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2006-06-08 第164回国会 参議院 厚生労働委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年六月八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月八日     辞任         補欠選任      岸  信夫君     坂本由紀子君      森 ゆうこ君     谷  博之君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下 英利君     理 事                 岸  宏一君                 中村 博彦君                 津田弥太郎君                 円 より子君                 渡辺 孝男君     委 員                 阿部 正俊君                 岡田  広君                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 武見 敬三君                 中原  爽君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 水落 敏栄君                 足立 信也君                 朝日 俊弘君                 家西  悟君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 谷  博之君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 山本  保君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   川崎 二郎君    副大臣        厚生労働大臣  赤松 正雄君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    政府参考人        消防庁審議官   貝沼 孝二君        厚生労働大臣官        房総括審議官   金子 順一君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省医薬        食品局長     福井 和夫君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省職業        安定局長     鈴木 直和君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       北井久美子君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中谷比呂樹君        厚生労働省老健        局長       磯部 文雄君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        社会保険庁長官  村瀬 清司君        社会保険庁次長  小林 和弘君        社会保険庁運営        部長       青柳 親房君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○良質な医療を提供する体制確立を図るための  医療法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、岸信夫君が委員を辞任され、その補欠として坂本由紀子君が選任されました。     ─────────────
  3. 山下英利

    委員長山下英利君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省保険局長水田邦雄君外十三名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  5. 山下英利

    委員長山下英利君) 健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 円より子

    円より子君 おはようございます。民主党・新緑風会の円より子でございます。  昨日、東京地裁ドミニカ移民の訴訟が行われましたことは、テレビニュース新聞等皆様御存じのことと思います。  これは、一九五六年から五九年、戦後のことでございますが、戦後の引揚げで急増した人口を減らすための日本政府の南米への移住推進策一つで、ドミニカ共和国に二百四十九家族千三百十九人が入植いたしました。十八ヘクタールの肥沃な土地を無償譲渡するという約束でございましたが、実際は土地は多い人で半分もなく、塩の噴き出る砂漠で耕作不適地、そして所有権もなかったということで、苦労の連続の中で自殺した人も出ましたし、その方々が苦渋の選択をして、国を愛する気持ちに変わりはないけれども、国を相手取って訴えられた事件でございました。  この件については、私、質疑通告をしなかったんですが、実は前厚生労働大臣尾辻参議院議員委員会でこのことを切々と訴えられまして、国の責任ではないかと、こういう国の約束を破ったことに対してきちんと謝罪すべきであるとおっしゃっておりまして、もし大臣一言コメントございましたら是非、閣議の一員でいらっしゃいますので、国が謝罪し、補償をする、そういったことをやっていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  7. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 詳細承知しておりませんので、委員会発言というのは極めて重大な発言でございますので、外務省がしっかり整理をして発言をされることになると思いますので、そこは私、控えさせていただきます。
  8. 円より子

    円より子君 それでは、私たち国会で本当にしっかりと立法なりを即座に作って、国が、政府がなさらないならば国会がその責任を取らなければいけないと思います。  決議だけでもこの会期末にでも出したいと思いますが、委員長、お計らいいただきたいと思います。いかがでしょうか。
  9. 山下英利

    委員長山下英利君) 理事会協議をさせていただきます。
  10. 円より子

    円より子君 それでは次に、社会保険庁の話題に入りたいと思います。  例えば、今国が約束をほごにし、そして国民に塗炭の苦しみを味わわせているという件は、戦後のBC級戦犯方々や、またシベリアで抑留された方々、様々な方々に対していまだに、また中国の残留婦人のこともありますが、厚生省の所管のものについても、国は常に国民を裏切り、そして国民の方に愛国心を涵養しろといっても私は無理ではないかと。国のトップリーダーたる者がそうしたことをきちんとやらない限り、愛国心なんというのはなかなか芽生えるものではない。今の日本は本当におかしくなっていると私は思うんですね。  例えば、私の知り合いは公務員の息子さんでいらっしゃいましたが、その方だけではなく多くの人が、昔公務員は、福祉関係仕事人たちは、自分一人の給料をその人たちにあげたからといってどうにもなるものではないと分かっていながら、給料日には生活保護を受けている人や様々な人についお金をあげてしまって、そして、貸してしまったって返ってこないわけですから、その妻は子供たちを食べさせるためにもう夜なべの内職で働きに働き続けたというような方が多くいらっしゃいました。  そして、日本人はどんなに貧困の中でも、例えば年金ですとか保険ですとか、そういうものは自分のためだけではなくて、自分がしっかりと支払うことによって、掛金を支払うことによって国の人たち全員が助かるのであればという相互扶助の精神があった。私はそうしたことは本当に国を愛することにつながると思っているんですが、日本人はそういうことも忘れてしまって、今、年金保険未納率がどんどん上がっています。これは私は、国民だけの個々の問題ではなくて、やはりリーダーがどういう方向にこの国を持っていこうとしているのかというようなことが大変かかわっているのではないかと思うんですね。  ところで、今日、お忙しい中、大変改革苦労なさっていて時間が本当に惜しいと思われる村瀬さんに、来ていただくのをどうしようかと思ったんですが、おいでいただいて、この質問が終わりましたら、社保庁関係が終わりましたらもうお戻りになって結構ですので、委員長にもお願いをしておきますが。  二〇〇四年に小泉さんから任命を受けられたとき、私こうして身近でお会いしていませんからテレビ新聞の写真だけなんですが、そのころからやっぱりおやせになったように思うんですけれども、今大変御苦労なさっているんじゃないか。今の一番の苦労、そしてやらなきゃいけないと思われていることは何でしょうか。
  11. 村瀬清司

    政府参考人村瀬清司君) 私自身仕事は、社会保険庁保険者として、社会保険、特に年金それから政管健保の実施省でございます。この実施省が、私が就任するときも、やはり国民皆様方から様々な批判を受けて就任をさせていただきました。例えば保険料の無駄遣いであるとかサービスが悪いとか、それから収納という問題について十分真剣に取り組んでないんではないかとか、こういう批判を受けて就任したわけでございます。したがいまして、その中で私が一番重要視しましたのは、やはりそこで働く職員が本当に変わってくれるのかどうか、この職員意識を変えない限りこの組織自体は生き残る道はないんだろうという形で取り組んできたつもりでございます。  その中で、今回免除という問題につきまして極めて残念な結果が起きたということに対しては、私自身は極めて残念だと思っておると同時に遺憾に思っています。何とかこれをやはり変えていくことが今私に課せられた課題なんだろうと。そのためには、現在公表させていただいています内容だけではなくて、全県、本当にどうなっているのかと、それと同時に、なぜこういうことが起こったのかということをやっぱりしっかりと解明して、国会だけではなく国民皆さん方にお示しして、そこの中で解決策を見いだしていくということが私に与えられた課題ではなかろうかと、このように考えております。
  12. 円より子

    円より子君 五月の二十九日の決算委員会で我が党の松井議員質問に対して大臣が答えられた答弁、ちょっと読ませていただきたいんですね。  松井さんは、大臣がきちんと各局長を集めてしっかり調べろと言われたものに対して出てきたものについては、大臣自身政治責任を懸けるぐらいの決意を表明して、もううそをついたら自分の首が飛ぶんだというぐらいの決意を示されませんかという質問に対して、大臣は、私が政治生命を懸けたら正しく報告してくれるという人たちを相手にしているんだったらこんなこと私は申し上げませんと答えられています。  村瀬さん、これについてどのようにお思いになりましたでしょうか。
  13. 村瀬清司

    政府参考人村瀬清司君) 先ほども申し上げましたように、職員意識改革、これが私は一番大事だろうということで今まで進めてきたつもりでございます。そのために何をしたかということからいいますと、極力現場に出向きまして職員との対話に時間を費やしてまいりました。その中でこういう問題が起こったということでございます。  この問題の本質は何かというのはこれから見極めますけれども、現象面でお話し申し上げますと、多くの社会保険事務所において法令等に定める手続に反した事務処理が行われたという点と、もう一点、本庁から調査をした段階において報告が行われたわけですけれども、この報告につきましては、二十九日、第一次報告書としてまとめさせていただきましたけれども、まだ第二次調査をやらなきゃいかぬ現状でございます。したがいまして、まだすべてが自主点検では正しく報告がされてこないと、こういう状況になってございます。  したがいまして、私自身としては、全貌を明らかにする、これは全県調査もありますけれども、自主点検でもまだ十分な報告が上がってこない、ここをまずしっかりやりたいということで、六月五日の日に第一次調査の再調査ということで文書を出させていただいておりまして、早くこれを早急にまとめたいと、このように考えております。  ただ、一方で、一生懸命取り組んでいる職員も間違いなく私自身はいると思いますので、そこをよく見極めながら、先ほど申し上げましたように、早く全貌を明らかにしたいと、このように考えております。
  14. 円より子

    円より子君 私が聞きましたのは、大臣答弁についてどう思うかということなんですね。民間人を入れて民間的な改革をしていくということが最初の趣旨だったと思います。  もし民間会社であれば、村瀬さんは社長ですか。大臣は何になるんですか。
  15. 村瀬清司

    政府参考人村瀬清司君) 企業社長社会保険庁長官はどうかという話になりますと、例えば予算全体は財務省の査定を受けた上で国会でお認めいただくと。一方、要員関係にいきましては総務省要員管理をした上で人員はまた決めていただくと。それからあと、人事の処遇につきましてはこれは人事院でということで、企業政府という関係からいきますと、やっぱりいろんな面で制約権はあるんだろうというふうに思いますし、私自身任命権大臣がお持ちになっておりますので、これもまた、企業はだれが最終的に社長任命するかというのは、株主総会等で決められ、取締役会で、取締にならない限りは社長にならないということでございまして、そこはちょっといろいろと難しい面があるんではなかろうかというふうに思っております。
  16. 円より子

    円より子君 もちろん民間会社と違いますけれども、かなり制約のある形の代表者だということで、その上に大臣任命者としていらっしゃる。そうすると、任命者である大臣が部下である社保庁人たちをもうどうしようもないと、これはおっしゃった言葉ですよね。見放した言葉だと思うんですが、もし会社でそういうことであれば、もちろん違いますよ、制約権もありますし違いますけれども、周り人たちはその会社に対してもう信頼、逆に持ちませんよね。そう思われませんか。
  17. 村瀬清司

    政府参考人村瀬清司君) 先ほどもお話し申し上げましたように、今回の現象面で、だれがどのように判断をして行われたかということをつぶさに見ませんと、本当に悪い人がだれだったのか、これは分からない。そうしますと、今社会保険庁では約一万七千名の職員がおりますけれども、この一万七千人の問題なのか、いや、はたまた実はもっと少ない人の問題なのか、ここをしっかり見極めないと私は言えないんだろうというふうに思います。ただ、残念ながらこういう現象を起こした人ということは事実でございまして、それを起こした人というのは、やはり関係者につきましては厳しく見ていく必要はあるんだろうというふうに考えております。
  18. 円より子

    円より子君 大臣答弁をどう思うかということについてはお答えにくいようですね、なかなかお答えになりません。  それともう一つは、私は本当、あなたに代わってお答えするとしたら、こんなことを上の人に言われたら社保庁人たち仕事をもうやる気がなくなるし、それだけではなくて、周り国民年金に対する不信はもっと大きくなるでしょうね。私は大臣のこの答弁責任は大変重いと思っております。  それから、村瀬さんが今おっしゃった、だれが悪いのか、一部の人なのか、全体でも一生懸命やっている人もいるという、その発想は間違いだと思います。  医療の今改革やっておりまして、ずっと様々な質疑が行われてきましたけれども、医療事故が大変多いことの一つは、人が悪いとかそういう問題ではないということはもう世界の、日本の常識になっています。システムの問題、だからそこを何とかしなければ、同じ失敗が必ず繰り返されるということになっています。  ですから、今回の問題、もちろん不正といいますか違反免除問題、それから今までるるもう起こってきた問題に対して、国民社保庁は何なんだと思っていますけれども、個人の問題で切り捨てたって私は問題は解決しないと思います。年金の複雑な問題、これを一元化することや、もうもちろん様々な方策があるでしょうけど、まずリーダーたる者方向性を示して、どういうふうにやっていくかという器量がないと駄目なんですね。  もうこれ最後にしますけれども、備中松山藩にいた山田方谷という人を御存じでしょうか。大臣御存じですか。──結構です。知らないと首を振っていらっしゃいますが、私たちは、トップリーダーになる人は、人を率いていく人は先人の知恵にやはり習わなければいけないと思います。  この人は、松山備中藩が今の日本と同じように物すごい債務があった、それを十年で逆にその同じ金額の黒字を出した有名な方なんですけれども、彼は財政再建を成し遂げるに当たって、財政のことだけを考えたのじゃなくって、財政再建を成し遂げるには財の内に屈してはならず、万物の一体の仁に立って広く大きく事を行わなければならない、そのように考えて、人々に今何が問題なのかを洗いざらいすべて出して、そして全員が、これは大変だ、何とかしなくちゃという気持ちに持っていく、そういう器量のあった人なんですね。  改革というのはそういう志と器量がなければなかなか、小泉さんのように丸投げして、民間の人が来たらいいというような形でできるものじゃないんですね。私、小泉さんの責任もとても大きいと思います。小泉さんのような丸投げで、どうしようかという、いつもその中だけで考えているような人には、今後のまた財政改革もとてもやっていけない。まあ、もうお辞めになるとしても、この五年間の罪も大きかったと思いますけれども。  理財のこと、もう一度先ほどのことをきちんと分かりやすく言いますと、理財というのもまた財の外に立って全貌を見渡すことが大切だと、財の内に屈して振り回されていると、これではとても全体を見極めて効果的な対策を立てることができないという、そういうことなんですね。  大変難しいことですけれども、普通の人にはできなくても、トップに立つ人はそういうものがなくては、方向性の問題なんですけど、考え方の問題なんですけど、そこを過つと、今どんなに審議会をつくり検討会をつくり、いろいろ何とかしようと思っても、私は無理だと思います。それには、大臣村瀬さん、長官責任も重いし、小泉さんの責任も重い、そこをしっかり考えて、おやりになるか、それとも、我が党の人たちがたくさん言ってますが、本当にそういう器量のある人に任せるためにお辞めになるか、どちらかだと思います。  もう答弁結構でございます。どうぞ、お忙しいでしょうから、お帰りくださって。ただ、お辞めになる前の方向性はしっかりと、大臣もそうですが、お考えいただきたいと思います。  では次に、医療の問題に入りたいと思います。  二〇〇五年の、委員長、言ってください。
  19. 山下英利

    委員長山下英利君) はい、村瀬長官、退席していただいて結構です。
  20. 円より子

    円より子君 合計特殊出生率、一・二九からまた急に下がりました、一・二五になりました。社会保障制度はまたこれを一・三九に戻して何とかやっていこうというような甘い推計の中で成り立っているようですが、これでは本当に少子化問題をしっかりと、もう議論している状況じゃありません。そういう中で、両立支援のことやもちろんいろんな問題がありますけれども、今日は医療状況の中で、安心して満足できるお産ができる体制にないのが現状ですので、その件について少し質問をさせていただきたいと思います。  産科医療危機的状況にあることはもうよく御存じだと思います。あちらこちらで産科が閉鎖したというニュースが入ってきておりまして、せっかく子供を産みたくても安心して産めないような状況がございます。  たまたま、岩手助産師をやっていらした、病院で勤務して、その方からのお手紙がありましたのでちょっとかいつまんで紹介させていただきたいんですが、例えば冬場は吹雪がありまして、車に乗っていても、運転していても一メートル先が見えないような、そんな吹雪の中を二歳の上の子を連れておなかの大きな産婦さんが自分で運転して、一時間どころか三、四時間掛けて妊婦健診に通い、そして待って、病院では五分から十分の健診でまた三、四時間掛けて家に帰る、こういうことをやっていらっしゃる妊産婦さんたくさんいらっしゃるんですね。そして、もしもう臨月になって車中で間に合わなくて生まれてしまうなんということがあって、子供障害が残ったりなんということがあった。そういうケースもありますので、病院の方は責任を持てないから一か月も前から、例えばもう入院してくれと言われたら小さな子供や夫や家族と離れて入院しなきゃいけなくて、その上に陣痛促進剤を使って産まなければいけない。自然の陣痛を待ちたいという女性たち思いは今ほとんどかなわないというような、そんな状況がたくさんあるんですね。  大臣、まずそうした状況を改善しないで少子化対策になると思われますか。
  21. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 少子化対策、様々な対策が必要だろうと思っておりますけれども、周産期医療というものを、今いろいろな、例えば福島県の医療事故の問題もございました。そうしたものを含めて周産期の体制というものをしっかり見直し、またつくり上げていかなければならないと、それも重大な要素の一つだろうと思っております。
  22. 円より子

    円より子君 まあ余り熱意の感じられない答弁なんですけれども、例えば岩手においては、病院じゃなくても自宅出産でもいいという方がたくさん、でもというよりも自宅出産をしたいと望む方たちもたくさんいらっしゃる。そうすると助産師さんに来てもらうことになるんですが、まず入院分娩ができる助産院が岩手には一軒もありません。御存じだと思います。出張で自宅分娩を扱っている開業助産師は数名いるんですね。それで、例えば自宅での分娩を受けるために開業助産師さんがバックアップの医師を探しますと、自宅分娩は危ないからといって医師に断られるんですが、先ほど大臣もおっしゃったように、病院に行ったって医師が一人で、この間のような事件が起きてしまう。そして何時間も、先ほど言いましたように、三、四時間掛けて陣痛開始からはらはらしながら自分で運転して病院に向かうお産と、自宅家族に見守られながら、もちろんこれは正常なお産といったって、お産だっていつそれが正常じゃないものに変わるかなんというのは神のみぞ知るでだれも分かりませんけれども、まあでも大丈夫だろうというようなお産であれば、自宅家族に見守られて助産師が付きっきりのお産と、何時間も掛けてはらはらしながら車で行かなきゃいけなくて車上出産するようなお産と、どっちが危険かっていったら、これ分からないんじゃないでしょうか。  私、なぜこういうことを言うかというと、産婦人科が少ない、二十代、三十代では女性産婦人科医が増えていて、当然産婦人科女性医師だって結婚して子供を産んで、育児休暇だって取りたい。でも、ブラッシュアップもずっとしていかなきゃいけないから、全く休むというんじゃなくてシフト制のもっと子育てに優しい勤務ができればと思っていらっしゃるような方たくさんいる。そういうことも考え合わせながら、そして今の産科の偏在考えますと、もっともっと助産師さんを活用したらどうかと思うんですね。  そうした助産師さんの活用については、大臣はどう思われますか。
  23. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 何回か御答弁申し上げておりますけれども、正常分娩において健やかなお産に導く助産師の果たす役割は極めて大きいものと考えており、また、助産所の出産について、助産所で出産した産婦のほとんどが満足しているという調査結果があることを承知いたしております。  妊娠して子供を産むことは人の自然の営みであり、正常な経過をたどる場合には自然に分娩をすることが望ましいと考えており、助産所での出産を希望するかどうか、これはもう正に、先ほどお話がありましたように、妊婦自らが選択すべきであろうと思いますし、また、そういう方々が多い場合に、そういったものを提供できる体制をつくっていくということも我々の一つ仕事であろうと思っております。
  24. 円より子

    円より子君 資料を配っておいていただけると有り難いです。    〔資料配付〕
  25. 円より子

    円より子君 今大臣は、助産師の活用が大事と、重要だともおっしゃいましたし、また助産師を選択するのも妊婦のそれは自由であるとおっしゃいましたけれども、今助産師さんというのは数は足りているんでしょうか。選択が幾らできる、選択という言葉はもうこの十年、二十年、何だかとてもいい言葉のように言われていますけれども、現実に選択肢がなければ、先ほど言いましたように岩手では助産院一軒もありません、分娩のできる、そして数名の出張助産師しかいないというようなことであれば、選択したくてもできないわけですよね。  そして、今助産師を開業したいという人たちがいるときに、それを今度の医療制度改革法案の十九条は助産師開業を阻害する法案になっていますが、これについてどう思われますか。
  26. 山下英利

    委員長山下英利君) 松谷医政局長
  27. 円より子

    円より子君 済みません、委員長助産師は重要だと、選択肢を与えることはいいことだと大臣がおっしゃったんですから、それについて、助産師の開業を阻害することについて大臣がどう思われるか、大臣にお聞きしたいと思います。
  28. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 阻害するという意味はどういう意味でしょうか。言っていただければ有り難いと思います。
  29. 円より子

    円より子君 十九条を御存じないでしょうか。  それでは、私が読ませていただきますが、ちょっとお待ちください。今度の医療法十九条は、今までは、助産所の開設者は、厚生労働省令で定めるところにより、嘱託する医師を定めるということだけになっていたんです。それを今度改革で、嘱託する医師及び病院又は診療所を定めておかなければならないと、二つの条件を課したわけです。  ずっと実はこれについて厚生労働省内で検討会が行われてまいりました。そこでのいろいろな意見の中では、この嘱託医制度は、今細かいことは言いませんが、廃止した方がいいという意見の方が圧倒的多数だったんです。そして、もちろん安全ということが大変大事ですから、ただ満足がいくというだけではなくて、安心、安全ということが大事ですから、連携医療機関をしっかりと持って、何か急なことがあったときは助産院からすぐに連携医療機関に搬送できるようにすることが一番大事だという意見が圧倒的多数だったんですね。ところが、産婦人科医会の代表者の意見は、いや、嘱託医は絶対必要だということであり、結局、最後にどういうわけか両方の条件が入ってしまいました。  それで、大臣の今逆の御質問なんですけれども、じゃなぜその二つが入ったことが阻害要件になるのかということなんですが、まず、嘱託医を通していますと、緊急のときにも通さなきゃいけないんですね。嘱託医は常にいるかどうか分からない。そうすると、それによって時間のロスがあって、緊急の妊産婦さんや赤ちゃんの命に危険が起きるということがあります。  そうしたことや、元々助産院を開業したいときに嘱託医になってくれる人がいないということがあるんです。今お配りした資料の一番最後を見てください。これは、嘱託医師委嘱契約書なんですが、まず、この資料以外に、産婦人科医会では地方によっては絶対に嘱託医の依頼があっても受けるなという指示をしているところがあります。それから、この資料にあるように、嘱託医として受けてほしいならばうちにパートに来るようにとか、一週間に何日間か働けとか、それから、委嘱期間を何日から何日という契約書を交わして、月幾ら幾ら支払えという、そういう形になっていて、まずこういう嘱託医を探すことが大変困難な状況がある。その上に今度は医療機関。私は医療機関だけを開業の条件にすべきだと思うんですが、なぜ検討会の意見がそういうふうに大勢から変わってしまったのか。もうこれは露骨に産婦人科医会の力が強かったからだとしか思えないんですが、いかがですか。そういう意味なんです。
  30. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 審議会での内容、私分かりませんので、担当者から答えさせます。  嘱託医療機関の医師、そして嘱託の医師すなわち産婦人科医をしっかり備えておかなきゃならないという規定になっておりますけれども、一方で、考え方として嘱託医療機関の医師を嘱託医師とする、すなわちバックアップしていただく医療機関というものが見付かれば、そこの医療機関の医師に嘱託医師ということをお願いするということは十分可能だと思いますので、これは今御提案いただきましたので、もう少しこうした考え方を徹底したいというように思います。
  31. 山下英利

    委員長山下英利君) 担当からはいいですか。
  32. 円より子

    円より子君 ええ、いいです。  今、大臣、大変前向きな答弁をくださいました。おっしゃるとおり、嘱託医という個人で委嘱するよりも、おっしゃったとおり、一番妊産婦さんにとっての安全ということを考えれば、連携医療機関がきちんと定められていて、そしてそこの中で、別に個人の意思じゃなくて、その医療機関にいる産婦人科医が連携しているという、だから個人とではなくて医療機関、団体として嘱託医になるというような形であればいいと私も思っておりますので、是非この点は、法案の修正は無理でも運用のところでしっかりやっていただきたいと思っております。  それともう一つ、私、契約でお金を取るのはいかがかと申し上げたんですが、その点については、局長でも結構ですが、いかがですか、
  33. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 嘱託医師関係でございますが、嘱託医師は緊急時のみならず日常的に助産所の助産師と連携して健やかな出産に導く役割を期待されているわけでございまして、妊娠中の健診結果などについて助産師から相談を受けたり助言を求められたりしているものと理解してございます。  こうした助産所の助産師から相談を受けたり助言を求められた場合において、嘱託医は医師として一定のサービスを提供することもあると考えられますが、その場合、提供を受けたサービスに対し……
  34. 円より子

    円より子君 済みません。今、嘱託料、医師が契約でお金を取ることだけについて聞いています。もうその前は大臣答弁の方がいいので結構です。
  35. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) はい。提供を受けたサービスに対して助産師が一定の対価を支払うということ自体は問題がないと思いますが、提供されるサービスの内容に比較して対価が著しく高い、あるいはパート労働を強制したりというようなことがもしあったとすれば、それは適当でないというふうに考えてございます。
  36. 円より子

    円より子君 著しく高くなければそれはいいということなんですか。
  37. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 嘱託医が一定のサービスを提供した場合に、その対価を支払うこと自体については問題はないと考えております。
  38. 円より子

    円より子君 これは、嘱託医師として開業する際に医師になってほしいと、かつてはというか、地域によってはと言ってもいいんでしょうけれども、保健所で、あなたが開業するに当たっては、この地域にはこういう産婦人科を用意して、分娩のベッドもある医療機関がありますよということを、診療所や病院の、リストをきちんとくれて、そして嘱託医としてなっていただけるというような状況があったそうです。ところが、今は逆に、一定のいろいろな、それは報酬が発生するような行為をもちろんしてくださったときじゃなくて、開業するときにこういう契約書を交わされるということなんですね。ちょっとおっしゃった意味と違うように思うんですが、いかがでしょうか。
  39. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 御質問は、この嘱託医師、嘱託契約書での契約料としての支払の件だと、ございますが、これはあらかじめどのようなサービスかということが必ずしも明確でないので、必ずしも適切ではない場合があるんじゃないかと思います。
  40. 円より子

    円より子君 それでは、適切ではないということ、それから先ほどおっしゃったパート労働を強要することも適切ではないとおっしゃった。じゃ、こういったことが現実にこれちゃんとホームページで、厚生労働省のホームページで出てますから、ごらんになればよろしいと思いますが、こういうことを歴然とやりなさいと言っていることについてどう対処なさるんでしょうか。
  41. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) これ自身をホームページでまだ確認をしているわけではございませんけれども、もしこのような形でのことが行われているということであれば、関係方々とディスカッションする必要があろうと思っております。
  42. 円より子

    円より子君 ディスカッションしてどうなさるんですか。
  43. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 不適切な点があれば指導いたしたいと思います。
  44. 円より子

    円より子君 これはしっかりそういうことはするなと言っていただきたいと思います。  どうしてかといいますと、どうしても医療の中では、看護師さんも一生懸命やってくださっている、助産師さんも一生懸命やってくださっている、様々な医療関係の技術者の方々がいらっしゃる。ところが、どう見ていても医師との間に対等関係じゃない上下関係があるんですね。本来は助産師は開業もできますし、正常なお産に関してきちんとした行為のできる立場の人たちであるのに、助産師を見下しているようなところがあります。  先ほど私言い忘れましたが、社保庁の問題にしても、厚生労働省が社保庁を見下しているという、そういう思い社保庁方々にはあるそうでございます。そういうところでは本当にいい改革はできません。医療制度もそうです。医師助産師が諸外国では本当に対等な関係お産を協働して行っているという、そういうものがないところに多分こういう契約、おまえこれやらなきゃ嘱託になってやらないぞ的なものがあるとしたら、これは大変許し難いことですから、是非改善をしていただきたいと思います。  そしてもう一つ産婦人科医の方の言い分も私は分からないではないんです。今でも大変忙しい、もう過労です。そして、二十四時間働かなきゃいけないような状況がある。そういうときに助産師さんから次から次にそういうリスクの高いお産の人を搬送されたら大変だという思い、医者だって人間ですからあるかもしれません。そうしたら、ただ罰しただけで済む問題ではない。これもシステムの問題なんですね。システムのもし不備だとしたら、こういう契約をするのではなく、先ほど局長がいみじくもおっしゃった、そうした嘱託医として、契約のときの契約料ではないけれども、現実に搬送されてきた妊産婦さんに対して様々な処置をしたり何かしたりという、そこでは診療報酬があると思うんですが、その嘱託医になるときにも診療報酬化するような、そうしたことは考えられないんでしょうか。
  45. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 御指摘のありました診療報酬につきましては、これは保険医療機関から個々の患者に対しまして実際に療養の給付が行われた場合にその対価として支払われるものでございます。したがいまして、助産所が嘱託医である産婦人科医による診療の必要性を認めまして、実際に保険医療機関において当該産婦人科医によるが診療が行われた場合、これは今委員御指摘の場合でございますけれども、そのときには診療報酬が支払われることになるわけでございます。  ただ、嘱託医を引き受けること自体につきまして診療報酬上これを評価することにつきましては、実際に診療行為が行われていないということでございますので、これは難しいと、このように考えております。
  46. 円より子

    円より子君 それでは、私は産婦人科医にも少し同情した発言で提案をさせていただいたんですが、ただそれをするなという罰則だけで問題が解決するとは到底思えませんので、診療報酬化するようなことも含めて、ディスカッションというのはそういう前向きな検討をすることですから、是非よろしくお願いしたいと思います。  何度もこの助産師の問題に私がこだわっておりますのは、例えば病院に入ったときに、分娩台というのは仰臥位の形なんですが、子供を産んだ方はみんな分かると思うんですが、男の方に分かってくださいというのは難しいんですが、赤ちゃんは、だんだんだんだん十か月ごろになりますと、立って歩いたり仕事をしてやっていますとおなかの下の方に下りてくるんですよ。それで、予定日よりも、もう仕事、たったかたったか私なんて走り回っていましたから、もうほとんど出てきちゃうんじゃないかという、そういう状況って何度もありまして、おなかをよいしょと持ち上げて、まだまだ仕事中だから出てこないでねと言ったことはたくさんあるんですけれども、それが、いざ陣痛が始まって、横になって寝てしまうと、ましてやあおむけに仰臥位になってしまうと全然出てこなくなるんですよね。これは、赤ちゃんにとっても母体にとってもあの仰臥位というのは決して出産のときのいい形ではないと言われています。なぜああいう形の分娩台で出産をするのかといいますと、これはもう医師の側の都合としか思えないんですね。  そうしますと、正常なお産だと立位とか座位とか、昔からずっと一番母体と赤ちゃんにとってのいい形の出産が行われてきて、今もそういうものをできるだけしているのが助産師さんのかかわりの助産院であったり自宅分娩であったりしますので、そういう形で、それからまた、あからさまに性器が見えないような形のお産もできますし、そうすると、周りに上の子供たちや夫がいても、恥ずかしいとかそういうことではなくて、逆にとても生まれるときの感動を味わえて、出てきた赤ちゃんをお母さんが取り上げるようなことすらできる。そういうお産をした人たちはみんな、ああ、最初の子をなぜ病院で産んでしまったのかしら、今度、二人目こうして助産院で産めた、三人目もまた助産院で産みたいと、必ず次の子産みたいという気持ちに物すごくなる。  お産というのはそれだけでも女の人に感動と幸せをもたらすものなんですけれども、私はそういうものというのは少子化のもしかしたら子供を増やすためのそんな大きな要因にはならないとしても、お母さんたち子供を本当に安心して満足して産めるような状況に整備していくということは大事で、たった一%しか助産院や自宅で産めなくて、そしてまた助産院の数も少ない、助産師も少ないという状況ではそうした喜びを味わってもらうこともなかなか難しいのではないかなと思います。  そして、これは厚生労働省に是非やっていただきたいことなんですが、助産師さんで正常分娩をした方が、それは助産師さんというともちろん病院にも助産師さんいらっしゃるんですが、自宅とか助産院で、もちろんさっき言ったような緊急の場合の連携医療機関をしっかり持って安全性を保つということは大事なんですが、そうした方が、例えばイギリスとかカナダとかそういう国でも、病院出産よりも全体の医療コスト、個人が払う出産のときのお金ではなくて全体の医療コストがとても下がっていることが判明しておりまして、どんどん今助産師さんの養成をしているという国がございます。  私は、是非そのことを研究してくださり、そして助産師さんを増やしていただきたい。そして、医療費のコストにもつながるし、ましてやお母さんたちが安心、安全、満足して産めるのであれば一石二鳥だと思うんですよね。  で、この資料の最初のところを見ていただきたい。後で津田議員の質問のときの資料にもあって、そちらの方がカラーでとても実は見やすいので、そちらを使わせていただきたかったぐらいなんですが。これで、上が病院・診療所での時間別出生数なんですね。ほとんど午後一時、二時に生まれていることがよく分かると思います。助産院はどうでしょうか。夜中の零時、一時、二時、三時、四時、五時。四時ごろが一番多いんですよ、朝の。で、大体ばらけているんですね。なぜ病院こんなに多いんだと思われますか。大臣、ごらんになりました。
  47. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 基本的に助産師さんのところでは正常分娩がすべてであるという理解をいたしております。  一方で、病院等では正常分娩以外に二割程度いろいろなケースがある、すなわち手術等を伴うケースがあると。したがって、手術の時間となりますと、ある程度この書かれております時間帯に集中する可能性があるかもしれないなと。要は、午前中外来を取って、午後の時間に手術を伴う分娩作業を行うというのが多分ケースとしてある、二割程度があると思いますので、そういった意味でこの一時、二時という時間帯、一時から三時でしょうか、の時間帯が午後の手術時間ということである程度集中しているのかなと。この表を見せていただいて、どう思いますかということですから、それが一つあるんだろうと思います、一つの要素ではないと思いますけど。
  48. 円より子

