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2006-05-11 第164回国会 参議院 厚生労働委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月九日     辞任         補欠選任      山本  保君     加藤 修一君  五月十日     辞任         補欠選任      加藤 修一君     山本  保君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下 英利君     理 事                 岸  宏一君                 中村 博彦君                 津田弥太郎君                 円 より子君                 渡辺 孝男君     委 員                 阿部 正俊君                 岡田  広君                 清水嘉与子君                 武見 敬三君                 中原  爽君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 水落 敏栄君                 足立 信也君                 朝日 俊弘君                 家西  悟君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 山本  保君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   川崎 二郎君    副大臣        文部科学大臣  馳   浩君        厚生労働大臣  中野  清君        厚生労働大臣  赤松 正雄君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    政府参考人        文部科学大臣官        房審議官     中田  徹君        文部科学大臣官        房審議官     山中 伸一君        厚生労働大臣官        房総括審議官   金子 順一君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省職業        安定局長     鈴木 直和君        厚生労働省職業        能力開発局長   上村 隆史君        経済産業大臣官        房審議官     大辻 義弘君        国土交通省自動        車交通局次長   松尾 庄一君    参考人        財団法人国際研        修協力機構専務        理事       佐田 通明君        日本郵政公社理        事        佐々木英治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○職業能力開発促進法及び中小企業における労働  力の確保及び良好な雇用機会創出のための  雇用管理改善促進に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  職業能力開発促進法及び中小企業における労働力確保及び良好な雇用機会創出のための雇用管理改善促進に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省職業能力開発局長上村隆史君外七名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山下英利

    委員長山下英利君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  職業能力開発促進法及び中小企業における労働力確保及び良好な雇用機会創出のための雇用管理改善促進に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会財団法人国際研修協力機構専務理事佐田通明君及び日本郵政公社理事佐々木英治君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 山下英利

    委員長山下英利君) 職業能力開発促進法及び中小企業における労働力確保及び良好な雇用機会創出のための雇用管理改善促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 水落敏栄

    水落敏栄君 おはようございます。自由民主党の水落敏栄でございます。  本日は、職業能力開発促進法及び中小企業における労働力確保のための法律改正、こういうことで、私、三十五分時間をいただきましたので、早速質問に入らしていただきますが、欲張って質問を用意しておりますので、御答弁の方は簡潔にお願いいたしたい、このようにお願いいたします。  我が国は、予想よりも二年も早く人口減少社会に突入するなど、急速な少子高齢化の流れが続いておりまして、正に人口減少社会が現実のものとなっております。このことは、社会保障の安定を損なうことにとどまらず、社会の担い手、新たな技術革新を担う人材不足など、我が国社会経済に大きな影響をもたらし国の未来を危うくする、こういうおそれもあるわけであります。このような状況の中で、我が国が引き続き発展を続けていくためには、国民一人一人が働くことを通じて自らの持てる力を発揮することが重要であると考えております。  こうした中で、職業能力開発取組がますます重要なものとなっていくと考えますが、今後の職業能力開発行政をどのように進めていかれるお考えなのか、まずお聞きしたいと思いますが、これが一点であります。  そして、特にフリーター若年失業者が趨勢的に増加しています。フリーターの数の推移は、平成四年に百一万人だったのが、十二年後の平成十六年では二百十三万人、まあ倍以上になっているわけであります。また、若年層雇用環境は、三十四歳以下の完全失業者数は、ピークだった二〇〇二年の百六十八万人から二〇〇五年には約三十万人減少しておりまして、もう雇用環境最悪期を脱出しつつありますけれども、依然として正社員以外のお勤めの方、いわゆるフリーターが増えております。  したがいまして、こうした若者能力開発をしっかりと行う必要があると思いますけれども、政府はどのような対策を講じておられるのか、これが二点目でありますけれども、前段と併せてお伺いしたいと思います。
  8. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) ただいま委員からお話がありましたように、人口減少する社会を迎えたわけでございますが、そういった中で不可欠なことは、人材活性化とそれから能力開発向上だというふうに考えております。  このため、労働者の年齢、あるいは職務の経歴、働き方などに応じた適切な職業能力開発への取組が可能となりますよう、官民協力いたしまして、職業に関する教育訓練システム能力評価システム、あるいはキャリアコンサルティングシステム等労働市場基盤整備、インフラを整備しますとともに、これらを効果的に利用できますように情報の提供、相談援助等を行っていくこととしているところでございます。  それから、若年者の話でございますが、正に次代を担う若者につきましては、若年失業者を始め、フリーターニートと呼ばれるような層が四百万人に上るなど、その活性化に向けたキャリア支援育成が不可欠であるというふうには考えております。  このため、文部科学行政とも連携をいたしまして、生徒学生段階からの、早い段階からのキャリア支援段階的に進めるとともに、フリーターニート状態にある層に対しましては、それぞれの状況に応じたきめ細かな相談援助、あるいは日本版デュアルシステム等職業訓練を行っているところでございますが、さらに、今般、ここで御審議をいただいておりますが、この法案に盛り込みました教育訓練機関等におけます座学、それと企業における一定期間訓練生を雇い入れての実習、これを組み合わせた実習併用職業訓練活用によりまして、若者実践的な職業能力開発促進を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
  9. 水落敏栄

    水落敏栄君 ありがとうございました。  若者雇用環境改善、あるいは若者所得格差の拡大に対する改善、こうしたことは景気の回復、私は景気による要因も多々あると思いますけれども、そうした要因もございますが、やはり自己能力を高めることが最善だというふうに私は思っています。したがいまして、若者能力開発をしっかりとやっていただきたい、こう思っております。  そこで、職業能力開発促進する上で企業の果たす役割は大変重要であると、このようにも思っています。  古い話で恐縮でありますけれども、昨年七月十四日の読売新聞の記事でありますが、日本技術力を支える人材先細り現象について、企業内教育がいつの間にか壊れてしまった、職場人材育成を今再構築しないと大変なことになる、またOJT職場内訓練を中心とした現場力が落ちていると指摘しているわけであります。  これは、バブルの崩壊とともに、若い世代技術を伝承する立場だった中高年層がリストラによって退職を迫られて、人件費圧縮のために非正社員化が進んだ、こう思っています。したがって、こうした状況を早く脱しないと人材先細り現象に輪を掛けるわけでありまして、企業における職業能力開発状況は近年どうなっているのか、またどのようにこれを促進していこうと考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。  また、職業能力開発において、労働者自己啓発も大きな部分を占めております。また、それを後押しする企業を国として支援することが重要だと考えておりますけれども、その対策についてはどのようになっているのか、お聞かせいただきたいと、このように思います。
  10. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 我が国におきます民間企業での職業能力開発への取組状況でございますが、近年、企業によるオフJT、それから計画的なOJT、これの実施率停滞傾向が見られるところでございます。具体的に申し上げますと、企業状況について申し上げますと、平成五年が八六・四%の企業オフJT又は計画的なOJT実施していたという数字になっておりますが、平成十五年ではこれが六八・二%と下がっているところでございます。また、これを労働者の方について、実際に受けたかどうかという問いの方につきましては、平成五年が四七・〇%でございましたが、十五年は同じく二九%に下がっているという状況でございます。  こういった労働者職業能力開発向上につきましては、基本的には労働者雇用する企業が主体的に行っていただくことが何よりも重要であるというふうに考えておりまして、企業実施する教育訓練に対して、その経費等の一部を助成するキャリア形成促進助成金という助成金がございますが、その活用促進や、訓練実施のための相談援助等技術的支援、さらには指導員の派遣や施設の貸与等を行っておりますが、これらにより企業の行う職業能力開発に対する支援を一層進めていきたいというふうに思っております。  それから、労働者個人の主体的なキャリア形成支援する観点から、労働者職業生活設計に即して自発的に行う職業能力開発促進も重要となってきているところでございます。このため、今般のこの法律改正におきましても、時間面におきまして事業主が講ずる措置として勤務時間の短縮の措置を追加させていただいているところでございます。また、労働者の自発的な職業能力開発を後押しする企業支援する、そのためにこの四月から、キャリア形成促進助成金のメニューの一つといたしまして、自発的な職業能力開発に取り組む労働者に対して金銭的、時間的配慮を行う企業に対して助成を行う給付金を新たに設けたところでございます。  今後とも、こういったことによりまして労働者取組企業支援することを促すように取り組んでいきたいというふうに思っております。
  11. 水落敏栄

    水落敏栄君 ありがとうございました。  自己啓発につきましては、私が以前勤務した企業におきましても、バブルがはじける前はパソコン講座とか英会話教室手話教室等々の講座を持って勉強会を行っておりまして、個人からは月三千円から五千円ぐらい徴収して、あとは企業が負担すると、こうした自己啓発やっていましたけれども、バブルがはじけてからは一切やめて、もう十年くらいやめているんじゃないかと思いますけれども、こうした企業として労働者自己啓発を行うことは重要だと思いますので、是非引き続き支援策を講じていただきたいと、このように思います。  次に、我が国政府職業能力開発投資についてお聞きしたいと思います。  近年、若年層職業に対する理解不足や、あるいは職業意識希薄化目的意識のない進学の増加等々を背景とした基礎的能力低下など、厳しい雇用情勢の中で若年失業者フリーターニートの数は、先ほどもお話ありましたように四百万人に達しているわけであります。  政府はこれらの対策について種々講じておることは承知しておりますけれども、しかし、OECDのエンプロイメントアウトルックを見ると、各国職業訓練投資額の対GDP比は、二〇〇二年の資料でありますけれども、フランスが最高でありまして、成人向け職業訓練投資額の対GDP比は〇・二三%の四千億円、若年者向け職業訓練投資額の対GDP比は〇・四%の七千億円。二番目のドイツが、成人向けが〇・三二%の八千億円、若年者向けが〇・一%の二千五百億円。若年者向けフランスに次いで高いのがイギリスなんですが、〇・一三%の二千五百億円なんですね。  それらに比べて我が国は、成人向け職業訓練投資額の対GDP比は〇・〇四%の千六百億円、若年者向け職業訓練等投資額の対GDP比はわずか〇・〇一%の二百五十億円。若年者向けではフランスの二十八分の一、イギリスの十分の一で、他の先進国に比べて我が国政府職業能力開発投資水準はまだまだ低いわけでありまして、人材基盤とする国家としては問題なのではないかと、こう思いますけれども、政府はいかに考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  12. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 今委員から御指摘があったとおりでございまして、OECDの統計によりますと、我が国の対GDP比での職業訓練投資額ヨーロッパ諸国と比べまして低くなっている状況でございます。アメリカ合衆国とはほぼ同水準だということでございますが、いずれにしましても、この各国職業能力開発行政における国と民間役割分担在り方や、教育行政との関係、関連等々が異なることなどから、必ずしも正確に比較ができないところがございますが、いずれにしましても、我が国職業能力開発における取組を今後更に、厳しい財政状況の下ではございますけれども、充実させていかなければならないとは考えているところでございます。  また、我が国においては、国が直接訓練実施するというだけではなくて、政府投資には計上されないような民間での取組民間ノウハウ活力を生かした能力開発への取組や、税制による企業教育訓練促進も行っているところでございまして、こういった様々な取組を進めることによりまして、引き続き職業能力開発促進されるように努めていきたいというふうに考えております。
  13. 水落敏栄

    水落敏栄君 ありがとうございました。  後で二〇〇七年問題にも触れさせていただきますけれども、物づくりが世界一と言われる我が国でありますから、もっともっと人材育成職業能力開発に力を入れていただきたい、このように思います。  次に、このたびの法案の中には、専門学校で学びながら職業訓練をする若者正規労働者として採用する企業支援する制度を創設することが盛り込まれているわけであります。つまり、教育訓練機関における座学企業における実習を組み合わせた、先ほど局長からお話がございましたけれども、実習併用職業訓練を位置付けることを柱とする内容法案と、こういうことでございます。  私は、今までかつてなかったことで、半分勉強、半分仕事で抵抗感が少ない制度だと、こう思いますし、専門学校やあるいは商業、工業高校を卒業する生徒以外に、フリーターニートとなった既に学校を卒業した者も対象者にすれば、若者フリーターニートになる予防策にもなるんではないかなと、このようにも思うわけであります。  そこで、改めてお聞きしますけれども、新たな職業訓練システムとして実習併用職業訓練を位置付ける趣旨といいますか、ねらいといいますか、どの辺にあるのか、これをお聞きしたいと思います。
  14. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 今回御審議をお願いしております法律内容につきましては、昨年の末に労働政策審議会から「今後の職業能力開発施策在り方について」という建議をいただいたところでございますが、これを踏まえてお願いしているところでございます。  今御指摘のございました実習併用職業訓練等につきましても、この建議の中で強く提言されている内容のものでございます。  具体的に申し上げますと、今後の我が国経済社会を担う若者を貴重な人材として育成していくことが現在喫緊の課題でございまして、団塊世代が六十歳を迎え始めるといういわゆる二〇〇七年問題、これを目前に控えまして、企業における現場力低下がいろいろと指摘されているところでございますが、そういった中で、実践的な資質を持った若者に対し職業能力開発及び向上を図り、職業キャリアのめどを付けながら現場の戦力となる人材として育成する取組を強化していくことが重要であるというふうに考えて今回の取組となった次第でございます。  また、若年者に対する職業訓練実施につきましては、教育訓練機関のみならず、企業もその実践的能力を付与する立場から積極的に参加していただくことが必要ではないかというふうに考えた次第でございます。  このため、今委員からお話がありましたように、新規学校卒業者等対象にいたしまして、企業が主体となって実施いたします実践型の実習併用職業訓練法律の中に位置付けまして、就労、就学に次ぐ第三の選択肢としてその普及、定着を図っていきたいというふうに考えたものでございます。
  15. 水落敏栄

    水落敏栄君 ありがとうございました。  申し上げたように、ニートフリーター対策の一環として、ニートと言われる方々職業に就くように、あるいはまた、フリーター正規労働者になれるような道が開かれるわけでありますから、ハローワークなどにもしっかりと指示をしていただいて、連携して、広報にも努めていただきたいなと、このようにも思います。  次に、いわゆる二〇〇七年問題に関連したことについてお聞きしたいと思います。  いわゆる団塊世代定年退職が始まる二〇〇七年以降の日本経済はどのようになるのか。労働力減少などで社会活力が失われることも考えられるわけで、深刻な部分もございます。そのため、六十五歳まで働けるようにする制度の導入が企業に義務付けられる、こうしたこともございます。そして、一番心配しているのは、団塊世代と言われる方々が持っておられる技能継承を円滑に進められるのかどうかということであります。  そのためには、政府として企業取組を推進する必要があると思いますが、どのような支援策を講じていこうとしておられるのか、お聞きしたいと思います。  例えば、家族三人で、あるいは五人ぐらいの小規模企業でありながら特殊なバネや金型を作っておりまして、しかしながら、組合からの情報も少ないし、あるいは、そうした方々ですからパソコンも動かせない、情報を得ることができない、どこに相談に行ったらいいかも分からない、こうしたケースもあるわけであります。  したがいまして、特に中小企業技能継承に関する問題への対応策関連公的支援策について相談できる窓口整備が重要であると考えますけれども、これらについての対策はどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
  16. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 先ほど申し上げました、昨年末いただいた建議の中でも正に委員指摘のような提言がなされているわけでございまして、そこでの部分を申し上げますと、これまで、我が国産業、とりわけ製造業競争力を支えてきたのは、物づくり現場を始め様々な現場における技術技能ノウハウ管理能力、これを現場力と言っておりますが、すなわち現場力の強さであったというふうに言っております。こうした我が国の強みを今後とも維持していくためには、技能継承取組を一層適切に行っていく必要があるんではないかというふうに考えております。  しかしながら、委員も御指摘がございましたように、大企業では技能継承に向けた計画的な取組が現に進んできてはおりますけれども、中小企業におきましては、若者のいわゆる物づくり離れからくる従業員確保の問題、人材確保の問題、あるいは育成に要する経費の負担の問題、そういったことがございまして、なかなか難しいところがございまして、そういった中小企業への支援が重要な課題でございます。  そこで、この四月からでございますが、各都道府県に技能継承等支援センターというものを設置いたしまして、御指摘のような中小企業等技能継承に関する問題の対応策公的支援策等について相談に応じられるような、そういった窓口を設けたところでございます。また、技能継承ということで、高度熟練技能者若年技能者育成や優れた技能維持継承のために認定をして活用する事業、こういった事業をやっておりますが、これを引き続き積極的に推進していくとともに、現在御審議いただいております中小企業労働力確保法改正も踏まえまして、新たに技能継承取組を行う中小企業や、若年者トライアル雇用実施する中小企業助成を行うこととしたいというふうに思っております。  こういった取組によりまして、中小企業におきましても円滑な技能継承が行われるよう支援してまいりたいというふうに思っております。
  17. 水落敏栄

