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2006-06-02 第164回国会 参議院 厚生労働委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年六月二日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  六月二日     辞任         補欠選任      森 ゆうこ君     藤本 祐司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下 英利君     理 事                 岸  宏一君                 中村 博彦君                 津田弥太郎君                 円 より子君                 渡辺 孝男君     委 員                 阿部 正俊君                 岡田  広君                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 中原  爽君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 水落 敏栄君                 足立 信也君                 朝日 俊弘君                 家西  悟君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 辻  泰弘君                 藤本 祐司君                 山本  保君                 小池  晃君                 福島みずほ君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    参考人        全国市長会国民        健康保険対策特        別委員会委員長        山口柳井市長  河内山哲朗君        日本労働組合総        連合会総合政策        局生活福祉局長  小島  茂君        国立成育医療セ        ンター名誉総長        社会福祉法人恩        賜財団母子愛育        会日本子ども家        庭総合研究所所        長        柳澤 正義君        全国保険医団体        連合会会長    住江 憲勇君        国家公務員共済        組合連合会虎の        門病院泌尿器科        部長       小松 秀樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○良質な医療提供する体制確立を図るための  医療法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、森ゆうこ君が委員を辞任され、その補欠として藤本祐司君が選任されました。     ─────────────
  3. 山下英利

    委員長山下英利君) 健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案を議題とし、参考人方々から御意見を聴取いたします。  本日御出席いただいております参考人方々を御紹介申し上げます。  全国市長会国民健康保険対策特別委員会委員長山口柳井市長河内山哲朗参考人でございます。  日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長小島茂参考人でございます。  国立成育医療センター名誉総長社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所所長柳澤正義参考人でございます。  全国保険医団体連合会会長住江憲勇参考人でございます。  国家公務員共済組合連合会虎門病院泌尿器科部長小松秀樹参考人でございます。  以上の五名の方々でございます。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席を賜り、誠にありがとうございます。  参考人皆様からは忌憚のない御意見をお聞かせをいただきまして、そして両案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人皆様からお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。  なお、参考人質疑者とも発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず河内参考人お願いをいたします。河内参考人
  4. 河内山哲朗

    参考人河内山哲朗君) このような機会発言を許していただき、また意見陳述をさせていただく機会をいただきましたこと、御礼申し上げたいと思います。  全国市長会国民健康保険の問題を担当する特別委員会委員長を仰せ付かっております柳井市長河内山と申します。  今般の医療制度改革につきまして、社会保障審議会医療保険部会等々でもいろいろと市長会あるいは地方立場でこれまでも発言をしてまいりまして、今日は医療制度改革に対します地方自治体としての意見、そして私個人意見も含めてでございますが、時間の範囲で発言をさせていただきたいと思います。  まず、この委員会にも、例えば岸先生であるとか岡田先生のように市町村長をお務めになった経験のある方は、この国民健康保険を始めとします、最近は介護保険も入りましたけれども、この医療保険回りのことというのは本当に苦労されてきた御経験、おありだというふうに思います。  特に最近では、まず国民健康保険をめぐる最近の状況をお話を申し上げて、それから発言をしたいと思いますが、制度創設時は国民健康保険というのは、御商売をされる方、自営業者保険、あるいは農家の方、こういった方が被保険者保険であるというふうに制度設計上はなっていたわけでございますが、だんだんと中身が変わってまいりまして、もはや被保険者の五〇%以上は無職の方ということになっております。しかも、高齢化が進展をいたしまして、特に国民健康保険の被保険者高齢化の度合いは高うございますので、保険自体の性格で申し上げますと、保険料負担能力は非常になくなりつつあると。一方で、病気になられる可能性が高い、いわゆる保険支払可能性が高い、そういう方々加入者の中で占める割合がだんだん増えてきた、こういうことになっておりまして、制度的には国民健康保険というものは破綻の状況にあると言ってもいいのではないかというような状況にございます。  したがいまして、医療制度改革の中で、何としましても、こういう国民健康保険の抱える構造的な問題というものの解決の方向医療制度改革を是非実施していただきたい、また、その方向の第一歩を踏み出していただきたいというのが全国市長それから町村長始めとします国保運営をしている者の切実な願いがあったわけでございます。  今回の医療制度改革の中で、平成十五年に示されました医療制度改革に関する基本方針閣議決定をされたわけでございますが、その中に、国保も含めまして、都道府県単位を軸とする保険再編統合を進めていくという方針が示されたわけでございますが、その方向に、いろんなことはございますけれども、一歩前進をしたのかなというのが率直な感想でございます。  これは、医療制度改革の中で、今般、一定金額以上の支払が生じた場合に都道府県単位で再保険を行うと、その制度が拡充をされることになりました。これまでの七十万円以上というのではなくて、三十万円を超える医療費レセプトに対しまして、その超えた部分だけではなく、根っこから再保険をしていくということになったわけです。これはある意味では、財政単位でいいますと、先ほど申し上げましたように、一つ一つ保険者からしますとなかなか運営がしづらくなっている状況を克服をするために、都道府県単位一つの軸として保険を行っていくという方向にかなり前進をしたということでございまして、その点で、今回の法律案に関しましては相当な我々としては期待をいたしております。そのことが、いわゆる国保をめぐる状況から、今回の医療制度改革一つの大きな方向として、都道府県単位方向へ一歩進んだということについて評価をしたいと思います。  次に、医療制度医療保険というものの運営を非常に困難にしております高齢者医療の問題でございます。  これは言うまでもないことでございますが、七十五歳以上、前期もございますが、後期高齢者医療制度独立をして新しい制度設計がされているわけでございますが、これについて二、三申し上げたいと思っております。  先ほど国保自体高齢化が進んでおるという話をいたしましたけれども、とりわけやはり後期高齢者方々医療費というものをどういうふうに考えるかということでございますが、これは二つの側面があると思いまして、一つは、明らかに、後ほど申し上げますけれども、若年期における生活習慣病対策等を相当本気で実施をしない限り掛かるものは掛かるということで、ほうっておくわけにはいかないということが一つでございます。  もう一つは、この後期高齢者医療というものをちゃんと持続的に支えるためには、やはり今の老人保健制度とは違った形で制度運営をすべきであると。ただ、元々法律案になる前の厚生労働省試案段階では、これを市町村の役割として、市町村運営主体として制度設計がされようとしておりましたけれども、これについては、全国市長会始め地方団体は、やはりそれはちょっと無理であるという発言をずっとしてまいりました。国保でさえ非常にハイリスクのものでございますから、更にハイリスク後期高齢者方々だけを対象とする保険市町村運営主体として行うことは、これは無理があると、リスクが大き過ぎるということで、できるだけ国一本の制度がいいのではないかということも市長会として決議もいたしました。  しかし、先ほどの医療制度改革の全体の方向として、都道府県単位を軸とするということが今回の制度設計の中の大きな柱でもございます。最終的には都道府県内の全市町村が参加をする広域連合がこの運営主体となるということになりましたけれども、我々としましては、これは先ほどの国保の方の財政都道府県単位での一元化に近づく方向と軌を一にしておりますので、今後、この都道府県単位での後期高齢者医療制度というものを円滑に運営するのには、時間との競争といいますか、かなり努力は必要でございますけれども、リスクを分散をするという保険本来の趣旨からしますと、これまた市町村運営主体となるというのではなく都道府県単位ということでいえば、これも一定評価はできるのではないかというふうに考えております。  以上がこの医療制度改革の中の国保並びに後期高齢者の問題でございますが、今回の医療制度改革は、一方で中長期的に何としましても医療費適正化というものを行うということが大きな趣旨でございます。これを実効あらしめるためには、先ほど申し上げましたけれども、一定年齢、三十歳なのか四十歳なのか分かりませんけれども、その時期からやはり生活習慣というものに対して保険者保険者は例えば国保国保保険者、それから政管政管、それから被用者保険被用者保険、それぞれの保険者がやはり将来の医療費というものを念頭に置きながら生活習慣介入をしていくということがないと、なかなかこの生活習慣病対策というのは成り立たないと思っております。  全国的に言いますと、小規模の自治体の方が、被保険者あるいは市民町民村民生活習慣にある意味では介入をしやすいという面もありまして、健康づくりがうまくいっている事例がございます。これは、いわゆる保険者と被保険者との関係、あるいは自治体市民町民村民との関係でいいますと、そういう近い関係の方が受容性があるというふうに言えるのかもしれませんが、こういうことを全国的にこれから広げていかなきゃならないというのが、これが生活習慣病対策実効性、実効あらしめるかどうかの一つかぎになると思っています。  私どもの自治体でも、今年度からいわゆる国保ヘルスアップ事業というものに取り組みまして、生活習慣病対策を本格的に生活習慣をきちんと個人の方が見直していただきまして、プログラムにのっとって健康づくりのための、あるいは生活習慣のための今度は実践活動をやっていただくということにこれから三か年挑戦をしてまいりますけれども、全国的にはいろいろとノウハウが蓄積をされた部分もあると思いますが、ある意味ではやっぱり科学的なというか、医学的なエビデンスに基づく実効性のある生活習慣病対策を行うことが、これが本当に大事だと思います。  このことは、やっぱりうまくいっている事例もあるし、なかなかうまくいっていない事例もあると思いますが、厚生労働省を始め専門方々に我々として期待をしますのは、やはり成功事例とか非常にポイントというものを、今もう相当程度まとめておられますけれども、そういったものの専門的な見地からやはり全国自治体が取り組めるように健康づくり生活習慣病対策、そして医療費適正化というものが実行できるように、これは特段のやはり御努力お願いしたいということが一つ。  これ、最初、スタート時点健康づくりのためにある仕事を始めようとしましたら、これはやっぱり財政的な裏付けが必要でございますので、そういったものに対する財政的な支援の問題。それから、医療の問題というのは個人情報の塊みたいなものでございますから、それは国民的なやっぱり理解を得ながらということですけれども、そういう法的な裏付け、そういったものを生活習慣病対策において実際実効性あらしめようと思いましたら、専門的な問題、それから財政的支援、それから法的な裏付け、それぞれについてやはり後押しを必要とするというふうに考えております。  以上が生活習慣病対策に関する私の所見でございますけれども、最後になりますが、我々が慣れ親しんでおります国民保険というのは、我々として日本のやっぱり文化だというぐらいに思ってこれは大事に守り育てていかなきゃならないと思っております。  お隣の中国へ昨年秋、中日友好協会の招きで行きまして、幾つかの大きな都市の市長、副市長意見交換をいたしましたけれども、みんな悩んでおられますのは農業、農村、農民問題という三農問題、とりわけその中での医療保険始めとする社会的インフラというのが、これが築けていないということについて中国地方政府指導者というのはみんな頭を抱えておられます。  我々としましては、先人がやっぱり昭和三十年代半ばに国民保険という立派なものをつくったということは、何とかこれ維持していかなきゃなりませんし、持続的にということであれば、先ほど少し申し上げましたけれども、制度の中で非常に運営がしづらくなっている部分についてはやはり、具体的に言うと国民健康保険の問題ですけれども、これは制度が持続的に運営ができるように工夫をやっぱり制度改革の中でお願いをしなきゃならないと思いますし、掛かり過ぎると思われる医療費については適正化実効性あらしめられるように、行われるようにこれはちゃんとしなきゃならない。  いずれも、最終的には最も身近な政府、身近な市民とのつながりがある地方自治体として市町村頑張らなきゃいけないことがたくさんございまして、一生懸命それは保険料の徴収というような地道なことから、それから生活習慣病対策というようなこれからの課題も積極的に取り組んでいくというつもりでございますが、いろいろな意味でこれは国を挙げての話だと思いますし、医療提供の権限をお持ちの都道府県知事さんにももう少し医療保険にも積極的にこういう制度改革を機に関与いただくような、そういうことになればというふうに願っておるということを最後申し上げまして、意見陳述を終わらしていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  5. 山下英利

