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2006-05-18 第164回国会 参議院 行政改革に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月十八日(木曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  五月十七日     辞任         補欠選任      尾立 源幸君     前川 清成君      柳澤 光美君     神本美恵子君      吉川 春子君     大門実紀史君  五月十八日     辞任         補欠選任      岩本  司君     若林 秀樹君      小林 正夫君     加藤 敏幸君      櫻井  充君     高嶋 良充君      大門実紀史君     井上 哲士君      又市 征治君     福島みずほ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         尾辻 秀久君     理 事                 佐藤 昭郎君                 藤野 公孝君                 保坂 三蔵君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 直嶋 正行君                 風間  昶君     委 員                 秋元  司君                 大野つや子君                 加治屋義人君                 川口 順子君                 後藤 博子君                 関口 昌一君                 田浦  直君                 中川 雅治君                 二之湯 智君                 野村 哲郎君                 南野知惠子君                 加藤 敏幸君                 神本美恵子君                 櫻井  充君                 主濱  了君                 鈴木  寛君                 高嶋 良充君                 内藤 正光君                 前川 清成君                 水岡 俊一君                 若林 秀樹君                 澤  雄二君                 浜田 昌良君                 山下 栄一君                 井上 哲士君                 大門実紀史君                 福島みずほ君                 荒井 広幸君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     竹中 平蔵君        法務大臣     杉浦 正健君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   小坂 憲次君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        農林水産大臣   中川 昭一君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君        国務大臣     中馬 弘毅君    内閣官房長官        内閣官房長官  鈴木 政二君    副大臣        内閣府副大臣   山口 泰明君        総務大臣    山崎  力君        財務大臣    赤羽 一嘉君        文部科学大臣  河本 三郎君        経済産業大臣  松 あきら君        国土交通大臣  松村 龍二君    政府特別補佐人        人事院総裁    谷  公士君        内閣法制局長官  阪田 雅裕君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       安藤 友裕君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局特殊法人        等改革推進室長  大藤 俊行君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公務員制        度等改革推進室        長        上田 紘士君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公益法人        制度改革推進室        長        中藤  泉君        内閣府市場化テ        スト推進室長   河  幹夫君        警察庁生活安全        局長       竹花  豊君        防衛施設庁長官  北原 巖男君        金融庁監督局長  佐藤 隆文君        総務省自治行政        局公務員部長   小笠原倫明君        法務省入国管理        局長       三浦 正晴君        財務大臣官房参        事官       真砂  靖君        財務省主計局次        長        勝 栄二郎君        厚生労働大臣官        房審議官     大槻 勝啓君        厚生労働省医薬        食品局長     福井 和夫君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        農林水産省農村        振興局長     山田 修路君        中小企業庁長官  望月 晴文君    参考人        日本郵政公社理        事        佐々木英治君        日本郵政公社理        事        斎尾 親徳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○簡素で効率的な政府を実現するための行政改革  の推進に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○公益社団法人及び公益財団法人認定等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及  び公益社団法人及び公益財団法人認定等に関  する法律施行に伴う関係法律整備等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○競争導入による公共サービス改革に関する  法律案内閣提出衆議院送付) ○派遣委員の報告     ─────────────
  2. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいまから行政改革に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、尾立源幸君、柳澤光美君及び吉川春子君が委員辞任され、その補欠として前川清成君、神本美恵子君及び大門実紀史君が選任されました。  また、本日、小林正夫君、岩本司君及び又市征治君が委員辞任され、その補欠として加藤敏幸君、若林秀樹君及び福島みずほ君が選任されました。     ─────────────
  3. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案外四案の審査のため、本日の委員会参考人として、理事会協議のとおり、日本郵政公社理事佐々木英治君及び同公社理事斎尾親徳君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律案一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び競争導入による公共サービス改革に関する法律案、以上五案を一括して議題といたします。  本日は、行財政改革の核心についての集中審議を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 澤雄二

    澤雄二君 おはようございます。公明党澤雄二でございます。  最初に、労働保険特別会計につきまして、気になる新聞記事が最近二つ出ましたので、そのことについて確認をさせていただきます。  その記事は、五月七日の読売新聞と五月十四日の日経新聞でございますけれども、二つとも趣旨は同じであります。その趣旨は、雇用保険積立金の中から一千億円程度を〇七年度の政府少子化対策として活用させてもらえないかという方向政府が検討に入ったということでございます。  この雇用保険積立金は確かに増えてきております。それは、景気回復による運用益が増加しているのと失業率が下がっておりますから、この積立金は急激に増加をしているわけでございます。平成十四年度は四千億円ぐらいしかありませんでしたが、平成十八年度は予算ベースで二兆五千億円となっています。  失業手当給付などの財源として充てられているこれは財源でございますから、それを別の事業に活用するということは、大変これまでないことでありますし、法律改正を伴うこと、もしやるとすれば法律改正をしなければいけないことでありますが、この記事によると、消費税税率引上げなど税制の抜本改革が実現するまでの暫定措置として理解を求めたいと、そういうふうに政府は考えているということが書いてございます。  これの事実関係について厚生労働大臣に伺います。
  7. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私もびっくりするような報道が度々されるんですけれども、このことについては厚生労働省としては一切現時点で考えておりません。  雇用保険制度における失業等給付積立金は、雇用情勢が悪化した際にも安定的な給付を行うため、好況期資金を積み立て、不況期にこれを財源として使用するものであり、言わば自動安定化装置機能を有するものであると。今委員が御指摘いただきましたように、今失業給付は一時点から考えると四割ぐらい削減になっております。この積立金については、労働保険特別会計法第十八条第二項及び第十九条の規定により、この使途が失業等給付に関するものに限定されているところでございます。  このため、少子化対策政府の重要な政策課題、これはもうもちろん大事だと思っておりますけれども、積立金失業等給付以外の目的で使用することはできない。まあ、やるとなると本当に法律改正を伴うと、このように考えております。
  8. 澤雄二

    澤雄二君 私もついせんだってまでサラリーマンをやっておりまして、六十歳が定年退職でございますからその後のことを考えるわけでありますが、六十歳で定年退職で辞めて、私は団塊の世代ですから、年金がもらえるのが六十五歳、この五年間どうやって生活するかというのが今サラリーマンにとって大変深刻な問題でございます。  まあ決議案等があって六十五歳まで雇用延長というのは徐々に進んでいるわけでございますが、この五年間、どうやって生きるかというと、その中のひそかなといいますか、助かっていたのが実は失業保険でありまして、当初十三か月もらえてたんですね。そうすると、この十三か月間はそれで生き延びることができるぞと。あと残りは四年間だというのが、今五か月になっています、大臣が言われたように四割も給付が下がっていますので。ですから、この雇用保険財源というのはまあ貴重な財源だというふうに一部では思っておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。  この雇用保険会計とは別に、特別会計には雇用事業というのがございます。そっちの方で、少子化対策として例えば女性が家庭と仕事両立できるような、両立支援等を含んだ少子化対策というのは考えることはできますか。
  9. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 雇用保険事業、これは企業雇用保険が、企業と働いている人たちとそして国が出してやっている保険、この雇用保険事業の方は企業上乗せの負担をお願いをして成り立っております。このお金の使い方について一部御批判をいただいております。したがって、抜本的な見直しをしなければならないと、そこには廃止も含めてという表現。この事業をやめろという話ではなくて、一つ一つ事業見直しをして、やめるものはやめろと、こういうふうに受け止めております。  特に御理解をいただいております障害者高齢者雇入れの助成、それから最近一番大きな課題でございます若年者トライアル雇用、すなわち、まず三か月雇ってみてくれと、そしてその上で正規雇用に変えていってくれぬかと。これは約五万人が今利用してもらっておりますけれども、割合、まあ最近フランスでは大きな課題になりましたけれども、諸外国でも進んでおると思っております。それから、今法案を御審議いただいております能力開発事業、それから女性雇用という意味でマザーズハローワーク、こんなことをやっており、こういうものは逆に充実しなければならないだろうと思っております。  しかし一方で、全体的な見直しをしなければならないという過程の中で一番大事なことは、やはり事業主団体上乗せでございますので、やっぱりお互いに話合いをしながら何をしていくかと。正に失業保険給付を減らすことができる、すなわち仕事が増えていくという方向にしていかなきゃならないわけですから、経団連日商全国中央会との協議が一番大事だと思っております。  その中で、先日も公明党さんが少子化対策をおまとめいただきました。それから、経団連が今週ですか、今週の初めに私のところに要請を持ってこられました。それから、今日、日本商工会議所が持ってこられます。この切り口を見ますと、私、少子化対策として、一つ経済的支援、それから保育、それから両立支援雇用の問題だと、こう申し上げてまいりましたけれども、特に今回は、経団連日商も、また公明党さんがおまとめいただきましたのも、やっぱり両立支援、若者の働く場それから女性の正に両立、ここに私は焦点が合っているような気がいたしております。そういう意味では、正に事業主団体両立支援若年者支援という方向に大体トーンが合ってきたなと。  そういう中でこの議論を詰めていくということになりますので、そういう意味では、委員が御指摘いただいたような方向性はおのずと出てきておるのかなと、もう少しお時間をいただかなければならないと思いますけれども、どうぞ御協力を賜りますようお願い申し上げておきたいと思います。
  10. 澤雄二

    澤雄二君 私もこの雇用事業政策については少し勉強をさせていただきましたけれども、非常に雇用対策として役立っているものが幾つかあります。どうか、オール・オア・ナッシングといいますか、全部廃止ということではなくて、一つ一つ政策を精査して、残すものは残す、切り捨てるものは切り捨てるということでよろしくお願いをしたいというふうに思います。  次に、電源特会について、経産副大臣にお尋ねをいたします。  今回の行革推進法でも電源特会改正は盛り込まれているわけでございますが、この改正に基づいて、国の新しいエネルギー政策というのが作られるということになっております。これまでのエネルギー事情それから環境事情を考えますと、どうしても、これからのエネルギーというのは原子力発電中心にならざるを得ないと私も思っておりますが、実は、この原子力政策については一つ私、思い入れがございます。  それは、第一次石油ショックの後、日本代替エネルギー開発に力を注いだわけであります。だけれども、原子力、中でも核燃料サイクル確立ということに一生懸命力を注いでいました。そして、間もなく再処理施設とか濃縮ウランプラントが建設始まる、稼働始まるといった瞬間にアメリカからストップが掛かりました。フォード大統領の後を受けたカーター大統領が核不拡散を旗印にして原子力政策を発表して、日本核燃料サイクル確立というのは事実上これで全部ストップすることになったわけです。  そこで始まったのが日米原子力交渉でございました。日本の代表は、当時科技庁長官でございました宇野宗佑長官でございました。詳しいことは省略をいたしますけれども、六か月間、この日米原子力交渉は続いたのであります。結果だけ申し上げますと、この原子力交渉日本の主張、通りました。アメリカが譲りました。言ってみれば勝ったわけでございますが、それで、九月の十二日、ワシントンで共同決定共同声明が発表されました。私が思い入れがあるというのは、そのときの光景でございます。  たしか国務省の二階か三階であったと思うんですが、廊下の突き当たりに小さな机が二つ置かれて、その上に国旗が置かれて、そこで宇野長官はサインをされました。つまり、部屋は与えられなかったというふうに記憶をしております。つまり、アメリカは認めたけれども、やっぱりその気持ちは悔しかったんだということがその調印の場所に表れていたと私は思っております。ですから、日本原子力政策というのはこういう歴史の中で培われてきたというふうに私は感じております。  これからの原子力政策でありますが、もちろん原子力エネルギーの中で重要なエネルギー源でありますから、これを大事に守らなきゃいけない。守らなきゃいけないことで一番大事なことは安全対策だというふうに思っております。  当初、日本原子力発電所ができましたときに、この耐用年数は三十年ぐらいだと言われていました。今、何て言われているか。格納容器は六十年もつから、その中の部品を替えれば六十年ぐらいもつかもしれないと言われている。で、関西電力の美浜の第一号機はもう三十六年。三十年を過ぎている原子力発電所が十一基あります。  ですから、日本原子力政策を守るためには、ますますこの安全性対策というのが重要になってくるわけであります。一回でも大きな事故を起こせば、犠牲者も出ますし、日本原子力発電すべてが止まってしまいます。一回でも事故を起こしてはならない。つまり、そういう安全対策をこれから政府はやっていく必要があると私は考えておりますが、経産副大臣の見解をお伺いします。
  11. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 澤先生はジャーナリストとして第一線で御活躍されておりまして、ただいまお話伺いましたように、原子力に関しましても大変お詳しいわけでございます。  正に御指摘のとおり、運転年数がたっている、そうした原子力発電所安全確保、いわゆる高経年化は大変重要な問題であると私も認識をいたしております。  原子力発電所を構成する機器あるいは構造物には、使用開始以降、様々な経年劣化事象が発生あるいは進展をいたしますけれども、原子炉圧力容器など安全上重要な機器等につきましては、設計時に強度などに十分な余裕を持たせているわけであります。また、使用中は定期的に検査を行いまして、必要に応じて取替え、修理等を適切に行うことによりまして、高経年化をした原子力発電所施設についても安全性を確保することができると考えております。  しかし、先ほど美浜原発のお話をなさいました。私も、事故の三日後に現地に伺いました。議員の一人として二度とこうした事故を起こしてはならないと心に深く誓ったところでございますが、あれは実は原子炉圧力容器など入っていない第二建屋なのであります。つまり、私は、第一建屋であり第二建屋であり、それは関係ないと。つまり、周辺設備も含めてしっかりとした対応を取っていかなければならないと、こう考えております。  経済産業省といたしましては、高経年化対策充実強化のために昨年十二月に関係省令等改正を行いまして、事業者に対して経年劣化技術評価を実施し、それを踏まえた保安対策を策定して国に報告するように義務付け、これを初めて義務付けをさせたところでございます。それから、改訂原案が公表されております原子力安全委員会発電用原子炉施設耐震設計指針。実は、日本は御存じのように活断層の上にできている国のような状況であります。ですから、耐震万全にしていかなければいけない。今まで以上に万全にしなければいけないということでいろいろな対策を取っております。例えば、過去五万年までさかのぼって地層などを調べる、これを八万年から十三万年までにしますとか、こうやって非常に厳しくこの耐震設計指針いたします。  このように、私どもといたしましては、充実強化をした高経年化対策、着実に運用し、今後とも対策に万全を期していく所存でございます。
  12. 澤雄二

    澤雄二君 どうもありがとうございました。  一つ付け加えてお願いすることがあるとすると、やっぱり最後は人であると思います。ですから、そこで働いている人たちのモチベーションその他も落ちないように、是非お願いをしたいというふうに思います。一度でも事故を起こしたら日本原子力政策は止まってしまうと、そういうふうに私は思っております。  それでは、少しこれから政策金融機関についてまとめてお話を伺います。  政策金融機関改革に関しては、八つの機関を再編することになっていて、五つの統合それから二つ民営化一つ廃止ということでございます。大きな目標としては、政策金融残高を対GDP比半減するという目標が盛り込まれています。これは民営化とか廃止する機関があるのでほぼできるだろうというふうに思っていますが、もう一つ平成二十年度中につくる予定の新政策金融機関は、民間ができることは民間に任せるという発想で、継続的に融資残高を減らしていくという目標が盛り込まれています。  そこで、いろいろなことが心配をされているわけでございますが、今回の政策金融改革で、これまで国民公庫中小公庫、商工中金で融資を受けて、一生懸命頑張ってきちんきちんと返済しながら事業を継続しているような中小企業経営者たちが、これから新しい政策金融機関ができたことで貸し渋りを受けたりとか融資枠を減らされるというようなことになっては絶対いけないと私は思っております。  世間中小企業経営者たちが今何を心配しているかというと、民間の地銀なんかが合併したときに、Aという銀行から三千万の融資を受けた、Bという銀行から三千万の融資を受けた、合併したらそれが四千五百万に減ってしまったというようなことがよくあるわけでございます。そういうことの心配を今世間では中小企業経営者がされております。  新しい金融機関ではこういうことがあってはならないというふうに私は思うんでありますが、中小企業経営者方たちの不安を解消するような答弁を、松副大臣お願いをいたします。
  13. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 先生のおっしゃるように、政府系金融機関の果たしてきた役割は、私はこれは本当に大きなものがあるというふうに思っております。  そして、何よりも、今回のこの統合によって中小企業の方々が不安を覚えては決してならないと。そしてまた、貸し渋りや貸しはがし、民間はその時々に応じて変わるわけでありますから、それが政府系金融機関はそうじゃないと。民間が貸し渋ったときにも、きちんと目利き能力を生かしてその企業の将来性を見込んで融資を行うなど、私は、中小企業の発展に尽力をしてきたのが政府系金融機関ではなかったかというふうに思っているところでございます。  中小公庫あるいは国民公庫が担ってきた中小企業者資金調達を支援する機能は、統合される新しい政策金融機関におきましても重要な機能一つとされておりまして、これはしっかりと引き継がれることになっております。今後、詳細な制度設計を固めていくことになります。  私もここで、絶対そういうことはないと、これぐらいはこうだって本当に申し上げたいところでございますが、そうした制度設計、今後固めていくことになるけれども、その政策金融改革後も中小企業金融に支障のないように、私どもも全力でその制度設計に取り組んでまいりたいと決意をいたしているところでございます。
  14. 澤雄二

    澤雄二君 融資枠は確実に守られることになっております。ありがとうございます。  次に伺います。  新政策金融機関は、平成二十年度において中小公庫国民公庫、農林公庫それから国際協力銀行統合されます。その結果、様々な性格を持っている、業務をしているいろんな公庫が一つの大きな金融機関になるわけでございます。そうすると、別々の業務をしていた人たち一つの大きな金融機関になるということで、そこで意思の疎通その他がうまくいかないと、意思の決定が遅くなったり利用者に余計な手間を掛けることになる可能性もあるわけでございます。  そうなってはいけないと思っているわけでございますが、そこで伺います。今後、詳細設計を行っていくに当たって、新機関が迅速な審査や意思決定ができるようにそれぞれの専門性に応じた適切な内部組織をつくっていただきたい。中小、国民、農林という、それぞれの専門のエキスパートが既に存在していますから、そういう適切な内部組織をつくっていただけないだろうかと。また、それから業務上の判断については支店にできるだけ判断を任せるとか、そうしないとどんどん決定が遅れていきます。相談内容に応じた専門の担当者にきちっと審査をさせることとか、効率的な運営を図ることも大事だと思っております。  松副大臣、いかがでございましょうか。
  15. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 中小企業に対する安定的な資金の供給は極めて重要でございます。これは二階大臣も常々申し上げておりますとおりに、政策金融改革につきましては、中小企業の方々がむしろ改革をやってよかった、よくやってくれたと思っていただけるものとすることが私は大切であるというふうに考えております。私も考えております。行政改革推進法案におきまして、中小企業者資金調達支援は政策金融の分野の一つとされておりまして、中小零細企業向け金融機能改革後も維持されることとなっております。  先生が今御指摘されましたように、それぞれの機能を生かして、また、支店いろいろあるだろうけれどもしっかりとやってほしい。つまり、例えば、中小公庫ですと六十三支店あるいは国民金融公庫ですと百五十三ですか、支店があると。ここに行ったら、その分野はうちの方じゃないから知りませんよとかということがなく、どこへ行ってもきちんと対応できると、そういうことをやはりやっていかなければいけないと思っているところでございます。  また同じような御答弁で申し訳ないんですが、今後詳細な制度設計、これが行われるわけでございますけれども、先生が御指摘の点もしっかりと参考にさせていただきながら、借り手側の利便性の確保に配慮しつつ、統合される政策金融機関中小企業の方々にとって頼りとなるものとするように全力で取り組んでまいる所存でございます。
  16. 澤雄二

    澤雄二君 同じような仕事をしている都市銀行、地方銀行の合併でも、それがスムースに仕事ができるようになるまでは最低十年間掛かると言われています。それに対して、それぞれこれまで全く違う専門分野の金融をやってきた人が一つになるわけですから、どうかそこはスムースに業務が遂行できるような内部組織、考えていただきたいというふうにお願いを申し上げます。  それから次に、政策金融機関に期待されている大きな役割、これまでこの委員会でも随分議論をされておりましたけれども、信用力とか担保能力の限られている中小企業に対して担保や保証人に依存しない融資に積極的に取り組むこと、これが大きな役割の一つでございました。地価の下落による担保不足とか第三者保証人を求められることに伴う社会的な悲劇というのは、中小企業者資金繰りにとって大きな心配材料となっているわけでございます。  実は私の選挙のときに、恐縮でございますが、公約の一つに掲げさせていただいたのが包括根保証の廃止ということでございました。全くの新人の私が、なぜその包括根保証の廃止というようなものを公約に掲げさせていただいたかというと、これも一つの事件がございました。それは、皆さん御記憶にあるかもしれませんが、一九九八年のことであります。国立のインターチェンジを降りたところの右側にあるホテルで、同じ日に中小企業経営者の方三人が同時に自殺をされました。毎日見ているホテル、しかもその三人のお方のうちのお一人が私と同じ町内会の方でございました。大変ショックでありまして、なぜ中小企業経営者は倒産をしたら自殺しなければいけないのかと。調べましたらすぐ分かりました。それが包括根保証でございました。  包括根保証は非常に過酷な個人保証でありますから、無期限、無制限で返済を迫ってくるわけでございます。ですから、その自殺をされた方も遺書を残されておりました。その遺書にはこう書いてありました。私たちの生命保険金で会社を救ってほしい、家族を守ってほしいと、こういうふうに書いてあったわけでございます。先日も発表になっておりましたけれども、この七、八年、日本は自殺者の数が三万人を超えています。そのうち五千人前後が中小零細企業経営者だと言われております。因果関係はよく分かりませんが、遺書を残される方が非常に多いと。その遺書には今言ったようなことと同じようなことが書いてあるわけでございます。世間ではこれをラストラブレターというふうに呼んでいるそうでございます。  一度ぐらい失敗してもいいじゃないかと、二度、三度挑戦できる社会にしたいと、こういうふうに安倍長官もこの間おっしゃったというふうに伺っております。ちなみに、この包括根保証というのは、私が当選した後、二〇〇四年の臨時国会で公明党の提案で民法の改正により廃止となりました。  それで、最初に経産副大臣に伺いますけれども、いわゆる中小零細企業向けの融資で、経営者事業計画に対するいわゆる目利き評価を重視して不動産担保や保証人に依存しない融資、現状はどのように取り組んでおられますか。
  17. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 先生の御指摘のとおり、中小企業は入口も出口もすべて融資に懸かっていると言っても過言でないと私も思っているところでございます。  その中小企業金融の円滑化のためには、事業の将来性やその企業本来の能力を見極める、正に目利きの能力を活用して、表面的な財務状況のみにとらわれない、つまり財務諸表だけを見て、ああこれはどうのこうの、駄目だ、で、融資をしない、そういうことがないようにすることが極めて重要なことでございます。  中小企業向けの三政府系金融機関は、目利き能力を発揮いたしまして担保や保証人に過度に依存しない融資を積極的に行ってきたところでございます。特に、平成十八年度におきましては、中小公庫において担保の全部又は一部を不要とする制度について融資限度額を引き上げる等、拡充を行ったところでございます。無担保につきましては、五千万から八千万に拡大した等々がございます。また、状況が一時的に悪化した、つまり自然災害ですとか、あるいはいろいろな疾病とか、そういうことですね。そういうことで悪化した中小企業者に対するセーフティーネット貸付け、これも中小企業金融の中でも特に目利き能力が必要とされるわけであります。また、先生おっしゃいましたように、創業やあるいは事業再生、これのまた支援、この貸付けについても現在も実は積極的に対応しているところでございます。
  18. 澤雄二

    澤雄二君 中小公庫国民公庫が合併して、新しい新政策金融機関をつくられるわけでございますが、この新しい金融機関でも、今副大臣答弁いただいたように、目利き能力を生かした無担保無保証融資はしっかりと維持拡充をしていただきたいというふうに思っております。  官房長官も、中小企業経営者にはできるだけチャンスを与えるべきだと、無担保無保証の融資も拡充すべきだという持論をかねてからお持ちだというふうに伺っております。最初に官房長官に御答弁をいただいた後に、経産副大臣もう一度、それから中馬大臣に答弁をお願いをいたします。
  19. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 仕事を起こすに当たりまして、やはりファイナンスをどうするか、これが最大の難関なんだろうと思います。特に、一度事業に失敗をした方が再度チャレンジをする場合は、その方が失敗したことを糧として、それを教訓にして、しかし、しっかりとした技術を持っているという中で事業を起こそうとしても、過去の失敗の事実が否定的に評価をされましてなかなか融資を受けにくいという現実があるわけであります。しかしながら、一般論で申し上げれば、金融機関の審査においては、事業に失敗した過去があるとの一事に着目するのではなくて、技術力、販売力、成長性なども含め総合的に判断されることが望ましいと、このように考えています。  先ほど御議論のありました目利き能力というのがそこで生かされてくるのではないかと、こう思うわけでありますが、このような取組に資するため、政府としては、政策金融機関における担保や保証の不要な融資の活用等、事業に失敗をした者の再チャレンジの際の資金調達に資する施策を推進をしていきたいと、このように考えております。新政策金融機関の業務についても、こうした観点からしっかりと検討していくことが重要であると、このように考えております。
  20. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) これまでの商工中金等の政府系金融機関は、表面的な、先ほども申し上げましたように、財務状況のみにとらわれることなく、その企業本来の能力を見極める目利き能力を生かして多くの中小企業の発展に貢献してまいりました。つまり、担保もない、あるいは財務諸表も悪い、けれども、その仕事の内容を見ると将来性がある、あるいは人物、経営者の人物がいい、これらをしっかりと見極める能力ですね、こういうものを生かして貢献をしてきたというふうに思っております。  商工中金につきましては、行政改革推進法案において、中小企業等に対する金融機能の根幹が維持されることとなるよう必要な措置を講ずるものとするとされているところでございます。中小公庫あるいは国民公庫が担ってまいりました中小企業者資金調達を支援する機能、これは新しく統合される政策金融機関におきましても重要な機能一つとされております。しっかりと引き継がれますように、先ほどから申し上げておりますけれども、今後詳細な制度設計ができるわけでございますけれども、今日御指摘をしていただきました点もしっかり参考にさせていただきながら、中小企業の方々がやって良かったと思っていただけるように取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
  21. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 今、中小企業を担当されます経済産業省松副大臣が、大変力強く、今回の統合においてもそうした機能を失うものではなくて、逆に非常にしっかりとした形で統合のメリットを出しながらやっていくんだという力強い御答弁がありました。正にそのような形でここにも規定しておりますし、それからもう一つ安倍官房長官の方からもございました。一度失敗しても再チャレンジする、この何といいましょうか、制度設計も必要でございますから、再チャレンジ推進会議、この御検討も踏まえつつ、これからの制度設計におきまして、こうしたことでしっかりとした中小企業が逆にこれから活力が出るような形の金融機関にしていきたい、このように考えております。
  22. 澤雄二

    澤雄二君 次の質問に移りますけど、官房長官、御公務があると伺っておりますので、どうぞ、私はもう質問ございませんので、御退席ください。  次に移ります。  今回、国内の金融機関統合するということで、先ほど全く別々の公庫が統合することによる混乱というのも予想されるというお話をいたしましたけれども、逆に、それぞれ別のノウハウを持っているところが統合するわけですから、そのシナジー効果というのをもっと前向きに考えていった方がいいんではないかというふうにも考えております。  その統合のシナジー効果を考えるときに、新しい金融機関でどういう役割ができるのかなというのを考えますと、ちょっと一大事業ではあるんですけど、いわゆる支援機能を、企業再生の支援とか、それから企業経営に関するコンサルティング機能など、そういう支援機能を強化することはできないんだろうかと。それは、先ほど言いましたようにそれぞれのエキスパートがいるわけですから、そういう機能を考えたときに、この新しい政策金融機関というのはまた別の力を発揮してくれるんではないかなというふうにも思っております。  さきの衆議院の附帯決議にこうあります。「資金需要に質量ともに的確に応えるとともに、専門能力を有する職員の窓口配置など、利用者の利便性を維持・向上すること。」というふうにあります。また、参考人質疑のときに、私、お伺いした全国中小企業団体中央会会長の佐伯さんも、地域間格差の是正とサービスの質と量の向上を強く求めておられました。また、公認会計士協会の理事の樫谷参考人も、企業再生には是非とも中立公平の金融機能を持った機関が必要だと考えていると発言をされています。  経産副大臣と中馬大臣お願いをいたします。
  23. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 正に先生のおっしゃるとおりであると思います。シナジー効果というものをしっかりと考えていかなければいけない、企業再生あるいはコンサルティング機能と、これに取り組まなければいけない、これは私どもも肝に銘じているところでございます。  何度も申し上げるようでございますが、やはり中小公庫等は中小企業金融の中でも特に目利き能力というものが必要とされて、事業再生を支援するための貸付け、これを今まで積極的に取り組んできたところであります。やっぱり、こういうところをしっかりと生かしていく。統合されたらそういう機能が薄れてきてしまったのでは何にもならないというわけでございまして、私どもは、中小企業者資金調達を支援する機能というものは統合されてもしっかりと、重要な機能一つとしてしっかりと引き継がれることとなるというふうに思っておりますし、また、今後とも皆様のそうしたいろいろな思いにこたえられるように制度設計、取り組んでまいりたいと考えております。
  24. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 今回の法案につきましても、第五条第四号におきまして、新政策金融機関の国内金融業務を行う部門の組織設計に当たりまして、専門的能力を有する職員の配置及び育成を可能とすること、及び業務の様態に応じた区分を明確にしてその内部組織を編成する旨が規定されております。  ともかく、そうした形でこの新政策金融機関の制度設計におきましては、これまで各機関が担ってきた業務や財務評価、ノウハウ、これを生かした相互連携、これが逆に私は機能を発揮していくんじゃないかと思います。  今お話がありましたように、それぞれの目利き能力を持ったそれぞれの分野でございましたが、これが統合されることによりまして、それぞれ、このごろの中小企業といえどもいろんな業態が、一つ企業一つの単一の仕事をしているんじゃなくて、農林業をしながら運輸業をやっていると、こういったときには、逆に統合されますと、そして、それぞれのことでいえば、ただ貸したり借りたりという話だけじゃなくて、こうした方がいいんじゃないですかといったアドバイスまでもできる。これからの私は新政策金融機関、特に政策投資銀行もそうですが、今まで持っておったそうしたノウハウを、中小企業の方々あるいは企業者の方々に今後のいろんなコンサルティングができる、私はその機能を十分に発揮していただきたい、このようにも答弁させていただいておりますが、これも正にそういうことではないかと思います。  それから、利便性につきましても、今まで中小公庫とか県庁所在地に一つしかなかったといったところも、また国金の場合はかなり広くありますから、そうしたところ、どこに行ってもたらい回しにされることなく全体でまとめて融資をしてもらえるといったような、あるいは相談に乗ってもらえるといったことがございます。  そういう意味じゃ、私は大きな、もう既に大企業になってしまった食品工業等に、これはもう切り離すことにしておりますが、逆に政府に頼らざるを得ないそうした一般の民有機関ではなかなか取り合ってもらえない、そこに大きく一つ政策を、施策を集中させる意味においては、今度のこの新政策金融機関の方が私は機能を発揮してくるんじゃないかと、そのように思っている次第でございます。
  25. 澤雄二

    澤雄二君 是非とも新しい政策金融機関の新たな仕事の能力向上ということで、よろしくお願いをしたいというふうに思います。  次に、公営企業金融公庫について伺います。公営企業金融公庫は、今回の法改正では廃止されることになっております。つまり、地方自治体は公営企業をやるための資金調達を市場からとか金融取引だとか、そういうところで資金調達をすることになっているわけでございますが、ここに来て自治体の方からいろんな不安が寄せられるわけです。本当にそういうことで公営企業にとって必要な資金調達ができるんだろうか、大丈夫なんでしょうかと。もしそれができないということになると、公の機関としての使命を果たせないということは、ひいては住民の生活の利便性も損なわれるということでございます。  ですから、私は是非、何かこういう方たちの不安を解消するような新しい後継システム、制度なのかそういう機関なのか分かりませんが、何かやっぱりそういうものを考える必要があるんだというふうに思っておりますが、総務大臣お願いいたします。
  26. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) お答えを申し上げます。  昨年末に閣議決定をしました行政改革の重要方針におきまして、この公営公庫に関しては二つのことを決めているわけでございます。第一は、廃止をして資本市場等を活用した仕組みに移行するということ、そして二番目は、必要な財政基盤を確保する等廃止に向けた一定の移行措置を講ずるということ、この方針に基づいて制度設計、まだ議論をしているところでございます。  委員御指摘のように、地方の方々、大変これどうなるんだろうという関心と不安を持っておられるというのは私も理解をしております。昨日も六団体と総務大臣の懇談会をしましたときに、六団体からも本当にしっかり考えてほしいという強い要望をいただいております。これ、円滑な資金調達を確保することは当然大変重要でございます。地方公共団体が個々に創意工夫して資金調達するというのはまず大前提ではございますけれども、財務上の戦略として共同調達の仕組みを活用とする、そういった選択肢もあると思います。  そういった改革趣旨を踏まえて、そして昨日も六団体の方にお約束しましたけれども、地方の意見も十分に聞きながら制度設計を考えてまいりましょうと、そのように申し上げました。しっかりと対応してまいります。
  27. 澤雄二

    澤雄二君 最後に、セーフティーネットについてお伺いをいたします。当委員会でも、度々このセーフティーネットの必要性については議論をされてまいりました。私も、是非させていただきたいというふうに思います。  これまで政府系金融機関が果たしてきた大事な役割の一つが、貸し渋り、貸しはがし、自然災害、SARS等の感染症被害、いわゆる危機対策としてのセーフティーネットでございました。今回の新しい政府系金融機関でも、こういう危機対策のセーフティーネットが後手に回ってはいけないというふうに私は考えております。  例え話でございますが、平成十年、一九九八年には貸し渋り、貸しはがしのあらしが世の中を覆っておりました。日本の中小零細企業は正に火の車、危機的状況になっていたんでございますが、そこで政府が実施をしたのは、新たに設けた、特別信用保証という制度を新たにつくって、ほとんど無審査で融資をすることでございました。用意された保証枠は当初二十兆円でしたが、その二十兆は、最初少しなかなか使われないというのはあったんでございますけれども、それは消化をされて、その後更に十兆円保証枠を増加して三十兆円が貸し渋り、貸しはがし対策として使われました。この制度を強く実現を求めたのは公明党でございました。この制度について賛否の意見があること、今もあることはよく承知をしておりますが、日本商工会議所は、これによって七千件の倒産が防ぐことができたと、六万人の雇用を守ってくれたというふうに高く評価されています。  経産副大臣にお伺いをいたします。  中小企業金融分野で、これまで具体的などのような事態に対してどのようなセーフティーネット対策を講じたのか、それによりまたどのような効果があったと評価をされていますか、お答えをお願いいたします。
  28. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 中小企業金融の分野におきまして、台風やあるいは地震や豪雪などの自然災害あるいは疫病等の影響によりまして資金繰りが悪化した中小企業に対する金融支援は極めて重要でございまして、経済産業省といたしましても積極的に対応してきたところでございます。  経営安定室というのを、これはもう常設をしております。中小企業庁に常設をしておりまして、こういったところに皆様からそうしたことが起こるたびに御相談が寄せられるわけでございます。ここで対応させていただいております。例えば、鳥インフルエンザの発生に係るセーフティーネット対策につきましては、全国の政府系金融機関の支店や信用保証協会において相談窓口を設置をいたしました。さらに、政府系金融機関において、一時的に売上高や利益が減少をしている中小企業者に対するセーフティーネット貸付けを実施をいたしました。また、鳥インフルエンザの発生によりまして業況の悪化した中小企業者に対しては、信用保証協会が通常の保証とは別枠で保証を行うセーフティーネット保証を発動いたしました。これらの対応では、平成十七年度末時点におきまして、融資、保証合わせて六百七十八件、約六十五億円の実績が出ております。  引き続き、同様にこうした政策を行ってまいりたいと考えております。
  29. 澤雄二

    澤雄二君 商工中金もいろいろなセーフティーネット対策をこれまで講じてきてくださいました。先ほどの佐伯参考人も、阪神・淡路、新潟の地震のときには大変中小企業が救われましたというお話をされておりました。これから民営化される商工中金も、こういうことはしっかりとやっていただきたいというふうに思うわけでございますが、そこで、余り皆さんが想定されない危機が一つあるということを御紹介したいと思います。  それは、新型インフルエンザでございます。最近何かインフルエンザの澤というふうに言われているんでございますが、国家の危機管理対策として是非このことも考えていただきたいというふうに考えています。この新型インフルエンザの危険についてはどのぐらい危機が高まっているかということについては予算委員会で詳しく質問をさせていただきましたので、今日は最新の情報だけ皆様にお伝えをしたいというふうに思います。  五月四日に、アメリカのブッシュ大統領が最も最新のパンデミック、大流行期における行動計画、対策を発表をいたしました。このときのブッシュ大統領の演説は、アメリカは世界的な危機に目的を同じくし、行動をともにすることで家族や地域、社会、国、世界をパンデミックの危機から守ると、こういうふうに大統領は決意を表明をされました。  新しい行動計画によりますと、実に労働者の四〇%が二週間にわたり職場を離れることが予想されますと。ですから、この対策を、各企業は早目に詳細設計を作れということを指示しております。そして、できるだけ感染をしないために人は家の中にとどまるようにということを改めて求めております。先ほども言いました、特に、企業としては従業員が激減するという危機下でどのようにして今の事業を継続することができるかということの対策をフェーズごとに作るということを求めております。  ワシントン・ポストによりますと、最大、人口の三分の一が発病して、一千万人が入院して二百万人が死亡するというふうに書いております。  また、細かいことまでここでは、一番新しい対策では求めているわけでございますが、自宅待機を余儀なくされる従業員は有給か無給かを事前に決めておけと、混乱をするぞということを言っております。それから、上位の決定者が次々と風邪で失われていく可能性があると。定款その他によると三番目ぐらいまでは決定者が決まっているわけでございますが、そうではなくて、定款にない四番目、五番目の代行者というものも企業は決めておく必要があるぞということを言っています。それで、企業に対しては、政府と同じようにリーダーシップをその企業が持ってやらなければこの対策はできないぞということも述べているわけでございます。  それから、自治体に対しては、連邦政府が助けてくれるという期待感から準備を怠った地域は悲劇的な事態に直面することになるだろうというふうに警告をしております。  つまり、このように新型インフルエンザは非常に経済的な打撃を受けるわけでございます。この間の予算委員会でも申し上げました。アメリカの議会局の試算では、最初の一年間でアメリカは五%GDPを押し下げる。日本は、第一生命の総合研究所が最初の一年間で四・二%GDPを押し下げる、二十兆円、額にして。世界的な規模では、世界銀行が最初の一年間で八千億ドルの被害というふうに試算をしております。  こういうことが起きると、日本中小企業も大打撃を受けるわけでございます。こういうものも含めて危機対策を是非やっていただきたいというふうに思います。最後に、松副大臣お願いします。
  30. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 中小企業向け政府系金融機関は、貸し渋り、貸しはがし、先ほども申し上げましたように、災害に対応して迅速に資金供給を行うなど、本当に頼りになる金融機関として実績を上げてまいりました。  行政改革推進法案では、新政策金融機関や商工中金等が、金融秩序の混乱や感染症等に対応するために必要な金融を迅速かつ円滑に行うことを可能とする体制を整備する旨が定められているところでございます。特に商工中金は、短期の資金繰り支援を行っている中小企業専門の金融機関であります。つまり、つなぎ資金あるいは運転資金、手形割引、これらも行っている金融機関なのであります。そのために、完全民営化後もこれまで培ってきた危機対応のノウハウを生かして、いざとなるときにも中小企業の頼りになる金融機関として機能していくことが重要であると考えております。
  31. 澤雄二

    澤雄二君 どうもありがとうございました。終わります。
  32. 山下栄一

    ○山下栄一君 行革推進法案の中に、総人件費改革と並んで、関連してですけど、公務員制度改革のことがございます。六十三条に書いてあるわけですけど、このことは、この数年ずっと検討されてきたことを集約して推進法案に書き込まれたというふうに思うわけですけれども、その中に人事院制度の検討を行うというところがございます。そのことに関連して質問さしていただきたいというふうに思いますけれども、この人事院の基本的な在り方を検討する場合に、そもそもこの人事院制度の法的な裏付けといいますか、そしてまた現行の権限が与えられたその法的根拠を確認さしていただきたいというふうに思います。  まず、法制局にお伺いいたしますけれども、この国家公務員法の下に中央人事行政機関として人事院が位置付けられておるわけですけれども、昭和二十三年にこの人事院という制度が、名前がその前に人事委員会だったんですけれども人事院制度に変わったと。その役割は、国家公務員が日本国憲法十五条において全体の奉仕者と位置付けられている、ここに由来するというふうに理解しておるわけですけれども、御見解を確認さしていただきたいと思います。
  33. 阪田雅裕

    政府特別補佐人(阪田雅裕君) 今委員御指摘のように、憲法十五条第二項は、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と規定しておるわけでございますけれども、このことを担保するためには公務員に係る人事行政の公正が確保されることが肝要でございます。  そのための具体的な制度上の仕組みとして、内閣の所轄の下に独立性の高い中立的第三者機関として人事院が設けられていると。言い換えますと、人事院には公務員についての労働基本権制約の代償機能という面もございますけれども、その点を別にいたしますと、その所管する人事行政を通じて、公務員が不偏不党、中立公正の立場でかつ能率的に公務を遂行することを確保するという、そういう役割が期待されているものと理解しております。
  34. 山下栄一

    ○山下栄一君 憲法の確認さしていただきましたけれども、国家公務員法上、今おっしゃった中立公正性の確保についてどのような規定があるのかということを確認さしてください。法制局長官お願いします。
  35. 阪田雅裕

    政府特別補佐人(阪田雅裕君) 憲法十五条の下、国家公務員法は、その第一条第一項に規定しておりますように、公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを目的として制定されているわけでございますけれども、公務員の公務遂行の中立性、公正性を担保するための同法の具体的な規定の例といたしましては、すべて職員は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務しなければならないと定めました第九十六条第一項、それから政治的行為の制限について定めた第百二条、兼職兼業の禁止、その他私企業からの隔離を定めた第百三条などを挙げることができるかと思います。さらに、同法第三条第二項では、ただいま申し上げました諸規定の適切な運用等を通じて中央人事行政機関である人事院が人事行政の公正の確保に関する事務をつかさどるんだということが明確に規定をされているということでございます。
  36. 山下栄一

    ○山下栄一君 ありがとうございます。  人事院にお伺いいたしますが、この人事院創設の趣旨につきまして、憲法、公務員法との関連で御答弁願いたいと思います。
  37. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 第二次大戦後、こういった事態を招いた原因の一つとして、財閥、軍閥と並びまして公務員制度もかかわりがあるという認識の下でその抜本的な改革が必要と認識されるようになりまして、そういうことの中から、この憲法の、先ほど法制局長官から御答弁ございましたけれども、この憲法の趣旨を実現するために、国家公務員法に書かれておりますような公正中立性の確保等の観点から中立、専門の人事院が設けられたというふうに考えております。
  38. 山下栄一

    ○山下栄一君 ありがとうございます。  これ、人事院の位置付けにつきまして、私は、今申し上げました憲法、そして国家公務員法一条、三条その他、その基本的な精神のところを大事にする必要があると、なぜこういう第三者機関、非常に独立性の強い機関が設けられたのかということを確認する必要があると思うからこういうことを質問しているわけですけれども、この労働基本権と政治的自由、これが大幅に制限されておるわけです、国家公務員はね。その反面で、公務員の利益保護の仕組みとして人事院制度が創設されていると。  ただ、最近の論調を見ましたら、この労働基本権の、公務員付されておらないと、こういう観点からの代償機能の方が非常に中心に議論されていると。しかしもう一面、中立公正な中央人事行政機関が必要なんだと。場合によりましたら、労働基本権を付与されたと、付与されても中央人事行政機関としての人事院の役割があるんだと、それは中立公正性の観点なんだということが非常に大事ではないかというふうに思うわけでございます。そういう意味で、この中立公正性の確保、代償機能と同時にこういう大事な役割があるということ、このことについてこの重要性を私は忘れてはならないというふうに考えます。  このことについて、人事院の考え、そして内閣として官房長官に御見解をお伺いしたいと思います。
  39. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 御指摘のとおり、公務員制度におきましては、人事行政の公正中立性の確保という観点は極めて重要な点であろうと考えております。私どもといたしましては、公務員の人事管理の中立第三者機関、専門機関といたしまして、時代の要請に対応した改革が国民や関係者の御理解を得て実現されるように、その与えられました使命を適切に果たしていかなければならないと考えております。  例えば、人材の確保育成ということを例に取りますと、直接職員を採用し育成していくのは、それはあくまでも所管の行政事務を熟知し、また職員の働きぶりということをよく把握しておられます各府省であるわけでございますけれども、しかし、全体の整合性を確保いたしますとともに、人事行政の公正中立性というものを確保していくという観点から、人事院が採用試験を行うとともに、各府省合同の研修を実施するなど、全体の奉仕者としまして、また行政の専門家としてふさわしい公務員を確保育成するという使命を果たしてきておるわけでございますが、今後とも一層そのことを考えていかなきゃならぬと思っております。  また、公務員制度の公正な運用の確保のためには、今後とも、任免、給与あるいは服務、懲戒、分限の諸制度につきまして適正な基準や指針の設定に努めていかなければならないというふうに考えております。
  40. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 憲法第十五条は公務員が国民全体の奉仕者であることを定めておりますことから、公務員人事管理の中立公正性の確保は極めて重要であります。人事院は独立性の高い中立第三者機関としてそのための役割を担っているものと承知をしております。公務員制度改革においてもこうした役割を確保することは引き続き重要であるというふうに認識をいたしております。
  41. 山下栄一

    ○山下栄一君 この推進法の六十三条の方には、併せて退職管理の適正化という規定があるわけでございます。この天下り問題については、もう盛んにこの委員会でも繰り返し議論されてまいりました。過去においても議論されておるわけですけど、今ほど国民のこの関心、公務員に対するイメージが大変一生懸命頑張っておられる割にはなかなか高まってこない背景は、全体の奉仕者なのかと、私として利用しているのではないかというふうな、そういうふうな不信感が広がる原因にもなっておるわけでございますけれども、この早期退職慣行の是正につきまして、こういう観点からの質問は我が党の石井啓一委員が行革特別委員会でも衆議院で取り上げたわけでございますが、平成十四年の夏に総理がこの退職年齢の引上げについて提案をされておるわけでございます。五年間で三歳引き上げると。それを受けて、平成十四年の十二月に閣僚申合せの中で、十五年から十九年の五年間で三歳以上の引上げということを決めておるわけでございますけど、このことについて、取組状況について、内閣の取組状況について官房長官にお伺いしたいと思います。
  42. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 早期退職慣行の是正につきましては、職員が公務内においてできるだけ長時間活力を持って勤務できるよう、総理の御指示によりまして、幹部職員の勧奨退職年齢を五年間、平成十五年度から十九年度にかけてでありますが、段階的に平均三歳以上引き上げることなどを基本方針として、政府一体となって取り組んでいるところでございます。これまでの三年間で平均勧奨退職年齢が一歳半程度上昇したところでありまして、引き続き早期退職慣行の是正に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  43. 山下栄一

    ○山下栄一君 各省庁計画的にきちっと、これは総理の強い御指示であろうと思われますので、計画を作ってやっていただきたいと思いますが。  人事院にお伺いいたしますけれども、昨年八月の人事院勧告の際に専門スタッフ職俸給表の新設、これを提案いたしまして、退職管理の適正化の提案をされておるわけでございますが、その趣旨と検討状況、お伺いしたいと思います。
  44. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) まず一般的に申し上げまして、行政の多様化、複雑高度化に対応いたすために、高度の専門能力を持ったスペシャリストがスタッフとして活躍できるような環境を整備することが必要だという事情がございます。さらにまた加えまして、近年の天下りに対する国民の厳しい批判もございまして、政府全体として早期退職慣行の是正、在職期間の長期化への取組が進められております中で、高い意識の下、在職期間の長期化を進めるためには、ライン職において適材適所の人事を推進するということに加えまして、これまで培ってきた専門能力をスタッフとして活用できるような道も拡大するという、いわゆる複線型の人事管理を導入することも必要だと考えております。そういうことのための環境整備の一環といたしまして、昨年の給与勧告時の報告におきまして、専門スタッフ職俸給表を新設することについて表明したという事情でございます。  それから、この具体化に当たりましては、各府省において、複線型人事管理の具体的な検討でございますとか、それから職務の整備等を図っていただくということが必要なわけでございます。そして、それに整合するような仕組みを考えていくということが必要なわけでございます。  そういうことで、各府省における人事運用の見直しなどについての検討や職務の整備等についての状況を見させていただきながら、関係部局と連携して、引き続いてその具体化に向けての検討を進めてまいりたいと考えている段階でございます。
  45. 山下栄一

    ○山下栄一君 この私は人事院の提案というのは非常に、早期退職勧奨慣行ですか、あしき慣行是正のために非常に的確な提案ではないかと、このように感じております。  複線型の人事管理の考え方として、専門スタッフ職を整備して、別の給与体系を作って対応するという、定年まで働いてもらうと、こういう考え方は私は非常に極めて的確な提案ではないかと、このように思っております。  このことについて、各省庁、内閣でも取り組んでもらいたいという提案だと思いますけれども、内閣として、各省庁の取組、そしてまたこのために政府全体として統一的な方針を定めることが必要だと、このように考えますけれども、官房長官の見解をお伺いしたいと思います。
  46. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 現在、政府全体として早期退職慣行の是正に取り組んでいるところであります。  そのためには、まず能力・実績主義の徹底により年次主義やピラミッド型人事構成の見直しを進めるとともに、複線型の人事管理を進めるため、必要なスタッフ職の整備充実や幅広い民間との人事交流を図り、個々の職員の能力を生かした人事活用を行っていくことが重要であるというふうに認識をしています。  昨年八月の人事院報告においては、先ほど既に人事院から御答弁しておられますが、複線型人事管理の導入に向けて専門スタッフ職俸給表を新設すること、また、そのためには各府省における複線型人事管理の具体的な検討との整合性に配慮すること等が記載されているというふうに承知をいたしております。  政府としては、人事院と密接な連携を図りつつ、正に政府一体として複線型人事管理の具体化に向けて検討をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  47. 山下栄一

    ○山下栄一君 官房長官に確認させていただきますけど、非常に積極的に取り組む姿勢がうかがえるわけですけど、政府全体として僕は官房長官にもリーダーシップを取ってこの取組やっていただきたいと思うんです。  その前提として、各府省において、各それぞれの省庁において、今後、こういう複線型人事をどういうふうにして行っていくのか、この具体的なビジョンを作成することがないとなかなか調整することは難しいのではないかと、こういうふうに思うわけでございまして、人事院との連携というのをやっていただくわけですけれども、各府省の取組がきちっとできないと進んでいかないというふうに思いますもので、各府省における具体的な取組をきちっと御徹底をお願いしたいと思いますが、確認の意味で御質問させていただきたいと思います。
  48. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 先生の御心配は、これはまあ、各省個々にそれぞれやっていたのではなかなか進まないのではないかということではないかと思うわけでありますが、先ほど人事院から複線型人事管理の導入に向けて専門スタッフ職俸給表を新設すること等の提言についてのお話があったわけでございますが、我々といたしましても、官邸そして総務省としっかりと一体となって、各省全体を俯瞰しながら、言わば新しいこの複線型人事管理を導入をしていくために計画、企画を我々しっかりと考えていきたいと、このように思っております。
  49. 山下栄一

    ○山下栄一君 官房長官、今私申し上げたのは、もちろん内閣としてやっていただく方針、統一的な方針も大事だと思うんですけれども、その前に、各府省に任せるのではなくて、各府省がきちっとこの取組を具体化さしていくという、そのことがまず先行してやらないとなかなか政府としてまとめにくいのではないかということを申し上げたわけで、各府省の積極的なこの提案に対する取組をまずやるんだということを内閣として指示をお願いしたいと、こういうことを申し上げたわけでございます。そうしないとなかなかまとめることができないのではないか、各府省がそれぞれがこの取組をまず始めるということが大事じゃないかということでございます。これは確認でございます。
  50. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 当然、各府省においてこの複線型人事管理の具体化の案をそれぞれ進めていかなければいけないわけでありますし、そうするように当然我々官邸としても、総務官室がこれを責任を持って担当しているわけでありますが、私どもといたしましてもリーダーシップを取って各府省に督励をしていきたいと、このように思っております。
  51. 山下栄一

    ○山下栄一君 ありがとうございました。  官房長官の、私、質問これで終わりますので。ありがとうございました。済みません。  次に、これは決算委員会でも取り上げた政策金融にかかわる質問でございますけれども、これ財務大臣はよく御存じだと思いますけれども、去年の十月に、決算委員会の決議として国会法百五条要請に基づきまして検査院に調査していただいたことがあるわけでございます。これが、国が公益法人等に補助金を交付して造成させている資金等に関する会計検査の結果についての報告書と、これが去年の十月に出まして、それに基づいて各府省取り組みまして、この一月に検査院が指摘したこの七十法人百十六資金はこのように取り組みますという、そういう状況報告書が出していただいたんですけれども、この報告書そのものにいろいろ問題があることにつきましてはまた別途決算委員会で取り上げたいと思いますが、これに関連して、関連があると思うんですけれども、平成十六年十二月の今後の行革の方針という閣議決定がある中で、この公益法人等に基金を造成している事業融資等業務、補助金そのものを渡す場合もあるわけですけれども、こういう基金を積んで中小企業等を支援するという、そういうことの事業があるわけですけれども、この実効性がなかなか、事業の、まあ使われていないとかいうような問題点があるわけですが、この二年前の年末の行革方針で四つの基準を示して、閣議決定の中でこの平成十八年度末までに見直しをすると。十八年度末ということは来年の三月まででございます。もう既に私は基準はもうできておって、各省庁取り組んでおるというふうに思うわけでございますけれども、この閣議決定、平成十六年十二月の閣議決定を受けて基準を作って十八年度中に見直すというこの進捗状況について、どうなっているのかということを中馬大臣にお伺いしたいと思います。
  52. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 今、山下委員御指摘になりました、一昨年ですね、十六年の十二月二十四日閣議決定の今後の行政改革の方針、これで基金事業に係る見直し基準を設けて、平成十八年度末までに各府省において事業見直しを行っていくと、このように決めたわけでございます。  この具体的な基準としましては、基金事業見直しの時期の設定に係る基準、それから基金事業の目的達成度の客観的な判定、公表に係る基準、それから基金の保有割合についての数値基準、使用見込みのない資金の国への返納に係る基準、こういったことを策定することとされております。  政府といたしましては、この閣議決定に従いまして基金の見直しに関する基準を策定するよう最終的な詰めの作業を行っているところでございまして、今後、速やかに基準を策定の上、各基金について適切な見直しを行ってまいりたい、このように考えています。  なお、見直しの対象となる基金については今後更に精査が必要ではありますが、現時点で把握しているところでは、平成十七年十二月末現在の基金数で百十六と承知いたしております。
  53. 山下栄一

