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2006-05-30 第164回国会 参議院 厚生労働委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月三十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月二十四日     辞任         補欠選任      下田 敦子君     藤原 正司君  五月二十五日     辞任         補欠選任      藤原 正司君     下田 敦子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下 英利君     理 事                 岸  宏一君                 中村 博彦君                 津田弥太郎君                 円 より子君                 渡辺 孝男君     委 員                 阿部 正俊君                 岡田  広君                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 武見 敬三君                 中原  爽君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 水落 敏栄君                 足立 信也君                 朝日 俊弘君                 家西  悟君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 山本  保君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   川崎 二郎君    副大臣        厚生労働大臣  赤松 正雄君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    政府参考人        警察庁交通局長  矢代 隆義君        財務省主計局次        長        松元  崇君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        素川 富司君        厚生労働大臣官        房総括審議官   金子 順一君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省医薬        食品局長     福井 和夫君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       北井久美子君        厚生労働省老健        局長       磯部 文雄君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        社会保険庁運営        部長       青柳 親房君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○良質な医療を提供する体制確立を図るための  医療法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  5. 山下英利

    委員長山下英利君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省保険局長水田邦雄君外十二名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  7. 山下英利

    委員長山下英利君) 健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 中原爽

    中原爽君 おはようございます。自民党の中原でございます。  資料配付をお願いいたします。    〔資料配付
  9. 中原爽

    中原爽君 少し配付資料が多い数になりますけれども、一応右の上の方に資料番号が振ってございます。  ただいま議題になっております医療法等の一部改正につきまして、関連医師法歯科医師法薬剤師法、それから看護師関連法律改正点につきまして、大体同じ内容になりますので、歯科医師法を例に取りまして質疑をさせていただきたいと思います。  資料の一でありますけれども、黄色のマーカーが入っておりますのが今回改正しよう、あるいは追加しようという改正条文であります。  まず、現行の法のことでありますけれども、第四条「次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。」と、与えないことがある。一から四まで号がありますけれども、関連のあるものは三号の罰金以上の刑に処せられた者、それから前号に該当する者を除くほか、医事に関し犯罪又は不正の行為のあった者、この三号と四号について免許を与えないことがあると、これが現行であります。  これに関連いたしまして、現行の七条の二項、歯科医師四条各号のいずれかに該当し、又は歯科医師としての品位を損するような行為のあったときは、厚生労働大臣はその免許を取り消し、又は期間を定めて歯科医業停止を命ずることができると、こうなっております。これが、今度新しく改正になる予定の内容が次のマーカーの入った二項のところであります。「歯科医師が第四条各号のいずれかに該当し、又は歯科医師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、」、ここまでは同じでございます。「次に掲げる処分をする」ということで、処分内容が三つに分けられたというのが新しい改正案であります。一、戒告、二、三年以内の歯科医業停止、三が免許取消しというふうにここが変わりました。変わっておりませんのは、品位を損する行為というところが変わりません。すなわち、戒告と三年とその部分が増えて、免許取消しはもちろん現行と変わりがないという表現になります。  それで、その下の方に七条の三項の新しい改正条文があります。前二項の規定による取消処分を受けた者は、括弧書きがありまして、「(第四条第三号若しくは第四号に該当し、又は歯科医師としての品位を損するような行為のあつた者として前項の規定による取消処分を受けた者にあつては、その処分の日から起算して五年を経過しない者を除く。)」であって、免許取消し理由となった事項に該当しなくなったときは云々と、こう書いてありまして、要するに免許取消しになった者は五年を経過しないと再免許申請ができないと、一言で言ってしまえば、こういうふうな括弧書きになっているということであります。これが新しい形の改正案であります。  それから、その下の方に、第七条の二になります。これは全く新しく新規に設定する条文でありまして、厚生大臣は前二項第一号若しくは第二号に掲げる処分を受けた歯科医師又は同条第三項の規定による再免許を受けようとする者に対し、歯科医師としての倫理保持又は歯科医師としての具有すべき知識技能に関する研修を受けるということですね。要するに、再教育と再研修を受けさせるということを厚生労働大臣が命ずると、こういう新しい条文が作られるということであります。  したがって、倫理保持という部分は、言うなれば、歯科医師としての品位を損する行為を行った者に対して倫理保持にかかわる教育をする、再教育をすると、こういうふうに受け取っていいかと思いますし、それから医業歯科医業停止三年という意味は、三年以上医業停止歯科医業停止を行いますと、今度復帰をする、いずれ復帰をするわけですから、復帰をしたときに現状の医学の進歩に付いていけないと。要するに、浦島太郎になってしまうというような状況であると、かえって復帰をさせるということが障害が起こるということでありますので、今までは期間を定めておりませんでしたけれども、今回は三年という期間を設定して、医業停止歯科医業停止あるいは業務停止を行う場合には三年を限度として、三年以内ということで業務停止を設定しようと。その代わり、再教育と再研修を行うということであります。  したがって、ここに書いてありますように、七条の新しい二のところに書いてありますように、倫理保持というのは品位を損する行為に対して倫理的な教育を、再教育をするのかという意味になりますし、それから歯科医師としての具有すべき知識及び技能に関する研修と、こうなっております。  歯科医師法の九条は歯科医師国家試験目的が書いてありまして、歯科医師として具有すべき知識技能について試験を行うと、こうなっております。それと同じ意味で再教育をするについても、再教育期間、後れを取らないように知識技能を再教育研修をしていくと、こういうことになるかというふうに思います。  それと、一番最後の、ページの一番下の方でありますけれども、第七条の二の五項があります。前条十一項から十八項まで、十三項を除いて、規定は一項の規定による命令をしようとする場合について準用すると。この場合において必要な技術的読替えを政令で定めると、こうなっております。  歯科医師法政令というのは一条から八条まであります。ほとんど免許にかかわることが書いてあります。第一条が免許申請、第二条が歯科医籍登録事項、第三条が登録事項の変更、第四条登録の抹消、第五条が免許証の書換え、それから第六条が免許証の再交付、それから第七条が免許証の返納、第八条が省令へ委任すると、こういうことになっております。  したがって、この関係のところは、再教育をする、再研修をさせるわけですから、それについて再教育を受けたことをまた歯科医籍登録をすると、こういう段取りになるわけであります。その関係のことが政令で読み替えるということでありますけれども、どうも技術的という言葉が入っておりまして、法令の条文技術的というような表現が入ってくるというのは私余り聞いたことがありません。じゃ、技術的という範囲は何なんだと、こういうことになりますので、この辺も教えていただきたい。  以上でありますけれども、繰り返して申し上げますと、品位を損する行為ということがあって、それを受けて戒告ということが出てくるのかもしれません。その関係と、品位というのは何なんだということ。それから、歯科医業停止業務停止を三年に区切ったということは、私が申し上げたような理由でもって区切ったということでよろしいかどうか、これが一つ。それから、免許停止を五年経過しないと再免許申請をさせないということについて、その五年の意味を教えていただきたい。  それから、倫理保持、再教育について倫理保持という意味品位を損する行為ということと関係があるのか、あるいは歯科医師として具有すべき知識技能というのが再教育の中でどういうふうに行うのか。歯科医師看護師と再教育中身は違うと思うんです。それと、当該の者の年齢によっても違う。どういうような期間を取るのか、再教育期間を取るのか、それと再教育中身はどう考えるのか。それから、再教育を行う組織はどうなんだということ、このことについてお答えいただきたい。
  10. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 歯科医師法改正につきまして、特に処分、再教育に関する各点についての御質問でございます。  まず、歯科医師法第七条第二項に規定する品位を損する行為というものは一体どんなものなのかという問いでございますけれども、行政処分の対象となる歯科医師としての品位を損するような行為というのは、例えば不当に高額の報酬を要求したり、あるいは患者さんの貧富によって極端に診療内容が変わるような行為といったようなものが挙げられると思います。また、例えば、わいせつ行為等歯科医業とは関係のない行為で有罪となった場合、これも品位を損する行為ではありますが、この場合は歯科医師職業倫理観点からも問題となるわけですけれども、こういうような者については罰金以上の刑を受けた者として処分されますので、そちらの条項で行政処分が行われるということになろうかと思っております。  歯科医業停止期間について今般の改正上限を設けて、その期間を三年としたということについての問いでございますが、現在、歯科医業停止期間上限というのは運用上、五年を上限として運用されているわけでございます。この歯科医業停止につきましては、先生今御指摘のとおり、長期間歯科医業停止歯科医業の再開をするに当たりまして技術的な支障となる可能性が大きく、医療の質と安全を確保するという観点から問題があるということ、あるいは歯科医師の権利を制限する処分内容はできるだけ明確に法律規定しておくことが望ましいといったようなことなどによりまして、今回の法改正におきまして歯科医業停止期間上限を設けることといたしたところでございます。  また、歯科医師免許取消し処分をした後、五年を経過しない者について再免許を与えないということを今回の改正で明確にしたところでございますけれども、その理由についてのお問いがございました。  歯科医師免許取消処分を受けた者に対する再免許につきましては、処分後の事情によりまして免許を再び与えることが本人の状況等に照らして適当と認められるときに限って交付するということとしてございまして、現在でも医道審議会審議を踏まえまして慎重にその可否を決定しているところでございます。  しかしながら、現行法の下では免許取消処分から再免許付与が可能となるまでの期間を明記しておらないということから、制度上は免許取消処分から極めて短い期間しか経過していないにもかかわらず、再免許申請することが形式上は可能となってございます。実態として、そういうことは近年はほとんどございませんが。このため、再免許に係る行政手続を明確化する観点から、今回の改正では再免許付与に係る最低経過期間法律上明記するということといたしたところでございます。  また、今回の改正で導入をいたします再教育研修関係で、倫理保持、いわゆる倫理研修、それから具有すべき知識及び技能技術研修におけるその内容、考え方についての問いでございます。  お尋ねのとおり、今回の歯科医師法改正案におきましては、行政処分を受けた歯科医師に対しまして再教育の受講を命じることができる旨の規定を設けておりまして、あるいは免許取消しを受けた者が再免許を付される際にもこれを受けることを命ずることができる旨の規定を設けてございまして、この内容につきましては職業倫理に関する研修倫理研修医療技術に関する研修技術研修等を受講させることといたしてございます。  個々の処分を受けた方が受けるべき研修の具体的な内容は、その被処分者処分を受けた方の状況に応じて、助言指導者助言などの下に作成をされます研修計画書内容が適切なものであると厚生労働省が認めることによって決定されるということになりますが、その内容につきましては、現時点におきましては、倫理研修として社会奉仕活動教育的な講座を受講していただくこと、あるいは技術的研修といたしましては専門的な知識技術を有する歯科医師による被処分者への教授等を想定しているところでございます。  なお、先生指摘の中で、倫理研修につきまして品位を損する者についてこれを行うのかという内容のお問いがあったかと思いますが、必ずしもこれには限らず、品位を損する行為によりまして処分を受けた方については当然倫理研修を受けていただくことになると思いますが、罰金以上の刑の中にも倫理的な面は入る場合も多いと思いますので、倫理研修につきましても、それぞれの人の処分状況によりましてこれらの両研修を受けていただくことが多いかと思っております。  再教育研修をどういったところで行うのかという問いでございますが、再教育内容は、今申し上げましたとおり、助言指導者助言等の下に作成されました研修計画書が適切な内容であると厚生労働省が認めることによって決定されるものでございますが、被処分者の置かれた状況によって変わり得るものというふうに考えておりますので、必ずしも全員が同じ内容研修を受けるわけではございませんが、現時点では倫理研修につきましては助言指導者やあるいは医療関係団体社会奉仕団体といったようなところ、それから技術研修につきましては、処分の原因となった医療事故の分野において実績を持つ医療機関あるいは歯科医師などが実施すると。そういうものを一定程度受けることによって再教育を修了することになるというような内容にいたしたいと考えております。
  11. 中原爽

    中原爽君 ありがとうございました。  限られた時間でありますので、次の資料の二の一をごらんいただきたいと思います。  真ん中より下のところに四月一日から施行になりました十八年度の診療報酬改正につきまして、新しく①歯科疾患総合指導料というのが新設されまして、点数としては百三十点でありますけれども、特に初診時に治療内容初診時ですからこれからどういう治療をするのかという、その治療内容につきまして患者さんに説明をすると。その説明が終わりまして、患者さんがその説明内容を理解したということで、患者さんに署名、サインをしていただくということになりました。これはイとロがありますけれども、詳しくは説明しませんけれども、要するに初診のときの説明に対して患者さんが了解をしたということの患者の自署、サインをしてもらうということになっております。それと、②のところは、初診から三か月か何か経過をいたしました後に、その疾患について更に継続診療をしていくということについて説明をし直して、その説明継続をするということについて患者さんの了解を求めてサインをもらうと、こういうことになっているわけであります。  都道府県の歯科医師会顧問弁護士の方々から、これは診療契約に当たるんじゃないかと。要するに、初診時にこれからの治療計画説明して、じゃ患者さん了解したと。そうすると、サインをしてもらう。そのサイン診療契約書になるんじゃないかと、こういうことを弁護士さんが言ってこられたわけであります。  上半分、この資料の上半分に神戸地裁東京地裁判例があります。原告と被告の間に準委任契約が成立したか否かの点について、通常は患者さんが病院を訪れて、この病気病的状態を医学的な解明を求めて、これに対する治療法があるなら治してくれと。じゃ、医者の方はそれじゃお引き受けして治しましょうということの診療契約があると。これは病気ですから、治そうと思っても治らない場合があるわけであります。したがって、これは純粋の委任契約じゃないんだと、準委任契約の更に事務処理目的としたものであって、それが医療契約であるということになっているわけである、そういうことになっているということでありまして、東京地裁の方は片仮名の古いものでありますけれども、該診療方法が結果において何ら当該疾患の治癒に効果なくして終わりたるとしてもこの点につき医師として甚だしく注意を欠如したるによるにあらざるに限り医師として疾患治療依頼に対し債務の本旨に従いてこれを履行なしたるものと言わざるべからずと、こういうことでありまして、善良な管理者注意義務をもって一生懸命病気を治そうと努力をしたと、しかし、患者さん、結果的に治らなかったということがあっても、これは甚だしくその医師としてのこの依頼に対してきちっとした善管注意業務をなしたということであれば、患者さんが結果的に病気が治らなくてもこれは致し方ないと、こういう判例になるわけであります。こういうことで弁護士さんも大分心配されております。  次の資料の二の二でありますけれども、これが今回厚労省がお出しになった、左の上の方に別紙様式2というのでありまして、初診のときに、初診、これからですね、一番上に主訴があって、初診日があります。それから、治療計画指導内容があって、ここに治療計画、どういう計画歯科疾患を治すかと。それから、治療期間どのぐらい掛かりますかと、それから何回ぐらい通っていただきますかということも全部説明すると。で、この一番下の方に、私は上記の説明を受けて一連の治療計画に基づくこの総合指導に同意をするということで患者さんはサインをするということになるわけです。  これは、今申し上げたように、弁護士さんから見れば、これ治療計画書じゃなくて診療契約じゃないのかということになります。もしここに患者さんがこの当初、初診のときにこの計画を教えてもらったけれども、結果的に別の形になってしまったと、約束が違うじゃないかと、こういうことになって訴訟問題が起こるという可能性があると、こういうことであります。  したがって、もう一枚めくっていただきますと、資料の二の三がございます。これは古いかかりつけの歯科医師治療計画説明書でありまして、もちろん当時は患者さんにサインをしてもらうということはやりませんでした。これは私が歯科医師会長だったときの出した資料でございます。一番下のところをごらんいただきますと、注の1と注の2があります。「病名等は、現時点で考えられるものであり、今後治療を進めていくにしたがって、変わり得るものである。」と。それから、注の2は、治療回数治療期間については現時点で予想されるものであって、それは三回で治りますと言っても五回掛かるかもしれないと、こういうことになりますね。そういう注意書きを入れました。  したがって、前のページ資料の二の二の、今回の厚労省別紙様式の2にもこの注の1と注の2を入れたいと思うんですよ、私は。入れた方がいいと思います、患者さんにとっても、医療側にとってもですね。入れるということについて、厚労省、どういうお考えを持っておられるのか、これが一つ。  それから、この歯科疾患総合指導料説明文書というのが、説明を受けたということについてのこの了解のためのサインであって、これは診療契約じゃないんだということをおっしゃるのであれば、それは弁護士さんから問い合わせがあればきちっと厚労省の方でお答えいただくのか、この二点、お願いいたします。
  12. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 先ほどの再教育問い一つ答弁をし忘れてございましたので、御答弁申し上げます。  再教育研修規定する歯科医師法第七条の二第五項における技術的なものというものの趣旨でございますが、この再教育命令は行政手続法上でいいますと不利益処分に該当いたしますので、命令の発出に先立ちまして弁明の機会を付与する必要があるわけでございまして、この歯科医師法第七条の二第五項は、この弁明手続を各都道府県知事に行っていただくことができる旨及びその処分の手続を定めると、そういう規定でございまして、ここで言う技術的なというのは法技術的な観点からの規定の整備ということでございます。
  13. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ただいま委員の方から歯科疾患総合指導料、それから歯科疾患継続管理診断料についてのまず様式についての記載の内容について御質問があったわけでございます。  私ども、この患者に交付する文書の様式を定めておるわけでありますけれども、これは患者に対して情報提供を行うべき基本的な内容、これをお示ししたものでございまして、実際に患者に文書を交付するに当たりましては、厚生労働省において示している様式だけでなく、これに準ずるものを使用していただいても差し支えない旨、これも明記をしているところでございます。例えば、治療の過程で当初の治療計画から変更になることが想定されるような場合には、その旨の注記をするということは差し支えないものと考えてございます。  それからもう一つ、この文書の法律的な性格ということでございます。  私ども、この指導料、診断料につきまして治療計画等につきまして患者に文書で交付する、それから当該文書に患者の自署による署名を求めるということとしてございますけれども、これは患者に対します十分な説明と、これに基づく患者の同意というものを確認するための言わば手段として求めているものでございます。  一方で、医療機関患者の間の契約診療契約でございますけれども、これは診療という形の医療サービスの提供そのものにありまして、文書同意そのものには診療契約としての性格はないと、このように考えてございます。  もう少し申し上げますと、診療契約につきましては、先ほど判例も紹介されましたけれども、一般には民法上の準委任契約又は委任契約に近い契約という学説が有力でございまして、この民法上の委任契約、それから準委任契約につきましては、これは契約の当事者の意思の合致をもって成立すると、言葉としては諾成契約と言っておりますけれども、こういうもので特に契約文書が必要であるとは一般に解されてないわけでありまして、私どもはそのように解釈しておるところでございます。
  14. 中原爽

    中原爽君 ありがとうございました。  御説明によりまして、別紙様式2号の説明文書については、これに準じたものであって、先ほど申し上げた資料の二の三の注の1と注の2が書かれてあっても一向差し支えないと、こういうふうに理解してよろしいかと思います。  それから、診療契約につきましては、もちろん契約書を今まで取り交わしたというようなことで診療が進んでいたわけじゃありませんけれども、司法の、法律判断によれば、先ほど申し上げた神戸地裁とか東京地裁判例が出てくるということであります。したがって、今御説明のこの別紙2号様式説明文書は、要するに初診時の説明文書を理解したということのサインをしていただくという意味であって、契約書ではないと、診療契約書ではないと、こういうふうに理解してよろしいわけですね。はい、分かりました。  それでは、次の資料の三でございますけれども、この厚労委員会先生方、実は少子高齢社会の調査会のメンバーと大分皆さんダブっておられる委員が多いわけでございまして、調査会の清水嘉与子会長もおられるわけでございます。そんなわけで、この専業主婦がパートタイマーで行っておる状況と年金の制度との関係をお尋ねしたいと思います。  時間限られておりますのでくどくど説明申し上げませんけれども、資料の三の横軸は、パートタイマー、専業主婦ということにしてパートタイマーでありますけれども、年収であります。年収が百三十万を超えますと、国民年金の三号被保険者であった専業主婦が今度は国民年金の一号保険者で該当することになってしまいまして、要するに保険料を納入しなければいけない、こういう状況になります。年収が百三十万を超えた場合であります。  それからさらに、百万円を超えた場合には、専業主婦御本人が住民税を払うと。これは市町村と都市の県と二種類あるわけでありますが、合わせて住民税と言っておりますが、これを払うということが起きてまいります。  それからさらに、百万円を超えて百三万円を超えるということになりますと、今度は所得税が掛かってくると、こういうことになっております。  それから、百三万円を超えて百四十一万円までの間は、今度は配偶者、どちらかといえば配偶者控除は夫の方が受けられるという制度があるということになっておりますが、大体こんなことで、これ以上詳しくは申し上げませんが。  縦軸の方は、今度は労働時間が取ってありまして、法定の労働時間は大体一週間四十時間を超えないと、こういうことになっておるわけでございますので、その一か月の所定勤務の日数が一般的な正社員の労働時間の四分の三を超えてしまうということになりますと、今度は国民年金の三号被保険者の専業主婦は厚生年金に加入せざるを得ないと、こういう状況になるわけであります。これが二号被保険者と言っている、いわゆるサラリーマンの形になるということであります。これは年収が百三十万を超えていようがいまいが、労働時間が四分の三を超えた場合にはこっちの二号被保険者の方に移行してしまうと、こういう制度になっておるわけです。  今回お聞きしたいのは、平成十六年の年金法の改正のときに、この四分の三を更に引き下げて二分の一に下げたらどうかということが審議をされまして、五年間猶予期間を置いてもう一度見直そうということになっています。それからもう一つは、このたび別の形の、内閣府の方で、内閣府というよりも別の諮問機関がございまして、二十六日でございましたか、答申案、報告書を出しまして、その報告書の中にも、手っ取り早く申し上げると、この四分の三を二分の一までに引き下げたらどうかという報告書の案が出るというふうに伺っております。こんなことで、これを引き下げていくということの問題点があるわけであります。  私どもは、先般、この年金の関係につきましてマクロ経済スライドというものを導入しまして、そのときのスライドの条件としては、平均余命の伸び率とそれからこれからの現役加入者の減少率、これを掛け合わせて、それから更に〇・九を差っ引くということで、高齢者の年金の支給率、給付率を現役世代の五〇%までは確保したいと、こういうことでやってきたわけでありますけれども、問題なのは、やっぱり現役加入者の減少ということなんですね。歯止めが掛かんない。今回の社会保険庁のいろいろな問題もこういったところに原因があると思うんですが、私はその質問をするわけではございませんけれども。  そういう意味で、このパートタイマーとかこういった人たちの労働時間を変える、法的に変えていくということ、それから年収の問題、こういったことをきちっと整理をしていかないと、何でマクロ経済スライドをやったんだということなんですよ。平均余命の延びというのは、これ高齢社会ですから、これはどんどん延びていくでしょう。しかし、現役加入者の減少というのは、少子社会ですからね、この少子の歯止めが掛からない限り、このマクロ経済スライドというのはどんどん高齢者にとって不利な数字しか出てこないわけです。だから、年金制度を基本的に変えようと、基本的に何とかしようというところは、本当の基本は少子社会を改善するということに尽きるんですよ。私はそう思っております。  ですから、私どもはこの少子高齢社会に関する調査会、今一生懸命やっているわけなんですけれども、やはりこの少子化に歯止めを掛けるということが年金問題を安定化させるという一番の原因だと思うんですよ。そのことを基本に考えないで、単にパートタイマーの労働時間、四分の三を二分の一に下げたらどうかと。そうすれば、それは厚生年金の加入者は増えますよ。だけど、基本的には年金制度の改善にはならないんじゃないかということを私は申し上げたい。この点について御意見を伺いたい。
  15. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) ただいま委員指摘のとおり、去る平成十六年の年金改正におきましては、それに先立ちまして、社会保障審議会の年金部会等の議論を経た上で厚生労働省案を出し、そして与党でも御議論をいただいて、法案の形にして成立を見さしていただいたわけでございますが、そのプロセスをちょっと振り返ってみますと、年金部会における御答申というのは、雇用保険の適用基準を考慮してこの短時間労働者の厚生年金適用基準を考え直してはどうかという御議論がございました。それに先立つ研究会等におきましては様々なファクター入れられておりましたが、年金部会におきましては、併せて年収基準というものも見直してはどうかという意見があった旨記されておるところでございます。平成十五年十一月に発表した厚生労働省案では、今御指摘いただいたように、週所定労働時間が一般の半分程度の二十時間以上の者までを基本として適用を拡大する案ということでございましたが、具体的には、法案としては、施行後五年を目途として、総合的に検討が加えられ、その結果に基づき必要な措置が講ぜられるべきものとすると、こういうこととなったわけでございます。  また、先ほどお触れになりました去る二十六日に取りまとめが行われました官房長官の下に置かれた社会保障の在り方を考える有識者懇談会の報告におきましても、パート等の労働者の社会保険適用あるいは年金適用の在り方について検討を更に進めるよう指摘がなされているところでございます。  そもそも、この問題につきましては、御指摘ありましたように、様々な側面でこの問題は重要な課題であるということを種々指摘されておるところでございます。一つは、被用者としての年金保障を充実させるというストレートな観点もございますが、家族の働き方や雇用形態の選択に中立的な年金制度を目指していくべきである、こういう考え方、あるいはパート労働者など短時間労働者を多く使う事業者とそうでない事業者の間の事業主負担の不均衡という問題を公平化するという点も大事であるということなどございますが、今日的にいえば、正規労働者と非正規労働者の処遇の格差、相互転換の困難性等々を放置するということについてどう考えるか、そういう皆保険、皆年金の前提となる社会連帯の弱体化ということにつながらないか、こういうような御指摘も各方面からいただいておるわけでございます。  そういう中で、今委員おっしゃられたように、そもそも厚生年金という被用者年金におきまして、就業形態の多様化、それが例えば正社員比率の低下ということに伴いまして全労働者数に占める厚生年金被保険者数の割合が人口減少の割合以上に減っていくというおそれはないのかと、こういうような側面からも議論がなされてきて、被用者年金を支える支え手の確保という観点も大事であろうと言われておるわけでございます。  しかし、御指摘のそのマクロ経済スライド自身は、国民年金の被保険者数も含めて全体の被保険者数というものを指標といたしましてそのスライド調整率というものを設定していくということにしておりますので、独り被用者年金制度の被保険者数だけをメルクマールにしているわけではないという点だけは補足させていただきたいと思いますが、御指摘のとおり、全体としての人口構成あるいは雇用市場の変化というもの、そういうものが一番年金制度にとって重要なファクターであるということ、ほかにも重要なファクターがございますが、重要なファクターの一つであるということは確かでございます。
  16. 中原爽

    中原爽君 時間がなくなりましたので、今お話の出ました契約社員であるとかアルバイターあるいはフリーターの質問は割愛をさしていただきまして、次の機会にお願いをしようと思います。  御指摘のございましたこの少子化という問題については、やはりこの少子化をどう改善するかということについて、専業主婦という、夫婦単位ということであれば夫婦単位に掛かる所得税課税の方法ですね、これを現在、二分の二乗方式とか、そういうことで提唱されてきておりますけれども、これは財務省にかかわる税制上の問題でありますので、厚労省にお聞きする問題ではないかもしれませんので、今回は申し上げないということにしようかと思います。またの機会がございましたらお願いをしたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  17. 藤井基之

    ○藤井基之君 藤井でございます。  少しお時間をちょうだいして、行政庁に御質問をさせていただきたいと存じます。  もう御案内のとおりでございますが、今回提案されております新しい高齢者の医療制度、これにおきましても、今までの老人保健制度同様に現役世代、若年者の保険、いわゆる支援金という形、拠出金を求める形で財政を健全化しようと、そういった方策になっているわけですね。  現在の、現行の老人保健制度におきましても、現役の方々からの保険料、国保や健保からの保険料拠出は六兆円余りが拠出されているわけです。この金額の大きさ、例えばこの健保組合で見ますと、平均保険料、若い方々、現役の方が払っているうちの拠出金、それから老人の方々に対しての出される拠出金、これ十六年度では三六・九%、老人保健拠出と言われる退職者の給付拠出合わせた拠出金というのは、これが四割を超えている組合というのが全体の約三分の一、五百四十組合、こんな数字になっているわけです。  後期高齢者は、現在は全体の人口のうちの七・一%にすぎません。しかし、二〇二五年にはこの数字は一六・七%まで上がるというふうに推計されているわけですね。ですから、この新しい制度におきましても、現役の方々の負担というのは必然的に大きくなっていくんじゃないかということが危惧されるわけです。ですから、こういった新制度の財政運営に当たっては、費用負担をしておるこういった組合、国保とか健保の組合の意見というものはやはり十分に聞く必要があろうと思います。やはりこれに対する何かシステムというのが私は要るんじゃないかというふうに考えます。  健保組合、例えば決算見ますと、御案内のように、前回の健保法改正によりまして幾らかの財政の健全化ができたというふうに思えますが、例えば個々に見ますと、全組合千五百八十四組合の約三割に当たる五百組合以上が依然としてこれ赤字ですよね。組合間の保険料格差もかなり大きくなってきている。いわゆる格差社会になっているとは言いませんけれども、これ一つ見ても格差は広がっているというふうに見えます。  例えば、保険料率、今、政管健保の保険料率というのは八二パーミルですよね。ところが、現在この八二パーミルを超えている健保組合、これが三百八十八組合あるそうです。また、九〇パーミルを超えている、そういった保険料になっている組合が百十二組合あるというんですよ。私は、こんな状況もある。皆さんがいろいろと努力していただいていろんな対策を取ってくれたけれども、依然としてこの状況は余り改善されたと言えない。組合の数もどんどん減ってきているし、また実際に解散した組合も幾つもあるわけですよ。  私は、こういった状況に対してどのような認識をされて、今後どう対応しようとされているのか、行政庁の御意見を伺いたいと存じます。
  18. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 健保組合の財政状況についてでございますけれども、平成十六年の決算の見込みというものを見ますと、全体といたしましては、収支で三千六十一億円の黒字ということでございまして、五年ぶりに赤字決算を脱しました平成十五年度決算に続きまして、二年連続で黒字決算となっているわけであります。  ただ、個々に見ますと、ただいま委員指摘のとおり、千五百八十四組合中赤字組合が五百三組合、三二%、これが経常収支赤字になっているという状況がございます。  またさらに、この経常収支の状況、これは保険料率の水準にも左右されるものでございます。これも委員指摘のとおりでございまして、健保組合の保険料率の状況というものを個々に見ますと、政管健保の保険料率である八二パーミルを超えている保険組合が二五%、三百八十八組合を数えるところでございまして、個々に見ますと、大変厳しい保険運営を行わざるを得ない組合があることは事実でございます。  今後、新たな高齢者医療制度を創設することによりまして、保険者には後期高齢者支援金等の負担をしていただくことになるわけでございますけれども、その際には、個別の保険者ごとに見まして、後期高齢者支援金及び前期高齢者の財政調整に要する負担、これらが著しく重い保険者につきましては、その著しく重い部分につきまして、全保険者で再案分する措置、負担調整措置と言っておりますけれども、こういった措置を講ずることなど、後期高齢者支援金の負担が重い保険者に対する配慮ということを行うこととしてございます。  また、これに加えまして、大変厳しい財政状況にあります健保組合につきましては、従来から給付費等臨時補助金を交付するという支援措置を講じてきておるところではありますけれども、新たな高齢者医療制度の創設後におきましても、個々の健保組合の状況に応じまして必要な支援措置を講じていきたいと、このように考えてございます。
  19. 藤井基之

