運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2006-04-26 第164回国会 参議院 行政改革に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月二十六日(水曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  四月二十四日     辞任         補欠選任      秋元  司君     北岡 秀二君      岩本  司君     若林 秀樹君      広田  一君     浅尾慶一郎君  四月二十五日     辞任         補欠選任      内藤 正光君     松井 孝治君      峰崎 直樹君     和田ひろ子君      山下 栄一君     山口那津男君  四月二十六日     辞任         補欠選任      大門実紀史君     吉川 春子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         尾辻 秀久君     理 事                 佐藤 昭郎君                 藤野 公孝君                 保坂 三蔵君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 直嶋 正行君                 風間  昶君     委 員                 大野つや子君                 加治屋義人君                 川口 順子君                 北岡 秀二君                 小池 正勝君                 関口 昌一君                 田浦  直君                 中川 雅治君                 二之湯 智君                 野村 哲郎君                 南野知惠子君                 浅尾慶一郎君                 加藤 敏幸君                 神本美恵子君                 主濱  了君                 鈴木  寛君                 松井 孝治君                 柳澤 光美君                 和田ひろ子君                 若林 秀樹君                 澤  雄二君                 浜田 昌良君                 山口那津男君                 大門実紀史君                 吉川 春子君                 近藤 正道君                 荒井 広幸君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     竹中 平蔵君        法務大臣     杉浦 正健君        外務大臣     麻生 太郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   小坂 憲次君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        農林水産大臣   中川 昭一君        経済産業大臣   二階 俊博君        国土交通大臣   北側 一雄君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        沓掛 哲男君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革))      中馬 弘毅君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策食品安        全))      松田 岩夫君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        ・男女共同参画        ))       猪口 邦子君    内閣官房長官        内閣官房長官  鈴木 政二君    副大臣        内閣府副大臣   山口 泰明君        防衛庁長官   木村 太郎君        外務大臣    金田 勝年君        財務大臣    赤羽 一嘉君        農林水産大臣  三浦 一水君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君        農林水産大臣政        務官       小斉平敏文君         ─────        会計検査院長   大塚 宗春君         ─────    政府特別補佐人        人事院総裁    谷  公士君        内閣法制局長官  阪田 雅裕君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       千代 幹也君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局特殊法人        等改革推進室長  大藤 俊行君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公務員制        度等改革推進室        長        上田 紘士君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公益法人        制度改革推進室        長        中藤  泉君        人事院事務総局        職員福祉局長   吉田 耕三君        内閣府市場化テ        スト推進室長   河  幹夫君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君        総務省行政管理        局長       藤井 昭夫君        総務省統計局長  衞藤 英達君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君        財務省主計局次        長        松元  崇君        財務省理財局長  牧野 治郎君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       松本 義幸君        厚生労働省職業        安定局長     鈴木 直和君        厚生労働省政策        統括官      塩田 幸雄君        社会保険庁運営        部長       青柳 親房君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        経済産業大臣官        房審議官     西川 泰藏君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○簡素で効率的な政府を実現するための行政改革  の推進に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○公益社団法人及び公益財団法人認定等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及  び公益社団法人及び公益財団法人認定等に関  する法律施行に伴う関係法律整備等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○競争導入による公共サービス改革に関する  法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいまから行政改革に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、秋元司君、岩本司君、広田一君、山下栄一君、峰崎直樹君及び内藤正光君が委員辞任され、その補欠として北岡秀二君、若林秀樹君、浅尾慶一郎君、山口那津男君、和田ひろ子君及び松井孝治君が選任されました。     ─────────────
  3. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案外四案の審査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  5. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律案一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人認定等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び競争導入による公共サービス改革に関する法律案、以上五案を一括して議題といたします。  五案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 北岡秀二

    北岡秀二君 おはようございます。自由民主党の北岡秀二でございます。  改革なくして発展なしと、ちょうど五年前の四月の二十六日、小泉総理政権が誕生したわけでございます。ちょうど今日で満五年、戦後の内閣としては佐藤内閣吉田内閣に続いて三番目の長期政権。この五年、総理自身、今日まで五年間の政権振り返って、どういうふうに今日までの政権運営評価をされておられるか。そしてまた、残り任期、九月に総理を退かれるという表明を潔くされていらっしゃいますが、残り任期課題総理自身どういうふうに取られて、その辺り決意を、残り任期決意をまずお伺いをしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
  7. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今日で総理就任してから五年が経過したわけでありますが、私は、毎日毎日、総理大臣就任してからは、総理大臣の職責というものをいかに果たしていくかと、全力投球してきたつもりであります。気が付いてみたら五年が経過したのかなと、率直に申し上げますとそういう気持ちであります。その間、与党始め国会皆さん方から御批判もいただきながら、また激励もいただき、多くの国民から御支持もいただいて、今日まで精一杯やってまいりました。  就任時は景気が停滞して、総理が辞めなきゃ何やっても駄目だと、一番の景気回復策総理大臣が、小泉が辞めることだと、いろいろ国会でも御批判をいただきました。しかし、今振り返ってみますと、当時は経済実質成長率マイナスだった、たしか〇・八%ぐらいだったですかね、昨年度の実績はプラス二・七%に回復しております。大きな課題であった不良債権処理の問題、金融機関不良債権処理の問題も、これは両方から批判が出ました。小泉の進めているような不良債権策を進めたらますます企業倒産は増える、失業者は増えていく。逆に、遅過ぎるんじゃないかと。倒産を恐れず、一時的な失業者増大しても、将来を考えればもっと早くやれと、両方から批判を受けました。  しかし、結果的に、今振り返りますと、不良債権処理目標を達成して八%台から現在は、四%台に目標をしてたんですけれども、二%台に減ってきました。そして、経済にも企業にもやる気が見えてきている。業績も向上して税収も上がってまいりました。失業者増えるどころか、一時期はピークは五・五%ぐらい行っていたんじゃないでしょうか、このままいくと二けたになるぞと言われましたけれども、最近は四・一%ぐらいまで失業者も減って就業者が増えてまいりました。求人数も増えてきています。まだミスマッチはあります。ある業種では人手が足りないというところも出てきている。しかしながら一方では、まだまだ職を求めても就職できない方々もたくさんおられる。このミスマッチをどうやって改善していくかというのも課題であります。  しかしながら、最近ようやく、駄目だ駄目だという悲観論から、日本経済というのは底堅いんじゃないかと、やればできるという意欲も出てきました。世界経済もかなり上向き、好調が続くという状況でありますので、この変化状況をとらえて、日本も遅れないように更にこの明るい兆しを本物にしていくのが私のこれからの課題であり、特に今後は、日本としては経済活性化も大事ですが、同時に、世界的な関心事である地球温暖化環境保護も大事です。就任以来、環境保護経済発展を両立させる、これが最重要課題一つであると目標を掲げてまいりましたし、特にこのかぎを握るのは科学技術だと。ほとんどの予算を前年度以下、マイナスにする中で、科学技術関係予算は増やしております。  増えているところは社会保障関係費科学技術関係費だけであるということから考えましても、今後、困っている方に対する最低限の保障というのはどの程度が必要かという社会保障制度の、将来の高齢化社会少子化社会を視野に入れたしっかりとしたセーフティーネットといいますか社会保障制度の構築と、それと、これから環境保護経済発展を両立させるためには科学技術、これは人材です。科学技術技術だけじゃありません、技術を担当する人材の育成ですね。こういう点に十分配慮しながら、世界変化といいますか時代変化に対応できるような体制を構築していく、これが課題であり、改革に終わりはないと思っております。
  8. 北岡秀二

    北岡秀二君 今総理おっしゃいましたとおり、就任のときには、我が国状況を考えてみますと、高度成長期が長く続き、最後はバブル経済が崩壊して、大変な行き詰まり状況の中で総理就任された。今お話がございましたとおり、大きくその行き詰まり方向転換をしたという観点に関しましては多くの国民皆さん方小泉政権を素直に評価をされていらっしゃるだろうと、私も同感でございます。  ただ、この小泉改革の流れの中でよく言われます光と影、最近では格差問題というのがいろんな、今国会でもかなり取り上げられておりますし、いろんな場面場面でこの格差問題の話がございます。  もう一点、これは私は申し上げるつもりはございませんが、改革の後、果たして日本をどうするんだと、大きなビジョンがないじゃないかというような批判もございます。しかし、私は、先ほど申し上げましたとおり、この五年間でこの行き詰まりの脱却を果たしたということで、総理自身、私は大変に立派な功績を残したというふうに評価をさしていただいておきます。  今申し上げました格差について、いろいろな立場からのお話がございますが、総理自身、今まで今国会答弁されていらっしゃいますが、格差についての認識、どういうふうな認識をされていらっしゃるのか、改めてこの場でお伺いを申し上げたいと思います。
  9. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 格差というのは、どの時代でもどの国にもあると思っております。かつては悪平等という批判もかなり言われました。努力しても努力しなくても同じだと、これは悪平等じゃないかと。努力が報われる社会というのは与野党共通しているんじゃないですか、努力を報われる社会にしようというのは。ということは、努力している人、能力のある人、意欲のある人、これには相当の報酬なりあるいは評価なりがされるべきだと。これを好ましくないと言う人は少ないんじゃないでしょうか。  どの時代においてもどの国においてもありますけれども、日本はアメリカに比べてもその格差は少ないと思います。あるいは、例えば社長の給料新入社員給料を比べても、民主主義社会発展している先進国の中においても日本はその差が少ない国であります。逆に、社会主義社会、一党独裁の中国よりも格差が少ないと思っています。  そういうことを考えますとね、格差というのは何を言っているのかという、その見直しといいますかね、どの辺の格差がいけないのかという議論もこれから必要だと思います。そして、そういう中で、能力のある方には大いに頑張ってもらおうと。  あるいは、最近は、日本教育の面を取っても、ある程度能力のある人についてはどんどん更にその能力を伸ばすことができるような教育体制をつくることが必要ではないか。得手不得手がそれぞれありますから、得意な分野を伸ばす。あるいは、どうしても追い付いていけない人に対しては、その追い付いていけないように、追い付いていけない場合には分かりやすく教育する。ある程度、それぞれの能力差を考えて、伸ばす面と、伸びにくい面はどうやって手当てしていくかという両面の対策が必要だと。これはスポーツ選手についても言えます。オリンピック選手に対しては、才能教育といいますかね、どんどんどんどん能力のある面を訓練する場が必要じゃないか。教育の面についても言えるんじゃないかと思います。  私は、そういうことから、どんどんどんどん能力のある方が伸びるチャンスを持てる社会、そして一面だけで評価しないことが大事だと思います。学校成績がいいというのがその人の全人間的な評価を決めるものじゃありません。学校成績が悪くても、それ以外の分野ではすばらしい能力を発揮する方がいるわけです。そういう点については、一面だけで評価しないと、様々な持ち味があると、人によっては。人のそれぞれの持ち味多様性、個性を生かしていくような場を提供する、そして頑張っている人は評価する、成功者ということに対してねたんだり足を引っ張ることなく、むしろそういう人に頑張ってもらうと、そういうような環境なり精神的な意識の持ち方も必要ではないかと思っています。  同時に、どうしても一人では立ち行けない人に対しては、やっぱり能力のある人が支え合っていく、助け合っていく、そういう状況が必要ではないか。明治時代ですかね、私、この言葉好きなんですけれども、「友の憂いに我は泣き、我が喜びに友は舞う」、友達の悩み、憂いについては同じように憂うと、しかし自分の喜びに対して友達は喜んでくれるという、これはお互いが助け合って、支え合っていく生き方だと思いますね。  「友の憂いに我は泣き、我が喜びに友は舞う」、これは、やっぱり他人の意欲業績に対しては拍手を送る、成功者にもっと頑張ってくれという拍手を送る、しかしながら、どうしてもやっていけない、苦境に陥った人に対しては手を差し伸べていく。これは、個人においても企業においても国においても政府においても、必要なことではないかなと思っております。
  10. 北岡秀二

    北岡秀二君 おっしゃるとおり、高度成長期の当時の行き詰まり、汗を流した者が報われるという部分がかなり欠けていて、政治の大きな目的というのは汗を流した人が報われる社会を実現するというのも一つの大きな私は目標だろうと思いますし、それと同時に、セーフティーネットをどう構築していくかということも大事な案件でございます。  今の話で私はちょっともう一点話をしていただきたかったんですが、格差で問題になっている部分というのはいろいろございます。個人間の格差の話あるいは業種間の格差の話、それともう一つ、私はここで話題にしたいのは地域間の格差、特に大都市地方格差。今、日本の国の経済回復をしてきた、非常に順調にいっておるという話もございますが、まだ田舎の方、地方においては経済は冷え切ったまま、大変厳しい現実がございます。  私は、この構造改革に伴う特に大都市地方格差地域間格差大変心配をいたしております。と申しますのは、状況が、まあ現状認識というのが私は大事だろうと思うんですが、かつての高度成長期あるいは今日に至るまでは、ややもすると、一つの見方からすると、我が国社会の中にあっては地方に特に手厚く補助措置をしてきた、措置をしてきた、私はここが大きな原因、問題になっておるだろうと思うんです。  例えば、一つの指標をお話をさしていただくと、これ平成十四年度の数字でございますが、総務省から出しておる資料を分析してみますと、都道府県別の一人当たり行政投資額、この辺り数字を拝見をさせていただいておりましても、一番、一人当たり行政投資額、国、地方合わせてなんですが、多いところが島根県の六十四万円、一番最低が埼玉県の約十七万円ですね。全国平均が約二十八万円。で、島根県から続いて鳥取県、高知県、石川県、北海道と。後れておる地域、私どもの四国もそうですが、中心にかなり大きな行政投資をなされてきた。  もう一つ、この数字だけを見させていただくと、問題なのは、全国標準より多く行政投資がなされておる県が、この年の統計では三十一県。三十一県にまたがる県が全国平均よりも多く行政投資をいただいておると。その裏には、私は、少ないからいい、多いから悪いという問題を申し上げるつもりではなく、ここの問題は、過去の日本社会を見てみると、高度成長期、営々と地方大都市圏人材を供給し続けてきた。そしてまた、なおかつ一次産業、農業、林業、漁業中心として田舎の独壇場であった一次産業が外国からの輸入攻勢等々含めて衰退をしてきた。それに伴って、関連なんですが、環境保全をしなければならない。そういった経済的にも自立が非常に難しい等々の蓄積ですね、その辺りで最終的に今申し上げました地方に手厚くと。これ、別の言葉を換えると、地方経済自体公共投資に基づいて経済が成り立っておるというのが今日に至るまでの現状だっただろうと思うんです。  それがここへ来て財政再建行政改革等々で、その経済を成り立たしている根本のところの命綱である財政状態カットカットカットで非常にやりにくくなってきておると。私は、ここが大きな問題だろうと思うんです。日本国自体都市国家の集積の一つ国家であれば、別に私は何も問題がないだろうと思うんです。ただ、今日に至るまでの歴史的な経過の中で、地方自身がそういう一つ成立過程現状として迎えておる状況の中で、これからこの改革が更に進んでいく過程の中で、今まで政府答弁では勝ち組負け組は固定させないというような答弁もございました。しかし、地方にあっては、私はもろもろの環境を考えてみると、負け組が固定される、負け組として固定される可能性がなきにしもあらずと、その辺り状況大変心配しております。  そういう観点からいうと、何とかその地方に対して、私は昔に返れということを申し上げるつもりは一切ございません。新たな何らかの経済振興策、一次産業をどうするか、そしてまた、なおかつ過疎対策をどうするか、新規の対策をしなければ大変なことになるような感じをいたしております。  ここで竹中大臣、こういう状況地方を総括する担当大臣として、この辺り状況認識、どういうふうにされていらっしゃるのか、答弁をいただきたいと思います。
  11. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員御指摘のように、経済が全体として良い方向に向かっている中で、いろいろばらつきがあるというのは、これはもう全くそのとおりであると思います。よくその意味では都市地方ということが言われるわけでありますが、実は、やはり丹念に見ますと都市の間でもいろいろばらつきがございますし、また地方地域においてもいろいろばらつきがある。また、委員は徳島、私は和歌山でございますけれども、その県の中でも、市の中でもいろいろばらつきがある。これは景気回復過程ではやはりこれまでもある程度避けられない、避けられずに出てきているという面もあると思います。また、私は、その意味では経済全体が良くなる中で、この効果を地域に、そして中小企業にしっかりと波及させていくということが我々のやはり大変重要な責務であると思っております。  同時に、より深いといいますか、構造的な問題として、委員が御指摘になられましたように、やはり現実問題として、これまで非常に大きく公共投資に依存をしてきた地域が多々あったと。それが御承知のような財政の状況下で公共投資に依存することができなくなる中で、新たな地域発展の姿を描いていかなければいけないという、そういう責任、我々は負っていると思います。  地方財政を担当する立場で申し上げますと、だからこそ地方でできることを地方でやっていただいて、地域の創意工夫を発揮していただいて、その活力あるそれぞれの個性ある地域をつくっていただきたいというふうに考えるわけでございます。三位一体改革もそういう理念の下に行われたわけでございますが、この問題はやはり非常に総合的に包括的に解決をしていかなければいけない問題であると思っております。特区を活用していただく、地域再生プログラムもその意味で作らせていただいた。今そういう新しい取組が非常ないろんな形で始まっているところだと承知をしておりますので、地方財政の立場からも、是非そういうものが後押しできるような、自律的な活力ある仕組みを是非作っていきたいと思っております。  今、私の下で地方分権二十一世紀ビジョンの懇談会を開いておりますけれども、その下ではやはり地域間には資源の賦存状況に差異があると。つまり、国際空港に近いという利点があるところもあれば、そうでないところもあるわけですから、その資源の賦存状況の違いというのはしっかりと踏まえた上で構造的なやはり議論をしていこうということにしておりますので、地方が自助自立できる仕組み、個性が発揮できる仕組みを総合的に包括的に是非更に進めていきたいというふうに思っております。
  12. 北岡秀二

    北岡秀二君 私、このこと大変大事な問題だろうと思います。  総理、どういう御見解をお持ちか、改めてお伺いを申し上げたいと思います。
  13. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 高度成長のときには、見積りの予算の税収よりも、それ以上の税収が出てきたわけですね、高度成長のときには。ですから、様々な要望に対して、財政的にも分配といいますかね、減らすことなく全部増やすことができたわけですよ。  しかし、現在の財政状況を考えますと、むしろ財政的に逼迫していると、もう借金に頼らざるを得ないという状況だと、様々な要望に対して増やすことはできない。もし増やすところあるんだったらば、必ず減らすところがないとますます借金に依存せざるを得ないという状況時代変化もあります。  また、地方に対する配慮で交付税、地方でなかなか税源もない、財源もないというところに対して、むしろ都会の税収というものを地方に回すという交付税の措置があります。これも、都会に住んでいる方々は、自分たちの税金は地方に使われているじゃないかと、行き過ぎだという批判がこの近年出てきております。  特に、公共事業等について具体的な例を挙げますと、道路一つ取っても、それほど車のないところでも立派な道路ができているじゃないかと。それは、地方にとってみれば、すいすいすいすい渋滞もなく、高速道路ができればみんな歓迎します。しかも、地方は一切税負担しなくていいというんですから、どんどんどんどん造ってくれと。地方の住民もトップも、地方団体の首長、知事も、自分たちの税負担にならないんならどんどん造ってくれと言うのは当然です。  こういう時代じゃなくなったんじゃないかということがありますから、この交付税の在り方も、今までの財政基準を基にした交付税の配分がいいのか、これもやっぱり今後見直す点がどこかと検討しなきゃならない課題だと思います。  財政の豊かなところから地方に回すということである地方交付税が、ほとんどの地方公共団体に交付税を配分していると。不交付団体、交付税をもらっていない団体はごくわずか。名古屋が今、景気が活況がいいというのに名古屋市も交付税もらっているというんですから。こういう今の基準というものは、本当にいいのかどうかという見直しする必要もある。  また、地方がやっぱり地方の特色を出してもらうと。財源がなくても、財源が国からもらうというんじゃ、地方独自の努力がそれぞれ違うのに、意欲というもの、創意工夫というのが、その意欲がなくなってくるんじゃないか。やっぱり財政がなくても努力して、意欲があって何とかやりくりしながら特色を出している地域もあると。その意欲を駆り立てるような方法はないものかと。一流の田舎というものをつくりたいと、都会と同じである必要はないと、田舎という言葉は決して悪いことではないんだと。都会にない良さ、この田舎を一流の田舎にしていこうという発想が出てくるということはむしろいいことじゃないかと。  いずれにしても、地方がどのように今後活性化していくということは国民全体の観点から見れば望ましいことでありますので、全国に格差の広がらないような対応策は今後も十分考えていかなきゃならない問題だと思っております。
  14. 北岡秀二

    北岡秀二君 先ほども申し上げましたとおり、今の状況からすると、私は大都市地方格差の問題一つ取ってみても、もう昔に返るわけには当然いかないだろうと思います。  ですから、財政的にどうだこうだという問題もさることながら、先ほど申し上げましたとおり、昔から日本は二割の地域に八割の人口が住み、八割の地域に二割の人口がいるというようなことをよく言われておりますが、大半の地方にとってこれからどうするかという観点で、当然努力はしなければならないだろうと思うんですが、国として新たな産業振興策、新たな切り口からの地方対策というのは当然必要になってくるだろうと思いますので、その辺りは今後の課題として改めて要望を申し上げたいと思います。  時間が大分経過してまいりました。本論に入りたいと思います。  行革法案についてでございますが、現在の国の財政環境を考えてみますと、簡素で効率的な政府の実現は不可欠であり、国の発展を考える上でも大変重要な問題だろうと思います。政策金融改革、政策銀行の改革をしようと、独立行政法人の見直し、特別会計の改革、総人件費改革、資産・債務改革、五本柱から成る法案は小泉改革の総仕上げとして大変大事な法案だろうと思います。  ただ、最近、マスコミによく報道されておられますとおり、将来この国のありようにかかわる重要な法案であるにもかかわらず、国民の関心がいま一つであると。なかなかその辺り、この重要な法案を今審議しておるにもかかわらず、なかなかその辺りの関心が向いてない。行革の関心は元々あるんでしょうけど、理解されてないというのも一つの今の現実でございます。今日はもうテレビ中継もございます。是非とも、そういう面では分かりやすくいろんな立場で国民に説明をいただきたいと思うんです。  この行革法案に関して、効率性を追求する余り、行政サービスの低下や国民の暮らしや安全が脅かされるようなことがないか、懸念する声もございます。そこで、改めて、小泉内閣の総仕上げとしては、何を目的として簡素で効率的な政府を目指し、なぜ構造改革に取り組まなければならないのか。また、行革法案の理念と内容についてお教えいただきたいのと、また、この法案の成立により、歳出削減を含めた効果をどういうふうに期待をしておるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  15. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 政治で一番大事なことは、個人でも企業でも地方でも、それぞれの特色なり特徴なり持ち味があります、その自らの能力というものを、持ち味というものをいかに発揮しやすいような環境をつくるかということだと思います。創意工夫をそれぞれしたものがそれなりの成果を上げるという環境を整備すること、政府が余計な干渉をしないこと、手足を縛るようなかせをはめないこと、そういう観点から、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にというこの方針の下に、今、行財政改革を進めていく、それの一つの基本方針を示したのが今回の行政改革推進法案であります。  簡素で効率的な政府をつくる、いわゆる、この仕事は本当に国がやらなきゃならない仕事なのか、役所がしなきゃいけないのか、公務員じゃなきゃできないのか、よく見直していかなきゃならない。いわゆる事業仕分といいますかね。どこまで国がやる必要があるのか、これは民間に任せた方がいいんじゃないか、地方に任せた方がいいんじゃないか、これを仕分けていく。そういうことによって、役所がやる仕事を民間にやってもらえれば公務員も減らすことができます。公務員は国民の税金によって支えられている。この数が減れば、その分民間にやってもらえれば税負担も少なくて済む。役所がどんな大事な仕事をしたって税金は納めないけれども、民間が同じような仕事をして利益を上げてくれば必ず税金を納めてくれる。そういう観点から、民間でできることは民間にと。  そして、地方の特色を出そうと。今、地方自体が、地方のことは地方が一番分かっているんだと、国があれこれ言わなくても地方にもっと自由裁量権を与えてくれと。あるいは、権限をそれぞれの役所が持つよりも地方に渡してくれという声が強いわけでもあります。  そういう点をよく見直しながら、民間にできること、地方にできることということを今国がやっている仕事の中で見直して移譲していこうというのがこの行革の基本方針であります。  ということは、今の仕事で、役所がやらなくても公務員がやらなくても民間で地方でできるということは、今の政府が小さくなるということであります、役人の数を減らすことができるということであります。役所の仕事を減らすことができる、その分、民間、地方に任せていくということは、比較の問題でありますけれども、今よりも小さな政府ができるんじゃないか、公務員を減らすことができるんじゃないか、役所の仕事を減らすことができるんじゃないか、こういう方針の下に今回のそれぞれの法案、具体的に進めていきたいと思っております。
  16. 北岡秀二

    北岡秀二君 それと、あと基本論で一、二点お伺いしたいんですが、当初の閣議決定の段階では小さくて効率的な政府というようなタイトルで話を進めていらっしゃったようでございますが、途中から法律作成の段階で、まあ簡素で効率的な政府に題名を変更したと。  小さなという看板を外したことについて何か意味があるのか、官房長官の方からちょっと御答弁をいただいたらと思います。
  17. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 小さく効率的な政府、そしてまた簡素で効率的な政府両方とも言わば目指すところは同じでございまして、同じ意味があると、このように考えております。  要は、先ほど総理答弁されましたように、もう既に政府がやる必要がなくなっているものについては民間にやっていただく、また、よく精査をしていけば民間がやった方がいいものは民間がやっていく、あるいはまた、地方がやった方がより効率的また地域の皆さんにとってもいいことであれば地方にお願いをしていく、さらには、しっかりと効率性がちゃんと上がっているのかどうか見直しをし、サービスの質が落ちないようにしながら、例えばそれに要する人員をまた予算を減らしていくという効率化を図っていくと。  こうした方向を目指すことによって政府の規模を大胆に縮減をしていくという目標においては、これは、小さな効率的な政府とそして簡素で効率的な政府は同じ意味を持っているわけでありますが、しかし小さな政府という解釈の中には、例えば社会保障の面において、給付も減らし、あるいはそれとともにこれは負担も減らしていく、これは軽負担軽給付、給付と負担をそれぞれ公的な役割から外に出していこうということをしているのではないかという、そういう誤解を生む可能性はあるんだろうというふうに我々は考え、そういう誤解を生まない、総理始め我々が目指している方向が誤解されないように、より意味がよく伝わるように簡素で効率的な政府という言葉を使うということに決定をさせていただいた次第であります。
  18. 北岡秀二

    北岡秀二君 先ほど申し上げました今後の五本柱、五つの改革のスケジュール、担当大臣、どういうふうになっておるのか、お伺いをしたいと思います。
  19. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 今回のこの改革は、今総理が非常に分かりやすく御説明いただきましたとおり、今までの日本のかなり官に頼っておった、あるいは法律に縛られた形のこの枠組みから、もうそれぞれが自立した形で、その代わり責任持ってやっていただく、この形に今変えているところでございます。  今大きくは、官業の民営化、国鉄から始まりまして、この間は最大の、残った最大の郵政事業までも民営化の方に行きました。そのほか教育改革とかあるいは医療改革、これもどんどんと進めております。それが全体が今回の改革ではございますが、今回こうして御審議いただいています法案は、この今おっしゃいました五つのところにかなり絞られた形で残った改革ということが言えるかもしれません。  そのことを御質問でございますから、説明しておきますと、政策金融改革につきましては、貸出し残高のGDP比を半減する、民業補完の原則を徹底した機能の限定、そして八つの機関、政府金融機関が商工中金とかありましたが、この八つの機関の統廃合や完全民営化などを内容とする抜本的改革を行いまして、平成二十年度から新体制に移行すると、このように決めております。そして、これに向けた詳細な制度設計、これまた別にやることになりますけれども、成案を得るとともに関連法案の国会提出時期については結論を得ると、このようにいたしております。  また、特別会計改革につきましては、今後五年間において特別会計の数を現行の二分の一から三分の一程度に大幅に削減するほか、合計二十兆円程度の財政健全化への貢献を目指す、このようにいたしております。しかし、既に十八年度予算において、特別会計剰余金等ですが、これを合計十三・八兆円活用することにいたしております。  また、資産・負債の改革につきましても、行政改革推進法の施行後一年以内をめどとして法制上の措置をすることといたしております。  総人件費改革につきましては、今後五年間において国家公務員数を五%以上純減することを目標といたしております。そして、これも遅くとも六月ごろまでには政府の方針をはっきりと決定することにいたしております。  独立行政法人改革でございますが、これにつきましては、中期目標の終了の都度行う仕組みとなっておりますが、十八年度の見直しにつきましては、国の歳出削減を図る見地から、今年の夏を目途に政府として基本的な考え方を取りまとめることを通じて見直しを行うことといたしております。  資産・債務改革については、今年度中に改革の具体的な工程表を作成するということといたしております。  こうしたこの五つのほかに、市場化テストとかあるいは公益法人改革等も一緒に御審議をいただいている次第でございます。
  20. 北岡秀二

    北岡秀二君 次に、各論の質疑をさせていただきたいと思います。  今お話がございました公務員の純減についてでございます。  もう行革というと、まず一番最初にどなたもが思うのは公務員の数を減らせというようなことだろうと思うんですが、今お話にございましたとおり、国家公務員の五%以上五年以内に純減をさせると。五%というと約一万七千人以上と。この一万七千人が多いか少ないかというような議論もあるだろうと思うんですが、そしてまた、なおかつ地方公務員においては四・六%以上の純減を要請というような内容のようでございますが、今申し上げました一万七千人、多いか少ないかという問題はさることながら、現実問題としてこの一万七千人を削っていくというのは大変な作業になっていくだろうと思います。  今までも既にいろんな報道で批評されておりますが、既に各省庁との水面下の交渉では大変な抵抗があって、ゼロ回答であるとか、その辺りの交渉、大変難航をしておるというような話が既に出ておりますが、遅くとも六月ごろまでに五%以上の具体的な内容を盛り込んだ政府方針を決定予定というような話も私は聞いておりますが、今の削減に対する協議状況、どういうふうな状況になっておるのか、お伺いをしたいと思います。
  21. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) この五年間で五%、全体の公務員数を減らしていくということでございますが、自衛隊とかそれぞれの中で、それに準じた形で減らしていただきたいということは申し上げておりますが、今お話がありました国家公務員、狭い意味での国家公務員に限定しますと三十三万人、これの五%ということになってまいります。  今お話がありましたように、これは行政減量・効率化有識者会議、有識者の方々にお願いをいたしましてその知見を活用しつつ、六月ごろまでに政府の方針を決定すると、こういうことにいたしておりまして、今それぞれの役所と、各省庁と集中的にヒアリングを実施しまして、そして中間取りまとめをこの間発表させていただきました。  まだまだ自分たちの仕事の中身はこれまで大事なんだといったような一つの誇りとかあるいはまたプライドもありましょう。お役所もなかなか一つの、次にぽっとそれが数字が出てくるわけじゃありませんが、大体御協力をいただいておりまして、そしてまた、何といいましょうか、余った方々といいましょうか、余剰人員の方々の処理にしましては、これは雇用調整本部というのをつくることといたしました。そこに預けていただいたら結構だということの前提で各省庁とも御協力いただける形になってまいりました。  六月までには私は各省庁の御協力の下にこれがはっきりと数字が確定できるものだと、このように認識いたしております。
  22. 北岡秀二

    北岡秀二君 私は、もう是非とも五%以上、もう本当に国民の期待から申し上げるともっともっと減らしてほしいというようなお気持ちもあるだろうと思います。是非とも強力にやっていただきたいと思うんですが、先ほど申し上げておりますとおり、この実現一つ取ってみても大変強力な内閣からのリーダーシップ、総理のリーダーシップ、必要になってくるだろうと思います。  あわせて、当然、必要のない事業には大幅な純減を図り、切り込んでいくと。そしてまた、なおかつ、最近特に言われております治安状況を含め安全、安心にかかわること、そしてまた、なおかつ、先ほど総理もおっしゃられましたが、科学技術分野、こういったところには逆に減らすでなく増やしていかなければならないところもあるだろうと思いますし、そういう観点から、めり張りを付けた思い切ったその辺りの断行というのが必要でしょう。  総理の改めてこの人員削減に対する決意、お願いを申し上げたいと思います。
  23. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 大体役所というのは、自分の仕事が減らされたり人員削減されたりするのは抵抗するものです。自分の仕事は必要だからあるんだと、人員もその仕事をするためにあるんだと、全部必要だというのは最初は言ってくるんですよ、ぎりぎりになるまでは。その言うこと聞いていたんじゃ何にも改革できない、今までの例からして。時間を見ているんです。  そのどこが、民間に任せることができるじゃないかと、あるいは増やさなきゃならないじゃないかというのを今、中馬担当大臣中心にして、民間の有識者も交えて、どの程度削減する必要あるかということをやっておりますが、まだ時間があると思って、いい回答役所はしてきません。しかし、最後は時間が来れば、あっちの役所はどうだろうか、こっちの役所はどうだろうか、様子見しているんです。自分が最初にやっちゃったら、あとほかの場所、おまえ何でやったんだとしかられかねないという、そういう意識があるんですね、役所には。  だから、その辺をよく見ながら増やすところは増やします。例えば警察官にしても、あるいは不法外国人滞在者が増えて、減らすと、あるいはテロの関係の外人をまず水際で止めるためには入管の人員なんていうのを増やさなきゃならない、そういうところは増やします。同時に、警察官の中でも、これは本当に民間でもできるんじゃないかというところは民間に任せてもいいんじゃないか。刑務所の管理面においても、どうしても法的な公務、公務員じゃなきゃできない部分と民間でもできる部分があります。それを今仕分しているわけです。  だから、増やすべきところは増やしますが、減らされるところはどのぐらい減らされるかというと、一律五%じゃありませんから、ある役所においては一〇%、二〇%減らさなきゃならないと、全体で増やすところあるんですから、五%になりません。そこで、減らされる可能性あるところは、今様子見している状態です。  その辺は今、中馬大臣にしっかり頑張ってもらって、最後はみんな言うことを聞かなければ、それは私が出ざるを得ないんですけれども、できるだけ私の出番をなくしてくれと言っているんです、その辺はね。余り何でもかんでも私に仕事を押し付けないでくれと、独裁と言われると、私は独裁者じゃないんだからと。その辺は大臣が指導力を発揮して、役所をしっかり把握して説得するのが大臣の仕事じゃないかと、何でもかんでも私に持ってこないでくれということを大臣に指示しているところでございます。
  24. 北岡秀二

    北岡秀二君 あと大臣在任四か月少々でございますので、思い残すことなく精一杯、私は活動していただきたいと思います。  このことの、人員削減に関連して二点、ちょっと関連でお伺いしたいんですが、今の話に相反することになるかも分かりませんが、まず地方公務員の四・六%の削減要請ということなんですが、流れが国から地方へ、ややもすると、これ頭だけで考えてみると、地方の業務がどんどんどんどん増えていくんじゃなかろうかと。増えていくにもかかわらず、四・六%の削減をしなければならないという相矛盾した二つの問題がございます。  私は、これは進めるに当たって国としてしっかりとした考え方を持っていなかったら間違いが起こるように感じるんです。この辺りの所見を、どういう考え方をお持ちで推進をしていくかというのを一点お伺いしたいのと、もう一つ、独立行政法人、これは人員削減ということじゃなくて五%の人件費削減ということをうたっておられますが、これもこだわって申し上げますが、科学技術分野、ライフサイエンスとか素材とか、これはもう中馬大臣にお伺いしたいんですが、こういうところに関しては、第三次科学技術基本計画ということで大幅な研究開発投資をするということを既に決定されておりますが、素材分野や海洋・宇宙開発、ライフサイエンス開発、その辺りのところに、独立行政法人として人的資源の部分で、この人件費カットというのは、いろんな意味で大きな支障を来すように感じるんですが、独立行政法人の五%人件費削減ということに関連して、こういった分野に関してどういう考え方で臨まれるのか、併せてお伺いしたいと思います。
  25. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 地方公務員の方でございますが、これは中央から地方に直接命令するという形はちょっと取りにくいものでございますから、五%という中央の値に近い、地方の方はこれまで四・六%、五年間に四・六%は減らしております。その実績を下回らない範囲で全体の枠組みの中に入ってほしいということで、今要請書を出し、またそのことを規定したわけでございます。  これにつきましても、いろいろと手段としまして、市場化テストとかいろいろな、あるいはIT化の進展、こういったことでかなりの十分に努力をしてもらうと思いますし、また各集中改革プランということで各自治体が出してきておりますのは、もう既にこの四・六を上回る数字がほとんど出てきております。そういうことから、これは実現可能だと思っております。  それから、今お話がありました科学技術分野、こういったところではこれから大事なんだから余り人を減らすべきじゃないんじゃないかということでございますが、一応ここでは聖域を設けることなく改革を進めるということとしておりますから、これも一つはお願いはいたしておりますが、研究者までもどんどんと減らせということではなくて、その周辺部分といいましょうか、補助的な部門、そういったものでも民間に渡せるものがある、あるいはまた委託できるものがあるという、そういったことを十分に御配慮して、特に独立行政法人でございますから、そういうところの自由度が利くわけですね。高給で研究者を雇ってくることもできるし、また外注することもできる。いわゆる公務員じゃなくなっておりますから、そういったこともどんどんと大いにそれの実情に応じて改革を進めてほしいというのが今回の願いでもございます。  民間との人材交流や、また独立行政法人制度を活用した柔軟な組織運営によって研究の質の向上を図っていただきたい、これが私どもの願いでもございます。
  26. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 総務大臣からも手が挙がっておりますが、答えてもらいますか。竹中総務大臣
  27. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 地方公務員の人件費に関して、既に中馬大臣、一部御答弁してくださっておられますが、基本的には、委員御指摘のとおり、国から地方にと、業務も責任も地方に持ってもらおうという中で更にこれまで以上に人件費を削れというのは、これは大変厳しいことだと思います。しかし一方で、住民の皆さん、民間はもっともっと厳しくやっているんだから、やっぱり公務員もっと頑張ってくれという非常に強い目がある、厳しい目があるということも事実だと思います。そういう観点から、過去五年の四・六%マイナスというのを更に上回るようにということで要請をしたわけでございます。結果的に、先般、四十二都道府県と十二政令都市につきましてその数値目標を示してもらったんですが、五・三%ということで、四・六%を上回ると、それを上回る真摯な取組がなされつつあるというふうに考えております。  引き続き、しっかりとそうした点についての要請をしていきたいというふうに思っています。
  28. 北岡秀二