    円より子君 おっしゃるとおり、二割がハイリスクのそうした帝王切開ですとかいろいろなお産ですから、当然それを夜やるというわけにいきませんけど、でも、この数見ると、たった二割のそういうことだけでこんなに午後一時、二時、この辺に集中するなんて、ちょっと異常ですよね。  それから、河北新報など様々なところでのアンケート調査によりましても、さっきのような、何時間も掛けて来なきゃいけないような人たちのために早めに入院させるだけではなくて、リスク回避のために帝王切開が増加しているということは医師からのアンケートで来ておりますし、必要のない帝王切開までだから行われているようなこともある。それから、周産期医療センターなどはそういうリスクのある妊産婦さんを診たいと思って造っているにもかかわらず、そこにはもう正常のお産の方たちが押し寄せて、実際に助産所から例えば緊急の人を運びたいと思っても、ベッドが足りない、医師が足りないということで断られることもたくさんあるわけです。  そうすると、次の曜日別にしたって、やはり助産院では毎日同じぐらいの出産件数、分娩件数があるにもかかわらず、火曜日とか金曜日が多く、土日はとても異常に少ない。帝王切開やリスクのある人たちの、土曜だって当然そういうリスクは起きるんですけど、土日がすごい少ないんですよね。  そうすると、大臣のおっしゃったことも一つの事実です、要因です。でも、現実には、先ほど分娩台のことで申しましたように、やっぱり医療者側の都合になってしまっていることがかなりある。これでは自然な満足いくお産はなかなかできない。  次の三枚目の資料なんですが、これを見ますと、次に子供を産みたいときはこのまた病院に行きますかというので、大学病院の場合は再来希望は六三・七%、一般病院が七八・三%、医院の場合が八九・四%ですが、助産院は九七・一%と大変高くなっています。  それから、分娩後の、例えば赤ちゃんを産んですぐに母子対面をさせてくれるのが分娩後一時間以内、助産院は九三・一%なんですよ。もう生まれたら赤ちゃんをお母さんのおなかに載せてくれる。そうすると、赤ちゃんは、自然に生まれたままの赤ちゃんは、二十分ぐらい掛けてお母さんのおっぱいを探し出して吸い付く。そういう感動的なお産を皆さん助産院ではしているのにもかかわらず、大学病院分娩後一時間以内はたった五六・九%。私のときだって、一日、二十四時間後にしか対面させてくれないというような、そういうこと、おっぱいを上げるとか、全部そういうふうになって、これもあとごらんくだされば分かりますけども。  こういうのを見るだけで、助産師さんのところで産むということがいかに満足か、もちろん病院で産みたいという方もいらっしゃるんでしょうけど、でもそれは多分病院出産の方が圧倒的に多くて、周りに助産院がなかったり助産師さんがいなかったりということがあって、人が希望しているからこれでいいんだというのと選択肢が物すごく少ないというのとは私は別だと思いますので、是非、先ほどの十九条の件や、そして助産師さんの養成等々やっていただきたいと思っていますが、もう一度それについてお願いしたいと思います。
  49. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 助産所における出産、正常お産でございますが、あるいは助産師さんが家庭に行って行うお産ということが非常に満足度が高いということはいろいろな調査から分かっております。  そういったことから、助産師さんの活躍の場というのはまだまだございますし、逆に申しますと、今の資料から申しますと、分娩後の例えば初回の母子対面の、早い時間からの母子の共生といいますか、一緒になるということ、あるいは分娩台の仰臥位から、今は大分改善されてきて大分背中が立つようになったようでございますが、いろいろな分娩についても改善はなされておりますけれども、分娩台についても、今度は余り立ってしまうと、今度は会陰の裂傷が増えてしまうとか別の副作用もあるというふうに聞いていまして、必ずしも一概にこっちがいいということではないようではございますけれども、それにしても、産婦さんの、お母さんの満足度が助産師さんの方が高いということから、病院、診療所におけるお産の方も逆にそちらから学ぶということもまた必要であろうかと思います。  また、先生御指摘のとおり、助産師さんの教育を更に充実をさせ、あるいは助産師さんがもっと活躍のできる、それは医療機関の中でもそうですし、また外に行ってできるような、こういうことを更に進めていく必要があるという御指摘はそのとおりだと思います。
  50. 円より子

    円より子君 それから、病院にいるような助産師さんだけではなく、まあ助産院もすべてそうですが、助産師さんの業務というのが諸外国の、見ますと日本は随分狭められているように思うんですが、業務拡大についてはいかがでしょうか。
  51. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 助産師さんの業務は、保健師助産師看護師法で決められておりますけれども、各国と比較して若干その取り扱う業務範囲に差異がありますけれども、現在の安心、安全なお産のできる体制ということから、今の業務範囲を充実させるということで対応していくことが当面のやり方ではないかと思っております。  もちろん、諸外国でどのような点が良いのかということは引き続き勉強してまいりたいと思っております。
  52. 円より子

    円より子君 先ほど申しましたような開業、ちょっと戻りますが、開業のときに、保健所等でその嘱託医療機関のリスト等を出して早急にそれを紹介するようなことですとか、それから、断ったときには逆に罰則を与えて断らないようにするというようなこととか、そういったことはきちんとやっていただけるでしょうか。
  53. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 助産所がお医者さん、産科のお医者さん、あるいは産科医療機関と連携をすることは一番大事なことでございますので、その連携を取るために、例えば都道府県、保健所が中心になろうかと思いますけれども、今回の法改正におきましても、地域医療対策協議会を法定化いたしますし、また既存にございます周産期医療協議会もございます。こういった場を通じて具体的な紹介というふうなこともやっていくことは大事だと思っております。
  54. 円より子

    円より子君 それでは、助産師さんたちの、陣痛促進剤を使ったお産しか経験しない、つまり勉強のときに、実習のときに、助産師さんもあると聞いておりますので、そうしたことのないような養成ですとか潜在助産師さんの活用ですとか、やるべきことはたくさんあると思いますので、また、周産期医療施設オープン病院化モデル事業なんというのがあるそうですけども、そこには助産師さんが入っていないとか、どうも助産師さんについての関心が希薄過ぎると私は思いますので、是非検討を強力に進めていっていただきたいと思います。  ちょっと、療養病棟の話もございますので、次に移りたいと思います。  もう療養病床の削減問題は、衆参の委員会でかなり行われておりますけれども、そもそもこの療養病床の再編成に当たっては、日本の場合、諸外国に比べて平均在院日数が多過ぎるということから、医療費も多額になる、そして社会的入院を減らすためだということになっているんですが。  この厚生労働省が作成している平均在院日数の国際比較というのは、ほかの国は、日本のように長期病床を含んだ数値となっていないと思うんですね。数字の出し方が私は病床削減のためにまやかしがあると思うんですが。
  55. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) OECDの報告等を使った国際比較というのは、各国の医療制度の傾向を明らかにして我が国の医療提供体制課題を考えていく上で有意義であると考えてございます。  しかしながら、今御指摘のとおり、国際比較に用いられるデータにつきましては、各国ごとに制度の在り方、その基となる病床等の定義が異なるものであることから、平均在院日数などの各国比較を行う場合にもこうした違いを十分念頭に置く必要があることは御指摘のとおりであります。  我が国の急性期病床における平均在院日数につきましては、二〇〇三年で二十・七日となってございまして、欧米の二倍以上の長さとなっておりまして、効率的な医療提供体制を構築する上で大きな課題であるというふうに考えてございます。  三十六・四日という平均在院日数は、いろいろな病床すべてを含んでおりますが、急性期病床だけ取り出しますと、今言ったような数字になります。それでもなお、まだ長いかなと思っているところでございます。
  56. 円より子

    円より子君 今、日本は平均在院日数二十・七日とおっしゃいました。皆さん多分そうは思っていらっしゃらない。三十六・四という数字の方を御存じだと思うんですよね。  それで、アメリカは六・五日、イギリス七・六、ドイツ十・二、フランス十三・四みたいに、こんなに長いんだと言われたと思います。資料に全部出ています。ここには、ですから、国によって今局長が言われたように長期病床を含んだものと含んでいないものがあるわけで、OECDの統計をそのまま使用したからこうなっていて、じゃなぜ二十・七と今おっしゃったかと。二十・七でも多い、確かに多いんですけどね。これおかしいんじゃないかと。数字、ちゃんと統計出したらと。いや、ありません、ありませんで、やっと出たのが昨日この二十・七だったんですよ。  ですから、何か最初から二十・七で、それでも多いと言われると、いや、この医療制度で病床を削減するときの最初の数字は三十六・四で、国民はみんな確かに多いなと思ったと思いますよね。もうちょっとまともな数字を最初からお出しになったらどうかと。  それから、日本は先進国で経済大国で、安全保障理事国にも入りたいなんというんだったら、政府として在外公館を活用してこのぐらい、厚生省からも皆さん行ってらっしゃるんだから、ちゃんとした統計をお出しになったらいかがかと。  医療費を何とかしなきゃいけないというのは確かに大事なことかもしれませんけれども、宇沢弘文さんのこと、この間、昨日でしたか、足立議員が言っていましたけども、その方もおっしゃっていますけど、パチンコ産業が三十兆、医療費が三十二兆。三十二兆が本当に多過ぎて削減しなきゃいけないのかねと。まあパチンコ産業と比べるのもどうかという話が、おっしゃる方もいるかもしれませんけども、本当にそれが多くて今後どんどん増えていくのかという数字だって、こういう数字を使っていると国民は納得しませんよね。  すべてきちんと精査して、正確な数字を出して、こういう状況だから一緒に医療費削減をやっていこうじゃないかということでない限り、療養病床を減らすといったって、それは経営者の方々も、そしてそこに今入っていらっしゃる方も、ああ、うちの親は今、区分でいうと一だから、じゃ、もう帰させられちゃうのかしら、どうしようと思っていらっしゃる、そういう不安をただ駆り立てるだけではないかという気がするんですね。  それで、この療養病床の入院患者の行き先、受皿ですけれども、この今減らす人たちをどういうふうに、どこで何人ずつ具体的に受け入れるのかはもうきちんと準備、計画していらっしゃるんでしょうか。
  57. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 療養病床の再編に伴いまして、現在約三十八万床あります療養病床につきましては、中医協が行った医療区分の調査結果等を踏まえますと、約四割の十五万床が医療療養病床に今後も該当するとともに、約六割の二十三万床分が介護保険の対象となるというふうに見込んでおります。  この介護保険によって対応することとなる二十三万床の転換先につきましては、療養病床の入院患者の状況医療機関の経営動向等によるため一概に申し上げることは困難でございますけれども、一定の仮定に基づいて推計すれば、一つは、現在の病棟の建物が活用できるよう一定期間老健施設の基準を緩和する経過措置を設けること等を踏まえまして、老健施設に十五万から十七万床程度が移行し、その他につきましては、ケアハウス等の居住系サービスや、御本人の希望があり可能な場合には在宅への移行が予想されております。
  58. 円より子

    円より子君 老健施設、今でも三十四万人の待機者がいるんじゃないでしょうか。そういう方たちはどうなりますか。
  59. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 恐らく、それは今先生御指摘の特別養護老人ホームの待機者かと思いますが、それにつきましてはその数字自身のまあいろいろな問題がございまして、実数は、本当にその中でどの程度が特別養護老人ホームに入れる方かというのはちょっと精査を要する数字でございます。
  60. 円より子

    円より子君 患者の振り分け方というとおかしいんですけれども、今入っていらっしゃる方々を別のところにするというときの、医療保険が適用されている二十五万床を十五万床にまで削減、つまり単純計算で十万人の患者が病院を離れる必要があると。で、医療の必要度が低い患者が病院以外の施設で適切なケアを受けられるということであれば問題ないんですけれども、医療区分一であっても、例えば経管栄養や酸素吸入が必要な人がいると言われていますけれども、医療保険の対象外となってしまう。そのことの問題点と、それから苦しい経営状況にある病院が、もう以前に借金抱えてやっと療養病床をつくったのに今度はそれは駄目と言われてしまってもうどうしていいか分からないとおっしゃっている陳情がたくさんあるんですが、そういう療養病床を削減する際に、コストと手間のじゃ今度は掛からない患者を残して、コストや手間の掛かる患者を他の施設に移すというおそれがないか。まあ、変な言い方かもしれませんが、診療報酬の高いもうかる患者ばかりが病院に残って、そうではない患者が病院を追われるという事態はどう回避するのか。  そして、医療の必要度の高い患者と低い患者を振り分けるときに医師がこれを行うことになりますと、必要度の高いということが恣意的に判定することだってあり得るかもしれませんが、これで問題はないのか。介護保険における要介護認定のように、認定調査員に一次判定と介護認定審査会による二次判定といった第三者の的確な、客観的な医療の必要度を判断する仕組みが必要なのではないか、そんなことを考えるんですが、幾つか今質問しましたが、いかがでしょうか。
  61. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) まず、ただいま委員の方から保険医療機関が採算性に基づいて患者を選別するんじゃないかと、こういう御質問がございました。  そもそも基本的にこういった保険医療機関、療養の給付、患者の療養上必要なサービスを提供するということでございまして、採算性に基づいて病院に残ったり出ていかなきゃならないと、こういった運営はそもそも適切ではないわけでございます。  ただ、現状を考えてみますと、これまでの療養病棟入院基本料、これは患者の状態によらず一律の点数であったわけでありまして、ある意味で、御懸念のようなことがむしろ今の料金体系、報酬体系でありますと起こりやすかったんじゃないかなと、こういう御指摘もあるわけでございます。つまり、患者の軽い方を入れても一定の標準報酬が得られる。そうしますと、軽い方は入った方がある意味で病院の収入が多いという状況は出ているんじゃないかと、こういった指摘があるわけでございます。  逆に、この新たな体系におきましては、患者の医療の必要性等に応じまして五つの区分の点数設定としておりますので、この区分、それぞれ医療従事者のタイムスタディー調査を行った結果に基づいて設定してございますので、医療機関側から見ますと必要な人件費が同程度の患者さんについては同じ区分にされているわけでございますので、そういう意味では、先ほど申し上げたような採算性に基づく患者の選別というのはむしろ今の制度よりも起こりにくくなっているんじゃないかと、こんなようなことを考えてございます。  それからもう一つ医療区分について、これは医師が判断する、その結果として恣意的に判定されてしまうんじゃないかと、こういう御指摘でございました。確かに今回の仕組みにおきましても、個々の入院患者、どの医療区分に該当するか、これは入院している医療機関の医師の判断によるところでございますけれども、診療報酬の支払とも関係するものでございますので、私ども、できるだけ客観性が担保される形で運用されることが重要であると考えております。  具体的に申し上げますと、まず一点目に、患者の疾患、状態及び受けている処置の内容と医療区分との関係をできる限り今客観的に設定することといたしました。そのほか、その運用に当たりましても、患者の医療の必要性が高い医療区分の二、三に該当すると判定した場合には、定期的、まあ原則として月に一回、患者又はその家族に対しまして、病状あるいは治療内容の入院療養の状況、それから各区分への該当状況につきまして書面により交付すると、それとともに、その写しをカルテに添付することを求めることといたしておりまして、医療機関に対します指導、監査を通じてそういった医療の適切性について確認をすることとしてございます。  これはまあ事後的なチェックになるわけでありますけれども、さらにこのような仕組みに加えまして、診療報酬の請求に当たりましても、レセプト、診療報酬請求明細書の中で医療区分の判定の根拠となった患者の状態の記載を求めるということも検討しておりまして、この審査、支払の過程においても適切な医療の提供について検証できるような措置を現在検討しているところでございます。  こういった様々な取組によりまして、客観性が担保された形で医療区分の判定が行われる仕組みを整備しているところでございます。
  62. 円より子

    円より子君 ちょっと最初のところの、医療区分一の人が医療保険対象外になってしまうんじゃないかということについてはどうですか、その問題点。
  63. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 医療区分一の方々につきましては、医療保険の対象外になるということではございませんで、老人保健施設等で対応することが基本であるということでございます。  若干、先ほど医療区分で、先ほどの二十五万床と十五万床ということの違いということをどういうふうに積算しているのかということでございましたけれども、療養病床の再編成に当たりましては、医療の必要性の高い医療区分の二、三、それから回復期リハビリテーション病棟の入院者につきましては医療療養病床で対応する。一方で、医療の必要性の低い医療区分一の入院者、それから医療区分二の該当者の中でも老人保健施設、常勤医師がおりますので、こういった老人保健施設で対応が可能な方、これを含めまして、約五割の方について、これにつきましては基本的に介護施設で対応するのが適当というふうに考えているわけでございます。
  64. 円より子

    円より子君 今局長がおっしゃったとおり、審議の中でも、区分一の方が大変漏れて問題になるんじゃないかとか、二と三が大変だとおっしゃる方、それぞれの審議があることはよく存じておりますので、とにかく、皆さんが受入先がきちんとあって、社会的入院が入所になるだけではないような形ですとか、それから受入先がなくて困ってしまう、難民になってしまうというようなことのないように、そして客観的な振り分け基準をしっかりやっていただきたいと思いますけれども。  まず、その老人保健施設への転換が難しいという問題がありまして、これは転換コストをどの程度と見積もり、だれがどういう割合で負担するのか、きちんと転換ができるのか、この辺が大変、今計算上、何人はここへとか言っていらっしゃるけれども、本当にそれが可能なのか。今まで三人部屋なり四人部屋だったところを減らして、そうすると採算が取れない、そういうことを言っていらっしゃる方もいらっしゃいますが、それはどのように見積もって企画、計画していらっしゃるんでしょうか。
  65. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 療養病床から老人保健施設等への転換に要する費用につきましてはいろんなケースがあろうかと思います。全面建て替えにすることもあろうかと思いますし、改修にするかと、こういった事柄につきましては関係医療機関の判断によって異なりますので、一概にお示しすることは難しいわけでございます。  ただ、今回の再編成に当たりましては、病床転換を円滑に進める観点から、老人保健施設における廊下幅の基準を緩和して、既存のままでも転換可能とする予定でございます。したがいまして、居室を四人部屋から三人部屋にするという、そういった改修だけで、建物の構造には手を付けずに転換するケースも多いと考えられます。したがいまして、こういう場合には転換にそれほど大きなコストは要しないと、このように考えてございます。  この病床転換助成事業で私どもこれ転換支援しようと思っているわけでございますけれども、単価その他、ちょっと詳細は今後検討するということにしてございますけれども、最大で年間四百億円程度の規模とする予定でございまして、全体のコストのうち一定の部分はこれでカバーできるのではないかと、このように考えております。
  66. 円より子

    円より子君 この療養病床の削減によって転換の費用やら様々な社会全体でどうなるのかという、今のは病床転換助成事業でどのくらいそれぞれ掛かるかの四百億だと思うんですが、是非、社会全体でどういうふうな削減が、コストが生じるのかという、そういう視点をお持ちになった方がいいかと私は思いますが。  取りあえず時間も迫ってまいりましたので、この四百億円なんですが、国が二十七分の十、県が二十七分の五、保険者が二十七分の十二を負担すると。これは、国だけが四百億円で全部できるものじゃなくて、そしてもう一つ、しんしゃく標準作るのが市町村で、老人保健施設の数を増やしてくれるのかどうか、こういうふうにするときにもう市町村が、介護保険準備病棟の場合もそうなんですが、もういい、やりませんというようなことや、それから県の方や保険者の方が、これを負担をするのはもうやめます、診療所に変えます、そういうようなことが必ず起こり得ると思いますので、私は、これだけの人が療養病床を削減したら保健施設に行けますというのは何か机上の空論のようで、具体的な詰めが甘いのではないかと思います。この点についてはまた同僚議員がやってくれるかと思いますのであれですが。  次に、在宅介護についてお伺いしますが、最期は自宅でと思っていらっしゃる方は大変多い。あるアンケートでは八割、厚生労働省の資料ではもう少し少ないんですけれども、ただ、実現可能と思っている人は物すごく少ないんですね。特に男性よりも女性が実現可能と思っていない。当然、独り暮らしになっていて療養病床等にいたりという人たちが、独り暮らしの帰るところがないわけです。見てくれる人がいない。介護してくれる家族がいないとか、家族がいても余りにも負担を掛けてしまうのではないか、どちらも働いていて無理だとか。私の知り合いなども、働いて、そして母親を見るとなると働けなくなって、そうすると食べていけない、そういう人たちたくさんおります。もう一つ、急変時の医療体制が整っていない。往診してくれる医師がいない。それから、介護をするための住宅のリフォーム代がない。  厚生労働省が考えていらっしゃるのは、今、一生懸命往診してくれるような医師をつくろう、二十四時間、夜の方が皆さん不安でしょうから、夜でも往診してくれるようなところ、急変時の医療体制で、さっきの助産師さんの問題じゃないですけど、すぐに行けるようなところ、そういう医療分野のことはやっていらっしゃるんですが、在宅介護とか在宅医療とかというときに、問題は、住宅事情とかそれから介護してくれる家族、手があるかどうか、ここはどういうふうになさるおつもりなんでしょうか。独り暮らしの場合、一体どうなるのか。子供や孫がいるところでそんな部屋があるのかどうか。そういう具体的な数字見ていらっしゃいますか。療養病床に独り暮らしの人はどのくらい、何%いるんですか。
  67. 山下英利

    委員長山下英利君) 答弁はどなたがされますか。
  68. 円より子

    円より子君 答弁いいです。  つまり、考えてないということなんです。どの局でも検討もしていない。在宅を増やそう、在宅がいい、そういうことについて、住宅事情のこととか見てくれる人のこととか、そういうことは何も考えてなくて在宅を増やそうなんていうのは無理なんですよね。もう少し何かをなさるときには、具体的な、現実的にどうなのかということを是非、私は、机上の計画だけではなくて、一体療養病床に独り暮らしの人が何%いるのか、核家族でどうなのかとか、そういうことも全部把握してからやっていただきたいと思います。これは早急に把握して、そして運用のところで検討していただきたい。  この法案、今とても通したいとは思えませんけれども、通すべきでないと、不安感をあおるだけだと思いますが、時間がございませんので、救急ヘリについて伺います。  産科、小児科、そして交通事故、様々な、今の医師の偏在の中、もういろんな問題山積している中で、緊急の場合の救急ヘリがもっと増えれば救える命というのはたくさんあると思います。  スイスなどでは、寄附をして、そして自分がそういう緊急時や事故に遭ったときはいつでも救急ヘリに来てもらえるようなパトロン制度というのがございます。まず医療保険が適用されたり、それからスイス独特のパトロン制度がある。  このドクターヘリを今一生懸命推進していらっしゃるのは國松さんでいらっしゃいますけれども、それによって実際に救われる命というのはたくさんあると。これをもっと、総務省もやっていらっしゃるし、厚労省もお持ちだと思いますが、進めていくおつもりはないのかどうか、今後どういうふうにその救急ヘリの体制を整えるか、スイスのようなことは考えられるのか、御答弁いただきたいと思います。
  69. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ドクターヘリでございますけれども、今、九都道府県十機が運航されて、今年の予算で十一機になる予定でございます。  それで、もう一つは、例えば青森県の例を衆議院で御質問をいただきまして、防災ヘリを使って、そこに訓練をした看護師さんを乗せる、ドクターヘリじゃなくてドクターナースというんでしょうか、そういうことをお考えになっていると。長崎ではたしか海上保安庁と連携をしている。自衛隊との連携等、様々な形で各県で今されておるものと理解をいたしております。  私どもとしても、やはりドクターヘリというものをもう少し進めていく必要があるだろうと。ただ、予算の援助という面ではぎりぎりの援助をいたしておるわけですけども、県においても、なかなか財政が厳しいということでちゅうちょされておる県があることも事実でございます。しかし、全体の機運の盛り上がりの中、もう少し進めていければなと。  もう一つは、これ衆議院でも御答弁申し上げましたので踏み込んだ発言をさしていただきますと、救急車については、これは診療報酬上の処遇はございません、救急車は。ドクターヘリも同じ考え方で今やっておりますけれども、ドクターヘリというものに着目したときに、診療報酬上の手当てというものはできないものであろうかというのは一つの議論だと。  ただし、それはかなりの県がやっぱり配備をされるということが前提になってやっていかなきゃならぬだろうと思いますので、そこのところを各県としっかり話合いをしながら、最終的には、各県がお持ちになって、それが診療報酬の中にも反映されるという形になっていきますとより運航ができるようになるのかなと、こんな思いを私自身はいたしております。  したがって、着実に増やしていくことが大事だろうと、このように思っております。
  70. 貝沼孝二

    政府参考人貝沼孝二君) お答えします。  消防防災ヘリコプターにつきましては、平成十七年の四月一日現在、四十五都道府県において六十九機が運航されておりますが、その活動状況について見ますと、平成十六年中の全体の出動というのが五千六百件余りでございますが、そのうち救急出動は約四割強、二千三百件ということになっております。  消防庁といたしましても、救急業務においてヘリコプターの機動性を活用するというのは大変重要なことじゃないかというふうに考えておりまして、消防関係法令の改正などによりまして、例えばヘリコプターによる救急活動のための救急隊員の配備や装備等の基準の明確化や、あるいは都道府県が持っておられます防災ヘリコプターを市町村の消防業務、救急業務を含む消防業務の支援に利用することができることについて法的根拠を明確にするといったような様々な施策を講じているところでございまして、今後とも医療機関と消防機関の連携を密にしながらヘリコプターを使った救急業務の充実ということについて努めてまいりたいというふうに考えております。
  71. 円より子

