運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2006-05-29 第164回国会 参議院 行政監視委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月二十九日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月二十四日     辞任         補欠選任      紙  智子君     吉川 春子君  四月二十五日     辞任         補欠選任      広田  一君     田名部匡省君  五月二十三日     辞任         補欠選任      加治屋義人君     三浦 一水君  五月二十四日     辞任         補欠選任      三浦 一水君     加治屋義人君  五月二十六日     辞任         補欠選任      大塚 耕平君     蓮   舫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         荒木 清寛君     理 事                 太田 豊秋君                 中原  爽君                 福島啓史郎君                 岩本  司君                 浮島とも子君                 風間  昶君     委 員                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 北岡 秀二君                 山東 昭子君                 田中 直紀君                 松山 政司君                 足立 信也君                 小川 勝也君                 岡崎トミ子君                 芝  博一君                 田名部匡省君                 松岡  徹君                 蓮   舫君                 福本 潤一君                 吉川 春子君                 近藤 正道君                 荒井 広幸君                 亀井 郁夫君    国務大臣        法務大臣     杉浦 正健君        外務大臣     麻生 太郎君        環境大臣     小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        与謝野 馨君        国務大臣     中馬 弘毅君    副大臣        総務大臣    山崎  力君        外務大臣    金田 勝年君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       西川 京子君    事務局側        常任委員会専門        員        西澤 利夫君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       伊佐敷眞一君        内閣官房構造改        革特区推進室長        兼内閣構造改        革特区担当室長  大前  忠君        防衛庁運用局長  山崎信之郎君        金融庁検査局長  西原 政雄君        金融庁監督局長  佐藤 隆文君        総務省郵政行政        局長       鈴木 康雄君        法務省刑事局長  大林  宏君        外務大臣官房審        議官       丸山 純一君        外務大臣官房参        事官       深田 博史君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中谷比呂樹君        農林水産大臣官        房長       白須 敏朗君        農林水産大臣官        房技術総括審議        官        染  英昭君        林野庁長官    川村秀三郎君        資源エネルギー        庁次長      細野 哲弘君        海上保安庁長官  石川 裕己君        環境大臣官房審        議官       笹谷 秀光君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    由田 秀人君        環境省自然環境        局長       南川 秀樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関  する調査  (大都市地域における大気環境保全に関する  政策評価に関する件)  (大都市地域における大気環境保全に関する  政策現状等に関する件)     ─────────────
  2. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十六日までに、紙智子君、広田一君及び大塚耕平君が委員辞任され、その補欠として吉川春子君、田名部匡省君及び蓮舫君が選任されました。     ─────────────
  3. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会政府参考人として、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官伊佐敷眞一君外十九名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。  本日は、大都市地域における大気環境保全に関する政策評価に関する件及び大都市地域における大気環境保全に関する政策現状等に関する件について説明を聴取した後、質疑を行うことといたします。  まず、大都市地域における大気環境保全に関する政策評価に関する件について、総務省から説明を聴取いたします。山崎総務大臣
  6. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) ただいま委員長から御指摘大都市地域における大気環境保全に関する政策評価について御説明申し上げます。  本政策評価は、いわゆる自動車排出NOxPM特別措置法に基づき、自動車から排出される窒素酸化物及び浮遊粒子状物質汚染状況が著しい特定地域対策地域として指定し、各種施策を総合的に推進することにより、大気環境基準確保を図ること等を目的とする大気環境保全政策について総合的に評価を行ったものであります。  その結果、自動車排出ガスによる大気汚染状況については、対策地域全体では大気環境基準達成率増加傾向にありますが、大気環境基準達成していない地点の中には過去十年間にわたって一度も達成していないものも見られました。また、自動車から排出される二酸化窒素大気中の濃度につきましては、近年低下傾向にあるものの、特別措置法施行後十三年を経過しているにもかかわらず、効果が顕著に発現しているはずである対策地域において、それ以外の地域との濃度差はわずかな減少にとどまり、著しい改善が見られませんでした。  これらに基づき、一として、長期間にわたり大気環境基準達成されていない地域での有効な汚染対策を検討すること、二つとして、排気ガス基準に適合しない自動車対策地域外からの流入対策を検討するなどの今後の課題について、本年三月、関係四省庁に指摘したところでございます。  説明は以上でございます。詳細につきましては、お手元に配付の要旨及び評価書を御参照いただければと存じます。  以上であります。
  7. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 次に、大都市地域における大気環境保全に関する政策現状等に関する件について、環境省から説明を聴取いたします。小池環境大臣
  8. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 大都市地域における大気環境保全については、大気汚染防止法による工場や自動車に対する全国的な規制に加え、自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質特定地域における総量削減等に関する特別措置法、いわゆる自動車NOxPM法に基づき、平成二十二年度における環境基準のおおむね達成という目標に向けた総合的な施策を実施しております。  自動車NOxPM法は、自動車から排出される窒素酸化物特定地域における総量削減等に関する特別措置法、いわゆる自動車NOx法平成十三年六月に改正され成立したものです。同法に基づき、大気環境基準確保が困難な地域について、国が総量削減基本方針を定め、関係都府県総量削減計画を定めた上で、排出基準に適合しない車種の規制事業活動に伴う排出抑制等の総合的な施策が実施されてきたところであります。  同法の対策地域における沿道の大気環境基準達成率は、二酸化窒素については平成十四年度の六九%から平成十六年度は八一%に、浮遊粒子状物質については平成十四年度の二五%から平成十六年度は九六%に改善しております。  今後の対策については、現時点において世界で最も厳しい水準となっている新車のディーゼル自動車に対する排出ガス規制を、平成二十一年から更に強化することとしております。また、平成十七年五月に成立した特定特殊自動車排出ガス規制等に関する法律に基づき、公道を走行しない特殊自動車に対する排出ガス規制を本年秋から実施してまいります。これらに加えて、自動車排出ガスに関する総合対策の在り方について、中央環境審議会において御審議いただいているところです。  今回の政策評価の結果も踏まえ、関係府省と連携を強めて、大都市地域における大気環境保全に向けた更なる施策展開に最大限の努力をしてまいります。  以上です。
  9. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 以上で説明の聴取は終了いたしました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 足立信也

    足立信也君 民主党の足立信也でございます。  そもそも私、環境委員会に属しておりました。そして、今日の大気汚染に関連して、アスベストの緊急大気濃度測定というのがありましたから、これを詳細に検討したいし、実際に環境委員会でもやってきたんですが、その後、連休明けに、私、厚生労働委員会の方に変わりまして、今日はその分野で行政に関してちょっと疑問点がありますことを質問したいと、そのように思います。  今日は、大きく分けて、内容は、児童デイサービスと、それから小児の予防接種ですね、ワクチン接種、それからいわゆる無資格のあはき業に類似するあんまマッサージ師指圧師の件、この三点を質問したいと、そのように思います。  まず、児童デイサービスについてです。少し説明させていただきます。デイサービスというのはどういうものかということをちょっと説明させていただきます。  厚生労働省心身障害研究心身障害児地域福祉に関する総合研究というものがございます。ここですばらしい定義がありますので、ちょっと読ませていただきます。このサービスは、レスパイトサービスという保護者介護から一時的に解放し休息させるという面だけではなく、あらゆる背景から必要とされるものであり、そのニーズは利用者によって様々であるだけでなく、同じ利用者でもそのときによって変わるものである。大切なことは、サービス利用者障害を持つ本人を含めた家族)が必要とする一時的な介護サービス利用者中心に提供することであるというものです。そして、このサービス家族地域生活全体を支援するものとして生活支援と、そのように名付けました。つまり、ホームヘルプデイサービス、ショートステイなどのサービスは、介護する家族のレスパイトはもちろんのこと、仕事や行事への出席など、そして預けられる障害者自身活動や勉強、自己実現までを含む非常に幅広い概念を内包するものです。それが児童を含めたデイサービスというものです。  まず、資料があると思いますが、経過を少し説明いたします。  昨年五月に、児童福祉法に基づいて十八歳になるまで受けられることになっている児童デイサービス、これが、厚生労働省障害保健福祉部長通知によって対象幼児及び小学生に限定されていました。全国市町村小学校卒業時に打ち切られると、そういう問題が非常に多く、そして私のところに届けられました。それに対して質問主意書を提出、出しまして、一度目は答弁書内容が余り、不適切でありましたので、二度質問主意書を出させていただきました。  この答弁内容は、これで資料抜粋して、網掛けで見ていただきたいと思うんですが、要するに、部長通知は十三歳から十七歳までを対象から除外する趣旨ではないと、早期療育の観点から積極的に取り組むことが望ましい対象者原則として幼児、そして小学生対象とすることができると示しただけであるというもの。そして、市町村裁量で一律に年齢制限を加えることは法律上認められないことも明確にしております。そして、後半部分ですけれども、部長通知が疑義を生じていたとして、七月に答弁内容を反映した新たな通知が出ました。その答弁内容というのがここに、資料一の上の段に書かれているものです。要するに、十八歳未満まで児童デイサービスとして当然受ける権利があると、そしてそれを市町村裁量で一律に年齢制限を加えることは法律違反であるということなんですね。  そして、御存じのように、本年四月一日から障害者自立支援法施行されました。児童デイサービスというのは、対象者内容は全く変わらずに、そのまま児童福祉法から障害者自立支援法へ移行しました。また、児童福祉法には補助金に関する規定は全くありませんから小学生までは厚生労働省が任意に補助しておりましたけれども、これからは任意ではなく、障害者自立支援法では義務的な負担金となり、十八歳未満まですべての年齢にわたって国や県からの補助義務化されました。これは、昨年成立しました障害者自立支援法の条文で明らかになったことでございます。これだけ条件が整っているんですね。  しかしながら、私のところには四月になってからもあちこちの自治体から、例えば小学生卒業時に打ち切られていると、あるいは小学校入学時に打ち切られているとの声が非常に多く届いています。つまり、全国市町村では相変わらず中学生、高校生は児童デイサービスが受けられない状況が続いているんです。私のところには、ざっと挙げてでも千葉県、三重県、徳島県、大分県、あるいは市町村、いろんなところからこの問い合わせが来ております。そして、質問主意書を出した後、通知が変わりましたということを私もお知らせいたしましたので、でも実際は何も変わっていませんよという問い合わせが来るんですね。  質問したいことは、当然のことながら厚生労働省の方にもこの件に関して問い合わせがあるんだと私は思いますが、その状況を教えてください。
  11. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 御答弁申し上げます。  児童デイサービス対象年齢につきましては、今御指摘ございました議員からの質問主意書による御指摘を踏まえまして、学童について一律に除外するものではないということを地方自治体に周知をしたところでございます。また、本年四月より障害者自立支援法に基づく事業となっておりますけれども、やはり引き続き十八歳未満対象として、対象年齢の変更は行っておりませんし、また各般の課長会議などでもその旨を説明しているところでございます。  お尋ねの様々な、いわゆる切られてしまったという事例について問い合わせがあったかということでございますが、地方自治体からデイサービス対象年齢に関する確認の問い合わせ、これは担当課にございました。ただ、年齢制限によりまして児童サービスデイサービス利用を打ち切られたと、このような苦情というものにつきましては、担当課に数次にわたり確認しておりますけれども、寄せられておらないと、こういうふうに承知をしております。
  12. 足立信也

    足立信也君 年齢についての問い合わせがあったと、苦情はなかったと。問い合わせには、では、お答えはどのようにされたんですか。
  13. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 問い合わせにつきましては、正に児童デイサービスというのは日常生活における基本的な動作の指導ですとか集団生活への適応訓練など、こういう非常に重要な活動でございますので、乳幼児期にはその効果が認められ、また乳幼児期を越えましても必要な方おられますので、一律に年齢制限を掛けるべきではないと、このようにお答えしているところでございます。
  14. 足立信也

    足立信也君 そのようにお答えされていると。じゃ、現場厚労省でなぜこのようなそごが生じてきたのかという原因をはっきりさせないと改善しないわけですから、その点を申し上げます。  当然、児童デイサービス地方自治法上の自治事務ですから、これは国には指導する権限というのは、まあ技術的助言は可能ですけれども、指導する権限はない、これは大前提です。ということは、もう法の精神にのっとるしかないわけで、障害者基本法には、国は障害者福祉を増進する責務を有すると定められています。障害者自立支援法には、国は市町村が行う自立支援給付が適正かつ円滑に行われるよう市町村に必要な助言を行わなければならないとあります。そして、地方自治法には、市町村事務の処理が法令規定違反していると認める場合に各大臣是正要求を行うことができ、これを受けた自治体違反是正のための必要な措置を講じなければならないと、そのように規定されております。先ほど私のところにあった苦情の相談は明らかに法令規定違反していると私は思いますので、その点、どうしてそういうそごが生じたかということを見ていきたいと思います。  そこで、資料一の下の部分です。先ほど局長からお話もありました、今年の三月一日に障害者自立支援法施行に際して厚生労働省が各都道府県の担当課長を集めた障害保健福祉関係主管課長会議を開きました。この内容抜粋が、この資料抜粋ですね、そのときに渡された。  そこで、支援費制度、これは三月三十一日までの分ですね。そこには、網掛け法律支援費対象となる障害児は十八歳未満対象とはっきり書かれています。当然のことながら、児童デイサービスに関して、就学児童原則とするが小学生から十八歳未満児童も可とするという説明になったわけですね。ここに、下に書いています、幼児原則とし小学生も可としていると。  これをそのまま読むと、原則として小学生からそのまま十八歳未満児童はできないと。原則として幼児小学生も可という表現は、原則として、小学生から十八歳は原則にのっとればできないというふうに判断したんだと思いますね。私が実際話を聞いた先ほど挙げました複数の県や市の担当者はそのように解釈していました。もう一個読み方としては、小学生から十八歳未満児童に対しては行っても行わなくてもいいと、とも取れます。これも私が問い合わせたある市の担当者は何歳まで行うかは市町村の自由だと、こういう主張をしているんですね。さらに、小学生以上に対しては国からの補助金が出ないと、そういう誤解をしている市町村あるいは県もあります。そして、この補助金が出るのは十月からなんだと。ですから、それまでは今までどおりというか、原則として幼児だけなんだという解釈をしているんですね。  その点をちょっと、もうちょっと説明しますと、この先ほどの資料の下の部分の矢印よりも下ですね。何度も言いますが、法律上この対象となるのは十八歳未満の子供すべてなんですね。ところが、障害者自立支援法というのは四月から施行されたわけです。ですから、この対象というのはそのまま移行したわけですね。ところが、同じ説明文に、個別給付、新制度十八年十月から、における児童デイサービス就学児童原則とするが小学生から十八歳未満児童も可とすると、先ほど私が言った文章がそのままあるわけですね。そして、その下に経過措置と書いて、施行後三年間、幼児原則とするが、小学生から十八歳未満児童も可とすると。これ、何が違うかというと、人員配置基準が違うんですね、それから報酬が違う。この下の経過措置と書いてある人員配置基準報酬というのは現在ですね、今まで。これを見ると、十月からなるほど制度が変わるのかと、九月までは今までの判断でいいんじゃないかと、結局こういう判断をしたということなんですね。この説明文は、先ほどの主意書、それからそれに対する答弁書、そして出された通知とやっぱり解釈が大分違う解釈をされてもやむを得ない、ある意味やむを得ない事態じゃないかと私は思うんです。  この主管課長会議での説明、実際どんな説明したんだと、この文章から見ると、そういう誤った解釈をされてもやむを得ない部分があるけれども実際どうしたんだということをお聞きしましたところ、説明された方は、十八歳になるまで行うのは当然であると、就学前までは特に手厚くやってほしいということを伝えたかったと。市町村年齢制限をしているのは間違った行為であり、何歳まで行うか市町村の自由であるとは言っていないと、このようにお答えになりました。その答えは正に正しい。しかし、この文章ですと、そうは読めない。しかも、何が変わった、そしてそれは十月から変わるんじゃないかと、そうとらえられてもやっぱりしようがないと思うんですね。  実際、これ非常に問題だと思うんですが、私も何人かの厚生労働省担当の方に話をしましたら、国庫負担金化される時期は十月からですという答えもあったんですね。まあ、市それから県、それから国の方もどうも正しい理解をされていないんじゃないかと、人によってはですよ、ということが非常に気になる。そして、やっぱり多くの自治体誤解していることを考えると、厚労省には、これはもうはっきり児童デイサービスを十八歳になるまで行うことが市町村義務として法律に定められているんだと、そして市町村裁量年齢制限を加えることは認められないと。今年の四月一日からは十八歳になるまでの全年齢にわたって、障害者自立支援法ですから、自己負担部分を除いて国が費用の半分、そして県が四分の一、市が四分の一という義務化にされたんだということをはっきりやっぱり伝えるしかないと思うんですね。この課長会議説明資料では、それは伝わってこないんですね。もし、現状、私が言ったように多くの自治体誤解が生じているんであれば、これは先ほどの地方自治法にのっとって是正要求をすべきですよ。そうじゃないと、現場は混乱したままだと思います。  結局、介護保険法のこともそうですけれども、市に聞いても県に聞いても本当のところが分からないと。現場は大混乱ですよ。そういう事態がこの障害者自立支援法でもやっぱり起きている。これは正しい解釈をきちっと示す必要があると思いますね。  これは、昨年も私、厚生労働委員会でしたから、介護保険法の改正、障害者自立支援法、これは本当に政省令事項が多過ぎて内容が抽象的で、そして法が成立したら施行までの期間が非常に短いと。もう綱渡り的なことをずっとやっていまして、これでは周知徹底できるはずがないです。この点が非常に問題なんだと私は思います。  先ほどの件なんですが、これは解釈が誤っているんであれば是正要求をすべきだし、その前の段階として、四月一日からは、あるいは本当はそれ以前からそうなんですけれども、正しい解釈を伝えるということをやっていただきたいと、そのように思います。いかがでしょうか。
  15. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) まず、若干説明をさせていただきますと、この児童デイサービスにつきまして、三月一日に行われました課長会議でも、療育の観点から、個別療育、集団療育を行う必要性が認められる児童と、こういう説明をいたしまして、ただ就学児童原則とするが、小学生から十八歳未満児童も可とする、年齢制限は設けないと、こういう説明をさせていただいたところでございます。  しかしながら、ただいま議員から混乱がある、また十分その趣旨が伝えられていないというような御指摘がございました。特に、私たち、仮に市町村裁量で一律に年齢制限、これが加えられているとすればこれは大変な事例でございますので、適切に指導してまいりますし、また私たちの自立支援法の趣旨といいますのは、サービスを受けられる人が受けられるようにするというので、本年十月の施行になっておりますのは、児童デイサービスにつきましても専門性の高いサービスを提供していただくということにいたしまして、事業者の要件ですとか指導体制も整えていただくと、このような準備期間を置いたところでございます。そして、なかなかそれにそぐわないという方につきましても、事業者につきましても、サービスが引き続き提供できますよう三年間経過措置を講ずるなど、きめ細かい措置で対応していきたいと思っております。  いずれにしましても、現場における誤解、これを解くように努力をしてまいります。
  16. 足立信也

