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2006-06-06 第164回国会 参議院 厚生労働委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年六月六日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月五日     辞任         補欠選任      家西  悟君     山本 孝史君      藤本 祐司君     森 ゆうこ君      山本  保君     浮島とも子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下 英利君     理 事                 岸  宏一君                 中村 博彦君                 津田弥太郎君                 円 より子君                 渡辺 孝男君     委 員                 阿部 正俊君                 岡田  広君                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 武見 敬三君                 中原  爽君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 水落 敏栄君                 足立 信也君                 朝日 俊弘君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 山本 孝史君                 浮島とも子君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   川崎 二郎君    副大臣        厚生労働大臣  赤松 正雄君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    政府参考人        内閣法制局第四        部長       外山 秀行君        内閣規制改革        ・民間開放推進        室長       田中 孝文君        総務大臣官房審        議官       清水  治君        財務大臣官房審        議官       佐々木豊成君        文部科学大臣官        房審議官     磯田 文雄君        厚生労働大臣官        房審議官     黒川 達夫君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       北井久美子君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中谷比呂樹君        厚生労働省老健        局長       磯部 文雄君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        社会保険庁運営        部長       青柳 親房君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○良質な医療を提供する体制確立を図るための  医療法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○委員派遣承認要求に関する件     ─────────────
  2. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  昨日、藤本祐司君、家西悟君及び山本保君が委員を辞任され、その補欠として森ゆうこ君、山本孝史君及び浮島とも子君が選任をされました。     ─────────────
  3. 山下英利

    委員長山下英利君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省保険局長水田邦雄君外十三名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  5. 山下英利

    委員長山下英利君) 健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 武見敬三

    武見敬三君 自由民主党の武見敬三でございます。  厚生労働大臣大臣はたしか喫煙はされておられなかったかと私記憶しておりますけれども、御存じのとおり、喫煙というのはやはり大変な健康被害を生んでおります。しかも、それによって実際に過剰になる医療支出というものは、これ何兆円という多額のコストになってきているというふうに言われております。そういう中において、現在、衆議院ではがん対策基本法が審議されているわけでございます。この喫煙がこうしたがんに罹患する重要な原因になってきていることは、疫学上の調査でも明快にこれ解明をされてきているところでございます。  そこで、たばこにつきましては、昨年の与党税制改正大綱におきまして、たばこに関するあらゆる健康増進策を総合的に検討した結果を受けて、たばこ税などの在り方について、必要に応じ検討するというふうになっております。厚生労働省として、この点について今現在どのような検討をされておられるのかということについての御説明をお受けしたいと考えているものであります。  特に、昨年、たばこ課税というものが多少でございますが実現をいたしましたが、これはあくまでも税収を上げるということを主たる目的としてやってきております。しかし、このたばこ課税については、その主たる理由として、単なるこの税収を上げるということだけではなくて、やはりこうした国民の健康というものを守るという視点に立ってこういうたばこ課税によって価格を上げて、特に未成年者喫煙等に対してその抑制効果を図るということが私は適切ではないかと考えているものであります。  その点に関する大臣の御所見を是非お聞かせいただきたいと思います。
  7. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今、武見委員から御指摘いただきました平成十八年度与党税制大綱、「たばこに関するあらゆる健康増進策を総合的に検討した結果を受けて、たばこ税等のあり方について、必要に応じ、検討する。」と記述されております。  一方、私ども厚生労働省スタンスといたしましては、たばこ税に関しては、我が国平成十六年六月に批准したたばこ規制に関する世界保健機関枠組条約において、たばこ価格及び課税に関する措置たばこの消費の減少を目指す保健上の目的に寄与する効果的かつ重要な手段であるということを締約国認識すると、これが私ども基本的なスタンスと考えていいんだろうと思っております。たばこ税の扱いについて、財政当局等との様々な意見の食い違いはございます。関係方面との意見を伺いながら、委員が言われたような方向を我が省としては目指していくということについては、これは基本的なスタンスとして維持していかなきゃならぬだろうと、こう思います。  一方で、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会において、たばこ対策に関する総合的な検討を今進めていただいているところでございます。  こうした意見も踏まえながら、最終は、委員も御出席いただいているんでしょうけど、税調というところでしっかり与党の中で議論をしていかなきゃならぬだろうと、このように思っております。
  8. 武見敬三

    武見敬三君 昨年の課税に引き続いて今年もたばこ課税強化をして、そして年々徐々に徐々にたばこ価格を引き上げていくと、これは実はイギリス型でございます。このイギリス型のやり方を取りますと、たばこ税収というものがかなり確実に確保できると同時に喫煙者を確実に抑止して国民の健康を守るという、一石二鳥という方法論だというふうに言われております。したがって、いかに厚生労働省が頑張ってこの八月の税制改正要望の中にもそういうたばこ課税強化というのをそういう健康を守るという視点から入れていただく。そのことを通じてやはり、昨今社会保障にかかわる支出をただ削減しろという圧力ばかりが私はあることは決して健全だと思いません。やはりこうしたことを通じて支出抑制を図ると同時に、その適正化を図ると同時に、将来的にその財源を確保することをも視野に入れるということが私は一つ考え方だというふうに思いますので、大臣におかれましては是非ともこうした点についての御理解をいただきたいと思います。  その上で、今度は保険局長にお伺いします。  この都道府県別診療報酬特例について、国と都道府県協議をして国が措置することになっておるわけであります、今度の法案の中で。給付については、医療制度改革大綱の中では不適切な格差を広げないという表現でございました。何ゆえ高齢者医療確保法第十四条においてはこの表現というものを採用しなかったのか。この格差という言葉がどうも今回は嫌われたようでございますが、しかし別の言い方をしておられる。第十四条、地域実情を踏まえて、適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲内において、他の都道府県区域内における診療報酬と異なる定めをすることができると、こういう書き方になっている。どうもその不適切な格差を広げないという表現のところが公平に提供する観点から見てというふうに組み替えられておるわけであります。  局長、これは実質不適切な格差をこうした都道府県間において起こすことがないよう特別な措置を講ずるという理解でよろしゅうございますね。
  9. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) お答えいたします。  ただいま委員指摘のとおり、改正法案でございます高齢者医療確保に関する法律、その十四条におきまして、厚生労働大臣は適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲内において都道府県別診療報酬特例を定めることができる旨の規定をしているところでございます。この規定は、平成十七年、昨年の十二月一日に政府与党医療改革協議会におきまして決定されました医療制度改革大綱におきまして、都道府県別診療報酬特例について国が措置する際、都道府県間において給付に不適切な格差が生じないよう配慮するとの方針が示されたところでございまして、これを受けて当該方針を実施するために設けたものでございまして、当該方針趣旨内容を同じくするものであります。  この御指摘条文におきます具体的な規定ぶりについてでございますけれども、不適切な格差という正にこの表現を用いた条文の例がほかに見当たらないということが一つございます。また、現在の案文によって同一の内容が簡明に表現されている、まあ表と裏の関係になろうかと思いますけれども、簡明に表現されていると考えられることから、現在このような条文としているところでございます。
  10. 武見敬三

    武見敬三君 確認をさせてください。局長、そうするとこの不適切な格差を広げないということと同じ意味がこの公平に提供する観点から見てという部分に相当すると、こう理解してよろしいですね。
  11. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 医療制度改革大綱におきましては、不適切な格差が生じないよう配慮するということが盛り込まれてございますので、この方針趣旨内容を同じくするものであるということは確認させていただきたいと思います。
  12. 武見敬三

    武見敬三君 それで、内閣法制局の方に伺いたいと思いますけれども、この不適切な格差というのは、格差という言葉自身の中に不適切という意味も含まれているということもあって、不適切な格差ということではどうもいろいろ言葉としておかしいんじゃないかというような疑問もあったらしい。  ただ、格差という言葉であったとすれば用例はあったはずであって、その格差という言葉を使うということに関しては法制局としては別に特に問題を認識しているわけではないと、こういうことでよろしいですか。
  13. 外山秀行

    政府参考人外山秀行君) お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの点につきまして、法律条文における用例ということで申し上げますと、お話ございましたように、格差という表現自体各種用例がございます。一つだけ例を申し上げさせていただきますと、コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律第十四条におきまして、「格差是正を図るために必要な施策を講ずるものとする。」と、こういった規定もございます。  したがいまして、格差という表現につきましては、現に法律条文の中で規定内容に応じて用いられておりますので、結論を申し上げますと、この格差という表現は使えるということでございます。
  14. 武見敬三

    武見敬三君 私がなぜこんなこと一々こだわっているかというと、格差という言葉自身がある種の政治的意味を持ち始めた。そのことについて、やはりそれをひとつ避けておきたいという配慮がどうも立法過程の中で多少働いたのかもしらぬという懸念を私は持っています。しかし、やはり実際に社会の中でそうした格差が認められていいものと悪いものと、それはいろいろなケースがあるでしょう。しかしながら、医療の問題の中で格差の問題というのは、これは極めて深刻な事態をいろいろな形で招きますから、そういう点については、国民に対して説明するときの用語として私は引き続きこの格差という言葉には大変重要な意味があるというふうなことも認識した上で質問させていただいているわけであります。  その上で、保険局長、その次の「合理的であると認められる範囲内」って書いてある。これは説明をもう少ししていただかないと意味がよく分からない。これはどういう意味ですか。
  15. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この診療報酬特例を認める場合の具体的な範囲についてのお尋ねと考えますけれども、この規定の実際の適用は相当先になります。平成二十年から医療費適正化計画が開始され、五年たってその翌年、実績評価をして、それを踏まえて行われるものではございますので、七、八年先の話になりますので、私どもといたしましては、この計画実施状況を見ながら、関係者の御意見もお伺いしながら、十分時間を掛けて研究していきたいと、このように考えてございます。  もちろん、手順といたしまして、こういった特例の設定に当たりましては基本的な考え方をお示しをする、そういった踏むべき手順を踏みながら進めていきたいと、このように考えてございます。  診療報酬特例についてあえて現在言えることを申し上げますと、具体的な項目といたしましては、例えば平均在院日数短縮等政策目標実現ということの観点から考えまして、長期入院是正に関するものなどが考えられますし、また、この特例が適用される都道府県につきましては、当該特例内容に応じまして適正化計画実績評価の結果も踏まえつつ、関係都道府県知事協議した上で決定していくということになろうかと考えます。  先ほど、御質問そのものであります「合理的であると認められる範囲」ということにつきましては、これは繰り返しになりますけれども、これからこの計画実施状況を見ながら検討していきたいと、このように考えております。
  16. 武見敬三

    武見敬三君 これは各都道府県によって、今後こうした各都道府県ごと診療報酬というものを定めるということになった場合に、相当大きな格差が生ずるケースが想定できるわけであります。しかし、それはやはり国民保険我が国の戦後培われてきた基本理念というものを壊すようなものであっては私はならないと思う。  戦後の基本理念というのは、これは国民健康保険については、負担については公平、そして給付については平等という理念であったはずですよ。それはすなわち、お金持ち所得がたくさんある人については保険料率としてより多額保険料を払っていただく、したがって保険料に関しては、所得に応じてその支払額が変わる、ある意味での所得の再配分装置というものもこの中にはきちんと組み込まれている、その上で公平性という言葉表現してきました。  他方で、給付については、これはお金持ちであろうが貧しい人であろうが人の命というものにはこれは皆同じだと、これは同じく尊重しなきゃいけないものなんだという命にかかわる平等の観点から、給付というものについては平等であるべきだということで、我が国は皆保険制度の中で給付については平等ということを言ってきました。  私が心配しているのは、このような各都道府県ごと診療報酬を個別に策定するというような事態が将来起こったときに、この従来の我が国国民全体に対して給付における平等という考え方が壊れていくんではないかという点についての懸念を持っているからであります。  従来の我が国国民健康保険を維持していく上での基本的な理念としての負担公平性給付平等性という点について、これを厚生労働大臣はどう理解しておられるのか。また同時に、厚生労働大臣は、この点について今後ともしっかりと維持していく、そういうおつもりがあるのかどうか、是非お聞きしたいと思います。
  17. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 我が国医療保険制度において、診療報酬全国共通のものとして厚生労働大臣が定めるものであることを基本としており、今回の改革法案においてもこの考え方は変えておりません。  ただ、都道府県ごと診療報酬特例は、こうした基本的考え方を前提としながら、都道府県における医療費適正化目標を達成するために必要な場合に、あらかじめ都道府県知事協議することなどにより、地域実情も踏まえつつ、適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲内において設定することができる。冒頭申し上げましたように、厚生労働大臣が定める、知事から大臣意見が上がってくる、それを中医協で御議論をいただくと、こういうステップでございますので、そういった意味では正に書いてあるとおり特例中の特例という形で御理解をいただければ有り難いと思っております。
  18. 武見敬三

    武見敬三君 そういう御認識であるとすれば、実際にこういうことを実施するというようなことになった場合には、厚生労働省としてはこうした格差が著しく生ずることがないよう特段の措置を講ずるんだと、こういう理解でよろしゅうございますね。
  19. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) そのとおりで結構でございます。
  20. 武見敬三

    武見敬三君 そこで、健康局長、今度は特定健康診査についてお聞きしたいと思います。  今度は、この特定健康診査、それぞれ特定保健指導と併せてしっかりとした今度は法律に基づいて実施すべき措置が講ぜられることになります。具体的には、各都道府県の中に地域職域連携推進協議会の機能というものが改めて確立されるというふうに聞いているわけでありますけれども、その役割及び構成員といったものはどういうふうなことが考えられているのかであります。  このことを考えたときに、実は非常に難しい問題がたくさんあります。保険者が今までは保険者責任で健診事業などを行ってきている。しかし、改めて都道府県がこうした地域職域連携推進協議会を設けて運営するということになるんだと私は理解しておるんであります。そうすると、法律では、保険者責任で健診等を行うというふうになる一方で、それぞれ保険者責任で実施されることについての五か年計画等が設置されてくる。他方で、都道府県ごとには、たしかこれは十年計画ぐらいになりますかね、同じような今度は生活習慣病というものを阻止するための目標値を設定するということが改めて法律上も明記されてくるというふうに聞いているわけであります。そうすると、保険者が策定する特定健康診査等実施計画、五か年計画と、都道府県が策定する都道府県健康増進計画、十か年計画ですか、それぞれがいろいろ目標値を持って取り組むという形になってくる。都道府県責任でやること、保険者責任でやること、これらを実際にどのような形で調整するかということになったときに、私はこの地域職域連携推進協議会という果たす役割、極めて大きいんだろうと思っているんですよ。  しかもそこは、ただ単に健診だけやりゃいいってわけじゃないでしょう。そこでもし何らかのリスクファクターが出てきたら、それに基づいてしっかりとした保健指導をする。そして、特定の疾患の予防を行うような働き掛けをしっかりと行う。そして、その本人自身が、自分自身がそういう健康をしっかりと守ろうとする意思を持つような働き掛けもその中で同時にやっていかなきゃならない。これらを全体的に考えたときに、やはり地域医療との連携というものは不可欠であります。  そういう中で、実際にどのように地域職域連携推進協議会というものの構成を考えるのか、私は地域医療関係者入れるのは当然だと思いますし、また同時に、それとどのような形で今までなかったような新たな連携をこういう保健指導との間で組み立てていくのかということが、実はこういう健診事業に関する臨床的効果を高めるということを考えたときに最も実は必須の課題だと思っています。この点についての健康局長、御認識を伺っておきたい。
  21. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 地域職域連携を図りまして生活習慣病対策を効果的に行いますために、都道府県単位及び地域単位、これは保健所の所管区域等でございますけれども、それぞれにおきまして関係機関等から構成される地域職域連携推進協議会というものを設置をすることとしております。  この協議会におきましては、健康増進法の第九条に基づく健康増進事業実施者に対する健康診査実施等に関する指針に位置付けられておりまして、都道府県についていえば、都道府県における健康課題明確化、それから各種事業や研修の共同実施あるいは連携方策、また各種施設等相互活用というようなことなど、地域職域における連携推進方策等について協議をするものとされております。  この協議会は、都道府県内の地域保健及び職域保健関係者といたしまして、都道府県関係部局等行政機関、それからまた国保連合会等医療保険者、また医師会等地域保健医療関係者、そして事業所代表者等構成することを想定しておりまして、都道府県健康増進計画内容の充実でありますとか、健診、保健指導等保健事業推進に当たりまして、調整、連携を具体的に図っていく場としてその役割が期待されるところでございます。
  22. 武見敬三

    武見敬三君 この点については、従来ですと、本当に、例えば国民健康保険だったら保険者市町村、そうすると市町村がやる健康づくり事業なんていうと、その市の中に住んでいても、政府管掌健康保険の被保険者だとか組合健康保険の被保険者というのは除かれていたんですよ。しかし、地域社会の中の枠組みでこういう健康づくり事業というのを地域医療連携して組み立てていかないと、生活の中で確実にそういう健康づくり事業というものが臨床的効果は上がらないというのは、いろんな研究調査からもはっきり出ているんですよ。  したがって、その保険者同士縦割りというものをどうやって地域という横の軸を組み込んで効果的なものにするのかということは、この地域職域連携推進協議会をどのような人たちで構成してどのように運営するかに懸かってくるわけですから、健康局長、これは物すごく責任重いですよ。上手につくっていただきたいと思う。  その上で、実際に、今度は総務省の方に伺っておきたいけれども、こうした都道府県ごとにこういう生活習慣病にかかわる様々な目標値を設定して健康づくり事業をやるなんていうことになると、今までそういう責任を負ったことなかったから、正直な話、スタッフもいなければ財源もなかったはずだ。その点についての財政責任についての考え方、さらにはどういう体制でそれを実行していく考えでおられるのか、それをちょっとお聞きしておきたいと思います。
  23. 清水治

    政府参考人(清水治君) お答え申し上げます。  医療費につきましては、国のみならず地方財政に対しましても大きな影響を与えるものでございますので、国と地方が共同してその適正化に取り組むことが必要であると基本的に認識してございます。  このため、御案内のとおり、都道府県におきましては、国の定めます基本方針に則しまして都道府県医療適正化計画を策定して医療費の適正化に取り組むとともに、市町村国保が行います特定健診などに要する費用についてはその三分の一を負担するということで役割を担うこととしているところでございます。  なお、被用者保険に対する都道府県の行う補助につきましてですが、これまでそのような例はないといったことも念頭に入れながら、被用者保険が行います特定健診などに要する費用につきましては、厚生労働省におかれまして平成二十年度までに検討されると承知しております。  総務省といたしましても、今後、厚生労働省からの御相談がございましたらこれに応じてまいりたいと考えているところでございます。
  24. 武見敬三

    武見敬三君 実際にこういう健康づくり事業、さらにその調整機能ということになると、やはり財源が必要になってくることはもうお分かりのとおりなんです。したがって、そういうものをどういう形で国そして地方で確保していくかということを考えながらやらなきゃなりません。  それから、その上で物すごく重要になってまいりますことは、その財政責任というものを考えたときに、保険料の財源からもこうした健診事業について財源が使われていくということになりますと、やっぱり保険料の中のいわゆる従来の治療にかかわる医療支出していた部分の財源と、それからこのような新たな予防給付的な財源というものをともに保険料財源として扱うということになった場合に、この予防給付的な部分が入ってくることによって従来の診療報酬の財源というものが不必要に縮小していくというようなことがあっては私はならないだろうと思っているわけです。  したがって、その点は十分、厚生労働大臣、財源配分については慎重に対応していただきたいということをお願い申し上げておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  25. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 現実に行う段階で、これ二十年の四月制度施行でございますけれども、今委員の御提言も受けながらしっかり議論してまいりたいと思います。
  26. 武見敬三

    武見敬三君 それで、もう一つ重要になってくるのは、今、四十歳以上の方々については皆健診制度を導入するんだというようなことも言われてきている。しかし、これは言うなれば、保険者に対して、被保険者すべてをこうした四十歳以上は健診という対象者とするんだというようなことであろうかと理解しておるわけであります。  しかし、そこで一つ抜けてくるのは、生活保護世帯の四十歳以上の方々なんですよ。この生活保護世帯の四十歳以上の方々というのは、実は極めていろいろな方、罹患率の高い方々です。それから、場合によっては精神疾患等の病で長期に入院しておられる方々もいるわけであります。  このような生活保護世帯における四十歳以上に対するこうした健診という問題は、今回のこうした四十歳以上の健診の新たな体制確立するという中でどのように位置付けられてどのように実施されるということで理解をすればよいのか、この説明を受けておきたいと思います。
  27. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 今回、四十歳以上の被保険者及び被扶養者に対する特定健康診査の実施を医療保険者に義務付けることとしておりますけれども市町村が住民に対する健康増進に責務を有するということについては、今回変わるものではございません。現在も市町村では、老人保健法に基づく事業だけでなく、四十歳未満の者も含めて地域住民に対して健診やその他の健康づくりに関する事業を実施しておりまして、これまでどおり市町村において適切な対応をしていただくこととなります。  市町村健康増進法に基づいて実施をいたします健康増進事業に対しては、平成二十年度以降どういった財政支援が可能かということにつきましては、今後更に検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  28. 武見敬三

    武見敬三君 この生活保護世帯の人たちを対象とした四十歳以上の健診並びに健康づくり事業をどうするかという問題は、やはりもう少し真剣に考えていただく必要があると思いますよ。  これはやっぱり社会的ないわゆる本当の弱者なんですよ。こういう人たち、最も罹患率高いんだから。したがって、こういう人たちに対する施策というものをきちんと実行していくことはやっぱり政府基本的な責任だと思いますから、そこは是非やっていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  29. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。  健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案に関連しまして質問をさせていただきます。  まず、健康保険法等の一部を改正する法律案に関連して、市町村国保の財政状況についてお伺いをしたいと思います。  単年度の経常収支の動向と赤字保険者の数及びその割合についてお伺いをしたいと思います。
  30. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) お答えいたします。  平成十六年度におきます市町村国保における収支でございますけれども、収入が十兆八千六百三十五億円に対しまして支出が十兆六千九百九十八億円と、若干収入が上回るような形になってございますけれども、この収入、支出から基金の繰入金あるいは繰越金等を除きました単年度収支差引額ということで見ますと百六十七億円の赤字でございます。さらに、国庫支出金の精算等を行った後の、精算後の単年度収支差引額は八百二十六億円の赤字となってございます。  また、赤字補てんの状況につきましては、一般会計から二千四百五十八億円を繰り入れているという現状がございます。これを収入から除きますと実質的には三千二百八十四億円の赤字となるなど、大変厳しい財政状況が続いているものと認識をしてございます。  なお、平成十六年度の単年度収支で見た場合の赤字保険者数は千四百八十九保険者でございまして、全体の五八・八%となってございます。
  31. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 その赤字保険者都道府県間での偏りというのがあるのかどうか、もしそういうものがあれば、その原因というのはどういうものなのか、お伺いをしたいと思います。
  32. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 単年度収支におきます都道府県別の赤字保険者数の割合というものを見てみますと、御指摘のとおり都道府県で偏りが事実上見られることは見られますけれども、ただ、その要因につきましては、医療費の高低あるいは保険料の収納状況、それから保険料水準の設定等、給付負担の両面で多岐にわたっているものと考えられます。したがいまして、ちょっと一概に要因について申し上げることは難しい状況でございます。
  33. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今回の法改正の案でも、国保の財政が大変厳しいということで、こういう国保の方も改善をするような法改正案になっているわけですが、先ほども触れました、私、資料を見てみますと、結構赤字保険者の多い県の方が大分県とか新潟県、少ない県の方が岐阜県とか東京とか、いろいろな事情があるんだと思います。そういうこともあって、様々な要因、高額の医療費を要するような患者さんの多い地域とかあるいは少ない地域保険料を十分に払える方々の多い地域とか少ない地域とか、様々な要因あると思うんですが、今回の法改正での赤字保険者の財政改善への効果についてどのように考えていったらいいのか、赤松副大臣からお伺いをしたいと思います。
  34. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 今委員指摘のように、国民健康保険におきましては、被保険者の高齢化、また失業者や低所得者の増加といったふうな、そういう条件から大変問題が、財政基盤の脆弱、不安定化という問題が起こっております。  保険運営の広域化を通じた保険財政の安定化を進める必要があるということで、もう委員御承知のように、今回の法案におきましては、高額医療に係る共同事業への国、県からの支援や、低所得者を多く抱える保険者への支援等の財政基盤強化策を平成二十一年度までに継続し、また平成十八年十月から新たに、都道府県単位で国保財政の安定化、保険料の平準化を図るために保険財政共同安定化事業を創設する、こういったこととともに収納対策の推進を図る、こういった観点を盛り込んだ法案になっているわけでございます。  これらによりまして、広域的な運営が進められて、あわせて医療費適正化に総合的に取り組んでいくことによって市町村国保財政の安定的な運営につながっていく、こんなふうに考えているところでございます。
  35. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 赤字の市町村国保の保険者の方は一般会計からいろいろ繰り入れたりして大変苦労しておりますので、こういう法改正によって財政が安定が図られれば大変良いことであると私どもは考えております。  次に、平成十七年度の人口動態統計月報年計ですかね、これの概数の概況について六月一日に公表がございましたので、これを基に生活習慣病対策について質問をさせていただきたいと思います。  まず第一番目に、がんなどの悪性新生物、そして心疾患、脳血管疾患の三大生活習慣病の死亡数、死亡率並びにこれらの生活習慣病、三つの生活習慣病と言われているものの全死亡率に占める割合の近年の動向というものがどのようになっているのか、これについてお伺いをし、またこれら三大生活習慣病の今後の対策の数値目標をどのように設定しているのか、これについてお伺いをしたいと思います。
  36. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 平成十七年の人口動態統計によりますと、悪性新生物については、死亡数が約三十二万六千人とされておりまして、死亡率が人口十万人当たり約二百六十ということですが、これは上昇傾向というふうになっております。また、心疾患につきましては、死亡数が約十七万三千人、死亡率は人口十万人当たり約百四十でございます。これも上昇傾向となっております。また、脳血管疾患につきましては、死亡数が約十三万三千人、死亡率は人口十万人当たり約百五ということで、こちらは低下傾向となってございます。  これらの三つの生活習慣病の死亡数を合計いたしますと、全死亡数の約六割を占めているという状況でございます。  これらの生活習慣病対策の数値目標といたしまして、平成十七年からの十か年戦略ということで平成十六年の五月に策定をされました健康フロンティア戦略におきまして、がんの五年生存率を二〇%改善する、心疾患の死亡率を二五%改善する、脳卒中の死亡率を二五%改善するということを目標として設定をいたしまして、重点的な取組を推進することとしております。
  37. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 なかなか大きな目標で、これを達成するのには大変な努力が要るわけですけれども。  そこで、がんの方の状況について先ほどの統計の数値をお聞きしたいんですけれども、悪性新生物による男女別の主たる部位別の死亡数と死亡率の動向、そしてまた地域別に何か特徴があるのかどうか、その点についてもお伺いをしたいと思います。
  38. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 悪性新生物によります全死亡者数については、年々増加傾向にございまして、平成十六年では約三十二万人となっておりますけれども、年齢調整の死亡率、平均的な年齢構成というふうに戻しますと、人口十万人当たり男子では約二百人、女子では約百人ということで、これはここ数年ほぼ横ばいということでございます。  また、平成十六年の悪性新生物による死亡を部位別に見ますと、男子では、肺がんが最も多くございましてがん死亡の二二・七%、次いで胃がんによる死亡が一七%、肝臓がんによる死亡が一二・一%などとなっております。女子では、大腸がんが最も多くございましてがん死亡の一四・三%、次いで胃がん一三・九%、肺がんが一二・六%というような順序でございます。なお、従来多かった胃がんや子宮がんによる死亡率は減少傾向にございます。  さらに、平成十二年の悪性新生物による死亡率を年齢構成を調整した上で地域別に比較をいたしますと、男子では、青森県、秋田県等におきまして、全国平均と比較して五%程度以上高くなっているというような状況もございますし、また一方、群馬県、長野県等では全国平均よりも五%程度以上低くなっているというようなことで、相当な差がございます。  また女子でも、東京都、京都府などでは五%以上高くなっておりますし、岩手県、長野県などでは全国平均よりも五%以上低くなっているというようなことで、こちらの方もかなり差があるということでございます。  部位別に地域ごとの死亡率を比較した場合に、今度は胃がんの死亡率について見ますと、男女とも秋田県、山形県では全国平均と比較して一三%以上高くなっているというようなこともございまして、がん死亡等の地理的な分布につきましては各地域での生活習慣など様々な環境要因の違いを反映しているというようなことも考えられると思っております。
  39. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 地域での差もあるようだということでありまして、やはり地域のそういうがんの動向等をきちんと調査をして、それに応じた地域対策というものも必要だなと、そのように思っております。  今、与党の方ではがん対策基本法という、そういう法を作って、地域の検診あるいはその検診を踏まえ、あるいはいろんな統計、がんの統計等をきちんと取って地域の状況をしっかり把握していこうと、そういう趣旨も含めたがん対策基本法を提案をしているわけでありまして、こういう法律が通ればよりがん対策が進むのではないかと、そのように期待をしているところです。  そのような、今までお聞きしたような人口動態の統計等を踏まえた悪性新生物の今後の対策につきまして、川崎厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  40. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 我が国においてがんは死亡原因の第一位であり、国民にとって重大な脅威となっていることから、がん対策は重要な政策課題として取り組まなければならないものと考えております。  このため、がんの罹患率と死亡率の激減を目指し、国民、患者の視点に基づいて今後のがん対策を推進するため、昨年、がん対策推進アクションプラン二〇〇五を策定したところでございます。この中で、がん予防、早期発見の推進がん医療水準の地域格差是正がんの在宅療養、緩和医療の充実、がん医療技術の開発振興を進めており、本年度からは相談支援体制の拡充等を含むがん診療連携拠点病院の更なる機能強化とともに、国立がんセンターとのネットワーク化による情報提供体制や診療連携体制強化に取り組むことといたしております。  私も先日、文科大臣、それから経産大臣と会合を持ちまして、三省との連携が特に重要だろうと。特に、がんの診療の連携拠点病院、先ほど地域の数字を出していただきましたように、やはり地域の実態をしっかりつかんでいく。その核となりますのは、やはり大学病院が参加してもらわなきゃならない。昨年まで進めてきた制度の中において、なかなか大学病院が参加してもらえない地域がございました。また、拠点病院自体が制度としてでき上がっていない地域もございました。おかげさまで、文科省からも通達出してもらいまして、そこの中に入りながら四十七都道府県が大体の体制を作り上げることができたなと。人材育成の面でもやはりしっかり大学との関係、文科省との関係詰めなければならないだろうと。  また、新しい技術開発ということになりますと、やはり研究開発予算、これは私どももございますけれども、経産省、文科省、それぞれ科学技術の予算を持っておりますので、そういったものを使いながら新しい医療技術開発というものを進めていかなきゃならない、そういった見地から三省がしっかり連絡を取りながらやっていこうということを合意を改めてさせていただいたところでございます。  こうした目標に沿いながら各省と連携を取りながらしっかり進めてまいりたいと考えております。
  41. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 がんの検診につきましては、日本で遅れていたマンモグラフィーを用いた乳がん検診、これを進めようということでその緊急整備をやっておるわけですけれども、本年度もその予算を取っているわけですが、実際上マンモグラフィーの緊急整備がどのように行われてきているのか、また乳がん検診の率がどのようになっているのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  42. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 乳がん検診につきましては、専門家による検討会の提言を踏まえまして、平成十六年四月にそれまでの視触診からマンモグラフィーを原則とする等のがん検診指針の改正を行ったところでございます。それに基づきまして、マンモグラフィーによる乳がん検診の受診率の向上を目的としまして、平成十七年度からマンモグラフィーの緊急整備に取り組んでおります。  具体的には、マンモグラフィーによる乳がん検診の受診率を五〇%とするために必要な基盤整備といたしまして、十七年度、十八年度で検診専用のマンモグラフィーを五百台整備することを目標としておりまして、十七年度には二百三十台分の整備について交付いたしまして、十八年度は二百七十台の整備を見込んでいるところでございます。  乳がん検診の受診率につきましては、残念ながらまだマンモグラフィー緊急整備事業の前の状況しか把握しておりませんが、十六年度の受診率は乳がん検診全体で一一・三%、このうちマンモグラフィーによるものは四・六%となっております。十五年度、それぞれ一二・九%、二・七%でございましたので、マンモグラフィーによる乳がん検診の受診率は向上していると思っております。  今後とも、マンモグラフィーによる乳がん検診の受診率が向上し、早期がんの発見につながるよう、必要な施策の推進に努めてまいります。
  43. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 少しずつ向上はしているようですけれども、まだまだ目標には遠いということでありますので、今回のマンモグラフィーの緊急整備等でより良い制度で乳がん検診が行われるように努力していただきたいと思います。  次に、本年度予算にも盛り込んでおりますがん対策情報センターの設置に向けての検討がどのようになっているのか、その点をお伺いをしたいと思います。
  44. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 国立がんセンターに設置いたしますがん対策情報センターは、がん診療に関する最新の情報を収集し、これを利用者の視野に立って整理して広く国民に提供しますとともに、がん対策の企画立案に必要な基礎データの収集、蓄積、分析、発信機能を担うものであり、本年度予算は約十五億円、職員につきましては三十五人の定員が措置されております。国立がんセンター内に本年五月一日に開設準備室を設置、十月の開設に向け様々ながん対策に関する情報の収集、分析、発信など情報基盤の整備にかかわる具体的な準備作業を進めております。  先ほど申し上げました地域連携拠点病院というものとしっかり連携を取りながら、情報を共有し、集め、また発信するということによってしっかり情報分析をしてまいりたいと考えております。
  45. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 がん患者の方々からの御意見としましては、がん対策情報センター、患者さんにとってあるいは御家族にとっても利用しやすいような情報を提供していただきたいというのが大きな要望でございましたので、そういう要望に沿うような形で整備をしていただければと思います。  それから、先ほども大臣の方からお話がございましたがん診療連携拠点病院ですけれども都道府県の方は大分、もうほぼそろってきていると。地域の方もそういう拠点病院あるわけですけれども都道府県とそして地域の方の設置状況と、今後の推進計画といいますか、その点につきまして赤松副大臣の方からお答えをいただければと思います。
  46. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 先ほど来お話出ていますがん診療連携拠点病院につきましては、医療計画等との整合性を図りつつ、各都道府県から推薦された医療機関について厚生労働省において指定を行っておりまして、現在、全国で四十都道府県、百三十五か所となっております。  がん診療連携拠点病院につきましては、がん医療水準の均てん化を推進する観点から、今後求められる機能や役割を明らかにするために、去年の七月に地域がん診療拠点病院の在り方検討会を設置しまして、指定要件の見直し等について検討を進めて、本年二月にがん診療連携拠点病院の整備に関する指針という形で新たに定めたところでございます。  この指針では、地域がん診療連携拠点病院は、一つは診療機能や医療連携機能の強化拡充、二つは情報提供体制強化拡充、三つは研修体制の整備、こういったことを行うことを目的に二次医療圏に一か所程度整備することにしております。  また、都道府県がん診療連携拠点病院は、地域がん診療連携拠点病院が備える機能に加えて、一つ地域がん診療連携拠点病院の医療従事者への研修の実施、二つは都道府県がん診療連携協議会の設置、また、三つは都道府県内の医療機関の間でがん診療に係る各種情報の共有、こういったことを行うことを目的にいたしまして、都道府県におおむね一か所整備することにしております。  なお、本年二月に通知しました指針におきまして、地域における連携を図りながら質の高いがん医療を受けることができる体制確保する観点から、速やかにがん診療連携拠点病院の整備が行われるよう、都道府県に対して協力を要請したところでございます。  実は、冒頭で四十都道府県、百三十五か所と申し上げましたが、委員地域であります秋田県を始めとして、私の住んでいる兵庫県とか、全国で七県ほどがまだこのがん診療連携拠点病院の指定がゼロという状況でございますが、今後しっかりと、今後といいますか、今もう既にこういった各県に協力を要請も続けておりまして、近く全体的に数がそろう、こんなふうに思っておりまして、速やかな指定をしてまいりたい、そんなふうに考えているところでございます。
  47. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほど武見委員の方からも、たばこ税のことが話題になりましたけれどもたばこ税の引上げ、七月一日から二十本で一円ですかね、引き上がるということでございます。  この引上げの後でやはり喫煙率にどのような影響が起きてくるのか、また、たばこ税収への影響というのがどのようになってくるのか、その点をしっかり検証していただいて、さらに、今後たばこ税の在り方をどうしていったらいいのか、これを検討すべきと考えておりますが、まず財務省の方に、そのたばこ税の引上げによる影響、喫煙率あるいはたばこ税収等、これを検証する予定があるのかどうかをお伺いしたい。  また、厚生労働省の方につきましては、たばこ税の今後の在り方等に関して、先ほども大臣の方からお話ございました、もう一度、簡潔で結構でございますが、どのように考えておられるのか、お答えをいただければと思います。
  48. 佐々木豊成

