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2006-05-24 第164回国会 参議院 行政改革に関する特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月二十四日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月二十三日     辞任         補欠選任      岩本  司君     主濱  了君      藤本 祐司君     広田  一君      水岡 俊一君     那谷屋正義君      荒井 広幸君     亀井 郁夫君  五月二十四日     辞任         補欠選任      内藤 正光君     藤本 祐司君      山根 隆治君     若林 秀樹君      大門実紀史君     小林美恵子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         尾辻 秀久君     理 事                 佐藤 昭郎君                 藤野 公孝君                 保坂 三蔵君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 直嶋 正行君                 風間  昶君     委 員                 秋元  司君                 大野つや子君                 加治屋義人君                 川口 順子君                 小池 正勝君                 後藤 博子君                 関口 昌一君                 田浦  直君                 中川 雅治君                 二之湯 智君                 野村 哲郎君                 南野知惠子君                 浅尾慶一郎君                 加藤 敏幸君                 主濱  了君                 那谷屋正義君                 広田  一君                 藤本 祐司君                 柳澤 光美君                 若林 秀樹君                 澤  雄二君                 浜田 昌良君                 山下 栄一君                 小林美恵子君                 近藤 正道君                 亀井 郁夫君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   小坂 憲次君        国土交通大臣   北側 一雄君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        沓掛 哲男君        国務大臣     中馬 弘毅君    副大臣        内閣府副大臣   山口 泰明君        財務大臣    竹本 直一君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   園尾 隆司君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局特殊法人        等改革推進室長  大藤 俊行君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公務員制        度等改革推進室        長        上田 紘士君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公益法人        制度改革推進室        長        中藤  泉君        内閣規制改革        ・民間開放推進        室長       田中 孝文君        内閣府市場化テ        スト推進室長   河  幹夫君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        財務大臣官房参        事官       林  信光君        財務省主計局次        長        鈴木 正規君        財務省国際局次        長        篠原 尚之君        厚生労働大臣官        房総括審議官   金子 順一君        厚生労働省医薬        食品局長     福井 和夫君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        気象庁長官    平木  哲君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○簡素で効率的な政府を実現するための行政改革  の推進に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○公益社団法人及び公益財団法人認定等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及  び公益社団法人及び公益財団法人認定等に関  する法律施行に伴う関係法律整備等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○競争導入による公共サービス改革に関する  法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいまから行政改革に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、岩本司君、水岡俊一君、藤本祐司君及び荒井広幸君が委員辞任され、その補欠として主濱了君、那谷屋正義君、広田一君及び亀井郁夫君が選任されました。  また、本日、大門実紀史君及び山根隆治君が委員辞任され、その補欠として小林美恵子君及び若林秀樹君が選任されました。     ─────────────
  3. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律案一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び競争導入による公共サービス改革に関する法律案、以上五案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 浜田昌良

    浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  本委員会では二回目の質問をさせていただきます。前回は政策金融改革の総論及び中小企業金融について質問させていただきました。今回は、その他の政策金融改革の各論と、あと五本柱の二本目であります独法改革独立行政法人改革について質問させていただきたいと思っております。  まず、国際協力銀行についてでございます。  国際協力銀行は、御存じのように、旧輸出入銀行国際金融部門と、あと海外協力基金のいわゆる円借款部門を併せてできた機関であったわけでございますが、今般の改革でこの円借款部門については切り離してJICAに持っていくと、そういうふうになったわけでございます。  しかしながら、この円借款国際金融連携という面で、結構有機的にいい成果を出していることもあるわけでございます。例えば、資源エネルギー分野でそういうのが多いんですが、ベトナム電力開発でありましたら、送電線と第一号の火力発電所については円借款でやって、二号基、三号基発電所はいわゆる融資で担当すると、少ないお金で大きな効果を生むと。また、アゼルバイジャン油田開発についても、同様な円借款国際融資我が国の権益の確保に役立っているわけでございます。  そこで、谷垣大臣にお聞きしたいんですが、今回、このような円借款国際融資部門有機的連携をどのように評価されるか。また、それが一定効果があるということであれば、今後、それを組織が別になりますけれども、どのような連携を具体的に取っていかれるかについてお聞かせ願いたいと思います。
  5. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今アゼルバイジャンの例とそれからベトナムの例を出して御議論をいただきましたけれども、今までJBICですね、円借款国際金融業務連携させていろんな成果を上げてきたというふうに私思っております。  そこで、海外経済協力に関する検討会報告書でも指摘はされておりますが、我が国資源エネルギー獲得、それから国際競争力確保等重要課題の遂行や、相手国発展度やプロジェクトの経済性に応じた効率的な支援の面で一定成果を上げてきたと、こう書いていただいておりますが、そうだったと思います。それから、JBICが出ていくということによって、ほかのところが安心して出てくるというような効果も私はあったんだろうと思います。  そこで、今後の国際金融業務円借款在り方円借款の方は、今御指摘のように、今度はJICAの方で円借とそれから無償、技協というものを一体的に組み合わせて戦略的な組立てを考えていただけると思いますが、国際協力業務円借款連携在り方につきましては、先ほど申しました報告書で、連絡協議会設置等の工夫を検討すべきだと、このようにされております。  具体的な制度設計はこれからでございますが、こういう指摘をきちっと踏まえて制度をつくっていきたいと考えております。
  6. 浜田昌良

    浜田昌良君 是非、今までも成果ございましたんで、成果がどんどん出るような連携体制をお願いしたいと思います。  次に、このJBIC組織の、特に新政策金融機関の中での位置付けであります。この法案の中では、第五条四号で、JBICについて、当該業務を行ってきた現行政策金融機関外国における信用が維持され、当該業務を主体的に遂行できることを可能とする体制と、こういうふうに規定されているわけでございますが、そこで財務大臣に再度質問いたしますが、このJBICの今までのブランド価値、これを最大限発揮するには、この新政策金融機関の中でどのような位置付け、例えば新政策金融機関がまだ株式会社になるのか独法になるのか決まっておりませんけれども、例えば株式会社であれば子会社という形態もあるでしょうし、新政策金融機関であれば外局ということもあるかもしれませんが、どのように検討されているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  7. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 具体的な制度設計はこれからということでございますが、今おっしゃいましたように、JBICという形になりまして、このブランドは相当海外にも定着してきたというふうに思ってきておりますので、今回の制度変更に当たってそのメリットはやっぱり生かせというのは当然のことだろうと思います。  先ほど申しました海外経済協力に関する検討会報告書でも、そのJBIC機能を維持するために配慮すべき事項として、まず第一に国際部門一定組織的独立性、それから二番目として今申しましたJBICの現在のステータスを活用できる体制と、それから三番目に円借款部門との有機的な連携、それから四番目に職員の専門的能力が十分に発揮できるような人事、研修の在り方等々を検討すべきであるという御指摘をいただきまして、今度の行革推進法案におきましても、「国際金融業務を行う部門にあっては、当該業務を行ってきた現行政策金融機関外国における信用が維持され、当該業務を主体的に遂行することを可能とする体制整備するものとする。」と、こういうふうにされているわけでございます。  そこで、新政策金融機関組織在り方については、今、中馬大臣の下で検討を進められているところでございますが、特殊会社とするか、あるいは独立行政法人に準じた法人とするか等々も含めまして、今検討を進めていただいております。  それで、どちらの法人形態となる場合でありましても、今御指摘のありましたような、今までのブランド価値ステータス、これを最大限発揮できるように詳細な制度設計が行われる必要がございますので、私どもも積極的にそこで検討に加わっていきたいと思っております。
  8. 浜田昌良

    浜田昌良君 是非、今までのブランド価値を損なうことなく組織在り方検討していただきたいと思います。  それでは、次に、政策投資銀行について質問したいと思います。  この政策投資銀行民営化をするわけでございますが、やはり資金調達をどうしていくかというのが最大課題だと思っております。現在は、財投からの借入れであったり、また政府保証債によるものが過半を占めておりますが、また政府保証債の付いていない財投機関債も発行しておりますけれども、実質的には政府保証が付いているものと同等とみなされているというのが現状だと思います。  完全民営化に当たって、そのような資金調達をどのようにしていくかについてでありますが、特に、移行期においては政策投資銀行ブランドでその信用力を維持し、市場からの資金調達を円滑に移行できるようにする必要があると考えております。  そこで、財務大臣に質問いたしますが、この政策投資銀行完全民営化に当たっては、法案六条三項に、円滑に必要な財政基盤確保するための措置を講ずるとありますが、政投銀信用力を維持することにより具体的にどのような安定的資金調達手段を想定しているのか、お答えいただきたいと思います。
  9. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これも詳細制度設計は今、中馬大臣の下で御検討をいただいているということになりますが、ただ、政策投資銀行が今後、完全民営化してきちっと存在価値を発揮して自ら立っていくと、自らの足で立っていくというためには、やはりきちっとした今までの特色、保持してきた特色を生かしていかなきゃいけない。それは、出資融資を組み合わせた長期リスクマネーを安定的に供給するというところがやはりこの政策投資銀行の今まで長所といいますか売りでございましたから、それが生きるような資金調達基盤というのを確保するというのは一番大事なことではないかと思います。  それで、具体的には、詳細な制度設計に向けた論点整理というのが三月三十一日に政策金融改革推進本部了承というのでございますが、そこで、債券や借入による調達のほか、預金によるホールセール調達等について検討する必要があると、こうされておりまして、私どももそれはそのとおりだと思っております。  それから、完全民営化後の政策投資銀行は、これは民間金融機関として自らの信用に基づいて資金調達を行っていくということにこれはなるわけでございますが、そのためには、さっきもちょっと御指摘がございましたけれども移行期において資金調達の必要なこの手段について法的な手当てをやはり行っておく必要があろうかと思います。それから、安定的な資金調達体制にスムーズに移行していくためには、その移行期間における政府保証債措置とかあるいはブランドの維持に関する手当て、こういうものも十分考慮していかなければいけないのかなと、こう考えているところでございます。
  10. 浜田昌良

    浜田昌良君 ただいまの答弁でもございましたように、政投銀というのは、投資融資の一体によってリスクマネーを供給すると、これが特色であるわけでございます。これによりまして、インフラ整備だけではなくて地域再生産業再生に多大な貢献をしてきたわけでございまして、引き続きそういう役割を果たしていただきたいと思っております。  そこで、谷垣大臣に質問させていただきますが、法案の第六条三項でも、「日本政策投資銀行の有する長期事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されることとなるよう、必要な措置を講ずる」とありますが、移行期を含め、どのような措置を講じられるのか、お答えいただきたいと思います。
  11. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 政投銀の今後考えられるビジネスモデルは、今おっしゃいましたように、出資融資を組み合わせた長期リスクマネーの供給と、こういうことでありますが、そうすると、具体的には投融資とかあるいは資金調達といった業務の根拠について法的な手当てといいますか、整備をきちっとするということがまず必要だろうと思います。  それから、長期投融資を適切に行っていくためには、金融機関としてきちっと必要な自己資本確保というものがなければならないと思いますし、それから安定的な資金調達体制に移行していくまでの過程、先ほどもちょっと申しましたが、政府保証等をどうしていくか、こういうようなことについても十分議論をして、きちっとした仕組みを考えていく必要があろうかと思っております。
  12. 浜田昌良

    浜田昌良君 あと政投銀に関して懸念がありますのは、完全民営化をすると、そのときの株主が一体だれなのかという点でございます。  政投銀は中立性非常にありまして、今まで大きな成果を上げてきたわけでございますが、民営化をすることによりまして、例えば短期的な利益を追求する一部の外資ファンド投資家に乗っ取られてしまうと、そういうことがあってはならないと思っております。  そこで、谷垣大臣にまた質問させていただきますが、この政策投資銀行完全民営化に伴う株式処分に当たっては、例えば地方銀行などに安定的な株主になってもらうと、そういうことを考える必要があると思いますが、御見解はいかがでしょうか。
  13. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) その点はこれからの検討で、まだ十分私どももその準備がないわけでございますが、やはり円滑な、企業価値をきちっと維持していく、そして円滑な株式処分をして処分益最大化を図る、そしてブランドを維持していくと、こういうことを考えますと、どういう資本政策を取るのかということについても今後よく詰めておく必要があろうかと思っております。
  14. 浜田昌良

    浜田昌良君 是非検討いただきまして、いわゆる短期的な利益を考える外資ファンドに乗っ取られないようにしていただきたいと思っております。  次に、国民金融公庫教育付けについて質問させていただきたいと思います。  この制度は昭和五十四年度からスタートしたものでございまして、学生一人につき二百万円、年利約二%の低利で、固定ですね、しかも、借りることができると、卒業後十年以内で返済するというものでございます。現在でも年間二十万人の方が利用されておりまして、制度発足以来、三百八十万人がお世話になっておるわけでございます。  今回、この制度につきましては、法案第八条にありますように、低所得者資金需要に配慮しつつ、貸付け対象を縮小するという条文になっております。  この二百万の融資制度でございますが、現在の給与所得者所得制限は九百九十万円、また事業所得者の場合は七百七十万円以下の世帯対象となっているわけでございますけれども、しかし、このような所得でも理系私立大学初年度納付金が大体二百万円超えております。また、複数の子供をお抱えの家庭では結構苦しいという事態もあります。  そういう意味で、この制度についての見直しについては、私は最低限にすべきではないかなと思っております。特に、民間銀行資格要件が厳しくて、国民金融公庫融資がこのような民間融資基準を満たさない人も数多く融資しており、母子家庭にも一万三千件も融資していると聞いております。  そこで、谷垣大臣に質問させていただきますが、この行革推進法案八条の国民金融公庫教育付けにつきましては、その所得制限を見直すにしても、世帯内の学生数とか、私立、国立の別、文系、理系の別などきめ細かく、最小限の見直しとすべきと考えますが、御見解はいかがでしょうか。
  15. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 国民生活金融公庫教育資金貸付制度、これは主として入学時の負担というものを軽減しようということで設けられた制度でございまして、今委員指摘されたような制限を、枠を設けてやっているわけでございますが、今回、この法案では、その教育付けについては貸付け対象範囲を縮小するとされているわけでございます。しかし、その際、低所得者資金需要には配慮することとされておりますので、どういう仕組みが可能かどうか、借り手事情に配慮したような仕組みが可能かどうかと、こういったことも含めて中馬大臣の下で検討されるべきことでございまして、私どもも、ここ一つ論点だと思っておりますので、積極的に議論に加わって、いい結論を出したいと思っております。
  16. 浜田昌良

    浜田昌良君 是非所得だけじゃなくて、借り手のいろんな事情を十分しんしゃくできるような形で見直しをお願いしたいと思います。  次に、沖縄振興開発金融公庫について質問させていただきたいと思いますが、法案十一条一項で、この沖縄公庫は、沖縄振興特別措置法沖縄振興計画最終年次であります平成二十三年度までは存続させると、それ以降に新しい金融機関の方に、新しい政策金融機関の方に統合するということになっているわけでございますが、そういうタイミングをずらしたというのは、誠にうまくやったな、いい考えだなと思っているわけでございます。  また、沖縄というのは貯蓄率が低いという実態ございまして、いわゆる預貸率、預金に対して貸出しの比率でございますけど、これが本土に比べて高いんですね。本土は七〇%ぐらいなんですが、沖縄は八二%ぐらいと。こういう状況を背景として、沖縄での民間での貸出し金利本土に比べ〇・七%ぐらい高くなるという事情がございます。これを打ち消すために、政策金融機関として、沖縄公庫沖縄特利というものを導入しておりまして、本土に比べて〇・三%ぐらい低く金利を抑えているという状況でございます。  そこで、中馬大臣にお聞きしたいと思いますが、この法案の十一条二項では新政策金融機関沖縄振興開発金融公庫から引き継ぐ業務が規定されておりますが、その中に「沖縄の置かれた特殊な諸事情にかんがみ特に存続させる必要があるもの」とありますが、これは沖縄特利を存続させるという理解でよろしいんでしょうか。
  17. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 委員指摘のとおりでございまして、沖縄の場合には、今の振興措置法、これに基づく振興計画、これが終わる期間までは存続させることにいたしております。したがいまして、後れて新政策金融機関の中に統合されることになりますが、その際でございますが、この沖縄振興開発金融公庫業務のうち、本土公庫等の見合いの業務を見直すことにしておりますが、その例外として、沖縄の置かれた特殊な諸事情にかんがみ特に存続させる必要があるものを除くという旨の規定をはっきりいたしております。その趣旨は重要方針にも書いておりますが、そこに規定されておるとおりでございまして、沖縄特利制度沖縄独自の制度を残すということにいたしております。
  18. 浜田昌良

    浜田昌良君 是非そういう形で、今までの経緯を踏まえていただきたいと思います。  次に、独立行政法人見直しについて質問させていただきたいと思います。  この独立行政法人につきましては、法案第十五条で、平成十八年度以降に初めて中期目標期間を終了する独立行政法人について、所管大臣組織見直し等検討するときは、国の歳出縮減を図る見地から行うと、こういうことが明確にされたわけでございます。  そこで、中馬大臣にお聞きしたいと思いますが、所管大臣が個々に独立行政法人を見直すに当たっては、国の歳出縮減に図る観点から、その見直し方針やガイドライン、またさらには数値目標ですね、例えば歳出を五年で五%減らすとか、そういうものを策定すべきと、あらかじめ策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。
  19. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 独立行政法人につきましても、今回のもちろんこうした大きな行政改革あるいはまた公務員制度改革対象といたしているわけでございまして、今回の中期目標終了時の見直しと併せまして、国の歳出縮減を図る見地から、その組織及び業務在り方並びにこれに影響を及ぼす国の施策の在り方についての見直しを行うこととしております。  このような独立行政法人見直しに関しましては、行政減量・効率化有識者会議が昨日公表しました指摘事項を踏まえまして、十八年夏を目途に政府としての基本的な考え方を取りまとめる予定にいたしております。また、総務省の政策評価・独立行政法人の評価委員会においても基本方針を決定することとしておるところでありまして、所管府庁は、この考え方を踏まえまして各独立行政法人見直し案を作成して年末までに個別の独立行政法人見直しの内容を決定すると、このようにいたしております。  この独立行政法人に対する国の歳出の削減でございますが、これにつきましては、独立行政法人には研究開発を担っている法人もあれば、公共事業の実施機関、あるいは主として金融を行っている法人など様々な性格のもので構成されております。そういうことから、それとまた独立行政法人が国の施策の実施機関であることから、独立行政法人への歳出については、業務に影響を及ぼす国の施策についての議論及び国の歳出歳入の一体改革の中での議論の関連が強い、こういったことがございます。そうしたことを考慮をする必要がありまして、これらを踏まえながら見直しを進めると、このように考えております。  ただし、独立行政法人自身の効率化努力は欠かせないものでありまして、このため、人件費の削減、中期目標に沿った毎年度の効率化努力に加えまして、今回新たに行政サービス実施コストという枠組みを有識者会議から示されているところでございます。その具体的な改善目標につきましては国の歳出歳入の一体改革論議を踏まえながら検討していく必要があると、このようにも認識いたしております。
  20. 浜田昌良

    浜田昌良君 ただいま御答弁いただきましたように、行政サービス実施コストというような新たな枠組みを設けられて統一的に、どうしても各省庁が見直しをしますとお手盛りになりがちですから、そうならないように厳しく統一的なガイドラインを作っていただきたいと思います。  また、今の御答弁の中で人件費の削減という話がございました。独立行政法人の一部には、この人件費が公務員に比べてかなり高いところもあります。対公務員ラスパイレス指数で見ると、非公務員型独立行政法人で事務・技術職の場合で一一五・七、一五・七%ぐらい高いと。で、一般に公務員の世界で独法に出向すると給料が上がると言われてます。個々で見ますと、何と、この対公務員ラスパイレス指数が一四一・七というところもありました。  そういう意味で中馬大臣に再度質問させていただきますが、独立行政法人の給与水準は公務員に比べてもいまだ高い機関が多いと考えますが、国の歳出縮減を図る観点から、少なくとも対公務員ラスパイレス指数一〇〇近くとなるよう、法人によっては人件費五%を大きく上回る引下げを検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
  21. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今回の総人件費改革は、国全体といたしましても、数の五%削減と同時に給与についても見直すことといたしております。  独立行政法人につきましてもそれに準じておるわけでございますが、十六年度の独立行政法人の職員の給与水準を見ますと、今お話がありましたように、国家公務員を一〇〇とするラスパイレス指数が全体で一〇七・一と、このようになっております。  内訳としましては、国の行政機関から移行した者が多い公務員型のラスパイレス指数が九四・三、そのまますっといった場合には逆にちょっと低い九四・三であるのに対しまして、特殊法人等から移行した者が多い非公務員型の法人の指数は昨年度と比べて四・二ポイント減少したものの一一五・二と、このようになっております。  これらの法人の給与水準が公務員と比べて高い理由としましては、それぞれ理由がありまして、各法人は事務所が大都市に偏在しているということ、また高い学歴構成である場合が多いこと、また高い管理職割合であるということ、前身組織の特殊法人時代の支給基準を引き続き用いていることなど、こうしたことが挙げられております。  独立行政法人の職員の給与基準、支給基準は、労使交渉を経て各法人がこれからは定める仕組みとなっておりますから、これを公表することなどを通じましてその透明性が確保されるようになっております。さらに、昨年閣議決定されました行政改革重要方針におきまして、国家公務員の水準を上回る法人の給与水準の適切性等に関しまして各省庁の独立行政法人評価委員会等が厳格な事後評価を実施することと、このようにされております。今後、こうした措置を通じて、各法人の適切な給与水準の確保に向けた取組が行われるものと、このように考えております。
  22. 浜田昌良