    水落敏栄君 ありがとうございました。  六十歳定年になりましてもまだまだ働きたいという日本人の就労に対する意欲、これは世界一なんですね。したがいまして、高齢者雇用安定法改正に基づきまして六十五歳まで段階的に定年を延長する、政府はこうした対策も講じていただいているわけであります。  先日あるテレビを見ておりましたら、特殊な技能を持っておられる方が六十歳を過ぎてから中国企業からスカウトされて、中国に行って技術指導をしていると、こうした内容が放映されていました。しかし、世界一の製造技術を誇る我が国技術が、他国の企業に貢献する以前に、何らかの方策を講じて我が国内での技術を伝承していかなければならないと、こう考えますので、是非技術継承を円滑に進めていくための取組についてもお願いをしたい、このように思っています。  次に、申し上げましたように団塊世代が二〇〇七年以降順次定年を迎えることから、製造現場のベテランが持っている技能ノウハウを伝承していくことが急務になっているわけであります。一方、若者にやる気を持ってもらう、金型製造やあるいは金属やセラミックなどの材料を用途に応じた形状に作り上げる工作機械などの分野を始め、製造業では日本が世界のトップ水準を維持しているわけであります。こうした現場で働く方々技能士としての誇りを持っていただくためにも、技能士を始め優れた技能を持った労働者に対する評価が適正に行われて、またそしてそれが処遇に反映されなければならない、こう思います。  私はかつて飲食産業、ホテルで勤務したことがありますけれども、ウエイターとかバーテンさんに技能資格を取っていただいて、そして資格を取得した者には余分に、まあ余分といいますか手当を支給して処遇をしたと、こうした私経験がありますけれども、製造業とかでもこれは必要だと思っています。  こうしたことが本人の資質を高め、技能士としての誇りを持って仕事をする、そして何よりも、本人もまた企業としても社会的評価を高めていくことにつながると、こう思いますけれども、こうしたことに対する政府としての対策はどうなっているのか、中野副大臣おいででございますので、お聞きしたいと思います。
  18. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 今委員がおっしゃいました中に、特に中心的お考えとして、この物づくり社会というものが非常に大事だということを、そのことについての前提の中でお答えをさしていただきたいと思っております。  今申しましたように、物づくり現場といいますか、そういうものを強化するためには、今委員がおっしゃいましたとおり、技能士を始めとする優れた技能労働者の処遇改善を図って社会的評価を高めていくことが重要だろうと、そのとおりでございます。  現在、政府といたしましては百三十七の職種の技能検定制度、これを始めとする職業能力の評価制度の普及を進めておりますけれども、今委員もおっしゃいましたけれども、技能者の社会的評価を高めるため、これは今までどちらかというと今の社会というものがマネーゲームでもってうんと金もうけしているのが偉いとかというような風潮がありますけれども、私はこれは間違っていると思うんですよ。やはり、物づくりというものを中心としてくると、そういう人たちが社会的に認められ、そしてまた誇りを持って行動していただく。  そのために実は、例えば四千人も今現在おるわけでございますけれども、高度熟練技能者の認定、こういうものを活用してやっていただくとか、よく現代の名工と言われておりますけれども、卓越した技能者の表彰、これは大体毎年百五十人ぐらいさせていただいておりますし、また平成十七年度からは経済産業省と共同いたしましてものづくりの日本大賞というものを作っております。こういうものを通しましてやはり物づくりに精進なすっている皆さん方が誇りを持って、そしてまたやっていただく。  また、企業もそういう点でいろいろな意味でこの処遇の改善といいましょうか、この検定を受けた方を積極的に活用してもらう。そのためにはやっぱり役所も、それからまた企業もそういう点の発想の転換をしなきゃいけないんじゃないかということで働き掛けをさしていただいておりますし、また企業内での待遇、処遇の改善といいましょうか、それについても何か、ちょっと今データだけ見ましたら、まあ五千円ぐらいというのが半分ぐらいでね、まあ一万から二万があとの半分ぐらいだろうと、非常に低いわけですね。ですから、こういう点についてもやはり技能を持っていらっしゃる方を大事にする。  これは、ただ単に企業政府だけの仕事じゃなしに、社会全体がやっぱり物づくりというものに対して敬愛の念を持っている、尊敬の念を持っている、そういう社会をつくらなければいけないわけでございまして、そういう面も含めまして全力で努力したいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  19. 水落敏栄

    水落敏栄君 ありがとうございました。  技能継承していくことが必要でございますし、やはり若者が誇りを持って仕事をすると、こうした方策をどんどん進めていただきたいなと、このように思います。  次に、物づくりに対する社会的評価を高めて若者物づくり離れ現場離れを防ぐためには、やはり小学校や中学校段階から物づくり現場とか、あるいは熟練技能士の高度な技を見たり、職業を体験する機会を得ることが重要だと、私このように思っています。  私の小学校時代あるいは中学校時代を振り返ってみますと、図画工作の時間がございまして、ナイフを使って竹トンボを作ったり、のこぎり、かんなを使って本箱を作ったり、あるいはブリキを利用してちり取りを作ったり、こういうことをいたしましたけれども、こうした昔に比べて今学校で余り教えていないんじゃないかなと、このようにも思います。したがって、将来のことを考える時期に来ている中学生やあるいは高校生になっても、物づくりに対する仕事に興味がわかない。  したがいまして、申し上げましたように、小中学校時代から物づくり現場を見るとか、職業を体験する機会を与えるとかが重要と考えますけれども、こう申し上げたことに対する取り組みはどのようになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  20. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 委員正におっしゃるとおりでございまして、若者物づくり離れ、あるいは現場離れを防ぐためには、早いうちから国民各層が技能の重要性を広く認識いたしまして、物づくりに親しむ社会を形成することが重要であるというふうに思います。  このため、物づくり立国の推進という事業として、具体的に申し上げますと、企業の工場や訓練校、公共職業能力開発施設、そういった施設を開放し、そこで物づくりの体験をしてもらう、そういった場を提供する。あるいは、これは昨年から始めたものでございますが、昨年の夏休みの最後のころに開いたものでございますが、二十歳以下の若年者による物づくり技能の競技大会を実施する、それから物づくり技能に関するシンポジウムの開催、そういったことをやってきているところでございます。さらにまた、京都に設置しております私のしごと館、ここでも若者に対しまして様々な職業の体験機会を提供し、また各種の情報の提供などを行っているところでございます。  今後とも、こうした取組を推進してまいりますとともに、来年十一月、静岡で二〇〇七年ユニバーサル技能五輪国際大会が開催されることになっております。これにつきまして関係省庁とも連携を取りながら、小中学生を始めとする若者に本大会を見学していただき、物づくり技能の重要性あるいはすばらしさを理解していただくように努めていきたいというふうに考えております。
  21. 水落敏栄

    水落敏栄君 ありがとうございました。  今局長からお話がありました京都の学術研究都市にあります私のしごと館、いろんな職業体験ができるわけでありまして、私も行政監視委員会で視察をさせていただきました。小学生、中学生にこうした施設にどんどん見学に行ってもらうとか、あるいは町工場等々に見学に行っていただくとか、是非体験の機会を与えていただくように推進方お願いしたいと、このように存じます。  最後に、我が国における技能振興に大きな役割を果たすと考えられますけれども、ただいまやはり局長お話しになりました二〇〇七年ユニバーサル技能五輪国際大会、これが来年静岡県で開催されますけれども、その概要についてお聞かせいただきたいことと、大切なことは、この大会を一過性のイベントに終わらせることなく、大会を契機として物づくり機運を国民的なレベルで盛り上げていくべきだと考えますけれども、政府はどのようにお取り組みになるのか、最後に川崎大臣にお聞きしたいと思います。お願いします。
  22. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 二〇〇七年のユニバーサル技能五輪国際大会、これを取り上げていただきましてありがとうございます。  来年、平成十九年十一月に静岡県において第三十九回技能五輪国際大会、そして第七回国際アビリンピックが行われます。同時開催でございますので、それを総称いたしましてユニバーサル技能五輪と付けさせていただきました。  技能五輪国際大会は、二十二歳以下の若い世代技能者が職業技能について世界のトップを目指して競うものであります。一方で、国際アビリンピックは、障害のある技能者が世界レベルの技を競うものでございます。これらの大会は第一回目以降、異なる時期に異なる都市で開催されてまいりました。今般、二〇〇七年同時開催ということで、初めてこのような試みにさせていただいたところでございます。  本大会には欧米やアジア諸国を始めとした六十か国から約千二百人の選手が参加し、物づくりに関して六十種目を超える職業技能を競い合うことになる予定でございます。本大会、とりわけ技能五輪国際大会は、若者製造業離れや熟練技能者の技能継承等が問題になる中、次代を担う若者技能向上に寄与するとともに、若者職業観の確立や国民各層の技能尊重機運の醸成に資する大会となると考えております。  そういった意味ではまず多くの、これは文科省との提携でございますけれども、多くの若者にこの現場、競技がされる現場を見てもらいたい、中学生、高校生を主体にしながら見てもらいたいと思っております。二番目は何といってもマスメディアとの関係。例えば、お菓子を作る、また料理をやる、美容、理容と、こういう目に見えてはっきりするものありますし、また、正にたくみの技を争うものもございます。そういうものをどうしてメディアを通じながら多くの国民に見ていただけるような形にできるかと、ここを今一番頭を巡らせているところでございます。  これを契機に正に国民全体に物づくりというものを再認識してもらうチャンスだろうと、そう思っております。そういった意味では、各省と連携をしながらやってまいりたいと思いますし、また委員方々の御協力のほど心からお願い申し上げておきたいと思います。
  23. 水落敏栄

    水落敏栄君 ありがとうございました。  以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  24. 西島英利

    ○西島英利君 自由民主党の西島でございます。  本日は、今回の法の改正内容といいますか、それよりはその周辺の問題について幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず、人口推計によりますと、来年、すなわち二〇〇七年から人口減少するというふうに見込まれておったわけでございます。また、私も一九四八年の生まれでございますので、まさしくこの団塊世代の中心におるわけでございますが、この団塊世代の人たちが順次来年から六十歳を迎えることにもなります。人口につきましては、予想よりも早くて既に昨年から減少するという数字が出されておりまして、国としても大きな転換期に今直面しているというふうに考えますし、また、少子化対策等々も盛んに言われているわけでございますが、この人口減少の中で影響が多方面に現れつつあるわけでもございます。  そこで、まず、こうした人口の動向が雇用政策の面にどのような影響を及ぼしているのか、また、どのように影響が見込まれるか、まず一つはお伺いをしたいと。さらには、この団塊世代定年を迎える中で、幾ら少子化対策を講じたとしても、今成人になっておられる方々人口は減ってきているわけでございますから、この方々がしっかりとやっぱり職に就いていただくということは非常に重要なことだろうというふうに思うんですけれども、この新規学卒者の卒業後の状況、これについてもお教えいただきたいと思います。
  25. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 今御指摘がありましたように、昨年の国勢調査結果によりますと、人口減少、予想よりも二年早く減少に転じているという動向がありますし、それから、六百七十万人の団塊世代、そういった層が二〇〇七年には六十歳代に到達するということで、人口の大きな変化が予想されております。こうした変化に対応するために、厚生労働省として学識経験者から成る研究会に検討をお願いし、昨年にその結果として、今後の人口減少時代に的確に対応し重点的に展開していくべき雇用労働政策として、より多くの人が意欲と能力を発揮して社会の支え手として活動できるような、そういった方向を目指すべきという提言をいただいております。  そうした提言に基づきまして、これまでフリーターニート等の対策を始めとした若年者雇用対策、それから、女性が能力を発揮しつつ安心して働き続けられるような雇用環境整備、さらには、今高齢者のお話もありましたが、その高齢者が幾つになっても働き続けられるような環境の整備、そういった対策を行ってまいりました。また、本日御審議いただいております職業能力開発促進法等の改正によりまして、若年者支援の強化とか、あるいは技能継承促進、そういったことを図っていくことによりまして働く人々の能力を高めていきたいと考えております。こうした政策努力を行うことによりまして、将来の労働力人口減少、これは相当程度抑えることができると考えておりまして、特にこの十年程度ということで考えますと、減少はそう大きくはないものというふうに見込んでおります。  それから、若年者、新規学卒者のお話ございました。新規学卒者については、このところ雇用情勢改善が続いておりますので、そういう点で、学卒者対策についても重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
  26. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 学卒者の卒業後の状況についてお伺いがございましたので、御説明させていただきます。  文部科学省の学校基本調査によるものでございますが、平成十七年、昨年の三月の卒業生ですが、まず高等学校の新規卒業者について見ますと、総数は約百二十万人、そのうち就職された方が二十一万人、一七・二%でございます。それから、大学等への進学者が五十七万人、四七・三%、それから、専修学校等の教育訓練機関への進学者が三十三万人、二七・一%、フリーター等の一時的な仕事に就いた方が約二万三千人、無業者が七万九千人ということでございます。  また、この調査によりますと、浪人を含めた大学、短大への進学率は五一・五%となっておりまして五割を超えておりまして、団塊世代が順次定年を迎える中で新たに仕事に就く新規高卒者は少なくなってきている状況でございます。  それから、大卒について見ますと、これは同じ時期、昨年三月卒業生でございますが、総数が約五十五万人でございました。そのうち就職された方々が三十三万人、五九・七%でございます。大学院等への進学が六・六万人、一二%、フリーター等一時的な仕事に就いた者が二万人、三・五%、無業者等が九・八万人、一七・八%となっておりまして、このうち今申し上げました就職も進学もしない無業者等の割合につきましては、十年前に比べるとかなり上昇している状況でございます。  なお、新規学卒就職者についてよく言われておりますが、在職三年での離職率が七五三というふうに言われておりますが、これは引き続き同じような高い水準で推移しているところでございます。
  27. 西島英利

    ○西島英利君 今の答弁にありましたように、それからまた資料も読みますと、在職三年目までの離職率、これ高校卒で五割弱、大学卒で三割強という高水準で推移をしているという状況があるわけでございます。  就職後、短期間で離職をしてしまう者、そして卒業後、一時的な仕事にしか就いていない者、そもそも仕事をしていない無業者、さらには学校を中退して同様のような状況にある者など、数としては相当数おられるわけでございまして、これらの方について、政府若年失業者フリーターニートというような用語を用いまして若者対策対象とされているわけでございますが、私自身はこのフリーターニートといったこの言葉は余り好きではありません、はっきり申し上げて。といいますのは、非常に聞き心地のいい片仮名言葉でございますけれども、逆にこの言葉が社会性を持っておりまして、この方々社会的に一定の地位を与えてしまっているんじゃないかと、かえってこの問題の本質がぼやけてしまってきているんじゃないかなというふうに私自身は常日ごろから考えているところでもございます。  先日、フランス若者雇用の問題において大きなストが起きました。暴動と言ってもいいような状況が起きたわけでございますが、この方々もやはりニートフリーターの問題もあったわけでございますけれども、しかしフランスの場合は、やっぱり若者が非常に深刻さを持っていた、これがこんな大きな状況になったのではないかと、日本とちょっと違うのではないかなというふうに思っております。そこで、フリーターとかニートというこういう用語について厚生労働省はどのようにお考えになっているのか、さらには私は保護者の問題もあるのではないかなというふうに思っています。  最近、おれおれ詐欺の問題が連日報道をされているわけでもございますが、しかし、もうそういう電話が掛かってきますと、親が何百万というお金を簡単に振り込んでしまっている。これ、まさしく過保護の結果ではないかなというふうにも思っています。フリーターニートというのは過保護とは切っても切り離せない問題もあるのではないかなというふうに思います。  さらには、勤労意欲を持たせるという意味では、学校からの教育というのは非常に重要であろうというふうに思っています。特に次世代の親ですね、次世代の親を教育するということが大事でありまして、この親が子を教育して勤労というものの認識を持たせていくのではないかなと。そうしますと、これは五年、十年の話じゃなくて、十年、二十年、三十年の長いやっぱり政策の問題を考えていかなければならないのではないかというふうに思っています。  そういう意味では、今この国会の中でも議論になっております教育基本法の改正の問題、やはりこの時代に合った教育基本法の改正というものをしっかりとやっぱりしていかなければ、これはまさしく、医者でいいますと対症療法と言いますけれども、今回の法の改正は私は対症療法であるというふうに思います。しかし、根治的治療が必要であると。これはやっぱり教育基本法の問題でもあろうというふうに考えておるわけでございまして、是非、大臣のお考えをお聞かせいただければというふうに思います。
  28. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 若者雇用の問題でございますけれども、まず、言われたように、家庭の問題、それから学校における意識の問題、それが企業が求めるものとかなり遊離しているなという感じを私は受けます。学校現場がどこまで、今どのような人材企業側が必要としているのか、そこのミスマッチがある。それによって、今までですと会社が採ってからそこは訓練し直してと、こういう形でございましたけれども、そんな余裕は会社側はだんだんないよという時代を迎えてきて、即戦力と。そうしたことから今御指摘いただいたようなフリーターという問題が随分出てきてしまったのかなと、このように思っております。  そういう意味では、フリーター対策にいたしましても、ニート対策にいたしましても、文科省と私どもの共通の責任として社会全体で対処していかなければならないだろうと。しかし、そうした教育現場や卒業後で私どもが職業能力やいろいろな形でお手伝いはするといたしまして、一番第一義的なところはやはり子供が育つ家庭ということ、これはもうお互いがやっぱりもう一度再認識をしなければならないだろうと、このように思っております。  今回の自民党、与党がお出しになりました教育基本法案においても、「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するもの」と、こう規定されておると聞かせていただいております。  一方で、私ども、若者の人間力を高めるための国民会議、経済界、労働界、教育界、マスメディア、各界の関係者に入っていただいて様々な議論をさせていただいております。先日やったばかりでございますけれども、その中におきましてもいろんな意見が出ました。  例えば、教育者の皆さん方からも本当に率直に、実は若い人たちに職業というものを、自分が一生涯何に懸けるんだということを教えることについてはまだ慣れていない先生方が多いんだという率直な御意見もございました。  また、会社の経営者の皆さん方、経済同友会でございますけれども、自分たちが学校現場へ出ていって講師になってもいいと、現実、されているようです。東京辺りでは登録を、人材バンクに登録しまして、学校へ行って、会社というのはどういうものだと、職業というのはどういうものだということを会社の経営者自らが高校生に語っていくと、こういう場を設けていると、そんなお話もいただきました。そして、若者職業的自立における家庭における役割が極めて大事であると、こういう御指摘もそのとおりいただきました。  そういう意味では、正に今問われておることは様々な形で解決をしていかなきゃならない。家庭の場、教育の場、それから企業の場、そしてそのつなぎ目として私どもの役割があるんだろうと思いますけれども、やはりそこを、今、正に大局観に立って、我が国の将来どうあるべきかという大変高い見地から御指摘をいただきました。そのことをしっかり私ども、踏まえながらやっていかなければならないなと思いますし、また、同じ政治家としてそういった問題に取り組んでいかなきゃならないと、このように思っております。
  29. 西島英利