    政府参考人佐々木豊成君) たばこ税引上げが喫煙率、税収に及ぼす影響につきまして検証する予定があるかというお尋ねでございます。  まず、税収でございますけれども税収は、たばこ税は一本幾らという税でございますので、その消費数量を見積もるというところから税収を見積もるわけでございますが、その消費数量は過去の趨勢の上に立ちまして、たばこ税の引上げによる消費数量への影響というものを踏まえまして推計を行っております。両方合体した形での影響を見込んでいるわけでございますが、これにつきましては、その年度の税収が収納されていきます過程で、現実にどういうふうな税収が入ってくるかによりまして全体としてのその消費数量の推移は把握はできるということでございます。  もう一つ喫煙率でございますけれども喫煙率は、先ほど申し上げました税収の見積もりの基礎となります消費数量そのものではございませんで、その背景にあります要因でございますので、直接喫煙率を用いることはございません。そういうことでございまして、今後検証する予定があるかということでございますが、税収を見積もる立場からいたしまして、たばこ税の引上げそのものの影響及びその喫煙率に及ぼす影響につきましては、現在のところ検証を行う予定はございません。
  49. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) たばこ税の引上げが喫煙率に及ぼす影響等については、現在、厚生労働科学研究において、たばこ価格の値上げによる成人や未成年者喫煙率、医療費、たばこ消費量、税収等の変動について、社会的な状況を加味し、最新のデータに基づいて分析、推計を行っております。  また、たばこ税に関しては、我が国平成十六年六月に批准いたしましたたばこ規制に関する世界保健機関枠組条約において、たばこ価格及び課税に関する措置が、たばこの消費の減少を目指す保健上の目的に寄与する効果的かつ重要な手段であるということを締約国認識すると。そういう意味では、国際的な常識になっておりますし、厚生労働省としてはこのようなスタンスにおるところでございます。  一方で、与党の税制大綱におきましても、たばこに関するあらゆる健康増進策を総合的に検討した結果を受けて、たばこ税等の在り方について必要に応じて検討するとされております。  私どもの立場と財務省の立場、多少違いがありますけれども、私どもの立場はやはり明確にしながら議論を進めていかなければならないんだろうと。先ほども少しお話をさせていただきましたけれども、私どもといたしましては、やはりこの世界保健機関枠組条約において述べられているところを基本にしながら進めてまいりたいと考えております。
  50. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 たばこの三大生活習慣病に対する影響というのはまたいろいろこれまでも学術的な研究がございまして、非喫煙者喫煙者とを比較しますと、一番のがんの方では、肺がんでは男女とも大体四倍強ぐらいの喫煙者の場合はリスクが高くなると、がん全体では五割増しということでありますけれども、心疾患でも四倍強ぐらい虚血性心疾患に起こりやすくなると、脳卒中でも二倍強のリスクが高まるということでございますんで、今回の生活習慣病対策進めるに当たりましても、喫煙というのは、このたばこの影響というのは無視できないと、そのように思っております。  これからたばこの値段が上がって喫煙率にどう影響を及ぼすのか、余り税収が少なく、それほど下がってこないということであれば更に引き上げていただいても税収上それほど影響がない可能性もあるんで、よく検証をしていただいて、たばこ税についてこれからも各省庁で連携しながら検討していただきたいと思います。  ちょっと時間もなくなりまして、次の質問ですけれども、少し省略をさせていただきながら質問したいと思いますが、三番目の死因でございます脳血管疾患でございますが、急性期の医療と、予防と同時に急性期の医療というのが大事でございまして、今、SCU、脳卒中集中治療室を整備しているわけでありますけれども、これの整備がどの程度進んでいるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  51. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 重篤な脳卒中の救急患者に対応するために、平成十三年度より、今御指摘のSCU、脳卒中ケアユニットを救命救急センターに整備しているところでございまして、平成十七年におきましては、全国百八十九の救命救急医療センターのうち三十二施設、合計で百三十二床の整備がなされているところでございます。  また、今回の平成十八年の診療報酬改定におきまして、この脳卒中ケアユニット入院医療管理料というのが新設をされまして、その評価が行われたところでございます。  さらに、医療法の改正におきまして、医療計画体制の明示をするというようなことから、今後更にSCUの整備を進めるということでございます。  その成果ということでございますが、救命救急センターにおいて、平成十六年でございますが、治療を受けた重症患者の約四五%が重症脳血管障害患者さん並びに重症心筋梗塞及び心不全の患者さんでございまして、ここでの極めて早期の救急医療が実施されているわけでございます。こうした重症患者さんの約八九%が救命されておりまして、救命救急センターはこれらの治療におきまして一定の役割を果たしているというふうに考えております。
  52. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 現場の要望としまして、こういうのがあるんです。SCUつくる場合に配置基準、看護師さんとかドクターとかあるわけですが、特に看護師さんの配置の問題ですけれども、日勤にやはり手術等が多いんで、日勤の割合を、看護師さんの割合を増やしてもらって、準夜、深夜の場合を少し減らしてもらって、全体としての枠は同じですけれども、そういうふうに柔軟に対応できないのかという要望がございましたので、この点も御配慮をいただきたいと思います。  残念ながら時間になりましたので、また次の、残ったものは次の機会に質問をさせていただきたいと思います。
  53. 島田智哉子

    島田智哉子君 民主党・新緑風会の島田智哉子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、冒頭、長崎県佐世保市で起きました小学校六年生による同級生殺人事件の被害者御家族への情報開示の在り方についてお伺いいたしたいと思います。  先週の木曜日、六月一日で事件発生から二年が経過いたしました。お亡くなりになられましたお子さんの御冥福を心よりお祈りいたしたいと思います。  また、一日には被害者の御遺族、御手洗恭二さん、そしてまた加害児童の父親の手記が公表されました。御手洗さんの手記には、私は、罪を犯した子供が更生するには、その子が事件と真剣に向き合い、被害者や遺族に思いを寄せることが欠かせないと考えます、そして、その姿勢が被害者遺族に正確に伝わることで被害者側は更生状況を判断でき、わずかですが心は落ち着きますと、このように改めて国や関係機関に対して情報開示を求めておられます。  私も三月二十二日にこの問題について質問いたしました。大臣から、しっかりと議論するのでもう少しお時間を下さいと、そのような御答弁がございました。今のお父様の手記にもございましたが、全く何の音さたもないので、先日出向いて担当者と面談しましたが、検討中とのことでしたとございます。私が質問した後、担当者に問い合わせもいたしましたが、検討中、検討中との回答しかなかったのですが、加害児童の更生プログラムや実施状況の情報開示と加害児童の更生の阻害要件に対して具体的にどういう課題に対してどういう人たちが検討しているのか、まず局長より御説明ください。
  54. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 御遺族からの要請につきましては、加害児童の更生、そして自立支援を基本に置きながら、被害者の御遺族の心情にも配慮した場合にどのような対応ができるのか十分な検討が必要であると考えております。  こうしたことから、加害児童の更生に与える影響につきまして、児童自立支援施設の職員や心理的ケアに関与しておられるスタッフなどの間で、この加害者となった子供の成長、発達の状況等を十分踏まえてしっかりとした議論を今いただいているところでございます。あわせて、個人情報保護など法律的な側面についても、法律の専門家の意見も聞いて検討をしているところでございます。  こうした検討を進めながら、あわせて、佐世保児童相談所それから自立支援施設の職員等々と意見交換を重ねているところでございまして、これらを踏まえながら更に検討を進めていきたいというふうに考えております。  五月二十三日には、被害者の御遺族からの申出に基づきまして担当の課長がお会いをいたしまして、これまでの検討の状況を御説明をしているところでございます。
  55. 島田智哉子

    島田智哉子君 この手記が公表された翌日の先週の金曜日、大臣の御発言の内容が報道されました。川崎厚生労働大臣は二日、話せる状況については既に担当課長から話をさせていただいたと述べ、これ以上の情報開示には否定的な考えを明らかにした、父親の気持ちは分かるが、加害者の子の更生が最優先だという姿勢は揺るがないと述べたとありますけれども、昨今、子供を巻き込む事件の多い中、今後このような事件を起こさないために、社会は、そして私たち一人一人は何を考えなければならないのか。それは今を生きる我々の責任でありまして、そのためには社会の疑問に答えることが国の責任であると思います。そして、何より御遺族のお気持ちにしっかりとおこたえになるべきだと思います。これは川崎大臣責任で、大臣の任期中に明快な回答をすべきだと私は思います。  また、被害者のお父様は、子供を被害者にも、加害者にもしないために有用な情報は社会に還元し、少しでも社会の疑問や不安に応えてほしいと切に願います。それは加害児童の更生を阻害しない形で実現できると信じていますと、とても重みのある御遺族の御心情、そしてその事件が起こらなければ今も元気で過ごしているであろう被害者の女の子の命の尊厳に対しても、大臣はいかがお答えになるでしょうか。
  56. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず第一に、被害者の遺族として加害者となった児童が現在どのような状況にあるかなどについて知りたいというお気持ち、これは無理からぬところであり、その心情はお察しをいたしますし、また、どのような形でそのことをお伝えすることができるかということは大事だろうと思っております。  しかし、私が申し上げたのは、やはり加害児童の更生、自立支援がまず基本にある。一方で、今委員が言われたように、それを社会全体に明らかにしてやっていくということについては、私は必ずしもそういう方向はいい方法ではないだろうと。被害者のお父様のお気持ちは分かりますから、どこまで開示できるか。しかしそれは、場合によっては私も知らない方がいいだろうと。正に、担当者とお父様の間で、こういう状況までは開示できますと。しかし、それはやはりその当事者同士の話だけにしておいていただきたいと。社会に対してそれを開示するということになりますと、正にどこまで我々は開示できるかという話がもっと狭められてくるんだろうというように思います。  そういう意味では、まだ確定的なものは持っておりませんけれども、先日、五月二十三日、お会いをさせていただいて検討状況等をお話をさせていただいた。また、そういう会話が今後も続けられることになるだろうと思いますけれども、そういった情報がある程度もたらされたときに、社会全体に還元されるということになると、私ども正直言ってなかなかちゅうちょせざるを得ないということは御理解を賜りたいなと。被害者の正に御遺族の心情というものはよく分かりますので、そういうことを勘案しながらどうすべきかということを考えさせていただくということで、どうぞ御理解を賜りたいと思います。
  57. 島田智哉子

    島田智哉子君 私は、社会全体にすべてを開示してほしいというふうに申し上げたつもりではございません。誤解がございましたら申し訳ございません。  しかしながら、加害児はこれから先、生きて、そして自分の周りの環境、周りの人たちとともに生きていかなければならない。その方たちとともに信頼関係を築いてこれから生きていかなければならないということに関して、少し御配慮いただきたいと思います。すべてを隠して、隠し続けて生きていくわけにはならないと思います。ある程度の時期のところでしかるべき、被害者のお父様への開示等はある程度のところではしていただきたいと切に願っております。  それでは、次に、小児医療の問題の中から、新生児集中治療管理室、NICUに長期入院している子供たちの問題についてお聞きいたします。  先週金曜日の委員会の中で、柳澤参考人から、小児科医不足の問題の一つとして、NICUの医療に当たる新生児科医が絶対的に不足している、そのためにリスクの高い母体の搬送を拒否する事態が起こっている、そうした問題についてのお話がございました。  我が国の周産期医療については急速に発展してまいりましたことから、多くのハイリスク新生児の命が救われております。このこと自体は大変喜ばしいことでありますが、その一方で、人工呼吸を必要とする子供たちなど、NICUを退院することができずに多くの子供たちが長期の入院を余儀なくされている実態がございます。そして、そのことで現状のNICUは常に満床に近い状態が続いておりまして、新生児を救命すべきベッドが常に制限されているという問題があります。そんな子供たちにとって、真のクオリティー・オブ・ライフ、QOLを考えた医療を真剣に考えていかなければならないと思います。正にその子供たちやお母さん、お父さんの立場に立った対応策が政府に求められているのではないかと強く感じております。  しかし、この問題は今になって深刻化したということではなくて、長年にわたる懸案事項でありながら、政府としてこれまでどれだけこの問題に対応してきたのか非常に疑問を持っております。例えば、昨年七月に、日本産婦人科学会など関係学会からNICUの後方支援施設の充実等に関する要望書が当時の尾辻大臣に提出されておりますが、先日、そのことへの対応策を担当部局にお聞きしましたところ、後方支援施設の定義が明確でないと、何ともそっけない御説明でございましたが、そもそもこうした実態をどのように把握され、どのような御認識をお持ちなのか。定義がないとおっしゃいますけれども、以前の厚生省心身障害研究あるいは厚生科学研究費補助金による研究等々、このNICUに関する研究というのは数多く行われてきたことを承知しておりますが、これまでに何件、どれくらいの予算を投入してきたのか、まずその点について御説明ください。
  58. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 厚生労働科学研究費等によります研究の実施状況でございますが、平成九年度からの数字でございますが、まず厚生省心身障害研究費補助金と厚生労働科学研究費補助金によります研究は、延べ三十八課題、予算額約六億九千万円となっております。それから、成育医療研究委託費によります研究では、延べ三課題、予算額約三千万となっております。これらの多くはNICUの医療の質の向上にかかわる研究でございます。そして、このうち特にNICUの長期入院患者や後方支援施設に関連する研究としては、延べ五課題、予算額約六千万円となっているところでございます。
  59. 島田智哉子

    島田智哉子君 例えば、平成十一年度周産期医療体制に関する研究、あるいは十六年度の小児科産科若手医師の確保・育成に関する研究、それぞれの中でも、その実態調査と後方支援に関する調査、そしてその充実の必要性も指摘されておりまして、今になって後方支援施設の定義が明確でないからということでよろしいのかどうか。これまで知見は相当集積されているわけですから、こうした問題の解決のために、厚生労働省としてどのような対策を取っていくのか、取らなければならないのか、具体的に御検討いただかねばならないと思います。  そこで、現在、このような長期入院を余儀なくされている子供たちの実態について、どれくらいの子供がどのような理由で長期入院をしているのか、その御認識をお聞かせください。
  60. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) NICUにおきます長期入院についての実態でございますが、平成十一年度の厚生科学研究周産期医療体制に関する研究によりますと、全国のNICU三百七十二施設において、平成十一年十二月一日現在の入院患者総数九千五百九十六名中、二四%に当たる二千二百八十五名の方が六十一日以上入院しておられる長期入院患者でございました。  また、日本産婦人科医会の平成十七年に発表された調査によりますと、全国のNICU二百四十八施設におきまして、一年以上NICUに入院しておられる患者は、平成十五年一年間で百三十名ということでございました。この百三十名につきましては、早産による低出生体重、仮死状態での出生による呼吸障害、あるいはそれに付随する脳障害、それから低酸素性虚血性脳症等がございまして、人工呼吸による長期の管理が必要な患者さんが多いために長期の入院を要しているものと考えております。
  61. 島田智哉子

    島田智哉子君 十六年度の実態調査によりますと、一年以上長期入院している子供のうち呼吸管理を行っているのは六四・五%、人工呼吸を必要とするのは六二・三%、そして退院見込みのない子供たちが五八・五%、近隣に後方支援施設がないというケースが六六%と報告されています。  やはり、最大の問題は、人工呼吸の管理ができる施設が整備されていないということだと思います。その意味では、呼吸管理のできる小児科病棟なり障害児施設あるいは人工呼吸管理ができる病院と療育の両方の機能を持った中間施設など、新しい概念の医療施設が必要なんだと思います。  例えば、このような小児科病棟あるいは障害児施設の整備状況の現状はどのようになっておりますでしょうか、副大臣、お願いいたします。
  62. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 今、島田委員指摘の、人工呼吸管理が可能な小児科病棟、また重症心身障害児施設の整備状況ということですが、まず、少し数字を申し上げます。  人工呼吸管理可能な小児科病棟の状況につきましては、平成十七年四月の日本小児科学会が実施した病院小児科・医師現状調査報告書というものがございますけれども、それによりますと、回答の得られた千百十一病院のうち、小児科を有し人工呼吸管理が可能な病院数は五百五十二ということでございます。  また、重症心身障害児施設の状況につきましては、平成十六年十月一日現在で、社会福祉法人又は自治体が運営するものが百八か所、定員数は一万六百三十七人、また国立病院機構が運営するものが七十四か所、七千五百六十八名で、合計百八十二か所、一万八千二百五名ということで、国立病院機構が運営するものを中心に人工呼吸管理が可能であるという、そういう実態が分かると思います。
  63. 島田智哉子

    島田智哉子君 ありがとうございます。  特殊出生率も一・二五と大変な少子化でございまして、周産期医療の充実こそ安心して産み育てられるまず第一歩であると私は思っております。  後方支援施設の定義が明らかにされていないということでしたら、その定義を明確にする作業からでも結構です。また、この問題解決には母子保健部局のみでなく、障害福祉部局、保険部局など、全省的な取組が必要だと思いますので、人工呼吸管理設備等の整った後方支援施設の整備推進について検討会の設置をお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  64. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私も、地元にあります国立病院機構のNICUを、一か月ぐらい前になるでしょうか、見てまいりました。また、担当される方々からもいろいろ話を聞かせていただいて、医学の進歩というものに驚かされると同時に、大変な仕事を、正に付きっきりなんですね、生まれてからずっと付きっきりで、場合によっては四、五歳までずっとケアしなきゃならない。こういう話を聞かせていただいて、一方で、今委員が言われたように、しっかりやっていかなきゃならないなという思いは同じ思いがございます。  NICUの後方支援施設の在り方については、以前から研究を進めているところですが、そうした研究の中で、NICUの後方病床に相当する部分の医療費の改善が必要と、こういう指摘を受けております。  こうした中で、平成十二年度診療報酬改定において既存の超重症児入院診療加算を引き上げるとともに準超重症児入院診療加算を新設し、今回の改定におきましては、重症心身障害児施設を含めたこのようなNICU後方支援施設の運営に資する入院医療管理料等を大幅に引き上げさせていただいたところでございます。  こうした改定により、後方支援施設が運営面でどの程度改善されるか、正に診療報酬を上げた場合はその後ウオッチをしっかりしなきゃならぬということで、今どういう状況でその成果が出てくるかと見させていただいて、また足らざるものがあれば考えていきたいと、このように思います。
  65. 島田智哉子

    島田智哉子君 ありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。  次に、今回の改正案による生活習慣病対策市町村保健師、管理栄養士の業務の全体像、そしてこの改正によって児童虐待予防や精神保健福祉などの対策にどのような影響を与えるのか、そうした視点からお聞きしてまいりたいと思います。  今回の改正案では、現行の老人保健法で規定されております保健事業規定が削除され、特定健診などは医療保険者が担うこととされている一方で、健康増進法改正案十七条の市町村による生活習慣病相談等の実施は現行どおり市町村へ義務付けされるとされています。  市町村の業務で見ますと、生活習慣病対策のうち、個に着目した健診、保健指導部分であるハイリスクアプローチの部分は国保保険者が担い、ポピュレーションアプローチの部分はそのまま市町村保健衛生部門が実施するということなんだと思いますが、私は、この国保保険者の業務、市町村のヘルス部門の業務、そしてそれぞれの財源構成やそれぞれに従事する保健師や管理栄養士などの雇用体系を明確にしておかなければ、今回の制度改正により、結果として住民へのサービス、とりわけ保健福祉部門でのサービスの低下につながるのではないかとの懸念を持っております。  厚生労働省調査によりますと、自治体保健師の活動分野として、全国の総数約五千六百万件のうち老人保健が三千三百万件と半数以上を占め、以下母子保健、健康増進、精神保健福祉の順となっておりますけれども、今回の改正で現状の市町村保健師業務のどの程度が保険者に移行すると考えればよいのでしょうか。
  66. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 生活習慣病対策につきましては、これまで主に老人保健事業として実施をしてきたところでございますけれども、今回の医療制度改革におきまして、糖尿病等に着目をいたしました健診、保健指導医療保険者の業務となるわけでございます。  現在、市町村保健師が行っております業務のうち、今回の改革で医療保険者に移行する部分を正確に試算をするということはなかなか困難でございますけれども、老人保健事業による健康診査に相当する部分に該当すると考えられ、地域保健・老人保健事業報告により推計することは一応可能だということでございます。こういったことをしてみますと、市町村が実施をいたします保健事業のうちで老人保健事業に関する活動は全体のおよそ六割ということでございまして、さらに、このうち健康診査に関する業務が約四割というようなことになってございます。  なお、生活習慣病対策を効果的に行うためには、健康教育、健康相談といったポピュレーションアプローチも併せて実施することが重要でございまして、老人保健事業として実施されてきた事業のうち、こうした事業については引き続き市町村が実施をすることになると考えてございます。
  67. 島田智哉子

    島田智哉子君 市町村保健師の業務として、児童虐待への対応でありますとか精神保健福祉への対応など、これなどはアウトソーシングできるものではありませんから、行政の立場からしっかりと対応していただきたいというのが住民の声です。しかし、これまで老人保健への対応でなかなかそれらに手が回っていなかったというのが現状ではないかと思います。  ただ、今後、老人保健部分の多くが保険者へ移り、その分保健師さんたちに余裕ができ、これまで手薄となっていた児童虐待分野などに十分な対応が取れるということでありましたら、それはそれで、この部分については住民にもメリットになるんだと思いますが、四月十四日、衆議院における健康局長の御答弁では、保健指導に係りますマンパワーにつきましては、平成二十年度以降、当初は市町村保健師、管理栄養士等に中心的な役割を担っていただくものと考えていますと、このようにお述べになっています。この趣旨とはどのようなことなんでしょうか。
  68. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 平成二十年度以降、市町村国保を始めといたします医療保険者による保健指導計画的に拡充をしていくという上で、保健指導についての人材の育成確保は大変に重要な課題であると考えておるところでございます。  御指摘いただきました私の答弁につきましては、市町村保健師、管理栄養士等により提供されております現行の健診等のサービス量に加えまして、今後、追加的に必要となりますサービス量を確保する方策として、保健師、管理栄養士等の資格を持ちながら実際には保健指導を提供する職に就いていない在宅の方々に活躍をしていただくということや、保健師、管理栄養士等による保健サービスを提供する民間の事業者の有効活用などが考えられるという趣旨でお答えをさせていただいたものでございます。  いずれにいたしましても、市町村の職員として活躍されておられます保健師、管理栄養士等の専門職の方々につきましては、平成二十年度以降につきましても、市町村国保の事業として提供することとなります健診、保健指導においても中心的な役割を果たしていただく必要があると考えております。
  69. 島田智哉子

    島田智哉子君 平成二十年度以降、保険料財源で賄われている事業に対して、市町村保健師、管理栄養士等に中心的な役割を担っていただく。これは保険財源で行う事業ですから、新たに国保特別会計で雇用する保健師ということになるんでしょうか。それとも、現行の一般会計による保健師が保険者の業務も担っていくということなんでしょうか。  もし国保特別会計ということですと、昭和五十三年に国保から市町村に移管する以前の状態に戻すということになりますが、その問題をどう考えるのか。また、その場合、何よりも現行の一般会計の保健師を大幅に削減するということにならないんでしょうか。  また、逆に、一般会計の現在の市町村保健師が保険財源の業務を行うとするのであれば、今以上に業務が大幅に増えるということになりますが、その分地方交付税を大幅に増額することが可能なのでしょうか。さらに、見方を変えれば、保険財源の仕事ができる余裕があるということで、地方交付税の削減につながる可能性だってあるかもしれません。どのように対応されるんでしょうか。
  70. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 医療保険者によります健診、保健指導生活習慣病予防の効果を上げていくという上では、健診によって対象者の状態を把握した上で、その健康課題に合わせた保健指導を提供していくということが必要でございます。これを担う保健師の確保は大変に重要であるということでございます。  一方、市町村保健師は、生活習慣病対策だけではなく、御指摘もありましたように、母子保健対策とか、あるいは障害者施策、さらには介護予防、児童虐待防止対策まで、住民全体の健康課題に対応する職種ということでございまして、こうした業務に従事する保健師が不足するといったことはあってはならないというふうに考えております。したがって、現在の市町村保健師を一律に国保の事業のみを担当する保健師として移管するということは想定をしておりません。  平成二十年度以降、追加的に必要となります保健指導のサービス量を確保する方策といたしまして、必要となる市町村保健師の確保をどのように図っていくかということについては、地方交付税措置の在り方も含めて、関係省庁と今後十分に協議をしてまいりたいと考えております。
  71. 島田智哉子

    島田智哉子君 今後、仕事量が増えていく分を国保特別会計で対応する場合のメリット、デメリット、そして一般会計で対応する場合のメリット、デメリット、それぞれどういう問題があって、どういう観点から検討されていくのか、もう一度明確に御答弁ください。
  72. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 現状でそれぞれのケースについてメリット、デメリットを十分評価、比較検討したというわけではございませんので、今後、そういったものも含めて、また実態も見つつ、実施に向けては各関係省庁とも相談をさせていただき、なお実施した上での現場の状況も踏まえて更に必要な改善を加えていくということになろうかというふうに考えております。
  73. 島田智哉子

    島田智哉子君 いずれにしましても、平成二十年度からですから、もう期間も限られているので、その中で結論を出していかなくてはならないわけですが、既に児童虐待防止や精神保健福祉、障害者福祉などは市町村の重要な義務でありまして、介護も含めて仕事量がどんどん増えていきます。  仮に現行の一般会計の保健師さん、管理栄養士さんが削減されるということになりますと、住民へのサービスが低下することは間違いないことだと思います。その意味でも、今回の改正によって市町村保健師、管理栄養士を削減せざるを得ない状況は絶対に避けなければならないと思います。  今後の市町村保健師、管理栄養士の役割責任も含めて大臣のお考えをお聞かせください。
  74. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 市町村では、生活習慣病対策だけでなく、母子保健対策、障害者施策、更には介護予防や児童虐待防止対策など幅広く担っていただいており、地域保健の分野においてもその役割は今後更に重要になっていくことから、地域実情に精通した市町村保健師、管理栄養士等の専門職が活躍できるような体制整備は重要と考えております。  一つは制度変更があるという中で、もう一つ市町村合併というテーマがあるように思います。従来県がやっていた部分が、市が担っていく部分がこれから増えていくだろうと。一方で、基礎的自治体ができるだけ大きな基盤となって財政基盤も充実した中でより専門職の職員が雇いやすくなる。町村においてはなかなかそういうことは可能ではないと思います。極めて限られた人数の中で専門職をたくさん雇うということは無理でございます。そういった意味では、財政規模が大きくなってきた中でこういう専門職をしっかり充実、育てていくことができるかというのは市町村合併の中の大きな課題であろうし、また県との関係というものも極めて重要なテーマに私はなっていくだろうと思っております。    〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕  こうした側面から、市町村保健師、管理栄養士等の育成、確保に当たって、国と都道府県がしっかり連携取りながら、実施主体になります市町村、特に市がこれからは多くなると思います、市に対してどういう応援をさせていただくことができるか。先ほど交付税の問題もございました。こうした問題を踏まえて、二十年実施でございますので、総務省としっかり議論はしてまいりたい。  いずれにせよ、合併というものの目的が生かされるような方向でこの専門職の養成というのは進めていかなければならないなと、こういう思いをいたしております。
  75. 島田智哉子

    島田智哉子君 それでは、健診項目についてお伺いします。  この項目については現在検討会で検討中という御答弁にしかならないと思いますので、あえてお聞きしませんけれども、例えば現行の老人保健法の健康診査項目の中で新たな健診の対象にならない項目について、改正案の中では健康増進法の新しい規定、十九条の二で対応するというその理解でよろしいでしょうか。    〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
  76. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 医療保険者が実施をいたします特定健康診査の検査項目などの具体的な内容につきましては、現在、有識者、医療保険者に参加いただいております検討会で議論をしていただいているところでございます。  仮に現行の老人保健法に基づいて市町村が実施しております健診のうちで、医療保険者が実施する特定健康診査に含まれないものがある場合につきましては、健康増進法を根拠に引き続き市町村において検討の上、実施をしていただくということになると考えております。  そして、条項の関係でございますが、市町村健康増進法の第十七条及び新たに設けることとしております第十九条の二の規定に基づいて実施をいたします事業内容につきましては、今後、省令等において明確にしてまいりたいと考えております。
  77. 島田智哉子

    島田智哉子君 検討会の議事録を読ませていただきますと、今のところ、身体計測、血液検査、血圧、そしてそのほかにどの項目を含めるのかということが論点になっているようですけれども、例えば歯周疾患検査でありますとか骨粗鬆症検診。歯周疾患、自分の歯を保っている人の糖尿病、心筋梗塞の発症割合が低いということは既に証明されておりますけれども、この点については大臣も御承知のことと思います。その意味でも、私ども、従来から定期健診として歯科健診を行う必要性を言ってまいりました。  しかし、検討会の結果、仮に特定健診の項目に入らないとなった場合、健康増進法十九条の二に含めますよと言われましても、その場合、市町村の財政負担割合はどうなるのでしょうか。現行老人保健法の国、都道府県市町村の三分の一ずつの負担に比べて、改正案ではどのようになるのでしょうか。
  78. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 今回、健康増進法の改正案におきまして、第八条の四項ということで、国は、都道府県又は市町村に対して健康増進計画に基づく事業に要する費用の一部を予算の範囲内において補助することができるという旨の規定を盛り込んでおるところでございます。  健康増進法に基づきます事業に対する国庫補助の在り方については、平成二十年度の施行に向けまして、現在の国庫補助の内容ども精査した上で更に検討してまいりたいと考えております。
  79. 島田智哉子