    足立信也君 誤解を解く努力をしたい、その具体的な内容が今示されていませんね。それから、十月から十月からっておっしゃいますが、もう現に四月以降打ち切られているという子が一杯いるんですよ。そのことはどうするんですか。具体的な内容、少なくても、やはりこれは課長会議に相当するようなものでもう一度しっかり説明する、あるいは文章を変える、それぐらいのことがないと伝わらないと思いますよ。  まず一つ、具体的なことでどういうことを考えている、それから四月以降に打ち切られている人たちにはどうする、この点を答えてください。
  17. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 説明についてでございますけれども、私たち、自立支援法は適切なサービスが適切な時期に提供されるというのが非常に大きなポイントでございます。この児童デイサービスにつきまして、先生御指摘ございました児童デイサービスというようなもの、これは個別給付といたしまして位置付けられておりますし、またいわゆるレスパイトといいますか、御家族の方の負担を軽減をさせる措置、これはタイムケアという別の制度で対応することになっております。  これらを含めまして、私たち、十月施行に向けて課長会議をいずれ開催をいたします。その時期に明確に改めてお話をしたいと思いますけれども、この要旨につきましては、繰り返しになりますが、三月の課長会議で既にお示ししているところでございます。  なお、これにつきまして誤解がなお生じているということでございますので、私たちもその是正のための措置課長会議で対応してまいりたいと思っております。
  18. 足立信也

    足立信也君 私が言っているのは、現時点で法を犯していると言っているんですよ。実際に、四月以降適切なサービスを受けられる子はって今おっしゃいましたけれども、じゃ、三月まで小学生であって、これ適切なサービスを受けていたわけですよ。それが卒業と同時にやっぱりやめさせられたと、そういうことなんですよ。前に受けていたのは適切なサービスじゃないということですか。  ですから、はっきりしていることは、法の解釈を間違っている自治体がある、これは事実なんですよ。そして、それも認めているわけですよ、法の解釈としては。だったら、それはやっぱり是正しなきゃいけないじゃないですか。今現在、具体的な話と先ほど言いましたけれども、何一つ出てこないじゃないですか。  お考えだけでも結構ですけれども、どうですか。
  19. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 御答弁申し上げましたとおり、裁量によりまして、市町村裁量によって一律に年齢制限を加えてはならないと、このように指導しているつもりでございます。また、それも一層徹底をし、また課長会議などでもそれを改めて十分説明をしていきたいと、このように思っております。
  20. 足立信也

    足立信也君 裏を明かすようで申し訳ないですけれども、この前私がこの話をしたら、当然もう一回通知をしっかりとやり直しますという答えがありましたけれども、うん、それならいいでしょうと。そして、しっかり解釈を間違えないようにきちんとした文面にするということも伺いましたね。ですが、今の話ですと、十月へ向けてもう一回課長会議開くでしょうから、そのときにもう一回説明をするということとは大分違う話ですよ。それまでほっといていいという話ですからね。でも、法律上、これは国民の権利なんですよ、当然受けられる。そのことが誤って解釈されている。それに対して是正しようとしないんですか、今の時点で。  もう二か月たとうとしているわけですよ。具体策は出てこないですか、あるいはいつごろまでにやるという考えはないですか。
  21. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 特に、十月から義務化された個別給付になるという旨、これを通知しているところでございますけれども、さらに六月中にも課長会議を、全国課長会議を行い、そのときに改めて徹底を図っていきたいというふうに思っております。
  22. 足立信也

    足立信也君 それでは、六月というやっと具体的な月が出てきましたが、当然のことながら今、問い合わせ、恐らく私のところへメールを下さったあるいは電話を下さった方々、今日のこの委員会ごらんになっています。これはやはり法律的には自分たちが言っていることが正しいんだと思っています。そして、実際にそういう児童デイサービスを行っている方々は、やむにやまれぬ気持ちでやめさせているんですよ。ずっと続けられればもっといいのにという親御さんの気持ちを酌み留めながら、自分たちもやりたいと言っているんですよ。それが今打ち切られている、間違いなく。六月というんであれば、三か月打ち切られている。ここにはどうするつもりなんですか。
  23. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 今、具体的な事例につきまして把握をしているわけではございませんけれども、私たちとしましては、そのような一律に年齢制限として打ち切られてはならないと思っておりますので、もしそういうことがあれば是正措置を講じてまいりたいと思います。
  24. 足立信也

    足立信也君 それでは、調査をされますか。
  25. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 課長会議、六月にやりましたときに、事情もよく踏まえまして対応してまいります。
  26. 足立信也

    足立信也君 課長会議で話をして、それから調査をするということですか。間に合いませんよ。まず今、現状がどうなっているか。  そして、もっと残念なことは、実は一議員のところにそういう問い合わせが来るよりも、本来厚生労働省問い合わせが行くべきだと私は思っているんですね。そういうシステムに恐らくなっていないんでしょうね。市も県も分からない方が多いし、その指導はどうも正しい指導が行っているような、指導じゃないですね、技術的助言が行っているとは思えない。問い合わせ厚生労働省に直接来るわけでもない。ここはやっぱり改めないと。  そして、六月の課長会議でその話をするんだったら、そこから調査したのでは間に合いませんよ。十月がやっとでしょう。今直ちに、そういう事例があるんだったら、それを調べるべきだと私は思いますよ。先ほど、そうですね、政省令事項が非常に多くて具体的な内容が煮詰まらないまま法律が決まってしまうと、そして施行時期が差し迫ってその内容すら正確に伝えられない、この事態ですよ。その中で、実際に具体例として困っているという事態が生じたときになぜ調べようとしないんですか。政務官、どうですか。
  27. 西川京子

    大臣政務官(西川京子君) 今御質問いただきましたことについてでございますが、今回のこの障害者自立支援法の改正に当たっては、この支援費制度は確かに将来に向けて大変増え続けるというその制度的な不安というものは根底に大きくあったと思います。その中で各障害のいろいろな、知的、身体的、精神、いろいろばらばらであって、三十三施設にもよるいろんな対応があった中を少しきちんと整理しよう、そして、そのもう一つ大きな考え方として、福祉、保護ということを、もちろんそれが大事なことなんですが、やはり障害者の方々もきちんとした、やはり将来的にずっとそのままでいいとはお思いになっていらっしゃらないと思います。少しでも、一歩でも自立の方向に向かいたい、そういう思いを前向きに受け止める制度にしていかなければいけない、そういう思いの中での改正だったと思います。  その中で、非常に大きな制度の改正でありましたから、細かな金額的な問題あるいはそういう問題はどうしても政省令に頼らざるを得ない、そして政省令であれば弾力的にいろいろした後から、もちろん不備があれば正していくことも可能ですし、そういう意味でのこういうやり方になったということを是非御理解いただきたいと思います。
  28. 足立信也

    足立信也君 僕、あんまり言いたくないですけど、困りますね。制度の改正はないんですよ。何をおっしゃっているんですか。児童福祉法がそのまんま障害者自立支援法に変わって、その受けられるサービス、その内容、何にも変わってないんですよ。どこに改正があったんですか。それを義務的経費にしただけのことなんですよ。ちょっとその点は非常に残念で、更に質問しても果たして有効かという……(発言する者あり)はい。  私がはっきりさせていただきたいのは、法律的に誤っている解釈が今現場にはあるんだと、それを厚生労働省も知っているんだと、その是正をするのはまた厚生労働省あるいは政府としての義務なんだと、その点ですよ。この調査をいつやって、いつ正すような行動をしっかり取るのか、できるだけ早めに、そのことだけ答えてください。
  29. 西川京子

    大臣政務官(西川京子君) その省令の言わば意図するところが市町村あるいは現場においてそのとおりには取られなかったと、その現実に、その中で、そごの中でいろいろと困った事態が生じていますという現実があるのは承知しております。その中で、今回、六月のその課長会議でそういうことをきっちりとそれぞれ具体的に挙げていただいて、きちんとした整理、対応をするつもりでおります。
  30. 足立信也

    足立信也君 六月の課長会議までにできる限りの調査を国の方でもやってください、これは要望です。そして、今仮にこの委員会質疑を聞いて、じゃできるんではないかという問い合わせがあったならば、それは勇気付ける方向で、やれるんですから、やってくださいと。そのようにしてもらいたいし、それを否定するような市町村があればしっかり是正要求をしていただきたい、そのことを思います。  では、同じ四月一日からの施行のワクチンについて。  これは四月二十日に大阪高裁で、予防接種後の死亡に対して、国の責任であると、MMRワクチンですね、麻疹、おたふく風邪、それから風疹、そういうことありました。この事態で三月までは麻疹ワクチン、風疹ワクチンの単品の接種ということになっていたわけですね。それが四月から変わりました。  ちょっと私も仕事柄、立場上、簡単に説明しておきますね。麻疹というのは、今推計で十万から二十万人程度の発生があります。特に問題なのは、二十歳代前半が非常に増えている。これは麻疹ワクチンの接種をしていない人がやっぱり増えているんです。死亡者は年間二十名から三十名。非常に不名誉なことに、もう各国は麻疹は撲滅に近い状態までになっておりますから、日本は麻疹の輸出国と言われております。これが一つ。  それから、風疹については、これは俗に言う三日ばしかですけれども、これ皆さんもう御存じのように、妊娠初期に感染すると非常に危険で、催奇形性といいますか、先天性風疹症候群ということで、そういう児が生まれてしまう、奇形をもたらすと。平成十六年は先天性の風疹症候群は十人生まれております。ですから、何としてもこの二つとも防がなきゃいけない、そういう疾患ですね。  以前は流行がありましたんで、今一回打ちのワクチンでも、その後自然流行に遭って、ワクチンの効果、抗体ですね、それが高められる、いわゆるブースト効果があって安全だったんですが、先ほど言いましたように、世界じゅうにはもう非常に少なくなっておりますから、一回打ちだけではやはり効果は非常に少ない、期間限定的であるということで、今世界的には二回接種が標準になっている。これで四月一日から二回接種になったわけですけれども、この資料の二をごらんください。概要を書いております。上の段が改正前と、それから改正後ですね、そしてこの改正によって受けられない人というのがその下に書いてあるわけです。この点についてこれから行きます。  簡単に改正の要点言いますと、予防接種法の施行令の一部を改正する省令、これが去年の七月ですね。実は、私のところには八月になってすぐに友人の小児科医から大変な問題だということで問い合わせがありまして、厚生労働省の方とも八月からいろいろ話合いを持ちました。施行は四月一日からですけれども。  要するに、この年齢のところですね、まず。二回打ちというのは、一歳の子といわゆる年長児ですね、小学校就学前の一年、この二回に分けて、MRワクチンですから麻疹と風疹のワクチン、これ一緒になっているワクチンですね、の二回打ちにすると。  この年齢のところをごらんになって分かると思うんですが、今までは九十か月までですから大体七歳と半分、七歳半ですね。就学児童というのは七歳になるまでの子ですから、これよりもちょっと短いですね、実際は。かなり年齢が短縮されたということが一点。  それから、下の欄になりますけれども、今年の三月までに単品のワクチンを接種した方は受けられないんですね、二つ合わさっていますから。一期も受けられない、二期も受けられないということなんですね。三月までどちらも受けなかった子たちはこの接種の対象になるわけですね。こういう事態になっているわけです。  厚生労働省としては、当然、人前に触れ始める一歳のできるだけ早い時期に一回目を接種してもらいたいと、これはもう正しいと私は思いますけど、そういう勧奨をしている、まず一歳のうちにできるだけ早く打ってくれと。でも、その人たちは二回目の法的なMRワクチンの接種は受けられないんですよね。でも、一歳のときにできるだけ早く三月までに受けてくれという勧奨をしておると。  問題点をちょっと挙げますと、法律で定められた、予防接種法に定められた定期予防接種と、厚生労働省が非常に勧めた、勧奨した任意の予防接種というこの二つがあるということです。そして、十八年三月、今年の三月までに二歳になってしまう人と四月以降に二歳になる人では全く不平等になってしまう。三月までに一回目受けた人は二回目もうないわけですからという事態。  そして、この人たちがどうしても受けたいという場合は任意になるわけですね、二回目は有料。有料なんですが、まあ有料か無料かというよりも、一番大きな問題は、先ほどの四月二十日の大阪高裁の件に関連しますけれども、法に基づく予防接種法の場合、もし被害が生じた場合は健康被害救済措置になる、亡くなられた場合は数千万円の補償ですか。任意の場合は医薬品副作用被害救済制度による救済、もし亡くなられた場合は三百万円とか。そこの、安心して、あるいはもしものときにも補償があるという前提で予防接種を受けられるのかどうかという大きな違いがそこにあるわけですね。  そしてもう一つ、これは法的に僕は誤っていると思っています。その点をこれから指摘したいと思います。  私は、世界的に標準であるMRワクチンの二回接種というのはできるだけ多くの子に受けてもらいたい、そのためにはどうしたらいいのかということで提案したいと思っています。で、去年の八月から厚生労働省の方と話合いを持ちましたが、その時点では残念ながら更に改正の検討はしておりませんと、安全性が確認されておりませんということをおっしゃっておりました。  ところが、世界的には二回接種の安全性はもう確認されておりますし、効果も非常に高いものがあるということはもう確認されていることです。現に今、単品ワクチンを、同じ日に麻疹ワクチンと風疹ワクチン同時に打っても問題ないわけですよね。  こういうことを踏まえて、ちょっと疑問点の解消。  まずは法律的な問題なんですけれども、先ほど私、話の中で言いましたが、今年の三月まで一歳の方はできるだけ早く単品のワクチンを打ってくださいということをおっしゃいました。しかし、その人たちは法に基づく二回目のMR接種、ワクチンの接種ができないということはきちっと通知したんでしょうか。
  31. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) ただいま御指摘のありました住民に対する通知に関しましては、平成七年の七月からポスターの配布でありますとか、自治体への会議関係団体を通じて繰り返し周知を図ってきたところでございます。  なお、今回、政令の再改正を行いまして、平成十八年三月までに単抗原ワクチンを接種した方についてもこの六月から第二期の接種対象とする予定でございます。
  32. 足立信也

    足立信也君 最後にちょろっとおっしゃいましたけど、去年の時点で話合いを持ったときにはなかなかそういう問題意識が余りなさげにお話しされていましたけど、この六月からもう一度政令を改正するということでございます。  この二か月間というのは実は、やっぱり私ももう少ししつこく言えばよかったのかもしれませんが、やはり法的にも問題があったわけですね。予防接種法で、これは、市町村長は、麻疹ワクチン、風疹ワクチンに限って言いますけれども、これは接種をしなければいけないという、法律で定められていることですよね。ところが、去年の七月の予防接種実施規則で、麻疹と風疹の混合ワクチンしか使用できないと、そうしてしまったがために、麻疹にかかったことのある子供には風疹ワクチンを打てなくなった。風疹にかかった子には麻疹のワクチンを接種できなくなってしまった。市町村長にはしなければいけないという義務がある。でも、できなくなってしまった。  この事態は、やっぱり法に基づいて市町村長の義務とされているのに、この予防接種実施規則、つまり省令ですよね、省令でワクチンを制限したがために法令違反法律違反市町村長に強いる事態になってしまった、そういうことなんですよね。少なくても四、五、で、六月、これは明らかに法令違反の、法律違反の状態になっていますよ。これ、もし住民から行政不作為だと訴えられたら、どちらが責任を取るのかという事態になってくると思いますけど、やはり省令が間違いだったんでしょう。  先ほどその点を改正されるとおっしゃいました。具体的に、六月の時点だから今は言えないのかもしれませんが、私が今指摘したことのどの点を改正される予定ですか。教えてください。
  33. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) 今回の再見直しにつきましては、前回の改正の趣旨を御説明した後、多方面から御要望等ございまして、こういったものを踏まえ、専門家の御意見をも伺いつつ、再度の見直しを行うということなんでございますけれども、基本的に、風疹あるいは麻疹の片一方、片方を接種された方についても、そのもう一方のワクチンが、この接種が法律に基づく制度として可能になるという仕組みでございます。
  34. 足立信也