    円より子君 持ち時間がもうあと一分になりましたので、最後に、質問ではないんですが、がんについてちょっとお話しさせていただきたいんですが、今、御存じのとおり、がんで亡くなる人が大変多いですね、三一%です、死因の。三十万人以上の人が年間死亡しております。そういう人たちは、本当に無意味な抗がん剤治療と激しい痛みを伴いながら亡くなっていかれております。  こうした人たちの痛みを和らげるということについて無関心だったのではないかと言われているんですが、モルヒネの使用っていうのは、カナダ、オーストラリアの日本は七分の一、アメリカ、フランスの四分の一、それの類似薬物、オピオイドというのもアメリカの二十分の一なんですね。こういう緩和ケアというものを、ホスピスというもう最期の、末期のものではなく、こういう緩和のケアとキュア、治療と同時に並行してやっていけるような形のためには、こういう激しい痛みに耐えさせている現実にきちんと対応、医師も看護師も、そして厚生労働省も是非ここを検討していただきたい。  それから、放射線治療というのが今後どんどんどんどん必要になってきますが、今放射線治療ができるのは日本では七百か所しかありません。また、専門医も四百五十名程度しかいません。今後、この育成や放射線学科のある病棟、病院を増やしていく、そして本当にがんで苦しむ人たちを助けるという、そこにもっと焦点を当てていただきたい。  がん対策基本法が衆議院から来るようですが、その審議をするような時間もありませんので、是非そのことを一つ要望させていただいて、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  72. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 民主党・新緑風会の津田弥太郎です。  私は、医療の専門家ではない、言わば勤労者の代表でありますので、患者の立場を中心に質問を行ってまいりたいと思います。  資料を配ってください。    〔資料配付〕
  73. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 通告してないんですが、多分お答えができると思いますので、大臣、お尋ねしますが、たしか大臣は昭和二十二年十一月十五日のお生まれだと思いますが、何時ころにお生まれになりましたか。お母さんに多分聞かれているんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  74. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 生まれた場所は新宿の何か牛込病院だと聞かされた記憶はございますけど、時間は残念ながら聞いておりません。
  75. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 ちなみに私は、実家は岐阜なんですけども、家で、当時は産婆さんって呼んでたんですが、産婆さんの手で夜中の十一時五十五分ごろ生まれたんですが、たまたまぼんぼん時計が十分進んでたもので、誕生日は本当は五月四日だったんですが、五月五日になったと。夜中に自然に生まれたということでございます。まあそれはどうでもいいんです。  資料を見てください。先ほど委員から出された資料と同じでありますが、ちょっとバージョンアップをしましたんで、これもう一目瞭然の資料でございます。一枚目が我が国における赤ん坊の曜日別の出生者、二枚目が時間別の出生数、これは先ほどと同じですね。三枚目が助産所での出産だけを切り出した時間別の出生数ということでございます。特にこの一枚目の資料、先ほどの円委員と同じ結果になっておるわけでございますけれども、バージョンアップした資料を見て同じ答弁だとちょっと困るんで、バージョンアップした答弁いただけますか、大臣
  76. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほども円委員の中に出ていたと思いますけれども、一つは、陣痛促進剤を患者さんと、患者さんといいますか妊婦さんと話し合いながら使われているということもこの数字に出ているんだろうと思います。
  77. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 バージョンアップしてない。  実はこの資料は、一九九〇年の十二月十二日に自らのお子さんを陣痛促進剤の被害によりわずか生後九日目で失った勝村さんという、この方は中医協の委員として現在活躍されておられるわけですが、この勝村さんが厚生労働省のデータを一つ一つ入力し作り上げました貴重な資料なんです。  現在、医療の現場が抱える大きな問題の一つに、産科医の不足、この問題があるわけでありますが、産科医の労働環境が厳しいということで産科医を新たに目指す人が減っていく、そしてこれにより残された産科医の労働環境はますます厳しくなっていくという悪循環、このことは患者にとっては、産科の診療が受けにくくなるというだけの問題にとどまらず、医療の質の低下につながってくるわけであります。すなわち、医師の負担軽減を目的として、出産が休日、夜間ではなく平日昼間に行われるよう、副作用を引き起こす可能性もある陣痛促進剤が多用されてしまいます。少なくとも、そこには患者を第一に考えた医療とは言えない実態がうかがわれます。  これ、大臣、率直にお聞きします。この陣痛促進剤の被害の問題などが今回の法案で解決されるんでしょうか。率直な答弁をお願いします。
  78. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先日、産科医の皆さん方と話合いを行いましたときに、二つのテーマが出てきたと思っております。要は、産科を目指す人たちが、増やす、また産科を目指した人たちがそのまま医療行為を続けていただけるためにはどうしたらいいかという議論でございますけれども、一つは、やはり集約化を図らなければならないだろうという御意見と、それからもう一つは、やはり医療事故というものに対する対応を、しっかりとした制度をつくり上げてもらわなければならない。やはり、産科を大学に入った当時目指していながら結局は産科を目指されなかった方々産婦人科を開業しながらも現実は今は婦人科としてだけ開業をされている方々、また、病院産科に勤務され、今委員が御指摘のように厳しい労働環境のために仕事を辞めていかれる方々、こういう方々をやはりしっかりフォローアップしなきゃならぬという意味では、今回、県の協議会におけます集約化の問題、そしてもう一つは、委員会でずっと御審議をいただいており、また私も御答弁させていただいております医療事故に対する対応と、この二つをしっかりやらなければならないだろうと。そうした対応をする中においてしっかりとした産科体制というものができ上がってくると、このように感じております。
  79. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 この産科医の不足の問題以外にも、救急救命医療体制の不備、高齢者の社会的入院、医療費の自己負担増、小児科医の不足、へき地での深刻な医師不足、医療事故の増加、病院の未収金問題、勤務医の過酷な労働環境、公立病院の経営赤字問題、患者への情報開示など、このままいけばもう一日掛かっても挙げ切れないぐらいたくさんの問題があるわけで、切りがありません。こうした問題は、それぞれ取り出せば医療における一つの断面の問題となるかもしれませんが、同時に、一人一人の命や生活と結び付いている極めて大きな問題であります。  政府が提出しました医療制度改革関連法案は、一口で言えば医療費の抑制と患者負担増だけで、肝心の医療の質的向上や患者の権利は先送りにしているんです。  私は長年労使問題やってきましたんで分かるんですが、企業経営でいいますと、従業員の賃金カットと、それからいわゆる協力企業、ここに対して企業のコストダウン、これを徹底してやっている。肝心の製品の品質向上や、それからユーザー、お客様のニーズを無視しているんです。これで企業再建はできるかと。できないんです。松下電器さんがあのFFストーブ、欠陥ストーブで必死になって回収作業を行っているというのはどういう意味か、これはもう大臣よくお分かりになるだろうと思うんですね。従業員にもお客にも見放されたら、これどうにもならない。人間の命より財政再建を優先させている。  私ども民主党が衆議院段階で安心、納得、安全の医療実現のための対案を提出したことは、正にそうした問題意識の表れなんです。厚労省の皆さんも是非こうした指摘を真摯に受け止めていただきたいと思うわけであります。  それで、近年、厚労省の重要法案というのは極めて政省令、告示事項に委任する度合いが高まっております。介護保険法案しかり、障害者自立支援法案しかり、今回の医療制度も同様であります。私は、事務的な規定、細かいこと、何でも法律本体に記載しなければならないなどと言うつもりはございません。しかし、法律の運用において極めて重要な事項が政省令などに落とされ、その結果、立法府が法案の内容を十分にチェックすることが難しくなっている、このことは看過できない問題であります。  今回提案された法案でも、特に老人保健法の改正であります高齢者の医療の確保に関する法律案などは、十一条、十八条、三十二条など、政省令、告示事項のオンパレード。一体、今回提案された十二本の法案に政省令事項は合計で幾つになるんでしょうか。
  80. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の法案におきます政省令事項、告示も含めてでございますけれども、数え方にもよりますが、まず健康保険法等の一部を改正する法律案におきましては三百六十五項目でございます。それから、良質な医療を提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案におきましては法律改正に伴う事項が七十五項目となってございます。
  81. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 大臣、それぞれの政省令は今回提出された何法の第何条を根拠としているのか。現時点で内容が確定している政省令について、その内容はどのようなものでしょうか。さらに、今後の政省令の内容の決定に関し、中医協あるいは審議会などの議論を予定しているもの、そうではなく、厚労省の事務方のみで決めていくものなどの区分について、今四百数項目挙げられたわけでありますが、次回の本委員会の審議予定日の前日、六月十二日までに資料を提出していただきたいと思いますが、大臣、よろしいでしょうか。
  82. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 三百六十五項目のうち、中医協に諮問しなければならないことが法定された事項は二十四項目でございます。他のもので、これから検討いたしますけれども、できるだけ出すように努力をいたします。
  83. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 是非よろしくお願いします。  さて、私たちはスーパーに行って買物をする場合、通常は個々の商品の値段を確認してから、まずは値段を見て買いますよね。サービスの提供を受ける際には、マッサージなども三十分幾ら、ちゃんとそういう形で、幾らおれは終わったら払うかということを見てお願いをするわけであります。  ところが、お医者さんに掛かった場合は全く違いますね。医師に体の不調を訴え、その後に医師から必要な検査や処置がされた場合、患者は事後に窓口で初めてその料金を知らされ、支払の義務を負うことになります。しかも、医療の場合、言うならば基本的に売手の側の医師が商品を選び、出来高払により選んだ商品の値段がそのまま積み重なってまいります。このように、ほかでは考えられない料金の支払方式は、国民医師への信頼というものを前提にして私は成り立っているものだと思うわけであります。  二〇〇〇年に野村総研が行った調査では、医師を信頼している人の割合は八一・八%、極めて高いと思うんです。ちなみに、学校の先生は五二・五%、警察官は四四・二%、官僚二〇・三%、あともう一種類言わなければいけません、国会議員、悲しいかな一二%、こういう数字になっているんです。ところが、こうした医師への信頼というものは近年揺らぎつつある、事実であります。先ほど、野村総研の調査医師への信頼度が二〇〇〇年には八一・八というふうに申し述べましたが、その三年前、九七年の調査では、同じ、八六・七%であり、わずか三年で五%信頼が低下しているというデータがございます。  私は、そうした原因の一つに、医師の資質を担保する仕組みが六年間の学部教育、その後の国家資格あるいは卒後臨床研修など、言わば入口近辺においてしか講じられていないことが挙げられるのではないかと考えます。  そこで、医師の資質の向上という観点からお尋ねをしたいわけであります。  その前に、医療事故に対する対応ということについて、これは多くの方が関心がございますので、私の意見をちょっと申し述べさせていただきたいんですが、アメリカの場合は医療施設評価合同委員会、訳してJCAHO、だれも知らない、という民間団体、退役軍人省、病院グループという公的病院団体が実施主体となって医療事故報告制度が行われています。この医療施設評価合同委員会の場合、死あるいは重大な身体的、機能的障害を予期し得ない形で生じた、あるいは生じ得た事例についての報告を受け付けているんです。  その上で、医療事故が生じる背景には必ず組織あるいは運営上の体系的欠陥があるという前提に基づき、だれが間違いを犯したのかではなく、なぜ間違いが起きたのか、ここが重要なんです。なぜ間違いが起きたのか、ここを基本に据えて医療関係者の資質の向上を図り、類似事例の再発防止を目指しているんです。こういう例を踏まえるならば、我が国の医療事故報告において、単に間違いを犯した医師をやみくもに処罰すればよいということになれば、結果的にミスを隠すことを奨励することになり、医療事故を拡大させることにつながりかねないというふうに私は考えます。  一方で、そうした医療事故の発生を偽って、患者に対して隠ぺいを行ったり、あるいは不正請求を行って巨額の利益を得ていたりといった悪質な医師についての処罰については、これまで以上に徹底していかなければならないと考えます。  衆議院で、医師法にカルテ改ざんについて何らの罰則も設けられていないことはおかしいのではないかという質問に対して、川崎大臣は、医事に関する不正として、医師免許の取消し等の処分の対象となり得るので、カルテの改ざんという項目だけを立てて、これの罰則規定を作ることは必要ないという答弁をされておりますが、これなど、非常に私は疑問に思わざるを得ません。  個々の患者の診療録としてのカルテが持つ意味を患者の立場で考えるならば、このような答弁は出てこないはずなんです。カルテの改ざんということを取り出して罰則を設けない限り、なかなか医事に関する不正という包括的な概念で処分の対象となることは、現実にはほとんどあり得ないのではないかと考えるわけです。  過去五年間に、カルテの改ざんに関し医事に関する不正として、医師免許の取消処分、業務停止処分が行われた件数のみ、数字を教えてください。
  84. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 過去五年間に、カルテの改ざんに関しまして医師法に基づく業務停止の行政処分を受けた医師は、一名でございます。
  85. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 一件。これが実態。  大臣、このカルテ改ざんの持つ意味の重要性というものをいま一度考えていただき、これ、どうしても必要な検討を是非お願いしたいと思うんですが、いかがでしょう。
  86. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) このケースは、医事に関し犯罪又は不正の行為のあった者を対象として行政処分、この一名は、カルテの改ざんに係る証拠隠滅の刑事罰が確定したということでございます。  そういった意味では、カルテというものに着目しないと、問題点を掌握し、結果としてその罪を裁くということにならないか、いや、総合的な医事に関しの犯罪という項目でまずいかということでございますけれども、私どもは、そういう意味では、医事に関し犯罪又は不正の行為のあった者ということで読めるんではなかろうかと思っております。
  87. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 厚生労働省の統計では、昭和四十六年度から平成十六年度までの三十四年間、この間になされた医師免許取消処分は四十七件、業務停止処分は五百七十三件。例えば、平成十六年十二月時点の医師の総数が二十七万人であるということを踏まえるならば、常識で考えて余りにも少な過ぎると言わざるを得ません。  その背景には、資格の剥奪や停止を判断する機関である医道審議会が主に医療関係者から構成され、どうしても身内に甘くなる、あるいは処分の基準自体が非公開で不明朗な運営となっているということが指摘をされております。まあ、まさかまさかと思いながら万一にも、地域における医師が不足しているから資格の剥奪や停止が行いづらいなんということならば、これは正に本末転倒であり、悪質な医師を排除し、一方で医学部の定員を増加するなど、新規の参入を促した方がよっぽど国民の利益、患者の利益にかなうことは、私は明白であると考えます。  今回の法改正で、免許取消し後の再免許の付与に関し、これまで仕組みの上では短期間で再免許の交付も可能であったものが、五年間という最低限の欠格期間が明記をされたことは、一定の評価をするところではあります。しかし、行政処分としての戒告の創設、業務停止処分の期間の見直しについては、今後の運用次第では、これ処分強化にもなりますが、逆に処分緩和にもなる、どちらにもなり得るものだと危惧をしているわけであります。  お伺いしたいんですが、今回創設される戒告については、従来までの行政指導としての戒告が原則として置き換えられることになるのか、それとも従来までの業務停止処分の事案の一部が行政処分としての戒告に置き換えられることを想定しているのか、これがまず一点。  まだある。この医業停止期間について、これまでは運用において上限五年としていたものを、医師法に上限三年を明記するということになります。そうすると、これまでの業務停止三年を超える事例については、原則として免許取消処分に移行することに私は当然なると考えるわけであります。それともまた、三年以下の業務停止に短縮されてしまうことになるのか、二点お答えください。
  88. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) まず第一点目の戒告でございます。  今回の戒告処分の導入は、行政処分を受けた医師に対する再教育制度を今回導入しているわけでございますが、これに当たりまして、従来行政指導としての戒告としていた事例の中にも、再教育を課しまして被処分者の反省を促すことが適切と考えられるものがあること、医業停止処分としている事例の中にも、医業停止を行うことなく再教育を課すことが適切と考えられるものがあることから、新たに戒告という医業停止を伴わない処分類型を設けることとしたものでございまして、このような趣旨にかんがみますれば、従来行政指導の戒告を受けていたものとこれまで比較的軽微な業務停止処分を受けていたものの中から、新たな戒告処分の対象者が出てくるものと考えてございます。  なお、具体的な処分基準につきましては医道審議会にも諮った上で今後決めていくことになりますが、戒告の対象者に対しましても、確実に再教育を行うことにより、医師の資質向上や医療安全の確保に努めていきたいと思っております。  二点目の医業停止期間を上限三年とする改正についてでございますが、長期間の医業停止が医業の再開に当たって技術的な支障となる可能性が大きく、医療の質と安全を確保するという観点からは問題があるということなどから、医業停止期間に上限三年を設けることとしたわけでございます。  実際の処分に際しましては審議会の御意見を聞いて決定することとなるため、例えば、従来であれば三年以上の医業停止処分を受けていたものが今回の改正によりどのような処分を受けることになるか、一概にお答えすることは難しいのですが、処分理由いかんによっては免許取消処分になるということだと考えております。
  89. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 前半の方が訳が分からない。結局、この医道審議会も大変ある面では一般の普通の国民から見ると身内でやってんじゃないかという批判があるんですよ、先ほども申し上げましたけどね。  だから、これ、この戒告というものについて、創設される、本当に行政指導としての戒告が置き換えられるのかどうか。これ今の答弁では再教育がどうのこうので濁しちゃっているんです。再教育は当然あっていいんですよ。しかし、そのことと私の問い掛けとはこれ別の問題なんですよ。再教育するからいいじゃねえかということではないと。これはっきりさしてください。もう一回。
  90. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 戒告処分についてでございますけれども、新たに戒告という医業停止を伴う処分類型が設けられたわけでございますけれども、今回のこれの設置の趣旨にかんがみますれば、従来行政指導の戒告を受けていたものを今回行政処分としての戒告と。それから、これまで比較的軽微な業務停止処分を受けていたものの中から新たな戒告処分の対象者が出てくるものと考えてございます。これまで比較的軽微な業務停止処分という中には、交通事犯等が入ろうかと思っております。  なお、医道審議会につきましては、その中に、もちろん医療関係者もいらっしゃいますが、そのほかの学識経験者、法律学者あるいは法曹界の方等も入って、厳正に行われているものと承知しております。
  91. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 是非、私が問題としているのは悪質な医師、残念ながらいるんですよ。まあ悪質な国会議員もいるかもしれませんけれども、悪質な官僚もいる、同じように残念ながら悪質な医師もいるわけです。そういうことに関し、安易な処分緩和の方向に進まないことを強く求めたいということでございます。  大臣にお伺いをしたいと思います。医師全体の資質の向上ということでございます。  今回、処分を受けた医師等に関する再教育が、先ほど答弁をされましたが、導入をされるということになりますが、そうではない一般の医師についての再教育ということについては現在のところ制度的な担保は十分になされておりません。もちろん自主的に研さんを重ねる医師は当然おりますし、学会単位で真摯な取組を行っている事例もございます。しかし、そうした努力を行っている医師とそうでない医師の格差が極めて著しい現状となっているのが実態であり、とりわけ近年の医療の場における技術の著しい進展を考えたときに、そうした新たな技術に対応し、医師全般の資質向上策というものが私は強く求められる、求められているものと考えるわけです。  例えば経済同友会が提言をいたしております医師免許更新制、これ今文部科学省で教員の免許も更新制を今検討をしております。一回免許を取ればあとは死ぬまで問題ないということではない、これは学校の教員も医師も同じはず。こういう手法も私はあり得るんではないかと考えるわけです。あるいは、現在、試験をしないで専門医や認定医という資格を与えたり、試験をしてもほぼ全員が合格するような学会も少なくないというふうに聞いておりますが、こうした状況を改め、真の専門医制度を確立させることを行政として促していくことも私は考えられるんではないかというふうに思うわけです。  いずれにしても、何らかの形で医師全般の資質向上策は私は不可欠だというふうに考えるわけでありますが、川崎厚生労働大臣は今後具体的にどのような検討を進めていくおつもりであるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  92. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず最初に、先ほどの行政処分の問題でございますけれども、もちろん医道審で御決定いただくことでございますけれども、行政としては厳しい対応で臨むということを、私、十月就任以来貫いてきたつもりでございますので、その気持ちで臨んでいきたいと思います。  それから、資質の向上の問題でございますけれども、正に医師の資質向上は重要な施策だろうと考えております。今委員が御提言いただきましたように、お話しいただきましたように、自ら努力している人はたくさんいると、しかしレベルを上げるためには全体が動いていくような仕組みにしなければならないだろうと、こういう御趣旨だろうと思います。  一つは、医療安全体制にかかわる出題の充実等の医師国家試験を少しずつ変えていかなければならないだろうと。もう一つは、新医師臨床研修制度が十六年から始まりました。また、学会や日本医師会等の団体がそれぞれの中で取り組んでおることも事実でございます。  私どもといたしましては、一つ医師国家試験や医師臨床研修制度の見直しを必要に応じて行っていかなきゃならないと思っております。  それから、専門医の養成に関して一定の役割を担っている特定機能病院、ここにおいて専門医の養成確保の在り方についてどうするか、今年度検討会を開始をいたします。その中において専門医というのをどう育てていくかと、すなわち研修をどうしていくかということになろうかと思います。しっかり議論をしながら、今委員が御指摘いただいた医師の資質向上という問題にしっかり臨んでいきたいと考えております。
  93. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 余り具体的な話はされなかったんで、考え方では済まないことだと思うんですね。これは、また後ほど同僚議員からの質問があるだろうと思います。  私は、次にどうしても、働く者の立場でここに立たせていただいておるので、領収書の問題に触れないわけにはいかないわけであります。  今年の三月八日に財団法人日本医療機能評価機構が公表しました報告書によりますと、昨年一年間で患者が死亡したり重い障害が残ったりなど重大な医療事故が全国の主要な二百七十二病院で昨年一年間だけで千百十四件に上り、そのうち死亡例が百四十三件あったということが明らかになりました。これ、忘れてならないことは、事後的に金銭による解決が一定程度可能な経済的な損失、今ライブドアとか、損害賠償を請求しておりますけれども、ああいうのは金返せという形で解決できるからいいわけであります。  しかし、医療の場における事故というのは命に直結するわけであります。失われた命というのは二度と戻らない。処分を受けた医師の再教育だけではなくて、医療事故を未然に防ぐ意味でも、実効ある医師全般の資質向上策の早期の検討を私はお願いをしておきたいと思います。  それから、先ほど指摘をしました医師への信頼の問題と並んで、患者に対して必要な情報が公開されることがますます大切な要素となってまいります。連合で一九九七年以降領収書をもらおう運動、私もずっとやってまいりましたが、行ってきました。この努力が実って、本年四月一日から個別の費用ごとに区分して記載した領収書が無償で交付されることになったことは、患者の視点に立った改革として評価をしたいと思います。  そこで、念のため確認をさせてください。領収書の発行については、これを直ちに行うことが困難な保険医療機関について六か月間の経過措置が設けられておりますが、本年十月一日以降は間違いなくすべての医療機関で項目別の領収書が発行されるのでしょうか。万一、領収書の交付が行われない場合、保険医療機関及び保険医療養担当規則違反ということで、保険医療機関等の指定取消しにつながるものというふうに理解してよろしいですか。
  94. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今御指摘いただきましたように、領収書の交付に必要な整備を整えることが困難な保険医療機関等については平成十八年九月三十日まで経過措置を設けました。したがって、経過措置後の十月一日以降はすべての保険医療機関等において領収書の交付が義務付けられます。仮に、十月一日以降も領収書の交付が行われない場合は、まず中央社会保険事務局による指導が行われることになるだろうと。改善されない場合にあっては、最終的には当該規則違反として保険医療機関等の指定取消しにつながることもあり得ると考えております。
  95. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 あり得るというのと、そうじゃない、つまり指導をしても発行をしないという場合は、もうそこに行くしかないと思うんです。あり得るというのと、そうなりますというのでは随分違うんですが、もう一回お願いします。
  96. 山下英利

    委員長山下英利君) 答弁はだれが。  速記止めてください。    〔速記中止〕
  97. 山下英利

    委員長山下英利君) 速記を起こしてください。
  98. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) つながることもあり得ると答えましたのは、私がするというよりも、その前に地方の医療協議会にかけます。そこの決定が必要なものですからそういう表現を使わせてもらいましたけれども、委員の御指摘のとおりになるだろうと思います。
  99. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 併せて確認いたします。  レセプトのオンライン化、これについても厚労省がお示しになっている年限内に間違いなく実現をされるのかどうか。期限到来後もオンライン化が行われていない医療機関については、診療報酬の請求が受け付けられないということになるという理解でよろしいでしょうか。また、四月二十一日の衆議院での質疑の際、川崎厚生労働大臣は、明細の分かる領収書の発行についてはシステムの整備が不十分のため努力義務としているが、レセプトオンライン化が進めば義務化することも構わないというふうに答弁をされているわけであります。この二点、大臣、間違いありませんね。
  100. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) レセプトのオンライン化につきましては、昨年十月に取りまとめた医療制度改革大綱において、平成二十三年度当初から原則としてすべてのレセプトがオンラインで提出されるものとするように定めました。  この四月にレセプトの取扱いを定めた省令の改正を行いました。例外は、請求件数が少なく手書き処理を行っている医療機関、薬局でございますが、ここも最大二年の範囲内でのオンライン、二年以内にそれをしなきゃならぬということでありますから、例外がありましても、それも二年以内でやらなきゃならぬ、したがって、すべての機関がオンライン請求でなければならないと。小さなところについては、例えば医師会とか薬剤師会とか地域で共同作業をやるということも考えられるだろうと思っております。  それから、今、明細書、領収書については先ほどのお話のとおりでございますけれども、明細書については、今段階におきましてコンピューター等のシステムがすべて整った公的なところについては順次行わせております。例えば、私どもの国立病院機構ならば、これはもう明細書を出させる方向でやっておりますし、かつ無料で行っているところでございます。ただ、一方で、まだそうしたものが整わないところについては請求によって出すということで、ただし少し時間が掛かるかもしれないということは御理解を賜りたいと、こう思っているわけです。  オンラインが二十三年までにきちっとでき上がりましたら、すなわち各医療機関におけるシステムの体制が整ったということであろうと思いますので、その時点でこの明細書も当然発行できるような体制が整ったという理解を私はしてもいいんだろうと思っております。そういった意味で、そのような体制ができ得ると、こう申し上げました。
  101. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 連合の仲間が一生懸命領収書をもらおうという運動をやってきた一つの成果が出たのかなというふうに評価をさせていただきたいと、こう思います。  ちょっと話が変わるんですが、ちょっと通告をしておりません。実は、一年前にアスベスト問題が極めて深刻な社会問題ということになっている中で、平成十六年度までに石綿による肺がん及び中皮腫に係る労災認定を受けた労働者が働いていた事業所名が厚生労働省から発表されたんです。情報公開の関連ということでお聞きをいただきたいんですが、これにより、名前の挙がった企業、事業所で働いていた方や御家族、あるいは周辺住民にとっては、正に他人事ではなく自らの問題として健康診断を受けたり、あるいは各種の相談に出向いたりなど、大きな効果があったものと私は考えております。しかし、直近の平成十七年度については、これまでに名前の挙がっていない新たな企業、事業所が存在しているにもかかわらず、厚生労働省は企業名の公表を行っておりません。  実は、私の友人が島根県で三十八歳の若さでつい二か月前亡くなりました。三十八歳です。病名を聞いたら中皮腫ということだったんですね。どこで暴露したんだろうかと、しかも潜伏期間を考えると極めて小さいころに暴露をした可能性があるわけで、分からないと。  そんなこともありまして、ちょっと通告をしてないんですが、名前の出される企業にとってはマイナスの側面があるということは、これは分かります。しかし、労働者あるいは元労働者や家族、工場周辺住民など石綿に暴露した可能性のある人々にとっては、企業名を公表することで、ああ、そうなんだということで大きなメリットがあるわけであり、アスベスト問題に関する関係閣僚会合が国民への積極的な情報提供を掲げていらっしゃる以上、継続して公表を行うことが私は強く求められていると思うんです。  大臣企業名公表するしないの答えをここで求めるつもりはありません。しかし、これ是非、省内に持ち帰っていただいて十七年度についても事業所名の公表について検討をしていただきたいと思うんですが、持ち帰ってですよ、どうでしょう。
  102. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 労災認定を受けた、アスベストのための労災認定を受けた患者がどこの事業所で勤めていたかと、このデータを出せというお話ですね。  今言われましたとおり、検討します。持ち帰ります。
  103. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 信頼して、検討という言葉はいろんな理解がありますけれども。  話、変えます。法案の内容に戻ります。  保険という言葉を有斐閣の法律辞典で調べてみますと、保険という言葉ですね、「生命、財産等に対する予測できない偶然の事故の発生によって生ずる経済上の必要を、同種の危険にある多数の人があらかじめ一定割合でする出捐」、つまり、出捐というのは保険料、金を払うことですね。「で賄う制度。その出捐は、」「事故が発生した場合の経済上の必要の程度に応じて算定される。」というふうに説明をされております。これを読んでも分かるように、保険である以上は、負担をする側と給付を受ける側は基本的に同一、同種のグループに属していることが前提となっております。  失業率が急速に高まっていた当時、今は、今度はちょっと逆の話が出ておりますが、雇用保険の失業等給付における国庫負担を大幅に増加しようと野党が求めたときがございました。これに対して厚生労働省は、保険である以上、労使当事者の負担割合を超えて三分の一以上を国庫が負担することは適切ではないというふうに説明をされたように記憶をしております。  ところが、健康保険組合では、後期高齢者支援金、前期高齢者納付金、退職拠出金という自らの保険給付以外の使途が二〇一五年にも保険料収入の五倍に達する、失礼しました、五倍だったらえらいこと、五割に達するこの試算がございます。仮にこれが事実だとするならば、保険料のうち半分以上が自らの給付以外に使われる制度というのは、これは先ほどの有斐閣の法律辞典の説明から見るならば、正にこれは保険の原則から外れ、持続可能な制度とは到底考えられません。  法案に対する評価を行う上でも、改めてそれぞれの保険者ごとに、後期高齢者支援金、前期高齢者納付金、退職拠出金について、それぞれの支出の保険料収入に占める割合を、二〇〇八年、二〇一五年、二〇二五年についてそれぞれ示していただきたいと思います。
  104. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) お答えいたします。  まず、政管健保についてでございますけれども、平成二十年、二〇〇八年度におきましては、所要保険料五・七兆円に対しまして、保険料で賄う額で申しますと、後期高齢者支援金は一・一兆円、所要保険料に占める割合は二〇%、前期高齢者納付金は〇・九兆円で先ほどの割合は一六%、退職拠出金は〇・三兆円で割合は五%でございます。合計で二・三兆円、支援金等の支出額の割合は四〇%と見通しを立てているところでございます。  平成二十七年、二〇一五年度におきましては、所要保険料六・九兆円に対しまして、後期高齢者支援金一・六兆円、割合は二三%、前期高齢者納付金一・二兆円、割合は一七%、退職拠出金〇・三兆円、割合は四%、合計で三・一兆円でございまして、支援金の支出額の割合は四四%と見通しをしているところでございます。  次に、健保組合について申し上げますと、平成二十年度、二〇〇八年度におきまして、所要保険料五・二兆円に対しまして、後期高齢者支援金一・一兆円、割合で申しまして二一%、前期高齢者納付金一・〇兆円、割合で一九%、退職拠出金〇・三兆円、割合で五%、合計二・四兆円でございまして、支援金の支出額の割合は四五%と見通しているところでございます。  平成二十七年度、二〇一五年度で申し上げますと、所要保険料六・三兆円に対しまして、後期高齢者支援金一・六兆円、割合で二五%、前期高齢者納付金一・四兆円、割合で二二%、退職拠出金〇・二兆円、割合で四%、合計三・二兆円で、支援金等の支出額の割合は五〇%と見通しをしているところでございます。  一方、委員は平成三十七年度、二〇二五年度の数値もお求めでございましたけれども、私ども、今回、改革の制度別の財政影響ということでございますけれども、医療保険制度におきましてはそもそも短期保険でございまして、事業見通しを行うにしても長くて五年が適切と考えているところでございます。一方で、この三十七年度の数字をお求めなわけでございますけれども、その支援金等の支出額の割合につきまして、この医療費全体がそもそも将来見通しが目安という性格であるところに、更に将来の就業構造の予測を加えながら、更に詳細にこれを制度別に割り当てるということが必要になると。それからもう一つは、今回のこの後期高齢者医療制度につきましても、施行後五年を目途として見直しを行うと、検討するということとしてございますので、目安としての見通しの上に更に予測を重ねるということになってしまうために、私どもとして不適切であると考えておりまして、現時点においてその算出は行っていないわけでございます。  ただ、これにつきましては、保険者ごとの支援金等の支出の割合につきましては、お示しするに当たって将来の就業構造等の予測を加えることが必要になるという意味で、類似のお求めが先日辻委員からもなされて理事会における協議事項となってございます。私どもとしては、その結果を踏まえて、どのような対応ができるか検討してまいりたいと考えております。
  105. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 後ほど、同僚議員であります辻議員からこの点について厳しく追及がございますので、楽しみにしていただきたいと思います。  時間がなくなってまいりましたんで、最後に臨床修練制度の見直しについてお尋ねをいたしたいと思います。  この臨床修練指定病院において、臨床修練指導医、臨床修練指導歯科医の実地の指導監督下においてのみ日本医師免許、歯科医師の免許を持たない外国人医師、歯科医師日本において診療を行う研修が行える制度というふうに承知をいたしておるんですが、今回の改正でこの医師、歯科医師に限定されていたものを看護師、助産師、救急救命士など、薬剤師を除くほとんどのコメディカルに拡大しようとするものでございます。  ここでお尋ねをしたいのは、現在臨床修練指定病院は何か所で、この制度によって研修を行っている外国人は何人いるのでしょうか、数字だけお答えください。
  106. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 臨床修練指定病院の数でございますが、六月七日現在で三百か所ございます。同日現在、二十九病院で、外国人医師二十八名、外国人歯科医師十二名の計四十名が臨床修練を行っております。
  107. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 この臨床修練制度によって研修を行っている外国人については、あくまでも研修という扱いであるため、就労ではないということから、診療の対価として収入を得ることができない、あるいは労働法規の適用がされないという特徴がありますが、実態としてはどのような状況にあるのか、賃金に相当する研修手当の支給がなされているのかどうか、研修時間は労働基準法に定められた労働時間と比べて過重ではないかなど、現状について簡潔にお答えください。
  108. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 臨床修練制度は、医療に関する知識及び技能の修得を目的として我が国に入国してくる外国人医師等を対象としているため、御指摘のとおり、診療の対価としての報酬を受け取ることはできないこととされてございます。このため、臨床修練中の生活費等の研修中に要する費用は別に用意する必要がございますが、臨床修練の許可申請書の記載事項によりますると、現在我が国に来日している臨床修練外国医師、歯科医師四十名の研修中に要する費用の支出元の内訳は、私費での者が十九名、それから我が国又は出身国の国費による者が十六名、研修先の病院や大学が四名、財団等が一名となってございまして、いずれも診療の対価として報酬を受け取っていないこととなってございます。  また、臨床修練は指導医等の指導の下で研修等を行うものでございまして、研修を行っている時間はいわゆる労働時間には該当するものではございません。その研修時間につきましては、臨床修練指定病院からの報告を受けることとはなってございませんけれども、現時点で把握している限りでは、診療に従事していない時間を含めまして、朝の八時前後から夕方の五時前後までの通常の勤務時間帯に研修を行っている事例が多いと聞いております。
  109. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 例えば救急救命士などのように、一刻を争うような状況で適切な処置が求められている中で、外国人の語学レベルで患者の安全が本当に確保できるんだろうか、この辺はまあ指導が付いているからということがあるのかもしれませんが、不安はどうしてもございます。一般の企業の中で人件費の安い研修生を単純労働者として受け入れて様々な問題が今、日本国内で発生していることも御案内のとおりであります。  大臣、こういう様々な問題を考えるならば、運用に当たっては一つ一つの職種ごとの実態や特徴をとらえて段階的に判断していくべきものと考えますが、いかがでしょう。
  110. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 臨床修練制度につきましては、昭和六十二年、外国医師、歯科医師が研修を行うということで始めたものでございます。  今回の改正は、看護師、救急救命士等十三職種について、その業務を国内で行う際に日本の免許が必要となる診療補助行為等を行うことを可能とするため、臨床訓練制度の対象を追加することとし、来年四月から施行することといたしております。  現行の外国医師、外国歯科医師に対する制度においては、指導医については、患者との意思疎通や指導医による指導が適切に行われること等を目的として、日本語や臨床修練指導医が使用する外国語を一定程度使用できることを臨床修練の許可の条件といたしております。医療安全上の問題等が生じないようにすることを目的として外国医師等が臨床修練を行う場合は、臨床修練指導医に対して臨床修練が適切に行われるよう実地に指導監督することを課しております。この措置を行いながら、先ほど申し上げたような人数の人が今修練を受けております。  今の御指摘につきましても、十分そうしたことが担保されるということを前提にしながら進めてまいりたいと考えております。
  111. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 この医療制度改革法案、審議をいたしておるわけでございますが、我々、いいところはいい、悪いところは悪い、もう率直にこうやって指摘をさせていただいております。間違っても、文句を言ってうるさいなんていうふうに思うことではなくて、貴重な提言をいただいて有り難いという感謝の心で受け止めてもらいたいというふうに思うわけであります。  今日の午後、来週も引き続き積極的な質疑を展開をしてまいりますので、十分時間を取って慎重かつ実りの多い審議をしていただくことを希望して、私の質問を終わります。
  112. 山下英利

    委員長山下英利君) 午後一時四十分から再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ─────・─────    午後一時四十分開会
  113. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、森ゆうこ君が委員を辞任され、その補欠として谷博之君が選任されました。     ─────────────
  114. 山下英利

    委員長山下英利君) 休憩前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  115. 谷博之

    ○谷博之君 久しぶりに質問の機会をいただきまして、厚くお礼申し上げます。  早速質問に入りたいと思いますが、今回の医療制度改革の柱の一つということで、療養病床の問題があります。これは言うまでもないことですけれども、現在の療養病床三十八万床、これを、特に介護保険適用病床をゼロにして、そして医療保険適用病床を十五万床にすると、こういうことでありますけれども。一方、在宅の療養体制、あるいはまた中間施設のそういう療養施設のいわゆる基盤の整備、こういうものはなかなか進んでいないということであります。  こういうことから、特に慢性の疾患のそういう患者の皆さんや、あるいはまた高齢の難病患者の皆さん、特定疾病指定以外の人たちなど、大変危機感を持って感じておられます。こういう、いわゆる介護保険適用病床がなくなるということになってきますと、こういう方々は、まあ極端なことを言えば生死に関係するような、そういう状況になるんではないか、こんなような危機感を持っているわけであります。  そこで、まずお伺いしたいのでありますけれども、例えば人工呼吸器を装着しているALS患者の方々、こういう方々がショートステイとして入所できるような施設というものが現在全国で何か所ぐらいあって、その病床数は幾つぐらいあるのか、お答えいただきたいと思います。
  116. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 御答弁申し上げます。  人工呼吸器を付けているALS患者の方がショートステイを利用できる身体障害者療護施設、この施設数とベッド数でございますけれども、全国身体障害者施設協議会の実施しました調査によりますと、平成十七年四月現在、施設数といたしましては全部で四百六十か所あるわけですが、このうちALS専用のベッドを持っておるこのベッド数、百六十床でございます。  それから、報酬上、神経内科医がおられるというような加算を請求されているところが十一か所、看護師の加算を請求されているところが三十か所、こういう状況でございまして、あと利用の状況でございますけれども、身体障害者全体のショートステイ、これは大体二万人の方、支給決定されておりますが、このうちで、ALS患者及び遷延性意識障害の患者を含む、医療が必要で非常に重度な身体障害者の方を対象とした、こういうような申請と、それから支給決定者の数でございますけれども、約二百五十名、こういう状況でございます。
  117. 谷博之

