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2006-05-22 第164回国会 参議院 行政改革に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月二十二日(月曜日)    午前九時三十分開会     ─────────────    委員異動  五月十八日     辞任         補欠選任      前川 清成君     浅尾慶一郎君      水岡 俊一君     柳澤 光美君  五月十九日     辞任         補欠選任      鈴木  寛君     藤原 正司君      高嶋 良充君     尾立 源幸君      井上 哲士君     大門実紀史君      福島みずほ君     近藤 正道君  五月二十二日     辞任         補欠選任      藤原 正司君     鈴木  寛君      若林 秀樹君     小林 正夫君      大門実紀史君     吉川 春子君      近藤 正道君     渕上 貞雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         尾辻 秀久君     理 事                 佐藤 昭郎君                 藤野 公孝君                 保坂 三蔵君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 直嶋 正行君                 風間  昶君     委 員                 秋元  司君                 大野つや子君                 加治屋義人君                 川口 順子君                 小池 正勝君                 関口 昌一君                 中川 雅治君                 二之湯 智君                 野村 哲郎君                 南野知惠子君                 浅尾慶一郎君                 尾立 源幸君                 加藤 敏幸君                 神本美恵子君                 小林 正夫君                 主濱  了君                 内藤 正光君                 藤原 正司君                 柳澤 光美君                 若林 秀樹君                 澤  雄二君                 浜田 昌良君                 山下 栄一君                 吉川 春子君                 渕上 貞雄君                 荒井 広幸君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   小坂 憲次君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        ・男女共同参画        ))       猪口 邦子君        国務大臣     中馬 弘毅君    副大臣        内閣府副大臣   山口 泰明君         ─────        会計検査院長   大塚 宗春君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局特殊法人        等改革推進室長  大藤 俊行君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公務員制        度等改革推進室        長        上田 紘士君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公益法人        制度改革推進室        長        中藤  泉君        内閣府市場化テ        スト推進室長   河  幹夫君        内閣府政策統括        官        林  幹雄君        総務大臣官房総        括審議官     荒木 慶司君        総務大臣官房審        議官       岡崎 浩巳君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君        総務省行政管理        局長       藤井 昭夫君        総務省行政評価        局長       福井 良次君        財務大臣官房審        議官       佐々木豊成君        財務省主計局次        長        松元  崇君        文部科学省初等        中等教育局長   銭谷 眞美君        文部科学省高等        教育局長     石川  明君        環境大臣官房審        議官       桜井 康好君        環境省水・大気        環境局長     竹本 和彦君    参考人        成田国際空港株        式会社代表取締        役社長      黒野 匡彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○簡素で効率的な政府を実現するための行政改革  の推進に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○公益社団法人及び公益財団法人認定等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及  び公益社団法人及び公益財団法人認定等に関  する法律施行に伴う関係法律整備等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○競争導入による公共サービス改革に関する  法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいまから行政改革に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十九日までに、前川清成君、水岡俊一君、井上哲士君、福島みずほ君、高嶋良充君及び鈴木寛君が委員辞任され、その補欠として浅尾慶一郎君、柳澤光美君、大門実紀史君、近藤正道君、尾立源幸君及び藤原正司君が選任されました。  また、本日、近藤正道君及び大門実紀史君が委員辞任され、その補欠として渕上貞雄君及び吉川春子君が選任されました。     ─────────────
  3. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案外四案の審査のため、本日の委員会参考人として、理事会協議のとおり、成田国際空港株式会社代表取締役社長黒野匡彦君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律案一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び競争導入による公共サービス改革に関する法律案、以上五案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 尾立源幸

    尾立源幸君 おはようございます。民主党・新緑風会の尾立源幸でございます。  今日、たまたま我が党、我が会派から三名午前中質問させていただきますが、皆関西人ということで、中馬大臣谷垣大臣におかれましても関西人ということで、是非細かいやり取りをさせていただければと思っています。よろしくお願いいたします。  この行政改革推進法案というのは、正に小泉総理改革の総仕上げと言われているものでありますし、またその内容については、政策金融特別会計独立行政法人等々の見直し改革というのが多く盛り込まれております。私もいつも申し上げておりますが、一秒間にも、こうしている間に百万円の借金が増え続けておる。また、税金は安ければ安いほどいいという私のこの信念の下に、この法案に対して質疑をさせていただきたいと思います。  今申し上げましたように、いろんな改革が盛り込まれておるわけでございますが、ひとつ目を転じてみますと、公務員制度改革については人数と人件費という金額部分だけ取り上げられておりまして、私はちょっとこれでは十分ではないのではないかなと、そのようにまず思っております。そういった観点から質問をさせていただきたいと思います。  そしてまた、我が党は、衆議院、参議院、いろんな場面におきまして、公務員天下りの問題と、そこに流れ補助金委託金その他の契約等々によっていろんな税金を含めたお金流れておるわけですが、この点を指摘をしてきております。公務員天下り先確保のために税金が無駄に使われているのではないか、そういうことがあってはならない、そういうような思いでこの質問に臨んでいきたいと思います。  そしてまた、なぜこのような天下り税金流れが発生してしまうのかといいますと、一つには公務員早期退職勧奨制度、私はこれに原因があるのではないかと思っております。もう御承知のとおりだと思いますが、五十五歳ぐらいで肩たたきに遭い、その方々就職先、再就職先を確保するために組織一丸となってこの就職のあっせんをする、まあ言葉が過ぎるかもしれませんが、そのように私はとらえております。そして、その見返りとして、法人補助金業務委託を受けてその人件費を賄う、こういう構造ではないのかなというふうに私は常々思っております。だからこそ、この構造を正すことが公務員制度改革の最も大事な私は柱になってくるのではないかと、そのように思うわけでございます。  そこで、以下、独立行政法人国立病院機構、それと会計検査院を例を取りながら、この構造を明らかにさせていただきたいと思います。  私自身、三月三日の決算委員会でこの独立行政法人国立病院機構の問題を取り上げさせていただきました。またかと思われるかもしれませんが、私もこれは常々委員会等で言っておりますプラン・ドゥー・チェック・アクション、このPDCA、計画をして実行してチェックをして評価をする、このサイクルが私は一番大事だと思っておりますし、そういった意味で、まず私がそれを実践をしていく意味で、川崎厚生労働大臣中心質問をさせていただきたいと思います。  それでは、早速でございますが、川崎大臣、三日の決算委員会で私が指摘をさせていただいたときに、最後に大臣から力強い決意をいただきました。ここにちょっとパネルを用意させていただいておりますが、皆様のお手元では資料の一ページでございます。(資料提示)  この独法と、H・I社というふうに言っておりますが、もうこれは明らかになっておりますので保健医療ビジネスと申し上げます。この間の随意契約が常識を超えるほど多いという指摘をさせていただきまして、厚生労働大臣からは、この改革、私に任せてくれと、このようにおっしゃいましたので、それじゃどのように改革をしていただいたのか、まず御説明いただきたいと思います。
  7. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私としては、まずこの会社の例を挙げて随意契約問題を委員から御指摘いただいたと、このように理解をいたしております。今、内閣全体の課題として、また厚生労働省課題として随意契約すべてを見直す、そしてできるだけ一般競争入札に変えていくという方針の下でやらせていただいております。  御指摘いただいた後、独立行政法人理事長と私の関係というのはなかなか難しい面はありますけれども、すぐ呼びまして、国が今こういう見直しをしている、したがって国立病院機構におきましても理事長の権限ですべての見直しをしてほしいと、随意契約についてはすべて洗い直せという要請をいたしたところでございます。  御指摘いただいた件について、例えばの例で申し上げますと、駐車場管理、例えば二年間契約とか三年契約とかなっておる、既に契約が正直言って今後も続くものもあるだろうと、しかしながらそれも相手側には話をして見直しをしなさい、要は契約のやり直しという行為を今駐車場管理についてはさせていただいております。同じような問題が食堂院内売店問題にも当然出てまいるであろうと。  それから、もう一つ出ておりますエレベーターのメンテナンス問題、この問題につきましても、民間企業でも例えばエレベーターメーカーといいますと、三菱、東芝日立日本オーチスぐらいでしょうか、そこが取って、そしてその子会社がその後メンテナンスを引き受けると、つながっていくというケースが多い、安易にそういう方向が多いわけですけれども、それについても何とかオープンな形で見直しをしていくという形でやれないかということで、これも指示さしていただいております。  したがって、全体的には今御指摘いただいた問題、そしてその他の問題について、この夏までに全体方針を決めて、随意契約でやっているものの中で一般競争でできるものはすべて変更するということで、今国立病院機構理事長中心に頑張ってもらっていると、このように考えております。
  8. 尾立源幸

    尾立源幸君 ありがとうございます。  それでは、今の過程ではまだ見直しの途上というふうに考えてよろしいんでしょうか。まだ大臣としても十分であるという確証をお持ちいただいているわけではないということでしょうか。ちょっと質問通告がございませんが、どうなんでしょうか。もう一度はっきりさせていただきたいと思います。
  9. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今申し上げたように、全体の見直しでございますから、個別の御指摘いただいた駐車場食堂エレベーターというものについてはもう入っています。しかし、その他も見直せと言っておりますので、七月を目途に競争による契約の徹底を図るための見直し、それもホームページで公開をしながらやっていくということで鋭意進んでおると、こういうふうに理解しております。
  10. 尾立源幸

    尾立源幸君 ありがとうございます。  それでは、私なりに、資料二に入っております、見直しについてというこのペーパーを基に少し議論をさせていただきたいと思います。  そこで、その際、お手元資料三、四も参考にしていただければと思いますが、まず駐車場管理、この表でも書いてありますが、九〇%近いシェアを取っておった。これに対して一般競争入札を行うということで、これは一歩私は前進だと思っております。しかし、他の例でございまして、実はほかのところで聞きましたら、一般競争入札を実施したけれども、参加業者が一社であったことから、結局はその一社と契約してしまったというようなこともおっしゃっている病院もございますので、これで必ずしも一般競争がきちっとなされるというふうにはまず思わないでいただきたいと思いますし。  その次に、食堂売店、これはこの見直しについてでは、一般競争又は公募型プロポーザル方式等競争による契約手続きを実施すると書いてありますが、この公募型プロポーザル方式等というのはいわゆる総合評価方式でございまして、実は、この三ページ目見ていただけますか、食堂売店保健医療が二四・七%のシェアを持っていると。右の端に平成十六年度でどんな金額でどれだけの件数をやったかということが書いてあります。二億何千万ということで、合計二百八十件、一般競争六件、総合評価百八十九、随意契約八十五。  実は、もうこの時点平成十六年に総合評価方式というのは導入しておるわけでございます。ですから、何もこれは別に新たに今見直しの結果導入されたものではなく、あるものをもう一度言っているだけでございますので、余り私、これは実効性はないのではないかと、そのように思います。  そしてまた、エレベーター保守点検、今おっしゃいましたオープンカウンター方式を採用するんだ。難しい言葉でございますが、要は、これは相見積りを取るということでございます。これも、四ページ目見ていただけますでしょうか。この一般競争随意契約エレベーター保守でございますが、随意契約百六十一件、これは実はオープンカウンター方式がこの中に実は含まれておるわけでございます。  そういった意味で、この私、見直し案というのは恐らく病院国立病院機構の方から出てきたペーパーであって、大臣が細かにこれについてコメントされたわけではないと思っております。そういった意味で、まだまだ主体性を大臣の方に発揮をしていただかなければ、これでは私は不十分だと思っております。そういった意味で、まさかこれでもう、先ほど申し上げた三つですか、駐車場エレベーター食堂売店改革は終わりだというふうに私思っていただいては困ると思うわけでございます。  そういう意味で、大臣もう一度、運営費交付金五百億、更に設備補助金で百七十億近くお金を出している厚生労働大臣として、もう一度決意を聞かせてください。
  11. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 要は、今回の結果として、目標とするところは良質なサービスが提供され、かつ価格が下がること、この二つであろうと思います。質が落ちてしまったということでは逆に病院に来られる方々に迷惑が掛かりますから、質を担保しながら価格が下がること、私は、そういう意味では結論として価格がきちっと下がるというのは私なりにチェックをさせていただきたいと、こう思います。
  12. 尾立源幸

    尾立源幸君 また、再び私、これまたチェックをさせていただきますので、是非取組をしっかりやっていただきたいと思います。  それで、ちょっとまたおかしいことがございまして、売店食堂経営について少し過去のことを振り返らさせていただきたいと思います。  実は、この売店食堂経営委託先として、保健医療ビジネスは、実は独法化以前、平成十五年四月一日時点で三十九病院契約をしておりました。しかしながら、不思議なことが起こるものでございまして、独立行政法人化された平成十六年四月一日時点では七十病院に増えているんですね。つまり、独法化によって、三十九だった保健医療ビジネスとの契約が七十に増えた。  私、行革の目玉としてこの独法化というのが推進されてきていると思うんですが、しかしながら、効率化効率化という中で、正に今大臣がおっしゃいました総合評価方式、これによって業者を募集することでこのような不思議な現象になってきたわけでございます。正に、行革をやった結果、天下り先企業が受注を増やすということが起こってしまっているわけでございます。  大臣、なぜこんなことが起こったのか、お分かりになりますでしょうか。
  13. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 駐車場の話は全体の見直しが進んでいると申し上げました。食堂院内については競争契約が百九十三、随意契約が八十三、したがって百九十三全体の見直しであろうと。その中で、保健医療ビジネスが六十四件競争契約で取っているということも事実だろうと思います。そういった意味では、天下り天下り外は別として、いいサービスと安い価格を提供するということで競争で取ったということになれば、これは私どもから注文を付ける問題でないだろうと。  しかしながら、全体的にどうなるかということもございますので、それは先ほど申し上げたように質と価格という面で最終チェックはさせていただきたいと、こう思っております。
  14. 尾立源幸

    尾立源幸君 今、七十と契約していると申し上げましたが、その中に競争で確かに取られたものもあると思いますが、実はそのほとんどが総合評価方式、先ほど申し上げました公募型プロポーザル方式と、これでやっているわけです。  実はこれの欠点は、申し上げますと、選考過程や結果が明らかにならないんです、我々にとって。ですから、なぜ最終的にこの業者に決めたのだという結論が我々には見えないことになっております。  大臣、それに対していかがですか。
  15. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 委員がお調べいただいて、経過が分からずに結果として、競争入札したように見えてしてないという御指摘があれば、私の方からも理事長とゆっくり話してみましょう。しかし、今全体的に見直ししていますから、一つ結論を得たときに、先ほども言いました、質の問題と価格が本当に下がっているかという問題も含めて見直しを再度させる場合もあるというふうにお答えさせていただきます。
  16. 尾立源幸

    尾立源幸君 是非大臣として理事長にお会いになる際にはこの総合評価方式の中身をじっくり聞いていただいて、ああ、これなら本当に先ほどおっしゃいました価格サービス、十分なものが得られるということであれば続けていただいて結構でございます。その辺は私、大臣にお任せいたしますので、是非話合いをしていただきたいと思います。  それともう一つ、またこれ細かい話でございますが、お配りした資料三ページ、四ページ目に、今申し上げました駐車場売店食堂経営エレベーター保守以外に自動販売機設置カード式テレビ設置さらには人材派遣、特に自動販売機カード式テレビ設置はこれまたシェアトップでございます。シェアトップというのは悪いという意味ではございませんが、まあトップだということでございます。そして、人材派遣についても業界最大手のニチイ学館に次いで二番手ということになっております。  こういう流れを見てまいりますと、どうも私、これ不自然に思えるんですが、川崎厚生労働大臣はどんな御感想をお持ちでしょうか、このシェア等々について。
  17. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、自動販売機ということになると多分食堂との関連が深いんだろう、院内売店との関連が深いんだろう、ある意味ではセットに近い形で入っているんだろうと。そういう意味では、食堂が多いから多いんだという結論にはなっておるんだと思いますけれども、そこも先ほど申し上げた、これはもう私もその業界で生きてきた人間ですから、極めて競争の激しい業界でございますから、安いところから仕入れるべきところは安いところから仕入れると、こうした方がいいだろうと。  人材派遣については、これもだんだん業界間の競争が激しくなってきておりますので、これは特定の会社でなければ供給できないということはないと思いますので、しっかり一般競争入札にしていけばそれなりの結果は出てくるだろうと、こう思っております。
  18. 尾立源幸

    尾立源幸君 それと、今、経営形態というかサービスごとに分類をさせていただいて、保健医療ビジネスがこういうシェアですよとか、こういう契約で仕事を受注していますよというお話をさせていただきましたが、もう一つ地域別のちょっと偏在というのがありましたので、これも議論をさせていただきたいと思います。  お手元資料の五ページ目、実はこれはエレベーター保守点検委託状況でございますが、何と、これエレベーター設備の一覧の中で一部を取り出したものなんですが、保健医療ビジネスが受注しているエレベーターのある病院先がずっと書いてありますが、この網掛け部分、これ実は全部九州なんです。ほかの業者、例えば日立東芝、そういったところは一社も入っていないんです。しかし一方、九州以外の地域を見るとほとんど、この十件ぐらいを除くと、ほとんどそういったエレベーターメーカーといいますか又はそのサービス会社がやっています。  何で九州だけにこの保健医療ビジネスは存在しているんでしょうね、特化しているんですか。例えば東芝がないとか日立がない、そういう話だと私分かるんですが、何ででしょうね、川崎労働大臣
  19. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ビジネス的に考えますと、ある程度人数を集約化、三百六十五日、二十四時間体制を取らなきゃならないわけですから、いつ止まるか分からぬ。したがって、そういった意味では拠点をつくる。拠点をつくれば二十人、三十人の者を常駐させていかなきゃならぬ。したがって、それが商売的に食っていくためには多少安値受注でもきちっとやっていくというのがビジネス的な社会だろうと。  したがって、この話ではなくて、全体としては、ある地域にこの電機メーカーが強くてある地域にこの電機メーカーが強いという部分は出ることは、これは間違いなく出てくる。先ほどから申し上げて、私もこういう分野の専門家です。ただ、違う事情によってそういうことが生じているならそれは直さなきゃならぬ、こう思っております。
  20. 尾立源幸

    尾立源幸君 さすが経営者といいますか、お仕事をされているだけあって、価格という話が出ました。選択と集中によって九州に特化しているんだというお話でございます。  それでは、資料の六ページを見ていただきたいと思います。  実は、これはある病院、実在する九州病院でございまして、しかも保健医療ビジネスが今受注をしている病院でございますが、その実例で私は調べさせていただきました。そうすると、現在の保健医療ビジネスに払っている委託料というのが三百二十八万八千円です。その内訳というのは、下に書いてございますが、別館病棟二つに本館病棟三つというふうに書いてあります。  それで、他の業者の見積りを私取ってみたんです。商売人ではございませんが、一般人として取ってみました。そうすると、二百六十二万四千円という値段が出てくるわけでございます。別にこの会社九州専門の会社ではございませんが。そういう意味で、私、価格とおっしゃいました、二割ぐらい実は他の業者の方がこの実例でも分かるように安くなるわけでございます。ですから、何か不自然な私はほかの要因があるのではないかなと、このように疑ってしまうわけでございます。  そして、もう一点、不思議なことがございます。先ほど売店は結構多いですよと言いましたが、例えばこれもB病院、これも実在している病院でございますが、現在の年間家賃、つまり保健医療ビジネスから国立病院機構に払っている賃貸料は年間六十七万円。ここは実は大体病床で五百床ございます。そうすると、大体年間一千五百万程度の売上げがあるというふうに、これは専門業者が見積もっております。そうすると、民間業者の場合は、その賃料というのは一〇%というふうに大体相場が決まっておるそうです。そうすると、民間病院の場合は、売店が入る場合、百五十万円、年間賃料を払わなきゃいけないと、こういうことになっておるわけでございます。逆に言うと、非常に有利な条件で保健医療ビジネスにこの場所を提供しているのではないかと、このように私は思うわけでございます。  大臣、どのようにお考えでしょうか。
  21. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 資料を見させていただいて、こういうことが実態ならば当然直さなければならない。九州の地区での業者の見積りを取られたのか、また民間病院もどういう民間病院を想定したのか、しっかりした資料、私も分かりませんので、またいろんな意味で教えていただければ有り難い。私どもも、今申し上げたように、見直しをさせている最中でございますので、役立つ情報があればどうぞお寄せください。
  22. 尾立源幸

    尾立源幸君 私が申し上げたいのは、網をばあっと大きく掛けるのも大事です、こういうのも、行革推進法案のように。しかしながら、民間会社でやっている無駄取りといいますかね、一つ一つの業務の見直しによって、私は、この例でも分かるように、二割ぐらいはあっという間にコストダウンや収益アップが図れるわけでございます。ですから、是非、運営形態、発注方法を見直すことでそういった国のお金独法流れるのを少しでも少なくするように努力いただきたいと、そのことを申し上げたいと思います。  そしてもう一点、これは今事件になっておることですので余り答えられない部分も多いかと思いますが、実は国立病院機構京都医療センターの前事務部長さんが看護師宿舎の共益費等を横領したとされる事件で、前事務部長は保健医療ビジネス近畿支店に虚偽の内容の書類を用意するよう指示したと報道されております。これは三月三十日朝日新聞。さらに、この前事務部長が財団法人がん研究振興財団からの助成金二百万円を水増し請求していたと報じられています。この水増し請求についても保健医療ビジネス近畿支店が関与したと言われています。これも四月十七日読売新聞でございます。  これは捜査中のことですのでなかなか大臣としてもコメントできないかと思いますが、私は、万が一この報道が事実で、保健医療ビジネスが公金横領の手助けをしていたとあれば、私はこれは大変問題じゃないかと思いますし、ましてや、そういったところが国立病院機構の一番の業務の外注先、ある意味では受注先であるというならば、私はこれは大変な問題だと思いますが、大臣、どのように思われますか。
  23. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、大阪の国立病院機構における職員の不祥事問題、厚生労働大臣として国民の皆さん方には誠に申し訳ないと思っております。  一方で、私の方から、現場の責任者であります院長それから理事長に、国民に対してしっかり説明をするようにと、できるだけ記者会見をしながらこの問題の結果というものについて厳正な対応をしなきゃならぬと、こういう指示をいたしたところでございます。  この職員の逮捕、起訴の容疑、今のところ看護師宿舎の共益費の業務上横領ということでございますけれども、捜査の進むに従ってもう少し詳細が明確になってくるだろうと、厳正な対応をしなきゃならぬと、このように思っております。また、他の地域でこのようなことがないよう、チェックをしっかりしなきゃならぬと、このように思っております。  それから、今ありました一部報道に出ておりました問題についても、例えば保健医療ビジネスでなくても、他の者がそのようなことにかんだとすれば指名停止にはなる、当然指名停止になると、一方で国立病院機構全体としては契約見直しがずっと進むと、したがって、一定期間指名停止になりますので、結果論としては仕事から外れていくという形になるだろうと思っております。そこは、事実関係をしっかり調べながら厳正に対応するということだけ申し上げておきます。
  24. 尾立源幸

    尾立源幸君 捜査の結果を見て、是非、厳正に対応していただきたいと思いますし、付け加えておきますと、この前事務部長の部下である前企画課長は御承知のとおり自殺をされております、この件で。そういった意味で、人の命も巻き込んだ汚職事件になっておるわけでございますから、これをほうっておかないで、是非真剣にこの天下り先企業との関係をこの際正していっていただきたいと、そのように思います。  それと、もう一つ追加で御質問をさせていただきます。  この事件でございますが、実はその背景に水増し請求という話がございました。これは、やはり水増し請求、企業と企業の間で頼むのはこれ大変なことです、御承知のとおり。こんなことをしたら、今コンプライアンスということで立ち所に引っ掛かってしまいまして市場から追放されてしまうのは言うまでもございませんが、なぜこの保健医療ビジネスがこういうことに手をかしたのかという話でございますが、これは私、こういうふうに思うわけです。保健医療ビジネス、OBの集まりでございます。やはり、昔の仲間でございますし、他の第三者に頼むより頼みやすい、こういうことが私は根底にあるのではないかと思っておるわけでございます。  そこで、保健医療ビジネスの本社に行ってきました。資料七ページ。これは渋谷区の恵比寿にある保健医療ビジネスの本社でございますが、看板見ていただけますか、真ん中。上は大学の看板で、下は居酒屋の看板でございます。その間、真ん中ですね、ここに(株)保健医療ビジネスというのが出ております。その隣に、これ何て書いてあるかというと、四六会事務局と。厚生労働大臣、この四六会って御存じでしょうか。
  25. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 次の資料を今初めて見ましたので、こういう内容であるということしか知りません。初めて見ました。
  26. 尾立源幸

    尾立源幸君 答えを見られてしまったので、申し訳ありません。  四六会とは、国立病院OBのうち、事務職で課長さん以上の方たちのOBの集まりなんです。それで、なぜかこちらに四六会の名簿がございます。これがコピーでございますが、私、持っておりますが、これをいろいろめくらせていただきますと、資料八ページ、まあ川崎厚生労働大臣もう見ていただきましたが、実はOBの皆さんがこういうところに天下りをしているといいますか、何というんですかね、再就職をしているということがちゃんと書いてあるわけでございます。何かずっとこう見ますと、ほとんど国立病院関係のありそうなところばかりに私は見えてしまうわけでございますが、もし大臣、私、大臣から約束していただけるならば、つまりこの国立病院機構とこの天下り先との経済的なやり取りがどれだけあるか、業務の発注や補助金等あるのか、調べていただけるんでしたら、私、この名簿、大臣にお渡ししてもいいと思っておるんです。いかがですか。
  27. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 御指摘いただいたような、OBがこのような形で入って看板まで掛けてあるというのは私もよく分からぬ話でありますけれども、まあいずれにせよ、保健医療ビジネスの問題、ずっと国会でも御審議いただいて、私も、この会社が悪いとは決め付けておりませんけれども、種々の問題があるということで、きちっとしなさいと言った経過もございます。そこへ四六会の事務局と看板も立っている以上、私の方で調べます。
  28. 尾立源幸

    尾立源幸君 ついでに申し上げますと、ここの住所に、何とかビル四階、株式会社保健医療ビジネス内って書いてありますからね。まあ一体なものでございますので、よく調べてください。調べが足りないようでしたら、また私の方で調べさせていただきます。  このようにいろいろ見てまいりますと、私が申し上げたいことは、癒着構造を正さないとなかなかコストダウンというのは図れないんですよということなんです、要は。  例えば、平成十八年度予算、財務大臣、よく聞いておいていただきたいんですが、業務経費と施設整備費ですね、合計は、この独法、七千五百二十六億八千九百万円。もし、この一〇%のコストダウンを、こういう無駄取りというか契約見直し等々についてやりますと、一〇%できたとすると何と七百五十二億節約できるわけです。これは、五百億の運営費交付金、更に百七十六億の施設整備補助金、こういったものが国から一切出さなくてもよくなるんです。  谷垣大臣、いいネタをお出ししたんですが、いかがでしょうか、ちょっと通告ございませんが。
  29. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今申し上げたようなところもきちっと今後、各独法で、まずこの独法と我々の関係というのは、先ほど厚生大臣もおっしゃいましたように微妙なところがございますから、まず独法で基本的に汗をかいて努力していただく必要があると思いますが、私どももよくその辺は見て、無駄なものを少しでもきちっと使えるようにしていきたいと思っております。
  30. 尾立源幸

    尾立源幸君 正に、独法と国との関係というのは非常に微妙だとおっしゃいましたが、正に私もそう思っております。この独法化によって、逆に国の指導ができなくなったんじゃないかというちょっと危惧をしております。  といいますのも、厚生労働省国立病院機構管理室の担当者の方とお話をする中で、国立病院機構の役員は民間人であると、このようにおっしゃっております。そうであるならば、国が七百億近い運営費交付金等々を出しておきながら、この独法は民間機関であるということに私はなってしまうんじゃないかなと思うんですね。それではなかなか国のガバナンスが利かないと私は思います。そうして一方、じゃその経営者の人たちにはどんな責任があるかというと、年で一%とか二%とか、この大変低い目標値を掲げて、これさえクリアすれば経営責任は基本的には財務面から申し上げますと達成しているというふうに評価されます。  そしてもう一つ総務大臣来ていただいておりますが、独法評価委員会がございます。ここも事後的にチェックするということになっておりますが、これも従前から指摘しておりますように、対象機関から金をもらっている評価委員もいると、こんなんで本当に厳正な評価ができるのかということを私は申し上げておるわけでございます。  そういう意味で、この百四十六の病院等を持つ国立病院機構というのは日本最大の医療チェーンでございます。私自身も大変なこれは利権が、私も商売やっておりましたから、利権が、ビジネスのチャンスですね、が私はあると、このように思っております。  そういった意味で、事後的なもので結構ですので、もう少し竹中大臣、ガバナンス大臣としてどのようにこの独立行政法人をコントロールをしていくのか、少しアイデアを含めて感想、決意を述べていただけませんでしょうか。
  31. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今私もやり取りを聞かせていただいておりましたが、個別の問題はちょっと私は関与する、知る立場にはございませんが、独立行政法人の制度そのものをしっかりと運用していくことは、これはもう極めて重要であると思っております。  それ以前ですね、いわゆるこの制度がなかった時代、特殊法人についていろんな問題が指摘されました。これは、やはり主務大臣の関与を最小限にしていかなければいけない、そして自主的、自律的にやってもらうことが重要なんだと、だからこそ中期的な目標を設定して事後評価をするんだと、それが正に独立行政法人一つのねらいであったと思います。そうした中で、情報公開と透明性を確保することによって、関与最小限の下でしっかりとやっていくと。  その意味では、今ガバナンスという御指摘がございましたですけれども、そのガバナンスを発揮してもらうためにも、まず各府省の評価委員会がしっかりと評価しなければいけない、そして二次評価として総務省で、その政策評価独立行政法人評価委員会がありますので、そこでしっかりと評価をしなければいけないと思っております。  これは、正に私は、制度はそれなりに動き始めたところだというふうに思っておりまして、見直し前、平成十六年、十七年度末に中期目標期間が終了する五十六法人を四十二法人に整理統合しました。そして、四十二法人中三十八法人が非公務員型になりました。これも今申し上げた評価委員会のその意味での評価の結果であると思っております。そういう点を実績として踏まえて、さらに私としても、この独立行政法人の本来の機能を発揮してもらうために、自由度は保ちながら、しかししっかりと事後評価をすると、その制度そのものをしっかりと運用していきたいと考えております。
  32. 尾立源幸

    尾立源幸君 大臣、自主性を与えられたという話をされましたが、そうだと思いますが、しかしやりたい放題を与えたわけではないんですよね。しっかりその辺はコントロールしていただきたいと思いますし、形を変えればいいというものではございません、公務員を非公務員にするじゃ。私はどうしても実質を、実を取りたいものでございますので、やはり国から出ていくお金をどれだけそれによって削減できるか、財政再建に寄与できるかという観点も是非総務大臣も見ていただきたいと思います。形変えて出ていくお金は同じだったら何の意味もございませんから、是非よろしくお願いしますし、私はこれもう別に無理なことを言っているつもりはございません。実際、私、こうやってやればできるという確信の下に申し上げているわけでございますから、やる気になれば何ぼでもできる。ただ、失礼ですが、独法の皆さんも含めてなかなかやる気がない。この辺は是非リーダーシップを大臣厚生労働大臣頼みます、総務大臣も頼みます、行革大臣も頼みます、財務大臣も頼みます、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、少し視点を変えまして、会計検査院のお話をさせていただきたいと思います。  私、会計検査院に対して大変強い期待も持っておりますし、また税金の無駄遣いを防止していくという意味で、我々国会と一丸となって日々御苦労いただいていると敬意を表したいと思います。そういった意味で、エールを送る意味ででも質問をさせていただきたいと思います。  まず、四月の十七日、これも決算委員会でございますが、会計検査院の一千万円以上の契約に占める随意契約の割合が八割にこれまた達していると。厚生労働大臣会計検査院も八割なんで、安心してくださいとは言いませんが、似たようなものです。  それで、こういうことを指摘させていただきました。その後、会計検査院からも資料をいただき、調べた結果、実は随契が八割だけでなく、やはり天下り先に随契で業務を発注していたことも分かりました。それが資料の九ページ目でございます。発注先は、財団法人公会計研究協会というこの財団法人でございます。八人の非常勤の理事がいますが、そのうち六名が元事務総長を含む会計検査院OB、さらに職員八名中六名も会計検査院OBでございます。  それで、もう少し深く見させていただきたいのは、資料十ページを見ていただけますか。どういう業務を会計検査院がこの財団に発注しているかといいますと、大きく分けて三つございます。一つは、新聞等の切り抜きと担当部署への配付。もう一つ、検査出張の手配、まあ旅行代理店みたいなことでしょうかね。三番目、情報公開窓口の対応など、これを随契で発注しておったということでございます。平成十七年度で約四千五百万、そしてこれまで業務開始からさかのぼりますと約六億になります。  そこで、会計検査院長、今日は来ておられないんですか。あっ、来ておられます。済みません、ありがとうございます。  これらの業務というのは、会計検査院の業務についての知識、経験が必要という随契理由でこの業務発注がなされておるわけでございますが、新聞の切り抜きや出張の手配、窓口の対応など、私自身は他の業者でもできるんじゃないかと思うわけでございますが、院長、どのようにお感じでしょうか。
  33. 大塚宗春