    ○藤井基之君 是非、前向きの検討をしていただいて、健保組合の存在というのは、その健保組合としての意義だけじゃないわけですね。こういった社会保障全体に対して大きな意味合いを持っているわけですから、そういった施策についても踏まえて対応をお願いしたいと存じます。  今回の医療法改正で、医療安全といいましょうか、そこをどうするかということが大きなテーマになっていたわけでございますね。提案されております医療安全、医療法の改正案によりますと、第三章に新たに章を起こしてくれて、医療の安全の確保という章を起こしてくれている。私は、この方向性というのは是非積極的にやっていただきたいと思うわけですが。  この中の条文、ちょっと読みますと、都道府県においてこの医療安全を促進するために医療安全支援センターを設置するようにというふうに法案はなっているわけですね。このセンター業務というのは民間へも委託を認めているわけですね。これ、委託を求めるとしたら、どんな機関にどのような機能を委託しようとされているのか、聞きたいと思っております。  そして、加えまして、この条文読みますと、第六条の十一という条文があるわけでございますが、ここで医療安全センターに対する業務内容を示しているんですね。一条に一項、二項、三項、四項と書いてあるわけですね。一号、二号、三号と言うんでしょうか、一号、二号、三号、ここを見ますと、この対象が一号も二号も三号も、すべてこれは病院と診療所と助産所と、こうなっているわけですよ。これだったら、医療法という法律ができた当初の法文ですよ。私はこれ、四号で辛くもその他のところのと書いてあるけれども、これじゃ条文を新しく改正して審議をしているんだから、本来だったら新しい法案に沿った形で条文というのは私は書かれるべきだと思っております。  加えて申し上げますが、医療安全の問題、何回も指摘いただいたとおり、医療におけるヒヤリ・ハット事例、冷やっとしたと、ひょっとしたら医療事故につながるかもしれないという事例というのは、実は多くのもの、約半分はこれ医薬品に関係して起こっているんですよ。としたら、この医療安全センターの業務の中で、どうして薬局とかあるいは訪問看護センターというものが病院、診療所、助産所とともに明示されないのか、これについてもお伺いしたいと存じます。
  20. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 御指摘のように、今回の法案では、平成十五年度より設置を進めてまいりました医療安全支援センターにつきまして、法文上きちんと制度化を行うことといたしまして、都道府県それから保健所設置市についてセンターを設置するように努めなければならないとしたところでございます。  また、その機能といたしまして、患者やその家族からの苦情や相談に対応するとともに、必要に応じて医療機関管理者等に助言をすること、あるいは国民や医療機関に対して医療安全の確保に関する必要な情報の提供を行うこと、医療機関管理者等に対する医療安全に関する研修を実施することなどについて明記をしたところでございます。  この事業につきましては、都道府県が自ら行うほか委託することができることとしてございますが、委託先といたしましては、公益法人など中立性、公平性があり、本事業を適切に実施可能な団体を想定しておりまして、都道府県等と適切な役割分担の下、先ほど申しましたようなセンターの業務を担っていただけるところにおいて担っていただきたいと考えてございます。  また、御指摘のございました医療安全センターの実施する医療安全の確保のため必要な支援を行うところでございますけれども、これにつきましては、医療安全センターは医療の安全確保のために必要な支援を医療を提供するところについて行うわけでございますが、法文上明記されているところのほか、薬局や訪問看護ステーションなど、病院、診療所、助産所以外の施設でありましても、関係機関と連携を図りながら、病院等と同様に必要に応じて支援を行うなど、患者の視点に立った運営が行われるよう、これら指導に努めてまいりたいと思っております。
  21. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。  確かに、この法律は、元々できたときは病院と診療所と助産所に対する施設基準のような形で整備をするための法律だったわけですね。だから、そうなっていることは私も理解はしないわけではありませんよ。でも、今回の法改正の中でも、例えば医療提供施設に薬局をちゃんと明示されているわけですよ。前回の改正のときに本当に看護センターもちゃんと入ったわけですよ。だったら、なぜ引く条文で特定のところだけの業務で書くのかというふうに、私はやはり、できることなら機会あるときに、この辺については今局長がおっしゃられた方向で法案は修正を考えて検討していただきたいと存じます。これはお願いです。よろしくお願いします。  ちょっと視点を変えまして、今日、警察庁来ていただいて、ありがとうございます。何で警察庁がここへ来るかということで、理由があってお尋ねしたい、これは厚生労働省は答えられないということで警察庁さんにお願いして来ていただきました。ありがとうございます。  何が聞きたいかといいますと、実はこういったことなんですね。今回、医療法の改正一つの方向性として、今まで施設における医療というものから少し、例えば在宅での医療というものも、これを広くしていこうじゃないかと。例えば、患者さんによってはもう家へ戻りたいという患者も結構いらっしゃるんですね。今、その環境整備がいろいろな面から遅れているからその状況が少なくなってきている。かつて戦後のころ、日本人は一体どこで死ぬんだと言われたら、大体自宅で死んだ、死ぬことだけを医療だと言いませんからあれですけれども、実は八割以上の方は自宅で亡くなられていた。現在は日本人がどこで死ぬんだと言われたら、施設で死ぬんですよ、八割以上は。でも、人によっては、いや家に戻りたいという方いらっしゃるんですよ。ただ、今はそのための環境整備ができてないから戻れない実態があるわけですね。  だから、今回、法改正でそういった在宅診療をこれから推進しますという方向というのは、私は方向として正しい方向だと思っております。だから、それを是非積極的に進めていただきたいと思っているんですが、その中の環境整備の一環として警察庁にお尋ねしたいんです。  今回の、今言ったように在宅診療というのを推進しようとされている、そういった方向というのはこれからもどんどんどんどん進められると私は思っております。そして、今回、そういった法律改正の中で、例えばその一環として、医療法改正に絡んで薬剤師法という改正がありまして、薬剤師法改正、これ何を決めているかというと、薬剤師が調剤する場所を今まで原則として薬局でなきゃ駄目だと書いてあったのを、今後、こういった在宅診療の促進に併せる形で患者の居宅でも調剤できますよというふうに法律を修正する案を出されている。  私はこの方向は正しいと思っておりますが、これ実際にやるとなったときに問題が出ます。何かというと、お医者さんが今往診する際、これについては、例えば駐車禁止の場所に患者さんのお宅があって緊急に往診したときに、今は各都道府県の警察署長の方々と相談されて、そういった場合は駐車禁止を例外措置をとりましょうとかという話合いをされて、一部の県が現にそういうことが施行されているんですね。今回、同じようにその問題が起こって、例えば薬局に緊急にこの調剤してほしいという依頼が来たときに、それを居宅に行ってやるときに、じゃ、その薬剤師の乗った車というのはどうなるか、今、全然これは駄目よと、こうなっているわけなんですよね。  今後、この法律がどのように運用されるかというのは今後にまちますけれども、私は、こういう法改正内容を警察の方々も理解してもらって、こういった状況になれば、医師と同じように、例えば薬剤師が居宅で調剤するために車で行ったときは、そこが駐車禁止でも例えばそれの除外ができるような、そういった仕組みを検討してもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  22. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) お答え申し上げます。  駐車禁止規制のある場所でございましても、社会生活上どうしても路上駐車が必要な場合がありまして、お話しのようなことで駐車許可あるいは駐車規制の除外等の措置をとっておるわけでございますが、あくまでこれは実態に即して判断しておりまして、新しい制度では薬剤師が患者さんの居宅等において調剤業務を行うということでございますが、その具体的な運用形態は今後、改正法が成立後に明らかになるということでございます。  私ども、お話があれば、その実際の運用形態とともに、地域の実情等を踏まえまして、駐車許可等の必要性について検討することになります。今後、具体的な運用形態が明らかになればお話を伺うようにしたいと考えております。
  23. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。  そういった、今局長おっしゃられたとおり、この法がどのように運用されるかによってどういう状況になるかということはこれからにまつわけでございますけれども、私は、全体の流れとしてこういった方向に動くだろうと思っているから今お願いをしているわけでして、是非そういった要請があった場合は前向きな検討を要請したいと思います。  私の時間が、今日、持ち時間非常に短いので、早口、しかも限られた質問だけをさしていただいているんで、申し訳ないんですが、一つまた別な話にさせていただきたいと思います。  保険診療に用いられているお薬の話なんです。このお薬というのは、御案内のとおり、当然患者さんに対しては非常に重要な意味を持っているわけですね。生命関連商品ということから、他の商品とは違った特殊な要因があるために、取引慣行もいろいろとほかの商品とは違った取引慣行というのは実は実施されている状況がございます。その一つで、実はそのお薬、病院に持ってきてくださいと言われるから、卸さんが分かりましたと持っていく、ところが、持っていったお薬の値段が決まってない、払わない。それも、取引の交渉もなかなか乗ってくれない。商品は患者さん要るんだからというから、それは当然頑張りますよ、必要と言われた商品は届けているんですよ。だけど、その価格の状況が決まらない状況のまま、繰り返し継続的にそういった商品提供がなされている実態があります。  これ、専門用語とは言いませんが、この取引の方でよく言われるのは、価格の未妥結であるとか仮納入なんという言葉が使われているわけですね。ほかの社会ではこんな用語というのは分からないと思うんですけど、医薬品の社会ではこういう言葉が現に存在しております。  これを供給する側の日本医薬品卸業連合会というところが、未妥結とか仮納入というのは一体どのくらいあるのかという調べた数字があるんですね。平成十四年において調べた、これ実は二百床以上の大きな病院を対象にして調べたものなんですが、それによりますと、実は医療機関の約半分、これが未妥結、仮納入の状況を繰り返されている。売上金額でいうと五割以上、それが六か月を超えて価格が決まらない、半年間決まらないんですよ。その状況が改善されるかと思ったら、十六年度になっても実は変わっていない。十六年度を見ますと、医療機関の五八%、売上金額だと七三%、六か月間価格が決まらない状況のままになっている。中には一年を超えて価格決まらないという病院も五・二%、これは全体に対して、卸にとっては売上げ金額の一割以上、一三・八%だそうですよ。これが未妥結だというんですよ。  こういった中で、当然、医療という大切な機能、その中に薬が占める意味が分かっているからこそずっと永続的に供給を繰り返しているわけですよ。でも、いつまでもこんな状況でいいのかということについては意見があろうと思うんですね。  昨年の十二月に、中央社会保険医療協議会、厚生大臣の諮問機関でございますが、ここが平成十八年度の薬価制度改革の骨子というおまとめをいただいた。そこに見ると、ちゃんと書いてある。長期にわたる取引価格の未妥結及び仮納入は、薬価調査の信頼性を確保する観点からも不適正な取引であることから、その是正の確保を図ることとすると、こう訴えているんですよ。  具体的に厚生労働省は、その後一体どのような対応を取られているのか、それから実情をちゃんと把握されているのかどうか、お伺いしたいと思います。
  24. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 御指摘のとおり、日本医薬品卸業連合会の調査では、二百床以上の病院の取引における六か月を超える未妥結割合が増えておるという状況に、十四年、十六年、比べますと増えているという状況でございます。一方、二十以上の店舗を有する調剤薬局チェーンにおいては、十四年度は六一・五%だったのに対し、十六年度は全取引の四八・五%となっており、その割合は低下しておるところでございます。  今先生お述べいただきましたように、昨年十二月の中央社会保険医療協議会においても、この取引については不適切な取引であることから、その是正を図ることとするというふうにされたところでございまして、本年三月に厚生労働省から関係団体等に対しまして、未妥結、仮納入というものが長期にわたらないよう指導したところでございます。  さらに、この実効性を確保するために、本年度から薬価調査の一環といたしまして、価格妥結状況の調査を定期的に行い、医薬品に係る取引価格の未妥結、仮納入の状況を把握するとともに、必要に応じまして、取引当事者に対し改善指導を行うこととするなど、適正な流通確保に取り組むことといたしたところでございます。今後とも、医薬品の流通改善はもちろんのこと、医薬品流通業界の健全な発展を支援してまいりたいと考えております。
  25. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。  局長、確かに前向きに対応していただいていること、それは分かっておるわけですが、過去、この問題は何度となく実は指摘を受けて、行政庁は何度となく改善しますと約束されたんですよ。その実態がほとんど変わってないということは肝に銘じていただきたいと思います。  終わります。
  26. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。  厚生労働委員会は、次々とやんなきゃいけない課題があって大変なんですが、今審議されている問題も大変重要な課題でありますから、この問題、集中的にこれから質問をさせていただきたいと思っています。  まず最初に、大臣に問題意識を幾つかお尋ねしたいと思うんですが、今回の健康保険法の改正は、基本的には平成十四年のときの改正の宿題に対する答えだというふうに私は理解をしております。つまり、そのころから現行の老人保健法、特に老人医療にかかわる老人保健制度はこれでいいのかという議論がずっとあって、それに対して一定の答えを出してこられたというふうに理解をしているわけですが、改めて現行の老人保健法に基づく老人保健制度にはどんな問題点があったのか、どこが問題だったのか、そして、今回仕組み的には新しい高齢者医療制度を設計されたわけですが、そういう新しい制度を設計しなければいけなかった理由は何なのか、改めて制度改正理由及びその趣旨についてお尋ねしたいと思います。
  27. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) お尋ねのありました、まず現行の老人保健制度の問題点、老人医療費について、掛かった費用がそのまま保険者の負担として請求される仕組みであり、現役世代と高齢世代の費用負担関係が不明確である、医療費の支払を行う市町村と実際の費用の負担を行う保険者が分かれているため財政運営の責任主体が不明確であると、こうした問題が指摘されてまいりました。  急速な高齢化に伴い医療費の増大が見込まれる中で、医療費の負担について国民の納得と理解が得られるようにするためには、高齢世代と現役世代の負担を明確化し、分かりやすい制度とする必要があると考えております。今回の改革におきましては、七十五歳以上の後期高齢者については独立した制度を創設し、給付費については、高齢者の保険料を一割、現役世代からの支援金を約四割、公費を五割、負担割合に賄うこととし、高齢者の保険料と支え手である現役世代の負担の明確化を図るということが大きな主眼でございます。  また、都道府県単位ですべての市町村が加入する広域連合を運営主体とすることにより財政運営の責任の明確化を図るとしたものでございます。
  28. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 これから今のお答えを一つ一つ検証していきたいと思いますが、その前にちょっとさかのぼって、平成十五年三月二十八日に医療制度抜本改革に関する基本方針というものを閣議決定されております。そのときには、高齢者医療制度についての基本的な方向としてこういうふうに明記されています。「個人の自立を基本とした社会連帯による相互扶助の仕組みである社会保険方式を維持する。」というふうに書いてございます。  なぜ改めてこんなことをお尋ねするのかといいますと、衆議院における議論を聞いていると、いや、これは保険ではないんだというようなことをおっしゃっていたりする。どうなのかなという気がしていまして、この平成十五年のときの基本方針と方針を変えたのか、変えてないのか。変えたとすれば、どういう理由で変えたのか、この点についてお伺いします。
  29. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 衆議院でそういった質問があったことは事実でございますけれども、社会保険方式を取っておる基本原則を変えておりません。後期高齢者医療制度は、公的年金制度の充実や成熟化に伴う近年の高齢者の経済的、社会的自立を踏まえ、すべての七十五歳以上の者を被保険者として、公費や現役世代からの支援をいただきながら個人ごとに保険料を徴収し医療給付を行う仕組みであり、社会保険方式を取っていると考えております。  このように後期高齢者医療制度は、平成十五年三月の基本方針で示されております個人の自立を基本とした社会連帯による相互扶助の仕組みである社会保険方式を維持すると、この基本原則を守ったものだと考えております。
  30. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 基本方針のとおり社会保険方式を維持するという考え方であるというお答えでした。  しつこいですが、もう一つお尋ねします。  平成十七年十月十九日に厚生労働省が改革試案、試みの案を出されました。そこの中では、ちょっと要約をしますが、後期高齢者医療制度について、地域保険だということを明確にした上で、その運営主体は市町村、しかし安定した保険運営を確保するために、国、都道府県、市町村が重層的に役割を果たすと、こう書いてある。私は、この書きぶりはそれなりに明確だと思う。  ところが、今回出されている改正案は、去年の十二月に出された大綱、医療制度改革大綱に沿っていると思いますが、後期高齢者医療制度について、「運営については、保険料徴収は市町村が行い、財政運営は都道府県単位で全市町村が加入する広域連合が行う。」と、こうなっております。先ほど大臣もそう説明されました。  変わってますよね、この試みの案のときから。何で変わったんですか。私は前の形の方が明快だと思うんですが、どうですか。
  31. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 御指摘のとおり、与党内、政府内で様々な議論があった中でこのような提案の仕方をさせていただきました。これは、基本的には財政の安定化を図る観点ということでございます。  高齢化の進展に伴い老人医療費は増大することが見込まれており、後期高齢者医療制度の運営に当たっては、財政の安定化を図る観点から広域化を図る必要がある。他方、保険料徴収や各種申請の受付等の窓口業務については、住民に身近な行政主体として、住民情報を保有し、日ごろから地域住民に接している市町村が担うことが適当であると、このような結論にさせていただきました。  このような事情や関係者との協議を踏まえ、保険料徴収等の事務は市町村が行うこととした上で、都道府県単位で全市町村が加入する広域連合を設立し、当該広域連合を運営主体とすることにより財政運営の広域化及び安定化を図ることとしたものでございます。
  32. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 大臣の方からは言いにくいでしょうが、私は、明確な制度設計が政治的妥協によってあいまいなものにされたというふうに言わざるを得ません。その点を今後も引き続き追及していきたいと思いますが。  さて、私は今回の質疑を通して、特に、現行の老人保健法から新しい高齢者の医療の確保に関する法律というふうに変わる部分を中心に、これは大改正だし大問題だと思っていますので。  まず最初にお尋ねするのは、今回の新しい高齢者の医療の確保に関する法律を新法として制定すればよかったと思うのに、なぜか老人保健法の一部改正ですか、全部改正ですか、全部改正だったら新しい法律をきちっと制定した方がいいと思うんですが、何でこんな方法をというか立法手続を取ったのか全然理解できない。後で触れますけれども、老人保健法の趣旨がきちっと生かされているんならまだしも、ほとんど根本的に変質させておいて老人保健法の一部改正はないだろうと思うんですが、どうですか。
  33. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 現行の老人保健法の内容でございますけれども、これは大別して、一つは高齢者に対する医療の給付及び費用負担でございます。もう一つは四十歳以上の方に対する健診等の保健事業、これを定めているわけでございます。  今回の法律改正におきましては、現行の老人保健法の目的でございます適切な医療の確保を引き続き目的規定をした上で、一点目、その前者の点につきましては、現行制度を発展的に継承して後期高齢者医療制度を創設すると、それから前期高齢者の財政調整の制度を設けるということにしているわけでございます。それから、後者の保健事業につきましては、四十歳以上の被保険者に対します生活習慣病予防健診等を保険者に義務付けると、こういうことを内容にしているわけでございまして、改正法の主たる内容につきましては現行の老人保健法の趣旨と連続性を有していると、制度的にはその後継の制度であるということから、新法の制度ではなくて現行の老人保健法を改正するという立法形式を取ることにしたものでございます。  なお、法律内容が大きく変わる場合に、法律の一部改正によりまして法律の題名自体も改めるということは法制的に可能でございまして、現にそういった前例もあるわけでございます。いずれにいたしましても、これは制度的にその老人保健法の後継制度であるということを示す意味で一部改正という立法形式を取ることにしたものでございます。
  34. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 念のため確認しておきますが、そうすると、この新しい高齢者の医療の確保に関する法律のそのスタートは老人保健法が施行されたときのスタートになるんですか。
  35. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) スタートということがどういうあれか分かりませんけれども、法律的にはもちろんこれは施行期日ということで、そこはしっかり確定をされているわけでございます。
  36. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 第二ラウンドにちょっと宿題として残しておきます。私の趣旨はというか、老人保健法の理解の仕方が今の説明では全然納得できないんですね。宿題として残しておきます。  それでは、皆さんのお手元に三枚の資料厚生労働省の方にお願いをして出していただきましたので、これに基づいて幾つか質問をさせていただきます。便宜上、一枚、二枚、三枚ありますから、資料一、二、三ということで使わせていただきます。  最初の資料一は、今度の医療制度改革で財政上健康保険組合等にどういう影響が出るのかはっきり示してほしいと、こういうことであります。  私がお願いをする前に、既に厚生労働省の方から医療制度改革を実施した場合の総合的な財政影響についてというペーパーをいただきました。そのペーパーを見ていましたら、財政影響は全部マイナス、負担が減ると。公費負担も減るし、各健康保険組合の負担も減ると。こんなうまい話があるはずはないと思いました。そこで、よくよく聞いてみたら、これは健康保険法等の制度改正とこの四月から実施した診療報酬改定と両方の影響を合算して出したからこうなったと、こういう説明でした。これ、ひどい説明の仕方というか、資料の出し方だと思います。  そこで、それではよく分からないので、まず現行制度があって、それから四月の診療報酬改定があって、それから今度の制度改正があったら、それぞれその段階でどういう影響が出るかということを示してほしいということで出していただいたのがこの資料一です。  ごらんいただいたら分かりますが、平成二十年度の時点で、真ん中の段、健康保険法等改正だけの影響を見ると、実はやはり健保組合の負担が増えているんです。先ほど健保組合の話が出ましたけど、ほかは負担は減っているんだけれども、健保組合は明らかに増えている。ただ、この四月の診療報酬と足し算をすれば差引き六百億円のマイナスというか負担減になると、こういうことなんですよね。  だから、最初からこういう数字を出すべきだったと思う。何か診療報酬改定の分で制度改正の影響をうまくごまかすような出し方はやめていただきたかったと思うんですが、この点について改めてこの表を説明してください。
  37. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 数字につきましては、これは私どもが提出したものでございますので、その繰り返しは避けたいと思います。  当初、私ども健保法、制度改正診療報酬改定、一緒に総合的な影響を出したのがいかがなものかという御指摘でございますけれども、診療報酬改定そのものは今回医療制度改革と一体のものとして行ったものでございますので、こういった総合的な影響をお示しすることにしたわけでありますし、それから昨年十月二十三日に私どもの改革試案を提案した段階では、診療報酬改定の内容、当然それは決まっておりません。したがいまして制度改正の影響だけでありますが、そのときの数字を見ていただければ、やはり健保組合単独で負担増になっていて、そのほかのところが減っているということは明らかでありますんで、そこは私どもこの点を、何と申しますか意図的に合算したものを出したというわけではございませんで、傾向としては既に十月二十三日の段階でもお示ししたとおりでございます。その結果起こったことは診療報酬改定でございますんで、その影響で、結局、健保組合についても負担減になるという数字になったわけでございまして、それがまあ言ってみますと裏書されたというのがこの姿になろうかと考えてございます。
  38. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 説明に納得はいきませんが、次に行きます。  提出していただいた資料の二枚目、資料二です。これについて御説明をいただきたいと思います。  まず、皆さんも十分御理解いただいていると思いますが、今回の制度改正で現役世代から三種類の連帯のための支援金を出すということになっています。  一つは、七十五歳以上の後期高齢者医療制度への支援金、それから六十五歳から七十四歳までの前期高齢者医療費の財政調整へのための納付金、そして、引き続き当分の間続く退職者医療制度への拠出金、この三者がどういうふうに今後推移していくのか、非常に心配な点があります。  そこで、まず最初に、この支援金、納付金、拠出金、それぞれ異なる言葉、概念を使っていますが、法律条文を解釈する上でこの支援金、納付金、拠出金と、三つの言葉はどのように違うのか、どのように一緒なのか、説明してください。
  39. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) それでは、順次御説明させていただきたいと思います。  まず、後期高齢者支援金でございますけれども、これは一人当たり医療費が高い、今後増大が見込まれるような後期高齢者の医療費につきまして、共同連帯の精神に基づいて公平に負担するという基本理念に基づいて、被用者保険及び国保の各保険者が法律に基づいて負担いたします負担金でございます。国民皆保険の下で、社会連帯の理念に基づいて現役世代が高齢者世代を支援するという性格を明確にする観点から支援金という名称を用いてございます。  次に、前期高齢者納付金でございますけれども、前期高齢者、退職者が中心となるわけでございますけれども、現実の問題として国民健康保険に遍在するということがございます。一人当たり医療費も高いということで、この両者の間の費用負担の公平性を確保して、医療保険制度の安定性を確保する観点から保険者間での財政調整を行うものでございますが、制度上におきましては一方的に支援を受ける保険者と支援をする保険者が決まっているわけではございません。  したがいまして、一方的に支援する者とされる者が決まっているわけではございませんので、各保険者の前期高齢者の加入率に応じまして負担金を納付する保険者と負担金を元に交付を受ける保険者とに分かれますので、納付を行う側の負担金につきまして納付金という名称を付することにしたものでございます。  三番目に、退職者医療拠出金についてでございますけれども、国保に加入いたします被用者のOBの医療給付につきまして、被用者保険の退職者を被用者保険の現役グループが支えるという仕組みでございます。  退職者の保険料を除くほかの医療給付につきまして被用者保険の各保険者が負担するものでございますが、退職者の医療給付につきまして被用者保険の各保険者が共同して拠出し合うという点に着目して拠出金としているものでございます。
  40. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それは今の制度を説明しただけで、私の質問に答えていないんですよね。要するに、その三つの言葉はどう違っていて、どう一緒、どこが一緒なのか。  今の説明聞いていると、要するに健保組合、あるいは政管健保、今後全国健保になるらしいですが、その側から見ると負担金という意味では同じですね。念のため。
  41. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) お説のとおりでありまして、後期高齢者医療制度がないということを考えますと、結局これは各保険者が負担を何らかの形でするわけであります。したがいまして、この後期高齢者ができることによる受益を各医療保険者は受けていると。その受益のための負担でありますので、法律上は法律に基づく負担金と、このような考え方でございます。
  42. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 物事の性格が一つが明らかになりました。  それでは、その負担金について、特に健康保険組合、あるいは政管健保の負担増が問題になってきます。そのことをある程度見通すという意味で、この資料二の表を作っていただきました。後期高齢者支援金が二十年、二十三年、二十七年でどれくらいの負担になるのかということで作っていただきました。是非これをごらんいただきながら、今後の審議に役立てていきたいというふうに思います。  心配していますのは、組合健保、政管健保、それぞれ保険料を決めていますよね。今回の改正で何か一般の保険料と負担をするための特定保険料率、率を二つ、二種類作るようでありますが、もし仮に法律の定めで負担することが求められているお金を出すのに足りなくなった場合、健保の財政が厳しくなって、その場合にはどうするんだろうかと。特定保険料率は際限なく引き上げるということになるのか、上限は決めないのか、その辺はどう考えていますか。
  43. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 特定保険料の負担でございますけれども、高齢者医療制度においても過度のものとならないよう、後期高齢者支援金の割合は制度発足時は給付費全体の約四割になりますけれども、若い人口が減っていく、我々が後期高齢者になっていく、その割合が減少していく仕組み、我々が増えれば、若い人口の減少を勘案して、その割合が減少していくと。  それから、個別の保険者ごとに見て支援金等の負担が著しく重い保険者については、著しく重い部分について全保険者で再案分する措置、負担調整措置を講ずることといたしております。  また、健保組合等は医療給付や後期高齢者支援金等に要する費用の見込額等を勘案した上で医療給付等を不足なく行えるよう保険料率を定めることになりますが、特定保険料率と基本保険料率が特に高い水準となる健康保険組合に対しては、これまでと同様、給付費等臨時補助金も活用してまいりたいと。すなわち、事実上赤字になるところには国の方から調整をすると、このようなことを考えております。  ずっとその後どうなるかと。そこにつきましては、将来における医療費の動向、健康保険組合等の財政状況を見極めた上で、中長期的な課題として今御指摘いただいたことは考えなければならないだろうと、このように考えております。
  44. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そうすると、結局、保険料として徴収するのに、こっちは基本保険料で、こっちは特定保険料だというふうに分けるわけにはいかないわけですから、結局、健康保険組合の財政そのものがどううまく回っていくのかというところに問題が帰着するわけで、そのときにしかるべき対応はそれはそれで考えなきゃいかぬと、こういうお答えだったと思います。  ただ、私、それはそれでいいんですけれども、そうすると、何か今の老人保健制度とどこが違ってくるのかなという疑問にまた戻ってきちゃうんですが、ちょっとそれも宿題にしておきます。  それで、非常に組合健保とか政管健保の皆さんへ、つまり現役の皆さんに負担をお願いしなきゃいけないという構造になっていると。それは法律の定めで決まっていると。どういうふうに負担を割り振るかということなんですけれども、各保険者への負担の割り振り方は、各保険者の全加入者数に応じて負担をすると、こうなっているんですね。  そうすると、これ確かに一見合理的なんです。ただ、よく考えてみると、全加入者というのは子供の数とかあるいは障害を持った方たちとか、要するに扶養をしなければいけない人たちの数も全部全加入者にはなるんですよね。そういう人たちが多ければ多いほど、その保険者は負担割合が相対的に重くなると。これは、いや、従来からある議論だから、何を今更言うてんのやという話かもしれないけれども、ただ、これから次世代育成をどんどん進めなきゃいけないという政策方針が今かなり強力に打ち出されていて、一方で医療保険のところでは子供をたくさん産んだら負担金は増えるよと、これは整合性に欠けるんじゃないかということを私は思っているんです。だから、ある年齢で切るとか、あるいはちゃんと稼ぎのある人の頭数で割るとかいうふうにした方が合理的じゃないかと思うんですが、どうですか。
  45. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 確かに一つの議論だろうと思っています。稼得能力のある者の数を見て負担すべきとの御指摘でございます。すなわち、負担能力のない者を除外するという考え方だろうと思いますけれども、負担能力を個別に見ていきますと、例えば今多いフリーター、ニートの問題、無職者、二十歳以上の者でも所得のない者がいる。一方で、二十歳未満でも就労して所得がある者がいる。これ一つの議論であります。  一方、負担能力を勘案するためには所得調整をすべきとの議論がございますけれども、国保、被用者保険を通じた公平な所得把握が困難であることを考慮いたしますと、基本的に、御議論は議論として、加入者数に応じた負担とせざるを得ないと、このように考えております。  子供の数が増えれば増えるほど組合の負担が増えることになるということでありますけれども、全体の問題とその少子化対策と必ずしもくっつく話なのかなと、こういう気がいたしております。  一方で、今回の改正の中に入れてありますのは、二割負担の対象となる年齢を三歳未満から義務教育就学前までに拡大すること、出産育児一時金を三十万から三十五万円に引き上げると、このようなことで、少子化対策については別途の配慮をさせていただいたと考えております。
  46. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 すり替えの議論の典型だと思うんですけど。それじゃ、提出いただいた資料の三枚目、色刷りの資料があります。退職者医療制度についてお伺いします。  私は、どうも何で今回退職者医療制度を経過措置とはいえ存続させるのか、納得がいかないんですが、いろいろ聞いてみたら、何か二〇〇七年問題というか、団塊の世代がどっと出てくるからその間は何とかしなきゃいけないみたいな説明もあるんですけど、確かにちょっとこの図を見ていただくと、一時期退職者が増えるんですよね。ということは、この退職者医療制度を存続することによって拠出金の負担が一時期、二十三年ごろになりますか、増えるんですよね。それで、制度としては平成二十六年で終わるんだけれども、それまでに入っている人が完全に出ていくためには、それからまた数年掛かるんですよね。だから、この点々々々と書いてあるところまで影響は残るわけですよ。  ということなんで、この退職者医療制度を存続させるということは、これまた現役の皆さんに今後十数年に渡って負担をお願いするということになるなと私は理解しているんですけど、そういう理解でいいんですかね。この図を見ながら説明してください。
  47. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の退職者医療制度の取扱いについてでございますけれども、ただいま委員の方からお話しありましたとおり、二〇一四年、平成二十六年度までの間におきましては、この六十五歳未満の退職者被保険者につきまして、これらの方々が六十五歳に達するまでの間、経過的に現行の制度を存続させるということにしているわけでございます。  正に御指摘のとおり、団塊の世代がこの年齢に差し掛かると、退職をするということでございまして、新高齢者医療制度施行時の二〇〇八年、平成二十年度以降増加を続けまして、人数としては二〇一一年の三百三十万人をピークとしております。また、財政的には、医療費の増加もございますので、二〇一二年がピークになるものと考えてございます。その上で、これは徐々に下がっていくわけでございます。六十五歳に達しますと退職者医療制度の対象では抜けていくわけでありまして、二〇一五年、平成二十七年以降は新規加入がないということでございますので、おおむね二〇一九年度、平成三十一年度には対象者がいなくなるということでございます。
  48. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 以上、三つの資料を出していただきました。是非、同僚委員各位にも今後の審議の中で役立てていただければと思います。  さて、それではいよいよ本題に入りまして、提案されています老人保健法の一部改正、全部改正について、一つ一つお尋ねしていきます。  私は、結論的に言うと、老人保健法は全く変質させられたというふうに断ぜざるを得ません。なぜか。ちょっと幾つか私の意見を申し上げます。  老人保健法はですね、一つは国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保、この二つを目標、目的として制定されました。ところが、今度の改正では、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るためと、医療費の適正化を推進するための計画と、こういう書きぶりになっていまして、この法律目的のところ、第一章第一条、これは老人保健法の目的の書きぶりと全然違うじゃないかと。特に、私は国民の老後における健康の保持というのが第一番に書いてあったのに、今度は適切な医療の確保と医療費の適正化を推進すると、こういうことに目的のところから変えられている。これは何だと。  さらに、第三条、国の責務、第四条、地方公共団体の責務、ここのところを見ても、保健事業あるいは住民の健康の保持、こういう部分がすぽっと消えて、ほとんどすべて書きぶりは統一されていて、高齢期における医療に要する費用の適正化を図る、これでは老人保健法ではなくて高齢者医療費適正化法、もっと言えば高齢者医療費抑制法だというふうに言わざるを得ないじゃないですか。  このことによって、私どもの同僚議員が本会議で質問をしたときに、この制度をつくることによって高齢者医療を切り捨てることにならないかということを指摘された。まさしく私はこの法律目的の書きぶり、あるいは第三条の国の責務、地方公共団体の責務の書きぶりを見ると、明らかに高齢者医療費を適正化するための法律だという書きぶりになっていると。これはけしからぬではないかと思うんですが、これは大臣、どう思います。
  49. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) まず、現行の老人保健法でございますけれども、七十五歳以上の後期高齢者等に対する医療の実施、四十歳以上の者に対する医療以外の健診等の保健事業を総合的に実施することを定めております。  一方、現行制度における健診等の保健事業については、老人保健法のほか医療保険各法等に基づき市町村、企業、医療保険者がばらばらに実施しており、特に被保険者、被用者保険の被扶養者に対する取組が手薄であるという問題点があると認識しております。  このため、今回の改正では、四十歳以上の加入者を対象とする糖尿病等の生活習慣病予防のための健診、保健指導については、保健事業の実施が医療費適正化につながることを考慮し、医療費適正化の推進の一環として位置付け、医療保険者に対してその実施を義務付けることとしたものでございます。  こうした改正内容を踏まえ、法律規定からは保険者が実施する生活習慣病予防のための保健事業以外は削除し、市町村等が実施するその他の保健事業については健康増進法にゆだね、高齢者の医療の確保に関する法律等法的連携を担保しつつ進めることとしたものでございます。  今回の改正では、老人保健法の目的や趣旨を踏襲しつつ、これらを発展するものとして高齢者の医療の確保に関する法律改正するものであり、現在実施されている各種事業を健康増進法等により漏れなく継続して実施すると、このように考えております。
  50. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 お答えですけれども、全然納得できません。健康増進法はですね、あれはできの悪い法律なんですよ。ちょっと勉強してみてください。要するに、何をどうするかって項目だけ並べてあって、具体的に予算とか何か何も付いてない。まあ唯一評価できるのは、受動喫煙を公共の場所でやめましょうといったことぐらいなんですよ。だから、健康増進法に書いてありますという説明は全然説得力を持ちません。  保健事業の在り方についてはまた今後逐次やりますから、楽しみにしてください。    〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕  それで、その問題をちょっと別の観点から是非お答えいただきたいんですが、先日、この委員会で西島委員もほぼ同様の発言をされていたので気になったんですけど、去年の十二月にまとめられた大綱の中でこんなふうに書いてあるんです。ちょっと重要なんで読んでみます。「後期高齢者医療制度の創設に当たっては、後期高齢者の心身の特性等にふさわしい医療が提供できるよう、新たな診療報酬体系を構築する。」とあるんですね。その「新たな体系においては、終末期医療の在り方についての合意形成を得て、患者の尊厳を大切にした医療が提供されるよう、適切に評価する。また、地域の主治医による在宅の患者に対する日常的な医学管理から看取りまでの常時一貫した対応を評価する。」というふうに書いてあるんですね。そうすると、後期高齢者医療制度と書いてあるから七十五歳以上なんでしょうね。障害をお持ちの方は六十五歳から含まれると思いますが。  それで、この後期高齢者医療の創設に当たっては、新たな診療報酬体系をつくる。その新しい体系の中では、読み方によっては終末期医療とみとりを重視すると、こういうふうに読める。    〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕  そうすると、七十五歳以上になったら一般の医療はちゃんと診てもらえるんだろうか。つまり、一般成人に対する診療報酬体系と後期高齢者医療制度とは全く別枠にするんですかと。そうすると、これ全く別枠の極めて医療費抑制的な、まあ政府の言葉でいえば医療費適正化に資するという診療報酬体系になっちゃうんじゃないか。これは問題なんじゃないか。  現に七十五歳以上でも、あるいはそれぞれの障害をお持ちで、六十五歳で、一生懸命人工透析を受けたり、暮らしておられる方がいるわけです。そういう方たちに何か新たな診療報酬体系を構築する、新たな体系では終末期医療とみとりの看護だと、こういうふうに言われちゃったら、もういいよと言われているように聞こえませんか。ここは、ちょっと非常に強い不安感を示されていますので、大臣から十分御理解いただけるような御答弁をいただきたいと思います。
  51. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 後期高齢者医療制度の創設に当たっては、後期高齢者の心身の特性等にふさわしい医療が提供できるよう、今御指摘いただいたような新たな診療報酬体系を構築することといたしております。  ただ、後期高齢者の診療報酬は、当然必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保するという国民皆保険制度の理念がまず大前提でございます。その上で、新たな体系においては、終末期医療の在り方について国民的な合意形成の下に患者の尊厳を大切にした医療が提供されるよう適切に評価する。地域の主治医の在宅の患者に対する日常的な医学管理からみとりまでの常時一貫した対応を評価するということでございます。基本は、適切な医療は保険診療により確保するという国民皆保険制度の理念、これが前提にあると思いますので、御懸念のないようにしっかりやってまいりたいと思います。
  52. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今のお答えで一定程度御理解をいただけると思いますが、ただ実は、いつごろだったかちょっと忘れましたけど、イギリスでも高齢者の人工透析はもう要らないとか制限するとか、社会的ステータスのある人だけやるとか、そういうばかげたことをやったことがあるんですよ。だから、そのことが頭の片隅にありながらこの文章を読むと、読めるんですね。是非そこは明確に、基本的な医療はちゃんと保険診療でできるようにするんだと。  ただ、今まで、どちらかといえば、十分意を用いてこなかった終末期医療の問題とか、あるいは在宅におけるみとりの問題についてもこれから丁寧に対応していくんだと、こういう言い方というか、書き方にしなきゃと思います。ちょっと中身を十分踏まえた、より丁寧な表現をお願いしたいと思います。  さて次に、先ほどの議論にちょっと戻りますが、国と地方公共団体の責務のところから保健事業の部分を保険者の方にやってもらうというふうにしましたと、こういうことで国、特に地方公共団体の責務が外れているんですね。ということは、これまで老人保健法に基づいて国が一定程度予算を確保して、市町村が実施主体で実施されてきた老人保健事業、これは今回の改正でその法的根拠を失って今後は実施されないと、こういうことになるんですか。
  53. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) 今回の老人保健法の改正案におきましては、国及び地方公共団体の責務規定から保健事業に関する部分が削除されておるわけでございますが、健康づくりにつきましては、国及び地方公共団体の責務に関しまして、健康増進法の第三条におきまして、健康の増進に関する正しい知識の普及、健康の増進に関する情報の収集、分析、提供、健康の増進に係る人材の育成及び資質の向上などに努めなければならないというふうに規定をされておるところでございます。  また、同第四条におきまして、市町村を含む健康増進事業実施者の責務といたしまして、健康教育、健康相談その他国民の健康の増進のために必要な事業を積極的に推進するよう努めなければならないとされておりまして、これらの規定については何ら変わるところはございません。  また、健康増進法十七条におきましては、市町村は、生活習慣の改善に関する住民からの相談に応じ、必要な保健指導等を行うこととされておりまして、市町村は引き続き健康増進法のこうした規定によりまして、医療保険者による健診、保健指導と連携を図りつつ、住民の健康増進に関する事業を実施することとなります。  なお、御指摘ございました市町村が住民に対して行う健康増進に関する事業についての財政的支援の問題でございますけれども、現在、国庫補助及び地方財政措置がなされておるわけでございますが、今後、国としてこういった問題に対してどういう財政的支援が可能かについては更に検討してまいりたいと考えてございます。
  54. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今の説明でちょっと納得できないんですけど、老人保健法に基づく老人保健事業という事業はなくなるんですかと聞いているんです。
  55. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) 初めに申し上げましたように、今回の老人保健法の改正案におきまして、その保健事業に関する部分が削除されるということですので、そういう言い方でやれば、その老人保健法に基づく事業はなくなるということかと思います。
  56. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そうすると、老人保健事業を実施するための実施計画、五年ごとの、例えば保健師さんを何人増やすとか、そういう計画を作ってやってきましたよね。今、第四次ぐらいになっていますかね。その計画もパアになるんですか。なくなるんですか。
  57. 山下英利

