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2006-05-23 第164回国会 参議院 厚生労働委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月二十三日(火曜日)    午前十時二十分開会     ─────────────    委員の異動  五月十六日     辞任         補欠選任      西島 英利君     沓掛 哲男君      家西  悟君     江田 五月君      下田 敦子君     平田 健二君  五月十七日     辞任         補欠選任      沓掛 哲男君     西島 英利君      江田 五月君     家西  悟君      平田 健二君     下田 敦子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下 英利君     理 事                 岸  宏一君                 中村 博彦君                 渡辺 孝男君     委 員                 阿部 正俊君                 岡田  広君                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 武見 敬三君                 中原  爽君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 水落 敏栄君                 山本  保君                 小池  晃君    国務大臣        厚生労働大臣   川崎 二郎君    副大臣        厚生労働大臣  赤松 正雄君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       西川 京子君        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    政府参考人        総務大臣官房審        議官       大谷 泰夫君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       北井久美子君        厚生労働省老健        局長       磯部 文雄君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○良質な医療提供する体制確立を図るための  医療法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。川崎厚生労働大臣
  3. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  まず、健康保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  我が国は、国民保険の下、だれもが安心して医療を受けることができる医療制度を実現し、世界最長平均寿命や高い保健医療水準を達成してきました。しかしながら、急速な高齢化など大きな環境変化に直面している中、国民保険を堅持し、医療制度を将来にわたり持続可能なものとしていくためには、その構造改革が必要であります。このため、医療費適正化の総合的な推進、新たな高齢者医療制度創設都道府県単位を軸とした保険者再編統合等の措置を講ずることとしております。  以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、予防を重視しつつ、生活習慣病対策の充実や平均在院日数の短縮といった中長期的な医療費適正化対策を計画的に進めるとともに、現役世代並み所得のある高齢者患者負担引上げ療養病床に入院する高齢者の食費、居住費負担見直しなど短期的な対策を講ずることにより、医療費適正化を総合的に推進することとしております。  第二に、七十五歳以上の後期高齢者対象とする新たな医療制度創設することとしております。この制度においては、七十五歳以上の高齢者の心身の特性等を踏まえ、それにふさわしい医療サービス提供するとともに、保険料現役世代からの支援及び公費を財源とし、都道府県単位ですべての市町村が加入する広域連合が運営することとしております。また、六十五歳から七十四歳までの高齢者医療費について、国民健康保険及び被用者保険加入者数に応じて負担する財政調整制度創設し、超高齢化時代に備えた安定的な高齢者医療制度創設することとしております。  第三に、都道府県単位を軸とした保険者再編統合を進めていくこととしております。このため、国民健康保険においては、都道府県内の市町村国保間の保険料平準化を図るための共同事業の拡充を行うこととしております。また、政府管掌健康保険を公法人化し、都道府県ごと医療費を反映した保険料率を設定することとしております。  以上のほか、中央社会保険医療協議会について委員構成見直し団体推薦規定廃止等を行うとともに、介護保険法における介護療養型医療施設廃止等所要改正を行うこととしております。  最後に、この法律施行期日は、現役世代並み所得のある高齢者患者負担引上げなどについては平成十八年十月に、医療費適正化計画策定や新たな高齢者医療制度創設などについては平成二十年四月にするなど、改正事項ごと所要施行期日を定めることとしております。  次に、良質な医療提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  我が国医療提供体制については、国民の健康を確保し、国民安心して生活を送れるための重要な基盤となっております。一方で、高齢化の進行や医療技術の進歩、国民の意識の変化など、医療を取り巻く環境が大きく変わる中、だれもが安心して医療を受けることができる環境を整備するための改革が不可欠となっております。このような観点から、国民医療に対する安心、信頼を確保し、質の高い医療サービスが適切に提供される医療提供体制確立するため、患者の視点に立った制度全般にわたる改革を行うこととし、本法律案を提出することとした次第であります。  以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、患者国民による医療に関する適切な選択を支援するため、都道府県を通じた医療機関に関する情報公表制度創設広告規制の大幅な緩和など、医療に関する情報提供推進することとしております。  第二に、医療計画制度見直し医療機能の分化、連携を推進することを通じて、地域において切れ目のない医療提供を実現し、質の高い医療安心して受けられる体制を構築することとしております。  第三に、へき地や、小児科、産科などの特定の診療科における医師の偏在問題に対応し、地域における医師確保推進を図ることとしております。  第四に、地域における医療の重要な担い手である医療法人について、非営利性の強化などの規律の見直しを行うとともに、救急医療小児医療など地域で必要な医療提供を担う医療法人を新たな社会医療法人として位置付けることとしております。  第五に、医療従事者の資質を向上し、国民医療に対する安心確保するため、医師歯科医師、薬剤師、看護師等医療従事者について、行政処分を受けた者に対する再教育制度創設など行政処分在り方を見直すこととしております。  以上のほか、医療安全支援センター制度化など医療安全の確保推進在宅医療推進のための規定整備等を行うとともに、外国人臨床修練制度対象として新たに看護師等に相当する海外の資格を追加するなどの改正を行うこととしております。  最後に、この法律施行期日は、一部を除き、平成十九年四月一日としております。  以上が、健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案提案理由及びその内容概要でございます。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 山下英利

    委員長山下英利君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  速記を止めてください。    〔速記中止
  5. 山下英利

    委員長山下英利君) 速記を起こしてください。  この際、申し上げます。  民主党新緑風会及び社会民主党護憲連合所属議員に対し、出席を要請いたします。しばらくお待ちください。  速記を止めてください。    〔午前十時三十一分速記中止〕    〔午前十一時三分速記開始
  6. 山下英利

    委員長山下英利君) 速記を起こしてください。  民主党新緑風会及び社会民主党護憲連合所属議員に対し、出席を要請いたしましたが、出席を得ることができませんでしたので、やむを得ず議事を進めさせていただきます。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会厚生労働省保険局長水田邦雄君外五名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 山下英利

    委員長山下英利君) 健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 西島英利

    西島英利君 自由民主党西島でございます。  今回の健康保険法等の一部改正、それから医療法等改正につきまして、幾つか問題点指摘させていただいて、質問させていただきたいと思います。  今回提案されました健康保険法等改正案につきましても、先ほど大臣がおっしゃいましたように、国民保険を堅持をして、医療制度を将来にわたり持続可能なものにしていくためには、その構造改革が必要だと、私もそういうふうに考えております。そういう意味で、今回の改正につきましては、医療費適正化の総合的な推進という面が非常に強く含まれておりますので、この点についてひとつ質問をさせていただきたいというふうに思うんですけれども、それは、衆議院議論を聞いていまして、議論が錯綜している部分がございました。それは、医療費の将来推計値のところでもございました。  いろんな方から質問がありましたけれども、このときに使われていた数字が、六十五兆円とか五十六兆円とか、いろんな数字がこの二〇二五年度どうなるかの数字で使われていたわけでございますが、やはり、これは数字としてはきちんとやっぱり整理をしなきゃいけないだろうと。そういう意味で、今回、この数字というのは非常に大事でございますし、国民に理解をしていただかなければ、国民負担を強いる法律でもございますので、この辺りの整理が必要なのかなというふうに思います。  そういう観点からいきますと、この医療費の将来推計値は、医療給付費ではなくて、医療費としてやはり数字として出さなければいけないのではないかなと私自身は思っているわけでございますが、この点について御見解を伺いたいと思います。
  10. 赤松正雄

    ○副大臣赤松正雄君) 今、西島委員の方から、衆議院における議論を聞かれた上での医療制度改革をめぐる議論ベースとしての医療費の将来見通しをめぐる問題について御下問がございました。医療給付費ベースにやっているけれども、本来は患者負担を含めた国民医療費ベースにするべきじゃないのか、こういう御指摘であります。  御指摘のとおり、医療給付費のみならず国民医療費が非常に重要であるということから、私ども医療政策在り方議論する際には、患者負担も含めた国民医療費見通しも順次お求めに応じて示してきたところでございます。今、西島委員の方からは、その辺を整理すべきだ、こういうお話でございました。  具体的には、二〇一五年、平成二十七年度におきまして、改革実施前の国民医療費が四十七兆円、医療給付費が四十兆円と、こうなるところが、改革実施後では国民医療費が四十四兆円、そして医療給付費が三十七兆円となる、そういう見通しを示しております。同時に、平成三十七年、二〇二五年度におきましては、改革実施前の国民医療費が六十五兆円、そして医療給付費が五十六兆円、こうなるところが、改革実施を行った後には国民医療費が五十六兆円、そして医療給付費が四十八兆円、こういうふうになるという見通しを立てている、こういうことでございます。
  11. 西島英利