    会計検査院長大塚宗春君) 今委員指摘のように、会計検査院の財団法人の公会計研究協会との契約については三つの業務をお願いしているわけですけれども、最初の検査情報収集・整理業務ということにつきまして、これは基本的には地方紙などから本院の検査に役立つ情報を収集いたしまして、その内容を整理して関係する検査課に情報、資料を配付すると、こういう業務なんですけれども、基本的に必要な情報をどの課、どの検査課がどういう情報を必要としているかということについての言ってみれば知識といいましょうか、そういう認識が十分あるということが非常に重要であると、こんなふうに考えているわけです。  それから二つ目の、検査出張に係る支援補助業務ですけれども、これは会計実地検査を円滑に実施するため出張者の宿泊施設の選択、確保等を適切かつスムーズに行うために行っているものでありまして、正に出張は無駄なく行うということについて、ある程度出張の内容等についてよく知っている者であればベターであるということであります。  それから三点目は、情報公開・個人情報保護窓口補助等業務ですけれども、これは行政文書及び保有個人情報の開示請求される方に対して初期対応など情報公開制度を円滑に行うための業務でありまして、特にこれは、当初こういった情報公開制度が入ったときに、どういった情報に対して請求があるかということについて、やはり懸念等いろいろとありましたので、そういったものについて、検査院の内容について十分造詣のある人に、ところにお願いした方がいいと、こんなふうに考えたというふうに聞いております。
  34. 尾立源幸

    尾立源幸君 院長、ちょっと皆さんから笑いも漏れておりますけれども、例えば出張の手配、例えば参議院議員と言われる我々が出張行くこともございますが、それが元参議院議員でなければできないということはないと思います。そういうことも含めて、平成十八年度で見直しをしていただいておりますよね、今年は。多分、そういうふうにおっしゃっておりましたけれども、ちょっとそうでもないかなと思われたんだと思います。  それで、平成十八年度では一般競争入札の予定というふうに御回答いただいておりますし、新聞の切り抜きも一般競争の予定、データ入力も一般競争の予定、さらに情報公開窓口補助業務はもう業務委託を実施しないと、こういうふうに素早い対応をしていただいておりますので、これは評価をしたいと思いますが、しかしながら、この十ページの表の一番右、平成十八年度見直し一般競争百五十七万の下、記事情報の検証、テーマ別分析という、また随契で追加されているんですよね。せっかく一般競争でやろうと言われるのに、また仕事を増やすというふうに私は見えてならないわけでございます。  それともう一つ、新聞のクリッピングサービスというもので、会計検査院にしかできないんだと、OBにしかできないんだということで、その漏れた、一般の業者ができなかったという例をこれお持ちいただいたんですが、十一ページ目です。  これですね、「地産スギでぬくもり」と読めばよいんでしょうか。ちょっと私、済みません。「大野 和泉小・中校舎が完成」と。この記事が一般のクリッピング業者だと抜けておったというか、そういうことでございますが、私、これ指示の仕方であって、こんなの公立学校ですから国のお金が入っているなんてこれだれでも分かるんじゃないですか、公立学校に。その記事のクリッピングを忘れてしまうというのは、私、ちょっと考えられないわけでございますが、これは会計検査院の仕事の出し方、注文、発注の仕方に私は問題があったんじゃないかと思いますが、会計検査院長、どのようにお考えでしょうか。
  35. 大塚宗春

    会計検査院長大塚宗春君) 特に、情報の収集等については、やはりキーワードというものを言ってみれば相手に、それが出して、それを言ってみれば中心に拾ってもらうというやり方になってくるわけですけれども、ただ、それだけですと非常に、キーワードの出し方によって余りにも少なくしか出てこないとか余りにも多くなってしまうということで、できるだけ多く出すような形でキーワードを出して、その中から、さらに今度は会計検査院が必要としている、各課はどういう情報を必要としているかということを言ってみれば分析することが、それが言ってみればある程度ノウハウが必要になってくるわけですね。そういった形でやっておりますので、必要になってくるということになるかと思いますけれども。
  36. 尾立源幸

    尾立源幸君 ちょっとよく分からない御答弁なんですけれども。皆さん御承知のとおり、小中学校というのは国や地方公共団体が責任を持ってやっているわけでございます、公立は。これは、公金が入っているというのは分かりますよねという話でございますが、なぜこの記事が抜けてしまう、クリッピング業者の検索から抜けてしまう。それは別に特殊なことじゃなくて、検査院さんがこういうものはちゃんと拾ってくださいねと言っておけばいいだけの話じゃないんですかというお話なんですけれども、どうですか。
  37. 大塚宗春

    会計検査院長大塚宗春君) 今申し上げましたように、これを拾うということになりますと、それは一つの重要なキーワードであるかと思いますけれども、余りにもこういうふうに上がってくるものが十万、二十万というようなものが上がってくるような、言ってみればキーワードの出し方も困るわけですね。  ですから、この言ってみればキーワードが一体どういったもの、検査院としてどの程度言ってみればポイントになるキーワードかどうかということに懸かってくるんだろうと思います。
  38. 尾立源幸

    尾立源幸君 いろいろおっしゃっておりますけれども、要は、最終的にはこれ一般競争入札でやるというふうにおっしゃっているんで、普通の業者にでも指示の仕方をきちっとしておけばできるんではないかという結論を検査院の方でもいただいたものと私も了解しておりますので、業務の見直しというものを不断にやっていただきたいと、このようなお願いでございます。  それともう一点、この公会計研究協会というのは、会計検査院職員の団体生命保険料の集金、送金などの保険取扱業務、また平成十七年度では廃止されましたが、会計検査院職員の互助年金の運営なども行われていたと聞いております。  前回の質疑でも申し上げましたけれども、各省庁の無駄遣いを是正、指摘しなければならない会計検査院自体が天下り先にだれでもできるような仕事の発注を行うというのは、私は厳に慎んでいただきたいなと思います。何度も申し上げましたが、皆さんが規範でございますし、ベストプラクティスの代表なわけでございますから、皆さんが直さない限りなかなか、厚生労働大臣だって、会計検査院だってやっているじゃないかと、こういうふうに言いたい気持ちになるわけでございますから、是非その辺は襟を正していただきたいと思います。  それでは、もう一つ私、これは提言でございます。会計検査院、大変、私、ノウハウを持った皆さんがいらっしゃると思いますので、そういうOBの方をこういうクリッピングサービスとか旅行の手配業に携わらせるようなことは私はさせてはならないと思っておるんです。これは国家の損失ぐらいに私は思っております。ですから、冒頭申し上げましたように、早期退職勧奨制度というものを是非見直しをしていただいて、その先輩方のベテランの方のノウハウというのをもっともっと生かせるようにしていただきたいと私は思うわけでございます。そのためにちゃんとした予算が必要なんだったら、要求していただければ私はいいと思います。  財務大臣、どうでしょうか、私の考えにお答えを。
  39. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは必要なものは付けなきゃいけないわけでございまして、そこはきちっと要求していただいて、我々もきちっと査定するということだろうと思います。
  40. 尾立源幸

    尾立源幸君 財務大臣もそのようにおっしゃっていただいているわけですから、是非人的資源の有効活用というものを考えていただきたい。これはまた新たに検査院長に就任していただいた大塚院長だからこそまたできる発想だと思いますし、是非そのように使っていただきたいと思います。  院長、御見解お聞きいたしたいと思います。
  41. 大塚宗春

    会計検査院長大塚宗春君) 私は常々、会計検査院の調査官の仕事というのは、いわゆる財務検査と業績検査という非常に特殊な言ってみれば検査の能力を養っておるということで、こういった会計検査院で培った能力というものを十分活用できるような、こういう言ってみれば体制が欲しいということを常に考えております。
  42. 尾立源幸

    尾立源幸君 また、その在り方については参議院の仲間とともに一緒に考えていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、もう一つ、最後のページになりますが、十二ページ目、今日は資料多くて申し訳ございませんが、十二ページ、これは実は新たに指摘しなけりゃいけないことは、十五名の会計検査院OBが検査対象先に再就職しているということが明らかになりました。さらに、この中には、再就職先会計検査院の検査に立ち会ったことがある方もいらっしゃいます。  会計検査院OBが検査に立ち会う、検査に関連した連絡調整を行う、あいさつに顔を出すなどということは、私は検査官の心理的な中立性を私は非常に害するのではないかと、このように思うわけでございます。私も監査をやった経験ございますが、やっぱり先輩が相手企業にいてよろしくと言うと、まあよろしくになってしまう部分もなきにしもあらずなわけでございます。そういうことは私はないと思いますけれども、こういうプレッシャーを感じさせるような、また外形的な独立性を疑わせるような行為というのは私は厳に慎むべきだと思いますが、今後、ここに書いてございます十五の天下り先の中、今日は新東京国際空港公団、今では成田国際空港株会社になっておりますが、社長様にわざわざ来ていただいておりますが、今後どのように対応されるのか、御見解をお聞きしたいと思います。
  43. 黒野匡彦

    参考人黒野匡彦君) まず、誤解を避けるために申し上げておきますが、私ども、検査院出身者の方を一名迎えております。これは何も検査院番ということではなくて、内部監査のための知識、経験豊富な方を是非その能力を発揮していただきたいという形でお迎えをいたしております。会社になりまして、特にコンプライアンス問題、非常に大事でありますから、この点についてこれからも私ども力を注いでいきたいと思っております。無論、我々だけでできると、もう要らないよとなったときにはお断りしますけれども、今の段階ではまだまだお力をかりなければいけないと思っております。  ただ、その際に、いわゆる実地検査と我々言っておりますけれども、これが言わば会計検査の一番大事なポイントでございますが、これにつきましては一切同席させないということは、これは厳にやっているつもりでございます。ただ、実地検査の後、例えばこういう資料があるかとか追加説明にいらっしゃいと、そういういろんな連絡調整ございますから、その際にはついつい、まあ本人には申し訳ありませんけれども、便利に使ってきたことがあるということはこれは認めます。その過程で、検査院に出向いて説明をするときにたまたま横に同席するということは、これは気を付けているつもりでありますけれども、あったと思います。  ただ、これは先生御指摘のとおり、決して望ましいことではございませんから、これからは厳に注意をいたしたいと、かように考えているところでございます。
  44. 尾立源幸

    尾立源幸君 ありがとうございます。是非そのようにやっていただきたいと思います。  それでは、お待たせしていました中馬大臣に、今までのやり取りを聞いていただきまして、独立行政法人国立病院機構、さらには会計検査院の例をちょっと細かいぐらい御披露させていただいたわけでございますが、このように、非常に公金というものがいろんな形で天下り先に流れているということはお分かりになっていただいたかと思います。その結果、民業圧迫、ある意味ではやっている部分もございます。昨日ですかね、大商、大阪商工会議所、小泉さんになって規制緩和進んで良くなったと九割ぐらいの方がそのように会員さん答えられておりましたけれども、しかしながらまだまだこういう部分はあるわけでございます。  中馬大臣、金銭的に大変敏感な大阪出身の行革大臣として、この今回の行革推進法案で今指摘したような税金の無駄遣いが本当に正されていくのか、御見解をお聞きしたいと思います。
  45. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 尾立委員、かなり細部にわたって、現在のこの官僚機構と申しましょうか、日本の統治機構の中にありますそうした、私たちの貴重な税金が横に流れていくといった、そういう制度的な欠陥のことも具体的に御指摘いただきました。  明治以来、一つの、日本が近代化する中で、また戦後焼け野原からこうして立ち直っていく過程において、かなり私たちはそうした公共的な仕事を官に任せた、官に依頼した、その傾向があったわけでございます。その結果、こうした形で、その中からそうしたお互いに仲間内で少し税金を回しますといったようなことまでも行われておったことが事実でございまして、今回、そのことの抜本的なことに一つの大きな制度的な改革を始めたわけでございます。今まで官が一つの認定をしておりましたこの公益法人等も、これも登録だけすれば、もう官から離れた形で第三者機関がしっかりと公益性のあるかないか、法人をつくることはもうある意味じゃ自由だ、そういう意味じゃ主務官庁から離れてしまうわけですね。そのほか、市場化テストで民間に渡してしまう、こういったことから官の関与を非常に減らしてくる、そして民間に任す、自主的にやってもらう、その代わり責任持ってもらう、この形になり始めているわけでございまして、このことをひとつ今回の制度改革の中で御理解をちょうだいいたしたいと思います。  そして、今の直接お話がございました随意契約の問題につきましては、総理も答弁しておられますように、この委員会の審議、これを尊重しつつ、与党の質問でも野党の質問でも指摘があったことは、いいことは正していけという具体的な御指示までもいただいております。  また、天下りの問題につきましては、この法律の第六十三条におきまして、退職管理の適正化につきましてできるだけ早期にその具体化のために必要な措置を講ずると、このように規定をいたしております。これはかなり幅広い大きな改革を伴うものでございますから、この法案の中で具体的にはしておりませんが、六十三条でそのことをはっきりと私たち国民に義務付けた形になっております。  そういうことを踏まえまして、今検討を始めておりますが、御指摘のようなことも含めて、そうした税金が無駄に流れることがないようにこの制度設計をしてまいりたいと思います。よろしくお願いします。
  46. 尾立源幸

    尾立源幸君 今御答弁いただいたように、天下りの必要がなくなるような私は公務員制度改革をやっていかなければ、この構造は直らないものだと思っております。そういった意味で、この行革推進法案の中に一部あるとおっしゃっておりますが、実は早期退職勧奨を見直すという方針は従来から政府出しております。その実績をお伺いしたいと思います。
  47. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 総理も国会で御答弁されましたように、公務員が志を持って行政に専念して、できるだけ長い間活力を持って勤務していただく。これ、公務員のためでありますし、そして天下りの基本的な要因をなくしていくということにもなります。総理の御指示に基づきまして、現在、幹部職員の勧奨退職年齢を平成十五年から十九年にかけて段階的に、五年間の間に三歳以上引き上げることを基本方針として取り組んでおります。  で、毎年のこの公表データによりますと、Ⅰ種勧奨退職者、十四年度は二百九十九人いました。平成十七年度は二百五十九人になっておりますが、平均勧奨退職年齢については一年半程度上昇したところでございます。三年引き上げるというところの半分程度ですね、上昇したところでございますので、引き続いてこの慣行の是正に政府一体となって取り組んでいきたいと思っております。
  48. 尾立源幸

    尾立源幸君 半分程度ということでございますが、是非公務員の定員や人件費だけの見直しで終わらず、天下りを抜本的に解決するような、そのような法案を用意をしていただき、我々も用意しております、どうか国会に提出をしていただきたい。決意を最後にお伺いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  49. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 国家公務員の早期退職慣行、これが天下り問題の一因との批判があることは真摯に受け止めております。  総理も何度もおっしゃいましたように、こうした公務員制度の改革、これがこれからの課題でございます。六十三条にも規定されておるところでございますが、公務員制度の改革につきましてはできるだけ早く検討を進めなければならない、公務員人事の在り方全体に関する問題がございますので拙速であってはいけないとの認識を持っておりますが、職員や職員団体との協議や国民の声などを踏まえまして、まずはしっかりとした検討を進めていくことが重要だと、このように考えております。法律につきましても、これはそれがまとまり次第、法案政府としても出させていただきます。
  50. 尾立源幸

    尾立源幸君 ありがとうございます。
  51. 藤原正司

    藤原正司君 民主党の藤原でございます。  谷垣大臣には初めて質問をさしていただきますが、私も関西の出身でございまして、私、神戸に住まいしておりますが、大阪を拠点にして長い間関西で仕事をしておりました。で、京都から谷垣議員が出られたと。まあどっちかというと今の自民党とは違う上品な感じの若手の議員が出られたなと、そういう感じで見ておりました。ところが、若手だなと言っている間に、ちょうど谷垣さんと私とは一歳違いでして、ちょうど私、還暦を迎えまして、ということは谷垣大臣は還暦プラス一と、こういう状況で、もうそんなに若くもないのかなと。最近、何か重大な決意をされたようで、是非頑張っていただきたいと思うわけでございます。  もう一つは、谷垣大臣は福知山の御出身で、郷里が福知山。この前のNHKのテレビ見ておりますと、福知山というのは実は明智光秀が地名も福知山と名付けたと、あるいはもちろんお城も造ったということで、福知山にとって明智光秀というのは非常に重要な方であると。  番組の中では織田信長と対比した形で生き様をやっておったんですけれども、その後、何か視聴者の方のアンケートを取ると、明智光秀の生き様の方が非常に賛成が多いと。おれはあちらに共感すると、こういうのが多くて、これまで明智光秀というと主人を殺したというイメージばかりが強いのに、そうではないんだと、こういう形の番組であったというふうに思うんですが、大臣はこの郷里の、何といいますか、有名人といいますか、武将明智光秀についてどういう思いをお持ちでしょうか。
  52. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 藤原委員から、世代も、とり年といぬ年の違いはあるけれども、同世代のエールをいただきましてありがとうございます。  私の地元の郷土の偉人、明智光秀のお尋ねでございますが、実は委員の前に質問された尾立委員も同じ福知山の御出身でございまして、ともに明智光秀を尊敬しているわけでございますが、明智光秀という方は、今もお話しのように、城も築かれただけではありませんで、大変民生に意を用いられた方であったというふうに私は理解しております。  私の町は大変水害の多いところでございますが、今も明智やぶというのがございまして、明智光秀がやはり水害に備えるためにいろいろ竹を植えたりいろんなことをしながら町の治水に心掛けられた等々、戦国から平和な時代に移っていく過程の中にあってやはり民生を安定させることに全力を傾けられた、私どもはそういう思いが強いわけでございまして、したがいまして、明智光秀が非業の死を遂げられましても町の中心にある神社に祭りまして、今もお祭りを続けているということでございます。
  53. 藤原正司

    藤原正司君 関西出身懇談会はこれで終わらせていただきまして、私は公益法人制度についてお尋ねをしたいと思います。  私は、今回の公益法人制度の見直しというのは、十分ではないけれども、それなりに評価できる見直しじゃないかなというふうにまず思っております。  それは、国、地方を合わせて財政的にも大変厳しいということがありますし、昨年から始まった少子高齢化を伴う人口減少社会、労働力が急減していくという中にあって、やっぱり公の仕事は官がするんだというんではなくて、これから積極的に民というものの役割を期待していこうと、こういう基本的な考え方があって、そういう考え方に基づいて制度の見直しをされようとしていると。  一つは、今までは公益の仕事は官が許した部分だけに限ってやらすと、公の仕事はもう本来官の仕事、官がやるんだというところから積極的に民にやらすと。そのためには、法人設立についても非常に容易に準則主義に基づいて簡単に法人設立ができるようにするということ、あるいは公益の認定に当たっても、今までは主務官庁が許可し監督をしておったというものについて、できるだけ民という観点から第三者による認定委員会に基づいて判断をしていこうと、こういうことなどは私はこれまでの役所的発想からいえばかなり清水の舞台から飛び降りるほどの思い切った判断ではないかなという意味評価をしているわけであります。  しかし、残念ながら、この制度に関しては税制が付いてきていないわけです。これまで衆議院委員会でいろいろ質疑がされているんですけれども、それでもなお、税金は何でこの場に出てこないんですかということの疑問がぬぐえません。  結局、もし税制を完全に、理論的に完全に別ですよと言ってしまえば、今回の制度改定は法人設立に関することだけになってしまう、一般の非営利法人をつくることを容易にしますよという法律だけに終わってしまう。あえて二階をつくり、そして厳しい目で公益というものを判断していくということに対して税制は後からですよということであれば、この二階の評価そのものが理論的にはできなくなってしまうというふうに思うわけでございます。  結局、特にこの公益法人というのは、仕組み、制度と税とが極めて相互性が強い。それぞれ単独に判断できないだけに、今回、税が後回しになったことについて、これは財務大臣も、そして総務大臣についてもお伺いしたいと思います。
  54. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今回の公益法人改革に関する委員の視点と申しますか、私も全く同感でございまして、やはり民間の担う公益といいますか、そういうのをもう少し充実させていかなければいけないと。私は時代の流れだろうと思っております。  私個人としても一つ思いがございまして、やはり憲法の歴史を勉強しましたときに、結社の自由というのは近代国家をつくるときに物すごく意味のあるものとして議論されながら、その後の例えば公益法人というのを見ますと、言わば国家の下請みたいな色彩が随分あると。本当にそれでいいのかというのが学生から社会人になったとき以来の問題意識でございまして、今回のような改革というのはもう一度、何というんでしょうか、結社の自由というものにみずみずしい息吹を持たせようという流れともなるのじゃないかと。個人的な思いでございますが、そういう思いがございます。  したがいまして、財務省としてももちろん、個人を超えて、財務大臣としてもこういう制度改革の意義を踏まえて、寄附金税制の一層の充実と申しますか、そういう方向で制度設計をしなければならないというふうに思っているわけでございますし、委員が今御指摘されたように、それがなければこの公益法人改革の意義というものも十分に発揮できないことになるだろうというふうにも思っております。  ただ、なぜ先送りになっているのか、今度一緒に出さないのかということになりますと、あくまでそこに、寄附金税制を更に充実させていくということになると、それが公益目的のために使われるという担保がしっかりしているかどうかということがありませんと、当然税に対しておかしな使い方という批判が出てくるわけでございますので、私どもはこの法律で、もちろん基本線はできるわけでございますが、詳細設計というのはこれからあるわけでございますので、それと十分連携を取りながら、税の上の制度設計もしていきたいと考えているわけでございます。
  55. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 地方税を担当する立場から、基本的には今財務大臣がもうお答えになったとおりだと思っております。  藤原委員指摘の点、二点について私も全く同じ思いを持っております。  まず、日本語はよくできておりまして、公私という言葉と官民という言葉はちゃんと違う対になっているわけであります。公的なことを官ではなくて民ができる制度をしっかりとつくる、そのことの意義はやっぱり大変大きいと思います。そして第二点として、その際に税制が極めて重要であるという思いも非常に強く私も持っております。その意味では、この税制ですね、やはり私としても担当としてしっかりこれから議論していく覚悟でおります。  ただ、今財務大臣から申し上げましたように、それに至っては、税体系全体の整合性とか、やはり踏まえなければいけない技術的な観点もあろうかと思っております。そうした観点から順序立てて改革を進めて、新制度の施行平成二十年度中までに是非着実な税制面での対応を図りたいというふうに考えているところでございます。
  56. 藤原正司

    藤原正司君 まあおっしゃればそういうことなんでしょうが、それでもなお衆議院の論議を読ませていただきますと、結局何だというところになるとあいまいなものにならざるを得ないんですね。  例えば、政府税調の答申というのは一体どういう扱いになるのか。時によっては政府税調の答申がうまく使われ、時にはそれは変わるんですよと。そうすると、税の基本って何ですかという部分が、率直に言って、小さい部分は別にしても、基本部分がはっきりしないとこの制度の評価がなかなかしづらいということを、また後からつないでいきたいと思いますが、では、いつ税制は明らかになるんでしょうか、税制は。
  57. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今総務大臣が御答弁になりましたけれども、実際、この制度、新しい新制度が動いていくときには税をきちっとそれに合わせて新しい制度をスタートしなければならないんだろうと考えておりまして、それに合わせて制度設計を進めていこうと考えております。
  58. 藤原正司

    藤原正司君 動いていくときというのは、例えば政府税調はまあ恐らくスケジュール的に考えると、税調としての考え方が出され、最終的にね、そして法として整備されていくということになるんでしょうけれども、それは、この制度全体の施行は二十年の十月ごろというふうに想定されておると。その場合に税制というのはいつになるんですか、いつごろになるんですか。
  59. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今おっしゃったように、二十年度中にこの新しい公益法人制度が動くわけですね。そういたしますと、それをやりますのはまあ今年、十八年の暮れやるか十九年にやるかということになってくると思いますので、その辺はこれからの制度設計を見ながら詰めていきたいと思っております。
  60. 藤原正司

    藤原正司君 後でまた論議さしてもらいたいですけれども、この制度は百年来の大改革でございます。しかも、国、都道府県所管合わすと二万六千という現在でも公益法人があるわけでして、今後どうなっていくのか、それにどう対応していくのかと、極めて重要な関心事でありますし、それへの準備も大変重要であります。それだけに、いや、もう施行まで、何か衆議院の論議を聞いておりますと施行までに間に合えばいいみたいな論議もちょっとあったように聞いておりますけれども、それはちょっと問題だと。とにかくきちっと早く詰めてもらいたいと。いや来年か、いや再来年かみたいなことを言わないで、是非早く税制側を詰めていただきたいというふうに思うわけですが、もう一度お願いします。
  61. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私たちもできるだけ早くやりたいと思っておりますが、幾つかやはり詰めなければならない点がございます。特に、公益性の認定というものが独立の機関で行われるわけでありますけれども、その公益性の認定がどういう仕組みで行われていくのかという辺りも制度設計がある程度出てきませんと私どももなかなか判断がしにくいということがございまして、そちらの議論とかみ合わせてスケジュールを考えていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  62. 藤原正司

    藤原正司君 公益性の認定と税の判断というのはまた別だということについても、また後から論議させていただきたいというふうに思いますが。  先ほど言いましたように、まだ税は制度の後だということになる。その場合に、先ほども話しましたように、政府税調がまとめをされて、そしてまあ基本的にはそれをベースにこれまでの論議がなされてきているというふうに思うわけですが、ちょっとこれからの論議をしていくに当たって政府税調の基本的な考え方、これは今後踏襲されて法的な対応等がなされるというふうに理解した上でこれから論議していってよろしいでしょうか。
  63. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) やはり、先ほどからの御議論のように、この問題を考えるとき、税というものが大事でございますから、税の方向感が全然ない中で議論をしていただくと、なかなか出てくる結論もうまくいかないということでございましょうから、政府税調、昨年六月に基本的考え方というのをお示ししまして、そういう議論の整理のためでもあったわけでございます。  基本的に、もちろん、最終的にどう決まるか、最後は税制は国会で議論をしていただくわけでございますから、それまでいろんなプロセスはもちろんございますけれども、基本的に政府税調の基本的考え方ですか、これを踏まえて議論を進めるということでございます。
  64. 藤原正司

    藤原正司君 では、そういうことで進めさしていただきたい。  もちろん、政府税調のまとめの中にも、結論が出ていないものも検討課題として残されているものもありますから、すべて政府税調の考え方にのっとってということにはならない部分もかなりあるわけでありますが、一応その基本を踏まえて論議をさしていただきたいというふうに思います。  そこで、一つは極めて共益性の高い法人、これについてですけれども、共益性だけでは現在の出されている制度の考え方では二階法人に行くことはできない。これは一階法人、すなわち一般の非営利法人ということになっていくわけです、二階は公益性ですからね。その場合に、この共益性の極めて高い法人に対する会費の税の取扱い、これについても政府税調の考え方が出ておるわけですが、この共益性の極めて高い法人に対して、今後ですと、一階法人に対して、これを会費収入については当然非課税にすべきだというふうに思いますが、これについてはいかがでしょうか。
  65. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 一階法人と申しますか、一般社団法人といいますか、これにつきましては、同窓会みたいなもの、これが共益性が極めて高い、そういうようなものから、実質的に営利法人と変わらない活動をするようなものまでいろんなものが考えられると思うんですね。  それで、そのすべてについて課税を同じにするというのは現実的ではない、合理的ではないというふうに考えておりまして、昨年六月に政府税調の基本的考え方では、その残余財産の帰属の態様、それから事業の性格、それから活動の実態、こういうものに応じて課税関係がつくられるべきものだとしておりますが、基本的にその考え方で進めたいと思っております。  いずれにせよ、税制全般について、公益法人制度のこの具体的な進捗を見ながら進めていきたいということでございます。
  66. 藤原正司

    藤原正司君 では次に、寄附金の問題についてお尋ねしたいわけです。  これから寄附文化といいますか、それを醸成していくというのは極めて大事なことであろうというふうに思っております。それは、一番最初の質問のときにも申し上げましたように、これから公の仕事といいますか、社会的ないろんな仕事をやっていくときに、これはもうそういうサービスは官がするんだと言っておったんじゃ、銭もない、やる人もいない。結局、銭でだれかを雇ってそういうサービスをしようとしても、銭がないところへもってきて、だれを雇うんだと、労働力人口が減少していくのにどうするんだと。結局、活動できる人が社会参加をどんどんやっていく、その一つの拠点としての法人というものがあるというふうに思いますし、その源泉としての税制、寄附に対する税の取扱いというのは非常に重要な問題ではないかというふうに思っておるわけでございますけれども。  現在は特定公益増進法人制度ということで特別の、絞り絞って、これは税務当局が絞られた判断ではありますが、九百法人ほどが特別の取扱いを受けているということになっているわけでありますけれども、私は正直言うと、二階法人に対する寄附金というのはもうすべて優遇すべきではないかというふうに思っているわけです。  すなわち、これからは二階法人のやる仕事は極めて公益性が高いんだということを第三者がわざわざ認定して、しかも、そんなに稼いじゃ駄目ですよということまで法律の中で書いておいて、そのやったことに対してもう一度税務署の方がチェックしますよと、これは特定公益増進制度かどうかと、こういうことに今後もなるんでしょうか。
  67. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、寄附金文化を醸成せよということで御議論がございまして、私たちも、基本的にその方向は進めなければならないと思っております。  それで、従来のこの寄附金税制に対してもいろんな御意見がございますが、方向としては、例えば、認定特定非営利活動法人制度で認定要件、この平成十八年度改正でも緩和を図ったとか、あるいは所得税の寄附金控除額の限度額を二五%相当額から三〇%まで引き上げた、これは昨年でございますが、それから所得税の寄附金控除の適用下限額を一万円から五千円に引き下げる、これは今年でございますが、寄附金税制の改革を進めてまいりました。  それで、今度の改革の中で、私どもは、やはり第三者による公益性の認定というものを基本として物事を考えていくべきだというふうに思っております。  そこで、今おっしゃった二階法人の課税方式でございますが、現在の三十四条の公益法人については三十三の収益事業に課税するということにしているわけでございますが、これは、これまで各省の長の自由な裁量の下で公益法人が許可をされていたと。それで、本来事業として同窓会のような共益的な、先ほど御議論がありましたけれども、性格が濃い活動を行うもの、あるいは実質的に営利法人と変わらない……
  68. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  69. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 速記入れてください。
  70. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今の委員の御質問は、二階建て法人については基本的に収益事業について課税するという方法ではない方法でやれという御趣旨ですよね。
  71. 藤原正司