    委員長山下英利君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  58. 山下英利

    委員長山下英利君) 速記を起こしてください。
  59. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) 失礼いたしました。  法律上の根拠規定がなくなるので、いわゆる老人保健法に基づくそういった計画についてはなくなるわけですけれども、同様の趣旨は健康増進計画の中に引き継がれるというふうに理解をしております。
  60. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今の、答えになってない。これも宿題にしますから、ちょっともう少しきちっと答えられるようにしてください。  私、先ほど健康増進法のことについて言いましたけど、あれは具体的な予算措置を講ずるような法律じゃないんですよ。そこのところは、あなた、よく知っているはずじゃないですか。だから、それを、じゃ現在、健康増進法に基づいて、これこれの事業をやっていますと、国はこれだけ予算付けていますというのがあるんだったら、なるほどそうかというふうに得心もいくけれども、全然そんなものないじゃないですか。これ、ちょっと答弁を保留しておきます。次までにちゃんと答えを出してください。これから考えますじゃ駄目ですよ。  例えば、保健所とか市町村で保健師さんたちの数をどうやって増やそうといって、一生懸命増やしてきたんですよ、自治体は。もちろん国が直接人件費を出したわけじゃないけど、交付税で措置するからということで少しずつ増やしてきて、毎年毎年、何人になった何人になったとやってきたわけじゃないですか。それを、これがぽっとなくなったら、増やしてきた保健師さんたちはどうするんですかという話ですよ。そういうことも含めてちゃんと答えを用意してください。  ついでに健康増進法のことについて言うと、もっと私、健康増進基本法のようなものにつくり替えてほしいと思っているんです。これ、栄養改善法を一部手直ししただけの法律なんですよ、ほとんど。もうみんな分かっているんです、それは。健康増進法、健康増進法というんだったら、健康増進基本法というそれらしき、かちっとしたものを作ってもらって、その中に位置付け直しますというんだったら、それは納得できる。宿題。  次に、話を変えます。  医療費適正化、この適正化の意味するところは何か。私は、どう見ても、皆さんに説明するとき、厚生労働省が適正化というときは、削減とか抑制とか読んだらいいというふうに説明しているんですけど、医療費適正化の推進というときの適正化の意味するところは何かと。  もう一つ納得いかないのは、医療費適正化計画を立てるとか、それを推進実行するとか、いろいろ書いてあるんですけど、それが何とこの高齢者の医療の確保に関する法律に書いてあるんですよ。ということは、六十五歳以上から、あるいは七十五歳以上から医療費適正化の対象になるんであって、それまではならないのかしらと読めるんですよ。健康保険法全体の中に位置付けられるんならいいですよ。新たな、高齢者の医療の確保に関する法律の中の第二章だったかな、医療費の適正化というのが入ってくるわけです。これ、法律の入れ方というか、おかしいんじゃないか。ちょっとそこのところが理解できないので説明してください。
  61. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 医療費の適正化につきましては、高齢者の医療の確保に関する法律目的規定におきまして、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画を作成すると、このように規定しているところでございます。要するに、医療費の高騰の要因、大変高齢者の増加に伴うところが多いということでございまして、高齢期における医療に要する費用を適正化をいたしまして、これによって高齢者医療制度の持続可能性を維持する、ひいては国民皆保険の体制を維持するということを目的とするものでございます。  内容といたしましては、これは御存じのとおり、平均在院日数の短縮あるいは生活習慣病対策ということでございますけれども、要は、生活習慣病の患者さんを減らしていく、あるいはいったん患者さんになられてもできるだけ、高コストで低いQOLの急性期のところから、コストが低くQOLの高い在宅ないし在宅に近い環境に早く移っていただく、こういった構造対策を講じることによって、その結果として医療費の適正化が図られ、特にそれが高齢者についてきいてくるだろうということでこういった構成を取っているものでございまして、今説明申し上げましたとおり、対策といたしましては、これは若年者も含めた全体にかかわるものでございます。
  62. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それだったら法律の居場所というか書き方をもう少し考えた方がいいんじゃないですかね。医療費の適正化というのは、素直に使えばいろんな分野で必要だと思うんですよね。何も高齢期だけではない。私の専門としていた精神医療の分野でもそのこと言えるでしょう。だから、高齢者の医療の確保のための法律の中に、その第二章に医療費適正化計画と入ることがどうも私は得心がいかない。今の説明は、いやいや、若いうちからちゃんとやっておかないと高齢期になってから困るからという説明だけど、それはちょっと無理があるね、説明としては。じゃ、何でこんな組立てをしたのかというのが全然分からないということだけまず言っておきます。  さて、その上で、この具体的なやり方も分かんないんです。第二章第一節の医療費適正化の推進に関する条文においては、計画を作りましょうと、実績を評価しましょう、その上で、都道府県が計画の評価を踏まえて目標の達成のために必要があるとき、都道府県は診療報酬に関する意見を提出することができる。その場合は、大臣診療報酬上の特例を定めるように努めると、こう書いてある。これはどういうことなんですか。  つまり、確かに、都道府県がそれぞれの都道府県における医療状況を見て診療報酬に関して意見を出すことはできるというのは、これはこれでいいですよ。ただ、都道府県が出すのに、都道府県の計画の評価を踏まえ、目標の達成のために必要があるときと、こう書いてある。だから、どういう計画を作って、何を指標にして、どういう目標を立てるかによって全然違ってくるんだ、これ。だから、これは一体どういう場合のことを想定して言っているのかな。  しかも、意見書が出されたら大臣診療報酬を定めるように努めなければならない。結構縛りがきついですよね、これ。診療報酬を定めることができるぐらいだったら分かるけど、これ、意見書出されたら縛られちゃうわけ、大臣。当然、診療報酬の話は中医協もあるわけだから、中医協の議論も縛るのかな。何でこんな書きぶりにしたのかなと。全然分からない。説明してください。
  63. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) まず、法律の第十三条においてでございますけれども、どういう場合に都道府県が意見を述べるかということでありますけれども、これにつきましては、医療費適正化計画、全国と都道府県と両方あるわけでありますけれども、それぞれ、例えば生活習慣病に関する患者の数を減らす、あるいは平均在院日数について二〇一五年に長野県と全国の差、その半分にすると、こういった政策目標を掲げてもらうわけでありますけれども、その目標の達成状況につきまして、二十年から五年を期間といたします適正化計画の中間年、それから終わった年の翌年度に行われます実績評価を踏まえて、そうした政策目標がなぜ達成できなかったのか、あるいは超過達成できたのか、そういったいろいろあろうかと思いますけれども、そういった分析を経まして、診療報酬上そこに何らかの手当てをするようなことがあれば、それは都道府県知事がその意見具申をすることができるということを決めたものでございます。  言ってみますと、都道府県におきましてこういう計画達成について様々な支援措置、これから人材養成も含めて組み立てていこうと思っておりますけれども、診療報酬においてもこういった措置がとれるということを、都道府県に権限をある意味で創設をしたということでございます。  それから、努めなければならないということできついじゃないかということでございますけれども、これは正に努めなければならないということでありまして、義務的に受けなきゃいけないということではございませんし、これは全国的な診療報酬にかかわるものでございますので、当然に中医協への諮問、答申という手続も経ることが必要なわけでありまして、最終的には厚生労働大臣決定するということが権限上は担保されているところでございます。
  64. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今の質問に関連して、一つ忘れていました。ここで、大臣が意見を聞いた上で診療報酬を定めるように努めると、こういう診療報酬中身というか範囲ですが、この十三条に続いて十四条では都道府県の特例というのがあるんですが、この十三条の診療報酬上の対応と十四条で書いてある都道府県の特例というのとはイコールですか。それとも全然違う話ですか。
  65. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) まず、十三条の規定でございますけれども、これにつきましては、対象がこれは全国に共通する診療報酬に対する意見具申でございます。それから、この意見具申をできる時点が、計画を始めた中間年と、それから最終年が終わったその翌年度にできるという期間を、ポイントを定めてございます。  一方で、この十四条の方でございますけれども、これは五年の経過期間終了の翌年度に設けるものでございまして、これは厚生労働大臣が設けるものであるという点が違うのが一点。  それからもう一つは、これは、各都道府県それぞれに、各都道府県別の、言ってみますと診療報酬の特例について定めるものであるということでございまして、大きく言いますと、十三条がまず全国で設定されるもの、十四条部分につきましては、これは各都道府県の特例でやるということでございます。
  66. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 おかしくないですか。都道府県が大臣に意見を出すことができると。それは診療報酬全体の改定にかかわる部分だと。一方、都道府県で他の都道府県とは異なる診療報酬を認めることができると。これは都道府県からの意見書ではなくて、大臣が知事と協議をして定めると。ちょっと納得いかないんですよ。  つまり、都道府県の特例を決めるために都道府県から何らかの意見が出されて、その部分について中医協にも諮って決めるんなら分かるんです。十三条は、今の説明だと、いやこれは診療報酬全体に係る話だと。診療報酬全体に係る話を都道府県知事から意見を出して、しかもそれに努めなければならないというふうに大臣に縛っておいて、一方、十四条では都道府県の区域の中における診療報酬と異なる定め、特例を作ることができると。これは、たしか大臣が定めることができる規定じゃなかったかと思うんですね。  ちょっとおかしいんじゃないですか、この十三条と十四条。どう思います。
  67. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) お答えになかなか難しいことでございまして、と申しますのは、これは都道府県に新たな責務をお願いを今回の法律改正でしようとしているわけでございますけれども、そこで、関係者間での協議で、その権限配分につきまして、やはり都道府県ごとの診療報酬の特例となりますと、やはり全国のレベルでの、法律にも書いてございますけれども、地域の実情を踏まえながら、適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲内において設定することができるというふうに、各都道府県の特例にいたしましても、やはりそれは全国的な観点から見る必要があるんだということで、これにつきましては厚生労働大臣の発議ということにしたということでございます。
  68. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 出直してきてください、きちっと答えを持って。今日はたまたま時間ですから、この後に大臣の答弁も求めていたんですけれども、今のところの答弁がきちんとできないようではこれは話にならないので、ペンディングにしますから、私の質問をこれで終わります。
  69. 山下英利

    委員長山下英利君) 午後一時から再開することとし、休憩いたします。    午後零時三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  70. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  71. 足立信也

    ○足立信也君 民主党・新緑風会の足立信也でございます。  昨年の七月以来、十か月ぶりの厚生労働委員会の質問でございます。そこで、ちょっと、しばらくぶりに委員会出席しました、どうも私気になることがございまして、そこだけちょっと最初に申し上げたいと。  一つは、昨年は岸宏一委員長の御判断で、女性の委員をお呼びになるときはさん付けで呼ばれておって、私は非常に耳になじみやすく、戦後教育を受けてきた私としてはなかなか女性に君付けで呼ぶのはできない習慣で、ちょっと委員長も御一考されたらいかがかなと、そのように思っています。  もう一点は、故あって先週私は院内テレビで、部屋でこの委員会を見ておりましたが、委員の御質問に対して大臣が御下問をいただきましたという発言が二回あったですね。これは川崎大臣がふだんからよくお使いになる言葉なのか、あるいは特段の意味があるのか。私、衆議院の議事録全部読みましたし、参議院の厚生労働委員会のも見ましたけれども、御下問というのはなかなか使う言葉じゃないなと。これちょっと気になりましたので、この点で御感想がありましたら。実は私、詳細にわたって質問したいと思っておりますので、しばらく大臣に、せっかくお越しいただいているんですけど、しばらく質問内容がございませんので、御感想を伺えたらと思います。  そして、昨日、川崎大臣は決算委員会、参議院の決算委員会で大変御苦労されていると思うんですが、同時に私、行政監視委員会厚生労働分野に対する、行政に対する質問も行いました。そこで、どうも二つ、法律違反の疑いが非常に濃いんではないかということを申し上げました。御報告がもう届いているかもしれませんが、そこをかいつまんでちょっとお話しします。  二つというのは、障害者自立支援法と予防接種法です。  障害者自立支援法では、だれもが利用する権利があって、国、都道府県、市町村は義務的負担をすると、そういうふうになっている児童デイサービス、これが途中で打ち切られている事態が続いているんですね。どうもその原因の一つが、三月に開かれた厚生労働省の全国主管課長会議で作成した資料、その解釈でどうもそういう事態に陥っているということがあります。これが一点目です。  それともう一つは、予防接種法、これは四月一日から施行されているわけですけど、政令改正されているわけですけど、市町村の義務とされている麻疹や風疹、百日ぜき、ジフテリア、破傷風、こういった疾患への予防接種が昨年の七月の政令の、省令の改正によって単品ワクチンが使われていない状況になっておるので、例えば麻疹に罹患した患者さんは風疹ワクチンを打てなくなっている事態が生じているんですね。これは市町村長の義務だと定められていることに対して省令が違反をしているんではないかと私は思いますので、その点を指摘しました。  この二点が昨日のポイントだと思っております。先ほどの御下問の件と、何か御感想がありましたら、大臣、よろしくお願いしたいんですが。
  72. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 私自身余り使わない言葉なものですから、何か言葉のやり取りの中で出たんでしょう。気を付けてまいりたいと思います。  それから、一点目については、詳細についてはもう少し調べて、答弁する機会があれば答弁させていただきたいと。  それから、二点目については、これは衆議院の厚生労働委員会で、二月だったでしょうか、御質問いただきまして、再検討を私が指示しまして、今日閣議決定をいたしたところでございます。単味でも使えるということで改正いたしましたので、そこはしっかりやらせていただいたと。  いずれにせよ、委員会での議論聞きながら、なるべく行政に生かしてまいりたいと、この基本は守っていきたいと思います。
  73. 足立信也

    ○足立信也君 どうもありがとうございます。早急そして的確な対処をお願いしたいと、そのように思います。  さて、医療制度改革なんですが、私は、我が国の医療従事者の多くが世界的に見て非常に優れている、最も優れていると評価されている日本の医療制度において、自分たちが提供しているサービスを非常に評価が低くされている、こういう不満がまずあります。そして一方、国民やメディアは、我が国の医療には非効率的な無駄が多く、また質にも問題があると、そういうふうに感じています。多くの国民、八割以上というデータも出ていますが、不満を感じている。この認識のギャップが埋まらない限り、すべての国民が納得する医療改革への議論は進まないと、私はそう思っています。  医療従事者あるいは保険者、医療を受ける者、どの立場で話をするんではなくて、そういう議論はもう通用しないと思っているんですね。すべての立場の人がこの国の医療をどの方向性に持っていくのか、そういった観点で臨まなければいけない事態だと私は思います。  日本人の平均寿命及び健康寿命は世界一長い、それに達成するために費やされた医療費は、対GDP比で最も低い、先進国中。これは、言わば世界一良好な費用対効果ですよ。これに対して不満を抱く人はないと思います。ただ、このことが知らされていない。これはある意味、情報の非対称、今日質問いたしますけど、情報の非対称の一部であると私は思います。患者さんにとっては、医師看護師と触れ合う時間、得られる情報、疑問点の解消、いやされたい気持ち、すべてが不満なんです、今。そして、私も医療従事者の一人ですが、患者さんの心をいやすため、納得してもらえる説明をするための人と時間が欲しいんです。これは十分共有できることだと思っています。  私の今日の質問、それから委員会質疑への私のスタンスをちょっとあらかじめお伝えしたいと思うんです。  日本の医療制度をどう変えていけばいいのか。その根底にあるものは多分、私、厚生労働省と共有できる部分が相当あると思っています。これ調査室で作成していただいた、いつも大変な御苦労で作成されていると思います、調査室の参考資料、これを読みましても、審議会や検討会の意見は私は納得できる部分が非常に多い、そのようにとらえています。ところが、それが法案になる段階で、優先順位の違いとか、あるいは審議会、検討会でこういうことを言われているその部分部分だけ抜き出して、結局は医療費抑制という筋道に向かってつなげていっている、そういう印象がしてならないんですね。  八百兆円の負債があるといいながら、セーフティーネットは大事だと、しっかり張っていくんだと、そうおっしゃる割には、それを担う人材が診療報酬だけで支えられるシステムでいいのかということが大きな疑問として私は残っております。何より、衆議院の審議を終えて、国民の多くは十分な審議を期待しています。衆議院本会議で賛成討論をする議員がいなかったと、そういった法案です。そして、何より十分な議論がなされれば国民にとってより良い法案ができると国民は期待しているんですね。このことを私は強調しておきたいと、まずそう思います。  本日、我が党から、我が会派からは三人質問が予定でございます。私以外の二委員は主に健康保険法の改正、これを担当することになっていますので、私は医療法の改正部分を今日は分担してやりたいと思います。  その内容は、まずリハビリテーションについて、そして物議を醸していますメタボリックシンドロームについて、そして医療を高めるため、医療の質を高めるためにはどういった方策が必要なのかと、我が党が提示した案と対比させながら質問していきたいと、そのように思います。  まず、リハビリテーションです。  医療改革というのは、もちろん法の改正だけではなくて、診療報酬の改定も大きな役割を果たしているんです。私は、この委員会で今まで度々、高齢社会を迎えて活力ある老後のためにリハビリの重要性、このことをずっと訴えてきました。閉じこもりにならないために、寝たきりにならないために、これからこそリハビリが大事なんだということを申し上げてきました。  皆さんも御存じだと思いますが、四月八日の朝日新聞、まあ私どもにとってはもう雲の上の人、免疫学の世界的権威ですね、多田富雄先生の投稿がございました。その中は、多田先生のことは、文章で書かれているから話してもいいと思うんですが、脳梗塞の後遺症で、重度の半身麻痺の状態、言語障害、嚥下障害がある、四年もう経過している。  その彼の投稿の中で、別な病気で三週間リハビリを休んだら立ち上がることもできないという、四年たってそういう状況ですね。障害が百八十日で回復しなかったら死ねということかということを書かれている。「リハビリは単なる機能回復ではない。社会復帰を含めた、人間の尊厳の回復である。」、そのように結ばれております。同じような経験をされて、同じような思いを持っておられる方が傍聴席にもいらっしゃいます。  要点は、リハビリについての要点は、まず算定日数の上限について、それから回復期リハビリテーションの対象について、そして介護との関係、この三点に、順に伺っていきます。  まず資料をごらんください。上半分がリハビリテーション、告示の内容です。一ですね。この告示の内容によりますと、今回は新たに四つの疾患別リハビリテーション料を新設すると。その中で、対象疾患のところですね、脳血管疾患等リハビリテーション、対象疾患として高次脳機能障害と、背景を赤にしました。  で、その下の部分ですね。この対象疾患というのは当然、そこに表に書かれている算定日数の上限百八十日、該当する疾患という意味だと思いますが、算定日数上限規定の対象から除外される疾患として、やはり告示で二番目に高次脳機能障害と。同じことが、対象疾患と除外される疾患と、両方の告示に書かれている。  まずこのことについて、これはどういうふうに解釈するのか、そのことと、重度の頸髄損傷とありますけれども、この重度という定義は一体どうなっているのか、このことをお聞きしたいと思います。
  74. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の診療報酬改定におきまして、リハビリテーションにつきましては、これまで理学療法あるいは作業療法等の療法別の診療報酬体系でございましたけれども、これを新たに疾患別の体系に再編成するというのが一点。それから、疾患の特性に応じまして、標準的な治療期間を踏まえて算定日数に上限を設けるという改正を行ったところでございます。この上限の適用に当たりましては、失語症など、長期にわたって継続的にリハビリテーションを行うことが医学的に有用であると認められる疾患等を除外したところでございます。  御指摘の点でございますけれども、まず初めに、この表の上の方でございますけれども、高次脳機能障害につきまして、これは脳血管疾患等リハビリテーション料の算定対象患者一つの種類でありますよということを示しているわけでありまして、この二百五十点又は百点と、こういった診療報酬を受けられる疾患であるということをまず示しているわけであります。  その上で、下の方につきましては、この当該リハビリテーションに関しましては、その百八十日の算定日数上限の適用除外とする患者でありますよということを示しているわけでありまして、物事を、まず上の方では点数のレベルを示し、下の方では、それが百八十日という日数が適用除外にされると、このように構成されているわけでございます。多少、そういう意味では二段階になっているので分かりにくいかもしれませんけれども、いずれにしましても、高次脳機能障害の患者は算定日数上限の除外対象とされているものでございます。  それからもう一点、重度の頸髄損傷についてでございますけれども、これも適用除外になっているわけでありますが、この重度の頸髄損傷に該当するか否かについてでございますけれど、これは関係学会の診断基準等に基づく医学的判断によるということとしてございます。
  75. 足立信也

    ○足立信也君 まず前半部分、同じ表の中で、該当するところと該当しないところを同じ表で出したと、そういうことですね。これはやはり誤解を生むし、分からないと思いますよ。普通は分かりませんよ、これ。  それから、関係学会での診断基準によるということがございました。重度というのは、今現在もう診断基準があるということですね。
  76. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 関係学会の診断基準等に基づくと申し上げましたのは、例えば高次脳機能障害につきましては診断基準があるわけでございますけれども、この重度の頸髄損傷につきましては、診断基準と申しますよりは、一般的な医学上の判断ということになろうかと思います。
  77. 足立信也

    ○足立信也君 重要なポイントですよ。一般的な医学的判断、医師の判断ということですね。医師の判断で重度だと判断すればいいと。これは、リハビリ関係者、かなりの方が今日ごらんになっていますから、そのように今お答えだったと思います。  確認ですが、この多田先生の投稿の中にも、口唇裂や口蓋裂、特に口蓋裂、この子たちは相当長い年月を掛けて、あるいはずっとリハビリを受けなきゃいけない、こういう事態、これに対して打ち切られるのかということをおっしゃっています。  この口唇裂、口蓋裂に関する算定上限、算定日数の上限はあるのかという点と、それからもう一つ、構音障害。構音障害というのは、もちろん脳血管疾患でも起きますし、これも長い年月を掛けないとなかなか正常な発声にならない。あるいは、嚥下障害を起こす、そして誤嚥を起こしてしまう、そういう予防にはならないわけですね。  この構音障害というのは、この除外規定に入っているんでしょうか、それとも失語症の中に含めるということでしょうか。
  78. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) お答えいたします。  まず、口唇口蓋裂の患者さんについてでございますけれども、これにつきましては、算定日数上限の除外対象となります障害児・者リハビリテーション料の対象患者ということでございますので、治療継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合には、リハビリテーション料に係る算定日数上限の適用除外となるものでございます。  もう一方で、構音障害というふうに申されましたけれども、これは失語症に該当するものとそうでないものがあろうかと思います。これはケースによって違うかと思いますけれども、失語症に該当する場合もあると、このように考えてございます。
  79. 足立信也

    ○足立信也君 同じ構音障害、同じというか、病態としては構音障害と一くくりにされるわけです。  算定日数上限に算定されてしまって切られる人とそうじゃない人がいるという今、回答だったと思いますが、その判断でよろしいんですか。
  80. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) それぞれのケースにより判断が分かれる場合があるということでございます。
  81. 足立信也

    ○足立信也君 それは、この子にとって、あるいは構音障害を併発してしまった高齢者も含めて、個別の判断で、医師の判断で、この人はやればいい、やったら回復する見込みがあると、そういうことがあれば上限で切られることはないという判断でよろしいですか。
  82. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) これは通常の診療報酬請求あるいは審査の問題と同様でございますけれども、それにつきまして、その医学的判断が妥当であったかどうか、これは審査をして、その上で支払をするという手続を踏むことになります。
  83. 足立信也

    ○足立信也君 その問題は後でまた触れようかと思ったんですが、それをいつ判断するんですか。月に一回レセプトを出す、その時点。そのレセプトが出た後、審査会の方で判断されて、これは査定ということになるんでしょうか。それとも、一回一回受診するごとに、これはやはり医療機関としてはその診療行為に対してきちんとお金はやっぱりいただきます。その時点ではお金をいただく行為をしていて、レセプトが出た時点で判断されるということなんでしょうか。  それから、そこで打ち切られるということですか。その判断は医療機関には前もって知らされないということですか。やってしまった行為に対して後で査定して、これはいけないことだということを判断するという意味ですか。いつやればいいんですか、医療機関は。
  84. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) これも一般的な診療報酬審査、支払と同じルールが適用になります。通常の場合と申しますと、やはり形の上ではそれは事後的なものになろうかと思います。その上で、その前に疑義解釈等を通じて明らかにされるケースもあろうかと思います。  したがいまして、疑いがある場合には、やはりそういったまず疑義解釈なりを通じて一般化することが妥当であろうかと思っております。それ以外につきましては、これは通常のルールが適用されて事後的に判断をするということになろうかと思います。
  85. 足立信也

    ○足立信也君 矛盾が一杯あるというのはもう皆さん分かっておられると思うんですが、あと、引き続いてまた繰り返してお話をします。医師として、それは、この患者さんにはこのリハビリテーションが必要なんだという意思表示をどこですればいいかということです。  次に行きます。  また別の例で、脳血管障害や脊髄損傷の患者さん、私の例を出して申し訳ないんですが、胃がんの手術後、退院された後に頸椎の椎間板の炎症を起こして四肢麻痺になってしまった。この方は一年掛けてリハビリを入院してやられて、すっかり元の状態で戻られました。こういう方は実際にいらっしゃるんですよ。そのような方、これも上限で切られる、そういう事態になっているんだと思います。  私は頸椎の今話をしましたけれども、やはり重度の判断というのは、そのときの状態が重度だというまた判断と、そしてこの人にはリハビリテーションを行ったら可能性があるという表示を、医師の判断、それをいつ出せばいいんですか。レセプトのときに、今の現在の症状詳記のように文章に書いて、この人は必要性があるんだということを出さなければいけないという意味ですか。
  86. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) まずその判断の時点でございますけれども、これは算定日数上限の日数の達したところでの医学的判断になろうかと思います。その上で、正にこの治療継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断可能な除外疾病に該当するかどうかという判断がそこで問題になり、そこで、先ほど申しましたように、基本的にはこれは診療報酬請求でございますので事後的判断になりますが、その前に疑義解釈等で明らかになれるものは一般的にはそれはした方がいいということになろうかと思います。
  87. 足立信也

    ○足立信也君 じゃ、もっと一般的に、皆さん分かりやすいお話をします。  ヤンキースの松井選手、御存じですよね。残念ながら左の橈骨骨折ですね。しかし、あのときのテレビで皆さんもお分かりのように、これ橈骨と尺骨が同時に折れて、しかも粉砕骨折のように骨片になっていたら、どんなに体力のある人でも最低六か月は掛かるとまずニュースで報じられましたね。彼の場合は運よく橈骨の単純な骨折だったので早ければ三か月という話がありましたね。ああいう骨折、仮に粉砕骨折だった場合は、やはり最低でも半年掛かると言われたのが百八十日、あるいは運動疾患ですと百五十日ですか、打切りですか。
  88. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ちょっと松井選手の場合のリハビリの必要な期間というのが、日常生活上の機能を回復するために必要なものであるのか、あるいは運動選手としてのレベルまで回復するまでの期間なのか、そこはよく分かりません。  したがいまして、一般的には、私ども関係学会等と協議の上、それぞれの疾患別に算定上限を示したところでございます。
  89. 足立信也

    ○足立信也君 その人の到達地点によって個別に判断すると。実現可能性のあるお話をしているとお思いですか。  もう一つ、それに関連して、今は粉砕骨折の話をしましたけど、例えば多発外傷ですね。これまた私の経験で申し訳ないですけど、私、工事現場五階から転落したという方、全身十七か所骨折で、内臓出血、肝破裂でショック状態で、手術中に心臓一回止まりました。で、一命は取り留めましたし、その後整形外科の手術もやり、これまた一年ぐらい掛けて今は仕事をされておられる方がいらっしゃいます。こういう方は、多発外傷がある場合は、もうベッドの上からリハビリは始まるんですよね。簡単に百五十日なんか過ぎてしまっているんですね。  個別判断で個別判断でとまたおっしゃるかもしれませんが、明らかに除外疾患の中には入っていないわけですよ。そして、善かれと思ってやる、患者さんもそれに期待してリハビリをやる、ところが、後で査定されてもうこれは駄目ですということがあると、そういう解釈でよろしいでしょうか。
  90. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 御指摘の事例について申し上げますと、これ多部位外傷の患者のことかと思いますけれども、この場合には、治療継続することによって状態の改善が期待できると医学的に判断される場合には、算定日数上限の適用除外となるものでございます。
  91. 足立信也