    島田智哉子君 どちらとでも取れるような、予算の範囲内において当該事業の要する費用の一部を補助することができると、これはどういう意味なのでしょうか。市町村にとってはこれまでどおりの負担でよろしいのでしょうか。仮に市町村負担が増えるということになりますと、実施している市町村の減少、さらには住民の健康という面からも影響が大きいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  80. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今御答弁しましたように、財政面におきましては、国保保険者として市町村が行う特定健康診査特定保健指導については、老人保健法による健診等の費用負担と同様、国、都道府県が費用の三分の一ずつを持つと。市町村の行う健康づくりに関する事業について、今地方交付税措置、総額で約五百五十億円と聞いておりますけれども、こうした措置が続けていく方向で総務省と協議をしていきたいと思っております。
  81. 島田智哉子

    島田智哉子君 それでは、資料の配付をお願いいたします。    〔資料配付〕
  82. 島田智哉子

    島田智哉子君 引き続き、政府管掌健康保険の健診、保健指導実施体制についてお聞きしてまいります。  まずは、現行のシステムの中で行われている生活習慣病の予防健診事業について御説明ください。
  83. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) 現在、政府管掌健康保険生活習慣病予防健診事業におきましては、被保険者等の生活習慣病の予防及び健康の保持増進を目的といたしまして、一つには三十五歳以上の被保険者及び四十歳以上の被扶養配偶者を対象といたします一般健診を実施しております。これとともに、その健診の結果に基づきまして、日常生活に注意を要する者等を対象に、保健師による生活習慣の改善指導等を実施しているところでございます。  この事業は、現在、財団法人の社会保険健康事業財団に対しまして健診の申込みの受付あるいは事後指導等の事務を委託するとともに、健診の実施機関につきましては、これは別途に契約をいたしました医療機関に対しましてその健診の実施の委託をしている、こういう仕事の進め方をしております。
  84. 島田智哉子

    島田智哉子君 その中の、財団法人社会保険健康事業財団との健診事業運営委託契約の委託契約内容と委託費について御説明ください。
  85. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) ただいまも若干触れましたので、繰り返しになる点、お許しいただきたいと存じますが、社会保険健康事業財団に対しましては、ただいま申しました生活習慣病予防健診事業のうち、一つには健診の申込書の受付、それから健診データ等の管理、さらに健診結果に基づく保健師による生活習慣改善指導の事務を委託しております。  また、これらの事務を行う経費といたしまして、平成十六年度の決算額で申し上げますと約四十九億円を委託費として支出しているところでございます。
  86. 島田智哉子

    島田智哉子君 そこで、その委託費についてなんですが、昨年十月、総務省行政評価局より、民間団体等を対象とした補助金等に関する行政評価・監視第一次結果の報告が明らかにされておりますが、その中で、正にこの委託契約に関連して、調査と補助金の在り方について二項目の調査をされ、厚生労働省に改善方策についても指摘されております。  その事例2―⑫、疾病予防検査等委託費の財団法人分について、どのような指摘があり、どのような対応をお取りになったのでしょうか。
  87. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) 2―⑫の指摘についてのお尋ねでございます。  これは、疾病予防検査等委託費というのは、先ほど来申し上げておりますように、健診の申込書の受付に係ります事務費、それから健診データ等の管理費、こういったものが費用の内容でございますが、その他これらの事業に必要な経費といたしまして、職員の健康の保持増進や安全管理等を目的とした法定外福利費も含まれております。  今回の勧告におきましては、この法定外福利費におきまして、委託先である社会保険健康事業財団の職員の親睦食事会の経費等に支出されておりますことから、これが委託費の使い方としては不適正な支出ではないかという御指摘をいただいたところでございまして、これは委託費の返還あるいは再発防止の措置を講ずるべきであるとの御指摘をいただいたところでございます。  この改善勧告を受けまして、平成十七年十月二十日付けで、私どもの方から社会保険健康事業財団に対しまして、まずは自主点検調査を指示をいたしました。さらに、立入検査を行いまして、その結果、総務省の勧告で御指摘をいただいたものを含めて約四百十万円の委託費の不適正な支出が確認されました。これに基づきまして、社会保険健康事業財団に対し不適正に支出された金額の返還を命じ、本年の三月三十一日にこの返還を受けたところでございます。  社会保険庁といたしましては、社会保険健康事業財団に対しまして、勧告で指摘された事項以外についても更に徹底して点検を進めるとともに、再発防止の措置といたしまして、まずは委託費の支出に関して証拠書類との突合、それから確認の徹底を図ること、さらに福利厚生費ということの範囲を明確にするということで、再発防止策を講じることを指示したところでございます。今後とも、委託費の適正な執行を確保するよう、万全の措置を講じてまいりたいと考えております。
  88. 島田智哉子

    島田智哉子君 恐れ入ります。何年前からそれが行われていたんでしょうか。
  89. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) 私ども、委託費の書類の保存については五年間の保存ということでございますので、五年以上前のものはちょっと確認のしようがございませんが、この確認のできる平成十二年度から十六年度までの調査の中で、こういったものはどうもあったようだということでございますが、残念ながら平成十一年度以前についてはそういうことで事実確認が行えなかったということをお許しいただきたいと存じます。
  90. 島田智哉子

    島田智哉子君 それでは、もう一項目めの顧問医師の設置経費についても御説明ください。
  91. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) 社会保険健康事業財団は、都道府県ごとに支部をつくっております。この支部の中に顧問医師というのを設置をしております。これは、健康受診者の具体的な改善指導に当たります保健師さんが個別指導が必要な方に対する指導方法についてこの顧問医師に御相談をして具体的に進めていくと、こういうことのために設けられているものでございます。  今回の勧告におきましては、顧問医師が十分に活用されていないと、したがってその経費の払い方についても不適切ではないかという御指摘でございまして、業務内容を見直すとともに活動実績に応じた報酬とするように御指摘をいただいたところでございます。  この改善勧告を受けまして、平成十七年の十月二十日付けで、社会保険健康事業財団に対しまして改善指導を行い、顧問医師につきましては、まずは業務内容については相談項目を明確化すること、さらにその謝金については保健師の相談に対応した実績に応じた報酬とすることとの措置平成十七年の十一月一日より行わせたところでございます。
  92. 島田智哉子

    島田智哉子君 国民保険料を不適切に使い過ぎます。  そうした医師というのは、具体的にどのような医療機関の医師なんでしょうか。
  93. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) 具体的には、例えば社会保険病院の院長先生であるとか、健康管理センターの長の方であるとか、あるいは、そういった様々な医療機関の先生方が多うございます。結果的に私どもの健診事業とのつながりということでは、社会保険病院やそういった健康管理センターというところのかかわりの先生が多くお加わりいただいているという形になっております。
  94. 島田智哉子

    島田智哉子君 全く内々で貴重な保険料をぐるぐる回しているだけなんではないでしょうか。  折しも年金不正免除の問題で国民の信頼を更に損なう異常事態にございます。また、昨年四月の本委員会での会議録も読ませていただきましたが、その中でこの財団に対して武見委員からの厳しい御指摘も読ませていただきました。  聞くところによりますと、こちらの財団でも、最前線で活動されている保健師さんなど、土日、夜間に個別に事業所を訪問するなど、懸命にお取り組みになっておられます。しかし、一部といえども不正行為が平然として行われているとすれば、国民だけでなく、そうした懸命に働く方々に対しても信頼を損なうものだと思います。  そこで、今後の対応ですが、保険者への健診、保健指導の義務付けは二十年四月、新たな公法人が保険者となる二十年十月、つまり義務付けが始まる当初は現社会保険庁が保険者のままということになると思いますが、現行の財団との委託契約はどのようにお考えでしょうか。
  95. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 今御指摘のように、社会保険健康事業財団に委託しているということは、理由としましては、受付やデータ管理等の事務を全国統一的に行うことができる、あるいはまた事後指導を行うために十分な保健師の体制確保していること、こういった理由から今日まで社会保険健康事業財団に委託をしてきたわけですが、御指摘のような非常に残念なことが起こりました。  そういうことも含めまして、今後どうするのかという御指摘でございますが、全国健康保険協会における保健事業の進め方については運営委員会や各都道府県の支部に置かれる評議会において検討されることになるわけですが、一つ地域実情を踏まえた保健事業推進すること、二つは健診データの適切な管理、活用を行うこと、三つは業務の効率化を推進すること等の観点から、最も適切な実施体制になるようにこの全国健康保険協会において主体的に判断をしていくべきものだと考えております。  先ほど来御指摘のようなことから、このありようというものを当然見直していかなくちゃいけない、そういう観点に立って考えていきたいと思っております。
  96. 島田智哉子

    島田智哉子君 衆議院での大臣の御答弁では、公法人においては都道府県ごとに支部を設置し、地域実情に応じた保健事業医療費適正化に向けた取組を推進するとされていたわけですけれども、結局、社会保険庁が敷いたレールを引き継がされるということではなくて、正に大臣がおっしゃる地域実情に応じた保健指導が展開されていくような、公平、公正な契約によって実施体制を築いていくことが必要だと思います。大臣のお考えをお聞かせください。
  97. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 全国健康保険協会においては、都道府県の支部ごとに地域関係事業主や被保険者等から構成される評議会を設け、これらの方々の御意見を踏まえながら保健事業を実施していくこととしております。これによって、従来に比べ、地域実情に応じた創意工夫を生かした取組を柔軟に展開できる、都道府県別保険料率の下、地域の健診や医療費の状況等も踏まえて、保健事業事業量を地域で主体的に決めることができる、都道府県レベルで保険者間の連携が図りやすくなると考えており、協会においてこうした利点を生かして、地域実情を踏まえた保健事業の展開が図られるものと考えております。  なお、平成二十年四月から、保険者については、生活習慣病に着目した健診、保健指導が義務付けられており、協会においても、これらを踏まえ、全国的に保健事業の一層の充実が図られるよう、国としても必要な指導に努めてまいりたい。  いずれにせよ、新しい体系でスタートするわけでありますから、当然、そこのトップに立つ人たちは全体を見直す中でやっていかなければならないと。また、今御指摘いただいたようなことが二度と起こらないような体制をしっかり引くように、私の方からも注意をしておきたいというように思います。
  98. 島田智哉子

    島田智哉子君 よろしくお願いいたします。  次に、医師確保対策についてお聞きいたします。  この問題につきましては、衆議院でも様々な角度から御議論がございました。また、先週も大臣の御答弁の中で、女性医師が医療の分野で非常に多くなっている、女性バンクのお話もございました。そして、また、これまでにへき地医療や小児救急の分野で医師確保事業を実施してこられているのも承知いたしております。しかし、果たしてそれぞれの実情をどれだけ把握された上で取り組まれているのか。そうした疑問を持っておりましたので、一点お聞きいたしたいと思います。  これは昨年度から始められた事業ですけれども、小児救急医師確保等調整事業事業内容と予算額、十七年度の実績について御説明ください。
  99. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 小児救急医師確保等調整事業についてでございますが、この事業は、都道府県ごとに小児科医師を含む関係者から成る協議会を設置いたしまして、小児救急医療体制の整備及び小児救急医師の確保を図るための検討、調整を行い、離職、退職等した小児科医師に対しまして再就業の募集等を行うとともに、就業の意思のある小児科医師について研修を実施するというものでございまして、御指摘のとおり、昨平成十七年度から実施しているところでございます。  この予算額でございますが、平成十七年度は八千二百万円、平成十八年度は八千百万円となっております。平成十七年度の交付実績でございますが、協議会を設置し、関係者による検討を行った県が四県、協議会を設置し、検討を行うとともに、実際に研修を実施した県が一県となっております。
  100. 島田智哉子

    島田智哉子君 一年間で実際に研修を受けられた方はわずかに一名ということですけれども、それは周知の問題だけなんでしょうか。私も都道府県の担当者さんにお話をお聞きしてみたのですが、まず一つには、この事業を実施するための協議会の設置。一口に協議会と言いましても、この事業を実施するための協議会の設置というのは実際には大変なことでして、ただでさえ忙しい医師の方々にお集まりいただくということは、それは、とてもとても簡単なことではないということです。  また、どこにそういった離職中でしかも復職してもいいという方がいらっしゃるのか。簡単に、発掘しとありますけれども、そのために都道府県の職員が走り回らなければならない。しかも、そういった方というのは恐らく育児をされている場合が多いでしょうから、臨床研修を受けるにも、それほど頻繁に受けることができない。そういう状況ですから、結果として夜間の救急に就いていただくことも難しいので、苦肉の策として昼間の一般診療に就いていただいて、その分、夜間の救急を担当する先生に休んでいただく。それで救急医師確保という事業の対象になっている。  そういう実情もあるようでして、今年度も実施されるようですけれども、そうした実情なりニーズ調査は行われたんでしょうか。
  101. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今年度の小児救急医師確保等調整事業の実施につきましては、これから都道府県から国庫補助の申請を受け付けることといたしてございますが、昨年度、十七年度に既に実施している県からは、引き続き実施する旨とともに、この確保を図る上で現実になかなか、委員も御指摘のとおり、小児科医師の確保が現実的に困難であると、こういう声も承っているところでございます。  具体的に申しますと、都道府県において、離職、退職した医師等の小児科医師の掘り起こし作業を実施してもなかなか見付からなかったというような声等を聞いているところでございます。各都道府県での小児救急医療体制確保につきましては、都道府県地域医療資源の状況等、地域実情に応じまして対応されるというふうに認識してございますけれども厚生労働省といたしましては、こうした補助事業などを活用していただくためにも、今後小児科医師の確保と小児救急医療体制の整備に向けた都道府県の取組の実情をできるだけ把握し、取組の後れている都道府県に対しましては必要に応じ適切な助言を行うなど、事業の効果的な実施に向けて更に努力してまいりたいと思っております。
  102. 島田智哉子

    島田智哉子君 お聞きしたお話にもございましたけれども、結局のところそういった対象になるという方というのは女性でして、女医でして、その意味で、先日来答弁にありました女性医師の再就業の講習会を始めたということですけれども、実態は同じであるわけですから、こうした事業を行う際に、十分なニーズ調査なり実情を把握して、そして各部局がそれぞれに行うということではなく、その関係部局が十分に連携をする中で事業を進めていく必要があると思います。  私も女医の一人でございます。また、子供を育てる母の一人としても、やはり働く場所の環境の整備、子供を育てながら仕事ができる環境を医療の場でも着実につくっていかなければならない。でなければ、女医が増えたから、だから、子育て中、そして離職してしまった女医のせいで医師が不足している分野があるというふうな反対の理由付けになっていくような、私はそういった気がいたしております。決してそうではなくて、やはり仕事の環境整備が整わなくては、ライセンスを持っている、医師免許を持っているわけですから、やはり働きたい、又は社会に貢献したいという気持ちはだれにでもあると思います。  ですから、そういった整備の方をしっかりとしていただきたいと思いますが、大臣、そういったお考え、いかがでしょうか。
  103. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 産科においては、今年の研修を終えられていかれる方々の七割は女性の医師になっております。小児科が五割ぐらいだろうと思います。十年たったら半分以上の産科のお医者様は女医さんの時代を迎えるだろうと。したがって、医療機関自体が変わっていかなければならないという意識をどう持つか、そこが一番大事だろうと思います。まだまだ体制がそういう方向に変わっていっていない。その中で、しかしながら行政としてもできるだけのことをしなきゃならぬという中で、まだ歯車がうまくかみ合っていないと、委員が御指摘のとおりだろうと思います。  そこで、県等でやはり協議をしてもらうときに医師会の皆さん方に入っていただいたり、大学病院の方に入っていただいたり、また病院関係者の方々に入っていただいたり、いろんな方に入っていただいて御相談をいただくわけですけれども、その議論の中で、やはり女性医師がお勤めいただく環境をどうやってつくっていくのかということを議論することが一番大事だろう。大変お忙しい方ですけれども、今やっぱり寄ってもらって、女性医師というものが、今例えば三重県だったらこれだけいるんだということをやっぱりきちっと把握した上で進めていかないと物事が進まないのかなという感じはいたします。しかし、そういうものをやはりきっかけとしてつくっていかなきゃならないと。  私も実は先日、産科と小児科の方々別々に、学会代表、医師会代表、それから若い女性の医師三人来ていただいていろいろ話を聞かしていただきました。その中で、やはり時代の変化の中で、一つは集約化というものが進めていく中で、自分たちの働きやすい環境をつくってほしいと、こういう御要請が一番強かったなという感じで受けさしていただいたところでございます。  したがって、全体の構図と女性医師の働く意欲、極めて高いと思っております。そういうものをうまくマッチングさせるようなことをしっかり考えていかなきゃならない。その中の試みとして女性バンク等やっていて、すぐ成果上がらないじゃないかと御批判いただいていることもよく分かりますけれども、やはりそうした形で寄りながら、協議しながら、前向きに進めなきゃならないと思っておりますので、小児科の問題についても、確かに去年、実績が上がっていません。しかし、議論しながら体制を整備していくという面では、やはり続けていかなきゃならない事業なのかなと。ただ、切り口がうまく整ってきたときには女性医師だけに焦点を当てた方がより目的がはっきりしてきていいかなと、こんな感じをいたしております。
  104. 島田智哉子

    島田智哉子君 終わります。
  105. 山下英利

    委員長山下英利君) 午後一時二十分から再開することとし、休憩をいたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  106. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  107. 山本孝史

    山本孝史君 民主党の山本孝史でございます。  久しぶりの質問なのでちょっと動揺しております。時間が四十五分と短いので、早速質問に入りたいというふうに思います。  今日は、大臣議論をさせていただきたい最初のトータルとして医療制度を真ん中に置きながら、これからの日本の社会保障の全体をどう考えていくのかということについてもう少し広い視野で展開すべきじゃないか、この間の本会議での質問をもう少し深掘りさせていただくような形で大臣に御質問させていただきたいというふうに思っております。  まず、この委員会、衆参ともにそうですけれども医療費の将来推計が妥当かどうかということで議論がありましたけれども、私は、あれはあくまでも推計ですから、推計を基にいろいろ議論してみても実は時間がもったいないだけだと思っております。しかも、その問題は二〇二五年の医療費がどうだということを言っていますが、二〇二五年は団塊の世代がちょうど七十五歳に達する時期でして、私の問題意識はそれから先、二〇三八年、今日お手元の資料にお配りをさせていただきました、実は死亡者数が百七十万人になる。今、百八万人が去年ですけど、これに比べると大変言わば多死社会が来るわけですね。この団塊の世代が学校教育のときはプレハブの校舎で学ばせていただいたと、それが最期を迎えるときにはプレハブ病棟になるのですかと、こう申し上げたのは、団塊の世代を引き受けるというか、その受皿としてのみとりの場所をどう考えるのかということは大変大きな政策課題だと私は思っております。  そういう意味で、百七十万人の人たちのこの受皿、その場所とそれぞれの数、病院、自宅あるいは施設というようなものについて、どういうふうに厚生省としてお考えになっておられるのか、お示しをいただきたいと思います。
  108. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 二五年の議論をしていてもある意味では見通しという数字しかない、その十三年後をまた具体的に示せという御質問でございますけれども、今、平成十五年の時点で病院、診療所で亡くなられる方が八一・六、自宅が一三・〇という数字になっております。これはもう委員も御承知だと思いますけれども、かつては昭和二十六年で……
  109. 山本孝史

    山本孝史君 済みません、時間が短いので。
  110. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) はい。昭和五十年でクロスしたわけですね。八〇対二〇、自宅が八〇、医療現場が二〇という時代から、五十年にクロスして、今逆に八〇対二〇になっている。それを基本的には病院から在宅、若しくは介護施設の方へだんだん方向付けていこうというのが今度の施策だろうと思います。  さあ、五〇、五〇のところまで行けますかということになると、これまたいろんな議論があるだろうと私は思っています。ただ、方向付けは、私どもは、国民の六割が自分の最期の場所としてできるだけ自宅を選択したいと思っていることは事実ですから、政策誘導としては当然自宅なり、より自宅的なところへ持っていくべきだろうと。少なくとも医療施設で八一%が亡くなっておるという現状は少しずつ変えていかなければならないと、このように考えております。
  111. 山本孝史

    山本孝史君 今の病院死亡率八〇%を半分四〇%にすると。しかし、百七十万人の四〇%ですから六十八万人、七十万人ぐらいということになるんでしょうか。だから、そこの数を、今介護施設をつくろうとしている、自宅に近い介護施設をつくる。片っ方で、病院の方は一般病棟も含めて療養病床転換する、あるいは一般病棟も含めて少なくなっていくわけですね。一方で、自宅の方は独り住まいの高齢者が増えてきて多分自宅でみとるというのは極めて厳しいだろう、介護なりあるいは医療の外付けがあったとしても、という皆さん御意見があって、それが回り回って実は高齢者医療の受け手をできるだけ少なくしたいというような乱暴な議論になってくるわけですよ。この山をどうやって乗り越えていくのかということについてのやっぱり将来見通しというものをしっかり立てておくということが実は非常に重要なんだということで、是非省内で検討してください。  今の百八万人に対する死亡率、あるいはそのそれぞれの場所、ベッド数というものがこの山を迎える二〇三八年のときに、病院は何ベッドあるのか、もちろん全員が亡くなるための病院じゃありませんけれども、病院がどれだけのベッド数を持っていて、そして施設がどれだけのものを持っていて、そして自宅がおっしゃっているように四〇%が可能になるための在宅の診療所等々の体制がどこまで整えられるのかということについて是非検討いただいて、私はそれが社会保障の将来の在り方像にかかわる非常に根本的な問題だと思うもんですから、是非議論をいただいて、また国会などに御報告をいただきたいというふうに思います。  それにかかわって、大臣に、難しい質問で恐縮ですけれども、終末期医療の在り方について国民的な合意形成を得てこの高齢者医療制度の診療報酬を決める云々とおっしゃっているんで、その合意形成を得るというのはどのようにしてその合意形成を得るというお考えになっておられるのでしょうか。
  112. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今議論始めましたように、終末期医療につきまして、一つは、自宅で療養したいという回答が六割、現実の社会が八割を超える現状。また、医療費のお話もいただきましたけれども医療費自体が、死亡直前に掛かる医療費が高額であると。そして今、御提起いただいたように、二〇三〇年代になりますと百五十万、百七十万人の方がお亡くなりになることになるだろうと。こうした状況を踏まえ、住み慣れた家庭や地域生活しながら最期を迎えるなど、残された期間を患者がより充実して過ごすことができるように、また患者の意思が十分に尊重され、医療やケアに反映されるよう、後期高齢者にふさわしい診療報酬体系の構築について今検討させていただいております。  後期高齢者医療制度における終末期医療診療報酬上の評価を検討するに当たっては、終末期医療が人の生死に深くかかわる問題であり、国民の関心も高く、また様々な考え方があることから、開かれた透明性の高い国民的な議論を経ていかなければならないだろうと。そういう意味では、初めから政府がこういうものがいいというふうに想定をしてつくり上げていくことは無理だろうと思います。やはりいろんな意見を伺いながら、しかしながら、今、私申し上げましたように、病院で八〇%がお亡くなりになるというのは少しずつ誘導をしていかなければならないだろうと。それは本人の気持ちも、アンケートとして六〇%はなるべく自宅でということでありますから、そこをやはりどう形付けてくるのが、我々の一つの方向性、その中における終末期医療の在り方というのはどうあったらいいかというのをこれからしっかり議論しながらやっていかなければならないだろうと、このように思っております。
  113. 山本孝史

    山本孝史君 ちょっと私の意味が伝わってないと思うんですが、厚労省の中で決めるわけにはいかないだろうと、こうおっしゃる、だからどういうふうにして決めていくのですかと私は聞いているのです。  終末期医療の在り方というのは、臓器移植のその前段階であった脳死の問題について随分長い議論をしましたよね。脳死臨調をつくって議論をしてきた。そしてまた国会の中でも長いこと議論して国民合意を得てきたわけです。終末期医療の在り方の合意を得るというのは実はそれと同じぐらいに重い意味を持っているだろうと。  だから、厚労省の中で決めるわけにはいかないとおっしゃった後、何か皆さんからお話を聞いて厚労省で決めますというようなことに最後なってしまうから、五年先の話じゃなくて、五年あったって私は国民合意ができるかどうか分からないと思っているもんですから、一体大臣の頭の中にはこの国民合意を得るためのシステムというかその仕組み、例えば検討会をつくるのか、あるいはもっと国民的な議論をできるような場を設けようと思っておられるのか、その辺のイメージはどうですかというのが私の質問です。もう一度お願いします。
  114. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) いろいろな意見を聞きながら診療報酬体系は決めなければならないだろうと思います。それからもう一つは、先ほどの議論あったように、基本的には病院からできるだけ自宅の近くへという方向性は厚生労働省としては出していかなければならないだろうと。そういう意味では、ある意味では厚生労働省が方向付けはしているじゃないかということになるかもしれませんけれども、そこの過程の中で、さあいろいろな意見を聞きながら正に私どもが初めからこうありきという形で持っていくわけにはいかないだろうと、方向性だけは二つ申し上げました。
  115. 山本孝史

    山本孝史君 質問を変えます。  大臣のイメージの中で末期とは何ですか、終末期とはどういうイメージですか。
  116. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 一般的に言えば、医学的に見て患者が回復の見込みがなく死期が近い状態ということになろうと思います。しかし一方で、若い人たちが医療を受けている段階で正に末期という表現を使うのかどうか、一方で八十、九十になられた方が、私が今申し上げたように医学的に見て患者が回復の見込みがなく死期が近いということになれば、それは終末期という話を使いやすいんだろうと。それにしても、それでもなかなか御議論のあることだろうと思います。余命の期間も含め終末期の状態について一律に定義することは、病気には様々な種類があり、また個々の患者によって病状も異なることから、正直言ってなかなか難しい課題一つであると考えております。  厚生労働省としては、終末期医療は人の生死に深くかかわる問題であり、国民の関心も高く、また今後在宅医療推進していく上でも重要な課題だと考えておりますけれども、一方で、先ほど委員が尊厳死の問題を言われました。その問題一つ考えても各党で様々な意見がありますし、また党の中でも様々な意見があることは事実でございます。  そこで、この一か月ぐらい前でしょうか、議論をいたしましたのは、病院等で、尊厳死の問題で、積極的な治療というものを行わないと死に至るという場合について、医療現場の対応、これは三つに分けましてそのときお話し申し上げました、積極的安楽死、間接的安楽死、治療行為の中止。治療行為の中止という場合だけにつきましては、そろそろ考え方を出していかなければならないだろうと。それは委員会でもいろいろ御議論ございましたけども、富山の例もありまして、厚生労働省としてそろそろ結論を得ていかなければならないだろうという段階を迎えております。
  117. 山本孝史

    山本孝史君 今までの話は全部同じで、厚労省の中で結論を出さなきゃいけないとおっしゃるんだけれど、そこのところが国民の合意がないと実は厚労省が出した結論というのが本当にみんなが受け止められるのか。私は今、末期とは何か、終末期とは何かと申し上げましたよね。人間必ず死にますから、そういう意味では、常に死に向かって歩んでいるという意味では、私たちは限りがあるわけですね。年寄りだから終末期なんだ、若い人たちは違うんだという話じゃないんですよ、それはやっぱり。病態によってそういうふうになる。しかも予後の余命、予後どれぐらい生きるかという話は非常に判断が難しいんです。医者ですらこれはできない話なんです、実は。最終末期のそろそろかなというところは分かるのかもしれない。しかし、そこに至るまでの間、簡単に終末なんだと、年寄りなんだと、どうもここの議論聞いていて、衆議院からの議論もそうですけれども高齢者医療診療報酬制度に絡めて、医療費が掛かると。私、尊厳死の話は申し上げてません。尊厳死を考える議員連盟の会にも私入れていただいております。尊厳死法制反対ですけれども医療費が掛かるから尊厳死法制をしなければいけないんだという議論をされるから、それは全く違うと。そういう議論でこの議論を展開したらそれはおかしいでしょうと、こう申し上げているんです。  したがって、終末期だとか末期だとかということの、私は日本医師会がまとめられた「「ふたたび終末期医療について」の報告」という報告は非常に目配りが利いたいい報告だと思っておりますけれども。そういう中で、富山の件もあるので、ガイドライン云々という思いの治療中止という話になったんだと思いますけれども、そのガイドラインの付き方についても、積極的に治療すれば、お年寄りは肺炎を起こしやすいからそこで治療をすればまた元気になられるにもかかわらず、あるいはちょっと食欲が落ちたから輸液をすれば元気になるにもかかわらず積極的治療はしないんだというような形になっていくということについて問題ですし、人工呼吸器の付け方についても問題ですから、是非オープンな場で厚生省が考えておられるいろんなことを御発言を続けていただきたい。でないと、この話はやっぱり決着しない。というか、そんな簡単に決着してはいけない話だと私は思いますので、もう一度そういうお願いをしておきたいというふうに思います。  大臣、そろそろもう任期がなくなるから自分の問題じゃないというふうに思っておられるのかもしれないけれど、そうじゃなくって、今、今あなたは大臣なんだから、そのお気持ちを込めて私は答えていただきたいというふうに思います。  レセプト電算化の話についてお伺いをしたいと思います。  ちょっと説明が長くなるので恐縮ですが、八年前の平成十年四月二十四日の衆議院厚生委員会で、私、当時衆議院議員でございましたけれども、レセプト電算化について質問をいたしました。小泉厚生大臣も御出席で、その隣で高木俊明保険局長は、既に医療機関は相当コンピューターは導入されていて、平成九年五月の時点で、支払基金が調べたデータでは、医科の病院ではレセプト件数の九八%が電算処理されており、病院数でいえば九三%がそういうシステムを導入している。診療所ではレセプトの七六%、約六割の診療所で既にコンピューターを導入している。今まで何がレセプト電算化のネックだったかといいますと、それぞれの医療機関が入れているコンピューターで作成されるフロッピーのシステムと、それから受け手の支払基金なりあるいは国保連合会で用意するシステムとが、整合性を取れないといけないのだが、そうなっていない。どのような医療機関のソフトであっても転換できるようなシステムを十年度は導入していくということでありますから、希望する病院、診療所については全部対応できる。また、病院、診療所も、一々それを紙に落とさないでフロッピーで請求できるわけですから、私は相当の病院、診療所がこれに参画していただける、こう考えておりますというのがこの八年前の平成十年四月の私に対する保険局長の答弁でした。十年度には、レセプトの電算化はフロッピー渡しであっても全部できるんだと当時おっしゃったんです。  ところが、平成十七年の十一月の社会保障審議会医療保険部会に提出された厚労省資料によりますと、この社会保険診療報酬支払基金分に関してのレセプト電算処理の普及状況は二一・五%、病院ですよ、病院だけで二一・五%、九百三十八病院にとどまっております。十三年四月は、病院レセプト全体の〇・三%、十六病院。十七年九月でも、病院レセプト全体の二一・五%、九百三十八病院にとどまっている。普及目標も、平成十八年度までに病院レセプトの七割以上とするというふうにしか言っていない。国保連合会のレセプト電算化の状況どうなっていますかと言ったら、把握はしていないと、こうおっしゃるわけです。  なぜ平成十年四月の高木局長の答弁にもかかわらずレセプト電算化が遅れたんですか。私は、支払基金あるいは国保連合会での事務の合理化の遅れが結局国民にツケ回しされているんじゃないかと。すべての病院やあるいは診療所でのレセプト電算化を進めるべきではないかと私は思いますが、この八年前の答弁に対しての今の大臣の御見解を述べてください。
  118. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 特にIT関係でございますけれども、私が現実にやっていた業界は、電波の業界が担当しておりましたけども、要はアナログ放送からデジタル放送に変える、そのときもいろいろ議論ありましたけども、もうここまでで切りますよという宣言をしなかったことに最大問題があると思います。要は、紙でもいいです、電子でもいいです、この両用を認めながら来た、したがって余り進まなかった。一方で、コンピューターの導入も、それぞれのコンピューターを導入して互換性がなかったということが、二つの理由かなと思っております。  そこで昨年、私が就任しました直後に医療制度改革の議論があり、その中において多くの方々から、レセプトの電子化一〇〇%進めるべきだと、こういう御議論をいただいて、二十三年当初までに原則としてすべてのものがオンラインによって請求をするように変える、そこで切りますという決断をさせていただきました。実は、その時点でまだ医師会や歯科医師会や薬剤師会の皆さん方の御了解を取り付けておりませんでした。しかし、政府方針として出させていただいて、今鋭意話合いを続けながら、そして少し遅れるところが出るかもしれません、二十四年ぐらいに。そこは例外として二十三年で切らせていただくということで進めさせていただいております。そういう意味では、切らなかったということが最大問題だろうと今でも認識いたしております。
  119. 山本孝史

    山本孝史君 レセプト一枚当たり幾らということで手数料として支払基金に払うわけですよね。それ保険財源から出ているわけですよね。結局、平成十年にできると言って、今の御答弁だと平成二十三年だから十三年掛かるわけ。十三年間結局我々はこの合理化の遅れた分を国民としては保険財源の中で負担させられてきた、ツケ回しされてきたんじゃないかと。要は、厚生省なりあるいは支払基金なりの怠慢を国民にツケ回ししたという実態は、これは否めないでしょう。どうですか。
  120. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 十年の御答弁で、要はいついつまでに電子化をすべてやり遂げますと、十年でできた話ではないと思います。しかし、一方で、十八年なら十八年までにすべての、それは薬剤師なり医師なり様々な機関があるわけですから、そこへの機械導入というのをしっかり見る必要は、それは当然行政側の責任としてはある。問答無用でもう機械以外は認めませんよという決断はなかなかしにくいと。これは当然のことだろうと思います。
  121. 山本孝史