    藤原正司君 寄附金の問題と収益事業の問題、ちょっと二つ言ってしまったので。取りあえず寄附金税制については、これは、今答弁があったように、これから充実していく方向でやっていくということですね。  それと、総務大臣、これは政府税調の中でも、都道府県の税制についても寄附金について前向きに検討するようにというたしか答えがあったというふうに思うんですが、そういう面も含めて、総務大臣としてのお考えをお聞きしたい。
  72. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) まず、寄附税制全体の姿勢に関して申し上げますと、これはもう、私も寄附文化の育成のためにこの税制、極めて重要だと思っております。  実は、半年前までは例の特定NPO法人を担当する大臣としてそのことを財務大臣に要求することをずっとやってまいりました。いろんな制約の中で、できたこと、できなかったことありますが、その方向は是非私自身も貫きたいと思っております。  総務大臣として申し上げると、これ、住民税、つまり地方税には地方税なりの性格がございますから、そういった意味での整合性はしっかりと取らなけりゃいけない、こういう技術的な問題はあろうかと思います。  しかし、いずれにしましても、税改革の方向としては、国税の扱い等々とのバランスももちろんありますが、やはりこれは財務大臣もおっしゃったように、寄附文化をはぐくんでいけるようなしっかりとした寄附税制の方向を目指したい、そういう強い思いを持っております。
  73. 藤原正司

    藤原正司君 今私質問したのは寄附をもらう方の話。では、寄附をする方の側、これに対する税制について、今、竹中大臣も一部お触れになりましたが、税制全般で財務大臣の方はいかがでしょうか。
  74. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 基本的考え方で、まず第三者機関できちっと認定を、公益性を認定していただくと。その認定を、基本的に私どもは公益性の判断を尊重するということが基本だというふうに考えております。
  75. 藤原正司

    藤原正司君 今の竹中大臣の中にも一部ございましたし、衆議院の答弁でもございました。  この中で特に竹中大臣が言われているのは、税の中立性という問題と資源配分という問題を言われていて、余り寄附税制に踏み込みし過ぎるとこの中立性の問題とか資源配分をゆがめることになるという発言があるわけです、衆議院側で。  私は、これはせっかく公の仕事を官から民へということの中で、ちょっと違うんじゃないかというふうに思うわけであります。すなわち、その背景には、発言の背景には、税金をどう取るか、それをどう配分するかは我々の縄張の話なんだと、仮に寄附をした人を税制優遇をするということは、我々の縄張に手を突っ込んで自分らの権限をバイパスしてしまって、税金を、寄附をする人が自分の判断で税の使い道を決めてしまうことになる、そんなことを許してたまるかということが背景にあるのかどうか。  もう一つ。ゆがめる、ゆがめないといったって、その寄附なんというのは税収全体から見たらわずかな話、象とアリ程度の話で、アリがどうなったからといって全体がゆがむとかゆがまないとかいう話になるのかどうか、ちょっとこの辺についてお尋ねしたい。
  76. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと私の答弁手元にありませんので、今委員から御指摘をいただいた範囲ででございますけれども、私は基本的には一般論として申し上げたというふうに認識をしております。  先ほど申し上げましたように、私自身は寄附の認定の損金算入の範囲、認定の範囲を広げてくれという立場をずっと政府内では主張する立場でございましたので、そういう意味では、そういう判断を政府がしてはいけないのだと、正に民間の多様な価値判断に任せるところに寄附税制の拡大の大きな意味があると、正に公益のためのこういう制度をつくること自体がそのような立場に立っているというふうに認識をしております。したがって、間違っても、そのような配分を政府だけが行うのであって民間にやらせてはいかぬとか、そんなことはもうみじんも思っておりません。  それと、一般論として中立であるべきだと、それで資源配分をゆがめてはいけないと、そこは一般論としては是非お認めいただけるところだというふうに思うんですが、委員も御指摘のように、まだそんなことを本気で大きく心配するような段階ではないと、非常に小さいだろうと、私も正にそのように思っております。ただ、今回非常に制度を思い切って改正をしておりますので、正に公益の認定はやはりそれなりにしっかりと行わないと、何でもかんでも、いわゆる贈与と、民間で言う贈与とどこが違うのかというようなのは、やっぱり税の議論としては私は出てくるんだと思うんです。贈与についてはこれは課税の当然のことながら対象になるわけでありますので、そこのような問題についてはやはり制度としてはきっちりと議論しておかなければいけませんねと、そのような一般論で申し上げたつもりでございます。
  77. 藤原正司

    藤原正司君 寄附の問題は、もちろん銭の移動の問題もありますけれども、実際は、個人であるとかあるいは法人を始めとする団体が地域社会の中で寄附という行為を行う、それらを一つのきっかけとしながら個人や団体が地域社会の中で公的ないろんな活動に参加をしていく、そういう風土をつくる一つのきっかけになるというふうに思っておりまして、そのことによって税がゆがめられるとか全体がどうなるというレベルの話ではないというふうに思っております。  そこで、先ほどちょっと触れ掛けましたが、公益事業に対する課税の問題についてでございます。  今税制は非常に複雑でございまして、公益目的事業をやっておったとしても、それは今度は三十三種の収益事業かどうかということの税制側のチェックがある。だから、これは完全な公益事業なんだと言っておりながら、税の取扱いが中身によって違うということが今回の制度の中で出てくる可能性があるわけであります。  ところが、今回の制度によって公益法人がやるべき事業というのは二十三種、代表列記されて、そして、しかもその業種については不特定多数に対してやるんですよということ、しかも、その公益目的事業というのは法人の半分以上、主たる事業でなければなりませんよとか、あるいは事業を通じてもうけちゃ駄目ですよとか、あるいはそのガバナンスの問題、あるいは監督の問題というようなものが非常に厳しく定められておって、公益目的事業といいますか、いわゆる本来事業かそうでないかで税の取扱いを決めたとしても何ら問題はないんではないか。そこへもう一度、いや、税務署の方から三十三の収益事業であるかないかみたいなチェックが入ってやるほどの意味があるのかどうかということをまず思うわけです。  それで、非常にその点がややこしくしているというふうに思うわけですし、別の言い方で筋悪く言えば、せっかく認定委員会が、第三者による認定委員会が、あなたは公益事業ですよということを認定し、その以前として公益目的事業をきちっとやっていますよと認定しているのに、いや、おまえはちょっとやっぱり違うぞと言うてまた税務署が別の方からチェックを入りに行くと、三十三の何だぞと。これはちょっとまずいんじゃないの。こんなもの一緒でいいじゃない。だから、公益目的事業を本来事業とし、その他の問題と分けて税金を考える、税制を考えるというわけにいきませんか。
  78. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほどちょっと先回りして答弁し掛けて申し訳ございませんでした。  今までは委員がおっしゃるように三十三の収益事業に課税することとされてきたと。それはもう、先ほどちょっと言い掛けましたが、同窓会みたいなものから営利事業をやっているようなものまで、収益事業が中心のようなものまでいろんなものがございますから、一律に事業非課税とするのはやはり問題があるだろうという観点で今までのような制度がつくられてきたと。  そこで、今度大きく制度改正がございますので、どうするかというのはまだ実は結論を出しておりませんけれども、基本的な考え方としては、公益性の認定体制あるいは公益的な事業として行われるものの内容、今委員、どのぐらい、二分の一どうするとおっしゃいましたが、それから営利競合排除の在り方、こういったものを踏まえて議論を煮詰めていきたいというふうに思っておりまして、そこは今までの考え方と同じでいくというふうには必ずしも私どもは思っておりません。
  79. 藤原正司

    藤原正司君 今までの判断とは違うけれども、この基準に基づいて認定委員会が判断した基準とも違うと、こういう意味ですね。
  80. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) まだそこは、率直に申し上げて、お答えできるほど十分煮詰まっていないんですが、やはり公益法人制度改革の趣旨は十分に踏まえなければならないと思いますし、他方で公益性の認定体制、それから新たな公益法人制度における公益的な事業として行われる事業の内容、先ほど申しましたことでありますが、営利競合排除の在り方、なお制度の詳細を見極めていく必要はあると思っておりますが、その上で具体的な検討を進めてまいりたいと思っております。
  81. 藤原正司

    藤原正司君 せっかく今回、政府としても公益法人制度というこの見直しについて大英断を私はされたと思っているわけです。となると、制度も税制もセットで変わったなと、第三者が、認定委員会がきちっと認定したものについては税制も付いていきますよというふうに変わらないと、いや、制度は、あるいはその認定は第三者になったけど税金は別よと、従来どおり財務省ですよと。それはバランスだとか何だとかということになって、結局は肝心かなめの税金部分は財務省の問題で、それは官の従来の監督から出さない、あるいは権限の中から出さないんだということになってしまいはしませんでしょうか。
  82. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほどから、まだ十分お答えできるほど煮詰まってないと申し上げておりますが、しかし一つは、新しい第三者機関が公益性を認定するという新しい制度の趣旨を十分に尊重すべきことだというふうに申し上げてまいりまして、そこで言っていることを多少お酌み取りをいただきたいなと思います。  それからもう一つは、例えば共益的な事業、先ほどから例えば同窓会のようなものとおっしゃっておりますが、これを非公益事業に仮に考えるというふうにいたしますと、随分公益法人の認定というものは狭いものになってきてしまうというようなことも現実にはあり得るだろうと思います。  したがって、その辺はよく考えなければ新しい制度改革の趣旨を生かしていくことにならないだろうと、その辺りは十分意識して議論させていただきたいと思っております。
  83. 藤原正司

    藤原正司君 ちょっとこの衆議院からの議論を通じていて、今の答弁、少しニュアンスが変わったかなと。公益と共益という問題の取扱いについて変わるのかなという、なぜかなという感じがちょっと、若干したわけですが、これはちょっと先に送らせていただいて。  次に、公益性の認定なんですが、今回、非常に重要なことは、この認定委員会がどれだけ中立性を確保し得るかということと、そして要請にこたえてきちっと仕事を処理し得るかどうかという、この二つにかかわってきているというふうに思います。  今まで特に主務官庁という中で設立の許可を出し、監督をし、場合によっては、悪いけれども官製公益法人というようなものもいろいろつくられてきた中で、これからは第三者による、民間による認定委員会なんだというふうに変わっていくためには、相当実際のところは難しい問題が出てくると思うんです。役人さんは皆さん賢いですから、相当難しい問題があるというふうに思うわけですが。  そこで、この認定委員会というのは七名で、常勤は四名、非常勤が三名。そうすると、この七名の方が何もかもやるわけにいかない。問題は、その七名の委員会の下におられる方がどういう仕事を分担されるかによって大変重要になってくるというふうに思うわけですけれども、中馬大臣、この公益等認定委員会のまずこの組織をどのように考えておられるのか。
  84. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 委員今御指摘ありましたように、これは大変な一つの英断といいましょうか、明治以来続いてきた制度の変革でございまして、公益性そのもの、公益というものの定義から、あるいはまた申請を受けたその法人が本当に公益性があるのかないか、こういったことまでも含めた判断をするのが公益認定委員会でございまして、今までのように主務官庁の裁量によって縦割りでなくて、統一的な判断をするということでございますから、この、ここに携わる方々は専門的な知見を有する合議制の機関で、これは非常に大事だと思っております。  この、国の合議制の機関でございますが、公益認定等委員会、これにつきましては、まずは委員について国会の同意を得て任命、選任されます。そして、この委員会を的確に補佐できるような所要の体制を整備する必要があると考えておりまして、事務局、これは私はかなりしっかりとした事務局に結果的になってくると思います。そして、それだけではなくて、専門委員や部会ですね、これの設置も念頭に置いてその在り方を幅広く検討してまいりたい、このように考えております。
  85. 藤原正司

    藤原正司君 だから、委員の下の事務局というのは専門委員というような、あるいは部会というようなものも考えていくと。要は、委員の皆さんが判断されるに当たってそのベースとなる、たたき台のようなものをきちっと作る部署といいますか、人といいますか、そういう方を、そういうところを設けるということでございましょうか。
  86. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) もちろん、この七人の方々だけですべてできるわけでございません。したがいまして、それを補佐する役人と申しましょうか、役人だけではなくて、場合によっては私はその中に民間的な方々も入っていただいて結構だと思っておりますが、そして同時に、それを専門的な分野でするためにはどの方が主査になった形でその専門委員に任命して、そして個別の案件を処理するとか、あるいはテーマごとに部会を設ける、こういったことも一つのこれからの案でございますけれども、設置を念頭に置いて制度設計をしてまいりたいと、このように考えております。
  87. 藤原正司

    藤原正司君 結局、中立性をどう担保するのか。今までの主務官庁の考え方がそのまま、例えば事務局員だとかスタッフだとか専門委員だとかいうことを通じて入っていって、結果として従来の判断と何も変わらないということにならないようにどう担保するかと。それは、委員だけではなくて事務局スタッフの在り方を含めての問題だと思いますが。その場合に、私は公務員といいますか役人さんが入っては駄目よということにはならないと思うけれども、そのときにどういうかかわり方をするか。  例えば、専門委員の方とかあるいは部会を構成される方なんかは、例えば税理士だとか会計士だとか、そういう専門の知識を持った方が中心になって、その判断には中立性がそこの部分でまず担保されるというふうに考えるとか、いろんなことをやっていく必要があるというふうに思います。  もう一つは、人の問題です。国所管だけで約七千の公益法人が、右するか、上、二階行くか一階行くのか、はたまた場合によっては解散するのかという判断をしなければならない。しかも、五年間といいますけれども、先ほど話がありましたけれども、制度、税制含めてはっきりするのがいつかということによっては、五年間も実はないかも分からない。私は五年間絶対にあるべきだと思っていますけれども、その間に少なくとも七千の判断をしていかないかぬ、これ大変なことだと思うんですね。  しかも、均等に申請出してくれればいいけれども、もう最後、ぎりぎりまで様子見て、どんな判断しておるかなと様子見た上でそれ行けなんてやられたら、これ、五年間で本当にきちっと申請に対して答えが出せるのかという問題もあると思うんです。  そういうふうなことも含めながら体制という問題をきちっと考えていく必要があると思うんですが、そこについて、所管大臣として、これからこの認定委員会の中立性の担保と、そして業務処理能力の問題について、ある意味では決意的なものをお聞きしたいと思います。
  88. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 先ほど申しましたように、この委員会のメンバーでございますが、これは人格が高潔であって、委員会の権限に属する事項に関し公正な判断をすることができ、かつ、法律、会計又は公益法人に係る活動に関して優れた識見を有する者と、こういう条件を満たす方を任命することといたしております。そして、任命に当たっては衆参両院の同意をいただくこと、そして七名の委員のうち四人は常勤とすることができることになっております。そして、委員会の具体的な構成につきましては、これらの規定に基づいて、今国会における御審議の中でいただいた御意見等を踏まえつつ、今後幅広く検討してまいりたい、このように考えております。  また、委員会の機能を的確に発揮できるように、委員をサポートする体制の整備、これが先ほど申しました事務局でございますが、これは内閣府に設置するほか、専門委員の任命や部会の設置、これも必要な選択肢であると考えておりまして、今後、公益認定委員会委員の意向も踏まえて検討してまいりたい、このように考えております。  さらに、公益法人認定の法案では、委員長の命を受けて事務局のトップとして事務をつかさどる事務局長の下で業務を処理する事務局を設置することといたしております。その職につきましても、委員会委員が独立性、中立性を保ちつつ、適切な判断ができる体制を整備する必要があると考えておりまして、その在り方につきましては幅広く検討してまいりたい。  このように、今委員がおっしゃったことをしっかりと踏まえてこの体制をつくってまいりたい、このように私も決意として申し上げさせていただきます。
  89. 藤原正司

    藤原正司君 事務局長について今触れられたのでお尋ねしたいんですが、衆議院で、この事務局長ってどうして決めるのという質疑のときに、これは委員と総理が相談すると。これ、相談するというのは何か制度的な言葉なんでしょうか。そんなの、実際、委員と総理が集まってどうすっぺかと相談するんですか。そんなことしないでしょう。だから、実質的に委員が決めて、総理が最終的に決裁するといいますか、そういう仕組みなのか。この相談するって何ですねん。
  90. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 相談するという言葉が適当かどうかはともかくとしまして、いずれにしましても、こうして委員会との相談ということになっております。総理がそして最終的にこれを決裁するわけでございますが、そのときに総理の意向を無視した形で何か物事を進めるということは、従来こうした行政の中でもやっておりません。必ず事前に何らかの形で総理の御意向も踏まえて、そしてそれを決定するという形になっておりますから、その意味というふうに御理解賜りたいと思います。
  91. 藤原正司

    藤原正司君 結局、聞いていると分からへんね。  だから、委員の人たちが集まって実質的に事務局長を決めて、形の上では総理が判を押しますよと、これなら分かるんです。それでいいんですね。
  92. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) そう御理解していただいて結構です。
  93. 藤原正司

    藤原正司君 ちょっと時間が余りないんで飛ばす部分があるかも分かりませんが。  そこでもう一つ、その中立性の担保の中で、主務官庁等の話を聴くという条項があります。一つは、八条に「意見を聴くものとする。」と。これは大体許認可事業に関して聴くんだというふうなこと。それからもう一つは、五十六条で、照会し協力を求めることができる。これは、いろんな情報だとかデータだとかそういうものを、あくまでも委員会側が主体的な立場で、ちょっと教えてよと、ちょっとこれ出してよと、こういう程度のものとして理解するんですが、ただ、この許認可、八条の許認可事業に関するものというのは、我が国の制度は事業法といいますか業法がべらぼうに多くて、ほとんどの事業が許認可事業になっていると。  ということは、許認可事業を所管する主務官庁の話を聞いている間に、主務官庁のおっしゃるとおりの法人設立あるいは事業内容なんかになってしまいやしないのかという大変懸念を持つわけですけれども、その点について大丈夫ですよね。
  94. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 申請をした法人がその事業を行うためには、法令上行政機関の許認可等が必要である場合に限りまして、その事実確認の意味を含めまして、行政機関の意見を聴くという条文を入れております。しかし、その技術的能力を有するかどうか等も公益認定の基準等に照らして的確に判断するために行われるものでありまして、その意見を聴取した場合でも、国及び都道府県の合議制の機関はこれに拘束されるものではありません。あくまで独立、中立的にその法令で定められた基準等に照らして判断を行うもの、このように考えております。  したがいまして、新たな制度の下においては、現在の主務官庁の裁量による判断に基づく制度と異なりまして、主務官庁からも中立的でかつ公正に公益認定、監督、処分等が行われることとなりまして、御懸念には及ばないものと考えております。
  95. 藤原正司

    藤原正司君 ちょっと時間がありませんので予定していた質問は飛ばすことになると思いますが、御理解をいただきたいというふうに思います。  この公益性の認定に関して、公益目的事業を二分の一以上行うということが法人認定の一つの条件になっております。この二分の一の事業というのについて、無償や低廉有償で例えばボランティアなんかへ協力を求めるということになってくると、見掛け上は非常に少ない事業費になってくる。この辺についての取扱いを簡単に教えてください。
  96. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) 公益認定法案では、この事業に係る事業費が全事業費及び管理費に占める比率である公益事業比率が五〇%以上となることが見込まれることを基準としており、また認定を受けた後はこれを遵守しなければならない旨を定めております。そして、この比率の算定に当たっては、御質問いただいたように、法人の事業活動が無償の労働力によって支えられている場合について、各法人の個別の事情を考慮することができるようにする方向で検討しております。  また、具体的な算定方法については、今後、各法人の実態や関係者の御意見等を踏まえて更に検討の上、公益認定委員会にお諮りした上で、その詳細を具体化してまいりたいと思います。
  97. 藤原正司

    藤原正司君 次に、新制度への移行についてお尋ねしたいと思うんですが、取りあえずこの法が施行されますと、特例民法法人ということにすべての公益法人はなるわけでありますが、この特例民法法人が、では二階法人を目指すのか、一階法人を目指すのかという選択をしていくということになるわけでありますが、この既にある特例民法法人が二階に行くというときに認定委員会が判断する、この場合は、今までの実績というのはあくまでもリセットされて新しい公益認定基準ということになるのか、いや、過去のいろんな実績とかみたいなえも言われぬものが評価の対象になるのか、ここのところについて簡単にお尋ねします。
  98. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) この整備法案においては、現行の公益法人が新たな公益社団法人公益財団法人に移行するための認定を受ける場合も、新たに設立された一般社団法人一般財団法人が公益認定を受ける場合と同様の基準に基づき認定されることとしております。
  99. 藤原正司

    藤原正司君 ということは、これから二階、一階を目指す、民法公益法人がこれからどちらへ行くかという場合も、行ってからも、すべてそれは新しい基準、新しい制度に基づく判断であると、これでよろしいわけですね。はいかノーかだけで結構です。
  100. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) そういうことで結構でございます。
  101. 藤原正司

    藤原正司君 そこで、今回、今財務大臣もおっしゃったように、制度がまだきちっと詰まっていない、法律事項もあるけれども政令等いろんな事項があって詰まっていないと。確かにおっしゃるとおり詰まっていないんですよね。それは、政令等に任している部分が二百項目もある。  私、まだ国会五年しか経験がないんですが、法案改正をずっと見ておりますと、最近、法律というのは非常に粗っぽい、味もそっけもないことになっておって、ほとんど政省令へ落とし込むと。それで、法律が通ってからこれから考えますということになると、非常に国会審議がしづらくなるといいますか、形骸化している部分が非常に多いわけです。この法律だけ読んでおったら、何のことを言っているか全然分からぬというのがよくある。  そこで、今回のこの公益法人制度の見直しというのは非常に、百年来の見直しであるということと、しかも、対象になる既に公益法人であるというのは二万六千もある。この中には、常任の理事さんだけでも二万人、職員五十六万人、すごい数がいてるわけでして、その人たち、いい法人もあるし悪い法人もあるでしょうけど、少なくともそこで仕事している人たちにとっては、これからどうなっていくんだというのは非常に重要ですし、現場、現状というものをよく理解してもらっているんだろうかということも不安だろうと思う。  その場合、そういうことを考えると、きちっと政省令を策定するに当たっても、皆さん方の、国民の声というものをきちっと聴いていく必要があると思いますが、どういう方法でいつごろ聞く予定か、お聞きしたいと思います。
  102. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今おっしゃるように、これ大変な私は作業になると思います。ただ、決まりでありますが、認定の細目等については政令、府令に委任していることがほとんどでございますが、これらの細目につきましてはいずれも技術的、専門的な事項や手続の詳細等でございまして、これらの政令、府令の制定に当たりましては、公益認定委員会に諮問すること、これが法案で定められておりますから、ここでひとつまた公益認定委員会方々がしっかりと私は判断していただけるものだと、このように考えております。  これに加えまして、行政手続法に言うところの意見公募手続、これを活用することになりますので、各方面からの意見を幅広く聴くように結果的になると思います。
  103. 藤原正司

    藤原正司君 いや、方法は分かっているんですが、いつごろというのが抜けていると思うんですが。
  104. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) これは、法律施行を公布の日から二年六か月という一つの余裕を置いております。二年六か月以内としまして、十分な周知、準備期間を置いているところでございます。
  105. 藤原正司

    藤原正司君 私は、十分な周知のために聞きたいんです。  今回は、施行まで約二年半、施行後五年間移行期間があると。非常に長いように見えます。非常に長いように見えるけれども、では、この法案が成立してからいろんな作業が国、地方で行われ、しかも公益認定委員会の下での判断事項もあると。これ、ずうっと時系列に考えたらどのぐらいになりますか。これ、全部、そしてそれを踏まえてきちっと周知徹底するということを考えたら二年半で収まりますか。
  106. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) これは、いろいろな検討の結果、二年半で何としてもやり遂げるということでの一つ決意も含めたこの法律でございますので、ひとつそのことは御理解ちょうだいいたしたいと思います。  しかし、その周知徹底のことでございますが、パンフレット等を作成しまして幅広く国民の一般の方々に知らしめると同時に、都道府県の実務担当者あるいは全国で公益活動に携わっている公益法人等の関係者に対しまして説明会等を積極的に行って、この制度の、何といいましょうか、発足に向けた一つの準備はしてまいりたいと思っております。
  107. 藤原正司

    藤原正司君 私は、そういうことを含めて周知徹底を二年半で行えますかと。要は、二年半がたって施行、スタートというときには、それぞれの当該の法人方々が、ああ、こういう仕組みの中でこう対応すればいいんだなというのは頭に入ってスタートできるでしょうかと。もちろん、いろんな細々したことは事務局に問い合わせしたりする部分も出てくる。それは出てくるでしょうけれども、ある程度法律、政省令含めて、あるいは都道府県の行政指導内容含めてきちっとそれが施行までに徹底できるでしょうか。
  108. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) これは、この法案作成の過程におきましていろいろ議論がありましたが、はっきりとこの二年六か月でやるということの決意も含めてここに規定をさしていただいております。
  109. 藤原正司

    藤原正司君 私は、財務大臣に一番最初に申し上げましたのは、そういう税制の問題も含めてきちっとこの制度がこうなんだというのを把握してもらって、そこから五年間が必要だと思うんです。  というのは、正直言いまして、この総務省の調査でも、現行を変えようとしている制度の基準で考えれば首をかしげざるを得ない公益法人が半分ぐらいある。公益目的事業半分やってないところが半分あるわけです。そういうところなどは、これから新しい制度に適合するように変えたりあるいはガバナンスを変えたり、いろんなことをする。あるいはどっち行こうか、二階行こうか一階行こうか、いろんな判断があって、そして作業がある。それは長いようでも結構短い。特に地方の場合は国があってずれていくわけですからもっと短い。それがきちっと間違いなく五年のゴールまでに答えが出るような制度をせないかぬ。事務局体制の問題もある。五年というのは長いようで短い。それを是非頭に描いて対応していただきたいというふうに思います。  あっ、ごめんなさい、一問だけかまへん、一問だけ質問さして。  それで、一つは、最後に見直し条項の問題があります。もちろん、百年来の見直しですから、当然その制度が現在に適合しているのか、あるいは将来の状況変化に対応してこの制度の見直しもやっていかなければならない。ところが、余りにも制度の中身が大きく対象が広範になるために、五年間という移行期間が設定されている。この五年間の移行期間の間に、今度は逆に見直しされてしまいますと、先に行った人と後に行った人でこれはまたややこしくなってしまう。だから、この二つの面を考えながら見直しというのはやらなきゃならぬ。見直しは当然必要であるけれども、そのタイミングというのは非常に難しい問題だと思うんですが、最後にこの点についてお答えいただきたい。
  110. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) お答えいたします。  一般社団、財団法人及びこの公益法人認定案には、法律施行後適当な時期に、法律施行状況を勘案し、必要があると認めるときには、法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる旨の見直し規定を設けているところでございます。  見直しの時期については具体的な時期を想定しているものではないんでありますけれども、制度の変更を行うことにより無用の混乱を招くことがあってはならない。そして、いずれにせよ、この見直しについては法律施行状況を注視し、何らかの問題が生じたときに、問題の大きさと制度の安定に対する要請等を総合的に勘案して適切に判断する必要があると考えております。
  111. 藤原正司

