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2006-06-01 第164回国会 参議院 厚生労働委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年六月一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下 英利君     理 事                 岸  宏一君                 中村 博彦君                 津田弥太郎君                 円 より子君                 渡辺 孝男君     委 員                 阿部 正俊君                 岡田  広君                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 中原  爽君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 水落 敏栄君                 足立 信也君                 朝日 俊弘君                 家西  悟君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 山本  保君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   川崎 二郎君    副大臣        厚生労働大臣  赤松 正雄君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    政府参考人        金融庁総務企画        局参事官     山崎 穰一君        文部科学大臣官        房審議官     磯田 文雄君        厚生労働大臣官        房総括審議官   金子 順一君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省医薬        食品局長     福井 和夫君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省老健        局長       磯部 文雄君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        社会保険庁長官  村瀬 清司君        社会保険庁運営        部長       青柳 親房君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○良質な医療提供する体制確立を図るための  医療法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省保険局長水田邦雄君外十一名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山下英利

    委員長山下英利君) 健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 おはようございます。  今日はクールビズの二年目ということで、皆さんクールビズのスタイルをしてくださいましたけれども、何かこの温度、二十八度でしょうか、ちょっと寒いんじゃないかという気がいたしております。どうしても環境に合わせなければいけないんだろうと思いますので、そういうことも是非、こちらだれに言えばいいんでしょうか、是非調整していただきたいなというふうに思っております。  今日は大変貴重な時間をいただきましたので、看護職員の問題に絞って質問させていただきたいと存じます。  まず最初に、看護師需給の問題なんですけれども、昨年の十二月に厚生労働省が第六次の看護職員需給見通しというのを発表されました。これまでの考え方と大きく違っておりましたのは、各県に積み上げを要求し、そして医療機関必要量算定したということでございまして、七割の回答も得たということですが、かなり皆さん関心を持っていたんだろうと思います。  それを積み上げてというわけですけれども、前提として、例えば週四十時間労働あるいは産前産後の休暇、あるいは育児休業全員取得複数月八日夜勤、あるいは在院期間の短縮を配慮した看護職員配置の問題、あるいは新人研修、かなりきめの細かい考え方を示して積み上げていると思います。その結果、出てきたものを見ますと、平成二十二年が百四十万六千四百人の需要に対して百三十九万五百人供給できるというようなことでございます。  そこの中に、十八年の医療制度改革検討されている。しかし、その分については、いろんな要素があるので、看護職員業務だとか役割に大きく影響するであろうと。それなので、今の需給計画の中にそれは見込んでいないというふうにはっきり書いてあるんですが、さて、そこで、今検討が始まりました需給見通しに対しまして医療制度改革がどのような影響を及ぼすと思っていらっしゃいますか。また、どこがどんなふうに増えるか減るか、その辺の見通しを教えていただきたいと存じます。
  6. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 昨年十二月に取りまとめられました第六次看護職員需給見通しにつきましては、医療安全の確保、適切な在宅医療提供など、医療制度を取り巻く環境変化を踏まえて策定をしたものでございますけれども、今回の医療制度改革議論よりもちろん時点的に先でございますので、各医療機関に対する実態調査算定が先立って行われたということから、今回の医療制度改革に盛り込まれた個別の施策の影響を反映したものとは残念ながらなっておりません。  一方、今回の医療制度改革は、療養病床の再編成あるいは急性期入院医療実態に即した看護配置とする診療報酬改定など、看護職員需要影響を及ぼすものも含まれておりますが、今後しばらく経過を見る必要があるというふうに考えております。  いずれにいたしましても、国や都道府県におきまして、それぞれの責務に応じた適時的確な看護職員確保対策を進めることが必要でございまして、特に今回の需給見通しは、各都道府県ごと実態調査を行い、関係団体などが参加した検討の場で作成されたことから、こうした情報や経験を生かして医療制度改革などを踏まえた看護職員確保対策を講ずるということが効果的であるというふうに考えております。  今回の需給見通しを作成するに当たりましては、先生御指摘のとおり、関係団体などの参加を得てやりましたので、そういう意味では交流もできたところでございまして、今回の改正案が実際に成立をもしいたしましたら、その内容を踏まえて、今御指摘のとおり、診療報酬改定はもう既になされてございますが、それによる影響等もございます。あるいは今回の法律の中におきましても生活習慣病予防等についての改正等も含まれております。あるいは在宅医療の推進といったようなことも含まれてございまして、これらはいずれも看護師需給に若干影響を及ぼしてまいりますので、これらのでき上がりましたそれぞれの関係者との検討の場を通じて、協力しながら必要な対策を講じていくということになろうかと思っております。
  7. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 影響はあるだろうということなんですけれども、どういうふうに影響するのかははっきり分からないという感じでございます。  例えば、在宅医療を進めるとか、あるいは予防を進めるとか、あるいは助産師の問題とか、いろいろ考えますと、どうも今のこの計画では、やっぱり医療機関中心にアンケートをもらったということもあって、医療機関中心に人を集めるような計画になっているかなという感じがしてなりませんで、是非これを適宜見直しをしていただきたいと存じます。  今局長もおっしゃいましたような診療報酬改定、要するに、今までの看護師配置というのは、必要な看護師がどれだけというよりも、診療報酬改定されると看護料がこれでもうかるかもうからないか、確保できるかできないかということによって医療機関看護事情が変わっていくというようなのが実際の姿でございます。今回も非常に厳しい診療報酬マイナス改定の中で、看護師に関しては割と評価されたというふうに思います。その中で、患者一・四対一の看護体制が認められるということで、これはかなり関係者から評価されている問題だと思います。  しかし、それで一体どういうことになったのか。実際、一・四対一といっても、平均すると七対一、恐らく夜間なんかだったら十対一にやっとこぐらいだと思いますけれども、決してこれで十分だ、外国に比べて十分匹敵するくらいの数になったとはまだまだ言えない状況でございますけれども、少なくとも日本診療報酬で診てくれる最高のレベルがここまで行ったということだというふうに思いますが、そういたしましたら、現場でどうなったか。それぞれ、そこに向けて相当動きがあっているわけですね。  御承知のように、もうそちらの方にずっと資料が出てきていると思いますけれども、日本病院団体協議会、大急ぎで検討してみると、やはり看護料の問題でかなり病院の中で問題が起きているという実態が出てきております。一・四対看護看護を採るためにたくさんの、大きいところから小さいところから看護師を引き付けてしまっているというようなことですね。現場で相当そういうことを言っている人も多いわけでして、それから夜間看護加算もなくなったりして、かえって、良くなる面と悪くなる面とがあるんじゃないかとか、いろいろ現場の問題が出てきているんですけれども。  看護師のそういう引き抜き合戦が始まるという実態、どうなのかなというふうに感じがしておりますし、一・四対一というのもかなりなところで採るのが難しい状況になっているわけでございまして、例えば大学病院でさえなかなか採れないと。むしろ病院の中でも、一般病院の中でもある程度の急性期のところから限定してでも病棟単位で採れるようにしたらどうかという声も上がっているんですけれども、これに対しては、保険局長、いかがでしょうか。
  8. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) お答えいたします。  今回の診療報酬改定におきましては、政府・与党の医療制度改革大綱の決定を踏まえまして、急性期入院医療実態に即した看護配置を適切に評価するという観点から、一般病棟入院基本料の体系につきまして、ただいまお話のありました看護職員配置一・四対一に相当する区分を創設すると、こういった手厚い看護体制を評価するということを行ったわけでございます。  お尋ね入院基本料届出区分につきましては、従来から一般病棟結核病棟などの病棟種別ごとに一括して届出を行うと。で、病棟種別ごとに同一の入院基本料区分算定すると。そのことの一方で、同じ種別病棟間では患者構成による看護必要度の違いに応じて柔軟な看護配置ができるように、こういった弾力的な運用を可能としているわけでございます。また、特定医療ニーズに対しまして病室あるいは病棟単位でより手厚い看護配置の下で医療提供する場合には、特定入院料算定を認めていると、このようなきめ細かな対応を行っているわけでございます。  ただいまお話のありました、入院基本料について病棟単位でそれでは届出を認めたらどうなるかということでございますけれども、それぞれの病棟におきまして、毎月、看護配置でありますとか看護師比率あるいは平均在院日数等施設基準を満たさなければならないということになりますと、なかなか入院患者さんの状況あるいは看護師さんの季節変動といった要素に対応した柔軟な看護配置がかえってしづらくなるんじゃないかと、こういった問題点があると考えてございまして、こうした問題に病棟単位とした場合にどのように対応できるかということも含めまして、これは相当な議論が必要であると、このように考えております。
  9. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 もう少し時間を掛けなければこれはどういうふうに動くか分かりませんけれども、その新しい需給の中でもそのことを十分踏まえながら、問題が起きないように是非していただきたいと存じます。  それから次に、この改正は、特に安心、安全で良質な医療提供をするんだというような改正があるわけでございまして、この中でやはり看護師の質の確保というのが物すごく大きな問題ではないかというふうに思っております。  これは、日本医療機能評価機構報告義務対象医療機関から医療事故だとかヒヤリ・ハット報告を求めてまとめているわけですけれども、これは、十七年一年間にあった事故が千百十四件、そして手術中の事故も含めて、治療処置だとか、あるいは搬送、入浴介助中の転倒でありますとか、そういった療養上の世話に当たるような業務事故を起こしたものがあると、そして多いと。そして、その中の職種は当然のことながら医師、看護師が多いわけでございます。  ところが、ヒヤリ・ハット事故にまで至らなかったけど冷やり、はっとするような事例というのが十七年度、これ前半期だけで九万九百九十事例があり、そしてこれを起こしているのは圧倒的に看護師だというのがあるわけですね。そして、そのヒヤリ・ハット事例というのは、例えば処方だとか予約、あるいはドレーンチューブの管理だとか療養上の世話、あるいは伝達ミス、まあ様々なものがあるわけでございますけれども、どうしても、確認不十分、診断ミス知識不足等々、未熟者だけじゃないんですけど、やっぱり例見ていると未熟な者がやはり事故に遭っているという実態があるわけでございます。また、非常に多忙だとか夜勤だとか、こんなことが訴えとして出てきている。  確かに、医療内容が非常に高度専門化しております。そして、在院期間がどんどん短縮される。もう病院の中には重い患者さんが多くなるという一方でございます。そしてしかも、看護教育の中で教育すべき内容がどんどん増えている。こういう中で、また実習時間がどんどん実は減っているんですね。教えるべきものが多いために実習時間も減っている。そしてまた、医療安全の面から学生の実習機会というのが非常に限られてきているという実態もございまして、新人が就職したときに本当に自信を持って基礎的な看護技術ができるかというと、本当にできなく、もう恐ろしいばかりにできなくなっているという、これも調査で分かっているわけでございます。もう教育の問題じゃないかとだけではとても済ませない問題が出てきております。  そこで、非常に希望に燃えてこの看護職になった、しかし実際に自分技術現場で対応できないという、ギャップが大きくて、いつミスを起こすか分からないというふうな不安から職を離れてしまう看護師が多いというんですね。特に新人が、もう一割くらいが一年間の間に辞めてしまうと、こういう恐ろしいデータも出ているわけでございます。  これは、もうやはり基本的に教育充実を図るしかないんじゃないかというようなことで、先般、看護協会の総会もありまして、そこの中でも、看護教育は今三年の中でいろんなことを教えていますけど、この機会をやはり四年くらいに延ばす必要があるんじゃないか、四年がいいのかどうか分かりませんけれども、しかし充実する必要があるんじゃないか、そしてまたさらに、幾らそうなったにしても、新人に対する教育、これをきちんとしなければ、患者の安全に本当につながっていくわけでございますので、これをやはりきちんとするべきじゃないかというような方向を出しております。  この問題につきまして、恐らく厚生省もこういう実態よく分かっていらっしゃると思いますし、それに対して対応していらっしゃると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  10. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 看護現場の実情を一番よく御存じの清水委員からの御質問でございますけれども、医療高度化等、近年の医療を取り巻く環境変化に伴い、医療従事者資質向上が強く求められている一方で、今お話ございましたように、看護師について、看護基礎教育修了時点能力看護現場で求められている能力に大きなギャップがあり、必要な能力が身に付いてない等の指摘があり、その資質向上を図っていくことは重要であると考えております。  看護師の養成の在り方については、国民の看護ニーズに的確に応じられるよう看護基礎教育の更なる充実を図ることを目的として、本年三月より看護基礎教育充実に関する検討会を開催し、検討をさせていただいております。昨年秋の医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会報告の中で、看護師資質確保し、向上させるためには、新人看護職員に対する研修にかかわる制度化の必要について指摘がなされたことも踏まえ、今後、その制度在り方実施に際しての課題等について検討する必要があると考えております。
  11. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 毎年、今五万人足らずの新人が入ってきております。そういう中で、事故の問題、ヒヤリ・ハットの問題、やっぱり大きな問題でございますので、それは是非やっていただきたいというふうに思います。  大臣マグネットホスピタルというのは聞いたことおありでしょうか。マグネットホスピタル。これ、三十年も前に、もうアメリカで、やはり看護師不足引き抜きが始まって、何かいろいろ調査してみたんですね。そうしましたら、そういう中でも看護師を引き付ける、看護職を引き付けるマグネットになっている病院があるということが分かりまして、その調査をしているんですね。もう随分昔、三十年も前の話なんですけれど。  しかし、今、日本でも今このマグネットホスピタルお話も出るんですけれども、どういうところが本当に看護師を引き付けているのか。やっぱり日本でもあるんですよね。それを調べてみますと、必ずしも給与がいいというだけじゃない、処遇がいいというだけじゃなくて、やっぱりリーダーにちゃんとした立派な人がいるとか、それから自分のキャリアがどうやって評価されるか、研修制度がちゃんとしているかなんということがやっぱり大きな選択になっております。  今この新人研修の問題、非常にどこの病院でも大きな問題になっているんですけれども、幾つかの病院看護師研修制度みたいなことを取り上げているところがあるんですね。例えば徳島の赤十字なんか一年間、一年間ですけれども、ローテーション組んで研修させると。まあちゃんと給料払いながらやっているんですから大したものだと思いますけれども、ローテーションを組んで一年たって、そしてその後、それはその病院に残ろうと、あるいはどこへ行ってもいいですよというようなことで、研修制度というものを取り入れましたら、非常に関心を持つ新人が多くなって、そこにやってきた。そして辞めない。もうどこへ行ってもいいですよと言っても、そこの病院にいて、辞めないというような成果が出ております。というようなことで、幾つかの病院がそういうことをやっているんですね。  もっともっといろんな引き付け策あると思いますけれども、是非その研修制度、それによって自信を持って、辞めないで済むような、これから少子化でございます。どんどん辞めさせるような政策ではやっぱりいけないと思いますので、せっかく取った資格が続くような政策を是非改めて検討していただきたいとお願いをしておきます。  それから次には、この医療費適正化の話で、施設から在宅へという流れが出てくると思いますけれども、その中で、私もその流れには大変賛成しているわけでございますけれども、医療計画見直しの中で、地域クリティカルパスというのが出てくるんですね。何か分かったような分からないような、具体的にどんなイメージでなるのか。何かもうちょっと例を挙げてでも分かりやすく御説明ください。
  12. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 地域連携クリティカルパスについてのお尋ねでございますけれども、これ、クリティカルパスというのがまずございまして、これは病院内において入院から退院まで良質な医療を効率的にかつ安全、適正に提供するための手段として開発をされた診療計画表とでも言えるものでございます。  元々、クリティカルパスというのは医療の世界ではなくて工業界で導入をされ始めまして、一九八〇年代に米国の中で医療界で使われ出した後に、九〇年代に我が国でも一部導入されたものでございます。診療標準化あるいは根拠に基づく医療実施、インフォームド・コンセントの充実業務の改善、チーム医療向上などの効果が期待されているものでございまして、一つのプロセスの中でどこが一番ウイークポイントか、どこに資源を集中したらいいかと。それをスムースにやることによって全体の流れが効率的になる、安全になるということを目指したものでございます。  地域連携クリティカルパスはこれを地域に拡大をした概念でございまして、地域にはいろいろな機能を持った病院その他、医療、福祉の施設等在宅まで含めてございます。これらの資源を、例えば急性期病院から回復期病院を経て早期に自宅に帰れるような診療計画を作成をして、治療を受けるまでのすべての医療機関がその情報を共有をするというのが基本的な考え方でございます。  これらによりまして、それぞれの複数資源医療機関等役割分担を含めましてあらかじめ診療内容患者さんに提示、説明をすることによりまして、患者さんが安心して医療を受けられるようにできる、あるいは施設ごと治療計画に従って、診療ガイドライン等に基づいて治療内容あるいは達成目標診療計画として明示をする。あるいは回復期病院では、どのような状態で転院してくるかということがあらかじめ把握できるといったようなことで重複した検査をせずに済むというようなことから、転院早々からも効果的な例えばリハビリテーションを開始することができるというようなことで、地域全体で医療連携が進められるということで開発されているものでございます。
  13. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今局長がおっしゃったようなことは大体もう説明にも書いてありますし、分かるんですね。一体だれがどこで、この計画をだれのために作るのか、どういう患者さんが対象になるのか。そして、本当にこれがうまくいけばすばらしいんですよ。  考え方も本当にすばらしいことだと思うんですけれども、例えば退院する患者さんのクリティカルパスを作るにしても、そこの病院にだれかやっぱりきちんとした責任者がいて、そしてその地域連携をしながら、患者さんの合意も得ながら本当にそれを作っていく、そして実のあるものにしていくということをやらなきゃいけないと思うんですけれども、それが具体的になかなか、今でさえ、今までだって、病診連携なんて言うことだけ言っていますけど、ちっとも進んでいないのが実態ですよね。これをどうやって進めるのかということがやはり問題だと思います。是非それを、施行されるまでに、具体的に取組をしているところもあるわけですから、もう少し、本当にそれをやることによって良くなったと、そして病院自身が本当にそれをやることによって地域の方々ともっと連携が取れるようにしていただきたいというふうに思っております。  今回、特に在宅療養支援診療所というのがこれは診療報酬の中だけに出てきているんですよね。こういう在宅を進めるために診療所も大きな役割をすると、二十四時間の体制をするというようなことで大変私もこれいいと思うんですけれども、これは全くクリティカルパスの中に、この法律の中にも全くうたわれてない、出てこないんですね。恐らく、こういうものも機能し始めればそういう中に入ってこなきゃいけないと思いますし、訪問看護ステーションなんかも当然含めて考えていかなきゃいけないんだろうと思いますけれども、在宅療養支援診療所というのはどういうふうにこれから浸透していくのでしょうか。診療報酬だけでやればどんどん増えていくというようなものなんでしょうか。
  14. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 在宅医療でございますが、患者さんの生活の質の向上といった観点から、希望する患者さんにつきましては、できるだけ住み慣れた地域や家庭で生活が送れるよう、在宅医療サービスの提供体制の構築を一層推進する必要があるわけでございます。  今、診療報酬の方での在宅の支援の診療所の話が御指摘ございましたけれども、今回の医療改正におきましても、在宅医療の推進を図るため必要な措置を講ずることとしてございます。  例えば、主治医や訪問看護ステーションの看護師さんなどの医療従事者のほか介護サービスの従事者などが連携がそれぞれ図られるよう、地域における在宅医療に係る連携体制の構築を医療計画に位置付けることとしたこと、あるいは、患者さんの退院時に他の医療機関など在宅医療提供するものなどとの連携を図る、いわゆる退院調整機能を明確に位置付けたといったようなことなど、在宅医療についての規定を設けるとともに、先ほど先生御指摘診療報酬改定における在宅療養支援診療所というものが創設されたわけでございますけれども、地域での医療提供体制の体系の中で、これらの診療所あるいは訪問看護ステーション、調剤薬局等と連携をして、在宅医療中心的に担う医療機関として個々の在宅療養支援診療所というのが具体的に位置付けられていくということになろうかと思っております。
  15. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 看護の立場からいきますと、訪問看護ステーションというのをもう少し増設しなきゃいけないんじゃないかというように思っておりまして、これも恐らく二十四時間対応がしなければいけないし、かなり末期の状況、ターミナルの状況なども対応できなければ、滞在期間を短くしようと思ってもその受皿がなければとてもできないわけですので、これをしなきゃいけないと思うんですけれども、訪問看護師研修をしようと思ってもなかなか進まない。まだまだ一般の方々が病院の方に、医療中心病院の方にだけしか向いていないというのが実態だろうと思います。それは行政の中でもそうなんですよね。  これを是非しっかりと進めていただいて、医療機関からの追い出しになってしまわないように、ちゃんと受皿ができますように、是非このことをお願いをしておきます。  時間がなくなりますので、ちょっと助産婦の問題に触れたいと思います。産科医師の不足ということがあって、助産師の活用ということをもう少ししっかりやったらいいんじゃないかという問題でございます。  助産師というのは、御存じのように、妊娠中の健診から分娩、産褥、保健指導、もうすべて専門職として一人でできる職種でございます。かつてはもう、開業助産婦、開業している人たちが多くて、そこで多くのお産を取り上げておりましたけれども、今お産の約一%くらいでございます。  今、開業助産所を開くためには嘱託医を置かなきゃいけないことが規定されているわけですが、今度の改正では、嘱託医並びに連携病院の、その病院との連携もしなきゃいけないというふうになります。実は、嘱託医が必ずしも産科医でない、とにかく医者であればいいというふうになっているわけですから、産科医ではなくて、例えば内科医、小児科もいいんですけど、例えば皮膚科だとか精神科だとか、いろんな、何でも医者でもよければいい。本当に機能していないんですよね。機能していなくて、しかもその嘱託医を選ぶのにもう本当に苦労している。  これじゃ開業もできないというようなことが大変悩みでございまして、これを厚生労働省検討をするときに、助産婦会の方々は、もうその嘱託医をなくして、むしろ本当に困ったときに搬送できるような病院との関係、これを明記したいということの検討が始まったわけですが、結果的に見れば、嘱託医は産科に限る、そしてまた後方病院もつくれというような二重の縛りが掛かるようになりました。これは、確かに母子の健康のことから考えれば安心なことではあると思いますけど、実態として動かなくなる可能性もあるんじゃないかということを心配しております。  この問題を是非、どういうふうにして、厚生労働省もここまで縛るとすれば、動かなくなるようなことを考えているわけではないと思いますので、それをどうやって実際に仕事に支障なく進めていけるのか、また、今若い助産師さんたちが本当にそういう場所を開いていいケアをしようということでやっている人たちも増えているんですね。そういう人たちが開業もできなくなってしまうようなことがあると困りますので、その辺につきましてお考えを伺いたいと思います。
  16. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今御指摘のように、今回の改正の中におきまして、嘱託医師、助産所の嘱託医師につきまして、専門外の医師が選任されている場合がある、あるいは異常お産の中でもその異常度や緊急度等によっては嘱託医師のみでは対応が困難な状況が存在するというようなことから、産科医療の安全を確保する体制を整備するという観点で、助産所の開設に当たって嘱託医師については産科医師にすることとし、また、嘱託医師個人での対応が困難な場合に組織的に対応できるように嘱託する病院又は診療所を定めなければならないというふうにしているところでございます。  嘱託医師につきましては、緊急時に限らず、妊娠中の健診結果の情報交換など、日常的な連携、相談を通じて助産所、助産師連携をして健やかな出産に導く役割が期待されているわけでございますし、他方、嘱託医療機関は、突発的な産科救急の対応が必要であって嘱託医師では十分に対応できない場合の後方支援として設けられるものでございまして、このように嘱託医師と医療機関につきましては各々に期待される役割があることから、安全の確保という観点から双方連携を取る必要があるというふうに考えてございます。  なお、地域の実情に応じた連携体制確保するため、嘱託医療機関の医師を嘱託医師とすることはもちろん可能でございます。  厚生労働省としては、制度の施行に際しまして、都道府県関係団体制度への協力を求めていくなど、嘱託医師の確保のための必要な取組を進めていきたいと思っております。
  17. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 安全のために両方した方がいいんだというお話でございますけれども、本当に今助産師さんたちが取り上げているお産の中で、そんなに嘱託医あるいは病院に搬送するような例が多いのでしょうか。それほど多くはないんですよね。正常なお産は助産師さんたちにお任せできるような体制をしっかりしていただきたい。今、産科医師が少なくなっているわけですよね。それなのに産科医師でなきゃ駄目という今までより厳しい縛りを付けることに、やはり私は疑問を感じます。  それからさらに、これは開業助産師のことでしたけれども、病院の中にいる助産師さん、たくさんおります。その方々が病院の中に行きますと、なかなか助産師としての専門性が発揮できないという問題がございます。もっと積極的に、例えば助産師外来を助産師に任せるとか、お医者さんたちはもうリスクの多いところに、もうそちらに集中していただくにしても、もっと助産師さんたちを活用するということを是非やっていただきたいと思うんですよね。産科医師がいなくなったところには助産師さんでそのクリニックをやっても構わないと思いますし、そういうことをしながら、やはり安全なお産、広げていく、そういう体制をつくらなければ、この時期収まらないんじゃないかと思いますので、是非そこをよろしくお願いをしておきたいと存じます。  保健師の問題にも一言触れたいんですね。  この前、朝日先生からも随分いろいろ問題がありました。これから続くと思うんですけれども、老人保健事業がこれから実施者が医療保険者に替わるということになりました。これ、老人保健法のこの保健事業をなくしてしまう、そしてこれを移行する。今なぜなくさなきゃいけなかったのか、そしてまた、医療保険者にそれをやることによってどういうメリットがあるのか、ちょっとそこを教えていただきたいと存じます。
  18. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) 今回の医療制度改革の中におきまして、医療保険者においてより効果的に健診、保健指導を進めるということで、こういったものが義務付けられることとなったわけでございます。  その関係で、これまで老人保健法にございました老人保健事業につきましては、その部分については医療保険者が責任を持って実施していただく、それからその他の部分につきましては市町村が引き続き実施をするという体制になったわけでございまして、こういった体制を取ることによりまして、より的確に対象者に対してこういった健診、保健指導のサービスが受けられるようになる体制がつくられるということだというふうに理解しております。
  19. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今局長が健診、保健指導というふうに軽くおっしゃいましたけれども、健診の部分は確かにやっているんだろうと思うんです。まあ半分ぐらいの方々、今まで受けていた。ところが、引き続く保健指導というのがどうも弱かったんじゃないかという印象をどうしても受けてならないんですね。そこの部分というのは非常に実は大事なことで、健診だけやって、ペーパーが来て、あなたどこかおかしいですなんて言われたって、逆に病気つくっちゃうことになっちゃうんですよね。やはりきちんと健診をした後、しっかりと保健指導していかなきゃいけないというふうに思います。  ところが、この保健指導というのがなかなかまた難しいわけで、やっぱりきちんとエビデンスに基づいた保健指導、これをしなければいけないというふうに思うんですね。これを拝見すると、かなりアウトソーシングをするというふうに書いてありますよね。そうすると、その部分をアウトソーシングして、恐らくそうすると費用の負担なども出てくるんじゃないかなとも思うんですけれども、そうしますと、やっぱり相当エビデンスに基づいた、聞いてよかったというような保健指導をしてもらわなければいけないと思うんですけど。  そういう中で、管理栄養士だとか保健師の役割が非常に大きくなると思うんですが、恐らく需要も多くなって働く場所も違ってくるのかも分かりませんが、この保健師、管理栄養士の確保みたいなことについてはどんなふうにお考えでしょうか。
  20. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) 医療保険者によります健診、保健指導が生活習慣病予防の効果を上げていくということを達成するためには、健診によって対象者の状況を十分把握した上で、対象者の健康課題に合わせた保健指導を提供していくということが必要でございます。  市町村等の保健師、管理栄養士の役割は、そういった意味でますます大きくなっていくものと考えております。このため、医療保険者による保健指導を計画的に拡大していくに当たりましては、市町村の保健師に加えまして、在宅の保健師、管理栄養士や、保健指導を提供する外部の保健サービス機関等の活用によるマンパワーの確保とその有効活用を推進していくことが大切であると思っております。  また、現在児童の虐待防止あるいは介護予防などにつきましても重要な役割を担っております市町村の保健師につきましては、今後とも地域におきまして様々な分野で活躍をしていただきたいというふうに考えてございます。
  21. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今、保健師、助産師、いろいろ出てきましたけど、これはもう需給計画に全く入ってないですよね。是非これから検討していただきたいと思いますし、潜在保健師の活用みたいなことも出ましたけれども、今言ったように、質の高い保健指導をするためには、やっぱりそれなりの専門性がなければ、そしてきちんと教育を受けてなければできない話でございますので、ただ潜在の保健師さんを掘り起こしてすぐに利用しようといったって、それはなかなかできないことでございます。是非その辺の研修体制もやっていただきたいというふうに思いますので、これはお願いしておきます。  最後ですけれども、今、保健師、助産師看護師のことを申しましたけれども、今度の保助看法の改正で、大学の卒業生が非常に増えてきたと。そういう中で、大学を卒業しますと保健師と看護師の国家試験を受ける、あるいは助産師看護師の国家試験受けるという人が出てきているわけですね。その中で、例えば助産師の国家試験受かった、保健師の国家試験受かったという人が、今度の改正では、保健師として、助産師として働けなくなる、免許をもらえなくなるという改正でございます。つまり、看護師の国家試験も受かってなければ働けないということになるわけでございますけれども、これはどういうわけでございましょうか。
  22. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) かつては看護師免許を受けた方が保健師試験や助産師試験を受験するというのが一般的であったわけでございまして、そういった前提の下に、現行制度上、保健師及び助産師看護業務を行うことが可能とされているわけでございますが、近年、今先生御指摘のように、四年制大学の急増等によりまして、看護師に加えて保健師及び助産師の同時受験が可能となる者が増加をいたしまして、結果として看護師資格を持たない保健師又は助産師が、少数ですけれども見受けられるようになってまいりました。  看護師免許を持たない保健師及び助産師につきましては、看護教育は終了しているわけでございますが、真に看護業務に必要な知識及び技術があるかどうかについての公的な確認を経ないまま業務を行っていることにつきまして、医療安全の確保及び患者さんに対する正しい情報提供の観点などから改善を図るべきだという御指摘がされたところでございます。このため、現行法における資格の理念や業務実態を踏まえまして、免許付与要件を見直して、新たに保健師及び助産師の免許を取得する方については看護師国家試験にも合格していなければならないということといたすところでございます。
  23. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今、具体的にその保健師の資格、助産師の資格で働いている人が、国家試験受かってその資格で働いている人が何か問題起こしているんでしょうか。そんなことないんじゃないかと思うんですよね。もしそれをするんであれば、今はとにかく保健師も助産師看護教育を受けているわけですから看護業務をできるというふうになっているわけですけれども、むしろその三十一条の看護業務の制限、保健師、助産師看護業務ができないというふうにしてしまえば、全く問題ないわけだと思うんですよね。始めから助産師になりたくて大学に入って助産師の資格取った、そして助産師になろうと思って国家試験も受かったにもかかわらず、助産師になれない。何かこれおかしいんじゃないかと私はどう考えても思えてなりません。実際、それで看護師業務するんであれば、当然看護の資格がなければできませんから資格を取るでしょう。何かこの辺について矛盾を感じてなりませんので、是非これはもう少し実態を見ながら御検討いただきたいというふうに思います。  以上、時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
  24. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 時間が二十分しかございませんので、端的にお伺いします。  まず、今回の法律改正案の題名でございますが、「良質な医療提供する体制確立を図るための」という目標が書いてございます。というのは、裏返せば、質がもうどんどん悪くなっていると、医療が、ということなのか、あるいはこのままほうっておいたのではそういう危険性なしとしないということなのかなと、こう思うわけです。どうか羊頭狗肉に終わることのないように念願しております。  と同時に、そういう目的を持った改正ということになりますと、皆さん方の役所としての、あるいは一人一人の心の中で何らかの志のある改正をしようということが基本になければならぬのじゃないかと思うわけですね。したがって、これから私、幾つかの要点に絞った質問をいたしますけれども、まあ皆様方もプロでしょうから、紙を読んで答弁するようなことはやめてくださいね。自分の志を語ってください、言葉で、個人として、ということではないかということを、まあ脅かしじゃありませんけれども、申し上げておきたいと思います。  まず、医療の質といったときに、先ほど清水先生からも話がありましたけれども、何か難しい地域医療クリティカルパスなんてありましたね。あれ何で実現するんですか。それを実現もしするとすれば、大事なのは、あるいは今度の法律でもある種の柱になっていますが、県単位医療計画になっているんですね、医療計画。  私も山形でございますが、山形県が作った、六年前ぐらいに作った医療計画、拝見しました。でも、作ったときは一生懸命やったようですけれども、その後お蔵に入りっ放しで一度も表に出たことはないというのが実態でございます。本当に実効性のある地域医療の実現ということで、あれをどうするかということを、機能している医療計画というのは極めて少ないんじゃないかと、ひいき目に見て、もしかしたら一つもないんじゃないかというふうにすら思います。  それは、例えば県立病院を何床作るとか何年度どう作るとか、それは書いてあるでしょう。これは箱物でございまして、先ほどの例えば診療のありよう、あるいは病診連携とか在宅医療の関係をどうするとか、あるいは福祉施設の関係、介護関係とどういうふうに連携を取るとか、公立病院と私的病院というか診療所との関係をどういうふうに患者さんをやっていくとかということについて、やはり公共財である医療である限り、そういったふうなリーディングマスターといいましょうか、というものがあって当然のことじゃないかと思うんですけれども、そういう機能している医療計画というのは、山形県も含めて全国でどこかの県でモデル的にやっている県があったら教えてください。お願いします。
  25. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 医療計画でございますが、昭和六十年の医療法の改正で導入をされたものでございまして、必須的な記載事項と任意的記載事項とその内容が分かれておりまして、必須的記載事項につきましては、地域の二次医療圏というものでございますが、入院医療が完結できる医療圏を設けて、そこでの基準病床数を定めておるところが必須的な記載事項でございまして、これについては、先生御指摘のとおり、それなりに機能、まあ強権的なものも含めて機能しているところでございますが、任意的記載事項につきましては保健事項等も含めて幅広く書かれてございますけれども、それはその地域での医療状況等について、その整備の方向あるいは連携の方向を示すということでございますけれども、必ずしもそれを強権的に実施するというものではございませんので、計画の県としての合意を世に示すという形になっておるところでございまして、具体的にどこの県でどの程度まで行っているというところにつきましては今手元にございませんけれども、今までの医療計画についてはそのような実態でございました。  今回の改正におきましては、そのようなハードの面での医療計画としておおむね機能してきたものにつきまして、ソフトの面についてもそれぞれの、例えば小児医療あるいは救急医療といったようなことにつきまして、もう少し、県の役人だけではなくて地域関係者が集まって合意をした上で連携体制をつくるといったようなソフト面での事業ごとの連携体制というものを組むような医療計画に変えていこうと、こういう内容改正といたしているところでございます。
  26. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 ということは、率直に言って、いわゆる病床規制以外はほとんど実効性を持たない医療計画だったというふうに私は判断しますけれども、それで間違いだったら、いい医療計画があったら後で教えてください。  それで、さて、医療計画というのを、今度の柱で医療計画というのをもう少し実効性の上がる医療計画にしていこうじゃないかというのが、まあ言わば松谷局長の志をそんたくすればね、ということじゃないかと思うんですけど、そうしたときに、県の事務局でああでもないこうでもない、あるいは偉い人を集めて審議させて何か案を出してこれでオーケーだというような紙切れをまとめるのが医療計画じゃないんですよ。そんなもの床の間に飾っておきゃいい話なんで、そうじゃなくて、地域医療を本当に実効を上げていくということにフォローしていく、それから病診連携に何にしろ、お互い医療人同士が約束事を交わすことが大事なんですよ、福祉施設との関係においても在宅医療の関係においても。何かありますかね。  ということで、一つの提案ですけど、是非医療人同士の病診連携だとか、あるいは、あともう一つ言うと、小児科医療が、小児科医が少なくなってなんというのは、何か慌てているみたいですけど、医療計画の無策さというのを私は表現しているんじゃないかと思いますよ。こういうものこそ正に医療計画で実現していく目標なんじゃないですか。医師の偏在とか、こちらだと思いますね。余計なことが入りましたけど、提案ですけど、是非分野別に、項目ごとに、病診連携でも福祉施設の関係でも、在宅医療の振興のためにもこういう協定をしましょうと。お隣に中原さんおられますけど、歯科医療なんて本当にこれから予防とかなんとかというのは非常に重要ですよね。そういうときにどういうふうな、歯科医師会あるいは歯科診療所とどういうふうに約束事をするかとか、公立病院と私的医療機関の関係はどうだとかということについて協定を結び直してください。協定を作ると、その協定を県が認めて承認をして、その集約化したものが計画なんだと、こういうことなんじゃないですか。そこのところの計画の、実効性ある計画を作るためのプロセスが今まで何もなかったというのが率直なところじゃないですか。  これは、何か事前にお話ししたときも検討しますという話ですけど、どうも計画を実行に移し、かつフォローしていって、目標達成を決めて、その実現度を考え、できたらそれを前提にして保険の方の点数も考えるというふうなのが順序なんであって、保険の点数が先にばあんと来て、三か月たったら追い出されるとかなんとかという議論がなるようじゃ、やっぱり医療計画として僕は落第だと思います。  というようなことで、その辺についての、私は自分として協定承認方式とかと言っていますけどね、そう名前を付けて何とかできないかなと思っているんですけど、提案についてどう考えますか。
  27. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 先生御提案の医療機関同士、地域医療機関同士が話し合った上で協定を結んで、都道府県がそれを医療計画に位置付けて住民に明示する方法というやり方につきましては、今回の改正の目的でございます医療機能の分化、連携の推進といったような観点からも、分かりやすい医療提供体制の構築という観点からも有意義な方策であるというふうに認識しております。  先生御指摘のとおり、地域医療というのはある意味では公共財でございますので、それを効率的にそれぞれ分化、連携をしていくということは大変大事でございますので、厚生省といたしましても、都道府県に対しまして、例えば先ほど議論がございました地域連携クリティカルパスの導入など医療連携に関する取組方法、それから先駆的な取組事例等を紹介するとともに、医療機関同士の役割分担あるいは連携を前提とした協定方式についても周知、指導して、ソフトの部分、医療計画のソフトの部分の実効性を担保するものにしてまいりたいと考えております。
  28. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 全体的にやはり県の主体性というのはほとんどないんですよね、今。今の時点で、県でどういう検討をしているかなんということ、反応は全然ゼロです。厚生省からまだ何も言われておりませんみたいな話になっちゃうんですね。  本当は、医療とか福祉こそ自治の原点ですよ。これについてもっと県が責任持ってやりましょうというふうなことでいかないと駄目ですからね。ということは、逆に言いますと、国の言いなりになるということではなくて、県の自主性なり独自性なりというのを十分認めるというよりそれが当然だというような前提で対応してもらいたいと思いますけれども、医療計画については以上で終わって、次に、後期高齢者医療制度について二つほどお聞きします。  後期高齢者医療制度、いいですか、これは保険ですか、保険でないのですか。保険だとするならば、保険者というのはだれですか。以上答えてください。
  29. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この後期高齢者の医療制度におきましては、七十五歳以上の高齢者につきまして、公的年金制度が成熟化してきたと、こういうことを踏まえまして、それぞれの高齢者の方を自立した存在というふうに位置付けまして、それぞれの方から保険料をいただくと、こういう意味で、これは社会保険方式を取っているわけでございます。  ただ、この後期高齢者医療制度の運営主体でございますけれども、これは、都道府県ごとに全市町村が参加をいたします広域連合が行うということとしてございますけれども、保険料を賦課するあるいは給付を行う、こういう意味で財政責任を負っているのは広域連合でございますので、そういう意味では、保険者は広域連合になると、このように考えております。
  30. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 端的に言ってください。保険であるということ、つまりみんなで出し合って運営するんだということ、基本はね。何か国庫負担なりあるいは公費負担なり、あるいは何とか支援金というのは結構多いようですけれども、基本は保険だということをしっかり踏まえてくださいね。そうでないと、負担が増える増えないというだけの話になっちゃうんですよ。みんなでそれを支えていきましょうという発想で物を考えてもらうのも保険ですからね。そこを忘れないでくださいね。  そうすると、保険者は広域連合ということは、そこは何かもう一つはっきりしないんですけれども、何となく言い訳めかしいことを言って、その上で言ってみれば保険者はみたいな話なんです。保険者なんですよ。あと、そうなると、保険というのの場合に、保険者の機能は何でしょうか。私は、保険料と、それからその対価をどう支払うかというのが保険者の一番の基本的な機能だと思います。  これについて、保険料はだれが決定をし、支払うべき対価というのは、診療報酬といいましょうか、というのはだれが払う、だれが在り方を決めるんですか。
  31. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 保険料の決定、賦課、これは広域連合が行いますし、また給付、診療報酬の支払も、これも広域連合が行うわけでございます。
  32. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 支払じゃなくて、どういう支払い方をし、どういうふうな評価をして、本来被保険者が払うべき医療費というのを保険が代わりに払うわけですから、払う金額を決めるのはだれですかということです。
  33. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) これは通常の健保組合なり現在の市町村国保と同様の機能をこの点につきましては広域連合が果たすということでございます。
  34. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 そういうことを聞いているんじゃなくて、今の同じということは答えてないということだな。だれが、今、だれが決めているんですか。そこがはっきりしない。全国一律ですよね、少なくとも。なぜ保険者が都道府県別に後期高齢者の医療制度をつくるのに、診療報酬は全国一律みたいなことを前提にするようなしないようなことですけれども、違っていいんですね。保険者が、保険料、保険ごとに違うとあれば、診療報酬だって違って当たり前じゃないか、私は基本的にはそう思いますけれども、どうですか。
  35. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 診療報酬の話の問いでございますけれども、基本的に、新しい高齢者の心身特性にふさわしい診療報酬体系をこの後期高齢者医療制度では設けることとしてございます。  これにつきまして、基本はやはり現在のものと同じでございますけれども、ただ、議論がございましたように、医療費適正化計画、これ五年ごとに定めるわけでありますけれども、その翌年に、実績を評価した上で都道府県ごとに、厚生労働大臣都道府県知事と協議をいたしまして異なる特例というものを設けることができると、このような仕組みを導入させていただいているところでございます。
  36. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 そこをもう少ししっかり、法律上どうなっていますかねという点と、それから、何か特例を定めることができるとかいうことになっていますけれども、基本的に保険者が決めると、ただ、共通部分は厚生大臣が全国一律に決めるとか、原則をどっちに置くかというのは非常に大事なことだと思うんです。そこのところを、何か一律にやることがいいんだというような前提に立たないでください。だからこそ私は後期高齢者の医療制度というのがあるんではないかと思うんです。  なぜ後期高齢者の人の医療保険制度を国民皆保険の中で別建てにするのかということを考えますと、これは、今までの何となくやってきた治す医療といいましょうか、ということだけではなくて、一説にみとりの医療という表現がありますけれども、私はもうちょっと表現を変えて、ラストランの医療だと思うんですね。ラストランの医療保険制度というのは、私はやっぱり医療というのは言わば一歩引いて、生活をまず成り立たせて、それを支えていくのが医療ですよというふうな医療で、私は、四十、五十、三十代の保険制度医療と設計の仕方が違うというふうに思うんですよね。だからこそ、後期高齢者についてはやはり医療制度を別にしようじゃないかと、こういうことなんだと思います。  うっかりしますと、高齢者医療というのはどうも金掛かるから、あれを保険から追い出して税金を中心にして別建てでやろうやという発想があるんだったら、僕は反対です。それじゃないと思います。これからの良質な医療ということもそのことを言っているんじゃないですか。  そういうのも、尊厳ある死といいましょうか、人間はいつか必ず死にます。それをある種の流れの中で、ほったらかすんじゃなくて、もっとラストランの医療、人生というのを考えて、よりふさわしいパブリックな仕組みをつくろうじゃないかというのが後期高齢者の保険制度だと思うんで、そうなると、診療報酬体系なり生活習慣病在り方なり、あるいは最期のケア、緩和についての在り方なりというのは地域によって様々私は違っていいんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういう意味で、特例的にとおっしゃいましたけれども、そうじゃなくて、原則はむしろ都道府県です、ただ共通部分は一律で決める場合もありますというふうな表現になりませんかね。  あれは、法律上どうなっているのか。厚生大臣、どうですか。大臣が決めると多分なっているはずでございますが、それについてのお考えを聞かせてください。
  37. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 制度の基本的な議論をいただいたと思っております。  今回の法律では、当然、厚生労働大臣が定めると。それに対して、一つの切り口は、意見具申をすることができる、それは全体の制度に対して、診療報酬に対して。もう一つは、自分地域のことについては、一つの見解がまとまった時点で私と話合いを行い、そして私の方から中医協に督励をしたいという制度になっております。  そういった意味では、阿部委員が御指摘体制は、まだ中途半端だという御指摘なんだろうと思いますけれども、ひとつ方向性は、委員が今お示しいただいたような地域の特性というのをなるべく生かせる方向に考えていくべきだと、また、これからの医療のやはり一番主体になるのは都道府県中心になりながら考えていくべきだと、こういう御趣旨だったろうと思います。私自身もそんな考え方を持っておる一人でございますので、方向性は同じような思いでおります。
  38. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 最後に一つだけ要望しておきます。  七十五歳以降になりますと、何で年齢で切るんだということもありますが、私は、先ほど言いましたようにラストランの医療というものをどうするのかということで考えますと、一番大事なのは本人の意思なんですよ。  日本医療というのはお任せ医療の時代が非常に長いものですから、後期高齢期においても自分の意思を持ってラストランをどう過ごすかということについて意思決定している人は極めて少ないと思うんですよ。でも、別建てにする以上は、私はできますれば、七十五歳になってこの制度対象になったときに意思確認を是非してもらいたい。被保険者証を出すでしょうから、そのときの備考か何かでも、何でも結構ですけれども、備考というより、御本人のお考えを書いておいてくださいというようなことを、どういう医療を受けたいのか、あるいは余り長生きさせない、長生きさせないというか苦しませないでくれとか、あるいは何というか、遺産相続までそこに書くわけにいかぬでしょうけれども、どういうふうなラストランの生活をしたいのかということの表現で意向を確認しておくというのは、私は、後期高齢者の医療在り方についても日本医療在り方についても非常に大きな変革をもたらすものであり、絶対そこは避けては通れないことなんじゃないかと思いますので、そんなような制度の運用をお願いしたいと思いますが、お考えがありましたら一言聞いて、要望としておきます。  終わります。
  39. 下田敦子