    浜田昌良君 高い能力が要求されるというような理由があったりしましたが、実際、同じ人が公務員から独法に出向して上がるというのはやっぱり何かおかしいのかなという気がしますので、是非見直しをお願いしたいと思います。  その次は、資産・債務の見直しの関係なんですが、この行革推進法では五本柱の一本として、法案五十八条から六十二条でこのことが規定されているわけですが、その内容としては国有財産が中心となっているわけでございます。  ところが、独立行政法人もかなりの資産を持っておりまして、その有効活用ができれば、それに伴う交付金の削減ということもできるのかなと思っているわけでございます。百四の独立行政法人のうちバランスシートが入手できた百三法人の合計で資産を計算しますと、百十七兆円という資産でございます。そのうち半分は土地、建物ということになってございまして、一方、負債は百二兆円ですから、合わせて十五兆円の資産超過という状況でございます。  そこで、中馬大臣にお聞きしますが、独立行政法人見直しに当たっては、その土地、建物等、資産の有効活用や売却についても検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
  23. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) その点も、この資産の管理は法人業務運営の自律性の確保の観点から法人自らが行うことではあります。  ただし、独立行政法人につきましては、中期目標期間終了時に定期的に組織業務全般にわたる見直しを行う仕組みと、このようになっております。その見直しを踏まえて、必要に応じて法人が所有する資産の在り方につきましても検証されるべきものと、このように考えます。  また、行政減量・効率化有識者会議が五月二十三日、昨日でございますが、取りまとめました指摘事項においても、業務の効率化による費用の削減の取組の一つである施設、組織等運営面での効率化の促進について、利用頻度が低いにもかかわらず維持経費等がかさむ施設等の閉鎖、本来業務に直接関係のない施設について積極的に売却等の指摘がなされているところでございます。  今後、こうした指摘も踏まえまして、各所管府省による中期目標期間終了時の定期的な組織業務全般にわたる検討仕組みの中で個別の法人が所有する資産の在り方を含めて検討が行われるものと、このように考えております。
  24. 浜田昌良

    浜田昌良君 是非見直しを、こういう資産という観点からもお願いしたいと思います。  次に、もう最後になりますが、この法案十六条に、融資業務を行う独立行政法人についてでございますけれども、これについては今後見直しをすることになりますけれども、この政策金融機関に関しては廃止、民営化又は統合が原則となったわけです。そういうことから、今回の融資業務を行う独立行政法人についても、廃止、民営化又は新政策金融機関への統合を原則として行うよう統一的なガイドラインをあらかじめ各大臣に示すべきと考えますが、この点いかがでしょうか。
  25. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今般の政策金融改革につきましては、公益性が高いとか、あるいは金融リスクの評価等の困難性があるとか、こういった条件を踏まえまして検討が行われまして、その上で、経済全体の活性化を図る観点から、必要な政府の関与は残しておきながら民間にできることは民間にということで、国の方からは撤退していくという方向で改革案が取りまとめられております。  この独立行政法人の金融業務でございますが、こうした政策金融改革の趣旨も踏まえまして見直しを行うことになると考えております。  この独立行政法人の金融業務はそれぞれに異なる政策を担っており、一様ではございません。グループ内での金融という側面が強い業務、これは雇用促進とか財形の問題もございます。それから、奨学金貸与のような民業との競合関係を生ずる可能性が基本的にない業務、これもございます。民業との競合関係が生ずる可能性のある業務、こうしたいろいろ性格が異なっておりますので、民間金融機関では代替ができないものも少なくないといった観点から、これらの業務の特性も考慮しつつ、その規模の縮減を図ることも念頭に置きながら個別に徹底した精査を行う必要があると、このように考えております。  共通する見直しの大きな方向としましては、政府の行政減量・効率化有識者会議が昨日公表しました指摘事項にもありますように、そもそも政策目的が妥当かどうか、あるいは政策目的達成の手段としての現行の金融的手法が適当かどうか等の観点から見直していくべきものと、このように考えております。  さらに、民業との競合関係が生ずる可能性のある業務につきましては、指摘事項にもありますように、民間でできることは民間にゆだねるとの考え方を踏まえまして、廃止、縮減等を検討すべきではないかと、このように具体的にはっきりと指摘しております。  また、業務実施の効率化、業務の重複排除の観点から、政策金融機関との関係の在り方についての検討が必要ではないか、こうした観点から見直しが行われるべきものと、このように考えております。  いずれにしましても、これからの各所管府省におきまして個別の法人見直しを行っていくことになるので、まずは各府省、所管の府省におきまして、今回の有識者会議の指摘事項や総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会見直し方針を踏まえまして、融資規模も念頭に置きながら、事務事業の重点化あるいは必要性の精査等を行っていくことが必要であると、このように考えております。
  26. 浜田昌良

    浜田昌良君 終わります。     ─────────────
  27. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、内藤正光君が委員辞任され、その補欠として藤本祐司君が選任されました。     ─────────────
  28. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 昨日に続いて質問させていただきますが、昨日も質問したんですが、やっぱりどうしても私としては気に掛かるものですから、この公益認定委員会の事務局と事務員の人事につきまして、任命権はそれぞれ総理大臣にあるということですが、やはり昨日の藤本委員の質疑にも相当ありました、役人の都合のためだけに存在するような公益法人はどんどん整理縮小する必要があるんですが、しかしその判断を、作業をそうした人たちの役人に任せていたんでは本当の改革の実が結ばないと思いますんで、その委員の人事とともに、事務局長以下その事務局の人事につきましても、この改革の趣旨を踏まえて、そうした行政にコントロールされるようなことがないという、公平性が確保されるという人事体制をしっかり構築していただきたいと思っておりますが、その点について大臣の決意を、認識を再度確認したいと思います。
  29. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 昨日、ある意味じゃ詳しく申し述べておりますので改めて繰り返しはいたしませんが、そうしたこれまでの、何といいましょうか、各主管官庁が、かなり公正にされているところもありますけれども、かなり恣意的な面もあることの御指摘もございました。そうしたことがないように、第三者といいましょうか、そうした、しかも識見の高い方々、ちゃんと国会の同意を得た形で任命された委員の方々にひとつお願いをして、そうしたことがないように、しっかりとした形で公益を、本当の意味での社会に役立つ、日本の国民のためになる公益に限定した形での私は認定をしていただけるものと、このように考えております。
  30. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 財務大臣、認定委員会委員の人事も事務局の人事も総理大臣にあるとなっております。財務大臣、もし総理大臣になられましたらしっかりとその公平性が保たれるような人事を行っていただきたいと思うんですが、そこの抱負を聞かせていただけませんでしょうか。
  31. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ちょっと今お答えできるようなお問い掛けではございませんが、いずれにせよ、この今度の制度改革の中でこの委員会がどう機能するかというのは極めて大事なことでございますから、きちっとした人事ができるように私たちも見守っていきたいと思っております。
  32. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 公益認定のことについて一つ、細かいといいますか、テーマを絞った質問になりますが、今我が国、様々な活動の中で外国人が国内でいろんな活動に参加しているという面がありますし、反対に日本人が海外に行って様々な活動をするという場面がございます。団体のその公益認定の在り方について、この外国人との関連についてお尋ねしたいんでありますが、まず、その活動主体の方、すなわち社員とかあるいは理事等の役員に外国人がなること、あるいは活動そのものに外国人が参加することについて、これの対応はいかようになっておるんでしょうか。
  33. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) お答えいたします。  公益法人認定法案では、不特定かつ多数の者の利益となると考えられる具体的な事業の種類が公益目的事業として別表に列挙されているほか、公益目的事業の規模の割合がすべての活動の規模の五〇%以上を占めていることなどの公益認定の基準が定められているわけでございます。そして、これらの基準等として、委員御質問の場合を形式的に公益認定の対象から排除するものは定められていないと。  したがいまして、申請した法人が行う個々の事業の内容、その組織財務等の実態がこれらの基準に適合するか否か等について、個別具体的な事実関係を踏まえ、民間有識者から成る国及び都道府県の合議制の機関により検討された結果、これらの基準等がすべて満たされると判断されれば、御質問のような場合についても公益認定が行われることとなります。
  34. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 要するに、外国人が参加している、あるいは社員に入っているということは、公益性の認定を排除するといいますか、阻害する要素ではないというふうにお伺いしてよろしいわけですね。
  35. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) そう解釈していただいて結構でございます。
  36. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 次に、今度は活動の対象の方についてお尋ねします。すなわち、公益活動のその対象外国である場合。外国で日本人を対象に行う活動もあるでしょうけれども外国外国人を対象にする場合と、あるいは国内におります外国人を対象にするというような活動もあると思います。  こうした様々な活動におきまして、やはりこれも国外である、あるいは対象外国人であるということにおいて、公益認定を排除する、あるいは阻害するような要素ではないというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
  37. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) 同じお答えになると思うんでありますけれども、御質問のような場合も形式的に公益認定の対象から排除をされるものではございませんし、また先ほど、同じことを繰り返しますけれども、これらの基準等がすべて満たされていれば、前回の御質問と同じような答えでございます。
  38. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 では、また別のテーマに移るんですが、現在、公益法人が存在しておりますが、今の公益法人、財団法人でも社団法人でも、特に財団法人の場合には参加する社員がいないから特に問題じゃないんですが、社団法人の場合であっても、これは仮に法人が解散した場合に、その残余財産を社員等に配分することはできません。同種の公益法人に寄附するか、それがなければ国庫に帰属するということになっておりまして、言わば社員等に配分することができないということになっております。しかし今回、公益社団法人とは別に一般社団法人という制度が設けられまして、一般社団法人ですと、解散した場合に残余財産が社員等に分配することができるという制度に、仕組みになっております。  それで、私が一つのケースとして考えまして、資産を、たくさんかどうか別にして、ある程度の資産を有しているという社団法人が公益の認定を受けないで一般の社団法人になると。そして、一般社団法人となって、後にこの社団の財産を解散によって社員でみんなで分けようという道が開けてしまうんではないかとちょっと私考えたんですが、そこのところはいかがでしょうか。
  39. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) 現行の公益法人は公益目的のために設立されたものでありまして、その財産は、当然、公益目的に使用されるべき性格のものでございます。そして、このため、公益法人制度改革関連整備法においては、通常の一般社団法人一般財団法人に移行したと。要するに、公益でなくて今先生おっしゃった一般社団、一般財団ですね、後もこの公益目的のための支出を継続することを移行に当たっての認可の要件になっております。  ですから、この公益目的のための支出が計画的に行われるように、国であれば内閣総理大臣、地方であれば都道府県知事が監督する制度を設けているところでございます。
  40. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 その規定なんですが、ただ、一般社団法人に移行する際に、その財産を公益目的に使うという計画を立ててそれに使いなさいということが条件だということになっているんですが、その規定が、持っている財産を全部使い切れということではなくて、要するに持っている財産に見合う金額に達するまでの支出をしろということになると思うんですね。例えば、非常に分かりやすい例を言いますと、十億円のビルを持っていると、で、社団の財産が十億円だと。そうすると、その十億円を、一般社団に移った後、公益のために使いなさいということが許可の条件になると思うんですが、しかし一方で、ビルの家賃として入ってくる言わば収益ですね、あるいは財産が生み出す果実、この収入に関しては、これはフリーになるわけです。そうすると、社団というものは生き物ですから、収入があって、その収入に見合って支出をしているというのが実際の団体また社団の活動の内容でありまして、財産を食いつぶしていくというのが社団の活動じゃないと思うわけです。  そうしますと、十億円の財産を持っている社団法人が一般社団に移行する際に、十億円を公益の活動に支出しなさいといって毎年一億円ずつ支出すると。で、十年間で十億円になるけれども、一方、この社団は十億円を公益目的に十年間掛かって支出しても、不動産の収入、すなわち財産の果実が生んだ収入が一億円ずつ毎年十年間入ってくるわけです。ということは、十億円の財産を持っている社団が十億円支出したとしても、それはあくまでも、まあ経理処理上といいますか、帳簿上十億円を支出したというだけであって、財産十億円を言わば使い切るといいますか、財産そのものを全部拠出したというのとは違うと思うんですね。  ですから、今の私が挙げた例でいえば、十年間たったら十億円を支出したと、それによって当初定められていた公益目的の支出の条件は達したからもういいと、その十年間で入ってきた収入の十億円はそっくり財産として残っていると、これに関してはもう完全にフリーだよということになるわけです。  ですから、そうしますと、今言いましたように、社団法人が持っている財産を公益目的に支出しなさいということを認可の要件に付けて、それで認可したとしても、五年とか十年とか年数が経過することによって実質的には処分自由な財産になってしまうわけです。  それで、私は、結局は、すぐにはできなくても年数を経ることによってそういう状況になってしまうと。そうすると、今は、本来同じ目的の公益法人に寄附するか国庫に帰属するべき財産が、言わば個人に分配されてしまうという道ができてしまうんではないかというふうに分析したんですが、いかがでしょうか。
  41. 中藤泉

    政府参考人(中藤泉君) お答え申し上げます。  現行の公益法人が認可を受けまして一般の社団法人あるいは財団法人になる場合、公益支出計画を作成いたします。その際の基礎となります額につきましては、これは法にございますけれども、資産から、まあそれ見合いの負債もございますので、いわゆる純資産相当額、これは、今回の移行に当たりましては、現行公益法人が例えば共益的な一般社団等に移るということも考えられますので、現行、解散ということになりますと、純資産相当分を当然公益目的の他の類似の社団、財団等に移譲するということでございますので、まずその純資産相当額につきまして、公益目的としてきちっと使っていただくと。それが終わりますと、いわゆる一般の社団、財団として、他の新たにできます一般の社団、財団、同じ扱いにするものでございます。
  42. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 だから、私が指摘したように、今の公益法人では社員に、まあ今の社団法人なら社員に分配することができないものが、しかし、公益支出計画ですか、あくまでも支出の計画ですよね。だから、支出金額がそこまで達すれば、計画が終了すれば残余財産は分配できることになると、このことは間違いないですね。
  43. 中藤泉

    政府参考人(中藤泉君) お答え申し上げます。  公益支出計画、ある額を費消するという責務がございますが、それが完済されますと、あとの財産の処理につきましては一般社団法人法で言う他の一般社団、財団と同様のこととなります。
  44. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 ですから、財産を使い切れということじゃなくて、あくまでも財産の果実なり収入も含めてとにかく支出すればいい、支出する計画が終わってその年度が終了すれば財産は処分できるということになってしまうわけで、そういう道が開けてしまうということになるわけですね。  私が思うのは、今の公益法人は公益活動をしていると、それから収益活動をしている部分もありますけれども、いずれにしても非課税か、あるいは企業が納める法人税よりも非常に優遇された税制であるわけです。ですから、このように非課税あるいは非常に優遇された税制の中で築かれた資産、これが今の法制なら同種目的の公益法人か国に帰属するということでまあ納得できるんですけれども、しかし、そのような税が非課税あるいは優遇税制で築かれた財産が今度は社員で分けてしまうと、こういう道が開けるということが私は釈然としないんであります。何らかの手を打ってこれまでの優遇分は全部吐き出すような措置とか、そういったものが必要じゃなかったのかなというふうに思うわけです。  あるいは、税の非課税あるいは優遇で蓄積したというだけじゃなくて、例えば国から補助金等受けている公益法人も多いわけです。補助金そのものを蓄積するということはこれは許されないでしょうけれども、補助金を受けたことによって、その補助金によって本来掛かる経費が支出されたことによって結果として支出が、本来負担すべき支出分が減ったことによって築かれた財産もあると思うんですね。だから、補助金を受けたことによって、それが間接的な理由となって社団法人の財産が築かれたというような場合も十分あると思うわけです。これが結局一般社団法人となって、そして支出計画という年数を終われば、そこでそうした財産が個人に分配される道ができてしまうということが私は納得いかないということで質問しておるわけです。これについていかがでしょうか。
  45. 中藤泉

    政府参考人(中藤泉君) お答えいたします。  今回の制度改革におきましては、まず準則主義において法人の設立を容易にし、第三者委員会が公益性の認定を行うということで制度仕組みをつくっておりますけれども、今回、この移行措置を設けましたのは、一般公益認定を受けた社団あるいは財団であっても、事業の全体の中で、例えばより公益から、共益あるいは事業活動をもう少し特化して行うということで制度をつくっております。この場合、いったん現行ですと民法七十二条によりまして残余財産、正味財産に相当する部分を出すわけでございますが、それに相当する見合いとしてこの支出計画を作りまして、そちらに言わば公益的な支出を行っていただくという制度設計にしたところでございます。
  46. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 まああくまでも支出計画というのが言わば決算処理上の支出の数字であって、実財産の減少ということを意味することではないんで、私の質問には正面からは答えていただけなかったというふうに私は思うんですが。  いずれにしろ、これまでの非課税なり優遇税制なりということで築かれた資産が仮に配分されるようなことがあれば、やはりこれは公平が保たれるような何らかの課税措置とか、あるいはそうしたことが制限されるような、そうした対策を今後検討していただきたいというふうに思います。  それから、同じような内容の質問なんですが、今度は新しくできる一般社団法人のことについてお尋ねしますけれども一般社団法人であっても収益事業はこれはできるわけです。そうすると、あえて株式会社にしなくても、一般社団法人にして何らかの収益事業、これは社団法人在り方の理念からすればそれは反することなのかもしれないけれども、現実には一般社団法人が収益事業を行うことが禁止されていないということである以上、これは収益事業をやる一般社団法人が出てくるということになると思います。  これについて、やはり同じように仮に解散した場合に公平な財産分配がなされるんだろうかと。例えば、株式会社であれば出資というものがあって、その出資持分に応じて公平に分配すると。仮に、取締役等が一部の株主に有利なような新株発行等を行って少数の株主が不利益を受けるというようなことがあれば、これについて差止めの権利があるわけです。差止め請求権があるわけです。しかし今回、一般社団法人になりますと、そうした持分というものが本来ない、しかしまた、社員になるに当たっても株式の出資に相当するようなものがないと。そうしますと、社団の言わば理事たちが、恣意的に自分やあるいは一部の者に有利となるような配分、あるいはそうした配分を受けさせるために社員を新たに追加して加入する等の方法によって不公平な財産配分というものがなされるような状態が起きてしまうんではないかということをちょっと懸念したんですが、そこのところはいかがでしょうか。
  47. 中藤泉

    政府参考人(中藤泉君) お答えいたします。  一般社団、一般財団が解散し、清算した後の残余の財産につきましては、まず、法律上は定款の定めによると、定款で定まらないときには清算法人の社員総会又は評議員会の決議によって定めるということでございます。  これにつきましては、法人の解散後、清算手続が進行いたしまして、全債権者への返済が終了した段階で残存するこの残余財産の帰属につきましては、法人の自律的な意思決定にゆだねるという考え方の下で、今御説明したような手順で進めることとしております。
  48. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 だから、制度を概略説明してもらったけど、私の質問には答えてもらってないんだけど。  要するに、一般社団法人株式会社とは違うから、利益の配分とか財産の配当あるいは分配ということをそもそも想定してないんだということが理念の背景にあるかもしれませんけれども、しかし、理念としてはそうであっても、現実にそうした収益事業をやる社団法人が出てくることは、私は間違いないと思うんですね。だから、そうした場合に、やはり理念とは違っても現実にそうしたもの、そうした収益事業を行うというものが出てくれば、その利益の配分とか解散時の資産の配分とかいう問題が出てくるわけですから、そうすると、やはりそうした正義、公平、そうしたものが阻害されないような何らかの法的手当ても私は必要ではないかというふうに思っておるわけです。  今回の公益法人制度改革そのものは有意義な面が多々あると思いますが、そうした面、今後の法整備に当たっての課題としてやはり取り組んでいただきたいというふうに思っております。いかがでしょうか。
  49. 中藤泉