    藤原正司君 以上です。  ありがとうございました。
  112. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。藤原先輩議員に引き続きまして、関西三連続、質問を続けたいというふうに思います。  まず冒頭、この行政改革というテーマは、私のような労働界で仕事をしてきた人間にとっても長年の課題であったわけであります。土光臨調時代、既に一九七〇年代から、私どもはこの行政改革あるいは行財政改革について政府に対しても要望を続けてきたと、こういうふうな立場でございます。  また、私は、労働組合の労働戦線の統一という、こういう仕事に携わってきたわけでありますけれども、一九八七年民間連合、一九八九年現在の官民統一された連合をつくると、そういう時代からやっておったわけでありますけれども、この労働戦線の統一も言ってみれば労働界の行革だと、こういうふうなことでございまして。一方、世間ではパブリックセクター、官公部門に働く組合の皆さん方があたかも頑迷固陋にしてこういうふうな動きについてそっぽを向いておるのではないかと、こういうふうな理解もあるようですけれども、しかし地方の公務員さんの職場の実態を見れば、既にコストとしての賃金、総人件費については相当削減されてきておるし、そのことについても苦しい思いの中から協力をしてきておるという実態もあるわけでありまして、そういうような意味で、国民にとって評価されるそういうふうな制度をいかにつくっていくかと、そういうようなことで、単にコスト論だけじゃなくて、内容を含めたやはり議論を進めるべきだというのが私の基本的なスタンスだということで、以下、大きく言えば四つの項目について質問さしていただきたいと思います。  まず最初に、行政改革における労使の協同的関係と。この協同というのは共にじゃなくて協力の協と、こんなふうな字を私は使うわけでありますけれども、行革推進法の第六十三条第二項、労働基本権について幅広く検討を行うと明記をされていますけれども、私はこれは非常に評価できるというふうに思います。行政の効率化を図り、公共サービスを一段と高度化させるためには、実行当事者である労使の協同的関係の構築ということが私は成功への必要不可欠、必須事項だと、このように考えております。  これは、検討を行うだけじゃなくて具体的に実行することが重要であると思いますが、小泉内閣改革路線の総仕上げと言われている今回の行政改革推進法案においても、大前提として、公務部門における生産的な労使関係、あるいは当事者責任に基づく労使関係というものが確立されなければならないと、このように考えます。  まず、小泉内閣は、この公務部門における労使関係の現状をどのようにとらえられ、また目指すべき労使関係像をどのように描いておられるのか、お伺いしたいと思います。
  113. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今朝から関西論議が出ておりますが、お三方とも関西の方でございますし、私自身もちろんでございますが、ここに並びいる大臣も皆さん、竹中さんは和歌山でございますし。そういうことで、今回のこの法律は官から民へ、最近は関西の方が少し低調でございますけれども、こうして自由にやらしますと関西人の方が私は大きな力を発揮するんではないかと、このように思わしていただいております。  ともあれ、今の御質問でございますが、公務員の労使関係はその地位の特殊性と職務の公共性からおのずと民間とは異なる点があります。その制約の中で安定的な関係を築いてきているのではないか、このように認識をいたしておりますが、現在、行政及び公務員に対する国民の目は大変厳しいものがあります。労使とも国民の期待にこたえられるような行政改革、しかも現代的な意味での新しい時代に即応した改革が必要であると、このように考えております。  私としましては、今後の労使関係の在り方については相互の意思疎通が重要と考えておりまして、公務の円滑な遂行や国民の理解と信頼の確保などの視点を踏まえまして、行政及び公務員を取り巻く状況につき共通の認識を形成し得るような幅広い意見の交換が必要だと、このように思っております。  いずれにしましても、公務員のいわゆる雇用主、使用者といいますのは、これは納税者に当たる国民でありますことの視点、これを常に忘れることがあってはならないと、このように心掛けている次第でございます。
  114. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 まずはそういう御認識だということをスタートにいたしまして、先ほど雇用者である納税者の視点と、こういうふうに言われましたけれども、私は、この労使関係において組合の在り方ということも非常に重要でありますけれども、一方、使用者責任、この使用者責任の所在、これも明確にしなければならない、また使用者責任を遂行する組織体制の整備を行わなければならない、このように考えております。  そこで、仮に公務員に労働基本権を付与するとなると、具体的に使用者責任というものを、これ、だれにあるのか、だれが取るのか、また労使協議の単位をどのように考えていくのか、あるいは労使協議における合意事項の正当性といわゆる適用範囲をどのようにするのかと、こういうようなことが、現実に民間ではそういうふうな中で非常に厳しい労使交渉をやってみたり、関係をしながら、しかし結果としては協同的な関係において組合員の生活の向上安定を図ると、こういうことを努力をしておるわけであります。  この点について具体的にお話をいただきたいと思います。
  115. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 公務員の中でも、特に非現業の国家公務員はこれは政府に任命されるものでございますけれども、実質的にはその使用者は国民全体でありまして、公務員の労務提供義務は国民全体に対して負っていると、このように、これは憲法の判断でもあるわけでございます。このために、民間企業における労使関係と同様に使用者責任を論ずることは適当でないと考えております。  公務員につきましては、公務員の地位の特殊性と職務の公共性を考慮しつつ、労使の意思疎通、先ほど申しました、を進めまして、今後の労使関係の在り方につき共通の認識の形成に努めること、これが重要であると考えております。  なお、本年の三月に政府と連合の間で行いました政労協議におきまして、こうした今後の問題としまして、そうしたことを討議する検討の場を設けることについて意見の一致が見られまして、この検討の場で公務と公務を担う公務員の範囲、在り方につきまして、総合的な検討を踏まえて基本権の在り方を論議することとしておりまして、この検討の場も活用しつつ、今後労働側との共通認識の醸成のために意見の交換を進めてまいりたい、このように考えております。
  116. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 現状における中馬大臣としての御答弁はそういうふうな内容になるだろうということも想定はされておりましたけれども、しかし、私も三十五年間、現場の労使関係からナショナルセンターの労使関係を含めていろんなレベルの仕事をしてきたわけでありますけれども、私はやはり本当に質の高い公共サービスを、少ない人員で簡素にして効率的な行政をやると、そういうふうなことのときに、一つ一つ公共サービスを実行していく働く公務員一人一人がどういう意識を持ち、全体としてどういう組織持ち、そして使用者は国民といったって、具体的には指揮命令系統を明確にするわけですよ。民間だって、株主総会はありますけれども、やっぱり代表取締役社長が責任者としてきちっとした使用者の組織がつくられておるわけでありますから。そういう関係において、私は、政府はまだ経験されてないとは思いますけれども、民間の労使関係を前提にすると、そこには大変厳しい、厳しいというのはめちゃくちゃ悪いということじゃなくて、いい意味で緊張感のある関係を含めまして、ここは戦後の労働運動、これは労使関係、特に使用者においても多大な知見をも蓄積した上で今日の世界に誇る労使関係を築いてきたと。  そのことを私は十分踏まえてほしいし参考にしてほしいと、まずそのことを申し上げたいと思いますし、今回の法案の中でも、やはり人数の問題含めて相当厳しい内容をこの働く皆さん方にやっぱり提案するわけですから、そのことを職場においてしっかりと説明をし、職場での納得、そういうようなことを形成していくという大変なプロセスがあるわけです。そういうときに、これ、今の御答弁だけだったら、対話と認識、共通認識だけだったら、だれがそんなしんどい、五年間で何%の人を減らしていくと、定員を削減すると、こういうふうな仕事をだれが取り組むんですかと。  そういうふうなことを含めて、現実的に、私は逆に、当事者責任を果たす今度は労働組合のサイドに対して私は一定の役割なり機能が求められてくると、従来の労働組合とは違ってですよ、新しいこの行政改革推進するというステージに立ったときに求められてくると思いますけれども、この点、政府としてどのような労働組合像を描いておられるのか。答えにくい面もあるかも分かりませんけれども。
  117. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 委員は民間労働組合の方でずっと御活躍でございまして、私も民間会社に勤めておった者といたしまして、今から四、五十年前のあの労使の在り方と今とは相当違ってきていることはもう十分に国民一般も認識をし始めております。自分たちの生活を守らんがために、もちろん会社全体のこともでございますが、やはりそのことが前面に出ておった戦後の一時期と、現在のように両方協調して、自分たちが所属する企業を、事業をいかに展開し、そしてまた国民の信頼を得てサービスを提供していくか、これは、もうこれからは民間も公務員も一緒だと思っております。  ただ、公務員の場合には、これは労働組合とは言わずに職員団体と、このように申しておりますが、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体又はその連合体でございます。そういうことから、今、民間の方もそこまで意識も変わってきております中で、公務員の方もそのように、自分たちの、何といいましょうか、労働条件を守るとか、あるいは何とか権利をかち取るということではなくて、やはり国民の幅広い、これからの大きな日本の次の時代に向かっていくわけでございます。かなり民が主体を持って、そして責任を持ってこの国を運営していく形の中の公務員でございますから、そういうことで、私も何回かお話をさしていただいておりますが、そういう認識にずっと、公務員労協の方々でも、少なくとも個人的に話しておりますともうそういう時代になったということを十分に認識されておりますので、そういう形で私どもは今後のこの労使の在り方、公務員制度改革につきましても取り組んでまいりたいと、このように思っている次第でございます。  現在の厳しい財政状況に照らしまして、簡素で効率的な政府を実現することは喫緊の課題ではありますが、行政改革推進法案に盛り込んだ諸改革を着実に実施していく必要があります。  これまで、一月と三月に政府と連合との間で政労協議を開催するなど、組合側との意見の交換を努めてまいりまして、今後とも、先ほど申しました共通の認識に努めてまいると同時に、そして新しい労使関係と申しましょうか、まあ労という言葉を使いたくないんでございますが、この公務員方々政府との在り方、これで新しい時代を開いていきたい、このように認識いたしております。
  118. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 私の意見を簡単に言えば、組合にも当事者責任をやっぱり果たしてもらいたいと。この厳しい環境の中で、本当に信頼される公共サービスを担う公務員改革をやろうといったときに、基本的には労働基本権、この問題をなくして私はなかなか答えは出ないと思うんですよ。労働基本権の回復もなしに、しんどい仕事だけやってくださいとそう言われたときに、それを担っていく人なんて出ないですよ。  という意味の、私は、そこを政府、全閣僚、やっぱりしっかりと認識していただかなければ、法案は通っても、本当の成果は現場がつくってくるんです。私は現場主義で民間でやってきましたから。そこがないと日本経済だってもたないんだということで、まあ、うなずいておられますから、しかしうなずくだけではちょっと物足りぬことで。
  119. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今申しましたような認識も、一月、三月に行われましたこの政労協議の場でかなり突っ込んだ認識を持ち、また両方の信頼関係を私は醸成できたものだと、このように思っております。  そういうことで、これからの問題につきましても、今おっしゃったことを踏まえてしっかりと対応してまいりたいと思います。
  120. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 少し前進したかなと、こういうことで思います。  私は、政労協議という言葉政府がお使いになったことについては非常に評価をしているんです。これ、私がいたころは協議なんという言葉はとんでもないと。政労会見という言葉を私たちで使っても、政府としては、会見ではない、それは通称だと。何だと言ったら、これはお願いだと、そういうふうなことで、要請だと、こんなふうなことだったわけであります。  そこで、次に、ILO条約の勧告問題との関連で少し質問させていただきたいと思います。  その前に、先ほど大臣も少しお触れになられましたし、半分ぐらいはもう既にお答えが出ておるわけでありますけれども、公務員制度改革等にかかわる政労協議が連合との間で行われているということでございます。  十八日の委員会高嶋委員の方から既に質問をされておりますけれども、特にこの政労協議の中で何が論点となっているのか、あるいは、意味がなく集まっておるわけじゃないでしょうから、いわゆるこの協議において合意を探るとすればどっちを向いて議論が行われているのか、合意の方向性等について、まとめて御説明いただきたいと思います。
  121. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 少し繰り返しになりますが、本年の一月に、政府と連合との正式な協議の場である政労協議を、平成十六年五月以来一年半ぶりでございます、に再開をいたしました。公務員制度の改革等に関する基本的事項についての意見交換を行ったところでございます。連合側が三人、政府側は厚労大臣総務大臣、そして私、行革担当大臣でございました。  これに加えまして、三月の二十日に政労協議を開催しましたときには、労働基本権についてニュートラルに検討する場を設ける、はっきりとその検討のまくら言葉に労働基本権についてニュートラルに検討するということが言っているわけですから、そのことの意はお酌みいただきたいと思います。この検討の場において、公務と公務を担う公務員の範囲、在り方について総合的な検討を踏まえて基本権の在り方を論議することと、このようなことで意見の一致を見たわけでございます。  検討の場の在り方とか設置時期等につきましては、今後関係者と調整しまして、今のところ、すり合わせておりますが、今月末ぐらいには連合との政労協議の場で成案を得ることができると思っております。
  122. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 相手があってされていることですから、これ以上国会の場でその内容については言及する必要は、今日はないというふうに思いますので、いい成果を是非まとめていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  では次に、ILO条約に関しまして川崎厚生労働大臣に御質問申し上げます。  小泉内閣が国連常任理事国入りに非常に執念を燃やして頑張ってきたわけでありますけれども、それに比べて、国際機関であるILOに関しましてはなかなか芳しくないというふうに受け止めております。ILO軽視論、無用論というものがなぜかベースにあってみたり、場合によっては、ややこしいことを言うんだったらILOから脱退したらどうだと、まあこれは公式の場ではないとは思いますけれども、そういうふうな声も出たりするというようなことも聞いておりますけれども、私は、ILO条約には労働基準の確保と労働者保護という非常に重要な側面とともに、国際的な公正競争条件をつくり出すと、こういうふうな内容があると思います。  中国を国際経済の仕組みの中に入っていただくためには、やはり公正競争条件としての国際的な労働基準、このことをやっぱり遵守してもらわなければ駄目だというのは当然のことであり、むしろ私たち日本の立場でいうとILOの活動に積極的にかかわっていくべき、そういう国際的な立場にあるのではないかと、こういうふうに思っております。  まず政府としてILO条約の批准、また条約の遵守に関して最大限の対応をすることが必要だと思いますけれども、まずその基本姿勢について政府の考え方をお示しいただきたいと思います。
  123. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 我が国は、ILOの趣旨、すなわち労働条件の改善について社会正義を基礎とする世界の恒久平和の確立に寄与すること、完全雇用、労使協調、社会保障等の推進を目的とすると、この趣旨に賛同し、ILOの創設、これ国連の中に入りましたのが一九四六年ですね、国連の専門機関となったと。その加盟国となり、諸活動に積極的に協力をしてまいりました。  条約の批准については、それぞれの目的、内容、我が国にとっての意義等を検討の上、もちろん国内のコンセンサス、一方で国際世論を勘案し、批准することが適当と考えるものについては、特に国内法制との整合性を確保した上で批准をしてまいりました。そういった意味で、多少全体の流れとは、我が国は批准した以上は国内法制をきちっとしてそれを守っていくと、こういう立場を貫いてきたと思っております。  確かに、フランスが百九条約批准、イタリアが九十八、これがトップでしょうか、我が国は四十七。一方で、アメリカが十四とかカナダが二十八とかいう数字がありますし、中国は二十一までなっているという話ですけれども、まあ国内法制の問題もあると思います。  いずれにせよ、我が国は、先ほど申し上げましたように批准した条約については国内における適切な実施を確保してまいりたいと思いますし、ILOに、諸活動に積極的に協力していくということについては基本的な考え方であると考えております。
  124. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 そういうふうな政府の基本的な姿勢を前提に、次に竹中総務大臣にお答えいただきたいんですけれども、ILOは二〇〇二年十一月二十一日に公務労働者の労働基本権の付与、労使協議制の確立などに関して、日本政府がILO第八十七号条約、そして第九十八号条約に適合する国内法制の改革について勧告し、その後も二回、合わせて三度の勧告を行ってきたと、こういうことでございます。  私は、政府がこの勧告をどのように受け止めてきたのか、あるいはこの勧告を踏まえ国際労働基準に則した労使関係制度を確立する意思があるのかどうかと、こういうようなことも内外から問われておるわけであります。まず、この点について大臣の見解をお尋ねいたします。
  125. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 委員指摘のように、過去三回にわたってILOの勧告、その中でいろんな指摘事項をいただいております。そうした中で、労働基本権の在り方等については、ILOと政府との間で見解の相違するところもあることはあるわけですが、基本的にこの勧告は公務員制度改革について、政府に対して組合を始め関係各方面と十分話し合うようにということを要請しているものというふうに認識をしております。  こうしたことを踏まえて、我々も昨年十二月の例の行革の重要方針において、先ほど中馬大臣からもありましたように、公務員の労働基本権等の公務員制度改革について、国民意識等を踏まえつつ、内閣官房を中心に幅広い観点から検討を行うということを明記したわけでございます。今般の行革推進法案にもこの旨の規定が盛り込まれているところでございます。その後、ILO、昨年十二月の我々の閣議決定、本年一月の政労協議等を歓迎しているというふうに認識をしております。その意味で、現在の政府の努力を、まあ方向として評価しているものというふうに認識をしております。  我々総務省としては、公務員制度を所管する立場でございます。先般の決定に基づいて、またこの法案に示されているところにも基づいて、内閣官房とよく連携協力を図ってまいりたいと思っております。
  126. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 このILOの問題というのは結構奥も深くて、そう短時間に白黒という議論だけではないということは私も理解をしております。各国とも、批准はするけれども適用はええ加減と、そういう国も現実あることはありますし、我が国は、特に国内法整備との関係については世界の中でも一番厳しい私はオペレーションをやっているということもあります。  ただ、今大臣が答弁された、ILO理事会が公務員の労働者の皆さん方とお話をしなさい、促進をしなさいという点だけが勧告点ということではなくて、私は、さらに、例えばこの結社の自由委員会の勧告以外にも、二〇〇一年八月三十日の、国際人権規約あるいは社会権規約委員会で採択された総括所見の指摘の中にも、やはり私は我が国に対して一つの問題提起、そしてその問題提起が国際的にイメージを、日本国というイメージをつくっているという部分があると思っています。その一つは、よく考えてみると日本は人権後進国家ではないのか、そういう基本的な労働基本権にまつわるこういう基本権についての対応が何となくないがしろにしていくと、そういう体質にあるのではないかというイメージもややILOの場ではあると、このように聞いておるわけでありまして、国際的な信用の問題でもあるし、本当に常任理事国を目指すならば、そういうふうな面についても私はしっかりとした処置をする必要があるのではないか。  また、政府の担当部局内部において、こういったILO問題に対する、まあ矮小化とは言いませんけれども、やや軽い問題だと、そういうふうに受け止めているという意識があるのではないかと、こういうふうな私は印象を持っておるわけでありますけれども。そんなもんだというふうな認識なのか、それとも、この新しい世界にそれなりの役割を果たしていくという日本にとって、このILO問題、やっぱりしっかりとやっていかないかぬ、新しい時代なんだと、この辺については竹中大臣、どうですか。
  127. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今、加藤委員から二点御指摘がございました。一つは、やっぱりこの問題、奥が深いので、そんなに簡単じゃないということはそれはそれで分かっているんだと。しかし一方で、国際、正に国際信用、そのイメージの問題等々で、やはりここをしっかりと日本としてももっと主体的に考えるべきであろうと、そのような御指摘についてはそれぞれについて私も全くそのとおりであると思っております。決して、我々、政府の中でこの問題を軽く考えているような風潮は私は全くないというふうに思います。  先ほども御紹介させていただきましたように、ILO勧告では、昨年十二月のこの我々の閣議決定、そして本年一月の政労協議等、これは歓迎してくれているというふうに理解をしています。このそうした政府の努力を評価いただいているわけですから、これをしっかりと続けていくこと、その中でしっかりとした答えを出すことが正に国際信用を構築していくことになるというふうに思っております。  三月二十日に政労協議を開催をしまして、労働基本権についてニュートラルに検討する場を設けた、設けることについて意見が一致した。細部について調整の上、政労協議の場で成案を得ることになっておりますので、この流れが大変大事であろうかというふうに思っております。  この公務員の労働基本権の在り方については、国民意識も十分に踏まえまして、しっかりと検討がなされるべきものというふうに考えております。
  128. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 じゃ、今その論点になっているこの中間報告、ILO理事会は三月二十九日に結社の自由委員会中間報告を採択をしたと。これに関しまして中馬大臣の方から、四月二十六日の本特別委員会において、この中間報告を政府に対しまして組合を始め関係方面との十分話合いをするような要請をしたものと理解をしていると、こういうふうな答弁をいただきました。  全体の答弁の流れがありますから、ここの部分だけ切り取って云々をするというのは決して私はフェアではないと、こういうふうに思いますが、しかし、この中間報告は連合と政府の協議の進展を歓迎するとは言っています。先ほど、竹中大臣も、それから中馬大臣もさきに言われました、歓迎はされているんです。しかし、さらに関係者に、公務員制度改革及び日本が批准した第八十七号条約及び第九十八号条約に具体化された結社の自由の原則に調和する法律改正について、速やかに合意に達することを目的として現在継続中の努力を続けるよう強く促すと述べているわけです。  私は、自分で意訳したわけじゃないんですから、いろいろあるかも分かりませんけれども、つまり、協議のテーブルに着くということだけを評価するんじゃなくて、やっぱり合意をして法改正という実行に移す、そういう段階にあるのだと言っておるわけでありますし、多分、政労会見を精力的にやられていることの動機の中にも、私はこういうふうなILOが日本に突き付けている勧告のある種今日的な意味合いがあるんではないかと、このように思っておるわけであります。  同じ関西人として、大先輩の中馬大臣に、あえてそういうふうな状況を踏まえて、お考えを伺いたいと思います。
  129. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今お話がありましたように、何と言いましょうか、政労協議等を始めておりますことにつきましては、これは歓迎しつつ、ウエルカムという言葉を使っているようでございますが、しつつ、勧告として関係者による対話、政労協議でございますが、これが構築されたことに興味を持って留意しつつ、関係者に公務員制度改革及び結社の自由の原則に調和する法律改正について速やかに合意することを目的として現在継続中の努力を続けるように強く促すと、このように書いているわけでございまして、それを踏まえまして、今後、お話がありました労働基本権についてのニュートラルに検討する場を設けることにつきまして意見が一致したところでございますから、今後とも関係者との意見交換を進めて、実りある成果を得たいと思っています。
  130. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 そういう文脈の中で、今月内ですか、連合と第三回目の政労協議を開かれるということに私は理解をし、是非ともすばらしい合意内容をつくり上げていただきたいということを再度申し上げておきます。  それで、もう一つ、大先輩中馬大臣に確認をしたいという点があります。既に政府の皆さん方は、先ほど来ございます連合との協議の場で労働基本権を付与する公務員の範囲について検討をすると、こういうふうに確認をされまして、まあまあ検討をされているということでございます。そこで、その検討の内容でございますけれども、労働基本権を付与する公務員の範囲なんだと、問題はと、こう言われておるわけでありますから、逆に私は、もう少しそれを深堀りをいたしますと、ああそうだなと、公務員にはいろいろ種別があるな、例えば警察官のように、これはもう団結権だとか交渉権言ってられない、やっぱり公権力を行使していくという、そういう立場の種別もあれば、非現業の一般の公務員さんもある。  つまり、公務員と一口で言っても、いろいろ役割だとか業務の内容、職務ということを具体的に個別に精査をしていって、それらの種類に対応して、例えばこれはまあ団結権まではいいよとか、争議権はこれはもう国民の皆さんは不安になるぜとか、そういうマトリックスというんですか、そういう形でのやっぱり議論が今後、まあまあ先々のことを言うて申し訳ないんですけれども、そういうふうなことも議論をやっぱりやっていかないといかぬのかなという情勢ではないのかと。  奥歯に物が挟まったような言い方で申し訳ないんですけれども、その辺のタッチ、よろしく御答弁お願いをしたいと思います。
  131. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) いろいろな意見があることは御承知かと思います。公務員の、何といいましょうか、地位とか役割とかありますから、ここで予見を持ってその方向でということは申し上げません。ですから、労使の協調の場でもニュートラルにということでの検討の場ということは、まずは御理解ちょうだいいたしたいと思います。  そこで、公務と公務を担う公務員の範囲、在り方、これについてのことでございますけれども、総合的な検討を踏まえて基本権の在り方を論議することで連合と意見の一致を見ているわけでございます。  このように、公務員の労働基本権につきましては、その地位の特殊性と職務の公共性から一定の制約が出されておりまして、これに見合う代償措置として人事院勧告制度等が設けられているところでございます。これまでずっと続いてきました制度でありますから、これを変えることにはそれなりに国民への説明とか理解も必要であると、このように考えております。労働基本権の在り方等につきましては、この制度の必要性や経緯にかんがみまして、国民意識も十分に踏まえて厳粛な姿勢で検討していくことが必要であると考えております。  また、公務員が行う業務と公務とが一致していた従来の公務員に関する見方が変化していることもこれまた事実でございます。かなりの公共サービスを民に任していくということでございますから、公共サービスの従事する者イコール公務員ではなくなってまいっております。今後の公務と公務員の在り方等に関する国民各層の意識も十分に踏まえつつ、予見を持つことなく幅広い観点から検討されるべきだと、このように考えております。
  132. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 ニュートラルという言葉がやや関係者の間にちょっと分からなくなるなという、なかなか相当に老獪な言葉だなという部分は思いますけれども、しかし、私が申し上げました、種別によっていろいろあるということについて否定はされなかったということでございますし、まあまあこれから先の議論なのでということで今日は理解をしたいと思いますし、蛇足でありますけれども、人事院勧告制度というのは労働基本権を与えない代わりの代償措置と言われますけれども、ある意味で非常に優れた側面を持つ制度でもあるんです。一つ、楽だと。これ一々交渉でやり始めますと、私たちのように、民間競争、国際競争を背景にそこでジャッジされるという尺度がある場合は最後決着は付きやすいんですけれども、公務労働の場合は、そういうふうないわゆる競争力だとか、最終的に赤字だ黒字だというジャッジの、そういう物差しがない場合は交渉というのはなかなか難しい側面もあるということで、人事院勧告制度というのが持つプラス面もあるし、また公務の現実の働く皆さん方もそこはそれで理解をされている。  だから、基本権がバラ色のものだとは、これは特に公務をやっている組合の皆さん方は思っていらっしゃらない。それはそれで、まあ地獄とは言いませんけれども、大変な煉獄ぐらいな感じにはなるなと。それはしかし、そういうことはあるけれども、しかし、民族自決という言葉がありますけれども、属国よりも、経済的にしんどくなるか分からない、侵略に備えないかぬかも分からない、しかし民族自決としての自分たちのことは自分たちの責任でやっぱり決めていくということも、私は、公務労働者の間に大切なまあ共通の価値観だし気概だと、こういうふうに思うわけですから、そこのところも含めて御議論の方お願いをしたいということでありますし、続いて三番目のテーマでございますけれども、さてさて、そういう話をしておるうちに、キャリア制度ということについて少し御質問したいと思います。  この委員会の中でも随分キャリアという言葉が出てきました。ただ、分かったような気がするんですけれども、じゃうちの子供にキャリアって何なのと説明をしてくれと言われたときに、これはよく分からないな、要するに公務員の中で偉い人の話だとか、そういうことしか言えないわけですね。だから私は、これは、いわゆるキャリア制度というのは何でしょうかねと。法的な規定、法的な根拠がなく、正に慣行的に運用されているというわけでありますけれども、太政官布告以来やってきたのかなと。慣行的にやる割には社会的に大変大きな影響を与えておるのではないかと、こう思います。  ただ、すべての制度を全面否定するだけでは能がない。私は、キャリア制度のいい面も継続してきたという事実の中からきっとあるんだろうな、しかし世間で言われているような悪い面、マイナス面もたくさんあるんだろうな、そこのところは一度私も議論の場にのせていく必要があるんじゃないかということで、本日はお二方、川崎大臣と竹中大臣にこのキャリア制度のいい面また悪い面について御説明なり御感想をいただきたいと。  と言いつつ、谷垣大臣もおられますから、質問通告せずに御無礼だとは思いますけれども、ただ、川崎大臣に何で、谷垣大臣の方から、何で川崎だけ指名するんだと、こう言われたら、これも理由がありまして、民間の製造業のサラリーマン経験をお持ちだと、業界は私と一緒でしたからやや近親感があるということも。それから、竹中大臣の場合は、元は学者、今も学者さんだということですけれども、政治家に華麗なる転身を図られて、きっとあのときは相当なキャリアとのカルチャーショックもあったんじゃないかと推察をする中で竹中大臣にもお伺いをしたいということで、よろしくお願いします。
  133. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私が松下電器出身だということでの御質問でございますけれども、私が入りましたときは経営の神様と言われた松下幸之助さんが陣頭指揮を取っておられる時代でございました。経営の神様でございますから、お客様を大事にしてきた、技術を大事にしてきた、これを最も強く強調された経営者でございますけれども、裏から見ますと、やっぱり総務、人事といいますか、それから経理、この二つをやはり内部組織としてしっかり持っていたということは間違いないだろうと思っております。  最近の動きを見ましても、総務畑の人間、経理畑の人間、それから大学院卒の技術者、中央研究所等、これについては、やはり養成過程、民間会社といっても少しキャリア制度と似たような人事養成をしているのかなと。ほか、営業とか製造現場に行きます者は正に一線に立たされて競争が始まる。そういう意味では、会社の中で中核を成す者については、本社人事をしながら会社全体を見回す立場をしっかりおまえらは持てと、こういう教育を受けるんだろうと思います。  ただ、時代が違ってまいりましたのは、例えば幸之助さんの時代でも、自分の後継者、二十六段飛びで山下さんという人を製造現場から社長にぽおんと持ってきた。その後、営業出身が続きました。確かに、内部管理という面で総務、経理、こういう人間をしっかり育てることをしますけれども、なかなか今の時代、この人たちがトップに立って会社経営する、そういう時代ではなくなってきているのかなと私は思います。それは、やっぱりお客様の気持ち、そして製造現場の気持ちということになると、それはやっぱり第一線で戦ってきた人から上がってきた人がなると、そういうように思っております。  民間会社がやっているのと公務員のキャリア教育、実は公務員のキャリア教育も、海外にも行かせますし、大学も行かせますし、そういう意味ではかなりのものをやっているなと思っています。  結論から申し上げると、その上に我々大臣、副大臣が立つようになっていますので、我々は正に民間登用型なんだろうと。さあ、我々が経理、人事の言うことばかり聞いて仕事をしていくか、民間的な要素が持っている我々が国民の声なり地域の声を聞きながらしっかり政治をリーダーシップ取れるかというところが運用の問題だろうと。逆に、我々問われているのは、キャリアという優秀な人間を我々は使いこなすほどの力を持っているのかというのが政治家の側面からいったら問われているなと、私はこう思います。  それからもう一つは、うちでもそうなんですけれども、局長、今医療制度改革やっております局長二人は途中入社の技官でございます。医療の関係者でございます。  そういう意味では、やはり時代全体の変化の中のⅠ種からの登用だけではなく、Ⅱ種、Ⅲ種からの登用というものも心掛ける。いや、地方で苦労して、あれいいぞという形で我々が声掛けて登用できるような時代を迎えると、かなりある意味では硬直した人事制度というのはもう少し変わっていけるかなと、こんな思いをいたしております。  いずれにせよ、我々政治家はもうちょっと頑張らなきゃならぬなと、こんな思いを持っております。
  134. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 全般的な感想ということですので、そういう御説明をお許しいただきたいと思います。  実は、私自身は三十代の前半に五年程度、役所の中で仕事をしたことがございます。財務省の研究所に勤務したことがありまして、そういう意味では、キャリア制度、役人の制度そのものについては比較的親しみがあるつもりでございます。  そういう中で、むしろ、五年前に閣内に入って感じましたのは、キャリア制度はやっぱり変わってきているということだと思います。当時、三十代のころは、途中でキャリアの若い方がこんなに役所を辞めていくという状況はありませんでした。今、相当やっぱり当時に比べたら辞める方が増えています。そのことは非常に私は象徴的だと思うんです。  これ、ある労務管理の専門家の御意見で、私も賛同するんでありますが、こういう制度がなぜ定着してきたんだろうか。ちょっと言葉が極端かもしれませんけど、こういう制度というのは言わば人材の促成栽培のシステムであると。近代化を求められて、近代国家としての体裁を整えなきゃいけなかった。しかし、社会の十分な教育機関がなくて、しかしそれを担う優秀な人材をつくっていかなきゃいけない。そのために将来性のある若者を採用して、その採用が公務員試験だったわけですけれども、そこである種特別の待遇を与えるわけです。  典型的には、かつて大蔵省の方は二十何歳で税務署長になると。自分の父親と同じぐらいの総務課長に支えられて、見習いながらもとにかく署長をして、それで一種の帝王学を学ぶ。そういう特別待遇、これは一方では天下りのような形で保障もされている。しかし、その見返りとして非常に高い志を持って、高い能力を培っていく。したがって、良い面としては高い志、高い能力、それは間違いなくあった。悪い面としては行き過ぎた待遇、そういうのがあったんだと思います。  私が感じるのは、その両方とも低くなってきているということだと思います。待遇も以前に比べればやっぱり悪くなっていると思いますが、申し訳ないが志も能力も以前よりは低くなってきている。私は、これは一種社会の成熟の中での当然の現象だろうと思います。  そういう意味では、やはりこの制度の良い面は残っていくでありましょうが、それだけに頼ることなく、キャリアパスを複線化して多様化していく、そういう方向を目指すのが現実的であろうかと。現実にスピードに対する評価はいろいろあろうかもしれませんが、その方向には行っているのではないかというふうに思っております。
  135. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 谷垣大臣、何かありますか。
  136. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、竹中大臣のお話聞いておりまして、後進国、発展途上国における人材養成の方法だというのは確かにそういう面があったんだろうと思います。  どこの国とは申しませんが、私どものカウンターパートを見ておりますと、非常に優秀な閣僚がたくさんいらっしゃる。しかも、三十ぐらいから閣僚になっていろんな重要なポジションをこなして、それでもう、何というんでしょうか、四十ぐらいで国家全般の経営の、何というか、ノウハウを身に付けたような閣僚がたくさん海外にはいらっしゃるわけですね。ある意味では明治時代の日本もそうだったのかなと思います。いい面、悪い面があると思います。  それからもう一つは、実は私の父は役人でございまして、私は弁護士でございますから、まだ当時私がおりましたころは五、六人の事務所は大きい方でございましたから、組織の経験は余りございません。ただ、父に言われましたのは、私は裁判所で修習をし、検察庁でも修習をしたわけですが、いいか、日本の役人組織はキャリアが優秀だということになっているが、実はその組織がきちっと動くのは、いわゆるノンキャリの人たちが優秀で責任感があるからもっているんだということを父に教わりまして、事実、そういう面が今までの日本の官僚社会にはあったんだろうと。これもいい面、悪い面、両方あると思いますが、そんなふうに感じております。
  137. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 お三方の大臣、多々ますます弁ずで、更に時間があればと思いますけれども、ありがとうございました。  最後に谷垣大臣がいみじくもお触れになったノンキャリアという皆さん方ということでございまして、私は、キャリア制度を語るということはノンキャリア制度を語るということであり、また現実、地方公共団体においては学歴別採用基準のみで、キャリア、ノンキャリアという区別なく運用、登用しているというふうにも聞いておるわけであります。  そこで竹中大臣に、先ほどの谷垣大臣のノンキャリアについてのお話も踏まえながら、私は、ノンキャリア制度について、今度は担当大臣としてやっぱり何かすべきことがあるのか、その辺のところをお話をいただきたいし、私は、ノンキャリア制度がこれはある意味で能力登用阻害制度になっている、せっかく立派な能力のある人を埋もれさせてしまうようなマイナス面もあるのではないかと、そういうふうな感想を申し述べて、お伺いしたいと思います。
  138. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど谷垣大臣が非常に適切に御指摘されましたように、いわゆるノンキャリアと言われる方々がいかに献身的に地味だけれども本当に重要な仕事をされて日々の役所の仕事を支えておられるか、もうそのことはあらゆる機会に私自身も感じております。そういう方々の努力なくしてはこの大きな仕事をやっぱりやっていけない、そういう形に明らかになっております。  そういう中で、幹部要員たり得る一定の能力と意欲を有する方々をやはり効率的に選抜、育成するということ、そして一方で、人事運用の硬直化を避けて、職員のモチベーションといいますか正にやる気の低下を招かないようにするということが人事管理上最大の重要なポイントだと思います。このために今我々行っているわけですけれども、年功的な人事管理をやはり改めていく、そしてこれは正に採用試験区分な問題でありますから、その採用試験区分に過度にとらわれることのない、意欲と能力、成果を引き出すような人事管理システム、これを能力実績主義というふうに呼んでいるわけですけれども、いろんな実験といいますかテストも始まっておりますので、この制度をやはり実りのあるものにしていくこと、これが重要であると思っております。
  139. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 ノンキャリアの皆さん方にねぎらいの言葉もあったと思いますけれども、言葉だけじゃなくて、私はそのことが、本当に流した汗が報われるようなやっぱり制度を、私はこれ運用でやっていると聞いたときはけしからぬなと。運用でやれるんやったら、ノンキャリア制度を含めた新しい公務員制度の運用はやれるはずだということを含めて、私は、ここが大きな課題があるし、やっぱりしっかりやるべきところがないかなと、こう思います。  私も二十何年来、これ霞が関の皆さんといろんな意味でお付き合いをして見ておったんですけれども、総務課長というから、民間の総務かと思ったら、あれ違うんですね、国会対策課長。国会対策って何やっているんだと言ったら、この辺を一生懸命走って。だから、キャリアの皆さん方の能力って何なんだと。それ調整能力、調整能力というのは、これ人脈なんだと。こういうふうな、言ってみれば、ある狭い空間の事情通、その辺のところはよく分かっているということの方が職業能力のやっぱり一つのベースになっているということではもったいないなと。  私、会ってみて、やっぱり立派ですよ。皆さん方、お役人になったときに、三つ、四つ天下りして退職金たくさんもらってなんて思っている人は一人もいないはず。やっぱり一人一人は志もあるし、日本国民のために何とかせにゃいかぬという思いで日々やっていますけれども、結果としては、合成の誤謬とは言いませんけれども、調整で走った、与野党調整も含めまして、いろんな調整だけやっているということでは駄目だなと。  だから、今度定員問題が出てきたときに、日経連、経団連の皆さん方にもお役人の中で優秀な人を引き取ってもらえないだろうかという話になったときに、いや、言葉を濁して、何か答えが余りいいのが出なかったというのも、私はある意味で、お役人の職業能力開発の、本当に専門能力とは何なんだというところが具体的にはよく見えない。そういうところを、単に調整能力がすごいんだということじゃなくて、いろんな意味での能力開発をどうするかということも含めた公務員制度の設計というところが必要ではないかと、こういうふうに思います。  いろいろ、これは話し出すと終わりがないので、この行革、この関連法案議論の中で、先ほど申し上げました公務員制度改革、ましてキャリアだとかノンキャリだとかいう、こういう運用の問題も含めまして、今後の展開について十分な能力が発揮できる公務員制度を目指すということで、これは大臣、答弁は竹中大臣ですか、御相談して、中馬大臣
  140. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) いろいろと今後の公務員の在り方等も論議が出てまいりまして、この法案にもそうしたことを踏まえまして六十三条において今後の新しい公務員制度、これは労働基本権から、あるいは能力主義とかこういったことを踏まえた、総合的にこれを検討することにいたしております。  先ほどもちょっと申しましたが、拙速を貴んで、これまでの大きな組織体系でございますが、これを変にいじることによって大変な混乱を起こしても困りますから、組合の方々とも協議を続けながらひとつ新しい国家公務員の在り方、これにつきましてキャリア制度、ノンキャリア制度のこともございました。こういった在り方も含めて、公務員制度改革、これの法律をまとめる努力をしてまいります。その方向で今進んでいるところでございます。
  141. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 竹中大臣、何か追加することはございますか。私、委員長じゃないんですけど。
  142. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 公務員制度を所管する大臣としましては、改革全体、今、中馬大臣御答弁のとおりの方に進んでおります。中馬大臣とよく協力をして申し上げたような改革を進めてまいりたいと、こう思っております。
  143. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 それで、時間が残り少なくなってきましたけれども、最後に本件について、じゃこの公務員制度改革が、今るる皆さん方、問題もある、いい面もある、しかし何とかせないかぬなと言われたことが現状を混乱さすということでは駄目だと。だから、そことの間合いを計っていくという中馬大臣のお言葉だったんですけれども、じゃその間合いを計りつつ、どのぐらいの時間軸でやっぱり我々議論したらいいのか。あるいはまた、現場の当該の組合の皆さん方も心の準備とかいうこと、これあると思うんですよ。おおむね、大体どんなもんかなと。一番答えにくいかも分からぬですけれども、是非後輩に対する御指導をお願いしたいと思いますけど。
  144. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) いつまでとは言いませんが、法案にもはっきり書いておりますように、できるだけ早くといいますか、早期にまとめることにいたしております。法案の中に書いておりますから、これに向けて、拙速は避けますけども、しかしできるだけ早くこれをまとめるようにしてまいりたいと考えております。
  145. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 やはり今回のこの法案が、提案するサイドがプログラム法的だと言われるぐらいですから、なかなか、更に踏み込んで国民の皆さん方、有権者の皆さん方に具体的なイメージを持っていただいて、逆に国民の皆さん方が理解をすること、していただくことが非常に大きな私は仕事ではないかと。しかし、そこはなかなかかなわないということで、私どもも大変苦労しておるわけでございます。  本日、この後、市場化テストというジャンルで相当すごい質問を用意しておったんですけれども、時間を守るのが国会議員だと後ろから言われておりますので、大変残念ではございますけれども、また後ほど、いろいろ同僚議員と御相談をさしていただきたいというふうに思います。  最後に一言だけ、中馬大臣、よろしくお願いしたいのは、労働基本権をえさに公務員制度のコスト改革を図ると、そういうある種の矮小化されたそういう見方をする人おりますけれども、そういうものじゃなくて、天下百年の、国家百年のやっぱり計に堪えられるだけの、私はやっぱり大臣自身が気概を持って、志を持って、是非ともこれを私は成し遂げていただきたいということで、労働基本権の問題が、正に現場で働く皆さん方の気概を確立する、本当に国民に向かって責任を果たしていく、公務員魂をやっぱりこれから支える大きな要素であるということを申し上げまして、大変僣越ではございましたけれども、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  146. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 午後三時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ─────・─────    午後三時九分開会
  147. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいまから行政改革に関する特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、藤原正司君及び若林秀樹君が委員辞任され、その補欠として鈴木寛君及び小林正夫君が選任されました。     ─────────────
  148. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 休憩前に引き続き、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案外四案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  149. 神本美恵子