    山本孝史君 だから、紙の請求をいいと言ったときの紙は、自分たちで紙に打ち出しているんですよ。紙に打ち出したやつを、今度支払基金はそれをもう一遍読み取り機に掛けるんです。だから、そんなあほなことせぬでもええやないかという話をしたわけです。だから、十年にできると言ったのは、フロッピー渡しでもできるとおっしゃったのはそういうことなんですよ。だから、十年の、もう今更読み返すおつもりないかもしれないけれども、しかしながら事実はそうなんです。  だから、もっと、今度高齢者医療制度ができて支払基金も国保連もそれぞれ仕事受けますよね。競争してできるだけ安い値段になるのかもしれない。しかし、明らかに事務の遅れが、紙でよかったという、紙を許してしまったことが、結局は我々にとってはそれだけの医療費が掛かった。  あるいは、もっと問題は、レセプトをちゃんと電算化されたものを統計処理をすれば、どういう病気があって、あるいは個人の方が幾つの病院を重複で受けておられてというような診療内容のチェックが掛かりやすくなるから、医療費がもっと少なくなるはずだというのが議論だったんですよ。その点も実は遅れたんです、だからその意味で。二十三年までこの時点は待たなきゃいけなくなってしまう。  その意味大臣認識は違います。これやっていたら、認識違うし、幾ら言ったって時間がもったいないので私はもうやめますけれども、しかしそこは、認識が違うということだけは、是非御自身として周りの方からお聞き及びをいただければというふうに思います。  それから、特に質問通告しておりませんので、大臣のお気持ちでお考えをいただいてお答えいただければと思いますけれども地域医療で一生懸命頑張っている診療所があるんですね。そこに三人の医師がいる、一人の薬剤師さんがいる、あるいは作業療法士もいる。地域の往診等もしておられる。ここが町村合併ということになって、新しい町長さんがこんなふうに言われたんですよ。その診療所には診療室が二つしかない、二つしか診療室がないのにお医者さんは三人要らないんじゃないかと、こういうふうに町長が言われたんですが、この発言について大臣、どのように受け止められますか。
  122. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) もちろん働いている人、みんなある意味では労働者ですから、休みを取りながらやるわけですから、当然三人いようが五人いようが、代わりばんこにひとつは診療を受けるわけですから、二人のお医者さんだから二つのものしか要らないというのは、基本的には認識が間違っているだろうなと思います。
  123. 山本孝史

    山本孝史君 今言いませんでしたが、これ実は実例で、北海道のせたな町で起こっている話ですね。三町が合併する、その旧瀬棚町のところで一生懸命頑張っていた。しかし、別の町の町会議員さんが町長になられて、三人いても二つしか診療所がないから要らないじゃないかと言った途端に、医者は自分たちがやってきたことは何も全く認められていなかったというので辞めちゃったんですね。  結局、その医者として思ったのは、それは入院患者もいますよと、手術もするんです、検査もするんです、その間も往診に行って外を回っているんですと。それ、お休みのことをおっしゃいましたけど、お休みなしで実は皆さんやっておられたんですよね。ここは実は地域医療がその意味では崩壊したんです。  だから、首長さんなりあるいは行政にかかわっておられる方が、一生懸命頑張っておられるお医者さんたちの思いをちゃんと受け止めてそれなりの体制を取ってあげるということが私は非常に重要だというふうに思います。  もう一つ思ったのは、地域医療にかかわる医者は地域医療の現場でしか育てられない。だから、そこに研修医なりを受け止めて一緒にやっているんだと。しかし、そのことも理解してもらえないというのは、結局、割を食ったのはそこの町民なわけですね。  それから、実は今日申し上げたいのは、今までいろんな議論がありますけど、やっぱり一生懸命病院のお医者さん頑張っておられるんです。私の主治医は、報酬を考えていたら病院では働けないとおっしゃいます。もう一人の、これ、地元の主治医は、私、今度健康保険財政のことで議論するんですがと言ったら、私はボーナスは〇・五か月しかありませんと。職員用のトイレは常に電灯は消しております。うちの職員は一人もつける人はいませんと。それぐらい全員で経費削減、あるいは自分たちも報酬をちょっと横に置いておいてでもそこの医療を守りたいという思いで頑張っておられる。  だから、何をやってほしいかといえば、そんな小手先で診療報酬を付けてくれというのではなくて、やっぱり余裕がない、人が欲しい、もっとスタッフが欲しいというのが一番の思いなんですね。だから、そこのところを是非、現場で頑張っておられるお医者さんの、先ほどのせたな町のお医者さんの例も含めてですけれども大臣も地元の産婦人科あるいは小児科のお話聞いておられるようですが、いろんなところのお声を是非聞いていただきたいと思います。  診療報酬体系でいろいろやってみても、結局、欲深か村の村長さんがいて、うまくその制度を活用してしまうような人たちがいるもんだから、非常に難しいんですよね。  医者をたくさん増やせと言うけど、医者を増やしたら、多分みんなビル診に流れるんですよ。私、ビル診って初めてこの間聞いて、ビル診って何って聞いたら、ビルで開業しておられるお医者さんたち。この方たちは、土曜日、日曜日休みなんですよ。で、もう朝の九時から夕方五時とか六時になったらみんな終わっちゃうわけです。病院側も困っているんです。ビル診から急性期の患者を持ってこられても、治療した後その病院には戻せないんですよ、地域医療やってくれないから。  だから、今の若いお医者さんたちの考えでいくと、単純に医者を増やしても、ビル診が増えるだけだったら日本の医療の水準は上がらない。したがって、私が申し上げたいのは、やっぱり急性期病院等での人員配置を見直して、お医者さんなり薬剤師さん、病棟薬剤師さんも欲しいし、あるいはコメディカルな方たちもっと欲しいと思います。  診療報酬のめり張りを付けてほしいと申し上げたのはそういうことで、そういう方向に、厚生省は、医療費政策はあっても医療政策はなかったと自嘲気味に皆さんおっしゃいますけど、是非ここは医療政策なので、そういう思いで取り組んでいただきたいということで、大臣、御答弁お願いします。
  124. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 医師が不足しているという認識の中で、衆議院委員会でも随分御質問をいただきました。一方で、そうした質問される方も、今委員の言われるように、お医者さんを増やした結果として、東京で今言われたようなビル診のお医者さんがどんどんどんどん増えていくというのでは何をやっているか分からないと。したがって、やはりある程度地方に定着をしてくれる医療の専門家をどうやって育てていくかというところに期していかなければならないだろうと、こういうお話をいただきました。  また、各県の状況を議論をしておりましたときにも、例えば新潟の話をいたしましたときは、やっぱり新潟市というのは随分お医者さんいるんですよねと。問題は、新潟県の中に、新潟市にはいるんだけどやはり地方になかなかいない。こうした問題をどうやって解決していくかというのが今回の議論の中で一番大きな議論に、私は衆議院の段階ではなっていただろうと思っております。そこを、県を中心にしながら、私ども協力しながら、何とか集約化を進めながらやっていかなきゃなりませんねという議論をさんざんいたしてまいったところでございます。  もう一つは、そこへしっかりとした、例えば急性期の病院に私どもも今回付けさせていただいたつもりですけれども、多分委員の御提案はもう少し付けろと、そして人員がたくさん、何も医師だけではなくていろんな人たちが働けるように医療費をもう少しそこの部分を手厚くしろと、こういう御議論だろうと思います。  そこは、多分この議論ずっと私どもも続いていくんだろうと思いますけれども負担給付というものをどう考えていくか。私どももこの国会が終わりますと歳入歳出問題の議論をいたすわけでありますけれども、やはり負担が小さくして大きい給付というものはなかなか難しい議論になるんだろうと。そういう意味では、医療負担給付というものをお互いにどういうふうに考えていくかというところが今大きな議論でございます。一方の議論としては、やはりできるだけ削減しろという議論があると。一方で、今委員のように、できるだけ急性期のものを手厚くして、そこはそれじゃだれが負担するんだということをもう少し議論の中で詰めさせていただければ有り難いなと、こう思います。
  125. 山本孝史

    山本孝史君 全体に歳出削減で、今度の法案医療抑制のベースで出されますよね。ここはやはり国民に選択を問うべきなんだと思うんです。今のままで下げていったら医療の水準は下がっていくということはもう目に見えているわけですから、この程度の負担でこの程度の水準でいいということを国民が選択するのか。あるいは、ちゃんとした急性期の病院やります、あるいはちゃんと地域でも診療体制が取れます、そのためには余分にこれだけの費用が掛かりますけれども、それは御負担いただけますかというきっちりとした医療提供体制のビジョンを描きながら、こっち側で掛かる費用がありますがどうでしょうかという、そういうやっぱり選択を国民にさせてもらえるような医療ビジョン、医療提供体制の姿というものを厚労省として示す、それが私、役所の姿勢だと思うんですけど、違いますか。
  126. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) その中で、一番最初に山本議員が御提案いただきましたように、現実問題、同じ団塊の世代でございますけれども、我々が高齢期というものを迎えたときには、今お話しございましたように百七十万人亡くなる、約、七十五歳以上が二千万人という時代を迎える。そこを正直、若い人が負担し切れるのかという議論が一番最初にあって、私ども今回の改革を御提案をさせていただいている。  ですから、今の負担はどうなりますかという議論と、第一段階にございました二〇三八年、私どもは二〇二五年で想定いたしましたけれども、この段階で我々が二千万を超える、それをだれが負担するんですかというときにある程度の医療費の適正化を図っていかなければならないだろうという切り口で、ある意味では国民に選択という形で訴えさせていただいているところでございます。
  127. 山本孝史

    山本孝史君 そこは、高齢者医療制度の在り方だとか終末期医療だとか、あるいは高齢者医療制度における診療報酬体系をどうするかとお聞きすると、それはこれから考えますと、こうなるから、それは何も提示しておられるわけじゃないわけですよ。そんなことを言っているんじゃないんです。  だから、今の医療水準を上げていくためにどうするのか。もちろんそこにたくさんの方たちが増えてきますから、死亡する方が増えてくるという中でどうするかありますけど、急性期の病院を通じても今の医療水準これでいいのかという、そしてこれだけの費用の負担なのかと。いやいや、もっとやっぱり皆さんちゃんとした医療を望まれるのであればこれだけの負担が要りますよというような問題提起をするのが厚労省の役割であって、医療費を削減する先頭に立って旗を振るのが厚生省の役割ではないと私は申し上げているのです。だから、その点をよく踏まえていただいて、最初に百七十万人亡くなるときどうしますかというビジョンを示してくれと言ったのと同じように、こういったところもしっかりとしたビジョンを示すということをやっていただきたいと思います。  あと、簡単に答えてください、私の幾つかの疑問です。  療養病床の転換支援金を保険財政から支出するということについて私は反対です。理屈が立たないと思っています。しかしながら、健保財政を軽減するから認められるんだと、こういうふうにおっしゃるので、そうならば、精神病院に入っておられる方たちの入院期間を短縮するためにグループホームを建設をする、その費用も健康保険財政から支出できるという理屈が成り立つと思いますけれども、そう認識してよろしいんでしょうか。
  128. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 委員が私どもの答弁まで基本的にはお話しいただきました。療養病床からの医療の転換金については、基本的には医療費の適正化に資するということから、当然、それを使うことについては健保財政上許されるだろうと、こういうふうに考えております。  この病床転換助成事業は、法律の附則の中に位置付け、五年ごとに助成対象や延長の適否について見直しを行うということになりますので、このグループホームの費用を負担することについては次の課題というふうに考えさしていただいております。
  129. 山本孝史

    山本孝史君 次の課題ということは、支出することもできるという認識ですね。
  130. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 最終的に、療養病床の話をまず切り出しにいたしておりますけれども、一般の病床やそうしたものを転換していくときに支出はでき得るだろうと思っております。
  131. 山本孝史

    山本孝史君 だから、午前中の武見先生の御質問にあるように、一体自分たちの保険料はどこへ行ってしまうんだという形になるから、ここは本来、税でやる話なのに、福祉的なものだから税でやる話なのに、財源がないから健康保険財政の上に乗っけて取りやすいところから取るということになっていく。そのことはやっぱりちょっとやめていただきたい。おかしい、筋が立たないと私は思います。  それから、健診データの取扱いなんですけれども、今、現在政管健保に入っていて事業所で労働安全衛生法に基づいて健康診断を受ける、このデータについては保険者の方から提出を求められれば出さなければいけないということになっているんだそうです。高齢者医療制度でのレセプトデータは全部広域連合に行って、そこが保管しなければいけないと言っている。  申し上げたいのは、従来、市町村が中心になって保健事業をやってきたのに、その基になるデータが、高齢者の場合は広域連合の方にあって、しかも各労安法で持っているやつは事業所にある。それを集めようとしておられるのか、あるいはどういうふうにして使っていこうとしておられるのか、あるいは使わないのか、この提供を求められたら出さなければいけないという義務規定を置かれたその趣旨というのはどこにあるのかということについて御説明をいただきたいと思います。
  132. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今回の改正において、保険者に対し特定健診や特定保健指導のデータの保有を義務付けいたしております。これは、保健指導の際に過去の健診データの推移を活用すること、保健指導後の健診データの改善状況等から保健指導を行う事業者の評価や選定に活用することなどが考えられます。  このように、保険者については被保険者等に対して実施した健診のデータ等の保有が義務付けられております。被保険者が労働安全衛生法に基づいて行われる事業主健診など特定健診に相当する健診を受けることができる場合には、保険者はその被保険者に対する特定健診を行わなくてもよい、行わないということになりますからデータがない、したがいまして、この場合において健診等のデータを保険者が保有できるようにするために義務付けをいたしたものでございます。
  133. 山本孝史

    山本孝史君 今度、政管健保を都道府県単位に、健康保険協会でしたっけ、これ分かれますよね。その支部のところが、そうすると各事業所に対して、あんたのところで労安法に基づいて健診したんならそのデータをうちによこせと、こういうことになるんですか。
  134. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) それは、正に御指摘のとおりの展開になろうかと思います。
  135. 山本孝史

    山本孝史君 そのときに、労安法に基づいて事業所がやっている健診ってかなりばらつきがあると思うんですけど、私も総務課長でしたので健診担当やりましたけれど、それはそうすると、名前だとか住所だとか、それぞれの健診データをトータルでその健康保険協会に提供すると、こういう理解ですね。
  136. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) それは今後のことになりますけど、特定健診の事項について今後特定をいたしますので、それと労安法上の義務の重なり合い、これは確定した段階で取扱いについては定めていこうと、こう思っております。
  137. 山本孝史

    山本孝史君 そうすると、それを集めた保険協会なりは、そのデータを基に特定保健の指導をやると、こういうことになるわけですか。そのときに地域単位でやっている市町村保険協会は全県一つですよね、このかかわりというのはどうなるんですか。
  138. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 結局、全国健康保険協会の場合ですと、中小企業等にお勤めの方につきましては、保健指導は全国保険協会がやるわけですので、市町村と、何と申しますか、これ正に保険者としての仕事として保健指導をやるわけでございます。  若干問題になりますのは被扶養者の場合でありまして、必ずしも職域を単位として健診ができないわけでございまして、そういう場合には市町村に委託をして行って、そのデータをまた全国保険協会がもらって、それを特定保健指導に結び付けていくと、こういう仕組みになろうかと思います。
  139. 山本孝史

    山本孝史君 保険協会にそれだけの指導をするような体制とか人がおられるんですか。そういうふうにしていこうとしておられるんですか。
  140. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) それは正に保険者がその特定保健指導を行う。もちろん、これ当該保険者が行う場合と外注、アウトソーシングでやる場合とございますが、いずれにしても責任保険者が負って保健指導を行うという展開になります。
  141. 山本孝史

    山本孝史君 その財源はどこから持ってくるんですか。
  142. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 基本的には保険料と、それから加入者の、利用者の一部負担によりますが、これにつきましても国が補助できるという規定を置いておりますので、まだ、その実は補助水準決まっておりませんけれども考え方としてその一部について国も補助をするという財源構成になってございます。
  143. 山本孝史

    山本孝史君 時間がないので、私、その話を聞きながら二つ問題があると思うんですね。  一つは、健診データの取扱いという非常にセンシティブな情報をやり取りするということについて、どの程度規定を置くのかと。個人情報保護法のときに医療情報は全部対象外になっていますよね。今、実はがん対策基本法をやりながら、がん登録で随分とドンパチやっているわけですよ。それ絶対駄目だとこうおっしゃるわけ。片一方でそうおっしゃりながら、この健診データをそんな簡単にやり取りしていいのかなというのは、それはやっぱり個人情報の保護なり、あるいは健診データの取扱い、これ言うと医師は守秘義務が掛かっています、当然どこにも守秘義務が掛かっていますとこうおっしゃるんだけれども、そういう話じゃ多分ないんじゃないか。  もっとちゃんとした制度を作らないとおかしいと思うのと、それからそれを保険協会で健康診断も多分できるでしょうし、指導もできる、それは外注できる、その財源は保険料だという話になったときに、今までの厚生省の外郭団体の仕事ぶりを見ていると、何か厚労省の天下り先が増えて、あんまり効率のいい仕事をしていないような形になるんじゃないかと。せっかく社会保険保険料で造ったいろんな施設を整理しようという話をしてきたときに、結局そいつの生き延び策を考えただけの話かいというふうに、僕なんかは根性悪いですから、そう受け止めますけれども、そこはやっぱりもっと整理してもらわないと、多分保険者として私は納得しないと思います。私だったら納得しません。  五分までですので残り一分、ごめんなさい。済みません。  資料の説明だけしておきます。お配りしました資料の後ろに、大阪市の国民健康保険加入者の皆様へという四ページものの資料を付けています。私、大阪市の国民健康保険に加入しておりますので今年の四月に送られてきました。保険料の賦課方式を住民税方式から所得比例方式に変えるという通知になっております。  この間本会議で申し上げたように、政令指定都市の幾つかが今どんどん変わってきている。結局、住民税方式で残るのは、東京二十三区と都下の三市と、それから政令指定都市の幾つかの市だけが実はこの住民税方式に残っているんですね。あと全部所得比例方式になってくる。  だから、渡邉年金局長に来てもらったのは、いつもこの議論をすると、自営業者とサラリーマンとの間の所得の捕捉云々ができないから保険料の賦課方式は一つにできないんだと、こうおっしゃるんだけれど、実は、国民健康保険上はかなり多くの国民が、今もちろん応能、応益割ありますけど、応能割の部分については所得比例で負担をされている。何をやるかというと、収入から基礎控除部分だけを引くという形のものをベースに、しかも給与所得以外のものも含めて課税対象にして、そして所得比例でその保険料を決めているんですね。  だから、やれるはずだと私は思っていまして、そういう意味で、基礎年金部分の保険料の賦課方式も、私は、時間がないので答弁求めませんけど、変えるべきだと思う。年金制度、一・二五まで下がってきて、出生率が、年金いよいよもたない、早くもたなくなってきている。名目年金下限法を置いているから余計にもたなくなってきているんじゃないかと私は思う。その議論も要ると思う。  最大の問題は、やっぱり基礎年金三分の一から二分の一に引き上げるというのが、中途半端な引上げに多くのお金を使うんじゃなくて、民主党が主張しているように、全額税方式にするか、あるいは三分の一のままでいくか、新制度の中でどっちかにすべきだったと私は思います。そこの議論が実は欠けたので、私も質問するチャンスが余りないと思うので、この部分だけ申し上げておきたかったわけ。  年金制度の、年金制度体系、今度絶対変えなきゃいけなくなるんで、そのときを踏まえて、中途半端はやめにして、全額税方式か、あるいは税は低所得者に集中的に投入して、保険料を払えない人に代わって保険料を払ってあげるようなところで税金を使うという形に制度を変えるべきだと私は思います。そんなこと聞いたことないと言う人がいるんで、私は前からそう言っているんだけど、改めてそう申し上げておきたいと思います。  最後、がん対策の話。  済みません、大臣、厚生省の中にがん対策推進本部があることは御承知だと思いますけれども、去年の秋御就任以来、御出席されたことがありますか。
  144. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私自身は出席したことございません。
  145. 山本孝史

    山本孝史君 失礼な聞き方、聞きましたけれども、尾辻厚生大臣のときにつくられたけど、結局、去年の秋以来この六月まで一回も出席されてないんですよ。だから、対策推進本部は結局形骸化しているわけ。  だから、今、基本法の中で申し上げているように、がん対策会議かあるいは推進協議会をちゃんとつくって法定化して、議論をして、どんな対策が進んでいるのか、その進捗状況どうか、あるいはどのぐらい成果が出てきたのかということを報告するような仕組みを法定化しないと、本当の意味でのがん対策は進まないと思っています。  どなたかが御質問されたがん診療拠点病院も、四十まで来ましたとおっしゃった。なぜ遅れたのかといえば、大学病院が入らなかったからですよ。結局は、文科省が持っている病院と厚労省が持っている病院との間の連携が悪いから、ここのところで拠点の整理が進まないんですね。  その意味でも、省庁の壁を超えてがん対策を進めるためには、どうしてもこういう私は法律が必要だと思うということを最後に申し上げて、済みません、時間が三分過ぎました、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございます。
  146. 足立信也

    ○足立信也君 民主党の足立信也でございます。  山本先輩の目の覚めるような質問の後に、大体生理的に非常に眠い時間ではありますけれども、私も引き継ぎたいと思います。それが理由というわけではないんですが、昨日質問通告した二十一問、相当順番を変えてやりますので、対応していただきたいと、そのように思います。  私が常々言っていますように、十九世紀後半のビスマルク以来、重工業の発達以来、高福祉の時代がもう戦後もずっと続いてきた。それに対して医療抑制の時代というのを迎えたわけですね、レーガン、サッチャー。そして、世界は、今は医療抑制の時代を超えて評価と説明責任の時代に入っていると、このことをずっと申し上げてきたわけです。効果が得られて、投入した資金に見合う効果が得られて、そして国民が納得すれば、それは資金投入はすべきなんだという考え方に今なっているわけです。  なぜか。二〇〇四年、OECD加盟三十か国の世界の医療制度改革、これは各国の経験した経験則ですね。医療費削減は医療の質の低下を招く。  二番、医療費削減は人材の確保、離職の防止が困難になる。  私の友人も、一般病院辞めて、二人ほどカナダ、イギリスに、これ研究のためでも何でもないですよ、医師として、もう渡ってしまいました。今は、元気な高齢者の方も海外へ移住する方が非常に多いというふうに聞いている。これは、ブレーンドレインという表され方していますね。優秀な人材あるいは能力が海外へ流出していると。この事態は、イギリスが相当な危機を覚えて今の政策取ったわけですけども、日本も近い傾向にあるということは確かです。  三番、医療費削減はサービス、革新的医薬品の供給不足に陥る。  これが世界の経験則です。この轍を踏んではいけないと、そういう趣旨で質問を進めたいと思います。  究極的には、私は、ちょっと誤解を恐れず言いますと、社会保障というのは、安心して産める町、安心して死ねる町を目指すんだと、そのように私は思っています。  その中で、どうして今回、医療費の将来推計についてですけど、これはもうずっと議論されたので詳しくは言いません。ただ、西島委員の医師会の推計もございました。これ、五十六兆、給付費が五十六兆でなくて四十八兆になるんだと、それは、個人当たりの医療費が高齢者が一・三%、それから一般の方が一・二%の増加と、これは二〇〇一年から二〇〇五年まで。これに対して、政府は、高齢者が三・二%、若年者が二・一%の増加と、平均で出しているわけですね。これは七年度から十一年度まで五年間。  私たちが作った「崖っぷち日本の医療を救う」という中に書いておりますけれども、私たちの推計は、平成六年から平成十五年まで十年間、この医療費の平均は、高齢者では〇・二%、若年者で〇・七%の増加なんですね。これを二〇二五年度まで累乗していけば、医療給付費だけで政府案と二十二兆円の差がある。五十六兆対三十四兆。  こういった大ざっぱな、あるいは信じられるのかどうか分からないような推計に基づいて今なぜ医療抑制が喫緊の課題になっているのかと。この点が非常に大きな問題だと改めて言わせていただきます。  そして、本日は、前回に引き続きまして、私は医療法等の一部改正について質問いたしますが、何が大事かと。  これからの医療は、自己決定権の尊重と生命の尊厳にかかわっているわけです。生命の尊厳というのは、生きている者も、亡くなった者に対してもです。この観点から、先週、私ポイントを挙げました。それは情報の公開だと、それから説明だと、そして相談に応じる体制だと、医療事故の原因を究明する機関の設置なんだと。そして、もっと大事なことは、日本の医療の質、病院の質を客観的に評価するシステムがない。それが評価と説明責任を果たせない今の医療の現実だと、私はそう思っています。  そして、医療法等の一部改正について一つ一つ行きます。  まず一番の患者等への医療に関する情報提供の推進、この中で、六条関係ですけど、入退院時における治療計画等の文書による説明の義務付け、これは私はいいんだと思います。クリニカルパス、クリティカルパス、今はクリティカルパスに統一されているようですけれども、私はそこで必要なことは、説明の前に、やっぱり病名を含めた患者さんの同意というのがこれ必要なんですね。いきなり医療機関に来て、転院であって、説明が始まる。そこに病名を含めた告知、この患者さんの同意は得られているのかということがまず前提条件だろうと私は思っています。  今、がん対策基本法の話が出ましたけれども、公明党さんの案の中には、放射線治療のことをかなり重要視されて書かれているような印象がございますけれども、放射線治療医がなぜ増えてこなかったかと。これは、放射線治療をやるということはイコールがんだということに近かったわけですね。がんだということを患者さんに告知することのコンセンサスが得られたのって、まだ十年もたっていません。  私は、大学にいた当時、九六年ぐらい、日本、全部の患者さん、良性、悪性含めて全部の患者さんにアンケートを取りました。自分の病名に対して悪性腫瘍であっても告知してほしいかと、九五%以上が告知してほしいと。家族がその立場になったら告知した方がいいと思うかと、半分がイエスですね。ですから、それから数年たってもまだ日本にとっては、特に悪性腫瘍の場合、告知するかどうかのコンセンサスってないんですね。このこと、同意がまず説明の前に必要だという点が一点。  それから、もし文書による説明の義務付け、違反した場合の罰則規定があるんですか、その点を教えてください。
  147. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 御質問でございますが、今回の医療法の改正の一番の柱は情報の提供の推進だというふうに私どもも考えてございます。  患者さんが提供される医療に関して適切な説明を受け、理解した上で医療を受けるということを支援するということは大変大事なことでございまして、これまでも医療法におきましてインフォームド・コンセントの理念規定するなど取組を進めてきたわけですが、今回の改正では、これをより具体的に推進をするということから、病院又は診療所の管理者に対しまして、診療を主として担当するお医者さんの氏名、あるいは入院の原因となった傷病名、主要な病状、入院中に行われる検査、手術、投薬などの治療に関する計画などを記載した文書を患者さん又はその家族に対して交付して、適切な説明を行うことを義務付けることといたしてございますが、その運用に当たりましては、患者さんの病状等について十分説明をし理解を得るということが望ましいというふうに考えてございます。
  148. 足立信也

    ○足立信也君 それは言いましたよ。
  149. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) はい。  それで、先生の御指摘の、患者さんのこれらについての理解を得た上で文書を交付するということが、この本来の改正の趣旨であるというふうに考えてございます。  また、もう一つの御質問でございます交付等の義務に関する罰則規定でございますが、これについての罰則規定は設けてございませんけれども医療法におきましては、病院等の管理者につきまして都道府県知事が立入検査、報告徴収、あるいは管理者の変更命令等を行う権限を定めているところでございまして、規制の実効性を担保するということにつきましては十分に可能と考えております。
  150. 足立信也

    ○足立信也君 しょっぱなからちょっと抜けてはいるんですが、私がお聞きしたい一番目は同意のことなんですね。  病診連携って盛んにやられています、実際やっています。ただ、病院に紹介して入院するということになると、診療所の先生方はあえて病名までは言わないことが多いんですよ。それは、病院に行ったらどういう説明を受けるか分からないから、自分から先入観を植え付けるような説明は避けるんですよ。これ現状なんですよ。  ですから、いきなりそこに入院されたときに、文書へ残す説明が始まる段階の前にやっぱり同意というのが必要なんですね。それを家族の者に言っていいのか、あるいは自分だけは除外して家族だけに説明してほしいのか、そういったことの同意を得る、このきっかけがないんですよ、最初に。このことをどう考えるんですかと言ったんです。
  151. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今回の改正の一番の趣旨でございますので、その運用に当たりましては、もちろん患者さんの家族内での状況、あるいは患者さんのかかっている病気又はその病状等によってその対応は様々だろうとは思いますけれども、いずれにしても、それらについて、病状等につきましては十分説明をし、理解をしていただいて、その上で、例えば家族に話すのか、あるいは患者さん限りにするのか、あるいは病名についてどの程度のあれをするのかということについて御納得をいただくということは、もちろんこの制度を運用する上での前提となるというふうに考えております。
  152. 足立信也

    ○足立信也君 そうですね、そのままいくと二回説明が必ず必要という話になってくるんですね。ですから、説明の前に患者さんの、あるいは家族の希望、同意を前提の上でとかいう文言を必ず付ける必要があるんだろうと私は思っています。  次は、同じ六条関係で、自己決定に資する情報の提供というところに行きます。  これが、この中でやっぱり患者さんが一番知りたいこと、そこにいるドクターの専門性、専門医はどれぐらいいるのか、あるいはその病院、そのドクターの治療成績はどうなのかと、この情報がやっぱり欲しがっているんですね。  ただ、日本は異常な国でして、これほどメディアを通じてドクターショッピングをあおっているような国はほかにはないわけですね。名医のところで手術してもらいたいという話があったにしても、名医にやっていただいたから皮膚が非常にきれいだと。皮膚を切開して縫っているのはその人じゃないですよ。胃がんや大腸がんで肝臓に転移があった、これはもうほかのところでは何もできない、ところがうまく手術をして助かったと。でも、生命に一番関係した肝臓の転移を手術したのは、胃がん、大腸がんの専門医じゃないですよ。別の科の先生ですよ、あるいは別のグループの先生ですよ。そういう実態なんですね。でも、ドクターショッピングで、日本の名医何人ですか、そんな話でその人に集まっていく。これは間違った事態ですよ。その病院のその科の客観的な評価というのがどうしても必要なんですね。  アメリカで、レディングの悲劇というのを御存じだと思いますけど、白内障の患者さん、ほとんど異常がないのに心臓のバイパス手術を片っ端からやっていったと。健康であればあるほどリスクは低いし、成績は上がるわけですね。この成績を公表されたら、みんなそこに集まってきますよ。  これは経済的な理由からだったわけですけど、成績というものはいかに客観性を保つか。先ほどがんセンターの話ございましたけれども、この客観的な治療成績あるいは個人に帰さない、今は実際に研修医も一杯いるわけですから、一つの手術にしても、何というか、分担作業に近いようなところもあるわけですね、言葉は悪いですけど。そういった客観的な成績をどう担保するのか、この考え方、教えてください。
  153. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今回の改正の柱の情報提供の、そのまた一番大事なところでございまして、患者さんの医療の選択に資するよう医療機関に関する一定の情報をすべての医療機関から都道府県に報告を求めまして、それを集約して分かりやすい形で患者さんあるいは地域の住民に情報提供する仕組みを創設するなど、その充実を図っているわけでございます。  今御指摘の各医療機関の手術死亡率などの治療成績などの医療情報、いわゆる機微に触れる情報といいますか、センシティブな情報でございますが、こういったものにつきましては、患者さんが医療機関を選択をし、あるいは評価する際に必要性の高い情報であるという面もございますが、一方で、今御指摘のとおり、重症度別の患者さんの取扱件数によってこの手術の成績等は大きく異なってくるということで、評価が非常に異なり、難しい面がございます。あるいは、客観的に評価するための比較可能な基準やデータの収集方法が確立をしていないというようなものもございまして、直ちに公表することについて課題が残されているわけでございます。  このため、厚生労働省といたしましては、治療成績等について、各医療機関の特殊性や患者さんの重症度の違い等による影響を考慮し比較可能なものにするなど、一定の条件が整ったものから実施をしていくということといたしたいと考えております。
  154. 足立信也

