本栄助君) 上増しですか、間違えました。失礼いたしました。
  163. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 緊張しなくていいから、ゆっくり、数字だけでいい。
  164. 藤本栄助

    参考人藤本栄助君) はい。国庫納付金でございますね。  中期経営計画の四年間の最終年度に基準額を超える積立金の五〇%相当額を納付することになってございます。十五年四月のスタート時の資本金は一兆三千億円でございまして……
  165. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 いや、数字だけでいいです。数字だけ。
  166. 藤本栄助

    参考人藤本栄助君) はい。いろんな金融税制等ございますけれども、株価などの金融環境が十七年度と変わらないという前提を置きますと、資本金と利益剰余金の合計額は七兆三千億円程度までに積み上がる予定でございます。そういたしますと、公社法で定められております基準額と資本金を加えた五・九兆円を超える額の五〇%、すなわち七千億円程度になるのではないかと思っております。
  167. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 私が言うと、つくっているんじゃないかと言われるんですよ。小泉さんは、抵抗勢力でうそを言っているようなことを私に言っている。二年前の政治討論会で選挙中、荒井さんはうそを言っていると総理は二回言った。ですから改めて聞いているんで、結果だけ言ってください、五十分までしかありませんから。  皆様、七千億納めるんです。竹中大臣はこう言っておりました。竹中国務大臣、平成十七年十月十一日、自民党でも何遍も言っているんです。移行期間の十年間の民営四社の租税の総額は約四・三兆円というふうに見込まれますので、四・三兆円というのは歳入の増ということになります。ところが、来年払うだけで、皆さん、七千億です。掛ける十年ならば七兆円です。極端な数字の置き方をすれば、民営化しないで公社のままの方が、小泉総理も何遍も答弁しているとおり、租税公課が民間にした方が上がる、全然うそだったということです。論理破綻。  二つ目です。  それでは、大手行の利益と、今日は生保はちょっとやめます、時間がありませんので、済みません。銀行だけでいきましょう。大手銀行の利益と税金、納める租税額を言ってください。もう数字だけでいきましょう。
  168. 山崎穰一

    政府参考人(山崎穰一君) 実質業務純益ということで各行が公表している損益計算書によりますれば、都市銀行につきましては、各行の合計で、十六年三月末で三兆二千三百四億円、十七年三月末で三兆一千三百七十七億円、十八年三月末で三兆六百一億円となってございます。  また、納税額につきましては、損益計算書における法人税、住民税及び事業税の計上額で、都市銀行につきましては、各行の合計で、十六年三月末で六百十九億円、十七年三月末で百十八億円、十八年三月末で三百七十二億円となっております。
  169. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 皆さん、三兆円もうけていて、両大臣、三兆円もうけていて、税金、六百億、百十億、そして三百六十九億。たった、三年間でこんな数字ですよ。郵政は幾ら納めるんですか、七千億でしょう。皆さん、これ、どうなっているんですか。地方銀行の方がしっかり頑張っています。地方銀行は一兆二、三百億円の今年大体純益を上げています。二千七百二十九億納めますから、三百六、七十億の大手行よりよっぽど納めている。こういう矛盾ですね。こういう矛盾の中でどういうことが出ているのかということです。  じゃ、先ほど、問題いろいろと申し上げたいわけですが、実は、この三百六十九億の税金を納める、法人税分かりますか、法人税。今年だけでいいです。三百六十九億のうち法人税はどれだけ納めますか。
  170. 山崎穰一

    政府参考人(山崎穰一君) 都市銀行につきましては、法人税は納付しておらない、納付しない予定であると承知しております。
  171. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 これ、地方税を納めるということは応益なんです。おかげさまで、地方のおかげで水道やらそして道路もあるからこういう事業ができるんだと、それは納めている。法人税ゼロ。これ、国民の皆さん、分かっているんでしょうか。じゃ、国民の皆さん、七千億納めるという郵便局、公社のままで納められる、どういうふうに考えるんでしょう。地方税分は三百六十八億納めます。三百六十八億納めるんです、もう、公社で決まっているんです、皆さん、三百六十八億納めるんですよ、今の地方分。全く同額納めているということです。  そして、育児休業手当、介護休業手当の一二・五%は国が持つべきところですが、持ちませんから、約二億円、竹中さん得意の見えない負担しているんです。国の税金、得しているんです。基礎年金拠出金、つまり厚生年金の三分の一の部分、国がこれを拠出しますが、それも自前でずっと支払っている。この総トータルが三百二十二億円ですから、これ考えたら、いかに銀行というのはもうけられるんだなと、そういうものをやっているんだなと。後でいろいろとお話をさせていただきたいと思います。  それではお尋ねします。それだけもうかりました。復配、株主に配当、どのぐらい復活していますか。
  172. 山崎穰一