    神本美恵子君 民主党の神本美恵子でございます。  今日は行革推進法の中でも五十五条、五十六条を中心に御質問させていただきたいと思います。  この行革推進法の五十五条の地方公務員の職員数の純減のところで、その第三項に、児童生徒の減少に見合う数を上回る数の純減ということで、教職員削減のことが明確にうたってございます。  この教職員の削減についてですけれども、これまで中馬大臣は、教職員に限らずだと思うんですが、一律にカットするということではないと、無駄を省いて、精査して、そしてサービスの低下はさせないと、そういう視点で考えていくんだというふうに、衆議院からこちらに来てからもそういう御答弁をされていると思うんですけれど、じゃ、例えばここで言う教職員の場合は、そのサービスというのは教育の水準や教育の質ということになると思うんですが、それを低下させずに、無駄を省くという視点で精査をするというと例えばどういうことになるのか、まずお伺いしたいと思います。
  150. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今回の国を挙げての行政改革、規制改革、これは、もう大きく時代が変わりました、そういう中で、特定の何か分野だけ、あるいはまた一律に全部ということではなくて、それぞれ時代に合った形でめり張りを付けて、必要でなくなったものはなくしていくとか、あるいは民間に移すとか、そういう趣旨でやらしていただいております。  この総人件費改革につきましても、国、地方を通じて公的な部門を、これを全体で取り組んでいく問題でございますので、教職員につきましても例外なくそうしたことを検討してもらう。そして、もちろん人口減少社会に入りましたから、人口の減った部分、児童数が減った分はもちろん当然でございますが、そのほかに、従来学校でやっておる業務の中でもかなり民間に移せるとか、あるいは民の力をかりるといったことも私は可能だと思います。そういうことを含めて、人口減少といいましょうか、児童生徒の減少に見合う数を上回る純減を確保すると、このように書かしていただいております。  しかし、今おっしゃいましたように、教育の質のことでございますが、これは私の担当じゃございませんからひとつ文科大臣の方からでもお答えいただくと思いますけれども、そうした形で、数よりも、一つの数をそろえ、そしてまた給与を確保すればそれでいい教員がそろうという時代でも私はなくなったと思いますし、また、若干そういうことに対する批判もございます。  そういうことでございますので、熱意ある優れた教職員を確保するなど様々な工夫を行うことによりまして、合理化して教育の質の向上を図ること、これが重要だという形でのこの法案の形になっております。
  151. 神本美恵子

    神本美恵子君 時代が変わって必要なくなったものはなくす、また民間にできることは民間に、人口減少社会なので児童生徒数が減った分は当然減らすというようなお話でございましたけれども、確かに、児童生徒数が減ったからその分減るのが当然だというのはある意味では当たり前のことのように見えますけれども、今日は少子化担当大臣にもおいでいただいています。ちょっと直接御質問の時間が取れるかどうか分かりませんが、少子化ということで、そのことが子供たちの育ちあるいは家庭に与えている影響というのが様々にあるということも踏まえて、子供の数が減ったからそれだけ教育に掛けるお金も減らしていいという、そういうふうに簡単にはいかないんではないかという点で、今日はそういうことも踏まえて質問をさせていただきたいと思います。  現在でも、日本の公教育への投資というのは先進諸国の中で比べますと最低レベルにあると。これも文教委員会ではもう再三議論をしてきたことなんですけれども、例えばOECD加盟国の平均でいいますと、GDP総額のうちの六・一%を平均で教育機関に、OECD平均は六・一%支出しているのに対して、日本は四・七%、五%にも満たない状況にあります。ちなみに、PISA調査というのがございまして、OECD加盟国のいわゆるこれからの生涯学習社会の中で必要な学力を調査するということで行われている調査なんですけれども、それでトップをここ数年続けているフィンランドでは、ちょうどこの平均に近い六%の公教育への投資が行われております。  実は、フィンランドも調べてみますと、九〇年代初頭に経済危機に陥って、そのとき取った政策が教育への投資だったんですね。今日本も財政再建ということで、これだけ国家赤字、国家財政の赤字の中で全体的な行政改革、教育も聖域ではないということで取られておりますけれども、経済危機に陥ったときに教育への投資をあえて取ったというフィンランドが、それから十年以上たつ今、学力はもちろんですけれども、教育水準それから国際経済競争力も世界トップというふうに言われております。  ですから、もうこれは古くから言われている言葉ですが、教育への投資は未来への先行投資というふうにずっと政府、政治の中でも言われてきたと思います。日本も、古くからといいますか、特に戦後の教育改革の中ではそのことで教育の復興を図ってきたし、それが経済復興の礎にもなったということは、これはもう皆さん、私が言うまでもないことだと思います。  そういう観点から見ますと、今、日本政府はそれと逆のことをやろうとしているのではないかという意味で、これから具体的に、特に文科大臣中心質問をさせていただきたいと思いますが、せっかくですから、中馬大臣にもう一つ。  教育という仕事は、単に効率とか、何が無駄か、これはもう今要らなくなったというふうに簡単には、何と言いますか、評価ができにくい。何かの生産を上げるわけではありませんので、人が育つという営みは、その効果というのはかなり後にならないと現れてこないものですから、どの仕事が要らない、どの職員は要らないとかいうふうに簡単には結論が出せない。そういう教職の特殊性というようなことについて、中馬大臣はどのような御認識をお持ちか伺いたいと思います。通告していなくて済みません。
  152. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 私が今申し上げました教職員全体のことでございますが、教員、いわゆる教師だけの問題じゃございません。学校の中のいろんな用務的なことをされているとか、それからまた、一般のいろいろな教育の中においても民間の方々の、お手伝いをするとか、そういう体験を語ってもらうとか、そういった方も教壇に登ってもらう、これも制度としてやっております。  そういう中にありまして、従来どおりの形をそのまま踏襲するんじゃなくて、新しい時代に適応した、またITを使ったり、そういったことをいろいろするわけでございますから、そうしますと、おのずと時代に合った形の人員配置というものも考えられるかと思います。  そういうことでございまして、ただ単に数を減らせばいいということではございませんので、誤解のないようにお願いいたします。
  153. 神本美恵子

    神本美恵子君 単に数を減らせばいいということではないということをしかとお伺いしました。  そこで、文科大臣にお尋ねしたいんですけれども、こういう時代状況それから財政の状況の悪化というようなことも含めてなんですけれども、公教育、中でも公立学校の重要性ということが近年ますます増しているというふうに私は認識をしているんですが、大臣として、憲法二十六条を持ち出すまでもなく、教育の機会均等とその無償制ということで、義務教育が実質的に憲法から請け負っている教育を受ける権利の確保といいますか、そのことについて、それを実質的に担保するのが公教育、中でも公立学校だと思いますが、この公教育の重要性について、まず文科大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  154. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 神本委員には、文科委員会でも度々公教育、とりわけ義務教育段階における公立学校等の役割について御質問をいただいているところでございますが、ただいま御指摘がありましたように、憲法二十六条の規定も踏まえまして、公教育とりわけ義務教育段階の学校において公立学校が占める割合というものは、平成十七年五月現在、小学校では九八・八%、中学校では九二・八%となっておりまして、そのほとんどが公立学校となっているところでございます。また、高等学校におきましては、義務教育ではないわけでありますが、中学校を卒業した大多数の生徒が進学しているところであり、高等学校において公立学校が占める割合は平成十七年五月現在で七五・三%となっているところでございます。  このように、小中高等学校において公立学校の占める割合は大変に高いわけでございまして、公教育において公立学校の果たす役割は非常に大きなものであると認識をいたしております。今後とも、憲法第二十六条の規定を踏まえ、全国どこの地域、どこの公立学校においても子供たちが一定水準以上の教育を受けることができるように、国として必要な責任をしっかりと果たしてまいりたいと存じます。
  155. 神本美恵子

    神本美恵子君 今、具体的に小中高の公立学校の比率もおっしゃっていただきました。公教育といえば公立学校だけではなくて私立学校もその中に含んで、私立学校も公教育の一翼を担っているんですけれども、今の比率を言っていただいたことからも分かるように、その中でも公立学校の果たす役割というのは非常に大きい、私立学校が増えてきているけれども、依然として大きいということがお分かりいただけたと思います。  先ほどの本会議でも、格差の問題が総理との間でやり取りがございました。総理は、相変わらず、格差はあってもいい、拡大が問題なんだと言いながら、格差拡大もセーフティーネットが整備されていればそれでいいのではないか、ねたんだりしちゃいけないというようなことも、この間の質疑の中でおっしゃっておりました。  ねたむとかねたまないとかではなくて、私、ここで問題にしたいのは、この格差が拡大をし、特に格差の底辺に固定化していく、そのことが子供たちにあるいは教育にどのような影響を与えているかということをしっかり考えなければいけないというのをここではちょっと御提起したいと思います。  地域間、個人間の格差拡大、例えば子供という視点から見てみますと、五世帯に一世帯は年収二百万以下、ここに暮らす子供はどうなのか。それから、貯蓄ゼロ世帯、これも一九七二年の三・二%から〇五年には二三・八%に増えている。それから、生活保護世帯も今や百四万世帯と百万世帯を超えている。こういう低所得、それから生活保護を受けている、貯蓄ゼロというような家庭に育っている子供たちもいるわけですね。  この固定化、増加がどのように教育に影響しているかといいますと、例えば年収四百万以下の世帯では、家計の中に教育費の占める割合が六割にも達しているという調査もございます。それから、就学援助を受けている小中学生の数が二〇〇四年度、全国で約百三十三万七千人、これは二〇〇〇年度よりも約四割も増えているというような数字になっています。新聞等でも報道されましたし、話題にもなりましたので御存じだと思いますが、大阪、東京、特にこの比率が高くなっているというようなことも具体的に出ております。  この経済格差が子供の進路や学力に影響を及ぼしているということが、まだ数字として私もつかめておりませんけれども、具体的な事例として、私は、大阪の公立中学校の先生のお話を見付けた、見付けたといいますか、講演の中で聞かせていただいたんですが、例えば、本校の保護者には、中小企業やパート、日雇、飲食店などの自営業に携わっている方が多い。そのため、不況のあおりをもろに受けた家庭があり、父親が仕事にあぶれ、昼間からお酒を飲み、虐待を受けていた子供、夫婦げんかが絶えず、そんな姿を見るのが嫌で家を飛び出した子供、仕事がないためいらいらして子供に当たり、精神的に疲れて毎日保健室で過ごしている子供など、親の不況のあおりを受けた、親の家庭での姿が子供たちの学校での姿に深刻な影響を及ぼしているという事例でございます。  その中学校の先生がおっしゃるには、特に低所得による子供への進路の影響が大きいということなんですね。もちろん、公立の高校があるわけですから、中学卒業したらそこへ行けば授業料も安くて行ける減免措置もあるというようなことはあるにもかかわらず、やはりその子の成績といいますか、高校は受験しなければいけませんので、それから見ると公立はなかなかその学力では難しいから私立に行きたい。しかし、私立に行くにはお金がないので、大抵今、公立と私立の併願受験をしているわけですが、その私立への受験を断念せざるを得ない。そのために、公立に失敗したらもう中学を卒業した後は働きに出なければいけないというような子供が増えていると。学力がなかなか厳しいので、おうちの方にも説得して何とか私立を受けさせてもらえないかと行くけれども、うちにはお金がないから絶対駄目だというように親御さんがおっしゃるような家庭もあると。  それから、ある家庭は父子家庭で、父親が仕事に就かず生活保護で暮らしているので、その子供さんは祖父母のところで暮らしていると。祖父母もやっぱり生活保護を受けているということで、本当は高校に行きたいけれども、そういう家庭の状況、おじいちゃん、おばあちゃんの状況を見ると高校に行きたいとも言えないと。だから中学を出たら働くというふうに言っているということで、中学校の先生は、とりわけ進路の問題でこの所得格差というものが低所得層の子供たちに深刻な影響を与えているということを肌身で感じているというお話がございました。  こういう保護者の所得格差が教育の格差につながらないように、進路の選択の幅を狭めたり、あるいは家庭環境の文化的な要因が、経済的に厳しいということでなかなか塾に行けないとか、家で本を買ってもらえないとか参考書がないとか、様々な所得格差から教育格差に与えるであろう影響というのが考えられるわけですが、人生のスタートラインにこういう格差を持ち込んではいけないという思いは現場の先生にも大変強く、それをいかにカバーするためにきめ細かい指導をするかということで声が届いております。  そういう意味では公立学校の役割はますます重要になっていますし、そこを充実させていくことがますますこの格差拡大社会の中で重要になっているのではないかと思いますけれども、小坂大臣、どのように御認識でしょうか。
  156. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 委員お話をいただきましたように、教育の機会均等を図ることは重要な課題でございます。親の所得など、家庭の経済状況によりまして就学の機会が奪われないようにしっかりと手を差し伸べていくことは必要だと考えておりまして、全国的な教育の機会均等を図るために、学習指導要領により全国的な教育内容の基準を定めた上で、義務教育について国は、義務標準法、人材確保法、また義務教育費国庫負担法による仕組みや教員免許制度、また法定研修などにより優秀な教員を必要数確保した上で、授業料の無償、教科書の無償給与を実施をいたしておりますとともに、市町村が、経済的理由により就学が困難な児童生徒に対し就学援助を実施をいたしているところでございます。  また、お話のございました高等学校につきましては、すべての都道府県において、経済的理由により就学困難な高校生に対し、公立学校の授業料、入学金等の減免を行うとともに、奨学金事業を実施しているところでございます。  文部科学省としては、これらの施策によりまして教育の機会均等の確保を図るとともに、その充実に努めてまいりたいと存じます。
  157. 神本美恵子

    神本美恵子君 今大臣おっしゃっていただいたような様々な公教育を支える法制度というのがございます。義務教育費国庫負担制度それから義務標準法、人材確保法、就学援助、学教法ですが、それから授業料減免というような、こういうのがあるんですが、今日は財務大臣もいらしていますけれども、お聞きするつもりはなかったんですが、この三位一体改革で義務教育費国庫負担も二分の一から三分の一、それから義務標準法も、この後お伺いしようと思っているんですけれども、これを見直して、もしかしたら義務標準法、定数削減の方に行くのではないかというようなことも経済財政諮問会議や財政等審議会ですか、そういうところで議論されているやに何かあちこちから漏れ聞こえてくるというようなこともございます。  本当は充実しなければいけない公教育が、そういう意味で、過去、公教育を支える法制度としてあったものが、今財政難ということでそのツケを子供たちに回そうとしているのではないかということで、私は大変な怒りを持っております。ここで怒ってもしようがないんですけれども。  その前に、ちょっと細かいことなんですが、例えば、じゃ学教法、学校教育法で保障されている就学援助ですね、この制度も数年前に、二〇〇五年から一般財源化されております。そのことによって、文部科学省は、しかし学校教育法にきちんと、経済的事由により就学困難と認められている児童生徒の保護者に対しては市町村は必要な援助を与えなければならないというふうに、これは義務規定でされているので大丈夫だというふうにおっしゃったんですけれども、一般財源化されて、市町村が、国庫補助金がなくなって一般財源化されて、本当にこの就学援助というものが確保されているのかどうか、文科省はその実態、大丈夫な実態をつかんでいらっしゃいますでしょうか。
  158. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ただいまお話ございましたように、就学援助につきましては、市町村が認定をいたします準要保護者に対する補助につきましては、平成十七年度から国庫補助を廃止をし、税源移譲を行い、所要の交付税措置も講じているところでございます。  一般財源化の平成十七年度の状況でございますけれども、実績は今自治体の決算後集計をいたすことにいたしておりますが、十七年度の就学援助総予算額を見ますと、全都道府県合計で約九百五億円となっておりまして、これは平成十六年度実績に比較をいたしまして八十二億円の増額となっているところでございます。  また、各市町村におきましては、近年いわゆる準要保護の子供が増えているわけでございますけれども、その理由として、経済状況の変化あるいは母子、父子家庭の増加、また就学援助が知られるようになってきたことなどの回答を得ているわけでございますが、準要保護に対する就学援助を実施をするために基準の見直し、あるいは公平性、適正化といったようなことについて、それぞれ御努力をいただいているところと承知をいたしております。  現時点で、私どもといたしましては各市町村の方におきまして適切に就学援助は実施をされているというふうに把握をいたしておりますが、今後とも市町村の取組状況の把握に努めまして、必要に応じて指導をしてまいりたいと考えているところでございます。
  159. 神本美恵子

    神本美恵子君 その就学援助の金額は、確かに対象者が増えているわけですから金額として増えていると思いますが、各自治体は、やっぱり一般財源化されて自治体の財政状況にも大きく影響されて認定基準が非常に厳しくなっているところが幾つかあるということを、これは東洋大学の藤本先生の論文の中にもあるんですが、例えば埼玉県のある市では認定基準が厳しくなって、ある学校で百四十人の申請者があったにもかかわらず、その中の四十人は不認定になっている。あるいは京都府のある町では、前年度実績の半額しか予算化しなかった。あるいは福岡市などでは、認定の目安であったものが認定基準に厳しくなって、認定されるその対象の学用品も減らされていると。  この前、私も福岡、地元に帰って現場の先生のお話を聞きましたら、それまでは就学援助の中で、水着ですね、学校で体育で使用する水着も支給されていたんだけれども、お金がないということで支給されなくなって、お姉ちゃんのを使いなさいと言われてお姉ちゃんのを使っていたら泳いでいるうちにびりびりに破れてしまった。プールってすごい塩素が入っていますから、もうお姉ちゃんが六年間、まあ六年、ちょっと大きくなると買い換えるでしょうけれども、数年使ったものをお下がりで使うということは、現実的に着ているうちに破れてしまうなんていうことが起きている、まあ細かいですけれども。  そういう状況が出てきて、給食費や修学旅行費の滞納者が現実に増えてきて、その集金に追われたり、それからその手当てに追われたりしているというふうな現状もありますので、公正、適正にやられているかという観点ではなくて、本当に必要な子供たちに就学援助が必要なように支給されているかという観点で文部科学省は、是非学教法の精神に基づいて、経済的理由で教育が受けられないという事態が起きないように、機会均等を守るという観点から調べていただきたいなと思います。  そこで、それはまあ御要望しておきますけれども、次に義務標準法ですが、これについても、もう時間がありませんので、じゃ、まず義務標準法、これが義務教育の質の確保と機会均等に果たしてきた役割ということで、先ほど大臣ちょっとお答えいただきましたが、もう少し具体的にお話しいただきたいと思います。
  160. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 義務標準法は、公立の小中学校等に対しまして義務教育水準の維持向上を図るために、学級規模と教職員配置の適正化を図るための根拠としての意義を有しているわけでございます。これによりまして全国的に必要な教職員が一定数確保され、このことによりまして水準を維持するということで、これまで七次にわたりまして改善が行われ、教育環境の維持を図ってきたところでございます。  具体的には、第一次改善計画、三十四年からの五年間におきまして、五十人から四十五人に向けて改革を図り、またいわゆるすし詰め学級を解消するための学級編制上の上限を五十名と明定したことが皮切りでございます。漸次学級編制の上限数を引き下げ、第五次の五十五年から平成三年にかけて四十名、そして現在に至っている、このようになっているわけでございます。また、六次、七次の改善計画におきまして、この四十人を上限としたままで個に応じたきめ細かな指導を実現するための習熟度別など、少人数指導が可能となるような教職員定数の改善を図ってきたところでございます。  義務標準法は、これまでの七次にわたる教職員定数改善計画を通じまして、義務教育の基盤整備に係るナショナルスタンダードを改善しつつ、義務教育費国庫負担制度という安定した財源保障制度と相まって、義務教育の水準の維持向上のために大きな役割を果たしてきたものと考えておるわけでございます。
  161. 神本美恵子

    神本美恵子君 戦後のやはり本当に子供がベビーブームでたくさん生まれて、それから増え続けている中で、すし詰め学級を徐々に解消してきたと。それから、四十人学級、今もそうなんですけれども、六次、七次改善で個に応じた指導という改善の仕方に変えてきたということをおっしゃいましたけれども、確かに中馬大臣もここのいつかの議論のときに、昔自分が学校に行っていたころは、五十人から六十人ぐらいが一教室にいて、熱意ある先生が本当に一生懸命指導してすくすく育っていたというようなお話をなさいました。確かにそういう時代もございましたけれども、今、じゃ四十人学級で、日本も平均、ならしていえば三十人ちょっとぐらいの人数だと思いますが、これは、じゃ五十人に比べれば確かに少なくなっておりますけれども、諸外国と比べてどうなのか。  今のこの少子化の中で、あるいは少子化だけじゃなくて、様々に地域の生活、家庭の中での生活も変わってきている、子供たちも非常に多様化し、個別化していると言われる中で、四十人学級のままでいいのかということについては、私も、現場の声としては、できれば二十人前後にしてほしいというのが一番、はっきり言ってそうだという。  で、諸外国についてはいかがでしょうか。OECD諸国でいいんですが。
  162. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 委員、先ほど来OECDを引いていらっしゃいましたんでその辺で答弁させていただきますが、欧米諸国と日本の教員数や学級数を比較する際には、学校の数、それから学校の規模や児童生徒の数など様々な点が異なっておりますので、単純にその数の多少を比較することは困難な面もありますけれども、OECDの調査によりますと、二〇〇三年における国公私立学校で校長、教頭を除く教員一人当たりの児童生徒数は、初等教育で日本が十九・九人、OECD諸国の平均は十六・五人、前期中等教育では日本は十五・七人、OECD諸国の平均は十四・三人となっているところでございます。  また、国公私立学校で特殊学校を除く一学級当たりの児童生徒数は、初等教育で日本が二十八・六人、OECD諸国の平均は二十一・四人、前期中等教育では日本は三十三・九人、OECD諸国は二十三・六人となっているところでございまして、文部科学省といたしましては、これまで教員一人当たりの児童生徒数を欧米並みに改善すべく累次の定数改善計画によりかなりの水準まで改善してきていると考えておりますが、いまだOECDの平均には至っておらない状況でございます。  一方、一学級当たりの児童生徒数は依然として欧米諸国に比べて多く、日本では四十人を上限とした学級編制となっていることは先ほど申し上げたとおり、一般的に欧米よりも平均のクラスサイズが大きいということを認識をいたしておるところでございます。
  163. 神本美恵子

    神本美恵子君 教育行政預かる文科大臣としては、欧米諸国並みに、教員一人当たりの児童生徒数や、あるいは学習集団としての一学級の人数も減らしていきたいという意思表明をいただきましたけれども、具体的に、先ほど格差拡大社会が子供の生活や学習、教育に与える影響というものを言いましたが、今回は、この総人件費改革ということで、その児童生徒数減を上回る純減、それから標準法の見直しということも言われておりますけれども、私はむしろ欧米諸国と比較しても今よりも教職員を増やしていくべきではないか。それから、この教育格差が出てきそうなとき、もっときめ細かな指導が必要、相談も必要、支援が必要なときに、教職員を増やすべきではないかというふうに思っておりますが、小坂大臣、これまでも学校が抱える課題は多様化、複雑化しているというふうにおっしゃってまいりました。具体的に、今日的な学校教育が抱える諸課題というのをどのようにとらえていらっしゃいますでしょうか。
  164. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 我が国の義務教育は、関係者の御努力によりまして機会均等、そして水準維持向上を図ることによりまして、社会発展の原動力となってきたところでございます。  一方で、今日、幾つかの課題があるわけでございまして、その課題を御質問いただきましたが、具体的に申し上げますと、例えば読解力の低下など子供の学力が低下傾向にあって、学んだことを実社会で生かす力が必ずしも十分身に付いていないのではないかという御指摘、また不登校、いじめ、暴力行為等、様々な問題があることも事実でございます。  このため、文部科学省といたしましては、義務教育の構造改革を進める、そして義務教育の質の向上に努める、そしてそのようなことから、学習指導要領の見直しなどを通じて子供の学ぶ意欲や知的好奇心を育成していくことなど、確かな学力の育成や子供の情動面の問題に対応するための方策の検討、あるいは学校、家庭、そして関係機関の連携によります不登校への対応など、豊かな心の育成などに積極的に取り組んでいるところでございます。  今後とも、社会の複雑化、多様化に対応しながら、どの子供も豊かな教育を受けることができるように努めてまいりたいと考えております。また、教育というものは、家庭教育というものを中心にしながらも、学校と地域が連携をしていくことが重要だと、この観点を踏まえて努力をしたいと思っております。
  165. 神本美恵子

    神本美恵子君 今大臣におっしゃっていただいたような課題と、また、それこそ、ここ二、三日報道されています秋田での子供が行方不明になったり、それから多分交通事故から遺棄されたんではないかというふうに言われていますが、通学途中での痛ましい事件とか、学校に侵入してからの事件とか、様々な問題が起きている学校安全対策とか、それから小坂大臣が発議者になって作られた食育基本法、あれも、学校における食育の充実という点から見れば学校教諭制度や自校方式での学校での食育の充実という、それから発達障害者支援法もできましたし、特別支援教育にかかわる学教法の改正も今次国会提案されております。もう様々な意味で、それから、環境教育もそうですし、様々なものが学校に期待されておりますし、それをやらなければいけないと御認識もあると思います。  そういう意味から、繰り返しになりますけれども、私は学校の教職員を減らすのではなくて増やす方向で考えなければいけないのではないかというふうに思っております。そういう意味で、今年度の予算において第八次計画が文科省としては計画をしていらっしゃったそうですが、とんざしてしまって、第八次計画、今年度見送りといいますか、もうなしになっておりますよね。これで学校現場は、じゃどうなるのかというふうに思っております。そのツケが子供や教職員、学校現場で教育を預かっている教職員に来るのではないかというふうに思いますけれども、文科省はこの八次計画、今年とんざした分は今後どのように考えていらっしゃるのでしょうか。
  166. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 今委員から御指摘のございました十八年度から二十二年度までの五か年における第八次定数改善計画でございますけれども、これは決してとんざしたわけではございませんで、この改善計画案では習熟度別指導などの少人数教育の推進、また特別支援教育などの充実、こういった今日的な教育課題に対応するための定数改善によりまして一層の義務教育の水準維持、向上を図ることとしておったわけでございます。しかしながら、総人件費改革を進めるとの政府方針の下に、私どもといたしましては、やむを得ず十八年度において次期定数改善計画は策定しないこととしたところでございました。  今日的な教育課題への対応のために、教職員配置の見直しによりまして特別支援教育や、御指摘の食育の充実に必要な教職員定数の改善、すなわち三百二十九人を得ることとしたところでございます。これは財務大臣との協議の上で、第八次の定数改善計画という形で本年度は取り組まないが、しかし必要なものに対して、合理化によるものと不必要なものを定数改善をする数等、三百二十九人という数でございますが、合理化減を充当さしていただくということで合意をしたところでございます。  文部科学省といたしましては、今日的な教育課題への対応のために、今後とも計画的に少人数教育の推進や特別支援教育の充実を図っていく必要がある、このように考えているところでございまして、今後の定数改善、教育職員定数の改善の在り方についてどのような対応が可能か、この十九年度以降の予算編成過程において検討してまいりたいと考えております。  また、委員から、教員はすべてを期待をされて大変多忙だという御指摘もありました。この点についても併せてお話を申し上げておきますと、学校の教育の成否は教員に負うところが極めて多く、教職員の意欲と使命感、これに依存をし、また教育活動に専念できるようにすることは大変重要なことだと思っておりまして、学校現場での声、すなわち教職員の意識調査を見ますと、多くの教職員の方が多忙感を抱いていることは事実であると認識をいたしておりまして、文部科学省といたしましては、各教育委員会に対して、会議などの見直しによる公務の効率化、そしてまた各種の調査等の、これについては本当に必要なものかどうかという精選、そして事務処理体制の整備等について指導してきたところでございまして、今後とも、教員の多忙感の解消に向けて、各学校や教育委員会の取組を促すとともに、委員が御指摘なさいましたように、すべてのことが教職員の皆さんに全部集約してしまうという形になっておりますけれども、文部科学省としても教員の勤務の実態についてよく実態を把握して対応をしてまいりたいと、このようにも考えているところでございます。
  167. 神本美恵子