    北岡秀二君 時間が大分経過してまいりましたので、あと一点だけお伺いしたいと思います。  特別会計の改革についてでございます。  もう本当に、私どももそうでございますが、国民の皆さんにとりましても特別会計、非常に分かりづらいと。そしてまた、何というか、マスコミでいろいろ取り上げられる部分の中に、無駄な施設や、あるいは最近では無駄な施設も立ち行かないから投売りをしたとか、いろいろございます。  特別会計は、特定の歳入を特定の事業に充てることにより、当該収支を区分整理し事業目的や収支を明確させるとともに、当該事業の推進と政策目的に実現、貢献してきたということでございますが、確かにそれぞれの分野で大変な貢献をしてきた経過もあるだろうと思いますし、特に私は、批判もございますが道路特会、全国の道路網の整備、特定財源で大変貢献をしてきたし、これからも必要とされている分野もあるだろうと思います、見解の違いはあるかも分かりませんが。  ただ、先ほど申し上げましたとおり、特別会計は国民に分かりにくく、十分な説明責任を果たしていないのではないか、あるいは繰越しなど、金余りや多額の剰余金が発生している特別会計が多く、一般会計に吸収すべきではないかとか、あるいは特別会計から湯水のごとく公益法人に補助金を流し官の聖域となっているのではないか。マスコミ等は特別会計より一般会計の方を重視して報道しておる分、国民の関心がいま一つ向かなかった、高まらなかったところもあっていろいろな不都合も起こってきたんじゃなかろうかと。そしてまたこの改革に関して、取りあえず数だけ削減して、事業効率化につながらないのではないかという声もございます。  大きな目標として今後、特別会計がどのように変わっていくのか、そしてまたそれを分かりやすく説明していただきたいとともに、五年間で二十兆円といった数字の根拠、今後のスケジュールについてお伺い、最後にしたいと思います。
  29. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、日本の国の会計は、一般会計、これは一つですが、そのほかに特別会計と言われるものが三十一ございます。それで、一般会計の規模は八十兆円、大体八十兆円弱でございますが、特別会計全部合わせますと、その間にやりくりありますから純計をいたしますと大体二百五十兆円の半ば、これが一般会計、特別会計三十一足した総額になるわけですね。  それで、先ほど委員がおっしゃいましたように、元々特別会計というのは、ある特定の歳入がありましたときに特別の目的に使おうということで、負担と給付といいますか、出と入りのその全体をよく分かりやすいようにして説明責任を高めるためにあったわけですが、三十一もありますと委員がおっしゃいましたように全体がよく見渡せない。それで、その見渡せない中には随分目が届かないものがあって、その一定の歳入があることをいいことに無駄な事業が行われているんじゃないかとか、あるいは本来国民の同じ財布であるにもかかわらず、お金が滞留しておって有効に使われていないんじゃないか、無駄に使われているんじゃないか、たまっているんじゃないかと、こういうような御批判がございました。  そこで、今いろいろそこを検討、一つ一つ見ていきまして、三十一あるものをこれを大体二分の一から三分の一ぐらいに圧縮していこうと。戦後一番多い時期は四十年代の初めごろだったと思いますが、四十五ぐらい特別会計がありましたけれども、今三十一あるのを二分の一から三分の一に圧縮していくということになりますと、明治以来一番小さい数、少ない数に圧縮して、不必要なものはもう一般会計に統合するなり、あるいは民間にできるものは民間なり、独立行政法人にできるものは独立行政法人にと、こういうふうにしていこうとしております。  それからさらに、先ほどおっしゃったように、お金が滞留して無駄に使われているんじゃないかというようなことがございますので、ここから二十兆円大体めどに財政再建に役立てようと。今年は一年目でございますが、ざっと見まして、ざっとというのは言葉は悪うございますが、よく点検をいたしまして、今年できるものは十三・八兆財政再建に役立てようと、既に今年の予算の中で措置をしております。そうするとあと残り六・二兆ございまして、この六・二兆は、実はこれからの努力をしなければこの六・二兆はできないわけでございますが、一つ一つきちっと見て、徹底的に無駄を省いてこの六・二兆をきちっと財政再建に役立てていこうと、こういう考えで臨んでおります。  今後のスケジュールでございますが、この今度の行政改革の法案では大きな方針を書き入れました。来年度に向けて、じゃこの特会はどうしていくかというようなことを整理しまして、特別会計の改革法案を来年度に提出する、こういう目標で今作業を進めているところでございます。
  30. 北岡秀二

    北岡秀二君 市場化テストの問題やその他、ほか聞きたかったんですが、私に与えられた時間もう参りましたので、とにかくこの行革関連法案、大事な法案でございますので、私ども協力をさしていただきますが、是非とも毅然たる態度で今後内閣としては臨んでいただけるようにお願いを申し上げまして、後、関連、川口委員がやらしていただきますが、取りあえず私の質問は終わらしていただきます。ありがとうございました。
  31. 川口順子

    ○川口順子君 自由民主党の川口順子でございます。よろしくお願いをいたします。  まず、小泉総理あるいは小泉内閣が今まで行ってきた改革評価ということでございますけれども、先ほどこれについては小泉総理北岡委員の御質問に答えられて、非常に丁寧にお答えをいただきましたので、それについて触れるのはこの際やめたいと思いますけれども、私として更に付け加えて申し上げたいのは、国際的に日本の行っている評価がきちんと認識をされてきている、されているということであるかと思います。  このことによって、これは外国の新聞、雑誌等にも取り上げられておりますし、また私は、国際会議に行きましたときにも、そこに出てきている外国の閣僚あるいは有識者の方々から同じような評価を聞いております。日本は地球上にただ一つの国として存在をしているわけではなくて、国際社会の中で、特に競争が激しく行われているアジアの中にあって、その存在を主張し、国際競争力を国としても、そしてその中にある企業としても持っていかなければいけないということで、国際的にこのような評価があるということは、小泉内閣の今まで行ってきた評価改革についての大きな評価であると私は認識をいたしておりますし、それを引き続き御支援申し上げたいと思っております。  それで、今回の行政関連の五つの法案でございますけれど、そうした先ほど小泉総理がおっしゃったような一連の改革を踏まえて、ここに、この改革を行うことに総理としていかなる思いを込められているか。この五つの法案の今までの改革の路線における位置付け、これについて御意見、御所感を伺いたいと思っております。
  32. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国の役割というもの、これを見直すと。できるだけ行政を簡素で効率的なものにするということの中で国の役割ということについていえば、まず外交と防衛、安全保障、これは与野党を通じて、小泉政権批判する方々でも外交、防衛は国の役割であろうと、そう、見方する方が多いと思います。  そういう中でも、じゃ外交においてもODAと。これは日本の外交政策あるいは安全保障を考えても、今国際社会の中でも日本のODAというのは高い評価を得ています。特に、日本というのは軍事的な役割というものについては各国に比べて少ないと。しかしながら、経済の協力面においては日本独自のやり方というのが効果が出てきていると。日本の支援、協力については見習いたいという国が出てくるぐらい評価を受けておりますが、ただこれも増やせばいいというものじゃないだろうと。中身をよく検証することが必要だという面がありますので、そういう点につきましては見直しをこれからも続けていかなきゃならないと。  そういう中で、やっぱり内政の面におきましては、先ほど申し上げましたように国の役割と民間の役割、地方の役割ということを見直して、できるだけ外交、防衛以外の面において地方なり民間なりでその責任を担っていただくという分野については移譲をしていこうということでありますので、こういう点について国会の審議の中でも取り上げられておりますし、今後もこの法案の審議の中でもよく検証していただきまして、これからの、できるだけ簡素で効率的な、いわゆる小さな政府に向けて努力していこうという点については、私はかなりの部分で与野党を通じた協力体制ができるのではないかと。現に、民主党も全部反対しているわけじゃないんです。衆議院の審議におきましても最終的には賛成してくれる部分もかなりあったわけでありますので、よく与野党の意見を聞きながら対応していきたいと思っております。
  33. 川口順子

    ○川口順子君 先ほど格差の問題が議論されましたけれども、改革には痛みが付き物であるというふうに私も思います。と言うことは簡単なんですけれども、一つ一つ企業あるいは痛みを感じる一人一人の人間にとってみますと、これは大変に大きな問題であると思います。  特に、日本は、中小企業は数にして企業数の実に九九・七%もあるということでございますし、小規模企業ということでいいますと、ほぼ九〇%近い数の企業が小規模の企業であるということでございます。また、自営業者や農林水産業者といった方々にとっても、日ごろ、規模が小さいがゆえに、例えばその資金調達という面ではどうしても信用力がなくて困難なところが多いといったような問題があるかと思います。  国民に痛みについて理解を求めるということが必要であるわけですけれども、やはりその成果が出てきて、その成果をみんなで共有をして、そしてそれを納得感を持って受け入れるということが重要であると思いますし、これが改革ということでいいますと一番最初の原点であるかと思います。  そういった点について少し確認をさせていただきたいと思うんですけれども、農林水産業についての資金調達についても伺いたいと思いますけれども、こういった方々に対してのそれなりの配慮あるいは目配り、それがこの法案にきちんと盛り込まれている、織り込まれているということについて確認をさせていただきたいと思います。農水大臣にお願いします。
  34. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘のように、農林水産業というのは自然相手、生き物相手でございますから、まずその特性というものがどうしても非常に重要だというふうに考えております。そういう中で、期間が長いとか、あるいはまたリスクが、また違うリスクがあるといったところを十分に配慮しながら日本農林水産を守り発展をさせていくと。ただそのままあるだけではなくて、攻めの農業、攻めの水産業、攻めの林業という観点からこれからやっていく必要があるというふうに思っております。  そういう中で、政府金融機関におきましても、そういう観点でこれからきちっとやっていこうと。その特性と同時に、元々必要であるという観点から、例えば五十五年融資でありますとか二十年融資でありますとか十年融資でありますとか、とてもほかの中小企業とは違うジャンルでございますけれども、是非その辺をきちっと確保しながら、これからも農林水産行政をきちっと守っていきたいというふうに考えております。
  35. 川口順子

    ○川口順子君 二階大臣に中小企業について同じことをお伺いしたいと思います。
  36. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お答えします。  中小企業向けの金融機関は、ほとんど民間金融機関では相手にされなかったような人たちにも将来性等を見込んで大変親切に対応してこられたというのは、このたびの金融改革を通じていろんな調査、また私ども、商工会あるいは商工会議所の皆さんにお目に掛かる機会が多いわけでありますが、そうした皆さんから称賛の言葉をちょうだいすることがしばしばあります。  そこで、中小公庫と国民金融公庫が今日まで担ってきたその重要な役割を今後とも引き続きこの政府金融機関、新しく統合される政府金融機関においてその機能を引き継いでいけるようにしなければならないというのが私どもの思いであります。  先般、衆議院の委員会におきましても、そうした面に十分配慮せよという附帯決議をちょうだいをいたしておりますが、これから政府金融機関改革、これはもちろん閣議決定の方針に従ってきちんと対応していくことは当然でありますが、中小企業の方々に不安感を抱かせることのないように、そしてそれらの皆さんも改革してやっぱりよかったと、こう思っていただけるような改革に向けて、私どもは制度設計におき、十分配慮をしてまいりたいと考えております。
  37. 川口順子

    ○川口順子君 次に、改革のスピードについて総理にお伺いをいたしたいと思いますけれども、中国のハイアールのCEOが、改革というのは大変に急な坂道を大きな重い石を運び上げるのと同じだということを言ったのを読んだことがございます。この意味は、坂道急ですから止まったらば落ちてしまう、したがって改革においては止まるということは退歩と同じだ、後ろに下がることと同じだ、そういう意味であるかと思います。  私も民間企業に籍を置いたことがございますけれども、民間企業では、むしろ今は四半期を一年だと考えて、大きく変化する国際情勢や国際競争に負けないように非常なスピードで改革を行っているというふうに思います。改革についてはそのスピード感というのが私は大変に大事だと考えております。  この今度の改革については、かなりのものについていつまでにやるということがきちんと書き込まれていて、それを評価したいと思いますけれども、また同時にそうでないものも含まれていまして、例えば計画はいつまでに作る、だけれども、その計画の中身については、それはその計画に依存するというような作り方になっているところもあるかと思います。そういうことを踏まえまして、やはり改革をやっていくことが大事だということで、例えば公務員を減らすということで言いますと、カナダは十年間改革に、クレティエン政権の下で、首相の下で行いましたけれども、三年間で六万人の公務員を減らした。日本の場合は五年間で約一・七万人。例えば、国の規模の違いがあるということを勘案すると、更にその違いは大きいということでございますけれども。  総理に、改めてその改革のスピードについて、どのようにそのスピードの問題を考えていらっしゃるか。スピードを加速化させていく、スピードを維持していくことの重要性についての御認識をお伺いしたいと思います。
  38. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) よく民間に比べれば政府は遅いと言われますけれども、民間の企業政府とは一概に比較できないと思うんです。民間の企業は工業製品を作る企業、あるいは農林業に従事している企業、食品に従事している事業、それぞれ特定の分野でありますから、それに比べると、政府というのは全産業ですから。しかも、公務員となると身分が保障されています。生首なんというのは切ることできない。それはやっぱりある程度時間が必要であります。  しかも、この改革を進めるときでさえも両方批判が出たでしょう。遅い、遅いと。就任時は、何やっているんだと、一年たっても二年たってもちっとも進まないじゃないか、遅々として進まないという批判が出たかと思うと、しばらくしたら、改革は一気に進めるものではないと、拙速過ぎるなんという批判が出ている。両方批判が出るんですよ。  そういう中で、特に公務員というのは身分が保障されていますし、これからの減らすという点においてもある程度計画的に進めないと、単に法令だけではなくても、慣行があります。退職年齢を引き上げるときだって、急に三年、五年引き上げろといったって、一挙にはできないから時間が掛かるという面がありますので、スピード感は大事でありますけれども、できるだけ早く進めるということは大事だと思いますけれども、民間とは違うと。全産業に目配りをしていかなきゃならないという点もありますので、早く進めるということは大事でありますので、その点、全産業に目配りしながら。  そして、増やす方はいいです。しかし、減らされる場合、どこに、解雇はできないという場合に、じゃどの職場に配置転換するかという場合においても、ある程度慣れない仕事に就くためには訓練が必要です。研修が必要です。一挙に今日から明日、職場を変えろ、そんな強制的に言ったって、職員の立場に立てばある程度時間をかしてくださいと言うでしょう。研修も必要です。  ということからありますので、国会においても、五%五年間で減らすというのは、こんな無理なことをやるなという批判と、片っ方では三年間で二〇%減らせという、同じ政党の中でも、早過ぎる、遅過ぎるという両方批判を私は受けているんですから。だから、そういう点もありますので、よく考えながらスピード感を持ってやるのは大事だと思っております。
  39. 川口順子

    ○川口順子君 私も政府と民間と両方に籍を置いたことのある経験を持つ人間といたしまして、政府が民間の持たない、例えば説明責任を全国民にしていくとか、そういったことが重要であるということはよく認識をいたしております。認識をしているからこそ、総理がこの改革のスピードを維持していくためにリーダーシップを、引き続き総理がそれを持ち続けていただきたいと、そういう意味で御質問を申し上げたわけでございます。  それで、国民がどのようにこれを受け入れるかということでございますけれども、先ほど北岡委員からもお話がありましたが、必ずしもどういう考え方でやっているのか十分に見えないところがあるんじゃないかという感じが私もいたしております。  例えば、先ほど申し上げましたカナダの点、カナダの政権の場合に、財務省が歳出の削減のための査定のガイドラインを設けまして、これは先ほど総理答弁の中で一部そういう考え方を御披露なさいましたので、基本的には同じ考え方でやっているかと思いますけれども、カナダの場合には、公共の利益にかなっているか、政府が行うべきか、連邦政府と州政府のどちらが行うべきか、どの程度民間に任せられるか、より効率的にできるか、あえて支出する余裕があるかといったことで考えていて、それで歳出を削減したということでございます。  日本のこの行政改革のやり方も、基本的に考え方としてはそういう考え方にのっとってやっているということだと思います。ただ、申し上げたいのは、それが国民に分かりやすく見える、非常に分かりやすいということが大事であるということでございまして、この点は質問というよりは、むしろ、そのように分かりやすい言葉、分かりやすいやり方で進めていただくことが重要だと私としては考えておりますということを申し上げたいと思います。  それからもう一つ、少し具体的な議論に入っていきたいと思いますけれども、幾つかの、これから議論をされているということにつきまして、先ほど総理も創意工夫、そして意欲、これを大事にしていきたいということをおっしゃられましたけれども、私もそうだと思います。民間にはかなりいろいろな知恵があって、そして今後、公務員改革制度にいたしましても、あるいはその資産の管理にいたしましても、内容を詰めていくに当たって大いにそういった知恵を活用していただきたいという観点から少し申し上げたいと思います。  私が前に閣僚をしていたときの経験からいいますと、先のことを質問をいたしましても、それは検討しますということで大体終わってしまうというのが常であるかと思いますけれども、むしろ知恵をここで出してみんなで議論をするその種をまくという意味でいろいろ申し上げたいと思っております。  一つが政策金融の問題でございまして、これは、政府の持っている債権については証券化をしていくということが法律には書かれておりますけれども、私は、ひとつ是非御検討をいただきたいと思っておりますのが円借款の証券化という問題でございます。  これについてはそれなりのメリットがあると私は思っておりまして、例えば円借款を与えている国も幾つかございますけれども、その中で投資適格国、すなわち今市場の信用ランクでトリプルB以上の国、そういった国に向けての債権というのは、例えば私の調べたところでは、現在のところ約三兆円の金額があると思います。例えば国にしますと、タイですとかメキシコですとか、そういった国が入ってくるわけでございます。そういった国に加えて更に、例えば将来インドですとかインドネシアですとか、そういった国が投資適格国になると更に二、三兆円の金額が増えるかなというふうに思っております。  それで、すべて、民間企業にしても政府金融機関にしても証券化ということがうたわれているということの意味は、証券化をした時点でキャッシュを生むということでございますし、円借款の場合にはその資金を更に円借款の増額に使うことができるということでございます。例えばアフリカの国に向けて使うこともできるだろうと。そして、その資金を、政府の一般会計からの出資金も今ございますし、あるいは交付金もございますし、それから政府からの借入金もまあJBICはあるわけでございますけれども、そういった借入金の圧縮や削減に使うことができるという意味では財政の再建にも資する部分があるわけでございます。  そういったメリットがあるということでございますが、JBICの、旧輸出入銀行、これの貸出し債権、これについてはかなり前から証券化をされているというふうに承知をいたしております。これについて、いつごろから証券化がされて、どれぐらいの金融規模、これで行われているかということについてお伺いをしたいと思います。
  40. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 国際協力銀行の国際金融等勘定ですね、昔の輸銀のものでございますが、平成十六年三月にインドネシア政府向け債権を証券化したことがございまして、証券化対象債権の総額は約百三十九億円でございます。
  41. 川口順子

    ○川口順子君 今は旧輸出入銀行の国際金融勘定に当たる部分についての証券化でございますけれども、円借款の証券化について、これを、この可能性をどのようにお考えか、それから法律的に何か問題があるかどうかということを外務大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  42. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 円借款の証券金融化、興味深い御提案をいただいたと存じますけれども、これ円借款というのはODAの一環として行われている部分もありますんで、いわゆる先ほどの輸銀の分の通常のいわゆる金融資産とは背景、甚だしく異なっておるというのは、まず御存じのとおりだと存じます。  通常の商業ベースと全然異なるものでありまして、例えば私がもしその証券化されたものを買う立場になりましたときに、平均金利は幾ら来るかというと、今一%以下、〇・九八ぐらいだと思います。償還期限はいつかといったら三十二年二か月が今の状況でございますんで、三十二年間の金、〇・九八で買うだろうかという問題は、ちょっと正直、私自身として、今国債平均一・九から二ぐらいまで上がってきております今の状況の中を考えますと、更に金利が下がっていくという状況で、〇・一を切るほどのことになればともかく、なかなか今現状としては難しいんじゃないかなと思うものが現実問題として一つございます。  もう一点は、この部分は、いわゆる円借の場合はODAという要素をかなり多く含んでおりますので、証券化というのは具体的になかなか進み得るであろうかという点を疑問としては思いますけれども、今御提案として、余り考えたこともありませんでしたので、へえという感じが正直なところであります。
  43. 川口順子

    ○川口順子君 是非御検討をいただきたいと思いますけれども、今のことについて更に多少申し上げさせていただきたいと思うんですが、一般にマーケットではソブリン債については評価が高いということであるかと思います。タイ向けの円借款と、タイの政府が発行している債券に対しての投資が行われているということを考えると、一体そこがどれぐらい違うというふうに判断をするかどうかということであるかと思います。  それから、円借款の証券化は常にできるということでもないということですけれども、過去非常に金利が高かったということもございまして、今特に日本国内は低いですから、しかも全部の円借款の債権について行うわけではない。先ほど申しましたように、投資適格国向けの債権について行う。タイ、メキシコ辺りですと皆さん投資をなさると思います。現に、ゼロからスタートして考えれば三十年なりの長いことでありますけれども、今存在をしている債権、円借款の債権自体は既にずっと返済が行われて、残余期間はもっと短いわけですね。平均をして、私が調べたところでは平均残存期間は今十一年ということであると思います。  ですから、そういうことを考えたときに、先ほど大臣がおっしゃられたような条件で必ずしもない仕組みがつくれるし、証券の投資信託等でいろいろなバラエティーのある金融商品を必要としているような、組み込みたいというようなニーズもあるわけでございますから、機敏にそういったマーケットの状況を考えてできるときにするということではないかというふうに思いますが、これについてはこれ以上深入りしませんので、是非御検討をいただきたいというふうに思います。  いずれにしても、そういう創意工夫を今後の改革に生かしていくことが重要かというふうに思います。  また、もう一つ違う話でございますけれども、公務員の給与制度の改革でございます。  これについては公務員制度改革で行うというふうになっておりまして、能力評価導入ということが盛り込まれているわけでございます。そういったときに、ここでも重要なのが、例えば能力評価を行うといったときに、給与、賃金へどのように反映をしていくかということでございまして、それが、先ほどのスケジュールのお話もしましたけれども、必ずしも今この法律では明確に見えていないということがあるかと思います。  この点について、どのようなタイミングで能力評価の給与、賃金への反映を行うというふうにお考えかということをお伺いをいたしたいと思います。
  44. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 公務員制度改革でございますが、職員の意欲と仕事の成果、これを引き出す能力・実績主義の人事管理、これをこの法案でもうたっております。そのためには、個々の職員の職務遂行能力や勤務実績をできる限り客観的に把握して適切に評価する仕組みをつくることが必要で、このために、試しに本年一月から新たな人事評価の試行、試しの行いを開始しておるところでございます。  こうした人事評価の取組状況を見ながら関係者との調整を進めまして、能力・実績主義の人事管理についてできる限り早期に具体化を図ってまいりたい、このように考えております。  なお、この法案では、総人件費改革の中に定員の純減とともに公務員の給与制度改革に取り組むこと、これを盛り込んでおります。国家公務員の給与につきましては、職務と責任に応じた給与の体系等について人事院における検討状況を踏まえ、必要な措置平成十八年度から順次講じていくということにいたしておりまして、こういうことで、今後これをかなり具体化していく所存でございます。
  45. 川口順子

    ○川口順子君 是非具体的に早期に進めていただければというふうに思っております。  もう一つ書かれていることで、官民人事交流ということがございます。  これは、私自身も今までいろいろな立場でこれにかかわったこともあり、努力もしたことがあるんですけれども、なかなか難しいということでございます。官から民に人を送り、あるいは民から官に人が動く。これは発想がそれぞれ違うところもありますし、過去の経験、体験が違うところもありますので、非常に重要な私はことであるというふうに思っております。これが、なかなか本当に進まないんですね。これはどういうところにその原因があるかというふうにお考えかをお聞かせをいただきたいと思います。総務大臣でしょうか。
  46. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員御指摘のように、官民の人事交流、これ本当に重要だと思います。これは民間の人材を活用するという意味もありますし、公務員の外に出ていただいて人材を育成するという観点もある。その意味で、我々も是非これは進展させたいという強い思いを持っています。  ただ、これも委員御指摘のように、現実にはなかなか進まない。私は、実は内閣府の担当大臣をしておりますときに、外から思い切って採りたいと思いまして、かなりいろんなことを、手を尽くしたことがございます。しかし、いろいろ来て面接しても、最後の最後にやっぱり皆さん不安になるんですね。それなりに今のまあいわゆる終身雇用、年功序列の中で、一つの組織の中で働いていて、そこからこちらに来た場合に、無事に帰れるだろうかというようなことで、ないしはその後、帰った後もその後の昇進とかに差し支えないだろうかと、やっぱりどうしてもそこは考えてしまうということなんだと思います。それは志を持った方でもどうしてもそうなってしまうということで、そこのやはり、何といいますか、障壁を何とか取り除けないかということを我々もずっと考えてきたわけでございます。  実は、今回、民間企業の身分を持ったままでの交流採用を図るための法律案をこの国会に提出をさせていただいたところでございます。これ、一つの私は期待を持っております。さらに、各府省への積極的な取組を要請しておりますけれども、この経済団体の協力を得まして、官民双方の交流規模がどのぐらいあるかというやはり情報交換の仕組みを設けておりますので、それも積極的に是非活用したいと。  今回の新しい枠組み、お願いしております枠組み、そして交流に係る情報提供充実、そういうことで是非官民交流を進めたい。で、志のある方には是非政府の中に入ってきていただいて、良い仕事をしていただきたい。また、その逆も真なりであるというふうに思っております。
  47. 川口順子

    ○川口順子君 人事院総裁に来ていただいていますでしょうか。同じ質問について御所見伺いたいと思います。
  48. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 私どももこの官民人事交流の必要性についてはつとに認識をいたしておりまして、官民人事交流法や任期付職員法の制定等について意見の申出もさせていただきましたし、また、その中で一定の任期付職員につきましては、公務員の給与体系にとらわれずに、最高で事務次官級の給与まで支給できるような道も開かせていただきました。  そのようなことをいたしておるわけでございますけれども、先ほど総務大臣からも御答弁ございましたような事情、それから、一般的に申しまして、我が国におきましては官民を問わず、雇用の慣行といたしまして若年採用、長期雇用の傾向がなお強いわけでございまして、こういった市場が十分成熟していないということもあろうかと思いますし、また、いま一つは職種等によりましては必ずしも公務員の給与が十分ではないという事情もあろうかと思います。  そういった中で、この交流人員は逐年増加はいたしておりますものの比較的少数にとどまっているということは事実でございまして、私どもといたしましては、各府省にいろいろ御相談をしましたり、それから、昨年秋には制度周知のため民間企業にお集まりをいただきまして、説明会を設けるなどのこともいたしております。  それから、先ほど総務大臣から御答弁ございましたように、官民人事交流法の改正についても意見を申し上げさせていただいたところでございます。
  49. 川口順子

    ○川口順子君 是非引き続き御努力をお願いしたいと思います。  公務員の純減問題について触れたいと思いますけれども、その前に、若干公務員の働き方について御質問をさせていただきたいと思います。  男女共同参画基本計画がございまして、これは平成十七年十二月二十七日に猪口大臣を始め大勢の方の御努力でこれは昨年暮れにできたわけでございますけれども、その中に「常勤の国家公務員に育児・介護のための短時間勤務制度を導入する。」というふうにございまして、その担当府省が総務省そして人事院ということになっております。  私は、少子化対策、あるいは多くの方と同様に、仕事とそれから育児の両立ということを進めることが非常に大事だというふうに思っております。この短時間の勤務制度とそれから公務員の定員管理との関係がどのようになっているかということについて御質問を申し上げたいと思います。これは総務大臣人事院総裁でしょうか、お願いします。
  50. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 短時間勤務制度についてのお尋ねでありますけれども、まず、我々総定員法というのを持っておりますけれども、総定員法の中におきましては、この内閣の機関、内閣府及び各省庁の所掌事務を遂行するために恒常的に、常に置く必要がある職に充てる常勤職員というのを定員の対象とすることになります。  その国家公務員の育児、介護のための短時間労働につきましては、後ほど御答弁あるかもしれませんが、現在人事院におかれて具体的な制度をどうするかということを検討中でございます。総務省としては、まあ我々としては、常勤職員であれば定員内の職員、そして非常勤であれば定員外の職員になるというふうに一般的には整理されると思いますけれども、これはまあ具体的な制度設計いかんでございますので、その中でしっかりと対応させていただくことになるんだというふうに思います。  いずれにしましても、これは法律上、人事院から意見の申入れをいただいて、その上でその法制化をするかどうかということを検討していくことになると思いますので、人事院ともよく相談をしてまいる必要があるというふうに思っております。
  51. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 私どもといたしましても、職員の健康管理、少子高齢化への対応などの観点から、職員の仕事と家庭の両立支援策の充実というのは大変重要だと考えておりまして取り組んでまいったところでございます。  その方策の一つといたしまして、この常勤職員の身分のままで短時間勤務をすることを認める短時間勤務制を導入することが必要だと考えまして、昨年の人事院勧告時の報告においても述べさせていただきましたところでございます。  ただ、この短時間勤務制を実効あらしめますためには、職員が育児等のため一定期間短時間勤務を選択いたしました場合に、その欠けました勤務時間を埋めるために後補充の仕組みを整備していくということが必要となるわけでございます。その際、職員が短時間勤務となることによりまして公務サービスの低下を招くことのないように、正規職員と同様の能力、資格を有する職員を確保するということが必要でございますし、また、育児等の事由が終了いたしました場合に、その職員が通常の勤務に円滑に復帰するということを確保する必要もあるわけでございまして、そのための定員管理上の扱いにつきましてどのような工夫が可能か、現在定員管理を所管されます総務省と事務的にいろいろ御相談をさせていただいております。  こういったことで、成案を得ました際には、私どもとしましては、本年夏の人事院勧告時までに短時間勤務制の骨格を示せるように、関係者の意見を聞きながら結論を得てまいりたいと考えております。
  52. 川口順子

    ○川口順子君 今の御答弁を整理しますと、今の時点では短時間、要するに勤務、全部フルタイムで働いていない人間は定員の外である、これは制度を今後変えていく必要があるというふうに理解をいたしましたけど、そういうことでよろしいわけですね。
  53. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これ、どのような制度設計を人事院としてお考えになるかということだと思います。  一般論としては私が申し上げたとおりなんでございますが、実は現在、人事院において検討しておられるいわゆる育児等のための短時間勤務というのは、フルタイムで働く常勤の職員の方が育児等のために一定期間、一日の勤務時間を八時間より短い時間とするという、そういう勤務というふうに承知をしております。したがいまして、具体的にそこがどういう制度設計になるか、それによって何か必要な手当てがあればこれは当然やらなければいけないわけでございます。  ただ、いずれにしても、こういう制度を導入するということは、これ大変一つ方向として重要なことであるというふうに思っております。そして、法律に基づいて人事院におかれて今その案を検討してくださっていますので、我々としては必要な事前の御相談もよく行って、必要な制度整備を是非行っていきたいというふうに思っています。
  54. 川口順子

    ○川口順子君 少子化の問題を考えますときに、これは男も女も、男性も女性も育児のためにある程度時間を使えるような、そういう社会の仕組みになっているということが私は極めて重要であるというふうに思います。  民間企業では今、先進的な企業は短時間正社員制度、要するに短時間、例えば半分の時間を働いて、だけれども正式の社員であるという位置付けをして、それを進めようという取組があるわけでございます。公務員というのは、恐らく国の制度というのは民間の企業に先駆けて、まず隗より始めよという言葉がありますけれども、そういった制度を導入をしていかなければいけない本来立場にあるというふうに私は思います。  にもかかわらずというふうに申し上げたいと思いますけれども、今の段階では短時間、勤務時間の短縮化、短時間公務員制度ということまでは行かなくても、少なくとも短時間の勤務制度、これすら定員との関係では余りはっきりしていないというのが状況であるわけでございますから、これはもちろん人事院総裁がおっしゃったような、欠けた勤務時間を埋めるための後の補充をどうするかとか、そういった幾つかの問題があるということは私もよく分かりますし、現にヒアリングをいたしました民間の企業もそこが非常に難しいんだというお話もございました。  問題は多々あるわけでございますけれども、少子化対策というのは今、日本の国にとって最も重要な課題一つであるというふうに申し上げても私は言い過ぎではないんじゃないかというふうに思います。ですから、そういった意味で、できるだけ早く短時間勤務制度、これを更に一歩、更に進めて、短時間公務員制度というふうに進めていって、それが可能になるようにお計らいをいただきたいと私は強く願っております。  この問題との関係でいいますと、例えば短時間正社員、質問にはいたしませんけれども、短時間正社員も例えば雇用保険に入れる、この時間数が二十時間以上働かないと雇用保険の適用にならないと。これ運用で少し改善をなさっていらっしゃるようでございますけれども、そういうような問題もございますし、公務員に、例えば半分働いて公務員である、正式な公務員である、定員にカウントされる公務員であるというふうに位置付けた場合には、更に保険ですとかいろいろな周辺部分の問題も出てくるかと思います。  この行政改革推進法を、これを実施される、その中で公務員制度の改革をなさるに当たっては、是非この短時間公務員制度、あるいはその一歩手前の勤務の短縮化について、これをきちんと定員法との関係でも、あるいはほかのこととの関係でも位置付けていただきたいというふうに考えております。  それで、時間がなくなってきましたので、これを純減案との関係でお話を移させていただきたいと思いますけれども、農林水産省が大変に大胆な純減案を出されたというふうに伺っておりまして、これは中川大臣がリーダーシップを発揮なさったという点を評価をさせていただきたいと思います。  ただ、申し上げたいのは、これで満点だということではございませんで、ほかの省庁との関係で相対的にまあ評価をさせていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、一層見直していただいて、プロフェッショナルな農林水産業を所管をする省の官僚になってほしいというふうに思っておりますけれども、この点について大臣決意をお伺いをいたしたいと思います。
  55. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、川口委員御指摘のように、先日、農林統計、食糧管理等で約三六%の職員を平成二十二年年度末に向けて削減をすると。それから、森林管理につきましては四五%、これは独立行政法人との絡みもございますけれども、ということでございます。  御指摘のように、民でできるところは民でという前提に立ちまして、まあ内部にいる人間から見ますとかなり思い切ったことをやったつもりでございますけれども、先ほど総理からもありましたように、公務員の身分ということもございます。そういう中で、しかし民でできるところは民でということで、引き続き、常に必要な人員を最小限確保するという方向でこれからも努力していきたいというふうに考えております。
  56. 川口順子

    ○川口順子君 お差し支えなければ、国土交通省、厚生労働省、そして法務省に同じような公務員純減への取組についての大臣の御決意をお伺いをいたしたいと思います。  恐縮でございます、残り時間が少なくなってまいりましたので、手短に伺わせていただければと思います。
  57. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 国土交通省におきましても、北海道開発関係を始めといたしまして、有識者会議から御指摘を幾つかちょうだいをしているところでございます。国家公務員の純減目標、これの達成は政府としての極めて重要な課題認識をしておりまして、今しっかりと取り組んでいるところでございます。
  58. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 厚生労働省関係でございますけれども、先に進んでおりますのは社会保険庁関係でございます。七か年で定員二〇%以上、五年間で一七%以上の削減、非常勤を含めますと二万七千人の職員が一万七千人、一万人削減となります。  それから、今回の判断で国立高度専門医療センター、これ、がんセンター等でございますけれども、非公務員型の独立行政法人にしようと。ただし、がん医療というものを考えていったときに、私は民間との接点が非常に高くなってくると。したがって、非公務員型にした方がいいだろう。しかし、これが純減につながるかと言われれば、私は逆に増やさなきゃならぬと、こういう課題はしょっていると、こう思っております。  それから、ハローワーク、労働関係につきましては、五年間で五%の削減ということで取り組ませていただいております。
  59. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) お答えいたします。  法務省は、治安、法秩序維持ということで、例えば、職員五万一千人いますが、刑務所、少年院等で二万二千人働いておりますし、検察庁、入管、取締り部署に一万一千、三千人とおりまして、こういう今の治安状況、悪化した治安状況、改善見られない、刑務所は大増設しております状況からいたしますとなかなか厳しいわけでございます。むしろ、定員からすると増加要因を抱えておるわけでございますが、しかしそういう中でも政府の方針に従って削減に取り組むという努力はしなきゃならないと思っております。  例えば、刑務所も、総務系統、受付とか運転手とか総務系統の仕事、あるいは外回りの警備といった仕事はどんどん民間委託をいたしておりますし、新しい刑務所、二つですが、山口島根ですが、これはPFI方式で約半分を民間に出すという刑務所を新設いたしております。  その他、様々な工夫をいたしまして増員を抑制する、できれば、部署によっては法務局を減らしてまいりますが、努力してまいる決意でございます。
  60. 川口順子