    政府参考人(山崎穰一君) 復配した都銀は、行数で申し上げます。復配したものは、都市銀行一行、地方銀行二行、第二地方銀行二行、生命保険会社一行ということでございます。
  173. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 だんだんだんだん復配に入っているんです。株主の利益に行っているんです。  では、我々預金者の利益はどうでしょう。まず、株主には復配の傾向、今どんどんあります。これ、どんどん今やると言っている。配当を、株主の皆さんには、いや、ありがとうございました、さあ、どうぞお返ししますよと、こう言っている。そういう中で、これもお尋ねした方がいいでしょう。十八年、今年の二月、三月、四月で比べてみましょうか。それから、十四年三月と比べてみたいんです。住宅ローンの金利、そして、一方、我々が預けている本当の庶民の願い、楽しみの預金金利、どのように対比できますか、ちょっと数字挙げてください。
  174. 山崎穰一

    政府参考人(山崎穰一君) まず、住宅ローンの金利でございますが、大手銀行四グループで、これ例えばでございますが、五年間固定ということで四グループが公表しているものの住宅金利の平均を申し上げます。まず、平成十四年三月というお尋ねでございましたので、平成十四年三月は二・六九%でございます。それから、平成十八年の二月は三・〇四%、三月は三・一九%、四月は三・三六%でございます。  それから……
  175. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 預金の方もお願いします。
  176. 山崎穰一

    政府参考人(山崎穰一君) それから、預金金利でございます。これは普通預金でございまして、日本銀行の統計によりますと、十四年三月は〇・〇一四%、それから十八年の二月、三月、四月は、いずれも〇・〇〇一%でございます。
  177. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 まあ多少我々もゼロ金利政策というのを支持したところあります。預金者に対して保護するためにも健全な銀行であってもらわねばならない、よって公的資金枠を七十兆つくり、三十九兆程度を入れて、そして健全化をして今日にあるわけですね。その中で十兆円はもう確定した国民の負担ということになっているわけです。  ところが、今お聞きになりましたとおり、私も数字は持っていますけれども、我々が言うのが客観性がないと取られたら、これは不本意です。本当に住宅ローンはぽんと跳ね上がりました。ところが、全く、大勢の皆さんの楽しみであり、生活の糧である、決済も含めたところ、普通と定額もあります、ほとんど動いていない。当時からしたらむしろ下がっている。ところが株主には配当を始めるという。  両大臣、いかがでございましょう、この辺。そして、何とその預金保険機構を通じて不良債権をしてまいったわけです。住専の勘定が一つの勘定ですが、そういう勘定をずっと積み上げますと、七つの勘定から成っているのが預金保険機構でございます。一般勘定が一番大切なところであります。我々のペイオフを、これをした、解禁したその中での対応策ということになっています。大体一万円につき銀行は今ですと十一円ぐらい払う。これは一千万以内のところですね、専ら。それ以外のところは大体八円か九円、たしか九円だったかと思います。一万円につきです。  そういうものを払って万が一に備えるんですが、七十兆を背景にして、そこを通じてやりましたが、実は大赤字です。銀行が負担する一万円につき十一円から九円でやっているこの預金保険機構は大赤字。行政改革特別委員会で預保のところほとんど触れてない。これもすんなり入れられて、そのまま通されてしまった。  それで、今日は理事長に来ていただいています。どういう中身でございますか、幾ら赤字がございますか。一般と全体で話してください。
  178. 永田俊一

