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2006-05-09 第164回国会 参議院 行政改革に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月九日(火曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  五月八日     辞任         補欠選任      亀井 郁夫君     長谷川憲正君  五月九日     辞任         補欠選任      松井 孝治君     内藤 正光君      峰崎 直樹君     岩本  司君      又市 征治君     近藤 正道君      長谷川憲正君     荒井 広幸君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         尾辻 秀久君     理 事                 佐藤 昭郎君                 藤野 公孝君                 保坂 三蔵君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 直嶋 正行君                 風間  昶君     委 員                 秋元  司君                 大野つや子君                 加治屋義人君                 川口 順子君                 小池 正勝君                 後藤 博子君                 関口 昌一君                 田浦  直君                 中川 雅治君                 二之湯 智君                 野村 哲郎君                 南野知惠子君                 浅尾慶一郎君                 岩本  司君                 加藤 敏幸君                 神本美恵子君                 主濱  了君                 鈴木  寛君                 内藤 正光君                 松井 孝治君                 峰崎 直樹君                 柳澤 光美君                 若林 秀樹君                 澤  雄二君                 浜田 昌良君                 山下 栄一君                 大門実紀史君                 近藤 正道君                 荒井 広幸君                 長谷川憲正君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    参考人        大阪市立大学大        学院法学研究科        教授       稲継 裕昭君        シンクタンク「        構想日本代表        慶應義塾大学総        合政策学部教授  加藤 秀樹君        東京大学大学院        助教授      田中 弥生君        暮らし経済研        究室主宰     山家悠紀夫君        日本公認会計士        協会理事     樫谷 隆夫君        地方自立政策研        究所代表     穂坂 邦夫君        全国中小企業団        体中央会会長   佐伯 昭雄君        日本自治体労働        組合総連合中央        執行委員長    駒場 忠親君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○簡素で効率的な政府を実現するための行政改革  の推進に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○公益社団法人及び公益財団法人認定等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及  び公益社団法人及び公益財団法人認定等に関  する法律施行に伴う関係法律整備等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○競争導入による公共サービス改革に関する  法律案内閣提出衆議院送付) ○委員派遣承認要求に関する件     ─────────────
  2. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいまから行政改革に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、亀井郁夫君が委員辞任され、その補欠として長谷川憲正君が選任されました。  また、本日、又市征治君が委員辞任され、その補欠として近藤正道君が選任されました。     ─────────────
  3. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律案一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び競争導入による公共サービス改革に関する法律案、以上五案を一括して議題といたします。  本日午前は、大阪市立大学大学院法学研究科教授稲継裕昭君、シンクタンク構想日本代表慶應義塾大学総合政策学部教授加藤秀樹君、東京大学大学院助教授田中弥生君及び暮らし経済研究室主宰山家悠紀夫君、以上四名の参考人の御出席をいただき、御意見を聴取し、質疑を行います。  この際、参考人の方々に対し、本委員会代表して一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見をいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  それでは、議事の進め方について申し上げます。  まず、稲継参考人加藤参考人田中参考人山家参考人の順序でお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず稲継参考人からお願いいたします。
  4. 稲継裕昭

    参考人稲継裕昭君) おはようございます。大阪市立大学稲継でございます。どうぞよろしくお願いいたします。掛けさせていただきます。  私の方からは、総人件費改革等に的を絞ってお話をさせていただきたいと存じます。お手元に五枚物のレジュメが配付されておると思います。これに基づいてお話をさせていただきます。  行政に対して国民が何を求めているか考えてみますと、一見矛盾した声があるように思います。総人件費削減を徹底するようにという声と、できるだけ安全、安心に暮らせるよう行政はしっかり取り組んでもらいたいという声とであります。一方で削減を求めつつ、他方充実を求めています。この両方向国民の声を同時に解決するためには、めり張りの付いた人員の再配置、リストラクチャリングと、めり張りの付いた給与体系、処遇への転換が不可欠でございます。  まず第一に、めり張りの付いた人員の再配置必要性でございます。  実は、皆様方御存じのように、日本公務員数国際比較をすると相対的に少ないのが実態でございます。ただ、しかしながら、国際比較して少ないからそれ以上減らす必要はないという議論は成り立ちません。なぜならば、歴史的に見ると政府規模時代により国により様々でございまして、最終的には時の国民の選択によるものでございます。今、日本国民政府規模の更なる縮小削減を求めておりまして、その民意にこたえる必要があるからであります。  日本公務員数が諸外国と比べれば比較的少ない理由は種々考えられますけれども、そのうちの一つに、従来、毎年の行政管理の中にビルトインされた強制的な一律縮減装置が働いてきたことが挙げられます。そこに今ビルトインチェンジャーと書いておりますけれども、日常の行政管理の中に人員が増えることに歯止めを掛ける仕組みがビルトインされております。  高度成長期の前半は公務員数拡大傾向が極めて顕著でありました。しかし、佐藤政権期、それに歯止めを掛ける二つの措置がとられました。一つは、昭和四十二年の一省一局削減であります。その後、中央省庁におけるスクラップ・アンド・ビルド方式が確立していき、組織拡大歯止めを掛けることとなりました。また、昭和四十四年、総定員法成立以降、定員削減計画も進められました。各省一律の定員削減で浮いた人員新規施策行政需要増分野へ再配分していきました。これらのビルトインチェンジャーは、定員増歯止めを掛けることに寄与してまいりました。  しかし、大規模人員削減には十五年、二十年といったかなりの長期間が必要となってまいります。現下の喫緊の課題であるところの大胆な改革、一方で総人件費を大幅に削減しつつ、他方安心、安全にかかわる分野人員充実を図るという両立しにくい要請を解決するには、従来方式だけに依拠していてはできません。  そこで、時代変化行政ニーズ変化に伴い不要となりました事務事業に関する分野や、民間で対応できる分野については公務員数を大幅に大胆に削減するとともに、それで浮いた人員の一部を安全、安心にかかわる分野に振り向ける必要がございます。  削減対象となる重点分野につきましては、既に行政減量効率化有識者会議で検討が進められております。各省庁の抵抗も強いところでありますけれども、一部の省庁では既に有識者会議要請に対応する姿勢を見せ始めております。法律案第四十六条以下でも示されていますけれども、これらを始めとする重点分野についてきっちりと効率化等を進めていく必要があると思います。  めり張りの付いた人員の再配置のためには、省庁の垣根を越える必要がございます。  地方自治体の場合は、人員の再配置は比較的容易であります。Aという部を縮小、廃止して浮いた人員を他の、人が必要とされているBという部へ人事ローテーションの一環として再配置します。あるいは、廃止される職種がありましたら、当該職員に研修を実施して職種転換をした上で再配置するという手法が取られます。知事とか市長といった単一の任命権者の下での再配置ローテーションですので、比較的容易であります。  しかしながら、国の場合、省庁を超えた配置転換は実際のところかなり困難であります。任命権者各省大臣でありまして、それぞれ異なっていること、そして何より、従来の官僚の人事システム当該省庁内で閉じられてきたものであるからであります。  国家公務員はそれぞれ本来所属している原籍というものがございます。一時的に出向で他の省庁に行くこともございますけれども、二年とか三年のタームでまた戻ってまいります。当該省庁大臣官房が、大臣官房秘書課職員昇進管理昇進管理人事異動管理しているわけです。また、職員自身も、例えばAという省庁に入り、その分野仕事に生涯従事するつもりで働いております。  そのような点から、省庁を超えた配置転換はかなり困難を伴うものですが、今後は職種転換したり省庁を超えた職員の再配置が不可欠であります。これは、重点分野について徹底した削減を行う必要がある中で、現役職員やその家族を路頭に迷わすことはできないからであります。  そこで、政府の側におきましては、職員職種転換省庁を超えた人員の再配置を円滑に進めるための仕組みづくりが是非必要であります。また、逆に、職員の側にも意識改革が求められます。A省に採用されたという既得権意識を払拭する必要があると思います。  ここで、今述べたことと少し関連するのですが、近時、行き過ぎた議論があることが気になります。議論Aと呼ばせていただきますが、何人かの識者が声高にマスメディアで叫んでおられる議論でございます。これは、公務員基本権がない代わりに身分保障があるから生首が切れないなど効率化が進まない、スト権など労働基本権を与えて逆に処分をしやすくすべきだという議論です。私は、これは根本的に認識が誤っていると思います。  公務員身分保障労働基本権の問題はよって立つ基本原理が異なります。身分保障政治的中立性原理、全体の奉仕者性からきています。政治的任命者法律等の定めによることなく恣意的にいつでも自由に首を切れるというのに対して、職業公務員の場合にはそのような恣意的な処分をさせないというのが近代公務員制度根本原理でございます。これは諸外国を見ても共通の原理であり、政治的中立性原理から強く要請されているものであります。  公務員労働基本権が一部制約されている点につきまして、日本は諸外国と比べて例外的な位置にございまして、それを付与するか否かは今後国民的議論で決していくべき問題であると承知しております。ただ、ここで認識しておく必要がありますのは、基本権を、たとえスト権を与えたとしても身分保障はなくならないということです。  三ページにございます図一をごらんください。三ページの図一です。  諸外国の例を見ましても、一般職公務員については身分保障は必ずなされております。もちろん、政治的任命職などの場合は、一部の場合は別です。米国などの国で置かれている政治的任命職は、政権と運命をともにします。例えば、大統領が替わると政治的任命職三千名が入れ替わるというふうに言われておりますが、それ以外の数百万人の一般職については厚い身分保障に守られております。さきに述べた議論Aは、この点において間違いがあります。この点は十分認識した上で基本権問題について議論を進める必要があります。  なお、現行法でも法律等に依拠すれば分限免職は当然可能です。レジュメは二ページになります。  国家公務員法は、勤務実績不良者等の場合は分限免職できると書かれています。働きぶりが悪くてひどい公務員を首にできないという議論は誤りでありまして、しっかりとした根拠に基づけば働きの悪い公務員を首にすることは可能です。現在は、国の各府省はこの点に関して弛緩した運用を行っておりまして、分限処分することをちゅうちょしておりますけれども、先進的な自治体の場合はこの規定を実際に適用している例も多く見られるようになってきました。ただ、そのためにはしっかりとした人事評価が不可欠でありまして、その点の改革も急がれるところでございます。  また、国家公務員法第七十八条第四号の規定によれば、定員の改廃により不要となったセクション職員を一斉に分限免職することも可能です。法律上、可能です。昭和二十年代には、国においてもそのような行政整理がなされました。また、一部の地方自治体では最近でもそのような例があるようです。  今回の総人件費改革に際しても、法律上は不要となったセクション職員をこの規定によって分限処分することも可能であるという議論も成り立ち得ます。しかしながら、国民は今こつこつと働いている現職国家公務員生首を切るところまでを求めているわけではないというふうに思うわけであります。そこで、雇用確保に努めることという附帯決議を国会の方でお付けになることに私も賛成でございます。そして、現職公務員雇用確保のためには、人員の再配置が円滑に進められるような様々な仕組みを構築する必要がございます。  大きな第二として、めり張りのついた給与体系とその運用が必要です。総人件費はP掛けるQ、すなわち一人当たり人件費単価掛ける総人員で決まってきますので、一人当たり人件費を見直すことが必要であるという議論がなされます。  公務員給与に関連して私が従来から最も問題だと思うのは、現行公務員給与実態が過度に部内の均衡を重視した年功的な給与体系になっていることであります。日本現行法では職務給原則規定されており、職務職種職責に対応した給与が不可欠であるとされているにもかかわらず、公務員給与実態を見ると、職務給とは名ばかりであります。現実には職務職責職種による違いは余りなく、勤続年数さえ同じであれば余り違いのない給与体系、極端に平等な給与体系となっております。職務給与との関係がおろそかになっています。  四ページになりますが、四ページの図二をごらんください。四ページの図二です。  従来の公務員給与は、例えば同じ六級でも非常に低い俸給月額から非常に高い俸給月額までたくさん号俸があるということ、そして、上の等級相当俸給月額の重なりがあるということが分かります。つまり、偉くならなくても相当程度年功給が保障されているのが日本公務員給与体系であります。地方自治体もこれに倣っております。自治体の場合には、職種による違いもほとんどないのが実態であります。このことが特に、自治体の場合ですが、一部の職種について民間同等職種と比べた場合にかなり高い給与となっており、総人件費が高くなっているという国民住民からの強い批判を招いているところであります。  他方で、公務に是非入ってもらいたい、入ってきてもらいたい有能な若者たち公務離れというものも深刻な問題になっております。あるいは、入ってからも将来の局長候補次官候補と呼ばれる、目される優秀な若手公務員が離職してしまうという事態が相次いでおります。これも問題となっております。有能な若者国家国民のために献身できる給与勤務条件を築く必要がございます。  これらの批判実態打開策として、職務職責に見合った給与体系の構築が是非必要であります。  先進諸国給与体系日本とは相当異なります。例えばイギリスの場合について、図三をごらんください。最初の数年間は昇給がありますけれども、その後はストップし、同じ仕事であれば同じ給与を支給するという体系になっています。四ページの図三です。  日本の場合も、明治期から昭和終戦直後までは英国と似た給与体系になっておりました。四ページの図四は官吏俸給令のころの明治、大正、昭和戦前期にかけての公務員俸給です。これを見ますと、官吏であります判任官、奏任官勅任官の、あるいは局長次官給与はどちらかというとそれぞれの職務に応じた給与ということになっていたわけであります。これが、終戦直後の物価騰貴への対応があり、また公務員給与労使交渉によって決めていた時期も二年ほどありましたが、図五に示しましたように、通し号俸制という等級にかかわりなく一本のカーブ勤続年数だけで描かれるような俸給表になってしまったわけでございます。それを人事院創設後、昭和三十年代以降、徐々に等級ごと独立性を増すような改革を少しずつやってきて、ようやく先ほど見てもらった図二の国家公務員俸給表になってきたわけでございます。  レジュメの二ページに戻っていただきます。  昨年の人事院勧告、二〇〇五年の人事院勧告は画期的なものでありました。これは現行給与体系、すなわち等級の違いによる給与カーブの差が余りないものから等級ごと独立性を図る、そういうカーブに持っていくという方向へのかなり踏み込んだ勧告でありました。職種、役職、職責に応じた給与体系を構築するという方向では非常に正しい方向での改革ではないかというふうに思います。今後は、地方公務員給与においても同様の改革を断行していく必要があります。  これまでは公務部内での公平、例えば自治体でいいますと、同じ自治体で働いている同じ社員だから、同じ職員だからみんな大体同じ給与でいいではないか、同じ年齢なら同じ給与でいいではないか、高度な仕事をしていてもあるいは単純な仕事をしていても同じ仲間ではないか、こういう意識が強かったわけであります。市役所を取り上げてみますと、市の極めてトップにおられる高度な判断を日夜行っておられる局長さんの年収よりも市長専用車運転手年収の方が高いという、ほかの国の公務では絶対に考えられない、そして民間でも恐らく考えられないようなそういう給与体系、独特な給与体系日本では今まで存在してきたわけでございます。これをこの人事院勧告に合わせる形で是非抜本的に是正し、総人件費改革に資する改革を進める必要があると思います。  これまでは公務部内の公平をかなり図ってきた給与体系であったわけですけれども、これからは職種ごとに、仕事ごとに外部との公平を図る、あるいは成績ごとに、個人の公平、これは能力実績主義ということでございますが、個人の公平、成績に応じた個人の公平を図る、重視する方向給与改革をしていく必要があると思います。  私の方からは以上でございます。御清聴ありがとうございました。
  5. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ありがとうございました。  次に、加藤参考人、お願いいたします。加藤参考人
  6. 加藤秀樹

    参考人加藤秀樹君) 「構想日本」の加藤でございます。よろしくお願いいたします。  今日は、事業仕分というものについて話をしろということで伺いました。横長の少々ページ数が多い資料を用意いたしました。  まず、事業仕分、まあ余り耳慣れない言葉かも分かりませんが、多分もう多くの方に、委員には御承知いただいておると思いますけれども、この行政改革推進法案の中に何度かこの言葉は出てまいります。例えば基本理念のところで、政府あるいは地方公共団体事務及び事業について、その必要性の有無及び実施主体の在り方について事務及び事業の内容及び性質に応じた分類、整理等仕分するといったような具合で書かれております。  要するに、政府とか自治体で実際にやっている仕事を、仕事をもう一度本当に要るのか要らないのか、要るとすれば国がやっているものは本当に国がやるべきなのか、むしろ自治体でやるべきではないのか、そういうことをよく仕分をしていって、その上で財政改革行政改革あるいは人件費削減、そういうものに具体的につなげていこうと、こういう趣旨だと考えております。  では、仕分とはどういうふうにするものかと、まずごく簡単にお話ししたいと思います。  資料の四ページをお開けいただけますでしょうか。ここに、上に写真が載っております。これは、ある自治体でやったその実際の仕分作業です。これはそう難しい話ではなくて、作業であります。実は、「構想日本」は平成十四年の二月、ちょうど四年ほど前から今までに十五の自治体でこの仕分を行ってきました。下に書いております九県と六市であります。  どういうふうにしますかというと、やはり県とか市町村でも、やはり予算項目というのは数千項目にわたります。これをこういう写真のようにそれぞれ、市町村なら市町村担当者に一項目ずつその予算の中身を説明してもらうわけですね。それに対して我々、我々と申し上げますのは、この左の欄の参加者の黒いぽつの二つ目ですね、住民、ほかの自治体の議員とか職員、あるいは企業経営者等々いろいろあります。要するに、外からそれなりの知識を持った人間が出掛けていって、本当にそれ必要なんですか、それで効果どうなっているんですかというふうな質問をどんどんしていくわけですね。そのやり取りをしていく、そのやり取りの中で、最後は何らかの形で、じゃ、これは本当にやっぱり続けてやるべきなのか、それとも要らないのか、それとも今は市町村でやっているけれども、これ実は県でやってもらった方がいいんじゃないかというようなことを仕分けていくという作業です。  少し前後いたしますけれども、なぜこういう仕分作業というのを「構想日本」としてやり出したのか、あるいは自治体が今までに十五、六、結構これ手間が掛かるものですから、何千項目をやっぱり二日、最大三日ぐらいでやろうとなると、とっても手間掛かります。我々これ仕事、これは「構想日本」の仕事なんですけれども、参加者全員手弁当で泊まり掛けで行ったりするわけなものですから、なかなか週に一遍、月に一遍というふうにはやれない。それでも、これだけの数やってきたというのは、やはり自治体側に相当切迫した状況があるということなんだと思います。  切迫したと申しますのは、何%カットといったようなことではもう間に合わないんですね。本当に要るか要らないか、これをもう基本から見直さないといけない。言わば戦後六十年間、国でも同じだと思いますけれども、たまったこの事業の言わばあか、あかを徹底して落としていこうと、そういうニーズがあるということだと思います。  これをやる過程でもう一つ大事なのは、そのたまったあかを削っていくと同時に、なぜそのあかがたまったのか、なかなか取れないのかという理由も一緒に分かってくるということですね。これは一言で申し上げますと、国の地方に対するコントロールであり、地方の国に対する依存であります。楽ちんなんですね、要するに。国は地方に対してあれをやれ、これをやれ、道路を造るんだったらこういうふうに造れ、学校を造るんであればこういうふうに造れ、細かく指示をするわけですね。で、その指示どおりにやればお金も流れてくる。ですから、地方もこれはとっても楽なんですね、有り難い。言うとおりにやっていればお金が来るというわけですから。ところが、だんだんお金も来なくなった、お金来なくなったけれども、あれやれ、これやれというのは変わらない。それでどうするかということで、自治体としては必死になっている。  ですから、三位一体改革というものについて地方側から必ず出る反対が、補助金、交付税を削れと言うけれども、しかし仕事が減らないではないかということなんですね。ですから、仕事が減らない背景にはやはり国のいろんな細かい決め事がある。それがセットで分かるというのがこの作業の最大のポイントではないかなと思っております。ちなみに、こういう作業をやっているのは、これは外国では全くこういう事業仕分という例はありませんが、カナダではほとんど同じような作業を、十年ほど前にやはり大あか落としをやっております。  ちょっと前後いたしますけれども、三ページ目を開けていただけますでしょうか。  じゃ、今まで自治体でやっていたこの仕分がなぜ国の法律の中に入って国でもやろうということになったかという経緯を三ページ目に書いてあります。まずは前回の選挙で与野党それぞれのマニフェストに入れていただき、それを小泉総理もよしやろうということになり、ということであります。もちろん国会の審議でも、この法案の中で何回かこれについてのやり取りをしていただいております。  もう少し詳しく、どういうふうに仕分していくかということですが、五ページ目を開けていただけますでしょうか。  これが全体の流れであります。現在の事業、まず、必要か必要でないか、それを分けるに当たって、趣旨とか、その今やっている趣旨、目的に妥当性があるのかないのか、効果があるのかないのかといったような幾つかの視点、観点、仕分をする上での観点については大まかな打合せをしておきます。ただし、どういうもの、どういう数値基準とか、どういうことであれば効果がないとするかというようなルールは細かいものは決めません。決めると、これは今政府が必要なものをやっている、その政府に代わって「構想日本」がこの基準を決めてしまうというような非常に僣越なことになりますから、それはあくまでもそのときの住民なり参加者、有識者の、本当に一国民、一住民としての良識、庶民感覚で要るのかな、要らないのかなということを考えていこうということでやっております。そうやって次々に、要るとなれば、それはじゃ行政でやるべきなのか民間でやるべきなのか、行政でやるとすれば、それは国でやるのか自治体でやるのか、そうやって振り分けていくという作業です。  六ページ目に、実際にこれは千葉県でやった場合の例ですが、事業内容で不要とされた事業、小規模事業経営支援事業費補助金二十六億円、都市モノレール整備九億円、幾つか書いてあります。細かいことは申し上げませんが、一番これの左にあります、例えば農業近代化資金等利子補給事業、この言葉だけ見ますと、農業の近代化、必要に見えるんですね。しかし、中身を見ていきますと、本当にそれが近代化に役に立っているのか、本当にお百姓さんのために必要なのか、いろいろ疑問も出てくるといったようなことであります。  一つだけ例を申し上げますと、これはもう何回も同じことを申し上げているわけなんですが、ある県で青少年育成事業費というのがありました。これなんかは、青少年育成というのは言葉としてはまず必要なんですね。それで、これはやはり官がやるものだろうというふうに出てくるんですが、中身を聞いてみますと、子供を公園に連れていって、小馬、ポニーに乗せていると言うんですね。ですから、そうなると、まあお金が余っているならともかく、お金がないときにそれが必要なのかと、我々はそういう疑問をその県の職員に出すわけですね。そうすると、いや、それは必要ですよと、青少年育成事業というのは大事な事業ですと言うんですね。ですから、我々はそれに対して、いやいや青少年育成事業が大事なのは分かりますけれども、子供を馬に乗せるというのはやっぱり県がやる仕事なんですかと、いやいや、それは青少年育成事業は必要なんですという、こういう何かかみ合わないやり取りが十分、十五分と続くんですね。大変消耗する作業ではあるんですが。  ここが、しかしすごく大事なところなんですね。お役人も皆さん、私もかつてやっていましたけれども、皆さん、良心的にやっているんですが、頭の中に入っているのは七文字熟語、十一文字熟語みたいなことなものですから、中身で考えようとしないんですね。それをもう一回中身で考えましょうというのが、それをしかもオープンな場所ですね、これを役人の世界だけでクローズドなところでやっていると、いや、青少年育成事業はこうこうこういうことで公的なことで必要なんですと言われればもっともらしいんですね。国会答弁でよく出てきますけれども。ですから、それをオープンな場所でみんなが分かるところでやろうというところにこのポイントがあります。  七ページを開けていただけますでしょうか。そうやってやっていきますと、結果として、市町村の場合には引き続き市町村仕事として残るのが約七割、都道府県の場合には六割、まああとの三割、四割全部要らないというわけではないですけれども、一〇%から十数%は要らない、あるいは民間に渡した方がいいというふうになります。これは、金額で一億円のものが例えば七千万でできるという作業は行っておりません。ですから、それをもっとやっていけば、もっとこの数字は小さくなると思っております。  八ページ目ですけれども、これは国の事業仕分の意義ですけれども、難しそうに見えることを幾つか書いておりますけれども、下の絵をごらんいただけますでしょうか。もう既に市場化テストですとか三位一体改革ですとかいろんな改革を行うことになっておりますけれども、要するに、そういうものとの役割分担は何か。仕分というのは、まずは要るか要らないかを決めようと。それで、要るとなったものを、じゃ民間でやれるんじゃないか、あるいは国よりは自治体でやれるんじゃないかということをやっていくのが市場化テストあるいは三位一体改革ですから、まず要るか要らないか、一番ベースになるところを担当するのがこの仕分でないかなと思っております。  八ページ目の下の囲んだところに、ちょっとこれは御案内のようなことですけれども、今月の二十四日に参議院議員会館の会議室で、これの言わば実演作業をやる予定であります。是非御参加いただければと思います。  ちなみに、この意義のところの二番目のところに、事業仕分をやりますと、個々の事業の背後にある国の規制や基準を浮き彫りにすると先ほど申し上げました。これについて十二ページを開けていただけますでしょうか。これも実際の例であります。国のコントロールの具体的な例で、新潟市の仕分で分かったものですね。分野として、民生、土木、教育といろいろ挙げてあります。金額はここには書いておりませんけれども、例えば土木なんかであれば大体これは百億、二百億円規模事業であります。民生なんかであるともう少し小さくて数十億円のものもあります。  これで、例えば一番上の生活保護扶助費というのは、生活保護法の中で非常に細かくその対象者、対象事業、対象経費等を決めてあるわけですね。次の道路関係でありますと、道路法あるいは道路構造令等で事業主体の規定とかあるいは道路のサイズ、造り方に至るまで細かく決まっているわけです。ですから、そういうふうにやらざるを得ない、そういうふうにやったら補助金が来ると。ですから、ここをやはり緩めていく、あるいは緩めると同時に、それは地方サイドから見ると、おまえ自分の頭で考えてやれということになるんだと思いますが、そういうことをやっていくというのが大事だと思います。  これは既に国会での御議論の中で登場した例ですけれども、十三ページから十四ページに長野県の栄村あるいは下條村の具体的な例を書いてあります。道路建設を、栄村の例ですと、国の構造令に沿ってやれば一メーター当たり、これは村内の生活道路です、十一・一万円ほど掛かるのが、いろいろ工夫してやったら一万九千円でできたとか、あるいは農地整備は百七十四万円掛かるところが三十九万円でできた。五分の一、六分の一近くでやれる。  十四ページの場合には、更にすごいところがあって、下條村の場合にはこれは昔の言わば道普請なんですね、村は材料だけ提供して住民が自分たちで工事したら何と三千円余りでできたという話であります。  時間がないのであと少しだけはしょって申し上げますと、九ページ目ですけれども、これは、事業仕分を国でもやるべきだという地方議会からのこれはアピール文です。地方自治法九十九条の規定に基づいた意見書として出されております。今のところで都道府県四つ、市町村六十三から出ております。  最後になりますけれども、十ページです。これは、事業仕分をやると歳出削減公務員人員見直し、あるいは三位一体改革すべてに結び付いてくるというものであります。  十一ページ、これはもう後でごらんいただければと思いますけれども、「構想日本」の提言として、事業仕分をやって国のコントロールを見直していくというものとセットで、あとは交付税改革、そういうものを続けていけば一連のものになっていくという御提案でございます。  少し過ぎて申し訳ございません。以上でございます。
  7. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ありがとうございました。  次に、田中参考人、お願いいたします。田中参考人
  8. 田中弥生

    参考人田中弥生君) 東京大学の田中と申します。  本日は、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。座ったままで失礼いたします。  私の若干の自己紹介をさせていただきます。専門は非営利組織論、そして評価論でございます。私、十五年余り財団法人に勤務をしておりまして、その間に非営利組織論について学びました。公益法人制度改革有識者委員会、これ隣の加藤先生と一緒に委員をさせていただいたんですが、その一人でもございました。ですが、今日は一介の研究者としてこの場でお話をさせていただければと思います。  まず、構成なんですが、最初に公益法人制度改革の意義、なぜこれが必要とされるのか、そしてこの制度改革をどうとらえるのか、どう評価するのか、そして仮に課題があるとすればそれが何なのかという、この三つでお話をさせていただきたいと思います。細かい法案が出ておりますが、今日は、基本的な骨格とそしてその意義、精神についてお話しさせていただければと思います。  まず、本公益法人制度改革の意義でございますが、もう既にお二人の先生からお話がありましたように、今、日本のシステムそのものを変えようとする真っただ中であります。つまり、超少子高齢化そして財政破綻が来る中で日本をどうやって支えるのかということが課題になっていますが、これは正に旧来型のシステムが堪えられなくなったということです。この旧来型のシステムは何かといえば、正に税金を国家が集めてそれをサービスとして配分をするという、この仕組みそのものがなかなか成り立たなくなっているということです。ですから、私のつたない理解でありますが、行政改革というのは、正にこの状態に、日本の状態に呼応して、官が独占していたパブリックというものについて、民ができるものは民が行い、そして官が行うものについてはそれは効率性と効果をもう一度追求してみる、それが行政改革であり、そして民側の再設計、大手術だと私は理解しています。  ですが、この議論、もう一つセットで語られる必要があると思っています。それが何かといえば、そのパブリックの新たな受皿となる民側の設計であります。新たなパブリックの受皿の民、これ先ほど御説明もありましたが、市場化テスト等々でいろいろな試みはされているんですが、実際に現場を拝見しますとかなりいろんな混乱が起きています。そういう意味ではまだまだ制度環境を整える必要があると思いますが、そのような中で、民側の在り方というものを規定した本公益法人制度改革の意義というのは大変大きいものだと私は理解しております。  では、公益法人制度改革は何を目指すべきかということですが、これは書類にも記されていますが、正に民間の非営利法人が自発的に自立した主体として活躍するための法制度を整えるということであります。これが何よりも最終の目標、ゴールでありますが、ただ、そのためには従来型のシステムから生まれたゆがみというものを同時に整理をしていく作業が必要です。  この従来型のシステムというのは何かといえば、先ほどの話にも通ずるところがあるんですが、百十年以上前につくられた公益法人制度、民法三十四条、この根底にあるのは、官がパブリックを担う、独占するという考え方がベースにあったと思います。この考え方は、ある時期には通じましたが、その営みの中で様々なゆがみが生じてまいりました。  それは、少し具体的に申し上げれば、役所の下請化であり、天下りの問題であり、そしてKSD事件に象徴されるような規律を失った組織の問題であります。ですから、この公益法人制度改革、上位概念としては民が担う公というものを促進しますが、同時に過去の負の遺産というものも掃除をしていく必要があります。  では、公益法人制度改革というものがどういうものか、それを私なりにどう評価するかということについて説明したいと思います。  まず、公益法人制度改革の論点であります。  第一番目に、準則主義を挙げたいと思います。これは、登記によって一般社団法人一般財団法人を設立できるようになりました。  二番目に、主務官庁制度の廃止であります。これは公益性の認定というものを主務官庁制度の下で官が裁量するというものを改め、そしてこの公益性に認定するものとして第三者機関をつくることになりました。それは、内閣総理大臣の諮問に基づく公益性認定委員会か、若しくは都道府県知事の諮問に基づく公益性認定委員会であります。また、この認定委員会の構成員がどういうものであるかということについては、後ほどもし質疑があればお答えしたいと思います。  四番目に挙げたいのが公益法人の規律、これは片仮名で言うとガバナンスにかかわるものであります。公益的な目的、そして組織の意思決定機関にかかわる事項、そして経理的な基礎及び技術、残余財産の処分にかかわる事項につきまして法律で明記されることになりました。  そして五番目ですが、認定の取消しにかかわる諸手続、その内容につきましても法律で明記されることになりました。  では、この制度改革案をどのように評価するかということなんですが、私は星野英一先生のお言葉をかりたいと思います。星野英一先生はこのようにおっしゃっています。以前は何が公益かを国家が判断するものである、そのような考え方というのは実は民法典編さん期以来の考え方であったとおっしゃっています。だとすれば、パブリックというものを民が自発的に担うという考え方をこの改革案でも投じたということ自体、実は思想の大転換ではないかと私は考えます。ですが、問題はこの思想の大転換に伴う制度設計が本当にできているかどうかということが評価のポイントになるかと思います。  まず、その評価なんですが、一つ、プラスの意味で評価したいのは、主務官庁制度を廃止したことは大いに評価されることだと思います。  その理由は二つございます。一つは、官のコントロールの下ではなくて、民間が自発的に公益的な活動を行うということを認めたということです。そして二つ目行政機関との不適切な関係を予防する策になったということです。予防と申し上げていますのは、先ほど申し上げた下請、天下りの問題というのは、これは蛇口の方の問題であります。つまり、それを発注する側、公務員を出す側の行政側の方で問題を解決するのが第一義であるということです。  そして、二点目として評価したいのは、規律、ガバナンスと情報公開であります。これを明示の形で定めたことによりまして、公益性ある法人というものが求められる規律要件というものが具体的になりました。同時に、これは何を意味するかといえば、それを認定する側の裁量というものがかなり限定されたということになります。  こういった二つの点でこの改革案を私は評価をしていますが、欲を言えば更に課題があると思います。  二つここでは挙げたいと思いますが、一つは税制の問題、そしてもう一つ法律の見直しの問題であります。  税制の問題ですが、特に私は寄附税制に着目したいと思います。実は、この問題は、税制の問題というのは公益法人制度と併せて検討するということになっていますが、特に寄附の意味は私は深いものがあると思います。寄附というのは、一般的には公益的な活動をする非営利法人を経済的に支えよう、その根拠になるものですが、実はそれ以外に精神的な意味、そして社会的な意味があると考えます。  精神的な意味というのは、公益法人にとってみれば、自分たちが多くの市民、民から支えられているというあかしであります。そして、寄附者にとってみれば、その公益法人の社会的な使命や公益的活動に共感してそれを支える、片仮名で言いますとコミットメントと言いますが、その意思の表れであります。  さらに、社会的な意味は何かといえば、公益法人が寄附者の期待に対して責任を持ってこたえなければいけないというアカウンタビリティーが求められるということであります。同時に、寄附者は、その寄附をした公益法人が期待どおりに成果を出したのかどうかということを評価をする、チェックをして次の寄附のときに参考にするということです。  寄附文化という言葉が時々使われておりますが、これは私なりに解釈をすれば、このような自立した民に支えられる公益法人と意識の高い寄附者というものがお互いに量的に質的に育つことによって、先ほど申し上げた寄附者のチェック、評価というものが社会的な監視機能に発展していくということを期待しているからです。  では、この寄附というもの、寄附を促すための税制を整えるために必要な要件として、法制度の条件と、それから公益法人側の条件を挙げたいと思います。  まず法制度の条件ですが、もう既に申し上げましたように、規律の面であります。納税者に対してきちんと説明ができる形でその法人が規律にのっとり活動を行っているかどうかをチェックし、それを情報開示すべきであります。  ですが、これだけでは寄附文化というものは育ちません。公益法人側の条件というものがかなり重要になると思います。それは、一つは、自立したガバナンスを持つことであり、それから資金調達の努力をするということであります。これは、寄附や会費を自ら集めるための努力、それは具体的に計画を作り、そして技術を磨くということが求められると思います。  そして、三番目ですが、自分たちが得られた資金を基に活動した結果について、評価を自ら行い、それを情報公開するということです。認定機関によってチェックは行われますが、それだけでは足りないのではないか、寄附者にとっては足りないのではないかと思います。なぜならば、寄附者というのは自分が投じた寄附によって本当に世の中に変えられたのか、良くなったのか、成果が上げられたのかということを最も知りたいからです。これは認定要件だけではチェックができません。正に非営利法人が自ら自分たちで評価基準を作り、評価を行い、そして情報公開をして寄附者に訴えるべきだと思います。そのメカニズムを示しましたのが一番最後のページにあります図一であります。  最後に、法律の見直し、課題というものを申し上げたいと思います。  先ほど申し上げましたように、これは民が担うパブリックを促進するというために作られたものではありますが、同時に、過去の負の遺産を一掃するという相異なる性質の目的を同時に行おうとしております。そのための移行期間五年間だと私は理解しております。ですから、この法制度が最終目標に向かって運営され、そして進捗しているのかということをやはり五年後に確認をし、必要であればこの法案を再度修正するということを提案させていただきたいと思います。  御清聴ありがとうございました。
  9. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ありがとうございました。  次に、山家参考人、お願いいたします。山家参考人
  10. 山家悠紀夫