    ○谷博之君 全国のALSの患者の会がございまして、そこで大体のところつかんでおられる数字を私ども聞いているわけですが、約七千人の患者がおられて、そのうち人工呼吸器を装着している患者が約千五百人と、こういうふうに言われております。そういう方々に対して、まあ今ちょっとお触れになりましたけれども、一九九八年から身体障害者の療護施設、ALS等拠出事業というんでしょうか、これがスタートしたと。で、今おっしゃったようなそういう数字として表れてきているということだと思うんですが。  私が今申し上げたような、対象者が約千五百人おられるという、そういう状況の中で、この数字が、果たしてどういうふうに考えておられるか、十分だと思っているのか、あるいは不足していると思っておられるのか。その辺の見方についてお答えいただきたいと思うんですが。
  118. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 現在の障害者施策におきましては、在宅の方を含めまして種々施策を講じているところでございます。在宅の方につきましては、今般成立いたしました障害者自立支援法によりまして、重度の在宅の方々につきましてもケアをしているところでございます。  したがいまして、この在宅ケア、それから施設におきますケア、ショートステイ、これとを組み合わせて対応を包括的にしていかなければならないものというふうに考えております。
  119. 谷博之

    ○谷博之君 そのことはごく当たり前のことでありまして、そういうことも含めて数字的にどうなんだということを聞いたつもりなんですが。  そういう現状をまず踏まえながら、今回の改正で特殊疾患療養病棟、これは神経難病の患者の方々を主に対象にしていると思いますが、これを一般の療養病床と一つにしていくという、こういう考え方が出てきているわけですけれども、その根拠になっているところの中医協の実態調査というのがありまして、これは全国の十三の医療施設の状況調査して、それを基にして今言ったような一つにしていくという、そういう考え方になってきているというふうに聞いているわけですが。私、事前に保険局の方にこの十三の病院名とその所在地を教えてくれと、こういうふうに言いましたら、回答が返ってきまして、本調査は中医協における慢性期入院医療の包括評価の検討のために行ったものであり、調査に当たっては、本調査により収集されたデータは本調査実施の趣旨以外の目的では使用しない旨を提示し、医療機関の了承を得ていると、だから病院名とその所在地についてはお示しすることはできない、こういうことでありますが。  一つは、たったという言い方をすると大変恐縮ですが、十三か所のそういう医療機関、そしてなおかつそれが公表できないような形で調査をして、それを根拠にしてこういう病棟をなくしていくということについて、果たしてこれで私はいいのかなという、そういう感じをしているんですけれども、その点についてはどういうふうに思いますか。
  120. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の診療報酬改定におきましては、療養病棟入院基本料に患者の特性に応じました患者分類に基づく包括評価を導入するわけでございますが、これに合わせまして、特殊疾患療養病棟入院料についてはこれを廃止するということにしたわけでございます。  その理由でございますけれども、この特殊疾患療養病棟入院料、これを算定している病棟には療養病棟入院基本料を算定している病棟で対応可能な患者が相当数入院しておられるということ、それから、特殊疾患療養病棟入院料を算定する病棟におきましても患者分類を用いた評価を適用することが可能であると、このように判断したことに基づくものでございます。  こうした見直しは、ただいま御指摘ありましたとおり、中医協の下の専門組織のその調査結果によるものでございますけれども、この調査には主なものは二つございます。一つは、平成十七年二月に実施しました慢性期入院医療の包括評価に関する調査、これを基にしまして患者分類の試案を作成したわけでございます。それからもう一つは、平成十七年、同じ年でありますが、九月に慢性期入院実態調査というものを実施して、対象を広げまして患者特性について把握した上で決定したものでございます。  そのベースになった調査対象施設でございますけれども、平成十七年二月の調査におきまして、特殊疾患療養病棟入院料を算定する病院につきましては十三病院、患者データ件数で約千百件でございますけれども、平成十七年九月の調査におきましては五十八病院、患者データ件数で約二千七百件となってございます。これらを合わせますと七十一病院、患者データ件数で約三千八百件の調査結果を用いているものでございますけれども、この特殊疾患療養病棟入院料を算定している病院数は平成十六年七月時点で四百二十施設、それから病床数は約二万五千となってございますので、一割以上のデータを用いているということから、この実態を十分反映した見直しになっているものと私ども考えてございます。
  121. 谷博之

    ○谷博之君 そういうふうな根拠の下にということでありますけれども、いずれにしても、これ結論から申し上げますと、この特殊疾患療養病棟は、現実の問題からすると、これをなくしていくということはやはり問題があり過ぎる、維持すべきではないかということを当事者の皆さん方はそのように強く要求しております。  そういうことを前提にしながら、次に、今も答弁の中で若干触れられておりますけれども、いわゆる診療報酬の見直しによってそれぞれ起きてきていることについて順次お伺いしてまいりたいと思うんですが、ALSなどの進行性難病では呼吸器装着前、ちょうど呼吸器を装着するその直前ぐらいが一番不安定であって、在宅療養が非常に困難なケースというのが多いというふうに聞いています。にもかかわらず、いわゆる診療区分二というふうに認定をされて結果として入院できなくなる、こういうことも考えられると。そして、療養病棟の診療報酬がADL区分とか医療区分、こういうことによって整理されることから、非常に難病の取扱いにとっても極めて問題が出てくるんじゃないかというふうに我々は認識しております。  そもそも難病というのは、もう言うまでもありませんが、進行性であり、そして憎悪と寛解を繰り返す、こういうふうな状態がその特色であるわけですけれども、こういうことは過去のいろんな研究の結果でも指摘されている、そういういろんな積み重ねの中で今日の難病対策事業というものが実施をされてきているというふうに思います。したがって、難病という、そういう疾病を状態像という、今申し上げたようなADLあるいは医療区分で区分をしていくということ自体が、いわゆるさっき申し上げたような、難病自体の概念を全体的にはつかんでいないことになるんじゃないかというふうに思うんです。我が国の大げさに言えば難病対策の今までの積み重ねというものを、若干それを見方を変えるような、そういうふうな対応になってしまうんじゃないかというふうに思うんですが、この点についてはどのように考えておられますか。
  122. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の診療報酬改定におきまして、先ほど申し上げましたように、患者の医療の必要性に応じた患者分類に基づく評価を導入することといたしまして、医療の必要性が高い患者に係る医療については評価を引き上げる、医療の必要性の低い患者に係る医療につきましては評価を引き下げたところでございます。  ただ、御指摘の難病についてでございますけれども、これにつきましては、今年の一月に中医協が地方公聴会を行ったわけでございますけれども、そこで難病団体からの御要望がございました。それから、これを受けまして、診療報酬改定における中医協からの答申において、この点について十分に配慮するようにという附帯意見がございました。  これらを踏まえまして、スモンを新たに医療区分三、これを最も医療の必要性が高い区分に位置付けるほか、特定疾患治療研究事業に位置付けられている難病等の範囲を参考にいたしまして、医療区分二として位置付けられる難病等の範囲を拡大するところでございまして、ただいま御指摘ありましたとおり、ADL区分の見方についてこれを変更いたしまして、難病等の範囲の拡大を図ったところでございます。  さらに、本年六月末時点で特殊疾患療養病棟入院料一、二を算定している病棟に入院しておられる患者さんでありまして神経難病等に該当する方につきましては、医療区分二又は三に該当するものとみなす等の措置を講じることとしているところでございます。
  123. 谷博之

    ○谷博之君 ALSの患者会からちょっと私の方にいただいた資料があるんですが、いわゆる今の診療報酬の関係のお話ですけれども、平成十八年七月以前と七月以降との違いがこの具体的な数字として示されております。  従来の呼吸器装着ALS患者の場合は、今お話ありましたように、入院料一の千九百八十点、それに超重症児・者加算が三百点、それに人工呼吸器を使用した場合の加算が六百点、合計二千八百八十点、一日当たり二万八千八百円と、こういう数字が出ていたわけですが、これが平成十八年の七月以降の呼吸器装着ALS患者の場合は、入院料、ADL区分三で医療区分三、これが千七百四十点です。プラス療養環境加算が百三十二点、それに呼吸器の加算が七百四十五点ということで、二千六百十七点ということになります。それに出来高の例えばCT等の部分も入るわけですけれども、基本的には二万六千百七十円、一日当たりというふうな、二百六十三点マイナスということになってきているわけですね。こういう数字が実は示されております。  今回の、今御説明がありましたけれども、この診療報酬について、一連の経過措置が終わると、この特殊疾患療養病棟入院管理料は再来年の三月三十一日に廃止されるということになります。その結果、例えば今申し上げたようなことを参考にしながらお聞きしたいんですけれども、呼吸器装着のALS患者の自己負担が増えて、ただでさえ赤字の難病病棟の廃止が相次ぐのではないかと、このように懸念されるんですが、この点はどのように考えておられますか。
  124. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 自己負担ということでおっしゃいましたけれども、まず基本的に、先ほど診療報酬の評価、その一定割合が患者負担になるということでございますので、手厚い評価をすればそれなりに患者の負担というのは上がってくるわけでございます。その他で特段のことは一般則であろうかと思います。  ただ、特定疾患治療研究事業の対象疾患である難病につきましては、これは自己負担の一部が補助されまして、自己負担の上限が設けられておりますので、自己負担額が大きく変わることはないんではないかと思いますが。
  125. 谷博之

    ○谷博之君 難病病棟のいわゆる廃止というか、そういう点についてはどうでしょうか。
  126. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 難病病棟、失礼しました。  今回の診療報酬改定におきましては、先ほど申し上げましたような患者分類に基づく包括評価を導入するのに併せまして、療養病棟におきます特殊疾患療養病棟入院料につきましては患者分類が導入される本年七月に、それから一般病床における特殊疾患療養病棟入院料につきましては平成二十年三月末をもって、それぞれ廃止することとしたものでございます。  この難病患者に対します入院料の提供に関しまして、一般病棟につきましては障害者施設等入院基本料という診療報酬点数による評価もなされておりまして、一般病棟におきまして、先ほどの特殊疾患療養病棟入院料を算定した医療機関におきましては、構造設備や人員配置を大きく変えることなくこの障害者施設等入院基本料を算定する病棟に転換できるということでございます。このような形で難病患者を引き続き受け入れていくことは十分可能であると考えております。
  127. 谷博之

    ○谷博之君 今、障害者病棟への転換の選択肢があるという、こういう御説明がありましたけれども、先ほども私ちょっと触れましたけれども、こういう出来高制のいわゆるそういう障害者病棟への転換ということになりますと、治療方法がなくて完治する見込みのないこういう患者に対して、出来高診療というのは果たして適正なのかどうかということが一つの疑問になってくるんじゃないかと思うんですが、この点はどうでしょう。
  128. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) その点につきましては、出来高払の下におきましては、その患者さんに提供されましたケアに基づいて診療報酬が算定されるわけでございまして、その意味では、正に医療上必要な診療行為を個別に積み上げて評価する仕組みでございますので、そこは医療保険でございますので、やはり提供される医療サービスの対価として医療保険の報酬は支払われるということがございますので、そこはやはり一つの割り切りとして、出来高であればそういった適切な必要な医療がその場で提供されるという形になるものと考えております。
  129. 谷博之

    ○谷博之君 ちょっと話が若干かみ合わない部分なんであれですが、ちょっとじゃ角度を変えた質問をしたいと思っております。  難病患者のリハビリテーションの問題をちょっとお聞きしたいと思っています。  従来、日数に制限がなく行われてきたこの難病患者のリハビリテーション、これが今回の診療報酬改定で脳血管疾患等リハビリテーションに組み込まれて、年間百八十日までという日数制限が付いてきたと、こういうことです。このリハビリテーションの日数上限というのは、治療方法の確立されていない難病患者やあるいは障害者の生きる希望や意欲を場合によってはそぐものになりかねないと、こういうふうに思っております。  難病患者のリハビリテーションというのはQOLの向上の観点からも必要なときに実施されるべきだということでありますが、算定日数の上限が定められているために今後打切りの可能性も出てくるんではないかと、こういうことも心配されています。そして、難病等の除外疾患についても、疾患名の指定のためすべての患者の対象になっていないということです。  そこで、厚生労働省の方では難病患者にリハビリテーションを長く行っても改善につながらないのではないかというような考え方を持っておられるかどうか分かりませんが、完治の見込みは少なくて、先ほど申し上げたように、増悪と寛解を繰り返すようなそういう難病患者にとっては、いわゆる改善あるいは完治ではなくて、現在の機能の維持、ここにこそリハビリテーションの大きな目的があるというふうに私は考えています。  そこで、このいわゆる難病患者にとってのリハビリテーションというのは基本的にどうあるべきなんだろうかということ、これ非常に大きな問題になると思いますが、大臣はこの点、どのように考えておられますか。
  130. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今回の診療報酬改定においては、リハビリテーションの体系を疾患別に再編成する中で、一日当たりの算定単位数の上限を緩和するなど発症後早期のリハビリテーションを重点的に評価する一方で、長期間にわたって効果が明らかでないリハビリテーションが行われているとの指摘があることから、疾患の特性に応じた標準的な治療期間を踏まえ、疾患ごとに算定日数の上限を設けたところでございます。一方、この算定日数の上限の適用に当たっては、難病など長期にわたり継続的にリハビリテーションを行うことが医学的に有用であると認められる疾患等を除外したところでございます。  難病患者に対する治療においてリハビリテーションは重要な役割を担っているものと考えており、必要なリハビリテーションが今後とも適切に確保されるように努めてまいります。
  131. 谷博之

    ○谷博之君 今、算定日数上限規定の対象から除外される疾患ということで、難病のそういう病名もここに入っております。ただ、これはいわゆる百二十一の治療研究事業すべてではございません。そういう意味では当然外されている疾患もあります。この中で、これひとつ重ねてお伺いしたいんですけれども、いわゆる疑義解釈事務連絡というこの文がありまして、そこに書かれている事柄ですが、神経障害による麻痺及び後遺症ということで、こういうふうな患者については算定日数上限の適用除外となるのかと、こういうふうな問いに対して、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合であれば対象となり、なお、治療の継続により状態の改善が期待できるか否かについては、定期的に客観的な評価を行った上で医師が適切に判断する、こういうふうに書かれています。  この除外される難病の場合は、この疾患の場合は、こういう疑義解釈、これとどういう関係があるのか、お答えいただきたいと思いますが。
  132. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この算定日数上限規定の対象から除外される疾患についてでございますけれども、これは具体的に病名で指定をしてございます。ベーチェット病でありますとか多発性硬化症あるいは重症筋無力症とスモンと筋萎縮性側索硬化症と、その他かなり広範に掲げているわけでございます。こういった難病につきましては、これは特定疾患治療研究事業に定められた難病のうちで長期にわたり継続的にリハビリテーションを行うことが医学的に有用であると認められる疾患でございます。  例えば、次のような疾病、具体的に申しますと、大腸の疾患である潰瘍性大腸炎でありますとか、皮膚の疾患であります表皮水疱症、あるいは急性期の治療が主となります劇症肝炎や重症急性膵炎と、こういった内臓疾患と申しますか、あるいは皮膚の疾患と、こういったものにつきましては継続したリハビリテーションというものが医学的に有用であると必ずしも認められませんので除いておりますけれども、さっき言いましたような有用であると認められるものは、これは幅広く適用除外疾病として掲げたところでございます。
  133. 谷博之

    ○谷博之君 先ほども申し上げましたように、この疾患名をずっと見ておりまして、全体としてこの病名から漏れているといいますか、外れている病気等もあります。  そういう点で、なぜそうなっているのかということについての根拠はまた別の機会にお聞きしたいというふうに思っておりますが、少なくとも結論から申し上げますと、難病患者のリハビリテーションというのは、冒頭申し上げましたように、正に必要なときに状態に応じて、その状態を維持するためにリハビリテーションというものが行われるべきであると、しかもそれは継続して長期に行われるべきであると、こういうふうに私たちは考えておりまして、この点についての基本的な考え方というのは、これからもしっかり位置付けていっていただきたいと思っております。  それから、さらに関連しまして、特定疾患対策懇談会のことについて関連をしてお伺いしたいと思いますが、三月の二十九日に平成十七年度の特定疾患対策懇談会、これが行われました。  この懇談会は従来の懇談会をちょっと一歩踏み込んだ内容になっておりまして、一つは会議を公開するということ、それからもう一つは難病指定要件の見直しをこの場で行うことが決められたと。しかも、難病の選定基準の指標化の案が具体的に示されたと。その具体的な中身というのは、先ほど申し上げたようなADLや生存率、一か月当たりの医療費等々を勘案をしたそういう案であるということであります。  この懇談会は、御案内のとおり一年に一回しか、ちょうどその時期行われておりませんけれども、今後のこの懇談会の持ち方について、従来どおり毎年一回ずつやっていくのか、あるいはより頻繁に開いていくことになるのか、そこら辺の開催の見通し、また、難病患者の代表が委員任命されている難病対策委員会というのがありますが、これは一度も開かれておりません。  こういう中で、今申し上げたような懇談会、一つの専門家だけが集まったといいますか、専門家しかいないこの懇談会で指定要件の見直しを行ってしまっている。これでいいのか、透明性はどうなんだろうか、あるいは当事者の意思というものはどこまで反映していくのか。そしてその後の、決定後の合意形成、こういうことについて考えると、更に踏み込んだ見直し、改革があってもいいのではないかというふうに思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  134. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) ただいまお話ございました特定疾患対策懇談会でございますけれども、これは特定疾患治療研究の対象疾患の選定、その他の特定疾患対策の専門的な事項について討議をしていただくことを目的として、お話にもありましたように年一回程度、大体次年度の予算が固まったような時期に開催をしてきたところでございます。  平成十六年七月に開催されましたこの懇談会において、対象疾患の選定等のための要件の明確化に向けた検討を進めることが提案をされまして、この懇談会におきましては、引き続き要件の明確化に向けた議論を進めていただいているところでございます。これに伴う調査も必要であるということから、この調査の進捗状況を踏まえつつ、この懇談会の開催に当たりましては必要に応じて開催をしていきたいというふうに考えているところでございます。  それから、この懇談会に患者さんの代表が参加していないのはいかがなものかというような御意見でございますけれども、この懇談会につきましては、特定疾患治療研究の対象の選定その他の専門的な事項につきまして討議、御検討いただくことを目的として、昭和四十七年から開催をしておるわけでございまして、難治性疾患の克服研究事業の対象の選定ということで、専門的、技術的な議論を行っていただいているところでございます。このように、専門家により技術的な議論を行う場というこの懇談会の位置付けを踏まえますと、患者さんの代表が委員として参加をする、御議論に加わるということは必ずしも適当とは言えないのではないかというふうに考えております。  また、今年の三月、これも先ほどお話にもございましたけれども、開催されました懇談会で、プライバシーにかかわる部分を除いて、その議事については議事録公開ということで、したところでございまして、議論の透明性についても向上を図っているというところでございます。
  135. 谷博之

    ○谷博之君 重ねてお伺いしますが、この懇談会に参加されておられる専門家の先生方の氏名は公開されておりません。そういうふうな人たちに対する会議の議事録の公開ということはそれは分かりますが、更に突っ込んだそういうふうな公開についてはどのように考えておられるか。  それからもう一つは、先ほど申しましたように、難病対策委員会をいつごろ開く見通しを立てておられるか、重ねてお伺いしたいと思うんです。
  136. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) まず会議の内容の公開でございますけれども、これは前回の会議におきまして、委員の先生方の御意見等も伺いつつそのような措置としたところでございまして、今後更にどのような形でこの会をより透明性を高めていくかということについては、引き続き先生方とも御相談しながら検討してまいりたいというふうに思っております。  次回の会合の開催の予定でございますけれども、現在まだ具体的な日程のセットはできておりませんが、調査の進捗状況につきましては、今後この調査状況を踏まえまして決めてまいりたいと、できるだけ早く開催をしたいというふうに思っております。
  137. 谷博之

    ○谷博之君 いろいろ難病対策を含めてお聞きしてまいりましたけれども、結論から申し上げますと、今回の医療制度改革の中で一番患者の皆さん方が心配をしておられる療養病床は削減されるというふうなことも含めて、様々な声が出ているということを踏まえて、是非、この現実に目を向けたやっぱり国の対応というものをこれからしっかりやっていただきたいというふうに思っております。  それから、次の質問に移りますが、社会保険診療所と健康管理センターの整理合理化計画というものが進んできているわけですけれども、この点についてお伺いしたいと思っております。  医療計画の見直しによって、病院と診療所の機能分化とかあるいは連携の推進とか、こういうことがいろいろ議論されております。そういう中で、私は一定の大きな役割を果たしている社会保険病院、これについて触れたいと思うんですが、現在運営面でも設備更新の面でも一切保険料を投入しないという方針の下に、昨年度までの経営実績を評価して今年度に整理合理化計画が取りまとめられようとしていると、こういうことです。  そういう中で、私の地元の医療機関である宇都宮社会保険病院のことについて若干触れたいわけでありますが、この病院は宇都宮の二次救急病院に指定されておりまして、医療圏のですね、小児救急の輪番なども担当していると。感染症の病棟、災害拠点病院、脳卒中拠点病院の指定を受けている。大変いろんな多機能の役割を果たしていると。併設の介護老人保健施設などもありまして、地域包括支援センターの指定も受けていると。  こういう重要な役割を果たしているこの宇都宮社会保険病院、これについて、まず一つは、この病院の今申し上げたような多面的な役割、こういうものを評価されて、この病院を是非、公的医療・介護施設として今後とも存続させ、充実させてほしいと、こういう声が上がっておりますが、これについての現時点での動きをお知らせ、教えていただきたい。
  138. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 今御指摘の社会保険病院につきましては、今委員から御指摘ございましたように、平成十五年から十七年、この三か年間の経営改善計画、これを受けまして、十八年度、今年度におきまして整理合理化計画の策定を行うということで今見直し作業を進めさせていただいているところでございます。  今年度、十八年度において整理合理化計画を取りまとめるに当たりまして、今御指摘の社会保険宇都宮病院の取扱いについてどうなのかという御指摘でございますが、これは全体的な社会保険病院、この三か年間の経営改善の実施状況でございますとか、それぞれの病院が担っております病院機能、こういうようなものも踏まえました上で、全体的な状況を精査した上で、整理合理化計画に結び付けたいと思っております。個々の宇都宮病院の機能につきましても、そういう全体的な議論の中でしっかりと精査しながら、整理合理化計画への位置付けについて検討させていただきたい、判断をさせていただきたいというふうに思っております。
  139. 谷博之

    ○谷博之君 社会保険診療所と健康管理センター、こういうそれぞれの医療施設の整理合理化ということについては、これはそこに携わる多くの関係者の皆さんが非常に関心を持ち、注目をしているわけですけれども、基本的に民間に売却をするとか、いろんなそういう動きもあります。ただ、実態を見ますと、実はそれぞれの機関が独立採算で運営をされて、人件費も含めていわゆる保険料財源は一切使わないで立派に運営をしているというふうに私は見ております。  そういう中でやみくもに、小泉総理じゃありませんけれども、民営化だということで売却するという、そういうことではなくて、基本的にはやっぱり地域に必要な医療、そして保健機能を果たすための公的な医療機関として、基本的にはやっぱり存続をするのが大前提ではないかというふうに私は思うんです。  昨年の国会でも、私、当委員会で新宿の診療所の問題を取り上げました。すぐそのそばに、歓楽街ですからいろんなそういう施設があって、そういう施設がその場所を買い取ることによって、今まで果たしていたそういう大きな役割が全くなくなってしまうということ、これについては非常に残念な思いがいたしました。その結果として、売却条件として一定期間の機能維持をすると、こういう確認の答弁もいただいたわけであります。  そこで、重ねて関連をしてお伺いしたいのでありますが、例えば売却されていくということになれば、例えばこれまで蓄積してきた受診者の健診データ、そういったものは消却されることになってしまうのではないかというふうに考えられます。そうなると、受診者は、継続して他の機関で受診を受ける場合の肝心な過去のデータとの比較ができなくなってしまう、こういうような心配も起きると思うんです。これでは、先ほど申し上げたような一定期間の機能維持というふうなことにはならないんじゃないかというふうに思うんですね。この点はどう考えておられますか。
  140. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 社会保険診療所あるいは健康管理センター、これの譲渡に当たりましては、基本的には施設のその中心的な機能を維持をすると、こういうことを条件とした一般競争入札により譲渡を行うという基本方針で臨もうとしております。  この施設の譲渡によりまして、基本的な中心的な機能の維持ということを条件とすることもございますので、他の医療機関がその業務を承継するということになる場合、今委員御指摘のこれまで蓄積されてきましたいろんな診療データ、これを譲渡先に引き継ぐかどうかというこの点に関しましては、現在のその委託先の診療所等と譲渡先との具体的な協議によるということになるわけでございますけれども、患者さんの利便性あるいは医療の継続性という辺りを考えますれば、引き継いでそのデータが、様々なデータが引き継がれていくことが望ましいというふうに私ども考えております。
  141. 谷博之

    ○谷博之君 言葉の上ではそのとおりだと思いますが、現実的に、具体的にどういうふうになっていくのかは、ケース・バイ・ケースだというふうに思うんですね。  それともう一つ考えておかなければならないというのは、こういうふうな社会保険診療所とか健康管理センターが果たしている今の役割ですね。そういうふうなものは、これは非常に私は不採算のそういうふうな部門でも積極的に取り組んでいって、いわゆるこの受診率を上げることに相当やはり貢献をしてきている、そういうふうなことを私たちは見ております。  したがって、例えば健診機関を民間で充足しているとか、あるいは十八年度も健診実施機関を今まで以上に増やしたとか、そういうふうな考え方だけでは私はこの受診率の向上というのはなかなか上げることは難しいんじゃないかというふうに思っています。  そういうことからして、単に民間に売却をする、あるいはそちらにウエートを置くということだけでこういうふうな機関をすべてなくしていくということについては、極めて私は大きな問題が残るというふうに言わざるを得ません。ここら辺はいろいろお聞きしたいところなんですが、時間の関係で私の考え方を申し上げておきたいというふうに思っております。  それで、最後にもう一つの大きな問題についてちょっとお聞きしたいと思っておりますが、これは、今度の国会では恐らく予定どおりの会期で終わるんだろうと思います。その結果として、本来であればこの委員会に審議として掛かるべき法案が、恐らくこれはどういう形になろうか、次期の国会に出されるのかそれは分かりませんが、一つは結核対策のことについてお伺いしたいというふうに思っております。  これは感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案という法案でありますが、これを議論をする過程で当然また議論になると思いますが、今、日本は結核については中程度の蔓延国と、このように位置付けられております。そして、その対策について今度の法改正ということになるわけですけれども、その中身をちょっと見ておりましてもこれは十分ではないな、こんな感じをいたしております。具体的には、高齢者の患者さんに対する健診率の向上のための公的な財源を確保するとか、あるいは患者の届出制だとか入退院時の基準の明確化、策定、あるいは多剤耐性の対策、こういったものが専門家を交えたそういう委員会の場で議論をして方針が出されなければならないのではないかと、こんなように考えております。  そこで、これら全体的なそういう問題点について、まずどのように考えておられるか、お答えいただきたい。
  142. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) ただいま御指摘のございました我が国の結核でございますけれども、我が国におきましては、戦後の混乱等もございまして、年間約六十万人ほども結核患者が発生をいたしまして、国民病とされていた時代があったわけでございますが、これを経て、官民挙げた取組によりまして次第に減ってまいりまして、二〇〇四年には約三万人の新規の結核患者が発生するという状況まで来ておるわけでございます。  これ、なお決して少なくないわけですけれども、これは先ほど申しましたようなことと、それから、我が国の人口構造の高齢化によりまして、潜在的なものがこの時期になって高齢化とともに発症するというような状況もございまして、そのようなことになっているというふうに考えられております。これはWHOの分類によりますと、御指摘もありましたように、中蔓延国というふうにされておるわけでございますけれども、なお年々減少傾向にあるというところでございます。  感染症法の今回の改正案につきましては、厚生科学審議会の議論を踏まえまして、現行の結核予防法に固有な定期健康診断あるいは通院医療等については引き続き関係規定を設けるとともに、感染症法の積極的な疫学調査あるいは入院勧告等、結核予防法にはない規定等が新たに適用されるということも想定しておりまして、一層の結核対策の推進を図ることとしたものでございます。これによりまして十分な結核対策が担保されていくというふうに考えております。  なお、この結核をめぐる諸課題につきましては、これまでにも厚生科学審議会など専門家の御意見をお聞きしてきたところでございますけれども、今後につきましては、高齢化等の新たな課題への対処も含めまして、引き続き専門家の御意見もいただきつつ、結核患者の減少を図るよう対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
  143. 谷博之

    ○谷博之君 これ以上になってくると、その法案の質疑の中にも入り込んでいっちゃうんですが、この感染症法の改正で一番注目されていることの一つに入院期間の短縮ということがあります。この入院期間の短縮されるということで、例えば、今までであれば中長期に入院をしていて、その間に退院後のその方の生活の問題とか、あるいは外来の直接の薬の服薬の支援の問題とか、こういうようなものがきちっと位置付けられて、そして退院をして治療に当たると、こういうことがしっかりできたわけですけれども、なかなか入院が短期ということであればそういうふうなことが不十分になってしまうということが心配されております。  それからもう一つは、多剤耐性の話をしましたが、結局、その薬がどんどんどんどん菌が強くなって効かなくなってきてしまう、こういうことによって、正に、まあちまたといいますか、退院後に感染が広がるというふうな心配もあります。  こういうふうな事柄が心配されているわけでありますが、その点についてはどのように考えておられますか。
  144. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) 我が国の結核の患者さんの平均在院日数ですけれども、これは約現在八十日というふうにされておりまして、諸外国に比べまして極端に長いということが言われております。近年の治療技術の進歩でありますとか社会復帰の重要性というようなことに照らして、適切な入院期間としていくべきものであるというふうに認識をしておりまして、特に命令によります入院期間については、結核の発生あるいはその蔓延を防止するために必要な最小限なものでなければならないという必要最小限度の原則に沿って判断すべきものであるというふうに考えてございます。  こういったものと併せて、今御指摘もございました退院後の多剤耐性結核の発生の予防という観点からは、患者の治療をきちっと成し遂げると、完遂するというための直接服薬確認療法、いわゆるDOTSと言っておりますけれども、こういったものの一層の推進を図ることなど、患者の退院後の服薬支援体制の整備も図ることで対処していきたいというふうに考えております。
  145. 谷博之

    ○谷博之君 いわゆる八十日の平均の入院日数ということでありますけれども、基本的には、この法改正がなされるとすれば、どのぐらいの日数に平均なるというふうに見込まれておられますか。
  146. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) これはなかなか何日になるという予測は難しいものですけれども、仕組みといたしましては、入院の必要性についての審査を三十日ごとに行うというようなことを想定しておりますので、そういった中でその必要性が判断をされていくということになるわけでございますが、八十日というのが、その何割かは短縮をされるんではないかというような予測は持っております。
  147. 谷博之

    ○谷博之君 恐らくある程度数字的なものも検討されておられるんだろうと思うんですけれども、実際、現場のスタッフの人たちの話を聞いておりますと、一か月程度ぐらいにまで短縮されるんじゃないかという、こんな話もしておりまして、そうであるかどうかは、これは私も断定はできませんが、そういうふうな話もある。相当短くなってくるということになれば、一つは病気の、結核に対する治療、それから今申し上げたような退院後の問題、しかもそれはいろんな立場の方が結核患者として入院し退院をしていくという、こういうことだと思いますが、その退院後のやっぱり療養といいますか、そういうものについてもしっかり見ていかなければいけない、そのための指導もしなきゃいけない。  そういう短くすることによって果たして大丈夫なんだろうかと、こんな心配が非常にそういう関係者の中でも話題になっているということでありまして、これは次の法改正のときの議論になりますが、何度も申し上げますけれども、一番心配なのは、この多剤耐性結核が地域に広がっていく、こういうふうなことがもしあるとすれば、非常にそれは懸念されることだというふうに思っていまして、WHOの中程度の蔓延国と位置付けられているわけですが、我々からすると、結核はもうなくなった、あるいはほとんどなくなった病気だと言われていた病気ではなくて、いやいや意外と患者の数も潜在的にあるよ、広がっているよ、こういうふうな話もあるわけで、ただ一言で言えば、採算面だけで入院日数を短くするとか、そういうことだけだったとすれば、私はやっぱり国民の健康全体の問題からしても非常にこれは課題が残ると、このように思っております。一言付け加えさせていただきたいと思うんです。  それらの事柄に関係して更にお伺いしたいわけでありますが、ハンセン病患者に対する不必要な隔離政策を検証したハンセン病問題に関する検証会議というところから報告書が出ています。これでは、感染症に対しては強制力を持たない場合でも公費医療を継続すべきだ、こういうふうなことを提言しております。先ほどの話の関係で、この事柄について、特に結核との関係でどのようにお考えでしょうか。
  148. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ハンセン病問題に関する検証会議で御提言されました感染症対策については尊重すべきものと認識しております。結核についてもこの提言の趣旨を踏まえた対応が求められているものと考えており、現行の結核予防法においては入所命令による入院を公費負担としておりますが、感染症法改正法案においては、都道府県知事による勧告という本人の意見も尊重した強制の要素を持たない入院手続において公費負担を行うなど、その趣旨を反映しているところでございます。
  149. 谷博之