    ○足立信也君 ここの頭部外傷又は多部位外傷というのは、そういう意味ですべての外傷を含んで、医学的判断でこれはいいと思ったら除外になるということですね。そうすると、除外日程ですか、上限を設けた意味はどこにあるんですか。善かれと思って、回復すると思ってすべての外傷なんか今までもやっていますよ。これ、上限日数定めた意味が一体どこにあるのかと。  私、ちょっと心配なのは、自分で言うのもなんですけど、結構医療機関医療従事者って皆さんまじめなんですよ。こういうのが出ると、これ以上やっちゃいけないんだってまず反応するんですよ。そして、それを外来の患者さんへ、こうこうこういう理由でこれからはできないんですといったんみんな説明しているんですよ、全部。それなのに、例えば外傷の例を取ったら、すべての部位はオーケーだと、あとは医学的判断でいいと思えばいいんだと、でも途中で打切りがありますよというのは、これは告示を真剣に見て、正直者がばかを見るんじゃないかという気がしてならない、ちょっと悪い言い方かもしれませんけれども。やはり、これは何のために上限日数を設けたのかということが揺らいできているんですね、今の御答弁で。私はそう思います。  もう一つは、あと日数の問題も当然あるんですけれども、今度、言語聴覚士のことをちょっと行きます、先ほど構音障害、嚥下障害の話もありましたけれども。  言語聴覚士の役割がこれ重視されて、例えば失語症、高次脳機能障害、除外疾患になったのは私はいいと思うんですが、例えばこれに、脳血管疾患で失語症もあり運動障害もあると。除外されたのは失語症ですから、失語症は日数に関係なくリハビリ受けられる。ところが、同じ医療機関に行って、運動器のリハビリは百五十日でおしまいですという事態もあり得る。この点については、同じ医療機関で片や認められるリハビリがあれば、運動器のリハビリも同時にやっていいんでしょうか。
  92. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 失語症につきましては、これは適用除外疾患でございますので、これは算定日数上限は課せられないということでございます。
  93. 足立信也

    ○足立信也君 いや、失語症につきましてはとそれはおっしゃった、それはそうですよ。ですから、脳血管疾患という発症原因が同じで運動機能障害が残っていると、運動器のリハビリが必要だと。それは失語症に関してはオーケーだけれども、運動器は百五十日で終わりですというふうになるんですかと聞いたんです。
  94. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 失礼いたしました。  御指摘の失語症の場合で運動器のリハビリが必要だという方でございますけれども、この患者さんにつきましては、当該患者に行われたリハビリテーションが言語聴覚療法であるか理学療法、作業療法であるか否かにかかわらず、治療継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合には算定日数上限の適用除外となるものでございます。
  95. 足立信也

    ○足立信也君 非常に私は有り難い除外ですね、これも。算定日数の上限を決めた意味がどこにあるんでしょうね。  先ほどの話に戻りますよ。さっき具体的におっしゃったんでしょうか、やっぱり月に一回のレセプト請求のときに医師理由付けをちゃんと書く。そこから医学的判断が正しいかどうかの、あるいは違う言い方ですと査定を受けるかどうかの判断が始まる。その月に一回出すと、そこからスタートなんだと。それはオーケーですか、そのとおりですか。
  96. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) スタートに立つというのがどういう意味かよく分かりませんけれども、診療報酬請求があった時点でそのレセプトに基づいて審査をするということでございます。
  97. 足立信也

    ○足立信也君 私は、算定日数を超えたときの医学的判断のことを言っているんですよ。どうぞ。
  98. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 失礼いたしました。  算定日数上限に到達した時点での医学的判断によるわけでございます。
  99. 足立信也

    ○足立信也君 ですから、例えば、今日、五月三十日ですか、実は算定日数が五月一日で百五十日になったんだと。でも、この三十日間に何回かリハビリ、医師の判断でいいと思ってずっとやってきたんだと。そのことを示すのは月に一回の月末のレセプトで、この方はこうこうこういう理由でリハビリテーションを続けた方がいいと思うことを出すわけですね。その時点まで待てということですか。つまり、その判断、医学的判断でやってもいいかどうかの判断、医師に対して、医療機関に対して、どこでやればいいんですか。
  100. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 診療報酬上の決めの中におきましては、医学的判断は、先ほど申したとおり算定日数上限に達した段階で行われるものでありますけれども、その後においても、治療継続することにより先ほどの状態の改善が期待できるかどうかにつきまして日々適切に医学的判断がなされる必要があると、このようにしてございます。
  101. 足立信也

    ○足立信也君 そこをきちっとやっぱり整理が必要だということを私申し上げているんですよ。今までリハビリを受けてきて、多分改善して良くなってきていると。もっと続けたらきっともっと良くなるだろうとだれもが思うわけですよ、受けている方は。そして、その途中で百五十日が今来たと。でも、もっと続けてほしいなと。医療者側ももっと続けたら更に良くなるんじゃないかと判断する。それで続ける。その月のレセプト請求で説明を書くんですかと聞いているんです。もしそこで査定された場合は、そこで、私は善かれと思ってやったんだけれども、駄目だという判断なんです、もうできませんということになるわけですよね。その継続していいか悪いかの判断は、これは最初の段階では医療機関あるいは医師はもう自分の判断だけで、結果が出るまでは自分の判断でやらざるを得ないと、そういうことですよね。
  102. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 先ほどから申し上げておりますとおり、やはりレセプトに医学的判断、必要があればその判断の基になった根拠を書いていただきまして、審査上の判断が下されると。それに不満があるときにはそれについて返戻をすると、こういったプロセスを経るものと思っております。
  103. 足立信也

    ○足立信也君 一つだけ明らかになったのは、レセプト請求のときにきちんと医師が医学的判断を書くと。結果は、その後は分からないということですね。  資料の下半分のところをごらんください。  これは、病院完結型というのは、これ、いわゆる札幌方式と言われている型です。これ、地域との連携、医療の連携のシステムですね。地域完結型というのは熊本方式。そこに名前を書いておりますが、橋本洋一郎先生。これの、病院完結型と地域完結型、こういうふうに私出さしていただきました。  例えば変形性の膝関節症とかございますね、加齢によって変化してくる。これは同じ病名でも、いったんそこで人工ひざ関節とかした場合は定期的な整形外科医でのチェックが必要ですよね。当然そうだと思うんです。この地域完結型のところを見てください。リハビリ専門病院で回復期リハビリテーション病棟に一か月から五か月、そこで入院してリハビリをする。五か月というと百五十日ですよね。あるいは急性期病院からスタートしたら、この途中でもう上限が来ているわけですね。そしてその後、矢印はこれ、かかりつけ医に行く、あるいは介護施設へ行くのがあるわけですけれども。  何を聞きたいかというと、これ、上限日数算定されて介護へ回りなさいよという方向性であれば、じゃ定期的な、例えば先ほど人工ひざ関節の話しましたけど、手術をした整形外科の病院に行く、そこで診察してもらって、どうも今介護でやっていただいているリハビリは余りうまくないなと、こういうリハビリやったらどうかって指導が加わる。そのリハビリテーションというのは医療機関でやってはいけないんですか、介護で既にリハビリを受けている場合。介護保険と医療保険で同じリハビリテーションをやることはできないわけですね、現状では。定期的に自分が手術をしていただいた整形外科の病院に行って診察してもらって、こういうリハビリやりましょうよって、やってはいけないんですか。おかしくないですか、地域と連携できますか、それで。
  104. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) まず、制度全体の組立てでございますけれども、今回の改定におきましては、限られた医療保険財源を、リハビリテーションにつきましては発症後早期の時点、集中的かつ専門的なところに重点配分をすると。一方で、介護保険との役割分担を明確化するという観点から、症状が固定した後の機能の維持を目的とするリハビリテーションに移行すべきものにつきましては算定日数の制限を設ける、その後、介護保険の認定を受けて維持期のリハビリテーションを受けていただくと、こういう役割分担をしようというものでございます。  したがいまして、個々のケースについて、例えば急性増悪した場合にはまたこれは医療に戻れるということはございますけれども、やはり大きな整理といたしましては、この維持期のリハビリテーションにつきましては介護保険の方にお任せをするということになろうかと思います。  一つ医療機関で全体的に診られないかということでございますけれども、通所リハビリテーションは病院、診療所において行われることが多いわけでございますので、そこが介護サービスの事業者としての認定も受けるということになりますと、発症後早期のリハビリは医療保険から受け、その後の維持を目的としたリハビリテーションは介護保険からそれぞれ受けるということが、一連のものとして行うことが可能であると考えてございます。
  105. 足立信也

    ○足立信也君 答弁内容が大分ずれていると思うんですよ。私が言っているのは、リハビリテーションという治療を受けるのが介護保険で、今、日数が来たら、まあ一定の回復まで得られたら後は介護保険でというお話がございました。介護保険でリハビリテーションを受けている場合に、今度、医療保険でリハビリテーションは受けられないわけですよね。これは確かですよね。だとしたら、六十四歳以下のリハビリテーションが必要な人はどこに行けばいいんですか。介護保険のリハビリテーションは受けられませんよ。それから、今言ったように、定期的な通院で医療機関に行って、そこでリハビリ指導があると、その指導も受けられませんよ。  絵にかいたように机の上ではきれいに、ここから先は介護保険って、それはできるかもしれないけれども、やっぱり患者さんにとっては定期的に、例えば手術をした後なんかは定期的に通院するのが当たり前じゃないですか。そこでリハビリの指導は受けられないということになっているわけですよ。
  106. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 六十五歳未満、介護保険の適用でない方についての扱いがどうなるのかということでございますけれども、そういった介護保険の適用にならない若い方で機能の維持も目的としたリハビリテーションが必要のある場合といたしましては、難病患者でありますとか障害児者の例が考えられるわけであります。そういう方々につきましてはそれぞれ算定日数上限が設けてございませんので、そういった多くの場合、類型につきましてはこういった対応が可能であるということでございます。(発言する者あり)
  107. 足立信也

    ○足立信也君 聞いている人が、何あさっての方向を向いてしゃべっているんだという感じになるんですよね。  私は、併用ができないじゃないかということを言っている。実際できないんですよ、今。でも、患者さんとしては、手術をしたところに行ってきちんとこういうリハビリをしてもらいたいって、教えていただきたいでしょう。それを告示で禁止しているんですよ。そういうことが許されるのかと。  あとは、当然、お年寄りの方も在宅へという方向は私は賛成ですよ。でも、それができるためには、一年のうちに二回とか三回とか、一年に一回とか、短期集中的に病院でリハビリテーションを受ける、このことによって在宅が維持できている人というのは一杯いるんですよ。厚生年金病院の、私、大分ですけど、湯布院厚生年金病院の関係者の方もいらっしゃいますけれども、リピーター率が非常に高い。一年のうち何か月か、あるいは何週間かやることによって在宅が維持できている。この人たちは算定日数の上限で全部切られますよ。在宅の方向に行かないじゃないですか。話、答弁がずれていると思いませんか。併用ができないんですよ。
  108. 山下英利

    委員長山下英利君) じゃ、もう一度答弁してください。
  109. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ですから、そのリハビリテーションを受けるという点で、併用はこれはできないわけでありますけれども、受皿として、高齢者の方であれば介護保険の受皿、それから若い方であれば難病なり身障児者のリハビリテーションという受皿があるので、それで対応していただきたいと。  一つのところで受けられないじゃないかという点については、病院、診療所において、介護保険、医療保険、両方ともできるところであれば、そこがきびすを接して、医療保険のリハビリ、急性期にはリハビリから維持期のリハビリに移るということはできるんではないでしょうかということを申し上げているわけでございまして、患者さんの便宜という点から考えてどうかと言われると、それは欠けるところはあるかもしれませんけれども、制度の組立てとしてはやはりそういうものをしているわけでございます。
  110. 足立信也

    ○足立信也君 私の言っていること、それから現状がやっぱりお分かりじゃない。  例えば先ほど人工ひざ関節のことを言いましたが、そのまま続けますが……(発言する者あり)難しい。ある病院に行って、その手術をしますね。それから、自宅の近くの介護施設で維持リハビリテーションをやるとしますよね。でも、定期的に手術していただいた病院に行ってやっぱり指導を受けたいじゃないですか。それを禁止していますよと言っているんですよ。それから、若い人は難病や障害児であればできるとおっしゃいますけど、先ほど、私、松井選手の話をしたからこれ誤解されたかなと思うんですけど、スポーツで外傷を負った場合は同じことなんですよ、若い人が。  だから、決まり上そうなっているということを私は言っているんですよ。特別なケースはできますよという話をしているんじゃないんですよ。しかも、同じ施設でやれるようになんか、だれも言っていませんよ。私は一言も言っていない、そんなことは。介護と医療のリハビリテーションが併用できないから困ると言っているんですよ。  一つ提案したいのは、やっぱり日数を上限で切るというのは、これは間違っているんですよ。せめて、年のうち何週間はオーケーだとか月に何回はオーケーだとか、その日にちを超えた段階で、ある一定レベルまで達したら月に何回は認めますという形じゃないと無理なんですよ。大臣、どう思われますか。突然で申し訳ないんですけど。
  111. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) お聞きしていまして、かなり込み入った話をされているなと、一つ一つのケースをお尋ねになっているんだろうと思うんですけれども。  要は、若い人たちが介護施設には入れない、だからそれが百五十日超えていった場合はどうであろうかという御質問ですね、今されているのは。それは、もうちょっと局長、しっかり答弁をさせます。そういうふうに私には聞こえましたので。百五十日以上若者が身体回復のためにリハビリをする必要があるという場合にやれないのかと。それはやれる方法があるんだろうと思いますので、それは答弁させます。
  112. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ですから、若年者の場合には、それはリハビリが継続的に必要だと、医学的リハビリが継続的に必要なケースというのはやはり身体障害児者でありますとか難病患者でありますので、それは医療保険の方からサービスが提供されますということを申し上げているわけでございます。  それから、先ほど短期集中的リハビリというものが必要になるというふうに御指摘ございましたけれども、これは、短期集中的リハビリは介護保険では可能であると、このように聞いてございます。
  113. 足立信也

    ○足立信也君 お分かりじゃないと言ったのは、介護保険でのリハビリテーションと医療保険でのリハビリテーションが併用できないと。ここがある以上は、先ほど、医学的判断で認められればそれはできるんですと言っても、介護保険でリハビリテーションを受けているときにはできない決まりになっているわけですよ。そこを言っているんですよ。前向きに改善しましょう。それしかないと私は思いますよ。  こればかりにそんなに時間掛けても、ですが、あと私、リハビリテーションで二つ言いましたね。回復期リハビリテーション病院の入院対象、これやっぱり下腿とか足の外傷が除外されていると。これは高齢者の方が松葉づえを使うほど腕力もない、ということは、ギプスを巻いて車いすで通所リハビリテーションに通えということだと思うんですけれども、これは足といってもばかにはできませんよ。正に寝たきりに近い状態、閉じこもりになりますよ。ここは是非回復期リハビリテーション病棟入院対象疾患に足や下腿も入れてもらいたい。じゃないと、先ほど言いましたように、お年寄りの活力ある老後、自立というのは難しいですよ。答弁は求めません。  それから、介護保険のことなんですが、話を聞いていて、日数制限を加えて、それから先はお年寄り、六十五歳以上の方は介護保険へ行ってくれという趣旨だと思います。  では、現状で介護保険施設のリハビリテーションに携わるPT、OT、十分いらっしゃるとお思いですか。その点だけをちょっとお答え願いたいと思います。
  114. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 現在の理学療法士あるいは作業療法士の従事者数につきましては、介護老人保健施設及び医療施設も含めまして、理学療法士の場合に約八千名、作業療法士約五千名、言語聴覚士千名弱ということでございまして、実際にも通所リハビリテーションとしては六千か所弱でやっております。こうした体制でリハビリテーションを実施しているものというふうに理解しております。
  115. 足立信也

    ○足立信也君 足りてないという認識はもうお持ちなんだろうと思いますし、私、そこで必要なのは、やはり医療機関の専門のドクターとの交流ですね、介護保険施設においても。どういうリハビリがいいのかと、これを是非やっていただきたい。そうすると、医療保険と介護保険でリハビリテーションを同時にできないんだという先ほどの問題にまたぶつかってくるわけです。この連携は是非とも必要だと私は思います。
  116. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 今御指摘の点に関連いたしまして、今回の介護報酬におきましては、介護保険サービスを担う多職種が協働をして利用者ごとの課題の把握あるいは改善に係る目標あるいは計画の作成を一連のプロセスとしてやるということで、そうしたものを評価するリハビリテーションマネジメント加算というものを創設いたしました。  ここにおきましては、先ほどからちょっと御議論がありますけれども、前の病院で実際に治療されていた状況等もスタッフが入手いたしまして、それに基づいてその後の介護保険によるリハビリテーションのマネジメントを考えていくというようなことを評価する方策を取ったところでございます。
  117. 足立信也

    ○足立信也君 連携が強まっている、連携を強めていく方向である、これはもう大賛成です。だとしたら、先ほどの保険上の問題は是非とも解決すべきだと、そのように思います。  次に、医療法のことなんですけれども、ちょっとだけ内臓脂肪症候群、メタボリックシンドローム、このことだけ少しだけ言わせていただきます。  今まで私の前職柄、医学界あるいは医療の世界でこれは常識的だろうと思われることがなかなか政策に反映されない、こういう例は物すごく数多く見てきました。ところが、今回は全く逆。なぜこんなにも早く、まだ医学界で判断も定まっていないメタボリックシンドロームの診断基準、これをなぜこのようにマスコミも取り上げて大騒ぎしているんだと。これはもう全く意外な感じがします。  先週の日本糖尿病学会でも疾患概念としてはまだ定まっていないんだと。それから、招待講演でもあったブリストル大学のゲール博士なんかはメタボリックシンドロームの概念自体に疑問を抱いているというのもあります。これ、何が問題なのかというと、資料では昨年に発表されたメタボリックシンドロームの診断基準という三つ、日本版と、これは国際糖尿病連合IDF、それからアメリカの、右側ですね、コレステロール教育プログラムによるガイドライン、この三つ出しましたけれども、何が問題かというと、疾患という概念の診断基準なのか、将来の予測、予防のための判断の基準なのかがまだ定まってないんですよ、これは。  その例が日本とIDF、これ国際ですね、これは腹位が必須なんですね、これがなきゃいけない。ところが、アメリカはそれ必要ないわけです。これ、なぜかというと、日本は内臓脂肪蓄積型というものの診断基準なんですよ。内臓脂肪蓄積型というためにはCTで百平方センチメートル以上の脂肪がある、それを腹位に換算したら男性が八十五、女性が九十になると、そういう診断基準なんです。これ、予防にも何にも関係ないんですよ、この時点では。ところが、アメリカは将来心血管疾患を発症するための危険要素としてこれだけ挙げているわけですね。これに該当する方は将来発症リスクが高い、そういう予防の概念を含んでいるのはアメリカの方なんです。日本は、これお分かりのように、日本だけ、なぜじゃ女性の腹位が九十センチで男性が八十五センチだと。ほかは全部女性の方が少ないですよね。これは当然、誤解しないで聞いてほしいんですが、女性は皮下脂肪型が多いですね。内臓脂肪蓄積型と診断したら、当然その方は皮下脂肪も厚いから女性の方が五センチ多くなっているんですよ。ですから、内臓脂肪蓄積型という診断基準にすぎないわけですよ。  でも、本来、予防医療というのは私は大賛成ですし、この要素が一つ一つあればやっぱりリスクは高いんですよ。ただ、この診断基準というのは将来の予後予測といいますか、将来の発症予測のための判断基準ではないと、そういう作り方をしているんじゃないんだということはしっかり認識して利用していただきたいと、そのように思います。ですから、先週の糖尿病学会でもこの辺はずっと議論されましたし、四月の内科学会でも我が国の診断基準は、心血管疾患の発症の予測因子にはならなかった、診断基準を満たした人と満たさない人の有意差がなかったという結論が出ているわけですね。だからそれ、使い方ですよ。先ほど言いましたように、審議会や検討会でいろんなデータが出てきて正しいものが一杯ある、でも使い方を誤っているということを私言いたいんですよ。その点だけ指摘しておきたいと思います。  本題に入ります。  良質な医療を提供するため、これは世界的には、高福祉の時代から医療費抑制の時代を超えて、今は評価と説明責任の時代に入っています。これは実際そのとおりです。効果が得られて納得が得られれば資金の投入はすべきだという判断だと私は思っています。しかしながら、なぜ今医療費抑制策が喫緊の課題になるのか、この点がどうも納得いかない。国民が日本の医療に持つ不満の原因の一つ一つを解決していく過程で明らかになった予測、将来、医療費抑制できる部分を抑制していけばいいじゃないかという考え方なんですね。  そこで、川崎大臣、衆議院の厚生労働委員会で、日本は対GDP比で見て医療費は世界的に見ても非常に低いんだと、OECD三十国のうちの二十七番ですか、二十六番ですか、それからG7では最低だと、これは発言されている。しかしながら、一人当たりの医療費が高いとおっしゃっている。ところが、これは物価の違いとか医療費そのものをどういうふうに判断するかということで、一般的には今購買力平価というのを使っています。これに換算しております。それで調べると、OECD三十か国中、日本は十八番目なんですね、一人当たり医療費です。G7で最低なんです。この点は正確に理解しておいていただきたいと私は思います。  そして、ここに、良質な医療というのは何をやるべきかということで、これ、私どもの「崖っぷち日本の医療を救う」という本でございますが、その中で医療の安心・納得・安全法案というものを出させていただきました。衆議院でまだ審議の途中だと思います。この正式な名前は、医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案という名称なんですね。  ポイントは、先ほど、情報の非対称が今問題だと。医療従事者側とその医療を受ける側が全く違った認識を持っている、これを解消しなければ同じ方向性を向いて議論ができないんですね。この情報の非対称をできるだけ解消する、そのことが自己決定のために、自己決定に資することになるんだということが一つ。当然、そこには説明の義務が生じてきます。  それから、患者さんが診療記録の開示や訂正を求めた場合にはそれに応じなければいけない。そして、相談支援センター。これは、患者さんが相談が必要だと思ったときには自分が掛かっている病院以外の医療機関で相談ができるシステムをつくらなきゃいけない。  そして、医療事故。福島県立大野病院のことはありましたけれども、医療事故に対する調査制度をこれは確立しておかなければ問題は解決しないと思っています。不幸にして亡くなった人、亡くなった人に対する最大の生命の尊厳は私は死因の究明だと思っています。  そして、日本で足りないこと、医療機能評価機構というのがありますが、これはどちらかといえばハードの問題で、医療内容そのものを第三者が評価するシステムがないんですね。これがなければ、この国の標準医療確立は難しいし、全体的な医療の均てん化あるいは発展というのは非常に難しい問題だと私は思います。  そこで、時間に合わせてやりますと、まず、ちょっと飛ばしていきますね。今回、政府案でも後発医薬品を推進するという立場に立っておられますね。そこで、医師が処方せんを商品名で書く、後発医薬品に変更してもよいというチェックをする。実際に、調剤薬局、保険薬局に行った場合に後発医薬品に変わる、その変わった医薬品の情報というものはどのような形で処方した医師あるいは医療機関に返るようになっているんでしょうか。その仕組みをお願いします。
  118. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の診療報酬改定によりまして、ただいま委員指摘のとおり、後発医薬品の処方せん様式を変更しまして、後発医薬品に変更して差し支えない旨の意思表示を行いやすくするために備考欄に後発医薬品への変更可のチェック欄を設けたところでございます。  調剤報酬におきまして、幾つか要件がございますけれども、患者の同意を得て後発医薬品を調剤した場合に後発医薬品情報提供料を算定できることとしたところでございますが、この算定に当たりまして、保険薬局には調剤した後発医薬品の銘柄等につきまして当該処方せんを発行した保険医療機関に情報提供することを求めておりまして、実際に調剤した後発医薬品に係る情報がその処方せんを交付した医師との間で共有されるよう促しをしているところでございます。
  119. 足立信也

    ○足立信也君 そのフィードバックの機構をちゃんと指示していることは了解いたしました。  その処方歴というものは、今保存期間は三年ですか、この処方歴というものは診療録と同じように、そこで処方内容が変わるわけですから、同じような重要な役割、意義を持っていると思います。となれば、診療録の保存期間と同程度、同じ期間の処方歴の保存が必要だと私は考えます。  と同時に、薬害エイズ、あるいはC型肝炎のこと、それからアスベストによる中皮腫、肺がんのことを考えると、診療録の保存期間を、五年とありますけど、更に長い期間が必要なのではないかと私は思います。  その二点、処方歴の保存期間診療録の保存期間の延長はどうか、その点をお答えください。
  120. 福井和夫

    政府参考人(福井和夫君) お答えいたします。  医師診療録、それから薬局におきます処方せんの保存につきましては、医師又は薬剤師が行った行為につきまして事後に確認ができますよう、それぞれ一定の保存期間を設定いたしまして保存を義務付けているところでございます。  具体的に申し上げますと、医師診療録につきましては、診療に関する事項全般を記載したものでございまして、患者に対しまして行いました、処方した医薬品等、診療内容等を確認できるよう五年間の保存義務を課しているところでございます。  一方、薬局が保存をいたします処方せんにつきましては、これは保存期間を三年といたしているところでございますが、診療録には、先ほど申し上げましたように、処方した医薬品等も記載をされておりまして、これが五年の保存期間とされているということもございますので、この処方せんにつきまして保存期間を五年に延長するということは、その必要はないものと考えております。  それから、委員指摘のように、医薬品につきましては、血液製剤等を対象にいたしまして、一定の潜伏期間にも対応できますよう、平成十四年の薬事法改正によりまして、これを取り扱います薬局や医療機関がその患者の氏名、住所、医薬品の名称、製造番号等の記録を二十年間保存することを義務付けをいたしまして安全確保を図っているところでございます。  このように、血液製剤等につきましては診療録や処方せんの保存とは別に必要な事項を保存する仕組みを設けているところでございまして、この点からも、処方せんにつきまして、その保存期間が延長するということの必要はないものと考えております。
  121. 足立信也

    ○足立信也君 最後に、資料説明だけしておきますね。  最後の、「費用の心配をあまりせずに診療が受けられること」というのがどんどん不満が多くなっています。「病気の予防や健康相談・指導が容易に受けられること」、これが不満がどんどん増えております。これは国民生活選好度調査、内閣府の行ったものです。医療費を抑制し過ぎると、それにまた自己負担の増加が加われば健康格差を助長します。健康格差に対しては公費をまた負担しなければなりません。結果的に医療費は上がっていきます。これは世界が経験してきた本当の経験則です。この誤った道を日本がたどらないように十分な審議をしていきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  122. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。  冒頭、大臣にちょっと申し上げておきたいと思います。例の社会保険庁の国民年金の保険料の免除の不正手続の問題でございますけれども、かねがね監修料やいろんな労働局の問題等、厚生労働省にまつわる不祥事等々多くございましたけれども、いまだにそのような形であることは誠にざんきに堪えないところでございます。  私、常々思っておりますけど、厚生労働省というのは非常に生活にかかわる重要な役所で、私など応援団になっているつもりではございますけれども、しかし非常に閉鎖的で独善的で、大きな目的というものを忘れてしまっているというふうなところをいつも感じます。唾棄すべき体質があると、このように思っています。  大臣におかれましては、的確にポイントを押さえて対応され、発言されてきているというふうに私は思っていますけれども、昨日は坂口前々大臣がテレビで大臣にも役所は言わないことがあるというふうなこともおっしゃっていましたけれども、やはり社会保険庁のみならず、厚生労働省全般になりますけれども、とりわけ当面社会保険庁のこの問題についての徹底した真相究明、また善処というもの、また法案自体の見直しということも含めて御対応あってしかるべしと、このように思うわけですけれども、大臣としての決意を一言お願いいたします。
  123. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 今回の問題は、結果として国民に、社会保険庁はともかくとして、年金全体に対する不信を助長することになったと、そういう意味では誠に残念に思っておりますし、申し訳なく思っております。  問題点は二つあると思っておりまして、一つは、基本的に法律規定されていない、すなわち免除は書類による個人の申請、この法律にのっとった行動がされなかった、処理がされなかったと、これが一つであります。  もう一つは、物事が、三月時点で京都の問題が分かりました後、四十七都道府県の中で、その時点で手を上げた、すなわち私のところに問題がありますということで届出があったものもありますけれども、昨日発表しました中の残念ながら半数以上のものが何回もの問い合わせに対して答えずに隠ぺい体質を持っていたと。この二つの問題をしっかり解明しなければならない。  いずれにせよ、私の方から局長を始め職員に申し上げておりますのは、事実を明るみにすることがまず大前提であると、その上でしっかりとした判断をしていかなければならないと。そういう意味では、今事実解明に全力を挙げてまいりたいと、このように考えております。
  124. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これは二年前の年金法案の審議の延長線みたいな話で、法案自体そうですし、その今度の事態もそうなんですけれども、やはり厚生労働省厚生労働委員会としてもやはり重要な関心を持って取り組むべき課題だと思いますので、委員長におかれまして、是非この問題について、この委員会においても説明を受け、また質疑ができるようにお取り計らいいただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  125. 山下英利