    ○下田敦子君 民主党・新緑風会、厚生労働委員の下田敦子でございます。よろしくお願いいたします。  先週、君付けで呼ぶのはいかがかというお話も出まして、以前、岸理事、委員長のときにはさん付けで呼んでいただきまして、大変感謝を申し上げております。ありがとうございます。  私はこのたびの同法案の一部改正を前にして思いましたことは、ニュージーランドの医療、行政改革の状況を思い出しました。ニュージーランドは巨大開発をすべて海外の借款によってしましたそうですから、いっときはかつてのブラジルより経済状況が悪化しまして、海外資本に押さえられたまず郵政民営化が始まり、公務員の削減、五千人おりましたのがいきなり六十人になったというところもあるそうです。それから、消費税が一一・五%、これは余り申し上げたくない話でありますが。所得税が二四%。それから、驚いたことは、こども銀行の貯金まで課税され始めた時期があったと聞きます。このように余りに急激な改革で、国民が何が何だか分からない現状があったと。  ただし、このニュージーランドというのは、行政の透明化においては二〇〇二年度の世界の調査ではニュージーランドは第二位の情報公開国であります。それでもこういう行政改革の混乱を生んだと。ちなみに、非常に似たような状況なのであえて時間をいただいているわけですが、日本は第二十位でありますから、国民にしてみれば、今回の医療費の改正は何が何でどうなっていくのか、ただただひたすら心配をしているというのが肌で感ずる状況であります。  結果、ニュージーランドの医療が一番影響を受けたと言われております。例えば、公立病院が公立病院企業体として名前を変えました。例えば、人口十一万人のダニーデンという市がありますが、そこの公立病院は八階建てだそうですが、一番の上の上階を別病院に貸して、先ほど清水先生がおっしゃられたように、非常に重要な産科、これがなくなったと。それから、乳がんの術後二日目で退院させるなど、手術数を年間で少なくさせられた。患者さんは一晩で二、三万円の請求を受けて、また医師は私立病院の手術場を借りて公立病院の手術を行うことも出現したと。それから、八十歳の老人が夜明けを待たないで午前三時に退院させられるなど、病院の回転を速くしたい結果を招いているがゆえに大変なことであります。  それから、ただいまも市町村の問題が出ましたが、公益ということを考えたときに、これも当然日本も出てくるかなと思うんですが、公立病院がどんどん廃止されて、ヘリコプターで大都市へ搬送すると。CTスキャンなし、それからMRIの検査は数年待って、患者さんがしかも七、八万負担させられたと聞きました。言ってみれば、まさしくこれはアングロサクソン・スタンダードの行革でございまして、何やら日本も郵政民営化のところまでは似ているなという感じがしましたので、あえて申し上げます。  今現在、我が国の国民の七割が健康や生活に不安を抱いて、患者負担がどれぐらい増えるんだろうかとか、受診の抑制で医療費がどれぐらい抑制されるんだろうかとか、更にいろんなことを不安を増していると聞きます。医療を受ける機会を更に奪うことになって、かえって健康を悪化させて、そしてまた医療費増を招くことになると私は考えます。ですから、早期受診、それから早期治療の促進や、国民の健康増進を図って病気になるのを少しでも早くから抑えると。日本はこういう意味では大変安い医療費、診療費の中で、大変近くにいろんな病院があって、この意味では有病率を下げてきた日本のすばらしい点が私はあると思っております。  そこで、第一番目の質問に入らせていただきます。  医療給付費の将来推移についてお尋ねいたします。二〇二五年度の政府見通し政府予定の大綱案に、実施の場合です、諮問会議では管理目標の導入の場合、それぞれについてお伺いいたしますが、試案を出されました、四十九兆円という試案だったんですが、十二月のこの医療制度改革大綱におきましては四十八兆円と、わずか二か月の間で一兆円も下方修正されています。これはどういうことなのか、まずお尋ねいたします。
  40. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 昨年十月、私ども厚生労働省医療制度構造改革試案を発表したわけでございます。これは議論のためのたたき台ということでお示ししたものでございますが、十月時点でございましたんで、平成十八年度の診療報酬改定率は決定していなかったわけであります。したがいまして、制度改正の部分だけ織り込むような形で医療給付費の自然体の見通しは二〇二五年度で四十九兆円とお示ししたところでございます。  その後、十二月に至りまして、予算編成過程で平成十八年度診療報酬改定率がマイナス三・一六%と決まったわけであります。国民医療費、ざっと三〇兆円の三%でございますので一兆円程度の違いというものが出てきたわけでございます。もちろん、そのほかに細かな制度改正の問題でありますとか差異はございますけれども、最大の要因はこのマイナス三・一六%という診療報酬、マイナス改定がその後決まったがためにこういう変更があったということでございます。  それから、申されました諮問会議の民間議員の御主張としまして、高齢化修正GDPということもおっしゃっていたわけでありますけれども、これに基づくとどうなるかということは、これも実は十月の医療構造改革試案におきまして試算したものを出してございますけれども、それで、その段階におきまして二〇二五年度で四十二兆円という数字を試案でお示ししているわけでございます。
  41. 下田敦子

    ○下田敦子君 そのパーセンテージの違いということもあるんだと思いますが、ただいまのお話で私もいろいろ調べてみましたが、例えばドイツ、スウェーデンなどは既に九〇年代に達している水準があります。それから、社会保障給付費全体から見ても、厚生省が示されました二〇二五年度の対国民所得比二八・五%というのは、これはドイツでは既に一九八九年、水準に達して二八・四%という数字があります。  大変ずさんな計算だとか予想だとかということは日本医師会がおっしゃって、パーセンテージが若干違いますが、この辺について、やたらに不安を国民に与えてはならないのではないかと私は個人的にそう思うのですが、御所見はいかがでしょうか。
  42. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 我が国の医療費が国際的に見て、対GDP比でそれを見ますと低いということはこれは広く知られた事実でございますし、繰り返し御答弁もさせていただきましたとおり、例えば二〇〇二年度のデータで見ますと、GDP比が日本は七・九%、それに対しまして例えばアメリカであれば一四・六%、ドイツであれば一〇・九%と、このようになっていることは、これはもうつとに、ずっとお示ししたことであります。ただ、一方で、一人当たり医療費を見ますと、円換算しまして三十万七千円ということで、OECDの加盟国の中で九番目の位置にあるということでございまして、この医療費の水準をどう見るかということは様々な見方があろうかと思いますけれども、少なくともGDP比で見ればこういった位置にあるということは分かった上でのことでありまして、将来見通しにつきましては、またこれ別途、様々議論させていただきましたけれども、私どもとしてはそれはそれなりに妥当なものであると考えております。
  43. 下田敦子

    ○下田敦子君 これ、やはり川崎大臣にも今後また御尽力を賜りたいと思いますが、議論しても、やはり医療費の伸び率のパーセンテージの根源が違いますので、なかなか一致することはないと思うんですが、ただ、銀行救済のために七十兆円を予算したり、このたびもまた米軍再編でグアムに移転する、何のためにアメリカの軍隊が行くのに三兆円を出すということを優先させなければならないのか。国民の健康を守ることを厳しく制限していく政府の税金の使い方が、多分厚労省としても大変歯がゆく思う場面場面があったのではないかなと私はそう思っております。是非、大臣の御尽力をお願い申し上げたいと思います。  さて、次に、二番目のお尋ねですが、このたびの国民年金保険料の免除、猶予申請を本人の申請のないままに社会保険事務所が手続をされた、この問題についてお伺いいたします。  民間から登用された村瀬社会保険庁長官が全国的に納付率を二%アップということを文書で指示されたと報道されていますが、その内容と時期をお尋ねいたします。
  44. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) ただいま御指摘ありました文書は、昨年の十一月八日に全国の事務局長、事務所長に私の方から出してございます。  その内容は、全国の十二月末の納付率を対前年同期比プラス二%にすることとなっております。その中身につきましては、事務局、事務所、十二月末までで臨戦態勢で臨んでもらいたいと。それから、事務局長においては、対策本部の全職員を動かして事務所活動を全面的に支援してほしいと。実績についてはしっかり管理をしてもらいたいと。また、対策が不十分な事務所に対しては個別対策を打つようにお願いをしたいと。事務所長につきましては全職員のパワーを結集することと。それから所長自らが率先垂範で対策実施すること、このような文書になってございます。  ただ、その背景を一つ申し上げますと、一つは、九月末の納付率が対前年同期比プラス〇・六%であったと。六か月間掛けて〇・六%でございました。ただ、これをなぜ二%にできるのかということでございますけれども、実は、十六年の年金法改正で十七年から課税所得控除証明書ということで、十七年に保険料をお納めいただいた方々については納付の実額を御報告する仕組みをつくってございます。そして、十七年の税制改正で十八年度申告納付若しくは確定申告によります還付申告の段階でこの証明書がないと控除できないと、こういう仕組みをつくらさせていただいておりまして、その点で十一月、十二月は正に十七年の納付をしっかりやれば確実に保険料をお納めいただけると、こういう背景が一つございます。  それから、二つ目に、所得情報ということで、十六年の年金法改正で未納者の方々については市町村の御協力を得られれば所得情報がちょうだいできるようになりました。したがいまして、その所得情報に基づきまして効率的な納付対策が講じられると。その中で、何回も免除申請を、納付をやりましても、なかなかお納めいただけない免除該当者につきましては免除という観点でのお仕事をさせていただく、これも我々の一つの仕事だろうと。それと同時に、十七年は大幅に収納率を上げたいということで、強制徴収を本格的に実施しようということで、年初十四万件を対象に強制徴収手続を取らせるようにしてございます。  結果的に十八万件まで十七年度中に強制徴収の最終催告状を送付させていただきましたけれども、そういう背景があるということでこういう文書を出させていただきました。
  45. 下田敦子

    ○下田敦子君 このところの報道並びに様々な出来事に対して、長官始め大臣の御心労を拝察いたしております。私はそのことを申し上げているのではなくて、大変御苦労なことだなと思っております。  失礼なんですが、村瀬長官がお出しになりました緊急メッセージを私、前もってちょっとコピーをいただきました。中を拝見しますと、非常に、〇・六%の収納率であるとか、またこれに対して事務局長、事務所長、危機感を持って自ら陣頭指揮を取っているのかとか、それから全国の十二月末における改善幅をプラス二%にするようにとか、皆さんも不退転の決意で臨んでもらいたい、御健闘を期待していると。これは全く、先に立つ者としては全くそのとおりで、これは何も問題のないというか、むしろ私はすばらしい気合の掛け方だなと思うのであります。  今から、ここから申し上げますことは、ただ一行ちょっと気になることがあります。  我々の組織が残る道であり、若い職員に組織を残すことができる唯一の道であるということを付け加えておられます。私は、これは大きく、やはり報道の方とか様々な方々に理解してもらえないというか、大変疑問を抱かせているものなのではないかなと思いました。  それで、次に、特別会計がこの関係では三会計あるように私、承知しておりますが、この関連法人に流れていっている補助金額、これが幾らであるか。それから、天下りと言われている退職者の、厚労省の関係者が何人この関係する独立行政法人にいらしているのか。これをちょっとお尋ねしたいと思います。
  46. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) あらかじめ先生の方から御連絡のございましたものということで私ども伺っておりますのが、独立行政法人福祉医療機構への運営費交付金の件というふうに承っておりますので、まずはこれについてお答えをさせていただきたいと存じます。  これは、平成十八年度の厚生保険特別会計業務勘定から福祉医療機構の方へ十七年度二・六億円の交付金、これが十八年度六十三・六億円というふうに大幅に増加をしているということで、その理由に絡んでというふうに伺っておりました。  これは、御承知のように、年金の特別会計の中から年金資金運用基金という法人の方に積立金の関係の資金、それからそのほかに年金の住宅融資でありますとか年金の教育資金貸付けの仕事、このために交付金という形で従来お金を回しておりました。  ところが、これを順次言わば分解をいたしまして、まずは年金の積立金につきましては、平成十八年の四月に年金積立金管理運用独立行政法人の方にこれを移換をしております。また、年金の住宅融資の方の事業は十七年度で廃止ということになりましたので、この廃止された事業のうち、既に貸付けをしておりまして言わば債権回収をしなければいけない部分、この仕事を独立行政法人の福祉医療機構の方へ引き継いだという事情がございます。また、年金教育資金の貸付けあっせん業務の方はそのまま言わば福祉医療機構の方へ仕事ごと継承したと。  従来、社会福祉医療機構の方はいわゆる小口担保の貸付け業務を行っておりまして、これが十七年度二・六億でございました。それに対して、十八年度、ただいま申し上げました二つの仕事を承継させていただきましたので、その言わば交付金が六十三・六億円に言わば見掛け上増えたということでございますが、これは全体の仕事が増えたというんではなくて、別のところへ移したということで御理解を賜れればと存じます。  事前に御通告いただきました範囲でちょっとお答えできることは以上でございますので、お許しをいただきたいと存じます。
  47. 下田敦子

    ○下田敦子君 退職者の数、答弁漏れです。
  48. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) これまた事前に御通告いただきましたのが、人件費のウエートどうなっているかというちょっとお尋ねだったというふうに……
  49. 下田敦子

    ○下田敦子君 それ、次に。それ、次ですけれども。退職者の。
  50. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) 失礼しました。社会福祉医療機構は、例えばこの機構の中の役員の何人かは私どものOBが行っておることは私も個人的には承知をしておりますが、人数について正確なことを現時点でちょっと私、持ち合わせておりませんので、後ほどお許しいただければきちんとお届けをさせていただきたいと存じます。
  51. 下田敦子

    ○下田敦子君 通告してあります。しかも、全部私はこういう具合に質問の要旨を書いてお送りしてあります。よろしいです。時間がありませんので、これにばかりこだわっておりませんが。  私が大変心配していることは、決して責め立てをしてどうこうとかいうことなのではなくて、心配しておりますことは、昨年というか、十七年度末の決算書を見ればこの運営交付金というのが大変けたが小さいんですが、今年度の予算を見ますと、いきなり六十三億になりまして、前年度の二億六千万余から見るととんでもない数字。それは、ただいま、今おっしゃっていただいたいきさつからだと思います。要するに、グリーンピアとか住宅の融資とかあるいは資金の運用事業等がこちらへ移換したということもありますので、それは分かるんですけれども、はてさて、これを将来土台とし、また一つの独立行政法人の福祉医療機構を抱えながらこの事業を進めていく長官にあっては、これは一つまた大変な問題だなと私は思うんです。  それで、ちょっと角度を変えますが、このたびのような、言ってみれば納付率の粉飾という問題の行為の中で、重なる督励にも応じない場合、強制徴収の財産差押え状況がいろいろあったと思いますが、これの平成十六年度、十七年度の件数、これをお伺いしたいと思います。
  52. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) ただいま強制徴収の件数についてのお尋ねがございました。  この強制徴収は、一連の最終催告状から始まります手続をずっと続けておりますので、現在まだ進行中の部分でございますが、十八年の三月末現在でのいったん区切った実施状況を申し上げますと、まず平成十六年度に着手をいたしました部分につきましては、最終催告状を約三万一千件送付をしておりますが、これに対して督促状の送付が四千四百件、最終的に財産の差押えに至ったものが四百四十八件でございます。また、平成十七年度着手分につきましては、最終催告状送付が十七万二千件、督促状の送付に至ったものがこのうちの三万六千件、最終的に財産の差押えに至ったものが二千六百九十七件となっております。
  53. 下田敦子

    ○下田敦子君 差押えという行為は、やはり受ける側としては大変な思いだろうと思います。ですから、その前段階のお互いの双方の努力、これがあってしかるべきだと思います。最終的にどうにもこうにもならない、どこから見てもこの人はきちっとした強制徴収をしなきゃいけないということは分かりますが、十六年が四百四十八件であったものに対して十七年度に至ってはもう二千六百九十七件というのは、どう考えてもこれは何だったんだろうというふうに思います。ですから、このことをまず一つと。  それから、社会保険庁自体の人件費、これは経費等の削減で徹底すべきだと私は思うんですが、これを損益計算書によってお尋ねをいたします。
  54. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) まず、社会保険庁の人件費ということでお尋ねがございました。  これは社会保険庁の所掌いたします国民年金、厚生年金それから政府管掌健康保険の業務に従事いたします職員が約一万七千名、この人件費は一千三百四十億円になっております。また、これとは別に、国民年金推進員という形で国民年金の督励等に当たる非常勤の職員がございます。これが三千三百名ほどございまして、その人件費が七十一億円。合計で一千四百十一億円。いずれも平成十八年度の予算ベースの金額となっております。
  55. 下田敦子

    ○下田敦子君 済みません、委員長、私はパーセンテージを伺っているんです。
  56. 山下英利

    委員長山下英利君) ちょっとそのままお待ちください。
  57. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) あわせまして、この比率でございます。  社会保険庁の事務費はトータルで三千三十七億円となっておりますので、先ほどの一千四百十一億円と三千三十七億円の言わば比率を見ますれば、四六・五%という数字になっております。  なお、先ほど下田先生の方からお尋ねございまして、私、遅れておりました、社会福祉医療機構の役員の数及びその中に占める厚生労働省OBの数ということをこの場をかりてお答えさせていただきますと、役員七名に対しまして厚生労働省の出身の者は現在四名となっておることでございました。大変失礼いたしました。
  58. 下田敦子

    ○下田敦子君 お願いがあります。その先生という呼称はおやめいただきたいと思います。私は議員であり委員でございますから、それで呼び捨てで結構でございます。  四六・五%ということは、これは損益計算書に沿っての計算でしょうか。
  59. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) ただいまの数字は、予算書の、予算ベースの数字でお答えをさせていただきました。
  60. 下田敦子