    ○山下栄一君 ありがとうございます。  ちょっと取組が鈍いというか弱いなと。ただ、これはおしりが決まっておりますので、十八年度中にきちっと見直して、見直しの結果を報告するんだと思いますので、中馬大臣、しっかりと監視していただきたいと思うわけでございます。  それで、この会計検査院の指摘なんですけれども、七十法人百十六資金。二年前のこの閣議決定、今さっき触れました法人、対象法人の中に入っていない法人があるというふうに思うわけです。その辺も含めて検査院が指摘したわけでございまして、この十六年の年末に十八年度中に見直せと、このように言った中に入らない法人はどんな法人があって、その取組についてもそれを示していただきたいと思いますけれども、やっぱり同じような、十六年の末の閣議決定と同じような取組が私は必要ではないかと。せっかく会計検査院が指摘し、これは立法府の要請に基づいてやったことでございますので、あわせて、漏れておるその他の法人についても同じような体制で基準を作って、もう同じ基準でいいと思いますけれども、十八年度中にやるべきではないかと考えますけれども、中馬大臣の考えをお聞きしたいと思います。
  54. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 現在検討中の基金等を有する法人に関する基準でございますが、これまで、制度上、業務の見直し等に関する枠組みを設けられていなかった公益法人等について新たに見直しの基準を設けてしっかりと見直そうとしているものでございます。このため、会計検査院の検査した七十法人のうち公益法人等の六十五法人が対象になっていると、このように考えております。  御承知のとおり、十六年の閣議決定におきましては、基金法人のうちの独立行政法人、特殊法人、認可法人、共済組合等を除くと書いてございますが、会計検査院はこれらも含めて検査をしているわけでございまして、そうした会計検査院の検査した法人のうち独立行政法人の五法人は現在検討中の基準の直接の対象とはならないが、独立行政法人については中期目標期間終了時に組織、業務全般について見直しを行うこととなっております。  したがいまして、これらの独立行政法人の個別の見直しに当たりましては、会計検査院の指摘を踏まえまして、各府省において適切に見直しが行われることと考えられるわけでございますが、その際、必要に応じて今般策定する基金法人に関する基準も参考とされるものと、このように考えております。
  55. 山下栄一

    ○山下栄一君 参考にされるというか、せっかく、趣旨は一緒やと思いますので、同様の十八年度中の見直しを是非やっていただきたいと思います。  財務大臣にお伺いいたしますが、これは決算委員会でも御答弁いただいたことではあるんですが、今私申し上げましたこの百十六資金見直しが不十分なところがたくさんあるんですね、これはまた別の機会に決算委員会でやりたいと思いますけど。  私は、これで財務省も、特にこれ補助金削減、歳出削減につなげて、特に十七年度は大幅な補助金を返納させたわけでございますが、こういう不十分なところもございますので、今、中馬大臣とも連携取っていただきまして、この補助金改革、歳出削減につなげていただきたいと。この基金がほとんど使われておらない、長年にわたって、実績も少ないというのが相当数あるわけでございます。そういう観点からもきちっとフォローを、一昨年の行革方針、その前、さかのぼりますと平成十二年の検査院の調査があると思うんですけど、一連のこの改革作業の中で、無駄な歳出を減らすという観点からもきちっとフォローしていただきたいと思うわけでございますけど、御所見をお伺いしたいと思います。
  56. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 平成十六年度の閣議決定によって、十八年度中にいろいろな見直しをやっていくもの、それから独立行政法人のように中期目標、中期計画、こういう中でやっていくもの、いろいろございますけれども、財務省としては、例えば各独立行政法人の中期目標あるいは中期計画、そういったとき協議いたします。それから、毎年毎年予算編成の中でいろいろ査定をするわけですが、そういう中で、独立行政法人に設置された基金の必要性あるいは規模の合理性ですね、こういった問題、個別にきちっと精査して、委員の今の御趣旨のような形で改善を積み重ねていくということを精力的にやりたいと思っております。
  57. 山下栄一

    ○山下栄一君 それで、今回の法律でございますけども、第十四条ですね、政策金融と類似の業務、一号、二号、三号、法人別に十八年度中に見直すというふうに書いてあるわけでございますが、お手元に資料として、「融資等業務を行う法人」、省庁別に一覧表があるというふうに思います。  これ、一生懸命会計検査院のこの昨年の報告書、また財務省、行革推進事務局にも御協力いただきまして作成させていただいたものであるわけでございますが、法案の十四条一号、独立行政法人、政策金融類似の業務ですけれども、二号が特殊法人、三号が公益法人と、こうなっていたと思いますが、この一覧表、四十六法人あるわけですが、これでこの十四条の対象法人すべてであると、このような認識でよろしいんでしょうか。
  58. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) お答えします。  行政改革推進法第十四条でずっと規定いたしておりますが、この金融業務の見直しの対象となる法人は四十六法人と承知いたします。このうち、先ほどにもありました会計検査院の検査報告書において検査対象となったのは二十五法人三十七基金、それから問題点が指摘されたのは八法人十基金であると、このように承知いたしております。
  59. 山下栄一

    ○山下栄一君 今御答弁もしていただいたんですが、要するに十四条対象法人はこの四十六法人だと。その中で、会計検査院が指摘している法人は二十五法人だと。問題ありと指摘された法人が、今幾つ言いましたかね、八法人、これが、今手元に行っているそこの米印のところが会計検査院が問題ありと、このように指摘した法人であるという、こういうことでよろしいですか。──はい、ありがとうございます。  それで、お伺いしたいんですけども、法案では十四条のこの四十六法人について十八年度中に見直すというふうに書いてあるわけですが、どんなふうにどんな観点で見直すかと、こういう基準が不明、作る必要があると思うわけですけど、これは早急に作らないとこれできないと思うんですけど、法律通ってからかも分かりませんが、作成することが、基準を作って見直しをするということが必要だというふうに思います。基準策定。どんな基準の角度なのかと、いつまでに各省庁に示すのかと、どのように考えておられるか、中馬大臣にお伺いしたいと思います。
  60. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 今般の政策金融改革におきまして、公益性が高いか、あるいはまた金融リスクの評価等の困難性があるかといった条件を踏まえて検討が行われ、その上で、経済全体の活性化を図る観点から必要な政府の関与は残しておきながら、民間にできることはそこから撤退していくという方向改革案が取りまとめられておるわけでございます。この独立行政法人、公益法人等が行う金融業務につきましても、こうした政策金融改革趣旨を踏まえまして見直しを行うことと考えております。  その方向性でございますが、そもそもの政策目的が妥当かどうか、政策目的達成の手段として現行の金融的手法が適当かどうか、あるいは民間にできることは民間にゆだねるとの考え方を踏まえまして、廃止、縮減を検討すべきではないか等の観点から見直しをしていくべきものと、このように考えております。  一方、独立行政法人の金融業務はそれぞれに異なる政策を担っておりまして一様ではないことから、これらの業務の特性も考慮しつつ、個別に徹底した精査を行う必要があると、このように考えておりまして、独立行政法人の金融業務につきましては、今年の夏を目途に政府としまして基本的な考え方を取りまとめた上で、個別の法人ごとに業務の見直しを行い、本年度中に政府としての結論を得ることとしております。  現在、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会及び行政減量・効率化有識者会議、ここにおきまして見直しの基本的方向について議論が重ねられているところでございます。こうした議論を踏まえまして、政府として見直しに取り組んでまいる所存でございます。  また、公益法人につきましても、こうした独立行政法人の金融業務の見直しに関する基本的な考え方を踏まえまして見直しをしていくということになるものでありまして、いずれにしましても年度内に見直しの結論を得ることといたしております。
  61. 山下栄一

    ○山下栄一君 ありがとうございます。  これ、政府系金融機関の整理統合、これが政策金融のメーンとして非常に今注目をされ、また中小企業や国民一般、また農林漁業その他、まあ沖縄もそうなんですけれども、政策金融として残すべきものはきちっと残すと、その上で統合するんだということが確認され、様々な議論も行われておるわけですけれども、この第十四条の部分については非常に不明確だと。問題意識は財政諮問会議等でも出されておったんですけど、どのように行われていくのかということが非常に私は不十分だったというふうに思いますし、よく分からなかったと。それが今日の質疑通して対象法人も明確になり、そして今の御答弁のように、十八年度中に見直すと法律には書いてあるけれどもどう見直すんだというようなことも、個別の法人ごとに今、中馬大臣から御説明いただきましたので、非常に改革に直結する、これは公益法人改革という観点からも非常に大事なものではないかというふうに考えまして質問させていただいたわけでございます。  それで、現在、会計検査院が調べました七十法人百十六資金でも、国の税金を使って一兆五千億に上るお金が今基金残高としてあるということが明確になっておるわけでございますけれども、今後こういう、平成二十年ですかね、新たな、政策金融機関一つ統合されるという体制で進んでおるわけですけど、それ以外のこの類似の業務のために、既存のものについては今確認さしていただいたんですけど、今後またこのような似たようなものが出てくるのは私はまずいのではないかと、何のための政策金融改革かと思いますので、どうしても必要なものは残さなあきません。そのために一つ政策金融機関統合し、様々な機能も残す体制で今、先ほども澤議員おっしゃったようにあるわけですけど、それ以外の別の形で、今質問してまいりました基金を積んでやるということが、私は余りこれ好ましくないなというふうに思うわけですけど、今後このような政策金融類似の業務のために公益法人なり独立行政法人なりつくって行われることは私は好ましくないと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。
  62. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) これからのことでございますが、将来、金融業務により達成する必要のある政策が生じるかどうかということにつきましては、現時点では少し予測が難しいということで御理解願いたいと思いますが、一般論として申し上げますと、独立行政法人の業務に新業務を追加しようとする場合には総務省管理局の審査が行われる仕組み、こうなっております。したがいまして、金融業務の追加につきましても、その必要性について厳しく審査されることになると、このように考えております。  また、独立行政法人につきましては、業務が法律で規定されておりまして、その追加を行うには法律改正が必要となることから、法案審議を通じてその必要性に関する議論が行われるものと考えています。  これは一般論でございますが、委員趣旨のことも十分に私たちは踏まえてまいりたいと思っています。
  63. 山下栄一

    ○山下栄一君 大臣、今、独法のことはおっしゃっていただいたんですけど、公益法人でまたこのようなことが法律に基づかなくてやっている場合もたくさんあるわけですけど、こういうことは特に行革の観点からはあってはならないというふうに思うわけです。  独法のことは今よく分かりましたけど、公益法人でまたこのようなことが今後、これはちょっとまずいのではないかと思いますけど、確認させてください。
  64. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 公益法人についてですが、公益法人等が新たに法律に基づきまして、あるいは補助金等の交付金を受けて金融業務を行う場合につきましても、総務省管理局による規制の審査、あるいは予算編成における議論がなされます。その必要性につきましては厳しく審査されるものとなると、このように考えております。
  65. 山下栄一

    ○山下栄一君 どうもありがとうございました。
  66. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。  この行革推進法に関します審議も、衆議院で六十三時間、そして参議院におきましても昨日までに三十時間を超えたところであります。そういう意味におきましても、担当大臣でございます中馬大臣、そして谷垣大臣、与謝野大臣も今日はお見えいただいておりますが、連日の御精励、本当に心から感謝を申し上げる次第でございます。  私は二つ改革の中身についての御質問をさせていただこうと思っておるわけでありますが、質問の内容につきましては、これまでの質問と同じような中身になっているところもありますし、また細かい質問になろうかと思いますが、是非御容赦をいただきたいと、こういうふうに思っているところであります。  そこで、まず最初に政策金融改革について御質問を申し上げたいと存じます。  先ほども質問の中にもございましたが、今回の政策金融改革では、現在の八機関のうち五機関を新政策金融の一機関統合して、残り三機関のうちの商工中金と政策投資銀行につきましては完全民営化、そして公営企業金融公庫は廃止となっとるわけであります。ただ、一方で、この法案の四条の二号におきまして、貸付残高の九十兆円、GDPに占めております割合も一八%に達しておるわけでありますが、これを二十年度末には二分の一にする、こういう考え方になっております。これも、先般の質疑の中でもあったわけですが、ただ、前段申し上げました完全民営化されます商工中金、この貸付残高が九兆六千億円、そして政策投資銀行の貸付残高が十四兆円、さらに、廃止されます公営企業金融公庫の貸付残高、二十五兆円であります。この三つの金融機関の合計で四十八兆円に達するわけでありますが、二十年度末にGDPの二分の一にする、これは特段の努力をしなくても、民営化する、廃止することによって半減する、そういったような指摘もあるわけでありますけれども、このGDPの二分の一以下にするという目標設定の適否についてどう判断されているのか、御所見をお伺いいたしたいと思います。
  67. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 日本の国は、戦後焼け野原の中からこれを立ち直って、しかも欧米先進国と伍して国際的な活躍をしようとする中で、金融機関につきましても、これは政府がかなり大きく関与しまして、いろいろと制度をつくったり、また規制を掛けたり、またおんぶにだっこといったような護送船団方式も取ってきたわけでございますが、ともかくそうした時代が過ぎまして、これからは資金の流れを官から民へ改革しまして経済全体の活性化につなげていこうとしたのが今回の政策金融改革の目的でございます。  このことにつきましては、欧米先進国に比べて貸付け、政府の貸付規模、これが非常に大きくて、金融資本市場をゆがめているといったような議論があったわけでもございます。こうしたことを踏まえて、今回のGDP半減という一つ目標をつくって、これに、改革に進めているわけでございますが、今お話がありましたように、それぞれもう、商工中金は民営化する、あるいは政策投資銀行はこれまた民営化、そして公営金融公庫はこれはもう政府から外していくということが決まりました。  その合計は目標としたものの半分になっているじゃないかということでございますが、ここに至るまでの間の、これを決めたからこそこうした方針で今やってきて、ここに法案を提出いたしておりますが、そこまでに至る経緯の中で相当な努力をして、それがむしろ、簡単じゃないかという話じゃなくて、ここに対しましていろんな御不安も御心配もそれぞれの各官庁の抵抗もあったことも事実でございます。しかしここに、かなり総理の御決断もありまして、ここに一つの結果が出まして、そして国会にお諮りをしていることでございますから、これで決まったわけではありません。決して簡単なものでございませんし、これから、それぞれにつきましては制度設計をしていかなければなりません。ここにも、そうした計画の中に大きな私は意義があると、このように考えております。
  68. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 いろんなその二分の一にすることについての御意見もあろうと思いますが、今、中馬大臣の御答弁で、国民の皆さん方も、そういう民営化なりあるいは廃止する、その過程で大変な問題があるんだと、このことをやはりおっしゃっていただいたわけでありますが、やはりそのことを強調していただかないと何か数合わせに聞こえてしまう。そのことには是非御注意いただきたい、こういうふうに思います。  それから、中小零細業者なりあるいはまた農林漁業者には、これまで利用していた金融機関が新政策金融機関統合された場合、三つが、まあ三つなり四ないしが一緒になるわけでありますが、華々しい海外業務に目が移って国内部門への目配りがどうしてもおろそかになるんじゃないか。一つ金融機関に、性格の違うものが一つになるんで、大変そのところが、同じ機関の中に入ってしまうと国内に対する部門のところがどうもおろそかになるんではないかと、こういった御心配もあるわけであります。  当然、政策金融機関の本来の役割は私は政策誘導にあり、それぞれの政策金融機関分野ごとに言わば国家の政策目的に沿った役割があると、こういうふうに思っております。法案には、国民一般、そして中小企業者、農林漁業者の資金調達の支援、そして重要な資源の海外における確保、こういうことに限定されております。  そこで、今回の改革政策金融機関がどのように変わっていくのか、是非とも国民に分かりやすく御説明をいただければ有り難い、こういうふうに思います。
  69. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 今委員御質問いただきましたように、今回の新政策金融機関のこの姿は、国民一般、中小企業、農林水産業の資金調達を支援する機能及び資源確保等の国際金融機能につきまして新政策金融機関にしっかりと残すこととしております。  また、新政策金融機関の組織設計につきましてですが、第五条にその基本的在り方が定められているところでありまして、具体的な内容につきましては、推進法の規定を踏まえまして、簡素で効率的なものとなることを基本としつつ、借り手側の視点にも立ちまして詳細な制度設計及びその後の企画立案におきまして検討してまいることといたしております。
  70. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 中馬大臣、今、次の私の質問のことまで御答弁をいただいたわけでありますが。  私、新政策金融機関統合される各機関、それぞれの目的に沿って、先ほど政策誘導、そういう意味での目的に沿って利用者の特性に応じた融資がなされてきた、こういうふうに理解をいたしておるところであります。例えば、農林漁業金融公庫におきましては、山、林野部門におきます融資につきましては、これは林業の特殊性に応じまして一番最長で五十年という長期間の貸付けもあります。その他の政策金融機関におきましても、やはりこれは同じように融資を受ける側の実態に応じた仕組みがなっている、そういうふうに理解をいたしておるところであります。  そして、それぞれの融資制度におきましては、相談なりあるいは審査、回収の各機能につきまして、特に専門性がそれぞれの分野で必要とされているところであります。新政策金融機関におきましてのこの専門性を求められる機能を反映した私は組織の在り方が大変重要だ、こういうふうに思います。  今回の、ただいま御答弁いただきました第五条におきまして、組織については簡素で効率的なものにすることを基本としまして、部門ごとに専門的能力を有する職員の配置及び育成を可能として、国内金融の業務を行う部門にあっては当該業務の態様に応じた区分を明確にしてその内部組織を編成する、こういうことになっているわけでありますが、具体的に中馬大臣、どのような組織を想定されておるのか。  今御質問申し上げましたように、この五条におきましては、それぞれの区分を明確にしてその内部組織を編成する、こういうふうになっているわけでありますが、具体的なこのイメージをお教えいただければ非常に有り難いなと。もちろん、まだ詳細設計の段階だろうと、こういうふうに思いますけれども、大体私どもにイメージがわくような、そういう御答弁をいただければ大変有り難いがな、こういうふうに思っているところであります。
  71. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) おっしゃるとおり、これから制度設計、まだ私ども議論しているところでございますから、ここではっきりと申し上げるわけにもまいりませんが、ともかく、国内と国際的な部分、国外等の、これはもうはっきり分けることといたしております。そして借り手の側の視点にも立ちまして、利用者、政策目的等の差異や業務の専門性等、業務の実態を踏まえた内部組織とする等、その具体的な内容についてはこれからの検討課題としてしっかりとしてまいる所存でございます。  ただ、少し具体的なことで言いますと、統合したメリットというのは私は相当出てくるんじゃないかと思います。御承知のとおり、それぞれ今まで国民金融公庫だとか中小公庫あるいは農林公庫、分かれておりました。しかし、今回は統合されますから、支店の数も国金の方はかなり広うございます。そうしますと、今まではそこに行ったらたらい回しをされておった、あるいは県庁所在地にしかなかったといったものも、これが幅広くそこで相談に応じていただいたり、また金融業務をしていただけるわけでございますから、そうしたことも踏まえて、この新政策金融機関というのはこれまで以上に統合のメリットを発揮しつつ、また、これから新たな業態が加わってまいりました中小企業の方々もたらい回しされずに一つのお店でいろんな相談に乗ってもらえるといったようなメリットもわいてくる、そのようにイメージしていただくのがいいかと思っております。
  72. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今大臣からお答えいただきましたように、私もやっぱりこの統合のメリットというのもあろうと思いますが、逆にデメリットもやはり出てくるのではないのかなと。それは、やはり異質といいますか、中小企業者あるいは農林漁業者、要はそういった対象が違う、あるいはまた機能も違う、その三つが一つに、あるいは四つが一つになるわけでありますから、やはり時間的なものがなければ、期間的なものがなければ、なかなか一つになりにくい。そういう、合併あるいは統合のときにはそういうものが必ず出てまいります。ですから、そういう意味におきまして、ある程度の助走期間、それができるまでは何らかのやっぱりそういう組織の仕組みということについては十分詳細設計の段階できちっとしていただかないといけないのではないか。  それにもう一つ、後ほど申し上げますけれども、経営責任の問題とのやはり関連も私は出てくるのではないかと、こういうふうに思います。したがいまして、今大臣お答えいただきましたように、詳細設計の段階ではそういったことも十分踏まえてお願いを申し上げたいというふうに思うところであります。  新政策金融機関につきましては、これまでの審議でも大変多くの委員の皆さん方からも出ておりまして、おぼろげながら分かってきたと、こういうふうに思いますけれども、そもそもこの法案はもう御承知のとおりのプログラム法案でありまして、具体的な内容については今後の個別法の制定なりあるいは改廃に先送りしてあるわけであります。それゆえに、やはり利用者であります中小企業者や農林漁業者の不安も多いわけであります。  したがいまして、そこで、国民というよりも、中小企業の皆さんやあるいは農業者に対しまして、心配は要りません、今までどおりです、小泉総理のよくおっしゃっておりますワンフレーズじゃありませんが、そういう一言でやはり利用者の皆さん方が御安心なさるんじゃないか、こういうふうに思いますので、その辺の決意のほど、あるいはそういう強いメッセージを是非ともいただきたいなと、こういうふうに思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
  73. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 現在果たしておりますそれぞれの金融機関、現行のですね、これは、その機能はしっかりと新金融機関の方に受け継がれるわけでございますし、また今まで借りておったからそれを返せということにはなりません。そうした過去のことにつきましてはちゃんとそれが新金融機関によって継続されてまいります。そうしたことも踏まえまして、それから、何といいましょうか、精通した職員の育成、配置、これもしっかりとやっていくことにいたしております。  そういうことで、あえて言いますならば、御心配要りませんということを申し上げさせていただきます。
  74. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 中馬大臣から今御心配要りませんという強いメッセージを発していただきましたので、私どももそういう考え方で、地元に帰りましたならば大臣の御答弁を是非私どもも伝えてまいりたいというふうに思っているところであります。  次に、法案の第四条第三号についてお伺いをいたしたいと思います。  この条文は「現行政策金融機関の負債の総額が資産の総額を超える場合におけるその超過額又は新政策金融機関に生じた損失であって、これらの経営責任に帰すべきものを補てんするための補助金の交付その他の国の負担となる財政上の措置は、行わない」と、こういうふうになっておるわけでありますが、どうしても私はこの意味理解できない、あるいは読み切れない部分があるんですけれども、この内容について少し詳しく御説明をいただきたいと思います。
  75. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) これは、新政策金融機関それぞれが何か大きな負債を抱えているということでもないんでございますが、ともかく新しい民間に準拠した形の普通の会計基準といいましょうか、それでやりますと、債権に対する一つの引当金、こういった問題が生じてまいります。そうしますと、若干そういうことに対しましての御懸念があろうかと思いますが、この第四条第三号の趣旨は、政策金融機関の収支が悪化したことが経営責任に帰すべきことが明白である場合には、政策機関としての業務を実施する以上、当然予定していた財政支援の規模を超えて漫然と損失を補てんすることになることはないような財政負担を禁じるということであるわけでございます。  いずれにしましても、現行の各政策金融機関においては、主務大臣の監督の下、適切な経営が行われているものと考えておりまして、行われているものと、現在ですね、お尋ねのような仮定の質問には若干お答えするのはちょっと差し控えたいと思いますが、政策の的確な実施に必要な財政上の措置であれば、政策金融機関の経営責任に帰すべき赤字を補てんするものでない限り、行革推進法との関係で禁止されるものではないと、このように考えております。  以上です。
  76. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 なかなか今の御答弁で、分かりました、この意味がよく分かりましたと、こういうふうになかなか言えないんですけれども。  私なりの解釈といいますか、これを字面を読みながら理解するのは、新政策金融機関に生じた損失で経営責任に帰すべきものは、これは負担しませんと、これは、新しい政策金融機関になってからのそういった経営責任に帰すべきものについては負担しないよと。これは私は当たり前だと、こういうふうに思います。しかし、現行政策機関の債務超過がある場合もこれは負担しない、こういうことで理解してよろしいんでしょうか。
  77. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 過去のことはそうでございますが、これからの欠損が生じた場合にはもちろんそれは経営責任者の経営の責任になるわけでございますが、過去のことにつきましては、繰越欠損金への対応を含めまして、統合時の新政策金融機関財務基盤の取扱いについては、新政策金融機関の新たな経営陣が将来にわたって業務を円滑に実施していくために必要な財務基盤の在り方を勘案しまして、新経営陣の経営責任の在り方も検討しつつ適切に判断していく、少し難しいこと書いておりますけれども。  ともかくこれからは、新たな出発があることになるわけでございますから、これからの経営責任、過去のを引きずって、その新経営陣にそれを負担させようということにはしないということでございます。
  78. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今の御答弁で少し分かってまいりました、この意味が分かってまいりましたが。  加えまして、現行政策金融機関の持つこの資産と負債につきましては、これは十三条の第一号に「現行政策金融機関の資産及び負債を厳正かつ詳細に評価」すると、こういうふうになっております。私は、これはだれが評価するのか。まあ第三者機関とかいろいろ、あるいはまた場合によっては与謝野大臣の所管でございます金融庁、いろんなことも考えられると思うんですが。  何で私がそういうことを心配しているかといいますと、このそれぞれの統合されていく公庫の中には、やはり貸付金の中に毀損したものが出てくるのではないのかな、そういう毀損したものがあるのではないのか。じゃ、それをだれが評価するのか。ここが非常に公正かつ適正な判断が私は求められてくる、こういうふうに思うわけであります。したがいまして、この十三条に基づきます評価、資産の評価、査定というのはだれがやるのか、そのことについて御答弁をいただきたいと思います。
  79. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 現行の政策金融機関の資産及び負債の厳正かつ詳細な評価、いわゆるデューデリジェンスでございますが、これにつきましては、通例どおり、貸付債権等の資産について客観的な基準によりまして資産評価等の価値等を評価することになりますが、具体的な手続の進め方につきましては、今後の詳細な制度設計と、それを踏まえた制度の企画立案を行う中で検討していくことといたしております。  その際には、これまでの特殊会社や独立行政法人の例も参考にしまして、また外部専門家も活用しつつ、公正性、透明性を確保されるような適切に対応する措置が必要だと、このように考えております。
  80. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先生の御質問の趣旨は、金融庁は現行の政策金融機関の資産査定の検査を行っているのかと、こういう御趣旨だと思います。  金融庁は、法令に基づき、主務大臣から委任を受けて、いわゆる政策金融機関のリスク管理分野についての検査、これを実施をしております。各検査に当たりましては、それぞれの政策金融機関の特性も踏まえ、民間金融機関に適用している金融検査マニュアル等を用いまして、これらの機関の自己査定の正確性等といったリスク管理体制の適切性について検証をしているところでございます。この立入検査の結果は速やかに主務大臣に報告することとされております。  具体的に申し上げますと、平成十五年度から検査を開始し、既にすべての政策金融機関に対する一巡目の検査を終わり、現在二巡目の検査に入っているところでございます。  さらに、付け加えますと、検査の結果についてどのような対応を図っているのかと、こういうことを多分御疑問にお持ちだと思いますので。これは、金融庁は法律に基づき立入検査の結果について速やかに主務大臣に報告することとされており、当該報告に基づき、主務大臣政策金融機関に対し必要な監督上の対応を行うこととなります。したがいまして、検査と監督はここでは分離をされているというふうにお考えいただきたいと思います。
  81. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今両大臣の御答弁でよく分かりました。  それでは、現時点におけますところのこの統合、まず統合します三つの金融機関政府系の金融機関、国金、そして中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫、これの現時点の自己資本比率がどうなっているのか、教えていただきたいと思います。
  82. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 三機関の自己資本比率でございますが、それぞれが企業会計原則に準拠して各機関が仮定計算を、法定の別の計算の、あるわけですが、企業会計原則に準拠したものを各機関が仮定計算しておりますが、それによりますと、国民生活金融公庫はこれはマイナス、債務超過になるということでございますが、マイナス一・三二%、それから農林漁業金融公庫は一四・四七%、これはプラスです。それから中小企業金融公庫は〇・八二%というふうになっております。  まず数字だけを申し上げます。
  83. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 ありがとうございました。    〔委員長退席、理事保坂三蔵君着席〕  そうしますと、当初申し上げましたこの法案の四条の三号で、申し上げましたように、現在も超過債務になっているところは、これはどうなるんですかね。これにつきましてどう処理して新政策金融機関に引き継いでいくのか。これも詳細設計になっていくと思うんですが、通常、統合する場合は、やはりこれはきちっと同じような物差しで測って、そして同じような、株の持ち合い等々も出てくるわけでありますけれども、株式会社の場合は一般的にそうしておりますが、これだけ、先ほど谷垣大臣から御報告いただきましたように、一つ金融機関はマイナスの一・三二、一つは一四%、水面下以下のところも、もう水面ぎりぎりのところもある、そして一四%、こういう大変自己資本比率が、この格差が大きいわけであります。  これは、与謝野大臣の前でなんですけれども、国内基準はこれは四%、国際基準は八%、もうその四%すら下回っている現状のこの二つ金融公庫があるわけでありますが、この三つをどういう形でこの債務超過に陥っている、あるいは債務超過直前のところがあるわけでありますが、どういう形で補てんして合体をさせていくのか。これも今からだとおっしゃればそうなんですけれども、基本的なところが、何か整理していかないと、いやもうただ一つになるよと、そういうことでは、私はこれを引き受ける経営者はこれは大変だという気がしてならないわけであります。ですから、そのところにつきましての基本的な御見解賜れば有り難いと思います。
  84. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 国民生活金融公庫は確かに債務超過になっておりますが、先ほどそこまで申し上げませんでしたけれども、法定の会計ベースでいくと債務超過になっているわけではございません。ただ、国民生活金融公庫というのは、多く無担保で貸出しをしていると、こういうことから、金融検査マニュアルに沿って自己査定を行った場合に、貸倒引当金がもう多額となってくるということでございまして、今のような債務超過という形になっております。  したがいまして、これは今まで政策金融機関として小規模な事業者に対する無担保貸付けの供給、あるいはセーフティーネット貸付けといったような民間金融機関ではできないものをやってきて、それを民間準拠でやるとこうなるということでございますので、今後、要するに、どういう新しい新政策金融機関として、もちろんその財務基盤をどうするかということの詳細設計、それからどういうような形で査定なりしていくかというようなことも踏まえて、これきちっと議論を詰めていかなければならないことだと思っております。
  85. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 谷垣大臣のおっしゃることは十分理解できるんです。ただ、今は確かにこの国民金融公庫なり、あるいは中小企業金融公庫もそうでありますが、今のやっぱりこの政府系金融機関としての役割を果たしている。しかし、これが一つ金融機関になって、独法なりあるいは株式会社になったときには、今おっしゃいましたような法定の会計ベースではもうこれは許されない話なんですよね。それはもう御承知のとおりであります。  そういうことになりますと、じゃほかの企業会計基準に基づいてリスクアセットできちっとやらなきゃならないようになってくる。私は、そのことを、今果たしている役割はよく分かるんですけれども、引継ぎ前と引継ぎ後の私はいずれ経営責任の問題がこのまま放置しておくと出てくるのではないか。負の財産はきれいにここで清算して、そして新たな一つ金融機関としてスタートすべきだ、こういうふうに思うわけです。  ですから、私は、先ほど言いました四条の三号で、国は負担しないよというところをきちっとやっぱり、新たな金融機関になってからの経営責任に準拠するものについては、これは当たり前です、負担しないというのが。だけど、これまで果たしてきた、これらの政策金融機関がやってきた、そして無担保だ、無保証だ、そして金融検査マニュアルでやると、これはもう当然毀損した債権としてみなされていくわけですから、そこのところをきっちりやっぱり統合する時点で線引きしていただかないと、これはこの新金融機関を引き受ける人、本当にいるのかなと、こういう心配を実はいたしておりますので、是非ともその辺の制度設計、是非ともきちっとして、引き継いだ人たちが、あるいはまた利用者の皆さんが、もうこれじゃとてもじゃない、借りられないとか、あるいは利用しにくくなったとか、そういうことに是非ならないようにしていただきたい、こういうふうに思うわけでありますが、是非その辺の御見解を両大臣に御所見があればお聞きしたいというふうに思います。
  86. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 新たなこうして新政策金融機関、しかも国民が期待し、またそれまでの果たしてきた役割、これはしっかりと守るということを前提に今回これで発足するわけでございますから、過去のことの負債を引きずったり、あるいはまたこれからにつきましても、非常にハンディを負った形で、それが逆に国民経済全般に大きなマイナスを及ぼすようなことになったらこれは大変でございますから、しかも国際的な機能もここには、信頼としてのJBICの信用も国際的にも担保した形の金融機関として発足することになります。そういうことですから、この制度設計におきましては、今委員がおっしゃったとおりのことをしっかりと踏まえてやっていきたいと思っております。
  87. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、中馬大臣がおっしゃったことに尽きますが、要するに、この法案で規定されている新政策機関が新たに出発したけれども足下がしっかりしていないんで役割が果たせないというようなことじゃ、何をやったのかと、こういうことになりますから、当然それがきちっと任務が遂行できるような形を整えていく必要があると考えております。
  88. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 どうかその辺のところを、今、両大臣お答えいただきまして大変心強く感じたわけでありますが、御承知のように、例えばこういった自己資本比率を上げるには分母を多くしていくか分子を少なくするかの話であります。分母というのは自己資本、出資金をどんと入れ込んで、そして健全財政に持っていくのか、まあいろんな方法論はあると思いますが、そのところをこの制度設計のところできちっとやっていただきたいと、こういうふうに思うわけであります。  次に、完全民営化されます二つ政策金融機関のこの個別の案件についてお伺いをいたしたいと思います。  まず、商工中金でありますが、これはもう今までもずっと各委員の皆さんからもお話があったわけであります。先ほども松副大臣の方からも御答弁もいただきまして、商工中金が果たしてきた機能はこれはもう維持される、こういうふうに伺っておるわけであります。先般、この委員会での参考人の意見の中でも、やはり完全民営化後もこの商工中金の機能を今まで同様にしてほしい、あのバブル崩壊後に民間金融機関の非情なる貸し渋りなりあるいは貸しはがしが行われた、そのときに商工中金が助けてくれた、雨が降ったら傘を貸してくれたのが政府系金融機関であったりあるいはまた商工中金であったと、こういう話を聞かせていただいたわけであります。  もう一遍、これは大変恐縮でありますが、松副大臣に、この機能は完全に維持するんですよというのを力強くメッセージを発していただきたい。お願い申し上げます。
  89. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 先生の御指摘いただきましたように、商工中金は今まで運転資金あるいはつなぎ資金、短期資金の支援を行ってまいりました。その中小企業の育成のために、企業の将来性を見込んで思い切った融資を行うなど、重要な役割を果たしてきたというふうに思っております。  商工中金の民営化に関しましては、行政改革推進法案におきまして、中小企業等に対する金融機能の根幹が維持されることとなるよう必要な措置を講ずるものとするというふうにされているわけでございます。これを受けまして、商工中金が行ってきた中小企業や組合向け融資民営化後も確実に維持されますように制度的に措置すべく、詳細な制度設計に取り組んでまいる所存でございます。
  90. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 ありがとうございました。  私、商工中金が今答弁いただきましたように今後もその機能を維持する、こういうことになりますには、やはり大きな二つ課題を詰めておく必要があるのではないか、こういうふうに思うわけであります。  一つは、法案の第六条第三項にありますように、商工中金の円滑な運営に必要な財政基盤を確保するための措置を講ずると、こういうふうに規定をされてございます。財政基盤の強化とは何だろうか。確かに財政基盤、この中で政府の出資金が四千億ございます。先般の参考人の意見陳述でも、全国中小企業団体中央会の佐伯会長から具体的なこれは実は御提案もございました。それは何かといいますと、是非この出資金の四千億、準備金に入れてくれないか、そうしないと今の商工中金の財務基盤ではもたない、こういう強い要望があったわけでありますが、そのことをひとつその財務基盤の強化という視点でどう具体的にこの四千億を処理されるのか。準備金というその御提言もあったわけでありますが、そのことを一つお伺いをしたいと思います。  それから二つ目は、商工中金は、これはもう御承知のように、金融債のワリショーを発行しまして良質低廉な調達資金を確保してきておりますが、これが完全民営化されまして銀行法の適用を受けますと、この金融債の発行はこれはできなくなってくる、そうすると調達コストが上がる、そうなるとそのしわ寄せは当然中小企業者に行くわけであります。  こういった形で、民営化されましても金融債の発行がこれは可能になっていくのかどうか、そのところが大変この商工中金あるいはまた中小企業者の皆さん方が御心配されている。低廉な良質のこの調達コストが可能なのかどうか、そういったところ、この二つを非常に御心配をされている。  機能を維持するためには財務の基盤とこの調達の部門というのがどうなるのか。これも詳細設計に今ゆだねられる、こうおっしゃるのではないかと思いますけども、もう一つ、ここをやはり、今の皆さん方になかなか見えにくいよというのはプログラム法だからというふうに私どももなかなか説明しにくいんで、是非、今日は大臣、三名の大臣がお見えになっておられますんで、是非ともそこのところを少し、おぼろげながらでも結構でございますからおっしゃっていただけば有り難い、こういうふうに思います。お願いいたします。  松副大臣、よろしくお願いいたします。
  91. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 私から御答弁させていただきます。  商工中金の民営化に際しましては、民営化後の円滑な業務運営に必要な財政基盤を確保する、重要な課題であるというふうに御指摘をいただきました。正にそのとおりでございます。衆議院の行革の特別委員会におきましても、政府出資のかなりの部分の準備金等強固な財務基盤を確立するとの全会一致の附帯決議をいただいているところでございます。  民営化後も、中小企業のための頼りになる金融機関とするべく、配当負担を抑えつつ、十分な自己資本を維持する仕組みについて、しっかりとした制度設計に取り組んでまいりたいというふうに思っております。    〔理事保坂三蔵君退席、委員長着席〕  それからもう一つ、私どもは、商工中金は資金調達の八割弱を金融債で行っておりまして、当面は金融債中心の調達が適当というふうに考えております。平成二十七年ごろ、完全民営化後、このころの姿につきましては、何遍も申し上げるようでございますが、今後詳細な制度設計が行われるところでございますけれども、商工中金が資金調達面での不安がなく中小企業向け金融に専念できますように、しっかりとした仕組みを構築してまいりたいと考えているところでございます。
  92. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今、衆議院での附帯決議でその大部分を準備金にというお話がありました。是非とも、これは佐伯会長も強い御要望でもございました。ですから、できれば準備金にこれは積みますと、附帯決議じゃなくてこの委員会で明確な御答弁をいただければ非常に有り難かったんだけどなと、こう思ったわけでありますが、まあしかし、今詳細設計の段階でありますので、是非ともそのことを、これは衆議院だけじゃなくて参議院の中でもそういった話が出た、意見が出たということだけはひとつ是非とも御記憶をいただきたいと、こういうふうに思います。  ただ、先ほどの準備金の話でありますが、先般のこの委員会におきまして出資金を準備金にする技術的なところで問題を提起されて、民主党の方からもあります。ですから、そういった技術的な手法についてはこの制度設計の中で御検討を十分していただきたい、こういうふうに思うところであります。  次に、日本政策投資銀行についてお伺いをいたしたいと思います。  これまで政投銀は、インフラ整備なり、あるいは地域再生、そしてまたベンチャー企業等々、大変いろんな分野で出資と融資を組み合わせたリスクマネーを供給してきております。移行期を含めて今後も引き続きこの中長期の投資機能を発揮することが望ましいと考えられておりますが、そのためにこの法案の中では、第六条三項において、政投銀の有する長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されるために必要な措置を講ずる、こういうふうに規定されておるわけであります。  そこで、移行期を含めた民営化後の政投銀が中長期の投融資機能を維持するためにどのような措置を講ずるのか、ひとつ谷垣大臣にお伺いしたいと思います。
  93. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 完全民営化後の政策投資銀行は、民間金融機関としてちゃんと自立していってもらわないといけないわけですね。それで、今お話しになりましたように、今まで政策投資銀行、今までは政策金融機関としていろんな役割を果たしてきましたが、その特色といいますか強みと言われたものは、出資と融資を組み合わせた長期のリスクマネーを提供していくと、そういうところに強みがあったわけですから、当然、完全民営化後もそういったことを中心としたビジネスモデルをきちっと描かなければいけないと、そういう強みはやっぱり維持して発揮していかなきゃいけないということになるんだろうと思うんですね。  そういたしますと、移行期におきましても、引き続きインフラ等への長期融資であるとか、あるいは地域再生とか事業再生の新金融技術を活用した投融資ができるとかといった完全民営化後のビジネスモデルを築けるように、資金運用の在り方、あるいはその運用に即した資金調達の在り方、これを整理していく必要があるんだろうと思うんです。  それで、もう少し具体的に申しますと、詳細制度設計はこれから議論していくわけでございますが、投融資とか資金調達の根拠、まず法的にきちっとそういうものが手当てできるのかできないのかと、きちっと手当てができなければいかぬということだろうと思いますし、それから、長期の投融資をきちっと適切に行っていくためにはやはり所要の自己資本というものがなきゃできないだろうと思いますし、それから、安定的な資金調達体制に、完全民営化に向かって移行していくためには、政府保証等々もどうしていくかということを考えなければならないのではないかと。そういう辺りを詳細設計の中できちっと手当てをして、必要なビジネスモデルに向けて制度を整備していかなければいけないと考えております。
  94. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今もう谷垣大臣お答えいただきましたけれども、やはり私は、商工中金と同じように政投銀の場合も、一つ財務のところといいますか調達資金、ここが、今の財政投融資の借入れから三千七百億、そして政府保証が七千五百億、こういう調達があるわけであります。ですから、そういう意味におきましても、この政投銀の資金調達につきましては、やはりこの移行期間中、そのことはきちっとやっていかないと、ある程度やっていかないと、これはもうこの機能がまず根幹に触れます。機能がもう発揮できない、そういうふうに思います。  それから、もう一点御質問申し上げたいのは、先ほどちょっと谷垣大臣もお触れになりましたけれども、中長期の投融資機能をすると、こういうことになりますと、完全民営化後に、今銀行法の適用を受けて、銀行法上の一般銀行になりますと、今銀行法の十六条の三に規定されております五%ルール、これを、五%キャッピングされてしまいますと、この投資が非常に、今果たしている機能が私はできなくなってくるのではないのかなと。いろいろ調べていきますと、政投銀が出しております投資につきましては、五%どころか、五〇%も六〇%もベンチャー企業等はなっているわけであります。  そうしますと、今持っておりますその機能を維持するよ、根幹は維持するよと、こういうことでありますけれども、この五%ルールが適用されますと、先ほど来くどくど申し上げておりますが、私は機能を発揮できなくなってくるだろうと、こういうふうに思います。ですから、完全民営化後の政策投資銀行の業態についてどういうふうになっていくのか、少し教えていただければ有り難いと思います。
  95. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これから設計されます詳細設計に合わせた業態、それから組織の在り方というものをこれから選択していかなければなりませんので、今のところまだはっきりお答えできる段階ではないんですが、結局、先ほどから言っておりますような出資と融資を組み合わせた長期のリスクマネーの提供ということになりますと、今委員が指摘された辺りはやはりどう解決していくかということも考えなければならなくなってくるんだと思います。  それで、完全民営化後もそういう出資を行えるように業態あるいは組織の在り方を選択する必要があるわけですが、その際の選択肢は、銀行単体というだけではなく、グループ化等々も含めて幅広く検討していく必要があるのではないかというふうに考えておりまして、まだ現段階ではお答えできるのはその程度でございますが、よくしっかり検討していきたいと思っております。
  96. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 いずれにしましても、今政投銀が有しておりますこの機能、特にやっぱり、ベンチャー企業であったり再生企業であったり、一般の金融機関がなかなか見向きもしないと言えば語弊がありますが、リスキーなやはり投資あるいは融資になっていきます。ですから、これが政策誘導できちっと今までやってきた、このことだけは、今後ともこの機能は是非とも維持していただきたい、そういうふうに思っているわけであります。これはもう私どもの地元でもやはりそういった非常に声がございますので、どうか制度設計の段階で今申し上げましたこともひとつ記憶に残していただきたいなと、こういうふうに思うわけであります。  それともう一点は、これは商工中金も、そしてまた政投銀にも言えることなんです。これも前、ちょっと出たことでありますが、要は、民間会社になりますと、株主の存在というのがこれは大変重要課題になってくるのではないのかなと、こういうふうに思っております。現在の商工中金なりあるいは政策銀行機能や役割を十分理解している、まあ良質なと言えば失礼に当たりますが、そういう株主さんが構成されるのであればいいんですが、なかなかそこのところが不透明なところもございます。  ですから、是非ともこのことについて、民営化後の株主についてどうお考えになっているのか。変なところから買い占められて、その一企業の思惑どおりの運営で経営がなされていきますと、先ほど申し上げました商工中金の機能なりあるいは政投銀の機能というのが私は失われていく、そういうふうに思うわけでありますが、そのことを最後に、これは通告してなかったかもしれませんが、どういうお考えかをひとつお伺いしたいと思いますけれども。
  97. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) この点はまだ十分詰まっておりませんので、御指摘の点なども踏まえて、これから詳細設計の中で議論をしていきたいと思っております。
  98. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 いずれにしても、やっぱり皆さんが心配しているのは、機能を果たしていく、それを担保する、先ほど法的なその整備もしていかなきゃならないと、こういうふうにおっしゃいました。ですから、その中にはやはりこの株主という視点がどこかに入ってないと、せっかく、例えば先ほどのこの移行期間等々において政府がそこまで、いろいろ私はこの新聞を、日経新聞でたたかれているのも見てまいりました。いろんなそういう御批判もある中で、そういう一部の株主にすべて買い占められる、そういう話になると、せっかくの機能を付与する、堅持するといったものが無になってしまう、そういう思いがありますので、是非ともその辺も御留意方お願いを申し上げたいと思います。  そこで、時間もなくなりましたので、次に、総人件費改革についてお尋ねを申し上げたいと思います。  この行革推進法の四十三条で、これももうずっと議論されてきた話でありますけれども、私は一つだけ分からないのが、国家公務員は五%、そして地方公務員はこれは四・六%、こういう数字が実は出ているわけであります。ですから、四・六%の地方公務員のこの目標数値というのは何か根拠がありそうだなと、こういうふうに思うんですが、国家公務員のこの五%というのがどういう根拠があるのかないのか。まあ日本人ですから、三、五、七、非常に奇数が好きでありますから、三じゃ少な過ぎる、七じゃ多過ぎる、真ん中の五だと、えいやと、こういう感じなのか。まあ失礼な言い方を申し上げましたけれども、ちょっとこの地方公務員の四・六というのは非常に根拠がありそうだなと、こういうふうに思うわけでありますけれども、この国家公務員の五%等々、両方の数値目標をどういう根拠で掲げられたか、お伺いをしたいと思います。
  99. 上田紘士

    政府参考人(上田紘士君) お答え申し上げます。  先に地方公務員の方をちょっと申し上げますけれども、地方公務員の純減目標につきましては、実はこの閣議決定をする前から総務省が地方団体に、過去の実績を基に引き続き今後もこれだけ縮減してほしいという要請を既に行っておりました。そういうことが閣議決定前からありましたものですから、この四・六という目安を余り変えることは好ましくないということもあり、四・六という数字を使って、したがって端数の付いた数字がスタートからあるというわけでございます。  それから、国家公務員の方につきましては、先生御指摘のように、何・何という積み上げがあるというわけではもちろんないので、従来の純減の実績に照らして非常に高いというか、ある見方からすると何の五%ごときがとおっしゃる方もおられますけれども、我々の、政府の行政管理の中でこれまで毎年の純減というのは平均すると〇・幾つとか、そういうレベルでございますので、これを五年後ということになりますと、平均一年に一でございますから、高いところに置くんだと、こういう強い決意を示すという観点から五%という数字を設定させてもらったというふうに理解をしております。
  100. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 もう佐藤理事が隣にお座りになりましたので。時間が余りなくなりました。いろいろ通告をいたしておりましたけれども、時間の関係であと二つだけに絞らしていただきたいと思います。  今、国家公務員の五%の純減目標、一万七千人、こういう数字が出ておるわけでありますが、しかしながら、この中身を見ていきますと、退職した後の補充をしないとかあるいは新規採用を抑制する、こういった考え方にもなっておりまして、定員管理によるものが大体おおよそ五千人、そしてまた残りの一万二千人、三・五%は事業見直しなり削減等によって実現する、こういうことになっているわけでありますけれども、この五%純減につきましては、削減の具体的内容を盛り込んだ政府方針を決定される予定だと、こういうふうに承知しておりますが、これを受けまして役所の方も最初はいろいろ、抵抗といえば語弊ですが、そういうものがあったと聞いておりますけれども、農水省が六千九百名の純減を打ち出した、大変前向きな受け止め方をしていただいておると、こういうふうに思うわけでありまして、これは評価できる。  そこで、この一万七千のうちの純減していく三・五%、一万二千人、これの各省庁が掲げている純減数を合わせると、今の純減の協議がどうなっているのか、どうなっているのかが一点。それから、それを合わせるとどの程度の人員になっていくのか。その辺について今の段階で分かっていればお答えいただきたいと思います。中馬大臣
  101. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 五%の中身を少し分けて、従来の一つの人員削減、そしてまた増員もしておりますが、そうした中での取組として一・五%、そして一つの構造的なものに踏み込んでやっていただきたいのが三・五%。それで、細かくは申し上げませんが、農林水産省や国交省や、それぞれにつきまして具体的に有識者会議の方々が省庁との交渉も一生懸命やっていただきまして、今数字が出始めているところで、その中で農林水産省がかなり大きく、抵抗というお言葉ですが、そうしたことがありましたが、踏み込んでいただきました。  そういうことで、今のお話でございますが、現在は、提示された純減数につきまして更なる精査を要請するとともに、必要に応じて一部事項について純減数の上積み、これを早急に検討するよう各関係省庁に求めているところでございます。  関係省庁からは最大限の協力を得て、遅くとも六月ごろまでに国の行政機関の定員を今後五年間で五%以上純減させるための具体的な方策を政府の方針としてこれも決定していく所存でございます。  いずれにしましても、そういうことで今交渉中でございまして、もう大分差し迫ってまいりました。六月の骨太方針の中にもちゃんと入れていこうといたしておりますから、これには十分に、かなり難しいところもありますけれども、各省庁に協力していただきまして、何としてでもここで閣議決定したことは実現してまいりたいと、このように考えております。
  102. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 最後に、その地方公務員の四・六%の純減を、これは決め付けているわけじゃなくて要請と、こういうことになっておるわけでありますが、これの地方公務員の純減目標が達成できるのかできないのか、これがどういう今状況になっているのか、最後に御質問申し上げたいと思います。  ただ、ここでお願い申し上げたいのは、地方公務員のこの純減四・六%は一律的に各自治体に押し付けないでいただきたい、こういう思いであります。といいますのは、私の地元、また尾辻委員長の地元であります鹿児島、これは離島を大変抱えております。合併したくても海が阻害要因となって合併もできない、そして人員も可能な限りもう削ってきている、そういう自治体も実はあるわけです。四・六%を削るとこれはもう自治体としての機能を失ってしまう、公共サービスも本当に劣化してしまう、こういう地域もあるわけでありますので、これは私どもだけじゃなくて、先般、鳥取の公聴会で片山知事も、是非この四・六%という数値目標は押し付けないでくれと、これはいろんな自治体があるんだから一律的な取扱いはやめてくれ、こういうこともありましたので、最後に、その四・六%の目標がどうなっているのか、それと、その四・六%をこれは一律的にやるのかどうか、そのことの二つの御質問をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  103. 山崎力