    参考人山家悠紀夫君) 山家でございます。よろしくお願いします。  私は、日ごろ、暮らしの立場から日本経済とか財政の在り方等を研究しております。今日は、いわゆる行政改革推進法案それから市場化テスト法案、その二つを中心に意見を申し述べたいと思います。  私の意見のあらましは、別にA4判で七枚ぐらいのレジュメ資料でお付けしております。大体この最初のページに書いたような内容を申し上げます。  まず、二つの法案を拝見しての感想といいますか、総合的な印象でございますが、このような法案を制定するについては、まず最初に政府とは何かとか、政府はいかなるサービスを行うべきかと、そういうことを十分に検討すべきではないかと、そういう感想を持ちました。そういうふうに政府のなすべきサービスが決まったところで初めて、そのサービスをいかに簡素で効率的に実現するかとか、あるいはサービスの提供方法をどのようにするかと、そういうことが問題になるかと思います。  ところが、これらの法案を拝見したところ、どうもそうした政府のあるべき姿とか、政府がいかなるサービスをなすべきかというその姿が見えてこないのであります。皆さんの頭の中にはそれぞれそのイメージがおありかと思いますけれども、そういうものの十分な検討あるいはあるべき姿の確立しないままで、簡素で効率化とかあるいは市場、民間、民営化ということを検討するということは、目的を検討する前に手段を検討するということになるんではないかと思います。その結果、何が起こってくるかといいますと、手段によって目的が制約されてしまう、簡素で効率的な政府というのを絶対的な価値判断といいますか、第一の価値判断としますと、それによって政府サービスの量とか質が逆に決まってしまうと、そういうことを招くんではないかという懸念を大いに持つわけであります。  以下、若干具体的に申し上げます。  そうした視点といいますか、政府のあるべき姿というところから考えて、懸念されることが大きく三つございます。  一つは、日本政府は既にほかの先進国と比較して十分に小さな政府であるということであります。そこから出てくる問題であります。  小さな政府であるということは既に皆さん十分御承知かと思います。参考までに一ページめくっていただきまして、資料一に幾つかの、これは政府の財政経済白書などから取った表等でございますが、表を付けておきました。GDPに対する政府支出の比率、OECD三十か国中、日本は下から五、六番目という小さな政府であります。先進国、ヨーロッパ諸国と比べましても、一の二のところでございますが、全体でも極めて小さいし、支出項目別に四つに分類しておりますけれども、経済・公共関係、いわゆる公共事業関係の支出を除きましては日本政府は極めて小さい、支出が少ないということになっております。  それから、一番下は千人当たりの公務員数、さっき最初に御指摘もありましたが、日本公務員は非常に少ない、こういう現実があります。  問題は、こうした現実から何を読み取るかということであります。ヨーロッパ、その他他国の政府はよほど無駄な支出をしている、あるいは人の無駄な使い方をしているという解釈の仕方もあります。日本政府は小さいけれどもまだまだ無駄があるからなお効率化できる、そういう読み方もできるかと思いますが、逆の読み方、日本政府はほかの国の政府ならやっているような、当然のこととしてやっているようなことをやっていないんではないかと、政府サービスが不十分であると、だから小さな政府になっている、そういうことも言えるかと思います。それも一つの読み方であります。  どちらが正しいかいろいろ実証してみなければなりませんが、現象面からいろいろ見えますことは、後で申し上げた方、日本政府がやるべきことを十分にやっていないんではないかというのが正解ではないかという感じがいたします。いろんな具体的なデータがそれを裏付けております。  例えば、今の表で見ますと、保健・社会保障関係日本政府の支出はフランス、ドイツの三分の二、GDPに比べて三分の二であります。十分な社会保障政策が行われていない、これはしばしば指摘されていることであります。  あるいは、その次のページに資料を付けましたけれども、小中学校の教育というサービス、これはOECDの調査で、小学校あるいは中学校の一学級当たりの児童数を比較したものであります。日本は、OECD三十か国中、韓国に次いで生徒の数が多い。ごらんいただきますように、日本は小中学校とも大体三十人内外、ヨーロッパの国あるいはアメリカも二十人内外であります。言うならば、日本の子供は先生のサービスの三十分の一しか受けていない、欧米の子供は二十分の一のサービスを受けている、それだけ貧弱なサービスに甘んじているという状況であります。  こういう状況を考えまして、ほかにもいろいろ例はあるかと思いますが、そういうことを考えますと、今申しましたことが正解だとしますと、これ以上更に公務員数削減するということは、ただでさえサービスが少ない、そのサービスを更に削る、一層政府のサービスを貧弱にしてしまうという結果を招くと。政府のサービスが少ないということは、逆に言えば国民負担が重い、自己負担が重いということでありますが、その国民の自己負担をより一層重くしてしまうことになるんではないか、そういう懸念を持ちます。これは言わば政府サービスの量の問題であります。  次に、質の問題について、第二の疑問点でありますが、政府サービスの質がこの法案が通ることによって維持されるかどうか。特に、市場化テスト法案に関連しての疑問であります。  法案では、サービスの質とコストをチェックして民営化したらいいかどうか検討するということになっておりますけれども、質のチェックがきちんと行われ得るかどうか、そういう疑問があります。入札によってそれが評価できるでしょうか。  そういう疑問を持つのはほかでもありません。去年の経済財政白書に、民間サービスと政府サービスをいろいろ比較しております。民間サービスの方がいいという結論を出しているんですが、どういうチェックが行われているか、具体的な例を二つ、皆さんもう御存じかもしれませんが、拾っておきました。  次のページ、資料三というところですが、市場化テスト法でサービスの質が測れるかというところで、例えば指定管理者制度、これによって民間に委託した場合はサービスの質が良くなったという判断を去年の経済財政白書はしております。どういう評価をしているか。利用者に聞いて利用者からそういう答えが得られたというわけではありませんで、サービスの提供者、指定管理者なら指定管理者に聞いております。何を聞いているか、ここに例を幾つか挙げましたが、幾つかのカテゴリーを設けまして、それぞれについて四つほどの質問をしている、それに丸を付けてもらう、それによって評点するという仕組みを取っております。  例えば、このページの四段目の「サービス内容の維持・向上」の欄をごらんください。評価されるのは、サービスに関するマニュアルを作成している、サービス水準を数値で設定している、業務報告書を毎月一回行政担当者に提出している、利用者を加えたサービス改善のための会議を設置している、この四点であります。全部丸を付けますと非常に高い点、サービスの内容の維持向上に努力しているということになります。丸付けないと零点であります。ほかの項目も似たようなものでございますが、これはすべて形式的な評価。会議を催しても会議で利用者の意見を十分にくみ上げないで形式的であれば一点は付けるのはおかしいではないかと。マニュアルは作っておっても、そのマニュアルが果たしてどうか、内容が問題でありますし、マニュアルどおりが実施されているかどうかが問題、そちらの方がより大きな問題であります。こういうふうな形で、サービスが維持できる、民営化してもよろしいという結論が出されるとすれば相当に問題ではないかというふうに思うわけです。  ただ、これはまだいい方であります。もう一つの例を次のページに引きました。これは、病院とか訪問介護とか保育所において官民の生産性に格差がある、民の方が優れているということを結論付けた説明の資料であります。  難しい下の方の備考はともかくとしまして、大筋を申しますとどういうことか。病院については、一か月当たりの患者数を、労働と資本ということはコストであります人件費と設備投資、それで割ったと。それが高い数字が出れば生産性が高い、結構であるということになります。あるいは、一つ飛ばして保育所を見ていただきますと、利用児童数と開所時間数、要するに延べ何人の子供の面倒を見たか、それを人件費と設備投資で割っております。  こうして民間の方が低コストでサービスが提供されている、生産性が高いというふうに言われますが、サービスの質というのは、何人の患者さんを診たかとか、あるいは何人の子供を延べ何時間見たかということではありませんで、一人一人の患者さんに対してきちんとした適切な治療が行われたか、その人のための治療が行われたかと、あるいは一人一人の子供に対してきちんとした、その子に合った保育が行われたかと、そういうもので評価すべきであります。そういうもので評価しないで単に数量だけで評価しますと、おかしな結果が出てくるのではないかと。すなわち、サービスの質が低下する。コストが安いからということでどんどん民営化が行われて、これは病院と保育所、訪問介護でありますが、例えば今予定されております職業紹介とか、あるいは国民年金の払っていない人の取立て、そういうのを数字だけで評価されては大いに問題ではなかろうかというふうに思うわけであります。これが二つ目の疑問点であります。  それから三つ目。この二つの法案により公務員の給料については実際に引き下げるということが提案されておりますし、あるいは民間委託されますと、それによって公共サービスに従事する人の賃金が下がるということは多分生じるであろうと、間違いなく生じるであろうということが予想されます。これは日本の経済社会にとって極めてまずいことになるのではないかということであります。  資料四をごらんください。  既に小泉内閣発足以来五年たちました。まだ、五年目、二〇〇五年度の数字はきちんとまとまっておりませんが、四年間を取りましても相当の状況が起こっております。  生活が苦しい人が増えているというのは厚生労働省の調査であります。上のグラフ。大変苦しいという人が既に二〇%を超えております。四世帯に一世帯が生活が大変苦しいと訴えている。それから、この大変苦しいに苦しいという答えを足しますと五〇%を超します。日本の世帯の半分以上が生活が苦しいと訴えている。この比率はどんどん上がってきております。生活保護を受けている世帯も大変この五年間で増えております。こういう状況があります。  それから、下の表をごらんいただきます。ちょっと細かい表ですのでポイントだけを申しますと、二〇〇〇年度というのは小泉内閣発足前の日本経済の状況、二〇〇四年度は四年目であります。この四年間で何が起こったか。二列目を見ていただきますと、国民所得は全体として減っております。減っておりますけれども、それ以上に、その下の雇用者報酬、十六兆円減っております。その代わりに民間、その代わりにといいますか、その結果もありまして、民間企業の所得は六兆円増えておると。要するに、国民生活が非常に厳しくなる中で企業はもうかるようになっている。そういうことが起こっておりまして、こういうふうに厳しくなってしまった国民生活をいかに立て直していくかということが、日本経済にとりましても、あるいはこれからの景気を考える上にとりましても非常に重要な問題であります。  そういう状況があるところにこの法案二つが成立しまして、更に公務員の給料が下げられる、あるいは公共サービスに従事する人々の給料が下げられるということは一層この傾向に拍車を掛けることになると。政府としてそういう政策姿勢でいいものかどうか、私は大いに疑問というのを持ちます。  以上が重立ったところであります。  そのほか若干気付いたことを二つ、第三として書いておきました。  一つは、今までの話とは直接は関係いたしません。一つは、新政策金融機関でございます。  これは御承知のとおり、二つの目的、国民一般とか中小企業者等の資金調達支援と、それから資源の海外における開発及び取得の促進と、この二つ一つの機関でやるということになっております。この二つは目的も内容も全く別の政策金融であります。  この二つ一つの機関にしてうまくいくのかどうか。しかも、その全体の貸出し資金量について、GDP比、今の半分近くに落とすという目標が定められております。この二つの間でどうバランスを取ってこの目標を達成していくのか。どちらかがどちらかの犠牲になるとか、極端に言えば、後者だけをそのまま維持して前者をなくすれば目的達成されるわけですが、そういうことの歯止めはどこにあるのかという、非常に無理があるのではないかと思います。  それからもう一つ、これらの法案の最初に書いてありますことが、国際競争力の強化のためにという文言であります。至る所にこういう文言が使われているわけですが、ただ、日本経済にとって国際競争力の強化というのがそんなに大変な重要な課題であるかと。これは私の日ごろ経済を研究している立場から申しますと、そんなに問題ではないと、実は日本の国際競争力は世界で一番強いと見てもいいのではないかというふうに私は思っております。  最後のページに資料を付けておきましたけれども、ごらんいただきますように、日本の経常収支、大ざっぱな意味で輸出と輸入の差額ですが、ここ十年来、世界で一番の黒字国であります。一番国際取引にゆとりがある国が日本であります。  国際競争力を評価、国の国際競争力は何で評価するか定説がありませんが、こういう具体的に現れた数字で見ますと、日本競争力は極めて強いと見ていいかと思います。しかも、国際競争力というのは何も世界一になる必要はありませんので、何が問題かというと、要するに輸入を十分にできる、必要なものを問題なく買えるという状況にあればよろしいということであろうかと思います。  そうしますと、下に書きましたように、二〇〇五年の日本の経常収支の黒字は十八兆円、貿易の黒字だけで十兆円であります。国際競争力は多少損なわれて輸出が落ち輸入が増えてもまだまだ十分にゆとりがある、言うならば世界で一番ゆとりがあるのが日本であります。そういう日本において、国際競争力のためにこれらの法案を作らなきゃいけないというのは、どうも私には理解できないところであります。  以上で終わらせていただきます。
  11. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 二之湯智

    二之湯智君 自民党の二之湯智でございます。  今日は、四人の参考人皆様お話を聞かせていただきまして、誠にありがとうございます。それぞれの角度から、現在の日本のいろいろな公務員制度、あるいは国あるいは地方自治体事業、あるいは公益法人について、さらには現在の小泉内閣の進めている構造改革の問題について、それぞれ御指摘がございました。  私、一昨年出てきたばかりで、またこういう席は初めてでございますので、ちょっと要領が分からないんでございますけれども、まず自由民主党の推薦されました稲継参考人にお聞きをしたいと思うわけでございます。  日本はいつの時代もだれかを批判の対象にしておかなきゃいかぬと、そんな国民性があるんじゃないかと思います。安保時代は警察官を税金泥棒と言ってみたり、あるいは自衛官をたたいてみたり、あるいはロッキードのときは商社マンが日本の非常に凶悪な商売人であるかのようなことを言ったり、今は非常に景気が悪くて、公務員が非常に安定した収入あるいは安定した身分が保障されているということで公務員たたきということになってきているわけですね。  そういうときに地方自治体の大阪市なんかのああいう職員厚遇問題。稲継参考人も大阪市に在職されておったと、こういうことも伺っておりますけども、ああいう極端な例が次から次に出てまいりますと、一体公務員というのはだれのために働いているんだと、そういうような批判が多くの国民、市民から寄せられているわけでございます。  それで、今、稲継参考人が最後の方におっしゃいましたように、地方自治体では、知事、市長よりも高い給料もらっている運転手さんがいらっしゃると。これは私も京都市の市会議長をしておりまして、私の月々の手取り額よりも私の車を、公用車を運転している運転手さんの方が給料が高い。あるいは、公営バスの運転手さんが年収一千万を超えるとか、ごみの収集人の人がもう一千万を超える、非常に高いごみの収集代に付いておると、これはまあ大都市共通の課題なんですね。  ところが、これを公務員批判することができるのかと、こう申しますと、日本の現在の地方公務員の給料表からすれば年功序列的な昇給と、こういうことで、また残業とか特殊な勤務手当が加算されますと、どうしても現在ですと一千万を超えてしまうと。しかし、民間が非常に厳しいこの経済状況の中で特に公務員が給料が高過ぎると、まあこういうことになったわけでございます。しかし、ここに来て、国も地方も非常に厳しい財政難でございますから、やはりその地域の民間の賃金を反映さしていかなきゃならぬと、こういうことになってきたわけでございます。  そこで、今参考人が、公務員は能力主義あるいは実績主義、あるいは成果主義というんですかね、こういうものを加味した賃金体系給与体系にすべきだと、このようにおっしゃったわけでございますけれども、これをなかなか一つの職場でその人の能力を、公務員というのはなかなか目に見えにくい、成果が上がりにくいということでございますので、これをどのように評価するという、そういうシステムはどのようにつくっていったらいいかと、このようなことをまず最初にお伺いしたいと思います。
  13. 稲継裕昭

    参考人稲継裕昭君) どうも御質問ありがとうございました。  非常に重要な御指摘を幾つかちょうだいいたしました。  一つは、例えばバスの運転手さんの給料が非常に高い、地元の民間企業のバス会社に比べて市バスの運転手さんの給料が非常に高いと、これが地元の批判を招いているという、そういった例が全国でたくさん出ております。あるいは、ごみの収集の話ございましたけれども、これは一〇〇%直営でごみを収集している大都市もあれば一〇〇%民間委託をしている大都市もございまして、民間委託をしている方がはるかにコストは安いわけで、その辺のところ、特に指定都市において技能労務職が占める割合が一六%ございますので、これをできるだけ今後民間委託していくということが必要かなと思います。  最後に御質問のございました人事評価システムにかかわる問題でございますけれども、これは非常に困難な問題でございます。  例えば、九〇年代よく言われましたのは、短期的に半年の働きぶりを見て、それを次のボーナスにつなげろという短期的業績給の話です。パフォーマンス・リレーテッド・ペイというものでございますけれども、これは富士通で失敗したとしばしば言われました。非常に短期的な視点に立って評価をし、短期的な報酬につなげることによって、これは最終的には個人個人がばらばらに働き出してしまうという、そういう結果を導き出したわけです。  そこで、今議論となっている、あるいは目指されているのは、やや長期的に評価の結果を反映するという従来日本がやってきた非常にいい形での評価システムであります。これは評価を積み重ねて昇進昇格の際にそれを利用して、そして偉くなれば給与が上がるような、そういう見返りをするということでございます。  そのためにも給与の構造の見直しが不可欠でございまして、等級ごとに差を付けないと、偉くなっても給与が上がらないんだったら頑張らなくてもいいんじゃないかと、こういうことになってしまいますので、きっちり評価を積み重ねていって、積み重ねていくということは一年とか半年でございませんので、上司との裏取引の可能性が減ってまいりますので、積み重ねてそれを昇進昇格の際に利用して、偉くなれば給料が上がると、こういうことにすればよろしいのではないかなと思います。
  14. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ちょっと速記止めてください。    〔速記中止〕
  15. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) それじゃ、速記入れてください。
  16. 二之湯智

    二之湯智君 今日のお話にはなかったかも分かりませんけれども、先生の論文の中にもあるんでございますけれども、日本の中央官庁のキャリアシステムですね、まあこれ、大学出て最初の公務員試験にパスして、そういう上位の成績で、一生その成績が付きまとって、そういう人たちの中で競争するのか。地方自治体ではもう大卒という形で一くくりに採用して、その中から競争さして昇進さしていく、そして将来幹部として登用していくという、そういうシステム。中央官庁では、一部の、二十人、三十人の人たちのキャリアだけを競争さして、そして幹部として育成していくと、こういうシステムだと思うんですが、これはどちらが先生はいいと思いますか。その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  17. 稲継裕昭

    参考人稲継裕昭君) 非常に難しい御質問でございます。これは人材育成の効率と、それから働く人たちのモチベーションのトレードオフをどのように解決するかという問題だと思います。  中央省庁の場合は、これはどこの国でもそうですが、キャリアシステムを取っております。地方自治体の場合には、一般的に、今はまあほとんど県庁でも政令市でもそうですが、大卒で採用して、同じように採用して選考で選ぶ、若しくは昇任試験、係長昇任試験で選抜する、あるいは東京都のように管試で選ぶというやり方やっていますけれども。  そうすると、入った人の中で偉くなる人と偉くならない人がばらばらと出てくると。で、同じ職場の中で、年次の同じ者が課長であったり係長であったり部長であったりすると。それでモチベーションが下がっていないのかどうかということを検証する必要があります。  中央省庁の場合ですけれども、Ⅰ種とⅡ種、Ⅲ種、大きな昇進のスピードの差があります。給与の差はそれほど実はないんです。これはほかの国とは全然違うところで、Ⅱ種、Ⅲ種の方々のモチベーションを上げるために給与は相当配慮しておりまして、Ⅰ種だからといって特殊な給与体系になっているわけではございません。昇進のスピードは、Ⅰ種とⅡ種、Ⅲ種、完全に区別されて、昇進管理も別にされておりますけれども、今の形、つまり二十二歳の時点で完全にⅠ種とⅡ種、Ⅲ種を分けてしまってということについては様々な批判があることも承知しております。  ただ、ある程度将来を保障された、幹部候補であるということを保障されたということでないと優秀な人が来てくれないということもあります。  例えば、国家の採用について、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種の区別をなくしてしまう、あるいはⅠ種とⅡ種の区別をなくしてしまって大卒採用というふうにすると、今まで受けてくれた人たちが果たして受けてくれるのかという非常に根本的な問題があります。もうそれでいいんだと、日本国民がみんなそれで納得して、だれがなってもいいんだと、国家公務員はどんな人でもいいんだという判断をなさるなら、それはそれでいいと思うんですけれども、やはり多くの国民は、日本の一部の公務員はやはり特別優秀な人たちがやっていただいて、外交交渉を始め日本の国益を代表してもらう人たちが必要であるというふうな判断が今のところは強いと思います。  そこで、Ⅰ種とⅡ種、Ⅲ種の区別は必要であります。ただ、入ってからの、Ⅰ種からの脱落組、あるいはⅡ種、Ⅲ種からの引上げ組をもう少し緩やかに、相互に行き来できるような、そういうシステムを構築していく必要はあるかなというふうに思います。
  18. 二之湯智

    二之湯智君 どうも参考人、ありがとうございました。  次に、加藤参考人にお伺いしたいと思います。  私も加藤参考人が主宰される「構想日本」にはしばしば呼んでいただきまして、ああいう作業仕分というのがあるということを初めて知ったわけでございます。それで、ともすれば公務員というのは慣習と慣行で余り疑いもなく先輩がやってきた仕事をずっとやってくるということで、公務員自身がなかなかそれを変革するというのは非常に難しいんじゃないかと思うんですけれども。  そういう中で、今回、非常に厳しい財政事情の中で地方自治体において作業仕分というのは、非常に私は、私自身も非常にいいことだなと、このように思います。これは全く要らない仕事、これは官がやる仕事、民がやる仕事、あるいは国がやる仕事、都道府県がやる仕事市町村がやる仕事と、こういうことで非常に仕分されたことは大変いいことだと思います。  それで、そういう不要な仕事あるいは地方公共団体がやる必要がないという仕事を集計いたしますと、最近の国の地方交付税の削減というのはかなり吸収できるんではないかと、このように思いますけれども、加藤参考人はどのように思われますか。
  19. 加藤秀樹

    参考人加藤秀樹君) 先ほど、市町村で七割、都道府県で、これは県ですけれども六割という数字が結果的に出ました。これは幾らに削減していこうということで、こういうことじゃないんですが。  それと、もう一つ大事なことは、先ほど申し上げましたように、やり取りの中で、我々が、外の者が勝手に出掛けていってこれは要らないというようなことをやるんじゃないんですね。いろいろ議論した上で、最後はその県なり市町村職員と合意の上で、まあ合意とはいっても多数決的に、いや、それはやっぱり要るよという人と要らないという人が拮抗することもあります。ただ、便宜上ある程度どこかで決着を付けないといけないものですから、場合によっちゃ最後は決を採る形でやっていきます。その結果がこういう形で表れております。これは今まで十五の自治体でやってまいりまして、割合違わないんですね、どこも同じような数字が出てくる。ということは、結果的には、引き続き市町村、県でやるというのは、この七割、六割という数字はどうもいい数字のようだなと。  それから、この中に、独自でやっている仕事あるいは国から補助金を受けてやっている仕事、それから交付税を使いながらやっている仕事、いろいろあります。ですから、このことの結果から、直ちに補助金とかあるいは交付税が何割削減するというのは直接には出てはきておりませんけれども、しかし全体としてこういう数字であるということは、独自の事業それから国から何らかの形で支援を受けている事業、合わせて大きい目安にはなると思いますし、先ほど申し上げましたけれども、この中には、これは例えば百個のことを今やっています、それをこうやって仕分をしていくと、どうも引き続きやった方がいいのは七割ぐらいかなと、あと完全に要らないのはそのうちの一割だなということでありまして、じゃ、その百個のことを一個一個見ていくと、一個、一つ事業当たり百万円掛かっていますと、その百万円が本当に百万円掛かるのか、あるいは七十万で済むのかという作業はこの中には入っておりません。  ですから、極端なことを言いますと、個数で百個が七十個、その七十個、一個平均百万円が七十万で済むんじゃないかなと。七、七、四十九、なら半分でできるんじゃないか。そんなに簡単にはいかないものの、そうやっていきますと相当の私は削減が可能であります。  ただ、長くなりますけれども、その削減をするときに、先ほどの栄村の例を挙げましたのは、やっぱりここは、国から言われるとおりにやれば一メーター当たり十一・一万円、そのうち半分は国から補助金が来るんですね。ところが、村費も五万五千円要る。ところが、村費の五万五千円がないから、ううんと考えて、ちょっと幅を狭くしたり、いろいろ考えて一万九千円でできたわけですね。  ですから、そこで、やっぱり国が地方にあえて自由度を与えて、ちょっと考えてみろというところがやはり大変大事なんではないかと考えております。
  20. 二之湯智

    二之湯智君 今の参考人お話からしますと、私は、一番住民の身近ないるところ、住民の身近な自治体が責任を持って、まあ国の基準とはちょっと合わないけれどもそれで十分用を足りるというようなものを造っていくということが非常に必要であって、国も余分な補助金は出さなくてもいいし、地方も裏負担をしなくてもいいと。これ、お互いに得するわけなんですね。  そういう社会システム、地方分権システムを私はつくっていく必要があるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  21. 加藤秀樹

    参考人加藤秀樹君) 私は全く同感であります。  そのために必要なのは、これは、ここから先はなかなか難しいんだと思いますけれども、やはり国の地方に対する非常に事細かなコントロールですね。例えば、この過程で出てきましたのが、学校の天井は三メーターないといけないという規定がありまして、これはNHKのテレビでも取り上げられましたけれども、これをやって、国会でこのことが討議、質疑の中へ出てきたおかげで文科省はこれに関する省令を直ちに改めまして、いや二メーター七十ぐらいでもいいよというようなことになったわけですけれども、その手の例は一杯あると思います。  ですから、国がやっぱりどうしても決めないといけないことはもちろん必要なわけですけれども、むしろ細かいことは相当自由にしていいのかなと。それをやると補助金もカットできますし、それとセットで、やはりナショナルミニマムという言葉の下で国が一律に面倒見るという交付税制度も、これは金額ではなくて、制度そのものをやはり見直していくということが大事だと思います。
  22. 二之湯智

    二之湯智君 次に、田中参考人にお伺いしたいと思います。余り時間ございませんので、ひとつ公益法人の認定制の問題で。  先ほど、認定委員会の構成についてもし御質問あればと、こういうことでございました。国においても地方においても認定委員会が設置されるわけでございますけれども、この方たちの構成が今いろいろと問題になっておりますですね。役人の、官庁のOBがなるんじゃないかとか、あるいはその認定委員会もなかなか忙しい人ばっかりで、事務局が結局役人で構成されてしまうんではないかと、こういう心配なわけですね。  さらにまた、国の方はともかく、地方の、都道府県知事のいわゆる認定の公益法人ですね、この場合の税制の優遇措置はどうされるのかといこともやっぱり大変関心があるわけですね。やっぱり私、NPO法人というのは地方が主体になってくるんじゃないかと、そういう活動がですね。だから、その辺について、ひとつ田中参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
  23. 田中弥生

    参考人田中弥生君) 貴重な質問をありがとうございます。  御質問、二つあったかと思います。一つはどういう属性の方たちが委員を構成するのかということと、二点目は都道府県に関することでしょうか。  で、一点目でございます。  これは全くの私の私見でございますけれども、認定委員会のメンバーというのは民間人で構成されるべき、大変厳しい言い方を申し上げれば、行政経験者も排除すべきだと私は考えています。それからもう一つ、その民間人もいろんな種類の民間人がありまして、いわゆる特定のグループ、分野の利益を代表するような方たちも余りこの委員には適さないんじゃないかというふうに考えております。  二点目でありますが、都道府県。  まず、税制につきまして、私は、国も地方も同じように寄附免税措置というのはなされるべきというふうに考えております。そして、NPOがというお話だったんですが、今回は実は公益法人制度の対象からNPO法人が外れておりますので何ともお答えし難いんですが、確かにおっしゃるように、地域を支える主体というのは、先ほどの市場化テストの話、指定管理者制度の話を見ておりましても、やはりNPOがかなり、民間非営利法人が活躍するだろうと思います。ただ、そのためには宿題が幾つもあるように私は拝見しております。
  24. 二之湯智

    二之湯智君 結構です。あともう時間がございませんので、これで。ありがとうございます。
  25. 松井孝治

    松井孝治君 民主党の松井孝治でございます。  今日は、四人の参考人の先生方、本当にお忙しい中、貴重なお話をいただきまして、ありがとうございます。二十分という限られた時間ですので、すべての参考人の先生方に御意見を伺えるかどうか分かりませんけれども、順次お話を伺ってまいりたいと思います。  まず最初に、加藤参考人に御質問をさせていただきたいわけでありますが、資料の中でも御説明いただきましたように、この事業仕分という考え方を与党の中でも非常に強く主張された政党もあり、我々も、昨年の総選挙の際に民主党としてもマニフェストの中に取り入れさせていただいたわけであります。そして、この法案の中にも事業仕分という考え方が総論の部分にも入ってございますし、総人件費改革に当たっても、そういう考え方を、検討を踏まえた上で総人件費改革を行うべきだという考え方が入っていると思います。  私が、この担当省庁、内閣官房の方に、この事業仕分ということと総人件費改革、あるいはこの法案全体の考え方を、その関連を伺いましたら、総人件費改革でいうと、五年五%の削減というのをこの法案の一つの目玉として掲げておられたわけでありますが、そのうちの一・五%部分、五年間での一・五%部分は定員合理化計画の実施によって確保すると、残りの三・五%分をこの事業仕分の考え方で国の仕事を見直しをして五年間で三・五%分の人員削減ということにつなげていくんだという御説明がございました。  今ほど加藤参考人お話を聞いておりますと、もう少し大胆に、基本的に国そして地方、そしてもっと幅広い、民間であったり中間団体であったり、そういったところの役割分担、要不要というものをしっかり見直して、抜本的な業務の見直しを行うということをまず行うのが行政改革の本筋というふうに私には受け止められたわけでございますが、加藤参考人から見られて、この法案における事業仕分の考え方というのがどの程度先ほどお話をされた事業仕分の考え方を取り入れたものなのか。逆に言えば、この法案が今後どういう扱いになるかまだ分かりませんけれども、もしこういう法案が成立した場合に、どういうふうに具体的に事業仕分を行わなければ本当の意味での行政改革にならないとお考えなのか、もう少し詳しく御意見を伺いたいと思います。
  26. 加藤秀樹