    政府参考人(中藤泉君) お答え申し上げます。  基本的にはこの法人の自律的な意思決定によるということでございますけれども、今御質問のように、例えば理事等のチェックということでございますけれども、これは法制度上、例えば少数の社員によります提訴あるいは代表訴訟といったチェックの機能、さらには監事等の一般的な法人のチェック機能ということがございますので、そういった点も踏まえて対応していきたいと思っております。
  50. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 次の質問に移りますが、私はNPO、これはどんどん推進すべきだというふうに思っておりますが、今回、公益法人あるいは一般法人の設立に伴って中間法人が廃止されました。法人のこの器の問題であるわけでして、その活動の中身に関してはまたそれぞれがそれぞれの目的に従って行えばいいと思うわけですが、中間法人は廃止したけれども、しかしNPO法人というこの法人制度、このNPOというその活動を云々言うのではなくて、器の問題として、これも一緒にしなかったというのはどこにあるんでしょうか。
  51. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) お答えいたします。  この民法三十四に基づく現行の公益法人制度は、明治二十九年に創設されてからその基本的部分は変更されずに今日までやっているのは委員御承知のとおりでございます。  今回のこの公益法人制度改革は、言わば主務官庁の裁量により、縦割りの許可制を抜本的に改め、言わばはしの上げ下ろしまで主務官庁が関与することを、諸般の問題に対処するために改革を行ったわけでありまして、この今回御指摘の特定非営利活動法人、NPOについては認証という簡易な仕組み法人の設立を可能とし、ボランティア活動等を支える制度として社会に今非常に根強く定着をしているところであり、ボランティア活動等を盛んにするための基盤として引き続き見守り、はぐくむことが適当と判断したためで、今回入れてないものです。
  52. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 では、公益法人の問題はこの程度にしまして、文部科学大臣にお尋ねいたしますが、地方公務員の定数の削減のところで、学校児童の、生徒数が減少しても、その減少に見合って教職員を削減する以上に削減しろという条項が入っております。私は、その条項を見て、はてなと。例えば、一つの例ですけれども、火災が減ったから、火災が減ったことによって消防士さん、消防署の職員を、減少する以上に消防署の職員を減少しろなんという規定は入ってないんで。つまり、要するに言いたいのは、学校の教職員のことについてだけこういう規定が入っているというのが何か私はどうも釈然としない部分があるんですが、文科大臣としてはどのように感じておられますか。
  53. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 本法案の基礎となりました行政改革重要方針平成十七年十二月二十四日の閣議決定の分でございますが、これにおきまして、国が定数に関する基準を定めている教育、警察、消防、福祉関係の職員につきましては、国が基準を見直すことにより純減を確保するとしたわけでございまして、その上で、教職員については、特に人員が多いため、児童生徒の減少に伴う自然減を上回る純減を確保すると特記をされたわけでございます。  このことを受けまして、この法律では特記部分を忠実に条文化をしております。この法案の実際の運用に際しまして、義務教育の実施に当たっての根幹であります標準法対象の教職員の純減につきましては、基本的には児童生徒の減少に伴う自然減によることといたしまして、教育条件を悪化させないように取り組む考えでございます。  私といたしましては、習熟度別少人数指導など、必要な定数をしっかり確保することに努めながら、しかしながら小泉内閣としての一体として総人件費抑制に取り組んでいく所存でございます。  具体的な教職員の加減につきましては、国が配置基準を定めた教職員の自然減に加えまして、給食調理員や用務員等を含めた教職員全体の削減を図ることによりまして自然減を上回る純減を確保していく所存でございます。
  54. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 いずれにしろ、日本の国の将来を担うのは子供たちで、子供たちに対する教育は何よりも必要であると思いますので、そこのところをしっかりと踏まえていただきたいというふうに思います。  また、次の問題点に移りますが、やはりこれからの税の使い道、無駄は無駄でしっかり省かなくてはいけないと思いますが、しかし国民の利便に資する部分、あるいはとりわけ国民の生活の安全に関する部分といったような、使うべきところは決してそこを手を抜いてはいけないというふうに思うわけでございます。  私、一つのこれから例を挙げさせていただきますが、どうも安全性に対して欠けている部分、配慮が欠けているんではないかと、それがあるいはその予算の使い方から生じているんではないかというふうに感じている部分がありますので質問させていただきますが、放射性廃棄物、まあ放射線そのものは研究や医療にとって欠かせないものであることは十分承知しておりますが、しかし一方、やはり人体に害を及ぼすという危険なものでもございます。  そのために、この放射線の取扱いに関しては安全を最優先とした厳しい取扱いの方策が取られていると思いますが、この放射性廃棄物に関しまして、放射性沃素、こうした放射線を用いる施設において様々な排気に関する規制が設けられております。その排気設備に関しまして、その排気の施設の言わば最終的な処理部分につきまして、チャコールフィルターを用いることによって、およそそのフィルターを透過する前の放射性を九〇%程度これによって吸収するというような仕組みになっております。  これにつきまして、アイソトープ協会の専門誌によりますと、このチャコールフィルターなるものは、この文章をそのまま読みますと、使用施設の排気設備の能力評価を大きく左右をするというふうにこのチャコールフィルターの必要性について述べておるわけですが、同時に、この協会の放射線管理技術検討委員会ということの報告によりますと、そのチャコールフィルターはやはり効力を発揮するのは一年、二年と。やはり目詰まりとか劣化がありましてその程度の期間しか有効性がないといいますか、その程度の期間をもって交換するのが適切であるというような報告がなされております。  それで、これが、実際にそのチャコールフィルターがどのようになっているのかということを調べましたところ、国立大学等で二十年交換していないとか、設置して十数年間交換していないというような例が、私が見るところ、数多くありました。少なくともこの一年、二年で安全性を最優先して予算も惜しまずに取り組んでいるというところは非常に少ないように思いますが、こうした現象について、文科大臣、いかがでしょうか。
  55. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 御指摘の放射性同位元素の使用施設におきまして、いわゆる排気の中の主に沃素、放射性沃素等の吸着に使用いたしますチャコールフィルターの、いわゆる炭素フィルターの交換を長期間行っていないという事例が存在することは事実のようでございます。  放射性障害防止法では、排気に際しては排気口における放射性同位元素の濃度を一定以下にすることとされておりまして、文部科学省といたしましても遵守状況を確認をいたしているところでございます。したがいまして、実際には定期的に、すなわち三年から五年の間隔で施設の技術基準の適合性についての定期検査及び安全管理を行っているわけでございまして、この安全管理を行っていることから、その排気が基準を上回るという事例ではないという意味でこの安全性を確認をいたしているところでございまして、したがって、そういった意味からすると、チャコールフィルターを交換しなかったから直ちに一般公衆に対する安全上の問題が発生しているという認識には至らないわけでございます。  ただ、可能な範囲で放射性同位元素の放出を少なくすることが望ましいことは確かでございまして、チャコールフィルターの性能の維持管理に努めることは重要であります。しかしながら、チャコールフィルターの劣化の進行度というのはその使用環境によって異なっておりまして、湿気あるいは使用頻度、そういったものによって変わるわけでございますので、その評価は必ずしも容易ではございません。  このために、現在、日本放射線安全管理学会でフィルターの交換頻度等については検討が進められていると聞いておりまして、文部科学省としてはその検討結果を踏まえて適切な対応をしてまいりたいと考えております。
  56. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 この放射線を使用する施設に関しては、自由にできるんではなくて、当然使用するに当たって許可の申請をすると。で、その際に、チャコールフィルターを設置したと、それによって最終的な気体から九〇%放射性沃素が吸収できるということを条件とするといいますか、それを開設の言わばまあやっぱり条件ですね、として許可を受けているわけです。それで許可を受けていながら、しかし実際にそれが予定された効能を有していなくても、使用数量が少ないから、現実に被害が生じていないから、だからチャコールフィルターの効能がなくてもいいんだと、取り替えなくてもいいんだというふうに何か開き直っているような言い方にも見えるんですが。  要するに、その許可の際に、もうそうしたことでチャコールフィルターを設置して、九〇%そこで放射性沃素を吸収するんだということで許可を受けた施設が、そのチャコールフィルターの能力がほとんど失っているという状態、そうした状態があるにもかかわらず、現実に被害が出ていないからそれでいいんだというような考え方でよろしいんでしょうか。
  57. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 先ほど答弁さしていただきましたのは、被害が出ていないということではなくて、排気口における定期検査において基準を満たしているということでございまして、チャコールフィルターの性能そのものを評価しているわけではないわけでございます。  したがって、学会において、チャコールフィルターの交換頻度はどうすべきが適当かということを別途検討されているということを聞いておりまして、その検討結果を踏まえまして、その性能一個一個を評価するという形ではないものですから、今の定期点検のやり方、それから交換頻度に対する考え方、これに対してはその学会の検討結果を踏まえて改めて考えていきたいと、こういうことを答弁さしていただいたところでございます。
  58. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 現実に、放射線の使用の許可を受けるときの条件が満たされておらないわけですよ。一年、二年で取り替えるのが適切なチャコールフィルターが二十年取り替えられていない、十数年取り替えられていないと。これは、さっき大臣、使用頻度によってこの劣化の状況が違うと言っておりましたが、このフィルターは放射線を通さないときでも空気が通ると、空気が通れば当然湿気も通るし、そうしたことによって劣化するわけで、使用頻度というものは余り大きな影響を与えないと。  しかも、このフィルターの回収に当たっているアイソトープ協会のこの専門家が一年か二年と言っているわけです。それが二十年あるいは十数年、文科省あるいは別の法人かもしれませんけど、大学において、研究室において、そのような状態が放置されているという現状にあるものについて、これから学会でまた検討しますから云々という、いつどうなるか分からないような答弁では私は納得できない。どうですか、この点。
  59. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 私どもといたしましては、そのチャコールフィルターの有効期限が一年から二年であるというふうに断定的なものではないというふうに把握いたしておりまして、そういった意味で、排気口における定期検査を行った際に異常値が発生しておれば、それはその機器の使用停止あるいは是正を求めることになるわけでございますけれども、この定期検査で異常がない場合には、特にチャコールフィルターを交換しなければならないという規定が、この指示が出しにくいということで、それに対しての何か根拠になるような学会としての意見が出ればそれを根拠に指導してまいりたい、このように考えるところでございます。
  60. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 そうすると、学会から何らかの結論が出るまで何もしないということですか。
  61. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) それにつきまして、私どもとしては、何を根拠にそれではその機器の使用に対して使用をやめさせるとか、あるいは部分的な修繕を指示するというようなことになるかといいますと、その根拠として、やはり安全値というものが維持されているかどうかというのを一つの標準にせざるを得ないということから、その部品であるチャコールフィルターの能力そのものを測っているわけではないということでございまして、排気口における安全値が確保されていれば、その機器の使用については特段の指示を出さない状況にあるというのが現状でございまして、それでよいかどうかということに関して、先ほど申し上げたように、学会においてそのような指針が出れば、それに基づいた一つの手順というものを定めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  62. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 だから、安全を満たすために基準が設けられて、その使用を許可する際に、チャコールフィルターを用いてそこで九〇%の沃素を吸収するということになっているわけですよ。それを、実際に開設した者が、チャコールフィルターがなくたって使用量が少ないんだから別に構わないといって勝手に自分の判断で、チャコールフィルターが機能しなくたって使用量が少ないから、別にそれで基準を超えないんだからいいんだと勝手に使用者が判断して、本来は開設の許可であったそのチャコールフィルター、これの性能の維持を放置してしまっても構わないんですか。使用者が勝手に決めちゃっていいんですか、それを。
  63. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 当該放射性同位元素の使用機器の認定に際しましては、その排気口において排気が、一定の排気沃素等の排気の基準を満たしているかどうか、それが、排出されるその濃度が一定基準を下回っていればその機器の使用については許可を出すということになるようでございますので、そういった意味で、九〇%を吸着する能力があるかどうかということではなくて、その排気口における、例えば先ほど申し上げたような放射性沃素等の排出の量が基準を下回っていれば安全と認定をされるところでございます。
  64. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 だから、初めにその許可を受けるときに、チャコールフィルターを付けるということによって、それで安全性が満たされるということで許可を取って、現に放射線を使用しているわけですよ。その使用している者が使用している段階で、いや、自分のところは放射線の量が少ないから、チャコールフィルターなんかなくたって、実際にその基準を上回る放射線が出ないんだから構わないんだということを使用者が自分で勝手に判断しちゃって、それでそのチャコールフィルターが放置されているというその状態でいいのかと私は聞いているわけです。
  65. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 国としましては、その機器を使用した際に安全かどうかというのが一つの基準でございまして、それに基づいて定期検査というものをしているわけでございますから、定期検査において安全と認定されれば、その機器に対して、そのチャコールフィルターの能力が当初の能力から劣化したか云々ではなくて、その能力いかんに問わず、排気口において安全値が維持されているかどうかということでございます。  すなわち、機器の認定に際しても、九〇%か七〇%かということを評価するわけではないわけでございますので、当初九〇%あったものが劣化したかどうかという判断もできないわけでございます。したがって、メーカーがそのチャコールフィルターの能力をどのように表示するかということは、私どもとしては、機器の認定ということではなくて、その機器が安全性を維持できるかどうかということに対して、その機器に対しての評価ということになりますので、安全点検において必要な検査というのは排気口において基準値をちゃんと下回っているかどうかということでありまして、運転されることによる危険が発生するかどうかが定期点検の主な目的であることからそのような基準を設けているところでございます。
  66. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 何か要らないものを初めから付けているような言い方をされていますけれども大臣の答弁の中で私は指摘したいのは、安全検査、安全検査と言うと。しかし、その安全検査、数値の測定、これを実際に測定値を使って測定するところも一部あります。だけど、ほとんどは安全かどうか計算で出しているんですよ。計算で出している。実際の測定じゃない。実際に測定しているところもありますよ。計算で出している、その計算が当然この装置がすべて正常に動いているという、その前提の下で計算値で出して、それでその安全の数値を出しているわけですよ。  だから、全部計算しているから全部安全だなんという、すべてを実際に検査して放射線が漏れていないと、数値が上回っていることはないなんてことは断定できることじゃないんですよ、大臣。──質問聞いていないんですか。
  67. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  68. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 速記を起こしてください。
  69. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) ただいま確認をさせていただきましたけれども、排気モニターの付いている施設、また排気モニターの付いていない機器というものがあるそうでございますが、排気モニターの付いていない機器においては使用量と排気量というものを計算をして出して、その中で安全を確認するということができるということで、排気の中における沃素の排出量というものを計算して、それが安全値の中に入っていればそれは安全と認定をすると、こういうことだそうでございまして、その間にフィルターの機能機能しているかどうかということよりも、その安全値がちゃんと確保されているかどうかということで評価をすると、このようになっているようでございます。
  70. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 だから、その計算で出す際の、安全かどうかを計算で出す、計算で出すその計算の根拠が、このチャコールフィルターが機能しているということを前提に計算して出しているわけでしょう。(発言する者あり)
  71. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  72. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 速記を起こしてください。
  73. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 再度確認をいたしましたけれども、フィルターの存在そのものが、実際の計算上、そのフィルターの能力というものを計算しないでも、その排出量における放射性沃素の量というものが計算値で出てまいります。それが大気中に放出される可能性を計算した場合に安全値が計算できるということでございまして、その量が一定基準を下回っていればそれは安全と認定をすると、こういう計算に、また方式になって安全確認が行われている。  したがって、極端な言い方をすると、フィルターがない設備でもその計算をして、その計算が十分に安全値内であれば、その使用頻度が少ないということですね。そういうような場合にはそれは安全とみなされる可能性があるということになるそうでございます。
  74. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 だから、要するに使用者が勝手に、自分のところは使っている量が少ないから、だからチャコールフィルターなんかどうでもいいんだと勝手に、使用者が勝手に判断しているということでしょう。それで計算して、その線量を超えてないからチャコールフィルターなくたっていいんだと使用者が判断してやっているということじゃないですか。計算して出しているということじゃないですか。大臣、もういいですよ。大臣、専門家じゃないしね。ここで余り押し問答してもしようがないから、もうここでそろそろ質問やめますけど。  ただ、私がこの問題についてやはり納得できないのは、大臣が言う中で、これから何かいろいろ学者を集めていろいろ検討して云々かんぬんしてそこで結論を出すようなことを言っていると。すなわち、それは何もやらないでただ問題を先延ばしにしているだけじゃないかというのが、私は一番この問題で感じているわけです。そういう問題、すなわちその許可したところのものが満たされてないものがあるんだったら、すぐにそれを取り組めばいいじゃないですか。もしそれでチャコールフィルターが不要だったら、そもそもそんな不要なものを付けるといった、そのものが不要なことを要求してたわけで、予算の無駄遣いしているわけですよ。もし必要なものだったら、これは安全のためにきちんと設けなくちゃいけないと。それを今何の対応策も示さないで、これから学会で検討して云々かんぬんで、何かそれだけで将来何とかいずれするみたいなことを言ってこの場をやり過ごそうとするから、私はちょっといろいろ細かい質問もさせていただいたわけです。  私は、すぐに取り組んでいただきたい、その答弁をいただきたいと思います。
  75. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 私も、仮に危険があるとすれば、それを放置するつもりはありませんので、今申し上げたように、学会においてその基準を今検討というふうに聞いておりますから、今御質問をいただいたことも踏まえまして、その学会に対しての、早期にその結論が得られるように、またチャコールフィルターというのは二重の安全、三重の安全を考えて設置しているものかもしれませんが、そのことについても私自身で確認をして、そしてその必要性について私が納得できるかどうかという点でもう一度聴取をして、そして判断をさしていただきたい、このように考えます。
  76. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 大臣言われたように、二重の安全、三重の安全ですから、これがなくてもほかの部分で安全だからいいんだという発想じゃなくて、二重の安全、放射線の問題ですから、しかもこの沃素がどの程度危険があるかどうか、これは実験なんかできないわけですから、いまだその危険の具体的な程度も分からないし、あるいはこの排気が排気されるのは、影響を被るのは周辺住民ですから。しかし、これによって、沃素によって甲状腺がんが発生したかどうか、まだその調査もしていないし、仮にそれが発生しても因果関係も不明でしょうし、そもそもそうしたことが生じているかどうか、仮に生じていたとしても発見できないような状況にあるわけです。  やはり設置者、国の方で万全に万全を期して、私は直ちに取り組んでいただきたいというふうに思っております。学会が云々かんぬんと言っているけれども、これを取り扱っている専門のこのアイソトープ協会の専門家が、第一人者が言っておるわけです、一、二年と。  最後に、また最高裁の方に来ていただいていますのでお尋ねしますが、やはり税の使い道、効率化はいいんですけれども、それによって国民の利便性が損なわれるようなことがあってはいけないというふうに思いますが、今回、東京都の簡易裁判所の調停センター、これが錦糸町に建物を建てまして、そこで一括してやることになっておりますが、どうも場所的に、今までの霞が関、あるいは一時代前の東京二十三区内十数か所あったというころに比べると大変使い勝手が悪いというふうに思います。やはり利便性を考えれば、錦糸町にプラスアルファして新宿とか、そうした利便性がいい場所にもこうした調停センター、これを設ける。建物は設けなくてもそうした機能を設ければいいわけですから、そうした方向で取り組んでいただきたいというふうに要望する声が強いんですが、この点いかがでしょうか。
  77. 園尾隆司