    委員長山下英利君) ありがとうございました。  次に、小島参考人お願いいたします。小島参考人
  6. 小島茂

    参考人小島茂君) 連合小島です。  今回、このような形で発言機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。  まず、今回の関連法案でありますけれども、これに対して、連合といたしましては、これまで連合が求めてきた内容幾つか盛り込まれております。そういう部分については是非確実に実施あるいは推進していただきたいと、そういう内容があるというふうに思っております。それともう一つ法案の中には連合という立場からいいまして見直しあるいは修正をすべき、そういう内容も含まれているというふうに思っております。そういう二点の観点から発言をさせていただきます。  この間、医療制度あるいは医療保険制度抜本改革につきましては、九七年の自己負担の引上げ、そのときから国会なり政府の公約でもありましたけれども、しかしこれ、この間、政府改革を先送りしてきて実質的には負担増なり給付削減、それを繰り返してきたんではないかというふうに思っております。  しかし、その間にも医療費は伸び続け、地域診療科による医師不足あるいは地域偏在というものがより深刻な問題となってきております。国民が今の医療制度あるいは医療保険制度に対する不信なり不安を強く持っている、そういう結果になってきているんではないか、そういうふうに思っております。  今回の関連法案趣旨につきましては、政府国民保険制度を堅持し、将来にわたり医療保険制度を持続可能なものとしていくとしています。しかし、政府の言う持続可能性とは財源確保だけではないか、そういう思いがしております。制度への国民信頼がなければ、財源確保どころか、制度持続可能性さえ困難になりかねないというふうに思っております。  医療制度に対する国民信頼を回復して安心、安全、信頼医療制度確立するため抜本改革を断行すべきである、そういう立場、また被保険者立場から、今回の医療制度関連法案に対する意見を以下、述べさせていただきたいと思います。  まず、積極的に推進すべき事項について五点ほど述べたいと思います。  第一に、二〇〇六年度、今年度の診療報酬改定におきまして、四月から詳細の分かる領収書発行がすべての医療機関等義務付けられております。連合といたしましては、一九九七年から領収書もらおう運動といいますか、そういう運動を展開をしてきております。この四月からの領収書発行義務付けについては、そういう意味では評価をしたいというふうに思っております。  本日、皆様にお配りしております資料の中に、連合として今年の二月から三月にインターネットを通じてアンケート調査を行いました。その結果、医療機関領収書発行状況について取りまとめをしております。一ページから五ページにかけて具体的に集計をしております。三ページのところには医療機関全体の領収書発行状況ということを、これ三月時点までのところでありますので、の結果が出ております。まだまだ診療所等におきましては領収書発行が十分に発行されていないというふうな状況が出ております。そういう意味で、今回四月から義務付けられて六か月間の経過措置が設けられておりますけれども、この六か月間の経過措置の更なる延長はしないように強く求めておきたいと思います。  今後、さらに、民主党が今衆議院の方に提出をしております医療安心・納得・安全法案で提示しておりますレセプトに近い領収書発行義務付けを検討するよう強く要望したいと思います。  第二点目については、レセプトオンライン化推進についてであります。  昨年の十二月、政府・与党の医療制度改革大綱におきまして、レセプトを電子化して二〇一一年の三月末までにはオンライン請求に完全に切り替える、そういう内容提案をされております。しかし、政府は今年の四月に入りまして、このレセプトが年間千二百件未満の医療機関については最大二年間の猶予期間を設けると、そういう省令の見直しを行っております。これから五年間も準備期間を設けているのですから、その期間内に完全にオンライン化をするよう強く要望したいというふうに思っております。  第三番目についてです。今回の医療法等の一部改正法案についてであります。  この中に盛り込まれております患者等への医療に関する情報提供推進医療計画見直し等を通じた医療機関機能の分化、連携の推進等内容については確実に実行すべきであるというふうに思います。しかし、地域医療科別においては、医師不足問題への対応について、この問題につきましては医師不足あるいは地域偏在を解消して国民安心を回復するには不十分な内容ではないかと言わざるを得ません。これも、民主党が今提案をしております小児医療緊急措置法案あるいはがん対策基本法案、そういうものを十分反映して、更なる対策の強化を強く求めたいというふうに思います。  第四に、医療保険者再編統合についてであります。  政管健保につきましては、今回、全国単位公法人化をして全国健康保険協会創設すると、そういう内容になっております。これについては、連合はこれまで社会保障ビジョン、今日もパンフレットを配付させていただいておりますけれども、その中でも提起をしております社会保障基金という考え方、これに沿って今回政管健保改革連合としても提案をしておりますけれども、その内容に大筋沿った内容であるというふうに思いますので、それの確実な実行を求めたいと思います。あわせて、中央、地方段階保険料を拠出している被保険者あるいは事業主制度運営の、直接参画できる、そういうものを確実に実現をして保険者機能が十分発揮できるような、そういうことを進めるよう重ねて要望をしたいというふうに思います。  第五点目については、療養病床再編についてであります。  今回、介護型療養病床につきましては、老人保健施設あるいはケアハウス等への病床転換を進め、二〇一一年度末には廃止をする、そして医療型の療養病床につきましては二十五万床から十五万床に削減するという内容提案をされております。療養病床再編につきましては、長期入院社会的入院の解消という三十年来のこの間の懸案事項でありましたので、それに決着を付けるということであると思います。その意味で、療養病床再編に当たっては、今入居されている方の処遇に十分配慮して着実に実行すべきであると思います。  また、これに関連しまして、法案の附則の第二条第三項には、政府は、介護老人保健施設及び介護老人福祉施設の基本的な在り方並びにこれらの施設入居者に対する医療提供在り方見直しを検討するとあります。見直しの時期は明記をされておりませんが、入居者開設者の不安をなくすため、早期に将来の施設在り方について検討をし、結論を得るよう、要望を申し上げたいと思います。  続きまして、この法案の中で連合修正あるいは見直しをすべきであるという内容につきまして五点ほど述べさせていただきます。  まず第一点は、新たな高齢者医療制度創設の問題であります。  高齢者医療退職者医療につきましては、現役世代からの費用負担在り方が不透明である、また財政運営責任が不明確である、被用者保険等保険者制度運営に参画できないといったそういう様々な問題が各医療保険者からも指摘をされております。今回の改革はこれらの問題を解決するものでなければならないと思います。  小泉総理大臣が、さきの参議院の本会議で、後期高齢者医療制度創設については、医療費負担について、高齢世代現役世代負担を明確化し、分かりやすい制度にする必要がある、このため、七十五歳以上の後期高齢者については、その心身の特性等を踏まえた独立医療制度創設することで財政運営の責任主体を明確化する、高齢者の保険料と支え手である現役世代負担の明確化、公平化を図るものであると答弁をされております。しかし、これだけの答弁だけでは全く納得はできません。今回の政府提案の新たな高齢者医療制度では、保険者と被保険者に更なる不安なり不満を増幅させる、そういう内容だけではないか、そういうふうに思っております。  まず問題は、後期高齢者医療制度への支援金、前期高齢者医療制度に対する財政調整のための納付金、そして退職者医療制度への拠出金、あるいは病床転換支援金など、被用者保険の将来の負担増が不透明なまま納得し難い負担を求められている点であります。  次に、問題としましては、後期高齢者医療制度独立した制度であるにもかかわらず保険者が不明確な点です。市町村が参加する広域連合を各都道府県ごとに設置してそこが制度運営を行う、広域連合の構成メンバーは直接選挙あるいは市町村議会の間接選挙のいずれかで選出することとされております。このような方法で選出されたメンバーによる広域連合で果たして保険制度運営が可能なんでしょうか。政府財政責任を持つ運営主体として広域連合保険者であると答弁をしております。そうであるならば、なぜ広域連合保険者と法律上規定をしなかったのか、理解ができません。  また、健康保険組合など各保険者が今回考えられております保険者協議会に参加し、運営について協議するとなっておりますけれども、この保険者協議会の権限と広域連合との、保険者協議会の法的関係、あるいは両者の意見が異なった場合の調整をどうしていくのか、全くその辺が不明確であります。  さらに、約四割の支援金を負担することになります被用者健保、医療保険代表者を広域連合に参加させることをまず優先させるべきではないかというふうに思います。  また、六十五歳から七十四歳を対象とします前期高齢者医療制度制度財政調整は、保険者機能の発揮を阻害し、保険制度の自主、自立の基本をゆがめるものではないかというふうに思っております。また、後期高齢者医療制度と同様に前期高齢者医療制度にも公費負担を行うべきだと思っております。財政対策のために退職者医療制度を存続させることについても全く納得はできません。  次に、健康保険保険料の問題についてであります。支援金、納付金、拠出金、そして病床転換のための支援金をまとめて特定保険料として、加入者保険給付や健康保持のための保険料につきましては基本保険料、これら二つを合わせて一般保険料として、その上限を千分の百に引き上げるということになっております。  特に、後期高齢者への支援金につきましては、若年者と後期高齢者の人口構成の変化による増減あるいは現役並み所得者の増加による後期高齢者に対する公費投入の減少、それに伴う支援金の増加といったそういう変動要因があります。これらの点を含めて支援金総額が将来どうなるのか、この辺も全く不明確であります。  このこと自体も問題がありますけれども、政府が言うように、高齢世代現役世代負担を明確にし、分かりやすい制度とするのであれば、基本保険料と特定保険料は別々に示して、それぞれの保険料率の上限を設定すべきだと思います。さらに、何に使われるのかを明確にするため、支援金等四種類の保険料率を被保険者が理解できるように示す必要があるだろうと思います。  このままでは、被用者保険保険者は単なる費用徴収機関になってしまいます。これらの問題点あるいは疑問点の解消がなければ、新たな高齢者医療制度については反対であります。今回の案を撤回をして、連合提案をしています突き抜け方式も含めて引き続き検討するよう強く求めたいと思います。  第二は、高齢者の窓口負担の引上げの問題についてであります。  高齢者の自己負担の引上げは慎重に検討すべきだというふうに思っております。現役並み所得者がいることは否定をしませんけれども、高齢者、年金受給者の厚生年金の平均年金額を見ますと、男性でも年間二百三十万円弱、女性になりますと年間百三十万円程度ということであります。国民年金のみの受給者におきましては月額六万円弱という低額であります。高齢者の所得あるいは資産格差は大きなものになっております。  さらに、高齢者に対する自己負担につきましては、二〇〇二年に一割、現役並み所得者については二割といった定率負担が導入をされたばかりであります。さらに、年金に対する見直しあるいは公的年金等の課税強化、そういう様々な負担増がこの間行われてきております。  高齢者の負担増がこの間高まっている中で、高齢者自身の生活不安は高まっております。そのため、今回の高齢者に対する自己負担の引上げ、それと療養病床に入所されている方の食費、居住費の見直しと併せて再検討を求めたいと思います。  三つ目は、高額療養費制度による自己負担限度額の見直しの問題であります。
  7. 山下英利

    委員長山下英利君) そろそろまとめてください。
  8. 小島茂

    参考人小島茂君) はい。失礼しました。  この問題も、今回、定額部分の引上げが提案をされておりますけれども、ますます複雑な制度になってしまいます。年齢によって、今回の制度も、高額療養費制度も更に複雑な制度となってしまいます。これをもっと簡素なものにすべきだというふうに思っております。  若干、時間があれしましたので最後に申し上げたいと思います。  今回の関連法案につきましては、相当広範な、多岐な内容関連法案十二本ということになっておりますので、国民生活にも極めて大きな影響を及ぼします。しかし、衆議院段階におきましては、この法案審議が十分にされないまま委員会では強行採決をされてしまいました。参議院のこの厚生労働委員会におかれましては十分な法案審議が行われるよう強く要望をいたしまして、私の発言とさせていただきます。  ありがとうございました。
  9. 山下英利

    委員長山下英利君) ありがとうございました。  次に、柳澤参考人お願いいたします。柳澤参考人
  10. 柳澤正義

    参考人柳澤正義君) 柳澤です。このような機会を与えていただいたことに関して深く感謝を申し上げます。  私は小児科医でございます。子供の代弁者としての小児科医の立場でお話を申し上げたいし、また、長年、医師の卒前、卒後の教育に携わってきたという観点と、また、その後は国立成育医療センターに勤務していたと、そういう立場で得た様々な情報、知識から意見を述べてみたいと思います。  本日の新聞に出ていましたけれども、二〇〇五年の合計特殊出生率が一・二五ということで、一段と下がったということで、少子化の進行ということが非常に衝撃的なニュースとして報じられております。  少子化の進行というのは、これからも進行していく、進むと思いますけれども、それが二十一世紀、将来の労働力であるとか経済とか、あるいは我々の受け取る年金とか、そういった観点から、それも重要ですけれども、議論されるだけではなくて、少子社会の中に生きる子供たちが健やかであり、心身ともに健康に過ごすための医療制度であると、そういうことがこれから求められていかなければいけないというふうに私は強く感じています。  今回審議中の法律改正においては、医療法の一部改正の中で、小児救急医療体制、また小児科、産科における医師不足が課題として取り上げられております。このような観点が含まれていることを私は評価をしております。こういった点を中心に意見を述べさせていただきたいと思います。  医療制度改革が国家的な課題である中で、小児医療改革を迫られていると言っていいと思います。そして、改革方向を模索している状態です。  私が先生方のお手元に配付いたしました資料の表には、これは私の個人的な見解ですが、小児医療の現状、課題、展望を簡単にまとめて模式的に示してみました。法律と関連する制度体制上の問題は右側の列に、医療内容的なことは左側の列に項目を挙げてございます。  なお、この資料の三ページ目から後には、日本子ども資料年鑑二〇〇六という本の巻頭に私が書きました「小児医療の課題と展望」というつたない文章のコピーを付けさせていただきましたので、私が今日お話しすることのもう少し内容的なことについても触れてありますので、参考にしていただければ幸いです。  小児医療の現状には多くの課題がありますが、時間の関係もあって、医療法改正の中で取り上げられている、一つには小児科医の確保ということ、二番目として、それと大いに関係ありますけれども、小児救急医療体制について意見を述べ、その後で、残された時間で、この法案の表題といいますか、が「良質な医療提供する体制確立を図るため」というふうにありますので、そういった観点から小児医療に関連してこれから取り上げていただきたい子供の心の医療と、そしてまた小児慢性疾患を持つ成人患者の医療について触れさせていただきたいと存じます。  二ページ目の上段に、小児科医の確保について要点をまとめてみました。  小児科医の数の不足は社会問題となっていると言ってもよろしいかと思います。その中でまた、女性医師の割合の増加ということが、医師、医療の人的資源の不足に拍車を掛けております。そのような状況の中で、小児科医、特に病院に勤務する病院勤務の小児科医は非常に過酷な勤務を強いられているのが現状です。このような状況の是正のために小児科医の確保ということがもちろん求められるわけですが、それは、数の確保とともに資質の確保も重要だと思います。また、それに対する方策としても、長期的な方策、短期的な方策があろうかと思います。  小児科医の実数を増やしていくには、卒前教育、また卒後の研修から始まる対策が必要であり、実際にその若い人、小児科医が第一線で活躍するようになるには、場合によっては十年、二十年掛かると言ってもいいかと思います。しかし、現在の事態はとてもそういう状況を待てるような状況ではございませんので、ここには比較的短期的な方策を挙げてみました。病院小児科を集約化、重点化、再編成をすることは避けられません。これには、日本小児科学会も地域の小児医療体制のモデルとして一つ提案をしております。行政にもそのような動きがあるというふうに伺っております。この今挙げた学会の提案するモデルについては、配付資料の後ろから二ページ目に図で示してございます。  このようなモデルを全国に向けて提示した上で、各地域の実情に応じた小児医療体制を構築するということが必要かと思います。その場合に、都道府県が強いリーダーシップを発揮していただかなければならない。都道府県の小児医療対策協議会といった協議会がこれから強力な指導力を発揮する必要があろうかと思います。それには、更に国は十分なサポートをしなければいけないんではないかと思います。そして、小児医療対策協議会には各県の小児科学会、小児科医会、それぞれ県の支部といった形のものがありますので、是非ともその参加を、そういった立場の小児科医が自ら参加するということが非常に重要かと思います。  女性医師については、働きやすい環境の整備が急がれます。小児科学会、また厚生労働省の研究班、鴨下班においてもこの問題について調査研究をしております。その一応のまとめとしては、女性医師が求めているのは、やはり保育サービスの充実と、また多様なサービスが提供されること、そしてワークシェアリング、また休職中の女性医師ができる範囲で活用されると、そして復帰に際しての再研修といったことかと思います。  今、小児科医の不足ということを取り上げてお話しいたしましたけれども、実際には産科医の不足は現在の小児科医以上に深刻な状況です。実際、小児科医の総数は漸増しておりますけれども、産婦人科医は減少しています。特にその中で、お産を扱う医師は更に減少しています。女性医師の割合も小児科医よりも産科医の方が高いと。そういった観点から、先ほど小児科医の確保という観点から述べたのと共通する面が多いですけれども、お産をする施設の集約化というのは避けられないと思います。この点については、日本産科婦人科学会でありますとか産婦人科医会とか、そういったところから様々な御発言がなされていると思います。  また同時に、新生児科医も絶対的に不足しています。これは、生まれた赤ちゃんが未熟児であったり、また病気を持って生まれてきた新生児の集中的な治療をするNICUという施設がありますが、そこで働く小児科医、特に分化した、小児科医の一分派ですけれども、この新生児科医が非常に足りないと。そのことが周産期母子医療センターへの母体搬送と、リスクの高い母体が搬送される、その数を強く制限する因子となっております。  小児科医の確保ということにも関係ありますが、小児救急医療について次にお話を申し上げます。  このような状況を来した要因には、これは小児救急は破綻に瀕していると、社会問題となっているというわけですが、このような状況を来した要因には、子供と保護者の側の要因と医療提供側の両方の要因があります。それがここに思い付くままに並べてありますけれども、対策としては、小児科医の確保が最重要であることは言うまでもありません。  先ほどの話に戻ろうと思います。病院小児科の集約化を中心とする地域小児医療体制再編成ということがこれを実現する上でなくてはならないといいますか、必須の条件になろうかと思います。センター機能を有する施設への小児科医の集約と、そしてその施設に併設された休日夜間診療所へ、そこに地域の開業の先生又は病院勤務の小児科医が出向するということで、地域の小児科医全員が地域の小児救急医療を担うという形になることが望まれます。  小児救急患者の大多数は軽症であって、実際には時間外診療であるというふうなことも言われますけれども、その中に真の緊急重症患児が混ざっているということも事実です。それを的確に見極めていかなければいけません。それを見極めた上で適切な治療をする、そういったシステム、ここにはトリアージシステムというふうに書きましたけれども、そういうものがこういった救急センターでは導入される必要があります。  また、小児救急に関しては、事故に関係する医療であるということを強調しておきたいと思います。実際、ゼロ歳を除く一歳を過ぎてから成人に至るまでのすべての年齢層において、死因の一位は御承知のように事故による死亡です。その事故による死亡、これは事故は予防することが重要ですけれども、起こってしまった事故に際して命を救い、また後遺症をできるだけ少なくするというのは救急医療の役割でございます。  次に、めくっていただきますと「子どもの心の医療」という枠があると思いますけれども、それについて簡単に触れておきたいと存じます。  子供の心の問題の増加、それに対して非常に医療体制が不十分であるということが近年広く認識されてきております。厚生労働省でもその点に関しての検討会、また子ども家庭総合研究、研究班も組織され、平成十七年度から子供の心の診療に関する医療の需要と供給の実態を調査いたしております。その実態調査のデータに基づいて、医師その他専門的人材の育成のための研修体制ですとかガイドラインなどの提案をしようとしております。それがまた更に行政施策として行われることが私たちの立場としては強く望まれます。  もう一つ、その下に「小児慢性疾患をもつ成人患者の医療」というふうに書きましたが、小児の様々な領域の慢性疾患、これは循環器、心臓病にしても、腎臓病にしても、神経の病気にしても、また小児がんにしても、そういった多くの領域の小児の慢性、難治性の病気で、昔は子供のときにそういう病気にかかると子供のうちに亡くなられる患者さんが多かったわけですが、そういった患者さんは、今は医学、医療の進歩によって、そういった病気を持ちながら思春期から更に成人になる、そして自らお子さんをもうけようとする、そしてまた治ってもその子供のときの治療によって二次的な様々な障害を持っている、長期的に生涯にわたってケアをしなければいけない患者さんが非常に多くなっています。しかし、そのような患者さんに対して適切なケアとか又は生活上の支援が決して十分ではありません。これも、これから十分なその実態の調査をした上で、何らかの行政的な施策が必要ではないかと思います。  ということで、一応私からの意見の陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  11. 山下英利