    ○谷博之君 今、大臣もお答えになりましたように、感染症に対しては強制力を持たない場合でも公費医療を継続すべきという、こういう報告ですね。それをしっかりやっぱり踏まえていくということになるわけですよね。現実に結核の場合も外来の治療費についても公費負担されているということでありますけれども、それ以外の感染症患者の人たち、これは感染症予防法の前文にもその精神が触れられておりますけれども、適切な医療提供と人権の尊重、こういうふうな観点からも、いわゆるその結核以外の他の感染症の外来の保険診療についても公費負担をすべきではないか、こういうふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょう。
  150. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) まず、結核につきましては、その感染力がほかの病原体に比べまして非常に強いということ、それからまた患者数も大分減ってはまいりましたけれども、なお一定数多いということ、それからまた患者が高齢化する等の状況も見られる中で、退院後についても長期間にわたって治療をきちっと成し遂げなければ、再発により患者本人が重症化をするという問題だけでなく、他者への感染が拡大して、また多剤耐性結核の出現を招くというような公衆衛生上重大な影響を及ぼすという、他の感染症とは相当に異なった特徴を有しているものでございます。  結核につきましては、そういうことから、退院後であっても確実に治療が継続をされるということが公衆衛生上も重要であるということから、通院医療費を公費で負担をしているというところでございます。
  151. 谷博之

    ○谷博之君 御説明はそのとおりだと思いますが、いわゆる感染症の与えるといいますか、その広がりによって与える影響というものを考えれば、特に結核については非常にそれが大きいということだと思います。  ただ、さっきから申し上げておりますように、この検証会議の報告やあるいは感染症予防法の前文のそういうふうな内容も含めて、やっぱり総体としては、全体の感染症ということについて、それはやはり先ほど大臣がハンセン病の関係でお答えになりましたけれども、公費負担というものをやっぱり原則としてやっていくのが私は本来の建前ではないかなというふうに思っておるんですが、この点についての大臣、お考え、どうぞありましたら。
  152. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今、結核というものを取り上げて、ハンセン病問題に対する検証会議の御提言も入れて御答弁申し上げました。他の感染症の問題について、他の問題についてどうするかについては少し検討させてください。
  153. 谷博之

    ○谷博之君 時間が参りましたから以上で終わりますが、いずれにしましても、この医療制度改革の問題については、今日も様々な団体の方々から今度の改正についての問題点、いろいろ御要請なども受けております。  いずれにしても、この法改正というのは、私はできる限り時間を掛けて、そして様々な当事者、関係者のそういう立場や意見なり声というものをしっかり聞きながら、拙速にならずに時間を掛けた審議をして結論を出すべきだ、このようなことを最後に自分の意見として申し上げまして、私の質問を終わりといたします。  どうもありがとうございました。
  154. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。  まず最初に、前回の引き続きのことについてちょっと御指摘を申し上げ、また御質問もしておきたいと思います。  まず一つは、前回の質問の折に申し上げました社会保障の給付と負担の見通しについて、十八年五月が在り方懇に出されたわけではございますけれども、そのことについて不備であると、十六年五月のときと同じような形で出すべきだというふうなことを申し上げました。  そのことについて私なりに意見を紙にいたしまして配付させていただいておりますので、詳しくはそのことを踏まえてお取り組みいただきたいと申し上げておきたいわけでございますけれども、その精神は、二年前の年金法案審議のときに示されたものと同じ形式で、スタイルで、そして同じ内容で提示すべきであると、このことが一つ。また、同じく、国権の最高機関である国会が、法律に基づかず、官房長官の決裁によるにすぎない社会保障の在り方懇に従属すべきであるかのような対応は容認できない、この基本方針で取り組んでいただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  そして、それを提示していただくに当たっては、各制度別の加入者数も算出することが必要になるわけでございますけれども、そのことについては一定の前提を置いてお取り組みいただきたい。  先ほど、戻って年金のときのことを振り返ってみましたら、年金の場合は二一〇〇年まで見通しを出しているわけですけれども、その前提として九十年間の賃金上昇率、物価上昇率、運用利回り等を前提として出しているわけでございまして、そういった意味では、そこまでやっているぐらいのことでございますので、当然二〇二五年というのは出してしかるべきだと、このように思っているところでございます。  あわせまして、そのことが就業構造の変化ということを見込むということを伴うわけでございますけれども、そのことを前提として先ほど議論もございました、二〇二五年度における各制度ごとの前期高齢者納付金、後期高齢者支援金、退職者給付拠出金、病床転換支援金、これらの額と、それからそれらが保険料総額に占める割合、このことについても、前回は、二〇一五年までで、その後は増えていくだろうと、五〇%を超えていくだろうという見通しをお示しいただいたにとどまっているわけでございますけれども、今日の昼の議論をも踏まえて、その点についても来週早々に明示をしていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  さて、前回の引き続きで一点、大臣にお伺いしておきたいと思います。  それは保険免責制度についてでございます。保険免責制度について、前回の御答弁は、今は検討すべきではないと、こういうことの答弁だったわけでございますが、まず保険免責制度に対する厚生労働省としての基本的な評価、認識を局長からお話しいただきたいと思います。
  155. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 保険免責制については様々な意見があったわけでございます。  一つは、この医療保険制度を維持可能なものとしていくためには、公的保険によりカバーする範囲を重点化していく必要があることから、これを導入すべきであるという提案があったわけでございます。  その一方で、基本的には、これは私どもも申し上げたわけでございますけれども、自己負担の上昇による過度の受診抑制のおそれがある、あるいはこの受診抑制によって重症化の可能性がある、それから、将来にわたり医療に係る給付の割合は百分の七十を維持するものとするという規定の趣旨との整合性、こういった種々の指摘がなされたところでございまして、改革案には盛り込まれなかったということでございます。
  156. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 私がお聞きしているのは、改革案に盛り込まれなかったということではなくて、その制度の考え方の基本をどのように評価するかということについてです。
  157. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) これ、私どもの十月二十三日の医療構造改革試案においては、あれは私どもの案としては出せなかったわけでございます。一つのあれについて試算をすべきであるということで、中には試算はしておりますけれども、提案は私どもしてなかったわけでございます。
  158. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そのことはよく分かっているんです。経緯も全部分かっているんです。その部分の、保険免責制度、その固有の基本的な精神といいますか、在り方、制度、そのことについての評価が実は今まで、半年に至るも、半年以上ですけれども、厚生労働省から発信されてないわけなんですね。しかし、現実に財政審あるいは経済財政諮問会議等でテーマとして上ってくるだろうと予想されるわけです。大臣も前回は、今は検討すべきではないということで、この法案通るまでは考えるべきじゃないと。それは、そういう意味では今のはつながっているわけですけれども、しかし、それを後どうするかという極めて重要なポイントについてどう考えるのかということなんですね。  厚生労働省として、この制度自体をどう考えるのかと、このことの基本を御説明ください。
  159. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 先ほど申し上げましたように、自己負担の上昇による過度の受診抑制のおそれがあると、これによってまた重症化の可能性があるということが提案があったわけで、意見があったわけでございますし、この意見に対していかなる答えが出せるのか、これにつきましてはなお検討しなきゃいけないと思いますし、それから、将来にわたり医療に係る給付の割合は百分の七十を維持するものとするという規定の整理をどうするか、これの整理もできてないわけでございますので、私どもとしては、正に私どもの立場の表明として、十月二十三日の私どもの試案では私ども提案の中には入れなかったわけでございます。
  160. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 その入れなかったということと、このことをどう考えるかということはまた別のことで、出さなかったことが意思表示だというのは、これは極めて不誠実な対応というか発言であって、そのこと、極めてこれから日程に上ってくるわけですね、財務大臣がやろうとしている、財政審ものろうとしているということですから。基本はどうなのかと、基本についてどう考えるのかということをはっきりした上で、それはある程度内閣全体でいろいろやっていくことがあるんでしょうけど、その基本をどう思うかなんですね。  今の説明だと、そういう意見があるということだけど、厚生労働省としてそういうふうに考えているのかどうか、そこだけはっきりしてください。
  161. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 先ほど御紹介しました意見があるということを踏まえまして、私どもとしても慎重に取り組むべき課題であると、このように考えているわけであります。
  162. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 若干価値が出てきたと思いますけれども、それじゃ大臣に、今の基本的な認識が奥歯に物が挟まった言い方ではありますが、今は検討していないとおっしゃったけど、法案が通った後どうされるか、大臣、お願いします。
  163. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 約二か月にわたって医療制度改革、極めて重要な御審議をいただいて、私自身が手のひらを返したような発言を今後いたすことはあり得ません。したがって、保険免責制度の議論が出てくれば、私の立場としては反対と申し上げます。
  164. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 はっきり言っていただいて、心強く思います。  前回の御答弁でも、経済財政諮問会議等ではっきり私、物を言ってきましたというふうにおっしゃっているわけでございます。今の御見解もしっかり踏まえて、厚生労働省としての一つの筋というものをはっきり打ち出して御対応いただくように申し上げておきたいと思います。  それからもう一点、これは私の前回の質問ではございませんけれども、衆議院の最終局面において厚生労働委員会で総理が出席をされて、最後の段階でやり取りがあった問題で、医療機関における未収金の問題でございます。  これについては総理の発言がありまして、未収金に対してはどうやって改善策を講じていいかということを今検討している最中だと、どのような改善策を講じるか、厚生労働省としてもよく意見を聞いて対応していかなきゃならない問題だと、このようにおっしゃっているわけです。この点についてどのように取り組んでいかれる方針か、御説明ください。
  165. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この未収金の原因につきましては、その背景、様々でございます。医療の高度化によって医療の単価が増えたということも考えられるわけでありまして、一概には言えないと考えております。  そのような中で、患者も含めた国民全体に、医療サービスは自己負担と国民の連帯による保険料、税で支えられていることを自覚していただくことでありますとか、医療機関におきましても、クレジットカードでの支払、納めやすくするような工夫、それから支払の督促など徴収の努力をすると、こんなことが必要であろうかと思っております。  医療保険のサイドにおきましては、この未収金の大部分が入院に伴うものであると、このように病院団体の資料もございます。そういうことがございますので、来年の四月から七十歳未満の方につきましても、入院して高額な医療費が掛かった場合に、医療機関の窓口での支払を高額療養費における自己負担限度額にとどめるといった措置を検討しているところでありまして、こうした取組によって未収金について一定の改善が期待できるのではないかと考えてございます。
  166. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 高額療養費の問題は後で聞こうと思っていましたけど、それは一つの、悪いことじゃないんですけれども、それがすべてというわけでもないんだろうと思うんですね。  総理が最終局面でこういうふうに明言しておられる限り、一つ方向性を示して、今の高額療養費のことも含めて、国保の制度の在り方もあるかもしれませんし、今の高額療養費の改善ということもあるかもしれませんが、そういった方向性一つ対策として打ち出していただくように、このことを御要請をしておきたいと思いますけど、大臣、一言お願いします。
  167. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 総理自身が具体的なことを頭に入れて御答弁されたんではないと思いますけれども、いろいろこの問題が衆議院の段階でも提議されました。  我々も、医療機関自身が努力されることはまず前提でありますけれども、我々として何がし得るかというものをしっかり考えなきゃならないと。その中で、一つの案をまた申し上げましたけれども、また他のこともできるようなことがあれば考えてみたいと、このように思います。
  168. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 総理の場合は、具体的に何か考えてというよりも何も分からないでおっしゃっていたように思いますけれども、それはそれといたしまして、大事な問題ではございますので、しっかりとお取り組みいただくように申し上げておきたいと思います。  それで次に、今の話にもございました高額療養費のことでございます。以下、時間も限られておりまして、盛りだくさんの課題、まあ、ひょっとすると今回、私、最後の質問になるかもしれませんが、若干足早に行かせていただきますが、少し簡潔なやり取りになるかもしれません。よろしくお願いいたします。  まず、高額療養費についてでございますけれども、私どもといたしましては、医療費負担におけるセーフティーネットが高額療養費であると、こういった認識を持っておりますので、現在の定率負担があるという青天井、このことは非常に不安を与えるものだと、このように思っておりますので、基本的にこの青天井である現行の高額療養費制度の定率負担というものを廃止すべきだと、このような主張を基本に持っているわけでございます。  また、そのことは申し上げつつ、以下、幾つか聞いておきたいと思います。  先ほど御言及もありました来年四月からの一医療機関、入院についての高額療養費の自己負担のときに、償還払いではなくて、その限度額だけ払っておけばいいというその部分について、実は今まで明文化はないんです。国会答弁しかないんですね。これ、いつはっきりさせるのか、内容について簡潔にお示しください。
  169. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 内容について申し上げますと、来年の四月からと考えてございますけれども、患者の窓口での負担を軽減するために、入院して高額な医療費が掛かった場合には医療機関での窓口での支払を高額療養費制度における自己負担限度額にとどめまして、償還払いされる分を患者さんが支払う必要はないようにしたいと考えてございます。  この仕組みといたしましては、ただいま御指摘がありましたとおり、一医療機関ごとの入院費用を自己負担限度額にとどめるということで考えているわけでございます。その理由は、複数の医療機関に入院した場合、なかなか自己負担額を把握することがそれぞれの窓口では難しいということでございますので、一医療機関を単位として入院費用を自己負担限度額にとどめることにしているわけでございます。  この周知の点でございますけれども、これは私ども国会答弁でこのような答えをさせていただいているわけでございますけれども、法案成立後なるべく早い段階で通知等で関係者に対して周知を図っていきたいと考えております。
  170. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今通知とおっしゃいましたが、政令改正ではないんですか。
  171. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 政令でございますけど、政令の前に通知で考え方を示したいと考えております。
  172. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それから、所得を、一般、上位所得、低所得で、窓口で考えなきゃ駄目ですよね。このことはどうされるんですか。
  173. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) その点が一番難しいところでございますが、所得情報をあらかじめ市町村から取るという形で対処していきたいと思っております。今の老人でもそのようなことをやっておりますので。
  174. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 当然のことですけど、全医療保険制度が対象であると、こういうことでいいですね。
  175. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) そのとおりでございます。
  176. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そこで、高額療養費制度の制度はあれども現実に適用を申請しているかどうかということがあるわけですね。分からない場合も、あるいは非常に複雑なままに、受けないままに終わっていると、これがかなりあるということで、そういう分析もあるわけですけれども。  そこで、まず政管、国保、現在通知がどうなっているのか、簡単にちょっとお示しください。
  177. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 政府管掌健康保険につきましてお答えを申し上げたいと思います。  高額療養費のお知らせの送付ということにつきましては、昨年の十二月に都道府県の社会保険事務局に通知を発出をさせていただきまして、本年度、十八年の四月から、本年度より全国の社会保険事務所から該当する被保険者方々に対しまして、高額療養費に該当する旨のお知らせを送付するということで始めさせていただいたところでございます。
  178. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 国民健康保険につきましては、全体の調べというのはしたことございませんけれども、今年の五月に政令指定都市、十五の政令指定都市に聞き取り調査をいたしましたところ、十五市中十一市で手続勧奨通知を実施していると聞いております。
  179. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 通知のやつは私、見せていただいているんですが、政管、国保、それぞれ自分で記入しなきゃいかぬわけですね、医療機関だとか何日間だとか。そういう理解でいいですか、政管と国保。
  180. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 政管のお知らせにつきましては、現在のレセプト情報管理システム上、該当する方を抽出するということは可能なんでございますけれども、お一人一人に印字をしてお知らせするということが今のシステムではまだできない、そういう意味では請求可能な金額等をお知らせに記載することはできていないという状況にございます。  今後、政管健保の公法人化に伴いましての新しいシステムの構築に際しまして、今御指摘にございましたような被保険者の利便性向上を図るという観点から、氏名とか被保険者の記号番号、請求金額等、請求に必要な情報をあらかじめ記載するというようなことについて、そういう内容を持ったお知らせを出すことにつきまして、十分検討してまいりたいと思っております。
  181. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 国保の方はそこまで行ってないということですね。ちょっと確認ですけど。
  182. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 国保の方で金額まで通知を併せて送付しているのは二つの自治体と聞いております。
  183. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そこで、厚生労働省の皆さん方の足下である厚生労働省の職員共済組合がどうなっているか、このことについてお示しください。
  184. 金子順一