    最高裁判所長官代理者園尾隆司君) お答えいたします。  東京簡易裁判所におきましては、平成十二年に導入されました特定調停事件の増加等もありまして、調停室の不足や書記官室の狭隘等の問題が生じておりまして、調停機能の充実強化を図るという必要に迫られておりました。そこで、このたび、老朽化が著しい墨田分室を平成十九年夏までに建て替えて、そこに新たに東京簡易裁判所調停センターを設置しまして、東京簡裁の調停機能の集約をすることを計画しております。  このように調停事件を集約処理することといたしましたのは、これによりまして、これまで以上に充実した施設と体制の下で調停事件を処理するということによって充実した調停サービスを提供することができるというように考えたものでございます。  墨田分室はJR錦糸町駅から徒歩五分のところに位置しておりまして、場所的には東京簡裁の管轄区域の東の部分に位置しているわけでございますが、錦糸町駅はJRのほか地下鉄も乗り入れておりまして、東京駅からいいますとJR総武線で三駅目、およそ十分程度で着くという交通の便利なところでございます。したがいまして、墨田分室で調停事件を取り扱いましても、当事者の方々に特に御迷惑をお掛けすることはないというように考えておるところでございます。  ただ、申すまでもなく、簡易裁判所は国民に身近な裁判所ということで設けられたものでございまして、アクセスしやすいということは簡易裁判所にとっては特に重要であるというように考えております。私どもといたしましては、来年夏には墨田分室で調停事件の集約処理を始めることとしておりますので、まずはそこでの集約処理体制の確立に全力を注ぎながら、そこでの調停事件の利用状況等を見て、また弁護士会等の関係機関とも十分に協議をしながら、東京簡裁の調停事件の処理の在り方につきまして引き続き検討を重ねていきたいというように考えておるところでございます。
  78. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 その利用状況を見てと言いますけれども、利用状況はそれは減らないですよ。それは、必要な人は霞が関だろうと錦糸町だろうと行かなきゃいけないんだから、起こしますから、私は件数は減らないと思います。  だけど、現実問題として、それは錦糸町の方に近い人はいいけれども、そうではない人から見ればやはり使いにくくなるわけです。それから、特に事件は起こされる方の住所地を基準にしますから、調停を申し立てる人はこの二十三区内の人に限らないわけです。そうしますと、やはり、別に錦糸町をやめろとは言いません。しかし、やはりもっと利便性がいいところにいろいろ設けていただくと、あるいは東京の中の三弁護士会も、例えば新宿等でつくるということについて積極的に要望もしているし協力もしているというような状況でもございますので、そうした国民の利便性、司法制度改革の審議会の意見書にもあります利便性というものを十分に考慮した対応をしていただきたいというふうに思います。  質問を終わります。
  79. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚でございます。  先日の集中審議に続いて質問をさしていただきます。  今の小川委員と文科大臣とのやり取りを伺っておりましても、国会というのはどのように運営していくのがいいのかということを考えさせられながらお伺いをしていたんですが。官僚の皆さんの答弁が必ずしも常に不適切だとかあるいは虚偽だとかということを申し上げるつもりはありませんが、不適切な答弁であったり大臣に対するレクチャーが必ずしも適切ではない場合に、政治家である大臣が政治決断をする場でなければ国会というのは本当に形骸化してしまう、あるいは形式にすぎなくて、大臣たちの貴重な、しかも高コストの時間を無駄にしてしまうというように改めて思いましたので、是非政治家としての御発言が必要な場合にはそういう御発言なり御判断をしていただきたいなということを冒頭申し上げたいと思います。  その上で、先日御質問さしていただいたことについて二、三、少しけじめを付けておきたいと思うんですが。  中央労働災害防止協会の国税当局の査察及び更正通知に関して、そういう事実が明らかになって、かつ指摘に基づいて改めて対応をした後に、国会審議においてこの協会の運営の適切さを問われた厚生労働省として、適切に運営していると、何ら問題はないという答弁をされたことは、これは虚偽答弁ではないかと私は先日指摘を申し上げたわけでありますが、この点について改めて厚生労働省として何かおっしゃることがあれば、この場で納得のいく御答弁をしていただきたいと思います。
  80. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 今、大塚委員から御指摘のありました答弁でございますが、これは三月二十八日の参議院厚生労働委員会における森ゆうこ委員に対する答弁でございます。  これについては虚偽の答弁ではなかったというふうに考えておりますけれども、中災防が国税当局から税務調査を受けているという事実を知っていたわけでありますが、それを知りつつ、二月二十八日に国税当局が中災防に送付した更正通知の指摘について答弁できなかったことは遺憾であるというふうに思っております。今後はこうしたことのないよう努めてまいりたいと思っております。  また、国の補助金、委託費について、今後不適正な経理が行われることのないよう厳正に指導してまいりたいというふうに思っております。
  81. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 遺憾であるという表現は、いつも、本当に反省していらっしゃるんだろうか、これはいかぬなと思うんですけれども。  三月二日に約三億三千七百万円の納付を現実に行っているんですね、三月二日に。そして三月二十八日の答弁ですから、これは何らかの意図があったり、あるいは質問された森議員、どうせ分からないだろうと思って適当に答弁したというふうに我々が推測しても何らおかしくないわけでありまして、この件については、当委員会はもう間もなく終わってしまいますのでこの場では私はこれ以上申し上げませんが、場合によっては厚生労働委員会で森議員などが引き続きお伺いすることもあろうかとは思います。  ただ、なぜこのことを私が先回も今回も取り上げたかと申しますと、先回は集中審議で、つまりこの行政改革が、私はあえて行財政改革と申し上げておりますが、本当にこの法案、取りあえずプログラム法案ですから詳細は決まってないわけでありますが、この法案の掲げた精神どおりに行財政改革が進むかどうかということについて、与党の皆さん、大臣の皆さんがちゃんとやっているかということに対して、本当に正しい情報が上がってくるんだろうかと。あるいは、参考人として我々がこの場で答弁を求めたときに、取りあえず答弁しておけばいいやというような、こういう質疑が繰り返されると、なかなかこの数十年掛かって膨らむメカニズムができ上がった財政赤字がそう簡単には減らないだろうということから、私が申し上げたかったのは、この国会の場において虚偽答弁をした、そして虚偽答弁だということを立証された場合には、これは国家公務員法上の懲罰の対象になり得ると私は個人的には考えているわけであります。  そこで、中馬大臣に、これは通告をしておらないんですが、この法案をいよいよ通そうとしておられる大臣のお立場としてお伺いをしたいんですが、この法案の一番冒頭、第三条ですね、国の責務、「行政改革推進する責務を有する。」、この責務の中には、言ってみれば虚偽答弁をして行財政改革についての審議に真摯に答えないような事実が明らかになった場合には国家公務員法上の懲罰の対象になり得ると、場合によっては我々は刑事告発してもいいような話でありますが、そのぐらい重大なことであって、虚偽答弁は行財政改革を進める観点からもまかりならぬというふうに思われるか思われないか、これをちょっと中馬大臣にお伺いしたいと思います。
  82. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 委員が先日来こうしてここで質問されていることにつきましてのその事実関係、私もつまびらかでございません。ですから、これが虚偽であったかどうかということを私がここで申し上げるわけにいきませんが、もし虚偽であれば、やはりそれはひとつこの国会の手続の中におきましてそうした、何といいましょうか、処罰の対象になり得るような制度も国会の中にはあるわけですから、懲罰委員会とかですね、そういったことも含めてそれはひとつ御党の方でも御検討いただきたいと思います。
  83. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これは国家公務員法上も明記をされておりまして、九十九条の言わば信用失墜行為に当たると。これは先般御紹介しましたように、平成十二年の質問主意書に対する政府の回答としてそのような認識が示されております。  そして、国家公務員法の八十二条においては、この法律に違反した場合も「免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。」とはっきり書いてあるわけでありますので、今後国会において虚偽答弁であるということが立証された参考人については、やはり八十二条の対象にするべきだというふうに私は考えますが、中馬大臣の御発言は今お伺いしましたので、直接御担当ではありませんが、谷垣大臣にも、大臣として今の私の指摘についてどのようにお感じになるか、御発言いただきたいと思います。
  84. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは行財政改革に限りませず、国会で政府と国会が議論するときに行政府の職員が虚偽答弁をするなんというのはとんでもないことだと私は思います。  ただ、それが今ちょっと私、にわかに御指名いただきましたので、国家公務員法上どういう懲戒ないし、その何というんでしょうか、処罰の対象になるのか、ちょっと勉強が足りませんので余り簡単なことを言ってはいけないと思いますが、とにかくけしからぬこと、そういうことはあってはならぬことだと思います。
  85. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、簡単なことは確かにおっしゃってはならないことでありますが、今や総理大臣になられようとしておられるお立場なわけですから、これはまさしく何かそういう事態が起きたときに一度しっかりとした対処をされないと、いや、本当に幹部以外の公務員の皆さんはばかばかしくてやっていられないという心境になるわけですね。  財政金融委員会で取り上げさせていただいた、繰り返しになりますが、例の印刷校正作業のキックバックの問題、選択エージェンシーという会社をめぐる事件でしたが、あのときも私の目から見れば、あの委員会で数々の虚偽答弁を今の現審議官を始め何人かがしたんですが、結局逮捕されたのは、実際現場でキックバックの件の処理をしていた職員が一人逮捕されて、あとは基本的に、まあ省内的には若干何かあったかもしれませんが、おとがめなしということでは、これは行財政改革を進めるといって旗を振ったところで、まあやるならやったらというのが多分末端の皆さんの認識になってしまうと。そういうことを危惧しているがゆえの繰り返しの指摘でございますので、是非今後心に留めて御対応いただければ幸いでございます。  さて、大分この委員会も大詰めに来ておりますので、改めてちょっとこの法案について確認をさしていただきたい点が何点かございます。先ほども申し上げましたように当法案はプログラム法案だと、何も詳細が決まっていないということは。例えば、荒井委員などからも何度も何度も御指摘があるわけでありますが、私も改めて先週末から今週にかけて法案、もう一回読んでみました。やっぱり率直な印象として荒井委員の御指摘は的を得ているなというふうに思いますが。  そこで、ちょっとお伺いしたいんですが、道路公団民営化とか郵政民営化でもかなりプログラム法案的な色彩があって、詳細はこれから検討しますというような議論が随分ありました。そこで、道路公団民営化、郵政民営化に関連して、制定、改定した法令や政省令が大体どのぐらいあって、今般この法案がもし成立した場合に、今後、制定、改定しなければならない法令や政省令は大体何本程度になりそうかという、まあ見込みで結構でございますので、イメージをつかむために現状の数字を御披瀝いただければ幸いであります。
  86. 大藤俊行