    ○川口順子君 行政を需要する側からの、国民の側からのいろいろなその行政についての思い、増やしてほしい、これもサービスをしてほしいということがたくさんある中で、人を減らしていくということの御苦労はいろいろおありだと私は思います。今、杉浦法務大臣のおっしゃった山口県の美祢の刑務所については私も非常に評価すべき取組であるというふうに思っております。いろいろな皆様の、大臣の一層のリーダーシップに期待を申し上げたいと思います。  それで、最後に一点、公共サービス改革法案につきまして、これも改革をますます進めるための知恵という意味で一つ御質問をさせていただきたいと思います。  これは、これを導入をいたしました暁には、実施のプロセスとして競争をする、官民競争入札をするということがあるわけでございまして、そこでその対象業務を選ぶということでございます。それで、その対象業務を選んだ後でいかにその業務を、対象業務を実施をしていくかということで、各省が実施要項を作って、あっ、済みません、逆ですね、実施要項を先に作って官民競争入札、民間競争入札を実施をするということになっております。  それで、その実施要項の作り方について、これが各省が作るということになっているわけでございますけれども、私としては、改革推進という観点から、この実施要項は、各省が独占的に作るのではなくて、その段階において民間企業や民間の有識者の知恵を、例えば公募をしてもいいではないかというふうに思います。というふうに思うに至りましたのは、民間には官にない独創的な知恵があるということでございます。  最近、病児の保育について私は勉強をいたしておりました。何人かの同僚議員とあるNPO法人から話を聞きましたけれども、ここのお話では、病児の保育をするに当たって、これは東京のある区に所在をしているNPO法人でございますけれども、区からの補助金が出る、六百七十万円だそうですけれども。その補助金をもらうと、ベビーシッターを、人を雇うときに、そのNPO法人が雇うときに、一日二千円以下という条件が付けられるということでございます。民間の賃金相場でいきますと、病児の保育をするために人を雇った場合に、一日二千円で働いてくれる人というのはまずないというふうに私は思わざるを得ないわけですけれども。  そこで、とてもそういうことではやっていけないので、これをやっていらっしゃる方は、実は結婚もしていない、自分が子供もいない二十六歳の若者であるんですけれども、ビジネスモデルを新しく作った。それで、それは子供レスキューチームというのをつくりまして、親と長期的にある一定期間の契約をして、そして人を周りに雇って、お願いをして、ボランティアですけれども、レスキュー隊、駆け付けて病気の子供を引き取りに行く人、それから親が利用可能になるまで、帰ってこられるまで一定の家、ボランティアで預かってくれる人を探して、それをチーム化をしたということをやっているわけでございます。  例えば、これ一例ですけれども、官が考えない知恵が民間にはたくさんあると私は思っておりまして、是非この知恵を入れるために、この実施要項については是非まず民の知恵を十分に活用していただきたいというふうに私は思っておりますが、手短に行革担当副大臣にお願いをいたします。
  61. 山口泰明

    ○副大臣山口泰明君) 実施要項については大臣が作成することになっておりますけれども、他方で、先生の御指摘のとおり、民間の創意工夫を生かし、質の維持向上とコストの削減を図っていくことは極めて重要でありまして、その旨を国の責務として明記をするとともに、実施要項は、各大臣が独占的に策定するのではなくて、民間の有識者から成る監理委員会の議を経て決定しておるところであります。そして、この実施要項の決定に当たっても、民間の創意と工夫を適切に反映されるよう対応していく。そしてさらに、御指摘を踏まえまして、実施要項の案を策定する段階で民間の方々から意見を募集し、優れたアイデアがあればそれを積極的に取り組んでいく、運用化についても検討していきたいと、こう思っております。
  62. 川口順子

    ○川口順子君 是非、御検討をいただきたいと思います。  いろいろ細かい具体的なことについて議論をさせていただきましたけれども、これは今後その行政改革を実施するに当たって、いろいろな知恵を持っている人が議論をしていったらいいという観点で幾つかの点について申し上げさせていただきました。もとより、この行政改革推進法案について、これを進めていくことが大変に重要であるという認識については私は人に劣らないつもりでおりまして、自由民主党としても引き続き、できるだけの協力をしていくというスタンスでおりますので、頑張っていきたいと思っております。  ありがとうございました。
  63. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 自由民主党の藤野公孝でございます。よろしくお願いいたします。  午前中、最後の質問でございますが、今、川口委員からもお話ございました。私も、この行政改革推進をしっかりやっていくということが非常に重要であるという観点から質問をさせていただきます。  最初に、総理にお伺いいたします。  今回、特に行政改革推進法案の中でも、私は重要と思っておりますのは、総人件費改革と思っております。この問題につきまして、今、国民が大変政府に要望しているといいましょうか、願っているのは安心、安全の国づくりということだと思うわけであります。総理は、二日前の月曜日、参議院本会議におきまして、政府が総人件費について、国家公務員の、改革について、国家公務員の数を五年間で五%以上純減させるなどの目標を持って確実に実施することが必要であるけれども、その際、一律に削減するのではなくて、安全、安心など真に必要な行政需要には増員を含め適切に対応する一方で、事務や事業の大胆な見直しを行って純減を確保するという答弁をされております。  正に、この安心、安全な国づくりを強く願っている国民のこの希望を損なわないで実現していく中で、簡素で効率的な政府の実現を目指そうとされる総理の御決意を改めてお伺い申し上げます。
  64. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 五%、五年間、人員を削減するという方針でありますが、ある役所については増やすところもあるわけですから、そこ一面だけとらえて何やっているんだという批判がありますけれども、そうじゃないんです。一律じゃないんです。五%、全体でですから。治安部分については増やさなきゃならない。ということは、先ほど中川農林大臣答弁しましたけれども、農林水産省については五%どころじゃない、一〇%以上削減する。あるいは、これから国土交通省だってですね、まだ出してませんけども、北海道開発局なんというのはもうばさっともっと削減するでしょう。まあちゅうちょしていますけれども、いずれそう出てきますから、五%じゃ済まないと思いますよ。
  65. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 まあ、個別の省庁の話に今すぐ突っ込んでいくとあれですから、もっと総論を続けたいと思うんでございますけれども。  定員査定大臣としての竹中大臣にお伺いいたしますが、来年度、定員増員要求等々につきまして、各省それぞれ安心、安全も大事だという仕事を持っているわけでありまして、先ほど総理からも、公務員の側から見れば非常に大事だという、みんな自負を持ってやっているんだからというお話もございましたが、そういう中で、各省もうオンパレードでこの仕事は安心、安全ですよということで竹中大臣の方から言えば攻めてくると、こう思うわけでございます。これは単に要求上のテクニックということではなくて、本当にそこに内実のあるものもいろいろあるわけでございますが、非常に大変な、そのめり張りを付けるということが大変だろうと思うわけですが、現時点で結構でございますが、どういう方針で臨まれようとされているか、お伺いいたします。
  66. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 公務員、五年で五%純減を実現すると。その中で、委員も御承知だと思いますけれども、いわゆる年々の厳格な定員管理で五%のうちの一・五%、約五千人に当たりますけれども、それを減らす。そして、いわゆる特別に、更にそれではそれ以外の特別のところで三・五%を減らすと、そういう役割分担になっております。とりわけ、総務省での定員管理、その一・五%分に相当するわけでありますけれども、これはもう本当に減らすべきところは減らし、増やすべきところは増やす、めり張り、そもそもやはりそういう査定をするのは、めり張りを付けるというのが我々の仕事でありますから、そこは厳しく、しかし厳正にやりたいと思います。その上で、必要なところにはしっかりと人を張り付けるようにいたします。  一例として、十八年度、千四百五十五人この定員管理で減らしているんですけれども、千四百五十五人減らした。しかし、この安全、安心にかかわる治安とか徴税部門、実は八百人増やしております。逆に、それ以外のところでは二千二百減らしたということになる。そのような意味でのめり張りを付けた厳正な審査をしっかりと行って、目標達成に最大限努力をしてまいるつもりでございます。
  67. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 今後、大変攻防が激しくなってきて大変だと思いますけど、頑張っていただきたいと思いますが。  先ほど来、この純減をしていく場合に転職の問題、総理からも御言及がございましたが、私も二十年前に国鉄の民営化のときに役人を当時はやっておったわけでございますが、現実に目の前でいろんなことが行われている中で、当時は中曽根内閣でございましたけれども、国鉄職員の民間あるいは役所への転職ということで、そのときは内閣にそういう再就職の対策本部、推進本部を置いてやっていたこと記憶しておりますが、亀井当時の委員長、正夫委員長が、一人の職員も路頭に迷うことはさせないという、はっきりとしたそういうことを言っておられましたこともあって私は国鉄改革が進んだんだと思うわけでございますが、今回の改革におきましても、国家公務員の民間転職ということを促進について産業界への要請というようなことが新聞で出ておりましたけれども、その辺の実情というか現状につきまして、改めて行革担当大臣、中馬大臣からの御答弁を願いたいと思いますが。
  68. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 国の行政機関の定員五年五%の純減でございますけれども、これは職員の雇用確保のために配置転換、これは研修等を行って配置転換に極力御協力願うということ、それから採用抑制、これもはっきりと打ち出しました。こういうことで進めているところでありまして、これはあくまで行政内部での対応でございまして、それが中心になるということでございます。  企業や自治体など国の行政機関以外への転籍については、職員と移転先との双方の意向が合致する場合はともかくとしまして、関係者への情報提供等の措置はもちろんやっていきますけれども、経済団体に直接お願いするといったことは今のところはするつもりもございません。  なお、官民間の人材移動につきましては、市場化テスト法案について、民間事業者が落札した場合に、本人と事業者の意向による民間への移籍、これもあり得るかと思います。民間から公務への交流拡大のための官民交流法改正案の国会提出、これもやりますが、行政の組織、運営の見直しに資するような環境整備に取り組んでいるところでありまして、官民の垣根を必要以上に高くすることは適当ではないと考えております。
  69. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 これから大いに民間の協力も得ながらやっていかなきゃいかぬということで、みんな、これ総力を挙げて取り組む課題だろうと思っております。  先ほど入管の話が出ました。総理からの御答弁もありましたが、それは不法侵入という観点からの、水際作戦という観点からの充実強化ということでございますが、私は、今総理中心にして政府も一生懸命やっておられます観光立国という観点で、地方空港には特に今チャーター便がどんどん行っておるわけでございますが、結構大きな飛行機が今多うございまして、人数も多いということもありますが、地方空港、場合によっては成田や関空、中部等でも一遍にある時間帯に集中して到着しますから問題は同じだということかもしれませんが、外国人が日本に着いたときに日本のイメージを最初に受けるのは入管というか空港であります。  そこで、私の聞いている話でも、一時間ぐらいならまだいいと思いますが、一時間半、一時間四十分待たされた、もうこれだけで二度と来たくないと。極端ですけれどもそういうこと、まあ一時的な感情ですけれども、そういうことをやっぱり思う人は多いんです。これは観光立国にとっても大変問題だと認識すべきだと。要するに、あなた運が悪かったねで済ませるような問題では私はないと思うわけであります。  法務大臣にお聞きいたしますけれども、そういう中で、これは法務大臣だけの責任ではないとは思います。いろんな観光関係者もすべて願っていることでございまして、協力していかなきゃいかぬことだと思いますけれども、その辺のところの対応につきまして御見解をお願いいたします。
  70. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 藤野先生におかれましては、運輸行政のエキスパートとして入管行政に様々な御理解と御協力を賜っておりますことを、まずもって御礼申し上げる次第でございます。また、奥様に御理解いただきまして、愛知県から出していただきました。我々、愛知県自民党として大変感謝いたしております。  先生の御指摘は、私どもの進めております入管行政に対するある意味の激励と受け取らせていただきました。まあ、一時間四十分というケースは地方空港であったレアケースのようですが、事実問題としては、羽田、成田始め国際空港では一時間を超えることはまずありませんし、大体今のところ三十分前後で通過していると思います。私どもの目標としては二十分、一人の入管時間、待ち時間二十分を目標にして取り組んでおります。  この入管行政、外国人問題については、河野副大臣を長とするPT立ち上げましていろんな形で取り組んでおりますが、先生のおっしゃった観光立国ですね、これは総理が音頭を取られて倍増しろと、あと三年ぐらいで一千万人、去年は万博もあって、それまで五百万人ぐらいだった人が去年は七百万人入りました。それを更に増やしていこうということで努力をいたしております。一方で、外国人犯罪の温床は不法滞在だというわけで、これも一昨年から五年間で半減させようということで努力をいたしております。入管、懸命に対応をいたしておるわけでございます。  先生がおっしゃったように、ともかく空港へ降りてきて最初に通過する日本の土地ですから、そこの印象というのは非常に大きいわけで、とりわけ入管の審査を短縮しようということでいろいろ試みております。時間帯をよく調査いたしまして、日本人と外国人の窓口の比率を適宜変えて計ったり、あるいはちょっと審査に時間を要するという人については、セカンダリー審査と言っておりますが、別室へ御案内してそこで時間掛けて審査するとか、もう一年ぐらいやっておりますが、ある程度成果が上がっていると思います。  問題は地方空港でございまして、先生がおっしゃったようにチャーター便がうんと増えている。特に、韓国、台湾、そして中国、短期ビザ、査証免除にいたしました関係でそちらの客がチャーター便で地方空港へ行っております。  正直言って、入管職員足りません。閣僚、総理いらっしゃいますが、今年は百五十人純増していただいたんです、厳しい中で。入管職員何人だと思われますか。二千八百人です、全国で、空港、港。もう大変人手不足で、五%、百五十人増やしていただきましたがまだ足りない。不法入国チェックのためタスクフォースつくって、東京で五チームぐらいつくりました、大阪、名古屋と。不法滞在をどしどし摘発しておりますが、人が足りません。  そこで、地方自治体に協力をお願いしております。地方によっては、北海道なんかは特にそうですけれども、お客様を手伝えないか、職員に御協力いただくこと、大変有り難いわけでございまして、今後とも地方自治体の御協力をいただいて足らざるところは補っていきたいということも考えておるわけでございます。  入管当局、我々、一生懸命頑張ってまいりますので、今後ともよろしく御指導のほどをお願い申し上げます。
  71. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 法務大臣の今大変過分なる御激励と熱心な御答弁を賜りまして、心からありがとうございます。更に身を引き締めて質問させていただきます。  安心、安全ということで、直接行革に関係するかどうかという問題ではございますが、大変今安心、安全にかかわる問題で大きな問題として原油価格の高騰がございまして、先般、ニューヨークの市場で一バレル当たり七十五ドルという、スポット価格かもしれませんが、そういう状況の中でパニック的な原油価格の高騰があるわけでございます。  二階経産大臣におかれましては、最近、カタールでそういう石油消費国、生産国の会合に出られて、いろいろ御活躍になってお帰りになりましたけれども、経済産業省とされまして、特に、後、答弁をお願いしようと思っていますが、軽油価格なんかも大幅に上がっておりまして運輸産業なんかも大いな直撃を受けているわけですが、経産省とされまして、この現下のこういうパニック的な価格高騰に対する対応というものにつきまして、お考えがありましたらお伺いいたします。
  72. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お答えをいたします。  原油価格の高騰につきましては、経済界始め各方面でも大変御心配をいただいておるところでありますが、私は、これは原油国における、いわゆる産油国の投資の促進を促すということ、そして同時に消費国においてはより一層の省エネルギーの努力を傾ける、生産国、消費国双方が常に英知を結集して、人類の危機とも言えるようなこういう状況をやはり巧みに乗り越えていくということが大事ではないかと思っております。  私は、このような考えを実現させるために、今委員からも御指摘のありましたように、この二十三日、二十四日、カタールのドーハで開かれました国際エネルギーフォーラムに出席をいたしました。ちょうど五十九の産油国、消費国、そして六つの国際機関が集結して、二日間大変熱心な討議が行われました。  私はそこで、第一セッションの最初の発言者として我が国の主張を申し上げました。特に、省エネルギーの推進、投資の拡大、そして市場の透明性、この三つの課題に取り組むことが重要である旨を強調したものでありますが、出席者の多くの皆さんから賛同を得ることができました。  そこで、サウジアラビアやOPECの議長でありますナイジェリアの大臣を始め、主要生産国のエネルギー担当大臣が多く御出席でありましたので、その中で、私は十一か国の代表の皆さんと二日間の間に朝昼晩活用してお目に掛かって意見の交換をしてまいりました。  感想を申し上げますと、まず、産油国は供給を減らすようなことはしない、同時に、需要に対して十分供給できるだけの体制は整っておる、私たちがこの石油価格のつり上げに加担しているのではない。そして、私も常に主張しておるわけでありますが、原油価格というのは高ければ高いほど産油国にとっていいということではないはずだ、消費国にとっても低ければ低いほどいい、それは我々お互いに経験した第一次オイルショックにおいて、むやみに高騰したときとむやみにこれが下落したときにそれぞれ経済が、国際経済世界経済が低迷したことは議員も御承知のとおりであります。そういう意味で、そういうことを起こさないために我々はお互いにエネルギー担当閣僚として十分意見の交換をしながら、お互いに納得のいく対策を講じていこうではないかということを申し上げてまいりました。  特に、産油国の皆さんの中から印象的な御発言は、どうか、我々は日本を信頼しておるし、日本経済がようやく明るさを取り戻してよみがえってこられたということは大変喜ばしい、しかし、我々と日本との関係は石油を媒介とした関係だけではなくて、もっと幅広く、文化の面であるいは芸術の面を含めていろいろと交流を図っていきたいと我々は念願をしております、是非この主要閣僚等が外国御訪問の際に私の国にも立ち寄ってください、そういうことを言われる国もありました。  特に、OPECの議長は先ほども申し上げましたようにナイジェリアでありまして、ナイジェリア等に対する我々の外交の展開を一層強力に進めていかなくてはならない。そこで、私は、総理からの御指示で取り組んでおります一村一品運動の国際版で、ナイジェリアのこの特産の綿であるとかあるいは帽子であるとか、いろんなものを今関西空港や成田空港で販売しておるわけですが、そのことを紹介しますと大変喜ばれて、我々の国のことに対してそういう御配慮をいただいていることを感謝すると、日本の大使からも聞いておりましたが、私も日本へ行ったときには必ずそういうところへも立ち寄って、我々のことに日本が協力してくれることを国民にも十分伝えたい、こういうお話がありました。  そこで、この原油価格の高騰の影響でありますが、ただいま議員が大変お詳しいそれぞれの業界の窮状について御報告がありましたが、私も中小企業を含むこの実態の調査ということが大事でありますから、今日まで、二〇〇四年の八月から経済産業省では数次にわたってこの現状の調査を行っております。ちょうど今度第七回目、秋ごろということでありますが、それを早めて今調査を、七回目の調査を行っておるところであります。  その調査の結果に基づいて、私は中小企業につきましてはセーフティーネット融資を、制度がありますから、これを活用して対策を講ずる。同時に、中小企業の方々の相談にはきめ細かく応じていく。それは商工会議所あるいは商工会、あるいは経済産業省の出先又は政府金融機関等を総動員して、この原油の価格の高騰により御迷惑の掛かっておる業界については我が事として関係の皆さんと一緒になって対応してまいりたいと思っております。  運送事業等に特に重要な影響を及ぼしておると、御指摘は十分承知をしておりますので、省エネルギー設備の導入等についてこれを支援する予算、税制等の措置を講じているところでありますから、これもトラックの省エネ等については三分の一ないし二分の一の補助をやっておるわけでありますから、この差額等の活用につきましても十分もっとPRをする必要もありますし、また対応する。  農林水産業におきましても、魚を集めるいわゆる集魚灯ですね、このエネルギーが必要であるわけでありますが、そうした面につきましても三分の一程度の助成を経済産業省の予算を回して活用いただくなどをやり、私どもは各省庁と連携して国際、国内両面で考えていきたいと思っております。  最後にもう一度申し上げておきたいと思いますが、我々はこのオイルの問題については、大変、オイルショックも経験をしておりますから、お互いにこのことに対して心配をする、対策を講ずる、当然のことでありますが、心配し過ぎてお互いにオーバーな演説をずっと繰り返して、それが中東の産油国へも響いていくような、そういうことじゃなくて、私はここはもっと冷静な対応が必要である。そして、当分の間、心配は要らないということを私はこの席から国民の皆さんに申し上げておきたいと思います。
  73. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 今、二階大臣、大変力強い、また御答弁あるいはメッセージを発していただきまして、ありがとうございました。  私も、先ほどちょっと申しましたように、特に軽油ですね、軽油というのは、二年前には、平成十六年ごろ、一リットルが六十二、三円。今、二年たって八十五円ぐらいになっている。二十円から二十数円この二年間でアップ。このトラックだけで、データが、私が持っているのはトラックだけですから、トラックでいいますと、一円これ上がりますと業界全体で百八十億円のコストアップなんです。単純に言いますと、二十円上がりますと三千六百億円のコスト負担増になるわけでありまして、そうでなくても非常に苦しい、規制緩和等で苦しい状況の中で、本当に口先ではなくて、もう瀕死というか、もう限界というようなところまで来ているのがトラック業界あるいは内航海運等々でございますが、この辺十分御認識賜っております北側大臣に現下の対応につきまして御所見をお願いいたします。
  74. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今、藤野委員の方からお話ございましたように、この二年間で一リッター二十円以上、軽油は値段上がっております。これがトラック業界に大変大きな打撃を与えている、厳しい経営状況にあるというふうに認識をしております。トラック業界というのはもう大半が中小企業です。  二点目に、これは内航海運でもそうなんですが、こういう運送業というのは一方でお客さん、荷主さんがいらっしゃいます。この荷主と運送業者との関係というのは圧倒的に荷主の方が強いんですね。運送業者の方が弱いわけです。なかなか、燃料価格が上がったということで、じゃこの運送価格に転嫁できるかというと、なかなかできないと。荷主さんは、上げろと言ったら、じゃほかの運送業者に頼むよと、こういうふうな話になりがちでございまして、私は今回のこの数年の燃料価格の高騰については、一方で、やはり荷主さん側の、荷主側の御理解をよく得てやはり価格転嫁がきちんとできるようにしていくことが一方で非常に重要であると思っております。  私自身も経済団体等に御理解いただけるように様々お願いをしてまいりましたが、一部転嫁がされつつあるとはいうものの、まだまだ十分な転嫁がなされていないのが今の現状でございまして、これからもしっかりと荷主側、経済団体の方にお願いをしていきたいと思っておるところでございます。  一方で、燃料サーチャージと申しまして、これは運賃に関しまして、燃料価格のコストの増減、これはその運賃と別建てで付加していくという方法です。普通の、通常の運賃は運賃、別建てで燃料サーチャージ、サーチャージという形で別に料金をいただく。これ、航空とか外航海運においては導入されておりまして、私はこの燃料サーチャージの問題も、ここまで石油価格、原油価格が高騰をしてきましたならば、やはりトラック業界、また内航海運業界においても、この燃料サーチャージ制度についての導入についてやはり検討していかなければならないのではないかというふうに考えているところでございます。  これからも、原油価格の情勢についてよく見守りまして、業界に与える影響をよく注視をして、必要な対策をしっかりと取らしていただきたいと考えております。
  75. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 本当に今大変な状況であります。今、北側大臣からのお話にもありましたように、特にこれは運輸業に限らず、日本は中小企業が大変多いわけであります。そのことと、政府金融機関改革について質問を移らせていただきたいと思うわけでありますけれども。  基本的に景気回復基調にあるということは私もそのとおりだと思っておりますが、地方をいろいろ回っておりまして、皆さんおっしゃることでありますけれども、地域地域によって、これは総理もお認めになっておりますけれども、地域地域によっていろいろなまだ温度差があるというか、回復基調の勢いに大いな差がある、これは皆さん認められるところでございます。  地域経済の活性化ということから見ますと、中小零細企業、やはりこれをしっかりと支えていかなきゃいかぬと、元気を出すように応援していかなきゃいかぬということだろうと思うわけですが、今般、政府金融機関が統合されるというようなこと、あるいは民営化されるというようなことが、これらの中小企業者の目から見ますと、そんなことないよと言っても、やっぱり特に民営化の場合が一番それが危惧が強いんですが、本当に貸してくれるんだろうかとか貸しはがしはないんだろうかと、やっぱり思っているわけでございます。  各金融機関についての質問は後いたしますので、まずもって、今のような今回の改革そのものにつきまして、特にこの中小企業者等の資金調達がちゃんとやってもらえるんだろうかということで、私の方からすれば、現行の金融機関が持っている専門性とか責任といったものはきっちり今後も配慮すべきだと、維持すべきだと、こういうふうに思うわけでありますが、中馬大臣のお考えをお伺いいたします。
  76. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 藤野委員が先ほどから御指摘されておりますように、日本経済の基盤といいましょうか、これは中小企業でございまして、この中小企業がかなりこれまでの政府金融機関、中小公庫とか農林公庫、商工中金、こういったものに大きく依存しておったことも事実でございます。  これが今回民営化されたりあるいはまた統合される、これで非常に不安に感じられていることは事実でございまして、しかし、そのことをここでもうはっきり申し上げさせていただきたいと思いますが、法律の中にもそのことは明記いたしておりまして、新政策金融機関の担う機能として、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援する機能、これを明記をいたしております。そして、同法案の第五条第四号におきまして、これらの国内金融の業務を行う部門の組織設計に当たっては専門的能力を有する職員の配置及び育成を可能とする、及び業務の様態に応じた区分を明確にしてその内部組織を編成する旨のこともはっきりとこれを規定をいたしております。  今後、これが詳細設計に移っていくわけでございますが、そういう点を踏まえまして制度の企画立案を行う中で、簡素で効率的な組織とすることを基本としつつ、借り手側の視点にも立って、利用者、政策目的等の差異や業務の専門性等、業務の実態を踏まえた内部組織としていくことといたしております。  また、政策や実情に精通した職員の育成、配置、これなども、逆に、今までのようにたらい回しされるのではなくて一つのところに集約されますから、新機関でですね。そうしますと、借り手の方が行きましても、それぞれ専門の方々がいらっしゃるわけですから、その方々がすぐ相談に応じてもらえるとか総合的に物事を考えていただける、またプラスの面も多いかと思います。  そうした専門能力の維持強化や適切な窓口の配置、こういったことも図るわけでございまして、そうした借り手側、中小企業の方々の御心配を何とか払拭して新しい形をつくっていきたいと、このように考えております。
  77. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 それでは、その個別の金融機関について伺いますが、時間がだんだん迫ってきておりますので、よろしく答弁のほどをお願いいたしますが、特に中小企業団体関係の金融が多い商工中金ですね、商工中金。これは、大変みんな関係企業は、中小企業は頼っておるわけでございますが、特にこれが民営化されるということで、地方に行きますと、不安を持って先行きを心配しております。  商工中金の今持っております、先ほども答弁若干ございましたが、機能は維持されるということだろうと思いますが、中小企業を抱えておられる経済産業大臣のそこの決意といいましょうか、お伺いしたいと思います。
  78. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 政府金融機関改革に際しまして、特に商工中金の完全民営化、これは私ども閣議決定の方針どおり実行させていただきますが、その間、衆参両院の委員会等でちょうだいしました御意見、また衆議院の行革特におきましても附帯決議をちょうだいをいたしております。それは、中小企業等に対する金融の機能の根幹を維持することとなるように必要な措置を講じるよう、これが最も強い要請でありました。  特にこの附帯決議の中で重要な点は、一つは、政府金融機関全体に対してでありますが、専門能力を有する融資の窓口を設置など利用者の利便性を維持向上させること、そして同時に、中小企業向けの金融機関であることを確保するとともに、その制度をきっちり措置するようにという強い附帯決議をちょうだいをいたしておりますが、いずれにしましても、各与野党の議員の皆さんから寄せられた問題点等を念頭に置き、今後詳細な制度設計が行われるわけでありますが、中小企業の皆さんに不安感を持たせないように、不安感をお持ちにならないように、そういう点で十分配慮していく、これは総理の方針でもあるわけでありますから、私どもはその点を十分配慮してまいる、これが決意といえば決意であります。
  79. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 同じく、地方経済にとりまして、農業、先ほども川口委員からの質問にもありましたが、農業、林業、水産業等の振興は本当にこれ欠かせないものでございます。農林漁業金融公庫の果たしている役割というのは、具体的に農地やら林地、こういったものを明確に担保評価しまして、専門性を発揮いたしまして必要な資産調達をするというようなファイナンスといいましょうか、本当にプロの仕事をしているわけでございます。これを民間にやれったって、なかなかそんなものの知識がないわけであります。  その点につきまして、新たな統合後におきましても、新政策金融機関でこれらのことがきっちりやっぱり継承されなきゃいかぬということで、副大臣、御答弁お願いいたします。
  80. 三浦一水

    ○副大臣(三浦一水君) 藤野委員にお答えいたします。  台風があったり大雨があったり、我が国の自然条件に左右され収益性が決して高いとは言えない農林漁業の特性、あるいはまたその担保も銀行等が扱わない農地や林地が中心であることを踏まえますと、民間金融機関では融資が困難な、長期でなおかつ低利の資金を融通してまいります農林漁業金融公庫資金の果たしている役割は非常に大きなものがあると考えております。  この農林漁業金融公庫資金は、現下の緊急課題でございます農業の担い手の育成などの政策目的を達成する重要なツールでも一方であるわけでございます。このような機能が十分発揮されていく必要があると考えております。また、国土環境の保全などにおきまして、その機能を有します森林整備につきましては、最長五十五年の公庫資金が実際に活用をされております。統合後の新たな政策金融機関におきましても、農林漁業のこのような特殊性を熟知した職員が配置をされ、これまでと同様の経営判断によりまして農林漁業融資サービスが提供できる組織体制が取られることが重要だと考えております。
  81. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 時間がもうなくなりましたが、最後、一問。  政策投資銀行についてでございますが、これまあ完全民営化するわけでございますが、中小企業対策だけではなくて危機管理、こういうことも入っているわけでございますが、それぞれにつきましてこの機能、投融資機能、維持されるべきと考えてますが、法案では必要な措置を講じると、こう書いてあるだけで、具体的に民営化したときにどうなるかというのは内部の者も非常にこれ不安に思っているところですが、具体的などのような措置をお考えでしょうか。財務大臣、お願いいたします。
  82. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 政策投資銀行、いわゆる政投銀は、今委員がおっしゃいましたように、あそこ事業評価能力がありますんで、それを活用して長期の投融資、これを中小企業にやってきた、それから金融危機とかあるいは災害復旧・復興対策、こういう危機対応金融というんでしょうか、そこにも大きな役割を果たしてきたと思います。したがって、完全民営化した後もそういう特色はきちっと生かしていくようにしなきゃならぬということだろうと思います。  そこで、そういうビジネスモデルを確立していかなければいけないんですが、移行期においてもこういうビジネスモデルをきちっと作っていく、その資金運用をまず行わなきゃいけません。それから、そういう運用に即した安定的な資金調達というものを確保していく必要がございます。  具体的に言いますと、完全民営化後のこの政投銀のビジネスモデル、先ほど言いました、長期のリスクマネーを出資と融資を使ってやっていくとか、金融危機等の対応ですね、そういうものをきちっとやっていくというビジネスモデルを踏まえまして、投融資や資金調達といった業務の根拠について必要な法的手当てをきちっとする必要がございます。  それから、長期の投融資を適切に行うための適正な自己資本の確保、それから安定的な資金調達体制に円滑に移行していくための政府保証等々、こういうことに関しても所要の措置が必要ではないかと考えておりますので、いずれにせよ、完全民営化後のこの会社の在り方、それから必要な措置については、危機対応体制の整備と併せまして、詳細な制度設計に向けた論点整理でいろいろ整理されておりますので、それに基づいて今後きちっと制度設計をしていきたいと考えております。
  83. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 時間が若干余っておりますが、質問を終わります。  ありがとうございました。
  84. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) あらかじめ申し上げますが、十一時五十五分で休憩したいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
  85. 松井孝治

    松井孝治君 民主党・新緑風会の松井孝治でございます。  久しぶりにテレビ中継入りで、総理ほか全閣僚にお集まりをいただきまして議論をさせていただきます。  今日は、理事会の御了承をいただきまして、大部でございますが、今資料をお手元にお配りをさせていただきます。    〔資料配付〕
  86. 松井孝治

    松井孝治君 閣僚の皆さん方にはその資料を参照していただきながら、そしてテレビをごらんの皆さんにはパネルで資料を御提示しながら、できるだけ分かりやすく御説明をし、そして総理以下各大臣の政治家としての御答弁をいただきたいと思います。  最初に、昨日は例のJRの福知山線の脱線事故から一年でございました。非常に犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするとともに、御家族あるいはいまだに病床に伏せっておられる方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  そして、今日は午前中、ニュースで、耐震偽装問題にかかわる方々が逮捕されるという問題がございました。この通常国会の冒頭で、私ども民主党は、やはり国として国民の生活の安全ということを守るというのは一番大切なことじゃないか、乗り物の安全もそうですし、建物の安全もそうだし、子供の安全もそうだし、食べ物の安全もそうだし、そこをしっかり果たせないような政府であれば行政改革なんかを語る資格はないというふうに考えているということをあらかじめ申し上げておきたいと思います。  その上で、総理、今閣僚の方々にも資料をお配りさせていただきました。私、昨年の九月十一日の総選挙で、まあ私どもから見れば非常に残念なことながら、自民党、公明党、圧勝されたと、その後、安倍官房長官が秋にこの後は行政改革だと言われたときに、一瞬やられたかなと思いました。要するに、それは非常に大切なアジェンダ設定だったと私は思っています。しかし、その後、今の政府・与党で考えられる行政改革の中身が明らかになってくるに従って、これは何をやっておられるのかなと、非常にいい問題設定であるにもかかわらず、中身はまた相変わらず看板倒れのものじゃないかな、私はそういう疑念を持っております。その立場から今日は御質問をさせていただきます。  まず最初に、私自身も実は、与謝野大臣いらっしゃいますけれども、与謝野大臣が副長官でいらっしゃったときに、あれは橋本政権でございましたけれども、省庁再編、橋本行革にかかわらせていただきました。いろんな、私自身からいっても後悔というか反省があって、やっぱりこれ行政改革ってなかなか一筋縄ではいかない。さっき午前中のこの自民党の質問に対する総理の御答弁にもありましたが、省庁はすごく抵抗しますね。一歩進んだかと思うと、二歩、三歩、逆に攻め込まれるような状況がある。そういう中で、橋本行革は残念ながら僕は骨抜きにされたと思っています。  そのことも含めて、私は総理のお立場あるいは閣僚のお立場をお尋ねしたいと思うわけでありますが、委員長からお話がありましたように、午前中は、私、十分弱で質問が終わりますから若干総論的なことを中心に、しかし午後はより具体的な話を中心お話伺いたいと思います。  最初に、お手元の資料の②というものを見ていただきたいと思います。閣僚の皆さんにはこういう資料を配ってあります。(資料提示)私は、公的な仕事、公共性の空間、橋本行革の中の行政改革の理念と目標の中に、猪口大臣委員として御参加でございました、公共性の空間というのは中央の官の独占物ではないという表現を、私自身もドラフトを書かせていただきました。それがやはり行政改革の基軸だと思うんです。  このパネルで、公と私そして官と民というものを出しておりますが、今日は同僚の和田ひろ子参議院議員にお手伝いをいただきながら、済みません、先輩、ちょっともうはがしていただいて結構です。私は、行政改革を行うときに、一番基軸はこの公の仕事をだれが担うんだということを根本から見直していかなければいけないと思っておるわけであります。  従来、この公と私といったときに官と民、公は官が行う、民は、私の部分は民間の企業が行う、こういう図式だったと思うんですが、その官は中央の官が地方をまあ抑圧しているというか、中央が全部中央集権で仕切っている。そして、それだけじゃなくて、中央の官が民間の部門に侵食しているというのが従来の図式だったんじゃないか。  私どもが今考えていくのは、そうではなくて、もっとこの民間の部分能力も活用しましょう、同時に、公という部分においてもっと中央と地方が対等の立場でもっと地域に大きな役割を担っていただこう。そして、同時に、ここの共という部分、公の部分をもっと例えばNPOであるとか町内会であるとか地域のそれこそお祭りを担っておられる方々とか、そういう方々が担っていただけるようにしよう。そういう形で中央の官の役割をもっと絞っていく。ただ、絞っていくんだけれども、本来であれば中央の官がやらなければいけない国家戦略的なことが全く私はできてないんじゃないかと思うわけであります。  地域の道路をどういうふうに造るか、商店街のカラー舗装をどう造るか、そんなことは地域に任せたらいいわけでありまして、そんなことを一々ひもを付けて補助金と権限で縛っている。だけど、本当に、経済産業大臣もおいででございますが、日本の長期的なエネルギー戦略をどうしていくのか、あるいは食料の自給率をどう高めていくのか、国としての外交・安全保障戦略をどうつくっていくのか、そういったところにはまだまだ人が足りない。あるいは、さっき冒頭に私が申し上げたような安全というもの、国民の安全というようなものをどう守っていくか。これは民間に安全基準まで全部丸投げしてもいいわけじゃないんですよ。きちんとやらなければいけない中央の官の部分はもっと強化をする。そして、本当にやっぱり現場感覚、お互いに現場感覚ないんですよ。中央の役人は地方の道路だとか踏切の幅がどれだけあるか分からないですよ、そんなこと。分からないけど机の上で査定しているわけですね、補助金の査定事務をしているわけですよ。  地域の方々は、これもう地域の方々にも申し訳ないけど、ひょっとしたら中央から補助金もらってくるのが自分の仕事だと、身銭だったらこんな事業やりますかというようなことを、地域の方々もこれは補助金があるからということで一生懸命中央に陳情に行かれている部分があるんじゃないか。これを、僕は中央が悪いというだけじゃなくて、地域の方々も自覚を持っていただいて、逆に言うと、地方はもっと地域の方々に任せるべきところを任せて、自腹感覚でお互いが当事者意識を持ってこの公共性の空間、公の部分を担っていかなければいけない。  それが私の基本的な考え方でありますが、総理、私の考え方に賛同していただけるのか。いやいや、あなたが考えているようなことは違う、もっと小さな政府で五%人件費削減するのが大事なことだと考えておられるのか。総理のまず最初の見解を伺っておきたいと思います。
  87. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 考え方は同じなんです、ほとんど。行政改革というのは、正に総論賛成、与野党一緒なんです。各論反対、これは与野党共通しているんです。だから難しいんで、政府は、やるとすると与野党から反発出ますよ。役所からもそうなんです。どこを具体的に削減するのかと。政府はこれから五年間で五%削減する、民主党は三年間で二〇%削減するんですから、協力しますよと。どこをそれじゃ二〇%削減するのか、出していただければ十分検討したいと。総論賛成、松井さんとほとんど考え方、総論は同じ。じゃ、各論を出してくれればきちんと検討します。
  88. 松井孝治