    委員長山下英利君) 理事会で後刻協議をいたします。
  126. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 健康保険法の一部改正する法律案につきまして、関連して基本認識並びに法律の問題点等についてお伺いしたいと思うわけでございます。  皆さん方には資料をお配りいただいているようですが、これは厚生労働省から提出していただいた資料ですけれども、後ほどそれについては言及しながら御質問をしたいと思っております。  なお、振り返りますと、年金のときも私も二回質問させていただきました。昨年の介護のときも二回質問させていただきましたけれども、やはり医療も非常に膨大な内容を含んでいるものでございます。二回といわず三回やりたいところでありますけれども、今までの年金の審議、また介護の審議以下で終わらせるようなことがないように、このことについては是非委員長始め皆様方にも申し上げておきたいと、このように思うわけであります。  そこで、まず、大臣に、社会保障政策、医療政策についての基本認識を簡潔にお伺いさせていただきたいと、このように思うわけでございます。  まず、昨今、財政制度審議会あるいは経済財政諮問会議等において社会保障の更なる見直しが不可避であると、こういったトーンが出ているわけでございます。  そこで、具体的にお伺いしたいと思うんですけれども、三割負担、医療の自己負担、この三割について、私はこの三割というのは維持されて当然だと思いますけれども、経済界、財政審の試算なんかではもっと上げようかというような流れがあるわけですが、この点についてどうなのか。今回はそうじゃないというよりも、今後どうなのかということをお伺いしたい。一言で、簡単でいいですから、お願いします。
  127. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 三割負担をこれ以上上げるという議論は直接的には私にもありませんし、私は考えておりません。
  128. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 是非その線でお願いしたいと思います。  それから、年金給付についてですけれども、これも財政審の資料等では、六十五歳給付を上げるとか年齢引き上げるとか、あるいは今の所得代替率五〇%をもっと見直して低い方向に持っていくとかいうふうなことも含めての提案もあるわけですけれども、これとて、二年前に百年安心ということを打ち上げたわけですから、そんなほいほい変えられたらやってられないわけで、その点についても、その基本の部分は今後とも堅持するということだと思うんですけど、いかがですか。
  129. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 当然、二年前に年金の改正をいただいて、そして、先週だったでしょうか、財界関係もお入りの在り方懇で、最終、私ども結論を出したつもりでございますので、これは年金制度は基本的には堅持されるもの、ただし一八・三%についてもいろんな方々の御理解をいただいたものと、こう考えております。
  130. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 もう一点、昨年の介護ですけれども、これを二割にしようという話もありますね。この点はどうですか。
  131. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 今回の療養病床を老健施設を中心とした介護保険の方にということからすると、療養病床へ入っていったら一割負担で、介護保険の方へ行ったら二割ということで、極めて整合性のない御意見だなと、こう思っております。
  132. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それは結構だと思います。  それで、昨年十月に内閣府が行った世論調査があって、それは大臣の方にもお手元に多分行っていると思いますけれども、昨日渡しておりますので。その資料、それで国民の意識調査を見ますと、こういうのがあるんです。たとえ現役世代、将来世代の税や保険料の負担を増やすこととなっても、社会保障制度はより充実を図るべき、二二%。たとえ現役世代、将来世代の税や保険料の負担を増やすこととなっても、社会保障制度の現在の水準はできるだけ維持すべき、四四・四%と。  ですから、七割近くが負担を増やすことになっても、社会保障制度の水準は維持、充実せよと、こういうお考えだということになるんですね。ここは、何も負担を是非やってくれということではないわけですけれども、そこにある根底は、やはり社会保障の水準というものをそう簡単に下げないでくれよと、維持、充実の方向で取り組んでくれよということだと私は思うわけでございます。  そういった意味で、負担も常に裏腹ではございますけれども、時によっては負担を求めなきゃならぬということはあり得るわけでございますけれども、しかしこの根底にある社会保障の基本の部分を低下させるなというこの意思は是非しっかり踏まえていただきたい。今具体的なことでそのことにつながっているわけですけれども、その点について御決意をお伺いしたいと思います。
  133. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) これも前に申し上げたと思うんですけれども、年金制度改革の中で三分の一から二分の一、基礎年金の国庫負担を上げる、したがってそのための財源で二兆七千億程度の財源が平成二十一年ですか、必要になってくるという前提の中で、平成二十一年に必要になってくるという議論の中で、当然財源というものをしっかり私どもは見付けなければならない、措置しなければならない責任を負っておると思っております。  したがって、厚生労働省としては、また私自身としては、消費税の問題に正面から話をしていきたい。もうこれ以上給付の方を下げるという話ではなくて、今言われたとおり、社会保障制度というものをしっかり守りながら、国民の皆さん方に正面から負担というものを話をしていかなければならない時期に来ていると、こう思っております。
  134. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 大臣は、そのことについては今までもおっしゃっていて、二十年度までにこの消費税の問題について一つの結論を得ないと約束は実行できない、すなわち二十年度の通常国会に出すと、こういうようなおっしゃり方だと思うんですけれども、そういうことをお考えだということですね。
  135. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) これは、財務大臣と私、何となく方向性は一緒でございまして、閣内でやはりしっかり議論していかなきゃならぬ問題であろうと思っております。
  136. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 いや、これは前、二十年度にというふうにおっしゃっているんですけれども、二十一年度から、その国庫負担の分があるから二十年度までに結論を出さないといけないというふうに明確におっしゃっているんですけれども、それ、そういうお考えですね。
  137. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 何回か、記者会見も含めて申し上げていると思っております。
  138. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 いや、記者会見をされたというのはそれは分かっているんです。そのときおっしゃったのがそういうお考えかどうかを確認しているんです。
  139. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 今申し上げたと同じことで、二十年には税制改正をしなきゃならぬだろうと、二十一年にはきちっと年金負担、国庫負担を上げなきゃならぬと、こういうのが私どもに課せられた課題、こう整理いたしております。
  140. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 もう一つ医療に関する基本的なことで確認しておきたいと思うんですけれども、私は、日本の医療制度は、医療保険制度、非常によくできた、基本的にはよくできていると思っていますけれども、そのとりわけポイントとして、皆保険であること、フリーアクセスであること、そしてまた現物給付であることと、この三つがやはり私は非常に大きなポイントだと思っています。  いろいろ個別のことで、すべてが一〇〇%それだということはない、あり得ないかもしれませんけれども、基本的にこの方針というのは堅持されるべきだと思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
  141. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 今言われました皆保険、フリーアクセス、現物給付、良質な医療を受けられるという前提でございますので、当然これを維持できるように努力するというのは私どもの仕事だろうと思っております。
  142. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これまでに、よく経済成長率等の議論がございました。総額管理という考え方でもございますけれども、これにつきまして尾辻前大臣は明確に、そういったことは不適切であるというお考えを出してこられたわけです、ペーパーにも出してですね。  その点について大臣のお考えを、そのときのと同じなのかどうか、お伺いしたいと思います。
  143. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) これは、昨年ですか、この医療制度改革全体を政府・与党内でまとめるときに、その前段の財政諮問会議で、総額管理といいますか数値目標といいますか、そんな議論がされたことは事実でございますけれども、私どもは、人口構成が大きく変化していく中で、GDPなりGNPなりの伸び率に合わせながら医療費を管理していくことは不可能であるということを申し上げました。一方で、経済が悪くなったら医療費を下げろという議論も少しおかしな議論であろうと。  やはり社会保障がどうあるべきか、国民の医療がどうあるべきかというスタンスをまず持ちながら、一方で財政的な制約があることは事実です。しかし、そこを加味しながらやっていくのが我々の仕事であって、初めから総額管理的なものについては反対でございますと、こう申し上げてきました。  今年の一月でしょうか、与謝野大臣とテレビに出ましたときも、与謝野大臣の方からも、たしか、やっぱり人口構成の大きな変化の中でというお話をいただいたと思っておりますので、そういう意味では、与謝野大臣にもこうした考え方は十分御理解をいただいているものと私自身考えております。
  144. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 もう一点、保険免責制度についてですけれども、谷垣財務大臣は、さきに導入に前向きなお考えも出してこられているわけでございます。  保険免責制度についてはいろいろと御議論もありますけれども、私自身、委員会でも申し上げましたけれども、やはり低所得者への影響とか受診抑制、そういった悪影響というのがやはり大きくあると思いますので導入すべきでないと思っていますけれども、財務大臣がそういうお考えのようではありますけれども、しかしそれは、お親しい間柄とはいえども、やはり厚労省の立場でしっかりと物を申していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  145. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 政府統一見解としては、このことを議論することは否定してはいないという統一見解なんだろうと思いますね、あえて考え方を申し上げれば。  しかし、私の立場からいえば、保険免責制度を導入することについては、今は検討すべきではないという立場であります。
  146. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 是非その線でお取り組みいただきたいと思います。  それで、先週金曜日に、平成十八年五月ということでの社会保障の給付と負担の見通しが提出されました。それについての議論というのは、また深めてやらせていただけたらと思いますけれども、一つのポイントを指摘し、それについて御見解をお伺いしたいわけですけれども、実は、十六年五月の推計があり、今般の十八年五月の推計になっているわけでございますけれども、ここで決定的な違いは二〇二五年度というものの位置付けでございます。  十六年度のときは、普通の見通しと、二〇一五年と二〇二五年を同等に置かれていたわけですけれども、今回の場合は、二〇二五年が一つ線を置いて、参考ということになってしまっているわけですね。  しかも、社会保障に係る負担の保険料負担と公費負担の部分が、十六年五月の二年前のときは内訳もしっかり試算されていたにもかかわらず、今回はされていないわけなんですね。それとの連動で、二年前には被用者、サラリーマンの社会保険料率の見通しというもので二〇二五年のものを出しておられた。二年前には明確に出しておられたんですけれども、今回はそれを出しておられないということなんですね。  常識的に考えれば、二年たっているわけですから、より近くなっているわけですから、出して当然な話で、二年前に出せたものが二年たって出せなくなったということは、これは極めておかしなことだと思うわけでございます。  そういった意味で、しっかりと、この点も大事なポイントで、本当はこういうことも踏まえて議論がなされるべきはずだったと思うんですけれども、是非出していただきたい。その点、次の質問のときまでに出していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょう。
  147. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 大臣と辻委員との間でテンポの速いやり取りがありましたので、ちょっと役者を替えまして、私の方から答弁いたします。  今御指摘の、二年前の平成十六年五月の社会保障の給付と負担の見通しでは示せたものが何で今回は出さないのかということでございますが、当時議論された、もうよく辻委員御存じのように、年金改革を踏まえた将来見通しであって、医療保険制度については、既存の制度がそのまま存続するものとして平成三十七年、二〇二五年につきましては機械的に計算した数値を示したと、こういうことでございます。  今回の将来の見通しについては、今回のこの医療制度改革を踏まえたものであるんですけれども、今回のこの医療保険制度改革では、新しい、午前中の議論でもありましたが、高齢者医療制度を創設するという制度の枠組みを大きく変える内容であるということ、また後期高齢者医療制度等については施行後五年をめどとして見直しを検討することとしている。こういったことから、前回の将来見通しとは異なる事情がある、事情の変化があるということで、将来の見通しとしてお示しすることは適切ではないということで、いわゆる目安としての指標を示しているということでございまして、二〇二五年度の数値の取りまとめは行わないと、こんなふうにしたわけでございます。
  148. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 同郷の先輩に言われるとちょっと収まってしまうようなところがあるんですけれども、それはまあ別にいたしまして。  しかし、やはり二年前は医療保険制度の改革はその後に控えていたわけです、そのときに出していたわけです。今おっしゃったように、制度を大きく変えようとしていると、それから五年後もあるとおっしゃるけれども、それよりはより小さいはずですよね。将来に予想されるより大きな変動があり得るときに出していながら、それより恐らく相対的には小さいものであるものがあるからできないというのは、これは論理的におかしいと私は思います。  これについては、私はやはり大事な問題だと思いますので、是非提出していただくようにお願いしたいと思いますし、委員長、私、実はこれは二年前には出ているんですよ、二年前の同じ資料には、給付と負担の見通しにはね。ですから、これは当然出てしかるべきものだと思うんです。ですから、その点について是非協議していただきたいと思います。お願いします。
  149. 山下英利

    委員長山下英利君) じゃ、理事会で協議をいたします。
  150. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それから、総論的なところであと二つ聞いておきたいと思いますが、大臣にお伺いしたいと思います。  医療にもかかわることではありますけれども、社会保障全体にかかわることですが、いわゆる潜在的国民負担率です。これについて尾辻大臣のときに基本的なお考えを出されていて、数値目標として定めることは不適切であると、こういった見解出されておったわけですけれども、それについてのお考えは変わらないでしょうか。
  151. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) たしか、潜在的国民負担率については坂口厚生労働大臣のときでしょうか。
  152. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そうだと思います。
  153. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) そうですね。
  154. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それで、尾辻さんにも確認したことがあります。
  155. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) そうですか。  このことについては、潜在的国民負担率の水準については、少子高齢化が進む中で財政規律を考える上で一つの重要な目安と位置付け、社会保障分野の改革努力を続けていくことが肝要である。他方、専門家の間も、その増大が経済成長等に与える影響について明らかになっているものではなく、また財政支出が一定であっても、間接税の割合が増大するなど直間比率が変わるだけで国民負担率の値が変化するという指摘などあり、その在り方自体について議論があると。  いずれにせよ、社会保障全体の在り方を議論するに当たっては、その負担の規模のみを論ずるではなく、これと表裏一体の関係の給付の在り方も併せて考える必要があり、幅広い国民的な議論が必要であると、こういう基本的な認識を示したんだと思いますけれども、先ほどから議論させていただいておりますとおり、初めからこの数字の枠内でやれと、はめてやるというものではなかろうと、このように思っております。もちろん、財政規律というものがあることは十分承知しながら、国民の医療なり年金なり介護なり福祉というものはどうあるべきかと、一つ一つを吟味をしながら国民的理解の中でやっていくべきだろうと、このように思っております。
  156. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 もう一点、将来推計人口の公表を早められるというお話がございますけれども、そういう御指示を出されているんでしょうか。
  157. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) これも委員会で、たしか衆議院で御質問いただいて、今年の予算をめぐっても様々な議論があるであろうと。したがって、通常ですと来年の年始になるんでしょうか、しかしながら、少しでも早くしてほしい、そのための作業として国勢調査の確定値をもらう必要があります。これは、私の方から竹中総務大臣に、なるべく早く出してくださいと、なるべく早くやりたいということで要請をいたしておりますので、何とか今年の秋にできるだけ出すように努力をしたいということで担当にきつく言っているところでございます。
  158. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それは、是非そういうお取組をお願いしておきたいと思います。  それで、今回の医療制度改革等々の議論の一番初めによく言われる国民医療費の将来推計について、私も前に大臣ともやり取りいたしましたけれども、今日は保険局長にちょっと確認をしておきたいと思うわけでございます。  それで、よく議論になっていて、平成六年の福祉ビジョンのときの百四十一兆から説き起こしていろいろと御議論があるんですけれども、私、実はそのころからこの問題にある程度かかわって、かかわってといいますか、自分なりに取り組んできたところございまして、国民医療費が今三十兆ですけれども、二十兆のころの国民医療費は中がどうなっているかというのを制度別国民医療費のいろんな分析をしたり、また将来推計もちょっと手掛けたことがあるんですけれども、その経験から見ても、私は厚生省をよいしょするわけじゃないんだけれども、現実問題として将来を見据えたときに、一人当たり医療費と人口の変動と、その要素で掛け合わせていくという、このやり方で見るしかそれ以外に手だてないんだろうと、私は率直に言うと思っているわけなんです。だから、そういう意味では、実はいろんなところでそのことについて言われたとき、実は、別に私、厚生省の応援団ではないんだけれども、そのことを説明しているような状況があるわけなんです。  ただ、その立場ではあれども、やはり今回の試算の、平成七年から十一年度実績平均をベースにしているということは、やっぱり余りにも、まあ不可思議なことであるというか、やっぱりおかしなことであると。常に直近の三年なり五年なり七年をやってきたわけですよね。  この間の局長答弁でも、平成六年のときはトータルとすれば四・五%の一人当たり医療費の伸びで、今が二・六であると。それをあのときから、一九九三年からになりますかね、二〇二五年までの三十二乗すれば、一・〇四五の三十二乗と一・〇二六の三十二乗であれば、そこは七十兆と百四十兆ぐらいの違いになるよと、ちょっと厳密には分かりませんけれども。それは八割はそのことで説明できると、二割は足下の制度改正に伴うものだと、こういう御説明だったと思うし、それはそれなりに理解できることなんですね。  要は、私は、今回の試算のおかしさは、私から見て、もう一つ言っておくと、百四十一兆も、私は、大臣が間違っていたとおっしゃったけど、私は間違っていたとは思わないんです、あの時点でそのまま放置したらそうなったということでしかないし、それ以外のものはないわけなんですね。だから、私、財政だって、私、財政の推計などもやってきていましたけど、今からもう二十五年前です。昭和五十四年度のときの五十九年度、五年後の税収なんというのは毎年七兆円以上伸びるという、そういうときがあったわけですね。それで、GDPが一〇%、一二%で、弾性値が一・二で、税収が一二、三%伸びるとか、そんなことが別におかしくない状況だったときはあるわけなんですね。それと同じようなことで、それはそのときの直近のものを使ってやるしか人間にはできないんだろうと思うし、それ以外のことがあったら教えてほしいけど、それは寡聞にして教えてもらったことはないわけなんです。  私は、そういう意味において、この議論というのは、突き詰めたところ、なぜ直近のを使わなかったのかと、そこに尽きるわけなんですね。実はそれができないのかといったら、やっているわけなんですよ。  厚生労働省は、国民医療費の増加率の要因別内訳というのを出していて、それには十一年度以降の、十二年度、十三、十四、十五、十六年度の制度改正での影響、伸び率の要因分析をちゃんとしているわけなんですね。これ、その他の増というところあるわけなんです。だから、それできているわけですよ。ただ、これはトータルとしてのやつだから、個別に少し細かにやっていかなきゃいかぬということはあるはずですけれどもね。しかし、やろうと思ってできないわけじゃないということがここに示してあるんですね。  水田さんは、二月の二十四日の衆議院の厚生労働委員会の答弁の中で、今の伸び率についてですけども、同じ一人当たり医療費と人口の変動によって掛け合わせると、こういうことをおっしゃった上で、結果としての伸び率は三%程度、あるいは三から四%程度ということになるわけだけれども、これは現に平成十二年度以降の制度改正がなかった年の医療費の伸びというものを見ますと、大体そういうことにも当たっているわけでございまして、それほどあながちおかしな数字ではないと思っておりますと、このようにおっしゃっているわけなんですね。  このあながちおかしな数字ではないというのは、まあおもしろいんですけども、これは、この意味を教えていただきたいんですけど、あながちおかしな数字ではないというのは、かなりおかしいけれどめちゃくちゃではないということなんでしょうか、これは。
  159. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) これは、委員も御指摘のとおり、医療費の将来推計というのは内外を通じて確立した手法はないわけでございまして、その意味で私ども、足下の医療費を置き、それから過去の一定期間の一人当たり医療費の伸び率を用いて計算をしているわけであります。  あながちというところにいきなり行くのも何でございますけれども、結果として若人につきましては一人当たり二・一%、高齢者につきましては三・二%、合成しますと二・六%の伸びということでございますが、この数値につきまして直近の診療報酬改定もなかった時期の自然体の伸び率と照らし合わせまして、これ三から四でありますので、妥当であると、この二・一、三・二、合成して二・六%という数字を用いることが妥当ではないかということで、あながちという表現を使ったものでございます。
  160. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 だけど、もう一つその要因別内訳で出していらっしゃるわけだから、そこはできたはずなんです、もう少し踏み込めばね。やはりそれをしてでも私はその直近の数字を使うべきだったと、このように思っているわけなんです。やはり余りにも見掛けから、十一年度までの五年間ですか、その七から十一のを使うというのが素人的に考えてもやっぱりおかしいんじゃないというのが常識的なところなんですね。  だから、なぜその努力をして直近のやつを、想定ではあるけれどという前提で使わなかったのか。そしてまた、それはある意味で比較してですよ、同じぐらいだからこれでいいんだなという検証は、それは内部的にはされるでしょうけどね、そうであるべきだったという、そのことなんです。
  161. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) なぜ測定期間を平成七年から十一年にしたかということでございますが、これは前回お答えしたと思いますけど、平成十二年には介護保険制度の導入があったということ、平成十四年には健保三割負担の導入と、そのほか高齢者の患者負担につきましても様々な制度改正があったわけでございます。その意味で、大変制度改正がふくそうしているわけであります。  制度改正のいろいろ医療費の要因分析いたしますけれども、そのときに、ある一つの制度改正がどういう影響をもたらしたかということは、まずその制度改正を行わなかった時期があって、そのときの医療費の伸びと、それからその制度改正を実施した後の医療費の伸びを比較をして、その影響がどうだったかということを計算しているわけであります。通常の、通常のと申しますか、制度改正が頻繁でなければ、例えば一年間、制度改正を実施する前の一年間を取って、その後の一年間を取って、それぞれ比べて影響を出すという仕方で比較的安定した数値が取れるわけでありますけれども、制度改正がふくそうしておりますとその測定期間が必ずしも取れないということが出てきます。  したがいまして、非常に精度が低いといいますか、信頼の置ける分析が困難ということがございますんで、確かに私ども、医療費の伸びの分析の努力はしておりますけれども、それは医療費の将来見通しを行うという目的のためではございませんで、むしろその自然増の部分と経済成長がかかわりなくやはり医療においてはあるんだということを見るために、要するに別の目的のためにこういったこともしたわけでございまして、精度の点から見ておかしいということでございます。
  162. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 先ほど言いましたように、現に介護保険移行後のその影響、それから制度改正による影響というのを出しておられるわけなんですね。その残りのその他の増ということで、目的が違うとおっしゃるけれども、じゃ、今度のための目的にやればいいわけですからね。  その点については、やはり私は、今回のことは、実は結論的にはそれこそあながち違うものじゃないのかもしれませんけれども、しかし、やはり前提としてとらえている数字というものをやはり私は問題があったというふうに指摘しておきたいし、是非直近の数字を使ってやれるように、制度改正のその除去をする技術も磨いておいていただきたいと、このように申し上げておきたいと思います。  それから、同時に、いつも今回の議論でも医療給付費でとらえているところがあるわけですけれども、やはり一部負担、患者負担の部分がトータルとしての国民医療費になっているわけで、やはり本来はそこに着目をしてその中で考えていくべきことであるにもかかわらず、医療給付費がずっと走っていて、私、予算委員会で質問する前までは国民医療費が出てなくって、医療給付費五十六兆で、国民医療費六十五兆そのとき教えてもらいましたけどね、それぐらい国民医療費というのが後になっている。そのこと自体が、公的財政というものがかかわる部分だけ追っ掛けていてそこからすべてを考えているということの証左でもあるというふうに私は思います。  そういった意味で、やはり国民医療費というトータルでとらえると、国民医療費自体も対象はどうかという議論はありますけれども、しかし、ともかく医療給付費でとらえるのではない、国民医療費全体でとらえると、この姿勢を持ってやっていただきたいと、このことを申し上げておきたいと思います。  それから、次に移らせていただきます。  私自身は、医療のことというのは非常に大事なものだと思って、社会保障共々一つの私の政策的なライフワークだと思っていますけれども、実は十年ほど前に私自身が物したものがありまして、そこで書いていることをちょっと申し上げたいと思うんですけれども。  本来、国民の健康回復、保持のためにこそあるべき医療は、必要に応じてすべての国民が等しく他の要因からは何の制約もなく質量ともに最適かつ最高の給付を最適時に受療できることが理想であり、求むべき姿でもある。しかしながら、我が国医療が国民皆保険制度の下にあり、あらゆる医療給付が最終的には国民負担につながるものである以上、国民負担の総量により規定される財政の面からの制約を受けることは必然やむを得ぬものであり、その限られた条件の下において国民にとり最良の結果をもたらす選択肢を導いていくことこそが政策担当者の責務であろうということを、実は一九九六年八月に、全くだれの目にも触れませんでしたけれども、私が書いた論文の中にちょっと書いておるわけでございます。そのときの私なりの考え方、それ、ほぼ変わっていないということになるわけでございます。  そこで、そういった立場から今回の改革というのを総合的に見せていただきますと、私の立場では、一つの側面として、やはり改革なき負担増ではないかという側面が一つ、それからもう一つは、医療提供体制の充実が不十分であるということ、このことをまず総論として申し上げなければならないと思うわけであります。  ただ、一定の評価はすべきと私自身思うことは、これは私個人の見解になるかもしれませんけれども、都道府県の責任を明確化していこうということは、私はそれなりに評価すべきものである、今まで余りにもその部分が明確でなかったということがあると思います。知事さんも、はっきり言って全然その辺の意識がない方が多かったということがあったと思います。  それから、健康保険と言われながら実は医療保険になっているじゃないかと、健康の部分が忘れられているじゃないかということがかねて言われてきたわけですけれども、そういった意味での健康重視、健診重視という姿勢というのを私は一定の評価はできると思って、やり方はともかくとして、また議論するにしましてもですね。  それから、これもいろいろ議論はあるかもしれませんけれども、やはり医療あるいは医療保険も聖域ではない。やはり見直しやいろいろチェックというものは、それはあってしかるべきことであると。そういう意味からの、言葉はともかくとして、医療費の適正化といいますか、そういったものの模索というものはそれなりに必要なことだと思っているわけでございまして、そういった面でのことは、私はそれなりに評価すべきものもあるかと思います、方向性はともかくとしてですね。  しかしながら、私として反対するポイントとしては、今回の改革に向けて、あれだけ国保の部分についての一元化ということを坂口大臣のとき以来ずっとおっしゃっていたにもかかわらず、国保の一元化に向けた抜本改革というのは全く今回はないわけでございます。それと連動して、未収金対策というものもない、財政基盤が全然確立されていない国保であるわけでございます。  もう一つのポイントは、老人保健拠出金、退職者給付拠出金等の被用者の部分の保険者並びに被保険者からの不満といいますか、右から左に保険財政の三割、四割いってしまうという、この部分についての不満を払拭する、そのことが若干の御努力のかいが見えなくはないんですけれども、しかし本質的にそれに至っていない。後でそのことを議論したいと思いますが、その点もやはり問題点として残っていると思います。  それから、IT化、包括化、ジェネリック等々、いろいろなお取り組みもありましたけど、実は当初言っておられた割に進んできていない。もちろん、それぞれ固有の克服すべき課題もあるわけですけれども、しかし、そういうこともしながら進めてこられるのが、遅々として進んでこなかったじゃないかということがあるかと思います。  それから、たばこ税の増税などはある程度許容すべしということを私ども申し上げましたけれども、そういったことも対策としては十分入っていないということを言わざるを得ません。  また、医師の不足、偏在について、医療対策協議会に丸投げするだけで国としての答えを出していないというふうに私は思わざるを得ないし、医療スタッフの労働環境改善などについての答えも出していないと、このように思わざるを得ません。そういった意味では、私としては、トータルとしてはやはり反対せざるを得ないというふうに私個人の考えとして思っているわけであります。  そこで、近年、高齢者の負担というものが非常に連続して求められているということがあるわけでございます。この二年ぐらいを振り返っても、それ以前もありますけれども、この二年だけを見ても、年金課税の強化があった。介護保険料の引上げがあった。年金課税強化に伴う介護、国保の保険料の引上げが今日も進められようとしている。定率減税の廃止がある。そして、今回の医療費の負担増があると。こういうことでございまして、本来、今回の審議に当たって、この厚生労働省がかかわったいろいろ制度改正に伴うそういった年金生活者等々にかかわる負担がどうなっているのかと、これらを加味した分析の提示が所得階層ごとにあってしかるべきだったと私は思っておりますけれども、それが残念ながらそういった形で提示はされていないわけです。  ただ、断片的にいろいろと伺ってみますと、例えば、単身の高齢者の方だと十七万ぐらいの年金額で年額七万二千円ぐらいの負担になるとか、二十万ぐらいの年金の高齢者の単身だと年額十二万ぐらいだとか、あるいはまた別の試算を見ますと、夫が二百五十万、妻が八十万の年金生活だとした場合には十万ぐらい年額負担が増えるとか、こういうことがあるわけで、それも本当は厚労省としてしっかりといろんな種類を出していただきたかったと思いますけれども。  いずれにしても、この近年、高齢者に対して非常に負担が増えてきている、そして今度の、今回の一割から二割の負担である、また現役所得並みの方には現役の三割負担を求めると、こういうことになっているわけですけれども、非常に連続して短期間に負担を求めているということについて、非常にやはり私は短期間に求め過ぎだということを思うわけでございます。  とりわけ、罹患率が高い健康弱者という、性格といいますか、そういった特質があるわけですから、現役並み所得者に現役並み負担ということを求めていいのかという、その点についての合理性も問われるべきだというふうに思うわけであります。  そういった意味で、大臣一つお聞きしたいのは、近年のこの高齢者に対する負担の急増といいますか、まあラッシュですね、このことについてどうお考えか、御判断、御見解をお伺いしたいと思います。
  163. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 社会保障を取り巻く全体の環境は、何回もお話し申し上げましたとおり、我々団塊の世代に生まれた者が、来年でしょうか、六十歳、一般的には定年を迎える、六十四からになりますけれども、年金支給、そうしたものを迎える段階を迎えている。そういった意味では、社会全体で社会保障に対する負担、できるだけ公平に分かち合っていただかなきゃならぬと。  そういった中で、一昨年は年金問題につきましてはマクロスライド、一方で若者には負担増と。また、国の方は三分の一から二分の一負担へという形で、いろいろな形で御協力をいただきながら、また国もこれから国民に語り掛けながら、年金制度が持続可能なものにしていかなきゃならぬ。  医療についても、そういった意味では、今度は若者と同じような負担を高齢者の皆さん方にも所得がある方々にはお願いをするということで、そういった切り口からすれば、負担が少なくなってくる面が全然ないじゃないかという御指摘だろうと思いますけれども、やはり社会全体が高齢化の中に向かっていく中、お互いで支え合うという社会をつくらなきゃならないと。そういう意味では、御理解をいただくように私どもしっかり語り掛けていかなきゃならないと、こう思っております。
  164. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 正に日本の戦後の廃墟の中から今日の日本をつくってこられた世代の方々がそういった年齢に達していらっしゃるわけですけれども、私は、非常に短期間で急激な負担を求めているという部分について非常に冷たい対応になっていると思いまして、民主党としてもこの点については反対をしているわけですけれども、私としては撤回すべきだと、このことを申し上げておきたいと思います。  それで、次に保険料率についてお伺いしておきたいと思います。  今回の法改正においては、一般保険料を想定をして、それを基本保険料と特定保険料ということで足したものだと、こういうふうに位置付けておられるわけです。まず、根本的にこの二つを分類した理由ですね、このことを簡単に御説明、意義をお示しください。
  165. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の改正によりまして、健康保険における保険料率についてでございますが、一般保険料率につきましては、加入者に対する医療給付、保健事業に充てる基本保険料率と、それから後期高齢者支援金、それから前期高齢者納付金等に充てるための特定保険料率、この二つを合わせた率として法律規定したところでございます。  その意味、意義でございますけれども、今回の改革におきまして、新たな高齢者制度を創設いたしまして、世代間、あるいは保険者間の負担の明確化、公平化を図るということが眼目でございます。そのために、保険者のレベルで見ますと、後期高齢者医療制度、あるいは前期高齢者を抱える保険者に対する支援を行うということを明確に示すという意味でこの区分をしたわけでございますし、また、被保険者のレベルで見ますと、各人が共同連帯の理念等に基づきまして、高齢者等に対してどの程度の支援を行っているかということについて理解を深めると、こういった観点から、特定保険料率と基本保険料率を区分して行うことにしたわけでございます。
  166. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 一つ、共済の方にお聞きしておきますけれども、国共済もこれに連動して掛金率を設定されていくという理解でいいですね。
  167. 松元崇

    政府参考人(松元崇君) お答えいたします。  同様に定められるということでございます。
  168. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 その時期をお示しください。
  169. 松元崇