    委員長山下英利君) ありがとうございました。  次に、住江参考人お願いをいたします。住江参考人
  12. 住江憲勇

    参考人住江憲勇君) 全国保険医団体連合会とは、まず一つには国民医療、社会保障制度を守り発展させる、そして二番目には、地域での医療機関としての経営を守ると、そういう立場で活動している団体でございます。  資料を見ていただきます。  まず、長期にわたり療養しようとする患者が入院できるそういう療養病床削減への疑問ということで、二ページ見ていただきます。  これは、御承知のように、三十八万床を十五万床に削減、二十三万床削減される計画でございます。この実現のための二つの課題ということを挙げております。削減自体には私どもは反対ではございますけれども、これを施行するに当たっては、入院医療を代替する在宅医療の構築、基盤整備、そういうことが絶対必要でございます。また、病床転換促進のための様々な現在の医療機関に対する施策というのもこれもまた必要でございます。  三ページ目、「療養病床の「居住系」への転換」ということで、こういう様々な施設を列挙しております。要するに、入院から入居への転換ということになろうかと思います。  四ページ見ていただきたいと思います。  民間病院療養病床の転換後のイメージ図でございますけれども、地元では営々と地域医療機関として築いてきたそういう努力が、ここにも表していますように、一部外来診療として残すのみで、あとは介護複合施設への転換を余儀なくされる。もう本当に営々として築いてきたそういう努力に対しては、本当にその先生方にとってはじくじたる思いがあろうかと思います。  続きまして、二番目の在宅概念の大転換で行き場を失う老人難民を大きく生み出すということでございます。  五ページを見ていただきたいと思います。  これは厚労省保険局担当課長の発言から抜粋したものですけれども、驚くべき発言でございます。これは私ども福岡県内の会員の参加しておられる講演で述べられたことですけれども、終末期医療の適切な評価の検討というのはホスピス、ターミナルケア病棟というふうに考えてよいのか、どのような方向でお考えかという質問に対して、いやいや違う、家で死ねということ、住民票を移してそこにおればもう家とみなす、往診も行けるし訪問看護も行けるし、そこで死んでということ、病院に連れてくるなと、こういう驚くべき発言、そういうところの発言、厚労省官僚によって誘導された今回の問題点ではなかろうかと思います。  六ページ見ていただきます。  そういうことによって、在宅概念の大転換を要求されております。今後の二十一世紀型在宅のイメージ、自宅ではない住まいを多様に用意する、医療機関でも介護施設でもない居住施設に移ってもらう、医療も介護サービスも外部から出前するんだというシステムにする、居住施設に住み続け、そこで亡くなってもらう在宅死を増やすと。入院、入所から入居へという、そういう大転換でございます。  七ページ見ていただきます。  そういうことによって行き場を失う高齢者の入院患者。御承知のように、特別養護老人ホーム、今年に入ってこれ調査では三十八万四千とも言われております。老人保健施設も満杯でございます。あとは居住系施設、そして自宅、そういうところに行けなければ、行き場のない患者が大量に出現するのは必至でございます。  次、三番目に、療養病床削減計画の動機とされる二つの調査結果の活用に私どもは大きな疑義を持っております。  八ページを見ていただきたいと思います。  これも保険局担当課長の発言ですけれども、今回の療養病床再編の動機は、二つの調査、私ども自身がやって中医協に出した調査と医療経済研究機構がやった調査で、別個にやったのに、入っている人の半分が医療の必要度がないという同じ結果を得たと。本年の診療報酬改定でこんな低い点数だったら追い出されるんじゃないか、正に意図的にそういう点数にしたんですよと、こういう驚くべき、これは五月に愛知県内で行った私どもの会合での懇談会の発言でございます。  九ページ見ていただきます。  医療経済研究機構が行った、左側ですけれども、一から五の設問、それによるデータが下の円グラフでございます。  そこで、四番目の、医学的管理をさほど必要とせず容体急変の可能性も低いという、そういう項目が、右の、これは厚労省説明会資料の、左のを基にして作成されたんですけれども、急変の可能性が低く福祉施設や在宅での対応が可能、そういう項目に変えられているわけですね。そこに、調査表には福祉施設や在宅での対応が可能かという設問はなかったんですけれども、そういうところを利用して五割が入院医療不要論に結び付けておられます。  次、十ページを見ていただきます。  これは、中医協患者特性調査の設問項目と厚労省、これは右側ですけど、厚労省説明会資料の比較でございますけれども、厚労省で説明されたデータが下の円グラフでございます。ここでも、一番下の、医療的な状態は安定しており医師の指示はほとんど必要としないというところが、ほとんど必要なしという言葉に片付けられて、こういうところで、医師の対応がほとんど必要ない人がおおむね五割という結論に持っていかされております。  医療によって機械的に患者を区分することは、医療現場の実態と大きく懸け離れたもの、特に症状が三十日間あっても七日までしか評価しないのは、医療が必要な患者を追い出すことを強いる最たるものでございます。  十一ページ見ていただきます。  これ、ADLと医療区分をケースミックスしてこういう点数配分されたわけでございますけれども、四十九万円が現行のあれですけれども、もうAでプラス、Bでやっとこさプラス一万、あとはもう減額という、そういう状況でございます。  次は、十二ページ見ていただきます。  これ、二〇〇五年十一月二十五日時点での中医協へ出された医療区分、ADL区分でのケースミックスでのパーセンテージ。  十三ページ。そして、医療区分三に該当しない者のうち、ですから一、二ですね、以下のいずれかの条件に該当する者ということで、医療区分に、これもせいぜい七日間の該当期間ということに限定されております。  十四ページ。これによって、結局、医療区分一、二、三、そのパーセンテージがどれだけ、今年の四月十三日時点で昨年十一月時点よりも、やっぱりそういう統計上にこういう差異が出てきております。  十五ページ見ていただきます。  こういう具合に、近年ずっと在宅死が減り病院での死亡が増えてきているわけですけれども、そこを、在宅の死亡を増やそうと、病院死を減らそうとする、それの何物でもございません。  その根拠が、根拠といいますか厚労省の言い分ですけれども、十六ページ見ていただきます。  左側が、まあこれは一つのケースですけれども、百十五万円掛かる、一日当たり三万八千三百三十円掛かる入院医療費を、在宅でならばその半分で済むという、そういう論拠にされているわけでございます。  十七ページ見ていただきます。  これは、厚労省医政局終末期医療に関する調査等特別調査検討委員会の出された資料ですけれども、患者さんは、あくまでもやはり医療施設への入院ができる体制を望む、そういう方が八四%、最後まで自宅、居宅を望む人はわずか一一・二%、そういう患者さんの切ない思いが出ております。  続きまして、大きな二番目の「国民の健康、医療格差を拡大する計画への疑問」でございますけれども、これはもう時間もあと五分ぐらいしかありませんので、よく目を通していただきたいんですけれども、とりわけ「高齢者を直撃—保険給付削減負担増への疑問」というところでございます。  ここで、新高齢者医療保険制度、新たに保険料支払う高齢者は二百万人とも言われております。もう払えなければ保険証を取り上げられ、資格証明書が発行されるという、そういう事態が現実に起こります。そして、後期高齢者専用の診療報酬によって保険診療を受けることになります。これはみとり医療とも又は終末期医療とも指摘されております。  特に問題なのは、障害認定一級から三級を受けた六十五歳から七十四歳までの高齢者も後期高齢者医療制度への対象になるということでございます。例えば人工腎臓、人工透析ですね。この治療自体、社会復帰そのものでございます。人工透析さえ受けていただければ、十分社会復帰し一般の方々と同じ社会行動が取れる、そういう方々。そういう方々がこういう後期高齢者専用の診療報酬体系に組み込まれるということは、人工透析二十五万人おられます、その五〇%はこういう対象になる、そういう危険、診療報酬での。そしてまた人工透析、そういう一級から三級の方をそういう後期高齢者専用の診療報酬体系に持っていくということに断じて反対を申し上げたいと思っております。そして、驚くことに保健予防からは七十五歳以上は外されるわけです。そうすることによって、何のことはない、後期高齢者保険料負担は強いられますけれども、制度自体、みとり又は終末期医療、そういうところに追いやられる、保健予防からも除外されるという、そういう事態を生んでしまうということでございます。  あとの課題についてはまたお目通しいただいて、最後にやはり混合診療の問題ちょっと言わしていただきます。  二十六ページでございます。  現行の特定療養費を廃止して、保険外併用療養費へ組み替えて、評価療養と選定療養に再構成するとされております。組み替えた理由や、どのような内容を想定しているのか、具体的に明らかにした上で、国民の健康、医療にどのような影響を及ぼすのか、十分に審議をお願いしたいと思います。また、実質負担が四割以上にもなる保険免責制、これもまた再浮上いろいろなところでされております。この保険免責制の導入は断じて認めることはできません。  そして、二十七ページ見ていただきたいと思います。  しからば、医療や社会保障制度に対して、国やそういう企業負担がきちっと責任が果たされているかどうかの問題でございます。この上のグラフ、二〇二五年度には医療給付費が五十六兆円、対国民所得比一〇・五%と。この五十六兆円自体めちゃくちゃな数字、予測なんですけれども、それにしても一〇・五%、これは本当に医療費が国家財政を凌駕するがごとくのような、そういう宣伝されて言われますけれども、そうしたらその一〇・五%、諸外国、OECD諸国で、フランスやドイツなんかはもう九八年度に一〇%を突破しているわけですね。  そしてまた、下のグラフを見ていただきたいと思います。これも二〇二五年度、社会保障給付費、対国民所得比で百四十兆円とも百五十兆円とも言われていますけれども、それも対国民所得比にしますと二八・五%になる。これもめちゃくちゃな伸びだと宣伝されますけれども、一九九八年にフランスやドイツはもう既に四〇%の域に達しているわけです。この二〇二五年度二八・五%というのも、ドイツでは一九八九年に到達していた数字です。何で四十年後に予測される日本の二八・五%が過大だと宣伝されなければならないのか。  二〇〇四年度法人企業の経常利益四十五兆円と言われております。十五年前の法人税率で計算しますと、十・二兆円の今法人税収が二十二兆円になります。ですから、二〇〇六年度の医療給付費を一〇%に達するために必要な額は十・五兆円でございます。十分お釣りが来ます。歳出歳入一体問題とかいろいろ言われていますけれども、そこでは社会保障削減、そして庶民大増税言われてますけれども、決して法人税、また高額所得者の税を見直すということは一言も触れられないことも、これも指摘せねばならないと思っております。そういうところでの税収をかち取ることこそが喫緊の課題ではございませんでしょうか。そういうところに今の所得格差、そして生活格差、健康格差とも言われる根源があろうかと思っております。  最後のページお願いします。  ここで世論調査の結果を紹介します。これは毎日新聞の四月二十二日付けの世論調査の結果ですけれども、財源はどうしたらいいんだろうかということで、社会保障に対する、他の予算を削って社会保障に回すべきだと。これは何を意味するかといいますと、税にしろ社会保険料にしろ、所得再分配機能を発揮してこその徴収原則であるという毅然とした、かつ健全な国民の世論ではないでしょうか。  ですから、本当に歳入不足に対しては、歳入を増やすという観点では、先ほど申しました法人税、高額所得者の税率、そういうところを見直す、そういうことによって社会保障を充実させる。そういうところが今ないからこそ、自殺者、昨日も発表されました、三万二千五百五十二人。そしてまた出生率が一・二五という、そういう厳しい数字も出てきているんではないでしょうか。  最後に、年金不正免除問題は徹底究明すべきものと考えております。  医療改革関連法案は、いたずらに国民の不安をあおるのではなく、現場の実情を十分に踏まえた上で議論を尽くしていただきたいと思っております。十分議論を尽くしていただければ、問題点が山積しております。ですから、そういうことを解決するための手だてを取る。ですから、差し迫ってこの関連法案については廃案を求めたいと思っております。  以上です。
  13. 山下英利