    ○足立信也君 恐らく行き着くところは同じだと思うんですけれども、やはり査読性のある学会の論文とか学会発表とか、そこを通過したものしか公表できないような形にならざるを得ないんだと私は思います。何とかセンター、何とかセンターって、そこに患者さん集まるわけですけど、合併症があったら拒否するとか、そういうこともありますからね。是非、客観性ということは必要なんだろうと、その点はよろしくお願いします。  次は、医療計画の見直し等を通じた医療機関の分化、連携推進という項目のところですね、十三条関係。  有床診療所の四十八時間入院規制、これが撤廃されます。ということは、当然医師、看護師等の人員配置基準が規定されるわけですけど、衆議院だったと思いますが、既存の施設については政令で定める日からこの人員配置基準の規定に入ると、医療計画に入ると、定める日から入る。新設のものは最初からこの医療計画の中に入って、つまり病床規制等を受けるというわけですよね。  となると、今、医師不足の問題、産婦人科の問題、かなり言われておりますけれども地域で新たな産婦人科のクリニックを開業しようとすれば、今の医療計画で満たされていればそこはできないという事態になるんでしょうか。
  155. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今回、有床診療所の四十八時間の規制、入院期間制限の廃止をすることといたしているわけでございますが、人員配置基準等につきましては変えない予定にしてございますけれども、今御指摘のとおり、医療計画の中で基準病床数にはカウントをするということといたすところでございます。  この結果、既に病床が過剰な地域において新規の有床診療所の開設や増床がなかなか難しくなるということになるわけでございますけれども、御指摘のとおり、例えばその地域で産科が非常に足りない、あるいはへき地、離島等で診療のリソースが非常に足りないといったような、地域に真に必要な医療機能を提供する場合などにつきましては地域実情を把握する都道府県知事特例的に増床を許可する制度がございまして、この制度の弾力的な運用によりまして必要な医療分野の新規参入ができるような方策も併せて行いたいと思っております。
  156. 足立信也

    ○足立信也君 特例を認めるということですね、あり得るということですね。はい、分かりました。  次は、医療計画、当然これは都道府県が作成するわけですけれど、それに当たってはどうしてもやっぱり基準がないといけないし、恐らく厚生労働省の方で基準に近いものは定めるんだと思います。  そこで、基準の中で私が必要だと思うことは、目標とするベッド数それから医師数、それと同時に通院時間、どれぐらいでたどり着けるような目標設定をしているのかということが大事なんだろうと、それがなければ都道府県医療計画立てるの非常に難しいなと私は思っています。  そこで、まず通院時間なんですが、日本の救急車を利用した病院への到達時間、これ平均三十分というふうに聞いております。となれば、通常の通院ですね、この通院はどれぐらいの時間内に到達できればよしとするという考えで計画を立案、基準を考える予定なんでしょうか。例えば、一時間以内に到達、病院へ行ければいいではないかと、あるいは三十分じゃないといけないんじゃないか、三十分を目標計画を立てる、そういう通院時間という概念についてはいかがでしょう。
  157. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今回の医療計画制度におきましても、療養病床及び一般病床の基準病床数を設定する圏域という位置付けでの従来の二次医療圏の考え方を残しているわけでございます。  この二次医療圏の設定に当たりましては、一つには地理的条件等の自然的な条件、山とか川でございますが、それから二つ目には日常生活の需要の充足状況、三つ目には先生御指摘の通院時間も含めました交通事情等の社会的条件を考慮して一体の区域となるというようなものとして、病院における入院に係る医療を提供する体制確保を図ることが相当であると認められるものの単位として各都道府県知事において定めるべきものとしているところでございまして、それぞれの事情がございますので、国全体で一律で、車で何分以内というような規定をしていることはございません。  一方で、新しい今回の医療計画制度におきましては、がん対策あるいは脳卒中対策、小児救急医療対策など、主要な事業ごとに地域実情において医療連携体制を構築をしていただき、その機能を住民、患者の視点に立って医療機能、連携の状況を明らかにしていただくということを新たに盛り込んでいるわけでございますが、この場合につきましては、必ずしも二次医療圏という従前の医療計画、圏域に限定することなく構築をしていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  158. 足立信也

    ○足立信也君 基本的には二次医療圏、あるいはその二次医療圏の枠を超えても、大体の、生活している地域からどれぐらいの時間帯で診療所あるいは病院が必要なんだと、その大まかな目標というのはやっぱり私、必要なんだと思いますよ。是非その点は考慮していただきたいと思います。  次は病床数のことなんですけれども、これ衆議院大臣の答弁で、今現在、日本は人口当たりのベッド数が非常に多いんだと、具体的に人口千人当たり十四・三、これはドイツ八・九、イギリス四・二、アメリカ三・三と、こういうの出ています、おっしゃっています。当然のことながら、日本の場合は精神病床も療養型病床もすべて入っていますね。これは精神病床と療養型病床除くと、一般病床だけでは人口千人当たり七・一になるんですね、計算すると。ということは、欧米とほとんど変わらないわけですよ。  で、私がお聞きしたいのは、とはいいながらも、精神病床は七万床、社会的入院を減らしたいので削減する。療養病床は、これも今議論の真っ最中でございますけれども、二十三万減らすと。ということは、人口千人当たりの目標の病床数がこれぐらいだと言ってもらえば一般病床は何床削減する予定かというのがもう分かるわけですね。この一般病床の削減目標についてはまだ触れられておりませんので、大臣が人口千人当たり日本は多いと、減らす必要があると。じゃ、どれぐらいの数を目標にされているのか、教えてください。
  159. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 我が国の病床数につきましては、今御指摘のとおり人口千人当たりの病床数が十四・三床と諸外国と比較して多く、それを背景といたしまして、病床百床当たりでいうと医師数、看護師数とも諸外国と比べて少ないといったような課題があるわけでございます。今後、急性期医療への医療従事者の重点的な配置など、限られた医療資源を有効に活用して安全、安心で質が高い医療を効率的に提供する体制確保するということから、一般病床などの病床数を適正な水準としていくということは重要な課題でございます。  一般病床の病床数削減に係る目標というものは現在のところ設定してございませんけれども医療計画制度におきましては都道府県地域医療需要などを踏まえて基準病床数を定めるということとされておるところでございまして、こうした仕組みを通じまして、それぞれごとに病床数の管理を行っているというところでございます。  なお、今回の医療制度改革におきましては、医療連携体制の構築による医療機能の分化、連携を通じまして、総入院期間を短縮する医療計画制度の見直しを行うとともに、今回の十八年度の診療報酬改定におきましても、急性期入院医療における手厚い看護体制を整備する観点から一定の評価を行うなどの措置を講じているところでございまして、これらによりまして一般病床の平均在院日数が短縮される結果、将来的には一般病床の減少につながるというふうに考えております。
  160. 足立信也

    ○足立信也君 看護師の配置とかいろいろ、市場原理を利用して自然淘汰を待つという感じの答弁に聞こえます。  一般病床の削減目標はないということでしたが、社会的入院というのは社会的な要因がいろいろあって入院せざるを得ない、これを生み出したのは正に政治であって、それは何も精神病床、療養型病床だけに限られていることではありません。一般病床だって当然あるんですね。そこに対して真に入院が必要な患者さんだけを入院していただく、社会的入院はできるだけなくせる方向でいくという考えがあるんであれば私は目標は出せるんだと思います。私たちの案では、人口千人当たり六・七を目指しております。  次に行きます。  地域や診療所による医師不足問題への対応、三十条関係。ただし、医師数については最後あるいは次回に回します、相当多くの内容がありますので。医師不足問題への対応についてです。  まず、文部科学大臣の答弁は、どうも医師不足だという認識の下で答えられているように感じますが、川崎大臣は足りなくはないと、偏在の問題だと、これはもう一貫しておっしゃられている。で、これ、都道府県に設置されている医療対策協議会が医師確保の実効性ある機関にならなければいけないわけですけれども、先週私出しました資料の中で、カラーのもので、触れる時間が非常に少なかったですけれども、OECD三十か国の平均の医師数が人口十万人当たり二百九十。日本は、いろいろ都道府県で差があるでしょうが、最高でも二百六十。到達していないわけですね、平均に。  その中で、都道府県に非常に医師数が平均よりもはるかに少ないところが一杯ある中で、都道府県の中で偏在を解消するというのは一体どうやればいいんですか。その都道府県そのものが少ない医師数でやられているところは、都道府県内では当然解決できる問題ではないわけです。その都道府県を超えた、枠を超えた医師不足の偏在に対してはどこが、どなたがどういう計画性を持ってその問題を解消していく予定なんでしょうか。
  161. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) この間の小坂さんの答弁は、私と十分調整した上で同じ認識を示しました。地域によって医師不足がある、それが大学の定員の問題、そして定員の問題というよりは、例えば東北地方で大学を卒業されると半分以上の方が東京圏へ戻ってしまう、五十人ぐらいしか研修制度の中でも残らないと、こういう問題を何とか解消していかなければならないという認識の中で示しました。  そういう意味では、大体、これ田中角栄さんの時代でしょうか、一県一大学を造って、もちろん私学等あるところもございます。北海道ですと三つございますけれども、百人毎年医師を養成をしている。それがしっかり地域に定着しますれば、各県ともかなりの数字になっていたと思いますけれども、現実の話が、一つは、一番高いのは徳島でたしか二八二、指数的に申し上げれば。平均が二一一、埼玉が一三四という数字になりますでしょうか。そういった意味では、最近の数字から見れば、東京近郊の県、神奈川、埼玉、栃木、こういったところが人数は少ないと思っております。それから東北。  こうしたところに対して、中期的には大学の卒業者が地域に残るという問題を検討しなければならぬだろうと。あわせて、七月ごろに全体の需給というもののもう一度見直しをいたしておりますので、その結果も踏まえながら議論をしなければならぬだろうと、こういうふうに思っております。  短期的なことになりますと、これはやはり地域である程度調整をしていただかなければならないだろうと。しかしながら、地域でどうしても調整し切れないものについて、私どもどうお手伝いをさせていただくかというところが次の切り口として当然問題は出てくるだろうと。例えば、自治医科大学というものをうまく使う方法はないだろうかという問題も含めて、先日は衆議院の審議の中では、防衛医大の方から、沖縄でしたっけ、派遣というものをなされ、そんな形をもっと取れないかというお話もいただきましたけれども、いずれにせよ、地域内でどうしても調整付かないものについて私どもいろいろ協力をしていかなければならないだろうと、このような認識をいたしております。
  162. 足立信也

    ○足立信也君 自治医大方式というのは大変な問題があると私は思っていますので、これは時間があれば後で詳しく触れさせていただきたいと思います。  今の御答弁ですと、中期的には一県一医大制に基づいた大学を中心に考えていくんだという。都道府県での医療対策協議会は、ちょっとそこは管轄外のような話かなと思いましたが、短期的には都道府県の枠を超えたものは国がやるんだと、示していきたいという御答弁だったと思います。それで果たしてできるのかということは残りますが、次へ行きます。  産科、小児科については集約化が必要だとおっしゃいました。これについてもまたじっくり話をしたいんですが、大臣は、都会で妊娠されて出産を控えた若い妊婦の方が里帰りをして自分のふるさと、地域で、地方で里帰り出産をするということは、この集約化の中に考慮されたんですか。  私は、集約化が必要だと、偏在だと言うんであれば、当然のことながら、ある基準があって、それよりも多いところと少ないところがあるんだ、これが偏在ですよね。その偏在の、実際上、今まで何回か医師の需給に関する検討会ってやられていますけれども、基準がどこにあって、どこがそれをオーバーしていてどこが足りないんだと、そういうきちっとしたデータに基づいての偏在解消という意味でおっしゃっているんだと思いますが、その点の基準と多いところを示していただきたい。  この二点ですね。里帰り分娩と基準と、その基準に対して多いところと少ないところ。そういう認識でお答えいただきたいと思います。
  163. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今、里帰りの問題で私のところに三重県の例が来ていまして、正直申し上げて里帰りでお産をされる方が多い、一方でその医療機関の集約化の問題について今様々議論をいたしております。  具体的に申し上げると、ある市が六人の施設を持っている、隣の市が二人の医師を持っている、そこを県の主導で集約化、というのは六名いたところが四名になってしまう。産科というものを提供するときにどうあったらいいだろうかと当事者同士随分議論をしていただいたようでございますけれども、なかなか当事者同士では結論を得なかったということで大学の主導で、結論として外来の二名の方は残す、外来を残す、しかしながらお産をされるときについては一医療機関に集約をさせていただくということで大学側の提案があったようでございます。  それに対して、外来ではなく、その二名も常にいてもらってお産ができる体制を整えてくれということで、今様々な議論をされているところでございますけれども、最終的にやはり医療の安全というものを考えていったときに、そこは集約化をしなければならないだろうと。そうなると、ふだんの健診、外来はできますけれども、お産をされるときには三十分か四十分車で走ってもらわなきゃならない。このことについて様々な議論がされておるようでありますけれども、そこのところは医療の安全という問題も含めて県なり大学が判断をした話でありますので、私が直接口を出す話ではなかろうという判断を今いたしております。  そういった意味では、かつては二人お医者さんがいらっしゃって自分の地元へ帰れたら十分のところに医療機関があった、それが隣の市へ移って四十分走らざるを得ない。この問題についていろいろな議論がされておりますけれども、そこは先ほど申し上げた県が主導を取りながら集約化ということで御理解をいただきたいし、入院ということになれば当然安全というものが担保されなければなりませんので、そのような対応が取られておると、そういうケースが多いと思います、正直申し上げて。過去はいた、自分のふるさとへ帰ればいた、しかしながら今は隣の市へ集約化されてしまったということについて様々な、従来と違うじゃないかというお話をいただきますけれども、現実に生まれる子供の数が減ってきておることも事実でございますので、何とか住民の皆さん方に御理解をいただくようにしていかなければならぬだろうというように一つは思っています。  それから、偏在の問題については先ほど申し上げましたように、徳島が二八二という数字になっていますし、埼玉一三四でございますので、そういった意味では地域的な偏在はあるでしょう。  それから、診療科で申し上げれば、産科が、子供の数に比較して考えていけば減ってきていませんけれども、医師数というものを考えていけば減っていっている診療科になっているんだろうと理解をいたしております。  小児科の問題については、現実に医師数、絶対数としても増えてきておりますけれども、午前中議論いたしておりましたように、女医さんが増えてきておることも事実でございますので、同じように集約化を図って仕事の形を変えていかないと現実の医師数というものを確保できない、確保できないがゆえにまたその医師がお辞めになってしまうと、悪循環をいたしておりますので、そういう意味ではやはり集約化のスピードを速めないと労働問題として大きな課題を余計持つことになるだろうと、このように思っております。
  164. 足立信也

    ○足立信也君 里帰り分娩の話ですと、今の大臣の具体的なお話ですと、これは都会と地方の二極化がますます進むというか、自分の生まれ育ったところではどうも産めない状況にならざるを得ないという趣旨だったと思いますね。  後半の部分は、私は、都道府県医療計画を作る中で、医師は偏在しているんだというんであれば、その都道府県の中での偏在、どれぐらいの基準に対して、どこが多くてどこが少ない。例えば、今まで、昭和五十九年の佐々木委員会ですか、それから平成六年の前川委員会ですか、二次医療圏内で、どの二次医療圏では医師が過剰な状態にあって、どこでは不足しているというのをデータは出ているはずですよ。その基準になるところと、実際上、都道府県の中での偏在という実態を教えてくださいと言ったんです。
  165. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 過去二回の医師需給の検討会は、看護の需給とちょっと違いまして、全体でのマクロの推計ということで、二次医療圏の数字を積み上げるというやり方を取っておりませんので、先生お求めのような形での数字はないということでございますが、絶対的に医師がどの水準であるべきかということについては、これはだれが決めるというものではなく、ゴールドスタンダードというものがあるわけではございません。  医師はもちろん多ければ多いほどそれは便利なわけですけれども、これは全体として、そのときの我が国あるいはその地方、その地域での医師の状況ということが関係するようですが、そういうグロスの話をしていてもあれなので、今回の医師についてはそういう絶対論でどこだという議論ではなくて、具体的にその医療圏、あるいはその県、都道府県において具体的にどこで足りなくなって、あるいはどこにお医者さんがいらっしゃるのかというようなことを具体的に見ながら、それに対する対応を推し進めていくということが実際的なことではないかと思っております。  もちろん、県全体で本当に、県全体であればその中で何とかやりくりすることはできますし、県全体として少ないということであれば、もう少しブロックで対応をしなければならないということでございまして、この場合には国もお手伝いをする必要があろうかなと思っております。
  166. 足立信也

    ○足立信也君 不足ではない、偏在だと言っておきながら、都道府県内での偏在の状況が把握できていないという話ですよね。だから、納得できないんですよ、ずっと衆議院議論でも。少なくとも分かるはずなんですよ。二次医療圏内の基準はどうやって定めたらいいか分からないみたいな、何でも丸投げみたいな話をされても非常に困るんですけどね。  二次医療圏で足りているところ、足りていないところって、私、一部知っていますので、これはそういうデータとしてこの委員会に提出してほしいなと思うんですが、いかがでしょうか。
  167. 山下英利

    委員長山下英利君) 理事会で協議をいたします。
  168. 足立信也

    ○足立信也君 はい。
  169. 山下英利

    委員長山下英利君) 質問を続けてください。
  170. 足立信也

    ○足立信也君 それでは次、四番、五番をちょっと入れ替えますね。まず、医療従事者の資質の向上というところに関係していきます。  私、先ほど、一昨年以来、評価と説明責任の時代に入ったというのを何度も繰り返しているんですが、そこで大事なのは、医療機関の質の評価、そして医療の質の評価なんですね。これ、がん治療の均てん化という言葉も使われておりますように、あるいは標準治療のガイドラインというのも三十疾患に近く作られております。そういう標準治療がこの医療機関でどれだけやられているか、その結果がどうだったか、そういうふうな医療機関の質、そこで提供されている医療の質を評価するというシステムが必ず必要なんです。  今、日本にある医療機能評価機構というのは、これは私も内部の人間よく存じ上げておりますけれども、やはりハードの評価なんですね。安全面、衛生面、そういったことはどうかと。そうじゃなくて、ソフトの、中で行われている医療の質の評価ということがこの国にはどうも欠けていると私は思うんですが、そのことについて、今後の希望でもあるいは目標でもよろしいですから教えてください。
  171. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 日本医療機能評価機構において各病院の客観的な評価というのが行われているわけでございますけれども、もちろんこれは希望に基づいて行われておりますが、評価の手法についてはいろいろな学問的な議論がございますが、マクロでは、御存じのとおり、構造的なもの、あるいは医療のプロセス、そして医療の結果といったような三つに区分されるというふうに伺っております。  医療機能評価機構においては、できるだけその三者が評価の対象にできるように今研究を進められているというふうに伺っておりますけれども、客観的に見られるとしても、構造的な面、あるいは少しプロセスに入ったところというようなところに今の段階はあるというふうに伺っております。  患者さんが医療に関する選択を適切に行って良質な医療を受けるということから、そういった評価の情報を得るということも大変大切でございますので、これにつきましては、その内容、評価の手法の開発も含めて進めていくということが大事だというふうに思っております。  また、治療法につきましても、いわゆるエビデンス・ベースド・メディシンですか、根拠に基づく医療ということに基づいた診療ガイドラインというものを策定するというようなことによってその質の向上に努めるということも、この評価機構等にも御協力をいただいて進めているところでございます。  医療の結果、アウトカムと言いますが、ここの評価につきましてはまだまだ難しい面もございますけれども、先ほどの医療情報の各医療機関からの提供の中で申し上げたところでございますけれども、これを比較可能なものにするというような手法の開発を通じてできるだけオープンなものにできるように努めてまいりたいと思っております。
  172. 足立信也

    ○足立信也君 これは絶対に取り組まなきゃいけない分野なんですね。これを是非やる必要がある。  次から三つぐらいはこれまた飛ばさざるを得ません。  医療安全支援センターについて。  私は、今実際に医療機関に掛かっている患者さんがその事後に、例えば手術の後だとか、その事後に別の医療機関に相談に掛かれるということが非常に大事なんだと思っています。それが都道府県やあるいは保健所といったような行政機関ではなくて、医療機関に相談に掛かれるということが非常に大事なんだと私は思います。がん診療拠点病院やあるいは小児科に対する地域の小児科センター、そういったものを活用しながら二次医療圏内に是非ともそういう相談機能を兼ね備えた医療機関が必要なんだと、このことを主張させていただきたいと思います。  飛ばしまして、去年の六月に日本学術会議が提言を出されました。これは医療事故再発防止と被害者救済ということの提言ですね。  その中でやっぱり医療関連死というものが大変問題になってきて、今回も福島、大野病院の事案もございますけれども、これは何といってもその要点は、提言の要点は、医療関連死が発生した場合、その過誤、過失を問うことなく、第三者機関に届け出る、届出がまず第三者機関であるということ。それから、第三者機関は医療事故の科学的分析と予防策樹立を図ると。そして三つ目に、第三者機関は被害者側への有効で迅速な救済措置の実施のためのADR導入や被害補償制度の構築を図るということが提言されています。  私たち民主党は、医療関連死だけではなくて異状死、これは、例えばこれは事故死と扱われたものあるいは自殺と扱われたもの、実はそこに犯罪がかかわっている可能性だって否定できないわけですね。そういった亡くなった方への生命の尊厳、これは私は死因の究明だと、そのように繰り返しておりますけれども、この死因を究明するシステムあるいはその届出先というものが第三者である必要性が絶対にあると思っています。  今現在、これは医師法二十一条の関係で警察に届けられるわけですけど、異状死届出件数が二〇〇三年で二百五十件、そのうち立件は一割以下ですよ。医療関連、特に医療関連に関しては警察に届けても何の立件もできないということなんですね、現状は。  モデル事業があります、恐らくモデル事業のことを触れられると思うんですが、私は、このモデル事業には大変な問題があって全く第三者機関になっていないということがすべての根源だと思っております。この提言を、日本学術会議の提言を生かすための医療事故の再発防止と被害者救済に関する取組、この点について、モデル事業のことは結構ですから、それ以外の分野で考え方を教えてください。
  173. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 日本学術会議の提言においては、医療事故の再発防止、過誤、過失を問わない、第三者機関への届出、被害者の迅速救済のための第三者機関による裁判外紛争処理制度や被害者補償制度の導入が提言されております。これらの課題について、医療事故の再発防止や萎縮医療の防止に加え、不足が指摘されている産科医の確保という観点からも検討を進めていくべきだと考えております。  問題は、医療関連死などの原因を中立的に究明する体制をどのようにするか。実は、午前中の答弁で申し上げた産科の皆さん方お集まりいただいて、この中立的機関をどうやってつくれるかと。御議論として、東京なり大阪に置いたらいいじゃないかという議論がありました。しかし、現実、やはり解剖しなければならないということになると、少なくともブロック単位では置かなければならぬだろうと、こういうふうに思います。  さあ、その体制が各地域でしっかり取れるか。特に今第三者、どういう意味で第三者と言われたか分かりませんけれども、地方の県においてある大学の卒業のお医者さんが医療事故を届けたと、そのときにその大学の関係者がそこに混じっているということになると、当然これは信用性の問題になると。したがって、他の人でやらなきゃならないと。他の人でやらなきゃならないとなると、それだけのものを地方にしっかりつくり得るかと。東京、大阪は既に検死制度の中でかなりのものができ上がっておりますけれども、地方においてどういう形でこういうものをつくれるかという問題と、今の法規定であります医師法二十一条との関係を、受入れ機関ができたといたしまして、法務省としっかり議論をして問題をしなければならないと。それから、原因究明や被害者補償の財源をどのように確保するかという問題が当然あると思っております。  ただ、今モデル事業をやっておりますけれども、それが終わるまで待つということではなくて、並行して進めなければならない。先ほどちょっと尊厳死の話を申し上げましたが、尊厳死とこの異状死問題について厚生労働省としてもできるところへ切り込んでいかないと、医療問題の解決の中の大きなテーマになってきておると認識いたしておりますので、できるだけ早くやりたい。しかしながら、つくったものが結果として疑われるものになってはならないということで、そこのところは相当議論をしてつくり上げなければならないだろうと、このように思っております。
  174. 足立信也

    ○足立信也君 そのモデル事業の問題点は、遺族側がこれは調べてほしい、モデル事業に登録してほしいということを言えないということ、それから総合調整医は警察へ届けるのかモデル事業に回すのか判断する権限が全く与えられていないと、そういう問題があります。  まだ積み残しが一杯あります。ただ、その中でどうしても私言っておきたいことは、医師数のことは次回へ譲りますが、今までの政策、先ほど医師の需給の検討会の話でも、医師が過剰になると医療費が高騰してしまうんだと、過剰診療を触発してしまうんだと、そういう概念でずっと進んできているんですね。実は、平成二年のときの検討でも、診療所ブーム、開業ブームというのがあったんですけれども、それは医師が過剰になって病院へ就職できなくなったというふうに判断しているんですね。大変な間違い。私は、今の矢崎先生が中心となっている検討会のどういう結論を出されるのか、非常に期待をしているところです。  繰り返しますが、世界の轍を踏まないこと。医療抑制医療の質の低下を招く、人材の確保ができなくなる、そしてサービスの供給不足に陥るんだという世界が踏んできた轍を日本が踏まないように、一つ一つの質を改善することが今医療制度改革の最大の論点だと思っております。どうか御検討をよろしくお願いしたいのと、私もまた機会がございましたらもう一度質問をさせていただきたい、そのように思います。  ありがとうございました。
  175. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日です。  時間がもったいないので、早速質問に入ります。  まず、前回の宿題から始めます。  私が今中心的に質問しているのは老人保健法、全部改正されて高齢者医療確保に関する法律案について順次質問させていただいているんですが、これ全部で百七十一条ありまして、附則を足すと二百を超えるんですが、十三と十四のところで止まっていますので、着々と明確な答えをいただきたいと思います。そうしないと終わりまで行きませんので、お願いしたいと思います。  さて、十三条、十四条、これは今日、午前中に同僚委員からも御質問がありました。高齢者医療確保に関する法律の第二章に医療費適正化計画及び医療費適正化推進というのがあって、それの第十三条と十四条にかかわる質問を前回いたしました。そのときの答弁ではどうも腑に落ちませんので、もう一遍よく考えてきて、ちゃんとした答えをくださいと言いました。  十三条は診療報酬体系全般にかかわる問題、十四条は診療報酬都道府県のレベルの特例に関する問題、こういうふうになっています。ところが、全般に関する問題については都道府県から意見が提出できる、そして意見が提出されたら大臣がそれを配慮して定めるように努めなければならないと、こういう、言わば努力規定というか、義務規定まではいかないのだと思いますが、そういう書きぶりになっている。ところが、十四条の特例に関していうと、都道府県から意見を出すという話はなくて、大臣が決めると、ただし、あらかじめ都道府県知事協議しなさいと、こういう書きぶりになっているんです。これ、どうも腑に落ちないんですね。腑に落ちるように説明してください。
  176. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) お答えいたします。  まず、高齢者医療確保に関する法律案の第十三条の方でございますけれども、これは今委員指摘のとおり、この診療報酬全国共通のものとして厚生労働大臣が設定するものであるということ前提にしながら、この全国共通診療報酬を定めるに当たって、都道府県から意見が提出されたときにはこれに配慮して定めるように努めなければならないということを、言わばこれは確認的に規定したものでございまして、趣旨といたしましては、この医療費適正化に取り組む都道府県からの様々な意見を踏まえてこういった診療報酬の見直しを行って、医療費適正化に係る都道府県の取組を支援するということを明確にしたものでございます。現実の手続といたしましては、中医協への諮問、答申を経て大臣が決定するということで、あくまでも努力規定ということでございます。  一方で、第十四条の規定は、この診療報酬特例を設ける、この診療報酬の例外のことを規定したものでございまして、言わばこれは創設的に規定したものでございます。  この手順でございますけれども、まず特例を講じた方がいいという都道府県あるいは項目というのは、全国の適正化計画実績評価を踏まえ、前提としながら、各都道府県計画実績評価を踏まえて選定をすると。つまり、全国計画実績評価を踏まえて個々の都道府県計画を評価するという視点がまず必要であるのが一点。  それからもう一つは、これは午前中も出ましたけれども特例措置におきましては適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲内において講ずることとなるということでございますので、全国の視点から見て、県間バランスから見て公平であるということが担保された上での提案でなきゃならないということでございます。  そういう意味で、この点でも、内容的にも全国の視点ということが不可欠でございますので、これにつきましてはまず厚生労働大臣が提案することとしているわけでございます。ただ、この手続上の問題としまして、地域実情を勘案する必要がありますので、特例の対象となる関係都道府県知事の納得を得て行うように協議した上で設定することとしておるわけでございます。  繰り返しになりますけれども、両方とも診療報酬の見直しという手段を使いまして、都道府県による医療費適正化の取組を支援するという点では共通をしておりますけれども、十三条の方は全国共通診療報酬を定めるに当たっての配慮事項を確認的に規定したものである一方、十四条は全国共通診療報酬の例外として都道府県ごと特例について創設的に規定したものでございまして、趣旨を異にいたしますので、都道府県の関与の在り方が異なっているものであるわけであります。  もうちょっと言いますと、やはり繰り返しになるかもしれませんけれども診療報酬の例外を設ける場合につきまして、全国の状況との比較で設けなければならない、そういうことまで都道府県知事さんにお願いをするというのは、これは過重な負担になるんではないかと、こういう判断があったところでございます。
  177. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 前回よりも一歩前進はしたと思うんですけど、ただ、私、午前中の武見委員考え方とはちょっと違いまして、むしろ都道府県レベルの特例というのは積極的に設けてもいいんじゃないかと思っているんです。その場合に、高齢者医療費の適正化という適正化の中身が問題になる。例えば、長期入院をできるだけ短くしようということを考える場合に、診療報酬上は二通りのアプローチがある。一つは、急性期に点数を加算するというやり方。それから長期入院を、点数を低減を強化して低く付けるというやり方もある。だから、そういう意味で、文字どおり適切な方法で診療報酬特例を設けるというんだったら、もっと積極的にやっていいと思っているんです、私は。例外中の例外というか、特例中の特例って午前中、今日答弁されましたけれども。  というのは、今回いろいろ都道府県保険者としての役割が結構強められていますから、そういう意味でいくと、都道府県が費用、コストの問題とこれは給付の問題とについて相当一定程度力を持っていいと思っているんですね。そうしないと、何か変に国だけが勝手なときに注文付けて都道府県にやらせるという、何か医療費の適正化を専ら具体的なところでは都道府県に丸投げしているんじゃないかという話。あるいはそのやり方がどうもマイナスにマイナスに持っていこうという、言わばちゃんと適正化やらなかったらペナルティー掛けるよみたいな、そんな発想が見えてならないんですね。  そういう発想は、どうも高齢者医療費が増えることは良くないことだというか、避けるべきことだというか、そんな価値観を与えてしまうのではないかというふうに思えてならない。随分とそういう意味では今回の法改正は高齢者にとっては極めて厳しい仕打ちになりはしないかと危惧をするんですが、大臣、どうお考えですか。
  178. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 確かに、社会保障制度を進めていく中で医療というものをどう考えるかという、これはもう衆議院、参議院でも既に議論をさせていただいておりますけれども、根本的な議論にも通ずるだろうと思います。    〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕  年金制度については基本的に国が責任を持つ。介護については市町村が主体になる。一方で、医療というサービスを提供するときに、その問題の中心になるのは、国がすべてをやっている時代からだんだんだんだん県へ移行していく時代。既に病院開設の許可や医療計画の作成など、地域医療提供体制の整備に関しては県に責任を持っていただいている。そして、医療費適正化計画についても、都道府県ごと医療費の地域差があり、地域医療体制責任を有する都道府県に関与してもらうということで、今回は国と都道府県が重層的に責任を担いながら医療費適正化については進めていこうと、こういう考え方であろうと思います。しかし、時代の変化の流れとしては、その主役が国からだんだんだんだん県に移っていくという流れにあることは私は間違いないだろうと思います。  そういった一つの流れ、特に私どもはそういった中で政策目標計画の作成手法の開発、財政支援、人材研修などの援助をまだこれからやっていこうと。そういう意味では、すべての都道府県が今現在医療全体の受け手としてやれるまでの体制が整っているかということになると、正に進んでいる段階だろうというふうに私は認識いたします。  今回のこの診療報酬特例につきましては、一つは、医療のそういう意味では担い手になっていただいてる都道府県から、診療報酬の問題について我々に提言ができるという一つの切り口。これ全体の医療費についてですね、診療報酬について。もう一つは、都道府県が自分の実績を見ながら、地域の事情を踏まえて私ども協議を行うと。これについては大臣は尊重するという切り口が作られておるということでございます。  ただ、一方で、今段階においては、やはり都道府県間に公平に提供する観点から合理的であると認められる範囲内において設定すること。そこが、先生からですと、もう少ししっかり移譲しろっていう話ですけど、私も武見委員にお答え申し上げたように、今回は特例という切り口にさせていただいておるということでございます。ただ、流れ全体は都道府県がより自立していく方向になっていくことは間違いないと思っております。    〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
  179. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 私も流れそのものは否定するつもりは全くない。むしろ、先ほども申し上げたように、都道府県がもっと両面にわたって力を発揮できるようにすべきだと思ってますから。  ただ、そうすると、例えば、繰り返し答弁は求めませんけど、十四条でいけば、この特例についても都道府県から発議があってもいいんじゃないかと。何も大臣の方からしなきゃ、それで協議が始まるということよりも、都道府県から発議があってもいいんじゃないかと私は思う。そしたら、多少、十四条と十三条とがバランスが取れてくるなと思います。これは私の意見。  それで、その次にちょっと、もう少し細かくこの説明を聞こうと思ったんですが、午前中の武見委員の御質問とダブりますので、次の説明に関する質問は飛ばします。  もう一つ宿題がありました。今回の老人保健法の全部改正で、従来の老人保健法に基づく市町村が実施してきた老人保健事業が、法律の根拠を失うことになる。そうすると、どうなるんだろうということが私の心配事でした。例えば、従来から市町村中心に積み重ねられてきた老人保健事業実施計画、あるいはそれを実施するための基盤整備計画、こういうもので随分と積み上げてきたわけであります。相当に厳しい注文を付けながら積み上げてきた。さて、そういうところの言わば人材をどう活用していくのかという問題がどうしても残るんですね。  調べてみましたら、平成十六年度末に、全国の市町村において、常勤職員でこの地域保健、公衆衛生関係にかかわる専門職は約五万七千人いるんです。その中の中心が保健師さんで二万五千人。この力をどう活用するのかということが絶対的必要条件だと私は思うんですね。そこのところの話を聞きたいんだけれども、どうも健康増進法規定し直すということで、それでいいんだみたいな答弁が前回あったものだから、ちょっとそれでは得心いきませんという話をしました。  この問題は、先ほど同僚の島田委員からもありましたので繰り返してお尋ねすることはやめますが、ただ、そのことと関連して、地域保健法という法律がある。今回は何か、いろいろ見てみても地域保健法の改正は提案されていない。健康増進法は確かに一部改正がされているので、それで十分かどうかは別として、そこはきちっと配慮してあるんだけど、何でこういうふうにごろっと大きく変わるのに、とりわけ市町村の実施事業がころっと変わるのに、地域保健法の改正が何でないのだろうか。法改正がストレートに要らないまでも、法律に基づく基本指針というのはあるはずだ。これはきちっと書き換えないと、新しい制度変更に対応できないんじゃないかというふうに私は思うんですが、その点はどうですか。
  180. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 従来、老人保健事業として市町村が実施してまいりました事業のうちで基本健診に相当する部分につきましては、特定健康診査特定保健指導、いわゆるハイリスクアプローチというような言い方もしておりますが、ということで、今後医療保険者に中心的な役割を担っていただくこととしておりますけれども地域住民全体についての健康増進を図る責務、このものが市町村にあるということは何ら変更されるものではなくて、そういう意味地域保健の枠組みを大きく変更するということはないというふうに認識をしております。  また、市町村におきましては、生活習慣病対策だけではなく、母子保健対策、障害者施策、更には介護予防や児童の虐待防止対策などを幅広く担っていただいておりまして、市町村保健師、管理栄養士等の専門職の方々には引き続き地域保健の分野において重要な役割を担っていただく必要があるというふうに考えております。  このため、国としても都道府県連携をいたしまして、資質の向上に向けた研修の推進などに積極的に取り組みたいと考えております。
  181. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 まだ不十分ですね。要するに、制度がかなり大きく変わるんだから、特に今までそれぞれの市町村、現場で営々と積み上げてこられた人たちに対して、これからこう変わるからこういうことをやってほしいと、もっと明確に示さなきゃ駄目ですよ。  是非これは、今ちょっと答えていただいていないけど、基本指針がありますよね、地域保健法に基づく。これにはかなり具体的なことも書いてありますよね。当然、今回の法改正を踏まえて、基本指針も書き改めるということになるんですか。そういう機会を通じて、こういうふうに変わるんですよ、こういうことをやってほしいんですよとなぜ言えないか。改めて、もう一遍聞きます。
  182. 中島正治