    参考人(永田俊一君) お答えいたします。  今お話ありましたように勘定が七つありますが、保険料を経理しております一般勘定、御指摘のこちらは、欠損金、いわゆる赤字ですけれども、これが、十六年度末でございますが、二兆九千七百七十億円と。あと赤字になっております勘定を挙げてみますと、いわゆる金融再生勘定、これは資本注入等した勘定、あるいは特別公的管理銀行に入れた勘定でございますが、これが現在のところ八千五百億円弱の赤字でございます。それから、あと赤字になっておりますのは住専勘定でございまして、住専が、これがやはり同じ十六年度末ですが二千二百四十五億円の赤字と。それから、若干の赤字でございますが、産業再生勘定というのがありますが、これが一千万円弱の赤字と、こういうことになっております。
  179. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 三兆円超える赤字です。真っ赤っか。それで郵便局が民営化したら世の中良くなる、とんでもない。銀行がふしだらででたらめをやったから、バブル崩壊して、そして国民の税金を投入して十兆円は返らない。その上に、今度は手数料は取られる、ローンの金利は上がる。そして、自分のやっとの思いでためたお金は百万円でもたったの二十円と。十円、二十円です。こういう庶民感情分からない改革だから、私は、冒頭、草の根改革を、草の根保守を我々は言っているということを言ったんです。  であるならば、お尋ねしますが、復配する前に、この三兆円の赤字、これに対して、きちんとまず赤字を埋めるために使うべきじゃありませんか。セーフティーネットの預保機構が危ないんだから。国が政府保証して、いつでもお金借りられるから大丈夫だって言っているんでしょう。郵政もある意味において財投というもので政府保証が付いているもので運用しているし、専らは国債ですが。国債で運用しているというのは、これ政府保証とイコールなんですよ。どこが変わりますか。本当に二分法で民間だけがいいというものの限界が今露呈しているんです。  こういうことを考えていきますと、大臣、巨大な公的資金の注入を受けた大手六大グループ、平成十八年三月期決算は三兆一千億でした。バブル期を超えて最高額です。株主配当を行う銀行も出てきましたけれども、税金を納めてない上に、法人税、そして預金金利の引上げを小幅にとどめてほとんど上げてない。住宅ローンは一挙に上げて国民に負担を強い、もう増税の前の増税ですよ、実質。そして、国民への利益還元についてはやらない。しかもセーフティーネットである預保機構に対しての欠損金、赤字を抱えている。  銀行は株主の配当などを行う前にセーフティーネットにお金を入れるべきだし、そして国民が支えてここまでもったんですよ、利用者還元優先するべきではありませんか、与謝野大臣
  180. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) バブルがはじけましたのは、最初、平成二年に株価がはじけまして、平成三年に土地のバブルがはじけたわけでございます。今はちょうどその時期から十五年がたったわけですが、十五年間、日本は非常に金融システムも経済も不正常な状態を続けてきたと私は思っております。  今年、大手行が利益を上げましたけれども、まだ公的資金は注入されたままのところが多いわけですし、また、先生御指摘のように、ろくな預金金利は払ってませんし、法人税も払ってませんし、復配するといってもわずか一行という答弁がありましたように、配当もまだしておりません。  私は、預金金利というものがやはりもう少しレベルが上がってもいいのではないかと思っておりまして、そういう結果、預金者も日本の経済成長あるいは経済の恩恵を受けて、それを通じてやはり個人消費にそれが回るということで、やはり配当をするということであれば、預金者に対する金利も上がって私はしかるべきだと思っております。
  181. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 総理と違って、与謝野大臣、私は非常に近いんです。二九・二%のグレーゾーンの貸金のところもそうなんです。総理は、それはもうやる気がないんです。下げただけで効果があるんです、あそこは。同時に、今日の話も全くそうです。  それでは、業界に対しては行政指導できますか、これについて。それで、銀行協会に言うと、いや、それは公取の関係がありますと言います。  公正取引委員会、公取の皆さんにお尋ねします。  これだけ利益上げているんですから、預金者、利用者に還元しなさいと言うことは独禁法上、抵触いたしますか。問題ですか。公取。
  182. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) お答えいたします。  手数料あるいは金利等につきましては、基本的には各銀行の自主的判断で決められるべきことでございまして、これらにつきまして銀行同士で話し合って決める、あるいは業界団体で何らかの方針を出すというようなことは独禁法上、問題になるわけでございます。  そういう意味で、こういう手数料、金利等につきまして業界団体を通じて指導するということは、そういう独禁法違反のおそれのある行為を引き起こすという問題があるのではないかというふうに考えていますが、一般的に、利益を還元すべきではないかというような指導といいますか、指摘といいますか、そういうものが直ちに問題になるというふうには考えておりません。
  183. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 公取委も何言っているか分からないですね。同じような金利にしろと言ったら問題ですよ。下げて、下げなさいと、業界それぞれ切磋琢磨しなさいと、各行とも。何ら問題ありますか。  もう一回聞きます。それで問題ありますか。
  184. 伊東章二

