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2006-05-08 第164回国会 参議院 行政改革に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月八日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      北岡 秀二君     秋元  司君      松井 孝治君     内藤 正光君      和田ひろ子君     峰崎 直樹君      山口那津男君     山下 栄一君  四月二十七日     辞任         補欠選任      吉川 春子君     大門実紀史君  五月二日     辞任         補欠選任      荒井 広幸君     亀井 郁夫君  五月八日     辞任         補欠選任      内藤 正光君     松井 孝治君      近藤 正道君     又市 征治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         尾辻 秀久君     理 事                 佐藤 昭郎君                 藤野 公孝君                 保坂 三蔵君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 直嶋 正行君                 風間  昶君     委 員                 秋元  司君                 大野つや子君                 加治屋義人君                 川口 順子君                 小池 正勝君                 関口 昌一君                 田浦  直君                 中川 雅治君                 二之湯 智君                 野村 哲郎君                 南野知惠子君                 浅尾慶一郎君                 加藤 敏幸君                 神本美恵子君                 主濱  了君                 鈴木  寛君                 松井 孝治君                 峰崎 直樹君                 柳澤 光美君                 若林 秀樹君                 澤  雄二君                 浜田 昌良君                 山下 栄一君                 大門実紀史君                 又市 征治君                 亀井 郁夫君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君        外務大臣     麻生 太郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   小坂 憲次君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        農林水産大臣   中川 昭一君        経済産業大臣   二階 俊博君        国土交通大臣   北側 一雄君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君        国務大臣     中馬 弘毅君        国務大臣     松田 岩夫君    副大臣        内閣府副大臣   山口 泰明君        防衛庁長官   木村 太郎君        財務大臣    赤羽 一嘉君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        山谷えり子君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       千代 幹也君        内閣官房内閣参        事官       安藤 友裕君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局特殊法人        等改革推進室長  大藤 俊行君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公務員制        度等改革推進室        長        上田 紘士君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公益法人        制度改革推進室        長        中藤  泉君        人事院事務総局        給与局長     関戸 秀明君        内閣大臣官房        政府広報室長   谷口 隆司君        内閣府政策統括        官        高橋  進君        内閣国民生活        局長       田口 義明君        内閣府市場化テ        スト推進室長   河  幹夫君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        防衛施設庁施設        部長       渡部  厚君        総務大臣官房総        括審議官     熊谷  敏君        総務大臣官房総        括審議官     荒木 慶司君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君        総務省行政管理        局長       藤井 昭夫君        総務省行政評価        局長       福井 良次君        総務省自治行政        局公務員部長   小笠原倫明君        法務大臣官房司        法法制部長    倉吉  敬君        外務大臣官房審        議官       佐渡島志郎君        外務大臣官房国        際社会協力部長  神余 隆博君        外務省北米局長  河相 周夫君        財務大臣官房審        議官       加藤 治彦君        財務省主計局次        長        松元  崇君        財務省主計局次        長        鈴木 正規君        財務省国際局次        長        篠原 尚之君        文部科学省初等        中等教育局長   銭谷 眞美君        文部科学省高等        教育局長     石川  明君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省職業        安定局長     鈴木 直和君        社会保険庁運営        部長       青柳 親房君        農林水産省経営        局長       井出 道雄君        国土交通大臣官        房長       春田  謙君        国土交通大臣官        房技術審議官   中島 威夫君    参考人        日本郵政株式会        社代表取締役社        長        西川 善文君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○簡素で効率的な政府を実現するための行政改革  の推進に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○公益社団法人及び公益財団法人認定等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及  び公益社団法人及び公益財団法人認定等に関  する法律施行に伴う関係法律整備等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○競争導入による公共サービス改革に関する  法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいまから行政改革に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二日までに、和田ひろ子君、山口那津男君、北岡秀二君、吉川春子君及び荒井広幸君が委員辞任され、その補欠として峰崎直樹君、山下栄一君、秋元司君、大門実紀史君及び亀井郁夫君が選任されました。  また、本日、近藤正道君が委員辞任され、その補欠として又市征治君が選任されました。     ─────────────
  3. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案外四案の審査のため、明九日午前九時に、大阪市立大学大学院法学研究科教授稲継裕昭君、シンクタンク「構想日本代表慶應義塾大学総合政策学部教授加藤秀樹君、東京大学大学院助教授田中弥生君及び暮らしと経済研究室主宰山家悠紀夫君を、午後一時に、日本公認会計士協会理事樫谷隆夫君、地方自立政策研究所代表穂坂邦夫君、全国中小企業団体中央会会長佐伯昭雄君及び日本自治体労働組合連合中央執行委員長駒場忠親君の以上八名を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  また、本日の委員会参考人として日本郵政株式会社代表取締役社長西川善文君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律案一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び競争導入による公共サービス改革に関する法律案、以上五案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 中川雅治

    中川雅治君 自由民主党の中川雅治でございます。  小泉総理は就任以来、改革なくして成長なしとの一貫した方針の下で構造改革全力で取り組んでこられました。その結果、我が国経済民間需要を中心とした持続的な回復軌道をたどっております。しかしながら他方、現在、我が国公債残高は約五百四十兆円にも上っておりまして、二〇一〇年代初頭におけるプライマリーバランスの回復を達成したといたしましても国の公債残高の累増は避けられない状況であります。  今回の行政改革効果を数字で明示することは難しいでしょうけれども、例えば国家公務員人件費は八・六兆円ですから、五%削減ではなく仮に半分に減らしたとしても数兆円の効果にしかならないわけでありまして、この法案に書いてあることをすべて達成しても問題がすべて解決するわけでは到底ないわけでありまして、更なる改革を続けていかなければならないわけであります。正に総理のおっしゃるとおり、改革に終わりはないわけであります。  そこで、官房長官にお伺いいたしますが、今回の行政改革推進法案は、これまでの小泉改革、さらには今後の改革の中でどのような位置付けのものなのかをお伺いしたいと思います。
  8. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 小泉政権が五年前に成立をいたしまして、そのときの問題意識としては、当時は財政状況も厳しく景気も悪い、そしてまた銀行の不良債権は山ほど積み上がっている状況の中で、また近い将来、日本人口は減少に転じる、そしてまたさらには、グローバル化が進む中において日本の中だけで勝ち残っても生き残ることはできない、国際経済の中で勝ち残ることができなければ日本経済も厳しい、そういう認識の下で構造改革をスタートしたところでございます。  特に、人口が減少していくと同時にたくさんの債務を抱えている中にあって国民への負担をいかに抑えることができるかという中において、民間ができることは民間お願いをする、そしてやはり地方のことは地方方々の方がよく分かっている、そして効率化を進めていく上においては地方方々に任せた方がいいということで行政改革にも着手をしたところでございます。  そして、本年がいよいよ小泉総理の締めくくりの年に当たるわけでございまして、その中でしっかりと今後とも改革を進めていくという意思を国内外に示していく必要があると、こう考えたのではないかと、このように思うわけでございまして、政策金融改革あるいは特別会計改革資産債務改革さらには総人件費改革など、基本的な方針を定めた本法案国会提出をしたところでございます。  これによって、今後ともしっかりと我々はこの改革を推し進めていくということを国民皆様にお約束をすることになると、このように思います。この改革によりまして、資金の流れ、仕事の流れ、あるいは人と組織のそれぞれの分野において大きな改革がなされるのではないかと、こう考えているところでございます。  いずれにいたしましても、まず政府としてしっかりと簡素で効率的な政府をつくっていくために全力を挙げて努力をしていかなければ、国民皆様にその後の国の姿についてやっぱりいろいろなお願いをするにしても、それはできないという考えの下に、しっかりとこの法律を上げて改革を更に進めていきたいと、こう考えているところでございます。
  9. 中川雅治

    中川雅治君 官房長官、お忙しいということで、どうぞ御退席いただいて結構でございます。  今回のこの法案審議を聞いておりますと、地方にできることは地方にという議論と、それから都市部地方とでは格差があるから地方に配慮をせよという議論が多く聞かれるわけであります。さらに、東京都の法人二税の税収地方により多く配分するように現行分割基準を改めるべきであるとか、あるいは、その法人二税はこれは税収東京都を始めとした企業が集中する大都市に偏るので人口を基に再分配すべきであるとか、さらには地方法人所得課税というのは税収大都市に偏っているということで、これを縮減あるいは撤廃して代わりに偏在性の少ない地方消費税を増やすべきであるといった議論まで出ているようであります。  こうした議論の根底にありますのは、税収財政状況の良い東京は豊かであるという東京富裕論であるかと思います。あるいは東京独り勝ち論というようなことも言われるわけであります。しかし、今ある東京富裕論などには多くの誤解理解不足があると私は思うのであります。  東京は既に高度に発達した日本最大都市であり、地方に比べて財政需要は少ないんじゃないか、東京には必要以上に税収が集まっていると考えておられる方も多いと思いますが、これは誤解と言ってもよいと思います。  東京人口は約千二百五十万人でありますけれども、約三百七十万人もの昼間流入人口があります。この方々東京仕事をして、学校で学んで、場合によっては夜は東京の盛り場などで遊んで環境負荷を掛ける、そして東京交通機関を使って、東京道路や水道、下水道などを利用しているわけであります。この昼間流入人口と言われる方々環境負荷社会資本減耗度合いというのは、家におられる主婦などの方を含めた東京都に住んでおられるすべての方の平均よりも大きいんではないかと思うわけであります。ですから、三百七十万人の昼間流入人口、これは静岡県一県分人口というふうに言われるわけですけれども、これは見方によってはもっともっと多くの人口に匹敵するとすら言えなくはないと思うのであります。  ですから、総務省から提出されたいろんな資料を見ますと、人口一人当たり税収というグラフがありまして、東京が突出しているような印象を与えるわけでありますけれども、コメントなしにこうしたグラフをどんどん出していくのは問題だなとかねがね思っているところであります。  また、東京には大都市特有財政需要首都としての機能を維持するための支出も多いわけでありますし、用地取得費を取ってみても一平米当たり東京都は他の道府県の十四倍も高いわけであります。そして、例えば羽田空港の整備首都圏環状道路整備につきましても、その整備効果東京だけでなく全国に及び、他県にも大きな経済効果をもたらすわけであります。  一人当たり税収額格差を取り上げ、問題視することは、こうした大都市特殊事情財政需要を無視した一方的な議論であると思います。むしろ、一人当たり国税還元額を見ますと、東京では都民一人当たり十一万円、島根県や高知県の約六分の一しか還元されていないわけでありまして、大きな不満の声が出ていることを申し上げたいと思います。  国会地方選出国会議員の数の方が都市部選出国会議員の数より当然多いわけでありますし、総務省の役人も地方の県の副知事や部長などに大勢出向していて、地方へもっと配慮せよという声の方が強く出るわけでありますが、私は、東京にもっと配慮することが全国の発展につながるのだということを声を大にして申し上げたいと思います。まして東京について、超過財源とかいうものを算出してこれを水平的財源調整などと称して他の地方へ回すなどということは絶対に許されないことだと思います。  竹中大臣谷垣大臣は以上のような私の考え方に賛同していただけるものと思いますが、いかがでしょうか。
  10. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 東京事情に大変お詳しい中川委員から御意見、しっかりと承った次第でございます。  まず最初に、今いろんな議論がなされております。ただ、非常に税の制度等々は非常に細かな具体的な制度設計の話になります。私は、やはり制度設計の話に至る前に、もっと大きな改革方向の枠組みを議論するのが今の段階であるというふうに思っておりまして、制度設計議論というのは、これは大いにそれはそれでやっていただければ結構だと思いますが、今の段階では、私は、制度設計議論から入っていくと議論がむしろ大変混乱するのではないかという認識を持っております。その意味では大きな方向議論を是非しなければいけない。  ただ、委員御指摘のように、地方自立、各地域自立を考えます場合に、東京位置付けというのが大変大きな問題としてそこにあるということは事実でございますので、今後制度設計段階に至りました場合は、そういうことはしっかりとフェアに議論をしていかなければいけないというふうに思っております。  地方税在り方そのものに関して、これは一般論でございますけれども、やはりその受益を受けている人たち応益負担という原則にのっとってしっかりと負担していく、それが地方税の基本的な考え方であろうかと思います。その意味でやはり固定資産税等々は比較的分かりやすいわけで、いろんな行政サービスを受ける代理変数として不動産の規模や価値に基づいて課税されるというのは地方税の分かりやすい考え方であろうかと思います。  そのような観点から、例えば具体的に問題になりますのは法人事業税のような場合でございますけれども、これは法人が複数の都道府県に事業所等を有する場合、その地域における、まあ本社が東京にあるということが想定されますけれども、そのような場合に、その地域における事業活動の大きさを的確に反映するように分割基準というのを設定して、これを適宜やはり実情に合うように我々としては見直してきたところでございます。もっとも、課税対象全国で一様ではございませんから、地域的な偏在があるというのは事実であろうかと思います。  今後、地方の自由と責任そして自立、これを高めていくというのは、これは正に我々が目指すべき方向であろうかと思いますので、その地方財源の充実をどうしていくかということは、それは制度設計段階で、まあ教科書的に言えばできるだけ偏在度が小さい税体系を目指すということになるわけでございますけれども、具体的な問題としては、その制度設計段階でよく国民議論も広く行っていただきながら議論をしていくべき問題であるというふうに考えております。
  11. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私も、具体的な制度設計というよりも大きな方向性をどうするかという議論ですが、今も中川委員お話にもありましたように、税は、地方税であると国税であるとを問わず、やはり人やそれから経済活動が集まる都市にどうしても税収が集まってくるという面は、これは否定できずあると思うんですね。それで、それをどう調整していくかというのは、またどういう調整であるべきかというのは、やっぱり今後の地方財政を考える上での大きな課題だと思うんですが、今までは、それは要するに地方交付税役割である、国がやるべきことであるというふうに考えられて整理をされてまいりましたけれども、かつてに比べますと地方税も大分充実してきたということになりますと、これが地方交付税だけの役割なのか、それとももう少し地方の枠の中でいろいろな調整のその在り方というものも考える必要があるのか、そこら辺りも私は議論していただく必要があるのかなと思っているわけでございます。  それで、今委員がおっしゃった東京財政特殊性というのをお話がございまして、私もなるほどなと思うところがございますが、他方過疎地の方からもまたいろいろな特殊性というのは私どももよく伺うわけでございまして、一々例は挙げませんが、非常に人の少ないところでその過疎地学校をどうやって維持していくかとか、あるいは通信等々の問題をどうしていくかというようなことがございますので、財政調整在り方をどうしていくかというのはもう一回きちっと議論をしなければいけないことかなと思っているわけでございます。  そういう中で、今後財政健全化を進めていく上では、もうこれは私いつもお経のように言うわけですが、限られた財源を効率的、そして有効に、効果的に使っていかなければなりませんので、国、地方双方が、将来的な国民負担を極力削減していくという観点から最大限努力をしていくということが必要ではないかと思っておりまして、こういう観点からまたいろいろ議論をさせていただきたいと思っております。
  12. 中川雅治

    中川雅治君 いずれにしても、制度設計段階でフェアな議論をしていただけるということでございますので、期待をしたいと思います。  次に、本法案の具体的な論点に入りたいと思います。  本法案の第一の重点分野として、政策金融改革が挙げられております。この改革は、民間にできることは民間にとの考え方に立ってできる限り政府が行う分野を縮小させるという考え方の下で、平成二十年度末には八つの政策金融機関民営化、廃止、統合を行うほか、平成二十年度末の政策金融機関貸付残高の対GDP比平成十六年度末の二分の一以下とするようにするとされております。  中馬大臣にお伺いいたします。この行政改革推進法案第四条第二号に規定されている政策金融に係る貸付金残高の対GDP比半減目標はいかなる考え方に基づき設けられたものなのか、御説明いただきたいと思います。
  13. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) これには少し経緯がありますから、その経緯から申させていただきますが、この政策金融に係る貸付残高GDP比半減、これは平成十四年の経済財政諮問会議において、その議論におきまして現行政策金融機関貸付規模、これは政府の関与でございますが、これが他の先進国に比べて大きい、約倍ぐらいある、そういうことから国内的にも金融資本市場をゆがめている、こういった認識が出てまいっておりまして、そしてこれを正常化するために前提として現行政策金融機関八機関の貸出残高について将来的に対GDP比半減することを目指すと、このようにしてきたわけでございます。  これを踏まえまして、平成十七年十一月の経済財政諮問会議で決定されました政策金融改革の基本方針、ここにおいて政策金融の貸出残高GDP比半減平成二十年度中に実現する、このことが盛り込まれました。これを受けた形で、昨年末の閣議決定の重要方針ですね、行政改革重要方針、これにはっきりそのことも盛り込まれました。それを受けた今回の法案でございますから、行政改革推進法、ここにこのように規定されたわけでございます。  ただ、この半減するということだけではなくて、この行政改革そのものが官から民へ、御指摘がありましたように、そして極力民にできるものは民間へということの流れの一環でございますから、今まで各主管官庁がそれぞれ金融機能を持っておりましたけれども、これも統合した形で新政策金融機関の中にまとめまして、あとは極力民間に任せていくという形、この一つの理念が入っているわけでございまして、経済全体の活性化につなげていこうとする経済財政諮問会議政策金融改革議論の中でこうして設けられたものと、このように理解しております。
  14. 中川雅治

    中川雅治君 ありがとうございます。  私は、例えば国の公債残高の対GDP比が既に一五〇%を超えている、これは今やどのように考えても良くない、悪い状態だと。だから、この比率をせめて例えば一〇〇%以下に持っていくように、例えばですね、そういった目標を定めて努力していこうということなら分かるわけであります。  ところが、政策金融については官の関与を減らしていこう、だから政策金融の残高の対GDP比を減らしていこうというところまでは理解できるわけですが、とにかく残高の対GDP比を二分の一以下にするんだといいますと、何か政策金融というのは悪いことで、どんどん減らしていくことが良いことだという感じを与えますね。  しかしながら一方で、国民公庫や中小公庫の必要な機能は維持されますよ、農林公庫の必要な機能も維持されますよといって、政策的に必要があれば政策金融はきちんとやりますと政府も説明しているわけであります。しかも、法律上、この二分の一以下とする目標は日本政策投資銀行、商工組合中央金庫の民営化、公営企業金融公庫の廃止により達成できることになっておりまして、一つに統合させる政策金融機関貸付残高は減らさなくてもよいわけでありまして、この点、野党はまやかしと批判しているわけでありますが、この辺の考え方をどう整理してよいのか私もよく分かりませんので、中馬大臣の御見解を伺いたいと思います。
  15. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今申しました基本方針に基づいてこの政府の関与を極力少なくしていく、そして、もう民間が育った、民間にできることは民間に任せていこうじゃないか、そして一つの日本経済としての活性化をこれから図っていこうということでございます。  その中で、今おっしゃいましたこの統合の問題になりましたけれども、それぞれの各所管官庁はそれなりにやはり自分たちも役割を果たしてきた、またそれに頼ってきた中小企業方々もいらっしゃいます。そういう方々がこれに対して相当な抵抗といいましょうか、それでいいのかといったような疑念も含めて大きな声が上がったことは御承知のとおりでございます。それをあえて、こうした中の議論の中で、与党のバックアップもありました、そして、それでこのように統合することに最後は総理の決断で決まったわけでございます。  そういうことから、決まった結果だけを見て、今言いました商工中金や政策投資銀行、そして公営企業金融公庫を廃止すればもう半分になっているじゃないかといったような、それがまやかしだといった野党のその御議論は当たらないんじゃないかと思いますね。そこまでに至る経過がこれは大事なことでございまして、そこに至った、ここまでよく持ってきたと私どもは逆に認識をしている次第でございます。  そういうことから、この改革でございますけれども、資金の流れを官から民へ変えまして簡素で効率的な政府へ道筋を確かなものにする、確かなものにしていくという意味でこれ大きな意義があるわけでございますから。しかし、これがすぐ実現できるものではありません。先ほどからお話がありますように、これから制度設計をしていかなければなりませんし、例えば公営企業金融公庫にしましても、どういう形でこれを一つの政府金融機関から外していくかといったようなこともこれから相当な議論、詰めた話が必要かと思います。  そういうことが必要でございますから、今もうこれが達成されたということでなくて、これからこれを道筋を確かなものにしていくという意味での大きな意義があるということでございまして、まやかしどころかこれからが正念場でございますし、今後とも一層の御協力をお願いしたいと思います。
  16. 中川雅治

    中川雅治君 私は、日本政策投資銀行とそれから商工組合中央金庫の二つの機関の完全民営化というのは画期的なことだと思いますので、二分の一以下とする中にこれを含めてカウントするのは理解いたします。しかしながら、約九十兆円の政策金融残高のうち二十五兆円という大きな残高を占める公営企業金融公庫が、新たな仕組みに移行する分まで二分の一以下の中にカウントするのはどうも納得し難いのであります。  公営公庫については、第七条において、「公営企業金融公庫は、平成二十年度において、廃止するもの」となっておりますが、他方、その上で法案では、「地方公共団体のための資金調達を公営企業金融公庫により行う仕組みは、資本市場からの資金調達その他金融取引を活用して行う仕組みに移行させる」とあります。公営公庫という仕組みが新たな仕組みに置き換わるわけで、廃止という言葉が果たして適切なのかどうかについては議論の余地なしとしませんし、この置き換えによってどうして政策金融の範疇から外れることになるのかはっきりしないように思います。  現在、公営公庫は、国の信用をバックにして政府保証債である公営企業債券等により資金を調達し、これを原資として地方公共団体に対して貸付けを行っております。言わば国の信用を使って調達金利を安くして県民の負担を軽減しているということになるわけであります。  この制度を廃止して、新たな仕組みが政策金融ではないということになるのであれば、新たな仕組みについては、資金を必要とする地方公共団体が自らあるいは幾つかの自治体が共同で資本市場から資金を調達するということになるんでしょうか。それとも、全国地方公共団体が共同で出資し、貸付先も全国地方公共団体となるので、言わば国に代わって全国地方公共団体共同の信用力で資金を調達して貸付業務を行う機関ができるのでしょうか。その辺の具体的な仕組みを現時点においてどのように考えておられるのか、竹中大臣にお伺いいたします。
  17. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) この政策金融改革におけます公営企業金融公庫の在り方、これは今もう既に中川委員御指摘をくださいましたけれども、昨年末の閣議決定の行政改革の重要方針におきまして二つのことを明記しているわけでございます。第一は、廃止をして資本市場等を活用した仕組みにするんだと。そして二番目は、必要な財政基盤を確保する等廃止に向けた一定の移行措置を講ずるんだと。廃止、資本市場の活用というのと移行措置を何か必要な場合講ずると。ここ、この二点は決まっているわけでございます。  それで具体的に、じゃ、それをどうするかということについては正に今、これはその方向について今この推進法の中で是非御議論をいただきたいと思っておりますが、その方向を決定していただけるということであるならば、それに沿った形で制度設計をしていくということになろうかと思います。  したがいまして、現時点で、委員のお尋ねは制度設計についてどこまで考えているのかというお尋ねだと思いますけれども、これはまだ今正にその作業をしている段階でございます。今の時点で私自身の考え方がこうである、総務省考え方がこうであるというふうに明確に申し上げられる点は、その意味では、申し訳ありませんがございません。  当然のことながら、これは資本市場を活用するということでありますから、原則は地方公共団体が個々に創意工夫をして資金調達をするということだと思います。そして、財務上の戦略として共同調達の仕組みを活用するという選択肢もこれはあるわけでございます。そうしたことに関しましては、どういうやり方が良いのか、これは地方意見も聞きながら十分適切に検討していきたいというふうにまいりますが、いずれにしましても、公営公庫を廃止をして資本市場のメカニズムにゆだねるというのが基本的な方向でございますので、その趣旨に反しないような形でのしっかりとした制度設計を行いたいというふうに考えております。
  18. 中川雅治

    中川雅治君 公営公庫の新たな仕組みの詳細はもちろんこれからの検討なのでありますけれども、今回の法律政策金融残高を二分の一以下とする場合に、公営公庫の新たな仕組みへの移行をカウントしてよいわけでありますから、逆に言えば、今までの公営公庫は政策金融であったが、公営公庫の新たな仕組みは政策金融ではないということになるわけであります。  政策金融の定義というのははっきりしたものはないと思いますけれども、新たな仕組みは、じゃ、どういう理由で政策金融の対象から外れてくるのか、そこのところを竹中大臣にお伺いしたいと思います。
  19. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 基本的には政策金融でありますから、正に国の機関がファイナンスをしていたということに尽きるわけでございます。しかし、国の機関がファイナンスをするというようなことは全く考えておりません。これは地方が、先ほど言いましたように資本市場を活用して調達をするというのがこれはもう大原則でございます。しかし、資本市場の中でも共同発行という仕組みは現にございます。共同発行しているプライベートなところもあり得ます。そういうことの活用についてこれを否定するものでは当然ないと思っております。  しかし、そのために、じゃ、どのような制度設計が必要かどうかについては、これは正に具体的な地域の、地方の御意見も聞きながら、伺いながらの制度設計をしなければいけないというふうに思います。それと、現に今までこの公営公庫が出した債務、債券、持っている債券、債務がございますから、その管理は当然ちゃんとやっていかなければいけないという仕事は当然にございます。  そういうことも含めた全体的な制度設計について、今一生懸命我々としても知恵を絞っているところでございます。
  20. 中川雅治