    参考人加藤秀樹君) 今、五%あるいは三・五%という数字が出ました。私は、なかなか人件費削減にしてもあるいは財政全体の削減にしても、元々だれも要らないと思っている予算が付いているわけではないわけですから、これを削っていくのは大変に難しい。その中で、何とかここまでやらないと何ともならないという言わば最低限の数字が、しかもいろんな利害が錯綜する中でぎりぎりの数字として出されたものだと思います。ですから、そのこと自体は最低限のターゲットということで、これはまあ常にそういう数字はあっていいものだと思いますけれども。  ただ、先ほど私の話の中でも申し上げましたように、戦後六十年たっているわけですね。それで、この間、予算についても毎年の査定という中でいろいろ各省庁ぎりぎりの折衝はしてきてはいたんだと思いますけれども、よく考えてみますと、やはり五十年前からずっと継続している事業、十年前から継続している事業、いろんな事業がある。それらが本当に今の時点で見て、あるいは今後将来的に見て必要なのか必要でないのかということについての根本的な議論というのはやはり行われていないんではないか。  先ほどこれは作業ですと申し上げました。それから、ある県での青少年育成事業ということの例を申し上げました。こういう中でよく分かったのは、最後はそこの県とか市のお役人とやり取りしていますとけんかみたいになってくるんですね、何だおまえ、よそ者が来て四の五の言うなみたいな話で、我々もついかっときたりするんですけれども。ただ、それでもやっぱり忍耐強く話していると、ううん、そうやって言われるとまあ確かにこれは要らないかも分からないですねと。あなたは県の職員の前にここの県民でしょう、県民の一人としてちょっと本当に虚心坦懐に考えましょうよ、これは要るんですかねということを言うと、まあそう考えると要らないかも分からないですねと言う。  私は、ですから、もう一度、政治家あるいは役人、もちろん我々含めて、日本人としてあるいはその住民として要るのか要らないのかということを本当に謙虚に考えるという作業なんだろうなと。これをやりますと、そこの県とか市のお役人も最後はやっぱり納得してくれるんですね。それで、いやいや、自分は十五年間ずっと県に働いてきたけれども、こうやって考えたのは初めてだなと、いやいや、いい勉強になりましたというふうに。ですから、これは結果的にお役人の頭の中の構造改革というんでしょうかね、にも随分なっている。ここが、副産物でしたけれども大事だと思いますし、そういう作業だと。ですから、六十年間のあかを削ると申し上げました。  それで、それと同時に、その中で固まってきたお役人の頭を柔らかくする。同時に、やはり国と地方の中のいろんな細かいがんじがらめのルールも見直していく。そこに意味がある。ですから、細かい数字を超えて是非やっていただきたいなと、こんなように思っております。
  27. 松井孝治

    松井孝治君 ありがとうございます。  私も、この加藤参考人が配付された資料の六ページの、たまたまなんですが、千葉県での作業で、この小規模事業経営支援事業費補助金が必要かどうかというところをたまたま私、傍聴に伺っておりまして、堂本知事もそのときに陪席しておられて、非常に激しい議論がこの事業仕分のこの補助金の要否について行われていて、県庁の職員の方が非常に青ざめた表情をされながら、何で必要なのかということを、まあはっきり言ってちょっとなかなか御説明になっていなかったような説明をしておられて、最終的には今の議論の中で人件費補助は不要という判断になったという部分を目撃をさせていただいて、こういう形で個別の事業についてゼロベースで見直しを行っていくという作業は非常に有益、しかも外部の視点、一般の市民の方々の視点も交えてこういう議論をするのが非常に重要だというふうに実感いたしました。  翻って、今のこの法案の中身をやや先取りして、行政減量効率化会議ですか、セコムの飯田さんが座長になって議論をしておられると思うんですが、これ国の事業全体を、それこそ一般会計のみならず、最近問題になっている特別会計まで含めて議論をするということになると、相当膨大な作業をやっていかなければいけない。今の事業見直し、事業仕分というものを行うに当たっては、仮にサンプリングでやったとしても相当な部分をやっていかなければいけない。従来財務省の主計局が予算の査定作業ということでやってきたというようなことを、もっと根っこから、一般人の本当に良識ある視点から、サービスの受益者の視点を交えてやらなければいけないと思うんですが、果たして今、政府はそれを六月までにこの行政減量効率化会議においてやるというふうな姿勢だというふうに伺いましたが、今、加藤参考人が仄聞されている限りで結構ですけれども、それは十分加藤さんが今おっしゃったような形で行われている、あるいは行われていくような体制にあるというふうにお考えでございましょうか。
  28. 加藤秀樹

    参考人加藤秀樹君) この資料の三ページ目に「「事業仕分け」が国レベルで採用されるに至った経緯」というものを付けております。先ほども少し申し上げました。この中の真ん中に、与党にプロジェクトチームが設立されたと書いてあります。ですから、私はこの作業政府・与党、きちんとやっていただけると確信しておりますし、国会のせんだっての答弁の中でも、総理もその具体的なやり方をちゃんと示してくれというお答えをなさっておりますし、それから北側大臣も事務事業仕分というのは重要でこれはやるんだという御答弁をなさっております。ですから、確実にやっていただけるし、これは正にその国益にとって非常に大事なものだと思いますけれども。  ただ、少しやっぱり心配がありますのは、先ほどの県とか市のときも、やはり自分たちがこの予算を作ってきたという立場の方は、まあ、いい悪い含めて、これでいいんだと、本当にそう思い込んでいるんですね。ですから、外からの声というのは何か余計なやつが、素人が何言っているんだみたいなところがあります。これは国についてもやはり同じことが言えるんだと思います。ですから、そこはこの際、国益のためにちょっとやってみようよと。  それと、一つ間違ってならないのは、これはあくまでも国会での審議、予算の審議とは違いますから、何らかの権限を持ってやるわけではないんですね。あくまでも外の人たちの意見を虚心坦懐に聞いてみようという作業なんですね。ですから、それを受けた上で、それを大いに参考にして実際の予算の編成審議に生かしていただこうということですから、ここが実は、あれはあれでこっちはこっちでというふうになると生きないわけですから、きちんと生かしていただきたいなと。  もう一つ大事なのは、やはりオープンなところでやるわけですね。それで、これは残念なことに、最初の我々が主張していたところ、それから閣議の決定、それから法案になる、この過程の中で公開の場所でやるという言葉が実は抜けております。透明性を確保というようなだんだん抽象的な言葉になっておりまして、しかし、やはりこれはどうしてもオープンな場所でやるというところが不可欠でありますので、その辺のところは今後是非国会審議の中でも確実にしていっていただきたいなと考えております。
  29. 松井孝治

    松井孝治君 加藤参考人に最後の質問をさせていただきたいと思うんですが、今おっしゃっていることをお伺いしますと、財務省の主計局なんかの予算査定作業、あるいは総務省には今行政評価局というものがございます。ここが行政評価を行うという作業自体を、むしろそこのプロセス自体を全く変えていって一般の行政サービスの受益者をそこに参加させるとか、あるいはそこをもっと透明度を上げていくとか、そういった工夫自身も必要ではないかというふうにも考えられるわけですが、この法案だけではなくて全体の、そもそも国がどういう仕事をするべきか、どこまでのことはむしろ地域に任せるべきだ、民間に任せるべきだというような査定プロセス自身を変革することについて、どのような必要性があるとお考えでしょうか。
  30. 加藤秀樹

    参考人加藤秀樹君) 今、松井議員のお話の中の査定プロセスを含めて制度的なことも考えるべきだと、これはこれで私は一度大いに議論をすべき話だと思っております。実際にこれはいろんな専門の方がニュー・パブリック・マネジメントという言葉の下で財政制度あるいは予算の組み方について研究をなさっております。  実際にイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダといったような国では、ある意味では大いにこの査定当局が各省、要求官庁に対して自由度を与える。ただ、自由度を与える一方で、それは査定は細かいことは言わないけれども、自由度を与えて、しかしそれを実際に使っていくときに年じゅうきちんとモニターをしていくという意味でなかなか、財政当局がむしろ主導に結果的になっております。これは一つ大いに参考になることでしょうし、こういうことは、やはりこれはこれとして大いに御議論していただきたいなと私も考えておりますけれども。  今回の作業はむしろそれとは別に、やれるあるいはやらないといけない話であって、こんなことは私は本当に数十年に一遍やればいいと思うんですね。取りあえずあかがたまったらぶるぶるっと振るってやる作業でありまして、毎年毎年、毎年の作業はそれとして、これはこれとしてやって、ですから、先ほどの御質問の中に膨大な作業になるだろうということですけれども、まあこれは六十年ぶりのことですから少々膨大になってもこれはこれとしてやっていただきたいなと、それぞれを並行してお考えいただきたいなと、こんなふうに考えております。
  31. 松井孝治

    松井孝治君 今おっしゃったように、六十年に一回のあか落としということですから、これからこの法案がどういうふうに審議されるかにもよりますけれども、少なくとも政府側は今の参考人の御意見も踏まえて作業をされるものと私は期待はしたいと思っておりますが。  稲継参考人田中参考人にちょっと共通することがありますので御質問をさせていただきたいんですが、先ほど田中参考人が、この公益法人制度も、これもそれこそ六十年どころではない制度でありますが、負の遺産も多々あったと、それの清算も今回の制度改革に当たって行わなければならないということをおっしゃいました。  この委員会でも議論をされてきたことでもありますが、非常に中央官僚の天下りが公益法人に多数行われていて、業務も公益法人にアウトソースするという形で、そこを、しかし公共的な業務をアウトソースするから役人の関与が必要だということでたくさんの天下りがなされていて、そこに非常に多額の補助事業などが無競争随意契約で行われているという実態は、これは与野党を超えて指摘が行われているところでありますが、こういうことを本来民間法人である、民がパブリックを担っていくという、そこの担い手である公益法人を官がむしろ支配しているという実態も、それがすべてではありませんが、現実には行われているわけです。  ここについて、先ほど田中参考人は蛇口を閉める改革が必要だというふうにおっしゃいましたし、こういう今回の制度改革は、若干その蛇口を閉める方向にも働くんだと私は思いますけれども、しかしこの委員会でもあるいは衆議院でもいろいろるる議論をされてきたような、その公益法人を官が支配する構造というものを、本当にこの制度改革だけで十分そういう弊害を、あるいは負の遺産を取り除けるというふうにお考えなのか、あるいはそのためには何らかのもう一歩進んだ措置が必要だと考えられるのかどうかを田中参考人に。  それから、稲継参考人には公務員制度の関係で、この早期勧奨退職制度というのが非常に問題になって、総理も是正するというふうにおっしゃっていますが、この早期勧奨退職制度というものを、まあ制度というか慣行というものがここまで来たというのは、私は一つの大きな要因として級別定数の管理というものが行われていて、これも年功序列制度と一体のものでありますが、ある年限に来た人たちのもう定数が存在しない、したがって外に出さざるを得ないというような省庁側の反論といいましょうか、そういう説明もあるわけでございまして、この公務員制度自体がこういう今の制度的な枠組みの中では早期勧奨退職を余儀なくしている部分があるんじゃないかという意見もあるわけですが、その点についてこういう天下り制度をどういうふうに是正するか、その背景としてある現状の公務員制度をどう変えるべきかということについて稲継参考人の御意見も伺いたいと思います。
  32. 田中弥生

    参考人田中弥生君) 貴重な御質問をありがとうございます。  まず、今回の公益法人制度改革で先ほどおっしゃられた天下りの問題、それからそれと対になっていますが、補助金、不必要に多い補助金の問題が、また随意契約等々の事業委託、これが解決されるかということなんですが、先ほど御説明もさせていただいたんですが、主務官庁制度を廃止したということは予防策にはなると思います。ですが、蛇口と申し上げたのは、これはやはり公務員制度、それから国家公務員法、こちらの方でやはり処理をしていただく必要があると思います。  ただ、私は公益法人側の自助努力というものもかなり問われていると思いまして、やはりこれはNPOの方のアンケートを取りましたけれども、私たち自身がお上に知らぬうちに依存をしている意識が非常に強いんです。自分たちは民間のイニシアチブで頑張っていると言いながらも、どこかで頼りにしているところがあります。そこをやはり自立したその規律に基づいて自分たちの組織を経営するというマインドセットと、それから具体的な努力が必要になってくると思います。  この法案では検討がされてはいませんけれども、そういう意味で先ほど申し上げた寄附を、民間からどれだけ自分たちに必要な資金を調達できるかということは一つその試金石になるのではないかと個人的には考えております。
  33. 稲継裕昭

    参考人稲継裕昭君) どうも御質問ありがとうございました。  従来の、特にキャリア官僚たちでありますけれども、同期採用同時昇進で、同期の者の一部が局長になった時点で他の課長たちは、昇進できなかった者は外に出ていく、大部分は公益法人とか特殊法人に出ていくというアップ・オア・アウト型の昇進競争がずっと続けられてきました。これが早期退職慣行を生んできたわけです。  さらに、同期の局長の中で事務次官が出れば他の局長は退職する、公益法人あるいは特殊法人に天下りするという、こういう退職慣行があったわけですが、これは一方で官僚たちの中に相当激しい出世競争を導く。まあ一生懸命働くというプラス面がありましたが、他方で不透明な天下り先との関係が指摘されているところであります。これは、その同期の中での競争を生み出しつつ、じゃどうやって不透明な関係を是正していくのかという非常に総合的な見地に立った検討が必要なことかなというふうに思います。
  34. 松井孝治

    松井孝治君 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
  35. 山下栄一

    ○山下栄一君 今日は朝早くからありがとうございます。  各参考人の皆さんに質問させていただきたいと思います。  まず、稲継参考人に御質問したいと思いますけれども、二十世紀の終わりから二十一世紀の初めにかけまして、この行政改革の努力がずっと続けられてきているわけですけれども、特に二〇〇一年の公務員制度改革大綱、それに基づく二〇〇四年の法案化の提出の動きがあったわけですけれども、私はこの動きを大変心配しながら見ておりました。  それは、この戦後できました国家公務員法、この根幹が骨抜きに、いい面ですね、これが骨抜きになってしまうのではないかと、こういうことを懸念したわけでございます。人事行政はどこが担うのかと、それが当初は人事委員会というのがあり、それが最初の改正で人事院という非常に独立性の強いそういう組織ができました。  そのうちに中央人事行政機関として内閣総理大臣が加わり、そして各省庁が実権握るような、そういう動きが大変強くなってきたように思います。特に、この人事行政、中立性、公正性の確保という、この理念がこれは人事院の大きな役割、私、柱だと思います。もう一つはまあ代償機能があるわけですけど、この中立性、公正性の確保というこの憲法の要請に基づくものが非常にぼやけてきているという動きが私が申し上げた二〇〇一年の公務員制度改革大綱であったのではないかと、こういうふうに感じております。  基本的に人事院の機能を縮小していこうという、そういう動きが、参考人も御指摘されたと思いますけど、そういうことであったのではないかというふうに私は感じておるわけですけど、特に中立性、公正性の確保はきちっとやるという、このことは国家公務員法の法の魂ではないかと、このように感じておりまして、その点に関する稲継参考人の御見解をお伺いしたいと思います。
  36. 稲継裕昭

    参考人稲継裕昭君) どうも貴重な御指摘をありがとうございました。  戦後、昭和二十二年に最初の国家公務員法ができまして、翌二十三年に大改正がなされ、現行国家公務員法が制定されております。それ以来、数十年にわたってその国家公務員法の下で日本国家公務員が働いてきたわけです。  根幹にかかわる部分は成績主義の原則、それから政治的中立性の原則でございます。政権がたとえ替わっても、国民に奉仕するという全体の奉仕者性を失わないという根幹がこの国家公務員法規定されております。それをゆるがせにするような改正は、これはあってはならないことではないかというふうに思います。
  37. 山下栄一

    ○山下栄一君 ありがとうございます。  もう一歩突っ込んだ御見解聞きたかったんですけど、答えにくい面もあるかも分かりません。  この成績主義ですね、これが法律には明記されているけれども、実際の運用でこれもまあ骨抜きにされてきた歴史があるわけですけれども、今各省庁で、課長クラスでしたか、この試行を半年ほどやって、それに基づいて能力評価、業績評価を具体化していこうという、そういうことが今行われておるわけですけど、まだ結果は出ておりませんが、この作業についての御評価を稲継参考人にお聞きしたいと思います。
  38. 稲継裕昭

    参考人稲継裕昭君) 人事評価試行に関する御質問でございます。  既に国家公務員法上も実は勤務評定に関する規定がありまして、昭和二十年代に様々な勤務評定に関する諸規則を制定して始めたわけですけれども、その後、事実上の凍結状態になっております。各省庁、現在も勤務評定という形で形式的に実施しているところもありますが、実態的な評価にはなっておりません。これを今度、本格的な人事評価にしようということでありました。そういう意味では、従来のやってなかった評価からやる評価へということで一歩前進ということは言えるかなと思います。  ただ、評価シートを見た場合に、能力評価あるいは業績評価もそうですが、目標管理制度についてそれぞれが比較的自由に目標管理をできるということであります。全体的な、国全体のミッションとそれがどういうふうにつながってくるのか、省のミッションとどういうふうにつながってくるのかというところがややぼやけているような感じがいたしまして、このまま、評価シートのまま例えば給与に差を付けるということはちょっと難しいのではないか、もう少し精緻なものを今後作っていく必要があるんではないかなというふうに思います。  現実に地方自治体の場合にはもうかなり様々な評価シートが作られておりまして、先進的なところでは相当、市のミッションとそれから部のミッションとつなげて、部のミッションから課のミッション、それから課のミッションと自分の仕事をつなげる形の目標管理システムを置き、それの達成度合いを見、そしてそれを評価してそれを様々に活用するということが行われております。  それに比べるとちょっと、国の場合はややちょっとスピードが遅いかなというふうな感想は抱いてはおります。
  39. 山下栄一

    ○山下栄一君 稲継参考人にもう一点。  先ほど稲継参考人も、また山家参考人もおっしゃったと思いますけど、退職管理の話ですけれども、これももうずうっと大きな課題になっておるわけですけど、特に最近は国民の関心が高まりまして、できたら今国会で、せっかく行政改革推進法が出ているんだから具体的な改革をしてもらいたいという強い要請があるように思うわけです。  早期退職慣行の是正も大事な観点だというふうに私は思います。キャリアシステムの見直しもそうだと思いますけれども。定年制は元々国家公務員法に書いてあるわけですよね。その定年制はやはり大事にすると。定年制を維持しながら、しかしもう一方で、何といいますか、退職後の給与なり再就職の道をきちっと整えるということが大事だというふうに思うわけですけど、そういう意味でいろんな考え方が提案されておるわけですけれども、我が党も予算委員会等で提案しているわけですけど。要するに別の給与体系で、例えば特別職、一般職の方々を特別職という身分にして、そして専門的な別の給与体系を作ってその受皿をつくっていくという。で、給与現職のときよりは下げると、下げる基準も明確にするというふうなことも提案されているわけですけど、その辺に対する御評価といいますか御意見をお伺いしたいと思います。
  40. 稲継裕昭

    参考人稲継裕昭君) 退職管理の問題でございます。  国家公務員法上は定年、六十歳まで皆勤めることになっておりますけれども、キャリア官僚の場合は事実上、五十代前半から天下りという形での早期退職が実態となっております。実は官僚の内部、人事を活性化するという点ではある程度の選別をしていかざるを得ない。で、選別された場合に、偉くなった人はいいけれども、それ以外の人が残っていていただいてはその省の中の活性化が図れないという、二律背反といいますかトレードオフの関係各省は持っているわけです。そこで、上がれなかった人について外に出てもらおうということをずっと続けてきたわけであります。  通常、ほかの国ならばそういうことをどうするかということですけれども、事実上もう中に置いているという場合もありますし、それからもう辞めていただくという場合もあります。  辞めていただく場合に、通常、ドイツもフランスも、それからアメリカやイギリスもそうだと思いますが、最終の俸給の七〇%の年金が死ぬまで支給されます。つまり、最後の俸給が一千二百万だとすると九百万とか一千万の年金が死ぬまで支給されるというそういうことになっていまして、それは安心して辞めれることができると思うんですね。  ところが、日本の場合は、今の共済組合の年金ですら高いという議論があって、それを下げろという議論に今なっていますので、三百万ない年金で死ぬまで、五十歳前半で辞めてそのまま粛々と暮らせというわけには、これは多分いかないと思います。  そこで、やはり今御提案のありましたように、何らかの形で公務で面倒を見るということ、六十歳までは少なくとも面倒を見るという様々な仕組みを考えていく必要がこれは是非あると、是非必要あると思います。  ただ、早期退職という形の従来の天下りがなくなっていった場合に、優秀な若者が入ってきてくれるかどうかという点はまた別の問題でありまして、今東大の法学部なんかでももう官僚志向が非常に低下しております。それを今後どういうふうに考え、見直していくのかということは、今おっしゃった別の給与体系も含めて議論していくべき話かなというふうに思います。
  41. 山下栄一

    ○山下栄一君 どうもありがとうございました。  加藤参考人にお願いしたいと思います。  この事業仕分の手法というのは、これは加藤参考人が行革の根幹の効果的な案として提案されて、我が党ももう全面的に共鳴をいたしまして、先ほど来おっしゃっていただいておりますように、マニフェストに反映させ、そして今回の行革の重要方針、この法案の土台となった閣議決定にも事業仕分という言葉を書き込むことに大変こだわったわけでございます。  仕分という言葉法律になじまないという議論も法制局等からもあったわけですけれども、非常にこの定義が不明確だというようなこともあったわけですけれども、最終的にはいろいろ議論の末、与党としてこの閣議決定に、特に理念のところ、そして特別会計のところ、先ほど御紹介出たとおりでございまして、総人件費改革のところ、市場化テストのところ、明確に書かれておるわけでございます。透明性のところ、先ほどちょっと問題点おっしゃっておりましたけれども、民間の方々等の意見も入れながらと。そして、事業必要性、そして必要があってもそれは国でやるべきことなのかと、地方か民間かというようなことまでも全部基本的に加藤参考人の考え方であったわけでございます。それが今回の法案に網羅されておるわけでございます。  そこで、具体的にお聞きしたいわけですけれども、確かに法案には書き込まれたけれども、今後きちっとされていくのかということが大変大きな課題でございます。与党にもプロジェクトができ、北側大臣も答えておられるからという非常に期待のお声も先ほどおっしゃっていただいたわけでございますが。  この特別会計ですね、特別会計について基本的に省庁が行うというスタイルに、仕分そのものを、という感じでとらえられていると思うんですけど、ただ、これは今後どうしていくかということが大きな課題で、総人件費のところとか市場化テストのところは第三者委員会仕分できる分野があるわけですけど、そういう体制もできております、法律事項にもなっております。しかし、特別会計のところはそういうところが明記されておりません。  そういう意味で、この特別会計のところのやり方ですね、これはもう大変な作業になっていくと思いますけれども、具体的に効果あらしめるためにどのようなことを踏まえてやるべきかと。これからの、個別法も出てくると思いますが、そのときに、審議の過程で、また個別法できるところできちっと事業仕分の理念が反映されるようなアドバイスをお願いできればと思います。
  42. 加藤秀樹

    参考人加藤秀樹君) 正に今の御質問の中にありましたように、法律ができたからといって、それが実際に本当に実現できるかどうか。それはまた次のステップだと思いますが、これは、やる中身としては先ほども申し上げましたけれども作業なんですね。そんな難しいことは全くないわけです。ですから、一つにはその作業をやる気があるかないかみたいな話になります。それからもう一つは、その作業をやるに当たってのこれはしつらえ方だと思います。  ですから、私は、現実的なやり方としては、まず特別会計なら特別会計の中で一つサンプル的に、どの特別会計でもいいと思います、これはまたどれを選ぶかというのはなかなか難しい問題で、いやいや、うちはやりたくないよみたいな話で、どこからというのは難しいと思いますけれども、これはどこか本当にサンプル的に少数の事業を選んでいただく。で、それをオープンな場所でやってみると。最初は、そこでやったものは、これはまあちょっとした実演であって、それがすぐにそのまま予算の査定に結び付かなくてもいいぐらいのところからスタートしてもいいんではないかなと。  それからもう一つは、これをやるためのきちんとした仕組みがやはり必要だと思います。外の有識者と議論するとすれば、どういう基準でその人たちを選ぶのか。先ほど公益法人改革のときにも第三者委員会という言葉が出てきましたけれども、常にやはりどういう人を選ぶのか、それをどういうスケジュールでやっていくのかというこの枠組みをやはり併せて考えていただくことも大事だと思います。  そうでないと、サンプルで終わってしまったんでは、これは続きませんから。ですから、その仕組みづくりと、まずは小さいきっかけをつくっていくというような工夫かなと。  それで、これは先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この二十四日に議員会館の会議室で、これもまた本当にサンプルのサンプル的に実演してみたいと思います。そういうものは構想日本が、これは制度化されてないところで、いろいろ世の中に対して見せていきたいと思いますんで、まあそんなものを踏まえて段階的にと。それから、何度も申し上げて恐縮ですけれども、これはオープンな場所でやるというのがどうしても大事だと考えております。
  43. 山下栄一

    ○山下栄一君 この仕分作業に当たって、今おっしゃったオープンなところでという、法律にも一応明記されてあるわけですけど、先ほど不十分だという御意見もありましたが。  それと、役所の方、で、民間の、民間って有識者を含めた方、自治体の方も含めるということについてはどうでしょうか。
  44. 加藤秀樹

    参考人加藤秀樹君) 自治体の人は、これはやはり行政の現場にいますし、国から都道府県経由で市町村仕事が流れ、お金が流れ、ですから、やはりその現場の人というのはお金の実際の使い方をよく知っております。もちろん、自治体にもいろんな方がいらっしゃいますけれども、非常に優秀な方、随分大勢いらっしゃいますから、こういう人には是非入っていただきたいなと。国の、まあ公務員も知らないうちに、付けた趣旨と違うところで実は補助金が使われているというようなことも多いんですね。で、現場の人を入れる、これは企業でも同じだと思います。やはりリストラやっていくときに現場の声を聞く、現場の人を大事にするというのは、やはり非常にポイントになると思います。
  45. 山下栄一

    ○山下栄一君 ありがとうございます。  田中参考人にお聞きしたいと思いますが、先ほどからもお話ありましたけど、公益性認定委員会のメンバーですね。先ほどこういう方々排除してはどうかというのございましたけど、こういう方々排除すると残る方々がなくなってくる。どういう方がふさわしいかということになっていくわけですけど。私は、経歴、実績ですね、功績とか、そういう方がどういうことをされてきたかと、国民の側に立ってというふうなことなんかも大事かなというふうに思ったんです。  このメンバーによってこれはもう効果が全然変わってしまうと。せっかくの田中参考人に御評価いただきましたこの大きな行政の理念の大転換にかかわるような、公益性認定そのものを官庁はやらないで民間がやるというこの仕組みそのものが実際選ばれた人によって変わってしまうということがありますので、何かもうちょっと、もう一歩突っ込んだ何か人選の御提案ございましたらお願いしたいと思います。
  46. 田中弥生

    参考人田中弥生君) 質問、ありがとうございます。  大変難しい質問であります。これはまずい、これはまずいというのはいろいろ浮かぶんですが、じゃ積極的に何がいいかということについてはなかなか私も浮かばないところがあるんですが、先ほどおっしゃった経歴で申し上げますと、やっぱり一つはどうしても法律の知識をお持ちの方が必要。それから、財務、経理のことがお分かりになる方もどうしてもこれは技術上のチェックとして必要になるかと思います。あともう一つは、私は、やはり民間のイニシアチブで、民の発想でいろいろな非営利組織の経営をして分かった方たち、その苦労を分かる方たち、こういう方たちにも是非入っていただけたらというふうに思っております。
  47. 山下栄一

    ○山下栄一君 ありがとうございました。  山家参考人に質問できなくて大変申し訳ございませんでした。時間の都合で申し訳ありません。  以上で終わります。ありがとうございました。
  48. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。今日はどうもありがとうございます。  どうも稲継参考人からお聞きすると山家参考人まで行かないみたいなので、私は山家さんの方から、逆の順番でお聞きしたいというふうに思います。  山家さんは、山家先生は小泉構造改革に大変厳しい批判をずっとされてこられまして、心から尊敬をしているところでございますが、今日は社民党の推薦ということでございますけれども、この行革推進もそうですし、社会保障問題もそうですし、増税問題もそうなんですけれども、私、五年間、小泉内閣の手法、竹中流手法といいますか、見てきまして、結構脅しの論理といいますかね、が使われてきているなと。特に今言った社会保障や増税、あるいはこの行革推進もそうですが、財政が危機なんだと、財政危機だからということで、国民の皆さん、いろんな面で我慢してくれと、公務員の人も我慢してくれと、こういう論理でずっと来ているところがあると思うんですね。  で、財政がもう大変なのはもうみんな分かっているとおりでございますが、そこまでちょっとまあ、もうみんな我慢させられると、きゅうきゅうになると、私はもう脅しの論理じゃないかなと思っているんですけれども、山家先生は財政の専門家でもありますから、この小泉内閣が使ってきた財政危機論、このキャンペーンといいますか、こういうものについてどう思われているか、まずお聞きしたいと思います。
  49. 山家悠紀夫

    参考人山家悠紀夫君) 今御質問のありましたとおり、財政危機については私はかねてから誇大宣伝だと、確かに危機だけれども、そうまで言わなくてもいいだろうという感じで見ております。  予算に関する財務省の資料などを見ますと、国債残高が五百何十兆になったと、こういうふうに上がってきたと、これは一世帯当たり幾らだと、一人平均で幾らで一世帯当たり幾らというような例え話が作られています。  それはそのとおりなんですけれども、ただ財政の実態を見ますと、日本政府部門全体の借金と日本政府部門全体の資産とを比較してみますと、二〇〇四年末の数字が四月の終わりに発表されましたけれども、日本政府はまだ資産超過なんですね、五十兆ぐらい。金融資産とかあるいは固定資産、土地等々を足し合わせた総資産、これ九百三十兆ぐらいだったと思います。それから、国と自治体、借金総額が八百何十兆、差引き五十兆ぐらいの余裕がまだ日本政府にはあると。  ですから、国民一人当たりの借金が幾ら幾らと言うからには、国民一人当たりの資産も幾ら幾ら、差引き幾ら資産がまだ余っていますと、そういうふうに言うべきではないかと思います。そういう意味で非常に誇大宣伝。  そして、借金の残高を一生懸命宣伝しているんですが、政府の具体的な施策を見ますと、これにはとても手を付けられないと。取りあえずは基礎的財政収支の均衡ですから、この目標を達成したとしても、まだ借金残高は増え続けることになります。国債発行額を国債費、過去の国債の償還と金利負担分に抑えるということですから、金利負担分だけは国債残高が増えていく、そういう政策しか取らざる、取れないというか、あるいはそういう政策を取って大丈夫だと思っていらっしゃる。ということは、借金残高自体は、取りあえず減らす目的も目標も政府は全然掲げていらっしゃらないので、国民に宣伝される財政危機と具体的な政策は明らかに違っている。どう見ても誇大宣伝、脅しの論理。だから、それによってあれもやらなきゃ、これも切り詰めなきゃいけない、あれも切り詰めなきゃいけないという格好で法案を通りやすくするというのは大変問題の政策ではないかと思っています。  そして、今日たまたま関連しましたので御紹介しましたけれども、国際競争力という考え方もそうでありまして、国際競争力が大変だから何とかしなきゃいけないと言うけれども、国際競争力が大変だというのは、日本はさっき言いましたように一番世界で強いわけですから、日本が大変であったらほかの国はもう大変な国が百幾つかあるわけで、日本が頑張ればほかの国はもっと頑張らなきゃいけないという、何か貧しさの競争みたいになっていくということで、おっしゃったとおり、こういう危機宣伝というのは十分慎重に政府にやってもらいたいし、国民の方でもきちんとその実質というか、それを受け止めて考えなきゃいけないというふうに思っております。
  50. 大門実紀史

    大門実紀史君 どうもありがとうございます。  田中参考人にお聞きいたします。  公益法人について大変的確な御指摘をいただきまして、委員会質疑でも田中参考人の御指摘の点そのまま質問にしたいぐらいいろいろ示唆に富む、私は今ちょうど田中参考人の論文を読ましていただいているところなんで、それも含めて、ですから個々の点でお聞きしたいことは一杯あるんですけれども、せっかくの機会ですから。  私はふだん財政金融委員会というところにおりまして、このNPOとか公益法人といいますと、税制の問題でかかわったことはございますけれども、ですから余りそのものについてふだん詳しいわけではないんですが、若干この間気になるなと思うNPO、公益法人の議論がありまして、というか、私が危惧しているだけかも分かりませんけれども、よくアメリカと日本のNPOについて比較がされます。公益法人もそうですけれども。  アメリカは非常にNPO活動盛んなところですが、ただ歴史が違って、アメリカは元々小さな小さな政府でございますし、コミュニティーはその分発達している、あるいはマイノリティーの問題がある、あるいは寄附とか慈善活動が非常に評価される社会とか、そういう何といいますか、やむにやまれぬところから生まれてきたのがアメリカのNPOの世界だというふうに、私一度アメリカで、行ってそういう話も聞いたことがございますが、理解しているんですが。  日本のNPO、公益法人、NPOの方ですけれども、どうもこれから小さな政府にしていくと、そうすると皆さんにやってもらうしかないと。何か上から、お上から言っているようなところがあって、本当の市民社会の成熟としてのNPOとか、あるいは公益法人がこれからどうなるかとか、そういうものではなくて、そのために、最初は税制の問題で渋っていたのを、じゃちょっといろいろやってあげようかとか、何か組立てが随分違うような気がしておりまして、そういうものにNPOとか公益法人が、これから小さな政府をつくるんだと、もう国はやらないんだと、みんなでやれという中で押し付けで、お仕着せでそういうふうにやられると、そもそもそういう活動の、本来はやっぱり日本でもあるべき地域社会、市民社会の成熟したもの、その中からニーズとして出てくる、自発的に出てくるものだと思うんですけれども、ちょっとこの間議論が、代わりにやらせようというふうなことに傾いているんじゃないかというのを感じたりするんですけれども、田中参考人の御意見を聞きたいと思います。
  51. 田中弥生