    政府参考人(金子順一君) 厚生労働省共済組合におきます高額療養費の支給の手続でございますが、これは組合員の請求に基づきまして組合が決定するという仕組みでございますが、当省の組合の場合には、請求漏れがないようにということで該当する組合員に事前にお知らせをする、そして申請書類を一緒にお渡しをするということをしております。  その申請書でございますが、あらかじめ共済組合の方で分かっている情報につきましては、請求額等でございますが、これを書き込んだ上で組合員に渡しております。そうしたことで、簡便に申請ができるような取扱いとさせていただいております。
  185. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 正に非常に最先端を走っていらっしゃるというか、お手盛りというか、評価は分かれるところかもしれませんが、非常にすばらしい制度になっているわけなんです。  私が言いたいのは、共済組合でそこまでやれているわけです。すなわち、高額療養費が発生したら償還できますよということを、通知だけじゃなくってその請求書まで本人に渡して、本人はもう名前をサインをして判こを押すだけでいいことになっているんですね。そこまでやっているわけなんですよ。共済でできているんですよ。  さっき社保庁の方は、政管健保については把握はできているんだということだったんです。把握はできているけどやってないということなんですね。国保の方は、その把握も必ずしも行き届いてないと。まあ市町村、小さいところもあるわけで、その辺は状況として分からなくもないんですけれども、しかし、これだけ厚生労働省の共済組合で最先端を走っているわけですから、その精神で政管、国保、それぞれ督励をしていただきたい。  とりわけ政管は、二十年十月からは全国健保になるかもしれませんけれども、それまでは政府管掌でございますから、当然政府の立場で推奨できるわけだと思いますので、その点については、さっきまだこれから先の話だと、何年か、三、四年間は今のままだということのようなんですけれども、額だけどこかに書くということはできるはずだと思うんですね。何か自分のところだけは非常に最先端を行っておきながら、国民の政管、中小企業方々、それから国保の自営業者等々の方々については実はほったらかしになって後回しになっているという、その典型だと思うんですね。  ですから、どうかその点については共済組合を正に見本にしてお取り組みいただくように要請しておきたいと思いますが、大臣、どうですか。
  186. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 多分、厚生省の共済よりも民間企業の組合の方がより早くサービスをされてたんではなかろうかなと、それを見習いながら共済組合も入れてきたんだろうと。そういった意味では、政管、国保の方が遅れているということについては、ある意味では私の立場からいえば申し訳ないなと。国民の立場を考えたときに、やはり民間同様のことは当然、コンピューターの問題でございますからできるはずでございますので、できるだけ早くするように私の方からも督励してまいりたいと思います。
  187. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 事務的に詰めたいと思います。  政管の方について、今の大臣の御指摘を踏まえてできるだけ早く対応するように、金額も入った通知が行くようにしていただきたい。どうですか、政管の方、お願いします。
  188. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 御指摘の点も踏まえまして、私どもどこまで、これはシステムの手直しということも含めての議論が必要かと思いますけれども、検討をさせていただきたいと思います。
  189. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 国保の方も、それぞれの自治体の主体ではありますけれども、できるだけそのことについて、二市、二つの市がやられているわけですけれど、全国的に広がるようにお取り組みいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  190. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この点につきまして、ちょっと留保的に申し上げたいと思いますのは、保険者によりましては、高額療養費の自己負担の趣旨は、やはり患者さんに掛かった医療費の大きさ、これを実感してもらう必要があるんだと、それをいかにしてほかの被保険者から支えてもらっているんだということを分かるためにやっているんだということを主張される方もおられるわけなんです。  したがって、利便性という考え方から取りますと今委員御指摘のとおりでございまして、私どももそのように進めているわけでありますけれども、やはり最終的にはこれは自治体ごとの自主的な判断によろうかと思うということは申し上げたいと思います。
  191. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 主体が市町村国保である限り、おっしゃる、突き詰めた論理はそうだと思いますけれども、しかし、高額療養費制度をせっかくつくって一つのセーフティーネットとして張っているわけですから、そういうことをつくった責任において、市町村国保のそれぞれにその精神をできるだけ、額は伝えるかというのはそこはまあぎりぎりあるかもしれませんけれども、少なくとも、あなたはそれに当てはまるんですよというその通知ぐらいはあってしかるべきだと思うんですが、そういうことは取り組んでいただきたいと思うんですが、いかがですか。
  192. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) その趣旨は伝えたいと思います。
  193. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 もう一点、今度の法案に関係してくるわけですが、後期高齢者の方々は今度新たな医療保険制度ができてくるわけですね。その保険者は、いろいろ議論はあるかもしれませんが、基本的に広域連合と、こういうことになっているわけでございます。そういたしますと、高額療養費を、先ほどと同じように、あなたがそれが適用されるんですよという通知をするとか、額はどうだとかということが通知するとすれば、広域連合がするしかないわけですね。  やはり、二十年からですからまだ先でもあるわけで、そして市町村と違って都道府県単位の広域連合であるわけですから、それだけの能力も力もあってしかるべきだと思いますので、そういった意味で、この後期高齢者の医療保険制度においての高額療養費について、さっきの共済みたいな形で理想的な姿が当初から導入できるようにお取り組みいただきたいと思いますけど、いかがでしょうか。
  194. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この広域連合も性格といたしましては自治体でございますので、先ほどの市町村国保と同様の取組を私どもとしてもしたいと思います。
  195. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 この広域連合は、国保連が一つの事務局的なことをやるという形になっているというふうに位置付けられると思うんですね。そしてまた、規定の中では、国保連が後期高齢者医療の円滑な運営に資する事業を行うことができると、こういった規定になっているわけでございます。ですから、審査、支払が国保連がやるということですから、そこから少し手を伸ばすといいますか拡大をすれば、そこに、手の届くところにそのことが出てくるわけですから、そういった意味において、広域連合に是非取り組んでいただくように、このことについては是非しっかりと目くばせをしてやっていただきたい。  市町村国保以上にできるはずなわけですから、これは非常に大事なポイントだと思いますので、是非お取り組みいただきたいと思いますが、局長、いかがですか。
  196. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 国保連がこの広域連合でどういう位置付けになるかという点は、実はこれはまだ定まっていないわけでございます。したがいまして確としたことは申し上げられませんけれども、仮にそういうことになれば、市町村国保とは違った、よりやりやすいということにはなろうかと思いますので、ただ、気持ちとしては先ほどの国保と同様の取組をお願いしたいと考えております。
  197. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 すべて共通するわけですけれども、共済組合ができていることを現時点で政管はできていない、国保はできていない。後期高齢者医療制度を新しくつくるけれども、そこも先の話で分からないし責任は最終的には持てないよと、こういうことじゃ極めて情けない話でありまして、その基本としてせっかくつくった医療費負担におけるセーフティーネットである高額療養費について、そのことが、せっかくつくったのに知らないままに、あるいは複雑だといって申請がないままに、適用のないままいっている、そういったところで現実に非常に負担を被っておられる方がおられるということがあるわけですから、そのつくった精神が貫徹できるように、その思いを込めてそれぞれの制度に取り組んでいただきたい、そのことを申し上げておきたいと思いますけど、大臣、一言決意をお願いいたします。
  198. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 確かに、私どもやる主体でありませんから、一〇〇%と、ここでやらせますと言うわけにはいかないんだろうと。しかし、社会保険庁、また局長から答弁をさせましたように、しっかり周知をしながら、正に国民のサービスの向上ということにつながるわけですから、また制度をしっかり周知させるのは我々の仕事でもあろうと思いますから、しっかりやっていきたいと思います。
  199. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そのことは是非しっかりとお取り組みいただくように申し上げておきたいと思います。  それで、後期高齢者の話に関連して、二つちょっと詰めておきたいと思います。  一つは、後期高齢者医療保険制度ができるわけですが、その保険料をどうするかということについてでございます。  これは既に考え方も出されているわけですけれども、被用者保険の被扶養者についての保険料負担の求め方ということについて激変緩和的なことのお考えを持っていらっしゃるやに聞いておりますけど、そのことについて内容をはっきりさせておいていただきたいと思います。
  200. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この後期高齢者医療制度におきましては、公的年金制度の充実、成熟化ということを踏まえまして、すべての七十五歳以上の方を被保険者といたしまして、自らも保険料を負担していただくことにしてございます。  その際に、これまで被用者の子供と同居するなどいたしておりまして、被用者保険の被扶養者として保険料を負担してこなかった方がおられるわけでありますけれども、これらの方々につきましては、激変緩和の観点から、後期高齢者医療制度に加入したときから二年間、保険料を半額とする措置を講ずることとしてございます。  これによりまして、例えば子供と同居する被扶養者で、子供さんが政管健保の平均的な年収を得ておられると、で、その被扶養者たる高齢者の方が基礎年金しか収入がないと、こういうケースで見ますと、仮に国民健康保険と同様の基準により試算した場合で見ますと、軽減措置を講じた後の保険料は全国平均で月額千五百円程度になるものと試算しております。
  201. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これは政令で決めていかれることかということと、恒久的措置かということをお願いします。
  202. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 形式としては政令で定めます。  それから、恒久措置でございまして、これからの後期高齢者になられる方についても二年間適用されるということになります。
  203. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それから、今度大臣に、療養病床の転換の問題はいろいろ議論が出ましたし、御見解もいただいておりますけれども、改めて私からもお聞きして基本的に御見識を伺っておきたいんですが、やはり今度の療養病床の転換、再編ということについては、介護難民が出るのではないかという不安、また医療関係者からすれば政府の方針転換が急過ぎて病院経営に支障を来すと、こういった不満、不安も出ているわけですけど、このことについてはどのように、しっかりとお取り組みいただけるか、改めてお伺いいたします。
  204. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今回の療養病床の再編では、療養病床は医療の必要性の高い患者を受け入れるものに限定し医療保険で対応するとともに、医療の必要性の低い患者への対応としては、療養病床が老人保健施設等の介護施設に転換することにより、大きな改修をすることなく受皿となることが可能だと考えております。  療養病床の再編成については、介護保険事業計画だけでなく医療計画や医療費適正化計画にも関連するものであり、各分野横断的、統一的に対応することも必要であると考えます。  このため、本法案成立後、都道府県の協力を得て地域ごとの施設ニーズや関係者の意向の把握を急ぐとともに、厚生労働省においては地域におけるケア体制の整備の方針や療養病床転換に係る計画などを盛り込んだ地域ケア整備方針を策定し、来年夏をめどとした各都道府県による地域ケア整備構想の作成を支援し、施設の適切な対応を促すとともに、三つの計画が整合性を持って策定されるようにしていく考えであり、療養病床の転換に対する利用者や関係者の理解を得ながら取り組んでいきたいと考えております。
  205. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 この問題は国民生活に大きくかかわっていく問題でございますので、そしてまた、病床転換支援金ということを現役の方から負担をいただくということでもあるわけでございますから、しっかりお取り組みいただくように改めて申し上げておきたいと思います。  それから、もう一つ、高額療養費に関連いたしまして、昨年の十二月段階で政府・与党医療改革協議会で医療制度改革大綱を出されているわけですけど、この中で、医療と介護の合算、高額合算のことを設けると言った後で、障害者自立支援法のサービスに係る利用者負担と調整する仕組みの在り方については今後の検討課題とすると、こういうふうな指摘があるわけです。  このことについてどのような方針で取り組まれるのか、お聞かせください。
  206. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) ただいま言及されました大綱の中で、障害者自立支援法のサービスに係る利用者負担、すなわち福祉サービスとそれから医療保険との問題でございますけれども、今後の検討課題とするとされたところでございます。  この障害者自立支援法は三年後の見直し規定も置かれたところでございますので、障害者自立支援法の施行の状況、各制度を通じた利用者負担の実態等、これを十分今後把握いたしまして検討してまいりたいと思っております。
  207. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 ここで指摘されているポイントは、医療、介護の自己負担限度額とサービスの利用額の負担額との、その三者についてということですね。
  208. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) そうでございます。そのように理解しております。
  209. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 この点についても、三年後と言わず、やはり大事なポイントだと思いますので、しっかりとお取り組みいただくように申し上げておきたいと思います。  そこで、次は診療報酬の関連についてお伺いしておきたいと思います。  今回の改正で、後期高齢者独自の診療報酬、あるいは都道府県ごとの診療報酬ということが出ていて、それも議論になったわけですけれども、今回の法改正で十三条に診療報酬の定義というものが出ているわけなんです。  まずお聞きしたいのは、これまで医療保険各法における診療報酬の定義というものを定めた法律があったかどうか、お聞かせください。
  210. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 診療報酬の定義を設けましたのは、医療保険各法の中では今回の高齢者の医療の確保に関する法律の十三条、十四条、これが初めてかと思います。  ただ、法律全体として申しますと、社会保険診療報酬支払基金法で診療報酬を定義しているということはございます。
  211. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これは余り議論する時間もないんですけれども、同じ法案の中の第七十条で規定している診療報酬というのは別のことを規定しているんですね。十三条、十四条は一から四つあって四つのことを指しているんですけれども、七十条で指しているのは三番目だけ指しているという、同じ法案の中で改正しておきながら、診療報酬が十三条と十四条だけに適用する規定になっているという非常に何か分かりにくいことなんですが。やはりそもそも基本的な診療報酬という定義があって、そして応用編があるなら分かるんですけれども、その最初の部分が医療保険各法になくて、こういった枝のところで、枝葉のところでこういう定義があるというのは非常に何かよく分からないし、それが同じ条文の中でも違うことを指しているという、この分かりにくさ、不分明さを指摘だけしておきたいと思います。やはりそういうことがないようにしていただきたいと思います。  それで、同時に、これも大臣の基本的な御見識を伺っておきたいんですけれども、かねがね議論になってまいりました後期高齢者の新たな診療報酬体系についてでございます。これについてやはり不安、懸念というものが多いわけですけれども、この点について、そういった切捨てがないようにということでのお取組を求めておきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  212. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 後期高齢者医療制度は、後期高齢者の心身の特性等にふさわしい医療が提供できるよう構築するものであり、あくまで必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保するという国民保険制度の理念を前提とするものであり、後期高齢者に必要な医療が提供されないといった御懸念が生じないよう十分注意しながら検討を進めてまいりたいと思っております。  お示しいたしました目安におきましても、四十八兆の中で半分近くは後期高齢者の医療だと申し上げているわけですから、数字的にもかなりの数字になるということで、その辺の御理解もいただけるだろうと思っております。
  213. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 その後半の部分がちょっとよく分からない。要は財政も大変だということをおっしゃっているんですか。
  214. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 四十八兆と考えましたときに、二十三兆を超えるものが後期高齢者医療に掛かるだろうと。逆に、後期高齢者に二十三兆円掛かりますということを申し上げているわけですから、非常に多い医療費が投入されるということですから、どんと減額されるんじゃないかという御批判は当たらないだろうと申し上げております。
  215. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 いずれにいたしましても、切捨てとかいうふうな不安、粗診粗療にならないようにお取組を求めておきたいと思います。  それからもう一点、今度は老人保健法が高齢者の医療確保の法律になるわけですけれども、二十五条の医療の実施という条文があるんですが、ここは変わらないという理解でよろしいですね。
  216. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 現行の老健法二十五条で規定されております六十五歳以上七十五歳未満の障害者等を高齢者医療の対象とするという点につきましては、これは今度の新たな後期高齢者医療制度におきましても老人保健の扱いを踏襲して、現在の老人保健の対象者と全く同一のものにするということにしてございますので、六十五歳以上七十五歳未満の方のうち寝たきりの方につきましても、本人の申請に基づいて後期高齢者医療制度の対象者とするということとしてございます。
  217. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 二十五条は二項において、「六十五歳以上七十五歳未満の者であつて、厚生労働省令で定めるところにより、政令で定める程度の障害の状態にある旨の当該市町村長の認定を受けたもの」と、こういう規定になっているわけなんですね。このことは基本的に変わらないと、こういう理解でいいと思うんですが。  それに伴って、これは通知というべきなんでしょうか、医療に関する申請及び届出についてというものが発出されておりまして、その中に老人保健法第二十五条第一項第二号の障害認定を受けようとする者は申請をすべしと、こういうふうなことになっているわけですね。ですから、これは今回の法案が変わらないなら、この精神が貫徹されるというか、同じことが継続するということになると思うんですが。  それで大事なところは、考え方がこうだとしても、その受ける医療というのが変わるわけですね、ドラスチックに変わるわけですね。診療報酬体系も変わるかもしれないということですから、それはどう変わるか分かりませんけれども。そういった意味で、今まで障害者としての認定を受けて、かつ老人保健法の認定を受けた人がその対象だったわけですけれども、その後者の部分は、改めて再申請といいますか、その人の判断を仰ぐプロセスがあってしかるべきだと私は思うんですけれども、その点はいかがですか。
  218. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の後期高齢者医療制度でこの老人保健制度の仕組みを、障害者に関する仕組みを継続、踏襲するといたしましたのは、一部負担金が一割負担になる、それから自己負担限度額も低い金額が適用されるということから踏襲したわけでございます。  現在の仕組みにおきましても、この寝たきり等の認定を受けた方が認定に係る申請を取り下げる旨のお申出をした場合においては市町村長が認定を取り消すということにしてございまして、新たな制度においても同様の取扱いをすることとしてございます。  もう一点、切替え時点でどうなるかという、制度が変わる時点でどうなるかということでありますけれども、これは、現に現行老人保健制度の対象者となっている寝たきり等の方につきましては、対象者の申請に係る負担軽減の観点から認定を受けたものとみなす取扱いをすることとしてございますけれども、本人から申請を取り下げる旨の申出があった場合にはこの認定を受けない取扱いをすることとしておりまして、その点につきましても周知をするようにいたしております。
  219. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 非常に大事なポイントです。  それで、平たく申し上げたいと思いますが、既に老健法適用の患者、障害認定ですね、老人保健法に基づく障害認定適用されている患者の方も含めて選択の機会が新たに与えられると、言い方がちょっとあれですけれども、そういうプロセスを経ると、そういう理解でよろしいですね。
  220. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ですから、基本的にはこの選択で、本人の申請に基づいて、なるかならないかということは決まってくるということでございます。  ただ、その切替え時点で、現行制度で既にこの障害の認定を受けている方については、一応これは新しい後期高齢者医療制度においてもその申請があったものとみなしますけれども、これは取下げが可能でありますので、その点はまた周知をしていきたいと、このように考えております。
  221. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 その取下げの周知徹底というのは大事なところだと思いますが、そのことについても意を用いていただくように申し上げておきたいと思います。  それで、診療報酬についてあともう二点あるんですが、一つはリハビリのことについてでございます。これについてもいろいろ議論がありましたけれども、それらをお聞きして、私ちょっと、こういうことが御見識かというふうに聞いておきたいと思うんですけれども、算定日数上限を超えることが予想されるようなケースはそもそも医師が当初から対象除外疾患に位置付けているはずだという、そういうことをおっしゃっているんでしょうか。
  222. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回のリハビリテーションの再編成の中で算定日数上限を設けると。その中で、この上限適用に当たりましては、失語症とか高次脳機能障害の疾患、こういうものを適用除外疾患としたわけでありますけれども、この除外疾患につきましては幅広く私ども取り上げたつもりでございまして、リハビリテーションを継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合には、これ、除外することとしたところでございます。この適用除外疾患につきましては幅広く取り上げたつもりでございます。
  223. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 ですから、厚生労働省保険局長の見解としては、一般的に考えてこれから漏れることないよと、そういうことなんですね。
  224. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 個別具体の話でまたこれからいろんな御指摘あるかと思いますけれども、私どもとしては、広く取り上げることによって正に状態の改善は期待できると、こういう疾患についてはこの類型を掛けさしていただいたということでございます。
  225. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 別の角度から聞きますけれども、五月三十日の局長答弁で、算定日数上限の日数に達したところでの医学的判断だと、こういう判断になろうかと、このようにおっしゃっているわけですね。そして、その時点で、治療継続により状態の改善が期待できると医学的に判断可能な除外疾病に該当するかどうかの判断が問題になると、このように御答弁されているわけです。  このことの意味ですけれども、上限日数に達した時点で除外疾病に該当するという医師の判断があれば上限のことにはかかわってこないと、こういう理解でよろしいですか。
  226. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) そのとおりでございます。
  227. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そういう理解をしっかりとお伝えいただくように申し上げておきたいと思います。  それから、診療報酬改定の周知期間についてお伺いしておきたいと思います。これも昔から議論されているところだと思いますけれども、今回の告示の公布は三月六日でございました。改定実施は当然、四月一日でございます。これは昔から、十数年間を振り返ってみますと、一番早いときには二月二十二日というのがございますけれども、遅いときは三月十七日で四月一日実施と、こういうことになっているわけでございます。これは現場の医療関係者からすると、かねがね、余りにも短期間であるということでミスも多いしということであったわけでございます。  それぞれ、お立場で努力いただいていると思いますし、予算との関係ということもあるので制約が生じるのはやむを得ないところもあるんですけれども、しかし今回の診療報酬の改定のときも、医療機関への周知期間等を勘案して、平成十八年七月一日とするというものもあったわけでございます。こういった意味で、私はやはり三か月程度の周知期間というものはそもそもあるべきだというふうに思っております。  これはすぐに、もう四月からやってらっしゃるわけですから今後のことの課題になってしまうわけですけれども、やはり常識的な周知期間というものは置くべきだと思うんですけれども、大臣、その点についてお考えをお伺いします。
  228. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 年末に基本的な方針を決めて作業に入るもんですから、委員が今お示しいただきましたように、早くてもこの今年よりも一週間ぐらい早いような感じでございました。そういう意味ではなかなか難しい課題でございますけれども、今回については、例えば療養病床に係る入院医療などの評価体系の大幅な見直しを行うものについては七月より実施するなど、少し工夫はいたしておりますけれども、いろいろ現場の意見も聞きながら工夫もしていかなければならないだろうと考えております。
  229. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 だから、その最初の方は分かるんですよ。予算から来て、それが決まってから考えるということも、着地せにゃいかぬということがあるので、二月半ばぐらいだろうと、そこから出発すればと。こういうのは、それはそこの部分を無理にするということはあり得ないんですね。要は、結局、その実施、施行がいつからかということに掛かってくるわけで、現実に、今おっしゃったように、医療機関への周知期間等を勘案して、平成十八年七月一日からと、そういうものも現実に、慢性期の入院医療の評価でしょうか、そういうのがあったわけですよね、あるわけですよね。だから、そういうことも考えるならば、そもそもこれは三か月ぐらいの期間を置いて出発すべきものだということを基本的に私は主張しておきたいと思っておりますし、そのようなことでのお取組を、今の与党で駄目だったら私らがやってからということになるかもしれませんが、そういうことをすべきだということを申し上げておきたいと思います。  それで、次の問題について移らせていただきます。健診・保健指導事業、生活習慣病対策についてでございます。  まず、これについて、今後の見通しとして、必要となる経費、対象人員、受診率の見込み、この点について簡潔にお示しください。
  230. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 医療保険者にこの実施を義務付ける特定健診、特定保健指導でございますけれども、現実の問題として、現在での取組状況を踏まえて実現可能な目標を設定する必要がございますので、現状から出発をいたしまして、その後、体制整備を図りながら徐々に実施率を引き上げていくと、このようなことを考えているわけでございます。  具体的な項目やあるいは実施方法についていろいろ検討中でございますし、また単価の詳細も確定できないわけでございますけれども、幾つかの仮定を置きまして機械的に計算をいたしますと、平成二十年度におきましては、受診率の目標六〇%といたしますと三千四百万人が受診をするということになりまして、約千六百億円が必要になる。平成二十七年度におきましては、受診率の目標八〇%といたしますと約四千六百万人が受診されるわけで、約二千百億円が必要になると見込んでございます。ただ、これらの金額は、今申し上げた総体の金額の中には、この労働安全衛生法に基づく健診としての事業主が費用負担するものでありますとか、国や都道府県から保険者への補助金、それから受診者からいただきます一部負担も含まれておりますので、ちょっとその内訳、保険者はどのくらい負担しなきゃいけないのかというのは、ちょっとその一部にとどまるというふうに、御説明にとどまるわけでございます。
  231. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今、受診率二〇一五年度の目標、まあ受診率、目標で見込みが八〇%というのがございました。八〇%と聞くと、何か国民年金保険料を連想して何か信憑性があるのかというふうに疑ってしまいますが、そこはまあ素直に信じておきたいと思いますけれども。  そこで、まずお伺いしたいんですが、この健診・保健指導事業の実施の有無のチェック、このことについて、どういうふうに対処していかれるのか、そのことについて御説明ください。
  232. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この特定健診、それから特定保健指導の実施状況につきましては、これは仕組み上、後期高齢者支援金の徴収でありますとか加算、減算の計算とも関連をしてまいりますので、この社会保険診療報酬支払基金におきまして、他の保険者との比較ができるように毎年度、加入者数、健診受診者数の実数、健診実施率等、これらにつきまして毎年度各保険者から報告を求めてチェックをすると、このようになってございます。
  233. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それで、余りに少ないといいますか、そういった場合というのは指導とか助言とかなさっていくと、こういうことでしょうか。
  234. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 保険者に対する指導につきましては、医療保険各法に基づきまして、健康保険組合であれば厚生労働大臣が、市町村国保であれば都道府県が必要な指導を行うということになろうかと思います。これに加えまして、それは各事業の指導責任でございますけれども、これに加えまして、医療費適正化計画の着実な実施を図る観点から、厚生労働大臣及び都道府県知事が実績評価を踏まえまして保険者に対して必要な助言や援助を行うと、このようにしてございます。
  235. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それで、今回の改正の一つのポイントだと思うわけですけれども、やはり大事なところは、これまで受けておられなかった方が多いであろう被扶養者の健診というものをどうやって実際に保障していくのか、やっていくのかと、この部分だと思うわけでございます。  やり方は市町村国保と連携するというお考えを前にも示しておられるわけですけれども、現実に通知はその元々の保険から来るのか、それからその場合の負担はどうなるのかということは極めて大事なところだと思うんですね。やはり、一般的に市町村から来るのと自分が入っている保険から来るということの違いもあるかもしれません。とりわけ、被扶養者ということですから、一般的な言い方ですれば、専業主婦の方も多いだろうと思うわけですけれども、そういう方々が本当に健康診断を受けるかということになると、やはり利用者負担の部分が極めて大きなことになろうと思うんですね。  やはり現実に五百円か千円かとかいうことがあるかもしれません。そういうことが掛かるならばやはりやめておこうと、二の足を踏むということは当然予想されるわけですから、そういった意味でこのことは非常に大事なところだと思うんで、そのことについてはできるだけその本人の負担というものがないように、あるいは少ないように対処されるべきだと思うし、それがなかったらなかなか進まないと思うんですけれども、そのことについてどうお取り組みか、お示しください。
  236. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この利用者負担の点につきましては、被用者保険の被保険者の被扶養者の場合には、その保険者が仮に国保に委託する場合でも、これは費用負担は委託する保険者において行うわけでございます。ついでに申し上げますと、その健診等の結果のデータ管理もその委託をする側の保険者が行うわけでございます。  この利用者負担をどうするかということでございますけれども、被用者保険に関しましては、この受診率の向上という観点、それから事業コストといった観点を踏まえまして、やっぱりこれは最終的には各保険者の判断によるべきものと思いますけれども、今回の趣旨を踏まえて、できるだけ被扶養者が受けやすい環境づくりを保険者がするように私どもとしても指導していきたいと思います。
  237. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そのような姿勢で取り組んでいただくことと同時に、政府管掌健康保険政府が管掌しているわけですから、そのことについては自らのお取組の在り方としてあるわけですね。健診の義務付けは平成二十年四月から、全国健保に移るのがその二十年の十月からですから、最初の半年間は政管健保としてあるわけですね。そして、健診が義務付けられるわけです。そういった意味で、中小企業方々が多い政管健保が政府管掌であるその半年のうちに、やはりそのことの先鞭を着けるといいますかリードをしていただいて、一つの模範を示していただくことがほかのところにも伝わっていくことでもあろうと思うんです。  そういう意味で、政府管掌健康保険の健診のときに利用者の負担が極力少なくて済むような形というものを被扶養者の部分について、特にその部分についてお取組をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  238. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 現在の状況をまず御説明いたしますと、政管健保の被扶養者に対する健診の利用者負担の額につきましては、被保険者と同一の額を金額としているということでございます。したがいまして、平成二十年度以降におきましても基本的にはこうした方向で対応することになるものと考えております。
  239. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これは非常に今回の鳴り物入りでやられるわけですから、被扶養者の健診が進むようにお取り組みいただきたい。国保の方は三分の一ずつ国と都道府県でしたか、地方団体等で持つから、三分の二が公的に負担で、三分の一を国保財政と本人の負担で成り立たすということになることになると思うんですね。  だから、そういう意味で、法案上も健保、共済なども予算の範囲内で補助という規定があるわけですけれども、やはりこの点については財政的なことがありますけれども、やはりそういったことも加味しながら被扶養者の健診というものが進むということに向けて、財政の面でも御努力いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  240. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 国保につきまして国から三分の一、都道府県から三分の一の補助をする、負担をすることになっているわけでございますけれども、これは、ただ、ちょっと状況は被用者保険と違うところがございます。すなわち事業主健診の部分が被用者保険についてはあるわけでありまして、事業主の負担でやっているという部分がある。それに対して、国保にはこういった事業主の負担で行われる健診がないということで公費調整の仕方に違いが出てくるものでございますが、それにしましても予算の範囲内で費用の一部を補助できるという規定もございますので、今後、これは財政当局とも相談をしていきたいと、このように考えております。
  241. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 いずれにいたしましても、その被扶養者を中心としての健診が進むように利用者負担の問題についてもお取り組みいただくように申し上げておきたいと思います。  もう一点、この関連でお聞きしておきますが、労安衛法との関係が議論もございました。それで一点だけ確認したいんですけれども、労安衛法の健康診断項目というのがある。そして、今回の健診事業においての特定健康診査項目というものがあるわけですけれども、それぞれの立場からする項目でございますから当然差が出てくるだろうと。労安衛法でカバーできる部分はそれでいいわけですけれども、労安衛法でカバーできない場合には、その部分については基本的には保険者責任を持ってやるということでいいんでしょうか。
  242. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 特定健診の健診項目につきましては、現在、専門家、それから保険者の参画をいただいた検討会において検討していただいているところでございまして、厚生労働省といたしましては、極力この特定健診の項目が現行の労働安全衛生法の健診項目でカバーされる方向で検討を進めていきたいと思っております。  ただ、労働安全衛生法による健診に含まれない特定健診の健診項目がある場合には、この場合にはカバーされない項目の費用につきましては、これは保険者が負担するということになります。
  243. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 その保険者が負担するという意味は、事業主に今までやっていただいたものを付加して検査もしてもらってその費用負担をするというようなこともあり得るということですね。
  244. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) やり方につきましては、保険者が事業主から労働安全衛生法の健診の委託を受けるときに一体的に実施するということはできるわけでありますけれども、そういう点、そのときでもカバーされない項目の費用負担についてはこれはあくまでも保険者が行うということであろうかと思います。
  245. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 逆の。
  246. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 逆のケースもあろうかと思います。
  247. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それで理解しました。  もう時間ございません。最後に、いわゆる混合診療、特定療養費のことについて確認しておきたいと思います。    〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕  今、特定療養費制度があって、今度は評価療養、選定療養ということに位置付けられるわけですけれども、今まで選定療養として、また高度先進医療として位置付けられたものは、今後この評価療養、選定療養というところにいずれかに入っていくと、こういう理解でよろしいですね。
  248. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 現在の特定療養費のうち、現行で選定療養とされている、十六類型と申されましたので、これ選定療養として位置付けられているものの扱いになろうかと思いますけれども、ちょっと説明避けますけれども、今回新しく、今回の法案で新しく評価療養と選定療養分けるわけでありますけれども、いずれかに分類、振り分けを行うということにしてございます。
  249. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今、選定療養のことだけおっしゃったけれども、今までの高度先進医療も当然評価療養に入っていくと、こういうことなんでしょう。
  250. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 高度な医療技術や治療中の医薬品など保険導入のための評価を行うものを評価療養としておりまして、高度先進医療はこの評価療養にこれは当然入るわけでございます。  そのほかに現在選定療養といたしまして十六類型ありますけれども、これも内容によりまして、評価療養に振り分けられるもの、選定療養に置いておくものと、こういうふうに分けるということでございます。
  251. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それは、今まで選定療養の中に入っていた先進医療が今後は評価療養になるだろうと、そういったことをおっしゃっているんでしょうけれども、要は、基本的には今までの特定療養費制度、選定療養と高度先進医療二つから成っていたその分については、今回の評価療養と選定療養の中に位置付けられるよと、そのことを御説明いただいたと、こういうことだと思います。  それで、厚生労働省として新たに入れる予定の項目はあるでしょうか。
  252. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 現時点におきまして、厚生労働省として新たな類型として追加するということを具体的に想定している項目はございません。    〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕  いずれにせよ、今後具体的な類型の指定があるとすれば、それは中医協における公開の議論を経た上で、適切な手順にのっとってやるということになります。
  253. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今回の評価療養の規定があるわけですが、高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、厚生労働大臣が定めるものと、これが基本的な規定の仕方だと思うんです。  昨日、参考人等の意見もお聴きしましたけれども、ここでやはり一つ不安なのは、高度の医療技術を用いた療養その他の療養であってというときのその他の療養という部分ですね。このその他の療養が保険外給付の範囲が無原則に拡大するおそれがあるんじゃないかと、それにつながるんじゃないかと、こういった御指摘、御懸念もあるんですけど、その点についてはどうお答えになりますか。
  254. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) いずれにしましても、何を評価療養とし何を選定療養に位置付けるか、これにつきましては限定して列挙をしていくということを考えてございますので、無限定に認めていくようなことは、これは規制改革会議とも大いに議論した点でありますけれども、あくまでも限定、一つ一つ有効性、安全性、それなりに点検しながら考えていくということになります。
  255. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それで私はいいと思うんですけれども。  それで、基本的に押さえておきたいと思います。昨年の十月も局長に御質問した折に、現行制度の見直しである、現行制度の再編成であると、こういった御指摘でありましたし、昨日でしたか、いただいた資料も特定療養費制度の見直しということでの言葉になっております。  そうして、先ほどお聞きしたように、今までの特定療養費の中の二つの柱に位置付けられたものが今度の二つにそれぞれ位置付けられると、こういうことになっているわけで、そういった意味で、私は、正に見直しであるけれども、その基本原則といいますか、今までも特定療養費ということで混合診療だったわけですよね、そのことが意識されてないところがあるわけですけれども、いずれにいたしましても、その基本原則、思想というものは変わっていないと、こういうふうに私は理解しておりますけれども、それでよろしいですか。
  256. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) これも何回か御説明させていただきますけれども、どんな新しい技術が医療保険に取り入れられていくのかという、この保険導入のプロセスを透明化すると、こういった趣旨も踏まえて再編成をする。今までどおりというわけじゃありませんで、そういう点では位置付けなりは整理をされたと、従来の制度に比べて整理はされたと思っておりますけれども。  ただ、その中身が何であるかということにつきましては、これは必要かつ適切な医療は基本的に保険診療で確保するという大原則の下に、いずれにせよ、保険診療、保険外診療併用する場合でありますので、保険診療として保険財源も使われるわけでありますので、それはやはり限定的に一つ一つ評価をして、ここに入れるか入れないかということを評価していくという仕組みであるという点においては今までと共通するところがございます。
  257. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これはかねがね議論していたところで、尾辻大臣はポジティブリストという言い方をされたわけですけれども、私は、原則規制、例外自由というふうな、ちょっと過激かもしれませんが、そういう言い方をあえてしていたわけですけれども。やはりその部分は大事な基本の部分でございますので、そのことについてはしっかりと見詰めていただいて、社会的規制というものは無原則に緩和して人間の幸せにつながるものではないと、このように思っておりますので、そのことについてはしっかりとお取り組みいただくように求めておきたいと思います。  それ以外にもいろいろと質問項目を通告しておりましたけれども、時間が来ておりますので、これで私の質問を終わらせていただきます。
  258. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  後期高齢者医療制度について最初に聞きたいんですが、今回、老人保健制度から後期高齢者医療制度になると。なぜ、どこが変わるのかということについて、基本的にはこの間の答弁で、一つは負担と給付の関係が明確になるんだということと、それからもう一つ医療の給付と保険料徴収の主体が一つになるんだと、大体端的に言ってそれが理由であり、それが違いだというふうに理解していいと思うんですが。  ちょっと今日お聞きしたいのは、じゃその負担と給付の関係を明確にするということはなぜやるのか、どういう目的で負担と給付の関係を明確にするのか、お答えください。
  259. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) これは、端的に申し上げまして、老人保健制度における老人医療拠出金でございますけれども、これはこの拠出金、公費と老人保健拠出金によって老人医療費は賄われているわけでありますけれども、拠出金の中で現役世代の保険料と高齢者の保険料は区分されておらないわけであります。したがいまして、現役世代と高齢世代の費用負担関係は不明確でもあると申し上げましたのは、一体、現役世代、例えば健保組合なり被用者保険の被保険者方々、そういった拠出金で多額の支出をされているわけでありますけれども、それが一体高齢者を支えるために使われているのか、制度的にいいますと、自営業の制度のために使われているのか、それが必ずしも明確でない。したがって、その世代間の連帯ということをはっきりさせるためには、やはり高齢者の医療費につきましては、まず高齢者の払った保険料はそれに充てられて、その残り部分についてはこれは国民全体で支えましょうということで、お金の流れといいますか、使途が極めてこれ明確になるという点で今までの不満にこたえることになっているわけでございます。
  260. 小池晃

    ○小池晃君 今のは仕組みの御説明であって、それは分かってるんですよ。  要するに、負担と給付の明確ということでいえば、高齢者は正に自分たち保険を支える保険料を出すと、後期高齢者については。それから、現役世代については、一般保険料と、基本保険料と特定保険料という形で、自分たち保険のための保険料とそれから前期も含めた高齢者のための保険料というのは目に見える形で、まあ言わば給与明細を見れば分かるようになる。  要は、何でそれをやるのかと。知らせることによって、そういう負担関係を知らせることによってどういう効果を期待しているのかということなんですよ。
  261. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) そういう高齢者を支える部分と自分たちの部分が分かれることによって、一言で言えば、そういった若年者の方々の理解を得るためにこういった費用負担関係を明確にするということでございます。
  262. 小池晃

    ○小池晃君 いや、知らせるために知らせるって、理解を得るために知らせるって、それは説明になってないんです。知らせるからには、何らかの目的があって明確化するというわけだから、それは一体どういう効果を期待して、要するに今言われたのは、現役世代の方に高齢者のための保険料が幾らかを示すんだと、理解を得るんだと。なぜそれを示すのかと私は聞いているんです。現役世代の方に高齢者の分はこうですよと明確化することによってどういう効果を期待をしているのかということなんです。
  263. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ですから、冒頭申し上げましたとおり、こういった特定保険料という形で区分された部分については、これは明確に高齢者の医療費に充てられるものであると。その部分が幾らかということははっきり分かるという点で理解が得られる、得やすいというふうに申し上げているわけです。
  264. 小池晃

    ○小池晃君 だから、私が聞いているのは、それはもう何度もお答えになっている。なぜそのことをあえて浮き彫りにして明確にして知らせる必要があるんですかと聞いているんです。答えてください。
  265. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ですから、それはその点が不明確であるという指摘がなされてきたからでありますし、それから、これは一番最初に申し上げましたように、例えば国民健康保険におきましてももう高齢者の方々のウエートが大変高まってきているわけであります。保険料は御負担いただいているわけであります。  その保険料が一体どういうふうに使われているのか、それが一体高齢者御本人のために使われているのか、あるいは国保制度全体を支えるために使われているのか、それも見えないじゃないかと、こういったいろんな御指摘がありまして、そこはやはり制度間を通じて社会連帯の制度として維持するためには、やはりその使途が、後期高齢者なら後期高齢者のためだけに使われているものであることを財政的にもはっきりさせる、そうしたことを通じて被保険者の理解を得ようということでございます。
  266. 小池晃

    ○小池晃君 私は、現行老健制度がすばらしい制度だとは申しません。いろんな問題あると思いますが、世代間連帯になりませんよ、そんなことやったって。世代間対立をあおるだけですよ、それは。  私は、結局お答えにならないんだけれども、なぜこの負担関係明確化にするかというと、これだと高齢者の側取ってみれば、もうストレートに分かるわけです。自分たちの給付が増えれば自分保険料に跳ね返る。同時に、現役世代にしてみれば、高齢者の医療が増えれば増えるほどストレートに自分保険料が目に見える形で負担がかぶさってくるということになる。そうすると、給付を抑制するのか、それとも保険料の負担増を受け入れるのかという選択を直接的な形で迫られるようになる。それが正に給付と負担の明確化であるというふうに思うんです。  介護保険では、そういう仕組みの下で何が起こったかというと、保険料が高いのは高齢者がサービスを使い過ぎたからだということで、昨年、給付抑制というそういう法改正をやっているわけですね。後期高齢者医療制度でも恐らくこれは、この問題というのは、正にそのとおりだというふうに多分認めると思うんだけれども、これは、同様に給付を抑制する力が強く働くことになるだろうというふうに思うんです。  そこで問題になってくるのが、法案の後期高齢者の心身の特性等にふさわしい医療が提供できるよう新たな診療報酬体系を構築するということ。こういう高齢者の負担関係が明確になった上で新たな診療報酬体系を構築すると、こういう仕組みを見れば、大臣、私こういう全体像を見れば、正に、ここは七十五歳以上のお年寄りを集めてそこはできるだけ抑制していく、積極的な治療をやめて医療給付費をできるだけ抑えようとする、まるでうば捨て山のようになるんではないかということが何度もこの委員会で指摘をされましたけれども、正にそういう批判の声が上がるのは当然の仕組みになっていると思いますが、大臣、いかがですか、この点は。
  267. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 衆議院でも参議院の議論でも、また私どもがこれからやります歳入歳出一体計画におきましても、やはり給付すなわちサービスと負担をだれが担うのかと、これは常に明確にしながらやっていかなければならない。そこは、若者も将来自分は年寄りになるわけですから、そうした全体の流れを見ながら若者は若者なりの判断をしていくということが、当然これは正に行われていって、そしてそういうものを最終的には選挙というもので審判が下るというのが政治じゃないでしょうか。政治というものは、なるべくそういうプロセスを明確にしながら国民判断を求めていくということが私は大事だと思いますので、そういう意味では、負担と給付というものを明確にしていくというのは政治手法として当たり前のことではなかろうかなと、まず第一に思います。  一方で、必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保するという国民保険制度の理念を前提といたしております。終末期医療の在り方について国民的な合意形成の下に、患者の尊厳を大切にした医療が提供されるよう適切に評価するほか、地域の主治医による在宅の患者に対する日常的な医学管理からみとりまでの常時一貫した対応を評価することとしております。必要かつ適切な医療は基本的に保険診療で確保するという前提の中で、後期高齢者に対する医療が不十分になってしまうのではないかと、こうした御懸念が生じないようにしっかりやってまいりたいと考えております。
  268. 小池晃

    ○小池晃君 御懸念が生じないようにと言うけど、この全体像の仕組みからすれば、正にそういう懸念があるわけですよ、これは。  私、適切な医療ということで言い逃れすることできないと。適切な手抜き医療ではいけないわけですよ。適切な水準を保障するのが診療報酬であって、こういう仕組みで新たな診療報酬体系をつくれば、それが低く抑えられたり、あるいは高齢者に対する制限が行われるのではないか。必要で適切な医療と言うけど、十分な医療と言わないじゃないですか。十分な医療を行えるのかどうか、こういう心配があるわけですよ。  私、明確に答えていただきたいと思うけども、こういう仕組みにすれば、これは抑制という方向にどうしても力が働いてくる。そのときに、大臣、後期高齢者に対する差別医療は行わない、医療の質を低めることはしないと断言できるんですか。
  269. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 後期高齢者にふさわしい医療を提供していくということで、しっかりやってまいりたいと思っております。
  270. 小池晃

    ○小池晃君 断言できないわけですよ。後期高齢者にふさわしい手抜き医療に、みとりの医療になっていく危険性があるわけですよ、これは。笑っていらっしゃるけど、これは本当に今度の法案の重大問題だと私思う。  しかも、七十五歳以上だけじゃないと。前期高齢者も、身障一級から三級までは後期高齢者医療制度になっていく。腎臓病の人工透析患者はここに含まれるわけです。透析患者の平均年齢は六十三歳超えていますから、かなりの方がこの後期高齢者医療制度に入ってくる。現行制度では、透析患者に対する診療報酬は、年齢にかかわらずこれは同一のものであります。しかし、今議論した新たな診療報酬体系を構築するということになってくれば、これは透析医療の内容が大きくゆがめられるのではないかということになるかと思うんですが、これ局長、いかがですか。
  271. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 新たな診療報酬体系どうするか、これにつきましては、先ほど大臣が申された考え方に沿ってこれから検討するわけでございます。人工透析に係る診療報酬につきましても、後期高齢者の心身の特性等を踏まえて、報酬体系の移動はともかくとして、それぞれ適切な評価を行うべきものと考えてございます。  特に、若年者の透析を評価する場合には、例えば勤労でありますとか育児と、それから治療との両立を可能とするような、こういった要請がある一方で、高齢者の透析を評価する場合には、認知症でありますとか寝たきり等の難治性患者の医療への要請と、こういった観点を踏まえて、先ほど申しましたようにそれぞれ適切な評価を行うべきものと考えております。
  272. 小池晃

    ○小池晃君 私は現場で透析医療にも携わっていて、やっぱり高齢者の透析というのは大変難しいんです、技術的にもね。コンプライアンスが非常に悪いし、合併症多いし、やっぱり若年者に対する透析より一層の配慮をしなければ、血圧のコントロールなんかしなくちゃいけないという非常に難しい技術が要る。私はむしろこれは高く評価すべき技術ではないかと思っているんですが、大丈夫だ大丈夫だとおっしゃるけれども、これ心配になってくる。  こういう発言もあるんですよ。自民党の丹羽雄哉衆議院議員ですが、昨年六月にこう言っている。タブーとされてきた終末期医療の在り方、一人の人間に保険料を集中的に活用するような、例えば人工透析といった問題について、年末には思い切った政策を打ち出したい。ちょっと前になりますが、九八年四月の行政改革国民会議で同じく丹羽氏がこう言っている。私の友人には医者がたくさんいる。皆さん糖尿病の患者を探してくれと言うんです。糖尿病は人工透析で今大体四十万円から五十万円掛かると言うんですね。ある人はベンツに乗って糖尿の人工透析を受けに行く。それで、その費用が四十万円から五十万円掛かっても自己負担たった一万円と、こういうことが果たして許されるのか。この辺のところを率直に申し上げないと、これからの時代を乗り切っていけないのではないかと。  私はベンツに乗っている医者は見たことありますが、ベンツに乗って透析に来るような患者さんなんて本当に私は見たことないし、本当に極端なとんでもない例を持ち出していると思うんですよ。  先ほど、若年者の透析患者は就労がある、学校がある、生活があるとおっしゃったけど、六十五歳以上の透析患者だって働いている人一杯いますよ。生活一杯みんな抱えているんですよ。そういう中で、様々な形で社会に貢献したいという思いを持っていらっしゃる方たくさんいらっしゃいます。私も実際にお話をお聞きしている。  私、透析医療というのは、これは社会復帰、社会参加の医療であって、決してみとりの医療、終末期医療ではないと思うんですが、その点はいかがですか。
  273. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 人工透析そのものをみとりの医療と思う方は余りおられないんじゃないかと思いますけれども。
  274. 小池晃

    ○小池晃君 だから、その患者さんの大半が全体としてはみとり、終末期ということを色濃く打ち出した後期高齢者医療という体系の中に入っていくということがそもそも矛盾なんじゃないですか、だとすれば、私はそう思う。  透析患者、透析医療というのは高齢者であろうと若者であろうと、これは六十五歳というところで切り分けるような合理性は全くないんです。二〇〇四年に透析導入された患者さんを見ますと、導入時の平均年齢が六十五歳超えているんですね。六十五歳以上の透析患者がもし、局長はそういうことはないと言ったけれども、みとりの医療ということになれば、必要な透析が受けられないということにもなってきかねない。  例えば、イギリスの問題がよく出されます。最近国際的な批判もあって、一律な年齢による打切りというのはしないようになってきているというふうにも、緩和されつつあるというふうにも聞いておりますが、しかし、大原則として、高齢者には透析導入しないということが大前提になっているというふうに聞いている。  大臣、私、透析患者の皆さん、本当に心配しているわけです。日本でも、後期高齢者医療制度になってきて、導入をしないであるとか、あるいはもう打ち切るとか、透析患者の命にかかわるようなことが起こるんじゃないだろうかと。こういうことは絶対ないと言えますか。
  275. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今週の決算委員会でしたか、私、障害者の雇用という側面で質問がありまして、人工透析を受けておられる方の雇用問題について御質問いただいて、実は私も一日置きに車の運転をしていただくということで働いていただいたことがございますと。一日の透析を受けられた翌日、正に我々と同じように仕事をしてくれた。ただし、余り長時間無理言ったらいかぬけれども、五時間とか六時間ということになるといい仕事をしてくれたと、こう思っていますと、こういう話を申し上げました。  そういう意味では、人工透析を受けられる方もいろいろな方々がいらっしゃいますし、また年齢的に六十五ぐらいの方だったら社会の中で働いてもらえるという方々もたくさんいらっしゃると思いますので、そういった思い自分はいたしておりますから、人工透析をされるから、それに対してどうだという考え方は全く持っておりませんし、またしっかり世の中に参加してほしいという気持ちの方が強うございます。  したがって、これから後期高齢者の医療制度、また診療報酬についてはこれから定めることになりますけど、よく意見を聞きながら定めてまいりたいと思います。
  276. 小池晃

    ○小池晃君 患者さんの団体などもありますので、しっかり意見を聞いてやっていただきたいというふうに思いますが。  続いて、後期高齢者医療制度の広域連合の問題をちょっとお聞きしたい。これは市町村ではなく都道府県単位の広域連合にした理由を端的に御説明ください。
  277. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 高齢化の進展に伴って老人医療費増大することが見込まれておりますので、後期高齢者医療制度の運営に当たりましては、財政の安定化を図る観点から広域化を図る必要があるということが最大のポイントでございます。  一方で、保険料徴収でありますとか各種申請の受付、こういった窓口業務につきましては、これは住民に身近な行政主体として、住民情報を保有して日ごろから地域住民に接している市町村が担うということが適当であると考えておりまして、これらの事情あるいは関係者との協議を踏まえまして、保険料徴収等の事務は市町村が行うこととした上で、都道府県単位で全市町村が加入する広域連合を設立して、この広域連合を運営主体とすることによって財政運営の広域化及び安定化を図ることとしたものでございます。
  278. 小池晃