    ○西島英利君 局長の方から、フリーターニートと、この定義と申しますかね、お考えをちょっとお聞かせいただければと思います。
  30. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 我々のところで用いている用語でございますが、若年失業者につきましては失業者、無業者で求職活動をしている方でございますが、失業者のうち年齢が十五歳から三十四歳の者ということでございまして、この数は平成十七年で約百三十九万人。  それから、フリーターにつきましては、同じく年齢は十五歳から三十四歳の方で女性につきましては未婚の方ということになっておりますが、であって、現在就業している方については勤め先における呼称がアルバイト又はパートである雇用者、現在無業の者につきましては、家事も通学もしておらず、アルバイト、パートの仕事を希望する者でございまして、同じく平成十七年で約二百一万人という推計をしております。  それから、いわゆるニートでございますが、学校にも雇用にも職業訓練にも参加していないという方を指しておりまして、非労働力人口のうち年齢十五歳から三十四歳の方で、かつ家事、通学をしていない方ということで、平成十七年で約六十四万人と推計しているところでございます。  こうした若者について対策を講ずる上、あるいは対策が必要ではないかという議論を踏まえて、対策を講ずる上で一体どれほどの層になっているのかということをとらえる必要がございまして、一定の定義の下で推計を行っているものでございますが、したがいまして、こうした推計は必要であるというふうには考えておりますけれども、御指摘のように、用語のみにとらわれることなく、必要な若者に必要な対策が講ずることができるように考えていきたいというふうに思っております。
  31. 西島英利

    ○西島英利君 いただきましたこの資料を読ましていただきますと、製造業の新規学卒入職者数ですね、これが非常に減少をしてきているというふうな数字が出ております。一九九二年、これピーク時でございますけど三十四万人だったのが、二〇〇三年は十三万四千人と、これ六〇・六%も実は減少していると。また、産業別構成比で見ても、一九九一年が二九・七%だったのが、二〇〇三年は一四・七%と、一五ポイントも減少して過去最低となっていると、こういう現状が数字として出されております。  もう一つは、やはりこの早期離職者の問題もこの中にあるだろうと思うんですが、この物づくりの中で技術を習得するというのはかなりの時間が掛かるわけですね。今のやはりこの過保護の中で育ってきた若者は、この時間耐えられないんだろうと、それも一つあるのではないかなという気がしないわけでもございません。  しかも、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、企業が育てるということの、とてもそういう余裕がないと。ですから、やっぱり即戦力を企業は求めているという話でもございました。しかし、一方では、今申し上げましたように、若者の特性といいますか、今の現代の若者の特性というのもあるわけでございまして、これを何とかしなければいけないだろうというふうに私自身も考えているところでもございます。  さらに、先ほど団塊世代、これが来年から定年を迎えてくるということにも大きな問題がありまして、企業において二〇〇七年問題に危機意識を持つ要因としては、意欲のある若手、中堅層の確保が難しい、技能継承に時間が掛かるといった理由を挙げる割合が非常に高いというデータもいただいているところでございます。しかし、この技能をやっぱり伝承するといいますか伝えていくというのは、先ほど何回も申し上げましたが、時間の掛かること。しかも、来年から団塊世代がどんどんどんどん定年退職をしていきますと、この教える人がどんどん少なくなってくる。先ほどの水落委員お話にもありましたように、本当に有能な技能を持った人が中国の方へ連れていかれている、こういう現状もあるわけでございます。  しかし、中小企業は、じゃ今その経営的にはどうなのかといいますと、もういかにコストダウンするのかということを強いられておりまして、とてもとても時間を掛けてこの若者を養成する余裕はないだろうというふうに思うんですね。そういう意味から考えまして、来年からこの団塊世代でしっかりとした技術を持った人たちが定年という形を取るわけでございますが、要するにこの人たちを確保するためには、当然定年延長という制度もあろうかと思いますが、定年延長だけでは新しいその技術者を育てるということはできないわけでございまして、この技術者を育てるという考え方はやっぱり必要だろうと。  ところが、中小企業が中心でございますから、とてもとてもその方々の人件費、つまりダブルで雇用する、技術を持った人と若者、そしてその若者を育てるという意味でのこのダブルの雇用というのはとても余裕がないだろうというふうに思ったときに、やはり定年退職した人を何らかの補助金でその企業が雇えるような環境をつくっていただいて、まあ五、六年その若者を育てると、そういう役割を私はその方々に持たせる必要性があるのではないかというふうに思っております。  私も団塊世代でございまして、とにかく人数の多いときに育ってまいりました。つまり、自分が積極的にやらなきゃ何にも得られないというこの状況の中で実は育ってきたわけでございまして、非常に忍耐性だけは持っております。ですから、忍耐強く恐らく若者にも伝承してくれるだろうというふうに思いますので、是非そういう制度を補助金という形でできるかできないか、そういう御検討をいただけないだろうかなというふうに思っておりますが、中野副大臣、いかがでございますでしょうか。
  32. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 今委員の御質問を伺いながら、実は私、中小企業の経営者をやっていたんでございますけど、その中で感じたことを含めまして申し上げたいと思うんですけど、それは、仕事というものについて、どうしても今まで労働とか苦役とか、そんなような感じが強いんですけど、本当は人間性を高める、本当に、例えば高齢者の問題にしても、やっぱり仕事をやっているということが喜びにつながるということだと思っておりますが。  今の委員のおっしゃった問題についてまずお答えしたいと思いますけど、そういう意味で、若者技術を習得させるというためには、これはさらに、単なるいわゆる機械的な教育では無理だというのはそのとおりでございまして、例えば、それについては先輩の人とか、それから、特に、今言った年配の方たちがマンツーマンで、それで、よく俗に言う手取り足取りと言いますけど、そういう指導とか、それから日常生活の社会人としての生き方も含めて、いろんなことを教えてやるということの中で仕事の喜びというものも分かり、技術も習得するし、それからそのための意欲も出てくるということはそのとおりなんでございます。  しかしながら、委員がおっしゃるとおり、中小企業の場合には、それに対してどうやって、それを維持するだけの力があるかどうか、それからまた、その指導者の問題とか経費の問題とか、いろいろあるということは私ども本当に実感いたしておるわけでございます。これはやっぱり、そういう点でできる限りのことをしなきゃいけないということは必要性を感じております。  そのために、今委員も御指摘いただきましたけど、定年の引上げとか、それから継続雇用制度を導入したり、また新たな勤務地といいましょうか、そこに雇用するためのその企業に対する補助とか、そういうものを今現在やっておるわけでございますけど、先ほど水落議員の御質問のときにお話しした、技能者が誇りを持ってやってもらうと、その一つとして、これもちょっとお話ししたんですけど、全国でも四千人、高度熟練技能者という制度をやっておりまして、この方たちには、この若い人たちに対する指導とか、そういうものについていろいろと、また技能継承について活躍をしていただくようにお願いしておるんですけど、今回の法改正によりまして、特に中小企業に対しては企業のOBが、今までは自分の会社だけをやってきたわけでございますけど、それを例えばほかの企業に行く、当然それはある意味では講師料とか費用というのは掛かるわけでございますけど、それに対しては半分ぐらいでもいいから負担しようじゃないかと。それによって来る方も気楽に来ていただくし、お願いする方も、やっぱり自分の会社だけだととかく視野が狭くなるわけでございますから、そういう点での助成制度というものも今つくっておるわけでございます。  しかしながら、そういう中で今委員のおっしゃった団塊世代活用という面についてはまだいろいろ課題はございますけど、しかしながら、その中でやはり日本の今日の繁栄というものはやはり団塊世代の皆さんのエネルギーがあったわけでございますし、その皆さんがこれからどうやってこのこれからの十年間を過ごしていただくかということは我が国にとっても大きな課題でございますから、その点については今十分検討したいというところで、なかなかまだ具体案ができないのは申し訳ないんでございますけど、そういう意味で勉強をさしていただきたいと思っておるわけでございまして、委員の問題認識については十分理解してこれからもやらしていただくことをお誓いをしたいと思うわけでございます。
  33. 西島英利

    ○西島英利君 これ実は話がずれますけど、今まさしく自殺対策が非常にもう喫緊の課題になってきているわけでございますが、一番この自殺の中で多い理由は、役割の喪失なんですね。役割がなくなる。つまり、定年退職というのは役割がなくなるわけですから、物すごく大きいストレスなんですよ。今私がお話ししたように、また今、中野副大臣からおっしゃっていただいたように、そういうような役割をつくっていただくことによって自殺の防止にもつながってくると。さらには、認知症、要するに昔で言う痴呆老人ですね、これもやはり結構この辺りが大きく関与をしておりますので、やっぱり総合的な対策にもなるんじゃないかなというふうに思いますので、是非前向きの御検討をお願いを申し上げたいというふうに思います。  ところで、今回、この職業能力開発促進法等々をこう見ていまして、すぐ頭に浮かびましたのが、あれは群馬県でございますかね、群馬県にできましたものつくり大学のことでございます。  残念なことに、まあ創設時、様々なトラブルがございまして、なかなかこれがどういう成果を上げているのかというのがほとんど表に出てこないわけでございますが、正に今回のこの法律の、ずっと見てみますと、その大きな役割を実はこのものつくり大学というのは私は負っているんじゃないかなというふうに思うんですね。  そういう意味で、まさしくこの中野副大臣のおひざ元というふうにもお聞きをしておりますし、まずはその今のものつくり大学の現状がどうなっているのか。そして、これをもう一度新しくやっぱり評価をしていく時期に今来ているんじゃないかなというふうに思いますけれども、中野副大臣、是非お教えいただきたいと思いますが。
  34. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 今委員のおっしゃいましたものつくり大学は、埼玉県の行田市にございまして、これは平成十三年に開学をしたわけでございますけど、やはり今までの物づくりというものに対する新しい考え方というものを基本にして、まあいろいろな事件もございましたけど、本当に今一生懸命やっております。  特にこの学校内容としましては、授業の七割がいわゆる実習とか実験とか演習というものが入っておりますし、また、半年から九か月ぐらいの長期のインターンシップというような制度実施いたしまして、実務的な、実践的なカリキュラムをやっているということで、そういう点で非常に注目されておるわけでございます。  昨年から私学助成対象になりまして、自律的な運営の基盤もだんだんしっかりしてきて、本年の三月に卒業生があったわけでございますけど、その卒業生といたしましては、製造技能工芸学科で九八%、それからまた、建設技能工芸学科で九四%という、これは就職率でございますけど、そういう意味で非常に産業界からも高い評価を受けているというふうに私どもは認識をいたしております。  今お話しのとおり、この物づくり社会をつくるときのその中核としての人材といたしましては、この大学の果たすべき役割というものは私、非常に大きいんだろうと。それも、しかも、物づくりという点に絞った教育をしているということは、これからも、どうもともすると今日の社会がいわゆるマネーゲームとか、そういうものを通して、いわゆる、うんとお金もうけりゃ一番いいんだよというような感覚じゃなしに、地道に物をつくっていく、物に向かっていくという精神というのは大事だと思いまして、今後とも、そういう意味でこの大学が積極的な役割を果たしてもらいたいということを我々は期待をしているわけでございます。
  35. 西島英利

    ○西島英利君 先ほど、県名を間違いまして申し訳ございませんでした。  まさしく、このものつくり大学、一時期は何か定員割れまでしたというふうにも聞いておるわけでございますが、ようやくまた復活をしてきたというふうに聞いております。  私たちも小学校時代から、この日本というのは物づくりによって世界に出ていっているというふうに、ずっとその教育を受けてきておりますので、是非こういうようなものを積極的に情報として国民といいますか若者に提供していく必要性があるんだろうと思うんですね。  私はこれを、今日この質問というときにこの情報をいただきました。それまでほとんどその情報は我々には来なかったわけでございまして、こういう情報提供を積極的にしていくことがやはり若者の意識を変えることにもやっぱりなるんだろうというふうに思いますので、是非その点も含めてお願いを申し上げたいというふうに思います。  最後でございますけれども、これは質問ではございませんが、今日の私それから水落委員質問の中で様々な課題が出てきたわけでもございます。家庭の問題、それから学校の教育の問題、企業の問題も含めてでございますが、こういうものをやっぱりしっかりと総合的に対策としてつくっていかなければなかなか、若者が仕事に就くといいますか、定着をしていくということにはなかなかつながらないだろうというふうに思っております。  こういうことを含めて、大臣、何か総合的なコメントがありましたらばいただいて、私の最後の質問とさしていただきます。
  36. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 私どもが割合視野に入りやすいのは、高校生の卒業そして就職、そういうものに対してはかなりきめ細かくなってきたなと。また、その後就職がうまくいかなかった者に対しても我々かなり手を差し伸べているんだろうと思います。  一方で、大学生、約半分が大学を目指されると。この人たちのやっぱり職業意識、何を自分は大学に入って学んで、そして社会の中で生きていこうか、そこと家庭というものがうまく結び付いていないのかなと。簡単に言えば成績を重視。何を将来自分がしたいのかというところが結び付いていない。  そういった意味では、だんだんだんだん問題点を分析しながら、高校ぐらいには私どもが手が届くようになってきた感じがするんですけれども、どうも半数行かれる大学生というところに手が届いていないのかなと、そこがどうもフリーターというものとかなり密接な関係になっているのではなかろうかと。そして、その大学教育で生まれる人材が今企業が求めている人材とうまく接合しているんだろうかということになると、ちょっと離れておるような感を受けております。  先ほどから申し上げましたように、厚生労働行政ということになると、割合高校生までの分野に目を向けながらやってきた感がいたしますけれども、今こういう時代を迎えて、半分が大学へ行きます。そうすると、大学生の卒業後の流れというものをもう少し私どもウオッチしていかなければならないのかなと、こういう感じを私議論を聞きながら感じておりました。  というのは、大学生ということになると、親御さんがなかなか、家庭が物を言えない社会、親御さんがなかなか物を言いにくい社会になっているんです。そこをどう引っ張っていくかなというのは、実はフランスでも現実問題出ているわけですけれども、しっかりそのところにも手が届くような行政を心掛けていかなきゃならぬと、このように感じております。
  37. 西島英利