    中川雅治君 これはこれからの検討課題ということのようでありますので、次に行きたいと思います。  現在、総務大臣の下で地方分権二十一ビジョン懇談会が開かれ、地方の責任の明確化のための改革として、破綻・再建法制の検討が行われていると伺っております。さきの四月二十八日には、ビジョンの中間取りまとめも議論されたと聞いておりますが、地方自治体の破綻ということが現実に起きるということは大変なことで、地方切捨てという問題が発生したり、あるいはこうした破綻自治体を生んでしまう国全体が国際的に厳しい評価を受けてしまったりということが発生する懸念があると思います。現実にアメリカでは、一九七五年にはニューヨーク市が財政危機に陥ったり、一九九四年にはカリフォルニアのオレンジカウンティーが破産したというようなケースもありまして、アメリカでも後始末には大変な苦労を強いられたわけでありまして、これと同様なことが日本で起きれば、我が国の信用全体にかかわる問題になる可能性もあると思います。  そこで総務大臣にお伺いいたしますが、この地方分権二十一世紀ビジョン懇談会ではどのような議論が行われたのか、また、特に自治体の破綻・再建法制について竹中大臣はどのような方向付けをしておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  21. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員が今御紹介くださいました分権のビジョン懇談会、これが実は連休の直前に中間取りまとめを出しております。そして、それに基づきまして論点を整理しておりますので、それに基づいて今後更に議論を詰めていくということになろうかと思います。その中で、御指摘のように、いわゆるこの破綻・再建法制というものの議論がなされております。  これは、まず議論の出発点は、マスコミはこの破綻という言葉にどうしても注目をするわけですけれども、議論の出発点は、当然のことながら、やはり自治体にもっと自由度を持っていただかなければいけないということだと思います。自由と責任というふうに言いますが、自由度をまず持っていただきたい、そのための仕組みづくりを一方で非常に細かく議論をしております。その責任を持っていただく一方で、これはコインの両面だと思います。その際に、今も実は再建法制があるわけですけれども、今のままで十分であろうかと、そこは検討してみる必要があるのではないかというのがここでの問題意識でございます。  まず重要な点は、いわゆる民間の破綻の場合というのは清算型の破綻と再建型の破綻というのがあるわけですが、地方自治体は住民に必要な行政サービスを提供しなければいけませんから、いわゆる清算型の破綻、それがなくなってしまうというようなことは全く想定しておりません。これはいわゆる再建型のものでなければならないというのは当然の議論の出発点であろうかと思います。  今でも、先ほど言いましたように再建の仕組みというのはあることはあるわけですが、今の場合に、一つ根本的にフローの赤字の問題というのが議論されているわけですけれども、ストックの概念というのが、債務の問題とかストックの概念というのが今の法制からは抜け落ちているという指摘がその中でなされております。  もう一つ、先ほど清算型は全く考えられないというふうに申し上げましたが、同時に、こういう法制を議論しなければいけない、それの最大のポイントは予防をしっかりとするということです。この仕組み全体の中に予防のメカニズムを、早期警戒、アーリーウオーニングのメカニズムをきっちりと入れて、その中にストックの概念も入れて、そもそも破綻などしないような早期からの警告の仕組みをつくっていくことがこの法律議論の最大のポイントであるというふうに思っております。  法技術的には詰めなけりゃいけないことがたくさんございますけれども、私が今申し上げたような方向で、私は方向としては、是非多方面にもう御了解をいただきたいと思っておりますけれども、そうした観点からの建設的な議論を専門家にしていただいておりますので、中間報告を踏まえまして是非きっちりとした議論の詰めを行いたいというふうに考えております。
  22. 中川雅治

    中川雅治君 これらの検討につきましては各自治体の自由度を確保していくと、ちょうどコインの裏側とおっしゃいましたが、財政規律を促すと、こういう観点から意義のあることだと思いますが、やはり国民、住民の利益ということを念頭に置いて改革が進められることを期待いたしまして、この件はこれで終わらしていただきます。  次に、公益法人制度改革に関連して中馬大臣にお伺いいたします。  この改革によって、これまで各府省庁が公益法人を監督してきた体制が改められ、公益社団法人公益財団法人としての認定やこれらに対する監督は、内閣府に置かれる新たな公益認定等委員会の下に一元化されることになるわけであります。  これにつきましては、これまでの公益法人と所管官庁との間の設立許可、指導監督権限を背景とした、ともすれば不透明な癒着とも批判されることのある関係を断ち切り、透明なものとするという点では前向きな意義を有するものと評価いたします。  しかしながら、各公益法人の実態を一番よく知っているのは各府省庁でありますし、各府省庁は、その所掌する政策を遂行していく上で行政のパートナーとして各公益法人にいろいろな面で協力を要請し、連携して仕事をしてきているという実態もあるわけであります。これは悪いことでは全くありません。  ただ、各府省庁においては、それぞれの担当者は、ともすると自分の仕事が最も重要だと思い込んで、熱心になる余り全体が見渡せず、視野が狭くなる。そして、時には熱心さが癒着と言われるような事態を引き起こすこともあるわけでして、そこは改めなくてはいけないと思いますが、各省庁は悪い、内閣府は正義の味方だというようなスタンスを取ってはこの改革はうまくいかないと思います。  現に、今ある公益法人方々は、公益性を認定する有識者による公益認定等委員会が自分たちの仕事をきちんと公益性のあるものと認定してくれるのだろうかと大変不安になっているわけであります。今後とも、民にありながら公益を担ってくれる公益法人については国として必要な政策的配慮をし、バックアップしていかなければならないと思います。  新たな公益法人の事業内容は極めて幅広い分野にわたりますし、その数も全体で二万五千を超え、国が所管するものだけでも約七千あることを考えますと膨大なものであります。内閣府において、これらの法人の事業内容等を十分に把握して適切に監督していけるのかどうかということを心配いたします。  また、各府省庁がその所掌する政策を遂行していく上でも、行政のパートナーとしての新たな公益法人と各府省庁との関係とこの内閣府による法人の監督がともすれば二重行政になったりそごを来したりしないかという懸念もあります。このような点に十分留意して、新たな公益法人認定制度の事務局となる内閣府と各府省庁との間で連携を図っていくことが重要でありますし、また、行政改革に逆行することのないよう配慮しつつも、十分な監督を行うため必要な人員体制を整備していくことも必要であると考えます。  新たな公益法人を適切に認定し監督していくための体制整備について中馬大臣の見解を伺います。
  23. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) これは、明治二十九年でしたか、百年余り前からの一つの制度をここで大きく変えようとするわけでございまして、大変な一つの新たな行政改革といいましょうか、お役所の管理監督を外して民に責任を持ってもらうという形をつくるわけで、これはそれなりに非常に大きな意義があろうと思います。  その作業でございますが、今お話がありましたように二万六千人足らずの数があるわけでございまして、これをひとつ新たに切り替えるとなりますと相当なこれ事務量が十分に想定されます。それをやっていかなければいけないわけでございますから、公益認定等委員会、これにお任せするだけではなくて、その事務局が大変だと思います。かといって、行政組織のスリム化の観点ですから、これを膨大なものにしてしまったらまた一つの意味がありませんので、スリム化の観点を踏まえつつその機能を的確に発揮できるように所要の体制はやはり整備していかなければいけない。しかもこれを五年間でやらなければいけませんので、それなりの体制は、優秀な人材をそこに集めてやっていく所存でございます。  また、今お話がありました各省庁とこの内閣府との一つの二重行政やそごがあってはならないということでございますが、もちろんそうでございまして、内閣総理大臣、また地方におきましては知事でございますが、これらは公益社団法人公益財団法人を監督するに当たりまして、その法人が法令上行政機関の許認可を必要とする公益目的事業を行う場合、そうした場合においては、これは内閣府が勝手に決めるのではなくて、その法人が所要の技術的能力を有しているかどうか、そういった一つの要件を、十分に許認可等を行う行政機関の意見を聞くことによってそれを調整することができると思います。そして、最終的にはもちろん内閣総理大臣等の決断になるわけでございますが、判断になるわけでございますが、そうしたことで適切な監督を行うことができるものと考えております。
  24. 中川雅治

    中川雅治君 ところで、今回の公益法人制度改革で、今も申し上げましたけれども、二万五千の公益法人、国が所管するものだけでも七千ある公益法人方々は、恐らく二十年度から五年間の間に順次公益認定等委員会できちんと審査され、公益社団法人公益財団法人として果たして認定してもらえるのだろうかと不安になっているわけであります。それは、今回の改革について税制がどういう取扱いになるか分かっていないことと大きく関係しております。  財務大臣総務大臣の衆議院での答弁を聞いておりましても、まず先に公益法人制度改革があって、税はそれを見て検討していくものであるという趣旨の御発言がありまして、私もそれは十分に理解するものであります。ただし、税制がどうなるのかが関係者の一番の関心事であることも確かであります。  現在、公益法人に対しては法人税を始め様々な優遇措置があります。そして、別途寄附金に対する税制上の優遇措置を講ずるに当たって特定公益増進法人という制度がございまして、これは主務大臣が公益法人の中からより一層公益性が高いとして国が特に政策的に支援する必要がある公益的事業を行う法人を更に認定する仕組みとなっております。この特定公益増進法人、特増法人といっておりますが、これは三十八事業に類型化され、限定列挙されております。  そこで、谷垣大臣にお尋ねいたしますが、今回の改革で認定されるすべての公益社団法人公益財団法人について、現行の公益法人に対する法人税等の優遇措置のほか、現行の特定公益増進法人に対する寄附金の優遇措置も適用されると考えてよいのでしょうか。
  25. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この件に関する我々の基本的なスタンスは、去年六月に政府税調で公表されました基本的考え方というのがございます。その中では、新しい制度下の公益法人について、今お話がありましたように、第三者機関によって公益性の認定を受けた法人は他の法人と競合性のある事業だけに課税するといった法人税の優遇措置を講じると。それと同時に、こういった法人は基本的に寄附金優遇の対象法人とすると、これが合理的であるというふうに指摘されておりまして、こういうことをもって寄附文化の育成に税制の上からも寄与しようと、こういうのが私どもの何といいますか、基本的なスタンスでございます。  ただ、言うまでもなく、それが租税回避手段として使われるということがあってはこれはならないわけでございますので、私どもは結果としてその第三者機関の認定を尊重していきますから、そこに寄附税制を受ける範囲が広がっていくということは多分そのとおりだろうというふうに思っているわけでございますが、ただ、具体的なやはり制度設計を見させていただきたいと、このように思いまして、その上で先ほど申し上げたような基本的な考え方に立って制度をつくってまいりたいと思っております。
  26. 中川雅治

    中川雅治君 ありがとうございます。  そうしますと、現在、公益法人は二万五千を超えていますし、国所管だけで七千ありますが、特定公益増進法人はわずか九百程度です。今回の改革によって言わば九百程度の特増法人が一挙に二万五千くらいにまで拡大するということになるわけでありまして、これは大変画期的なことであると評価いたします。  しかしながら、関係者が心配しておりますのは、今回の改革で認定される公益社団法人公益財団法人については、税の優遇措置が現行よりも手厚くなると。ですから、今の特増法人に対する優遇措置も一緒に適用になるということでありますから、審査をより厳格にして数を絞っていこうということになりますと、現に存在している公益法人の関係者は大変な不安を抱くわけであります。  もちろん、二万五千を超える現在の公益法人がすべて公益社団、公益財団という形に認定されるとはもちろん限らないと思いますけれども、基本的には今きちんと公益事業をやっている法人はそういった形に認定されるんだと、そしてそれは今の公益法人の税の優遇措置も、特増法人に対する寄附金の優遇措置と同様の優遇措置も受けられるんで不安はないと、こういうことでよろしいのか、中馬大臣からお答えいただきたいと思います。
  27. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 二万五千余あるわけでございますが、これにはかなり休眠状態のものとか、もう時代的役割が終わって要らないんじゃないかとか、あるいはまた統合できるもの相当ありますから、その数がそのまま認定ということに私はならないと思いますが、ともかくそういうかなりの数になることは現実でございます。  ただ、今お話がありましたように、前よりも税の優遇措置が拡大されるかどうか、これも今後の制度設計の問題、今財務大臣お話しになったとおりでございますから、それも一概には断定できないと思いますが、ともかくそういうことで認定基準等が法令で明確に定められまして、これらをすべて満たすと判断されれば認定が行われることになりますので、主務官庁の裁量が大きい現行制度における場合とは異なって、認定の申請をする法人にとってはある程度予見可能性とか透明性がより高まることになると、こういうふうに考えております。  いずれにしましても、今回の改革民間が担う公益を積極的に位置付けるものでございまして、各法人においても法令に定められた認定基準等を満たし、公益社団法人公益財団法人として活動していただくことで民間非営利部門の健全な発展が促進されることをこれを期待しているわけでございます。  税の優遇措置につきましては、また政府の税制調査会等で今後決定されることでございまして、ここで何か予見を持って申し上げることはちょっと差し控えさせていただきます。
  28. 中川雅治

    中川雅治君 いずれにしましても、今きちんと活動している公益法人がこの公益認定等委員会できちんとまた認定を受けられるのかどうかという点についての不安が大きいようでありますので、この点については透明性を持って不安がないということをきちっとどこかの時点で明らかにしていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。  そこで、次に、天下りの問題についてちょっと私の気持ちを述べさせていただきたいと思います。  最近の天下り論議を聞いておりますと、とにかく公務員の再就職はすべて悪い、公務員は全員定年まで働いて、あとは一切再就職しないで余生を送るのが望ましいというように受け取れる論調が横行しつつあるように思われます。私は、このような論調が一般的になっていくのはどうかなと思うのであります。  例えば、独立行政法人でありますが、これは国が直接には実施する必要はないが民間に任せる分野でなく、民間的手法を取り入れながらもやはり国が責任を持つ分野仕事をするところなわけですね。独立行政法人は国の政策に基づいて、あるいは国の方針の下に業務を行っているわけですから、国の政策や方針をよく理解している人に独立行政法人に行ってもらう、あるいは独立行政法人の方からそうした人に来てほしいということも当然あるわけで、これは広い意味で国としての人材の配置だと思うわけであります。ですから、公務員のOBが独立行政法人に行くのはまず良くないことだ、悪いことだというのが先にあって、これは天下りだ、けしからぬと決め付けていくのはどうかと思います。  もちろんケースによっては批判されるような人事もあるとは思いますが、国の政策として行っている独立行政法人の業務に国の政策を理解している公務員OBが配置されることがなぜそんなに悪いことなのか。政治もマスコミも全員合唱でそうした論調を張っていくことは何か恐ろしい感じがいたします。  また、これから市場化テストを拡大していく、そして中央官庁は行政上の判断を要する仕事が中心となって、いわゆる現場部門、公権力の行使を伴わない執行部門は民間に委託していくという流れになってまいりますと、現場で積んだ経験を生かして、今度は民間の会社であるいは公益法人で、国の委託を受けた仕事にあるいは民営化された仕事にそこの役員あるいは従業員として働く、これがすべて悪いわけではないと思います。こうして働いている人にあたかも悪いことをしているように言うのは余りに気の毒である、行き過ぎである。こうした風潮は怖いと思います。  また、公務員は皆定年まで働ければそれは結構なことで望ましいことであると思いますが、これは、これから国の役所はスリム化し、いわゆる行政上の判断を必要とする部署、企画立案部門を残して、現場の執行部門は独立行政法人に移すあるいは民間に委託するという方向になっていきますと、皆定年まで役所で仕事をすることが果たして国全体として人材の有効活用になるのか疑問もあるわけです。  企画立案の仕事あるいは行政上の判断を要する仕事には向かないが、現場での執行の仕事には適材であるという人もたくさんいるわけでして、そういう人がちょっと早めに退職して、今までの経験を生かして独立行政法人であるいは民間で働くことになっても、それをいけないことだ、悪いことだとしていくのはどうなんでしょうか。もちろん、方向としては公務員は定年まで皆公務に従事できるようにするのは理想だと思いますけれども、公務員になったら定年まで働け、もう再就職はすべて悪いことだという風潮をつくり上げていくのは行き過ぎであると思います。  流れに乗って皆が同じことを言う世界は怖い、だれかが言わなくてはならないことだと思っておりましたので、私はあえて一言申し上げました。  竹中大臣、何か感想がおありでしたら、おっしゃっていただきたいと思います。
  29. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 公務員の問題全般に関して、とりわけいわゆる天下り問題に対しては国民から非常に厳しい目が向けられている、これについてはやはり真摯に受け止めなければいけない面がたくさんあると思います。と同時に、一方で、いろんな官民交流が必要だという意見も見られるように、公務員のいろんな就職の活動を全否定するようなことがあってはやっぱりこれはいけないんだろうというふうに思います。そこは、厳しい御批判を真摯に受け止めながらも、しっかりとした現実的な制度をつくってそれを運用することが私たちには求められていると思います。  独立行政法人についての御指摘が今中川委員からございましたけれども、これは正に御指摘のように国の執行を行うところでございますから、元来、パブリックの性格を非常に強く当然持つわけでございます。しかし、それを独立して効率的に行っていただきたい。その意味では、民間企業の経営感覚も必要だし、大学等で培われた専門能力も必要だし、同時に、行政において積んできた知識や経験を反映させることも必要であろうと。その意味では、各役所のOB等々の方にも御活躍は私はやはりいただかなければいけないんだと思います。  問題は、その長とか役員とかの人事が各府省のOBの人事の一環として固定してしまう。まあ、実際、固定してしまっているのではないかという批判は、これはあるわけで、そこは直していかなければいけない重要なポイントであろうかと思います。  これまで、国家公務員出身者の割合を二分の一以下にする、独法についてはですね、そういうルールを設けているわけですけれども、それをやはりしっかりと進めていくということが必要だと思います。要は、官民それぞれやはり適材適所で、働く意欲と能力のある方にはしっかりとした機会を持っていただくということとのやはりバランスをしっかり取っていかなければいけない、そういうことを冷静に判断しながらしっかりと対応していくことが必要だと思っております。
  30. 中川雅治

    中川雅治君 ありがとうございました。  最後に、市場化テストについてお伺いいたします。  市場化テストは、これは日本において初めて導入されるものでありますが、限られた予算を有効に使い、公共サービスのコスト削減を図るのみならず、その質の向上をも図っていくために非常に有効な手段であると考えております。しかし、諸外国並みのこの市場化テストによる経費削減効果我が国でも考えていこうということになりますと、諸外国でも実施されているように相当思い切って、例えば総務系統の給与計算などのバックオフィス業務などにとどまらず、防衛関係予算なども含めて相当大規模な事務を市場化テストの対象としていかなければならないかと考えますが、時間もございませんので、最後に中馬大臣から市場化テスト取組への決意をお伺いして、終わりたいと思います。
  31. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 市場化テストも今回のこの大きな改革の一つでもございます。官から民へという流れの中の一つの手段でもございますが、今回のこの改革というのは、今まで日本の国は、あの明治維新のときもそうでしたし、また戦後焼け野原になった後も、これをやはり中央に権力等を集中させて、そして、それで金融を動かし、またいろいろな制度を規制も掛けながら、そしてそれを非常に効率よく先進国に追い付き追い越せ、この改革を進めてきたことは事実でございますが、しかしそれがためにかなり、それぞれの企業にしましても個人にしましてもあるいは地域にしましても、どうしても中央に頼りがちになってしまう。補助金がないから何々ができない、あるいはまた何かしてもらえないから教育委員会が悪いんだといったようなことで他に責任を転ずる、嫁するような形になってしまっております。これを今回は、本当の自分たちが自立した形で個人も企業もまた地域もやっていくべきではないか、極力政府の関与、国の関与を減らしていこうというのが今回の一つの大きな流れでございます。  その中での市場化テストでございますが、これは聖域なく私たちも取り組むべきだと、このように思っております。アメリカにおきましても、国防省がかなりこの市場化テストでこれを民営化に、民間に移したりもいたしております。そういった事例も含め、またイギリスがやりましたサッチャー改革におきましては、これ若干、この市場化テストでコストの方を重視したがために若干失敗例が出ておりますが、我々の場合にはこれをサービスのその質の方にウエートを置いておりますから、そういうことは防げるんじゃないかと思っております。  ともかく、市場化テスト法案ですけれども、御指摘のとおり、官民競争入札等によりまして、民間にできることは民間にを具体化し、国民のため公共サービスの質の維持向上、コストの削減をともに実現することを目的とするものでありまして、いわゆる明治維新、そしてまた戦後のあの民主化、それに次ぐ第三の、本当の民主主義を達成する第三の革命ということの重要な手段と、このように認識をいたしております。  私としましても、公共サービス改革法案を成立させていただいた暁には、本法案の適切な運用によりまして公共サービス改革をしっかりと進めてまいりたいと、このように考えております。
  32. 中川雅治

    中川雅治君 ありがとうございました。  公共サービスの質が低下しないように十分に配慮をして聖域なくこの市場化テストの実施をいろいろな分野で拡大をしていく、そういう努力をしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  33. 松井孝治

    松井孝治君 民主党・新緑風会の松井孝治でございます。  連休前に引き続き、今回の法案について御質問をさせていただきますが、ちょっとこれ最初に、法案と直接関係ないんですが、北側大臣に御出席をいただきましたので、行政改革全般に関連することで御質問させていただきたいと思います。  昨年の年末でございましょうか、総理日本橋に青空を取り戻したいという非常にすばらしい思い付きをおっしゃっていただきまして、先ほどから東京の重要性について同僚議員がるる御指摘をされて、日本橋、東海道、日本橋から私の地元の京都まで東海道。確かに私も、鴨川に高速道路が架かっていて三条大橋が高速道路にふさがれていたら嫌だろうな、そのように思うわけでありまして、お気持ちは非常によく分かる。あの日本橋の、日本橋川というんですか、あそこの上に高速道路が一帯架かっておって非常に都市景観上も余りよろしくないと。少なくとも現代の日本人の多くはそういうふうに思うと思うわけであります。北側大臣も関西人でいらっしゃいますから、この日本橋に青空を取り戻すということを、どの程度の国費を掛けて、しかも小泉内閣総理大臣が号令を掛けられた民営化会社にした首都高速会社の判断の前に青空を取り戻したいとおっしゃるのが本当に行政改革の視点でいいのかどうか。  今日は細かいことをお伺いするつもりはありません。事務的に伺いましたら、日本橋に青空を取り戻して、あの高速道路日本橋川の上から撤去する、(発言する者あり)神田川ですか、その地下にするとか、あるいはちょっと横にずらしてビルなんかの間を通り抜けるような構想も示されています。国土交通省からこういうすばらしい、こういう非常に都市デザインの専門の方々もいろんな考え方を出されているというふうに伺いました。  しかし、聞いてみますと、この日本橋に青空を取り戻すための事業で掛かるコストが安く見積もって三千億円、高い計算でいうと六千五百億円ぐらい掛かるというんですね。北側大臣は関空の二期事業でも大変御苦労をされていますが、あれについても九千億円とかいう事業規模で国費の負担が三千億円。これはしかし、いろいろ議論は我が党内にも与党内にもありますけれども、ナショナルハブを造ろうというような考え方でありますね。ですから、国民全体の税金をある程度つぎ込むということについて、いろいろ議論はありますけれども、少なくとも首都高は拡幅をするわけでもないんですね、渋滞緩和をするわけでもないものについて地下を通して六千五百億円お金を使う。それを首都高速、民営化会社が判断をしてやりたいというんならともかく、いや国が是非景観を維持したい、ランドスケープは大事だということで言っていいものなのかどうなのか。まあ恐らく、今いろいろ有識者を交えて検討しておられるし、費用負担の幅もあるということでございましょう。  ですから、今正に検討中ということでございましょうけれども、やっぱり行政改革ということを議論し、しかもその民営化会社にしっかり議論を、どこにどういう路線を引くかということを考えてもらわなければいけないというときに、例えば環状六号、山手通りのあれは中野から品川の方にかけて今一生懸命工事されていますね。あれが掛かる費用が大体、品川線というんですか、四千億円。これは恐らく相当な渋滞緩和のための事業ということで、これも正式に首都高速、従来の首都高速道路公団、今後の首都高速株式会社ですか道路株式会社ですか、そこがどれだけの負担をされ、どれだけ都が持たれ、どれだけ国が持たれるのかというのはこれから決められるんだと思いますが、あれでも四千億円なんですね。  それに比して、この日本橋に青空、非常に夢のあるプロジェクトだし、私もそういう都市景観にお金をつぎ込むということの必要性というのは地方自治も含めてしっかり考えていかなければいけないと思います。例えば、京都の古都の保存というのはどうするかということも、これも本当に国全体として考えるべき課題かもしれない。  しかしながら、こういうことについて、余り一国の総理が踏み込んで後のコストの問題も考えずに議論をするというのは、本当の意味での地方分権にも反しているし、道路公団の民営化ということにも反しているんじゃないかと私は思うわけでありますが、北側大臣、細かいことは結構ですので、率直な思いだけお聞きしたいと思います。
  34. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) あの日本橋の上に掛かっている首都高ができましたのは東京オリンピックの前なんですね。昭和三十八年の十二月でございます。これ、全国にこの手の例というのは、今京都のお話もございましたが、あちこちでございまして、例えば東京でも皇居のお堀の上を高速が走っているんですね。あれも恐らく同じようなころにできたと思うんですね。あのころは、何とか東京オリンピックに間に合わせないといけないということで、恐らくそういう川の上だとか、そういうお堀の上だとかというのはお金が掛かりませんので、そういう意味でやったんだろうというふうに思います。  ただ、今、我々日本社会もやはり高齢社会、ある意味じゃ成熟化してきて、やはり伝統とか歴史とか文化に根付いた景観というものを大切にしないといけないねというのが非常に私、価値観が高くなってきているというふうに思います。  そうした流れの中で日本橋の今のお話があるわけでございますが、これについては、総理の話の以前から、この日本橋というのはやはり東京のまさしく一番のシンボルになるような地域でもございますし、この日本橋の景観を変えたいねというふうな意向というのは、考え方というのは以前からございました。以前からあり、以前から議論もされておりました。  そうした中で昨年の十二月に総理からそのようなお話もあり、現在、有識者の方々で検討をしております。日本橋川に空を取り戻す会というのを二月に設立をいたしました。基本方針を本年の夏までに取りまとめるということになっておりますが、そこでは、必ずしもこの高速道路をどうするかというだけではなくて、やはり日本橋全体の地域の町づくりをどう進めていくべきなのかというふうな総合的な観点から今議論をさせていただいているところでございます。  おっしゃっているとおり、これ費用の問題もありますし、また、その費用を一体だれが負担するのかという問題もありますし、そうしたこともよくこれ議論しないといけませんし、また国民皆様の御批判もしっかりとちょうだいしていく必要があると思っておりまして、拙速は慎むべきであるというふうに思っております。  ただ、これはここだけの問題ではございませんが、昭和三十年代、四十年代に造られた高速道路、またいろんな構造物がございます。それがいずれ、いずれにしましても建て替えをしないといけない、更新をしないといけない、こういう時期がいずれやってくるわけでございまして、そういうことも含めて、余り短期間ではなくて長い中長期的な町づくりというふうな観点から私は議論していくべきではないのかというふうに思っております。
  35. 松井孝治