    政府参考人中島正治君) これは、これまで御説明を申し上げましたように、生活習慣病対策にかかわる部分については、私ども認識としては地域保健法に規定する役割そのものを大きく変えるものではないということから、そういった部分の必要性は特にないのではないかというふうに認識をしておりましたけれども基本指針について今後更にそういった部分での見直しが必要かどうかについては更に検討してまいりたいと思います。
  183. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 検討してください。老人保健事業という言葉が入っているんですよ、基本指針の中に。老人保健事業はなくなるんでしょう。だったら、当然変えなきゃいけないじゃないですか。当たり前のことをちゃんとやっていないで提案なんかしなさんな。  次、職場における健康づくり。  今回の法改正で保険者特定健診等をやることになった。ところで、従来から労働安全衛生法に基づいて職場の健康づくりが取り組まれている。そうすると、今回の改正で実施が義務付けられた保険者がやるべき範囲と、従来の労働安全衛生法に基づいてやる範囲と、それも被用者本人とその家族と違ってくると思いますので、どういう事業内容をどういう費用負担の在り方でどういう優先順位でやるのか、説明してください。
  184. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) まず、私の方から両者の関係について御説明したいと思いますけれども、結論から申し上げますと、被用者保険の被保険者本人でございます労働者については、引き続き労働安全衛生法に基づく事業主健診が優先する仕組みとしてございます。  具体的に申し上げますと、今回の制度改正におきまして労働安全衛生法の改正を行ってございませんけれども高齢者医療確保法の中で、被保険者がこの労働安全衛生法に基づいて行われます事業主健診など特定健診に相当する健診を受けることができる場合には、保険者はその被保険者に対する特定健診の実施義務は免除されるという形で調整をしてございます。  また、事業主によります事業主健診と保険者による健診が人間ドックなどの形で一体的に実施されるということも想定されるわけでありますけれども、その場合にはこの高齢者医療確保法の中で事業主健診を保険者に委託して実施することが可能といたしまして、その場合には事業主は保険者に対して委託の費用を支払わなきゃならないと、このような規定をしているところでございます。
  185. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それだけですか。まだあるよね。
  186. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) それから、実施方法につきましては、それぞれの保険者が加入者の利便性を勘案しながら適切な方法を取ることとしてございますけれども、一般的には被用者保険の被保険者本人につきましては職域単位での集団健診や人間ドックにより提供されると。国保の被保険者につきましては、地元の保健センター等での集団健診、あるいはクリニック等の医療機関での個別健診により提供されることが多いと考えられるわけでございます。  また、被用者保険の被扶養者につきましては、法律上の枠組みといたしまして、市町村国保等、他の保険者による健診を活用できることとしてございまして、地元市町村を始めとした身近な場所で受診できるよう保険者間の協力体制を構築して、受診者の利便を確保するように努めてまいりたいと考えているわけでございます。  それから、健診項目につきましては、これは正に今、特定健診そのものの健診項目等を検討会において検討しているところでございますので、その上で確定をいたしたいと考えてございます。  それから、財源についての御質問があったと思いますけれども、先ほど言いましたように、その費用負担、これ被用者保険、被保険者本人の場合には先ほども申し上げましたように労働安全法によります事業主健診が主体になるわけであります。その他、その被扶養者等の場合につきましては、原則として保険料と利用者本人の負担としつつ、一部国庫による補助、この補助対象あるいは補助水準は今後検討することとしてございますけれども、国庫による補助を行う予定でございます。それから市町村国保の被保険者の場合には、保険料と利用者本人の負担のほか、現在の老人保健事業と同様でございますけれども、健診費用等の一部につきまして国と都道府県が三分の一ずつ負担をすると、このようにしてございます。
  187. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そうすると、少なくとも被用者本人は労働安全衛生法に基づく事業主健診が優先すると。しかし、項目的に十分でない場合とか、あるいは特に追加してやる場合とか、さらには被用者本人の家族については保険者責任でそれぞれやっていただくと、こういうことだと思いますが、ただ、一つ不思議に思うのは、国保の場合はよく分かりますよ。国保に入っている人の場合、市町村保健センター等を利用して健診をやっていただく、これはよく分かるんだけど、組合健保、健康保険組合に入っていて職場と地域が離れていて、本人は職場健診でできると。そうすると、その家族はどうするんだろうと思うんですが、それはどうします。
  188. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) それにつきましては先ほどちょっと触れましたけれども法律上の枠組みといたしまして、市町村国保等、他の保険者による健診を利用できることとしておりますんで、居住されている地元市町村での健診事業活用すると。これまだ費用負担関係をどうするか、詳細これから決めなければなりませんけれども、やはり、まずそれは受診者の利便性ということを第一に考えて組み立てていきたいと、このように考えております。
  189. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そうすると、家族については地域で国保にお願いをする、委託をするのかな。もちろん実質的には市町村におられる保健師さん等の力をかりながらやると、こういうことになるという理解でよろしいですか。
  190. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 基本的に、法律の枠組みで想定しているのは正にそういった市町村国保の枠組みを利用するということでございますが、概念的にはそのほかに外注をする、アウトソーシングをするというようなやり方もこれは可能であると思いますので、それは各被用者保険保険者が正に利便を考えながら定めていくということになろうかと思います。
  191. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 アウトソーシングの話はまた後で触れます。  資料を配ってください。    〔資料配付〕
  192. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 次の質問は、実はややっこしいんですが、今のは労働安全衛生法との関係だと。今度は介護保険法との関係が出てくる。  去年の介護保険法の改正によって給付の面でも介護予防、それから地域支援事業の中で介護予防にかかわる様々な活動が介護保険法によって実施されるということになる。  その中身を見てみると、介護予防に関する地域支援事業の中身と、従来老人保健事業で行っていた部分とがかなりオーバーラップすると。しかも、今審議している法案平成二十年四月の施行だから、ところが介護保険の方はもうこの四月から施行を迎えているということで、今ちょうど中途半端な過渡期というか、移行期にあると思うんですが、是非、介護保険法に基づく介護予防にかかわる地域支援事業の中身というか範囲と、今度改正でどのように保険者が行う特定健康診査等の事業が関連してくるのか、どちらを優先をするのかということについて、分かりやすい資料を出してほしいと言ったらこの資料が出てきましたので、分かりやすく説明してください。
  193. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 十七年度までの老人保健事業の評価につきましては、十六年度に有識者から成る老人保健事業の見直しに関する検討会において検討が行われました。  そこでの問題点といたしまして、一つは、介護予防の観点から、介護予防を中心とする高齢者に対する取組が十分でないということが指摘され、また二つ目に、生活習慣病対策観点からは、一つには、医療保険者が行う健診等との役割分担が不明確である、二つには、受診者に対するフォローアップが不十分であるといった課題指摘されました。  それに基づきまして、委員指摘のとおり、昨年の介護保険法の改正によりまして、介護予防を中心とするサービスを強化する観点から、六十五歳以上の高齢者に対しまして、これまで老人保健事業で実施してきた機能訓練、健康教育等を再編しまして、平成十八年度より地域支援事業において実施することといたしました。それがこの真ん中の欄の一番下の六十五歳以上(地域支援事業)の茶色の部分でございます。  それから、介護予防の観点から実施する生活機能評価に関する検査項目、これは、老人保健事業における基本健診、基本健康診査の項目に追加して実施するとしたところでございます。  実はこれ、この表にはちょっとうまく書けていませんが、真ん中の四十歳以上の基本健診の中に、右端に出ておりますが、六十五歳以上の介護予防のための生活機能評価(地域支援事業)と書いてありますが、これが十八年度、十九年度は基本健康診査の中において実施するということになっております。  また一方、もう一つ課題であります生活習慣病対策観点からの課題につきましては、今まで老人保健事業として実施してきました基本健康診査につきまして、平成二十年度から、一番右の欄になりますが、高齢者医療法に基づきます特定健康診査及び特定保健指導として医療保険者に実施を義務付けるということといたしました。これが緑の部分でございます。  それから、二十年度から、六十五歳以上の者に対する介護予防のための生活機能評価につきましては、先ほど申し上げました十八年、十九年地域支援事業として実施しておりますものを、地域支援事業として二十年度からは保険者による特定健康診査連携を取りながら実施していくということで、右端の茶色の部分でございます。  また、老人保健事業として実施してきました四十歳から六十四歳の健康相談事業等につきましては、平成二十年度からは健康増進法に基づく事業として市町村が引き続き実施するということといたしました。これが右の欄の黄色の部分でございます。  なお、右下にあります注でございますが、先ほど申し上げました特定健康診査と並びまして保険者がやる特定保健指導ということで、これは実際には高齢者医療確保法の二十四条に基づきまして保険者が健康教育あるいは健康相談等を実施するということで、ちょっと図には書き切れていませんが、この緑の薄い膜が下にまで入っているといいましょうか、そういう関係で一部の保健指導等保険者がやるということになっております。
  194. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 分かりやすい図をかいてくれと言ったのに今の説明は分かりにくいですね。それで、分かりにくいということが言いたかったんですよ。  大臣、今回、老人保健法を改正して高齢者医療確保に関する法律というのを作ると。その中で適正化計画が作られ、あるいは特定健診が義務付けられると、こうなると。ところが、医療の側から切り口で切っているものだから、健康づくり、健康増進の方からきちっと組み立ててないものだから継ぎはぎになっているんです、こういうふうに。だから、例えばさっきから何回も説明が出てくる健康増進法というのがあるでしょう。それから、私が申し上げた地域保健法というのがある。それから、職場では労働安全衛生法というのがある。六十五歳以上になると介護保険法。これは全部絡んでくるんですよ。で、悲しいかな健康増進法は全体の組立てをうまく組み立てるように作ってないんですよ。だから、あっちを変え、こっちを変えということでその都度その都度壁塗ってきたと、こういう感じなんですね。  そこで、是非大臣検討してほしい。改めて、職場と地域における健康づくり、健康増進活動のためのより体系的、総合的な法整備を検討してほしい。前回、私、質問の中で、健康増進法を改めて健康増進基本法にしろと言いましたが、訂正しまして、増進を取りまして、健康基本法というものを枠組みをまずつくって、その中で幾つかかかわる整備をうまく体系付けるという作業を、ヘルスの側から、保健事業の側からきちっと見て作り上げてほしいと思う、医療の側から見たり介護の側から見たりするんじゃなくて、と思うんですが、どうですか。
  195. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 新たな法を作れという御提案で、今法案審議いただいているところでございますので、そこは検討課題としてお許しを賜りたいと思います。  一方で、先ほどの議論の中で、健康増進法、また地域健康基本法、地域保健法か、におきましてもう少しその指針というんですか、明確にやっていけという御指摘をいただきました。横で聞いていて私もそのように思いますので、しっかり検討させます、そのことについては。
  196. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 是非検討をお願いします。  次に移ります。  ようやく第二章第二節第十八条まで来ました。特定健康診査基本指針に関する条文がここから始まるんですが、まず最初にお尋ねしたいのは、今回、健康診査について、その範囲を「政令で定める生活習慣病に関する健康診査」というふうに特定していますよね。何で特定したんだろうかということと、どの範囲までをこの特定健診の中に入れるのかということについて考え方をお示しください。  もっと具体的に言うと、例えばがんは入らないのか、がん検診は。今日の午前中の質疑で同僚の渡辺委員が三大成人病あるいは三大生活習慣病というふうにおっしゃっていて、がんも含めて話しておられましたよね。隣で全部含めるんですかねって話をしていたんですけど、どうも説明を聞くと、がん検診とか、あるいは今非常に関連して問題になっているウイルス性肝炎の検診などはこの中に入ってないと。すると、非常に限定的に、糖尿病その他政令で定める生活習慣病って非常に限定しているのは何でかと、そのまたエビデンスはあるのかと。
  197. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 今回、医療保険者に義務付けることになります特定健康診査につきましては、内臓脂肪症候群の考え方に着目をいたしまして、健診の結果を有効に活用して対象者を階層化した上で、効果的な保健指導を徹底して生活習慣病の発症、重症化を予防するという目的で行うこととしております。  この特定健康診査の具体的な対象疾患につきましては、現在、有識者や医療保険者に参画いただきました検討会において検討をしていただいているところでございますけれども、糖尿病のほか高血圧症、高脂血症、さらに重症化した結果としての脳血管疾患あるいは心疾患などをスクリーニングできるような内容とすることを予定しておりまして、老人保健事業で言うところの基本健康診査に該当するような内容を考えてございます。  がん検診につきましては、平成十年度に一般財源化された以降につきましては、法律に基づかない市町村事業として実施されてきているわけですけれども、今回改めて健康増進法に基づく事業として法律上の位置付けを明確化いたしまして、都道府県健康増進計画目標を設けるなど取組を推進してまいりたいと考えております。  いずれにしましても、これまで市町村が実施してまいりました事業のうちで医療保険者に実施が義務付けられる特定健康診査特定保健指導以外の事業につきましては、健康増進法等に基づいて引き続き市町村に実施をしていただくことになると考えております。
  198. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そうすると、ちょっとその問題と関連して、一番最後の質問に飛びます、いったん。  今御説明で、内臓脂肪症候群、これは最近はやりのメタボリックシンドロームということとイコールかどうか。私が調べたんでは、内臓脂肪症候群というのは英語で言うとビセラルファットシンドロームと、文字どおりその名前を付けている人がいるんですね。厚生労働省は何でメタボリックシンドロームイコール内臓脂肪症候群と訳すのか。これ、まず訳が間違っていると。  それからもう一つは、シンドロームというと、これ病名なんですね。だから診断基準がある。本来、生活習慣病予防のための前段階でいろいろ問題点をキャッチしていろいろやっていこうじゃないかという話だったんで、診断して病名にしちゃって、病気にしちゃって、じゃ後薬飲ませるかという話になっちゃう。  生活習慣病予防対策は、余りに医学モデルあるいは疾病モデルを強調し過ぎると患者狩りになるんですよ。あなた、ここが異常です、だからお医者さん行きなさい、こうなっちゃうんです。かえって医療費増えちゃうんですよ、本当に。だから、これは老人保健事業の、総括の中にも出てきているんですよ。だから、そこをきちっと踏まえて新しい施策を展開してほしいわけ。それにもかかわらず、今の説明でいうと、またしても訳の分からない片仮名でメタボリックシンドロームというのを出してきて、その訳は内臓脂肪症候群と。  全然納得いかないので、これは多分技官にお答えいただくといろいろと答えにくい点があると思うから、あえて医療の素人である大臣に、ちょっとおかしいと思いませんか。
  199. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) このことについても随分御議論いただいていることでございますけれども生活習慣病対策を充実強化するため内臓脂肪症候群の考え方に着目することとしたのは、これまで糖尿病、高血圧症、高脂血症といった生活習慣病がそれぞればらばらの病態としてとらえられ、生活習慣の改善よりも個々の病態に応じた薬の使用が安易に行われてきた面もあったのではないかとの反省に立つものでございます。内臓脂肪に着目することにより、安易に薬に頼らず、適度な運動やバランスの取れた食生活といった生活習慣の改善が有効であることが理解され、行動を変えるきっかけとなることを期待するものでございます。一方、内臓脂肪症候群の考え方を導入することで、逆に安易な薬の使用が増えたといったことはあってはならないことであり、正しい知識の普及啓発を図りながら具体的な対策を進めてまいりたいと思っております。  生活習慣病対策推進については、内臓脂肪症候群のみに着目するのではなく、内臓脂肪症候群に該当しない生活習慣病の有病者、予備軍への対策や生活習慣病予防に関する普及啓発も含め、総合的に推進してまいりたいと考えております。
  200. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 大臣意見求めているのに、読んじゃ駄目ですよ。あえて医療に素人の大臣に率直な御意見をと思ったんで。  ちょっと検討してほしいんです。学会レベルであるいは研究レベルではいろいろと言われているのは知っています。私も幾つか勉強してみました。先日も同僚の足立委員からもいろんな意見があるということで、学会や研究会レベルでいろんな発表してもらうのは大いに結構、ただその概念をそのまますぽっと持ってきて、その特定健診の概念を説明するのに内臓脂肪症候群をチェックしてという言い方をされると、これは国の責任になっちゃう。だから、学問レベル、医学レベルの議論議論として、国の制度、政策の中にきちんと取り入れる場合はもっと概念を吟味してほしいわけ。メタボリックシンドロームという使い方あるいは内臓脂肪症候群という表現は誤解を招くし、またミスリードする。だから、これは違った概念を、ちょっと知恵出して考えてください。これは注文しておきます。  次に行きます。  一つ、第二十条の実施の範囲説明については飛ばしまして、そのことと関連して、今回もなぜか四十歳以上という年齢が書いてあるんですよね。ところが、老人保健事業について、見直しに関する検討会が二年前でしたかね、老人保健事業をやってきていて、その中の反省点の一つとして、四十歳以前三十九歳まで、その報告書には人生の折り返し点なんて書いてある。要するに、そのころまでに生活習慣できちゃうんです。だから、生活習慣病対策強化はむしろ三十九歳以前のところでちゃんとやんなきゃいけないという報告が出ているんです。知っているでしょう、それ。それにもかかわらず、今回、特定健診の対象者を相変わらず四十歳以上としたのは何で。
  201. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回、特定健診等につきまして四十歳以上としておりますけれども、これは医療保険者に対して実施を義務付けている年齢なわけでございます。その義務付けの年齢といたしましては、この現在の老人保健事業基本健診の対象者が四十歳以上とされていることを踏まえているわけでございます。ただ、この義務付けている健診等がすべてではございません。  委員指摘のとおり、四十歳未満の方から、生活習慣という点ではそれ以前のところで固まっているじゃないかということもございます。そういう意味で、四十歳未満の方も含めた国民の広い層を対象といたしました運動、食生活喫煙と、こういった生活習慣の改善に向けたいわゆるポピュレーションアプローチについても積極的に、これは市町村が中心になろうかと思いますけれども、やっていただくということがございます。  それから、先ほどお話しありました、労働安全衛生法に基づく健診、これは当然ながら四十歳未満の方であっても被用者については行われます。それから、保険者のいろいろ健診事業がございますけれども、これにつきましても、四十歳未満の方に対する、保険者につきましても実施に努めることとして、努力義務ということを言っているわけでございまして、引き続き進んで取り組んでいただくことを求めてまいりたいと考えてございます。  したがいまして、繰り返しになりますけど、義務付けるのは四十歳以上でございますけれども、それ以前のところからやはり様々な形での努力というものはしていく形になろうかと思います。
  202. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そしたら、四十歳以上の受診者と四十歳未満の受診者とを同等に費用負担も含めて扱っていただけるんですか。その四十歳未満は、何でしたっけ、できるように努めなきゃいけない、違った、できるという、で、四十歳以上は義務付けると。年齢によって扱いが違うわけですか、対応が違うわけですか。それとも、一緒なんですか。だったら、四十って書く必要ないよね。
  203. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 保険者の健診事業についてでございますけれども、四十歳未満の方につきましては実施に努めるということにしてございます。  費用負担も違うじゃないかということ、同じかどうかということでございますけれども、やはり義務付けているということに対しまして国からの補助も行うという、それは裏腹の関係であると思っておりまして、四十歳未満の方につきましては、これは一般どおり、保険料財源あるいはその利用者の負担という形でこれ構成していただくのかなと思っております。そこを具体的にどうするかは保険者のお決めになることでございますけれども、やはり国からの補助という点では、この義務付けている四十歳以上の方の健診について補助を行うという規定にしてございます。
  204. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 いずれにしても、老人保健事業の総括をきちっと踏まえて新しい政策を展開してほしかったというふうに思います。そういう点では、どういう事情があったのかよく分かりませんけど、四十歳以上と相変わらずの決め方をしたことについては極めて不満です。  さて次に、二つ三つ飛ばしまして、第二十八条、保険者は、特定健康診査等について、病院又は診療所その他適当と認められるものに対し、その実施を委託することができると、こうあります。この病院又は診療所というのはよく分かるんですけど、その他適当と認められるものについてどのようにお考えか。何か政令か省令できちっと決められるんですか。それも含めて御説明ください。
  205. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 今回の法案の中におきまして、特定健康診査及び特定保健指導については病院又は診療所その他適当と認められるものに対してその実施を委託することができるとされておるわけですが、先ほど申し上げました検討会におきまして、特定健康審査及び特定保健指導の委託の在り方につきましても重要な検討課題ということで検討をいただいているということでございます。  一般的に外部委託に関しまして、健診について言えば、健診の精度管理の徹底が必要であるとか、あるいは健診の従事者の資質が担保されていることなどが求められるということも考えられますし、また、保健指導についても同様に、保健指導についての専門的な知識、技術を有する者が実施者としているということ、それからまた、保健指導の成果について適切に評価を行える体制になっているというようなことなどが考えられるのではないかということで考えております。  なお、健診や保健指導のいずれにつきましても、個人の健診、保健指導の結果などのデータの取扱いに当たっては、個人情報の保護には十分留意する必要がありますために、委託先の事業者におきましてそれが担保される体制も必要と考えております。  今後、こうした点につきまして、より具体的な内容検討した上で基準を定めることとしておりまして、委託先の事業者につきまして一定の質の確保を図ることができるものにしたいというふうに考えております。
  206. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 是非、質の確保というか精度管理がちゃんとできるような取組をしてほしいんですが、そこで、ちょっと最後になりますが、大臣に聞きます。  今の件と関連して、日本経団連が、さすがに四月十八日段階で、我々がまだ審議してない段階で要望書を出しているんです。日本経団連の中にヘルスケア産業部会というのを発足させたと、去年。四月十八日付けで「生活習慣病予防に係る特定健康診査特定保健指導のアウトソース推進に向けて」と、こういう要望書が出ている。そのこと自体、私、けしからぬと言うつもりはないんですけど、ただ、要望の主な論点というところに、どうも二つほど気になる。  一つは、生活習慣病対策に関して成果目標をちゃんと設定しろ、その場合の成果目標の指標は抑制する医療費の額だと。それからもう一つ、アウトソース先の能力等について、施設や資格にかかわる基準が過重にならないようにすると、こういう要望項目が上がっているんです。これちょっと虫が良過ぎるんじゃないかと思うんですが、この日本経団連からの要望について大臣はどうお考えですか。
  207. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今初めて読んでいるんですけれども一つは、先ほど議論になった四十歳未満を対象とした生活習慣病対策における企業と健康保険組合の連携推進、これはいいですね、これはいいと思います。  それで、問題は、成果目標というところを余り短絡的にこう言われますと、正直申し上げて、やはり質というものをどうやって担保するか、それから、先ほど局長から答弁いたしましたけど、あくまで個人情報、正にセンシティブ情報でございますので、そうした管理がきちっとされることが前提でなければならないだろうと。  一方、私は厚生労働大臣でございますので、労働問題でよく経済界と話し合う場がございます。したがって、しっかり意見は聞きたいと思います。しかしながら、医療を担当される皆さん方、そしてこういう保健事業をずっとされてきた経験者の皆さん方の声をしっかり聞きながら対応はしてまいりたいと、要望は要望として見させていただきます。
  208. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 もう終わりますが、是非、健診にしろあるいは保健指導にしろ、提供されるサービスの質というかレベルというか、それが大変重要だと思いますし、それが相互にある程度比較できるようにならなきゃいけないんですね。こっちの健診のデータとこっちの健診のデータと違うようじゃ話にならない。そういうことも含めて是非きちっと話合いをしていただければと思います。  以上で終わります。
  209. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  混合診療の問題についてお聞きをします。本法案では、保険外併用療養費が制度化されます。これで保険外の自己負担が一層拡大するのではないかという問題であります。  六十三条では、保険外併用療養費の支給対象として評価療養と選定療養が示されていますが、これは現行の特定療養費の支給対象としての選定療養と高度先進医療、この仕組みとどう違うのか、簡潔に御説明ください。
  210. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この保険診療と保険外診療の併用の問題についてでございますけれども、実はこの制度改正は二段階でやっておりますので、ちょっと説明複雑になるかもしれません。お許しいただきたいと思います。  まず、現行の特定療養費制度のうちで高度先進医療につきましては、これは保険導入前の技術でありましても、中医協の下の専門家による組織における科学的評価の結果を踏まえて保険診療との併用を認める制度でございますけれども、患者の視点から見ますと、このような制度の対象になるか否か、必ずしも医療技術が高度であるかどうかということとは関係なく、必ずしも高度でない先進的な医療技術につきましてもこのような形で保険診療との併用が認められますと、早期に少ない負担で治療を受けることができるのではないか、あるいは医療機関と医療技術の組合せで承認する仕組みが現在取られておりますけれども、これでは認められるまでに時間が掛かり過ぎるんじゃないかと、こういった指摘がございまして、必ずしも高度でない先進的な医療技術につきましても保険導入の前段階として保険診療との併用を認めるということと、高度で先進的な医療技術も含め、保険導入手続を迅速化、透明化したところでございます。これは昨年改正したことでございます。  これ具体的に申しますと、高度先進医療につきましては、技術ごとに実施可能な医療機関の要件を定めまして、それを満たすものを特定承認保険医療機関として承認する仕組みに、それから先進医療につきましては、技術ごとの実施可能な医療機関の要件を定めまして、それを満たすものは届出により実施可能な仕組みにそれぞれ改めたところでございまして、これが現行制度になっているわけでございます。  一方で、特定療養費制度のうち選定療養につきましては、この中身が差額ベッドなどからその他治験に及びます様々なものが混在していると、こういう指摘がなされたわけであります。  これらを踏まえた上で、今回の改革法案に移るわけでありますけれども、まず高度先進医療につきまして、手続の簡素化の観点から、医療機関と技術の組合せによる承認制を廃止いたしまして、将来的な保険導入のための評価を行うものであるかどうかという観点から、現行の高度先進医療と選定療養とを再構成しまして、高度な医療技術や治験中の医薬品など、将来的に保険導入のための評価を行うものを評価療養と位置付けまして、それからいわゆる差額ベッドなど、保険導入を前提としないものを選定療養とすることとしてございます。  今回の改正は、導入手続の透明化、迅速化を図るものでございまして、評価療養につきましては、定期的に評価を行いまして、有効性、安全性のほか、普及性、効率性、技術的成熟度等の観点から適当と認められたものにつきましてはこれを保険導入をすると、こういう仕組みにしたわけでございます。
  211. 小池晃

    ○小池晃君 答弁、短くお願いします。  評価療養の定義としては、今回、「高度の医療技術を用いた療養その他の療養」とあるんですが、この「その他」というのは一体何なのか。これではどんなものも入ってきて歯止めがなくなってしまうんじゃないかという懸念があるんですが、そこはどうですか。簡潔にお願いしますね。
  212. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この「その他の療養」ということでございますけれども条文中に明記されました「高度の医療技術を用いた療養」のほか、治験中の医薬品等が該当するものと考えてございます。  ただ、この具体的な類型を今後どうするかということにつきましては、当然ながら、これは中医協におきまして公開の議論を経た上で厚生労働大臣が指定することとしてございます。
  213. 小池晃

    ○小池晃君 いや、だから歯止めはあるのかというふうに聞いたんですが、中医協で議論するということだけなわけですね。  それから、その選定療養としては、腫瘍マーカーの検査とか精神科デイケアなんかの回数を超える医療行為も含まれていますが、これは選定療養というふうに入ってしまえば、今の説明にあるように、将来にわたって保険適用の対象として検討しないということになってしまう。しかし、こうした医療行為というのは、本来は医療上の必要性があればこれは当然保険で見るべきものだと思うんですが、保険適用の道を将来にわたって閉ざしてしまうということは問題があるんじゃないですか。
  214. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この点につきましては、現在、保険給付を行うに当たりまして、委員御承知のとおり、制限回数が設けられている医療行為がございます。そのうちで腫瘍マーカー検査など、患者の要望に従いまして、患者の自由な選択の下に制限回数を超えて行われることが想定されるものにつきまして保険給付との併用を認めているところでございます。  このような制限回数を超える医療行為につきましては、医療上の必要性に乏しいために制限回数が設けられているということを踏まえますと、将来的な保険導入のための評価を行う療養には該当せず、患者の選択に係るものであることから、改正後の選定療養として位置付けられるものでございます。  ただ、その制限回数を超える医療行為の中には、現時点におきましては医療上の必要性が乏しいと判断されるものでありましても、新たな医学的知見が得られるなど、言わば想定外の状況の変化によりまして医療上の必要性が生ずる場合も考えられるわけでございまして、仮にそうした状況が生じた場合には、制限回数の当否について検討するという形で保険導入について検討することも、これは考えられるわけでございます。
  215. 小池晃

    ○小池晃君 大臣にお聞きしますが、その評価療養に入れば、これはすべて今説明あったように保険適用の検討対象となっていくわけで、これは当然、安全性、有効性など確認されれば速やかに保険適用する、この大原則、変わりないですね。
  216. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 基本的には変わりはありません。評価療養として、保険診療と保険外診療との併用が認められた技術については、専門家による組織において有効性、安全性等について定期的検証、評価を行い、その結果を踏まえ、保険導入を行うこととしております。
  217. 小池晃

    ○小池晃君 ちょっと具体的に聞きたいんです。  一昨年、規制改革民間開放推進会議が混合診療を容認されるべき具体例として五例を挙げています。これ、当時大問題になりまして、いわゆる外保連、外科系学会社会保険委員会連合会長の出月康夫先生などは、すべて厳密な医学的適用に基づいて実施されるべきものであり、すべて直接保険に適用を急ぐべきものであると主張されました。  この五例についてどうなったのか、保険適用されていないということであればなぜか、御説明ください。
  218. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 五例につきまして順次御説明させていただきたいと思います。  一つ目が、乳がん治療により摘出された乳房の再建術ということでございまして、従来は筋皮弁術といたしまして保険適用されておりましたけれども平成十八年度の、今回の診療報酬改定におきまして、新たに乳房再建術として独立した点数を設定したところでございます。この乳房再建に当たりまして人工乳房を使用する場合もありますが、この人工乳房につきましては、実は我が国において薬事法上承認された製品がないということがございます。したがいまして、これは治験が実施されれば評価療養の対象とされることになるものでございます。  二つ目、舌がん摘除後の形成術についてでございますが、これは従来から筋皮弁術等として保険適用されているものでございます。  三番目、PPH法による痔治療でございますけれども、これは昨年十一月から先進医療として特定療養費制度が適用されてございます。  それから、四番目の子宮筋腫の動脈塞栓療法につきましては、これは使用される医薬品が薬事法上の適用外使用に該当することになりますので、これも治験が実施されれば評価療養の対象となることになります。  それから、最後、五番目、盲腸ポート手術についてでございますけれども、これにつきましては医療機器が薬事法の適用外使用に該当することから、これも治験が実施されれば評価療養の対象とされることになるものでございます。
  219. 小池晃