    ○西島英利君 終わります。
  38. 山本保

    山本保君 公明党の山本保です。  私は、この分野は以前から大変興味といいますか、六年前に党内にインターンシップ関係のプロジェクトチームをつくりまして勝手に座長になりまして、厚生労働省、経済産業省と文部科学省の、いろんな時期に勉強したり提案をさせていただいておりましたので、今回のこの新しい実習併用職業訓練ですか、大変評価したいと思っております。また、その意味から、もう少しはっきりさせたいところもありますので御質問をさせていただくのと、あと今度の、私も昭和二十三年生まれでありまして、そういう団塊世代若者との関連性というものをどう考えたらいいのかについても時間があったらお聞きしたいと思っております。  最初に、まず厚生労働省、局長にお願いしますけれども、今回新しいものをつくるわけですが、これまで日本版デュアルシステムという言い方で、文部科学省ちょっといろいろ、ちょっと状況違いますけれども、厚生労働省もそういうものをやっていたわけですね。しかし、それと今回のものとどこがどう違うのかということ。そして、言うならば、これまでのものについての評価と、今後、今回のこの新しい制度のねらいといいますか、そしてそれがフリーター化を防止するという点で効果的であるということについて、簡単で結構ですから、総括的にお話ししてください。
  39. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) ただいま委員から御指摘がございましたように、現在、日本版デュアルシステムというものを十六年から実施しているところでございますが、これにつきましては、その大宗を占める、委託訓練活用型のものが大宗でございまして、教育訓練機関主導型で実施しているものがほとんどでございます。  その現状は、就職率につきましては、施設内訓練のみによるものよりも八%ほど高くなっている、それから、ごく一部ではございますが、長期の普通課程活用型の方の就職率もかなり高いということで、座学実習の組合せが就職にかなり効果があるということは認められているところでございますが、先ほど申し上げましたように、教育訓練主導型のものにつきまして、企業の方からなかなか主体的に訓練カリキュラムが策定できない、あるいは訓練生を選定できないというような声が出ているところでございます。  今回御提案させていただいております実習併用職業訓練でございますが、先ほど来申し上げておりますとおり、昨年末に出ました労働政策審議会建議を受けて御提案させていただいているものでございますけれども、企業が主体となりまして、教育訓練機関における座学、それと、企業内におきます一定期間の訓練生を雇い入れての実習、それを組み合わせて実施することによって現場の即戦力としての人材育成を目指すものでございまして、これにつきましては、雇用のめどがあること、あるいは現場における実技を通じて仕事への興味や問題意識を喚起させつつ理論面での学習にも取り組ませるということで、これまでの教育訓練とは異なる特色を持つものというふうに考えている次第でございます。  こういった訓練制度が立ち上がりまして普及をすることによりまして、実践的な資質を持った若者雇用へと導かれるのではないか、そういう方向に若者が進むことにドライブが掛かるんではないかということでその選択肢を提示し、そういう意味でフリーターとなることを未然に防止することができるんではないかというふうに考えている次第でございます。
  40. 山本保

    山本保君 局長、遠慮されて言いましたけど、私はこれは画期的だと思っていますのは、これまで企業というのは自分たちの営利のためにするので、使い減りしようが労働者一人一人のことなんて考えてないんだと、こういうイメージが一つあった。まあ実際そんなことをやっていたらつぶれますから、そんなことはないんだけれども、しかし残念ながらそういうこともあった。  学校教育の方は学校教育の方で、そんな考え方を教育に持ち込んでもらっちゃ困る、産学連携とんでもないと、こういう、最近は大分変わってきたわけですけれども、ものがあった。  一方、労働行政何やっていたかというと、その両方にきちんと食い込んでいって、その中身をそうじゃないように若者のために変えていけばいいのに、前から何回も言ったんですが、それはやらずに、自分たちで勝手にこまいもの、小さなものをちょこちょこつくって、正に役所の本当タコつぼ型ですよ、そこで仕事をしているんだと、こういうのじゃ駄目だということを言っていたんです。まだ、もちろんそれが全然駄目ということはないですよ。そこでいい、見せてもらったこともありますし、確かに新しいタイプの、学校でもない企業でもないものをやっておられる実践例もあるから、問題はそれを、それは言うならば自分たちのノウハウの元というか、それにして、学校を変えてほしいし若者の就職の現場というものを変えてほしいということを私は前から言っておったわけですが、今回これがその分野でそういうことで役に立つんじゃないかなというふうに期待しております。  専門学校などを使っていこう、それから会社の協力も得ようというわけですから、正に両方に、これはやっぱり労働行政の雇用の専門家が、そして何かあったときにはあげますよという、こういう権限も持ったところがやるというところがみそでして、これは両方、両者から信用していただいてきちんと仕事ができるように是非やっていただきたいと、応援したいと思っております。  それで、ちょっと順番はともかくとしまして、せっかく馳副大臣においでいただいておりますので、今ちょっと私の問題意識、またこの今回の制度のねらいというものをちょっと申し上げたわけですけれども、このためには、学校教育の方でもそれをきちんと受けた体制を取っていただく必要があると思っているわけです。  最近、私が七、八年前からやっていたときにはインターンシップぐらいまででして、これは就職部の仕事であって教養課程関係ないと、教授とは関係ないという、こういう大学がほとんどだったですよ。ただ、数年前、二年ほど前ですか、キャリア教育という新しい言葉、教育的な概念というふうに見られるような概念をつくられたということは非常に良かったわけで、今、キャリア教育という形になりますと、各大学学部もきちんと取り組もうという、出ているように評価いたしますが、文科省の今回の、特に今回のものに即してで結構ですけれども、取組の考え方をお願いいたします。
  41. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 山本委員指摘のとおり、やはり学校教育においても発達段階に応じて、働くことの意義と喜びと、それからやはりそのためにどういう心構えとかどういうふうな意識を持って臨まなきゃいけないかということを義務教育の段階からしっかりと教えて理解をしてもらうということは極めて重要なことと考えております。  小学校でも、道徳の時間もそうですし、各教科の時間においても、やはり何のために勉強するのかという目的意識をしっかり理解させるということはまず第一として、それから、世の中にはどんな職業があるのかなということを考える職場見学を時に応じてやっていただくということをやっております。中学校に入りましたら、今先生に御指摘いただいたとおり、昨年度から始めておりますけれども、キャリア・スタート・ウイーク、まさしく職場に出掛けていって、週五日間以上ともに体を動かし、頭を使い、手足を使いながら、その職場に出掛けて働くつらさと喜びと大変さと、そして学校を卒業した後は働きながら生活をしていくことのこういう認識を深めてもらうためにそういった授業を実践しております。  平成十六年度からは、これは児童生徒の発達段階に応じたキャリア教育という、これを推進する観点から、小中高等学校を通じた組織的、系統的な指導方法、内容開発等を研究内容としたキャリア教育推進地域指定事業というのを全国四十八地域で実施しているところでもあります。  今後とも、関係する厚生労働省や経済産業省とも連携しながら、やっぱり子供たちにも働く意義と喜び、こういった職業倫理観をしっかり養っていくような活動をしていくべきであると、こういうふうに考えております。
  42. 山本保

    山本保君 ありがとうございます。  是非進めていただきたいし、それで、後でお聞きしようと思ったらちょうどいいお答えいただいたんで、ちょっとここで用意はしてなかったんですが、担当の方には話したんですが、まだ今回の事業で、ちょっとその訓練で不満なところがあるんですよ。  それは、法律には書いてないんだけれども、専門学校、専修学校対象としようと思っているんですね。つまり、学校を卒業して専修学校に入る、そこで企業と組ませてこのプログラムを作り、それが大臣が認定すると、こういうシステムなわけですよ。何で学校にいるときからやらないんですかと。  高等学校というのは、今、馳さんはよく御存じのように、高等学校というのは本来のハイスクール、戦後のハイスクールというのは正に職業訓練のための場なんですよ、あれ。中高一貫なんか言う人は全然それが分かってなくて、昔のドイツ型の大学予備部門だと思っていますからね、高等学校を。違うんですよ。それはそういうのもありますよ。だけど、基本的なアメリカ型の高等学校制度だ、今は。これは正に職業訓練をする場所なんですよ。  だったら、私、馳さん、ちょっとこれ検討してほしいなと思うのは、法律には書いてないんですよ、高等学校では駄目だと。例えば定時制高校、昼間型定時制なんていうのが今あって、何やっているのかどうもはっきりしない。それから、総合制課程というのがありまして、地域型の、いろんな地域産業と組んでやっていくという。それから、いわゆる今、専門高校ですね、昔の職業高校。こういうところできちんとできるのであれば、例えば二年生なり三年生課程からこのものを組み合わせてやると。これを私、だって学校にしてみれば、どうして卒業しちゃって、それをまたよその学校に受け渡してそこでやるなんて、これ教師としては何か無責任もいいところじゃないですか。自分が育ててきた学生でしょう、生徒でしょう。そこまでちゃんとやれれば、もちろん強制的にやれと言ってもできないところはある、できるところはそれができるような、ちょっとこれから両省でその実施計画の中に入れていただきたいと思っているんですけれども。  本当は局長に、先に上村局長に聞かなくちゃいけない、それはちょっと後でやるとして、馳さん、ちょっとお願いします、副大臣
  43. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 山本委員、私が元高等学校の教員であったということも多分御理解いただいて御指名いただいたんではないかと思いますが。  やはり、今現在、高等学校というのは通信制もありますし、また普通科、それから実業科、総合科と、大きく分けると三つあるんですね。そして、どうもやはり保護者の皆さんや高校生自身は、高校はどうしても偏差値の輪切りで行くのかな行かされるのかなという意識が強いということも分かっておりますし、実業高校へ行くと、何となく職業観を養うというよりも、残念ながら、行きたくないけどこんなところに来ちゃったなという認識がたくさんあるというのも理解しております。しかしながら、やはり高校を出た後に進学をするのか就職をするのかという目的意識をしっかり持たせるという意味で、今委員指摘の点は非常に私は大きな課題であろうと思います。  私も教壇に立って子供たちの進路相談や就職相談に乗っておりましたときに、もうちょっと積極的に企業と連携しながら、こういう仕事があるんだよと、地元で働くには、あるいは都会へ行って働くにはこうしたらいいんだよというふうな指導をよりできればもっとよかったなという、こういう反省もありますし、逆に一方では、ああいった実業高校や地元の産業界と結び付いている総合科の高校からやはり国立大学などへの道も少しは開いてやることもこれもまたやはり、そういった偏差値ではレベル的には違うかもしれないけれども、ここから国立大学法人等大学にも行って頑張るんだと、これもまた一つの選択肢として重要だとは認識を持っているんです。  そういう意味で、選択肢を広めるという意味で、山本委員の御指摘というのは大変やはり理解できるところ多くございますので、これはまさしく、厚生労働省や経済産業省とも連携しながら、できるのか可能なのかという道を探る検討は始めたいとは思います。  以上です。
  44. 山本保

    山本保君 どうもありがとうございます。  実務的に言いましても、専修学校専門学校、田舎にないですよ、そんなのね。じゃ、田舎の村に、村というか、昔の村に一つだけある県立高校、総合制と言わなくても普通科でもいいですよ。実際どうするんだといったとき、専門学校なんかないじゃないかと。これ使えない、これね。だから、これはそんな堅いこと言わずにちゃんと連携取って、そして雇用労働行政の中へ入って、もう二年生、三年生ぐらいからこれを入れて、こちらも応援をすると。教育の方ももちろんやってもらうけれども、こちらも応援すると、こういう体制を是非つくっていただきたいと思っていまして。    〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕  そこで、ちょっと質問に戻りますが、三番目の質問局長に、文科省との調整、連携と、これについてはどういうふうにお考えなのか。あっ、これは、ごめんなさい、これは何ですか、政務官ですかね、どちらかちょっと聞いておりませんが。はい、お願いします。
  45. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 文部科学省との連携の問題でございますが、キャリア教育という観点からは、厚生労働省としては、学校を訪問して仕事の実態とか、あるいは働くことの意味、そういったことについて講話を行うキャリア探索プログラム、それから主に高校生を対象としたジュニアインターンシップなどを実施しております。  それから一方、文部科学省におきましては、先ほど馳副大臣よりも話ありましたキャリア・スタート・ウイーク事業、こういった事業実施されております。どちらにしても、こういった点はお互い連携して実施しないとやっぱり効果的に実施し得ないという問題がありますので、この点につきましては現在、中央レベルそれから現場の第一線レベル双方でいろんな連携を取っております。  中央レベルでは、関係省庁の大臣を構成員とした若者自立・挑戦戦略会議の開催とか、それから先ほどのキャリア・スタート・ウイーク事業、これを円滑に実施するために中央において推進連絡会議を開催しております。  それから、第一線レベルという意味では、私どもがやっておりますキャリア探索プログラム、それと職場体験の組合せという意味でのハローワークと学校との連携強化、それから文部科学省が主催する都道府県教育委員会等のキャリア教育担当者会議への参加等々、中央それから第一線レベル、その双方で今連携を取りながら推進をしております。この連携については、今後、一層緊密にしていきたいと考えております。
  46. 山本保

    山本保君 お聞きしましたとおりだと思います。頑張っていただきたいと思いますが、できれば、実は今度認定こども園、前から、もう四十年以上前から、私の大学院のころからの課題だったんですが、できてきました。私も実は厚生省におりますときに、初めて文科省の研究協力者会議のメンバーになりまして、初中局の、それで、いわゆる登校拒否、当時の、や高校退学者問題の委員ということで、当時の座長の先生と非常に仲良かったこともありまして、一人だけ現職で委員にしていただいたんですよ。実はそれからはずっとなかなかうまくいきまして、そしてとうとう担当課長まで交代すると、交換すると、こういうふうになってきた。    〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕  私も、教育学をやってきて厚生省へ入って、やはり申し訳ないがキャリアの方も、その御自分のところの勉強はあるけれども、よその省の仕事というのは分からないんですね。細かいことは分かるんだけれども、肝心のその考え方とか、その辺が非常に違うということが分からない。すぐけんかになっちゃうと。で、できれば私は、この特に若者就労というようなことになってきますと、文科省そして経済産業省、三省でできれば課長級のやはり人事交流というものをきちんとやるべきではないかなと。もちろん、急に突然、何にもないのにやり出すということないですから、何かこの今回のものなどを基にしたような、もう少し大きな、つまり今回は非常に予算的にもまだこれからの予算ですから、小さくなるんじゃないかという気が、大きくしようと思いますけれども、もう少しこれを、来年の予算としてはもっとこう全国の若者に対応できるような、全部の学校で対応できるようなものにすると。そのときのひとつその戦略本部をきちんとその三省でつくると、こんなようなことをやっていただきたいなという、ちょっと夢ですが、御要望をちょっと申し上げまして。  もう少し細かいことに、では参りますが、それも話出たんですが、ここでその専門学校なり学校企業との間の関連というのがなかなかうまくいってなかったんですが、ここのコーディネートをする、正にこれは労働行政としてそれをやろうというわけですけれども、この辺うまくいくのでしょうか。現状と今後の見込みというのをお聞きします。
  47. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 今委員から御指摘のありましたコーディネートの関係でございますが、企業と専修学校等とのコーディネートに関する施策といたしましては、先ほど来話になっております日本版デュアルシステムとの関係で、平成十六年度以降、フリーター等の就労支援策としてやっているわけでございますが、この一環としまして、企業教育訓練機関の実情に詳しい、それぞれの実情に詳しいコーディネーターを委嘱し、配置をいたしまして、説明会の開催ですとか、企業教育訓練機関のマッチングを行うですとか、具体的な訓練カリキュラムを作成するですとか、そういったことについての事業実施しているところでございまして、この実績でございますが、平成十七年度で申し上げますと、民間における訓練コースの作成が十都府県、三十三校五十コース、で、それを受けて二百六十一名が受講を開始したというところでございます。それから説明会につきましては、専修学校等の説明会が五十回、企業対象とした説明会が六十一回ということでございます。  今回創設することにしております実習併用職業訓練につきましても、企業が主体となって行うものではございますが、そういったコーディネートが不可欠であることは確かでございまして、一層、企業それから教育訓練機関とのコーディネートに努めていきたいというふうに思っております。
  48. 山本保