    政府参考人(松元崇君) 平成二十年四月に新たな高齢者医療制度がスタートするということになっておりますので、それまでに各共済組合が定款の改正により行うことになると考えております。
  170. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 私はこれは日本国じゅうが保険者ということでやるわけですから、私は共済においてもこれが、まあ定款で決めていること自体の議論もあるかもしれませんけれども、少なくともこれに連動して年内にやるとか、そういうことでやるべきだと、私の思いとしては申し上げておきたいと思います。  それで、今おっしゃったことで、保険料のことですけれども、十五年の三月の閣議決定のときは、後期高齢者については別建ての社会連帯的な保険料により賄うとなっていたわけですけれども、それ以外のものについてはなかったわけなんですね。今回は、前期のことも、退職者拠出金についても、それから後で言います病床転換の支援金についても、実は社会連帯的保険となっているかもしれませんけれども、これは、この閣議決定から実はイコールではないわけでございますね。保険料ということで逆に何か保険料同士が連帯してきたような感じがいたしますけれども、本当はこの線からちょっと違っているということの指摘はしておきたいと思います。  それで、次に退職者給付拠出金のことでちょっと一点確認します。  先ほど指摘もありましたけれども、これ経過措置になっていますけれども、平成二十六年に終わるわけですが、その後五年後ごろの三十一年ごろに大体、おおむね平成三十一年度になくなるとおっしゃったんだけれども、実はそれはもっと続くわけですね。だから、理論的に最後の年はいつですか、それをお示しください。
  171. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の法案におきましては、退職者医療制度、経過措置として二〇一四年、平成二十六年度までに退職被保険者に該当する方が、いったんここで締めまして、その方々が六十五歳に到達するまでの間存続させるということにしているわけでございます。  したがいまして、平成二十七年度以降、新規該当者は発生しないということでございますんで、平成二十六年度時点で六十歳の方が六十五歳に到達する平成三十一年にはおおむねその該当者がいなくなるというふうに承知をしております。  ただし、共済組合が支給いたします退職共済年金につきましては、特例による繰上げ支給の要件によりまして六十歳未満でも年金受給権が発生する方がおられますので、最長でいいますと平成三十四年、二〇二二年度まで存続し得るものと考えております。
  172. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それからもう一つ、病床転換支援金のことをお聞きしておきたいと思います。本当はここだけでももっとじっくりしたいところですけれども、時間がありませんのではしょった質問にならざるを得ませんけれども。  そもそも、この病床転換の支援金が実は法律案要綱には出てこないんですね。法案には当然出てきますけれども。しかし、この病床転換支援金は実は新たな規定なんですね。新たな規定であるにもかかわらず、要綱に書いてない。附則には病床転換支援金と退職者給付拠出金は同じ、並列して書いてあるわけです。しかし、要綱には、前期と後期と退職者給付拠出金等となっていて、等がその新規に発生する病床転換支援金なわけです。これは非常に隠していると言わざるを得ない。  私は、後で示す資料も実はそういうところが流れるんだけれども、なぜ新しい規定である、新しい支援金であるにもかかわらず、要綱というコンパクトにしたもの、元々の法案も私は探しましたけど、附則で非常に分かりにくいですよ。全部追っ掛けましたけど。だから、なぜ要綱に、その等で込めてしまったのか。やはり私は隠していると言わざるを得ない。  どうですか。
  173. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 法案の要綱におきましては等というふうに略されているわけでございますけれども、想定している規模が他の支援金等と比べましてかなり小規模でございます。それから、経過的なものでもございます。そういうことから、要綱全体の分量を勘案して略すこととしたものでございます。
  174. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そもそも、その支援金が今までと違って、医療の、その本人のももちろんだけども、医療とは違うところに使うということですよね。そういう意味において、新たなことじゃないですか。それにもかかわらず、額が少ないという。額がどうか分かりませんよ、見通し出してくれったって出ないんですから、どうなるか分からないじゃないですか。分かっているなら出せばいいんですよ、後でね。  だから、そういうことであるにもかかわらずこの要綱に書いてないということ、この姿勢自体がやはり私は本当に、隠す体質といいますか、本当に国民に理解を求めるという体質の発露ではないというふうに私は強く思っています。そのことは強く申し上げておきたい。大体その法律規定だって本当に後ろの方になっていますよね。法律的にそれでいけるからそうしたんでしょうけど、もっともっと私は理解を求めるべき、そしてそのことの説明資料も十分ありませんからね、そこは指摘しておきたいと思います。  そして、提出していただいた資料があるわけですけれども、ここで医療制度改革案による支援金等の支出額の見通しということで書いてあって、所要保険料のうちに占める割合を書いてあるわけです。  しかし、これ、面白いでしょう、この表というのは、一、二、三は支援金等の支出額でこう入っているけど、四が、内数であるにもかかわらず枠が外になっているわけですよ。ちょっと普通の表じゃないでしょう、これね。  これはなぜかというと、所要保険料は医療にしか使わないからなんですね。だから、その四は医療では使えない、医療じゃないんですよ。だから、保険料がトータルであれば一、二、三、四、同じ枠に入るんです。しかし、所要保険料というのは、医療給付費を賄うための保険料だから、それは一、二、三だけしか賄えないからってこう、こういう非常に苦しい資料になっているんです。  これは結局、何が必要だったかというと、要は所要保険料じゃなくて保険料総額が明示されていればそれでよかったわけなんです。でも、それを出していないと。それ自体極めて問題だと、非常におかしな対応であるということを強く私は指摘しておかなければならない。これだけに時間を費やすわけにはいきませんけれどもね。  それで、この中の支援金等の支出額の割合ですよね。政管四〇%、組合四五%が平成二十年、平成二十七年度、四四パー、五〇パーがありますよね。で、五〇パーまで上がるわけです、組合健保の場合の。すなわち自分たちのための保険が、まあOBの方ももちろん大事なんだけれども、自分たちのことじゃなくてOBのために五〇%以上使われると、そういうふうな方向になっているわけですよね。だから、この後どうなるのというところはやっぱり示してほしいわけです。二〇二五年まで、あるいはそれよりは短くてもいいけれども、その後どうなるのか見たいんです。それを見せていただきたい。あるいは、見通しは示していただきたい。そこを簡潔にお願いします。
  175. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) その点につきましては、先ほど副大臣への御質問で二〇二五年時点での各制度別の、言ってみますと、医療費全体を、医療給付費をどのように割り当てるかということによっておのずと決まってくるものであります。しかし、そこのところは五年後見直し規定のその先であるということ、あるいは医療費自体についての目安であるということから適切でないということで出していないということの、それと同じ範疇でございます。  ただ、二〇一五年度以降の支援金につきましては、当然ながら後期高齢者の支援金は七十五歳以上人口がこれは増えますので、これにつきましては、これ増要因になります。前期高齢者納付金につきましては、これは六十五から七十四歳人口に伴いまして、これは増減をいたします。退職拠出金につきましては、これは当然制度的な要因で急激に減少していくということでございますが、何と申しましても、やはり後期高齢者支援金が、後期高齢者が増えていくという大変大きい圧力があることはこれ事実でございます。
  176. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 要は、この割合が五〇を超えていくと、そういう見通しであるということですね。
  177. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 数値につきましては算出しておりませんのでお見せできませんけれども、圧力という、定性的に申し上げますと、大変大きな増加圧力になっているということでございます。
  178. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 この点ももっと御質問したいところですけど、時間も限られておりますので、もう一点、別の角度から聞きますけれども、今回の保険料の規定が、「一般保険料率(基本保険料率と特定保険料率とを合算した率)」だと、こういう百五十六条の規定があるわけです。それは私はそれでいいと思います。しかし、その後の百六十条において保険料率というものを規定しているわけですが、最初に一般保険料率というのを規定してあって、その後に特定保険料率があって、そして最後に「基本保険料率は、一般保険料率から特定保険料率を控除した率を基準として、保険者が定める。」ということになっているわけです。  基本というのは最初に来るから基本なのに、これは最後に残っているのが基本ということになっているわけなんですね。だから、あべこべになっている。基本が後から付いてくるという、そういう本当に何か基本をばかにしたような話になっているわけなんですね。  これは、やっぱり私は本当に規定ぶりからしておかしい。そもそもその最初の百五十六条を受けた形にもなっていない。そしてまた、一般保険料は一応数年続けるところもあり得るとすれば、特定保険料は毎年変わるわけですから、結果としての残りの一般保険料は特定保険料によって左右されるという、それが基本だということはあり得ないわけですね。  私は、ここも、そもそもだれのための健康保険なのかと、保険制度なのかと。すなわち、その基本というのがやっぱり本人の、被保険者の負担によって給付が賄われる、その部分が基本なわけじゃないですか。それに高齢者への支援で特定があって、その結果としてトータルの一般保険料があるという、こういう順序であるはずですよね。その規定は簡単にできるわけです。それを逆にしているということが非常に不思議で仕方がない。  非常にやはり、保険の基本というもの、やっぱり被保険者のためであるという、その本人のためであるという基本が、正に基本が後になっているという、そういうことだと言わざるを得ないんですね。  ここは非常におかしい問題で、本来私はこれは、そもそもこれが通ってきたことがおかしいと思っています。修正をすべきだと思っていますが、その点について議論をしていると時間がなくなるので、まずその点を問題点と指摘しつつ、それはそれとして、しかしこの四つの、支援金、納付金等があるわけですが、これは連帯保険料的な意味合いというのはそれなりに私は分かるところがある。そうであれば、せっかくそうされた以上、やはり実際の給料天引きのときにそのことがはっきりと明示されることを、私は、突き詰めて言えば事業主の判断になりますけれども、しかし、厚生労働省としては、できる限り保険者を通じて、その四、支援金、納付金、拠出金等々の内訳、それが明示されるように、天引きで国民に分かるように、そのことによって理解を持っていただくという、そういうスタンスであるべきだと思うんですが、その点についてはいかがでしょう。
  179. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 被保険者が高齢者等に対しましてどの程度支援を行っているかにつきまして理解を深める観点から、被保険者の保険料のうち実際にどのくらいが特定保険料として納付しているかが分かるようにすること自体、これは望ましいことと考えておりまして、関係者からの要望もございまして、今回の法律でそのように規定をしたところでございます。  ただ、それを各人がどこまで分かるようにするかということでございますけれども、事業主の事務負担の問題もございますので、給与明細書におきまして保険料の内訳として特定保険料の記載を義務付けるというところまでは考えてございません。さらに、その内訳、内訳の内訳というところまで、四つの拠出金まで求めるというのは、これは難しいんじゃないかなと、こんなことを考えてございます。  いずれにしましても、ただ冒頭申しました基本的に私ども明示するということは望ましいことと考えてございますので、平成二十年度に向けまして保険者を通じてその旨周知をしていきたいと、このように考えております。
  180. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 要は、基本保険料が幾ら、特定保険料が幾らって書いてあったって分からないですよ、はっきり言ってね、何のために使われるのか。その部分は、ここで時間なくなっちゃうんで後でまた改めて言いますが、その点は是非その精神を貫徹していただきたい。  義務付けはそれはできないでしょう。それは分かっていますよ。しかし、できるだけそういうふうにしてくれというようなことの指導というか、お願いというか、それはやってしかるべきだし、私はこれは国民が理解して負担をしてもらっていくという非常に大事な部分で、理解を求める一つの手だてだと思います。よすがだと思います。そういった意味で取り組んでいただきたい。  もう一つ、さっき言ったように、組合健保だと五〇%、政管でもそれぐらい、まあ政管は今度は全国になるかもしれませんけれども、それぐらいの負担割合が自分の給付じゃなくってOBの方に回ると、こういうふうになると、そして広域連合で後期高齢者のものが運営されると、こういうことになると、私は、被用者保険の代表者というものがその広域連合に、議員としては入れないにしても、その運営に意見を反映してもらえる立場にあるべきだと、このように思うんですけど、その点について、いかがでしょう。
  181. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 確かに、後期高齢者医療制度につきましては、高齢者自身の保険料のほかに、医療保険者からの支援金、それから公費によって賄われるわけでありますので、この費用負担者であります後期高齢者はもとよりでございますけれども、医療保険者あるいは地方自治体の納得と理解を得ながら進めていく必要があると考えておりまして、その意味でそういった手だては必要であると考えてございます。  今回の改革におきましては、各都道府県に設置されております医療保険者等で構成されます保険者協議会がございます。ここで新たに高齢者医療制度の運営あるいは医療費適正化に関する保険者間の連絡調整等を行うこととしているわけでございますけれども、この場合、この医療保険者の関与の在り方につきまして、例えばその保険者協議会の枠内において高齢者医療制度の運営に関して協議の場を設けるといったことも考えられるわけでございます。  いずれにしましても、この点につきましては、具体的な協議の場の在り方につきましては今後関係者と相談しながら検討していきたいと、このように考えております。
  182. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今、保険者協議会のことをおっしゃいましたけれども、私もこれ探して、結局出てきたのが、協議会という協議の場というのが出てくるかと思ったら出てこなくて、連絡調整ということでしかなかったんですね。ですから、全く意味をなさないと私は思います。  ですから、さっき言った意味合いにおいて、やっぱり被用者保険の代表者が広域連合の運営に参画できるように、そういった体制を作っていただく。介護保険のときもそういった協議会を作っていただくということがあったわけですけれども、その点についてしっかりとお取り組みいただくように申し上げておきたいと思います。  最後になりますけれども、今回の健康保険法の改正で、上限値が九五パーミルから一〇〇パーミルに上がっているわけです。五パーミル上がっている。そのことについて、何ゆえ上げたかということ、どういう考えでその五パー上げたかということと、それから介護保険料のときに上限設定を附帯決議で言っているわけですけれども、そのことについてのお取組を、状況を、簡単で結構ですからお示しください。
  183. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) まず、前段の健保組合におきます保険料率の上限でございますけれども、今回の制度改正案におきまして、平成二十年度から特定健診それから特定保健指導を義務付けているわけでございます。これに合わせまして、保険料率の上限が九五パーミルの健保組合あるいは上限に近い組合につきましても積極的に保健事業を実施することができるように、保険料率の上限を一〇〇パーミルまで引き上げて、必要となる財源が確保できるようにしたものでございます。
  184. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 後段の御質問でございますけれども、昨年の参議院におきます附帯決議の御趣旨、すなわち介護保険の費用を負担する第二号被保険者の方々の御意見を反映するということも含めまして、医療保険者、その他の費用負担者、それから有識者から構成されます介護保険事業運営懇談会を設けまして、本年三月に第一回目の会合を開催したところでありまして、今後、こうした場を活用しながら、引き続き関係者の御意見を伺いながら適切な制度運営に努めてまいりたいと考えております。
  185. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 さっきの一〇〇パーに五パーミル上げるというやつは、健康診断とかやればむしろ医療費が下がるというふうなところがあるんじゃないか、そういう見通しを持っていらっしゃると思うんですけれども、それにどうなるのかというようなことも聞きたいわけですけれども、また次回に譲らせていただきたい。  また、高額療養費のことやら生活習慣病のことを通告しておりましたけれども、次回に御質問させていただきたいと思います。  以上で終わります。
  186. 山本保

    ○山本保君 公明党の山本保でございます。  今日は、特に医療法等の一部を改正する法律案について御質問をしたいと思っておりますので、結構時間をいただきましたから、丁寧な御答弁をいただければと思っております。  最初に大臣にお聞きいたします。今日、朝日委員からも少しお話があったことをもう少し私も突っ込んでお聞きしたいなと思っておるんですけれども、高齢者の医療の確保法の法律の方に医療費適正化計画というのが出てまいりまして、私もこれはどう読むのかなと思っておりましたら、先ほどお話がありましたように、正に四十以上の生活習慣病でありますとかその他のものも含めて考えていこうということだということで、納得はしておるんですが、そのほかにも、例えば健康増進計画、その名前も先ほど出ました、でありますとか、各県でやっておりますいわゆる介護の事業計画でありますとか、そして今回のこの医療法の方で、非常に新たに、新たといいますか、中身が大変変わってきたなというか、深まったと思っておりますけれども、この医療計画ですか、こういう計画が都道府県を単位として様々出されております。  この辺は、今までですといろんな省庁が勝手に計画を立てて、動く人は同じだけれども何をやっているのかというようなことがよくあったわけですが、さすがにそんなことはないだろうと。今回は非常に連携を取って行っていくと思っておりますので、何かこの辺の、特に医療計画等適正計画とか、また先ほどお話にもあった増進計画、健康増進とか、こういうものをどんな関係で我々はつかんでいったらいいのかということについて、最初に総論をお願いしたいと思います。
  187. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) まず、社会保障問題、これ衆議院で何回か答弁しましたので、あえて言わせていただくと、介護保険制度、介護については基本的には市町村が担い手になっております。一方で、年金については、これもいろいろ議論ありますけれども、やはり国が責任を負うということでやらしていただいていると。その中で、この医療というものにつきましては、より県が役割を明確化しながらやっていく分野ではなかろうかと。  特に、そこで衆議院の議論で出ましたのは、サービスを直接供給するという分野については県とか市町村がなじむんではないかと。お金を支給するとか計画を、全体の計画を組むとか、こういうものについては国なんだろうと。そういう意味では、分権というものを進んでいく中で国、県、市町村がどういう社会保障について担い手になっていくべきか。そういう意味では、山本委員が言われましたように、やはり県がこれから医療というものの中で大きなウエートを占める時代、こういう位置付けをしたのが今回の医療制度改革の中の大きな論点でなかろうかなと、こう思っております。  医療費適正化計画は、生活習慣病対策や長期入院の是正などに取り組むことで計画的に医療費の適正化を図るものでございます。また、医療計画医療機能の分化、連携の推進によって、安全、安心で質の高い医療が受けられる体制の構築を目指すものであり、在宅医療の推進、地域の医療、介護の連携体制づくりを通じ、患者の生活の質の向上を図りつつ、医療費の伸びを抑える効果も期待できるものであると考えております。  医療計画の具体的な内容としては、がん、脳卒中、小児救急医療など事業別に分かりやすい指標と数値目標を明示し、事後評価できる仕組みの導入、医療機能調査を実施し、事業ごとに住民、医療関係者、介護サービス事業者等と協議の上、医療連携体制を構築する。住民、患者に対する医療機関医療連携体制状況の明示などを行うこととしており、入院期間の短縮化など、結果として医療費の適正化に資するものと考えております。  このように、各都道府県において医療費適正化計画医療計画とが整合性を持って定められるように、私どもしっかり都道府県と話合いを続けてまいりたいと、こう思っております。
  188. 山本保

    ○山本保君 ちょっと細かく、担当の方で結構でございますが、そのもう一つ増進計画と、増進法というのを作りまして健康増進法でいろいろ目標設定いたしましたよね。で、先ほどもちょっとそれに対する批判などもございましたように、じゃ、どのようにどうしていくのかということは抜きのまま、しかし我々で努力しましょうよというものであったと思うんですが、今度もっと、正に大臣おっしゃったように、医療の質の問題、また連携、実際のシステムの問題まで組み込んだ法律を作るわけですから、当然、今度は増進計画との関連を少し整理する必要があるんじゃないかなとも思いますが、この辺はいかがでございましょうか。
  189. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) ただいま御指摘がありましたように、健康増進計画におきましても県の方で策定をしていただきますので、これも医療計画、それからまた介護保険事業計画、そしてさらには医療費適正化計画とも整合性を持たせて具体的なものを作っていただきたいというふうに考えてございます。
  190. 山本保

    ○山本保君 確かに、平成二十年からですか、先ほどの医療確保法といいますか、医療費の適正化法ですね、これが動き出すわけですから、そこは遺漏のないように、また国民に強くアピールできるような形で分かりやすいものに、一つ一つあちらこちら見ないと分からないというんじゃ困りますので、何か整理したようなものを出していただきたいなというふうに思っております。  もう少し、その中でも一つちょっと気になっておりますのは、昨年、障害者自立支援法を作ったわけですが、その中で精神障害者、こちらで言えば精神病の方に対する対策についてでございます。  今度、基本的に社会の中でとか、なるべく入院ということは避けるようにということで進めているわけで、いく必要があると思っておりますけれども、この辺は今度の法律、よく見ますと八十九条ですか、この医療計画と相まってという、障害者自立支援法にも書いてあるようでありますけれども、このときの法律は以前の法律ですからね、今度の新しい医療計画ができるわけですが、この辺の特に精神障害者の方に対する支援というのは大丈夫かどうか。これは、そうですね、赤松副大臣、お願いいたします。
  191. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 今、山本委員から御指摘があった精神障害者の皆さんの対応、退院を促進していく、こういった方向に向けてどのような対策を講じようとしているのか、こういうことでございますが、今御指摘ありましたように、去年成立しました障害者自立支援法の中に、入院医療中心から地域生活中心へという格好で各種の施策を推し進めていくことが重要である、こんなふうなことが定められております。  そのために、都道府県が作成する医療計画につきましては、精神障害者の早期退院を実現できる体制に向けて二つのことを特に考えております。一つは、精神病床に係る基準病床数の算定式を精神障害者の退院促進に関する目標数値を反映したものへと見直すということが一点。もう一点は、本年二月にモデル医療計画の骨子案を提示し、都道府県の作成する新たな医療計画においても精神科救急、精神障害者の退院促進に関する取組など必要な事項を盛り込んでいただく、こんなふうに考えているということが二つの大きな取組でございます。  また、障害者自立支援法による障害福祉計画におきましても、医療計画と相まって精神障害者の退院促進に資するものとなるよう、退院した精神障害者の皆さんが地域で生活をされるために必要なサービスの提供体制の整備を進めることにいたしております。  このように、医療計画や障害福祉計画を活用しつつ、地域の医療機関、福祉サービス等の関係者が連携して精神障害者の皆さんを支援する体制づくりを進めていきたい、こんなふうに考えております。
  192. 山本保

    ○山本保君 その分野は本当に今まで後れていたところですので、是非力を注いでいただきたいと思っておりますのでお願いしておきます。  次に、今日のお話にもありましたんですが、正に医療の連携、また協議ということなんです。私どもの、国民の側から言いますと、分かりやすい、私よく聞かれますのは、病院にお年寄りが入っていたけれども、三か月たったら退院せよと言われたと。全く追い出されたわけじゃなくて、実はどこどこ病院とか言われたんだけれども、その病院に当たってみたところが、実はまだ入れないんだと、待ってくれと、こういうことを言われたというようなことを最近、といいますか、よくこれは国会議員全員いろんな話が出てきていると思うんですよ。  今度のその法律の中で、退院してからについてもきちんと説明をして、どういう対応をするのか説明をすると。そのために、県も、また医療機関相互、その他の福祉関係も連携をし協議せよと、こういう法律条文があるわけですね。これが本当にきちんと動けば、今申し上げたような本当に情けない状況というのはなくなるというふうに私は思うわけです、なくさなければならないと思うわけですけれども。  この辺について何か、といいますか、例えばそのためには、先ほどもお話出ていましたけれども、病院のタイプ分けといいますか、機能をきちんと分けていくとか、又は地域に戻りましても、地域のお医者さんが夜中に電話してもすぐ来ていただけるとか、相談も受けていただけるとか、そんなことがきちんとできなくちゃいけない。ただ一方、片方では、お医者さんというのはやはり一つ一つはもうライバルで頑張っているわけですから、そんなことが簡単にできるのであろうかということですね。  この辺の、何かお聞きしますとクリティカルパスというんですか、なかなか難しいですが、この医療的な道筋というんですか、これをきちんとつくるということが今回の法律一つの重要なものだと思っておりますけれども、この辺はどのように進めていかれるのか、局長さん、お願いいたします。
  193. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今御指摘のとおり、地域での医療の連携を進めるということが今回の医療法の改正の大きな柱の一つになってございます。  今先生指摘の中で、一つ一つ医療機関の中においても、情報の開示あるいは説明といったことによってその医療機関での、例えば入院をしたときに、その後の診断、治療というのがどのように退院までスケジュールとして見込まれるのかというふうなことについて、患者さんにきちんと説明をするといったようなことも今回の改正の中で入れてございますし、あるいは各その地域での医療機関のいろいろな情報について都道府県に届けていただきまして、その知見を患者さんあるいは地域のお医者さんが都道府県のホームページ等を見ることによってそういった地域の医療の情報を得ることができるといったような、情報の提供といったようなこともその中に入ってございます。  あるいは、医療安全支援センターにつきまして整備してまいっておりますが、これを医療法の中できちんと位置付けるというようなことで、医療の相談といったようなことについても法的にも裏打ちをしていくといったようなこともその一助になろうかと思っております。  今先生指摘の、委員指摘の地域連携クリティカルパスでございますけれども、これは、医療計画を今回医療法の中で見直すに当たりまして、地域での医療機関同士の連携を進めるための一つの手段として考えているものでございます。  クリティカルパスと申しますものは、通常は医療機関の中で入院から退院へのスムースな連携を進めるための院内での計画でございますけれども、これを地域に拡張をしたものでございまして、地域の中で、いろいろな役割を担う医療機関が、急性期の医療から回復期、リハビリテーションなどを経て早期に在宅へ復帰できることを目指しまして複数の医療機関で共有をする診療計画ということでございまして、今こういったものが手段として開発をされつつあるということでございます。  具体的には、診療にかかわる複数の医療機関、すべての医療提供者が患者さんの治療経過の情報を共有できると。あるいは、診療に当たる複数の医療機関があらかじめ診療内容患者さんに提示、説明することができることによりまして患者さんが安心して医療を受けることができる。さらには、医療機関ごとの役割分担に沿って診療内容や達成目標を診療計画に明示できるといったようなことによりまして、地域において適切な医療機能の分化が図られ、日ごろより複数の医療機関の間で具体的な連携体制が構築されるということが期待でき、その結果といたしまして、切れ目のない医療の確保、すなわち、転院、退院後も考慮した適切な医療提供の確保が次第に図られていくものと考えてございます。  こうした取組を、十八年度からの診療報酬における、今回の診療報酬における評価、あるいは今般の改正の中での新しい医療計画制度における取組などによって推進をしていきたいと考えております。
  194. 山本保

    ○山本保君 局長、ちょっと、それで、今お聞きしておりまして大変画期的だと思いますし、きちんとそれを実現させたいと思うんですが、法律読んでいますと、ちょっと気になりますのは、施設内といいますか、病院の中で入院から退院までは何か非常に義務付けられているように見えて、その後の退院後については配慮することというようなことになっているような気がするんですけれども、これでは実際、やれるところはやるが、やらないところはやらないよということにはなりませんか。その辺はどうでしょうか。
  195. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今回の改正におきまして、御指摘のとおり、入院時につきましては、入院後の退院に至る計画というものを患者さんに文書でもって説明をするということといたして義務を課しているところでございますが、退院時につきましては、これは努力義務といたしてございます。  これ、退院後のことにつきましては、その医療機関では必ずしも全面的に責任を持つわけにはいかないといったような状況もございますので、いわゆる入院時での責任とはちょっと違うという観点から努力義務としているところでございますが、できる限り、先ほどの連携パス等を活用することによりまして、その地域での切れ目のない医療の連携ということから、退院時におきましても、できるだけそういったことをその医療機関として患者さんに果たしていただくということが大事であるというふうに考えております。
  196. 山本保

    ○山本保君 是非これは、厚労省、いろんな事例とかモデルを示して確実にそれが進むような体制を取っていただきたいと思いますし、またちょっと心配しますのは、どこかの県、まあ私の県ですが、何かある病院のところへ収賄というんですか、そこを紹介してなんという事件も起こっておるようでありまして、こういうのはもってのほかだと思うわけですね。どこでも、またいろんな意見、またお医者さんに掛かりながら最もいい治療を受けられる、医療を受けられるという制度が日本の一番大事なところですから、この辺は、機械的にその病院の傘下のところへ全部行くとか、又は地域割りがされてしまって、ここはこのお医者さんでなくちゃいけないなんということでは困るわけですから、正に連携、協議というのは重要だと思っております。  そこで、一つお聞きしたいんですが、私、これ読んでいまして、私も実は、自分は児童福祉関係ずっとやっていましたので、こういうふうによく話をするんですよ。福祉でも、連携しろとか、そして連携する人が書いてあるんですが、なかなかうまくいかない。なぜうまくいかないかというと、これみんな忙しいんですね。自分のことだけで大体忙しい人ばっかりで、退院してからのこととか、それから仕事に就けるかとか、そんなことまで考えておるようなことはできないんじゃないかと。  実は、そういうために、福祉分野ではそういう仕事をする専門職というのがソーシャルケースワーカーという、これが、二十世紀初めのアメリカなどでできてきた職種があるわけですよ。正にその人のための生活をどのようにつくっていくのかというための専門家でして、各専門領域と連携又は情報交換しながら、その方のための一番いい道をつくっていくと。  そういう面で医療面を見てみますと、国立病院とか大きな病院では確かに行きますと、退院後に御相談をください、困ったら御相談をくださいなんという紙を見たり、ありますし、たしか何年か前にメディカルソーシャルケースワーカーというような職種、職種というのか専門職と私は言いたいんですが、そういうものがあったはずなんだけれども、そういうものまで、そういう方たちがこの仕事の一番大事な仕事じゃないかと思うんですよ。それがなければ、これ絵にかいたもちで、そんなみんな責任のなすり合いになるのはもう目に見えているんじゃないか、きついこと言いますと、私の自分の経験からそう思うんですが。  これは少し、その部分を少してこ入れをする必要があると思うんですが、いかがですか。
  197. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今申し上げましたように、都道府県におきまして、地域の医療関係者等の参画を経て、協議の上で疾病ごとの連携体制を構築していくということを今回改正の中で盛り込んでいるわけでございますが、またこれを医療計画に明示することによりまして、住民、患者さんや医療機関に、分かりやすく地域の連携体制を示すということも併せて盛り込んでいるわけでございます。  これらを先生指摘のとおり実効あるものにするためには、退院後の療養に必要なサービスに関する事項患者さんへの適切な説明につきまして、先ほど申しましたようにその医療機関の努力義務としたところでございますし、また地域連携パスの活用等についてもその手段としてむしろ申し上げているところでございますけれども、今お話しのあったソーシャルワーカー、医療の面では医療ソーシャルワーカーと言っておりますが、こういった方々は、こういった連携を進める上では大変重要な役割を果たす方々だと思っております。  このような方々は医療行為は行いませんけれども、こうした患者さんへの取組の中で、それぞれの患者さんの視点に立って、各医療機関、福祉施設等との連携役を務めるという点で、今後更に重要な役割を果たすことになると考えております。  実は、福祉的な面との連携というような面から、精神科の分野では専門職がこの分野で既に確立してございますが、医療全般についてのソーシャルワーカーにつきましてはまだ身分法という形にはなっておりませんけれども、今各団体においてそういった動きもあるというふうに聞いておりますけれども、実際にそういう仕事を各医療機関で行っている方々の団体等もございます。  そういった方々とも連携を取りながら、こういうソーシャルワーカー等が今回の改正の方向に向かって連携が更に進められるように御活躍いただくように、私どもとしても期待をし、また指導していきたいと思っております。
  198. 山本保

    ○山本保君 確かに、今はきちんとしたものがすべてにいて、養成課程がしっかりしててというわけではありませんので、残念ながら今の段階で法律に出てこないということは、これはまあ仕方がないと思っていますが、今後これを展開する場合に、是非その関係者とも協議されまして、その言葉といいますか職種というのが大事だと思いますが、今までのようにお医者さん対患者という関係なら必要ないんですよ。しかし、今回の流れはそうじゃないわけですから、これ、必ずこういう方が必要になってくるということを申し上げておきます。  もう一つ、先ほども実は話があったことですが、リハビリに関連して、私ちょっと別の視点から気になっておりますのは、先ほどありましたOT、PT、この理学療法士、作業療法士さんを中心とした方がどこにいるのかなと。結局病院なんですね。あとはいわゆる地域の看護ステーションにおいでになるという場合が非常に多いようでございます。  ここで、先ほど介護型なのかどうなのかという議論がありましたが、この辺がきちんと、先ほどの連携、協議がなされないから、してないからあんなことが問題になるんだと思うわけです。今回はそんなものを全部、そんな問題は抜けてしまって、その方にとって一番良い、一番効果的な、しかもまあはっきり言えばそんなにお金は掛からないけれども使いやすいと、こういうサービスを切れ目なくやっていこうという、先ほどおっしゃったとおりなんです。  ですから、そういう点から考えますと、この前も担当の方と話ししていましたら、大きな病院から行くんだ、そんなことできるわけないわけですよ。じゃ、地域のクリニックにそんな方がおられますかと、いないわけですよ。じゃ一体だれがリハビリテーションの専門家として、この正にキーパーソンとして地域医療の中で動くんですかと。では看護ステーションですかと言いましたら、最近出た通知で、看護ステーションというのは原則看護をするところであって、それはおまけ的にやってもよろしいが、しかし実際には今そうでないので、やってもよろしいという通知をまた続いて出してもらいましたけれども、ちょっと申し上げまして。  しかし、確かに、医療の、お医者さんときちんと連携をしようとする体制というのが地域に必要だろう。お医者さん同士で地域でチームを作って、例えばその中でリハビリの専門家がいると。これ言うの簡単なんだけれども、ちょっと考えますとなかなかうまく動かないですよ。だって、ある先生のところにおられて、次の先生、ほかの先生がそこへ連絡して来てもらうなんていったら、まず患者さんは二回目からはこっちの先生のところに行っちゃいますわな。自分のところにいない先生に掛けたって行かないですよ。  これを、ちゃんとそうじゃないように、地域、地域の一番身近でよく知っている先生、お医者さんのところと専門家との間がきちんとつながるような体制を作らないと、これ動きませんわね。この辺はどうでしょうか。
  199. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 患者さんが退院した後の、例えばリハビリテーション等についてでございますけれども、患者さんの生活の質の向上といったような観点から、希望する患者さんができるだけ住み慣れた地域あるいは家庭で生活が送れるように、在宅医療サービスの提供体制の構築というものを一層推進する必要がございますし、今回の改正の中、あるいは診療報酬の改定の中でもそれについて一歩ずつ進めているところでございます。  御指摘のリハビリテーションにつきましても、希望する患者さんには地域の理学療法士あるいは作業療法士などを活用しながら、在宅で提供できるようにしていくということは極めて大事だと考えてございます。  今回の改革の中におきましても、診療報酬改定で申しますれば、理学療法士や作業療法士等が行う在宅訪問リハビリテーション指導管理料につきまして、退院後三か月以内の患者さんについて算定上限の緩和などを行うなど、在宅医療について重点的に評価を充実したほか、主治医や訪問看護ステーションの看護師などのほか、理学療法士や作業療法士も含めまして医療従事者において連携が適切に図れるように、地域における在宅医療に係る連携体制の構築を新しい医療計画制度において位置付けるなど、各般の措置を講じることとしているところでございます。  御指摘のとおり、訪問看護ステーションについてはまだまだ足りないと言われておりますけれども、それなりに地域に定着をし、あるいは住民の理解も得てきているところでございますが、訪問リハビリテーションについてはまだまだその理解は不足していると私どもも考えておりまして、もちろん医療機関から出ていっていただいても結構なわけですけれども、リハビリテーションをする方が訪問看護ステーション等の場を利用して、PT、OT、理学療法士、作業療法士の方々がリハビリテーションも併せて、それらから地域に出ていくということができる方策を引き続き進めていきたいと考えております。
  200. 山本保

    ○山本保君 今おっしゃった、最後におっしゃったように、ステーションから行くという今までのやり方も私は大事だと思いますが、やはり今回の医療のシステムということを考えますと、ちゃんとした専門家のお医者さんのところから直接指示が行くような形を取らないと、患者さんとしても信頼性がないだろう、さっきそんな話もあったようなことになるだろう。ここをできれば、地元の専門家や医師会の先生とちょっと相談しながら今進めておりますので、ちょっとまた御指導いただきたいと思っております。  それで、ちょっと次の問題に移りまして、医師不足についてでございます。  へき地、また小児科、産科、救急のお医者さんというのが足らないということで非常に大きな問題になっているわけですが、川崎厚生労働大臣にお聞きしたいんです。  この場合、地域の県立、市立病院などの関係の総務省とか、また大学病院でありますとか、こういう関係を非常に有機的に進めていかなくちゃいけません。昨年の八月に総合対策というのを作られたというふうにお聞きしておりますけれども、現在どのような状況になっておられるのか、責任者として大臣から力強いお言葉をいただきたいと思っております。
  201. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 御指摘いただきましたのは、昨年八月に厚生労働省、総務省、文科省と地域医療に関する関係省庁連絡会議において、医師確保総合対策について取りまとめを行ったところでございます。  私も、その後、先週、実は小児科、産科、これは学会の方、医師会の方、大学病院の方、それから若手の医師の方、産科、小児科別々でございますけれども、来ていただいて、いろいろ意見を聞きました。  一番大きな状況変化は、産科につきましては、今年研修を終えて産科医になられる方の七〇%以上は女医さんでございます。小児科もそれに続いて多い診療科目でございます。したがって、医療体制というものを考えていったときに、もちろんその産科のお医者様自体が結婚され子供も生まれる、産休も取りたいと、当然のことであります。したがって、そういう対応ということを考えていきますと、また最近の流れからいきまして、きっとあと十年で産科医の半分は女医さんに替わるんだろうと私は思います。したがって、やはり思い切った集約化を進めていく以外ないなと、こんな議論をさせていただいたところでございます。  そういった意味では、地域における医療対策協議会をしっかりこの法案で立ち上げさせていただいて、もう既に四十七都道府県、全部準備をしていただきました。知事を中心にしながら、大学関係者、病院関係者、また医師会の方々、お入りいただいて、地域の住民の代表者も入っていただいて結構でございます。そういった中で進めていく中で、集約化を知事のリーダーシップで進めなきゃならないだろうと。私も、この間、十人ぐらいの知事さんとお話をさせていただく機会ございまして、そのことについてもやはりやっていかなきゃならないというお話合いをさせていただいているところでございます。  一方で、やはり先ほど申し上げた女性の医師が増えてくるわけですから、今年の予算においては、女性医師バンク事業の創設ということで、特に小児科、産科という問題になってまいるだろうと思っております。  それから、先日の本会議で小坂文科大臣から答弁があったと思いますけれども、東北の方の大学におきまして、実は私の三重県が一番少ないんですけれども、百人いる中で五人しか大学に残らなかったと、研修医としては。多くの方々が県外に去られる。東北の場合もほとんどの県がどうしても関東圏、特に東京を中心に引っ張られてしまう。この問題を基本的に解決していかなければならない。地域枠というものを設定するという方針で来ましたけれども、この間、小坂文科大臣の切り口は、地域の出身者ということで必ずしもなくて、地域の医療に従事してもらうという条件でどうだろうかと、まあ自治医科大学的な発想だろうと思いますけれども、そういったものを思い切って進めていきたいという御答弁をいただきました。  私も小坂文部大臣と、認定こども園の問題から始まりまして、放課後児童クラブとか、文科省とやる問題が多いもんですから一緒にやらせていただいておりまして、この問題も二人がやっている間に何かはっきりした回答を出すことできないだろうかと。いつまで我々の任期続くか分かりませんけれども、もう数か月だろうと、その間に何とかこの問題について解決を出して、地域の大学が正に地域の医療に貢献できるような体制、仕組みというのをもう一歩進めることできないだろうかと。これは特に文科省が主導でございますけれども、私どもとしては、是非文科省の決断をお願いするためにもしっかり相談をさせていただきながら進めていきたい、こんなことを今現在考えさせていただいているところでございます。  その他、例えばヘリコプターを使ったものをどうだろうかとか、いろんな御議論をいただく中で、一つ一つ詰めながら前向きにやっていかなきゃならないと、このように思っております。
  202. 山本保