    足立信也君 麻疹、風疹、単品ワクチンを再度許可して打てるようにするということですね。  ちょっと細かいようで申し訳ないんですが、DPTワクチンってありますね。百日ぜき、ジフテリア、破傷風、これも三つの混合されたDPTワクチンしか認められてないですね。百日ぜきにかかった人はジフテリア、破傷風のワクチン打てない事態ですよ。これはどうされるおつもりですか。
  35. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) これは今回の一連の検討の中では特に取り上げて議論はされておりませんけれども、今回のケースにつきましては、このMRという、麻疹、風疹という疾病の特性、実態等を踏まえて、このような措置とさせていただいたということでございます。
  36. 足立信也

    足立信也君 ですから、せっかくですから、六月に改正されるとおっしゃっていますからね、麻疹、風疹だけを、そのワクチンだけを改正できるじゃなくて、じゃ、DPTワクチンで百日ぜき、ジフテリア、破傷風の人も同じ事態に陥っているんですよ。ここも変えてください。いかがでしょうか。
  37. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) これにつきましては、DPTワクチンについての諸般の事情もございますので、今後の課題ということで、実情等もお聞きしつつ、更に勉強させていただきたいと思います。
  38. 足立信也

    足立信也君 諸般の事情は何かというのが気になりますけれども、勉強すると言われたら、じゃ勉強してくださいという、仕事柄、私もそういう立場におりましたので、やむを得ないかなと思いますが。  大事な点を忘れていらっしゃる。法律違反をしているということです。市町村長は義務がある、DPTワクチンもそうですね、これが省令によってできなくしている、住民から訴えられたらどうするのと。同じなんですよ。ですから、それは別、これはこれ、そうじゃないんですよ。是非勉強してください。期待しています。  じゃ、個別の、私、先ほど、MRワクチンに限って言っていますけれども、できるだけ多くの方にやっぱり二回接種をきちっと受けてもらいたいと、こういう趣旨なんですよ。  そこで、先ほどの表に戻ります、この資料の二に戻りますけれども、どうして年齢上限を七歳半、九十か月から六歳、つまり小学校へ就学する前までに下げたんですか。機会が失われる。やっぱり中には、小学生になって、親御さんたちが話し合いながら、いや、うちの子はまだやっていません、やっていないよとなった場合に、これはやるべきだと判断して駆け込み的にやってほしいという方も当然いると思うんですよ。どうして年齢下げたんですか。
  39. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) 麻疹及び風疹の定期の予防接種につきましては、ただいま御説明もありましたように、生後十二月から生後九十月に至るまでの間にある者に対しまして一回の接種としていたわけですけれども、更に効果的な免疫を付与するために二回接種を導入するということになったわけでございます。  第一期の対象者につきましては、幼児、早期の罹患者が多い一歳代の罹患者の割合が最も高いことなどを勘案いたしまして、生後十二月から生後二十四月に至るまでの者としたところでございます。また、第二期の対象者につきましては、免疫の付与あるいは強化を行うということを目的としているということと、それから集団生活を始めるまでに高い接種率を維持することが必要であるということから、小学校就学前の一年間というふうにしたところでございます。
  40. 足立信也

    足立信也君 理想は分かるんですよ。でも、受けられなかった、あれ、忘れていたという子たちが必ず入学と同時に僕は出てくると思っているんですよ。その人たちを救済してあげてくださいと言っているんですね。  それに関して、先ほど単品ワクチンもまた復活させるということで、それはいいんですが、きっとこれ任意ですよね。先ほど補償の問題で、法に基づくものとそうじゃないものは全然違う、この点が非常に大きい問題。  そして、じゃこの四月一日時点で二歳、三歳、四歳の子たちというのは、これは二回接種の対象ではもうないんですね。もう頭から抜けているわけです。二回接種は、一歳のときと五歳、六歳のときですから、間は四年空けていればいいじゃないかという判断だと思うんですが、だとしたら、二歳の子でも直ちに一回目の接種をして、四年空けて六歳のときにもう一回やってもらえばいいじゃないですか。そのようにしないと、やはりできるだけ多くの方に二回接種を、世界的に標準であって、効果と安全性の確認されている二回接種を多くの人にできないじゃないですか。どう考えたって、今、二歳、三歳、四歳の人は、自分たちは、あれ、自分たちだけ法的にやってもらえないのという思いがどうしてもあるじゃないですか。  そこで、年齢上限を下げたということが僕は気になっているわけですよ。例えば三歳の子だって、今すぐ一回目をしてもらって、四年空けて七歳、場合によっては八歳で二回目やってもらえばいいじゃないですか。どうしてこういうことができないのかというのを非常に僕は疑問に思っているんです。この提案についてはどうですか。
  41. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) 今回の二回接種の導入につきましては、やや繰り返しとなりますけれども、接種機会の確保と、それから被接種者の負担等も勘案いたしまして、適切な時期に接種することによって免疫の付与をより効果的に行うということが目的でございます。  第一期から第二期までの間にある未接種者に対しましても、今回の施行までの間、各市町村関係団体を通じて接種の勧奨を行ってきたところでございまして、国の制度としては、二回の接種を早期に定着を図りたいというのがその趣旨でございます。  なお、今回の改正の再改正に当たりまして、各市町村に対して、地域の実情に応じて、一期、二期の間などの接種を希望する者に対しましても公費負担を行うよう要請をしていきたいというふうに考えております。
  42. 足立信也

    足立信也君 昨年から今年まで話合いを持ったことがどれだけの要因だったかは別として、政令の改正も臨まれると。今、私も、できるだけ多くの子に漏れなく二回の接種ができるようにという趣旨の提案、私も、十分そのことも酌んでいただいてきっと臨まれるんだろうと期待しております。よろしくお願いします。  最後に、三点目なんですが、あんまマッサージ指圧、はり、きゅう師、いわゆるあはき業、これが、私も厚生労働委員会で何度か取り上げましたが、要は、無資格の方がやられているというこの事態なんですね。  これ、なぜ何回も取り上げているかといいますと、一昨年の九月に、取締りを徹底するために基準を定めてほしいという請願が四十六の都道府県議会で採択されているんですね。そして、衆参の議長と内閣総理大臣に意見書が出されているんです。ですから、これはきちっとしなきゃいけないと。実際、私の地元の大分なんか観光地では、もしそういう無資格の方が観光地の中でやられておったら、これは非常に困るんですね。ですから何度か取り上げている。  昨年の十二月は、要はこれ、ちょっと説明しますと、実際に警察官が自分のお金で、そのマッサージ、疑わしいと言われているマッサージ、あるいは無資格であると疑われているところへ行って実際にその行為を受けて、そしてこの点を厚生労働省に、私が受けたこのような行為はマッサージでしょうかと問い合わせをして、その答えを待って、マッサージであると断定された場合は、じゃ無資格の人は逮捕しようという事態なんですね。去年取り上げたのは、これが厚生労働省の返答まで三か月掛かっていると、とんでもないと、よく逃げなかったなということを私言ったんですが、警察の方に聞いたら、三か月で返るなんか夢のようですということもあります。  ですから、基準がないというこれに対して、昨年十二月に、警察庁及び厚労省担当者会議の場を設けました。そして、取締りを速やかに進める体制づくりが必要だと、これは共通認識ですよ。そのためには、やっぱりマッサージという行為の定義がきちっとされなければいけないということで、事例集を作ろうじゃないかということもありました。  その点について、その後の進捗状況を教えていただきたい。
  43. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) お尋ねのとおり、昨年十二月に行われました関係の団体と担当者との間の意見交換の場におきまして、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律違反にかかわる事例集を作成すべきではないかといったような御提案をいただいたところでございます。  この御提案につきましては、改めて検討させていただいておりますが、個別の行為があん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律違反に該当するかどうかについて、個々の事例に即して判断する必要があるために、事例集を作成して違法性の有無の判断に活用するということはなかなか難しいのではないかというふうに考えているところでございます。  もちろん、個別の行為について疑義照会があった場合には、今、時間が掛かるという御指摘もございましたけれども、これまでと同様、可能な限り速やかにこれは対応していきたいというふうに考えております。
  44. 足立信也

    足立信也君 事例集の作成は難しいんではないかということだけは伝わってまいりました。個別に事例を検討するしかないんだということですね。  そこで、もう私、提案なんですけれども、今は、警察の方がそこへ行って、こうこうこういう行為をされたと、これはマッサージでしょうかとお伺いを立てる、先ほど、私、説明しましたけれども。これはどう考えたって二度手間で、しかも回答も遅いと、努力するとおっしゃいましたが。ひとつ、保健所はマッサージのその施術所に対して衛生面とか構造面で行政指導、立入調査をやるわけですよね。そこでその行為を見たら、調べたら、一発で回答が出るんじゃないですか。警察に見てもらって、そして厚生労働省にお伺いを立ててという段階が省かれるんじゃないですかね。いかがでしょう。
  45. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律で禁止されています行為が行われている場合には、各都道府県に衛生規制の観点から指導が行われ、また警察による捜査、取締りの対象ともなっているわけでございます。  厚生労働省としても、各都道府県に対しまして、こういった医業類似行為に関する取扱い等の通知の発出や全国医政関係主管課長会議を通じまして無資格者の取締り等について周知徹底を図っているところでございまして、引き続き適切に対処してまいりたいと思いますが、今御指摘の、保健所が速やかに入るべきではないかということでございますけれども、保健所はもちろん衛生規制の観点から、そこの施術所が清潔に行われているかあるいは安全に行われているかといったような観点で立入りをするということでございますので、その権限の範囲内で指導を行うということになろうかと思っております。  そこの行われている、立入りする場所はもちろん正規の施術所ですので、そこではきちんとした体制が通常は行われているわけですけれども、そこでの対応がきちんと行われているかどうか、法律に基づいてそこで判断をして指導していると、こういう状況でございます。
  46. 足立信也

    足立信也君 僕の認識では、多いのは、施術所の開設者は資格を持っている方で、どういう人を雇っているかということなんですよ。だから行けるんですよ、保健所は。是非利用していただきたい。ちょっと思い付きのような提案で申し訳ないですけど、それしかないんじゃないかとある意味思っていますので、検討してください。  次に、タイとのEPA交渉で、タイ式マッサージの受入れの件、これは去年の時点、三月の時点では、あはき法においてあんまマッサージ指圧は有資格者のみが行われることとなっているので、外国人に対しても同様に対処するという回答を私は得ております。  その後、交渉が恐らく進んでいるんだろうと思いますが、その後の状況の変化あるいは決まったことがあれば教えてください。
  47. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 委員今御指摘の日タイ経済連携協定交渉、EPAでございますが、これにつきましては昨年の九月に大筋合意に至ったところでございます。  この大筋合意におきましては、タイ側が要望しておりましたスパ・セラピストの取扱いにつきまして、協定発効後二年以内に結論を出すよう協議するとされたところでございます。いつ協定が発効するかということについてはまだ未定というふうに伺っております。  現時点では、タイ側よりスパ・セラピストの具体的内容は必ずしも明らかにされておりませんけれども、仮にあんまマッサージ指圧の業務が含まれるということであれば、昨年三月に大臣から御答弁申し上げたとおり、我が国の免許を取得していただく必要があるというふうに考えております。
  48. 足立信也

    足立信也君 ありがとうございます。  じゃ、最後になりますが、視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師が資格を取った後に研修する場として盲人ホームというのが全国二十七か所今ございますね。私が聞いたところでは、その利用のされ方が本来の研修というものになってないような事態のところがかなりあるということも聞いておりますし、自分の事業所のような使われ方もしているようなところもあるという、人から聞いた話ですから正確なところは分かりませんけれども、この調査厚生労働省でされたと思います。その結果の分析と、それから本来の目的として使われてないんでしたら、その後の改善計画を教えてください。
  49. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) まず、調査結果について御答弁申し上げます。  御指摘のとおり、施設数が二十七か所、定員数五百十三人、利用者数百八十五人ということで、充足率が三六・一%と、このような利用状況になってございます。  この充足率が低い原因につきましては、種々原因があろうかと思いますけれども、若年の視覚障害者の方が減りまして、事実、盲学校の在学者の方の数も減っておりますので、いわゆる典型的な利用パターンでございます盲学校など出られましてそしてこの盲人ホームで既にあんまマッサージ指圧師などの資格を取った方がすぐには就労できないので様々な訓練、指導を受けると、こういうようなことがなかなかうまくいっていないというような現状かと思います。  そこで、障害者自立支援法におきましては、障害者の方々が地域で自立した生活ができるように就労支援という事業を行うこととしております。例えば、本格的な就労に向けました就労移行支援事業ですとか、あるいは雇用が困難である場合にはやはり福祉的な就労を継続するという意味で就労継続支援事業、こういうことを行う、制度的にはできております。  したがって、ここの盲人ホームにつきましても、やはり事業者の方々、それから私たち知恵を出し合いまして、やはり新たな時代にそぐったようなサービスが提供できるように、私たちも知恵を絞ってまいりますし、本年の十月から五年の移行期間がございます、その期間に十分な関係者の皆様との御相談をしていきたいというふうに思っております。
  50. 足立信也

    足立信也君 終わります。  視覚障害者が自立を目的とした本来のその盲人ホームの在り方というものを是非運営していってほしいなと、そのように思います。どうかよろしくお願いします。  ありがとうございました。
  51. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  公明党、与党になって六年半たちました。七年目も迎えているわけでございますが、与党に入るに当たって、自民党と公明党、政策協定を結びましたが、その柱、分かりやすくとあのときはエゴゼロ、無駄ゼロ、ごみゼロという、分かりやすい三ゼロ政策のような言い方で表現するといいかなと思います。エゴゼロではあっせん利得処罰法という法律も通しましたし、無駄ゼロという意味では行政評価法、まあ代表的なものですが、ごみゼロという意味では循環型社会形成推進基本法、こういう与党の中で通してきた法律ございます。  法律以外にも、無駄ゼロという中でいろいろな成果はございますけれども、今日は中馬大臣に来ていただきましたので、行政改革特別委員会でお忙しい、熱心に集中的に審議終えられた直後でございますけれども、総人件費の改革という意味で、全体計画についてお伺いしたいと思います。  国家公務員を二〇〇六年度から五年間で五%以上純減するという目標を掲げて政府の重点十五分野の削減計画が六月に取りまとめられるように進んでいると。この目標、達成できるのかということと、全体の計画の進捗状態について御説明お願いしたいと思います。
  52. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 先週末に、この参議院におきましても、今回の行政改革法ほか関連も含めまして五法でございましたが、これを御採決いただきまして、可決いただきましたことに心からお礼を申し上げる次第でございます。  その中のこの総人件費改革、正にこれも、無駄とは言いませんが、時代的な役割を終わったものも、これは、あるいはまた、もう公務員でなくても、民間でも十分に公共サービス、この任務は担えるんじゃないか、その方がサービスの質が良くなるといったようないろいろな議論も踏まえまして、こうして今回具体的に、もちろん長期の目安もございますが、短期的には五年で五%というはっきりとした目標を掲げているわけでございます。  今回の総人件費改革、五年で五%でございますが、一部に誤解がありまして、何か一律五%なんというのはいろいろめり張りが利かないじゃないかといったこともございます。それはまた後で説明いたしますし、また十五分野をひとつ決めまして、そこで重点的にいろいろと御協力、これは制度改革に及ぶものでございますから、これのお願いもいたして、ようやくその御了解も得て一つの数字も出てまいったわけでございますが、そうした、特定の分野のそうした要請も含めて全体で五%でございます。  通常でもこれまでいろいろと、そしてめり張りを利かすといいましょうか、もう要らなくなったところは極力、無駄でございましょうか、これは減らして、そして新たな要請の下のは増員をしております。そのしかし削減と増員との差は毎年〇・一%ぐらい、ですから五年でいうならば〇・五%ぐらいの純減にしかなっていなかったんですね。しかし、今回は、その、何といいましょうか、時代に合わせてめり張りを利かせていく部分は五%のうちの一・五%分、それを要請いたしております。ですから、今までの毎年〇・一%しか純減がなかったのを〇・三%、それはもちろん削減をすることと同時に増員を極力抑制していただいて、純減を〇・三%ぐらい、ということは五年で一・五%をひとつお願いしたい。これはもう一つのはっきりとした要請をいたしております。  それから、あと、十五分野の、これ農林とかあるいは北海道開発局も入っておりました。こうしたことの十五分野、部署におきましては、これは、先ほど言いました構造改革、制度改革的なものにも及んでかなりもう縮減できるではないか。こういうことの下に、この部分につきましては三・五%の、全体の積み上げた結果でございますが三・五%、ですから合わせて五%という数字でございまして、特定の部門をねらい打ちしているわけでも一律でもございません。その中で、いろいろと各省ともそれぞれ必要性は今まで持ってきたわけですから、なかなかの数字が出てくるのが新聞にも面白おかしく抵抗だとかいって書かれておりましたけれども、いや、調整に私は時間を要したものだと思っています。  北海道開発局も含めて、農林の方も非常に積極的に新しい体制に対応した形の数字を出していただきました。そして、大体、今日、明日にはそれがまとまってくるんではないかと思います。今、そういう状況でございます。
  53. 福本潤一