    西島英利君 そこで、これは衆議院でも議論になった数字でございますけれども、一九九四年の国民医療費が百四十一兆円と出されておりました。これは二〇二五年度の国民医療費でございますけれども、これが九七年に百四兆円、そして二〇〇〇年に八十一兆円、そして二〇〇五年には六十五兆円という先ほどの数字を出されてきたわけでございます。  こういうふうにずっと国民医療費が下がってきたわけでございますけれども、ただ、今回この六十五兆円で出された、その根拠をまずお教えいただきたいと。つまり、国民に理解してもらうためには、こういう根拠でこの数字が出てきて、やはり将来的にも持続可能な制度にするためには国民負担をお願いしなきゃいけないんだという、そのためにはその根拠が必要だろうと思うんですが、是非その根拠を教えていただきたいと思うんです。
  12. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の医療費の将来見通しについてでございますけれども、二つの要素がございます。一つは、出発点といたしまして足下平成十八年度の医療費、これを起算点としているわけでございます。その上で、これを将来に向けまして一人当たり医療費伸び率を使っているわけでありますけれども、その前提として、平成七年、一九九五年から平成十一年、一九九九年度の実績を用いまして、七十歳未満の一般の方の伸び率につきましては二・一%、七十歳以上の高齢者伸び率を三・二%として機械的に算定した結果でございまして、二〇二五年度の改革実施前の国民医療費は、ただいま副大臣からありましたとおり六十五兆円になると、このような見通しを立てているわけでございます。  委員の御指摘の中で、過去の将来見通し、大変百四十一兆大きかったじゃないかということでございます。最近の見通しとの違いでございますけれども、これにも二つございます。一つは、ただいま申し上げました一つ目要素でありまして、一つには平成九年度以降の累次の制度改正によりまして、足下医療費実績自体が低下しているという要素でございます。もう一つ伸び率の方でございまして、経済が好況であった過去の見通し策定時点に比べまして近年の物価、賃金が伸びていないと。こういう影響を反映して、見通し策定時点におきます実績の一人当たり医療費伸びが徐々に下がってきたということがございます。  まずその伸び率でございますけれども、当時の百四十一兆の基礎になりましたのは伸び率四・五%でございました。今回の見通しにおきましては、先ほど申しました二・一と三・二、合成いたしますと二・六でございますので、そこに一・九%の違いがあります。一・九%でございますけれども平成五年から平成三十七年でありますので、これを三十二乗をいたしますと、これは相当大きい、八割ぐらいの差はこのまず伸び率の違いで説明できるものと思っております。それから、冒頭申し上げた足下医療費、これは累次の制度改正それから診療報酬改定足下が下がってきた効果、これが二割と、このように考えてございます。  冒頭申し上げました私ども推計値でございますけれども直近制度改正がなかった時期の医療費動きを見ますと、やはり全体としておおむね三から四%というふうな動きでございます。先ほどの一人当たり医療費伸びは二・六でございますが、これに高齢化を加えますと大体やはり三から四%になるものでありまして、私どもとしてこの見通し妥当性があるものと、このように考えております。
  13. 西島英利

    西島英利君 今、るる御説明をいただいたわけでございますけれども、あくまでもこれは一九九五年から一九九九年までの伸び率を用いられて将来推計をされているんですね。そして、こういう、二〇二五年の医療費幾らになるかという、この推計値によりまして過去実は制度改革を行ってきたわけですね。そして、やはりこれ以上医療費伸びたらとても持続可能、これがもたないということで制度改革を行ってこられた。  じゃ、その結果どうなったのかといいますと、今おっしゃったように、三、四%の伸びだった医療費が一%前後になっているんですよ、制度改革が行われてきて。ということは、制度改革はまさしく医療費抑制のために行ったはずであるのに、その影響を全く入れないようにして一九九五年から一九九九年までの伸び率で将来推計を行っておられるというのは、これはどう考えてもおかしいのではないかなと。やはり、まずは直近の、この制度改革を行った結果どういう数字になったのか。これでも駄目だから、やはり国民負担をお願いせざるを得ないというような説明であれば、これ分かるわけでございますけれども、その説明が今のような、水田局長のような説明でなされている。この二〇〇一年からずっと見てますと、そんなに伸びてないですね。どうしてこの、もう一度聞きますが、一九九五年から一九九九年までのこの高い伸び率で二〇二五年の推計値を出されたのか、もう一度お教えいただきたいと思います。
  14. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 一九九五年から一九九九年度の実績を用いた理由でございますけれども一つには、その後、平成十二年には御承知のとおり介護保険制度創設がございました。平成十四年にはまた健保三割負担の導入と。こういった医療費に大きな影響を与える制度改正が毎年のようにあったということでございまして、その意味直近の期間の実績を用いないこととしたわけでございます。  一方で、最近の実績が落ちているじゃないかということでございますけれども、それは正にそういった制度改正影響あるいは診療報酬改定影響があったわけでありまして、要素でいいますと、これらの制度改正なり診療報酬改定影響足下実績のところに反映されてくるわけでございます。  と申しますのは、これは過去の経験からいたしまして、制度改正がありましても、それは一年ないし若干長いときもありますけれども、それを経過いたしますと元に戻るといういわゆる長瀬効果というものがありまして、そういった制度改正影響足下に反映されてくるべきものだと思っております。したがいまして、近年の実績伸びてないじゃないかということに対しては、それは足下医療費のところで反映されるべきものと思っております。  さらに、直近の例えば平成十七年度、これは医療費の動向というデータで前回も医療関係団体の方が用いられましたけれども、それで見ますと、平成十七年の四月から十二月、被用者国保とも一般では一人当たり医療費は二・七%、それから高齢者につきましては二・五%の伸び実績で示しているわけであります。これは高齢化要素が入ってございませんので、これに高齢化要素を加えますとやはり三から四%という伸びを示しているということでございますので、私どもの判断は実績に照らして誤ってはいなかったと、このように判断しているところでございます。
  15. 西島英利

    西島英利君 それではお聞きしますけれども、まだ決算が出てないですよね、平成十七年度。つまり、決算が出てない前のこういう数字が本当に信頼できるのかどうかと。私自身も中医協の委員をしていましたので、決算が出ると全然違った数字が出てくるんですね。ですから、この数字を信用しろといっても、これははっきり言って決算が出た状態で初めて信用できる私は数字だろうというふうに思います。  ただ、これ以上この件は突っ込みませんが、そのときに、昨日質問取りのときに、いや、実はこの一日当たり医療費伸びはずっと診療報酬改定のなかった年で見ると三・数%の伸びを示しているんだという、昨日御説明をいただきました。私も昨日悩んだんですよ。おかしいなと。つまり、医療費は逆にマイナス二・七%の平成十四年の改正がございました。そして、平成十六年がプラスマイナス・ゼロでございました。それなのに何でこんなに伸びるんだろうと。ようやく三時に結論が出ました。  昨日いただいた数字でいきますと、制度改正による影響、つまり被用者本人三割負担引上げ受診日数が一・八%下がっておるんですね。ところが、一日当たり医療費伸びは三・五%伸びたんですよ。じゃ、これはどうしてなのか。平成十四年の診療報酬改定のときに、それまでは十四日分とか二十八、三十日分までしか実は薬が処方できなかったのが、これが九十日でもできるようになってきた。そうすると、この一日の医療費伸びは、実はこれは薬代なんですね。ですから、受診回数は減っているわけですよ。例えば三十日分しか出なかったら三回受診したところが、九十日分薬が出れば一回で済むわけです。ですから、受診回数が下がったのは当たり前なんですね。じゃ、これで本当に医療費全体が伸びていくのか。伸びないですよね、はっきり申し上げて。これはお分かりになると思います。  ですから、こういう推計値は、やはり国民負担をお願いするものでありますから、やはり直近数字を用いて私は将来推計をもう一度出すべきであろうと。なぜかといいますと、この数字が独り歩きをして、またぞろ、昨日は川崎大臣保険免責の導入考えてないとおっしゃっていただきまして、私は非常にこのとき思ったんですが、保険免責の問題とか、また総額管理の問題とか、こういうのがまさしく推計値のこの数字によって出されてきている。  ですから、私はこの推計値直近推計値をやはり出すべきである。じゃ、直近推計値って幾らなのかということを、やはり次回の、私もう一度質問させていただきたいと思いますので、是非推計値を出していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  16. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ただいま委員平成十五年度の一日当たり医療費とそれから受診日数変化ということを御披露になりました。確かに、制度改正によりまして受診影響マイナス一・八%でございました。その一方で、長期投薬という問題もあったかもしれませんけれども、一日当たり医療費は三・五%伸びております。  ただ、これは診療報酬改定のなかった年、すなわち平成で申しますと、奇数年を取りますと、平成十七年が三・三、平成十三年が三・〇、平成十一年が三・二ということでございまして、極めて安定的なものでございまして、実質的、中身はいろんなものがあろうかと思いますけれども、こうやって見ますと診療報酬改定のなかった年にはやはり三%程度のものが直近も含めて伸びていると、このように考えてございます。
  17. 西島英利

    西島英利君 ちょっと待ってくださいよ。平成十年度、平成十二年度はプラス改定のはずですよ。平成十四年度がマイナス改定ですよ。そうでしょう。だから、プラス改定のとき伸びるのは当たり前じゃないですか。ですから、もう一度お願いします。
  18. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ですから、私が申し上げましたのは、診療報酬改定が行われなかった年の一日当たり医療費伸びを見ているわけでございます。
  19. 西島英利

    西島英利君 だって、診療報酬改定が行われなくても、その影響診療報酬改定の二年間は続くわけでしょう。その改定の作業、改定の点数の中でやられるわけですから。そうじゃないですか。それともこのときは落とすんですか。
  20. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ただいま申し上げました数値は前年度比でございますので、前の年に行われた診療報酬改定影響はないわけでございます。
  21. 西島英利