    ○副大臣(山崎力君) まず、委員お尋ねの最初の点でございますけれども、この四・六%というのは、先ほどの答弁にもございましたけれども、今までの実績を踏まえて今後ともこの数字を目標にやっていただきたいという形で出されたものでございます。そして、今の時点での定員管理の目標、数値目標を各団体からそれぞれ公表してくれと。といいますのは、これはやはり各地方自治体、地方公共団体における自主的な取組の要請という形に取っておりますので、それぞれの自治体で判断して数値目標に、どうなっているかということをやっていただきたいということでございまして、現時点、今判明しているところ、公表しているところの数字を合わせたところによりますと、平成十七年四月一日から二十二年四月一日までの五年間の地方公共団体全体の純減率は六・二%と、こういう数字が出ておりまして、非常に真摯といいますか、真剣に取り組んでいただいているというふうに理解しているところでございます。まだ未公表の団体もあるということも申し添えなければなりませんが、そういう状況にございます。  そして、後者のところの、一律に言われても、やりたくてもやれないような自治体があるのではないかという、事情がそれぞれ違うのではないかというお尋ねでございますが、これは先ほども申し上げたように、それを自治体が、それぞれの自主的な取組というのが前提でございますので、しかもそれをやるためには住民の理解を得ながらやっていただかなければならないと、これは不可欠の要素でございますので、まず我々としては数値目標を掲げることが重要であって、そこに対してもし仮にそれに届かないというようなことがあったとしても、その数値目標に対する説明をしっかりできるようにすればよいという考え方でございますので、画一的な取組を要請したものではないというふうに理解しております。
  104. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 分かりました。ありがとうございました。  終わります。
  105. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 本法案の、関連五法案の質疑も、本院における質疑、そして衆議院における質疑が、受けて、進んでまいりました。私は、これまでの質疑で触れられてない部分、将来の制度設計にわたってどうしても確認しておきたい部分ということで用意したわけでございますが、今日も野村先生また浜田先生そのほか、やはり国会議員の関心の持つ部分というのは大体一定で、あるエリアに集中しておりまして、大分氷解してきたということで、少し時間に余裕があるということで私感じましたので、個別のその分野に入る前に、この参議院の質疑あるいは地方公聴会でも意見が出ましたこの関連五法案の質疑、あるいはこの法案の構成といいますか、改革の進め方というものについて私の意見を述べさせていただきたいと思います。  衆議院もそして参議院においても、野党の国会議員の方々から、この法案はプログラム法案であると、あるいは今度の行政改革の根幹の部分といいますか、一番大事なこの公務員制度改革について具体案がないんじゃないかというような等々の意見が出され、私はこれは一面当たっていると思うんですね。ただ、私自身、党の行革本部あるいは党の政調の各部会において、合同部会等でこの行政改革という分野に携わってまいった。そしてこれは、今回出されました閣法、五法案、閣法でございますけれども、公務員自身が自分たちの身を切っていく、こういう法案でございますから、党における関与というのはこれまでの法案よりもずっと強かったんですね。むしろ党が政治主導でこういった法案の提出を主導してきたという点から申しますと、この行政改革というような、我が国の経済社会システムのほとんどの分野を網羅する膨大なこの法案、あるいは改革をやるにはこれしかなかったんじゃないかなという感じがいたします。  通常ですと、まず公務員の制度改革という基本的なところを積み上げていって、そのためには国と地方の役割をしっかり洗い出して、そして公務員の制度、地方公務員の制度というのをつくっていって各法案の洗い出しをしていく。全部の分野についての精査が行き届いたところで一気にこの法案、改革していくというやり方があると思うんですけれども、今回は、取ったのは、この基本法で、この簡素で効率的な政府というこの第一法案で、総則と総人件費の枠という大きなフレームを作って、それに小泉改革というエンジンを乗せたんですね。そのほかの部品というのは、詰まっているところ、これは特別会計、それから政策金融機関、そういったものは今回これに出していくけれども、根幹といいますかね、かなり大事なこの公務員制度改革については今回間に合わない、後にゆだねていく、こういったやり方で、部品ができ次第作り上げていくというやり方で今度の行政改革という大改革をやろうとしている。私は、この小泉内閣、小泉総理の手法というのはこれは極めて有効だと、改めて小泉総理というのはこれは敵に回すと怖いなと思ったわけでありますが。  もう一つ、やはり公務員制度改革、これが今回、六十三条の中で、改めて、できるだけ早期に具体策をまとめて、人事管理、退職管理の適正化、こういったものを今回この法案に合わせずに送ったわけでございます。私はこれは非常に良かったんではないか、ある意味ではですね。  官製談合でありますとか天下りの問題でありますとか、今公務員バッシングのあらしが吹き荒れておりますけれどもね、この状況の中で、この国家百年の大計、この日本の国の形を形作る大事な公務員制度、これはやっぱり二十一世紀においても、政官業というのは連携して日本の国をつくっていかないと日本はいい国にならない、国民は幸せにならないという面から見ますと、一時のこの感情的やペナルティー的な状況を引きずったまま拙速にこの大公務員制度の改革というのは、今回譲ったということはこれは非常に良かったと、こういうふうに思うわけであります。これは私の意見でございますので、中馬大臣もうなずいておられますんでね、これは同じ意見を共有していただけるんじゃないかと、こんなふうに思います。  さて、具体的に確認していきたい個別の分野についての御質問でございます。  まず、松副大臣の方に伺いたいんですけれども、商工中金の問題、これは、今日も野村先生も触れていただいて、皆さん心配しておられる。平時における対応というのは大体尽くされたんではないか、こんなふうに思いますけれども、一部触れられたかもしれませんけれども、危機管理の対応ですね。金融の情勢が急激に悪くなって、あるいは中越大地震のような危機的な状況の中で、このときに完全民営化された商工中金というこの機能というのはしっかり持っていくべきではないだろうか。全国の中小企業の方々も、平時はまあ分かったと。しかし、ついこの間の貸し渋り、貸しはがし、野村先生からも話出ましたけれども、こういった状況やこういった災害のときに、融資だけではなくて、手形の割引も含めた、中小企業の皆さんに本当に土砂降りのときに傘を貸したのは商工中金なんですね。  ですから、ここの点について、この法案の中では、この四条の四項ですか、の中に書いてあります。内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害、テロリズム若しくは感染症等による被害に対処するために必要な金融について、新政策金融機関及び第六条第一項に規定する機関、完全民営化後の商工組合中央金庫及び日本政策投資銀行、その他の金融機関により迅速かつ円滑に行われることを可能にする体制を整備するということでございます。  この点について、この危機における管理について、この民営化された商工中金が普通の民間金融機関と同列に扱われるんじゃなくて、制度的にも明確な位置付けを与えるべきだと、こんなふうに思いますけれども、松副大臣の方から政府の決意を伺いたいと思います。
  106. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 先生御指摘のとおり、私も、商工中金のおかげで危機を脱することができたという、そういう話をよく耳にするところでございます。  先ほども申し上げたんですけれども、中小企業にとっては、入口も出口もすべて融資に懸かっているというふうに言っても過言でないというふうに言われております。いざというときの資金繰りというのは正に生死にかかわる問題でございまして、政策金融改革後の危機対応体制を設計するときには、対応に一分のすきもあってはならないというふうに強く肝に銘じているところでございます。  商工中金につきましては、完全民営化をされるわけでございますけれども、引き続き中小企業のための金融機関となりますようにしっかりと措置を講じてまいりたいと考えております。そして、先生御指摘の危機対応、これ本当に大事な点でございます。常々、二階大臣も同様の考えであるというふうにおっしゃっておられますけれども、先生の御指摘のとおり、商工中金の機能が完全民営化後も積極的に活用されていくようにしっかりとしたものにしてまいりたい、こういうふうに考えております。  政策金融改革にしっかりと取り組みつつ、中小企業の方々が不安に陥ることなく、むしろ改革をやってもらって良かったというふうに考えていただけるように、思っていただけるように、全力で取り組んでまいる所存でございます。
  107. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 松副大臣の決意を聞かせていただきました。どうか詳細な制度設計、これから行われるわけでございますが、しっかりした今の決意が実現されますようにしっかりやっていただきたい、このように思います。  次に、公益法人に関する法案関連で伺いたいと思うんですけれども、中馬大臣に公益法人というものに対する基本認識といいますか、これは例の天下り問題、随契契約で、今公益法人というのは、これはまあダークサイドみたいな整理でバッシングに遭っておるわけでございますけれども、私、公益法人のこの改革について党の中でずっと議論してきて、これは長いですよ、これは。平成七年ぐらいから議論してきて、ずっとやってまいりました。  今度いよいよ抜本的改革をしていくということでございますが、この改革法案が実現されて、改革された公益法人というもののところからバックキャスティングで見てみた場合、私はこの公益法人の役割というのは、我が国の経済社会のシステムの中で大事な部分を占めるんじゃないかと。政府というのは機動的な対応も無理がある。じゃ民間営利企業というのはどうかといいますと、これはやはり効率的、市場に基づいて行動しなきゃいけない。この公の部分ですよね、この間の。  これは私は、ますます今後二十一世紀の日本にとってはやっぱり頑張ってもらわなきゃいけない、こういう認識でおりますけれども、この改革の中で、簡素な政府やグローバル化の中で公益法人の役割というのをどう基本的に認識しておられるか、ひとつ大臣のお考えを伺います。
  108. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 冒頭に佐藤委員が、今回のこの行革全般についての一つの意義と基本理念、これを本当に正確におっしゃっていただきました。  ただ財政が苦しくなったから人を減らそうとかそういうことじゃないんです、これ。明治以来ずっと日本は、民主主義的な形は取りましても最後はやはり官が大きな責任を担った形で、そして関与して規制を加えてその方向に持っていったわけですね。それはそれなりに私は効果が大きかったと思いますが、もうそれをそろそろ民間に移さなかったら、本当の意味での活力が出てこない、真の民主主義にならない、真の自由主義にならないということの前提から、各般に、今まで政府が関与しておったことをどんどんと民間に移しているわけでございまして、これが例えば市場化テストで役所仕事も渡していく、あるいは窓口業務でも民間でやらしたらいいじゃないか。  この公益法人も正にそうでございまして、これまでは各省庁が、主務官庁が、主管官庁がちゃんと認可をしまして、そしてそれには大変な手続が要りました。私も幾つかの文化的な社団法人等のお手伝いをしましたけれども、四年、五年掛かるんですよね。そして、ある程度基金を積まなきゃ駄目だとか。ところが、今度は役所がつくるのはすぐできまして、そして天下りの対象になっていることも、これ国民の批判を浴びていることもこれまた事実でございます。  そうした改革、そうしたことをずっとやってまいりますと、かなり結果的にお役所の関与が減らされていく。そうしますと、公務員の数は少なくていい、しかも、これからは人口減少社会に入っていった、当然それは減らさなければいけない、そういう結果としての公務員制度改革でもあるわけでございますから、あるいは総人件費改革でもあるわけです。  それから、かといって今これを、天下り批判等で公務員制度改革を一挙にということもなかなか難しい。これが六十三条二項にも具体的に労働基本権のことまでも触れております。しかし、それを今後、これは慎重に、しかも早期にと書いていますから、早くやらなければいけませんが、拙速はいけないと私も思っております。  そういう中で、公益法人でございますけれども、今まではいろんな形の公益法人が本当、二万数千あるわけでございますけれども、これをもうただ社会的な活動をすることにおいて自由にやってもらって結構だということから、一般の社団、財団は自由にもう登記だけしたらやってもらえる。しかし、公益性があるかないかのことはちゃんと、これは役所じゃなくて第三者機関、有識者の方々、この方々にお願いをして公益認定をしてもらう。そして、今まで役所がやっておった、あるいは公共サービス的な部門も、NPO等も含めて民間で今どんどんと活躍を始めています。  海外的な活動もしているところもあるわけでございますから、そういったところをしっかりと認定して、そこに大きな役割を果たしてもらう。その方が役所がやるよりももっとサービスが良かったり、あるいはまた、本当に機能が果たせることもたくさんあると思います。そういう形で、大きく今までの政策といいましょうか、運営の仕方、国家運営の仕方を大きく転換していく、その手段には、私は大きな役割をこれから担ってもらえるんじゃないかと、このように思っております。
  109. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 ありがとうございました。  この公益法人に関して、随契という問題も非常に今当委員会でも焦点が当たっておりますけれども、私もこの間この委員会に提出されました公益法人の随意契約の緊急点検の件数等の状況というのをこれ拝見いたして、やはりびっくりしたわけですね。公益法人という部分が少し抜け落ちていた、随意契約の中から。  それから、私自身こういった公務員をしていた関係からいいますと、この随意契約に関しては極めてシビアですね。もうこの理屈を作るのに、特に請負契約ですともう検査院も厳しいし財務省も厳しい。だから、こういったスルーでこれだけの件数が行われるということについてはある意味びっくりしたわけでございます。これ全部ではありませんよ。数省庁については特に顕著でございますが。  これから公益法人改革をしていく、そして改革した後の公益法人について、しかしこの随契というものは必要があればこれはやはりやっていかなきゃいけない。その際に、どういう基準で随契をしていくかということについて、公平性、透明性というのは大事になってくる。今、財務省さんも緊急点検、いやそれ以前からこの問題について取り組んでおられるわけでございますけれども、例えばこの会計法第二十九条の三の第四項について、これでほとんど公益法人の随契がこれによっているわけですけれども、この具体的基準については政令で定めるということになっているんですが、これ政令もない。  こういう中で、工事なんかですと入札監視委員会みたいな第三者がその随契の適格性について事前にチェックするというような方法もあるんですけれども、そこまでいかないにしても、事後チェックでありますとかいろんな方法で国民に対してこの公平性、透明性というのをしっかり主張していく必要が改革された後公益法人にとって必要になってくると思うんですが、そこら辺の取組状況や基本的な考えについて、財務大臣、どのようにお考えでしょうか。
  110. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今委員が言われましたように、随意契約、いろいろ問題があるわけですが、他方、本当に必要な場合もあるわけで、それはきちっとやらなきゃいかぬ。そのためには、委員がおっしゃったような透明性と申しますか、国民に、それを見て、まあこれなら仕方がない、当然のことだと思っていただけるようにしなきゃいかぬということだろうと思います。  それで、現在政府として随意契約を適正化するために、公益法人などとの間の随意契約について今おっしゃったように緊急点検、見直しを行っているわけですが、例外である随意契約はできるだけ一般競争入札に移行する、それから随意契約に係る情報の公表を充実させる、そういった透明性を高める措置を講じながら引き続き今回の見直しをしっかり行っていくということだろうと思っております。  それで、随意契約の透明性を高めるための措置としては、平成十七年度から随意契約に係る情報、契約の相手方、それから契約金額、それに随意契約によることとした理由等々につきまして、公表対象基準を大幅に引き下げました。これは、従前は千六百万円以上、物品で言えば千六百万円以上であったわけですが、その十分の一の百六十万円以上に拡大する等々の措置を講じまして、それを各府省のホームページで公表するようにすると。それから、平成十八年度以降に締結いたします公益法人等との間の随意契約につきましては、随意契約によることとした理由をホームページで詳細に公表すると。それから、本省の随意契約の公表を行うホームページからすべての地方支分部局等の随意契約の公表を行うホームページへ直接リンクできるようにすると、そういう随意契約公表ゲートウエーというようなものを設けると、こういう措置を拡充いたしたところでございまして、随意契約に関する情報の公表については様々取組を行っているところですが、今後とも更に工夫を積み重ねながら前へ進めたいと考えております。
  111. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 しっかりお願いします。  次に山口副大臣の方に伺いますけれども、この公益法人の認定、公益認定委員会の活動、これは非常に大事ですね。今までの体制整備等、いろいろ伺いました。  それで、この法律の第二条の別表のところにこの公益認定委員会の二十二に及ぶ事業が列挙されておるわけですね。これ、我々党の政調でも議論したんですけれども、少し時間不足で間に合わなかったことがあるんですけれども、この二十二に及ぶ事業をずっと見て、農林水産業というのがないんですね。農の字がないんです。農なし基準になるんじゃないかということで心配しているわけですね。  我々、WTOの農業交渉でも、農業というのは多面的機能がある、公益的機能があるということで政府一丸となって頑張っているわけなんですけれども、これは非常に不安を与えますね。国あるいは各県もこの部分での公益性を持つ法人をいただいて、これからしっかりした改革をしながら先ほどの公益法人の役目を果たそうとして頑張っている方々についてはこれは不安があるわけですけれども、農林水産業あるいは農林水産物というのはこの別表の中でどうやって、どこら辺で読めるのか伺いたいです。
  112. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) お答えをいたします。  佐藤委員お話をずっと私も聞いておりまして、大変共感するところがございます。  御質問の、農林水産業に関係して行われる具体的な事業には様々なものが考えられるわけでありますけれども、例えば、食品等の国民生活に不可欠な物資の安定供給の確保に関係するものであれば、この別表の第二十一号に掲げる「国民生活に不可欠な物資、エネルギー等の安定供給の確保を目的とする事業」や、また二十号に掲げます「公正かつ自由な経済活動の機会の確保及び促進並びにその活性化による国民生活の安定向上を目的とする事業」に該当すると考えております。また、農林水産業に関係する経済活動に関する開発途上地域への協力であれば、同じくこの別表の十五号の「国際相互理解の促進及び開発途上にある海外の地域に対する経済協力を目的とする事業」等に該当すると考えております。  いずれにいたしましても、御質問の農林水産業の事業にかかわるどのような種類の公益目的事業に該当するかについては、個々のそれぞれの事業の具体的な内容を踏まえ、国及び都道府県の合議制の機関による判断によることになります。  なお、御指摘のように、公益目的事業の種類や公益認定の基準等の内容が関係者の皆様方に明確に理解できるようにすることは極めて重要であると考えております。今後、公益認定等に関する制度や運用の在り方の細部等を具体化していく際に、いただいた御意見も踏まえ、真剣に検討していきたいと思います。私も農家の二十四代目でございます。
  113. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 山口副大臣からしっかりした、伺いました。これで私や、あるいは公益法人、それから国の公務員、あるいは関係者は分かったと思うんですけれども、問題は都道府県なんですね。  これ、二万六千のうち一万九千、これは都道府県が管理している公益法人、ここもやはり同じように公益認定委員会をつくってやっていくと思う。今の御説明聞いていて、本当にすっきり農林水産と入れていたらよかったのになと思うんですけれども、この基準等をしっかり作っていただけるということでございまして、これの情報提供をひとつ都道府県に対してしっかりやっていただくということについてよろしくお願いします。
  114. 山口泰明

    ○副大臣(山口泰明君) 今回の改革趣旨は、公益性を現在の主務官庁の裁量による縦割りでなく統一的に判断する透明性の高い仕組みをつくると。新たな制度においてはこの趣旨を徹底し、専門的知見を有する合議制の機関に基づき公益認定を行うことというのはもう十分委員御承知のとおりでございます。  このため、本法案では、公益目的事業の種類や公益認定の基準等を法令で明確に定めるとともに、国の合議制の機関である公益認定等委員会の答申や勧告の内容を公表することにより、全国を通じて一律の基準等にのっとって適切な公益認定が行われるよう、制度を設計しているところでございます。  御指摘のように、委員会等による公益認定については公平かつ透明なものであることは重要であり、今後、公益認定等に関する制度や運用の在り方の細部を具体化していく際には、公益目的事業の種類や公益認定等の基準等の内容が広く関係者の方々に明確に理解され、また認定を受けようと考えている法人の方々にとっての予見可能性等が高い、より透明な仕組みとなるよう検討を進めてまいりたいと思っております。
  115. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 最後でございますが、ありがとうございました。  冒頭申しましたように、中心のところの公務員制度改革というのがまだ具体案が出ていない。これに関して、制度設計に対する意見がいろいろこの委員会でも出ております。これについて大臣のまた御意見等も伺いたかったわけでございますが、また別の機会に譲らせていただくということで、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  116. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 午後二時十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後二時十分開会
  117. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいまから行政改革に関する特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、櫻井充君及び大門実紀史君が委員辞任され、その補欠として高嶋良充君及び井上哲士君が選任されました。     ─────────────
  118. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 休憩前に引き続き、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案外四案を一括して議題とし、行財政改革の核心についての集中審議を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  119. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。今日は、総理にも御出席いただいて行財政改革法案を審議さしていただけるのを大変感謝しております。  今日は集中審議ということで、あえて行政改革の核心ではなくて行財政改革ということで、財が入っているわけでありますが、お手元にお配りさしていただいております資料の二ページ目にも入っておりますが、これは実は去年の十月十三日の郵政民営化特別委員会でも使わしていただいたパネルです。(資料提示)もう谷垣大臣には財政金融委員会でも随分ごらんいただいておりますが、効率的な国会審議のためにパネルも何回も使おうと思いまして持ってまいりました。  行政改革、何のためにやるかといえば、これは財政健全化のためでもあるということは、これはもう総理も御同意いただけることだと思いますが、総理、改めてもう一回御説明しておきますが、この赤い線ですね、国債の発行残高の対名目GDP比。ここは一九四五年ですよ、真ん中が、点線を見ていただくと、ここの右上のところに、除くFB・TBと書いてありますが、これは政府短期証券とか短期国債は除いてこのグラフになっているんですね。日銀がずっと引き受けている、言わば転がして引き受けているFB、TBも入れると、この赤い点線はもう一・四の上、つまり終戦直後よりも高いところまで来ていると。こういう状況を改善できるかどうかというのが行政改革の非常に大きなポイントではないかというふうに思っておりますので、その点、まず私見を申し述べさしていただきました。  その上で、総理もいよいよ任期をあと少しお残しになるだけになりましたが、私は、構造改革という言葉は、最初、結党当初の民主党が一生懸命使っていて、その必要性に賛同して、しからば私もやらさしていただこうということで国会で今仕事をさしていただいているわけであります。したがって、構造改革とは、財政健全化に寄与しない構造改革であれば、それはちょっと世代が分かってしまいますが、クリープのないコーヒーみたいなもので、ほとんど意味を成さないと、こう思っております。  そういう観点から申し上げますと、道路公団民営化も郵政民営化も、確かに看板を見事に掛け替えたという意味では歴史に残る総理になられたと思いますが、財政健全化に現時点においては全く寄与していないという意味においては道半ばであるということを私の印象として申し上げたいと思います。  ただ、経済財政諮問会議というものをおつくりになって、政府の意思決定のプロセスに一石を投じられたこと、そして改革という言葉を与党もお使いになるぐらいに普及をさせていただいたこと、この二つは率直に申し上げて小泉総理の功績であられるなと思っております。ただ、その二つとも、総理が御退任になった後もそういう意思決定プロセスが続くかどうか、そして改革というものが続くかどうかというのは予断を許さないということもまた事実だと思います。  いろいろ余談を申し述べさしていただきましたが、今日はお手元の資料に沿いまして、行財政改革の核心、私が申し上げたいことは、制度づくりだけでは実現できない行財政改革ということで、一ページ目に書いておりますようなポイントについてお話をさしていただきたいと思います。  三ページ目をごらんいただきますと、これは諫早湾の南部の取付け道路。この黒いところが湾ですね。堤防がありまして、その堤防の上に、潮受け堤防の上に道路が通っているわけですが、実はこの道路、下にあります国道二百五十一号線と接続していて、ところが、この接続部分が使えないからといってこの黒い太い線の農道を別途造ると。これは非常に無駄だからやめさせてほしいといって長崎県の方が、もう三年前になりますか、私のところに相談にいらっしゃいました。  このガードレールの付いているところの写真が次のページであります。ガードレールの先が国道二百五十一号線、手前がその潮受け堤防からずっと続いてきている道路ですね。ごらんのようにガードレールで仕切ってありますよね。これ使えないと。なぜ使えないかというと、道路構造令に〇・〇八度、〇・〇〇八度でしたかね、違反しているというか基準を満たしていないので使えないということでこういうふうに閉鎖されて、ただ、地元の方はこれ見ても分からないですよね、どうしてこれが使えないのか。この二百メートルぐらいの道路を使えなくする代わりに、そのたしか黒いところは一キロだか二キロだかかなりの距離なんですよ。  今日は、その道路が必要か不必要かという長崎の話を申し上げたいわけではなくて、総理、次の五ページをごらんいただけますか。  これは実は谷垣大臣には昨年の四月十九日の財政金融委員会、今年の三月二十二日の財政金融委員会、二回にわたってお話をし、財務省と農水省に改善を要望しました。  何を要望したかと申し上げますと、総理、この農道というのは、私もよく知らなかったんですが、この陳情を契機に調べてみたところ、この五ページにありますように、広域農道、一般農道、三番目は略して農免農道と言いますが農免農道、そしてふるさと農道と四種類あって、ちゃんとその事業の採択基準があると。一番規格の大きい広域農道は、例えば受益面積千ヘクタール以上、延長十キロ以上、幅員五メートル以上、確かに数値基準はあるんですけど、これよく見ると全部、以上、以上、以上ですから、だから受益面積が千ヘクタール以上になるまで長さ延ばせばいいわけですよね。非常に不思議な基準なんです。必ずしもそういうことを意図して作られた基準ではないと思いますが、そういう解釈もできると。  それから、まあその数値基準はともかくとして、じゃ受益面積の受益、つまり、農道を造ることによる経済的効果は何かというと、総理、その下に書いてある式で農水省の皆さんは計算しているという、こういう御回答だったんですね。まあ非常に、本当はもっと細かいんですけれども、審議のために簡略化して書かせていただいておりますが、つまり総事業費分の経済効果が一を上回っていればその事業は採択すると。つまり二百億円掛けて道路を造るときに、二百億円以上の経済効果があれば造る、これはなるほどという感じですね。いいことだと思います。  ところが、じゃこの経済効果に何が含まれるかというのをいろいろ勉強させていただくと、結構面白いんですね。農水省の古い政省令までさかのぼって、下に書いてありますようにいろいろあるんです。農業生産向上効果、これはいいですね、農道を造ることによって消費地が近くなって生産物の経済効果が上がると。  ところが、例えば七番の景観保全効果、これ景色が良くなる効果なんだそうです。それから保健休養機能向上効果、八番、これは農道を造ることによって近所の皆さんの健康に資するということだそうです。それから六番、地域資源保全・向上効果、これは農道を造るときに歴史的資産が出てくると、それを保存する経済的効果。まあ一〇〇%否定するものではありませんが、事業を採択する前にこれ計算するのに、どうして掘り返す前にそこに遺跡があるのが分かるのかちょっと不思議な気がいたしますが、いずれにしてもここで私が申し上げたいのは、今日このことをいろいろああだこうだ申し上げるつもりはないんですが、今回の法案で様々な工夫がなされようとしています。それは認めます、我々も。  ところが、法案の外で、予算編成をするときにこういうふうに無から有を生む予算の編成過程があると、これは幾ら与党の皆さんが一生懸命法案つくってプログラム法案出して審議しても、あとはまた無から有の予算が出てきちゃうわけですね。これも必要です、経済効果ありますから、造ります、造ります、造りますって、こうなっちゃうわけです。  したがって、谷垣大臣には二度にわたって、是非ここは査定する側としても見直していただきたいし、農水省はそのときは大臣はおいでいただいておりませんでしたが、幹部の方においでいただいて、是非農水省としても基準を見直していただきたいということをお願いいたしました。  なかなか前進いたしませんので、改めて総理を前に、中川農水大臣お願いを申し上げます。事の是非は別にして、是非よく中身を検討して、見直しをできるかどうか御考慮をいただきたいと思います。
  120. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 大塚委員が去年そして今年の三月、財政金融委員会で御質問があり、それに対して、政府として見直しの検討をするというふうに答弁をさしていただいたというふうに承知をしております。  農林水産省といたしましても、この農業農村整備事業、あるいは費用対効果につきまして見直し作業を進めておりまして、現在、有識者、専門の方々の客観的な検討の作業中でございまして、これを夏にも、これは私どもが終えていただくと言うのは僣越かもしれませんが、我々としては夏にもおまとめいただきまして、十九年度から見直しの実施というふうに現在スケジュールを考えているところでございます。  なお、農業に関しましては、多面的機能があるということを是非とも御理解をいただければというふうに思っております。
  121. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 一昨日、鳥取県に参りまして片山知事にもお目に掛かりましたが、今お話ししたこのふるさと農道ですね、これ県の単独事業ですが。片山知事になってから、四十七都道府県の中で鳥取だけが唯一、平成十五年度と十六年度はゼロになったんですね、この事業が。やればできる。ところが、知事が就任される前から続いているものはいろいろありますので、結構あるんですよ、鳥取県でも。もちろん全部が無駄だなんて全然思いませんよ、いろんな意味で必要なものもあります。  ただやっぱり、鳥取県でおととい資料をいただきましたら、例えば八十メートル造るのに七億円とか、七十メートル造るのに三億円とか、結構すごい金額が掛かっていましたね。幅五メートルですから、総理、ここから総理ぐらいの距離の道路を、例えばざっと計算すると、一メートル造るのに五百万だったりするわけです。こういうこともありますので、是非改めて、これ三度目ですから、私は、都合。是非、よく御検討いただきたいと思います。  谷垣大臣、もし一言御感想があれば。同じように今度査定の過程でしっかり見直していただけるということであれば、もうそれで結構ですが。
  122. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、中川大臣から御答弁ありましたように、農水省でも今この点について御検討いただいておりますし、私ども財務省としても、そういう農水省の御検討、一緒に協議をさせていただきまして、予算査定等の方できちっと生かしていきたいと思っております。
  123. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総理、私が今日申し上げたいことは、行政改革法案、これはこれで本当に必要なことなんですが、実はもういろんな委員会でいろんな我々も調査、勉強をして指摘をさしていただいているわけで、そういうことを一個一個取り上げていただければ、実はこんな大げさな法案作らなくても財政健全化はできると私は思っております。  そのことをまず申し上げたくて農道のことをお話ししましたが、これは一ページ目で申し上げますと、無から有を生む財政システムを改善しなければ法案を幾ら作っても意味がないと、馬耳東風にならないことをお願い申し上げます。  二番目は、猫だましと書いてありますが、さっき風間先生が、公明党の風間先生が横で、大塚君、猫だましじゃないよと、猫かぶりの法案だとか言っていましたけれども。  これは、次の医薬品医療機器総合機構について、これは厚生労働省の問題ですが、少しお話をさしていただきたいと思います。  総理、この医薬品医療機器総合機構というのは、新薬とか新しい医療機器を認可するかどうか、本当に有効なものかどうかを審査する機関、よく御存じのとおりだと思いますが、総理は、この業務は今独立行政法人でやらしていますけれども、それでいいという御感想ですか。それとも、もうちょっと、例えば今回、市場化テストの法案も出ているわけですし、工夫の余地があるというふうにお考えですか。感想で結構なんですけれども、聞かしていただきたいんですが。
  124. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 機構や機関がすべてではありませんから、その機構の機能をよく理解して運用することが必要だと思っています。  医薬品にしても、これから医薬品というのは大事なんですけれども、使い方いかんによっては副作用が出ますから、今御指摘の行革法案のみならず、法律以前に大事なことがたくさんあるんです。その辺を、法律趣旨を生かしながら、運営する人ですね、人がどうやってできている機構なり機関を生かしていくか、人の健康のために、病気の治療のために、これが私は大事だと思っています。
  125. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。  おっしゃるとおり、法律以前に重要なことが本当にあると思います。  私の個人的見解でございますが、私はこの総合機構は、全部ではないんですけれども、もう少し総合機構が担っているもののうち、国本体、厚生労働省本体が担うべき事務があるというふうに思っております。  ちなみに、総合機構が発足したときに、これは事務方の方、今日おいででしたらお伺いしたいんですが、発足時に、三年前ですが、厚生労働省本省から籍がこの総合機構に移った方は何人いらっしゃいますでしょうか。
  126. 福井和夫

    政府参考人(福井和夫君) お答えをいたします。  御指摘の医薬品医療機器総合機構の発足時、これは平成十六年の四月一日でございますけれども、そのときに、実際に厚生労働省からこの総合機構に移籍した職員は四十一名でございます。
  127. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 定員では七十まで行けるんですよね。
  128. 福井和夫

    政府参考人(福井和夫君) 今委員御指摘の定員の枠ということで申し上げますと、七十三名でございます。
  129. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これは、私の知り得る範囲で申し上げますと、やはり国をスリム化しなくてはいけないといういろんな流れもあって総合機構をおつくりになったのはいいんですけれども、無理して随分仕事を外に押し出したなという感じがします。そうでなければ、別にその七十人という枠は厚生労働省に取っておいていいわけですが、わざわざ持っていくということは、国が本来やっていた仕事を持っていっているわけでありますが。  ところが、お手元の資料の六ページをごらんいただきたいんですが、これは総合機構がユーザーから、つまりメーカーや、いろんな新薬、新しい医療材料を開発してこれから審査を受けるときにまず相談に行くんですよ、相談に。相談に行くだけですごい料金を取られる。例えばこの医薬品信頼性基準適合性相談に行くと、約二時間で二百八十七万円。今日はお手元に付けてませんけれども、二時間で九百八十四万円というのもあるんですよ。ただ、これが即問題だとは申し上げません、海外でも同じような事例はありますし。  ただ、これ、事前にどういう手続でこれから進めたらいいですかという、言わば本当は国がガイドするようなそういう部分でこれだけイニシアルコストを取られちゃうと。これは無事に開発が終わって認可されて売れればいいですけど、そうじゃないとすると、もうとんでもないコスト割れになって、そういう障害もあって、障害もです、ほかにも一杯ありますよ。日本ではどんどん医薬、バイオ、これにかかわる産業、人工皮膚なんというのも私のよく知っている方の企業開発をしようとしていたのをもうやめちゃいました、元が取れないと言って。こういうイントロの、入口の相談なんというのは私はもっと厚生労働省本省の中に残しておいて、それこそ日本の産業を育成するためには重要なガイド、シェルパの仕事ですから、こんなところでコストを掛けなくたって相談に乗ってあげればいいと思うんです。  個人的にはそういうふうに思っておりますので、総合機構はやむを得ず今こういう形になっております。実はほかにもいろんな問題があるんですが、今日はそこは本題じゃありませんので。  ここで何を申し上げたいかというと、また一ページ目に行ってしまうんですが、あえてちょっと猫だましなんという言葉を使わせていただきましたが、本来国がやる仕事がどんどんどんどん独立行政法人に行って、その独立行政法人を独立採算で回さなきゃいけないからといって、こういうところで以前よりも、従前よりも価格も上がって、言わば民から官により多くの資金を吸い上げるようなことになっては本末転倒。  是非、総理にまずここはお伺いしたいんですが、総合機構のことということではないんですが、総合機構を含む独立行政法人について、猫だましのような改革にならないように実態をよく今後もフォローするように指示をしていただけるかどうかについて、一言コメントをいただければ幸いです。
  130. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、公務員でできなくてもある仕事がどういう分野か、また公務員でなくてはできない仕事はどういうものかという、そういう観点から今後も常に見直していかなきゃならない問題だと思っております。  現在、一つの過渡期だと私は思っています。官から民へということで、政府としては五年間で五%以上の公務員削減計画を進めていると。民主党は三年間で二〇%削減しようと言っています。各省詰めていきますと非常にきついんです、この五年間で五%でも。  一つ例を取ってみれば、北海道開発局にしても、外務省の全世界の大使館を含めても人数が多い。これ、だれが考えてもおかしいと思うでしょう。北海道開発局で全世界を相手にしている外務省の公務員よりも多いと、もっと減らせるんじゃないか。しかし、これをいざ、じゃ五%減らすにも大変ですよ、人数だけでも。それで、実際の地元と、公務員というのは生首切っちゃいかぬという、そういう観点から、いざ五%を五年間減らすにも大変なのに、三年間二〇%減らせと民主党は主張されておりますが、これ具体的に当てはめていくといかに困難か分かります。  そうして、その中で、独立行政法人というのは公務員から非公務員化して、公務員の非常に窮屈な身分保障とか人事管理とかいうのをより柔軟に対応しよう、かといって急に民間には任せられないということからくるんです。ですから、今御指摘のような不断の見直しが必要だと思います。  しかし、本来、これしばらくたってですよ、この分野はどうしてもやっぱり国家公務員がやった方がいいという問題も出てきてもおかしくないんですよ、この独立行政法人は。あるいは逆に、ああ、これはやっぱり民間に任せられるなというのは任していけばいいと。しかし、今非常に窮屈な公務員の人事管理、あるいは柔軟な配置転換、そういう点については、私は、この独立行政法人は官から民へ本当に移すかどうかの一つの、本当に民間にゆだねていいか、国家公務員に戻した方がいいか、その過程の段階だと見ています。  大学なんかというのは随分柔軟になってきましたね。国立大学から非公務員化して、かなり民間との交流は、かつての国立大学の国家公務員としての体制よりも、民間機関と協力したり外国と共同したり非常に柔軟に出てきた。これは大学関係者からいうと画期的な改革だと評価は高いんです。  そういう点も含めて、今御指摘の点も含めて、いろいろ見直すべき点も今後も不断にあると思っております。
  131. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。  でも、このまま時間一杯までおしゃべりになるのかと思ってちょっと心配になりましたけれども、ありがとうございました。  ただ、私が申し上げたかったのは、総理、逆の方向なんですよ。別に、この総合機構を例に取ると、総合機構の仕事は実は本省がやった方がいいと思う部分もあるというふうに思っているんですが、そうではなくて、結局、独立行政法人とか公益法人に人が一杯移って、それで削減したということに数字上はなっても、実際は独立行政法人や公益法人で、同じ仕事が今までよりもコスト高で、国会への報告義務が一時的にはないということで行われるようになっては行政改革は絵にかいたもちだということを申し上げているわけであります。そういう意味では猫だましの法案にならないことを祈りますが、絵にかいたもちになってしまいますと、国民の血税は穴の空いたバケツから水が流れるがごとく更に垂れ流しになって、冒頭ごらんに入れたグラフは発散をしていってしまうと。  そのことを少し御説明させていただくために七ページをごらんいただきたいんですが、今日は、済みません、お手を煩わせまして恐縮ですが、七ページをごらんいただけますでしょうか。  ここに財団法人システム開発研究所というものがございます。下のところにこの研究所に言わば天下っている方々の、固有名詞は出ておりませんが、一覧が出ています。実は、この方々以外にもいるんですけれどもね。これは政府が提出してくださった資料の中に出てきているんですが、ごらんのように事務次官経験者五人と通産省の局長さんがいらっしゃるんですが、財務省に、事務方で結構ですが、お伺いしたいんですが、ちなみにこの通産省の局長さんは七一年に就職したというふうになっていますが、七一年以来ずっと在籍しておられるんですか。
  132. 真砂靖

    政府参考人(真砂靖君) お答え申し上げます。  この方は非常勤の理事でございまして、無報酬でございますが、御指摘の時期から理事を務められているというふうに承っております。
  133. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 無報酬というのも逆に問題だと思いますけれども。  ただ、ここの収支予算書というのを見ますと、実はホームページに出てくる表書きには人件費というのがどこにも出てこないんですよ。よくよく見ると、その他の項目の中にいろいろ混じっているんですが、違う名目でこういう方々にも報いているということであれば、それは労働の対価に見合うわけですから結構でありますが、違う名目にいろいろ入って逆に見えなくなっているということであってもそれは困りますが、ところが、この財団自体が私がいいとか悪いとかをここで判断する材料と能力は私にはありません。ただ、八ページをごらんいただくと、ここの研究所に各役所が調査依頼を出しているんですね、委託研究。実に様々な委託研究をしているんです。  例えば文科省、子どもの意欲ややる気等の向上・低下に係る調査研究、これはいいことですけれども、どうしてシステム開発研究所がやるんですかね。環境教育とかそれから地域づくり、言い出せば切りがないんですけれども、これ金額、結構ばかにならないんですよ。これは公開されただけで三億三千万。  ちなみに、ここの研究所の主たる収入は、調査研究の委託と啓発事業の委託。調査研究は直近の決算書によると、決算ですよ、予算よりちょっと少なくなっていますが、九億二千万の収入が得て、それを、全部とは言いませんが、外部に再委託しているんですが、一億七千万。全部とは言いません。つまり、ここが受けたものをまた外に丸投げしている部分があるんですよね。  今回、我が党の松井委員の資料要求の結果、お出しいただいた随意契約の報告書がありますが、実は、例えば今ごらんいただいている八ページ、これは衆議院に元々出たものなんですが、こういう調査研究レポートを作るという仕事については、当委員会に提出された随意契約の報告書の中には一件も出てきてないんですが、こういうのは何契約なんですか。これ随意契約には当たらないんですか。
  134. 真砂靖

    政府参考人(真砂靖君) 今先生から御指摘いただいたのが、予備的調査の関係のことだと思いますが、その際の指示事項が予算科目の十四番とか十六番とかいうそういう指定があったものですから、その時点でこの三十一件にわたるものについては出てこなかったというふうに承知いたしております。
  135. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 繰り返しになりますが、この財団法人だけをとやかくここで申し上げるつもりは全くないです。  総理、さっきは人の面で独立行政法人や公益法人が行政改革の猫だましにならないようにということをお願いしましたが、実は金の面でもこういうことが行われているんですが、私の常識からいえば、例えば文科省がここに発注しているようなこれ、こういう仕事は、これは文科省の本来の仕事ですよ。これを外部に委託しなきゃならないんだったら文科省は解散ですね。ほかもみんなそうです。  なぜこういうことをやっているかというのは推して知るべしですから、色気のない話ですからこんなところで全部は申し上げません。是非、総理、こういう本来役所がやる仕事を冠に付けて訳の分からない金の流通ルートが日本国じゅうに毛細血管のように広がっているこの実態にメスを入れていただけるかどうか、この点についても御決意を伺いたいと思います。
  136. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 本来、今言われたような役所がやるべき仕事をこのように委託しているという部分もあると思いますが、逆に、やらなくてもいい仕事をやっている仕事もあるんですよ、両方、調べていくと。その辺は、国会での与野党から出てくる質疑を十分参考にして、いい点は取り組むべきだということで中馬大臣に指示をしているところであります。
  137. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 是非指示をしていただきたいですし、いや財政健全化はもうこれは本当に与野党共通の課題で、私、前もたしか財金か何かで申し上げたと思うんですが、これ立法府対行政府の闘いなんですよ。立法府の中が、こちらが合理的な材料を提供して合理的な提案しているときに、いやいや、まあ野党の言っていることだからということになっちゃうと、これはもう立法府の存在価値がないですからね。立法府こそ空疎で非効率な組織になってしまう。そうならないことを祈ります。  これが、一ページ目で申し上げますと、バケツの穴、ざるのような、そういう国の機構にならないことを祈りますということで、三点目の御指摘を申し上げました。  次に四番目、今度は漢字が並んでおりますが、面従腹背。  厚生労働省にお伺いしますが、この委員会が始まった直後に、厚生労働省の外郭団体、中央労働災害防止協会が東京国税庁の税務調査を受け、昨年の三月期までの七年間で三億八千万円の所得隠しを指摘されていたことが分かったと報道されました。  報道によると、協会の出版物をめぐり、原稿料に見せ掛けて同省職員らに金銭を提供したと認定されたという、こういう報道があって、国会でも、恐らく衆議院でも取り上げられていると思うんですが、この国税当局の査察及び更正通知があったのはいつですか。このいつかということだけお答えください。
  138. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私に報告がありましたのが四月の第一週だったと思います。  そのときの報告によりますと、税務調査は昨年の九月七日から行われ、更正の通知を受けたのは本年の二月二十八日、この通知に従って三月二日に納付を済ませたと、こういう報告でございました。
  139. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 確認ですが、去年の九月七日に国税当局の査察が入り、今年の二月二十八日に更正通知が行われ、三月二日に三億七千万円の納付を行ったというふうに私も把握しています。この事実で間違いないですね。これは、大臣に二度もお立ちいただくのは恐縮ですから事務方で結構ですよ。事実関係に間違いがあるかないかだけお答えください。
  140. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 今委員がおっしゃったようなことは事実でございます。
  141. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 しからば、三月の二十八日の参議院の厚生労働委員会に我が党の森ゆうこ議員に対してこういう答弁がありました。  中央労働災害防止協会の経理処理につきまして、「監事による監査を定期的に実施するほか、国からの補助金もありますので会計検査院の検査も受検しているところでございます。」「平成十七年度からは、さらに外部の監査法人による監査も実施することとしたところでございまして、これらによりまして適正な執行が担保されるものというふうに考えております。」と。  これは、私の感覚でいうと虚偽答弁なんですね、明らかな。なぜ虚偽答弁をされたのか、お答えいただけませんか。なぜ虚偽答弁をされたのかという質問ですよ。
  142. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) その御答弁は私がしたものだと思いますけれども、その当時、二月の二十八日に通知がありまして、三月二日に中災防が納付をしたということでございます。  私どもには四月の三日に更正通知書をいただきまして説明を受けたということで、詳細な内容についてはその時点で把握したということでございます。それ以後、私どもとしては調査、事実の把握、確認をいたしているところでございます。
  143. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 委員長、質問できません。全然質問の回答になっていません。明らかな虚偽答弁なわけでして。いや、どなたが聞いてもこれは事実関係が分かった上での三月二十八日の虚偽答弁ですから。  私の質問は、なぜ国会で虚偽答弁をするんですか、したんですかと、そのことを聞いているんです。ちゃんとお答えください。
  144. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 今申し上げましたように、詳細な内容を存じ上げておりませんでしたので、虚偽答弁というつもりでは全くございませんでした。
  145. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 その答弁で普通は納得できませんよね。もし、去年の秋口から始まっているこの話、お耳に入ってないということであれば、これは厚生労働省幹部としてそういう情報収集ができない、今この委員会では分限免職の話もしていますが、能力がないということですよ。まあ、そうは思いません、私は、情報は入っていると思うんですが。  もう一回聞きます。なぜ虚偽答弁をしたんですか。
  146. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 同じお答えになりますけれども、虚偽答弁をしたというつもりは全くありませんでした。  先ほど申し上げましたように、四月の三日に更正通知書、中災防に通知されました通知書を四月三日の日に私ども入手をいたしまして説明を聞いたということでございます。それによって詳細な事実を把握、一定程度の把握できたということで、それ以降、事実の確認に努めているところでございます。
  147. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私は、恐縮ですが、今御答弁いただいている参考人の方に何か個人的に何か恨みも何もないですし、そこは誤解しないでほしいんです。これは、日本の国の統治構造の今問題を指摘しているんです、私は。  そもそも、この協会のやった監修料とかを職員にキックバックするという話は、おととし、谷垣大臣は御記憶にあるかどうか分かりませんけど、財政金融委員会で、選択エージェンシーという企業をめぐって逮捕者まで出して、厚生労働省、さんざんこういう監修業務というのは国家公務員倫理法の三条に違反するかもしれないから見直してくださいということをお願いして、今の審議官の辻さんが分かりましたと言ったのを、二年たったら、それは厚生と労働の違いがあるかもしれないけど、労働の方では脈々とやっていて、そのことを国会で聞かれたら堂々と虚偽答弁をする。  この虚偽答弁というのは罪に問われないのかなと思って調べてみましたら、実は同僚議員の衆議院の加藤公一さんが平成十二年の十一月二十八日に政府から質問主意書に対する答弁書をもらっています。  質問は、政府参考人委員会において虚偽の陳述をすることは、国家公務員としての職務上の義務に違反するものであるか。右質問する。答弁書は、国家公務員法第九十六条第一項では、すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務しなければならないとされており、同法九十九条では、職員は、その官職の信用を傷付け、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならないこととされていると。もうこれは政府答弁ですからね。いや、国家公務員法違反なんですよ。八十二条、分限免職、免職、停職、減給、戒告。  で、総理、こういうことに対して、個人攻撃をしているわけではないのでそこはお許しください、こういう答弁が私の体験した五年間の中でも一杯あるわけですよ。これを放置していて、今回の行財政改革行政改革法案の中で、怠業をする現場の公務員の皆さん、分限免職もあり得るというような議論をしたところで説得力ないですよ。現場の人は、幹部はみんな国家公務員法違反しても許されていて、何でおれたちだけやられるんだという感覚になりますよ。  総理に一言コメントをいただきたいと思います。
  148. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは法律以前の問題で、虚偽答弁というか、国民に対して真摯に対応しているかどうかと。それは、間違っていたらその能力問われるわけですから、その点は与野党を通じてしっかりとして、国民のために何が必要かと。虚偽答弁でないんだったら、なぜ虚偽答弁でなかったのかという、説明の仕方があんまり良くないんで、あの答弁の。  そういう点は、質問者でもう一回質問しなきゃ、座ってぶつぶつ言わないで。答弁者も、虚偽答弁じゃないと、そのときは正しいと思ったけど実際は違っていた、はっきり言わなきゃ駄目だ。  もう一回質問してください。
  149. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、もう一回質問しません、返ってくる答えは分かっていますから。ここの時間、止めてもらえますか、じゃ。  じゃ、端的に答えてくださいね。もう繰り返し要りませんからね。私はどう考えても虚偽答弁だというふうに理解をしますが、虚偽答弁をしたのはなぜですか。
  150. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 分かりやすく質問に答弁しなきゃ。
  151. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) その三月二十八日であったと思いますけれども、その当時御答弁したときにはそういうふうに、こういう事実を十分に承知しておりませんでしたのでそういう御答弁をしたわけでございます。その後、四月三日に一定程度の詳細な情報を把握いたしましたので、今、更に実態把握に努めているところでございます。
  152. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総理、私は寸止めにしようとしているんだから、逆に質問させちゃ駄目ですよ。  もう一回聞きますよ。去年の九月七日に国税の査察が入って、二月二十八日に更正通知が行われて、三月二日に違反金の納付を行って、何で三月二十八日にそういう答弁になるんですか。止めてくださいよ、これ。総理がもう一回聞けって言ったから聞いたんですよ。
  153. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) はっきり答弁しなきゃ駄目だ。
  154. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) この税務調査は東京国税局が中災防に対しまして調査をいたしまして、その更正通知は、東京国税局から中災防に対しまして三月二日に通知がなされたわけでございます。そして、四月の三日に私どものところにその更正通知書を持ってきてもらいまして、詳細な一定の事実を把握したということでございますので、三月二十八日の時点では詳細に知りませんでしたので、そういう、適正に行われているということで御答弁を、業務運営については適正に行われているという答弁を申し上げたわけでありますが、その後こういうことがありましたので、適正には行われていないというふうに今は認識しているところでございます。
  155. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 まあ個人攻撃じゃないんでこのぐらいでやめますけどね。くれぐれもそれは理解してくださいよ。  私が申し上げたいのは、これね、総理、公務員は全体の奉仕者だということを書いてあるのと同時に、国家公務員法の九十八条には、「職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」と書いてあるんです、当たり前のことなんですが。職務に、上司の命令に忠実に従った結果かもしれないんですよ。そういうところが問題なんですよ。  その延長線上でお伺いをしたいんですけれども、防衛施設庁来ていただいていますが、例の官製談合事件に絡んで東京地検特捜部が強制捜査に入る前に当時の建設部長が証拠隠滅を部下に指示したと、その部長もそれをお認めになったと報道されています。これについての事実関係をお答えいただきたいと思います。
  156. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 大塚先生に御答弁を申し上げます。  防衛施設庁発注の建設工事をめぐりまして談合に係る報道がなされましたのは昨年の十一月でございます。それ以降、私は、防衛庁長官から累次にわたりまして検察当局の捜査に全面的に協力するよう指示を受けてまいったところでございまして、防衛施設庁の職員に対しましてその旨周知させる等、しかるべく対応に努めてきたところでございます。  今先生お尋ねのような本件にかかわります個別具体的な事実関係につきましては、これまでも捜査に協力する、またこれから始まる今後の公判等に対しまして影響があってはならないこと等ございまして、現時点におきましては御答弁を差し控えさせていただきたいと、そのように考えております。  ただ、いずれにいたしましても、今正に防衛庁長官の統括の下におきまして、私、防衛施設庁長官委員長といたします調査委員会におきまして、本件全体の事実関係の徹底的な究明のための調査を行っているところでございます。そして、今後この事実関係が判明いたしました段階で、国民の皆様に事案の全容をしっかりとお示しした上で、防衛庁長官の下、厳正に対処していくことになるものと、そのように考えているところでございます。
  157. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 建設部長、当時、が証拠隠滅を部下に指示したのを認めたということは事実なんですね。それもお答えになれないですか。
  158. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 先生御指摘のような報道があることは承知いたしておりますが、繰り返しになりますが、今現在、調査委員会で本当に徹底的に今調査をしているところでございますので、今日この時点におきましては御答弁を差し控えさせていただきたいと、そのように思っております。
  159. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、そういうことをやっているうちにどんどんどんどん行政府の信用がなくなるんですよね。もし御本人が認めているんだったら、そんな悠長なことを言っている場合じゃなくて、国家公務員法九十九条違反なんですよ、信用失墜行為。  これも何度も財金でも申し上げていますけど、公務員の皆さん全体が悪いわけじゃないし、公益法人全部が悪いわけじゃないし、独立行政法人全部が悪いわけでもないのに、特定の人たちの特定の行為及びその事後処理の不手際のために全体が被害を受けているんですよ。えらい、いい迷惑ですよ、みんな。何か長官おっしゃりたいことありますか。
  160. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 現在、私を委員長といたしまして、この調査委員会におきましては関係者のヒアリング等をフル回転で進めております。そして報告書を可及的速やかにまとめまして、国会を始め国民の皆様にきちっと御報告を申し上げたいと、そのように考えております。
  161. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総理、これは結局、今回の法案を、我々も一部意見の違うところもありますけど、賛成の部分もありますので、多分通ると思いますよ。通ると思いますが、こういうふうに官僚組織の皆さんが、全員じゃないです、全員じゃないですが面従腹背、確信犯。もうこれでは、総理がいなくなった途端にもうまた元のもくあみですよ。  これは、そういう、国会で虚偽答弁をしたり、今のようなケースにおいては明らかに九十九条違反。さもなければ、その人に責任がないとすれば、九十八条の上司の職務上の命令に忠実に従った結果であれば上司が処分されるべきであって、そうでなくて、さっきの厚生労働省の御答弁のようにその程度の情報も入ってきていないということであるならば、管理職として能力に問題があるわけですから分限免職と。そういうことをきちっと運用しないから、地方の、市町村役場の公務員も含めてみんな弛緩してしまうんですよ。緊張感がない。だから、公務員の数が多いとか地方公務員も四・六%削減しろとかというそういう話、あるいは国家公務員五%ということであるならば、まず一罰百戒、いえいえ幹部の皆さんは百罰百戒ですよね。これをやらなければ恐らく今回の法案も、まあ形はできても中身が伴わないということにならざるを得ないと。  無から有を生むシステムを放置したり、猫だましの人員異動を放置したり、あるいは不要不急の公益法人、それをそのまま放置したり、官僚の皆さんの面従腹背、確信犯的なごく一部のそういう人たちの言動を放置するようでは、これは与党としての職責を果たせないと私は思いますが、総理はいかがお考えでしょうか。
  162. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、政治というのは法律以外にやることたくさんあるんです。様々な要望というのは法律には書いてありません。地元の要望を聞く、団体の要望を聞く。国会での議論の質疑を受けてあるべき姿に持っていこうとする、努力する。これも法律以前、法律以上の、法律で書いてないことがたくさんあるんです。それを真摯に受け止めてどのように行政が対処するか、公務員が対処するか。  政治もそういう点をしっかりと受け止めて、この国をいかに発展させていくかということを考えていかなきゃならないし、この国会におきましても、今御指摘の点も踏まえて、これは与党が言っているからいいとか野党が言っているから悪いという問題じゃないんです。当然だなと思うことはしっかりやっていかなきゃならない問題だと思っております。
  163. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、おっしゃるとおりなんですよ。法律だけを守ればいいわけではないと。そのことがお伺いしたくて前回ここで質問させていただいたときに、総理にコンプライアンスってどういうふうにお考えですかって聞いたら、変な片仮名使うなとおっしゃるんで、金融庁、名前変えちゃったんですよ、コンプライアンス室って。知っています、金融庁、名前変えたって。  与謝野大臣、急で恐縮ですが、金融庁はコンプライアンス室って名前を変えたんですよ、総理のこの間の御発言の後に。どういうふうに変えたか、御存じですか。
  164. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 資料がないんで、私、記憶だけに頼って申し上げますと、法令遵守というふうに直しました。
  165. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 違うんですよ。総理ね、だから、総理が今日何度も何度もおっしゃってくださっているように、法律だけを守ればいいわけではないからこそコンプライアンスという言葉がある。金融庁の優秀な皆さんはそれが分かっているから名前を何て変えてきたかというと、法令等遵守室なんですよ。分かります、それがこの間お伺いしたかったことなんですよ。倫理観とか、その役所や企業の持っている価値、それを守らないと幾ら法律だけ守っていてもその企業は崩壊するという、そういうコンセプト、また片仮名使っちゃった、そういう概念でコンプライアンスという言葉があったからお伺いしたくて、テレビで国民の皆さんが見ているから総理の口からそれを言っていただいて浸透させたかったら、名前を変えろとおっしゃるからこういうことになっちゃった。で、役所は、それ、余計なコストをまた使っているんですよ。名刺、また刷ったりして。だから、総理はそう軽々しくそういう発言しちゃ駄目なんですよ、総理は。  もう一つ申し上げますと、先ほど取り上げたシステム開発研究所、谷垣大臣、これはちゃんと認可された公益法人ですよ。法律上、何の問題もない。予算も組まれていて、ここに補助金が一杯、予算を経たからほうり込まれているわけですけれども、しかし、ここで勤務している人、これを所管する財務省は、法律上、予算上、何の瑕疵がなくても、いや、国民の皆さんにこんな恥ずかしいことをやっていては自分の人格が問われるというふうに思ってこそのコンプライアンスなんですよ。そういう感覚がなかったらこういう公益法人はなくならないですよ。  ちなみに、この公益法人のトップは、あえてお名前は出しませんが、元大蔵事務次官の、御党の大先輩の先生でおられます。私が申し上げるのもなんですから、もし谷垣大臣、おっしゃりたいことがあればおっしゃってください。
  166. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) ここは私ども財務省が主務官庁になってやっている法人ですが、民法に基づいて指導監督しているのですが、今のところ、この法人が法令やあるいは指導監督基準に反しているという話は、報告は受けておりません。  それから、先ほどシステムとは関係ないじゃないかというお話がありまして、私も実は、なぜこの法人が財務省の所管かというのが最初分からなかったものですから事務方に聞いたんです。そうしましたら、この寄附行為の目的を見ますと、昔、システムアナリシス、PPBS等の科学的手法を開発してと。これは一九六〇年代にはやった予算の効率化、行財政の効率化の手法らしくて、つまりそれを主としてやるところだからこういう名前を付けて、必ずしもコンピューターシステムとか、そういうこととは関係ないようでございます。
  167. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それは分かっていますが、後で総理と大臣にお届けしますが、ここの研究所の主たる業務ということでざあっと事業計画書にいろいろ出ているんですけれども、実にすごいですよ。受託研究調査、明記されているものだけで五十四、自主研究、自主研究の中にはFIFAワールドカップ開催地の地域活性化と書いていますけれどもね。もう本当に、いや、この研究所一個あったら霞が関全部の仕事ができちゃうぐらいになっているわけですよ。実によくできている。この実によくできている伏魔殿を何とかしていただかないと、今回の行政改革法案も、私の目から見ると郵政民営化や道路公団民営化と同じようになってしまうのではないかという気がいたします。  最後に……
  168. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) ちょっと一つだけ。
  169. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 はい、どうぞ。
  170. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) この法人には補助金は出ていません。
  171. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 補助金は出ていなくても、委託研究ということで何十億も出ているわけですからね、十何億も。そうやって今度は、ほら、総理、谷垣さんまで表現を換えればそれですり抜けられると思っておられたら困る。  谷垣さん、一言申し上げますが、自民党総裁選挙、我々も影響力あるんですよ。私の友達なんかも、お医者さんもいれば業界の人もいて、自分は業界団体全体で党籍を持っているから今度投票できるけれどもだれに投票したらいいかと聞いてくるんですよ。我々も影響力があるということを是非お忘れないようにしていただきたいなと。  最後に、総理にキータム訴訟という言葉をお伝えしますが、これアメリカは、アメリカは何でもまねすればいいというものではないですが、いいところも一杯あって、不正請求防止法というリンカーン大統領以来の流れをくむ法律があって、政府に損失をさせている、そういう商取引を摘発、指摘して裁判に訴えた場合に、もし裁判で事実と認定されたら、政府に戻ってきた不正請求された金額の三割までがその人がもらえるという、そういうキータム訴訟という訴訟制度があって、分かりやすく言うと納税者訴訟ですよ。キータムというのは、ラテン語で王様のためにでもあり自分のためでもある、そういう意味なんですけれども、ロッキード社のある技術者の方が、戦闘機の国防省への納品、これは過大な請求をしているということでキータム訴訟に訴えて、裁判所が認定した結果、その方の手元に十億円入ってきたんですね。こういう訴訟制度があると、アメリカでは年に何百件も訴えが起きるんです。その結果、簡素で効率的な政府がひょっとしたらアメリカはできているかもしれないということを考えますと、我々もまた検討いたしますが、そういった訴訟制度についても御検討いただきたいことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  172. 前川清成