    ○福本潤一君 五%のうちの一・五%と三・五%の御説明いただきましたけど、各省庁いろいろな取組しておられる中で、特に今日は農水省も来ていただいておりますけど、削減計画、大変大きな数を出されているということでお伺いしたいと思いますが。  この農水省の計画、中身を見ますと、農林統計、食糧管理、森林管理の三分野で合計約七千人を超えるという大幅な削減を打ち出しておられると。評価すべきものと思いますが、と同時に、農政の改革を進めていく中でこれ支障を生じないのか、具体的に削減される業務内容についてもお伺いさせておいていただきたいと思います。
  54. 白須敏朗

    政府参考人(白須敏朗君) ただいまの委員のお尋ねでございます。  お話しのとおり、現在、農林水産省におきましては、担い手を対象といたしました新たな経営安定対策への転換、そういった農政改革でございますとか、あるいは米の政策につきましても、米政策改革といったようなことで農政の抜本的な見直しを進めているところでございます。  ただいま委員からもお話ございましたように、今回、農林統計の業務でございますとか、あるいは食糧管理業務始めといたします、今回大幅な定員の純減を打ち出したわけでございますが、これにつきましては、ただいま申し上げましたような、そういう農政改革を行います結果、行政需要が大きく変化してくるというふうな見通しを、私どもといたしましても見通しを行いまして、これを踏まえて行うものでございます。  具体的に申し上げますと、例えば農林統計につきましては、必要な統計調査は維持するわけでございますが、そのやり方といたしまして、国の職員によります実地調査というものは、これは原則廃止をいたします。したがいまして、これを国の職員による調査から調査員による調査、あるいはまた郵送調査などによります調査ということで、いわゆるアウトソーシングを図っていくといったようなことによりまして業務の効率化を図るわけでございます。  また、食糧管理につきましても、必要な主要食糧の備蓄運営業務といったようなものは、これはしっかりと維持をいたすわけでございますが、IT化などによりまして事務手続の合理化といったようなことを行いまして、業務の効率化を図ってまいるわけでございます。  また、お話ございました森林管理につきましても、森林整備でございますとかあるいは木材の販売と、こういった定型的な業務につきましては独立行政法人化への移行というものを検討いたすわけでございますが、国有財産としての国有林野の管理、保全でございますとか、あるいは治山事業、保安林、こういったものにつきましては、これは国民の安全、安心の確保を目的とするわけでございますので、これにつきまして今後とも国が責任を持って行うといったようなことで、国として最低限実施すべき業務は確保しながら、可能な限りの業務、定員の合理化を行うといったようなことでございまして、去る五月十九日の有識者会議におきまして、先ほどお話ございましたが、これらの見直しの結果といたしまして合計で七千十二人という純減の目標を提示いたしたわけでございます。  これを踏まえまして、私どもとしても、ただいま申し上げましたように、統計なり食糧管理につきましてもこれまでの果たしてきた役割に何ら変わるものはございません。国として最低限やるべきことはやるということで、そういった意味で農政の推進に支障が生じることはないというふうに考えている次第でございます。
  55. 福本潤一

    ○福本潤一君 まあ無理生じることのないということでございますが、無駄ゼロに向けて進んでいるとむらとか無理とかいろいろ起こりかねない現状はないのかという不安を感じて聞かしていただいておりますが、中馬大臣、これ、配置転換先の確保というような意味も含めて、こういう多くの人数の削減、円滑に行うために政府一丸となった取組が必要不可欠だと思いますが、退職による自然減や新規採用の縮減とともに、他省庁だけでなくて地方公共団体など配置転換が求められるのではないかというふうに思います。  受皿の確保はどのようになっているのか、また職員の中で様々な事情により遠距離の転勤が困難な場合もあります。職員の処遇についてきめ細やかな対応を必要とすると思いますが、その点どういうふうに考えておられるか、御意見を伺いたい。
  56. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 福本委員おっしゃるとおりでございまして、やはりこれはかなり大幅な配置転換を要する場合もありましょう。もちろん、何というのか、定期採用、これを少し減らして、増員を減らして、そこにすき間を空けてそこに移ってもらうとか、いろんな方策を検討いたすことにいたしておりますが、ともかくそれを調整する部署といたしまして、内閣に国家公務員雇用調整本部、これを設置することにいたしました。ここで全体の調整をさせていただきます。  そして、同時に、今民間や地方も含めて、職員自ら選択してこちらに移りたい、自分の能力をこの部署で生かしていきたい、この民間で生かしていきたいといった方の、どうぞお申出をしていただきまして、そしてその情報を提供するなりのお手伝い、御支援はしていくこと等も考えております。  そして、特に地方のことでございますが、地方に根付いた方々が多いケースがございます。こういう方は、地方の方も今地方公務員も減らしておりますから簡単に地方に移ってもらうというわけにはいきませんでしょうが、たまたまその能力を地方の方で生かしたい、いや地方の方も是非ともそういう国家的な立場で働いてきた方、自分の村の職員になってほしいという方があればもちろんそういうことも可能でもございます。  ともかく、この配置転換でございますが、それも雇用調整本部全体でやるだけではなくて、地方ブロックごとに地方推進協議会、これを設けることといたしております。したがいまして、それぞれの役所横断的に、地方の中で、余り他県に配転ということも無理やりということじゃなくて、できればそのブロックの中で調整していただくことも必要かと思います。そういうことには、地方推進協議会を中心に地域性の配慮をできるだけしていただくことにもいたしております。必ずしも職員の希望とは完全に合致しないようなケースも出てくるものとも考えられますが、こうした場合におきましても、他のブロックとの間の情報共有を図るなど配置転換が円滑に行われるよう、地方推進協議会の機能を活用することとしてまいりたいと思います。  いずれにしましても、そうした少し研修を含めた、政府の方としてもしっかりとやってまいりますけれども、同時に、職員並びにその職員団体ですね、組合の皆様方にも柔軟に対応していただく必要があろうかと思います。よろしくお願いしておきます。
  57. 福本潤一

    ○福本潤一君 中馬大臣には、この雇用調整本部、また地方推進本部、きめ細やかな対応を心掛けていただければというふうに思います。  引き続き、次の質問に参りたいと思います。  バイオマス・ニッポン総合戦略ということを農水省中心に、内閣内に立ち上げていますが、この三月三十一日に、新たなバイオマス・ニッポン総合戦略を京都議定書の目標達成計画をクリアするためにも取り組むという閣議決定がされました。エネルギー政策におけるバイオマスエネルギーの位置付けはどのようになっているか、これを資源エネルギー庁にお伺いしたいと思います。
  58. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答えを申し上げます。  バイオマスのエネルギーにつきましては、その利用のために、現時点ではそのコストが高いといったような課題がございますのでございますが、エネルギーの自給率の向上あるいは地球温暖化対策に資する貴重なエネルギーであるということが基本的な認識でございます。  御承知のように、バイオマスのエネルギー利用の将来的な導入目標につきましては、京都議定書の目標達成計画において、二〇一〇年度に、廃棄物発電を含むバイオマス発電として原油換算で五百八十六万キロリットル、それからバイオマス熱利用として、これにはバイオエタノールなどの輸送用のバイオ由来燃料五十万キロリットルを含んでおりますけれども、同じく原油換算で三百八万キロリットルを導入することにしております。  この目標を達成するためには、経済産業省といたしまして、予算上の支援、あるいはいわゆるRPS法の対象にこのバイオマスエネルギーを位置付ける等々によりましてその推進を図っております。そのほか、下水汚泥の、食品廃棄物のメタン発酵による燃焼利用など、地域におけるバイオマス熱利用の技術的あるいは経済的な実証事業を行うこととしておりまして、十八年度から五年程度でいろいろプロジェクトを進めてまいりたいと思っておりまして、十八年度予算におきましても今の関係で三十八億円の予算を計上しております。  それも含めまして、バイオマス・ニッポン総合戦略を通じて、農林水産省、その他関係の省庁と連携をいたしまして、バイオマスエネルギーについてエネルギー政策の観点からも利用拡大を図ってまいる所存でございます。
  59. 福本潤一

    ○福本潤一君 三百八万キロリットル、また三十八億円というお話出ました。  具体的に推進している農水省にお伺いしますが、バイオマスタウンという構想を持っておられます。二〇一〇年度までに全国三百か所設置するという目標を持っておられると。これ、より一層スピードアップした対策が必要と現実には思いますが、どのように考えておられるか。また、あと四年、交付金だけでなくて税制面また金融面での優遇も検討をすべきだと思いますが、その点お伺いいたします。
  60. 染英昭

    政府参考人(染英昭君) バイオマスタウン構想につきましては、昨年の二月に五つの市町村が公表したばかりでございます。それ以来、本年四月末で四十七市町村が構想を公表しているところでございます。  御指摘のように、二〇一〇年までには三百地区程度のバイオマスタウン構想の目標達成を図るためにはスピードアップが必要であろうというふうなことでございますが、本年三月に閣議決定されました新たなバイオマス・ニッポン総合戦略におきましては、これまで利用してきました廃棄物系バイオマス、これ現状で七二%程度が利用されておるわけでございますが、それに加えまして、利用が余り進んでいない未利用バイオマスの活用、これ現状では二〇%程度しか進んでおらないという点でございます。この辺を有効活用いたしまして、バイオマスタウン構築の加速化を図っていくというふうなことにしております。  また、このために、農産物の非食用部であるとか林地残材といった未利用バイオマスなどの利活用モデルの構築であるとか、あるいは地域の取組をコーディネートする人材の育成、また低コストで効率的なバイオマス熱利用システムの導入、さらにはバイオマスマークの導入などによりますバイオマス製品の需要増進などを推進していくことにしておるところでございます。  また、もう一点の御指摘の方の、交付金等に加えまして金融面、税制面等についてでございますが、まず金融面につきましては、平成十七年度から、農林漁業金融公庫の農林漁業施設資金におきましてバイオマス利活用施設に対する特例の利率を措置しているところでございます。また、税制につきましても、平成十八年度税制改正におきまして、税額控除や特別償却の対象といたしまして木質バイオマス発電装置やバイオマスエタノール製造設備などのバイオマス利活用設備を加えたところでございます。  これらの施策を有効活用を図りながら、バイオマスタウンの構築の加速を図ってまいりたいというふうに考えております。
  61. 福本潤一

    ○福本潤一君 現実にこのバイオマス進めておりますと、日本は、都会にいると森林どこにあるのかという気も時にはしますけれど、飛行機に乗ると日本の七割は森林だという国土を持っておるわけでございます。そういう意味では、最近の原油価格の高騰ありましたし、石油に代替することが可能でかつ再生可能なエネルギーとして木質バイオマスというものに期待が高まっている。この実用化に向けての技術面の検討状況についてお伺いいたします。
  62. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 木質バイオマスについてのお尋ねでございます。  御指摘のとおり、木質バイオマスの利用は、林産業の活性化でございますとか森林の適正な整備等々、非常に循環型社会の形成に資する重要な課題というふうに考えておるわけでございます。  ただ、現状を申し上げますと、林地残材、それから製材工場等の残材等が三千三百三十万立方あるわけでございますが、このうち実際エネルギー等に使っておりますのは五六%ということで、まだかなりの部分が未利用に終わっているということでございます。  それで、お尋ねの、この未利用のものをいかに拡大していくかということで技術開発が非常に重要でございます。特に用途で、リグニン等の有効成分をできるだけ低コストで分離をいたしまして、再生利用可能な木質プラスチックでありますとかあるいはエタノールへ変換するといったような用途の研究というものが必要だというふうに思っております。こういうものがまず一点ございます。  それからまた、コスト的に回っていくためにも、非常に木質バイオマスの資源は広く薄く分布しておりますので、これをいかに効率的に集めるかということで、ボリュームを圧縮して運搬コストを安くするような技術、そういうものの開発というものに今取り組んでいるところでございます。
  63. 福本潤一

    ○福本潤一君 今回新たに見直されたポイント、これはバイオエタノールの活用というのが重要であると。バイオマス輸送用燃料を二〇一〇年度までに五十万キロリットル導入すると。今、揮発油税等の関係で三%まで許可はできていますけど、これが百八十万キロリットルに当たりますんで、その四分の一ぐらいは導入するという目標の達成に向けて今後進んでいくと思われますが、この計画段階から実用化に向けて具体化すべきと思う中で、今後のスケジュール、どういうふうに考えておられるか、これ、染技術総括審議官にお伺いします。
  64. 染英昭

    政府参考人(染英昭君) 御指摘のバイオマスエタノールを始めといたしましたバイオマス輸送用燃料の導入につきましては、まず京都議定書の目標達成計画におきまして明確に位置付けられて、五十万キロリットルを目標とするというふうに示されておるわけでございます。  そういう意味で、その京都議定書の目標達成計画を受けまして、お話ありましたように、この三月三十一日に閣議決定されましたバイオマス・ニッポン総合戦略におきまして、バイオマスエタノールなどのバイオマス輸送用燃料の利用促進を図ることとしたところでございます。  これからどういうふうにやっていくのかという問題でございますが、やはり具体的には国が導入のスケジュールを示しまして、利用に必要な環境の整備をまず行っていく。また、それと併せまして、積極的な導入を推進するように、海外諸国の動向も参考としながら、多様な手法について検討していく必要があるのではないかというふうに考えております。  それ、輸入品も国産品も含めて全体的な話でございますが、特に国産バイオマスエタノールの導入につきましては、現在、関係府省が連携いたしまして、全国六か所で、サトウキビの糖みつなどからエタノールを生産してガソリンと混合して利用するような実証試験を実施しているところでございます。  この実証試験の成果を見ながら、今後これをきちっと実際の地域全体での利用に広めていくような、そういうことを考えてまいりたいと。これは、今後あと一年でできるのか、二年でできるのか、この成果を見極めながらやっていく必要があろうというふうに考えております。  また、もう少し時間が掛かるようなスケジュールになりますが、高バイオマス量を持つような農作物の開発、導入であるとか、あるいは木質バイオマスなどから効率的なエタノール生産技術を開発するなど、この辺をやりながら国産のバイオマス輸送用燃料の利用促進を図ること、こういうことをやってまいりたいというふうに考えております。
  65. 福本潤一

    ○福本潤一君 これ最近新聞に出ておりますけど、エタノール特区という言葉が出ております。エタノールの国内の生産体制について、整備拡充、どのようになっているか。  また、沖縄県において特区制度の活用、これが在日米軍再編に伴う沖縄県振興策の一つとして、沖縄特産のサトウキビから作るという形で活用が特区制度として報じられておりますが、この事実関係と、これが突破口になって全国に大きな影響を与えるような形で進んでいくのかどうか、これも含めてお伺いしたいと思います。
  66. 大前忠

    政府参考人(大前忠君) お答え申し上げます。  五月十九日の新聞の朝刊に、委員指摘のような記事がございました。  沖縄県におけるこの分野での取組につきまして御報告申し上げたいと存じます。  沖縄県におけるバイオエタノール利用の構想につきましては、現在、経済産業省や環境省、農林水産省などが連携して検討中と伺っております。今後、沖縄県等地方自治体も含めて検討が進められる中で、関連する規制についての具体的な特区の提案が出てくるようでございましたら、提案者の立場に立ちまして、提案を実現するためにはどうしたらよいかという観点から、関係省庁に対して積極的に対応を求めてまいりたいと考えております。
  67. 福本潤一

    ○福本潤一君 今こういう形で新たな動きの中で、国内のエタノールの生産量、なかなか、沖縄といってもサトウキビ、むしろ砂糖にした方がアルコールにするよりは、エタノールにするよりは収入はいいんじゃないかというようなこともございますし、いろいろ様々な対応をせざるを得ないと思います。  揮発油税等で何と三%全部義務で入れるように万一なったとしても百八十万キロリットルでございますし、これブラジルの生産量に匹敵するぐらいの大きな量でございますし、石油業界の問題もあると思いますが、今後、輸入に依存せざるを得ないこともあるのではないかというふうに思いまして、ブラジルからルーラ大統領来られたときもそうですし、経済産業大臣のフルランさんと二階大臣がこれ交渉、いろいろ様々な検討も含めてやられたということも聞いております。  ですので、輸入に関しての考え方、バイオエタノールの確保策、どのように考えているかと。最近、ブラジルとスタディーグループの取組というのも行われているということでございますので、資源エネルギー庁にこの点お伺いしたいと思います。
  68. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、国産の農産物だけからリソースを得てバイオエタノールを作るということについては当然限界があろうかと思います。したがいまして、御指摘のように輸入にその源を求めるということも有力な選択肢でございます。  現在、石油価格が大変高騰しておりまして、それに伴いまして、バイオエタノールも代替燃料でございますので、こちらの方の需給も逼迫をすると。あるいは、海外においてもバイオエタノールの原料になるものの供給とか加工には制約がありますものですから、こうした状況を十分見極めつつ、海外からの輸入の、特に安定的な輸入について促進を図るということが重要でございます。  そうした観点から、今も御指摘ございましたけれども、最大の供給国でございますブラジルからの安定輸入の促進を図るために、本年の四月にブラジルのフルラン開発商工大臣が来日をされました際にも、二階経済産業大臣からはジェトロによる日伯エタノール関連投資セミナーというものを開いてみたらどうかというような提案をさせていただいたところでございます。  それから、輸入の方につきましては、累次御案内のとおりでございますけれども、本年の一月から四月にかけまして、実務者レベルでのスタディーグループとして小委員会を開催しております。  それから、先ほど申しましたフルラン大臣が四月十日に来日されました折には、石油業界あるいは自動車業界等々、関係業界の代表なども入れました、いわゆる本会合を開催をさせていただきまして、二階、フルラン、両国大臣出席も得て検討を行ったところでございます。このスタディーグループにおきます主要なテーマは、エタノールの経済性の確保、それから安定供給性をいかにするかということでございまして、その会合におきましても大変建設的かつ熱心な議論が行われました。このグループは、今後とも事態の進捗とそれから必要に応じて適宜開催をしていきたいと思っておりまして、こういったプロセスを経まして、バイオエタノールの輸入に関する導入拡大ということについても更に検討が深まっていくものと存じております。
  69. 福本潤一