    政府参考人伊東章二君) 繰り返しでございますけれども、金利なり手数料を上げるか下げるか、あるいは上げる下げるとすればどの程度にするか等々は各行の自発的、自主的な判断によって決められるべきではないかというふうに考えているわけでございます。
  185. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 だんだん後退してきた。それが護送船団、事なかれですよ。業界に対して、それぞれの体力やサービスの種類、考え方に応じて利益還元をしなさいと言うことを独禁法に触れるわけないでしょう。ないんですよ。  与謝野大臣、業界に今までおっしゃいましたか、利益還元をしろと、さっきのようなことを。お尋ねします。
  186. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 実際は金利というのは自由化されていますから、それぞれの銀行がどの程度の金利を預金者に払うかというのはすぐれて経営判断の問題であると思います。また、配当をどうするかということも経営判断の問題ではあると思いますけれども、たくさん利益を出して、今の利益というのは過去の損で消えてしまうわけですから本当に利益と言えるかどうかは分かりませんけれども、ある年を取って本当に利益が出たときに、預金者の金利を据え置いたまま配当に回してしまうというようなことは多分社会的には容認されないことだろうと私は思っております。
  187. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 大臣、それは本当に大臣、庶民の政治、草の根の政治してください。これはもう選挙で審判を受ける以外ないです。  そして、これは貸倒引当金を業績回復しているから積むことがなくなったんですよ。ですから、そういったところが一番の理由ですから、戻し益、ですからそれは別に払わなくたっていいです。それは純然にこれはもうたまっていきますよ。それは将来に備えてどうのこうのといったらそれは切りありません。これは還元するべきです。還元するからお客様となって銀行にみんながまた預けるんじゃないですか。そういう観点をしっかりしていただきたいんです。  そこで、竹中大臣竹中さんがそういう方向を引いてきたわけですよ。そういう方向を引いてきたときに、西川郵政社長は、住宅ローンに進出するという肥大化を言っている。住宅ローンなどでどんどんどんどんこれ肥大化路線をして、カードローンもやっていきたいような話でもあります。オーバーバンキング、今度の消費者金融の不正、そして明治安田、そして三井住友、全部金融界で不正があった。これはもう利益優先、お客様どうでも構わない、もうどんどん取り立てろ、ほら貸し付けろ、回収しろ、こういう結果でしょう。郵政がまたそんなことでどんどんどんどん住宅ローンに進出していくなんといったら、二、三十兆の世界ですよ、ここ、すべての銀行合わせて。みんなが今度は体力なくなって、体力勝負して、一時は金利が下がったように思いますけれども、倒産していきますよ。  そんな肥大化路線、郵政やっていいんでしょうか、竹中大臣金融状況考えておっしゃってください。
  188. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほどから荒井委員の御指摘の中で、郵政が非常に立派な収益を上げているという御指摘がございました。今期に限っては、今期の数字を見る限り、これ株価上昇の資本利得等々も含まれておりますけれども、そういう数字だと思います。  同時に、これ生田総裁が記者会見で述べておられますけれども、その実質的な収益力、資産に対する利回りとかとかを見ると、利益率は民間の銀行の、郵政、利益率に関して見ると半分ぐらいなんだと、やはりそういう意味では収益力を高めていかないとこれから非常に厳しい状況であるということは郵政の生田総裁御自身が述べておられる、そのことも荒井委員は御承知のとおりだと思います。  じゃ、そういう中で、だからこそ民間の自由度を持ってもらって、消費者の利便に供する形で収益基盤も強くしてもらいたい、これが民営化に私たちが期待するところでございます。  その中で、じゃ、どういうことをやるのかと。今住宅ローンの話をされましたが、西川社長、どういう発言を具体的に今指しておられるのか定かではありませんが、これはまだ今、日本郵政株式会社でいろんなことを検討している最中でございます。なぜならば、どういう事業をやるのかということに関しては、これは実施計画を出していただかなければいけません。その中で実際に四分社化、どのように切り分けをしてどんなビジネスをやっていくのかということについての計画を出していただきます。それをこれは政府が認可することになっております。その骨格が、七月中に出していただくことになっておりますけれども、まだ骨格、そしてより詳細なものは来年に出していただかなければいけません。  その中で、私たちは本当におっしゃったように、市場のマーケットの動向等を消費者ニーズから考えてそういうことがよいのかどうかということはしっかりと判断をしなければいけません。そして、それに当たっては、私たちが認可をするに当たっては、例の郵政民営化委員会に諮って専門家議論もしていただいて、それを踏まえてそれを認可するかどうかということを決めるわけでございますので、その中で、これはもう責任を持ってしっかりとした判断をしていきたいと思っています。