    政府参考人(大藤俊行君) 行政改革推進事務局の者でありますが、道路公団民営化、郵政民営化に関連して制定、改定した法令、政省令につきましては、これ、直接の担当ではないわけでございますけれども、関係部局により調べてみたところでは次のとおりとなっております。  まず、道路公団民営化に関しましては、既に制定した法律、政省令は、法律は高速道路株式会社法など四本、政令は高速道路株式会社施行令など四本、省令は六本となっております。  次に、郵政民営化に関してでございますが、既に制定した法律、政省令は、法律は郵政民営化法など六本、政令は郵政民営化委員会令など五本、省令は七本となっております。  次に、行革推進法案に関連してでございます。行革関連法案につきましては、諸改革を具体的に実行していく際に、法律の制定等が必要なものにつきましては、今後順次そのための措置検討していくことになり、さらに仮に法改正等を行うとしても、それをどのような形の法案等にまとめるのかにつきまして、あらかじめ現段階において決まっていない部分がございます。  ということで、現時点で制定、改正する法律、政省令の具体的な数を申し上げることができない状況にあることは御理解いただきたいと思いますが、その上で、あえて法改正等の対象となり得る法律の数や事項につきまして、主要なものを現時点で分かる限りで挙げさしていただければ、まず、政策金融改革につきましては、現行八機関の、八本の設置法の改廃と、新たな政策金融機関の設置法の制定等が必要でございます。また、統合される政策金融機関の名称を引用している法律、政令だけでも百本以上あろうかということでございまして、これらの改正等を行うことになるわけでございます。  次に、特別会計改革につきましては、三十一の特別会計法とその施行令が改正の対象となるほか、各特会法を引用している関連法律の改正も考えられるところでございます。  さらに、総人件費改革につきましては、法案に規定しているとおり、国家公務員の五%以上の純減を実現した上で、総定員法の定員の総数の最高限度を改めることとしております。  また、非公務員型の独立行政法人への移行などにつきまして、結論を得た場合には、個別の独立行政法人の設置法の改正等を行うことになるわけでございます。  他に行政改革推進法案の関係では、行政改革推進本部の事務局に関する細目等を政令で定めることを予定しているところでございます。また、公益法人改革に関しましては、公益認定の基準の細目等について政省令を定めることとしているほか、市場化テスト法に関しましても、監理委員会に関する細目等について政省令を定めることとしております。  このほか、諸改革を進める中で法律の改正等を行うことはあり得るということでございますし、実施に当たって政省令を定めることも十分にあり得ると考えられるところでございますが、先ほど御説明いたしましたとおり、現段階でその具体的な本数の見込みを申し上げる状況ではないことを御理解いただきたいと思っております。
  87. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 簡素で効率的な政府をつくるために議論しているので、答弁も、御丁寧に答弁していただいたんですが、私としては全部まとめると大体何本ぐらいだというふうに言っていただければそれで済むお話なんですが。  もちろん、一本の省令、法律にどのぐらいの項目が含まれているかによっても大分差はありますが、例えば政府金融機関のものをお伺いしただけでも政省令だけで百ぐらいとかおっしゃっていましたので、かなりまだあいまいな部分を含んだ法案であると、今後の取組次第であるということは、これは認めざるを得ないというふうに思っております。  そこで、やはり何点か確認をしておかなければならない点があるわけでありますが、一体今回の法案が通るとどのぐらいの行政改革あるいは財政のスリム化ができるのかということなんですが、特別会計に関しては二十兆円ぐらいの歳出削減効果みたいなことが法案の中にも書いてありますけれども、この法案全体が実施されることによって一体歳出全体のどのぐらいが、これは一般会計だけじゃなくて特別会計、そしてその他もろもろ、間接的に出ているものも含めて、一体どのぐらいの縮減がされるということを念頭に置いておられるんでしょうか。
  88. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今政府参考人の方からも答弁しましたように、これは基本的なことをまずはこうして国民に、国会に御了解をいただいて、そして、それから細部のいろいろな政令、省令、法令を作っていくわけでございますから、その細部が決まらないのに金額もそう簡単には決まるわけじゃございません。しかし、それがあいまいなものではなくて、かなり具体的にその全体像はこうしてはっきりとこの法律案の中に規定をされております。  特別会計改革におきましては、今お話ありましたように、今後五年間で財政健全化に総額二十兆円程度の寄与をすることとか、あるいは国の資産、債務の改革におきましては、長期的な目安として、十七年度末の国の資産の額が、対GDP比でございますが、十年でできる限り半減に近づけるとか、あるいは人件費につきましては、国家公務員の定員の五%の純減、したがいまして純減される人数そのものではございませんが、人数に相当する、相応する人件費、これの縮減はもちろん効果が見込まれるわけでございますし、給与制度改革もうたっております。これによる人件費の削減ももちろん見込まれるわけでございますが、また地方におきましても、これは総人件費改革四・六という数字を出させていただいておりますが、これもそれを上回るような形が今出始めておりますが。  そうしたことで、それぞれにつきましては、かなり具体的に一つの目標を与え、また目安を目指してそういうふうに改革を進んでおりますが、全体として何兆円これで削減されるんだという形にはまだ、積み上げられることはまだ現在ではできないということまでは御理解いただきたいと思います。
  89. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今、特別会計の二十兆円と人件費のことには触れられましたけど、全体は分からないということであるからこそ、志及び方向性としては結構なことかと思いますが、現時点においては、本当にこの法案が成立したことで行財政改革ができるかというのは、現時点においてはまだ絵にかいてある状態のもちであるというふうに私は思います。  そこで、前回も行財政改革の核心ということで、無から有を生むようなそういう歳出編成メカニズムを残さないこと、それから猫だまし、張りぼてのような仕組みを残さないこと、バケツに穴が空いたような歳出が垂れ流しになるような仕組みを残さないこと、並びに、先ほど申し上げましたような、官僚の皆さんの虚偽答弁がまかり通るような、そういう面従腹背の官僚機構の文化を残さないこと、このことを御指摘申し上げたわけであります。  そこで、今人件費のことを触れていただいたんですけれども谷垣大臣、前回、財団法人日本システム開発研究所のことを取り上げさしていただきましたが、財政金融委員会では尾立議員も取り上げ、昨日は、また少し違う観点からも藤本議員も取り上げました。今ここに、日本システム開発研究所の収支予算書、これはホームページに出ているものですから、あるんですよ。ホームページで一体ここの人件費どのぐらいかなと思って見ていたら、ホームページに出ているこの支出の部には人件費という言葉が一言も出てこないんですよ。今お手元にもしあれば恐縮ですが、私、別に虚偽答弁しませんので、ここで。現に出てないんですよ、現に出てない。  不思議だなと思ったんですけれども、まず一般論として、この財団法人の収支予算書として公開されている支出の中に人件費という項目がないような予算書や決算書というのは適切か不適切かということについては、一般論で結構ですので、ちょっとお答えいただきたいんですが。
  90. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) どういう仕組みになっているのかよく分かりませんが、八十人ぐらいのスタッフがいると聞いておりますので、その八十人がやっぱり無料で働いているわけではないでしょうから、いろいろ委託調査みたいなものの請負みたいのでやっているのか、あるいは場合によったら、何というんでしょうか、そういう調査研究というのを、それぞれの仕事したときの報酬みたいのがあるのかもしれませんが、ちょっとそこのところはよく分かりません。
  91. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 このホームページに公開されているものを更に詳しくしたものを財務省の方、持ってきていただきました。で、ぱらぱらっと見ていたら分かったことは、今まさしく大臣がおっしゃったように委託研究、この間も取り上げましたが、そういう調査研究など委託を受けて、その調査研究収入としてかなりの金額が入る、あるいは啓発事業収入、これも委託事業ですが、そういう事業として入ってきたものとして、その事業をやると今度は支出の方に例えば調査研究事業費というのが立つんですね。その事業費の中に給料手当ということで人件費相当分が出てくるんですよ。  ということは、こういう仕組み。つまり、役所が外郭団体や公益法人独立行政法人などに調査あるいはレポートを書くようなことを委託をする。そうすると、これは役所の側、予算の側としては、歳出は委託研究費と出ますので人件費じゃないんですよね。ところが、実際受けた側は、表向きは人件費としては出てこないんですが、ひとつ深掘りしたこの決算書を見ると、調査研究事業費の中に給料手当、啓発事業費の中に給料手当、そういうもろもろの事業の中に全部入ってくるわけですね。  これは、だから、今、中馬大臣が人件費も削減すると言って、これは法案の第四十二条のことをおっしゃったわけでありますが、ここで言う中馬大臣がおっしゃった人件費には、当然こういう人件費は入るんですか、入らないんですか。
  92. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 少なくとも、この法律に定義いたしております総人件費改革の中には入っておりません。
  93. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、そのとおりなんですね。  だからこそ、こういう調査委託メカニズムというものを残しておくと、これまた人件費削減なんというのは絵にかいたもちになると。この間も申し上げましたように、例えばこのシステム開発研究所は調査研究収入として昨年度決算ベースで九億二千八百万円受けているんですが、この調査研究を、そのままとは言いませんよ、外部委託して、外部委託した外部委託費として今度は一億七千万円が立っているわけですね。この差額たるや、八億円にならんとする差額なわけです。もちろん、中で内製化してやった部分もあるでしょうから、全部が間引きしているとは思いませんけれども、中抜きしているとは思いませんけれども。  こういう仕組みを残していると、結局、塩川さんの例の御発言じゃありませんが、母屋である財務省本省としては、人件費削っても、これは特殊法人ではありませんけれども、外郭団体であるこういうところに事実上の人件費を手当てして付けていると。  いわんやですよ、ここに委託している研究費というのは、この間も御指摘申し上げましたが、例えば財務省だけではなくて、文部科学省が子どもの意欲ややる気等の向上・低下に係る調査研究委託したり、あるいは総務省が合併に伴う過疎地域支援の在り方に関する調査研究をしたり、これ全部、本来は霞が関本省の仕事であって、それをもし人手が足りないから外部に委託しているということでしたら、これまさしく人件費そのものなんですよね。本省で幾ら人件費削っても、で、一体この財団法人が給料手当ということで表向きは人件費になっていない項目でどのぐらいの手当が付いたか私は分かりませんけれども、もし本省にいらっしゃる職員の皆さん以上の時間単位当たりの手当が付いているとしたら、それこそ人件費においても、母屋でおかゆをすすって、これは離れなのか別荘なのか分かりませんけれども、すき焼き食っているという、こういう話になっちゃうわけですね。  そこで、今日は文部科学大臣においでいただいていますので、今申し上げましたような、例えば文部科学省も平成十七年度にシステム開発研究所に委託調査したとして、これは政府から出てきたある一定の基準に基づいた調査書の中だけで見ても、この研究所だけに四件、四千百四十九万円のレポートの作成依頼が出ているんですが、この手の委託調査研究費は、文部科学省としては何先に対して総計幾らぐらいしていらっしゃいますでしょうか。
  94. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 御指定の件数と総額という形で答弁をさせていただきたいと思いますが、文部科学省一般会計では、教育行政や科学技術行政の改善、推進に資するために、教育方法等改善研究委託費を始めといたします調査研究委託費について予算措置を行っておりまして、平成十七年度におきましては、委託事業件数といたしまして千五百二十四件で総額六百億円、また平成十八年度予算におきましては、委託事業件数といたしまして千八百三十五件の総額六百四十三億円でございます。  このような数字でございますが、教育方法等の改善研究委託費の主な内容といたしましては、学校教育情報化推進総合プラン、また学校評価のガイドラインに基づく評価実践研究という形でございまして、この新規事業も含めまして十八年度は若干件数が上回る形になっております。  また、念のため申し上げておくわけでございますけれども財務省通知をいただいておりまして、平成十七年度から、委託したものが再委託する場合には文部科学省の承認を得て行うようにさせておりまして、再委託の承認に当たっては、例えば大型の研究委託事業において基幹となる研究機関と研究分担者との間での再委託契約を提携するなどの場合に、特に業務の大部分を再委託するような場合は、合理的な理由及び必要性があるかどうかを十分に審査をして判断をしているところでございます。
  95. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今金額を聞いて、余り国会のこの質疑で答弁を聞いて驚くということは余りないんですけど、今回驚きました。私が想像していたよりも、取りあえず公表していただいただけでも多いですね。平成十七年度で千五百二十四件、六百億、平成十八年で千八百三十五ですね、大臣、千八百三十五の六百四十三億円でしたっけ。これ、一つの役所でこれだけで、しかも、取りあえず国会で答弁していただくという決断をして持ってきた数字ですから、大体まあ掛ける二・五倍ぐらいかなと、実際はですね。いや、それは、いわゆるレポートを作るということではないんだけれども、本来本省でやってもいいようなお題目で外部に出している、そういう予算というのは、ひょっとしたらやはり今おっしゃっていただいた金額より多いんじゃないかなというふうに思うんですね。  そこで、これらを本当にちゃんとフォローしていくような対応をこの法案が通った後、個別の法とか政省令作ったり、各役所に御指示を出されるときに対応されないと、まさしく張りぼて法案、十年たってみたら財政赤字が減るかと思っていたら相変わらず増え続けているという事態を招くのではないかと。  そこで、中馬大臣にお伺いしたいんですが、この簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案第四十二条における人件費改革の第一項、いろいろ書いてありまして、「総人件費改革は、国家公務員及び地方公務員について、」「総数の純減及び給与制度見直しを行うとともに」云々と書いてありまして、「これに準じた措置を講ずること」により、特殊法人及び認可法人の役員及び職員についても人件費の抑制を図ると書いてあるんですが、この「これに準じた」というのは、これはどういうことを今想定しておられるんでしょうか。
  96. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) お答えいたします。  法案第四十二条に定めるこの「準じた措置」の対象法案にあるとおりでございまして、独立行政法人、国立大学法人等、特殊法人及び認可法人の役職員、これらにつきまして、国家公務員の人件費削減の取組に準じて今後五年五%以上の人件費削減を基本とする取組を行うこととしているところでありまして、第五十三条、次の五十四条において具体的に規定をしておるところであります。  対象となる法人の数につきましては、独立行政法人が百三法人ですか、国立大学法人に基づく法人が九十一法人、特殊法人及び認可法人が二十法人、こういうことで、これが国家公務員の、これに準じて今後の対象になるということでございます。
  97. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そのときに、今おっしゃったのは狭義の人件費ですか、それとも今ここで私がシステム開発研究所を例に取って申し上げたような、名目上は人件費ではないんだけれども実質上は人件費となっている部分も含まれるんでしょうか。
  98. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 実際に人件費として計上されているものでございます。
  99. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、今ここで取り上げたものは対象にならないということで、これをこのまま放置していると、まあまともな公益法人はいいですよ、まともな公益事業を受託をしてやっていらっしゃるところはいいですけれども、そうじゃないところが大半ではないかと、特にこういう委託調査というものについてはですね。そういう指摘をされる方もいるんですが。  そこで、これは中馬大臣谷垣大臣両方にお伺いをしたいんですが、例えば先ほどのこのシステム開発研究所を例に取ると、繰り返しになりますが、平成これは十六年四月一日から十七年三月三十一日までの決算において、例えば調査研究九億二千八百万が委託費として、収入として入って、今度はそれを外部委託一億七千万。もちろん、繰り返しになりますが、内製化してやった部分もありますから全部中抜きとは言いませんが、これは例えば公益性の認定等に関する法律案の第五条の第一項第六号、「その行う公益目的事業について、当該公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないと見込まれるものであること。」という条文に照らしてみると、もらい過ぎじゃないかという気がするんですが、これはいかがですか。  一般論として中馬大臣に、そしてこの財団法人に関して谷垣大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  100. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 一般論としましては、この公益法人というのは利益を上げることを目的としておりません。したがいまして、今委員おっしゃいましたような収入との見合いの中でこれが過度に過剰なものであれば、それは公益性から外れるということに認定されると思います。
  101. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 調査研究というのをどういうふうにやるのか、私も実情に詳しいというわけにまいりませんので。昨日の御質疑も伺っておりまして、いろいろ調査員等を使ったりするいろんな場合があるんだろうと思いますので、私ちょっとそこのところはよく分からないんですが、ただ、今まで私はここの主務大臣でございますから、報告を受けております限りにおいてはこの研究所で違法ないし不当な資金の使い方があったというふうには報告を受けておりません。
  102. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私も今明確な何かエビデンスがあって申し上げていることではありませんので、現時点の御答弁はそういうことになろうかと思います。  ただし、この間も申し上げましたように、ここの研究所は、定款などを拝見すると、もうありとあらゆる分野の事業を受託できるようになっていて、本当、霞が関が全部ここに入っているんじゃないかと。実際、ほとんどの事務次官が入っていますから入っているとも言えるわけでありますけれども。ただ、そこにいらっしゃるスタッフの皆さんで本当にその調査研究が全部できるんでしたらそれこそ大変なこれは公益法人でありまして、ここ一つあれば霞が関はもう要らないぐらいなんですね。  今の公益認定の基準で、やはり第五条の第一項第二号にはこうも書いてあります。「公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎及び技術的能力を有するものであること。」と。だから、この財団法人の所属していらっしゃる方々の言わば研究開発能力というのはどのぐらいあるか私は分かりませんので、そこがいいとか悪いとかをここで申し上げるつもりはありませんが、是非、この公益法人改革を行うに当たっては、再度、公益性を認定するに際して、いわゆる委託事業として一体どのぐらいのものを委託されていて、一体それを本当に遂行する能力があるのかないのか、そして実際にそれをやるのに掛かったコストに対して収入がこの第一項第六号に違反しない程度の適度なものであるのか、こういう点をしっかりとチェックしていただかなければならないと思いますが、中馬大臣、いかがでしょうか。
  103. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) ある特定の団体が新制度施行後に公益認定を受けられるか否かにつきましては、現時点においては個別のことでございますから申し上げることは差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げますと、公益法人認定法案第五条第二号では、法人が安定的かつ継続的に公益目的事業を行うことができるよう、経理的基礎及び技術的能力を有することを認定基準として定めておりますが、個々の法人がこの認定基準を満たしているか否かについては、それぞれの法人の事業内容に即してケース・バイ・ケースで判断されることになるものと、このように考えます。  また、実際に公益認定をするに当たりまして、民間有識者から成る公益認定等委員会におきまして個々の申請ごとにケース・バイ・ケースで判断が行われることになりますが、その中で、申請をした法人が行う事業が不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものであるかどうかや、その法人組織財務等の実態が法令の定める基準に適合するか否かといったことのすべてについて、個別具体的な事実を踏まえてその委員会が判断されるものと、このように考えております。  したがいまして、御指摘のような場合につきましては、その取引の大部分が国の機関を相手としているか否かといった取引形態のみをもって一義的にはその法人の公益性を判断することはできないと考えてはおりますが、しかし今言いましたように、これも今度新たにできます公益認定等委員会での判断にまつことになると思います。
  104. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 御質問のテーマの調査研究委託費の範囲のうちにちょっと補充の答弁をさせていただきたいと思うわけでございますが、先ほど申し上げました件数等が、驚いた、非常に多いと、こういう御指摘がございました。  文部科学省の場合、委託研究先が四十七都道府県の教育委員会であったり、あるいは独立大学法人であったりするわけでございます。そういうような場合、一件を四十七都道府県に調査委託いたしますと四十七倍になってしまう、そういう数え方をしておりますので、そういったこともしんしゃくして御理解をいただきたい。  また、地球観測とか海洋観測とか、こういうものも全部委託研究費の中で扱っておりますので金額的にもそういった部分が膨らむと、こういったことがあることを御理解いただきたいと思います。
  105. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今の御答弁は理解させていただきます。まあ、そういうことだろうなと。技術的な研究もありますからね。それはそうだと思います。  ただ、単なるレポートを書くというようなものも山のようにあって、これは本当に再委託を受けた方々の中から、ほとんど中身のないレポートを出して金だけもらっているという、実際にそういう証言も聞いております。だから、これは一度私は是非調査をする必要があると思うんですが。  そこで、当委員会ももう間もなく終わりということでありますので、この委員会中にということは無理なお願いだと思いますので委員長にお願いを申し上げたいんですが、この法案が仮に成立した場合に、成立後に、各省が一体どのぐらい外部にいわゆる委託研究であるとか委託調査であるとかそういうことを、委託という名前が付いている付いていないにかかわらず、実際にしているかどうか。そして、受託した先が、本当にそれが公益事業なら過度な収入があってはならないとこの法案に書いてあるわけですから、コスト対比でどのぐらいのそれが収入になっているのか、そしてそれを更に再委託している先がどのぐらいあって、再委託している場合はその再委託費がどのぐらいであるのかという全省庁に関する綿密な調査結果を、この法案が通りましたら第三章の規定に基づいて設置される行政改革推進本部にできる限り早く報告書を上げて公表するようにということを、委員長として、あるいはこの委員会として、その設立される本部に対して申し送っていただきたいというふうに私は思います。  そのことを委員長にお願いを申し上げたいと思います。
  106. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 当委員会としてというふうに言えるのか、理事会で検討をいたします。
  107. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 是非理事の先生方にも前向きに御検討いただきまして、この行財政改革法案の審議が終わった途端にまた関心がどこかよそに行ってしまって、猫だましの仕組みが末永く残るというようなことのないように御協力を賜りたいというふうに思います。  なぜこんなことを申し上げるかというと、文科省、文科大臣にもう一度お伺いをしたいんですが、いきなり話が変わるようですが、一つ数字を教えていただきたいんですが、憲法二十六条で「義務教育は、これを無償とする。」というふうに定めてあるわけでありますが、昨今、義務教育の教科書に対する予算がじわじわと削られておりまして、平成十七年度、平成十八年度予算の編成過程で文科省として要求された教科書無償予算のうち、実際示達を受ける段階で削られた額というのはそれぞれお幾らぐらいあるでしょうか。
  108. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 委員が御指摘のように、憲法二十六条に掲げる義務教育無償の精神をより広く実現するものといたしまして、我が国が将来を担う児童生徒に対して国民全体の期待を込めて国民の負担によって無償で給与をされているところでございまして、御指摘の予算編成過程における概算要求額は、平成十七年度予算におきまして要求額四百七億円、予算額三百九十九億円でございまして、縮減額は八億円でございます。また同様に、平成十八年度予算におきましては概算要求額四百五億円、予算額三百九十五億円でございまして、縮減額は十億円となっているところでございます。  文部科学省といたしましては、より良い教科書が子供たちに提供されるよう、引き続き必要な予算額の確保に努めたいと考えております。
  109. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私は、教科書予算に関しては、義務教育の教科書予算は無償化を維持すべきであるという立場であります。そして、何か紙質を落とせとか、貸与制にしてコストを削減しろとか、全く不穏当な話だと思っております。米百俵の精神を掲げた総理の下でそんな議論が行われるとは、米百俵という発言は全く笑止千万、もう笑わせる発言だというふうに思いますので、文科省におかれては、義務教育の教科書予算については取るべきものはしっかり取っていただきたい。  ただし、ただしですよ、例えば文科省御自身も、先ほど数字を出していただいた委託調査研究、例えば平成十七年度、千五百二十四件、六百億円、十八年度、千八百三十五件、六百四十三億円。この中に仮に一割でも無駄があったとしたら、あっという間に六十億円という金が出てくるわけですよ。そうすると、この削られた金額を充当することなどもう訳のない話でありまして、そういうことをまず自発的におやりになることも必要だと思いますが。  もっと厳しく申し上げなければならないのは財務省でありまして、例えば財務省御自身の所管のこのシステム開発研究所の委託調査、まあ一杯リスト、いろんなリストが出てきましたけれども、まあ断定はしませんけれども、まあ八割方はタッチアウトですね、これはみんな。政府の委託調査研究はほとんどないです。ほとんど、実際は一〇〇%政府からの委託調査研究ですが、政府のものはなくて、ほとんどアウトです、と私は、こう印象としてですね、印象として。  なぜこのシステム開発研究所が総務省から地域づくりキーワードブック作成のための実態調査を引き受けたり、国土交通省から環境に優しい雪国の在り方調査研究を受けたり、環境省から地球温暖化防止対策を受けたり、外務省から外交関係報道対策にかかわる調査分析業務を受けたり、内閣府からは過去の災害資料の体系的な蓄積に関する調査を受けたり、衆議院と参議院の事務局からは政策担当秘書資格試験の実務を委託を受けたり、実務なのか何か試験の何か参考書を作っているのかよく分かりませんけれども。いや全く、こういう予算を放置していて、査定の過程で文科省の義務教育教科書無償予算を五億、十億削るなどというのは、繰り返し申し上げますが、言葉はきついかもしれませんが、全く米百俵は笑止千万、笑わせます。是非、そういう無駄を省いていただいて、付けるべきところには付ける、そういうことをやっていただきたいです。  そして、谷垣大臣には誠に恐縮ですが、これ四回目です、農道の話。これも、先ほどの小川議員の話にも相通ずる部分があるんですが、無から有を生むような例えば数字を作ったりデータを作るという、そういう仕組みが、予算編成過程やあるいは何かの歳出付けるときにそういう仕組みが残っていたら、これは幾ら厳しく査定しようとしても、いや、ちゃんとした計算をした結果こういう数式に基づいてやったことですとかって言われると、これはなかなか主計局の担当の人は、時間もないですし、削れないんですよね。ちゃんと計算しているかって農水省に聞くと、いや、やってますって数字がだあっと出てくると、いかにもやってますという話になるんですが。  繰り返し申し上げますよ。この農道の投資効率が一より大きい、つまり事業費より経済効果の方が大きくて一より大きいという計算をするときに、分子の方に、経済効果のところに景色が良くなるとか、近所の人の健康が増進するとか、掘ったら遺跡が出てくるとか、そういう数字を作って分子に乗せたら、一より大きくなるまで幾らでも分子は足せるわけですよ。このことを放置していて、文部科学省に対して子供の教科書の予算を五億削れだとか、そんなことを言っていると、これはやっぱり財務省として信頼を失いますし、私は財政健全化すべきだという立場でずっと財金でも議論さしていただいていますので、谷垣大臣には頑張っていただきたいと思うんですが、片や、その一方でこれを放置していては、これというのは農道のことだけじゃないですよ、こういうもろもろの仕組みを放置していては、やはり結局、これだけ長い審議時間を掛けていよいよ通そうとしているこの行政改革関連法案が絵にかいたもちになる運命はかなり確率が高いと言わざるを得ないわけでありますが、谷垣大臣に、やはり歳出を、無から有を生むようなメカニズム、これについて徹底して、これからどういうお立場で臨まれるのかは分かりませんけれども、徹底して臨むという、その決意のほどを議事録にちゃんと残していただきたいんですが。
  110. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 農道のことであったり調査委託研究であったりいろいろおっしゃいますので、どこに焦点を当てて答弁しようかなと思いますが。  先ほど調査委託研究の中で、私も一々の中身はよく分かりません。それで、ただ、本当は役所の本体でやるべきものではないかと大塚さんはおっしゃいましたけれども、私は率直に言って、役所の中にも随分いろいろ審議会を設けたりいろんな学者の方に来ていただいていろんな勉強をやっていますが、多分役所のスタッフだけで全部そういうものをやれといってもとてもできるものじゃないと思います。したがいまして、適切な調査委託というのはやっぱり使わないと行政は進まないだろうと思うんです。  私自身も弁護士時代、企業の要請にこたえまして、法律実務といいますか意見書みたいなのは随分書きました。お役に立ったのか立たないのか、あるいは弁護士がこう言っていると免罪符に使われたのか分かりませんけれども、やはりそういうようなものも業務を進めていく場合に必要なことがやっぱりあるんだろうと思います。  そこで、委託研究というものをゼロにしろというのはとてもできない話でございますが、できるだけやはり専門性等々において必要な部分、そういうものにやはりきちっと、何というんでしょうか、査定というものは厳格にしなきゃならないと思います。  それからもう一つ、ずっと御意見を伺っておりまして、公益法人のようなところに、天下りしているようなところに随意契約で調査委託研究を出すのはおかしいじゃないかという御議論もおありで、これもある意味でよく分かるところなんですが、なかなかこの分野は、じゃ一般競争入札に掛けろといっても、昨日の御議論でもありましたように、カスタムメードみたいなところもありまして、なかなか、じゃどうするのかというのは実は簡単でないところがあると思います。  ですから、企画競争方式の導入とか、できるだけ競争にどうさらすかというのを工夫しなければいけないと私も思っておりますが、相当これ工夫しませんと、じゃ一般競争入札で本当にこういう委託調査ができるかというと、私はできないと思います。そこらをどうしていくのかというのは相当知恵を絞って考えなければいけないことだと思いますが、やはりそういう辺りで大塚さんのおっしゃる無から有を生ずるような疑惑を与えますと、財政再建も進まないと。  私はつくづく思いますのは、昔から、信なくば立たずといろんな政治家がおっしゃったりしますのは、財政再建進めますのに、国とその国民は対立するものだと国民が思っておられたら、これはなかなか進まないんだろうと思います。ですから、政治家の仕事は、政策立案することも仕事でございますが、国と国民が対立するものじゃないんだと、やっぱり信頼できるものなんだと思っていただかないとできないわけでございますから、調査委託の問題にしろ、今、農道の問題にしろ、農業の多面的効果というのをどう入れるかというのを費用コスト分析でやれといっても、ううんと頭を抱えてしまうところもあることも事実でございますが、ない知恵を絞って私どもも工夫、研究を重ねたいと思います。
  111. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 もちろん私も、全部の委託調査研究がおかしいとか、例えば農道も全部おかしいとか、そんなことを申し上げるつもりは全くないです。必要なものもあると思います。  ただ、かなり不必要なもの、あるいはもうほとんど実体のない歳出、請け負ったことをほとんどやっていない、農道を造っても、何かカエルしか通らないような農道もあるというのも事実でありますので、これも委員長是非理事会でお諮りをいただきたいと思うんですが、この行革推進本部ができたら、各役所の職員の皆さん、みんなそれぞれ、ここは実は不要なことなんだけれども、役所のしがらみ上、自分もじくじたるものがあるけど、予算編成やらされているんだという人も一杯いますし、そういう声も聞きます。  そこで、この行革推進本部ができましたら、匿名性を維持する、ないしはだれがそういう申告をしたかということについては後で明らかにならないような配慮をした上で、全部の公務員の皆さんに、とりわけ霞が関の皆さんに対して、こういう役所の中の仕組みあるいは今の予算編成のメカニズムは見直すべきではないかというパブリックコメントならぬパブリックサーバントコメントを全部この行革推進本部で一回集めるということをやってはどうかということを、やはり当委員会としてもし各理事の皆様方の御同意を得られればやってはどうかというあくまで提案ですので、行革推進本部にこの委員会の申し送り事項としてお伝えいただきたいと思いますが、これも委員長においてよろしくお取り計らい願えれば幸いであります。
  112. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 理事会で検討をいたします。
  113. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 なぜこんなことを申し上げるかというと、例えばこの農道の問題も、農水省の現役の方から、やはり私が今指摘申し上げているようなこと、それはある部分当たっているというような真摯な言わば御教示があってのことなんですね。あってのことなんです。  したがって、どこの役所でもそういう仕組みが残っていると思いますので、繰り返しになりますが、前回、無から有を生むようなシステムを残すな、猫だましのようなシステムを残すな、バケツに穴の空いたそういうシステムを残すな、面従腹背の言わば官僚機構の文化を残すなということを申し上げましたので、その言わば気持ちを行革推進本部がしっかり引き継いでやっていただかないと、恐らく五年後、見た目の財政赤字は減ったり見た目の行政はスリム化してても、形を変えてただ単に実態が変わらず残っているという事態になりはしないかというふうに懸念をしておりますので、是非その点を委員長においてはよろしくお取り計らい願いたいということを改めて再度申し上げたいと思います。  最後になりますけれども中馬大臣にお伺いをしたいと思います。  今日は規制改革についてもいろいろお伺いしたかったんですが、行革推進法の第六十四条において規制改革対象項目として特に七項目だけが列挙をされておられるんですけれども、この七項目をとりわけ列挙をされた理由というのは何なんでしょうか。
  114. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 六十四条におきまして規制改革対象として特に七項目を明示した理由でございますが、本法案の第六十四条に掲げられている分野は、現行の規制改革民間開放推進の三か年計画におきまして政府推進することとしている施策のうち、法律改正を伴う可能性のある主な分野でありますが、これらは同条の規定にも示されているとおり例示にすぎず、その他の分野をも含めて規制改革推進することにいたしております。一つの例示ということでのこれは記載でございます。
  115. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 一つの例示ということなんですけれども、しかし金融、情報通信技術、出入国管理、社会福祉、社会保障、労働、土地測量その他、こうくると、例えば社会福祉、社会保障ぐらいは分かるんですけれども、土地測量なんというのが出てくるのは、これはなぜここに急に土地測量なんという言葉が出てくるんでしょうか。
  116. 田中孝文

    政府参考人(田中孝文君) お答え申し上げます。  ただいまの例示は法律事項を明確にするために、規制改革民間開放推進三か年計画再改定、これは平成十八年三月の閣議決定でございますが、そのうち今後法律改正を伴う可能性のある主な分野を列挙したものでございまして、今議員御指摘の土地測量に関しましては、地図情報の民間開放の推進ということで関連法案の改正が予定されているものであったことを反映したものでございます。
  117. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 分かりました。また、法案が通った後もいろいろと勉強させていただきたいと思います。  ちなみに、厚生労働省にもう一つ御質問ありましたが、時間がなくなりましたので、おわび申し上げます。  以上で終わります。
  118. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。私、今日、気象業務にかかわって質問させていただきたいと思います。  まず、今回の法案ですけれども、簡素で効率的な政府を目指すとして、国家公務員定員を二〇一〇年度までに五%純減の内容が盛り込まれています。  そこで、行革担当大臣にお聞きをいたしますけれども政府の行政減量・効率化という、それはどういう考え方に立って国民の安全にかかわる分野を公務と民間に仕分をするのか、また行政減量・効率化というものは国民の安全分野に相入れるものなのか、この点、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  119. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 何か安全、安心だけを確認するような今の御質問でございますが、そうじゃございませんで、これは今まで国がやっておった仕事でも民間に移した方が効率が良くなる、サービスが良くなる、そういったこともあるではないか。また、大きく人口減少社会に入っている中で、もちろん今言いました、また時代も変わってきております、減少する、もう当然減少させていい部門もございましょうし、今お話にございました治安とかあるいはまた高齢化社会に対する対応、こういったもので、これが必ずしも人でやらなければいけないものでもございませんが、人が必要な場合にはここには重点的に配分していく、そのためにも必要でないところを減らしてそちらに振り向けていく、こうしためり張りを付ける。そして、総体的に、全体的に五%減らすということでございまして、特定の部門に何か、あるいはまた一律にこれを削減するということではございませんので、そのように御理解賜りたいと思います。    〔委員長退席、理事保坂三蔵君着席〕
  120. 小林美恵子

    小林美恵子君 そうしますと、法案の二条にございます、「国民生活の安全に配慮し」とありますけれども、安心、安全の分野というのはしっかりと保障していくというふうに大臣はお考えということなんですか。
  121. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) そこにも少し書いておりますように、そうした今後必要な部門についてはそれなりにはっきりとした形で、これに増員といいましょうか、そうした配慮をするということは法案にも明記されております。
  122. 小林美恵子