    委員長山下英利君) ありがとうございました。  次に、小松参考人お願いいたします。小松参考人
  14. 小松秀樹

    参考人小松秀樹君) 小松でございます。  私は、現場の現役の医師でございます。本日の私の話の内容は、お手元にお配りした「医療崩壊 「立ち去り型サボタージュ」とは何か」という本と、トイブナー氏の講演原稿に記載されていることですので、詳しくは後でお読みいただけたらと思います。それから、私の原稿をお渡ししてありますので、それを見ながら聞いていただけたらと思います。  現在、日本医療機関は二つの強い圧力を受けています。医療費抑制と安全要求です。この二つは相矛盾します。資金不足による労働条件の悪化と患者とのあつれきで医師が使命感と意欲を失い、医師が大量に病院から離職しております。ひどい労働環境や患者からの攻撃があっても、それでも医師なんだから使命感を持って頑張るべきだという意見が患者側から出ると、がっかりして辞めようと思うようです。現在、イギリス型の医療崩壊が進行しつつあるというふうに私は見ます。本日は、医療崩壊の最大の原因である医師と患者のあつれき、また医師にとってダメージの大きい刑事司法の問題を中心に述べます。  医療は本来不確実なものです。この点で患者と医師の間に大きな認識のずれがございます。患者は、現代医学は万能で、あらゆる病気は立ち所に発見され、適切な治療を受ければまず死ぬことはないと思っております。良い医師の治療では有害なことは起こり得ず、起こればその医師は非難されるべき悪い医師である、医師や看護師は労働条件が過酷でも過ちはあってはならず、過誤は費用、すなわち人員配置やシステムの問題ではなく善悪の問題だと思う傾向がございます。  安全水準を高めるには莫大な費用が掛かります。しかも、幾ら費用を掛けても死は不可避です。死をあってはならないと考えている限り、不安はなくなりません。過度な安心、安全要求がかなえられることはなく、不安が攻撃性を生んでおります。  多くの政党は、安心、安全を政治的標語として安易に振りまき過ぎました。メディアは犯人をつくってこれに報復するというような図式を取り続けました。司法は、医療側から見て理不尽と思われるような攻撃の一部を正当と認定してきました。この結果、医療現場はとげとげしいものになりました。これは、外から見るよりは、実際に中にいると強く感じます。特に、私は紛争の処理を担当していますので、かなり身に染みて感じております。  入院診療では約一〇%に有害事象が発生します。不満があると、患者、家族は病院に苦情を持ち込みます。過去には問題がありました。検察と同じで、無謬を前提にし、それゆえの隠ぺい体質がありました。一九九九年の「人は誰でも間違える」の合衆国での出版以後、世界同時に医療側の考え方が変化し、事故や過誤があり得ることが前提になりました。安全対策、事故への対応が劇的に良くなりました。  直接交渉で紛争が解決しないと民事訴訟になります。民事訴訟には、立証責任が患者側にあること、これはもう非常に難しい、高額の訴訟費用が掛かること、二当事者対立構造を取るために裁判の過程を通して双方の対立が高まり、かなり憎しみ合うような状況にまでなること、こういう欠点がございます。  そこで、民事訴訟に貧しい人は踏み切れないわけですが、そういう患者さんは警察に訴え出ます。患者側の立場に立てばこれは当然のことだというふうに私も思います。桶川ストーカー事件の影響もあり、訴えがあると警察、検察は護民官として捜査に着手せざるを得ません。  警察、検察はどのような方法を取るかということですが、医療という善意の行為の結果起こったことについても凶悪犯罪と区別してはならないとされています。法の無関心という言葉で表現されます。警察、検察は最初に有罪だとの心証を得ると、努力方向は科学的真相解明ではなく有罪を立証することに向かいます。  日本では、犯罪の立証に自白が重視されます。事情聴取で警察の意に沿った証言をしないと、逮捕監禁して自白を迫ります。密室での取調べは録音されずに、弁護士も立ち会えません。自白するとしばしば略式起訴で罰金五十万円。自白しないと勾留延長から起訴。一、二審で無罪になっても、検察は最高裁まで争います。このために、争点があって無罪を主張するほど実質的な罰が大きくなります。このため、医師は無罪だと思っていてもしばしば罪を受け入れます。  密室での取調べは世界的に問題があるとされております。中国ですら警察の取調べに弁護士の立会いが検討されています。  刑事事件では業務上過失致死傷が適用されます。刑法は原則として過失を罪とはしません。業務上過失致死傷は例外規定の一つです。罪刑法定主義から遠い規定で、極めて広い範囲まで罪になります。医療に関する限り、刑法の業務上過失致死傷と民法の不法行為には本質的な差がありません。刑事と民事に境界がなく、刑事事件として扱うかどうかは警察、検察の担当者の判断にゆだねられることになります。  医療は危うくなった生命を救おうとしますが、しばしば成功いたしません。医療は極めて多様な決定をしながら実施されます。ある状況での正しい医療行為は一つに限定されているわけではありません。正しい医療は多数あり、医師は妥当と思われる範囲で選択、決定しながら診療を進めていきます。選択された医療によって発生するリスクの性質が異なるような状況もあります。さらに、医療は、診断の過ちを病理解剖で確認したり、治療行為の結果を検証して反省したりしつつ進歩してきました。医療は不完全技術で、常に欠点があります。医療に対して業務上過失致死傷を適用すると、医療に内在する性質ゆえに極めて広い範囲まで犯罪とすることが可能になります。  加えて、警察官も検察官も医療の結果が確率的に分散するということを理解しません。因果関係の決め方を含め、医療の論理を把握しておりません。罪とすべき医療、この定義も問題ですけれども、これを過不足なく判断する能力があるとは思えません。  検察は、被害者感情や、メディアに世論として表現された社会の不満に法的決着を付けて、国家が社会の構成員に常に配慮していることを示すことにより自らに正当性を付与し、結果として社会の秩序の維持をしやすくしていると想像いたします。国民国家維持のためには当然の努力だと思います。  しかし、法律家にも異論があります。刑法学者の町野朔氏は、過失犯罪について、我が国には被害者感情や世論が責任の重さを決める風潮があるとしています。認識があったから責任が重いということが徐々になくなってきたというのは責任に実体がなくなってきたことだ、今のような世論がそのまま突っ走ることを認めろということになるとリンチを認めるということになると警告を発しております。  司法やメディアが非専門家側に立ち、専門家と対峙する構造は医療に限ったことではありません。  昨年九月、日本におけるドイツ年記念事業の法学集会が開かれました。トイブナー氏の基調講演、これはお手元に配ってありますけれども、これは非常に示唆に富みます。国民国家から世界社会に変貌するにつれ、世界社会の法がそれぞれの社会分野ごとに形成されるようになってきました。例えば経済、学術、テクノロジーや医療などにおける正しさは国内法を超えて世界的に同時進行で形成されます。  トイブナー氏は、国民国家的思考方式は世界的紛争を処理するのに十分かと問い掛けます。  法中心主義的アプローチでは、国民国家で形成されたような精緻な整合性、明確な規範ヒエラルキー、厳格な審級制度で対応しようとします。政治中心主義的アプローチでは、衝突を利害の対立あるいは政策の対立ととらえます。紛争解決は国際的な権力間の利害調整の問題となります。  トイブナー氏は、これからの衝突は、政策的対立ではなく、世界社会の各分野ごとに形成された部分社会間の合理性の衝突が重要であると見ます。法による統一的規範は成立することはなく、法は到底それらの矛盾を解消できない、互いの規範を尊重し、自律的部分社会同士の相互観察で共存を図るしかないとしました。例えば、ブラジルでのエイズ治療薬の特許を無視した製造販売では、保健の合理性と経済の特許についての合理性が衝突し、保健の合理性が優先されました。  現在の国内状況は、司法レジームが、国民国家成立時に制定された法規範に基づいて、国際的に規範が制定されている医療レジーム、航空運輸レジーム、産業レジームと対峙し、時にこれらに破壊的影響を与えているように見えます。  法律は規範の源泉ではありません。規範は人間の営みから歴史的に生じます。トイブナー氏は、分かりやすく言い換えると法は対話の形式だと主張して、司法に謙虚さを求めました。  業務上過失致死傷は組織ではなく個人の責任を対象としています。しかし、多くの医療事故や医療過誤はシステムの問題です。ヒューマンファクター工学では、人間のエラーの多くは環境から誘発されたものと理解されます。システムの問題について、個人の処罰で対処することは安全向上に寄与しないとされています。さらに、刑事罰を科すとなれば、憲法上、当事者は証言を拒否できるので十分な調査もできません。  医療の安全のためには、システムの機能不全と個人の能力不足に対処しなければなりません。これは個人の処罰では改善されません。システムの改善、個人の再教育、免許の停止、制限などできめ細かく対応すべきです。  イギリスでは、長年の医療費抑制政策によって医療従事者の士気が崩壊しました。入院待ち患者が百万人、手術可能と判断された肺がん患者の二〇%は手術を待つ間に手後れになります。多くの医師がオーストラリア、カナダ、アメリカに移住しています。このため、ブレア政権は二〇〇〇年に五年間で医療費を五〇%増やすと宣言しました。しかし、いったん医師の士気が崩壊すると費用を増やしても元には戻りません。  二〇〇四年、日本医療費の対GDP比はイギリスより低くなり、先進七か国で最低になりました。日本でも外来診療には相当の費用が掛けられています。しかし、入院診療は極めて低い費用で運営されています。医師や看護師の使命感と過酷な労働で支えられてきましたが、労働条件の悪化とリスクのため、仕事を放棄し始めました。  医療を崩壊させないようにするためには、医療事故の防止も重要ですけれども、事故がなくなることはあり得ません。医療過誤があることを前提にして、公平な処理システムを医療制度に組み込むべきです。  具体的には、専門医療事故調査機関、公平な補償制度、安全向上を目指す行政処分制度の整備が必要です。  私の試算では、過失の有無に関係なく、医療に関連して身体障害や死亡を来し、患者、家族が不満を持つ事例は年間一万三千から二万六千件発生します。当該病院以外の第三者の専門家が、患者側の求めに応じて調査し、患者側にその結果を説明するようにする必要があります。  将来のあるべき医療事故調査機関の条件は、患者側の訴えに応じて調査を開始する、多数の調査を実施できる、調査員は医療の現場を熟知している、医師だけでは不十分で、看護師、臨床工学士、薬剤師など多くの職種が必要、人材の確保が最大の問題、病院団体が人材提供のかなめになる、法律家も参加し、犯罪性のあるものは検察に送る、海難審判のような民事の第一審に相当する権威を付与する仕組みが必要、そうしないと裁判が激増し、処理し切れない。別に補償制度を整備し、権威を付与された調査結果に基づいて、一定条件を満たす事例に対し公平に補償する必要があります。このような制度はスウェーデンやニュージーランドで既に実施されております。  このような制度ができれば、それだけで医療の崩壊が防げるでしょうか。  ハナ・アーレント、政治哲学者ですけれども、彼女は「全体主義の起源」で、大衆による攻撃についてのトックビルの発見を紹介しました。フランスで大革命の初めに突然堰を切ったように起きた貴族階級に対する一般の憎悪の理由と動機は何か、貴族階級はその権力の絶頂にはおらず、抑圧だの搾取だのは全く存在しなかった。だれの目にも明らかな権力喪失が民衆の憎悪をかき立てたのだと。  医療への攻撃はイギリスでも起きております。もし権威の喪失が攻撃の引き金になっているとすれば、現在、医療側が実施している改善そのものが攻撃をかえって促進させ、崩壊を早める可能性すらあります。  医療は急速に崩壊しつつあります。私は、この一年余りに、患者支援団体、患者側弁護士、医療事故防止議員連盟、厚労省、裁判官、検察、私立医科大学協会、医療制度研究者、安全工学の専門家、メディアなど多くの方々とこの問題を議論してきました。全員に私の危機感を共有していただけました。意見の隔たりは実は余りありませんでした。  厚労省には、昨年から、この問題に早急に対応するようにお願いしてきましたが、医療制度改革関連法案の仕事で忙しくて、いまだに危機に対応できているようには見えません。沈み掛かった船で、船長が操船よりも保守点検マニュアルの書換え作業を優先しているような印象すら受けます。いずれにしても、複数の省庁にまたがった問題なので、厚労省だけではこの危機に対応できません。省庁を超えた対策チームが必要です。対策を考えるに当たり、医療についての考え方のそごが崩壊の大きな原因なので、総論部分国民的議論から始める必要があると思います。  以上です。ありがとうございました。
  15. 山下英利

    委員長山下英利君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  なお、質疑の時間が限られておりますので、参考人方々には簡潔な御答弁をお願い申し上げます。  また、委員長の指名を受けてから御発言をいただくようお願いをいたします。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  16. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 自由民主党坂本由紀子でございます。  今日は五人の参考人皆様、大変貴重な意見をありがとうございました。時間の都合がございますので、全員の参考人皆様に御意見を重ねて伺うことができないかもしれませんが、その際はお許しください。  まず、河内参考人にお伺いいたします。  国民保険は世界に冠たるもので、私たち日本はこの制度を更に持続し、国民の健康の安心感を確保し続けられるようにしなくてはいけないと思っております。特に国民年金につきましては、市町村の現場で大変御苦労をしてこられたわけでありまして、今回、都道府県単位としたこの医療保険制度再編が図られたのは大きな前進だという御意見がございました。さらに、今後都道府県にもう少し積極的に関与してもらえるといいというような御発言が最後のところにあったと思いますが、今制度的に仕組まれていることに加えまして、都道府県にどのようなことを市町村のお立場で更に期待されておられるかということが一点。  それともう一点ですが、健康づくりというのがこれから大変大事になってくると思います。これは医療費適正化にも大きな効果があるわけでありますが、この点は市町村単位でのお取り組みが有効だというのは参考人のおっしゃるとおりだと思います。その場合に、特に必要な方々にこの健康づくりに向けてのサービスがしっかり届くかどうかというような細かい点について、その政策の有効性等、大変苦労をされることが多いかと思いますが、実際やっておられる中で、工夫していらっしゃる点、あるいは大変困難を来している等々のことがおありでしたら、この点についてコメントいただけたらと思います。
  17. 河内山哲朗

    参考人河内山哲朗君) 国民保険を堅持をするために、国民健康保険が最後のとりででございますから、これをしっかり運営ができるようにしなきゃならない。その点で、一定の今回の医療制度改革評価ができると申し上げたわけでございますが、お尋ねのございました都道府県に対する期待でございますが、大きくは二つございます。  一つは、先ほどの話の繰り返しになるところもあるかと思いますが、保険財政を安定するという意味では、本当に今の市町村国保というのは、具体的な数字を申し上げませんでしたけれども、毎年、最近では一兆円ほど一般会計から繰入れをしましてやっと成り立っていると、こういう状況でございまして、これ、この場で申すべきことではないかもしれませんが、今地方交付税がいろいろと議論がされておりまして、地方交付税というのはいろんなところに使われているというか、一般財源でありますから使うわけでございますが、従来は一般会計から国保会計に繰入れができるというのは、一般会計に余裕があって、余裕があってというか、何とかできていたと。これは例えば一般会計の方が変な形で地方交付税総額削減されますと繰入れもできなくなるというような状況にも陥りますので、これは国全体の制度を維持するために地方交付税というものは大変重要な役割を担っているという意味で、もう一回、国会の先生方にも改めて認識をしていただきたいと、これはちょっと余談でございます。  そういうふうな財政状況でございまして、何とか安定化しなきゃならない。一兆円というのは相当大きな金額でございます。したがって、今度、都道府県単位になったときに、先ほども言いましたけれども、まずは知事さんといいますか、県が本気になりまして、どういう点が保険運営の中の財政的な改善に結び付くのかというような方策を都道府県単位にしましてお考えになりますと、いろいろとこれは工夫するところが出てくると思います。  単一の市町村ではとても手が届かないような、これは二つ目のお尋ねにも関係するんですが、県を挙げて健康づくりの事業をやっていくというようなことになりますと、これは保険財政にとってもプラス、都道府県民の健康、長寿の実現にとってもプラス、そういう意味で、非常に財政安定をすると同時に、健康づくりの面でも都道府県知事さんに期待をすることがございます。  もう一点期待をすることは、ほかの参考人さんの方々からも今医療提供体制のことで様々な問題提起もございましたけれども、やはり地域的にあるいは診療科目的に偏在がございまして、これは国、都道府県、両方ともやはり保険運営をするということと、医療提供体制をどういうふうに考えるかという同じ主体が両方の権限を持つというか、責任を持つことになりますと、医療の質をちゃんと確保する意味でも、保険はあるけれども医療提供はされないということになりますと、これは都道府県として責任果たせないわけでございますので、そういう点でも非常にプラスになるのではないかと、またそういうことに、市町村長としては、お医者さん不足の問題、どこも苦労していますので期待をしております。これが都道府県に対する期待でございます。  それから、健康づくりの点ですが、坂本先生も御指摘のとおりで、どうやって必要な方を探すか、これが一番健康づくりで難しいんですね。どうしても市町村が行う事業というのは、健康づくりでも生涯学習でも、例えば青少年の健全育成でも、いろんな仕事をやりますと、関心もあってもうよく分かっておられる方はいつも様々なPR活動を始め啓発活動の現場にお越しになるんです。本当に必要とされる方はなかなかお越しにならない。したがって、健康づくりも全く同様の事例が発生をいたします。  したがって、私は、これちょっと冗談のようにお聞きかもしれませんけれども、例えばハイリスクの将来生活習慣病でいろんな医療費が掛かりそうな方というのは大体、例えば糖尿病を例に取りますと、この方はひょっとすると、空腹時だろうといつだろうと、常時の血糖値高いんじゃないかなと思ったら、いろんな健康づくりや、健康づくりというところだけじゃなくて、いろんなイベントのときに、最近は簡易な血糖値測定のキットみたいなものもありますから、そういったものを地元の医師会の先生方や様々な医療関係者とも協力をいただいて、その場でやっぱり御本人さんに、石を投げれば糖尿病予備軍は一杯おられるわけですから、いろんなイベントの際に、吸血鬼じゃありませんけれども、その場で血を採ってちゃんと血糖値を御本人に示せば、相当ハイリスクな人というのは探し出せるわけですね。それはもちろん被用者保険の方もおいでになるでしょうし、国保の方もおいでになるんでしょうけれども、その辺は連携密にして適切に健康づくりのプログラムに入っていけるようなお誘いをする、逆にこちらからいうと介入していくということが必要ではないか。だから、いろんな機会をとらえましてハイリスクの人を探していくというのを、かなりこれを戦略的にというか集中的にやりますと相当なハイリスクを発見は可能だと思います。それでもいろんなところへ出てこられない方はたくさんおいでになりますので、何といっても健診の率を高めていくというのを、相当これを頑張ってこれからやる必要があるんじゃないかなと、こういうふうに思っております。  以上でございます。
  18. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ありがとうございます。  それでは、次に柳澤参考人にお伺いをいたします。  参考人から提出していただいた資料の二ページ目を拝見いたしましても、子供と保護者側の要因というのがございまして、この小児科医、特に病院の小児科医が大変な激務でいらっしゃるというのは、こういう保護者側の要因を解決するということも大変大事なことだろうと思いますが、この問題の解決について有効な手だてとしてどのようなものがあるか、御教示いただければと思います。
  19. 柳澤正義