    松井孝治君 日本橋というのが一つの日本のシンボルであろうということは私も認めますが、全国各地に、今皇居の問題もおっしゃいました、いろんな地域があるわけですね。特に、ランドスケープということになってきますと、なぜ日本橋だけなんだという議論が常にあるということを念頭に置いていただいて、同時に、やはりこれは民営化会社、やっぱり高速道路首都高の見直しですからね。今のこの有識者会議にも民営化会社が入っていないわけでありまして、そこも含めてきちんとバランスの取れた議論をしていかなければ、負担だけして、そして、ただでさえも高い首都高の料金がまた更に上がるというようなことになってしまったら、やっぱり利用者にとって何のための行政改革だったんだということになるということを是非お含みおきいただきたいと思います。  北側大臣、せっかくおいでいただいて、立っていただいたんで、ちょっと急な話でもありますが、今日ちょっと新聞記事で、先ほど事務的には御通告を申し上げましたけれども、細かい事実関係は伺いませんが、私どもが資料要求をして、ずっと、前回、連休前の審議でも天下りと随意契約の話を私も取り上げさせていただきました。これ国土交通省だけではないんですが、今日の東京新聞には、「省庁随意契約見返り」、「三分の二の法人天下り受け入れ」ということがございまして、国土交通省は、随意契約をしているいろんな公益法人とか独立行政法人、八割の法人に天下りを送っておられるという記事が出ておられました。  この事実関係、大臣は把握しておられますか。大臣、把握しておられるかどうか。細かい事実関係ではなくて、把握しておられるかどうかですから、大臣お答えください。
  36. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) ちょっと数字は詳細に私まだ報告受けておりませんが、相当多くのところに再就職をしていると、天下りをしているという事実はあると思います。
  37. 松井孝治

    松井孝治君 これも連休中の記事でありますが、これは読売新聞の記事で、「入札参加「お手盛り」要件」ということで、国土交通省の所管の地方整備局が、入札参加要件について、その傘下の社団法人が行っている研修、講習の義務付け、入札したいんであれば、応札したいんであればこの講習を義務付けているという実態が報道されました。  これについて、北側大臣、事実関係は御承知ですか。
  38. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) この報道の後に報告を受けております。
  39. 松井孝治

    松井孝治君 北側大臣に率直な御感想、そして御意見を伺いたいんですが、これ別に国土交通省だけじゃないんですね。私も前回の審議で、いろんな各省庁にまたがって同じようなものがあると。総理も非常に強調しておられました、そんなどこどこだけじゃないんですよと、どこにもあるんですよというふうに強調しておられましたが。  この随意契約と天下り、そしてその公益法人、天下りをたくさん受けている公益法人がいろんな研修などをやっておられる、ほかの事例もございます、今日も御紹介をいたしますけれども、そういう関係ですね、その講習を受けないと事業に入札できない。これは全部の地方整備局に必ずしもあるものではないと記事は言っていますけれども、この構造、やっぱり北側大臣、先頭に立ってメスを入れられるおつもりはありますか、ないですか。
  40. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) この近畿整備局の建設協会だけではなくて、全国にある整備局の下にそうした建設協会、弘済会がそれぞれあるわけでございます。それにつきましては、もうこの委員会でも何度も御指摘をいただいているところでございまして、昨年来御指摘をいただいておりましたので、私の方から、昨年の十一月だったと思いますけれども、この弘済会がやっている業務について総点検してもらいたいと。そして、もう民間でできることはもうできるだけ民間にやってもらうというふうに是非やるべきだということで、第一弾として取りまとめられたのが三月末に出てまいりまして、従来弘済会でやっていた業務のうち、もう民間でできるものについては民間に回すということで今年度から、早いものは昨年度からスタートしておりますが、今年度からやらしていただいているところでございます。  これで終わりではなくて、更に様々な、今委員お話のようなことも含めまして様々な課題、問題点がございますので、更に今検討をさせているところでございます。考え方としては、民間でできることはもう民間にやっていただくということで進めさせていただきたい。  ただ、中に、例えば河川であれ道路であれ、昔は整備局の職員が直接携わっていた業務が、そういう整備局の職員が減ってくるにつれて外部委託をせざるを得ない業務が出てきます。日常的な河川の管理にかかわるところ、また様々な公共工事の補助業務にかかわるところ等々があるわけですね。そういうものについて、やはり専門性があったり、また強い公益性があるという中で、やはりその専門性や公益性という根拠から、どうしてもそこはそうした弘済会の職員に委託した方がいいというものも私はあると思うんです。そこはきっちりとそういうものはしっかり限定をしていって、民間にできるものは民間にしていくということで更に見直しを進めさせていただきたいと考えております。
  41. 松井孝治

    松井孝治君 これは国土交通省だけじゃなくて、安倍官房長官にも今日は御出席いただいていますが、内閣全体として、中馬大臣を含めて取り組んでいただきたい問題なんです。  公益法人ということと、少しそれますけれども、これもちょうど連休のスタート、四月二十八日に大きく各紙が取り上げました。厚労省、川崎大臣お見えでございますが、特別民間法人、これが何者であるかというのは、もしよろしければ中馬大臣に御解説をいただきたいわけでありますが。  中央労働災害防止協会というところがございまして、ここが、「公益事業三億架空仕入れ」、これはもう読売新聞のトップですね、四月二十八日。読売新聞だけじゃなくて朝日新聞もトップ、「原稿料装い金銭提供」「三億八千万円所得隠し」、こういうものが報道されているわけであります。  それで、従来問題になっていた、例えば厚労省の職員に、いろんな原稿のチェックをする、それを改訂するときに原稿料が若干払われるというケース、それもやや問題だと思いますけれども、これは増刷をするときに、資料を増刷するときにも原稿料を払っていたと。要するに、資料を増刷するときに何で原稿料必要なんだということなんですが、そういうものまで含めて、厚生労働省の職員、委員長大臣を務めておられたわけでありますが、払い続けていた、しかもそれを損金で処理をしていたということで国税が入ってこういう記事になったわけであります。  ここは、私、この問題は、恐らく今、この連休前にどんと新聞記事に出て、いろいろ調査をしておられるところかもしれません。それから、国税当局の判断についてここでいろいろ伺ってもなかなか御回答されにくいところがあるかもしれません。問題は、ここは何なのかということでありまして、新聞によりますと特別民間法人というのは出ております。これ、中馬大臣、特別民間法人って何ですか。
  42. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 私も詳しくは存じませんが、民間法人化されたかつての認可法人で今は国の関与をなくしたと、このように理解しております。
  43. 松井孝治

    松井孝治君 そうなんですね。法律に基づいて、いわゆる特殊法人と同じ類型で認可法人というものがあって、それを民間化したものがこの特別民間法人というものでありまして、これは、ですから、総務大臣おいででございますが、公益法人なんかに比べてより特殊法人、独立行政法人と性格が近い、公的な色彩が強いものなんですね。だから、法律に基づいてこの中央労働災害防止協会というのも設立されているわけであります。川崎厚生労働大臣が所管、監督をしておられる法人でございます。  川崎大臣、もし御存じだったらお伺いしたいんですけれども、ここの団体、特別民間法人は何人の理事がいるか御存じですか。
  44. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 今御指摘いただきました中央労働災害防止協会、労働災害の防止のため事業主団体等が自主的に組織した団体、一方で労働災害防止団体法に根拠を持つということで、今委員に御指摘いただいたような性格になっております。  昭和三十九年に設立をされまして、基本的には経団連の会長が会長職に就かれるということで今日まで来ております。したがって、今は奥田さんが会長でございます。  団体数が百二十二の団体、それから各県の代表者が出ているということから、理事百八十人という構成になっております。  ただ、一般的な運営については常任理事会で諮りながらやっておるということでございます。
  45. 松井孝治

    松井孝治君 百八十人の理事がいる団体だそうでございます。  総務省政府参考人お願いしておりますが、この前、私、連休前の質疑でも、公益法人の監督基準というのを閣議決定されておりまして、そのさらに細則を幹事会で決めておられます。そこで、公益法人、要するに、官の色彩のより強い特別民間法人よりもより民間の色彩の強い公益法人竹中大臣にはっきりそれは民でありますというふうに御答弁をいただきましたけれども、総務省から、事務方で結構でございますが、公益法人の指導監督基準にのっとって、公益法人の理事というのは大体これぐらいでなければいけないというのを申合せも含めて決めておられると思うんです。これが大体どれぐらいの範囲なのか。そして、それは上限も含めて目安があると思うんですが、なぜそういう目安を決めておられるのか、御答弁いただきたいと思います。
  46. 熊谷敏

    政府参考人(熊谷敏君) お答えいたします。  公益法人の設立許可及び指導監督基準についてのお尋ねでございますが、この基準の趣旨につきましては運用指針が定められております。  この中におきまして、公益法人の理事の定数につきましては、法人の事業規模から見て余りに少数であれば、法人の適正な運営を確保することが困難になるおそれがある。一方、余りに多数であれば、理事会の運営が法人にとって負担になる。いずれの場合においても、理事会の機能が形骸化し、特定の理事の専横を招くおそれがある。また、事業内容によっては、理事の間で職務の分担が必要であったり、一定の有識者等を理事に加える等の配慮が必要な場合もある。このため、理事の定数は法人の事業規模、内容等に応じ、また同種の公益法人の例等から判断して適切な数とする必要があるとされているところでございます。  また、理事の定数に関する定款、寄附行為等における規定につきましては、その上限と下限が余りに開き過ぎていると、成立要件及び議決要件がその時々で変わる等、理事会の運営上支障をもたらすおそれがあるので適当ではないとされているところでございます。
  47. 松井孝治

    松井孝治君 非常に客観的にお読みをいただいたんだと思うんですが、要は、理事というのは多過ぎても駄目だと。多過ぎると、その理事会が形骸化するわけですね。ですから、これ、百八十人の理事会なんて、恐らく全部委任状で処理しておられると思うんですが。今の政府参考人の説明の中で、特定理事の専横を招くから理事の数が多過ぎてもいけないし、また少な過ぎてもいけないというお話があったと思うんです。  ちなみに、この労働災害防止団体法に基づいて理事の定員というのは理事五人以上と、こう書いてあるんですね。五人以上と書いてあるけど、何人以下とは書いてない。現実には、理事五人以上置くと書いてあって、百八十人の理事を置いているわけです。で、理事会をどれぐらいのペースでやられているのか、私、詳細に承知いたしませんが、恐らく理事会というのはもう、私も理事の名簿をいただきましたが、会長は経団連の会長ですよね。で、いろんな業界団体から、それは労働災害の防止ですからいろんなところが関連してくるから充て職で、山ほど理事の名前があって、現実には、ほとんどこの方々が、全員が参加して議論をされるということはなくて、まあ専務理事とかそういうところが実権を握っておられるということ。その中で、要するに理事会が機能しないわけですね。理事会が機能しない中で、相も変わらずこういう国税当局が踏み込むような原稿料の問題があるとか、あるいは架空計上の問題があるということが、これだけ特殊法人と認可法人、しかもそれが民間化されたという、ちょうどポテンヒットのような状態でこの特別民間法人というところでこういう事態が起こっているということなんです。  重要方針、昨年の秋の重要方針で、こういう団体について何らかの措置は決めているんだと思うんです。ある程度定員減らしていくとか、決めていると思うんですが、中馬大臣、こういう特別民間法人は今回の行革法案の対象に入っているんですか、この改革は、中馬大臣。入っているか入っていないかだけですよ。
  48. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 直接には入っておりませんが、二年前の行革方針の中にそのことがうたわれておりまして、今検討中でございます。
  49. 松井孝治

    松井孝治君 竹中大臣、事前通告しておりませんけど、公益法人の監督基準も引用させていただきました。今みたいな理事会の機能、しかも総会のメンバーはどれだけあるかといったら、百二十二らしいです、正会員は。正会員百二十二の団体で理事数が百八十。こういうものを、広い意味での行政改革を担当されていて公益法人改革も担当されている竹中大臣から見られて、こういうことが本当に放置されて公的団体のガバナンスというのは保たれるんでしょうか。この団体に特化せずに、一般的な特別民間法人在り方を含めて改革のメスをもっと入れるべきではないかと思うんですが、その点について竹中大臣の御答弁いただきたいと思います。
  50. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、松井委員御指摘くださいましたけれども、正にちょっとこれは私が所管している公益法人ではございませんので、どのような御事情でこのような状況になっているか、ちょっとにわかには判断ができません。  ただ、先ほど審議官の方から読ませていただきましたあの指針の中にもありましたように、同様の、類似の法人に比べて著しくバランスを失していないかどうかというのも重要な視点であろうかと思いますので、そういうような観点からは常にその所管の省庁におきましてチェックをしていただかなければいけないと思っております。  松井委員の御指摘は、そうしたことも含めてより大きなルールとして総務省として何か考えるべきではないかという議論でございますけれども、今、これは連休前の諮問会議で、総理から、いろいろこれまで議論されてきたこと、議論されていることについて整理をして、対応できるものはしっかり対応するようにという指示、これは行革担当大臣に出ております。行革担当大臣とよく御相談をしながら、対応すべき問題があるかどうかということをよく考えてみたいと思います。
  51. 松井孝治

    松井孝治君 是非よろしくお願いいたします。  若干、法律法案の具体的な内容について個別にお伺いしておきたい事項がございますので、議論をそちらに移らせていただきたいと思います。  北側国土交通大臣はもう、委員長の御判断でありますが、私の方からは御質問することはございません。
  52. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 北側大臣と……
  53. 松井孝治

    松井孝治君 はい。あれ、与謝野大臣、御通告しておりましたでしょうか。通告をした覚えがございませんので、ひょっとして、お聞きをいただけるのであれば大変結構だと思います。  それでは……
  54. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) それでは、北側大臣、御退席いただいて結構であります。
  55. 松井孝治

    松井孝治君 それでは、いわゆる市場化テスト法案の部分について御質問をさせていただきたいと思います。  これは中馬大臣中心に御質問をさせていただきたいと思いますが、まず、この市場化テスト法が地方自治体をどこまで縛るのか、この点、総務大臣とも関連をいたしますが、お伺いしたいと思うんですが、この法文の、(発言する者あり)ちょっとお待ちください、五条。たまには条文審査もしないと法案審査らしくありませんから、条文も読んでいただきたいと思うわけでありますが、当然お読みだと思いますが、この条文を見ますと、五条、地方公共団体の責務というのがあります。大臣、条文はお手元ございますか。  地方公共団体の責務というのがございまして、「地方公共団体は、」とこう書いてあって、云々云々とありまして、「必要かつ適切な監督を行うものとする。」と、こうなっているんですが、基本的な概念でありますが、この市場化テストというものは、この法律は、地方公共団体は、責務と書いてありますが、これを行わなければいけないんでしょうか、それとも任意なんでしょうか。
  56. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 地方公共団体における市場化テストの実施につきましては、これは地方自治でございますので、その本旨を含めまして各地方公共団体の自主的な判断にゆだねることといたしております。強制するものではありません。  今、条文のことをおっしゃいました。五条におきまして地方公共団体の責務及び第八条において地方公共団体の実施方針に関する規定におきまして「官民競争入札又は民間競争入札を実施する場合には、」と、強制ではなく自主的にこれを行う場合にはという意味ですが、この場合にはということで規定されておりまして、あくまでもすべしということでなくて、する場合にはこうこうしなさいということでございます。
  57. 松井孝治

    松井孝治君 確認だけしますが、そうすると、五条だけじゃなくて、八条であるとか十六条、十七条、十八条と、地方公共団体がこういう計画を作るものとするというような規定がたくさんございますけれども、それはあくまですべて地方公共団体の任意だということで理解してよろしいんでしょうか。
  58. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 法律用語的になりますが、しなければならないというんではなくて、するものとするという形にしております。
  59. 松井孝治

    松井孝治君 あと、条文的に、もう一度条文を参照していただきまして、具体的に、じゃ、地方公共団体というのはどこまで入るのかということをお伺いしたいと思います。  第二条の第五項を見ていただきますと、「国の行政機関等又は地方公共団体の事務又は事業として行われる国民に対するサービスの提供」と、こう書いてありますが、ここで言う地方公共団体というのは、例えば地方三公社とか、地方公共団体にも独立行政法人がございますが、これは対象になるんでしょうか、ならないんでしょうか。
  60. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) これはなりません。地方公共団体といいますのは、ここで言っておりますのは、官民競争入札のうち、本法案の規定による法律の特例が適用される特定公共サービスを対象とするものについて、その手続に関する規定等所要の措置を講じているところでございまして、他方法律の特例を講ずる必要のない業務につきましては、地方自治法及び地方自治法施行令に基づきまして、条例あるいはまた規則に手続を規定することによりまして官民競争入札等を実施することができるわけでございまして、この法律に適用、書いておりませんが、これはもちろん必要のない、法律の特例を講ずる必要のない方の業務に入るわけであります。
  61. 松井孝治

    松井孝治君 そうすると、この法律を見て、地方の首長さんが、いや、うちの地方独立行政法人とかあるいは地方三公社について、市場化テストの対象にしてこの法律にのっとってやろうと思ってもそれはできないということでよろしいですね。
  62. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今申し上げましたとおり、これは、地方の方には今言いました地方三公社ですね、これとか地方独立行政法人、これは法律の規制があって、役人でなければできないといったようなことでありません。それはもう民間の方に移しております。民間といいましょうかね、役人でない方にですね。そういうことですから、これは対象になりません。  しかし、地方自治体はかなり自由度がもう、任されておりまして、民間委託をしようがあるいは指定管理者制度に渡そうが、あるいはまた、この法律によらずして官民競争入札あるいは民民競争入札に付すことも、これもう自由でございますから、特定の、そして何か法律の規制があるものにつきましては、これにつきましてどうしてもこの法律を適用しなければならないといった場合には、これは改めてもう一度法律を出していただきまして、これの改正が必要かと思います。
  63. 松井孝治

    松井孝治君 分かりました。この法律では対象にはしていないと。ただそれは、この法律外で自治体がやられればそれは妨げるものではないということですね。  具体的な中身についてお話をお伺いしていきたいと思います。  この今回の対象になっている特定公共サービス、三類型大きくあるわけでありますが、まず一つ目に私が伺いたいのは、自治体の窓口六業務というのがございます。これは従来、竹中大臣のところの御担当だと思いますけれども、郵便局でこれが、ワンストップ法案と言われていたものが通りまして、できるようになっていたはずなんですね。今回はこの市場化テスト法にのっとって、いわゆる自治体の窓口業務というのを民間事業者に開放できるようになったということであります。  そのときに、例えば、個別企業名挙げるのがいいかどうか分かりませんが、コンビニエンスストアのA、Bというところが手を挙げてきたら、これは競争入札にのっとってやるというのがこの法律の基本的な考え方だと思います。いわゆる行政サービス、窓口業務などを民間事業者が行政庁舎外でもやれるということに一定の道筋を開いた画期的なものだというふうにも解釈できるわけでありますが、そのときに、私が一つ伺いたいのは、これ竹中大臣に伺いたいと思いますのは、郵便局の場合は、あれは法律の性格上当然無競争だったと思うんですね。郵便局が手を挙げてこの六業務を郵便局に委託するかどうかというのはこれは自由、自由といいますか、それは委託するという判断をすればそれができるという法律だったと思うんです。  ところが今回、民間事業者にその窓口六業務が開放されるということになりました。そうすると、まあセブンイレブンとかローソンとか、そういうところが手を挙げてきた。そのときには競争入札をしなきゃいけない。同時に、郵便局もこれから民間会社になると、郵便局は競争がなくて従来よかったかもしれないけれども、この法律ができ上がりましたら、郵便局もその窓口六業務を私がやりたいと言う。民間のコンビニエンスストア、まあコンビニに限りませんけれども、民間事業者も私もこの窓口六業務を是非やりたいと言ってきたときに、これは当然のことながら郵便局も含めて一般競争入札が適用になるというふうに解してよろしいんでしょうか。
  64. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今の松井委員の御質問に対しては、そのとおりだということだと思います。  郵便局、これ、これから民営化されていきますけど、いわゆる特殊会社でございます。昨年十月に郵便局事務取扱法というのを改正しておりますけれども、これ、民営化後の郵便局にそうした特定業務を行わせることができるというふうにその法律で定めていると。それに今回、この法案で、御審議いただいている法案によって入札手続を経て落札した民間業者が行えるようになる。それをどのようにするか。つまり、正に市場化テストに掛けるというのは一つのチョイスであるし、いやいや、そういうことをしないで郵便局に頼むと。その場合は入札手続は要らないと。これ、特殊会社であって、この郵便局事務取扱法によってそれは郵便局に、一定の基準を満たす郵便局に指定することもできると、そのような選択が自治体に与えられることになります。  したがって、松井委員の御指摘の、実際に民間にも入っていきたいところがあって、入札させるかというときには、市場化テストをやるかというときには、正に郵便局もその中のワン・オブ・ゼムになって、正にその中の一つになってその入札に参加することに相なる、そのような位置付けでございます。
  65. 松井孝治

    松井孝治君 ちょっと意味がよく分からなかったんです、最初の結論だけだったら非常に明快だったんですけれども。  要するに、郵便局にその事務を委託することはできるわけですね、これは別法によって。ところが、じゃ、自治体側は、とにかく郵便局は信頼すると、民間業者は信頼しないという自治体があったとして、この市場化テスト法、通称市場化テスト法を通じた市場化テストの対象にしないと彼らが判断したときに、むしろ従来の、何という法律でしたかね、郵便局に対して、地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律に基づいて私はこの六業務を、あるいはそのうちの一部を郵便局に委託したいと。で、片方で、同じ地域において、私たちは民間でやりたいという事業者がいるけれども、それは自治体の判断で郵便局に委託するということもできるわけですか。答弁してください。
  66. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 自治体の判断で郵便局に委託することもできるかということに関しては、そのとおりできるということであります。
  67. 松井孝治

    松井孝治君 大臣、これ、ちょっとおかしいんじゃないですか。だって、民間事業者にその同じ業務を開放すると言いながら、どうして郵便局に、自治体の判断で郵便局にお願いする。片方で私たちも同じ仕事をやりたいという人がいるにもかかわらず、そしてその準備をしているにもかかわらず、いや、郵便局だけだったらあれですよ、ほかにいないんなら別ですけど、郵便局以外にも民間事業者もできるようになって、そういう法律を作って、民間事業者が手を挙げているときに、何で民間事業者と郵便局を差を付けるんですか。郵便局、民間でしょう、これから。おかしいじゃないですか。
  68. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これ、すべての今回の市場化テスト法においてそうでございますけども、市場化テストに正に掛けるかどうかという判断、これは、この判断、正にこの場合ですと地方自治体にゆだねられているわけです。それは地域によっていろんな事情があると思います。郵便局に任せる方がよいという判断を地方自治体がする場合は、それはそれでそれを妨げるものではございません。一方で、様々なサービスの多様化、更には競争を行わせたいと自治体が考えてこれは市場化テストを行う場合、その場合は郵便局といえどもその競争者の一人となって入札に参加しなければならない、そういうチョイスがこれは自治体に与えられているわけであります。
  69. 松井孝治

    松井孝治君 そうすると、大臣、こういうことですね。この市場化テスト法の対象に自治体が、これはまあ任意ですから、最初に私がお伺いしたように、任意ですから、これを使いますというふうに自治体が判断をして、そしてその窓口六業務をどなたかに委託をしたいというふうになったときには、民間の事業者と郵政会社も同列に扱わなければいけない。しかしながら、そこを判断をしない、要するにこれは任意ですから、我々はこんな市場化テスト法なんて気に食わないから使わないと自治体がおっしゃったときには、郵便局には別法で委託はできるけれども、そのときには民間の方はイコールフッティングにはならない、そういう理解でよろしいわけですか。
  70. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) そのとおりでございます。自治体の判断でございます。
  71. 松井孝治

    松井孝治君 こういうことですね、中馬大臣。  要するに、自治体の判断、任意ですから、正に、片方で郵便局がやりたい、そして民間のコンビニエンスストアもやりたいと言っていても、実際はイコールフッティングにならないということが起こり得るということは御認識をいただきたいと思います。今おっしゃったのが恐らく法律上の整合的な解釈だと私も思います。ただ、それで本当にいいのかどうかという議論は、この委員会で引き続き私はしなければいけない課題であるというふうに思っております。  具体的にこの特定公共サービスについて、ハローワークについても、厚生労働大臣お見えでございますので、お伺いをしたいと思います。  この法律の三十二条にハローワーク絡みの職業安定法の特例が規定をされています。それで、どうも第三十二条の第一項の一号の業務というのがホワイトカラー向け人材バンクの業務であるというふうに伺っております。  以前から私、内閣委員会等で議論をさせていただいておりますが、厚生労働大臣に改めてお伺いしたいと思うんですが、これ、ホワイトカラー向けの人材バンクは対象になるけれども、いわゆる無料職業紹介、本体の部分ですね、ホワイトカラー向けは対象に今回していますけれども、そこは今回の対象にされなかったという理解をしておるんですが、なぜホワイトカラー向けだったらこの対象にできて、いわゆる一般的な無料職業紹介は対象にできないのか、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
  72. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 予算委員会でも何回かお答え申し上げたと思っておりますけれども、雇用のセーフティーネットをどう引くかという議論であろうと思います。  すなわち、雇用保険、失業保険料を徴収する、まず。そして、給付をするという仕事がございます。それに合わせながら無料の職業紹介を行っていくと。この三つをセットで国のセーフティーネット、雇用のセーフティーネットとしてきちっとしておきたい。これが基本的にはILO第八十八号条約において国の指揮監督の下でと、こういう意味であろうと思います。その意味では一階建て部分。  二階建て部分については、全国均一でそれをやるかとなると、今お話ございましたホワイトカラー向けとか、例えばキャリア交流プラザが今の御表現でございますけれども、そういうものについてはある特定の要件がある地域に開設をさせていただく。二階建て部分として、若者を対象にしてみたり、また御婦人を対象にしてみたり、また、ある程度ホワイトカラーとして能力のある人たちだけを対象とする。二階建て部分でございますから、ここは国が必ずしもやらなければならないという規定というものがILO等でも求められていないだろうと、こういう判断をいたしております。  したがって、一階部分と二階部分を分けまして、一階部分の雇用保険料徴収、それから給付、それから職業紹介と、この部分は全国的に一律でさせていただきたいと。しかし、より民間の能力というものが期待できる分野については民間に開放しながら、そこで新しい仕事として創造してもらっていくことがよりいい仕事をさせていただくことにつながるんではなかろうかと、こういう判断をいたしております。
  73. 松井孝治

    松井孝治君 一階建て部分は、ILO八十八号条約に照らしてもそれは国自らが行わなければならないという御説明だったと思いますが。  外務省にもおいでいただいていますが、少なくとも私の理解では、過去に一定期間、オーストラリアでジョブマッチング、無料職業紹介、一階建て部分について、非公務員の株式会社、政府は出資しておりましたけれども、ここが業務を行った事例があるというふうに認識しております。  以前にも内閣委員会で外務省に御答弁をいただきましたが、そのことが、ILO条約上、これは非常にILO八十八号条約に照らして問題であるという議論になったことがあるのかないのか、外務省の認識をお伺いしたいと思います。
  74. 神余隆博