    参考人田中弥生君) 非常に示唆に富む、逆に私の方が考えさせられる質問をいただいたと思います。  それで、ただ若干危惧しますのは、NPOの話と公益法人の話をここで一緒にしていいのかということについては少しちゅうちょいたします。それを少し念頭に置いて、私の全くの個人意見を申し上げれば、おっしゃるとおりのところが実は私も一番心配しております。つまり、先ほど地域を担うのはNPOではないかという二之湯議員の御説明がありましたけれども、宿題があるというふうに申し上げたのはその点でありまして、やっぱりその資金、元々非営利法人というのは資本を持たない法人であります。ですから、それ自体、実は非常にやりくりの難しい、経営の難しい法人なんですが、どうしてもそうなりますと補助金やその委託金に手を出したくなる、非常に魅力的に映ります。なぜかというと、精算型になっていますので。  そういう意味で、実はその公益法人のみならず、NPO法人の方も業務委託、行政からの委託というものに傾斜する傾向というのは見られるのではないかと思います。これはおっしゃるとおり、私は余り過度にそこに依存をしてしまうと、公益法人が、先ほどゆがみの部分と申し上げましたが、いつか来た道をたどってしまう危険性が大いにあると思います。そういう意味で、今この制度を整えようとしておりますが、同時に非営利法人側を自ら律するその方向性というものをやはり議論していかなければいけないと思っております。
  52. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございました。  次に、加藤参考人にお聞きいたします。先ほどニュー・パブリック・マネジメントの話が少しございましたけれども、日本ではこのNPMですね、ニュー・パブリック・マネジメントという考え方がまだ浸透まで行っていないと思いますが、一般化しているといいますか、そういうことでやろうというふうな方向になっていると思います。中身は何といいますか、業績・成果主義といいますか、という柱と、もう一つはやっぱり市場メカニズムを入れていくということだと思うんですけれども、この一口にNPMといっても随分、外国ではもう既に行われていますが、随分方向が違う部分がありまして、アングロサクソン型といいますか、もう日本は最近何でもアングロサクソン型のまねをしているんですけれども、イギリスとかニュージーランドとかアメリカとか、そういうアングロサクソン型のNPM、ニュー・パブリック・マネジメントと、北欧型といいますかヨーロッパの大陸型といいますか、のニュー・パブリック・マネジメントは若干違いがあるようでございます。  何が違うかというと、明確に分けるのは難しいところありますが、少なくとも市場メカニズムを入れていくことに対するちゅうちょといいますか、その分もっと人間を大事にしようというのが北欧型といいますか大陸型というふうに、そういう傾向として分類されるところがあります。  私は心配するのは、日本は何にも考えてないんですね。すべてそうなんですけれども、何でも新自由主義、何でもアングロサクソンと。私はもうどうなっているのかと思いますけれども、とにかく同じニュー・パブリック・マネジメントという手法を全部は否定しません、幾つかはやっぱり効率化の面で住民のためにも重要な部分はありますが、そのヨーロッパ、北欧型とアングロサクソンでも、そんなにみんな思想を持って国の歴史を踏まえて違いがあるのに、日本は何も考えず手法だけで考えていて、しかもアングロサクソン型の一辺倒と。私はその辺に非常に危惧を感じるわけですけれども、加藤参考人のお考えをお聞きしたいと思います。
  53. 加藤秀樹

    参考人加藤秀樹君) 今の委員の御指摘、私は全く同感であります。  かねがね、私はやはり私自身、日本が大好きですし、そのために「構想日本」なんて変な名前まで付けておりますし、やはり国の仕組みというのは、よその仕組みを持ってきても体に合わないものは合わないわけですね。ですから、そこはよく考えないといけない。であるからこそ、この事業仕分というのはこれ作業なんですね。これは多分、与党が今主導でやっていただいているわけですけれども、国会で私は共産党も含めてすべての議員に御賛同していただけるんじゃないかな、正に国民とか住民の目で見て、これ要るのかな、要らないのかなということをオープンに議論しようということですから、これは何型でもない、正に国民型だと、こう考えていただきたいなと思っております。  それから、ニュー・パブリック・マネジメントというのもいろいろあると思います。ですから、私は使えるものは使えばいいと思いますけれども、やはり最初に申し上げましたけれども、まあ先ほど委員お話の中にありました日本に合うか合わないかというのもありますし、それから、成果とかあるいはマーケットで決められないものを元々行政がやってきたわけですから、ですから、それをすべてゆだねるというわけではないと。ただ、やはり従来、余りにも霞が関という言葉代表されるような官の世界の中の考え方だけでやってきたものですから、何遍も同じことを申し上げて恐縮ですけれども、これは年に一遍の大掃除、六十年に一遍の大掃除であって、先ほども申し上げました、ある県の担当者の、ポニーに乗せる、漢字だけで考えることに頭はなってしまっているわけですね。ですから、そういう意味での私は、公務員制度の改革というよりも、むしろ公務員の頭の中の洗濯の方がそういう意味で大事ですし、そういう意味でもこれは効果があるんじゃないかなと、こんなふうに考えております。
  54. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございました。  じゃ、稲継参考人にお聞きいたします。  私は、何でもかんでも官でやるべきだとか、また逆に何でも民間がやればいいというふうにも思いませんし、公務員が多ければいいということも思いません。効率化は重要だと思います。ただ心配なのは、この間の国会の議論も、マスコミも学者の皆さんもそうなんですけれども、何かみんなが官から民がいいと。みんな一つ方向に、私これ危険な状況じゃないかと。やっぱりアンチテーゼがあっていいし、本当、細かいなという世界があっていいし、きちっとした冷静な議論なしに、とにかく公務員は少ない方がいいんだと、とにかく官から民がいいんだと、これが非常に、マスコミを含めて、学者の先生方も含めて、山家先生みたいな方いらっしゃいますけれども、一つ方向に行っているのは非常に危険じゃないかなということを思います。  そういう点で、官から民というのは一体何なのかということをよく見極めなきゃいけないと思って、国会でも審議に入っているところでございますけれども、私、国会で今調べていることでいくと何のことはないと、官から民とかいったって、特定の企業のもうけ話だったりしたりするわけですね、裏を返せば。そんな話は結構転がっているわけですよね。何が官から民だというふうに思ったりもしたりする部分もあります。  そういう点でいくと、官から民がいいことなのかどうかというのは、公と民との行動原理の違い、論理の違い、こういうものをきちっとまず踏まえないといけないと思います。民間企業が存立するといいますか、存在して活動するのは、もう紛れもなく、当たり前のことですけれども、利益を出さなきゃいけませんから、利益を追求するわけですね。それは公務、パブリックとは行動原理が違います。これをきちっと見極めないで、ただ民がやればいいというふうにやっていったその先に何が起こるのかと。一番悪い例が、全部民になって民が利益追求をひたすらやると、もう耐震偽装だとかライブドアとか、こういう世界になるわけですね。そこのところをよく見極めないといけないと思います。  それで、今まで官がやっていたものを民にする場合、そのことをちゃんと見極めなきゃいけないと思いますけれども、そういう点で、官から民を冷静に見た場合のメリット、デメリットという点を稲継参考人はどういうふうにとらえていらっしゃいますか。教えてもらいたいと思います。
  55. 稲継裕昭

    参考人稲継裕昭君) 大変難しい質問を最後にいただいたわけであります。  行動原理、それぞれ官と民と異なるわけですけれども、官には官の、民には民のそれぞれのメリットがあって、歴史的には官から民へ、あるいは民から官へ動いた時代がございます。二十世紀初頭以降の福祉国家現象の中では、民でやっていたものをどんどん官に吸い上げてきた時期が、これ一九四〇年代、五〇年代ございました。一九七〇年代の終わりに、サッチャー、レーガン以降ですけれども、今度は官から民にという歴史の振り子が逆に動いているわけです。二百年、三百年単位で見ますと、これは行ったり来たりしているという状況で、今は官から民へという流れの段階だと思います。  ただ、官から民、民だけにメリットがあるわけではなくって、官でなくてはできない仕事もたくさんございます。それがめり張りを付けて是非必要だと申し上げた安全、安心にかかわる分野、例えば耐震偽装の建築確認申請をするようなところはやはり官に残しておくべき部分であったかと思います。逆に、多くの自治体で既に民間に委託しているような業務を官で全部抱えているような、直営でやっているようなものもたくさんあります。全国で集めるとこれ数十万人単位の規模になるわけですけれども、そういうところは、既に民でできているところはどんどん民に任していけばいいと思います。逆に、どうしても官でなければならないところをきっちりとこれは守っていく必要があるというふうに思います。
  56. 大門実紀史

    大門実紀史君 以上でお聞きしたいことは終わりましたんで、終わります。  ありがとうございました。
  57. 近藤正道

    近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  今日は四名の参考人の先生方、本当に貴重な、そして示唆に富む問題提起をいただきまして、本当にありがとうございました。勉強になりました。  最初に山家参考人にお尋ねをしたいというふうに思います。  政府は、簡素で効率的な政府目指して、今でも主要国中最も小さな政府に属するこの国をもっと小さな政府にする、改革の名の下でこれを行うということで、行革推進法案、市場化テスト法案、この成立を目指しているわけでございます。  今ほど山家参考人の方から小さな政府の量と質の点で問題提起がございました。その中でもかなり出ているわけでございますが、この小さな政府を更に小さくする、このことが我が国の国民生活にどういう影響をもたらし、我が国の公共サービスが一体これからどういう方向になっていくのか、改めてお聞かせをいただきたいというふうに思いますし、今ほどのお話の中で、これだけ格差がもう既に出てきているというお話がございました。ならば、こういうものが問題であるという、山家参考人の立場から、政府が本来なすべき改革はどういうものというふうに思っておられるのか、御所見をお伺いしたいというふうに思います。
  58. 山家悠紀夫

    参考人山家悠紀夫君) 私もよく分からないところが多いんですが、例えばヨーロッパあるいはアメリカ政府に比べても日本政府が小さいと。国家公務員、地方公務員、これだけ人数が少ないと。じゃ、どこに違いがあるのかをしっかり、むしろ政府の方で責任持って、自分たちはやるべきことをやってないんじゃないかという視点からちゃんとチェックしていただきたい。白書なんかでも指摘があるので、この事実はもう政府の方も十分お分かりだし、皆さんもお分かりだと思います。  ただ、なぜそうなのか。本当にヨーロッパは無駄なことを一杯やっていて日本政府はまだまだ効率化できるのか、その辺の分析をきちんとやっていただきたい。残念ながら私にはそういう能力はありませんので、よく分からない。ただ、さっき言いましたように、いろんな例からいうと、どうもヨーロッパでやっていられることが日本ではやっていない。  さっきは小中学校の先生の数だけを、一学級当たりの生徒の数だけ申しましたが、教育に関しては、例えば大学に進学する家計のコストは日本が先進十六か国の中で一番高いと。要するに、経費が、費用が掛かる。これは、政府の奨学金その他学費等の負担が少なくてそれを国民に押し付けている、そういう調査結果、最近の調査結果もあります。  あるいは医療の面でいきますと、病床当たりの、ベッド当たりの看護婦さんが非常に少ない。看護婦さんの労働が大変である、お医者さんの数も少ないということがあります。それから医療の窓口負担、患者さんの負担も日本は極めて高い。それから年金の給付、基礎的な部分ですね、国民年金なり基礎年金の部分が非常に貧弱である、そういうことがあります。  ですから、いろんな、政府が小さいこと、小さ過ぎることの弊害というのがみんな国民生活に乗っかっている。そのためにいろんなコストを国民が負担しなきゃいけない。あるいは不安が大きいからたくさん貯蓄を持っておかないと心配でしようがない。貯蓄率が、最近では収入の方がどんどん落ちましたから貯蓄率も落ちてきますけれども、貯蓄残高にしては大変な貯蓄を日本国民一人一人は持たざるを得ないという状況が生まれているということだと思います。  先ほど加藤さんの事業仕分、非常に興味深くお伺いして、それはそのとおりで結構だと、というか、どんどん進めて、要らない仕事は民に譲り渡すなりやめるなりしていくべきだと思うんですが、そこで欠けているなと私が思ったのは、政府がやっていないけれどもやるべき仕事、それは何であるかと、あるいは今ちょっとやっているけれども、もっとちゃんとやるべきであるという仕事は何であるか、そういう面からのチェックも必要だろうと思います。そういうチェックがあって、要するにやっている仕事で要らないものは外し、やっていない仕事でやるべきことを加えていった結果として、公務員の数は幾らになるか、地方公務員の数は幾らになるかという結論が出てくると私は思うんです。  ところが、この法律では、仕分は書いてあるんですけれども、もう国家公務員の数とか地方公務員の数、目標があらかじめ定められている。ということは、そちらから逆に仕分して要らない仕事を増やさなきゃこれはやっていけないよということになると、政府がますます貧弱になる。最初に、目的から手段ではなくて手段から目的というふうに申しましたけれども、この法律に従えばどんどん政府のサービスは貧弱化せざるを得ない、そのことが大変問題であろう、そしてそれはすなわち国民の負担に掛かってくると。  国民の負担といいましても、ある程度豊かな人は自費でそのカバーをすることができる。病気になっても大丈夫、老後も大丈夫という格好でいろんなカバーができる。あるいは、学校教育の足らないところは塾に行かせることもできるし、大学教育だって十分負担できるということで、豊かな人はそれなりに対応できるんですが、そうでない人、さっき言いましたように、生活が非常に厳しくなっている半数を超える世帯にとってはますますそこで政府サービスが貧弱になってきて国民の負担が増えるということは非常に耐えられないことが起こるんじゃないかと、そういう心配をしております。
  59. 近藤正道

    近藤正道君 加藤参考人にお尋ねをいたしたいと思います。  事業仕分ということで今日は大変いい話を聞かさせていただきました。具体的な話もありましたし、是非、二十四日の参議院議員会館のには是非私も出席をさせていただいて、じかにその現場を見させていただいて更に理解を深めさせていただきたいと、こういうふうに思っております。  加藤参考人の話、大変興味深かったわけでございますけれども、私も、その仕分の前に、今ほど山家参考人の話の中にもちょっとありましたけれども、国とかの行政は一体何をすべきなのか、この国は一体どういう社会を目指すのかと、そういう大きな意味での物差しというか基準がしっかり作られるということがまず前提なんではないかと、その上で仕分をしていく、それが順序ではないかというふうに思っておりますけれども。  今の行革推進法、確かに仕分という概念が入っておりますけれども、今ほど申し上げました、国とか政府行政の役割、目指すべき社会、方向と、この辺の方向付けがしっかりなされない中で仕分の話だけが出てくる、しかも公務員削減の数値目標だけが出てくると。私も行政仕事は官がすべて独占するなとは全く思っていないんですけれども、しかし、そういう先に議論すべきことが議論されないで、仕分、そしてそれも十分この後される、後回しになって数値目標だけが出てくると。今回の行革推進法のやり方というのは順序が逆さまではないかというふうに一貫して思っておるわけでございます。  加藤参考人仕分の概念を極めていいなと思いながら、その辺の順序が少し逆ではないかというふうに私は思っているんですけれども、加藤参考人はどういうふうにお思いでしょうか、お聞かせください。
  60. 加藤秀樹

    参考人加藤秀樹君) 今の近藤委員お話も、先ほどから私に話が来るたびに全く同感ですとばっかり繰り返しているものですから、何だあいつ、何でも調子いいなと思われてもいけないんですが、今のお話も私全く同感でして、やはり構造改革という言葉がもう随分前から使われてきていますけれども、何を切るかの前に、やはり国家としてどういうものにするか、これは司馬遼太郎じゃないですけれども、国の形というものがこれは大事である、これはもう言うまでもないと思います。正にそういうことをこの国会でもっともっと大いに議論していただきたいなと。それと同時に、私は、やはりマスメディアのその役割というのはそういう意味では大きいなと。何かそういうところをどんどん切り捨てていって、この改革というものを何かファッションみたいにしてしまっている、これはメディアの責任も大きいと思っております。  その上でですけれども、先ほど仕分というのは大事だとおっしゃっていただきましてありがとうございます。私はこの仕分について、先ほど資料の五ページを引用しながら申し上げましたけれども、「構想日本」としてはあえて基準は作らないということを申し上げました。これはそのときに、「構想日本」がこれを作るというのでは僣越だと。言わば国の役所に代わって、これはこういう基準で要るか要らないかを分けろというのは、これは我々何の権限も、国民から選ばれたわけでもないわけですから、それはやっちゃいけないと。むしろそこで大事なのは、住民としての、あるいは一国民としての本当に率直な素直な虚心坦懐な感覚でいいんじゃないかなと。  私は、公益というのは平たく言えば、まあなべて言えば、みんなにとっていいこと、みんなにとっての利益、役に立つことということだと思います。ですから、それを今までは余りにもいわゆる官主導、特に国の役人が主導で決め過ぎてきた。それで、国民の側もそれを当たり前に思ってきた。ですから、ここは田中参考人の御専門のところですけれども、それをこういう具体的な項目を前にして、それは必要か、まあ余り私たちの役に立っていないなということを一度吸い上げる作業だと思っております。  ですから、そこを踏まえて、そこから出てきたものでむしろ逆算をして、この国会の場所で、国民はこういうことを求めている、これは要らないと言っている、逆に、先ほど山家参考人お話にありましたけれども、もっとこれをやるべきだというのが出てくれば、それも含めて国の在り方というのを大いに御議論していただきたいなと、こんなふうに考えております。
  61. 近藤正道

    近藤正道君 再度、山家参考人にお尋ねをしたいというふうに思います。  先ほど、サービスの量とそして質の話がございました。市場化テストでコストだけが優先されがちな具体的な手法、やり方について問題提起がございました。今の市場化テストのやり方ですとサービスの質の低下になるんではないか、もっとサービスの受け手、利用者、そして現場で頑張っている人たち、労働者も含めて、その人たちの声も私はしっかりと聞くべきではないかというふうに思いますが、そういうやり方をすれば質の確保が足りるのか、それともそれをやってもやっぱり問題であるというふうにお考えなのか、どちらなんでしょうか。  前者の方であれば、どういう点をやっぱり重視して制度設計を変えるべきだというふうにお考えなんでしょうか、お聞かせください。
  62. 山家悠紀夫

    参考人山家悠紀夫君) どちらかと言われると、私は後の方ですね。いろんな工夫を凝らしても、やっぱり市場化テストで民間に譲り渡すと質の低下は起こるんではないかという懸念を持っています。  具体的な例で、先進国ですか、イギリスがこれ先達だと思うんですけれども、一九八〇年に、例のサッチャーさんのときに強制入札ですね、強制競争入札という制度を作りました。これは日本よりもっと厳しくて、強制的に政府業務を入札しなきゃいけないということなんですけれども、それをやってきた結果何が起こったかというと、公共サービスの質が大変低下してしまったと。そして、結果として、今、御承知かと思いますが、ブレア内閣になってから公共サービスの高品質化を目標とするベストバリュー政策というんですか、前の競争入札政策はもうやめにして新しい、質を中心に検討、チェックすると、そうやった結果良ければ入札するという制度に、入札じゃない、民間委託をするという方法に変わってきているというふうに伺っています。  日本でも、確かに、民営化すると質が確保できるかどうか、非常に質というのは評価が難しいんですが、例えば今候補に挙がっています職業安定業務、これはただマッチングすれば成果が上がったということになれば、そうじゃないんで、やはり職を求めている人にとって一番いい職場を見付けてあげると、あるいは企業からの求人がそれに満たなければ企業の方に働き掛けて、それに応じたような雇い方をする格好で責任を持って紹介できる、それで初めて満点だと思うんですね。ところが、民営化するとそれが果たしていくかどうか、あるいはそういうことを行政がちゃんとチェックできて、これはいい仕事をしていると評価できるかどうかという不安が非常にあります。  それから、ついでに言いますと、職業紹介業務、先進事例で幾つか見ますと、大体人材派遣会社が落札して、仕事を始めています。人材派遣会社は自分たち自体が人が欲しいという、要するに利用者であるわけですが、そういう会社が紹介業務を受け取ることによって弊害が起こらないかという問題が非常にあります。  それから、国民年金とか厚生年金の未払分の徴収業務、これも候補に挙がっていますけれども、これもただ徴収して、どんどん徴収率を上げて収入を増やせばいいというもんではなかろうかと思います。きちんと相手の人の事情を伺って、場合によっては免除の手続を取ってあげるとか、いろいろ工夫しなきゃいけない。それから、非常に人にとって知られたくない情報ですから、それをきちんと秘密を保持しなきゃいけないという問題があります。  そういう具体例でいろいろ考えてみますと、質の確保というのは非常に難しいと思います。そして、何が可能かというと、人件費を下げてコストを安くする、これはかなり可能でありまして、例えば、市場化ではありませんが、保育園なんか民営化されているところたくさんありますが、そういうところで何がやられているかというと、短期の嘱託とか安い保母さん、保父さんを使う、そういう格好で人件費を下げてコストを下げているということをやっています。同じことがこれから、民間委託もほとんどそうですが、やるんではないかと。  それで、イギリスはそういう例に懲りまして、要するに民営化した場合、公務員と同じだけの給与条件でなければいけませんという縛りを設けています。そうすると、賃金を下げてコストダウンはできない。同じ賃金でいかに工夫してコストダウンできるかというふうに縛りを設けてありますが、そういうことをしない限り、さっきの保育園の例でいきますと、どんどん経験の浅い人に保父さん、保母さんが置き換わっていく。ということは、見えないけれどもやっぱり子供にとっては質が低下する、蓄積がなくなる。  そして、民営ですから利益を上げなきゃいけませんが、利益が上がらなくなったらもうやめますということになります。あるいは倒産してしまう。そしたら、その後すぐ同じ質が確保できるか、政府でもう一回できるかとなると、今の建築確認の例がそうですが、今更持ってこられてもそういうノウハウは政府にはなくなっている、できませんということになりますから、長い目で見て、しかも本当の質というものを考えると、やはり政府がやらなきゃいけない公共サービスというのは結構あるんじゃないかと。そう簡単に市場化して質の比較ができるものではないし、したと思ってもさっきのような変な格好での比較になって、結果としてサービスの悪化を招くんではないかという危惧を大いに私は持っています。
  63. 近藤正道

    近藤正道君 済みません、時間がなくなってしまったんですが、どうしても最後に一つ稲継参考人にお聞きをしたいことがございました。  とにかく、天下りの問題、その弊害がいろんなところに出てきております。そして、今回の公益法人の改革についても、田中参考人、蛇口を閉めろという話がございましたけれども、しかし今の状況で本当に蛇口が完全に閉まるのか大変に心配になるわけでございまして、やっぱりキャリア官僚についても定年制があるんだから、早期退職慣行、これはやっぱり何とかしてもらわなければ困る、こういうことが圧倒的にやっぱり国民の世論だと思っているんですよ。  ところが、稲継参考人の話、そして稲継参考人参考資料等をいろいろ読みますと、そうは言っても、しかし優秀な官僚を国に集中するためにはある程度の弊害やむを得ないと、これはコストだと、我慢しなきゃならぬところはやっぱりあるんだと、こういうふうに私は聞こえてならない。競争を維持しつつ負の部分をどうやってなくすのか、これは非常に難しい問題だと。  まあ聞いていると、何か百年河清を待つような、こういう話になってくるわけでございますが、なぜキャリアの官僚の皆さんだけにこういう議論が通用するのか、民間でも地方でも今全部ないのに、なおこの国では優秀な官僚を集めるためにはそれは我慢しろと、多少の弊害があっても我慢しろと言わんばかりの議論、時間掛かるんだと。これは少しおかしいんではないかと。私、やっぱり毅然として対応すれば、士気の低下などというものもこれは単なる杞憂で押さえ付けることができるんじゃないかと思えてならないんですが、世界のすべての国が何らかの形でキャリアシステムを維持するということになると、私の方がずれているのかなとも自信がなくなるわけですけれども、稲継参考人は、それでもなおかつ今一番力を入れるべき点、早期退職慣行をなくすための今一番ここに力を入れるべき点、一つ挙げろというふうに私が質問したら何を挙げられますか。
  64. 稲継裕昭

    参考人稲継裕昭君) 早期退職慣行、なくすべき点についての意見と問われていますけれども、それについてのお答えということではなくて、今弊害があることについて直すべきことは何かというふうに問われるとすれば、これは随意契約をしていること、各省庁が関連する特殊法人や公益法人に随意契約で投げていることが一番問題であって、そうでなくて、優秀な公務員が早期退職して公益法人や特殊法人に行ってそこで活躍されること、それをあえて絞る必要は私はないと思います。
  65. 近藤正道

    近藤正道君 時間です。終わります。
  66. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。  私が質疑者の午前中の最後でございまして、お約束は十二時までとなっておったと思いますが、質問時間二十分いただいておりますが、二十分やりますと十二時までには終わりませんので、簡素で効率的な質問に努めたいと思っておりますので、参考人の皆さん方にも御協力をいただければ有り難いと思っております。  今までの各質疑者のお話を聞いておりまして、またその前の参考人それぞれのお話を聞きまして、大変勉強になりました。願わくは、今目の前に私どもこの行政改革に関する法案をいただいているわけでありますけれども、こういう法案が政府から出てくる前にもっとこういう議論をちゃんとやっておくべきだったんじゃないのかなということを今感じておりまして、現実には法案が目の前にあるわけでございますけれども、今後とも引き続き、法案があるなしにかかわりなく、やはり行政改革に関する議論というものは大いにやっていくべきだなというふうに感じているところでございます。  そこで、私、今までにお答えの回数の一番少なかったまずは山家参考人にお伺いをいたしたいと思います。  お話を伺いまして、同感するところが多々ございました。私自身、中央政府で長いこと役人をやった経験を持っているものでございまして、最近、何か公の仕事が軽視をされるといいますか、公務員というのは少なければ少ないほどいい、必要悪だというような感じに取られている節があるということについて、私も残念に思っておるわけであります。  もちろん、効率的であること、簡素であること、大事なことですから、無駄なところは省かなければいけない。加藤参考人がおっしゃいましたような、ポニーに子供を乗せて青少年の育成だというようなことが事実としてあっちにもこっちにももしあるとするならば、それはもう大変な大問題でありまして、それはもう目の覚めるような激しい改革をやらなければいけないんだろうというふうに一方で思いますけれども、同時に、やはり国の果たすべき役割あるいは地方政府の果たすべき役割、一杯あるわけでございまして、そういうものが十全に果たされていくように是非ならないものかなと。私自身ヨーロッパに一時駐在をしておったというその経験からしても、どうして日本の場合にはこんなに公務というものが評価されないのかなと大変残念に思う次第でございます。ただし、国あるいは地方政府がやるべきものをどんどんやっていくということになりますと、コストが掛かるわけですね。  そこで、山家先生にお伺いしたいわけですけれども、先生、経済成長ということを言っておられます。公務を支えるコスト、これをつくるためには増税をするか、あるいは国自身が工夫をして税収を増やすかということになるわけでございまして、日本では増税が好まれないのは、まあ日本だけではないかもしれませんが、とりわけ日本では増税というのは嫌われるわけでありまして、この経済成長についてどのような策をお考えなのか、お聞きをしたいと思います。
  67. 山家悠紀夫

    参考人山家悠紀夫君) お答えになるかどうかですけど、今コストが必要というお話、確かにそのとおりなんです。ただ、今日の資料でお付けしました、支出の方の比較はお付けしましたけれども、同じように国民負担の比率を付けてみますと、やはり日本は際立って少ないと。要するに、経済規模に対して、あるいは国民所得に対する負担の比率は極めて小さいという現実があります。ですから、私はこれはもっと増えてもいい、あるいは増えるべきであろうと、増えて当然であろうと思っています。  そして、どれぐらい増えるかという政府の試算を見ますと、二十一世紀の日本ビジョンというのが去年の五月ごろですか、発表されました。それで、放置した場合、要するに何も努力しなくてコストがどれぐらいになるかと、国民負担どれぐらいになるかというと、五七、八%という試算をしているんです、二〇二〇年ぐらいですか。ということは、今のヨーロッパの国民負担に等しい率です。  ですから、何もしなくてもそれであるから、まあそんなにコストは問題にしなくてもいい。当然、それだけの必要なサービスをやっているんであれば、あるいは国民がやってほしいサービスをきちんとやるんであれば、それのコストはきちんと国民が負担すべきであるし、増税が図られて当然だと私は思います。もちろん、その前に要らない仕事を削ったりなんかして、歳出の合理化というのは必要です、簡素化は必要ですけれども、それをやった上で、必要なコストはやっぱり国民が負担すべきであろうと、そういうふうに思っています。  ただ、負担の方法は一般と違います。私は、消費税で負担すべきではない。それ以外に、例えば法人税を取るとか、あるいは高額所得者に課税するとか、資産に課税するとか、いろんな方法がありますから、国民負担を増やすことには賛成というか、そうすべきであろうと。そして、その方法についてはまたじっくりと、どういう方法がいいか、初めから消費税と、増税と決めるんではなくて、考えるべきだという考え方をしております。それによって経済成長その他も特に問題は起こらないというふうに思っています。
  68. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 引き続いてお尋ねをしたいと思うんですけれども、確かにその国際比較などを見ますと、日本のその政府のコストは非常に小さいということは分かるわけですが、しかし、それを増税で賄って公務をもっと充実をするんだというようなことを例えば主張したとして、今の日本で受け入れられる土壌というのは余りないように思うんですね。  私、外国におったと申しました。たくさんいろんな経験をお持ちの方がいらっしゃるわけですが、私の場合は北欧のフィンランドという国におりましたけれども、ここでは時々、減税を主張する党が出てくると選挙で負けるんです。それは国民が望んでいないんですね。非常に高い税金を払っておりますけれども、しかし、国からあるいは地方政府から受けているサービスが非常に質が高いものですから、この方が安心だ、安全だという多分民意なんだろうと思うんですね。  そこへいきますと、日本の場合にはそうはなっていない。なぜなのだろうかということを考えるわけであります。結局、政府のやっていること、あるいはその地方政府のやっていること、それが自分の生活に本当に役に立っているということが国民から見えないんだろうと思うんですね。距離が非常に遠いということではないのかなというふうに思うわけでありまして、この辺を何か改善する方策はないものかなと思うわけです。  例えば、今連邦制というのが、連邦制ではありません、道州制というのが議論されておりますけれども、そういうような形で、より公務というのを市民の方々が身近に感じるような何か改善策というのをお持ちでありましょうか、山家先生にお伺いしたいと思います。
  69. 山家悠紀夫

    参考人山家悠紀夫君) どういうところに国民の民意があるかは本当は分からないと思うんですね。ただ漠然と大きな政府は嫌です、いいですか嫌ですかと聞くとみんな嫌だと答えます。ただ、それの見返りにこういうことをやるのはどうですかと聞くと、またそれはいろいろ変わってくる。公共事業をもっと増やしたい、あるいは軍事費をもっと増やしたいから増税しますよというと嫌だという答えが出てくるかもしれないけれども、社会保障制度をもっと充実させますよということになるといいという答えが出てくるかもしれないということで、この間も郵政民営化もそうでしたけど、最初のころは国民はほとんど必要と感じていなかったと。選挙すると何か圧倒的に必要と思う人の方が多いというような結果が現れたりしますから、いろんな政府の努力の仕方、あるいはマスコミの報道、いろんな識者の発言等によって民意というものは変わってくると思います。  それからもう一つ、方法はないかというんですけれども、私が考えている方法は、とにかく政府がまずいいことをやると。悪いことをまずやめる、無駄なこと、非難されることをやめるということと並んでいいことをやると。例えば社会保障制度を取りあえず充実してみると、医療保険もそうですし、年金もそうですけれども。これはどうやってやれるかというと、取りあえず借金でやれるわけです。日本国全体としては百何十兆というお金が今浮いています。使いようのないお金が海外に回っていると。それを政府が借金してでもいいからまず立派な制度をつくってみると。そして、つくった後で、これを維持するためにはやっぱりお金が掛かりますと、このままの財政、税制でいいですかと、増税しなきゃいけませんけれどもどうですかという聞き方をすれば、さっきのフィンランドの例のように、これを崩すぐらいだったら税金仕方がないなと、政府も精一杯無駄をなくしているようだからという世論もやがて生まれてくるんではないかというふうに思っております。
  70. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 十二時を少し過ぎましたけれども、もう一つだけ田中参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。  私、民で公の部門を担うというこの考え方は大変すばらしいと思いますし、是非そうあってほしいものだなと思うわけですけれども、お話の中で、問題点として寄附の税制というようなことも言っておられますけれども、なかなか、日本で寄附というものがどこまでこういった公的なサービスを支えることができるのかと将来像を考えると、なかなかイメージがわいてこないんですね。  私は、そういう意味ではこの税制等も大事だと思いますが、同時に、例えば教育でございますとか、要するに寄附をすることの重要性ですね、そしてまた寄附をした人をみんなで評価するというような社会的な雰囲気が醸成されてこないとなかなか難しいのかなという気がいたしますが、その辺についての御感想がありましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
  71. 田中弥生

    参考人田中弥生君) 御意見、私も賛成であります。  寄附文化が日本にあるのかということについてはよく私も聞かれるんですけれども、先ほどの質問でアメリカとやたらと比べるなというふうにおっしゃったんですが、絶対額で比べるとちょっと絶望的な気持ちになってくるんですけれども、私は、まだ寄附の集め方の努力の方、つまり非営利法人側の努力もまだまだ足りないんじゃないかと思います。  ややパラドクシカルに説明をさせていただければ、NGOがありますけれども、そこのトップテン、寄附金額を集めているトップテンというのはみんな十億円以上行っているんです。皆さんよくおなじみのユニセフは百億円以上、年間集めております。これにはかなりのテクニックを使っておりますし、それに必要なコストも掛けています。  そういう意味での努力と、それから今、長谷川議員がおっしゃられたような寄附をする側、した人たちをやはり褒めるというんでしょうか、評価をするという、この両方が相まって寄附文化というものはつくられていくし、私は日本にはその可能性はあると信じております。
  72. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 時間だと思いますので、四人の参考人に心から感謝を申し上げて、これで質問を終わりたいと思います。
  73. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 以上で稲継参考人加藤参考人田中参考人山家参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。  参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  74. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいまから行政改革に関する特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、松井孝治君、峰崎直樹君及び長谷川憲正君が委員辞任され、その補欠として内藤正光君、岩本司君及び荒井広幸君が選任されました。     ─────────────
  75. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 休憩前に引き続き、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案外四案を一括して議題といたします。  本日午後は、日本公認会計士協会理事樫谷隆夫君、地方自立政策研究所代表穂坂邦夫君、全国中小企業団体中央会会長佐伯昭雄君及び日本自治体労働組合総連合中央執行委員長駒場忠親君、以上四名の参考人の御出席をいただき、御意見を聴取し、質疑を行います。  この際、参考人の方々に対し、本委員会代表して一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見をいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  それでは、議事の進め方について申し上げます。  まず、樫谷参考人、穂坂参考人、佐伯参考人、駒場参考人の順序でお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は委員質疑にお答えいただくときも含めまして着席のままで結構でございます。  それでは、まず樫谷参考人からお願いいたします。樫谷参考人
  76. 樫谷隆夫