    松井孝治君 よくぞおっしゃっていただきました。そこの各論のところが違うということを今日は、まあちょっと午後になるかもしれませんけれども、具体的に総理に議論をさせていただきたいと思います。  行政管理局長、お見えでございますね。  具体的に伺いたいんですが、小泉改革の目玉、三位一体改革、国の補助金を四兆円切りました。二十兆ある補助金、交付金を四兆円もカットしました。これで恐らく中央の行政組織は相当スリムになったと思います。この三位一体改革で、中央の行政組織、何人分の定員が減りましたか。
  89. 藤井昭夫

    政府参考人(藤井昭夫君) 三位一体改革に伴う国側の定員合理化についてのお尋ねでございますが、関係府省において補助金の廃止、縮減等に係る関係事務、これを厳しく見直していただきましたことにより、平成十七年度には二十七人、それから十八年度においては少なくとも二十人の定員合理化を図ることとしているところでございます。
  90. 松井孝治

    松井孝治君 ちょっと局長、待ってください。今、私は聞き間違えたんじゃないかと思うんですが、二十兆の補助金、交付金のうち四兆円削減したんですよ。税源移譲三兆円したでしょう。それで国の役人が何で二十人とか二十七人ですか。もう一回ちょっと正確に言ってくださいよ。
  91. 藤井昭夫

    政府参考人(藤井昭夫君) お答えいたします。  数字は今申し上げましたとおり、平成十七年度は二十七人、それから十八年度は二十人ということでございます。  ただ、確かに額はたくさん合理化されているところでございますが、いろいろな各省からお話をお聞きしますと、例えば、補助金等の事務は根っこからなくなるということであれば関係事務も一切なくなるわけですが、補助率を例えば見直したということであれば実質的に余り事務の内容は変わらないとか、あるいは補助事業の一部、こういったものが縮減するということであればそれ相応の事務は減るんですが、そんなにたくさんの事務が減るものではないとか、いろいろ御事情があるようだというふうにお伺いしているところでございます。
  92. 松井孝治

    松井孝治君 あと一分でお昼の休憩に入りますから。  総理、今の数字ね、総理も大変なリーダーシップを発揮されたということになっていますよね。各大臣も苦労して交渉された。その結果、二年度で四十七人、四十七人の削減。今三十万人、三十何万人、三十二万人をどれだけ削減するかといっているときに、あれだけ大騒動して四十七人、どう思われますか、これ。
  93. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 公務員は、予算は増減できます、すぐ首切ることできません。それは民主党も同じだと思いますよ。今年予算が減った、何十人減らせと。配置転換しても首切ることできません。そこは御理解いただけるんだと思います。
  94. 松井孝治

    松井孝治君 もう午前の中継終わりますんで、この一問で、この私の見解で終わりますけれども、午前中は。  要するに、私、首切ったとかそういう話じゃないんですよ。総務省の行政管理局というのは定員査定をしているんですよ。何人分の仕事が減ったかということを聞いているんですよ。仕事が減ってないんですよ。要するに、補助率下げても関与は残しているんですよ。  それが今の小泉行革の本質であると、このことを午後も続けて質疑を申し上げたいと思います。
  95. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  96. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) ただいまから行政改革に関する特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、大門実紀史君が委員辞任され、その補欠として吉川春子君が選任されました。     ─────────────
  97. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 休憩前に引き続き、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革推進に関する法律案外四案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  98. 松井孝治

    松井孝治君 民主党・新緑風会の松井孝治でございます。午前中に引き続き、御質問させていただきます。  午前中、途中でNHKの中継が途切れておりますが、三位一体改革、四兆円の補助金削減して国の、国家公務員の定員はどれぐらい減ったのか。さっき総理から、テレビ中継がないときに、いや、それは首切れないと。そういう話じゃなくて、定員査定というのは、いろんな仕事の事務を総務省行政管理局が査定しているんです。減った人数は、何と四兆円削減して四十七人、四十七人という数字が出ました。  どういうことか、もう時間の節約のために申し上げますと、補助金、補助率削減したって補助金の査定事務は変わらない。要するに国の関与は変わらないんですよ、総理。それが、地域が実際、各知事さんのお話総理も聞かれることがあろうと思いますが、聞いてみてください。要するに、国の関与、四兆円削減して、悪いことじゃないけれども、相変わらず、半額補助が三分の一になった、三分の一になったけど、金は惜しむけれども口は出す、それが続いているんですよ。だから、三十二万人いて四十七人しか減っていない、あれだけの大騒ぎをして。これが総理、最初、総論的な、哲学的なことは大差ないとおっしゃいましたけれども、現実の各論の世界行政改革は進んでないということなんです。  パネルを使わせていただいて、午前に引き続きお話をさせていただきたいと思いますが、最初の一ページ目のパネルを御説明したいと思います。(資料提示)資料は一ページ目の資料、総理もお手元にあるんで、もしあったら見てください。さっき申し上げた、さっきの資料は、こういう資料を使わせていただいて、公のことは中央の官がするということではなくて、公のことであってもNPOとか地域でやるとか、あるいは民間も一部公のことをやったらいいじゃないかと、そういう発想で業務を見直さなければいけないという話をいたしました。  そして、じゃ、中央省庁というのは今どういう仕事をしているか。午前に引き続き、和田議員にお手伝いいただいて済みません、ありがとうございます。ちょっとシールをはがしていただきたい。簡素で効率的な政府を目指すんですね。この前、竹中大臣、簡素で効率的な政府の反対は何ですか、肥大化して非効率な政府ですよね、それを直す。そのときに、本当にやらなければいけないのは、水膨れした中央省庁というのを、本当に大事なことはしっかりやってもらわないかぬですよ、大事なことは。しかしながら、やっぱりもっと手放して、これは地域にやってもらいましょう、あるいは民間に一部やってもらいましょう、あるいはNPOみたいな人にやってもらいましょうという、手放すべき事業というものをしっかり仕分をして、そして同じ中央省庁がやるにしても非効率な部分はたくさんあるわけですよ、この後御説明しますけれども。それをきちんと正すということをしなければいけないと思います。  そういう意味では、この法案を見させていただくと、法案の悪口だけ言っていてもしようがないですから、最初の改革の理念のところに、ちょっと北側大臣にも御答弁をお願いしたいと思いますけど、事業仕分という概念が入っています。これは、昨年のマニフェストで随分公明党も御主張になられた。我々も実は、その事業仕分の概念というものをマニフェストで掲げて、それを行政刷新会議というので外部の有識者が入ってきちっと、これが本当に国がやらなきゃいかぬ仕事なのかということを、官僚だけで議論するんじゃなくて外部の目できちんと正していかなければいけない、そういうことが私は必要だと思うんです。  ところが、法案の理念には入っているんですが、実際、法案の中身見ると、じゃ、だれがその事業仕分をやるのかはっきりしてないんですね。さっき、減量・効率化会議があると言って、もう既に議論をしていると。法案が、それ成立する前に議論しているのもいかがなものかなというふうに思いますけれども、そういうものがあるんですけれども。これ、北側大臣国土交通大臣ということだけではなくて、公明党としてマニフェストで事業仕分を盛んにおっしゃったんです。僕はその点において共感をするところがあったわけでありますが、この法案で事業仕分というものが、この法案あるいは法律ができ上がった後で、しっかり公明党さんが選挙であれだけおっしゃっていたことができるような体制が整えられていますか。
  99. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 公明党のマニフェストの評価をいただきまして、ありがとうございます。  この法律の中で、委員も御承知のとおり、基本理念のところ、さらには総人件費改革、特別会計改革、市場化テスト等々の各改革分野におきまして、事務事業の仕分及びそれを踏まえた検討を行うというふうにそれぞれ規定をされているところでございます。  この仕分の具体的な作業は、これからこの改革を具体化する過程の中で当然行われていかにゃいけないという趣旨であると、法律そのものがそうなっているものというふうに理解をしているところでございます。したがって、例えば総人件費改革で申しますと、有識者の意見も踏まえながら、事務事業の要否また実施主体はどこでやるのかということについて検討を行うということだというふうに考えております。  いずれにしましても、この事業仕分というのは、今後改革を具体化する中での重要な課題であると認識をしております。
  100. 松井孝治

    松井孝治君 おっしゃるとおりなんですね。そうだとしたら、総理、もう一度この一ページ目を見ていただきたいんです。  この事業仕分という考え方は、元大蔵省にお勤めになられた加藤秀樹さんという方が代表されている構想日本というところが一生懸命、いろんな各自治体でやられている話ですが、本来はこういうことは財務省が査定のプロセスでやらなければいけない話で、現実には一生懸命やっておられる、仕事をされているのは分かっているんですが、ここを見ていただきたいんですが、この「手離すべき事業」、これが、構想日本のタスクフォースが国の仕事の事務事業をばっと洗い直してみた。その中には匿名で参加された役人の方もいる。そうしてみたら、これ省庁別の棒グラフもあるんですが、さすがに資料が大部になるので付けませんでしたけど、国の仕事の四五%は廃止するとか地方にゆだねるとか、そういう数字が出ているんです。これは一つの試算ですよ。だけど、事務事業をずっと洗い直してみたらそういうことが出ている。  そして、資料の四番を見てください、④を。これさっきの、水膨れを効率化するという話がありましたね。効率化してみるとき、これは私が参議院の決算委員会でも議論をさせていただいたものですが、皆さんの向かって左側が会計検査院のコンピューターシステム、これ去年の決算委員会でも総理もいらっしゃるところで議論させていただきましたが、これだけ、会計検査院のコンピューターシステムの随意契約だったものを一般競争入札化したら、二億掛かっていたものが七百七十万円で済むようになった。ITの専門家に、これは例外的なものですかというふうに決算委員会で質問したら、いや例外ではありません、こういうことはざらにありますという話でした。これは決算委員会で明らかにしたことです。  右側の道路一メートル当たりの単価でありますが、これ一番左側が道路構造令というものに従って、北側大臣のところの国土交通省の基準に従って、道路の幅とか歩道の幅員とか勾配とか、カーブはどれぐらいのカーブでなければいけないとか、いろんな基準があるんです。道路構造令というのを国土交通省が決めている。それに従って決めると、大体五メートル道路だと思ってください、一メートル当たり十一万一千円掛かるんです。  ところが、栄村というところで自らの基準でその基準を見直した。道路構造令の例外規定がありまして、ある一定の基準のものは自分の基準でやっていいよというのがあります。そうすると、何と一メートル当たり一万九千円でできました。もっとすごいのは、下條村というところは、その基準を見直して、なおかつ村の村民が一生懸命資材を自分たちで労働提供してやったら、何と三千円で一メートルできましたと。  これは、こういうことが私は効率化で必要だと。要するに、下條村なんかは業者に発注せずに、それは小さな道なんでしょうけれども、自分たちの村民が労働提供でやった。  私がさっき「共」という部分を出しました。最初の二ページ目のところで、「官」、「民」、この間の公共的なところを「共」。例えばNPOとか住民とか、そういう方々が、例えば私の地元でも、子供の行き帰りの見守りみたいなことを、もう警察官だけ、お巡りさんに言っても仕事忙しいから、地域の方々が子供の見守りの活動を散歩のついでにやっている。近くの大学生が下校時に人通りが少ないところはジョギングを、みんな大学生に協力を求めてその人通りの少ない道をジョギングしてもらう、ロードワークをしてもらう。そういう形で市民が参加して公の仕事を担っていただかなければいけない、こういう発想で私はこの行革というのは進めなければいけないというふうに思っています。まあ、うなずいていただいていますから、総論的には賛成いただいているのかもしれません。  各論に少し移りたいと思います。  資料の三ページ見てください。先ほど申し上げましたように、私は橋本総理の下での行政改革に携わりました。九六年から、まあ十年前、九六年から行政改革会議ができ上がりまして、与謝野大臣、官房副長官で後半はいらっしゃったと思いますが、そのときに中央省庁改革基本法というのができたんですね。ここのパネルに書かせていただいていますが、第四十七条に、国の行政機関の定員について、十年間で少なくとも十分の一の削減を行うと書いてある、書いたんです。省庁再編だけでは駄目だと、実際定員削減しなきゃいかぬ。これと別に、同じ条に郵政公社とか独立行政法人化も進めるということですから、これは郵政公社とか独立行政法人の部分を除いて本省の定員の十分の一削減を法律で書いています。橋本行革の、行政改革会議の報告を受けて法律で決めているんです。これ二〇〇一年ですね。  それで、じゃ郵政公社部分とか独立行政法人部分を除いてどれだけの削減になるのかと、この法律を誠実に履行したらどういうことになるかというのが左側のグラフでありまして、三十五万一千人が平成十二年末、それが平成二十二年末には三十一万六千人になる、一〇%削減したらですね。まあ機械的なことです。  今回、小泉改革で、行革法案で、今回のこの法案で三十三万一千人を幾らにするかといったら、三十一万四千人にすると、五%ですから。さっきから五%やるのも大変だと。まあ大変かもしれません、今の仕事を見直さなければ大変でしょう、きっと。ほとんど同じじゃないですか。これ、橋本行革、中央省庁改革やったら、こんなことやらなくて済む。いや、またやります、行革です、小泉行革です。結局、同じことを言っているだけじゃないんですか。  これはどなたに伺ったらいいのか分かりませんが、ちょっと中馬大臣、どう違うんですか、言ってくださいよ。
  101. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 私は、そのときここにタッチしておりませんでしたから詳しくこの経過は存じませんが、見た限りにおいては確かにおっしゃるとおりです。
  102. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 最大の違いは、郵政公社は民営化しないと、橋本行革はそうでした。これ一番多いのは……
  103. 松井孝治

    松井孝治君 そんな話聞いてないです。
  104. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この二十八万六千人、民営化するの決まったんですから。民主党も反対しましたね。
  105. 松井孝治

    松井孝治君 本当にいつもの総理のもう得意の答弁ですが、私が聞いてるのは、郵政公社の話と別に中央省庁の改革でこういう中央省庁改革基本法で一割削減と書いてあるんです。この法律は生きているんですよ。終わってしまった法律じゃないんですよ、生きているんですよ。これの部分を聞いているんです。郵政公社は別枠なんです、いずれにしてもこれは。郵政公社の郵政改革をやられたのは分かっています。今、この中央省庁の部分を聞いているんです、郵政公社以外のところを。同じじゃないですか。説明できない、今慌てて事務方が来ていますけれども。  要するに、これ何のために、じゃこれ橋本行革でやったものを何も足さないということですか、これは。どういうことですか、答弁できますか。
  106. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) これは削減だけで三十一・六万人になりますけれども、このほかに増員が、必要に応じて増員を入れていますから、こっちの場合は純減でございますから、そこのところは違います。
  107. 松井孝治

    松井孝治君 それはおかしいでしょう。定員削減って書いてあるんですよ。定員削減すると書いて、それとは別に増員があるってどういうことですか。一割定員を削減します、いや、それは増える部分もあるし減る部分もある、それとして定員は削減するって書いてるんでしょう。定員削減はあるけど別に増員がありますといったら、この中央省庁改革基本法違反じゃないですか。ちゃんとはっきり説明してくださいよ。増員あるのに決まってるじゃないですか。減る分、どこの民間企業だって定員減らす部分と定員増やす部分あって、定員を削減する、十分の一削減すると書いてあるんだから法律違反じゃないですか。
  108. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) これまでは、一つの定義としまして定員を削減することがこうして削減と言っておりました。今回はそうしたその増減がありますから、その削減分と増員分を合わせて、その差引きが純減という形で表現をいたしております。
  109. 松井孝治

    松井孝治君 右側をめくってもらえますか。  要するに、ここが骨抜きになっている部分なんですよ。要するに、十分の一定員を削減すると言いながら、右側の図を見てください、定員合理化というのがその削減部分ですというふうに言っているんです。今まで削減と言っていたら、こういう議論があるから合理化という言葉に換えられたんです。でも、中央省庁基本法は削減とはっきり書いてあります。それ以外に増員部分がありますから、例えば民間企業で、うちの会社は一万人の会社を頑張ってリストラして九千人にする、そう言っておいて、九千人にしましたけど、新規事業分野が出ましたから二千人雇い直して一万一千人にすると。そんなのは行政改革とは言わないですよね。そういう言葉を、削減という言葉を書きながら、削減したけど、いや増要因がありますから増えました、だから違うんですというような説明だと、これは要するに橋本行革は完全に骨抜きにされたということじゃないですか。納得のいく説明してください。
  110. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは全く逆じゃないですか。橋本行革の場合は減員するけれども増員分は別だと、今回は増員するところも含めて純減させるんですよ。大きな違いじゃないですか。そうでしょう。
  111. 松井孝治

    松井孝治君 私が申し上げているのは、中央省庁改革基本法を骨抜きにしているんじゃないかということですよ。だから、それを骨抜きにしているから今回のようなことをやらなければいけなくなったんじゃないかと。それを誠実に履行していたら、ほとんど同じことができているんですよ。やりました、やりましたと言うけれども、ほとんど同じことが法律に書いてあるけど、それが削減という言葉を骨抜きにされて、削減は一回削減するけど増員分は別だというような解釈をするような骨抜きになっているから、こういう法案をもう一回やらなけりゃいかぬじゃないかということを言っているんですよ。  だからといって、この五%削減が意味がないとかあるとか言っているわけじゃないんです。そもそも私が申し上げていることは、五%削減とか、まあ三年二割というのもありますけれども、それよりも前に、きちんと事業仕分をして、だれが本当にやらなければいけないのか、もっと増やさなきゃいかぬ部分もあるでしょう、さっきから私も合意していますよ、国民の生活の安全にかかわる部分なんだから。だから、そこの本質が抜けて十年前に作られた橋本行革が骨抜きにされているから、今回のようなもう一回定義をし直して純減をしなければいけないという羽目になっている。だから、要するに行政改革というのは骨抜きの歴史なんだということを申し上げたいと思います。質問、求めていませんので、御答弁は結構です。  問題はさっきの効率化、このパネルを出させていただきましたが、④の効率化、こういうことをどうやって進めるかなんです。  それで、具体的に、今回法案を、同じく公益法人改革の法案が出されていますね。それとも絡むので、ちょっと公益法人にも関連して御質問をしたいと思います。  竹中大臣、一言だけ教えていただきたいんですが、公益法人、社団・財団法人、現行法令では民法三十四条に基づいて設立される法人、これは官ですか民ですか。
  112. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 民法に基づいて民でございます。
  113. 松井孝治

    松井孝治君 明確な答弁ありがとうございます。民なんですね。  さっきの一ページ目の、一ページ目というか、二ページ目のこの絵をもう一回見ていただきたいんですが、私が申し上げたいことは、民である部分を官が侵食しているということが各省庁で行われています。この事例を、もう時間があんまりありませんから、個別にお伺いすると時間が足りなくなりますので、私から御説明をさせていただきたいと思います。  まず最初に、五ページ目ごらんいただければ、各府省別の随意契約というのがあります。これが、大体平均すると七割が随意契約、要するに、本来会計法上随意契約というのは例外事項として特別の要件がある場合のみ許されるものであるにもかかわらず、七割が随意契約でありました。  そして、六ページ目を見ていただきたいんですが、この横長の「天下りと税金のムダ使い」という資料でございますが、監督官庁が公益法人、特にまず公益法人に特化して言いましょう。無競争、随意契約で特定の業者にあるいは特定の公益法人に事業を発注する、見返りにその公益法人は大量の天下りを受け入れる。それを具体的に言うと切りがないんですが、この間明らかになったものでいうと、国土交通省でいうと、さっき事業仕分、非常にいい考え方を示していただきましたが、現実のおひざ元では各地方整備局ごとにいろんな社団、財団に事業を丸投げしています。そして、防衛施設庁、この間非常に問題になっているものでありますが、防衛施設技術協会というところに仕事を丸投げしています。そして、まあまさか法務省についてはそういうのがないだろうと思っておりましたら法務省でも、法務省の法務局、各法務局が民事法務協会というところに仕事を丸投げしている、そういう実態が明らかになっています。  次の七ページをお開けください。  これ、今申し上げました国土交通省の北側大臣のおひざ元のところで、北海道は、あれは北海道開発局というのがあってちょっと別なんですが、元々別の官庁でありましたが、東北から九州まで各建設協会というのがあるんですね。これ何やっているかというと、公共事業の施工管理補助をしているんですね。これが、総理見てください。ほとんど事業収入、一番左側の欄、事業収入中の国からの受注、これはほとんど整備局からの予算でありますが、九九・八%とか、ほとんど丸抱えですね。防衛施設技術協会は八六%ですね。要するに、もう国からの発注がなければやっていけない。民だとさっき竹中大臣はおっしゃったけれども、うち随意契約、一〇〇%随意契約、無競争でここに投げているんですね。もう指定して、ずっとそこに仕事をやらせているわけです。  そして、役員に占める、この各社団法人、財団法人の役員に占めるOB、官庁OBの割合は、これ言っておきますけれども、国土交通省とか防衛庁から出してもらった資料ですよ、私が勝手に作った資料じゃないですよ。十三分の十二、十三分の十二、十六分の十四、ずっと、見てくださいよ、ほとんど役員は子会社なんですよ。官の植民地ですよ、はっきり言って。いや、プロパーの方もいらっしゃるんですよ。だけれども、役員はほとんどもう官僚出身者しかなれないわけですよ。ね、うなずいておられる。職員だって、見てください、二百四十八人中百二十九名とか、軒並み何十人という単位でここに職員が再就職をなさっているわけですよ。これが実態です。  ちょっと八ページ、九ページを飛ばしていただいて、十一ページ見てください。じゃ、ここがこれだけ、まあちょっとした仕事を請け負っているということなのかというと、そうじゃないんですよ。十一ページ、ここは、例えばさっきの国土交通省、右側の数字を言いましょう。ここが、国土交通省の東北と関東整備局だけに限って調べました。ちょっと膨大な作業になるんで、お役所も気の毒なんで、同じ構造ですが。  国土交通省の平成十六年度の東北・関東整備局が発注を、民間への発注を四千八百六十億円やっているんです、四千八百六十億円。そのうち、この今申し上げた東北建設協会とか関東建設弘済会が監督補助、その公共事業の監督補助業務をしているもの、あるいは積算補助をしているもの、これがどれだけあるかというと、四千八百六十四億中の四千四百五十一億円やっているんですよ。単に事業受託だけじゃないんです。公共事業の本筋の流れの積算補助とか公共事業の管理を、ここが九割以上を握っているんです。そういうところに、さっき申し上げたようなたくさんの方々が再就職をされている、そういう、こういう正に監督補助業務とか積算補助業務を無競争でここで投げている、こういう構造なんですよ。  で、ここで、この東北建設協会、関東建設弘済会にどれだけの天下りが行っていますかという資料は資料提供に応じていただきましたが、そこから経由してまた受注企業にたくさんの天下りが行っているんじゃないかというふうに思われているし、いろんなことは、そういう証言はあるんですが、その数字を出してくださいと言ったら、残念ながら出せません、それは役所としては管理できていませんと、そういうお答えでございました。  額賀長官、左側も同じなんですね、左側も。これは若干数字がマジックがあって、防衛施設庁の建設部、防衛施設技術協会を束ねているのは防衛庁、防衛施設庁の建設部ですね。幾ら十六年度で事業発注していますかと、業者に発注していますかと確認したら、千九百五十九億円だと。そこに、十六年度に発注したものでこの防衛施設技術協会が、ここの場合、施工管理事務を委託を受けているんですね、無競争で。そこが絡んでいるものは幾らありますかと聞いて集計してみたら、何か三千三百九十一億円あった。数字が合わない。これは何かというと、十六年度でも前の年度から繰越しを受けている事業についての管理をしているとか、あるいはまた次の年度の分まで含めて、重複計上があるからこの一七三%になっているんですが、要するに密接にここも施工管理に絡んでいる、この公益法人がですね。そこに、さっき申し上げたように、物すごい比率で天下りをしている、こういう構造なんです。  だから、さっきの最初の私の資料でいうと、二ページ目の資料でいうと明らかに、さっき明確に竹中大臣が民とおっしゃったところに対して官が絡んでいる。しかも、その官の絡んでいるのはちょっとした調査事務を委託しているだけじゃなくて、公共事業の積算管理とか施工管理とかいう公共事業に密接に関連したところを牛耳っている。だから、今のこの絵では手で握っていると。  しかも、この公益法人に今の天下り制度でいうと二年在籍したらどこの民間企業でも行けるんですよ、クーリングオフと言って。クーリングオフと言うんです。クーリングオフというのは、役所にいたときの権限が、国土交通省にいた、防衛施設庁にいた、だけれどもその二年間置くと親元への影響力がなくなるだろう、だから民間企業に行ってもいい、そういう判断で今の天下り規制がなされている。ところが、これ見てくださいよ。むしろがっちり握っているじゃないですか。クーリングオフどころじゃないですよ。むしろ権限パワーアップして、そして民間に乗り込んでいく。  だから、この構造で、額賀長官、防衛施設技術協会とやっぱり官製談合があったということは僕は事実だと思うんです、細かいことは別として。額賀長官、この構造ってやっぱりどこかでメスを入れないと駄目じゃないかと思うんですが、御答弁いただきたいと思います。
  114. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えいたします。  これは委員がおっしゃるとおり、防衛施設庁からこの技術協会に仕事が発注されている。ここは救いがあるのは協会で、民間に丸投げしないで自分で仕事しているということはあるわけであります。  しかしながら、今おっしゃるように、天下りとかそういうことがありましてこういう談合事件が起こったわけでありますから、私は、そこは民でやるべきものなのか、それとも、施設庁というのはね、それから米軍施設だとか基地の問題抱えていますから、官でやらなければならないものは何なのか、そこはきっちりと仕分をして、今後も国民の目線から見て疑いのないように、透明性があるようにしっかりしたいと思います。  と同時に、施設協会はこれは解体をして防衛庁に統合して、あるいはまた、きっちりと監視・監察体制がしっかりとできるようにして皆さん方に疑いのないようにしますから、御安心をしていただきたいと思います。
  115. 松井孝治

    松井孝治君 残念ながら御安心できないですね。  ちょっと先に進めます。資料でいうと十二ページ、これ国土交通大臣のところでありますが。さっき東北と関東の事例を示しましたが、これは衆議院で長妻昭衆議院議員が指摘されたものでありますが、単に天下りを受け入れているだけじゃないんですね。その九州建設弘済会、要するに積算補助をやったり事業管理をされるところにその実際そこが契約しているところから人が来ている、民間企業から。それでここの積算補助とか管理の業務を行っている。出来試合じゃないですか。こういう構造が多くなっているんですよ。  だから、私は公益法人についても、こういう公益法人についてやっぱり天下り規制で、クーリングオフで二年間親元から離れてこういう公益法人に行ったらその後民間企業に行ける、こういう関係やってたら、総理、さっきの五%の話だけじゃなくて、いつまでたっても非効率な事業発注というのはなくならないんですよ。こういう税金の無駄遣いをなくさなきゃいかぬのじゃないですか。  そして、まだあります。参考資料でいうと、法務省のものも、せっかく法務大臣もお見えでございますから申し上げましょう。法務省は、私は余り天下りがない役所だと思っていたんです。ところが、法務局でも、これ法務省の登記手数料収入、特別会計の収入一千億円大体あります。一千億円のうち大体半分以上がコンピューターに使われているんです。これはもうずっと私が取り上げている、この、総理、八ページです。一千億円登記手数料収入があって、このうち半分以上コンピューターに使われています。そのコンピューターはF社というところに随意契約で無競争でずっと投げられています。そして人件費が二百二十九億円なんですね。これはまあ法務局で働く人がいますから当然であります。  その残り二百四十五億円はどこに出ているかというと、この財団法人民事法務協会に無競争で出されている。しかも、理事十五名中、役員十五名中、法務省OBが九名、監事二名中、両方が法務局OB、職員二千百名中、七百九十五名がOB。そして、一年前にこの民事法務協会に再就職された数は二百九十九名中、辞められた方のうち百四十二名が民事法務協会に法務局の方々が再就職されている。完全に官の子会社になっている。  ここの仕事は地味なコンピューターの入力とか登記の移行作業が多いのかもしれない。だから、やっておられる方々が悪いことをやっておられるわけじゃなくて、まじめにやっておられるかもしれないけれども、公益法人を完全に、まあ私物化というんじゃなくて官物化というんですかね、さっきの民の公益法人を官物化している。そういう図式がこの法務省、私はもう最もまじめな役所だと思っていて、実際多くの方はまじめに仕事をされているわけでありますが、その役所でもこういう構造がつくり出されているということであります。  九ページを見てください。これは去年の決算委員会でも私が指摘しましたが、これはハローワークなんかの情報システムですね。ハローワーク行くと結構、求人情報って最近コンピューター化されていて、いろんなシステムで情報が出てまいります。しかしながら、その情報システムというのはずっと随意契約でこのシー・エス・エスという会社に投げられていて、シー・エス・エスの売上げに占める厚生労働省からの発注というのは九割、さっきの公益法人と全く同じじゃないですか、九割は国からの仕事。要するに、国からの仕事がなければ成り立たないという会社で、そこに、次のページ見ていただければ、社長とか専務とか取締役はずらっと厚生労働省の天下りが行っている。そして、今日はもう資料付けませんでしたけれども、何十人という天下りリストがあって、昨年の決算委員会で、これはちゃんと全部人事院の、あるいは人事院が決めた基準に照らしてしっかり審査されているんですかというと、国家公務員法違反の再就職まで存在したというのがこの構造なんです。  そこで総理、時間が余りありませんので、総理に御質問をお伺いしたいと思いますけれども、この七ページの、もう一回さっきの建設協会、弘済会、防衛施設技術協会、ここのページに戻ってください。要するに、国からの事業がほとんど、で、役員のOB比率は十三分の十二とか、十三分の十二、十六分の十四、ざあっと続いている。  これは、前に衆議院の予算委員会でも取り上げましたけれども、今の政府の公益法人の指導監督基準、十三ページを見てください。所管する官庁の出身者が占める割合は、理事現在数の三分の一以下とする閣議決定があります。この閣議決定違反ではありませんか。総理、どう思われますか。
  116. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、これは閣議決定を遵守していかなきゃならないと思っていますし、今のこの公益法人の事業委託も改善すべきだと思っています。
  117. 松井孝治

    松井孝治君 明快な答弁ありがとうございました。明快に答弁していただきましたので、私はそのことを素直に評価したいと思います。(発言する者あり)委員長、私は総理に質問していますので。  それで、実は、閣議決定違反ですよ。総理が見られたって、どう見ても閣議決定違反ですよ。  ところが、下見てください、総理。これが骨抜きの手口なんですよ。さっきの定員削減というのを私が取り上げたのも同じなんですよ。この閣議決定で、所管する主管庁の出身者の定義というのを、下に、幹事会というのを作っているんですよ、幹事会、この下にある。そこで、本省庁でも課長相当職以上でないとその出身者とみなさない、それから親元官庁以外であればオーケーですよ、それから退職後十年、いろんな団体を渡り歩いて十年たったらオーケーですよ。どっかで定義をしなければいけないのは事実だけれども、さっきの十三分の十二とか全部あって明らかに三分の一をはるかに超えているんだけど、全部これでつじつまが合うようにやっているんですよ。これはだれがやっているんだ、この幹事会のメンバーだれですかと聞いたら、各省庁の官房長。各省庁の官房長というのは何をする役割か、それは申し訳ないけど、就職あっせんをする係です。その方々が集まられて、そしてこの三分の一基準というのは、こういう基準を満たすようにしよう。  だから、さっき出していただいた防衛施設庁の、あるいは国土交通省の所管の団体は全部、閣議決定違反ではありませんというのが政府の見解であります。だから、さっき国土交通大臣が手を挙げられた、あるいは法務大臣も手を挙げられている。恐らくそういうことですから、時間がありませんから答弁は求めません。求めませんが、求めていませんから、委員長、指名しないでください。この、こういう閣議決定を幹事会で事実上全部すり抜けをつくっているというようなことは、これ、総務大臣、この公益法人の監督大臣、総括大臣総務大臣であります。やっぱりこれはさっきの天下りの構造から見て、この閣議決定、むしろ閣議決定で僕は決めればいいと思うんですよ、詳細な基準はもう一回政治が、それを各省庁の官房長に任せずに。こういうことをやっているから、通達行政みたいなことが一杯起こるんですよ。法律で民間参入は可能だといっても、課長が通達を付けて、一定の経済的基礎を有することということが法律で書いてあったら、それが東証、大証、一部、二部上場企業であることというようなことを課長通達で決める、こういうことを繰り返しているわけです、日本政府は。  だから、これは総務大臣、公益法人の所管の総括大臣として、総務大臣から御答弁をいただきたい。見直すおつもりはありますか。(発言する者あり)委員長質疑者の指名を尊重してください。(発言する者あり)
  118. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 民事法務協会の話がございました。国民の皆さんに御説明させていただきたいと思います。
  119. 松井孝治

    松井孝治君 聞いてない、聞いてないです、そんな話は。
  120. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) 資料八を示してください。資料八をお示しください。(発言する者あり)
  121. 松井孝治

    松井孝治君 いやいやいや、やめてください。これはちょっと、理事、これはおかしいです、これはおかしいですよ。おかしいですよ。だって、聞いてないもの。
  122. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) いや、私が指示をしたんですから、指名しましたから、答弁は聞いてください。(発言する者あり)分かってます。いや、それは分かっているけれど、私が指名したんだから、この答弁だけは聞いてください。この答弁は聞いてください。(発言する者あり)
  123. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) お示しの資料がございますが、資料八に記載されている、間違っていることがございます。おおむね合っておりますが。  まず、資料八の理事十五名中OB九名となっておりますが、OBは三名でございまして、あと六名は裁判官と検事であります。これは内閣の方針でOBに入らないことになっておりますので、OBとしては三名でございます。監事二名中法務局OB二名となっておりますが、これも裁判官、検事でありますので、監事のOBはございません。その余の記載は間違っておりません。  恐らく、この民事法務協会に業務委託いたしましたのは、コンピューター化を進める、コンピューター化を進めるために特別会計ができまして、この金額は合っております、平成十六年度。十五年、随意契約を結んでおるわけでございますが、そこに、そこに随意契約した理由は、法務省OBの専門家を活用して、つまり現在の法務局の陣容では膨大なコンピューター化の事業はできませんので、長年この民事法務協会は出版とか研究調査をやってきた財団ですが、そこへOBを集めまして、そしてそのOBでそのコンピューター化の仕事を進めたわけであります。  そして……
  124. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 答弁は以上にしてください。
  125. 杉浦正健