    神本美恵子君 教職員の実態について言っていただきましたが、その前に、私は御紹介したいことがあるんですが、これは佐藤学先生、東京大学の、教育の現場をあっちこっち本当に実際に見て回られて、フィンランドにも行かれて、現場からの教師教育や教育実践というようなことを研究なさっている先生なんですけれども、この方が講演された記録の中で、教育政策というのは二十年先、三十年先を考えてやらなければいけないんだと。敗戦直後の人々は教育に未来を託して、新制中学がスタートする直前の国会の議事録を読みますと、文部省の担当官が国会で新制中学の準備状況を問われて、泣いて発言できないわけです。議員もみんな泣いたといいます。新しい民主教育を始めたいが、お金がない、学校が造れない。子供たちの未来を考えて国会は涙で包まれたのです。そのような厳しい状況の中で新制中学を発足させ、六三三制を発足させたというようなことが書かれていたので、私はそれは本当なのかと思って、国会図書館から当時の議事録を取り寄せました。  議事録には泣いたとか、もちろん書いてありません。「呼ぶ者あり」とかいうのはあるんですけれども。書いてないですけれども、本当に当時の文部大臣もそれから文部省の担当の政府委員の方も必死で、実態がつかめない。国会議員は恐らく与野党を問わず、当時どこが与党だったかちょっとよく分からないんですけれども、問わず、皆さん、子供たちが今例えば馬小屋で勉強しているとか、校舎がなくて、公会堂や民家の納屋の中で勉強したり、一部、二部、三部に分けて、中学校という、ないものを造るわけですから、建設費が間に合わない。そういう実態を出しながら、七十五億を予算として要求したけれども、それが十四億に減らされて、さらに、十四億大蔵査定で内示が取れたということを文部大臣が各市町村に通知をしたら、それでもう冬を迎える北海道や東北の方では既に校舎建設を始めたわけですね。寒さに震えながら、青空天井で勉強できないと。  ところが、十四億の大蔵査定が総理裁定で七億に減らされたというんで物すごい混乱に陥ったところでの国会でのやり取りが議事録につぶさに残されておりまして、文部省もそれから国会も何とかこれをスタートさせようということで必死の議論がされていることを読みまして、私は、今のこの行革の中で、子供たちが本当に受難を迎えて、教育格差が出てきそうだ、これ以上行くと本当に格差が出てきてしまうというような状況のときに、教職員を削減するということを国会に提案されていることに対して、私は、文部大臣は、それから文部省の方、今日は数人しかお見えになっていないかもしれませんが、それこそ泣いてでもわめいてでも、こういう法案には賛成できない、学校は今こんな状況なんだということを是非財務省にもそれから総理にも中馬大臣にもしっかりと言っていただきたいという思いで今日質問させていただいているんですが、当時のことをちょっと御紹介だけしましたけれども、大臣、どう思われますか、今、担当としてですね。
  168. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 今、戦後の混乱期の中においても、未来投資である教育に議院を挙げて、また文科省の担当者を始め教育現場の皆さんが必死の思いでそれを構築し、制度として立ち上げたい、その思いを伝えていただきました。私も、今教育現場を担当する大臣として、そのころの状況を常に忘れることなく、学校現場においての崇高な使命感を持った教員の皆さんと手を携えながら教育の充実に図っていきたいと、そう思っております。  そういう意味で、定数改善計画というのは、できれば定数がどんどん増やせるだけ増やしたい、そして充実させたいと、こういう思いはありますが、しかし一方で、やはり時代の流れの中で子供の数が減っている。そういう中で、どのようにしてそういう要請を踏まえながら、併せて内閣としての一つの要請である人件費の、総人件費の削減という方向性をどのようにマッチングさせていくかと、それが一つの知恵とそれから努力であろうと思っておりますので、そういった意味で、教育の質の低下を招かないようにしながらも、そういった定数を維持するという努力をしながらも、しかし人件費としての総人件費の削減という目標を達成できるようにぎりぎりのところで努力をしてまいりたい、このように決意しているところでございます。
  169. 神本美恵子

    神本美恵子君 大臣決意が分かるようで分からないというか、伝わってこないというか、やっぱり学校現場でどういう状況になっているのかということは、実際に見てみないと分からないと思います。是非大臣、何というかな、中馬大臣にも是非行っていただきたいと思うんですが、特に低所得者層の多い校区、学区というのはありますので、そういう地域で先生たちがどんなに、どんなふうにして子供と格闘しながら子供たちの育ちを支えようとしているのかということを是非見ていただきたいと思うんですね。それをもうとにかくつぶれそうになりながらやみくもに、まあやみくもと言ったら現場の先生に申し訳ないんですが、とにかく必死でやっている。その結果どうなっているかと。  今日資料をお配りさせていただきましたが、学校現場の教職員の勤務実態なんですけれども、資料の一枚目にあるのは、これは昭和四十一年、人材確保法が提案されるときに調べられたものだというふうにお聞きをしておりますけれども、月別勤務時間表で、これ昭和四十一年の月別に調べたもので、合計平均が二時間三十分小学校、中学校は三時間五十六分の週平均の超過勤務、勤務時間外にやった勤務ですね。  その裏のページに載せています資料の上の表ですが、これは言っておきますけれども、文部科学省がこの四月に一週間だけサンプル調査ということでされたので、数字は余り信憑性、まあ信憑性というか統計的に有効性はないというお断りがありましたので、もうそれは分かった上でちなみに御紹介するんですが、これしかないんですよね。これはもう文科省の怠慢ではないかということを私は強く言いたいと思います。昭和四十一年に調べたきり一回も勤務実態調査というものをこういう形でまとめていないということが、まずこれは指摘しておきたいと思います。  その上で、これからようやく取り組もうということのプレ調査ですが、一週当たりの超過勤務。その二つ目の表は、下が二時間二分、持ち帰り二十四分とあるので、ああ、四十年前と余り変わらないのかなと思ったら、そうじゃないんです。四十年前は一週間に二時間半なんですが、今は一日二時間二分、持ち帰りと合わせて二時間半ぐらいです。一週間で見ると、超過勤務が十五時間二十二分、持ち帰り四時間四十八分で、合わせると二十時間十分になっております。これは平均ですから、もちろん全く超勤なさっていない先生もいらっしゃるでしょうし、多い方は一週間に百時間を超える勤務をしている人もいるというような報告が別の調査では来たりもしております。  こういう超過勤務の中身というのは、先ほど大臣おっしゃったように無用な会議、無駄な会議も行われているかもしれませんけれども、ほとんどが授業時間です。授業が終わって必要な連絡事項や会議をした後は部活、そして次の日の授業準備をするまで学校に残っていられるのは小学校の先生だけ。中学校の先生は、部活が終わったら、それから生徒指導、生活指導で警察に呼ばれたり家庭訪問したりもういろんな活動をして、家に帰り着いてから次の日の授業準備をするというような現状にあって、今や学校の先生たちはその多忙感のためにもう定年まで勤められないというような先生方の声があちこちから聞こえています。  文科省としてはこれから本格調査をなさるそうですけれども、その調査結果をどのように対策に生かされるのか、どういう目的で勤務実態調査をされるのか、お伺いしたいと思います。
  170. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ただいま先生お示しの資料は、今年、文部科学省が教職員の勤務実態につきまして少し長期にわたる詳細な調査を予定をしているわけでございますが、その前段階といたしまして、予備的に、試行的に一週間、ごく限られた二十校という小中学校を対象に実施をしたものでございます。  今後、この予備調査の状況を踏まえまして、私ども、教職員の勤務状況、それから教職員の給与、こういった在り方の検討を行う際に必要となる基礎的なデータを把握するために教職員の勤務実態調査を実施をしたいというふうに考えているところでございます。この結果を踏まえながら、教職員の勤務の在り方、学校の役割の在り方、そして教職員給与の在り方の検討を行って結論を得ていきたいというふうに思っているところでございます。  なお、試行調査におきましては、大変先生のいわゆる勤務時間外の仕事というのが多いという実態も、まあ一部でございますけれども、統計的な意味合いはまだないわけでございますが、明らかになっておりますけれども、これにつきましては、前の四十一年の調査のときもそうでございましたが、やはり授業の準備、それから部活動というのはかつても今も共通でございますけれども、最近のデータにおきましては、いわゆる生徒指導関係の校務分掌でございますとか、あるいは学校内の諸会議、それから学級通信といったような家庭との連絡とか、こういった業務がやはり最近の先生には多いということがやや分かってきているところでございます。  なお、昨年、文部科学省としてスクールミーティングというものを行ったわけでございますが、その中でも先生方の多忙感ということは話として出ていたところでございます。  そういった状況を踏まえて、教職員の勤務実態について、先ほど申し上げましたような観点から今年調査をしたいというふうに思っているところでございます。
  171. 神本美恵子

    神本美恵子君 給与の在り方を検討する、その素材ということをお話しされましたけれども、私は、その前に、この時間外でしか教材研究、教職の本務である授業準備、教材研究というものができないという、その状態を何とかしなければいけないのではないかと思うんですよね。この超勤を解消するという、学校の中でちゃんとあしたの授業の準備までできるようにする、そういう多忙化解消、超勤解消ということについて文科省はどのように考えていらっしゃるのかというか、もう時間がありませんので、是非これはきちっと考えていただきたいという御要望をしておきたいと思います。  もう一つ、もう残り少なくなりましたので、中馬大臣にお伺いといいますか、確認したいんですが、四月二十三日、これ報道なんですけれども、公立小中教員給与引下げ検討、政府歳出削減へ四%程度というふうに報道がされておりました。行革推進法の五十六条三項では、いわゆる人確法について廃止を含めた見直しをするというふうに書いてございますけれども、この四%というのは人確法のことなんでしょうか、それとも今話題にしておりました超勤などにかかわる教職調整額、何のことなんでしょうか、大臣
  172. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 私、この新聞記事は指摘されましてから見ましたけれども、この出どころその他が私どもはつかめません。そういうことですからこれについてのコメントは差し控えますが、総人件費改革は簡素で効率的な政府を実現して政府の規模を大胆に縮減する、公的部門全体で取り組んでいくことが必要であると考えております。そういうことから、公立学校の教職員の給与につきましても、いわゆる人材確保法の廃止を含めた見直しなど、その在り方に関する検討を行いまして、平成二十年四月を目途に必要な措置を講ずることといたしております。  高度成長期に教員の方々が、応募される方が少ないといったようなことも含めてこの人確法を作りましたが、今はそういうことも、時代も過ぎましたので、こうしたことも一度白紙に戻した形で検討していくということでございます。公立学校教職員の給与の在り方についても、検討が行われまして成案を得ることを期待いたしております。  もとより、今回の人件費改革、国を挙げてのことでもございます。これまでのように教師の給与を一律に優遇すればよしと考えるんではなくて、給与面でもめり張りを付けて効率化を図っていく、同時に教育の質を高める、このような形で改革を進めることが重要だと考えております。
  173. 神本美恵子

    神本美恵子君 もう時間がなくなりましたけれども、どなたが書かれた答弁書か知りませんが、中馬大臣、今まで六十分、文科大臣とやり取りをさせていただいて、学校現場がどういう状況になっているのか、戦後、日本政府もそれから国会も一丸となって教育を、教育の土台をつくって今日の経済成長も含めた日本をつくってきたと、その礎になったんだということをお話ししたのに、今のような御答弁はないんじゃないかと思います。また機会があればやらせていただきたいと思いますけれども。  ちなみに、先ほど言いました超勤の実態からいえば、これを残業手当で計算をしてみますと一兆円を超えます、この平均。それでもいいんですか、四%削っていいですよ、その代わり、じゃ、超勤手当を出すように法律を変えてくださいと現場の人も言いたくなるような今の現状であるということを、それよりも、超勤手当要らないから、もっと子供に向き合える、子供と一緒に勉強できるような学校をつくってくださいということが現場の声であるということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  174. 吉川春子

    吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  競争入札導入による公共サービス改革に関する法律案、いわゆる市場化テスト法案について伺います。  小泉内閣は、官から民へ、公務として行われていた事業を民間に開放いたしまして財界の期待にこたえています。官業開放ビジネス、すなわち民間資金活用のPFI、構造改革特区、指定管理者制度では約十兆円、今回の市場化テストを実施すれば四十兆円のビジネスチャンスがあると財界のシンクタンクは試算をしております。  しかし、これまで企業参入で国民はどんな目に遭ったでしょうか。私は、当委員会で、保育所への株式会社参入で赤ちゃんの命が多数失われた問題を取り上げました。ほかにも、耐震偽装問題、九八年、法改正で建築確認業務を民間審査機関に任せ、不正を見抜く制度的保障を形骸化した結果起きたのではないですか。JR西日本の福知山線脱線事故、またPFI方式で建設、運営されていた仙台市立プール天井落下事故等々、営利追求の民間企業参入の結果、こうした問題が起きたわけです。  民間委託について政府としては反省すべきことが多いのではないですか。中馬大臣、いかがですか。
  175. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今おっしゃったいろいろな事象でございますが、これが規制改革をしたから、あるいは民間に任せたからということでは必ずしもない。その一つの検査体制であったり、あるいはチェック体制が欠けている場合は、もちろんそれは公務員がやっておったとしてもそういう問題は起こるわけでございまして、そういうことと今回のこの一つの、今までお役所仕事でやったことを民間に移して、もっと民間にも責任を持たすと同時に、その活力を生かしてくるという、この法の趣旨とは若干違うんじゃないかと思います。
  176. 吉川春子

    吉川春子君 利益追求第一の民間企業が公務を請け負うということがどういうことになるのかという点を深刻に反省していただきたいと思います。  日本の先を行くイギリスの市場化テストが国民に何をもたらし、ブレア政権はなぜ市場化テストの見直しに追い込まれたのか、イギリスで生活した阿部菜穂子さんがレポートしています。「世界」の二〇〇五年十一月号です。一九八〇年にサッチャー政権は、学校給食を存続させていた自治体に対して民間に給食提供業者競争入札で選定することを義務付けました。国からの予算カットで苦しんでいた自治体にとって給食納入業者の選定に重要となったのはコストでした。メニューは加工食品を中心としたファストフード型の食品が多く取り入れられ、学校給食の質がどんどん低下、学校給食がファストフード化したと言われました。その結果、二〇〇二年、イギリスの二歳から十歳までの子供の一五・五%が肥満と診断され、標準体重以上の太り過ぎの子供はこの年齢層で二七・七%になったというショッキングなリポートです。  イギリスの学校給食の例が示すように、市場原理に任せたら子供の健康も守れなくなるということではないですか。もう一度答弁お願いします。  こんなもの大臣が答弁しなくて、事務局じゃないですよ。
  177. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今のイギリスの例等を挙げられまして、私も度々申し上げていますように、一時イギリスはコスト削減の意味も含めてかなりコスト中心のいわゆる市場化テストを実施したことは事実でございます。しかし、それの反省から、イギリスはもちろんもう止めましたが、私たちが今回提案しております市場化テストは、かなり公共サービスの方に、サービスの質の向上の方に重点を置いておりますから、いろんなチェック機能もこれで果たすようにいたしております。そういうことでありますから、御懸念のことは、私は、今回の我々の法案に限りそういうことはないと考えております。
  178. 吉川春子

    吉川春子君 今日の赤旗で報道していますけれども、ジョンソン英教育技術大臣は十九日、イングランド学校給食ではジャンクフード、ポテトチップスですとか質の低い肉でカロリーばかり高い、こういう、糖分の多い炭酸飲料水を規制すると発表しました。小学校の給食改善のために二億二千万ポンド、四百五十九億円を拠出すると、こういう発表をしております。市場化テストは大変高く付いたと。日本もこういう轍を踏むのかどうか、そのことが今度の市場化テスト法案で問われているんじゃないでしょうか。  具体的に法案で伺いますけれども、内閣総理大臣が策定する公共サービス改革基本方針案には、その際、財界、民間企業の意見が反映されるようになっています。どの業務を市場化テストの対象にするのか、どのような規制緩和を行うのか、参入したい民間企業等からの意見を聴いて決定するというものです。  財界や民間企業に特別な地位を与えている一方、国民の、公共サービスを受ける側の国民の意見を具体的に聴くという法文はこの法律にないのはなぜですか。
  179. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今回の法律でも、これ提案するのは民間でございまして、民間は必ずしも財界でもありません、一般の事業者であったりあるいはNPO等でも結構でございます。そして、民間の事業者の提示によりまして民間事業者の意見を踏まえて関係大臣との協議を行い、これも各大臣とのそれぞれの、また業界といいましょうか、国民の中の各界各層の意見を踏まえると思います。そしてまた、関係大臣との協議を行いまして、監理委員会、これは民間が構成されているわけでございますが、この監理委員会の十分な審議を経て閣議決定するということになっておりますので、民間の声、国民の声も十分にこの中に反映されてくるわけでございます。
  180. 吉川春子

    吉川春子君 民間の意見を聴くと何で国民の声が十分にこの中に反映されてくるんでしょうか。全く意味が分かりません。利益第一の企業の参入で公共サービスを受ける国民が不利益を被るのに、こちらの意見は全く具体的に聴く条文さえない、理不尽極まりないと指摘します。  竹中大臣にお伺いいたしますけれども、足立区が内閣府に提出した区民事務所窓口に関する委託範囲の拡大というその要望書では、住民基本台帳、印鑑登録、戸籍、外国人登録等の事務事業を民間事業者が行うことを可能にする規定の改定を求めています。それに対して総務省はどのような回答をされたのでしょうか、端的にお答えください。
  181. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) お尋ねの足立区の要望に関する回答というのは平成十七年七月二十六日の回答であると存じます。住民票の写し等に関する事務について、まず第一に、本来、地方公共団体以外の者が取り扱うことは想定されていないこと、第二に、住民の個人情報が記載されており、守秘義務を始めとする厳正な服務規律を課する必要があること等から、民間開放はできない旨の回答をしたところと承知をしております。
  182. 吉川春子

    吉川春子君 大臣、あわせて、八月十二日の回答はどうなっていますか。それから、行政処分についても一言お答えください。
  183. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 八月十二日、これは、住民基本台帳に基づく転入届等各種届出の受付審査を行う行為は、それに基づき選挙人名簿の登録や課税権の帰属の判断も行われるものであり、それ自体を民間開放することは困難、そのような回答でございます。
  184. 吉川春子

    吉川春子君 住民票の写し及び納税証明書等に係る事務は市町村長が行う公権力の行使だと、市町村長に留保されるべきものだというふうに言っていますし、住民票の写しの交付事務も公証行為だと、市町村という公権力の主体が行うことができるものと、かなり詳しい大臣の答弁が足立区に行われております。  そこで、副大臣にお伺いいたしますけれども、市場化テスト法案の第一条は、国の行政機関又は地方公共団体自ら実施するサービスが市場化テストの対象になるとして、制限は設けられておりません。すべての業務を民間に任せられるという底なしの法案で、今回盛り込まなくても今後の法改正で盛り込まれるわけです。  そこで確認をしておきたいわけですけれども、法第三十四条には、特定公共サービスとして地方公共団体の対象業務が挙げられています。足立区への総務大臣の答弁からしても特定公共サービスには行政処分は含まないと、こういうふうに理解してよろしいでしょうか、確認いたします。
  185. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) お答えいたします。  法案第二条第四項で定義をされております公共サービスには行政処分は含まれていない。他方、今後、本法案の定める手続に従いまして、行政処分に当たる業務についても民間から官民競争入札等の対象とすべき旨の具体的な提案がなされた場合等には、公共サービス改革基本方針の策定過程において十分検討していくことを想定しております。  このような検討の結果、行政処分に当たる業務を本法案に基づき、特定公共サービスとして官民競争入札等を実施することができる法制度となっております。
  186. 吉川春子

    吉川春子君 総務大臣の答弁は去年の七月と八月なんですよ。まだ一年もたたないのに行政サービスが今度はその民間業者ができるなどと何で急展開したんですか。どこで検討したんですか。第一、行政処分というのは行政がやることでしょう。民間がやるといったら何と言うんですか、それ。民間処分と言うんですか。行政処分はできないと言っているから今度のもできないでしょうと聞いているんです。そこをはっきりと確認してください。
  187. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) 今もお答えいたしたとおりでありますけど、現在は行政処分は含まれてはいらないわけでありますけれども、今後そういったものが出てきたら検討すると、こういうことでございます。
  188. 吉川春子

    吉川春子君 何で行政処分を民間ができるようにするんですか。そういうものはどこで検討するんですか。そんなものは裁判の判例でもないし、私はまさかそんな答弁返ってくるとは思いませんでしたよ。行政処分をどうして民間の株式会社ができるんですか。  住民基本台帳の四情報を写しを欲しいと言って、その情報を欲しいと言って、これはあなたが例えば吉川春子であることを確認しますよという処分でしょう。それを何で民間業者ができるんですか。行政処分はできないというのが今までの政府の立場じゃないですか。ちょっとそこを確認しないと先に進めないじゃないですか。
  189. 河幹夫

    政府参考人(河幹夫君) 今の副大臣の答弁に尽きるわけでございますけれども、この法律体系、国の業務それから地方の業務に分かれた規定の仕方をしておりますけれども、いずれにしろ法律改正を要さないで、例えば政令とかあるいは運用でできるものも市場化テストの対象にすることのできるものもあると思いますが、法律改正をきちんとした上でないときちんとした仕事にならないという業務もあるわけでありまして、それらを言わば二つの条文に分けまして、言わば法律改正を要さないで、あるいはこの公共サービス改革法に新たな規定を起こさないでできる業務については一般的に公共サービスということで使っているわけでございますけれども、特定公共サービスといいましょうか、新たに法律を起こした上で規定するということが適切である、あるいはそうでないとできないという業務については別の条文を起こしているところでございます。  したがいまして、国の関係の業務につきまして幾つか書かれておりますもの、それから地方自治体の窓口業務について、今回、写しの交付等につきましては、例えば守秘義務の関係もきちんと書いた形でやっていただいた方がいいだろうということについては、それぞれの省庁と御相談さしていただいた上で、この法律の中に法律改正あるいは新たな法律の規定を設ける形で、国会での御審議を経ていただいた上でそのような事業をやろうという形で法案の体系ができているということでございまして、法律改正をしないで、そのままそれぞれの法律ではできないということをされているものをこの公共サービス改革法の対象として行おうとしているものではございません。  したがいまして、それらの規定がこの法律の体系の後半の部分に規定されているというところでございます。
  190. 吉川春子

    吉川春子君 私は、今この市場化テストの法律を聞いているんであって、これから出てくるであろう法律でどういう条文になるかなんて質問してないんですよ。今の段階で行政処分とされているものについて、民間の業者が行うことはできないんでしょう。ちょっとぐずぐず、ぐるぐる回ったような答弁じゃなくて、そこだけきちっと確認していただけませんか。先の質問できないじゃないですか。  今の市場化テスト法案では、行政処分とされているものについては民間に委託することはできないんでしょう。今後の問題聞いているんじゃないんです。
  191. 河幹夫

    政府参考人(河幹夫君) この法律におきまして、それぞれの定義規定の中で「「公共サービス」とは、次に掲げるものをいう。」というのが二条の四項に定義されておりまして、その中で一般的に政府あるいは地方公共団体等が担っているものというものとしての例示が書かれているわけでありますけれども、その第二号に「特定公共サービス」という言葉が使われております。  その特定公共サービスにつきましては、この定義規定からいえば次の五項にかくかくしかじかとありまして、法令の特例が適用されるものとしてその範囲が定められているものということでございまして、公共サービスというものを一言で申し上げれば、この法律において特例を書く必要がある、もしやるとしたら書く必要がある公共サービスと、必ずしも書かなくてもできるという公共サービスに分かれておるわけでございますけれども、今先生の御指摘部分については、特定公共サービスとしてその後もし公共サービス改革法の対象にするという選択を内閣でする場合には正に法令の特例をきちんと作る必要がある。したがいまして、先ほど申し上げましたように、その場合には当然のことながら、内閣から国会の方に法案を御提出するという形でなっておりまして、それらがこの法律そのものにあらかじめ予定されているということを先ほど申し上げたわけであります。
  192. 吉川春子

    吉川春子君 現状はどうなっているんですか、それならもう端的に。今これからどういう法律出すかじゃなくて、現状はどうなっているんですか。
  193. 河幹夫

    政府参考人(河幹夫君) 今回この国会に提出させていただいている法案におきましては、行政処分というものは含まれておりません。
  194. 吉川春子

    吉川春子君 もう何分無駄に費やしたんですか。そこさえ、まず言ってほしかったわけですよ、最初に。  この法律では行政処分は民間に市場化テストとして提供することはできないわけなんですけれども、しかしもうその先のことを読んでいるわけだから、この法律の条文も確かにぐちゃぐちゃになっているんですよね。例えば、三十四条の戸籍法とか地方税法とか住民基本台帳とか、住民基本台帳の戸籍の附票の写しとか、こういうものは行政処分ですから、これをそっくりそのまま民間の業者に市場化テストとして落札させることはできませんよね。
  195. 河幹夫

    政府参考人(河幹夫君) 今おっしゃっている条文は、正に先ほども申し上げたこととは重なる部分もございますけれども、それぞれ特例として規定されているものでございますけれども、正確な意味での行政処分と申し上げるよりは、むしろそれらの写しの交付等の業務について一般的に地方自治法上、公務員がやるということが想定されているというふうに私は承知しておりますけれども、その想定されている部分について、具体的な特例をここに総務省との御相談の上に設けさせていただいた条文でございます。
  196. 吉川春子

    吉川春子君 住基台帳を、そうすると、民間の業者にももう情報を渡して、そして住基台帳の四情報とか写しとか、そういうものが窓口業務として業者が落札し得る、そういう業務として予定されているんですか。
  197. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) お答えいたします。  ただいま御指摘がございましたいわゆる地方団体の窓口六事務でございますが、これにつきましては、ただいまも答弁がございましたように、特定業者に行っていただく事務の範囲としましては、交付の請求及びその引渡しでございます。この住民基本台帳等のこういった証明行為につきましては、ただいま申します請求の受付とか引渡しは、事実行為といいますか、そういった部分でございまして、台帳との照合、確認、審査でありますとか作成、こういったものにつきましては引き続き地方公共団体の職員が行うということになっております。
  198. 吉川春子

    吉川春子君 それは、何でそんなややこしいことやるんですか。
  199. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) 今回の市場化テスト法に基づきまして、民間事業者に委託して行える事務につきまして、これにつきましては、やはり事務の性格上、特に住民基本台帳等につきましては個人のプライバシーの保護という点が大事な、そういった法上の要請もございますので、あくまでもただいまも申しました交付の請求あるいは引渡しというところの事務を委託するということにとどめまして、証明行為、審査でありますとか作成する部分につきましては引き続き地方公共団体が行うと。これによりまして、住民基本台帳全体へのアクセスを特定業者が行うというようなことは起こり得ないわけでございますので、それによりまして個人の情報保護も図るということを目指しております。  先ほど私、ちょっと言い間違いがございまして、交付の請求と申しましたが、交付の請求の受付及びその引渡しでございます。
  200. 吉川春子

    吉川春子君 行政処分に係る部分は除いて、その請求を受け付けるとかお役所が処分したもののその写しの証明書の交付とか、こういうものだけに限りましたよということを回りくどくおっしゃったんだと思いますけれども、しかし業者が証明の受付をする、そこにはいろいろ個人情報が入っているわけでしょう、吉川春子、どこに住んでいて、男か女か、そういうもので証明するわけで。処分は確かに自治体がするかもしれませんけれども、またその証明書を交付することを民間の業者に委託するということになりますと、その個人情報のある部分、証明書に書かれているある部分業者に蓄積されていくんじゃありませんか。そして、それを蓄積して、裁判にもなっていますけれども、それをまた名簿業者に売るとか、そういうことも起こり得る危険性があるんじゃありませんか。  それは一体として行政処分なんだから、そんな、真ん中だけはやるけれども、最初と最後は切り離して業者に委託する、そんな無理をしてまでどうして民間業者に参入させなきゃならないのかというふうに思います。  先ほど来おっしゃっていますプライバシーの侵害ということもあるわけですよね。やっぱり住民基本台帳のネットワークに接続すれば、これは広域交付ですから端末機を通じて国民の情報を検索することが可能ですね。どこか一つの自治体から漏えいすれば被害はすべての自治体と国民個人に及ぶ危険性があるわけですね。そういうことが起これば、住基台帳の信頼性も揺らいじゃうわけですね。そういうような危険を冒してそもそも民間業者にこういう事務をゆだねていいのかどうか、その根本問題が問われていると思いますが、この点については大臣にお伺いいたします。  これは事務局の答弁できる場面じゃないですよ。重要問題ですから大臣にお答え、そういうような重要な、プライバシーが漏れるかもしれない、そういう危険な業務を民間業者にゆだねていいのか、大臣、お答えできないんですか。
  201. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) これは、さきに郵政民営化の中で、窓口業務、特定郵便局等にこれはゆだねる形のもう一つの規定といいましょうか、法律ができております。これに今後、これも民間会社になるわけでございますから、それが一切駄目だという形の話ではなくて、そこで少なくとも守秘義務的なこともちゃんと課した上で民間にこうしてお願いするわけでございますから、それとこれから平仄を合わせた形で、これからのものについてもそのことが、積極的にやろうという意味じゃなくて、そういうことも可能だということで今事務局の方から答弁したものと私は認識いたしております。
  202. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) この市場化テスト全体の考え方については今、中馬大臣からお話がございましたが、直接お尋ねの地方公共団体の窓口六業務に関して、これは私の方から答弁させていただきますけれども。  これは繰り返しになりますけれども、これは交付の請求の受付、そしてその引渡しですから、いわゆる取次ぎに関する部分を担当することになります。それ以外のことは想定されていないわけでございます。  とはいうものの、委員指摘のように、この民間事業者が受け付けた申請書や引き渡す書面にはこれは個人情報が掲載されるわけでありますので、民間事業者の職員はこの個人情報について知り得る立場になるというのは、これはそのとおりだと思います。  そこで、この法案におきましては、これらの民間事業者やその職員等に守秘義務を課しているわけです。そして、罰則の適用については、公務に従事する職員とみなす、つまりみなしの適用は行われるわけでございます。そして、民間事業者に知り得た情報の目的外利用を防止する措置を講ずること、これも義務付けているところでございます。その意味では、法律としてその枠組みは私は守られているというふうに考えております。  委員のもう一つの御懸念は、民間事業者がその住民基本台帳等のデータベースに直接アクセスするようなこともあるのではないかという、そういう御懸念も先ほどあったかもしれませんが、これは先ほど室長からもありましたように、そういうことではありません。取次ぎの部分だけが任されているわけで、それはアクセスしたらこれは正に定められていないことを勝手にやったということになります。そこはそういう枠組みをきちっとつくっているということについて是非御理解を賜りたいと思います。
  203. 吉川春子