    ○下田敦子君 これは先回、能力開発法の一部改正のときも申し上げたんですが、経営診断という意味からいえば損益計算書で計算するのが普通です。入るものと出るものとのプラスマイナスを通して見るわけですから、予算書とか決算書ではこれは診断になりません。ですから、もう一度これは後でいいですからお知らせください。  時間がこればかり取られませんので申し上げますが、やはり私は、社会保険庁自体の経営をいかにすべきかということが私は最大のテーマだと思いますので、御苦労もおありだし、お立場上大変な思いをなさっているのはよく分かりますが、是非このことをお願いを申し上げまして、次の質問に入らせていただきます。(発言する者あり)ああそうですか。じゃ、与党の皆さんから。  四六・五%というのは全然今審議申し上げる数字でないものを提供されましたので、これ以上入り込んで議論はできません。場を移してまた第二ラウンド、第三ラウンドでお願いいたします。  それから次、三つ目の質問です。  私は、高齢者医療の中で薬剤費ということ、大変御専門の先生がいらっしゃいます。藤井先生、いつもお薬の方からいろいろ御指導いただくこと多いんですが、私、診療費とこの薬剤費の割合が日本は特別な状況にあるということを少し気になっておりましたので申し上げさせていただきます。  我が国の医療費のうち薬剤費比率は幾らか、また診療費の比率は幾らか、これを直近の数字でお答えいただきたいと存じます。
  61. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 我が国の医療費の中での薬剤費の比率についての御質問でございますけれども、平成十五年度の国民医療費、これ国民医療費としては最新のものでございますが、三十一・五兆円、うち薬剤費が約六・九兆円でございますので、約二一・九%となってございます。この率自体は実は十年間でかなり、十年前と比べましてかなり下がっておりまして、十年間で見ますと約三割から今日の約二割、六兆円強という姿に変わっているわけでございます。  一方で、診療料とおっしゃいましたけれども、実はこれ、診療料あるいは技術料でこれ直接把握するデータがちょっと乏しいんでございますけれども、医療経済実態調査におきまして、医療機関の支出に占める医療サービス従事者の人件費ということで申し上げますと、この割合は約四八%でございまして、この十年間約五割という水準でほぼ横ばいになってございます。
  62. 下田敦子

    ○下田敦子君 またこれは、議論をまた第三ラウンドぐらいに延ばさなければなりませんが、医療の場の運営とか経営というのは、その今のお言葉であればそれは成り立たない話になります。人件費とかそういうものは必要経費であります。何か余ったもの、余ったというか、管理費の水道光熱費とか医療費とか薬剤費とかいろんなものを引いて、残ったものは収益だというふうに先般御担当の所管の方からお話をいただきましたが、じゃ、医療の場というのは一体何なんだろうということを非常に考えさせられました。ですから、これはちょっとその議論ではないので、後に譲らせていただきます。  今のお話ですが、例えば、医療費のうちの約三〇%のこの薬剤費、これはアメリカの二・七倍、それからドイツの一・八倍であります。一〇%に満たない診療費というのは、先ほど申し上げたように病院の必要経費を全部差し引いたものであるとするならば、これは日本医療というのは一体何なんだろう、一般の経営ということは、いちずに医療とか福祉とかこういうものはちゃんとした哲学があって、一つの収益を必ずこれをまた社会的な貢献のために還元していかなきゃならないという哲学があると思います。ですが、経営が成り立たないということは、あしたの診療ができないということになりますから、このことにおいての考え方をもう少し変えていかなければならないと私は思います。  十七年度以降の国民医療費に占める薬剤費の比率は、確かに今おっしゃられましたように徐々に下がっている。昨今二〇%ということは、これは確かなことではあると思うんですが、これにしても、でも世界一であります。ですから、一体日本医療の中での薬産業というようなものは、あるいは医薬剤産業というのはどうなっているのかなということをこのたび私なりに調べさせていただきました。  そこで、次に、薬の中で今盛んにこのごろ言われている、新薬の値段が極端に高いというのが日本状況の中で言える。ジェネリックメディスンという言葉を、どなたが考えたのか、後発医薬品というふうに、大変効きやすいような訳をしておりますが、これは実はジェネリックという言葉は脱ブランドということであって、極端に言えば一流品じゃないですよということをあからさまに言えなかった部分があったのかなと、まあこれはともかく、これはどうでもいいんですが、ですから、本来の意味は後発医薬品ではないということだけは、あえてこの公の場で大変僣越ですが申し上げさせていただきたいと思います。  そこで、ちょっとこの比較をしてみました。今差し上げている世界売上げランクに占める日本のオリジン、いわゆるオリジナルな製品の中でということなんですが、大変日本は、そういう意味で国内で高く売って、世界的に売れている薬品を開発してこなかった。どういう経緯があるのか、非常に不思議な、ある意味では不思議な国であります。  これを見ますと、世界的に売れているというか、解釈されて市場を持っているのはタケプロンという薬、それから、最近大変はやりだそうですが、メバロチン、高脂血剤、大変これは成人病予防という意味で考えているんでしょうか。それから、クラビット、これは抗生物質でありますが、大体世界的に共通して売れているというのはこの辺ぐらいのもので、あとはほとんど国内で流通していると。  二枚目の用紙なんですが、これは……(発言する者あり)国際的、そうです、これは国際的に売れている薬であります。  次に、これは二〇〇四年の世界大手の医薬品の売上げランキングですが、アメリカですね、これがやはりファイザーというのが一番有名でもありますし、またスイスがちょこっと出てきますが、知的産業の集積の多いところでありますから、まあ理解できます。やっと十四番目に一兆円で、これは武田薬品が出てきます。  ですから、こういうことを考えたときに、大変日本の医薬品業界というのは独特な姿があるんだなということが分かりました。  とにかく、この医薬品、医療費の中で薬剤費というのが三一%、これ平成七年度ですからちょっと古い私の数字ですが、アメリカの二・七倍、ドイツの一・八倍、最近下がったとはいえ、一〇%未満のドクターの診療費などというのは比べようもないくらいに非常に低いということが言われます。逆に、大変日本人は予防に弱くて薬好きだということも言われています。  次のことなんでありますが、どんどんどんどん、薬剤費のこのメカニズムというのはちょっとよく分からないんですが、薬価の決定の場が新しい薬に次々とシフトされていく状況があります。したがって、このような状況から医療費が上がるというこの仕組みについて、大臣はどのようにお考えでありますか、お尋ねしたいと思います。
  63. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 二、三ちょっと私の頭へ入っている数字と下田委員が御指摘にいただいた数字が違うように思いますので、後できちっと精査をしたいと思いますけど、多少申し上げさせていただくと、一つは、医療費の中に占める薬剤費のウエートが日本は高いだろうと言いますけれども、アメリカは、今世界の薬の中のたしか四五%以上をアメリカで使っているというようなことで、アメリカは極めて薬のウエートが高い国であると第一に思っております。  第二に、平均単価を比較いたしましたときに、少なくとも我が国の方がアメリカより安いというように思っております。  それから、三番目に、日本のメーカーでございますけれども、例えばホンダさん、キヤノンさん、こういうところですと、たしか連結決算の数字だと思いますけれども、八〇%ぐらいは海外で売っております。しかし、例えば松下を取りますと四五%ぐらいでございますし、日本の薬品メーカーのトップ四、五社を見ますと、大体四、五〇%海外へ売上げをしている。したがって、日本の電機メーカーと日本の薬品メーカーを比較したときに、必ずしも薬品メーカーが日本国内の売上げのみに頼っているというのは数字的に少し違うように思いますので、そこのところは是非御理解を賜りたいと。  いずれにせよ、少し数字を精査して下田委員の方の資料と付き合わさしていただきながら、この議論はしっかりやっていかなければならないなと思っておりますし、三割ほど、一時御批判をいただいたように高かった時代がありますけれども、今は二割程度まで下がっておりますので、それなりに私ども努力してきたつもりでございますので、どうぞ御理解を賜りたいと思います。
  64. 下田敦子

    ○下田敦子君 ありがとうございました。  もう一つ角度を変えて考えてみました。いわゆる中央社会保険医療協議会、中医協とよく呼んでおりますが、この中の委員構成、これをこのたびの改革に当たっても見直されるということなんでありますが、専門委員というのが一番下の段にありまして、十人ほどいらっしゃるのが分かります。この十人のうち、医薬品関係会社から六人入っている意味は何なんでありますか。また、このたびの中医協改革でこの点が挙げられていない。これがまた何であるか、お尋ねをしたいと思います。
  65. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 中央社会保険医療協議会についてでございますけれども、法律によりまして、委員二十名のほかに、ただいま委員から御指摘ありましたとおり、専門委員として十名以内を置くことができると、このようにされたところでございます。  内訳は、老人診療報酬担当二名、薬価担当三名、保険医療材料担当三名、看護担当一名、診療報酬改定結果検証担当一名ということでございまして、六名とおっしゃいましたけれども、薬価が三名、それから保険医療材料が三名ということでございます。  この理由でございますけれども、こういった医薬品あるいは医療機器につきましては、効能効果でありますとか、用法用量、多様な疾病に関しましてございますし、開発、製造、販売、流通、こういった幅広い知識、経験が必要になるということで、医薬品及び医療機器に関する有識者といたしまして、製造業者並びに卸売業者の方を専門委員として任命をされているところでございます。  まず、中医協改革という点から申しますと、正にこういう専門性のところにつきましては問題にならなかったわけでございまして、委員について今般見直しをすることにしたわけでございますが、専門委員につきましては基本的にこのスタイルでいっているわけでございます。特に、こういった専門委員につきましては、個々の薬価でありますとか材料価格の設定につきましては利害関係者が関与しない仕組みとしてございまして、先ほど申し上げましたような専門知識を生かしまして、薬価基準制度あるいは材料価格基準制度といったルールを策定する際に参画をしていただいているものでございます。
  66. 下田敦子

    ○下田敦子君 こういう場で会社の固有名詞を出すのは私はいかがかと思いますので申し上げませんが、六人の方のそれぞれが、製薬会社の、あるいは医療品関係会社の社長であったり管理職であるわけですね。なぜ、こういう方々がたくさんに、私は、中医協の役目というのは、もっと患者さんであったり生活者であったり、そういうことの必要性の方が高いのじゃないかと私は思うんですが、これは幾ら議論してもかみ合わないのかもしれませんけれども、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
  67. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) こういった専門委員の方につきましては、先ほど申し上げましたような専門知識を生かしていただくということでございまして、今委員御指摘の生活者の視点と、こういう観点からの委員任命につきましては、こういった専門委員じゃなくて正規の委員の任命に当たって考慮すべき事柄ではないかと考えてございます。  具体的に、医療保険の被保険者代表を委員とするということは法律で規定されておるわけでありますが、これに加えまして、一連の中医協改革の中で昨年四月から、患者一般の声をより適切に反映できる委員の方を正規の委員として任命し、今御指摘の点に生活者の視点というものを加える努力を私どもとしてもしているところでございます。
  68. 下田敦子

    ○下田敦子君 時間もありませんので、じゃ、少しはしょって、この問題でいま一つお尋ねをします。  平成十八年度の厚生労働省予算概要、一般会計の中で、主要施策として医薬品・医療機器産業の国際協力化の強化ということで六十二億五百万の予算編成されております。この意図は何でありますか、お伺いいたします。
  69. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 平成十八年度の今御指摘の予算は、厚生労働科学研究費補助金として大学あるいは国立試験研究機関等に所属する研究者に対して交付されておるものでございまして、特定の企業等に直接補助金を交付するというものではございません。これらの公的資金によって得られた成果等につきましては、広く一般に公開をされるということで国内外を問わず、医薬品、医療機器産業は、画期的な医薬品、医療機器の創製のため、これらの共通的な、基礎的な研究の成果等を活用するということになろうかと思います。  これらの研究を支援することによりまして、優れた医薬品、医療機器の開発の推進、あるいはそういうことを通じて国民に質が高く、安心、安全な医療提供が行われるようにするということは国の役割として重要であると考えてございます。こうしたことによりまして、国民の保健医療水準の向上を図るということ等に今後とも努めていきたいと思っております。
  70. 下田敦子

    ○下田敦子君 どこの基礎研究の場にこれを差し上げていらっしゃるんですか。使う予定なんでしょうか。
  71. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) いろいろな分野でございまして、例えばナノメディシンの研究であるとかトキシコゲノミクスの研究でございますとか、いろいろな分野、ファーマコゲノミクスの分野とか、あるいは医療技術の実用化の研究でございますとか、それぞれ……
  72. 下田敦子

    ○下田敦子君 済みません。どこのと伺ったんです。具体的な研究機関をおっしゃってください。
  73. 山下英利

    委員長山下英利君) ちょっとお待ちください。答弁続けてください。答弁、きっちりと対応してください。
  74. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 先ほど御答弁申し上げたところでございますけれども、これらの厚生労働科学研究費補助金は大学あるいは国立試験研究機関等に所属する研究者に対して交付されているものでございます。
  75. 下田敦子

    ○下田敦子君 一般の製薬会社の基礎研究に出していることはありませんか。
  76. 山下英利

    委員長山下英利君) 答弁できますか。
  77. 下田敦子

    ○下田敦子君 速記止めてください。ちょっと、時間がもったいないです。
  78. 山下英利

    委員長山下英利君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  79. 山下英利

    委員長山下英利君) 速記を起こしてください。
  80. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) ごく一部でございますけれども、官民共同出資研究プロジェクトというものがございまして、トキシコゲノミクス研究事業の一部、それから疾患関連たんぱく質解析研究事業の中におきまして官民共同出資により事業を実施をしているものがございます。  この場合ももちろん、トキシコゲノミクス研究事業につきますと十五社が参加をしているようなコンソーシアムになっておりますし、疾患関連たんぱく質の解析事業ですと二十社が参加をしているようなコンソーシアムになってございます。
  81. 下田敦子

    ○下田敦子君 研究の結果仕上がったものはどこに行くかということを時間があればお伺いして、更にお尋ねしたいところなんですが、時間がないのでやめます。で、言えることは、ここまで伺ってちょっと私は非常に疑問をますます深めます。  例えば、この中医協の専門委員に、あえて固有名詞を出します。アステラス製薬会社役員、武田薬品の総括部長、メディセオホールディングス代表取締役副社長、それから旭化成メディカル株式会社の顧問、ジョンソン・アンド・ジョンソンの日本代表なんでしょうか、社長とか、こういう状態で、私は国民の税金が六十二億五百万円という予算が医薬品・医療機器産業の国際競争力の強化として予算を持たれるということは、悪ではないかもしれませんが、医療費がこれほど足りない足りないと言っているのに、何で、何で企業のためにこれらを使わなきゃいけないのか。企業というものは一から自分で努力をして、積み重ねて、結果を生み出すまで頑張るべきが企業だと思います。護送船団だと言われている意味合いが、厚生省は製薬会社の護送船団でやってきたから世界に通用する企業に育ってこなかったという声を聞きますけれども、こういうことです。  それから、薬価のことで申し上げますと、薬は、これはアメリカともし同じ価格にすれば五百億円の医療費が安くなるという試算もあります。ですから、私はこの点について慎重に予算を見直し、またこのたびの法改正に当たって、天下りの人がたくさん製薬会社に行っているという現実から見て国民は納得するだろうかと、そこを一つ私は考えます。  次の質問に入らせていただきます。  医療費適正化計画と食生活習慣病対策についてお伺いいたします。  二〇〇二年度の一年間の我が国の医療費総額が三十兆円を超える、そのうち三分の一は生活習慣病医療費が占めていると、こういう現実は本当に大変なものだなと思います。  さて、ちょっと、私、四十年ぐらい、年に三十回ぐらい盛んなときは栄養指導の場を持たせていただいて、話を聞いてもらった場面場面がありますが、一番話でみんなが聞いてくれて面白がったのは、ドクター・J・マイヤーのアメリカの内科医の話でありますが、亭主を早死にさせる十か条というのがございまして、これは大変ヒットいたしました。私、ちゃんと調べないとこちらにいらっしゃいます足立委員とか朝日委員とか、ちょっと御迷惑をお掛けするといけないので調べました。  一九七〇年代のことで、かなり早い話であります。そのころアメリカで、私も随分太った人が多いんだなということを大変、突然行きながらもそういうことを思いました。そのときに盛んにこのマイヤーさんが肥満というものに対して警告を発していたんだと思います。  気になりますでしょうから申し上げます。  まず第一項めに、亭主をうんと太らせることです。第二項めに、砂糖、甘いものとかお酒をうんと上げることです。お酒に関して申し上げますと、一日一合ぐらいであればこれいいコレステロールが発生しやすいので、これに対してはやっぱり一日五、六合ぐらいずつ勧められることが大事であります。HDLコレステロール、ハイデンシティーリポプロテインが増えますので、ローに抑えておくためにはうんと飲ませることが大事です。それから次に、まあいろいろ、運動させないとかあるんですが、時間が限られますからやめますが、九項目め、夫を旅に出さない、十項目めの最後の仕上げには、しょっちゅう文句を言っていじめる、これが悪いコレステロールがどんどん出ますから、そういう意味で大変効果的なんだろうと思います。全部十項目お知りになりたい方は、是非散会後、参議院会館の五三二号室までお越しくだされば、詳しく栄養指導も含めながらお話をさせていただきたいと思います。  ともあれ、アメリカ人はあのころから、一九七〇年ぐらいから、肥満というものは非常に恥ずかしいものであって、自制心もないので企業や組織のトップに立つリーダーの条件としては絶対に向かないと、そういう風潮が急速に広まったことを今思い出します。このマイヤー・ドクターは、次に出した施策が、私、これ調べてこのたびなるほどと思ったんですが、すぐ子供の政策に移ってこれを言っているということが分かりました。やっぱり子供の肥満にすぐ手を掛けて進んでいかれたということは、私はこの栄養改善はやはり医師として着眼点がすばらしいなと思いました。  そこで、ちょっと質問に入ります前にお若い方もいらっしゃいますので申し上げますが、あの戦後の食べ物のない時代に、アメリカは無償で小麦、脱脂粉乳、ジュースを学校給食を通して下さいました、教え込まれました。厚生省も文部省もこれに力を注いで、フライパン運動、一日一回フライパンを使いましょうと、そして油の摂取量を高めて、高カロリー食を普及させました。保健所で、何と、私はあれは厚生労働省から出た予算だと思っておりましたら、実はキッチンカーなるものは、これ実はアメリカの小麦組合が大層なお金をはたいて日本に無償提供してくれていたということが後ほど分かりました。  ですから、キッチンカーに栄養士を乗せて、津々浦々まで、パン食を中心にして、パンを食べれば頭が良くなって米を食べれば頭が悪くなると言いました。本当にそういう事実があった。とにかく、欧米型の食生活を説いて回ったのが当時の栄養士であります。  ここでちょっと食文化についてのお話ですが、味覚は三か月から四か月で芽生えると言われて、甘みが第一です。次にいわゆる塩味であります。五歳で基礎ができて、十七、八歳で完成すると言われます。好き嫌いのない子供さんのお母さんは料理のレパートリーの幅が広くて、大変お母さんの影響というものは大事であります。  結果どうなったか。飽食と機械文明、車社会の中で起きる内臓脂肪の蓄積と、それを基礎にしたインシュリン抵抗性及び糖の代謝異常、それから脂質の代謝異常、高血圧を複数合併するマルチプルリスクファクター症候群、いわゆるそれが動脈硬化になりやすい病態であるという定義がありまして、実は平成十七年の四月に我が国の医学会、八つの医学会がこのメタボリックシンドロームという言葉を出されました。  ですが、ネイティブな、いわゆるアメリカ辺りに行ってメタボリックシンドロームと言うと、分かりませんと言われます。結局、これは日本生活習慣病って何ですかと聞いたときに、百科事典を引かないと恐らく正確な答えは専門家でない限り出てこないと思います。同じです。ですから、メタボリックシンドロームという言葉を扱うに当たって、医療者やそういう関係者はいいとしても、なかなかこれは普及ということを考えたときに果たしてどうなんだろうかなということを考えます。  さてそこで、まず第一です。  食生活改善というのは、時間と人と組織に大変お金が掛かる作業であります。食文化は食生活と比例します。ですから、ファストメタボリックでない、その対象がスローメタボリックな年代の人にこの生活習慣病を目の前にして、目の当たりにして対策を講じていくという際に、かなり大変な作業だろうと私は思います。ですから、国民運動的に改善していくためのまずエビデンスがあるのか、具体的な医療の適正化につながるような対策があるのか、これをまずお尋ねしたいと思います。
  82. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) 我が国の国内各地域におきまして、これまで健康づくりに向けた普及啓発あるいは健診、保健指導など様々な取組が実施されてきたわけですけれども、各地域における取組におきまして健康度の改善などの成果が現れております事例といたしましては、例えば尼崎市の職員に対する取組として、メタボリックシンドロームに着目をいたしまして、保健指導の必要性の高い対象者を抽出して個別の保健指導を徹底することによりまして、結果として、現職死亡者数の減少でありますとか休職者数の減少に加えまして医療費についても減少が見られたというような報告がありますほか、国保、国民健康保険のヘルスアップモデル事業などの個別支援の取組におきましても生活習慣病のリスクが改善された事例などがございます。  それからまた、医療費との関係につきましては、生活習慣病対策の効果は中長期的な評価が必要である中で、医療費の動向を長期間にわたりまして把握して評価をするといった取組はこれまで必ずしも十分に行われてこなかったわけでございますけれども、今後については、医療保険者が中心となりまして、健診、保健指導のデータを蓄積して、医療費のデータと突合、分析するなど取組の効果を評価していくことも重要な課題であると考えております。  いずれにしましても、国民の健康の増進あるいは生活の質の向上を図っていくという観点から、生活習慣病予防の取組を国民運動として普及をいたしまして実効性あるものとしていくことが重要と考えておりまして、今回の医療制度改革においても、予防重視を柱の一つに位置付けまして、これまで健康日本21などに基づいて進めてまいりました取組を一層充実強化をさせていきたいと考えております。
  83. 下田敦子

    ○下田敦子君 それではお伺いいたしますが、このたびの生活習慣国民運動推進会議、いわゆる国民運動として平成二十年にスタートさせるとありますが、具体的な人、組織の施策が見えません。これ、いかがするのか。  また同時に、たくさん、たくさんの戦後から今日まで国が立てた食生活改善施策があります。その施策名と、結果として何項目になったのか、これもお尋ねをします。  それから、あわせて、新しい健康増進計画において、国、都道府県のかかわりを、具体的な方針をお伺いしたいと思います。
  84. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) まず初めに、健やか生活習慣国民運動推進会議、これは仮称でございますが、この国民運動の母体についてでございますが、国民が生活習慣病予防あるいは介護予防を継続的に実施、実践していくためには、健やかな生活習慣が得られる爽快感や達成感を多くの国民が実感をするとともに、各個人の取組を社会全体として支え合うということが大切でございまして、こうしたことを目指してこの健やか生活習慣国民運動を展開していくということを考えておるわけでございます。  この、長いので名前は省略いたしますが、この会議につきましてはその中核機関と位置付けて考えておるところでございまして、運動や栄養、食生活の専門家、あるいは保健医療機関関係者教育関係者、経済界といった幅広い関係者にお集まりをいただきまして、具体的な進め方につきましてはこれから今後更に御意見を伺いながら検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。  それから、戦後から今日にかけまして我が国で行ってきた食生活に関する施策についてどのようなものがあるかということに関してでございますが、まず一つは、栄養、食生活に関する知識の普及啓発。それから二つ目は、管理栄養士等による栄養指導の実施。それから三つ目は、管理栄養士等の人材の育成。そして四つ目は、栄養に関する科学的な根拠の蓄積のための調査研究の推進といったようなことを行ってきております。  具体的にこれ全部述べた方がよろしゅうございますでしょうか。全部といいますか……
  85. 下田敦子

    ○下田敦子君 数だけで結構でございます。
  86. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) 数はちょっと、どこまでをカウントするかというものがございますが、例えば、昭和二十年代では栄養調査とか栄養処方の交付等を含めまして四つほどございますし、また三十年代では、先ほどもお話のありましたキッチンカーの巡回の問題等々三つほど、また栄養士の資格の新設とかもございます。三つほどございます。それから、四十年代、五十年代にも栄養所要量の策定とか、第一次国民健康づくり対策を進めました。また、六十年代には、健康づくりの食生活指針を作ったり、第二次国民健康づくり対策ということでアクティブ80ヘルスプランというようなものを展開いたしました。それから、平成に入りましてからは、健康づくりのための食生活指針、それから外食料理栄養成分ガイドライン等々、十一ほど、今年の食育推進基本計画も含めまして、平成に入りましても十一ほどの施策を展開してきているというところでございます。  それから、最後の、新しい健康増進計画におけます国、都道府県とのかかわりについてということでございますけれども、この生活習慣病対策を実効性あるものとして進めていくという観点から、今後市町村、医療保険者、事業者といった幅広い関係者がこれまで以上に連携協力した取組を進めるということが重要でございますので、都道府県にはこうした連携協力における総合調整機能を発揮していただく必要があると考えております。  こういった観点から、健康増進計画につきましては、医療保険者が中心となります健診、保健指導、これはいわゆるハイリスクアプローチと言っておりますが、リスクの高い人に対する集中的な対処ということでございますが、それだけではなくて、市町村が中心となって推進する住民全体の健康づくりに向けました普及啓発等の施策、いわゆるポピュレーションアプローチというような言い方もしております、も含めた各都道府県の健康づくりの全体像を示すものといたしまして、地域関係者が取組を進める上で共有すべき具体的な目標を地域の実情を踏まえて設定して、その上で取組状況、達成状況を評価をいたします。また、市町村、医療保険者等の幅広い関係者の具体的な役割分担連携推進のための方策を明記をする。そして、保健師、管理栄養士など、健康づくりにかかわる人材の育成、確保資質向上を目指した研修の推進方策等を明記するなど、その内容充実を図っていただくということとしております。  国といたしましては、各都道府県におけます目標設定等の基本的な考え方をお示しするとともに、新しい健康増進計画の策定の進め方などを盛り込みましたガイドラインを示すなど、都道府県における取組を支援をしていくこととしております。  なお、市町村の管理栄養士等の職員の配置につきまして国として義務付けるかどうかというような点も問題になるかと思いますけれども、各市町村においてこういった専門職の必要性を十分に認識をしていただく必要があるというふうに考えておりまして、こうした健康づくりにかかわる人材の育成に関して、今後、国としてどのような支援ができるかについてもこれから検討してまいりたいと考えております。
  87. 山下英利

    委員長山下英利君) 答弁は簡潔にお願いをします。
  88. 下田敦子

    ○下田敦子君 本当にたくさんの食生活改善の政策をお出しになったということは大変よく分かりました。  そこで、健康日本21の策定時から見て、目標値に達しているか否かを簡潔にお尋ねします。  適正体重を維持しているかどうか、それから朝食の欠食者割合、高脂血症、これはLDLで結構です。それから、糖尿病の患者数、これを目標値二五%減少するということをうたっておるんですが、何年の目標であるか、これをお尋ねします。それから、一日の歩いている国民の歩数、歩数の増減、それから最後に、がん検診患者の増加であります。  これについてお伺いして結びとしたいので、本当に具体的にお教えください。
  89. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) 健康日本21で目標と掲げておりますのは、平成二十二年における達成目標ということでございます。  今お尋ねのございました項目についてでございますが、まず適正体重につきましては、男性二十歳から六十歳代というようなことですけれども、策定時二四・三%で目標値が一五%以下としておりますけれども、十六年調査の結果では二九%ということで、むしろ策定時よりも増加をしているという状況でございます。  それから朝食欠食者につきましては、これは二十歳代男性ですけれども、策定時三二・九%、目標値が一五%以下ということなんですけれども、平成十六年では三四・三%と、これも策定時よりむしろ増加をしてしまっているという状況でございます。  高脂血症につきましては、女性は策定時一七・四%、目標値が八・七%以下ということですが、十六年では一七・八%と、ほぼ横ばいというような状況、男性はやや増加傾向というようなことでございます。  それから糖尿病の有病者につきましては、策定時約六百九十万人ということですが、平成二十二年の患者数を一千万人に抑制をするということですが、十四年の時点では七百四十万人ということでございます。  それから日常生活における歩数でございますが、策定時八千二百歩、目標値が九千二百歩以上ということでございますが、十六年では七千五百歩と、策定時よりもむしろ減少してしまっているという状況でございます。  最後にがんの検診の受診者でございますが、胃がんは策定時約一千四百万人、目標値が二千百万人以上ということですが、平成十六年の調査では一千八百万人ということで、増加をしてきていると。肺がん、大腸がんにつきましても、同様に増加の傾向にあるということでございます。
  90. 下田敦子

    ○下田敦子君 大変ありがとうございました。  各市町村に栄養士の配置の運動をずっとやってきております。国もそれなりに地方交付金という名目の中で是非整えるようにということで、それぞれやってきている経緯がありますが、大臣にこれを是非御理解をいただきたいと思うんですが、各市町村の首長さんの思い、また方針があっているのか、あるいは選挙のことを考えているからなのか、道路とか橋とか公民館とか、そういうものにはどんどんどんどんお金をお使いになるようでありまして、決して栄養士の配置云々にはこの地方交付金が正しく願いを込めて使われてないところが圧倒的に多うございます。若しくは、すべてつぶしが利く保健師さんを入れて、栄養士はじゃ何をしているか、健診者の補助的な業務をしていると。  これではやっぱり、今のお話のように、健康日本21というのは、もう大変私もいい政策だと思って、これは県議時代になるほどなるほどと思ったのは、成功したのは喫煙の量がやはりある程度目的を達しつつあるかなとは思いますが、今おっしゃられたとおりであります。ですから、これはガイドラインなどという手ぬるいものではなくて、やっぱりこの際、大臣から罰則規定を設けながら政策を進めていくくらいの思いがここにないと、私は医療費は下がらないと思います。今の医療費を圧迫しているものというのは、ほとんど根源がここにある、生活習慣病であります。そのための医薬品も、メバロチン始め様々と、どんどんどんどん高く設定されていくわけですから、是非このことをお願いを申し上げたいと思います。  最後に一つだけ、時間がありませんので要望で終わりたいんですが、栄養指導に当たる医療職、これはツーラウンドのときにもう一回きちっとやらしていただきますが、言語聴覚士あるいは看護師等は嚥下訓練に付いていいと。ただし、管理栄養士、栄養士、PT、OT、いわゆる理学療法士、作業療法士は含まれないと、准看護師は含まれると。これは明らかに診療補助行為ということから見れば言語聴覚士あるいは准看、看護師さん、保健師さんということは理解はできるんですけれども、准看のカリキュラムの履修課程で、私もここかれこれ十五年ほど授業を持たせていただいておりますが、できるとは私は思えません。これは看護師さんと、先ほど清水委員の方からお話ありましたように四大終わっている方々も大変増えてきておりますし……
  91. 山下英利

    委員長山下英利君) 時間経過しておりますので、おまとめください。
  92. 下田敦子

    ○下田敦子君 はい。いいんですけれども、この点をやはりきちっと精査して、人材の育成ということから、次に私はお願い申し上げる機会あると思いますが、強く要望して終わらせていただきます。
  93. 山下英利

    委員長山下英利君) 午後一時から再開することとし、休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  94. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  95. 家西悟

    ○家西悟君 まず冒頭、お許しいただきたいと思いますけれども、毎回申し上げているとおり、私、ひざ関節、人工関節入っています。そして、もう片方のひざも関節障害ありますので、座ったままの質疑を各委員の皆さんのお許しをいただければと思います。よろしくお願い申し上げます。  それでは、質問に入らせていただきたいと思います。  私は、川崎大臣に対しまして、政府提出の医療制度改革関連法案に反対し、質問いたします。国民や病を持った者の立場からの医療制度改革、特に安全な医療提供体制をどのように構築すべきかとの観点から質問をさせていただきます。  そして、本題に入らせていただきたいと思いますけれども、余りにも高齢化のスピードが速過ぎるために、高齢者社会を迎え、その対応に追われ、例えば高齢者福祉や障害者福祉などが遅れてしまっているのが現状ではないでしょうか。  日本には、あのヨーロッパにはない老人保健制度という独特の制度があって、七十歳以上の老人を一まとめにする仕組みがあります。掛かった医療費を保険組合、政管健保、共済組合、国保がみんなで出し合う拠出金制度があります。若い人の多い組合健保は、お年寄りのために保険料の四割以上を持っていかれるのはたまらないと悲鳴を上げ、一方で医療機関の待合室の老人サロン化とか、社会的入院とか、薬漬け、検査漬けとかいう言い方がなされてきたのがこれまでの老人医療の現状です。  今回の医療制度改革を進めるに当たって、今までの老人医療費と老人医療制度制度改正が最大の改革のテーマだと周知しています。今回、政府は、老人医療費などを高齢者医療費、高齢者医療制度と称し、新たに、今までの六十五歳から七十四歳までの老人を前期高齢者、七十五歳以上を後期高齢者と称して、新たな高齢者医療制度を創設するといいます。今私が述べたような認識で法改正が、法案改正がされるのでしょうか。川崎大臣の御認識をお伺いいたします。
  96. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 一昨年に年金制度改正ということで国会で御議論をいただきました。昨年は介護保険制度、障害者自立支援法、そして今年は医療制度改革の御審議をいただいているところでございます。  冒頭、家西委員からの御指摘のとおり、我々団塊の世代の者が、いよいよ今までの六十歳ということから考えれば定年を迎えることになります。また、十五年、二十年たてば、今回の法案で予定されております後期高齢者という世代を迎える。  そうした時代を迎えるときに、一方で、年金のときにも随分議論ございましたように、若者の負担というものがどうであろうかと、こうした議論の中で、若者またお年寄り、そうした両世代というものが歩み寄りながら、ある意味では支え合いながらやっていかなければならないだろうと。そういった意味では、全体の負担、持続可能な社会に変えていかなきゃならぬという中で、お年寄りの方々でも現役並みの御負担のある方々には、今回、法改正において御負担をお願いするということで、お互いが支え合う医療制度改革というのが今回の私どもの基本的な考え方でございます。
  97. 家西悟