    ○小池晃君 結局、五つのうち一つは最初から保険適用されていたと。残り四つのうち三つは薬事法の問題なんですね、これ。規制改革会議などは、これが新しい治療を受けられないのは問題だと、混合診療だと言うけれども、これ問題はやっぱり薬事法の承認申請が行われていないというちょっとレベルの違う問題なんだということだと思うんです。  そもそも八四年から高度先進の制度始まって、もう一体どれだけの技術がこの中から保険適用になったのか、お示しください。
  220. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 委員指摘のとおり、この高度先進医療制度、昭和五十九年、一九八四年に創設されたわけでございます。これまで延べ百八十五の技術が承認されてございます。このうち六十六の技術が高度先進医療から保険導入にされたものでございまして、内容を申し上げますと、内容と申しますか……
  221. 小池晃

    ○小池晃君 もういいです。
  222. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) いいですか。  六十六の技術が保険導入されてございます。
  223. 小池晃

    ○小池晃君 二十年間でわずか六十なんですね。一方で、今年の診療報酬改定だけ見ても、高度先進を経由せずに直接保険適用された技術が五十あるわけであります。  今までは、必要な医療技術というのは、いったん高度先進にいくというのは例外的な存在であって、直接保険適用を、もちろんよく検討してですが、入ってくるというのが主流だったと思うんですね。しかし、今回こういう、大臣の合意があり、法律でこういう保険外併用療法という仕組みができ、評価療養、選定療養という形ができ上がってくると、非常に危惧するのは、いったん評価療養に入るという動きが、流れが強まるんじゃないだろうかと。  局長、私、こうした制度の下では今まで以上に保険負担の対象というのは広がっていく危険があるんじゃないかというふうに危惧するんですが、その点はいかがですか。
  224. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) その点については様々なケースがあろうかと思います。これまでの新技術、これは、新規性がないものにつきましてはこれは当然既存技術との比較という形で保険導入されるわけです。先進的な技術につきましては、これは技術評価分科会、学会からの意見を踏まえて検討するわけでありますが、これは言ってみますと二年に一遍、そういうものは認められるわけであります。  ところで、今回の評価療養になりますと、これは随時検討して、評価療養の範疇に入りますので、あるいは患者さんの目から見ますと、その基礎的な医療費については保険から特定療養費という形で、言ってみますとより安価な形で先進的な技術が早く受けられると、こういうメリットもあるわけであります。  したがいまして、全体を通じまして今回は今までの特定療養費制度を改めまして、保険に導入される技術、特に新しい技術についてはやはり一つの流れ、透明で、流れというものをつくるということも眼目の一つでございます。その結果として、患者さんにとってそういったメリットを早く享受できるということもある点は御理解いただきたいと思います。
  225. 小池晃

    ○小池晃君 自由診療よりも、特定療養費あるいは保険外併用療法になった方が負担は少なくなるというのは、それは分かるんですね。  実態で見ると、例えば先ほど例があったPPHという自動吻合器による痔の治療があります。これは、痔の手術というのは大体通常の手術であれば一週間から十日の入院なんですが、PPHだと二、三日だと。これ、先進医療に採用されたときには、ある新聞は痔持ちに朗報というふうに大きく報じたわけです。しかし、朗報というのは、これは追加費用を払える人にとってはこれは朗報になるわけで、これ約十五万円ほどの費用が掛かってくる。十五万円払える人であればすっきり二、三日で退院と、払えなければ一週間これうつ伏せになってうんうんという、そういう事態になるわけですね。  もちろん、おっしゃるように、これは自由診療だったら全部丸ごとなんだから、それよりいいじゃないかというふうにおっしゃりたいんだと思うんですが、私は、このPPHなんというのは本来は本当に速やかに保険適用すべきものではないだろうかと。機械そのものはそんなに別に目新しいものじゃないんです。似たような機械を大腸がんの手術で使っているんです。しかも、何でもかんでもPPHになるかというと、これ医学的には適用をかなり限られるという話も実はあるんですね。  ですから、やはりこういうものは速やかに保険適用するという道こそ大事であって、私、非常に危惧するのは、今回のようにこういう評価療養あるいは選定療養という仕組みができてきますと、保険で利かないような範囲が安易に広がる、そういう仕組みになりかねないんではないか。そうすれば、日本の医療保険というのはどんどんどんどん、まあいわゆる公私二階建て型の仕組みになっていきかねないんではないか。そうなれば、正に貧富の差が治療の差、二、三日の入院が一週間、十日間、こういうことになってしまうのではないか。  大臣基本的な認識としてこういう方向に日本の医療が、保険外と保険負担の二階建てのような仕組みにどんどん歯止めなく進んでしまうということは私はあってはならないと思うんですが、大臣、いかがですか。
  226. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これは先ほどもお答え申し上げたように、基本的には保険導入を行うこととしておりますので、そうした御指摘、御懸念はいただかないでいいんだろうと思っております。  今回の改革の基本は、必要かつ適切な医療基本的に保険診療により確保すると、この基本に立っております。評価療養として保険診療と保険外診療との併用が認められた技術については、先ほど申し上げたように、有効性、安全性等について定期的に検証、評価、これ随時行います。その結果を踏まえ保険導入を行うこととしておりますので、金持ちしか先進医療を受けられなくなるというおそれはないと考えております。
  227. 小池晃

    ○小池晃君 しかし、こんなこと言っている人たちもいるんですよ。二〇〇一年十月の財政審に財務省の主計局が医療制度改革の論点という文書を出しています。  そこで、混合診療の例としてこんなことを挙げているんです。医師の指名、指名料ですね、セカンドオピニオンの紹介、先発薬剤の使用、通常よりも高度な医療機器、これ括弧してMRIを言っている、の利用、それから手厚い看護体制、終末期医療の提供。  こういうものを混合診療の対象にするということになれば、私は、大臣はそういうことはないと言ったけど、正に貧富の格差が治療の格差、命の格差にもなりかねない。こんな提案を厚労省としては容認されるんですか。
  228. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 御指摘の資料は、平成十三年十月十日の財政制度審議会の合同部会に財務省から提出したものであると承知をしてございます。  これらの資料の中では、「公的医療保険の守備範囲の見直し」ということで、ただいま委員が御披露されました様々なものが選定療養として置くべきであるという例示として示されているわけでございますが、現時点におきまして、これらについて選定療養として位置付けることは考えていないわけでございます。  そもそも、この選定療養は、差額ベッドなど、保険給付として画一的に給付するよりも、むしろ患者の嗜好、選択にゆだねた方がいいというものに今限定して指定することとしてございます。  今後、新たに患者等の要望があるということも考えられるわけでありますが、そういった場合には具体的な選定療養の類型の追加、検討ということになるわけでありますが、それにつきましても、中医協における公開の議論を経た上で適切な手順にのっとって見直しを行っていくことになるものでございます。
  229. 小池晃

    ○小池晃君 現時点ではと、すごい何か腰が引けたような言い方に聞こえるんですが、大臣、こういう財務省が言っているようなことはとんでもないと思いませんか。それ、どうなんですか。これは、それとも将来的にはこういうところも検討の可能性になるとおっしゃるんですか。
  230. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 確かに、先ほどから議論をしておりますけれども医療をめぐる状況について様々な意見があることは間違いないと思います。その中において、私どもは国会で申し上げておることを基本に、国民保険制度を守りながらしっかりやっていきたいと、このように思っております。
  231. 小池晃

    ○小池晃君 ちょっと角度を変えて聞きたいんですが、そもそも、混合診療の旗振り役をやっておられるのは内閣府の規制改革民間開放推進会議、今日室長に来ていただいています。  私、おととし十一月にも委員会で質問をして、この推進室にはどんなところから企業が来ているんだと聞いたら、結構、保険会社とか一杯来て、とんでもないというそういう質問をしたんですが、その後どうなっているか。今この規制改革民間開放推進室に多数の民間企業から出向者いると思うんですが、この出向元の企業名を列挙していただきたいと思います。
  232. 田中孝文

    政府参考人(田中孝文君) 現在、室員は現時点で合計三十三名、うち十七名がいわゆる民間からの非常勤の公務員でございます。  企業名を列挙いたします。  オリックス、関西電力、国民生活金融公庫、JFEスチール、信金中金、セコム、ソニー、帝人、東京海上日動火災保険、トヨタ自動車、日本経団連、日本生命、日本郵船、松下電器産業、三井住友海上、三菱東京UFJ銀行、森ビル。  以上でございます。
  233. 小池晃

    ○小池晃君 これ、今列挙した中でも、生命保険会社、損保会社、オリックス、セコム、保険会社、そういった企業から一杯出てきているわけですよ。しかも、議長は、これオリックスの宮内義彦会長でありまして、今、村上ファンドの問題で、ああいうところに多額の資金を出資して運用していたということで、社会的、道義的責任が厳しく問われている人であります。  医療保険というのは、これ、オリックスの今や売出しの先頭の商品ですよね。混合診療になって保険証使い物にならなくなれば、一番喜ぶのはこういう連中、まあ連中という言葉は悪いですが、こういう方たちなわけですよ。そういう人たちが自ら議長に座り、そしてそういう企業から出向者を集めて、三十三名中十七名が今言ったような民間企業から来ている。私、前回も言ったけど、内閣府って殻をかぶった、私、民間企業のこれ集団ですよ。こういったところが混合診療をやれ混合診療をやれって旗振りをする。私、こういうやり方というのはどう見たって利益誘導ではないかというふうに思うんです。  大臣、これ、尾辻大臣にこの問題を言ったときには、必要があれば物を言うというふうに尾辻大臣はおっしゃった。それから二年たっても全然変わらないんです。これ、今こそ物を言うべきじゃないですか。厚労省としてどうなんでしょう、大臣
  234. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 財政諮問会議等では、外国人労働者問題や、医療の何といいますかキャップ制の話とか、はっきり私も物を言っておりますので、また、先ほどから申し上げたように、国民保険制度をきちっと守るという立場から言うべきことは言うてまいります。
  235. 小池晃

    ○小池晃君 何かあんまりまだ言っていらっしゃらないように思うんですね。やっぱりきちっとこれは物を言うべきだと。  しかも、私、もう一つ言いたいのが、やはり日本経団連なんかはこれかなり強く公的保険の守備範囲を小さくしろということは言われている。それはなぜかといえば、公的保険の守備範囲小さくなれば企業の保険料負担小さくなるというのが一番の理由だろうと思うんですが、アメリカからの要求もあるわけですよ。  これ二〇〇一年の小泉首相とブッシュ大統領の合意では、投資イニシアチブというのがつくられて、この二〇〇五年の報告書には、混合診療の解禁、これは明記されています、アメリカ側の要請として。  それから、在日米国商工会議所というのは、これは一貫して株式会社による病院経営や混合診療を迫っています。ホームページを見ますと、こんなことが出ているんですね。年間を通じて主要議員や政府高官と意見交換するほか、国会ドアノックと呼ばれる議員への個別訪問もやっている。私の部屋はノックされたことないんですけど、与党の先生のところは来ているのかもしれない。こういう働き掛けをやっている。  それから、二〇〇四年十一月二十二日の規制改革民間開放推進会議では、わざわざアメリカ大使館から公使を招いて意見聞いて、この公使は医療については四つの提言している。営利目的の病院、医療サービスの外部委託、特区の利用、そして混合診療だと。こういういろんな動きがあった上で今回の法案が出てきている。  私は、こうした経過を見れば、この法案がアメリカからの混合診療解禁という強い圧力に応じる第一歩になる、そういう危険性極めて強いというふうに思いますが、大臣、この点いかがですか。
  236. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほどからお答えいたしておりますとおり、国民保険制度をしっかり守りながらやっていきたいと。今回の改革は、そうした中で、安全面に十分配慮しながら、保険導入前の新規技術であっても、適切なルールの枠組みの中で入院に要する基本的費用等の保険診療との併用を可能とすることにより、患者が早期に少ない負担で診療を受けられるようにするものであると。そういう意味では、大原則きちっと守っていけば、新しい医療というものが患者が受けられるということについては多分小池委員も評価いただけるんじゃなかろうかな。  あくまで患者の視点に立って、これまで全額自己負担であったものについて保険診療との併用を可能とすることにより自己負担を軽減するものであり、そういう意味では、米国がいろんなことを言ってきたことは事実でございますけれども、私どもなりにしっかり議論をした結果、今回御提案をさせていただいているというものでございます。
  237. 小池晃

    ○小池晃君 私は、保険証一枚でだれでもどんな病気でも掛かれるというのが日本の医療の一番いいところだと思っておりますし、そういった社会を壊すようなことは絶対に許されないというふうに思っております。この問題、引き続き取り上げていきたいというふうに思います。  資料をお配りください。    〔資料配付〕
  238. 小池晃

    ○小池晃君 後半、看護師の問題について取り上げたいと思うんです。  医療の現場については、医師不足も大変深刻ですが、看護師不足も深刻です。福岡放送の三月の報道番組で、看護師不足、特集されていますが、その中では、二十五年間ずっと勤務してきた看護師の姿を紹介しております。彼女が言っているのは、食事や仮眠どころか、十時間ほぼ立ちっ放し、事故が起こらないのは幸運だしかない。一年前より更に仕事が忙しくなった。そして、医師や患者、同僚など周囲に優しくなれなくなったと。そう感じて退職したというんですね。  番組は続いて、ここ数年ベテランの看護師が職場を離れるケースが相次いでいると。まあ新卒看護師の離職も大変大問題なんですが、ここではそういうレポートをしておりまして。介護が必要な患者が増えた、医療の進歩で高齢者の手術ができるようになり、体力がない分だけ看護師の負担が増えているんだと。それから、カルテへの詳細な記入が、まあ診療報酬に連動したこともあって、仕事量が大幅に増えて、患者に寄り添うことすらできないでいる。これが実態だというふうに思うんです。  最初に大臣にお聞きしたいんですが、元々不足があった上に業務量が今激増している、大臣衆議院の答弁で、看護師の労働実態については事業者の責任だという答弁されているんですが、私は事業者の努力だけでは克服できないような段階に来ているのではないかと思うんですが、その点、いかがですか。
  239. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 看護職員の労働実態等について各般の調査等を通じて把握しておりますが、例えば平均夜勤回数や平均週所定労働時間等については、今御指摘でございますけれども、着実に改善していると理解しております。平均夜勤回数、平成元年が九回、十三年の調査では八・三回になってきております。また、平均週所定労働時間、正職員の場合、元年が四十三時間九分、平成十三年で三十九時間二十七分、これは看護職員実態調査からでございます。  一方で、医療技術の進歩、患者の高齢化、重症化、平均在院日数の短縮化等により、看護職員の役割は複雑多様化し、その業務密度は高まっていると。これはある意味では委員と同じ受け止め方をいたしております。医療の安全を確保し良質な医療を提供するためには、看護職員の確保とともに、勤務条件や職場環境等を改善していくことが重要であると認識しております。  今後とも、看護師等の養成、処遇の改善、就業の推進等、総合的な看護師確保対策は進めてまいりたいと考えております。
  240. 小池晃

    ○小池晃君 月九日が八日に近づいたなんて当たり前で、八日というのは目標だったわけで、それを超えてない、八日以上の実態が残っているということが問題なんですよ。しかも、大臣、後半で言ったように、仕事の中身が全然変わってきている。密度が極めて高度になってきているということを私は見逃すことできないと思うんです。  そこで、その看護師の養成をどう進めるかなんですが、お配りした資料は昨年十二月の第六次看護職員需給見通しであります。これ、現在の不足数四万一千七百人が五年後には一万五千九百人まで改善するというけど、果たして本当なのか。今回は、その配置数を算定する上で医療機関の実態調査を行い、また都道府県に示した策定方針には看護職員の労働条件整備を考慮するということを明記している。これはいいことだと思うんです。具体的には、週四十時間労働、産前産後休暇、育児休業の全員取得、年休、介護休業取得に必要な人員を見込むこと、夜勤は三人以上基本、月八回、研修に必要な人員確保、こういったものを算定の条件にしているんです。これは、以前から都道府県のいろんな算定がばらばらだというふうに指摘されて、こうなったはず。  ところが、検討会報告書を見ますと、今回の策定に当たって、年休取得数を達成した数字を基に算定した医療機関や都道府県があった一方で、実現可能な数値の都道府県もあったとされている。すなわち、確保すべき労働条件を整備して、すべてやったわけじゃなくて、その基準を引き下げて需要数を算定したところがあったということなんですね。  そこで、局長にお聞きしますが、きちっと年休取得数を達成した数字を基に必要な看護師の人員を算定したところはどれだけあるのか。そうでないところは実現可能な数字というのは一体どういう基準だったのか。そもそも、これ非常に大事な作業なんですけれども都道府県から上がってきた数値について、今のような点について厚労省として検証はしたのか。お答えください。
  241. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 御指摘の第六次看護師需給見通しにつきましては、それの見通しに関する検討会が取りまとめました策定方針に基づきまして、看護職員の確保推進する責務を有する都道府県ごとに各医療機関等に対する実態調査を具体的に行いまして、関係団体などから参加協力を得て設置した検討の場で策定をしたわけでございます。  需要につきましては、保健医療福祉政策推進観点から望ましいと考えられる事項を提示した上で、各医療機関等の判断を踏まえ把握することを基本といたしまして、前提とされる勤務条件につきましては、週四十時間労働、週休二日制、産前産後休業……
  242. 小池晃

    ○小池晃君 それはもういい。
  243. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) いいですか、育児休業の全員取得のほか、年次有給休暇については法定休暇日数の消化等を基本方針として示したところでございます。実際の需要の策定に際しましては、年次有給休暇について、策定方針に基づきまして達成された方が望ましいと考えられる日数を基に算定した医療機関等や都道府県があった一方で、御指摘のとおり、実現可能な数値を基に策定した都道府県もあったことなど、医療機関等や都道府県によって勤務条件の改善の見込み具合は異なっております。  今回の需給見通しは、勤務条件の改善見込み具合を実際どの程度と見込むかも含めまして、厚生労働省が示した策定方針に基づきまして各都道府県ごとに作成したものを積み上げるということを基本に策定をしたわけでございます。したがいまして、需給見通しの前提となっております勤務条件につきましては、事務的に厚生労働省において検証を行うというものではなくて、むしろ今回実施した実態調査を通じて把握した情報や関係機関との協力体制活用して、地域実情に即した看護職員確保対策を講ずるという方が適当であるというふうに考えてございます。  幾つの県がどのやり方を取ったかにつきましては、ちょっと済みません、手元にないので、後ほどお知らせしたいと思います。
  244. 小池晃

    ○小池晃君 要するに、もう都道府県がやったそのままの数字を積み上げただけだという話なんですよ、条件示したけれどもね。やっぱりこの数字が不確かなものでは正確な見通しにならないと思うんです。  例えば、前提条件で有給休暇取得率一〇〇%という条件になっているんですが、昨年の日本医労連のアンケートでは年間五日未満が三〇・九%、これ五年前より大幅に増えています。それから、日本看護協会の調査でも十日以内が五四・五%、平均だと八・二日だというんですね。  これ厚生労働省調査では、一年間に使える有休の日数二十日以上持っている人が九割以上なんです。全看護職員百二十五万人の未消化分を仮に十日というふうに、二十日のうち八・二が平均だというんですから、少なく見て十日として、一人年二百四十日出勤として計算すれば、これだけで五万二千人が足りないということになる。三人夜勤で月八日以内の基準というのも、これ実際、厚労省の調査では月九日以上が四割弱、しかも五割が二人以下夜勤なんですね、実態としては。  局長、端的にお答えいただきたいんですが、三人夜勤で月八日以内という厚労省示した基準でシフトを組んだ場合には、それで新たにどれだけ看護師が必要になるのか、試算はあるんでしょうか。
  245. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今御指摘の、一人当たり夜勤時間が一月当たり六十四時間以内、八時間の八回ということ、そして三人以上の夜勤を基本とするということとしているわけでございますが、今回の需給見通しはこうした策定方針を示した上で先ほどのような形で各都道府県において算定したものであることから、御指摘のすべての医療機関について三人夜勤体制、月八回の当直と仮定を置いた場合に必要となる看護師数の試算は行っておりません。
  246. 小池晃

    ○小池晃君 行っておりませんといっても、これ、厚労省と都道府県が協力すれば見込み数出せないはずないわけなんですよ。やっぱり非常に不十分だというふうに思う。  日本医労連は、今回の策定方針の基準で需給見通し出すなら二百万人は最低必要だということで、根拠も示して厚労省にも要求しているというふうに聞いていますし、私は医療現場の声をもっと真摯に耳傾けるべきだと思うんです。  それから、供給の問題です。  大臣衆議院の答弁で、看護師の総数は足りているんだと、離職した有資格者が五十五万人いるんだというふうに答弁されていますが、この五十五万人の推定の根拠、年齢構成、看護歴なんかはこれ把握されているんでしょうか。
  247. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 潜在看護師五十五万人の推定根拠でございますけれども平成十六年七月に行いましたこの推計は、対象年齢を六十五歳までといたしまして、免許保持者数から就業者数を減じて平成十四年末現在数を大まかに推計したというものでございます。  具体的に申し上げますと、まず免許保持者数につきましては、看護師等学校養成所の各年の入学時の年齢構成比を用いまして卒業時点での年齢構成を算出をする、これに毎年の国家試験合格率を乗じて免許取得時点での年齢分布を推計をいたしてございます。さらに、この免許取得時点での年齢分布を基に各年ごとに生存率を乗じまして、平成十四年末の六十五歳以下の免許保持者数を約百七十七万人と推計したところでございます。この約百七十七万人から六十五歳以下の就業者数、約百二十二万人でございますが、これを差し引きまして、平成十四年末現在の潜在看護職員数を約五十五万人と推計したところでございます。  したがいまして、年齢につきましては実態を勘案したものとなってございますが、就業歴、再就業の実態を勘案したものではございません。
  248. 小池晃

    ○小池晃君 だから、余りこの数字、五十五万人というのも根拠があるものではないんですね。しかも、第六次見通しでは、表に示されているように、再就業者数だけが五年間年々増加していくという仕組みになっていて、最終的には一万三千人も増えるというんですね。  この再就業者数がこれだけ増える根拠はあるんでしょうか、局長
  249. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) この需給見通しの策定におきましては、供給につきましては現状及び今後の動向を踏まえて把握するが、その際、都道府県において一定の政策効果も加味することとされたところでございます。  このうち、再就業者数でございますけれども、ナースバンク及びハローワークの実績、実態調査結果によって把握いたしました再就業者数を基に推計したものでございまして、今御指摘のとおり、十八年の八万五千人から二十二年には九万八千人と約一万三千人増加しているところでございます。
  250. 小池晃

    ○小池晃君 ちょっと余り具体的な根拠はお示しにならなかった。  私、ある県の担当者に聞いたんですね。そうしたら、その方こう言っている。再就業者数の見通しはあくまで努力目標だと、ここしか数動かせない。確かにそうですよ。新卒者の数動かないから、ここしか動かせないから、年五%ずつ向上させる数字にした、別に根拠はないと、こういうふうにおっしゃっている。  そもそもこの再就業者数、要するに、いったん看護師辞めた人がまた働こうと思うような今環境かどうかということだと思うんですね。今、平均在院日数短縮迫られている、医療現場、コスト削減迫られている、インフォームド・コンセント、院内感染対策、医療事故対策、みんな大事ですが、労働密度は高まる一方だ。こういう中で、いったん辞めた人が本当に就職しようと思うだろうか。日本看護協会の最近の調査では、平均在院日数の短い施設ほど離職率が高いという、そういう結果もう出ている、これが実態なんですよ。実際、神奈川県のナースセンターで再就業の実績聞いたらば、この七年間で就職実績は千八百二十三人から千三百十二人に連続して後退しているというんですね。  これ大臣、こういう厳しい労働環境が続けば、再就業者が増えるどころか、私は減ることさえ懸念されるんではないかと。こんなふうに一万三千人もこれから再就業者が増えるような今現場の環境にあるとお思いですか。
  251. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 県のデータを基にこの間も少し議論をさせてもらいました。看護協会、医師会、また県当局、また私どものハローワーク、そうしたものが各県において協議を重ねながらしっかりとした体制をつくり上げているところは、今お話しいただいた再就業者数がある意味では増えてきていると、体制がやっぱりしっかり整備できていないところはその足取りが重いということは事実でございます。  そういった意味で、各県におきましてしっかりとした体制が取れるように私どもしっかり支援をしていかなきゃならないと。現実問題、そうした機能が十分まだ機能していないということも事実だろうと思っております。
  252. 小池晃

    ○小池晃君 極めてこの再就業者対策というのは不十分だと私、思います。  そもそもこの需給見通しというのを見ていただくと、毎年五万人の新規の就業者数があるんですが、その二倍を超える退職者数が出るという構造なんですよ。そういう中で、再就業者が増えていくからその不足数は減っていくと。これは本当に私、無理があると思うんですね、こういう構造。辞める人の方が入る人よりも二倍多いという基本構造の中でやっていくということに非常に無理があるというふうに思う。  私は、需給見通しについても、需要の部分も供給についてもいろんな不十分点あると思うし、都道府県に対してきちっと基準どおり計算させることはもうもちろんだと思うんですが、局長、これ需給見通し全体についてやはり抜本的に見直していくということが必要なんじゃないですか。
  253. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 需給見通しの考え方でございますが、必要量について測定方法あるいは算定方法等についてはいろいろな考え方があるわけでございます。修学場所別の推計作業のみでは各施設が本当に必要としている数が反映されていないんではないかという指摘もございまして、今回は都道府県ごとに実態調査を各医療機関に対して行いまして、各関係団体などが参加協力を得て設置した検討の場で作成をしたと、先ほど申し上げたような形での検討をしたわけでございます。また、需要面につきましては、保健医療福祉施策推進観点から望ましいと考えられる事項を提示した上で、各医療機関等の判断を踏まえて把握したことから、医療現場の声は反映されるということに今回なったわけでございます。逆に、本来こうあるべきだというところ、全国統一でやるというところからは遠くなったということであろうかと思います。  今後、職員の需給見通しを行うに当たりましては、これらの両者のバランス、現実の現場での問題と、それから政策上こうあるべきだというものとのバランスをどのように取るかということで、また改めて検討してまいりたいと思っております。
  254. 小池晃

    ○小池晃君 これ、やっぱり抜本的に見直すべきだというふうに思います。  大臣、そもそも今度の法案、本法案は、医療機関への平均在院日数削減、診療報酬の引下げなどがメジロ押しになっている。こういう中で一番最初にしわ寄せ来るのは看護師の労働だというふうに思うんですね。その結果が医療の低下、患者の命、健康にも響いてくるわけであります。  大臣、このような、医療現場に対して物すごい圧力を掛けるような、経営的なあるいは日数減らしということでの圧力を掛けるようなやり方というのは、今の看護師の労働の実態を更に悪化させ看護師不足に拍車を掛ける、そういう危険性があるというふうには考えませんか。
  255. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 看護職員確保対策については、看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づき、養成力の確保、離職の防止、再就業等の総合的支援を行っているところであり、また看護職員の勤務時間、夜勤体制を加味した診療報酬の改定がなされたところでございます。現実に、看護職員の夜勤回数につきましても、先ほど申し上げたように、元年九回が八・三回に変わっておりますし、二交代及び変則二交代制の場合も、平成五年月五・一回だったものが平成十三年には月四・七回に減少しております。そういった意味で、夜勤回数の軽減を含め、看護職員の処遇改善に努力をしてまいりたいと思っております。  一方で、平均在院日数短縮等、これはもう入院日数というものを減らしていかなきゃならぬという大きな目標の中で進んできているところでございますので、それがゆえにということで御指摘いただいておりますけれども、どうぞ平均在院日数短縮等については御理解を賜りたいと思います。
  256. 小池晃

    ○小池晃君 私は順番が全く逆だと思うんですね。看護体制を厚くすれば結果としてケアは向上するし、ケア内容が濃密化するし、その結果、平均在院日数が減っていくということになれば、それは非常にいいことだと思いますよ。  ところが、そういう現場に対する手当てをすることなしに、一律に機械的な目標を押し付けてプレッシャーを掛けるようなやり方というのは、大臣おっしゃったように、今看護現場は必死に努力して少しでも労働環境を良くしようと努力している、そういう努力をぶち壊すことになるんですよ。私は、そういう意味では本当に改革すべきことというのは全く間違っているし、今のこういう労働実態改善する、そのために抜本的な手を打つことこそ医療現場、特に病院医療の現場では一番求められている改革であるということを申し上げたい。  最後に、これだけ厳しい労働条件の下で働いている中で、今、成果主義賃金制度が看護の職場に持ち込まれているということを紹介したい。  NTT東日本関東病院ですが、二〇〇一年から看護師に成果主義が導入されています。個人単位の目標をチャレンジシートに記入をする。その達成度を看護師長がランクを付けると。SA、A、B、C、Dの五段階だと。資格賃金は五割、成果賃金が五割、一時金にも影響するから、年間数十万円の格差が生まれるんですね。  看護師さんに直接話を聞くと、人が足りずに本当に必死に頑張って何とかいい医療をと働いているのに、データを幾つ集めたとか、症例を何人分まとめたとか、患者向けパンフレットを幾つ作ったと、こういうことだけしか評価対象にならない、ベッドサイドで患者の悩みを聞いてもそれは点数にならない、評価されない、こんなことで差別されたらたまらないというふうに言っています。二年間Dランクの人はNTT病院には必要ないというふうに言われる。ほとんどの人が平均以下のCにしかならない、事実上の賃下げだと。残業しても評価下がるのではって、申告しないでサービス残業になっているというふうにも聞きました。私、この声の中で一番胸に響いたのは、医療というのは命を預かる仕事でチームワークが一番だと教えられてきたんだと、それを個人の達成目標を持つように指示され、個々のチャレンジシートは公表されないから、各自がばらばらで働くようになって、チーム医療をしにくくなっているんだというふうにも聞いた。  大臣、これ一般企業でさえ五割が適正な評価できないという、いろんな弊害が成果主義賃金については問題指摘されているんですよ。これ、ましてや、チームワークが何よりも大切な医療分野にこういったものを導入する、私はこれは厚労省としてもしっかり物を言うべきじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
  257. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 医療を取り巻く環境が大きく変化しており、医療機関の経営について、限られた資源を最も有効に活用する体制を構築し、医療機関の経営管理者が合理的かつ効果的な取組を行うことができるよう、経営管理体制強化や人事管理機能の強化等が求められているというのは、これは事実だろうと思います。  御指摘の成果主義に関して、能力主義、成果主義により賃金の決定を行っている企業があること、また医療の分野でもそのような観点からの取組を行っている事例も参考にして、医療の質や経営の成果、貢献度といった点を視野に入れた処遇、賃金制度の導入について検討していく必要があると考えております。  一方で、患者の視点に立った安全、安心で質の高い医療を受ける体制を構築するためには、複数の医療専門職がチームを組み、それぞれの役割を果たしていくことが重要だと考えております。それは今、小池委員もチーム医療ということをお触れになりました。特に、看護サービスにおいては人材を量的のみならず質的に充実させることが必要不可欠となりますが、業績を適正に評価するシステムを機能させるなどして、常に看護職員が満足感を持って職務に従事できる環境を整えるということが何よりも大事だと考えております。
  258. 小池晃

    ○小池晃君 今の大臣の発言に照らせば、私は成果主義賃金の導入というのはこれは認めるべきでないというふうに申し上げます。  以上で終わります。     ─────────────
  259. 山下英利

    委員長山下英利君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会厚生労働大臣官房審議官黒川達夫君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  260. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  261. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず冒頭、先日の参考人質疑の中で、医療崩壊ということが参考人の中から指摘をされました。小松参考人がアメリカ、イギリスのように医療費削減、抑制策を取った結果について医療崩壊が起きたことを指摘をされました。  それで、一番初めにちょっと漠然とお聞きをいたしますが、大臣に、今回の医療改革により、医療抑制が非常に大きな課題と言われておりますが、先に医療抑制を実施し失敗例の多いイギリス及びアメリカの医療の前例についてどのように見ていらっしゃるでしょうか。
  262. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) イギリスとアメリカの例を質問されました。  イギリスにおいては、医療サービスの供給が国の責任で行われ、その費用の大部分が国の一般財源によって賄われるというNHS、国民保健サービス方式の下、一九八〇年半ばから支出の伸びを抑制したことなどから、診療待ちの患者の行列、入院待機患者の増加、年度末の病院閉鎖等の大きな弊害が生じ、社会問題化したため、近年は医療予算の伸びを従来より拡大する方向と承知いたしております。  他方、アメリカについては、六十五歳以上の高齢者と障害者を対象としたメディケア、低所得者を対象としたメディケードを除き、公的な医療保障制度は存在せず、総人口の約一五%に当たる約四千五百万人が公的医療保障制度が適用されず民間医療保険にも加入してないという無保険者であり、長年にわたり社会問題となっていると承知しております。  いずれにしても、我が国においては急速な高齢化の進展により医療費の増加が見込まれる中、国民の安心の基盤である国民保険制度を堅持する、ここがアメリカ等との最大違いだろうと思います。  将来にわたり持続可能な制度としていくため、安心、信頼の医療確保しつつ、給付保険料、税といった負担の均衡を図り、医療費を適正化していく必要があると認識しておりますし、私自身担当いたしておりまして、諸外国から日本の介護保険制度そして医療制度を御評価いただいている、海外から見た場合ですよ、評価いただいている人たちは多いだろうと。しかし、国内的には様々な御議論をいただいていると認識をしております。
  263. 福島みずほ