    前川清成君 二〇〇四年七月の選挙で奈良県選挙区からこの参議院に送っていただきました前川清成と申します。  九月に退任される、そういうふうに伺っております小泉総理と議論をさせていただく機会があろうかと思ってもおりませんでしたが、理事始め同僚議員の皆様方の御好意でこの席に立たせていただきますこと、まずもって感謝申し上げます。今日は、尾辻委員長の御指導の下、小泉総理と正々堂々と正面からこの国の形を議論させていただきたい、そんなふうに思っています。  なお、冒頭、与謝野大臣と小坂大臣におわびを申し上げたいと思います。通告書にも明らかかと思いますが、私は両大臣、御多忙な両大臣にお越しいただくつもりはなかったんですが、役所の方からどうしても呼んでくれと、こういうふうに言われました。最後、私、奈良県川上村の出身ですという方まで出てこられましたので、今日、御足労いただくことになりました。もしかするとお尋ねすることがないかもしれませんが、展開次第では、通告しておりませんが何かお尋ねさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。  さて、総理、私は、二〇〇三年の年末に民主党の皆さんから夏の参議院選挙に出てみないかと、そういうお誘いを受けまして、県連の皆さん始め大勢の皆さんにお支えいただいて当選をさせていただきましたが、それまで、二〇〇三年の年末まで実は政治に携わったことは一切ありませんでした。奈良に暮らして、電車で大阪に通いながら、大阪で細々と弁護士をしておりました。政治に携わっていない、政治にさほど関心がない、そんな私にとりましても、小泉内閣の誕生というのは強烈なインパクトがありました。とりわけ、総理が、今の痛みに耐えて明日を良くしよう、米百俵の訴え、これには感動いたしまして、今日持ってまいりましたが、当時も新聞記事を切り抜きましたし、この山本有三さんの本も買わせていただきました。  以来五年が経過をいたしました。確かに、この五年間、年金改革や定率減税の縮減や廃止、国民は痛みに耐えてまいりました。しかし、国民の生活が本当に良くなったんでしょうか。  そこで、総理にお伺いいたしたいと思います。今の痛みに耐えて明日を良くしようと、そう訴えられましたときに思い描いておられた明日とはどういう社会だったのか、お尋ねいたしたいと思います。
  173. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 明日というのは将来ということでありますから、人によっては数年先、十年先、二十年先、五十年先、百年先といろいろ解釈できると思いますが、米百俵の精神というのは、そもそも長岡藩の小林虎三郎、今で言うと家老、首相級の人物ですけどね、明治、幕末、大変窮乏、食うものもない、困難にあえいでいた長岡藩に見舞いのお米が送られてきたと。多くの藩士はこのお米を分けてくれると思ったところが、あの小林虎三郎は、このお米を今みんな食うものに困って分けたら、一週間か数日か一月か、なくなってしまうだろうと。なぜこんなに我々は困難にあえいでいるのかと。それは、先を見通す人材がいなかったからだと。今苦しいだろうとこの米を分けてしまったら、ああ、食べてしまえばおしまいだと。それよりは、この飢えに耐えて、苦しさに耐えて、もらったお米を売って、そのお金で学校を建てようと。人材を育てることが大事だと。今の苦しさ、痛みに耐えて将来を考えることが大事じゃないか。さんざん非難され、殺すぞという脅しに耐えながら、結局この米を食べないで、分けないで、売って、学校を建てた。  この話に多くの人が感銘を受けて、明治になって教育、重要性を訴えて、すべて、今まで特定の身分のある者にしか学校へ行けなかったのを、武士であろうが平民であろうが全部学校に行けるような学制改革をした。その基が米百俵の物語で、その事実を山本有三氏が戯曲にしている。これは戦前のことです。この山本有三氏の戯曲に感銘して、ドナルド・キーン氏が英訳したわけですよ。この話にまた今ホンジュラスの文化大臣が感動して、ホンジュラスで「米百俵」を日本、演じてくれと。そうしたら、これが評判になって、今度はホンジュラスの人だけでこの「米百俵」を演じたいと。武士の姿をして、侍の姿をして、百姓の姿をして、日本人の出演は要らないと、ホンジュラス国内でこの「米百俵」の物語を演じているということで支援しようと。  やっぱりこういう話というのは、日本人だけじゃない、外国の方々も感動するわけですね。いかに将来を見据えて、人が大事か、教育が大事かと。今は苦しいけれども今のことだけ考えていたら明日はないということは、政治家としても、国民としても持つべきではないかということで、私は使わせていただきました。
  174. 前川清成

    前川清成君 私も今の、総理に目指しておられた理想の社会というか政治の形をお伺いしたいと、こういう思いで質問をさせていただきました。私たちが理想とするべき社会、どんな社会がいいのか。これを一言、例えば尭舜の時代というふうに一言で表現するのはなかなか難しいと思います。  総理は昨日、党首討論のときに、戦争のない社会が理想の社会の一つなんだというふうにおっしゃっていました。確かにそのとおりだと思います。それともう一つ、今いみじくも総理もおっしゃっていただきました。子供たち、この国に生まれた子供たちがあまねく平等にチャンスが与えられる、夢を追い掛けることができる、そんな社会、やっぱり政治の責任としてつくっていかなければならないんじゃないかな、私もそんなふうに思っています。しかし、今の社会が本当に子供たちに機会の平等が保障されているのか。私は実は危惧をいたしております。私の大変狭い経験を総理にお聞きいただきたいと思います。  冒頭申し上げましたように、私は弁護士をいたしておりました。私が司法試験を受けよう、そういうふうに決心をしました昭和五十七年当時、この昭和五十七年当時におきましては、憲法、民法、商法、訴訟法、いわゆる六法、何千条かに及ぶこの六法を丸暗記する、そして何千ページかに及ぶ教科書と判例集を覚える、その根気と時間だけあれば、才能も要らない、何も要らない、お金も要らない、そういう時代でした。  ところが、小泉内閣がお進めになられました司法制度改革で法科大学院が導入されました。日本版の法科大学院であります。この結果、大学卒業後、原則として三年間、国立大学であれば年間八十万円、私立大学であれば年間百三十万円の学費を負担し続けることができる家庭の子供でなければ、そもそも司法試験に受験さえすることができなくなってしまいました。  中学生のときにいじめに遭った、それで自殺も図った、その後、非行になって、極道の妻にもなった、しかし支えてくれる方があってやり直した。「だから、あなたも生きぬいて」の著者であります大平光代弁護士、この大平光代弁護士の例は、法科大学院が登場した結果、もはやこの国ではおとぎ話になってしまいました。司法試験だけではなく、例えば薬学部の修業年限も六年に延びています。また、高等教育だけではなく、小学校の間から塾に通わないと、いい私立中学校に進学できない。受験に特化した中高一貫校でなければいわゆる偏差値の高い大学に入学できない。いい悪いは別として、そんな現実があります。教育費が大変お金が掛かる、そんな時代になってしまいました。  そこで、総理にお伺いいたしたいと思います。  今般提出されました教育基本法案の四条も、あるいは現行法の三条も、教育を受ける機会を保障し、経済的理由による修学困難者に対する国と地方の責務を明記しています。親の財布の重さで子供たちの未来に差が生じないように、この国に生まれたすべての子供たちに平等にチャンスが与えられるように国が更に今以上に積極的な役割を担うべきではないか、私はそう考えておりますが、総理のお考え、いかがでしょうか。
  175. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 教育は大事だということから、私も、お金がなくて学ぶ機会がなくなることがないように、意欲のある人すべて学べるような対策を講ずるべきだということで、現在においては、お金がなくても教育を受けたいと意欲のある人は全部教育が受けられるような対策、奨励事業行われております。
  176. 前川清成

    前川清成君 ただ、総理、具体的に申し上げますと、今御紹介申し上げたように、国立大学であっても一年間に八十万円も授業料が掛かってしまうわけです。いい悪いは別として、小学生の間から子供たちが塾に行っています。例えばですけれども、学校の先生の数を増やす、で、三十人学級ぐらいにしたら、子供たちの習熟度に応じてもっときめ細かに、今以上にきめ細やかな教え方ができないか。そうしたら、塾に通えない、そんなハンディキャップがなくなってしまうんじゃないか。私は、今でも更に子供たちの未来のために国が積極的に予算も使うべきではないかなと、こんなふうに思っているんです。  更に一歩踏み込んで、子供たちの未来のために、米百俵の精神をここで総理のリーダーシップ、お考えいただけませんでしょうか。
  177. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 後で具体的な個別の事業については文科大臣の方が適切だと思いますが、私は塾を奨励するわけではございません。大学へ行けばその人の能力が発揮できる人と、大学へ行かなくても、学校の成績は優秀じゃなくても、その人の能力が発揮できる分野はたくさんある。弁護士にならなくても生きていける職業はたくさんあるし、詰め込み教育が嫌で、学校の教育が嫌で、暗記が嫌だと、苦手な人もほかの分野では得意な人もいる。別に大企業に勤めるからその人が幸せになるかも分からない。公務員になるからいいとも言えない。様々な分野がある。人生いろいろなんですよ。そういう多様な社会が必要じゃないかと。  しかしながら、教育を受けたいという人についてはすべて受けられるような措置は講じなきゃいけないということで、現在もその事業推進しております。
  178. 前川清成

    前川清成君 私も一般論としては総理と同じように考えているんです。何も大学へ行くからその人が幸せで、あるいは大企業に勤めるからその人が幸せだと思っておりません。また、塾に行くからいいとか悪いとか、そんなのも思っていません。  ただ、総理、現実の問題として、今いわゆる私立高校、いい私立中学に入ろうとすれば、塾に通っているというのが現実なんです。その塾に行くには毎月大体五万円ぐらい授業料が掛かるんです。そしたら、毎月五万円の塾代が払える家庭とそうでない家庭、やっぱりあると思います。  子供たちが自分の選択で、私は進学しないとか何々したい、それも私は尊重すべきなんです。ただ、進学したい、いい中学校へ行きたいと思ったときに、塾代が払える家庭に生まれてきたか、そうでないかによってハンディキャップがあってはならない、そう思っているんです。だからこそ、例えばですけども、塾を目の敵にするわけでもありませんが、塾に行かなくても済むように、お金を掛けなくても済むように、そんな社会をつくっていけないかな、そんなふうに申し上げたかったんです。  この点について、ここは文部科学委員会でもありませんので、小坂大臣にお答えいただくまでもないと思います。時間の都合もありますので。──そうですか。じゃ、お願いいたします。
  179. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 前川委員の御指摘に従って、私どものやっていることも御理解いただきたいと思ったわけでございます。  小泉内閣の方針に従いまして、私、また川崎厚生労働大臣厚生労働省では児童館を中心にしまして学童保育をやっております。私どもは子どもの居場所というものをやっておりまして、放課後の空き教室等を使っておるわけでございますが、これらの事業を一体的に運営をして、学びの居場所と言われるような、仮称でございますが、こういったものをつくろうということで予算を計上さしていただきまして、スタートをいたします。  それは、放課後、塾に行けない、そういった経済的に塾に行けない方たちでもそういうチャレンジができるような場所、すなわち退職教員の方にいていただいて、そして宿題の面倒や勉学にいそしみたいという児童の方にアドバイスができる、そういう場所を全国でつくってまいりたい。各学校の空き教室を利用しながら、教育委員会を中心にして、教育委員会厚生労働省と文科省の両方の予算をうまく使っていただいてそういうものを運営する、こういうことをスタートさしていただいておる、そういうこともやっているということも御理解いただきたいと思います。
  180. 前川清成

    前川清成君 御丁寧に大臣、ありがとうございました。  親の財布の重さで子供たちの未来に差が付かないように是非お願いいたしたいと思います。  それで、担当大臣にお尋ねいたします。  簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案の第二条に基本理念が書かれています。その中で、政府及び地方自治体の事務及び事業の透明性の確保を図りとあります。透明性の確保を図る、これがなぜ大切なのか、この趣旨を御説明願いたいと思います。
  181. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) この基本理念のところの趣旨でございますが、簡素で効率的な政府を実現するためには、今もうずっといろいろ御議論がございます。かなり、もうこれは要らない仕事だとか、あるいはこれはもっと簡素化できるんじゃないか、これは統合できるんじゃないか、こういったことの内容が分かってなかったら、そうした今の議論もできないわけでございます。  そうした意味におきまして、これを実現するための一つの手段といいましょうか、事務事業の仕分に加えて、必要な情報を適切に開示することや国民の意見を聴く機会を適切に設けること、これらを通じまして事務事業の透明性の確保を図って、国民の理解を得つつ行政改革の実を上げていくと、こういうことでございます。  その意図からそうしておりますが、これは必ずしも制度的な裏付けを伴うものばかりとは限りませんが、第二条において透明性の確保等の基本理念が明記されていることによりまして、本法案に定められた各改革を具体化する過程においては、それぞれにおいて必要に応じたこの趣旨が踏まえられるものだと、このように考えております。
  182. 前川清成

    前川清成君 大臣、後半のお答えはまだお尋ねしておりませんです。  それで、今大臣の御答弁の中で、簡素で効率的な政府を実現するためには透明性が大事なんだと、こういうことがありました。しかし、そもそも簡素で効率的な政府の実現という目的がなかったとしても、先ほど大塚委員の御答弁にもありました、政府事業も地方自治体の事業もすべて国民からいただいた税金でさせていただいているわけですから、透明性、情報公開、これは当然だと思うんですが、大臣、いかがですか。
  183. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 正にそのとおりでございます。
  184. 前川清成

    前川清成君 今お答えいただいたような広い趣旨での透明性を確保する、そのための制度的にどのような制度があるのか。先ほどの大塚委員の議論の中でも、公務員がうそをつき放題なのかというようなところもありました。透明性を確保するためには、じゃ、基本理念としてはお書きいただきました。それを実現するための制度としてこの法案の中にどのような条文が盛り込まれているのか、お尋ねいたします。
  185. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 今までの主務官庁なりが認可をしたりしておりましたこの公益法人と、あるいはまた市場化テストで役所の仕事を外に出していく、こういったことに対しましても、すべて第三者といいましょうか民間の方々の一つの議を経る、御判断をいただく形になっております。総人件費改革につきましては、民間有識者によるこの有識者会議、これが設けてありますが、ここにおいて会議の内容の公表、国民からの幅広い意見の募集、実施など、これも透明性の確保をやっておりますし、また特別会計改革につきましても、企業会計の慣行を参考とした資産、負債の開示、その他の情報開示のため法制上の措置を講じること、いろいろとそのほかにもありますが、かなりのところでそうした情報を公開すること、会議録を公にすること、こういったこともすべてここに書いております。
  186. 前川清成

    前川清成君 私は、政府がお題目として透明性をおっしゃるのではなくて本気で情報公開をおっしゃるのならば、この法律の中に明文で情報公開に資するような条文を入れなければならなかったのではないかな、そんなふうに思っています。  それで、今御説明いただきました透明性という視点から、金融庁と貸金業者との癒着の問題、あるいは情報隠しの問題、うその答弁の問題などにつきまして二、三議論をさせていただきたいんですが、その前に、前提として、総理にサラ金の金利についてお伺いをいたしたいと思います。  今、サラ金やカード会社は、百万円未満の貸金については年利一八%、百万円以上については一五%という利息制限法の規定には違反をして、ただし出資法の上限金利であります二九・二%の制限の範囲内で営業を続けています。これが最近よく最高裁の判例で出てまいりますグレーゾーン金利ということであります。  私たちが今、とらの子の預金を銀行に預けましても、普通預金でありましたら今〇・〇〇一%です。定期預金であれば〇・〇二%しか金利が付きません。出資法の上限金利は普通預金金利のおよそ二万九千倍に当たります。私たちが百万円銀行に預金しても、一年間で金利は十円しか付きません。しかし、サラ金であれば百万円貸し付けたならばおよそ三十万円金利を取ることが法律で許されています。  その一方で、サラ金が巨額の、その結果、サラ金が今巨額の利益を得ています。これは昨日の読売新聞なんですが、見出しは「消費者金融大幅減益」とあります。見出しはこうなっているんですが、金額を見ますと、アイフルの営業利益は五千四百九十五億円。(発言する者あり)五百ですか、いや、単位、億円ですよ。五千四百九十五億円です。アコムは四千四百……(発言する者あり)いや、違います。読売新聞です。プロミスは三千八百十二億円、武富士は三千五百十二億円と。営業利益ですよ、与謝野大臣。これは私、だったらそれは読売新聞に言ってください。ただ、与謝野大臣ね、朝日新聞も同じ数字を書いています。だから間違ってないと思います。  サラ金が五千億円近くもうける。五千億円と言われましても我々庶民にはぴんときません。朝日新聞を見ました。そしたら、くどいようですけれども、例えばマツダ、自動車のマツダで一千二百三十四億円、三菱自動車で六十七億円、三菱重工業で七百九億円、川崎重工業で四百十七億円、武田薬品で四千二十八億円、大正製薬で四百六十三億円、これだけの利益を得ています。  それで、フォーブスという雑誌があります。この雑誌の中に日本の億万長者、去年の六月号ですが、日本の億万長者トップテンというような報道がありました。  日本の資産家上位五名のうち三名まではサラ金の創業者です。一位はサントリーの会長さん兼社長さんですが、二位がアイフルの社長で、その資産は六千百六十億円。三位は武富士の創業者で六千五十億円。五位はアコムの創業者で五千百七十億円だそうです。何と五人中、日本のお金持ちの五人中三人までがサラ金の社長と。  このようにサラ金が大もうけをしている陰で、毎年九千人の方が経済苦、お金がないという理由で自殺をしておられます。毎年二十五万人もの方が自己破産を強いられています。ですから、私は、この出資法の二九・二%という金利、もう高過ぎる、そう思っています。総理、いかがでしょうか。
  187. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、私が大蔵委員会に所属してさんざん議論した問題なんです、当時。大蔵委員会の理事をもしていましたし、私は自民党の財政部会長もしておりまして、この問題については、言わば利息制限法と出資法の問題、言わばグレーゾーンの問題なんだ。そのときにもさんざん議論した問題で、なかなか法律では解決できない問題が多くあったのを今でも覚えております。  私は当時の責任者の一人でありますし、そのときに、利息制限法と出資法において、刑事罰の対象となる金利とそれから民事上無効となる金利、その間のグレーゾーン。当時でも盛んに議論になったのが、法律で決めても借りたい人がいると。もし法律で決めちゃうと必ずやみがはびこると、これをどうやって解決するのかというのが非常に大きな問題になったんです。  そういうことから、あのグレーゾーンというのができたんですけれども、確かに一般的に考えれば、金利高過ぎますよ。しかし、もっと高くてもいいという、借りる人はたくさんいる、そういうときにどうするのかと。ただただ、やみにはびこるばっかりじゃないかという問題があって、今でもそれに似たような問題があります。貸す方も悪いけれども借りる方も悪いと。これ、一面の真理でありますよ。  だから、そういう点も含めて、私は今の指摘された問題、貸金業者だけでなくて、個人の間の貸し借りにもこれは適用されますからきっちりやると。そういう点も含めて検討して、いい結論を出していただきたいと。なかなか難しい問題だということは承知しております。
  188. 前川清成

    前川清成君 総理、二点、実は総理に申し上げたいと思います。  まず、やみ金がはびこる、これはどうしようもないじゃないかという御意見でございますけれども、やみ金というのは犯罪なんですよね。犯罪ですから、やっぱりこの国のトップリーダーとして、やみ金も、犯罪もしようがない、そうおっしゃるのではなくて、その犯罪を根絶するためにやはり指導力を発揮していただきたいというのが一つであります。  もう一つ、大変生意気なことを申し上げますが、金利が高くても貸してほしいというような人は世の中にいません。お金を借りる人は金利は低ければ低い方がいいんです。そうじゃなくて、高い金利でも手を出さざるを得ない困った立場の方々がある。その方々のことに思いを致していただきたいと、そんなふうに思います。  例えばですが、厚生労働省平成十七年度版の母子家庭の母の就業支援に関する年次報告書、これによりますと、母子家庭におきましては、稼働所得、働いて得る所得が年間百九十一万三千円というふうに報告されています。一月当たり十五万九千四百円です。もしも、母子家庭のお母さんが病気になってしまった、生活費がない。その場合、確かに総理がおっしゃるように、金利が高くても今日食べていくために高利貸しから金を借りなければならないのかもしれません。しかし、お母さんが元気になっても、十五万円余りの給料で年利三割の高利貸しへの借金返すことはできません。毎月利息を細々と払っていっても、いつまでたっても元金はなくならない、ずっと金利を取られ続ける、それが現実じゃないかと私は思います。  母子家庭のお母さんにとって、病気になってしまったお母さんにとって大切なのは、緊急時に低利でお金を貸してくれる公的なシステムであるとか、そのような社会保障システム、社会保障制度ではないかと私は思っています。  池田勇人さんは貧乏人は麦を食えと、こういうふうにおっしゃったそうですが、私は貧乏人に金を貸すサラ金は要らない、そういうふうに思っています。総理、いかがでしょうか。
  189. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今は金持ちの方が麦を食っているという時代になったようでありますけれども、私は、その点も含めて言っているのは、借りる人の立場に立ってみれば金利は低い方がいいんですよ。しかし、高くても、借りざるを得ない人でもう高くてもいいから借りたいという人はいるんです、困って。そういう点があるから、低ければ低いほどいいです。その場合に法律は何%がいいのかと、刑事罰の対象は何%がいいのかというのを今議論して、じゃ、どこがいいのかという問題はいまだに続いているんです。その点もよく含めて、いい結論を出していただきたいと。  私は、この金利なり貸金業者の専門家じゃありませんから、実態を聞けば聞くほど、当時も、もう関係者からさんざん私は意見聞きましたよ。なるほど、これは法律以前、人間関係の信頼関係。どこも貸してくれることはいない。貸すことによって罰するんだったらどんなことでもしたいという人はいる、どうするんだと、いろんな議論が出ました。そういう点もありますから、いい結論を出していただきたい。  金利は低い方がいいです。
  190. 前川清成

    前川清成君 総理、くどいようですが、高い金利でも手を出さざるを得ない、そんな立場の人たちをなくす、そういう努力が私は政治には必要だと思っているんです。そんな立場にある人たち、高利でも金を借りざるを得ない人たちがあると、だから高利貸しの高金利を許す。それは、私は、今の痛みに耐えて、いいあしたをつくろうと、そう訴えた総理のお考えとは少し離れているんじゃないかなと私は思っています。
  191. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは誤解ですよ。それは、社会保障制度をしっかりするというのとこれはまた別の問題です。  社会保障制度はしっかりしなきゃいかぬと。どうしても食うに困るような人なら、生活保護、しっかり手当てしてやると。それと今言った現実の問題、金利の問題、低けりゃ低いほどいいんですけれども、今お話ししたように、実態は、法律で縛ることのできない分野の人がたくさんいるということであります。その点について、法律で縛った場合どういう影響が出るかということをさんざん今まで議論してきたんです。  貸す人もいけないし、借りざるを得ない困っている人はたくさんいる。しかし、中には踏み倒すのを覚悟して借りている人もいるわけです。いろんな人がいるんです。そういう点に対してどういう影響があるかということを十分考えて、金利は低い方がいいと、法外な金利を取っている人を罰しなきゃいけないということは分かっています。そういう中での議論なんです。
  192. 前川清成

    前川清成君 今総理の方から、借り手にとって金利は低ければ低い方がいいんだ、そしてまた、いいお話がありました。またこれは、貸手、業者にとっては金利は高ければ高い方がいいんだろうと、そんなふうに思います。  ですから、適正な金利、法律で罰する適正金利、出資法の上限金利を決めるに当たっては、私は、貸手と借り手両方の意見を公正に聞いて、その上で判断しなければならない、そんなふうに思っています。  それで、二〇〇七年の一月に上限金利の見直し時期がやってまいります。それに備えて、金融庁の中では貸金業制度等に関する懇談会というのを立ち上げられました。これは、平成十七年三月三十日に第一回懇談会が開かれまして、今年の四月二十一日にその中間報告がまとめられました。  この金融庁の貸金業制度に関する懇談会、メンバーを見ますと、オブザーバーとして全国貸金業協会の会長さん、アコムの社長、レイクの社長、オリックスの社長、いわゆる貸手側、貸金業者の側はオブザーバーとして加わっているんですが、借り手の側、消費者の側はだれも加わっておりません。  私は、じゃ、これは大塚委員の虚偽答弁の話につながるわけですが、五月十日の決算委員会で、おかしいじゃないですかと、なぜ消費者の代表を入れないんですかというふうにお尋ねをいたしましたところ、金融庁の畑中さんは、いいえ、オブザーバーとして宇都宮弁護士に加わっていただいていますと、こういうふうに堂々と見え見えのうそをおつきになられました。  今日、お手元に資料を配付しております。メンバー表を配付しております。それは、金融庁がまとめたこの中間報告の一ページ目にあるメンバー表であります。その中にオブザーバーとして宇都宮弁護士の名前は一切出てきません。正に動かぬ証拠だと私は思います。  政府の、透明性を確保するのであれば、せめてこの畑中さんのような見え見えのうそについては、一罰百戒なのか百罰百戒なのかはともかく、厳しく処分する必要があると思うんですが、総理、いかがでしょうか。
  193. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) この懇談会は完全にオープンな懇談会でございまして、新聞記者の方も自由にそこで、すべての時間取材することができるということでございますから、オブザーバーとして貸金業者がそこに加わっていても私は何ら差し支えない状況であったと思います。  加えまして、消費者の代表がおられないという先生の御指摘ですけれども、弁護士の方はお一人、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会委員先生がお一人……
  194. 前川清成

    前川清成君 何という方ですか。
  195. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 上柳さんってお読みすると思うんですけれども、この方が加わっておりまして、それから消費者サイドの意見を言う方で埼玉大学経済学部の講師である原早苗先生、それから生活経済ジャーナリストの高橋伸子さんという方も消費者サイドの意見を言っていただくために加わっていただきました。  事情がございまして、この弁護士の先生が、いよいよ中間取りまとめに向かう十四回目に御欠席ということが判明いたしまして、急いで今先生が言われた弁護士の先生に加わっていただいて、十五、十六、十七回で取りまとめを行いましたが、そのときにはこの上柳先生は再び出席してくださいましたので、そういう意味では弁護士の先生を含めまして消費者サイドの意見を言う方はきちんと毎回出席していたということでございます。
  196. 前川清成

    前川清成君 私は、与謝野大臣のお人柄を敬愛していますので、与謝野大臣が今あえてうその答弁をなさったとは思っていません。与謝野大臣は恐らく正確な説明を受けておられないんだろうと思います。  まず、この懇談会は完全にオープンなんだからオブザーバーとしてサラ金の社長が加わってもいいじゃないかという御指摘がありました。その点について、まず一点。サラ金の社長はオブザーバーとして出てきて日当までもらっているんです。消費者が仮に傍聴に来ても日当は支払われないはずです。  それと、揚げ足を取るわけではありませんが、これきっと大臣御存じないんだと思いますが、第四回の、十七年六月十五日、このときに全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会事務局長の本多さんという方からヒアリングがありました。本多さんは、サラ金の社長がオブザーバーに加わっているのを見て、金融庁に対して私たちもオブザーバーに加えてほしいと、こういうふうにおっしゃいました。それに対して金融庁はまかりならぬと。それならばせめて傍聴させてくれと、こういうふうな申出をなさいました。しかし、金融庁はその昨年の六月の段階ではこれも断ります。  懇談会も、いつごろからか私は確かには把握しておりませんが、承知しておりませんが、随分、今年になって傍聴が緩やかになった時点でようやく本多さんたちの傍聴を許可したと、こういうことであります。  また、これは決算委員会でも申し上げましたが、懇談会の第二回、平成十七年四月二十七日、日弁連の消費者委員会代表として宇都宮弁護士、木村達也弁護士、三木弁護士、新里弁護士、この四名が意見を述べました。その席上、この四名の弁護士から、自分たちもオブザーバーに加えてほしいと、こういうふうに申し出ています。しかし、金融庁はこれも断ったんです。  上柳弁護士が加わっておられるからもう消費者の意見は聞いているじゃないかというような今大臣の御答弁でした。上柳先生、私もよく存じ上げています。立派な先生です。しかし、これから御紹介申し上げるように、弁護士がすべて消費者の味方かというと、そうじゃないんです。武富士の顧問弁護士もいれば商工ファンドの顧問弁護士もいるんです。弁護士がいるからもうそれで消費者の意見を聞いているからというのはとんでもない理屈じゃないかと、私はそういうふうに思います。それと、オブザーバーに加わるかどうかというのは基本的に違うんです。  この中間意見取りまとめの経緯について大臣は詳しく御報告を受けておられるのかどうか分かりませんが、例えばアコムの社長はこの報告書のてにをはまで文句を付けている。それについて傍聴した新聞記者は、まるで言い掛かりのようだった、そんな感想も述べているんです。  金融大臣はどこまで御存じの上で今の答弁をなさったのか、再度お尋ねいたしたいと思います。
  197. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 懇談会でございますから、委員になっておられる方もまたオブザーバーの方も自由に意見を言っていただく。それは大変透明性高く、新聞記者もその現場にいて取材をしているわけですから、私は議論は公平に行われたと確信をしております。
  198. 前川清成

    前川清成君 大臣、それ、お答えになってないじゃないですか。  じゃ、お尋ねします。  消費者の代表として、平成十七年四月二十七日、日弁連の消費者委員会推薦の四名の弁護士から自分たちもオブザーバーに加えてくれとはっきりした申込みがありました。これに対して金融庁が断ったのはどうしてなんですか。  今大臣が、いや、宇都宮弁護士はオブザーバーだったと、うその答弁はないとおっしゃったけれども、そうであるならば、なぜこのメンバー表に宇都宮弁護士の名前が出てこないんですか。
  199. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) これは十四回目にお願いをして出ていただいた。また、この先生は大変消費者金融にお詳しい方でございますので、中間取りまとめに向けたときに、やはり法曹の御専門家がいた方がいいという判断をしたわけでございます。また、宇都宮弁護士は十五回、十六回、十七回目のこの懇談会にも御出席をいただいております。
  200. 前川清成

    前川清成君 大臣、僕が申し上げているのは、宇都宮弁護士がオブザーバーだったという金融庁の答弁がうそでないのならば、なぜメンバー表に名前が出てないんですか。出席者というのとオブザーバーというのは違うでしょう。オブザーバーだったら最初から最後まで出るじゃないですか。一回ずつ臨時雇いのオブザーバーなんてないですよ。
  201. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先ほど御説明したように、宇都宮弁護士については、元々、上柳委員が欠席される場合にオブザーバーとして御参加いただくこととした経緯から、中間整理のリストには掲載しておりません。
  202. 前川清成

    前川清成君 だから金融庁というのは信用できない。たまたま上柳弁護士が御都合が悪かったら、そのときに限って臨時でただ一人の弁護士をオブザーバーとしてお願いするだけ。ところが、高利貸しの代表は七人も出ているじゃないですか。明らかにアンバランスですよね。  仮に今の大臣の御説明がすべて真実だとしても、金融庁と貸金業界がいかに癒着しているか、この点について少し事例を御報告申し上げたいと思います。  商工ファンドという商工ローンがありました。今、SFCGというふうに屋号を替えています。これは、平成十一年の十二月、商工ローンの高利や違法な取立て、さらには保証人被害が大きな社会問題となりましたときに、参議院の財政・金融委員会でその社長が証人喚問を受けたことがあります。その際、社長の補佐人を務めてこの国会にやってきた弁護士は、今、金融庁の顧問弁護士になっています。商工ファンドの補佐人を務めた弁護士が、商工ファンドの社長の補佐人を務めた弁護士が確かに商工ファンドの顧問弁護士なのか、その当時正式な顧問契約があったのか、それは私の方で確知することはできません。しかしながら、国会で違法な取立て等が大問題になっていると、そんなときに、一見の顧客に頼まれて国会にまで付いていくということは恐らくないだろうと、そんなふうに思います。この点は、法曹資格を持っておられる杉浦法務大臣も御異論はなかろうかと思います。そうだとすれば、商工ファンドが大変社会問題になったときに商工ファンドの顧問弁護士をしていた方が、今、金融庁の顧問弁護士をしておられる。  そして、先ほどコンプライアンス室が法令等遵守室に替わったという話がありますが、金融庁のホームページをごらんいただきますとその法令等遵守室のページがありまして、金融庁に直接言いにくいときはどうかこの私に直接言うてきてくれと、そんなことも書かれているんです。非常に金融庁と密接な関係のある方が元商工ファンド、今もかもしれませんが、商工ファンドの顧問弁護士だと。こんなことが許されるのかと。  逆の例もあります。SFCGには何人もの顧問弁護士がいらっしゃるんでしょうが、その中の一人に日野正晴さんという弁護士さんがいらっしゃいます。これは、平成十六年二月二十日のSFCGに対する最高裁判決が二件ありますが、その中の当事者目録にも名前が連ねられています。日野さんは、二〇〇四年一月二十三日、最高裁で、商工ローン被害なんて存在しないと、もしあれば監督官庁が処分していると、こういうふうに弁論されたそうです。  日野正晴さんがどなたなのか、与謝野大臣は覚えておられるでしょうか。元金融長官、元金融監督庁の長官であります。そして、いみじくも、平成十一年、商工ローンが、腎臓を売れ、目ん玉売って返せと恐喝を行い逮捕されたときに、そして社長が国会喚問を受けたときの金融監督庁の長官であります。取り締まる側の最高責任者がいつの間にか取り締まられる側の、しかも、これまでに国会で喚問を受けたり何度か行政処分を受けた業者の、貸金業者の弁護をしていると。総理、これではやっぱり金融庁と貸金業者、裏でつながっているんだ、だから金融庁は消費者を守ってくれないんだと、そう思っても当然ではないかと私は思います。  現に、平成十六年、金融庁に対して一万八千四百三十件、実に二万件近い消費者からの苦情や申告がありました。これに対して行政処分はわずかに八件です。率にして〇・〇四%しかない。こんな状態、本当にこのままでいいというふうに与謝野大臣お考えになっているんですか。金融庁のこの透明性、確保する必要はないんでしょうか。
  203. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私、弁護士という大変難しい職業は、依頼人の要請を受けて、必要な法律知識、また法律判断を提供する職業であると思っております。  これは、通常、一人の弁護士の先生が複数の依頼人を抱えているということは間々あることでございまして、通常の姿であると思いますが、その依頼人間で利益相反があったり双方代理がない限りは、私は、どういう方に対して法律的な知識を提供し、あるいは法律的判断を提供しても、それは弁護士会の中でのいろんな規定はございますでしょうが、やはり私はそれは許されていることだろうと思っております。
  204. 前川清成

    前川清成君 利益相反があるかないかですが、あるんじゃないんですか。二万件も苦情があって八件しか処分しない。おかしいと思いませんか。  それと、この話は、おっしゃったので、与謝野大臣には一度聞いていただいたことがあると思いますが、総理には初めてですので申し上げます。  その昔、アイフルの社員が取立てに当たって債務者を殴ったと、こんな事件がありました。私たちは仲間を募って裁判を起こしました。そして、平成十一年の十月二十六日、大阪高等裁判所はこの暴行を認定して、アイフルに対して三十五万円の損害賠償を払えという判決もありました。アイフルは上告もせずに、この判決は確定しました。しかし、この暴行事件について、金融庁はいまだ行政処分をしないんです。取立てに当たって殴る、明らかな違法行為だけれども、まだ行政処分はしない。どうしてしないんですかと聞けば、アイフルの利益に反するからと、こういうような趣旨の御答弁を与謝野大臣金融委員会でなさいました。私は、それはおかしいんじゃないかと思っています。  確かに、もしかすると内部で公正になさっているのかもしれません。しかし、行政である以上、公正である以上に公正らしさ、国民の皆さん方から見て、自分たちの税金を使って政治をやっている、ああ、任しといて大丈夫なんだ、そういう公正らしさも私は求められるのではないか。今の金融庁にはこの公正らしさが明らかに欠けていると私は思いますが、総理、いかがでしょうか。
  205. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私は、公正らしさではなくて公正を追求しなければならないと思っております。  そこで、一般に、貸金業者に対して行政処分を行うに当たっては、苦情の受付や業者からの事情聴取、貸金業規制法に基づく立入検査及び報告徴収、関連する民事裁判及び刑事裁判等により事実関係の把握を努め、行政処分を行うに足りる事実関係が認められたと判断した場合には貸金業規制法に基づき厳正に行政処分を行い、これを公表しているところでございます。  行政処分を行っていない個別の事案に対する対応については、従来から答弁を差し控えさせていただいているところでございます。
  206. 前川清成

    前川清成君 大臣、また後で考えて、時間もなくなってきましたので、考えていただきたいんですが、私は、公正らしさがあれば公正でなくても構わないと、そういうコンテクストで申し上げたんじゃさらさらないんです。公正であるのは当たり前なんです。さらに、国民の皆さん方から見て公正だと信じていただくこと、そのためには李下に冠を正す、公正らしさも必要だということを御指摘申し上げたいと、こういうふうに思います。  ちょっと時間がなくなってまいりました。今日はどうしても高松塚古墳の問題を総理にお聞きいただきたい、こんなふうに思っています。  高松塚古墳、昭和四十七年に発見をされました。その直後に、発見直後に閉鎖をされました。以来、国民にも、そして研究者にも公開されておりませんでした。ただ、文化庁のみが観察することができました。  そんな状況の中、今日はお持ちしたんですが、文化庁が監修の写真集が出版されました。「国宝高松塚古墳壁画」という本であります。(資料提示)この本の中で河合長官御自身が、文化庁の、平成十六年三月に出版されたんですが、この著書の中で河合長官御自身が、幸い三十年を経ても壁画は大きな損傷あるいは退色もなく保存されていますと、こういうふうにお書きになっています。しかし、皮肉なことに、この本が出たことによって高松塚古墳がカビだらけということが分かってしまいました。この写真を見た新聞記者が、おかしいじゃないかということで、発掘に当たられた網干先生に直接この写真集をお見せしたそうです。そして、カビが生えているということが分かりました。  私は、なぜ河合長官がこのようなうその説明をされたのか不思議に思いました。私は、河合長官があえてうその説明をされたとは思っていません。むしろ、河合長官は役所からきっちりとした説明を受けていなかった、あるいは河合長官に対してうその説明があった、だから河合長官はこのように序文を書いてしまって大恥をかいてしまったんだ。私は、ある意味、河合長官に同情的に考えておりました。  そこで、私は五月十日の決算委員会でこの点をお尋ねしましたところ、文化庁の河合次長から、確かに河合長官の文章は不適切だと、あらかじめ河合長官に壁画の詳細も説明した、だからカビが生えていたそのことは河合長官も承知の上だ、こんなふうな御答弁がありました。  私は、それでも河合長官がむしろお気の毒ではないかと思っています。河合長官の名誉のためにも河合長官に弁明の機会を差し上げるべきではないかと思いまして、今日お呼びしたい、そんなふうにお願いをしました。  しかし、文化庁長官は国会には来ていただけない、そんなルールがあるのかどうか知りませんが、来ていただけませんでした。再度、委員長始め理事の先生方に御再考を、河合長官の名誉のために、河合長官の弁明の機会のためにも是非御再考をお願いしたいと、そんなふうに思います。そして、もしも役人たちが、文化庁や文部科学省の役人たちが自分たちのミスを河合長官に押し付けようとしている、そうするならば大変けしからぬことだと思います。この点についても是非調査をお願いいたしたい、こんなふうに思いますが、総理、いかがでしょうか。
  207. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今御指摘の事実関係を調査して、委員会に報告させたいと思います。
  208. 前川清成

    前川清成君 私は、文化庁の組織というのがちょっとよく分からないんです。一体、文化庁長官というのは北条執権の下における鎌倉将軍のものなのかどうなのか。ちょっと、どういう役割をしていただいて、どういう責任の取り方になっているのかと。もしかしたら役人たちの責任逃れの隠れみのに文化庁長官という存在があるのであれば非常にお気の毒だと思います。行政機構としてもけしからぬことだと思います。  この点、お尋ねをいたします。
  209. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) ただいま前川委員お話がございました。先ほど、前川委員が決算委員会で質問をされたというときにおっしゃった、河合次長とおっしゃいましたが、長官の名前がそのまま引かれただけでございまして、それは加茂川次長でございますね。加茂川から申し上げたんだと思いますが。  まずもって、一つ、文化庁の長官がなぜ国会に出ないのかということにつきましては、国会に出ないわけではございません。担当委員会においての説明責任というのは私もあると思っております。  ただ、今回のこの事案についてどうかということで申し上げるならば、文化庁関係の国会の審議においては、国会のお許しを得て、基本的には私や副大臣大臣政務官が責任を持って質疑に当たっておりまして、細目的あるいは技術的な事項については文化庁の次長が御説明をするところになっているわけでございます。また、長官は我が国の文化の顔として国内外の文化関係者との活発な交流を行うなど、他の行政部局の長に比べて特別な性格を持っていると。こうしたことから、文化庁長官の業務の特殊性から、国会への出席は日常的に行政実務全般を取りまとめている文化庁の次長が担ってきたという形になっているわけでございまして、今後とも私が中心となって文化行政及びこれに関する国会質疑には真摯に対応してまいりたい、このように考えております。  また、過去においては文部科学委員会において文化庁の長官が出ておることはあるわけでございますので、一切国会に来ないということではないということをひとつ申し上げておきたいと思っております。  また、この高松塚に関連して、長官が出版された書物の関係で報告を受けたかどうかと、こういうことでございますけれども、写真集は、その壁画全体のありのままの写真を公開することによって広く壁画の状態についての国民の理解を得るという情報公開の目的も含めて刊行したものでございまして、河合長官平成十三年以降に、取り合い部及び石室にカビが大量に発生したことについて当時の担当課長から説明を受けているわけでございます。  序言の御指摘の部分だけを見ると、部分というのは序言という頭の部分ですね、長官の言葉でございますが、この部分、御指摘の部分を見ると、壁画の厳しい現状を踏まえた表現になっていないという御指摘もあるわけでございますけれども、序言全体を見ますと、壁画の保存、管理は決して容易なものではないというような記述もあるわけでございまして、必ずしも丁寧な説明がなされているとは言えない、あるいは誤解を与える表現だという御指摘も理解はできるわけでございますが、そういう意味で、知らないというわけではなくて、本人がそのように思ったということであります。
  210. 前川清成

    前川清成君 時間が参りましたのでこれで終わりにさしてもらいますが、小坂大臣お願いしたいのは、私は今のような弁解を聞きたくてお尋ねしたのではなくて、河合長官に加茂川次長たち役人が責任を今押し付けようとしているんじゃないかと、それであればけしからぬことですよと、政治家である大臣が責任を持って、リーダーシップを取って真相を明らかにしてほしい、こういうことをお願いいたしました。  それと、今日は法務大臣にも防衛施設庁の点で通告をさせていただきましたが、時間が参りました。お尋ねすることができなくて申し訳ございませんでした。  これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  211. 高嶋良充

    高嶋良充君 総理、お久しぶりでございます。久しぶりに総理と論戦をさせていただきたいと思いますが、先ほど大塚委員の御答弁のときに、総理が、民主党の人件費改革、三年で二〇%だと。最近、鬼の首を取ったようにいつも言われているようでございますが、そのことについて若干反論をしておきたいというふうに思っています。  民主党の三年二〇%というのには二つの骨格というか、柱があるんです。一つは、徹底的な地方分権を行うと。すなわち、国と地方の役割分担をしっかりとして、国の事務事業を縮小して地方で充実をさせると。私から言わせれば、小さな政府、充実した自治体をつくり上げるんだと、そういうことがまず一つの柱になっている。もう一つは、労働基本権を回復をするということがもう一つの柱なんです。  先ほども総理の方から、五%の純減でも配置転換を含めて大変なんだと。そのとおりなんですね。そのとおりなんです。だから、私は、そういう労働基本権を与えていないというような今の法律で縛るような硬直した公務の労使関係民間と同じように柔軟な労使関係に変えることによって、そして勤務条件を交渉、話合いによって、職員、労使の合意の下に勤務条件を変更していくということがこれからの時代にとって非常に重要なんではないか。  国鉄がJRに変わるときに、亀井正夫さんが当時の対策委員長で、そして民間企業への転籍も含めて一人も路頭に迷わさないんだと、こういうことでやられました。あのとき国鉄はスト権はなかったけれども、交渉権があったために民間の転籍について労使で合意をして、そして転籍をしていったんですね。そういう柔軟な労使関係がこれから公務の職場に必要なんではないですかと。  そういうことで民主党はこの二つの柱を推している。そのことによって三年で二〇%の国家公務員の削減はできますよと、こういう提案だということで御理解をいただきたい。前提はこの二つだと、こういうことでございます。  総理は、こういう柔軟な労使関係を行っていくということについてはもう御理解をいただけているんだろうというふうに思っています。既に三月二十日に、政府と連合との間の協議において、労働基本権を付与する公務員の範囲について検討していく、そのために検討の場を設置をするということを表明をされています。私は、この政府の努力は評価をしたいというふうに思っているところであります。  じゃ、どのような検討をしていくのかということになるわけですが、総理は、この労働基本権を含めて、公務の労使関係制度をどのように改革されようとしているのか。改革に関する基本認識と改革の基本的な方向についてまず見解を伺いたいと思います。
  212. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私が申し上げているのは、民主党が三年間で二〇%国家公務員を削減すると言っているから、それを言っているんです。それ、それじゃ三年、同じように三年内でこの労働基本権の問題が解決できるという前提なんですか。これができなかったら三年間二〇%はうそなんですか。そんな簡単なものじゃないと思いますよ、私は。五年で五%は不十分、不十分だと政府を批判、攻撃されている。三年で二〇%といったらもっと困難だと思うんですけれども。それに対して政府を批判しているから。もっと困難なことをやろうとしている。  労働基本権の問題があるから私は政労協議の場を設けましょうと。じゃ、これが解決してからこの公務員の削減の問題を考えようといったら、三年で二〇%なんというのはできるわけないじゃないですか。できるわけないことを言っているんですか、それじゃ。そこを聞きたいんです。  ただ、今の御質問ですから、この基本権の在り方についてはいろんな意見があります、国民の中にも。国家公務員に、この基本権の問題について与えた方がいいのか、与えない方がいいのか、交渉権、団結権、争議権、いろいろあります。これについては、じゃ、どの分野に与えるべきか、どの分野はこれはやっぱり与えない方がいいかというような議論を、三年以内に解決できますか。これ、難しい問題があるから検討の場を設けようということで今有識者を加えてやろうと、ようやくスタートしたんですよ。  そういうことも含めて、私は、三年間で二〇%削減しよう、削減しようと言って、政府は五年で五%、不十分、不十分だと言っているから。私は本当のことを言っているんです。うそなんか言っていないですよ。民主党はそれじゃ、それは、三年間、誤解するなと言うんだったらそれでいいですよ、文句言っているんじゃないですから、私は。(発言する者あり)全然。じゃ、本当なのかどうか。じゃ、その労働基本権を解決しない限りは三年で二〇%できませんと言うんならいいですよ。私たちの言っていることは無理を承知で言っているんですというんならいいですよ。
  213. 高嶋良充

    高嶋良充君 だから、前提と申し上げましたように、地方分権と労働基本権をきちっとすることによって、結果として三年間で二〇%の国家公務員の削減については可能ですよと、こういうことを申し上げているんであって、だから、今総理が言われたように、労働基本権を回復をして柔軟な労使関係をつくることがまず先決ですよと、そういうことを申し上げたわけでありまして、先ほど、今の総理の答弁を聞いていると、こういうふうに理解していいですかね。  人件費削減など公務員に大きな痛みを伴うための今回行政改革を進めて、その実効性を確保していきたいと、そのためには公務の労使関係制度も改革しなければならない、だから労働基本権を付与する分野と付与しない分野があるんでしょうけれども、そういうことをこの検討の委員会で検討していくんだと、そういうふうに理解してよろしいですか。
  214. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それはもう労働基本権も含めて、能力主義とか実績主義あります。幅広く検討していかなきゃならないと。  しかし、今政府のやるのは、こういう問題は解決しなくても五年間で五%以上純減しようとしているんですよ。これは難しいことを御理解いただけるでしょう。それを、こんなの不十分だよ、不十分だって批判、攻撃ばっかりしているから、じゃ、民主党は三年間で二〇%削減というのは易しいのかと逆に問いたくなっちゃいますよ。
  215. 高嶋良充

    高嶋良充君 政府の五%を少ないからというふうに私も批判しているのではありません。今の法制度の下では、私は後でも質問をいたしますけれども、今の公務員法制度の下では五%削減なんか到底無理ではないかと、それは、後で北海道開発庁の関係も聞きますけれども、そうだというふうに思いますよ。だから民主党は労働基本権を先に与えなさいと、こういうことを主張しているんだということで、総理の方はそういう検討を、検討していくんだと、こういうことでございますから、そのことを明確にしていただいた。  そこで、総理、そしてその検討の場は、やっぱり労働基本権を付与すると、こういうやっぱり基本方向を持って、それで検討の場で具体的に、じゃ公務員の関係の中で、正に公務員というのは、この労働基本権の制約の根拠になっているのは、これは最高裁の判例というのも出ていますし、中馬大臣の方からも衆議院で答弁がありましたけれども、二つあるんですよね。一つはその地位が特殊性だということと、もう一つは職務が公共性だと、だから労働基本権は制約をするんだと、こういう最高裁判例なんです。  我々が言っているのは、じゃ地位の特殊性というのは何ですかと。これは、公務員は国家に代わって権限を行使するという、そういう仕事をしているということがまず一つありますね。もう一つは、国民生活にとって不可欠なサービスを提供しているんだと。職務の公共性ということを言えばこの二つだと思うんですよ。  じゃ、裏を返せば、国家の名において権限を行使しない公務員、あるいは厳密な意味で不可欠な業務に従事をしていない公務員、こういう人には基本権を保障してもいいんではないですかと。それはどうですか。
  216. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そのような意見があるし、その意見に賛成する人もいるんです。だから、そういう人も含めて検討する場を設けようということであります。
  217. 高嶋良充