    ○山本保君 地域枠ということで、大学の方でね。まあ成績が悪くても入れるというのはちょっと困りますが、お聞きしていると、奨学金をいろいろ準備をして、そして何年間かその地域、県内ので働いていただいたら返さなくてもいいようにするとかいう話も聞いておりますので、いろんな方法があるんだなと。今大臣おっしゃったように、そういうことを是非進めていただきたいと思いますし、大臣、特にその中で子供の問題も、へき地というんじゃなくて、今お母さん、お父さんも孤立している方非常に多いわけで、一面私の方の専門でありました児童虐待でありますとか、そういうことにもなりますが、健康面で相談を気軽に夜、夜中、日曜日、電話ができると、こういうことを進めるということで、大臣非常に、シャープ八〇〇〇というんですか、これを進めておられたというふうに聞いておるんです。この辺はどんな具合になっていますでしょうか。できれば朝までそういう電話がやはりないといけないとは思っているんですけれども、進捗状況はいかがでございますか。
  203. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) これもこの間現実的な話をいただきまして、やっぱり子供を持つ親からすると、大きな病院に駆け付けるのが一番いいという意識を持っていると。それをどう一つ一つ理解をしてもらうか。必ずしも大学病院等に駆け付けなくても、アドバイスで済む場合、また最寄りで済む場合というのがあるんで、すべてが救急医療で診さしていただくということでなくて、事前に何か方法ないかということで、実は議論出ましたのはこのシャープ八〇〇〇番の問題と、もう一つありますのは、これ前に一度提案して制度としてはできているようですけど進んでないのが、産科と小児科の連携、先ほど連携の話出ましたけれども、少なくとも、子供さんが誕生予定の段階からやはり小児科医、かかりつけ医というものがしっかりつくっていけないんだろうかと、これは医師会に御提案さしていただいて、もう一度勉強しましょうと。制度はできているんですよ、しかしながら進んでないということは事実ですから。かかりつけの小児科医なり内科医をやはり持つ、そして何かあったときに信頼ある先生に、今は携帯電話の社会ですから連絡は付くようにするというのが一つの方法かなと。  もう一つは、シャープ八〇〇〇番をやらしていただいておりますけれども、残念ながら三十の都道府県しかまだやっていないという問題があって、やはりすべての県にお願いをしなきゃならぬという問題が一つであります。それからもう一つは、今も申し上げたように、これは固定電話でしかつながらないと。したがって、もうこの時代でありますから、やはり携帯電話でつながるようにしなければならないと。もう一つは、やっぱりそこで、場合によってつながらない場合に最後のセーフティーネットとして、必ず開いているところがあるようにしなきゃならぬなという問題があると思います。それからもう一つは、時間帯がばらばらでございます。各県見さしていただきましたけど、時間帯がばらばら。問題は、やはり深夜若しくは日曜日、祭日という問題でしょうから、そこを全部カバーできるようなネットワークを何とか作り上げなければならないんだろうと。それから、議論としてもらっていますのは、お医者様がそれに出ていただいていいんですけれども、初診ですと診療報酬にはならない、再診だったら診療報酬になるようでございますけれども、そういった制度的な不備もあるんだぞという御指摘もいただいています。  いろんなことを組み合わせながら、このシャープ八〇〇〇番もやっぱり全部の都道府県でお願いができるような体制にし、かつ内容をもう少し充実させていくことが大事だなと、こんなふうに考えております。
  204. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございます。  では、次の今度問題に移りまして、生活習慣病対策、先ほどもお話がありました。私などは、もうこういう分野は素人でありますので、この規定がどの程度正確であるかどうかということはなかなか分からないんですけれども、ただ、テレビなどの最近、先日のテレビ報道を見ていまして、太っていたらいいはずがないなとは思っていたんですが、何かそれが、その太っていること、その細胞からいろんな良くないものが出てきていろんなもっと重篤な病気のもとになり得るという、なるのではないかという仮説なんでしょうか、もっとはっきりしたものなんでしょうか、非常にショックを受けております。  この辺は、まずちょっとお聞きしたいのは、簡単で結構なんですが、先ほどもお話あったんですが、その診断基準なり判断基準といいますか、そういうものはきちんとしたものとして今考えてよろしいのでしょうか。もちろん、これは特に健康面という保健、予防というふうな面になってきますから、ある程度、私は手術するときの判断とかそういうものとは違っていいんじゃないかなという気はするわけですけれども、その概念について。そして、今後、そのことは厚生労働省としてはこのこと、メタボリックシンドロームですか、これについての情報というものをもっとこれから進めていくような体制にあるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  205. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) メタボリックシンドローム、内臓脂肪症候群でございますけれども、これは先ほどもお話がございましたように、内臓に脂肪が蓄積するということが、そこからアディポサイトカインというある種の物質が出てまいりまして、これが高血圧、高血糖、脂質の異常というようなものにつながっていくというような複数のリスクを引き起こして、これらが重複するほど脳卒中とか心筋梗塞などの発症の危険が増大する状態というふうにされております。  この診断基準につきましては、国際的に、腹部の肥満とその複数の代謝異常に着目するということが共通の認識というふうにされておりますけれども、具体的な基準の数値につきましては人種的な差も考慮する必要があるということから、日本におきましては昨年八つの関係学会が国内外の研究成果を踏まえまして合同で研究して取りまとめたところでございます。日本の診断基準につきましては、日本人におけるCTスキャンなどのデータに基づきまして、腹部の脂肪の量などを推定して、この結果として策定をされたものでございまして、現時点における科学的な知見に基づく診断基準ということで考えております。  なお、関係学会におきましては、今後更にデータが蓄積をされまして新たなエビデンスが得られれば、この数値基準につきましては見直しを行うということも考えておるようでございまして、学会においてそういったことが行われました場合には、その動向も踏まえて対応してまいりたいと考えております。  こういった考え方を今回の生活習慣病対策に取り入れるということにつきましては、やはり概念の分かりやすさといいますか、国民に対するアピールというような点から有用なものというふうに考えておりまして、具体的にこれをどのように使っていくかということにつきましては、現在有識者の方々にも御検討いただいているところでございますが、基本的には、今後このような概念を活用しつつ生活習慣病対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
  206. 山本保

    ○山本保君 私は、先ほど申し上げましたように、こういうものといいますか、まず予防ということですので、まず分かりやすい形で、問題は、半分の人がそうだとかそうでないとか、そんなことよりは、いかに我々がもっと健康になっていくのかと、こういう具体的な対応をしていくことが大事だと思っております。  そのことが一番大事なんでありまして、この一つ一つのものを余りどうというよりは一般の方が一番分かりやすいものとして使えればいいんじゃないかなと思っているんですが、ちょっと話を戻しまして、戻すといいますか、そのためには健康診断ということが、今回の法律でも四十歳以上ですか、すべての方が健康診断、特にお聞きしますと、がんなどの特別なものはまず除いて、一般的な特に生活習慣病、がん以外のものについての健康診断をすべての国民がしっかり受けると、こういうことが書かれております。少々、ちょっと気になりますのは、そのための財源とか、そしてそれをだれが、どういう方が行うのでしょうかということなんですが、大変大きな問題ではありますけれども、簡単なスケッチで結構ですから、今お考えのところをお示しください。
  207. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の法案におきまして、保険者に対しまして糖尿病等の生活習慣病の健診、これを義務付けることとしてございます。  この健診の財源についてのお尋ねでございますけれども、これにつきましては保険料財源のほかに、現在、労働安全衛生法に基づく事業主健診が行われております。これに該当する場合のその事業主の負担、それから国、それと都道府県からの一部助成、そして健診を受ける加入者の一部自己負担により構成されることになるわけでございます。また、健診の実施体制についてでございますけれども、現在、市町村保健センター等での集団健診でありますとか診療所等の医療機関での個別健診などによって提供されているわけでありまして、こうした現行の実施体制を引き続き活用していくことになると、このように考えてございます。  また、ちょっと難しいのは被扶養者の方々の健診についてでございますけれども、これにつきましては、法律上の枠組みといたしまして、市町村国保等他の保険者によります健診を利用できることにしておりまして、こういった被扶養者の方々につきましても身近な場所で受診できますように保険者間の協力体制を構築して受診者の利便を確保するように努めていきたいと考えてございます。
  208. 山本保

    ○山本保君 分かりました。  特に、最後におっしゃったように、我々はおかげさまで毎年必ずやらせていただいているわけですが、私も町に、家におりましても国民健康保険、市の方からそういう連絡が来ているなということは知っていたんですけれども、その受診率が大変低い、受診といいますか、この健康診断をやっていない方が多いということは大変驚いております。これはもうやはり必ず受けて、そして早く自分の体調を知っていただくということは大事だと思いますので、是非進めて、強力に進めていきたいと思っておりますが。  もう一つ、これは、今のは国、専門の先生がお願いするわけですけれども、先ほど申し上げましたように、分かったけれども何をやったらいいんだと。この前、担当の課長さんと話ししていましたら、いやもう、一に運動、二に食事、しっかり禁煙、最後に薬と、何か分かりやすいことを言われまして、どうしても私たち、お酒を飲むなとか、油っこいものを食べるなとか、たばこを吸うなとか、ドント、ドントという、やるなやるなという話ばっかり出てくるわけですよ。このイメージをもっと変えなくちゃいけないと。どういうことをやったらいいんですかねと。気軽にできるようにしたらいい、町の中、特に役所、会社の中で全部そういうことができるようにしたいと思うわけですが。  そこで、まずそのために一つ、管理栄養士さんという専門家がおられるわけですね。最近、これは聞くところによりますと制度が少し変わりまして、管理栄養士の試験なども何かこれまでとは変わった体制を取っておられるということでありますし、それに今度の、介護のときにも、予防するというときに、その予備軍のようなところに行くのに食事の指導でありますとか食事改善ということでやっていくと非常に分かりやすいわけですし、私どもも話ししていまして大変その辺期待されるわけですが、その一番の専門家というと管理栄養士さんということになるわけです。  しかし、管理栄養士さんは、どうもお聞きしますと、大きな病院ぐらいにいるだけで、まああと施設におられますが、はっきり言えば、そこにいる方のためでもうとても手一杯じゃないかと。一体、地域に出ていってやれる体制になっているんですかと。それは数もありますし、先ほどちょっと申し上げたリハビリなどよりももっと、はっきり言えば、リハビリの場合は看護ステーションに置けるそうですが、栄養士さんは置くこともできないと。一体どういうふうにして国民全体の栄養といいますか食事の改善を進めていくのかということがどうも見えてこないんですけれども、この辺はいかがですか。
  209. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) ただいまお話ございましたように、生活習慣病予防の効果を上げていくためには、健診で対象者の状態を把握した上で、それぞれの方の健康上の課題に合わせた生活習慣に関する保健指導というものを提供していくことが必要でございまして、これを行うためには管理栄養士でありますとか保健師の役割というのがますます重要になるというふうに考えてございます。  このため、保健指導を計画的に拡大していくに当たりましては、市町村におります管理栄養士、保健師に加えまして、在宅におられます管理栄養士、保健師の方々や、保健指導を提供する外部の保健サービス機関等の活用によるマンパワーの確保と有効活用ということが推進していく必要があると考えております。さらに、都道府県や医療保険者、関係団体とも連携をいたしまして、研修を充実させるなど、管理栄養士、保健師等のマンパワーの資質の向上にも努めてまいりたいと考えております。
  210. 山本保

    ○山本保君 この辺は、お聞きしますと、まだこれからいろいろな形で検討会を持たれて、保健指導でありますとか健康診断については進めるというふうに聞いております。今まで栄養士さんといいますと、食べるものの一般的な栄養素がどうなっているかということ、若しくは、調理師さんとは違いますけれども、食べやすいような食事をどう作るかというところにやはり重点があったのかなと。  最近、お聞きしていますと、管理栄養士さんにはそれに加えて、当然ですが、それに加えて対人サービスといいますか、その方一人一人に合った食事をどのように作っていくのかということが一つの大きなカリキュラムの中に位置付いたというふうに聞いているわけでして、これまで、先ほどのOT、PTも含めまして、この医分野というのは、お医者さんと看護師さんは大変高い専門性を認められているわけですけど、それ以外の方というのはどうもそうなっていないんじゃないかなという気がしてなりません。今後の検討会で是非ここは、この管理栄養士さんについては今まで以上の体制になることを期待を持っております。  それでもう一つ、ここでちょっと文科省に来ていただいているんですが、お聞きしたいと思っているのは、これ私、実は思い付きのように申し上げているわけじゃなくて、実は深い意味がありまして、経験がありまして、私も児童相談所などの状況を見ておりまして、心理をやったり、いろいろな専門家が、ケースワーカーおられるんですけれども、肝心な子供たちとの、子供でいえばコミュニケーションをするような技術、スキルというものは大学で教えないんですよ。それを教えるのはいわゆる保母さん、保育士さんでして、そして福祉の側では、保育士さんのレベルとそうでない方では完全に隔絶しているんです。  また、制度でいえば、大臣、例えば社会福祉士という制度と、資格と、介護福祉士と全然違うんです。どこが違うかといったら、保育、保母さんというか主任保母さんになったって、幾ら現場で一生懸命頑張っていましても、この方たちは社会福祉士の受験資格もないんですよ。これは私びっくりしたのは、教育学から来て、これはおかしいですよと、福祉というのは。明らかに、資本制度社会の家庭崩壊はどうだとか、そんな難しいことをやる人が偉くて、実際にその方たちとコミュニケーションしながら元気を出させる技術というのは、これはワーカーで、一現場のワーカーにすぎないんだと。こういう感覚が実は厚生労働省の中の制度にもあるんですよ、まだ。  ですから、これ考えますと、今度から特に、健康診断はまあよろしい、これは専門家がやる、先生たちにやっていただく、これはいいんですが、保健となってきますと、保健指導、これは地域の中で楽しいスポーツだとかエクササイズだとか、こういうことをやっている方がたくさんおられるじゃないですか、この方たちともっと連携をしなくちゃいかぬのじゃないですかということの問題意識なんです。  そこで、時間がないので簡単に、まず文科省の局長さんですか、今日ありがとうございます。どういう方がこのスポーツの指導者というか、でおられるのかということについて教えていただきたいと思います。
  211. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。  スポーツ指導者の養成、幾つかのところでやっておりますけれども、代表的なのは財団法人日本体育協会と各スポーツ団体が中心となって一定のカリキュラムに基づいた養成を行っております。各関係のスポーツ団体といいますと、空手や柔道というのがありますし、いろんな、サッカーとか山岳、水泳、そういった競技団体はありますけれども、そういった競技団体と一緒になりまして一定のカリキュラムに基づいて養成を行っているということで、平成十六年現在のデータでございますけれども、約十一万九千人の指導者というものが養成され、それぞれの地域で指導に当たっているという状況でございます。
  212. 山本保

    ○山本保君 もちろん、競技人口というのはもっと多いと思うんですね。今おっしゃったのはいろんな講習、研修を受けられて、その日本体育協会ですか、またレクリエーション協会なども、私もこれは前にお付き合いあったんですが、こういうところで、言わば指導者養成ですとか、またその方に合ったプログラムを組んでいくようなことの指導能力を高めていただいている方が十二万弱ですか、そんなにおいでになると、こういうことなんですね。  ですから、もちろんカリキュラムをちょっと見ますと、やはり医療との関係ですとか、筋肉や年齢などでどの程度になっているかということについては少し弱いような気がいたします。ここは、やはり福祉、医療の側ときちんと連携をしていただいて何か講習を受けていただくと。その方たちにも今回の保健指導というか、保健については進めていただくということを考えていただきたいなと思うんですけれども、これは厚労省の方はどうお考えですか。
  213. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) 生活習慣病予防のための保健指導におきましては、運動指導というのは、御指摘もございましたように、栄養指導や禁煙指導とともに特に重要な要素であると考えております。運動を健康づくりに役立てるためには適切な運動の実践ということが重要でございまして、誤った運動指導が行われますと健康度の向上につながらないというだけではなくて、場合によってはけがや事故にもなりかねないというように考えております。国におきましては、科学的な知見に基づいて必要とされる身体活動量などを運動基準として示しますとともに、その内容を広く国民に普及させるための運動指針の策定を進めているところでございます。  運動を通しました保健指導の実施に当たりましては、運動基準や運動指針を踏まえまして、医学的な基礎知識あるいは運動生理学に関する知識等を持って安全かつ楽しく運動の実践を指導することができる人材の養成が必要と考えております。こうした養成のためのコースにつきましては民間におきまして幾つか設けられておるところでもございまして、こういったところを活用するということも考えられると思っております。  また、健康運動指導士というものがございますが、これを始めといたします地域の様々な運動指導者の活用も図るなど、文部科学省など関係府省とも連携し取組を進めてまいりたいと考えております。
  214. 山本保

    ○山本保君 ありがとうございます。  これについては、どうしても、何か筋肉増強器具とかそういうものを使ってとか、そういう発想が割と多いんですよね、福祉側とか。あれは面白くないんですよね。面白くないものは続かないんです。ですから、やはり面白さということはやっぱりスポーツの一番重要なことであるんだけれども、それはどうしても健康面では後になってしまうと。そうではなくて、その専門家の方をですね。  大学、学生時代は、何でもいいからもうがりがりに頑張ればいいなんて、がむしゃらでという人もいましたけれども、そういう指導者が多かったのかなという気もするんですけれども、自分自身スキーだったんですが。でも、今のはそんな方じゃなくて、先ほどのようにきちんと指導というか研修、能力高めておられると思いますので、その辺は是非今後の検討会でその代表の方などを入れていただきたいと思いますし。  これは時間がないのでちょっと申し上げるだけですが、大臣、役所でもやっぱり一日に一時間ぐらい体を全部動かすようにすべきじゃないかと思うんですよ。まさか軍事教練かなんて言われたら困りますけれどもね。そんなことじゃ困る。だから、そんな暗いんじゃない、もっと明るく楽しいものでね。  何かお聞きしましたら、階段、あれ上り上がりすると言っているらしいんですが、何か副大臣やっているらしい。私は階段知っておりますけれども、あんな階段三十分もいたら気がめいって倒れますよ。もう全然倉庫みたいな階段なんですから。もっとあれね、ちゃんと明るくできるようにとか、それから、朝昼晩ぐらいに、仕事やっていてもちょっと休めようやと。前もあったんです、三時ごろに。だけど、そのときは、そんなのやっているやつはもう何サボっているのかなんという目で見られていました。だから、これはもうはっきり言って各課の課長さんが全部率先してやらないと駄目ですよ。課長がもう率先して体を動かすということで、本当にそれはもうまず隗より始めよで、是非やっていただきたいと思っております。  あとちょっと一分だけあります。一つだけ、ちょっと関連で、直接関係ないんですが、私のところに質問がございまして、お年寄りの御夫婦から、国民健康保険が、保険証がその町では、愛知県下のある大きな市なんですが、一枚しか出してくれないというんですよ。それで、御夫婦ともに違うところへ行かなくちゃいけないのにそれは大変困っていると、カードにするというような話もあったのに一体どうなっているんだと、こういうことがありました。  ちょっと結論だけ言いますと、何かカード化をするということが厚生労働省は何かその目的なんで、カード化の前に例えば今ある書類を二つにするなんということは、そんなことをやっているとカード化が進まないからやらないなんということを言っているらしいんで、これはちょっと失礼じゃないかと。カードが便利で、IC化すればもっと便利に決まっているけれども、まず最初にやらなくちゃいけないのはそういう御夫婦なり、必要であるならば保険証をちゃんと分けて使いやすくするところから始めてほしいわけですが、いかがですか、これはちょっと関連でございます。
  215. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 御指摘のように、お年寄りの夫婦お二人が同時に病院に掛かる場合などの利便性を考慮いたしまして、実は平成十三年度におきまして、一人一枚の被保険者証を交付するということが実はもう既に原則にはなっているわけでございます。  一方で、世帯で一枚の被保険者証を交付するということも当分の間の措置ということで認めているわけでございまして、その場合には、修学等を除きまして世帯主に対して一枚の被保険者証を交付しているところでございます。  この一人一枚の被保険者証につきましても徐々に進んでいるところでございますが、国保の実態を申し上げますと、平成十七年六月一日でございますからちょうど去年でございますが、二千三百九十五の市町村のうち五百四十九の市町村でこの一人一枚のカード化ということが現に進んでいるわけでございます。  私どもといたしましては、この未実施の保険者につきましては、被保険者の利便性、一方ではコストも掛かるわけでありますけれども、適切な時期に切替えを行っていただきたいと、このように考えているところでございます。
  216. 山本保

    ○山本保君 時間なんで終わりますが、そこだけ、局長、いいですか、カード化するからそれまで待てというのは失礼だと言っているんですよ。カード化するとか、それはお金が掛かることをやるまで二人一枚、分けませんじゃなくて、今ある紙を、さっき言われたように遠隔地だとか出しているんですから、どうしてそれ出せないんですかと、それを先にやっていただきたいということを申し上げまして、終わります。  ありがとうございました。
  217. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  今度の法案は、高齢者と重症患者に重い負担を負わせるものであるし、しかも混合診療の問題なども含めて保険の利かない医療を拡大するという面もある。国民皆保険制度の解体につながる重大な改悪法案だと思っておりまして徹底的な審議が必要だと思いますが、小泉政権になってからもう毎年社会保障の重大法案が出てくるわけですよ。医療が最初にあり、年金があり、去年は介護と障害者自立支援法、そしてまた医療だと。こうスケジュールどおり、国民には痛みと負担が次々と押し付けられてくる。  一方で、私、言いたいのは、社会保険庁の問題が出ております。役所の改革というのは一向に進まない。そういったことを放置して、国民にだけどんどんどんどんスケジュールどおり痛みを押し付けてくる。私は改革をする場所が間違っているというふうに思いますし、そういった問題を放置して国民に負担だけ押し付けるという議論は、これは国民、到底納得できないだろうというふうに思っております。  その点で、この法案審議も大事なんですが、やはり今社会保険庁の問題、重大な問題になっております。先ほど辻委員からも審議の場をという要求がありましたけれども、私もこの問題については法案とは別に集中審議を行うということを要求したいというふうに思います。委員長、いかがでしょう。
  218. 山下英利

    委員長山下英利君) 理事会で協議をさせていただきます。
  219. 小池晃

    ○小池晃君 それは是非やる必要があると思いますが、法案の方に入ります。  健康保険法の改定による負担増の具体例を、具体的にどんな負担になるのかということを今日はお示しをしたいと思って資料を配りました。  最初にケースの一。これはこの十月から直ちに起こるわけですが、現役並み所得の高齢者が二割から三割になるわけです。これは七十歳の男性の単身世帯で、収入は年三百九十万円の年金。高血圧、糖尿病で月一回の通院で、現在の負担は薬も含めて月一万一千百四十円が一万六千七百十円になるわけです。  次のケースの二というのは、やはりこの十月から、療養病床に入院するいわゆるホテルコスト、食費、居住費の負担の見直しによる負担増のケース。七十三歳の男性で、収入は年百八十万、月十五万円の年金のみです。療養病床に三十日間入院して、現在の負担は食事代も含めて四万七千二百八十円ですが、これは十月からは七万五千二百八十円となると。さらに、再来年四月にはこういう方は二割負担になりますから、九万八千五百六十円に跳ね上がるわけです。  さらにケースの三というのは、これは二〇〇八年四月の、再来年の問題で、いわゆる前期高齢者の負担が一割から二割に上がる。このことによって、例えばこのケースでは七十四歳の女性で、収入は年九十六万円の年金、月八万円の年金です。大腸ポリープの内視鏡手術で二日間入院した場合で、現在一万六百六十円の負担が二万一千三百二十円になる。  これは具体例を基に計算したんですが、局長、こういう負担増になることは間違いないですね。
  220. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ただいま御提出というか、御説明いただきました資料におきます負担額でございますけれども、これは所得区分でありますとか診療報酬等について一定の仮定を置いた上であれば、お示しされた事例が一般的かどうかはともかくといたしまして、このような事例もあり得るものと承知をしております。
  221. 小池晃

    ○小池晃君 あり得るというかあるんですよ、これ実際の実例で計算しているんですね。  今回の制度改定が最終的にすべて出そろうのは二〇〇八年になるわけですが、この時点で七十歳以上の患者の自己負担比率というのは実効負担でどうなるのか。現在の負担比率と二〇〇八年での負担比率をそれぞれ示してください。
  222. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 七十歳以上の患者負担の医療費に占める割合についてでございますけれども、平成十五年、二〇〇三年度の実績で八・九%、これが改革後の平成二十年、二〇〇八年度におきましては一〇・七%と、このように見込んでございます。
  223. 小池晃

    ○小池晃君 老人医療の実効負担率がついに一割を超えるということになるわけであります。  私は、二〇〇〇年の老健法の改悪のときの審議にも参加をして、当時、津島厚生大臣と議論をいたしました。あのとき、定率負担になるけれども、七・七%の実効負担が七・九%になるんだから大丈夫だという答弁をされたことを今覚えているんですが、そういう当時から比べても、実効負担で一割超えるという事態になったということを改めて非常に重く受け止めざるを得ないわけであります。  大臣に私はお聞きしたいんですが、先日の決算委員会でも議論をいたしました、予算委員会でも議論いたしましたが、高齢者の家計がこの間どうなっているかといいますと、課税の強化がありました。それに連動する国保税、国保料、そして介護保険の一号保険料が四月から引上げになっている。そういう連続する制度改定で大きな打撃が加わっている。可処分所得は大幅に減っているわけです。こういう中で、今お示ししたような具体例にあるような医療費の負担増ということが私は高齢者の生活にとっても大きな打撃になるし、受診抑制など健康に対しても深刻な影響を与えることにならざるを得ないというふうに考えるんですが、大臣の認識をお伺いします。
  224. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 急速な高齢化が進む中で社会保障全体の費用が増える。その中で、二年前に年金制度の改革、すなわち若者に負担を増やしてもらう、お年寄り、受給者の方々にはマクロスライドの導入、国は三分の一の負担から二分の一の負担へという形で、お互いがこの社会を支え合うという認識の中で御協力をいただいてきております。  今回の医療費につきましても、医療費の増大が見込まれる中で、世代間の負担の公平化の観点から、高齢者にも応分の負担をしていただくということでお願いをいたしております。今回の改革案では、現役並み以上の所得を有する高齢者については、現役世代との負担の均衡を踏まえ、現役世代と同じ三割負担するなどの見直しを行うことといたしております。  なお、見直し後においても、高齢者に係る高額医療費については、入院と外来を合わせた自己負担限度額のほか、外来に係る自己負担限度額を設ける、一般の高齢者については現役世代よりも低額の自己負担限度額を設定する、低所得者については自己負担限度額を据え置くなどの配慮を行っております。  御指摘のように、お互いに支え合う社会でありますから、高齢者の方が負担が増えることも事実でございますけれども、必要な医療まで妨げられるものではないと考えております。
  225. 小池晃

    ○小池晃君 低所得者対策をやることや若年者に比べて上限を下げるなんて当たり前のことなんですよ。これは高齢者の身体の特性からいったって当然であります。  支え合う支え合うと言うけれども、高齢者にとってみれば、年金は減らされ、税は増え、介護保険料その他社会保険料増え、医療費も増えると。何にもいいことないじゃないですか。何かいいことあるなら別ですよ、全部負担増ですよ。これでどうして支え合うんだというふうに私は思うわけです。  しかも、私、実態でお示しした。これ、月十五万円の年金の暮らしの方が毎月五万円を超える負担増になるようなケースもある。これがどうして無理のない負担なのか、これでどうして必要な医療が抑制されないのか、私は全く今のは説明になってないと思うんです。  しかも、高齢者だけじゃない、若者にも関係ある問題としては、高額療養費の限度額の引上げがある。  ケース四は、これ、この十月からですが、この限度額も引き上げられます。七十二歳、これはケースは高齢者ですが、七十二歳の女性の単身世帯で収入が年百六十九万円の年金、胃がんで手術をされた方ですね。月十四万円の年金ですが、二十四日間入院して、現在は食事代も含めて四万九千五百六十円の負担が、今年十月から五万三千七百六十円になる、再来年四月からは負担上限更に上がるので七万一千四百六十円になる。  これも、ちょっと簡単で結構ですが、間違いないですね、こういうケースであれば。
  226. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 先ほども申し上げたとおりでございまして、このようなこともあり得るかと思います。
  227. 小池晃

    ○小池晃君 私、これすべての世代に及ぶ高額療養費の限度額の引上げで、受益者負担と言うけれども、がんの手術をしたり、あるいは心臓病の治療を行うという人は受難者であります。そういう人に重い負担をかぶせるということが許されるのだろうかというふうに思うわけです。  続いて、個々のケースだけではなくて、全体の総額で今回の負担増がどういう規模になるのか。今日は初回ですので全体像を明らかにしたいと思うんですが、資料の二枚目に厚労省から出してもらった数字を資料として配りました。  ちょっと、資料にありますが、読んでいただきたいんですが、まず、今年度の負担増です。これは十月から高齢者の負担が増えること、高額療養費の限度額の見直しが行われることで、給付費、国庫負担、患者負担がどう、それぞれ、それから合計でどう変化するか、お答えください。
  228. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 平成十八年度十月実施の患者負担の見直しによる財政影響でございますけれども、高齢者の患者負担の見直しによりまして、これは資料にあるとおりでございます。給付費については一千億円の減、国庫負担につきましては八百億円の減、患者負担につきましては五百億円の増と、このようになっているわけでございます。
  229. 小池晃

    ○小池晃君 高額療養費。
  230. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 高額療養費の限度額の見直しにつきましては、給付費につきましては六百億円の減、国庫負担につきましては百億円の減、患者負担につきましては三百億円の増でございまして、トータルで見ますと、給付費につきましては千六百億円の減、国庫負担につきましては九百億円の減、患者負担につきましては七百億円の増と、このようになっているわけでございます。
  231. 小池晃

    ○小池晃君 これは今年度ですから、五か月分でありますから、平年度ベースでいいますと、例えば患者負担でいうと約千七百億円の負担増の規模になってくるということになると思います。  引き続いて、二〇〇八年度ではそれぞれどうなるか、お示しください。
  232. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 二〇〇八年度でございますけれども、これは表の右側にあるものでございますけれども、高齢者の患者負担の見直しにつきましては、給付費が三千億円の減、国庫負担千七百億円の減、患者負担千三百億円の増、高額療養費につきましては、給付費千四百億円の減、国庫負担三百億円の減、患者負担七百億円増。それから、七十歳から七十四歳の高齢者の患者負担の見直し、一割から二割でございますが、給付費につきましては二千五百億円の減、国庫負担につきましては五百億円の減、患者負担につきましては千二百億円の増。それから、乳幼児の患者負担の見直しでございますけれども、これにつきましては、給付費が六百億円の増、国庫負担百億円増、患者負担三百億円減。  トータルで見ますと、給付費につきましては六千三百億円の減、国庫負担につきましては二千五百億円の減、患者負担につきましては二千九百億円の増と、こうなっておりますけれども、給付費につきましては、これらの保険料に、影響といたしましてはその分だけ減るわけでございますし、国庫負担につきましても税負担がそれだけ減るということになるわけでございます。
  233. 小池晃

    ○小池晃君 それで、これがどれだけの数の高齢者に及ぶものなのかなんですが、二〇〇八年度における七十五歳以上の後期高齢者の数と七十歳から七十四歳までの高齢者の数、これをお示しください。
  234. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 平成二十年度、二〇〇八年度におきます後期高齢者の七十五歳以上の加入者数でございますが、六十五歳から七十四歳の障害認定者も含めまして千三百万人、それから七十歳から七十四歳の医療保険の加入者数は六百万人と、このようになってございます。
  235. 小池晃

    ○小池晃君 そうすると、この表と今の数字からいえることなんですが、例えばその二〇〇八年度でいえば、給付費全体で六千三百億円の減少ですけれども、そのうち患者負担の増による給付費減が二千九百億円で、受診抑制による給付費の減が三千四百億円だと、そういうことになると思いますが、それはまあうなずいていらっしゃるんでそれでいいと思うんですが。  そういうことでいいますと、先ほど示した、この今の数字でいうと、高齢者にかかわる問題でいいますと、高額療養費とか乳幼児の問題を除くと、高齢者の患者負担増は二千五百億円になる。受診抑制によって給付費が減る分が三千億円になるわけです。これを先ほどの高齢者の数で割りますと、七十歳以上の高齢者一人当たり年間一万三千円の負担増になってきて、同時に一人当たり一万六千円分の受診を控えるという計算になるのではないか。  それから、七十歳から七十四歳の一割から二割負担の問題に限っていえば、この負担増の総額千二百億円ですから、で、人数が六百万人ですから、一人当たり年間二万円の負担増になり、同時に約二万円分の受診を控えるという計算になるかと思うんですが、これで間違いございませんか。
  236. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 高齢者の患者負担の見直しにつきましては、どのような医療を受けるか、あるいは所得の状況がどうかによって異なりますので、すべての高齢者が一律に負担増になるわけではございませんけれども、単純な平均で割り算をいたしますと、先ほどの現役並み所得者の患者負担、それから高齢者に掛かる食費、居住費の見直し、それから七十歳から七十四歳の一割、二割の患者負担の見直しによる影響というのは合計二千五百億円でありますので、千九百万人で割りますと、年間一・三万円ということになります。  同様に、七十歳から七十四歳について見ますと、千二百億円増で、これを加入者数六百万人で割りますと、単純平均で年間一・九万円の増と、こういうふうになります。
  237. 小池晃

    ○小池晃君 全体像を示した上で、もう一度大臣に、先ほどの議論の続きをしたいんですが、大臣は先ほどは、これは大丈夫なんだと、受診抑制にはならないんだというふうにおっしゃるんですが、先ほど私、強調したように、高齢者の生活を実態として支えているのは公的年金ですが、これは増えるどころか、マクロ経済スライドで実質減になっているわけです。しかもその上、この間、増税やあるいは社会保険料の引上げで高齢者の可処分所得はどんどん減っているわけであります。  そういう中で、今お示ししたように、これは平均で見て、だからいろんなケースがあるともっと多いケースだってもちろんあるわけです。平均で見て、年間一万円から二万円もの負担増になるし、同時にほぼ同額の受診抑制ということが想定された今度の負担増になっている。  こういうことであれば、私はどう考えても、これは深刻な影響が高齢者の生活や健康に出てこざるを得ないというふうに思うんですが、そうならないというのであれば、その根拠も含めて御見解をお聞かせください。
  238. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 先ほどは、後期高齢者の医療の負担について、組合の健康保険また政管健保等に御負担をいただく、国は五割を負担をする、その中で高齢者の皆さん方に一割負担をする、それがどこまで増えていくんだと、こんな議論がありました。  この社会をお互いにどうやって支え合うかというときに、残念ながら若者の負担も増える、一方で、お年寄りの皆さん方にも協力をいただける方々には協力をお願いしていかなきゃならない、それでなければ我が国の社会保障制度は持続可能なものにならない。ここは国民の皆さん方に率直に申し上げて御理解を得ていかなければならないだろうと、こう考えております。  患者負担の見直しにより医療給付率が減少すると、高齢者の中には受診を控える方もあり、医療費が縮減することになると、これはもう今数字でもお示しいただきました。先ほど御答弁申し上げたとおり、高齢者に係る高額医療費については、入院と外来を合わせた自己負担限度額のほか、外来に係る自己負担限度額を設ける。一般の高齢者については現役世代よりも低額の自己負担限度額を設定する、低所得者については自己負担限度額を据え置くなどの配慮を行うと。必要な医療まで妨げられるものではないと考えております。
  239. 小池晃