    西島英利君 ですから、ちょっと分からないんですよ。  つまり、これは確かにそうなのかもしれませんが、今までの行動としては、過去の診療報酬プラス改定のときは、確かに二年目はどうしたら利益が上がるか必死に考えているわけですよ。前回の、私、厚生労働委員会の中で診療報酬の流れの私はグラフをお示ししていると思うんですね。その中で、最初のこの平成十四年度の改定のときは必死になって努力した。これは、平成十六年度の改定のときはもう上がらなかった。そういう数字が実は出ている。これは前回の厚生労働委員会で私は図表をお示しして説明したと思います。  ですから、もう一度申し上げます。もうこれ以上この件につきましては追及はいたしませんけれども、是非お願いしたいことは、やはり直近数字で将来推計値を出していただきたい。でないと、私は国民に対して説明が付かないのではないかなというふうに思うんですね。  今おっしゃった、まさしく平成十五年度、これはもうまさしく、平成十四年度にスタートしたときはまだ少なくとも九十日出してもらえるとか、そういうことは徹底していなかった。だけど、一年たったらそういうことが徹底して、受診抑制、がくっと落ちてきた。これがもう、これ、昨日いただいた表でこれ分かるじゃないですか。ですから、是非、将来推計直近の部分で出していただきたい。日医総研、私が以前所属していました日本医師会はまさしく直近数字を使って出した結果が四十九兆円という数字を出してきているわけでございますから、是非同じ土俵で議論をしていきたいなと思いますので、これはもう要望で結構でございますから、是非お願いをしたいというふうに思います。  続きまして、療養型病床群につきまして質問をさせていただきたいというふうに思います。  今回、介護療養型医療施設の廃止が突然出てきたわけでございます。これは平成十七年十二月八日の社会保障審議会医療部会、医療提供体制に関する意見、これはまさしく今度の改正案のために議論をされて、意見としての報告書が十二月の八日に出されたわけでございますが、ここのどこを読んでも介護療養型医療施設の廃止は出てないですね。それから医療制度改革大綱の中でもその部分は全く出されておりません。これが唐突に出てきて、医療関係者は今混乱を起こしているわけでございますが。  そこで、私どもがこの法律説明を受けるときにいただいた資料がございまして、何となくそうなのかなと思いながらこの議論をしていたわけでございますけれども、この資料は配付されておりますでしょうか。配付されていますですね。  この資料を見ていただきたいんですが、まず私ども説明を受けたときのデータは、この下の方、一ページ目の下の方のデータでございます。これによりますと、医師による直接医療提供頻度、二十四時間なのか、一日数回なのか、毎日なのか、週二、三回なのか、週一回程度なのか、ほとんど必要なしなのかと、こういうふうに実は出されているわけです。  ところが、この調査をされた調査票を見てみますと、全く違った意味で実は調査がされているんですね。まず、医療的な状態は安定しており医師の指示はほとんど必要としない、週一回程度の指示見直しが必要だと、週二、三回程度の指示見直しが必要、毎日指示見直しが必要、云々という、まさしく指示を見直すという形でどうなのかという実は調査がなされている。それが説明のときには医師による直接医療提供頻度という形になって、私は完全なこれはミスリードだというふうに思うんでございますけれども、この点について御説明いただければと思います。
  22. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 御指摘医師による直接医療提供頻度のグラフでございますけれども、これは、中医協の下の専門組織におきまして実施されました慢性期入院実態調査の中で、入院患者の特性といたしまして、医師による指示の見直しがどの程度の頻度で必要なのか、二十四時間体制での管理が必要な状態なのかどうかということにつきまして調査を行った結果について、結果を基に作成しているものでございます。  一般に、医師による指示の見直し、これは患者の状態を把握いたしまして、これに基づく医学的判断を行った上で行われるものでございまして、慢性期入院のような比較的病状の安定している場合におきましては、医師による直接の医療提供の頻度を測る物差しとして医師の指示の見直しの頻度、これを用いて中医協の下の専門組織において調査が行われたものでございます。  特に慢性期入院のようなこういった比較的安定しているときに、医師による医療提供というものがどういうものか、例えば回診ということがあるわけでありますけれども、その回診におきましても提供される医療の程度、これは様々なものがございます。したがいまして、この調査におきましては、医師による医学的な判断が行われたことが確認できる医師の指示の見直しの頻度、これを医師による直接の医療提供の頻度を測る物差しとして用いたものと、このように考えてございます。
  23. 西島英利

    西島英利君 療養型病棟というのは、そもそも病状安定の方々をそこで診るということでスタートした病棟じゃないですか。そもそも安定ですよね。ですから、これは回診はしていないわけじゃなくて、ちゃんと患者さん診ているはずなんですが。医政局長、是非、医師の立場でこの判断をどう理解されるのか、お教えいただきます。
  24. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今御指摘の、医師による直接医療提供頻度は、平成十七年九月に実施されました慢性期入院実態調査の中で、入院患者の特性として、医師による指示の見直しがどの程度の頻度で必要な状態であるのか、また二十四時間体制での管理が必要な状態かにつきまして調査を行ったものと承知しております。  一般に、慢性期の入院患者に対します医師による指示の見直しというものは、患者の状態を把握し、これに基づく医師の医学的判断を行った上で行われるものでございますから、このような場合には医師による直接の医療提供が行われているというふうに解すべきだというふうに考えております。  いずれにしても、医療は、医療関係者が適切な役割分担と連携の下、チーム医療提供されるものでございまして、介護療養型医療施設におきましても患者さんの状態に応じて適切な医療サービス提供されているというふうに考えております。急性期の病院と慢性期の病院とでは医療提供の仕方に差はございますけれども、今申し上げましたように、そのチームの中で医師が判断すべきところはしながら行われている。その指標として用いられたものと考えております。
  25. 西島英利

    西島英利君 ですから、じゃ、もう少しこれをちょっと掘り下げていきますと、これは中医協で平成十七年四月十三日に出されました診療報酬調査専門組織慢性期入院医療の包括評価調査分科会、これ分科会長は池上さんでございますけれども、この調査によってこういう数字が出ているんですね、いや、医療区分等々が。ですけれども、同時に、そのためにこの患者特性調査をやられたはずなんですよ。  私も当時、中医協におりまして、何のためにこの調査がされたのかといいますと、やはりどれだけのコストが掛かるのか。診療報酬上きちんと経営ができるように、じゃコスト計算をして次の診療報酬に反映しましょうということで実はこの調査がスタートしたはずなんですね。そのときには医療度ではなかったはずですよ。要するに、看護度、看護度によって診療報酬をきちんと整理をしていこうということでこの調査が始まったはずなんです。ですから、医師の指示なんですよ。つまり、医師が看護に指示をしますと、看護はそれによって看護計画を変えなきゃいけない。これに時間が必要になってくる。ですから、コストもそれだけ掛かるというようなことだったんじゃないですか。  もしお分かりになったらばその辺りをお教えいただきたいと思います。これは通告はしていませんけれども
  26. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 詳しい経緯は承知しておりませんけれども、結果として結論が得られましたのは、医療の必要度、これ三つと、それからADL区分三つ、それに認知症の有無ということで、基本的には医療の必要度とADLのマトリックスで医療区分と、それからそれに対する診療報酬点数が設定されたものでございまして、看護の必要度という言葉、これは平成十五年三月の医療制度改革の基本方針には言葉として出てきましたけれども議論の過程で最終的には医療の必要度とADLと、この二つの要素で基本的に見ていくと、このような結果になったものと承知をしてございます。  先ほど委員おっしゃいました医療のサービスの提供時間につきましては、これは別途、医療区分の方でタイムスタディーをやったところで、例えば医師による提供時間がどのくらいか、その他の職種によるものはどのくらいか、そうやってコスト計算をして、それをベースにして診療報酬改定に臨んだということが、これが経緯であると承知をしております。
  27. 西島英利

    西島英利君 ちょっと待ってくださいね。  つまり、今回の、これは要は、今医療の必要度とおっしゃいましたけれども、看護がどれだけ、例えば挿管されたりしているときに看護がどれだけ時間が掛かるのかというのがタイムスタディーだったはずですよ。医師じゃないですよ。だから、医師の指示によってどれだけ看護婦、動かなきゃいけないかという部分でなった。私は、だって持っていますから、この調査票を。ですから、そういうごまかしはちょっとやめてくださいよ。  と同時に、このデータがおかしな具合になって、介護療養型の病床が突然廃止という数字が、そういう状況が出てきたわけですよ。確かに、これから先、介護療養型病床、ある意味ではきちんと整理をしていかなきゃいけない、これは私も分かります。そもそも介護保険がスタートする前に、老健、老人保健施設と特別養護老人ホームとそれから介護療養型病床群は将来的には一つにするんだという、そういう考えもたしか示されたはずです。ですから、そういう意味で、今回のこの法律改正、それについてはそれなりの意味は私はあると思いますので、これを変えろという気持ちは今、毛頭ありません。ただ、周辺の環境整備を全くしないまま、こういうことが次から次にスタートしている。  しかも、じゃ、参酌標準、つまり、介護施設に移るためには、それは参酌標準によって参入できるかどうか決まるわけでございますが、今、今度の七月から既に介護保険の準備病棟とか様々なことが診療報酬とか介護保険の中に入っていますけれども、じゃ、本当に老人保健施設に転換できるんですか。参酌標準をつくるのは市町村じゃないですか。  ですから、もしこういう形で老人保健施設の方への転換を促されるんであれば、やはりまず参酌標準をそういう形でやっぱり早期に見直す必要性があるのではないかと。でないと参入できませんよ。御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  28. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今の御下問は、第三期の介護保険事業について早期に見直したらどうかと、こういう御下問だと思います。  介護保険事業については三年を一期として定めることとしており、介護保険法規定に基づき各市町村がこの間のサービス見込み量や保険給付費などを明らかにした計画を策定し、これに基づく保険料の設定を現在終えたところでございます。  その中で、各市町村は、医療療養病床が介護施設等に転換する分の費用を見込んで介護保険料を設定しているわけではなく、仮に現行計画の見込み量以上の転換を認めた場合は保険料が不足することになる。厚生労働省として、今現在、三期の途中で参酌標準を見直すことは考えておりません。  一方で、第四期の介護保険事業については、療養病床見直しの全体像や老健施設等への転換の進捗状況、医療機関の移行などを踏まえた上で参酌標準を設定することになります。療養病床の再編成は、介護保険事業計画だけでなく、医療計画や医療費適正化計画にも関連するものであり、各分野横断的、統一的に対応することが必要だと考えております。  このため、本法案成立後、都道府県の協力を得て、地域ごとの施設ニーズや関係者の意向の把握を急ぐとともに、厚生労働省においては、地域におけるケア対策の整備の方針や療養病床転換に係る計画などを盛り込んだ地域ケア整備指針を策定し、来年夏を目途とした各都道府県による地域ケア整備構想の作成を支援し、これは仮称でございますけれども、施設の適切な対応を促すとともに、三つの計画が整合性を持って策定されるようにしていく、このような考え方の中で療養病床の転換に対する利用者や関係者の不安にこたえてまいりたいと。  そういった意味では、今の計画の中で転換できるもの、参酌全体を見直さなければ転換できないものと、そういう意味では第三期と第四期に分かれることになりますけれども、それの説明をしっかりしていかなければならないと、このように考えております。
  29. 西島英利