    政府参考人(神余隆博君) お答え申し上げます。  ILOにおきましては、加盟国における批准された条約の適用状況の審査につきましては、総会の条約勧告適用委員会及び理事会の条約勧告適用専門家委員会というところにおいて行われております。  私ども、少なくとも過去十年間さかのぼって確認をしたわけでございますけれども、その範囲におきましては、御指摘のございました豪州におきますILO八十八号条約の適用状況について総会において個別審査を行ったことはございません。また、ILO条約勧告適用専門家委員会におきましても、本件に関する意見が出されたことはないというふうに承知をしております。
  75. 松井孝治

    松井孝治君 外務省からはっきりした御答弁をいただいたと思うんですが、要は、ILO八十八号条約は、国の機関の指揮監督の下にある事務所の国家的システムにより構成されなければならないという規定があるわけで、その指揮監督に、どこまでであればあることになるのかという解釈の議論だと思うんです。  今、一階建て、二階建てとおっしゃいましたが、これは私にとっては全然理解できない話であって、何でホワイトカラー向けの無料職業紹介がこのILO八十八号条約に照らして適当であって、それ以外の、ホワイトカラー以外であればなぜ問題なのか、全然私は理解できない。それは、直ちに全部国が手を放せということを私は申し上げているわけではないけれども、統一的な国のシステム、監督するシステムの中にあって民間が入ってくるというのは、これは大いに可能性はあるんじゃないかと私は思うわけであります。  例えばジョブカフェというのが、これ都道府県が主体になって事業を行われていて、ハローワークより評判いいですよ、委員長御承知かもしれませんが。そのジョブカフェを実際担っているのはどこかというと、大体、企業名言いませんけれども、竹中大臣もよく御存じの民間の会社が担っておられるわけですよ。  私が申し上げたいのは、それはホワイトカラーであっても、ホワイトカラー以外も含めて一般であっても、一階建てという部分であっても、確かに無料職業紹介の機会が失われるというのは、私はこれはいけないことだと思います。ただ、そのサービスを自治体がより大きな役割を担っていく、あるいはその公的セクターの下で民間企業の知恵も生かしながらやる。ただ、民間だけに任せてしまうと、それは、もううちはやめたと言われてしまって、あしたからそういう無料職業紹介がなくなってしまってはいけない。  とにかくベストミックスできちんとしたサービスを提供していくということが、それこそ行政改革と言われれば、その本旨にのっとったことじゃないかと思うわけでありますが、竹中大臣、どう思われますか。
  76. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと、そのことは所管をしておりませんし、諸外国の例等々も私も初めてでございまして、政府代表してお答えする立場にはないということを御理解賜りたいと思います。
  77. 松井孝治

    松井孝治君 中馬大臣にお伺いしたいと思いますが、今私が申し上げました、要するにオーストラリアでは、一九八八年以来、一定期間ですが、二年か三年だったと思いますが、そうやって民間を、公的セクターの管理の下に民間を活用するということを実際やっているんです。それがILOで別に問題になったわけではないんです。ですから、トータルとして国のシステムで無料職業紹介というのは維持しなければいけないけれども、今、川崎大臣がおっしゃったような、ホワイトカラーについて、人材バンクという名前ですけれども、やられたのは僕は一歩前進だと思いますけれども、これを今後更に政府部内で議論をして広げるというお考えがあるのかないのか、お伺いしたいと思います。
  78. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今おっしゃったILOの、何といいましょうか、方針といいましょうか、これも時代によって少し解釈も変わってくるケースがございます。  ともあれ、そうした一般の、これに応募される方といいましょうか、それを利用される方々の利便性、これがより重要だと思います。そういうことを含めて、今後の市場化テストの一つの在り方の検討の中でこれを十分に見直し、検討していきたいと思っています。
  79. 松井孝治

    松井孝治君 ありがとうございます。よろしくお願いします。  もう一つ、この市場化テストについて伺っておきたいんですが、川崎大臣、済みません、手を挙げておられるのに時間がなくて恐縮でございますが、同じ思いで是非慎重に検討していただければいいと思います、大事なことですから。だけれども、私の考えでは、一階建て部分がILO八十八号条約に照らして適法で、二階を開放するのが適法でなくて、二階部分ならいいというのは、全く論理的には聞こえませんでしたので、その点も含めて御検討いただきたいと思います。  もう一点、市場化テストについて、官民競争入札等監理委員会というものがこの法案の中で位置付けられています。ここのメンバー等については衆議院の附帯決議においてある程度言及がされたところでありますが、是非これは中馬大臣に御意見を伺いたいんですが、ここがチェックをするという機関にはなっているんですね、官民競争入札等監理委員会が。  だけれども、現実にこの市場化テストをやってみて、いろんなケースですからいろんな問題が出てくることが考えられるわけであります。この人選を、どういう方々をここのメンバーに入れるのか、そして、ここが単にネガティブチェックというんですかね、問題点が出たときのチェックだけじゃなくて、むしろ市場化テストをやるときにこういう点を配慮すべきではないかということを積極的にここが意見を言う、総理大臣民間とか地方意見を聴くという規定がこの法律の前半の方にあると思いますが、それだけじゃなくて、官民競争入札等監理委員会、多様な有識者も入れ、そして、できれば我々はそこにいわゆるサービスの受益者側、一般の国民代表のような方も入っていただきたいと思うわけでありますが、そういう方々意見を聴くような場として活用するおつもりがあるのかないのか、その点御答弁いただきたいと思います。
  80. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 市場化テストの、何といいましょうか、認定をします監理委員会でございますが、これは国民のためにより良質かつ低廉な公共サービスを実現するという法の趣旨を踏まえまして、対象業務の選定などについてその過程の透明性、中立性及び公正性を確保する観点から御審議いただく、これが監理委員会でございます。  そのメンバーでございますが、内閣総理大臣が任命することとなっておりますが、それに当たりましてもこうした役割をしっかり果たせられますように優れた識見を持った方でございまして、委員会の構成バランスにも配慮して、幅広い分野方々を候補として検討してまいっているところでございます。  また、その官民競争入札の対象業務の選定でございますが、これは民間から募集した提案等を踏まえまして関係省庁の協議を経ることにしております。そして、監理委員会での審議を経て閣議決定によって行われる仕組みになっておりますが、この監理委員会での基本方針審議に当たって、その役割を的確に果たす観点から、対象業務の選定について積極的かつ能動的な審議をいただきたい、このように考えております。  また、ただ受け身でこれを審議するだけではなくて、その審議過程においてやはり、まあ省庁の方が場合によってはそれはいかがなものかといった場合においても、いや、それに対して反論をして、これは当然やるべきではないかといった前向きのこともしていただける、このようなことも考えております。そういうことで御理解いただきたいと思います。
  81. 松井孝治

    松井孝治君 しっかりとお願いしたいと思います。  随意契約について、官房長官にもお見えいただいております。財務大臣もいらっしゃいますので、二点お伺いをしたいと思います。  一点目は、ちょっとこれ衆議院の議論でやや不正確だったんではないかなという点がございます。細かいことでございますが、事前通告してございますので、谷垣大臣からお答えいただきたいんですが、予決令の九十九条第十六号に公益法人に随意契約を許している。公益法人は随意契約の、一般的には随意契約でなくて競争入札でなければいけない。だけれども、随意契約を許す事由が幾つか並んでおりまして、その中の一つに公益法人があるというふうに我が党の同僚議員も誤解をしているような節がございますが、私の理解では予決令の九十九条十六号というのは、相手が公益法人だから随意契約を許すような規定でないというふうに私は理解をしておりますが、その点、谷垣大臣に簡潔に確認の御答弁をいただきたいと思います。
  82. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、松井委員が御指摘になった予決令の第九十九条第十六号ですが、これは公益法人等から直接に買い入れ又は借り入れるときに随意契約によることができる旨規定しておりますけれども、この規定は公益法人等との間での委託契約などに係る随意契約の根拠ではございません。あくまで物件に関して書かれているわけでございまして、公益法人との随意契約の多くは会計法二十九条の三第四項、「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」というところで行われているのが大多数の場合でございますし、そこをきちっと解釈してやっていただくべきものと思います。
  83. 松井孝治

    松井孝治君 ありがとうございました。是非その解釈にのっとって、きちんと各省庁の随意契約の見直しを財務省としても取り組んでいただきたいと思います。  官房長官にお見えいただきました。「公共調達の適正化に向けた取り組みについて」というのが二月二十四日、関係省庁連絡会議で取りまとめられています。その中で、緊急点検というのを各省が平成十八年三月末、もう一月以上前ですね、までに行うというふうに規定されています。この緊急点検に基づいて各省庁の見直しを六月を目途に作成し公表するということになっているわけでありますが、緊急点検は、もうこれ各省庁できているんですね、三月末までに行われているわけですから。できているんだったら、この緊急点検の結果をまず公表して、そして行革法案審議しているわけですから、どういう緊急点検をしたのか。で、意見を例えば国会でも闘わせた上で見直し方針を六月に出すべきじゃないですか。それなしに、これだけ随意契約と天下りの問題が社会的にも問題にされているときに、この行革法案、六月に見直し方針を出されてもしようがないわけであります。  三月末にもう緊急点検終わっているんですから、直ちにそれを公表を求めたいと思いますが、官房長官、その方針官房長官のイニシアチブで指導していただくおつもりはあるでしょうか、ないでしょうか。
  84. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいま委員から御指摘があったように、国と公益法人等との間の随意契約については各省庁におきまして緊急点検の結果及び一般競争等に呼応するための方策について六月を目途に公表することとなっておりますが、各省庁において随意契約の件数は膨大であることから、点検やまた一般競争入札に移行できないかの見直し等については時間を要し、直ちに結果をお示しをすることは困難であるということは御理解をいただきたいわけでありますが、結果、言わばこの緊急点検の結果だけについても先行して公表すべきではないかという今御指摘をいただいたわけでありますが、例えば、点検した随意契約の相手方、契約内容、契約金額等の事実関係については、理事会で御協議いただいた上で、ある程度の時間をいただければお示しすることは可能ではないかというふうに思います。理事会の方でまたそういう要求がございましたらば、ある程度お時間をいただければ各省庁に一層努力をさせたいというふうに指示をしたいと、このように思っております。
  85. 松井孝治

    松井孝治君 今官房長官がはっきり明言をされましたので、是非理事会で御協議をいただいて、早期に、これは非常に大事なテーマですし、やはり参議院で衆議院とは違う視点でしっかり議論をしていただくためにも、この委員会審議が煮詰まる前にできるだけ早く資料の提出を求めたいと思います。委員長、よろしいでしょうか。
  86. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 後刻理事会で協議をいたします。
  87. 松井孝治

    松井孝治君 よろしくお願いします。  もう最後の質問に、持ち時間がありませんので、なりますけれども、松田大臣、前回も空振ってしまいまして失礼をいたしました。  IT調達についてお伺いをしたいと思うんですが、IT調達が、従来非常に随意契約の比率が高くて、しかも特定の企業に長年にわたって継続的に発注を繰り返されているということもあって、その非常に不透明な問題というのが決算委員会でも私ども指摘をさせていただきました。  それで、残債というのがあるんですね。要するに分割払みたいなものをしているわけですから、いろんなソフトウエアを開発して。その残債が、今でも非常に多額の残債が残っています、特定の、特に民間の幾つかの会社に対して。で、それはもう政府も認められているわけでありますが。これ、財務大臣にも伺いたいんですが、この残債というものが存在して、残債があるがゆえにその業者とずっと継続的に契約をせざるを得ない。しかも、その電話代で契約しているような事例が多かったわけですから、契約書も存在しないような事例も多かったわけでありますが、松田大臣、この残債というのはどれぐらいあって、しかもそれが財政法の例えば十四条の二に基づく継続費とかあるいは財政法十五条の国庫債務負担行為、こういう単年度のものではなくて、後々の債務につながるようなものは財政法上国会の議決を経なければならないというふうに書いてあって、それは継続費と国庫債務負担行為が認められているわけでありますが、この各省庁のIT調達、その残債、支払わなければいけない残った金額というのは財政法上の十四条の二であるとか十五条に基づいて国会の議決を経てないと思うんですが、この残債というものの存在、そしてその財政法上の問題について松田大臣はどう考えられるのか、御答弁いただきたいと思います。
  88. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) お答え申し上げます。  財政法上の取扱いにつきましては後ほど財務大臣から御答弁をいただくことにいたしまして、私の方からは現時点で残債の額が幾らあるのかといった点について答弁させていただきます。  御案内のように、データ通信サービス契約を結んでいるレガシーシステムにつきましては、当該契約を解除する際に一定の支払額が生ずるわけでございますが、この支払額が残債と言われておるわけでございます。三十六のレガシーシステムのうち、昨年度末時点におきまして残債のあるシステムは九システムでありまして、その額は約千七百億円となっております。  財政上の扱いについて、財務大臣から。
  89. 松井孝治

    松井孝治君 財務大臣がお答えになられるならそれでも結構ですが、IT担当としてこの残債の問題をずっと繰り返し私申し上げ続けてきたわけでありまして、財務大臣財務大臣の御見解はあると思いますけれども、千七百億円の残債、要するに将来の債務が、政府全体として抱えているということを認識されながら、それをやっぱり財政法上の問題は財務大臣にお答えいただきたいと思います、では、それはおかしいんじゃないですか、国庫債務負担行為じゃないですか。あるいは、継続費として国会の議決を経ているならともかく、国会は知らない、財務省もほとんど特別会計の費用の支出については従来チェックもできてなかった。要するに、そのことをずっと指摘して、いまだにそれは残債、千七百億円あるにもかかわらず、それについて財政法上の取扱いも説明できない。そんなことで担当大臣としてよろしいんでしょうか。
  90. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今の残債と言われる問題は、従来の考え方としては、言わば偶発的な、債務と言っていいのかどうか分からないが、偶発的なものだから国庫債務負担行為等々に当たるものではないという解釈の下に運用してきたということは委員が御指摘のとおりでございます。そして、これは契約内容が例えば電気通信役務に係るものである場合が多いわけでございますので、それは長期継続契約ができるという規定にのっとってやってきたということでございますが、ただ、こういう長期継続契約はあくまで例外的な契約形態だと思います。慎重な運用が求められるということは否定できないことがございますので、今各省庁が刷新可能性調査をやってきていただいているわけでございますので、そういう結果とかあるいは業務効率化に向けた取組等を踏まえまして、どういう契約形態なり処理の仕方をすればいいのかというのはこれからよく検討させていただきたいと思っております。
  91. 松井孝治

    松井孝治君 今偶発的にというふうにおっしゃいましたけれども、これは、今正におっしゃったように、電話代とか電気料金と同じ項目なんですね。だから、そんなものは別に将来にわたって債務があるというのはおかしいんですよ。だから、千七百億円も残債があって、各省庁はこれを何とか返していかなきゃいかぬのに、それをどうやって、凸凹を付けるというのは予算のやりくりの中で大変ですから、そもそもこれは国庫債務負担行為でも継続費でもない、国会の議決を経てない。偶発的とおっしゃいましたけれども、偶発的と言うには長年ずうっと何十年も続いてきているものですね。これについて、政府は特定の民間事業者に対して残債というものを払う責任はあるんでしょうか。
  92. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ですから、従来そういう解釈の下に運用してきたけれども、今いろいろこのIT調達の在り方等見直しをした中でどのようなやり方が適当か、私たちもきちっと検討をさせていただきたいと思っております。
  93. 松井孝治

    松井孝治君 伺いませんでしたけれども、平成十六年度でも国の契約総額四千四百九十五億円のうち随意契約は四千三百三十三億円。これ、決算ベースで出ている直近年度でありますが、こういう金額の随意契約が続いているわけです。そして、この随意契約が続いて、これが残債というものをずっと生み続けている。  その契約形態をできるだけ早く見直さなければいけないということなんですが、私は、これはやっぱり財政法のこの十四条の二あるいは第十五条に違反している状態であるということをいったん財務大臣がお認めになられた上で早期に是正しなければいけない。そのこと、国会との関係もありますよね。国会の議決を経ないで毎年毎年予算要求がされている。そういう状況が違法状態であるということをお認めになられた上で早期に是正措置をとるという、そういう決意をきちんと表明していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  94. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今違法であるとおっしゃいましたけれども、そこら辺り、果たしてITの契約から見て何が正しいのか。今までの扱いがあるいは十分でなかったのかもしれません。その辺りはしっかり検討させていただきたいと思います。
  95. 松井孝治

    松井孝治君 もうやめますけれどもね、時間来ましたから。だけれども、これは、要するにそういうことをだれの責任の下で、偶発的なものとして認めざるを得ないという、財政法上は、そういう苦しい御答弁も財務大臣がされるような状況なわけですよ。だれの責任の下でこれをやってきたのか。それで、これを何年も前に指摘されながらずっと同じような形態にあり続けて、そして債務は残り続けるということが何年続けばいいのかということについて、きちんと決意を持って取り組んでいただきたいということを私申し上げまして、私の質問は終わらせていただきます。
  96. 鈴木寛

    鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。  引き続き行政改革推進法について質問をさせていただきたいと思いますが、私も今、松井議員の後半の議論、正にその点がやっぱり全くこの法案提出に当たって十分審議、準備がされないままに今回の行政改革推進法案提出をされているという、これは大変遺憾だなということを私も思っております。  例えば、今のIT調達の件についても、もう五年も前からあるいは十年も前からその問題が指摘をされ、参議院の決算委員会などでもいろいろな議論がなされ、問題意識共有されてきました。恐らく小泉内閣総決算の行政改革推進法案では、こういうことが一挙に解決の糸口が付けられるんだというふうに多少は期待をいたしておりましたが、その点が全く抜けているということを私は大変残念に思います。  実は、官房長官お見えでございますのでちょっと伺いたいと思いますが、四月二十九日の日本経済新聞に非常にいい記事がございました。この一面の特集で、「まだ削れる」、「財政」という特集がありまして、そこでは、官房長官の地元であります山口県の下関市、私も以前山口県に勤務させていただいておりましたのでよくここには行きまして、非常にイメージがわくわけでありますけれども。要するにその記事で報じられていることは、JRの下関駅前に大きな看板を作るということになって、その落札額が千七百七十五万円、市が予定した価格の八二%の水準で落札ができたと、こういう記事であります。  日経新聞は、正にまだまだ二兆円ぐらいの皮下脂肪があると、こういうことの一例としてこの下関の例を取っているわけでありますが、こういうことができるようになったのは、実は下関市が電子一般競争入札ということを始めることによって、電子一般になりますと、これ指名から一般ということがまず一つですし、それから電子になりますとなかなか、いわゆる談合に極めて近いグレーな情報交換というのがほとんどできなくなりますので、そういう意味で、この電子競争入札になったということが、これ下関の場合は四年になるんだそうでありますけれども、従来の九五%前後の落札率から、平均落札率から八五%に低下をしていると。これ大変いい話だと思います。  それから少し、下関の例の次に横須賀の例がございます。これは、竹中大臣もいらっしゃいますけれども、私たち慶応湘南藤沢キャンパスもお手伝いをしながらこの横須賀の電子競争入札についてはお手伝いをしたと。結局、横須賀は、電子入札をやった結果、例えば二〇〇四年度で四十五億円の予算が余って、そして三分の二は追加工事に回して、三分の一は治安や子育てなどの経費にも充てたと、こういう例がございます。  恐らく、正に今回の行政改革推進法案で、あるいは我々が正に与野党を挙げてやらなきゃいけない行革というのはこういうことだと思うんですね。正に、政府の公共調達、ここにいろいろな無駄があります。まだまだ削れるところがあります。例えば、あと一〇%この電子競争入札を入れるだけで削れます。そこで浮いた貴重な貴重な税金を、例えば子育てとか、あるいは医療とか、必要なところに振りまける。それからもちろん、これだけの借金が国及び地方で抱えられているわけでありますが、そこの返済に充てていく、あるいはそうしたプライマリーバランスの適正化に使っていく、こういうことをしていくのが私は本来の行政改革だというふうに思っておるわけでありますし、私どももそういう方針で民主党対案を出させていただいているわけであります。  そこで、今回の質疑に当たりまして、私は是非このことをきちっと議論をしたいなと、こういう思いで事務方の方々といろんな議論を始めました。  しかし、そこでまず議論をしたいなと思ったことは、この日経の更にその後に、国と地方合計の公共調達額は三十六兆円だということであります。  それで、ここから日経のいろいろな類推といいますか、累計といいますか、前提条件を置いた試算が始まるわけでありますけれども、国の直轄工事のデータから推計すると、約半分が指名競争入札、十八兆円ですね。だから、ここは指名競争から一般競争に変えられると。それが九五%だから、要するに、下関にしても横須賀にしても大体八五まで来ていますから一割カットできると。したがって、十八兆円の一割、一・八兆円、要するに約二兆円が浮く計算だと、こういうシミュレーションをしています。それで日経は、これは机上の計算と言い切れるだろうかと、こういう非常にいいプロポーザルといいますか、問題提起をしていただいているわけであります。  こういうことを、これは日本経済新聞がいろいろな前提を基にやったわけでありますけれども、私は、例えばこういうことについての試算を政府からきちっと聞きたい。政府なりに、あるいは政府は圧倒的な情報を持っておられますし、それからそれを調査する権限も持っておられるわけでありますから、しかも今回、正に行政改革推進本部というものがつくられているその意味は、こういうことを国及び地方、あるいは各省庁にまたがる話を全部統合して束ねて、これが三十六兆円なのかあるいは三十七兆円なのか、あるいは三十四兆円なのか、そしてその中で、一般競争入札でこの部分がこういうことができるという、そういう議論を持って私は今国会に臨まれているはずだと思って伺ったところ、結局こういう数字は全然把握されてないんですね。  少しだけ総務省を持ち上げておきますと、地方の分についてはそういう総計がございました。だから、地方分について、例えばこれと同じようなことができれば、総務省からいただいた数字に一割掛けていけばそういうことが出てくるんだなということは分かりましたが、肝心の国の部分ですね。で、これについては結局、私は、行革推進本部の皆様方は本当に一生懸命頑張っていただいていると思いますし、その御努力については多としますけれども、結局、従来の役人のおきてに従ってやっぱりまだ仕事をされていると。すなわち、いや、その話は財務省ですと、あるいはその話は国土交通省ですと。で、今度国土交通省に行くと、結局この話を私たち事務所でいろいろ担当の方に、いや、私はこれは行革推進本部の特にこの分野の方にお伺いをすれば、お一方来て、補佐の方ぐらい来ていただいて、そこで議論すれば話が付くんだと、こういうふうに思いました。私も霞が関離れて七年になりますから、縦割りぶりというのは大分直っているだろうと、小泉政権になって特にこの五年間で大分直っているだろうと思ったら、全く直っているどころか悪化しております。  この三十六兆円、あるいはそれを、この今の日経の出された机上の計算を、議論を深めるのに結局延べ二十人を超える担当官が入れ替わり立ち替わり来て、それで最後結局、政府の、特に中央政府のいわゆる公共調達については全貌は分からないという状態なんです。財務省の方にも来ていただきました。しかし、財務省が把握しておられる数字は結局国際的に入札のところで評価をしている政府調達に係る部分、ここはもちろん把握をされているということは分かりました。しかし、皆さん二十数名を、来られる方を、全部足しても三十六兆円にならないんですね。結局やっぱり例えば公益法人のところが抜けていたり、それから一定水準以下の入札の部分についてはだれも把握していなかったり、まあ要するにこういう問題提起をしても数字すら把握していないと。  そういう問題は従来から指摘をされておりましたけれども、今回この法律を出す、しかもわざわざ行政改革推進本部というものをつくってこの議論に臨む以上、やっぱり私は、そこを変えることが私は最大の行政改革だと、こういうふうに改めて痛感をしたわけでありますけれども。本当にこの縦割り弊害除去と、ここからやらないと。どんな法案を出してきても、あるいはどんな審議を重ねても、私は建設的な議論というのは深められないと。まして、この法律ができてそれを実行していく、前回も松井議員が中央省庁再編のときにいろんな議論をしたと、で、いろんなメニューが出た、しかし十年たってみて何も変わらなかったではないかと、これも二の舞になるんではないかという問題提起させていただきましたが、正にそのことを私は懸念をするわけでありまして、正にこの縦割り除去の問題、官房長官あるいは行政改革推進本部の担当大臣であります中馬大臣、それから良くも悪くも縦割りの弊害を常日ごろ感じておられる財務大臣から御見解を伺いたいと思います。
  97. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) ただいま委員が御指摘になった縦割り行政は、正にこの改革を進めていく上においても大きな弊害であるのも事実であります。また、国民生活を向上させていく上において、この分野はこの役所ですよ、この分野はあの役所ですよと、こう言われても国民にとっては全く関係ないわけでありまして、いかに国民の要求にこたえるために柔軟に対応できるか、あるいは包括的に総合的に判断をしていくか、政策を立案をしていくかということも重要であると、こう思っております。そのためには、この縦割りにしっかりと横ぐしを刺しながら、ある意味では突破口をつくっていかなければならないと、こう我々考えております。  その中で、例えば、いわゆる特命担大臣を置きまして、少子化対策あるいは防災、今度の行革、それぞれの担当大臣が縦割りに関係なく政策を中心に、これは各省の壁を取っ払って政策をしっかりと立案をし、実行をしていくということを目指しているわけであります。また、経済財政諮問会議あるいは総合科学技術会議等を利用いたしまして、総合的な企画調整を可能といたしております。また、各府省間の人材交流も、当然これは行うことによって意識改革も目指していきたい。  まだまだ不十分な点がございますので、内閣官房としてリーダーシップを発揮をして、そういう意味において、このセクショナリズムをこれは払拭をして、なくしていきたいと、このように思っております。
  98. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 行政改革でございますが、まず行政の無駄を徹底的に省くこと、そして民間の主体的な、主体性や自律性を高めて、その活力が最大限に発揮され得る、この環境を整えていく、それが今回の大きな目的ではございますが、この御指摘の縦割りでございますが、この縦割りにつきましても、今回、まあ過去のことはともかくといたしまして、今これから進めようとしていることの中にはその弊害の除去にもかなり資するものがかなり入っております。  政策金融をああしたそれぞれの主務官庁から外してもうまとめてしまうということも、これは主務官庁の恣意的な要求がそこに反映されることがなくなるわけでございますし、また公益法人にしましても、これまたそれぞれの主務官庁がはしの転んだところまでも関与しておったと言われておりますが、そういったことも外れるわけでございまして、かなり官庁が自分たちの権益といいましょうか、それをしっかりと守って、またそれが一つの指導方針であったかもしれませんが、その中で生じてきた、今御指摘のような、無駄であったり、あるいは非常に随意契約の問題点、そういったことも、こうしたこの今回の改革が進められることによって、かなりの部分は私は除去される一つの方向ではあると思います。  しかし、それぞれの省庁が発注する公共投資や、あるいは物品購入の中でこうした問題があって、生じているわけですから、これはやはり行革本部としても全体的な見通しで、これをいい形で私は安倍官房長官がおっしゃいましたような形で指示していく必要があろうかと思っております。
  99. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 財務大臣として申し上げますと、御承知のような極めて厳しい財政状況の下で、仮に省庁の縦割りで限られた財政資金が有効に使われていない、そこに無駄があるというようなことがあれば、これは国民に対して財政構造改革の必要性を説くことができなくなってしまうという気持ちが私にございます。  予算の面で省庁の縦割りをどう排除していくかというのは、例えば平成十六年度からいわゆる政策群というようなものを作りまして、一人の主計官の下に省庁横断的に査定をするとか、あるいは科学技術予算でも、優秀な研究者の下にその研究費が集まってきてしまって全体としてどれだけ研究費が行っているのかなかなか分からない仕組みにあったのを、総合科学技術会議の下でいろんな仕組みを作っていただこうとか、幾つかその取組をしてまいりましたけれども、今後ともそういう取組を徹底させて、省庁の縦割りの無駄を排除していくというのが財務省としても大きな役割だろうと思っております。
  100. 鈴木寛