    山本保君 ちょっと名前がまずあれですな、実習併用職業訓練、舌かんじゃうような名前なんで、何か分かりやすい、いい愛称をつくっていただきたいですね。  それで、そうなりますと、今のようにやってはおりますと言われますが、先ほど言いましたように、実は田舎の方になってきますと専門学校自体もないとか、団体もないとか、そんな状況があるわけですよ。ですから、ここは先ほどのいわゆる専門高校なども含めた形で是非地域でやらないと、大臣がこれは認定するわけですから、何か作文だけうまいのだけ大臣認定したけれども、やってみたら全然うまくいってないなんということは、これは大変なことですから、ですからこの次の質問は、そうなりますと、ちゃんときちんとチェックをする体制ができておりますかと。  日本の、馳副大臣に申し訳ないけれども、文部行政、文科行政というのは正にそうでして、最低基準、校舎基準つくった、先生の資格はやった、さあやった、だけど最終的に全然教育うまくいってないじゃないかと。いっているかいっていないかを調べもしていないということですね。だから、これではいけないわけで、教育の場合はいろいろ難しい、何が教育効果であるかという大変大きな哲学的な話になってしまいますが、今回の場合は割とそこは簡単に見られるわけですから、是非このチェックシステムというようなものをつくる必要があると思いますが、この検証、チェックシステムについてはどうですか、局長
  49. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 今回のこの実習併用職業訓練の創設に当たりましても、平成十六年度から行っております日本版デュアルシステム、それについての検証といいますか検討を踏まえた上で取り組むことにしたものでございまして、デュアルシステムの今後の在り方についての研究会というものを設けまして、学識経験者から成る研究会でございますが、そこで検討をしていただいて、それを踏まえて考えたものでございます。  なお、そこでの議論等で出た話が、先ほど申し上げましたように、教育訓練機関主導型のものについては企業の主体的な取組がなかなか難しいですとか、そういう課題があるですとか、一定の効果が上がっているにしてもそういう問題もあるということを踏まえた上でのものでございました。  これから、成立させていただいた暁の話でございますが、この実習併用職業訓練につきましては、青少年の実践的な職業能力開発及び向上を通じてその安定した就職を目指す取組ということでございますので、一定の質が担保された訓練、そういったことが委員の御指摘によればチェックできるようなことが必要ではないかというふうには考えております。したがいまして、企業の申請に基づいてスタートするわけでございますが、その企業が申請する実習併用職業訓練実施計画、その内容が、例えば訓練の期間ですとか時間ですとか、具体的な科目の内容ですとか訓練内容ですとか、そういったものが効果的であるかどうかについての認定をすることにしたいというふうに考えているところでございますけれども、これらの内容につきましては、今後関係団体、関係教育機関等とも十分相談をしながら固めていきたいというふうに思っております。
  50. 山本保

    山本保君 ちょうど二年前に国会からドイツのいわゆる職業訓練学校職業学校の方を視察しまして、やっぱり来ていた若者が、ドイツですと昔からマイスター制度ですから、親方のところへいてうまくいっているんだろうなと、本に、読んだらそう書いていたんですが、やっぱりそれで失敗しまして、やっぱり人間関係がうまくいかないからというその若い人だとか、アビツア取って大学入試やったんだけど失敗しちゃってどうも駄目だと言ってきた人だとか入っております。それをまた教えているのは正にそのマイスターという資格を持った方たちでして、ドイツの場合そういう制度の大きなシステムができ上がっていますから非常にうまくいくんじゃないかなという気はするんですけれども、日本の場合その辺が心配ではあります。特にまた、大臣が指揮することになりまして、細かいところまでしっかり目が行くものができるのかなという気もしておりますので。  岡田務官に最後にこの分野のまとめとして、やはり今お話ありましたように、これは役所の方である程度モデルなんかも示して、いろんなタイプ分けを、こんなタイプをやったらいいですよというようなことでちょっと宣伝をして、学校また企業との関係はどうしたらいいかなんてこともお教えして、この取組をもっと積極的にと思っておるんですけれども、政務官、どうでしょうか。
  51. 岡田広

    大臣政務官岡田広君) 実習併用職業訓練の普及に向けましては、事業主団体等を中心とする企業のネットワークを活用し、訓練実施する企業への支援を含め効果的な働き掛けを行うことが山本委員指摘のように大変重要な課題であると考えております。  このネットワークのネットという意味は、日本語では網という意味です。網という漢字は左側がいとへんであります。取り組むの組むという漢字は組織の組という漢字であり、組も織も左側はいとへんです。縁があって出会って話をしてきずなが深まる。左側はいとへんです。そして、一緒になる、総合の総、あるいは約束の約、線、結ぶ、継続の継も続も、経営の経も、経産省の経もそうでありますが、すべて左側はいとへんであり、私は漢字の原義は糸であると、そう思っています。  糸がいかに大事かということであり、このような考え方からも糸を網の目のように縦横しっかりと広げてネットワークを張り巡らしていくというのは大変重要なことであると考えており、このため、現場を支える人材に対するニーズの高い業界団体等に御協力いただき、訓練カリキュラムや修了後の能力評価制度に関するモデルの作成、訓練実施企業に対する相談援助在り方の検討など、個別企業実習併用職業訓練が普及、定着しやすくなるような枠組みづくりに取り組むこととしております。  法案成立後、実情に即した具体的な支援策を検討する過程においては、企業や業界団体など関係者の御意見等を踏まえつつ、今般改正する中小企業労働力確保法の共管官庁であります経済産業省など産業所管官庁とも十分連携し、各業界のニーズに即した実習併用職業訓練の普及、定着に取り組んでまいりたいと考えているところであります。
  52. 山本保

    山本保君 ありがとうございます。じゃ、どうぞよろしくお願いします。  それで、ちょっとこの制度関連をするかどうかなんですが、大臣にも聞いていただきたいんですが、この制度は、正に若者の、ただ単に職を付ける、技能を付けるというんじゃなくて、一つの新しい生き方、勉強もするし、いろいろ考えるし、しかも自分の技術を持っていくという、非常に安定的であり、職業人という生き方を何とかしようという、それを厚生労働省が始めたと、非常にいいことだと思っているんですよ。  私、ふっと思いますのに、これは日本だけじゃなくて、アジアの若者に使うべきじゃないかと思っているんですよ。この前、例の新経済戦略ですか、経済産業省が出して、総理も言っておるようですが、あれを見ていますと、相変わらずまた優秀な人を呼んできてどうこう言っていますでしょう。今この日本に優秀な人は来ないですよ。というか、もっと逆に言えば、今の、どこか隣の国に来たんでしょう、優秀な人なんていって来る人は大体お金持ちの子供か幹部の子供か、面白いことに、そういう人間の人にはそんな優秀なのはできないんです。中学しか出れなくて苦労している中に出てくるんですよ。  私は、この制度を、例えば今、日本でも既に研修技能実習制度というのがあって外国人を受けているんです、この正に同じ世代の人ぐらいを。ところが、今日はこのことは詳しく言いませんけれども、私は、これは非常に問題のある制度で、今日の技術論からいっても、まず職種を八十ぐらいに限定しまして、その間の関連だとか、それの合わさった上により高度なんていう発想全然ないんですよ。これ専門家がやっているのかなと思っちゃうんですね。  つまり、技術なんていうのはどんどんつながっていくものでして、それを、あんたの来たのは例えば壁塗りなら壁塗りだけだよなんていって、それで三年間やらせる。何を考えているのかなと。本当にそれ、しかも役人が考えているならともかく、それ以上言いませんが、専門だと言われている団体が入っておりながらそんなことをやっている。  もうはっきり言えば、安い三K仕事をやらせているだけじゃないかという批判がある。私もその面もなきにしもあらずだと思う。これをもっと活用して、中学卒業又は高校卒業ぐらいの方をどんどん日本へ来ていただいて、そしてこれを使ってもう一度帰っていただいて、もう一回リターンさせる、日本へ。今度はそのときは高校ではなくて大学、大学院に今度は行っていただく。ここで国際的な信頼関係や日本への愛着心も持っていただく、こういう制度がいいんじゃないかと実は経済産業省の担当にはうるさく今言っているんですけれども、私は、ここも聞いておりましたら、いや、実は厚生労働省も担当しているんですと、こういうお話だったので、ちょっとこの辺についてお聞きしたいと思います。担当の局長さん、お願いします。
  53. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 今委員からお話のありました研修技能実習制度でございますけれども、これは、趣旨としましては、人づくりを通じた国際協力を推進するという観点から、開発途上国の外国人の研修生のうち、研修後に一定の技能レベルに達した者につきまして、技能実習生、労働者といたしまして有期雇用契約の下で実践的な技術技能を習得させ、帰国後、日本国において習得したその技能を帰国後本国において現場の有用な人材として活用してもらうということでやっているものでございます。  したがいまして、今回の実習併用職業訓練制度とは異なるところでございますけれども、研修技能実習制度におきましても、そういう意味では正に研修後の実習技能を身に付けることに大いに効果があるということで、それを送り出し国に戻って発揮してもらうということでやっているものではございます。  なお、この研修技能実習制度につきましては、今お話がありましたように、こういった趣旨についての企業側における制度理解不足などを背景にいたしまして、一部におきまして不適正な事案、例えば研修手当や賃金の一部不払ですとか、パスポートの不適正な管理ですとかということが行われていることも事実でございます。  これらにつきましては、法務省等関係省庁とも連携を図りながら、研修生の法的保護の在り方、それから研修生、技能実習生に対する受入機関の管理体制の強化、それらについて検討を行い、研修技能実習制度の本来の趣旨が実現できるように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  54. 山本保

    山本保君 大臣もお聞きになってお分かりのように、問題点を、何かこうやろうとはしているんですよ、一体その制度が何を目的としているのかが抜けているんですよ。企業に任せちゃっていますからね。最初に申し上げたように、企業に若い人を任せて、それは良くなる場合もあるけれども、そうじゃない例が、正にこの制度なんか全くです。  だから、せっかくこういう制度を、今回のこの併習制というこれつくるんですから、この枠組みをそこにも入れて、一緒になって教育側にも入ってもらって、その方も単なる技能じゃない、技術というのはやれば当然その下に物理、化学のいろんなものがあって、それを知れば知るだけどんどん進むんですよ。それをやれるような体制をつくったらどうですかと。  今の制度を批判するのは簡単ですが、そうじゃなくて、何を目指しているのか。そのときに、今回の日本の、ここでやってきた人と、地域によっては一緒になってその国へ行く、一緒になって向こうの国で働く、また一緒になって帰ってくる、そんなこともできるんじゃないかと。私、これは非常に面白い制度だと言うのはそういう意味なんです。今までの日本の教育で欠けていたところを、新しい分野を作り上げたんじゃないかなと思うんですが。  じゃ、これはちょっと今回と直接関係ありませんのでそれだけにしておきますが、今回の大臣趣旨説明をお聞きしましたら、この中に現場を支える熟練した技能を、つまり我々の年を取ったといいますか、そういう方を円滑に継承していくことがこの制度の一つの効果、ねらいだと、こういうふうに書かれているんですけれども、これはどういうことを、まあもちろんやるわけですが、どのように進められるのか。中野副大臣、お願いできますか。
  55. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 今委員の方から御質問で、実習併用職業訓練につきましてのいろいろな問題について、局長また岡田務官からも答弁させていただきましたけど、いろんな課題があるということはこれは事実でございますけど、今一生懸命やっておるわけでございますので、その点、これからも見守っていただきたいと思うわけであります。  そういう中で、いわゆる何というんでしょうか、教育訓練機関による座学企業における一定期間の訓練生を雇い入れての実習、いわゆるOJT、この組合せによって人材をつくっていこうということが事実でございますが、先ほど来委員がおっしゃったとおり、今まではどちらかというと進学があって就職があったと。その他はなかったわけですね。それについては、いわゆる日本版デュアルシステム等の実験の中から、初めて厚労省として第三の道というものが今あるかということで今やっているわけでございまして、その点については、やっぱり私は、今の、就職を例えばした場合にでも、すぐに辞める方がいらっしゃるとか、それはいわゆるマッチングができていないという、ミスマッチだということをよく言われますけど、正にそれについての一つの解答をこの制度で今やってみようということだと思っておるんでございます。  ですから、今おっしゃるとおり、例えば技術継承とかということについては、これは当然将来的には望むわけでございますけど、まずその企業に私は定着してもらうと、それからまたその中で人材として育ててもらう、そういうことが実は技術継承につながってくると私考えておるわけでございまして、是非、そういう意味では、第三の選択肢としてのこの道については、できる限り全力を挙げまして育てていこうということでございます。  特に就職の場合問題なのは、働く、就職をするときのモチベーションといいましょうか、いわゆる目的意識といいましょうか、そういうものを若い人たちが持ってもらうということになってきますと、今まで私も、実は小さな、先ほど申し上げましたけど、中小企業やっておりますと、その中で今、今年も三十人ぐらい入ってもらったんですけど、高校から職場へ入ってくると、もうそれで学校との間は縁が切れちゃったわけですよ。そうすると、それでもって終わりだと。もうそれで、学校の方は就職させたからこれで終わりですよと。ところが、実際はそこからが始まりなんですよね。むしろ企業にとってみれば、学校の教育というのは、文字を読めたりというのは分かるけど、いわゆる人間的な、いろんな社会人としての素養とかを含めて、その中で仕事という問題があるわけで、そうすると、現場で仕事を教えるだけじゃ駄目だというのは、この座学という中にはそういういろんな要素が含まれているような気がしております。  どうかそういう意味で、これからも厚生労働省として、文科省さんともうんと今まで以上な緊密な連携を取りながら、この制度を第三の道として、これからきっとこれだけじゃなくていろんなものが出てくると思いますけど、その第一歩として育ててまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  56. 山本保

    山本保君 インターンシップなどの報告書をずっと読みますと、企業がやはり一番困っている、そういう若い人が来たときに。今正に人材形成といいますか企業の就職というのがちょっといびつになっておりますので、その来た学生さんなどを教える人がいないんですね。それを、面白い効果が出てきまして、インターンシップは単なる応援だと思って、ただ単に社会的貢献だと思ってやってみたら何がいい効果があったかと、これを私も聞いて笑ったんですが、会社の方で思ってもみない効果があったと。  それは正に、前だったら職長さんだとかリーダーになって若い人をどんどんやっていた、そういうクラスの人が今まで、もう若い人今いないものですから全然育っていないと。インターンシップ来てもらってそれをやってもらったら、非常に自分の仕事を、そうですよね、教える側に立つとこれ分かりますから。そういう方が、非常にうまくいったところはそれうまくいったと言っていますし、うまくいっていないというところはそういう人がいないという、今までの施策というのはなかなかそこが欠けていたような気がしております。  企業の方が学校へ行ってお話をしたりというのは先ほども話が出ていたようですけど、そういうことはあるんですが、肝心の企業の中で若い人の指導をしながら、指導というかお話聞きながら技術をちゃんと身に付けさせると。私は、できればそこは団塊世代といいますか、そういう方の新しい仕事の一つとしてきちんと位置付けてあげて、何か誘導策をちゃんと取っていくと。そういうのもあるようですけれども、それをちょっと申し上げまして、時間のことがありますので、もしあったら後でまたお聞きしますが、次にちょっと移らせていただきます。  せっかく赤松副大臣がおられますので、赤松副大臣にお聞きしたいんですけれども、今人口減少社会であると、骨太方針、いろんなことでやっている。その中の一つが、正に社会保障であるとか経済政策というものが一番実態的なものですね。金利がどうのこうのという何か私たちには訳の分からない話じゃなくて、実態的には社会保障、この費用がどうなるのか、そして一方それを支える経済成長というのはどうなのか、その経済成長の基というのは人材ですけれども。こういう関係が今言われている議論の中では余りないんじゃないかな。  というのは、つまり、今日お話をここまでしてきたわけですが、これから若者が、四百万人と言われましたけれども、例えば目標を持って二百なり百万人ぐらいにそれを減らす、そしてただ数を減らすだけではなくて、本当にこれまで日本にはなかったような正に実学精神を持った者をつくっていきますよと。お年寄りも、お年寄りというか、もうリタイアしたという人についてもきちんとしたこういう形で仕事ができるんですよ。こういうものを見て総合的に中に入れ込んだ、そしてそれを積み上げていった計画になっていないんじゃないかななんということを私心配しておるところなんですけれども、この辺、社会保障と今回のこの人材形成というものの関連などについて、赤松副大臣、お考えのところをお聞かせいただければと思います。
  57. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) この迫りくる人口減少社会少子高齢化時代という非常に極めて日本にとって大事な問題、そういう問題につきまして、大臣がいらっしゃる横で私に向けられるというのは、私が昭和二十年、日本が経験をしたつかの間の少子化時代出身であるからなのか、はたまた先ほど少子化時代に向けての少子化社会トータルプラン、チャイルドファースト社会政策を出した公明党に所属しているがゆえか、その辺は山本委員の深謀遠慮は分かりませんけれども。  今言われた御質問に対して的確なお答えができるかどうか分かりませんが、今御指摘のような点について様々な角度から検討を進めているという状況でございまして、例えば社会保障在り方懇談会、もう大変長い期間やっている有識者による会合におきましても、少子化の進行は社会保障制度に非常に大きな影響を及ぼすということ、また社会保障制度を安定的なものにして、今おっしゃったようなそういう高齢者、女性、若者の就業を促進して制度の担い手を拡大していくことが重要である、こういったふうな認識を示すとともに、しっかりとした政策に対する影響を与えるような方向性を示唆していただくような議論が今行われているところでございまして、五月末にはまとめられて六月には公表される、こういうふうなこともございます。  一方で、先ほど申し上げましたように、政党の中でも私どもの公明党の方では生活を犠牲にしない働き方という、そういったものへの大きな転換、あるいは子育ての負担を過重にしないような支え方の確立、こういったものをしっかり、物の考え方としてしっかり確立させていこう、こういったものを骨格にした政策とか、あるいは仕事と生活の調和推進基本法の制定、こういうふうなことを提案いたしておりますし、また民主党さんを始めとした野党の皆さんもこうした少子高齢化時代におけるいろいろな考え方が今提起されている状況でございます。日本社会にとって非常に大事なこの場面、みんなが知恵を出し合って的確なるこの少子高齢化時代における対策というものを確立していく非常に大事な時期を迎えているな、そういうときにしっかりお互いに知恵を出し合っていかなきゃいけないな、そんなふうに思っているところでございます。
  58. 山本保