    参考人柳澤正義君) 今御指摘のとおりだと思います。子供と保護者、特にお父さん、お母さん方に対して、子供の病気の症状とそれに対する初期のといいますか、家庭でできる手当て、そういったことを教育、啓発するということは非常に重要だというふうに考えております。小児救急の体制全体の中でもそういった取組というのは非常に重要だと思いますし、そして、今もう既に各地で実際に行われておりますけれども、受診する前に電話で相談するというふうな仕組みといいますか、その地域地域におけるシステムというものもこういった観点で有効に働くだろうというふうに考えております。
  20. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ありがとうございます。  重ねて柳澤参考人にお伺いしたいんですが、その二ページ目の上の箱に産科医の不足はより深刻というのがございました。産科医の場合には絶対数がもう不足していて、どの地域でも本当に産婦人科の科目が閉鎖になるというようなことが起こっておりますが、こういう産科医になりたいという人たちが減ってしまっているというのは、いろいろ訴訟で訴えられているとか様々ありますが、こういうことを解決するための手だてというもので何かいいお知恵がありましたらコメントいただきたいと思います。
  21. 柳澤正義

    参考人柳澤正義君) 今おっしゃったことも全くそのとおりで、数の不足という点では小児科以上に深刻な状況があります。それを一朝一夕にまた増やしていくということもまた非常に困難だとは思いますけれども、その手だてとして集約化というふうなことが避けられないというのは広く認識されていることですが、やはり産科医、特にお産を扱う医師になり手がなくなってくるということに関しては、分娩周辺期あるいは周産期における訴訟の多さということが大きく影響しているというふうに言われております。実際そのとおりだと思います。  ですから、そういう点が、先ほどの小松参考人意見陳述とも関係しますけれども、そこですぐに訴訟になる、一定の割合で例えば後に脳性麻痺のような状態に至る赤ちゃんが生まれるということは現実の問題としてありますので、また避け得ないということもありますので、そういった事例が起こった場合には無過失で補償すると。訴訟によらない補償制度といいますか、ADRというふうな訳語も使われていますけれども、そういう仕組みを早急につくっていくということも重要ではないかなというふうに思っています。
  22. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ありがとうございます。  続きまして、小島参考人にお伺いいたします。  一つは、高齢者の窓口負担の引上げについての御意見がございました。  確かに現行よりは自己負担が多くなりますが、日本で言われておりますのは、社会保障について、高齢者に対する給付に比べて子供たちについて非常に薄いものになっていると。例えば医療についても、現在までのところは三歳までが自己負担二割ということでありまして、そういう意味では子供たちというのは所得が全くない世代でありますし、特に小さいうちは若い人たちの給与も低いということからすると、そういう一定の限られた財源の中でどうバランスを取っていくかということがあると思います。  この点について、特に少子化の問題が強く言われている状況の中で、どうお考えなのかということをお伺いしたいと思います。
  23. 小島茂

    参考人小島茂君) 簡単に申し上げます。  確かに、今回の老人保健制度見直しの中で高齢者の窓口自己負担を増やすということになっております。それは、先ほど意見を述べましたように、様々な形で、税制あるいは社会保険介護保険医療保険の引上げ等が行われている中で更にということでありますので、そこはもう少し慎重に検討すべきだという意見を述べましたけれども、今御指摘されたように、社会保障全体の中で高齢者に対する予算配分と、子供、家庭に対する予算配分では相当バランスが良くない、アンバランスだという御指摘はされておりますけれども、その際に、だからといって、じゃ、高齢者に対する給付を削って子供、次世代支援の方に配分するというストレートな形で見直すということではなくて、高齢者においてもやはり所得、資産における格差が極めて大きいという、これは政府も認めているところでありますので、ここは社会保険保険料あるいは自己負担というだけではなく、もう少し広い枠で税財政全体の中でバランスを図るということが必要だろうと思います。  例えば、税制でいえば、年金課税の見直しも行われてきましたけれども、資産課税の見直し、例えば相続税の問題とか、そういうことも含めて、税制、社会保険あるいは社会保険料、そして財政全体の中でバランスを図るということが必要になってくるというふうに思っております。その中での調整ということは当然必要だというふうに思っております。  今回、直接的に高齢者の自己負担を増やしてその分を子供対策の方に回すということだけではないだろうというふうに思っております。
  24. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 重ねて小島参考人に伺いますが、医師に限らず、看護師等も含めて医療従事者が大変不足している現場が多くなっておりますが、この原因についてはどうお考えでしょうか。
  25. 小島茂

    参考人小島茂君) 確かに、医療現場、私どもの組合の関係でも医療従事者がたくさんおります。その中でも、特に救急あるいは急性期医療の現場では、医師不足あるいは医療従事者の不足ということが指摘をされております。  本来、そういうところを、どう医師を確保するか、あるいは医療従事者をどう確保するかということが課題でありますけれども、今回、診療報酬改定の中では、多少なりとも救急あるいは急性期の方に手厚くという配分見直しをやったところであります。  そういう意味で、医療全体というよりは、医療提供体制の全体の見直し、今回の政府見直しの基本的な考え方についても、医療機関の役割の分担の明確化と連携ということが指摘をされておりますが、そういう中で、長期入院と言われる問題を是正していくというような形を通じて、やはり限られた資源の中を適正に配分をしていくという、そういう観点からも見直しが必要だろうというふうに思っております。  やはり、医師は本当に今、地域の偏在が起こっているというのは確かであります。そこをどう手当てするか。これは診療報酬だけでは解決できないというふうに思っておりますし、ただ単に医療費総額を増やせばいいという話ではないと思います。そこは、逆に医療費の総額を減らせばいい、あるいは増やせばいいという総枠だけの議論ではなくて、医療の中身、質をどう担保するかと、そこの見直しがまず基本だろう。その結果、必要な費用については国民として、我々としてもそれを認めていく、あるいは拠出をしていくということ、そういう納得性の問題があると思います。  今、国民医療に対する、あるいは医療制度に対して不安あるいは不満を持っている、ここの解消。それはやっぱり、医療の質をどう確保するかということになってくるんだと、あるいは医療情報を国民にいかにそれを提供していくかということになってくる、そういう中での問題解決しかないんだろうというふうに思っております。
  26. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ありがとうございます。  最初に申し上げた高齢者の一部自己負担の引上げ等につきましても、負担できる範囲内で、全体の医療費の抑制が必要な中で適正な御負担お願いしているということであろうかと思いますので、限られた財源の中でより質の高い医療提供され、これからも私たちが世界に誇る国民保険を維持できることになるように、国会の場においても努めてまいりたいと思います。  どうもありがとうございます。
  27. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。  参考人皆様方におかれましては、本日御参加をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。二十分と限られておりますので、全員の方々に御質問をさせていただきたいところでございますけれども、結果として皆様方に質問させていただけないことになるかもしれませんが、その節には御容赦いただきたいと存じます。  まず、河内参考人に御質問をさせていただきたいと存じます。  既に、御本人からもおっしゃったところでございますけれども、今般の改正案の一つの大きなポイントは、都道府県単位を軸とした医療制度医療保険制度推進していこうということにあろうかと思うわけでございます。釈迦に説法になるかもしれませんけれども、今度の医療費適正化計画、また政管健保都道府県単位運営後期高齢者における広域連合都道府県レベルの、単位広域連合による運営、また医療対策協議会、こういったことが打ち出されているわけでございますけれども、私自身は医療こそ地方分権が担うべきだという思いがありますし、医療地域に根差すものだというふうに私は思っておりますので、そういった方向性自体は、まあいろいろ議論はあるんですけど、方向性自体は私自身は反対ではないんでございます。  今日も、もっと知事に関与してもらいたいとか、本気になればもっと工夫できるというふうなお話がございましたし、都道府県に対する期待ということをおっしゃったわけでございますけれども、そもそも医療地方分権というものをどう考えるかということでございます。地方医療にどうかかわるべきか、こういったことについて基本的な御認識をお伺いしたいと思います。
  28. 河内山哲朗

    参考人河内山哲朗君) どの程度の範囲が適当かということであれば、今現実にある自治体の範囲でいうと都道府県単位がいいのだろうと、私は医療保険単位としては思っていますが。  どういう主体がどういう問題にかかわるべきかと。先生も多分同じようなお考えをお持ちだと思いますが、対人的サービス、非常に、一人一人をマスで見るんじゃなくて、粒々で扱うと言ったら失礼な言い方ですね、粒々の個人として対人的なサービスを行うには、これは基礎的な自治体が非常に適切であろうと。基礎的な自治体でも、合併が進みましたので大き過ぎるかもしれません。  ただ、一方で、医療保険制度運営をするとか、全体の中で医療提供体制に過不足を生じさせないようにバランスを取って、お医者さんの配置だとか病院の配置だとか、そういうものをしていくと。これはもう基礎的な自治体の能力を超えているというふうに思います。  したがって、分権と医療ということでいいますと、私は保険運営は、たまたま今都道府県単位を軸としてということになっていますが、全国一本でも保険運営は大き過ぎるということはないと。これは全国市長会、従来からあらゆる制度というものを一本化、一元化すべきだということを言っていますけれども、それは保険運営については余り分権的に考えない方がいいのではないか。それは、リスクを分散させていろんなことが起こったときになるべく、分母、分子というのは別のことで今話題になっていますが、分母を大きくするというのはやっぱり非常に保険の安定運営のためには大事ですから、分権と医療ということからすると、私は保険はもっと広くてもいいのではないかと思っております。  ただ、医療提供体制をどういうふうにするか、先ほどから小児科の先生の問題とか産婦人科の先生の問題、偏在があります。そういったものをうまく調整するというのでは、これは国全体で調整したのではちょっと市民の感覚からずれますので、これはもう都道府県単位ぐらいがやっぱり非常にいいのではないかと。  したがって、分権ということでいうとそういうもの、それぞれの対人的なサービスをどうするか、これは基礎的な自治体でしょう。それより少し大きな範囲でやるべきことというのは、今申し上げたようなことは都道府県の仕事としてやった方が市民や県民のためにはなるのではないか、そういうふうに考えております。  以上でございます。
  29. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 失礼しました。当面は都道府県単位での国保の一元化、そして、そういう将来の姿として国保全国単位の一元化と、こういうことでございますね。
  30. 河内山哲朗

    参考人河内山哲朗君) そうでございます。
  31. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 ありがとうございました。  では次に、小島参考人にお伺いさせていただきたいと思います。  先ほども御言及があったと思いますけれども、今回の医療制度改革の最大の課題は、高齢者医療制度であると思うわけでございます。今度の政府案は言わば独立方式に該当するというふうに思うわけですけれども、先ほど参考人は引き続きの検討もあってしかるべしと、このような御見解を示されたと思うんですけれども、連合としてはこの高齢者医療制度の基本的な仕組みといいますか、制度設計においてどのような案を検討され、提案されているのか、御説明いただきたいと思います。
  32. 小島茂

    参考人小島茂君) 先ほども、連合としましては従来から主張しております高齢者、新たな高齢者医療につきましては、いわゆる突き抜け方式という言い方をされておりますけれども、サラリーマン、雇用労働者が退職した後も引き続き被用者グループで支えていく、そういう仕組みをつくるべきだという考え方であります  詳しくは、概要が、今日お配りしておりますこの社会保障ビジョンの十九ページの上の方に連合の考え方がイメージ図という形で出ております。問題は、今高齢者医療制度、これは従来からずっと抜本改革の最大の柱ということでありましたけれども、今サラリーマンが退職をすると被用者健保から実質的に地域国民健康保険に移るということで、高齢者が国保の方に多くなってきているというのが最大の要因だというふうに思っております。  そのために、やはり先ほども指摘されていますけれども、国民健康保険は最後の国民保険制度のとりでということでありますので、国保財政運営あるいは基盤を強化するということは、私どもにとりましても重要なテーマというふうに思っております。  そのために、被用者グループについては、高齢者を退職したからといってすぐ市町村に送り出してしまうというんではなくて、生涯被用者グループで支えるという考え方を取っております。やはり、現役時代から定年退職した後も引き続き生涯を通じた健康づくり、あるいは予防対策ということをきちっとやっていくというそういう仕組みが必要だということで提案をしているところであります。  この十九ページ、あるいは現行制度も、退職した後現在は国保に加入されている方は退職者医療制度ということで給付を受けておりますけれども、この退職者医療制度、これは退職者の保険料が三割と被用者グループからの拠出金が七割、これによって賄われているということになりますので、これは実質的に今の退職者医療制度というのは被保険者、被用者グループそのものだというふうに思っております。  そういう意味で、国保に移るんではなくて、引き続き被用者グループで支えると、そういう仕組みを提案しているというのがこの連合が主張しております退職者健康保険制度という考え方であります。  当然、高齢者自身の保険料につきましては、現役の場合には労使折半と言われますので、退職者についての保険料の半分は現役世代支援をするという形で考えております。国保と被用者グループとの言わば財政調整といいますか制度財政調整については、保険料ではなくて公費、税金で傾斜配分をやって財政調整をやる、そういう考え方を持っているということが連合の突き抜け方式という考え方であります。
  33. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 もう一点、基本的なことをお伺いしておきたいんですけれども、政府自身も医療保険制度の一元化というのは基本的な方針として持っているわけですけれども、この保険制度の一元化についての連合としての、小島参考人としての御見解をお示しいただきたいと思います。
  34. 小島茂

    参考人小島茂君) これも、昨年末の政府・与党の医療制度改革大綱の中には医療保険制度の一本化を目指すということが示されておりますけれども、その内容はどうなのかというのは分かりませんけれども、もし仮に医療保険制度の一本化をするとすれば、全国一本での制度地域保険国民健康保険と、それからサラリーマングループの被用者健保を統合するという考え方もあります。実際、じゃそうすると国が運営するのか、あるいは地域運営をするのかということになれば、やはり国一本という形についてはなかなかこれは大き過ぎて非効率な問題。だからこそ今回の政管健保公法人化、そして都道府県単位運営ということになったんだと思いますので、やはり一本化したとしても地域での一本化という形になるんだろうというふうに思いますけれども、そうしますと、サラリーマングループの保険料徴収の問題、言わばそれは保険料算定の基準になる所得捕捉を自営業者とサラリーマンが本当に一緒の基準で取れるかどうかという問題、それとサラリーマングループの事業主負担をどうするかという問題も大きな課題としてありますので、その辺も解決をしないと、この医療保険制度の一本化というのはなかなか難しいというふうに思っております。  連合は、基本的には当面地域保険とそれから被用者健保の二本立てを基本に整備をしていくという考えを取っております。お隣の韓国では、何年か前に自営業者地域保険とサラリーマングループの被用者健保の全国一本という、一本化をしたということになっておりますけれども、実際になかなか保険料徴収に伴う所得捕捉の格差の問題が解消できない、あるいは財政運営上様々な問題が起こっているということで、必ずしも一本化がスムーズに進んでいないという事実もあります。そういう韓国の事例なども十分ひとつ参考にすべきだというふうに思っております。  やはり、その前には、全国一本化をするというより、その前に、先ほど指摘されましたけれども、まず市町村国保の広域化、都道府県単位レベルでの広域化を目指すということと、それとその運営主体公法人化ということも含めて少し検討して、その実態を進めていくということが先ではないかというふうに思っております。  以上です。
  35. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 先ほども言及がありましたけど、高額療養費自己負担限度額等々の問題ですけれども、高額療養費制度が非常に計算方法が複雑だというふうな御指摘だったかと思うんですけれども、参考人としての高額療養費制度、また今回の改正についての御所見を伺いたいと思います。
  36. 小島茂