    国務大臣(杉浦正健君) はい。
  126. 松井孝治

    松井孝治君 私は、竹中大臣に、この公益法人の指導監督基準、閣議決定を見直すおつもりがあるかないか。見直す方向で検討するというなら、それだけでもいいですよ。それだけお答えいただけませんか。
  127. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと大きなお問い掛けでございますので、少し包括的な答弁をさせていただきたいんでございますが、先ほど委員御指摘のように、これ公益法人は民でございます。その民との関係というのは大変重要であります。しかし、特別の公益を担って特別の位置付けを与えられたということで、これは正にそのような形で我々としてもその存在意義というのは認めているわけです。そこに必要な事業があるということでいろんな契約がある。  委員の先ほどからの御指摘は、その随意契約とそして天下りとの間で非常に国民から見て不透明なところがあるのではないかという観点からの御指摘でありますので、そうした点については、我々常にいろんな観点から検討しているところでございます。  まず、随意契約については、これはもう既に総理からも我々大臣に厳しい指示が出ておりまして、六月を目途に、めどにですね、点検しろと。  それで、もう一つ、この天下りの問題については、これは公益法人の理事、特別な関係にありますので、御指摘あった指導監督基準というのを平成八年に作っているわけです。で、各大臣はその指導監督基準に基づいてしっかりとやっておられるわけです。  ところが、今の委員の御指摘は、そこの天下りの定義について、やっぱり考え方が実情に即さない点があるのではないかという点で問題の提起をしてくださっているんだと思います。  委員御自身もおっしゃいましたように、これどこかで線引きをしなきゃいけませんですから、これ例えば、それが、なかなか百人が百人納得いく線というのはないわけでございますけれども、しかしこの点については、先ほど総理からもしっかりと見直すべきものは見直すということを言っておられますので、これは一体、いろんな意見を聞きながら、しかし一方で官民交流をやらなけりゃいけないという別の要請もございますし、職業の選択の自由もありますから、そういう問題との均衡を図りながら検討すべきことは検討してまいりたいと思います。
  128. 松井孝治

    松井孝治君 要するに、天下り規制はやれない、強化できない、そういうことですね。  これだけの疑惑があって、国民から不信を買っていて、随意契約、天下り、迂回天下りが議論されていながら、天下り規制をきちんと強化できるというふうにこうやって答弁できないというのが実態なんですよ。総論は同じと言われても各論が全然違うということは、皆さん、国民皆さん方が十分御理解いただけたと思います。(発言する者あり)いや、それだったら、閣議決定見直すんですか。もう一度答弁してください。閣議決定を見直すかどうかです。
  129. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 松井さんの指摘もいいところあるんだけれども、間違っているところあるから法務大臣も訂正したいといって答弁しているんですよ。一方的に言って、答弁要らない要らないと言って、間違った資料だと困るから訂正したいということで答弁している。  私は、それは別にして、今言った指摘で基準というもの、これは松井さんが言ったとおり疑念を抱かせるものもある。だから、基準はどういうことがあるべきかというのは、役所だけじゃなくて、ほかの一般の人の意見も聞いて、基準が、ああこのとおりの基準だというふうによく見直すようにします。
  130. 松井孝治

    松井孝治君 文句付けられた部分は余計でしたが、最後の部分評価します。  ただ、文句付けられた部分の天下りの基準というのは、例えば法務省の検察部局の人たちを法務局のOBにカウントするかしないかということなんですね。私の数字はそれはカウントしていたわけです。だけれども、法務省の数字はそれにカウントしなかったということですから、これは見解の相違なんです。  それはともかくとして、そういう見解の相違がたくさんあるわけですよ。それで、天下りの数をできるだけ少なくして、そのさっきの閣議決定をすり抜けようというのが役所の常じゃないですか。御存じのとおりでしょう。だから、そこにメスを入れる勇気があるかということで、勇気があるという御答弁でしょう、やるということですね。
  131. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それはいい指摘だから、すり抜けないようにきちんと見直します。
  132. 松井孝治

    松井孝治君 分かりました。  それともう一つ、さっきのクーリングオフ、総理、そこまで言っていただいたんだから、クーリングオフ、公益法人を経由して民間企業に天下りする。だけれども、その公益法人は非常にその民間企業とも密接な業務がある。そこを経由していけば、今の公益法人の天下り、公益法人というか今の天下り制度、大丈夫なんです。このパネルを見せてください、十五ページ。  要するに、公益法人に行って二年在籍すれば、さっきのように事実上その公益法人が公共事業の発注管理をしたり積算補助をしていても、今の状況ではゼネコンに天下りできるんですよ。  これを総理、見直すべきじゃないですか。私、法案まで作った。直嶋議員と一緒に法案を参議院に提出させていただきました。これも検討すべきじゃないですか。今申し上げたようなこの公益法人というのは、クーリングオフで、全く役所の元々の権限と離れたところに行くんなら別ですよ。むしろ、密接に関係して公共事業の発注に関与しているところに行っても、二年たったら自動的に民間企業に、発注受ける民間企業に行ける。やっぱりこれはおかしいんじゃないかと、私たち法案まで出しました。総理が対案出せ出せと言うから出しましたよ。これ議論をしてくださいよ、議論をしてこれのいいところ取ってくださいよ。どうですか、総理
  133. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それはいいところは取りますよ。  ただ、この協会とか弘済会、確かに随意契約九〇%以上なっております。この点についても既に、こういう点については、随意契約でしかできないものは随意契約やるべきであって、随意契約でないものは競争入札にするようにと指示を出しておりますし、この弘済会にしても協会にしても、確かに天下り行ったから仕事を取ると、こういう慣例というのはやめるべきだと指示出しております。  ただ、この天下りにしても、今の退職制度にしても、官民交流にしても、本来定年まで働けるような慣例にした方が望ましいということで、退職年齢を今の五十代前半からもっと三歳上げるということについても、今まで、公務員の身分とかありますから、急に一挙にできないんです。それを五年間掛けて三歳退職勧奨制度を遅らせろということを既にやっているわけですね。  これは時間が掛かりますけど、今まで、今資料で、確かに今言われればね、弘済会なんてどこの役所もあるんだよ、これ、国土交通省だけじゃない。弘済会と名の付いた協会は見直さなきゃいかぬ。慣例的な天下りいるから仕事を取れるのなんか、これはよくない。だから、そういう点は随意契約を、それしかできないものは随意契約、それ以外は競争入札にすれば自然に解消するんですよ。  それで、総合的な見方からこれを正していきたいと、すり抜けることを役所にもあんまり考えるなと、よく注意しておかなきゃいけないです。
  134. 松井孝治

    松井孝治君 そうやって、総理が勇ましく特殊法人、政府金融機関の天下りもやめますよと言って、二年前におっしゃったんだけど、何か一週間ぐらいしたら官房長官が、ああ半分にしますという、あるいは定型的なものはやめますという意味で総理はおっしゃったんですという話になる。総理は、こういうところでは歯切れいいことをおっしゃることがある。しかしながら、それをまたいつの間にかどっかで、さっきの閣議決定と幹事会決定ですり抜けができるようなことが、もうこれの繰り返しなんですよ。竹中大臣、笑っておられるけど、そうでしょう。急に厳しい顔しても駄目ですよ。  要するに、こういう構造、ほとんどの事業発注を握るようなところを無競争でつくるようなことは、これは本当に根絶していただかなければいけない。  それから、今の早期勧奨退職制度、これがやっぱり根っこで問題なんですよ。それは総理も認めておられるからいいんですけど。  それで、今の早期勧奨退職制度の五年間で三年遅らせます。でも、それは段階的なものだし、早期勧奨退職制度をやめさせますということではないですね。しかも、総理御存じないと思いますが、あの五年で三年遅らせるというのは、いわゆる幹部職員だけなんです。早期勧奨退職制度の実態を総理御存じない。だから、十四ページ見てください。  これは、今回初めて私、人事院や総務省に御協力をいただいて資料をいただきました。集計していただきましたが、この早期勧奨退職というのを、勧奨と書いてあるのがその表の中で早期勧奨退職のことであります。早く辞めろというんですから、私も役所の出身ですから、役所が早く辞めろと言うからには就職あっせんするというのが常識であります。  それを見てください。実際、合計で二千二百二十五人の方が平成十六年度に早期勧奨退職されています。そのうち、十級以上、一般的に幹部職員と言われているのはここですが、三百五十九人なんですよ。九級以下、千八百六十六人。これは、さっきの天下りの数に入らないというのはここの方々なんです。この方々は、多くの場合定年まで働きたいんです。だけれども、途中で肩たたきに遭って、あっせんされて行かれているんです。ここは基本的に天下りの定義に入っていない。ここは見直させるというふうにさっきおっしゃいましたから、きちっと見直していただけるんだと思いますけれども。  例えば、早期勧奨退職で、これは事務方でもいいんですけれども、時間がないからいいですけど、五年で三年遅らせるというのは、もう私、確認しましたから明確でありますが、これは幹部職員だけ。多くの早期勧奨退職は手が付かない。もっと言えば、総理が早期勧奨退職について、即日廃止とは言えないけれども段階的に縮小するとおっしゃるんなら、この総枠で、むしろこの一般職の方々はちゃんと定年までしっかり仕事をしたいんですよ、多くの役所は。そうじゃない役所もありますよ、一部、一、二。だけれども、多くの方々は最後まで勤めさせてください。  この前、私はこの間いろんな役所の方々のレクチャーを受けても、こんなことやりたくてやっているわけじゃないんですと。さっき法務大臣が御答弁されたけれども、法務省なんかそうでしょう。まじめに仕事されている方多いんですよ。そのときに肩たたきで、これは級別定数管理とかいろんなことがあって役所も出さざるを得ないところがある、だからそこも直さなきゃいかぬのですけど、三年後は一部のキャリアだけ早期勧奨退職を見直して少し遅らせればいいということじゃなくて、この全体を、しっかり公務員が公務を全うできるような体制でこの総枠を管理して、早期勧奨退職を一年でも早く見直すように総理の御決断で判断していただけませんか。そういう閣議決定なりしていただけませんか。
  135. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、この九級とか十級とか実態は分かりませんけども、特別な不祥事を起こしたり、特別の事情がない限り定年まで働けるような、そういう慣例とか制度をつくっていかなきゃならないと思います。そういう点を含めてこれを見直していきたいと思います。
  136. 松井孝治

    松井孝治君 総理は今日は、ちょっと時々、時々相変わらず人のあらを探されるところもあるけれども、まあでも前向きな答弁をしていただいたことは評価を率直にさせていただきたいと思います。  時間がなくなりましたが、同僚の和田議員がもうちょっとやっていいよというふうにおっしゃっていただいたんで、和田議員に感謝をしながら、国有財産の売却について一つ二つだけ伺いたいと思ってます。  このパネル、これ二年前、私、この参議院の決算委員会で提案したこの資料、大きなパネルがありますからごらんください。(資料提示)谷垣大臣には、ここのホテルのパンフレットまで先ほどお渡しをいたしました。今、ヒルトン小田原リゾートなんですね。これは、四百五十五億円掛けて昔の雇用促進事業団、今の雇用・能力開発機構が小田原に造った施設なんです。これを四百五十五億円掛けて造って、六年間使って八億円で雇用・能力開発機構は小田原市に売却をいたしました。その積算について、実は十六億円という積算をしているんです。これについても私は疑義がありますが、しかしそれを公共減額ということで半値で売っているんです。  何で公共減額なのか分からないんですが、公共減額というのは、国有財産特別措置法という法律がありまして、それに倣った制度だというふうに伺っておりますが、これ事務的に以前に決算委員会でも答弁をしていただいたんで、谷垣大臣答弁資料をお持ちだったら、大臣、お答えいただきたいんですけど、こういうホテル、別にスパウザ小田原とかヒルトン小田原リゾートのことを言っているわけじゃないですよ。個別じゃなくて、この手の施設、パンフレットまで今見ていただきました。(発言する者あり)こういう宿泊施設は和歌山にはないらしいですが、(発言する者あり)ああ、ある、ある。ああ、たくさんある。あるらしいですが、こういう高級リゾートホテル、リゾート・アンド・スパですよ、これは、例えば国有財産をこういうところに売却するときに、国有財産特別措置法で公共減額の対象になりますが、公共減額になると半分で売れるんですよ、正当な価格の。それは、この手の施設が国有財産特別措置法に基づく公共減額の対象になりますか、なりませんか。
  137. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今おっしゃった減額の対象は、国有財産特別措置法の中で限定列挙をされておりまして、その中には、いわゆる通常のホテルとして使用することを目的として普通財産が譲渡される場合には含まれない、だから含まれないんです。  ただ、このスパウザ小田原は、雇用保険の雇用福祉事業として旧雇用促進事業団が設置した施設でございまして、国有財産ではないという扱いになっておりまして、今の法律の適用対象外ということです。
  138. 松井孝治

    松井孝治君 これも同じことなんですよ。国有財産特別措置法の基準に倣って、雇用・能力開発機構、雇用促進事業団はルールを決めて、財務大臣に許可をしてルールを決めているんですよ。そのときに、国有財産特別措置法を倣っているんだけれども、微妙に表現を変えて、こういうのは公共減額の対象になるというふうな解釈を取っているんです。ただ、これは参議院の決算委員会で警告決議を付けました、これはおかしいということで。だけれども、こういうことが現実には行われていて、国有財産じゃないですよと言いながら実は特別会計で全部出資しているんですよ、このホテルは、元々造るときに。で、元々の労働省の事務次官やられた方が天下りをされて、このホテルになった施設を理事長として管理しておられたんです。全部同じ構造なんですよ。  最後のページ、十七ページ見てください。もうこれで私の質問終わりにしますけれども。  これは、今のスパウザ小田原を含めて二千七十の施設、勤労者福祉施設、基本的に廃止か全部売却をされました。厚生労働省がおっしゃっている数字で四千二百七十九億円の損失があるわけでありますが、こういう二分の一減額とか控除方式でいろんな算式を作って、よく分からない難しい算式が作ってあるんですが、見てください、総理。一万五百円で売っているのが八百六十一、これは体育館とかいわゆる研修施設とか箱物ですよ。一万五百円で売っているのが八百六十一、十万五千円で売っているのが六百三十八。何千億円と掛けて造った施設を一万円とか十万円とか、物によっては千円で売っている。  さっきのスパウザ小田原の例で言うと、四百五十五億円掛けて、どういう計算をしたのか知らないけどそれが十六億円になって、それを更に半値で、いや、これは公共目的だったということでああいう高級リゾート、別に私はヒルトンに恨みも何もないですよ、だけど、ヒルトンがほとんど居抜きで使うような施設を公共減額で売っている。要するに投げ売りしているんですよ。  私が総理に申し上げたいのは、こういうコスト意識、要するに一円でも高く回収する、国有財産だったら納税者の視点で一円でも高く回収する。そして先ほどの、大臣は、いや、これは国有資産じゃないと言われましたけど、全部中小企業のおやじさんの給料分から保険料として払って、それを特別会計で出資して、国が出資して造ったこのスパウザ小田原、こんな値段で売ってしまっている。半額で更に売っている。  こういう方針で国有財産を投げ売りされたら、今回の行革推進法の中にも国有財産を圧縮するというのがありますけど、いろんなところ、公務員宿舎も圧縮するということもある。それは公務員宿舎が都心の一等地にあって問題だという議論もあるけど、とにかく売り急げばいいということでこういう損失を出しては僕は絶対いけないと思うんです。その点について総理に最後に御答弁いただきたいと思います。
  139. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは今譲渡価格だけの問題にしてますけど、そうじゃないんです。根が深いんです。元々これ、やる必要なかった仕事なんです。それを私は前から指摘されたけれども、地域の振興だ、地域が地元負担をしなくてもいい、過疎地だ、過疎地の人は喜ぶ、しかし私はこれ役所がする仕事じゃないんじゃないかと。  勤労者福祉施設だけじゃありませんよ。かんぽの宿だってそうですよ。旅館がある、ホテルがあるのに、何で郵政省関係の簡保事業団が、福祉と名が付けば何でもいい、地元の人は近所の旅館よりも安く、サービスはいい。メルパルク、都会のホテルはあるのにメルパルクみたいなの造って、都市ホテル造って安くする。これみんな役所、私はこんなのやる必要ないと言ってたじゃないですか。ようやく最近分かってきたんですよ。  しかしながら、今これを譲渡したら買ってくれない、どこも。元々自分たちは負担しないからいい、地域の住民、過疎地の住民であればあろうほど、自分たちお金を負担しないんだから、国がお金使ってくれるんだから、簡保福祉事業が金使ってくれるんだから、勤労者福祉施設が金使ってくれるんだからやってくれればいい、みんな歓迎するんですよ。  しかし、これは本当に役所がやる仕事なのかと。そうじゃないだろうということで、私は郵政民営化なりやってきているわけでしょう。それは郵政省に関連する、福祉と付けば労働省に関連する、福祉施設を付ければ、還元融資なんて言ったって野球場まで造っているところがある。年金の保険料を使ってそんなところを造る必要あるかということ、私はもう厚生大臣のときから言ってきた。だから、厚生省のときに厚生関連の福祉廃止させたでしょう。それでも抵抗があったんだ。  そういう根の深い、与野党を通じて、過疎地振興、地域振興という名をかりて、私たち地元は負担しないんだから、地元の人だってみんな歓迎しますよ。役所でやってくれるなら、税金使ってくれるなら、おれたちの地域発展するなら助かる。しかし、ここにそのツケが来ているんです。安く買う、買う人がいないんだから。それをこのまま、じゃ、買う人がいないから、高く買ってくれないからほっておいたら、ますます余計な負担が掛かる。早く、一時的に損しても将来の負担を少なくするために撤退した方がいいということでやっているんですよ。  買ってくれるところ言いなさい。地元は残してくれという陳情が来る。民間じゃ買ってくれない。地元は是非とも残してくれと。役所は雇用を考えてくれと。与野党を通じて、野党の皆さんだってそうですよ。首切らないでくれと。特殊法人でも、この雇用を是非とも維持してくれと、すぐなくしていくなと。そういうのを考えて、それでも今残ったならば将来どんどん負担が増えるから、安くても早く損を少なくしようということで、安いところ、買ってくれるところ、地元が負担しているところで、何億掛かって造ったけれども、何百万、何十万、何万円でも今早く売れるものは売った方がいいということでやっているんですよ。  これは単なる譲渡価格だけの問題じゃないんです。そういう徹底的な行政改革やろうと。役所がやらない仕事はやるなと、余計な仕事をやるなと。役人だって仕事を少なくするのを考えろということで行政改革やっているわけでしょう。これはいい指摘で、私がもうあなたより前から指摘しているところなんです。
  140. 松井孝治

    松井孝治君 大変熱のこもった答弁をいただいて有り難いですけれども、だれがこういうものを造ったんだという責任が一切問われないのが役所の仕組みじゃないですか。総理が今おっしゃった。でも、総理大臣やられていたけど、そのときにストップされてないじゃないですか。役人は、役人は止まってなかったじゃないですか、実際現実に。それで、役人が、それを要するにだれが責任取りました。こういうもので損失を出したもの、それをやっぱり責任を問うようにしなければいけない。それから、地方も、おっしゃるとおりですよ、何でも欲しい。要するに自腹感覚がないから、もらえるものは何でももらおう。この発想も変えなければいけない。そして、さっき申し上げたように、随意契約もちゃんと適正化しなきゃいかぬ。そういうことがこの法律に入っていますかというんですよ、私が言いたいことは。  総理、今非常に雄弁に語られたけれども、そういうこと、法律に入っていないんですよ。だから、閣議決定見直します、そういうことを本当にやるんなら法案に入れればいいんですよ。私たちは、そういう対案を衆議院で提案した。参議院では、衆議院で廃案になっていますから来ていませんけれども。  今日は政府案の質疑でありますが、もう私はやめますけれども、そういう法案の修正をきちんとしなければいけない。そのことを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  141. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 法案に入っていることがすべてじゃないんですよ。行政改革の法案は法案。法案以外にやるべきことはたくさんありますよ。役所は責任取らないという。政治が要求しているからです。国民が要求しているからです。役所の責任取らせるというのは別の問題なんです。
  142. 松井孝治

    松井孝治君 委員長、じゃ一言だけ。  じゃ法案に入っていないものを、法案に入っていないものを含めてちゃんとやるんですね、天下り規制も含めて。そのことをちゃんと最後に答弁してくださいよ、そこまでおっしゃるんなら。
  143. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 法案やっていることは法案にやるべきことを書いてあって、政治というのはこの法案だけじゃないじゃないですか。今まで全部いろいろやって、行政改革に終わりはないと言っているんです。いい点はやる、直すべきは直すと言っているんです。  しかし、一か月や一年でできる問題じゃありません。それはよく分かっているでしょう。施設も明日なくせと言ったら、従業員どうするんですか。そういう点もあるから、よく政治は考えて、地域の人たちの雇用も考えて、地域の振興も考えて、そしていかに無駄遣いをなくすかということでやっているのが行政改革でしょう。この法案だけじゃありませんよ。これがすべてなんて言っていませんよ。
  144. 松井孝治

    松井孝治君 もうやめますけれども、私たちは、だから法案にして、その天下り規制も官製談合防止法も、一番根っこはそこですよ、それを法案にして提案しているんですよ。あなた方は批判するだけで案出さないと言うから、ちゃんと案出しているんですよ、条文化して。だからこれを議論してくださいよ、総理、そのことだけ約束してください。
  145. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 議論をして、いい点は取り入れますし、三年間で二〇%公務員削減すると言っているんだから、具体的に出してくれれば十分検討します。
  146. 松井孝治

    松井孝治君 再質問を終わります。ありがとうございました。終わります。
  147. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 白熱の議論の後で、民主党・新緑風会の和田ひろ子でございます、質問をさせていただきます。  総理がたくさん今日は約束をされました。どうぞお守りいただきますようにお願いをいたします。  まず、行政改革の基本理念についてお伺いをいたします。  四月の十九日に衆議院の行政改革委員会の中で、我が会津の大先輩である渡部恒三代議士、民主党の国対委員長ですが、政治とは、弱い人のために、恵まれない人のために、本人の責任がなくても世の中の変化に困っている人のために、そんな人たちが幸せに暮らせるようにするためにあるというふうにおっしゃいました。私は正にそのとおりだというふうに思います。  今、地域が大変苦労をしています。さっきから何回も言われておりますが、格差が広がっています。勝ち組である大企業はすばらしい業績を伸ばしておられますけれども、なかなかその波に乗られない企業がたくさんあって、その企業に働いている方たちもたくさん苦労をしています。そんな格差国民の中に本当に広がっています。  四月二十四日のこの参議院での推進法の説明の中で、質問に答えられて、簡素で効率的な行政は地方公共団体の責務であるというふうにおっしゃいました。大変な責務を地方公共団体は負わなければいけないんだなというふうに思います。  地方の町村は財政的に大変今苦労をしています。三位一体の改革の中で、税源を移譲しますよ、税金はあなたたちが使いなさい。でも、会津の町村で本当に税源がそんなに来る町村はありません。そんな勝手にお使いください、どうぞと言われても、使えるお金がないんです。本当に、税金納めている人、役場の職員、学校の先生、農協の職員、そのぐらいなんですよ。例えば、一つの村は十六億円の財政で人件費が五億円掛かります。そして、村から上がる税金は二億八千万円です。だから行政改革が必要なんだということにもなりますけれども、町の職員の給料すら自分たちのお金で払えないというのが事実です。  町村の財政は、今一番困っておられる皆さんにどういうふうに三位一体改革乗り切っていきますかといったら、みんな口をそろえて第一番に言われることは、町の基金を崩すというふうに言っています。そして、例えば婦人会とかいろんなスポーツ団体とか、そういう人たちに助成をしていたお金を全部削ってしまったという町もあります。  とても小さい話なんですが、例えば敬老会というのがあります。お年寄りがとても楽しみにしておられることなんですけれども、そこは、保育園の子供たちとか、婦人会の方たちがダンスをしたりコーラスをしたり、保育園の子供たちがおじいちゃんたちに呼び掛けをしたり、とても和やかな一日を過ごすんですが、そこで大抵折詰なんかを差し上げるんだけど、今年は折詰差し上げられなくてお弁当にしました。ある町村はお弁当も上げられなくて午後からにしました。それが本当に町の実情です。  例えば、また別の千八百人という村があります。その村は高齢化率が五〇・九%です。町の基金を今回二五%削ったそうです。もう本当に二五%も削ってしまった、そんなところもあるんですが。  昨日の福島県の地方紙の新聞に、生活保護家庭が過去最高になっているというふうに出ていました。昨年一月末には一万二百二十二世帯だった保護世帯が一年後に、今年ですね、一万五百八十六世帯になってしまったというふうに書いてあります。生活保護世帯が本当に増えている。これはうちの県だけではないというふうに思います。こんな状況なんですね。  例えば会津若松市なんかは、平成十五年に退職者四十五名出たけれども採用したのは十一名、十六年度は二十九名の退職者に対して採用者はなかった。今年も十三名の退職者に対して採用者はありませんでした。さっき四兆円で二十七人なんていう話がありますが、この市の職員は、例えばこの人たちが将来、トップがぼんと五年間くらい空く時期がありますよね。大変なことですよね。こんなに地方が苦労しているのに国は何をしているんだろうかというふうに言っています。三役の給料、職員の給料、監査委員給料、議員の報酬、もう本当に全部詰めに詰め、もう本当に詰められないぐらい詰め切っています。  例えば、町村合併した町村で議員の選挙なんですが、大きい市と小さい村が合併したら、一緒になったら今度は、小さい村の有権者の数が当選ラインにないところがあって、村から代表の議員が出れないというところが全国たくさんあります。村の皆さんの声を聞いてもらえなくなってしまうんです。大変危惧しています。  町村合併でどんなふうに困りますかというふうに聞いたら、余り大きな合併をしてしまったために、いろんな町との、組織が大きくなってしまって、本当に疎遠になってしまって決議をすることが物すごく長くなってしまって、実際には住民の皆さんから苦情が来る。せっかくお願いしてもなかなか答えが返ってこないとか、乳幼児健診とか妊婦健診なんかが本当に遠くまで行かなくちゃいけない。行政は、やっているメニューは全然変わりませんよと言うけれども、常に享受する町民、村民、今までの人たちは大変苦労をして遠くまで行かなければいけない、そういう状況にあります。  豪雪対策、特別交付税も出していただいて大変よかったような、耳触り、耳触りはいいんですけれども、全然間に合わなかったんですよね。やっぱりこれも基金を崩して豪雪の手当てをしました。そんな豪雪の手当て、例えば道路、物すごく、除雪で道路すごく今悪くなって、町村の道路はすごい穴ぼこだらけなんです。でも、根本的に直せないのでアスファルトを埋めて、そんな対応しかできない、こんな状況にあるというふうに言っている町村もあります。  合併したために、滞納する、納税の徴収がすごい厳しくなって、今まで町との信頼関係の中でいろいろ相談していたのが、もう市になったら本当にそういう相談すらできなくなってしまって、本当に町と住民、市と住民の間の疎遠、何か疎外感があるというふうなことも言われております。  そんな雪解けの会津、今、雪解けの会津なんですが、田んぼの雪、本当にこの時期、私は感激するんですけれども、農家の皆さんって、田んぼにまだ雪があるときに、もみ殻を燃やした黒い灰を今の時期、田んぼにまくんですね。それは、肥料にするという意味もありますが、雪を早く消すという意味があります。そして、早く雪を消して少しでも早く、村のだれよりも早く田んぼに行きたい、畑に行きたい。それは自分が一番働き者だからということをみんなに見せたいんです。そういう競争をするんです。そういう村が、町がたくさんあります。  そういうことからして、小泉内閣改革というのは、本当に私たちの心に温かく、先ほど恒三先生が言われたような温かい手を本当に差し伸べているんでしょうか。お心から語っていただきたいというふうに思います。
  148. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この地方の問題というのは、国全体から考えれば、地方だけでは住民の税金だけで住民の様々な要求を満たすような仕事なりサービスが展開できない。だから地方交付税制度というのがあるんですね。国全体で税金を納めて、住民の税では仕事ができない分野地方公共団体に配分しましょうと、税源も移譲しましょうと。  ところが、地方は、仕事はおれたちに任してくれるけれども、交付税は減らしてくれるなと。それはだれだって希望しますよね。全部やらしてくれて税金はくれと、財源はくれといえば、これは楽ですよ。市町村合併で困っている町や村、しかしながら、それでは千人、二千人の規模で、その人たちの税収でその人たちが納得できる、満足とは言わないけれども、この程度の行政サービスならいいなと思う行政サービスができるかと。できない。だから、大きな規模のところと合併して、ある程度規模がないとサービス展開できません、医療にしても介護にしても。そうでない限りは、ほかのところの税収をおれたちにもくれと言わない限りは過疎地はやっていけません。  だから、今回の国全体の改革は、補助金も地方に任せるように国の補助金というのをカットしましょう、税源もじゃ移譲します。ところが税源、都会は企業にしても大きな企業があるから税金があるだろうと、しかし地方は、税源くれるといったって税源がないんだと、住民税だって免除されているところが多いと、おれたち税金なんか払っていないと、地方交付税でやっているんだと、そういう制度です。  で、これを、ある程度規模がないとその地域全体の自主権を、裁量権を任してくれと言ったってできないでしょうということで、市町村合併というものを展開しながら、地域で自主性を保ちたいんだったらば、それなりの税収なりあるいは交付税なり、税源なりで賄っていけるサービスを展開してくださいと。  だから、地方分権というのは全国一律じゃありません、地方の特色を出すわけです。ある程度の税源の中でどの範囲できるか競争するわけです、地域で。隣の地域でああいうサービスやっていると、おれたちのところはない。首長、市長なり町長なり苦労しますよ。しかし、おれたちは税金がないんだからこの程度しかできない、隣の町と同じようなサービスするんだったら、もっと住民、税金納めてくれるのかと。それ、嫌だと言ったら、この程度のサービスはできませんよという競争が始まるわけです、これから。今まで、それは税金払っているところも払っていないところも、足りない分は全部国から来るというんだったら、それは意欲も創意工夫もなえてきます。もっと地方独自の裁量権を欲しいんならば、やはりそれなりの創意工夫をしてもらって、税源もある程度考えてもらう、どうしても足りない部分はやっぱり国全体から配分しますよという交付税の問題もありますから、これを一緒に、三者一体で改革していこうというのが補助金と税源と地方交付税の問題なんです。  今言った御指摘、確かにあります。地方の声を反映するのに村会議員、町会議員が、隣の大きい町に合併したらば、おれたちの意見、定員も削減する。現に町村会議員は一万六千人ぐらい削減されるんでしょう、この合併で。一万六千人の町村会議員がなくなるということは、地域にとってみれば、おれたちの代表がいなくなるという不安がありますけれども、これは民主制度の中で、人口、一票は都会の一票も地方の一票も同等であるはずだという不満が出ているわけですから、一対一じゃなくても、せめて国では二対一ぐらいにこの人口比例というものを抑えていこうというのが大方の今、与野党総論でしょう。  だから、地方の町村合併でもそういう問題が起きてきますから、それはその地方団体の特色を生かして、過疎地なり更にサービスが低下してくる地域においては、その地方団体の長がどのような公平なサービスするかというのはその地方公共団体の議会の考えること。それがやっぱり裁量権を任してくれ、もっと地方に権限を与えてくれという趣旨だと思うんでありますから、その点は、今言ったように、補助金と税源と交付税、総合的に考えていかなきゃならない問題だと思っております。
  149. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 正にそのとおりだと思いますけれども、地方の気持ちというものをもっと大切にしてもらいたい、そういう思いで質問をしました。  ちなみに、二〇〇四年の一月二十一日の経済財政諮問会議で、町村合併に反対するのは構わないけれども、具合が悪くなったときに何とかしてくれというふうに来られるのは困るというふうにおっしゃった大臣がおられました。これは、本当に単に反対しているんじゃないんですね。地域が余りにも離れるために行けないとか、地域の事情があるわけですから、本当にそんな、一生懸命、一つでも頑張られるところがあったら頑張ってみなさいと言うのが国の、国が言わなければいけない、今言っていただく、親心だというふうに思いますので、例えば今、大変話題になった町なんですが、本当に元気でやっています。三役の報酬は減らして、議員の定数は減らして、もう臨時の職員は三十名もいたのに七名にして、町は七つの課があったのを五つにして、それは確かに町の職員も、町の方たちも大変な御苦労なんですけれども、一生懸命に頑張っている。どうぞ和田さん、よろしく言ってくれというふうに言われたのでお伝えをしますが、一生懸命に合併をしないでやっているところもあるということも、合併こそすばらしいんではなくて、そういうことも知っていただきたいなというふうに思います。  それでは、次に森林の質問をいたします。  こうした地方の切捨てとか、弱者の切捨てがある構造改革だなんというふうに私は思っていますが、構造改革と国の基である森林とか林業、そして山村について質問をいたします。  森林には様々な役割があります。機能があります。この森林というのはスポンジのようになっていて、それが水を涵養したり、また下草やそういう落ち葉や何かで覆われていて土壌が守られたり、そのために土壌の侵食がなかったり、流出することもない、国土の保全という機能があって、それが本当に森の役目、山の役目であるということは、世界的に見ても、日本の国の、降水量の多い日本の国には多くの国民の皆さんも、また世界的にも認められていると思います。  さらに、光合成によって二酸化炭素が吸収されて炭素を貯蔵するという木の役目、酸素を供給するという地球温暖化の防止にも大きな役割を果たしています。京都議定書の中で温室効果ガスの削減目標を六%として、そのうち森林がその三・九%削減目標に認められたというか、三・九を森林が吸収しなければいけないということを決められました。  こうして森林の多面的機能が国際的にも理解されていることの表れだというふうに思いますが、我々は国土の三分の二を占める森林から計り知れない恩恵を受けていますけれども、それで、まず総理はこうした森林の持つ多面的機能というものをどういうふうに評価されておられますか。
  150. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 森林というのは我々にとって極めて重要な役割を果たしておると思っておりますし、環境保護観点からも森林を健全な形でこれからも保護、育成していくことは極めて重要だと思っております。  森と海というのは密接なつながりがあります。森は海の恋人だと言う人もいるぐらいで、サケだってアユだって川から海へ、また海を回って川に戻ってくる……
  151. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 簡単にお願いします。
  152. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そういうことから、森と川と海というのは密接な関係がある。  そういうことを考えますと、日本は森林に恵まれているといっても、今荒れているところも多いわけです。森と海、自然は全部つながっているなという視点から大事に保護、育成をしていかなきゃならないと思っております。
  153. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 総理は大変見識がおありですから、古事記とか日本書紀に出てくるヤマタノオロチの話を知っておられるというふうに思います。ヤマタノオロチをスサノオノミコトは退治をしました。ヤマタノオロチというのは、どんなオロチだったんだろうというふうに思って、ちょっと書いてみました。(資料提示)  古事記によると、目は赤がちのごとくにして、身一つ、八つの頭、八つの尾あり、またその身にはコケ又はヒノキ、杉生え、その丈は谷八谷、峰八峰、八つの峰に見ゆ、その腹は事ごとに、常にただれて血が流れているというふうに書いてあります。  その目赤がちというのは、タンバホオズキのように真っ赤だということなんだそうです。そして大変興味があるのは、ヤマタノオロチの背中には杉とかヒノキが生えています。これは何を言っているか。このスサノオノミコトはこのヤマタノオロチを退治して草なぎの剣を中から取るんですね。だから、ヤマタノオロチの目が赤いというのは、たたらをやっていた火、そしてしっぽは、草なぎの剣はやっぱり鉄、鉄鋼関係の仕事をしたということの表れなんです。  このヤマタノオロチというのは、出雲、下の住民というか女の子を食べたとかそういう話があるんですが、実はそうではなくて、このたたらを製造しているときに山の木を切ってしまうために山が荒れてしまったために、水とか洪水、そういうもので地域の住民をのみ込んでしまう。だから、ヤマタノオロチがそういうことをしたのではなくて、たたら製造のために山の木を切ってしまったということがこの古事記に書かれています。ヤマタノオロチが少女をさらってのんでしまうという話は、製鉄の燃料を得るために樹木を過剰に伐採したため、森林が持っている水源涵養とか山地災害の防止機能が損なわれて、河川がはんらんし、土砂崩れが起こったという事実を反映している、そういう解釈もあります。私たちは、こういう解釈、神話の中から、森林の管理、保全の重要性をメッセージとして受け取るべきではないでしょうか。  また、日本書紀には、このスサノオノミコトの子供のイソノタケルノカミという人が日本全国に植林をしたと、そのことが書かれています。ついに筑紫よりすべての八洲、日本の国々に造林をして、青山になさざるということなし。みんな日本の国を緑にしたというふうなことも書いてあります。スサノオノミコト自身が木材の利用方法を教えつつ植林を命じている話も載っています。  こうした記述から、我々日本人はいにしえから植林に取り組んできたことが読み取れます。この古事記とか日本書紀の記述も踏まえて、総理は森林の保全とか管理の重要性に、どのように認識をされておられますか。山を守るためにはどんな予算が必要だか、山を守るための人員は削減ではなく増員こそしなければいけないというお気持ち、教えてください。
  154. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、森林保護、育成は大事でありますけども、このヤマタノオロチの話は知りませんでした。ヤマタノオロチの話は聞いたことありますけども、こういうことだったのかというのは今知りまして、教えていただきましてありがとうございます。  これから森林の管理等というのもやはり多くの民間の協力も得ようと、役所だけでやっていけばいいものではないと、地域の方々の協力も得ていかなきゃならないということで、たしか独立行政法人、そうですね、独立行政法人にして多くの方の協力を得ながら森林を大事にしていこうと。そしてこれからも、一つ一つ言っていきますと全部人員を増やせということになっちゃうものですが、そこがもう行政改革の難しいところであります。めり張りを付けて減らすべきことは減らせと、農林水産省も、中川農水大臣が、めり張りを付けて削減すべきは削減しなきゃいかぬということでいち早く削減目標を出してくれましたので、必要なところというものはどこかということを十分考えてこれからも対策を練っていきたいと思っております。
  155. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 森林をはぐくんでいくためには植林さえすればいいというものではなくて、下刈りや除伐、間伐といった作業を続けていかなければいけません。  先ほど総理は、環境経済、一緒にやっていくというふうにおっしゃいました。環境を良くするためには、山の手入れこそ大変必要だというふうに思います。同じ削減目標をこの林野に求めるのではなくて、もっともっと大切な山を、これから日本の国が子供たちのために残さなければいけない大切な環境なんですから、守っていかなければいけないと思います。  そして、川下のこの中央の都市は川上の皆さんの守りによって生かされているんだということを絶対に忘れないでほしいんです。山を守る人、また食料を作る人、もう原発なんかを福島県なんか十基も持っていますが、そんな人たち、また子供たち、東京で働いている子供たち、本当に福島県からたくさん来ています。お母さんたちが本当に努力をして仕送りをした結果、もう農業では駄目だから東京で働きなさいという感じで働いている子供たちが本当に東京の税収を上げています。福島県は本当に大変です。福島県だけではなくて、地方は大変でございます。  例えば、森林管理保全に国として取り組んでいくおつもりがあるのかということに対して、あるというふうにおっしゃいましたが、京都議定書の吸収源の三・九%をどういうふうに実行されるつもりですか。そして、このオロチを退治するスサノオノミコトになれますか。
  156. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 言うまでもございません。和田委員も御指摘のとおり、また総理からも御答弁ありましたが、森林あるいは山の果たす多面的な機能、これは数年前でございますけれども、学術会議が試算をいたしまして、七十兆円まで計算できたんですけれども、それ以上は計算できないというほど掛け替えのない公益的機能があるわけでございます。  そういう中で、温室効果ガスの削減六%のうち三・九%、これも非常に難しい現状にございますけれども、何としても、循環型の森林を整備し、守り、発展をしていくということによりまして、何としてもこれは達成をしていきたいというふうに考えております。  森林というのは、今、和田委員御指摘のように、いったん木を切ってほったらかしにしていくと、これはもう世界じゅうの砂漠化の大きな原因の一つは伐採しっ放し、管理の不十分さということでございますので、切ったところはきちっと守る、また植える、あるいは管理をするということで、これはもう民でできるところは民でやってまいりますけれども、ぎりぎりの国や公的な部分でやっていかなければいけない部分は、引き続きこれからも国としてきちっとやっていく決意でございます。
  157. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 今の温室効果ガスの話ですけれども、六%だったのが今は一四%になっているんですよね。八%も温室効果ガス増えているんですね。でも森林は三・九しか削減できないんですから、もっともっと本気で考えていかないと、絶対にこの京都議定書、議長国の日本世界に顔向けできないということをきちんと認識をしていただかなければいけないというふうに思います。  是非に、ヤマタノオロチを退治するスサノオノミコトになるつもりでというふうに思いますが、私はいつも中川大臣には質問していますから、総理大臣の、この日本の国の今、林業というか農産、農業、林業、そういうものをどういうビジョンで持っていくか、大きいビジョンをお示しをいただきたいんですが、いかがですか。まあ、じゃいいです。それは農林水産委員会できちんと聞き直します。  BSEのことを一つだけ言わせていただきたいと思います。  総理大臣は、再開をしたときに、もう科学的知見が食品安委員会の皆さんから出たからというふうにおっしゃいましたが、科学的知見を食品安委員会は出していないということをきちんと言って終わりたいというふうに思います。  これは山内先生、今まで食品安委員会の委員でしたというふうにしか言えません。このたび委員を辞められたのではなくて、辞めさせられたのでもないのかもしれませんが。御就任いただいたときは七十歳なんという規定はなかった。なかったんですよ、規定は。そして期間もなかった。二年なんという期間がなかったのにもかかわらず、今回七十歳以上はないとか、二年間の期間なんというのができて山内先生はお辞めになりました。  山内先生は、今回の違反は、まあアメリカが背骨混入の牛肉を日本に入れたという違反は、牛肉を輸出した食肉処理業者だけでなく、農務省の検査官までが日本向け牛肉で脊柱が、入れてはいけなかったなんということを知らなかったと言っているんですね。大臣は輸入再開は科学的判断に基づいたものと国会答弁されているけれども、我々、科学的に評価はできないというふうに報告したと言っています。食品安委員会の報告の結論では、輸出条件が守られれば、リスクの率は、差は非常に少ないとだけは申し上げました。報告書の提出からわずか四日間で輸入再開を決定した。そんな前提の認証がどのように行われていたのか、農林省と厚生省の両方から説明がされていなかった。本来は国民に対するリスクコミュニケーションを行った上で輸入再開の決定を行うべきなのに、意見交換の機会は後回しにされましたというふうにおっしゃっています。今回の違反の責任がアメリカにあるのは厳然たる事実ですが、日本政府にも安全を担保するという怠りや拙速に輸入を再開してしまったという反省はしなければいけないというふうにおっしゃっています。  今後、再開の見込みというのはまだまだ立たないというふうに思いますが、そういう意味で総理の御決意をお尋ねをします。
  158. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 牛肉について、アメリカの基準と日本の基準は違います。アメリカがアメリカの牛肉が安全だと言うのはそれは分かりますけれども、それについて日本は、アメリカの基準では日本国民は、また日本政府は安全だと思っていないんだから、日本の基準を守るようにすべきだと言っているわけです。  アメリカ人にとってみれば、何で一部の工場の牛肉が危険部位が入っていた、それで全部停止するのかという不満があるのも承知しております。しかし、食についての安全とか安心の感覚、基準なり感覚というのは国によって私は違うと思うんです。そういう点から、まあアメリカ政府なりアメリカの農務省、あるいはアメリカの牛肉生産者にとってみれば、アメリカ人は日本よりもはるかに多くの牛肉を毎日食べていると、しかも日本人だってアメリカへ旅行すればアメリカの肉を平気で食べているじゃないかと、なぜこのような厳しい基準をもって輸入をストップするのかという疑問を我々によく言いますけれども、それは、日本の基準を守ればアメリカの牛肉も輸入しますよということで、今まで日本としては食品安委員会、専門家の皆さんに協議してもらってアメリカの基準とは違う基準を設定したわけです。  で、アメリカもそれをオーケーして、その基準を守ると言って輸出してきた。で、守っていなかったから今交渉して、日本も牛肉を輸出していますと、アメリカに。で、ストップしていたから、それでは、アメリカの基準を日本は守りますから、そして日本の牛肉もアメリカは輸入してくれと、日本日本の基準を守ってくれればアメリカの牛肉を輸入しますということをはっきり言っているんです。それで、今、意見が合わない。ようやく、日本の基準を守りますよということで、じゃ、どういう形で日本の基準を守ってくれるかということを今、農水省始め関係省庁で、また専門家の間でどのようにしたら日本の基準というものがアメリカで徹底して守られるかということを今交渉中でありますので、日本の基準さえ守ってくれればアメリカの牛肉はいつでも輸入しますよと、その交渉をしているわけであります。  日本の基準は守るように、守るべきだという交渉を今後も続けていきたいと思います。
  159. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 日本の基準を絶対に守ってくれるように言うというふうにおっしゃっていただいたので、そのようにお願いします。  アメリカのパッカーを私たちは見に行ってまいりました。日本が遵守をするような危険部位を取るとか、そういう作業は必ずしも我が日本人が見て、オーケーとは言えない状況にあります。総理も見においでになったらいいと思います。本当に、背骨の混入なんかがもう本当に行われるんじゃないかな。枝肉にするとき、半分にするときに髄が飛び散っています。そして、一日四千頭もの牛肉を処理しています。もう仙骨を調べる、肉質を調べる、月齢を調べるなんということ絶対にできないというふうに私は思います。全頭検査をするという会社もあるくらいですから、本当に今までのアメリカのやり方では日本に再開の、再々輸入をするなんということにはならないというふうに私は思いますので、今大臣がおっしゃいましたように、日本のことをきちんと守ってくれればということを大事にして、私は質問を終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  160. 主濱了