    吉川春子君 竹中大臣が足立区に対して、問い合わせで非常に明快に、行政処分はできない、権力の行使はできない、そういうものを民間に任せられないんだとおっしゃっているわけですから、その線をあくまで守るべきだと。何かばらばらに切り離して、最初と最後は業者に任せて真ん中だけはやるとか、そういううまくいくものじゃないと思います。  もう一つ伺いますけれども、委託業者の資格ですね。個人情報にかかわる事務について入札させるのでありますから、どんな業者でもいいというわけにはいかないと思います。私は反対なんですけどね、もしおやりになるというならばの前提です。三十四条二項で、業者、「次に掲げる要件のいずれにも該当する者でなければならない。」とあって、その二号で云々、四号で云々と、こうなっていますけれども、「総務省令・法務省令で定める」としていますけれども、その省令の中身が明らかじゃありませんね。民間の業者から更に委託、更に委託、更に委託と、そういうところの更に委託されたアルバイトの従業員が情報を漏らしたと、住基台帳のですね、そういう事件も起きているわけですから、この委託業者の資格について明確に示してもらわなければ安心してこの法律を審議できないんですけれども、総務大臣、いかがですか。
  204. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 正にプライバシーを守るために民間事業者にどういう条件を課すのかというお尋ねなわけでございますけれども、この法案では、先ほどの窓口六事業を民間事業者に行わせるに当たりまして、必要な施設設備の要件、さらには個人情報の適切な取扱いを確保するための措置等について、その詳細を正に委員指摘のように省令で定めるということにしております。  省令の内容はこれ現在検討中なわけでございますけれども、方向として申し上げると、施設設備の要件として、申請者以外の者が証明書等をみだりに見ることができないような構造にするとか、さらには個人情報の適切な取扱いを確保するための措置等として個人情報に関する研修等を規定する、そのようなことを考えているところでございます。
  205. 吉川春子

    吉川春子君 いつも法案が出てくるときは省令が出てこないというのが、もう行政府のいつもの態度で、いつもこれが問題になるんですけれども、しかし今度のは余りにも重要ですので、今大臣が言われたことを含めて、もう少し細かい省令の骨子のようなものを是非委員会に出させるように、委員長、お取り計らいいただきたいと思います。
  206. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 理事会で協議をいたします。
  207. 吉川春子

    吉川春子君 雇用と身分保障の問題に移りたいと思います。  行革推進法第四十五条では、四十四条の公務員の五%削減を受けて、純減を目指すため、国の事務事業の見直しを規定しています。また、市場化テスト法四十八条は、民間に落札された公務に属していた公務員を他の官職に任用するなど、雇用保護を一応うたっていますけれども、この両条文は矛盾しないんでしょうか。もし矛盾した場合、四十八条を優先するというふうに解釈してよろしいですか。
  208. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 市場化テストで民が落札した場合の公務員の処遇についてでございますが、配置転換と新規採用の抑制で対応することが基本と考えておりまして、公共サービス改革法第四十八条にはこの考え方を明らかにしたものでございます。  また、国家公務員の定数の五%純減についてですが、これは、国の事務事業の合理化及び効率化に伴う定員の改廃に当たっては、対象となる事務事業に従事する職員の異動を円滑に行うために、府省横断的な配置の転換及び職員の研修を行う仕組みの構築並びに職員の採用抑制その他の人事管理上の措置を講ずるものといたしております。これは四十五条の第二項でございますが。  このように、それぞれの枠組みにおきまして公務員の処遇について配置転換と新規採用の抑制で対応することを基本としておりまして、これらは両立しないとの御指摘は当たらないものと考えます。
  209. 吉川春子

    吉川春子君 要するに、一方で五%純減しますよと書いている、一方では公務が市場化テストで落札されて仕事がなくなった公務員が行き場がない、そのときには各省庁、政府挙げて救いますよと、これはいろいろ衆議院でも議論が重ねられてきていますね。だから、やっぱり公務がなくなった公務員を各省庁全部協力してその雇用は守ると、四十八条の、これは非常に重要ですけれども、そこを守るというふうに端的にお答えいただきたいと思います。そういうことですね、今おっしゃったのは。
  210. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) そのとおりでございます。
  211. 吉川春子

    吉川春子君 そして、市場化テストの対象事務事業は、国の機関以外にも、独立行政法人や特殊法人などでも実施されることになっています。市場化テスト法四十八条では、対象サービスの実施に従事した職員を国が定員の範囲内において他の官職に任用することの促進を求めていると。今、中馬大臣の御答弁のとおりです。したがって、独立行政法人において市場化テストが実施され、雇用継続が困難となった場合は、市場化テスト法四十八条に基づいて国が国家公務員として採用すると、そういうことが原則だというふうに理解してよろしいでしょうか。対象になるかということです、四十八条が、独法、特殊法人に。
  212. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) これは、独立行政法人は中期目標の中でいろいろなことが規定されております。この中期目標を踏まえまして、当該独立行政法人の長の経営判断と経営責任の下に事業を実施することとされておりまして、その一環として職員の労働条件や処遇につきましては独立行政法人の長が責任を有するものとされております。  したがいまして、独立行政法人の業務につきましては、官民競争入札を行った結果、民間事業者が落札した場合は、その業務に従事してきた職員の処遇についても当該独立行政法人の長において適切に対応していただく、これが基本でございます。
  213. 吉川春子

    吉川春子君 基本的には四十八条も独法等にも適用されると、こういう理解でよろしいですか。
  214. 河幹夫

    政府参考人(河幹夫君) 四十八条が想定をしておりますのは、基本的には国家公務員として政府の各分野で従事している職員というのを基本的な想定と、対象としております。
  215. 吉川春子

    吉川春子君 独法や特殊法人は国の機関ではないんですか、行政機関ではないんですか。ちょっと時間がないので端的にお願いします。
  216. 河幹夫

    政府参考人(河幹夫君) やや細かな分類をさしていただければ、国家公務員として独法の中で仕事をされるというケースも現実に制度としてあるわけでございますので、その場合に国家公務員の方も想定の範囲の中に入ってくると思いますけども、基本的に四十八条で書かしていただいた、あるいは提案さしていただいているのは、政府において国家公務員としてということで先ほど申し上げた趣旨でございます。
  217. 吉川春子

    吉川春子君 何かややこしいんですけれど、要するに四十八条の中で独法、特殊法人の職員も必ずしも排除されていないよというような御趣旨であったかと思います。  時間がないので次に行きたいんですけれども、公務が民間に落札された公務員の扱いはどういうふうになるんでしょうか。国家公務員の場合は器が大きいですから、いろいろとそのやりくりができると思うんですけれども、町村など小さいところではやっぱり行き場がない。新十津川町の保育士の例が示すように、分限免職ということに追い込まれるんじゃないか。そういうことがないように地方公務員についてもきちっと雇用を確保すべきではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  218. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 地方公共団体の場合は少し国と違いまして、官民競争入札の実施につきましても、地方自治の本旨を踏まえまして各地方公共団体の自主的な判断にゆだねられております。本法に基づく官民競争入札等を行う場合には、民が落札した場合の地方公務員の処遇については、その地方公共団体の長に法令の範囲内で適切に御判断いただきたいと、このように考えております。
  219. 吉川春子

    吉川春子君 地方自治体の職員についてやっぱり雇用は守られるべきだと思いますが、その点について、法律を離れて、大臣いかがお考えですか。
  220. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今申し述べましたように、地方公共団体はそれぞれ地方自治の本旨にかんがみまして、それぞれの地域の実情や国家公務員における対応を踏まえつつ、地方公共団体の長において適切に御判断いただく、市場化テストに掛けるかどうかも含めて、これはかなり、地方自治体の一つの考えでございます。
  221. 吉川春子

    吉川春子君 そうすると、その地方自治体の長によって地方自治体の公務員はその市場化テストされた場合に運命が変わってくるということになりませんか。それを地方自治というんですか。  国の都合、自治体の都合で市場化テストに付されて公務がなくなった場合に、地方自治体の職員だって行き場がないと困るでしょう。そういうものについてもきちっとやっぱり守るということ、非正規の職員も含めて守るということ、これはきちっと大臣としてもお考えを示していただかないとならないと思いますが、いかがですか。
  222. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) これは、この市場化テストに限らずに今まで相当、各自治体も業務委託を民間にとか、あるいは民営化したものもございます。あるいは、指定管理者制度でそちらに移しているものもございます。その都度それぞれの公務員は、そのまま移っていく方もありましょうし、行かずにまた本当に民間だけでおやりになるケースもございましょう。これも含めて同じケースでございますから、市場化テストの対象になりましたとしましても、そのことの判断といいましょうか、それの職員の扱い等も含めて地方自治体の長にゆだねられております。
  223. 吉川春子

    吉川春子君 行革とか市場化テストとか盛んにヨーロッパもやってまして、さっきイギリスの例を挙げましたけれども、EUでもやってますけれども、労働者の雇用を守るっていうのは厳しくあるんですよ。日本は、労働者を犠牲にして市場化テストやって、民間にもうけ口を与えるということですか。そんなこと許されないんじゃないですか。どうですか、もう一度。
  224. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 国の場合には、そういうことでかなり細かくは規定はしておりますし、今お話ございましたように、雇用調整本部でそうした事例も含めて内部で調整をすることにいたしております。  しかし、地方公共団体というのは、先ほど行政の、市民から一つの負託を受けて長になられた方が一つの大きな権限を持って、もちろん議会がありますから、そこにも諮った上で、場合によっては条例を作り、そしてその市民の御了解の下にそうしたことをやっていくわけでございますから、そのことはひとつ、地方自治の本旨であるということで御理解をちょうだいいたしたいと思います。
  225. 吉川春子

    吉川春子君 もう一問だけお許しいただきたいんです。  総務大臣、地方自治体を束ねる大臣として、こんなことでいいんですか。きちっとした答弁を最後してください。
  226. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 中馬大臣が先ほどから繰り返しおっしゃっておられますように、正に地方自治の本旨にのっとって適切に対応していただくということに尽きるんだと思います。  しかし同時に、安易に分限免職処分とかそういうことを行うのでは当然なくて、まずは配置転換、新規採用抑制に努めていただくことが重要であると、これは総務大臣として当然のことであるというふうに思っております。
  227. 吉川春子

    吉川春子君 時間が来ましたので、終わります。
  228. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 社会民主党・護憲連合の渕上貞雄でございます。  今回の行政改革は簡素で効率的な政府を目指すものとされています。  さて、国家行政組織法第一条は、国の行政事務の効率的な遂行のために必要な国家行政組織を整えることを目的とするとし、国家公務員法第一条は、職員がその職務の遂行に当たり、最大の能率を発揮し得るよう、民主的な方法で、選択され、かつ、指導されるべきことを定め、もって国民に対し、公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを目的とすると規定をしています。地方自治法も同じく第一条で、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を、目的を規定をしております。  これらの規定がありながら、簡素で効率的な政府の実現を今改めて法制化する意味はどこにあるのか、新法規を定める前に、これらの明瞭な効率規定がなぜ実行されたのか、その原因が問われるべきであると思います。政府として、どこに原因があったとお考えになるのか、これらの規定の誠実な実施を怠ってきた責任についてどう考えるのかを御質問申し上げます。
  229. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今御指摘になりました国家行政組織法とか公務員法、地方自治法、こういったことでも効率規定がございます。しかし、これはそれぞれの事務の効率化といいましょうか、事務を効率的にやりなさいという意味の規定でございまして、今回のこの法案が目的としております大きな制度改革の話とは少し違うんですね。  これにつきましては、我が国が、急速な高齢化、人口減少の傾向、経済の国際化等の変化にさらされている中で、政府の無駄を徹底的に省いて、民間活動の領域の拡大や国民負担の上昇抑制によりまして、民間の主体性や自律性を高めてその活力が最大限に発揮される環境を整える、こういう意味での一つの効率化、そしてその結果、官というものが小さくなっていきますが、役割がどんどん民間に移りますから、結果的にそれが簡素なものになっていくことは御承知かと思います。  このために、小泉内閣としましては、簡素で効率的な政府の実現を喫緊かつ最重要課題一つとして位置付けた上で、資金の流れとか仕事の流れ、人と組織のそれぞれにつきまして総合的に課題を取り上げて、政策金融改革あるいは特別会計改革、資産・債務の改革、総人件費改革などの基本的な方針を決めた本法案を今国会に提出した次第でもございます。本法案に御賛同いただきまして、国民の信を得て改革を円滑に着実に進めていくことが簡素で効率的な政府を実現することができる、そのように確信をいたしております。
  230. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 以下、いわゆる市場化テスト法案について質問をいたします。  まず、市場化テストに伴う雇用労働条件の問題についてお伺いをいたします。  民間事業者が落札をした場合の公務員の処遇についてお尋ねをいたします。  民間企業等への移籍後の再任用について、民間競争入札実施要項第十四条の場合、民間競争入札実施要項の第九条第二項第九号や、自治体の長が定める実施要項の第十六条第二項第九号に類する規定が設けられていない。しかし、民間競争入札対象サービスの場合にあっても、民間競争入札と同じように、三十一条の国家公務員の退職手当法の特例は適用されるのかどうか、お伺いいたします。
  231. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 少し細かいことなので事務局からお答えさせてもいいんですが、お答え申し上げますと、本法案第三十一条に規定する退職手当の特例は、落札事業者が希望して国家公務員が同意することを前提に、国家公務員を退職して落札事業者の下で業務に従事した者が国家公務員として再採用された場合には、退職手当の計算上、退職前の在職期間と再採用後の在職期間を通算すると、このようにいたしております。  したがいまして、この特例は、そのような条件が満たされれば、官民競争入札のみならず、本法案に基づく民間競争入札で落札した事業者に国家公務員が移転し、その者が再び国家公務員になった場合にも適用となるわけでございます。
  232. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 国と民間企業との間の人事交流に関する法律や公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律を用いた職員の派遣はあり得るのかどうか、お伺いいたします。
  233. 河幹夫

    政府参考人(河幹夫君) 今先生の御質問法律、二つあったかと思いますけれども、お尋ねの国と民間企業との間の人事交流に関する法律というのは、基本的には、公務員の立場からいいますと、あるいは役所の立場からいいますと、公務員の人材育成を目的とするということでございまして、民間企業に行っているのは、その実務を勉強して公務員として仕事をしていくための言わば研修と、こういう位置付けとなっておりますので、今私どもが想定しております官民競争入札の結果、結果として公務員が移籍を希望し、また民間企業がそれを、その方を是非欲しいという場合に移転するという場合と目的を異にしているということでございまして、基本的には別のものとお考えいただいた方が有り難いと思います。  それからもう一つは、公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律というのは、私が承知している限りでは、地方公共団体が民間事業、出資している株式会社につきまして人的援助を行うという観点からできている法律というふうに理解しておりまして、そこのために地方公務員公務員の身分を持ったまま応援に行くということかと思いますけれども、これ、民間事業者が落札するということ、ということは先ほど申しましたように、事業として行う、民間企業として行うというふうに、私どもはこの公共サービス改革法で民間企業が落札するということを当然想定しているわけでございますので、それとも全く重なることがないかと言われるとあれでございますけれども、基本的には重なるものではないというふうに考えておりまして、いずれにしても、公共サービス改革法における民間事業者が落札された場合のケースにおいて公務員が移籍を希望し、あるいは企業の側がそういう方が是非欲しいとおっしゃって、合意して動くということとは多少それぞれの法体系は意味を異にしておりますので、基本的には重複しない、あるいはその活用というのはほとんどあり得ないというふうに考えております。    〔委員長退席、理事佐藤昭郎君着席〕
  234. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 地方公共団体について第十六条第二項第九号はあるものの、国家公務員の場合は第三十一条と異なり、地方公務員の退職手当の特例規定は設けられていない。しかし、地方独立行政法人法五十九条以下には、移行型地方独立行政法人の設立に伴う措置として職員の引継ぎや退職手当の特例等の規定が設けられています。民間に行って戻るのは、独法や第三セクに行って戻る場合よりリスクが高いのに、何の保障もないというのはおかしいのではないか。採用や任用、給与等の処遇や退職手当の取扱いについて不均衡が生じないよう、一般地方独立行政法人等の整合性を取る必要があると考えますが、見解はいかがでございましょうか。
  235. 河幹夫

    政府参考人(河幹夫君) 今先生の御質問の趣旨を、地方独立行政法人法の五十九条で一般地方独立行政法人への職員がそのまま引継ぎとして動くという条文を御質問かと思います。そしてまたそのような趣旨が生かされるべきではないかという御質問と理解させていただきますと、先ほど来申し上げておりますように、まず地方公共団体の場合には、先ほど大臣も申し上げさせていただいたとおり、地方自治の本旨を踏まえまして、そもそもこの官民競争入札等を実施するかどうか、あるいは実施した後その職員をどうするかということが基本的には法令の範囲内で考えられていくべきものでございますけれども、今の御質問の趣旨、地方独立行政法人法五十九条に限って申し上げれば、本人の意向を問わずに事業を引き継ぐという形の定めというふうに理解しております。  したがいまして、官民競争入札等で地方公共団体、あるいは政府でもいいんですけれども、民間事業者が落札した場合には、先ほど来申し上げておりましたとおり、仮にその民間企業に移行、移転する場合には、本人の意思に基づくものであり、またその民間事業者の側からいえば、そういう人が是非欲しいという要望に基づくものでございますので、今の法律に基づく、本人の意向を問わず、あるいは法人の側のものは別にして引き継ぐという法律を適用することにつきましては、やや趣旨が違うのではないかということでございます。  率直に申し上げさせていただければ、この競争導入による公共サービス改革に関する法律で今のようなことを想定したものということを考えるのは適当ではないというふうに思っております。
  236. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 国の行政機関だけでなく、独立行政法人や特殊法人等も市場化テストの対象となっています。しかし、これらの職員の雇用労働条件を確保するための規定整備が何ら示されておりません。職員の雇用労働条件は重要であり、制度整備が行われないまま独立行政法人等の市場化テストの対象にすべきではないと考えますが、大臣、いかがでございますか。
  237. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 独立行政法人がその業務を遂行するに当たりまして、中期目標を踏まえて当該独立行政法人の長の経営判断と経営責任の下に事業を実施することとされておりまして、その一環として職員の労働条件や処遇についても独立行政法人の長が責任を有するものと、このようにされております。  したがいまして、独立行政法人の業務について官民競争入札を行った結果、民間事業者が落札した場合、その業務に従事してきた職員の処遇についても当該独立行政法人の長において雇用問題に配慮しつつ適切に対応していただくことになると、このように考えております。
  238. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 いわゆる一円落札についてお伺いをいたします。  過去に何度も社会問題となり、自治体は最低限度価格を設けるなどダンピングを防止するべく対応してきました。官民競争入札等の場合は不当廉売の規制については本法案には盛り込まれていないが、どのように対応しようとお考えになっているのか。また、市場化テストを実施している先進諸国においては、公正な入札を確保し、労働者の労働条件保護の目的から、同種の業種における同一労働と比べ不利にならない労働条件での応札を求めている例もあります。日本でも、広島市は、社会的価値を反映をした指定管理者候補の評価制度を導入をしているし、熊本市では、人件費単価の積算に当たって、市職員に準じてやるやり方を取っていると。  量だけでなく質の評価の在り方を積極的に工夫、検討すべきではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
  239. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) 本法案は、公共サービスの質の維持向上と経費の削減をともに実現することが大きな目的であります。このため、おっしゃる質の維持向上が確保されるためには、公共サービスの実施に当たり、確保されるべき質について、最低でも今までのレベルを維持することを前提としてまず明確化し、これを上回ることを条件に、価格のみならず質についてもしっかりと評価する総合評価入札により落札者を決定することとしております。  また、委員指摘の低価格入札については、こうした仕組みに加えまして、本法の第十三条第一項等において、低入札価格調査制度の活用によりまして、その価格では公共サービスの質の確保に問題があると認められる場合には、その事業者は落札できないことが明記されているところでございます。
  240. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 官民競争入札等の監理委員会についてお伺いをいたします。  市場化テストについて、コストだけが優先されがちになれば、サービスの質の低下につながってしまいます。また、肝心のサービスの受け手である利用者や現場でサービス提供に従事している労働者の意見の反映がなされないのはおかしい。仮に市場化を導入する場合、官民競争入札等監理委員会の役割が非常に重要になってまいります。  委員には、やはり利用者代表や労働者代表を入れるようにするべきであるし、重要性からして国会の同意人事にすべきではないかと考えますが、見解はいかがでございましょうか。
  241. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 監理委員会は、国民の立場に立って、国民のため、より良質かつ低廉な公共サービスを実現するという本法案の基本理念を踏まえまして、競争導入による公共サービス改革の実施の過程について、その透明性、中立性及び公正性を確保するために置かれるものでございます。  この監理委員会委員でございますけれども、これにつきましては、その役割をしっかり果たせるよう様々な分野から優れた識見を有する方々を任命すべく、委員会の構成のバランスにも配慮して、幅広い分野の方々を候補として今検討しておるところでございます。  監理委員会委員につきましては国会の同意を得るものとすべきとの今のお話でございますが、この委員会につきましては、官民競争入札等の対象とされた業務については、実施のための予算措置については国会で御審議をいただくことになるということでもございます。  公共サービスの市場化テストの基本方針や実施要項の調査、審議などは国民の権利義務に直接かかわるものでない、こういうことから、他の審議会等の状況に照らしてみても両議院の同意を得ることとする必要はないと、このように考えております。
  242. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 私は、国の予算関係にかかわる問題であるから国会の同意は必要だというふうに考えております。したがって、御要望だけ、このように努力いただきますようお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、公共サービス実施民間事業者の資格の問題について、これは先ほども議論あっておりましたけれども、第三十四条で、戸籍法等に基づく戸籍抄本等の交付の請求の受付及びその引渡し等のいわゆる窓口業務が市場化テストの対象業務とされています。これらの業務が特定公共サービスの対象となった経緯については何か、お伺いをいたします。
  243. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) 地方公共団体の業務につきましては、官民競争入札等を実施する否かは各地方公共団体の判断にゆだねられております。国といたしましては、自ら率先して官民競争入札等を実施しようとする地方公共団体において、これを可能とする環境の整備を行うことがまず重要でございます。  今回の法令の特例で規定をしております地方公共団体の窓口六業務については、従来、地方公共団体の公務員が自ら実施することを前提とした制度設計がなされていたところ、しかし今回、公共サービス改革法案を制定するに当たりましては、地方公共団体等から、地域住民の利便性の向上等の観点からこれらの六業務について市場化テストを活用したいとの要望があったところでございます。  そこで、本件について関係省庁と検討、協議を行った結果、本法案におきましては、個人情報の保護等に十分配慮をした上で、官民競争入札等の対象として民間事業者が実施することができる旨の法律の特例を規定をいたし、あわせて、当該業務を官民競争入札等に付し、民間事業者に実施させる際には必要な規定を整備することとしたところでございます。
  244. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 既に、これらの窓口業務については、従来、業務委託等の方法で対応している自治体もあると聞いております。  現行法ではできないのかどうか、この法案が通らないとできないというわけではないのではないかと思うんでありますが、見解はいかがでございましょうか。
  245. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) 地方公共団体のいわゆる窓口六事務、すなわち特定業務につきましては、地方公共団体が自ら実施をすることを前提とした設計がなされているところでございまして、現行法におきましては、特定業務を民間事業者に行わせることは想定をされておりません。  今回のこの市場化テスト法案によりまして、特定業務に従事する者に対して守秘義務を課すなどした上で、官民競争入札等で落札した民間事業者にこれを取り扱わせることができることとするものでございます。
  246. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 第三十四条二項は、窓口業務を実施できる公共サービス実施民間事業者の基準を定めているが、この基準と、地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律に基づく郵便局の指定基準、窓口業務を扱える郵便局は一定の水準以上のものは同じ内容である。そうだとすると、プライバシーに配慮しなければならないなど窓口業務の性質からいっても、少なくとも、市場化テストで落札可能な公共サービス実施民間事業者は、指定される郵便局と同等の水準に達するものでないと認められるべきではないと考えますが、その見解はいかがでございましょうか。
  247. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) 地方公共団体のいわゆる窓口六事務につきましては、元々、地方公共団体の職員が行うことを前提に制度設計がなされているものでございまして、この法案では、これらを民間の主体に実施させるに当たりまして、事務を適正かつ確実に実施するため、人的、施設的要件、基準につきまして必要な規定を法律で定めているところでございます。  この要件、基準の詳細につきましては省令で定めることとしておりますが、省令の策定に当たりましては、昨年十月に改正いたしました郵便局事務取扱法による民営化後の郵便局と本法案に定める公共サービス実施民間事業者との間に差を設ける必要はないものと考えられますことから、基本的に同じ要件、基準とする予定でございます。
  248. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 次に、公共サービス実施民間事業者の情報公開と監督の強化等についてお伺いをいたします。  自治体の指定管理者の場合、委託料積算根拠などは開示すれば企業が損害を被るおそれがあるし、事業情報として非開示になる場合が多いと思います。そこで、官民競争入札に当たって、民間側はプライバシーや営業の秘密を理由に情報を出し渋り、一方、官の側は情報公開や予算書で手のうちを明らかにする、これでは公正な競争が成り立ち得るかどうか。また、各自治体の情報公開条例は指定管理者を対象としていないケースが多く、情報公開の不十分さも問題となっているが、同じような市場化テストで落札をした民間事業者に国民や利用者の目が果たして届くかどうか、その点はいかがでございましょうか。    〔理事佐藤昭郎君退席、委員長着席〕
  249. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) お答えいたします。  御指摘のとおり、公共サービスを実施することとなった民間事業者が、業務の公共性を損なうことのないよう十分注意して適正に業務を遂行していくことは極めて重要でございます。本法案では、第六条におきまして、公共サービス実施民間事業者は、基本理念にのっとり、その創意と工夫を生かしつつ、業務の公共性を踏まえてこれを適正かつ確実に実施するとともに、当該公共サービスに対する国民の信頼を確保するように努めなければならないと明記をしているところでございます。  また、本法案は、民間事業者公共サービスを適正かつ確実に実施することを確保するための様々な措置を講じておりまして、その一環として、御指摘の透明性の確保につきましては、民間事業者は、実施要項に基づきまして、国に対して公共サービスの実施状況の報告を定期的に行うことが求められる。これに加えまして、国は、この法案二十六条に基づきまして、必要な場合には民間事業者に対し報告を求め、あるいは立入検査なども行うことができると。このような形で民間事業者から国に対して報告された情報は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づきまして、情報公開の対象となり得るものでございます。  なお、官は情報を開示するのに民は情報を開示しないのではと、官民の競争の公平性が確保されないのではとの御指摘でございますが、そもそも官民競争入札については、官が対象となる公共サービスを従来行ってきたものでございまして、これまでの過去の実施状況については適切に情報を開示することとしなければ、官のみがこれに関する情報を知っている状況となり、民間事業者との間で情報の非対称が生ずることとなります。また、官は、従来の実施状況に関する過去の情報を開示することが求められているとはいえ、官民競争入札には自ら創意工夫を行い、業務の効率化を行うことを盛り込んで入札に参加することが可能であることから、本法案は官と民との競争の公正性から見ても問題はないものと考えております。
  250. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 民間はそれぞれいろんなことを言って言い逃れるんじゃないですか。その点の答弁がないんじゃないかと思うんですが。
  251. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) 付け加えさせていただきます。  国の各機関から業務の委託を受ける民間事業者に対しましては、法律に基づき情報公開を義務付けることの是非については、個人情報保護や情報公開全体の在り方の中で慎重な検討が必要と考えられております。
  252. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 東京都千代田区で、プールの委託業者が監視員の人数や資格を守ってないことが分かりました。業者が必ずしも契約内容どおりとすることは限らない。公共意識を持たない人が公共施設を管理運営すると、こういうことがどんどん起こってくるのではないかと思います。ということが推測をされますが、市場化テストの場合、こうしたことが起こらないように、やはり公共サービス実施民間事業者に対する検査、監督を強化すべきだと考えますが、いかがでございましょうか。
  253. 河幹夫