    参考人小島茂君) 先ほど、十分ちょっと意見を述べることができなかったんですけれども、そもそもこの高額療養費制度による自己負担限度額という制度は、今、医療保険制度の現役の場合は、健保本人については三割、あるいは家族も三割ということになりますので、その負担増、家計負担を軽減するという措置のために導入された制度であります。  しかし、二〇〇〇年の健保法の改正のときに、この定額、一か月上限を決めている定額の制度に加えて、医療費に連動する、一%という、プラスアルファといいますか、こちらの方が大きいんですけれども、この制度が入ったということによりまして医療費に連動する一%という、自己負担といいますか、これについては言わば天井がないという形になりますので、そういう意味ではこの高額療養費制度趣旨に反する措置ではないかというふうに思っております。  そういう意味では、連合は従来から、医療費に連動する一%についてはやめるべきだというふうに思っておりますし、それから、今回提案されている内容につきましても年齢によって相当細かく高額療養費の限度額が決められるという仕組みになっておりまして、今日お配りしております連合アンケート調査の中にも、この高額療養費制度についての認知度は、ある程度知っているけれども、なかなか使ってないという実態が出ております。なかなか個人ではこの制度を十分把握して利用するということになっておりませんので、もっとシンプルな形にして、できれば、各医療保険者が該当者に通知をしてその手続を簡素化するというような仕組みも併せて検討すべきじゃないかというふうに思っております。  以上でございます。
  37. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 もう一点、小島参考人にお伺いしたいと思いますが、療養病床再編についてですけれども、先ほど参考人は、入居者の処遇に十分配慮しつつ確実に実行するようにというふうな御趣旨だったと思うんですけれども、この点については、介護難民が出るのではないかという不安、あるいは医療関係者からする政府方針転換が急過ぎて病院経営に支障を来すといったような御意見、御不満も出ているわけでございますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。
  38. 小島茂

    参考人小島茂君) この点につきましても、先ほど、基本的には今の再編方向を進めるべきだというふうに思っております。  確かに、今御指摘されました入居者の問題、あるいは今の開設者が不安を抱いているということがあります。しかし、実態は、先ほども参考人、保団連会長さんの資料でも紹介されておりますけれども、医療経済研究機構の調査等を見ましても、必ずしも今の療養病床医療型、介護型に入所されている方に治療の必要度ということについてはそう高くはないという実態が出ております。  しかし、入居者、言わば、特に介護適用の療養施設については、介護適用、これはどちらかといえば介護適用でありますので生活の場という施設、そういう位置付けが必要だというふうに思っております。しかし、療養病床という形で医療施設がベースでありますので、必ずしもお風呂とか談話室といったようなところが十分に、生活の場としての施設が充実されていないということで、そういう中に入院されている方の生活の向上、質の向上といいますか、あるいは高齢者の尊厳を保持するということ、実態についてはそれに反するような状態の中で入居されているんではないかというふうに思いますので、やはり高齢者の状態にふさわしい施設に転換していくということがまず必要ではないかというふうに思っております。そのために、入居者が、ちまたで言われているような追い出しとかいったようなことが起こらないような措置は十分にこれは必要だろうというふうに思います。  そういう観点からも、今回、療養病床再編に伴って各保険料からも療養病床の転換の支援金という形で出すということにもなっておりますので、それを有効に活用する、あるいは国の直接的な支援策ということも充実させるということが必要だというふうに思っております。  以上でございます。
  39. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 小島参考人に最後の御質問になると思いますけれども、意見陳述の中で、政管健保公法人化連合が提唱されている社会保障基金の考え方に沿ったものだというふうな御指摘があったと思うんですけれども、その連合提案をされているという社会保障基金、それについて簡潔に御説明いただきたいと思います。
  40. 小島茂

    参考人小島茂君) これにつきましては、今日配付しております、やはりこの社会保障ビジョンの中で、十四ページのところに、連合がこのビジョンの中で提唱しております社会保障基金という、そういう考え方を示しております。  これは、端的に言いますと、これからの社会保障制度につきましては、やはりその制度運営に対して国民なり保険料を拠出しているものが直接主体的にかかわっていく、その運営に直接かかわっていくということがあって初めて責任の分かち合い、あるいは透明性を高めていく、そういうことが必要になってくると思いますので、それはこれからの社会保障制度については不可欠な制度だというふうに思っております。  それを、具体的には連合のこの考え方は、雇用労働者などを対象としております社会保険あるいは労働保険運営政府から独立させて第三者機関、言わば公法人、そういう位置付けにして労使の代表によって管理運営をする、そういう仕組みを考えております。それを総称して社会保障基金というふうに呼んでおります。これはドイツの疾病金庫、日本の健保組合に当たるところでありますけれども、フランスではもっと徹底しておりまして、関係当事者の自主管理方式をベースにして全国の疾病金庫あるいは全国の老齢年金金庫、全国家族手当金庫といったようなものをつくっております。  そういうものを参考にして連合としてはこの構想を出したものです。日本でも東京大学の神野直彦先生などが提唱しております三つの政府論、すなわち中央政府地方政府、そしてもう一つ政府としての社会保障基金という、そういう位置付けをしておりますので、そういう位置付けで連合としては提唱しているということで、そういう考え方に沿って今回の政管健保公法人化が進んでいるというふうに我々は理解をしております。  一方、今衆議院の方に掛かっておりますけれども、新しいねんきん機構組織、ねんきん事業機構法案、これについても、今の法案の中では必ずしも連合が提唱するものについては不十分ということでありますので、やはりそこは被用者あるいは労使代表が直接参加をしてガバナンスを確立する、そういう観点からの見直しが必要じゃないかというふうに思っております。  以上でございます。
  41. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 以上で終わります。ありがとうございました。
  42. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  参考人方々から貴重な御意見いただきまして、ありがとうございます。時間の関係皆様にお聞きすることができないかもしれませんが、その点は御容赦いただきたいと思います。  まず、河内参考人にお伺いをしたいんですが、先ほども市町村国保の場合は被保険者五〇%が無職とか高齢者の方で大変困っているというようなお話ございました。平成十五年度の市町村国保の赤字保険者数を見ますと七二・八%が赤字だというようなことで、大変そういう財政的な面で持続可能な保険制度医療保険制度をつくっていくということが本当に喫緊の課題であると、そのように思っておりますが、今連合さんの方からは突き抜け方式の形でやったらいいんではないかというようなお話もございました。  市町村国保方々保険者の方の御意見としましては、今回提案されているような後期高齢者独立保険制度をつくっていったらいいのか、それとも突き抜け方式みたいな形の方がいいのか、御意見はどんな具合でしょうか。
  43. 河内山哲朗

    参考人河内山哲朗君) 先ほど少し申し上げましたが、私ども市町村長保険運営するという責任を今は制度的に負っていますが、本当にこれは難しいんですね。  保険者として考えれば、なるべく医療費は掛からない方がいい、お医者さんには行ってほしくない。それから、一方で低所得者の方々も含めて保険料というのを徴収をしなきゃならない。これはなかなかつらいものがありまして、被保険者である国保の、いわゆる被保険者方々はもっと制度は充実した方がいい、保険料は少ない方がいい。これはもう市議会でいつも議員さんからも御指摘を受けているんですね。したがって、保険運営というのは、やはりもう少し広めがいいだろうと。広めがいいというのは、先ほど言いましたように、全国一本というのは広過ぎるという話もありますけれども、それがいいだろうと思うんです。  後期高齢者についても全く事情は同じでございまして、我々は地道に保険料の徴収であるとかだれが被保険者でありますよという適用、この仕事は一生懸命、これは現場に一番近いわけですから我々市町村がやりますが、保険運営ということからすれば、なるべく制度関係なく全国一律の制度の方が望ましいと。そういう意味では、今回の後期高齢者医療制度というのは、今までにない、年齢だけに着目をした、被用者保険でもなければ地域保険でも、まあ結果的には地域保険ということになるかもしれませんが、被用者保険地域保険という別なくすべての方を対象とするという制度でございますから、従来からその方が望ましいという、一本化、一元化、それに向かっての、一里塚という表現が正しいかどうか分かりませんが、そちらの方向にあるというふうに思っておりますので、そういう意味では、その点についていいのではないかという評価をしていると、こういうことでございます。
  44. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほど健康づくり、住民の方々健康づくりが大事だというお話がございました。また、個人情報の件もございました。今、がん対策とか、あるいは脳卒中とか心臓病等、一番、上位三死因のわけですけれども、特にがん対策なんかの場合には、やっぱり我が地域ではどういうがんが増えているのか、地域というよりも、市町村単位よりももっと大きい単位で調査等しなきゃならないのではないかと思っているんですが、なかなか個人情報を把握するというのは非常に難しいんですが、河内参考人の場合は、こういう個人情報を公益的に使っていくと、それでプライバシーにもなるべく触れないような形でやっていくというような場合は、そういう法律的な裏付けというものがやっぱり必要だというふうな先ほどお話もございましたが、何かその点で提案みたいなのはございますでしょうか。
  45. 河内山哲朗

    参考人河内山哲朗君) 個人情報保護という、価値というのは、確かに非常に大事な話、権利であり、また、我々行政機関としては特に配慮しなきゃいけない、あるいは注意をしなければならない事項だと思っております。  それで、個人情報とほかのものを、ほかの価値というものを時々比べる必要が出てくることがあります。例えば、具体的に言いますと、災害のときに、災害弱者というのは、どの地域の中でどのお宅にどういう災害弱者がおいでになるのか、これを把握をすることは災害の災いを減らす減災の意味では非常に重要なんですが、今、私ども地方自治体でも防災対策を行うのに、自治会長さんや役所も、それから民生児童委員も含めまして、個人情報の扱いというのは非常にいつも苦慮しているわけですね。したがって、個人情報を保護するというその価値もあります。それから、人命を保護するという、そういう価値もあります。時として、どちらが大事かといって、冷静に考えれば人命の方が大事なことははっきりしているんですが、そこに至るまでに個人情報というバリアがありまして、なかなか施策を展開するのが難しい面がございます。  そういう意味では、一つには法律的な裏付けを持つということが大事でございますし、それ以前にといいますか、それと同時に、個人情報にかかわりまして昨今のやっぱりちょっと過剰反応みたいなのもありますんで、国民的なコンセンサスといいますか、個人情報という価値と別の○○という価値と両方本当はぶつかる場合があるときには、みんなのやっぱり理解と納得によってこういうふうな取扱いをしようではないかというコンセンサスを得ることが地方自治体のような現場ではやっぱり大事だと思います。  分かりやすく今の例で申し上げますと、これから健康づくりをやっていく上で、やはりみんながそれは大事だなと、こう思っていただくことが非常に大事だと。加えて、やはりそれは法律的なというかルール的には、こうこうこういう理由によって個人情報というものを保護しつつ、こういう扱いができるんだということが明確化されていると我々としては仕事がやりやすいと、こういうふうに思っております。
  46. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 もう一つ河内参考人にお伺いしたいんですが、先ほど、健康づくりに何か今以上に財政的支援があればもっと医療保険を使わずに済むのではないか、あるいは住民も健康、長寿を全うできるんではないかみたいな、そのような御意見がございましたが、例えばどういう形でそういう健康づくりに対する財政支援というのがあればよろしいんでしょうか。
  47. 河内山哲朗

    参考人河内山哲朗君) 一つには、保険者である、例えば市町村国保保険者でございますが、その背中を押すという意味でいいますと、健康づくりやるのに、非常に、ある意味では初期投資みたいな、そう大きな額じゃありません。先ほど申し上げた具体的な事例で、例えば徹底して糖尿病対策をやってみよう、あるいは糖尿病が重症化しないような対策を講じてみよう、そういったときに、現場の保健師さんだけではなくて、いろんな人が、それでは自ら血糖値を測ってみようという、そういう例えば取組をやってみましょうと。そうしますと、簡単な採血ができて、十五秒ぐらいで血糖値が出てくるような器材がありますね。ああいったものをもう少し、今かなりの値段がいたしますが、ああいうものを全国的普及を図るということであれば、単価下がってまいります。  そういったものを全国的にやってみようではないかというようなことに対して財政的な応援をするという方法も一つですが、これは国を挙げて、国民病的になっているわけですから、そういったものの対策に必要な器材というもののコストを下げるための全国的な努力をしてみましょうと、こんなことを例えば国を挙げてやっていただくと随分と進むんではないかなと、そういうふうな思いがございます。
  48. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 私も前、国保の方で、温泉を使った健康づくりで引きこもりをなくして、高齢者の方々が温泉だといらっしゃると、そこで健康教育をしたり、いろんなお話をしていくと、生きる、何といいますか、喜びとか、もっと健康で生きていこうというような意欲が出てくるというようなことも影響して、健康づくりには役立つみたいなお話を聞いたことがありますんで、そういういろんな地域の資源を活用した健康づくりというのは非常に大事だなというふうに考えております。  次に、柳澤参考人の方にお伺いしたいんですが、先ほどもお話がございました合計特殊出生率が二〇〇五年度一・二五に下がってしまったというようなこともございます。国民の皆さんの、いろんな小児医療等、周産期医療等に携わってまいりましたが、そういうお産に対する不安とか子育てに対する不安というのは、やはりかなり今強くなっているんでしょうか。現場の御意見はいかがでしょうか。
  49. 柳澤正義

    参考人柳澤正義君) 今の少子化の進行に関して、合計特殊出生率が昨年度一・二五ということにも表れていますけれども、その要因としては、若い人たちの、まあ何といいますか、未婚率が高くなっているということが従来言われていた一番大きな原因であったわけですが、近年はそれに加えて、結婚をしても子供を持とうとしないカップルが増えているという、その要素も加わっているというふうに言われております。  そういうことで、若い方々に結婚を勧めるということも、もちろんそれも一つの重要なことですが、結婚している方々に、妊娠して、分娩、出産して、その後、育児にも十分御夫婦で取り組めるといいますか、楽しく育児ができるような体制をつくると。それには財政的な支援も必要ですし、そしてまた、まあ何といいますか、財政面だけではなくて、様々な支援というものが、保健、福祉の面での支援というものが欠かせませんし、そういうことによって欧米の一部の国では出生率が回復している国もあるというふうなこともありますし、国内でもそういった自治体があるということも聞いておりますので、非常にこれから、どんどん赤ちゃんが増えていくということは難しいにしても、これ以上どんどん下がっていくということを防ぐ上での対策というのは、できる限り、考え得る限り、様々なことをしていかなければいけないと、していってほしいというふうに私は考えております。
  50. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 前もっていただいた、柳澤参考人にもう一度、別な質問をしたいと思うんですけれども、いただいた参考資料等見てみますと、周産期ネットワークの未整備県がまだまだあると、超未熟児といいますか低体重児等でやっぱり大変苦労したというようなお話が恐らく若いそういう女性の方々にあれば、やっぱりお産というのは大変だなというような思いもされると思うんですね。また、残念ながらお亡くなりになってしまえば、やはり心の傷といいますか、そういうものを残してしまうということで、そういう子供さんを産み育てるということが、いろんな努力をすれば本当に、どういう障害があったり未熟児であってもちゃんと個人として成人されて社会で活躍できるんだと、そういう安心感があれば、やっぱり子供をもう一人産みたいとか産んでみたいというようなことが起こるんじゃないかと思うんですが、そういう周産期ネットワーク未整備県をどう解消していったらいいか、その点で何か御意見ございましたらばお伺いをしたいと思います。
  51. 柳澤正義