    ○主濱了君 民主党・新緑風会の主濱了でございます。  早速質問に入らせていただきます。  まず、小泉総理にお伺いをいたします。  行財政改革推進に大きな影響を及ぼすと思われます地方分権と三位一体の改革について最初に伺いたいんですが、小泉総理国家行政と地方行政の役割分担についてどのような構想を描かれているのか。どのような事務について国が担ったらいいのか、あるいはどのような事務を地方に任せたらいいのか、この大きな構想をお聞かせいただきたい。  その中で、特に国の事務には、先ほど松井議員のお話にありましたように、補助金の単なる配分業務も含まれているということでございます。これが国の事務として本当にふさわしいのかどうか、これにも触れていただきたいと思います。
  161. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 具体的にどの仕事が国の仕事で、どの仕事が地方の仕事かというのはそれぞれの地方なり、考えがあります。今回、総論賛成各論反対の部分もこの分野にもあります。民主党は恐らく補助金全廃しろと言っておりますけれども、地方は補助金の中でも残してくれという補助金もあるわけです。総論は賛成、各論反対の一つのいい例ですけれども。  私は、そういう点からまず国の仕事。だれでも分かりやすいのは外交と防衛。国防と外交はまあだれが考えても与野党を通じて国の仕事であると。あと、教育にしても社会保障にしても災害の問題にしても補助金がありますけれども、これを本当に全廃してくれと地方が言っているのか。そう思っておりません。口では全部任せてくれと言っているけれども、政党の中にも、全廃しろと言っているけれども、具体的に詰めていくと、これは補助金残せというのはあるはずです。そういう点については、私は具体的にそこまで判断する知識もありません、能力もありませんから、よく地方の意見を聞きながら、専門家の識者の意見も聞きながら、今後協議して決めていくべき問題だというふうに考えております。
  162. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  これを前提にしまして、このたび提案されましたいわゆる行革推進法ですけれども、この行革推進法において地方分権というのは民活と同じぐらい大きなテーマだと、このように私は思っております。国の業務を民間に流してやる、あるいは国の業務を同じように地方公共団体に流して国をスリムにすると、これ同じぐらい価値のある問題だと、こういうふうに思っております。しかしながら、今回の法案の中にこの地方分権の切り口がないと、このように私思うんですが、地方分権がこの法案に盛り込まれていないのはなぜでしょうか。お願いいたします。
  163. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 地方分権は、これこそ中央から地方へ、官から民へ、これ大きな今回の改革のテーマでございます。しかし、地方分権の方はもう既に一括法やあるいはこうした三位一体等でもうどんどんと所与の前提条件として進んでいるわけですから、ここに殊更地方に分けますというようなことは書いておりません。  しかし、本法案においても、地方分権の観点が含まれていないわけではなくて、総人件費改革当たりまして国の事務事業について実施主体を含めた仕分を行うこととしております。また、この過程におきまして、現在国が実施している事務事業の地方への権限移譲も含めた見直しに取り組むこととしております。
  164. 主濱了

    ○主濱了君 今見直しをしているというふうなお話ですが、私にはその議論がほとんどなかったように思います。  行政改革中心を成すものの一つでありますこの地方分権、これが落ちていると。この法案自体が、この法案にこれが落ちている、大きな重大な欠陥であると、このように思いますが、いかがでしょうか。
  165. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 何度も申しましたように、ここに落ちているわけじゃありません。日本の今の国の方針が大きく中央から地方へということでやっているわけでございまして、それぞれの、この総人件費改革にしましても、あるいはまたそれぞれの公益法人の改革や、あるいはまた市場化テスト、こういったものにも前提としまして、地方の方にも仕事をどんどんと移していくという前提でこの中にはそれが織り込まれているわけですから、それぞれの手法においてはそこの中に入ってくるわけです。
  166. 主濱了

    ○主濱了君 地方分権が一つのテーマとなっていないというのは明らかなわけですよ。これは幾らお話をされても納得できるものではありません。この点については、また後ほどお伺いをしたいと思います。  ちょっと先を急ぎまして、三位一体の改革について伺います。  私、昨年度末、平成十八年度予算案三案に対して反対討論をさせていただきました。結果的に予算は成立をしました。そして、三位一体の改革関連法案も成立をしまして、三兆円余りの税源が移譲されることになりました。  さて、この税源が移譲されたことをもって地方自治が拡大される、あるいは拡大されたと、このように認識されますでしょうか。この点についてお願いいたします。
  167. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) あの三位一体改革は、補助金の改革、そして税源移譲、そして交付税の改革、正にこれ一体でやるわけでございます。税源移譲をもって、これで実現されたかというお尋ねでございましたら、これやはりトータルで御判断を是非いただきたいというお答えになろうかと思います。  今回いろんな御評価があると思いますけれども、そうした点も含めまして、地方公共団体六団体からは、そうしたことを含めてトータルとしては非常に大きな進展であったという評価をいただいているというふうに認識をしております。税源移譲をしてそのいわゆる自主的な財源が増えるということもありますでしょう。また、これまでなかなか認められていませんでした施設費等の補助金について、これが一般財源化したと。これはもう明らかに地方の、その限りにおいて自由度が拡大して自ら創意工夫と責任で政策を決められる幅が拡大していると。そうしたことをトータルで判断をする必要があると。その意味では、地方六団体が御評価をしてくださっていますように、もちろんまだまだやるべき点はございますけれども、非常に大きな進展であったというふうに考えております。
  168. 主濱了

    ○主濱了君 今非常に地方分権進展したと、このようなお話でありますけれども、私はそういうふうには見ておりません。といいますのは、移譲された財源、移譲された税源の使途がもう既に決まっているわけです。別の法律で決まっている、別の規定で決まっております。ほとんど地方の自治、地方の裁量、それが広がるものではないわけであります。  その結果、最近の、今地方から評価をいただいていると言っておりますが、これは毎日新聞、八割否定的な評価、昨年の十二月であります。それから、これは読売、二十五知事評価せず、半分以上であります。それから、これは日経であります。知事の過半数評価せず、三位一体改革。このような評価で、私は今の認識は誤っていると、このように思っているものであります。  それから、付け加えて申し上げますと、義務教育国庫補助負担金、これを見ますと、国の補助率を二分の一から三分の一に落としたわけであります。この影響額を見ますと、その影響額、二分の一から三分の一に落とした影響額と、平成十八年度に所得譲与税による配分見込額、この差を見ますと、プラスになるのは、首都圏、中部圏、近畿圏、この合わせて八都道府県だけなわけです。そのほかの三十九県はマイナスになっております。これはひどいですね。正にその義務教育に必要な金額はきちっとあるわけです。それが国の責任として十分補てんをされていないと、こういう状況でありますが、これについてはいかが考えますでしょうか。
  169. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 義務教育の国庫補助負担金についての御議論でございますが、今度の三位一体でその負担割合を引き下げた。それは委員もよく御存じのように約〇・八兆円の税源移譲を地方はお求めになった。それから一方、中教審答申は義務教育費国庫負担制度は堅持すべしという御意見でございまして、こういったいろんな御意見を踏まえて政府・与党で議論を積み重ねまして、地方自治と教育政策の双方をまあ踏まえるとこうなるだろうという結論でございます。  それから、国の負担率は確かに引き下げるんですが、それと併せまして、市町村の独自の判断による教職員配置は可能とするという措置がとられている。それから、耐震化を含めて老朽校舎改築の実施は基本的に地方の判断にゆだねると。これは地方の自主性、裁量の拡大にもつながると思っております。  それから、今、その負担率引下げによって地方格差といいますか、そういうものが生ずるというお話でございましたけれども、地方への財政措置としては所得譲与税として地方に税源移譲されたわけですが、それと同時に、不足が生じた場合は地方交付税による措置をするということでございますから、この結果、各都道府県の必要とする予算は確保されるということだと考えます。
  170. 主濱了

    ○主濱了君 これは質問ではないんですが、地方交付税でそれを十分補てんをしていると。これは私もにわかには信じ難い。地方交付税、これから十八年度までに五兆円削るわけですよね。そういったような状況の中で、だから補てんをされるのだ、こういうおっしゃり方、私はどうもすぐには納得しかねるということでございます。  さらに、今の義務教育の国庫負担につきましては、市町村の三分の二は、これは反対の意見書を出しております。こういったような実態もあるということを御認識をいただきたいというふうに思います。  次に、総人件費改革についてお伺いをいたします。  これは、法案で言いますと四十二条関係であります。平成二十七年度以降に国家公務員の人件費の総額の当該年度の国内総生産の額に占める割合が、平成十七年度における割合の二分の一にできる限り近づくことを長期的な目安として、これを留意するものとするとしておりますが、まずこの総人件費のGDP対比、これはその十七年度と二十七年度以降の数値を二分の一とした場合、結局人員はどれだけ減ることになりますでしょう。人員はどうなりますでしょう。これについて中馬行政改革大臣にお答えをお願いします。
  171. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) この場合、総人件費という形で一つ目標にさしていただいております。ですから、現在、これにはもちろんまだこれは民営化されておりませんこの郵政公社も入った形での全体像でございますが、これのGDP比を二分の一にするということになっておりまして、人員を幾らにするということとは少し一致はいたしません。大きな一つのこれからの目標としての目安でございまして、人員としましては、まず当面五年間の五%ということでの一つのはっきりとした目標でやらしていただいております。
  172. 主濱了

    ○主濱了君 よく分かりませんでしたが、今、一つ貴重な御答弁がございました。  私、実は、長期的な目安として留意する、こういう極めて遠回りな表現がなされておりまして、これはどういう意味だろうかと考えたわけですが、今大臣おっしゃったように、目標と考えてよろしいんでしょうか。お願いします。
  173. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 目標といいましょうか、目安といいましょうか、表現はともかくといたしまして、こうした大きな公的な部門における一つの費用負担といいましょうか、人件費という形で、人数掛ける給与でございましょう、これを減らしていくということをはっきり目標としているわけですね。  それには、もちろん、今、この中には、今までのお役所が担っておったことを民間に移していく、地方に移していく、そしてまた同時に、お役所がやるべき仕事であってもお役人がやる必要があるかないか。そして、民間に移して、民間の方がやっていただけることも十分にある。こういういろいろな要素を含めた形での目標でございます。目安でございます。  したがいまして、もう少し詳しくあえて言わしていただきますならば、数で直接には連動はいたしませんけれども、郵政公社の場合は二十七万人現在いらっしゃいます。現在の人数は九十六万人が対象でございますが、しかしこれがもうそれで約三割、十年以内には減るわけでございますからね。そして、数で言いましたら五年五%ということでございますが、それと同じ割合としても一〇%。まあ御党がおっしゃっているような形での二割であればすぐ達成できますが、ともかく人数とは完全に連動するわけじゃありませんけども、そういう一つの目安といいましょうかね、目標として、ただ単に五年で割るものじゃありませんよ、十年先はこういう形の日本の国の姿にしていくんですよという一つの意思も含めた目安でございます。
  174. 主濱了

    ○主濱了君 今の点についてはもうちょっとお伺いしたいんですが、総人件費の対GNP比についての確認であります。  二〇〇七年に民営化されます郵政公社であります。職員数二十六万二千人、人件費二兆四千億、これを占める郵政公社、これはどう扱われるんでしょうか。  私はこういうふうに考えております。分母はGDPですね。それから分子が総人件費であります。ですから、具体的に十七年度の分子である総人件費には郵政公社の人件費もカウントされます。それから、二十七年度以降の各年度の人件費にも当然ながらこの郵政公社の人件費はカウントされる。このように解釈しておりますが、こういうことでよろしいんでしょうか。
  175. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 民営化された時点でいわゆる公務員としての人件費からは外れます。
  176. 主濱了

    ○主濱了君 ただいまの御答弁にはちょっと納得できません。  郵政公社の職員の身分が公務員から公務員でなくなるというのはよく分かります。だから、公務員でないから、公務員としての人員、員数から外すという点については、これは国民も納得すると思います。しかし、この四十二条で人件費の総額と言えば、特に行革の中で論じられているわけですから税金が投入された人件費と、こういうふうに一般には考えると思います。  そして、現実を見ますと、平成十七年度末にもこの郵政公社の職員には税金は投入をされていません、それから二十七年度以降についても税金は投入はされていないと、こういうことでございますので、いずれも、どちらかすべて除くかすべて入れるか、こういうことでないとおかしいんではないかと、このように思うんですが、いかがでしょうか。
  177. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 民営化されるわけでございますから、しかし今の郵政公社の職員の給料は一切国から出ていないということじゃないんじゃないでしょうか。これが、もう確かに一つの会計としましては、この郵政の郵貯事業等からの利益といいますか、それがそこに充てられるということは事実でございますけれども、日本の国全体として一つの、何といいましょうかね、税金といいましょうか、そういう形で賄われていること、これは事実でございまして、それは例えば国鉄の場合でも電電公社の場合でも結果的には一緒だったんじゃないんですか。
  178. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 郵政民営化のことでございますので担当大臣として御答弁をさせていただきますが、この点は郵政民営化法案のときにさんざんといろいろと御議論をさせていただいたところだと思います。  今、主濱委員は直接税金が投入されていないということを一つの基準として言われたわけですけれども、これは決して、私たちは、郵政民営化法案のときさんざん申し上げましたけれども、これはそのシステム全体として見えない形での税金が投入されている、だからこそこれに対して民営化をする必要があると私たちは考えたわけです。民営化に対しては民主党は反対をされたわけでございますけれども、我々はそういう観点から今回民営化を行いました。  そして、今回の総人件費につきましては、先ほど中馬大臣が御答弁されたとおり、国家公務員の総人件費についてそれを対象としておりますので、委員の御質問に対しては中馬大臣の御答弁のとおりであるというふうに思います。
  179. 主濱了

    ○主濱了君 そもそも、この第四十二条第二項は何を国民に訴えるための条文なんですか。要するに、税金負担分を減らすための指標になるとか、そういったようなことがほとんど考慮されていないと私は今思うんですが、何を訴えるためにこの四十二条第二項というものはあるんでしょうか。これを御説明願います。
  180. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) これは国の関与を民間に移していく大きな流れでございます。この中の一環でございまして、先ほど言いましたように、郵政公社が担っておったことも、あるいはまたそのほか地方自治体が担っておったことも市場化テスト等でかなり民間に移していく、そうした全体の流れのことでここに規定されているわけでございます。
  181. 主濱了

    ○主濱了君 それじゃ、ちょっと先に急がせていただきます。  五年間で五%の国家公務員の削減、この理由を伺います。また、これは地方分権をも考慮に入れているかどうか。先ほどは入れているとおっしゃっていましたが、どのような格好で入れているのかも含めて御答弁をお願いいたします。
  182. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) さきに申しましたように、地方分権の観点は含まれていないわけではなくて、総人件費改革に当たっては、国の事務事業について実施主体を含めた仕分を行うこととしておりまして、この過程において、現在国が実施している事務事業の地方への権限移譲も含めた見直しに取り組むこととしております。
  183. 主濱了

    ○主濱了君 具体的にどういうところでそれが表現されていますでしょうか。あるいは具体的な施策としてどういうことが打ち出されているのでしょうか。
  184. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 冒頭に申しましたように、今回の法律は、もう既に地方分権という形が国の方針として進んでいる中でのこの規定でございまして、例えばもう同時並行的にやっております、今さっきからお話出ております、何といいましょうか、特区制度だとか、これも地方に任せて、確かに地方の方はまだまだ十分にそれを活用していないところもありますけれども、いろいろなツールを、手段を地方分権としてできるような形、そしてそれを使って地方が自立した形でそれぞれ町や村をつくっていただきたい。まだまだ例の三位一体等も残した十八年度、十九年度以降の、これからも課題でございますけれども、そうしたものも含めて税源まで移っていく中で、これから活力ある自立した地方にも持っていきたい。その地方分権の理念とかあるいは全部手段も含めてここに入っております。
  185. 主濱了

    ○主濱了君 法律、これは人が替わっても、担当者が替わっても、間違いのない方向性を示すのが法律であります。それに、その法律にほとんど規定がないと。こういう中で入っていると言っても、にわかには信じられないわけですよ。その点、どうなっているんですか。逆に言いますと、私は、そういうふうな不備を持った法案であると。だとすれば、これは一回引き揚げて、そして検討し直してから再度提出するのが本当ではないか、このように思うわけであります。  それは後でもう一回お話をさせていただきますが、今度は五十五条関係についてお伺いをいたします。  地方公務員の職員数について、地方公務員の総数の四・六%の純減を要請するとしております。四・六%、極めて精緻な積算がなされていると思います。まず、なぜ四・六%なのか、これを、根拠というか理由でしょうかね、理由をお知らせいただきたいと思います。
  186. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 地方自治でございますから、これを国が何か命令してやるという形ではなくて、しかし国全体として公務員のこの数を五%減らすということにいたしております。その一環といたしまして地方におきましてもこれを御協力願いたい、その方針で国としてやっていくわけだから、それをやっていただきたい。その目安といたしまして、今まで地方自治体が進めてまいりました五年間で四・六%という実績があります。この実績を下回らない形で努力していただきたい。これが一つの四・六の根拠でもございますが、今言いましたように、それを命令する形ではなくて、こういう形ではっきりうたわしていただいているわけです。
  187. 主濱了

    ○主濱了君 今、これまでの実績で四・六という数字を出したと。私は、四・六ってすばらしい数字なものですから、極めて精緻な積み上げがあって四・六というのが出てきたものと思っていたわけなんですが、いささか残念であります。  それで、もう一つ、今地方では都道府県も市町村も行財政改革に取り組んでいるところであります。先ほど和田先生の方からお話のあったとおり、本当に市町村も頑張っているというところでございます。  ところで、この市町村の場合は市町村合併が進んでおります。かつて三千を超えていた、七年前は三千二百三十二の市町村があったんだそうですが、今年の四月、十八年の四月には千八百二十市町村まで減ってきていると、こういう状況であります。  この合併というのは行政改革の面も併せ持っております。そのまま職員数がいくわけじゃなくて、これは三年、五年とたってくるうちに職員数、これ減ってまいります。こういったような合併の影響、効果といいますか、これも考慮しているのか。一方で、今おっしゃったその地方分権による増員も考慮に入れているのか、この辺について御答弁をお願いいたします。
  188. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) それも含めまして、現在、地方の方では改革集中プランをやっていただいております。これが今こうした、国の方針も含めて努力いたしておりますが、そこで出てまいっております数字は、まあ後から総務大臣の方からお話があるかもしれませんが、これはもう四・六をはるかに超えた形で努力していただいております。  その中には、今おっしゃいましたこの合併の効果ですね、こういったものも出ているかと思いますし、また公務員ではないにしましても、市会議員、村会議員、地方議員の方々もかなり減ってきているわけでございまして、これも一つの大きな目標になり得るんじゃないかと思います。
  189. 主濱了

    ○主濱了君 よく分かりませんですが、私なりに整理さしていただきますと、いずれ、地方分権もそれから合併も考慮に入れていないと、このように感じられるところであります。このような地方分権も考慮に入れない、さらに合併も考慮に入れていない。このような行政改革というのは意義が半減する、まあ半減、半減よりももっとなくなってしまう、このようなことを改めて申し上げておきたいと思います。  それでは次に、公務員制度についてお伺いをいたします。  これ、六十三条関係でありますけれども、公務員制度改革の中で、職員の能力及び実績に応じた処遇並びに幹部職員の選抜及び育成に係る制度についても幅広く検討を行うとしておりますが、能力や実績に応じた処遇や選抜は当然のことであります。しかし、最近の国家公務員の不祥事の状況を見ていますと、能力業績の実証を経ている職員、幹部職員も含めてですね、あるいはOB、このような方が関与している事件が見受けられるわけであります。  まず、国家公務員の処分を受けた職員の実態についてお伺いします。  最近の処分者数の総数及び本省課長級以上の件数、これ最も優れた職員だと思いますんで、本省課長級以上の件数も含めて御答弁をお願いいたします。
  190. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) お答えいたします。  平成十六年に懲戒処分を受けた一般職の国家公務員の数は全体で三千百九十人でございます。そのうち、本府省の課長級以上の幹部職員は五人でございます。
  191. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  優秀なはずの幹部職員五名ということでございます。優秀なはずの幹部職員始め、多くの職員が処分を受けているのは本当に嘆かわしい限りであります。三千百九十人ですよ、かなりの数字です。これぐらいの処分を、職員が処分を受けているということでございます。行政の遂行に支障を来すことはもちろんのこと、一部の公務員による不祥事であっても、国民の公務員に対する信頼を大きく裏切るものであります。行政のトップであります関係大臣の皆様には、まずは大いなる反省をしていただきたい、そして再発防止をよろしくお願いをしたいと思います。  小泉総理に、国家公務員の責任感や倫理観の醸成についてお伺いをいたします。  本行政改革推進法におきましては、能力及び実績に基づく人事管理が力説されております。行政も含めて組織であれば、この能力とか実績というのはもう当然のことであります。これは先ほど申し上げたとおりであります。今、人事院からの御報告いただきましたように、能力実証を経ている国家公務員が、あるいは更に何層にもわたりその能力と実績の評価を受けて、そして幹部職員として登用された職員までもが不祥事に関係をしております。これは何かが、この能力とか実績だけじゃなくて何かが欠けていると私は思うわけであります。私は本当にそう思わざるを得ない。  そこで、まずは責任感や倫理観の醸成、これは国家公務員だけじゃないんですが、まずは国家公務員あるいは地方公務員、その責任感や倫理観の醸成、あるいは国民を愛する心や国民の痛みの分かる心、この育成、こういったようなことをも人事管理の重点に入れたらいかがかと考えるものであります。  今、教育基本法の中において、国を愛する心をどうするか、いろいろ議論されているようであります。この行政改革推進法案におきましては、同様に様々じっくり検討するべきと考えますが、小泉総理、いかがお考えでしょうか。御感想をお願いいたします。
  192. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 能力においても、また素養においても優れた者が公務員になって、国民の公僕として使命感を持って働いていくためには、どういう不断の研修なり教育が必要かということは極めて難しい問題でありますが、それぞれの方々がおのずから、公務員になる前から、家庭教育学校教育等でしかるべき使命感を持って公務員になったんだと思います。  また、公務員になってからも様々な研修が行われております。常にそれぞれが公僕としての使命感を持って、不断の教育なり研修を受けて、その自覚を持っていただくような体制を役所としても常に整備しておかなきゃならない。また、教育の重要性を認識して、法律以前の倫理観等についても、人間としての教養、常識をわきまえてこの公務員としての職責を果たしていただきたいと。その研修体制をしっかり整備していかなきゃならないと思っております。
  193. 主濱了

    ○主濱了君 今私申し上げました責任感や倫理観の醸成、あるいは国民を愛する心や国民の痛みの分かる心の育成、こういったようなことを、じゃ具体的にこの法案にどう入れ込むんですか、あるいは施策にどう入れ込むのか、この点につきまして中馬担当大臣に御答弁をお願いいたします。
  194. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 公務員の給与制度と処遇は国民の理解と納得を得られるようなものでなければなりません。不断に見直しを行っていかなければならないと考えているところであります。  行政改革推進法案では、総人件費改革の中に定員の純減とともに公務員の給与制度改革に取り組むことを盛り込んだところでありまして、具体的には、国家公務員の給与については職務と責任に応じた給与体系、そして国家公務員の給与と民間における賃金との比較方法の在り方その他の事項についての人事院における検討状況を踏まえ、必要な措置平成十八年度から順次講じてまいりたい、このように考えております。
  195. 主濱了

    ○主濱了君 もう一回申し上げますが、私、能力とか実績に基づく人事管理のみならず、もうちょっと責任感あるいは倫理観の醸成、更には国民を愛する心や国民の痛みの分かる心の育成を何とかこの法案の中に入れ込んでいただけないだろうか、そして施策として何か打ち出せないだろうかと、こういう質問をさせていただいたわけですので、この点について御答弁をお願いいたします。
  196. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 公務員制度につきましては、職員の意欲と仕事の成果を引き出すような能力・実績主義の人事管理、これを徹底して改革を進めることが必要と考えておりまして、人事評価の取組状況等も見ながら、関係者との調整を進めて、できる限り早期に具体化を図っていくということにしております。
  197. 主濱了

    ○主濱了君 実はその具体化のところをどういったような格好で盛り込むのかと、こういったような方向性をお伺いいたしたいんですが、まあ急な質問だったわけなんですが、いずれこれは分かりましたとかなんとかと言うとこのままの文言で進んでしまいます。そうすると、また能力とか実績とかそういったようなものを中心とした人事管理が進みます。それだけでは私は足りないと思うわけです。現にそういうふうな幹部の職員であっても不祥事にかかわっていると、こういう状況を来しているのでそれを何とかしなければいけない。こういうところから先ほどの提案を申し上げたもので、ひとつもう一回御答弁をお願いいたします。
  198. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 公務員制度につきましては、職員の意欲と仕事の成果を引き出すような能力・実績主義の人事管理をこれを徹底していく、そして改革を進めることが必要と考えておりまして、人事評価の取組状況等を見ながら関係者との調整を進め、できる限り早期に具体化を図っていくと、このようにしているところであります。
  199. 主濱了

    ○主濱了君 分かるんですよ。ですから、その能力と実績に基づく人事管理というのは十分承知しております。プラス何かが足りないんじゃないかと私言っているわけで、その点について小泉総理大臣、ひとつお考えがあればお示しをいただきたいと思います。
  200. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、人間としての役割といいますかね、公務員としての使命感とか、何のために自分はこの世の中に存在しているのか、公務員になったのかというのは、この法案以前の問題だと思います。法案以前の問題と思います。どうやれば人間として立派になるかというのは、公務員のみならず政治家も含めてすべてが考えることじゃないでしょうか。法案に盛り込まれてないからどうかという以前の問題です。もう家庭教育学校教育、公教育、法案の中に盛り込めばいいという問題じゃないと思うんです。そう思いませんか。
  201. 主濱了

    ○主濱了君 法案以前の問題だ、正にそのとおりであります。しかしながら、能力及び実績に基づく人事管理、これだって法案以前の問題です。民間企業だってすべてそうやっているわけです。同じく法案以前の問題です。どうしてこれが取り上げられて、もっと大事な倫理規定が、倫理を進めることが取り上げられないのか、これが私は不思議でなりません。これはおいておいて、またお伺いをいたしたいと思います。  次に、キャリア制度について小泉総理伺います。  特権的キャリア制度をいかに考えていますでしょうか。今後どうするつもりでしょうか。私は、特権的キャリア制度を廃止するべきであるというふうに考えております。キャリア制度の廃止は正に公務員制度の中の規制緩和であると、このように考えております。すべての職員が対等な条件で能力や実績を競う、そのような関係が必要だというふうに思っております。そして、能力があれば当然にもそれに応じた実績は上げるはずであります。キャリア制度をいかがお考えか、御答弁をお願いいたします。
  202. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私も、そのキャリア制度というものについて、どうなんだろうかということは前から考えているんですが、今ここでこうだという結論は出ないんです、率直に言うと。  というのは、幹部候補生、これは育成制度というのがありますね。その場合、公務員としての幹部候補といいますか、将来幹部になる人たちの特殊な立場、今、一般社会、一般企業から考えてみると、役人の世界は違います。国会議員でも幹部候補生になる試験受けたらほとんど落第でしょう。そういうことから、一般の企業では、今言ったような、将来、幹部候補生としてでなくても、たたき上げの人、学歴がなくても、あるいは資格試験に合格しなくても、会社に入れば自らの能力で社長になる人もいる。  ところが、この役人のキャリア制度というのはもう最初から、学校成績、試験合格するともう幹部は決まっていると。これは果たしていいのかどうか。今後、どう幹部職員として育成していくか、あるいは訓練していくかというのは検討していかなきゃならない問題だと思います。  しかし、それぞれの社会において、もう最初から幹部としての特別な訓練が必要のある部分もあるでしょう。そういう点も含めて、私は、できるだけ一定の試験を経ない方でも、会社に入ってから、役所に入ってから、試験で合格したよりもはるかに能力のある方もたくさんいるわけです。そういう点も含めて、今の制度を固定化して考える必要はないと思っております。
  203. 主濱了

    ○主濱了君 今の御答弁は、キャリア制度をなくすことで検討すると、このようにとらえてよろしいでしょうか。
  204. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 一概にすぐ私は結論を出すことはできないと最初に答弁しているわけです。キャリア制度をなくしていいかどうかというものも、私、今判断付きません。そういう点は、やっぱり今までの幹部候補生としての一つの慣行なり制度がありますから、その点も含めて、よく識者の間で検討すべき課題であると申し上げているわけであります。
  205. 主濱了

    ○主濱了君 是非とも鋭意検討をお願いをしたいものだというふうに思います。  次に、労働者の権利保障について、引き続き小泉総理にお伺いをいたします。  組織は人で動きます。無駄を省き、効果的で質の高いサービスに努めるべきは言うまでもないわけであります。一方において、働く者の権利、これはきちっと守ってあげないと士気に大きな影響を及ぼします。  国際労働機関、ILOから、公務員の労働基本権を制約する日本の法令及び慣行がILO条約に違反しており、国家の運営に直接関与しない公務員に対して、結社の自由にのっとり団体交渉権とスト権を付与すべきと、このような勧告が出ておりますが、この勧告に対していかに対応するおつもりか、小泉総理のお考えをお伺いいたします。
  206. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 私が直接連合とも話し合って、政労協議をタッチしておりますから、私からお答えします。  御指摘のILOの報告は、基本的には政府に対しまして組合を始め関係方面との十分話合いをするような要請をしたものと、このように理解をしております。この点につきましては、政府としましては、公務員の労働基本権や能力・実績主義の人事管理の徹底などを含めた公務員制度につきまして幅広い観点から検討を行うことが必要であると考えておりまして、本年一月には政府と連合との正式な協議の場である政労協議を一年半ぶりに再開し、公務員制度等に関する基本的な事項について意見の交換を行ったところであります。  こうした最近の取組について、ILO結社の自由委員会は、本年三月二十九日にまとめられた中間報告におきまして、政労協議の開催等を歓迎し、現在の我が国政府努力評価していると、このように承知いたしております。  これに加えまして、三月二十日に政労協議を開催し、労働基本権についてニュートラルに検討する場を設けることについて意見が一致しました。今後、細部について協議の上、五月の連休明けを目途に政労協議の場で成案を得ることとしたところでありまして、今後とも関係者との意見交換を進めてまいりたい、このように考えております。
  207. 主濱了