    西島英利君 今回の診療報酬改定は、まさしく転換させるために低い点数設定にされたことは間違いないですね。そうではないというふうな説明も受けますけれども、しかし結果的に経営できないですよ、医療区分一の方々では。  そうすると、今の大臣の御説明ですと、三年後なんですよね。じゃ、三年間どうするのかと。参酌標準で本当に満杯のところはこの三年間どうするのかと。倒産しますよ。しかも、介護療養型といいますか、療養型病床群に建て替えたばっかりのところ、かなりの借金を抱えているわけですね。これ倒産しますよ。ですから、移れますよという担保がないと本来こういう制度というのは私はつくるべきじゃないと思うんですよ。ですけれども法律としてこういう形で出てきた以上は、やはり周辺の整備を早急に私はしていただく必要性がある。それが実は介護療養型の病床を持っている医療関係者に安心を与えることになるだろうというふうに思うんですね。  もう一度、局長、御答弁をお願いしたいと思います。
  30. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 各都道府県が作成しました介護保険事業の支援計画におきまして、一つには、第三期の中でも、老健施設等の必要利用定員総数の増加が見込まれております。これは全体的に施設の増加を見込んで各市町村が事業計画を作っておりまして、それに応じて都道府県もその支援計画においてそうした増加を見込んでいる場合がございます。  それから、介護療養型施設から老健施設への転換につきましては、元々その計画の中に入っております介護施設での定員でございますので、介護療養から老健施設等に転換する場合にはこの計画内で転換することができます。  それから三つ目といたしましては、介護療養型から医療の必要度が高いということで医療の療養型の方に転換するという場合には、その介護療養型の定員が減となりまして、そこに老健施設として入るということも可能というふうに考えられまして、第三期の計画におきましても、地域の実情に応じて療養病床から老健施設等への転換は一定程度可能であると考えております。  ただ、さらに、そうしたことがないという地域もあるいはあるかもしれません。そうした場合には、医療療養病床のうち医療の必要度が低い患者さんが多く入院する病棟につきましては、介護保険移行準備病棟、仮称でございますが、といたしまして、医師、看護職員の配置を薄くする場合でも診療報酬上の評価を下げることはしないということとしまして医療機関がコストを引き下げて対応する選択肢を広げることとしておりまして、第三期におきましてはこうした制度も活用して、平成二十一年度からの第四期において老人保健施設等への転換を図っていくことも可能であると考えております。
  31. 西島英利

    西島英利君 介護療養型病床の中には、ですから医療区分一、二、三が入っておるわけですね。出された数字によりますと、医療区分三も五・数%たしか入っておるわけです。そうですよね。医療区分二もかなりの数が入っておる。そうしましたときに、その準備病棟に移っても、それだけのマンパワーは私は必要だと思うんですよ。ですから、コストはそんなに下がらない。  ですから、大事なことは、本当に経営がこれで成り立っていくのかどうかということを私は質問しているわけでございまして、じゃ本当にコストが下がるんですか、それで。私は下がらないと思います。私も病院やっていますから、それはよく分かります。ですから、転換を促されるんであれば当然環境整備はしておく必要性があるだろうし、やっぱり早急にするべきだと私は思うんですよ。    〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕  それから、もうまさしく介護保険療養病床から医療保険型には基本的に移れないですよ。だって、そうなっていますもの。だって、医療区分一が多いわけですから。そうでしょう。医療区分一をああいう形でやって点数設定したということは、そもそも最初のときには介護保険療養型に移ってくださいよという実は思惑が最初あったんですよ。それがいつの間にか介護療養型病床の廃止が突然出てきたものだから行き先を失っちゃったというのが恐らく現状だろうというふうに私自身は、ずっとこれ見てきていますから思うんですけれども。  ですからやはり、先ほども何回も申し上げましたように、今移ろうという人がいらっしゃれば、その人たちが安心して移れるようなやはりそういう見直しは早急に私はするべきだろうというふうに思うんですけれども局長、いかがでございますか。
  32. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 先ほど申し上げましたように、そもそもの増加は見込まれているところもございます。  それから、コスト的な面では、先ほど申し上げましたような経過型を設けて、これは医療療養だけでなくて介護療養につきましても設けるという予定でございまして、そうしたことにおいて対応したいと考えております。  また、先ほど大臣からもお話がございましたように、地域におけるケア体制の整備方針あるいは療養病床の転換計画などを盛り込みました地域ケア整備指針というものを厚生労働省におきまして策定し、それに基づきまして来年の夏までに各都道府県におきまして地域ケア整備構想、仮称でございますが、を策定していただくということによりまして、こうした第四期の事業計画等に反映する一歩となるということも含めまして、適切な参酌標準を国において定め、それに基づいて市町村において転換して計画を定めていただくということが可能になるんではないかというふうに考えております。    〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
  33. 西島英利

    西島英利君 もう一度言いますが、参酌標準はこれ市町村が決めますよね、数字は。違うんですか。市町村がどれだけ必要なのかというのを決めるんじゃないですか。
  34. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 正確に申し上げますと、参酌標準は国において統一的に示す全体の標準でございまして、実際の各市町村におきましては介護保険事業計画という形で、その市町村における施設の見込み数で計画を定めていくという仕組みでございます。
  35. 西島英利

    西島英利君 ですから、結果的には市町村が決めるわけでしょう、数字的には。それはそう言ってくださいよ。  確かに、こういう形でやってくださいよという大まかなものはお示しになるかもしれないけど、私がさっきから何回も申し上げているのは、だから市町村できちんと転換できる担保ができるんですかということを先ほどから私は申し上げておるんです。これが一番の療養型病床を持っておられる医療機関の一番の不安なんですよ。ですから、この不安を早く解消しなきゃいけない。だって、介護療養型病床の廃止を打ち出されたのは政府ですよ。それは、そういう環境整備やそういう議論がほとんどなされてないままこういうのが打ち出されているから混乱起きているんですよ。  もしよろしければ、大臣、この件について少しコメントいただければと思うんですが。
  36. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今御審議いただいているように、確かに国が基本的な方針を決めたわけですから、円滑に転換できるような様々な手段を講じなければならない。特に、現実に経営されている方々の気持ちというものにしっかり配慮しながら動いていかなきゃならないというのは委員が御指摘のとおりだろうと思います。  そういった意味では、この法案が成立いたしましたらできるだけ早期に、こうした御心配にこたえられるように各地域ごとに応じながら、私どもしっかりすり合わせをしていかなければならないと、このように考えております。
  37. 西島英利

    西島英利君 この制度、七月からスタートしますので、もう時間はありませんので、是非、本当に三年間もたないと。要するに次の計画の、要するに第四期まではもたないという声を全国からいただいていますので、是非その辺りを御配慮をお願いを申し上げたいというふうに思います。  ところで、今回の介護療養型病床群につきましては、医療区分一だけがいろんなところで意見が言われているわけでございますが、私は医療区分三をどうするのかと。つまり、療養型病床に入っておられるこの医療区分三の方々は、この療養型病床が介護保険の福祉施設的な老健等々に転換した場合には、とてもじゃないけれどもここではやれない人たちであります。じゃ、この方々が一般病床に入れるのかといいますと、平均在院日数等の絡みでその方々を受け入れてくれるそういう場はまずないと考えていいだろうというふうに思っております。  ですから、この医療区分三の方々をどういうふうにしようとしているのか、何かお考えがあればお教えいただきたい。
  38. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 医療区分三あるいは医療区分二の方が多いところをどうするかということでございます。  配置につきましては、新たな療養病棟入院基本料におきましては、現行の入院基本料、そういうものを引き継ぎまして、看護職員につきましては実質配置二十五対一、看護補助者、実質二十五対一というふうにしておりますけれども、ただ、医療区分の二又は三に該当する患者を八割以上入院させている病棟につきましては、看護職員の実質配置二十対一、看護補助者の実質配置二十対一ということで、より医療の必要性が高い患者を入院させている場合にはより手厚い医療が必要であると、こういった観点に即して定めているものでございまして、中医協におきましても、当該人員配置でもって医療区分二又は三に該当する患者を八割以上入院させている病棟として十分なものであるというふうに了承されたところでございます。  ただ、これは御存じのとおり、最低限満たすべき基準でございまして、医療現場におきましては必要に応じて人員を厚く配置する等の措置が講じられておりまして、そういったことでも対応できていると考えます。  さらに、もう一つ申し上げますと、医療区分三に相当する患者さんの中でも、特に医療の必要性が高い状態が長期に継続する患者さんにつきましては、平均在院日数要件の課せられない障害者施設等入院基本料を算定する一般病棟で受け入れていくということも選択肢の一つであると、このように考えております。
  39. 西島英利

    西島英利君 こういう問題は、本来であれば、こういう様々な制度を変えるときにしっかりと議論をされていなければいけない話なんですね。残念ながら、衆議院の方でもほとんどこういう議論は私はなされていなかった、議事録を読みますと、というふうに思います。  ですから、この療養型病床についてはもう様々な問題抱えております。六年で転換云々という話もこの法律なんかにも書き込まれているわけでございますけれども、実際は、例えば老人保健施設にそのまま転換できますよと、ところが療養型病床の平米数は六・四平米、老健施設八平米、これだけアメニティーも違うわけですよ。ようやく老人保健施設が質を上げてきて、さあこれからだというときにまた経過型的な対応の施設ができてくる。  これをどうしていくのかという議論はやはり早急にしていく必要性が私はあるだろうというふうに思います。是非よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。  それでは、もう一つの問題でございますが、今正に産婦人科医、小児科医が足りない云々という話があるわけでございますけれども、今回有床診療所が四十八時間条項が撤廃をされまして、撤廃をした代わりにこの病床を基準病床数にカウントするということになりました。となりますと、全国のほとんどの地域で有床診療所、新たな参入ができなくなると。新たなといいますのは、若い人たちが有床診療所で医療提供しようと思っても、それ非常に難しい状況が今回生まれてくるわけでございます。  特に産婦人科の場合は、これは有床診療所、まさしく外来で産婦人科できないわけですから、まさしくこの有床診療所の役割というのが非常に大きいだろうと。それから、今後、今回の診療報酬改定の中にも大きく書き込まれておりますけれども、要するに支援型の診療所、終末期医療支援するための診療所等々、これはやはり入院機能も必要になってくるだろうというふうに思いますと、在宅医療を支える体制としての有床診療所の役割というのは非常に大きいものが今後出てくるというふうに思うんですけれども、このまま基準病床数にカウントするということになりますと新規参入ができなくなるわけでございますから、何らかの方策を、参入できるような何らかの方策を考える必要性があるだろうというふうに思いますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  40. 赤松正雄