    参考人(樫谷隆夫君) 日本公認会計士協会の樫谷と申します。よろしくお願いいたします。  参議院行政改革に関する特別委員会という、こういう簡単なレジュメがございますので、これに従って御説明をしたいと、こういうふうに考えております。  まず最初にでございますが、先ほど委員長からもお言葉がございましたように、簡素で効率的な政府の実現ということでございますが、それには、私ども公認会計士でございますので、コスト計算及びコスト管理及び政策効果の測定と、こういうのが不可欠でございます。  まず最初に、国は巨大なコストセンターと、こう書いてございますが、余りごらんになったことはないかも分かりませんが、平成十五年度の国の財務書類というのが財務省から出ております。一番最後に、最後のページ見ていただきますと、これが平成十五年度の連結財務書類の概要ということでございまして、連結でございますので、特別会計、一般会計それから特殊法人、独立行政法人等の合算した部分の決算でございます。  この中の一番、別紙二というやつですね、一番最後のページでございますので、その左下、真ん中の方の左の方ですね、業務費用計算書というのがございます。この業務費用計算書というのがこの連結ベース、国の連結ベースのいわゆるコストの総額であるということであります。この一番下見ていただきますと、連結ベースのところを、一四八五四七という数字があります。百四十八兆五千四百七十億と、百四十八兆ですね、というのが実は連結ベースの国の行政コストなわけであります。これは業務費用という名前で呼んでおりますが、業務費用の合計は百四十八兆でありますということであります。  また、元に戻っていただきまして一ページでございますが、例えばこれが今連結ベースで申し上げましたけれども、一般会計だけではどうなるかといいますと、業務費用の合計は七十七兆四千億と、うち人件費等、等と書いてありますのは退職給付引当金がございますので、合わせますと五兆円でございます。それから、一般会計、特別会計を足したもの、いわゆる国でございますね、直接の国でございますが、その業務費用の合計というのは百二十二・八兆円、人件費は六兆円でございます。連結ベースの業務費用は、先ほど申し上げましたように百四十八・五兆で、人件費などは約九兆円でございます。  現在、人件費、これを五%削減ということで、私ども行政減量有識者会議というのがございまして、私もそのメンバーでおいて張り切ってやっておりますけれども、実は、人件費も非常に重要な項目ではございますが、先ほどのまた一番最後の別紙二に戻っていただきますと、それ以外に厚生年金だとか基礎年金だとか、つまり大きな数字の項目があります。補助金、委託費、地方交付税、保険金等支払金、あるいは減価償却なりも含みまして相当のコストがございますので、人件費だけではなくてこのトータルをいかに少なくするかということが行政改革の、我々会計士サイドから見ると行政改革のポイントではないかと、こういうふうに思っておりますので、是非この数字を、これは毎年、まあ平成十五年で少しタイムリーではないんですけれども、間もなく平成十六年度、十七年度が出てくると思いますので、この比較をしながら是非この行方を見定めていただきたいなと、こういうふうに思っております。  それからその次に、先ほど二番目の、一ページに戻っていただきまして、「わが国の公会計の現状」というのがございます。  公会計、先ほどごらんいただきました国の財務書類と、それから省庁別の財務書類も作っていただいておりまして、省庁別の財務書類は十四年度から十六年度分まで、これは既にインターネット等で各省庁別に公表されております。ただ、残念ながら、国全体は平成十五年度の分しか出ておりません。  これは、これを見て何を思うかということだと思うんですね。この見方をどうすればいいのかということだと思うんですが、何せ全体の話ですし、余りブレークダウンしたものがないのでありますけれども、是非これは、本来は決算だけではなくて、いわゆる企業でいうと着地予測というんでしょうかね、予算に従ってやれば予測はこうなりますと、予測があって決算がありますと。決算で是非参議院、予測のものを予算委員会に出されて、それと同時にその差額について決算の委員会でそれをしっかり議論をしていただくというようなことが是非必要なんではないかなと。決算書だけではなくて、この国の財務書類の、あるいはこの予測版も含めて御議論いただけたらと、こういうふうに思っております。  それから、「合理的なコスト計算の必要からも企業会計の手法を活用した公会計の導入を急ぐべき」と、こう書いてございます。  いずれにしても、マクロ全体、国全体がどうなっているか、あるいは連結ベースでどうなっているかということも必要なんですけれども、いわゆるブレークダウンをしたミクロベースですね、これは省別あるいは組織別というんでしょうか、組織別にはどうなっているんだと。これは省だけではなくて、ひょっとしたら局だとか課も必要なのかも分かりませんし、それから事業別とか政策別とか、そのようなもののコスト計算が必要ですということでありますが、そのコスト計算をするためには、これは現在、財務省が音頭を取って、公会計室が音頭を取ってこのような書類を作っていただいておりますけれども、何せここにもありますように、平成十五年度のものが去年の九月でしたか、平成十七年度の九月ということで、一年半ぐらい遅れているわけであります。  通常、企業の場合は大体翌月の十日ぐらいですし、決算については一か月半ぐらいで公表しているということでございますので、やっぱりタイムリーに計算ができるようにするためには、その会計システムを、会計制度をやはり発生主義だとか複式簿記を導入してやることが私は必要なんではないかと。これには時間も掛かるということはよく承知をしておりますし、まだ検討すべきことがかなりあるということは承知をしておりますけれども、やはり是非これを、簡素で効率的な政府を実現するためにはこういう会計システム、会計というのはインフラでございますので、これをしっかり、企業でも同じでございまして、仕組みをつくらないといけないんではないかと、こういうふうに考えております。  二ページに移りまして、「パブリックセクターにも徹底した競争原理を」ということが書いてございます。これは、官民の競争あるいは官官の競争など官のサービスに競争原理導入する必要があるんではないかということであります。  すなわち、これは官民ですから、市場、ですから市場化テストなんかもそうかも分かりませんが、これは官官、これは例えば国と地方公共団体あるいは地方公共団体同士とか、国の似たような施設との競争とか、そんなものを競争原理、官についてはなかなか市場化が、マーケットがないのでなかなか競争原理が働かないということでございますが、これも疑似市場というんでしょうか、そんなものをある程度つくり出すことによって競争原理導入できるんではないかと、こういうふうに考えておりますが、ただ、そのためには競争条件を同じにする必要がありますが。そのためには、先ほど、また何度も申し上げますけれども、正確なコスト計算、これが重要でございます。そしてコスト、ただまあコストだけではないということはよく理解しておりまして、公共サービスのコストと質、これ両方併せて情報開示、これが必要なんではないかと、こういうふうに思っております。  公共サービスのコストでございますが、二ページの四のところでございますが、これは財務省の財政総合研究所ですか、の方の調査のようでございますけれども、保育所のゼロ歳児一人一日当たりのフルコスト。フルコストというのは、運営コストだけではなくて、資本コストとか、一番右の方に書いてございますように、資本コストとか減価償却費とか、本庁の職員の経費だとか、退職給付の債務だとか、あるいは物件の材料費だとか保母さんの人件費、これ全部含めたものを、これフルコストと呼んでいるわけですね。このフルコストで比較するとどうなるかということなんですが、これ、無認可の保育所と社会福祉法人、これが二つの、民間といえば民間になるんですが、あと公立直営と比較しておりまして、無認可保育所は二千三百円、公立直営は一万二千円ということでございまして、下の方に書いてございますように、公立直営のコストというのは福祉法人の一・五倍、無認可保育所の五・五倍ということでございます。  ただ、これを見まして、単純に二千三百円がいいかということでは決してございません。当然これは質とそれからコスト、これを両方比較しながらどちらがいいかということは考えなきゃいけないということではありますけれども、果たして、じゃ公立直営の保育サービスの質が無認可保育所の五・五倍高いのかということでありまして、果たしてそれを公立直営あるいは市はそれを、パブリックセクターは、責任者はそれを説明しないといけないと。つまり、質がこれだけいいんだと、だからこれだけ掛けているんですということを併せて説明しないといけないということであります。だから、一概にこれは安い方がいいということではない、高い方がいいということもあるわけでございます。これは民間でも同じでございます。  それから、五番目でございます。二ページの一番下で、コストと質のバランスが必要なんだということは、先ほども申し上げましたとおり、費用対効果あるいはVFMというんですか、バリュー・フォー・マネー、同じような言葉ではございますけれども、それを高める必要があります。コストに対する効果、この比率をどうするかということを見ないといけないということであります。  それから、三ページ目に移りまして、生活保護費というものは例えば削減できません。これは法律で決められたために、これはもう政府、政治が決める話でございます。しかし、カウンセリングをしようというときには、国家公務員なり地方公務員の直営がいいのか民間のNPOがいいのかと、こういう選択、これも考えられますし、官民との競争ということもあるわけですし、あるいはその他の市町村との比較というんでしょうかね、いうものも、競争ということもあるかも分かりません。  それから、三ページの六番でございますが、政策評価、独立行政法人の評価、これにはコスト指標が不可欠でございます。すなわち、簡素で効率的な政府の実現には評価ということが不可欠でございますけれども、これにはコスト情報、コスト指標というのが不可欠でございます。このためには、公会計の先ほど申しましたような整備をするということで、体系的、タイムリーにコスト情報の入手が可能になります。企業はすべて発生主義、複式簿記で中小企業も含めましてやってございます。  例えば、毎年質を同じにしてコストを五%削減、五%がいいのかどうかはこれは検討する必要がありますけれども、削減したり、一人当たりの育成費、これが幾らになるか。先ほどの保育所の問題がありましたけれども、そういうものをどうするか。どういうふうに民間に近づけ、近づけるといっても質との絡みでございますけれども、近づけていくかというようなことを業績指標としたり、場合によっては、先ほどの話ではありませんけれども、民間とのコスト比較ができますので、民間のコストに近づけようとか、そういうことを目標にできるということでございます。  これは、国というものはコストセンターでありますので、基本的にはコストセンターでありますので、コストは企業と違って一番最後の数字、損益で判断できない、これはあくまでも目標と、それから、何というんですか、実績との差になるのではないかなと、こういうふうに思っておりますので、目標管理が非常に重要だと、こういうふうに思っております。  それから、適正な評価のためには管理会計という手法ですね。先ほどの国の財務諸表は、これは財務会計といいまして、国全体がどうなっているかということなんですけれども、マネジメントに使うのは管理会計というような手法でございます。  それから、最後に書きました予算意識ではなくコスト意識ということでございますが、予算意識というのは、まあ我々の誤解かも分かりませんが、たくさん取ってうまく使ってしまうんだというところが予算意識で、コスト意識というのは、やはりコストをいかに削減するか、いいものをより安く作るかというのがコスト意識だと思っておりますので、民間はこれに従ってやっておるということでございます。  それから、特別会計の改革でございますが、これは法律の十九条とかあるいは十八条に書いていただいておりますけれども、これは具体的には会計制度、特別会計の会計制度の整備をしていただいたり、あるいは独立行政法人と同じような中期目標、計画、評価、このような見直しなどを是非導入していただきたいと、こういうふうに考えております。  それから、政策金融でございます。最後のページでございます。  これは地方の中堅、地方の中小企業再生、これにはやはり政策金融機関を活用する必要があると私は思っております。私は個人的には、企業再生が私の仕事になってございまして、非常に再生というのは血躍り肉沸くと言うんでしょうか、ような、面白いと言えば面白い。非常に面白いビジネスでございますけれども、それには中小、政策金融機関も活用する必要があるんではないかと思っておりますが、企業の再生にはやはりその中立公平の金融機能を持った機関が必要と考えております。  これはなぜかといいますと、地銀、地方の金融機関は、地方の企業は、地銀、地方の地銀ですよね、地銀、第一地銀、第二地銀それから信用金庫、信用組合などをやっておりますが、ただ、まだ再生に対して十分な能力というんでしょうか、経験を持っておりません。そういう意味では、やはり中立公平の機関、これらを何というんですか、まとめながら調整しながら、中立公平の立場で、自分のお金も出しながらやるような、例えば政策投資銀行などはそういうことをやっていただいておりますので、そういった機能を持った機関がその再生ができるまでは必ず必要なんではないかと、こういうふうに思っております。  また、特に収益を目標としていないということもありますので、大会社、中小会社にかかわらず、非常に手間を掛けてしっかり審査していただいております。そういう意味では、そういうようなやはり機能を持った機関がやはり必要なんではないかと、こういうふうに思っております。  それから、独立行政法人の政策金融をやっているところも、類似をやっているところもありますので、そのリスク情報の開示などからくる政策コストの明示をしなきゃいけないんじゃないかということと、それから、最後になりますが、資産と債務の改革でございますが、これは、直接、資産、債務の改革になるかどうかちょっと分かりませんが、国の資産の評価に減損会計を導入したらどうかということでございます。  実は、独立行政法人につきましては減損会計を今年から導入しております。これは、単に減損会計といいますと、企業とは違いますので、企業と違った形での減損会計が必要でございまして、どういうことかといいますと、この下に書いてございますように、期待される、取得時に想定されたサービス、それが今どの程度実現しているのかと。例えば、公民館を建てました、あるいは図書館を建てました。大体千人を想定、月千人の来客を、来館というんですか、想定して十億を掛けました。ところが、実際やってみると二百人しか来てませんと。そうすると、これは元々二百人の施設でよかったんじゃないかと、こういうことになるわけですね。  ということは、十億、つまり千人で十億掛けましたと、二百人だと五億で済みましたと。ということは、十億と五億の差というのは実は減損なんですね。サービスの価値というのは実は五億しかないわけですね。そのような考え方ですね。  そのような考え方のものをやはり国の資産の評価にも必要で、そんなもの実はコストなわけですよね。それはもう減損というコスト、これを測定しないといけないという意味で、このようなものも導入するべきではないかということでございます。  以上、ちょっと時間オーバーしてしまいましたけれども、申し訳ございません。終わります。
  77. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ありがとうございました。  次に、穂坂参考人、お願いいたします。穂坂参考人
  78. 穂坂邦夫

    参考人(穂坂邦夫君) 穂坂でございます。  昨年の六月まで埼玉県の志木市長を務めさしていただいておりました。県の職員、町の職員、市議会議員、県議会議員そして市長と、三十九年間様々な立場で地方と取り組んでまいりました。そういう立場から、国と地方、そういう関係だけに絞って御意見を申し上げたいというふうに思っております。  まず、レジュメ、発言要旨を一応出しておりますが、どんな改革も、私ども地方の立場からすれば、それはすべて住民のためにということで集約をされなければいけない、こう思っているんです。  まず、改革の目的はいつもよく分かるんです。例えば、官から民へ、中央から地方へ、これはよく分かるわけでありますが、それでは、その果実は一体住民にどういうふうな形で還元をされるのかというのが大変分かりづらい、こんなふうに思っております。是非、今回の改革もその目的と果実が合致するようにお願いをしたいというふうに思っております。  さらには、改革のプロセスといいますか手段をそれぞれ明確にしていただかないと住民にはなかなか分からない、これらを大変強く感じております。  例えば市町村が、あれだけあった市町村がいよいよ千八百二十になります。しかし、住民の合併の実感は、利益というのはほとんど感じておりません。あるマスコミが調査をいたしましたが、ちょうどよかったなと感じた住民が四%、悪くなったなというのが一八%、あとの六〇%を超える住民の皆さんは何ら変わらないと、こういう結果になっています。その大きな原因は、一つは多分、財政基盤の強化、こういうことは即分権の受皿になれる、こう思っていたわけでありますが、さっぱり肝心の分権が進まない、そういうところにも大きな理由があるのではないか。やはり、目的と結果は、果実は合致をすべきだというふうに思っております。  さらに、私は、市長として住民の皆さんに市の在り方をこんなふうに説明していたんです。基本特性プラス非営利独占的サービス企業、こういうふうに市町村をとらえておりました。基本特性とは、御承知のように、弱者と強者の共生であります。コミュニティーの醸成と言った方がいいかもしれませんが、それらはやっぱりいかなる改革といえども大事にしていかなければいけない。そうでありませんと、なかなか改革のひずみあるいは痛みというものが、その補完処置がなかなかとっていただけない、こういうことがあります。  例えば、今回も医療改革もございます。もちろんこれは国の財政を考え、将来の加速的に進む高齢化社会、人口減少、そういうことを考えますと、財政再建の意味からも大変だと思うんです。しかし、それでは地方の現場からどうかといいますと、私ども、病院を二つ、老人保健施設等々を経営をしておりますが、果たしてその今入院している、今いる方々がどんな形で今後影響を受けるのかということを考えると大変厳しく、寂しい思いがいたします。病院を退院するにも行く場所がない、どこに一体私は行けばいいんですかと、こういうふうにうちの院長が聞かれると詰まってしまってなかなか理由が説明しづらい。こういう机上の理論ではなかなかきちんと把握できない現場の実態というものをこれからこの改革についてもやっぱり見ていただいた方がいいのではないか、こう思っております。  さらに、地方の実態を簡単に申し述べたいというふうに思っております。  我が国は、御承知のように、地方政府と地方広域政府、中央政府、三つで成り立っておりますが、私はずっと市町村、県議会の立場は別でありますが、市会、市長、これはもう末端の基礎的自治体であります。市長になって初めて実感したわけでありますが、どうも市町村は二君に仕えているという実態があります。簡単に言えば、都道府県の地方の王様に仕えなければならない。国は大き過ぎて、大きい王様ですから、余りずけずけ言っても怒らない。しかし、都道府県はやっぱり箇所付けその他の力を持っていますから、なかなか市町村にとっては怖い。ですから、三位一体改革等々でも、それぞれ私もいろいろな知事と忌憚のない意見を交わした、そういう経緯がありますが、なかなか市町村は言いたいことも言えないという、こういう実態もひとついろいろな改革の中で御理解をいただければ有り難い、こんなふうに思っているんです。  こことは違いますけれども、例えば三位一体改革で焦点となった義務教育費、あれは市町村の固有の事務でもあります。しかし、どうしても都道府県対国というような形になってしまって市町村は傍観者の立場になってしまう、こういう現実も理解をしていただけたらなと、こんなふうに思っております。  さらに、市長時代あるいは市長を辞めてから各地に講演に参っておりますが、地方が二分化しているというのを強く感じております。一つは、まだまだ余裕のある都市部に近い市町村、財政力指数も非常に高い。しかしもう一方では、過疎がどんどん進んでいく、加速をする、しかも主な産業がない、農業も駄目、漁業も駄目、どうこれからの再生を求めたら、どの道に求めたらいいのか、これがなかなか分からない状況にある地域が多い。しかも、御承知のように日本の農山村は七〇%を占めておりますから、やはり国を支えるのが地方だとすれば、この農山村をしっかりやっぱり活力あるものに変えていかなければいけない、改革がそこにまで配慮していただかなければならない、こんなふうに思っています。  特に公共事業でそういうような地方がもってきましたので、半減し更にまた減じられる、これが一律的になりますと、なかなかそのような衰退する地方の歯止めが掛からない、こういう状況もひとつ理解をしていただければ有り難いというふうに思っています。  私はいつも言うんです。余裕のある自治推進改革派地域と、もう地域が衰退をする一方でそれをなりふり構わず地域が再生をする一体改革派、そんなふうに二つに分かれているのではないか、こんなふうにも思っております。  特に、地方も、国が大変厳しい財政状況にありますから、それらの痛みを共有するというのはみんなお互いに分かっています。しかし、部分的改革が非常に多いものですから、改革のその行く先がよく分からない。これが大変私どもも遺憾に思っているところでもあります。  改革の全体像の明示をどこかできちんとしていただかなければ、地方はどこまで我慢すればいいのか、どういう改革に向かっていけばいいのか、これはなかなか分からない、こういう状況下にもございます。できれば、部分的改革から整合性のある全体改革に向かってもらいたい。地方は切実に思っています。  地方交付税の削減も必要でしょう。十分理解はできます。しかし、それがどこまで行くのかというのはよく分からないんです。私は、市長時代に百五十を超える地方の市町村と一緒に市町村サミットというのを主催をしておりました。いつも最後の本音の討論会になりますと、どこまで行くんだろう、どうすればいいんだろう、早く全体像の明示が欲しい、その声が非常に地方に多いということを御理解を賜りたいというふうに思っております。  さらに、地方分権一括法ができました。地方自治法も第一条が大きく変わりました。しかし、条文は変わったけれども、さほど実感として変わってこない。機関委任事務が廃止になりましたけれども、法定受託事務として若干変わりましたけれども、しかし、あの第一条は非常によくできている。よく書いてあるけれども、それらが実感として出てこない。それは、文章の上では非常にきれいでありますけれども、実務的な役割分担の明確化が図られていない。ここに大きな原因があります。  私ども、やっぱり地方もいろいろの意見はありますけれども、最終的には六十兆円から九十兆円という、特に地方は九十兆円という莫大な行政経費を使っています。そのことを考えると、この役割分担の不明確なために、あるいは権限の重複された面に大変大きな冗費がそこに費やされている、こんなふうに思っているんです。是非、莫大な経費の削減と、特にそれに連動する地方の自立のためにも、役割分担のしっかりした明確化があらゆる地方と国の改革一つの原点になる、このことを先生方にも御理解をいただきたいと思っております。ですから、簡単に言えば、地方自治法の第一条を誠実に実行してほしい、そのための実務的な作業をきちんとしてほしい、こんなふうに思っております。  更に付け加えますれば、今地方は全国一律型護送船団方式でもあります。もう先生方よく御存じでありますが、そこには現場の創意もあるいは工夫もあるいは自己責任も存在をしない。残念ながら、そんなような結果になっております。要するに、他責文化と言った方がいいかもしれません。これは地方がすごく反省をしなければなりませんが、やはり地方が自分自身で考え、実行し、そして自己責任を取れる、そういうやっぱり体制にしなければ、護送船団方式の限界はもう行き詰まっているのではないか、こんなふうに思っております。まあ簡単に言えば、東京都の都知事を始めとする一つ行政組織と、あるいは村の、町の行政組織がほぼ同じ、これもおかしいというふうに思っております。  私は、在任中、憲法を超える形での、まあ憲法内でと言った方が分かりやすいと思います、工夫をして市町村長の廃止をしたらどうだ、市町村長の必置規定の廃止を特区として出しました。当時、収入役の廃止も出しました。おかげさまで収入役の廃止はどうやらこれらが実現しておりますが、なかなかまだまだ一律的護送船団方式は変えられていない。これが現実でありますので、どうぞその辺もよろしくお願いをいたします。  やはり自己責任をしっかりする、そして現場の創造性を発揮する、そういうことがすべての冗費の節減に結び付いてくる、このことを訴えたいとも思っております。  最後になりますが、もうそろそろ具体的なそれらに基づいた改革を断行してほしい、こう思っております。一口で言えば、国がやる気であれば必ずできる、こう思っているんです。例えば、合併というのは一つだけではありません。分権と市町村合併と道州制はワンセットだというふうに私は思っているんです。そうでしょう。例えば、市町村合併をする、体力を付ける、分権の受皿になる、そうするとどうしても都道府県からの権限移譲が多くなってくる、都道府県が空洞化する。さあ都道府県はどうするか。そうなってきますと、もう道州制は必然的なワンセット、こんなふうになると思っております。是非、国の一つの勇断によって、もう待ったなしの改革をすべきではないかというふうに感じております。  これはもう言うまでもなく、役割分担の明確化があれば市町村の基礎的行政経費も算定されるでしょう。今まではどっちが多いの少ないのという議論が多いわけでありますが、私は今まで一度もしたことないんです。地方の本当の行政経費はどのくらいで抑えるべきか。地方も反省すべきは、やっぱりどんどんどんどん行政が肥大化をしてしまった。私も地方議員あるいは市長を通じて要請甘受型でありましたから、やみくもに無理やりどんどん広がってしまう。不交付団体でももう行き詰まっているところもあります。そういう意味からすれば、それを反省すると同時に、役割分担の明確化によって基礎的行政経費を算定をする、そして国のあるべき仕事、広域地方政府のあるべき仕事、基礎的自治体のあるべき仕事を明確にしていただく、そのことが大事だというふうに思っております。  私も、なぜ市町村合併だけが進んで後が全く進まない、このことに大変残念な思いをいたしております。私は、市町村合併には賛成論者でありますから、できるだけどんどんそれが促進されるのが望ましい、こういう考えでした。是非、一つの例でありますが、改革一つのワンセット方式市町村合併がある、地方分権がある、そして道州制に進む、そしてそれに付随する税源移譲やあるいは権限移譲がどんどん進んでくる、財政の民主化もできる、こんなふうに地方が痛みを共有できるような全体像を明確にした一つ改革をお願いしたいと思っております。  地方自治法があれだけきちっと決められたのに実行に移すことができない、あるいは市町村合併が何か一つの合併だけに終わってしまった、このことがまた次の改革で同じような形で進むとすれば、住民の不信はますます高くなってくる、こんなふうに思っております。  是非、簡素で効率的な政府を実現することは、私たち住民にとっても、あるいは地方にとっても正に大切なことであります。どうぞそれを踏まえた上で、地方の現実をよく踏まえた上で、この簡素で効率的な政府が実現する、あるいは行革法案がしっかり執行されますようにお願いを申し上げたいというふうに思っております。  以上です。
  79. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ありがとうございました。  次に、佐伯参考人、お願いいたします。佐伯参考人
  80. 佐伯昭雄

    参考人(佐伯昭雄君) 全国中小企業団体中央会会長の佐伯でございます。  先生方には日ごろ中小企業の振興発展に一方ならぬ御尽力をいただき、有り難く御礼を申し上げる次第でございます。  また、本日、中小企業の立場から意見を述べさせていただく機会をいただきまして、有り難く御礼を申し上げます。  私は、宮城県仙台市で電子応用機器の製造販売をやっている典型的な中小企業でございます。また、我々が集まりまして、中小企業が集まって、宮城県の利府町で利府団地第一協同組合という組合、団地組合を結成して、理事長をしております。このような組合が全国の中央会の集まりとしては三万二千の組合を擁して、その傘下に三百十一万社の中小企業が参加しておるという、全国の中小企業の約七割の組織をしているという中小企業の団体でございます。  今日は政府系中小企業の金融機関のユーザーの立場から、政府系金融改革分野に関する意見を二、三述べさせていただきたいというふうに思います。  最初に基本的な政府系金融機関の認識を述べさせていただきまして、その後に統合される新しい政府系金融機関、それから我々の組合にとって非常に重要な商工中金の民営化ということについて御意見を述べさせていただきたい、かように思っております。  中小企業における政府系金融機関の役割と申しますと、我が国の、御存じのとおり、九九・七%は中小企業でございまして、製造出荷額の五割、販売の六割ですね、それから七割の雇用を支えているというのが中小企業でございます。  こういう重要な中小企業の中で、依然として中小企業、景気回復と言われていますけれども、まだまだ地域間格差もありますし、業績の格差、大企業との格差というのが依然として存在しております。このような中で、経営革新を目指して中小企業、日々コストの削減、従業員の雇用を守るため、日々懸命に努力をしているというようなことでございます。  ただ、景気は回復しているというものの、我々、実際経営している経営者の間では、民間の金融機関というのは、中小企業に対する貸出し姿勢というのは積極的になっているようでありますけれども、一方、融資先を選別するというふうな依然として厳しい状況でございます。  私ども中小企業の経営者にとっては、数年前、御存じだと思いますけれども、貸し渋り、貸しはがしという言葉がありますように、もうこれはかなり精神的な苦痛でございまして、今なおトラウマといいますか、心の傷として残っておりまして、安定した資金需要についての不安というものを是非払拭したいというふうに思っておるわけです。  このような中で、商工中金、中小公庫あるいは国民金融公庫という政府系金融機関というのは一貫して中小企業を育てると、そういうふうな姿勢を堅持して、民間では対応困難な長期の安定的な資金を供給すると。また、新しい事業とか経営革新に取り組む企業に対する支援、それからセーフティーネットの発揮、あるいはコンサルティング、そういうような経営支援や多様化、いろんな金融手法の多様化に取り組んでおり、我々が安心して仕事に取り組めるというふうな精神的な支えとしても重要な役割を果たしております。  このような基本認識の下に、何点かにわたって新しい金融機関についての意見を述べさせていただきたいと思います。  第一に、統合される新しい政策金融機関、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫など五つの金融機関が統合されます。新たな機関は、我々のような規模企業を顧客とすることが予想されます。業務の効率化の観点からすると、規模の比較的大きな企業への融資に偏り、小規模零細企業が軽んじられるおそれがあります。また、審査判断においても定量的側面ばかりを重視し、結果として小規模零細事業者が切り捨てられるおそれもあります。  こうしたことのないよう、新機関においては顧客の規模に応じてそれぞれきめ細かな対応をしていただきたいというふうに思っております。  昨年十二月に取りまとめられた行政改革の重要方針では、政策金融の基本として、中小零細、個人の資金調達というものが明記されております。我々としても安心しているところでございますが、組織の具体的な設計に当たりましては、国内金融と国際金融という違いがございまして、それぞれ政策金融として明確な旗印を立ててされるということになっておりますけど、国内金融においては中小零細、個人ごとの専門の窓口を設置して、また地域に配慮した専門能力を有する職員配置するなどユーザーの利便性向上を第一に、借り手の視点に立った組織の形態を大前提にして制度設計をしていただきたいというふうに思っております。  また、これまで中小公庫、国民公庫等に対しては中小企業金融を円滑に行うための予算措置がなされてきております。新機関においても必要な予算措置はしっかりと行い、政策金融機関として質、量ともに十分な機能を発揮できるように切にお願いを申し上げる次第でございます。  第二に、我々協同組合にとって非常に重要な商工中金の民営化についてであります。  そもそも商工中金というのは、昭和十一年に政府民間たる私ども中小企業の組合の共同出資によって設立されました。設立以来七十年にわたり中小企業と、中小企業組合の専門の金融機関として重要な役割を果たしております。それから、経済、金融の変化にもかかわらず、長期資金あるいは手形割引など短期資金に至るまで、常に安定的な取引をできる我々中小企業にとっては唯一の総合の金融機関でございます。  商工中金が民営化された結果、普通の金融機関になって私ども中小企業への融資がおろそかになるのではないか、あるいはファンドに買い占められるんじゃないかという、買い占められて利益優先主義になってしまうんじゃないかといった不安は私ども中小企業者は抱え、そういう不安を持っております。  今般の政府系金融改革により、既存の民間銀行を増やすということではなくて、中小企業及び中小組合を支援する商工中金の性格、役割を維持し、中小企業に常に信頼される金融機関となることを実現していただくようにお願いを申し上げる次第であります。これから詳細な制度設計がなされるということでございますけれども、商工中金の完全民営化後も、利益最優先でなく、中長期的な支援により中小企業に対し安定した資金供給を行う中小企業向けの専門の金融機関として存続されることが私どもの願いであります。例えば、特定の者に支配されたりすることのないよう法律でしっかりと措置をしていただく必要があるんじゃないかというふうに思っております。  しかしながら、現状は商工中金の財務体質は必ずしも万全でございません。行政改革推進法の中でも、業務の円滑な運営に必要な財政基盤を確保するための措置を講ずることということとされておりますけれども、新しい商工中金としましてスタートするために、現在の政府出資について、準備金のような形で資本勘定に残すなど、政府の対応は是非とも必要不可欠であると私は思っているところでございます。  また、商工中金は金融債の発行により資金調達を行っております。ワリショーでございますけれども。今後も引き続き、私ども中小企業に対する融資に必要な資金を金融債の発行により低コストで安定的に調達していただけるよう、円滑な資金調達基盤を確立していただくことが必要じゃないかというふうに思っております。  最後に、危機対応体制について申し上げます。  かつて、金融システムの不安の中で民間金融機関の貸し渋り、貸しはがしに苦しむ多くの中小企業を救ったのが商工中金を始めとする政府系中小企業金融機関であったことは記憶に新しいところでございます。民間銀行の破綻時や大型台風などの災害、地震とかの災害発生時については特別相談窓口を設け、私ども中小企業に対し親身に対応し、迅速かつ円滑に資金の供給を行ってくれたのも商工中金を始めとする国民金融公庫、中小企業等の政府系中小企業金融機関であります。  行政改革推進法案においても、危機管理体制については政府系金融機関及び民営化する商工中金を活用するという規定が明記されております。今後の詳細な制度設計においては、特に中小企業の短期的な資金繰りに機動的に対応するために、中小企業組合とも連携しております商工中金の機能やノウハウを積極的に活用することを御検討いただきたいというふうに思っております。  今回の政策金融改革におきまして、官から民へという行政改革の中で政府系金融機関の統廃合が必要なこと、基本的には理解をしております。行政改革推進法の中でも、中小企業者の資金調達を支援する企業は今後も維持されるということになっております。今後、詳細な制度設計に向けて検討が行われるようでございますけれども、私どもユーザーの声が統合後の新政策金融機関並びに民営化後の商工中金の運営に反映され、我々中小企業、そういうユーザー側に立った制度設計、そして国の中小企業政策の一翼を担うことができることになりますように切に要望いたしまして、簡単ですけれども、私の発言を終わらせていただきます。  本当に御清聴ありがとうございました。
  81. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ありがとうございました。  次に、駒場参考人、お願いいたします。駒場参考人
  82. 駒場忠親