    小林美恵子君 大臣はそうおっしゃいますけれども、行政減量・効率化有識者会議は、安全、安心分野の気象庁にも削減案を迫りました。  そこで、私、気象庁にお伺いしたいと思いますけれども、そもそも気象の業務といいますのが国民との関係でどういう役割を担っているのか、簡潔に御説明いただけるでしょうか。
  123. 平木哲

    政府参考人(平木哲君) お答え申し上げます。  気象庁は、的確な気象情報を提供することによって自然災害の軽減、国民生活の向上、交通安全の確保、産業の発展などを実現することを任務としております。特に、気象庁が発表する台風、豪雨、地震、津波にかかわる防災気象情報は、国民が自ら生命、財産を守るため重要な情報であるとともに、国及び地方公共団体の防災活動の基盤となる情報であると考えております。
  124. 小林美恵子

    小林美恵子君 今、御説明、簡潔にしていただいてありがとうございます。  実は私も、先日鹿児島地方気象台にお伺いをいたしました。その話を若干さしていただきたいと思いますけれども、鹿児島県は、台風、大雨の常襲地に加えて、シラス台地によりましてがけ崩れや土砂崩れが頻発する地域でもあります。都市中心部の近くには、御存じのように活発な活動を続ける桜島を抱えて、噴火や降灰の備えが常に必要な地域でもあります。  そうした中で、気象台の皆さんは、二十四時間体制で、それこそ気象現象や火山活動の観測、監視を行って、注意報、警報などの情報を提供しておられました。台風の進路予測に高層観測、気球を上空に上げて観測するラジオゾンデというものでございますけれども、それが重要な役割を果たしていると説明を受けてまいりましたけれども、その高層観測といいますのは台風のさなかであっても鹿児島地方気象台において定時定刻に観測を行っていると説明も受けてまいりました。正に私は、体を張って国民、地域住民の命を守るために業務を遂行していただいていると、本当に実感をしてまいりました。  さらに、鹿児島では、全国に先駆けて土砂災害警戒情報が発表されるようになり、気象台と市町村とが連携して避難勧告が行われるようになりました。昨年は警戒情報を四十五回出し、そのうち八五%で災害が起きていると。警戒情報とそれを作成し発表する業務が、私はいかに国民の命を守る上で重要なものであるかを本当に痛感をしました。  そこで、防災担当大臣にお伺いをいたしますけれども、私は今鹿児島の一例を紹介しましたけれども、全国の地方気象台は、それぞれにおいて、災害時の避難勧告を発令する市町村と連携をして、国民の命や財産を守る本当に重要な役割を担っていると私は思います。この点、大臣の御認識をお伺いいたします。
  125. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 我が国はその自然的条件から、大雨や暴風雨、これによる洪水、さらには地震やそれによる津波、あるいは火山噴火などによる災害が多発している国でございます。  気象庁は、これら自然現象を常時観測するとともに、地震、津波、大雨、火山活動などに関する防災気象情報を住民や報道機関、地方公共団体等関係機関に提供、発表いたしております。今先生、鹿児島の例を挙げられましたが、そのようなことを全国で行っております。このように気象庁の提供する情報は我が国の防災体制において重要な役割を担っております。  行政改革推進するために、気象庁では平成十八年度から業務見直しについて検討されるものと聞いておりますが、このような気象業務の実施体制については、気象庁が防災に果たす機能、役割が十分に維持されることを前提としつつ、気象庁において適切に検討し対応されるものと承知いたしております。
  126. 小林美恵子

    小林美恵子君 防災担当大臣も、気象の業務、重要な役割を担っているという御答弁でございましたけれども、私、そこで国交大臣に質問をさせていただきたいと思います。  国民に重要な役割を担う気象庁職員は、この間、ピーク時、一九八七年の六千五百八十九人から、二〇〇六年度末まででいきますと七百十二人の純減となります。七百十二人といいますのは、九州一円の気象台や測候所の職員の総数に匹敵する人数です。そのことによりまして、例えば鹿児島地方気象台では、気象現象を観測、監視し、気象情報を作成、発表する体制が五名から三名に削減をされました。高層観測では、二名の観測体制が一名になって、観測回数も一日当たり二回と半減。それでも職員は本当に懸命に業務を遂行されているわけでございますけれども、二十四時間片時も欠かさず気象現象を観測、監視することは、現在の体制では物理的に困難な場合があるとお聞きもしてまいりました。  私は、国が定員の削減を先に決めて、そのことで観測回数が削減されていくというのは正に国民の安全を守る点からいくと逆行しているというふうに思いますけど、大臣はいかがでしょうか。
  127. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 我が国は、先ほど来お話がございますように、大変災害の多い国でございます。こういう災害の多い国にあって、防災・減災対策を遂行していくに当たりまして気象庁の果たす役割というのはこれまでも大きかったし、今後とも大変重要なものだというふうに認識をしております。  気象庁の中におきましても、単にどんどんどんどん減らしているわけではございません。自然災害による被害の軽減のために、気象予測精度の向上や、それから土砂災害とか洪水等に関する新たな情報の発表等、気象業務の充実に取り組んでおるところでございまして、そのために必要なものについては体制の強化を図っておるところでございます。  一方で、技術が進展をしております。予報、観測等に関連する技術の進展に合わせまして気象業務の効率的な運用に努めているところでございまして、例えばアメダス等の導入を始めとした機械計測による自動化、効率化を推進をしているところでございまして、そういう中で定員についても純減をしてきているわけでございます。
  128. 小林美恵子

    小林美恵子君 自動化のお話がございましたけれども、その点については後で質問をするといたしまして。  私は、現場の実情を今大臣に申し上げました。今の体制では本当に物理的に困難な場合があると。今、私は鹿児島の例を出しましたけれども、鹿児島は宮崎県もエリアとするいわゆる中枢の地方気象台に位置付けられています。そうでない地方気象台といいますのは、いわゆる観測、予報の体制といいますのは二名で、観測一名、予報一名です。それも定員の削減で行われてきたものです。そういう一名の体制で、大臣はいろいろおっしゃいましたけれども、本当に支障がないのかというふうに私は言わざるを得ないんですけれども、その点もしっかりと現場の状況を受け止めていただきたいというふうに思いますが、この現場の状況を受け止めるという点については、大臣、どうでしょうか。
  129. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 気象業務の重要性というのは先ほど申し上げたとおりでございます。その現場の状況についてよく踏まえた上で当然、定員の削減についても実行していく必要があると考えております。
  130. 小林美恵子

    小林美恵子君 現場の状況を踏まえて定員の削減を実行というのは、それはどうも本当に矛盾している答弁だというふうに私は思います。  次に、測候所の問題についてお聞きをしますけれども、測候所はどうかといいますと、その無人化は、全国九十六か所にあったものが現在四十六か所。さらに、今回、定員の純減の方針で気象庁は、五月十二日に、現在の四十六か所の測候所までも二〇一〇年度までに原則廃止、職員三百三十八人の削減をすると報告を出しました。  測候所は、気圧、気温、湿度、雨量、雲、日照など観測を行い、中には注意報、警報の発令をする業務を持つ測候所もあります。正に地域に密着した細かい気象観測を行い、情報を提供する最前線。この重要な役割を、無人化にしていってその役割を継承できると国交大臣はお考えでしょうか。
  131. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 国民の安全、安心を守る観点から地方気象台等が行っております防災気象情報の発表、また自治体への情報提供というのは大変重要であると考えております。  測候所につきましては、地上の気象観測を主体とした業務を行っておりまして、従来から自動観測システムによる機械化を図っております。無人化を推進をするとともに、一方で地方気象台等の強化を進めてきているところでございます。  今後の測候所の原則廃止に当たりましても、地域の防災気象情報の的確な提供の確保に十分配慮して実施をしてまいりたいと考えております。
  132. 小林美恵子

    小林美恵子君 測候所を廃止して地方気象台へという話が先ほどございましたけれども、鹿児島では同県内の阿久根と枕崎の二か所の測候所業務が既に集約をされました、地方気象台へ。二〇〇四年からは、種子島測候所が行っていた天気予報や防災情報の作成、発表の業務も地方気象台で実施することになりました。それにもかかわらず、先ほど申し上げました作成、発表の業務も代替する観測予報課の現業体制は逆に三名へと減らされ、定員も削減されています。その上に、無人化になった測候所の観測機器の定期点検や臨時の復旧作業も加わっていて、体制は充実するどころか負担過重なのが実態なんです。  台風や大雨による自然災害が長期化したら、果たして業務に必要な体制を十分に維持し続けられるかと、本当に現場の心配した声なんですね。ここをやっぱり大臣、私はしっかり受け止めていただきたい、本当に思います。  先ほど機械化の話が、気象台のところでも先ほどの御答弁でもございました。そこで、私は紹介して質問したいと思いますけれども、それだけでは不十分である実例が二〇〇三年七月の九州地方での集中豪雨でした。熊本県水俣市では、七月二十日、浸水被害、土砂災害で十九名がお亡くなりになられました。この地域に大雨を降らせた強い雨雲について、気象衛星やアメダス、気象レーダーなどを駆使をしてもその強さを十分に捕捉することができなかったと聞いています。かつて気象レーダー観測に従事していた方から、遠隔の自動観測処理ではなく観測者が手動で観測していたら雨雲の強さをとらえることができたのではないかとの投書もあったと聞きました。  私は、的確な観測や予報を行うために、やはり機械だけに頼るのではなくって、有人の観測、監視を並行してきちんと行い、機械から得られるデータを補完していくことが、やっぱりこここそ重要だと思います。  そこで、国交大臣にお聞きしますけれども、測候所の無人化によってどんどん機械化して、有人による観測・監視体制が弱くなっていく事態、二〇〇三年七月の九州地方で起こったような、ああいう事態をこれ以上広げてもいいと大臣はお考えなのでしょうか。
  133. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 一つは、常に最新の科学技術に基づく最適な気象観測網を構築、運用して、台風だとか豪雨を始めとする気象現象の監視又は予測技術の高度化に今後とも努めていかにゃならないと考えております。    〔理事保坂三蔵君退席、委員長着席〕  ただ、一方で、こうした自動観測システムの整備を進めるだけではなくて、活動が活発な火山の監視業務だとか高層気象観測業務等の無人化が困難な業務については必要な要員を確保して、地域の防災気象情報の的確な提供の確保に十分配慮をしてまいりたいと考えております。
  134. 小林美恵子

    小林美恵子君 火山とか高層、そういう大事な分野については必要な要員をしっかり確保していくというお話でございましたけれども、私は、そういう火山観測とか高層の観測とかしている測候所というのは、実は今あります四十六か所で言っても本当にわずかしかございません。それはそれで本当に重要なことだと思いますけれども、すべての測候所を機械化をして無人にするということはやっぱりあってはならないということを強調したいというふうに思います。  それで、お聞きしますけれども、鹿児島の名瀬測候所について質問します。  鹿児島名瀬市の測候所は現在三十七名体制だと聞いてまいりましたけれども、注意報、警報も発令ができる測候所であります。かつて、気象庁が名瀬測候所の地方気象台昇格の概算要求も出されたことがございました。正に、九州と沖縄の中間に位置して重要な役割をこの測候所は担っているからだと私は思いますけれども大臣、先ほど火山観測とかそういう高層観測とか、いろいろな業務で必要なところは地域に応じて検討していくような御答弁がありましたけれども、こういう重要な役割を担っているような測候所も原則廃止の対象にするのか、それともしっかり検討を行っていくのか、どうでしょうか。
  135. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) あくまで原則でございます。測候所の原則廃止に当たりましては、やっぱり無人化が困難な業務というのはあるわけでございまして、そういうものについては現地又は近隣の地方気象台において継続して実施をするなど、地域の防災気象情報の的確な提供の確保にしっかりと配慮をしてまいりたいと考えております。  個別の測候所における具体的な業務体制をどうするかということにつきましては、全体の再編計画の中で今後検討してまいりたいと考えております。
  136. 小林美恵子

    小林美恵子君 先ほど地方気象台、それから現地という言葉がありました。私は、先ほど地方気象台にそういう業務を集約しても現場が大切なんだというお話をさせていただいたと思いますけれども、その現地ということに大臣がおっしゃった話といいますのは、地方気象台に移行するというだけではなくて、現場での有人の体制、しっかり検討に値するということだと理解してよろしいでしょうか。
  137. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) したがって、原則というふうに申し上げているわけでございます。どうしても無人化が無理である、またその現地、現場でいないといけないというふうな事情がある場合には、もちろんそのような判断をしなきゃならないと考えております。
  138. 小林美恵子

    小林美恵子君 私、そういう地域の皆さんの測候所の存続というのは、今、名瀬のことを申し上げましたけれども、それだけではなくて、広範に出ています。  この間、これまででいきますと、これは二〇〇三年一月末の統計でございますけれども、六県、百十二市町村、二十三首長、三団体から測候所の存続を求める国に対する文書とかが出ているわけですね。さらに、直近では、長崎の壱岐、対馬、五島列島の方では、厳原、福江の両測候所について、この測候所、長崎海洋気象台がいわゆるここの測候所の持っている気象の警報や注意報を集約するという話があるそうでございますけれども、それについて、壱岐、対馬、五島地方は離島であることから、その気象特性には特異なものがあり、これを遠く離れた気象台から天気変化を肌で感じることがないまま防災情報の発表を行うことは、より正確的な情報を提供する上でも障害にならざるを得ないと。地元測候所による精度の高い防災情報、暮らしや地域、産業に密着した気象情報を確立するために測候所の機能を拡充することを求める署名が今取り組まれておられまして、八千名を超える賛同が寄せられておられます。  私は、先ほど地域の状況というふうに大臣はおっしゃいましたけれども、こうした住民の要望を大臣しっかりと受け止めていただきたいと思いますけれども、この点、どうでしょうか。
  139. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 大切なことは、地域の防災気象情報について的確に今後とも提供をしていくということですね。そうした体制をしっかり確保していくということが最も大事なことであるというふうに考えております。  いずれにしましても、地元自治体等の理解を得つつこれまでも例えば測候所について無人化をしてきたわけでございますが、いずれにしましても、引き続き地元自治体等の理解を得るべく努めてまいりたいと考えております。
  140. 小林美恵子

    小林美恵子君 これまでの無人化は地元の地域自治体の理解を得てきたというふうにおっしゃいましたけれども、いや、それは大臣、認識違いでございます。私は、先ほど六県、百十二市町村、二十三首長、三団体、そこから存続を求める文書が届けられているということを紹介しました。そこはやっぱり、はっきりと受け止めなくっちゃいけないということをあえて申し上げておきたいというふうに思います。  測候所は一八七二年に設置をされて百年を超える歴史を持っています。正に、最前線で国民の命と財産を守る測候所は地域からも存続の運動が、御紹介しましたように上がっています。私はこの測候所、百年の歴史を機械化と数字合わせの行革で幕を下ろすことはあってはならないと、そのことを強く申し上げて次の質問に移らせていただきます。  次に、気象研究所の非公務員型独法化問題で質問します。  気象研究所の研究は気象庁の観測を精度の高いものにするための研究で、そのほとんどが気象庁に還元される業務であると思いますけど、この点、気象庁、いかがでしょうか。
  141. 平木哲

    政府参考人(平木哲君) お答え申し上げます。  ただいま委員から御指摘がありましたとおり、気象研究所が現在行っております研究は、主として気象庁の施策に活用するための研究開発でございます。今後とも気象庁の業務遂行に不可欠であることから、独立行政法人化に当たりましては気象庁との円滑な人事交流、さらにその研究計画の気象庁との調整の枠組みなどを確保してまいりたいと考えております。
  142. 小林美恵子

    小林美恵子君 そのいわゆる密接な連携ですね、それは確保していきたいとおっしゃっておられましたけれども、どのように担保されるんでしょうか。その確保というのはどういうふうに担保していくんですか。
  143. 平木哲

    政府参考人(平木哲君) これ独立行政法人を今から設計する際に、そのような具体的な仕組みについていろいろ各方面と御相談しながら検討してまいりたいと考えております。
  144. 小林美恵子

    小林美恵子君 それをお聞きしまして、その上で私は改めて国交大臣にお聞きしたいと思いますけれども、気象業務に携わってきました職員の皆さんは、気象研究所であれ測候所や気象台職員であれ、とにかく自然災害から人命と財産を守ると、こういう立場で常に誇りを持ってみんなで頑張っていると。公務をつかさどる立場にあるからこそ、そのモチベーションは大変な中でも保たれていると言っても過言ではないというふうにお話もされていました。この職員の誇りと立場というのを国交大臣はどう受け止められるでしょうか。
  145. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 冒頭に申し上げましたように、我が国は本当に災害の多い国でございます。したがって、気象業務の持つ重要性というのはこれまでも大変大きなものがございましたし、これからも防災、又はできるだけ被害を小さくしていくために情報を的確に流していくと、こういう気象業務の重要性というのは何らそれは変わっておらないというふうに考えているところでございます。引き続き、職員の皆さんが高いモチベーションを持って気象業務に取り組んでいただけるものというふうに信じております。
  146. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、こうして頑張る職員の誇りといいますか立場というのは、公務であるからこそ国民の命と財産を守る立場で頑張れるというところは本当に大事な分野だというふうに思うんです。そこをしっかりと受け止めていただきたいと改めて強調します。  それで、防災担当大臣にお聞きします。  二〇〇四年十二月のスマトラ沖地震による甚大な津波災害を契機に開催された二〇〇五年一月の国連国際防災会議では、すべての国々が領域内の国民と財産を災害から守る第一義的な責任を持っていると兵庫宣言が行われました。正に国民の財産とそしてまた命を災害から守る第一義的な責任、私は気象業務もその一端を担っている。それは、防災担当大臣、冒頭にも御答弁でございました。そうした業務を持つ気象の関係の皆さんをやっぱり国の機関でしっかり行って、職員の身分も国家公務員としてやっていくのが当然だと私は思いますけど、大臣はいかがですか。
  147. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 今委員指摘のように、昨年一月に我が国が開催国を務めました国連防災世界会議で採択されました兵庫宣言において、すべての国々が領域内の国民と財産を災害から守る第一義的な責任を持っているとされていることは今御指摘のとおりでございまして、そこで、委員は、では、これが独法になった場合にそういう使命感が薄れるのではないかというようなことでございますが、私はそういうふうには思いません。やはりそれぞれの置かれた立場において、使命感また役割、そういうものを持ってしっかりやっていくというのが日本国民として非常に大事だというふうに思います。  ただ、私の立場では、あくまでもこの気象庁関係のそういう災害関係の情報が従来のように適切に、国民にあるいはまたマスメディアに、あるいは関係機関等にそういうものが提供されれば、私の立場としてはそれ以上のことを申し上げる立場にはございません。  これが組織的にどうなるかということについては、これは気象庁の方でございまして、そこでそういう独法になった場合にそういう機能が果たせないのではないか、使命感が欠如して果たせないのではないかというお尋ねですけれども、決してそういうことではないというふうに思います。どういう形の組織になるか私は分かりませんが、民間であっても皆さんそれぞれ使命感を持っていろいろな仕事を達成しておられるわけですから、そういう役割、そういう分担ということであれば、私は決してそういうことではないというふうに思います。
  148. 小林美恵子

    小林美恵子君 防災担当大臣、冒頭の御答弁とは大変私は今の御答弁は矛盾をするというふうに思います。  気象業務などの国民の安全、安心の分野を定員削減や独法化して国民の命、財産を守ることは私はやっぱりできない、正に政府の国民への責任放棄だ、そういうことをすることは、ということを指摘をさせていただいて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  149. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  行革推進法の四条の三号で、現行政策金融機関の負債総額が資産の総額を超える場合の超過額又は新政策金融機関に生じた損失で、経営責任に帰すべきものは財政上の措置は行わないと、こういうふうに規定されております。  そこで最初に、細かくて恐縮でございますが、四つまとめて行革大臣にお尋ねをいたします。  一番目でありますが、この場合、経営責任に帰すという判断基準は何でしょうか。経営責任に帰す場合、だれが責任を負うんでしょうか。経営責任に帰さないものはだれが負担するのでしょうか。そして最後、四番目、現行政策金融機関の債務超過のうち、経営責任に帰さないものにはどういうものがあるのか、責任者はだれになるのか。あらかじめ通告しておりますので、まとめてお答えください。
  150. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) お答え申し上げます。  新政策金融機関の赤字が第四条第三号の経営責任に帰すべきものに該当するかどうかの判断についてでございますが、経営者の法令や融資等の基準に違反した運営による場合、あるいは経営者の裁量にゆだねられている事項についての重大な判断の誤りによるといったような場合、経営責任に帰すべきことが明白な場合に当たるかどうかといった観点から客観的かつ慎重に判断されるべきものだと、このように考えています。  仮に、このような客観的かつ慎重な判断の結果、経営責任に帰すべきことが明白な赤字等につきましては経営者が責任を負うべきものでありまして、財政上の措置は講じないこととされております。  経営責任に帰さない赤字等につきましては、新政策金融機関の内部留保等の取崩し等によりまして適切に対応されることとなると考えておりますが、第四条第三号によれば、必要があれば財政上の措置を講ずることも禁止されておりません。  また、現行政策金融機関の債務超過についての御質問につきましては、新政策金融機関に統合される現行の政策金融機関は、法律上義務付けられている特殊法人等会計によれば、現在いずれも債務超過となっているわけではありません。企業会計基準に基づく仮計算した場合には所要の引当金、これを積む必要がありますことから、国民生活金融公庫が債務超過となると試算はされていると理解しておりますが、現在の政策金融機関の運営につきましては直接お答えする立場じゃありませんので、それぞれの主務大臣の責任において適切に監督されているものと、このように考えております。
  151. 近藤正道