    ○家西悟君 私が先ほど前半述べた部分は、私たちの先輩である故今井澄参議院議員が亡くなる前に、二〇〇二年春に発表されました出版物があります。「理想の医療を語れますか」という著書に述べられている部分です。つまり、これまでの老人医療費や医療制度は福祉と医療が一緒になっていた、それでは高齢者社会を迎え、持ちこたえられなくなった。  ヨーロッパでは、高齢化が進むに合わせて高齢者福祉、障害者福祉を充実させてきたと聞いています。日本のように老人が医療機関に押し掛けることはないと聞いています。ましてや、病院の待合室がサロン化し、社会的入院と称されるようなことはないというふうにも聞いています。  そこで、後期高齢者医療制度創設に関する健康保険法の改正案について、納得できない点がありますのでお尋ね申し上げます。  後期高齢者医療制度についていろいろな問題点指摘されていますが、これは、保険制度とすれば不思議な制度だと思います。人を年で、七十五歳以上の言わば疾病リスクの大きな人たちを束ねて別な保険制度とすることに無理があるのではないでしょうか。例えば、慢性疾患や難病、生まれ付き障害を持って生まれてきた人たちはどうなるのでしょうか。これも年で割り切れということになるのでしょうか、お尋ねします。
  98. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、七十五歳以上の後期高齢者という保険をつくることでございますけれども、今回の改革においては、七十五歳以上の後期高齢者について、世代間の負担の明確化、公平化を図る観点から独立した制度を創設することといたしております。給付については、高齢者自身の保険料のほか、現役世代からの支援、公費を重点的に投入。  したがって、これらの財源により賄うことといたしておりますので、ある意味では、七十五歳の方々をまず第一に、全員が保険に入っていただく中で、みんなで協力し合いながらやっていこうというシステムでございますので、しっかりとした制度としてつくり上げていかなければならないと、このように考えております。  一方で、障害者の皆さん方、また難病で苦しむ皆さん方に対する対応というのは、それぞれの法律でしっかりとした制度にしていかなければならないと、このように思っております。
  99. 家西悟

    ○家西悟君 ということは、障害者や難病の方々はこの適用にはならないというふうに判断していいということでしょうか。
  100. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 難病という形でその治療について指定をさせていただいたものについては、国、地方でその医療費についてはできるだけのことをさせていただくということで仕分はさせていただいていると思っておりますけれども、保険全体の構成といたしましては、やはりお入りいただくことになるだろうと思っております。
  101. 家西悟

    ○家西悟君 六十四歳以上とか六十歳になると、そういう保険に加入をしなければならないということでしょうか。  この問題は、今後とも委員会で私、質問してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申します。  そこで、そもそも、保険はリスクの小さいものがリスクの大きいものより相対的に多いときに成り立つ制度ではありませんか。そして、基本的な発想に弊害とひずみを感じています。この制度を新設する意味を大臣お尋ねします。
  102. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、老人保健制度をどう考えるかと。  これは、昭和五十八年の制度発足以来、国民の老後における適切な医療確保するため、老人医療費については国民全体で公平に負担するという基本理念の下、国民健康保険及び被用者保険の負担の公平性及び医療保険制度の安定性の確保役割を果たしてきたと考えております。  しかしながら、この老人保健制度自体、制度発足後、高齢化の進展に伴い老人医療費が増大する中で、次のような問題が指摘されてまいりました。  一つは、老人医療費は、患者負担を除き公費と保険者からの拠出により賄われているが、拠出金の中で現役世代の保険料と高齢者の保険料は区分されておらず、現役世代と高齢世代の費用負担関係が不明確である。老人に対する医療の給付は市町村が行う一方、その財源は公費と保険者からの拠出金より賄われているため、保険者が保険料の決定や給付を行う国民健康保険や被用者保険と比較して財政運営の責任が不明確である。また、七十五歳以上の後期高齢者については、生理的機能の低下や日常生活動作能力の低下による病状が、症状が増加するとともに、生活習慣病を原因とする疾患を中心入院による受療が増加するなどの特性を有しており、その心身の特性等に応じたサービスを提供する必要がある。  こうした観点から、今回、老人保健制度というものから七十五歳以上の後期高齢者制度について発展的に継承した独立制度を創設する。給付については、高齢者の保険料一割、現役世代からの支援金四割、公費を五割という負担割合により賄うこととし、高齢者の保険料の支え手である現役世代の負担の明確化を図るということが大きな目的でございます。もう一つは、都道府県単位ですべての市町村が加入する広域連合を運営主体とすることにより、財政運営の責任の明確化を図ることとしたものでございます。後期高齢者の心身の特性等にふさわしい医療提供できるよう、新たな診療報酬体系も構築することといたしております。
  103. 家西悟

    ○家西悟君 後期高齢者の医療制度の保険料に関しましては、保険料の算定方法は、低所得者などへの軽減制度を適用しない場合の応能と応益の比率は五〇対五〇で計算するようになっていますよね。  そして、昨年、障害者自立支援法が成立しましたが、私は、本委員会でも、また本会議での討論でも、障害者自立支援法が求める応益思想が広まっていくのではないかと指摘をしました。障害者の方々はそれで今苦しんでいるわけです。その応益負担のサービス料が払えないと将来を悲観して、障害を持つ我が子をあやめ、自分も自殺を図るという悲惨な出来事が起きています。  人生一生懸命働き、家族のため、会社のため、社会のため、国のために働き、そして無事に年を重ねてきた人々にまだ健康でいるためには金を出せとおっしゃるんでしょうか。この点について大臣はいかがお考えになりますか。
  104. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 基本的には国民皆保険、すべての方に保険に入っていただくという前提の中でどう負担をお互いに担っていくかという議論であろうと思います。  この後期高齢者医療制度においては、公的年金制度充実や成熟化に伴う近年の高齢者の経済的、社会的自立を踏まえ、被保険者である後期高齢者一人一人に保険料を負担していただくことといたしております。  現行の国民健康保険の保険料については、被保険者の負担能力に応じた部分、今お話ございました応能保険料と、被保険者の人数等に応じた頭割りの分、応益保険料を設けております。  後期高齢者医療制度の保険料の算定基準については、後期高齢者のうち約八割の方が現在、国民健康保険に加入していただいておる、したがって国民健康保険法の基準に従って保険料を支払っている実態があることを考慮して、現在の仕組みをそのまま参考にしながら設定をさせていただきました。  もちろん、低所得者については、応能保険料について所得額に応じた低い額若しくは対象外とするほか、応益保険料についても軽減措置を設けていきたい、このように考えております。
  105. 家西悟

    ○家西悟君 大臣、私が言うまでもありませんけれども、人生六十歳で還暦です。人生は元に戻り、赤ちゃんに返ると言います。七十歳で古希、これまれなりと称し、人生ここまで生きられたかと本当は国を挙げてお祝いすべき人々です。そういうことではありませんでしょうか。大臣、こういう点についていかがお考えでしょうか。
  106. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私ももう今年で五十九でございますから来年六十、まあ古希迎えておまえもう働くなということではないだろうと。  そういう意味では、各所で私申し上げているんですけど、今六十五歳まで七〇%ぐらいの男性が働こうという意思を持っている。我々団塊の世代が、六十を越えてきた団塊はそろそろ七十まで働こうか。ただ、働き方は違う。週五日四十時間、こういう働き方ではないかもしれませんけれども、もちろん会社で働く人、NPOでいろんな協力活動をやる人と、いろんな働き方があると思いますけれども、そういう意味では、やっぱり七十までは頑張ろうという社会にしたいと、こんなように思っております。
  107. 家西悟

    ○家西悟君 いや、だからこそ、先ほども申し上げましたとおり、七十歳現役、私は非常に結構なことだと思っています、しかし、年を重ねるごとにいろいろ疾病出てくるわけですよね。そして、それには保険料を払いなさいとか云々という話でいいんでしょうかねということを疑問を投げ掛けているわけです。そういうふうにお考えにならないんでしょうか。  まあ五十九歳、来年大臣は六十歳、還暦をお迎えになられる。赤いちゃんちゃんこをお着になられるのかもしれませんけれども、そういうふうにして今まで昔の人たちは祝ってきたわけですよね。古希を迎える人たちに対しても本当にこれまで長く生きれたことを喜び合おうというふうな風習がこの日本の社会にはあったはずです。しかし、これほどの高齢化社会が進んできた以上は負担をというのは、ある意味分からないでもない。しかしながら、こういうふうに二段階で前期高齢者、後期高齢者というふうに枠を決めていくことはどうなのかということを疑問を呈しているわけです。その点について再度お尋ね申し上げたいと思います。
  108. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 年をどこで設定しながら制度設計をするかと、様々な議論あることはよく分かります。  私ども、今六十歳定年というのを少し逆に遅らすことができないかと。かつては六十還暦、そこで会社を卒業して、そして地域に戻って孫の世話をしながらと、こういう時代であったと思いますけど、やはり少しずつそれは価値観も変わってきておりますし、社会全体が変わってきている。  特に、我々の世代のことですから申し上げているんですけど、我々がやはり七十五過ぎたときは五人に一人、六人に一人が七十五歳以上という社会を迎えるわけですから、そこの者については全部若い者で面倒見るから負担はしなくてもいいよという社会、ある意味では理想社会かもしれませんけれども、なかなか我が国ではそういうわけにいきませんので、お互いに支え合う、特に力のある、すなわち所得のある七十五歳以上の方々にもやっぱり協力をしてもらうということでお願いを申し上げているところでございます。
  109. 家西悟

    ○家西悟君 じゃ、ちょっと質問を変えて、今はやりの綾小路きみまろさんという方を御存じでしょうか。中高年のアイドルとして、トークのネタは深刻でも、聴く話は笑い飛ばしています、聴く者は笑い飛ばす。  私も大ファンの一人でありますけれども、例えば、古希が近付き、体はこきこき鳴り始め、三人集まれば病気の話、五人集まれば寺の話、あっちが痛い、こっちが痛いと言いながら、ああ、私はだれだ、青春を返せと、こういうようなことを言われて、皆さん大笑いをしながらやられている。  どうでしょうか、こういうトークを休みなく一時間もやられる、ショーをやっておいでなんですけれども、やはりこれが私は社会風刺というか、社会描写をしっかり見ておいでのトークをされているから多くの人たちが共感をし、笑いを誘っているんだろうと思います。  こういうようなトーク、大臣、お聴きになったことありますでしょうか。
  110. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 綾小路きみまろのまねをしている、割合田舎ではやっていまして、言われるとおり、そのまねをしている人の話は聴いたことありますけど、御本人は見たことございません。
  111. 家西悟

    ○家西悟君 いろいろ出てます、CDとか本も。私も読ませていただいたり聴かしていただいているわけですけれども、非常に鋭い社会描写をされているんだなということを感心しながら聴いています。こういうようなことを是非とも大臣、一度お聴きになって、笑いながら、世の中というものはこういうもんだということを多くの国民の人たちは感じているんだということを御理解いただければ有り難いと思いますけれども、いかがですか。お読みになる気又はお聴きになる気ありますか。
  112. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 機会があれば読ませていただきたいと思います。
  113. 家西悟

    ○家西悟君 是非お聴きになっていただければと思います。  私は、本題に、なぜこういうことを言ったかというと、苦しいときや病気のときでも笑顔でいれる社会でありたい、そう願っての話です。その笑顔をつくるのも、国民の命、健康をつかさどる厚生労働省の問題ではないでしょうか。  そこで本法について、今回、国民は健康でなければならないと。保険者が課せられることになっています健康診査とか保健指導の義務付けについてお伺いします。  そもそも、保険者がなすべきことなのか疑問です。大変気になる点です。どうお考えなのか、是非お聞かせいただければと思いますけれども。
  114. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 個人については、正直言って私も八十四キロぐらいありますから、個人についてはいろいろあります。しかし、保険者という立場からすれば、やはりある程度目標を持って予防というものに力を入れていただくという方向付けはいいんだろうと。しかし、本当に個人で、おれはもう飯食いたいんだと、死ぬほど飯食いたいんだから余り文句言うなと、一日四食食いたいと、こういう人たちに対して強制的にやるかというのはそれは違うだろうと思います。それは、個人の自由というものは尊重されなければならないだろうと。  しかし、社会全体が進むべき方向、先ほど下田委員からもお話ございましたように、やっぱり方向性だけはしっかり、国にしても保険者にしても示しながらやっていかなければならないだろう、このように思います。
  115. 家西悟

    ○家西悟君 では、本法案では健康診査の目標達成率に応じて後期高齢者医療への支援金の額が違ってくることになっているわけですよね。そして、健康推進のインセンティブを与えているわけです。しかし、これは一歩間違うと健康を強要する環境をつくりかねません。  例えば、そうすると、病弱な人、慢性疾患を持っている人、健康でいたくてもいれない人たちは肩身の狭い思いをすることにはならないでしょうか。ある種、私は、これは言葉は悪いのかもしれないけど、ホロコーストにつながりかねない。なぜかというと、我が町にはこんなに病人がいる、あなたたちがいるから目標が達成できない、あなたたちのせいで医療費がかさむんだ、太っていることは悪いことだと、こんなような話が聞こえてきそうな気がしています。  そういうようなおかしな雰囲気を国が率先してつくってしまうことになりかねないかということを大変私は危惧しているわけですけれども、大臣、そういうことはないんでしょうか。お尋ねを申し上げたい。
  116. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 御懸念があるとしたら、そのことがないように私どももしっかり周知はしていかなければならないだろうと思います。  保険者の後期高齢者支援金の加算、減算の措置は、それぞれの保険者における健診の受診率、保健指導の実施率、内臓脂肪症候群の有病者、予備軍の減少率の各指標に基づいて行うこととしており、各保険者における効果的な健診や保健指導の取組を促すことをねらいといたしております。被保険者にとっては良質な健診や保健指導を受ける機会が拡大するという効果がもたらされると思っております。  一方で、先ほどから申し上げております各個人における健康増進の取組は、自らのために積極的に進めていきたいと考えておりますが、基本的にはあくまで本人の自主的判断、それは今回の改革においても、個人に義務を課すというものではないと考えております。  先ほどから申し上げていますとおり、国として、またそれぞれの県として、また保険者として目標を持ちながら進んでいくということは決して悪いことではないだろうと思っておりますけれども、それが個人の自由と、個人の権利というものに侵害するというようなことにはなってはならないだろうと、そこは十分注意をしてまいります。
  117. 家西悟

    ○家西悟君 本法の、その今言っている話ですけど、同法の百二十条の第二項にはそのようにうたっているわけですよね。目標達成率に応じて後期高齢者医療への支援金の額が決まるということは、当然先ほど言ったような話に私はつながりかねないし、病を持つことはだれだって望まないわけですよね。望んで病になる人は私はいないと思います。  そして、こういうふうになってしまったときに、目標の達成云々ということを書かれていること自体が非常に疑問でならないんですけれども、その点は本当に大丈夫なんですかね。こういう、先ほど言ったような、あなたたちがいるからみたいな話にはなっていかないんですかね。ちょっと私は疑問でならないんですけれども、その点について再度お尋ね申し上げたいと思います。
  118. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 例えば、喫煙というものを取り上げましても、これはいろんな研究結果からいいましても、体には必ずしも良くないだろうと。だから喫煙は避けた方がいいと。しかし、それは個人の自由だということで、結果として病気になってしまった、これはやっぱり個人の責任と、これは個人の判断であろうと思っています。  そういう意味では、酒の飲み過ぎとかたばこの吸い過ぎとか、こういうものについては、おれが病気になっても余り文句言わぬでくれという中で個人が選択されているものであると思いますので、そういうものは現実としてはある。しかし、我々としては、国としては、喫煙はなるべく避けた方がいいですよということは申し上げていく、申し上げている。しかし、個人の自由まで奪おうとは思わない。そこは、正直申し上げて程度の問題だろうと考えております。  したがって、個人の自由と、また病気になられた方々に対してそのような、ある意味では偏見的な話があったらこれはもう断じていかぬ話でありますから、厚生労働省としてもしっかりその辺は注意してまいりたいと申し上げております。
  119. 家西悟

    ○家西悟君 再度申し上げたいと思います、この一点。  今、喫煙の例を挙げられました。それほど体に悪いのなら、どうして違法性がないんでしょうか。これは法律上、二十歳を超えれば罰せられることもない。そして、地方税や税が大半を、半分、売上げの半分は占めているはずです。こういうような状況を放置しているじゃないですか。それで、最後は個人の自由だと、飲まない方がいいんだ、吸わない方がいいんだというふうにおっしゃるんならば、何かそういう規制を考えるのも一つじゃないですか。だけど、これはできないんでしょう。  そして、今言われるような例を挙げられるのは、私も、ある種、というよりも、私自身喫煙者ですんで言えないんだけれども、たばこ吸う方ですんで、これ、そういうふうに言われて、これが害があるとおっしゃるんならば、どうしてこれ、違法性がずっと認められず、ましてや、何年前でしたっけ、専売公社から今JTに変わっているわけですけれども、株式会社に、国が率先し、独占してきた問題じゃないんですか。そういうふうに考えていくと、当時は分からなかったというふうにおっしゃるんでしょうか。  これは、例としてちょっと当たらないような気もしますけれども、これへ理屈かもしれません。だけど、そういうふうに思えるのはどうしても否めないところではないのかなというふうに私は思いますけれども、どうお考えですか。
  120. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 国が示す方向として、予防というものに力を入れていただきたい、また、保険者もお願い申し上げたいと、しかし、一人一人の人たちの正に価値観というものを国が当てはめるものではないと、こう申し上げたんです。  たばこも、そういった意味では、例えば、こういう全員が仕事をする場についてはたばこを吸わないようにとか、厚生省の中では吸わないようにとか、そういうものはいたしておりますけれども、個人の権利、自由というものももちろんあるだろうと。そういう意味では、私どももこの生活習慣病対策の方向性は指し示して、またある程度目標を持たしていただくけれども、一人一人の生活行動まで全部規制を掛けるというようなことは考えてないと申し上げているわけでございます。
  121. 家西悟

    ○家西悟君 分かりました。それならば安心できる部分です。  そして、先ほど言いました点について、そういうような、あなたたちがいるからみたいな話にならないような対策は是非とも取っていただきたい。目標達成できないのはあなたたちのせいだというような声を聞くようなことのない社会であっていただきたいというふうに願っておきたいと思います。  それでは、私の問題というか、次に、インフォームド・コンセントというか、についてもお尋ねしたいところです。  医療制度は社会的な共通資本であって、信頼関係の上に成り立つ制度です。ところが、今、医療従事者患者との信頼関係は急速に壊れ掛けています。信頼回復こそ医療改革の重要なポイントだと思います。しかし、一度崩れた信頼関係を取り戻すことは、一夜でできることのような容易なものではありません。医療事故に至る重大なケースではなく、医師、患者病院との間のささいな問題が積み重なって不信感につながっているケースも多いと私は考えます。  例を挙げますと、私自身、実際に体験した話を少しさしていただきたいと思います。  緊急で入院しなきゃならないというふうになったときに、この部屋しかありませんということで個室に入りました。そして、何も知らずにその部屋に入ると、後に差額ベッド代をという話になってきたわけです。しかし、医療上必要と認められる場合は差額ベッド代の徴収はしてはならない、請求はしてはならないとなっているわけです。そして、私の方から、ここは、医療上必要であって緊急入院である以上は差額ベッド代の徴収はされないんですよねというふうに言ったときに、大慌てになりました。そして、しばらくお待ちください、その部屋で待たされました。数時間後、差額ベッド代の掛からない部屋へ移された。黙っていたら差額ベッド代の徴収をされたのかなと思えてなりません。  こういうような基礎的な食い違い、そういったところから不信感が生まれ、そしてだんだんとその不信は募っていくのではないかなと思えてなりません。  本法案では、患者情報提供推進がうたわれています。入院時の治療計画など、文書で説明することを義務付けています。医療法の六条の四。ただ単に紙に書いて渡せば事足りるということじゃなく、患者が納得し了解することが何よりも大切です。しかし、なかなかそこまで行っていないのが現状ではないでしょうか。  実際の医療現場では、今回の改正でどのようになるのか、お尋ねしたいと思います。
  122. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) インフォームド・コンセント、非常に大事な概念でございまして、いわゆる、先ほど、午前の話にもありましたが、お任せ医療ではなくて、しっかりと患者と医者、お医者さん、また医療従事者との間に、今、家西委員がおっしゃったように、信頼関係が形成された上でのしっかりとした説明というのが非常に大事だというふうに今思います。  私もちょっと、少し体験談を申さしていただきますと、約二年半ほど前にいわゆる腎臓結石になりました。実はその私の主治医は、明日この当委員会に参考人としてお越しになる先生なんですが、どういうふうな手術になるかという話を極めて事細かに話をしていただきました。正直、私はそこまで腎臓結石という病気に対して余り多くを理解していなかった。聞いてみたら、えっという、ひょっとしたら大変なことになるかもしれないというふうな感じを抱きましたね。  その先生が非常に名立たる名医であると聞いていたがゆえに安心をしましたけれども、もしそういう信頼関係がなくて逆に事細かに言われると、かえって深刻になって手術するのやめようかなと、こう思ったかもしれないぐらいにきめ細かい説明をしていただきました。  これは、私がたまたま直面したそういう立派なお医者さんで、虎の門病院は極めてインフォームド・コンセントに力を入れているというお話でございましたから、私としては無事手術を終わることができたわけですけれども。  今、家西委員御心配のように、今回の法改正、先ほど御指摘あったように、主治医の氏名や主要な症状、また入院中の治療に関する計画を記載した文書を作成する、あるいはまた、患者又はその家族に対する文書の交付及び適切な説明が行われるようにすることを病院診療所の管理者の義務として新たに規定をすると、こういうふうになっておりますが、実際にそれがきっちりと患者さんとの間に、お医者さんとの間の信頼関係の流れの中でやっていかないと、ただ機械的にそういうことを義務付けてもうまくはいかない、そんなふうに思います。  まずは、こういう医療法の改正の中で、より一歩インフォームド・コンセントを進めた形の中で、しっかりと今おっしゃったようなそういう信頼関係が醸成されるような、そういう機運を日本全体につくっていかなくちゃいけないなと、そういうふうな感じを持っております。
  123. 家西悟

    ○家西悟君 私も患者です。血友病であり、御存じのとおりHIV感染者であったりとかするわけです。そして、幼いときから様々な医療機関にかかわってきたわけです。掛かってきたわけです。  そして、いろんな医療現場を見てきた者として、先ほど副大臣言われるとおり、よく言われたお任せ医療、当時、私が幼いころなんかは当たり前だったんですよね。おれに任しておけ、患者の側がごちゃごちゃ物を言うなと、治りたいんならおれのことを信用しろというような言い方、こういうような流れの中でずっと、それで信頼をし、そしてやってきたわけですけれども、余りにもいろんな問題が大き過ぎたということでなってきたわけです。  そして、もう一度申し上げます。インフォームド・コンセントというものは説明と同意という言い方をよくされます。私は、説明と同意と納得という言葉を付けるべきだと思っています。なぜならば、医療用語で説明をされます。よほどの医療問題に詳しい人とか医学的知識のある人なら別ですけれども、専門用語を羅列され、そしてレントゲンやいろんなものを、検査データを見せられてもさっぱりそれが何だか分かんない。だけど、後は先生お任せします、助けてほしい、その思いでこういう文書に記載されるんじゃないでしょうか。そういうことのないようにしていただきたい。  だから、説明と同意と納得であるということの普及をしていただきたいということのお願いです。いかがでしょうか。
  124. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 今の御指摘説明と同意と納得、同意をするには納得という部分が先に来て、そして同意をするということだろうと思います。  今おっしゃったようなことに向けてしっかりと私たちも、余り医療関係者に、何というか、要らざる圧迫を掛けるということではなくて、しっかりとそういう、今申し上げた、お互いに今話したようなことを分かっていただくような普及に努めてまいりたい、そう思います。
  125. 家西悟

    ○家西悟君 そこで、御提案があります。  私は、今まで余りにも患者にとって不透明なケースが多かったんではないか、医療関係でいえば。そこで今回の事態が生じているんだろうというふうに思えてならないわけですけれども、誠実で丁重なやり取りが是非とも必要ということは御理解いただいたと思いますけれども、そのやり取りを記録するという視点も大切じゃないでしょうか。言った言わない、後でもめることが多いように思います。治療説明患者の納得、同意、手術の執刀などの状況を、場合によれば録音や録画する、そして患者に渡す。もうこれ実際やられている病院もあると聞きます。こういうことも含めて御検討をしていくべきではないでしょうか。それが信頼回復の第一歩へとつながり、そして全幅の信頼を渡すんじゃないんでしょうか。医療関係者の方々に信頼を回復していく最善のまた最短距離で進める道だと私自身は思うわけですけれども、いかがですか。
  126. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今、副大臣からも答えましたように、患者への説明に当たって、まず患者が理解を得やすいように、すなわち納得が得られるように懇切丁寧に行う必要がある。説明の方法としては、口頭による説明、文書による説明診療記録を開示することによる説明、具体的な状況に応じた適切な方法により様々な形が考えられるだろうと思っております。  今御提案のありました、ビデオを撮ったらいいじゃないかと、それも一つの手段であろうと思います。ただ、法律上それを、ビデオを撮らなければならないとするかということについては、いろいろなケースが考えられると思いますので、やはり先ほどお話がございました丁寧な説明と納得した上での同意、ここを基本に進めてまいりたいと思っております。  いずれにせよインフォームド・コンセントの理念というものを、私どもも丁寧に説明をしながらやっていかなければならない、このように思っております。
  127. 家西悟

    ○家西悟君 なぜこういうことを言うのかっていうことを少しお話を実例を挙げて申し上げたいと思います。  私たち血友病患者を始め使われている血液製剤があるわけですけれども、一つにリコビナント製剤、遺伝子組換え製剤、そしてヒト由来血液製剤というのがあるわけです。しかし、これを使うことによってインヒビター、要は免疫反応を起こし、そして拒絶反応を起こす。薬が効かない、その血液製剤を投与しても効かないという事例があるわけです。  その発生率、インヒビターでいうと二〇%から三〇%起こります。そして、ヒト由来の血液製剤では五%です。そして、今医療機関で多く使われ出しているのはもう七割強になっていると思いますけれども、具体的な数字はまた局長の方からでも御答弁いただければ結構ですけれども、多くがリコビナント製剤へ切り替わっている。これを使うときのインフォームド・コンセント、患者への周知の仕方っていうものは私は非常に問題があるんではないかっていうふうに思えてなりません。  なぜかというと、リコビナントを使っている以上はリコビナント、遺伝子組換え、ヒト由来ではない、だからウイルスによる感染症というものの防止はできるんだ、安全なんだという言い方をよくされます。しかしながら、インヒビターの発生に関してはほとんど説明をせずに多くが今切り替わっていっています。こういうような状況で本当にいいのかどうかについてもお尋ねをします。  まずもって、もし数字的にお分かりでしたら教えていただければと思います。
  128. 福井和夫

    政府参考人(福井和夫君) お答えを申し上げます。  ただいま委員からお話のございました、この血液製剤である血液凝固第Ⅷ因子製剤でございますが、これのこの遺伝子組換えの製剤、それからヒト血漿由来の製剤、それぞれございます。平成十六年、手元に持っております数字で申し上げますと、平成十六年で我が国におけるこの製剤のシェアでございますが、遺伝子組換え製剤が五九%、それからヒト血漿由来製剤が四一%ということで承知をいたしております。
  129. 家西悟

    ○家西悟君 そして、先ほども言いました話になります。そういうインフォームド・コンセントは私は大事だと思っています。要するにリスクとそれからメリット、リスクというよりもメリットとデメリットと考えていいんでしょうか、こういう説明が必要じゃないのかということも併せてお答えいただければと思います。
  130. 福井和夫

    政府参考人(福井和夫君) 委員御指摘のとおり、インフォームド・コンセント、非常に大事だという具合に考えております。御指摘のこの血液製剤などにつきましては、薬事法に基づきまして、委員御案内のとおりでございますけれども、医師等は有効性及び安全性等につきましてそれを使用する患者に適切な説明を行いまして、その理解を得るよう努めなければならないということとされておるわけでございます。これは薬事法の第六十八条の七でございます。  御指摘のこの血液製剤でございますけれども、その使用によりましてこのインヒビターである抗体が発生をすると、そして当該製剤の治療効果が減ずる、減るということがございます。このインヒビターの発生率につきましては、ヒト血液由来の製剤と遺伝子組換えによる製剤との間で差が出ているという報告もございます。これは委員御案内かもしれませんが、先般、五月二十一日から二十五日の間でバンクーバーで開催をされました第二十七回の世界血友病大会においても調査報告が専門家からなされておるところでございます。  ただ、この差につきましては、私どもの認識といたしましてはこれは国際的にも専門家の間でいまだ議論が行われておる最中だという具合に認識をいたしております。例えば、これは外国の話になるわけでございますけれども、このヒト血漿由来製剤と遺伝子組換え製剤との間には発生率に差があるかどうか長年議論をされてきておるわけですが、統計学的には有意な差があるという結論には至っていないというのが、実はこれは平成十七年十月、昨年の十月でございますが、ヨーロッパの、欧州の医薬品庁の評価ということで承知をいたしているところでございます。  血液製剤の使用に当たりましては、このようなこのインヒビターの発生リスクのみならず、先ほど委員御指摘になられました感染症に対するリスクというものも併せて考慮をした上で、患者に適切な製剤を使用することが必要であるという具合に考えておるところでございます。  厚生労働省といたしましては、今後この製剤ごとのインヒビターの発生のリスクの実態把握に努めますとともに、感染症のリスクをも考慮した上で、専門家によります科学的な評価を行い、どのような情報をどのような形で提供するのが適切か鋭意検討していきたいという具合に考えております。
  131. 家西悟

    ○家西悟君 是非とも研究をしていただきたいと思います。  なぜならば、インヒビターの発生が非常に高くなれば、インヒビター患者に対して、インヒビターを持った患者さんに対しての治療費というものは膨大になります。一般のインヒビターを持たない患者さんに使われる血液製剤の比ではありません。こういったことを考えたときに、やはりインヒビターの発生率というものはどうなのか、そして患者さんも苦しみます。そういったことのないように、早急に、早急にですね、調査をしていただきたい。そして、発生率の問題、こういった問題をやっていかないといけないんではないでしょうか。  なぜかというと、もう一点申し上げると、インヒビターの患者に使われる薬、血液製剤というものは非常に高価ですよね。ある種、自分たちで発生さしましたそういう患者に使う薬を開発し、マッチポンプにならないかという危惧もあるわけです。やはりリスクは減らす。そのための遡及調査を是非とも早急に取り計らっていただきたいということをお願いしておきますけれども、その点、再度御答弁いただければと思います。
  132. 福井和夫

    政府参考人(福井和夫君) ただいま申し上げましたように、これなかなか学問的にもまだ評価が定まっていないという点もございますが、委員の御指摘も踏まえまして、鋭意やらさしていただきたいという具合に思います。
  133. 家西悟