    参考人(駒場忠親君) 御紹介をいただきました日本自治体労働組合総連合、略称、自治労連でございますが、中央執行委員長の任を預かっております駒場と申します。今日はまた、参考人ということで貴重な時間をいただきまして発言の機会をいただきました。改めて、その点について冒頭お礼を申し上げたいと思います。  私の方からは、いわゆる行政改革推進法案と、これもまたいわゆる市場化テスト法案、この二つについて意見を申し上げさせていただきたいと思います。私自身、東京の地方自治体でケースワーカーの仕事をした経験を持っております。地方自治体に勤務をいたします正規、非正規の公務員職員で構成をしております自治体労働組合の立場からということで意見を申し上げさせていただき、是非皆様方、先生方の議論に供していただければと、このように思います。  最初に、行政改革推進法案、とりわけその中でも法案の第四十二条から触れられております総人件費改革、この点について申し上げたいと思います。  法案は、第五十五条のところで、地方公務員の総数の四・六%以上の純減を示し、そのためということで二つ、つまり地方公務員配置に関し国が定めている基準を見直すということ、そして政府に必要な助言その他の協力を求めるということを述べています。  私は、これらの点が住民暮らしの問題からもまた地方自治という点から見ても重大な問題を持っているのではないかと、そして結果として、地方自治体が果たさなければいけない本来の役割、つまり住民の福祉の増進を図るというこの目的を果たすことができないのではないか、このことを申し上げたいと思うわけであります。  その理由について三点申し上げます。  第一番目は、初めに四・六%以上の純減数ありきと、こういう手法で地方公務員の国が定めております配置基準を見直すということについて、これは行政の現場にいる者にとっては看過できないと、こういうことであります。  法案が言う国が定めております配置基準、事例を法案自身も明記しているところでありますけれども、小中学校教職員、消防職員、警察官、福祉事務所の現業職員、保育所の保育士、老人福祉施設の従業員、保健所の医師など様々でございます。ただ、大事なことは、現実にこれらの仕事職種というのは、住民が求めております安全、安心、こうした点にいずれも深いかかわりを持った職員だということであります。  これまで衆議院の議論を通じましても、例えば消防職員の充足率が基準数の二十・五万に満たない十五・五万人、つまり率でいうと七五・五%、さらには福祉事務所の生活保護担当の現業員、ケースワーカーでございますけれども、これもまた一万三千五百三十七名に満たない一万一千三百七十二名だということ、これらが明らかになっているところであります。  また、総務省自身が部門別職員数の統計を明らかにしているところでありますけれども、これも二〇〇二年を一〇〇とした場合、三か年の推移でいいますと、警察が一〇四・五、消防が一〇〇・九、教育九六・五、一般行政九五・三、公営企業九四・九と、こういうことでございまして、一般行政、公営企業は過去最大の純減、そして住民安心、安全にかかわりがあります消防、ここもとても増員と呼べるものではない、こういう実態になっています。  私ども、改めて、初めに純減数ありきと、こういうことで住民の生存権保障の一つとも言える地方公務員配置基準、これを見直すということについて、是非先生方の御議論を通じて改めていただけるようにお願いを申し上げる次第でございます。  二つ目の理由は、法案は政府に、四・六%以上の純減を、その達成するためということで政府に必要な助言その他の協力を求めているところでございます。私どもは、この点に関して言えば、地方分権ひいては地方自治、これに逆行するのではないかということから、その問題点について指摘を申し上げたいわけでございます。  確かに、地方自治法のところでは、政府地方自治体に対しまして適切と認める技術的な助言又は勧告をすることができると、このようにされているところでございます。しかし、多くの自治体関係者が、非公式でございますけれどもよく言われることに、こうした助言が時には干渉、介入と受け止められているというのが現実の姿でございます。  一つ、最近の例で紹介をさせていただきたいと思います。  一月十九日、二十日の総務省が開催をいたしました全国都道府県総務部長会議、同財政課長・市町村担当課長の合同会議のところでの総務大臣の発言でございます。いわく、地方自治体は行革を進めながら住民のニーズに的確にこたえる予算編成に取り組んでいただきたい。その際、行革努力を交付税算定に反映するため、平成十七年度から行革インセンティブ算定を導入したが、今回、行革努力の実績を地域振興関係経費に反映する算定を新設し、算入額をおおむね倍増する。地方自治の本旨、つまり住民自治、団体自治ということからいえば、行革努力それ自身も地方自治体で判断すべきことではないのかと、このように考える次第でございます。言ってみれば、地方交付税制度を通じた干渉、介入と受け取られかねない、そういう発言の内容ではないのかなと、このように考えているところでございます。法案が四・六%以上純減ということで、政府に求める必要な助言がこうしたことに当たらなければなと、このように願っているところでございます。  最後に三つ目の理由でございますが、私どもは、今ほど地方自治体が本来の役割を発揮すべきときはないと、このように考えているところでございます。本来の役割とは、理念的に言えば、憲法が言う国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和を地域で具現化すること、まあありていに言えば、地方自治法が明記をいたします国民の福祉の増進を図ることだと私ども認識しているところでございます。  ある有力な自治体関係者が発言した内容でこんなものがございます。公務員の総人件費抑制ということで、中央からは人件費をもっと切れと言ってくると。しかし、高過ぎるものは下げなければならないけれども、少人数教育にしても治安にしても、すべてを小さな政府というのでは困る。行き過ぎた規制緩和をチェックするのは結局最前線にいる地方自治体であり、そのためには大きさが必要な場合もある。  行政が果たす役割は何かと、こういうことでいろいろ議論されているところでございますが、先生方におかれましては、これまで以上に自治体関係者のこうした現場のところの声にも是非思いをはせて、これまで以上の御議論をお願いできればなと、このように考えているところでございます。  時間が迫っておりますので、はしょりながら申し上げさせていただきますが、二つ目には、競争導入によりますいわゆる公共サービス改革に関する法律案、この点でございます。私ども、限られた時間の中で議論をいたしましたけれども、多くの問題点指摘できるということで、今日のこの場所のところでは三点に絞らせて問題点について指摘させていただきたいと思います。  一つ目は、結局、市場化テストということを通じまして規制緩和、民間開放が地方自治体に持ち込まれるということになり、これまで以上に住民安心、安全、これが脅かされるのではないかということであります。地方自治体のところでいえば、地方自治体においては公立保育所の民営化、それから保育事業への指定管理者制度の導入などで、既に官から民へということでいろいろな問題が生まれているところでございます。  民間企業が設置をしますある認可保育所、昨年十月、もうからないということから突然廃園を発表いたしまして、乳幼児と保護者を不安にさらした例ございました。これは既に衆議院の段階のところでも明らかにされているところでございます。  また、民営化されたある公立保育園では、受託した企業雇用いたします園長、保育士が一年もたたないうちに入れ替わるということで、子供や保護者との信頼関係が崩れたりする例などございます。ここの自治体のところでは、地方自治体自身が業者に改善勧告を行ったという、こういう報道もされているところでございます。市場化テストを導入することによりまして、こうした事例、こうした事態が進行するという、こうした点から市場化テスト法案については私ども現場にいる者にとっては容認できるものではないということで議論を進めているところでございます。  二つ目の問題点として指摘をいたしますのは、法令などの特例措置で規定されます事例として挙げられております住民票発行などの業務を民間企業にゆだねるということ、この点が個人情報保護、プライバシー問題、言い換えれば基本的人権を擁護するという点から問題がありはしないかと、こういうことでございます。  よく知られていることでございますけれども、二〇〇三年八月に住民基本台帳ネットワークに関しましては、所管官庁総務省ということでスタートしたところでございます。行政住民全員にコードを付けまして、個人情報を集積いたします住基ネットということのこの問題については、いまだに不安が払拭をされずに訴訟も含めて議論になっているところでございます。  ところで、一方で、今次通常国会には総務省が住民基本台帳法の一部改正案を提出をしたところでございます。これは、住民基本台帳の閲覧を何人でも閲覧を請求できるという原則自由から閲覧することができる場合を限定するという制限列挙へと改める内容のものでございます。これは、個人情報の保護に業務を通じて日夜苦労されている現場の職員、また今、千代田区長さんがたしか会長さんだったと思うんですが、全国連合戸籍事務協議会、ここの方々の労苦が実現をして現実化されたものだというふうに私ども認識しているところでございます。  一方、こうした現実がある下で、市場経済、市場の効率性が優先されます市場化テスト、その対象ということでこれらの業務が法案に設定されることについて、行政現場の少なくない職員が強い意見を持っているという、この点について是非先生の皆さん方には訴えるものでございます。  第三に申し上げたいのは、この法案が、正規、非正規を問わず、自治体職員雇用の問題を惹起しかねないということでございます。  公共サービスに市場化テストが適用され、民間企業等々が実施するということになれば、当然のことながらその業務に従事していた職員雇用問題、これが発生することになります。既に、市場化テストの導入に伴いまして、地方自治体においては既に雇用問題が惹起しております。つまり、地方公務員法第二十八条四号で言いますいわゆる分限免職問題でございます。これが国家公務員のところでは生じていないというふうに私ども聞いているわけでございますけれども、地方自治体行政現場のところでは、北海道、京都府などの地方自治体のところで惹起していると、このように私ども認識しているところでございます。  市場化テストのこの導入に伴いまして雇用の問題が惹起するということについて、先生の皆さん方にその問題点を申し上げるものでございます。  最後に一言だけ申し上げさせていただきます。  私ども自治労連という労働団体の座右の銘は、住民の繁栄なくして自治体労働者の幸せはないと、こういうものでございます。つまり、憲法十五条が言う住民全体に奉仕をする職務を担い、一方で労働者、勤労者である職員で構成をする自治体労働組合としての認識でございます。私ども、これまで合併の問題や三位一体改革、そして行革問題等々で地方自治体関係者や地域住民の方々と懇談、協議を行っておりまして、改めてその大切さについて認識しているところでございます。  過日、ナショナルセンター、全労連が行いました全国キャラバンのところで、ある自治体関係者がおっしゃっておられました。合併を決めるのは住民の意思だ、金がないからと身売りはしない、行革もやった、民営化も地域の活性化につながらないと駄目だ、これは北海道の寒村のある町長さんの言葉でございました。また、今の政治、行政は財政再建だけ考えている、住民の安全、福祉をどうしたらいいのか、このままではつぶされる、危機感が深まるだけだ、これもまた北海道のある市長さんの激しい言葉でございました。  今、公務員とは何か、その中で自治体労働組合とは何かということが問われているわけでございますが、私ども自治体労働組合として、あらゆる場面で主権者は住民なんだということを貫いて頑張っていきたいなと、このように考えているところでございます。先生方のこうした点での御助言も私どもにいただければなと、このように考えているところでございます。  御清聴ありがとうございました。
  83. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  84. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。  今日は、四名の参考人の皆さん方には、大変この連休明けのお忙しい中だったろうと思いますが、御出席いただきまして、先ほど来、大変示唆に富んだ御指導をいただきましたこと、心から御礼を申し上げる次第でございます。  もう皆様方も重々御承知のとおり、小泉内閣が誕生いたしまして五年丸々過ぎたわけであります。小泉総理は、改革なくして成長なしと、もうこの信念、そしてまた総理の強いリーダーシップによりまして、道路公団の民営化、あるいはまた三位一体の改革、そしてまた昨年の八月の郵政民営化等々いろんな改革に取り組んでこられたわけでありますが、いよいよ最後の総仕上げとしてこの行政改革推進法案が出てきたわけでありますが、やはりこの構造改革を止めてはならない、そしてポスト小泉後にもその道筋をきちっと立てておかなきゃならない、そういう取組が今回の法案だと、こういうふうに思います。  そこで、限られた時間でございますので御質問をさせていただきますが、まず樫谷参考人に御質問を申し上げます。  樫谷参考人は公認会計士という専門の職をお持ちでございますが、そのほかにも政府の組織なりあるいはまた運営の改善等々、多面にわたりましていろいろ私どもに御指導いただいておること大変感謝申し上げて、そしてまた大変精通されておる、こういうふうに伺っておるところでございます。特に、その中でも、先ほど来お話もございましたが、総人件費改革、あるいはまた独立行政法人の組織、業務の見直し等々、政府行政減量効率化有識者会議の主力メンバーとして御提言をいろいろいただいておるところであります。先ほども、簡素で効率的な政府の実現にはコスト計算、コスト管理の政策効果の測定が不可欠であると、こういうふうなお話を伺ったところであります。  そこで、まずそのコストの一つでございます総人件費改革についてお尋ねいたしたいと思います。  今回の行革推進法案におきましては、もう御承知のとおり、国家公務員の五年間で五%純減する、そしてまた十年間にわたりましてGDPの約二分の一にしよう、そういう限りなく近づけようと、こういった内容になっておるわけであります。  しかしながら、過去五年間のこの総人員の純減を見てみますと、わずか〇・七%でしかございません。五年間で大体七倍近い言わば削減を今後実施していかなきゃならない。大変高い私はハードルだというふうに思います。しかし、民間企業におきましては、やはりこのバブルの時代に、いわゆる水膨れしたとは失礼な言い方ですが、人員や、あるいは先ほど穂坂参考人もおっしゃいましたけれども、施設等々、やはりここは縮減をしながら身の丈に合った経営、これを一般企業はまあ血の出るような努力をしながら今日まで来ている、私はそういうふうに理解いたしております。したがいまして、これは国におきましても当然のこと、これはもう避けて通れない、こういうふうに思います。  そこで、先ほど申し上げました国家公務員を五年間で五%する、大変高いハードルだというのを申し上げましたけれども、これの実現性のある、あるいはまた実効性のある、そういった切り口があるのかどうか、その辺から御指導いただければ有り難いと思います。  よろしくお願いいたします。
  85. 樫谷隆夫

    参考人(樫谷隆夫君) 樫谷でございます。  五%というのは確かに非常に高いハードルだと、こういうふうに思っております。有識者会議でもいろんな省庁から御説明がありまして、なかなかできないという理由を相当長く御説明いただくわけですが、私ども民間人の感覚から見ると、どうも理解できないところが一杯あるんですね。できない、国家公務員でなきゃできない、あるいは公務員でなきゃできないというふうにおっしゃいましても、それは本当にできないところも中には確かにあると思うんですが、大半のものは工夫すればできるんではないかなと、これは工夫次第だと思うんですね。いろいろ法律的な手当てをするとか、いろんな手当てが必要だと思います。無条件に民間人にすればいいということではありませんが、いろんな手当てをすればできると。  例えば、ちょっと話は違うかも分かりませんが、独立行政法人が非公務員化をしたときに、というのは去年、おととしにかけてですね、見直しを、五年終わった後で見直しをしました。そのときもやはり同じように、できない、できないという理由を述べられました。しかし、我々はやはりできるんではないかと、工夫すればできるんではないかと。むしろその意識というんですかね、カルチャーを変えるというんでしょうか、これは実は民間企業でも企業再生をやるという場合には、実は意識改革するというんでしょうか、カルチャーを変えないといけないんですね。そのために国家公務員であるという、これは決して、このプライドは非常にいいことだと思いますし、これは悪いわけではないんですが、ただ、今までの既存の概念の国家公務員であるというそのカルチャーの中でやはり物事を変えようというのは極めて難しいんではないかと思います。むしろ、いや、民間にもっとどうやったらできるんだと、つまりどうやったらできるかという議論をしていただきたいんですが、できないという御説明をされるんですね。だから、私はそのカルチャー、考え方を変える、頭を変えてもらえれば私は十分できるし、物すごい優秀な方ばかりですね、国家公務員の方は、できるんではないかと、こういうふうに思っております。  それからもう一つは、だから意識改革がまず一つだということと、国家公務員でなきゃいけないという意識改革一つだということと、それからやはり中身を見てみますと、これはちょっともう時代に合ってないよねというところがやはり相当あるような気がいたしました。それについては、何とか組織維持のために、これは民間企業でもある話なんですが、人がいれば仕事をつくるというところがあるわけです。国家公務員も、あるいは国の仕組みも同じでして、人がいるために、まあ無駄とは言いませんが、本当に必要な事業でないものをやっているところがあるように思われますので、そういうようなものはやはり本当に国家公務員でなきゃできないのかという観点からもう一度見直していただいて、そうした方は少なくとも減量していただいて、あるいは配置転換をしていただいて、本当に足らないところに配置転換をしていただくというようなことが必要なんではないかと、こういうふうに思います。  以上でございます。
  86. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 ありがとうございました。  次に、この十年間でGDPの二分の一に限りなく近づけようと、こういった考え方になっておるわけでありますが、私は、民間企業では御承知のように、もう先生、公認会計士でございますので、人件費比率というのがございますね。この人件費比率がやはり経営管理の手法であったり、あるいはまた先生先ほどおっしゃいました目標管理の手法である、こういうふうに思います。そういう意味におきましては、今回GDP比という形で一つの目標を示す、これは私は画期的なことじゃないのかなと。一般企業人件費比率できちっとやっぱり経営管理をしているわけでありますから、やはり国においてもそういった管理が必要ではないのか、そういうふうに思いますが、ただGDP比で何のその意味があるのかと、こういった御指摘もあるわけでありますが、これについての参考人の御意見をお聞かせいただければ有り難いと思います。
  87. 樫谷隆夫

    参考人(樫谷隆夫君) おっしゃるとおりです。
  88. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 指名を待ってください。
  89. 樫谷隆夫

    参考人(樫谷隆夫君) はい、申し訳ございません。  樫谷でございます。  おっしゃるとおり、GDP比で幾らにするかということについては非常に難しい話だと思います。しかし、これはある意味では国民に対するサービス提供の度合いを測るものでありますので、それはある意味では政治が決断をしないといけないんじゃないかと。民間企業でもやはりこれにトップから何%にしようというこの決断があって、指示があって、それに合わせてビジネスを構築するわけですね。やはり国も同じではないかなと。そのトップの方針でもって、あるいは政権になるのか、トップになると思いますが、トップの方針に基づいてこの程度にするんだということがまず大事じゃないかと思います。そのときに、本当にやれるのかどうかという精査は当然する必要はあるかと思いますけれども、やはり目標をしっかり、何%でやるんだということがないと、もうだらだらだらだらとしてしまうんではないかと、こういうふうに思います。
  90. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 また先ほどの五%に返るわけでありますが、今参考人、先ほどもおっしゃいましたように、その五%純減するための一つの手段として独立行政法人の非公務員化、このお話もお伺いしたわけでありますが、ただ国民の目から見たときに、公務員から非公務員化、公務員の外出しではないのかと、こういうやはり御批判もまたあることも事実であります。ですから、国家公務員を独立行政法人という組織にただ移しただけだ、そして今まで人件費という費用科目を単にこちらの方の交付金に替えた、言わば費用科目の付け替えじゃないか、やはりこういう御議論も実はあるわけであります。  したがいまして、参考人、この独立行政法人の非公務員化についてどのような意義があるのか、やはり皆さんにはっきりとこの御説明をいただきたいと思います。
  91. 樫谷隆夫

    参考人(樫谷隆夫君) 樫谷でございます。  独立行政法人、単に独立行政法人化するだけでは右のポケットから左のポケットに移しただけだからトータルは変わらないと、こういう御指摘だと思います。  確かにその部分もあると思います。しかし、独立行政法人というのは、御存じのように中期目標、中期計画、年度計画、あるいは年度の評価、中期の評価、見直しと、こういう一定の仕組みが入っている、ビルトインされているんですね。そこで前回、第一中期が、これが終わりましたので、徹底的な見直しを政策評価・独立行政法人評価委員会でも行いましたし、これは参与会議という、今は有識者会議ですけども、以前、参与会議ということで議論いたしまして、やはり大幅な見直しが私はできたんではないかというふうに思うんです。  つまり、そういう仕組みをつくることが私は非常に大事だと思うんですね。単に、確かに右から左に移して何のチェックもされないと、何の評価もされないというんでは余り意味がないといえば意味がないわけですが、そういう仕組みのあるところに移し替えたということは非常に重要であるというふうに思いますし、それから非公務員化につきましても先ほど申し上げましたようにやっぱり意識が変わると。公務員でなくなったということはプライドがなくなったということとは違いますし、独立行政法人というのは間違いなく政府の機関でありますので、そういう意味ではプライドはお持ちだと思います。相当の高いレベルのサービスを、むしろ民間人と交流しながら、インセンティブも付けながら、もらいながらおやりになっていただいているんではないかと、こういうふうに考えております。
  92. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 公務員削減する上で、先ほど御指導いただきましたように、いろんな業務の見直しあるいはまた改革は当然これはリンクする話だと、こういうふうに思います。しかし、また一方では国民なり地域住民に対する行政サービスが低下するのではないのかと、こういった不安もあることも事実であります。  先ほど参考人公共サービスのコストと質のバランスが必要だと、こういうこともお触れになったわけであります。そこで、いろいろ公認会計士としても企業会計を、経営を見てこられたと、こういうふうに思うわけでありますが、それらの経験に立ちまして、一般の企業というのは顧客第一主義、いわゆるお客さんの立場に立ったサービスというのを求めておりますし、ましてや、そのことをやっていかなければとてもじゃないですが企業としては成り立っていかない、そういう御時世でございます。  そういう意味におきまして、私は、やはり行政におきましても、そういう立場に立ったやはりサービス、先ほど申し上げました、どうも削減していくことによって質が落ちるのではないかといういろんな御心配もあるわけでありますが、受益者の視点に立った業務改革についてどのようにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  93. 樫谷隆夫

    参考人(樫谷隆夫君) 樫谷でございます。  顧客に対するサービス、これは民間企業については一番考えているわけでございますね。民間企業の行動というのは、コストは下げる、サービスは上げると、こういう指向をやらないと実は企業の維持ができないんですね。サービスを一定にしながらコストダウンをするだけでは競争に負けるわけですね。したがって維持ができない。維持ができないということは破綻するということになっているわけであります。  ところが、パブリックセクターについては、行政サービスのレベルをどこにするのかということは、つまり高くすれば高くするほどコストが掛かりますと。低ければ、もちろんやり方にもよるわけですが、やり方にもよりますけれども、やっぱりサービスが低下しますということだと思います。  したがって、やはり独立行政法人は、これは実は目標は主務省から与えられるわけですね。つまり、これは一定のサービスのレベルを維持しようということだと思います。いかにそれを工夫してコストダウンにつなげていくかと。つまり、これは質は低下させちゃいけないわけですね。まあこれ、させるかどうかは、これは主務省なり、むしろ政治の決断だと思うんですね。政治が決断したものを、これをいかに安くするか。これはいろんな知恵を絞りながら、知恵を絞りながら一番安くて成果が、効果が上がる方法、これを模索すると。これは民間企業の行動原理とそんなに変わらないんではないかと思います。  そういう意味では、決して質が、サービス低下しないでコストダウンが私はでき得るんではないかというふうに思っております。ただし、これは運営次第でございます。
  94. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 大変時間が迫ってまいりまして、佐伯参考人にもいろいろお伺いしようと、こういうふうに思っておりましたが、はしょって御質問をさせていただきたいと思います。  私は出身が鹿児島でございまして、私どもの地元でも中小企業の皆さんが地場の経済を支えている、こう言ってももう過言ではございません。先ほどもおっしゃいましたように、もう九九・七%が日本全国中小企業の皆さん方でございますんで、そういう意味におきましては私どもの県も全く同じであります。  そこで、今までこういった中小企業を金融面で支えてきたのが言わば商工中金でありましたり、あるいはまた国民生活金融公庫であったり政府系の金融機関であります。非常に今回のこの統合等々、あるいはまた民営化等で大変私どもも現場、地元でいろんな不安をお聞きいたしております。  特に、やはり一番大きいのが商工中金の民営化、これに対する不安というのが大変強いといいますか、やはり今政府が持っている四千億の出資金がどうなっていくのか、そしてまた調達しているワリノー、ワリショー、この金融債が本当に今後も発行できるのかという非常に私は、皆さんが考えておられることは先ほども、さっきお触れになりましたけれども、皆さんやはり御心配はその辺だと。といいますのが、低コストの調達でなければ最終的にはやっぱり中小企業の皆さん方にしわ寄せが来る、そのことがコスト高になるというやはり不安だろうと思います。  そのほか、佐伯参考人がやはり利用する立場側として、いろんな中小企業の皆さん方からの御心配事がありましたら是非この場でお話をしていただきたい。最後の御質問にさせていただきたいと思います。
  95. 佐伯昭雄

    参考人(佐伯昭雄君) じゃ、お答え申し上げます。  今までの商工中金の果たしてきた役割というのは非常に重要なものであったと高く評価をしております。  今先生のおっしゃったように、民営化された場合の不安というのは、一つは、我々中小企業が切り捨てられるんじゃないかと、大企業一辺倒になるとか利益偏重型になるとか、そういうふうな心配があります。そのためにも、中小企業のための金融機関として何か法律的な担保をしていただきたいというふうに思っております。  また、財務体質なんですけれども、政府の四千億の出資、これはやっぱり自分が経営者として考えますと、これを配当の負担ということを考えれば、今のままでは非常にかなりの部分を、政府出資のかなりの部分を準備金化するというような格好で、配当の負担を抑えるなどというふうなことをしていただきたいというふうに思っています。それで、金融債の発行ができるように、それで商工中金が資金繰りに困れば我々中小企業はもっと困るわけでございますので、是非金融債の発行を認めていただくように考えていただきたいというふうに思います。  以上です。
  96. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 まだ佐伯参考人にはいろいろ御質問をさせていただこうと思っておりましたら、先ほどの御説明の中で触れていただきましたので、以上、また時間も参りましたので、質疑をこれで終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  97. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党の大塚耕平と申します。今日は、四人の参考人皆様方に貴重なお話をお聞かせいただきましてありがとうございました。まずは冒頭御礼申し上げます。  それぞれ大変印象深いお話を聞かしていただきましたが、穂坂参考人からは、改革はすべて住民のためでなければならないというお言葉がございまして、全くそのとおりだなと思いながら聞いておりました。  私も二〇〇一年から国会議員をやらしていただいておりますが、この間、改革と名の付く法案をたくさん審議をさしていただいたわけでありますが、それぞれが本当に住民国民のためになったのか、あるいは、その法案が目的としていたことが実現されたのかという観点でるる振り返りますと、国会に所属する人間として至らぬ点も多々あるなと思っております。  冒頭に蛇足だけ申し上げておきますと、去年もこの委員会室で郵政民営化の審議を本当に参議院は真剣にやらさしていただきました。私などは、郵政民営化は、それに伴って民の資金を官に吸収し過ぎてはいけない、国債の発行残高を減らすことが本来の目的であったと思って、そういう視点で議論をさしていただいたんですが、残念ながら、それをもし目的だと定義をすると、郵政民営化も今のところはそうはいってないなと思いますと、改革と名の付く法案の真贋を見極めるというのは本当に難しいことだなというふうに痛感をしております。  その上で、それぞれから拝聴いたしましたお話に沿いまして一問ずつ御質問をさしていただきますので、冒頭、全部の質問をまず申し上げたいと思います。  まず、樫谷参考人からは、専門的な御職業のお立場から貴重なお話を拝聴さしていただきましたが、私は、公会計の話もありましたが、確かにこれから行政部門も企業会計的な発想で無駄を省いていくということが必要だと思うんですが、日本行政というのは、つまり行政原資、資金ですね、これが無償資金と有償資金があるということ、そして、それはそれぞれやはり使い分けをしなければならないということが十分に組織運営の中にそういう思いが組み込まれていないなという気がいたしておりまして、もう専門家であられますから詳しくは申し上げませんが、税金や社会保険料のような無償資金と後々返さなければならない有償資金では、当然それを何のために使うかということが違ってしかるべきなんですが、どうもそこが非常に運営が不適切であるというふうに感じておりますので、その点についていろいろ情報をお持ちのお立場からお話をお伺いしたいと思います。  次に、穂坂参考人には、途中、長い行政にかかわる御経験を踏まえて、行政とは何ぞやという定義につきまして、非営利独占組織であるというような御表現があったかと思います。私も極めて適切な御定義だなと思って拝聴しておったんですが。  そういう観点で考えますと、今回、我々ここで幾つかの法案を審議しているんですが、いわゆる市場化テスト法案、これは、総理の説明とどうもこの法案の中身が腑に落ちないところが一点あって、総理は民にできることは民にと、こうおっしゃっているわけですから、それはもう全くおっしゃるとおりで、私は何ら異論はないんです。民にできることは民にということで官民入札をさせるというのは、これは論理破綻をしているんじゃないかと思っていまして、つまり、民にできるから民にも入札に参加してもらうということは、もう官は参加する必要がないわけなんですね。にもかかわらず官民入札というのは、これは、民にできることは民にと言いながら、論理構造的に言うと完全に破綻をしている説明を我々は受けているんですが。  先ほどの穂坂参考人の御定義によると、非営利独占組織が行政であるとすれば、やはりこれは、非営利独占である組織がやらなければいけない仕事というのは、これは市場化テストにそこが参加をするというのは論理的にはおかしいんではないかなという気がいたしておりまして、その点について、実際に行政を運営されたお立場で是非お聞かせいただきたいなと思います。  次に、佐伯参考人には、遠路おいでいただきましてありがとうございます。  私、元日銀におりました関係で、政府系金融機関等々の問題は仕事柄も随分かかわっておりましたが、参考人の途中の御発言で、これからも、統合された後の政府系金融機関も、民間では対応困難な資金については適切に対応してほしいという御発言がございました。  そこで、民間には対応困難な資金というのは例えばどういうようなものを想定しておられて、それを今後この法案が通った後に新しくできる政府系金融機関に期待をされるのかということをお伺いしたいと思います。  あわせて、これは半分要望、半分質問なんですが、確かに貸し渋り、貸しはがしの時期に商工中金さん始め政府系金融機関が大いに活躍されたことは事実でありますが、その一方で、政府系金融機関が今後とも、まさしく民ではない、政府系金融機関として適切な融資行動を取っているかということのチェックは、ユーザーである佐伯参考人のようなお立場の方々が繰り返し繰り返しおかしいことがあれば国会や行政に異議を唱えていただくということをやっていただかないと我々分かりませんので、そのことをお願いしつつ、少し実態について補足的な質問をさせていただきたいんですが、政府系金融機関が民間金融機関のような根担保とか根抵当を取るような、そういう対応を今でもしているケースがあるのかないのか、これは御存じの範囲で結構ですので。なければ結構です。  そして最後に、もう一点だけなんですが、これは本当に、全国の七割の勤労者を支えている中小企業、それを支える政府系金融機関ですから、これは、この法案が出てくる前に相当ユーザーである皆さんの声を聞かなくてはならなかったと私は思っているんですが、十分に皆様方の御意見は吸収された上でこの法案が出てきたという実感をお持ちになっているかどうか、それも併せてお伺いしたいと思います。  それから、最後に駒場参考人にお伺いをしたいと思います。  幾つか、二〇〇二年を一〇〇として幾つかのセグメントごとの人員の数字を聞かせていただきました。確かに、一般事務部門が九五・三だったと思いますが、それから公営企業が九四・九、減り過ぎているなという気もいたしますので、そこは我々も適切なフォローをしていかなくてはいけないと思うんですが、ただ、この公営企業というものの中に様々、合理化すべき事業をやっていたり、あるいは何がしかやはりポスト維持のために運営されている公営企業があるのではないかということも繰り返しいろんなところで議論をされているわけでございます。  例えば、穂坂参考人よく御存じのとおり、地方自治体には必ず土地、住宅、道路の三公社があって、これらも地方自治体の財政を圧迫している要因になっているわけでありますが、そのように考えますと、現場のお立場で実際にそういう公営企業実態をごらんになっていて、いや、公営企業九四・九に減ったというのは確かに事実としてよく我々も頭に入れなければいけない数字なんですが、公営企業そのもの、あるいは公営企業がやっている事業そのものにかなりスリム化の余地はあるのではないかという観点で実際の御感想をお伺いしたいと思います。  以上、それぞれにお答えいただきたいと思います。
  98. 樫谷隆夫

    参考人(樫谷隆夫君) 樫谷でございます。  先ほどの御質問は、借金でやるものと、税、保険料などでやるものと、企業会計的に、あるいは公会計というんでしょうか、にどのように整理できるかというふうに理解いたしまして、そのようなお話をさせていただきたいと思います。  例えば、借金でやるということは将来返済すると、こういうことでございます。そうすると、国の借金、これはいろんな形の借金がありますが、長いものでは六十年でございます。ということは、六十年にわたって将来の世代が負担をしていくということですね。負担をしていくということは、当然便益もないといけないわけですね。だから、便益と負担、現役世代と将来世代の便益と負担と、ここの整理の仕方というんですけれども、企業会計は、例えば減価償却という形で、例えば道路を造りました、六十年もちましたと。六十年もつ道路を造るんであれば、これは六十年の借金で元利均等でやれば、これはちゃんとした便益とあるいは負担がぴったり合っているわけで、こんなものは借金で造ってもいいのかも分かりません。ところが、十年しかもたないものを、使えない、耐用年数というふうに言うんですけれども、十年しかないものを借金で、六十年の借金で造ったらどうなるかというと、十年間の人は便益はありますが、十一年以降の人は負担だけ生じると、こういうことになるわけですね。だから、企業会計的な手法を使えば、つまり期間の計算をいたしますので、便益の負担の関係もすっきり整理することも可能だと思っております。  ただし、道路を、六十年もつといっても使いもしないような道路を造っても、これは減損会計ではありませんが、全く意味がありませんので、そんなものはもう思い切って減損をして、そしてそれは現役世代が負担しないといけないということになると思います。
  99. 穂坂邦夫