    山本保君 まだこれからですし、この問題は方針を一つ出してそれで終わりというものでもない、毎年毎年やり直していくものだと思っていますので、私もそういう立場に置かしていただければ頑張りたいと思っております。  ただ、今、どうしてこんなことをお聞きしたのかといいますと、例えば今度のその経済戦略などを見ましても、今回この厚生労働省がささやかな形だけどと、こう出してきた、こういうこの考え方って出てないんですよね。これささやかな顔していますけど、さっき私、これささやかじゃないんです、これ大変大きな日本若者の政策の基本になるような大変換かもしれないという気がしておるんですよ。だから、これをもっと強くアピールして、それをその経済戦略の中に組み込んでいくようなことをしたらどうかなというふうに思っておりましたのでちょっとお聞きしました。  時間が大分なくなってきましたので、ちょっとたくさんお聞きしたいんですが。  せっかく馳副大臣おられますが、先に馳副大臣にお年寄りのことをお聞きしようと思っていたんですよね。  つまり、新しい第二か第三かの人生を仕事終わってからやろうと、こういうわけですが、それはなかなか大変だと思うんですよ。そのことを、例えばNPOとはどんなものだとかいうのもいいし、まあもちろん自分の今まで持ってきた力が生かせるようなところへ入る人はそれはそれで結構です。しかし、逆にあったとしても、いやもうおれの人生もう一回別のことやりたかったんだという人も当然出てくるだろうと。こういうことを教えるのは私、これは学校教育の仕事だと思うんですよ。ところが、学校教育というのは、今までの日本制度というのは、もう子供のときやるものだと思っていますでしょう。そうじゃないんですよ。大人が行くべきなんですよ。だから、大人、特にお年寄りなり本当は、今までそれは職業訓練でやっておるんです、さっきから言っているんです、細々と。科学的でも教育的でもないと言っちゃ申し訳ないんだけど。しかし、専門じゃないところが、ところがね。何か何とか仕事の場ができればいいやということです。それも大事なんですけれども。だから、学校教育がもっと踏み込むべきじゃないか。  私は、大学へ行くということは、社会人入学というと文科省はすぐ大学だと思っているんですよ。大学はやっぱりなかなか行くのは大変ですよ。我々の世代だって半分は高校出てないですよ。私も高校出ましたけど、勉強しなかったんで自信ないですよ、はっきり言って。もう一回やりたいなと。高等学校へお年寄りをきちんと入れる、入ってもらう、そういう政策必要じゃないかなと思っているんですけれども、馳副大臣、どうですか。
  59. 馳浩

    ○副大臣(馳浩君) 現状では、キャリアアドバイザーという形で、退職された方がやはり地元に住んでおられるわけですから、地元の産業界の動向もよく御存じですし、とりわけ人事のことについてベテランでありますから、そういったことでキャリア教育の推進のために相談に乗ると、こういった形でキャリアアドバイザーという形で実際に今までも高等学校現場に入っておられる高齢者の方、おられます。  また、実業高校なんかでは、こういう実は要望があるんですよ。教員が、十年一日と言うとまた失礼ですけれども、そういった技能を伝授するよりも、まさしく現場に行って、最先端の研究をしている方々退職した後、その方を特別非常勤講師として雇うと、子供たちも、あっ、確かに教科書に載っていることも必要だけれども、現場ではこんな最先端のことをやって、日本製造業は世界に冠たるやっぱり技術力を発揮しているんだと、それを学ぶことによって非常に子供たちの前向きな、やはり職業人として頑張ろうという意欲を養うので、是非現場に、高等学校の実業の現場に送り届けてほしいという、こういう要望もございます。  先ほど申し上げたように、平成十六年度からキャリア教育推進地域指定事業という形でやっておりますので、そんな中で、より一層、そういった今後退職される方々がまさしく高等学校教育の現場に来て、職業人としての見識、それを活動の中で広めていただくように、どんどんどんどんやっぱり活用していきたいと思っておりますし、退職してそれで終わりじゃ本当にもったいないですから、長年の現場で培ったいろんな才能を教育の現場でも発揮していただきたいと考えております。
  60. 山本保

    山本保君 文教委員会で一度やらなくちゃいけないと思っているんですが、高等学校の分校だとか、また古い町の、小さな町の高校がどんどんなくなっている。なぜなくなるのか。県立高校で、県で基準をつくる。その基準は何か。中学卒業生の数なんですね。中学卒業生はここにいないからもう要らないでしょうと言うんです。その村やその町には半分以上高校へ行っていない人がまだ一杯いるんですよ。何で高等学校をつぶすんですかと。子供が行くなんて法律に書いてないでしょう。高等学校というのは大人が行く学校なんです、本来。それを中学卒業生の数でやっているんですよ。だから、これはおかしいんだと思いますけれども、これはまた別なところで議論をしまして。  最後に大臣にお聞きします。一つだけ、大臣、ちょっとお待ちいただいて、一つだけ気になっておりますのは、こういう仕事をするときには、単に技術論だけではなくて、要するに対人能力といいますか、カウンセリング能力とか、こういうものが非常に重要です。この分野ではコンサルタント業というような業務もありますし、コンサルタントの資格もあるようですけれども、もう本当に簡単で結構ですから、そういう分野は大丈夫なのかなという気がしておりますので、局長、お願いします。
  61. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) これまでも、先生御指摘のコンサルタントの関係でございますが、キャリアコンサルタントの養成ということで、五年間で五万人ということで進めてきております。今現在は更にその養成されたコンサルタントの資質の向上ということが重要ではないかということになってきておりまして、こういったコンサルタントにつきまして、専門家の検討委員会での議論を踏まえた上で、実践力のあるキャリアコンサルタントの育成のための指導、助言や、そういった方々の研修機会の提供の必要性などの報告をいただいたところでございまして、これらを踏まえまして、豊富な経験を持つキャリアコンサルタント、ベテランのキャリアコンサルタントの助言、指導を仰ぐですとか、研修機会を提供するようなことに取り組むですとか、そういったことを進めていくようにしているところでございます。
  62. 山本保

    山本保君 これもやはり役所の縄張りみたいなのがありますから、是非、ここは大学ですとか専門家ともよく連携をされまして、ただ単に職業分野における専門の資格の一つだなんということよりは、もっとすべての、例えば高等学校に配置できるような、今配置するというとすぐ臨床心理士、臨床心理しかないんですよ。臨床心理は、申し訳ないけど、遅いんですよ。その前にもっと積極的な、ポジティブな生き方をどうするのかということをやる専門家が要るんですよ、学校には。それにもなるような、役所だけで抱え込むんじゃなくて、そうしてほしいなということを申し上げまして、時間が来ました。  最後に、大臣、あと一分残っているものですから、いろいろお話をさせていただきました。この職業能力開発について、お聞きしましたら、私よりお一つ年上でやはり団塊世代だというふうに聞きまして、非常にそういう点では親しみを持っております。川崎大臣取組への決意をお聞きしたいと思います。
  63. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) いろいろ議論お聞きしておりまして、まず我々の世代物づくりに励んだ人たち、正に定年を迎えようとしていますけれども、周りを見ている限りは六十五歳までは働くだろうなと。また、その技術力が、例えば、先ほど西島先生からお話がありました、中国等から一度教えに来てくれと。ですから、中国のラインなんかも、実際は我々の世代が教えに行ってつくっている、こんな時代を迎えているんだろうと。  そういう意味では、私は、我々の団塊世代物づくり能力というのは、今六十五歳と言っています、六十五歳。そして、男性は今七〇%ぐらいが労働力人口になっていますけれども、私は八〇%ぐらいに上がって、そして場合によっては七十歳目指していく、こういう変化をしていくんだろうと、こういう認識をいたしております。  問題は、私のように物づくりというものに励んでこなかった、例えば西島先生とか技術を持っている人たちは多分七十までずっと継続されるんだろうと。我々、こういう技術を持たない人間たち、私の仲間が多いわけですね、一般の場合。この人たちが六十五、七十五まで働くという社会にどう適応していけるか、ここが一つの問題点だろうと。  それからもう一つは、考えていかなきゃならないのは、我々は過去蓄えた蓄積で仕事をそのまま継続、あと十年はできると思うと、こう申し上げているんですけど、一方で新しい科学技術を生み出す力はありません。新しいものをつくり出す力は、実はそう豊富なわけではない。今の延長線での仕事はできます。新しいものをつくり出す力はやっぱり若者に期待していかなきゃならぬ。そして、その若者をどう育てるかというのが一番大きな問題ではなかろうかと。  そういう意味では、現場で学びながら十年後、二十年後、正に工場ラインを全部変えてやっていくだけの若者を育てなきゃならぬと。そういう若者、意欲を持った若者を育てるためにもこの職業能力開発というのが、今言われたように学校だけの勉強で、高校だけの、大学だけの勉強で終わるわけはないと、会社へ入って十年、二十年、目覚ましい能力を発揮する人間が必ず出てくると。その者が日本社会を実は先頭に立ってまた引っ張ってくれるんではなかろうかなと、私はそんな思いがいたしまして、我々の世代が何とか継続して頑張ると同時に、次の夢というのはやっぱり若い人たちにあるわけ、新しいものを生み出す力は若い人たちにあるわけですから、そこにしっかり着目を置きながらやっていかなきゃならぬなと、このように思っております。
  64. 山本保

    山本保君 ありがとうございます。  終わります。
  65. 山下英利

    委員長山下英利君) 午後一時から再開することとし、休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  66. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、職業能力開発促進法及び中小企業における労働力確保及び良好な雇用機会創出のための雇用管理改善促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  67. 下田敦子

    ○下田敦子君 民主党・新緑風会の下田敦子でございます。よろしくお願い申し上げます。  一九六九年、大分時間たちました。職業訓練法がベースで、いろいろございましたが、それが私の記憶では職業能力開発促進法といういかにも新しやかな名称になりました。その中にこのたび中小企業労働力確保法を加えまして、一部改正する法律案ということで、概要を先日、川崎厚生労働大臣より御説明をいただきましたが、私は、今日の質問の結論といいましょうかお話は、先ほどくしくも大臣の御発言にありましたように、製造ラインを変えられる若者を養成することだと、これに尽きるなと思って、非常にいいお話だと思って今メモしておきました。そういうことでありますが、これに後ほど付け加えて御要望を申し上げて、今回の質問を閉じさせていただきたいと思っております。  この同法案の一部改正案に更なる職業能力開発の導火線につながっていければ大変有り難いと思っております。質問と要望を申し上げたいと思います。  そこで、このたび、若者の自立・挑戦のためのアクションプラン、平成十八年度政府予算案が七百六十一億円を示されまして計上されましたが、この改訂のポイントをお示しいただきたいと思います。  私どもの、今、能力開発ということから見ますと、教育、訓練、そしていよいよ就業というこのシステムづくりの確立のために今こういう時間を割いて討議をしている最中だと思いますが、私は、これも最終的に強いお願いとして申し上げたいのは、この法案を完全に生きて持っていくためには、内閣官房、内閣府、それから文科省、厚労省、農水省、経産省、そして国土交通省、総務省、そして関連の公的な機関の場合は人事院、まあ公務員など特にそうですが、各省との綿密な連携プレーが必要であって、ある意味ではこれを契機にドラスティックな方向付けが必要と思われます。  この点について、いかがでありますか、お尋ねをしたいと思います。
  68. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) まず、前段のアクションプランの件でございますけれども、若者をめぐる雇用問題の解決を図るということで、関係省庁が連携をいたしまして、平成十六年の十二月に若者の自立・挑戦のためのアクションプランというものが取りまとめられ、それがこの本年一月に改訂されたわけでございます。  この改訂におきましては、フリーターの常用雇用化、ニートの自立支援化など、若者一人一人の状況に応じたきめ細かな対策実施、それから小学校から大学、大学院まで、地域や産業界との密接な連携による体系的な人材育成の推進、そして三番目として、地域産業若者学校等とのつながりの強化を通じた若者と仕事との橋渡しの推進、この三点を主なポイントとして、このプランの最終年度であることから、目標でございます若年失業者等の増加傾向を転換させることを確かなものとするべく実施することとなったものでございます。  厚生労働省といたしましても、このプランを踏まえまして、フリーター二十五万人常用化プランの推進、地域の相談体制の充実等によるニート対策の強化等、引き続き積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。  それから、関係省庁の連携の話でございます。このアクションプランにつきましても、関係省庁が連携して策定し、改訂したものでございますけれども、今回御提案させていただいておりますような施策につきましても、当然のことながら関係府省との緊密な連携が不可欠でございまして、今後とも関係府省それから地方、経済界、教育界、それらも合わせまして密接な連携を図りながら、効果的な施策の展開に努めてまいりたいというふうに思っております。
  69. 下田敦子

    ○下田敦子君 ありがとうございました。  度々お尋ねを申し上げます内容で、前段の自民、公明の委員の先生方と重複するものもあるように、私、今自分の質問を見て思いますので、その場合は省略をしていただいて結構でございますので、よろしくお願いします。  このたびの一部法改正は、私は大変時宜を得たものだとは思いますけれども、ある意味では諸外国の職業訓練という意味から見れば少し後れたかなという気がしないでもありません。それは、厚労省自体というよりもやはり政府自体で取り組む姿勢というものはあったにせよ、ここまで持ってくるのに少し時間が掛かったかなという気がいたします。  例えば、我が国でもフリーターニート対策が大変な問題になっていますけれども、これはイギリスでは二〇〇一年、コネクションズ・サービス、いわゆる結び付きとか関係を維持するとか、そういう意味からブレア政権で一番の重要政策として持ってきたということがつとに有名であります。それから、今、私、前座を務めさせていただいておりますが、後段、津田理事の方から大変すばらしい本の紹介があると思いますが、今ベストセラーになっておりますそうで、「十三歳のハローワーク」という大変面白い本がありまして、社会でもやっとこういうものが出てきたかなということで、多分詳しくは後ほど津田理事の方から御紹介があると思いますけれども、そのイギリスではブレア政権の下で十三歳からこの職業の、いかに、どうして自分の職業をつくっていくべきかということでやり始めていると、対象が十三歳から十九歳までだと。ちょっと日本の場合と教育の内容が違うなというのが私常日ごろ思っておりました。  例えばイギリスの場合に、キャリアコーディネーターとかパーソナルコーディネーター、それからパーソナルアドバイザー、すべて横文字で大変恐縮ですが、いわゆる個人サポート、個別サポートが非常に盛んで、しかもこれらの中心になる人たち、専門的なケアをする、あるいは教員、指導する人、すべて人件費が国庫負担であるということ、大変こういう意味では我が国にないものであるなという気がいたします。  もう一つ違うことは、マルチエージェンシーチームというのがあって、いわゆる代理人、訳しますとあっせん人といいましょうか、職業を持つためにマルチに代理業を営んであげると、そういうことのコネクションサービスが日本とはちょっと違うものがある。それから、早期発見、早期活動ということで、ターゲットはやっぱりティーンエージャーである。何よりも思うことは、継続的なサポートをしているということが私は大変意味あることだと思います。  ですから、どうぞこういう意味で、すべての事業は人づくりからというお話、先ほどの大臣お話にも通じることでありますけれども、この辺の対策を具体的に、手短で結構でございますから、どういうふうに運んでいらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。
  70. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 今先生からイギリスの話がございましたが、社会的な背景と若者をめぐる状況は異なるものだとは思いますけれども、学校段階から児童生徒等に対しまして適切な勤労観や職業観を持つように育成していくことは、この重要性は我が国にも変わらないものであるというふうには思っております。  この関係では、厚生労働省としましては、文部科学省と連携をいたしまして、企業人等を講師として学校に派遣いたしまして、職業産業の実態、あるいは働くことの意義、すばらしさ、職業生活等に関して生徒に理解してもらうよう、また自ら考えてもらうような、そのためのキャリア探索プログラムというものを実施しております。また、企業において就業体験をするジュニアインターンシップ、そういった事業等も実施しているところでございます。  また、今年度からでございますけれども、職業的自立に困難を抱える若者に対しまして、その状況に応じたきめ細かな専門的な相談や継続的な地域の支援ができますように、若者支援機関のネットワークを活用した自立支援施策を実施するということで、地域若者サポートステーション事業、これを新たに取り組むこととしているところでございます。  今後とも、おっしゃいますように、一人一人、その課題に応じたきめ細かな対策が講じられるように努めていきたいというふうに思っております。
  71. 下田敦子