    ○副大臣赤松正雄君) 今、西島委員が御指摘になりましたように、若い有能な医師のそういう参入、時代のニーズに合ったそういう参入ができるようにすべきだと、こういう御指摘であります。  そういう点につきまして、断じてそういうふうにならないように様々な方策が考えられなければならない、そう思っておりますが、具体的には、一つは緩和ケア機能等を有し、患者に対し二十四時間いつでも在宅医療提供するとともに、地域において訪問看護ステーションや特別養護老人ホーム等の介護保険施設と連携している状況が当該都道府県医療計画で明らかにされた有床診療所、あるいはまた、へき地や離島における医療を担う有床診療所であって、当該都道府県医療計画でその位置付けを明らかにされた有床診療所、あるいはまた、そのほか地域医療連携体制の構築に当たって求められる医療機能確保のために必要であると当該都道府県医療計画で明らかにされた有床診療所、今申し上げましたようなそういう三つの角度から申し上げました有床診療所につきまして、都道府県医療審議会の議を経て医療計画に位置付けられれば、特例的な扱いが可能となるようにするなど配慮をしてまいりたい、そんなふうに厚労省として考えております。
  41. 西島英利

    西島英利君 今、特例病床というお話をなさいましたけれども、この特例病床は、今までは厚生労働大臣と協議の上で決めるということで、なかなか全国から非常に難しい状況で、今まで許可が行われたことはほとんどたしかないと思うんですね。  ですから、これを是非厚生労働大臣の協議ではなくて、地域事情で決めることになるわけでございますから、地域医療審議会で議論をして、それで決定するというような、是非そういう制度も盛り込んでいただきますと、本当に必要なときに必要なものが許可できるということになるだろうというふうに思いますので、その辺りの御配慮も是非よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。  それでは、もうちょっと時間はございますけれども高齢者医療制度の、特に後期高齢者医療制度につきまして、本来この後期高齢者医療制度は、ある意味では医療費適正化のために実はつくられた制度と私は理解をいたしております。  ですから、七十五歳以上の医療はみとりの医療なんだというふうに考えまして、ある意味では包括的な医療ということにしたらどうかというのを、当時私が日本医師会に在籍していましたときに自民党に御提案申し上げて、健康保険法の附則の中に書き込んでいただき、今回制度化されているというふうに私は理解をいたしております。  となりますと、まさしく医療費適正化のための一つの方法でございますので、まさしくこの後期高齢者医療制度が導入されて、どのくらい、じゃ医療費適正化が行われるのかと、本来やっぱり数値は出していかなきゃいけないはずでございますけれども、まだ厚生労働省の方からそういう数字はほとんど聞いておりません。  この件について何か御見解があればお教えいただきたい。
  42. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 後期高齢者医療制度創設当たりましては、後期高齢者の心身の特性等にふさわしい診療報酬体系の在り方につきましては今後検討していくということとしてございます。  したがいまして、医療費適正化に資する観点からはこの診療報酬のほかにも様々な仕組みについては織り込んでおりますけれども、ただいま委員指摘のような、包括化にしたらどうなるかといった具体的な適正化効果ということは、そういったことはまだそこまで踏み込んではいないわけでございます。  正にこの後期高齢者は、前期高齢者に比べまして生理機能の低下による疾病が増加すると、特に入院が増加すると、こういう傾向にあることを踏まえて、その心身の特性にふさわしいものを、診療報酬の体系をつくるという、そこまでが決まっているわけでありまして、そこから先のことにつきましてはこれから検討するということで、具体的にそのものとして医療費適正化効果を見込んでいるわけではございません。  ただ、医療費適正化、これは平均在院日数の短縮でありますとかあるいは予防の導入と、こういったことがございますので、後期高齢者に係る医療費につきまして申し上げますと、二〇一五年、平成二十七年段階で、改革を実施しない場合医療費ベースで十八兆円という見通しが、改革の実施後は十六兆円、それから二〇二五年段階では、改革前で医療費ベースで三十兆円との見通しが、改革実施後は二十五兆円と、このような数字医療費について持っているところでございます。
  43. 西島英利

    西島英利君 改革といいますか、制度を変えるときには当然そういう数値は、だってこれはお得意ですよね、仮置きの数字というのは、私はやっぱり出しておく必要性があるだろうと。でないと、どのような医療給付を我々受けることが、つまり高齢者の方が受けることができるのか、これは一番の関心事だと私は思うんですよ。保険者がどうなのかとか、保険料がどうなるとか、自己負担が一割になるとか、そうではなくて、どのような医療を自分たちは受けることができるのか、これが一番の関心事なんですね。  ですから、その議論がされないままずっと来て、しかも将来推計はまだしていないということは、やはりこれは問題だろうというふうに思っています。  ですから是非、これは仮置きでも何でも結構でございますから、今後厚労省の方で議論をしていただいて、次の質問のときにでも是非お出しいただければというふうに思います。これも要望でございます。  ということで、本来、実は私は今日一時間二十五分質問せいと言われまして、昨日の夕方そのお話が、ああ違った、百二十五分でございます。昨日の夕方その話がありまして、私徹夜で準備をしまして、今まさしくもうろう状態でございますけれども、今回の法律の中には生活習慣病の予防ということも入っておりまして、生活習慣病の一番の予防は食生活を規則的にやるというのが一番だというふうに思いますので、十二時の食事の時間でございますから、これで質問を終わらせていただきます。また次回、是非質問さしていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  44. 山下英利

    委員長山下英利君) 午後一時から再開することとし、休憩をいたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  45. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  委員会の再開に先立ち、民主党新緑風会及び社会民主党護憲連合所属議員に対し、出席を要請いたしましたが、出席を得ることができませんでしたので、やむを得ず議事を進めさせていただきます。  休憩前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  46. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療提供する体制確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案に関連しまして、質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、医療費適正化に関連して質問をさせていただきたいと思います。  医療費適正化計画一つの柱であります平均在院日数の短縮についてでありますけれども平均在院日数短縮というのが医療費適正化に大きく関係するだろうということでこれまでも対策を行ってきたと思うんですけれども、これまでの対策とこれからの対策、今回の法案にも関係しているわけですが、これからの対策について川崎厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  47. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 委員が御指摘いただきましたように、平均在院日数の短縮に向けてずっと取組を進めてまいりました。一九六〇年代で六十日近く、八〇年代で五十日を超えておると、こういった中で様々な対策を進めてまいりました。  一つは、診療報酬改定において長期入院の点数を低減させて急性期を重点化する措置をとってきたほか、医療機関の機能分化、連携に資する診療報酬の設定等を行ってきたことに加え、医療計画制度の導入や医療施設の機能の体系化など、医療供給面の措置を今日まで講じてきたところでございます。  今回の計画につきましては、平成二十年度から国と都道府県が五年ごとに作成する医療費適正化計画において具体的な政策目標を挙げた上で、その達成に向けた取組を計画的に進めていくこととしております。  具体的には、第一期、これは平成二十年度から二十四年の医療費適正化計画においては療養病床の再編成を中心に取り組むこととしており、療養病床の老人保健施設等への円滑な転換を促進する観点から、既存の施設を活用して大きな改修をすることなく老人保健施設に転換できるよう床面積の基準を計画的に緩和をいたします。医療保険、介護保険の双方において、医師、看護職員の配置等を緩和した療養病床の類型を創設、これは平成二十三年度まででございます。医療保険財源を活用した病床転換助成事業を実施する、このような施策を組んでいるところでございます。  一方で、そのほかの施策として、医療機能の分化、連携の推進や在宅療養支援の強化などにより平均在院日数の短縮を進めてまいりたいと、このように考えております。
  48. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 平均在院日数、長くなるという傾向も今まであったわけですけれども、考えてみれば、病院よりも自宅の方で療養できるものであれば、自宅で見てもらった方が本人にとってもいいだろうと。通院できるんならば通院でいいだろうと。なかなかその通院が不便であったり在宅で療養して通院、病院に通うというのが大変であったり、適切な医療が在宅では受けられないとか、様々な要因があって長い入院医療になっている場合もあるわけですけれども、そういうものを改善しながら入院の日数を減らしていくというのは、これは良い方向ではあると、そのように考えておるわけですけれども、各県によって様々な事情があってばらつきがあるということだと思うんですね。  そういう意味で、全国で大体平均的にはどのくらいの在院日数が適切と考えておられるのか、まずは全国的な目標といいますか、そういうものについて赤松厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  49. 赤松正雄