    ○小池晃君 私は、その必要な医療を妨げないというんだったら根拠を示してくれと言うけど、やっぱり根拠なんか全く示せないわけですね。同じことを繰り返すだけなわけです。  私は、別に高齢者の負担を抑えるために若年世代に負担を負わせようとは言っておりません。これはやはり公費の出方というのはあるんじゃないですか。今日、閣議決定で米軍再編決定したようですが、ああいう問題には三兆円というお金を出していく。やはり、税金の使い方について、支出についてもっともっと見直して、医療や社会保障を支えるという方向に政治の方向を切り替えるべきなんですよ。そういう議論なしに負担の押し付け合いだけやるような議論をしていたら、私は社会保障制度は崩壊してしまうというふうに思うわけです。しかも、今回新たに老人保健法を変えて、目的まで変えて、「老後における健康の保持と適切な医療の確保」から、「高齢期における適切な医療」と、医療費の適正化まで目的に盛り込んで後期高齢者医療制度を創設すると。  全体像については改めて議論しますが、今日はちょっと保険料の問題に限って言いたいんですが、これは新たに被用者保険の扶養家族からも保険料を徴収する。この徴収対象となる総数は何人でしょうか。
  240. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 平成二十年度の後期高齢者、千三百万人、先ほど申し上げましたけれども、このうち従前の制度で被用者保険の被扶養者であった方は約二百万人と見込んでおります。
  241. 小池晃

    ○小池晃君 この保険料は年金天引きということだそうですが、その天引きの対象となる比率というのはどの程度を考えておられるんですか。
  242. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この後期高齢者医療制度におきましては、市町村におきます保険料収納の確保と事務の効率化を図る、これが一つ目的でございます。もう一つは、被保険者の保険料納付の利便を図るということの、これを図るために保険料を年金から天引きする仕組みを導入することとしてございます。  その際、介護保険における年金天引きの範囲と同様に、年額十八万円以上の年金を受給している方を対象とする方向でございます。また、もう一点、天引き額が過大にならないように、介護保険料と合わせた保険料額が年金額の二分の一を超える場合には天引きの対象としないということを検討しているわけでございます。  天引きの対象となる方、ならない方おられるわけでありますけれども、対象とならずに普通徴収となる方の割合につきましては正確な数値を把握しておりませんけれども、介護保険制度においては二割の方が普通徴収となっていることも踏まえますと、ほぼ同様の割合が普通徴収の対象になるものと考えてございます。
  243. 小池晃

    ○小池晃君 今の御説明にあるように、月一万五千円ですね、十八万円ということは。ここまで天引き対象にしている。しかも、年金の半分まで天引きする。ということは、最悪の場合、手元に七千五百円しか残らないということになるわけです。そもそも、一万五千円という低額の年金が多数存在していること自体が私は生存権を保障する憲法に抵触すると思いますが。  大臣、お聞きしたいんですけれども、こういう低額の年金まで半分まで強制的に天引きをしてしまうというのは、これは憲法二十五条で保障された生存権を侵害することになるんではありませんか。
  244. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) さきに局長がお答え申し上げましたように、基礎年金のみの受給者など低所得者については保険料の軽減措置設けるようになっております。低年金しか収入がない者については全国平均で月額九百円程度の保険料となっておりますので、現実の話として年金十八万円しか収入がないという方々でしたら二分の一なんという数字にはならないと、このように思っております。
  245. 小池晃

    ○小池晃君 いや、そういう仕組みを法的につくっていること自体が、これは憲法に抵触することになるんじゃないですかというふうに聞いているんです。
  246. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 実態を申し上げました。  仕組みとして憲法違反になるかどうかということになると、これは法制局と詰めた上で出さしていただいておりますので、そういう意味では憲法違反ではないと考えております。
  247. 小池晃

    ○小池晃君 天引きの対象から外れる人個別徴収となるという先ほどお話ありまして、老健局長、介護保険における普通徴収について、徴収率はどうなっていますか。
  248. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 保険料全体に占めます普通徴収の比率、平成十六年度で一八・一%でございますが、その徴収率は九〇・二%でございます。
  249. 小池晃

    ○小池晃君 もう介護保険では、天引きでない普通徴収では一割、今徴収率九〇%、一割未納になっているわけです。介護保険ではその対象者一八%ですが、今回の高齢者医療制度は更にそれを上回るであろうというふうに思うんです。滞納問題深刻だと思うんですが、本法案では、未納の場合は資格証明書の発行ということを規定している。これは短期保険証の発行ということも想定されているんですか。
  250. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 新たな後期高齢者医療制度におきましては、後期高齢者お一人お一人を被保険者といたしまして保険料を徴収するということにしてございます。したがいまして、保険料を滞納した場合には、後期高齢者の医療制度の運営主体がこの保険料未納者との接触の機会を増やしまして、保険料納付などの直接働き掛けることを目的といたしまして、国民健康保険制度と同様に、通常の被保険者証と比較して有効期限の短い短期被保険者証を発行する方向で検討してございます。
  251. 小池晃

    ○小池晃君 私は、この制度で短期証や資格証を発行する、保険証を取り上げるということは断じて許されないというふうに思っておりますが、今までの国民健康保険制度でも老人保健制度の対象者には資格証の発行をしていないわけであります。この理由は一体どういうことだったんでしょう。
  252. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 新たな後期高齢者の医療制度におきましては、保険料の徴収等、医療給付を同一の主体、広域連合でございますが、同一の主体が行うということでございますので、形として国民健康保険と同様になります。  したがいまして、被保険者間の公平の確保と制度に対する信頼を維持していくために、保険料を滞納した方につきましては、資格証明書を発行して、償還払いによる給付を行うこととしているわけでございます。一方、現行制度におきましては、国保の被保険者のうち老人保健の対象者につきましては、保険料は国保の保険者に支払う一方で、給付は老人保健制度の実施主体である市町村から受けているわけでございますので、保険料を徴収した保険者が給付を行う仕組みとなっていないと、こういうことから資格証明書の発行は行っていないと、こういう考え方で整理をしていたところでございます。
  253. 小池晃

    ○小池晃君 今のはごまかしじゃないですか。だったら、何で今資格証明書の発行対象から公費医療も外しているんですか。被爆者医療、障害者医療、結核に対する医療、あるいは医薬品副作用被害等、公費医療は資格証の対象から外しているじゃないですか。これ、なぜ外しているかといえば、幾ら何でもそういう人から保険証取り上げてはいかぬということがあるから対象から外していたんですよ、老健制度はそうじゃないですか。何で、じゃ公費医療は外していたんですか、説明付かないじゃないですか。局長、どうなんですか。
  254. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 公費負担制度につきましては、私は承知をしておりませんけれども、老人保健制度におきましては従来からこういう考え方で整理をしていたところでございます。
  255. 小池晃

    ○小池晃君 でたらめですよ。これはやっぱり高齢者や障害者や結核の患者さんというのは保険証取り上げちゃいけないと、厚生労働省であれどもそこは守ってきたんですよ。だから、国民健康保険の資格証の対象から老健の加入者って外していたんじゃないですか。それを今回、こっそりとこの後期高齢者医療制度は保険証取り上げる。大臣、こんなこと許されるんですか。今までの厚労省の制度からいったって、これ問題なんじゃないですか。いかがですか。
  256. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 今回の制度、資格証明書制度は、負担能力があるにもかかわらず保険料を納めていない、高齢者だからということではありません。負担能力があるにもかかわらず保険料を納めていない、したがって資格証明書の交付に当たっては低所得者等の需要のある被保険者の方々については保険料を軽減するほか、保険料を納付することができない特別な事情がある場合には資格証明書を交付しない。したがって、払える能力がありながら払わないという人だけの話でございますから、その人が所得があって高齢者だからということでそこは分ける必要はないだろうと、こう思っております。
  257. 小池晃

    ○小池晃君 私の言ったことに答えていない。今までだって国保はそういう制度だったんですよ。新たにそういうふうにしたわけじゃないんです。しかし、そうであっても、特別な事情があった場合でなくても高齢者についてはこれは除外していたんですよ、今までは。それを今回、七十五歳以上ですよ、七十五歳まで頑張って税金も社会保険料も一杯納めてきて、社会のために貢献してきて、それでも悪質滞納者だとでも言うんですか。私、これ、本当に血も涙もないやり方だと。少なくともこれ、今までの厚生労働省説明に照らしても、これ、重大な方針変更だと思いますので、これは撤回すべきだということを申し上げたいというふうに思います。  最後に、今法案審議中であるにもかかわらず、実際どういうことが起こっているか。実は後期高齢者医療制度の広域連合の準備組織が次々と立ち上がっているんですね。例えば東京都では、明日、六月一日ですが、広域連合の設置に向けた合同検討会と合同事務局が発足をする。事務局には八名の専任職員を置く。給与や事務局設置の費用まで決まっているんです。  法案審議始まったばっかりですよ。しかも、六月一日から何か新たに制度が始まるからこれは仕方ないというんだったらともかく、広域連合なんというのはもうずっと先の話だし、広域連合の発足だって今年度末のはずであります。しかし、まだまだ先であるのに、もうもはや自明であるかのように人も金も配置して準備が行われているんです。局長、こんな指示を厚労省で出しているんですか。
  258. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 広域連合の設立につきましては、平成二十年四月からこの制度を円滑に実施することを目的といたしまして、法律上、平成十九年度中に所要の条例の制定でありますとか、保険料の決定等の準備が必要であるということでございまして、法律上、平成十八年度の末日までに広域連合を設けるものとしているところでございます。  この設置に当たりましては、様々、設置の準備、規約の議決と、こういったことがございますので、私どもとしては、市町村におきまして、法案が成立し次第速やかに施行準備業務に入っていただく必要があると考えてございます。  既に、自主的、自発的に既に幾つかの地域で準備作業に着手していると聞いておるわけでございますけれども、これは正に自主的な動きでございますので、私どもにつきましては、施行準備の内容につきまして、決まった事柄に応じ、その段階段階に応じまして円滑な施行に向けて情報提供をしていきたいと、このように考えております。
  259. 小池晃

    ○小池晃君 これ、委員長のおひざ元の滋賀県は既に準備委員会できているんですよ。こういうことで、私はこれは党派を超えた問題だと思いますよ。国会でこうやってみんなで議論しているときに、もうどんどんどんどん自主的にと言いながら、法案制定が自明であるかのように、いや、だから、繰り返しますけれども、例えば年度末で日切れで四月からやるんだということで準備仕方なくやっているというんだったらまだ分かるけれども、まあそれも分かると言っちゃ本当はいけないんだろうけど。でも、こんなふうにまだまだ先の話なのに、実際着々組織ができて、金まで付いてやっていると。私、こういうことは党派を超えてこの国会の軽視につながるんではないかと。参議院の審議が始まった途端に、六月一日に東京都が会議やる。  私、これ、委員長に申し上げたいんですが、こういう事態が起こっていることについて、厚労省について、今知っているようです、自発的にやっているんだとおっしゃいましたから。実態調査を委員会として求めるべきだと。こんなことがまかり通ったら、まじめに審議なんかできないというふうに思いますので、委員会として厚労省に対して調査をするように求めたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  260. 山下英利

    委員長山下英利君) 理事会で協議をさせていただきます。
  261. 小池晃

    ○小池晃君 終わります。
  262. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  今日はまず冒頭、社会保険庁の年金不正免除の問題について簡単にお聞きをいたします。  大臣、なぜこのような事件が起きたと思われますか。理由は何だと思われますか。
  263. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) これはもう先ほども申し上げましたように、今回二つの事案だと思っております。  一つは、二月の段階で、私どものコンピューターが京都において異常な数字が出てきたということで、本庁から調査に入りました。結果として、一人一人の皆さん方から申請書類をもらわずに免除手続を行っていたという事案が出てまいりまして、三月にこの問題の、ある意味では取消し、免除手続の取消しと、それからそれに関係した者の処分を行ったところでございます。あわせて、同様の事案を他にないかという形で問い合わせをいたしましたところ、一部は、そうした電話等で確認は取ったけれども正式の書類をもらわないまま処理をしたと、こういう事案が出てまいりましたけれども、多くのところがないという報告をしてきたと。その後、何回も重ねて、また大阪の事案が出た後、いろいろな経過の中で、しっかり調べるべき責任者が、また報告すべき責任者や担当者がすべてこれを隠ぺいをしたと、こういう事案でございます。  したがって、一つは、何ゆえに法律に基づいた処理をしないで免除手続を行ったという事案、もう一つは、その後、本庁の調査に対して何ゆえにうそを答えたかと、この二つの事案を徹底的に解明をして国民の皆さん方の前に明らかにしなければならないと、このように思っております。  一方で、免除の通知を既に受けた方々がいらっしゃいますので、これは正規の手続にのっとっていないわけでありますから取消しをさせていただかなければならない。しかしながら、一方で、免除を受けられる立場の方々でございますので、事情をお話しして、免除手続を自らしていただくような働き掛けをできるだけ早くしなければならない。こういうことを今並行してやらせていただいております。  そうしたものが進む中で、実態解明が進み結果として全容が明らかになりました中でそれに関係した者たちを処分しなければならないだろうと、このように思っております。また、二度とこうしたことが起こらないような体制も整備を急がなきゃならぬと、このように思っております。
  264. 福島みずほ

    福島みずほ君 二〇〇四年に村瀬さんが損保から長官に抜てきをされました。そして、就任直後に年金の納付率を八〇%に引き上げると宣言をいたしました。それが理由ではないかと。  改めてお聞きをいたします。要するに、目標達成だけ掲げて、やれ、やれと言うわけですから、それで現場が無理をすると。長官は、収納率を二〇〇七年度までに八〇%まで引き上げるために事務局、事務所ごとに目標を設定、自ら文書で言い訳は無用と目標達成を求め、また社会保険庁事務局グランプリという形で達成率上位の事務所などの表彰を行っていた。そして、ランク付けをし、それは衆議院の委員会の答弁では、人事においてもそれは考慮の余地があるという旨答弁をしていらっしゃいます。  長官がこのような指示を具体的に出したのはいつですか。
  265. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) 今、ただいま福島先生の方からお尋ねありました件について、まず事実関係にかかわるところをきちんと整理をさせていただきたいと思います。  最初に、保険料の納付率の目標値八〇%ということについてでありますが、これは村瀬長官就任前から、私どもが平成十四年度に大変国民年金の納付率が大幅に低下したことを受けまして、省内に設けました特別対策本部でこの八〇%という目標を設定したところでございます。その後、この八〇%という目標を各都道府県ごとの事務局あるいは事務所ごとにブレークダウンすることなく様々な納付督励策を行っておりましたところ、続きます平成十六年度におきましてもなかなか成績が上がらないと。したがいまして、これを具体的に事務所、事務局にブレークダウンするというやり方を、村瀬長官就任後に、私ども、長官と一緒になってどのようなやり方がいいかということを考えた次第でございます。  また、それぞれの事務局、事務所ごとの目標の立て方につきましては、それぞれの事務局、事務所のそれまでの実績を踏まえまして、また、具体的な方法論を言わば事務局、事務所ごとに積み上げてもらう形で作ったものでございますので、確かに目標そのものが容易に実現できるものとは私どもも考えておりませんが、何か、霞が関の方から無理やり押し付けたものを各事務局、事務所に行わせていたものではないということだけは是非とも御理解を賜りたいと存じます。
  266. 福島みずほ

    福島みずほ君 事実関係で確認をします。  長官自ら文書で、言い訳は無用と目標達成を求めた文書を出していた、このような事実はありますか。
  267. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) 失礼しました。  長官が具体的にこれを指示した文書ということで今議員がおっしゃったものは、恐らくは十七年の十一月における長官からの指示ということを御念頭に置いての話であろうと思います。これは、具体的な文書をそういう形で長官がその時点で示したとき以外にも、折に触れまして長官の方からは御指示がありました。正確な日付を申し上げますと、国民年金の収納率、緊急メッセージという形で事務局長、事務所長に出したメッセージは平成十七年の十一月の八日でございます。
  268. 福島みずほ

    福島みずほ君 言い訳は無用という文書はありますか。──じゃ、後で結構です。  私は納付率が上がる方が上がらないよりはもちろんいいと思います。しかし、六三・八%を急に八〇%に上げることなどなかなか難しいわけです。偏差値が六三・八の子供に、いや、二〇〇七年には八〇に上げろといったところで、嫌気が差して勉強をやめるかカンニングをするか、それは本当にサボタージュしますよ、無理なわけですから。少しずつ上げる以外に方法ないじゃないですか。  そうやってグランプリみたいな形でやって、それぞれ事務局をやりますと、これは分母を細工をする、あるいは分母が少なくなって免除の人が増えれば、これは数字が上がるわけですよね、そういうふうになってしまう。つまり、今回起きた不正受給は何の弁解もエクスキューズができないことです。しかし、こうやって無理やりやることによって、むしろ長官自身が、本人が意図したか意図しないかは別として、作ってしまった、そういう結果責任だというふうに私は考えます。大臣、いかがですか。
  269. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 二年前に社会保険庁の問題について正に皆さん方から御意見をいただきました。その中で、この社会保険庁という役所は手直しでは駄目だねと、これは民主党さんも含めて、これはみんなの総論になったと思っております。ある意味では民営化しろという御議論もございました。独法化したらどうかという意見もあった。また、歳入庁として、もう組織自体なくしてしまえと、こういう御意見もありました。  そういった中で、私ども、国鉄ですと当時民営化という手法を取りましたけれども、この組織を立て直すためには、一つは解体的な出直しをしなきゃならぬ。また、職員全体のぬるま湯につかったような意識は変えていかなきゃならぬ。その中で、民間の方に来ていただいてトップに立っていただいて、目標管理をしっかりやっていこうということであろうと思っております。そういった意味では、目標管理、目標を掲げながらきちっとやっていくことは、例えば障害者の雇用問題についても皆さん方からもうちょっと厚生労働省しっかりやれ、各県しっかりやれとおしかりいただいていますとおり、やはり目標をしっかり掲げながらやっていく、これは当然のことでありますから、それに付いてこれなかったから私は法律違反、違反と言い切るのはいいかどうか、法律に予定されないことをやりましたということは言い訳にもならぬと私は思っております。あくまで公務員は法律を守りながら最大限の努力をするものと、こう思っております。
  270. 福島みずほ

    福島みずほ君 もちろん公務員は法律を守る必要があります。  業績を上げろということであれば、二つあります。頑張れと言うか、あるいは商品を良くすること、いい商品だということしかありません。  ところで、この年金の制度には根本的な欠陥があると私は思います。時効が二年までしかさかのぼれない、つまり自分は十年分払ってちゃんと年金受けたいと思っても二年しかさかのぼれない。つまり、国民年金という商品に欠陥があるということもあるのではないか、そう思います。  ですから、本当に現場でふらちに分母をちっちゃくしようという動きもあったと思います。それからもう一方では、何とか受給させてあげようというか、免除があればこれは受給できるようになるわけですから、その両方がやっぱり混在をしている。ですから、現場が悪い、現場の公務員が悪い、なぜ隠ぺいしたかではなく、こういう構造を生み出した長官自らの責任が明確にあります。  なぜこういうことが起きたか。八〇%を形式的に掲げ、そして全部ノルマを数値化して、事業所ごとのを全部出して、で、社会保険庁事務局グランプリってやるんであれば、みんなが、それが全部査定に掛かるわけですから、それは無理やりにやるでしょう。結果ですよ、これは、本当に。無理にやったらこういうことが起きることは明確だった。だから、現場に責任をなすり付けて、現場がけしからぬ、これでは駄目だというふうに思います。  大臣いかがですか。
  271. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 法律に反するようなことを行った職員については、しっかり厳正に調べて処分をしなきゃならぬだろうと、こう考えております。これは公務員ですから当たり前のことでございます。  一方で、それぞれの事情がまた違うことも今、福島さんからお話しいただきました。正にそうでありまして、県によっては百件だけである、百件であると。百件上げたからといって分母対策にもならない。要するに、福島さんが言われたとおり、この百人の方々が免除を受けられて、そして免除を受けられれば二年ではなくて十年さかのぼって払うことができる、こうした制度を受けた方がいいんではないだろうかという勝手な判断をしてしまった、こういう方々もいらっしゃいます。よく数字を見ていただくと、百とか二百しかやってない県も多いんです。ですから、私は程度の問題が、例えば大阪とか私の三重県の程度の問題と、現実に、具体的な県は申し上げませんけれども、やった行為というものについてはやはりよく見ながら判断をしていかなければならないだろうと。  したがって、土曜日、日曜かかって一次調査はいたしましたけれども、もう少し内容については吟味をさせていただきながらやっていかなきゃならないと。すなわち、今日から第二次調査に移りますと同時に、先ほど記者会見で発表いたしましたのは、社会保険庁と離れて、官房の下に、岡田務官と西川政務官がトップに立ちまして、民間の法曹界の皆さん方、また会計士の皆さん方にお入りいただいて、その外枠から見さしてもらう、場合によっては民間の監査法人とも協力し合いながらしっかりとしたものをやらなければならないと、このように考えております。
  272. 福島みずほ

    福島みずほ君 行き過ぎたノルマ主義がこの免除の、あるいは納付率の偽装につながったというふうに私は考えます。そのための長官の責任、それから長官を任命した小泉首相の責任、ともに問題となり得る。  それで、先ほど局長がおっしゃいました、長官がどのような文書を具体的に出しておられるか、この委員会に提出をしてください。  委員長、お願いします。
  273. 山下英利

    委員長山下英利君) 後で理事会で協議します。  出せますか。
  274. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) 先ほど福島議員の方からお話のございました十七年十一月八日付けの緊急メッセージであれば、いつでもお求めに応じて提出させていただきたいと存じます。
  275. 福島みずほ

    福島みずほ君 ほかに文書はありますか。
  276. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) ほかにという、でもいろんな文書ございますので、もしお許しをいただけるのであれば、後ほど福島議員と御相談をした上で必要なものを用意させていただければと存じます。
  277. 福島みずほ

    福島みずほ君 それでは、できる限りすべて出してくださるよう、よろしくお願いします。  では、済みません、本件に戻り、またかつ、この社会保険庁の問題は極めて重要な問題なので集中審議をしてくださるよう要求します。
  278. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまの申出については、理事会で協議いたします。
  279. 福島みずほ

    福島みずほ君 医療現場の労働条件について一言お聞きをいたします。  衆議院では医師不足がとても問題になっておりますが、医師の偏在ということが問題になっておりますが、他方、看護師さんたちの労働条件、派遣と委託が認められて医療現場がすさまじくなっているという話も大変聞きます。看護師さんたちのサービス残業の多さと休憩時間が取れない、勤務と勤務の間隔時間の短さ、突然死の多さ、いじめ、セクハラ、暴力等に遭うことがある、退職者の多さなどもあります。  厚生労働省から出していただきましたが、新卒看護職員の早期離職の状況で、主として長期療養に対応する病院では離職率が新人の中で一六・六%というのが出ております。看護師さんが人数が多くなるのももちろん問題かもしれませんが、今は明らかに離職者が出ている。看護師さんは、配置人数はアメリカの五分の一、ドイツの二分の一という問題点も指摘をされております。  看護師の労働条件を定めたILO百四十九号条約の批准について、いかがお考えでしょうか。
  280. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 今委員お触れになりましたILOの百四十九号条約は、看護職員の雇用、労働条件及び生活状態に関する条約でありますが、この第六条におきまして、看護職員は、労働時間、週休等の分野において当該国の他の労働者の条件と同等の又はそれ以上の条件を享受するというふうにされております。  我が国におきましては、看護師に対しましても労働基準法が適用となります。他の労働者と同様に最低労働条件が確保されているところでございます。  しかし、看護師が働く病院等の保健衛生業の特殊性にかんがみまして、一斉休憩等の規定が適用除外とされております。そういったことから、この条約の批准については慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
  281. 福島みずほ

    福島みずほ君 それは理由にならないと思います。  条約は御存じのとおり留保付きで批准することができますし、交代時間と交代時間との間に少なくとも十二時間の継続する休憩時間を享受すべきである、このようなものをきちっと入れれば看護師さんたちの過重労働は随分減るし、離職率も減ると考えますが、いかがですか。
  282. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 我が国において、ILO条約の批准につきましては、国内法制との整合、これを十分にやった上で、そうした調整ができた上で条約の批准をするという政府の方針でございますので、今申し上げましたような、本条約につきましては我が国の労働基準法制といまだ相入れないところがございますので、なかなか慎重に検討していく必要があるというふうに考えております。
  283. 福島みずほ

    福島みずほ君 労働条件を良くする条約はむしろ積極的に批准をして、国内法での看護師さんたちの労働条件を良くするよう日本政府は努力をすべきだというふうに思います。都合のいい条約だけ批准して都合の悪い条約は批准しない、それは許されないというふうに考えます。  では、高齢者の問題、医療制度について私は一番違和感があります。前期高齢者医療制度にあっては、七十歳を境に一部負担割合が三割から二割に変わると。同じ高齢者を対象としながら、年齢で区切っていくということが果たしていいのかというふうに思います。  分断された制度は被保険者にとっても分かりにくい。具体的に考えてみますと、国保や健保の被保険者、被扶養者が六十五歳になると前期高齢者医療制度の対象となるものの、患者負担も保険料負担も変わらない。ところが、七十歳になると、前期高齢者医療制度に加入したままなのに患者負担が三割から二割に軽くなります。  さらに、七十五歳になると後期高齢者医療制度に加入し、患者負担は二割から一割に軽くなりますが、保険料負担も変更になります。保険料が前より軽くなる者もいるし重くなる者もいます。特に、被用者保険の被扶養者であった者は、それまで保険料を負担していなかったのに、七十五歳になった途端、保険料を払わなければならなくなる。年齢によって輪切りをされると、これは極めて分かりにくいですし、年齢で分断することが妥当かどうか、いかがでしょうか。
  284. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) いろんな角度からの質問でございますから、私自身の答えがすべてに合っているかどうか分かりませんけれども、七十五歳以上の後期高齢者については、生理的機能の低下や日常生活動作能力の低下による病状が増加するとともに、生活習慣病を原因とする疾患を中心に、入院による受療が増加するなどの特性を有しており、その心身の特性等に応じたサービスを提供する必要があると。また、高齢化の進展により、七十五歳以上の後期高齢者の給付費は増大し、二〇二五年には約二十三兆円、医療費、医療給付の大体四七%近くになると考えております。  そういった意味で、限られた財源の中で公費を重点的に投入する観点から対象者を重点化する必要があるということから、七十五歳以上を後期高齢者という形で位置付けたところでございます。なお、平成十四年の改正より対象年齢を老人保健制度についても七十歳から七十五歳に引き上げたのも同様な考え方からでございます。  そういった意味では、どこで年齢を切っていくかと、様々な議論があると思いますけれども、今回は、基本的には七十五歳以上の後期高齢者制度というものが大きな柱として法案を提案させていただいたと考えております。
  285. 福島みずほ

    福島みずほ君 高齢者に限定した制度は国際的にも珍しいものです。七十五歳以上というハイリスク集団で独立保険を設けることは妥当なのでしょうか。
  286. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 今少し申し上げましたけれども、高齢化の進行、私ども、私は今五十八ですから、十七年後になるんでしょうか、団塊の世代が七十五を過ぎたときは約二千万人になるであろうと。そのとき我が国の人口は減っておりますから、相当の率になることは間違いない。それで、一方で医療費の半分近くを使うことになる。  そういう意味では、その世代に対する給付をどうするかという中で、やはり社会保険制度としてきちっとやっていくという立場から、まず我々の、そのとき我々の世代が、もっと数増えていますから一割以上になると思いますけれども、負担をする。その上で、現役からの支援、公費の支援という切り口で、現状は一、四、五でございますけれども、最終的には、我々の世代の数が増えたときはもう少し高齢者自身の負担が増えるという中で、明確にしながら、もちろんハイリスクということは、その世代だけでもちますかと言ったら、もたない。もたないから、支援をもらいながらやっていくという切り口にさせていただいたところでございます。
  287. 福島みずほ

    福島みずほ君 といっても、年齢で切ることが、なかなか年齢と体力というのも全然別ですし、最もハイリスク集団の集団で現役負担も求めてというのは、制度設計として無理ではないかというふうに思います。  現役世代への負担なんですが、患者窓口負担三割については変更はありませんという答弁が繰り返されています。では、保険料に転嫁されるもの、どれぐらいのアップがあり得るのでしょうか。高齢者医療制度の支援金、納付金、医療費適正化計画の健診、療養病床の転換費、療養病床の食住費の自己負担化減免分などいろいろあるわけですけれども、保険料に転嫁されるものはどれぐらいのアップと試算されていらっしゃるでしょうか。
  288. 山下英利

    委員長山下英利君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  289. 山下英利

    委員長山下英利君) 速記を起こしてください。
  290. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 失礼いたしました。  医療制度改革案によります支援金等の支出額の見通しでございますけれども、二十年度で申し上げまして、例えば政府管掌健康保険について申し上げますと、所要保険料は五・七兆円でございます。これに対しまして、後期高齢者の支援金は一・一兆円、前期高齢者の納付金は〇・九兆円、退職者の拠出金は〇・三兆円ということでございまして、こういった支援金等の支出額の総体は二・三兆円で、先ほどの五・七兆円に対しまして四〇%になるわけでございます。  一方で、健康保険組合につきましては、所要保険料五・二兆に対しまして、支援金一・一兆円、納付金一兆円、拠出金〇・三兆円、計二・四兆円で、これが四五%になるわけでございます。  さらに、二十七年度、二〇一五年でこの率を申し上げますと、政府管掌健康保険では、先ほど四〇%であったものが四四%に、健康保険組合におきましては、先ほど申し上げました四五%という比率が五〇%になると推計をしております。
  291. 福島みずほ

    福島みずほ君 ですから、窓口三割負担の変更ないって聞くとみんなほっとするわけですが、実は保険料が上がるという、ここが非常に問題となり得るというふうに思います。  ところで、後期高齢者の六〇%が女性ですが、年金の少ない人も多く、年金より天引きの保険料負担に限界が出てくるのではないかと。後期高齢者一人当たりの平均保険料の将来推移について教えてください。
  292. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 後期高齢者一人当たりの平均保険料についてでございますけれども、平成二十年度、二〇〇八年度におきましては、年額六・一万円、また平成二十七年度、二〇一五年度におきましては、年額八・五万円と見込んでいるところでございます。  ただ、これはあくまでも平均でございまして、低所得者につきましては、現行、国民健康保険の仕組みを参考として保険料の軽減措置を設けることとしておりますし、また、これまで被用者の子供と同居するということで被用者保険の被扶養者として保険料を負担してこなかった方につきましては、激変緩和の観点から、後期高齢者医療制度に加入したときから二年間、保険料を半額とする措置を講じるなどの配慮を行うこととしているところでございます。
  293. 福島みずほ

    福島みずほ君 医療保険財源による病床転換支援措置の問題点についてお聞きをいたします。  特に、有料老人ホームを助成対象にするということについては問題があるのではないかと思いますが、いかがですか。有料老人ホームは、ビジネスと言うと言葉が悪いかもしれませんが、やるわけですよね。助成対象にすることについてはいかがでしょうか。
  294. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この病床転換助成事業についてでございますけれども、療養病床の入院者の大半は後期高齢者でございまして、この療養病床が老人保健施設等に転換されますと、後期高齢者の医療費がそれだけ適正化されるということになります。したがって、後期高齢者支援金の負担の軽減につながるということから、公費のほか、保険料財源をこの病床転換支援に充てるということにしたわけでございまして、その点では整合性があると考えてございます。  この事業によります医療療養病床の転換先といたしましては、有料老人ホームやケアハウス等の施設の助成の対象に加えてございますけれども、その大半は老人保健施設を想定しているところでございます。一部、有料老人ホームも入るということでございますけれども、先ほど申しました、今回の助成金の趣旨から考えまして、医療費が適正化され得るという点に着目いたしますと、これは妥当なものであると考えてございます。
  295. 福島みずほ

    福島みずほ君 社会的入院解消に奏功し、病床削減もセットで行う方が医療費適正化に資するとも言われておりますが、手続論としても問題が多いのではないでしょうか。昨年の介護保険改正時にしっかりと審議すべきではなかったのでしょうか。  受皿として、医療法人による特別養護老人ホーム設置を認めるとの考えはあるのでしょうか。
  296. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 前段の手続の問題でございますが、療養病床の問題は、昭和四十八年の老人医療費の無料化以降、病院が高齢者介護の受皿となってきた、いわゆる社会的な入院の問題といたしまして三十年来の懸案となっており、介護保険法の施行時にも大きな論点となっておりましたけれども、解決しないまま今日に至っている長年の問題でございます。  この問題の整理に当たりまして、患者医療の必要性等に関する実態が昨年の九月から十月にかけて実施されました中医協による慢性期入院医療実態調査等により明らかとなったところでございまして、これは、当然のことながら、介護保険法の改正案が通常国会に提出された以降のことでございます。  また、具体的な対策を講ずるに当たりましては、診療報酬と介護報酬が連携して取り組む必要があることでありますが、そのためには本年の四月の同時改定において対応することが適切であると考えられまして、これらのことから今回の医療制度改革において総合的に対応するということとなったところでございます。  それから、療養病床の再編の受皿として医療法人による特別養護老人ホームの設置についての御質問でございますが、特別養護老人ホームは介護を要する高齢者のついの住みかでありまして、社会福祉施設の中でも特に長期間安定的な設置、運営が求められておりますことから、老人福祉法におきましてその経営主体を地方公共団体等と社会福祉法人に限定しているところでございます。  仮に、医療法人が事業を拡大して特別養護老人ホームを設置しようと考えた場合には、特別養護老人ホームに必要な土地や建物を基本財産とする社会福祉法人を設立し所轄庁の認可を受けることとなりますが、従来からこのような例もあると承知しております。  療養病床を運営している医療法人が療養病床を転換して特別養護老人ホームを設置しようとする場合にも、こうした療養病床の改築等により、特別養護老人ホームに必要な資産が確保されていれば社会福祉法人を設立することが可能でございまして、円滑な特別養護老人ホームへの転換が可能と考えておりますので、療養病床の受皿のために医療法人そのものが特別養護老人ホームを設置、運営することを認める考えはございません。
  297. 福島みずほ

    福島みずほ君 終わります。
  298. 山下英利

    委員長山下英利君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時一分散会