    高嶋良充君 是非総理お願いしておきたいんですが、もう一度、しつこいようですが、これは非常に重要な問題ですので再度聞いておきたいんですけれども、総理、私が今申し上げているのは、なぜ基本権なのかと、今なぜ改革なのかという問題だというふうに思っているんです。  これはやっぱり総理にも大きな原因があるんですよ。これは、総理が構造改革、この五年間やってこられました。確かに光と影というものがあるでしょう。だけど、そのことによって、私は光の部分もあるし影の部分もあるというふうに思っていますが、その中でも、とりわけ民間にできるものは民間にということをやってこられました。そのことによって今公共サービス民営化をどんどんされてきましたね。そしてまた、行政の中にも、民営化をされなくても、総理の意向によってやっぱり民間的手法を独自に取り入れようという、そういう自治体も新たに出てきているんですよ。私は、そういうことが悪いことだとは言いません。そういうことの時代の変化になってきているというのは、これは理解をします。そのことによって官と民の垣根というのは物すごく低くなってきたんですね。  それで、行政の中には、もはや公共サービスも含めて、官と民が重なり合ってそのサービスを担っていくという、そういう時代になってきた。あるいは、公務員とNPOとそれから民間と三者がベストミックスで公共サービスをやっていこうという、そういう風潮も出てきているわけですよ。これは私はいいことだというふうに思いますよ。ということは、公務労働の環境変化というのは物すごく大きくなってきているんですよ。  そういう環境変化の中で、公務員も民間労働者も同じ公共サービスを担っている。ごみ収集なんかそういうことありますね。そういう部分についてまで、なぜ公務員だからといって民間の基本権までを認めないのかというのは、これはやっぱり矛盾が出てきているんですよ。そういう矛盾について検討の場を設置をして、労働基本権を付与する公務員の範囲を決めていく、そういうことだと思いますので、是非そういう方向で行革担当大臣も、中馬さん、大阪で一緒ですけれども、ひとつ頑張っていただきたいと、そういうことをまずお願いをしておきたいというふうに思っております。  そこで、この公務員制度改革の柱の中で能力等級制度の問題が一つあります。これはまた後日に譲りますが、もう一つの柱が公務員の再就職問題ですね。いわゆる天下りの問題についてでありますけれども。  その前に、中馬大臣に、先ほど申し上げました公務員の基本権の検討の場の関係について若干伺っておきたいというふうに思っているんですけれども、連合との間で、先ほど申し上げました三月に行われた協議の経過、簡単に御説明いただけませんか。合意事項だけでも結構です。
  218. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) これは法律の中でも、六十三条の二項じゃなかったかと思いますが、こうして時代が大きく今御指摘になりましたような形で変わってきております。そういうことで、こうした公務員制度全般につきまして、もちろん労働基本権の問題も含めてこれは検討するということをちゃんとうたっております。  それに基づいたわけでもございませんが、こうして、これまで少し途切れておりました労働組合との政労協議、これを復活しまして、今年の一月、そしてまた三月に本当に腹を割った議論もさせていただきまして、そしてこれを、今お話がありました、民主党さんのお立場はそうかもしれませんが、ともかくまだまだ国民一般にも、公務員というものがそうしたスト権までもしていいのかどうかといったような逆に疑念もありますし、逆にもうそういう時代じゃないかと、やるべしだというお声もあります。  そうしたことを余り初めから予見を持たずに、そうしたことも踏まえる検討の場をつくろうじゃないか、そういうことを合意したわけでございまして、これから、今かなり詰めているところでございますが、この法律との一つの、法案が採決されました前後にはこのことで再度かなり詰めたこの検討の場を具体的に設けていく所存でございます。
  219. 高嶋良充

    高嶋良充君 じゃ、その検討の場で在り方論と、それから検討の場の設置の時期の関係ですけれども、それはどのようにお考えになっていますか。
  220. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 三月の二十日に開催しました政労協議の成果でございますが、検討の場の在り方や設置時期等につきまして、現在、関係者との調整を進めております。そして、労働基本権の在り方等については、国民意識を十分に踏まえて現実的な姿勢で検討していく必要があるということから、この検討の場におきましては、これからの公務と公務を担う公務員の範囲、在り方についての総合的な検討を踏まえまして基本権の在り方を議論するということにしております。  検討期間をあらかじめ限定することなく、ニュートラルに検討しているということでございます。
  221. 高嶋良充

    高嶋良充君 先ほども総理に申し上げましたけれども、民主党の考え方は、先に労働基本権を与えてから、それから労使交渉によって二割削減の問題も含めて交渉で決めていこうと、こういうスケジュールなんですけれども、政府の方は、この行革法案を見せていただくと、そういうことではなしに、二〇一一年までの五年間で五%を削減しますと、その間に労働基本権問題について検討して一応の結論を出しますと、こういうことになっているわけですね。  一歩譲って、そういう方向で検討されるということになるんであれば、これはやっぱり期間はある程度きちっと定めてこの検討の場というものをやっていただく必要があるんではないかと。二〇一一年、いわゆるこの五年以内にやっぱりこれは片を付けるということでなければならないんではないかと、そういうふうに思っています。ということになりますと、検討の場を設置をされてから一年ぐらい議論をされて、一定の結論を出していただいて、そしてその結論に基づいて二〇一一年までに実施をしていくんだと、そういうことでなければならないと思うんですが、その点についてはどうでしょう。
  222. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 先ほど申しましたように、この法律、第六十三条でかなりの項目を挙げております。公務員に対するいろいろな人事評価のことも、政労協議のことも含めまして、基本権のことにつきましてもこれはちゃんと明記しております。そして、それをできるだけ早くということにしておりますから、もちろんこの五%実施していくためにはその間にかなりの具体的な形の結論が得られるものだと、このように私は認識いたしております。
  223. 高嶋良充

    高嶋良充君 先ほど中馬大臣、今の答弁のその前の答弁の中に、最後の方に一言だけ気になる答弁をされていました。ニュートラルという答弁ですね。これは私、余り意味分からないんですが、衆議院でもそういう答弁をされました。中立と、こういう意味なんでしょうかどうか知りませんが、いずれにしても、先ほどの、最初に私が答弁を総理に求めた分で、このやっぱりもうニュートラルはローであるか、車でいえばですよ、ローなのかセカンドなのかというのは別ですけれども、これはもうバックには入れない、ローの方に目指してこれはもう進んでいるんだと、そういうふうに、でよろしいですか。
  224. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 政労協議の場でニュートラルという言葉が出ましたからここでも使わせていただいておりますが、あらかじめこれはもう前向きにやるんだとか、あるいは従来どおりこれを死守するんだといったようなことの予見を持たずに議論しましょうと、そういう場ですよということでございます。
  225. 高嶋良充

    高嶋良充君 まあ、予見を持たずにということですけれども、これだけの状況、時代の変化、そして小泉総理が五年間掛けられて官も民もないんだと、そういう公務職場の環境変化をつくってこられた、そのことに起因をして、全部じゃないですよ、半分ぐらいはそんなことに起因をして今必要なんだということになってきているわけですから、そういう意味では、国民もかなり以前と違ってこの基本権問題には理解が出てきているというふうに思うんですね。  公務員に労働基本権を与えて、そして柔軟に対応してもらった方が、交渉でそういうことを決めていった方が、何か北海道にしても長野にしても給与を一〇%削減しているけれども、これみんな労使で合意して、北海道は合意できてないと思いますが、合意をして納得してやっているんだなと、こういう柔軟な対応を取れるんですね。政府の場合は、基本的に法律で縛って硬直していますからそれが取れないという部分がある。だから、そういうやっぱり柔軟性というものが必要になってきているんだと。そういうことがこの総人件費改革にも必要だし、そして、来年に予定をされているでしょう、被用者年金の一元化の問題が出てきますね。厚生年金と共済年金の一元化、この問題であるとか、さらに、この法案が通れば市場化テストをやっていくんだと、これはもはや公務員の身分を持ちながら基本的に民間にその業務が移ればこの皆さん方は一体どうするのかというのは大変なことになるわけですね、公務員の身分を含めて。これらについて、やっぱりきちっとやっていこうと思えば職員の納得を得るための交渉をしないかぬ。そのためには、やっぱり労働基本権が必要だし、最低でも交渉権は必要だというのはもうだれが見ても明らかになってきているわけですよ。そういうやっぱり具体的なことをやってもらいたい。  そういうことをやってもらわないと、先ほど言ったようなこれからの当面の課題が実効あるものに成果を上げていくということになかなかならないんではないか、そんなことを心配しておりますんで、総理と中馬行革担当大臣には強いリーダーシップを発揮をいただいて、問題解決を図っていただきたいという、これは御要望として申し上げておきます。  そこで、先ほど若干申し上げましたもう一つの柱であります再就職問題、天下り問題であります。これはもう参議院では松井委員等々を含めていろんな、大きな問題だということを提起をされてまいりました。  この天下りによって、談合の問題であるとか、あるいは今出ています随意契約の問題、正に、政官業とは言いませんけれども、官と業の癒着の象徴になっているんですね。だから国民から強い批判を受けているんだというふうに思うんですけれども。今一番必要なことは、この国民の批判にこたえて、行政の信頼をまず取り戻すことだと。そのためには、天下り問題の一刻も早い抜本解決が必要なんではないかと、そのように私どもは思っているわけですが。  その改革のまず第一は、天下りの根を絶つことだというふうに思うんです。そのためには、天下りをしなければならないような退職管理システムというものをつくっているところに問題があるんではないかと。だから、早期退職慣行を廃止をして定年まで働けるような体制にしなければならないんではないかということをずっと申し上げてまいりましたけれども、総理、その点はどうでしょう。
  226. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) その点については、高嶋議員の御指摘について私も賛成なんです。早期退職慣行、できるだけ定年まで働けるようにするための対応が必要ではないかということで、早期退職を、これは今、三年延ばすというだけでも急にはできないということでありますので、これは五年以内だったかな、五年掛けて延ばす。将来は、私は、定年まで退職しなくても勤めたいという公務員に対しては働けるようなことができる環境をつくっていく方がいいと。  そういう見直しをして、今までのお話を伺いまして、公務員にとっても民間の経験が必要だろうと。民間人でも有能な人は公務員に一時期なってもらって活躍の場を与えることも必要だろうと。いわゆる官民交流ですね。そういう点も含めて柔軟に対応していく必要があるんではないかと。そのためにも、今の現在の早期退職慣行というのは問題があるということで、これを何とか改善していこうという方向で話合いを進めているところでございます。
  227. 高嶋良充

    高嶋良充君 総理は、五年間で三歳ですか、この年齢を今引き上げていく途中だと、こういうことを言われて、急に一挙にはできないんです、こういう答弁ですね。私は、やっぱりもうここまで来ると急に一挙にやっぱりやる必要があるんではないかというふうに思っているんですね。  それで、この三歳を引き上げるのを決められたのは二〇〇二年の十二月の閣僚懇談会の申合せだということであります。その同じ年の五月の予算委員会で私が早期退職の関係について質問をしたときに、総理はこのように答えられているんですね。議事録を持ってきたんですけれども、「五十代そこそこでどんどん早期退職を勧めていくと、そのために特別な就職口を作らなきゃならないという点について見直したらどうかと、何もトップに立つ人が一人でなきゃいかぬ、二人でなきゃいかぬというのじゃないと、同期がたくさんいたっていいじゃないかと、今の時代、六十なんというのはみんな元気だと、六十まで働いてもらえる人は働くようにしてもらった方がいい」、立派な答弁、さすが改革総理だというふうに私は感心をいたしました。  そして、あれから三年半たつわけですが、五年でやるということでやっておられますけれども、これをもっと前倒しをして、早急にもう三歳は引き上げていただいて、そしてあと何年掛けて六十までするんだということのスケジュールをやっぱりつくっていただきたい。定年まで働く制度に改革するための総理の、いつごろまでに定年まで働けるようにするんだと、こういうスケジュールありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  228. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 特に何年までというスケジュールを持っているわけじゃございませんが、先ほど申しました六十三条の方にもしっかりと書いております。  これは、ただ、今のように五年で三年上げれば済むということじゃなくて、能力・実績主義とか、公務員制度そのものを大きくこれから変えていこうとしております。そしてまた、現在、試しの行い、試行を始めております。そうした成果を見まして、それと合わせて大きくこの公務員制度を新しい制度に持っていこうとしております。  ですから、期限は付けておりませんが、それを、できるだけ早くという形でこれをまとめることにいたしております。
  229. 高嶋良充

    高嶋良充君 もう行革法案の中でこの問題も公務員制度改革の一環として出されているわけですから、基本的に五年のスパンだというふうに思って、二〇一一年までにはできるのかなと思って、そういう答弁をいただけるんではないかと思っていたんですが、そういう具体的な答弁をいただきましたので、残念ですけれども。  この問題は、後の天下りとの絡みもありますけれども、私ども民主党としては今対案の準備をしておりますから、その出た時点でまた議論をさせていただきたいなというふうに思っております。  天下りの問題でもう一つ改革をしなければならない。それは、その業界に有利に働かないようなシステムをどうつくるのかということだろうというふうに思うんですね。すなわち、職務と利害関係にある営利企業への再就職については原則やっぱり廃止をする、禁止をするということにしなければならないのではないのか。  もう一つは、早期退職のために特殊法人や公益法人や独立行政法人をつくっているというふうに国民から批判を受けているわけですけれども、そういう特殊法人や独立行政法人、公益法人に行く場合の規制をもっと強化をして、審査基準を明確にして透明化を図ると、こういうことが必要だというふうに思うんですが、総理の明快な答弁をいただきたい。
  230. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 天下りをするから仕事が取れるという、これはなくさなきゃいかぬと思うんであります。これは、慣行といいますか慣例で、今までの委員会での質疑においても出ておりましたけれども、天下りしたところに競争入札ではなくて随意契約で仕事が行っているとかいう問題もあります。  そういう点も含めて、職業選択の自由もありますけれども、天下りしても仕事取れないんだという慣例をつくれば、天下り、意味なくなるわけですよね、しても。だから、そういう両面から考えていきたいと思っております。
  231. 高嶋良充

    高嶋良充君 それをやっぱり、総理、早急につくる必要があるんではないかというふうに思っているんですね。  先ほどの総理の答弁、これも私がそのとき、二〇〇二年ですけれども、五月の予算委員会で同じ質問をしたときに、総理、これもいい答弁されているんです。今と同じような答弁ですけれども。公共事業に関する天下りが有利に働くか働かないか、こういう問題についても、天下りしても意味がないんだと、不正などもう働きようはないと、こういうシステムをつくる必要があります。  あれからもう、先ほど言いましたように、三年半たっているわけですよ。その間に防衛庁の談合事件、あるいは道路公団の談合事件、さらには今の随意契約の問題、公益法人問題、いろんな問題が出てきて、国民の信頼を行政そのものがなくしてきているということですから、是非やっていただきたいなと思っているんです。  総理、やっぱり改革の総理というふうに呼ばれた以上、あれから四年、遅々として進んでいないというのはやっぱり総理にとっては耐えられないことだというふうに思うんですが、総理は抵抗を押しのけてやるという政治スタイルが国民に拍手喝采をされてきたということは、もう自分でも知っておられるというふうに思うんですね。    〔委員長退席、理事保坂三蔵君着席〕  だから、やっぱり抵抗を押しのけてでも、総理の任期はあと四か月ほどですけれども、総理の任期の間にきちっとした道筋を付けると、そういうことが必要なんではないかと。先ほどの早期退職の廃止等を含めて、民主党は今、天下り規制法案とそれから随意契約等の透明化法案、直嶋筆頭理事もおられますけれども、準備をしておりまして、本委員会にその法案を提出する、今のところの予定ですけれども、予定でおります。  総理は、先日の松井委員の質問に答えて、いい点は取り入れますよ、具体的に出してくれれば検討しますよと、こう言っていただいたおかげで、正に突貫作業でいい提案を具体的に出したいと、こういうふうに思っておりますので、総理、この民主党が出す両法案、是非とも実現のために御協力いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  232. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この随意契約、天下り、両方の問題についても、やはり委員会の審議が私はかなり有効に機能していると思いますよ。役所、役人の意識も変わってきた。私は、情報、随意契約にしてもどんどん出すようにと指示をしております。やはり国会のこの質疑というものを尊重していかなきゃならない。こういう点について、私は、法律がなくてもやろうと思えばできるんですから、必要な情報を政府は国会に出して、随意契約で問題があるんだったら、これを競争入札に変えていくと。天下り、問題があるんだったら、天下り仮にしても、利害関係なり意味のない、国民から信頼が得られるような形にしていくという面において今までの委員会の質疑というのは有効に機能してきたなと思っております。
  233. 高嶋良充

    高嶋良充君 是非、総理、この行革法案が小泉構造改革の総仕上げの法案だと、これはマスコミもそういうふうに言っているわけですし、総理もそういう決意だろうというふうに思います。この行革法案が成立するまでの間、あと何日か分かりませんけれども、その間にこの天下りを基本的に禁止をすると、そういうやっぱり道筋を是非総理の手で付けていただきたいなと。  ただ、民主党が申し上げているのは、公務員の再就職にも二つの型がありまして、優秀な公務員の皆さん方が長年公務員の職場で培ってきた能力や経験を生かして民間に行かれるという能力活用型の再就職まで規制をしようというふうに考えているのではありません。天下りというふうに一般的に言われている、出身省庁の権限や予算を背景に押し付け的に再就職に行くと、こういう部分について問題があって、これはもう禁止すべきだと、こういうことを言っているということを申し上げておきたいというふうに思っております。  次に、懸案の総人件費改革について伺ってまいりたいというふうに思っていますが、私は、先ほども三年二割の民主党案のときの反論でも言っていますように、公務員を減らして人件費を抑制するということを否定するものではありませんし、理解もしております。しかし、それには前提があると。民主党案については、労働基本権問題言いますけれども、政府案についての前提が私は二つあるというふうに思っています。  一つは、人件費削減によって国民の安心、安全がおろそかにされてはならないというのがまず第一点です。二つ目は、今回政府がやろうとされている人件費改革は、民主党が言うように労働基本権を先に与えてからやるというんではないわけですから、当然のこととして交渉ができないわけですから、職員の皆さん方は、当然のこととして、人員削減に当たっては雇用確保が政府の責任で万全でなければならない。この二つがやっぱり前提条件だと、人減らしをしていくということについては。  そのことで、いずれにしても、この両面で政府が責任をどう果たしていくのかということが大事だろうというふうに思っておりまして、そのことについては後で具体的に伺ってまいりますが、その前に、小泉総理が第一次小泉内閣財務大臣に登用されました総理の大先輩である塩川元財務大臣、一月二十日の読売新聞を読んでいましたら、「論点」というところにいいこと書いておられたんですね。総理も読まれたかというふうに思いますけれども、こういうことを書いておられました。納税者たる国民が期待する分野に適材適所の配置が必要だと。改革で余る公務員を時間を掛けて教育し行政監察強化に配置換えしてはと、こういうふうに提言をされている。具体的にこういうことを言っておられました。会計検査院、公正取引委員会、証券取引等監視委員会、さらに耐震偽装で問題となった建築指導主事等々、つまり行政評価や監察、さらに安全網を検査する部門、こういうところに人材を補強、強化すべきではないか。  私はそれ読んで、直嶋理事が決算でいつも頑張っておられて、会計検査院の強化なんか言っておられますよ。これ塩川大臣と同じことだなと思って評価してたんですけれども、そういう今度のやっぱり行革の中で、そういう部門も強化するんだという正に大先輩塩じいの御提案に対して、総理、どうですか。
  234. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この提案に対して、私は検討に値する提案だと思っております。現に、今五年間で五%の公務員純減、精力的に進めているんですが、減らすばかりでなくて増やさなきゃならない部門もあるんです。  そういう点について、減らされる公務員の立場はそんなところに行きたくないと、率直に言いますとね、そういう人もいるわけですよ。強制はできないけれども、話合いによって、少し訓練すれば今の職場から違う分野にも行けるんじゃないかと。公務員として公務の重要性を考えれば、今の職場がいいと、いいと言ってほかに行きたくないという、そういう時代でもないだろうということも考えて、私は、減らすばかりでなくて増やさなきゃならないところに配置転換できるような説得と訓練、研修というものも考えなきゃいけないと、そういう時代だと思っています。  この塩川前財務大臣一つの提言というのは検討に値すると思っております。
  235. 高嶋良充

    高嶋良充君 いや、総理の方から評価できる答弁をいただきました。総理はもっと冷たい人かなと思ったんですが、そうでもない。最後に分かってごめんなさいね。もう辞められる前にこういうことを、あれですけれども。  今言われたようなことが、基本権、交渉権がない職員にとっては、やっぱり政府がどれだけ手厚い雇用確保してあげるかということでないと、人員削減というのは進まないし、公務員の士気にも影響するわけですよ。だからあえてお伺いしたんですけれども、その関係でもう一つきちっと聞いておきたいのは、じゃ職員の雇用確保をどうしていくのかということなんですが、これは総理、是非御答弁いただきたいんですけれども、中馬大臣は、四月二十六日の本委員会、自民党の藤野公孝理事の質問に答えられて、次のように言っておられるんですね。職員の雇用確保のための配置転換は行政内部の対応が中心だと、自治体や民間企業への転籍は今のところ考えていない、こういう趣旨の答弁をされています。  私はこれ評価をしているんですが、ということは、政府としては、現時点で削減対象者を政府の行政内部を中心に、先ほど総理が言われたように、増員するところ、部門含めて配置転換等で補っていくと、出血整理はしないと、そういうふうに受け止めてよろしいですか。
  236. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 私が言ったことを御評価といいましょうか、認めていただきまして。  そういうことで、外部に無理やり出てもらうということはもちろんしません。そして、内部で雇用調整本部、これをつくりまして、そうした若干余剰になったような部門では、研修等も受けていただきまして、もちろん組合等の御理解もいただきまして、ひとつ新しいところに新しい役割を担って配置転換していただく、この形の制度をちゃんとつくっていく所存でございます。
  237. 高嶋良充

    高嶋良充君 じゃ、五%の純減計画がまだきちっとどの省庁はどれだけというふうにまだ決まっていない、今作業中のようでございますけれども。その計画が決まった段階で、配置転換、新規採用抑制の仕組みというものを、六月に全体計画について閣議決定をされるというふうに承っているわけでありますけれども、配置転換と新規採用抑制の仕組みについて現在の進捗状況はどういうふうになっているでしょうか。
  238. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 有識者会議の方々が一応一・五%といいましょうか、五%のうちの、定率的な形で削減し又は増員するといった、それを一・五%ですが、それ以外にかなり構造的に切り込んでいただくということ、これを、いや、切り込むということ、自分たちの意思でございますが、北海道開発局とかあるいは農林統計とか、そういうところも具体的に挙げていただいております。そして、それは、各省庁とヒアリングをいたしまして、すり合わせをしております。それが大分数字も出てまいっておりました。ただ、一部まだ未調整のところもございます。再度要請をお願いいたしておりまして、これはこの六月の骨太の方針の中に織り込んでいきたいと、このようなことでございますから、それまでにひとつ具体的な形で、調整が非常に難しいことではございますけれども、思っております。  ただ、それの手段といたしまして、先ほど申しました雇用調整本部を設けまして、出していただいた方をそこのまた部署が責任持って最後まで見ていただくんじゃなくて、それをまた、各省庁との出入りもございましょう、そうしたことも踏まえてその調整本部の方でやっていただくことにいたしております。  そして、その前提といたしましては、今後五年間の中で、すき間を空けてはいけませんので、そのところにつきましては新規採用を少し抑制してもらう、このことまでも含めて具体的に要請をいたしております。
  239. 高嶋良充

    高嶋良充君 今の御答弁の中で雇用調整本部の名称が出てまいりました。この雇用調整本部で全体計画の実行に移されていくということになるんだというふうに思いますが。  先ほど中馬大臣、そして小泉総理の配置転換論を聞いておりまして、基本的に出血整理はしないという決意で総理も臨まれているということで、それは総理、よろしいですね。ということでございますから、その辺の決意は評価をしておきたいと思いますが。  ただ、じゃ、それだけの配置転換の、増員の問題も含めて、受皿が本当に確保されることが大丈夫なのだろうかと、今そのことを皆心配をされているというふうに思うんですね。これは、もはや行政機関や事務方だけでは到底受皿の確保は無理ではないかというふうに私は思っております。そういうことでいうと、この雇用問題というのは、最終的にはやっぱり総理を含めた政治が責任を負うということが一番大切だろうというふうに思っていまして、この受皿確保、万全を期していただきたいと。    〔理事保坂三蔵君退席、委員長着席〕  そのためにも、つくられる雇用調整本部、これの本部長はやっぱり総理が務めていただくということが一番いいんではないかと、そのように思っておりますが、いかがでしょうか。
  240. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 総理が直接当たられるかどうかはともかくといたしまして、これは政府が責任持ってやることでございますから、総理ないしは総理の完全な代行的な役割で各省庁との連絡、そしてまたそれが、何といいましょうかね、意図がちゃんと行き届くような形の方がなっていただきまして、そして政府を挙げた形で責任を取らせていただきます。
  241. 高嶋良充

    高嶋良充君 全省庁にまたがる問題ですから、この雇用調整本部はやはり総理又はそれに匹敵をするような閣僚、できればやっぱり総理に本部長やっていただいて、そして全閣僚が委員としてこの雇用調整本部に入って、政府の責任をきっちりと、三十数万、独立行政法人等を含めて約六十万の公務員に示すんだと、そういうことを明らかにしていっていただきたいというふうに思っております。  そこで、具体的に伺ってまいりますが、中川大臣にもお越しをいただいております。農林水産省、地方の定員を四千五百人削減をされると、本省で、林野庁は別にしてですね、四千五百人削減をされるということですけれども、省内での配置転換で対応できるという人数はどれぐらい想定をされているのか。また、他の府省に配転が必要であるならば、その受皿はあるのかどうか。この受皿があるのかどうかというのは中川農水大臣ではなかなか他の省庁まで口出しできないと思いますので、後ろの点は中馬大臣にお答えをいただきたいと思います。
  242. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 高嶋委員御指摘のように、林野部門を除きまして、現時点で政府の方針に基づきまして、現在三万人ほどの定員の中で四千五百人を削減をするという方向で検討をしております。  ただ、これを省内でどのぐらい配置転換できるかということにつきましては、例えば輸出に関する業務でありますとか、あるいは食育に関する業務でありますとか、今、国会で御審議いただいております新しい経営安定対策にかかわる職員でありますとか、必要な部分もございますけれども、まだ流動的な部分がございますので、政策遂行の上で必要な人員については増強していかなければならない。WTO交渉なんか、あるいはEPAの交渉なんかにも人員を必要だと思っておりますけれども、これに基づいての数字をどれだけ増強していくかということについては、率直に申し上げて、現時点では数字を積み上げる作業には入っておりません。
  243. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 今、四千五百人という数字が出てまいりましたが、これは五年間でございまして、そして定年退職をされる方もおりますから、このままの数字がどこかに移動しなければいけないということでもないかと思います。  ともあれ、この配置転換が必要な職員につきましては、農水省内の他の部門において受入れを図っていただくこととともに、各府省においても一定の採用抑制を行うことによりまして、国の行政機関全体で受入先を確保する、その調整は雇用本部でやらさせていただきます。
  244. 高嶋良充

    高嶋良充君 是非早急に調整をいただきたいというふうに思いますが、中川大臣、先ほど塩川元財務大臣の考え方を私、提起をして、総理は、それは結構なことだと、そういうところにはやっぱり増やしていかなきゃいかぬ、増員するんだと、こういうことでした。  私は、農林水産省も今国民から見れば、BSEの問題であるとか食肉の偽装の問題だとか、あるいは鳥インフルエンザの問題、さらに残留農薬問題、食の安全にかかわる問題というのは非常に重要視されているんですね。  さらに、農業をやっておられる方から見れば、新たな食料・農業・農村計画、この基本計画を作って実行に移されているわけですけれども、四千五百人も削減して本当に支障がないのかという心配も農業従事者の方からは出てきているわけでありますけれども、やっぱりそういうところの事務事業を充実させるために既存の人材を活用すべきではないかというふうに思っているんですけれども、その点についてはどうですか。
  245. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のように、農林水産省が与えられた職務を全うするということは、これは大前提でございまして、そういう中でスリム化できるところを簡素にしていくという方針があるわけでございます。  ですから、今御指摘いただいたような、食品、食料にかかわる動物検疫、植物防疫あるいは鳥インフルエンザ、BSEについては、これはもう国民に対するリスク管理の責任というのは非常に大きいわけでございますので、こういうもの等々、先ほどもちょっと申し上げたもの等々、時代が要求する大事な仕事については現に本年度も昨年度も定員増を認めていただいておりますので、そういう業務に支障のないようにしていくということはもとより大前提でございます。
  246. 高嶋良充

    高嶋良充君 国土交通省からもおいでいただいておりますが、問題の北海道開発局、大幅な人員削減を予定をされているようでございますが、ここも省内の配置転換では対応できないんではないかというふうに一般的に言われているんですけれども、その辺は大丈夫なんでしょうか。さらに、北海道という特殊なこの土地、区域ということもございまして、やっぱり道内で受皿がなければ配置転換というのは非常に難しくなってくるんではないかなというふうに思っているんですが、その辺の関係について、副大臣来ていた、済みません、よろしくお願いします。
  247. 松村龍二

    ○副大臣(松村龍二君) お答えいたします。  ただいま御指摘いただきましたように、北海道開発局の定員の削減、純減につきましては、行政減量・効率化有識者会議におきます御指摘を踏まえ、現在鋭意検討を進めているところでありますが、四月二十八日の有識者会議で提示いたしました八百六十一人の純減は、この間、四年間、定年になって辞める者が七百六十名でございますので、百名の職員の配置転換を行わざるを得ない規模の純減でございます。  北海道開発局の職員の大半は北海道出身で道内に生活の基盤を有しており、道内におきます受入先があればいいと、受入先の確保が重要な課題であると認識しております。しかし、北海道におきます国土交通省の出先機関の採用数は極めて少ないため、北海道開発職員の相当数の配置転換を受け入れることは困難な状況でございます。  ちなみに、北海道には国土交通省の出先機関といたしまして、北海道運輸局、本年の採用が四名、そのほか航空交通管制部、気象台、地方測量部等の機関がございますが、専門職種がほとんどでございます。このため、北海道開発局職員の配置転換を円滑に進めるためには、できる限り国土交通省自身として他部署への配置転換に努めるだけでなく、政府全体としても実効ある取組を行っていただけるようお願いをする必要があると考えております。
  248. 高嶋良充

    高嶋良充君 中馬大臣国土交通省北海道開発局も非常に厳しい状況のようですけれども、私はやっぱり地方出先機関の職員は、それぞれが地元採用的な部分で、キャリアとは違って、採用されてその各県に生活基盤を置いているというふうに思うんですね。そして、そこに自宅も持っておられる方も多いんでしょう。ということになると、やはり配置転換も、当然御本人たちは同県内を希望されるということになるんだろうというふうに思うんですが、しかし、それだけの配置転換を、同県内でそれだけのポストがないと、こういうことになる可能性が非常に強いんですけれども、そうなると、配置転換というのはなかなか難しいんではないかという問題もありますが、北海道開発局の問題も含めて、そういう場合どういう対応をするおつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  249. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) さきに総理もおっしゃいましたように、外務省が五千人余りで全世界を配転している。北海道は道庁がしっかりとありながら、なおかつ六千三百人の北海道開発局ということでございまして、かなり大幅な、これは有識者会議の方々もかなり大幅な一つの減員を、純減を交渉していただいているわけでございます。そうしますと、もちろんそういった形で、その北海道の中だけで、あるいはまた国土交通省の中だけで、これがひとついい形の配転ができるとはちょっと難しいことかと思います。  今、たまたま道州制の問題も出てきておりまして、北海道特区的な形で道州制、新たな地方行政の在り方を見直していくことがもう具体化され始めております。その中でも一つの余地があるんではないかと思いますし、もちろん基本的には、政府といたしまして、雇用調整本部で研修等も受けて新たな部署にも就いていただくことを予定しておりますが、幸い三、四十代の方々案外多いんですね、年齢構成見ますと。そうする方は、中にはむしろ東京に行きたがっているやつもいるぞなんというお声もありました、正直。  そういうことがありますので、まだまだこれから調整をやっていかなきゃいけませんが、ひとつ、先ほど言いましたように生首を切らないといいましょうか、いい形で御納得していただいて、それぞれの部署でまた新しい役割を担っていただく、そのように私たちは心掛けてまいりたいと思います。
  250. 高嶋良充

    高嶋良充君 配置転換は、職員にとっては最大の勤務条件の変更なんですね。だから、基本的にはやっぱり本人の合意の下に、県外に出す場合を含めて、出す場合であっても本人の合意をきちっとやっぱり取っていただく必要があるんではないかと。そういう点、組合があれば、組合との交渉で組合が同意を取って当局に伝えるということですが、そういうことが国の場合できないわけですから大変な作業だと思いますが、きっちりとやっていただきたい。  そこで、具体的に申し上げておきますと、この配置転換に当たっては、今北海道のような地域的なミスマッチということをなくすことを最優先していただきたい。もう一つは、地方推進協議会ということでブロック単位にこのようなミスマッチをなくすことをやられるということですから、実質的な機能をその地域推進協議会にも与えるような体制を確保してやってほしい。そして三つ目に、雇用の受入れに当たってはやっぱりあらゆる選択肢を政府としては責任を持って用意すると。そういうことと同時に、関係組合があるところについては、きちっと関係組合と協議をしてスムーズに配置転換ができるような体制にしていただきたいと思いますが、最後にそのことを御答弁いただいて終わります。
  251. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 地方推進協議会、これがこういう調整本部とはまた別に各ブロックごとにできてまいります。ここで、これは総務省の出先が主になると思いますが、ここでもってその調整をやっていきたいと思っています。  この配置転換の実施に当たりましては、地域性の配慮をできるだけ行っていきたいと思いますが、必ずしも職員の希望とは完全に合致しないようなケースも出てくるものと考えられます。こうした場合において、地方推進協議会を通じて他のブロックとの間の情報共有を図るなど、配置転換が円滑に行われるようなその機能を活用してまいりたい、このように考えております。  他方、配置転換の実施に当たりましては、まずは職員の雇用の確保を図ることが第一でございまして、職員及び職員団体、組合でございますが、にも柔軟に対応していただくことが必要であると、このように考えております。
  252. 高嶋良充

    高嶋良充君 終わります。  ありがとうございました。
  253. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  行政改革の核心という場合に、税金の無駄遣いをなくして、国民のための暮らしにとって必要な分野にはしっかり予算も人も配置をすることが必要です。同時に、そのためにも国民の納得のいく透明な行財政運営が求められております。しかし、今逆のことが行われていると。特に、今日は米軍再編にかかわる国民負担と行政改革の問題についてお聞きをいたします。  まず、防衛施設庁にかかわる談合問題についてお聞きをいたします。  先ほどの質疑にもありましたように、東京地検の強制捜査の前に当時の建設部長が証拠隠滅を指示をしていたということが明らかになりました。これは、額賀長官が捜査への全面協力を指示をした後の出来事であります。九八年の防衛庁の調達本部の背任事件でも同じような証拠隠滅が行われ、長官は当時責任を取って辞任をされました。  今回の隠ぺい工作は、全くその教訓が生かされてないことが改めて明らかになったわけでありますが、長官、責任はどうお感じでしょうか。
  254. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  この不祥事は昨年の十一月発覚をいたしました。私は即座に、この捜査には全面協力をして全容解明に当たらなければならないということを指示をいたしました。捜査に協力をすると同時に、防衛庁の施設庁内においてもこの実態を解明するために調査委員会を設けると同時に、防衛庁内全体で再発防止策を講じるための検討委員会等を設けたところであります。そういうことについては、もう委員も御承知のとおりでございます。  そして、今御指摘の点につきましては、我々は捜査に影響を与えないこと、さらに、今度公判が間もなく開かれますけれども、そういうことをよく考えながら対応してきたし、いかなければならないというふうに思っておりますけれども、防衛庁としては、私としては、全容を解明する過程でございますから、きちっとこれを解明した時点で国民の皆さん方にもオープンにし、厳正な対処をしていきたいというふうに思っております。
  255. 井上哲士

    井上哲士君 報道された隠ぺい工作の事実は否定をされませんでした。問題は、こういう隠ぺい体質、秘密体質を持ったこの役所が今国民にこの巨額な三兆円という負担を負わせようとしている、そのことの資格があるのかということが問われております。  それで、元々今回の在日米軍の再編強化というのはアメリカの世界的な強化の一環でありますから、日本が負担する必要はないと思います。同時に、問題は、その中身が全く、アメリカと合意しながら、国会にも国民の前にも明らかにされていない。  私は三月十七日のこの場の予算委員会で、当時、三兆円という日本側の負担の試算があると、政府の試算があるという報道を示して大臣にお聞きしましたら、根拠のない数字だと、こういう答弁をされました。  ところが、先月の二十四日に防衛庁の守屋次官がグアムの移転費を除いて二兆円と試算しているということを講演をされました。グアム移転費を加えますとほぼ三兆ですから、正に根拠のある試算が行われていたということでありますから、そういう試算がある以上、国会に示していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  256. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  この米軍再編に伴う諸経費については二つあるわけであります。それは委員の御指摘のとおりでございまして、沖縄の海兵隊をグアムに移転する経費をどういうふうに我が国も負担をするのかということ。沖縄にとっては海兵隊が削減されることは悲願でありましたから、国としても応分の負担をして、スピーディーにこの仕事をやってのけるということは国民の皆さん方にも御理解をいただけるんではないかということで、米国側と鋭意交渉した結果、全容の枠組みは百二・七億ドル、そしてその中で財政的な直接的な支出は二十八億ドル、あるいはまた住宅とかインフラ整備のための出融資等々に三十二・八億ドル等々を支出すると。しかし、後の出融資については返還をされてくることでございますから、アメリカと比べれば真水的な財政支出も少ないし、全体をならしても半分以下、全体の枠組みの半分以下であるというふうに思っておりますし、これはいかにも全部、その上限の数字でございますから、我々が合理化を図り効率化を図った分はその分、その支出、経費が減らされていくことになるわけであります。  一方の、国内の米軍の再編に伴う米軍基地の整理、統合、縮小について、まあこれはこれからきちっと積算をしていくことになっているわけであります。例えば、普天間飛行場のキャンプ・シュワブ移転でも、まだ面積さえもきちっとなってないわけですから、まだきちっとした積算ができないわけであります。それから、嘉手納以南の土地が返ってくることも、これはもうまだまだしっかりと計画ができてないわけだから、これから私はきっちりと積算をして、国民の皆さん方にお示しをして、透明な形で納得いただけるような説明をさせていただきたいというふうに思っております。
  257. 井上哲士

    井上哲士君 大臣が根拠がないと否定されたものの根拠が出ていたから示せと私は言っているんです。  長々と御説明ありましたけれども、それじゃ、グアムの方は既に全体額が示されておりますので聞きますが、今ありました支出があるわけですけれども、この米軍の住宅建設について出融資ということが言われております。  まず、日本国内において、日本が米軍に対して造っている家族住宅、これ一戸当たりはその整備費は幾らになっているんでしょうか。
  258. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  国内で、例えば沖縄辺りで米軍の住宅を造っておりますけれども、その際は、家族住宅一戸当たりの建設費用は、整備場所の現状、状況等によって異なることから一概には計算できないんでありますが、低層家族住宅の三寝室、百四十五平米、これは二階建てタイプでございますが、基礎補強とか附帯設備等を除いた費用で約三千万円。それから、高層住宅ですね、九階建ての三寝室、百三十七平米で、これもまた基礎補強、附帯設備等を除く費用は一戸当たり三千百万円となっておるわけでございます。  しかし、これは基礎補強とか附帯設備等を除いておりますから、その現場の、更地であるとか傾斜地であるとか地盤が悪いとか、そういう様々な地形によってまた費用が違ってくることがあります。
  259. 井上哲士

    井上哲士君 今答弁ありましたけれども、グアムは三千五百戸造ると言われておりますが、一戸当たりの経費を試算をしてみますと、二十五億五千万ドルを割りますと約七十三万ドルですから、一戸当たり約八千万ぐらいという費用になるわけですね。  先ほどあった日本で思いやり予算で造られている米軍の家族住宅というのも、日本の公営住宅と比べますと二・七倍ぐらいの広さがある。非常に豪華だという批判がされてきたわけですが、その倍の金掛かるわけですね。なぜ、こんな費用が掛かるような豪華住宅の予算になっているんでしょうか。
  260. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、前どこかの委員会でも議論があったわけでありますが、グアムにおいては、どうしてもアメリカ側の説明によりますとコスト高になることが多いと。その理由について幾つか言っているんでありますが、具体的に申し上げますと、例えば、資材はほぼすべて島の外から搬入するから、どうしても資材の輸送コストが高くなるということ、それからグアムは人口十六万人で労働力が少ない、技術者もいない、そういう人的なものを確保することにもお金が掛かる。それから、大規模な事業を展開していくときに、やっぱり水とか、それから物流だとか、そういうインフラの能力がどうしても欠如している。そういうことからコスト高になっているということで、高めの試算が行われているけれども、私どもはしっかりと自分たちが負う仕事については、例えば住宅建設等々については、まあ民活スキームを使ってやるとか、効率化、合理化を図って経費の削減を図っていきたいというふうに思っております。
  261. 井上哲士

    井上哲士君 グアムでは建設特需を見込んで一杯今人が集まっているという報道もありまして、インフラ整備も含めまして、まあアメリカ側の言いなりの試算がされているんだなということが大変よく分かりました。  そこで、問題は、これをどうやって出資をしていくかということなんですけれども、住宅の建設主体については防衛庁長官は第三セクターとか特殊会社と言われていますが、出資、融資政策金融機関が絡まざるを得ないと思いますけれども、今回名前が挙がっております国際協力銀行ですね、これは本来開発途上国の支援を原則としてきました。しかも、この国際協力銀行というのは、今回の法案では政策金融改革の対象とされているわけですね。  そこで、中馬大臣にお聞きいたしますけれども、この行政改革の重要方針で定められた政策金融改革についての基本原則に基づいて、今回の法案の第四条が定められていますが、この基本原則では、まず第一に、政策金融は三つの機能に限定し、それ以外からは撤退するとしておりますけれども、この三つの機能というのは一体何でしょうか。
  262. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 昨年十二月の閣議決定の重要方針でこれを書いておりますが、政策金融は、一、中小零細企業、個人の資金調達支援、第二といたしまして、国策上重要な海外資源確保、国際競争力確保に不可欠な金融、第三番目が円借款、これは政策金融機能と援助機能とを併せ持つ円借款ですね、この三つの機能に限定し、それ以外は撤退するということといたしております。
  263. 井上哲士

    井上哲士君 政府は、国際協力銀行からこの米軍の家族住宅の融資をするというふうに決めたということがもう既定事実として報道されておりますけれども、今挙げられたこの三つの機能の中にこのグアムでの米軍用の住宅を造るというのは一体含まれるんでしょうか。大臣、中馬大臣
  264. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) この在沖縄の海兵隊のグアム移転につきましては、日本側の出資や融資の具体的な方法につきましては何も決まっていないものと承知をいたしておりまして、お尋ねにつきましては、そこがどこが、まして資金を負担するといったようなことまで含めてお答えすることは差し控えたいと思います。
  265. 井上哲士

    井上哲士君 国が直接出すわけにいかないんですね。政策金融が絡まざるを得ないんです。ですから、今決まっていないと、報道ではもう既に決まったように言われていますが、決まってない、正式には決まっていないのかもしれません。  しかし、もし、それではこの政策金融でおいてやるということになれば、今三つの機能に絞ると、この法案で書かれているこの三つの機能のうちどれに入るのかと、もう一回お聞かせください。
  266. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) それを含めて、今何も決まっていないことを仮にこうだと言うことは、私もお答えすることができません。
  267. 井上哲士

    井上哲士君 ということは、この中で含む項目を挙げることができないと、こういうふうに聞いてよろしいですか。
  268. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) そういうことを含めて、どういう資金なのか、どういう融資をするのか、それもしていないものをどこに当てはめるかということはお答えはできないんです。
  269. 井上哲士

    井上哲士君 既にこの国際協力銀行で行うということはどの新聞でも、どのマスコミでも報道されているんです。そして、実際上、政府が直接やるようなことはできないことになっているんです。結局、この間の負担の総枠も含めて、国民の前には何も明らかにしないまま決めていくというやり方は、これは許されないと思うんですね。  しかも、今回の法案の中でも、基本原則に基づいて貸出し残高のGDP比での半額を三年後までに実現をすることと、新たな財政負担を行わないことと、こういうふうにされております。法案の第五条では、貸付金残高の継続的縮小ということも定めております。  仮にとしましょう、決まっていないと言われるから。政策金融を使ってグアムへの出資、融資を行うということは、この貸付金残高の継続的縮小とか、半減を三年後までに行うと、この原則に反すると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  270. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 何度も申しますが、これは私がそのことの判断する立場にもございませんし、何といいましょうか、政策金融改革の中でこのJBICの扱いはそうなっているというお答えをするしか方法はございません。
  271. 井上哲士

    井上哲士君 それじゃ財務大臣にお聞きをいたしますけれども、今後政府の中でその政策金融でやるということになった場合には、一体どれが当てはまると大臣はお考えでしょうか。
  272. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 先ほどから中馬大臣も御答弁になっておりますが、確かにこのグアム移転に関して出資、融資というものが含まれていることは私ども承知をしております。ただ、どういう形でやるのかというような具体的な詰めはこれからでございますから、そこのところを議論しないと、今何もないところで、はい、こうでございますという御答弁はちょっと今の段階ではできかねるわけでございます。
  273. 井上哲士

    井上哲士君 何もないところじゃないんですね、既に政策金融の法案がここに出ているんです。しかも、政府アメリカに対して出資、融資をするという約束をしている。そして、それは政策金融でやらざるを得ないと。こういうことが様々な形で報道されている。そういう枠の中で、これを預かる財務大臣として、これで本当にできるのかどうかということだと思うんですね。大体、今このことを当委員会で議論をしているわけですね、政策金融の問題について。ところが、それと全く逆行するようなことがその法案を出した政府自身によって進められようとしている。何のためにここの委員会で議論をしているかということになるんですよ。  そうしたら、中馬大臣、私たちはこの中小企業や地域経済を困難に追い込むような政策金融の縮小には反対でありますけれども、政府としてこのグアムの経費負担にかかわって、この政策金融改革の基本方向からはみ出すようなことは今後打ち出さないと、こうお約束いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  274. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) グアムのこの支援の性格そのものも私どもにはつまびらかになっておりません。ですから、例えば別の話で、どの企業に貸すか貸さないかと言っているのと同じことでございまして、ここで私がどれに当てはまるとか、貸すとか貸さないとかいった形の答弁はできませんので、ひとつ御了解をお願いします。
  275. 井上哲士

    井上哲士君 全く国民に納得できる説明ができないということだと思うんですね。  総理、今回の行革法案のトップにはこの政策金融改革と書いてあるんです。その最初が先ほど述べたような基本方針なんですね。それと全く反するようなことが行われることになれば、一体何のためにここで我々が議論をしているかということになるんです。今後、グアム移転費の経費に関して、政府としてこの示した方向とはみ出すようなことはやらないということは国民の前に、総理、お約束いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  276. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 政策金融改革にある問題と米軍の沖縄における基地負担の軽減を日本政府がどう考えるか、これとは今直接関係するわけではありません。また、費用がどのぐらい掛かるかも決まっていないんです。その費用をどうやって捻出するかもまだ決まっていないんです。あいまいなままで国会でこうですと言うわけにはいきません。
  277. 井上哲士

    井上哲士君 こういう法案を出して、現実に政策金融方向を打ち出しながら、全くそれについて反することがやられようとしていることに答えられないというのは、本当に国民に対しての背信行為だと思います。本来、負担する必要がない莫大な費用を国民が負担させられるし、しかも国民にまともな説明がないと、こういう点では、無駄を省くという点でも透明化という点でも真の行政改革に全く反するものだということを申し上げまして、質問を終わります。
  278. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  通常国会が終わるまであとわずか一か月となりました。昨日、衆議院の厚生労働委員会に私は傍聴に行って非常にショックを受けました。強行採決、高齢者の負担増の法案が強行採決というのは一体どういうことかというふうに思いました。共謀罪が今後どうなるのかということが大変みんなの関心を呼んでいます。教育基本法の改定法案も上程されています。国民投票法案がどうなるか、そのことについても大きな議論が呼んでいます。  総理が五年間の内閣を終えられるに当たって、小泉内閣とは一体何だったのか。強行採決オンパレード、最後にばたばたばたばた成立させるという強権的な手法で小泉内閣が終わらないように、数の論理で傲慢に終わるという、これが小泉内閣の本質だったとならないように強く要望したいと思いますが、いかがですか。
  279. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 昨日の厚生労働委員会で強行しましたか。質疑が終了して、委員出席の下で採決されたんじゃないんですか。何で強行なんですか。与野党協議の上で質疑は終わったと、そして今日は衆議院本会でも審議拒否がありませんでした。そして、少数の方々が反対しているからこれは強行だと言ったら、昨日の小沢さんも、少数意見のばっかり聞いたら少数決になっちゃうと、過去、著書でも言っているわけです。議論をして違ったら多数決で決めるのが、これが議会制民主主義じゃないかと野党の党首も言っているんですよ。  そういう形で審議がなされ、質疑が終了したらば、私は採決をして多数決で決めるというのは別に強行とかいうものではないと。(発言する者あり)いや、これはまあ多少採決する際に妨害行為があったということは認めますけれども、国会議員の良識によってそのような妨害行為が今後なされないように与野党十分考えなきゃいけないと思っております。
  280. 福島みずほ

    福島みずほ君 明らかに小泉さんの政権下で、労働経済白書が言っているように格差は拡大をしました。格差拡大は天然物、天然現象ではなく、政策的に起こったと思います。これに拍車を掛けているのが福祉の切り捨てです。毎年毎年、特に年金の改定法案のときも非常に、強行採決、昨日も、私は高齢者の負担増といった問題、医療の重要な命に関することがああいう形でしか採決できないことは問題だと思います。  次に、官から民へということの一体それは何なのかということを質問をいたします。  出入国管理システムについてまずお聞きをいたします。出入国の際に、現在指紋を採取している国はアメリカ以外にあるのでしょうか。
  281. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 外国人の上陸審査に際し指紋の提出を義務付けている国は、現在のところアメリカ一か国でございます。  なお、EUにおきましては、来年、査証、ビザ発給申請時に外国人から指紋の提出を義務付ける新たな制度を導入するための法律を現在審議中であると承知いたしております。
  282. 福島みずほ

    福島みずほ君 今、アメリカしかありません。  ところで、日本の今回成立した入管法改定法案に基づく、指紋を担当する、指紋などの生体情報に関するソフトウエアを担当する会社はアクセンチュア社です。これは、アメリカのUS—VISITを担当している会社と同じ会社です。これを落札したのは十万円ということでよろしいですね。わずか十万円の価格でこの企業が落札しているということで、改めてよろしいですね。
  283. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) アクセンチュアという会社は日本法律に基づいて設立された日本の会社でございます。四十八か国に事業展開をしている会社でございまして、アメリカが本社じゃございませんで、バミューダに本社を置いて、アメリカ法人もその下にある会社だと聞いております。ちょっと余計なことかもしれませんが。  そして、十万円で先日落札されたのはシステム導入についての調査ということでございまして、一般競争入札によって行った結果、それだけの金額で落札されたわけでございます。
  284. 福島みずほ

    福島みずほ君 十万円というのは極めて奇異な金額です。出入国管理業務の主要課題分析図、法務省の資料によっても、この入管については国内外の関係機関との相互運用性の確保ということを言っています。  アメリカのUS—VISITをやっているところと全く同じ会社が日本の指紋についてのことも管理をする。このアクセンチュア社について、アメリカの議会で二〇〇四年六月九日、連邦下院歳出委員会において、民主党議員のローザさんがこのことを批判をしています。タックスヘーブンであるバミューダ島に籍を置く節税企業、まあ多国籍企業、無国籍企業と言っていいかもしれません。エンロン社、アンダーセンの後できた会社ですけれども、このような事業アメリカ、一兆円以上お金を掛けている、US—VISITで。これはおかしいんではないかということで論陣を張っています。二〇〇四年、ごめんなさい、さっきのは。だから二〇〇四年にローザさんがアメリカで論陣を張っているんですが、二〇〇四年六月九日には連邦下院歳出委員会において、外国会社と国土安全保障に関する契約を禁止するための改正案が三十五対十七で可決をしています。しかし、アメリカのUS—VISITは相変わらずこのアクセンチュア社が受注をしているわけです。  アメリカでも、アメリカの情報が無国籍企業に行っていいのかという議論があります。実際は、このバックはUSAと言われていますが、日本でなぜこのアクセンチュア社が受注をするのか。法務省の資料によっても、国内外の関係機関との相互運用性の確保、情報の互換性、相互運用性、共有性、この言葉では、国内外の関係機関との相互運用性の確保が書かれています。同じところがやっていくと情報が漏れるのではないかと私は非常に心配をしています。  ところで、お聞きをいたします。このアクセンチュア社は日本のほかの官庁において同じようにソフトウエアを担当しておりますが、どういうところがありますか。
  285. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 他省庁のことは存じませんが、我が国の公共部門におけるコンピューター製品及びそれに伴うサービスの調達に関しましては政府の方針が確定しておりまして、無差別待遇、透明性及び公正でかつ開かれた競争という原則から国際競争入札によることに相なっておりまして、外国会社であること、外国製品であることを理由に入札対象から排除することができないこととされております。  このアクセンチュア社は、日本法に基づいて設立された日本法人でございまして、ちゃんと税金も、申し上げても結構ですが、納税をしておる日本法人でございます。ただ、多国籍企業であって、その各多国籍企業を、四十八か国で展開しておるわけですが、それをコントロールする部門がバミューダにあると、バミューダの本社の関連会社ということでしょうか、そういう位置付けであることは承知いたしております。
  286. 福島みずほ

    福島みずほ君 質問に答えてください。  各日本の官公庁でアクセンチュア社が情報を随意契約によってコントロールしている、挙げてください。  質問通告しています。
  287. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) だれに質問されているんですか。私にですか。
  288. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、法務省以外は答えられないでしょう。
  289. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 指名を変えます。安藤内閣官房内閣参事官
  290. 安藤友裕

    政府参考人(安藤友裕君) お答えいたします。  例えば、宮内庁、公正取引委員会、法務省、国税庁といった省庁において過去アクセンチュア社に委託を行っていると承知しております。
  291. 福島みずほ

    福島みずほ君 官公庁関連実績、平成十七年度で、宮内庁、公正取引委員会、法務省、財務省、国税庁が随意契約により落札をしております。  ここに法務省との契約書があります。法務省、非常に、検察情報も含めデリケートな情報をたくさん扱います。入管が扱う、今回の入管法によってアクセンチュア社が扱うのも指紋という極めて重要なセンシティブな情報です。法務省もやっている。何で宮内庁の情報を多国籍、外資系がやるのか、何で公取のをやるのか、国税庁、これも極めてセンシティブな情報です。  私は、日本の国民の極めて重要なセンシティブな情報が外国に互換性あるいは共有性ということで漏れてしまうのではないかと大変心配をしています。  さっき挙げた国税庁やいろんなのも、さっき挙げたものの中に入っていなかった、さっき私が挙げた省庁ということでよろしいですね。
  292. 安藤友裕