    ○副大臣赤松正雄君) 今、渡辺委員の先ほどの質問に対する大臣の答弁にもありましたように、日本の在院日数というのは欧米の国々に比べて、イギリスやフランス、ドイツ、アメリカ等に比べても非常に格段に在院日数が長いという現実がございます。  全国平均の在院日数は現時点で約三十六日と、こういう状況でございまして、そういう中で今委員のお話にございましたように、県によって結構ばらつきがあると。一番いい結果が現時点で出ているのは長野県ということで、長野県のケースが大体約二十七日ということで最短の平均在院日数を実現していると。この長野のケースをモデルケースにしようというふうに考えているところでございます。  二段階に分けて目標を設定いたしておりまして、平成二十七年、二〇一五年度においては全国平均とそして長野県との差を半分に縮小するということ、そして第二段階目としては、平成三十七年、それから先十年後、二〇二五年度においては全国平均を長野県並みに短縮する、こういうことを目標として設定をいたしているところでございます。
  50. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 私も医療に携わっていた時期がありますけれども、山形県が長かったわけです。山形県も平均在院日数が少ない方の県になります。一人当たりの老人医療費に関しましても、これも少ない方の県になるわけです。長野県と類似の傾向にあります。それは地域で、私たちは適切な医療を施してきたつもりではありますので、無理に医療費を抑えようというようなつもりはなかったわけですが、こういう形になっていると。  ほかの県でもいろいろな事情によって差があるのかなと思うんですが、こういう様々な県によってばらつきがあるわけですけれども、そういう各県における在院日数の目標の設定をどのようにしていったらいいのか。先ほどの目標、全国平均在院日数が、山形県ですと大体三十日ぐらいあったのをまず半年で長野県並みに、半年といいますか、その半分をまず目標で、二十七日とすれば一・五日ぐらいを減らすというような目標にするのか、それとも、今少ない、在院日数が短い県はそれほど半分にこだわらず、今までの流れのままでも長野県並みに十分なっていくのか、そういう場合は目標値を多少緩く設定してもいいのか、そういういろいろ考えがあると思うんですが、厚生労働省としては、そういう各県ごとの在院日数短縮の目標をどのように考えていったらいいのか、あるいは基本的な考え方がこうだというのがあるんであればお示しをいただきたいと思います。
  51. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 各都道府県におきます平均在院日数の短縮目標の設定の基準についてでございますけれども、具体的には今後国が定めます医療費適正化の基本方針において示すこととなりますけれども、現時点におきましては二〇一五年に、先ほど全国の目標を副大臣から申し上げましたけれども、それぞれの県と最短の県、この場合、長野県との差の半分にすることを基本として設定をしていくというのが今の、現在での考え方でございます。
  52. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、それと関連するわけですが、それでも目標になかなか達成しないというようなときには各都道府県で特例診療報酬といった新たな方法を取り入れることが考えられているわけですけれども、この特例診療報酬というのはどういう制度になっていくのか、また診療報酬内容をどのように調整していくのか、その点について、現在考えられていることをお伺いをしたいと思います。
  53. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 都道府県ごと診療報酬の特例についてでございますけれども、これは厚生労働大臣医療費適正化計画の終了年度の翌年度、すなわち平成二十五年度におきまして、その実績に関する評価を行った結果を踏まえまして、医療費適正化推進のために必要と認めるときに設定することができると、このようにされているところでございます。  また、この特例の設定に当たりましては、あらかじめ関係都道府県知事と協議をするということ、それから内容としましては、地域の実情も踏まえながら適切な医療を各都道府県間で公平に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲内において設定すること、それから中医協の審議を経た上で設定すると、このような手順が定められているわけでございますけれども、この特例の実際の適用につきましては、先ほど申しましたように相当先の話になることもございますので、今後、関係者の御意見をお伺いしながら、十分時間を掛けて検討を深めていきたいと、このように考えております。
  54. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 在院日数の短縮というのは、各疾病によって適切な入院期間というのがあると思うんですね。私は脳神経外科医でしたので、脳卒中等治療する場合があるわけですけれども、やはりクモ膜下出血等でも、手術終わってある程度の症状、手足の麻痺とか言語障害とか残っているようなときには、リハビリの施設を備えていればある程度入院をしてリハビリもしていかなければいけないということで、どうしても入院、在院日数が長くなりがちだと。医療連携で、専門のリハビリ病院があればそこに転院して、本格的な、スタッフの整ったところでリハビリをやるということも可能でしょう。しかし、そういう連携病院がないところはどうしても長くなりがちだと。  そのように、疾病によって短縮できやすいところと、なかなか患者さんの良質な医療提供するという面から考えれば短縮が難しいようなところもあると。それが、都道府県によっても、脳卒中が多い東北とか北海道とか、そういうところはどうしてもそういう患者さんが多く入院されるようなこともありますんで、その地域地域のやはりいろいろ特性があってばらつきに影響してくると。単なる社会的入院ということだけではない、そういう疾病による違いというようなものもあるんで、なかなか診療報酬を調整しながら入院期間を短縮するというのは本当に難しい作業になるのかなと。たとえそういう方法を取ったとしても、それを県民の皆さんが納得していただけるのか、また医療機関もそれにきちんと協力をして、了解をしてやっていくのか。しかも患者さんの適切な医療というものは当然ながらレベルを引き下げるわけにはいかないんで、適切な医療提供していかなければいけないと。そういうことで、調整をしていくというのは本当に難しいことかなというふうに思うわけです。  そういう意味では、診療報酬の調整という形で入院期間を短縮するという方法を取る場合には、どういう部分の診療報酬を引き下げたり引き上げたりして調整していくのか、また、それが本当に効果があるのかどうかを見極める基礎的なデータというものをどう積み上げていくのかと、あるいはもう既に持ってらっしゃるのか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
  55. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この目的であります平均在院日数の短縮という点について考えますと、診療報酬上の特例措置ということは一応一つの事項として盛り込んではございますけれども、これだけではないわけであります。正に委員指摘のとおり、地域における医療機関の間での連携状況、地域連携パスということでございます。今回、一部診療報酬でもそういったところを評価するということもございますけれども、非常に根本的にはやはり地域における医療機関の間の分化と連携をどうしていくかということが決め手になるんじゃないかと思っております。  さらに、在宅療養を支援する医療機関の整備状況、こういったことも医療提供体制上必要だろうと思っております。そのために、今回、診療報酬でも在宅療養支援診療所と、こういった仕組みを設けたところでございます。  また、更に言いますと、介護サービス基盤の整備状況と、こういったことも大きいわけでございまして、療養病床の再編成ということを考えるに当たりましては、やはりこの介護サービスの基盤の整備状況ということが非常に大きい要素になってくるわけであります。  したがいまして、私ども診療報酬一本で物事を考えているわけではございませんで、やはり対策には総合的な幅広い観点から、ただいま申し上げましたような医療提供体制に及びます見直しというものがまず必要で、それをまた診療報酬でどのように評価をしていくかというふうな事柄もあろうかと思っております。したがいまして、先ほどもお答え申し上げましたように、特例としてどういうふうにするかということは、まだこれから時間もございますので、委員指摘のデータの収集、分析、こういったことも含めまして十分に研究、検討していきたいと、このように考えております。
  56. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 検討していただいて、本当はそういう特例措置がなくても十分な目的が達成されればいいわけですけれども、そういう特例を置く場合も、地域住民の良質な医療のサービスの提供という、そういうところが抑制されるとか、そういうことは当然あってはならないことなので、そこは十分に考慮していただきたいと思います。  もう一つ医療費適正化対策の柱としては生活習慣病対策があるわけですけれども、糖尿病とか高血圧などの患者さんあるいはその予備軍の方々の減少に関する数値目標を立てていくわけです。また、健診とか保健指導の実施率の目標を設定していくわけですが、こういう目標の設定をどのように設定していくのか、厚生労働省としてどのようにお考えになっているのかお聞きしたいと思います。
  57. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 糖尿病等の患者、予備軍の減少についての数値目標についてでございますけれども委員御承知のとおり、平成十六年五月に策定されました健康フロンティア戦略におきまして、二〇〇五年から二〇一四年までの十年間に心疾患と脳卒中の死亡率を二五%改善する、それから糖尿病の発生率を二〇%改善すると、こういった目標を定めているところでございますので、これを勘案いたしまして、今回の医療費適正化の取組におきましては、二〇一五年までに有病者、予備軍を二五%減らすということを、これを目標とすることとしてございます。  そのための実施の手段といたしまして、健診の実施率それから保健指導というものをそれぞれ六〇%、八〇%から次第に上げていくということがございますけれども、そういった手段によりましてこの目標を達成しようと、このように考えているところでございます。
  58. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 全国的な方向としてはそういうことになると思うんですが、具体的な地域の目標とか、あるいは保険者によっては被保険者の方々の目標とか、そういうものを立てていくことになるんですが、これはどのように各推進すべき団体といいますか、それがどのようにやっていくのか。また、地域としては都道府県の役割というか関与の在り方はどういう形になるのか、お教えいただきたいと思います。
  59. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 糖尿病等に着目しました健診それから保健指導の実施主体につきましては医療保険者を考えているわけでございます。その理由は、この健診、それから保健指導を実施することによりまして医療費適正化効果が期待されて、その恩恵を直接に受けるのは医療保険者であるということがございます。それから、対象者、特に被扶養者の方々につきましてその把握を行いやすいといったことがございますので、医療保険者に対して健診、指導の実施を義務付けると、このようにしているところでございます。  また、お尋ねのありました都道府県につきましては、県内の医療保険者に対する助言や援助、それから保健指導の研修によるマンパワーの確保、それから市町村国保の健診費用に対する助成と、こういったことを行いまして保険者の取組を支援する役割を担っていただくこととしてございます。