  189. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 一時間もあればゆっくり議論できるんです。私は議論されないままに郵政は採決されちゃったんです。委員にされないんです、自民党で。こういう議論はもうとっくにやっていれば解散なんかできなかったんですよ。知っている人たちを全員委員にしなかった。こういう問題点はあるんですが、それでは私はこういう角度から聞いていきたいんです。  郵政は手数料取らないんです、送金手数料にしてもATMにしても極力取らない。お互いさまだからです。それは大数の法則。八五%の世帯が入る、簡易保険は五割以上の人たちが入るから、リスクをしょえるから職業で差別なく入れるんです。そして、三事業一体だから、これはもう範囲の経済で、一番、例えば銀行で言った場合の事業比率やあるいは費差、こういったところをうまく調整できるんですね、生保含めて。こういうところを生かしていくのが公のパブリックなんです。市場の失敗に対してセーフティーネットを張っていくということです。それも税金を使わないんだから、それでやっていくというやり方があっていい。世界に冠たるビジネスモデルなんです。パブリックビジネスモデルです。それを壊したんだから、二極化になるのは当たり前なんですよ。それに気が付くのが遅い、国民の皆さんも。ですから、これから郵政をモラトリアムを掛けて、株売却凍結法、ニュージーランドも出しましたが、そういうことをやっていく以外にないんです。  最後にお尋ねします。  その民間は何をやっているか。住宅ローンに入るときに団体生命保険に入ってくれと言いますよ。団体信用生命保険に加入することになっているけれども、それは本来義務ですか。これ、全国の皆さん、よく聞いてくださいよ。住宅ローン借りるときに生命保険に入れられるんです。私も入ったときに女房がにやっと笑ったあの、背筋が寒くなるような思いしましたよ。それを入らないと貸さないのか貸すのかちっとも分からない。この辺どういうふうになっているんですか。  そして、時間がなくなりましたから、そのときの生命保険の保険料、それは別途払っているんですか、ローンの中に入っているんですか。そこだけお願いして、時間がなくなれば、私は来週もう一回やらしていただきます。
  190. 山崎穰一

    政府参考人(山崎穰一君) 団体信用生命保険のことでございますが、団体信用生命保険と申しますのは住宅ローン債務者を被保険者として銀行と保険会社の間で契約されるものでございます。  それで、この商品につきましては、住宅ローンの借り手側にとりましても、住宅ローンの利用者に万一のことが起こった場合、残された家族が住宅ローン債務を負担することや担保が処分されることから解放されるというメリットがございます。こうした点にかんがみますれば、民間金融機関の住宅ローン申込みに当たって団体信用生命保険の加入を条件とするということ自体は直ちに問題にすべきことではないというふうに考えてございます。  それから、この保険料をだれが払っているかということでございますが、一般に団体信用生命保険の保険料は銀行が支払っているものというふうに承知してございます。
  191. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 委員長、時間がありません。結びだけ言わせてください。
  192. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) はい。荒井君、簡潔にお願いします。
  193. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 はい。  竹中大臣のとき、そして与謝野大臣のとき、こういった生活感からの議論をしていったら、とても郵政民営化なんて支持は得られませんでした。今回だって五分五分なんですから。  今の質問についての答え、時間がありませんから次週にさせていただきます。問題大いにありの今の答弁です。
  194. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十二分散会