    政府参考人(安藤友裕君) お答えいたします。  御質問にございました点につきまして、電子政府化の政策において省庁の電子化が進められておりますけれども、その電子化を、その発注いたしました省庁としましては、私どもの方で承知しておりますのは、宮内庁、公正取引委員会、法務省及び国税庁ということでございます。
  293. 福島みずほ

    福島みずほ君 どれも極めて重要な情報を取り扱うところです。  総理、どうですか。相互の互換性があるようなところで、アメリカあるいは多国籍、ここに検察情報も法務省の情報もそこが請け負って、場所は法務省の中でやらなくていいんですよ、この契約書を見ると。いかがですか。
  294. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、何という名前か、アクセントかアクセンチュアか分かりませんけれども、そういう会社がどういう会社か知りませんけれども、これは公正に競争入札でやるべきだという方向に沿ってなされたものではないかと。また、随意契約がいいのかどうか、そういう点も含めて国会でも議論されておりますし、ある面においては随意契約がいい場合もあるでしょう。ある場合においては競争入札の方がいい場合もあると思うんですけれども、それは一概には言えないと思いますから、この委員会等でもいろいろ議論されているんだと思います。  今回の問題についても、果たして日本の官庁において外国企業を締め出すということについてどういう批判が出るかという点も考えてなされるべき問題であると。やはり公正性、透明性、国民の安全、そういう総合的に判断してなされるべき問題だと思っております。
  295. 福島みずほ

    福島みずほ君 違うんですよ。アクセンチュア社はこういうことをやったらどうかというアドバイスをする担当の会社だったんです、法務省で。そして、自分がアドバイザーで、自分が十万円で請け負ったんですよ。おかしい話ですよ。こういう、結局、日本のあるいは日本人の極めてセンシティブな情報が共有化される。極端に言えば、アメリカが、もし例えばアメリカのだれかの、どこかの役所から日本のそのデータを取れるようになるかもしれない、そう懸念を持ちます。ですから、官から民へという場合の民が外資系、極端に言うと官から民への民がアメリカ、USAということになっていないか、そこが極めて問題だというふうに思います。  次に、ワシントン・ポスト紙によると、ATT社、これは日本でいえばNTTのようなものですが、米国政府に二〇〇五年だけで約五千億通話、二〇〇一年九月十一日以降約二兆通話の通話記録が渡されていると報道されています。ブッシュ大統領はこれについて否定はされませんでした。日本アメリカの後追いをやっている住基ネット、Nシステムなど、様々なシステムが日本でもつくられていっております。ますます監視社会が強まっていくのではないか、大変懸念を持っています。  共謀罪が衆議院の法務委員会で議論をされております。共謀罪は法律家の立場からいっても極めて問題があります。何もやっていない、何もやっていないのに、合意だけで、話をしただけで処罰が可能となる、約六百二十の犯罪について。やってないことをどう裁判所で認定をするのか。組織的威力妨害罪や、例えばライブドアが問題になっている風説の流布、全部この共謀罪の対象です。うちの会社、情報を良くして株価を上げようかなんていって、それでも何にもやっていなくても場合によっては成立し得るという、近代刑法からいって、どうやって裁判所で立証するのか分かりません。  これについて、共謀罪については右翼も左翼も、そして今日東京新聞にも載っておりますが、現場の刑事の皆さんも反対、むしろおかしくなるということを言っています。右翼も左翼も現場の警察官も野党も、そして与党の皆さんたちの中にもこの共謀罪については反対、おかしいという声が上がっています。  総理、この共謀罪に関して、一体だれが法律を成立させたいと思っているのか、あるいはこういう法律は成立させるべきではないと、小泉内閣の最後にこんな法律を成立させてはいけない、そう思いますが、いかがですか、総理。
  296. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 先生弁護士でいらっしゃいますからよく御理解いただけているんではないかと思うんですけれども、御指摘の共謀罪につきましては、既に国会でその締結について御承認いただきました国際組織犯罪防止条約を……
  297. 福島みずほ

    福島みずほ君 短くしてください。
  298. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 締結いたしました。これを締結して、国際社会と協力してテロ等の組織犯罪と戦い、国民を重大な組織犯罪から守るために不可欠なものであると考えております。  また、このような趣旨につきましては、まだ若干懸念を表明される向きがありますが、各方面の御理解も得られているものと私は思っております。  現在、今も法務委員会理事会やっておりますが、与党は政府提案に対する修正案を提出し、民主党からも修正案が提出され、現在、その民主党の修正提案の中で可能な限り取り入れて再々修正を行うという協議が行われているものと承知いたしております。  もうほとんど審議は煮詰まっておりまして、私は、今理事会で協議なさっておられますけれども、協議が調って、国民の皆さん若干御懸念を持っておられる向きもございますので、それを払拭された再々修正がなされることを期待いたしておるわけでございます。
  299. 福島みずほ

    福島みずほ君 国際的なテロ組織と言いますが、法案は国際的な越境性を要件としていません。窃盗罪であれ何であれ、ドメスティックなものも入るわけです。言っていることと法案が違うじゃないですか。  それで、総理、先ほど米軍再編の問題、ほかの委員からも質問がありました。格差拡大がどんどん進行し、福祉の切捨てが行われている。日本高齢者の皆さんには、入院したら、ホテル代払え、食費払えって言う。だけれども、アメリカ、米軍がグアムへ移転すれば、建築費、一戸建て八千万、建築費だけですよ、物すごい豪邸と言われています、それを建てよう。学校も賄う。場合によっては光熱費も負担する。小さな政府、小さな政府と言いながら大きな無駄遣い、これは全く理解ができません。小さな政府、小さな政府と言いながら大きな監視社会をつくろうとしている、これも理解ができません。  最後に、又市さんの続きで市場化テストについて一言御質問をいたします。  市場化テスト法案での公務員の民間移籍後、会社側の都合で解雇や配転になった場合、戻すということをもう少し法律的に明記できないか。つまり、保育士さんとか看護師さんとか、特殊な専門職で公務員として働いている、しかし民営化で職場がなくなる、で、民間に行く。そのときに、しようがなく民間に行ったけれども、条件が違ったり首になったりする。そのときの手当てについてもっと踏み込んでお願いします。これはいかがですか。
  300. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 時間が参っておりますので、手短にお答えください。
  301. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 又市議員にも明確にお答えしましたからと思うんですけれども、再度の御質問でございますから、再度少し丁寧にあえて御説明をさせていただきます。  官民競争入札等で民間事業者が落札した場合、業務に従事していた公務員の処遇につきましては、一つは配置転換と新規採用の抑制によりまして対応することが基本でございます。  他方、本人の同意があり、本人の同意ですよ、本人の同意があり落札事業者が希望する場合には、公務員を退職し落札事業者の下での業務に従事することとなるわけでございますが、落札事業者の下で勤務した元公務員は、本人の同意を前提に公務員を退職して民間事業者雇用されることになったわけでございますから、それである以上、公務への復帰は法的には保障されておりません。  また、元公務員が再び公務員に採用された場合には、公共サービス改革法三十一条に基づきまして、退職手当の計算上、退職前の在職期間と再採用後の在職期間を通算する特例措置が適用されることになっております。  これは、ただし三十一条があるからといって公務復帰を法的に保障しているわけではございません。採用試験を原則とする国家公務員につきまして、一定の要件を満たす場合には選考採用を行うことが可能でありますが、そこで公務員を退職し、落札事業者の下で業務に従事した者につきましても、任命権者である各府省の大臣等が選考採用の条件に合致するか否かを個別具体的に判断した上で再び国家公務員として採用することは、これは可能でございます。  本法案に関しましては、先月十九日でした、衆議院の行政改革特別委員会で、「落札事業者の希望と本人の同意を前提に公務員を退職し落札事業者の下で業務に従事することとなった者が、公務への復帰を希望する場合には、各大臣等任命権者は、その者の退職前の公務員としての勤務経験と落札事業者における勤務経験とを勘案し、公務への復帰希望について十分配慮すること。」と、こういう附帯決議になっております。  政府としましては、その趣旨を十分に踏まえて、十分に尊重してまいりたいとは思いますが、法的にこれが担保されたわけではありません。
  302. 福島みずほ

    福島みずほ君 終わります。
  303. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 総理始め皆様、お疲れさまでございます。  国民新党・新党日本の会の荒井でございます。  総理、近親効果というのがあるんだそうです。一つは、カーンという心理学者の方が、近い距離にいると非常に好感度が上がる。それからもう一つに、ザイアンスというまた心理学者の方がいるんだそうです。顔を合わせた回数が多いほど親近感、好感度が上がるということでございまして、ただし最初に、何といいますか、最初の印象が悪けりゃこの限りじゃないと、こういうことでございますが、親近効果というのがあるんだそうです。  総理と十年前からいろんな局面で御一緒でございまして、意見の対立もありましたが、まあそういった気持ちもないではありませんが、随分と今回の法案でもこれ問題点があります。総理もお気付きのところがあると思います。  まず、国の仕事と地方の仕事をはっきりさせることがなくて、このようにプログラム法を作ってみても、実は国民のサービスや質、住民のサービスや質、これが向上するとは限らないという疑念はどうしても払拭できないんです。人減らし、それに伴う、あるいはこの今度の政府系金融機関にいたしましても、それで二十兆円という金額も出しても、もっと効果が上がるやり方はまず国と地方をよく、仕事のやり方を、これをはっきりして、そしてそれに携わる人のモチベーション、使命感というものをしっかり発揮させるようなことの方が私は効果が上がるものというふうに思うんです。  近親効果というのも正にそういうところにあるんです。人と人が触れ合ってこそ本当の官がやる仕事じゃないでしょうか。私は、そういったところを大切にしたいと思っているわけです。その意味において、今回の法律はそうしたところが欠落しているところが非常に多いということを申し上げます。  しかし、総理に賛同しているところがあります。聖域なき見直しです。郵政で意見は違いましたけれども、すべてのものを出してきて見直しをしようということに賛成でありますが、その中に、昨今、知事、いわゆる首長さんです、市長さんも町長さんも村長さんもいますが、特別職の退職金に言及されました。なかなかこれは、選挙をやる立場になりますと、地方分権を進めていかなくちゃならない、我々はさっき言ったような地方と国の役割をしっかりして、そして地方にゆだねるものはしっかりゆだねていく、大体税金ベースで六、七割が地方がやっているんです。フェース・ツー・フェースなんですよ。そここそ主役なんです。国は、ある一部に特化してサポーターになるべきです。  こういった発想がある私でも、この退職金の問題についてなかなか言えなかったというのは、選挙があるからです。そう言う人もまたいる。それだけ分権して力が強いですから、様々な任命もするんです、首長というのは。その方々が実は選挙の支持者になるということもあるんです。ですから、いろんな意味で、こうした首長の皆様に対しては言いづらいということがあった。しかし、総理はそれを言われた。  そこで、総務省にお尋ねをいたします。  今日は四十七都道府県だけ聞きます。四十七都道府県の知事さん、この知事さん方の給料、俸給といいます。どこで審議して、そして実際にそういった見直しはされましたか。どこが審議して見直しをするか。  時間がないので、二つ目、併せて聞きます。  それは、給料、俸給とは別に、総理がおっしゃった退職金です。この特別職、出納長もいます、そして助役もいます、副知事もいますね。そういうところの知事の場合、県の場合ですが、どこで審議をして、そしてその審議した実績があるのかどうか、お示しください。
  304. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) お答えを申し上げます。  地方公共団体の特別職のうち特に知事と常勤の職員の給与、これは地方自治法で二百四条の規定に基づきまして、これ決めるのは条例で決めることに当然なっております。  そして、総務省としましては、自治体に対しまして、第三者機関であるところの特別職報酬等審議会の設置を要請しておりまして、この要請に基づいて今すべての都道府県及び政令都市におきましてこれが設置されております。この知事等の給与の改正のときに、条例を提出するときはあらかじめ意見を聞くこととされているところでございます。したがいまして、これは条例ですから、正に民主主義の下で議会があって、その議会の背後には住民がいらっしゃる、情報公開をきちっと行っていく、そういう仕組みになっている。  二番目の御質問の、今度は退職金についてはどうなのかということでございますけれども、これ、退職金についてもここで、審議会の諮問事項の中に入るわけでございますから、そこで議論していただくということが大変私は好ましいことだというふうに思っております。しかし、退職手当の額を諮問事項としていない団体もあるというのが現実でございます。  一例で申し上げますと、平成十六年度、五団体で退職金支払われていますけれども、そのうち退職金の額を第三者機関に諮問したのは三機関でございます。給与についてはきちっとそこでやられておりますが、退職金については諮問機関を活用していないところもあるわけでございまして、こういう点については、これは私の方で適切に是非必要な助言をしていきたいというふうに思っております。
  305. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 総理、お聞きになりまして、いかが思われますか。
  306. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私も、先日の経済財政諮問会議でそのような議論が出たものですから、私の退職金が幾らあるか分からなかったんですが、知事等の退職金が四千万とか数千万という話聞いて、実はびっくりしたんです。四年で何でそんなたくさん、多額の退職金を受けるのかなと。  それで、私は、私の退職金を知事並みにしてくれと言っているんじゃないんですよ。私の退職金は五年間で六百万とか六百何十万とか言っていました。それに比べて、知事というのは随分恵まれているんだなと。私は、都道府県知事に比べて、そんなに仕事を怠けているとは思っていないんです。そういう観点から、知事等の退職金については見直したらどうかと、総理大臣の退職金を参考にしながら、総理大臣でもこの程度だぞと。私はもっとくれと言っていませんよ。そういう点も含めて、素直にこれを見直したらどうですかと。  そして、それを決めるのは、聞いてみたら議会ですよ。県議会、市議会でしょう。どうしてそのまま認めているのかと、住民が。それも私はちょっと理解に苦しんでいるんです。私の退職金はどうでもいいんです。
  307. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 総理と非常に意見一緒なんです。ゼロにしろと言っているわけじゃないんです、総理も。どうして住民の皆さんにそれが分からなかったのか、そして議会がそれを審議しないのか。そして、竹中総務大臣、大問題でしょう。二百四条では、給料は審議するが特別職の退職金については規定していないんです。だから、それを基にしてやっていなかったとも言えるんです。ですから、一覧表作成をお願いしたいと思います。全国の自治団体、これらについて、退職金について審議会働くようになっているのか、審議会はあるわけですから、そこにかけられるんです。ところが、退職金という項目がないんです。そこを審議した実績があるかどうかということを次回にお願いします。  私は時間がありませんので、誠に済みません、次回、資料の御提出、委員長、お取り計らいをお願いしたいと思います。  そういうことで、自主性を尊ぶと、みんなでそれをお願いしている、この委員会でも地方の大切さ、みんな言っているわけです。資料要求、よろしくお願いしたいと思います。
  308. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 理事会で協議をいたします。
  309. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 時間がないものですから、先を急ぎまして済みません。  そんなことですから、やっぱり自主性を尊重するというみんなが気持ちでいるのに、実はこの苦しい経済状況のときに長たる方々にもっと説明責任を果たしていただけないだろうかと、こういう気持ちで、総理と一緒なんです。  さて、今日は先ほど午前中にもありましたが、消費者金融、ノンバンク、貸金業の話が出ました。私も何遍か別な委員会でこれを取り上げているんです。最初、総理のお話はちょっと納得できませんでしたが、最後に社会保障制度というものの充実ということが必要なんだというところに行き着いていただきましたから、これはほっとしたんです、正直言ってほっとしたんです。それがなかったら、また私はどうしたらいいかなといって、これはそれだけでも議論を取るぐらいだったんです。やっぱり本当にどうにもなんないんだから貸してくださいと。貸すところがないんですよ。しかし、それがなけりゃやっていけない、暮らせない。思い余って最終的にはそうして高利であっても借りざるを得ない。そこでも貸せないならやみ金に行くんです。やみ金は問題ですよ、これは。法律上の問題じゃないですか。  そこで、警察にお尋ねします。  やみ金、法律違反です。昨今、どれぐらいの摘発件数があり、どれぐらいの被害総額でしょうか。
  310. 竹花豊

    政府参考人(竹花豊君) お答え申し上げます。  平成十年以降のやみ金事犯の検挙状況でございますが、事件数では、平成十年は百六十五、翌年、百四十九、さらに百六十八、二百十、二百三十八、平成十五年は最も多くございまして、五百五十六事件でございます。平成十六年は四百三十二、平成十七年は三百三十九事件ということになっております。  検挙人員も同様の傾向を示しております。平成十年は三百四十五人、平成十五年は千二百四十六人、平成十七年は七百六人でございます。  被害額でございますけれども、平成十年は二百六十億円余、平成十五年は三百二十二億円余、平成十七年は二百三十七億円余となっております。
  311. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 総理、こういうことなんです。どんどんどんどんサラ金、何といいますか、やみ金で不法に借りるのは、返さなくちゃいけないという場合もあるんです。借りてたノンバンクに返さなくちゃいけない、銀行に返さなくちゃなんないというのもあるんです。だから、政策金融機関なんです。いろいろな意味を我々言っているんです。どんどん転落していく、これを金融弱者と言うわけです。金融弱者なんです。  アメリカは社会的な大問題です。口座を持てない世帯が一千万世帯。そういう方々がどんどん、クーポンの国家でありますから、いろんな社会保障などでお金をもらっても、クーポンでもらって、その限定のものをそれと交換できるというものもありますが、それを金券に換えるということのクーポンもあります。その場合に、みんなお金に戻すのに手数料を取られる。だけど、口座がないと換金してくれません。そういうところもあるんです。だから、そういうところで二割、三割、それをピンはねされても、残り現金に換えるというところもある一面あるんです。  ですから、このようにどんどん二極化が進むと本当にのっぴきならない、先ほどもありましたが、九千人の方はそうして命を自ら絶っているということがあるんです。そこに目を伏せては総理、いけないんじゃないでしょうか。我々は、そういったことを常に言ってきているわけです。  そういったものを考えていきますと、やっぱりこれ大手行の話にならざるを得ないです。地方銀行の話にならないといけないんです。  金融庁にお尋ねします。大手銀行、地方銀行、これはもう六百ぐらいあるんです、金融機関というのを入れますと。代表的なところで結構ですけれど、そうしたいわゆる消費者金融、自分のところで貸さないけれども、二九・二%のその上限で貸しているわけですよね。そういうところにいわゆる出資、役員、株の保有、大手行が消費者金融に対してその三つでどのように関係していますか。系列化していますか。
  312. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 一部の銀行では、出資や役員の派遣も含めまして消費者金融業者との業務提携を行っているものと承知しております。  例えば、三メガバンクの中では二つのグループが提携をいたしておりまして、大手消費者金融業者の株式保有というのをやっております。平成十七年の九月末で見ますと、三菱東京フィナンシャル・グループがアコムの株式を一二・九九%保有、三井住友銀行がプロミスの株式を一六・〇〇%保有ということで、両者は各々の銀行の関連会社となっております。  また、これらのケースでは、出資に加えまして、銀行の出身者が消費者金融業者の取締役に就任しております。
  313. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 消費者金融が悪いと言っているんではないんです。銀行が貸さない、しかし系列しているところから高いもので借りろと言っているんですよ。その利ざやを稼いでいるんじゃないですか。金融庁、どれぐらい、大手十一行あります、十一行がどれぐらい消費者金融融資していますか。融資総額言ってください。  それから、時間がありません、時間がありませんので、税金の額も言ってください。有価証券報告書に出ているんですから。税金納めている銀行があるかどうか、十一銀行
  314. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) まず、貸金業等への融資額でございますけれども、大手行に限った統計はちょっと手元にございませんけれども、日本銀行金融経済統計月報によりますと、貸金業、投資業等非預金信用機関、こういうところへの貸出し額は平成十七年九月末で二十一兆三千億円と、こういう金額になっております。  それから、大手行の納税額ということだと思いますが、各行が公表いたしております損益計算書、これを集計いたしてみますと、直近の平成十六年度は四十九億円、五年前、平成十一年度三千四百五十億円、十年前は二千三百四十三億円、これは損益計算書に出てまいります法人税、住民税及び事業税、この欄を集計したものでございます。
  315. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 総理、そして金融大臣、結局、今住宅ローン上がっているんです。そして、銀行が体力が戻ってきたと竹中大臣がおっしゃっても、結局ノンバンクの利ざやを稼げるところに融資をして、本当に借りたい人に貸さないで高利をむさぼっているというのが銀行の体質じゃないですか。そして、その結果、税金を納めるかといったら、皆様、わずか四十九億円ですよ。去年は一行しか納めてない、十一銀行で。これが、総理、現状なんです。民間だから常識的に税金を納めるなどというその常識は非常識なんです。  常にこうした金融危機、そしてこういったいろんなトラブルが起きるんですよ。私はそこをあえて強くこれは言っておきたいんです。そういう議論の場を私は求めましたが、なかなか議論させていただかなかったんで、そういう議論をかみ合わせていって、実態はどうなのか、そしてなぜなんだというところに郵政改革も、そして今回の政府金融改革も、そして地方との分野のいろんな改革をやっていかなくちゃいけないと思っているんです。結局、住宅ローンはきゅうんと上がりましたよ。こういうような状況で、そうして今度は、利息は、預けている利息はほとんど来ない。百円で二十円、こういう状況です。こういった問題、(発言する者あり)百万円で二十円です、百万円で二十円です。  総理、これ庶民感情で、幾ら総理が、幾ら格差というのはどの時代にもあるんですと言われても、これ共働きで、サラリーマンで、子育てしようか産もうか、やっていこうかという方々は大変でございますよ。是非、消費者サイド、借りる側の金融弱者の立場に立った仕組みをお願いしたいと思います。いかがでございますか。
  316. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 短くお答えします。  金融庁は、利用者保護等の観点から、金融サービス利用者相談室の設置及び金融商品取引法案を提出する等の施策に取り組むとともに、地域密着型金融機能強化など、金融機関が自らの責任と判断でリスクを取って金融仲介機能を果たしていくための枠組みを推進するといった金融行政に努めているところでございます。  民間金融機関においても、顧客ニーズをくみ上げるべく日々経営努力を行っていると思いますが、また行うべきだと考えております。
  317. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 何か失礼ですが、ぱっとしません。そういうような考え方でやっているから、もう総理、困っちゃうんです。  最後に、結びになります。  総理、これは聞いていただきたいんです。いわゆる靖国の問題でございますが、私は徳永参議院議長、日本遺族会の代表で全国区から御出馬されて、その議長の下で公設秘書をさせていただきましたけどね、ですから、あの中曽根総理のときにも私はおりました。  心の問題ですから、私はこんなこと考えています。総理になったらこれは御参拝しない、これ一つあるだろうと。二つ目は、今の八月十五日に全国戦没者追悼式典を政府主催でやっております。ここに各国の大使もお招きをして、不戦の誓いとそしてお弔いをすると、そういうようなことを、各国大使を呼ぶ、それをもって参拝をしない。そして、いろんなことがありますが、心の問題ですから、遥拝というのがあります。はるか、家の中で心で不戦の誓いとそしてまた平和を祈る、世界との協調を祈る、こういうやり方も私はあろうと、こんなことを私は考えている次第でございます。  終わります。
  318. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  中馬大臣、谷垣大臣を除く小泉内閣総理大臣、各大臣は、御退席いただいて結構でございます。     ─────────────
  319. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 次に、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。保坂三蔵君。
  320. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 各位のお許しをいただきまして、さきに派遣されました鳥取県への委員派遣の報告を行います。  去る五月十五日から十六日、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案外四案の審査に資するため、鳥取県に委員派遣を行いましたので、その報告を申し上げます。  派遣委員は、尾辻秀久委員長佐藤昭郎理事、藤野公孝理事、小川敏夫理事、大塚耕平理事、直嶋正行理事、風間昶理事、秋元司委員、小池正勝委員、野村哲郎委員、主濱了委員、広田一委員、浜田昌良委員、紙智子委員、近藤正道委員、荒井広幸委員及び私、保坂三蔵の計十七名でございます。  五月十六日午前、地方公聴会に先立ち、行政改革をめぐる地域の実情を把握するため、国立大学法人鳥取大学本部及び乾燥地研究センター、ハローワーク鳥取及びとっとり若者仕事ぷらざを視察をいたしました。  平成十六年四月に国立大学法人となった鳥取大学は、地域学、医学、工学及び農学の四学部と大学院、各種の機能を持った二十余りのセンターや附属施設を有し、学生数は約六千名、教職員数は約千六百名であります。同大学の乾燥地研究センターは、文部科学省指定の全国共同利用施設として平成二年に設立され、乾燥地における砂漠化防止及び開発利用に関する基礎的研究が行われており、国際的にも極めて高い評価を得ております。委員からは、国立大学法人化の影響と課題、運営費交付金に係る効率化係数の根拠、大学卒業者の県内定着への取組等について質疑が行われました。  次に、ハローワーク鳥取は、管轄区域内に人口約二十万人、事業所数約九千六百、従業者数約八万四千百人を抱えており、その職員数は二十七名で、求人の受理・開拓業務等の対求人者業務、職業相談・紹介業務等の対求職者業務のほか、雇用保険の適用や給付に関する業務を行っております。また、とっとり若者仕事ぷらざは、若者のための就職支援のワンストップ窓口として平成十六年四月、JR鳥取駅前に開設をされ、国、鳥取県等により一体的に運営されております。当日は、関係者の説明をいただきながら業務の実情をつぶさに視察をいたしました。  午後は、鳥取県立県民文化会館で四名の公述人の方々から意見を聴取した後、質疑を行いました。  最初に、鳥取県知事片山善博君からは、行政改革推進に当たっては、多様性に富む自治体を一律に扱うべきではないこと、自治体が真剣に行政改革に取り組まざるを得ないシステム改革の必要性、情報公開を徹底させることの重要性、鳥取県における行政改革の取組状況等に関する意見が述べられました。  次に、連合鳥取労働政策局長の西尾幸喜君からは、社会的インフラとセーフティーネットの構築の必要性、内容より削減数値が優先される行革法案への懸念、市場化テストの実施において、利用者側の立場に立ち、サービスの質も勘案する必要性、労働基本権の付与も含めた抜本的な公務員制度改革等に関する意見が述べられました。  次に、財団法人鳥取県文化振興財団副理事長柴田英杞さんからは、地域における文化芸術振興の現状と課題、文化芸術分野はコスト削減による合理化や競争にはなじまない点があること、文化芸術系の法人については、公益認定の間口を広くした上で事後評価の徹底を図るべきこと、法人側には新しい公益法人制度に適応する実力とマネジメント能力が求められること等に関する意見が述べられました。  最後に、ソンズ株式会社社長鈴木尊善君からは、簡素で効率的な政府について、数値目標のみ掲げることへの疑問、中央省庁、地方自治体を含め、公務員の配置を面積割とすることによる分散型国土の形成、縦割り構造を維持したままの数値目標の設定が、地方の切捨て、国土の切捨てにつながる懸念、国、県、市町村という多層制を改めることによる簡素で効率的なコミュニティーの実現等に関する意見が述べられました。  公述人の意見に対しまして、鳥取県における不適格公務員への対応、鳥取県にふさわしい公共サービスの在り方を示す具体例、文化芸術系の法人において文化と経営を均衡させる方法、市場化テストの対象としてふさわしくない分野の例、行革推進法案の職員配置基準見直し規定の評価、行政改革の手段としての天下り廃止の重要性、政策金融機関統合、完全民営化に対する不安や要望、国家公務員のキャリア制度に対する考え方、平成の大合併の評価と道州制の在り方、適切な公益認定を実現するための委員の選任基準などなど、多岐にわたる質疑が行われました。  なお、鳥取における地方公聴会の内容は速記により記録しておりますので、詳細はこれによって御承知願いたいと存じます。  以上で報告を終わりますが、今回の委員派遣につきましては、地元鳥取を始め、多数の関係者の御協力をいただきました。ここに、深く感謝の意を表する次第であります。  以上です。
  321. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。  なお、地方公聴会の速記録につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十五分散会      ─────・─────    〔参照〕    鳥取地方公聴会速記録  期日 平成十八年五月十六日(火曜日)  場所 鳥取市 鳥取県立県民文化会館    派遣委員     団長 委員長      尾辻 秀久君        理 事      佐藤 昭郎君        理 事      藤野 公孝君        理 事      保坂 三蔵君        理 事      小川 敏夫君        理 事      大塚 耕平君        理 事      直嶋 正行君        理 事      風間  昶君                 秋元  司君                 小池 正勝君                 野村 哲郎君                 主濱  了君                 広田  一君                 浜田 昌良君                 紙  智子君                 近藤 正道君                 荒井 広幸君    公述人        鳥取県知事    片山 善博君        連合鳥取労働政        策局長      西尾 幸喜君        財団法人鳥取県        文化振興財団副        理事長      柴田 英杞君        ソンズ株式会社        社長       鈴木 尊善君     ─────────────    〔午後一時開会〕
  322. 尾辻秀久

    ○団長(尾辻秀久君) ただいまから参議院行政改革に関する特別委員会鳥取地方公聴会を開会いたします。  私は、本日の会議を主宰いたします行政改革に関する特別委員長尾辻秀久でございます。よろしくお願いいたします。  まず、私どもの委員を御紹介いたします。  私の右隣から、自由民主党の保坂三蔵理事でございます。  同じく自由民主党の佐藤昭郎理事でございます。  同じく自由民主党の藤野公孝理事でございます。  公明党の風間昶理事でございます。  自由民主党の秋元司委員でございます。  同じく自由民主党の小池正勝委員でございます。  同じく自由民主党の野村哲郎委員でございます。  公明党の浜田昌良委員でございます。  次に、私の左隣から、民主党・新緑風会の直嶋正行理事でございます。  同じく民主党・新緑風会の小川敏夫理事でございます。  同じく民主党・新緑風会の大塚耕平理事でございます。  同じく民主党・新緑風会の主濱了委員でございます。  同じく民主党・新緑風会の広田一委員でございます。  日本共産党の紙智子委員でございます。  社会民主党・護憲連合の近藤正道委員でございます。  国民新党・新党日本の会の荒井広幸委員でございます。  次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。  鳥取県知事の片山善博君、連合鳥取労働政策局長の西尾幸喜君、財団法人鳥取県文化振興財団副理事長の柴田英杞君、ソンズ株式会社社長鈴木尊善君、以上四名の方々でございます。  この際、公述人の方々に対し一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙のところ公聴会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  当委員会におきましては、目下、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律案一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び競争導入による公共サービス改革に関する法律案、以上五法案の審査を行っておりますが、本日は、五法案について関心の深い関係各界の皆様方から貴重な御意見を承るため、本公聴会を開会することとなった次第でございます。  皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の法案審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  なお、公述人の方々の御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べ願います。  まず、片山公述人からお願いいたします。
  323. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) 先ほど御紹介いただきました鳥取県知事の片山です。  本日は、委員会委員の皆様方には、私どものこの鳥取県にわざわざお越しをいただきまして、私どもから地域の生の声を聞いていただく機会をつくっていただきまして、大変ありがとうございます。本当に、せっかくの機会でありますので、思うところを述べさせていただきたいと思います。  私は基本的には、今回国会にかかっておりますこれらの法案につきましては基本的には賛成であります。  特に、行革を国も地方も進めて、一体として真に簡素で効率的な政府をつくるということは、これから本当に必要なことだと思います。それから、競争原理を導入して公共サービス改革をするというこの法案につきましても、地方団体も国の施策に準じてこれを導入するということに多分なると思いますけれども、地方にとりましても行政改革一つの手法が選択肢として増えるということでありますので、基本的には賛成であります。  ただ、幾つか懸念でありますとか、この法律が成立しました後に運用の段階で懸念されるべきことでありますとかもありますし、それから、この際、行政改革全般について少し委員先生方にお聞き届けいただきたいこともありますので、そうした観点での話をさせていただきたいと思います。あらかじめお手元に一枚の簡単なレジュメを用意させていただいておりますので、それをごらんいただきながらお話をしたいと思っております。「真に簡素で効率的な政府及び自治体の実現をめざして」という題名のレジュメであります。  先ほど言いましたように、基本的には賛成でありますが、この法案についての感想でありますとか、それから留意していただきたい事項がやはりございます。それは、今回の行革法の中に自治体の行革についても触れているくだりが幾つかあります。  例えば公務員の数を、地方公務員も、千分の四十六だったと思いますけれども、削減するということが書かれております。それはそれで結構だと思うんでありますけれども、その際に、今までの政府のやってきた経緯を見ますと、大体一律主義で地方団体に施策を押し付けてくるといいますか、下ろしてくるというのが通例でありますが、そうしたことが大変大きな弊害を生むということをまず申し上げたいんであります。  そこにありますように、多様な自治体を画一的に扱う愚は避けるべきというのがそのことでありまして、千分の四十六を削減する、トータルとして地方公務員全体の千分の四十六を削減するという政策は、政府の方針として打ち出されるのは結構だと思いますけれども、これを、今恐らく千八百幾つかになったと思いますが、すべての自治体に一律にどこもかしこも千分の四十六減らせということを大体総務省はやるんであります。今も現に、集中改革プランを作りなさいと、その中には公務員の数を四・六%減らすようなことを盛り込みなさいというのを全部流しておりまして、せっせとそれに合わせて今自治体はその集中改革プランを作ったりしているところが大半なんであります。  これは実は愚かなことでありまして、といいますのは、現在の自治体というのは画一でありませんで、非常に多様性に富んでおります。多様性に富んでおりますというのは、例えば行革をやっているかやっていないかという面におきましても、もう既に本当にスリム化をして真剣に行革に取り組んできた自治体もありますし、必ずしもそうでもなくて、まあじゃぶじゃぶのようなところも実はあるんであります。  その辺が国と違うところでありまして、そういう、もうスリムになったところもあるし、じゃぶじゃぶになったところもあるのに、にもかかわらず一律に四・六%今後五年間で減らせというようなことをやると、どうしても弊害が出てくるわけであります。ですから、そういう画一的にともすればなる、そういうやり方は絶対にやめるべきだと私は思っております。  そういう画一的に国から地方に行革をやれといって号令を掛けて国がモニタリング、監視をするというようなやり方ではなくて、自治体が自らの判断と責任で行革に取り組む、そういう枠組みを国としてはしつらえるべきではないかというのが次の論点であります。  じゃどうするんですかと。実際に、そんなことを言ったって、自治体は真剣に行革に取り組まないところ多いじゃないですかと、大阪市を見なさいと、すぐそういうことになるんでありますけれども、実際はそうなんです。千八百二十もありますから、真剣に取り組むところもあれば取り組まないところもあります。  私は、それはもう自業自得だと思うんです。取り組むところはちゃんと持続可能な財政運営が可能になりますし、そうでないところ、ぼやぼやしているところは破綻をすると。破綻をしたらどうなるかというと、それは行政サービスが、市民に対する行政サービスが著しく低下をするとか市民の税が増税になるとか、そういうふうなことになるメカニズムがあれば、勢いみんなが真剣に行革をやるようになるんであります。そのメカニズムを私は大事にしたいし、政府はそういうメカニズムが働くような枠組みをつくられるべきではないかということです。  今、竹中総務大臣などが破綻法制の整備ということを説いておられたりしますけれども、私は基本的にはあれは賛成であります。自治体、全国知事会なんか反対していますけれども、私は賛成であります。  ただし、破綻法制といったときに、二つ条件がありまして、一つは、破綻防止のメカニズムが働くようにならなければいけない。まず、破綻をさせないというメカニズムがしつらえられなければいけない。それはだれがするかというと、それは住民のチェックとか情報公開とか、それから金融市場によるチェックとか、そういうものがメカニズムとしてなければいけない。それからもう一つは、破綻法制というのは倒産型ではなくって再建型の破綻法制でなければいけない。そういう留保条件はあるんでありますけれども、基本的には賛成であります。そういうことを通じて、言わば自業自得の地方自治制度というのが、冷たいようでもこれが必要なんではないか。  そうしますと、のんきで無自覚な自治体は破綻をする可能性が大いにありますから、そこで主権者である住民がはらはらして、いい人をちゃんとその代表として選ぶと、こういうことになる。それが、迂遠なようでも一番の近道だと思います。  あと、「自治体が上辺だけでなく行革に取り組まざるを得ないシステム改革が望ましい」と書いていますが、先ほど言いました、国が今集中改革プラン作れといって全国に号令掛けているんですけれども、みんな作っています。四十七都道府県のうち作ってないのは鳥取県だけです。私どもは作りません。行革などは、国にレポートするものではなくって、自ら判断して当該地域の住民の皆さんに説明責任を果たすべき代物ですから、ちょろちょろっと作って国に報告したりするのは本当の行革ではないと思っているものですから作っておりませんが、大半の自治体は作っております。ほとんど全部ですね。  どういうことが起きているかというと、例えば四・六%公務員の数減らしなさいよという命題があるんですけれども、そうなると、真剣にやっているところもあるとは思いますが、例えば一つの行政機関を地方独立行政法人にする、エージェンシー化する。となりますと公務員の数はそこでその分だけ減らすことができるんであります、形式上。ですけども、じゃ、その人間がいなくなるのかというと、そうではなくて、独立行政法人の職員になっただけで、身分が変わっただけで何にもトータルコストは変わらないわけであります。ところが、そんなことをしても、上辺だけがちゃんとつじつま合っていればよしよしということになったりするんです。ですから、そういう愚かなことにならないような、もっと本質的なシステム改革が用意されなければならない。  それは、じゃどんなことですかというと、一つは、もう情報公開を徹底する。徹底せざるを得ない仕掛けを作ればこれで大半のことは片が付くと私は思います。私自身が県知事になって一番力を入れたのは、この情報公開を徹底ということであります。そのことで行政改革は随分進みます。例えば、大阪市のような給与の不適切な運用なんというのも、情報公開しないから、秘密の中でこそああいうことは起こるわけであります。情報公開すればあんなことは一掃されるわけであります。したがって今回も、ばれたら直そうという、こういうことになるんですね。ばれたらというのは、あれは情報公開をしたということになるわけです。情報公開をせざるを得ないシステムをつくるということが必要です。  それから、行革法案の中に、地方団体に財務諸表、例えばバランスシートでありますとかそういう財務諸表を作成するようにしむけていくというのがあったと思います。それは私は結構だと思うんですけれども、自治体になぜ財務諸表がないか。これは国にもそうですけれども、貸借対照表もありません。なぜないかというと、使う場面がないからです。民間企業はなぜ貸借対照表を作っているかというと、金借りるときに必ずあれは持っていないといけないわけです、金融機関に対して説明しなきゃいけませんから。それから株主にも報告しなきゃいけません。  ところが、自治体の場合には、借金するときは総務省の方の許可とか承認とかというのはありますけれども、貸手によるチェックは何にもないんであります。許可証があれば貸してくれる。したがって、金融機関は全く資産とか債務とかをチェックしない。したがって、金融機関から財務諸表のようなものを求められることもないわけであります。  財務諸表を作れといっても、今のような状態で作れといっても意味がありません、作っても何の使い道もありませんから。そうではなくて、本質的には、地方債に対する関与、国の関与をやめてしまって、貸手がちゃんとチェックをする、借り手の財務内容をチェックする。こういうメカニズムが働くようにすれば、勢い財務諸表は作らざるを得なくなります。  今、総務省に行って起債の許可を求めたり起債の承認を求めたりしても何の意味もないんです、本当は。貸してくれるわけでもないですし、それから自治体の財政の行く末を心配してくれるわけでもなくて。何の意味もないのに起債のチェックを受けているわけです。もうそんなものは外して、そして金融市場にゆだねるという、こういう仕組みが必要ではないかということであります。  ついでに言いますと、地方債に今関与を受けているわけです。従来許可、今は承認なんですけれども、協議による承認なんですけれども、これは言わば成年後見制度の下にあるようなものなんです。まともに自分の判断で、自分の責任でお金が借りられない人というのは、今、世の中では成年後見制度下にある人です。一昔前までは禁治産者と言っていました。すべての自治体が今禁治産の状態にあるわけです。成年後見制度の下にあって、地方の自立だとか分権だとか言って、私はそれは全く矛盾していると思うんです。地域の自立の基礎は、まず自分の判断で借金をしてちゃんと自分の責任で返していくという、こういうまともな仕組みを是非つくっていただきたいというのがこの際のお願いであります。  あと、国の行政改革などにつきまして全般的な感想と意見を、少し失礼に当たる部分があるかもしれませんが、申し上げますと、私どもから見まして中央政府は極めて透明性が低いという印象を持っております。透明性の低い中から例えば防衛施設庁の官製談合が生まれるわけです。透明性が高ければあんなことは絶対起こりません。  それから、例えば予算編成過程が全く不透明であります。概算要求してから財務原案が出てくるまで全く不透明であります。国の重要な進路を決める予算というものが半年間ぐらい全く不透明な中で、ブラックボックスの中で作業が行われている、こういうことは改めなければいけないと思うんです。  一事が万事でありまして、実は今日先生方にお越しいただきましたが、ここで、当地で今政府主催の会議が、別の会議もあるんです。二つほどやっていまして、その一つが、総務省の人が来まして中国地方の財政のブロック会議やっているんです。今、交付税の問題ですとか地方財政の問題で大いに議論しなきゃいけない、時宜にかなった会議なんですけれども、何と非公開なんです。私ども唖然としました。私どもがやっている会議なんか全部公開です。ところが、総務省が主催ですから、主催者の意向でやるんですけれども、非公開。何でそんなもの非公開にしなきゃいけないのか。今こそ我々の地方財政の現状というものを、マスコミの皆さんも含めて大いに知っていただかなきゃいけない、窮状を察していただかなきゃいけない、共感をしていただかなきゃいけない、そのときにわざわざ非公開にするというのは、何か変なことをたくらんでいるんではないかというふうに勘ぐられるのが落ちなんですけれども、あえてそれが非公開で当たり前だというんですね。これがもう一事が万事で、政府の体質であります。  是非透明性を徹底する、中央政府の透明性を徹底するということを国会議員の先生方にお願いを申し上げたいと思います。  もう一つ、私ども見ていまして、三位一体改革なんかでも権限とか補助金とかはもう絶対に各省は手放そうとしません。総務省は総務省で各省の補助金はやめろと言うけれども、起債の権限は手放そうとしません。何でこんなことになっているのかというと、私も国家公務員を長年やっていましたからもう自分でもよく分かっているんでありますけれども、要するに、今の国家公務員のキャリアの皆さんの人事制度がやっぱり間違っているんです。どう間違っているかというと、完璧に年功序列になっているわけです。年功序列の中でピラミッド型の組織、上が先細りになりますから、いずれかの段階ではみ出る人が出てくる。そうすると早期退職をしなきゃいけない。だけどそれは、そこで路頭に迷うわけにいきませんから、どこかで収容しなきゃいけない。それが天下り先。したがって、天下り先が確保されていなければ人事が回らないという、こういうメカニズムがあるわけでありまして、これがあるので各省の皆さんは権限とか補助金とかを絶対手放そうとしないわけであります。  天下り規制をするとか、二年は行っちゃいけないとか、何かいろんなことを小手先やっていますけれども、あんなのは全く本当に小手先であります。元を絶たなければいけない。元を絶つのは何かというと、年功序列をやめればいい。みんな定年まで働けばいいんです。国民のためにいい仕事をする人は事務次官やったらいいですし、そうでない人は課長補佐で止まってもいい。どこの世界でもそれが当たり前なんです。それをやっていない異常な世界が今の霞が関の公務員と昔の陸軍、海軍、陸士何期、海兵何期と言っていました、今、私は自治省四十九年とかと言われていたんですけれども、同じことを今やっているわけであります。それを解除してあげるのが私は一番の公務員改革の本丸ではないか。そういうところから、権限にこだわらない、本当に国民の方を向いた公務員の集団ができるんではないかと思っています。  あと参考までに、ごく簡単に、鳥取県では、じゃどんな行財政改革をやっていますかということを紹介させていただきたいと思いますが、先ほど言いましたように、徹底した情報公開をやっています。それは、例えば予算編成過程はすべて公開しています。私どものところは予算はペーパーレスです。すべて庁内LANのシステムを使って予算編成作業をやっていますから紙なしでやっています。ということは、いずれの段階でもすべてホームページに公開できるわけです。県の場合は、財政課長、総務部長、知事査定と三段階経るんですけれども、すべての段階でそれを、まあ要求の段階からですけれども、ホームページに掲載をしています。各段階の査定の結果というものは、何ゆえにこの事業に付けたか付けなかったか、すべてそれぞれの責任者が説明責任を果たすような、そんな仕組みをしています。すべてさらけ出しています。  あと、トータルコスト予算といいまして、事業費と人件費を組み合わせた予算査定にしています。国も地方も人件費は切り離しているんです。ですから、一体その事業にトータルコストは幾ら掛かっているか分かりません。それを分かりやすくするためにトータルコスト予算にしました。例えば農業改良普及事業というのは、従来の予算編成の過程では三千万ぐらいの経費しか計上されてないんです。ところが、改良普及員の人件費をそこにばっと織り込みますと途端に七億以上になるわけです。それで、じゃ、どれだけの行政効果を発揮しているのかということが問われる、そういう予算編成の仕組みにしまして、そこから行政改革が随分できます。じゃ、こんなに金掛けるのはもうやめようじゃないかとか、これならアウトソースした方がいいじゃないかということに実はなってくるわけであります。そんなことをしています。  公共事業の透明化。入札制度、いろいろ問題ありますけれども、私どものところは、条例でつくりました審議会、この審議会にはオンブズマンの頭目も入ってもらっていまして、そこで入札制度の仕組み、格付でありますとか、そんなことを逐一チェックをしてもらっている、システムについてチェックを加えてもらっていると。このことで透明化が進んでいます。  労使の関係も透明化しています。給与の問題が不透明だから問題が起きる。全部、給与も、不適切な運用も、すべて私が知事になりましてからホームページに登載をしました。そこからいろんな批判が出ました。その批判が出たものを順次直してきて、わたりというものも全廃しました。現業職員の給与水準は非常に高い、これも全部今直しました。退職前にみんな課長で辞めた、そんな変なのもやめました。もう大体すべてクリアしましたのは透明化したからであります。  あと、人事は年功序列をやめていますから、天下り先も要りません、県庁では。それから、閉鎖的な部単位とか職域単位の、職種単位の人事異動もやめていますから、その内部の権限争議、霞が関に見られるような権限争議なんかありません。  男女共同参画を徹底していまして、例えば財政課、国でいうと財務省の主計局ですけれども、ここもほぼ三分の一の職員を女性にしています。国でいいますと主計官に相当する職員も三人女性にしています。何が起きるかというと、やっぱりノーマライズされます。仕事の仕方も変わります。深夜労働なんかはもう余り、まあ余りというかほとんどしなくなります。肉体労働から知的労働に変わってきます。今、財務省の主計局なんか見るともう肉体労働になっています。あんなので財政再建できるはずがないです。すぐれて知的な労働のはずなんですけれども、そこを変えなければいけない。そのためにも男女共同参画がいいのではないか。
  324. 尾辻秀久

    ○団長(尾辻秀久君) 片山公述人に申し上げますが、お願いしました十五分、大分過ぎておりますので、おまとめをください。
  325. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) はい、じゃあと一点だけです。  契約方法を今見直しをしていまして、すべての契約方法を、今随意契約が問題になっていますけれども、私どもも見直しました。例えばコピー機とかOA機器のリース契約を従来単年度契約だったのを複数年の一括発注にしましたら、競争原理が働きまして四分の一まで下がりました。自治体がだんだんまねしてきました。一つもまねしてないのが中央政府、霞が関です。一切まねされておりません。庁舎の清掃費なんかも競争原理で四割になりました。やっぱり契約を見直すだけで随分変わります。国は見直そうとされません、こういうときに。なぜか。やっぱり受注先のところに天下りが一杯行っているという関係があるんであります。そういうことを見直されれば随分私は行政改革になるんではないかと思います。  失礼しました。
  326. 尾辻秀久

    ○団長(尾辻秀久君) 先に申し上げておくべきでございましたけれども、本日は、片山公述人、西尾公述人、柴田公述人、鈴木公述人の順番でお一人十五分以内でまず御意見をお述べいただきますようにお願いもしてございましたが、改めてお願いをいたします。  それでは、引き続き、西尾公述人にお願いをいたします。
  327. 西尾幸喜

    ○公述人(西尾幸喜君) それでは、連合鳥取で労働政策局長をしております西尾と申します。よろしくお願いします。  本日は、私どもの見解を述べる機会をいただきまして誠にありがとうございます。  それでは最初に、公共サービスの在り方について地域の実情を交えながら少し意見を述べたいと思います。  鳥取県では、高齢化の方が進んでおりまして、現在、六十五歳以上の老年人口は全体の約二四%となっておりまして、年々増加傾向にあります。また、県内には働く場が少ないため県外への就職希望者が多く、年々生産年齢人口も低下しておりまして、昨年はピークから五ポイント減少し六二%に満たない状況であります。特に、十四歳以下の年少人口が戦後には四〇%あったものが現在一四%にまで減少をしておりまして、若者の定住率が低くなっているものと思っております。  県内でも市町村合併が進んでおりまして、特に山間部での過疎化が進行した地域では、独居老人の足となる公共交通機関の補助事業の縮小や災害時などの情報伝達など地域のコミュニティーが急速に弱まっておりまして、そうした地域で暮らしている人たちは、この先安心して暮らしていけるのであろうかと先行きの不安を募らせております。  また、指定管理者制度の導入によりまして市町村合併後の地域サービスの低下が見受けられております。私の住む地域では、合併以前には地域のスポーツ振興のため減免となっていた体育施設の一部が有料となりまして利用料を支払うようになりました。このことは地域住民からも不満の声を聞いております。  こうした時代でありますから、公共の機能、役割はますます重要性を増しているのではないかと考えておりまして、公共サービスの果たす役割を明確にして機能させることが必要であるとともに、地方分権を基本とした国と地方の役割を明確にして、法律の中で表せないものに基準を設けることも重要と考えております。  公共サービスは、そこに暮らす人々の生活の質を確保し、また企業が有効に活動するための基盤でなければなりません。それは、社会的インフラとセーフティーネットの構築であり、すべての人に安心と安全を提供できるものでなければなりません。安心と安全を得られるレベルというものは、東京であれ、ここ鳥取の地であれ、ひとしく保障されるべきと思います。ただし、公共サービスを提供するのがすべて行政機関でなければならないということではありません。行政、それから民間事業者、公益法人やNPO、ボランティアあるいは地域のコミュニティーがそれぞれ提供できるサービスを調整して組み合わしていけば、真に地域住民の役立つような形をつくれると思っております。  そこで、連合鳥取なんですけれども、今、採算上の問題などから民間事業者が提供できないサービス、こういうものも出てくると思いますし、あるいはいったん民間事業者が担った後に経営難などで撤退したところもあります。こういうところに、同様のサービスが受けられなくなりますので、そういうおそれがあるもの、そういうサービスにつきましては、行政機関以外が担えるものとを峻別して、より良い行政サービスが提供できるような検討機関を設置することを今年度の予算の要請のときに求めていくような準備をしております。  まだ具体的なものはこれから勉強させていただきますけれども、現在、政府が提供しております行革推進法案、これにつきましては、削減数値目標ありきということで、この印象がどうしても払拭ができません。地方から見ておりましても、国の進めております簡素で効率的な政府というものは、最初から小さくしようという削減目標に合わせるためだけのものでありまして、到底、地域に視点を向けていただいたものとは考えておりません。いまだに、先ほどありましたように、各省庁間で利権の取り合いや縄張争いをしているようにしか私どもには見えません。  もう一度、国民に安心、安全な社会を提供するための公共とは何かということで、本質的なものから、また根本的なところから議論をしていただいて、それをいかに効率的に提供できるかを考えるべきではないかと思っております。  今の社会は、本当に様々なリスクをすべて個人が背負っていくような、リスク対応の個人化という流れの中で進んでいるのではないかと思います。そして、それによりまして様々な格差が拡大しているのではないかと考えております。それは、ここ鳥取の地においても地域間、企業規模間、雇用形態等で二極化という形で極めて明らかに表れているものと思います。  昨年、連合鳥取は、独自の調査も行いつつ、鳥取県や労働局などと連携しながら、連合鳥取の構成組織産別や地域中小企業の協力を得まして、雇用労働に関する実態調査を行いました。それによりますと、大まかなんですけれども、若年者の中には、働きたくても働き場がないため、やむなく派遣社員やアルバイトで生計を得ている人がたくさんおられました。また逆に、正社員の間では、長時間労働や休日出勤が常態化することによる過労やストレスということが原因で自殺や心の病で長期休職に追い込まれておる方もおられまして、生活の中の安全が脅かされていることが分かりました。  あわせて、鳥取県でもいわゆるフリーター、ニートと呼ばれる若者たちが増えておりまして、今後、義務教育課程から勤労・就業意欲を高める教育訓練などの対策を強化すべきと考えておりますが、厳しい財政状況に加え、現在、義務教育費の国庫負担金が引き下げられております。将来的には教職員の給与などについても地方での負担が増えますので、こういう工夫ができる部分がなくなることも想定をされます。  これらを踏まえまして、財政再建の手段としての行政改革ではなく、国民に安心、安全、信頼を保障する公共サービス、これを確立することを基本に置いていただき、その実現に向けて適正な予算配分にも目を向けていただきまして、地方交付税の在り方についても地方分権を重視した視点から再考願えればと思います。  次に、法案の個別課題について何点か指摘をしたいと思います。  まず、市場化テスト法案につきましては、先ほど申しましたように、公共サービスは社会的インフラとセーフティーネットとしてすべての人に安心、安全を提供できるものでなければならないわけですから、行政サイドに立ったコスト削減という観点のみが落札の基準になってはいけないと思っております。使う側、利用者サイドに立ったサービスの質、こういうものも観点に入れて重視していただければと思います。  例えば、応札条件の中にCSRとかコンプライアンス、いわゆる企業の社会的責任、このようなものを問うものも項目に取り入れていただければと思っております。また、民間事業者が落札した場合、それまでサービスを担ってきた部門の公務員は分限解雇の対象になることも想定されます。それは全体の中で雇用調整をすると言われましても、公務員法などの関連の法律と整合が取れているのかどうか極めて不安なものもあります。また、対象業務で年金徴収など、社会保障にかかわる業務や個人情報を扱う地方公共団体の窓口などは守秘義務が担えるのか、本当に効率よくできているのか、さらに、サービスの質を担保できるのか、こういうことを十分に検証する必要があるのではないかと思います。  次に、公共サービス改革について述べさせていただきます。  労働行政に日常的にかかわりを持つ立場から申し上げますと、例えば、最近の雇用の現場では労働法制さえ守られていない雇用実態が多く見受けられます。私どもは、いろいろな労働相談を受けながら、労働基準行政の現場に人員を充実してほしいというようなところも労働局にも申し上げております。企業の活動ばかりが自由になって、守られて当然の労働者の人権が侵害される、そのようなことは絶対あってはならないと思います。また、職業安定行政としてハローワークの雇用が回復していない鳥取のような地方におきましては、ハローワークのような行政の役割もしっかり頑張っていただきたいという思いがあります。  実は、ハローワークの求人情報によりまして職に就かれた方から、労働条件が違っていたとか、文書によって雇用契約が交わされていないとか、そういった悪質なケースも結構見受けられるということで聞いております。行政の責任として、求職者が安心して情報が得られるようサービスの質を上げることも必要と感じます。  職業安定行政と労働基準行政がもっと連携して良質な雇用を確保するような労働行政、より良い行政サービスが今一番必要でないかと感じます。まず、予算と人を削るというのが行政改革ではないと思いますし、それが本来の行政・公共サービスの役割ではないかと思います。こうした有機的な連携が必要なものについては、個々ばらばらの行政機能に分けて表面的な部分、これは民間でできる、これはできないというような仕分が行われようとしていることに対しまして大きな危惧を抱いております。  次に、抜本的な公務員制度改革について述べたいと思います。  私ども連合鳥取も、公務員制度の抜本的改革は避けて通れない課題であると認識をしております。  片山知事もいらっしゃいますが、鳥取県では全国に先駆けまして、県職員の給与カットを行って雇用対策に充当した経緯や、先ほどありましたけれども、いわゆるわたり制度と呼ばれます賃金体系の見直しなどについて、県当局と当該の職員組合で対立する論議を交わした経験がございます。  その際感じたことなんですが、県側の基本的な立場は、職員の賃金決定の最終権限は住民の代表である議会である、したがって当事者の合意がなくても議会が了解すればよいというようなものであったと記憶をしております。当然その結論につきましては、県財政や賃金水準との整合性も含めて、議会、県民に説明責任を果たせるものでなければならないと考えております。しかし、私たち連合の立場というのは、公務員労働者といえども雇用契約の当事者である県当局と労働組合の双方が納得して責任の持ち合える結論が前提であるというものでありました。  やはり、基本的には公務員労働者も雇用労働者でありまして、基本的人権である労働基本権は当然付与されるべきものでありまして、その上で雇用契約の当事者としての権利と責任を持ち合えるようにすることが透明で公平、公正な制度と、より良い行政サービスの実現のために今後のあるべき姿ではないかと考えております。  先ほどの市場化テストもそうですが、民間で労使が経営協議を行い、効率化や利益の増大に向けて労使とも進んでおりますが、現行では官の労働者は労働基本権が制約されて労使の協議制度もありません。それで対等に民と競争していけるのか大変疑問に思っております。  今回の法案は行政改革のためのものでしょうが、それを支える公務員制度の抜本改革が全く考えられていないということは極めて遺憾であります。十分な議論をしていただき、国民、住民が受ける行政サービスが向上し、それを支える公務員制度が透明で公平で公正なものとなるよう十分な議論を尽くしていただきますようお願いを申し上げまして、私の公述人としての意見表明とさせていただきます。  以上であります。ありがとうございました。
  328. 尾辻秀久