    鈴木寛君 今回の政府案と民主党案のやっぱり決定的な違いというのは、正に政府調達というか、あるいは公共事業も含めて、正にそこの契約あるいは入札事務の適正化というところ、これが要するに本丸のところだと私たちは思っているわけですね。そこについて今、中馬大臣御答弁ありましたけれども、確かに政策金融あるいは公益法人、まあそれは多少その改善が見られるかもしれない。しかし、一番大事なのは中央省庁そのものですよね。  例えばそれは、人件費が例えば委託費に変わったって、それは本質が変わらなければ同じなわけですね。一見、政府人件費改革ということは言っています。そうすると、今やろうとしていることの種を明かせば、人件費だったものを委託費に変えて、あるいは調達に変えて、そしてそちらの方は手を付けずにと、こういうふうに見られてもしようがない。  なぜならば、我々は今回、官製談合の防止とか契約事務の適正化ということで、そこについて条項をきちっと設けてやっております。しかし、政府案は、政府金融機関の話とかあるいは人件費改革の話はあるかも、そのことは我々も重要だと思っています。しかし、正に中央省庁、本丸の部分のその業務見直し、あるいはその仕事の適正化ということについては、私はこれ全く空文で出されてきている法律だということは言わざるを得ない。  それが証拠に、例えば政府調達の在り方を見直すと、そのことに二十名以上の、恐らくその担当係とか担当係員とかを入れれば恐らく百名近くの人が、あるいは各省庁の会計課の人というのはほとんどそういうことに携わっているわけでありますから、膨大な人たちが縦割りの中でこの問題に携わっているわけです。  これも前回、松井議員の質問の中で、結局、三位一体の中で減った役人は何人ですかと、二年間で四十七人でしたという話がありました。例えばこの調達行政について見直すだけで、恐らくこの数十人、数百人の人たちがこれ合理化されると。  とりわけお願いを申し上げたいのは、財務大臣が政策群を設けて、特にその一つの主計官がやっているというお話がありました。それは半分正しくて、いわゆる公共事業については公共事業係とかがずっとありますから、従来の農林省とか国土交通省とか、あるいはそういうところを束ねて公共事業費についての統一的な管理と査定をやっていますね。  で、両大臣お願いをしたいのは、正にその政府調達について、政府調達についてそれをきちっと統合的に、中央省庁分について統合的に管理をし、そして査定をし、そしてそこに一定のその方向性を示していくというこの仕組みというのは、今回改めてやっぱり必要だと思いました。そのことが、先ほども少し議論がありましたけれども、例えばIT調達、これだけだって三兆円あるわけですよね。  私も相当深く関与いたしておりましたから、この実態がいかに無駄が多いかというのを、ここで一々申し上げませんけれども、相当やっぱり削れると思います。例えば、九五%だったというものが、私はこれ、八五はもうもとより、七五とか五〇とかでいけるものはあるわけですね。現に、例えば国土交通省は今回非常に協力的にしていただきまして、各落札率、全部見せていただきました。そうすると、特にIT調達については五〇%を切るものがやっぱりあるわけですよ。  だから、そういうことをきちっと、一個一個、一つ一つ丁寧に見ていくと、かなりやはりここの問題というのは浮き彫りになるということで、是非これを機に、公共調達、特に中央省庁の政府調達についての見直しの体制ということは是非検討をしていただきたいと思いますが、もしも御答弁あればお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  101. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 工夫してみたいと思います。
  102. 鈴木寛

    鈴木寛君 是非そこはお願いを申し上げたいと思います。  それと、今回の政府案で問題だなと思いますのは、いろんなところで仕切りという、仕分という言葉が出てきます。それから、様々な担当大臣方々が答弁に立たれて、国民生活上こういう問題ありませんか、ああいう問題ありませんかということを一つ一つ確認をさせていただくと。そこは正にめり張りを付けて、必要なところにはきちっと手当てをし、そしてそうでないところは無駄を削る。その総論は我々も大賛成でありますけれども、じゃ一体、どういう部分はめりを付けて、どういう部分は張りをするのかと。ここの方針というか、ビジョンといいますか、基本理念というのが見えてこない。  正に、政府は簡素で効率的なということをおっしゃいますが、例えば、私たち民主党はその第二条の基本理念の中で、正にゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会、ここの部分はやっぱり重点を大事にしていかなきゃいかぬ、あるいは格差の縮小を図って国民の不安や不公平感を払拭すると、こういうある種の価値観について、我々はメンションして法律を出させていただいておりますから。  そういう意味で申し上げると、政府の案というのは、そういう意味では価値中立に、もちろん簡素効率というところは見えてきますけれども、政策分野のウエート付けといいますか、そこのプライオリティーといいますか、そこについて見えてこない。これであれば、従来財務省が行っている査定でありますとか、あるいは総務省が行っておられる機構、定員の管理とこれは変わらないんじゃないかと。今までだって簡素で効率的なことは査定の中でやってこられたはずでありますし、そうでなければまた困るわけでありますけれども。  この法律が通ることによって、今までのそうした査定と今後の査定と何がどのように変わっていくんでしょうか。財務大臣、そして総務大臣から御答弁をお願いを申し上げたいと思います。
  103. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 予算の査定は財務省の視点から無駄を省く、効率的なところに資金を流していくと、こういう観点から査定をしてきたと思います。  それで、今度の仕分という手法が取り入れられておりますが、この仕分でやっていただくことは、まずその当該事業官庁といいますか、その政策を推進していく官庁が、自ら自分のやってきた仕事をもう一回厳格にふるいに分けてもらいたいということだろうと思います。  それで、そこに価値が中立的でないかというふうにおっしゃいましたけれども、これはやはりそれぞれの分野、多様でございますから、全部の分野に向けてこうだと言うのはなかなか私は言いにくいんじゃないかと思います。それぞれの政策立案官庁がやはりきちっとその価値観を立てていただいて、私どもはそこに無駄があるのかないのかという観点から緊張感を持って査定していくということではないかと思います。
  104. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 定員、人員についての査定、総務省でありますけれども、今回の仕組みで何が変わるかという点に関しましては、是非二点の点において変えていきたいというふうに思っております。  一つは、明確な純減目標をやはり設定したということ。これは御承知のように、これは初めてのことでございます。しかも、それを年々の定員査定で一・五%、そして加えて、更に大どころを踏まえて、更に三・五%別枠でやるというその仕組みも決めました。これを是非しっかりとやっていくというのがやはり重要な点だと思っております。  二点目は、これは内閣官房で民間人から成ります行政減量・効率化有識者会議というのがございます、飯田座長の下ですけれども。そこの知見も活用して、先ほど委員がおっしゃった仕分も踏まえた点検を行うというところ、その民間人の知見も活用するというところがやはり新しい点であると思っております。  当然、行政ニーズは変化します。廃止すべきは廃止する、民間にゆだねるべきはゆだねる、地方が担うべきものは地方にやると、そういうことをやっていくと。それによって、正に事務事業の見直しの結果を踏まえて、機構、定員についてもめり張りを是非付けていきたいというふうに思っております。
  105. 鈴木寛

    鈴木寛君 私が伺いたかったのは、正に行政ニーズは変化をすると。しかし、じゃ、どういう行政ニーズに対して積極的に取り込み、そうでない、要求官庁はみんなニーズがあると言ってくるわけですね。しかし、そこに正にそのめり張りを付けて査定をしなきゃいかぬと。  そうすると、今の御答弁で分かったことは、財務省、総務省は結局従来どおり、もちろん無駄を省くという観点は今までもやってこられたし、そのことをよりちゃんとやっていくということは分かりましたけれども、行政ニーズの軽重については別にこの法律で変わるわけではないと、こういう御答弁にしか聞こえなかったというふうに思います。  それで、与謝野大臣が、大分お待ちをいただいて済みません、私の質問の中でお呼びをさせていただいたわけでありますけれども。  そこで、行政ニーズあるいは社会ニーズの中で我々は大変大事だと思っているのは、やっぱり安全の問題、それからやっぱり格差問題というのは今国会の重要な課題の一つでありますけれども、先日もこの委員会小泉総理が、日本は中国より格差が少ないと、こういう御答弁をされました。これ、どういう根拠とデータに基づいて言っているのか。  それと、恐らくそれは西部の格差と沿海部の格差という御答弁をされるんですけれども、そもそも日本格差問題を議論するこの国会で、要するに発展途上段階の国でそこに跛行性がある国内の格差を抱えている中国の問題と、今ここで議論している我が国、成熟した先進国の中で、その中での正に格差問題、それと活力の問題というのを議論しているこの国会と、中国の問題をああいう形で引用するということが果たして適切なのかどうかと。そこも含めて、大臣、お答えをいただきたいと思います。
  106. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) まず、中国と比較したことが適当かどうかということですが、委員御指摘のとおり、いろいろな国と比較する必要がある、その一つの中に中国が入っても私はいいと思っております。  日本の社会は、通常の自由主義経済社会あるいは市場経済をやっている国々に比べまして、所得税制あるいは社会福祉政策を通じて、またその他の中小企業政策を始め、いろいろな政策はすべて格差を少なくしようという政策だろうと私は思っておりますが、そういう意味では政策自体あるいは制度自体は格差をなくすという方向ですべて私はつくられていると思っております。  特に考えなければならないのは、非常に不況な時代に就職をせずにそのまま定職のないままおられる方々、こういう方々は、望むべくは、いろいろな会社の正規の社員になっていただけるようなチャンスをやはり政治がつくるということは大変大事なことだろうと思っております。
  107. 鈴木寛

    鈴木寛君 是非、与謝野大臣はきっての経済通でもいらっしゃるので、総理に、中国を例に出して格差問題を語ることの社会にいかに悪影響を与えているかというのは是非諭していただきたい。そのことは是非お願いをしたいと思います。本当に議論の混乱を招く以外の何物でもないんですね、この中国を格差問題で引き合いに出すと。  そこで、私たちは行政ニーズの中でやっぱりめり張り付けていかなきゃいけないと思います。今、与謝野大臣はいろんなところに格差是正をしなきゃいけない、それは私もそうだと思います。特に政治というのは格差の、特に少なくとも機会の均等は、そのスタートラインから違っていることをそれがあってもいいじゃないかとおっしゃる総理は世界じゅうにただ一人ですよ、小泉総理。恐らく政治というのは、やっぱり少なくともスタートラインだけはどんな環境に生まれてもどんな地域に生まれてもそれはチャンスイーブンじゃないといかぬと、これを失ったら私は政治じゃなくなると思いますが。  そういう観点でどうしても、今日冒頭、私は縦割りということを申し上げました。縦割りの弊害はやっぱり横並びなんですよ。結局、予算でもあるいは機構、定員でも、要するに一律に削られるならまだ涙をのみましょうと。例えば、今でもそうだと思いますけれども、以前の通商産業省と郵政省、これ、VAN戦争とか情報関係で争っていました。そうすると、通産省が一千億要求したら郵政省も一千億、その中身がどうあれ、ということはもう終わっていると思ったら、結局やっぱりいまだに続いているというのはそれは実態だと思います。これは答弁要りません。  しかし、やはりここで政治主導のめり張り、やっぱりあるべき姿をきちっと提示をしてそこに向けて有効で、かつ限られた資源配分をドラスチックにやっぱりかじを切っていくということが求められているわけで、そういう中で、今日は厚生労働大臣文部科学大臣にお見えいただいていますが、私はやっぱり命を守る医療の格差、これは絶対あってはならないと。これは簡素あるいは効率をはるかに上回る極めて重要なかじだと私は思っておりますし、そのことを少し質問をさせていただきたいと思いますが、産婦人科医あるいは小児科医が足らないという問題でございます。  正に極めて過酷な過剰労働の状況、それから、産婦人科の方々は数ある診療科の中でも極めて訴訟のリスクが高いということ。加えまして、先日は、三月十七日の日に私も厚生労働大臣のところに福島県立医科大学の佐藤先生をお連れをさせていただいて、周産期医療の崩壊をくい止める会の皆様方と議論をさせていただきました。お時間を本当にお忙しい中つくっていただいたことは感謝いたしますけれども。そして、厚生労働大臣もこの問題の深刻さということは共有していただいたというふうに思っております。  例の福島県立大野病院の事件が起こってから、訴訟リスクというのは単に民事訴訟のリスクだけではなくて正に刑事訴追をされるというリスクもあって、そして河北新報社がアンケートをされました。東北六県九十一の病院でもう既に十二の病院は産科をやってないと。そういう意味で、七十九の病院の中でやっぱり六十三か所、正に八割に及ぶ病院でやっぱりこの事件、今までもそういうふうな訴訟リスクあるいは過剰労働と。  例えば、北海道大学では年間の当直が百二十三回です、北大の医局の関連の勤務を支える。で、当直明けは休みを取れる人はゼロということですから、要するに三十六時間ぐらい連続で勤務をしなければいけない日が年間に百二十三回あるということですね。しかも、五十二週の中で三十七週は土日勤務されているというような過酷な状況。そこに例の事件が正に更に火に油を注いだと、こういう状況かと思いますけれども、そういう中で正に八割のところが影響が出ている。  例えば、秋田県のある病院では大量出血が予想される症例はもう扱わないと。あるいは福島のある病院では訴訟を起こされるような症例は扱わない。岩手県、秋田県ではハイリスクな医療はこれはもうたらい回しにせざるを得ない、あるいはリスク回避のために帝王切開必ずしもしなくていい症例についても安全を見て帝王切開をするようなケースが増えていたとか、それから現に十三か所の病院から医師を派遣していたのをもう引き揚げると。要するに、産婦人科一人体制の病院で事故が起こりましたから、結局これは、産婦人科学会もやっぱり三人以上体制にしようと。そういう意味では集約化しないといけないわけですね。これ自体はやむを得ないことだと思います。しかし、集約化をすると結局はより遠いところに妊婦さんが通わなきゃいけないと、こういうことになるわけでありまして。  で、何とワシントン・ポストも、この日本の産婦人科医が足らなくて、そして、これはワシントン・ポストが報じたのは隠岐島の事例でありましたけれども、そこの妊婦の方々が、あるいはほかの民放でも、沖縄の例とかいろんな全国各地の例がもうこの二、三週間続々と、そうした困っておられる妊婦の皆様方の、正にこれ社会問題化をしている現状が報じられております。そして、そういうふうな現状を見て若い医師たちも産婦人科はもうやめておこうということで、産婦人科の医局に入局する若い研修医さんがどんどん減っていると、こういうことになってきているわけであります。  それで、今回の行政改革推進法の中で、私は、時間もないので先を急ぎますけれども、こうした正に産婦人科を中心とする、小児科も同じような状況です、日本の医療現場、特に地域の医療現場が大変危機的な状況にあります。こういうときこそ、私は公がこの危機を打開するために、回避するために頑張らなければいけないと。そういう意味では市町村立とか県立の病院というものが本当に重要だと思うんですけれども。じゃ今回の行政改革推進法の中でこうしたことが大丈夫なのかと、大変に私は懸念をせざるを得ないというふうに思います。  これも、そういう議論をしたいと思って、じゃ、その産婦人科、小児科の方々が、あるいはそうした患者の推移がどういうふうになっていますかと、議論しましょうということを申し上げたら、国立大学附属病院は文部科学省、旧国立病院、今は国立病院機構になっていますが、それは厚生省、そして地方病院は総務省と、こういうことになっているわけでありまして、ここも統一的な議論ができない、総数についての数字は教えていただきましたけれども。  で、厚生労働大臣に質問でありますけれども、正にこの産科、小児科の問題、この行革推進法が出たら私は悪化すると思いますが、大丈夫ですか。これどういうふうに手当てされますか、お答えいただきたいと思います。
  108. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 医療をめぐる問題、産科、婦人科の問題、小児科問題、随分多岐にお話をいただきました。まず、数字ということでございますから、最初に数字を申し上げますと、産科、産婦人科、平成六年一万一千三百九十一人、平成十年一万一千二百六十九人、平成十六年一万五百九十四人でございます。小児科につきましては、平成六年一万三千三百四十六人、平成十年一万三千九百八十九人、平成十六年一万四千六百七十七人、そして今年二年間の研修を終えられた方々がどのような専門科目を目指されるかと。この数字、まだ生データしか持っておりませんので最終数字は申し上げられませんけれども、産科、小児科についても激減をするというような数字ではない、割合いい数字が出ているということは事実でございますので、ここは御理解を賜りたい。  それから、福島県の事故の問題、一緒に聞いていただきましたからお分かりのとおり、集約化をする途中において一人しかいなかった医師のところで起きてしまった誠に残念な事件でございます。その後、今度は警察当局が直接入られたというようなこともありまして、医療現場が混乱をいたしたことも事実でございます。  その中において、私ども、こうしたものに対応するのをどうするかということで、今様々な議論をさせていただいて、これは厚生労働委員会等でさせていただいておりますけれども、いずれにせよ、すぐ警察と医療現場ということにならないように、その中間的なものが、特に第三者的な機関というものをしっかりつくって、委員が御指摘いただきましたように、何で産婦人科医になる人が少ないのか。  一つは、先ほど申し上げましたように、徐々に減ってきています。減ってきている最大理由としては、やはり子供の数が少ない、これが第一であろうと。もう一つは、何といっても訴訟等のリスクが余りにも大きい。それから三番目は、いつ子供が産まれるか分からぬという中で、二十四時間体制をどんなお医者さんでも、産婦人科医でも取っておかなきゃならぬ。したがって、やはり三人、四人が集結いたさないと、八時間、十分に休めないという話が生じてきます。こういった問題全体をやはりきちっと解決をしていかなきゃならないと。そういう意味では、集約化という議論をさせていただいております。  一方で、先ほど北海道の話をいただきましたけれども、北海道の医大等で研修を終えられた人たちの数は少のうございます。減りました。大学現場から減りましたけれども、一般の民間病院、施設が整って研修体制ができたところの医師の数は増えてきておりまして、結果として、この二年間、研修を終えた結果として四十人ぐらい北海道は増えているというのが現実の姿でございます。そういった意味では、もうかつてのように大学の先生がコントロールしてお医者さんをこうやって派遣するという時代ではなくなったですね。  そこで、北海道は、お考えいただいておりますけれども、知事さんと大学の学長さんと、それから医師会の方々でトータルネットワークをきちっとしながら医師というものをしっかり確保していかなきゃならぬ。確保する中で、今言われたように、やはり過疎地等へきちっとした医師の派遣というものも考えていかなきゃならぬ。地域のネットワークづくりというのが一番大事であろうと。そういった動きをさせていただいているところでございます。  各知事さんと随分私もお話合いを持ちましたけれども、今知事さんから受けている手ごたえ、一つは集約化を図らなきゃならない。また、例えば青森とか秋田の大学ですと、百人定員があるんです、百人医師を毎年つくられているわけですけれども、現実問題は、大学六年間を終えると研修もしないで東京へ五十人戻ってしまう。こういう状況でございますから、やはりもうちょっと、小坂文部大臣にもお願いして、やはり地域の人を優先に、青森では青森の医療に役立つお医者さんを育ててほしいということを少し申し上げていかなきゃならぬだろうと。そういう意味では、文科省ともしっかり連携を取りながらやっていかなきゃならぬと。そして、手ごたえといたしましては、やはり各知事さんが集約化へ向けて、そして我々も知恵を出しながらやらなきゃならないということでございますし、また、言われましたとおり、連休中も様々な御指摘をいただきました。しっかり踏まえながら、医療というものが充実するように私どもしっかり頑張ってまいりたいと、こう考えております。
  109. 鈴木寛

    鈴木寛君 是非現場をきめ細かに確認をしながら進めていただきたいというふうに思います。決して机上の数字合わせにならないように、大臣相当頑張っていろいろ調べていただいていることは大変感謝をいたしますけれども、引き続きよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それで、例えば教育とか医療とか、こうしたソーシャルヒューマンサービスの在り方について、今回人件費改革と、こういうことで法案の非常に主要なメッセージがあるわけでありますけれども、この政府案で私少しクエスチョンなのは、そもそも国民の皆さん、いろんな立場があるわけで、納税者の立場あるいは受益者の立場と。そうすると、納税者の立場としては、税金はなるべく払うのは少ない方が、あるいは払ったものはより効率的に使われる、これは非常に当たり前だと思うんです。一方で、そうした医療とか教育のサービスの受益者としては、それはそのサービスのクオリティーは高い方がいいと、こういうことになっている。サービスのクオリティーというのは、つまるところ、それに携わる人の能力と、そして意欲と、そしてやっぱり数、これの私は掛け算だというふうに思います。  そうしますと、私たちも総人件費を減らすべきだということは申し上げています。それは納税者の観点から当然なことだと思いますけれども、政府案は、人件費総額というよりも、人員のところを政策の指標にしておられるというふうに読めるわけですね。もちろん総額についてメンションしているところも私は承知しております。  例えば、政府案は五%人員を削減すると、こういうことを言っておられます。一方で、我々は人件費総額を削減すると、こう言っています。人員だけへずるといわゆるサービスのクオリティーは、能力、より良い能力の高い人、あるいは意欲を発揮する、こういうことは当然マネジメントによってやっていかなきゃいけないわけでありますけれども、しかし能力高い人を確保するとかいうことを考えたときに、あるいはいかに能力高い人であってもやはり今の小児科医の例で、あるいは産婦人科医の例でお分かりいただけたように、一定程度のやっぱり人員というのはサービスのクオリティーと極めて高い相関関係にあるわけですね。そういう中で、人員にだけ着目をしてそこを減らせばいいんだと。むしろここは人件費総額じゃないかと、こういうふうに私思うわけでありますけれども、なぜ、そのことについての議論を伺いたい。  それからもう一つ、これ以前から私疑問で、この際是非お伺いしてみたいわけでありますけれども、この非公務員型の独立行政法人にすると、これは簡素で効率的な政府の実現に資するんだと、こういうおっしゃりようがあります。しかし、公務員を非公務員にするということは、単に人件費分で出していたものが交付金に替わるだけですよね。交付金としては引き続き税金を投入しているわけですね。そうすると、果たしてそのことが、いわゆる行政改革という観点から見たときに、独立行政法人化というのはそれ以外にもいろいろな、ガバナンスの観点では様々なメリットがあることは私たちも認めておりますし、それは分野によりますけれども。そうしたときに、政府はこれ非公務員化独立行政法人というのを金科玉条の打ち出の小づちのようにおっしゃるんですけれども、そこも何かそもそも論に立ち返ると私は違和感があるわけでありますけれども、改めてこの点、どういう方針で今回の法律を立てておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  110. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) これは日本の国全体の、人口減少社会にも入っておりますし、そして官がこのままの状況では大変国民負担も重くなってくるわけですから、これを減らしていくという意味でこの行政改革、人員削減純減を図っております。  それと今委員が御指摘のこのサービスの問題とはちょっと異質でございまして、まず、だからサービスがなおざりになるんだという形に私はならないと思います。ともかく、この今回の定員の純減の取組につきましては、国の事務及び事業の行政需要に照らしてめり張りを付けつつ、先ほど委員おっしゃいました、積極的に見直しして効率化のための工夫を行いまして、必要最小限の人員で必要な行政ニーズに対応、応じ得る体制を構築するものでありまして、公務サービスの質を落とすというものではありません。  今のお話になりましたそうしたことも、直接何か公務員がやるか、あるいはまた、それが民間の方に移管して民間の方でその実務をやっていただくか、そうしたことの一つの仕分がこれから始まるわけでございまして、これがイコール五%削減いたしますとサービスが低下するということには必ずしもつながらないと思います。
  111. 鈴木寛

    鈴木寛君 そこが全く違うんですね。私の理解しているサービス業の概念というのは、先ほど申し上げたように能力掛ける意欲掛ける人員だと。そこで人員が五%明白に下がるわけでありますから、それを上回る能力の増加と、それを上回る意欲の増加をもってしても、やはりそれはサービスの低下は免れないんではないかということを申し上げているわけで、今の大臣の御答弁では全然見解が違うと。
  112. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 公務員の数を減らすということが五年で五%というそのはっきりとした数字目標でございます。しかし、市場化テストで、その手段としまして市場化テストも一つの方法でございましょう。そうしますと、これは民間がやるわけでございますから、民間の方が逆にサービスがいい場合だって十分にあり得る。そういうことの方を選択するのが今回のこの行政改革の市場化テスト法案でもございますから、そういうことでサービスとこれとは必ずしも一致しないということをあえて申し上げた次第でございます。
  113. 鈴木寛