    ○家西悟君 そのようにお願い申し上げておきます、再度。  それでは、先般同僚議員からも質問がありましたカルテの保存についてでありますけれども、薬害エイズやフィブリノーゲンの事例から学んで、薬事法では血液製剤の投与記録の保存期間を二十年、出荷記録は三十年としているわけです。しかし、カルテの保存期間は五年。これはちょっと無理があるんじゃないか。整合性を保つ意味でやはり二十年にすべきではないでしょうか。  紙で残せば大量な量になるという御指摘はあるわけですけれども、実際には、マイクロフィルムで残したり、電子化していくという方法もあるわけですし、もう既にそれを取り組んでおいでの病院も、医療機関もあるということは聞いています。難しい問題ではないんではないんでしょうか。そういったことも一つは信頼回復の前段になるんではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  134. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今の御指摘、まず薬事法全体としては、一般の医薬品はそのような形にはなっていない。血液製剤等は安全確保の観点から今御指摘のように二十年間になっております。一方で、診療録の保存期間については法令上五年間と定められていると。これをしっかりもう少し長期に持つべきではないかと。当然、治療など医学的に必要と判断される場合は各医療機関で保存されると考えております。  電子カルテが今入っているウエートが、導入済みが病院全体、この十四年、まだ、ちょっと古い資料でありますけれども、九千百八十七施設を調べたときに導入予定含めて一二%でございます。今四百床以上の病院では二〇%ぐらいになったんではないかと、このように思っております。  委員も御指摘のように、かなりの紙の量になるねと、これをマイクロフィルムとか電子カルテとかいう形に変えていくという方向付けができました段階で、やはり年数問題は私ども考えていきたいと、このように思っております。
  135. 家西悟

    ○家西悟君 是非ともそのようにしていただければ有り難いなというか、私は思います。いろんな問題が発生したときに記録がないということで問題になるわけです。こういうことを未然に防ぐには、やはり長期保存をするというのが一つの手ではないかというふうに思います。是非ともそのように御検討いただきますようお願いします。  それから、医師の数が足りないということが非常に今問題になっているわけですけれども、私は、頭数だけを増やすことがいいのかということにもちょっと疑問を、疑問という言い方は失礼かもしれませんけれども、現実そうなんでしょう。それと併せて問題になるのは、医師の質の向上も大事ではないかということを思っています。  医療事故調査会の調べによると、医療事故の七割は医師らのミスによるもので、その第一原因は医療知識、技術の未熟にあると調査結果も出ています。日本の医師の育成体制がばらばらで放置されていると指摘する向きもあります。  日本の医師の数、質の面において、文科省、文部科学省と厚生労働省の間に医師の教育と養成に関して計画的に連携がきちんと取れているのかどうか、御質問させていただきます。
  136. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 医師の教育、養成というのは大変大事なことでございまして、大学レベルにおける教育につきましては文部科学省におきまして、卒業されてドクターとなった方の研修、生涯教育といったようなことにつきましては厚生労働省で、それぞれ担当をしてやっているわけでございますが、文部科学省と厚生労働省は、それぞれともに連携協力して一貫した取組を行っているところでございます。  先般の臨床研修の必修化に伴ういろいろな作業も、文部科学省、厚生労働省、ともに取り組んできたところでございますし、また大学の教育の中でのいろいろな研修等につきましても両省手を取ってやっているところでございます。  最近で申しますと、文部科学省とは、当省で行っております医師の需給に関する例えば検討会など、当省の主催する会議へは文部科学省の課長さん等が参加されておりますし、また文部科学省で行われています医学教育充実・改善に関する調査研究協力者会議などにつきましては当省から出席をしているということでございます。また、医学教育者のためのワークショップ、これは研修を指導する方のワークショップでございますが、泊まり込んでやるものでございますけれども、これは両省が共催をしてともに人を出してやっておるところでございますし、もちろん担当者間それぞれ常に意見交換をしながら様々な機会、レベルで連携を図っているところでございます。  今後とも、この医師の養成教育ということの重要性にかんがみまして、連携を深めてやっていきたいと考えています。
  137. 家西悟

    ○家西悟君 文科省。
  138. 磯田文雄

    政府参考人(磯田文雄君) お答え申し上げます。  文部科学省といたしましても、医師の教育養成に関しましては、文部科学省及び厚生労働省連携が極めて重要であるという認識に立ちまして、これまでも医学部におきます教育あるいは卒後臨床研修等につきまして緊密な連携の下にその充実に努めているところでございます。  厚生労働省から御説明がございましたように、私ども、医学教育の改善のためのコアカリキュラムの作成におきましても、厚生労働省医事課の方々の御参加を得て作業を進めているところでございますし、また卒後臨床研修に関する厚生労働省調査結果、これが出ましたので、これを踏まえて、大学病院における研修体制あるいは研修プログラムの充実につきまして、国公私立大学の病院並びに医学部に対して検討を促しているところでございます。  今後とも、文部科学省といたしましても、厚生労働省連携を組みながら、医学教育の改善充実並びに医師養成に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  139. 家西悟

    ○家西悟君 是非ともそのようにお願いしたいし、連携はしっかり取っていただきますようお願い申し上げたいと思います。  しかし、私は、患者の立場からすると、やはり専門的な知識と能力を持ったスペシャリストに診ていただきたい。これは当たり前の話です。そして、現状として考えたときに、しかし専門医と言われる人たちが日本には少ないという声もあります。これは、医師の養成課程というか、養成というか、どういうふうに、養育と、教育ですよね。育てる側の問題があるんではないかということ。また、専門医ということがある種形骸化しているというような指摘もあるように聞くわけです。実質伴ったスペシャリストの専門医を育てていく必要があるというふうに私は考えるわけですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。
  140. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 専門医の養成については、現在は、基本的には各医療機関や学会において取り組まれております。国としては、今広告制度の中で、研修体制、試験制度等の基準を満たした学会による認定専門医を医療機関等が広告できる事項としております。  しかし、今御指摘のように、医療の高度化が進む中、専門医の質を確保し、医療の質や医療安全の更なる向上を図るためには、専門医の養成に対する国の関与の在り方等について検討する必要があると考えております。このようなことから、厚生労働省としては、専門医の養成に関して一定の役割を担っている特定機能病院について今年度検討会を開催し、その在り方検討していくこととしており、その中で専門医の養成確保在り方について議論をしてまいりたいと考えております。
  141. 家西悟

    ○家西悟君 是非ともそのように、専門医と、本当の意味での専門医、我々、患者側から見て信頼できるドクターを養成していただければなという思いで一杯です。せんだって我が同僚の議員も言いました。がん難民の話とか、日本中をさまよい歩く、これでは良くないと思います、私自身も。やはり、そういった、地域で安心して受けられるようなドクターの育成をお願いしておきたいというふうに思います。  それと併せて、本法では、行政処分を受けた医師の再教育を義務化しているわけですけれども、医師法第七条第二の一項。行政処分を受けた医師を再教育をするというふうに言われているわけですけれども、実効性あるものにするためにそれなりの計画と準備が私は必要だと思います。  再教育はどこでだれがどのような方法で行われるのか、お尋ねします。
  142. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 医師に対する現行の行政処分では、十分な反省や適正な医業の実施が必ずしも期待できない、あるいは長期にわたる医業停止処分を受けた者が医業に復帰した場合に、医業停止前の医療技術が維持されていないおそれや、停止期間中の医療技術の進歩を十分に習得できていない懸念があるなどの問題が指摘されておりまして、今回の医師法改正案におきまして、行政処分を受けた医師に対して再教育の受講を義務付ける仕組みを設けることによりまして、このような問題点の解決を図りながら国民に対して安全、安心な医療、質の高い医療確保することとしているところでございます。  個々の被処分者が受ける再教育の具体的な内容は、各被処分者の処分の原因となった行為の種類や内容に応じまして様々でございますので、それに応じて助言指導者の助言等を基に個別に決めることになるわけでございますが、したがって、全員が同じ場所で一斉に同じ内容研修を受けるという仕組みではなくて、個別の仕組みというふうにいたしたいと考えておりますが、現時点で考えておりますのは、一つは倫理研修といたしまして、医療関係団体や社会奉仕団体等が主催する教育的講座や具体的な社会奉仕活動に参加していただくこと、それから、技術研修といたしまして、処分の原因となった医療事故の分野において実績を持つ医療機関や医師などが実施するものを一定程度受けることによりまして再教育を修了することになるというふうに考えてございますけれども、更に具体的に詰めてまいりたいと思っております。
  143. 家西悟

    ○家西悟君 併せてお尋ね申し上げます。  それは期間が一定期間ということが決まるんでしょうか。例えば一か月の研修であるとか、二か月とか三か月とか、いろいろあろうかと思います。それとも再度六年間の教育をしようというのか。そこをお尋ね申し上げます。
  144. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 六年間ほど長くはならないと思いますけれども、個別の状況によりまして、必要な期間が定められることになります。短期間で済む方もいらっしゃいますし、一定程度の長期間の研修が必要な方もいらっしゃるということで、これは助言指導者の意見等を基に決めてまいりたいと考えております。
  145. 家西悟

    ○家西悟君 是非とも、再教育がいいという話では、私、一方的に言うつもりはありませんけれども、やはり問題を起こされた以上は、その人の、個別事案によって違うのかもしれないけれども、やはり医師として適格なのかどうかというところも判断の材料ではないかというふうに思えてなりません。  当然、医師法には書かれているわけですけれども、そういったものの再検討も併せて行うんでしょうか、お尋ねします。
  146. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 医師は医業あるいは公衆衛生の向上をすることによりまして国民の福祉の向上を図るということがその本来任務でございますので、それにかなうような方として、処分を受けられた方が再び現場に戻るに当たってはそれをまず第一に考えて仕組みをつくっていきたいと考えております。
  147. 家西悟

    ○家西悟君 著しく粗暴の悪い者とかあるわけですよね、具体的に言いますと。そういうようなものの判断というものもしっかりと行っていただきたいと。その粗暴というものはどういうものを粗暴というのか、その目安というのも非常に難しいのかもしれないけれども、やはりそこの判断が一つには大事かなというふうにも思うわけです。  それから、時間があと四、五分しかなくなりましたので質問はしょらせていただきたいと思いますけれども、医師法の第二十一条の問題について、本委員会でもよく指摘されているわけですけれども、異状死の解釈をめぐって医療現場に混乱があるとのことがよく言われているわけですけれども、このことが安易に警察権力の介入を医療現場にもたらし、医療従事者の士気の低下を招いているとの指摘もあります。  しかし、なぜ警察に介入してもらうかということをお考えいただきたい。司法解剖をしてもらわないと全容が分からないという実態もあるからです。  警察が入らなければ、解剖をお願いしても病理解剖のみで、内部の医師の部分的な解剖で終わってしまうという患者の不信感から警察権力の介入を、医療現場にそぐわないかもしれないけども、異状死に関して一一〇番ということが起こっているんじゃないんでしょうか。そういうことを防ぐためにも、やはり第三者による原因究明のための制度が必要だというふうに私は思います。  でなければ、本当にこういう萎縮する方もおられるでしょう、ましてや産婦人科の問題、小児科の問題いろいろあるわけです。そして、ちょっとしたことですぐに訴訟になる、それは困るんだというふうにおっしゃるんならば、やはり患者側としての私は立場から物を言わしていただくとするならば、それを公平公正に扱っていただきたい。  ここに一つ資料があります。裁判所の方のアンケートを取られたものです。東京地裁のアンケート調査結果です。  証拠保全に関する資料があるわけですけれども、これぱっと見て、六割強が医療過誤によるカルテの保存です。それ以外、いろんな事案があるわけです。事件に対して証拠保全の申請が出されて認められているのが、六割強超えるのが医療過誤裁判であると。このことは一体何を意味するのかということをお考えいただければ、お分かりいただけるんではないでしょうか。  その意味で、第三者による公平公正によって執り行う機関が私は是非とも必要ではないかなというふうに思えてなりませんけれども、いかがでしょうか、大臣、何かございましたら。
  148. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今御指摘いただきましたように様々なことがあり、特に福島の県立病院で起きました、大野病院でしたでしょうか、それをきっかけに委員会でも随分御質問をいただきました。すぐ警察の手が医療現場に入るのはどうであろうかと、こうした切り口での御質問であったと思います。  当然、そういう意味では、診療行為に関連して死亡し、異状死が疑われるような場合において、中立的に原因究明を行うことが望ましく、その体制を構築することが重要な課題。しかし、一方で、この中立なものが国民の目から見た場合に、患者皆さん方から見た場合に、本当に中立公正なものでなければならない。ある意味では、中途半端なものをつくりましたら、これは不信にまた拍車を掛けることになるだろうと。したがって、しっかりしたものをどうやってつくり上げるかというのが一番大きな課題だろうと思っております。  この間も、少し産科の皆さん方とお話をさせていただきました。今すぐなら、国と、例えば東京と大阪ぐらいならすぐできるじゃないかと言うけど、やはり解剖をしっかりやるとなると、やはり各地域につくっていかなければなかなか難しいことになるだろうなと。  そういったことも併せながら、学会の皆さん方の、また医療現場皆さん方の声、しかし一方で患者さんの声というのもしっかり私ども頭に入れながら、本当に中立でしっかり調べられる機関をどうやったらつくり上げられるかと議論をしているところでございます。その中で、今、モデル事業をやっておりまして、モデル事業と並行してそのような方向付けをしながらやらせていただいているところでございます。
  149. 家西悟

    ○家西悟君 ほぼ時間が来ました。残余の質問等々あるわけですけれども、次回に譲って、今日のところはこれにて私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
  150. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。  先ほど大臣お話伺ってましたら、来年還暦をお迎えになるということで、とてもそうは見えない。非常にエネルギッシュで、まだまだ我々たくさん質問があるわけでございますけれども、体力がかなりおありのようにお見受けしましたので、是非元気にお答えをいただきたいと思います。  年齢をお聞きして少しびっくりしたんですけど、私よりも大先輩の、しかも政治の経験も豊かな大臣に対して釈迦に説法だと思うんですけれども、この議論を始める前提として一つ私の方から伺わせていただきたいんですけれども。  インターネット上に、あるサイトがあります。「直言」というサイトがありまして、宮崎学さんという方がやっていらっしゃいまして、いろんな方がコラムニストとしてコラムを書いていらっしゃるんですが、その中に、前参議院議員でありました、私にとっては大先輩、いろんな指導をいただいた平野貞夫先生の「日本国漂流」というコラムがございます。その中に、これは二〇〇六年五月二十三日のものでございますけれども、第十三回「真の議会政治とは何か」というタイトルで、このような内容がございます。  西欧で発達した議会民主政治、すなわち多数決原理で国家意思を決めるという制度には幾つか前提条件がある。一つは徹底的に議論すること、二つは絶対にうそをつかないことである。うそをついたことが分かれば、社会から追放されるのだ。なぜこういう条件が付いているのか。それは議会政治の歴史そのものに理由がある。そもそも議会のルーツは教会である。中世キリスト教文化の中で議会政治は発達したのだ。議会手続法規の源は修道院の運営規定である。近代の宗教と政治の分離の中で、心を治めるのが教会、社会を治めるのが議会と分離したのである。この意味で、西欧では今日でも議会は社会的教会として機能しているのだ。したがって、議会の中でうそをついたり不誠実な行動をすることは神への冒涜となる。少し飛ばしまして、日本の国会では、要領よくごまかし、不誠実な対応で野党の質問をかわし、上手にうそをつく政治家が出世して国民の人気が高いから不思議であると、このようにもコメントをされております。  この議会制民主主義、この大前提として徹底的な議論、そしてうそをつかない、この二つの前提、私もこのような歴史的な事実についてはこのコラムを読んで初めて知ったわけですけれども、この二つの前提については本当に当たり前のことだと思うんですけれども、釈迦に説法だとは思いますけれども、大臣の御所見はいかがでしょうか。
  151. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 徹底した議論をするのは当然のことであろうし、この間、小沢代表が言われたように、議論がある程度のところへ行けば採決をするのはやむを得ないと、たしか小沢代表も言われておりましたので、それは議会の基本的なルールだろうとこれは思います。  それから二番目は、それはうそをついたらいけないことは当たり前の話でありまして、しかし、一方で人間が間違いを起こさないかといえば、それは勘違いとかいろいろそういう問題がありますから、それは速やかに訂正すべきものは訂正すべきと。食言というのは、要するにうそをついたと分かっていて自分がうそをついた、これは間違いではありませんから、そこはしっかり分けていただきたいと思います。
  152. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ありがとうございます。当然のことだと思います。  そこで、今日の医療制度の問題ではないんですけれども、先般、行革特でも取り上げていただきました、二回ほど、同僚の大塚議員から取り上げていただきました三月二十八日のこの厚生労働委員会における私の青木労働基準局長に対する質問に対しての御答弁、青木局長の御答弁について、もうこの内容大臣も行革特でよくお聞きだと思いますけれども、改めて局長のこの答弁について局長の御説明を私はここで承りたいと思いますが、お願いいたします。
  153. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 三月二十八日に森委員からこの当委員会において御質問がございまして、それに対する私の答弁についての御説明をしろと、こういうことでございますので、ちょっと長くなりますけれども申し上げたいと思います。  厚生労働省としては従来から、中災防についての御質問でございましたけれども、中災防に対する国の補助金あるいは委託費につきましては精算報告書などに基づきましてチェックを行ってまいりました。そういったことなどから、私としては適正な経理処理が行われているものと判断をいたしておりました。  こうした判断に加えまして、中災防に対する税務調査が行われておったわけでありますが、御質問のありました三月二十八日の時点では、中災防から国の補助金、委託費について多額の期ずれが指摘されているとの報告はございませんでした。そのため、安全衛生部では本件は税務処理に関する問題であると認識をいたしまして、速やかな納付と適切な処理を行うよう中災防に指示していたものでございます。  そのため、三月二十八日の時点では、中災防においては、税務上の処理に問題があったとはいえ、国の補助金、委託費の処理について問題があるとは認識をしておりません。  また、森委員の御質問が中災防への国庫補助金等委託費が適正に使用されるようチェックするための体制についてであるというふうに考えましたことから、中災防では、国の補助金、委託費の経理処理に関しましては、一つには、監事による監査や会計検査院の検査、あるいは平成十七年度から外部監査法人による監査の実施などによりまして適正な執行が担保されている旨お答えを申し上げたところでございます。  しかしながら、結果的には、国の補助金、委託費に係る不適切な経理処理が行われておったわけでございまして、三月二十八日の答弁におきまして、二月二十八日に国税当局が送付した更正通知を承知していなかったとはいえ、税務調査を受けているという事実は承知していたわけでございますので、その更正通知の指摘について答弁できなかったことについては遺憾であるというふうに考えておるところでございます。
  154. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 二十八日の質問をする前に、私はこの問題についてその一週間前に一度通告しているわけですね。この中災防についての経理処理について質問をしているわけですよ、通告をしているわけですね。一週間時間があったわけですから。そして、今局長が御答弁になりましたように、国税の調査が入っているということは秋から知っていたわけですね、九月。九月の七日に中災防に国税の調査が入ったこと、報告を受けていたと思うんですよ。そのことは随時報告を受けていたということについては私は担当者から説明を受けております。  そのような状態の中で、突然質問、通告なしにやったわけでもありませんし、一週間も余裕があった。その中で何もその件について調べないで答弁したということでよろしいんですか。何も調べないで、その件について、国税から査察を受けているということが分かっていたわけですから、その結果がどうなったかということについても一応チェックされてから御答弁なされるべきだったと思うんですけれども、そういうことは一切調べずに答弁をしたということでよろしいんですか。
  155. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 確かに、今委員が御指摘のように、結果的には国庫補助金等について不適正な処理が行われたわけでありますので、その時点でそういう観点から調査をするなり、ただせばお答えができたかとは思いますけれども、今申し上げましたように、国税の調査が入っていると、それについて、まだその時点におきましては更正通知を、決定したものが見ておりませんでしたので、その内容については、とりわけ国庫補助金、委託費について多額の期ずれがあるということについては承知しておりませんでした。  そういう意味で、その点については特に問いただしたり、報告を求めるというようなことはいたしませんでした。
  156. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 職務怠慢ということですか。それとも、うそをついた、虚偽答弁、どちらなんですか。どちらかですよ。職務怠慢か虚偽答弁のどちらかですよ。  国税の査察を受けていたことは御存じだったはずです。度々報告も受けていたはずです。その中災防に関して経理上、補助金等のというふうには言ったかもしれませんが、少なくともその経理上きちんと運営がなされているのかということについて質問をした。それなのに、その国税についての査察の結果がどうなったのか。二月二十八日に更正通知を受け取って三月二日にもう納入しているわけですよね。納税しているわけです、追加納税、三億円の、約三億円の、脱税ということを指摘されて。それを調べないで、問い合わせもせずに、国税の査察はどうなったと問い合わせもせずに私の質問に対して答弁したということなんですか。それであれば職務怠慢ですね。全くやる気がなかった、やるべき仕事をしなかった、職務怠慢ですよね。それともそれは、それらの事実を把握していたにもかかわらず、そのことに触れずに私の質問に答えたとすれば、これはまさしく虚偽答弁、この二つのうちのどちらかですよ。どちらなんですか。
  157. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 税務調査については、例えば公益事業と収益事業の振り分けと区分といいますか……
  158. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そういうことを聞いているんじゃありません。
  159. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) そういったことについてその調査を受けているという報告はありましたけれども、先ほど申し上げましたように、国庫補助金等について多額の期ずれ、実際にはあったわけですけれども、期ずれがあるという報告はございませんでしたし、先ほど申し上げましたように、それまで精算報告書等で国のお金については一応はチェックすることになっているわけでございまして、それらではそういったことも判明しておりませんでしたので、そういうふうに御答弁申し上げたわけでございまして、決して虚偽の答弁をしたというつもりは全くありませんでした。  しかし、委員が御指摘になったように、結果的には確かにそういう不正な、不適切な経理が行われたわけでありまして、そういう点では、そういったところまで認識をして、調査をもっと深く、あるいは報告をきちんと求めるというふうなことをすればお答えが十分にできるんではなかったかというふうに思っているところでございます。
  160. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 納得できません、こんな答弁。
  161. 山下英利

    委員長山下英利君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  162. 山下英利

    委員長山下英利君) 速記を起こしてください。
  163. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) お答えさせていただきます。  その三月二十八日の森委員の御質問に対しまして、私としてその委員の御質問の意を十分に受けて十分なる調査をすればよかったというふうに思っているところでございます。その点については大変遺憾に思っているところでございます。
  164. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今の御答弁に対して、謝罪ですか、謝罪に対して余り納得はできません。納得はできませんが、時間を浪費するわけにもいきませんので、大臣、先ほども最初にお願い申し上げました。きちんと議論を尽くす、その前提として我々はいろいろ、まあ不勉強な部分もありますけど、それなりに時間の許す限り一生懸命準備をして質問するわけですね。その質問に対して、うそをつかずに、しかもきちんと調査をして答弁をしていただかないと議論そのものが成り立ちませんので、是非そのようにリーダーシップを取っていただいて指導していただきたいと思います。  それでは、本題に入りたいと思います。  少子高齢社会が進行して、疾病リスクが高い高齢者が増える中で医療費が伸びていくことはある意味やむを得ないことだと私は思っております。問題は、こうした医療費の増加をだれがどのように、そしてどう公平に負担していくかにあるというふうに思っております。  しかし、今の現状を見ますと、産科、小児科といった特定診療科や地方における医師不足は相当深刻化しておりまして、さらに、依然として多発する医療事故によって国民の医療に対する信頼は相当揺らいでおります。また、医療費の負担についても、職種間格差が解消されないなど、とても公平な負担となっているとは思えません。こうした状況の中で、ただ負担増だけをお願いしますと言われても、だれが納得するのでしょうか。このような認識を踏まえて質疑をさせていただきたいと思います。  まず、高齢者医療制度について伺いたいと思います。  いろいろ同じような質問を同僚議員もされておりますけど、済みません、資料配っていただけましたでしょうか。資料をごらんいただきたいと思います。老人医療費のここ数年の推移でございます。直近のものが平成十五年度となっておりますので、本来であればもう少し直近のものがいただきたかったんですけれども、今あるものはこれだけということで、この表を見ていただきたいと思います。  改めて言うまでもなく、各都道府県別でございますけれども、都道府県によって差があるということは私から申し上げるまでもないことだと思っておりますが、前回の医療制度改革議論のときに、要するに、例えば長野県、老人医療費が非常に低いわけですね。その地域の中で、先ほどの阿部委員のお話もありましたけれども、医療はどこまでできて、何ができないのか、みとりの医療、そして尊厳ある死を全うするというふうに阿部委員はおっしゃいましたけど、私は尊厳ある生を全うするためにはどのような支援が必要なのかということも踏まえて、医療と、そして医療保険、介護保険、そして福祉、地域の様々な社会資源を使って、高齢者が最後まで生き生きとその尊厳ある生を全うできるためにはどのような体制をつくったらいいかということが議論の主体になっておりまして、今ほどお配りさせていただいております資料を見てもお分かりのとおり、各地域で格差のある老人医療費、これを健康長寿という地域の取組によって少しでも格差が狭まるようにということが、本来、高齢者医療制度の創設の目的ではなかったかと思うんですね。  ところが、今回提出されました法案を見ますと、そういうそもそもの議論がどこかへ行ってしまって、地域における良い環境づくりをしましょう、高齢者のためのそういう支えのシステムをつくりましょうということは、肝心なところがどこかへ行ってしまって、ただ医療費の適正化というところだけが前に出てしまった嫌いがあるのではないかというふうに思っております。  先ほど、税方式、保険方式等々、いろんなお話がありましたので、その部分はちょっと省かせていただきたいと思いますが、介護保険と国民健康保険の保険者の在り方について、今回、後期高齢者医療制度都道府県内の全市町村が加入する広域連合によって運営されることになりますけれども、現在、原則市町村単位で運営されております介護保険と、そして国民健康保険はどのようになるのでしょうか。そのままなのでしょうか。それとも、国として広域連合を推進するような施策を講じていかれるのか、その点について御答弁をお願いしたいと思います。
  165. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 御指摘いただきましたように、国民健康保険、介護保険、両制度においては住民に最も身近な行政単位である市町村をそれぞれ保険者として位置付けておりますが、保険財政の安定化や事務の効率化を図るためには広域化が必要であると考えております。したがって、そういう意味では広域化という方向付けをしていくことになります。  今回の国民健康保険においては、三十万を超える医療費に係る給付費すべてを対象として、各市町村が拠出を行うことにより、都道府県単位で高額医療費の発生リスクの分散や保険料の平準化を図る保険財政共同安定事業を創設いたし、都道府県単位での保険運営を推進することといたしております。  一方で、介護保険については、もう既に二十六の地域で広域の体制を取っていると。すぐなぜ広域に入れないのかという議論の中で、国保の方はかなりの歴史があって、それぞれの市町村における保険料が違う、したがって一本化集約、もちろん町村合併のときには当然一本化いたすわけですけれども、介護保険はそういう意味では新たなスタートを切ったところでありますので地域連携がしやすい、要するに同じ料金設定でスタートができるということから介護保険の方が今広域化が進んでおるように思いますけれども、いずれにせよ目指す方向としてはできるだけ広域化の方が望ましいんではないかなと、このように思っております。
  166. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 三年前といいますか、四年前といいますか、そのときの議論の中でも、私の持論といいますか、要するに介護の保険者とそれから医療の保険者は同じ方がいいのではないか、特に後期の高齢者に対しては医療と介護、それをどの程度、どういうふうに連携させてうまくやっていくのかという視点が大事なのではないかということを主張させていただいておりました。そういう意味におきまして、前にも言ったんですけれども、本来この新たな医療制度というものは平成の大合併の前にきちんと制度設計がむしろできていれば良かったのではないかというふうに改めて思います。  平成の大合併によりまして二〇〇一年三月に三千二百二十七市町村あったものが今年の三月には千八百二十一になりました。私の住んでおります新潟県でも百十一あった市町村が三十五になりました。本当に合併が進みました。しかし、昭和の大合併のときのように国保の保険者ということを一つの、保険者機能が発揮できるという、そういう力があるということをある程度目的として進められた合併ではなくて、総務省からのあめとむちで無理やり進められてしまった。非常にそこには理念がないということで、今本当に合併して良かったのかというふうな不満も広がっております。  そういう意味で、今後介護保険と医療保険の地域保険、保険者の在り方については改めて、一言だけお答えいただきたいんですけれども、大体同じものにしていく方向であるというふうに考えてよろしいんでしょうか、その部分だけもう一度お答えいただけますか。
  167. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 確かにもう少し議論をしていかなきゃならないところでしょうし、もう一つは市町村合併が今、森委員が言われたようにだんだんに進んでいる。一段落したように見えますけれども、まだまだ残っておりますので、そうしたものの推移を見ながら議論を深めていかなければならないだろうと。しかし、今回の国民健康保険については、三十万を超えるものについては安定化事業ということで県内の市町村が全部力を合わせてやるということになっておりますので、そういう意味では、先ほど御答弁申し上げましたように、方向性としてはできるだけ広域の方向にした方がより保険制度としては安定化していくということは間違いないだろうと思っております。
  168. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今回こういう案が提示される前には、私はこれで地域の中でのそういう高齢者にとっての医療、介護の連携が進んで非常にいい環境が整っていくのかもしれないと少し期待したんですけれども、しかし、実際この法案が提示されて、そして様々な議論が進んでいくのを見ますと、また先輩の先日の朝日委員の御指摘、そして本日の清水委員の御指摘にもありましたように、地域の中での高齢者に対する今までの老人保健事業で行われてきた様々な事業というのが、せっかく高齢者の健康管理というものに関して非常に効果を発揮していたものが、これがうまく運営できなくなるのではないかというふうな非常に懸念があるんですけれども、特に、いただいた資料を見ますと、保健師さんが非常に一生懸命やってらっしゃいました訪問指導というものは、この数年で見ても、平成十三年で約百万人に対して行われていたものが、直近の平成十六年度では八十九万三千人というふうに減っております。  どんどんこういうふうに効果を出してきた地域での取組が、今回の法案が成立することによって行われなくなるのではないかという懸念がございますけれども、この点に関してはいかがでしょうか。
  169. 山下英利