    ○団長(尾辻秀久君) ありがとうございました。  次に、柴田公述人、お願いいたします。柴田公述人。
  329. 柴田英杞

    ○公述人(柴田英杞君) 鳥取県文化振興財団の柴田でございます。限られた時間でございますので、原稿を読まさせていただきます。  今日はこのような発言の機会を設けていただきましてありがとうございます。私自身の自己紹介から入り、なぜ地域で文化芸術振興の仕事に携わっているのか、その経緯と考え方の基をお話ししたいと思います。  私は、新劇の劇団制作者を五年間経験いたしました。三十歳で演劇制作会社を起業いたしまして、無名の若手劇団を五年間マネジメントいたしました。創業二年目で東京、大阪、北海道など全国二十七都市で七十二ステージの全国ツアーを展開しましたり、劇団の演劇のプロデュースと、演出家や俳優などのアーティストマネジメントを行っておりました。当時、有限会社を設立したわけですが、営利目的ではない非営利的な劇団活動に対して適切な法人格がないということについて大変戸惑い、違和感を覚えました。  平成六年には、フリーの演劇プロデューサーとして独立いたしました。理由は、東京一極集中の文化芸術環境の偏った現状に疑問を抱き、地域における文化芸術振興の在り方を考え、自身の専門である演劇振興事業に着手していきました。北海道、仙台、広島、金沢などの自治体や財団で演劇作品をプロデュースしながら、地域の文化活動者の人材の発掘と育成を行いました。  平成九年、文化庁在外研修員としてイギリス、アメリカの地域劇場に派遣され、アートマネジメントの研修と地域劇場を視察してまいりました。それは、自身の仕事の幅を広げ、文化や教育の先進国であるアメリカやイギリスの文化政策を実感し、現場で学ぶためでした。帰国後は、更に視野を広げるため、社会人学生として大学院などで経営学と文化政策学を学びました。  平成十四年には全国公募で鳥取県文化振興財団文化芸術デザイナーに就任し、平成十八年度から、指名指定で指定管理者になりました鳥取県民文化会館と倉吉未来中心の管理運営に従事しております。また、全国公立文化施設協会の舞台芸術活性化アドバイザーとして、全国のホールの助言やアドバイスをしております。  今日は、三つのポイントに絞ってお話をしたいと考えております。  まず一つ目は、地域における文化芸術の振興について、現状と課題を御報告いたします。  一九九〇年代は、バブル経済が崩壊したことを受けて、失われた十年と呼ばれておりました。しかしながら、文化芸術にとりましては豊潤の十年と位置付けることができる時代です。文化芸術振興基金の創設や企業メセナ協議会の設立などが相次ぎ、公的資金による文化芸術支援が始まり、企業の文化芸術支援活動も活発化してまいりました。  平成五年ごろには、地域での公立文化会館の建設ラッシュがピークを迎え、地方自治体が地域での文化芸術支援策を次々と展開していきました。平成七年には阪神・淡路大震災の影響を受けて民間非営利活動が活発化し、平成十年には特定非営利活動法人法の制定がありました。その流れを受けまして、地域社会に貢献したいという意思を持った社会的使命に燃えた文化芸術活動も活発化し、アートNPOとして誕生いたしまして、現在も微増しておるようです。  そして、平成十三年には文化芸術振興基本法が制定され、国の文化芸術に関する基本的な考え方が法律という果実となりました。この辺りから、地域においても、文化芸術の振興の在り方が、地域の文化の政策的位置付けという概念へ変遷していったと見てよいでしょう。  現在は、地域における文化芸術の振興はセカンドステージを迎えており、指定管理者制度や市町村合併など、構造改革や新しい法整備の下で揺れております。特に、指定管理者制度においては、全国に三千余り存在する公立文化会館の多くが競争の原理にさらされ、従来からの管理運営の改善に迫られております。サービスの質の向上とコスト削減という二つの側面からの組織と運営の見直しですが、その功罪は近い将来、様々な形となって現れてくるでしょう。  地域の公立文化会館がこの制度に立ち向かっていくためには、公立文化会館を管理運営する財団法人の体質改善と職員の意識改革が最も重要な課題となります。民間のノウハウを使いたくても使えない硬直化した組織体制や規定では、サービスの質の向上は望めないでしょう。また、制度を導入しても、公立文化会館に働く職員たちのマンパワーが発揮されなければ、民間の業者に指定管理者の座を奪われることになるでしょう。  幸いなことに、鳥取県文化振興財団では、平成十五年度に「改革のための基本方針」という改革提案を、県民と財団が一つになって策定した方針がございます。この方針は、指定管理者制度の導入を見据えて策定した骨太の方針です。改革が五十五項目にもわたり、内容の濃いものとなっております。  改革の主なものは、会館ミッションの策定、理事会と評議員会などのガバナンスの強化、評議員会を理事会の単なる諮問機関としてではなく財団の外部評価機関として位置付け、サービスの質を重視した業績評価制度を導入したことです。  この評価は、公的資金を活用した公立文化会館の存在意義を明確にし、文化施設の管理運営を限りなく透明化し、情報公開をしていくことで、財団の経営改善につなげ、納税者である県民に説明責任を果たす役割を明確にしております。これにより、職員の意識改革は、徐々にではありますが、良い方向に変化してきておりまして、今後は、制度導入でダメージを受けた職員の意識を再活性化していくことが重要であると心得ております。  次に、文化芸術の専門職から見た行政改革の認識について述べたいと思います。  行政改革の基本理念は、簡素で効率的な政府を実現するため、事業の透明性を図る、民間活動の拡大を図る、行政機構を合理化し、経費を抑制するとあります。いずれの在り方も、多様化、高度化された成熟した市民社会が到来する今日におきましては、民間に任すべきところは民間にゆだねた方がより良い社会が構築できるという基本的な考え方には賛同するものと言えます。  しかしながら、この合理化政策やコスト削減主義などの行政改革は、この改革になじむ分野となじまない分野があるのではないでしょうか。文化芸術においては、中長期的な観点から申し上げまして、なじまない分野に属するものと考えております。  例えば、指定管理者制度は、民間のノウハウを活用して、公的な機関に変革をもたらし、住民サービスの質の向上とコスト削減を目指して導入された制度です。導入された公立文化会館を見渡してみますと、設置自治体からのコスト削減の要請が厳しく、数値のみで目標管理するといった傾向が強く見られます。  また、制度上の問題といたしまして、指定期間を三年から五年というように期間限定されるために、長期的な計画性のある人材育成や文化芸術の育成には不都合であります。また、地域の文化活動者や芸術団体、財団を支援するボランティアなど、公募で指定管理者が変わった場合、その方針によっては解散を迫られるものもありましょうし、継続事業が途中で途絶えてしまうといったことにもなります。  加えて、指定期間を限定した弊害として、職員の雇用方法に問題があると思われます。全国では表面的には雇用状況は増加傾向にありますが、期間限定の指定では常勤の職員は公募できず、非常勤職員なり契約職員なりといった雇用形態が多く見られます。これは、国民の側から見た場合、最終的には国民に不利益を課すことになるのではないかと考えております。なぜならば、地域の公立文化会館の職員は、そこに住む地域住民、つまりその地域に暮らす人間の心の回復を担う役目を負っているからであります。その役目を果たすことができない現状もあるということをどうぞ御認識いただければと思います。  ちなみに、この指定管理者制度の根拠になりましたPFI法は、発祥の地のイギリスにおきましては、私の知る限り、グラスゴーの教育施設の一部を除き、地域劇場などの文化施設には導入されておりません。  どちらにいたしましても、迷惑を被るのは受益者である地域住民であります。  競争導入による公共サービス改革に関する法案も全く同様のことが言えると思います。五月四日付け読売新聞におきまして、国立の博物館が独立行政法人になって五年、コスト削減と増収に努めたものの、今年度から中期計画で自己収入の目標額、ノルマを引き上げられ、財政が苦しくなり、観覧料を値上げするという記事がありました。  ノルマを達成しても理由を付けられ、剰余金が出ても自由に使えない、展覧会が利益追求型の企画になり、公益性が高いものに関して企画ができなくなるといったような問題が出ております。努力をすればするだけ自分たちの首を絞めるという構図になっております。権限移譲、自由裁量の拡大など、文化施設に自助努力が働き、努力をすれば報われる、評価される制度や運用にしていただくことを強く要望するものです。  すなわち、文化芸術とその活動は競争の原理にはなじまない、あるいはなじみにくいものであるといった認識を十分踏まえた上で行政改革推進していくという方向が望ましいと考えます。  これからの時代は、文化と経営をうまく均衡させ、そのバランスを図りながら地域の文化芸術を発展させていくことだろうと思います。文化の発展は、長い歴史と伝統に培われ、地域の固有価値を再認識しつつ、新しい文化を創造し、はぐくみ、次世代につなげていくことです。  一方で、地域の公立文化会館や芸術創造組織を経営することは、最小限の資源で最大の効果を得るという、コスト意識に基づいた運営プロセスが必要であります。  加えて、公的資金を活用した場合におきましては、その説明責任を果たしつつ、活動の透明性を高めていく努力をするということが必要であると考えます。  一言で申し上げますと、文化経営の時代の到来です。改革や法整備を行っても、その運用に誤りがあれば、我々の新しい市民社会の構築は難しいと肝に銘じるべきでしょう。  最後に、公益法人改革について、これからどういった方向が望ましいか、文化芸術振興の観点から述べて終わりたいと思います。  平成十年に制定された特定非営利活動促進法は、これからの新しい市民社会の構築が可能となる法案として期待されました。しかしながら、税制優遇の点においては未解決の部分が多く、認定NPO法人へのハードルは、国民の立場に立つと高いと言えます。なぜならば、政府がどのくらいの規模のNPO法人を支援し、新しい市民社会の構築を目指したいのかが不明確だからです。  このたびの公益法人改革はNPO法人までを含んでおりませんが、一定の成果を社会にもたらすものではないかと期待しております。しかしながら、十分に検討を重ねていただきたい部分があり、それを指摘しようと思います。  まず、公益認定等委員会です。どのような専門委員が選任されるのか、選任方法の基準は何か、専門委員が文化芸術の専門ではない場合、その専門委員は文化芸術をどのようにとらえるのか、例えば、文化芸術に対して緩く見てくれるのか、厳しく見るのかなど、それらは明確ではありません。  芸術創造組織においては、営利を目的とせず、社会の支援を受けつつ、公益目的に沿った活動をしていく組織があります。このような組織の公益性をどのようにとらえていくのかは限りなく難しいものであり、その公益性の判断は認定を諮る委員に任されております。文化芸術系の認定につきましては、財団であれ、社団であれ、人格なき社団であれ、認定の間口を広く持っていただき、認定された後の事後評価を徹底していただき、芸術創造組織の透明性を高めていただくことを強く望みます。  次に、収益についてですが、チケットの売上げなど、収益とみなす場合が多いと考えられます。文化事業の収益は、興行という概念で整理され、課税の三十三業種に入っているためですが、本来の事業目的で得られた収益は、公益性の高い組織や教育普及事業などのものには非課税扱いを望みたいと考えます。  国の助成制度の在り方は事業助成となっており、組織を健全に維持するための運営助成は設けられておりません。また、活発に事業を展開しても、文化芸術活動の収支は、チケット収入や広告料などの収入だけで賄い切れるものではありません。  公益的な芸術創造組織は、何らかの形で公的資金を投入するか、寄附や企業メセナを活用するなどの自助努力で組織財政を豊かにするしか方法はありません。たとえ課税対象になったとしても、幾らかでも課税軽減できないかと考えます。  本来の事業目的で得られた収益は、その芸術創造組織のミッションと目的とを明確にした上で、組織の自立性と、もう一つの自律性を促す根拠になると思われます。そして、組織自身もこの新しい公益法人制度を使いこなすだけの実力とマネジメント能力を持つことが求められます。  新たな法人制度と税制が文化芸術活動を豊かなものにし、我が国の文化力を高めていく契機となるよう、積極的に国民に働き掛け、意見を伺い、検討することが重要であると考えます。  以上で発言を終わります。
  330. 尾辻秀久

    ○団長(尾辻秀久君) ありがとうございました。  次に鈴木公述人、お願いいたします。
  331. 鈴木尊善

    ○公述人(鈴木尊善君) よろしくお願いします。ソンズ株式会社、鈴木尊善でございます。  当委員会で意見を述べさせていただく機会を与えていただきまして、厚く御礼申し上げます。  行政改革、この法案、基本的に賛成でございます。ただ、この鳥取という地で、非常に小さな会社ではございますが、まあ自負というところでは日本一であるというような自負を持ちながら企業をやっているという立場で、この中で民間の代表という部分もございますが、そういう立場で少し意見を述べさしていただきたいと思います。ただ、私、こういうITという分野の人間でございますので、キーボードがないとただの人ですので、ちょっと上がり性なものですから、よろしくお願いします。  民間でございますので、まず、自分の自己紹介というものをさせていただきたいと思います。  私たちは、この地でIT、とりわけこのインターネットを市民の共有財産としてどうやって使っていくのか、どうやって活用しようかというその魅力に引かれまして、それをなりわいとして起業しまして約十年になります。現在は、大規模なホームページを管理するシステムを自社開発しまして、これはマイクロソフト社の技術を利用したパッケージ製品なんですけれども、これは実は国内唯一でございます。弊社しか作っていないというような状況で、わずか数名の企業ではありますが、大手企業にはできない製品となっておりまして、片山知事おられますが、鳥取県の公式ホームページにもこの春から利用いただき、その情報公開の機会を更に向上させるべく動いております。そのほか、県内の複数の自治体でも採用いただいておりまして、実は、こういうマイクロソフト社の技術を使ったホームページとしてはその普及率、利用率というのは実は国内でトップであるというのがこの鳥取県でございます。  そういう意味で、この鳥取の地にあるちっちゃな会社なんですが、マイクロソフトの中でも注目をいただいていると。そういうあかしの中で、我々の会社の中の一つとして、また例えばパソコンのデルという大企業があるんですけれども、そちらの方とも全国で十八社だけのパートナーの一社として契約をさしていただいていると。個人的には鳥取流、いわゆる鳥取のパフォーマンスは世界に通じるんだと、そういうものを自分たちで実証できたなと思っております。  我々が、我々のこのシステムのお話、ちょっとお話しするのは、そのシステムが目指しているものというものがコンパクト・アンド・スマートというものがございます。これは実はちょっと置き換えれば、簡素で効率的な政府というコンセプトにつながっていくのではなかろうかと感じるからです。  ただ、私が今回、簡素で効率的な政府というものについて勉強してみますのに、そこに人やその生活があることが、ただ簡素だけでいいのか、効率的とは何なのか、均一的な数字だけが並んで数字目標を達成すればそれでいいのか、その目指すところが非常に大切なのではなかろうかと思います。  公共サービス民間に委託するというくだりもございます。民間の私がお話しするのもおかしいのかもしれませんが、要するに、地域の公共サービス、いわんや全国レベルの公共サービスの中で、それが民間に移譲されて更にその効率化というものが進めばどうなるのかということは、民間は収益上げなければ前には進みません。そういう意味では、もう考えることもなくその将来は見えてくるのではなかろうかと思います。  この簡素で効率的な政府という部分、暴言に近いのかもしれませんが、例えば、日本国の国土を簡素で効率的なものにしようというふうに私は感じてしまいました。そのように見えてなりません。例えば、簡素で効率的ということだけを本当に考えれば、東京都だけが日本国であればいいというようなこともあるのかもしれません。逆に言えば、じゃ今一生懸命、鳥取県も関係していますけれども、島根県やって、竹島はじゃどうなるのといった話が出てきたときに、簡素で効率的な政府はどう動くべきなのかといったような論点の部分、その数字が並べられているのを見ると非常に不安になってまいります。  いろんな考え方があると思いますが、この地で頑張っている一人として、この鳥取の良さ、すばらしさや自然、そして環境、心豊かな人々、そして何よりもその文化などを考えると、実にスマートな地域、地方であるだろうと思います。そうして、言うまでもなく鳥取県は六十万人という非常にコンパクトな県でございます。そういうものも兼ね備えております。言うまでもなくコンパクト・アンド・スマートな地域でございます。  この簡素で効率的なを数字の上で考えることに本当に意味があるのか。この書いてあるとおりのことをして、じゃ、今すてきなすばらしい知事、片山知事が率先して進めておられる改革と、私の時間を短くしてでももっと片山知事にお話しいただいた方がいいのだとは思いますけれども、そういうふうな中で数値目標だけが上げられて、それを淡々とこなしていくというものに非常に違和感を感じます。  話はちょっと唐突に変わるんですけれども、全国的に問題になっている少子化の問題、合計特殊出生率が一・五以上である都道府県というのは、沖縄、福島、宮崎、鳥取というようなことになっております。一番低いのは東京都でございます。そういうふうな、例えば東京都、あの狭い土地にたくさんいるから非常に効率的なんでしょうね。だけれども、そういう国の国体であるとか、次の将来を担うべく人たちが、じゃそこで何をやっているのか、どうしていくのかという部分考えないと、そういう簡素で効率的なというものは、そういうものを目指しているわけではないと思います。  一方また、首都の移転などいろいろ考えられているところもあると思います。私はあえて、職員の削減であるとか予算の削減という部分の中に、面積割りで考えてみたらどうなんですかということをあえて申し上げてみたいと思います。  例えば、職員の配置であれば、この法案の中で一部触れられていますけれども、省庁の配属ということではなくて、地域の自治体をも含めた一体的な職員としてその地域で活動すると。中央官庁の集中が結局は人の集中を招いているわけでありまして、そういう意味で、逆に言えば機能の集中は国防上又は防災上からも非常によろしくないということも言えます。  そういうこともあって、じゃ、今この現代のインターネットであるとか大規模な情報通信網というような社会基盤ができつつあり、なおかつコンピューターの世界では分散処理というものが一般的に考えられてきていると。では、そういう省庁のお仕事であるとか、そういう職員の皆さんも分散処理で全国に散らばって、それは散らばる数は現在の何%というふうなことではなくて、面積割りも入れてくださいねというふうなことで、IT技術を使って情報共有や意思決定をしながら全国にその職員の方々が活躍していく、そういうふうな技術開発も次世代の産業の種となるであろうし、そういうことで、国土のあらゆるところでいろんな方々がそういうものを使って仕事ができる環境ができてしまう、必要となる。それが結果、より均衡の取れた国土の発展が自然とできてしまう。  逆に、現在の首都東京は非常に不便なところになるわけですね。だから、不便なところにだれも住む必要もありませんし、仕事もする必要もありません。そうしたら、自然と仕事も生活も豊かにできたり、スムーズにできる地域に自然と移動が始まると。何の策略も必要がありません。自然とそういうふうな中で、すべて生活も企業もその利便が東京にないのであれば東京でなくていいということになると思います。  競争導入による公共サービス改革では、「国民の立場に立って、」と修正をされたとおり、現在の縦割り構造のまま数値目標はいわゆる地域の切捨てといいますか、私はあえて国土の切捨てなんだと。要するに、ここはもう要りませんというような視点での物の考え方ではないだろうかと。その上で、本当に人が豊かに、簡素で効率的な中で暮らしていかれる、そして日本の未来は明るいぞと言えるようなものは何なのかという部分の一つのヒントが、実はこの鳥取の地にあるのではないかと思います。  例えば、私がこの地で頑張っているといいましても実はこれも非常に大変なことでございまして、全国でこういう会、我々の業界の中でやっている中で集まりがありますと、東京都に本社がない会社というのは本当にわずかでございます。そういう意味で、なかなか自前で、鳥取にいて自前で難しい試験や検証を、じゃ地元の工業試験場であるとかというところに行くんですけれども、これがまたIT企業に特化したメニューが全くなかったりとかということで、それでまあ自分たちが一生懸命やると。それがもう鳥取というこの地がすてきであるからでございます。  そういう意味で、鳥取では、そういうものが欲しいと言っても、あんたのとこだけだよねと言われながら、では東京で大企業を相手にいろんな活動をしますと、ソンズ、どんな会社、まではいいんですけれども、鳥取県、どこそれ、というような話が出てきます。そういった意味で、そういう均衡ある国土というものを考えれば、鳥取県であるということ自体がなぜそういう不利益みたいなことになってしまうのかということ自体を自然と解決していくと。そのためには、そういう面積割りみたいなもう全然違う発想、こうやって日本の未来をつくっていくんだといったような発想が是非とも欲しいと思います。  例えば、省庁、皆さん、その職員、自治体も一緒になってやっていく中で、例えば片山知事がチーフになって、その行政の仕組みさえも変えてしまおうと。現在、国、県、市町村という三階層あるものを、例えば二階層にしてしまおう、一階層にしてしまおうと、そういうふうなスリム化とスピードを持った行政ができるような体制をこの鳥取の地でできないものだろうか。そして、そういう裁量や権限などをすべて移譲していただいて、この県の中でどんなことができるのか実際やってみると。そういう部分に対して、地域のコミュニティーの活躍なども期待できる素地がこの鳥取にはございます。  そういった意味でも、民間にゆだねるであるとか、数値目標的なものを云々と言う前に、是非ともこの鳥取の地を研究いただいて、更に進めるような枠組み、施策等ができないのか、いま一度考えていただいて、そこに単純な数値的な目標ではなくて、そういった地域がどうやって広がっていって、国土全体の均衡取れた発展がどうやってできるのかというふうなことを御検討いただきたいと思い、私の意見とさせていただきます。  以上でございます。
  332. 尾辻秀久

    ○団長(尾辻秀久君) ありがとうございました。  以上で公述人の方々からの御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑を行います。  まず、各会派一巡で十分ずつ質疑を行い、その後自由質疑を行いたいと存じます。  なお、各委員からの質疑及びこれに対する公述人の答弁はいずれも着席のままで結構でございますが、委員長の指名を待ってから御発言いただくようお願い申し上げます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  333. 小池正勝

    ○小池正勝君 皆さん、大変御苦労さまです。  自由民主党の小池正勝です。忙しい中お時間をちょうだいいたしまして、ありがとうございます。  まず、私の方からは片山先生に御質問をさせていただきます。  今日、片山先生に配っていただいた資料の中で二点ほどまずお伺いしたいと思うんですが、まず一点は、真ん中辺りに、「給与及び労使関係を透明化—退職前昇格、わたりなど不適正運用を解消、分限の運用も」というくだり、ここについて御質問をさせていただこうと思うんですが、今回のこの法案の大きな柱の一つが総人件費の抑制、削減という話になっております。これについては様々議論があるところなんですが、恐らくどんな立場の方であれ、税金の無駄遣いはいけないよということは恐らくどなたもそれはそのとおりというお話になるんだろうと思うんです。そこで、公務員との関係で議論させていただく場合に、いわゆる不適格公務員と言われる皆さんへの対応というのをどう考えるかということなんです。  この不適格公務員への対応について、鳥取県では退職勧告という制度を導入しておられて、その例もあるというお話を承ったんですが、どういう理由でどのような形で退職勧告をされて、その方がお辞めになったのかどうかということが一点と。  さらに、ここに「分限の運用も」というふうにお書きになっておられるから、公務員法では分限免職という規定があるわけですけれども、正にこの分限免職も適用するんだよということを表明されておられるんだろうと思うんですが、そういうことなのか。そして、その例は、分限免職を適用した、不適格公務員に対してですね、分限免職というものを適用した例があるのかどうかという点がまず第一点でございます。  二点目には、このペーパーの上から五行目ですか、「自業自得の自治制度」というふうに書いておられます。正に、自業自得、自助努力と、これはもうそのとおりだろうと思っておりまして、これに恐らく反対の人はいないだろうと思うんです。ただ、問題は努力しても難しい。例えば、過疎の山の町村のように努力してもなかなか難しい。例えば、三位一体で補助金カット、交付税カット、それに見合った税源移譲と、こういうふうに言ってみても、税源なるものがどうしても偏在化されておりますから税源が地方にはないというのが実態でございまして、そうすると、補助金がカットされた分だけ税源がないんですから減ってしまうと、そうするとますます交付税依存を強めるというおかしな結果になってしまう。これはおかしいわけですよね。  ですから、自業自得の自治制度というのはもちろん大切なんだけれども、それをするには、そもそも交付税とかなんとかという議論よりも前に、偏在の少ない税源移譲、もちろん偏在がないなんというのはあり得ないんですけれども、できる限り少ないような、つまり今回のように所得税を住民税にということではなしに、どうしても地方は法人関係税のウエートが高いわけですから、そうなると偏在性が高まってしまうわけですから、こういう形ではない形の、例えば消費税という議論をされる方もいらっしゃいますが、そういうことの方が先なんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。  この二点でございます。
  334. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) 最初の人件費のところで不適格といいますか、能力のない職員をどうするかという問題なんですけれども、残念ながら能力のない職員というのはやっぱりいるんです。これは国家公務員にも地方公務員にもいるんです。  ところが、従来、公務員になると、もうよほど、犯罪でも起こさない限りは一生身分が安定だということは言われていましたけれども、実はこれは全く神話でありまして、国家公務員法にも地方公務員法にも能力のない職員は辞めてもらうという分限の中に規定があるわけです。ただ、発動していなかったわけです。  鳥取県では、私、知事になりましてから、やはり本来の評価制度をやらなければいけない。従来から評価制度、勤評というのはやっているんですけれども、ちゃんとした運用をしていなかったわけです。評価制度をきちっとやろうということで、試行錯誤を繰り返してだんだんその精度を高めてきたんですけれども、そうやっていますと、その中で仕事ができない、どうしてもできないという人がやっぱり出てくるわけです。それを従来はいろんなところに、部署に配属をしていたんですけれども、やはりもう仕事ができない人はしかるべき、辞めてもらうとか、それから、仕事ができるようになってもらわなきゃいけませんので、取りあえず複数年評価が最悪の職員については能力回復プログラムを受けてもらって、その上で能力が回復すればいいですし、そうでなければ辞めてもらうと、こういう道筋をつくったわけであります。  最初のことですので、最初から分限というわけにいきませんので、やはり最初は勧奨といいますか、退職を勧めるということからやったんですけれども、それで辞めた人が去年三人出ました。でも、まだもう一回チャレンジさせてくださいということがあったもんですから更にやってもらったんですけれども、それでもやっぱり駄目という人は出てきまして、今年二人もう辞めてもらいました。現在までのところ、分限免職という地方公務員法上の規定の適用はしておりませんけれども、例えば今年辞めた二人、一応自主退職にはなっているんですけれども、経済効果としては分限免職と同じ効果であります。  それから、これはここだけの話です。ここだけの話というのも変なんですけれども、もし今回自主退職でなければ恐らく分限ということに移行していただろうと思っています。したがって、分限免職もというのはそういう意味合いであります。  それから、自業自得のところで、そうはいったってどんなに努力してもできないところがあるじゃないかと、もうおっしゃるとおりでありまして、鳥取県にもやっぱりそういうところはあります。私が自業自得と言ったのは、そういうそもそももう構造的に弱い財政構造のところもそれは自業自得だよと言っているわけではないんです。私が言っているのは、ふしだらなことをしたりいい加減なことをしたりしたらそれはもう自業自得ですよという意味合いなんです。  小池先生がおっしゃったように、構造的に弱いところにはやはりきちっとした地方財政システムが必要だと思います。それは、税制上の税源移譲であればできるだけ税源の偏在度の少ないもの、すなわち一番少ないのは消費税ですから、消費税系統で税源移譲をするということが一つポイントとしてはあるだろうと思います。それから、どんなにしても、やっぱりそうはいっても税源ありませんから、そういうところは地方交付税システムできちっとするということがあると思います。あとは、でもどうしてもというところは、それはあとは合併という、それも手段だろうと思いますけれども。  そういうふうな地方財政システムをちゃんとやる、その上で努力をするところは報われる、そうでないじだらくなところは自業自得になっていくという、こういうやっぱりシステムが必要ではないかということを申し上げているんです。
  335. 小池正勝

    ○小池正勝君 ありがとうございました。  次は、西尾先生にお伺いいたします。  先ほど片山先生にもお伺いした分限との関係なんですが、先ほど西尾先生は、公務員の間で例えば行政サービスを廃止することに伴って職員が辞めさせられるんではないかと不安になっているというお話がございました。確かに職員を不安にさせてはいけない、これはそのとおりだと思うんですね。  過員に伴う分限のお話を恐らくされたんだと思うんですが、そうではなくて、先ほど片山先生に御質問したのと同じように、不適格公務員に対する分限免職、これについてどのようにお考えになっていますか。
  336. 西尾幸喜

    ○公述人(西尾幸喜君) その件に関しましては、当該の職員組合とも少し、お話をしておりませんのでこの場で即答はできませんが、その代わりと言っちゃなんですが、非常勤の方がおられますよね。残られればそこに影響が出てくるということで、その辺はちょっと危惧はいたしております。  ただ、今のところでお答えは少しできませんので、答えというものを少し控えさせていただきたいと思います。
  337. 小池正勝

    ○小池正勝君 それでは、柴田先生にお伺いをいたします。  先ほど柴田先生お話を承っておりますと、文化行政にはいわゆる行革と申しますか、なじみにくいんではないかというお話があって、その中の一つの例として、指定管理者制度、これはなじまないという御趣旨の御発言だったと記憶しているんですけれども、指定管理者制度というのは、そもそも文化行政をやるんではない、文化行政そのものは確かにこれは採算で、行政自体を云々するという議論はなじまないと、これも私もそのとおりだと思うんですが、箱物、劇場という箱物を管理する、その物的なものを管理するというのが指定管理者制度なんですけれども、それすらもなじまないというお考えですか。
  338. 柴田英杞

    ○公述人(柴田英杞君) 日本の公立文化会館というのは、非常に特色が強うございます。と申しますのは、欧米におきましては、劇場というものは、地域の文化をはぐくむ、創造するという、そういう概念の下に劇場は成り立っております。そういう劇場のことをプロデューシングシアターと呼んでおります。また、箱物だけ、ツアーリングなど巡回公演などを受け入れる劇場のことをレシービングシアターというふうに呼んでおります。欧米の場合は、地域の文化を創造する劇場とそうではない劇場とに分かれております。  日本の場合はそこが複雑でして、公立文化会館という会館の中に貸し館業務と文化を育成する部門というのが共存しております。これが非常に日本における公立文化会館の悲劇的な在り方の一つであります。  私は、指定管理者制度を否定しているということではありませんで、最小の資源で最大の効果を上げるということは、これはもう会館の自助努力の使命のようなものでございますので、それはそれでいいんですけれども、貸し館という考え方におきましても、やはり貸し館業務ということではなくて、やはり貸し館事業という考え方がふさわしいのではないかなと思っておりまして、貸し館の事業も地域の文化をはぐくむという上では非常に大きな役割を果たすものだというふうに考えております。
  339. 尾辻秀久

    ○団長(尾辻秀久君) 時間が参っておりますので。
  340. 小池正勝

    ○小池正勝君 終わります。
  341. 広田一

    ○広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。  本日は、四人の公述人の皆さんには本当に示唆に富むお話をいただきまして、感謝を申し上げます。  私の場合は一括をして御質問をさせてもらいまして、御答弁をいただければと思います。  まず、これからの公共サービスの在り方について四人のこれは公述人の皆さんにお伺いしたいと思います。  今回の簡素で効率的な政府、自治体を実現するということは、言うまでもなく手段でございまして、目的ではございません。本当の目的は国民また県民のための公共サービスの提供ということになろうかと思いますけれども、ただ、一口に公共サービスというふうにいいましても、先ほど来対比に出されます一千万人の東京都民が求める公共サービスと六十万人の鳥取県民の求める公共サービスとはおのずから違いがあろうかというふうに思うわけです。これからの公共サービスといいますのは、ナショナルミニマムは確保した上で、地域によって違いとか個性とか特色とか、こういうものがますます出てくるだろうというふうに思います。  そこで、鳥取県版の公共サービスとは何かというものが問われてくるわけでございますけれども、この点についての四人の公述人の皆さんの御所見をお伺いしたいと思いますが、ただ、この場合、ちょっと一般論だけですと少し分かりにくい面がありますので、これからの鳥取版の公共サービスを示唆する何か象徴的な具体例等がございましたら教えていただければと思います。  次に、これからの公共サービスはだれが担っていくのかということについて、これは西尾公述人の方にお伺いをしたいと思います。  先ほどの話でもございましたように、連合鳥取さんの方では、公共サービスについて、行政、民間事業者等と連携、サービスは調整して、真に地域住民の役に立つような形をつくるべきだというふうな御主張をされているわけでございます。鳥取県の方も大変財政状況が厳しく、また地域経済もますます厳しくなる中で、こういった公共サービスの担い手として連合鳥取とか労働組合の皆さんが今後どのような新しい役割を担っていかれるおつもりなのか、この点についてお考えをいただきたいと思います。  あわせて、これも先ほどのお話にあったように、県に提案をしておりますより良い行政サービスの提供を検討する機関というものは具体的にどのようなものを想定をされているのか。この点につきましては、西尾公述人のお考えを聞いて、片山公述人の方からも御所見をいただければと思います。  それで、次に、随意契約の改革を含めた公共発注の在り方について、これは鈴木公述人の方にお伺いをしたいと思います。  この随意契約の問題につきましては、民主党を中心に国会においても活発に議論されているわけでございまして、このことによって、高級官僚の天下りの皆さんが天下っているところに何と昨年度一兆三千八百億円の随意契約がなされたということが発覚をいたしました。とんでもないことだと思いますけれども。逆に、先ほど片山公述人の方から鳥取県の改革といたしまして、コピーのリース料を随意契約から競争入札にしたところ、四分の一の経費が削減されたという御紹介もございました。  経費削減とかコスト感覚というのは民間においては当たり前のことでございますけれども、鳥取の取組とか国の実態を見ますと、官の危機感の薄さというものが改めてクローズアップされると思うんですけれども、一方、別の視点として、ベンチャー企業の声としては、これからは技術開発関係の補助金よりも、行政の対応として開発した商品を評価してもらって購入してほしいという声も上がっているというふうに聞きます。  片山知事がいらっしゃるので言いにくいかもしれませんけれども、気にせずに鈴木公述人には、随意契約の改革であるとかアウトソーシング、産業振興の観点から公共発注の在り方についてお話をいただければと思います。  あわせて、鈴木公述人には、IT企業経営者といたしましてシステム開発とかウエブコンテンツの制作とか、幅広く手掛けていらっしゃるわけですが、行政のIT化による意思決定のスピード化であるとか、先ほどはこの国の制度自体を三層制から一つにすればいいというふうなお話もあったように、住民への行政サービスのスピード化の観点から行革をどのようにとらえているのか、お伺いをできればと思います。  最後に、片山公述人の方に地方交付税特会の改革についてお伺いをしたいと思います。  今、御承知のとおり、隠れ借金とやゆされて五十二兆八千億円の借金があるわけでございますけれども、そのうち地方負担分が三十四兆円というふうに言われています。これを返す原資が地方交付税の法定率分から返しなさいということで、到底現実的な計画とは思えません。  その一方で、財務省からは地方交付税の法定率分の引下げの議論も出ているわけでございまして、こういった観点から、これからの地方交付税特会の借入金の解消に向けての御所見と、併せて地方交付税の在り方について御所見をいただければと思います。  以上です。
  342. 尾辻秀久

    ○団長(尾辻秀久君) 公述人の皆さんにお答えいただきますが、実は残りが三分になっておりまして、できるだけ手短にお答えいただきますと有り難いです。  それでは、片山公述人。
  343. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) じゃ、最初に公共サービスの在り方なんですが、これはもう東京でも鳥取でも一緒だと思いますけれども、良質で低コストのサービスを提供するということだと思います。ただ、財政基盤が全然違いますので、私どものところでは、良質で低コストにどうやってするかということが一番ポイントになるわけです。  そこで私は、一つは、例えば市町村が一番地域の総合主体ですが、市町村でとにかく一番的確な判断をしてもらいたいということで、市町村にできるだけ権限を下ろす。このたびも、県の単独補助金をある程度市町村に一括交付金にしまして、そちらで使い方はもう考えてくださいというようなこともしたんです。そうしますと、県の補助金分配業をやっています職員を削減することができました。そんなことをしたり、それから、先ほどのコピー機なんかも工夫をして、できるだけ安くということで、四分の一削減したんじゃなくて、実は四分の一になったんです。七五%削減になったというようなことなんです。そうやってコスト削減をしている。そして質を低下させないようにということで努力をしています。  それから交付税ですが、借金が何十兆円もあるというのは、実は地方団体が全然知らないところで、国の財務省と総務省との間で貸した借りたということをやっているわけで、こんなことが私はずれているんだろうと思うんです。いつの間にか知らないところで借金をされてしまっていて、自分たちで払わなきゃいけない。一体だれが責任取るんですか。しかもなおかつ、この期に及んで法定率を削るとかそういう話が出ていて、もうとんでもない話なんです。是非私は、こういうのは政治が点検していただきたいと思うんです。だれの責任ですか、この借金はというのを。  実は交付税の一番の問題は、大変失礼ながら、政治が全く無関心で点検しなかったからなんです。交付税を全部オーバーホールして政治の場に引き戻していただきたい。財務省と総務省の密室のやり取りの中で毎年それが全部政治が丸のみしてこられているんです。それを改めていただくことが私はこれを正常化する第一歩だと思います。
  344. 西尾幸喜

    ○公述人(西尾幸喜君) それじゃ、新しい公共サービスの県版の在り方ということで、これは鳥取県がこれから生きる道は何かということにも関連してくると思うんですけれども、最近、道路事業等も公共事業の方が削減をされておりますが、実は鳥取県は全国で唯一、県庁所在地に高速道路の整備がまだされてない県ということで、まだまだ未発達な交通網となっております。これがネックになっている面もありまして、観光産業、鳥取といえば皆さんも砂丘とか大山とかということで出てくると思うんですけれども、そういうインフラ整備がまだできていないのが現状であります。これを整備ができればまた観光の方の事業も出てくるということで、そこがまず第一歩、これをしていただければということで、もう一つ、今、米子空港から韓国ソウル便ということで定期便がありますけれども、ここも観光資源のこれからの発見それから発展のために必要なことということで、そういうものをまず整備をしていただくことがこれからの県のサービスの在り方の一つの原点ということになります。  それを踏まえた上で、あとはやはりコミュニティーの中で何ができるかということで、地域住民ができること、それからさっき言いましたように教育機関、それからボランティア、こういうものを統括するNPO、こういうものもできていけばそれぞれのいいところが出てきて、それが一種のプラットホームになって、そこには労働界が入っていったり産業界が入っていったりして、その中で本当の的確な地域づくりをしていけば鳥取県の県版の公共サービスができるということで、まずそこから役割を果たしていきたいなと思っております。  続けて全部行かせていただいていいですか。それと、あとその格好を見付ける場合、先ほどありましたように何らかの機関を検討していこうということで考えておりまして、その前にまず公共サービスというものがどういうものかということを考えていかなくちゃいけませんので、その中でいろんな保健の事業とか医療事業とか社会福祉とか、いろいろなサービスがあると思います。果てはライフラインにつながります電力とかガス、こういうエネルギー供給もありますし、交通運輸、こういうものもありますので、まずこういう幅の広いものをどこが主体で担っていくかということから検討していかなくちゃいけないと思います。  その前でやはり政府とか自治体がどういうそこで役割を担うかということも一度整理をしていく必要があると思いますので、まず考えますに、防災とか災害とか、こういう国土に関することにつきましてはやはり国の方でやっていただかなくちゃいけないと思っておりますし、警察とか防衛とかありますけれども、こういう公権力のあるところ、これも国の方で、政府、自治体の方で直接していただくのが道理じゃないかなと思っております。自治体の方につきましては、これから高齢者、高齢時代も来ますので、こういう介護とかやはりさっき言った都市交通の整備とか、こういうものはやはりしていただかなくちゃいけないと思っております。  その中で、先ほど言いましたように、あと地域ですね、コーディネーターということでやはり県の行政とか市の行政とかはそういうところで携わっていただいて、その中でどういう、サービスが平準化といいますか、同じところに同じ業者が入ってきてもやはりそこで食い倒れになったりしますので、そういうコーディネーターの役はやはり自治体の方でやっていただくのがベストだと思っております。  やっぱりそういうところの整理をしてから市民とかNPOとかそれぞれの特性を生かせるようなことを議論するべきと思っておりますので、そのときには市民団体とか労働組合の立場でも検討機関の方に入っていってつくっていきたいということで、これは鳥取県というわけではないんですけれども、各ところでいろんな形態といいますか問題点等もあると思いますので、そういうものはやっぱりそこの地域で検討するような機関をつくっていくような気持ちでおります。  ちょっとうまく言えませんでしたけれども、そういう格好で、いろんなことを検討するということで、いろんな方に入っていただいてそういう機関をつくっていくような気持ちでおります。
  345. 柴田英杞

    ○公述人(柴田英杞君) 鳥取県版の公共サービスの在り方として二つ挙げられます。  私の所属している財団が文化振興財団ということになりますので、文化的な公共サービスという観点からお話をさせていただきますと、一つは、文化芸術の振興の場合にはどうしても、東京一極集中という事態は今も続いているわけなんですけれども、東京にあるものがすべて良くて、東京で活動している方々がプロフェッショナルの人で、地方で、地域で活動している方々はアマチュアで、地方では余り良質ではない文化活動をやっているという、そういう二極化の現象としてとらえる場合が非常に多うございます。それは非常に残念なことです。  地域には非常に優れた文化もあり、優れた人材もあります。私どもの財団の場合は、地域で活動する文化活動者を積極的に使っていこうという、そういう方針がありまして、人的な文化資源を積極的に活用する。それはどういうことかというと、県民が県民に対してきっちり新しい公共の担い手となってサービスをするという、そういう方向で進んでいっておりますので、県版の公共サービスの最も重要な点としましては、県民が県民に対してきっちり新しい公共サービスをするといった視点が大事なのではないかなと思っております。  あともう一点は、文化振興財団は鳥取県の文化のプロデュースを積極的に行っておりますけれども、このように大きな広い鳥取県であります。人口は六十万人と少ないわけなんですけれども、何でもかんでも文化振興財団が県の文化振興事業をすべて担うということは不可能であります。どういうことが考えられるかというと、財団と大学、財団とNPO、財団と県民というコラボレーションの作業が非常に大事になってくるのではないかと思いまして、私どもの財団におきましては、県民の方々と一緒に事業推進していくという、そういうことで財団を運営しております。それが重要なポイントだと思います。  以上です。
  346. 鈴木尊善

    ○公述人(鈴木尊善君) まず、公共サービスでございますけれども、鳥取県でという視点で考えるならば、やはり中山間地における高齢化に対してどんな公共サービスができるのかということが非常に重要じゃないのかなと思います。  ただ、この高齢化の公共サービスをどうするかということも問題なんですけれども、それ自体が、例えば今後自分たちが年老いて、老後を暮らすなら鳥取県だみたいな一つのものになるような、そういう公共サービスを鳥取県でずっとできればいいのかなというふうに考えます。  時間がないので、ちょっと次に進めさせていただきます。  随意契約等のお話ですが、国のお話を聞きまして非常に驚くやらあきれるやらと申しますか、私の企業では国、県、市、町の入札資格等を持っておりますけれども、そういうことに余りお目に掛かったことがなくて、それも金額が丸が数えられないような金額であったりとかと、ちょっと驚いております。  ただ、地元のベンチャーであるとか、そういう企業を育成するという観点、たしか鳥取県では経営革新法の認定等を受ければ、その金額によって随意契約も可能であるという特別の項目を設けられて、産業育成にも御配慮いただいているというふうに聞いております。基本的には入札であるんですけれども、小さな企業からすれば、入札という方法よりもプロポーザル等の、じっくり聞いていただくような、そういうふうなものの方が有り難いなと思います。  そして、ITシステム、ITの方から、立場で行政を見てということなんですけれども、片山知事を筆頭にオープン、透明性とスピードというものが、そういうITを使った中で実現されていると、非常にすばらしいことで、その中の少しでも携わっているということは一つの自負でございます。  ただ、一番大きな問題点として、私がこういう事業を行う一つのきっかけになったのは障害者人たちとの出会いでございまして、今言われているのは、公共サービスとして、何か申請するであるとかホームページを見るであるとかというときに障害者の方でも使えるようにといった視点があるんですけれども、いや、実は私は以前よりお話ししているんですけれども、働く場として、じゃそれはオーケーなんですか。要するに、電子化が進んでいる、電子県庁であれ電子役場なりという電子の国会であるとかといった部分が進んでいった中に、じゃ障害者方たちはそこに進んで自分の就きたい職業に就けるようになっていますかという視点がなかなか見えてこない、聞こえてこないということが一つの気掛かりでございます。  要するに、外から見たサービスとしてはだんだんとJIS規格にもなってクリアしているんですけれども、働く場としてではそれも一緒に進んでいますかという点を一つ危惧しているということで、以上としたいと思います。
  347. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間です。  まず、柴田参考人に、今日は本当に我が党から推薦させていただきましておいでになっていただきありがとうございました。  御存じのように、文化芸術振興基本法ができて、東京においでになったり、島根、鳥取行ったり来たり、本当に大変な中だと思うんですけれども、今ほどお伺いしまして、政治は権力、経済は利益、そういう中にあって本当にこの人間力を培う文化芸術というのは大変貴重なものであるし、それがいわゆる公共サービスの名の下に切り捨てられていっては大変だという御意見伺わせていただきまして、去年ですが、平山郁夫さんも、この財政難や行政改革を背景に文化芸術の分野においても市場原理の導入や効率性、採算性を重視した施設運営などを求める声があるが、文化芸術の振興にはそもそも市場原理や効率性、採算性とは相入れない面があるということをはっきりおっしゃっているわけでありますけれども、そういう中で先ほど、努力すれば報われる、そういう社会を築くためにも文化というのは非常に大事だというお話いただきました。  そこで、ちょっとその後、文化と経営は均衡の取れた、均衡させることが大事だというふうにおっしゃってくださいましたけれども、これ実は物すごく難しい部分でございまして、具体的に財団もやられておりますことからお考えを、アイデアをいただければ有り難いというふうに思います。  それから、片山知事には、地方行政改革の最もあれは情報公開、これはもうだれしもが認めているところで、それを実践されているところがまたすごいところだと思いますけれども、その的確なチェック機能はやはりだれが監視するのかということだと思うんです、チェックは。オンブズマンの方や議会や何かがあると思うんですが、ちょっと私危惧しているのは、片山知事が大変独創的で地方自治の、地方分権の先端の取組をなされていることは多くの、恐らく鳥取県以外の、私北海道ですけれども、北海道民の方々も認めておりまして、ただ、片山知事の首にだれが鈴付けるのかなと、片山知事をチェックするのはだれなのかなという声も実はちらっと聞こえるわけでございまして、知事がおっしゃったチェック機能、議会や監査は知事自身も受けられているのかどうかということが一つお聞きしたいなと思っています。  それからもう一点は、恐らく今週末にいわゆる広域地域、いわゆる道州制推進法案が恐らく閣議決定になって通っていくと思うんですけれども、地方分権の推進の上から道州の考え方が非常に大事な一つはツールになるんではないかと。道州を進めていく上でもまたこれリンクしている話だと思うんで、先般参議院の方での院の中での参考人の方で、元志木市の市長さん、道州がこれからの一つのキーになるだろうというお話をペーパーでされていまして、このことについて、その道州全体のことを言うと長くなりますんで、鳥取県から県下の自治体、市町村に権限移譲していく場合のことを考えて、項目的なことも含めて知事はどういうふうにお考えになっているのかお伺いしたいと思います。この二点です。
  348. 柴田英杞

    ○公述人(柴田英杞君) 風間理事、地域文化への理解、それから文化育成への理解、本当にありがとうございます。非常に励みに今感じておるところでございます。  文化と経営の時代はまだ始まったばかりですので手探り状態でおるんですけれども、やはり私は今考えますのは、財団におりましてプロパーの職員の意識改革とアートマネジメント能力の向上というのが非常にキーワードになるのではないかというふうに考えております。法律も国あるいは自治体でどんどん進められてまいりますし、また社会情勢も刻々と変わってきております。そういう環境の変化に耐え得ることができるような職員をまず育成することだというふうに考えております。  地域文化振興は、もう始まりまして十五年以上たちますけれども、公立文化会館に所属している職員の研修の問題でありますとか、特に施設長、館長それから副理事長、理事長辺りの役職を担うプロパー職員の実力がまだまだでございます。管理職育成というのもまだ行き届いていない状態でございますので、ここら辺の職員のマンパワーをどんどんどんどん強めていくということが非常にその文化と経営をうまくバランスさせてやっていく一つの方策であろうと考えております。
  349. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございました。
  350. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) 知事自身は監視を受けているのかということですが、当然でありまして、情報公開を徹底するということは、自分自身もさらけ出すということであります。したがって、例えば予算編成過程公開するとか、それから政策形成過程を公開する、透明化するとかということはもちろんですけれども、その際には私自身もそこで透明化されている。したがって、非違事項があれば指摘を受けるという、こういうことになります。  じゃ、だれが監視するんですかということですが、それは制度上、議会、監査委員というのがあるわけです。実は監査委員というのも通常は、まあ失礼ですけれども、ほとんどの自治体ではほぼ内部化されてしまっていて、対抗軸として距離感のある監査してないです。そこで、外部監査のような屋上屋を重ねるようなこと出てますけれども、私のところは、それではいけないので監査は距離感を持って徹底的にやってくださいということを今言っていまして、ほぼそのとおりになっています。で、監査委員の指摘事項はきちっと直していく、私自身のことも含めて。  それから、一番大事なのは議会です、やっぱり。自治体の議会も実は、大変失礼ですけれども、多くの自治体では、内部化とは言いませんけれども、なれ合いになってしまっていたり八百長だったりする。あらかじめもう結論決めてから議会始まるとか、そんなことになって死に体になって大阪市のようになるわけです。そうならないためにはもう徹底的に距離感を持つということで、私のところは、もう私、就任してから、根回しはしませんということで通してきています。したがって、議案については、その良否は議場で判断してください、議場でどんどんやりましょうということで、もう今議場で議論することになっています。結果は最初から決めていませんから、したがって、もう議案の修正なんかは日常茶飯事です。それから、否決も時々あります。そういう関係でチェック・アンド・バランスを保っています。あとはオンブズマン、オンブズマンから徹底的に、私はオンブズマンは非常に有り難いと思っているんです、ただでチェックをしてくれるわけですから。おかげさまで、オンブズマンからは一番公開度が高いという評価をいただいています。  それから道州制ですが、私は道州制は、今のような政府の流れの中での道州制は反対です。といいますのは、今自治体に何が問題ですかというのは、市町村も都道府県もそうなんですけれども、規模が小さいことが問題ではなくて、質が悪いことが問題なんです。質が悪いって何かというと、透明性が低いとか、チェック機能が働いていないとか、議会がちゃんとした機能を果たしていないとかということ、正にそのものなんです。それをしないで、さあ大きくなったらいいですよ、分権の受皿ですよといって、総務省がざあっとやって市町村合併やりましたけれども、いかがでしょうか。本当に質の高い分権時代の受皿という主体としての市町村ができたと思われますか。私は否定的です。一番大事なことをやっぱりやってないんです。  何が必要かといったら、議会改革とか透明性を徹底するにはどういうメカニズムが必要かということを全く点検しないで、さあ大きくなりなさい、大きくなったら得ですよ、合併特例債ですよ、全部何でもできますよって、あんなことやっていたら質が悪くなるだけです。いよいよ市町村合併も一段落したから、さあ次は道州制ですよなんていうのは、もう駄目です。ですから、私は今の道州制は反対です。  そうではなくて、中央政府をもう、今何でも中央政府が権限集中していますから、それを解体再編すると。で、国はその本来の中央政府仕事に純化する、残余のものは全部地方でやってくださいといったときに、じゃ四十七分の一の鳥取県できますかって、多分それは無理でしょうから、そのときに始めて本来の道州制の議論というのが成り立つんだろうと思うんですね。そういうことだと思っています。  ただ、それと関係なく市町村は強化した方がいいですから、市町村には権限移譲、できるだけやっています。その際に、護送船団的ではなくて、まだら模様と言っているんですけれども、好きなものを取ってくださいというようなことをやっています。  それからもう一つは、先ほどちょっと広田先生のときにお答えしましたけれども、市町村に対する県単独の補助金を一括交付金化して、自由化しまして、メニュー化しまして自由に使ってくださいというようなこともやって、市町村の方が自立度と判断力を増すような、そんなことを今やっているところです。
  351. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。
  352. 尾辻秀久