    鈴木寛君 小坂大臣にお伺いしますが、必ずしも政府ではなくて、要するに公的ではなくて民間がいいと。そうすると中馬大臣は、義務教育民営化論ということになってしまうのかもしれませんが、現実問題として、その議論はおいておきまして、時間がありませんので。  明らかに今回の行政改革推進法で第八次定数改善計画が流れました。本来、第八次定数改善が行われていたのであれば一万五千名の五年間での増員、しかし、現に来年度で一千名の減で、五年で九千名の減がこのまま行くと推定されます。で、さらに、その八次定数が流れるどころか、今回の行政改革推進法の五十五条の三項で明示的に、政府及び地方公共団体は、児童及び生徒の減少に見合う数を上回る数の純減をさせるために必要な措置を講ずると、要するに教職員定数について。  で、これは明らかに先ほど私が申し上げた正に教育サービスの担い手であるその数を、もちろん能力を上げるという観点、あるいは意欲を上げるという観点は必要だと思います。そのことはもちろん共有させていただいていますし、しかしその能力の点も今度五十六条の三項でいわゆる人材確保法についても廃止を含めた見直しと、こういうことになる。  そうすると、五十五条の三項と五十六条の三項がどういう結果をもたらすかというと、まず能力のある人が採用できる可能性は五十六条の三項によって減ぜられるわけですね。そして、人員は五十五条の三項によって減るわけですね。これでもって必ずしも、今、中馬大臣行政サービスが減ずるとは思われないとおっしゃいましたが、私は大いに減ずるというふうに思わざるを得ません。  さらに、これ時間がありませんのでお伺いをしますと、これによって結局、設置者は市町村です、どういうことが起こっているかというと、要するに純定員を増やせないと。既に非常勤講師がどんどんどんどん増えているんですよ、非常勤講師が。これ、非常に教員のその体系に物すごいいびつな構造を持ち込んでおりまして、例えばこれは馳副大臣がこの前の文教科学委員会で御答弁いただいたんですけれども、馳副大臣も正規職員だったのが途中で非常勤職員になってしまわれて大変御苦労されたという、本当に御自身の御体験に基づく大変に我々も傾聴すべき答弁がありました。正に非常勤講師化というのはそういう問題をはらんでいます。  さらに、四月二十八日に政府がお出しになった教育基本法の改正案第九条で「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。」。で、「前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。」。これは大いに結構なことですが、しかしそのこととこの行政改革推進法は真っ向から矛盾するんじゃないかと。  こういう問題について、私は教育現場に深刻な悪影響をこの二つの条項は及ぼすと思いますが、文部科学大臣、お答えいただきたいと思います。
  114. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 鈴木委員には委員会、文部科学の委員会でも御質問いただいております。その際にもお答えを申し上げているわけでございますけれども、今回の行革推進法は教育の現場に深刻な影響を与えるんではないかと、これが、今いろいろ御指摘をいただきましたが、総括すればそういった点に集約するのかと思うわけでございますが、私はこの法案法律の適用に際しては、教育の実施に当たっての根幹である標準法対象の教職員数の純減については、基本的には児童生徒の減少に伴う自然減によるところといたしまして、この教育条件を悪化させないようにすることが私の使命だと思っております。  また、学校が抱える課題が多様化、複雑化している中で、優れた教員を確保することは最重要課題でございますから、人材確保法の精神は維持した上で、めり張りのある給与制度の構築に向けて十分に検討していくことが必要なんだろうと、こう考えておりまして、この大変難しい二つの命題の中で、文部科学省としては、教育の質の向上が強く求められている中での教職員の職務と責任の特殊性に十分配慮して、あくまでも教育水準の維持向上という視点を忘れることなく行政改革に適切に対応していきたい、このように考えているところでございまして、この法律の中で言っております、特にいわゆる標準法定員の部分と「その他の職員の総数について、児童及び生徒の減少に見合う数を上回る数の純減をさせるため必要な措置を講ずるもの」ということと人確法との関係をこのような考え方調整をしてまいりたい、このように考えております。
  115. 鈴木寛

    鈴木寛君 今の答弁は全く私、理解できません。  時間が来ましたので、この問題は引き続き議論をさせていただくということで、今日の質問を終わりたいと思います。
  116. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  私からは行革推進法案について質問させていただきたいと思っています。この法案は五本柱になっておりますが、特に本日は政策金融について、特に中小企業の視点から質問したいと思っております。  まず、政策金融改革の目的でありますが、政策金融とは予算、税制と並ぶ政策ツールの一つでございます。単なる金融的側面ととらえるのではなく、政策ツールとして有用性が引き続き維持できることが重要と考えております。  そういう意味では、まず行革担当大臣にお聞きしたいと思いますが、今回の政策金融改革の目的は何なのか、組織再編後もこの政策ツールとしての機能はしっかりと維持されると考えていいのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  117. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今回の改革が中央から地方へ、官から民へと言われておりますように、例えば官業の民営化にしましても、国鉄、電電公社、そして昨年の郵政民営化、こうした官業の民営化も進んでおります。そのほか、いろいろとお役所が担っておったものもかなり民間に移していける、そういうことで、これは全体が一つの官から民へという流れになっております。そういう中で、政策金融機関につきましても同様の理念でございまして、経済全体の活性化を考えれば、必要な政府の関与は残しておきながら民間にできることは撤退していくという方向改革案がまとまっております。行政改革推進法案にはそうして盛り込んだところでございます。  具体的に申し上げますと、現行政策金融機関の担っている機能を抜本的に見直しまして、完全民営化、それから廃止される金融機関の機能を政策金融の外に引き出すことによって必要最小限の業務を一つの新たな政策金融機関に担わせることにいたしております。したがいまして、行政改革推進法案にも規定されているとおり、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援する機能など今後とも政策金融として残すこととした機能や、内外の金融秩序の混乱や大規模な災害による被害に対処するためのいわゆる危機対応の業務につきましては、申請先金融機関がしっかりと担っていくということとしていることでございます。
  118. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 政策金融機関としてスリム化していくということは重要でありますが、それぞれ必要な政策ツールについてはやっぱり機能を果たせるという体制をお願いしたいと思っております。  そういう意味では、今回の作業は政策ツールとして残すものと民間にゆだねるものと正に仕分をするということが重要と思いますけれども、その仕分の考え方は何なのかという点で、これについては平成十四年の十二月十三日の経済財政諮問会議の決定にさかのぼるわけでございまして、ここでは二つの領域が重なる領域が政策金融機関の領域であると、こう書いてあるわけでございます。一つは公益性でありまして、つまり政府の介入によって明らかに国民経済的な便益が向上する領域、そして二番目には金融リスクの評価等の困難性、つまり情報が乏しいこと、あるいは不確実性や危険性が著しく大きいことによってリスクの適切な評価が極めて困難なため民間による信用供与が適切に行われない、こういう領域であります。この領域、この二つの領域が重なった分野がこの政策金融の対象分野と当時決定されているわけでございますが。  そこで、経済財政諮問会議を担当されている与謝野大臣にお聞きしたいと思いますが、今回の行革推進法案の四条から十四条まで政策金融機関が規定されておりますが、その機能というのは、この平成十四年の経済財政諮問会議の決定で政策金融の対象分野とされた領域を必要かつ十分に描いているでしょうか。いかがでしょうか。
  119. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 委員御指摘の点につきましては、平成十四年の十二月の経済財政諮問会議の決定に基づきまして、経済財政諮問会議がさらに昨年の春から検討を開始いたしまして、どういう考え方でやったのかということでございますが、一つは民業補完に徹することを基本とすると、また政策金融の手法を用いて真に行うべきものを厳選することが必要であるとの認識を持って、この二つの基準に沿って、政策金融として残すべき機能の精査から始めまして、それに基づいて組織の在り方の検討を行い、昨年十一月二十九日に政策金融改革の基本方針を取りまとめたところでございます。    〔委員長退席、理事保坂三蔵君着席〕  行革推進法案の、先生が言及されました四条から十四条は、この政策金融改革の基本方針及び政府、与党の合意を忠実に踏まえたものでございまして、経済財政諮問会議での審議に基づいた内容となっております。  したがいまして、改革後の政策金融が担うこととしている機能は、御指摘の公益性及び金融リスクの評価等の困難性の二つの基準に沿って精査されたものと認識をしております。
  120. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいま御答弁いただきましたように、この公益性と金融リスクの評価等の困難性の二つの領域が重なった分野であると、その分野を表しているということでございます。そういう意味では、この政策ツールとしてこういう分野は重要でありますが、政策ツールとしての政策金融が最も期待される分野の一つは中小企業分野であると私は考えております。  昨年の中小企業白書によりますと、高齢者雇用、女性雇用、また子育て後の再就職、さらにはフリーターの正社員としての受入れ、すべてにおいて中小企業の方が大企業よりも格段に寄与していると、そういう結果が出ております。また、二〇一五年に向けて、新経済成長戦略において、労働力人口四百万人が減少する中、女性雇用、高齢者雇用、若者雇用を強化して労働力人口の拡大を図ることが政策的なかぎとなっていると、そういう状況であります。  このような中で、今後の中小企業政策金融の重要性について経済産業大臣に質問したいと思いますが、我が国経済社会が今後、少子高齢化等の課題に対応していくためには、我が国企業数の九九・七%を占める四百三十万の中小企業者が今まで以上にその役割を高めていくことが期待され、中小企業政策金融もそれに合わせて更なる対応が求められると考えられますが、見解はいかがでしょうか。
  121. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お答えいたします。  中小企業は、少子高齢化対策や女性の社会進出の促進、フリーター対策等におきまして、ただいま議員御指摘のとおり重要な役割を担っておるわけであります。  例えば、中小企業については、勤務時間の短縮を弾力的に行うなど、大企業よりもむしろ育児などをしやすい勤務環境ともなっておるわけであります。また、従業員規模が小さい企業ほど女性や高齢者が従業員に占める割合が高くなっており、女性や高齢者にとっても重要な雇用の受皿となっておることも事実であります。さらに、フリーターを経験した後に正社員として職を得た方を調べてみますと、その多くが中小企業に就職しておることは議員も御承知のとおりであります。  少子高齢化対策や女性の社会進出促進のためには、こうした課題の解決に貢献し得る中小企業の活性化が我が国産業の発展のためには不可欠であるというふうに考えているところであります。その中心を成す課題は何かといいますと、御承知のとおり中小企業への円滑な資金供給であると考えております。  したがいまして、今後とも中小企業が資金調達に支障を来さないように金融対策に万全を期してまいりたい。特に、衆議院での御審議の中にもこうした問題について附帯決議で、政府として十分心得るようにという決議が付けられております。私どもは、そうした国会の御審議、またこうして委員会での御指摘等を十分踏まえて、制度設計におきまして立派な結論を得ることができるように今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  122. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。是非その重要性を踏まえて対応していただきたいと思います。  次に、この中小企業分野政策金融の中で中核的役割を果たしてきた商工組合中央金庫、いわゆる商工中金について質問に移りたいと思います。  商工中金については、バブル崩壊後、金融危機の際の貸し渋り、また貸しはがしという中でセーフティーネット貸付けなどを積極的に行って中小企業を救ってきた重要な金融機関であります。今般、法案六条一項で完全民営化することになっているということで、全国から、不安に思っていると、そういう中小企業者の声が届けられております。  まず、その点につき経済産業大臣に質問したいと思いますが、この行革法案六条三項で、商工中金については、中小企業等協同組合その他の中小企業を構成員とする団体及びその構成員に対する金融機能の根幹が維持されることとなるよう、必要な措置を講ずるものとすると、こういう規定がありますが、これは具体的にどのような対応を取ることを予定しているのでしょうか。中小企業者やその組合が今までどおり取引ができる体制が維持されると、そういう理解でよいのでしょうか。
  123. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) この点につきましては、議員も十分御承知のとおり、全国の中小企業、特に商工中金と関係の深い企業の皆さんから強い御要望また御心配が寄せられておったところであります。しかし、各党の皆様方の大変な御支援によりまして、今私ども、そうした国会の御意向等を十分踏まえて、中小企業の果たす我が国における産業界での役割、同時に、この不況から脱出していよいよ日本経済にもようやく明るさが見えてきたと、こういう時期にこの中小企業が冷え込んでしまうようなことになっては、何のための経済政策か分かりません。  したがいまして、私ども、商工中金こそこれまで、中小企業の育成のために、またそれぞれの企業の将来性というものを十分勘案して、町の一般の金融機関では相手にされなかったような人たちにも思い切って将来を見込んで融資を行うなど重要な役割を果たしてまいりました。  今回、この商工中金の完全民営化ということになって以来、特に商工中金と関係の深かったお取引の中小企業の皆さんから、商工中金はこんなことをしてくれた、商工中金はこんな対応をしてくれたという話を全国各地で私も耳にするたんびに、商工中金というのはそんなに立派なことをしておったんだなということを改めて感ずるわけであります。その精神は完全民営化の中でも堂々と残していくべきことでありまして、我々がそういうことが可能になるように対応していきたいと思っております。    〔理事保坂三蔵君退席、委員長着席〕  そこで、詳細な制度設計はこれからでありますが、経済産業委員会におきましても議員から御指摘をちょうだいしたようなこと、私も十分記憶をいたしておりますし、大変大事な御指摘であったと思っておりますので、そうしたことを踏まえて、一般の、この商工中金を頼って今日まで経営をしてこられた方々に不安感を持たせることのないように、同時に完全民営化は私たちのためにも良かったんだと、こう思っていただけるような民営化でなければならない、少なくとも私は責任者としてそのことを痛感しているところであります。
  124. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 正に中小企業者が不安に感ずることなく、完全民営化するにしてもしっかりとした制度的な対応をお願いしたいと思います。  次に、この商工中金の資金調達の在り方でありますが、現状では組合員からの預金もありますけれども、そのほとんどが金融債の発行で資金調達をしているわけであります。しかも、政府出資がありますので、実質上の政府保証として低金利での資金調達ができ、その結果、中小企業者に長期固定、低金利の融資が可能となっているわけでございます。  しかし、今後、完全民営化され、政府出資がなくなった段階で資金調達はどのようになるのでしょうか。経済産業大臣にこの件につきお答えいただきたいと思います。
  125. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 商工中金の民営化の際には安定した資金調達ということが極めて重要なことは論をまたないところであります。現在、商工中金は資金調達の大半を御承知のとおり金融債で行っており、当面は金融債中心の調達が適当であると考えております。  完全民営化の後の姿につきましては、今後、度々申し上げてまいりましたように、詳細な制度設計が行われるわけでありますが、私は、商工中金が資金調達面での不安がなく中小企業向けの金融に今日と同じように邁進することができるようにしっかりとした仕組みを構築してまいる、このことが私どもに課せられた重大な責任であろうというふうに考えております。
  126. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 是非、長期安定的な資金調達をお願いしたいと思います。  一方、この商工中金の資本は、現在、民間出資が一千億円、これに対して政府出資は四千億であります。完全民営化というのはこの四千億をゼロにすると、こういうわけでありますが、それではこの四千億円はどこに行ってしまうのかという話であります。もし民間に売却するということでありますと、現在民間出資分は三%の配当を行っております。これを残りの四千億に配当するとなると、今の商工中金の利益は百億円程度ですから、その利益が吹っ飛んでしまうという状況になります。逆に、この四千億を売っ払うんでなくて国に返却するとしますと、現在、商工中金の自己資本比率は現在ですら七・七八%で、財政基盤が低下してしまって自己資本比率規制も満たすことはできないというわけでございます。  そこで、再び経済産業大臣に質問したいと思いますが、この法案六条三項で、商工中金の完全民営化に当たっては円滑な運営に必要な財政基盤を確保するための措置を講ずると、こうありますが、具体的に、政府出資四千億円の相当部分については自己資本比率維持の観点から資本準備金化を図るなど対応を検討すべきと考えますが、御見解はいかがでしょうか。
  127. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 商工中金の民営化に際しまして、民営化後の円滑な業務運営に必要な財政基盤を確保すること、これは先ほども申し上げましたとおり、非常に重要な課題であると思っております。したがいまして、行政改革推進法案におきましても、商工中金の完全民営化に当たっては、必要な財政基盤を確保するための措置を講ずるというふうに明確に規定をされております。また、先ほども申し上げましたが、衆議院の行革特別委員会におきましても、政府出資のかなりの部分の準備金化等強固な財政基盤を確立するとの附帯決議をいただいております。  民営化後も、中小企業のために本当に頼りになる金融機関とするべく、配当負担を抑えながらも十分な自己資本を維持する仕組みについて、しっかりと制度設計に取り組んでまいることが、私は議会の皆さんのそれぞれの御意見を伺っておりましても、そういう方向を示唆されておるというふうに受け止めておりますので、そういう面で努力をしてまいりたいと思っております。
  128. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 まさしくこの法案六条三項にあります円滑な運営に必要な財政基盤を確保するということを是非お願いしたいと思います。景気が回復しつつある今こそ、中小企業にとってもいよいよ攻めの経営をするというタイミングだと思っています。  そこで、商工中金及び中小企業分野も担当する新政府金融機関の役割について、経済産業大臣に質問したいと思いますが、新政策金融機関及び商工中金を中心とした中小企業分野政府金融機関についての役割については、統合、完全民営化など組織面の変化はあるものの、セーフティーネットなどの対応についてはその基本的な在り方は従来どおりであると、そう理解してよろしいでしょうか。
  129. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 中小企業向けの政府金融機関は、貸し渋りあるいは災害、突然の災害等に対して迅速に資金供給を行うなど、今日まで、特に地方におきましても、本当に頼りになる金融機関として実績を上げてまいりましたことは議員も御承知のとおりであります。  行政改革法案におきましても、新政策金融機関や商工中金等が金融秩序の混乱等に対応するために必要な金融を迅速かつ円滑に行うことを可能とする体制を整備する旨、定められております。特に、商工中金は短期の資金繰り支援を行っている中小企業専門の金融機関であります。そのため、完全民営化の後も、これまで培ってきた危険対応のノウハウを生かして、いざというときに中小企業の皆さんに心から頼りにしていただける金融機関として明確に位置付けていくということが政治として極めて重要なことではないかと思っております。  議員も先ほどから度々御指摘をいただいておりますように、四百三十二万の中小企業の関係者がおられます。失業対策の問題一つ取り上げてみましても、二つの会社で一人ずつ採用してもらっても、これは二百万人の採用になるわけであります。いかほどに中小企業というのは重大な位置を持っているかということであります。  また、技術的にも、私も先般、がんの手術の器械を作っておられる元気な中小企業を訪問した機会がございます。大企業でもこれほどのことができるだろうかと言われるほどの水準、世界的にも、アメリカにおきましてはほとんど九〇%ぐらいここの会社がシェアを占めておるというふうな、立派な傑出した中小企業も存在しております。  その人たちは、社長になっても、あるいはその会社の専務を務めておっても、三年や五年でその役が終わるんではないんです。お父さんの時代から生涯懸けてその仕事に打ち込んでおるわけです。そういう人たちの本当に汗とあぶらの結晶であるそういう企業の皆さんに対して、この金融という面で不安感を与えたのでは一歩も前へ進めないわけです。四百三十万社の皆さんが一歩前へ前進することは、大企業の立派な会社が三つや四つ大きくなったからとか、どこかの会社を買収したからとかということとは比較にならないわけであります。  したがって、そういうことに対して、私は、政党政派を超えて政治がこの問題に真剣に取り組んでいただけるということを私はもう本当にうれしく思っております。どうか、議員はこの道の専門家でありますから、この制度設計が完成するまで御支援をいただきますよう改めてお願いを申し上げて、答弁としたいと思います。
  130. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 力強い答弁、ありがとうございました。是非そういう金融関係を、政策金融を築いてまいりたいと思います。  今、関連しましたセーフティーネット全般について次に行革担当大臣にお聞きしたいと思いますけれども、これは、この法案の第四条四号に、内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害、テロリズム若しくは感染症等の被害に対処するための金融となっていまして、これについては、新政策金融機関だけではなくて、今質問しました商工中金や民営化された日本政策投資銀行、そしてその他の金融機関として民間金融機関も含めて迅速かつ円滑に行われると、そういう体制をつくると、こういうふうに規定されているわけでございます。国民にとって政府金融機関がスリムになることは結構ですが、いざというときのセーフティーネットに迅速かつ円滑に対応できるかどうかが問題であります。  そこで、大臣にお聞きしたいと思いますが、この四条四号のセーフティーネット機能については、どのような体制、例えば特別法を作るのか、またどういう立法措置をするのか、その具体的な方向について御答弁をお願いしたいと思います。
  131. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今、本法の第四条第四号、これ委員が今御指摘いただいたとおりでございます。そういう形で規定をされておりますが、この危機対応体制の整備の具体的な在り方、これにつきましては今後の詳細な制度設計並びにこれを踏まえた制度の企画立案の過程において検討していくことといたしております。  これまでにも、石油危機とか山一証券倒産とかバブル崩壊、これで多くの知見を有しております。そういうことを、政策として機動性や実効性の確保といった視点を重視しつつ検討を進めてまいる所存でございます。
  132. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 詳細設計の中で検討されるんだと思いますけれども、是非その点でお願いしたいことがございます。  法文上は内外の金融秩序の混乱等いろいろ例は挙がっているんですが、是非、現在のセーフティーネット融資や保証でも対象としています、例えば大型取引先の倒産とか原材料の高騰とか、また業況自体の悪化とか、そういう幅広く実際の運用ではセーフティーネットの対象を広げていただきたいと、そう考えますが、御見解はいかがでしょうか。
  133. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今申し上げましたように、このことはしっかりと制度設計の中に入れていきますが、検討に当たりましては、中小企業者の視点及び現行政策金融機関が有する機能又はノウハウ、これに十分留意しつつ進めてまいりたいと考えております。
  134. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 是非検討を進めていただきたいと思います。  次に、法案第四条二号に規定されています貸付残高の削減目標についてでございます。  これは、平成二十年度末に平成十六年度のGDP比一八・一八%を半減する、つまり九・〇九%にするということでございますが、その半減のとらえ方について行革担当大臣に質問させていただきます。  この四条二号に定められた貸付残高半減については、現政策金融機関の全体での達成目標であって、中小企業分野分野ごとに半減する意味ではないという理解でよろしいんでしょうか。
  135. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 政府の関与を極力少なくしていって民間にゆだね、民間の活力を引き出すということでございまして、それは相対的なことでございます。個々の、何といいましょうか、金融機関別の貸付金残高の総額をベースとしたもので、個別の貸付分野ごとに貸付金残高を半減するというものではありませんので。
  136. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  次に、この政策金融機関在り方について質問を続けたいと思います。組織の在り方ですね。  この法案第五条によりますと、新政策金融機関は、特殊会社又は独立行政法人若しくはこれに類する法人となっています。確かに、組織の機動性や柔軟性、例えば子会社として独立した機関を持つなどの点から考えれば株式会社の方がいいのかなという気もしますが、一方、特殊会社にしてしまうと、また民営化するんじゃないかという点で職員や融資先からの不安もあるのかとも思います。  そこで、行革担当大臣にお聞きしたいと思いますが、この新政策金融機関の組織形態、これについては一応、五条一号にある三つの組織形態、特殊会社、独立行政法人若しくはこれに類する法人、この三つについて、それぞれについてのメリット、デメリットはいかがでしょうか。
  137. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) メリット、デメリットという前に一つ、それぞれの特色といいましょうか、それを申し上げておきますと、特殊会社といいますのは基本的に特別の法律により設立される株式会社でありまして、基本的には会社法に基づいて運営されます。また、国の出資や財政的な支援、毎年度の事業計画の認可や監督命令などの国の関与があることもこれまた事実であります。民間企業的な枠組みによりまして透明性の高い、これは財務諸表の公表等も入っておりますが、そうした透明性の高い効率的な事業運営を目指す、これが特殊会社でございます。  一方で、独立行政法人は基本的に個別の機関設置法及び独立行政法人通則法、これに基づいて運営されることになっております。国が出資をし、中期目標を踏まえた中期計画、これ三年から五年でございますが、の計画の認可など国の関与があることもこれまた事実でございます。そして、これには、法人に一定の裁量権を与えまして、企業会計原則を導入する等の透明性の高い効率的な事業運営を目指す。これまた特殊会社とこの点については一緒でございますね。  そういうことでそれぞれ特色を持っておりますけれども、いずれにしましても、新政策金融機関として具体的な組織形態を検討していくに当たりましては、政策金融機関の趣旨を踏まえまして、民間の手法を生かした効率的な事業運営を実現する、また、政策上必要な業務の的確な実施を行う、強固なガバナンスの確保といったような観点から多面的に検討していくことが必要でありまして、現時点でメリット、デメリットを断定的に申し上げることは相当難しいと思いますが、今後詳細な制度設計において慎重に検討して明確にしてまいりたいと考えております。
  138. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今後、制度設計の中で検討されていくんだと思いますが、先ほど答弁の中でもおっしゃいましたように、政策目的をしっかり達成できるということも十分踏まえて、組織の判断、選択の判断をお願いしたいと思います。  一方、昨年十二月二十四日に閣議決定されました行政改革の重要方針によりますと、組織形態については、現在の機関のノウハウも生かしつつ、借り手側の視点に立った組織形態となるよう努めると、こうあります。この行革推進法案にはこの「借り手側の視点に立った」という文言がなかなか見当たらないんですけれども、もしこの借り手側の視点に立てば、例えば百五十二もの国民金融公庫の支店で中小企業や農林水産業の融資も始めていくことも一つの案とも考えられますが、そこで行革担当大臣に質問したいと思いますが、この行革の重要方針にある借り手側の視点に立った組織形態となるよう努めることが組織形態選定の最重要要因であると考えますが、この点についていかがでしょうか。例えば、国民金融公庫の現在の支店で中小企業や農林水産業の融資も始めていくことなどがこの借り手側にとってプラスになると考えますが、この点についてもいかがでしょうか。
  139. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 行革法案の第五条第四項、ここで新政策金融機関の組織設計に当たっては、国内金融業務を行う部門と国際金融の業務を行う部門に大きく大別することにしております。そして、当該部門ごとに専門的能力を有する職員の配置及び育成を可能とする旨を規定しているところでありますが、本法案は、政府がよるべき基本方針やとるべき措置を法定しているものでありまして、こうした規定を踏まえて、今後、政策や実情に精通した職員の育成、配置など、専門能力の維持強化や適切な窓口の配置等を図ることが必要であると、このように考えております。  その具体的な内容につきましては、これまた今後の詳細な制度設計と、それを踏まえた制度の企画立案を行う中でしっかりと検討してまいる所存でございます。
  140. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 次に、法案第五条二号で明確な経営責任が規定されています。  明確な経営責任を持つためには、組織としてのある程度の独立性、強固なガバナンスが必要ですが、一方では政策金融機関として国の政策に沿ったものでなければならず、国の関与も私は不可欠だと思っています。  そこで、行革担当大臣及び経済産業大臣にお聞きしたいと思いますが、新政策金融機関の明確な経営責任といった独立性と、例えばベンチャー産業育成、中小企業対策等、国の政策的観点からの関与はどう両立していくのか、お答え願いたいと思います。
  141. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 第五条第二項ですね、「明確な経営責任の下で運営され、経営内容に関する情報の公開を徹底するものとする。」と、こうなっております。新規創業の支援などを含みます中小零細企業などの資金調達支援の機能は、今回の政策金融改革の中で民間金融機関では対応が困難であると評価された必要最小限の機能に絞り込んだ上で、国が担うべきものとして、新たな新政策金融機関、ここにしっかりと残すことにしたことでございます。したがいまして、その業務の実施に当たりましては、まず第一義的に国の政策に沿って的確に遂行されることが必要であると、このように考えております。  同時に、新政策金融機関の経営の観点から、民間的な視点を踏まえつつ経営責任を明確にして、これは情報公開の徹底を言っておりますから、情報公開されますと経営責任がおのずと明確になってくると思いますが、そうした手法を通じまして効率的な運営が行われることが必要であると、このように考えております。  今後、より具体的な内容につきましては、これまた詳細な制度設計を踏まえた企画立案等を行う中でこれらの点を十分に踏まえた検討をしてまいりますが、これも矛盾なく双方の機能が両立できるようにしてまいりたいと考えております。
  142. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 行政改革推進法案におきましては、ベンチャー支援等の中小零細企業向けの金融が新政策金融機関の主要な機能の一つとされております。また、その際、新政策金融機関は、国の中小企業施策の目的に従った融資を引き続き行っていくこととされております。新政策金融機関の経営については、このような政策的な役割をしっかり果たすことが重要であると同時に、その上で、明確な経営責任の下に効率的な運営が行われるべきだと考えております。  ただいま中馬担当大臣からも御答弁がありましたとおり、今後の詳細な制度設計におきまして、中小企業の皆さんがやはり改革をして本当に良かったなと、こう思っていただけるような私は金融改革でなくてはならないと、そういう考えに基づいて今後詳細設計について真剣に取り組んでいきたいと思っております。
  143. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。是非、そういう視点から詳細設計をお願いしたいと思っております。  また、今回の改革によりまして、この新政策金融機関というのは国際部門と国内部門と、大きく分けて二分されるわけです。国際部門は、いわゆる国際協力銀行の国際金融勘定の分野ですから、一件当たりの貸付けが五十七億円ぐらいのものですね。一方、国内部門の国民金融公庫の例を挙げますと、平均貸付額が六百四万円ぐらいという、こういう大差があるわけでございます。  そういう意味で、この中小企業金融公庫、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫がJBICと統合されますと、平均貸付額が格段に大きいなど、職員の雰囲気も華々しい海外業務に目を奪われることがないのか心配なところであります。地道に国内支店回りをして平均貸付額六百四万円の顧客を大事にする部門がくすんでしまわないかが心配であります。また、中小零細企業にとっても敷居が高くならないかと、そういう懸念されるところでございます。  そこで、行革担当大臣に質問しますが、国民一般、中小企業、農林水産といった国内部門については、引き続き国内企業へのきめ細かなサービスが維持され、職員のモチベーションも組織再編により低下することがないよう配慮することが最重要と考えますが、御見解はいかがでしょうか。
  144. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 今回の改革では、民でできることは極力民でということでございますが、政策金融改革でも、現行政策金融機関の業務を精査して、民間では対応が困難であると評価された必要最小限の機能に絞り込んだ結果、国民一般、中小企業者及び農林水産業者、これらの資金調達を支援する機能は、その重要性にかんがみまして、新たな政策金融機関にしっかりと残すことを規定しております。  こうした中で、統合されます現行政策金融機関の職員におきましては、新政策金融機関が担っていく業務の重要性を肝に銘じて、引き続きその使命達成のために日々努力していただくことが重要でございます。  政府としましても、政策や実情に精通した職員の育成、配置など、専門的能力の維持強化を図るとともに、高い使命感やモチベーションが確保されるような組織運営が図られることが必要であると、このような、制度設計の中でもそういうことを配慮してやるつもりでございます。
  145. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 是非、高いモチベーションが維持されるようにお願いしたいと思います。  一方、法案では、国内部門にあっては当該業務の態様に応じた区分を明確にしてその内部組織を編成するとなっておりますが、その決定に当たっては、先ほど言いましたように、借り手の利便性を第一に考える必要があると思います。  そこで、この件につき行革担当大臣及び農林水産大臣にお聞きしたいと思いますが、新政策金融機関の国内金融の業務区分については、借り手の利便性を第一に判断して、リスクの評価の特性に合わせて、国民一般、中小企業、そして農林水産と、三つの事業に区分すべきと考えますが、御見解はいかがでしょうか。
  146. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 第五条第四号におきまして、国民一般、中小企業者、農林水産業者の資金調達を支援する機能を担う国内金融部門の組織設計に当たっては、業務の態様に応じた区分を明確にしてその内部組織を編成する、このように規定されております。  今後、詳細な制度設計とそれを踏まえた制度の企画立案を行う中で、簡素でかつ効率的な組織とすることを基本としながらも、借り手側の視点に立って、利用者、政策目的等の差異や業務の専門性など業務の実態を踏まえた内部組織とするなど、その具体的な内容についてはしっかりと検討してまいる所存であります。  借り手側として、従来の業態の縦割りがいいのか、あるいは横断的な、柔軟に対応される方がいいのか、こういったこともいろいろ議論があろうかと思いますが、こういったことを含めて検討させていただきます。
  147. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 浜田委員御指摘のように、今回、国民一般、中小企業及び農林水産業の資金調達ということでございますが、もとより民間でできるところは民間でということで、新制度に移行したときには一部分は業務をやめるわけでありますが、しかし、政策金融機関でなければできない部分が農林水産にはあるわけでございます。特殊性といたしまして、生き物相手、自然相手であると。あるいはまた、担保が農地であったり林地であったり漁船であったりということで、極めて一般の金融機関、民間がやるには非常に困難な部分がございます。さらには、現行でも農業関係では平均十七年、最長二十五年、林業ですと五十五年、木が生えて切るまでにそのぐらい掛かるわけでございますんで、そういった特殊性はやはり今後も政策金融機関として大事な仕事であるというふうに考えております。  そして、今御指摘のように、借り手の利便性というものを確保するために、公庫側にもプロの、この道に熟知した職員がニーズにきちっとこたえられるようにしていく組織体制が今後なお一層充実させなければいけないと思っております。農、林、水、それぞれ新しい政策も抱えておりますんで、その政策の後押しのためにも、新政策機関の中で組織、人員、体制その他、借り手にとってよりプラスになるように努力していきたいというふうに考えております。
  148. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 是非、ただいま答弁ございましたように、借り手の利便性ということを柱として御判断いただきたいと思います。  次に、この新政策金融機関の民業補完については、五条五号に一般の金融機関が行う金融を補完することを旨として行うということが規定されておりますが、民間金融機関は果たして従来の政策金融機関が担当してきた分野をきちっと代替すると、そう宣言しているのでしょうか。一部の中小企業事業者から不安の声も聞きます。  本件については金融担当大臣にお聞きしたいと思いますが、中小企業金融公庫の一般融資など、政策金融機関が民業補完となることにより民間金融機関に移される分野については民間金融機関がしっかり担当するとの明確なコミットメントは出されているのでしょうか。また、民間金融機関が十分に代替しないことが決してないよう指導していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
  149. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 中小企業金融につきましては、委員と同じように私も、その将来についていろいろ心配しなければならない、また配慮をしなければならないと思っております。  昨年十一月の基本方針では、政策金融機関による貸出し残高対GDP比を半減、これを平成二十年度に実現すると、中小企業金融公庫については、国の政策等に沿って設けられた特別貸付けを除く一般貸付けは撤退するなど、政策金融で対応する必要がないとされた分野を縮小するということは決まっております。  金融庁としてはこれまでも、民間金融機関による担保保証に過度に依存しない融資を推進する、第二には、地域金融機関について、地域の中小企業等のニーズに適切に対応するよう、地域密着型金融の機能強化の一層の推進、こういうことを進めてきたところでございます。また、民間金融機関においても、例えば自ら公表する地域密着型金融推進計画において中小企業金融の円滑化を一つの目標として位置付けているところでございます。  今後とも、金融庁としては、政策金融改革の動向等を注視するとともに、我が国経済の基盤を支える中小企業を含む健全な取引先に対する資金供給の円滑化のため努力してまいりたいと考えております。
  150. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 是非、地域金融機関に対して適切な指導をお願いしたいと思います。  もう時間がありませんので最後の質問でございますが、法案五条六号では、貸付残高の国内総生産比を平成二十年度末に二分の一としてからも、その残高の継続的縮小を図ると、こういうふうになっております。  その縮小の姿勢について行革担当大臣にお聞きして最後にしたいと思いますが、法案五条六号の貸付残高の継続的な縮小とは、国民一般や中小企業への貸し渋りなど消極的な方法によって貸付残高を減らすという意味ではなく、さらには金融危機のような事態があれば逆に融資残高が増えることもあり得ると、そう理解しますが、御見解はいかがでしょうか。簡単で結構です。
  151. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) もうおっしゃるとおりで、ただ減らすということだけが目的じゃありません。極力政府の関与を少なくしていくという方向はそうでございますけれども、そうした危機対応のときなんかには思い切ってぼんとお出しするようなことも十分に含めて対応させていただきます。
  152. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 以上で終わります。  ありがとうございました。
  153. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  今日は、今回の行革推進法の眼目であります官から民について、そもそも何なのかということも含めて質問をしたいと思いますけれども、この間の耐震偽装事件あるいはライブドア問題を見ても、もうかれば何でもありと、いわゆる利益至上主義に陥って社会的役割とかコンプライアンスがおろそかになるという事件が相次いでいるわけですけれども、官から民を考える上でも、重要なことは、民営化された後、そういう利益至上主義に陥ることなく、公的な役割も含めて、コンプライアンスも含めてきちっとされるのかどうかということも問われているというふうに思います。そういう点で、小泉内閣の官から民が本当にそこまで留意している官から民営論なのかも問われていると。  そういう点で試金石になるのが、官から民の最大事業と言われました郵政事業の民営化の今後の方向、とりわけ今焦点になっております日本郵政の社長であります西川さん、つまり三井住友の前頭取の責任の取り方あるいは政府のその問題に対する対処の仕方、これが今後の官から民についての一つの大きなどうなっていくかという目安になるというふうに思います。そういう点で、まずこの問題から質問をしたいというふうに思うわけですけれども、最初に与謝野大臣にお伺いをいたします。  金融庁は四月の二十七日に三井住友銀行に対して厳しい業務停止命令を下されました。これは独禁法違反、いわゆる優越的地位の濫用ということで、これ、銀行としては、これで業務停止命令というのは初めてだと思います。要するに三井住友は、融資先の中小企業の借り手の弱みに付け込んで金利スワップ商品を売り付けたということでございまして、大体、低金利、デフレのときに金利スワップを売られて得することはほとんどないわけですけれども、専門家がそれを承知で余りよく知らない中小企業の社長さんたちに売り付けたということで、手数料稼ぎに走ったというふうに言わざるを得ないわけですけれども、これは十二月に公正取引委員会からも摘発を受けたわけでございます。  我が党も独自にこの問題は前から調査をして、私、委員会で何度も取り上げてきたところで、極めて悪質な手口がいろいろあります。今日は余り細かく触れませんが、また当該委員会でやりたいと思いますけれども。ということで、今回の大変厳正な処分を金融庁がされたということには、この問題に取り組んできた者として敬意を表したいというふうに思います。  そこで、与謝野大臣にお聞きしたいんですけれども、この問題は現経営陣ではなくて、前経営陣のときに起きた問題でございます。すなわち、西川前頭取のときに行われた不正行為でございますけれども、金融庁の今回の命令の中でもこういうふうに書いています。問題事案発生時における役職員の責任の所在も明確にしなさいと、こういう命令を今三井住友は受けているわけでございます。  当然、当該直接の関係ある当時の経営陣の責任が追及されるのは私は当然のことだというふうに思いますし、金融庁もここまできちっと出されたなというふうに思って評価しているところでございますけれども、この点について、与謝野大臣が言われたかつての大銀行がという点でいきますと、私は大変残念な事件だと思いますけれども、この当時の経営陣の責任という点について与謝野大臣の所見を伺いたいと思います。
  154. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 今回の独占禁止法上問題となった優越的地位の濫用については、これまでも公正取引委員会がいろいろ処分をしております。  金融庁が行いました今回の処分においては、同行に対する問題事案発生時の役職員を含め責任の所在の明確化を求めているところであり、今後、役員の関与状況に応じ、同行において具体的な検討がなされるものと承知をしております。  なお、本件に関しては同行側からも、経営として真摯な反省が必要と認識しており、問題の原因となった役職員の責任の所在を明確化の上、厳正な行内処分を実施するとのプレスリリースが出されていると承知をしております。  また、他の金融機関においてもこのような事案が再発しないよう、既に全預金取扱金融機関に対し自主点検を要請するなど、金融庁として独占禁止法を遵守した適切な業務運営体制の確立について引き続き徹底を図っていく所存でございます。
  155. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  西川さんに来ていただきました。先ほど言いました、我が党はこの問題、前から現場を歩いて調査をしてまいりましたけれども、大変生々しいいろんな事実をつかんでおりますが、例えば中小企業の社長が、想定元本、最初は二億円の期間五年で年間三百万円の支払と、これが後で融資に併せてどんどんどんどん買わされて、四本の契約をさせられた方の例があります。支払がもう高過ぎるということで解約をされました。ところが、その解約金が二千九百万と。それまでに払ったのと合わせると五千万円も三井住友に取られたという事例があります。  この方はまだ解約するだけの勇気があったんですけれども、多くの方は、解約金が高くて、そんなこととは分からなくて、解約しようと思って聞いたら解約金が高くてもう解約するにもできないと、あきらめると、こういう仕組みになっておりますし、もう支払は拒否すると、こんなものと思ってなかったと、支払を拒否した場合は担保に取っている物件を清算処分に入ると、こんなことを言われてあきらめたり、今でもこの解約できない、泣き寝入りされている方はたくさんおられるわけでございます。  こういう被害者の方々に、西川さん、当時の責任者、最高責任者として何か言葉はございませんか。
  156. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  このデリバティブ取引は、この問題になっておりますデリバティブ取引は、金利リスクをヘッジするためのものでございます。(発言する者あり)私、取引の詳細について存じておりませんので、ここで明言させていただくことは差し控えますが、銀行の方で真摯に対応するというふうに承知をいたしております。
  157. 大門実紀史