    ○下田敦子君 大変具体的にありがとうございました。  例えば今おっしゃられた、局長がおっしゃられたものを進めていくためには、まず文科省の所管する進路指導とか職業アドバイザー的なものをやはり加えていかなければならないと思いますが、私は、今のニートとか、こういうものの対策のためには、こういう方々対策のためには、学校だけではなくて医療機関あるいは福祉機関の社会的なインフラのネットワークが私は必要じゃないかと思います。しかも、その若者へ接していくときに、ハイリスクグループといえばなんですが、様々な、肉体的にも精神的にもあるいは家庭環境的にも問題のある方々が少なくともニートその他に陥らざるを得ない状況もあるわけですから、こういう人たちを指導していくためには、不名誉や屈辱を与えないような、スティグマにならないような、指導者、ケアワーカー的な専門家も必要ではないかと思います。  それから、これに付け加えて、これを進めていくためにはどうしても包括的な支援体制が縦割り行政を超えて必要になるのではないかと思います。その点について、どういう備えがあるのかをお尋ねします。  それから、この質問の最後に、私は、この物づくり職業観あるいはその社会的位置付けには大変、家庭教育並びに学校教育にもかなり責任があるんではないかと思います。高学歴志向で、ホワイトカラー志向で、そしてまたブルーカラーがどちらかというと軽視されてきている。これは日本のこの薄さがこの辺に結果的に今日出ているのだなと思います。こういうことにおいて、二点についてどういう対策をお持ちか、お尋ねします。
  72. 中田徹

    政府参考人(中田徹君) まず、文部科学省の立場から御答弁させていただきます。  先生御指摘のように、早い段階から職業観を醸成するということは非常に大事だと考えておりまして、次代を担う子供たちが勤労の喜びを体得することが重要で、小学校、中学校段階から勤労観、職業観を身に付けさせるためのキャリア教育、職業教育等を推進しておるところでございます。  具体的には、各学校段階におきまして、教育活動全体を通じて働くことの尊さなどに関する指導を行うとともに、中学生を中心といたしまして五日間以上の職場体験、専門高校等における地域と連携した職業教育の充実などを実施するとともに、学校教育だけではなくてやはり地域とか家庭教育、先生も御指摘いただいておりますけれども、そういう場におきましても、例えば地元の企業、商店街あるいはNPO等と連携して職業体験活動を推進するとか、家庭に対しまして子供の自制心、自立心を育成するような親に対する意識啓発などを行っているところでございます。  また、厚生労働省では、本年度から若者自立支援ネットワーク整備モデル事業、これを立ち上げられると伺っておりますけれども、こういうことについても文部科学省として必要な連携協力をいたすこととしております。  今後とも、関係府省、地域、産業界連携して施策の推進に努めてまいりたいと考えております。
  73. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) きめ細かな対策ということでございますが、先ほどの繰り返しになりますけれども、先ほど概略を申し上げましたが、今年度から地域若者サポートステーション事業、ただいま文科省からもお話がありましたが、この事業で、これは地域の福祉機関あるいは保健機関、NPO、さらには教育機関等とのネットワークを構築いたしまして、その核となるところに臨床心理士あるいはキャリアコンサルタントを配置してきめ細かな相談等に応ずる、それから一番ふさわしいところを紹介し、ふさわしいアドバイスができるようにしようという内容のものでございますが、こういった施策を進めていくこととしているところでございます。  それから、家族、家庭の重要性につきましては午前の委員会でも大臣からお話があったとおりでございます。
  74. 下田敦子

    ○下田敦子君 大変ありがとうございます。  大変失礼なお願いかもしれませんが、先生という呼称はおやめいただきたいと思います。呼び捨てで結構でございますし、また委員で結構でございます。ティーチャー、メディカルドクターのような場合はまたこれ別でしょうけれども、この場においては大変私は逆に別なものを感じますので、よろしくお願いいたします。  それから、次にお尋ねいたしますのは、私、ドイツ、それからクラーゲンフルト、オーストリア、訪ねました。そのときには、大変感心したのは、もちろん歴史的に、マイスターとかゲゼルとか、ああいう徒弟制度がありますが、それが大変今日的にずっと生きていて、強い流れがあって、養成権だけではなくて経営権まで与える、認める。こういう歴史が、やはり私は今日の物づくりでは、やっぱりドイツとかオーストリアとか、脈々と生きているものがあるんだなと思うんですが、日本も工業化的なこういう物づくりから、逆にサービス産業化的な流れを今、更に必要としている。  ですから、そういうことを考えたときに、私は、この大きな大きなやっぱり変化を今ここで立ち上げていかないとなかなかこれに追い付いていけないのではないかなと、個人的にはそう思っております。  向こうのシステムとして、例えば商工会議所が主であって、商工会議所の五階、六階を訪ねるとそこに職業訓練の施設がある、そして常時そこにはいらっしゃるプロフェッサー、アドバイザーそれからコーディネーター、これは職業案内所として持っているのではなくて職業案内者としてそこにいるということを度々見聞きいたしました。  ですから、その観点からお尋ねをするわけですが、このたびのこの実習併用職業訓練はだれが責任を持っていることなのか、お尋ねをしたいと思います。  それから、話はちょっと飛びますが、アメリカのクリントン時代にコミュニティーカレッジをつくられました。私も、長い期間ではありませんが、ハワイのカピオラニ・コミュニティーカレッジに参りました。大変、システムとして身近な教育であったり訓練の場だなということを今も印象強く残って、思っております。ですから、この実習併用職業訓練制度の創設に当たって次の内容を具体的にお尋ねをしたいと思います。  参加する若者は、どのようなルートを経てだれが集めるのか。それからまた、人数はどのぐらいを一単位として職業別にグループ化していくのか。それから、特に十三歳から十九歳までということなんですが、具体的な、こういう訓練制度に乗っかっていくような場合に座学費の費用を自己負担できないような若者が当然いると思います、この人たちへの対策はどうするのか。それから、企業実習時の賃金それから雇用形態、これをまたどうするのか。それから、事業所としては、是非勉強をしてもらってその結果を有り難く受けたいと思って採用し職業訓練にも出しているわけでしょうけれども、幾ら契約を結んでも最終的にそのようにならなかった、職場に戻ってこないとか、あるいは別な職場へ行ってしまうとか、そういうミスマッチがあったときにはこれはだれがどう処理するのか。  それから、新規学卒者の採用が厳しい中小企業ですから、人材育成確保する仕組みということは重々備えていらっしゃると思いますけれども、これに更にお尋ねしたいのは、そういう中小企業対策としての仕組みはどうなっているのか。  それから、文科省からもお答えをいただきましたけれども、更にお尋ねしたいのは、学校中小企業経営者、企業団体、この連携確保をどうするのか、お尋ねをしたいと思います。  以上です。
  75. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) いろいろと御質問いただきましたが、ちょっと長くなるかもしれませんけれども、恐縮でございます。  まず、今回御審議いただいております実習併用職業訓練につきましては、企業が主体となって、企業の下で、企業との雇用関係の下でのOJTを組み込んで実施する訓練ということで、企業に責任を持って実施していただこうというふうに考えているものでございます。  その参加への方法等についての御質問でございますが、実習併用職業訓練実施しようとする企業や業界団体が、高等学校の進路指導担当教員、そういった方々に対しまして、訓練内容説明の上、卒業予定者あるいはそれらの方々の保護者に対する周知や勧奨をお願いし、また進路指導担当教員が進路指導の過程においてこういったものがあるんだと、第三の選択肢としてこういったものがあるんだということを紹介していただき、こういった方向に向いている方々実践的な資質のある生徒企業との面接等を勧奨する、そういった流れを想定しているところでございます。こういった取組、一連の取組が円滑にいきますれば、一人でも多くの実践的な資質を持った若者がこういった方向に入ってきていただけるんではないかというふうに思っている次第でございます。  それから、自己負担でございます。座学の方につきましては研修生の自己負担ということで想定しておりますが、実習中は労働者ということでございますので賃金をということになります。座学の負担が、座学に掛かる費用負担が困難である者に対してということでございますが、既存の奨学金等についての十分な情報提供、あるいは公共職業訓練活用する場合には技能育成資金というものがございますが、そういったものの活用などについて考えていきたいというふうに思っております。  それから、雇用形態の確認がございましたが、繰り返しになりますけれども、実習併用職業訓練におけるOJTにつきましては事業主訓練生が労働契約を締結して実施するものということにしておりまして、訓練生は労働者ということになります。したがいまして、既存の労働法法令、労働基準法ですとか最低賃金法ですとか、そういったものの適用を受けることとなるものでございます。  それから、修了時に実習併用職業訓練を受けたところに必ずしも行かない、あるいは行けないんではないかということがございました。これは、訓練生の意向それから訓練実施した企業の意向等、それぞれあろうと思いますので様々なものになるとは思いますが、望ましいのはやはりそこに残って就職できるというのが一番望ましいスタイルではないかというふうに思います。ただ、読ませていただきましたドイツの例に、ドイツのデュアルシステムの例によりましても五割ぐらいだというふうに聞いておりますが、したがいまして、なるべくそういう方向になるのが望ましいことでございますので、訓練に先立ちましては、企業訓練生の希望や適性を十分把握し、また訓練生の方も労働条件や企業現場の実情、そういったものを十分理解した上で訓練に入ることができるようにすることが必要ではないかというふうに思っております。  それから、結果的に訓練実施企業に就職できなかった場合におきましても、ハローワーク等におきまして常用雇用化に向けた就職支援を一生懸命やる。あるいは訓練実施した事業主の所属する業界団体の理解と協力をいただきまして、そのネットワークを活用して類似のところへの就職が図られるように働き掛けるとか、そういったことに取り組んでいくことにしたいというふうに考えているところでございます。  それから、中小企業についての話がございました。  中小企業にこの制度が利用しやすいものとなるようにすることが必要だというふうに思っておりまして、今般の御審議いただいております改正案におきましても、中小企業労働力確保法、これを併せて改正をいたしまして、その枠組みを生かした支援策として、実習併用職業訓練に取り組む中小企業事業主に対しまして、トライアル雇用に係る助成金の支給や訓練に要する経費助成、そういったことを講ずるようにしている次第でございます。  また、この普及のためには、関係の団体、事業主の団体もございますし、教育訓練機関の団体もございます。そういった団体等の積極的な取組も、強力な取組も重要であるというふうに考えておりますので、そういったことも一層促していきたいというふうに思っているところでございます。
  76. 山中伸一

    政府参考人(山中伸一君) 文部科学省でございます。  委員指摘のとおり、今回、実習併用職業訓練制度というものが、特に企業に就職した若者が短期間で離職していく、高卒の学生でございますと三年間で五割ぐらいが転職してしまうという、そういうような実態も踏まえまして、新しく学校を卒業して企業に就職したという若者対象に行われる新しい職業育成システムというふうに承知しているところでございます。  文部科学省といたしましても、高校の進路指導関係の会議等の場におきまして、厚生労働省とも連携いたしまして、進学、就職というものと並んで、進学と一緒にこういう職業能力習得のための就学が同時にできるんだという新しい道が開かれたということを積極的に周知してまいりたいというふうに考えているところでございます。  また、中小企業企業団体と学校との連携ということについてのお尋ねもございましたけれども、例えば工業高校あるいは商業高校等の専門高校でございますと、地元の企業団体との連絡会議等も設けて、いろんな企業実習でございますとか体験学習をやっているところでございます。そういうふうな場も活用いたしまして、本制度につきまして、それぞれ学校、保護者あるいは生徒にも周知を図ってまいりたいというふうに考えております。
  77. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 申し訳ございません、答弁漏れがございましたので、一つ。  グループの単位、人数の単位はどうなのかということがございました。これにつきましては、企業の規模や業種、あるいは職種の実情に応じて様々なものになるというふうに思っております。特に中小企業につきましては業界団体単位で取り組むのが効果的であると思いますので、団体での取組を促していきたいというふうに思っております。  なお、十六年から実施しております日本版デュアルシステムでの長期課程、専門課程・普通課程活用型のものにつきましては、一企業当たり平均二人受け入れていただいているところでございます。
  78. 下田敦子

    ○下田敦子君 ありがとうございました。  すべてのこういう育てるというものの中で、OJT、いわゆるオン・ジョブ・トレーニングというのはとても、受ける本人にとっても後々残っていくことでもあるし、非常にいい方法であり、しかもまた、これを進めていくためにはかなりな職場でのセッティングがないことには困る結果が出るんではないかと思いますので、よろしくお願いします。  そこで、具体的にこれを進めていくのに、私は、この法案を進めていくのには国の役割、これは当然ここで論議し、法を通し、進めていくということでありますが、地方公共団体の役割、特に県のみならず市町村、私は、EU並びにイギリスのものを見ますと、ほとんど具体的に進めるのは市町村です。これまで下りていくというのにはかなりな時間が要するのかなとは思うんですけれども、この辺についてどのようにお考えであるか。  例えば、これを心配する考えられた根っこは、例えば母子家庭の親子、女性の職業訓練、あるいは中小企業従業員、先ほど来、午前中もお話の出ました二〇〇七年問題、あるいは高齢者、非正規雇用された従業員、ましてずっと皆、各委員がおっしゃっておられるフリーターニート、それから去年急いで成立した障害者の訓練、これは大変珍しく、青森県弘前市に、全国四つしかない一つだったでしょうか、当時、障害者の職業訓練施設がございまして、私も大変何回も何回もそこに寄せてもらって勉強させていただきましたが、効果、成果は大変大きいものが残っていると思います。  ですけども、こういう方々を考えたときに、能力開発機会というのはかなり限られていくのかなと、そういう心配もするわけですが、端的で結構ですから、ちょっと局長お話をちょうだいしたいと思います。
  79. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 地方公共団体の件でございますけれども、現在実施しておりますいわゆる日本版デュアルシステム、これにつきましても、都道府県の公共職業能力開発施設、そういったところも実施をしていただいているところでございまして、それらも踏まえたものとして考えていきたいというふうに思っております。  また、委員から御指摘がございましたように、この円滑な普及、定着、実習併用職業訓練の円滑な普及、定着のためには様々な機関、団体の協力が不可欠でございます。地域レベルで関係者が連携して取組を進めていくことが重要であると思いますので、そういった働き掛けを進めて取り組んでいけるようにしたいというふうに思っております。  それから、就職が困難な方々ということだったと思います。母子家庭の母、あるいは中小企業従業員等についての取組でございますが、確かに、こういった就職が困難な母子家庭の母の方々で、あるいは大企業と比べて資力に乏しい中小企業従業員等に対する能力開発機会確保、これは重要だというふうに思っております。  特に母子家庭の母等の就職困難者につきましては、ハローワーク、公共職業安定所長の受講指示を受けまして、一定の訓練手当を支給しながら所要の能力開発実施しているところでございまして、具体的には、就職のための準備段階としての準備講習、四、五日程度のものでございますが、それと、三か月から六か月程度の委託訓練、これを組み合わせた準備講習付き職業訓練というものを母子家庭の母を対象にして実施しているところでございます。  それから、中小企業従業員能力開発機会確保という観点では、中小企業実施する教育訓練に対してその経費等の一部を助成するキャリア形成促進助成金というものがございますが、これの助成割合を中小企業については高めに設定をしておりますし、また中小企業事業主やその団体が認定職業訓練というものを実施する場合には、それを助成する都道府県に対しまして所要の補助金を交付するということをやっているところでございます。  今後とも、こういった施策を講ずることによりまして職業能力開発機会確保に努めてまいりたいと思います。
  80. 下田敦子

    ○下田敦子君 どうぞ、その辺をまた更によろしくお願い申し上げます。  時間が余りなくなりましたので、少しはしょって先に進めさせていただきます。  ハローワーク、ジョブカフェ、ヤングジョブスポット、何か、最近、年を取った者には喫茶店はどこにあるんだろうと、そういう思いもありますけれども、大変、でも私はこれ感謝を込めて申し上げたいんです。実は、サテライトスタジオを持ったり、あるいはそれの地域間格差を防ぐ意味でテレビ電話を設置しておられまして、大変成果を上げたことがあります。感謝を込めて申し上げたいんです。  実は青森県は、有効求人倍率が最下位なんですね、常に。ところが、この青森県でやりましたジョブカフェが、利用者あるいはその就業率が第一位。それから、カウンセリング、雇用満足度調査、これはせんだって国でやっていただいたことなんですが、これも第一位なんです。それから、全国的に高い評価を得まして、非常に輝いておりました。  御案内のとおり、陸奥湾から見れば、アスパムという物産館があるんですが、三角形の、あの建物の中にこれがあって、大変キーステーションになっておりました。それから、県内各市の、野を越え山越え行ったところにもそれぞれに伝わっていって、利用者が実に四万七千人。中小企業の魅力も発信できていて、大変有り難かったんですが。  ここで経産省に少しお尋ねをしなきゃならないんですが、この運営費が、経産省は毎年三億二千万下さっていたらしいんですね。厚労省が五千万、県負担が四千万から五千万ということなんですが、この経産省の助成が、満三年たちますので今年度でなくなってしまうと。これをどうするのか。このことを、まあ門外漢ではありますけれども、考える立場にしては、縦割り行政の一本化を更に考えなきゃいけないと思うんですけれども、いかがであるか。  それから、厚労省のやはり局長にこれはお尋ねしなきゃなりませんが、一九九七年、EUのルクセンブルク雇用サミットで若年雇用に取り組むことが義務付けられました。それで、二〇〇二年度末までに失業状態六か月に至る前に教育訓練プログラムを提供することが協定されましたけれども、我が国では具体的にプログラムをしていく計画はどういうふうになっていくのか、お尋ねします。  以上です。
  81. 大辻義弘