    ○主濱了君 これが、結社の自由委員会の中間報告によりますと、評価ではなくて留意すると、こういう表現になっているようであります。引き続き政労協議を進めていただきたい、このように思う次第であります。  引き続き、行政の無駄の側面を持つ縦割り行政について、行政の無駄を省く課題一つとしてこの縦割り行政の、まあいい面、悪い面あるんですが、その悪い面の解消、これも進めていかなければいけないんですが、この点について小泉総理のお考え、端的にお願いをいたします。
  208. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 縦割り行政といいますか、役所の仕事、他の役所の問題に口を出すなとか、自分の範囲内の仕事以外には逆に口を出したくないという、俗に言えば、この言葉はいいかどうか分かりませんけども、縄張根性というのは分かりやすい、よく言われていることです、これは。縄張根性的な意識はあるんですね。  具体的に言いますと、安全の面からいうと、法務省と警察が、犯罪の問題についてもよく連携すべきのところを連携が足りない面があります。あるいは、犯罪、保護者、一度釈放された、犯罪を犯して釈放された、どこにいるか分からない、これは法務省と警察が連絡すればいいのに、一度刑期、犯罪を犯して釈放されると警察に情報を与えない。警察は警察で問い合わせもしない。これは安全の面からも、そういう法務省と警察の連携も、情報を独り占めにしないで連携を取って、もっと国民全体の安全を考えるべきだと、犯罪者を少なくするために。また、犯罪を起こす可能性のある者に対しては治安担当者とよく配慮していくべきじゃないかという点は、やっぱり今後ともこの縦割り行政なりの是正すべき点だと私は思っております。
  209. 主濱了

    ○主濱了君 時間が来てしまいました。  今まで指摘してまいりましたように、本案は今の提案のままでは評価できるものではありません。根本から見直す必要があると考えます。できればいったん引き取っていただいて再度提出、これも考えていただきたいと思います。  以上で終わります。
  210. 山口那津男

    山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。  行政改革という言葉は言い古された言葉でもありまして、このたび小泉政権として取り組む姿勢というものが改めて問われているわけであります。来月から議論が集約されていく歳出歳入一体改革、この言わば布石というか大前提としてこの行政改革推進法及び一体法があるわけであります。  総理にこのやり方についての特色をお伺いしたいわけでありますが、その前に三つほど、大前提といいますか、確認をしておかなければならない点を御質問したいと思います。  まず、簡素で効率的な政府というものを目指しているわけでありますが、じゃ現状日本の役所の仕事というのは簡素じゃないのか、効率的ではないのか、この点が国際社会と比較してどうなっているのかということを見てみる必要があると思うんですね。  例えば、人口千人当たりの公的部門にどれだけの人数がいるかということを国際比較した場合にどうなるか、あるいは一般政府、これはOECDで地方政府も含めた一般政府という考え方がありますが、この点でGDPに比較して人件費がどれぐらい掛かっているか、こういう国際比較もあるわけですね。それぞれの数字をお示しいただきながら、この日本の行政の効率性がどういうものかというものをまずお答えいただきたいと思います。
  211. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) よく先進国に比べれば日本の公務員はそんなに多くないと、むしろ少ないぐらいだということを言われます。  しかし、今の役所の仕事は本当に公務員でなくてはできないのかという点を見ていけば、公務員じゃなくても民間でもできる仕事あるんじゃないかと、あるいは中央の省庁がやらなくても地方公共団体でできる仕事あるんじゃないかという分野は私はかなりあると思います。それがいわゆる公明党の皆さんもよく主張している国と地方の事業、国と民間の事業、事業仕分をきっちりやるべきだと。  そういう公明党の皆さんの提言を受けて、国で今やっているけれどもこれは廃止していいものもあるのではないかと、これは廃止しようと。あるいは、公共的な仕事は今まで公務員がやらなきゃいけないという仕事でも、今民間でも公共的な仕事をやっているじゃないかと、それは民間の人にやってもらってもいいじゃないかと、公共的な仕事は役人じゃなきゃできないとは限らないじゃないかと。だから、民間にできることは公共的な仕事でも民間にやってもらおうという今仕分が始まっているわけですね。  それから、地方も、今言ったように、地方の裁量権をもっと増やしたらいいんじゃないかという観点から、補助金なりあるいは税源なり交付税なりという点について、これをまとめて総合的に判断して、より地方の裁量権を拡大するような事業仕分をしていこうということで進めているわけでありまして、今言った御指摘の点、これがこれからの行政改革の総論であります。  そして、実態的にそれではどのような今の総論にかなった事業の仕分ができるかということで、今公務員の具体的な削減についても五年で五%とか、あるいは各政府系の金融機関もこれは民営化できるところあるんじゃないか、一つにまとめることができるんじゃないかというのを具体的に進めてきているわけです。  今の言った御指摘、事業仕分の視点を持って、今後も行財政改革に取り組んでいかなきゃならないと思っております。
  212. 山口那津男

    山口那津男君 総理から事業仕分の重要性というものを御指摘をいただきました。その前提として、中馬大臣、先ほど私がお聞きしましたその人口千人当たりの公的部門における職員数の国際比較、あるいはOECDの一般政府における対GDP比の人件費の比率の国際比較、こういうものを数字を分かりやすくお示しいただきながら、この行政の効率性の現状についてお答えいただきたいと思います。
  213. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 今、山口委員がおっしゃいますように、必ずしも数字的に見れば日本の行政が肥大化しているわけじゃないんですね。数字で申しますと、日本は二〇〇四年度、これも原則は、二〇〇一年ですが、主要国の一般政府の雇用者報酬、これが日本が六・三%に対しまして英国が一〇・五%、米国が一〇・二%、フランスが一三・六%、ドイツが七・八%でありますし、人口千人当たりの公的部門における職員数は、日本が三十五・一人、英国が七十三・〇人、フランスが九十六・三人、米国が八十・六人、ドイツが五十八・四人。この中で一番低い形になっております。  いろいろな要素がありますが、日本の場合はかなり国鉄やそういったものもずっと民営化してまいりましたから、こういったのが外国、特に欧米、ヨーロッパではかなり皆国営でまだやっておりますから、そういう点もあろうかと思います。  ともあれ、各国の行政の活動範囲やその組織形態について様々な違いがあることを前提としても、日本の行政は全体としては主要国の中で行政効率が必ずしも低いわけではないと、このようには評価いたしております。しかし、主要国との比較において全体としては非効率的でないとしても、個別の行政分野においては無駄や非効率な面、時代的な役割が終わったのにまだ続けている、こういったことがたくさんあるわけでございまして、この不断の見直しが必要だと考えております。  しかも、今後人口減少社会に入ってまいりますから、将来のことを考えると、やはり、ここでははっきり一つの、無駄なものはなくしてスリムな形で、本当に国が責任を持って担わなければいけないものにかなり特化していく必要があると私は認識いたしております。
  214. 山口那津男

    山口那津男君 今お答えありましたように、国際社会で比較しても、主要先進国と比べて日本はかなり効率のいい比較的簡素な体制で今もうやっているわけですね。しかし、それでもなお行政改革はやらなければならない課題なんだということを是非ここで我々が理解をしなきゃならないと思うんです。  私は昭和二十七年生まれ、五十三歳なんですが、当時生まれた人は二百万人近くいらっしゃいました。昭和二十年代に生まれた人、現在五十歳代になっているわけですが、団塊の世代を始めとして二百万人を超えている年代が多かったわけですね。  じゃ、今社会の第一線で中核を担っているこの五十歳代の総数と、それから昨年生まれた赤ちゃんも含めてゼロ歳から九歳までの人数の総数、これを比較した場合どのぐらいの比率になっているのか。これを最新の数字で、総務省、お答えいただきたいと思います。
  215. 衞藤英達

    政府参考人衞藤英達君) お尋ねの数字でございますが、昨年十二月一日現在の人口推計によりますと、ゼロ歳代、先生の、ゼロから九歳のこの人口は千百五十二万三千人、それから五十歳代でございますが、五十から五十九歳、この人口は千九百七万二千人ということでございます。したがいまして、ゼロ歳代の人口は五十歳代人口の約六割、六〇・四%ということでございます。
  216. 山口那津男

    山口那津男君 ゼロ歳代は今の五十代の六割しかいないんですよ。ということは、これから増えようがありませんから、あと五十年たつともう世の中に五十歳代は六割以下と、目減りもありますから六割以下になってしまうわけですね。ですから、これで今と同じような公務員の数で同じような仕事をずっとやり続けていくということはもう社会的に困難なことなんです。  ですから、この五十年という時間を掛けて徐々にそこに至っていくわけでありますから、やはりこれはもう長い課題として、今瞬間的にこの数年でやるということではなくて、やっぱりそれに向けて最も社会的な資源配分が効率的な枠組みというのをつくっていかなければならないと思うわけであります。  今言った六割という数字は、西暦二〇〇〇年の国勢調査の数字を拾ってみてもほぼ同様でありまして、六二%ぐらいなんですね。さあ、じゃ、今の生まれてきている人の比較はそういうことになりますが、ここから先どうなるかというのは必ずしも明らかではありません。しかし、これからにわかに人が増えていくと、どんどん人が生まれていくということも予測し難いと思うわけでありますが、厚生労働省、五十年後に至る、この毎年どれぐらい出生していくかと、この推計値、これは中位、高位、低位といろんな取り方があると思いますが、それぞれお述べいただきたいと思います。
  217. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 平成十四年一月に将来推計人口の推計を行っておりますが、高位、中位、低位推計、三通りの見通しを示しておりますが、いずれのケースにおきましても、出産年齢の女子人口が減少いたしますので、出生数は減少し続ける見通しでございます。  具体的な数値でありますけれども、平成十七年、二〇〇五年の出生数の年間推計が約百七万人でありますけれども、二〇五〇年、中位推計で六十六・七万人、高位推計で八十九・六万人、低位推計で四十三・五万人まで低下する見通しになっております。
  218. 山口那津男

    山口那津男君 今お聞きになったとおり、一番高い出生率と推定できる高位推計を取ってみてもこれから生まれてくる人たちは今よりも年々減っていくと、こういう予測なんですよ。ですから、よほど思い切った少子化対策を取って、それによって出生数が増えるということがなければこの趨勢は変えられません。ですから、先々を見越してみれば、やはりそういう時代を迎えるに当たって今の水準をそのまま維持するということはできないわけでありまして、その意味でこのたびの決断というものは非常に歴史的な大きな意味があるはずであります。  総理に先ほど事業仕分の必要性というものをお答えいただきました。問題は、この事業仕分というものを今回法案の中に盛り込んだ、つまり政府が自らやりますということを法案に示したわけであります。  しかし、これが行政組織内内部だけででき得るものかどうか、これはいささか疑問があります。というのは、総論賛成だれでも言うけれども、各論は反対の人が多い。現に、いろんな省庁が今の議論の中でも様々な苦慮、悩みを抱えながらやっているわけですね。  ですから、これをやり切るためには、最終的には政治が決断をしなければならないかもしれません。そうした意味で、この事業仕分というのは、単に行政府だけの仕組みではなくて、行政府が継続的にこれからずっとやり続けていける、そういう仕組みを内部につくるということも重要でありますけれども、やはり最後は政治的な決断で未来に禍根を残さないような結果を出していくと、こういうことも考えなければならないと思うわけであります。  小泉内閣の集大成の一つとしてのこの行政改革の意義について、特に事業仕分の実際の効果を生み出す努力について、総理決意をお述べいただきたいと思います。
  219. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 組織というのは一度できると必ず肥大化するものだと言われます。役所の仕事もそうですね。一度役所ができれば、役所は住民に対して様々な行政サービスを展開していかなきゃなりません。選挙が行われれば、もっとしてくれ、もっとしてくれという住民の声は必ず出てきます。税収が増えてくる段階はその要望に少しずつこたえることができますが、逆に今のような財政状況だと断らなきゃなりません、あるいは今までできたサービスを削減しなきゃなりません。これが行政改革ですね、しかも財政状況が厳しいときの行政改革です。  総論は賛成。しかし選挙に立って、それぞれ演説会、町内会あるいは自治会、老人クラブ、保育園、お母さん方、婦人部、出てくれば、今までやっている組織をやめてくださいなんていう声は一つもありません。減らすのは勘弁してください、増やしてください。学校一つ、保育園一つ、減らすよりも増やしますと言った候補にみんな賛成します。しかし、この負担は国民の税金で負担するしかない。  だからこそ、民間の活力を今の行政にも発揮させようと。公共的な仕事も、税金で負担しなきゃならない役人を増やすよりも民間人でやってもらおうと。今までの役所の仕事を、公共的な役所の仕事でも、民間ができるって手を挙げるんなら、じゃ競争してもらおうと、お役所仕事を民間にも委託していいじゃないかというような具体的な提案をこれから出していこうということであります。  この行財政改革というのは、今言ったゼロ歳から九歳までの年齢が五十歳から五十九歳までの年齢の六割ぐらいになるというのはもう確実だという統計が出ている、もういや応なし。ゼロ歳から九歳の年齢を今増やすことはできませんから。そういうことになると、これは当然様々な行政サービスも、それを支えていける若い世代が減っていくわけです。高齢者は増えていく、年金、医療、介護一つ取ってもますます増えてくる。それを支える若い人の税負担というのはどういうものかということを考えると、極めて難しい仕事です。選挙を考えると、国民の皆さん、有権者の皆さんがあれをしてくれこれをしてくれということを断らなきゃならない役目を担っているのが政党であり政治家であるという面が今までよりも強くなってくる。  そういう中で、今の行政改革、役所を二つあったのを一つにする、で、行政サービスは今以上に展開してくれというのがほとんどですから、これをどうやって効率化していくか、そういう点が行財政改革でありますので、できるだけ全体的に、総合的に判断していただく資料も提供して、なおかつ、住民の皆さん、財源は無限じゃありませんと、有限でありますと。欲望は無限、財源は有限、それもよく考えて行財政改革、福祉制度の構築を考えていこうというのがこれからの政党の、政治の大変重要な役割だと思っております。
  220. 山口那津男

    山口那津男君 今総理の示したような厳しい決断を迫られるわけであります。もう国は借金を目一杯しちゃっているわけです。ですから、借金をこれ以上続けて維持していくということはできない相談です。かといって、じゃ税をもっとたくさんいただくかというと、これもまた厳しい選択でありまして、もうこれからは、行政のやっている仕事というものはこういうものですよと全部さらけ出して、これを続けるのがいいのか、それとも税負担をお願いしてそれで仕事を増やすのがいいのか、どっちがいいですかというのを国民の皆さんで選んでいただかなければなりません。  しかし、そういう仕組み、つまり行政をガラス張りにして選択を迫るということができていないわけです。例えば、事業の仕分、これはやるべきことでありますが、じゃ、要るか要らないか、どうやって決断するんですか、どういう資料で、どういう基準でやるんですか、それが必ずしも明らかではないわけでありますが、今これを行政組織の中に組み込んでやっていこうと緒に就いたばかりなんですね。  さあ、この行政改革推進法の中でこの事業仕分というものが総論、各論ともにどういうふうに示されているか、これをまず、中馬大臣、お答えいただきたいと思います。
  221. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 今回の法案におきましては、まず基本理念、全体を統括する基本理念、第二条に書いておりますが、政府及び地方公共団体の事務及び事業の透明性の確保を図り、その必要性の有無及び実施主体の在り方について事務及び事業の内容及び性質に応じた分類、整理等の仕分を踏まえた検討を行う旨規定をされております。  各論につきましては、まず特別会計改革ですが、これは十九条第三項におきまして、事務及び事業の必要性の有無及び実施主体の在り方について、事務及び事業の内容及び性質に応じた分類、整理の仕分を踏まえた検討を行うものと、このようにしております。  それから、総人件費改革では、国の行政機関の定員の五年五%純減の実現でございますが、これは四十五条第一項におきまして、国の行政機関の事務事業の必要性の有無及び実施主体の在り方につきまして事務事業の内容及び性質に応じた分類、整理等の仕分を行う、これは有識者会議が今各省庁とも詰める場合にもこのことがまず前提となってやっております。  また、市場化テストにつきましては、第六条に、簡素で効率的な政府を実現するために行われる事業仕分を踏まえた検討に資するものとなるよう、競争導入となる公共サービス改革推進する旨を規定しているところであります。
  222. 山口那津男

    山口那津男君 総論、各論ともに事業仕分の趣旨は法案に入ったわけですね。しかし、じゃ実際にどういうふうにやるか、この事業仕分のやり方のポイントは二つあります。その一つは、やっぱり国民に見えるようにその議論の過程をオープンにするということです。それから、その仕事に携わる国の政府関係者だけではなくて、民間の人あるいはそれにかかわる地方自治体の関係者、そういう様々な外の人の意見も発言できるようにして、それで国民の目線でこれを進めていくということが大事なわけであります。  この法案の趣旨に基づいてどのようにこの事業仕分を進めていかれるおつもりか、この点をお答えいただきたいと思います。
  223. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) この仕分の具体的な作業でございますが、各改革を具体化する過程でそれぞれ行われるものでありますが、総人件費改革につきましては、国家公務員の定員の五年五%以上の純減、これに向けた取組といたしまして、自治体関係者を含む民間有識者による行政減量・効率化有識者会議、先ほど申しました、において会議内容の公表、国民からの幅広い意見募集の実施など、透明性を確保しつつ検討を進めているところであります。今後、更に有識者会議において検討を重ねまして、必要に応じ閣僚折衝を行うことにより、遅くとも六月ごろまでに政府の方針を決定することといたしております。  特別会計改革につきましては、各特別会計を所管する各府省の責任において、本法案が示す五年間の特別会計の改革過程において実施されるべきものと、このように認識いたしております。  また、市場化テスト法案におきましては、官民競争入札等や廃止の対象となる公共サービス、いろいろ仕分するわけですね、そして公共サービス改革基本方針の案を策定するに当たりまして、内閣総理大臣公共サービスに係る情報開示を行いまして、民間事業者や地方公共団体から広く意見を募るとともに、また民間有識者から成る監理委員会において幅広い観点から御審議をいただくことといたしております。
  224. 山口那津男

    山口那津男君 その趣旨を取り入れて一応の仕組みをつくられようと努力されていることは評価したいと思いますが、実際の具体的な中身、これはやっぱり不断に検証していかなければならないと思います。  まず、特別会計について伺いたいんですが、これは従来、予算委員会等で議論されるのは一般会計のところが主でありまして、個々の特別会計にまで深く議論が及んだということは余り聞いたことがありません。しかし、よく見れば、この特別会計の純歳出部分だけを総額で取り出しても二百兆円を超えてるわけですね。ですから、この部分はもっともっとメスを入れる必要があると思います。  そこで、今回の改革では二十兆円、この特別会計を改革をして財政健全化へ貢献をすると、こう書いてあるわけでありますが、これは、二十兆円はどこから生み出すかといえば、積立金や剰余金、あるいは資産、債務の圧縮という形でこれを生み出そうとしているわけですね。二十兆は一応の目標ですけれども、これは別に上限を決めたわけでもありませんから、もっと努力してもっと生み出そうという結果は大いに歓迎すべきことであります。  私がお聞きしたいのは、この剰余金や積立金の活用ということだけではなくて、やっぱり特別会計で行っている一つ一つの事業、これを全部ことごとく洗い直せということであります。その趣旨は、昨年の財政審で出されたこの特別会計の在り方に対する答申でも触れられておりますし、また事業仕分の趣旨を盛り込んで今回の法案にも書かれているわけですね。ですから、こういった特別会計で行っている一つ一つの事業を仕分することによって、私は歳出削減の結果も生み出すことができるはずだと、それをどのようにやっていかれるおつもりか、財務大臣、御答弁いただきたいと思います。
  225. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 特別会計改革の目的は、大きく言って二つあると思うんですね。  一つは、三十一もありますと全体がなかなか見通しが付かない、そういう中で随分目が行き届かないところで無駄があるんじゃないかということで、少しそれ全体を見通しできるように、不必要なものはやめるとか、統合できるものは統合できるというような手法を通じて、今三十一あるんですが、これを大体二分の一から三分の一まで圧縮しようと、こういうことでやっております。  今委員がおっしゃられた、いろいろ事業仕分の方法、それから抜本から見直すと、こういう手法は当然、この三十一ある特別会計をどれだけ圧縮していくか、どれだけ減らしていくかという中で、当然そういう手順を経なければこの結論は私は出ないだろうと思います。まず国でやるべきものなのか、それとも地方でやるべきものなのか、もう民間にゆだねるべきものなのか、あるいは独立行政法人みたいなものにしていくのがいいのかといったようなのは、正にその事業仕分の手法によって今ある三十一の特別会計の必要性をえり分けていくという作業が必要だろうと思います。  それから、それと関連するんですが、もう一つの問題点は、要するに三十一もある中で、いろいろ無駄に使われたり、それからおっしゃった剰余金や積立金で、特会内部に言わば滞留していて、それが財政の厳しいときに有効に使われてないんじゃないかという御批判があったわけでございますので、そこで、今後五年間、二十兆財政再建に貢献できるように無駄を見直していこうという目標を立てているわけでございます。  それで、その中で十三・八兆円は、これ三十一見直しまして、現在のところ十三・八兆はできるということで、平成十八年度予算の中でこの十三・八兆は財政再建に使うということで既に決めているわけでございまして、二十兆のうち、あと六・二兆が実はまだ目標として残っているわけですね。そこで、ここをどこから出してくるかということなんですが、実は現時点でこれだけの当てがあってこれはもう出せるからというわけではございません。やっぱりこれは、さっきおっしゃったような手法を使ってその六・二兆を確実に出していくという努力がこれから必要だと私は思っております。  それで、これは上限ではないという御趣旨の御発言でございました。私どもはこれはまだ、現時点ではまだ十三・八兆しか積み上げられておりませんから、今その二十兆円を超えてまだまだというようなことはとても私は責任を持って申し上げるわけにはいきません。二十兆はやっぱり妥当な目標だと思いますが、全力を挙げてこの目標を達成できるようにしたいと思っております。
  226. 山口那津男

    山口那津男君 この特別会計、今回は法案が出ているわけではありません。来年、法案を出すということになっているわけですね。今大臣がおっしゃいましたように、その積立金、剰余金の活用ということと、それから個々の特別会計を仕分をして整理統合していくという中で、個々の仕事も事業仕分をして廃止すべき仕事も考えていくということになるだろうと思いますが、これを、来年のその特別会計に関する法律の中にこの事業仕分の趣旨もやっぱり盛り込まないと実効性は上がらない。特にこの小泉内閣がもうすぐ卒業ということになったときには、やっぱり法律があればこそそれが次の代に引き継がれていくということにもなるわけです。  その意味で、やっぱりこれから先の長い課題として、法案に担保を入れ込みながら進めていくという視点が必要だろうと思いますが、来年のこの特別会計に関する法案の中に事業仕分の趣旨を明記していただきたいと思いますが、財務大臣、どうお考えでしょうか。
  227. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) ここは、まだ法案の条文まで具体的に考えるところまで行っておりませんので、これからでございますが、手法としては当然、委員のおっしゃったその事業仕分という手法は私はやっていかなきゃできないと思っておりますし、またその趣旨はもう今度の法案に書かれていることでございます。  それから、あと、その来年の法案、どういうものにしていくかというのは正にこれからの議論なんですが、要するに特会を改廃したりする根拠法としての側面は確実になきゃいけないんだろうと思いますね。  そういう中で、今のような手順、手法というのをどこまで書き込むかということはこれからの検討だということで御了解をいただきたいと思います。
  228. 山口那津男

    山口那津男君 特別会計で行っているある事業を独立行政法人に移したからといって、国が全体としてやる仕事は必ず減る、人が減るということではありません。ですから、やっぱりやっている仕事そのもの、事業そのものを見て、これが本当に必要なものか、あるいは必要であるとしても、それが他の仕事と比較してもうその必要性は弱い、乏しくなったということであれば思い切ってこれを廃止すると、そういう決断もしていかなければならないと思うわけであります。  公務員の関係についてお聞きしたいと思いますけれども、じゃ、この公務員を純減するという目標の下に今有識者会議で議論を続けているわけですね。しかし、報道されるところでは、なかなか省庁の抵抗が強くて数字が出てこないと、こうも言われているわけであります。  しかし、最近農水省は、農林統計関係で二千四百人、食糧管理関係で二千百人、森林管理関係で二千四百人、合計で六千九百人の純減を実施すると、こういう回答を寄せたというところでありまして、これはある意味で、いろいろな悩み、苦慮がある中で一つの決断だなということで評価したいと思います。  さてそこで、その中の農林統計関係を純減するに当たっては、一体どういう仕事をどういうふうに仕分をしてこれだけの数字を生み出したか、その内訳について農水大臣から御答弁いただきたいと思います。
  229. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 農林統計というのは、非常に歴史の長い、そして極めて精度の高いものでございますけれども、しかし時代とともに、廃止するもの、それから郵送あるいはオンライン化で十分対応できるもの、そして民間の調査員の方にやっていただいた方がいいというものを徹底的にゼロベースでやった結果、今御指摘のとおり、統計につきましては、十七年度末四千百人から二十二年度末の目標が二千二百人ということで、四六%の削減をするということにしております。  大事な仕事でございますんで、職員の皆さんの誇り、あるいはまた職場に対する意識というものを失わないようにしながら努力をしていきたいというふうに考えております。
  230. 山口那津男

    山口那津男君 長い歴史があるという中でそういう決断だったわけでありますが、長い歴史といえば北海道開発、これもまた様々な歴史があるところでありまして、総理からも言及があったところでありますけれども、このやっている仕事についても、例えば直轄業務を包括的に民間に委託するでありますとか、あるいは中央の局があり、また地方の部があり事務所がありという、様々な三層構造の出先機関があるわけですね。これは何も北海道開発にとどまらず、国のいろんな地方支分局をたくさん抱えたところはほかにもあるわけであります。  この北海道開発業務について、国土交通省ではまだその内容について、どれだけ人員削減をするかという決断は、結果は出ていないわけでありますけれども、そういういろいろな悩みのある中でこれからどう仕分をして結論を出されるおつもりか、国土交通大臣にお伺いしたいと思います。
  231. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 北海道開発局はかつて北海道開発庁と言っておりまして、それが北海道開発局と、今の国土交通省に統合されたわけでございます。ピーク時から比べますと、この北海道開発局の職員というのは半分になっています。今既に半分になっております。出先の事務所の数も既に半分になっております。今まで決して何もしてなかったわけじゃありません。これまでも相当スリム化をしてきた中で今の現状がある中で、先ほど来委員のおっしゃっているような財政面での制約だとか人口減少というふうな社会経済情勢の大きな変化の中で、さらにこの北海道開発局においても例外ではないと、当然のこととしてスリムに、更にスリムにしていこうと、その知恵、工夫を出していこうと、今まさしく努力をしているところでございます。  専門家の方々、有識者会議からも御指摘もいただいております。民間委託を更にどう拡大していくか、さらには組織体制、業務処理体制についてどう見直しができるか、効率化できるか、今まさしく検討しているところでございます。  ただ、その際、北海道と本州以南と少し違うのは、やっぱり北海道の場合、面積が日本全国土の二二%を占めております。また、四囲がすべて海に囲まれております。物流は基本的に船でやるしかありません。道路じゃないわけですね。他県とやろうとすれば、海でやるしかないわけです。  こういう特性が北海道の場合あるわけでございまして、そういう特性も十分考慮してやはり見直しをしていかないと、国が本来できる役割が私はできなくなってしまうんじゃないのかなというふうにも思っておりまして、しっかりと見直しは、これはもう政府全体の課題でございますので、見直しを今してまいりますが、そういうことも考慮しなければならないと考えております。
  232. 山口那津男

    山口那津男君 北海道開発の特性があることもまた事実であります。しかし、これはやっぱりその所管である国土交通大臣がまず決断をして、それが妥当かどうかをお示しして最終判断を仰がなきゃならないはずでありますので、是非、その仕分の結果を自ら御決断いただきたいと思います。  さて、ハローワークで実施している職業紹介業務、これもまた国家公務員が直接担う必要があるのか、あるいは包括的な民間委託ができないのかどうか、ここも検討する必要があると思います。その意味で、厚生労働大臣としてどのようにこれから仕分を行って結果を出すか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  233. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 雇用のセーフティーネットをどうしていくのかという議論だろうと思っております。  まず、雇用保険を企業から徴収する、そして失業者に給付をする、そのときに無料の職業紹介をすると、こういうスキームになっています。今言われた無料の職業紹介だけを切り出したらどうだということについては、現実にイギリスで失敗例がございますので、切り離すという作業については私は余りいい方法ではないだろうと、このように思っております。  要は、全国的なセーフティーネットをきちっとしきながら、一階部分と二階部分を明確に分けていくことであろうと。要は、職業紹介部分セーフティーネットとしてきちっと無料職業紹介でやらなきゃならない部分と、上乗せになる、例えば高齢者の雇用問題とか、青年の雇用問題とかニート対策とか、こういう部分については切り出しが可能なのかなと、そういう意味では、市場化テストの中でそうした対応を今させていただいております。もうこのぐらい、これの部分がどのぐらいになるかという数字をきちっと見ながらやっていかなきゃならぬと。ILOとの関係もございますので、先ほど申し上げたように、雇用のセーフティーネット全体を切り離してしまうということについては私自身の立場からは反対と言わざるを得ません。
  234. 山口那津男

    山口那津男君 次に、自衛隊のことについてちょっと防衛庁長官伺いたいと思います。  この防衛問題については大綱を昨年作りまして、ここでもいろいろな議論がありました。例えば教育関係、給食関係、整備関係等々、これは全部自衛隊あるいは官の側で行わなくてもいいのではないかと、それを見越した上でこれからの大綱を定めるべきではないかと議論があった上で大綱を決めたわけですね。しかし今、これを行政改革という視点から、大綱で決めたことを更に減らそうと、こういう作業が今要求されているわけですね。ですから、大綱をあれで決めて、議論して決めたこと、あれ何だったんだと、そういう気がしないでもありませんけれども、やはり行政改革という別な視点から英断をしなければならないと思います。  あわせて、この行政改革をやり遂げていくためには、やっぱり国民の皆さんの信頼というものが基礎にならないとこれはできません。その意味で、官製談合がいつまでも付きまとっているようでは、そういう疑惑が付きまとっているようでは、やはり自ら主張する資格もないと言わざるを得ないわけですね。防衛施設庁の事件がありました。大臣はこの施設庁を解体をするという大きな決断をされたわけですね。そして、この施設庁の仕事は、支分局を持って全国的に展開をされている大きな組織でもあります。それを解体し統合しようというわけでありますから、やはりこの過程も通じて、私は行政改革に貢献する結果を出すべきであると、こう考えるわけですね。  この自衛官の行革の話と、そしてまた施設庁解体に対する防衛庁長官行政改革決意、これを併せてお伺いしたいと思います。
  235. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えいたします。  山口委員には防衛問題、安全保障問題においていつも御理解あるアドバイスをいただいておりまして、有り難いと思っております。  今日は、行政改革に伴う防衛庁の対応の仕方でございますけれども、四十四条、この行革法の四十四条において、行政機関に準じて対応するということでございます。準じてというものはどういう意味かというと、準ずるものに大体のっとっていくということでございますから、これは五%を守るということではないんだけれども、まあそういう方向性に対して我々もできる限り努力はしていくということでございます。  なぜならば、やっぱり安全保障というのは、国家国民の安全を保っていかなければならないという責任があります。これは自らの判断だけではない、やっぱり総体的なものでありますから、この周囲の状況がどうなのか、あるいはまた、日本は同盟関係を持って安全保障を堅持しているわけでありますから、同盟関係との関係はどうなのか、そういう流れの中で考えていく必要がある。  したがって、その中核的なものですね、例えば今でいえばミサイル防衛だとかテロ対策だとか、あるいはまた国内の災害、国際平和協力活動、そういったものに支障が起こるようなことがあってはならない。しかし、行革の考え方というものを尊重する必要があると思っておりまして、その意味で、今委員がおっしゃるように、教育だとかそれから食事の支給だとか、あるいはまた装備の面でもできるだけ考えていこうじゃないかということについては、今取り組んでいるところでございます。  そういう中で、不祥事が起こって施設庁を解体していくわけでございますけれども、これは、この問題は、二度と再び不祥事を起こしてはいけないということでありますから、防衛庁全体ですね、今度は施設庁だけではなくて、防衛庁全体にわたって監察、監視制度、チェック体制をきちっとするということが一つあると思います。  それからもう一つは、施設庁の仕事でありました米軍だとか自衛隊基地と地方の住民との接点の調整をどうするかということでございますから、事件が起こったけれども、大概の仕事は、これは必要な分野でございますので、これを効率的に合理的にどういうふうに組織立てていくかということを今後早急に考えたいというふうに思っております。  その中で、委員おっしゃるように、当然、行政改革の流れに沿った合理化あるいはまたスリム化というものも考えていくことも当然であるというふうに思っております。それも委員の御指摘をよく踏まえて考えていきたいというふうに思っております。
  236. 山口那津男

    山口那津男君 今までは防衛庁本庁と施設庁はあたかも別々な役所のように組織運営されてきたわけですね。しかし、これが解体して統合されるとなれば、今まで別にやってきた、例えば給与を計算するだとか一般的な管理部門というのは共通化されるわけでありますから、ここだけ見たって圧縮できるはずですね。是非、大臣の今お述べになった決意を実行していただきたいと思います。  さて、地方公務員の関係についてお伺いいたしますけれども、四・六%減らすというのを国に準じて目標を作ったわけでありますが、これはあくまで平均値でありまして、自治体から出していただいた削減目標、これはそれぞればらつきがあるわけですね。四・六%よりも高い数字を出してきたところ、これは大変な努力をして、よくこういう数字をお出しになったなと思うわけでありますけれども、しかし中身をどうかというと、例えば地方の独立行政法人化を進めるとか、あるいは大学法人化を進めるとか、外へ出す形によって削減をすると、こういうところもあるわけですね。  さて、こういうやり方をした場合、本当に人件費削減、公務員の総人件費削減という行革目的を果たして達成できるのかどうかと、こういう声もあるわけです。この点、どうお考えになるかお聞きしたいのと、それから四・六よりも低い数字を出してきたところ、ここは自らの決断では頑張ってもここまでしかできないと、こういう制約の下で出してきていると思うんです。これをもっと成果を上げていただくために、やっぱり国が縛りを掛けている様々な基準、これをもう少し見直していく必要もあるだろうと思うんですね。それを具体的にどうやるか。この二点についてお答えいただきたいと思います。
  237. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 地方のことは基本的には地方で決めていただくわけでございますので、我々としては、国が五%減らすと、地方はこれまで五年間で四・六%減らしたんだから、それを更に上回るように減らしてくれということを要請をしてきたわけでございます。  中身は、委員御指摘のように、これは地方によっていろんな事情がある。そこは正に地方のいろんな事情を反映しております。ただ、全体としては、先般取りまとめた速報値ですけれども、四十二都道府県と十二政令市、これは全体で五・三%減らすというふうに言ってきていますので、四・六を上回るような形になっておりますと。ただし、中身は区々であるというのはそのとおりだと思います。  第一のお尋ねの、これ独法化するだけでは実態的な仕事の量は減ってないではないか、そういう懸念があると思います。したがいまして、我々、今そういった意味でそのプランに基づいたヒアリングをやっておりまして、中身については是非しっかりと精査をして、更に要請するべきことについては要請をしてまいりたいと思います。  ただ、独法というのは、地方独法というのは、そもそもがまず廃止、民営化を検討せよと、そして、例えば指定管理者制度とか、そういった使えるものを使えと。その上で、どうしようもない、どうしても独法でなければ駄目なものだけ独法化しろというかなり限定的なことに、地方独法に関してはそのような限定的なものになっております。したがって、そういった点も踏まえて判断をしてまいりたいと思います。  二番目の基準、これは委員御指摘のとおりでありまして、やはり地方からいうと、いろんな国によって義務付けられた設置基準と配置基準等々があって、自主的な取組には制約がある。これは必ず地方の皆さんはおっしゃいます。そういう意味では、総務省としては、毎年各府省に対して、種々の法令等によって地方に義務付けを行っていますけれども、その基準等について必要性を見直すように、これはもう毎年これは要請をしております。  今、先ほども申し上げた集中改革プランのヒアリングをやっておりますので、とりわけどういうところが地方から見て国の義務付けが重過ぎて制約になっているかという具体的な事例を今聞いておりまして、国が定める設置基準の見直しを我々としても積極的に進めていきたいというふうに思っています。
  238. 山口那津男