    大門実紀史君 被害者の方々に当時の最高責任者として言うことは何もないんですかと、それを聞いているわけです。あなたの言葉を聞いているわけです。
  158. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  この事態につきましては、私は大変残念なことだというふうに思っております。そしてまた、大変深刻な事態であるというふうに認識をいたしております。大変遺憾に存じておるところでございます。
  159. 大門実紀史

    大門実紀史君 じゃ、ちょっと事実関係幾つかお聞きしてからまた言葉をもらいたいと思うんですけれども、あなたは今おっしゃったように、今まで責任問われて、つまりコンプライアンスについては責任者を設けてやっていたと、やっていたつもりだと。しかし、結果的にそうならなかったという指摘で行政処分ですね。もう一つは、いわゆる抱き合わせ販売、金利スワップと融資と、そういう一緒にやれという指導もしていたとは知らなかったと、覚えはないというふうなことを言われています。  ただ、今回の事件は二〇〇一年から二〇〇三年の三年間です。三年間にわたって行われた不正行為でございますけれども、何も知らなかったんですか。何も気が付きもしなかったんですか。その点どうですか。
  160. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  誠に残念ながら、私の耳には一切入っておりません。私は、クレームがある場合は、私に直接寄せられるクレームもあるわけでございます。それに対しては一々真摯に対応してきたつもりでございます。本件、残念ながら私の耳に入らなかったということでございます。
  161. 大門実紀史

    大門実紀史君 知らなかったとしたら、竹中さんが言うように本当に経営者として有能なのかどうか、私は疑うところでございますけれども。  ただ、幾ら知らないといっても最終責任はあなたにあったわけです。あなたにあるわけです、今でも。知らないだけでは被害者の方は納得しないというふうに思いますし、三井住友には二百億近い損害を与えるんじゃないかと言われておりますし、被害者の方々は裁判、訴訟も今考えておられるところでございます。  で、指摘したいのは金融庁の今回の行政処分の中身ですね、ここに明確に言われていることがあります。これは、コンプライアンスよりも利益至上主義、利益を優先する、現場にも過度なノルマを与えるというふうな、そういうあなたが号令を掛けられた、利益を取れと、これが明確にバックグラウンドにあったということは金融庁も指摘しているし、三井住友の社内調査でも分析しているわけです。  この責任者は紛れもなくあなただったわけですね。そういう最終責任、結果責任についていかが思われますか。
  162. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えします。  もちろん、民間銀行でございますから収益の追求ということは欠かせないことでございますけれども、それはあくまでもコンプライアンスを遵守していくということが大前提の話でございまして、利益を優先させると、コンプライアンスよりも利益を優先させるというような指導でありますとか指示とか、そういったことは一切行っておりません。  以上です。
  163. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は今日、西川さん、何らかの責任を取ることを今検討しているとでもおっしゃるのかと思っていましたけれども、そうすると一切自分には責任がないというお立場ですか。
  164. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  先ほど来申し上げておりますように、私は大変この事態、遺憾に存じております。そして、銀行においても真摯な対応をしていくと、お客様に対しても真摯に対応していくということを明言しておるわけでございますし、私の方ももちろん誠心誠意、必要な事柄については対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  165. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうすると、具体的には今、三井住友の中であなたの役員報酬を返還してもらうと、さかのぼって返還してもらうということが検討されていますが、そういう具体的なものが三井住友から出ればお受けになるということですか。
  166. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  具体的なものが出てまいりますればそれに従うということでございます。
  167. 大門実紀史

    大門実紀史君 私はこの問題、そういうことで済まされるのかどうか。  私、明治安田生命の保険金不払も取り上げてまいりました。結果が出ました。金融庁が頑張られてきちっとした処分をされました。社長は辞任をされて、生命保険協会の会長に内定をしていたのも退かれました。この間の大手銀行の不祥事で、経営トップがちゃんと辞任をしてけじめを付けております。  あなたの場合は、たまたま今、後でばれちゃったといいますか、後から分かっただけのことで、今もし三井住友の頭取でしたら当然辞任されるはずだと。辞任されていたら、日本郵政の社長に小泉総理とか竹中さんから推されることはなかったし、取締役会でもそんなの通るわけがなかったと思います。  後から分かっただけの話で、あなたはふさわしくないというのは当然だと。後からばれたというだけのことじゃないですか。ふさわしくないんじゃないですか。ですから、自ら潔く日本郵政の社長も私は辞任されるべきだと思いますが、いかがですか。
  168. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  日本郵政の社長に任命されまして大変重要な任務を負ったわけでございますから、私は、この任務を私のこれまでの経験、知識等を生かしながら最大限に努力をいたしまして、この任務を果たしてまいりたいというふうに現在は考えております。
  169. 大門実紀史

    大門実紀史君 すごいですね、被害者に対する言葉の一言もない方が何を頑張ろうというんですか。  竹中大臣にお聞きしたいんですけれども、今の話と同じです。今回の事件が先に判明していたら、先に分かっていたら、日本郵政の社長に西川さんを推されたり、総務大臣が認可されているわけですから、認可されることはあったんですか。
  170. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほどからいろいろ御指摘大門委員からいただいておりますけれども、そもそもやはり三井住友銀行、これは日本代表する金融機関でありますから、そういう銀行が金利スワップ商品を中心とする優越的地位の濫用事案によって金融庁から御指摘のような行政処分を受けたということは、これは極めて遺憾であるというふうに思っています。  西川氏は同社を退職をしておられるわけですけれども、当時の経営者でいらっしゃったということで、今後、同銀行の諸問題に対して真摯に対応していただきたいというふうに思っております。  西川氏は、しかし金融の専門家として、これまでやはり大企業の経営を通して、しかも非常に難しい金融の問題に対応してこられました。私としましては、西川氏のこうした知見を評価をしまして、設立総会において取締役の選任決議がなされたわけでありますけれども、その選任決議を認可したわけでございます。  西川氏におかれては、今御自身の決意の表明もございましたけれども、これ、この民営化会社の経営を引き受けられた以上、公正な立場で力強く経営に臨んでいただけるものというふうに確信をしております。
  171. 大門実紀史

    大門実紀史君 竹中さん言われた経営手腕というのは一体何ですか。ただもうける能力ですか。  おっしゃるとおり、西川さんのときに、与謝野大臣が非常に不満に思っていらっしゃいますが、サラ金と一緒にやり出すとか、もうけの方法はいろいろ考えられましたでしょう。当時は竹中さんが金融担当大臣でしたからよく覚えておりますけれども、金融再生プログラムで大銀行が不良債権処理一気にやれと、その処理費用が大変だと、だから西川さん、業務純益一兆円プランを立てて頑張られたわけですね。その結果こういうことが起きたわけですよ。  私申し上げたいのは、経営手腕というのはそれだけではないでしょう。コンプライアンスはどうなるんですか、コンプライアンスを守ると、それも重要な経営手腕の一つじゃないんですか、必須条件じゃないんですか。それがないということが明らかになった方が、何で経営手腕あるから引き続き頑張ってほしいって、そんな話になるんですか。  竹中さん言われているコンプライアンスとかガバナンスとか経営手腕というのは一体何だったんですか。
  172. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 御指摘のように、私、金融担当大臣させていただいていますときに、正にコンプライアンスの重要性というのを非常に強く打ち出させていただきました。まず、金融庁にコンプライアンス室をつくったのも私でありましたし、金融再生プログラムの中、そのものの中にガバナンスの強化、コンプライアンス等々を含めてそれを実行に移していただいたわけでございます。その意味でも、先ほど申し上げましたように、代表的な銀行が優越的地位の濫用の事案でこのような行政処分を受けたということは大変遺憾であるというふうに思っております。  今、その行政処分に基づいて、そして金融庁からの指示に基づいて三井住友銀行の方で真摯な対応をしておられると思います。私としても当然、西川氏は当時の経営者であったわけでございますから、この同行の、三井住友銀行の諸問題に対応して、真摯に対応をしていただきたいというふうに思っております。
  173. 大門実紀史

    大門実紀史君 私の質問に答えられないんですか。経営手腕というのはそういうものですかとずばりお聞きしたんですけれども、どうしてそういうこと、逃げられるのかな、きちっと答えてほしいんですよね。  もう時間が今日のところはなくなりましたので、今日はこれぐらいにしておきますけれども、私は引き続き機会あるごとに西川さんの辞任は求めていきたいというふうに思っております。被害者の方々のことを考えると、このまま済ますわけにいかないと思っております。  本題に入る時間がありませんで、資料だけお配りしてしまいましたけれども、次回やりたいというふうに思います。  ありがとうございました。
  174. 又市征治

    又市征治君 社民党の又市です。  まず、一番冒頭に、安倍官房長官に一つお伺いしておきたいと思います。  小泉総理が四月十五日に千葉七区の選挙の応援においでになりまして、コンビニで薬が買えるようになった、これも規制改革だと大聴衆の前で演説をされたということです。約三億円掛けたと、こう言われる政府広報が出されておるわけでありますけれども、これですね、竹中さんは竹中さんでも竹中直人さんでありまして、ここに載っています。  で、問題は、これがネタでやられているんですが、薬害被害者団体から抗議を受けて、厚生労働省も、これは国民誤解を与えるということで、三月の下旬にこれは内閣府に注意をされて、内閣府は撤回をしたと、こう言われているはずですが、ですから四月の十三日、小泉さんが演説される二日前、参議院厚生労働委員会で川崎大臣も実は謝罪をされたんですね。医薬品は専門家による対面販売というのが不可欠だ、参議院で薬事法改正を審議しているさなかに、これに全く逆行する内容で総理が規制改革万能論をぶっている。これは単なる連絡ミスでは済まされないんじゃないのか。一体、だれの、どっちの言っていることが正しいことなのか。  そういう意味で、事実経過と内閣の見解を明確にして、国民に謝罪をいただきたいと思います。
  175. 安倍晋三

    国務大臣安倍晋三君) 御指摘の政府広報につきましては、まず事実関係を申し上げます。  構造改革の事例の一つとして、従来、医薬品であったもののうち安全上特に問題がないとされたものを医薬部外品としてコンビニで購入することができるようにした平成十六年の規制改革の措置について紹介をしたものでございます。本件政府広報自体は過去に既に実施した規制改革の事例にかかわるものであるが、表現ぶりにおいて薬害被害者の方々への配慮に欠ける部分があったと考えております。私といたしましても、事務当局に対し、政府広報において誤解のおそれの少ない適切な表現を用いるよう改めて指示を行ったところでございます。  御指摘の政府広報におけるコンビニで薬の一部が買えるという表現は、平成十六年の規制改革の措置を広報の表現として短い言葉で分かりやすく伝えようとしたものというふうに承知をしておりますが、誤解のないように私も指示をしたところでございます。  総理の演説については、私自身その場におりませんでしたので全文を承知をしているわけじゃございませんし、また確認をしたわけではございませんが、演説の表現として分かりやすく述べられたものではないかというふうに思っております。  なお、医薬品の適正使用に関する啓発については、参議院厚生労働委員会での御指摘も踏まえ、政府広報としてしっかりと国民皆様に正しく御理解していただけるように対応していく方針でございます。
  176. 又市征治

    又市征治君 事前に通告してあるわけで、総理が何と言ったか知りませんっていう話じゃないじゃないですか。川崎大臣総理が言ったことと全然食い違ってるじゃないですか。だから問題にしてるんですよ。それも、川崎大臣が謝罪をした二日後にやってるから、このことをずっと通告して言っているわけであって、そういう答弁というのはないんじゃないですか。  正に、そういう意味で、何か規制改革何でもよしと、これだって極めて問題ですよ。コンビニで夜中でも薬の一部が買えるんだと。一体、薬事法、何議論してるんですか、今。衆議院に回りましたけども、やってる最中です、参議院で。こういうむちゃくちゃな、何だろうと選挙に勝たんがためにやったんだろうけども、こういうくだらない話っていうのはないですよ。ちゃんとやっぱりきちっと注意してもらわなきゃ困ります。謝罪も何もないじゃないですか。こういう、やはり、これ三億円も掛けたんでしょう。こういうむちゃくちゃな、何でもやりゃいいというものじゃないですよ。このことだけ指摘して、本題の方に入ります。  中馬さんにお伺いしますが、今日、日本は世界に例を見ない少子高齢社会の進展過程ということです。だから、多くの国民は、年金や医療や介護などの社会保障、あるいは福祉や教育、公共交通などなどの面で、だれもがどこに住んでおっても人間らしい暮らしができる社会的なセーフティーネットというものを、これは政治に求めているわけですね。しかし、提案されている行革推進法案は、こうした国民の安全、安心のために公共サービス在り方を見直すというんではなくて、簡素で効率的な政府、すなわち国や地方自治体のサービスを減らす、あるいは民間に肩代わりをさせるということに主眼があるように思えてなりません。  そこで、この行革推進法案は五つの柱がありますけれども、そのうちの政策金融機関が融資する資金の回収、特別会計の活用、そして資産売却というのは、これは元々政府の持っている資産、資金の付け替えだけですね。また、独立行政法人も、法人化や非公務員化等によって支出を間接化するだけということになるんだろうと思うんです。これらは直ちにそういう意味では財政支出の削減とは言い難い、こんなふうに私は思います。  そこで、削減のメーンは公務員の削減、国家公務員五年で五%削減することということになるわけですが、これで一体国の財政支出がどのぐらい削減されるんですか。数値でお聞かせいただきたいと思うんです。
  177. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) この法案におきましては、総人件費改革以外にも、今御指摘ありましたように、経費節減に結び付く施策や目標、これを明記いたしております。例えば特別会計改革、これは……
  178. 又市征治