    委員長山下英利君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  170. 山下英利

    委員長山下英利君) 速記を起こしてください。
  171. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) これまで、老人保健事業において様々な取組、健診、それから訪問指導、機能回復など様々行われてきたわけでございますけれども、ただこれまでの反省といたしまして、必ずしもそれが、例えば被用者保険の被保険者の被扶養者にまでなかなか及んでいなかったと、こういうことがございます。こういう御指摘も踏まえまして、今回、糖尿病等の生活習慣病に係ります健診、それから保健指導につきましては、法律特定健診、特定保健指導というふうに位置付けまして、これ医療保険者に義務付けるところとしたところでございます。  その他の保険事業、従来老健事業で行われたものにつきましては、それらの市町村が健康増進法の体系の中でこれを引き継ぐという形で整理をされて、それぞれ取り組んでいこうということでございます。
  172. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 その健康増進法での規定ぶりについては、先般の朝日委員からの御指摘で全く実効性がないのではないかという懸念が提示されたところでございます。私も同じ心配を持ちます。清水委員も同じ心配を持っていらっしゃったというふうに今日の質問で思いました。  この点につきましては、また次回の質問に譲らせていただきたいと思います。  次に、保険者の再編統合について伺いたいと思います。  まず、これは政府参考人で結構でございますが、組合健保の現状について、いかがでしょうか。
  173. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 健康保険組合の状況でございますけれども、健康保険組合連合会が公表しております平成十六年度のデータでございますけれども、組合数といたしまして、企業単位で設立されております単一組合が千二百九十七組合、業種を単位として設立されている総合組合が二百八十七組合、合計が千五百八十四組合でございまして、加入者数は被保険者、被扶養者を合わせまして二千九百九十八万人、それから平均保険料率は七四・八四パーミルと、このようになってございます。
  174. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それぞれの財政状況はいかがでしょうか。
  175. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 先ほど申し上げました平成十六年度の状況でございますけれども、全体で見ますと経常収支で三千六十一億円の黒字でございまして、五年ぶりに赤字決算を脱しました平成十五年決算に引き続きまして二年連続で黒字決算になったわけでございますけれども、ただ、この千五百八十四組合中約三二%の五百三組合が経常収支で見て赤字の状況にございます。  また、保険料率につきましても、先ほど全体の平均申し上げましたけれども、政管健保の保険料率であります八二パーミルを超えている健保組合は約二五%の三百八十八組合でございまして、個々の組合を見ますと、大変厳しい保険運営を行わざるを得ない健保組合があることは、これは承知をしております。
  176. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それでは、健保組合の再編統合について少し伺いたいんですけれども、政管健保については都道府県単位化をする一方、健保組合については全国規模のものが残るということだろうと思うんです。地域保険、職域保険は都道府県単位ということでお考えになるなら、健保組合に関しても、同一業種間だけでやるのではなくて、異業種も含めた地域の中で保険をつくるという、そのような発想になるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。これは大臣に伺いたいんですけれども。
  177. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、健康保険制度の中で、大企業もある程度の規模を持つものも、健康保険組合として自主的かつ効率的な運営を行う。組合の財政状況や加入者のサービス向上の観点から、被保険者及び事業主が参加する組合会の議決を経て組合の判断により、自主財源を用いて付加給付や保健事業を行っていると。この制度全体は効率的におやりになっておると、こう思っております。  このものを他のものと全部地域ごとに一元化をして一つのものにしろというのは、一つの議論としてあることは承知しておりますけれども、この組合健保が効率的にやっているだけに、これを地域健保に全部入れてしまえというのは、現段階では様々な議論があるとまず思っております。  第二番目に、政管健保につきましては、健保組合と比べて財政基盤が脆弱なことから、一定割合の国庫補助が行われております。保険給付費の一三%、老健拠出金の一六・四%を拠出しているということでございますので、この政管健保の制度と一般の組合とをまた一緒にしろというのも、また様々な議論が出てくるだろうなと思っております。  一方で、今財政が逼迫している組合、こういうものにつきましては地域型健康保険組合、小規模、財政急迫の組合の再編統合として、今申し上げた地域型健康保険組合というものを創設して健保組合の再編統合ということを考えさせていただいているところでございます。  確かに、小さなものは政管健保、また、大きな企業が統合がされているものについては正に事業主と加入者が効率的な運営をされておると。その中で、中間程度で財政が厳しいものをこれからどうしていくという中で地域型に再編をしていくということを考えております。
  178. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 もう本当に、同じ健康保険制度でありながら、様々な組合があるわけですね。後ほど国保組合についても伺わせていただきたいと思っているんですけれども、大企業なのか中小企業かで加入する保険が異なり、そして付加給付などのサービスも異なっていると、そこに不公平はないのでしょうか。
  179. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) それぞれの組合があって、一つにまとめてしまう方がいいだろうという御提言は、特に地域保険を担ってもらっておる市町村から強い意見が出ていることは承知いたしております。一方で、先ほど申し上げたように、民間の企業の組合が、企業と組合員との間でしっかり議論をしながら今日までの制度をつくり上げていることも事実でございますので、私ども一元化という考え方は持っておりますけれども、すぐこのものがまとまり得るというふうには考えていないところでございます。  そういった中で、効率的にやっているところがより良いサービスを提供しているという問題は、そこはやはり努力であろうと考えております。
  180. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今、一元化というお話もありました。そういうことも考えてはいるけれども、特段取り立てて具体的に何か今しようとか、今後近々何かしようとか、そういうことは具体的には何もないということなんでしょうか、改めてお聞きします。今の現状を見るという、いろんな方々の意見を聞くと、それだけだということなんでしょうか。
  181. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほど申し上げたように、地方自治体関係者皆さん方の御意見、また組合健保の御意見、政管健保の御意見を伺いながら、今、今回は、まず政管健保を都道府県単位にすると、それから中小の財政が逼迫している組合については地域型でまとめながらやらせていただきたいという中で、将来の方向性として私どもが一元化というものをどう考えているかということになれば、将来考えていく大きな課題であると承知しておりますけれども、具体的なスケジュールを持ってないことは事実でございます。
  182. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それで、今お話がありましたように、今回の法改正によって健保組合の間での統合が認められることになるわけですね。先ほど参考人から御説明がありましたように、財政状況に関してはかなり差があるわけです。  一つ心配な点があります。それは、財政状況の厳しい健保が排除されて、そして財政的に余裕のある健保だけで統合が進む、いわゆる排除の論理が働くことになるのではないかというふうに懸念があるわけですけれども、これに関してはいかがでしょうか。
  183. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 基本的に法律の意図しておりますところは、都道府県単位の健保組合のうち、小規模又は財政窮迫のために安定した保険運営が困難な健保組合の選択肢の一つとして、関係者の合意の上でという構成にいたしておりますので、そういった意味では救済的な意味合いが濃いもので、いいものだけをよっていこうという前提での仕組みにはいたしていないところでございます。
  184. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それは厚生労働省の方で何か御指導をされるということなんでしょうか。どなたかがそういう形にしていくということなんでしょうか。参考人で。
  185. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 法案上の位置付けでございますけれども、地域型健保組合が小規模や財政窮迫等の組合を含む合併によってのみ設立されるということを規定しているところでございまして、正に大臣が今発言なさいましたとおり、こういった小規模、財政窮迫組合を大きくすることによって安定させようということが主眼でございまして、法律の規定上も先ほど申し上げましたとおりのことでございまして、御指摘のような問題が生ずるとは考えてございません。
  186. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それでは次に、国保組合の現状について伺いたいと思います。この国保組合の問題点については当委員会でも以前指摘されたことがあるかと思いますけれども、この現状はいかがでしょうか。
  187. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 国民健康保険組合についてでございますけれども、平成十八年四月一日現在で百六十五の組合がございます。  大別をいたしますと、医師、歯科医師、薬剤師等の関係で九十二組合、それから建設関係の従事者で三十二組合、それから市場従事者、食品関連の従事者等四十一組合ということでございます。加入者数は、平成十六年度末現在で約四百万人となってございます。  それから、財政状況でございますけれども、平成十六年度の収支差引額は六百四十九億円の黒字でございますけれども、単年度経常収支で見ますと、六十三億円の赤字となってございます。それから、全体の六八%でございます百十三組合が赤字ということでございます。
  188. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 度々国保組合の問題が取り上げられますと、今ほど、赤字というところもあるんですけれども、一方、高額所得者だけが集まっている国保組合もあるわけでございます。  大変失礼ですけれども、お医者さん、歯医者さん、そして薬剤師さん、弁護士さん等々、非常に高額な所得者だけが入っている、そしてまたその御家族、その診療所等の従業員の皆さん等入っていらっしゃる組合もあるわけでして、私も昨日いろんなところの、今インターネットで皆さん公開していらっしゃいますので、それぞれの国保組合の保険料ですとかそのサービスとか、すごいのがあるんですよね。  保険料は、どこかと言うとすごく悪いので、ある組合では、年収二千万ぐらいの加入者がほとんどだと思うんですけれども、それなのに保険料が年間三十万ぐらいのところがあって、そして保険者への特別のサービスとしてリゾート施設を格安で利用できるとか、非常に様々なサービスが提供されている。  そういう、同じ医療保険なのにこんなにも差があるのかなということを改めて感じたんですけれども、そしてまた、そういう国保組合に対しても国庫補助というものが今まだされているわけですけれども、高所得者組合への国庫補助の更なる縮小についてどのような御所見をお持ちでしょうか、お願いいたします。
  189. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 国保組合への国庫補助金、市町村の実施する国民健康保険制度とのバランスの観点から設けられておるものでございますが、平成九年度の改正において、法人事業所等の新規加入者については政管健保と同率の国庫補助とする改正を行いました。また、平成十六年度に実施した国保組合の所得調査結果に基づき各国保組合の財政力を算出し、平成十八年度より財政力に応じて交付する普通調整補助金の見直しを行ったところでございます。  今回の見直しは、今、森委員御指摘のとおり、弁護士さんとかお医者さん、比較的財政力の強い国保組合については普通調整補助金を廃止、現行の五段階から各国保組合の財政力に配慮したきめ細かい十段階への補助の割合を変更したものでございます。なお、各国保組合への財政影響を考慮して、段階的に補助の割合を変更するなどの措置も講じたところでございます。  いずれにせよ、今御指摘いただいたように、財政力あるところに対しては国が普通調整補助金等を出す必要はないだろうという観点に立っております。
  190. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ところで、この今の国保組合の質問に関しては、前、西川きよし参議院議員がよく取り上げていらしたんですね。そのときに、坂口厚生労働大臣だったんですけれども、坂口厚生労働大臣に対して西川議員が大臣のお入りになっている健康保険は何ですかという質問をされたんですけれども、同じ質問を大臣にしてよろしいですか。
  191. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私は、地元の伊賀市の国保組合でございます。
  192. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今、違うと思いますよ。
  193. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 国保でございます。市町村国保でございます。伊賀市の市町村国保でございます。(発言する者あり)失礼いたしました。昨年十月、大臣になったのを忘れていました。共済組合に変わっております。
  194. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いや、また年金未納じゃなくて、医療費の、大臣医療費未納問題が何か明日の朝刊のトップを飾るのかと思ってちょっと今どきどきしたんですけれども、副大臣はそれぞれいかがですか。
  195. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 大臣と同じように、厚生労働省の保険に入っております。
  196. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 厚生労働省の関係する組合も共済組合、共済組合ですよね。共済組合も一つじゃないんですよね。一つにまとまってないんでしたよね、たしか、まだ。一つにまとまったんでしょうか。
  197. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 国家公務員共済組合法の適用をいずれにせよ受けておりますけれども、共済組合の数としては三つあるかと思います。
  198. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 まだ三つあるんですね。そして、それを局長は後ろの方に聞かないと答えられないというのはどういうことなんでしょうか。  つまり、今四年前のときの議論思い出すんですけれども、組合っていうの、これほどいろいろな事情があって、まあよく分かりませんけれども、この組合、保険者の再編統合ということを今回この改正案で打ち出しているにもかかわらず、相変わらず厚生労働省では三つの組合があるっていうの、これどういうことだと思います。  これ、大臣御存じでしたよね、ちなみに。
  199. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) いや、社保庁が違うんじゃないかなという認識をいたしておりました。
  200. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 二つだと思った。
  201. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 二つかなと。
  202. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 三つあるんです。その理由は私からは申し述べませんが、ある事情によって三つあるんですね。  もう一度さっきの質問、もう一度質問させていただきたいんです。保険者の再編統合をこの今回の改革案で出していらっしゃる厚生労働省自体が組合の統合ができないのはなぜなんでしょうか。
  203. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ちょっと恐縮なんでございますけれども、共済組合、国家公務員共済組合、所管は財務省でございまして、そういう意味で私所管をしておらないわけでございます。  今後、こういったものをどうするかということを、共済制度の中でどのような取組がなされるかにつきましては、それぞれその所管のところとまた相談をしながらお答えすることになろうかと思います。
  204. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 済みません。今、医療保険者の再編統合の話をしているんですけど。所管が財務省だからっていう話じゃないと思うんですけれども。全然、何か手を付けるということはないんですか。
  205. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 失礼いたしました。  厚生省の職員に適用されている三つの共済組合をどうするのかという、その再編統合をどう進めるのかという御質問かと思い、ちょっとずれた答弁をしてしまい、失礼いたしました。  全体の再編統合につきましては、これ、いろんな光の当て方ございますけれども、今回の制度改正通じまして、全体として都道府県単位とした整理ということを進めていこうとしているわけでございます。  一つは、後期高齢者医療制度は正に都道府県単位で一つの制度をつくろうということでございますし、国民健康保険につきましては、先ほど大臣から申し上げました共同事業によりまして自主的な再保険事業をやることによって都道府県単位ということを進めようとしているわけでございます。  健保組合、これは健全に運営されているところは、これは自主自立で保険者機能も発揮されているわけでありますので、これはそのままといたしまして、ただ、地域におきまして財政窮迫、小規模のところは、やはり都道府県単位といたしまして地域型健保組合をつくるという選択肢を設けようと、このようにしているわけであります。  逆に、政管健保は、全国一本、大変大きい制度で、必ずしも機能していないという御指摘もございますので、これは都道府県単位で財政運営を行おうということでございまして、都道府県という地域を、圏域を単位として再編統合を、それぞれ進め方は、一元化までいった後期高齢者のところからそうでないものまで様々、熟度は様々でございますけれども、そういったことを軸にして、都道府県単位ということを軸にして再編統合を進めようとすると、これが大きな考え方でございます。
  206. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いろいろお話ししていらっしゃっても、肝心な質問に答えていただいていないんですけれど。  保険者の再編統合を今回の医療制度改革案で提示していらっしゃる厚生労働省がいまだに三つも共済組合を持っていて、それでその統合が進まないのはなぜですかと。
  207. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ちょっと所管をしておりませんので確とした答弁をする立場にはございませんが、それぞれ、例えば一般の職員でありますとか国立病院に勤めている一つの大きな単位があるとか、あるいは社会保険事務に携わっているとか、そういったそれぞれの経緯でこうなっているんだと思います。ちょっと、それ以上のことは所管外のことでございますので確たる答弁できないことを御容赦願いたいと思います。
  208. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 済みません。これ、通告してないんです。通告してないんですけど、こんなの当たり前でしょう。初めての質問じゃないですよ、こんなの。今までだって何遍も出てきているし、私、通告してないんですけど、これは当然もう、今回の法案が提出されるときには厚生労働省だってちゃんとやっただろうなって思ったからさりげなく今ちょっと派生で聞いてみただけで、まさか四年前の西川きよし先生と同じことを私この場で言うつもりは全くなかったんです、言うことになろうとは思ってなかったんです。大臣、いかがですか、これは。
  209. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 一つは、先ほど小規模、財政が弱いところは統合してしっかりとした保険組織にした方がいいだろうと。一方で、民間型でしっかりとした運営しているところについて、統合を目指すのか、その大前提として、自分の役所の中に共済が三つあるけれども、それを統合を目指すのかということになりますと、今段階ではスケジュールはないということでございます。
  210. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 もう保険者の再編統合を進めるって言っている厚生労働省自分のところは何も手を付けないっていうのは何かおかしな話じゃないですか。  済みません、改めてこの問題に関してはちゃんとした答えが出るまで議論が必要だと思いますので、次に譲りたいと思います。  医療安全対策について伺いたいと思います。  一年間の医療事故の数を厚生労働省から伺いたいと思います。
  211. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 国内で発生しておりますすべての医療事故の数については把握をしておりませんけれども、特定機能病院など二百七十二病院に対しまして医療事故情報等の報告を義務付けております。  ここで言う医療事故例として報告していただく情報というのは、ある一定の定義を設けているわけでございますけれども、それによりますと、平成十七年の一年間で千百十四件の医療事故報告されているところでございます。このうち死亡は百四十三件で、一二・八%となってございます。  なお、医療事故の発生頻度について、診療録を抽出して調査した研究が平成十五年から十七年にかけて厚生労働科学研究で行われてございますが、「医療事故の全国的発生頻度に関する研究」という題名で行われてございます。これによりますと、入院患者の六・八%に死亡が早まったり、新たに入院の必要が生じるなどの有害事象が発生したという結果が得られてございます。この結果は、諸外国、例えば英国で一〇・八%、カナダで六・八%等ございますが、と比較いたしまして同程度の発生率となっているところでございます。
  212. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 済みません、質問は飛ぶんですけれども、今、つまり一年間、日本国内で発生している医療事故の数を厚生労働省は把握していらっしゃらないんですよ、全体としては。今ほど御説明になったように、特定機能病院や国立病院については義務付けがなされているわけですけれども、一般の医療機関は含まれておりません。なぜ含まれていないんでしょうか。
  213. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 義務付けておりますのは、今申し上げましたように、特定機能病院あるいは独立行政法人国立病院機構の開設する病院、それから国立高度専門医療センター及び国立ハンセン病療養所、及び学校教育法に基づく大学の附属施設である病院、分院を除きますけれども、これでございますけれども、これ以外で参加をする医療機関につきましても、登録を経て参加をすることはできるようにしているところでございます。  これ、二百七十二施設を義務付けているわけですけれども、医療事故に関する質の高い情報を収集して、改善方法を医療現場等に提供して再発防止を図るということを目的としたものであることから、その分析体制確立されているところを義務の対象としているところでございます。  したがいまして、まずは現在の仕組みにおいて、これをきちんと運営して収集分析体制充実を図っていくということがまず第一であろうということでございます。  先ほど申しましたように、一般の医療機関であってもこれに任意に参加することはできるということで、現在、二百八十三の病院から報告を受けて、有用と認められる事例につきましては分析を行うなど、活用させていただいているところでございます。
  214. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私は、与党の皆さんも入っていらっしゃる超党派の医療事故防止議連に所属しておりまして、医療事故の問題、様々調べてまいりました。  そもそも、この医療事故とは何なのかという定義さえもまだ実ははっきりとしていないわけですね。そのような状況の中で、いろんなことが起きますと、過剰な報道がされたりですとか、明日、参考人にいらっしゃいます虎の門病院の小松秀樹先生が私どものこの議連に度々おいでいただいていろんなお話をしていただいておりまして、このままでは医療は崩壊するという御主張をされて、もう先生方の、各委員のところにも配られていると思いますけれども、この「医療崩壊」という本を出されております。私は、基本的にはこの小松先生の御主張にある意味結構賛成でございまして、明日参考人としておいでになりますので私の方から今日言う必要はないと思いますけれども、医療が何ができて、医療は何ができないのか、そして医療というのは必ずリスクが伴うものなんだという認識が今欠如しているのではないかというふうに思っております。  しかし、今様々な状況の中で医療事件が多発するということで、今日なぜ多発するのか聞こうと思ったんですけれども、それはまた後に回しまして、今の現状を見ますと悪循環ですよね。救急体制のところとか医師不足のところは、どんどんお医者さんの勤務が過重になって、さらにお医者さんが辞めて現場が手薄になっていって、またハードになってという、そして事故が起きたりとかということで、非常に悪循環になっているんですけれども。  医師不足、医療従事者不足が発生の原因ではないのでしょうか、この点についてはいかがですか。
  215. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) その調査日本医療機能評価機構報告によりますと、医療従事者が確認や観察を怠った、二六・六%、医療従事者が判断を誤った、一一・七%、医療従事者間の連携が不足していた、五・八、医療従事者の知識、技術が未熟だった、五・一という要因になっております。一方、例えば勤務状況が繁忙だったというのは大きな構成要因にはなっておりません。  ただ、従事者が判断を誤った理由として、連携が不足した理由として忙しくてしっかり連携ができなかったんだということになれば、それは潜在理由として当然あるだろうと考えております。  そういう意味では、私どもの調査資料の結果として、医師不足若しくは医療関係で働く人たちの数が少ないゆえに医療過誤事件が起きたという、直接結び付いてきた資料はないという状況にあります。
  216. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今、資料がないということでしたけれども、現場からは、もうこれ以上の人手不足が続けば更に重大な事故が起きる可能性があるという危機的状況報告をされていることは、私は確かだと思います。  そこで、その医師不足の解消について一点だけ伺いたいんですが、これは何度も衆議院の方でも議論されていることですけれども、国立大学医学部の定員の増加についていかがでしょうか。これは文科省来ていただいていると思います。
  217. 磯田文雄

    政府参考人(磯田文雄君) 医学部の入学定員につきましては、昭和五十七年の臨調答申及び閣議決定を受けまして、厚生労働省、現在厚生労働省でございますが、当時の厚生省による需給見直しを踏まえた医師数削減の考え方を基にしまして、既存の入学定員の削減を行うとともに、現在まで新たな入学定員は行っていないところでございます。したがいまして、医学部の入学定員の増員につきましては、厚生労働省における医師需給考え方を十分に踏まえることが必要と考えております。  現在、厚生労働省におきまして、医師の需給に関する検討会を設け、需給見直しにつきまして検討を行っているところでございますが、文部科学省といたしましては、この見直しの結果や文部科学省に設置しております医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議の調査研究、これらを踏まえつつ、医学部入学定員の在り方について検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。
  218. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 大臣、先ほど地域医療計画ということが議論になりました。医学部の医師の定員増に関しては、私の地元新潟から、今、新潟大学、私の出身校ですけれども、新潟大学は百名になっております。これを百二十名にしてほしいという度々の陳情がございます。  衆議院の方でも同僚の議員が質問をさせていただいたと思っておりますけれども、今の文科省の答弁のように、つれない、全く本当に現場を考えてくださっているのかどうか分からない、そんな答弁が繰り返されるだけなんで、大臣には、さっき地域医療計画という話が、絵にかいたもちではなくて本当に地域できちんとした医療計画を作っていくんだと、そういうことについてもっと県も責任を持って指導していく立場にあるんだ、これからは、ということを衆議院なんかでも答弁されているんですけれども、医学部の医師定員も決められないのに地域医療計画が、実効性のある地域医療計画が立てられないというふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
  219. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これは衆議院でも何回も御答弁申し上げましたけれども、各県各県の事情が違いますねと。  確かに、診療科目、地域に偏在があることは私も認めております。例えば、一番多いのが徳島県だったでしょうか、平均が二百十一に対して二百八十二名いる。しかし、徳島県の中においても診療科目、また地域偏在というものがあることは事実でございます。例えば、京都も極めて多いところでありますけれども、丹後の方に行きますと、やはり医師不足という問題が生じていることも事実だろうと。  そういう意味では、まず第一に、地域内で医師というものがどのぐらい確保されているか、その偏在というものの解消のためにやはり県もしっかり努力をしてもらわなきゃならないだろうと、第一にこう思っております。  一方で、もう一つの課題として、例えば青森県の例を申し上げますと、大学を卒業した人たちの半分ぐらいが関東圏に戻られてしまう。六年終わると、研修も受けずに帰ってこられる方が多いと。これはやはり地域枠なり奨学金なりという方向付けをしなければならないだろうと。  こういう県の問題については、先日、小坂文科大臣からも御答弁がございました。地域枠という形がいいのか、十年はそこで医療をしてもらう、自治医科大学みたいな発想がいいのか。いずれにせよ、この問題については、文科省としても取り組むということで、私どもと今協議を全体として進めさせていただいているところでございます。  そういう意味では、医大を出て、百人はいるんだけれども、この人たちが定着をしてくれれば足りる県があることも事実でございます。一方で、そういうものを除きまして、それでもやはり不足しているという県が議論の中で出てくるかもしれない、そういったものについて、私ども、しっかりウオッチをしなきゃならぬなと、こう思っております。  一方で、もちろん将来の課題ですから、六年後、八年後に定数を増やせばそこが増えてくると、だから、そこについてはもう少し議論をして、文科省と場合によってはいじることをしなけりゃならないだろうと思っております、足りないところに対してですね。  一方では、今の問題をどう解消するかという問題がございます。今すぐ医師数が増えるわけではありませんから、毎年三千、四千増えてくると、こういう問題に対してどう対処していくかということになれば、やはり知事さんが中心になりながら集約化というものを進めていかなければならないだろうと。私の県が一番はっきりしているんですけれども、百人大学を卒業して大学の研修に残るのは、この間知事さんの話で私五人と聞いていましたら、知事さんから三人だと、三人しか三重大学で研修しないと。しかしながら、三重県の中には七十数名が残っておるというのが事実でございますから、そうなりますと、大学の研修制度の中で各地域に医師を派遣するというのはもう無理になりますから、先ほど申し上げたように、知事さんと大学関係者病院関係者と協議しながら、医師会も入っていただきながら考えていかなければならないだろうと。短期的な問題と長期的な問題、特に定数問題についてはもう少し勉強さしていただきたいと、こう考えております。
  220. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 なかなかいい御答弁がいただけないわけなんですが。  最後に、もう時間ですので、今のことに関連しまして資料をお配りさせていただきました。新聞のスクラップでございますけれども、卒後、新しい研修制度がスタートして、その修了した方たちの進路が明らかになりました。分析は様々な分析の仕方があるんですけれども、大学病院は四四%に低下ということ、それから、実際に研修してみて非常に激務だったので三六%が志望科を変更したというふうな報告もなされておるところでございます。  いずれにせよ、ちょっともう時間がなくなりましたので次回に回したいと思いますが、こういうような状況もきちんと分析をして、様々な問題に対処しなければならないということを申し上げまして、本日はこれで質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  221. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  冒頭、ちょっと社会保険庁による不正免除の問題について取り上げたいんですが、長官、今日来ていただいています。  最初に、国民年金保険料の不正免除の件数、全体と、それからどれだけの社会保険事務局、事務所で行われたのか、数をお示しください。
  222. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) 今般の事案につきましては、去る五月二十七日に厚生労働大臣出席の下、緊急に全国社会保険事務局長会議を開催いたしまして、そのときの調査結果でございます。  二十六の社会保険事務局のうち百か所の社会保険事務所におきまして、約十一万件の法令等に定める手続に反する事例がございました。特に、個々人の申請の意思を確認しないまま承認手続を行った事例が十の社会保険事務局管内の四十三の社会保険事務所でございました。これは第一次調査ということで、五月二十九日に取りまとめの上公表させていただいた部分でございます。
  223. 小池晃

    ○小池晃君 大臣にお聞きしたいんですが、全国三百十二の社会保険事務所のうち百か所ですから、全国規模なわけです。大臣はいろんな場で発言をされていて、本庁は関与していないんだ、所長レベルで法令違反を行ったんだと、現場が勝手にやったことだと、こういうことをおっしゃっているんですが、こんな大規模な、全国三分の一で起こっているということが自然発生だとでも言うんでしょうか。私はこれは、社会保険庁が組織的にこのような処理を促していなければこんなことは絶対起こらないはずだと思いますが、大臣、この点いかがですか。
  224. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これから一つ一つの県の内容を吟味することになりますけれども、かなり状況が違いますので、今段階において社会保険庁から何らかの示唆があったというふうには私は考えておりません。  ただ、一方で、村瀬長官に内部的調査を各県、各事務所ごとにしっかりやるようにと言っていますと同時に、官房の方に別に、ここにおります岡田務官、西川政務官、二人と、それから法律、会計等の専門家を入れて一つのチームつくります。委員会をつくって、そこで、これは社保庁との関係も調べます。そしてオープンにしていきます。  そういう意味では、私のところに今現在社保庁との関係は届いておりませんけれども、そうした御質問も再三再四いただいておりますので、そういった問題も両政務官をトップにしながら、民間の方々のお力をおかりしてきちっとした調査をしたいと、このように考えております。
  225. 小池晃

    ○小池晃君 こんな大規模なものが指示なしに、やり方は違うからといっても、起こるわけがないわけです。  再び社会保険庁長官に聞きたいんですが、昨年六月六日に開かれた全国社会保険事務局長会議、これ、長官、出席していると思いますが、出席されていますね。
  226. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) はい、出席しております。
  227. 小池晃

    ○小池晃君 この会議では、国民年金保険料の収納対策が議題になっていますが、社会保険庁からはこの問題に関してどういう指示を出したんでしょうか。
  228. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) 全国の事務局長会議というのは、国民年金の収納だけではなくて、事業全般について話をしてございます。その中で、国民年金の収納の部分ということだけでお話し申し上げますと、国民からの信頼を回復するためには国民年金の収納に対してしっかりやらなきゃいかぬと、こういう話を私はしてるつもりでおります。
  229. 小池晃

    ○小池晃君 これ、冒頭はマスコミも入っている会議なんですが、そういう方針も述べられたのかもしれませんが、長官は、これ、国民年金の対前年度改善幅、目標納付率達成の上位三県の事務局を御紹介して、皆さんの前で拍手をもってたたえたいというふうに述べる。さらに、健保、厚年についても上位三県紹介されて拍手が続くと、まるでセールスマンの集会のような始まり方なんですよ。この会議では、総務課長が社会保険庁改革について報告をし、その後、年金保険課長が国民年金の収納対策について報告していますが、間違いございませんか。
  230. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) はい、間違いございません。
  231. 小池晃

    ○小池晃君 私どものお聞きしているところでは、この年金保険課長の報告の中でこんな発言がある。幾つかの社会保険事務局を、足を引っ張っているんだということで名指しで批判をしている。これからも言わせていただく、油断しないでいただきたい。よもや、平成十七年度は赤字が出るような事務局はまさかないだろうと思っているので、この場ではっきり申し上げたいと、まるで恫喝のような話なんですね。  こんなことも言っているんです。同じブロックの中で情報交換は当然できるわけですから、隣の事務局は何で上がったのか、そして隣の事務局の社会保険事務所をよく分析して、自分たちは何が足りなかったのかということだけきっちり聞かせてもらうので、いい加減な分析は許しませんよと。こういう情報交換がブロック会議の大きな議題なんだというふうにしゃべっている。  情報交換、具体的にどう行われているかということでいうと、朝日新聞の報道によれば、岐阜で、大垣の社会保険事務所長の証言ですが、要するにいろいろと情報交換していたと。で、県の事務局に電話をして聞いたらば、こんな方法がある、他県ではこういう方法を検討しているということで無断で免除・猶予手続を進める方法が提示されたという報道もある。こういう情報交換やられている。そして、こう言っているんですね。最大のポイントは、市町村から所得情報をもらって、免除に該当する人はきっちり免除該当をしていく、これは分母対策だと。分母対策、つまり免除者を増やして年金保険料を納付する人を減らせと、収納率が高いところと情報交換しろと、こういう全国会議で本庁指示出しているんですよ。しかも、法令に従って、法令遵守してきちんと加入者の同意を取ってやりなさいなんて話は全くこの会議ではなかったというふうに聞いている。  私、本庁関与してないと言うけれども、こんな会議をやれば、正に組織的にルール違反を進めているようなものだと。長官、これでも本庁は関与してないんだと、現場が勝手にやったんだとおっしゃるんですか。
  232. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) 今、先生いろんな形でお話しされましたけれども、国民年金の収納というのはどういう形の仕事をやるかということをまず御理解いただかなきゃいかぬだろうと思います。当然のことながら、年金制度を周知を徹底して保険料をお納めいただく、これは当然のことでございます。ただし、いかに収納対策を講じてもなかなか保険料をお納めいただけない方がたくさんお見えになると。そのためにどういう手当てを講ずるかという中で、十六年の年金法改正で所得情報というものが御協力をいただける市町村からはいただけるようになったと。その中でどうしても保険料をお納めできない所得の方々に対しては、年金権の確保ということで免除ということも御紹介し、免除申請をいただく、これは私は当然の仕事だろうと思っております。一方、お金をお持ちになっているにもかかわらずお納めいただけていない方については強制徴収ということで、先ほどもお話し申し上げましたけれども、年間十七万件の強制徴収を十七年度はやっております。  したがって、収納対策全体をどうしていくかということは、当然、情報交換、地区ごとにやることを決して悪いことではないと思います。それに対して、たまたま免除のところで情報交換をした。じゃ、法令違反のところを情報交換してやるということがいいのか悪いのか。これ、だれが見たって悪いことでございまして、それを本部が関与してやっているというのはちょっと御指摘が違うんではなかろうかというふうに私は思っております。
  233. 小池晃

    ○小池晃君 そんなことないです。既に東京の法令違反の例は知っていたはずなんですよ。にもかかわらず、会議では、法令をしっかり守ってやりなさいなんて話は全然出ていない。しかも、第一に分母対策だということを言っているわけです。それは、分母対策というときに、一番は免除だと。本当は分子でしょう。分子という言い方良くないけれども。年金に対する理解を広げて納付者を増やすというのがまず真っ先にやらなければいけない仕事なのに、その対象者を減らすということをまずやれというふうに言っているわけですよ。  しかも、もっと、そんな丁寧な話していませんよ、この会議では。例えば、こんなこと言っている。市町村の所得情報があれば免除勧奨と強制徴収はできるんだ、分子は取れなくても、分母対策は少なくとも免除勧奨でやればいいんだ、ごみの対策は強制徴収でやればいいんだ。加入者をごみ扱いする発言まで出ているんですね。  分母対策は重要だ、情報交換しろと、恫喝じみた指示がある。こういう指示で現場どうなったかというと、おととい、岐阜県の大垣社会保険事務所の課長が申立て及び退職についてというファクスを長官に送っていると思います。そこでは、目標納付率の達成が目標じゃなくて必達納付率というふうにさせられた、納付率達成という圧力があったというふうに述べて、最後に退職の意思を表明していると。職を賭して告発をしているわけであります。  長官ね、長官は違法行為をやれとは指示していないと。これは当然ですよ。違法行為やれともし指示していたら、これは重大な問題になると私は思います。しかし、事実上、本庁の大号令によって、分母対策やるんだと、分母対策に有効なのは所得情報を使って免除勧奨だということであり、とにかくもう上位三か所は拍手をというような異常な雰囲気の中で、引っ張っているところはもう名指しで批判するという中で、そして今回のような日本じゅうでの不正な免除という事態が同時発生的に起こっていると。これは私、これに対して責任ないんだと、これは全部現場でやったことなんだという言い訳、これは絶対通用しないというふうに思いますが、長官、いかがですか。
  234. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) 是非お願いをしたいのは、全国局長会議の中身の中で、全体の時間軸でどういうことをやったかということがない中で、一部のところだけを御指摘いただいて、それもどこからどういう形でお聞きいただいたかも分かりませんけれども、細かく今お話をされましたけれども、私自身の感覚としては、局長会議でそんなことをやっているつもりはありません。そして、事業をやっている以上は、一生懸命仕事をやってきちっとした成果を上げてきたところを褒めること自体は決して悪いことではないというふうに思っております。
  235. 小池晃