    政府参考人(河幹夫君) 先ほど副大臣が御答弁したことと若干重なるところお許しいただきたいと思いますけれども、官民競争入札の結果、民間事業者公共サービスを実施することとなった場合にも公共サービスの質の低下があってはならないわけでありまして、その確保するべき水準、質というものを先ほど申し上げたとおりあらかじめ明確にするとともに、それが実際、その約束に従って、契約に従って適切かつ確実に実施されているかということは、委託者としての国あるいは地方公共団体のある面での責務でもございますので、報告徴収や立入検査等、様々な監督上の措置を講ずることとしております。  また、報告徴収等の結果、人員配置が今先生がおっしゃったような話と違うではないかということで、業務の適正が阻害されているという場合には必要な改善を行うようにということの指示をすることもこの法律の中に規定されておりまして、いずれにいたしましても、このような規定に基づきまして、先生が御指摘になられる、あるいは私どももそのようなことがあってはならないと思っていることが起こらないように、きちんとした形で質の高い公共サービスがしっかり提供できるように的確な法の運用を図っていく考えでございます。
  254. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 公共サービス実施民間事業者の守秘義務についてお尋ねをいたします。  法案では、第五十四条で「公共サービスの実施に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」として、罰則付きで守秘義務を課しています。しかし、のぞき見ただけの場合は、秘密を漏らしたとは言えないので、罰則のある守秘義務違反には問えないのか。また、公務員の場合と異なり、受託先企業で公務に携わる社員に上司が秘密を漏らすことを命ずる行為自体は罰せれないことになるのか。政府は守秘義務が課せられているから大丈夫だと言うが、窓口業務などプライバシーにかかわる情報にも触れるので、不安のないようにきちんとやはり法規制を掛けるべきだと考えますが、いかがでございましょうか。
  255. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) どのような行為が犯罪を構成するかについては最終的には個別の事案に即して慎重に検討する必要があるわけでありますけれども、一般論で申し上げれば、本法案の官民競争入札等に基づき公共サービスに従事する民間事業者の職員がその上司に命ぜられて当該公共サービスの実施に関して知り得た秘密を第三者に対し漏らした場合、当該上司については、公共サービス改革法案第五十四条の罪、秘密漏えいの罪でありますが、共犯に当たる可能性が当たると考えます。  そしてまた、公共サービスに従事する職員が当該サービスの実施に関して知り得た秘密を他の者がのぞき見る行為、法第五十四条の罪には当たらないと思われます。  本法案では、個別の公共サービスの業務内容等を踏まえまして、必要に応じ秘密を適正に取り扱うために必要な措置を実施要項に記載するとされております。したがいまして、個人情報保護のためのぞき見を防止する措置をとる必要があると判断される場合には、これを実施要項にきちんと定め、契約により民間事業者に義務付けることが可能でございます。  こうした措置の活用により、個人情報の保護に万全を期してまいりたいと思います。
  256. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 公共サービス実施民間事業者の責任の問題についてお伺いをいたします。  市場化テストで民間が落札をした場合、国民や利用者に対する責任の所在があいまいになる心配がないのかどうかについてお尋ねをいたしますが、昨年の八月の宮城県沖地震では、民間のノウハウなどを活用し、効率を優先したPFIで造られた仙台のプール、スポパーク松森のつり天井が落下をし、三十五人の利用者が負傷をしました。  公共サービスを民間事業者が実施することになり、事故を始め様々な問題が起きた場合、だれが責任を負うのか。従来の民間委託等では国家賠償法に基づいて、国、地方団体が賠償責任を負うことになっていましたが、市場化テストの場合も国賠法が適用されるのか。  また、そうだとすると、故意又は重大な過失がないと民間事業者に求償できないのか。民間事業者はやり得、逃げ得になるのではないか。そうならないように担保はどこにあるのか、お伺いいたします。
  257. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) 民間事業者公共サービスの実施を担うことになった場合でも、国又は地方公共団体の業務であることは変わりがないわけであります。国又は地方公共団体は、民間事業者が国民に対して与えた損害については、国家賠償法に基づく賠償責任を負うことになると考えております。  国家賠償法に基づき国や地方公共団体が国民に対し賠償を行った場合の国等と民間事業者との責任分担については、実施要項において民間事業者の担うべき責任に関する事項としてあらかじめ明確に定めておくこととしておりまして、これに基づきまして国等が民間事業者に対して求償請求をすることができるものとしております。したがいまして、御指摘の民間事業者のやり得、逃げ得といった事態にはならないと認識をしております。  なお、民間事業者公共サービスの実施に当たり国民に損害を与えた場合、民法の不法行為等の規定に基づき、民間事業者が国民に対し直接損害賠償責任を負う場合もあり得ると考えられます。
  258. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 今回の市場化テストの場合、落札業者の撤退リスクについての歯止めはどのようになっているのか。  奈良県野迫川村の温泉宿泊施設、野迫川温泉ホテルハイ・タトラでは、二〇〇五年の四月に三年間の契約で指定管理者制度を導入したが、二〇〇六年一月には業者契約期限を待たずに撤退をしました。赤字が出、今後黒字の見込みがないので撤退をさせてほしいと村に申出があり、了承したとのことだが、赤字なら企業が自由に撤退できるとなると、サービスがちゃんと続行されるか非常に不安であります。  福島県や佐賀県の町でも指定管理者が方針の違いや資金難を理由にわずか三か月で撤退をしてしまったり、採算が取れないとしてわずか二年で撤退をしたりするなど、全国で契約期間中の撤退が相次いでいます。  市場化テストの場合も、落札業者の撤退が相次げば、国民、利用者からすると、公共サービスの継続提供に不安が残ります。  一度民間事業者が落札をすると、例えばペナルティーがあったとしても、契約の解除は実際問題としてなかなか困難であります。継続の民間事業者をすぐに選定することも容易ではないし、ある業務が民間に移されると当該業務の職員は他の部門に配置転換されるし、蓄積も薄くなり、官がまた引き受ければいいとも簡単にはいきません。  良質な公共サービスを安定的に確保、供給する最終責任をやはり中央、地方の政府が負うことを明確にすべきだと考えますが、いかがでございましょうか。
  259. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今回の法律では、特に官民競争入札の場合に監理委員会がしっかりとこれをチェックすることにいたしております。そういうことでございますから、そのようなある意味じゃ無責任な、あるいは途中で経営を放棄するような不安定な企業を選定することはまずはないと思いますが、まあしかし、万々が一のことでございますので、そのことの規定を申し上げますと、御指摘のような事業者の一方的な撤退等を招かないように、落札した民間事業者による公共サービスの適正な実施を確保する必要がある、御指摘のとおりでございます。  そもそも、民間事業者が仮に契約に反して一方的に事業から撤退した場合には、民間事業者は債務不履行に基づく損害賠償や違約金を支払うこととなるために、このことがまず一方的撤退を抑止する役割を果たすものと、このように考えております。  これに加えまして、本法案では、入札参加条件を適切に設定することによりまして、あらかじめ不適切な事業者の入札参加を排除すること、また報告徴収、立入検査、必要な措置の指示などの規定を設けまして、その活用によって契約に基づく適正な業務実施が確保されるように監督を行うこと等の仕組みを設けておりまして、これにより、一方的な撤退を含め業務の適正な実施に支障を来す事態が生じないよう、公共サービスの適切な実施を確保することとしているところでございます。これらの措置にもかかわりませず、万が一民間事業者が撤退した場合であっても、公共サービスが中断することのないように国は必要な措置を講ずることといたしております。  具体的には、国は新たな競争入札を実施する、また国が自ら公共サービスを実施する、さらに緊急の場合には、他の事業者に対しまして入札によることなく契約を締結する、こうしたことも法案第二十二条によって規定されておりまして、公共サービスの継続を図っていくことになると、このように私どもは規定をさせていただきます。
  260. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 終わります。
  261. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 皆様お疲れさまでございます。大臣も長い間御苦労さまでございます。  私の体内時計は、質問は十五分と大体少数政党決められておりますので、今日は四十分もいただきまして体内時計が狂っておりますが、少しゆっくりお話、また御提案、そしてまた問題点、御指摘できるなと、このように御配慮に感謝をしているところでございます。  六十七条ですね、簡素の方の六十七条を見ますと、余り今回の議論に衆参ともになかったと思いますが、六十七条で「政策評価推進」とあります。「政府は、この法律に基づく簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の実現には、政策評価の効果的な実施が欠くことのできないものであることにかんがみ、内閣の重要政策に係る政策評価の重点的かつ効率的な実施を推進するものとする。」と、このようにうたわれているわけです。  そこで、お尋ねをいたしたいと思います。衆参にそれぞれ、決算委員会、行政決算委員会、そして参議院には行政監視委員会、こうしたものを設けまして、適時、政策評価に対する評価をしているわけです。それがまた予算に結び付く、あるいは長期展望に結び付くと、こういったことを提言されているんですが、今回の法律の中に、そうした経緯を踏まえて、指摘を踏まえてこう改善をしたんだと、簡素でそして効率的な政府と言っていますし、市場化テストということも言っているわけです。特殊法人改革も言っているわけです。盛り込まれたものはどこでありましょうか、お尋ねをいたします。  二番目の質問が一番目に来ているということです。
  262. 福井良次

    政府参考人(福井良次君) お答えを申し上げます。  各省、政策評価法に基づきまして、毎年度それぞれの各政策の評価をしているところでございます。  今委員指摘のように、その結果につきましては衆参の委員会で御議論をいただき、また先般、昨年六月には政策評価制度の見直しに関する決議ということで、参議院本会議で決議をいただいたところでございます。  この参議院本会議の決議の内容につきましては、いずれも政策評価制度を見直す中で、各決議の内容を政策評価制度の見直しに盛り込んでいるところでございます。  具体的に申しますと、まず政策評価の質の向上を図れというふうな御指摘、あるいは政策の企画立案や予算への適切な反映を始めとして、政策評価結果の一層の活用に努めることという決議がなされておりまして、それにつきましては現在、政策評価の単位と予算、決算の単位を一致させるべく、平成二十年度から成果主義予算の構築に向けて現在検討中でございます。  その他、参議院本会議の決議につきましては、それぞれ漏れなく各府省における政策評価見直しに反映させているところでございます。
  263. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 そういう意味では、しっかりしなさいとこれ書いてあるということは総枠としては分かるんです。でも私は、これはほとんど閣議決定程度の話をずっと盛り込んだだけの話じゃないかと、すべての分野についてですね。で、この簡素で効率というこの法律を読んでみましても、非常にそういうことをもう随所に指摘されているわけです。  では、ちょっと具体的に聞かしてください。  今度のこの法律の中で具体的にどの部分、何条でも結構です、何条のどこが今回法律で定めることになっていると、明確に書いてあるじゃないですかと、具体的な姿を、そういうものがこことここの条項にありますよというのを示していただきたいと。一方で、政省令で検討するというようなお話も、三大臣、一杯あるんですよ。それは何遍も指摘されている。じゃ、政省令で定めるのか法律にするのか、そういう区分けなどができますか。  一つは、どの条文のどこが法律で明確に、具体的な姿形まで、問題となる手続まで入っているではないかと、これですべてでしょうと、こう言えるものは何条、何条ですか。同時に、政省令にゆだねたいと思うのは何条、何条ですと。それから、この法律ができ上がった後に何条は法律にします、省令に落とします、そういったものの区分、お示しいただきたいと思うんですが。まあ全部といっても言えないと思いますけれど、これは若干助け船ですよ、ほかはないという場合もあるわけですから。代表的なもの、あったらお示しください。
  264. 大藤俊行

    政府参考人(大藤俊行君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、今後、本法案に定められた重点分野の改革等を具体的に実行していく際には、法律の制定等が必要なものについては順次そのための措置を検討していくことになるわけでございます。  まず、本法案法律上の措置を要すると見込まれるものといたしましては、政策金融機関につきまして、第四条で、政策金融機関は法律を根拠として設立されているものであることから、個別政策金融機関の廃止、民営化や統合に当たって法律の策定等を行うことになります。  また、特別会計改革につきまして、これは十九条でございますけれども、法案に規定しているように、各特別会計の廃止、統合、一般会計と異なる取扱いの整理、企業会計の慣行を参考とした資産、負債の開示のため、行政改革推進法の施行後一年以内を目途として法制上の措置その他の必要な措置を講ずることとなります。  さらに、総人件費改革につきまして、これは四十四条等でございますけれども、法案に規定しているように、国家公務員の五%以上の純減を実現した上で、総定員法の定員の総数の最高限度を改めるほか、非公務員型の独立行政法人への移行に当たりまして独立行政法人個別法の制定等を行うことなどを挙げることができるところでございます。  次に、本法案で政省令にゆだねることとしている部分につきましては、法案に規定しているように、総人件費改革におきまして、独立行政法人等で人件費の削減の対象となる法人につきまして、閣議決定、行政改革の重要方針で定められているところでございますけれども、その具体的名称につきましては政令で定めることとしているほか、行政改革推進本部が法律に根拠を置くことになることに伴いまして、事務局に関する細目などを政令で定めることを予定しているところでございます。  このほか、今後改革を進める中で法律の改正等を行う場合はもちろん、それ以外の場合でありましても、実施に当たりまして政省令を定めることは十分にあり得るものと考えているところでございます。
  265. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 最後のところを含めて一般論としては非常に分かるんですが、具体的なこの法律、この法律が縛るところ、あるいは目標としているところ、その達成するためにどうするかというところは、数とこれに置き換えただけの、これは言ってみればプログラム法ですから、質の話がほとんど抜けているので問題だということを言っているんです。質の話はほとんどないんです。数にほとんど置き換えるから、その裏付けは何だと、それがどのようにいわゆる政策評価とリンクしているのかも見えないし、政策評価のことを内閣参考にしてきたというならば、もっと具体的なものが出てから出せばいいんですよ。  具体的なものがないで宣言法的なものでこれうたっているわけですけれども、中馬大臣、この間私が聞いている範囲では、私が言ったように、これはプログラム法ですからということをおっしゃっていますが、そういう位置付けでよろしいわけですね。考え方として言っているだけの話で、これから具体的に詰めるからこれ仕方ない、総理がおっしゃるのでそういう法律なんですと、こういうことでよろしいんでしょうか。
  266. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 御承知のとおり、こうした行政改革は小泉内閣がずっと進めてまいりまして、中央から地方に、そして官から民に、かなり今までやっておったお役所仕事も民間に移して民間の活力を引き出す、効率化を図っていく、そういうことが今回のこの法律の大きな目的でもございます。  そうする中にありまして、閣議決定を大体総まとめしたような形の閣議決定を昨年十二月にやりました。しかし、それでもすぐ実行に移していくんではなくて、やはりこれは国会の御承認といいましょうか、国民の御理解と御了解がなければ私はいけないと思っています。  そういう意味も含めまして、これをやはり法律として御提議申し上げまして、それがプログラムといいましょうか、ある程度これこれまでの間にはこのことをやります、そしてこういうことは大枠としてこういうことを目指しております、もうこの政府系金融機関は今までの各省庁担当を一括してまとめて後は民間に移します、そのようにかなり具体的ですよ、具体的にして、しかし基本的なことで御承認をちょうだいする。それから、細部にわたるものにつきましては、制度設計を含めてまた法律を、個別の法律を作らなければならないものもございましょう。そういう一つの性格の法律だと、このように御認識ちょうだいいたしたいと思います。
  267. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 それでは、第二十四条なんですが、「地震再保険特別会計に係る見直し」、「第二十四条 地震再保険特別会計において経理されている再保険の機能に係る事務及び事業については、その在り方を平成二十年度末までに検討するものとする。」。五年間やってきたというなら、直下型の、東京直下型、そしてまた東海、東南海、南海、地震発生の確率が非常にあると言われています。それだけ言われているこの五年間に何をやってきたんですか、これは。総理がいるところでおただしをするのがふさわしいんですけれど、平成二十年度末までに検討している間に万が一が起こったらどう対処するんですか。どう対処するんですか、これ。安心と安全を含めて国民はこういうところを求めているんじゃないですか。はっきりとそんな中身、どこにもないじゃないですか。これがプログラム法という姿なんでしょう。  少なくたって、平成二十年度までに検討する程度でここはいいんですか。大臣、御感想としてどう思われます。平成二十年です。今、あと何年か、二年ということですけど、ちょっと悠長な話なんじゃないですか。五年間、何をされていたんですか。大臣、これ二十年、あと二年後、どうですか、これ。
  268. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 個々の問題につきましては、それぞれの省庁の検討にゆだねることといたしておりますが、私の方はこれを総まとめにして、こうして皆様方といいましょうか、国民に、国会に御提案を申し上げていることでございまして、その過去のことについては、ひとつ担当の大臣の方からといいましょうか、部署からお聞きいただきたいと思います。
  269. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 これは、大臣も苦しいと思うんですが、恐らく直下型含めて地震のシミュレーションがあって、さあ、どのように対応するかというのは国も地方も待ったなしでありますし、住民の安全のためには一刻も早くその対応をしなくちゃならないわけです。今もしてきていますけれども、こうやって各論に入っていくと本当に遅いし、何を言いたいのか分からない。当たり前のことですよ、これ、やれと言っているのは、もう既に遅いでしょう。それぐらい順番が逆転しているんです。  数を減らす、予算を減らすことの数字だけが目標になって、具体的に国民が望んでいるところの答えは何一つ具体的に出ていないという欠陥法案なんです。こういったところをこうしてみんなで議論しているのではありませんか。そして、それらは各省庁だ各担当だということになる。なるから、最後にそういったところを統括するような機関をつくる、また役所の中に、内閣府にまたそうした機関を置いて、またでかくしている。これも非常に疑問なところなんです。  じゃ、一方で、これは竹中大臣が今までも規制改革の担当もやっていられるし、財政諮問会議の担当でもありましたけれども、第六十四条、第六節の関連諸制度の改革と連携というところで、括弧一は公務員制度改革のところについてずうっと触れているんですね、公務員制度改革について。その次、規制改革について触れています。この規制改革のところはどのように書いてあるかと。「政府は、」「金融、情報通信技術、出入国の管理、社会福祉、社会保障、労働、土地の測量その他の分野における規制の在り方について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。」。「検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。」。これはどう読めばよろしいんでしょう。この法律で検討を加えなさいと書いてある。検討を加えたものに、その結果に基づいては必要な措置を講ずるので、それについては国会に諮らなくても、決めたからやりなさいというふうに解釈するんでしょうか。これは、委員の先生方も大臣方も、どうこれ読んだらいいんですか。  だから、このプログラム法とか宣言法というのは非常に恐ろしい。片方では、地震の保険については何にも言ってない。だれもが望んでいることをどうなるのかなと見ているのに、ただ書いただけ、それも二年後。片方では、規制の在り方に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすると書いてある。それじゃ、ここで法案が通ったら、後はどんな法律を出そうと、あるいはどんな法律や政省令を出そうと出すまいと、決めたのだから従えということになるんでしょうかね、これ。  この辺、大臣、私は総理と最終日にやらしていただく、その上の、まあ何といいますか、確認も含めてやっているんですが、今お答えできる範囲で中馬大臣、そして財務大臣、そして地方も関係します、公務員改革にも重要な論点が一杯あるわけです、竹中大臣、三大臣に恐れ入りますが御見解、お尋ねをさしていただきます。
  270. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) この規制改革の項でございますが、規制改革につきましては財政諮問会議あるいはまた規制改革推進会議等でもう何度も官邸において論議され、そしてそれは公表もされております。議事録も出ております。その中で、ここに一つ一つはございますが、この民間の規制改革の問題であるとか、金融の改革であるとか、入出国の管理、こういったこともそれぞれかなり具体的な項目までも指摘して、これを改革しなさい、改革すべきだといったことも提言、提案されているわけでございます。  そういうことの前提でここに書いておりまして、それは、今後その方向で改革を進めていくことについて、いずれここで御承認いただけますならばそれを法案化していきますよということで、法案そのものにつきましてはまた具体的に、勝手にやるんじゃなくて国会にお諮りをしてやらざるを得ない、これは当然でございます。そういうことと、前提で、このはっきりとした規定ができているわけでございます。
  271. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、中馬大臣が御答弁されたとおりですが、私が今のお話の中で関係しておりますのは地震特会等々の見直し、特会はみんな私の方に関係がございます。  これは、今まで随分政府部内でも議論されてまいりまして、更に無駄を省く、今までいろいろ特会の欠点も指摘されてまいりましたので、それを克服する方向でこれから議論を詰めていかなきゃならないわけですが、今委員はプログラム法というのは恐ろしいと。もうここで通っちゃえば後はみんなしゃにむに行くのかということでございますが、特会を改革するにはやはりそれぞれ法律を出さなければなりませんので、基本方針は今まで議論をしたことで私どもも整理をいたしますが、それはもう一回法律にしてまた国会で御議論をいただくということだろうと思います。
  272. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今の六十四条の解釈、読み方については、もう両大臣がお答えになったとおりでございます。この方向について政府は検討するわけでありますけれども、当然必要なものは国会にお諮りをして、その必要な手続がある場合は当然やっていかなきゃいけない、これはもう当然のことであろうかと思います。  その上で、この法律の性格を踏まえた全体的な御質問に関してでございますが、私もこれまでの経験から、やはり大きな改革をする場合にはどうしてもその基本的な方向を先に決めなければいけないと思います。大きな方向を決めた上で詳細な制度設計に政府全体を挙げて入っていくと、そのような手続をしないと、これはやはり私は改革はできないと思います。  今回の法律は、その意味では、委員は乱暴だというような表現をされましたが、やっぱりこの機関については統合をするとか、この機関については廃止をする、その上で後継の機関についてはこういう方向で考えるという方向を書いているわけです。その方向の書き方は、例えば政策金融に関してはやや詳しく、その他の例えばものについてはそれほど詳しくないものもあるかもしれません。ただ、いずれにしましても、その方向を示して、その上で制度設計に入っていくという、その私は手続というのは大変重要であるというふうに思っております。  今回の推進法は、そのような方向を明確に規定するという意味で大変重要な法律であるというふうに考えております。
  273. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 非常にお三方の御性格が出る答弁でございまして、なかなかその辺、痛いところであるということは、今までの議論、そのとおりだと思うんです。  というのは、なぜかといいますと、御家族、家族がいますよ。さあ、めったにいないお父さんが家族サービスをしなくちゃいけないというのは、竹中さん、だれも文句言いませんよ、仕事ばかりやっているから、家族サービスして。じゃ、買物に連れて行くぞと言ったとします。そうしたら、家族は、いや、そんなこと言ってくれてこんな有り難いことないって喜びましたよ。そして、さあ、お母さんは今度は店が違うんですよ、こっちのブティックの方に行きたいし、子供はこっちのおもちゃ屋に行きたいんです。そういうようなことになったらば、じゃ、もうやめたという話にもなるんです。みんなが買物に行きたいというのは賛同する、観光に行きたいというのは賛同しますが、それぞれがどこに行きたいかということが分からなけりゃ、行くところ相談できないんじゃないんですか。結局は行かないということにもなりかねない。これがやっぱり私は問題点として多いわけです。  法律条項に書かれているのは、それは谷垣大臣法律で決めるんですから、それはこの国会で審議しなきゃできません。しかし、今言ったように、規制改革委員会などというところは、そこで決めたことを隠れみのにしながら、そして与党でそれを決めていき、そしてそれを押し付ける。それを法律にして協議すればまだしも、政省令に落としてでもできるんじゃないかという白紙委任状の法律にこれはならないかと言っているわけです。白紙委任して、政府の説明を回避して、免罪符にしようという、そういう危険性があるので私たちはこうして議論をさしていただいていますが、さあ、じゃ、地震保険についてはどうしましょうということになると、今までも議論してきましたけれども、じゃ、どうしますかというと、これからも議論して、この書いてあることになります。これでは不安に対しての答えになっていかないと、こういうことでございます。  そこで、更に私は質問をさしていただきたいんですが、委員長、理事の皆さんに資料要求ができれば幸いなんです。  こうしたことを規制改革、規制緩和についてはということになりますと、規制改革委員会というんでしょうか、名前がございましょうが、そういったものと、それから財政経済諮問会議、こういったところでその方々が大本を講じる、あるいは講じてきたということでよろしいわけですよね。そうしますと、ここに書いたものによってかなりのものがもうオーソライズされるといいますか権威付けされていくということになります。この法律でこういうふうに六十四条で書いているんですから、これはもうやってもらわないと困ると。法律じゃなくて政省令や運用でやるということになってくると。  さあこれは大問題だと私思いますので、委員長にお願いでございますが、橋本行革以来、財政諮問会議、それから規制改革委員会、名前が変わりました。どのような委員会がそういった政府部内で検討をして、そのときのメンバーはだれで、座長はだれで、どういう業界、業種の方であって、そして改選期というのは二年、三年というのがあるんですが、改選されたのかどうか。委員長というのは学識経験者なのか、それとも業界を今もやっていらっしゃる、その地位にあるような方がやっていらっしゃるのか。こういったところは透明性で説明責任を果たすべきだと思います。  いや、それはホームページに載っていますという言い方をされますけど、議事録もカットされて出てなかったというのがこの間の規制改革のその委員会一つの話でありました。うっかりミスもあったでしょうが。改めて、この重要な法律を審議するときに、橋本行革以来のこうした規制緩和の、役所にもあると思います、こういった役所にもある委員会の任期やメンバーや、そしてその業種、業態、どのようにそこに就いていらっしゃったのか、そういったことをお尋ねさしていただくと非常にまとまって透明性が図られると、こういうふうに思いますので、是非お出しをいただきたいというふうに思いますので、後刻御協議いただけませんでしょうか。
  274. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) まず質問をしてください。
  275. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 質問でよろしいですか。
  276. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) はい。
  277. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 では、ちょっと、これは内閣府ちょっと困るかもしれませんが、内閣府でまとめていらっしゃるんでしょうか、持っていらっしゃいますですか、規制改革にかかわる各省庁のそうした審議会、懇談会、大臣諮問、こういったものについて今即答できますでしょうか。──じゃ、委員長、時間がたちますので。是非後ほど御協議お願いしたいと思います、時間がたちますので。  続いて、お尋ねをさしていただきたいと思います。  公務員制度改革についてなんです。  早期退職慣行という言葉を頻繁にお使いになります。早期退職慣行って、この慣行っていつごろから慣行という認識をお持ちになったんでしょうか。
  278. 戸谷好秀

    政府参考人(戸谷好秀君) お答えいたします。  はっきりした定説とかそういうものがあるわけではございませんが、一般的に、各省の人事運用におきまして、採用年次を基礎として昇進管理、退職管理が行われております。同期が次官などに上がりますとその他の者が退職するケースが見られてきている、あるいは新陳代謝を通じて組織の活性化を図る観点から早期に退職することが慣行として行われてきているというところで、近年になって早期退職慣行ということを申し上げております。
  279. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 そういう答弁も慣行になっているような感じをいたします。  問題は、例えば随意契約も今お出しをいただいたわけですけれども、随分資料いただきました。ありがとうございました。しかし、ちょっと遅いですね。この議論をするときに既に出ていなくちゃならないわけですね。民主党さん始め皆さんからの要求でこれを、与党の皆さんの御了解もいただいて出てきましたけど、これは非常に遅かったと思うんで、なかなか私も時間がなくて見てないというのが現状なんです。  そこで、私は、随意契約というのは悪なるものであるという前提を、あえてです、あえて少し冷静に立ち止まって一つ一つ見てみたいと、このように思います。その場合は、サンプリングどこか取らなければなりませんので、二つほど取らしていただきたいと。一つは環境省の国立環境研究所、国環研の事例です。もう一つは、この間委員長とともに視察をいたしました、文部省のいわゆる鳥取大学の砂漠の研究の、砂漠化研究センターというんでしょうか、これらについてなんです。竹中さんが、大きく言わなければ物事進まないんだと言うんですけど、一つを見なけりゃさてどうなのかという話になる、その点です。  それでは、そこでの話をさせていただきますが、随意契約というものについての法律上、随意契約について法律上の説明を財務省に求めます。
  280. 松元崇

    政府参考人(松元崇君) お答えいたします。  会計法上、国の調達は一般競争入札によることが原則とされておりまして、随意契約はあくまでも例外ということでございますが、随意契約によるための要件といたしましては、会計法第二十九条の三第四項及び第五項において定められておりまして、契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合、競争に付することが不利と認められる場合などということになっております。  若干具体的な事例を申し上げますと、契約の性質又は目的が競争を許さない場合につきましては、例えば、特定の者の有するノウハウが他の者によって代替不能な特殊性があるといった場合。あるいは、例えば、これは道路用地をお考えいただければ分かりやすいかと思いますが、契約の目的物が代替性のない特定の位置にある土地であって、他の位置にある土地を購入しても契約の目的を達しない場合と、こういったものでございます。また、緊急の必要により競争に付することができない場合につきましては、例えば、災害発生時に国民の生命、財産の安全を確保するため緊急、応急の対策を行うといった事例がございます。
  281. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 少しゆっくり聞かさしていただきましたけど、それは、ここに道路を造るときに、ここに造らなけりゃ、橋を架けなけりゃできないのにこっちの用地投ずる人はいないんで、それはだれが考えたって当然のことなんですが。  それでは、国立環境研究所という、これは独法です。で、今度法律改正したわけですね。いろいろなところの改正をするわけです。この独立行政法人というところと、NHK報道で、もうかなりの随意契約しているから、何かこう黒い感じがするというような誤報がありました。会計検査院も入るというような誤報です。これは環境委員会で確認しましたけど、そのような事実はないんです。しかし、イメージとして、随意と言っただけで非常に何となく、無駄をやっている、やましいところがある、我々の税金何に使っているんだと、こういうことが出てきます。  だから私は、公金の検査請求制度と国民訴訟制度というのを国民の皆さんの権利として国会でつくったらいいんじゃないかと、そういう手段も、国民の皆さんに参加してもらうのが本当の民主主義ですから、それをつくるべきだとそこでも考えるんですが、そういう手段はありませんから、イメージにうんとあおられます。  国環研で自動車の排気ガス、これらについて、つくばを走ったりして、その中での、止まったときにはどうだとか、そういう本当に室内だけでの調査だけでなくて、やっております。これは随意契約でしょうか、これは随意契約の研究でしょうか、お尋ねします。
  282. 竹本和彦

    政府参考人(竹本和彦君) ただいま先生御指摘の国立環境研究所に対します自動車の排気ガスに関する調査でございますが、平成十七年度は二件ございまして、いずれも随意契約でございます。
  283. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 これは独法の一部を改正する法律案、この間審議をしたわけですけど、こういうふうに書いてあるんです。国立環境研究所は、我が国の環境政策の企画立案やそして各種環境基準の設定に当たって必要となる科学的基盤を提供するなどやっている。環境基準というものを作るときに、民間にゆだねる方法もありますが、またそういったことをやる機関がない、そしてまた民間を縛るものであるから独法のこの環境研究所がやる、私は非常に理にかなっていると思うんです。一つ一つ見ていきますと、三大臣、このようになるほどというところがあると思います。  ところが、なぜこれを独法にするんでしょう。もっと言い方換えれば、随意でなければ今までだったら予算の中で処理できていた、当然のことなんです。予算措置です。独法にして法律法人にしたから、そこに契約という形を取る以外ないんです。となると、随意ということになってくる、何か悪いものだというふうになるんです。そういう事例がたくさんあるということです。ですから、随意契約天下りやいわゆる高値入札などと結び付けて考えるだけでは不十分なところがあると、こうした側面があるということです。  二つ目、お尋ねしたいと思うんです。鳥取のこの大学の砂漠化の研究については、文部省だけのお金でございましょうか、どういうお金の性質でしょうか。
  284. 石川明

    政府参考人(石川明君) 鳥取大学の乾燥地研究センターにおきます乾燥地科学プログラム、これは私どもで事業化をいたしております二十一世紀COEプログラムにおいて採択をされているものでございまして、このプログラムにおきます経費については文部科学省において予算措置をしているところでございます。
  285. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 予算で見ていくと、これは文部省ということになります。ところが、今度、恐れ入りますが、御了解いただいて、業務項目や人、人員というところで今御整理をいただいて提出していただくようにしている、そうしたトータルコストの図表を出していただくと非常に見えるものがあります。  八月に砂漠の世界大会か何かがあると聞いております。これについては、環境省、文部省、両方がこの会議あるいはイベントに対しては予算を出すのでしょうか、環境省と文部省についてお尋ねいたします。
  286. 竹本和彦

    政府参考人(竹本和彦君) ただいま委員指摘の砂漠化の会議についての予算措置でございますが、現在手元資料がございませんので、お答えできない状況でございます。
  287. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 環境省、お願いします。あっ、文部省か。
  288. 石川明

    政府参考人(石川明君) ただいまのお尋ねのありました砂漠化会議については、大変恐縮でございますが、私どもとしても現時点で詳細は把握できていないところでございます。
  289. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 これ、私は一人しかいないんで、いつも質問が終わった後に皆さんと打合せをするものですから、もしかしたら聞き漏れをされたんだと思うんですが、八月二十九日と八月二十七日にあるわけです。これは研究は文部省がやって予算は措置していますが、非常にいい研究ですから、これは小池大臣も行かれてある程度の支援をするのでないかと私はそのときに承ったような記憶があります。確認してませんから。  つまり、複数の省庁が物によってはお金を出すということがあるわけです、当然ですけど。そういう観点も含めていくと、今度の法律というのは全く国民に対して、これはもう、何といいますか、丁寧さを欠いている。ほとんどそういうものがこうきちんと積み重ねられてこの法案が出ているんじゃなくて、これからそれらを見直して検討しますということばかり言っています。  これらについて、私は、大臣、どうしてもやっぱりプログラム法といっても、プログラムさえ何をやるんだか分からないプログラムだなというふうに思わざるを得ないんですが、大臣、いま一度これ、ちょっと出すには早い、閣議決定で十分な内容じゃないかと思うんですが、再度御答弁いただけますか。
  290. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 先ほども申しましたように、それまでの間で相当いろいろな審議会等を通じまして議論もしておりますし、また、それぞれが個別に実施されているものもございます。そうしたものを総まとめにした形で今回閣議決定をしたことは御承知かと思います。それをそのままどんどんと実行に移していくんではなくて、こうして国民の皆様方、国会にもお諮りをしてその了解を得て、そしてある程度もうはっきり、何といいましょうか、五年以内にとか、あるいはこれを一つにまとめてとか、もう一々申しませんが、法案の中にはかなり具体的にこれを金額までも、あるいはまた目標の何分の一とかいったことまでも含めてこれは定義をいたしております。それに向けて、これから御了解を得ましたら、これで法案化していくわけで、そしてもちろん法案化したものは国会にお諮りするわけでございますから、そういうことはひとつ、十分に私どもは意を尽くしていると思っております。
  291. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 今度の簡素、効率の法律の基本理念は明確にこう言っているわけです。いわゆる政府及び地方団体の事務及び事業の透明性の確保を図り、その必要性の有無及び実施主体の在り方について事務及び事業の内容及び性格に応じた分類、整理等の仕分を踏まえた検討を行った上で、国民生活の安全に配慮しつつ、云々かんぬんということなんです。  これこそ先にやることじゃないですか。まず国の仕事は何で、地方にはこれをお任せすると、この大きな区分けさえない。その次に、国で付けた予算がどのように補助事業や交付金として使われていくか、そして地方の外郭団体的なものに使われていくか、そういったことも含めてトータルでそのコストを見ることができない。こういったもので判断せよと言われても無理がかなりあると。  一部分法律に書いているようなものもあります。形が見えるものもある。手続や具体的な中身が見えるものもある。しかし、ほとんどのものは、これはない。逆さまになった法律であるということを、これを申し上げまして、終わりといたします。
  292. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時十四分散会