    ○近藤正道君 商工中金と政策投資銀行、これは完全民営化されるわけでございます。法案の六条の三項によりますと、一定の経過措置を設けた上で民営化の後も現在の機能の根幹は維持されると、こういうことになっております。  しかし、完全民営化ということになりますと、経営は株主の意向に従うと、こういうことになるわけでございまして、収益だけが目的の外資とか、あるいはいわゆるハゲタカファンド、こういうものに株が買い占められる、こういうことも十分あり得るわけでございます。そうなりますと、政策金融としての機能の根幹を維持するということができるのかと、こういう問題が出るわけでございますが、完全民営化と政策金融としての機能の根幹を維持するということの調整、どういうふうにされるのか。  商工中金は経産大臣でありますが、まとめてひとつ、大臣、お答えいただきたいと思います。
  152. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 二つの金融機関完全民営化ということで、今具体的な制度設計中馬大臣の下で詰めているところでございますが、やはり民営化した後きちっと機能が生きるようにしていかなければいけないわけでございまして、例えば政策投資銀行でいえば、その特色出資融資を組み合わせて長期リスクマネーを安定的に供給するということでありますから、それができないような仕組みでは元も子もないということになろうかと思います。  そのためのいろんな法的手当ても必要でございますが、じゃ、それがとんでもないオーナーの手に渡ったらどうなるかということでございますが、今申し上げたような機能を損なわない株主といいますか資本構成というのはどういうものがあるのか、まだ実はそこまで十分議論は詰まっていないんですが、そこら辺りも十分意識して今後議論を詰めたいと思っております。
  153. 近藤正道

    ○近藤正道君 先日、朝日新聞の世論調査で、米軍の沖縄海兵隊のグアム移転費六十・九億ドルでありますが、これを日本が負担することについて納得できないと、こういう回答が七七%でありました。そしてまた、米軍再編についても政府は説明責任を果たしていないんではないかと、こういう回答が実に八四%にも達しておりました。  そこで、確認をしておきたいというふうに思いますが、移転に当たっての六十・九億ドル、この費用を日本が負担するという点、これが一点。そしてもう一つ、その負担は国民に増税という形では負わせないと、この二点は政府内で確認済みのことであるというふうに理解してよろしいんでしょうか。  どうぞ、防衛庁長官
  154. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えいたします。  先般、米軍再編の最終合意がありまして、おっしゃるように日米の間ではグアム移転、これは沖縄県民の悲願でありました。海兵隊七千人、家族合わせて一万七千人を移転することで、我々は一日も早くこれを実現するために、応分の国民的な負担をすることによって早く達成したいということで、日米の間で総額どれくらい掛かるのか、そしてどれくらいの負担を我々がするのかという話合いをしました。  その結果、百二・七億ドルが総額で、そのうち二十八億ドルを直接的な財政支出とすることにし、これは上限であります。そして、三十二・九億ドルを出資融資ということで負担をしていこうということでございます。  三十二・九億ドルについては出資融資でございますから、これはいずれ返還されるお金でございます。そしてまた、これらのお金については日本側が努力をし、効率化を図ることによってコストを削減していくことができます。そういう形でこの六十・九億ドルを分担するという形になったことは事実でございます。  また、これらの負担、どういうふうに予算措置をしていくかについては、これは財務大臣を始め関係大臣とよく相談の上でこれまでも交渉してきたし、これからも考えてまいりたいというふうに思っております。具体的なことについては、これからどういうふうに負担をしていくか、住宅を造るわけだけれども、住宅は何戸ぐらいでどういうふうに造っていくのか、庁舎を造るときにはどういうふうにしていくのか、そういうことの詳細についてはこれから積み上げていくことでございますので、まだ具体的な予算措置がなされているわけではありません。  また一方、もう一つのお尋ねの、これからの財源手当てについては、みんなして、政府の間で相談をしていくことであり、原則的にこれは増税はしないということでも共通の認識を持っているところであります。
  155. 近藤正道

    ○近藤正道君 詳細は分からないということでありますが、JBICが無利子融資を行うと、こういう話が出ております。谷垣財務大臣、この点について我が党の又市議員が質問いたしましたが、これから詰めるということで答えるのは差し控えたいと、こういうことでございますが、このJBIC融資ということになりますと、これは法の改正が必要ですよね。どうでしょうか。
  156. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、防衛庁長官から御答弁がありましたように、出資あるいは融資というものが含まれているのは事実でございますが、一体どういう出資でありどういう融資なのか、それをどういう手法でやるのか等々はまだ何も決まっておりませんので、今の段階でお答えできることはそこまででございます。
  157. 近藤正道

    ○近藤正道君 仮定の話で恐縮でありますが、JBICの機構、法的な枠組みを見ますと、この種のもので金が出せるという根拠をとても私の常識では見付けることができないんですが、万一やるということになれば、これは法改正が必要ですよね。
  158. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 万一というお問い掛けで非常に答弁はしにくいですが、ただ、どういう形のものか分かりませんと何とも言えないということでございますので、先ほど御答弁したようなことの繰り返しでございますが、そういうことでございます。
  159. 近藤正道

    ○近藤正道君 この後、行革担当大臣にもちょっとお聞きしようかと思っておったんですが、今の答弁だと何を聞いても答えていただけないということでありますので、これは割愛をさせていただきたい。  市場化テスト法案のことに入っていきたいというふうに思います。  法案は、競争導入いたしまして、民にも公共サービスを担わせる、こういう内容でございます。だといたしますと、官と民が公共サービスを競って担うと、こういうことになるわけでありますが、この場合の共通の土俵、この整備をまずするのが私は先ではないか、こういうふうに思えてなりません。  民間はパートや派遣など、非正規職員を多用いたします。現にそういうことをどんどん今やっております。直近の厚労省の調査結果でも、非正規労働者の賃金は正規職員の六〇%だと、こういうデータ、報告が出ております。  一方、公務員は正規中心でありまして、男女の賃金差別も基本的にないと。そして、退職金も、失業保険がありませんので、その分上乗せされていると。コスト面で官と民を比較いたしますと、官が勝つのは私は極めて難しいんではないか、そういうふうに率直に思います。  競争させるということであれば、スタートラインはやっぱり同一でなければならない。郵政民営化のとき、よほど、イコールフッティングという言葉がありましたけれども、現状では官と民との間で、少なくともコスト面ではイコールフッティングの共通の土俵はないというふうに思いますが、この点についてどういう御認識を持っているのかということが一つと、もう一つ、時間がございませんのでまとめてお尋ねをいたします。  民間には一定の社会的規制を私は一方で掛けるべきだと。コンプライアンスはもちろんのこと、障害者雇用の問題だとか、男女の平等雇用の問題だとか扱いの問題だとか、そういうことをやっぱりきちっとさせる。一方、官の側には、裁量の領域をちゃんと増やして縛りを解いて、そして労働基本権等についてもやっぱりきちっと一定程度は認めると、こういうものがなければフェアで対等な競争は私はできないんではないか。そういう制度設計制度的な保障がない中でこの法律がやっぱり動き出すと、私は、結果として民への丸投げ、こういう現象が出てくるんではないかと。公の解体、これにつながるおそれがやっぱり多分にあると。これにどうやって歯止め、チェックを掛けていくのか。  この二つについて、中馬大臣、基礎的なことでありますけれども、改めてお尋ねをしたいと思います。
  160. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今回の行政改革全般に通じて言えることでございますが、これは官のためでもまた民間企業のためでもありません。国民一般のためにどれが効率がいいか、そしてどれがその人たちの、国民一般の利便に、利益になるかということの観点から今回の改革をするわけでございまして、この点につきましても、この官民競争入札もそういう観点から御判断をちょうだいいたしたいと思います。官民競争入札を実施することによりまして、国民のため、コストの削減のみならず、公共サービスの質の向上、これを実現するもの、これが目的でございます。  このような観点から、官民競争入札の実施に当たっては、民は、公共サービスの質の維持向上を実現するために、人的体制整備など所要の組織体制を整えることを織り込んで入札に参加することは当然でございます。官の方も、具体的な実施体制や実施方法について見直しを行いまして、自ら公共サービスの質の維持向上や効率化に向けた努力を行うことを織り込んで入札に参加することを想定した制度でございます。  そういうことでございますから、公務員の皆様方には優秀な人材が多数おられるわけでございますし、今までの御経験もあります。そうしたことで、知恵を巡らせて公共サービスの質の維持向上や効率化のための努力をしていただければ、官も十分に民と競争できるものだと。外国でも官の方が勝ったケースがかなりあるんですね。そういうことでございますので、官が勝てるはずがないという御指摘は当たらないんじゃないかと思います。  また、今の続きの御質問でございますが、本法案に基づく官民競争入札は、今言いましたように、官と民が切磋琢磨することによりまして国民のための公共サービス改革を進めると、こういうことが目的でございます。その際、官であれ民であれ、法令の遵守を行うべきことは、これは当然でございまして、官側は業務の実施体制や実施方法について見直しを行い、自らサービスの質の向上や効率化のための努力を行うことを織り込んで入札に参加することになりますが、こうした努力については現行の法令の範囲内でも様々な工夫余地があるものと、このように考えています。  これらのことを踏まえますと、本法案民間への丸投げ法案であるということの御指摘は当たらないんじゃないかと、このように思います。
  161. 近藤正道

    ○近藤正道君 精神論を言われたって困るんですけれども、私は、コスト面で、やっぱり明らかに、現に、現在の制度の上では開きがあるんではないか。ここの共通の土俵をまず作る、イコールフッティングのやっぱり体制をつくる、それが先ではないか。今の状況でイコールフッティングなんていうのは果たしてあるんだろうか。そのことを率直に聞いているんですけれども、どうですか。
  162. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 何度も申しますが、今回の改革は、非効率な、官がもし非効率であったとするならば、それを温存することじゃないんです。ですから、官側も大いにそれは努力していただいて、民と対等に対抗していただいて、そして我々の税金を有効に使っていただく、それが目的でございますので、少し、イコールフッティングじゃないから官の方に少しということでは、我々の税金を、何といいましょうか、納税者の方々に対する一つの、何といいましょうかね、今回の改革の趣旨の御賛同はいただけないんじゃないかと思います。
  163. 近藤正道

    ○近藤正道君 私は、官と民の今までの長い歴史を見ても、やっぱりいろんな条件が違うと。今大臣がおっしゃることはよく分かるけれども、こういう状況の中でも官がなおかつ独占、専らやる場合、民が専らやる場合がありますけれども、その真ん中に官と民が相互に乗り入れて競争する、ここが今回できると、このところについてはやっぱり新たな制度として生まれるわけですから、少し対等の条件ができるような努力をまずちゃんとして、制度設計をやって、それから始めるべきではないか、今まだそれがよくできていないんではないか、そういうことを申し上げているわけでございまして、話がかみ合わないで大変残念でございます。  山口副大臣にお尋ねをいたしますが、市場化テスト法第九条の三項の解釈につきまして、山口副大臣がこの間、何度も入札の資格、参加資格の件でいろいろおっしゃっておられます。必要最小限度のものにしたいということでございますが、その必要最小限度のものは分からぬわけではございませんけれども是非、ここのところがやっぱりポイントだと。おかしな業者とか身持ちのよくない業者、社会的規範にむとんちゃくな業者が入ってきて公共サービスがやっぱりおかしくなると困ると。事前と事後のチェックがあります。事後のチェックはいろいろ立入りやったり報告を求めたり、そういうことはあるけれども、やっぱり事前のチェック、この参加資格のところ、これを実施要項の中にやっぱりきちっとした歯止めとして入れないと困ると、こういう話は何度も出ておるわけでございます。  山口副大臣は、厳格な基準を作らないかという質問に対して、作らないという意味ではないけれども、意味ではございませんが、その思いは質問者と同じだということで、とにかくここでチェックを掛けたいということを何度も言っておられます。  そこで、しつこく聞いて大変恐縮でございますが、この実施要項、監理委員会が合意すれば実施要項にある程度の基準、規制とか縛り、ここを、こういうものを入れるということは可能なんだと。しかし、できるだけそこは簡単に入らぬようにしておきたいんだけれども、しかしここがやっぱり一つのチェックポイントだと。ここである程度の縛りを掛けるという思いは副大臣としてはお持ちなんでしょう、これは。お答えください。
  164. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) ちょっとくどく繰り返しになるかもしれませんけれども、全く思いは同じですが、この労働関係法令や社会保険の加入等の法令の遵守については、一義的にはそれぞれの関係法令に従って適切に対処されるべき問題と認識をしているわけであります。  この法案については、入札参加資格は公共サービスの適切かつ確実な実施を確保するために必要最小限のものとしなければならないと、これが法案九条三項でございます。この参加資格は、個々の公共サービスの具体的内容に応じまして、公共サービスの所管省庁が案を作成し、監理委員会の審議を経るという手続を得て、この実施要項において個別具体的に決定をされることと。したがいまして、法令の遵守等についても、こうした法の定める手続の中で、個別の公共サービスの内容等に応じ、当該公共サービスの質の確保を図る観点から、慎重に検討の上、必要かつ最小限と判断された場合に限られるという趣旨で、前回慎重に検討が必要と申し上げたところであります。  そして、法令の遵守等については、本法案の手続の中で、個別の公共サービスの内容等に応じ、対象公共サービスの質の確保を図る観点から、慎重に検討の上、必要最小限と判断された場合には、先ほど申しましたように、入札参加資格として実施要項で定める可能性を排除するものではないと考えられております。  ただし、既に申し上げたように、法令の遵守については一義的にはそれぞれの関係法令に従って適切に対処されるべき問題と認識しておりまして、ほぼ委員と共通でございます。
  165. 近藤正道

    ○近藤正道君 分かりました。そこはやっぱりこれからのポイントですんで、是非その実施要項の、ここが一つの歯止めになるわけでありますから、十分やっぱり事案に応じて必要な歯止めを是非入れていただきたい、強く申し上げておきたいと思います。  次に、競争に参加する民間業者の情報公開のことをお聞きしたいんですが、競争に参加する民間事業者には、私は、間接的にはもちろんのこと、ある程度直接的にも情報開示の義務を課すべきだと、こういうふうに思っております。民間事業者の情報開示は、国民が広く規制改革に関する情報を得て、オープンに議論する土台となるからでございます。これは、民間事業者に対して事前のチェックとともに事後のチェックもしっかりできるようにするためのものであって、私は大変重要なことだろうというふうに思っています。  その上で質問をいたしますが、地方自治体において市場化テストを実施する場合、地方自治体の独自の基準と判断で落札事業者に一定の情報開示の義務を課せる、これは法的には私は可能ではないか、こういうふうに思いますが、中馬大臣見解をお尋ねいたします。
  166. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) お答えいたします。  この法案に基づきまして、地方公共団体が官民競争入札等を行う場合、民間事業者が公共サービスを適正かつ確実に実施することを確保するための様々な措置を講じておりまして、その一環として先生御指摘の情報開示あります。民間事業者は、実施要項、十六条の二項第十一号なんでございますけれども、地方公共団体の長に対して公共サービスの実施状況の報告を定期的に行うことが求められております。これに加えまして、地方公共団体の長は、本法案二十八条に基づきまして、必要な場合には民間事業者に対しまして報告を求め、あるいは立入検査を行うこともできるわけでございます。  このような形で民間事業者から地方公共団体の長に対して報告された情報は、地方公共団体が定める情報公開条例等、地方公共団体の判断に基づき情報公開の対象となり得るものでございます。
  167. 近藤正道

    ○近藤正道君 前向きの御答弁いただきまして、ありがとうございました。  行革大臣に、中馬大臣にお尋ねをいたしますが、いよいよあしたが締め総ということでありまして審議は大詰めを迎えますが、実は先日、二十二日、住民が保育園の民営化の取消しを求めた裁判で、横浜地方裁判所は民営化は違法と、こういう判決を下しました。これは初めてのことでありますが、保育所の民営化で保育のサービスが低下したとして民営化の取消しや損害賠償を求める裁判が、今全国で四件係争中でございます。  衆議院では第三条の基本理念が修正されまして、公共のサービスの改革公共サービスによる利益を享受する国民の立場に立って行うと、こういう部分が入れられました。私はこれ自身はいいことだというふうに思っています。こういう国民の立場に立って民営化を判断しろという修正案が入ったその後、横浜地裁でこういう判決が出ました。  大臣、行革担当の担当大臣として、この判決の中から何を教訓として導き出されようとしているか、お伺いいたしたいと思います。
  168. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 女性の社会的進出、女性でなくてもその前から、これは保育所の待機児童が非常に多いんですね。そういうことから民間保育所の活用というのは私は非常に重要だと思っております。  お尋ねの判決の内容についてでございますが、詳細は承知しておりません。しかし、民営化自体を否定したものではありませんで、その進め方をめぐる判断だと、このように理解をいたしております。  いずれにしましても、保育所につきましては厚生労働省の所管でありまして、また本件につきましては横浜市が控訴を検討中であることから、これ以上私の方からコメントは差し控えたいと思います。
  169. 近藤正道

    ○近藤正道君 いや、私は、横浜の市の仕事であり、かつこの担当は厚労省であるということは百も承知の上で、かつ行革の民営化のことが最大の争点になっている担当大臣としてどういうふうな所見をお持ちですかという質問をしているのに、中身もよく分からない、所管じゃないから分からぬみたいな、こういう答弁はないんじゃないですか。  全くあれですか、中身読んでおられないんですか。考え方ぐらい、これは、この委員会でも保育園の民営化のことについて様々議論ありましたよ。そういうさなかで初の判決が出たわけですよ、地裁判決であっても。そのことについてきちっとしたやっぱりコメントを示して、しかもこれは保護者の立場からいろいろ問題だという形で論旨が展開されているわけですよ。  衆議院では、国民の立場に立って民営化はやっぱり進めなきゃならぬと、こういうことが書いてあるわけで、正に問題の核心をついた判決じゃないですか。それに対してどういう所見をお持ちなのか、聞いて答えられないということはないでしょう、それは。
  170. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) この事例について今お答えしましたが、一般論で申しますならば、先ほど申しましたように、これを今まで、何といいましょうか、官がやっておった仕事を民間に移す、民間に移した方がサービスが良くなり、そしてまた効率が良くなればそれはいいことでございますから。しかし、個々の事例において若干その手続等に問題があれば、やはりそれは問題でございますから、この点は今後こうした民営化を進める場合においても注意しなければいけない、気を付けなければいけない問題だとは十分認識いたしております。  しかし、先ほど申しましたように、役所が担っておった仕事だからもうずっと役所が責任持たぬといけないというんじゃなくて、役所は子供の保育や教育の問題はもちろん責任持ちます。しかし、それを実施するのは民間であってもいい。その民間がやる場合においても、それが正しく運営されているかどうか、本当に子供たちの安全も確保されているかといったことを監督するのは、もちろんこれは行政のあるいは政治の責任でもございます。
  171. 近藤正道

    ○近藤正道君 大変不満でありますが、時間がありませんので次に、最後の質問に移りたいと思います。  五月の十六日に鳥取県で公聴会をやりました。ここで片山知事が出てこられまして、キャリアの天下りに関して、天下り廃止が公務員制度改革の本丸だと、行革推進最大の処方せんだとまで言い切られました。私は大変感銘を受けたわけでありますが。そして、天下りを廃止するためのポイントとしてキャリアの年功序列の是正を挙げておられたわけでございます。ピラミッド型官僚組織の下での年功序列では必ずはみ出す人が出てくると。つまり、同期のトップが次官になればみんな辞めなきゃならぬ。こういう状況の下で、そうしたはみ出す人のために早期退職、天下りという制度が形成されたと、キャリアの年功序列がやっぱりその元にあると、こういうふうに片山知事は言っておられまして、キャリアの年功序列はやめるべきだと。差が付いたっていいじゃないか、次官になる人もいれば課長補佐で止まる人もいてもいいではないかと、こういう話をしておられました。そして、みんな定年、六十歳まで仕事をしてもらうべきだと。  こういうふうに言った後、片山知事は、自分もキャリア出身だけれども、天下り先があるから公務員になったのではないと。みんな最初は高い志を持っているけれども、こうした慣行があるから組織の中でみんな駄目にされてしまう、早くこの呪縛から解いてやらなければならない。しかし、官僚はそれはできない、これができるのはやっぱり政治だと、政治が決断すればすぐできると。自らの鳥取の経験を踏まえて、この年功序列、早期退職慣行、天下り慣行、これはやっぱり是正すべきだと、こういう持論を展開された。私は非常に感銘を受けました。  この間から竹中大臣にもこのことをお聞きしました。今一生懸命やっているというふうにおっしゃいましたけれども、改めて今のこの片山知事の、正にキャリア出身の片山知事の実践を踏まえたこの一つの確信、信念に基づいて、私は是非、この年功序列、早期退職慣行、天下りの慣行、これだけ弊害が出ているわけでありますので、是非早期にやっぱり廃止に向けて取り組んでいただきたい。決意をお伺いして、質問を終わります。どうぞ。
  172. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 時間が過ぎておりますから端的にお答えください。
  173. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 片山知事の御主張、私も承知をしております。正にそういう方向で、方向として我々も取り組んでいるつもりでございます。  早期退職慣行については、これは総理の指示もあり、それの是正に向けてもう動き出しております。また、年功序列人事を改めるためには能力実績主義が必要ですが、そのための試行を今年一月から始めております。  天下り全体についても、今公務員制度全体の在り方の中で中馬大臣を中心に検討をしております。これはもう内閣官房と私の方も連携をしながら強力に取り組んでまいる覚悟でございます。
  174. 近藤正道