    ○小池晃君 いや、一生懸命やっちゃいけないなんて言っていないんですよ。最大の課題が分母対策であり、それが免除の拡大であるという、そういう号令掛けているというところを私は指摘しているんです。村瀬長官だって、昨年十一月十七日の近畿ブロック局長会議で、免除の拡大、去年と違い、年金情報を持っているのになぜやり切れないのかという発言をしている。免除の拡大を最大の手段として号令しているわけです。  私、長官に申し上げたいんですが、もううそは駄目なんだと、真実はすべて暴露するんだ、新しい方向に向かうというふうにおっしゃっているので、そうだとすれば、長官になって以来の全国社会保険事務局長会議の議事録あると思うんですね、これをすべて国会に提出するよう求めたいと思いますが、長官、いかがですか。
  236. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) 理事会で協議いただきまして、必要であれば、私は別にやましいことをやっておりませんので、一切構わないと思います。  それからあと、いろんな会議でいろんなことをお話をしたということで御紹介でございますけれども、それだけをやっているわけではございませんので、是非それだけは御理解いただきたいと。  特に、私は、所得情報以降、いただいた中で、午前中もお話し申し上げましたけれども、十一月以降何でああいうメールを差し上げたかということに対しては、やはり一番大きいのは、十一月、十二月、我々の方から被保険者の皆様方に対して、十六年から十七年にかけての年金の加入状況というものをお送りさせていただきまして、今どうなっていますということで、しっかりお送りしているわけですね。それに対して、十七年中にお納めいただければ、先ほども申し上げましたように、十七年の還付申告、それから申告のときに控除が受けれるという部分、これがやはり我々として非常に大事な時期であると。それと同時に、先ほど委員指摘ありましたように、一部の市町村からは所得情報がちょうだいできるということで、今まで未納の方々に対して様々な効率的な対策が講じられると。  したがって、強制徴収も、先ほど申し上げましたように十七年度、十七万件もやっておりますし、それから、長期でお納めいただけてない方で、やはり年金権の確保という観点から免除をお知らせする、決してこれは悪い話ではありませんし、これをやるのは我々行政の仕事だというふうに思っております。
  237. 小池晃

    ○小池晃君 それが、この社会保険庁改革の最大の仕事であるかのようにやっていることに重大な問題があると私は申し上げているんです。  現場ではどんな文書が流れているかというと、例えば、近畿地方のある社会保険事務局長が出した緊急メッセージ、ここにあるんですね。何て書いてあるかというと、現在、ねんきん事業機構関連法案が国会に提出され、審議待ちになっています。国民年金保険料収納率実績向上を果たさなければ法案の成立さえも危ぶまれる危機的状況であることを職員一人一人が銘記していただきたいと、そして、年度末最後の追い込みを臨戦態勢でやるんだということで、具体的にこんなことが言われているんですね。事務所課長以上は任意継続被保険者及び全喪、倒産ですね、倒産した事業所、被保険者であって長期未納となっている者に対して戸別訪問して免除勧奨、戸別訪問に当たっては夜討ち朝駆けを心掛ける。サラ金も見まごうばかりの取立て、免除勧奨の指示が出ているわけであります。  私のところにメールも来ているんですが、こんな意見が来ています。今回の事件の発端は、村瀬長官の分母を減らせという職務命令なんだと。そもそも、村瀬長官はなぜ国民年金保険料納付率が低いのか本質が分かっていないのではないか。分母を減らすことよりも分子を増やすことに力を入れるべきなのだと。分母が、被保険者が減らない限り、不正をしない限り減らないんだと。損保ジャパンの犯罪体質をそのまま社会保険庁に持ち込んでいる。損保ジャパンは、本来顧客が負担すべき保険料を社員に違法に立て替えさせたり、架空契約、保険金の不払など長年違法な行為を続けてきた。これに荷担してきたんじゃないか、こういう指摘もメールとしては来ている。  大臣、私お伺いしたいんですが、大臣は社会保険庁の中に問題のある人はたくさんいるんだというふうにおっしゃいましたが、私は、その中には、こういう違法な免除とか、なりふり構わぬ保険料の取立てということをあおるような大号令を掛けてきた社会保険庁本庁、その中には、その先頭に立ってきた村瀬長官もいるでしょう。所管大臣である川崎大臣もある。村瀬長官を任命した小泉首相も、その問題ある人の中に含まれるんじゃないか。この責任をどういうふうに一体お取りになるおつもりなんですか。
  238. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 二年前に社会保険庁の不祥事、様々な御批判を国会、また国民から賜りました。この組織を手直しをする、若しくは民営化をする、独法化をしたらいい、民主党さんの案はもう国税庁と一緒にしろと、こういういろんな案がございました。いずれにせよ、この組織をそのまま存続させるのは駄目だというほとんどの意見を賜ったと思っております。  そういった中で、国鉄なら民営化という手法を取ったわけでありますけれども、年金は二十歳の子から考えれば六十五歳まで四十五年後の年金権というものをしっかり保障していかなきゃならない。強制徴収の問題もある。したがって、国の機関としてやらなければならないという、国が年金については責任を負うということで今回のような法律をいたしたわけでありますけれども、一方で、やはり解体的な出直しをしなきゃならぬ、民間的な視点を持ってやらなきゃならぬと、こういう御批判の中で、正に今、途中経過の中の社会保険庁、この職員の意識を高めてしっかり仕事をしてもらう、そのために村瀬さんが先頭に立って努力をしてきたということについては与党全体として評価をしていただいておると、このように思っております。  しかしながら、事実関係だけは明らかにしなければなりませんから、私は初めから社会保険庁問題なかったということは申し上げておりません。したがって、しっかり政務官にも調べてもらうと、民間の皆さん方にも入ってもらって調べてもらうと、こういう中で議論をさせていただいておるわけでございますので、事実はすべて明るみにさせていただきたいと、こう思っております。  一方で、長官は今職務に専念してもらっているということでございます。
  239. 小池晃

    ○小池晃君 いや、だからその職務に専念している長官の改革の方法が本当に国民の望んでいる方法、方向なのかということなんですよ。  社会保険庁の問題が起こった、国民の年金不信が高まったときというのは、これは年金保険料の流用問題でしょう。あるいはグリーンピアなどの無駄遣いでしょう。これに対して国民怒ったわけですよ。しかも、あのとき、給付を下げ、保険料を毎年上げていくという法案のでたらめさに国民は怒ったわけですよ。だから改革をと言ったわけです。  ところが、今改革という名でやられていることは、結局こういう問題には全くメスが入っていない。だって、保険料の流用問題はむしろ固定化、恒久化したじゃないですか。そして、一方で現場でやっていることは、ただ単に納付率を高めると、その話だけで、しかもそれは年金に対する不信を取り除き、理解を高め、納付する人を増やすということを中心に据えるのではなくて、第一は分母対策だといって無断で免除を広げると。分子対策は、加入者をごみ呼ばわりして強制徴収すると。これが何で国民が望んでいる改革の方法なのか、方向なのか。私は、村瀬長官、改革推進しているなんて思いません。私は今のやり方では駄目だと。今のような方向で社会保険庁の改革を進めるのであれば、私はますますこの問題というのは深刻化するということになるというふうに思うんですよ。  私は、こういう事態を起こした責任というのは非常に重大だと思いますし、村瀬長官はこの責任取って辞任すべきだというふうに思いますが、長官、いかがですか。
  240. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) お答えする立場にございません。(発言する者あり)
  241. 小池晃

    ○小池晃君 よしじゃないでしょう。これは重大なんですよ、やっぱりね。小泉内閣全体の私、責任に発展していく問題だというふうに思います。  同時に、今ここで審議されている医療制度改革法案というのはどういう性格かといえば、言わばその社会保険庁改革の中の健康保険の部分、これがこの法案に盛り込まれている。片や、年金の部分はねんきん事業機構法案という形で衆議院で議論されている。実際、衆議院では、この問題の解明がない限り、不正免除をめぐる事態の解明がない限り法案審議はできないと、与党がそう判断されたというふうに聞いている。ならば、こちらの法案というのは正に社会保険庁のもう一つの事業である健保についての改革の中身であるんですから、これは同様に、やはり今回の事態の徹底解明なくして私は議論できないという性格になってくるんだろうというふうに思うんです。  そういう点では、これは改めて集中審議をやっていただかなければいけない。このことを理事会で協議をしていただきたいというふうに思います。
  242. 山下英利

    委員長山下英利君) 理事会で協議をいたします。
  243. 小池晃

    ○小池晃君 じゃ、法案の中身に入りますが、療養病床の問題を今日は議論したいと思うんです。  今回の法案で、医療、介護両方の療養病床の再編というのが盛り込まれていまして、非常に重大な問題が生まれてきていると。実際、法案では六年後ということになっているんですが、既に深刻な波紋を広げているのが四月の診療報酬改定です。この七月から療養病床入院基本料医療区分二、三では引上げになりましたが、医療区分一、これ大体入院患者の半分を占めるわけですが、三割から四割引き下げられている。しかも、後で私問題にしますが、医療区分一とされる中にも医療を必要とする患者さんいらっしゃるにもかかわらずであります。  その結果、実態どうなっているかというと、もう既に試算をやっている病院たくさんあるんですが、療養病床を抱える病院は大幅減収になっています。富山共立病院というところ、ここは六十床の病棟で二五・四%のマイナス。埼玉県のみさと協立病院、ここは百床の医療療養病床ありますが、二八%の減収。山陰地方の二百四十床の病院では三三・六%という大幅な減収です。大混乱が起こり始めている。  これ、厚労省の医療課長の発言があるんです。愛知の医療団体との会合の中でこう言っているんですね、療養病床については、こんな低い点数にしたら追い出されるじゃないか、正にそういう点数にしたんですよと、そういう発言をされている。今全国で始まっている受皿がないままの療養病床の閉鎖とか、あるいは医療区分一の患者さんを追い出す、課長自らそう発言をしている。自ら意図したものだということだと思うんです。  大臣にお聞きをしたいんですが、大臣はもう繰り返し追い出しはしないんだというふうに答弁を続けていらっしゃいますが、しかし既に診療報酬のこの先取り的な改悪によって、大臣答弁とは正反対に老人難民、医療難民のようなものが生まれ始めつつある。厚生省の医療課長自身が追い出すんだと、そういう診療報酬にしたんだという発言をしている。大臣の答弁に照らして実態全く違うじゃないですか。この責任どうお取りになるんですか。
  244. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 何回か御答弁申し上げましたと思いますけど、もう一度申し上げます。  今回の療養病床の再編に当たっては、療養病床の老人保健施設等への円滑な転換を促進する観点から次のような措置を講ずることといたしております。  医療保険、介護保険双方において、医師、看護職員配置を緩和した療養病床の類型を創設する、これ、平成二十三年度末まででございます。医療保険、介護保険双方の療養病床について転換支援の助成を実施する。また、療養病床再編成については、介護保険事業計画だけではなく、医療計画医療費適正化計画にも関連するものであり、各分野横断的、統一的に対応することも必要であると考えております。  このため、本法案が成立をしたと仮定いたしましたならば、都道府県の協力を得て地域ごとの施設ニーズや関係者の意向の把握を急ぐとともに、厚生労働省においては、地域におけるケア体制の整備の方針や療養病床転換に係る計画などを盛り込んだ地域ケア整備指針を策定し、来年夏をめどとした各都道府県による地域ケア整備構想の作成を支援し、施設の適切な対応を促すとともに、三つの計画が整合性を持って策定されるように考えております。  いずれにせよ、療養病床の再編に当たっては、入院、入所されている方々の不安を招かないように適切な対応を図ってまいります。
  245. 小池晃

    ○小池晃君 いや、だからその不安がもう既に起こっていると言っているんです。しかも、それは法案だけではなくて、この七月からの診療報酬改定で現実のものになりつつあるというふうに申し上げているわけです。  これは診療報酬、緊急に改定すべきだというふうに思いますし、私は、この七月から実施されるこの改定に伴って緊急の実態調査をやはりやるのが最低限の責任ではないか、これによってやはりどういう事態が起こっているのか直ちに把握する責任があると思いますが、大臣、それはやっていただけませんか。
  246. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほどございました医療区分一の問題でございます。  今回の診療報酬改定においては、平成十五年三月に閣議決定された基本方針に沿って医療療養病床については患者医療の必要性に応じた評価を導入することとしております。  具体的には、医療の必要性の高い患者に係る医療については評価を引き上げるとともに、医療の必要性の低い患者に係る医療については評価を引き下げたところでございます。こうした措置は、医療保険と介護保険の役割分担を図ることを目的としたもので、将来的には医療の必要性が低い医療区分一に該当する患者については老健施設等において受け入れていくべきと考えており、医療現場においては医療の必要性の高い患者医療療養病床で受け入れ、逆に医療の必要性が低く看護の必要性が高い患者を老健施設等で受け入れるなど、患者の状態に応じた適切な対応を図っていくことが基本であると考えております。この医療区分一の患者について医療療養病床で対応する場合にあっても、医療の必要性が低い患者が多く入院する病棟については、平成二十四年三月までの経過措置として医師、看護職員配置を薄くする場合でも診療報酬上の評価を下げずに算定できる介護保険移行準備病棟を認める予定であり、医療機関がコストを引き下げて入院医療を継続する選択肢も設けることといたしております。  いずれにいたしましても、全体的な流れの中の検証は常に心掛けてまいります。
  247. 小池晃

    ○小池晃君 今棒読みされましたけど、その中で医療の必要性が高い低いってあっさりおっしゃるけれども、それが私極めて重大だと思うんですよ。そんなに簡単に言える問題じゃないと思うんです。  そのことをちょっと今日は徹底的に議論したいんですが、その医療の必要性がないんだ、少ないんだという根拠として、言わば今回の療養病床の大幅削減の根拠として二つ厚労省は示している。一つは、中医協の直接医療提供頻度の調査、もう一つは、医療経済研究機構の調査です。これが果たして妥当なのかということですね。  最初に、中医協の調査について西島委員が先日取り上げていますが、この調査というのは、あのときも問題になりましたが、医師の指示の変更の頻度を聞いたもので、医療提供頻度を聞いたものではございません。医者というのは、スタッフからの情報とか、あるいは定期的な回診によってそういう情報を得て、その都度医学的判断を行っているわけで、指示の変更をしたかどうかにかかわらず、その都度その都度医学的判断を行い、それが正に医師による治療なわけです。医師の指示の変更がないことがイコール医師による直接の医療提供がないというのは、これは余りに無謀な議論じゃありませんか。局長、いかがですか。
  248. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 御指摘の資料は、昨年九月に中医協の下に置かれました専門組織が行った慢性期入院実態調査における医師による直接医療提供頻度に係る集計結果であると承知してございます。この項目は、入院患者の特性といたしまして、医師による指示の見直しがどの程度の頻度で必要な状態か、あるいは二十四時間体制での管理が必要な状態かについて調査を行ったものでございます。  医療必要度、すなわちどの程度、どのような医療サービスが必要かということでございますけれども、これはやはり出発点といたしましては、正に委員御指摘のとおり、医学的な判断が基礎にあったと思われます。こうした判断が行われたことを客観的に測る言わば物差しとして医師による指示の変更ということを用いたわけでございまして、正に医師による直接の医療、物差しとしてこれを用いることが適当との判断の下に、中医協の下の専門組織において調査が行われたところでございます。
  249. 小池晃

    ○小池晃君 それは物差しにならないと言っているんですよ。大体、物差しで測れない性格だからそういう無理なことになってくるわけですよ。  しかも、医療経済研究機構の調査というのは、今日資料で、資料、済みません、配付していただきたいんですが、これは調査結果の表が変更されているんですね。    〔資料配付〕
  250. 小池晃

    ○小池晃君 これ、老健局長にお聞きをしますが、この医療経済研究機構の調査結果の表というのは、わざわざこれ質問項目の前後を入れ替えております。しかも、項目の中身も変わっているんです。元々、医療経済研究機構の質問項目というのは、「医学的管理をさほど必要とせず、容態急変の可能性も低い」と書いてあったんですが、それを「容態急変の可能性は低く福祉施設や住宅によって対応できる」というふうに、調査では書かれてもいない文言を付け加えているわけですね。  老健局長、お聞きしたいんですが、何でこんなデータの書き換えやったんですか。これが根拠だといって示すのは余りにアンフェアじゃありませんか。
  251. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) ただいま委員が御指摘いただきました説明資料は、医療経済研究機構がまとめました平成十五年度の療養病床における医療提供体制に関する調査報告書でございます。  ここにおきまして、二ページ目にもございますけれども、主として医学的管理を要するか否かという観点から、御指摘のように表現ぶりを一部換えております。その意味で、患者の容体により確かに医学的管理をさほど必要とせず、容体急変の可能性も低いという状態がございますが、これは基本的には福祉施設や住宅によっても対応できるというものを考えておりまして、入院が不要であるといった趣旨をより分かりやすく表現したものとして考えております。
  252. 小池晃

    ○小池晃君 そんな解釈で勝手に書き換えるなんというのはひどいですよ。そんな権利ないんじゃないですか。こういう都合のいいようにデータ書き換えて、これが根拠ですなんという、こういうでたらめなやり方はけしからぬですよ。  しかも、保険局長、もう一回先ほどの話、戻したいんですが、尺度として用いたと言うけれども、じゃ局長は、医師が指示の変更をしない限り、そこには医師の治療行為がないという判断なんですか。
  253. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ないということではございませんで、あるということを客観的に見られる指標としてこの指示の変更ということを用いたということでございまして、例えば回診という言葉を、行為を取っても、その程度は様々でございます。したがいまして、物事を測る物差しとして使うのはその指示の変更ということを用いることにしたということでございます。
  254. 小池晃

    ○小池晃君 だから、そういうことでいったら、指示変更したところしか尺度にしなければ、ほかのことは全部切り捨てられることになるんですよ、回診でどう判断したかも含めて。医者はその都度その都度医学的判断をして治療をやっているわけですよ。何か直接の侵襲的な行為をするのだけが治療ではなくて、医学的判断をし、どういうことが必要かということを、これを検討する、これだって立派な医学的行為である。こういうことが一切無視されて、指示を変更したというだけを尺度にして医療必要度というのが判断されていく、これは私、これ客観的に全く医療必要度を測る指標になってないということが今の答弁でもよく分かったというふうに思うんです。これを根拠にして今回の医療区分というのが持ち込まれてきているわけです。  その医療区分の、医療の必要性に応じた根拠、これはどういう根拠でやっているわけですか。
  255. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 医療区分の設定の仕方についてのお尋ねでございますけれども、これは先ほど申し上げました中医協の下の専門組織におきまして、約三千五百人の入院患者対象にいたしまして医療従事者によるサービスの提供状況についてタイムスタディー調査を行いまして、その結果につきまして職種別の人件費によって重み付けをした平均ケア時間、これと患者特性との相関について検証した上で設定をしたものでございます。
  256. 小池晃

    ○小池晃君 タイムスタディーで医療の必要性というのは私は測れないと思います。しかもこれ、平均時間の一・一五倍以上の方を医療区分二、一・六倍以上の人を医療区分三としているわけですから、結局、医療必要性ということを基にして分類項目を立てて、たまたま結果としてその五〇%以上が医療区分一になったということじゃなくて、一・一五倍が基準になっているわけですから、最初から約五〇%を、まあ五〇%以上ですよね、これが医療区分一になるように設定しているということになるじゃありませんか。  これは正に、こういうやり方を見ると、結局その半分以上の患者医療の必要性がないんだというふうに認定をして、それは社会的入院であると断定して、要するに療養病床を半減するという方針が先にありきでこういう仕組みが設定されているというふうにしか思えないんですが、いかがですか。
  257. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) まず、結論から申し上げますと、初めにその五〇%ということを置いて逆算をしてセットしたものではございません。  順次御説明いたしますと、まず、この医療区分につきましては、職種別の人件費によって重み付けをした平均ケア時間と患者特性の相関について検証した上で設定したと、これは先ほど申し上げたとおりでございます。で、ある項目に該当する患者の平均ケア時間が全体平均のただいま委員言われた一・一五倍以上である場合に当該項目が医療区分の二の項目になり得るものとして検討したところでございます。  なぜそれでは一・一五倍かということでございますけれども、これは最終的な患者分類が先ほど申し上げました平均ケア時間の分布の状況をどの程度よく反映できるかについて、統計的な妥当性を示す値が高くなるように、中医協の下の専門組織におきまして統計的な観点も踏まえた技術的な検討を行った結果として設定されたものと承知をしてございます。  この医療区分の判断の指標となります疾患、状態、処置の項目、これは様々挙げて、多くのものを挙げているわけでございますけれども、たとえある一つの項目において平均ケア時間から見て医療区分二あるいは三に該当しない患者であっても他の項目におきましては医療区分二、三となると、こういうことも想定されるものでございまして、したがって、最終的に医療区分の判断の指標となる項目を確定した結果として医療区分二、三の患者がどの程度の割合を占めるかにつきましては、何ら前提を置かずに中医協の下の専門組織において検討が行われたものと、このように承知をしております。
  258. 小池晃

    ○小池晃君 しかし、基本は平均の一・一五倍で切るというふうに決めれば、それは半分以上切るのが最初から前提になっているという議論になるわけですよ。  私は、今の議論、先ほどの指示を出した、変更したことが尺度だという議論にしても、時間で測るという議論にしても、本当に無理があると思うんです。なぜ無理があるかといえば、医療の必要性というのは、これは何か単一の数字による基準で決められるものじゃないんだと、もう正に個別ケースなんだと、それは、医療が必要かどうかということを医師が判断すべき問題だと。だからこそ無理があるんですよ、そんな機械的な尺度でやろうとすれば、今のように説明してももう訳の分からないことになってくる。  しかも、この尺度について、出てくる直前に重大な変更があるんですね。実は、医療区分の一の中にも医療の必要性高い患者さんたくさんいると私どもは思っているんですが、昨年十一月の患者分類ではなかった八項目の算定上限日数というのが四月になって急遽患者分類に付け加えられました。今日資料でお配りしている三枚目に出ていますが、いろんな状態像があります。例えば尿路感染症だとか、脱水だとか、体内出血だとか、頻回の嘔吐だとか。それに、この四月十三日に発表したもので、算定日数の制限というのが付けられたんです。何でこんな日数制限を付け加えたんですか。
  259. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) その前に、ちょっと委員の御発言の中で、機械的にタイムスタディー調査の結果を当てはめたという御発言があったわけでありますけれども、それにつきましては、実はその三千五百人の患者分類試案につきましては、これは一遍現場に戻しまして、どの区分に該当するかという結果を示した上で、個々のその現場の意見を聞いて、例えば項目の追加ということ、ただいまの話にありました脱水ということも追加になったわけでありまして、タイムスタディー調査の結果だけでなくて、臨床現場の意見も加えた妥当なものであると考えてございます。  その日数上限、幾つかの疾患、状態につきまして、該当すると判定できる日数の上限を設ける案を示したところでございますけれども、これは脱水等の主に急性期の症状が一般的には設定した日、日数以内で回復することを踏まえて、連続して該当すると判定できる日数の上限、脱水でいえば七日ということを設定したものでございます。  この上限につきましては、学問的立場、それから現場の立場の専門家の意見も踏まえた上で設定してございますので、適切な医療提供されている下では、余裕も見て、こういった当該疾患のみが設定した日数以上継続するということは想定し難いと考えてございます。
  260. 小池晃

    ○小池晃君 いや、現場の意見聞いた、現場実態踏まえたって、現場からこれでは駄目だっていう大合唱起こっているじゃないですか。じゃ、何で意見聞いたんだったらこんな反対の、現場実態から見て問題だっていう声がこれだけ上がるのか。  臨床現場実態に即して設定したっていうけれども、今の説明聞いても明確な根拠ないんですね。例えば、尿路感染症で七日間にした、脱水で七日間にした、ほぼその七日間以内に回復する。そんな、一般論としてそんなこと言えるんですか。いろんなケースあるはずですよ。  ちょっと確認ですが、この日数上限を付加したことによって、医療区分ごとの数は変化するんですか、しないんですか。
  261. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) これによっては変化はしないということでございます。
  262. 小池晃

    ○小池晃君 そんなことないはずですよ。そんなことだったら、何でそもそもこれ入れたのかという話になってくる。結局このやり方というのは、私は医療区分をできるだけ低く低く抑えるための手段として入れられたとしか思えない。  実際、鹿児島県の全日本病院協会の有志の先生方が、この算定日数上限が加わったことによってどう変化するかというのを緊急調査やっているんです。これによりますと、これは十四施設五百八十六床ですが、算定日数制限なしの医療区分の時点では、医療区分一が四四・二%、医療区分二が五〇・一七%だった。逆に、八項目のこの算定上限を入れると、医療区分一が五七・三四%、医療区分二が三七・二%と、完全に逆転している。これ、結局何としても五〇%を超える患者医療区分一に入れたいがために算定日数上限を付けたというふうに私これは思えるんですね。  しかも、これ実態としてどうなるかというと、もし医療区分二に属している人で、例えば熱が出ている、嘔吐をしている経管栄養の人、あるいは医療区分三に属する二十四時間持続点滴をしている人、こういう人たちが、三日から七日間の算定日数の翌日から、病態がどうなっていようが医療区分一になっていくわけです。熱が出ただって、七日過ぎたらもう関係ない。嘔吐していても、七日過ぎたら、三日過ぎたらもう関係ない。三日過ぎて嘔吐していても、それは一切重症度には反映されない。こんなことがあり得るのか。  こういうやり方でいけば、この算定日数の上限に達したらば、どんな重篤で医師が医療は必要なんだというふうに判断しても、医療区分一になってしまって、追い出しの対象となってしまう。在宅や介護施設に移ることが求められる。こんなことになるんじゃないですか。こんなやり方が許されていいんでしょうか。
  263. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この算定日数につきましては、先ほど申し上げましたとおり、学問的立場及び現場の立場の専門家の意見も踏まえて設定したものでございまして、基本的には当該疾患等のみが設定した日数以上に継続することは想定し難いと、このように考えております。
  264. 小池晃

    ○小池晃君 今のは全く説明になっていない。  学問的と言うけれども、尿路感染症は七日以内に治ります、脱水症は七日以内に治ります、そういう学問的所見というのはあるんですか。
  265. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) これにつきましては、専門家、専門組織においてそういう判断が下されたものでございます。
  266. 小池晃

    ○小池晃君 そんなこと言ったら専門家が怒りますよ。こんなでたらめな議論。  私、大臣に言いたいんですが、これ根本問題だと思うんですね、今回の医療区分の問題というのは。医療が必要かどうかというのは、個々の患者さんの実態、個々の病態に応じて、これは医師が判断すべきものなんですよ。それを今回のやり方では、こういう機械的な訳の分からない区分を持ち込んで、しかも医療区分一となったらもう出ていけという仕組みになっているんですよ。  医療区分一と言われる中に、例えばどういう人がいるか。経管栄養、鼻からなり胃瘻からなりチューブが入っている、全く体を動かすことができない、そういう方ですね。重度の意識障害がある、嚥下性肺炎を繰り返す、慢性心不全などの合併症を持っている、脳梗塞後のけいれん発作を週一回起こす。  例えば、こういう患者さんであっても、この基準に当てはまらなければ医療区分一だと、医療の必要性なしだと、当面、七月から診療報酬がばっと減らされる、そして六年後にはもういられなくなる、こういう仕組みをつくる。  大臣、やっぱり医療の必要性があるかどうかというのはこれはあくまで医師が判断すべきものであって、それとは別の基準を持ち込んで半分以上の患者を切り捨てるということは、これ絶対許されないんじゃないですか。原則論として、やっぱり一つ一つの症例に応じて医師が判断すべきものではないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
  267. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 同じような答弁になりますけれども、医療の必要性の判定に当たっては、患者の疾患、状態及び受けている処置の内容医療区分との関係をできる限り客観的に設定したところでございます。この基準については、その設定過程において、臨床現場で使用する際の妥当性についても十分検討を行ったものだと考えております。  なお、具体的な運用に当たっては、患者の診断やそれに基づく治療は、当然、医師によって行われるものであり、また基準への該当状況についても医師が最終的に判断するものであるほか、医療療養病床においては、この基準によって包括的に評価される基礎的な入院費用や薬剤料等に加え、医師の判断によって手術や高度な処置等を行った場合には出来高で算定できることとされております。  医療の必要性にかかわる医師の判断も適切に反映される診療報酬体系となっておると考えております。
  268. 小池晃

    ○小池晃君 この介護療養病床廃止、医療療養病床廃止、この大幅削減、この方針について、私は現場実態からいっても許されない、撤回すべきであると申し上げて、質問を終わります。
  269. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  医療改革法案に先立って、社会保険庁の問題について私も質問をさせていただきます。  本日、長官に来ていただきました。このようにたくさんの免除の不正の問題が出ておりますけれども、長官御自身の責任を御自身としてどう考えていらっしゃるでしょうか。
  270. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) 社会保険庁長官になりまして、私自身が取り組んだ方針を含めてお話を申し上げたいと思います。  従来、組織体質を改め、サービスの向上であるとか予算執行の無駄の排除であるとか、それから国民年金の収納率の向上等、やはり私の仕事は国民の信頼を回復するために明確な目標を設定し、かつそれを組織として共有して、組織を挙げて全力で取り組むと、こういう方針で進んできたつもりでおります。その進めるに当たりましては、当然のことながら、法令に定めるルールにのっとって業務を進める、公務員が当然守るべきことを逸脱しないというのは当然のことだというふうに考えております。  したがいまして、私自身の目標を定めたことによって、その部分で様々なこういう案件が出てきたということに対しての御批判については、私は当たらないんだろうと思っております。  一方、私が今やらなきゃいかぬことは何かといいますと、先ほど御説明申し上げましたように、全国で多くの事務局、事務所が今回の案件に絡んでおります。したがいまして、これで本当に全部済んでいるのかどうか、これを徹底的にやっぱり全容を解明をいたしまして、御報告を申し上げ、早期に対策を打つと同時に、今後二度と起こらないようにすること、これが私の今の役割ではないかというふうに考えております。
  271. 福島みずほ

    福島みずほ君 批判が当たらないというのはどういうことですか。
  272. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) まずやることをしっかりやりたいということでございます。
  273. 福島みずほ

    福島みずほ君 長官は、二〇〇四年に就任される前から国民年金の収納率を六三・八%から八〇%に上げるということを公言し、かつ、平成十七年十一月八日、国民年金の収納率緊急メッセージでは例えば次のようにおっしゃっています。さて、九月末の国民年金の収納率はわずか〇・六%の改善にとどまった、この数字で本当に本年度の目標率を達成できるのか、この時期になって言い訳は無用であるというものを出しています。二月三日の全国社会保険事務局長会議長官あいさつでも、国民年金の収納率緊急メッセージを受け、各事務局、事務所においてしっかりと実行していただきたいとおっしゃって、細かく、今後、単純推計であるが、八か月でプラス二・九%なら、あと四か月あればプラス四・三五%の計算ができる、細かい指示を出しておられます。  また、社会保険事務局・事務所グランプリについて、例えばこれについて、国民年金部門においては目標納付率に対する実績納付率の比率、目標達成率がそれぞれのグループの上位おおむね一〇%までの事務局、事務所を表彰するというものをやっていらっしゃいます。  社会保険庁にも様々な問題があるとは思います。ただ、これはできの悪い成果主義を生んでしまった。成果さえ出せばいいのだということを、現場にやはり無理やり上からばあんと数字目標設定だけをやって、いいところを表彰しますよ、ばんばんやったわけですから、役所が悪いのは当然ですが、そこでやっぱりひずみが生じてしまった。それは、長官自身がやっぱりそこは現場との乖離について理解していなかったと考えますが、いかがですか。
  274. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) まず第一点目の目標の八割でございますけれども、これは十五年度に当時の社会保険庁で決定している案件でございまして、私は十六年度に就任をしてございます。したがいまして、まず、だれが設定したかということからいえば前任のところで決められていると。当然、後任になりましたからそれを受けて仕事をやるのは当然だろうと思います。  そして、その部分につきまして、具体的に全庁での目標はできておりましたけれども、地区単位の目標までできておりませんでした。したがいまして、私が就任した段階で、十六年度にこれを各事務局単位まで目標を落とし、かつ十九年度末までに具体的にどういう取組をするかということで各事務局、事務所単位に行動計画というものを作っていただくようにいたしました。それに基づきまして、十七年度、しっかり頑張って成果を上げてきた事務局、事務所について表彰をする、これは決して悪い話ではないというふうに考えております。
  275. 福島みずほ