    又市征治君 いや、それは分かってますからいいんです。だから、人件費の分でどれだけ減るんですかとお聞きしているんです。
  179. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 人件費の分でいいますと、人件費の分だけでいいますと、五年間で五%純減でございますから、それにそうした国家公務員人件費八・六兆円の五%、これが縮減する効果ということに一応は言えることかと思います。また、地方におきましても五年間で四・六%以上の人件費の純減を目指して定員管理を行うこととしておりますから、地方の方の人件費二十八・五兆円、これも約四・六%、この分が減ることになります。
  180. 又市征治

    又市征治君 私は国家公務員のところをお聞きしたので、これ随分とでたらめな数字並んでるんですね。郵政関係が何でここに入ってくるんです。去年もしょっちゅう議論をして、郵政全く国の財政と関係ないじゃないか、こう言っているのに、郵政まで含めて八兆何ぼ。全然数字が違うじゃないですか。郵政職員のやつは二兆四千二百億ね、何で関係あるんです。それから、さっき申し上げたように、独法の問題、七千億などが入っているわけですが、これ全然付け替えだけじゃないですか。何も減っていかない。どうしてそれでそういう数字になってまいります。そうすると、国家公務員の問題でいうならば、これは年間逆算してみますと二千五百億円程度と、こういう数字になるんだろうと思うんですね。  こういうむちゃくちゃな、国民に何だろうと、減らせる減らせる減らせると、郵政職員なんて全然関係ないことまで、何でこんなむちゃくちゃな宣伝するんですかね。本当に分からぬことをなさる。  そこで次に、これとの比較の問題で防衛庁長官にちょっとお伺いをしてまいりますが、四月二十三日、額賀長官はラムズフェルド・アメリカ国防長官との会談なさり、そしてまた五月一日に麻生さんと一緒に2プラス2の会談においでになりました。いろいろと本当は伺いたいことがありますが、時間の制約がありますから、今日は米軍再編に係る経費の面に絞らしていただきたいと思います。  まず、報道されているように、在沖縄米海兵隊のグアム移転経費総額百二億七千万ドル、うち日本側が五九%に当たる六十億九千万ドル、約七千億円を負担をすることで合意をされたと。うち直接の財政支出二十八億ドルと政府の出資金十五億ドルを合わせた約四千九百五十億、まあ五千億と言った方がいいかもしれませんね、が政府負担で、ほかに国際協力銀行などの融資が十七億九千万ドル。これで大筋間違いないんですか。
  181. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えいたします。  大体間違いがありません。
  182. 又市征治

    又市征治君 大体というのは、これは中がまだ詰めてないということの意味なんでしょうが、総枠では、実際NHKのテレビでもおっしゃっていましたから、そういうことだと思います。  これは、移転費用は何年間で支払う約束で、また国会にいつこの費用の内訳を含めて承認をお求めになるつもりですか。
  183. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、今度の米軍再編をめぐる同盟関係の在り方について、最大の焦点は負担をどういうふうに軽減をするかということでございました。特に、米軍基地が集中しております沖縄の負担をどうするかということでございました。その中で、海兵隊八千人、家族入れて九千人、合わせて一万七千人をグアムに移転をする、これは、沖縄県知事も高い評価をしているというふうにコメントしておりますように、県民にとっては悲願のことでございました。  したがって、我々も全国的な立場から、これは応分の負担をしてもいいのではないかということで考えさしていただいたわけでございまして、その結果、先ほど委員がおっしゃるように百二・七億ドル、総枠の枠組み。その中で我が国はどれくらい負担をするのかということについて、六十・九億ドル、これは財政支出及び融資合わせてでございます。しかし、財政支出の直接的なことは二十八億ドルを上限としております。今後、これは日本がいろいろ住宅を造ったりなんかしていくことでございますから、コスト削減もできます。一方で、出資の十五億ドル、あるいはまた融資十七億ドル余りでありますが、これは結果的に日本に返ってくるお金でございます。  ですから、分担金は確かに五九%でありますけれども、実質的な負担というのは、これはもう半分以下でございます。それで沖縄の海兵隊の負担が半分近く減るということは、これは県民の皆さん方にも喜んでもらえるし、日本全体から考えても、まあ国民の皆さん方に納得していただけるんではないかというふうに思っております。  これで、詳細については今後更に積み上げて、きっちりと精査をした上で皆さん方に御説明をし、また御理解を得る努力を早急にしたいというふうに思っております。
  184. 又市征治

    又市征治君 国会にいつかけるのかと聞いたんです。
  185. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 国会については、まだこれから地元の皆さん方にも説明をし、政府としてもきっちりと閣議決定をするなどオーソライズしていかなければなりませんので、もう少し時間をかしていただきたいというふうに思います。
  186. 又市征治

    又市征治君 それじゃ、もう一つお伺いしますが、沖縄の負担軽減と、こういうふうにおっしゃったんですが、国内移転の中に、辺野古崎への滑走路二本のほかに六百メートルの空母用大型バースの軍港を造る計画が含まれているというふうに沖縄現地では報道されていることがあるんですが、これは事実ですか。
  187. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) よくそういうふうに誤った報道がなされたり宣伝がなされているわけでございますけれども、そういうことはありません。現在の普天間基地におきましても、ヘリコプターとかそういう燃料供給のために油送管があります。それと同じように桟橋を造って、ヘリの燃料補給用として桟橋を造るということでございます。
  188. 又市征治

    又市征治君 そういう空母用大型バースを造る計画はないということですね、確認をしておきたいと思います。  そこで、外務大臣、外からお帰りいただいたようでありますが、ちょっとこの負担の問題について外務大臣という立場からお伺いをいたします。  アメリカの軍事戦略の一環としてアメリカ領土であるグアムに米軍や家族の施設まで造るのに日本が五九%も負担をする、こういうのはもう前代未聞だろうと、私はそう思うんです。政府は沖縄の負担軽減、今防衛庁長官もおっしゃいましたが、じゃ逆にお聞きをしたいんだが、韓国からは日本以上に多くの米軍が撤退をするわけですけれども、韓国はその移転費用を一体幾ら負担をするというふうにお聞きになっているのか、これはまず一つ外務大臣にお伺いしておきたい。  と同時に、私はこの間の報道を見ておって、本当にアメリカの要求は理不尽極まりないと、こう言わざるを得ぬと思うんです。結局、この六十億九千万ドル、これの了解をしたものだから、途端に今度はアメリカは行け行けどんどんで、ローレス国防副次官が二十六日に、海兵隊のグアム移転経費に日本国内の米軍再編施設整備費を加えた日本側の負担が二百六十億ドル、約三兆円になると記者会見で公表した。安倍官房長官は、途方もない金額だと、こう即座におっしゃった。そもそも、アメリカの戦略で米軍再編を行うのに、仮にこれが三兆円のものが二兆円であろうが一兆円であろうが、こんな巨額の負担をするいわれは全くないんじゃないのか。当然、この問題について2プラス2でお話しになったんだろうと思うんですが。  もう一つ加えて、韓国の問題さっきお聞きしましたが、今回の世界的な米軍再編でこんな財政負担をする国がほかにあるのかどうか。あなた方が提案されておるこの行革法案など吹き飛んでしまうような巨額の負担であって、行革法案の趣旨や歳出削減に全く逆行する、こう言わざるを得ぬと思うんですが、これは本当は外務大臣に言っていいかどうか、だけど交渉に行ってこられたから、国民に納得いける説明があるとすればしていただきたい。
  189. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 在韓米軍の再配置の件に御質問がありましたけれども、これは韓国政府側の竜山という、竜の山と書く、竜山という基地の話だろうと存じますけれども、この費用は負担すると承知をいたしております。  ただ、そのいわゆる再配置をする具体的な内容がまだ詰まっていないと聞いておりますので、したがって、日本と同様にその内容はきちんと詰まっておりませんので、いわゆるマスタープランというんですか、総合計画というのはまだでき上がっておりませんので、それを踏まえて算出する必要があろうと思いますので、私ども確認したわけではありませんけれどもまだ確定しているはずはないと思っておりますんで、幾らかという御質問に対しましては、これはちょっとまだ現段階では分かっておりません。それでよろしいですか。
  190. 又市征治

    又市征治君 まあ、国民に納得いく説明があったらしてほしいと言ったんですが、それは説明がないようですから、余り納得いかないんでしょうね。  私は、これ見ておって、聞いておって、本当にアメリカにまるで言われっ放しじゃないですか。ラムズフェルドさんが、日本ほどの経済大国の防衛費がGDPの一%というのは低過ぎると、これ防衛庁長官におっしゃったんですね、これ。我が国の国是さえ踏みにじるようなこんな発言をされている。だから、米国の第五十一番目の州以下ではないのかという、こういうやゆさえも国内で出るような、こういうことなんじゃないですか。日本は、GDPの一%以内だというのは国是としてきたんでしょう。  それに、こんなことを言われて次々と、さあ沖縄の海兵隊の移転、グアムへ行くのにも出しましょう、いや実は六千二百億円余り毎年、米軍の言ってみれば駐留経費に支払っています、更にそれらを含めてこの後三兆円もと。まあ三兆円というのは、久間さんもさすがにそんな話は決めていないと。NHKのテレビではこれを除いて二兆円も行かないと、こういうお話ですけれども、しかしこれはグアムのも含んだら二兆円超える数字のことを逆におっしゃっているんだろうけれども、そういうふうに言われているんじゃないですか。少しこのことについては答弁本当は求めたいけれども時間がないから、財務大臣に幾つかお答えいただくことがありますから、財務大臣にお聞きをいたします。  一体全体この三兆円という数字、もしなってきた場合に、いや、これが二兆円でもいいですよ、中期防などの既定支出を削って防衛庁の予算から支出をすることになるのか、それとも別枠の予算付けを行おうということになっていくのか、簡単にお答えください。
  191. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) まだこの移転費用がどれだけのものになるのかよく分かりません。私どもは当然のことながら一つ一つきちっと精査していかなければいけないと思っておりますので、現時点ではそれ以上踏み込んだお答えは遠慮させていただきます。  そこで、今上乗せするのかどうかと、中期防から見て。上乗せするという意味は、現在の中期防の上にそのまま移転費用を乗っけると、こういう意味であるならば、現下の財政事情は厳しゅうございますから、やはりそのままぽんと上乗せするということではいけないんじゃないかと。やはりその辺をきちっと見ていかなければいけないと考えております。
  192. 又市征治

    又市征治君 もう一つ財務大臣にお伺いしますが、少しでも負担を小さくしようということなんでしょうが、グアム移転経費のうち十七億九千万ドル、約二千六十億円ですかね、国際協力銀行などからの融資をされる予定だと、こうお聞きをしますが、もしそうだとすると、これ国際協力銀行のどの条文を根拠に融資ができるのか。しかも、今回提出の行革推進法案の第十二条では、新しい金融機関に統合される国際協力銀行の在り方、業務を三つに限定していますけれども、グアム移転経費の融資などというのはそのどれにも該当しないということになるわけで、行革推進法にも違反するんではないかと、こう思うんですが、その点どうでしょう。
  193. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 時間が来ておりますから、端的にお答えください。
  194. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今回のグアム移転費用に出資、融資等々が含まれているのはそのとおりでございますが、どういう形でやるかはこれから詰めなければなりませんので、今委員のお問い掛けにお答えすることは差し控えさせていただきます。
  195. 又市征治

    又市征治君 もうちょっと本当は突っ込んでお聞きをしておきたかったんですが、中馬さんにも一つは宿題、次に残りましたが、次のときにやりたいと思います。  終わります。
  196. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 国民新党の亀井でございますが、今日も真摯な議論が続けられておる中、最後になりましたけれども、教育問題を中心に何点かお尋ねしたいと思います。  公務員の総人件費改革というのが非常に大きな課題になっておりますけれども、その中でも教育は特に大きなウエートを占めておるわけでございますけれども、教育は正に国家百年の大計であり、国の未来への投資として米百俵の精神を尊重しなければならないと思います。文部省関係についても、これは具体的な数字は出ておりませんけれども、生徒の自然減に見合う数を上回る数の純減をさせるための必要な措置を講ずるというふうにされておるわけでございますが、こういう状況ですと教育はどうなるんだろうかということを非常に心配するわけであります。自然減に見合う数を上回るというと、一人でも上回るんですが、どういうことになるのかということで非常に心配なわけでございますし、それは私だけではなしに国民みんなが心配している問題だと思うわけでございますが、特に教育関係については、教育は大事だと、大臣の皆さん方おっしゃるわけでございますけれども、教育については特別な配慮をされるお考えがあるのかどうか、行革担当大臣財務大臣文部科学大臣にそれぞれにお尋ねしたいと思います。
  197. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 委員おっしゃるように教育は国の基本でございますし、今後の一つの子供を育てていく、人間をつくっていく上でも大事なことでございます。  そのことはもちろんでございますが、少子化社会でございますし、人口も昨年から減少を始めております。減少社会に入りまして、そういう中にありまして、今回の総人件費改革は、簡素で効率的な政府を実現し、政府規模を大胆に縮減する、いわゆる公的部門全体で取り組んでいく課題でございます。ですから、もちろん大事なことは分かっていますが、どの部門だけを例外ということではなくて、全体でひとつこれに取り組んでいこうということでございます。このため、公立学校の教職員その他の職員につきましても、児童生徒の減少に見合う数を上回る純減を確保することとしているところでございます。なお、その際、公立学校における教育の質の低下をもたらさないよう配慮しつつ純減努力を進めることがもちろん必要であると認識いたしております。  今後は、熱意ある優れた教職員を確保して、教育の質の向上を図ることが重要であると考えております。数もでございますが、やはり質であると思っております。
  198. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 文科大臣から御答弁があると存じますが、財政当局としてお答えいたしますと、今後国際競争は一層激しくなるというふうに私どもも思っておりまして、そういう中で、今後の国づくりあるいは魅力ある日本をどうつくっていくかということを考えますと、資源の乏しい日本は結局最後求めるものは人材であると、こういうことになるのではないかと。その人づくりのための教育の役割というのは大変大事だと私どもも思っているわけでございます。  そこで、こういう考え方の下で、これまでも教員の定数につき毎年度改善増を立てまして、給与についても一律に優遇措置を講ずるというような配慮をしてきたわけでございます。この結果、小中学校の生徒一人当たりの公教育費支出は、平成元年から十五年間で、一人当たりで見ますと五一%増加しているということがございます。  そこで、私どもの視点からしますと、問題は、これだけ予算は増えているにもかかわらず、昨今は学力低下の懸念が高まるといった、教育をめぐる問題はむしろ深刻化しているんじゃないかと思われる節があるわけでございます。もちろん、こういった原因は家庭とか地域とか学校だけの問題とは言えない複雑な問題がございますけれども、少なくとも、これまでのように教師の数を確保すれば、あるいは教師の給与を優遇すれば、それで事足れりというのではどうも対応できなくなっているんじゃないかと。  教育の分野でも、スリム化すべきことはスリム化しながらも、同時に質をどうやって高めていくかという視点をもう少し重視すべきじゃないかと私どもは考えておりまして、こういう考え方の下で、総人件費改革の一環として定数と給与の在り方の見直しを行う一方で、十八年度予算においては、教育の質を高めるその第一歩として、学力、学校、教員、こういうものの客観的な評価を行おうということで、全国学力調査の実施であるとか学校評価であるとかあるいは教育評価システムの構築といった新たな施策を取り込んだということでございまして、行政のスリム化と教育の充実を両立させるというのは大変難しい、困難な課題ではございますが、私は現下の財政事情を見ますと避けて通れるものではないと、今のような質を高める努力というものを懸命に追求する必要があるんではないかと考えております。
  199. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 既に財務大臣からも御指摘がありましたように、資源の乏しい我が国におきましては人材の確保こそが国家存立の基盤として大変重要なことであると考えておりまして、御指摘のように、この法案によりますと自然減を上回る純減ということになっておりますけれども、そこには二つあるわけでございまして、標準法対象の教職員とそれ以外、その他の者ということになっておりまして、それを合わせたという形になっております。  教育の実施に当たっての根幹である標準法対象の教職員の数の純減につきましては、基本的には児童生徒の減少に伴う自然減ということとしておりまして、教育条件を悪化させないということが何よりも大切だと思っております。その点で、義務教育諸学校の九千人及び高等学校一万三千四百、合わせて二万二千四百人を二十二年度までの自然減として純減させるということにしておるわけでございますが、文部科学省としては教員の職務と責任の特殊性に十分配慮しつつ、教員の質の向上を図りつつ、あくまでも教育水準の維持向上という視点を忘れることなく行政改革に適切に対応してまいりたいと考えております。
  200. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 ありがとうございました。  三人の大臣から教育についての重要性いろいろとお話聞いたわけでございますけれども、非常に大きな課題でございますので、これから改革する中でも特に御配慮いただきたいと思うわけでありますが、特に現在、公立学校の教職員の数は九十八万四千、約百万人近くの先生がいるわけでございますけれども、しかし、これも三十人学級の要請が現実に強いわけでございますけれども、それに対して四十人学級という線を維持しながら加配していくという格好で、加配の先生も、五万四千人の加配をしてもらっているというのが今実態でございます。四十七都道府県の中で、東京都を除く四十六道府県では少人学級の特別加配もしておるわけですね。  そういう中で、特に私の地元の広島県では小学校、中学校の生徒を対象に、先立ちまして試験をやりまして、その結果を発表しておりますけれども、英数国の。そうすると面白いことに、広島市の子供の方が成績がいいはずなのに、そうじゃなくて、私の郷里のような山の奥の学校の子供の方が平均点が高いんですね。ということはどういうことかというと、山の奥の方は結果的に少人数学級になっているんですね。広島市の方は丸々四十人ということでございますから、これはここからもやはり少人数学級がやはり大事なんだなということが言えるわけでございますから、そういう意味では、どうしても三十人学級を目指して頑張っていかなきゃいけないというふうに思うわけでございます。  そういう意味では、現在四十人学級を前提にしていろいろと議論がされておるわけでございますし、学力の低下も問題になっておりますね。OECDの四十一か国の調査、十五歳を調査したところが、御存じのように二〇〇〇年には数学が一番だったのが二〇〇三には六番になっている。そしてまた、読解力については八番だったのが十四番になっているということで、現実に学力が低下してきておって大きな問題でございますから、どうしても生徒数が減ってくる、私の広島では三割前後減るわけでございますけれども、そういう状況の中で何とかして三十人学級を実現していくべきだと私は思うわけでございますけれども、各大臣の先ほどのお話、教育を大事にしなきゃいかぬというお話でございましたけれども、三十人学級のあるいは少人数学級の実現についてどのようにお考えなのか、三大臣にお尋ねしたいと思います。
  201. 中馬弘毅

    国務大臣中馬弘毅君) 亀井委員の方から少人数の学級編制、これの効果についての一つの事例も御紹介いただきましたけれども、もう既に三十人学級、三十人以下の学級は小学校全体の五六・三%、もう半分以上が三十人学級になってしまっているんですね。そして、御承知だと思いますが、四十人学級という前提にしましても、四十一人になりましたら十五人学級と十六人学級に分けるわけでございまして、四十人学級ということは、平均しますならばこれはいわゆる三十人学級でございまして、そうした地方過疎地だけではなくて、私のような大阪の真ん中もドーナツ化現象、子供が少なくなったこともありまして、今本当に小人数の学級になってしまっております。  子供というのは、やはり社会生活もこれも大事でございまして、余り少数でございますと、何というか社会生活に触れる、いろんな多様な人との接触とかお友達の数も少なくなる。逆に父兄の方が心配して、こんなことじゃ本当に大変だと、もう少し増やしてくれというお声の方もまた私どもはいただいているわけでございまして、そういうことも踏まえまして、今後、先生の御指摘のこともございますけれども、ひとつ検討はしてまいりたいと思います。  ただ、言えることは、三十人学級にして、これ以上先生の数を増やして財政負担を大きくすることは、到底今の状況ではできないんじゃないかと思います。
  202. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 亀井委員が広島の実情から少人数学級に一定の教育的効果があるとおっしゃいました。私もそれはそうだろうというふうに思います。  ただ、実態を見ますと、今も中馬大臣から御答弁があったところでございますが、私のちょっと用意してきた数字を申し上げますと、これまで少子化によって生徒数は減っていく、しかし教員数の増員はやってきたということで、小学校の教師一人当たりの生徒数は十六・八人と、中学校では十三・八人となっておりまして、これは三十人学級を実現している諸外国と比較しても遜色のない水準のところまで来ていて、実態として教師の数は確保されているのじゃないかというふうに思っているわけでございます。  それから、今回基本的に生徒数の減に伴う削減でございますので、これまでの少人数教育の水準を劣化させるというわけではないということも御理解いただきたいと思っております。その上で、先ほど申し上げましたようなやはり数だけでは解決しない、質の問題があるんじゃないかということを申し上げたんですが、やはりそういった取組がこの分野でも必要じゃないかというふうに考えております。
  203. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 亀井委員から広島県の実例も引いて御指摘をいただきましたように、私どもも少人数教育ということに関しましては、昭和三十四年、第一次の定数改善を行って以来、五十人から四十五人、そして四十人へと今日まで推進をしてきているところでございます。  今後の学級編制等の在り方につきましては、学級編制の標準を全国一律に引き下げるのではなく、画一的な取組をするんではなくて、地域学校の実情に合わせて柔軟な取組が可能とするようなそういう仕組みをつくりつつ、これまで進めてきた少人数教育を一層充実させることが効果的であろうと、このように考えているところでございまして、こうした考えの下に、これまで計画的な教職員定数の改善を図りつつ、学級編制につきましても地域の実情に応じた弾力的な運用を可能としてきたところでございます。  この結果、平成十八年度では、一部の学年で実施しているものを含めまして、御指摘がございましたように、四十六道府県で四十人を下回る学級編制が行われているところでございまして、今後とも学級編制に係るナショナルスタンダードを維持しつつも、その上で地方の取組が進むように努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  204. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 ありがとうございました。  ただ、今文科大臣がおっしゃったように、四十人学級にとらわれずにいろいろやっていこうということでいろいろ努力されているのも事実でございますけれども、やはり四十人学級というものがあれば大きな邪魔になるんですから、実態的には、教育の質を向上させるためには少人数教育も是非とも実現するようにやっていかなきゃいけないと思うわけでございますが。  それにつきまして文科大臣にお尋ねしたいんですけれども、今年も概算要求においては第八次の定数改善計画を策定されていろいろと努力されたんですけれども、結果的には財務大臣との事前協議によって策定しないということで、合理化による減少分三百二十九名分だけの増員が認められるということで今年は終わっておりますけれども。せっかくこれまで続けてずっとやってきたこの定数計画、ここでとんざするんではなしにやっていくことが国民の皆さん方にいろいろな安心感も与えるわけでございますから、是非続けてほしかったと思うんですけれども、どういう理由でこうなったのか、また今後どうされるのか、この点について、文科大臣にお尋ねしたいと思います。
  205. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 亀井委員におかれましては、教育に対して大変熱意を持ってお取り組みをいただいておりますことに感謝申し上げるわけでございますけれども、次期定数改善計画の策定、実施につきましては、御指摘のように、中央教育審議会の答申を踏まえまして、平成十八年度から五か年計画で第八次定数改善計画を策定する方針でございましたけれども、総人件費改革を進めるとの政府方針の下に財務大臣と協議をさせていただきまして、財務大臣おいででございますけれども、十八年度からの計画の策定は見送ると。しかしながら、一方で、今日的な教育課題への対応のために、教職員配置の見直しによりまして特別支援教育や食育の充実に必要な教職員定数の改善を図ることを認めていただいて、それを図ることとしたことでございます。  文部科学省といたしましては、今日的な教育課題への対応のために今後とも計画的に少人数教育の推進や特別支援教育の充実を図っていくことが必要であると考えておりまして、このために、総人件費改革に取り組みながらも今後の教職員定数の在り方についてどのような対応が可能かを含めまして、十九年度以降の予算編成過程において検討してまいりたいと考えております。何とぞ御理解のほどよろしくお願いを申し上げます。
  206. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 ありがとうございました。  最後に一点だけお聞きしたいのは、三十人学級の問題いろいろとお尋ねしたんですけれども、五万四千人の今加配を入れて少人数学級なんかやっておられるわけでございますけれども、いずれも四十人学級を前提にして実態的には平均が十何人なんということになっておりますけれども、これを三十人学級に変えた場合にどのような数字になるのか知りたいと思いますので、四十人学級のままでいった場合に五年後、十年後にはどうなると、さらに、それに加えて、三十人学級にすれば五年後、十年後には何人ぐらいになるんだということですね。その辺の数字をちょっとお示し願いたいと思います。
  207. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 三十人学級につきましてのお尋ねでございますが、仮に小学校の一年生から中学校の三年生までを一律に三十人学級ということで実施をした場合、現時点の推計でございますけれども、増加の教職員定数は約十一万人必要であるというふうに見込まれております。そのための年間の所要額は、国、地方負担通じまして約八千億円というふうに見込まれているところでございます。  五年後、十年後に三十人学級を実施した場合の教職員の増加定数等につきましては、各学校ごとの児童生徒の在籍状況の推計がなかなか難しいところがございまして、現在その増加定数の推計を行っていないところでございます。  なお、先ほど申し上げましたように、仮に現時点で一斉に三十人学級を実施する場合には増加教職員定数が十一万人と見込まれるわけでございますけれども、既存の習熟度別少人数指導等のための加配定数約五万四千人を差し引きますと約五万六千人の定数増が必要になるということでございます。
  208. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 ありがとうございました。  今お話しのように、やはり三十人学級にすると先生の数がたくさん要るわけですが、質の向上ももちろん大事でございますけれども、やはり三十人学級を目指した格好を努力していかなきゃいけないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  あと、また人確法の問題についても聞きたいと思っておったんですが、時間がなくなりましたので、また時間もらってやりたいと思います。  今日はありがとうございました。
  209. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時五十八分散会