    ○団長(尾辻秀久君) よろしゅうございますか。
  353. 風間昶

    ○風間昶君 はい。
  354. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今日は四人の公述人の皆さん、本当にありがとうございます。非常に率直な御意見を出していただいているなというふうに思っていて、お話を聞きながら共感するところも多々あります。  最初に、片山知事からお聞きしたいんですけれども、この間、行政の改革というか、自分自身がこの鳥取でそういう改革をやられてきて、事前にいただいていた資料なんかも読ませていただいているんですけれども、やっぱりその中で現場主義といいますか、例えば現場に行って声をよく聞いて、解決できることは何かと、やってみてなかなかできないことについて、国の要請というか、求めるところはそうしていくというようなことですとか、これまでの取組の中でも私も記憶に残っている中には、例えば地震のときに建物に対する問題でも、今までの前例主義というのがあるわけですけれども、それに乗っていたんじゃとてもできなかっただろうと思われることがやっぱりそこで取り組まれたりとか、それからDVですね、ドメスティック・バイオレンスということで、これも全国の中でも先駆けて、現場の話を聞いて必要ということで対策をし、三位一体の中で削られたとしても独自にやるとかいうことなどは、そういう関係者の皆さんからも高く評価をされてきていると。  やっぱり、読ませていただいて思ったのは、行政改革というのは原点に立ち返ることが大切だという話の中で、原点というのはじゃ何なのかなということでいうと、やっぱりその自治の主人公は住民なんだと、その目線でとらえて、その視点が欠けちゃいけないということが言われて、この辺も私は実は共感をするわけなんですね。  そう考えたときに、今国が出してきている今度の行政改革の法案というのは、簡素で効率的という、それだけ聞けばちょっとよく抽象的で分からないわけですけれども、中身でもって押し出しながら、実際に国民の暮らしとか国民の安全とか守っていくということでいえば、必要なところが一体どこで、これはもう何としてもちゃんと守っていかなきゃいけないとかいうことの中身のきちっとした点検なりがなしに、先にこの数字でもって削っていくだとかということが出されているということは、非常にこの原点ということから見ればちょっとそぐわないんじゃないのかなという気もしますし、そういう点で、実際現場で努力されてきたところから見て、賛成だっておっしゃったんですけれども、役に立つのかなというか、というような率直なところを聞きたいということ。  それから、市場化テストの問題で、官民競争入札というのと民間競争入札導入ということで、民にできるものは民でと、そういうのはあるんだと思うんですけれども、そぐわないものもあると。実施対象の中に私自身も非常に大丈夫かなというふうに思うのも幾つもあるんですけれども、例えば自治体業務で、戸籍抄本、外国人の登録原票の写しとか、住民票の写しとか、印鑑登録とか等々ありますけれども、この受付と引渡しと、こういうところというのは、扱いというのは非常に慎重にやらなきゃいけないし、個人情報がやっぱり漏れないようにというのは、DVのときなんかも非常に気を配らなきゃいけないということがあったと思うんですけれども、そういうことが実際にその民間にもし入札された場合に漏れていかないのかなという、そういう不安というのは非常に持つわけです。本来は厳格に扱うべきものであって、それに対してどういうふうに思っているかという知事の御意見を伺いたいと思います。
  355. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) 私は法案に基本的には賛成をしたということに対して、今本当にそうでしょうかという懸念を寄せていただいたんですが、私はこれは使い方次第だと思っておるんです。何とかとはさみは使いようと言いますけれども、上手に使えば、本当に自治の原点を失わないで、先ほど申しました良質で低コストのサービス供給は可能になると私は思っています。  ただ、これを例えば使い方を誤って、護送船団的に中央政府の方もこれでもって、これをよりどころにして護送船団的に地方団体に迫る、自治体はそれにざあっと流されるということになりましたら、いいことがないようになるんだろうと思います。ですから、要は我々地方自治団体の方の主体性と見識、力量いかんだと思っております。  それから、競争入札制度はそぐわないものがあるというのは私もそのとおりだと思うんです。先ほど、柴田公述人の方のお話でありましたけれども、鳥取県では指定管理者制度といのを全国同様実施しているんですけれども、その際に、入札に掛ける指定管理とそれから個別指定と、こう振り分けたんですけれども、やはり文化を担う主体というものは競争原理に必ずしもなじまないだろうということで、競争原理に入れませんでした。  それから、例えば知的なもの、例えば博物館的なものとか図書館のようなものとか、継続して知的なものの蓄積を養っていかなきゃいけないようなものについては、これなじまないだろうということで基本的にはこれ直営にしておりますし、従来委託に出していたものもこの際直営に取り込んで、経営形態を変えるというようなこともやっております。  これも、それ以外に、例えばプライバシーの問題がどうかとかいろいろありますから、それこそ自治体の方の見識と主体的な選択でもってそぐうものとそぐわないものを分けるということで私はいいと思っております。
  356. 紙智子

    ○紙智子君 それじゃ、ちょっと時間が迫ってきたんですけれども、次に、西尾公述人にお聞きしたいんですけれども、同じく市場化テストの問題で、このことによって民間事業者に落札した場合に、その事業に従事してきた公務労働者には異動や派遣や解雇という問題が出てきますし、臨時とか非常勤ということで働いている関連する労働者にも影響が出てくるでしょうし、それから、実際落札して請け負った側というか、そっちの方にも雇用問題って出てくると思うんですけれども、その働く現場といいますか、労働者の立場から見たときに具体的にこういう分野、こういう分野ということでは非常に懸念されるというところで少し言っていただきたいんですけれども。
  357. 西尾幸喜

    ○公述人(西尾幸喜君) それじゃ、現場の一例を少し申し上げて回答とさせていただきたいと思いますけれども、実は、行政機関の方の公務員につきましては標準定数法というものがありまして雇用は守られておるんですけれども、実は法律で縛られない学校の用務員とか給食の職員さんの方がおられますけれども、これが現業で今働いておる方なんですが、この辺が指定管理といいますか、競争入札で民間に出ておるような状態があります。  現場で、給食職場の関係なんですけれども、民間に委託しているところがあるんですけれども、やはり交付金といいますか、負担金がありますんで、その中でどうしても利益を出していかなくちゃいけないということで、稼働人員が極限まで抑えられておるようなことを聞いております。特に栄養士の関係なんですけれども、民間に出した場合に二、三か所、複数の施設を兼任しておるようなこともありまして、大変子供や高齢者の方が、食の安全などもありますんで、不安がられているような状態もありました。給食を作られる給食員の方も、数はぎりぎりなものですから、やはり少し過労とか職場の安全ですね、こういうものも確保ができてないような状況は一部聞いております。  これでよろしいでしょうか。
  358. 紙智子

    ○紙智子君 はい。
  359. 尾辻秀久

    ○団長(尾辻秀久君) 紙智子君、おまとめください。
  360. 紙智子

    ○紙智子君 はい。じゃ、ちょっと、時間で申し訳ないんですけれども、あと柴田参考人に最後お聞きしたい。  今のお話の中で、やっぱり文化とか芸術とか、ここの分野というのは本当に大切な分野というふうに思いますし、お話聞いて非常に共感もしてきたわけですけれども、やはりこの分野で実際にはそぐわないじゃないかということで、実は衆議院の中でも我が党で質問をして、それに対して答弁として、行政担当大臣、文科大臣に質問をしたわけですけど、学術、文化はコスト競争になじまないと、丸ごと市場テストの対象にしようということではないというような答弁も出されたんですけれども、やっぱり実際の不安といいますか、こういう分野というのは本当にしっかりと受け止めていただきたいんだということを、さっきもお話があったんですけれども、特に強調したい点というのは、一言お願いします。
  361. 柴田英杞

    ○公述人(柴田英杞君) 先ほども申し上げたんですが、やはり文化といいますのは、その地域に暮らす方々の人間の回復力を育成していく心の栄養となっていくものだと思います、文化というのは。そうしますと、長期的な視点に立った上での振興策、政策というものがどうしても必要になってくると思います。  指定管理者制度も市場化テストもそうですが、五年とか三年とかといったスパンで区切られて、NPO法人でも企業でも財団でも、文化育成というのがそこでストップしてしまっては何のための文化振興政策なのかというのが分からなくなってしまいますので、あくまでもやっぱり国民の立場に立って、その文化を受ける側の人に立った目線でやはり政策を、法律を考えていただきたいなというふうに切に思います。
  362. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございました。
  363. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党の近藤正道と申します。  今日は、四名の公述人の皆さん、本当にいい問題提起をしていただきまして、ありがとうございました。今後の議論の中に是非生かしていきたいというふうに思っています。  私は、片山公述人に主に何点か質問をさしていただきたいというふうに思います。  今ほど来の話と少し関連もするんですが、片山公述人が冒頭に、今回の法案について総括的に、多様な自治体を画一的に扱う愚は避けるべきだと、全国で約千八百の多様な自治体、いろんな経過、内容があるにもかかわらず、画一的な縛りで方向付けるというのはやっぱり問題だと。全く私も同感でございます。  しかし、片山公述人、今ほど使いようだというお話もありましたけれども、この法案の基本的な方向を評価されているということなのでお聞きをしたいというふうに思いますが、これは単に一般的な自治体の債務ということではなくて、例えば行革推進法の五十五条の二項では、国が配置をする地方公務員の配置基準を見直して、そしてその四・六%の純減の実現を目指すと、そういうところまで具体的に書いてあるわけでございまして、こういう削減の数値目標を、それも地方に大きくかかわりのある問題について数値目標まで盛り込んで、一般的ではあれ債務というふうにして縛るということについて、改めてどういう御見解をお持ちなのかお聞きをしたいということと。  そういう問題のまず一つのバリエーションなんだろうと思いますが、学校の教職員につきましては、生徒の減少数以上の教職員を減らしなさいと。私は、生徒の減少に応じて減らせと言うんならそれは分かるけれども、生徒の減少以上に減らせと、これはどうしても私は理解ができない。逆に、この生徒の減少をきめ細かな指導をするチャンスと何でとらえないんだろうと、こういうふうに思えてなりません。しかも、地方では今、鳥取県でもそうだろうというふうに思いますが、国の基準以上に少人数教育をやって、そして国のナショナルミニマムをわきに置きながら、より地域で独自に少人数、きめ細かな指導をやっておられるのに、こういう規定の仕方をすると地方の独自な取組の足を引っ張ることになるんではないか。  義務教育費国庫負担についてはいろんな議論がございましたけれども、三分の一という形で残っている中で、こういう国の配置基準を示して押し付ける、あるいは教育については生徒の減少以上に教職員の数を減らせというやり方について、現場で一生懸命取り組んでおられる知事の立場としてどういうふうにお思いなのか。先ほど一般的な御見解ございましたけれども、更に踏み込んで御意見があったらお聞かせいただきたいと、こういうふうに思います。
  364. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) 国が今法律などで決めています配置基準を見直すというのは、私は二つ意味合いがあると思うんです。  一つは、これは私どもにとって歓迎することなんですけれども、規制になっている面があるんですね。例えば、保健所の所長は医者でないといけないというのがあるんですね。ところが、医者であってもいいんですけれども、医者でなくてもいい保健所もあってもいいんです。ところが、全部医者でなければいけないという、これが一つの配置基準なんですね。こういうのをやめてくれれば、実は我々にとってはウエルカムなわけですね、例えばベテランの保健師さんを保健所長にするということも可能になりますから。ですから、配置基準の見直しというときは、是非規制緩和という意味での配置基準の見直しにしていただきたいと思うんですね。  それからもう一つ、我々にとっては必ずしもウエルカムでないのは、正に今教育のことを言われましたけれども、今四十人学級なんですね。これでなかなかうまくいかない不具合がやっぱり小学校の一年生、二年生とか、それから中学校の一年生なんかにも出るんです。といいますのは、比較的小規模の学校が小学校多いものですから、そこから中学校に行くと途端に大きくなって、そこでちょっと自信をなくすなんという子供が多いものですから、私どものところでは小学校一年生、二年生、それから中学校一年生などで少人数学級をやっているわけです、四十人よりも下限を下げまして。小学校一年生、二年生は三十人、中学校一年生は三十五人だったでしょうか。今そういう実態がある中で、これを国の方が四十人学級を更に例えば五十人学級に戻してこれでしか財政措置しないよと言うんですと、これはもう明らかな施策の後退になります。ですから、こういう意味での配置基準の見直しというのは避けていただきたい。  先ほど基本的には賛成ということを申しましたけれども、細部をたどっていきますと、そういうふうな、国の方が一律に何か自治体に押し付けるというようなことは、これは是非やめるべきだと思うんですね。  私、冒頭申しましたように、四・六%の地方公務員全体としての削減目標を決められるのはそれは結構だと思うんですけれども、しかし、自治体によっては、例えばハード事業、まあ公共土木事業なんかをぐっと絞ってもっと教育の方に投資をしたい。そうすると、教育に投資するということは人に投資するということになるわけです。そうすると、平均よりも公務員の数が多いということに当然なり得る。これは政策選択の結果なんですね。それからもう一つは、単価を下げてでも人数を増やしたいというのもあるかもしれません。これも政策選択なんですね。そういう余地をつぶすような、そんな行革法になってはいけないと思っています。
  365. 近藤正道

    ○近藤正道君 真に簡素で効率的な政府、行政を目指すということであれば、正に今もう問題点が噴き出しておりまして、やっぱり天下りの問題、これにメスを入れなくて一体何が簡素で効率的なのかと、こういう思いがしております。民間では官製談合、公益法人では随意契約と、本当にあきれるばかりの実態が出ているわけでありまして、この天下りを規制するためには、早期の、キャリアの場合でありますが、早期の退職慣行、これを是正していかなきゃならぬ。  これはみんな分かるんですが、しかし、今、国のレベルで言いますと、ついこの間まで五十四歳、それを五年掛かって三歳引き上げると。平成二十年ぐらいにやっと五十七歳になる。その先の話は全くまだ手に付いていないと。一体これだけ問題が出ているのに、何でそれをすぐにやらないんだろうかと。自治体ではどんどんやっているし、民間ではもう同期に入社しても昇進の遅い人もいれば早い人もいる。当然なんだけれども、国家公務員のそれもキャリアだけはそれは認めないと。そういうことを手を付けると優秀な人たちが集まらないと。言わば早期勧奨、天下りというのはキャリアに優秀な人を集めるためのコストだともうかなり公然と言っていて、なかなか進まないと。  片山公述人もキャリアの御出身でございますが、自ら経験されて、これはとにかくキャリアの中にある年功序列、ここにやっぱり手を付ける以外にないんだと、こういうことをやっぱりずばっと言う議論がなかなかない。今回の法改正の中にも、ここに切り込むというような、そういう視点は私は基本的にない。そこに手を付けないで、単に官製談合を廃止します、随契を見直しますなどと言っても、元を絶たなきゃやっぱりならないと思うんですよね。  自らその経験をお持ちで、何でこのキャリアの年功序列に手が入らないんでしょうか、どうすればここに入り込むことができるのか、それこそ率直な御意見聞かしていただければと思うんですが。
  366. 尾辻秀久

    ○団長(尾辻秀久君) 時間迫っておりますので、手短にお答えくださいますようにお願いいたします。
  367. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) 年功序列と早期退職と天下りがなければ優秀な人が集まらないなんて、全くうそです。私なんかも公務員試験受けて公務員になりましたけれども、そのときにいい天下り先がありそうだから自治省に入ったなんということは一切ありません。もっとちゃんと高い志を持ってみんな入っています。ところが、今の官庁の組織の中でみんな駄目にされてしまうんですね。多くの人はうんざりしているんです、実は。だから、早くあの呪縛から解いてあげなければいけないと私は思います。  なぜできないのかといったら、やっぱり今のパラダイムを変える勇気と力量がないんです、官僚の皆さんに。官僚の皆さんは自分のことですからやっぱり変えられないんですね。変えられるのは政治なんです。政治が変えれば済むことです。ですから、定年までずっと延ばすのをもっとピッチを速くして、政治が人事をやればもうすぐ解決することです。  ちなみに、鳥取県でも実は、完璧ではありませんけれども、以前は県職員の間に年功序列がありました。ですから、プロパーで県の幹部になる人は大体もう五十六、七、八ぐらいからで部長になるということだったんですね。それだと停滞しますから、もう全部変えました。変えられるんです、それは。ハレーションももちろんありますけれどもね。ですから、勇気を持って政治の皆さんが変えられれば、あっという間に変わると思います。
  368. 近藤正道

    ○近藤正道君 ありがとうございました。
  369. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 大変参考になって聞かさしていただいております。荒井でございます。最後です。よろしくお願いいたしたいと思います。  まず、関連すること幾つかございますけれども、最初に、片山知事さん最後にしていただいて、西尾さん、柴田さん、鈴木さん。  一律に予算と人を減らすのではなくて、地方、地域力、そういう力も考えた、住民サイド、受益者サイドの質の向上から見るべきであると、こういう御趣旨をそれぞれ私なりに受け止めたわけでございます。  そういう中で、西尾さん、柴田さん、鈴木さん、県職員や市町村職員、鈴木さんは若干専門的な知識がおありと思いますし、柴田さんも現場の御感覚があると思います。西尾さんもいろいろ仕事関係であると思うんですが、職員さんは多いという印象ですか、少ないという印象ですか。西尾さん、柴田さん、鈴木さんからお願いしたいと思います。
  370. 西尾幸喜

    ○公述人(西尾幸喜君) 私の立場で言わしていただきますと、ほかの先進諸国に見ましても、日本の公務員の数は決して多くない、むしろ少ない方だと思っております。やはり今、先ほどからずっと言っておるんですけれども、今どのような公共サービスが必要ということを考えて、やはり住民のニーズを見てそれをやっぱり満たす公共サービスになっていかなくちゃいけないと思いますので、人数を減らすというだけでなく、そういうところも視点に置いた数にしていただきたいと思っております。  以上です。
  371. 柴田英杞

    ○公述人(柴田英杞君) 私は、多いか少ないかということを判断するときに、やはりジャンルによるかと思います。文化育成という観点から申しますと、文化は非常に手間暇が掛かるものでございますし、長期的な戦略も計画も必要になってまいりますし、また人に投資をして、投資をした結果というのもやはり十年、二十年たたないと分からない。そういう手間暇が掛かるようなジャンルに関しましては職員数を多くし、そうではない、もうちょっと効率的にいくようなところにはやはり少ない人員配置をしなければいけないというふうに考えております。
  372. 鈴木尊善

    ○公述人(鈴木尊善君) 多いか少ないか、今のお話と同じなんですけれども、やはりその部署部署という問題もありますし、逆に言えばもっと多くてもいいのじゃないかなと。ただ、それがその地域なりその行政の中で本当に活躍していただけるということで、柔軟な組織運用でもありますし、その効果のある組織体をすぐつくれるであるとか、そういうことに対応できる人材であるということが重要であって、まず人の数ではなくて、やはりそれぞれの人材の素質であったり素養であったり、そういう部分を重きを置いて将来の日本というものを考えたところで考えたいと思って、多い少ないという部分ではちょっとお答えしにくいというか、そういうふうな素質、資質をもっと重要視するべきではなかろうかと思います。
  373. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 ありがとうございます。  そこで、片山知事さんにお尋ねしたいんですけれども、冒頭、一律画一というのはいかがなものかと、ただ、一つの行革の選択肢として幅が広がったという意味でその点評価すると、こういう御趣旨だったと思うんです。  お話をるる承りますと私も目からうろこのところがあるんですが、知事の書き物によっても、当たり前のことをやりゃいいんだと、その当たり前のことが透明性であったりチェックであったりすると。それをずっと見ていくと、まず公務員制度の天下り、先ほど先生方からあったように、そこをなくさなけりゃ、これはもうただ単に特殊法人が増えただけで、公務員ではなくなっただけで、同じなんだと、住民サービスも変わらないんだと。  私も、全く今度の簡素で効率的な政府というのは、手段を言っているだけで、目的がないんですよ。何のためにといったときでいったら、別に、一つの提案であって、総理がこんなに大上段に構える必要ないんじゃないかと。むしろ、先ほどありましたように、いわゆる公務員制度全体の定年制を長くすると、こういった御指摘にあった抜本的なことをやった方がよっぽど上手にいくんじゃないかと思う。同じ手段法であったらそんなものじゃないかと。  それから、先ほどの予算のプロセス、これは御指摘がございまして、委員長始め理事の先生方の御協力をいただきまして、実はトータルコスト、初めて出していただくようにお願いしてございます。すべての事業の項目に立てて、地方にどれぐらいの金で、国は何人いて、その仕事を地方に行くと大体平均何人でやっていて、それでそこの人件費を幾ら掛けるかというのを初めて出してもらうように、今委員長の下で理事協議で出していただくようになって準備をしております。そういうところの透明性などを出せば、コピー機リースの例のように、見事に私は当然のように改革ができるんじゃないかと知事の話を聞いて考えておったんですが、別なやり方もあると思うんです。その辺、いかがでしょうか。
  374. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) 私も荒井先生と同感の面がありまして、実は今回の行革法とか、物すごいエネルギーが掛かっていると思うんですね。そのエネルギーというのは、例えば霞が関の人で反対する人が多いとか、あらゆる改革が今もうとにかく各省庁が足を引っ張るということがあると思うんです。その根源は何かというと、やっぱり今のキャリアの公務員制度、天下りにあると私は思っているんです。そこを直せば実はほかの改革がすっとスムーズにいく、最大の処方せんだと思うんですね。ですから、そこを是非やっていただきたいんですけれども、なかなか出されていないので、まあ次善の策としてこんないろんな選択肢をつくるような仕掛けも必要なのかなという気がしているんです。  私、懸念しますのは、例えば、さっき申しませんでしたけれども、官民競争が起こるとします、市場化テストで。官と民と競争するといってみたものの、民をよく見たら実は官から天下った人ばっかりの民だったとか、そんなことが多分今の状態が続くと起こり得ると思うんですね。だから、これと同時に、是非政治の皆さんで官の改革をやっていただきたい。今のキャリアの早期退職なんというのは実は制度じゃないんです。どこにも書いてないんです、そんなことは。運用でやっているわけです。だから、制度改革になじまないんですね、運用改革なんですね。それを是非やられたらいいと思います。  それから、トータルコストは、私は政府で是非やっていただきたいと思うんです。私のところでトータルコストやると、例えば、例を言いますと、東京事務所に、私の専属といいますか、私が東京に行ったときに乗る車と運転手を置いていました。それまでは、予算というのは油代とちょっとした整備費ぐらいでした。人件費が入っていませんでしたから、トータルコストで人件費を乗せると何百万にもなるわけです。そうすると、しょっちゅう行くわけでもないのに、それはもったいない、行ったときに民間から借り上げればいい、物すごいコストのダウンになるわけですね。これもトータルコストを出して初めてそういうことを我々、私も含めて認識するようになったわけですね。  是非霞が関でやっていただきたいのは、例えば各府省の大臣官房なんかに一杯審議官とか企画官とかまぶり付いていますけれども、あの人たちトータルコストでやると、こんなに人件費掛けて一体何をしているんだろうか、いや、国会の廊下トンビで根回しばっかりやっているということがあぶり出されてくるわけですね。それが私は本当の改革の第一歩だと思うんですね。そういうところをいじらないで、やれ公務員を何・何%減らせと言っても、ちょっと何かちぐはぐしているなという、もうせっかくの機会ですから率直に申し上げさせていただきました。
  375. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 知事の取組で評価するところあるんですが、長野の田中知事は、木製ガードレールを三年掛かって間伐材を利用して、また環境にいいし村の人たちが定着できると。やっと農林省が去年補助事業にしたんです。知事もいろんなことを工夫されて、先ほどの通年でリースをするという道を開かれたり、多々いろんな有り難いことやっているわけですね、受益者にとって。  そこで、高く付く場合があるはずなんです。自然環境や、先ほども砂漠化の正にすばらしい取組を見ましたけれども、そういうもので高く付く調達というのがあるはずなんです。ところが、今小泉さんというのは、すべて一律に言って人気を沸かせて、もう細かい査定をなしに、四方の共通する理念だと思いますが、とにかくやらないことは、反対するということはけしからないということで、もうみんな一律に悪者にしちゃうんです。  片山知事、いかがですか。高く付く場合というの、あるんじゃないでしょうか。これ木製ガードレールは同じ強さで高いんです、若干。
  376. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) もうこれはあります。ある種の政策を遂行しようと思ったら、物品調達が割高になるというのはあります。木製ガードレールというのはもう典型的な例です。実はあれは鳥取県から始めたんです。
  377. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 ああ、失礼しました。
  378. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) それで、鉄を使えばオーストラリアの鉱山労働者の所得になる、木を使えば我が県の中国山脈の中山間地の森林労働者の所得になるという考え方で、木を使いましょう、もっと気も遣いましょうということで始めたんですね。やっぱり高いんです。高いんですけれども、それは地産地消とか中山間地の雇用とか産業の活性化という別の目的のために、多少割高でもそれはいいじゃないですかという説得が可能かどうか、説得力を持つかどうかなんですね。私などは、ですからそういうことを、それは説得力の問題だと思うんですね。  例えば今、木を使うという意味では、木質バイオマスというのを推奨しているんです。エネルギーの自給率が非常に低い県なものですから、電力も一割ちょっとなんです。ほとんど島根の原発に頼っていますから、ちょっとでも上げようということで木質ペレット、私の知事室のストーブはデモンストレーション効果をねらってペレットストーブを使っているんです。これ鉄砲の弾ぐらいの木なんですけど、これを普及しましょうと。今ちょっと高いです、単価が。でも、あえて導入しましょうと。それから燃料は、石油がおかげさまで高騰してきましたから、灯油ととんとんになりました。これが普及すればもっとコストダウンになります。そうすると、今まで中山間地で眠っていた資源がどっとエネルギー産業として出てくるわけですね。  そういうことまで説明をしまして、ちょっと割高だけど皆さんやりませんかということをやっているんです。議会でも議論になりましたけれども、一応の説得力を持ったような次第です。
  379. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 ありがとうございました。
  380. 尾辻秀久

    ○団長(尾辻秀久君) 以上で各会派の質疑が一巡いたしましたので、これより自由質疑を行います。  なお、本日、理事会でお決めいただきました終了時間は午後四時でございます。極めて限られた時間になっておりますので、この後どうぞ簡素で効率的な質疑をお願いを申し上げます。  それでは、質疑のある方は挙手の上、委員長の指名を待ってから御発言願います。
  381. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。  私は鈴木公述人とそれから片山公述人に御質問させていただきたいと思います。  鈴木公述人には、先ほど全然触れておられないんですけれども、今回のこの法案の中には政府系金融機関、これの完全民営化統合というのが実は盛り込んでございます。民営化になりますのは、中小企業の皆さん方が御利用されている商工中金、そして政策投資銀行、この二つが完全民営化になりますし、さらに、中小企業の皆さんがこれも御利用されている国民生活金融公庫、そして中小企業金融公庫、そして農林漁業の皆さんが活用されております農林漁業金融公庫、これらが統合されていくわけでありますが、私どももいろいろ参考人の皆さん、来ていただきまして地方の声も聞いているわけですが、鈴木公述人はいろんな、この鳥取の町の中小企業の皆さんいろんなお付き合いをされているというふうに思いますけれども、何らかそういった民営化あるいはまた統合、こういった問題に関して不安なりあるいはまたこうしてほしいというようなことをお聞きになっておられれば、是非この場でそのことについて私どもに教えていただきたい、こういうふうに思います。  それから、片山公述人には、先ほど人件費の改革というのが今回の法案の中に盛り込まれておる、そしてそれは国もそして地方もということで、先ほど地方の四・六%については、これは一律いかがなものかという、私も全く同感でございまして、特に私は鹿児島でございまして、離島を多く抱えております。そうしますと、もう合併もできない自治体、そして人をもう削るにも骨と皮になった自治体もございます。そうしますと、もう一律的に四・六という、これは私もう大反対でありまして、もうまさしくこれは片山公述人と同感であります。  ただ、もう一つのこれは改革で、国家公務員の五%というのがございます。ただ、先ほどもおっしゃいましたように、私はこの五%を達成するために、独法をつくってそちらに移し替えて非公務員化する、それは確かに数字上はなるかもしれませんけれども、人件費が交付金に変わるだけで、トータルコストは変わらない、こういう思いもございます。これはもう知事もおっしゃったとおりだと思います。ただ、私はやっぱりこの五%目標を掲げたということについては、これは意義があると思っています。といいますのは、過去五年間で〇・七しか国家公務員は減っておりません。それをやはりこれから五%削ろうという、私はそういう意欲といいますか、その問題については私は評価したい。  ただ問題は、先ほど、独法に切り替えるとかそういう問題じゃなくて、本当に、じゃどうしたらその五%を削れる、まあ削る、人を削るわけにはいきませんので、どうすればいいのか。これは配置転換なりあるいはまあ勧奨制度もあるわけですが、いろんな問題もまた勧奨制度には、先ほど来あるように問題を含んでいることも事実でございます。  そうしたときに、どういう形で、これはもう片山知事は自治省にもおられた、そして今鳥取県知事で地方自治にも携わっておられる。両方見ておられて、この国家公務員の五%の純減、純減でございますので、これについてどういう方法を取ったら本当に決め手になるのか、その辺を御示唆いただければ有り難い、こういうふうに思います。  以上であります。
  382. 鈴木尊善

    ○公述人(鈴木尊善君) まず、商工中金、国民金融公庫等の民間移行ということでございますけれども、残念なことに私どもはそういう国民金融公庫さんであるとかというお世話はまだなっていないということで、現実的にこれからお世話になることがあるかなと思いつつも、市中の銀行の方とお取引させていただいて、そういう御支援をいただいていると。あとは公的な助成であったり補助という制度も、もう私自身が甚だ不勉強で、ほとんどもう自前資金とまたベンチャーキャピタルからの出資であるとか、そういうふうなことを活用しながら、なるべくそういう部分自前でやっているというところで、それが民間になったらどうなのという危機感というのは大きくはないんですけれども。  ただ、言えるのは、産業育成という視点で、では、その大きく担っている部分がじゃどこに行くんですかといった部分をやはり明確に、民間であるからということではなくて、やはりそこの、ある意味ではそういう資金の権限移譲的なもので地場産業の育成であるとか、そういった部分御配慮いただいて、その地域の産業が一歩踏み出るという機会を、更に窓口広げていただけたらなと思います。  以上でございます。
  383. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) 国家公務員の皆さんの五%削減というのはそんなに難しいことではないと思います、私も国家公務員やっていましたけれども。ただし、皆さん抵抗されると思います。それは、今までのやはり気持ちというかパラダイムが全然変わっていませんから、霞が関の皆さんが。権限は多い方がいい、組織も大きい方がいい、株式会社と同じで資本金も多い方がいいという、こういうことで成り立ってきていますから、そこのモードを変えてあげなきゃいけないと思うんですね。  そのモードを変えるにはどうすればいいのかというのが、権限なんかにもう固執しなくてもいい環境をつくってあげる。それがすなわち天下りとか早期退職、天下りなんかしなくてもいいような環境をつくってあげると人間はまともになります。正常化します。そうしますと、私なんかもそうなんですけれども、自分が抱える組織は小さい方がいいです。もう一杯職員抱えていろんなことするよりはできるだけスリムにした方がいいというのが、実は私なんかは今のような仕事をしていましてつくづく感じるんです。大体、権限にこだわらなくなるとみんなそうなると思います。  そうしてあげると、ああ、あれも要らない、これも要らないといって多分五%以上出てくると思うんです。ただ、今のような、今の公務員制度が続く限りはこれをやるには物すごい抵抗と労力が要るだろうなとちょっと懸念しています。
  384. 尾辻秀久

    ○団長(尾辻秀久君) それでは、この後、直嶋君、保坂君、主濱君の順で指名をいたします。残りの方については残り時間で判断をいたします。
  385. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今日は公述人の皆さん、ありがとうございました。  もう時間も迫っていますので、私の方から簡単に、特に片山知事に二つ、ちょっと確認的な質問をさせていただきたいと思うんですが。  一つは、先ほど来議論になっています公務員制度で、特に早期退職とかキャリアの年功序列のお話がございましたが、キャリア制度そのものについて知事はどういうふうにお考えなのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思うんです。私どもは、キャリア制度は見直してなくして、新しい公務員の評価制度の中で考えていくべきだと、こういうふうに思っているんですけれども、知事のお考えをお伺いしたいということです。  それからもう一つは、天下りの問題なんかと同時に、今回の行革法案の中に、実は国の事務事業を見直す場合に事業仕分という考え方がやや取り入れられているんですね。本当にこれは国がやらなきゃいかぬのか、民間でやれないか、あるいは地方に任せるべきじゃないかとか、そういう発想で、例えば「構想日本」の加藤さんなんかは幾つかの都道府県とか市町村で実際におやりになって、先日参考人に来ていただいてお伺いしましたら、実験的におやりになった市町村でいうと、大体都道府県の場合で残る仕事が七割、市町村だと六割ぐらいになると、こういう結果の御報告もあったんですが、私はそういうことをきちっとやっていけば、先ほど来五%とか四・五、六とかいう議論がありますが、むしろそれは順序が逆で、本当に国なり地方自治体なりがやるべきことをきちっと整理をしてそれに見合った仕組みにしていけばいいんではないかというふうに思うんですけれども、その中で、特に国と地方の関係を考えた場合によく補完性の原理ということが言われますが、個人に近いところから順番に仕事を考えていくと。それぞれ個人でできないことは基礎的な自治体でカバーする、基礎的自治体がカバーできない部分は広域自治体、今でいうと都道府県かもしれませんが、カバーをする、それらでどうしてもできないものを国が必要最低限のこととしてやるべきだと、こういう考え方があるんですけれども、こういう発想をしていくと今度の行政改革と併せて地方分権もかなり大胆に進めることができるんじゃないかというふうに考えておるんですけれども、この点について、片山知事さんと、それから済みません、西尾さん、もし御見解があれば、今申し上げたところについて御見解を聞かせていただきたいと思います。  以上でございます。
  386. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) まず最初に、公務員制度でキャリア制度はあっていいのかどうかということですが、私はキャリア制度はあっていいと思うんです。それは一つの採用形態として、こういう標準的な仕事をしてもらう、こういうキャリアを積んでもらうという一つの職業モデルを示してそれにふさわしい人を採用するというのはいいと思うんです。いけないのは、一回採用したらそこで年功序列で固定してしまうということなんです。いろんな採用の形態があると思いますから、いったん採用するときはその関門をくぐっても、後はその組織の中でどういう働きをするのか、どういうモチベーションとか、どういう志を持っているのか、どういう能力があるのかということで、後はもう採用のときの仕分にかかわらず任用していくという、こういう仕組みにすればいいと思うんです。  それから、事業の仕分を「構想日本」の加藤さんなんかやられているんですが、あれはあれで一つの見識なんですが、率直に申し上げると、お役人だけで整理をしているんですね。要するに、だれが何をやるべきか、仕事として何をやるべきかと、だれが決めますかといったときに、公務員だけで決めたらああいうふうになるんです。しかし、現実は公務員だけで決められないんですね。やっぱり政治が決めるわけです。政治が決めたときに、必ずしも公務員だけで理屈で割り切って、これは国の仕事、これは市町村の仕事、これはしなくてもいいというふうにならないんですね。あれの欠陥は、加藤さんも元々公務員ですから、公務員の皆さんだけで理想的なものを仕分をしたらああなるということで、もうちょっと一工夫要るんではないかと思います。  その場合に、じゃ、そうはいっても、国、県、市町村の仕事の割り振りはやっぱり考えた方がいいでしょうと、それはそうだと思うんですね。その際にどう考えるかということなんですが、私は実はさっき先生が言われたのとちょっと違うんですけれども、一つは、アメリカの連邦政府なんかが典型的なんですけれども、中央政府は何をやるべきかというのをやはり一つ決めなきゃいけないと思うんですね。何でもかんでも中央政府が抱え込んでいます。市町村道の決定まで事実上中央政府がやっているわけですね。そうじゃなくて、中央政府は本当に外交、防衛、金融、司法、マクロ経済、通信とかそういうものにもう専念するんですということをまず決めていただく。その上で、あとは地方でやってください、個人か地方でやってくださいといって、さっきの先生の理屈で、個人がまず何をやるべきか、それから一番個人に身近な市町村が残余のものをできるだけやりましょうと。残ったものを、じゃ広域団体の県ないし、いずれ出てくるかもしれない道州で受け持ちましょうと。そのときに、じゃ、県ないし道州で受け持つというものがどんなものがありますかといったときに、どういう区域で再編成したらいいのかという議論が出てくる、これが道州制の議論だろうと、こんなふうに考えています。
  387. 西尾幸喜

    ○公述人(西尾幸喜君) 今の直嶋先生関係なんですが、基本的には連合本部の方の中身に沿わせていただいておりまして、あいにくなんですが、現在手持ちの資料をちょっと持っておりませんので、お答えの方は控えさせていただきます。
  388. 保坂三蔵

    ○保坂三蔵君 自民党の保坂でございます。  今日はありがとうございました。  最初に二問だけ片山知事に、それから鈴木公述人にお尋ねしたい。  片山知事にお尋ねしたいんですけど、平成の大合併が終わりました。明治維新のとき、日本の自治体というのは七万七千からあったわけですね。それがずっと時代の変遷を経まして三千二百余になったのを今回一千八百二十三ですか、それこそ四割以上合併によって自治体がなくなったと。その結果、議員の数も一万八千人から減ったと。あるいはまた、三役も五百名以上減ったと。特別職、三役だけ減りましても三百億円ぐらいの減収に、減収といいますか節減になるわけですね。こういう、どちらかというと、さっきお話がありましたように、規模を追ってきた合理性といいましょうか、そういう傾向はなきにしもあらずですが、総括的に見て、平成の大合併というのは終わったとは言えません、まだ、やっておりますけど、中間的な総括ということで御評価を伺いたい。  それから、道州制に反対というお話でしたけど、規模じゃなくて質だよと言われましたけど、質というのは勢いやはりコストという問題になってきます。だから、ほどほどの質ならば低コストでもできるけど、すべての人間が、すべてのシステムが最もトップレベルの質を提供できることはなかなか難しいということになると、やっぱり規模という点でも合理性を追求した方がいいような気がするんですね。だけど、道州制自体は現実的には基礎的な自治体を強くするという大目標があると思うんですが、ならば、道州制が駄目だというならば、せめていわゆる、例えば六十一万ですか、鳥取県が。ですから、片山知事みたくアビリティーからいうと、狭い鳥取に押し込めておく必要ないんではないかということを考えりゃ、隣接県と合併した方がいいんじゃないかと。そういう方が実際に効率を上げていくことができるし、また東北などではそういう広域行政の芽生えがありますね。そういう点について、ちょっと一つお尋ねしたい。  それから、最後に簡単ですけど、鈴木公述人、文化事業企業のCSRやメセナのことをお尋ねしたいんですけど、景気が悪くなるとすぐ引くのはその部分なんですね、企業は。結局は施しであり慈善に見えるんですが、義務として企業はCSRやメセナをやはりもっと売るべきじゃないかと。例えば決算などでは、CSRはどういうところをやっているとかメセナはどのぐらいやったとかいうようなことを売りにして、その企業のセールスポイントにすべきじゃないかなと思うんですが。  実際その壁は何でしょうかね。寄附文化というのは日本にどうしてもないというふうに一概に言えるんでしょうか。何か壁というものがあったら、知事がせっかくおいでですから、お聞かせいただきたい。
  389. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) 市町村合併の総括なんですけれども、私も全く否定しているわけではないんです。規模が拡大したことによって行政コストが効率化されたということは、これはやっぱり一つのメリットとしてあると思うんですね。ですけれども、余りにも今回の市町村合併の一連の出来事を見ていまして、大事なものを失ってきているなという気がするんです。  それはどういうことかといいますと、地方自治というのは、その意義は何かというと、自分たちの地域のことは自分たちで決められるということが最大の意義なんです。したがって、地方自治ということを追求すれば、規模は小さい方が比較的いいんです。ですけど、それだけだとコストは非常に割高になりますし、それからちゃんとした専門のスタッフを置くことができないなどのような力量が余り備わらない。そこで、そういう面からいうと規模は大きい方がいい。  じゃ、その自治の原点とそれからある程度の規模のメリット、このバランスをどこで取るかということが区域の問題になってくるわけですね。それを本当に真剣に考えて、どれがいいかということを住民が基本的には選択するという、これが今回の合併劇の元々のある原点だと思うんです。  ところが、世の中ずっと流れてきているのはどういうことかというと、自治の原点のところは全く触れられていません、考えていないところが多いです。規模を大きくした方がいい、バラ色だと総務省に言われて、それから得だよと言われて、損得勘定。背景には自治体の財政難で万歳合併、もうどうしようもないからって、モラルハザードです、一種の。どっかにくっ付いた方がいいやというんで、この苦難をもうだれかに引き取ってもらいたいという。こういう中で今回の合併がざっと進んだということは私は非常に不幸だったと思うんです。一番自分たちの区域は何が最適かということを考えることなく合併してしまったわけです。  その後の道州制なんですけれども、同じような文脈で流れていったら結局同じ欠陥が露呈してしまうので、私は反対しているんです。  私は、今一つの県の知事をやっていて、その何かポストがこれから道州制になったらなくなるかもしれないからなんて、そんなけちなことは一切考えていません。そうじゃなくて、本当に今の日本の地方自治を考えた場合に、今のままで、質を問わないままでざっと規模だけ流れていくようなことをしたら、本当に日本の地方自治は駄目になると思っているからなんです。  ただし、先生言われたように、例えば鳥取県、今六十一万、島根県が七十何万で、これから財政ももっと厳しくなったり、それからもうちょっと広域的な行政をした方がいいということになって、自分たちで自主的に考えて合併でも相談しますかというようなことは、これは大いに私はあり得ると思うんですね。それは、国から押し付けられたとか万歳じゃなくって、自分たちで本当に地域の将来を考えて、その区域の問題を考えるというのは、これはあっていいと思うんです。そこまで否定するものではないと思っています。
  390. 鈴木尊善

    ○公述人(鈴木尊善君) お答えします。  CSR、メセナ等のお話でございますが、手前どもまだ会社の方が小さいということで、理想としては持っております。  ただ、意見述べさせていただく中で、インターネット自体が市民の共有財産というところの魅力に取りつかれて手前ども事業を起こしているということで、この鳥取で頑張るということで、自分たちの業を通じてどういう地域貢献できるのかということは大きなテーマとしております。  一つは、地域の情報、具体的にいえばインターネットで、通常何か情報を探そうと思えばインターネットを開くという時代にあって、探すと必ずそれは中央にある情報であったりすると。でもそれはこの鳥取にもあるんだよねといったような情報が中央からしか入ってこないような構図を崩すということが、地域にある私たちIT産業の一つの使命なのかなと。要するに、よく言われる物の地産地消ではございますけれども、情報の地産地消、要するに地域の情報を地域に還流してあげる仕掛け、それこそが私たちの使命の一つかなというふうに思います。  ただ、実際そういうこともやっているんですけれども、なかなかその評価なりそれに伴うことがなければ、例えば株主に対してどう説明するのかという部分でもありますし、逆に取引先、ユーザーの方からの、その分そんな余裕があるならばというようなリクエストも来てしまうと。民間で今回も公共サービスというような話もあるんですけれども、そういう部分の評価をどのようにしていただけるのかということが最大のポイントではなかろうかと思います。  多くの企業はそういう高い志を持ってやっているはずですので、そういう意味で一歩踏み出すための環境が整うということが、一番私としては可能性としてそういうことが広がっていくということになるのではないかなと思います。  以上です。
  391. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございます。公述人の皆さん、本当に貴重な御意見、ありがとうございました。  私は、主濱了と申します、実は岩手県で地方行政を担当しておりましたので、一点だけ効率的に片山知事に質問をさしていただきます。三位一体の改革についてであります。  行政改革を進めるに当たって、先ほど片山知事さんからお話のあったように、まず行政が何をやるべきか、そして民間に何をやってもらうのか、その行政の中でも、国家行政が何をして、そして地方行政に何をやってもらうのか、これがはっきりしていなければ、これは本当はいけないわけなんです。国家行政から何を地方行政に移すか、移せばかなりスリムになると、こういうことだというふうに私は思っております。それで、この国家行政から地方行政へいろいろ事務を移す、そのときに、まあ地方分権ですけれども、その基盤になるのが、実は財政面から支えるのが三位一体の改革であろうと、このように思っているわけであります。  ただ、今回の三位一体の改革を見ますと、補助金四兆円を削る、そして地方税の方に三兆円を付け替える、そして五兆円の交付税、これは削減をする予定になっていると。こういうことで、どうも地方自治を強化する方向、そういう方向にこの三位一体の改革がないのではないかというふうに思っております。  それで、実はこの件について竹中総務大臣に質問をしたんですが、そしたらば竹中総務大臣の方からは、地方六団体からはそうしたことも含めてトータルとして非常に大きな進展であったと、そういう評価をいただいている、非常にいい評価をいただいていると、こういう御答弁をいただきましたが、どうも私はそうは思えない。  この点について、まず片山知事の御所見を伺いますとともに、もう一つ付け加えまして、実は昨年、三位一体の改革に対する評価について各知事さん方の評価があるわけなんですが、半分以上の知事さん方は評価していないと、こういう報道がなされております。片山知事さんも、本質から懸け離れた結果となり残念であると、こういう評価でございました。この三位一体の改革が片山知事さんのイメージとしてどうあれば本質的な改革であるのか、この辺についてお伺いをいたしたい。この二点でございます。
  392. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) 一連の三位一体改革、私は余り評価していません。全く評価していないかというと必ずしもそうではなくって、小泉内閣になって初めて税源移譲というものが一部ではあっても実現するというのは、これは評価に値することだと思いますけれども、しかしそれにしても余りにも副作用が大きかった。特に、私どものような財政力の弱い地方にとっては副作用が大きかったという意味で評価をしていないわけです。  本来、三位一体改革というのは何のためにやるのかということですけれども、今のような国と地方の財政事情ですから、この両方がスリム化できるということが一つのねらいだったはずなんです。  国から今県、市町村に補助金出ています。これは有り難いんですけれども、非常に大きな無駄があります。これを自主財源に変えることによって地方の方で節約ができる、ないしは事業見直しをして場合によってはやめることができるというふうなことが可能になる結果、国と地方がスリムになる。したがって、例えば国から地方に流れている補助金を四兆円減らしても、地方が三兆円受け取ればまあ何とかつじつまが合うことができるんじゃないですかというのが本来の目的、趣旨だったはずなんですけれども、結果的にはその削られた四兆円というのはほとんど地方の方でスリム化とか創意工夫ができないものばかりなんです。児童扶養手当でありますとか、それから義務教育費国庫負担金でありますとか。地方が自主財源になったから、じゃ義務教育やめますかとかスリム化できますかということにならない代物なんですね。そういうものばかりで数字合わせをした結果、したがって数字合わせの三位一体改革になったという批判が強いわけです。  ところが、さらに副作用がありまして、三兆円の税源移譲が行われたんです。これは私、評価しています。ところが、実は所得税を住民税に移譲したものですから、元々三兆円の所得税の一兆円は自動的に交付税に入ってくる地方の財源なんです。それも含めて三兆円移譲しました、移譲しましたと言いますから、私どもは、地方は三兆円確かに住民税として移譲を受けたんですけれども、自動的に交付税が一兆円消えてしまって国庫の不当利得になっているわけですね。結果的には、四兆円の財源が削られて税源移譲が三兆円。それはいいです、そこまでは。結果、どこか知らないところに交付税が一兆円消えてしまったと。ということで、数字合わせの三位一体でなくて数字合わせにもなっていない三位一体改革だというのが私の評価なんであります。
  393. 主濱了

    ○主濱了君 あと理想的な……
  394. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) ですから、理想的な三位一体改革というのは、さっき言いましたように、今国から断片的にもらっている補助金を地方の一般財源にすることによって、今度は地方の方でこの事業はもうやめようとかこの事業は半分の規模にしようとか、それからまだ耐用年数がもちそうだからもうちょっと我慢して長く使って節約しようとか、そういう節約の創意工夫ができるものを国から地方に財源として移譲をするというのが、私は国にとってもよかったし地方にとってもよかったと思っています。
  395. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。
  396. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 時間もなんなので簡素、効率的にお聞きしたいと思いますが、今回の法律で、市場化テスト法案では地方公共団体についても市場化テストができるとなっておりますが、そこで片山公述人にお聞きしたいと思いますが、まずここの分野を試してみたいと、市場化テストを導入してみたいという分野がございましたら例を挙げていただきたいと思っております。  同じ質問を、西尾参考人には、この分野は向かないと、是非この分野は、もし市場化テストには向かないという分野がありましたらお答えいただきたいと思います。
  397. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) 個人的には、頭の中に実は幾つかあるんですけれども、ちょっと影響が大きいものですから、ちょっとこの場では、この件に関してはちょっと答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  398. 西尾幸喜

    ○公述人(西尾幸喜君) 意見の方でちょっと述べさせていただいたんですが、具体的なものといたしまして社会保険庁の関係、それから自治体の窓口の関係いうのは挙げさせていただいておりますけれども、あとについてはまだ勉強中でございます。
  399. 尾辻秀久

    ○団長(尾辻秀久君) よろしいでしょうか。  それでは、残り五分ございます。
  400. 秋元司

    ○秋元司君 自由民主党の秋元司でございます。  今日はありがとうございました。時間がありませんから、端的に質問させていただきます。  まず一点目は、片山公述人にお伺いしたいんですが、官から民ということの中での方向性で、そしてまた、最近、公益法人またNPO法人等の活用ということが叫ばれておりますけれども、それに伴って、住民税等の寄附金控除の拡充、これについてどのようなお考えをお持ちかが一つです。  そして次には、柴田公述人にお伺いしたいんですが、先ほどNPOについての概念とか、そしていわゆる公益性についての話もございましたけれども、今回の法改正で、いわゆる公益法人等を一般法人とそしてまた公益法人に分けるというのは、私は方向性としては間違ってないんじゃないかと思っておりまして、ただ、公益法人になる認定の方法が本当にフェアなもので、そしてまた公正なものなのかということが議論されると思うんですが、私も実はただこれについては心配な点があるんですけれども、今現在の法律としては、これから内閣府政令に定めるところによって認定をどうするというふうになっていますから、今現在についてはまず枠組みをどうするかの話でありますけれども、今後ともこういったものをしっかり監視するために、委員の選定については、先ほど御提案があったことも一つだと思うんですが。  もう一つ、私は、このNPOとか一般社団とかいうところ、社団法人なんかの団体の代表というのがなかなかいないから、だれをもってそういう委員に充てるかというのは非常に私難しいと思うんですね。ですからこそ、どうしても学識経験者の方に頼ってしまいますから、現場の声が届きにくいということがあると思うんですけれども、ある意味、私は、この委員会制度を公開の場にして、もう一つは、それぞれ公開を下に議論されたことを、それぞれの現場で頑張っている団体から質問状を提出したり、それについてのしっかりした回答がなされるとか、そういったシステムを担保すればある程度民主的なルールに基づいた形での認定方法になるんじゃないかなと思っているんですが。  あともう一つ、収益事業について又は公益事業についての認定の細かい算出方法、ボランティアの部分も、実は今回は掛かった費用として計上するという話も出ているんですが、その辺も含めてちょっとお答えいただきたいと思います。
  401. 片山善博

    ○公述人(片山善博君) 住民税におきます寄附金控除の問題ですけれども、これは住民税に限らず、私は、所得税と住民税含めて、一般的にはもっと寄附金控除の対象を広げた方がいいと思っています。我が国は余りにも寄附金控除の対象が狭いと思います。あくまでもやっぱり国家が税金を集めて国家の意思で選択で配るという、そういうことが強いです。もっと納税者に実質税の配分権を持たしてもいいと私は思っています。  ただ、その場合に、所得税と住民税はちょっと違う面があるなと思っていますのは、公益的なものとか文化とか科学技術のところに寄附をしたことによって所得税を控除を受けるというのは、これはその利益が国のレベルに及びますから、国税で控除するというのは理にかなっていると思うんですけれども、住民税の場合には、例えば他の自治体、自分の自治体の区域内じゃなくて他の自治体に寄附の恩恵が及ぶんだけれども自分の自治体のところで税が控除されてしまうということになりますと、税が域外に逸失してしまいますので、その辺はしたがって、その当該自治体の区域内にその寄附金の利益が及ぶかどうか、残るかどうかということが一つのポイントになると思うんですね。そういう意味でいえば、所得税よりはかなり狭い範囲にならざるを得ないのかなという留保条件はあるんですけれども、一般的にはもっと拡大した方がいいと思っています。
  402. 柴田英杞

    ○公述人(柴田英杞君) 私は、この公益等委員会につきまして非常に懸念をしております。この専門委員がどのような方が選任されるのかによって、特に文化芸術の分野におきましては非常に組織があいまいな組織が多うございます。営利を目的とした興行会社、それから文化芸術活動というのは私的な趣味としてもとらえられておりまして、そういった関係の組織も多い。一番やはりグレーゾーンなのは、先ほど申し上げました、営利を目的とせず社会の支援を受けていながら公益目的を持った活動をしていく組織というのがございます。その代表者の方々というのはアーティストが非常に多うございまして、なかなかこの公益法人制度に関しまして食い付きが悪いといったような、そういう現状もございますので、この公益認定等委員会の中に是非文化芸術の専門家を入れていただきまして、十分な御議論を踏んでいただければというふうに考えております。  それと、これからは個人寄附というものが非常に重要な役割を果たしていく社会になっていくのではないかというふうに思います。アメリカの文化政策にも見られますように、納税者が自分の意思で税金を選択して納めていく制度というのがこれから非常に重要な役割を占めてくると思います。それで新しい公共というものが活性化されてくると思いますので、この寄附税制優遇制度に関しましては、NPO法人も含めて十分な国民の意見を聞いた上で議論を展開していただければと考えております。
  403. 秋元司

    ○秋元司君 ありがとうございました。
  404. 尾辻秀久

    ○団長(尾辻秀久君) 以上で片山公述人、西尾公述人、柴田公述人、鈴木公述人に対する質疑は終了いたしました。  公述人の方々に一言御礼、ごあいさつを申し上げます。  公述人の方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。(拍手)  これにて参議院行政改革に関する特別委員会鳥取地方公聴会を閉会いたします。    〔午後四時一分閉会〕