    福島みずほ君 もちろん日本の医療制度には多くの課題がありますが、ただ、医療抑制策をやったイギリス医療崩壊が起きて医者が逃げ出してしまった、アメリカにおいて国民保険制度でないために何千万人という人たちが保険を持ってないと、すさまじい状況があるわけです、今大臣がおっしゃったように。  日本において、医療抑制策、あるいは医療費適正化計画という中で、お金のない人間が病院へ行けない、お金がない人間が退院をせざるを得ないという事態が生じないようにということを思っております。大臣、その点についてもう一回決意をお願いいたします。
  264. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) いつも私申し上げていますとおり、我々団塊の世代、来年から六十になります。社会保障制度の中でお世話になる段階を迎えつつある。  一方で、我々の数が極めて大きいものですから、そうした時代、若者に負担してもらわなければなりませんけれども、若者の負担がどのぐらい耐えられるかというものを常に見通しをしながらやっていかなきゃならない。その中で、正にお年寄りの皆さん方、若者もこういう医療制度ならばお互いに協力し合おうという制度をつくっていかなければならないんだろうと、このように思っております。その一番柱が国民保険制度でございますから、みんなで負担をし合いながら、そして譲り合いをしながら、この制度をやはりしっかりとしたものにつくり上げていかなきゃならない、また直すべきものは直していかなければならないと、このように思っております。
  265. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党は、今回の高齢者自己負担増、制度設計についてやはり医療を壊すものであると反対をしております。  ところで、介護保険の改定でホテルコストなどの上昇により、特養老人ホームから出なければならない人が出たか、ショートステイを手控える人が出たのではないか、その調査をどう行っていらっしゃるでしょうか。
  266. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 昨年十月の施行の食費、居住費の見直しにおきまして、介護保険施設等における食費、居住費についての在宅の方との公平性観点から保険給付の対象外としたところでございます。  その後の実施状況でございますが、例えばある市で九月一日から十月末までの退所状況につきまして、ちょっと大きな市ですが、百二十七の介護保険施設、特養老健、療養型三つですが、について、十一月一日付けで調査をした例がございます。それによりますと、入居者七千八百二十二人のうち、二か月間で退所した方が八百人、居住費、食費が一つの理由で退所された方が十四人でございます。十四人の中で十三人が第四段階以上の課税層で、在宅に戻って介護を受けておられます。また、一人が第三段階の方で、老健の個室でおられましたけれども、選択の上、多床室への移動を断って退所されたというような例になっております。  その後、各地方公共団体が行いました退所者調査に関する情報を収集してみましたけれども、今の例も十四人のうち十一人が老健施設でございますが、老人保健施設からの退所者数が大半でございまして、御承知のとおり、老人保健施設は在宅復帰施設でありますので、元々短期間での退所を予定していた方が多いんではないかと考えられます。また、退所後に他の介護施設に移っているといった方も相当おられますし、また、自宅に戻った方も在宅での介護が可能な方で、その他の事情もあって退所した人が含まれているということでございます。  また、施設の総定員数から見ると退所者数は非常に少数に限られるといったことから、施設給付の見直しによって経済的理由でやむを得ず介護保険施設から退所せざるを得ないケースはほとんどなかったものというふうに考えております。
  267. 福島みずほ

    福島みずほ君 ほとんどなかったものということですが、私たちのところには違うデータが来ております。  例えば宮城県は五月十九日、昨年十月からの介護保険施設の食費、居住費の自己負担化により、県内四十五施設百五十二人の利用者が自己負担の増加を理由に退所したとする調査結果を公表しております。調査期間中の退所者総数の六%と割合は低いですけれども、実際百五十二人が自己負担増で退所をしていると。この中で、県はこの調査結果を厚生労働省老健局に提出、負担軽減措置の対象となる第一―第三段階のいわゆる低所得者でも自己負担増を理由に退所しているということがあります。  全国的な利用者負担の実態調査というのはやっていらっしゃるんでしょうか。
  268. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 今の宮城の例はちょっと私の手元の資料にはございませんが、先ほど申し上げましたように、この退所者の調査というのは、さらに、先ほども申し上げたように一つの理由として居住費、食費が理由であるけれども、ほかの理由もあるといったこともございまして、相当アンケート調査としては難しいものでございます。  そういう意味で、またちょっと宮城の例も調べたいと思いますが、そうした地方公共団体からの情報収集で一定の傾向を把握していると考えておりまして、全国調査はしておりません。
  269. 福島みずほ

    福島みずほ君 全国調査をすべきではないですか。また、退所する理由は複数あるかもしれません。しかし、自己負担増で退所をしたのがどれぐらいの割合なのか。それが物すごく高くなくても一定数の人々が自己負担増を理由に退所をしたということが重要だと思います。  この介護保険については附帯決議が付いていて、そういう経済的な理由で退所者が出たり、行き場を失う人がないようにというのが付いていたと思いますが、全国調査をやるべきではないですか。
  270. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 繰り返しになりますが、地方公共団体との情報収集によりまして一定の傾向を把握しているつもりでございますし、また、それ以上のなかなか詳細な情報を得るのは困難であるということ、それから、個別の具体ケースにつきまして各保険者の相談窓口でまず対応してもらいたいというようなことから、国が直接調査を行うことは考えておりませんが、今御指摘のちょっと宮城県の例については調べたいと考えております。
  271. 福島みずほ

    福島みずほ君 問題です。この委員会の中で、ホテルコストなどをすることで出ていかなくちゃならない人がいるのではないかと野党はそれぞれ質問をしました。それについて国が責任を持って実態調査をしないのであれば実態は出てきません。私たちのところに障害者自立支援法案や介護保険の結果、困っているということが、いろんな声が寄せられます。厚生労働省こそ、この厚生労働委員会の審議を受けて、附帯決議を受けて、質疑を受けてつくったわけですから、全国調査をすべきだと考えます。  今回、ホテルコストが医療制度改革の中に入っているからこそ質問しています。全国調査をすべきじゃないですか。
  272. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 繰り返しになりますが、私どもとしては、地方公共団体との情報収集等によりまして、それのみが理由で出られている方はほとんどないと承知しておりますし、調査の実際の難しさからも現在直接行うことは考えておりません。
  273. 福島みずほ

    福島みずほ君 このことで時間を割くのはちょっともったいないですが、そのことだけではなくて複数の理由でもいいんですよ。自己負担増も理由で退所した人がどれぐらいいるか、四十七都道府県すべて老健局に上がってきていますか。
  274. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) すべてで実施しているわけではないと思いますので、全部を把握しているわけではございません。
  275. 福島みずほ

    福島みずほ君 幾つ上がっていますか。
  276. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 手元にある資料では十六県でございます。
  277. 福島みずほ

    福島みずほ君 是非全国調査をするようにお願いします。つまり、この厚生労働委員会で多くの議員が懸念を表明をいたしました。今回、医療制度でホテルコストやるわけですから、実際どのような結果があったのか、責任を持って調査をすべきです。十七の結果について資料をいただけるものと思っておりますし、また、ほかの点について統一的な調査、お願いいたします。これのみが理由でないというのは全くおかしいです。お金がなくて退所をしなくちゃいけない高齢者がいることは重いと思います。今回、そのことを踏まえて、むしろ病院の中での負担増についての議論もすべきであるというように考えます。  ところで、高齢者自己負担の影響について、更にお聞きをいたします。  医療と介護負担の合算制に関し、上限額を超えた費用負担はどのように保険者が支払っていくということになるのでしょうか。
  278. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 医療保険と介護保険の自己負担の合算額が著しく高額になる場合の対応ということでございまして、平成二十年度から、介護保険受給者が存在する医療保険各制度の世帯につきまして、医療と介護の自己負担の合算額が負担限度額を超える場合に、被保険者の申請に基づいて、その差額を医療保険者から支給することとしてございます。  負担限度額につきましては、七十五歳以上の一般所得者につきまして年額五十六万円とすることを基本に、医療保険各制度や所得区分ごとの限度額を踏まえましてきめ細かく設定することを考えてございます。  お尋ねの、この自己負担限度額を超えた分の給付に必要な費用につきましては、医療と介護の自己負担額の割合に応じて医療保険者と介護保険者が案分してそれぞれ負担するということを考えてございます。
  279. 福島みずほ

    福島みずほ君 具体的にどういうふうになるんでしょうか。例えば、政府与党大綱では「入院に係る医療費については、医療機関の窓口での支払いを自己負担限度額にとどめることを検討する。」とされておりますが、具体的な手続はどうなるのでしょうか。例えば、いったん払って求償していくのか、それとも窓口でその限度額ということでとどまるのか。いかがでしょうか。
  280. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 政府与党の改革大綱におきまして、入院の医療費につきまして「窓口での支払いを自己負担限度額にとどめることを検討する。」ということになっているわけでございます。これは入院の場合でございますんで、先ほどの医療と介護の合算制度とはまたこれ全然別の問題でございます。一つ医療機関にずっと入院されている方についての特例でございまして、これにつきましては、来年の四月から、患者の窓口での負担を軽減するために、入院して高額な医療費が掛かった場合には、この医療機関の窓口での支払を高額療養費制度における自己負担限度額にとどめまして、償還払いされる分を支払う必要はないようにしたいと考えてございます。  具体的な手続でございますけれども、これは被保険者の事前の申請に基づきまして、一医療機関ごとの入院費用の支払を被保険者所得区分に応じた自己負担限度額にとどめることといたしまして、その自己負担限度額を超えた部分については保険者から医療機関へ直接支払う方向で検討しているわけでございます。  事前にこの申請に基づいてと申しますのは、各病院におきましては、その被保険者所得の水準が分からないわけであります。高額療養費は御存じのとおり所得区分ごとに変わっておりますので、まず事前に申請していただいて所得区分を確定して、その上で病院が計算できるようにするということからこうした手続が取られているわけでございます。  なお、この制度の利用に当たって、所得制限を設けるということは考えてございません。
  281. 福島みずほ

    福島みずほ君 ちょっとよく分からないので、例えば車いすやいろんな人たちからも言われるんですが、いったん払って、例えば八十万、で、償還は後で受ける。でも、八十万のお金を払うのがとても大変だという声をいろんな人から聞きます。難病の場合やいろんなことも、最終的には償還を受けるんだけれども、窓口で八十万とか五十万、そのお金が払えないという声を大変聞くんですね。だからこの質問をしているんですが、具体的に、いったん払うんですか、それとも払わなくてもいいんですか。
  282. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 入院の場合でございますけれども、窓口で払う必要はなくなる、その部分についてですね、それは払う必要はなくなるということでございます。
  283. 福島みずほ

    福島みずほ君 次に、資格証明書の問題についてお聞きをいたします。  新たに設けられる後期高齢者医療制度のことなんですが、現行の国保においては、資格証明書交付者は窓口でいったん全額を支払って、後に保険給付分七割が償還されることとなりますが、その分も未納保険料に充当されることが多く、一度の高額の治療費を払えない人が大変苦しい思いをしております。さっきとちょっと共通のことですけれども。  この点につき、よりきめ細かい低所得者への配慮を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。これはどうなるのでしょうか。
  284. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) まず、現行の国民健康保険制度における資格証明書制度についてでございますけれども、これは被保険者間の公平を確保すると。これは、国保も相互扶助の制度でありますので、国民保険を維持するためにはやはり保険料を払っていただくということが基本でありますので、そういった公平を確保する。それから、一年以上の滞納状態の続く被保険者に対しまして、保険者の窓口に来訪してもらって給付相談の窓口の機会を増やすと、こういう目的から行っているものでございます。  これによりまして、保険者におきましては、接触の機会を増やして、保険料を少しで納めていただけるように個々の被保険者の状況に応じたきめ細やかな納付相談を行うように指導してきているところでございます。  また、低所得等の事情のある被保険者の方々につきましては、保険料を軽減するほか、保険料を納付することができない特別な事情がある場合には資格証明書を交付しないなどの措置を講じているところでございます。  逆に言いますと、こういった特別の事情がない場合で御負担いただけるような方につきましては、これはやはり御負担していただくのが原則でございますので、一年以上滞納状態が続けばこの資格証明書を交付すると。したがって、窓口でいったん全額を払っていただく、そしてその後で七割を償還するということでございます。  これは、この制度自体、保険料収納確保のために有効な施策であると、こういう御意見保険者から聞いているところでありまして、今後とも各市町村において適切な運用が行われるように留意してまいりたいと考えてございます。  それに続きまして、委員の方から後期高齢者医療確保法においてもこれがあるじゃないかということを御指摘になったと思いますけれども、それも正に御説のとおりでございまして、後期高齢者お一人お一人に被保険者として保険料を御負担いただくということにしてございますので、被保険者間の公平性と制度の安定性を確保するという観点から、保険料を特別な事情なく滞納された方々につきましては、国保と同様に資格証明書を発行し、償還払いによる給付を行うこととしてございます。
  285. 福島みずほ

    福島みずほ君 資格証明書交付はだから一定前進なわけですが、やっぱり問題点はいったん全額払わなくちゃいけない。後で償還を受けるんですが、多くの人はそのいったん全額払うというのがなかなかできないという声がありまして、低所得者への配慮はどのようにきめ細かく行われるかが重要だと思います。  高齢者医療確保法では、第五十四条において政令で定める事情がある場合は保険証の取上げを猶予することとしていますが、どのような場合を想定していますか。
  286. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 特別な事情ということでございますけれども、国保と同様の事情とする方向で検討してございまして、具体的には、世帯主がその財産につき災害を受け、又は盗難にかかったこと、二つ目に、世帯主と、その者と生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと、三つ目に、世帯主がその事業を廃止し、又は休止したなどの事由がある場合とすることとしてございます。  それで、この後期高齢者医療制度におきましても、低所得者対策ということで、保険料につきまして、まず応能保険料につきましては所得額に応じた低い額若しくは対象外にするということがございますし、応能保険料につきましても軽減措置を設けることとしてございます。
  287. 福島みずほ

    福島みずほ君 ちょっと、低所得者に対する十分配慮した運用になるのかどうか、もうちょっと、もう少し詳しく話してください。
  288. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) それは、低所得者に対する対策そのものは、これは法定をいたしますので、どのくらいの所得であれば軽減措置をどのように講ずるかということは、これは、そういう軽減措置を講ずるということ自体はまず法定でございますけれども、具体的にはそれぞれ保険者にゆだねられている部分もありますが、いずれにせよ、決められたそういった制度を適用するということについて丁寧に被保険者説明をするようにという指導をしていきたいと、このように考えております。
  289. 福島みずほ

    福島みずほ君 でも、丁寧に説明されても払えないものは払えないということはあると思うんですね。  ですから、これは、今回は、幾らかということやどういうものを低所得者に対して配慮した運用をするかは書き込まれてないんですけれども、この点について不安が大変あるわけです。いったん、政令で定める事情がある場合は保険証の取上げを猶予すること、これがどの程度なるのかという政令の中身とか、ですから、この点について問題があるということを指摘をしておきます。  ちょっと質問が、ちょっともう一つ一つ前に戻って、高齢者自己負担の影響についてもう一つだけ質問をさせてください。  上限額ということについて、どの程度でしょうか。
  290. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 上限額と申されましたのは高額療養費の上限額のことでございますか。これは、年齢で、平成二十年度以降になりますけれども、七十五歳以上の方でありますと、一般の方の場合には高額療養費の定額部分が八万百円プラス一%、それが、多数該当と言っておりまして、三か月以上続きますと四万四千四百円に固定される。それから、外来につきましては四万四千四百円というのが個人ごとに定められております。  全体の自己負担限度額について言いますと、一般所得者につきましては四万四千四百円、低所得者、住民税非課税の方につきましては二万四千六百円、さらに低所得者の中でも年金収入が八十万円以下の方につきましては一万五千円と、こういう数字でございます。  外来につきましては、先ほど現役並み所得四万四千四百円申し上げましたけれども、一般は一万二千円、低所得者につきましては八千円と、こういった水準で考えてございます。
  291. 福島みずほ

    福島みずほ君 上限額を超えた費用負担をどのように保険者が支払うのでしょうか。
  292. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 上限額を超えた部分は保険者保険給付として高額療養費でありますとしてお払いをすると、保険料財源で基本的に賄われるということでございます。
  293. 福島みずほ

    福島みずほ君 これについては、保険ごとの独立性や、そういうものはきちっと保たれるということでよろしいのでしょうか。
  294. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 保険ごとの独立性と、あれでございますが、現役制度でありますればそれは保険制度として完結をしているわけでありますが、後期高齢者医療制度について申し上げますと、それは随分いろいろ申し上げていますように、高齢者保険料が一割、それから現役の制度からの支援金が四割、公費が約五割と、こういう関係で費用の持ち合いがなされるわけでございます。
  295. 福島みずほ

    福島みずほ君 私は、世代間におけるある種の支え合いはもちろん必要だと思うのですが、ただ、保険制度ではなくて支援金という形になっていくことが保険制度という形からいいのかどうか。税金と保険との関係がだんだん不明確になっていっているのではないかということをちょっと危惧をいたします。  目的規定にある、これは大臣にお聞きをしたいんですが、目的規定にある国民の共同連帯等の理念というのは何でしょうか。大臣はこれまでの答弁の中で社会連帯ということを使っていらっしゃいますけれども社会連帯と国民の共同連帯の違いは何でしょうか。
  296. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 例えば、私が七十五歳になったときに二千万人を超える後期高齢者になる。当然、今は千二百人を想定していますから、掛ける人たちは増えてきますよね。掛ける金額が今は一割ですけど、一割以上になります。ですから、まず我々は払うという前提の中で、しかし我々の負担だけでは、また税が足されたとしてもこの保険制度というのはもたない。したがって、若者に支援をしてもらおうという中で仕上がっていると。そういう意味では、世代間の応援し合いの中でこの制度ができ上がっておると思いますので、そういう意味では、国民全体が協力し合うというシステムの中で後期高齢者医療制度というのはでき上がっていますと。  特に若者に対して、七十五歳以上のお年寄りに対する支援はみんなで幾らやっているんですかということを明確にしようということが今回の最大のねらいだろうと思っております。
  297. 福島みずほ

    福島みずほ君 今、私がお聞きをしたかったのは、実は社会連帯というのと共同連帯ということに意味の違いがあるかということと、保険ではなくて支援金という形でやることで、ある意味保険料が税金化するような面があるのではないかという点についてはいかがでしょうか。
  298. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 支援金自体も、各個人個人が納めた保険料の中から保険者が支援をしてもらっているということでございますから、保険制度全体の運用になる、国民保険制度全体の運用からなっている。  それから、共同連帯と……
  299. 福島みずほ

    福島みずほ君 社会連帯。
  300. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 社会連帯、さあ、そこにどういう違いがあるのか、私はよく分かりません。
  301. 福島みずほ

    福島みずほ君 大臣が共同連帯ではなく社会連帯というふうに使っていらっしゃるので、その意味。それから、この後期高齢者の制度そのものがきちっと成り立っていくのかどうかということに大変疑問を持っております。  後期高齢者診療報酬については前回もお聞きをしましたが、改めてお聞きをいたします。  昨年十二月の政府大綱においては、「後期高齢者の心身の特性等にふさわしい医療が提供できるよう、新たな診療報酬体系を構築する。」とされています。この中では、終末期医療の在り方についての合意形成もうたわれております。与党大綱の該当箇所は、新たな体系においては、終末期医療の在り方についての合意形成を得て、患者の尊厳を大切にした医療が提供されるよう、適切に評価をするというふうになっております。  私が一番違和感を持って理解できないのは、七十五を境目にして診療報酬体系が全く変わること、七十五歳になったときには後期高齢者の心身の特性等にふさわしい医療が提供できるとなって、患者の尊厳を大切にした医療が提供されるよう適切に評価をするというふうになっているわけです。言葉を換えて言えば、後期高齢者になったら、本人の意思、希望とは無関係に、これまでの医療サービスとは質的に異なる医療を提供しようという発想なのか、仮にそうだとすればその合理的根拠は何なのか、説明をしてください。
  302. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今、患者の尊厳を大切にした医療が提供されるようということで、個人の意思と無関係医療サービス、医療保険サービスを提供しようということじゃないかという御指摘があったわけでありますけど、医療サービスは後期高齢者に限らず患者の意思を尊重して行われるべきものでございますので、患者本人の意思と無関係に質の異なった医療を提供するということを義務付けるようなことは、これは考えていないわけでございます。
  303. 福島みずほ

    福島みずほ君 しかし、この審議を通じても、なぜ七十五歳を境にこういうふうに診療報酬体系が変わるのか理解できません。七十五歳まで生きれば個人差の方がはるかに大きいし、そこで、ようかん切るみたいにぱちっとそこで変わるということはないだろうというふうに思って、私はまだ理解ができないところです。  今年の診療報酬改定で、従来、老人診療報酬点数表が一般の診療報酬点数表と別建てとされていたのを改め一本化したことと矛盾を来すということはないでしょうか。
  304. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の診療報酬改定におきまして、従前の老人診療報酬の中で、一般と同じものは大変これ多いわけでありますけど、多いそういう同一のものにつきましては、これは簡素化する観点から一本化をすると、高齢者の心身の特性を踏まえて引き続き存続させることが適当なものは、これは存続させるということでございまして、正に新たな診療報酬体系の提案というものがなされたわけでございますので、それを前提にいたしまして、その事前の措置として、ただいま申し上げましたような整理を行ったところでございます。
  305. 福島みずほ

    福島みずほ君 よく分かりません。一般といわゆる高齢者と分かれていたのが今年の診療報酬改定により一本化されたと。にもかかわらず、平成二十年度に再び一般と高齢者が分かれることが提言されるということがやっぱりよく分からないですね。
  306. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この後期高齢者につきましては、新たな診療報酬体系を構築するという課題が昨年十二月の医療制度改革大綱で定められたわけであります。  それにつきましては、今後検討することになるわけでありますが、その事前の措置として、現行の老人診療報酬について、一般と同じものはこれは簡素化をする、同じでないものは残す、こういった整理を行ったわけでございます。
  307. 福島みずほ

    福島みずほ君 やっぱり分かりません。なぜ一本化したのをもう一回分けるのか。それから、与党大綱でも、ちょっと戻って済みませんが、私は七十五歳以降の人は今切ない気持ちが少しするんではないかと思うのは、終末期医療の在り方についての合意形成を経て患者の尊厳を大切にした医療が提供されるよう適切に評価すると。  ただ、終末期医療が必要なのは、二十歳でも三十歳でも四十歳でも五十歳でも六十歳でもこれあり得るわけです。ホスピスに入るのは別に七十五歳以降とは限らない。がんでホスピスに入る人だってたくさんいらっしゃるわけですから。だとすると、なぜ七十五歳を超えて後期高齢者になった途端にこう、終末期医療の在り方についての合意形成を経て、患者の尊厳を大切にした医療が提供されるというのが出てくるのか。それはいかがですか。
  308. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) それは、後期高齢者につきましてはこういった終末医療というものが大変多いわけでございますので、それについてやはり正面から考える、考えた上で診療報酬を設けるということがこの年齢層については必要なんじゃないかということでこういった政府与党指摘があったものと考えております。
  309. 福島みずほ

    福島みずほ君 私は、今回の医療制度のこの後期高齢者、前期と分けて、特に後期高齢者診療報酬体系を根本的に変えてしまう。そして、そこに入ると終末期医療の在り方についての合意形成を経てと変わっちゃうわけですね。これは実は私は一番理解ができないところで、一歩間違えると、現代版うば捨て山ではないですけれど、七十五歳を区切ってなぜ報酬体系を変え、ここから終末期医療が出てくるのか。先ほどからも出ておりますが、生活習慣病であれ終末期医療であれ、年齢に関係ない、若いときからずっとこれは必要なことで、どの年代の人も死を迎える可能性があって、終末期医療関係があるわけです。七十五歳になった途端に終末期医療で別の報酬体系でと言われたら、元気な七十五歳は怒るというか、やっぱりこれは根拠がないというふうに思います。年齢を区切ることのおかしさというのがやはり全く納得がいきません。個人差の方がはるかに大きいわけで、七十五歳以上で元気な国会議員なんて山ほどいるわけですから、これはやっぱり非常におかしいというふうに思います。  それで、後期高齢者診療報酬の在り方について、一部報道で疾病ごとの定額制、かかりつけ医の登録患者数に応じて報酬を決める人頭払い制など具体的な内容が報道されておりますけれども、既に方向性は固まっているのでしょうか。
  310. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 後期高齢者の新たな診療報酬体系につきましては様々な考え方が、今、ただいま委員からもいただいたわけでございますけれども考え方があろうかと思いますが、現時点におきまして厚生労働省といたしまして御指摘の記事にあるような人頭払い制あるいは疾病ごとの定額制などといった具体的な支払方法を採用すると、こういった方針を固めたという事実はございません。
  311. 福島みずほ

    福島みずほ君 では、これは誤報なんでしょうか。あるいは、将来こうなることはないのでしょうか。
  312. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 私どもがこういった支払方法を採用する方針を固めた事実はないわけでありますので、もしそれがあるというんであれば、それは誤報になるわけであります。
  313. 福島みずほ

    福島みずほ君 じゃ、質問を変えます。  将来、疾病ごとの定額制、かかりつけ医の登録患者数に応じて報酬を決める人頭払い制などはオプション、選択肢として検討されていますか。
  314. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) いずれにしても、まだ具体的な検討には入っておりません。
  315. 福島みずほ

    福島みずほ君 具体的でなくても、選択肢としてありますか。
  316. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 選択肢として整理する場合には、それは一つそういう形でお出しをするということじゃないかと思います。プロセスで、この間も申し上げましたけれども手順としてやはりこういうものにつきましては事前に考え方をお示しし、御議論を経た上で決めていくというプロセスを取っていこうと思っております。
  317. 福島みずほ

    福島みずほ君 なぜしつこく質問するかといいますと、後期高齢者診療報酬体系を違うものになるということで、不安が大変あるからです。今後どのような場で後期高齢者診療報酬の在り方を検討していくのでしょうか。その際、後期高齢者の利益を代表する者の参画を確保すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、終末期医療そのものは後期高齢者に限定せず、より広い世代にかかわる問題として国民的に検討されるべきだと考えますが、いかがですか。
  318. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この後期高齢者診療報酬の在り方にとどまらずでございますけれども、この診療報酬の決定の在り方ということにつきまして、昨年七月にこれは中医協改革ということで中医協の在り方に関する有識者会議というものが報告書をまとめたところでございまして、診療報酬改定に係る基本的な医療政策の審議につきましては中医協以外の厚生労働大臣の下の諮問機関において検討を行うと。そこで診療報酬改定に係る基本方針を定めて、中医協においてはその基本方針に基づいて具体的な点数設定に関する審議を行うこととしてございまして、ケースは違いますけれども考え方としてはこういった流れに即したものになるんじゃないのかなという気がいたします。  十八年度改正におきましては、基本方針を審議いたしました社会保障審議会がこの基本方針を審議したわけでございますけれども、その関係部会には老年医学の研究者が参画しておられます。また、具体的な点数設定に係ります審議を行った中医協におきましても老人診療報酬の分野の専門委員二名の参画を得て検討を進めたところでございます。  こういったプロセスを経て十八年度の診療報酬改定を進めたわけでありますし、今後についても基本的にはこういう形を踏まえて検討体制について今後検討していきたいと、このように考えてございます。  当然ながら御指摘高齢者意見が審議に反映できるような、そういう点につきましては十分意を用いてまいりたいと、このように考えております。
  319. 福島みずほ

    福島みずほ君 次に、C型肝炎の治療拡充についてお聞きをいたします。  我が国でのC型肝炎患者は百五十万人とも二百万人とも言われております。また、日本の肝がんの八〇%はC型肝炎が原因であり、日本では毎年約四万人が肝がんで亡くなっております。こうした現状を考えたとき、C型肝炎の治療体制拡充のため、国として積極的に推進していくべきと考えますが、いかがでしょうか。具体的にどのような施策をなさるおつもりでしょうか。
  320. 中島正治

    政府参考人中島正治君) C型肝炎につきましては、これまでも国民に対しての普及啓発、それから診療体制の整備など様々な対策に取り組んできたところでございますけれども、近年新たな治療法が開発をされるなど、肝炎診療を取り巻く状況も変化をしてきたということから、平成十七年の三月に専門家会議を開催をいたしまして、更なる推進方策について御議論をいただき、同年八月に報告書が取りまとめられたところでございます。  この報告書の中におきまして、C型肝炎診療の地域の偏在等が問題点として指摘をされていることを踏まえまして、地域実情に応じてC型肝炎診療体制の充実が図られますよう都道府県等において地域保健医療関係者から成るC型肝炎診療協議会を設置をいたしますとともに、C型肝炎治療の均てん化が図られますよう、その診療体制にかかわる対策について専門的な協議を行う全国C型肝炎診療懇談会を、これは厚生労働省として開催をすることとしております。  以上のような取組を行っております。
  321. 福島みずほ

    福島みずほ君 インターフェロン治療の医療費として保険適用された場合であっても、毎月自己負担額が月七万円ぐらいになると言われております。インターフェロン治療は一年間治療が必要ですけれど、ほとんど補助されないのが現実です。この点についていかがお考えでしょうか。
  322. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) インターフェロンを用いたC型肝炎治療の医療費は患者の状態によりまして様々でございますけれども、いろいろ前提を置きながらインターフェロン療法六か月実施して、残りの六か月は内服療法のみを行う事例、この一定の前提において計算をいたしますと、年間の医療費はおおよそ二百三十万円程度。高額療養費が適用されますので、七十歳未満の一般所得者の場合には実質的な自己負担は年間約四十万円、また低所得者の場合は年間二十四万円になると、このように考えてございます。  それらの医療費について、まあ補助がないということでございましたけれども、高額療養費制度におきましては長期間高額な医療費が掛かる場合に四か月目以降の月々の自己負担限度額を通常より低くすると、多数該当と言っておりますけれども、こういった仕組みがございます。それから、年間の医療費が高額になる場合にありましても所得の水準に応じて患者の自己負担は一定額程度にとどまっているところでございます。  なお、検査や治療に対する経済的支援を実施することにつきましては、C型肝炎患者は医療の提供によって疾病の治癒、軽快が期待されること、また著しく高額の治療費を要する状態、期間が永続するものではないということなど、各種の公費負担医療制度の対象者とちょっと事情が違うんじゃないかということがございまして、現在は考えていないということでございます。
  323. 福島みずほ

    福島みずほ君 ただ、患者さんたちの中からは、是非やはり、例えば医療保険の高額療養費制度は月額七万円を超えた場合のみ補助が出ると。是非、高額療養費制度の例外の特殊指定にインターフェロン治療をしてほしいという要望等が強く私たちの方にも寄せられております。その意味で、是非それをよろしくお願いします。  インターフェロン治療は非常に重い副作用が出る、なかなかつらいという話を聞きます。働きながら治療を続けるのは大変困難であると。ちょっとこれはアイデアというか要望なんですが、育児休業制度のような治療休業制度というものが取れないか。つまり、肝炎やほかのもそうかもしれませんが、定期的にきちんと治療に行けば働き続けることができる。ただ、それがうまくいかないと仕事を辞めざるを得ない。何とかその治療休業制度のようなものが導入できないか。  これは、現行法にはありませんから、アイデアとして是非聞いていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  324. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 委員のアイデアというお話でございました。  病気休暇ということで就労条件総合調査平成十七年にいたしました調査では、全国で二二%ほど病気休暇という制度が企業の中において行われております。  こういった、委員言葉でおっしゃれば治療休業制度、病気休暇制度は、治療をしながら雇用を継続していくことができるという点で労働者にとっては有利な制度であるという面がある一方で、事業者にとりましては労働者の休業期間中はその労務の提供が得られないということを容認しなければならないという面もございます。それからまた、我が国においては年次有給休暇を使って通院等をするということもございまして、年休が一部、いわゆるここでいう治療休業なり病気休暇の機能を果たしているという面もございます。  したがって、治療休業制度の整備については、その社会的必要性や民間企業における普及状況などを見つつ検討していくべき課題かなというふうに認識をいたしております。
  325. 山下英利

    委員長山下英利君) 時間。
  326. 福島みずほ

    福島みずほ君 時間、はい、分かりました。  では、終わります。
  327. 山下英利

    委員長山下英利君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  328. 山下英利

    委員長山下英利君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りをいたします。  健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案につき、現地において意見を聴取するため、来る十二日、北海道に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  329. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  330. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  本日はこれにて散会をいたします。    午後五時二十三分散会