    ○福本潤一君 今後、大きな課題になっていくと思いますし、生産コストを下げるために技術開発、燃料課税の問題、さらには車の技術革新の問題、流通インフラの整備、克服しなければならない課題が数多くありますが、バイオエタノールの導入は地域経済の活性化に大きな意味を持ってくると思います。  もうブラジルでは、あのオイルショックのときに、昭和四十七年からE25と、二五%バイオエタノールを入れたガソリンで、ガソリンスタンドで売っておると。更に増やすこともできるようにバイオエタノールだけも売っておるという形で、その結果、今現在、三十数年たったときには近海の油田開発とともに、もう既に石油を輸入しないでもいい国になったと。国事情はいろいろ違いますけれども、先進国でそういう形進んでいると。アメリカですらE10でやっておるという現実もございますので、各省連携してこれ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  以上で終わります。
  70. 吉川春子

    吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  生保、損保の保険金不払の問題についてお伺いいたします。  まず、損保ジャパンの処分の理由なんですけれども、伺います。  多くの国民は、厳しい家計の中から万一のときに備えて保険に加入しています。加入から保険発生まで十年、二十年、時には生涯、保険金を払うという高価な買物です。いざというときに保険金の確実な支払があるということが必要です。保険会社との信頼関係がなければ成立しません。昨年来明らかになっている生損保業界の悪質な保険金不払行為は保険業界への国民の不信感を拡大しています。先週末にも損保ジャパンに対して全店で二週間の販売業務停止の処分が出されたと報じられていますけれども、昨年十一月にも同社を含む損保二十六社に対して不払問題をめぐって業務改善命令が出されたばかりです。  今回の処分の理由は何だったんでしょうか。
  71. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 損保ジャパンにおきましては、金融庁検査の結果及び保険業法に基づく報告徴求の結果、法令等遵守体制、経営管理体制、内部管理体制の重大な欠陥を要因として、一つは付随的な保険金等の更なる支払漏れ、第二は受託する生命保険の募集行為における法令違反、第三には顧客の名前の印鑑を不正使用した法令違反、第四は海外拠点における保険証券発行の不正行為等の問題が判明したところでございまして、私どもとしては極めて遺憾なことであったと考えております。このため、五月二十五日、損保ジャパンに対し保険業法に基づく業務の一部停止命令及び業務改善命令を出したところでございます。  損保ジャパンにおいては、今般の処分を踏まえまして、経営管理体制等の抜本的な見直し等の観点から、徹底した原因究明及びこれに基づく実効性のある業務改善策が適切に講じられていくことを期待しており、当庁としてはその状況を注意深く見てまいりたいと考えております。
  72. 吉川春子

    吉川春子君 印鑑の不正使用は、それ自体犯罪行為です。社員自らが保険料の立替えを行うのは保険業法三百条違反。それも二百八十名となると会社ぐるみとしか言いようがありません。保険金の不払でも、金融庁の再検証で更に千百二十八件、一億二千万円が不払であると加算されたものです。損保ジャパンが果たして社会的に許される企業なのかどうか、存在が問われるほど深刻な問題だと思います。  程度の強弱はあるにしろ、損保業界全体の問題です。昨年十一月の行政処分では損保四十八社中二十六社に支払漏れ、不払があり、また点検も一部しか行っていないこと、保険金の支払漏れ防止の体制が整備されていないなどから、改善計画の提出を命じていますけれども、命令の後も三井住友海上火災保険のように不払が発覚しています。  そこで、伺います。  最終的な不払件数及び不払額は損保全体で幾らになるんでしょうか。そして、このうち返金済額は幾らでしょうか。
  73. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) まず、全体の不払の件数及び金額でございますけれども、私どもで昨年十一月二十五日に公表をさせていただいたところでございますが、平成十四年四月から十七年六月までの間におきまして、損害保険会社、全部で四十八社ございますけれども、このうち二十六社で支払漏れが発生し、件数は合計で十八万六百十四件、金額は約八十四億円に上るということが判明いたしたところでございます。
  74. 吉川春子

    吉川春子君 当該契約者への返金の額は幾らですか。
  75. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 私ども、業務改善命令を発出いたしました後、各社から業務改善計画というものを出させまして、その中で実施状況をフォローしているというところでございまして、現時点におきまして全体の計数を申し上げられる段階にないということを御理解いただければと思います。
  76. 吉川春子

    吉川春子君 この調査結果には損害賠償責任に係る損害保険本体の調査は含まれるのですか。
  77. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 先ほど申し上げました不払の、不払と申しましょうか、支払漏れの調査につきましては、いわゆる付随的な保険、特約部分についてのものでございます。
  78. 吉川春子

    吉川春子君 大臣、お伺いいたしますけれども、この不払件数、額は保険本体の調査をせずに付随的な保険の不払だけのものです。十八万件を超えて八十四億円もの不払が生じているのに、なぜ本体部分調査を命じないんですか。多くの国民は付随的保険の部分調査だとは思っていないと思います。損害保険本体の調査を行うべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
  79. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 本体部分に係る保険金等の支払について、金融庁に寄せられる苦情を見ますと、損害額や過失割合等の事実認定に関連するものは多いわけでございますが、現段階において主契約部分に関する不適切な不払を行ったと認められる事例は承知をしておりません。  保険金の支払は保険会社の基本的かつ最も重要な機能であり、主契約、特約のいかんを問わず、保険金を適時適切に支払えるような体制の構築に努めることが必要であると考えております。いずれにいたしましても、仮に主契約も含め保険金支払管理体制等について重大かつ悪質な問題が判明した保険会社があれば、法令に基づき厳正に対応することとなります。
  80. 吉川春子

    吉川春子君 そういうものが判明したときに厳正に取り扱うというのは言ってみれば当然のことですね。そういうことがきちんと行われているかどうかということを調査しなければなりませんし、主契約が正に保険にとって一番重要なことなんじゃないですか。そういうことを調査もせずに、ちゃんと行われているかどうかということは、これは判断ができないと思います。やっぱりこれでは国民の損保に対する不信感は増すばかりではないかと。だから、是非本体の調査も行うということも検討していただきたい、そのことを重ねて要求します。どうですか。
  81. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 今答弁で申し上げましたように、せっかく保険に入っているんだから、例えば火災のときに火災で残ったものの評価とか、そういうことに関しては契約者もいろんな問題点を抱え、苦情もあるわけでございますが、契約自体について不払というようなことは実際は私どもの耳には聞こえてまいりません。  こういう不払問題が私どもが把握する端緒となるものは、私どもの窓口に寄せられるいろいろな苦情、相談あるいはお手紙によるそういう問題点の指摘、そういうものがあってこれらの問題を少しずつ把握していくわけでございますけれども、本体部分に関しては今のところそういう端緒となるような苦情や相談というものは当局には寄せられていないと、そういうことをお答えしたわけでございます。
  82. 吉川春子

    吉川春子君 付随的な部分でこれだけ多くの不払があるわけです。そして、その端緒となるものが寄せられたものだとおっしゃいますけれども、やはり私は金融庁は十分体制を取って本体部分調査も行うべきということを強く要求をしておきます。  次に、損保協会の会長でもあるあいおい損保の児玉社長が三月十日に記者会見して、積立型傷害保険などの宣伝パンフに実際より高い運用利回りを契約者に約束したと誤解を与える内容があったとして、満期後の利回りについても四、五%の利率を保証する旨、明らかにしております。その額、今後四十二年間で百九十六億円が見込まれていると報道されております。  この種の消費者基本法や消費者契約法等に反する販売をやっていた損保はほかにもあるのではないでしょうか。将来の価額が変動するものについて断定的判断を与えるようなことはしてはならないと、契約法の第四条。消費者に対して必要な情報を明確かつ平易に提供することは事業者の責務ではないのですか。伺います。
  83. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 御指摘いただきましたあいおい損保によるパンフレットの不適切な表示でございますけれども、これは積立期間満了後の分割受取総額について、本来積立期間満了時点での予定利率によって算出されるべきにもかかわらず、パンフレット作成時点の予定利率によって計算した額を例示していたと、かつ、将来の受取額を約束したものではないといった注意書きが漏れていたということで、契約者の方に対して誤解を招くおそれのある表示であったということでございます。  それで、この同様のケースがほかにあるのではないかという点でございますけれども、現在あいおい損保と同様に積立保険の募集用資料に注意文言の記載漏れがあったということを公表している保険会社は、あいおい損保のほかに六社ございます。  私どもとしては、すべての保険会社に対して募集用の資料等における不適切な表示等に関する一斉点検を要請しているところでございまして、現在その結果について精査、分析をしているところでございます。この点検結果につきましては、全体として分析整理をした上で何らかの形で公表をする方向で検討してまいりたいと思っております。
  84. 吉川春子

    吉川春子君 そのあいおい損保は高利回りを保証する旨、当該契約者一万九千七百十七人に個々に伝えていますか。
  85. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 伝えていると承知をいたしております。
  86. 吉川春子

    吉川春子君 是非通知をさせることを徹底させてください。私は、そういう点でこういうものを徹底調査なしには国民の信頼回復はないと思います。保険料の立替払や割引など不正販売を業界では公然の秘密というふうにも言われていると聞いておりますし、やっぱり国民の信頼回復という点に金融庁としても全力を挙げていただきたいと思います。  それで、生保各社への調査内容の体制について伺いますけれども、金融や保険業界は総理大臣の免許を受けて初めて業を営むことができる、そういう意味でその責任も重いわけですね。総理大臣が資格の有無を直接に審査もするわけです。  そこで伺いますけれども、金融庁が〇五年七月二十六日、生保各社の二〇〇〇年から二〇〇四年の過去五年分について不適切な保険金支払のものはないか調査をして、九月末までに報告するように業界に指示しました。  なぜわずか二か月間でこんな大変な調査をさせたのでしょうか。会社によっては五万から十万件以上もあるわけですね。わずか二か月で、開発商品の知識も十分ではない、人材も育っていないなどの問題を抱えている業界で、何百人の専門家で、どんな調査が可能であったのか質問します。
  87. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 御指摘いただきました生命保険会社における不適切な不払の関係でございますが、昨年七月二十六日にすべての生命保険会社に対しまして、保険業法に基づいて報告徴求を求めたところでございます。保険金等支払管理体制の実態把握及び不払事案に関する再検証を要請したということでございます。  より具体的には、保険金等支払管理体制の再点検及びその結果、それから、過去五年間、平成十二年度から十六年度におけるすべての保険金、給付金の不払事案に係る再検証及びその結果、そしてさらには、再検証の結果不適切と判断された不払事案への対応状況ということでございます。  このうち、不払事案に関する再検証につきましては、当局から統一的な様式を示しまして、保険金、給付金の種類別と、それから、不払とした事由別にマトリックスを作成して、それぞれ該当するものをカウントするよう求めたということでございます。  再検証に当たりましては、すべての不払事案を対象として、丁寧かつ正確に検証することが求められたということでございます。各社においては、それぞれ支払管理に係る実態を十分踏まえた上で正確な報告を行う観点から、それ相応の陣容で検証が行われたものというふうに承知をいたしております。  二か月という期間につきましては、一方で徹底した調査をしていただく必要がある、ただし、他方でできるだけ早くその実態把握をし、所要の対応を取るということの緊急性という両方をかんがみまして、私どもとして二か月という期限を限ったところでございます。  その作業といたしましては、すべての不払案件の洗い出しということがまずございましょうし、その後、各案件ごとに、募集時の対応がどうであったか、あるいは不払とした事由の妥当性がどうであったかと、こういったチェックをするわけでございますけれども、このためには専門的な知識を有する支払査定の担当職員を中心に検証を行ったというふうに承知をいたしております。  それから、投入いたしました人員につきましては、会社の規模が異なることから一概には申し上げられないわけでございますけれども、大手の会社では百名から二百名ぐらいの体制で検証を行ったというふうに承知をいたしております。  なお、これは、保険業法に基づく私どもの報告徴求権の行使ということでございまして、仮に虚偽の報告を行った場合には罰則規定があるという枠組みになってございます。
  88. 吉川春子

    吉川春子君 五万件から十万件を一人一日どれぐらい処理できます。二、三件か四、五件かじゃないですか。そうすると、五百人ぐらい動員しないと、その五万とか、それ以上の件数というのは処理できないじゃないですか。物すごいたくさんのことを隅々まで丁寧にやれと言って、しかもその期間は二か月だと。非常にいい加減な調査にならざるを得ない側面があると私は思うわけです。  それで、配付した資料をごらんいただきたいと思うんですけれども、まず、保険金支払体制の再点検及び不払に係る再検証の結果についてという、これは金融庁が発表しました棒グラフなんですけれども、見ていただきますと、安田生命が、左側の棒の大きい方なんですけれども、五百三件、そして、その生命保険三十八社の合計が七十と極端に少ないと。それから、給付金の方も、明治安田の方は突出して五百五十、そのほかは三百六十五というんで〇・〇三%ということで、これ、このグラフを見ていただきますと、いかに一社で、明治安田が悪いことを一人でやっているかと。ほかはもう全然、ほとんど取るに足らない数字よというこの棒グラフを金融庁が発表しているわけなんですね。  確かに、その明治安田の悪質はぬきんでておりまして、契約の段階では病気の告知をしなくていいと加入させて、保険事故が発生すると告知しないので詐欺無効を適用すると。しかも、会社の方針として、〇四年の一月に合併後、新会社の十八年度目標として、十三年度の増益効果として死差益増の目標三十九億円を掲げています。死差益増と、もう本当にびっくりするような目標を掲げているんですけれども、死亡事故があっても払わずに三十九億円の利益を出せと。これは会社ぐるみでやってきました。詐欺無効を組織ぐるみで推奨したわけです。保険会社として全く許せない違法行為であると、私は言語道断だと言っていいと思います。  しかし、図解しているこの金融庁の報告が、明治安田は悪いんだけれども、じゃこの報告が適切なのかと、その点について伺いたいと思うんですけれども、日本生命、第一生命、住友生命について聞きます。三社は不適切な支払について件数を報告してきただけで、調査対象件数についても、調査対象契約、つまり保険、特約給付の全部を不払であったのか、特約部分のみ不払であったのか。あるいは、同一契約者の不払、複数不払を複数で数えたのか、同一契約者であれば複数であっても一と数えたのか、そういうことも全くはっきりしないわけですね。  もう一つの資料二の表を見ていただきたいと思います。生保三十八社の不適切な保険金不払状況。この表は週刊ダイヤモンドの前田氏が独自に調査し作成したものです。日本、第一、住友など、大手生命保険会社は調査対象件数について、調査対象契約は回答拒否、もう回答拒否、回答拒否ってこうずっとあると思います。括弧内で六万三千とかって数字が書き込まれていますけれども、これは公表されている発生率から逆算した数字でございまして、実際には会社は回答は拒否をしているわけです。  私は、第一生命や日本生命の再検証結果についてという報告書を持っております。ここに持っておりますけれども、大手生保はこれらの調査にはすべて回答を拒否しているんじゃありませんか。どうですか。
  89. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 先ほど申しました昨年七月二十六日付けで私どもが行いました報告徴求、すべての生命保険会社に保険金等の不払事案に係る再検証を求めた報告徴求につきましては、全社から報告書の提出を受けているところでございます。
  90. 吉川春子

    吉川春子君 質問でも通告してあるんですけれども、調査対象契約、つまり保険、特約の給付は全部不払であったのか、特約部分のみ不払であったのか、同一契約者の複数不払をどういうふうに数えたのか、それを具体的な数字で回答してください。
  91. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この一斉調査に当たりましては、保険金、給付金の種類別、それから不払といたしました事由別にマトリックスをつくってそこに書いてほしいと、こういうことを申し上げております。  保険金の種類といたしましては、保険金が死亡保険金、災害保険金……
  92. 吉川春子

    吉川春子君 そういうものはいいんです。数を言ってください。
  93. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 高度障害保険金、その他。それから給付金、これも死亡、入院、手術、障害、その他と、こういうふうに分けております。それから、不払の事由といたしましては、詐欺無効、不法取得目的の無効……
  94. 吉川春子

    吉川春子君 数を言ってください。
  95. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 告知義務違反解除、重大事由解除、免責事由該当、支払事由非該当、その他と、こういった内訳で求めておるわけでございます。  個社ごとの個別の計数につきましては、集計ベースで私ども全体像をお示しする意味でお答えをいたしておりますので、個別社ごとのその計数については言及を差し控えさせていただきます。  ただし、非常に重大で悪質な事案が起きた等の場合には、私どもで行政処分を打つことが通例でございます。このような行政処分を打った場合には、当該社についての必要な範囲内での個社の計数等もお示ししているところでございます。
  96. 吉川春子