  60. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 これまでも健康日本21等で生活習慣病対策とか様々な予防対策推進をしてきているわけですが、なかなか十分な効果が現われていないというふうに思います。  それはやっぱり、それを推進するマンパワーといいますかね、栄養指導であれば栄養士さん等、地域で一生懸命健康に良い食事を教えていただく、食事のメニューを教えていただく、あるいは地域の食材を、旬のものを使った良い、日本食を中心とした日本型食生活、これが生活習慣病にはよろしいというわけですけれども、そういうメニューをきちんと教えていただくような人がいなければ、なかなか自分で考えてというわけにもいかないことがあります。  運動に関しましても、なかなか冬期間、私、山形県の米沢におりますけれども、冬期間なかなか運動する運動場を確保するのは難しいと。雪かきをしておりますけれども、それだけでは十分な運動にはならないわけでありますけれども、そういう運動をする施設も必要になってくるとか、運動をするといっても、やはり年配の方々で足腰悪いような方々がどういう運動をしていったらいいのか、そういうのを教えてくださる方もいなければ適切な運動指導というのはできないだろうということで、マンパワーというのが大変重要なのかなと思います。  そういうのはきちんと整えていただいて、住民の方々がそういう方々からきちんと適切なアドバイスをいただいてそれを実行に移すというようなことを、やはり国としてもまた都道府県も努力をしていただきたいなと、そういうふうに思います。  次に、小児医療の資源の集約化、重点化と、それについて質問をさせていただきたいと思います。  小児科の医療、本当に小児科のお医者さんが少なくなってきているわけですが、私の隣町、私、米沢市に住んでいるんですが、隣町に高畠町というところがございます。今までは関連の医大の方から二人の小児科のお医者さんが来て診療を、公立病院でですね、公立病院で診療をしていただいていたということでありますが、一人が開業、まあ大学の状況で、今いろいろ医局制度等が変化をしてきておりますので、また研修医制度等も始まっておりますので、いろんな事情から大学に医師が異動して、二人の小児科医が一名となってしまったと。その一名の小児科医も開業、残った方も開業してしまうということで、病院にはゼロになってしまうと。ゼロでは今まで小児科を、診療を受けていた地域住民が困るということで、関連の大学から週三回医師を派遣してもらっていると。しかし、常勤医はいなくなってしまっていると、そういう状況がありまして、住民の方々からは大変な不安があるということをお話を聞いているわけです。  そういうふうに小児科の現状が、まあどこでもある現状ではないかなと思うんですね。本当にそういう意味では、小児科の医師確保というのが大事であるし、そういう医療機関地域確保していくということが大事だと思うんですが、現状は、なかなか集約化をしていかなければいけない、重点化をしていかなければその小児科の医師そのものも過重労働で倒れてしまうというような状況でありますので、そういう流れというものはやむを得ないのかなというふうに思っております。  まず、基礎的なことをお聞きしたいんですけれども、そういう小児科標榜の医療施設が近年どのようになっているのか、まずその点をお伺いをしたいと思います。
  61. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 小児科を標榜する医療施設でございますが、一般病院数について見ますと、過去十年間で減少傾向が見られております。平成六年と平成十六年を見ますと、三千九百三十八病院であったものが三千二百三十一病院ということで、七百七病院減少ということでございます。この間、一般病院全体も六百四十二減少してきておりますが、その中で小児科の一般病院も減ってきていると、こういう状況でございます。
  62. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 そういう状況でありますけれども、小児科医一人でやっていると、夜間救急等もやると、もうとても過重労働で倒れてしまうということで、集約化、重点化を進めていくことになっておりますけれども、この点、現在どのように厚生労働省として取り組んでおられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  63. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今、病院の数が減っていると申し上げましたけれども、小児科医全体としては増えてきておることは事実だろうと思います。  問題は、委員指摘の小児救急医療問題、すなわち二十四時間体制医療提供が求められる、その救急医療に従事してくれる医師数が全体的に不足している、こんな感をいたしております。  したがって、一つは、医師の勤務環境の問題が衆議院厚生労働委員会では随分出ました、この改善を図らなければならない。それから、医療の安全性を確保しなければならないと。そういう両面から考えていきましたときに、やはり各都道府県におきまして医療機能の集約化、重点化を図ってもらわなければならないということで、各都道府県におきまして大学病院、また医療機関医師会、そういうところとしっかり議論しながら集約体制に向けて今いろいろ努力をしてもらっておると、こんな感をいたしております。  特に、この間、私も知事さんにお目に掛かる機会が多うございまして、周産期医療問題と小児科医療問題についていろいろ御議論いただき、またいろいろ御注文もいただいているわけですけれども、やはり知事さんが先頭に立ちながら集約化を進めていかなければならないという認識は、私ども同じ立場に立っておると思っております。  一方、私どもとして、この都道府県が進めていく中で基本的な考え方として申し上げておりますのは、集約後の新しい診療圏域における医療機関相互の連携に基づく診療ネットワークの構築、拠点となる病院における診療体制の整備、こうしたものに国としてもどう支援ができるかと、これを考えていかなきゃならぬだろうと。知事さんのお話を聞いていますと、やはり地域によってそれぞれの事情があり、それぞれの問題がある。その中で特に問題がある地域については、やはり国の方から重点的な支援をしていかなければならないだろうと、こんな思いを持たせていただいております。  そういった意味では、雇用の問題でも、特に悪い都道府県に集中して応援体制を引く、北海道、青森、また鹿児島、高知、長崎、沖縄等やってまいりましたけれども、この小児科の体制につきましても、どう我々が応援できるかとなると、今、我々の予算全体で全部やりますよというととても手が届くわけではありませんから、ある程度我々の資源というものも集中しながら、特に厳しい県に私どもは応援体制を引いていかなければならないだろうと、こんな認識をいたしております。  県における対策協議会はすべての県で設置していただいたと認識をいたしております。その中の議論も踏まえ、また私どもも、私自身も知事さんと接触をいたしますし、担当者もそれぞれの形で各県と接触をしながら、そして問題点を集約化しながら、我々の考え方をまとめると同時にどう援助していけるかと、そんなことをしっかり進めてまいりたいと、このように考えております。
  64. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 小児科が足りないところを急に増やしていただきたいという要望を聞いても、なかなか現実にはすぐに小児科の医師を養成するというのは難しいということですので、やむを得ない場合には内科の先生とかそういう方々に小児科の医療の一部分を担ってもらうとか、救急の場合はまたほかの科のドクターに一次救急等は担っていただくとか、ほかの診療科のドクターにその小児科医療の一端を担っていただく必要がある場合も出てくると思うんですね。そういうほかの科のドクターに小児科のことをもう一度勉強していただいて、それを地域の診療に役立てていくというようなことを何か応援をしていただけるような方法がないのかどうか、あるいは考えておられるのか、その点、お伺いをしたいと思います。
  65. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) お話しいただきましたように、患者の病状に応じた対応というものが求められる、そのときに必ずしも小児科の救急へすぐ連れていく必要があるとは言えない。ある意味では多くがそうではなくて、親御さんがまず専門家に相談すれば済んだものもある、電話での対応でもよかった場合もある、いや本当に親と一緒に住んでいれば親の過去の知恵でもよかった場合もあると、いろんなケースがあると思っております。  その中で、実はこの間、熊本県の知事ともお話ししておりましたら、自分たちの地域では内科医の先生方に、今先生の御提言いただいたような小児科のある意味では初期治療といいますか、そういうものを再度勉強してもらっていると、そして体制をつくらせてもらっていると、こういう話が潮谷知事さんから出ました。  厚生労働省としてもそんな考え方の中で、一つは小児科以外の医師であっても小児初期救急が担えるように、小児初期救急診療ガイドブックを作成するとともに、地域の内科医等を対象として小児救急に関する研修を行う小児救急地域医師研修事業を実施させていただいております。地域において幅広く小児初期救急医療提供できるように様々な支援を行い、病院の、正に救急の病院の小児科医の負担の軽減というものを図っていくことが必要だろうと。  そういう意味では、医師会の皆さん方とのネットワーク、また場合によっては看護師さんが様々な情報提供を行うということも含めまして、地域で総力挙げてこの小児科問題を解決できるように私どもの立場からもできるだけの支援、また知恵も出していかなければならないと、このように思っております。
  66. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今大臣の方からも小児救急電話相談事業のお話も出ておりました。これも非常に大事な試みだと思うんですね。ただ、なかなかどこまで責任を持って電話相談でやっていけるのか心配される方も当然ながらおられるわけです。そういう意味で、このシャープ八〇〇〇番による小児救急電話事業の実施状況と、今どのような評価をされているのか、また課題としてどのようなものが挙げられているのか、その点をお伺いをしたいと思います。
  67. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 十六年度から実施してまいりましたけれども、残念ながらまだ未実施の県が十数県ある、これがまず第一の問題点であろうと。それから、時間帯についてもばらばらの状況にある。それから三番目として、私の方から注意したんですけれども、携帯電話でつながらない、シャープ八〇〇〇番が携帯電話でつながらない。こういった問題を今総合的にすべて見直すように、そしてやはり四十七都道府県が全部やってくれるような体制を引かなければならないだろうと。また、移動中とかそういう問題も頭の中に置きますと、どっかで最後のセーフティーネットといいますか、も引かなければならないんではなかろうかなと。要するに、県というよりも一つ二つのポイントを決めて最後はそこにつながるようにすることも考えていかなければならないだろうと。  そんなことを今、全体的な見直しをさせていただいておりまして、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、小児救急に来られる方のすべての方が必ずしも医療機関に来る必要がなかったというケースの方が多うございますので、そういう意味ではこのシャープ八〇〇〇番をより発展的に進めなければならないだろうと。それにはもう少しお互いに、医師会の皆さん方等も含めて知恵を出しながら前向きにやっていかなければならないと、こんな思いをいたしております。
  68. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 小児科の医師不足あるいは集約化に伴う小さな小児科、一人でやっていたような小児科の方が診療を取りやめざるを得ないみたいな状況というのはこれからも起こってくると思いますので、それを補う意味でいろんな知恵を出していく、その一つの知恵がこの小児救急電話事業だと思うんですが、これが事故なくスムーズに期待された効果を発揮できるように、医療関係者それから地域の皆さん等と厚生労働省とよく協議をされて良い方向に向かうように期待をしております。  次に、産科の医療資源の集約化、重点化について、また医療連携についてお伺いをしたいと思います。  先ほども小児科が少なくなってしまったということで、隣町の高畠町のお話をしたんですが、同じようにこの高畠町の公立病院で、今までは常勤医が二名おられて大体地域の皆さんを中心に三百二十ぐらいお産を扱っていたと。ところが、一人産休になりまして一人体制になってしまったと。一人だとやっぱりお産を扱うのは大変なんで婦人科のみの診療になったと。で、産休明けでもう一人産婦人科のお医者さんが戻ってくるわけですが、今度は小児科がいなくなってしまっているということで、小児科がいないとなかなかお産の方も今までどおりやれないということで、お産の方は今のところ病院としては控えているというような状況で、産科だけの問題ではなくて小児科の診療と非常に関連しながらやっているんですが、残念ながらその高畠町の公立病院ではお産ができなくなってしまっているというような状況があります。  また、岩手県の方では、お聞きしますと、県内の産婦人科の減少状況として過去四年間の状況で、県立遠野病院というところが一人いた産婦人科のお医者さんがもうゼロになった、県立江刺病院というところもゼロになった、県立花巻厚生病院というところも二人いたのが現在ゼロになった、県立高田病院も二人いたのがゼロ、県立千厩病院というところも一人いたところがゼロ、総合花巻病院も一人いたところがゼロと。同じ花巻で開業されている工藤医院さんというところも一人いたのがゼロになったということで、この四年間で九人も産婦人科のお医者さんが減ってしまったということで、大変厳しい状況にやはりあるということなんですね。何とか産科の医師を、あるいは医療機関をやはり地域確保したいという本当に切実な要望がいろいろ出されてきているわけです。  そこで、まず基本的なことでお伺いをしたいんですが、産婦人科あるいは産科診療を行っている医師、病院、診療所の近年の動向についてお伺いをしたいと思います。