    参考人(穂坂邦夫君) 非常に難しいと思うんですが、一つの、市場化テストというのはイギリスとかアメリカでかなり進んでいますね。それは職員のために、流動性を高めるためにやっているのではないかと思っているんです。日本の、ただ、公務員の性格からいえば、なかなか難しいだろうなと思います。価格の点では、これは民間にはかないません。そういうふうに私は認識をしております。  私どもで、まあ市場化テストとは言いませんが、すべての業務を棚卸しを一回したんです。千五百ぐらいあります。職員がそれぞれ一つ一つプロジェクトチームをつくってやりました。大体半分は公務員じゃなくてもできる、これが結論でした。それをどういうふうに進めていくかというと、どうしても、昔のアウトソーシングみたいに外には仕事を出すけれども職員がそのまま居残りですと、外に出した分だけ経費がアップしてしまう。結果的には、机の上では安くなるんですが、全体経費は高くなってしまう、そういうことがあります。ですから、例えば志木市の場合には、その千五百の業務のうち、職員が例えば十五人定年退職をする。すると、十五人分を、じゃ、どの仕事で外部のNPOや住民団体の皆さんにやってもらうかということで進めました。大体費用価格は一対六分の一ぐらいでした。ですから、そういう意味では、やはり公務員のコストというのは圧倒的に高いというふうに思っております。  例えば政策形成は、これはもう公務員じゃなければできません。しかし、広報「しき」というのがあるんですね。新聞記者になりたくて市役所に入ったわけじゃないんですから、ああいうものは民間の方の経験者の方の方がよっぽど早くてよっぽどうまいわけですね。しかも、あればっかり仕事をしていますと、職員だって嫌になっちゃうわけですね。何とか異動させてくれというと、常に新しい素人の人が広報雑誌を作らなくちゃならない。そういうことなんかはNPOや住民の皆さんの方がやっぱり早い。こういう観点で、住民にできる仕事、それから公務員でなければできない仕事を明確にやっぱり分けるのが最初の仕事ではないだろうかと思います。
  100. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。
  101. 佐伯昭雄

    参考人(佐伯昭雄君) 先生から三つほど質問がございましたので、お答え申し上げたいと。  民間ではできないような資金は何かということについては、簡単に言えばセーフティーネットの活用ということで、民ではできない、例えば大きなこの前の新潟の中越地震とかそういうときの、あるいは景気変動に対する危機に対して政府系金融機関が中小企業に対しての親身になった相談を乗ってくれたということで事業が継承できたというふうな役割は政府系金融機関じゃなきゃできないという、そういうような役割の重要性ということを私は認識しております。  それから、抵当権とか担保の件でございますけれども、我々の中小企業の全国の中央会の知っている中でも三百十一万社企業があり、業種も何千という業種があるもので、抵当権があるのかないのか全部はよく分からないんですけれども、あるところも、取られるところもあるだろうし、ないこともあるだろうし、はっきりはちょっと答えられないというか、全部は知らないというのが現状でございます。数と業種によって違いがあると思います。  それから、我々ユーザーの声を十分聞いたのかということでございますけれども、我々、十一月、ユーザーとして経済諮問会議に呼ばれまして意見を発表させていただいたり、そういうことをやったおかげかどうか分かりませんけれども、要するにこの行政改革政府系金融機関の改革の中でも中小零細の金融機能を守るということをうたっていただけたということについては、我々の意見を尊重していただいたのかなという感じもいたします。  また、商工中金についても、資金の調達とかあるいは出資している我々に対する損害がないようにとか、そういうふうなことを言っていただいていると、配慮をしていただいているということで、我々のユーザーの声も聞いていただいているんじゃないかというふうに思っている次第です。  以上です。
  102. 駒場忠親

    参考人(駒場忠親君) 公営企業関係のところでスリム化する余裕ありはしないのかと、こういう質問でございました。  それで、私ども現場のところの感覚でいいますと、公営企業に限らず一般行政部門も含めてでございますけれども、余裕があるのかということで言われれば、もうかつかつのところでかなり努力をされているというふうに認識はしています。  それで、かつて公営企業というふうに言うと、病院、それから上下水道、それから交通ということになろうかと思います。かつては、そうですね、私が役所へ入ったころですから、六〇年代後半から七〇年代の前半くらいは住民の方々から無駄の、何というんですか、批判のよく対象に公営企業のところはなっていたものでございますけれども、現在は例えば自治体病院のところでの看護師さんの充足率といいますか、これはちょっと今データがないんでございますけれども、充足率に満たないという話を私ども聞いております。それは定着率が悪いということなんですね。例えば、私がかつていた東京都の例でいいますと、ちょっとうろ覚えなんですけれども、五年間で定着率が六割ちょっとと、七割に満たないと、もうこういうふうな話も聞いておりまして、ともかく出入りが多いと、こういうこともございまして、無駄があるのかと、少し余裕があるのではないのかということでいいますと、病院でいうととてもそうではないと。それから、上下水、交通、こういったところでも、行政サイドのところ、それからそこに身を置いております職員の間のところでも、住民との関係、それから今、何といいますか、透明性が求められるという状況になっておりますので、そういう観点から不断の見直しというものが現実に進められておりまして、ですから私の認識する限りは努力しているなと、こういうふうに実感しているところでございます。
  103. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。  それぞれの御回答を今後の審議に反映さしていただきたいと思いますが、今、穂坂参考人にお伺いした件につきましては、実際は職員の皆さんの流動化を図ることも念頭にあるんではないかという、いや、まさしくこれはもう元市長としての御発言ですから非常に重要な御発言で、いや、そういうことを率直に国会の審議のときに総理なり起案の大臣が言ってくださると、法案の目的というのは我々間違わずに審議できるんですね。  ところが、民にできることは民にと言いながら、官民テストだと言われると、私のように頭の固い人間は、それは論理的にどう考えても矛盾していると。原則はそうなんだけれども、公務員の皆さんも急にはまあ言ってみれば雇用を不安定化できないので、本当は民間にやっていただければいいことを引き続き公務の皆さんにもかかわらしてほしいと、その際には当然、民間競争するんだから今までのような非効率なことはできませんよ、そういう法律なんですと言って総理にここで説明していただけると、私も、総理、今回は論理矛盾していませんねって言いやすいんですけれども。  非常にいい今御回答をちょうだいできましたので、それぞれから御示唆賜りました御意見をしっかりとこれからの審議に反映さしていただきたいと思います。  本日は本当にどうもありがとうございました。終わります。    〔委員長退席、理事保坂三蔵君着席〕
  104. 澤雄二

    ○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。  今日は、四人の参考人の方々、お忙しい中、本当にありがとうございました。また、それぞれに大変経験に基づいた含蓄のあるお話を伺えたというふうに思っております。  私は、最初に佐伯参考人にお伺いをいたします。  参考人は全国の中小企業をまとめられて、三百十一万社ですか、まとめられてこられています。また、御自分でも長年にわたって、先ほど御紹介がありましたけれども、会社を経営されていました。ですから、佐伯参考人のさっきのお話というのは大変切実な、また説得力のある御意見だというふうに伺っておりました。  それで参考人にお伺いしたいのは、今後の政策金融機関、それから商工中金、どうなっていくかということでございますが、具体的な制度設計、詳細なものはこれからということで、先ほどもちょっと御意見の中にありましたが、心配されている点がたくさんあるんだと思うんです。で、これまでにも幾つかお話ございましたが、最初にセーフティーネットについてお話を伺いたいというふうに思います。  景気の変動ですとか、それから災害時、そういうときにこれまで政府系金融機関とか商工中金が果たしてきたセーフティーネットの役割というのは多々あったと思うんですが、さっきちょっと御意見の中にもございましたが、もう少し何か具体例があって、どのように認識されているかというのをお伺いしたいというふうに思います。
  105. 佐伯昭雄

    参考人(佐伯昭雄君) 今先生御質問のセーフティーネットの件でございますけれども、数年前の例の不景気のときに、かなりの民間金融機関から我々中小零細の企業が貸しはがし、いわんや貸し渋り以上で貸しはがしというような状態で、本当に大変な時代政府系金融機関のおかげで助かったという企業が、三百十一万社のうち何%かは分かりませんが、かなりの数がそういう特別融資等で政府系の金融機関のおかげで助かったということございますし、また、例の中越地震、あるいは宮城県の二年ほど前の、そんなに大きくないんですけど地震のときなんか、早速相談室を設けてくれた、商工中金とか中小公庫、あるいは国民金融公庫。それで、親身になって事業継承についての相談に乗ってくれる、あるいは融資を継続してくれたということで生き延びたという企業がかなり多くて、相当の感謝の念を持っているというふうなことでございます。深く、そういう点ではセーフティーネットの活用といいますか、そうしていただいていることに対して感謝をしているというところでございます。  以上です。
  106. 澤雄二

    ○澤雄二君 今参考人が言われました、貸し渋り、貸しはがしのときというのは、正に九七年ごろがそのあらしのときでございまして、そのときに、今言われた特別保証制度で非常に好条件で低利で中小企業に対して融資を行ったと。当初二十兆円の予定でございましたけれども、途中から十兆円追加して実に三十兆円融資をしたということで、商工会議所の方の話では、これで七千件全国で倒産が救われたということでございますが、まあ手前みそになりますが、これは実は公明党が大変推進して努力をして実現したものでございますけれども、今お話がありましたように、正にその緊急事態時のセーフティーネットどうあるかというのは、中小企業の生殺与奪の権利を握っているところがございます。  それで、完全民営化後の商工中金も当然こういう責務、機能を継承すべきだと私は考えておりますが、参考人、何かその商工中金、民営化後の何か理念とか仕組みとかで御希望がありましたら言っていただけますか。
  107. 佐伯昭雄

    参考人(佐伯昭雄君) 先ほど来少し申し上げましたんですけれども、商工中金は普通の単なる、民営化したから民間金融機関ではなくて、中小企業のための金融機関になっていただきたい。そのためにはやっぱり法律的な何か担保が、何らかの知恵を働かせていただきたいということと、もう一つは、中小企業の融資に邁進していただくために、財務や商工中金の資金調達の整備ということでちょっと申し上げましたけれども、現在、政府出資が四千億、我々協同組合が出資しているのが千百億くらいだと思いますけれども、その中で、政府出資ということについてはやっぱりかなりの部分を民営化に対する準備貸金、準備資金化するというふうな配慮をしていただければ非常に助かるというふうに私は思っております。  何回も言うようですけれども、商工中金が本当に資金繰りに困るというようなことになると我々中小企業はもろにその影響を受けますので、是非そういうことがないように、是非先生方にこの委員会で御考慮いただきたいなというふうに思っている次第です。  以上です。
  108. 澤雄二

    ○澤雄二君 今御要望のあった制度を実現するとなると、要するに、実現するために財政基盤を整備するということがすごく大事になってまいります。商工中金と同じぐらいの貸出し規模って横浜銀行がそうでございますが、これ九千億円の貸出し規模を持っていて利潤が一千億でございます。商工中金は九千五百億で百億円ぐらいでございます。  つまり、これは何を物語っているかというと、つまり、商工中金が果たしてきた役割、利潤第一主義ではないからこういうことが実現できたんだということの証拠なんでございますけれども、今先ほど意見表明の中にもありました、ハゲタカファンドに乗っ取られるんじゃないか、大部分を準備基金化していただけないかとか意見表明ありましたけれども、完全民営化した後の商工中金の業務内容、それから出資者の構成、資金運用、資金調達、こういうことについてどういう形が民営化された後も望ましいというふうにお思いになっているか、お聞かせ願えますか。
  109. 佐伯昭雄

    参考人(佐伯昭雄君) 資金調達について、現在ワリショーという証券が発行されておりますけれども、民営化されて普通の銀行になってこれが止まるということになりますと、商工中金の資金が足りなくなるということは目に見えて明らかだと、そういうふうに思いますし、また四千億の政府出資を一斉に株で売り払うというようなことになりますと、我々の心配は、やっぱり利益第一主義のファンド等が乗り出してきて、あっという間に買い取られれば、中小企業をどうするんだということは彼らにとっては考えていないことなんで、我々中小企業の死命を制することになるというふうに思いますので、是非そこら辺を、何らかの防御策といいますか、その辺を考えていかなきゃいかぬなというふうに思っている次第です。  以上です。
  110. 澤雄二

    ○澤雄二君 現在の商工中金の出資構成の中で、中小組合が出資されているのがさっき千百億ぐらいとおっしゃいましたか、民営化した後、もしそれを更に中小組合に配分しますよと言われたときに、それを大幅に増額されるということは可能ですか。
  111. 佐伯昭雄

    参考人(佐伯昭雄君) 今の御質問ですけど、今、千百五十億くらいだと思うんです、出資が。毎年何億か増資には応じて、どんどん増えてきているのが現状です。ただ、一気に四千億のうち三千億引き受けろ、それはちょっと今の中小企業の現状にとっては難しいと。毎年少しずつは増資には応じてるんですけれども、全部をすぐとかという膨大な金額については、ちょっと今何とも答えられないところだと思います。
  112. 澤雄二

    ○澤雄二君 政府に対する質問じゃありませんので追及してもしようがないんですが、例えば一千億を二千億ぐらいというのは可能な範囲なんでしょうか。
  113. 佐伯昭雄

    参考人(佐伯昭雄君) ちょっと具体的な数字になってきますと、ここで、はい、二千億にしますとか、私が出すわけじゃないので、ちょっと何とも申し上げられないので、済みませんけど、そういうことでございます。
  114. 保坂三蔵

    ○理事(保坂三蔵君) 交渉は差し控えてください。
  115. 澤雄二

    ○澤雄二君 佐伯参考人は仙台で会社を経営されています。ということで、まあまあ、しかし、さはさりながら、さっき言いました三百三十万社ですか、全国の中小企業を束ねていらっしゃいます。  それで、お伺いしますが、東京と地方でやっぱり中小企業の金融に関する環境は違うんでしょうか。今後、民営化されたときに、地域の中小企業の活動を支えるために、新しい金融機関の環境整備として特にどんな配慮を望まれるでしょうか。
  116. 佐伯昭雄

    参考人(佐伯昭雄君) 確かに地域間格差というのは非常に大きいと思います。景気の指数あるいは求人倍率、それから失業率、DI指数、どれを取っても東北、北海道と比べて、首都圏あるいは愛知県、中部地方と比べたら、かなり地方の格差というのは大きいというふうに思っております。そういう地方であるからこそ、政府系の商工中金とか国民金融公庫とかの存在価値というふうなことが非常に大きいのではないかというふうに思っております。  ですから、政府系金融機関ということについては、簡潔に申し上げますと、その質ですね、サービスの質と量ですね、それから地域間、地域の場所、この三つを是非中小企業のためにちゃんと担保をしていただくというふうなことを是非御考慮していただきたいというふうに思っております。  以上です。
  117. 澤雄二

    ○澤雄二君 どうもありがとうございました。  それでは樫谷参考人にお伺いいたします。  樫谷参考人は、行政減量効率化会議のメンバーでいらっしゃいますね。行政改革に貢献していらっしゃる立場なんだと思いますが、各省庁からは相当激しい抵抗があるんじゃないかと思うので、率直な感想をここで言っていただければというふうに思います。  それから、先ほどもちょっと質問がありましたけども、改革には人員削減が伴うわけでございますけども、公務員生首を切れないと。で、民間でいろんなそういうことを経験されているお立場から、先ほどもちょっとありましたけども、意識を変えるというのはどうも何か抽象的なんですよね。ですから、もっとざっくばらんに、こうすれば公務員削減できるよというような、何かそういう民間のお知恵があればちょっとお聞きしたいなというふうに思いますが。    〔理事保坂三蔵君退席、委員長着席〕
  118. 樫谷隆夫

    参考人(樫谷隆夫君) 樫谷でございます。  人員削減につきまして、先ほども申し上げましたように、各府省のお立場もあるんだと思いますが、相当抵抗が激しいというふうに考えております。ただ、生首は切れないということも事実でございます。しかし、やっていることが本当に、国家公務員の方がやっていらっしゃることが本当に国民にとって必要なものかというふうな問い掛けをいたしますと、その辺はやはりそうでない部分もあるよねという御理解はいただいているわけですね。  ただし、じゃ生首切れないとなるとどうすればいいんですかということになると思うんです。やはりそれは、基本的にはまず配置転換を思い切ってしていただくということになるんではないかと思います。やはり、配置転換がないと、これは辞めなさいと、こういう話になると、それは当然、これは国家公務員でなくても抵抗が大きいということであります。ただ、配置転換は、これ非常にまた難しい話で、今まで長年やってきた業務と違う業務をやらないといけないという意味で非常に難しいわけですし、それ以外に地域間の問題だとか、いろんな問題があるわけですね。  したがって、私は、これは極限までこういう配置転換の努力をしていただくと同時に、この際、もう退職金をもらって民間に移ろうという方もいらっしゃるんではないかと。これは強制ではもちろんありません。つまり、希望退職というんでしょうかね、民間でいうと。  ただ、まあ今、希望退職といっても余り民間の場合は相当の希望退職、退職金を積み上げて出すんです、割り増して出すんですけれども、余り積み上げというのはできないと聞いておりますので、この際、今回についてはそのようなこともやはり一つの検討を、そういうことを検討していただくともう少し、この際、力のある方が民間に移ろうということにもなるんではないかなと思いますので、そのことも含めて御議論いただけたらと、こういうふうに思っております。
  119. 澤雄二

    ○澤雄二君 小さな政府ではなくて簡素で効率的な政府行政という、それを標榜しているわけでございますが、これを実現するために、樫谷参考人が言われておりますように、予算予算編成の在り方に多くの工夫の余地があると、これは事実でございます。  その中で、魅力的なものなり、先ほど意見の中にもございましたけれども、また古くて新しい議論なんですが、予算を、単年度予算ではなくて複数年度予算導入するとか、それから査定にめり張りを付けることができる複会計予算導入、こういうものについて少し具体例を挙げて、ここをこうすればこれだけメリットがあるじゃないかというお話を伺えればというふうに思います。
  120. 樫谷隆夫

    参考人(樫谷隆夫君) 樫谷でございます。  予算、単年度予算ということで、どうしても単年度で消化をしないといけないと、こういう理屈の中から先ほど予算意識というふうに、予算意識とコスト意識ということで、予算意識というのはたくさん予算を取って使い切ってしまうんだと、こういう論理が予算意識と、こういうふうに申し上げました。  やはり、複数で考えるということになりますと、少し、それは使い切ってしまうという論理だけじゃなくて中期的に見られますので、やはりコスト意識も初めてそこで芽生えていくんではないかと、こういうふうに思っております。  だから、独立行政法人という制度が、御存じのとおり、五年、まあ三年のものもありますけれども、五年という範囲の中で工夫ができるんだと、つまり知恵を絞れるんだという制度になっているわけです。ただ、まだ十分、じゃ知恵を絞り切っているかというとまだまだ、私、評価をする立場におりますけれども、十分ではないと思いますけれども、少なくとも仕組みとしてはそういう知恵を絞れるという仕組みになっているわけですね。つまり、一年間で何とか消化しなきゃいけない。つまり、無理なものがあるわけですね。消化し切れない無理なものがあるわけです。それを中期に延ばすことによってやはりそれは知恵が絞れるという意味で私は複数年度と、その複数が二年なのか五年なのか、それはいろいろあると思いますが。  ただし、私は、複数年度といっても、やはり年度年度でいったん区切ってその評価をしてみないと、決まっちゃったことは必ずやらなきゃいけないんだということになりますと、もう二十年前、三十年前にやったこと、決まったことをまだやらなきゃいけないということでやってしまうような結果になってはいけませんので、計画は中期にして、そして年度ごとにやはりちゃんと評価をして、そして予算を付けると、こういう作業が必要ではないかと、こういうふうに思っております。
  121. 澤雄二

    ○澤雄二君 政府系金融機関とかそれから商工中金の民営化後のことでございますけれども、このときの融資をするときに、一般の企業と違って利潤第一ではないということであると、例えば個人保証とか、かつて包括根保証というのがございました。非常に過酷な個人保証の制度でした。これ、おととしですか、公明党が民法の改正の中で包括根保証を廃止することができたわけでございますが、こういう過酷な個人保証があったりとか、それから担保を取る場合の、やはりその辺は中小企業専門の金融機関だという意識があればもっと別の方法があるんじゃないかと思うんですが、その辺にお知恵があれば教えていただけますか。
  122. 樫谷隆夫

    参考人(樫谷隆夫君) 樫谷でございます。  政府系金融機関の役割というのは非常に大きいと思っておりまして、先ほども佐伯参考人の方から御説明がありましたように、やはり中小企業というのはなかなか、例えば融資をするときに、例えば民間の金融機関、それと政府系の金融機関というふうに比較して考えますと、やはり民間の金融機関は利益を上げなきゃいけないわけですね。したがって、できるだけ審査も、できればどうしても形式的な審査、数字の審査になっていくわけですね。  したがって、担保があるかないかとか業績がいいかどうかということがどうしても審査のポイントになってきます。つまり、早く処理しないと、つまりできるだけコストを下げないといけないという意味では、できるだけ審査を省くというんでしょうか、省いて金を貸せるのが一番効率的になるわけですね。  ところが、政府系の金融機関のいいところというのは、規模の大小、これは政府系、政策投資銀行なんかもそうなんですけれども、辺りもそうなんですけれども、規模にかかわらずしっかり審査していただけるんですね。つまり、担保がなくてもしっかり審査すればそれは貸せる余地が私はあるんではないかと、こういうふうに思うんですね。  ただ、審査の能力がないのか、手間暇が省ける、省くということなのか分かりませんが、いずれにしても手間暇掛けないということが要するに利益につながっている。手間暇掛けないでリスクのない貸付けをしていくというのが民間の論理。これは非常に合理的な論理です。  ところが、政府系の金融機関というのは、やはりロットはそれほど多くないけれども、やはりしっかりした手間暇掛けて審査をして、そして担保はないけれども、あるいは将来性を見込んでしっかり貸し込んでいくと、貸していくと、まあ貸し込むという表現は良くないですが、貸していくというようなことを見れるので、非常に私はある意味では存在意義というのは大きいと、こういうふうに思っております。  したがって、どうしても、どっかの金融機関で今業務停止をやっているところがありますけれども、ああいう形で、保証人がいるかとか担保があるからとか何だかんだとかいうふうな、回収を厳しくするとかいうことで回収をするんではなくて、審査をしっかりすることによってリスクを低減すると。リスクのあるところに貸すんですけれども、しっかり見れば実はリスクはヘッジできるんですね。しっかり見ていないから、どうしても担保がだとか保証人だとかいう話になります。  しかし、政府系の金融機関もまだそういうところがあるところもありますので、やはりしっかり審査をしていただく、企業を見ていただく、事業を見ていただく、経営者を見ていただくというふうなことをやっていただければ、そういう保証の問題とか担保の問題も軽減ができるんではないかと、こういうふうに考えております。
  123. 澤雄二

    ○澤雄二君 どうもありがとうございました。  今日いただきました貴重な御意見は、今後の国会審議の中で是非活用させていただきたいと思っています。どうもありがとうございました。  以上で終わります。
  124. 大門実紀史

    大門実紀史君 今日はお忙しい中、ありがとうございます。  また駒場参考人の方からお聞きしていきたいというふうに思いますけれども、今公務員攻撃というのが、すさまじいバッシングといいますか、国会議員もバッシング受けておりますけれども、今はもう公務員と国会議員が受難の時代というぐらい絶えずこういろいろ言われるようになっているわけですけれども、公務員が働いてないんじゃないかとか楽をしているんじゃないかと、こういうマスコミ含めた宣伝というのはすっと国民に入りやすいところが、この不況の時代といいますか、民間が大変だということで、隣の公務員は安定しているとか、すぐこう入りやすい、そういう風潮になっていて、私はそれそのものが非常に危険なことではないかというふうに、よく見る必要があると思っているところでございます。  そういうものが今回の行革推進法の議論でも絶えずバックグラウンドにあって、当たり前だと、公務員減らすの当たり前だと、楽しているはずだというふうにこう、もう背景を成しているようなところがあって、まずその問題で駒場参考人、現場出身でございますからお伺いしたいわけですが、私は地方自治体いろいろ訪問いたしますけれども、まあ今は相当地方の公務員、現場でも頑張っておられますし、非正規雇用も増えておりますですね。そういうことをまず実態として国会のメンバーがもっと理解すべきだと思っております。  先ほど公営企業の話がありましたけれども、本体の中の公務員の皆さんの今の働き方、働いている実情、もちろん、一部報道されているような是正すべき点はしなきゃいけないという点はもちろんありますけれども、みんなどういう状況で今働いているか、簡単で結構ですが、お聞かせいただきたいと思います。
  125. 駒場忠親

    参考人(駒場忠親君) 今お話がありましたように、行政の現場のところで働いている職員が実に何がつらいかということで言われた場合、やっぱり働いてないんじゃないかとか、それから、実際にはかつかつでやっているにもかかわらず、そこの現場のところでは人が多過ぎるのではないかとか言われることがやっぱり一番切ない、つらい。もちろん、住民の目線から見てかなり議論になった自治体の例もございますけれども、住民の目線から見て明らかに無駄だと思われるようなやつについての是正、これは当然是正しなければならないものだと、このように思っているところであります。  例えば、今行政の現場のところでいいますと、福祉事務所のケースワーカー、生活保護の受給世帯数が過去最大で百三万世帯になったと、生活保護人員についても百四十万を超えたと、こういうふうに言われている下で、現実のところ、先ほど私冒頭意見で申し上げましたけれども、ケースワーカー、生活保護担当現業員の充足率というのは非常に少のうございまして、満たないというのが現実になっています。そういう下で、私もケースワーカーの経験があるんですけれども、やはり話を聞いてあげるというのが一番相談に来られた方々にとっては有り難く思われることだし、ああ、役所というのは本当に有り難いんだなというふうに住民に喜ばれることでございますけれども、それができない。実際に相談に来た人の相談に乗ってあげる時間が少ない。  ですから、北九州で、結局のところ、民生委員さんは一生懸命、生活保護を受けたらどうですかということで地域のセーフティーネットワークですか、地域のところでのそういうサポートもされたんですけれども、結局、役所が遠くて、つまり役所との本人の距離感があって、ああいう餓死事件のようなことが起こると、こういうのがあるわけですね。  それからもう一つは、これは保育園の保育士さんたちの例なんですけれども、今、民営化の話がどんどん出ておりまして、現実に民営化されております。それで、現実に民営化をされて、自分が保護者だった方から、民営化された園に預けているお母さんから話を聞くと、例えばこれは十五日付けの雑誌、週刊誌ですが、アエラに出ていた中身でもあるんですけれども、例えば民営化された保育所の職員は一年契約だと。ですから、そこの職員の経験年数とか何かというのはほとんどないに等しい職員なわけですが、そこの職員の人が子供、乳児にミルクを上げているそのスタイルを見たときに、とてもとてもあれはミルクを上げていることに慣れていない姿であって、その乳児のお母さんにはとても見せられないと、その姿を。それを思うと涙が出てくるというのは、これは私が言うんではなくて、週刊誌のアエラのところで今週出ていた中身なんですけれども。  そういう話を、例えば民営化された際に、実際にその行政の現場のところで働いていた保育士さんがはたからまた聞くという、そういうのが一番つらいことなんですね。  ですから、官から民へということでいろいろ動きもあるわけでございますけれども、やはり官でやらなければならないことは何なのかという視点で御議論していただければなと、このように思っているところでございます。
  126. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  じゃ、佐伯参考人にお伺いいたします。中小企業金融、銀行の貸し渋り、貸しはがしの問題、私もずっと取り上げてまいりましたので、佐伯参考人の言われたのは非常に切実に、非常によく現場のこともイメージされる貴重な御意見だと思いますし、御要望だと思います。  政策金融機関あるいは商工中金でございますけれども、具体的には、いろいろ御要望ありました。今、澤委員ともやり取りありましたけれども、今のところ政府答弁は、制度設計の中で悪いようにしないといいますか、何とかしていく、中小企業の支援も引き続きやっていくというふうな答弁をしておりますけれども、これ率直に言って、佐伯参考人はそういう今の政府答弁というのは信用されておられるんでしょうか。
  127. 佐伯昭雄

    参考人(佐伯昭雄君) 非常に難しい質問で、信用するしないというよりも、我々は、今の政府を信用して、是非、中小企業政府系金融機関といいますか、商工中金と、我々中小企業の味方になって、心強い我々の相棒になるといいますか、味方になって中小企業の経営を援助していただきたいというふうに思っております。  以上です。
  128. 大門実紀史

    大門実紀史君 これから私も質問していきたいと思うんですが、ずっと金融機関問題やってきた人間としてあり得ないと。民営化された後、御希望のような銀行になることは、細かい資金調達の話とかいろいろありますけれども、結局は民間銀行はカルチャーが違うんです。しかも、この数年で大きく変化しちゃったわけですね。昔は民間銀行だって結構面倒見よかったわけですよね。それが全然変わっちゃったわけですよね。そういう世界に入るわけですから、場合によってはいろんなファンドが入ってくることも含めて、大変心配をしているところですけれども。  そういう点で、この機会に、せっかくおいでいただいたんで、今の銀行の在り方も一言お聞きしたいと思うんですが、〇四年に中央会として公正取引委員会意見募集で大変先見的な意見を出されておりまして、優越的地位の濫用を融資機関、銀行がやってもらっては困ると。そういう兆候がいろいろあったわけですよね。実際に、昨日もここでやりましたが、三井住友で優越的地位を濫用して行政処分受けたという事態が起きてしまったわけですが、そういう今の銀行、民間の銀行の方ですね、どういうふうにこの間見ておられるか。せっかくの機会ですから、御意見をお伺いしたいと思います。
  129. 佐伯昭雄

    参考人(佐伯昭雄君) 民間銀行が、業務が証券とか保険とか、あるいは投資信託とかの販売までできるような拡大に伴って、優越的な地位を利用して我々中小企業に不利益な取引を発生するのではないかと、そういった懸念がされるということで、平成十六年の十一月に公正取引委員会に全国の中央会として委員会に提出をしたわけでございます。ところが、今先生がおっしゃったように、不幸なことに一部メガバンクの、先生名前言いましたけれども、金利のスワップなどの販売体制というんで行政処分を受けたというふうなことで、これは私どもが本当に懸念していたことでございます。  ですから、今後はこういうことは多分私としてはなくなるだろうというふうには希望しているんですけれども、銀行の名前は言いませんけど、利益優先ということであれば、また痛みを忘れた辺りに復活する可能性があるかもしれないんで、そこら辺は心配はしているところでございます。  ですから、景気回復に向かって民間金融機関も積極的に貸し出すようにはなってきております。しかし、そうはいうものの、やっぱり選別は強化されているということも事実でございますので、我々は利益優先の民間金融機関のみではどうも安心できないというのが本音でございまして、ここら辺は是非先生方に政府系金融機関あるいは商工中金も含めたこれからの対応というのをお願いをしたいというところでございます。  以上です。
  130. 大門実紀史

    大門実紀史君 どうもありがとうございます。  御要望、御意見踏まえて国会で審議していきたいと思います。  樫谷参考人と穂坂参考人、共通して一つのことをお伺いしたいと思います。  誤解のないように申し上げておきますけれども、午前中も申し上げましたけれども、我が党は行政効率化に反対しているわけではございません。公務員も多ければ多いほどいいなんて思っているわけでもございません。ただ、行き過ぎた議論がこの間横行しているんじゃないかと思っておりまして、その点を指摘しているわけですけれども、官から民原理主義といいますか、もう何でもとにかく前提としていいことだと、官は悪くて民は善だと。そんなこと全然ないわけですけれども、さっきの三井住友のことを見たってですね。あらかじめ何かそんなことでずっと、さっきの公務員攻撃と同じような議論が続いていると。  私に言わせれば、小さな政府も、今ごろこんな騒いでいるのは日本ぐらいじゃないかと。クリントンの二期目の就任演説のときに、忘れもしませんけれども、今から八年ぐらい前ですかね、もはや小さな政府は終わったと言って、クリントンが何をやろうとしたかというと、アメリカで国民健康保険をつくろうとしたと、ヒラリー夫人とですね、まあとんざしましたけれども。イギリスでも、サッチャリズムがもういい加減にしろということになってブレア政権に替わったという流れがあるわけですね。何を今ごろ日本だけこんな騒いでいるのかと。どうしてそういうふうな、マスコミも含めてみんながそういう方向になっているのが大変気になっているところでございます。  ですから、一つ一つのことをじっくり冷静に吟味してみる必要があると思っておりまして、官から民の議論もそうですけれども、先ほど、今日市場化テストの話が出ましたけれども、私、そもそも、大塚委員からもそもそも論がありましたけれども、何で官と民が競争しなきゃいけないのかと、何でわざわざ競争するんだろうと。大体こんな話は世界でやっているんだろうかといったら、やっている国少ないですよね。どこでも世界じゅうやっているわけじゃないんですよ。一部の国でやっているだけなんですよね。しかも、イギリスの市場化テストだって全部うまくいっておりません。しかし、何かとにかくそういう流れの中で当たり前のように議論されていることが非常に気になるわけでございます。  私、樫谷参考人が言われるコストということも大事ですけれども、余りこの問題でコスト、コスト、コストと言いますと、もう味気のない話ばかりになってくるというふうにも思っておりますし、コストでいくと、ちょっと持論を言わさせていただきますと、最大限効率化された官の仕事、つまり人件費と経費が民間と同じレベルにもし効率化されたと、私は今でもそんな非効率とは思っていませんが、仮に一緒になったとしますね。そうしたら、民間の方がプラス利益分を乗っけるだけ価格、サービスは高くなるはずです。これは一つのモデルですけれどもね。そんなことも考えて、何も分析もせず、ただただ官から民がいいと言っている今の議論が非常に私は気になっているところでございます。  もう一つは、国民にとってどうなのかということですけれども、公がやっていることが民になりますと、民の世界というのは受益者負担でございます。サービスが価格化されます。応益、応能負担ではありませんね。一つのサービスは一つの値段になります。中身の濃いサービスは値段が高くなります。つまり、所得の格差がサービスの格差になるのが民の世界でございます。官から民になるときにはそれをよく気を付けなきゃいけないというふうに思うわけですね。  つまり、今格差社会が言われておりますけれども、民のサービス価格というのは所得に応じた提供になります、価格によって変わるわけですから。ここの問題を考えることなしに官から民という議論をすべきではないと思いますけれども、この点、樫谷参考人と穂坂参考人のお二人の御意見を聞ければと思います。
  131. 樫谷隆夫