    吉川春子君 どうして具体的な数、何件調査して、どういう形で調査したのかというのも言えないで、不正の数だけがこれだけありましたと、明治安田よりも二けたも少ないですと言われたって、これは判断できないじゃないですか。どうしてその調査対象契約数とか調査対象数とか、そういうものを明らかにできないんですか。それとも、いい加減な基準で各社ばらばらでやったので発表することはできないとでも言うんですか。それであるとすれば、この数字の信憑性が問われますよ。その数字を金融庁が明らかにしない限り、この三十八社についても、きちっと調査したのか、そして三十八社は明治安田に比べて不祥事が少ないのかどうか、不払が少ないのかどうかということだって分からないじゃないですか。まず数字を出していただきたいと思います。
  97. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 先ほど来お答え申し上げておりますように、私どもとしては、各社がきちんとした、先ほどの不払とした事由別あるいは保険金の種類別にきちんとした数字を拾い上げると、こういう作業を要求いたしておりますし、その結果について虚偽報告があれば保険業法に基づく罰則があると、こういう枠組みでやっておるわけでございます。  また、私ども、通常一定のインターバルで各保険会社に対して検査を行っております。また……
  98. 吉川春子

    吉川春子君 そんな言い訳、聞かないんです。数が言えないんだったら、言えないでいいです。
  99. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 顧客等からの苦情等がございました場合には、そういったことも参考にいたしまして随時のヒアリング等を行うということでやっておりまして、こういった枠組みの中で各社が私どもの……
  100. 吉川春子

    吉川春子君 そんな、数字が言えなくてね、そんな言い訳したってしようがないんですよ。
  101. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 保険業法に基づく報告徴求にお答えをいただいたということだということでございますので、それなりの正確性は確保されているのではないかというふうに思います。
  102. 吉川春子

    吉川春子君 ちょっと時間がなくなりましたけど、郵政公社、数だけ発表していただけますか、簡保についての。
  103. 鈴木康雄

    政府参考人(鈴木康雄君) 簡易保険につきまして、不適切な保険金不払の状況平成十二年から十六年度までの五年分について郵政公社に報告を求めましたが、その結果によりますと、不払件数約二十三万件に対しまして不適切な不払件数は十八件、十事例十八件でございます。  以上でございます。
  104. 吉川春子

    吉川春子君 与謝野大臣、お伺いいたしますけれども、不払の額ですね、生保三十九社の五年間の額は一千四百八十八件、金額とか払戻金とかというのはもう聞く時間がなくなっちゃったんですけれども、調査対象件数の回答を拒否しているソニーやあるいは三井住友海上火災きらめきもあります。つまり、金融庁は、大手生命保険会社が調査の多くに回答を拒否し、不払漏れがほかにも多数ある可能性を認識しながらこれを放置し、今回の調査自体がこのような比較になじまないであることを承知しながら明治安田の極悪ぶりを強調しています。  大臣、こんなやり方でいいんですか。保険業界の全体への国民の不信が高まるばかりじゃないですか。だから、私はほかの、もう明治安田の極悪ぶりは分かりますけれども、ほかは大丈夫なのかということをきちっと国民に公表できる数字で公表してもらわないと、不信感は高まるばかりだと思うんです。  最後に、与謝野大臣、この件についてどうお考えなのか、伺います。
  105. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私どもは法令に基づいて行政を行っているわけでございますが、本件類似のことはないかということで全社に対しまして報告書を出すように申し上げまして、昨年九月三十日を期限として報告書の提出をお願いしましたところ、全社より報告書が提出されましたので、すべての会社は保険業法上同等かつ厳正な取扱いをしていると思っております。  なお、私ども、こういう事件を契機といたしまして、保険契約者に御迷惑が掛からないようにできるだけのことはしてまいると、そのような決意でおりますので、それは是非御理解をしていただきたいと思っております。
  106. 吉川春子

    吉川春子君 委員長、済みません。
  107. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 吉川君、時間来ておりますので、簡潔に。
  108. 吉川春子

    吉川春子君 はい。もう時間がなくなりましたけど、大臣、こんないい加減な調査で三十八社、ほかの生保は大丈夫だなんていうことを国民に言えないでしょう。だから、国民にきちっと説明できるように、数字も発表できるように、時間を掛けた調査を行うことを、改めて行うことを強く要求して、私の質問を終わります。
  109. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  今回は少したくさん質問時間いただきましたんで、サラ金の多重債務の問題について質問をさせていただきたいと思っています。  私も、サラ金の多重債務、自己破産、幾つか仕事の上でかかわっておりますが、大変深刻な事態になっているというふうに思っています。自己破産が、三年前のピークは過ぎましたけれども、依然として年間二十万件、つまり一日当たり五百五十件自己破産の申立てがあるという大変な事態でございまして、サラ金の業者がつくっております協会の多重債務の白書を見ましても、サラ金の利用者は二千万人を突破していると。大体サラ金の利用者の一割が多重債務に陥っていて、その多重債務の約一割が自己破産あるいはこれに近い状態にあると。弁護士が関与しているのは多重債務者の一%か二%ぐらいではないか、あとの圧倒的多数はサラ金業者にうまいようにやられていると、これが私は実態ではないかというふうに思っています。  生活苦の自殺、この大部分はサラ金を苦にした自殺だと思いますが、これが八千人を突破したと、交通事故の死者よりも多いと。京都の弁護士会が調査をしたところによりますと、路上生活者の八割ぐらいは、サラ金問題をきっかけに、多重債務の問題をきっかけに路上生活者に入ったんではないか、こういうふうに結論付けておりまして、本当にゆゆしき問題だというふうに思っています。その根源的な要因がサラ金、クレジットの高金利、これがこういうもののやっぱり背景にあるということはもう紛れもない事実でございます。  一方で、御案内のとおり、我が国の金利規制は利息制限法の規制とそれと出資法というダブルスタンダードになっておりまして、民事上は利息制限法の金利を超えると無効でありますけれども、出資法二九・二%を超えなければ刑事罰の対象にならない、いわゆるグレーゾーンの問題があるわけでございます。貸金業者はこのグレーゾーンを任意の支払であると、こういうふうに構成をして、ここで一定の金利を得ている。そして、貸金規制業法は四十三条でこれをみなし弁済規定という形で擁護、保護をしていると、こういう構造になるわけでございます。  しかし、昨年の後半から、最高裁が繰り返しこのみなし弁済規定を極めて厳格に解釈をして、事実上みなし弁済規定を否定すると、こういう判断を繰り返ししていると。そういうこともありまして、正に立法府の対応が求められておりますし、二、三日前、日本弁護士連合会は、改めてこのグレーゾーンの撤廃を大会の決議で取り決めております。  問題は貸金業者、サラ金業者でございますが、この人たちはこのグレーゾーン金利で貸し付けて、この分野で言わば商売をしていると、そこがまあ実は問題なわけでございます。  サラ金業者の調達金利は約二%。二%で調達をして、まあ零細業者はもう少し多いわけでありますが、二%ちょっとで調達をして、そしてそれを約十倍以上の二五%から二九%の金利で貸し付けると。そして、テレビでどんどんと広告をして、そしてまた無人契約機を使ってどんどん貸出しをする。ついに貸出し残高は十一兆円という大変な市場になって業者は大いにもうかっている。日本の言わば長者番付に何人もこのサラ金の創業者が名を連ねる。一方で、庶民は、さっき言いましたように膨大な自己破産、自殺そして夜逃げそして犯罪と、こういう状況でございます。何とかしなければならないと。  しかも、これも業界の消費者金融白書によりますと、サラ金の平均利用者像を示しておりまして、一人平均三・三社から借りていると、百五十万ぐらい借りていると。そして、年収は四百万以下の人が圧倒的に多いと、利用年数は六・五年だと。つまり、大部分の人はもう五年以上借りているんです。そういたしますと、例の利息制限法で計算をし直しますと、多くの人たちはもう元本を返し終えて過払いの状態になっていると。過払いの状態になっているにもかかわらずサラ金に追い込まれている。こういう現実がもういろんなデータから明らかだと。サラ金業者の白書からも明らかだと。  すべての原因がサラ金の貸金業規制法四十三条のやっぱりグレーゾーンの問題、ここでやっぱり商売をしているサラ金業者の存在になってくるわけでありまして、どうこのサラ金グレーゾーンの効用を皆さんが認識されておるのか。このグレーゾーンの金利と多重債務者の現況について、どういう認識を持っておられるのか。今、金融庁で協議中であるということは十分分かるんでございますけれども、担当大臣の基本的な認識、まあこれいろいろなところで聞かれるというふうに思いますが、是非この場でお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
  110. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) まず、最高裁のグレーゾーンに対する厳しい判断、これに対する立法は、国会も各党もまた政府も考えていかなければならない課題であると思っております。第二は、制度の問題として、貸金業を営む場合は非常に簡単な登録制でございます。それが果たして正しいのかどうかということもお考えいただかなければならない。もう一点は、多重債務者、これに対して更に貸し込んでいくという商法が取られているわけでございまして、こういうものに対する何らかの規制は必要なのではないかと、私は個人的には考えております。  いずれにいたしましても、国会でも皆様方にお考えいただかなければなりませんし、また各党の中でもいろいろお考えいただいておりますし、また政府の中でも、法務省、金融庁協力しながらこの問題にどう対応していくかということをきちんと考えてまいりたいと思っております。
  111. 近藤正道

    ○近藤正道君 サラ金の規制に関して、今ほど来の議論がありますけれども、同時に、日本弁護士連合会だとかあるいはこの種の問題に取り組んでおります弁護士は、繰り返し、いわゆる日掛け金融業者の規制の問題についても何とかしてもらわなきゃならぬと。この日賦貸金業あるいは日掛け金融と言っておりますが、超零細の業者に長期間で返していただく、しかも取立ては業者が出向くと。こういう特例の下で、出資法の上限金利よりも更に上乗せして特例を認めている、こういう制度が出資法の特例であるんですが、これについても物すごく弊害が出ておりまして、消費者を、零細業者を窮地に追い込んでいると、こういう事実がもうどんどん出てきておりまして、これについてもグレーゾーンの撤廃と同時に廃止していただきたいという声が物すごく強いんですが、これについてどういうふうに皆さんお考えでしょうか。
  112. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 利息制限法、出資法の例外として、一つは質屋における金利水準、それから今先生が言及された日掛けの問題がございますが、日掛けの問題は非常に地域が限定されているということで、過去この例外を認めてきたんだろうと思っております。  この問題も併せまして、地域は極めて限定されておりますけれども、今般の議論の中で、各党におかれても、また政府においても、議論は一度しておかなければならないと思っております。
  113. 近藤正道

    ○近藤正道君 先般、アイフルが違法取立てで業務停止処分になりました。遅きに失した感じがあるというふうに思っています。  サラ金業者は、弁護士が表にそれなりに出ますと今は割と穏やかな対応しますけれども、弁護士ではない普通の庶民が対応いたしますと態度が随分違ってまいりまして、貸金業規制法の取立て規制なんというのはどこ吹く風というふうな、そういう対応をいたします。ですから、それに対しては監督官庁、都道府県を含めまして、本当に厳しいやっぱり対応をしていただかなければならないと、こういうふうに思っております。  そういう意味では、アイフルの問題は単なるこれはもう氷山の一角だろうと、ほかの業者も似たり寄ったりのことをやっていると。で、何でそれがもっと摘発できないんだろうかと思えてなりません。  今回、財務局とか都道府県に寄せられた貸金業者に係る苦情等の件数とか、それに対する皆さんの対応について資料をいただきました。平成十六年度が直近の資料でございまして、これを見ますと平成十四年、十五年はかなりひどかったけれども、十六年はちょっと良くなったかな、多分これは法改正が行われまして、そのことがやっぱり功を奏しているのかなと、こう思うんでございますけれども。  しかし、それにしても、苦情等の受付件数が五万六千余、これに対して処分件数が、行政処分の件数が千六百ということで非常にやっぱり少ない、約二%。それも金融庁だけに限定いたしますと、ほとんどその処分が行われていない。金融庁に対しては一万八千余の苦情申立てがあるにもかかわらず、金融庁が処分したのは〇・〇四%、全体を平均しても一、二%。確かに人数のこともあるんだろうというふうに思いますけれども、私ども、本当にサラ金のそのあこぎなやり方、法無視、そういう実態をよく知っておりますので、本当に皆さんがきちっと対応しているのかどうか。まあ人数が多くないということはよく分かりますが、ちゃんとやっぱりチェック、点検をしているのかどうか。これはもう徹底的にやっていただきたいと。  立入調査だって本当にやっているのかどうか、極めて疑問に思うわけでございますけれども、実態はどうなんでしょうか。大変やっぱりこれはおかしい、ちゃんとやっていないという声を物すごく私ども聞くんですが、いかがでしょうか。
  114. 西原政雄

    政府参考人(西原政雄君) 貸金業者に対する検査の関係お答えを申し上げます。  今御指摘のように、この貸金業者というのは、財務局登録のものと、それから都道府県管轄のもの、これがございます。私どもの財務局登録の貸金業者というのは都道府県をまたがる業者と、こういうことになるわけですが、平成十七年三月末現在でこれが七百六十二ございます。これに対して、各財務局において貸金業法規制法に基づきまして、これを原則としては無予告で検査をやっております。  その検査の実態でございますけれども、この平成十六検査事務年度、この検査事務年度と申しますのは平成十六年の七月から翌平成十七年の六月末まで、これが検査事務年度ということになりますが、この十六検査事務年度においては百七十七の相手に対して検査を実施しております。また、現在進行中の平成十七検査事務年度、これは十七年の七月からでございますが、十八年三月末まで、今年の三月末までで百三十一件の対象に対して検査を実施いたしております。  ということではございますが、今御指摘のように、確かに私ども検査部局の人員等に限りがあるものですから、効率的な検査ということを心掛けているわけですが、検査だけでは十分じゃないという点につきましては、例えば苦情等がたくさん寄せられているといったようなところについては、そういったことも参考にしながら、監督部局の方で今度は適宜、報告徴求を掛けるというような手法も使いまして、検査・監督を通じて実効性の上がる検査・監督に努めているところでございます。  その結果として、これは問題であるということで行政処分を行うに足る事実関係が認められる場合には、これを厳正に行政処分を行うという形で行っております。確かに件数としては少ないわけですが、我々厳正な検査をやっているつもりでございます。  今後とも、当局といたしましては、限られた人員ではございますが、最大限活用いたしまして、今回のアイフルの件と同様な事例があり得るという緊張感を持った形で検査等を的確に実施してまいりたいというふうに考えております。
  115. 近藤正道

    ○近藤正道君 このごろ、本当に我慢ならぬなというふうに思いますのは、サラ金と大手銀行との業務提携、一体化の問題でございます。  先ほどもちょっと言ったと思いますけれども、サラ金業者は銀行から資金調達をやっていると。大体六、七割は銀行から借りて、それを十倍ぐらいに上乗せをして貸して利ざやを稼いでいると、こういうことではございますが、最近、大手銀行とのサラ金との提携が非常に進んでおります。  例えば、三井住友は、三井住友フィナンシャルグループはプロミスと資金・業務提携して共同出資のアットローンという会社を設立しておりますが、金利のすみ分けが非常に進んでいる。三井住友は八%から一二%ぐらいで自分のお客に貸せる、アットローンは一五%から一八%ぐらいでその層に貸せる、そしてさらにプロミスは一八%から二五・五%、こういう形で貸せる。こういう金利のすみ分け、任務分担が住友信託とアイフルの関係だとか、いろんな地銀、信金関係でも非常に広範に行われております。  そしてまた、最近は、サラ金会社が保証会社をつくって、そして大手の銀行と提携をして、銀行から金を借りる、滞ると今度はサラ金が回収に出てくると。こういうことは本当に日常的に行われております。  まあ民の世界でありますので、なかなか規制は大変だろうというふうに思いますけれども、しかしこれだけやっぱり社会問題化をしている。しかも、大手銀行、メガバンクについては、いわゆる公的資金の注入という形で、正に民間企業ということよりもやっぱり公器としてこの間私たちは扱ってきたと。そういう公器が、これだけ社会問題を起こしているサラ金業者とこれだけ言わば堂々とやっぱり資本提携をして、一体となってその宣伝広告をやる。このことについては、どうもそれは我慢がならない。  何かその規制する方法はないのか、全く手出しができないのか、大臣の所見をお伺いしたいというふうに思います。
  116. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) まず、大手銀行が消費者金融と組んでいること、それは自由といえば自由ですけれども、私は見ていて大変こんなことでいいのかという思いがいつもいたします。  また、広告については、本当にテレビを見ていますとサラ金の広告があふれるほど出てくるということで、私は何を心配しているかといいますと、高利で借りて消費を行うということが当たり前のような社会的風潮になるというのは好ましいことではないと思っております。  これはあくまでも高利でございまして、二十数%の金利というのは異常な金利でございます。これが当たり前のことのように社会で通用するようになるということはやっぱり不健全であると思っておりまして、そういう意味ではテレビ会社が良識を持ってこれらのコマーシャルをどう取り扱うのかということはやっていただかなければならないと。要するに、言わばATM感覚でサラ金を使うというのは決して健全なことではないし、また個人個人の経済を破壊するということはやっぱり自覚をしなければならないことだと思っております。
  117. 近藤正道