  69. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 産婦人科のお医者さん、あるいは医療施設の状況でございますけれども、産婦人科医の場合は先ほどの小児科医と違いまして、小児科医の方は病院勤務医あるいは診療所の勤務医、いずれも過去十年間増加傾向でございますが、産婦人科につきましては、平成六年から平成十六年までの十年間で見まして、病院勤務医、診療所勤務医、いずれもおおむね減少傾向ということでございます。ただし、産婦人科医師全体で見た場合、出生一千人当たりの産婦人科医師数、お産当たり医師数でございますが、これは、平成六年が八・九人であったものが平成十六年では九・一人となるなど、横ばいから増加しているという状況でございます。  また、産婦人科を標榜する一般病院の数につきましても、過去十年間では減少傾向にございます。先ほど申しましたように、一般病院全体も減ってございますが、それと同程度に産婦人科の標榜の一般病院数も減ってございます。  診療所のデータは直ちにはございませんけれども、診療所の産婦人科医が減っているということから減少傾向にあるものというふうに考えております。
  70. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 産婦人科の医師の方はある程度おられるということですが、診療をしている病院あるいは診療所等は少なくなっているということでありますが。  また別な方の質問になるんですが、産科診療にかかわっている助産師さんの数とか勤務形態については近年どのようになっているのか、この点もお伺いをしたいと思います。
  71. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 産科医療の関係では助産師も大変大事な役割を担っているわけでございます。  助産師として就業している方々は平成十六年末現在で二万六千四十人でございまして、その数は平成十二年に比べますと一千五十五人増加しているところでございます。  このうち病院、診療所あるいは助産所において就業しております助産師は二万四千八十七人ということで、内訳を申しますと、病院では一万七千七百五十三人、診療所で四千六百八十人、助産所では一千六百五十四人が勤務しているという状況でございます。  これらの医療機関等で就労している助産師数につきまして五年前と比較いたしますと、病院での就労者は横ばい、診療所で就労している助産師さんは約一千人の増加となっている一方、助産所で就労する助産師さんは約二百人の減少という状況でございます。
  72. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 産科の医師、あるいは医療機関、あるいは助産師さんと、都道府県間で偏在といいますか、そういうものが大きいのか、それとも全国大体類似の分布状況になっているのか、あるいは当然ながら郡部と都市部で違うのか、その辺何かそういう偏在の状況があるのかどうか、そこをお伺いをしたいと思うんです。
  73. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 産婦人科医の偏在の状況でございますけれども都道府県別で状況を見ますと、出生千人当たりの産婦人科の医師数で見てみますと、全国平均では平成十六年で出生千人当たり九・一人の産婦人科のお医者さんがいらっしゃるわけでございますけれども、県別に見てみますと、最も多いのは出生千人当たり十四・六人の徳島県でございまして、最も少ないのは埼玉県でございまして、出生千人当たり六・六人の産婦人科の医師となってございます。  助産師さんについての県別のデータはちょっと今手元にございませんけれども、やはり県別に見ますと若干の差があるものというふうに考えております。
  74. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほども、産科の診療をしていた医療機関が、医師がいなくなったということで、廃院といいますか産科診療はなくなってしまうというような状況があるんですが、そういうところでも助産師さん等お働きになっていたのではないかと。そういう病院が産科をしなくなったときに、近隣の病院にまた移られることも当然あると思うんですが、また、看護師さんの資格を持っていれば看護師として働いているというようなことも当然あると思うんですが、そういう地域で産科医の医療機関がなくなった場合に、助産師さんの資格を持っていらっしゃる方がそういう地域でお役に立つようなこと、妊婦さんのいろんな課題についてお役に立つような活動ができるのかどうか。その点を、現状もちょっと私もよく分からないんですが、現状とか、これからのそういう方々の産科の医療の連携の中での役割等考えておられれば、この点をお伺いをしたいと思います。
  75. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 助産師さんは正常産を扱うことができる職種でございます。地域におきまして安心、安全なお産ができる体制確保する上では、産科医師と適切な役割分担、連携の下にその体制をつくっていくということは、御指摘のとおり大変重要だというふうに思っております。  かつては、施設外、自宅等でのお産が非常に多かったわけでございまして、この場合は助産師さんは相当に活躍されていたということでございますが、現在は施設内でのお産が大部分になってきてございます。そのような中でも、産科医と助産師さんが連携をして周産期の医療に当たるということは極めて重要なことだというふうに思っております。  御指摘のような、産科の病院がなくなった地域において助産師を活用するという例といたしましては、妊婦さんに対する日常的なケアを中核病院の助産師が家庭に訪問をして実施して、節目の健診や分娩等については中核病院にてその助産師が立ち会いながら実施すると。それとともに、産婦さんが退院した後のケアをその助産師さんあるいは地域の助産所が引き継ぐといったような事例があることを承知してございます。  また、限られた医療資源を活用するためには、周産期医療の集約化、重点化を進めるに当たりまして助産師を活用する例といたしましては、このほかにも、病院内で院内助産所という形で専属の助産師チームを組んで、外来を持ちながら正常分娩を介助する例であるとか、あるいは助産師外来を開設をいたしまして、医師と役割分担しながら妊婦健診や保健指導を行う例など、幾つかの事例があることを承知してございます。  今後とも、こうした事例を踏まえて助産師の活用につきまして検討を進めまして、周産期医療ネットワークの整備に努めていきたいと思っております。
  76. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 地域の産科の医療機関がなくなってしまって、地域から、妊婦さんの病状が急変して中核病院に緊急に運ばなければいけないというような状況も発生する可能性あるわけですが、こういう事例というのはどの程度あるのか、もし把握していればお伺いをしたいと思います。
  77. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 母体が危険な妊産婦さんや低出生体重児に適正な医療提供するために、各都道府県における周産期医療ネットワークの整備を進めているところでございまして、これは、具体的には各都道府県で周産期医療協議会を設置し、総合周産期母子医療センターを中核として、地域の周産期医療センターや一般分娩機関とネットワークを組んで搬送体制等を整備するものでございます。  この実績につきましては、各都道府県におきまして、それぞれ搬送例等をこの協議会において実績を把握されておるものと承知をしております。国としては申し訳ございませんが、統計的なものはございませんが、各都道府県のネットワークの中での周産期医療協議会での把握がなされて、そしてその患者搬送の状況などについて医学上の問題がなかったか、例えばリスクの早期発見について問題がなかったか、あるいは搬送上の判断について問題がなかったかというようなことも含めて、種々分析、協議がなされているものと承知をいたしております。
  78. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 産婦人科の診療と関連して、また産婦人科の診療所が廃院せざるを得なくなっている一つの要因として、まあ訴えられ、訴えといいますか、要望を受けていることがあるんですけれども、それは、今まで看護師さんが医師の指示の下に内診といいますか診療の補助をしていたときがあったと、そういう時代があったと。これが現在は行ってはならない。そういう看護師の任務になってきたということで、診療所で助産師さんを持っていらっしゃらないところ、看護師さんにそういう診療の補助を受けながら診療をしていたそういう産科の診療所がやむを得ず廃院をしなくてはいけないような状況もあるというような声を産科の現場の医師の方から聞いているんですが、これは何か緩和するような流れというのはあるのかどうか、厚生労働省の見解をお伺いをしたいと思います。
  79. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 御指摘の内診でございますが、これは診療の補助行為というよりも助産の業務の一環ということでございまして、いわゆる単なる診察だけではなくて診断を併せて伴う医行為ということで、医師又は助産師が行うと、こういうことになっておる次第でございます。したがって、これらの業務を行わせるために、助産師の養成というのは看護師とは別に行っているというところでございます。  このようなことを踏まえまして、医療機関で助産師を確保しやすい環境を整備するため、平成十八年度から助産師確保総合対策事業等を創設して取組を進めているところでございますが、今御指摘の内診を看護師にもさせるか否かにつきましては、助産師と看護師の業務の在り方のみならず、医療安全といった観点医療関係職種の連携と役割分担といった観点からの議論も必要であるということで、慎重に検討してまいりたいと思っております。
  80. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 なかなか産科の医師の、あるいは医療機関確保地域での偏在をなくしていく、集中化をしながら地域においても産科の診療に当たる医療機関を何とか確保していくという、非常に難しい課題ですけれども、いろいろな御意見を現場の声を聞きながら対応していただければと思います。  そのほかに、地域在宅医療に関連しまして質問をさせていただきたいんですが、在宅の緩和医療におきまして、緊急の場合に看護師さんとかあるいは患者の看護に当たっている方が麻薬等の薬剤をその患者さんのお宅に届ける、あるいは医療機関から看護師さん等が届けるというようなことができないかというようなお話を聞いておったんですが、この点はどのように改善がなされているのか、赤松大臣にお伺いをしたいと思います。
  81. 赤松正雄

    ○副大臣赤松正雄君) 今、渡辺委員指摘の在宅でがんの治療に当たっておられる患者の皆さん、大変な痛みを感じられる場合があるわけですけれども、そういったときに今御指摘のモルヒネなどの医療用麻薬の適正な使用、これが可能にしてほしいと、こういう要望がかねてあったわけですけれども、本年三月末、三月三十一日に通知を厚生労働省として発出をいたしまして、中身は、現に患者の看護等に当たる看護師、ホームヘルパー等で患者又はその家族等の意を受けた者であれば、患者の看護に当たる家族と同様に薬局等で麻薬の交付を受けることができることということを通知をいたしました。  厚生労働省としまして、今後ともこういうがん患者の皆さんの在宅医療の充実に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  82. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ありがとうございました。  私がそういう要望を受けてからちょっと時間がたっているので、もう改善をされてきたということを私自身がよく認識をしておらなかったんですが、そのような現場の声を真摯に取り上げていただいて、在宅の医療が充実できるようにしていただきたいと思います。  もう一問用意をしてきましたが、これからもまた質問する機会があると思いますので、今日の質問はこれでとどめたいと思います。
  83. 山下英利

    委員長山下英利君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後一時五十六分散会