    参考人(樫谷隆夫君) 樫谷でございます。  私自身も、民が良くて官が悪い、官が良くて民が悪いというふうには思っておりませんし、国民から見れば、官でも民でも、より良くてより安いサービスを提供していただくというのがベストであると、こういうふうに思っております。  したがって、そこで、官民との競争というんでしょうかね、同じサービスをしているものであれば官民で一遍やってみたらどうですかと。その中で官が勝っていいわけですね、別に民でなくても官が勝てばいいわけです。そして、しかし、それは一定のサービスということで、やはり市場を一定にしないと、質の部分も議論を併せてしていかないと、確かに先生がおっしゃるように、コストだけで議論をしてしまう、例えば民間だってコストだけで議論するということは、製品作るときにコストだけで議論するということはあり得ないわけですね。質と、品質とコストと併せてものづくりをしているわけです。これは同じだと思うんですね、官も。  そういう意味で、官と民とが質競争とコスト競争と併せてしてみて、ああ、官の方がいいという、外国でも官が結構勝っている、大変な官が勝っていると、こういう話も聞いておりますので、これは民がいい、官が悪い、逆だということはあり得ませんので、それは一つ競争原理も私はやはり働かせないと国民が、要するに誤解も確かにあって、誤解もあって、どうしても国家公務員というとうらやましいと、自分のところはリストラされて生活も困っていると、公務員、隣の公務員はどうもそういうことの心配は要らないということもあって、誤解もあってされているので、誤解を解くという意味で品質とコストと併せてきちっと説明をするということが私は大事ではないかと、こういうふうに思っております。
  132. 穂坂邦夫

    参考人(穂坂邦夫君) 本来、官でやるべき仕事と民でやるべき仕事、私は違うと思っているんですね。どれもこれも官民で競争するというのはおかしい。本来的にやっぱり原則をしっかり踏まえるべきだと思います。これが一点です。  それからもう一点は、官でやるべき仕事でも、それはもうすごい非効率でやってもいいのかということではないと思うんです。ですから、それは官でやるべき仕事をどういうふうに最小の費用で最大の効果を上げるか、これは官自体の努力だと思います。  ですから、それはそれで必要なんですが、私は、官でやるべき仕事、民でやるべき仕事、あるいは形を変えた中央でやるべき仕事、地方でやるべき仕事、その辺のをやっぱり明確にすべきだというふうに思います。
  133. 大門実紀史

    大門実紀史君 そういう上で市場化テストを見ますと、駒場参考人に最後お聞きいたしますけれども、私、いろいろ調べていると、結局、地方の部分の市場化テストといいますか、部分も、結局全国展開の大企業がどんどん入ってきていると。何のことはない、民間の一定の一部の企業のもうけ話じゃないかというふうにして今いろいろ調べているところですけれども、そういう点、いかが思われますか。
  134. 駒場忠親

    参考人(駒場忠親君) 御指摘のとおり、全国展開の大企業に有利な市場化テストの制度設計になっておりまして、結果として、地域の経済との関係から見てもうまくいかないのではないのかなと、問題があるのではないのかなと思っています。  それが一つと、それから、今、穂坂参考人の方から、官でできるものと民でできるものは違うのではないかという話がありまして、私、これはすべてそのことについて同意しているものではございませんけれども、今回の市場化テストの対象とされているいわゆる戸籍事務の市場化テストの内容については、明らかにこれは官でやらなければならないものをゆだねて、要するに対象にしているという点で極めて問題ありと。  つまり、総務省自身もそれから地方自治体関係者の有力な方たちも、例えば小さな政府ということで仮に民にゆだねていった場合、最後に残るのはいわゆる戸籍事務ではないか、公権力の権力性の強い戸籍事務ではないのかと。選挙人名簿登録等々の問題に全部連動する、こういう話もございますので、そういった点から見ても極めて問題ありと、このように考えているところでございます。
  135. 大門実紀史

    大門実紀史君 終わります。  ありがとうございました。
  136. 近藤正道

    近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  今日はまた、貴重な御意見を聞かせていただきまして、ありがとうございました。お疲れのところだと思いますが、もう少しお付き合いをいただきたいというふうに思っています。  最初に、佐伯参考人にお尋ねをしたいというふうに思っています。ユーザーの立場から、政府系金融機関の統廃合、民営化について貴重な御意見をいただきました。  小泉内閣五年、こういう中で、もう一つの公知の事実となっておりますが、格差拡大、こういう現実が国民全体を覆っているわけでございまして、大企業と中小零細の格差、一部例外を除いて、これは紛れもない事実になっていると。こういうときだからこそ政府系金融機関の果たす役割、セーフティーネットの役割というのは非常に大きいし、私たちは例の貸しはがし、貸し渋り問題で政府系金融機関の果たした役割、今でも鮮明に脳裏にあるわけでございます。  そういう中で今回、政府系金融機関の統合、民営化、私は果たしてこの時期本当に必要なんだろうか、むしろ逆行ではないかと基本的に思っております。政府の方は、詳細設計はすべてこれからだと、政府系金融機関が果たしてきた役割についてはおろそかにはしないと、こういうことを言っておりますけれども、今ほど来の議論を聞いておりますと、あるいは私自身も、とてもそういうふうにはならぬだろうと、もっと冷徹な法則がこれからこの法律ができれば貫徹をしてくるだろうというふうに思っております。ところが、この法案の下では、統合して、そして貸出しの削減幅を具体的に半減という形で明記をしておりまして、これでは中小零細の駆け込み寺的な機能がどうして果たしていけるのか、佐伯参考人の今ほど来の話を聞けば聞くほど不安に思うわけでございますが。  そもそも、貸出し削減額半分、これに一体どんな合理性があるのか私はとても理解できないんですが、佐伯参考人はユーザーの立場として、こういう半減という数字が出てきた背景をどういうふうに見ておられますか。そして、これが実現されたときの、この国の大宗を占める中小零細業者の現状をどういうふうに見ておられるのか、お聞かせをいただきたい。
  137. 佐伯昭雄

    参考人(佐伯昭雄君) 今の御質問ですけれども、GDPに比べて今のあれを半減するというふうなことが言われているということは存じておりますけれども、何でそれが出てきたのかというようなことについてはよく、どういういきさつか私はよく分かりませんので、政府の内部ということで。ただ、改革の流れの中でそういうふうな動きが出てきたんじゃないかというふうなのは一つの推察でございます。  ただ、本当にそういうふうなことになると、確かに中小企業向けの融資というのが非常に政府系金融機関としての主要な機能の一つということなんで、是非これだけは中小企業向けの融資というのが減らさないように、是非担保をしていただきたいというふうに思っている次第です。  以上です。
  138. 近藤正道

    近藤正道君 平成二十年レベルでGDP比を半減するということでございますが、これでこの国の中小零細企業、大丈夫だというふうにお思いですか。
  139. 佐伯昭雄

    参考人(佐伯昭雄君) 世の中いろんな意味で変化はしてきますけれども、中小企業、知恵と汗を出しながら、いろんな危機に対応しながら頑張っていくという所存でございます。  簡単ですけれども、以上でございます。
  140. 近藤正道

    近藤正道君 今度は質の問題でございますけれども、中小零細企業を相手にする、そして一方で、海外における開発及び取得の促進などという、本当にグローバルな立場での金融もやると。全く異質のものを、正に二兎を追っていると言いましょうか、そういう難しい両極端の仕事を同時にやる、どうしてやっていけるのかという話が今一つありますし、この海外業務の中で今の米軍再編の降ってわいた例の三兆円もここからみたいな話も一部出ているようで、現状の中で二つのこの異なった全く正反対の機能をこの政府系金融機関がやろうとしていると。  こういう今法案の仕掛けになっているわけでございますが、これについてはどういうふうに考えておられますでしょうか。
  141. 佐伯昭雄

    参考人(佐伯昭雄君) 二つの違った機能と今先生おっしゃいましたけれども、何としてでも、難しいことでも、それを我々も、政府も、官も、あるいは政府系金融機関も、我々ユーザーも一体となってその危機を乗り越えていくというふうなのが我々の責務じゃないかと、みんなで努力する必要があるというふうに思っております。  以上です。
  142. 近藤正道

    近藤正道君 分かりました。  いずれにいたしましても、詳細設計はすべてこれからでありますんで、今の段階でこれ以上詰められない、そういう難しい点がありますんで、私も佐伯参考人が今ほどおっしゃったようなそういう方向になることを望んでおりますけれども、しかし激しい市場競争の中で果たしてそのとおりになっていくのかどうか、大変心配をしているところでございます。  次に、樫谷参考人にお尋ねをしたいというふうに思います。  パブリックセクターに徹底した競争原理をということと、それと公共サービスのコストの話がありました。冒頭の問題提起の中で、保育所のゼロ歳児一人一日当たりのフルコストの比較を公立直営と無認可保育所でやっておられまして、一対五・五、まあこういう数字はやっぱり示されれば、これはもう価格の上で正に勝負あったなというふうにだれもが思う。こういう問題は、単に保育所だけではなくて、公立の医療機関だとかあるいは介護施設、いわゆる福祉医療施設全般に私は言えることではないか。単純にどれだけの資本を掛けてそれに対してどれだけの人を言わば賄ったのかと、こういう議論をすれば、私は必ずこういう、これに近いような格差、差はやっぱり出てくるんだろうと。  しかし、一方で、これだけで果たして判断していいんだろうか。言うまでもなく、サービスの質の問題でございます。樫谷参考人は、このコストと質のバランスが必要だと当然のことながらおっしゃっておられますけれども、私の固い頭ではなかなかこのコストと質のバランス、これが同じ土俵の中でどうやって客観的、合理的に比較のできる、言わばそういう条件があるんだろうか。当面はこれだけのコストで差があるけれども、こうやってやっていくんだと、質を保っていくんだという一つの説明責任、これがやっぱり官に問われる。私は、これだけでも非常にやっぱりいいことだというふうに思っているんですが、さらに、その上でコストと質のバランス、分かったようで分からないんですけれども、樫谷参考人としては、これをいかに合理的、客観的にやっていくのか、いけるのか、そういう何か具体的なイメージがおありでしたら御教示をいただきたい、こういうふうに思います。
  143. 樫谷隆夫

    参考人(樫谷隆夫君) 樫谷でございます。  なかなか難しい御質問で、要するに費用対効果といったときに、費用の測定については、私どもプロでございますので、一定の仕組みをつくればこのように一万二千円という計算はできるわけでございます。ただし、そのサービスの質についてどうかとか測定する手段、会計ではサービスの質を測定する手段はないわけですね。あるいは効果についての測定をする手段もないんで、よく最小の費用で最大の効果ということが法律にも書いてあって、キャッチフレーズのようにあちこち言われるわけですね。ところが、じゃ実際費用をつかんでいるんですかと、効果をつかんでいるんですかといったら、実はつかんでいないんですね。つかんでいないでおっしゃるわけです。まずつかむ必要があるのではないでしょうかと。だから、費用のつかみ方はこういうつかみ方がよろしいんじゃないでしょうかと。実は効果のつかみ方も便益分析のようなものがあるんですが、これもどうも、すべてについて知っているわけではありませんが、私が見た範囲内ではどうも必ずしもそんな合理的とは言えないような効果のつかみ方をされております。  したがって、この効果のつかみ方、把握の仕方、測定の仕方についてもっともっと研究をする必要が私はあると思っております。  おっしゃるように、その数字の議論、会計の議論だけで、コストの議論だけで世の中は成り立たないですし、それから先ほども申しましたように民間も同じでございまして、企業、数字だけで議論をしているわけではなくて、質の議論をしているわけです。同じようにパブリックも質の議論もしないといけないんですが、企業の場合はそれが収益という形でこれもまた数字で議論できるわけですね。ところが、パブリックの場合はもうこれは税収を上げるためにというわけではございませんから、少なくともその質についてこれは別途の何か仕組みが必要です。  これは、実は評価の仕組みなんですね。合理的な評価が必要だということで、これは独立行政法人の方では、独立行政法人では効果と数字と見ながら、まだまだ不十分ではあると思いますけれども、そういう仕組みができている。ただ、じゃ政府の方はどうなのかというと、政策評価というその仕組みが今できておりますが、ただ、それについて、じゃ効果の測定がしっかりされているか、あるいは数字で議論をされているかというと、両方とももう非常にかなりあいまいで、これは、これを見て国民はどういうふうに判断をしたらいいんだろうということになると、こういうふうに思っておりますので、やはり効果の測定をもう少し研究していただく、我々も研究しなきゃいけないのかも分かりませんが、政府としても研究していただく、国会としても研究していただきたいと、こういうふうに思います。
  144. 近藤正道

    近藤正道君 最後に、駒場参考人にお尋ねをしたいと思います。  ケースワーカーとして現場で頑張ってこられたその体験を基にいろいろのお話をされた、私は共鳴するところがたくさんございました。  その上でお尋ねをいたしますが、職員配置基準、これを今回、行革推進法で見直して、そして一定の削減目標を自治体要請をすると、押し付ける、こういうことになっておるわけでありますが、職員配置基準というのは、参考人がおっしゃるまでもなく、地域における安心、安全を具体的に担保する重要な指標、たくさんそのポイントはあると思うんだけれども、これはやっぱりかなめのポイントだということで政府が様々な議論を経て幾つかのポイントを設定をした。それが私はこの国の全体のやっぱり底上げ、格差のない全体の安心、安全をこの間つくってきたことは間違いない、こういうふうに思っています。  それが今、これから見直しをされるということでありますが、しかし、この職員配置基準の中には、充足をされているものもあれば、先ほど消防という話がありましたけれども、充足されていない、そういう分野、ポイントもございます。この充足されてないものについてお聞きをしたいんですが、これはそもそも基準自身が実情に合わないのか、それともそれはそれなりの合理性があるんだけれども、何かほかの要因で充足がされていないのか、参考人一つの現場で仕事をしていた体験からお聞かせをいただけることがあればお聞きをしたいと思います。
  145. 駒場忠親

    参考人(駒場忠親君) 私、結論からいいますと、自治体ごとの財政難の折のいわゆる行革努力、内部努力、その言ってみれば犠牲になっているのではないのかなと、そのように思っています。とりわけ、問題になっております福祉事務所のケースワーカーが充足されていないという実例等々については、私はやっぱり典型的な例なのではないのかなと、このように思っています。  したがって、やっぱり国の配置基準というのは、先生がおっしゃられるとおり、やっぱりセーフティーネットということで理由があって時代の検証ででき上がっているものだと、このように思うんです。そういうことからいうと、いろんな角度からの検証があって到達しているものですから、私はそれは今の時点においてもそれなりの根拠のある数字だろうと、こういうふうに思うんです。これが一つです。  それから、今回問題だなと思っていますのは、いわゆる四・六%以上の純減ということを初めにそれをやるものですから、そうしますと、今でさえ地方自治体は三百八万のうちの全部で約八割がそういう職員で占められているわけですね。そうしますと、純減ということになりますと、やっぱり住民のニーズに合わせた見直しをどうしようかということよりは、もう頭からその数字どうしようかということになりますから、勢い、八割のそこのところについてメスを入れない限り削減ができない、こういうことになるわけですね。それが問題ではないのかというのが私自身の認識でもありますし、私はこの点では、経済財政諮問会議で去年の一月、二月ごろ、担当省であります総務省の担当大臣が同じ、同趣旨で議事録で発言されているというふうに私思っておりますので、私、これもやっぱり根拠のあることなのではないのかなと、こういうふうに思っているところでございます。
  146. 近藤正道

    近藤正道君 最後の質問でありますけれども、今日、午前中にも四名の参考人、来られました。その中のお一人が、この国は今でもやっぱり小さな政府だと。政府支出の対GDP比を分野別に紹介をいたしまして、全体的にも小さいけれども、言わば公共事業関係は例外として、それ以外の治安関係、そして文化・教育関係、小さい、とりわけ保健・社会保障関係は非常に小さい、そういう政府だということをデータを挙げて説明をされました。  ところが、今回の行革推進法は、そういう今でも主要国中非常に小さい政府を更に小さくする、そのことによって一体何が起こるのかと、こういう議論をしたわけでございますが、まあ行革推進法は、やっぱりそれが必要なんだと、そうすることによって国民が豊かで安心して暮らすことのできる社会を実現することができるんだと、これを基本理念、行革推進法の基本理念の中に明確に言っている。小さな政府を更に小さくすることが国民が豊かで安心して暮らすことのできる社会を実現するために必要なんだと、こういうふうに言っております。  駒場参考人はこの行革推進法の正に基本理念についてどういうふうな所見をお持ちですか。
  147. 駒場忠親

    参考人(駒場忠親君) 時間が非常に少なくなって、気にしながらお話をさせていただきますけれども、結論から言うと、今社会で問題になっています格差の問題、これはより一層拡大するのではないか。それから、安心、安全、これも国民の期待とは裏腹のことになっていくのではないか。それから、地方、地域、とりわけ都市と農村という言われ方するんですが、規模の小さい自治体のところの地域にいる、そこのところの再生をどうするのかという点で言っても、その願いにはこたえるものにはならないのではないかという懸念を持っています。  現実に、地方の自治体の首長さんたちといろいろ話をしますと、地方分権だと、小さな政府だと、こういうことで、また自由度が高まればいいのではないかということで三位一体改革にしても協力してきたけれども、結果として自由度は高まらずに、財源、財政だけが縮小されたと。これでは正に地方切捨てじゃないかと。義務教育の例の二分の一の人件費補助率が三分の一になったということに伴って、東京では潤ったけれども、しかし、高知県、沖縄ではマイナス二五%、マイナス二八%だと、これはもう地方切捨てじゃないかと。  今度のこの法案というのは、私はそういうことが加速するんではないのかと、このように認識をしています。
  148. 近藤正道

    近藤正道君 時間でございますので、これで終わります。
  149. 荒井広幸

    荒井広幸君 荒井でございます。  私が出てきますと、郵政の話じゃないかと参考人の皆さんも間違っていらっしゃるんじゃないかと思います。あとしばらく、十五分でございます、二十分ですか、よろしく御指導をお願いいたしたいと思います。  簡素で効率的な政府を実現すると、こういうことがネーミングになっております。そのほか、小さな政府という言葉は福祉に対してセーフティーネットとして後ろ向きであるととらえかねられないので、誤解されるのでそれは使わなかったということもこの委員会でおっしゃっているわけなんです。  しかし、簡素で効率的な政府というのは目的でございましょうか、手段でございましょうか。四参考人に、駒場参考人からお聞かせをいただきたいと思います。名は体を表す。簡素で効率的な政府を実現する、これは目的なんでしょうか、手段なんでしょうか。駒場参考人からお願いいたします。
  150. 駒場忠親

    参考人(駒場忠親君) 結論から言うと、手段だろうと思います。その手段としても正しくはないのではないかというふうに思っています。
  151. 佐伯昭雄

    参考人(佐伯昭雄君) やはりこれは手段でありまして、我々国民が幸せになるということが大切なんじゃないかというふうに思います。
  152. 穂坂邦夫

    参考人(穂坂邦夫君) 手段の一つではないかと、こう思います。
  153. 樫谷隆夫

    参考人(樫谷隆夫君) 私も手段だと思っております。
  154. 荒井広幸

    荒井広幸君 小泉改革の本質というのはこういうことなんだと思うんですね。総論でずっと引っ張ってくるが各論といったら反対するじゃないかと。改革は必要だと言いながら、まあこれ総理がいるところで言った方がいいんですが、民営化、郵政民営化反対するじゃないかと。各論では反対なんですよと言って国民の皆さんをぐっと引き付けるんです。  手段を目的化させているんです。手段の目的化です。ここに非常に混乱が多くなってしまって、実は改革としてうまく当たっているものもあるんです、目的として、国民の幸せ含め、参考人の皆さんがおっしゃって、今までお述べいただいたような意味での国民の利益、私は国民益という表現をしております。国民益につながるものに、合致するものもあるんです、当然。国民益というのはもちろん、住民の皆さんということももちろん含んでの話でございます。  しかし、そういったことを考えていくと非常に、小泉さんの場合には総論であおって実は各論乏しいんです。やったじゃないかというところで見せたい。こういったところが副作用を非常に大きくしているんです。光と影という言葉がありますが、副作用も非常に強いんです。光強ければやみ深し。同時に副作用も非常に強い。副作用が分かっているならばそれに対して先手を打っていく。転ばぬ先のつえと先人は言います。それが全くない、ほとんどない。それを言っているから、恐らく抵抗勢力とネーミング付けられたのはテレビ、新聞、マスコミ始め、私が一、二番目だと思います。元祖抵抗勢力です。こういった点で、四参考人に含蓄の深いお話を聞かせていただいておりまして、大変参考になるわけでございます。  そこで、副作用として生まれたのか、あるいは本来の目的は頑張る人に更にチャンスを、更に伸びる力を、しかし頑張っていても何ともならない人に手を差し伸べ、おしりを押してあげる、そういうセーフティーネット。これは、セーフティーネットという言葉が非常に多いんですけど、これ、トランポリンにしないと駄目です、助かっただけじゃ。もう一回チャンスがあるようにトランポリンに作り替えなきゃいけませんが、どんどんどんどん網を破っているだけですから。非常にそういう意味では転ばぬ先のつえ、副作用対策が全くないんです。  四人の参考人にお尋ねいたします。  格差社会、そういった意味で格差社会と今度の法案と、お考えになっている、着目されているところで結構です、格差社会とよく言われる、二極化と言われる、こういうものとこの法案は、全体として見てで結構でございます。うまく整合性取れますか。格差社会というのは決していいことじゃありません。総理はいいことのように言っています。これがまた、スピンポリティックスと言うんですが、くせ玉政治なんです。そうやってみんながだまされていく。これをお尋ねしたいと思うんです。  今言われる二極化とか影とか格差とか副作用という意味で、この法律、この法案、これはどっちの方に向いているんでしょうか。樫谷参考人からお願いします。全体的な印象で結構です。
  155. 樫谷隆夫

    参考人(樫谷隆夫君) 樫谷でございます。  大変難しい質問でございまして、どちらの方向を向いているかということだと思うんですが、いずれにしても、巨大な借金をどうやって返していくかということについて知恵を絞らないといけないと。その中で何か大胆に実行しないといけないとなると、どうしても先生おっしゃるように副作用が出ると思うんですね。これはどんなにいい薬も、飲んでみるといい薬ほど副作用が出ると、こういうふうにいろいろと聞いております。したがって、ただし、副作用ができるだけ出ないように、セーフティーネットというんでしょうか、敗者復活というんでしょうか、それをちゃんと手当てをしないといけないと、こういうふうに思っております。  この法案が、私は簡素で効率的な政府の実現というのは、私の最初に書いてありますように、コストというだけではなくて政策効果も、効果も併せて考えるという意味では、それは効果をどう見るかと、どういうふうにしなきゃいけないかというのは、これは私は政治の決断だと思うんですね。政治の決断というのは、これは国民が最終的には選ぶわけですね。したがって、国民が選ばれた政治が決めたものについて、これは、実行するものについては、実行すれば必ず副作用が出ると。副作用についてできるだけセーフティーネットをつくる、あるいは敗者復活戦をつくるというのは是非併せて御議論いただけたら幸いだと、こう思っております。
  156. 穂坂邦夫

    参考人(穂坂邦夫君) だれでも格差社会がいいとは思っていないというふうに私は信じています。どうしても新しいことに踏み込むとそこにきしみは必ず起きてくる。ですから、どうしても新しいものに取り組むためにはセーフティーネットをしっかりする、このことはもう、これもワンセットだと思っています。  ですから、そういう意味では、これからこの法案の私は細かい一つ一つがどういうきしみを生じてくるかというのは分かりませんが、少なくとも私が地方行政を長くずっとやってきたその原点は、そのきしみを行政がどういうふうにきちんと補完をしていくか、このことはやっぱり行政一つの哲学ではないかと、こう思っています。
  157. 佐伯昭雄

    参考人(佐伯昭雄君) 中小企業の環境、経営の環境あるいは金融の環境、これはばらつきがあるということは実際現実だろうというふうに思って、格差と言ってもいいかと思います。  そういう意味で、我々は、地方においても、いつでもどこでも必要な量だけ質のいいサービスを国民として受けられるというふうなためのこの法案の意義であろうというふうに思っていますので、是非それが実現できるような方向に持ってきてもらいたいなというふうに思っています。  以上です。
  158. 駒場忠親

    参考人(駒場忠親君) 結論から申し上げますと、先生のおっしゃられるとおり、私も思っています。  つまり、手段と目的がこれは混同しているのではないかという話でございましたけれども、別な例で申し上げますと、よく結果平等ではなくて機会平等、これがやっぱり大事なんだということで、小さな政府行政改革進めるんだとおっしゃられました。ところが、今社会問題になっております教育の問題、これは明らかに教育の機会均等、つまり機会の格差、ここが生まれているのではないかということで、これが社会問題になっています。したがいまして、今度のこの行革推進法案でいけば、ますますこれが拡大していって、極めて大きな問題があると、このように考えているところでございます。
  159. 荒井広幸

    荒井広幸君 ありがとうございました。  先ほど佐伯参考人から制度設計、これからは子細なところでこういったところをお酌み取りいただきたいと、こういった御発言がありました。今度の法律もこれなんですよ、郵政と同じ。ほとんどできてなくて後回し、やるというだけなんです。ですから、樫谷参考人がおっしゃるように、成果をどう見るか、果実をどう見るか、穂坂参考人の御意見がありました。非常にこう、老眼か近眼か、もうみんな混ざったような、見えないんですよ。骨格だけ作っちゃって、そうしないとやれないんだと、これも総理の言うのは一方の論理だと思いますが。  手段だけ振り回して、どんな、我々にその果実、食べ物が与えられるのかと、将来に子供たちはどうやって潤っていくのかというのが、これから制度設計するというんです。それを一括の法律で出すということ、これはすごく無謀なんです。一括法というのは、これだけ参考人の皆さん、多種多様な論点で出てきていただいているんです。ですから、こういう非常に大なたは振るわなきゃならないというのはよく分かりますが、果実がしっかりしていない、見えていないところに大なたを振るったら大変なことになるということを五年間実証したというだけなんです。ですから、これからは軌道修正しなきゃならないわけです。自民党の皆さんだってそう思っているんです。ですから、そういうことを私は申し上げていくわけです。  じゃ、何ゆえに私はそのように申し上げるかと。穂坂参考人にお尋ねを申し上げたいんですが、県が箇所付けの力を持っているから怖いという表現をされたんです。箇所付けの力を持っているから怖いということをおっしゃったんですが、これは総理の、総理の私は考えというのは、ここは各論として私は非常に分かるんです。首長さん方の退職金が高いじゃないかと、県知事さん四千五百万ぐらい、市長さん二千五百万ぐらい、町村長さん一千八百万ぐらいです。こういったことについて、例えば、今回の簡素で効率的なというところについては、働いている皆さんについては国も地方も大枠を掛けちゃうわけですね。それでは、特別職について果たしてどうなんだということになると、これは全然触れてないわけです。  だから、総理が言及したと、いい方に私、解釈したいんですが、御経験として、県会議長もやられ、また市長さんもやられたんですが、この退職金のこういう金額というんでしょうか、この存在と金額についてどのような御感想を思われますか。
  160. 穂坂邦夫

    参考人(穂坂邦夫君) 私は、正確には四年やりまして千六百万円もらいました。うちは六万七千の市ですが、破格だと思います。普通の、国と比べたらこんなに高い退職金はない、まずこれが感想です。ただ、組合を、退職金組合をやっていますから、私もどうしようかと思って迷いました。そうしたら、退職金組合だけが良くなって志木市には何の関係もない、こういうことでした、経過はですね。とにかく高いと思います。  それから、二つ目なんですが、これだけ地方自治体の高額の特別職がいるというのは元々一つ原因があったんですね。これは御承知かと思うんですが、通達だと思いますが、大体、特別職は最高位、要するに職員のですね、その上であることが望ましいという、もう随分前ですが、通達が出たんですね。それはそれで多分もう消えちゃっているんですが、それに基づいてみんな、助役の給料をどのぐらいにするか、収入役をどのくらいにするか、部長の一番高いところですからみんな高くなっちゃったんです。そういう経緯もあるんです。  ですから、やっぱり一つ改革を、大きな大なたを振るう改革をすると同時に、きちんとして直すべきところ、あるいは、今まで間違っている、そのときは良かったけれどももう駄目だというのがありますね。だから、そういうものをやっぱり検証して、もう前に出したもの、あれはあの時代のものでもう駄目だとか、そういうものをはっきりしないと、市町村というのはもうずっと前のを継続して使っちゃっていますから、その辺の是正措置も必要だろうと思います。  私は、高過ぎると思います。
  161. 荒井広幸

    荒井広幸君 佐伯参考人、いかがでございましょう。特別職の退職金、今、穂坂参考人は高過ぎると。全国平均、これは大体、月給、俸給ですね、俸給掛ける一期四年ですから、四十八か月、四十七、八か月ですか、掛ける、それに常数を掛けるんです、〇・六とか七。これが地方自治法では自由ですから、特別職については。それで計算すると、大体県知事が四千五百万、市長さんが二千五百万、町村長が千八百万なんです。一期四年やればそのたびにもらえるというところがそれぐらいあるんです。  なかなかこれお気付きにならないんです。我々選挙やる側はなかなか言えないです、これ。選挙やる側はなかなか言えないんです。やっぱり知事さん、市長さん、町長さんというのは、穂坂参考人、我々非常に気遣いますよ、そういう意味では。ところが、そこまで今度はメスを入れていかなくちゃいけないんじゃないかという意見が強まって、総理はそれをおっしゃったんです。  佐伯参考人はどのように思われますか。
  162. 佐伯昭雄

    参考人(佐伯昭雄君) 中小企業の現実から見れば、確かに高いと思います、それは。  それで、ただ宮城県の村井知事は、退職金は要らないというふうなことを言う知事もおりますので、一概に全部もらっているということではないと思います。これからはそういう新しい考えの知事が増えるんじゃないかというふうにも思っております。  以上です。
  163. 荒井広幸

    荒井広幸君 そういうようなことを含めて、いいか悪いかは別として、実は特別職に関する俸給の審議会というのはほとんど動いていないんです。自治省に確認しましたけど、ほとんどやっていない。職員に対する給料に対する審議会などは動かしているんですが、特別職に対してやっていないんです。ですから、こういったところもやらなくちゃいけないという意味で総理がおっしゃったなら私大変尊重するんです。  というのは、私は総理の選対事務局長でした、初めのとき、十年前ですけど。郵政反対ですが、聖域なき見直しに私賛成したんです。とにかく問題があればそれをみんなで議論しようというふうにしたんです。そして、ああこれは捨てる、これは直せる、こんないいのもあったのか、一杯あるはずなんですよ。そうしたら、みんな自分で捨てちゃった、みんなで見て相談する前に、もうおれが言うのは正しいんだということになってしまったので、あえて四参考人にも私は申し上げながら国民世論の意見をもらいたいという意味でのお話をさせていただいているんです。そういう問題点たくさんあります。総理だから言えたということも一杯ある。  地方交付税、私はこれやっぱり穂坂参考人の御意見、非常に賛成いたします。いわゆる交付税、交付税は単位費用を決めて、こういうものにこれだけのものを差し上げますと言って後は自由ですからお使いくださいという形になっちゃうんですが、実は算定しなけりゃ交付税というのは差し上げられません。その算定の基礎をいろいろ作っている。ところが、全国で消防団の皆さんの手当というのはまちまちですよ。なぜでしょうか。それぞれ自由度が与えられているからです、交付税というのは。ところが、算定する自治省は単位費用一人当たり幾らと決めているんです。格差が出ているのはおかしいというのが合併でみんなが出てきちゃった。  こういう問題点も小まめに手を入れていかないといけないと思っているわけで、改めて基礎的行政経費の算定の仕方という形での交付税の在り方ということについて穂坂参考人にお尋ねさしていただき、樫谷参考人は、そういった観点の、いわゆる会計としてのお立場での関心というのは今までお持ちになっていらっしゃったかどうか、その辺のお話を聞かせていただきたいと思います。
  164. 穂坂邦夫

    参考人(穂坂邦夫君) 一つ冒頭で言ったんですが、やっぱり役割分担の明確化をきちっとすべきだと思うんです。もちろん業務の明確化も必要でしょう。そのことがぐじゃぐじゃで、どこが何をやっているんだかよく分からないんでは、基礎的行政経費どころか無駄が多過ぎて困ると思います。  ですから、私は、この際きちんと国のやるべき仕事、都道府県、地方のやるべき仕事、そういうことをやっぱりしっかり明確にすることがまずスタートではないかと、こう思っているんですが。
  165. 樫谷隆夫

    参考人(樫谷隆夫君) これは企業で例えば言いますと、物を製造して売るということをやるわけですね。それは、その製造するというのは製造コスト、これは売上原価と言うんですけれども、売上げにつながっていくわけですが、それを売るためにいろんな活動をするわけです。それを販売費及び一般管理費と言うんですね。実は、国もそうですけれども地方も、本当にその売上げに相当する分と、つまりあと一般管理に相当するものがちゃんと分かれてないんですね。分かれてないために、やることが決まっていないので、何をもって基礎的と言うのか、多分整理できないんではないかと、こういうふうに思っておるんですね。会計はそういうふうに決めていただいたらきちっと整理をできて、規模に応じた基礎的なコストの計算が十分にできるんではないかと、こういうふうに考えております。
  166. 荒井広幸

    荒井広幸君 時間になりましたが、私は、やっぱり今回のこの法案に近い形を言うならば、民間で言うビジネス・プロセス・リエンジニアリングというんですか、ビジネス・プロセス・マネジメント、パブリック・プロセス・マネジメント、PPMです。そういう話をしているだけなのに、さもみんなが良くなるんだと過度に期待をさせてはならないのではないかということを私は最後に申し上げまして、公の力、官から民だけではない、官から公、助け合いの力、民から公、みんなで助け合う、そういうものの復権こそ、やはり先ほどお四方から言っていただいたような国民国民益、幸せ、将来永続する、国や地域が繁栄するための課題だと思いまして、結びとさせて、感謝の言葉とさせていただきます。  ありがとうございました。
  167. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 以上で樫谷参考人、穂坂参考人、佐伯参考人、駒場参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。  参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。     ─────────────
  168. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案外四案の審査のため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十二分散会