    ○小池晃君 問題はその広域連合の議会です。ここで保険料条例、徴収減免規定に関する条例の制定など、非常に重要な役割を果たすわけです。この広域連合の議会の議員の選出方法、選出基準、簡単に御説明ください。
  279. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この後期高齢者医療制度の運営主体となる広域連合でございますけれども、これは地方自治法に基づく特別地方公共団体でございまして、この広域連合の議会の議員につきましては、広域連合を設立する際に定める規約に基づくことになるわけであります。  二つのパターンがありまして、一つは、広域連合を組織する市町村の議会の議員及びその長の選挙権を有する方が選挙人となって行う投票、これは直接投票になるわけであります。又はこの広域連合を組織する市町村の議会における選挙、これは間接選挙になるわけでありまして、このいずれかにより選挙することになるわけでございます。  議員の被選挙権につきましては、各広域連合の規約において定められるということになるわけでございます。
  280. 小池晃

    ○小池晃君 これ、実態としては間接選挙のところが多いと思うんですが、今回の広域連合というのは、これは事実上七十五歳以上の高齢者のみに対する事務を処理するための自治体ということになるわけです。独立保険をつくる眼目というのは、先ほどから言うように負担と給付の明確化ということであれば、私はこの後期高齢者医療制度の広域連合の決定に当事者たる被保険者、つまり七十五歳以上の住民が選ばれなければいけないはずだというふうに思うんです。七十五歳以上の住民がこの広域連合の中に議員として一体どれだけ選ばれる仕組みになっているんでしょう。
  281. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 私どもといたしましても、この後期高齢者医療制度の運営に当たって、被保険者であります後期高齢者の納得と理解を得ながら進めていくということが必要であるということは考えてございます。  ただ、この広域連合の議会の構成員につきましては、被選挙権を含めまして、地域の実情も踏まえて規約において定めるべきものでございます。したがって、最終的にはやはり地方自治、正に自治体がお決めになることでございますので、幾つぐらい入ることになるのかといった具体的な、そもそもまだ広域連合をつくっていないわけでございますのでお答えできないわけでありますけれども、繰り返しになりますけど、この七十五歳以上の方の意見も踏まえながら運営に当たっていただきたいと、このように考えております。
  282. 小池晃

    ○小池晃君 私は当事者が運営に加わることが担保されていないのは重大な欠陥だというふうに思います。  続いて、広域連合による保険料賦課、保険給付の問題ですが、これは保険料を賦課されたり給付するわけですから、広域連合の住民は本来直接その議員を選出する権利を持っているというふうに思うんです。しかし、現存する広域連合はそうなっていません。  例えば、厚生労働省が課長会議で詳細に紹介している福岡の介護広域連合でも間接選挙です。住民との関係は薄くなっています。しかも、被選挙人には首長、議員だけではなくて、住民が全く選出に関与できない助役、収入役も含まれております。今回の広域連合というのは、これは日本じゅうで義務化されるわけですから、もっともっと深刻だというふうに思います。しかも、今お話あったように、七十五歳以上の住民代表選出は保障されていない。こんな広域連合議会が、七十五歳以上の住民の正に切実な利害である後期高齢者医療制度の保険料条例や減免規定を決めていく。私は民主的議会だけが義務を正当化できるというのが民主主義の原則だと思いますが、この大原則から見て問題ではありませんか。
  283. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この広域連合、地方自治法に基づく特別地方公共団体でございますので、地方自治法の規定するところによってその議会が構成されるという点においては、これは規約で定めるということになっているわけでございますので、これはそれ以上、その決め方自体につきましてはやはりそれぞれの団体でお決めになることだと思っております。  ただ、七十五歳以上の方々の御意見を踏まえて運営すべきということは、これはおっしゃるとおりでございますので、何らかの形でそうした努力をしていただきたいと、このように思っているところでございます。
  284. 小池晃

    ○小池晃君 意見を反映するのは当然であって、そういう仕組みが担保されているかどうかなんですよ。それが法律になければ、それは欠陥になるわけです。広域連合は原則都道府県で一本の保険料率になっていますが、法の百四条二項の規定では、離島その他の医療の確保が著しく困難である地域であって厚生労働大臣が定める基準に該当するものに住所を有する被保険者保険料の特例を設ける規定があります。これは、離島など極めて限定的な場合を想定しているのか、それとも医療費の地域的な偏りも考慮されるのか。
  285. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ただいま委員御指摘のとおり、後期高齢者医療制度の保険料につきましては、原則として広域連合の区域内は均一の保険料率とすることとしてございますけれども、離島その他の医療の確保が著しく困難な地域については、広域連合の判断によりまして広域連合の条例で異なる保険料率を定めることも可能としてございます。この異なる保険料率を定めることのできる地域についてでございますけれども、離島も含めまして、無医地区のように近くに医療機関がなくて、かつ医療機関へのアクセスが困難である地域と、こういったことで考えて検討を進めたいと考えております。
  286. 小池晃

    ○小池晃君 現在、市町村が住民の健康保持に第一義的な責任を持って地域の実情に応じた高齢者施策をやっています。かつては岩手県沢内村の医療費無料化などの取組もありました。現在も老人保健制度で市町村独自施策は多数存在します。こういった施策は広域連合ではどうなるんでしょうか。
  287. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 後期高齢者の医療制度に基づく給付についての、どこまで広域連合は独自に対応できるのかという御質問かと思いますけれども、まず、後期高齢者に対する医療給付につきましては、高齢者医療確保法におきまして、療養給付など法律で給付が義務付けられている給付を、法定給付のほかに、広域連合の条例で定めるところによりまして、傷病手当金の支給その他の医療給付を行うことができると、このように規定しているところでございます。  まず、この療養の給付についてでございますけれども、後期高齢者医療制度では現役世代よりも低い一割負担が原則でございますので、これを更に減額するためにいわゆる上乗せ給付を行うということは、現役世代との負担の公平性を失することから、私ども想定はしていないわけでございます。  他方、傷病手当金の支給等の給付につきましては、これは広域連合の御判断によりまして、財源的にはこれ高齢者の方々保険料が財源になるわけでございますので、任意給付を行うことは、これは可能であると考えております。
  288. 小池晃

    ○小池晃君 独自性と言いながら制限を掛けるのは私は趣旨に反するというふうに思いますが、独自財源が事実上ない広域連合に独自施策やることはかなり現実には難しいのではないか。やはり、そういう意味では、いろんな地域による実情の違いがある。山間地、沿岸部、都市部、農村部、地域ごとで生活習慣も違えば産業構造も違う、健康の課題ももう千差万別なわけで、だからこそ今まで市町村単位でいろんな施策に取り組んできたという経過があると思いますが、大臣、こういう広域連合がやはり自治体独自の高齢者の施策を後退させることにつながらないのか、その点はどうなんでしょう。
  289. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 保険ですから、確かに地域の事情を一番よく知っているのは市町村であり、そして小さな村ほど村長さんが全員の実情をよく分かっている、これは間違いないだろうと思います。しかし一方、保険財政の安定ということになりますと、ある程度規模を大きくしていかなければもたないという中で、今回、県の中で広域連合を組むという選択をさせていただいた、両方の要請からきて今日の決断をさせていただいたと考えております。
  290. 小池晃

    ○小池晃君 私は、この制度が市町村独自の様々な施策を阻害することになるということを非常に懸念をするものです。  続いて、歯科医療の問題についてちょっと取り上げたいと思います。  今年四月に診療報酬の改定がありました。いろんな問題があるんですが、一番私どもの方に意見として寄せられている問題として、患者さんへの文書提供項目が急に増えたと、五つが二十二になったということなんですね。情報提供自体はこれは大いに進めなければいけないことだと思うんですが、一律な義務付け、診療報酬上の義務として押し付けるということが非常に現場で混乱を生んでいると思います。  神奈川県保険医協会の開業歯科医師のアンケート結果を見ましたが、もう本当に強い意見が並んでいます。政府が行っていることは開業医のリストラである、今までも十分患者に説明してきた、その上、文書の義務化が多過ぎる、診療より文書を書いている時間が長い、もうくたくただ、こんな意見。あるいは、保険診療をやめるか転職するかしかない、毎日まるで学生実習のようだ、こんな意見もある。文書提供などの膨大な事務量の増加が患者さんとの十分なコミュニケーションを阻害したり歯科医療の質を低下させるということがあったとしたら、私、大問題だと思うんです。  この問題は参議院の行革特でも大臣質問があったと思うんですが、大臣はそのときに、保険医療機関の事務負担をしっかり把握するというふうに答弁されていますが、把握されたんでしょうか。実態あるいはこの批判の声をどういうふうに大臣として受け止めていらっしゃるか、お聞かせください。
  291. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ちょうど四月末から五月の段階の話だったと思っています。保険医療機関の事務負担を軽減し、歯科診療における患者の情報提供が効率的に行われるよう、カルテや診療報酬請求書の記載について運用面での簡素化の通知を出しました。たしか四月の末と五月の初めごろだったんではなかろうかなと思います。  その後、私もいろいろな方々の御意見を聞いておりますけれども、そうした対応の中で、今、歯科医師会の皆さん方ともお話合いをさせていただいておりますけれども、四月当時のようなお声は今はないんではなかろうかなと思っております。ただ、新しい制度でございますので、その後の検証はしっかりしていきたいと思っております。
  292. 小池晃

    ○小池晃君 いや、ちょっと甘いと思いますね。その通知出た後も問題続いていますよ。ほとんど、若干ぐらいの緩和にしかなっていないというふうに私は聞いています。  しかも、重大なのは、今年四月四日付けの日本歯科新聞という業界紙に、匿名ですが現職の歯科指導医療官の発言が出ているんです。何と言っているか。この文書提供の問題についてこう言っているんですね。今回の改定は多少の厳しさを伴うにせよ、個々の歯科医院が患者からの信頼感を回復し、高めるチャンスだと認識すべきだ。もし、信頼関係が医患、医者と患者の間に生まれれば、自費診療の比率も上がっていくだろう。現在、混合診療解禁に向けた動きが併せて進んでおり、歯科医院のコミュニケーション能力の高まりが歯科医院の収入を高める大きな要素となるものと期待される。今回の改定は夜明け前の改定と呼んでもよいのではないか。  局長、今回の文書提供の義務付けというのは、これは混合診療解禁に向けた夜明け前の改定だったんですか。
  293. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) これは正に個人的見解でございまして、厚生労働省の見解とは異なるものでございます。
  294. 小池晃

    ○小池晃君 個人的見解ったって、業界の第一の新聞に堂々と出ているんですよ。こういうことがあっていいんですか。  これ、私、もし厚労省の方針に反するというのであれば、手だて打つべきだと思います。人物特定して、何らかのこれは手当てをするべきじゃないですか。その点はいかがですか。
  295. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この記事、委員も御指摘のとおり、これ匿名で書かれたものでございまして、まあそういったものに私どもあえてコメント、どのようにしたらいいのかよく分かりませんけれども、私どものこの混合診、いわゆる混合診の問題につきましては、これはもう何回も繰り返し申し上げてきたとおりでありまして、この匿名のこの記事にまあ一々個別に反応するべきものかどうか、よく分かりません。
  296. 小池晃

    ○小池晃君 いや、こういうのを放置しちゃいけない、いけないと思いますよ、行政としては。大臣はうなずいていらっしゃるけれども。これは重大な問題だと思いますよ。こんなことを平気でしゃべっているとしたら。  ちょっと歯科医療の中身そのものについても聞きたいんですが、そもそも歯科医療を充実させて歯の健康を保つというのは極めて大事なことだと思います。八十歳で二十本の歯を有する八〇二〇というのは、これは健康日本21の指標にもなっている。  これ、最近東北大学の渡邉誠教授らが、保有している歯の数が多いほど医科の医療費が低いという研究結果を発表しています。これは以前からいろいろあって、兵庫県歯科医師会とか香川県とかいろいろあるんです。  大臣に私、基本的な認識をお伺いしたいんですが、高齢者の歯の健康状態を保持するというのは全身の健康にも大きな役割を果たすし、それが結果として医療費を低く抑える効果ももたらす、まあ一石二鳥、三鳥じゃないかと思うんですが、大臣いかがですか。
  297. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先日発表しました平成十七年歯科疾患実態調査の結果において、八〇二〇達成者の割合は健康日本21の目標値である二〇%を達成し、高齢者の歯の健康状態の改善に成果が上がっていると認識しております。  御指摘の調査については、一定の前提の下、残存歯が少ない者の方が多い者に比べ医科の医療費が高い傾向が見られるという報告書でございます。こういった報告は、広く国民が歯の健康に関心を持つ啓発の一つになるものと認識しております。  今度の医療制度改革においては、医療費の適正化を推進する観点から、疾病予防を重視した保健医療体系への転換が柱の一つとされており、歯科保健医療の分野においても八〇二〇運動を始めとする疾病予防、健康増進を目指した歯科保健医療の充実が重要であると考えております。
  298. 小池晃

    ○小池晃君 重要だというんだったら、メタボリックシンドロームばっかり一辺倒でやるんじゃなくて、がんの問題とかこういう歯科の問題とか、きちっと指標に据えてやるべきじゃないですか。もう胴回りのことばっかり話題にして健康指標にするというのは、私は非常に偏っているというふうに思います。別に自分のことに照らして言っているわけじゃありませんが。  私、そういう意味じゃ、本当に余りにも歯科分野は軽視され過ぎているということは申し上げたいと思うんです。問題なのは、歯科医療分野での保険外負担が拡大続けているんですよ、そういう中で。そもそもの歯科の医療分野では、新しい治療法がなかなか保険適用されない。  局長、最近新たに保険適用された技術というのはどれだけあるんですか。
  299. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 平成十二年度から今回までの過去四回の診療報酬改定におきまして、歯科医療の分野において新しく導入された技術といたしましては、睡眠時無呼吸症候群の治療法としての口腔内装置を始めとした三つの技術でございます。なお、この歯科診療報酬改定に際しましては、日本歯科医学会に属する専門学会から要望を聞きながら、中医協の専門家による組織におきまして有効性、安全性等の観点から科学的評価を行った上で、保険導入しているものでございます。
  300. 小池晃

    ○小池晃君 平成十二年、十四年、十六年、十八年、四回改定あったのに、三つしか入っていないということなんですね。一方で、前回議論したように、医科分野では今年の改定だけで新たに五十、新技術が入っているんだから、非常に少ないんです。  で、厚労省の調査によれば、歯科医療に対する国民の要望の第一位、夜間や休日でも診療が受けられるように、第二位は、保険の範囲を広げてほしいなんです。国民の願いは保険で最善の歯科医療を受けられることだと。  ところが、実際には歯科分野では新しい技術がなかなか保険適用されないし、保険診療への制限が、日数制限とか条件とか、いろんな形で制限が加わっている。医科の先取り的にどんどんどんどん制限している。これが実態です。結果として保険外の負担が拡大しているわけであります。だから、国民保険適用ということを真っ先に言うんだと思うんですね。医科ではこういう声は上がってきませんよ。  私、大臣にお聞きしたいんですが、非常に大事だということはおっしゃった。であればですよ、やはり今のように保険外診療を広げていくようなやり方というのは、これは改めるべきじゃないか。こういうやり方は歯科医療の在り方をゆがめ、歯の健康を壊し、ひいては厚労省が目指す健康づくりにも逆行するということになるんじゃないですか。この点、いかがでしょうか。
  301. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 第一に、歯科の問題についていろいろ私も勉強したいなと思って少し始めているところでございます。問題を、意識を持ちながらやってまいりたいと思います。  一方で、歯科診療におきまして、保険外診療の割合が増えておるという御発言でございますけれども、私どものデータでございますと、平成七年、保険外診療一三・一%、十一年が一二・七、十五年が一二・〇、十七年が一二・五でございますから、そういった意味では増えているという御指摘は当たらないと思っております。  ただ、歯科の問題について、先ほど八〇二〇運動の問題、また新たな保険も含めた健康増進のための歯科の役割というものは十分勉強していきたいと、このように思っております。
  302. 小池晃

    ○小池晃君 一三%、一二%で推移しているということ自体が重大問題だという認識を持っていただかないといけないというふうに思います。  私は、先ほどの指導医療官の発言なども含めて、歯科医療の現場を混合診療の実験場にするようなことは絶対に許してはならないということを申し上げておきたいというふうに思います。  続いて、政管健保の都道府県単位を軸とする再編の問題についてお伺いをしたいと思います。  これは、政管健保を都道府県単位に再編統合し、国から切り離した全国単位の公法人を保険者として設立をする、都道府県単位の財政運営を基本にするということなんですが、これ、保険料については現行は八・二%というのを今回、健保組合と同様に三%から上限一〇%に改めるということになるわけですが、これはなぜですか。
  303. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) まず、健保組合の保険料率のところから議論としてはスタートするわけでございますけれども、現在、上限が九五パーミル、下限が三〇パーミルとしているところでございます。  ただ、平成二十年度から特定健診、それから特定保健指導を医療保険者に義務付けるということも踏まえまして、保険料率の上限を一〇〇パーミルまで引き上げることとしてございます。  一方、政管健保につきましては、現在、上限九一パーミル、下限六六パーミルとしているところでございますけれども、平成二十年十月の公法人化によりまして自主自立の運営を確保すると、それから都道府県ごとの保険料率に移行するということを踏まえまして、健保組合と同様、上限を一〇〇パーミル、下限を三〇パーミルとすることとしたものでございます。
  304. 小池晃

    ○小池晃君 これは健保組合、現行の上限は九・五%、九五パーミルで、九一パーミルの政管健保より高いわけですよね。健保組合が上限を一〇%、一〇〇パーミルにするからといって、なぜそれより低い政管健保も一緒に一〇〇パーミルにする必要があるんですか。組合健保に合わせる必要ないんじゃないでしょうか。
  305. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) これは判断の問題でございまして、政管健保を全国健康保険協会、公法人に改めるということで、言わば民間の健保組合と同様の仕組み、その点では民間の法人になるわけでございますので、この健保組合と合わせることにしたという判断をしたというようなことでございます。
  306. 小池晃

    ○小池晃君 それはその一〇%にそんな理由で引き上げる理由にはならないと思います。  社会保険庁にお聞きしますが、二〇〇四年度が一番直近のようですが、政管健保の平均保険料は三十一万五千二百三十七円です。これが最大一〇%になった場合の保険料を示してください。
  307. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 今御指摘の平成十六年度決算におきます平均保険料額は、御指摘のとおりの三十一万五千二百三十七円ということでございます。  仮に、これに保険料率を一〇〇パーミルとした場合を機械的な計算をさせていただきますれば、平成十六年におきまして三十八万四千四百三十五円という数字が出てまいります。
  308. 小池晃

    ○小池晃君 要するに、約七万円もの値上げが可能になる仕組みが入っているということになると思うんですね。地域の医療費を反映した保険料率設定できるというけれども、これは新たな負担増に道を開くということになるのじゃないか。  その負担増の一つの要因についてお聞きしたいんですが、公法人の人件費であります。今、社会保険庁職員というのは国家公務員ですから人件費は国庫負担であります。これ、新たに公法人、それから社会保険庁で政管健保の徴収、適用に当たる人の人件費は、これはどこから出ることになるのでしょうか。
  309. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この全国健康保険協会の人件費を含めました事務費につきましては、保険料及び国庫負担で賄うということになります。国庫負担の取扱いにつきましては、自主自立の運営の確保という公法人化の趣旨あるいは健保組合の取扱い、これらを踏まえて、今後、財政当局とよく協議をしていきたいと考えてございます。  一方で、その適用、徴収の業務につきましては、これは従来どおり国、また将来的にはねんきん事業機構で厚生年金の事務と一体的に行うこととしてございますが、今後、年金事務費の取扱い等も踏まえながら、これも財政当局とよく協議をしていきたいと、このように考えています。
  310. 小池晃

    ○小池晃君 協議をするといっても、今までは国庫負担だったものが保険料が入ってくることになる。  今、社会保険庁にお聞きしますが、社会保険庁職員で政管健保と厚生年金にかかわっている総人件費と職員数を示してください。
  311. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 政管健保と厚生年金保険、業務的に一体的に行っております。これに従事しております職員数、平成十八年度予算というもので申し上げますれば、約一万一千人でございます。この一万一千に係る人件費九百十億円というところでございます。
  312. 小池晃

    ○小池晃君 新しくできる公法人の体制は常勤だけで二千人というふうに聞いております。そうすると、単純計算で全部保険料から出すとすると、百六十五億円の人件費が保険料から出てくると。このほかに非常勤千五百人分の人件費もある。国庫負担もあるんだというふうに言っていますが、そこは何の担保もない。  大臣、この公法人の人件費が新たな保険料負担となって加入者にかぶるということについて、加入者の理解が得られるとお考えですか。
  313. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) お答え申し上げましたように、まず政管健保は国から切り離した公法人になりますから、当然、自主自立の運営を確保することになる。その一方で、予算の範囲内で国庫負担を行うと。そういった意味では、人件費の一部については国の方から応援をしていくということになるだろうと思います。そういったところで御理解を賜っていきたいと思います。
  314. 小池晃

    ○小池晃君 いや、私が聞いていることに答えてないですよ。国庫負担が入るから理解されるというけれども、全く今までは保険料から出てなかった分が新たに出ていくわけですよ。そういうことが加入者の理解を得られるというふうにお考えですかというふうに聞いているんです。私はこれは、こんなこと知ったら皆さん怒るんじゃないかと思いますが、どうですか。
  315. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 知ったらというんでなくて、明確にしながらやっていきます。当然、こういう形でやらしていただきますということです。
  316. 小池晃

    ○小池晃君 この点でもこれ新たな負担の押し付けじゃないですか。私、これ重大だというふうに思うんです。  それと、仕組み自体について聞きたいんですが、今回、保険料の徴収と給付がどうなるかというと、ちょっと現在の老人保健制度の問題点を先ほど一番最初に議論しましたが、この問題点については厚生労働省は何と言っているかというと、保険料の徴収は各保険者でやっている、給付は運営主体の市町村がやっている、これでは市町村は保険料を取る痛みが分からないから一体化するんだと、だから後期高齢者医療制度をつくるんだと、こういう御説明ですよね。これ、ちょっと確認ですけど、これでよろしいですね。
  317. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 給付する主体と保険料を賦課する主体は、これは一体であるべきだということでございます。必ずしも徴収ということに限らず、保険料を決めて賦課するということは、これは保険制度のポイントだと思っております。
  318. 小池晃

    ○小池晃君 しかし、今回のその政管健保の方どうかというと、政管健保の運営主体は公法人になる。しかし、ここは保険料徴収やらないわけでしょう。だから、保険料徴収は社会保険庁に残るわけです。ねんきん事業機構というふうになっていくということを今提案されている。  だとすると、これは政府の論理に照らしても、現行老健制度と同じように保険料を集める痛みが分からない組織ということになるんじゃないですか。
  319. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 先ほども申し上げましたとおり、保険料を賦課するのは、これはあくまでもこの場合には全国保険協会になるわけでありますし、それから現実の問題として考えていただきたいわけでございますけれども、政管健保の適用、徴収というのは、これは正に厚生年金と適用事業所は重なっているわけでございます。したがって、厚生年金の適用、徴収と併せて行うことが、事務の効率化を確保して、事業所の負担の軽減を図る上でもメリットがあるということがございます。特に強制徴収をしなきゃいけないというときに、こういった年金徴収組織でこの徴収そのものはしていただくというのは、それなりの合理性があろうかと思っております。
  320. 小池晃

    ○小池晃君 私、そんなこと言っているんじゃないんですよ。論理が矛盾しているじゃないかと、支離滅裂じゃないかと言っているんです。賦課と徴収違うなんて、そんなの理解できませんよ。  だから、今まではそう違ったから、理解得られなかったから後期高齢者制度を一緒にすると言いながら、政管健保でわざわざ分けるということが、これは説明付かないじゃないかと私聞いているんですけど、いかがですか。
  321. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 保険料を賦課して、かつその保険料がどういうものであるかということを説明する責任は、これは広域連合にあるわけでありますし、この場合ですと全国健康保険協会にあるわけでありますから、そういった被保険者に相対峙して説明責任を負っているという意味で正に保険料の賦課を行うわけでありますので、それと給付が一体であるというのは、それは一つ、一貫したものであると思っております。
  322. 小池晃

    ○小池晃君 いや、これは納得できません。  こんな制度になれば保険料の設定、徴収、保険給付が組織ごとにどうなるかというと、国保は運営主体の市町村がこれは一体としてやっているわけです。新しくつくる高齢者医療制度でも、運営主体の広域連合が一体的にやっていくと。健保組合の保険料率の設定、これは大臣許可ですけれども、徴収、給付は自主運営になっていくと。政管健保だけが適用と徴収が社会保険庁で、給付が公法人という。  これ、非常に複雑な仕組みになると思うんですが、納得のいく説明を求めたいと思います。
  323. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 済みません、ちょっと今別な話をしてたものですから。  この全国保険協会で保険料率も決定いたしますし、賦課もいたすわけでありますから、その点では広域連合と変わっていないと思いますが。徴収事務だけ、これはねんきん事業機構なり社会保険庁でやってもらおうということでございます。ですから、広域連合において保険料率の決定、賦課は広域連合が行って、徴収事務は市町村でやってもらうという構造と、そんな意味では類似しているわけでございます。
  324. 小池晃

    ○小池晃君 いや、それは違うと思いますね。  しかも、公法人化で、この公法人というのは一体何なのかということですね。これ、予算、事業計画、財務諸表は大臣が許可する。しかし、公法人の職員民間人だと。組織は国でもない、公益法人でもない、民間でもない、公法人だというあいまいな組織で、一方で理事長を大臣任命するというのはこれ特殊法人と同じようですが、訳分からない組織じゃないですか。結局私はこれ、今まで行ってきた国の事業を下請するようなものであって、自主性強調するけれども、国の責任後退することになる。  何よりも、政管健保というのはこれ強制保険なわけですよね。こういう強制保険である政管健保から国が手を引く、それで何だか訳の分からない公法人というのにゆだねるということが果たして許されるんですか。
  325. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 基本的な仕組みとして、社会保険庁から切り離して政管健保だけを扱う、より明確化にしていこうということで今回お諮りをさしていただいております。そうした中で、民間を主体としながらしっかりとした運営をしていかなければならないと、このように思っております。
  326. 小池晃

    ○小池晃君 いや、私の言っていることに答えておられない。これ、重大なやっぱり国の責任の後退になるし、こういう訳の分からない組織に強制保険の運営を任していいのかということ、ここ根本問題じゃないですか。  しかも、これ理事長を大臣任命するというんですが、都道府県ごとに設ける支部の支部長は理事長が任命するんです。これ今、公益法人への天下り、後を絶ちません。二〇〇五年四月現在、全国社会保険協会の関係団体だけでも百人近く天下りがある。結局、こんな公法人が四十七都道府県に全部一つずつ、公法人、公法人、公法人、公法人ってできてくる。天下りの受皿が四十七個増えるだけじゃないですか。
  327. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ですから、今申し上げたように、もちろん理事長も民間から来ていただきたいと思っておりますし、また各支部の責任者もできるだけ民間から登用できるようにしていきたいと、このように思っております。
  328. 小池晃

    ○小池晃君 できるだけ民間からと言うけれども、実態としてはこれ天下りの受皿になる可能性が極めて大だというふうに思います。  何の改革でもないということを申し上げて、質問を終わります。
  329. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  これは質問通告していないんですが、冒頭どうしても聞きたいので、お聞きをいたします。  昨日、参議院の決算委員会で社民党の又市幹事長と小泉首相との間で激しいやり取りがありました。規制改革によりコンビニエンスストアで薬を買えるようになったと小泉首相は発言をしておられますが、街頭演説をしていらっしゃるわけですが、大臣、これは間違いということでよろしいですね。
  330. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) もう少し精査してから、私、担当者の説明を聞いた上でお話ししようと思ったんですけれども、急に質問が出てしまいましたので、今実は精査している、中なものですから、お許しを賜りたいと思います。  医薬品の中で三百品目以上だったと思いますけれども、医薬部外品ということにしてコンビニ等で買えるようになった、その中に風邪薬があるのかというのが一つの議論になりました。風邪薬という範疇からいえば、まあ、まだ正確じゃありませんよ、ここへ塗る薬の風邪薬、それは中にあるようでございます、あるようでございます。  それから、正確に、医薬品と医薬部外品というのは明確に分かれておりますけれども、それじゃ薬という用語は何だということになりますと、両方を指すことになるかもしれません。それはちょっともう少し明確にしてから御答弁申し上げますから、医薬品と医薬部外品と、中で、それでは医薬部外品は薬ではないのかという話になりますと微妙なところですから、もう少し詰めさせてください。
  331. 福島みずほ

    福島みずほ君 規制改革によりコンビニエンスストアで薬が買えるようになったとなれば、普通の人は薬を買えるようになった、風邪薬でも買えるようになったと普通思うじゃないですか。医薬部外品と医薬品とあって、医薬部外品も薬に入るというのは普通の人は分からなくて、通常は薬と言えば薬なわけですから、コンビニエンスストア、規制改革でコンビニエンスストアで薬が買えるようになったと言うのは、これは一つ大きなミスリードだと考えますが、いかがですか。
  332. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ですから、私の立場からいえば、政府広報については正確な表現で医薬品と医薬部外品という形で分けてやるべきだったと、同じ政府の一員としてはそういうことでこのたしか委員会でおわびを申し上げたと思っております。  一方で、演説で薬という表現を使ったということについて、それがいかぬか悪いかという話になりますと、薬というものはどういうものだと、こういう定義的なものにどんどんなってしまいますから、それは演説でやった話とこういう委員会で私が正式に答弁している話は少し違うんだろうと、そんなことを総理も言われて、少し紛糾をしたというのが事実だと思います。
  333. 福島みずほ

    福島みずほ君 規制改革の結果、コンビニエンスストアで薬が買えるようになるかどうかというのは非常にやはり大きいことだと思います。薬は、薬害で苦しんでいる委員もこの委員会の中にいらっしゃいますけれども、やはり薬害もあるわけですし、コンビニエンスストアで薬が買えるようになるということの、総理大臣の特にメッセージですよね。しかも、小泉首相は厚生労働大臣も経験している人なわけですから、こういうことを言うのは明らかに間違っていると。で、間違ったんだったら、私たちだって間違いあるわけですから、素直に間違いだったと言うべきだと考えますが、いかがですか。
  334. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ですから、薬という表現でなくて医薬品と医薬部外品という明確な、こういう専門の委員会では当然そういう言葉の使い方をすべきだと。一方で、例えば今まで医薬品だった胃薬等が医薬部外品になって何と名前を付けて売っているかというと、健胃薬ということで下に薬というのを付けて売っているわけですよ、コンビニで。ですから、そういうものを総称してという議論になると随分広がりを見せる話になると。  ですから、街頭等での演説と、こういう委員会できちっとした精査な議論をすれば、私は政府広報の足らざる点等についてはここで申し上げたとおりでございます。
  335. 福島みずほ

    福島みずほ君 ただ、こういう重要なことに関して、だからこれはミスリードをしたのか勘違いをされていたのか分かりませんけれども、私は間違っていたのであれば間違ってましたというふうに素直に言うのがいいというふうに思います。  次に、肝炎についてお聞きをいたします。  インターフェロン治療の進展で、従来難治性のウイルスと言われていた患者さんも最新の治療法では五〇%近い完治率であると言われております。しかし、これは最先端の医療機関で十分な専門家によるケアがなされた場合の話であって、全国のどこでもこうした最善の治療が受けられる状況ではなく、また全国平均すれば同じ最新治療であっても完治率は二〇%も満たない状況です。  先日、薬害でC型肝炎に感染された被害者の方が議員会館に実態を訴えに来られました。御本人が出産の際に血液製剤でC型肝炎に感染し、その後第二子出産時に母子感染をしてしまった。経済的に大変な中、子供だけでも最新のインターフェロン治療をしたいと考え、地元医療機関に相談に行ったけれども、どの医療機関も子供に最新のインターフェロン治療はしたことがないといって断られ、結局東京の病院を紹介されたけれども、これでは治療を受けることはできないと、その被害を訴えていました。  このような治療体制の地域格差の問題に関してどのように対処していくお考えなのか、改めてお伺いします。
  336. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) C型肝炎につきましては、これまでも国民に対して普及啓発、診療体制の整備など様々な取組を行ってまいりましたけれども、ただいまも御紹介がありましたような新たな治療法が開発されるなど肝炎診療を取り巻く状況も変化をしてきたことから、平成十七年の三月に専門家会議を開催をいたしまして、更なる推進方策について御議論をいただき、昨年の八月に報告書が取りまとめられたところでございます。  この報告書の中におきまして、C型肝炎診療の地域の偏在等が問題点として指摘されておりましたことを踏まえまして、地域の実情に応じてC型肝炎診療体制の充実が図られるよう、都道府県等において地域の保健医療機関の関係者から成るC型肝炎診療協議会を設置をいたしますとともに、C型肝炎治療の均てん化が図られますよう、その診療体制にかかわる対策について専門的協議を行う全国C型肝炎診療懇談会をこれは厚生労働省として開催することといたしまして、昨日、第一回の会合を開催をしたところでございます。
  337. 福島みずほ