    ○近藤正道君 終わります。
  175. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 国民新党の亀井郁夫でございます。  連日の審査で大変お疲れのようでございますが、大臣もう少し、私が最後ですから、ですからもうちょっと頑張ってください。何点かお尋ねしたいと思います。(発言する者あり)優しいのが特徴ですから。  それはそれとして、最初に、公共サービス改革法案について、いわゆる市場化テストでございますけれども、これについてお尋ねしたいと思います。  民でできるものは民でやれということで、小さな政府をつくっていこうということについては、基本的には官民競争入札ということで理解できるわけでございますけれども、しかし、いろいろと配慮すべき点もたくさんあるんではないかと思いますので、まずお尋ねしたいと思うんですけれども、特にこの前問題になった、偽装耐震事件でも問題になりましたけれども、指定確認検査機関のイーホームズが大変な問題を起こしたわけでございますけれども、これに例を引くまでもないことでございますから、これの実施については十分慎重にやっていく必要があると思います。そういう意味では、何でもかんでも民でやればいいと、民がすべてということではないわけでございますので、それについては十分御配慮願いたいと思います。  それで、諸外国でもそういう意味ではこういった市場化テストは実施されているというわけでございますけれども、他国における実例についてお話聞きたいと思います。特にまた、日本でこれらについては具体的にどういう事業をやろうとしているのか、類型的にでもお話ができればしていただければよろしいと思いますが、よろしくお願いします。
  176. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 市場化テストという形で今回、今までお役所がやっておった仕事を民間も手を挙げて競争入札をして、その結果、そちらの方がコストも、場合によってはサービスも良くなればこれはそちらに移すということでございますが、ただ、日本が考え付いたわけでも何でもなくて、諸外国でどんどんと今やっていることでございます。  諸外国の例もということでございますから申し上げますと、米国、英国、豪州、スウェーデン、様々なところでやっておりますが、一例では、アメリカにおきましては、ごみの収集、下水処理施設、公用車の車両管理、空港管理、IT関連業務等、これ幅広い分野で実施されていると承知いたしております。また、国防省においてもこの市場化テストをいろんな部門で実施をしていると聞いております。  また、イギリスにおきましては、庁舎清掃、ごみ収集、道路補修等の幅広い分野で実施されていると聞いております。特に現在では、現政権が重点的に課題としております医療ですとか、それから刑務所、これは私も見てまいりました。大変な、余り詳しくは申しませんが、大変な驚くような一つの形で、民間に任せた形で刑務所の運営をいたしております。こうした分野で市場化テストが活用されているとの実態でございます。  また、オーストラリアではITや給与計算業務等のバックオフィス業務、スウェーデンでは高齢者福祉の分野で市場化テストが実施されていると、このように聞いております。  以上です。
  177. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今お話ありましたように、いろいろな仕事の中には民になじむ仕事がたくさんあるんではないかと思うわけでございますけれども、そういう意味では、諸外国の例なども参考にしながら、いわゆる市場化テストになじむものから逐次やっていけばいいんじゃないかと思います。  そういう意味では、対象業種も、事業につきましてもよく選んでもらわなきゃいかぬと。例えば、年金の出納事業やら住民票の写しの交付など、そうした窓口業務が簡単に進むんではないかと思いますけど、そして機械的な業務が中心になるだろうと思いますけれども、そうした簡単な仕事については民に移して効率のいい政府を実現していくということについてはいいことだと思いますけれども、ただ問題は、公共サービスの中で最も難しいのは、文化芸術に関するものが大変だと思います。そういう意味では慎重に取り扱っていただきたいと思うわけであります。  文化芸術については一朝一夕にはなかなか分からないし、例えば入館者の数が多いからいいとか人気があればいいんだというような格好で、それが良質なサービスだというふうには一概には言えないんで、そればっかりやっていると後世に残すべきいいものが残らないということにもなるわけであります。そういう意味では、常に満員の劇場が良い質の公共サービスだと評価されたんでは歌舞伎や文楽なども人気のない演目はやらなくなりますから、廃れてしまうということになります。そういう意味では、美術館や博物館の扱いが非常に問題があるのではないかと思うんですけれども、そういう意味では、入館者の管理はなじむとしても、学芸員の担当している伝統文化、芸術の評価や存続に関する業務はなかなかなじまない、国の立場や公共の立場から担当すべきものだと私は考えるわけでございます。  そういう意味では、国立博物館や国立美術館などの伝統文化、芸術に関する独立行政法人に対する市場化テストの適用については、こうした芸術性を十分考えた上で慎重に対応すべきだと思いますが、中馬大臣はどのようにお考えでしょうか。
  178. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今回の市場化テスト法案でございますが、もう趣旨は十分お分かりいただいていると理解いたします。  この対象として、博物館や美術館でございますけれども、これも博物館そのものをぽんと民間に委託してしまうとか出してしまうということではないんですね。ちょっとそういう意味でいうと、誤解があるのかどうか知りませんが、そうした反対の署名もいただいております。  しかし、私どもが意図しておりますのはそうではなくて、丸々国立博物館をもう民間に運営を任すんだということではないわけで、もちろんそういう格好もあってもいいかもしれませんが、ともかくそういうことじゃなくて、一つの展示部門だとかいろんな部門で、ひとつそれの方が効率がいいとか、いろんなアイデアが出てくるといった形においては、私はそれは対象にしてもいいんじゃないかと、このように思っております。  ですから、御指摘の文化芸術分野につきましても、関係者と適切な協議など、本法案の規定する手続を通じて検討が進めてこられることになると思います。  ただ、一つの例だけ申し上げますと、自治体の方が割合このごろやっております。もう閑古鳥が鳴いて、ほとんど平日には人が来ないような博物館、美術館、いいものも集めているんですよ、このごろ。ところが、そういうことですが、これを民間に管理を任せますと、運営を任せますと、もういろんな事業をやったり展示を替えたり、そしてそこでコンサートをしてみたり、本当に市民のにぎわいの場になっているところもあるんですね。そういう事例もありますので、ただかたくなにこの博物館、美術館は駄目だというんじゃなくて、そうしたことも一つの検討対象に私はしていただきたいと、このように思っております。
  179. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 ただいまのお話のように、博物館や美術館についてはきめの細かい配慮をしてやっていくんだというふうなお話でございますけれども、そこでちょっと安心したわけでございますが、この公共サービス改革法案につきましては、御案内のように、衆議院でも附帯決議が付けられました。そして、国立大学法人や文化芸術や科学技術については、独立行政法人とは別途の国立大学法人制度を創設した趣旨、長期的な観点に立った対応の重要性などを踏まえ、それぞれの特性に配慮し、本法に規定する手続に従い、慎重かつ適切に対応することということが決議されたわけでございますけれども、この附帯決議は安易に採算性やら効率性の追求を危惧する、先ほど大臣もおっしゃった文化人の声やら、あるいは長期的、継続的研究の実施について懸念を抱いている研究者の声を反映したものでございまして、当然のことでございますけれども、こうした国民の各界各層の声を聞くことが必要ではないかと思うわけであります。そういう意味では、官民競争入札の実施に当たっては、特に対象業種の選定に関して、こうした点を踏まえまして関係者と協議し、合意も得た上で慎重に対応する必要があると思います。  そういう意味では、中馬大臣からのお話もそうでございましたが、今申し上げました衆議院での附帯決議の趣旨を尊重して、もちろん参議院でも附帯決議が付けられるんだと思いますけれども、慎重かつ適切に対応する旨、衆議院でもお答えになったわけでございますね。そういう意味では、政府としてはこうした附帯決議の内容、考え方について誠意を持って尊重されるということについて再度確認したいと存じますが、いかがでしょうか。
  180. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今も委員の方から文章までもお読みいただきましたから繰り返しませんが、さきの衆議院の、十九日でした、衆議院の行政改革に関する特別委員会で附帯決議をちょうだいいたしております。  この附帯決議の趣旨を十分に尊重して、今回のこの市場化テスト法案実施に当たりましての、これは一つの大きな、何といいましょうか、検討課題といいましょうかね、それを体して進めるということをお約束をする次第でございます。
  181. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。  市場化テストの実施について、やはりそれについて、その成否を決める最大のポイントは、何といいましても、公平中立の立場からこの市場化テストの対象事業を選定する第三者機関である官民競争入札等監理委員会であって、その委員の選定ではないかと思うわけであります。  この委員会が、単に財務や経理の専門家だったり、市場原理万能論者のみで固められるようなことがあっては、これうまくいかないんじゃないかと思うわけでありまして、各事業の特性が十分考慮される必要があるわけでございますが、それをもし考慮されないようになれば委員会信用と権威はなくなってしまうということになろうかと思います。  そういう意味では、官民競争入札等監理委員会には、文化芸術はもとより、教育研究、科学技術等に造詣の深い学識経験者を参加させてバランスのいいものにしなければならないと存じますけれども委員の選任について大臣はどのようにお考えでしょうか。
  182. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 競争導入による公共サービス改革、これの実施の過程につきましては、その透明性、中立性及び公正性、これを確保するためにこの監理委員会を置くことといたしております。  この監理委員会は、このような役割を果たすべく、広く様々な分野から優れた識見を有する者として内閣総理大臣による任命でございまして、十三人以内の委員によって組織されます。具体的には、委員の任命に当たりましては、監理委員会としての役割をしっかりと果たせるような、様々な分野から優れた識見を有する方々を委員に任命するということでございます。委員会の構成のバランスにも配慮して、幅広い分野の方々をこうしてまいりたいと思います。  委員が御指摘になりましたような文化芸術はもとより、そうした教育研究、科学技術に造詣の深い方という御指摘でございますが、そうした事ごと、それぞれの方々を並べるという意味じゃなくて、そういう事ごとにつきましても非常に理解のある、それこそ優れた国民的な立場で物事を判断していただける方々をその委員になっていただく、このことを検討しておるところでございます。
  183. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 是非とも、バランスの取れた委員会をつくっていただきたいと思います。  次に、公益法人制度改革についてお尋ねしたいと思います。  国の所管の公益法人は現在約七千ぐらいあるわけで、随分あるものでございますが、七千ぐらいあるわけでございますが、中には名前だけのと言っていいような公益法人もあるのではないかと思いますけれども、しかし、いずれにしてもそれぞれが様々な分野で活動を続けておるわけでございます。  そのうち、特に教育、科学技術、文化、スポーツ等の各分野における公益法人は千九百もありまして、三〇%近くを占めているわけでございます。その中には、例えば奨学金の給付事業を行っている法人は、様々な分野の学生に対して給付事業を行っており人材の育成に当たっているわけでございますし、また、研究の支援、助成を行っている法人では、また多様な基礎研究や最先端の研究等に助成を行っているということで、研究の振興発展に非常に重要な役割も果たしておるわけでございます。  そこで、今回の改革は明治の民法以来の抜本改革で、官から民へという流れの中での改革でありまして、公益法人の役割をこの改革を通じて一層後押ししていくというものでなければならないと思うわけでございます。  特に、新制度の中心的なポイントは、公益法人の活動について公益性を認定する公益認定等委員会が一番問題でございまして、この人たちがやはり引き続いて公益活動を続けていく必要があるわけでございますけれども教育、文化、スポーツ等に関し専門的な知識を有する、これも委員の選任が非常に重要ではないかと考えますけれども大臣はどのようにお考えでしょうか。
  184. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 明治二十九年以来、百十年経過いたしますが、その間に、社団法人、財団法人、これが一つの民の立場で公的な役割を担ってきたこと、それぞれの社会の隅々のことまで、あるいは文化、スポーツ、芸術等、いろいろなところで大変な活動をしてきたことは私たちも評価したいと思います。  ただ、一部に、この委員会でも若干御指摘されましたように、恣意的に主管官庁がつくってといったような、そうした批判も出てまいっております。そうしたことから、今回は、現在の主務官庁の裁量による縦割りではなくて統一的に判断する透明性の高い仕組み、これをつくることにいたしております。新たな制度におきましては、この趣旨を徹底して、専門的な知見を有する合議制の機関、官庁から外しまして、主務官庁から外して、合議制の機関の意見に基づいて公益認定を行うことと、このようにした次第でございます。  このために、国の合議制の機関である公益認定等委員会委員につきましては、先ほど申しましたように、人格が高潔で、委員会の権限に属する事項に関して公正な判断をすることができ、かつ、法律、会計、公益法人に係る活動に対しまして優れた識見を有する者ということが要件になっておりますが、もちろん、これは衆参の両院の同意をいただくことにいたしております。  そして、委員会の具体的な構成につきましては、これらの規定に基づきまして、今国会における御審議の中でいただいた、先生の御意見も含めて幅広く検討して人選をしてまいりたいと思います。  ただ、今言いましたように、特別の部門のどの方をということではなくて、そうしたことにも幅広く御理解と認識と、そしてまた判断ができる方を選ぶことにいたしております。
  185. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 立派な方を選んでもらって、できるだけバランスの取れた委員会の構成に努力していただきたいと思うわけであります。  公益法人関係の関係者の話によりますと、今回の大改正に伴って具体的な公益認定の基準が政省令にゆだねられてしまっている。そういうことで、具体的な公益認定基準が示されていないと、まだですね、今作業しているんだと思いますけれども。そういうことで、新しい制度では今までどおりの公益性が認定されるかどうかということで非常に不安に思っているという方が大勢おられるわけでございます。  例えば、公益社団法人及び公益財団法人の認定に関する法律案の第五条八項や第十五条では、公益認定の基準として公益目的事業比率が百分の五十以上となるようにすることが決められていると、そしてその具体的な認定方法は内閣府令で定めることになっているということですね。だから分からないわけですね。  そういうことで、青少年に対する体験活動事業やらスポーツ振興活動事業等はボランティア活動が非常に多いわけでございまして、ボランティアの人たちの協力によって支えられているわけでございますけども、ボランティアの場合には無報酬の場合がほとんどでございまして、そうすると、労務費がないわけでございますから、事業費としては計上されないということになります。そういう意味では、計算上は、公益事業を実施しながら、今の公益目的事業比率が相対的に低くなってしまうということが懸念されるわけでもございます。  そういう意味では、これは、こういった問題についてどのような配慮をされるのか、これについてお尋ねしたいと思います。
  186. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) お答えします。  御質問の公益目的事業の比率五〇%、この算定ですけれども、これに当たりましては、法人の事業活動が無償の労働力、いわゆるボランティアによって支えられている場合等につきましては、各法人の個別の事情を考慮する方向で検討しているところでございます。主として経費でカウントするわけですから、無償の場合にはこれ経費にカウントできないじゃないかということだと思いますが、そういうことでして、これはボランティアの場合も、そのボランティアの人件費相当額がカウントされて、そしてそうした形が公益に従事していただいているということであれば、もちろん公益認定に当たるわけでございます。  また、今お話がちょっとありました遊休財産額とかこういったことの規制は、公益目的事業等に使用しておらずに、かつ引き続き公益目的事業のために使用されることが見込まれない財産の過大な保有を制限するというものでございまして、御質問のように、公益目的事業のために留保されている財産であれば遊休資産ではないと考えられますが、個々の具体的な場合における判断はそれぞれの事実関係を基にケース・バイ・ケースで認定されると、このように考えております。  以上でございます。
  187. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今お話がありましたように、ボランティア活動では本当に無償でありますので、特にスポーツ関係なんかでは、私自身、広島で陸上競技協会の会長をしてますけども、駅伝をやるというと、府県対抗駅伝をやりますと四十七チームが走るんですけども、そのために四千人ぐらいボランティアの人を集めなければうまくできないという状況で、全部ただですからね。ですから、そういう意味でこうしたものに対する配慮は十分やっていただきたいと思うわけであります。  それから、今大臣からもお答えいただきましたが、遊休財産額の問題についてもお尋ねしようと思ったわけでございますけども、やはり団体が危機管理等のために基金に入れている金で、別に余裕があるわけじゃないわけですけども、そういうことで、こうした基金に対する配慮については、遊休財産だということでやらないで、これは除外する等特別な配慮をしていただくことが必要だと私は思うわけでございますけども是非とも、この公益法人の扱いについては、適正な活動ができるように是非ともよろしくお願いしたいと思います。  大臣の力強いお話を再度お願いしたいと思います。
  188. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今、それぞれの法人が持っている遊休財産のことについても言及がございましたけども、これもやはり一つの公益目的に使うためで、今後、一つのずっと基金を積んできたといったような場合には、それが遊休と認定するんじゃなくて、これを次のということで、もちろんそれは公益性ありということで私は当然認定していただけるものと思います。  いずれにしましても、これから新しく認定する、正に白紙の場合は別ですけども、そうした活動をしてこられた今御指摘のありましたような法人は、当然そうした認定委員会の方で、過去の実績を踏まえて公益性ありということで、ボランティアが多ければけしからぬということじゃなくて、そうしたこともちゃんとした公益性にカウントして認定していただく、そのような運営をしていただくものだと、このように確信いたしております。
  189. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今日、まだいろいろと、文科大臣をお呼びしようと思ったら、手違いでちょっとお呼びしてないもんですから、最後に一点、行革大臣教育の問題に絡んで御意見をちょうだいしたいと思います。  この今回の行革の対象にはいろいろな問題があるわけでございますけれども、特に私は日本の教育の問題について是非とも教育改革をやらなきゃいけないと思うんですけれども、特に、御案内のように、イギリスでは一九八八年にあのサッチャーさんが大変な教育改革をしたということで、イギリスの教育を大きく変えていったわけですね。今、政府が替わっても引き続いて教育改革がなされているというのが実態で、地方に任さないで国がやるんだということでやっておりますけれども、私は、いろいろな改革の中で教育改革が一番大事だと思うんですね。  そういうことを考えますと、イギリスの場合でもそうですけれども教育改革の一番中心は、評価という問題が一番大きかったわけですね。あそこは非常にひどい状況だったんですが、教育水準局をつくって、四千三百名から五百名の人たちで、学校が二万数千校、全部評価していって、そうして、しかもその中に、千二百校ぐらい教育困難校という格好で指定していき、一年たって二百校ぐらいは教育不能校として、回復不能校という格好で学校を廃止したということから、みんなこれは大変だということになったわけであります。  そういう意味では、日本の場合も教育については学校の評価というものをしっかり考えていかなきゃならないと思うんですね。人を減らさなきゃいけないという大きな役目が大臣にはあるんでしょうけれども、しかしそういう意味ではいろいろ考えてほしいと。特に、評価という問題を考えるときに、文科省には、古い、視察官が文部省には十名ぐらいおると、昔の、視学官ですね、視学官が十名ぐらいおってやっているようですけれども、ほとんど大した動きをしてないんで、そうしたことを思い切ってやるべきだと私は思うんですけれども、人手が要るわけですね。そういうことでなかなかできないのが文科省ですけれども、私は、行革大臣に、思い切って文科省のやる教育行政については、必要なものは要るんだということで、やはりやかましいことばっかり言わなきゃいかぬけれども、大事なことで、教育の問題については、やはり緩めるところは緩めて、しっかりやらすようにやっていただきたいと思うんですが、教育改革についての大臣のお考えを聞いて、終わりにしたいと思います。
  190. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 教育は、それこそ国の基本でございますし、教育在り方によって国が衰退したり、また繁栄したりもするわけでもございます。教育在り方、戦後六十年続いてきておりますが、その中でのいろいろな問題点や、また時代が変わってきて、その変革が求められているところもございます。今、それこそ教育基本法が審議をされておりますから、まずは皆様方の幅広い御議論もこれから踏まえなければいけないと思いますけれども、また一般国民も、ああした親殺し、子殺しがあったりする、その状況を非常に憂いておるようなこともございます。教育在り方、私たちは決して現状で、そのままでいいとは思っておりません。  改革をするにしましても、ただ人減らしをしたらいいという私たちの意図ではございません。教育も含めて、やはり効率化とか時代に合った形にしていく、そのための、もう時代が終わった部門だとか、あるいはもう民間に移してもいいものはもちろん、そうして例外なく、私はそうした効率化といいましょうか、時代に合わす形を取り組んでもらいたい、そういう意図が入っておりまして、また、今度、人口減少社会に入ってまいりました。その児童が減った分についての、これの当然その分は減らしていただいても結構ではないか、そういう意味も含めてはおりますけれども、しかし、数の問題ではなくて、私は教育は質だと思いますから、ただ数を減らしたからけしからぬというのではなくて、質を高めていく方策も併せてやることによって、日本のこの国の教育、これから新しい時代に入ってまいります。そのときの国民の意識改革も含めて、教育については十分に私は配慮していかなければいけない、このように考えております。
  191. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 ありがとうございます。大臣から教育は数じゃない、質だということで、十分な配慮をしていくんだというお話聞いて安心したわけでございますけれども教育について是非とも力強い御支援をちょうだいしますようお願いして、私の質問を終わらしていただきます。  どうもありがとうございました。
  192. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時九分散会