    福島みずほ君 長官は、就任前から収納率を八〇%にすべきだと審議会の中などでおっしゃっていたのではないですか。
  276. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) ちょっと質問の趣旨が分からないんで、私、審議会には一切出ておりませんし、初めて十六年の七月に就任したということでございまして、そこはちょっと違うんじゃなかろうかと思いますが。
  277. 福島みずほ

    福島みずほ君 それは前回の議事録をちょっとこちらも精査をした上で、また質問をしたいと思います。  ただ、長官が民間から抜てきをされて、たくさんのメッセージやいろんな指示を細かく出しておられます。実際、何%の改善というのを細かく達成でやっているわけですね。実際、長官の下で今回このような決して一部だけではない不祥事が起きた、このことについての責任というのはおありなんじゃないでしょうか。長官は、この場に及んでも、御自身のそのような方針と、要するに分母が問題だと、あるいは収納率を上げることが課題だというふうにやったことが今回形式上収納率を上げるということに現場が走ってしまったというふうにはお考えにならないんでしょうか。
  278. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) 現段階、先ほど申し上げました五月二十七日の事務局長会議での報告を見る限り、社会保険事務所が独自の判断でやった、事務局全体でいろんなことを講じたという報告は受けております。  したがいまして、私自身が今やらなきゃいかぬことは何かといいますと、なぜこういうことが本当に現場で起こったのか。これはやはり、実際現場でその指示をした、決めた人間がいるわけでございまして、そこをやはりつぶさにしっかり見ることが先なんだろうと思います。  その中で、例えば今委員がお話ありました、目標を決めたことがもし不正につながるということであれば、目標って一体決めちゃいかぬのかどうかと。そういう本質論まで含めて、是非私は議論をしていただいたらよろしいんじゃなかろうかと思います。
  279. 福島みずほ

    福島みずほ君 目標を決めるなと言っているのではありません。その目標の決め方と達成と激励の仕方と、各現場に対して事務所グランプリという形でやったことと、それが果たしてどうかという検証です。  目標は、それはないよりはあった方がいいでしょう。しかし、その目標の達成のやり方とその締め方の問題です。そのことをやった結果、がんがんがんがんやれと毎回毎回やって、グランプリという形をやった結果、このようなことがやっぱり起こったわけですよ、収納率を上げろ上げろ上げろと言って。ですから、私は冒頭、できの悪い成果主義を生んでしまったと。計数上だけ上げればいいというふうに、現場は必死でそうなったわけですよ。  それについては、長官の出した指示と現に起きたことの間の因果関係、あるいは何らかの結果責任、あるいはそこに対する配慮不足ということは明確にあるというふうに理解をいたします。
  280. 山下英利

    委員長山下英利君) 福島君、それは質問ですか。
  281. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい。長官が就任をした後、このような問題が起きた。明確にこのように、言い訳は無用だというふうにやって、現場に対して個々的にこれだけ上げろという指示を出し、そしてグランプリまで設けて細かな設定をした。その結果、分母あるいは収納率を上げるために無理をした面も私は現場にあるというふうに理解をしています。  そういう、少なくとも、私はこれ実は結果責任だとは思いませんけれども、もう少しやはり配慮が不足だったというふうに思いますが、結果責任というものがあるのではないですか。
  282. 村瀬清司

    政府参考人(村瀬清司君) 先ほどから申し上げておりますように、全容解明を私としてはしたいというふうに思っております。  したがいまして、実際こういうことが起こった事務所に対して、もしお時間をいただけるんであれば、私は全部行きましてヒアリングをしたいというふうに思っております。その中で、本当にすべてが出てきた段階において、もし私の方針が間違っているんであれば、それはそのときにしっかり検証委員会というところで定めていただければよろしいんじゃなかろうかと。  まだ、出てきた現象面だけでいいの悪いのという議論になっておりますので、是非それはお時間をいただけたらというふうに思います。
  283. 福島みずほ

    福島みずほ君 全容の解明はもちろん必要です。しかし、全容を解明しなくても、現時点でこれだけ問題があることが出てきているわけじゃないですか。全容を解明しなくても、現実に問題が起きているわけです。  だから、そのことについて、それはでもね、私は現場を処分さえすればいいのだという問題ではないというふうに思います。現場に責任を押し付けて、現場の、まあ担当職名で言えば局長になるのか何になるか分かりませんが、そこさえ処罰をすれば免れるという話ではないのだというふうに思っております。  この点については、やはり長官自身が出した指示が現場で無理を起こしたのではないかという検証についてはとことんなされるべきだというふうに考えております。しかも、少なくとも、二〇〇四年に就任されて、今年は二〇〇六年ですが、この二年間の間に、長官がなられてから起きたことですから、この点については結果責任なりどうされるのかということについては考える必要があるというふうに思っております。  この点については是非集中審議をしてくださるよう、委員会に申し上げたいと思います。
  284. 山下英利

    委員長山下英利君) 理事会で協議をいたします。(発言する者あり)
  285. 福島みずほ

    福島みずほ君 集中審議じゃないですよ。やってないですよ。これは集中審議じゃないですもの。  では次に、脳梗塞の例えばリハビリについて百八十日で打ち切られる、運動器リハビリ、やけど、外傷などは百五十日、呼吸器リハビリは九十日、心疾患リハビリは百五十日で打切りというふうになっております。  そもそも、疾患別リハビリで日にちを区切ることがそもそも問題であると考えますが、いかがでしょうか。
  286. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の診療報酬改定におきまして、ただいま委員御指摘のとおり、リハビリテーションの診療報酬体系につきまして疾患別の体系に改めるということをしたわけでございます。そのときに、疾患の特性に応じた標準的な治療期間を踏まえて算定日数に上限を設けたところでございますが、これは、発症後早期のリハビリあるいは専門的、集中的なリハビリというのを、まず一日に行える単位数についても上限を緩和するなどいたしまして、医療保険におきましてはそういった急性期のリハビリを担う、それに続く症状固定後は、維持期のリハビリテーションは介護保険で役割分担をしてもらおうと。  大きな流れとしては、限られた医療資源を効率的に使用するということで、そういった役割分担をするという考え方の下にこの標準的な治療期間を踏まえて日数上限を設けたということでございます。
  287. 福島みずほ

    福島みずほ君 これはかつて足立委員が質問された部分ですが、病気が治らないまま、そのまま放置することにならないか。あるいは、先ほど介護保険へ移行していくというふうにおっしゃいました。でも個人差が大変ある問題です。脳疾患がなぜ百八十日、運動器リハビリがなぜ約百五十日なのか、呼吸器リハビリが九十日なのか。    〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕  とすると、たくさんの不安の声がこれは寄せられております。つまり、みんなは、これで打ち切られてしまうのではないか。これが通れば、これから医療を受けられる人受けられない人、介護を受けられる人受けられない人と分けられるんじゃないかという問題もあります。また、自分としては医療におけるリハビリをちゃんと受け続けたいと思っても、一応例外的に認められる場合もあるかもしれませんが、原則として時間で、日にちで区切られるわけです。  個人の事情を無視して脳疾患などで百八十日ってすることは極めて問題だと思いますが、いかがですか。
  288. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 算定日数の上限を設けましたのは、そういう標準的な治療期間というものを設けて、そこでやはり、何と申しますか、それまで必ずしも効果の明らかでないリハビリが長期間にわたってなされていると、こういう現状がまず指摘をされたことが出発点でございます。したがって、それを改めるこういう新しい仕組みを導入したわけでありますが、ただ、委員も今お触れになりましたように、この上限の適用に当たりましては、失語症でありますとか高次脳機能障害など、長期にわたって継続的にリハビリテーションを行うことが医学的に有用であると認められる疾患等につきましては除外をしてございます。この中で、神経障害による麻痺及び後遺症につきましても、告示上、新たなリハビリテーション料の算定日数上限の適用除外である旨を明示しておりまして、例に挙げられました脳梗塞につきましても、こういった麻痺や後遺症を呈している患者であって治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断されたものでありますれば、これは算定日数上限の適用除外の対象とするものでございます。    〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕  この点の、この適用除外、かなりこれも専門家の議論を経まして除外疾患を広範に認めておりまして、こういったものに関する、何と申しますか、理解というのが必ずしも現場に伝わってなかったんじゃないかという点があろうかと思いますけれども、既に四月二十八日の事務連絡でただいまの点につきましては明文化して周知徹底を図っているところでございます。
  289. 福島みずほ

    福島みずほ君 リハビリ医療の後退が起きるのではないかと現場では不安の声が上がっていて、おっしゃるとおり事務連絡をなさったわけです。しかし、今日、私の質問は、是非明確に通達などを出して、百八十日などで打ち切られないことをもっとはっきりしていただきたい。これについてはいかがですか。
  290. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) これは診療報酬でございますんで疑義解釈的な面もあります。したがって、これは事務連絡であっても通達であっても効果としては変わらないと思います。より速い形で、事務連絡という形で迅速に対応するということも一つの判断であろうかと、御理解いただけるんじゃないかと思います。
  291. 福島みずほ

    福島みずほ君 私の方には是非明確に通達などの文書の形で明文化できないかというふうに声も寄せられております。事務連絡と通達が同じであれば、是非通達という形で出せないか。あるいはかつて、いろんな通達をきれいなパンフレットにヘルパーさんの労働条件などでしていただいたこともあります。現場に徹底するなど、是非通達の可能性も含めて検討していただきたいというふうに思います。  次に、高齢者医療制度について再度お聞きをいたします。  これについて、一体どういうふうになるのかがちょっと具体的に分からないので質問をいたします。七十五歳以上で新たにつくるということは、診療報酬の体系が変わるということでよろしいのでしょうか。
  292. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 七十五歳以上の方につきまして後期高齢者医療制度に加入していただくという、これが一つ制度論としての新たな制度をつくるということでございます。  この制度におきましては、高齢者の心身の特性にふさわしい診療報酬体系というものも、これも今後の検討でございますけれども、それもつくっていくということでございます。
  293. 福島みずほ

    福島みずほ君 ということは、七十五歳までと七十五歳以上で診療報酬体系が違うということですよね。  そうしますと、懸念をするのは、やっぱり診療報酬体系が変わるということは、例えば注射一本幾らといっていたのが今度は風邪で一括して幾らというふうに、診療報酬体系が変わるということは、医療サービスの中身が変わるということもあるわけです。ですから、七十五歳以上になると一体どうなるのか、大変これ不安もあると思いますが、いかがですか。
  294. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この新しい診療報酬体系の考え方でございますけれども、まず基本的にはその必要かつ適切な医療は保険診療確保するという国民皆保険制度考え方、これを基本に据えた診療報酬体系とすることは、これはずっと同じでございます。  ただ、その上で、それに加えまして、やはりこの心身の特性ということがございますんで、政府・与党の医療制度改革大綱におきましては、「終末期医療在り方についての合意形成を得て、患者の尊厳を大切にした医療提供されるよう、適切に評価する。」、あるいは「地域の主治医による在宅患者に対する日常的な医学管理から看取りまでの常時一貫した対応を評価する。」と、こういうふうな記述がございます。こういった方向性も踏まえながら今後検討していこうということでございますけれども、いずれにしましても、この後期高齢者の新たな診療報酬体系の構築によりまして後期高齢者の医療が切り捨てられると、こういった御懸念が生じないように適切な評価、検討というものを進めていきたいと考えております。
  295. 福島みずほ

    福島みずほ君 独立した医療制度とは新たな診療報酬体系をつくることになると。  そうしますと、七十五歳になるのがちょっと不安になる人も出てくると思うんですね、そこから診療報酬体系が変わるわけですから。例えば、人工腎臓に対する診療報酬点数は年齢に関係なく同じ診療報酬点数でやってほしい、そのような希望もあるわけです。つまり、七十五以降例えばどうなるのか、七十五歳以上になると変わるということに関するこれは不安なんですね。年齢でなぜ区切るのか、この点についてはいかがでしょうか。
  296. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 具体的な点数設定どうするか、それにつきましては、これからのことでございますけれども、繰り返しになりますけれども、必要かつ適切な医療は基本的には保険診療確保するという考え方そのものは維持を、当然ながら堅持をいたしますので、先ほど言われたような御懸念、高齢者が切り捨てられるといった御懸念が生じないように適切に対処していきたいと考えております。
  297. 福島みずほ

    福島みずほ君 ちょっとしつこいんですが、診療報酬体系が変わるということは、やっぱり診療の中身が変わる、点数が変わる。そうすると、七十五歳を境に変わると。  そうすると、いろんな患者さんたちから不安の声が寄せられているんですが、ちょっと済みませんが、人工腎臓に関する診療報酬点数は年齢に関係なく同じ診療報酬点数でやってほしいと。多分それは、七十五歳で変わると、例えばちょっと不利になるんじゃないかとか、幾ら不利益に取り扱わないよと言われても不安だということがあると思いますが、いかがですか。
  298. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 透析の例をお示しになりましたけれども、高齢者の方々の状況を考えてみますと、認知症の方でありますとか血圧が不安定と、こういった理由で透析が困難な患者の割合が増加すると、こういった特質もあるわけでございまして、今この時点で取扱いを一概に断定的に申し上げることはできないわけでございます。
  299. 福島みずほ

    福島みずほ君 診療報酬体系が七十五歳を契機に変わってしまう、その中身については悪いようにはしないと厚生労働省は言っているけれども、悪いようにはしない中身が一体どうなるのかというのをみんなはやっぱり不安だと思うと。  今回の医療制度改悪法案は、私は二言で言えば、一つ目、金のない人間は病院へ来るなってなっちゃうんじゃないか、二つ目は、年は取りたくないなというふうに思ってしまうんじゃないか、そのことをやはり非常に懸念をするわけです。  そこの点について、私の、またこの点については続けて質問しますが、診療報酬体系が変わると、どのように変わるのか、実は変えてほしくないんですが、その点について明確にしていただけるよう、これからも質問をしていきます。このこと、診療報酬体系変わると明言されていることはやっぱり非常に大きいことだというふうに思います。  次に、やはり負担の問題についてお聞きをいたします。  資料を配ってください。    〔資料配付〕
  300. 福島みずほ

    福島みずほ君 食費・居住費を含む月額負担額と、食費・居住費を含む月額負担額の、六十五歳以上七十歳未満、七十歳以上七十五歳未満、七十五歳以上の月額の負担額の増加について改めて質問をいたします。  介護保険のときに、ホテル代、それから飲食費、光熱費が掛かると特養老人ホームから出なくちゃいけない人が出るんじゃないかという質問をさせていただきました。現にそのことが起きています。月に三万円、月負担増になると特養老人ホームから出なくちゃいけない、そういう人たちの声が寄せられています。  今回は病院です。高齢者で病院に入ったら、ホテル代払え、そして居住費、食費を払えって言われるわけですね。米軍への思いやり予算はホテル代、光熱費、日本は負担しています。米軍に対して光熱費、ホテル代は負担しながら、特養老人ホームの人と病院に入っている人に住居費、食費を払えという法体系はいかがなものかというふうに思います。同じ居住費、食費なわけですね。  ちょっと見てください。現行と改正後についていえば、食費、居住費でも三万円負担増となります。これは、現役並み所得者も一般についてもこれ三万円負担増なんですね。つまり、七十歳以上、病院に入ったら、改正後は月に三万円負担増になると。  百歩譲って、特養老人ホームは多くはついの住みかかもしれません。ですから、全財産かなり売っ払って特養老人ホームに入るということはあるかもしれません。でも、病院はついの住みかではなく、入院すると。その間賃料は払っているわけですね。そうすると高齢者の人は、自家所有の不動産があればいいですけれど、賃料を払いながら入院すると、全部売っ払って入院する人って余りいませんから。そうするとやはり、ある人間ということを考えると、これがとてつもない負担増になるのではないかというふうに思います。この点についてはいかがですか。
  301. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 食費、居住費につきまして、介護保険との均衡を図る観点から、今回御負担をお願いする七十歳以上の方、今年の十月からお願いしようとしているわけでございますけれども、これは療養病床に限った話でございまして、そういう意味では介護保険と正に均衡の取れた形で御負担をいただこうと、このように考えてございます。  また、病状に応じて負担関係、いただかない方ということもあるわけでございまして、今委員がおっしゃいました、病院一般でこういった食費、居住費をいただくという話ではないということは御理解いただきたいと思います。療養病床に限っての話でございます。
  302. 福島みずほ

    福島みずほ君 療養病床に限ってということは分かっております。でも、それでも三万円負担増、それから食費についていえば、食べ物というのは、病院の食べ物って、ある意味治療という側面もあるわけですね。これがなぜ食費としてやっぱり全然別枠でその実費的なものを負担しなければいけないのか。あるいは、この負担増について厚生労働省はどう考えていらっしゃるんでしょうか。
  303. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この水準に関しまして、食費、居住費の自己負担の水準につきましては、正にこれ介護保険と均衡の取れたものでございます。療養病床議論様々ございますけれども、介護療養医療療養ございますけれども、片っ方の介護療養で食費、居住費をいただきながら、医療療養ではいただかないと、こういうわけにはなかなか、同じ一つの病院の中に二つあるところもございます。そういうことを考えますと、こういった均衡を取るというのは必要であろうかと思っております。
  304. 福島みずほ

    福島みずほ君 私たちは、介護保険法案のときに反対をしたのは、あそこで食費、ホテル代を認めれば、絶対に療養病床入院したときに、絶対にホテル代、光熱費代、食費を払えと言われるようになるという理由で反対をしました。今日厚生労働省は、いや、均衡を取るためだと、こう言っているわけですが、もうすべてやっぱり取ることになると。  私は、それで介護保険ともやっぱりちょっとだけ違うのは、賃料を払ったりしているわけですよね。二重に払わなくちゃいけない。自宅の賃料を払い、かつ居住費も払い、食費も払わなくちゃいけないというと、やっぱりすごい負担になると思いますが、いかがですか。
  305. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 負担と申し上げましても、委員が提出になりましたこの資料のとおりの負担になるわけでありますけれども、やはりこれは介護保険との均衡を考えますと、御負担をいただくのはこれ妥当なものであると考えております。
  306. 福島みずほ

    福島みずほ君 七十歳以上の人に、大体月三万円ぐらい負担増になりますよと言われると、やっぱり大変だと思われる方がほとんどではないでしょうか。個々人にどういう影響が起きるのかということをやっぱり一番強く思います。  年金支給水準は平成十六年の改正年金法で切り下げられるため、高齢者の基本的な負担能力は低下をしていきます。その一方、介護保険料の上昇、後期高齢者医療制度実施による保険料負担増、さらに税制改正による増税、及び介護及び医療の保険料負担の増大と二重三重の負担増が見込まれます。  そこで、平成二十年度に七十五歳後期高齢者となった厚生年金のいわゆるモデル世帯において、年金受給額、後期高齢者保険料、介護保険料などはどうなるのでしょうか。平成二十五年度ではどうでしょうか。また、基礎年金しかない夫婦世帯ではどうなるでしょうか。
  307. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 委員御質問のうち、年金額につきまして御答弁させていただきたいと思います。  平成十六年の財政再計算における四十年加入等の前提を置いた基準ケースの下で、今御指摘平成二十年、それから、私ども昨日平成二十七年という御指示を賜ったように思いますので、少しその数字でお許しいただきたいのでございますが、平成二十七年で七十五歳以上の夫婦の年金額がどうなるかという点について数字をお答え申し上げます。  厚生年金の標準的な年金額は、夫婦二人の基礎年金を含めまして、平成二十年度では月額二十三万六千円、平成二十七年度、七十五歳以上の御夫婦では月額二十三万九千円。基礎年金のみの場合で申しますと、御夫婦二人満額で、平成二十年度の場合には月額十三万三千円、平成二十七年度では月額十三万五千円と見込んでおります。
  308. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) お尋ね平成二十年度の六十五歳以上の高齢者一人当たりの平均の介護保険料でございますが、もちろんこれは市町村によって違いますが、平均を取りますと、第三期、三年間基本的には一緒でございますので、現在と同じ四千九十円でございます。それから、平成二十五年度につきましては、さきの制度改正に先立って行った財政試算におきましては、介護予防対策が相当程度進んだケースとして約四千九百円程度と見込んでいたところでございます。
  309. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 後期高齢者医療制度におきます高齢者一人当たりの所要保険料額についてでございますけれども、全国平均で申し上げますと、平成二十年度、二〇〇八年度では年間六・一万円、月額五千円、それから平成二十七年、二〇一五年度では年間八・五万円、月額七千円と、このようになってございます。  平成二十年度、二〇〇八年度におきまして、基礎年金受給者、基礎年金額七十九万円の単身者ということを前提といたしますと年間一・一万円、月額にして九百円、それから厚生年金の平均的な年金額の受給者、これ、二百八万円の方の単身者につきましては年間七・四万円、月額六千二百円程度と見込まれているところでございます。これは平成二十年度でございまして、平成二十七年度の数値につきましては、これ、それぞれのまた広域連合、これから発足するわけでございます。どのように保険料設定するのか、地域によってかなり違いがあろうかと思いますので、これにつきましてはモデル的な例は作成してございません。
  310. 福島みずほ

    福島みずほ君 今の答弁を聞いていて、どうやって夫婦で暮らしていくのかというふうに思います。  例えば、先ほど二十三万六千円、夫婦で例えばもらうと。ところが、入院をしてしまうと、一般で九・四万円、月十万円ぐらい掛かると。それから、保険料が、年金も介護保険料も全部掛かっていくわけですね。そして医療費も負担増となると。そうすると、改正後、月一般で十万円なわけですから、残りのお金が本当に少ない。もし賃貸アパートに暮らしていたらとても食べていけない、残された妻か夫は食べていけないという、こういう現状が発生をいたします。  厚生労働省としては、例えばいろんな人にどういう影響が具体的に起きるか、負担増と福祉、負担増の中で給付は切り下げられ、負担増になって、しかも今回月三万円負担増、しかもこれに例えば一割から二割の負担増とか、この部分について、どうお考えでしょうか。
  311. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 私ども患者負担の見直しをお願いしているわけでございますけれども、先ほどの説明にもございましたとおり、例えば基礎年金のみの受給者でほかに所得がない方、低所得者につきましては自己負担限度額を据え置くなどの配慮を行うことにしてございますし、また、今回、新たな仕組みでございますけれども、医療保険の自己負担額と介護保険の自己負担額を合算した額が著しく高額になる場合には、この負担の軽減を図る仕組みであります高額医療・介護合算療養制度を新たに導入することとしてございます。  こういうふうに、年金受給額あるいは介護保険の自己負担額に応じまして、医療保険の自己負担額について配慮を行う仕組みを導入しているところでございます。
  312. 福島みずほ

    福島みずほ君 障害者自立支援法案のときも実際生きていけないじゃないかというようなことを質問しましたが、今回も、具体的に、低額所得者として減免が得られたりとか何かの考慮がされるというところまでは行かないけれども、物すごく生活が厳しいという人が大多数だと思います。さっきの試算だと、具体的にどうやって食べて生きていくのかというふうに思っています。今回のこの設定が一人一人の国民にどういう影響を与えるのか、実際食べていけないじゃないかということを強く申し上げたいというふうに思います。  次に、医療費適正化の基準について一言お聞きをいたします。  医療費適正化の基準となるものは何ですか。
  313. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の医療費適正化の取組は、二つの柱と申しますか、中長期対策と短期対策とあるわけでございますけれども、正に糖尿病等の生活習慣病対策を講じることによって患者の数を、患者予備軍の数を減らすということが一点。それから、もう一つは平均在院日数、医療構造の効率化を図ることによって平均在院日数を短くする、その結果として医療費の適正化を図っていこうということでございます。
  314. 福島みずほ

    福島みずほ君 私の一番分からないというか、おかしいと思う点は、医療の適正化ということなら分かるわけです。衆議院の議事録を読んでも、医師の偏在、それから医療が受けられない、医療現場が大変になっている、あるいは今の医療でいいのか、問題があるんじゃないかというような医療の適正化なら分かります。しかし、なぜ医療費の適正化なのか。  結局、節約をする、抑制する、でもその結果、早期発見が遅れることもありますし、今回の改革と言われているものが医療費の削減だけになっている。なぜ医療の適正化ではなく医療費の適正化なんですか。
  315. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の医療費適正化におきましても、根本にありますのは、まず医療の適正化をしよう、その結果として医療費の適正化ということがもたらされるであろうと、こういう組立てでございます。  これは、今回なぜそういうことをやるのかということにつきましては、これは大臣から繰り返しお話ありますとおり、今後、団塊の世代は高齢化すると。といいますと、一人当たり医療費が高い高齢者が増えていくと、医療費の増大、これに伴う財政支出の増大が見込まれているわけでございます。したがいまして、国民皆保険制度を堅持していく観点から、保険料や税といった国民の負担を抑制して、給付と負担の均衡を図って、人口構造の変化に対応できる持続可能なシステムをつくり上げるということがこの目指したところでございます。
  316. 福島みずほ

    福島みずほ君 医療費適正化というのは医療費削減策ということでよろしいんですか。
  317. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 削減ということではございませんで、伸びの抑制ということが基本になっているわけでありますけれども、その中身、中長期対策の中身は先ほど述べたとおりでございまして、患者予備軍の発生、糖尿病等の生活習慣病患者を減らすということ自体は国民にとっていいことでありますし、医療費にもいい影響がある。それから、高いコストが掛かってQOLの低い急性期病院から、できるだけ早くコストが低くてQOLの高い在宅ないし在宅環境に移っていただく、これ自体は患者さんにとってもいいことでありますし、結果としてこれは医療費の低減に、効率化されれば、それはそれで財政的にもいいことであるという組立てで私ども物事を考えているところでございます。
  318. 福島みずほ

    福島みずほ君 患者医療費負担割合の引上げは医療費適正化、抑制に結び付かないと考えますが、いかがですか。
  319. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ただいま申し上げましたような中長期対策というのは効果が出るのに時間が掛かるわけでございます。その一方で、ただいまの財政状況、大変厳しいわけでありまして、したがって、ここは申し訳ないという側面もあるわけでありますけれども、高齢者の方々を中心に応分の御負担をお願いするということを通じて、短期的対策ということも、診療報酬改定のマイナス改定もございました、こういうことを短期的対策として打ち、これに中長期対策につなげていくと、こういう時間軸を持って構成しているわけでございます。
  320. 福島みずほ

    福島みずほ君 局長は、医療費適正化とは医療費抑制だと言いました。患者負担増がなぜ医療費抑制になるんですか。
  321. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 私は医療費の伸びの抑制と申し上げたつもりでございます。  患者負担増がどういうふうに結び付くかということでございますけれども、これも長年の経験でございまして、患者負担によって、波及増ということで医療給付費も減るということは、これは経験的に見られているわけでございます。
  322. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、それはひどいですよ。値段を上げたら人は物を買わないという。でも、病気は望むと望まないとに関係なく、命に関することだから人は病気になったら病院に行かざるを得ないわけです。お金がなくて病院に、忙しかったりお金がなくて病院に行くのを我慢しているとむしろ負担増になるわけですよ、長い目で見たら。手後れになって病院に行くということが起きるわけです。  今、局長はすごいことをおっしゃったんですよ。要するに、値上げをすると医療費の伸びの抑制になると。でも、それでいいんですか。  私はやっぱり、医療費は伸びは抑制されたが手後れになる人も出てきたみたいになったら全然よくないじゃないですか。
  323. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) これまでの経験で、様々、高齢者の方々に一割負担をお願いしてきたという歴史もございます。今回は、現役並み所得を有する方について三割負担をお願いしようというわけでございますので、一般の方々については一割ということは維持をしているわけでございます。そういう意味で、正に応分の負担をお願いしようということでございます。
  324. 福島みずほ

    福島みずほ君 しかし、一割から二割に引き上げられる人がいる、それから、さっき申し上げたとおり、食費、居住費を含む月額負担額の負担増などがあるわけです。そうしますと、いろんな点での負担増というのは、確かに現役並みに所得がある人の窓口負担は二割から三割ですが、それだって月収二十八万円以上で二割から三割に上がることがやはり大変になるということもあると思います。  どうも私は、いや、確かに、どうやって医療費の伸びを抑制するかということが全く考慮しなくていいとは申しません。しかし、人は病気になるときには病院に行かざるを得ないわけです。そして、例えば健康格差社会なんという言葉がありますが、貧乏な人ほど病気にかかる割合が高い、貧しい人ほど病気になりやすいというデータがあります。それはまあそのとおりだろうと。なかなか病院に行けない、あるいは健康に考慮できない、あるいは重労働であるとかいろんな面があるのかもしれません。健康格差社会。  そうしますと、高齢者の負担増が結局は高齢者の中での格差を生むことになるのではないか、いかがですか。
  325. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回、高齢者を中心に御負担をお願いしているわけでございますけれども、患者負担の見直し後におきましても、これも若干繰り返しの面ございますけれども、低所得者の方の自己負担限度額を据え置くということをしてございますし、また、高齢者につきましては入院と外来を合わせた自己負担限度額のほかに外来に係る自己負担限度額を設けているということもございます。また、一般の高齢者につきましては現役世代よりも低額の自己負担限度額を設定する、こういった配慮を行っているところでございまして、必要な医療が妨げられるものではないと、このように考えております。
  326. 福島みずほ

    福島みずほ君 先ほど、それぞれ年金や介護保険、年金の保険料、それから様々な負担についてお聞きをいたしました。それからいっても、とても払えないあるいは生活していけない金額になっていると思います。やはり、それと高齢者の負担増は受診抑制を招き、早期発見、早期治療を阻害するのではないかということを申し上げたいと思います。  ところで、今回、広域連合というものをつくるというのが今回の法案の中に盛り込まれております。国、都道府県、市町村、この役割が一体どうなるのかというふうに思います。都道府県医療費適正化計画を作ることになりますが、どんな中身を作るんでしょうか。
  327. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 医療費適正化計画、これは国が全国計画を作って、都道府県において都道府県計画を作っていただく。五年間を一期といたしまして平成二十年度初年間で、一期目は二十四年までということでございます。  その中身でありますけれども、政策目標といたしまして、先ほど申しました糖尿病等の生活習慣病の有病者、予備軍、この方々を二〇一五年までに二五%減をするということ。それから、同じく平均在院日数につきましては、同じく二〇一五年度までに、全国平均は三十六日でございます、最短の長野県は二十七日でございますので、その差を半分に縮小するということでございます。  こういった計画をそれぞれの地域の実情に照らし合わせながらそれぞれ目標として掲げていただきまして、かつ都道府県医療計画、それから介護保険事業計画、健康増進計画の作成主体でもございますので、これらの三計画との関連を保ちながら医療費適正化の中身というものを定めていくと、こういうことになろうかと思います。
  328. 福島みずほ

    福島みずほ君 実績評価を踏まえた措置により、都道府県ごと診療報酬が変わる可能性があるのでしょうか。
  329. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) これも本日、この委員会でも議論なされたところでございますけれども、五年経過後、その第一期の計画が終了した翌年度におきまして実績評価をいたしまして、その内容に応じまして厚生労働大臣の発議で都道府県知事と協議をいたしまして、都道府県ごとに異なる診療報酬を設けることができると、こういった規定が法案に盛り込まれているわけでございます。
  330. 福島みずほ

    福島みずほ君 厚生省試案では市町村が保険者とされていたのに対し、法案では広域連合が運営主体となっています。実際、広域連合というのを今回つくって果たしてうまく機能できるのか。国と都道府県と市町村の関係、一体どうなるのか。そこにおける厚生労働省役割、どこまでコントロールするのか、口出しをするのか、どこまでやるのか。都道府県の権能はどこまであるのか。各都道府県ごと診療報酬が変わるとすれば、一体その合理性やいろんなことがどう担保されるのか。それから、都道府県は保険者と、こうなるわけですが、それで果たしてきちっとやれるのかどうかということなどについて大変疑問があります。  これについては、また今後質問していきたいと考えます。
  331. 山下英利

    委員長山下英利君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十四分散会