    福島みずほ君 C型肝炎患者の方は約半数の人々がいまだ自分が感染していることに気付いていないと言われています。早期発見、早期治療を実現するために、公費による検査体制を整備する必要があると考えますが、いかがですか。
  338. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) C型肝炎につきましては、一般的に自覚症状に乏しいということが多いものですから、本人が気が付かないうちに感染から慢性肝炎、そして肝硬変あるいは肝がんへと病状が進行する可能性がございます。肝炎ウイルス検査を行いまして早期の治療につなげることが大変に重要であるということでございます。  こうしたことから、平成十四年度から老人保健事業の基本健康診査、政府管掌健康保険の生活習慣病予防健診、また保健所における特定感染症検査等の事業におきまして肝炎ウイルス検査を実施しておりますほか、健康保険組合等においても実施をされているところでございます。  今後とも、C型肝炎持続感染者の早期発見を含むC型肝炎対策を一層推進してまいりたいと考えております。
  339. 福島みずほ

    福島みずほ君 是非、公費による検査体制を整備するということに向けて進めてください。  次に、助産師の問題についてお聞きをいたします。  今朝、円理事の方からもありましたけれども、私自身も全国行って産科の問題、助産師さんの問題については非常に要望を受けるところです。社民党の自治体議員の女性たちの集まりの中でも、岩手や様々な自治体の自治体議員の女性たちからこの問題が指摘をされて、是非取り上げてほしいということを言われています。  この問題で、今回の良質な医療を提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案十九条で、今までは「助産所の開設者は、嘱託医師を定めて置かなければならない。」となっていたのが、「厚生労働省令で定めるところにより、嘱託する医師及び病院又は診療所を定めておかなければならない。」と要件が付加されました。  そうしますと、今でも例えば、実は嘱託医師になってくれる人がなかなかいない、探すことがなかなかできない、よって開設ができない、助産師さんが壊滅的になっていくというか、助産所が開けないということが言われるんですが、今回の医療法の改正でより困難になるというふうに思いますが、いかがですか。
  340. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今回の制度改正は、助産所が嘱託医師と嘱託医療機関の双方と連携を取りまして地域の産科医療の安全を確保するということを目的とするものでございます。  御指摘のようなことが懸念されるということでございますけれども、制度改正を検討する医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法のあり方に関する検討会には、関係者に参加していただきまして、その報告書におきまして、今回の制度改正に際しては、行政や助産師産科医師などの関係団体は嘱託医師の確保に協力する必要がある旨の提言をいただいたところでございます。  厚生労働省といたしましては、法改正の趣旨について、産科医療にかかわる医療関係者等に周知を図り協力を求めるとともに、既存の周産期医療協議会や今回の医療法改正の中で創設をいたします地域医療対策協議会などにおきまして、地域の実情を踏まえた取組を検討するよう、都道府県や関係団体にも協力を求めてまいりたいと思っております。  なお、地域の実情に応じた連携体制を確保するため嘱託医療機関の医師を嘱託医師とすることももちろん可能でございます。
  341. 福島みずほ

    福島みずほ君 済みません、最後がちょっと早くて分からなかったんですが、嘱託する医師及び病院又は診療所と書いてあるので、嘱託医師と及び病院又は診療所が必要なので、今よりも要件が厳しくなるわけですよね。  そうしますと、今でも嘱託医師を探すのが大変なのに、病院又は診療所となると負担が増えて開設が困難になるわけですね。今だって産科医がいない、助産師さんをもっと応援しなくちゃいけない、助産所頑張ってもらわなくちゃいけない、地域医療でと。ばあっと産婦人科医が増えるわけではないので、助産師さんの役割強化を評価しなくちゃいけないというときに、なぜ今回の改正で要件が付加されるのか。
  342. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今回の改正でございますけれども、その観点は医療の安全ということから、これは実は助産師さんの側からも、嘱託医師ではなくて嘱託医療機関という形で緊急の場合の対応ができるところと連携を取る形にしてほしいというような御要望も受けまして、そして先ほど申しました検討会においてそのような議論が積み重ねられた上で決められたものでございます。  最後に申し上げましたのは、ちょっと早口だったかもしれませんが、その連携体制を確保するために嘱託医療機関が今回新たにございますが、その医療機関の中の医師を嘱託医師とすることももちろん可能であるということで、それほど大きな負担にはそういう面でいえばならないのではないかと思っておりますし、関係の方が協力をするということについては検討会報告でも御提言いただいておりますし、その旨、厚生労働省としてもそれを求めていきたいと思っております。
  343. 福島みずほ

    福島みずほ君 そうであれば、この条文は、助産所の開設者は病院又は診療所というふうにすればいいわけであって、嘱託する医師は要らないんじゃないですか。
  344. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 嘱託医師は、産科医療の安全を確保する体制を整備する観点から設けられているものでございますけれども、緊急時に限らず、妊娠中の健診結果の情報交換など日常的な連携、相談等を通じて、助産所助産師と連携をして健やかな出産に導く役割を期待されているわけでございます。こうした役割を果たす産科医療を専門とする産科医師を嘱託医師とするということでございまして、現在専門外の医師が選任されている場合があるというようなことでございますので、産科のお医者さんにこれをお願いをしたいと考えてございます。  嘱託医療機関は緊急の場合のためということで、嘱託医の方は、今申し上げましたように、ふだんからの連携あるいは相談といったようなことでその役割を異にするところがございますので、その双方が規定されたということでございます。
  345. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、今現在、地方都市では、いろいろ手紙もいただきましたが、例えば岩手県などでも、産科の人がいない、あるいは産婦人科のなり手がいない、少なくなっている、地域にいない、お産するのが大変、車で何時間も行かなくちゃいけない、大変というのが出ているわけですね。  この嘱託医は産科医じゃなくちゃいけなくて、しかも、更に今度の改正で要件が付加されて、病院又は診療所も決めなくちゃいけないということであれば、助産所助産師さんにとっては非常に働きづらい、場合によっては開設できなくなる、あるいは、何というのかしら、お店を、お店というか助産所を閉じなくちゃいけなくなる。そうすれば、ますますますます、少子化といって騒いでいるのに、女の人が行く場所がなくなっちゃう。これはどうですか。
  346. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今回の改正の基本的な趣旨につきましては、もちろん、助産師さんが開業しやすい体制をつくるということは大事なことではございますけれども、基本的には、そこでお産をする産婦さんの安全という観点から、きちんとした医療機関との連携が必要であるという観点から設けられたものでございます。そこを確保した上で、地域での助産所の開設なり助産師さんの活躍ができるようなことを進めていきたいと、そういうことでございます。  やはり安全のための規定ということでございますので、そこを緩めて数を増やすというわけにはいかないのではないかと思っております。
  347. 福島みずほ

    福島みずほ君 今日、このことで延々とやっているわけにはいかないかもしれないんですが、実際、地域の中で子供を産む手段がどんどんどんどんやっぱり閉じていくだろうというふうに思うんですね。今でも、嘱託医を見付けられないのでなかなか大変だという話をよく聞きます。産婦人科もいない、助産師もいないんだったらどうやって子供を産めばいいのか、地域の中で、というふうに思います。  ですから、助産師さんの活用をもっとすべきであるということについてはいかがですか。
  348. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 助産師さんについては、正常なお産を取り扱うということで御活躍をいただいておるところでございまして、今御指摘のように、あるいは今までの議論にもございましたけれども、是非その活躍の幅を広げていっていただきたいと思っておりますし、私どもとしても、できるだけその環境を整備していきたいと思っております。
  349. 福島みずほ

    福島みずほ君 大臣、今の答弁を聞いておられて、いかがですか。
  350. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 円委員のときにもお答えしたんですけれども、円委員もそういう御指摘だったので。少なくとも、何かあったときの診療所との体系は、やっぱりしっかり最後の安全のために取っておかなきゃならない。  別のお医者さんまでということになるとなかなか難しい地域は、診療所の中にいるお医者様と、産科のですね、助産師さんが連携を取れる体制をしておけばいいんだろうと。書き方は、書きぶりは書いてありますけれども、必ずしも両者がセットではなくて、診療所があって、医療機関があって、そこにいる産科のお医者さんと連携が取れればいいと、ここだけは何とか取れる形にしていかなければならないだろうと。  そこがまだ十分周知されていないということならばしていかなければなりませんし、大前提の提言は、助産師さんがそうした仕事がしやすいように、地域なり自治体なり、また、産科医は協力をするべきであるという御提言をいただいておりますので、それを基に私どもも進めてまいりたいと、こう思います。
  351. 福島みずほ

    福島みずほ君 安全ということは重要ですが、実は、病院の、診療所の中にも産科医が余りいないとかという問題が指摘されている中で、結局、地元の中に助産師さんも産科医もいなくなっていく状況というのが地域の中で拡大するのではないかというふうに大変不安を持っております。  むしろ、産科医も必要だけれども、小児科医を例えば嘱託医にするとか、そういうこともあり得るのかなというふうには個人的には思っているんですが、また、この点については、狭まることのないように、ちょっとまた、続けて質問させてください。  では、次に、介護保険施設及び療養病床における食費、居住費負担問題について改めてお聞きをいたします。  社民党は、今回の高齢者負担増に反対をしています。高齢者の人たちのホテル代や食費、飲食代が自己負担化することを、やはり負担増が納得ができない。それで、介護保険の法案のときにもこのことが議論になりました。それで、そのことを先日、前回、厚生労働省に質問をしましたところ、厚生労働省は全国調査はしていないと、一定程度の地方自治体からの情報収集は行っているという答弁がありました。  十六団体あるということだったんですが、承諾が取れた八自治体に関してデータを出していただきました。それを見て、私は正直言って驚きました。この間の厚生労働省の答弁では、こういう答弁だったんですね。施設給付の見直しによって経済的理由でやむを得ず介護保険施設から退所せざるを得ないケースはほとんどなかったものというふうに考えております。ほとんどなかったものと考えております。これが厚生労働省の答弁です。  しかし、八つしかありませんが、自治体から上がってきたものについて言えば、例えばこういうものです。長野県、介護保険施設給付の見直しの影響に関する実態調査結果について、利用者百六十九人の方がサービスの利用について影響を受けています。確かに、パーセンテージでいえば利用者全体の〇・二九です。しかし、明確に影響を受けた人は五十人、というか、短期入所、通所、全部合わせると百六十九人。そして、施設から退所しなければならなかった、出なくちゃいけなかった人は三十七名いるということが挙がっています。長野県はこういうことを出しています。長野県は、この実態を踏まえ、国に対し更なる低所得者対策の充実等について提言をしていきますというふうに言っております。  また、例えば新潟市の例ですと、負担が増えたことによりショートステイやサービスの利用を控えた方がいましたか。いた、短期入所サービス六九・三%、通所介護サービス四六・七%。いないというよりもはるかに多いんですね。というデータが出ています。また、気付いたことがあったら何でも言ってくださいということには、短期入所サービスのところでは、金銭的な負担が多くなったことにより、サービス利用を控える方が多くなり、介護者の疲労の蓄積や利用者の状態の悪化が少なからずあるというようなデータが出てきています。  島根県、これは、例えばホテルコスト影響調査結果でありますが、負担増を理由とする退所者数、全部で三十八というのが出ております。  三十八、百六十九人というのを少ないと見るか多いと見るかはいろいろあるかもしれません。ただ、この細かい、特に自由記述の例を見ていると、明確に、制度が変わったことで負担増になって、現場のサービスを受ける人たちは負担増だと思っている、施設の人たちも影響が受けたと思っている人がいるわけですね。この実態についてどう思われますか。
  352. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) これは一昨日も議論になったところでございますが、この負担増によりまして影響があったということで調査をするのか、あるいはそれが直接の原因で出なくてはならなかったのか、非常にせっぱ詰まったような状態だったのかというところの違いがあるのではないかと思います。もちろん、負担が増えるわけでございますから何らかの経済的な影響は当然受けるわけで、そうした負担増に対してそれぞれの利用者の方が、施設に残るのかあるいは在宅に行くのか、それから通所サービス等であれば、そのサービスを続けるのかほかのサービスを代替させるのかといったことで、当然影響を受けて移動があったのは事実だと思っております。  ただ、最初にも申し上げた神戸市の例では更にその追跡調査をしておりまして、その結果、本当に負担が理由で出たという人はほとんどないという意味で、そういう意味で、直接の理由で負担増で出なくてはならなかった人はないというふうに申し上げたところでございます。
  353. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、ひどい話ですよ。  例えば埼玉県のデータ、厚生労働省はこういうのをどう見ていらっしゃるんでしょうか。例えば退所者の状況、退所者数、介護老人保健施設、総退所者数二千九百五十七、うち経済的理由によると思われる退所者数八十二人、二・八%。入所相談者の状況のうち、例えば介護老人保健施設のうち五・一%、二百三十八人が経済的理由によると思われる辞退件数というのが出ています。  厚生労働省は、ほとんどないと言ったじゃないですか。でも、もちろん爆発的に多いわけではないかもしれませんが、例えば五・一%とか、経済的理由と思われる辞退件数とかあるわけですよ。五・一というのを少ないと見るか多いと見るか、私はやっぱり多いと思います。  何百人、ある県で、例えば長野県で百六十九人の人が影響があったと答えているわけじゃないですか。そのことをやっぱりどう見るのか、実際起きていますよ。一人一人の周り家族がいて、影響を受けているわけじゃないですか。  私は申し上げたいんですが、これは非常にまちまちですし、八自治体しか出ておりません。厚生労働省は是非責任を持って、ある程度統一的な調査をしていただきたい、いかがですか。この厚生労働委員会で附帯決議が出ています、介護保険のときに。きちっと、例えば不利にならないようにということの附帯決議が付いていたというふうに思いますが、いかがですか。実態調査をすべきだと考えますが、いかがですか。
  354. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) まず、幾つか申されました。埼玉の例でございますが、今委員がおっしゃったのは入所相談者の状況で、これは入られる前の方の状況でございます。そして、実際に入っておられる方は、その経済的理由、先ほどの議論はありますが、二・八%、特別養護老人ホームはゼロ%でございます。そして、一昨日も申し上げましたが、老健施設の場合には基本的にはまた在宅復帰を目指すということで非常に出入りが多い施設でありますし、それから、これは一部申し上げましたけれども、実際に出られている方は、所得段階第四段階、基本的には年金が二十万前後あるという方でございまして、その方々が、老人保健施設でありますと八万から十二万ぐらいの、まあ多床室か個室かにもよりますが、それぐらいの負担をするということで本当に出なくてはならないのかという議論もあろうかと思います。それが埼玉の点でございます。  それから、全国調査につきましては、一昨日も申し上げましたが、一つには、地方公共団体からの情報収集によって一定の傾向、先ほど申し上げましたような老健施設の問題、あるいは第四段階の方が多いといった問題を把握しているというところでございますし、それから、神戸市の例について申し上げましたけれども、それ以上の詳細な情報をアンケート調査で得るというのは非常に難しい、本当にそれが最後の理由で出たのかどうかというのは非常に難しい。  それから三つ目は、これも少し申し上げましたが、個別の具体的なケースで確かに検証が必要なものがございます。そうしたものにつきましては、まずはそれぞれの市町村あるいは都道府県の相談窓口で対応していただくのが適当ではないかというふうに考えております。  それから、附帯決議のお話が出ました。附帯決議は、正確に申し上げますと、ちょっと手元にあれですが、実際に利用料を取る実態調査をせよという附帯決議でございます、正確に申し上げますと。それに基づきましては昨年の十一月に実態調査を行いまして、十月ですか、十一月の末の社会保障審議会の給付費分科会に公表資料として提出しているところでございます。
  355. 福島みずほ

    福島みずほ君 局長、その入所相談者の状況で、経済的理由によって介護老人保健施設に入ることを辞退するという人が五・一%、埼玉県でいるわけですね。つまり、今私たちの方に聞こえてくるのは、出なくちゃいけないという問題と、入るのにお金が掛かるので入れないというのと、両方聞こえてくるんですね。  厚生労働省は仕組みをつくる役所です。厚生労働省が仕組みをつくったことによって、みんなの人生が影響を受ける。介護老人保健施設に入れない、経済的理由によって辞退してしまう人が五・一%いる。この事実は厚生労働省としてはどう見るんですか。
  356. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 施設を選ぶときに、ほかのサービスでもそうですが、どういう介護サービスを選ぶかというのは、もちろん一つには経済的な理由も含めて利用者は考えるんだと思います。したがいまして、ここにある例は、正に詳細を更に見てみないと分からないかもしれませんが、一つの理由としては、確かに老人保健施設をやめたかもしれませんが、例えば老人保健施設に入られる方もいろいろな理由がありますので、特別養護老人ホームを待つためといったようなこともありますので、そういう場合にはもちろんやめるということも考えられるのではないかというふうに思います。
  357. 福島みずほ

    福島みずほ君 厚生労働省が負担が増えるような制度設計をした、その結果明らかに影響を受けたと言っている人がいるわけじゃないですか。影響を受けたって長野県で百六十九人の人が言っています。  で、私のさっきの質問は、厚生労働省はそんなにそれぞれ言うんであれば、きちっと統一的な調査をすべきです。どういう結果が起きてどんな問題が起きているか、現場から意見を吸い上げない限り厚生労働省の政策は間違えると思いますが、いかがですか。
  358. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 正に委員にお示しした、公表できるのは八ということで見ておりますが、そうしたことで、各自治体における状況をできるだけ把握しておりますし、この件につきましてはこれがほとんど大きな流れとして我々としては情報を得ているというふうに考えております。
  359. 福島みずほ

    福島みずほ君 私がいただいたのは八つだけですし、全部で十六しかありません。ですから、これについて、例えば市というのもあるんですね、今、だから都道府県、市町村あるわけですから、この八つ、あるいは十六だけで私たちは全体の状況を把握することはできません。厚生労働省は、上げてこない県のことはいいんですか。厚生労働省は制度設計をする役所じゃないですか。厚生労働省が制度設計をしたことで人の人生が影響を受ける、だとしたら検証は常に必要ですよ。  大臣、何らかの形で統一的な、サンプル調査でも結構です、厚生労働省が制度設計の検証をすべきだと思いますが、いかがですか。
  360. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私は、各県の担当者にしっかり問い合わせをして、できるだけ資料を集めるように、それは、逆に県も市もそれなりの責任を持ってやっているわけですから、自分のところは何らかの形で当然お調べになっているだろうと。我々はしっかりデータをまず収集することが大事だろうと。我々の方からすべての施設に手紙を出して調べるというよりは、実態のよく分かっている県なり市でお調べいただいて、私どもはそれを掌握しながら国全体のマップとしてつくっていくということが大事だろうと思いますので、もう少しお時間をください。
  361. 福島みずほ

    福島みずほ君 分かりました。  大臣の誠実な答弁はありがたいと思います。だとすれば、今十六しか出てないんですね。私が手元にもらったのは八つの自治体だけです。もう少し、まあ自治体に頼むなりして実態調査をしていただきたいと。この食費、居住費負担問題等がどうなっているかに関して、調査を是非都道府県、市町村に頼んで促進していただきたいと考えますが、いかがですか。
  362. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 当然、政策を決めたのは私どもでございますから、それを検証しながらやっていくのは当然のことでございます。一方で、実行を移しておりますのは県なり市町村でございますから、言われたとおり、できるだけ県や市町村に情報を提供してもらえるようにお願いをしていきたいと思います。
  363. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございます。  この委員会にある程度様々な都道府県、できれば網羅的に資料が、データが出され、私たち自身自分たちが作った法律がどういう結果を生んでいるのか虚心坦懐に分析、検討、反省あるいは促進していくということをやっていきたいというふうに考えております。大臣が積極的にやってくださることを心から要望し、後日資料が出ることを心から期待をして、また質問をいたします。  次に、食費、居住費の負担問題について更にお聞きをいたします。  介護保健施設や療養病床にいる高齢者と在宅の高齢者の負担の均衡を図る必要があるという考え方から今回の提案がされていると思いますが、ただそのように考えれば、例えば財政制度審議会は、療養病床に限らず一般病床に入院している患者についても食費、居住費を自己負担とすることを提唱しております。この財政サイドの論理に逆らえないということに将来なってしまうんではないかと危惧をいたします。  厚生労働省は、将来的には一般病床についても食費、居住費の自己負担化はやむを得ないと考えているのでしょうか。
  364. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の医療療養病床におきまして、食費、居住費につきまして介護保険との均衡の観点から見直すということで、したところでございます。正に、今申し上げましたように介護保険との均衡の観点から今回の改革をするということでございますので、一般病床においてその食費、居住費の負担を見直しを行うことにつきましては、これは介護保険との均衡の観点ではないわけでありますので、現時点では考えていないわけでございます。
  365. 福島みずほ

    福島みずほ君 老健局長に伺います。介護保険施設においては、低所得者の方には介護保険の給付として補足給付という名の負担軽減策が講じられています。しかし、居住系サービス、例えばグループホーム入居者には補足給付はないものとされていますが、これはなぜでしょうか。
  366. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 特別養護老人ホームなどの介護施設と異なりまして、グループホームは、平成九年の制度創設時から家賃や食費は利用者自らが負担するということを前提にしまして、そこにおけるほかのサービスについて給付を行うという仕組みになってございます。  そして、補足給付につきましては、昨年の改正で設けられた制度でございまして、施設給付の見直しによりまして、それまで介護給付の対象とされておりました特別養護老人ホーム等の居住費、食費について保険給付の対象から外すということに伴いまして、それを補うための給付として創設されたものでありますので、元々従来から利用者負担とされておりましたグループホーム等の家賃、食費につきましては対象としなかったところでございます。
  367. 福島みずほ

    福島みずほ君 特別養護老人ホームにはいわゆる個室ユニット型というものがあります。そこでは、一ユニットだけ見るとグループホームと非常に似ている。にもかかわらず、特養ホームでは補足給付あり、グループホームではなしというのはいかにもバランスが悪いと考えますが、いかがですか。
  368. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) ユニットのそこの部分というのはなかなか難しい御質問ですが、繰り返しになりますけれども、先ほどのような経緯、歴史的なもの、そして在宅と施設とのバランスといったことから現在の措置をとっているところでございます。
  369. 福島みずほ

    福島みずほ君 在宅と施設の負担の均衡という考え方は、一見もっともでありながら、まだまだ詰め切れてないところがあるということを指摘しておきます。  次に、療養病床再編、生活習慣病予防が介護保険給付費及び保険料に及ぼす影響などありますので、財政試算というのは、前提が変わったのだから、給付費や保険料見通しを改めて示すべきだと考えますが、いかがですか。
  370. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 先月の二十六日に公表しました社会保障の給付と負担の見通しにおきまして、制度改革の前のケースと、それから制度改革を反映したケースのそれぞれについて介護給付費及び保険料負担の見通しを試算したところでございます。  このうち、制度改革を反映したケースにおきましては、療養病床の再編の効果、具体的には二十四年ごろで約一千億程度と見込んでおりますが、それを見込んでおりますし、また昨年成立いたしました介護保険法改正に基づく介護予防の推進についても効果を見込んでいるところでございます。
  371. 福島みずほ

    福島みずほ君 今回の医療制度改革の議論で違和感を覚えるのは、政府医療費の適正化を唱える中で、国民医療費ではなく医療給付費という概念をクローズアップさせたことです。これまでの健保法改正ではなかったことです。  まず、国民医療費と医療給付費の概念の違い、また厚生労働省試案において医療給付費を前面に出した経緯を改めてお伺いします。
  372. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 国民医療費についてでございますが、これは医療機関等における傷病の治療に要する費用のことでございまして、一方で、その医療給付費はこの国民医療費から患者負担を除いたものでございます。  昨年私どもが公表いたしました医療制度構造改革試案におきまして、公的保険財政における給付とそれを支える負担の関係をお示しするといった観点から、国民医療費から患者負担を除いた医療給付費をお示ししたところでございます。  しかしながら、医療給付費のみならず、国民医療費も重要でございますし、まず初めに国民医療費があって、それから医療給付費が定まってくるということがございます。医療政策の在り方を議論する際には、患者負担も含めた国民医療費の見通しもお求めに応じてお示ししてきているところでございます。
  373. 福島みずほ

    福島みずほ君 医療給付費という概念が前面に出たのは経済財政諮問会議の影響が大きいというふうに考えます。同会議の民間議員である吉川洋東大教授は明快に次のように言っています。私たち、つまり財政経済諮問会議の民間議員が指標を作って伸びを抑えなければならないと言っているのは公的給付費の部分だ、これからは公的給付費と国民医療費が乖離し得ることをきちっと認め、公的給付の範囲を見定めていくべきだと考えているというふうに言っています。  大臣、こうした民間議員の発想をどう思われますか。いい医療は自前で賄えという発想になっていくのではないでしょうか。
  374. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 吉川委員が何を基にそれを発想したか分かりませんけれども、推測すると、一つはアメリカ型の発想があるかもしれない、もう一つ先ほど議論いたしました保険免責という考え方が裏にあるかもしれません。しかし、いずれにせよ我々の考え方とはかなり乖離した考え方であることは間違いないと思っております。
  375. 福島みずほ

    福島みずほ君 きっぱりそう言っていただいてありがとうございます。  ただ、民間議員の言うような形で公的医療保険がカバーする範囲を絞り込むと、いい医療は自費で買いなさいということになって、患者が受けることができる医療サービスの水準が所得や資産の格差をストレートに反映をしていくことになってしまいます。しかし、そのことはだれも実は望んでいないというふうに思います。  大臣におかれては、やみくもに医療費適正化、つまりは抑制に突っ走るのではなく、国民の理性を信頼して、負担と給付の水準について選択肢を複数きちっと示していただきたいというふうにも思っております。医療政策の選択においても、国民に対してインフォームド・チョイス、インフォームド・コンセントがなされるべきだと考えますが、いかがですか。
  376. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 医療というものを行うときに、まず皆さん方に掛けていただく保険料、それから税における負担、それプラス個人負担、この三つで成り立っていることは事実だろうと思います。  私どもは、基本的に国民保険制度というのは根底にありながら、国ができるだけの支援をしていくと、また地方もお手伝いをいただくという中でつくり上げてきております。それが乖離してしまいまして、例えば税を中心にやるべきだという考え方、例えばイギリスのような考え方もあるだろうと思います。また、アメリカのように個人個人がやるべきだという考え方もあるように思いますけれども、私どもは基本的には国民保険制度という中でこの制度を持続可能なものにしていきたい。  その持続可能なものにするためには総額がどのぐらいになるだろうかと、まあこれ目安の話になっていくとまた議論が始まってしまうんですけれども、我々団塊の世代がだんだんだんだん年を取っていって、後期高齢者になった段階は二千万人を超えるようになると。一方で、残念ながら若い者は少ないと。若い者の負担は、後期高齢者医療では四割保険料として負担をしていただく一方で、税という面でも負担をしていただかなきゃならぬ。そういった意味で、このぐらいのところが数字ではなかろうかという形でお示しをさせていただきました。  もっと消費税も組み合わせた個別の議論をしろということになりますと、もう少しお互いが詰めていかなければならないことだろうと。確かに税でどのぐらい補うべきかと、これ政党間でかなり議論が違うところでございますので、お互いしっかり詰め合いながらやっていくことも必要だろうと、こういうふうに思っております。
  377. 福島みずほ

    福島みずほ君 厚生労働省が今回医療費適正化の二本柱としています生活習慣病予防、平均在院日数短縮については、政府部内から批判的な見解が示されています。  すなわち、昨年十二月に出された内閣府の構造改革評価報告書において池上直己慶応大学教授は、生活習慣病対策による大幅な医療費削減は実効性に疑問があると指摘をしています。また、同じ報告書で井伊雅子一橋大学教授は、平均在院日数短縮策は単価上昇を伴うため医療費抑制効果は限定的と指摘をしています。これらの指摘について、厚労省はどう受け止めていますか。
  378. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 委員がただいま御指摘されましたとおり、平成十七年十二月に内閣府が取りまとめました構造改革評価報告書におきまして、この議論に参加いたしましたタスクフォース委員のコメントとして、それぞれ平均在院日数あるいは生活習慣病対策に疑問を呈されたということが記述はございますけれども、これらの記述は報告書本文ではございませんで、各委員の個人的な見解を書いたものというふうに認識をしてございます。  医療費適正化の効果についてでございますが、まず平均在院日数の短縮について、全国の平均在院日数、長野県並みになった場合の入院医療費の減少分ということを言っておりますけれども、ここで長野県の一日当たり医療費は高いという要素は織り込んでおりますし、入院から退院されて在宅に行った場合の在宅での医療費というのは織り込んだ上で計算をいたしまして、三十七年度におきまして四兆円の医療費適正効果があると見込んでおりますし、生活習慣病対策について申し上げますと、肥満、高血圧、高血糖、高脂血と、こういったリスク要因が減りますと生活習慣病の患者さんが減るということは、これは様々なプロジェクトで分かっていることでございます。さらには、脳卒中、心筋梗塞への重症化も予防できるということがございますので、私どもとしては、平成三十七年度に約二兆円の医療費が適正化されるものと見込んでいるわけでございます。
  379. 福島みずほ

    福島みずほ君 医療費適正化計画というものに大変危惧を持つのは、本当にそういうことを、医療適正計画ではなくて医療費適正化計画であること。それから、本当に効果が果たして上がるのか。上がらない場合に、今回の社会保険庁の、八〇%に上げろと長官が指示をしたことが逆に空回りをしてしまったように、例えば医療費適正化計画といって各都道府県に計画を作らせてがんがんやって、減らない場合に非常におかしなことが起きるんではないかということも申し上げたいと思います。これは将来起こり得ることではないでしょうか。この点についての検証をまた質問でさせてください。  ジェネリック医薬品について一言申し上げます。  日本では、ジェネリックの医薬品の普及がまだまだです。これはいろんな意見があるかもしれません。これは、例えばドイツのように、医師が特別に後発医薬品への代替不可と指示しない限り患者が後発医薬品を選択できるようにすべきという意見もありますが、どうでしょうか。この部分は更に積極的な使用促進策を望むものです。いかがでしょうか。
  380. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) ジェネリック医薬品でございますけれども、御指摘のとおり、我が国の医薬品市場において後発医薬品のシェアが諸外国と比較いたしますと低くなってございますが、その原因としましては、今の処方のこと以外にも、後発医薬品企業医療関係者の信頼を獲得できていないことや、医師が先発医薬品の商品名で今先生御指摘のとおり処方するために患者が後発医薬品を選択しにくいといったようなことが指摘されているわけでございます。  特に前段の、後発医薬品企業が信頼を獲得できていない理由といたしましては、医療機関等からの注文に対し速やかに納品できない場合があること、それから、医薬品企業に求められております副作用等の情報提供が医療関係者から見て不十分であるととらえられる場合があること、さらには、汎用規格のみが供給されて様々な患者さんに対応できない場合があることなどが挙げられております。  このため、後発医薬品の安定供給の確保、それから情報提供の充実、医療上必要な規格の収載、今の三つの点でございますが、これについて徹底するように後発医薬品業界に対して指導するとともに、今般の診療報酬の改定の中で医師が発行する処方せんの様式を変更し、後発医薬品への変更を可とする署名欄を設けたところでございます。  こうした取組を通じて医療関係者の後発医薬品に対する信頼性を高めるとともに、患者さんが後発医薬品を選択しやすくするための環境を整備して国民の後発医薬品に対する理解を深めるということによって普及を促進していこうというふうに考えております。
  381. 福島みずほ

    福島みずほ君 大臣、ジェネリック医薬品普及についての大臣の見解をお聞きします。
  382. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私自身も使わなきゃいかぬなと思って使い出している一人でございます。お医者さんから使った方がいいぞと積極的に指導されまして、変えた。私は痛風なものですから、二十、三十何年かな、二十六年になりますか、飲んでいるものですから、ジェネリック使った方がいいと。  そういう意味では、国民皆さん方に理解を進めるということが一番大事なんだろうと思います。そういう意味ではもう少しメーカー側も努力が必要だろうと。薬剤師会の皆さん方とも少しお話ししてみましたけれども、まだ少し足らぬねと、こういう話もいただいておりますので、しっかり進めてまいりたいと思います。
  383. 福島みずほ

    福島みずほ君 前回、治療休業制度についてお聞きをいたしましたが、大臣が手を挙げたところで時間切れとなってしまいましたので、最後にお聞きをします。  治療休業制度について、是非前向きに取り組んでいただきたい。先ほど大臣は、自分の下で、透析を受けなければならない人を、きちっと働いてもらっていましたというふうにおっしゃったので、意を強くいたしましたが、治療休業制度についての見解を最後にお聞きします。
  384. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、仕事をしていた中で起こったことならば当然労災の、なりますね。それから、それ以外の理由によってなった場合にそういう制度を入れたらどうかという議論は当然ありますし、民間の中で導入しているところもある。したがって、民間状況もよく見ながら勉強させていただきたいと、こう思っております。
  385. 福島みずほ

    福島みずほ君 是非前向きによろしくお願いします。  終わります。
  386. 山下英利

    委員長山下英利君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時二十一分散会