    ○近藤正道君 与謝野大臣はこの間いろんなところで今のサラ金業界と大手銀行との提携ぶりを、こんなことでいいのかと警鐘を鳴らしておられます。大変私としては結構なことだというふうに思っていますけれども、もっとどんどんいろんな場でそういう話をしていただきたいというふうに思いますし、こういう超低金利の時代にこれだけ二九%というばかみたいな高利を取っているところが、ささやかにやるんならともかく、これだけ大きな顔していろんなところにのさばってくる、出てくる、商店街はみんなシャッター街だけれども、しかし駅前だとか中心街でみんなその町を席巻しているのはサラ金業者だと、これは本当にやっぱり異常ですよ。  やっぱりここのところについて、是非、法律でできることとできないことがあると思いますけれども、しかし法律規制なければ何をしてもいいということはないわけでありまして、是非いろんな形で健全なやっぱり社会、健全な市場のためにはどうあるべきかという、そういう声をやっぱり発していただきたい。そのためには、放送業界にも、あるいはサラ金業界にも是非それなりに物申していただきたいというふうに思うんですが、どれだけできるのか分かりませんけれども、是非頑張っていただきたいというふうに思いますが、もう一つ何かありましたら所見をいただきたいと思いますが。
  118. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 高利で貸す方というのはいつの世の中にも実は存在をしていましたけれども、多分静かにひっそりとした存在だったと思うわけでして、三〇%近い金利でお金を貸す人が白昼堂々と広告を打つというのは私にとっては異常に思えるわけです。  例えば、江戸時代の利息制限法というのは年利にしまして一二%ですし、明治維新以降初めて利息制限法ができましたときの金利も多分最高が二〇%以下ということでございましたから、今の水準というのは異常であると私は思っております。  ただ、一つ皆様方にお考えいただかなければならないのは、出資法のところの金利を利息制限法の水準まで下げておくとみんながやみ金利に走るという議論をする方がたくさんおられるわけですけれども、多分、私はその議論は多くの場合間違っているんだろうと、そのように思っております。
  119. 近藤正道

    ○近藤正道君 大臣、非常に見識のある答弁をされていただきましてありがとうございました。全く同感でございます。  最後に、一つ申し上げておきたいというふうに思いますけれども、こういう形でサラ金の高金利、そして多重債務問題が正に社会問題になりまして、グレーゾーンを撤廃しろと、そして金利を引き下げろと。私は、今の利息制限法だってこの法律ができたときの状況を踏まえるならば、かなり高いというふうに思っておりますけれども、その上に更に出資法があって、出資法を超えない限り刑事罰の対象にならないというのは全く理解できない。もう一刻も早く出資法の上限金利を利息制限法のところに戻して、利息制限法を超えたら刑事罰の対象だと、こういう非常に分かりやすい原則をこの国で確立すべきだというふうに思っておりますし、また金利を下げればやみ金に走るなどというのは、全く、いろんな意味からいっても、これは根拠のないことだろうというふうに思っています。  ところが、今このグレーゾーンをどうするかということが大きな政治問題にもなりつつありまして、金融庁が懇談会をつくって、この間、中間報告を出しました。しかし、この中間報告では、方向は非常に明確に出ております。出資法の上限金利については、利息制限法の上限金利水準に向け、引き下げる方向で検討することが望ましいとの意見が委員の大勢を占めていると、こういうふうに実に明確に打ち出されておりますし、これは、この間、サラ金の多重債務問題を取り組んだ弁護士の人たちはもう圧倒的に支持しておりますし、世の中の正に常識が強くこれを後押ししているんだろうというふうに思いますが、しかしサラ金業界も今一生懸命、そうなったら、正にグレーゾーンで商売しているわけですから、大変だということで様々な形で政界にいろんな工作をしておりまして、それがいろいろ新聞報道にも出ております。  ところで、貸金規制業法は議員立法でできたので、この改正はまた議員立法でという話がありますけれども、私は、これだけ社会問題化して、かつ最高裁もグレーゾーンに対する意思表示をもう事実的にしておりますので、実質的にしておりますし、金融庁の意向もかなり明確に出ております。  こういう問題は、私は議員立法に任せるんではなくて、もう明確に閣法で私は出すべきだと。議員立法で作ったものを閣法で修正はできないということは、そんなことはあり得ないわけで、それは数は少ないけれども、議員立法で作ったものを閣法で変えるという前例はあります。直近では、被災者生活再建支援法、あれは議員立法でできたけれども、やっぱり内閣の意向を明確に示すという意味で閣法で修正しています、改正しています。ですから、私は、是非この出資法の改正、そして貸金規制業法の改正、これは閣法でできるだけ早く私はやるべきだ、そういうふうに思っています。  出資法については法務省が所管であり、貸金業規制法については金融庁が所管でありますので、それぞれの大臣、今協議中でありますけれども、是非私は、閣法でできるだけ速やかに常識的な線に沿ってやっぱり私は改正すべきだと、そういうふうに思いますけれども、決意を含めてお考えをお伺いを両大臣にさせていただきたいと、こういうふうに思います。いかがでしょうか。
  120. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 閣法であれ議員立法であれ、重要なのは法案の内容であると思っております。しかしながら、閣法でやるということに関して何か障害があるかといえば、別に障害はないと思っております。
  121. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 与謝野先生が先ほど申されたとおり、上限金利の在り方等については、現在、貸金業懇談会ですか、検討されておるところでありますし、与党の中でも様々議論があるところでございます。  法律は国会で制定するわけですから、議員立法で出そうと閣法で出そうと、それは国会で議決して初めて法律になるわけでありますけれども、与党やそうした懇談会の議論を踏まえて検討する必要があるというふうに思っております。
  122. 近藤正道

    ○近藤正道君 繰り返しますけれども、最高裁は、司法判断でありますので、グレーゾーンについては、それはもうこの制定の趣旨、そして現実にそのグレーゾーン金利が果たしている役割等を考えて、極めて厳格に法解釈をいたしました。あれはもう実質的に、こんな制度早くやめろと、一日も早く、そういうことを最高裁はかなり露骨に示しているというふうに思います。  そして、いろんなデータからも、今のグレーゾーンというものが、サラ金業者にとってはそれはそれなりのもうけの口になっているかもしれませんけれども、庶民にとってみれば本当に正に災いのもと。あれさえなければ相当のお金が庶民の元に残って、それがいろんな形で社会的に有用にやっぱり使われることは私は間違いないというふうに思っておりまして、もう既に功罪ははっきりしているわけでありますんで、是非一日も早く、行政、政府の意向を示す意味でも私は閣法で出すべきだと。議員立法で作ったから国会の中で自由に議論しろといっても、これはやっぱりある意味ではぐちゃぐちゃの問題になる可能性もありますんで、是非そういう方向で取りまとめをするべきだということを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  123. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 安倍晋三官房長官には四十五分から定例記者会見ということでございますので、本来ですとずっと議論を聞いていただきまして所感あるいは対策ということをお願いしたかったわけでございますが、今日はオホーツク海、知床のところに四千羽の海鳥が亡くなってもう三か月たちます。その後の解決というのが付いておりません。もしこれが生物化学兵器によるものであったら、国家安全保障上極めて重大であります。どうやら重油であるということから、このように環境省マターで推移をしておりますけれども、これが生物化学兵器であったらどのような状況が起きるかとぞっとするものであります。  後日改めて、環境行政にも詳しく、また人道的、人権的立場からも、環境というのはある意味におきまして国家安全保障の非常に大きな重要なかなめでありますので、後日長官には伺いたいと思いますが、今日は、もう既に小泉総理が訪米してブッシュ大統領にお会いするというような調整をしているやにも聞いております。環境問題、海鳥も環境でございます。  京都議定書にアメリカは入っていないわけです。この京都議定書、今、国会で法案をしておりますのは、我が国のいよいよ具体的な削減目標に企業も政府も民間も取り組みます、足りない分を海外から、途上国から、あるプロジェクトで、温暖化しないための対策のプロジェクトを組んで、その分、排出量を下げた分日本がこれを買えると、こういう形で目標を達成していこうということを今、国会で議論しておりますが、アメリカの一極、大国主義で参加しないことによって非常にこの地球温暖化というのが困った状況にある、こういう強い認識を持っている次第であります。  環境にも詳しい、そしてこの安全保障、世界各国の様々なバランス感覚やらいろんな提言をしている安倍長官、是非、総理にブッシュ大統領との対談のときに京都議定書復帰を強く求めていただきますように御助言をいただけないかと、このように思いますので、御所見を伺いたいと思います。
  124. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 京都議定書は地球温暖化対策においての国際的な取組について極めて重要な第一歩であると、こう考えております。我が国としても米国に対して様々な機会を通じて働き掛けを行っているところでございます。  米国の立場は、御承知のように、京都議定書が中国、インドを含む途上国の削減義務を免除している、米国経済に深刻な影響を与える、地球温暖化に関する科学的知見が不確かであることを理由に議定書を支持しないという立場でございます。私どもといたしましても、二〇〇一年、二〇〇二年の日米首脳会談においてブッシュ大統領に参加を働き掛けておりますし、外務大臣あるいは環境大臣等々、米国との接触においては様々な機会を通じて働き掛けを行っております。  そうした中で、昨年七月には、増大するエネルギー需要、気候変動問題等に対応することを目的に、米国、我が国など六か国が参加するクリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ、APPが発足をいたしまして、温暖効果ガス削減に寄与する官民セクターの協力が始まっているところでございます。  いずれにいたしましても、今後様々な機会を通じまして米国の地球温暖化対策への更なる取組を促していきたいと、このように思っております。
  125. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 記者会見と聞いておりますので、長官の御退席をお願いしたいと思います。  また、防衛庁長官また外務大臣、ありがとうございます。  今お聞きいただいていると思いますけれども、特に外務大臣、この京都議定書の問題、総理は二〇〇一年と二年、ここだけでは取り上げたようですが、日米首脳会談、その後ちょっと熱意感じられません。こういったことも外務大臣の頭の隅に置いていただいて京都議定書復帰、これ二度、大体温度が産業革命以来二度上がってしまうということになりますと、ほとんど我々人類、極めて厳しい状況になると、こういったことでございますので、もうあしたの問題です。こういったことを考えていただきたいというふうに思います。  それでは、本題に入らせていただきたいというふうに思います。  今年二月下旬になりまして新聞報道等されたわけでございます。知床半島の斜里町内の河口で写真家の方がカラスがつついているものを見付けたと、何だろうと、こういうふうに思いましたら、海鳥の、散見していたようですが、死骸でございました。調査をいたしましたところ、約四千羽を上回る鳥の死骸があったと、こういった事実でございます。  これらについて、少し時間をいただいておりますので、丁寧に状況などを環境省からもお聞かせをいただき、私は、これが生物化学兵器であったならばどんな状況に陥っているのかと、こういったこととの関連性でこの環境問題、これを取り上げてみたいと、このように思います。  まず環境省、この知床海岸での大量の海鳥の死について、その原因と死亡、死亡というんですか死骸数、この状況をどのように把握していらっしゃいますか。どんなことがあったんでしょうか。
  126. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) お答えいたします。  御指摘の件でございますが、二月二十七日でございます。北海道斜里町の知床の海岸に油まみれの海鳥の死骸が発見されました。その後、私ども環境省では、北海道庁、斜里町と協力をしまして沿岸を巡視し、また死骸の回収を行ってまいりまして、これまでのところ、およそでございますが五千六百羽の死骸が回収されております。  その死因でございますけれども、これは北海道の方で酪農畜産大という、極めて優れた専門家集団でございますが、そこに依頼して行った調査によりますと、一つには油の付着に起因して直接冷水が肌に当たって体温が低下したこと、二つ目には羽毛の間に空気がなくなりまして浮力が喪失をして溺死した、おぼれ死んだ、三つ目が油が鼻に詰まったということで窒息をしたと、そういった三つの死因が推測されているところでございます。
  127. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 油でというお話があったわけです。これ、少なくとも油だということはどのように確認ができたんでしょうか。
  128. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) これにつきましては、油につきましてはその分析を道でも行いました。また、私ども道の依頼も受けまして、国でも検証をしてほしいということでございましたので、国立環境研究所において解析を行ったところでございます。そうしますと、貨物船の燃料などに使われているC重油であるとの結果が得られました。これは道の分析と同じ結果でございます。
  129. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 そこで、原因者、排出者、特定できたんでしょうか、環境省
  130. 笹谷秀光

    政府参考人(笹谷秀光君) お答え申し上げます。  この油まみれの海鳥の死骸が知床周辺の海岸に漂着した件で、その背景にある御指摘の油の流出に関しましては、まず国内の海域につきまして、海上保安庁の方で航空機、巡視船艇にて調査を行っていただきまして、その油の原因となるような事故等の情報はなかったという結果を聞いております。  一方、国外の状況でございますが、外交ルートを通じましてロシアに情報提供を依頼しまして、また、本年四月には、日ロ環境保護合同委員会という会議がございました。そこで情報交換も行ったところでございます。  今のところ、ロシア極東において油流出が発生した海難事故ですとか、陸上施設におきます油流出事故はなかったとの情報を得ているところでございます。  今後とも、外交ルートを通じまして、ロシア極東地域の港に入出港しました船舶で燃料漏れを起こした船舶があるかないかなどについて情報収集するなど、あるいは関係機関と連携いたしまして原因解明に努めてまいりたいと考えております。
  131. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 高橋はるみ知事が、二月、四月になりますか、四月になりまして、その発見があったのが二月二十七日です、そして高橋はるみ知事が四月十一日に環境省に来ていますね。そのとき、今のような説明のほかに、実は油の入った多くのドラム缶がその後発見されているんだと、ハングル文字が記入されているんだと、こういった話をされたというふうな情報もありますが、どんな事実関係なんですか。
  132. 笹谷秀光

    政府参考人(笹谷秀光君) 御指摘のとおり、網走地方に漂着いたしましたドラム缶があって、その内容物が確認された十三本につきまして、北海道環境科学研究センターにおいて検査を行ったということを聞いております。  その内容物は潤滑油であったということであるため、先ほどのC重油とは違うものでございますので、本件海鳥死骸に付着していた油とは無関係ではないかというような情報が得られたところでございます。
  133. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 素人の私が聞きましても、結局、環境省でいうとC重油、これはほとんど船舶に使われるんです。ですから、場合によっては、これはサハリンのいわゆるパイプライン、これからの破損による流出も考えられたわけですけれども、どうやら違うんであろうと、こういうふうな結論が出てくるわけですけど、環境省の感覚では今のような感覚にならざるを得ないんです。私はそこが非常に問題だというふうに思うんです。  結局、原因者は特定できているんですか。次に行くためにもう一回だけ確認します。だれがそのC重油を、まあ結果、海鳥が死ぬような大量なものが派生したか、それについて原因者は判明したんですか、環境省
  134. 笹谷秀光