    参考人柳澤正義君) 周産期医療ネットワークに関しては、私の記憶も確実ではございませんけど、平成八年にそういった制度が行政施策として行われて、都道府県でネットワーク、総合周産期母子医療センター、それから地域周産期母子医療センターを持ったその周産期ネットワークを整備した県が次第に増えてきているという状況は確かにあると思いますが、昨年、私が担当した健やか親子21の中間評価の中でも、四十七都道府県の中で、昨年度のまとめで二十九の都道府県でしかまだ整備されていないということでありました。逆に言えば、残りの県で早急に整備されなければならないと思いますが、その際に、やはり一番現在問題になっているのは、例えば総合周産期母子医療センターを設置しようとしても、産科医がその施設として必要なだけ確保できないと、それからまた、総合周産期母子医療センターですと大きなNICUがその中になければならないわけですが、NICUを支える新生児科医も確保できないと、そういったことが非常に大きな隘路になっているんではないかなというふうに考えられます。  ですから、やはり県として様々な手だてということをしていただかなければいけませんけれども、やはりその根底に人的な資源の確保ということが一番重要ではないかなというふうに思っています。
  52. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今、小児救急等、なかなか人手不足というようなことで大変だと、小児科医療に携わる方々も過重労働で、やはり集約化の流れというのは是非とも必要だと。今の地域でも、小児科のドクターの場合は集約化をしながら地域の小児科救急医療等にしっかり頑張っていこうという流れにあります。  ただ、その過程の中で、今まで小児科をやっていた病院等が集約化のために医師不足になってしまうというようなこともあって、どういう経過処置をとっていったらいいのか、また小児科医等、産科も含めまして、どのようにそういう科を選んでいただけるのか、今臨床研修制度、二年目終わっているわけですが、何かそういう点で、こういうふうに改善していったらば、よりそういうところに参入していただく医師が増えてくるのではないかとか、何か御意見がございましたらお伺いをしたいと思います。
  53. 柳澤正義

    参考人柳澤正義君) 今お尋ねの件に関しては、二つ問題があったと思います。  一つは、集約化というふうな過程において、地域医療機関といいますか病院、それまでずっと非常に少ない陣容で頑張ってきた病院が、そういった集約化に伴って更に縮小せざるを得ない、そういう病院というのは確かに出てくるわけで、それをどのように進めていくかと。それについてはこうすればいいというふうな決まった方式が、もちろん提案することは非常に難しいわけで、やはりその地域の住民の方々と行政、住民、また医療提供者側、そういった場での協議、それを県あるいはさらには国といったところからの強力な指導といいますか、支援によってその協議を進めていくというふうなことがやはり必要ではないかなというふうに私は個人的には思っております。  そして、あともう一つ後半の、若い人たちがそういった小児科医療とかあるいは産科医療に参加していくと、加わっていくということも、これまた非常に重要であって、これこそむしろ数を増やしていく。今後十年後、二十年後に向けて非常に重要なことになろうかと思いますけれども、それはやはり卒前教育の中での小児医療、特に小児の救急医療ですとかそういった教育を充実していくということとともに、卒後新医師臨床研修については、この二年間それが実際に行われて、今年の春にその二年間の最初の研修を終わった人たちが専門研修に進んでいるわけですが、その二年間の初期、新医師臨床研修をやったことによって小児科医あるいは産科医の志望者が減ったのかどうかということに関してはちょっといろいろ議論があります。  従来の医育制度といいますか、医師の研修の中心を担ってきた大学の医局から見ると大幅に減ったと、非常にゆゆしき事態だという見解が非常に強いんですが、だから新医師臨床研修制度自体をまた見直さなければいけないというふうなところまで話が出ていますけれども、その一方で、新医師臨床研修、二年間の卒後研修をやった大学病院以外の病院で、あるいはまた大学から離れたところで小児科医なりまた産科医を目指そうという人たちも、これも大幅に増えていますので、総体として小児科医が本当に今この研修制度の変更によって減ったかどうかというふうなことに関してはまだ明確になっていないというふうに私は思いますし、私の個人的な印象としては決して減ってはいないというふうに思っています。
  54. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ありがとうございました。
  55. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  今日はありがとうございました。時間の関係で全員に質問できないかもしれませんが、御容赦ください。  住江参考人にお伺いをしたいんですけれども、後期高齢者医療制度の問題で、これが、一つは高齢者に保険料を取るということと、現役世代は別建てで自分たちの保険料と高齢者向け保険料ということが峻別されて取られるようになる。このことによって、やはり介護保険で既にやられているような後期高齢者の給付抑制が、診療報酬体系も変えると言っているわけですから、かなりドラスチックに進むのではないか。既にもう自民党の丹羽雄哉氏などからは包括化なんだという話も出ています。この後期高齢者医療制度高齢者医療の中身にどんな影響を与えることを危惧されるか、お聞かせ願いたいと思うんですが。
  56. 住江憲勇

    参考人住江憲勇君) その危惧ということですけれども、まずもって最後の、冒頭説明させていただきましたように、財源的な問題でいえば十分財源はあるわけですから、何らそういうところに新たに新高齢者医療保険制度という、そういう枠組みをつくることは全くもって必要ないと考えておりますけれども。  まず、やはり後期高齢者専用の診療報酬という持っていき方にされるという、また現実的に特定健診・保健指導の対象から外されると、そういう問題点がございますから、当然別建て、そしてまた内容もそれ以前の年齢層に対する医療と異なることがもくろまれていることはもう明々白々でございます。  説明のときにも言いましたように、そういう中に何も、七十五歳以降ではない、六十五歳から七十四歳の障害者認定一級から三級受けた方々をほうり込むこと自体が全くもって問題点だと思っております。
  57. 小池晃

    ○小池晃君 それから、今回の法案保険外併用療養費というのがこれは法律に明記される、評価療養、選定療養という形で再構成されていくわけですが、このことによってどういう御心配をお持ちか、お話しいただければと思うんですが。
  58. 住江憲勇

    参考人住江憲勇君) まずもって混合診療の問題ですけれども、評価が定まり、安全、安心医療技術なら、国民万人が享受できるようにすることこそ、医師、科学者としての倫理綱領であると考えております。時の国家権力によってこの倫理綱領がどれだけゆがめられたか、私どもは七三一部隊問題のように、痛苦の反省を医師、科学者が持っているということを言いたいと思っております。  先ほどの混合診療の弊害ですけれども、やはり経済的負担の差によって医療選択の幅が限られるという、そういうところにとっては本当に危惧を感じております。
  59. 小池晃

    ○小池晃君 それから、この保険外併用療養費、混合診療の問題にしても、営利企業による、民間企業による病院経営の問題などにしても、かなりアメリカからそういう要求が来ているというのは、これ事実としてはっきりあると思うんですね。日米投資イニシアチブとか、あるいは在日米商工会議所などの年次報告などもそうですし、年次改革要望書もちろんそうですが、そういう背景についてはどのように見ていらっしゃるか、お聞かせください。
  60. 住江憲勇

    参考人住江憲勇君) おっしゃるとおりでございまして、年次改革要望書、そういうところにも、もう日本国民のあらゆる生活の部面においてアメリカ政府、アメリカ大資本の要求が網羅されております。  例えば医薬品、これについては、医薬品審査の問題については日本独自の自主的、主体的な薬事審査、すなわち日本国民を薬害から守り、そして化学物質からの汚染を守るという、そういう主体的な薬事審査があってしかるべきなのに、その年次改革要望書では、アメリカが、アメリカ政府なりアメリカの資本が革新せいと言えば、もうそういう日本独自の主体的な薬事審査を吹っ飛ばしてしまって、アメリカ言いなりの薬を導入すべし、そういうところを見ますと、本当に日本国民の命、健康がアメリカの在庫処理場にされる、実験場にされる、そういう危惧を抱かざるを得ないと思っております。  そしてまた、混合診療のもくろみというんですか、背景として、拡大した公的医療保険自己負担部分とか、そして混合診療部分に対する民間医療保険の巨大なやっぱり市場拡大にされること、そして医療への営利参入、おっしゃったように公的保険で最低限やはり収入は確保して、更にもうけを得るために混合診療という、何か本当にベースは公的医療保険での収入を確保してという、そういう二重、三重のやっぱりもうけのパターンと言わざるを得ないと。  また、やはりその公的医療費を抑制することでもって、我が国のやっぱり大企業というのは従業員などの保険料負担も大幅に削減する、やっぱりそういう効果もねらわれていると感じております。
  61. 小池晃

    ○小池晃君 特定健診制度についてお伺いしたいんですが、これで市町村の健診事業に対する責任が後退するおそれもあるし、保険者に健診を義務化していくということがどういう問題点があるか、その辺についてお聞かせ願えますか。
  62. 住江憲勇

    参考人住江憲勇君) もとより健診や健康づくり機会を保障することは大事でございますし、必要な予算の確保ということは十分論議していただき、確保していただきたいと思います。  この医療費適正化、そしてまた予防重視ということでもって生活習慣病対策と言われているんですけれども、その生活習慣病に陥った患者さんにとっては、これは本当に、労働条件を背景にしたものでございまして、とりわけ生活、今本当に生活に厳しい方が、社会的固定費と言われるそういう部分が高過ぎて、それを辛うじて捻出するために食料費すら削っているという現実がございます。  ですから、そういう貧困対策ということこそが真っ先に取られるべきであって、そういうことに波及する健康管理番号というような一元的健康管理体制のそういうことももくろまれているやにも思いますけれども、まずもって、そんな管理体制をすることよりも、やはり社会保障、貧困対策、そういうところが真っ先に取られるべきであり、また、後期高齢者広域連合とか政管健保、組合健保、市町村国保都道府県単位再編成するということも、これは結局は特定保険料、特例診療報酬の下で地域格差をやはり是認する、そういうもくろみと受け取らざるを得ない問題だと思っております。  以上でございます。
  63. 小池晃

    ○小池晃君 ありがとうございました。  続いて小松参考人にお伺いをしたいんですけれども、参考人の先ほどの主張の冒頭でおっしゃられたように、日本医療というのは二つの強い圧力にさらされていて、一つ医療費抑制で、一つは安全要求だと。  その医療費の抑制ということでいうと、今回、老人保健法という法律の目的が、名前が高齢者医療確保法と変わって、目的にわざわざ医療費適正化ということが盛り込まれてくるんですね。適正化の名の下に実際は抑制だと思うんです。これが在院日数の削減という話もあるし、後期高齢者は今議論あったように一層全体として抑制の仕組みがつくられようとしているし、都道府県ごとに保険料を設定して、これも競争させると。医療費の抑制の大競争が高齢者の中でも、全国都道府県でも起こるような仕組みが今回の法案では盛り込まれているんですが、こういうやり方によって、小松参考人が危惧されているような日本医療現場の崩壊というか危機というか、これがどのように進むとお考えか、お聞かせ願いたいんですが。
  64. 小松秀樹

    参考人小松秀樹君) 私は保険については余りよく知らないんですけど、いずれにしても、日本では医療費が高いという前提なんですけれど、それで前提として抑えなければならない。だけれども、それなりのお金は掛かるわけで、日本よりずっと前に抑制を重ねてきていたイギリスは完全に崩壊いたしました。イギリスの医者は外国へ行っている。  今、日本の医者は非常にやる気がなくなっています。どういうふうになっているかというと、医療費の抑制もあるし、それとやっぱり患者さんとのあつれきなんですね。  実は、医師の不足は地方だけではありません。私どもの、私の実は科でも今三人欠員になっています。都内の産婦人科の、大きい病院の部長さんというのは私そんなたくさん知らないんですけど、私の知り合いが二人、定年を大分残して辞めました。一人はもうしばらく医者をやりたくないと言っていましたね。  それから、福島県で、福島県の大野病院の事件がある前に、福島県立医大の教授は私の同級生なんですけど、から昨年九月に聞いた話なんですけど、福島県の基幹病院の内科部長が四人ほど一遍に辞めてしまって、非常に困っていると言っていましたね。それから、つい最近聞いた話ですけれども、いわき市という三十五万人ぐらいの都市があります。そこには千床ぐらいの病院と、あと八百ちょっとあれですけど、大きい病院が二つあります。そこの二つの病院とも産科診療が近いうちになくなりそうだという話を聞きました。  これ、どこでもあるんですよ。外から見るよりはるかに大変な状況で、みんな辞めようとしている。それで、辞めた場合にはどうなるかというと、そのいわき市の大きい病院では、今、少し前まで部長さんをされていた方は実は産科を辞めて、ちっちゃい病院に移ったんですね。それで、そこで婦人科だけやっている。ちっちゃい病院に移る。それから、都内のある大病院の部長だった人も今辞めて、ちっちゃい診療所で働いています。で、ちっちゃい診療所に移る。それからあと、開業に移る。  それで、開業医さんってお金持ちのイメージがあるんですけど、今は多分物すごいつらいと思います。もうこれは嫌だと言って、この圧力と責任の、無限責任を問われるこの圧力に負けて、もうちょっと人間らしい生活したいと言って開業しているのが実情だと思うんですね。それで、病院診療からどんどん人がいなくなる。で、病院診療はどんどんどんどん忙しくなる。  人が少なくなり始めると、産婦人科医が五名いた草加市立病院は、いったん傾き始めたら半年ぐらいで全員いなくなっちゃいましたから。そういうことが今日本じゅうで、そこらじゅうで起きているということです。だから、病院診療が多分なくなるだろうというのが私の予想です。
  65. 小池晃

    ○小池晃君 ありがとうございました。  続いて柳澤参考人にお伺いしたいんですが、小児医療について大事なお話聞かせていただいたと思うんですが、乳幼児医療費の問題で、これ無料化する動きは全国すべての今自治体で行われていますが、非常にまちまちなんですね、隣の町行くと全然違うという実態があって。  私、やっぱり国の制度として、子育て支援ということも含めて、これはやるべきじゃないかと思っているんですが、参考人はどうお考えでしょう。
  66. 柳澤正義

    参考人柳澤正義君) 小児に対する医療費の給付をできるだけ充実してほしいというのは小児科医共通の願いだと思います。  その場合に、今おっしゃったように、現在の状況自治体によって非常に様々だということも事実としてあります。ですから、できるだけそれが、もちろん統一的であって、しかも広い年齢層、小児の広い年齢層にわたって自己負担をできるだけ少なくしてほしいということは、子育て支援という観点からも非常に望まれることだというふうに私は思っています。それが、三歳あるいは六歳である、あるいはまたさらには十二歳というふうな広い範囲であればあるほど私は望ましいと思っています。  それとともに、その給付に関しては、全額保険といいますか、公費で負担するというか、自己負担をゼロにするのがいいか、一割は小児、乳幼児医療についても負担を求めた方がいいかということに関しては、これはいろんな見方が実際あると思います。  私の個人的な意見としては、やはり自己負担をゼロにするというのは適切ではないというふうに考えています。ですから、この乳幼児の医療費に関して、自己負担を現状よりももっと下げていただきたい。保険による給付をアップしていただきたい。その際に、自己負担を例えば一〇%にして、小学校を卒業するまでにとか、そういうふうな方向に、これはまだ私の個人的な意見として、是非お考えいただきたいというふうに思っています。
  67. 小池晃

    ○小池晃君 ありがとうございました。  最後になるかと思うんですが、小島参考人にお伺いしたいんですけれども、高齢者医療負担増や居住費の徴収や高額療養費の引上げ反対という御意見をお聞きしているんですが、連合なんかの組合員であるとかあるいはOBの皆さんから、この問題ではどんな声が寄せられているか、ちょっと最後に御紹介いただければなというふうに思いますが、よろしくお願いします。
  68. 小島茂

    参考人小島茂君) 簡単にお答えします。  連合の現役組合員、あるいは連合、組合OBの退職者の皆さんもおります。特に、今回の高齢者医療制度見直しに伴って、高齢者に対する自己負担が相当大きなものが提案されてきておりますので、退職者の皆さんはこの問題については極めて危惧を持っているし、反対であるという意見が強く出されております。  現役の方については、直接今回のその負担増という面は、高額療養費のところが直接的な問題でありますけれども、中長期的に見ますと、保険料負担増になる支援金等に跳ね返ってくるわけですけれども、今回のところで、直接目に見える負担増というのは高齢者のところに限定されておりますから、中心になっているということがありますので、そこの多少現役と高齢者との退職者の温度差はありますけれども、やはり今回の高齢者医療制度、新たな独立の方式に伴う現役のこれからの長期的な負担増の問題、そして高齢者にとっては直接的な窓口負担あるいは部屋代、食事等の負担が出るということでありますので、そこは強い懸念を持っています。  連合としましても、やはり先ほど意見述べましたように、今、これまでに高齢者に対する税制も含めて負担増、定率減税もなくなるということになってしまいますので、その分、税負担あるいは医療保険、そして介護保険保険料、そして今回の窓口負担ということになりますので、相当これは大きな問題というふうに受け止めております。
  69. 小池晃