    山口那津男君 地方自治の理念の下で実績が上がるように、是非、総務大臣、頑張っていただきたいと思います。  次に、市場化テストについてお伺いしたいと思いますが、この点も重要方針の中では事業仕分の趣旨を盛り込むということで書かれたわけでありますけれども、実際のでき上がった法案の中には、この事業仕分の趣旨は書かれておりますけど、文言上は必ずしも明確ではありません。ですから、法案の提案理由では事業仕分のことをお触れいただいたわけでありますが、これから法案が成立して実施される段階に至りましたら、是非、七条で基本方針というのを策定することになっておりますので、ここにこの事業仕分の趣旨、文言等を明記していただきたいと思います。  それともう一つ伺いたいのは、実際に今試行的に市場化テストをやっているわけでありますけれども、しかし、民間が参加するに当たって困っていることがあるんです。それは、今まで官がやってきた仕事の実際のコスト、費用、これがどれだけ掛かっているかという実質がよく見えない。それはそのはずであります。予算には事業費しか計上していない。人件費その他の経費というのは一般的にほかのもろもろの費用と一緒に一括して書かれているわけでありますから、実際にその仕事をやるのにどれだけの人件費が掛かったかというのは予算、決算上分からないようになっていますね。ですから、ここが分からない限りは官と民の対等な競争というのは成り立つはずがありません。ですから、このコストに関する情報というのはもっと正確に丁寧に出していく必要があると思うんですね。  そこで、やり方は二つあると思います。まず、その対象となった業務について、個別にいろいろと経費を積み上げて、それが分かるように示すという方法もあるかもしれません。また一方で、国は今、財務書類というもの、貸借対照表あるいは損益計算書等々、民間の企業会計に倣った財務書類というものを今作りつつあるわけですね。これをやっと概成したばかりでありますけど、しかしこれも、今個々の事業について一体どれだけの費用が掛かったかというのは、実はよく分からないんですね。ですから、こっちの制度も磨きを掛けることによって事業ごとのコストというものが割り出せるような、そういう仕組みも考えていく必要があると思うんです。  この点は既に東京都は先進的な取組をしておりまして、決算書を出すと同時にこの財務書類を一括して同時に出すと、それをできるようなシステムというのを開発してつくっているんですね。今年度から実施しております。ですから、これをうまく使えば、個々の事業ごとにコストがどうなっているかちゃんと割り出すことができるようになるわけですね。国はそこまでいってないんです。是非この点も改革していただきたいと思います。  まず中馬大臣の方から、今の質問の点、二点、お答えいただきたいと思います。
  239. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 大変具体的な御指摘をちょうだいいたしました。  公共サービス改革法案、いわゆる市場化テスト法案は、不断の見直しもちろん行いますが、閣議決定する公共サービス改革基本方針、これにおきまして仕分をすることになりますね。官民競争入札の対象にすべき業務をどれかということを決めること、それから廃止の対象とすべき業務、これもはっきりさせていきます。それから、そういったものを仕分する仕組みになっておりますが、また、官民競争入札の対象となった公共サービスにつきましては、入札の結果によって官が担うのか民が担うのか、その担い手が具体的にこれまた仕分されるわけでございます。  さらに、官民競争入札や廃止の対象となる事業の選定等においては、民間事業者や地方自治体の意見を聴取して監理委員会で調査、審議する、これも仕組みになっておりますから、これでも一つの仕分の手法が使われるものと思います。  このように、公共サービス改革法案は事業の仕分の趣旨を十分に踏まえたものとなっておりまして、先日御説明しました提案理由にもかなり詳しく御説明させていただいたところであります。  今御指摘のありました公共サービス基本方針、この中に、本法案が成立した暁には、この法に基づきましてこの基本方針の中で法の運用の方針として事業の仕分の趣旨を明記してまいりたい、このように考えております。  それから、そうした市場化テストに出す場合の、ただ一部の費用だけではなくて、全体的なコストを明示すべしということでございますが、これにつきましては、透明、中立、公正な競争が実現される措置としてもちろん必要なことでございますから、このサービス法案では、対象となる個々の公共サービスごとに官による事業の実施に要した従来のコスト等について入札前に情報を開示することとしております。このような情報開示を行っていくに当たりましては、官と民との間で中立公正な競争が実現できるように、例えば官のコストとして間接的な費用、直接的な費用、これを明示することが適切であると、このように考えております。  なお、情報開示の内容につきましては、監理委員会の議を経た上で実施要項の中で適切に定めていくこととなる、これは法の第九条第五項で決めております。  このような形で、ひとつ全体的な像として官民が競争できる形を取らせていただきます。
  240. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 時間が参っておりますのでおまとめください。
  241. 山口那津男

    山口那津男君 財務書類について、今、決算書、予算書の連携、そしてそれに政策評価書をもっと活用する、その政策評価の中にコスト情報が入っていないんですね。ですから、財務書類のレベルアップを図ると同時に、そこでのコスト情報を政策評価にも反映させて、そして予算、決算の適正性を高めると、こういう努力をしていただきたいと思います。  大臣、一言だけ御決意を。
  242. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 簡単に答えてください。
  243. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) この問題は財政金融委員会でも一緒に御議論させていただいているところでございますが、さっきおっしゃった東京都の取組等々も十分踏まえまして、分かりやすいものを作るように私たちも努力したいと思っております。
  244. 山口那津男

    山口那津男君 終わります。
  245. 吉川春子

    吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  簡素で効率的な政府を実現するための行革法案について質問をいたします。  政府の年次財政報告の指摘に、ここでも指摘しておりますけれども、OECD諸国の一般公共サービス、保健、社会保障などの支出を比較すると、日本は諸外国に比べて低いのではありませんか。
  246. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) OECDの生の数字を申し上げますと、日本は、例えば一般サービス、治安で五・五、英国が九・二、フランスが一〇・七、ドイツが九・一、イタリアが一二・四と、保健、社会保障だけを取りますと、日本が二〇・四、英国が二三・二、フランスが二九・〇、ドイツが二九・〇、イタリアが二五・〇でございまして、一見低く見えますけれども、日本国民負担率、租税負担率はこれに見合った低さでございます。
  247. 吉川春子

    吉川春子君 パネルを用意しました。(資料提示)  今大臣が言ってくださった数字がこのピンクの方の数字でございます。日本がかなり低いということです。そして、紫の方の数字なんですけれども、これは公共事業、公共事業費は日本はかなり大きな政府である、そのことが言えると思います。  それで、加えて、先ほど来論議がありましたけれども、日本の公務員の数はフランスの三分の一、イギリスの二分の一、人口千人当たりですね、先進諸国と比べても小さい政府と言えると思います。  しかし、本法案の五十五条におきましては、地方公務員数を現在の数から四・六%減らすために、地方公務員の配置に関し、国が決めた基準を見直すとしております。どんなものが対象になるんでしょうか。項目、主な項目だけ端的にお伺いいたします。
  248. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) このたびの地方公務員につきましても、四・六%五年間で減らすことにいたしておりますが、地方努力しても、何といいましょうか、国の基準が決められているやつがあります。これのことと思いますが、地方公務員純減を後押しする観点から、政府においては、教育、警察、消防、福祉関係といった地方公務員の配置に関する、国が幅広く基準を定めている分野を対象にして、この見直しも推進をしてまいりたいと思っています。いいですか。
  249. 吉川春子

    吉川春子君 今の大臣答弁していただきましたのがこのパネルなんですけれども、(資料提示)上の色が付いている方は、公務員がやると民間がやるとにかかわらず国が定めている配置基準、これが保育所の保育士、老人福祉施設の従業員、児童福祉施設の看護師です。それから、下の公務員がやるものですけれども、小中学校の教職員、警察、消防、保健所の医師、福祉事務所。そのほかまだあるんですけれども、主なものはこういう配置基準を国が決めておりまして、これを全部見直すということが法律に書かれております。  それで、この中でも警察官は増員が必要とされておりますし、消防士も、四月に法改正をしましたけれども、これは七五%ぐらいしか充足していないので、もっと引き上げなくてはならないものです。といたしますと、その対象は福祉、教育というところに行かざるを得ません。  厚生労働大臣伺いますけれども、保育士の配置基準は、ゼロ歳児に対して三人に保育士が一人、二歳以上三歳未満は六人に保育士一人、三歳児は二十人に一人、四歳児以上は三十人に一人です。国際的に見てもこの基準は低いです。  そこで伺いますが、実際の保育士の数、最低基準の保育士の数、それぞれ何人でしょうか。数字だけお願いいたします。
  250. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 保育所に勤務しております保育士数は、平成十六年十月一日現在、これ常勤保育士に換算いたします、公営保育所で約十四万二千人、私営保育所で約十五万五千人でございます。最低基準に基づき配置が必要な保育士数は、平成十七年四月一日現在、常勤保育士で公営で七万八千人、私営保育所で九万三千人でございます。
  251. 吉川春子

    吉川春子君 今大臣にお示しいただきました数字は、大体その最低の配置基準から一・七、八倍で現実の保育園は保育士の数が必要として運営されていると、こういう数字でございます。  それで、国の最低配置基準は、実際に必要な保育士の数の逆からいえば半分程度しか見ていないわけです。この最低基準では保育園を運営することはとても困難で、市町村が持ち出して超過負担として運営しているのが実情です。  最低基準の一・七倍でも子供たちのことが十分に見てやれません。一人の保育士が何人もの子供を同時に見てお食事を上げなくてはならないとか、そういう状態で保育士の皆さんは苦労しながら一生懸命頑張っております。そんな中でも、不幸なことに、この五年間で六十数件もの子供の死亡事故が起きているんです。  総理、もっと十分な保育士を配置して、子供たちを見てあげたい、見てほしいというのが父母や保育園関係者の願いなんですね。ですから、この配置基準を是非引き上げていただきたいのですが、いかがでしょうか。総理に。
  252. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 基本的な考え方だけ申し上げます。  保育所における保育士の配置、これまで、関係審議会の意見を踏まえて、累次にわたり最低基準の改善を行ってまいりました。それにプラスする形で保育所運営負担金において、最低基準の配置に加えて主任保育士を確保するための加配等の措置を講じております。また、延長保育や一時保育といった特別のサービスを提供するために必要な保育士の配置に対して助成を上乗せで行っております。  そうした意味では、全国二万三千の保育所で二百万人の子供が日々適切に保育されており、現時点においてこの基準を更に引き上げる必要はないと考えております。
  253. 吉川春子

    吉川春子君 今、厚生労働大臣答弁されましたように、いろいろ加配して足りない分を補うという努力を、これは父母の要求に従ってやってきたと思うんです。  総理、だから、この最低基準というのをもう少し保育所に関してどうぞ引き上げていただきたいと思うんですけれども、総理、いかがですか。
  254. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 実際の具体的な基準については、厚労大臣が担当して現場の意見も聞きながら対応していただいたとおり、今の答弁のとおりなんですが、私は就任以来、待機児童ゼロ作戦と、一番今お母さん方が要望しているのが、待機児童ゼロ作戦といいますか、保育所の待機児童、これを解消してくれということでありますので、就任当初以来、この必要な予算を重点的に配分してまいりました。  当初、十五万人待機児童がいるからと、これを解消するのが、もし一つだけだと言われればこれだと言うから、私は就任当初に待機児童をゼロと、十五万人の待機児童をゼロにするという目標を掲げて、実際三年でこれを解消したわけですよ。一年間五万人、二年間で十万人、三年間で十五万人。  ところが、当初、十五万人入れれば待機児童はゼロになるだろうということだったんですが、いざ、この目標十五万人分の保育所を増やす、待機児童もちゃんと待機せずに保育所に入れるという目標を実現したらば、その時点で十五万人じゃ足りないということ。足りない分をそれでは更に、一般歳出は削減する努力でしていますけれども、足りない分はきちんと予算を付けましょうと、今やっているわけです。  だから、これであとどういう、その方針に沿ってどういう対応をするかというのは、厚労大臣がよく対応をしていただきたいと思います。
  255. 吉川春子

    吉川春子君 待機児童ゼロ作戦ということで、最低の配置基準以下で運営する保育所が出てきたわけですね。これまでは、社会福祉法人や利益追求を目的としない良い保育をしたいという、そういう人々によって民間保育所が運営されてきました。しかし、二〇〇〇年に今総理がおっしゃられたような方針もあり、企業の保育所への参入を認め、ベビーホテルも増加したんですね。  それで、厚労大臣伺いますけれども、株式会社ちびっこ園グループ、乳幼児の死亡事故は何件起きていますか。件数だけお願いします。
  256. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 御指摘の認可外保育施設ちびっこ園については、平成十三年三月に生後四か月の赤ちゃんが窒息死いたしております。これに関連し、昭和五十年の開業から平成十三年までの間に二十人を超える乳幼児の死亡事故が起こっていたことが判明いたしました。したがって、これらの死亡事故については原因不明のものも多いが、平成十三年三月の事件では、十分な数の保育者を配置せず、ベッド内に複数の乳児を収容したことが明らかになっております。  こうした事件を受けて、児童の安全や衛生の確保の観点から定めた認可外保育施設指導監督基準に基づく指導監督の徹底を今図らしていただいております。
  257. 吉川春子

    吉川春子君 ベビーホテルちびっこ園では、一つの保育ベッドに赤ちゃんを二人一緒に寝かせるというその最低基準無視の危険なことまでして、今大臣から報告いただいたように、二十二人の乳幼児の死亡事故が起きています。当時ちびっこ園池袋西園は、ゼロ歳児六名、一歳児二十三名を含む六十三名を預かっていました。保育従業者は園長以下正規の人が四名、臨時が三名、わずか七名で二十四時間保育をやって利益を上げていました。基準をないがしろにした結果、たくさんの死亡事故が起きているわけです。  東京地裁の判決では、被告人は収益の確保を優先する余り従業員に厳しく経費の抑制を求めつつ、乳幼児の委託を拒否することを厳しく抑制し、そのため各施設では保育従業者の数も足りず、一台の保育ベッドに複数の乳幼児を収容するなど、無理な施設運営を余儀なくされている実情を知りながら、長期にわたって事故防止策を講じなかったと指摘しているんですね。  保育所を運営する経費の八割が人件費です。ところが、ちびっこ園では三割程度でやっている。利益を追求しようとすれば、ちびっこ園がやっているように保育士を削減するしかないわけなんです。働きたい、働かなくてはならない、認可に入れない、それでやっとちびっこ保育園を見付けて、そして相次いでこの死亡事故が起きています。父母の無念さを分かっていただけると、総理、思います。  総理が今やろうとしていることは、保育所をちびっこ園のような方向に導くことになるのではないか、私はそれを懸念するわけなんです。いかがですか。こういうことは良くないでしょう。
  258. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは保育について、親御さんが自分がいなくても大事に保育してくださいという要望をないがしろにして、このような事故を起こして誠に遺憾であります。残念であります。  保育園を経営する経営者、自分の子供を育てる、保育するというような気持ちで事故のないような対応をしなきゃいけないと思っていますし、そういう事故が起きないように厚労省としても十分な気配り、目配りが必要だと思っております。
  259. 吉川春子

    吉川春子君 最低基準以下の保育園でこういうことが行われたんですよ。だから、この最低基準をなくすということは、もっとこういうちびっこ園を増やすということになるわけですよね。だから、私はそういうことはもう絶対に良くないと。これ、ほかの施設でもそういうことが起こり得るわけです、国が決めている行政サービスを維持するために配置基準決めているわけですから。  私は、子供の健やかな成長というのは国民の多くの願いだと思います。配置基準の見直しというのは公務員削減と企業の参入をねらったもので、これは国民が安心して保育を受けられなくなると。  もう子供を粗末に育てたら取り返しが付かないですよ。だから、私は、こういう国民の福祉、保育を切り捨てるようなこういう行革はやるべきではない、それは国民が願っていないと、そのことを強く申し上げて、質問を終わります。
  260. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  行革推進の理念の質問はちょっと後の方に回しまして、通告の二番目のところから入っていきたいというふうに思います。  政府は、この間の衆議院の議論、公務員削減の数値目標の合理的な根拠、これを説明することは私はできなかったんではないかと、こういうふうに実は思っております。今でも小さな政府でございますけれども、官と民、国と地方の役割分担、業務の仕分、これはこれからだと言いながら、削減の数値目標を腰だめの数字で法案に書き込んだと、これは私は明らかではないかというふうに思っております。正に削減数値目標が先にあったと、順序が全くあべこべではないかと、こういうふうに思っております。  その上でお尋ねをいたしますが、今ほども御議論がありました福祉、教育、安全に関する国の配置基準、これを一方的に変えて、そして自治体に削減の数値目標を押し付ける、こういうやり方は分権自治の理念に反するんではないかと、そして地方の安心、安全を無視するやり方ではないかと思いますが、総理、いかがでしょうか。
  261. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、地方にできること、そして国がやらなきゃならないこと、これは社会保障の点についてもあると思います。  現在の地方行政については、国の水準よりも社会保障分野において地方が進んでいる地方公共団体もかなりあると思います。そういう中で、できるだけ非効率な分野あるいはかなりの人数を削減してもサービスの点に問題がないという点については、見直しを地方においても進めていただきたいと思っておりますので、その点につきましては、今後どういう点で公務員を増やさなきゃならないのか、あるいは減らす点があるのかという点については、不断の見直しが必要だと思っております。  今、小さな政府だと近藤議員は言われましたけれども、一般的に考えると、簡素で効率的な政府をつくるという点については大方の国民の理解を得られているんじゃないでしょうか。小さな政府というよりも、もっと簡素にできる分野があるのではないか、効率化を進めることができる分野があるのではないかということから、行政改革推進しろという点については大方の国民の理解を得ているんじゃないかと思います。  比較すれば、先進国に比べて日本は公務員の数が少ないというのは、統計的な数字から見ればそうだと思います。しかし、現実の姿を見ると、役所の仕事、これは無駄があるんじゃないかなと、公務員じゃなくてもこれは地方にできること、あるいは民間にできることあるんじゃないかという疑問を持っている国民が多いのではないでしょうか。そういうことを言えば、今でももっと効率化できる分野があると、公務員じゃなくても地方にできる、民間にできることがあると思っている国民の方が多いんじゃないでしょうか。
  262. 近藤正道

    ○近藤正道君 分権の理念に反するんではないかという質問については全く御答弁がございませんでした。  今ほど保育の話が出ましたけれども、私は教育のことについてお尋ねしたいと思います。  つまり、子供の数が減ると、それ以上に教職員の数を減らせと、こういうことがこの法案の中に書いてあるわけでございますが、私は、今地域で様々な少人数学級が推し進められている、こういう中で、子供の数に合わせて教職員を減らすというのは分かるけれども、子供の数の減少以上に教職員を減らせというのは、私はとても理解ができない。私はこの点はいわゆる米百俵の精神に少しもとるのではないか、こういうふうに思います。  私は、新潟の長岡の隣の町で生まれ育ちました。米百俵の話は昔から耳だこでございますけれども、総理は正に米百俵でさっそうと登場されましたけれども、最後にこういう法律を作って米百俵の精神そのものを私はおかしくしているんではないかと、こう思えてならないんですが、いかがでしょうか。
  263. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 後で小坂文科大臣答弁していただきますが、米百俵の精神というのは、これは今後も必要だと思います。教育重視していくと、これからも人材育成、人間力の向上、これはどの分野においても重要であります。まして、少子化の傾向ですし、四十人学級を目指してまいりましたけれども、これも実現できるような時代になりました。そういう中で様々な多様な教育機関、公立学校のみならず、私立始め専門学校、民間も株式会社で学校教育をするような企業も出てまいりました。そういう様々な、教育に関心を持っている方々の意欲を取り入れていくと。  そうすることによって、私は、今の教員の人数とかいう面について文科大臣等に教育面において十分な配慮をするように、また人材育成の面においては、今後とも国際社会に伍していけるような人材の育成には十分な配慮をするように指示しておりますので、具体的な問題については文科大臣に、答弁された方がいいのではないかと思っております。
  264. 近藤正道

    ○近藤正道君 いずれにいたしましても、私は米百俵を唱えた総理がやることではないんではないかと、こういうふうに思っております。  次に、天下りとか官製談合、随意契約の問題について一言お聞きしたいというふうに思います。  いずれにいたしましても、この問題は、大変、税金の無駄を排除する、行政改革をやる重要な問題でありますが、今回の法案のどこにも書いてない。何でこれを盛り込まないで行政改革推進になるのかと私は思わずにいられません。  ところが、総理は、今の例えば天下りの問題、この弊害の元凶になっております早期退職制度の慣行、これについて度々質問を受けておられますけれども、五年間で三年引き上げる、このことを粛々とやっている、こういうふうな、私に言わせれば大変悠長な答弁をされている。これだけ天下り、官製談合、そして公益法人、随意契約、問題が噴き出ているわけですから、私は、せめて前倒しでやるとか、あるいはそれこそ決断を持ってこれを早めるとか、何でやらないんだろうかと。例えば、防衛施設庁、これだけの不祥事を起こしましたけれども、今回、今年の早期退職、この制度は取りやめたと。防衛施設庁がやれて、何でほかの省庁がやれないんだと。  私は、総理の決断があればもっと早くやれるんではないか。皆さんのやり方であれば、平成二十年になってもキャリアの皆さんは五十七歳で退職する。六十歳まで一体何年掛かるんだと。ざっと考えても十年以上掛かる。こんな悠長なことを何でやっているんだと。今こそ決断をして、このことについてとにかく速やかに、諸悪の正に根源でありますので、早期退職制度の慣行はこれはやめさせる。決断してくださいよ、それは、総理のリーダーシップで。  総理答弁を求めます。
  265. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 天下りの背景として早期勧奨退職があると、そのことを踏まえて、総理からは五年で三年延長しろという厳しい指示を私たちいただいております。そして、今三年のうちの一・五年上昇するというところまで既に来ております。  今、委員、それを全部やめてしまえという御議論でありますけれども、これは正に人材の活用とか人材の交流とか非常に幅広い観点からの議論をしていかないと、今これすぐやめてしまえと、これは職業をどのように選択していくかという問題とも絡むわけでありますから、そこはやはり現実的な混乱のない判断をしていかなければいけないと思っております。  繰り返しますが、現実にもう、三年延ばすという指示の下で一・五年増えているわけです。そして、それを更に延ばしていくことが結果的に早期勧奨制度がなくなるということにつながるわけですから、こういう現実的な解決策をやっぱり我々は歩んでいかなければいけないというふうに思います。
  266. 近藤正道

    ○近藤正道君 この三年半前の申合せ、これをしっかり実行したとしても平成二十年で五十七歳。六十歳定年なんですよ。いつになったら六十歳定年が履行できるんですか。私は、せめて、直ちにやめろと、そういう気持ちはあるけれども、前倒しで何とかならないのかと、このことを申し上げているわけでございます。これは総理に御答弁いただきたい。  と同時に、天下りについても、私は、民間企業一般に対する天下りではなくて、せめて関連企業についてこれはもうとにかくさせない、迂回も含めてさせないと、そういうぐらいのことは私はリーダーシップを取ってやっぱりやるべきだと。先ほどの今日のお昼過ぎの議論の中でも、今の早期勧奨退職慣行の問題はこれはキャリアの人の話で、もっとその下の人たち、もっともっと私は様々な形で早期慣行退職を強いられている。こういうことについては、とにかく私は、直ちにということはそれはできれば言いたいけれども、このことも含めてとにかくこれについては最も最優先で取り組むとこの場で総理から明言をしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょう。
  267. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは前から答弁しておりますように、一挙に進めるというのは、長年の慣例もあります、三歳引き上げるということだけでもこれは非常に難しい点をやろうと、しかも将来でき得れば、定年、六十歳までは退職しないでも働けるような形にしていこうということで今進めているわけであります。  公務員の様々な民間とは違った制度、身分の保障、そういうものを考えながらやっていくべき問題であると。  また、天下りと談合の話、随意契約の話、こういう問題につきましても、私は、官製談合防止法の法案につきましても改善策を指示して、今、国会で審議されていると承知しております。さらに、随意契約も、これは天下りと結び付けて考えられておりますが、随意契約も、随意契約で必要でないものは一般競争入札すると、天下りしても仕事取れないとなれば天下りする必要ないんですから、総合的に考える必要があるんじゃないでしょうか。総合的に進めていって、この問題について、より国民から信頼されるような公務員制度というものを構築していきたいと思っております。
  268. 近藤正道

    ○近藤正道君 総合的にというふうにおっしゃいますけれども、私はお聞きをして、ここに本当の意味で真剣に切り込む、そういう決意を感ずることができないんです。ここを抜きに私は行政改革なんかあり得ないと、本当に私はそういうふうに思います。  最後の質問でございますが、公務員制度改革、ILOの再三にわたる労働基本権付与の勧告にかかわる問題でございます。  何とか連合と協議が始まるようでございますけれども、ILOはこのことについて、決して私は手放しで評価をしているというふうには思いません。まあこれが始まるのかと、この程度の受け止めだというふうに思っています。  つまり、労働基本権を付与するのかどうか、このことについて全く踏み込んだ態度表明がない、ニュートラルだ、付与するかしないか全く白紙の状態で臨む。これはILOの結社の自由委員会の再三にわたる勧告、要請、この趣旨を重く受け止めていないんではないか、やっぱりしっかりと付与する方向、そのことをしっかりと打ち出した上で政労協議に臨むべきだ、私はそういうふうに思います。いかがでしょうか。
  269. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 簡潔にお答えください。中馬国務大臣
  270. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 先ほど申しましたように、政府としましても、公務員の労働基本権や能力・実績主義、人事管理の徹底などを含めた公務員制度、これにつきましては幅広い観点から検討が必要だということは、これは法案にもうたっております。本年一月には、政府と連合との正式な協議の場である今お話がありました政労協議を一年半ぶりに再開しまして、公務員制度等に関する基本的な事項について意見交換を行ったところでありまして、こうした取組について、先ほど申しましたように、ILOの方もこの政労協議の開催を歓迎して、現在の我が国努力評価し、見守っているということだと承知いたしております。  今のお話ですが、それを前提としてということではなくて、まずは組合の方ともそのことが合意できているわけですから、政労協議を三月二十日に開催いたしまして、労働基本権につきましてもニュートラルに、国民のいろんな意見もありましょう、そういうことも含めてまずはニュートラルに検討をする場を設けるということで意見が一致したわけでございますから、今後、細部について調整の上、五月の連休明けを目途に政労協議の場で成案を得ることとしたところでありまして、今後とも関係者の意見の交換を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。  いずれにしましても、公務員の労働基本権の在り方等につきましては、国民意識も十分に踏まえてやらなければいけないと思っています。幅広く検討していく必要があると考えております。
  271. 近藤正道

    ○近藤正道君 最後に、法の理念でございますけれども、今でも小さい政府が更に小さくなる、世界で最も主要国の中では小さな政府になると。この政府社会保障、セーフネットがしっかりと確保されるのか、そして格差の是正が行われるのか、大変疑問に思っております。これはこれからの論議の中でしっかり検証させていただくことを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  272. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 総理始め閣僚の皆様、御苦労さまでございます。  総理、四年ぶりでございます。質問の場をつくっていただけませんでした。委員になれば総理とやって解散になると、そして差し替えも駄目だということでございました。  総理が初めて当選されたときに、安倍官房長官もいらっしゃいますが、私たち一生懸命やって、そして投票、落選、そして当選と、こういうことでございました。うれしくもあり、誇らしくもありました。私も一票を入れました。しかし、この間の総選挙、刺客を立て、そして選挙、あの形というのは残念で、寂しく今も思っています。  今日は、委員の皆さん、そして総理始め閣僚の皆さん、恐らく、公ということを語っていて、最初から終わりまでそういう言葉で尽きるんじゃないかと思うんです。  総理、官から民、これも重要です。しかし、これだけではどうも収まり切れない。国民主役、幸せを感じれない。世界的にも協調を保てない。恐らく、官から公という発想と手法というのが欠けているんだと思うんです。これが四年前と全く同じなんです。ですから、私たちは、郵政というのは、公というものの世界でたった一つ税金を使わない形で国民にサービスを提供している一つのモデルではないか。そして、その公というのは、日本人、日本に根差した根っこのようなものなんです。それを今みんな忘れている。教育改革の必要性もそこで問われているわけです。  さてそこで、総理は先ほどの質問の中で、各論を示せば、いいものはやると断言されました。そうですね。では、私は年金改革について御提示をさせていただき、また資料をごらんください。  年金というのは、働いている世代が先輩方御苦労さまでしたと仕送りをする、そうした助け合いのシステムです。先ほど言いました公、助け合いのシステムなんです。ですから、今みんなが、もう払っても年を取ってからもらえないんじゃないかという過剰な誤解で払わない人がいる。  ならば、総理、そして厚労大臣、皆さん、このように通帳方式にするんです。(資料提示)毎月、これは国民年金のものでありますが、ずっと納めていく。そして、最後に納まった金額、きちんと銀行でちゃかちゃかちゃかちゃかちゃかと記帳していく。市役所でもいい、郵便局でもいい。一万三千八百六十円をやってまいりますと一年間で十六万六千三百二十円、あなたはこれだけ間違いなく納めましたよと、積立方式に見せていくんです。そして、一・七倍、これを上乗せするという約束ですから、国負担分、プラス十一万六千四百二十四円を乗せましたから、これを二十歳から六十歳まで二十五年続けていただければ確実に一・七倍もらえるんですよと。株をやるよりも確実なんですよ、助け合いなんですよ、みんながいずれ自分が助かるんですよと。  ポイント制度を厚労大臣考えていますが、いかがでしょうか。年金通帳、常に自分が持って確認できる。年金通帳、実際に実行したらいかがでしょう、厚労大臣
  273. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 荒井委員とこうやって話し合うのは久しぶりでございますけれども、一つの御提案をいただきました。国民、被保険者に個人の情報をどうやって知らせていくか、一つのアイデアとしてこういう方法があるぞというお示しだろうと思います。  今やっておりますのは、一つは、インターネットを通じて年金個人情報、十六年の一月から取れるように変わりました。それから、五十八歳になったときには年金加入記録、今のやつをずっと、あと二年で満杯ですよと、こういう連絡が行くようになっております。  それから、今ポイントということでお話ございました。ポイント制を平成二十年四月から実施したいと。その際に、今までどうやってたまってきたかということの通知方法をどうあるか考えなきゃならぬだろうと。  それからもう一つは、最終的には年金カードの導入というのも検討を始めております。このカードの検討をどうやっていくか、一つのアイデアとして受け止めさせていただきます。
  274. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 経産大臣にお尋ねしたいんですが、もう私十五分で時間がありません。  経産省中心に、総理、今会計システムあと二年間で新しいシステムにします。もう一気通貫でカードも使って、そして不正もなくなるようなチェックも入れながらやっていくということなんです。そのシステムで簡単に、仕送り方式が積立方式に簡単にできるんです、国の制度で。経産大臣、そうですね。はい、うなずいていただきました。  総理、イエスかノーか国民に問いたい。こんなにあるんですよ、こんな今回の改革の法案です。本質分かりません。生活している、一番年金、みんなが不安に思っているんです。しかし、助け合っていかなけりゃできない。いつもこうして自分が積んだ分、そして自分は確実に一・七倍もらえるんだ。もちろん、多少の運用の差益は出てまいります。  こういう自分で持っていられる、払った分より確実に得して返ってくる。総理、イエスかノーか、一言でお願いします。
  275. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) イエスかノーか、テレビのマル・バツじゃありませんしね、これはなかなか難しいと。  荒井さんはアイデアマンですしね。私は、郵政民営化賛成か反対かでは対立しましたよ。敵味方みたいに分かれましたけれども、今でも親しみを感じるんですよ。というのは、先ほど言われたけれども、最初の選挙、最初の総裁選挙なんです。あのときにね、当時は、自民党は総裁選に立候補するために三十人の国会議員の推薦がないと出られなかったんです。そこで、荒井さんが私に出ろ出ろと言ったんです。で、足りない。そこで荒井さんがいい知恵を出してくれたでしょう。小泉さんは郵政民営化唱えるから集まらないんだと。そこで、私は推薦人になるけれども、郵政民営化に賛成している者でなくても推薦人になるという知恵を出したのは荒井さんですよね。無競争じゃいけないと、橋本さんと総裁選争うのに新人で無競争というのはよくないから、やはり一人出なきゃいけない、それは小泉だと言って、あなたが言ってくれて、三十人の推薦人集めるのに随分骨折ってくれた。今でも私は、あのスタートがなかったら今日はなかったと思って荒井さんに感謝しているんですよ。  ですから、まあ戦国時代は親子でも兄弟でも敵味方に分かれて、今でも政治の世界というのは厳しいなと、親しい者でも敵味方に分かれなきゃならないときもあるなと。しかし、今でも、その友情と、当時、最初の選挙で推薦人になって骨を折ってくれたことは今でも忘れることはできません。  今のアイデアも、年金通帳も、これいい点がたくさんあると思います。参考にしながら、自分の負担はこれだけしているんだと、国の負担はこれだけしている、将来年金はどれだけもらうかというのを、やはり分かりやすく国民の保険料を負担する方に、また年金を受け取る方にどのように通知するかというその通帳のアイデア、今後よく検討していかなきゃならない課題だと思います。  今、既に年金はどれだけもらっているかということを通知しているわけですから、この保険料をどの程度負担しているか。未納の問題もあります。そういう点については、荒井さんはアイデアマンですから、いいアイデアを出していただければ、いい点は取り入れていきたいと思っております。
  276. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 総理はイエスかノーかで言えない。その言えないものを、イエスかノーかで選挙を打ちました。実際は自民、公明、そのほかと比べると同数なんですね。国民はイエスかノーかは同数だったんです。しかし、総理自身が今言われて、答えができない。これなんです。一遍に言ったら、一つ一つはうまくいかないかもしれない。しかし、一つ一つは全体と反することがあるかもしれない。合成の誤謬です。総理のものには非常にそれが多いんです。ですから、ぽっかりと抜けているものはこれ何か。先ほど来から官製談合、不祥事の山です。  ならば二つ目の提案をします。  考えてもらいたいという総理国民に対するお問い合わせと同じです。今、この法律国民参加という行革の視点がないんです。簡素で効率であるということばかり言いますが、国民が主役になって国民が参加できる政府をつくるということです。総理、これも国民の大方の方は御理解いただけると思います。  ところが、今、このお金は不正に使われているんじゃないか、違法性があるよと認めた場合に、国民個人的にこのお金は不正に使われているおそれがあるから調べてくださいということは言えないんです。言えないんです。  地方自治法の二百四十二条、二百五十二条では住民訴訟まで認めているんです。もちろん憲法上の問題がありますが、総理が劇場型で国民の皆さんを参加させたように、この行革に国民が参加する政府をつくるという視点から、お手元に配付をさせていただきましたけれども、国のお金、国民の税金を国民自らが不正に使われているんじゃないですか、会計検査院調査をしてください、その結果、会計検査院が調査をして、なるほど不正であったとなれば処罰される、そしてそのお金を返済もさせる、そのやり方に不服だとなれば、裁判所に訴訟までできるんです。  総理、この学説は憲法では少数説です、正直に言えば。しかし、今ほど国民の皆さんがこんなに不信を持っている。だから、年金も納めたくないんですよ、返ってくるかどうか分からない、特殊法人や様々なもので無駄に使われているんですから。今日の議論がその最たる議論をしていたわけです。  ですから、総理、いかがですか、国民が自ら、自らの税金の国の支出、特殊法人の支出、そういったものに対しての検査を請求する、不服があれば裁判までできる、こういうものを考えたらいかがでしょう。その任を今あずかっている会計検査院、どのようにお考えになりますか。
  277. 大塚宗春

    会計検査院長大塚宗春君) 今お尋ねのような制度を創設するか、する必要があるかどうかにつきましては極めて立法政策の問題でありまして、会計検査院の意見としては差し控えさせていただきたいと思います。
  278. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 はい、そこで結構です。
  279. 大塚宗春

    会計検査院長大塚宗春君) はい。
  280. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 差し控えさせていただきたいというのは、自分たちがやっているからやりたくないとも取れるし、憲法問題だと言って時間を稼ぐ、逃げるということにも取れます。  総理、ここを変えることです。税金です、国民の。国民が国のお金については自らおかしいんじゃないかと、こうこの会計検査院に訴えることができないような国の仕組みで、どうして選挙だけ国民の皆さん参加してくださいということが正当化できますか。  総理、前向きに考えていただきたいんです。前向きにこれは考えていただかないと、すっぽり抜けてますよ、これは。相変わらず親方日の丸なんですよ。自分たちがやってやる発想です。国民が参加する政府をつくるということです。  総理、ここを一言で、イエス、ノー、検討、三つでお願いしたいと思います。
  281. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、荒井さんが言われたことは正に国会の仕事なんです。政党の仕事、国会議員の仕事なんですよ。代議制度、国民の声を国会議員が受けて国会があるんです。国会で審議することなんです。一人一人の国民が訴訟を起こすよりも、選挙で選ばれた国会議員が国民の気持ちを代弁し、ただすべきはただす、これこそ国会の仕事であると。
  282. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 恐らくテレビをごらんの皆さんも、総理、後ろ向きだなと思いますよ。国会議員がいても先ほどのような不祥事件なんです。国民国民自らおかしいよとまず会計検査院に言えるようにする仕組みなんですよ。そこをつくるということについて非常にマイナスですよ、それは、総理。今までの改革、画竜点睛を欠くです。  ですから、時間がありませんから、私は恐らく一番最後のこの委員会でももう一回総理とやらせていただきますから、御検討ください。  結びになります。靖国神社の御参拝、私もしております。総理総理は後継者の方に参拝をすべきだと、そのようなアドバイスをされますか。心の問題と言われている靖国参拝です。総理は後継者に対して、靖国参拝については何か申し送りをするようなお考えがありますでしょうか。
  283. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、人に靖国神社参拝に行けと言われたこともないし、人に行けと言う気持ちもありません。
  284. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 全く同感でございます。  次回に質問を譲ります。
  285. 尾辻秀久

    委員長尾辻秀久君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十分散会