    政府参考人(笹谷秀光君) 先ほど申し上げましたとおり、国内外について調査をしているところでございますが、現在までのところ特定はできておりませんので、更なる原因解明に努めてまいりたいと思っております。
  135. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 私も、土曜、日曜で行ってまいりました。海鳥がもう大量にあるところは見られなかったんですが、冷蔵庫に、いろんなときの治験のために、後で分析するために取ってありました。それを町長さんと一緒に拝見をいたしたわけなんです。  そうしますと、まず、どうやってこれ、もう暖かくなってきます、どうやって処理するんだと、どこが費用負担するんだと、こういう具体的な問題もあるわけですね。  この点はどういうふうに環境省は、町や道からの話を聞いて一緒にやりましょうと言ったわけですよ、二月に。原因と、そしてこの対策をしっかりやりましょうと言ったわけです。  少なくとも、この死骸についてはどのように処理されるおつもりなんですか。
  136. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 海岸への漂着物の清掃を含めまして、海岸環境の整備と保全は海岸管理者であります都道府県が行うこととされております。  今回は、海岸管理者であります北海道それから斜里町との協議によりまして、両者で清掃を行いまして、その処理は、焼却施設と最終処分場を持ちます斜里町が費用負担を含めて行うこととされたというふうに承知をいたしております。
  137. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 全額、斜里町ですか。北海道も多少は手伝うんですか。環境省は何もしないんですか。
  138. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 北海道と斜里町の協議によりまして両者でやるというふうに、斜里町が費用負担をして行うと、このようになっておると承知をいたしております。
  139. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 知床は世界遺産になりました。この世界遺産になりましたし、国立公園です。二百七十種の渡り鳥を含めて野生の鳥がおります。その重油で亡くなった鳥などから、またそれをつついたり食べたりということで、いわゆる天然記念物のオオワシにも二次被害が出始めていると、こういったことの要請が高橋はるみ道知事からあったわけですね。  こういったことを考えますと、燃やすにしてももっと早く燃やさなければならなかった。そして、予算が切り詰められている中で新たなそうした費用が派生するんですから大変なんです。こういったものに対してのやはり危機管理の、環境もそういった観点での支援の仕方というのは事前に用意をしていただきたい。そして、そういった予算の対策ということもまたマニュアルと同時につくっていただきたいと要望しておきたいと思います。  さて、そこででございますけれども、環境省はだれから通告を受けました。だれから知らせを受けたんでしょう。いつ、だれから聞きました。
  140. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 二月二十七日の午後でございます。愛知県出身のカメラマンの方が発見をされまして、その死骸が斜里町にございます知床自然センターに持ち込まれました。直ちに、そのセンターの職員から環境省の支所に連絡がございました。私ども、それを受けまして、直ちに北海道庁と連絡を取り、その後、斜里町漁協と連絡を取って回収等を行ってまいったところでございます。
  141. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 発見者がいてそういうことでしたけれども、どうやら専門家の御指摘によりますと、サハリン東、サハリンの東岸というんでしょうか、サハリンの東の海岸から南下する東樺太海流というのがあるんだそうです。それにずっと乗って一、二か月掛けて来たのではないかと、こういうことを言っている方々がいるんです。それは、ある意味において海上保安庁の調査にも関係してくるんです。そうした海鳥がそういうところで繁殖しているということももちろんあるんですが、海上保安庁は環境省とも連携しながら調査をしたということでございます。  どのように調査をされて、原因は何だったのか。だれだと原因者が特定できているんでしょうか。その辺まとめて長官にお願いしたいと思います。
  142. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 海上保安庁では、今年の二月の二十七日に北海道の網走支庁から情報を入手いたしまして、巡視船と航空機を出動させまして海上における調査を実施いたしました。あわせて、直ちに船舶の遭難情報、これがあるかないか、このような確認をいたしましたし、ロシアの関係当局等からの情報収集も実施したところであります。  それで、宗谷岬から知床半島に至るオホーツク海、大変広うございますけれども、この時期、約三割が流氷に覆われておりました。それから、天候もかなり不安定でございましたけれども、翌の二十八日以降三月十六日までに集中的に航空機あるいは巡視船を出して調べました。航空機YS11型、ビーチクラフト型航空機あるいはヘリコプターというものを出して、延べ二十三機出しました。それから、五百トン型の巡視船を出して調べました。  調べましたけれども、私どもの船艇、航空機による調査の結果としては、海上においては浮流油、油などは確認しておりません。さらには、遭難情報等もございません。また、油を搭載したまま沈没した船というのもございません。したがいまして、原因及び原因者については特定できておりません。  以上です。
  143. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 ありがとうございます。  摩訶不思議な状況です。油も分からない。体内にはあったということは調べは付いたと。非常に私、防衛庁長官そして外務大臣、安全保障上かなりこれ問題になってくると思います。  それから、環境省はそのときに海上保安庁に話したんじゃないんですね。網走支庁、道の支庁が海上保安庁にこの話をしているということですね。そうなると、環境で、ある、何か予兆が生まれたもの、それはもしかしたら生物化学兵器かもしれません。そういったものが出たときに、環境マターでやっていたら、ああ大丈夫だというふうに済ましちゃうのか、道庁が言ったから保安庁が動いたのかと、この辺やっぱり私は重要だと思うんです。  委員の先生方も私たちも記憶にございますけれども、今から約十年前に、ロシアの船、ナホトカ号というのがありました。あのとき、大変な話で、みんな、くみ取りましたね、バケツで、やりましたですよ。あのとき亡くなったのがどのぐらいの数だか御存じでございましょうか。改めて教えていただきました。あのときで、両大臣、一千三百羽です。あれだけの膨大なもので一千三百羽ですね。で、今回は、先ほどの話では五千六百羽に上るというんですから、これ大変なことなんです。それを特定できないという、これは我々、周辺事態、様々な観点において果たしていかがかなというのが私の今回の環境に絡むこの問題意識なんです。  そこで、お尋ねをしたいわけでございますけれども、環境省の前に外務省にお尋ねしますけれども、油によるこうした海洋汚染事故についてはどのような国際ルールがありますでしょう。
  144. 深田博史

    政府参考人(深田博史君) お答えいたします。  お話のある海鳥の大量死が船舶が絡んでいるということを想定した場合には、船舶からの油の流出防止を目的としました基本的な条約といたしましては、海洋汚染防止条約及び関係附属書というのがございます。この条約には我が国を含め百三十七か国が締結しておりまして、我が国の周辺国でございます中国、韓国、ロシア、北朝鮮も締結しておるところでございます。  そして、この条約によりますれば、油を流出した船舶の旗国、旗国というのはこれは旗の国、簡単に言えば油を流出した船舶が所属している国がこの条約の締約国であれば、その船舶の船長は油が流出した事実を最寄りの沿岸国の当局に通報する義務があると、こういうことでございまして、この義務違反した場合はこの船舶の旗国又は沿岸国の国内の法令により処罰をされると、こういうことになっております。
  145. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 それでは、外務省にお尋ねいたしますけれども、そのような条約ですから、北朝鮮まで入っているわけです。で、中国、韓国、北朝鮮そしてロシアというところを当座考えられるわけですね。アメリカにももちろん問い合わせをされているんだと思います。その辺の状況は、問い合わせをしたか、そしてどういう状況でございますか。
  146. 丸山純一

    政府参考人(丸山純一君) 本件につきましては、当初、関連が疑われる、まず油の流出事故ということでございまして、まずロシアに対して照会を行いました。その後、海鳥の死骸に付着していた油が先ほどもお話のございましたように船舶の燃料として使用されるC重油であったということで推定されるに至ったことから、オホーツク海付近を航行する船舶の燃料漏れ事故の可能性について、ロシア、中国、韓国、アメリカ、カナダの関係当局に現在照会を行っております。ただ、残念ながら、これまでのところ本件と関連のある事故等についての情報は得られておりません。
  147. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 専門家のお話を聞きますと、実は原因の地域になった辺りがカニやウニの密漁が非常に横行する地域とも言われていると。ですから、そうした密漁の船団といいますかグループが言うわけがないだろうというようなアングラ情報もあるんですが、少なくとも特定はできないと、こういうことでございますね。  今ほどのように、北にはそのルートはないということになりますか、これは。外交ルートでいえば、それは国連の条約ですよね、国連を通じて北には問い合わせできないんですか。北にはなぜしないんです。
  148. 丸山純一

    政府参考人(丸山純一君) 今のところは北の方には、関係当局には照会を行っていないということでございますが。
  149. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 私はやっぱり、今外務大臣防衛庁長官も総理・総裁になってもおかしくない有力候補でございますけれども、やっぱりこういう問題一つ一つ見ていくと、本当に安全保障上、環境にしても、外交というのは本当にチャンネルがないと大変なんだなということを思うんです。  これ本当に、どうなんでしょうか、これ重油だからと最初から割り切って、C重油だから大丈夫だと割り切っていてよかったのかなというところになりますので、少しこの辺は別な視点から議論をさしていただきたいというふうに思うんですが。  自民党部会でも随分議論がありました。いわゆる偵察衛星を自国で持つか、アメリカなどのでき合いを買うかということでしたけれども、安全保障の観点で、いわゆる情報をきちんと自前で持つべきであると。もちろん、人というのも重要になってくるわけでございますが。そういったもので決断をして、衛星、情報衛星打ち上げているわけです。少なくともそれだけの大量の重油なら、確実にこれは分かるはずなんですね。  外務大臣にお尋ね申し上げたいと思うんですが、こういう場合は衛星写真などを精査するということは、外交上の手段としても、外交で、あなたの国がこういうことあったんじゃないかと、あるいはあなたの国ではないけど不審な方々、こういう形跡があるぞということも外交ルートではやる必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、この大量に死亡した件と、大臣もこの間大変忙しくアジア諸国を回っていらっしゃるんですが、今私どもが話してきた経緯を聞かれまして、どのように思われますでしょう。そして、衛星写真で精査すべきだ、このように思うんですが、この二点、お尋ねさしていただきます。
  150. 金田勝年

    ○副大臣(金田勝年君) 荒井委員からのただいまの御指摘であります。  外務省としましては、情報収集・分析につきましては、戦略的かつ強力な外交を展開していく上で非常に重要な基盤であるという認識に立ちまして、本省そして在外公館の様々なリソースを最大限に活用して、広範な関連情報の収集、分析を実施しておるところであります。  情報収集衛星につきましても、外交、防衛といった安全保障あるいは大規模な災害への対応といった危機管理のために必要な情報の収集を主な目的としているわけでありますけれども、この目的の観点からは、この情報収集衛星についても有効利用に努めているところであります。こうした考え方は今後とも変わらないわけであります。
  151. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のありましたACD、アジア・コオペレーション・ダイアログにおきましての会議におきましては、コオペレーション・ダイアログという会議におきまして、日中、日韓、日ロ関係、との外務大臣はバイでそれぞれ行っておりますけれども、この本件、この油の流出の件が取り上げられたということはございません。
  152. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 これは内閣官房にお尋ねします。よろしいですか。内閣官房、情報衛星を今副大臣の方は有効に活用するということなんですけれど、これが仮にどのような予兆なのかということも考えなくちゃいけないわけですよ。この場合、環境ですね、環境でこういう事件があったと。環境で情報収集衛星の写真を使わせてくれと、こういったことを言えますか。内閣官房が情報収集衛星の一義的には運用、管理を行っているわけですね。環境の事案でありましたけど、情報収集衛星で、環境省が申入れをしたらその写真は提供できますか。
  153. 伊佐敷眞一

    政府参考人伊佐敷眞一君) お答え申し上げます。  情報収集衛星は、外交、防衛等の安全保障、また大規模災害等の対応等の危機管理、この二つの二本柱がございますが、この二つの目的のために必要な情報の収集を目的として導入されたものでございます。  今先生お尋ねの環境の場合、この情報収集衛星を活用できるかというお尋ねでございますが、今申し上げました二つの目的に合致するような場合には、情報収集衛星を活用するということ、可能性が出てくると存じます。
  154. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 厳密には、環境省は手続上申込みできないということでしょう。
  155. 伊佐敷眞一

    政府参考人伊佐敷眞一君) 環境省につきましては、現在のところ情報収集衛星の利用省庁になっておりません。したがいまして、現時点では環境省として情報収集衛星を活用しての情報収集について申込みを行うことはできない状態になっておりますけれども、所要の手続を踏めば利用機関になることは可能でございます。
  156. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 所要の手続を踏めば利用機関になることは可能ですというのはちょっと分かりませんが、まあ大変だったので直しましょうと、こういうことですね。これ直していただきたいと思うんです。当然、これ環境問題からいろんな予兆が見れるんですから、環境そのものであっても見れるようにしなけりゃ、これちょっとお粗末ですね。  それで環境省は、少なくとも衛星で見てみようということをされたとしたならば、されているんですか。内閣に頼まないで、自前でどっかに頼んで写真を撮ったものをいただいているんでしょうか。
  157. 笹谷秀光

    政府参考人(笹谷秀光君) 排出調査のための民間衛星に衛星写真の撮影を依頼するということはしておらないわけですが、かつて同様の問題において手法として使われました、国立環境研究所に技術的に依頼をいたしまして、同研究所において、商業衛星が撮影しました市販されている衛星画像を入手の上、それの解析を行っているという状況にございます。
  158. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 とてもそんなことで三か月もたっているわけです。  そこで、防衛庁にお尋ねいたします。  防衛庁は、こうした事案を情報を集めておりまして、これは衛星で撮るに足る、そのような予兆を感じる、こういったことで、これらについて写真を撮りましたでしょうか、入手しましたでしょうか。いわゆるIGSですね、日本の衛星からその情報を取ったんでしょうか。防衛庁の事務方の方でお願いします。
  159. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 防衛庁としては、この問題について報道等で承知をしているわけでございますけれども、原因が油の付着に起因するというような報道も、情報も踏まえまして、これは自衛隊が直接結び付く話ではないんではないかということ、つまり安全保障にストレートに結び付く問題かなという考え方があったわけでございますけれども、様々の点で、安全にかかわることですから、いろんな情報収集はしておったところでございます。ただ、我々は、この個別の問題について一つ一つコメントすることはなるべく避けたいというふうに思っております。
  160. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 情報衛星の場合は、どこにどういうスポットを当てて集めたかということで機動性などを見られてしまうので、相手方に裏をかかれるということがあるから機密事項だということはよく分かります。  よく分かりますが、少なくとも平和利用、C重油だということであるならば、これは麻生大臣とともに額賀長官、環境大臣が連携して、少なくとも外交交渉という場にどうなんだということやら、あるいは、もっと強く、調査を依頼するときに、裏付けがあるかないかで全く話違うんじゃないでしょうか。その裏付けになる、少なくとも衛星でこの写真はかなり撮れるだろうと、時系列で撮っているわけですから。二か月、三か月前にさかのぼって撮って、それをまた外交交渉の場に持っていったり、そして犯人、これはまあテロではありませんけれど、犯人、こういったものを特定すると。あるいは事故者かもしれません、ここまで言わないんだからもう犯人でしょう。そういう人間を特定する材料にも使えないというのは残念ですね。こういったことを私は非常に疑問に思った次第です。  防衛庁長官に、仮に今回の事案がC重油だったから幸いということはないんです。もう環境悪化です。そういうことでありますけれども、生物兵器だったらぞっとするわけです。どのような対応マニュアルがあってどのように対応する、自衛隊はするつもりなんでしょうか。ちなみに参考まで聞かせていただきたいんです。ちょっと心もとないんです。
  161. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今度は、我々が知る限りにおいては、今お話を聞いておりますと原因がまだ特定されていないということでございますけれども、どうも海鳥が亡くなった理由は重油によるものであるということははっきりしているようだという印象を受けました。  その中で、これが生物化学兵器だったらどうするかという御質問でございますけれども、まあ仮定の問題で私がきちっと答えるのはいかがなものかと思っておるんですが、あくまでも、あくまでも一般論として受け取っていただきたいということで申し上げますと、まず、我々は、生物兵器による攻撃により災害が発生した場合には、自衛隊法第八十三条の災害派遣の規定に従って、都道府県知事等の要請により自衛隊の化学科部隊それから衛生科学部隊を中心として、被災者の救助、被害の拡大防止という視点から、被害状況等の情報収集、それから除染活動、それから傷病者の搬送、医療活動等に総合的に対応するという体制ができております。  また、事態が武力攻撃事態とか緊急対処事態に認定された場合には、その事態状況に応じて必要な対応を取ります。例えば、テロ事案等で一般の警察力をもって治安を維持することができないというふうに認められた場合には、自衛隊法第七十八条の命令による治安出動又は第八十一条の要請による治安出動の規定により、警察と連携をしながらテロ攻撃を行う者に対して鎮圧する等の行動を行う。さらに、外部からの攻撃、武力攻撃に該当する場合には、自衛隊法第七十六条の防衛出動の規定によって武力攻撃を排除する行動を取る。上記以外であって、武力攻撃等に起因する災害への対応が必要な場合には、自衛隊法第七十七条の四の国民保護法等の規定により、これまで述べた同様の措置をとることが考えられます。  いずれにしても、防衛庁は、事態に応じ、関係機関ときっちりと連絡を取りながら、国民の安全確保のために万全の体制を取る、そういうことを今きちっと準備がされておるというふうに国民の皆さん方は安心をしていただきたいというふうに思います。
  162. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 安心をするためには原因者が特定できないとやっぱり不安なんです。  そういう意味では、初動の情報をどう連携するかというところで今回は非常に疑問があったと。環境省も、環境マターではなくて生物兵器、化学兵器、いろんなところを持っていただきたい。そして、防衛庁もまた同じような意識を持っていたのかと。そういったことを含めて、これは正に予兆という意味をどのようにその情報分析して対応に結び付けるかと、そこの勝負ですから、そこを充実していただきたいというふうに思います。  そしてまた、麻生大臣には、こうしたいわゆる中国、韓国、北朝鮮、ロシア、アメリカ、カナダにも及ぶわけでございますが、特に今ちょっと停滞していますアジア外交ですが、こういったことを糸口にお互いがお互いさまなんだということで更に緊密な外交をしていただきたいと、このように思うわけです。  大臣方に一言ずつお願いしたいと思うんですが、今回のことをお聞きいただきまして、安全保障上、私はちょっと、何となく不安だなという気がしたんですが、両大臣から御意見等を承れれば幸いでございます。改めて防衛庁長官、そして外務大臣にお尋ねをさしていただきます。
  163. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 我々は国民の安全に関することについては、常時この目でよく見、耳で情報を得て、そして現実的に何が起こっているかということを確かめてきちっと対応していかなければならない。その意味で、あらゆる情報について目配りをして、きっちりと対応していくことは荒井委員の御指摘のとおりでありますから、我々も今後も荒井委員の御指摘のようなこともよく注意をして対応していくように情報収集をしていきたい。と同時に、関係省庁とよく連携を取って、その対応に誤りがないようにする必要があるということを改めて感じているところであります。
  164. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 本件につきましてこれが直ちに、いわゆる日本の国土の安全とか防衛に直ちに直結する問題と考えているわけではありません。  ただ、今回の件につきましては、国民の健康とかその他日本のいわゆる、何というか、日本の環境の保全というような観点から大変重要なものであると関心を持っております。特に、NはともかくBとC、バイオとケミカルのこのBとCにつきまして今いろんなものがすごく進んできておりますので、昔、偏西風を使っていろいろ爆弾を研究したりしたのと同じように、海流を使ってということは考えられない時代ではないと思っておりますので、いろんな意味でこういったものについては関心を持っておかねばならぬと思っております。
  165. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 終わります。
  166. 荒木清寛

    委員長荒木清寛君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十二分散会