    ○小池晃君 ありがとうございました。  今日の御意見もしっかり踏まえて審議をさせていただきたいというふうに思っています。  ありがとうございました。
  70. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。本日は本当にどうもありがとうございます。  まず小松参考人にお聞きをいたします。  イギリスで医療費を増やしても医療が立ち直れていないとのことなんですが、その理由は何でしょうか。
  71. 小松秀樹

    参考人小松秀樹君) ランセットという非常に有名な医学雑誌がございます。これは、昨年のイギリスの五月の最初に総選挙がありまして、その直前の号で、表紙に、医師の士気の壊滅的崩壊と書いてある。すべての政党がこれに注目することができなかった、これを問題視できなかったと言っていますね。  ランセットは、実にイギリスでは政治家は医療を消費ととらえて、それで消費者中心の医療という、経済的な感じの物の見方を全政党がしていた。それで、消費者中心の医療だから、何でもかんでも要求しなさい、あなた方に何でも提供できますよというようなことを言ってきた。だけども、三十年弱ですけど、ずっと医療費を抑制し、それで供給が足りないから、患者からの暴力は年間十万人ぐらい受けている。そういうすさまじい中で、ちょっとぐらい支給を増やして、お金を増やしたからそれが元に戻るかというのが、昨年の二〇〇五年の四月三十日ぐらいのランセットに載っていました。それは、医療費を五年で五〇%増やすと宣言してから五年後なんですね。  それから、私はもう一つあると思っています。それは、イギリスで良質の医療医療保険提供されているということなんです。医療がもう完全に崩壊してしまっているんで、今、イギリスで全く私費の保険、私費の医療があります。NHSという国営の医療は全員がほとんどただで受けられるんですけれども、それに一切頼らないで、お金を出してやろうと。  私の知り合いにNHSで働いている麻酔科医がいるんですけれども、彼女は、この私費の保険はNHSの給料では買えないと言っていましたですね。日本の駐在員はみんなこの私費の保険を買ってると。私は、日本にこの民間による医療提供、民間保険での医療提供システムができて優秀な医師がそちらに流れると、現在の皆保険での医療は質が下がって元に戻れなくなるというふうに考えています。  私はよく医療制度知らないんですけれども、完全に自由診療の場合に制限するというのはちょっと難しいかもしれないと思っているんですね。  今の医療の、現在の医療環境と患者との関係、費用の掛け方だと、医師は開業の方に流れるし、看護師さんは一年たつと二〇%ぐらい辞めちゃうんですね。それで看護師にならない、ほかの職に就いていくと。これは止められないと思います。今、医療のいろんな制度の話していますけど、そんなのと関係なしに、もうみんなどんどん辞めちゃっているということなんですね。  それで、これは、だけど実際には医師や看護師の本意ではないと思うんですね。本格的な医療現場で働くのはやっぱりみんな好きなんです。  私は思うに、都会で大きな保険会社が民間の医療保険を売り出したら、私は成功すると思っています。大きな病院で出資して私費の診療にすると。看護師の配置を二倍にする、優秀な医師を雇い入れると。気持ち良く働けて良質な医療提供できるとなったら、給与はほんのちょっとだけ増やすぐらいでいいかもしれないし、あるいは、むちゃな勤務をなくしたら高い給与は不要かもしれません。  優秀な医師を集めるには病院の質を上げるのが最も重要で、外部委員会医療の質を判定して徹底した質の管理を行う。スウェーデンのような無過失補償制度も、もうそういう民間の保険でやってしまうと。ただ、現在の保険診療よりはるかに良質の医療提供するにしても、勤務医の収入がアメリカなんかに比べると、勤務医に関してです、特に大病院で働いている勤務医の収入ははるかに低い。ですから、それから富裕層は相対的に健康です。貧しい人と全く異なります。ですから、保険料は合衆国に比べたらはるかに安くできるはずなんですね。そうすると、ビジネスで十分に、ビジネスの専門家が考えれば多分成功すると思います。  リーダーとなり得る医師は全医師の五%以下だと思うんですね。リーダーになる医師がこういう病院に取り込まれるようになったら、もう後戻りは利かないというふうに思います。こうなると、国民の中で受けられる医療に大きな差が出てきます。社会に明確な階層がつくられることになる。  私はいろんな方と議論していて、特に医者の仲間では常に議論している相手がいるんですけれども、やっぱり崩壊は避けられないという意見の方が多いんですね。これはここまでの議論とちょっと感じ違うんですけれども。  ある有名な方は、崩壊してから立て直せばいい。それで、今もまだ医学部の入試は難しくて優秀な人が来ているから大丈夫だろうと言うんですけれども、私は、崩壊すると、真っ当な医療が来ないとなると、みんな何かをやろうとする、そうするといろんな動きが出てきます。そうすると元に戻れなくなるんじゃないかというふうに危惧しております。
  72. 福島みずほ

    福島みずほ君 地域間格差のことを一言お聞きをします。  医師、病院の偏在、今日も出ておりますが、小児救急科、産婦人科の不足などについて地域間格差が拡大をしています。ただ、残念ながら法案は切迫する地方の実態にこたえる内容となっていないというふうに思います。  この点について、地域からのいろんな声を聞かれるであろう河内参考人小島参考人、この点についていかがでしょうか。もしよろしければ、新しい提案されている制度都道府県ごとに保険料が違ってきたり、あるいは医療費適正化計画を都道府県が作るわけですが、そういうことなどについても、あるいは診療報酬も都道府県によって違ってくるということが、診療報酬体系が変わってくることがあるわけですけれども、そういうことについてどう思われますか。地域から病院がなくなっている、あるいは小松参考人の話ではありませんが、地域から医療がどんどん悪くなっているという話も聞きますので、お願いいたします。
  73. 河内山哲朗

    参考人河内山哲朗君) 以前にはなかったような話が、最近本当に身近なところでも起こるし、それから新聞やテレビでも報道されているとおりでございまして、以前は離島の問題、過疎地の問題、これは自治医科大学等の設置によりまして、いろいろと離島でも過疎地でも診療所を設置すれば先生方来ていただくという、そういう仕組みができ上がったんですが、最近は、先ほど来お話がありますように、産婦人科の問題、小児科の問題、これはごくごく身近なところでも起こっておる、そういう問題だと思っております。  全国市長会としましても、来週、全国市長会議を開催するわけでございますが、是非、この数量的な先生方の地域的な偏在、それから診療科目の偏在、こういったものについて、これはもう自治体ではいかんともし難い問題でありますので、国あるいは都道府県において、やはり着実に実効性の上がる対策を講じてほしいと。これは特別に決議をする運びになるだろうと思っています。  あとは、やっぱり先生方、お医者さんの大学での学ぶ時点からのやっぱりいろんな工夫も必要ではないかとか、いろいろとそういうこともよく市長同士の話の中でも出てまいりまして、やっぱり少し大学の方にもお考えいただかなきゃいけないことあるんじゃないかなというようなことがございます。非常に難しい問題であり、なお切実な問題でございますので、これは医療制度改革の話とはちょっと別枠な話かもしれませんが、深刻な問題が各地で起こっているということは御指摘のとおりだと思っております。
  74. 小島茂

    参考人小島茂君) 二点ほど御質問ありました。  一点目の地域医師不足の問題です。  今回の医療法改正法の中には、都道府県レベルでの医療計画を作るという、その中に具体的な小児医療あるいは産科医療といった、各需要ごとに具体的に地域医療機関あるいはネットワーク、そういうものをきちっとつくるということが入っています。それと、それを支えるために医療関係者の協議会をつくるというふうになっておりますけれども、それは圏内でのということについては一定の役割を果たすんだろうと思いますけれども、都道府県自体で医師不足の問題とかいう問題があります。それはなかなかそこだけでは解消できないと思います。それはやっぱり全国レベルで、医師養成の問題も含めてもっと抜本的な対応が必要であるというふうに思っております。  その関係でいえば、取りあえず新しく医師を養成するとなると、最低でも医学部六年、そして二年の臨床研修、八年掛かりますので、その間どうするかというのはあります。やはり中長期的には、今の自治医大の方式を国公立大学にも適用するという形で地元での医師確保ということを進める必要があるんだろうというふうに思います。  それまで、じゃ待てないということもありますので、その次善策として、特に小児医療などについては、なぜ今小児医療の医師が過酷な状況にありますというと、なかなか、共働きで親が働いていて、昼間は子供を医療機関に連れていけない、どうしても仕事終わってから夜間に集中するということが指摘されております。そういうものを一定解消するためには、やはり今子供を預かっている保育所あるいは幼稚園等に看護師あるいは保健師といった者を一定配置して、その方が体調悪くなれば親に代わって医療機関に連れていくといった、そういったようなことも是非やるべきじゃないかと。そういうことを当面の対応としてはやる。あるいは、地域医療機関の集約、ネットワークということを図っていくという総合的な対応がまず必要ではないかというふうに思っております。それが一点。  もう一つ地域ごとの診療報酬の問題。  今回の法案の中には、都道府県の知事からの要請によって、地域ごとの診療報酬の見直しといいますか、そういうことを意見を述べることができる、それを受けて厚生労働大臣が対処するという仕組みになっておりますけれども。具体的に都道府県ごとの診療報酬というのは、どういうふうに全国レベルでの調整が付くのかというのは、なかなかここは難しい問題だと思いますけれども、そこは具体的にどういうことになるかはこれからだというふうに思っておりますので、最終的には、診療報酬になれば中医協でも議論になりますので、私も中医協のメンバーでもありますので、もしそういうことになれば、全国レベルでの診療報酬と地域ごとの診療報酬との整合性といいますか、それをどう図るかということについて具体的な議論をこれからしていきたいというふうに思っております。
  75. 福島みずほ

    福島みずほ君 住江参考人にお聞きをいたします。  先ほど少し話をしていただけたんですが、後期高齢者専用の診療報酬体系が出てくることの問題点。ですから、例えば人工腎臓の診療報酬は、年齢に関係なく現役も高齢者も同じにしたらどうかというふうにも思ったりするんですが、要するに七十五歳になると違う診療報酬体系になると、この点は大変不安が広がっていると思うんですが、その点についていかがでしょうか。
  76. 住江憲勇

    参考人住江憲勇君) おっしゃるとおりで、七十五歳以上の後期高齢者専用の診療報酬、すなわち、みとり医療、そしてまた終末期医療、具体的にそういう名前を命名とかそういうことはないと思いますけれども、そういう範疇に入れられるということ自体が本当に厳しい問題だと思っております。  人工透析というのは本当に社会復帰そのものでございまして、それさえしていただければ本当に、私も付き合っている方々おられますけれども、立派に日常生活を全うできるわけですから、そういうところを後期高齢者医療のところに入れて、何か安上がり医療的なそういうところに持っていかれることは、本当にそういう方々の社会復帰というのをやっぱり阻害する、そういう重大な課題だと思っております。
  77. 福島みずほ

    福島みずほ君 次に、柳澤参考人にお聞きをいたします。  先ほど子供たちの医療の免除の話がありました。社民党は、子供たちの医療の、それは親からの要請が強いので、マニフェストに掲げ、実は、出産費用の無料化も、去年、衆議院選挙で掲げました。柳澤参考人は小児科なので、産科のことを聞くと申し訳ないかもしれませんが、出産費用の無料化などについてはいかがですか。
  78. 柳澤正義

    参考人柳澤正義君) それはお父さん、お母さんの側から見ると、安ければ安いほどいい、ただであればそれが最もふさわしいというか望ましいということも言えないことはないわけですが、乳幼児の医療費と同様に、これは何といいますか、非常に明確な何か根拠があるとかなんとかというよりも、感覚的な問題として、ただより安いものはないというふうな感じで、何がしかの費用の負担というものがやはり個人に求められるということを私自身は否定はしないという立場でおります。
  79. 福島みずほ

    福島みずほ君 小松参考人にお聞きをいたします。  「医療崩壊」という本を読まさせていただきました。アメリカについては、例えば最近読んだ本で、「市場原理が医療を滅ぼす アメリカの失敗」医学書院なんという本もありまして、日本が進むべきではない方向というのは見えるんですが、あと、日本のいい制度を生かしつつ、どう今の問題点をクリアするか。  医療崩壊と反対のことをやればいいということはよく分かるんですが、今のたくさんいろいろ問題がある中で、小松参考人が提言としてどういうことをお考えでしょうか。本や論文の中では、医療過誤の問題について、ある程度こういう制度があったらどうかという提言はありましたけれど、医療過誤以外の点で、例えばこの医療崩壊を迎えないために日本医療についてこういうことをやったらどうかという点についてお聞かせください。
  80. 小松秀樹

    参考人小松秀樹君) 一つは、基本的には、今の医療は総額として安過ぎると思います、日本医療費の掛け方は、世界的に見て、比較での話ですけど。これだけの医療費で、今の医療費でやれている国はほとんどないと思うんですね。  それからもう一つ言えることは、それでもまだ頑張っている、もうちょっとしたらつぶれる。つぶれる、崩壊寸前にあるから、崩壊した後のお金の掛かり具合から考えたら、アメリカでは医療は産業になっているので、お金が払えない人が一杯いるので、政府日本よりはるかにお金出しているんですよね、医療に。だから、つぶれたときのことを考えて、もうちょっと医療に私はお金を出した方がいいと思っています。それが一つ。  それから、医療過誤の問題じゃないんですけれども、医療の現場がとげとげしくなっているのは、やっぱりコンセプトの問題だと思うんですね。死生観、死生観と医療に何が期待をできるのか、それから医療が公共のものなのか、一杯自分でお金払ったら何でも言えるようなサービスなのかということなんですね。公共のものであるというんだったら、それを、公共のものはどういうふうな扱いでみんなが大事にしないといけないかというようなことを話さないといけないと思うんですね。医療についての、今の崩壊を防ぐのはもうむちゃくちゃ難しいと思うんですけれども、とにかく考え方が全然違っていて、日本人のもう行動パターンも全然変わってきている。  それから、これ、やれるかどうか分からないんですけれども、合意が得られるかどうかも全然分からない。それでも、国民注視の中で、大舞台で根本的な議論をやるべきだというふうに私は思います。
  81. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございます。  それでは、小島参考人にお聞きをします。  医療費適正化計画というのが医療費抑制策になってしまうんではないかとか、医療費抑制の問題についてどうお考えか、お聞かせください。
  82. 小島茂

    参考人小島茂君) 今回の医療法等の改正の中で医療、健康保険法の方ですかね、医療費適正化計画を都道府県ごとに作成をするということになっておりますけれども、御指摘のように、どうも今回の全体の流れの中で見ていると、本当の意味適正化といいますか、やはり医療の中でももっと効率的に、あるいはすべきことは当然あるというふうに思っております。そういうところよりは全体の医療費抑制というのが前面に押し出されているというふうに私としては思っておりますので、そういう観点から見ると、今回の医療費適正化計画というのも医療費抑制というところにつながってしまう可能性はあると思いますので、そこはきちっとよく、地域都道府県ごとに作る場合にはそこは十分関係者が配慮して、本当の意味での、都道府県ごとの医療計画と併せてその適正化計画ということを作る必要があるんだと。そういう意味では、被保険者代表としての労働組合の立場からも、各地域における、そこについては十分配慮した対応をしていきたいというふうに思っております。
  83. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございました。  以上です。
  84. 山下英利

    委員長山下英利君) 以上で参考人に対する質疑は終了をいたしました。  参考人方々には、長時間にわたりまして大変貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会をいたします。    午後四時三分散会