    政府参考人(大辻義弘君) お答え申し上げます。  経済産業省といたしましては、厚生労働省を始め関係省庁との密接な連携の下、ジョブカフェを始め、若者能力向上させ、その就業を拡大させる取組を強力に推進しているところでございます。  ジョブカフェモデル事業は、地域の創意工夫、民間ノウハウを生かしまして、若者のニーズにきめ細やかに対応した新たな就職支援の仕組みづくりを行う、委員指摘のとおり、本年を最終年度とする三年計画のモデル事業でございます。現在、全国二十地域におきまして、自治体、産業界、教育界が一体となった取組が進められまして、地域の実情に即したカウンセリング、人材育成等の各県ごとのモデルが形成されつつあるとともに、先ほど御指摘のように、全国では約九万二千人の就職が達成されるなど、着実な成果が生まれてきておるというふうに認識しております。  経済産業省といたしましては、本モデル事業は最終年度でございますが、地域に根差したモデル的な就職支援システムが形成されますよう効果的な事業実施に全力を尽くしてまいる所存でございます。また、その際には、厚生労働省や自治体、さらに産業界、教育界等と密接に協力をいたしまして、本モデル事業の成果を生かした効果的な若者施策が各地域において普及、展開されていきますよう取り組んでまいる所存でございます。
  82. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 今、一九九七年に開催されたEUのルクセンブルク雇用サミットにおきまして採択されました雇用指針につきまして御指摘がありました。  これにつきましては、内容は、就業能力改善に関する施策として、御指摘ありましたように、失業後六か月以内のすべての若年失業者に対しまして職業訓練、再訓練職場実習、就職その他の就業能力向上手段を提供すること等が盛り込まれているというふうに承知をしております。この若年者雇用対策につきましては、国ごとにいろいろ状況が違いますので、対策の中身はいろいろ差異はあろうかと思いますが、若年者雇用問題に全力を挙げて取り組んでいくという点では問題意識は共通というふうに認識しております。  そういう観点から、我が国におきましては、関係の府省連携の下に、十八年一月に改訂されました若者の自立・挑戦のためのアクションプラン等に基づきまして若年者雇用対策に全力を挙げて取り組んでいるところでございますので、今後ともそういった観点から取り組んでまいりたいと考えております。
  83. 下田敦子

    ○下田敦子君 大変しっかりした先輩が両隣にいらっしゃいまして、ただいま音として聞こえてきたのは、経産省の御答弁の効果的な若者施策というのは答弁になっていないという今アドバイスをいただきました。  具体的には、別に補助金、運営費にこだわるのは、大変、余りいい話ではないんですが、申し上げ方としては、この運営費は本年度でやっぱり打ち切られるということは確実な話なんですね。これと、効果的な若者施策というのはどういうふうにとらえればよろしいんでしょうか。
  84. 大辻義弘

    政府参考人(大辻義弘君) お答え申し上げます。  それぞれ各県庁の方でモデル事業をやっていただいておりまして、そうした観点では、委員指摘のとおり、例えば青森県の場合ですと、特徴的なのは就職につながるカウンセリングを相当重点的に実施するとか、それからハローワークと連携を行うとか、それから各カウンセラーが地元企業を相当重点的に訪問して業種別に担当するとか、そういうモデルを開発しているところでございます。  そうしたところを自立的に各県でやっていただけるように、現在三年目の事業として各県庁と相談しておると、こういうことでございまして、そういうことで、そういうモデルができましたときにそれを全国的に普及させていくというような方向で都道府県が実施できるように、現在三年目、全力を尽くしてやっておるところでございます。
  85. 下田敦子

    ○下田敦子君 私のこの頭ではちょっと理解が余り届かないのですけれども、モデル的なという意味で理解いたします。  その以後のことをまた根強く更にいただければいいと思うんですが、ただ、総務大臣の下で、今、市町村の破産法までうたい上げられている時代で、誠にお金がありません。ですから、この辺をどういうふうにしていくか、私はまた見詰め続けていきたいと思います。  それから、時間がありませんので先へ進めさせていただいて、雇用保険三事業についてお伺いいたします。  能力開発、今回の事業のうちで認定訓練助成金とかキャリア形成促進助成金とか介護能力開発給付金とか、それから育児・介護休業者職場復帰プログラム実施奨励金など、いろいろありますけれども、今回のこの能力開発の一連の事業というのは、これらの、今申し上げました助成金その他のものの事業との連動性はどういうふうに図っておいでになるのか、お尋ねをします。
  86. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 今般御審議いただいております法案において、中小企業労働力確保法、これを改正いたしまして、その枠組みを生かした支援策として各種の中小企業に対する支援を行いたいというふうに思っております。言わば既存の助成金活用するという格好で進めるということでございまして、いずれも雇用保険の三事業として実施することとしております。
  87. 下田敦子

    ○下田敦子君 よろしくお願いいたします。  次に、政府は、能力開発事業の一部を独立行政法人雇用能力開発機構に行わせるものとすると書いてありました。このたびの同法案一部改正に伴う能力開発事業の何の事業をこの開発機構に行わせるのか、お尋ねをします。  あわせて、例えばこれに行わせるとすれば、この開発機構にいわゆる役職員何人いらっしゃいますか、このうち退職公務員のいわゆる天下りと申し上げる方々の人数はどれぐらいか、それからまた役職員の人件費は同開発機構の総人件費のうちの何%に相当するのか、お尋ねをしたいと思います。
  88. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 委員から御指摘がございましたように、能力開発事業の多くのものは独立行政法人の雇用能力開発機構が実施しているところでございます。  これは、雇用保険法六十三条に基づきまして実施しているものでございまして、主な事業としては能力開発施設の設置運営、訓練校の設置運営、それから専修学校等の民間教育訓練機関活用した委託訓練でございますが、そういった職業訓練の推進、そういった失業者の就職促進のための訓練のための事業、それからキャリア形成促進助成金、この支給事業などを担っていただいているところでございます。  それから、機構の職員等の状況でございます。  独立行政法人雇用能力開発機構の役職員数につきましては、十八年四月一日、今年の四月一日現在で四千九十六人でございます。このうち、退職公務員は十五人となっております。  それから、機構の総人件費でございますが、これは決められた決算報告書に基づいて計算したものでございますが、十六年度の実績で申し上げますと、総人件費約四百七十五億円、このうち退職公務員である役職員に係る人件費は三・二億円ということでございます。  それから、機構の総収入額等もございますが、平成十六年度の実績で約二千九百八十四億円、総人件費は四百七十五億円、その割合は一六%というところでございます。
  89. 下田敦子

    ○下田敦子君 これは決算書に基づいて計算されたことだとおっしゃいましたが、間違いないでしょうか。例えば、私がお尋ねをし、またこういう経営診断的に考えていく場合には損益計算書だと思うんですけれども、なぜこれが決算書なんでしょうか。
  90. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 定められた方式での決算報告書に基づいて計算した数字で今申し上げたところでございまして、これまでも、申し上げたような内容につきましては、この決算報告、まあ予算に見合った決算での報告に基づくということで計算してきたところでございます。  委員指摘のございました話は、損益計算書で計算した場合にどうなるかということだろうと思います。独立行政法人につきましても、民間に準じた会計方式での計算をというような方向に沿いまして、損益計算書に基づいて計算したものを出しているところでございまして、おっしゃいますように計算の方法が両者異なるところがございますので、そういう意味では数字は異なってまいります。
  91. 下田敦子

    ○下田敦子君 ちょっと聞こえません。
  92. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 数字は異なる数字に──はい。
  93. 下田敦子

    ○下田敦子君 ちょっとこれはバランスシート、総収入に対する人件費の割合を計算いたしますときには、やはり決算として事業所の全体枠の負債とか、そういうものを入れるのではなくて、総収益の中から人件費の割合を計算して、そして見ていくと、判断していくと、そういう作業の中ではやっぱり決算書ではないと思うんですね。これは損益計算書で計算していかないと、実態がきちっとしたものがつかめない。  例えば、三〇%が大体人件費の健全なる割合であると、四〇%になると赤ランプがつく、四〇%を超えると傾くというのが普通言われていることでありますが、これはすべてやはり損益計算書で普通出していると思うんです。この辺の違いであります。  ですから、運営交付金というのは大変な金額であります。ですから、これらが、例えば今の独立行政法人においても運営交付金がなくて組織としての自前での収益でやっているというのは、私の調べた範囲では日本貿易保険の一法人を除いて、あとは全部この運営交付金がないと、要するに昔の補助金がないと健全経営をしていけないということが今回分かりました。  それで、保険料の財源、これは国民の税金や納めた保険料が原資になっているわけでございますから大変緊張して扱わなければならないことだとは思いますが、やっぱり運営交付金というのはもう莫大な金額で、これを外して計算した場合に、平成十六年度損益計算書によって六六・五九%。ですから、旧国鉄が倒産、解体したとき以上の数字であります。これをどういうふうにおとらえになりますか。私は、こういう事業内容を持っているところに、これほど今必要に迫られている職業訓練の新しい計画と新しいすべての施策を依頼しお願いするということにおいて、私はいささか大丈夫なんだろうかという気がいたします。  それから、もう一つ付け加えてお尋ねいたしますが、内閣官房、行政改革によりますと、この特別会計改革工程表、いわゆる特会の改革工程なんですが、この中に労働保険の雇用保険三事業、これを徹底的に見直すということを書いてあります。それから、失業保険はこれ所管外かもしれませんが、失業給付事業、これも国庫の在り方としては廃止を含めて検討するというふうにあります。この点についてどういうふうにお考えでありますか。  それから、この問題で次にお尋ねをしたいのは、個人的な思いですが、退職公務員の方々の持っておられるそのキャリアとか経験、そしてまたいろいろなお立場から得たものもそれは貴重であるとは思いますけれども、こういう方々、役職員がずらっといらっしゃるよりも、今の直接指導に当たられる指導員、スタッフ、これらの方々、例えばハローワークに配置されるキャリアコンサルタント、一級指導員、こういう方々にこの予算を回していく必要性をどういうふうにお思いでありますか、お尋ねをしたいと思います。
  94. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 機構の人件費の割合の計算方法等について最初にお話がございました。確かに、機構へ交付している運営費交付金の額は十六年度で約九百四十六億円ということでございます。これらを踏まえまして、損益計算書等に基づいた数字は当然人件費率が高くなってくるということにはなります。  機構が中心になって行っておりますのは公共職業訓練実施でございます。失業された方々を一日でも早く仕事に就いてもらうように訓練を行うという、そして就職率を上げる、就職率の高い訓練を行うということでございまして、それに多くの指導員方々が就いておられるものですから、そういう意味で人件費率がある程度高くなってきているということは御理解いただきたいというふうに思います。  それから、行政改革の重要方針の中で雇用保険三事業の廃止を含めた見直しがうたわれているということについてでございますが、雇用保険の三事業は、障害者、高齢者の雇入れの助成若年者トライアル雇用の奨励などの雇用安定事業、それから今議論になっております公共職業能力開発施設の設置、運営や技能検定の実施等の能力開発事業、そしてジョブカフェの設置やインターネットを使った求職者に対する情報提供等の雇用福祉事業、この三事業から成っておりまして、雇用に係るセーフティーネットとしての中核的な役割を果たしてきたところでございます。  しかしながら、保険料財源を使って安易に事業を進めるというようなことなどは本来の目的を逸しているものもあるのではないかといった批判もあることは重く受け止めてきているところでございまして、昨年末の閣議決定、行政改革の重要方針に従いまして、失業等給付の事業に資するかどうか、そういった観点から徹底した精査を行うこととしておりまして、現在、費用負担者である事業主の参画を得て抜本的な見直し作業を行っているところでございます。  今般の法案において、中小企業労働力確保法、中小労確法を改正いたしまして、その枠組みを活用して中小企業に対する支援策を講ずることとしておりますが、こういった支援策若者の失業やフリーター化を未然に防ぐことを通じて失業等給付の事業に資するものとなると考えておりまして、雇用保険三事業としての実施を予定しているものでございますけれども、現在の見直し作業と逆行したものにならないように十分留意して取り組んでいきたいというふうに思っております。
  95. 下田敦子

    ○下田敦子君 願うことは、先ほど一番最初に申し上げましたとおり、これが導火線になっていただける法改正であるようにというのが、長くこういう仕事を見詰めてきた者の一人として願っていることでありますから、やはりこの事業を預かる母体になるこの機構の見直しを私は大臣にお願いをしたいんです。  次に、大変こういうことを申し上げるのは余り晴れがましくはないんですが、ゆゆしい問題だとは思いますが、厚生労働省所管法人の中央労働災害防止協会、これは平成十二年に特別民間法人になったようでありますけれども、時間がないので省いてお願いいたします。これの、同協会の十六年度それから十七年度の一般会計損益計算書中、国庫補助金収受金額は幾らでありますか、お尋ねをします。  それから、この協会の財源の原資、これは何から見いだされているかもお尋ねしたいと思います。
  96. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 中央労働災害防止協会についてでございますが、平成十六年度における補助金の交付額は約十四億六千万円でございます。平成十七年度が約十四億円でございます。  この原資でございますが、これは労働保険特別会計の労災勘定、それと一般会計でございます。
  97. 下田敦子

    ○下田敦子君 ちょっとこれも余り申し上げて楽しい話ではないんですが、旧KSD、いわゆる中小企業災害補償共済福祉財団、今名前も内容も変わったようでありますが、例の事件があって以来、大変中小企業方々が脱会する人が多くて、年間会費、被共済者一人につき二千円という会費すら納める気を失ってしまって会員が減ったという話を聞いております。  ですから、やはりこの労働保険料とか、本来であれば労災に遭った人たちのその治療費、年金に充てられるべきものが、今回のような報道がありますと、やはり私は、大変結果としては何も栄えることにはならないと私は思うんです。  そこで、お尋ねをしますが、この経緯を見ますと、特別民間法人、これは特殊法人や認可法人の合理化のために設立された経緯がありますけれども、だとすれば、例えば独立行政法人とともに運営していくときに自律性、いわゆる自らを律するという意味での自律性が求められているはずだと思います。  例えば、この協会におきましては、これらのことの自律性をどこでどういうふうにチェックしてきたのか、お尋ねをしたいと思います。あわせて、この間、これは報道によりますと、今後こういうことの対策のためにコンプライアンス、いわゆる法令遵守を徹底するんだというふうなことを報じられておりますけれども、具体的にはどういうことなのか、お尋ねをしたいと思います。
  98. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 今委員お触れになりましたように、中央労働災害防止協会、これは特別民間法人ということでございます。これは元々、三十九年に設立された、認可法人として設立されたこの法人について、自律的に経営を行うようにしていこうと、そういうことで平成九年に整理合理化ということで閣議決定をされまして、平成十二年にそういう観点から民間法人化をしたということでございます。  ちょっと、若干申し上げますと、これにつきましては、そういう観点からいきまして、具体的には、会員及び自己収入の拡大を図るというようなことで補助金の縮減を図っていこうというのが一つでございます。平成十二年度において大幅に補助金の縮減を行いました。それ以降も補助金の縮減をするということにいたしております。平成十二年にはさらに定款も変更いたしまして、協会が自主的団体であることを明確化をしたということでございます。  それで、そういったものについてのチェックといいますか、についてのお尋ねでございますが、これについては、中央労働災害防止協会の根拠法であります労働災害防止団体法に基づきまして参与の制度が設けられております。参与といたしまして、大学教授の方でありますとか労使の関係者等の学識経験を持っておられる方々が参与になっていただいているわけでありますが、参与会議を開催してこの中央労働災害防止協会の業務実績の評価を行っているところでございます。特に、経理処理につきましては、監事による監査というものを定期的に、これはもちろん団体、組織として当然でありますが、これを定期的に実施しているほか、平成十七年度からはさらに外部の監査法人による監査も実施しているということでございます。
  99. 下田敦子

    ○下田敦子君 よく分からないのですけども、ということは、独立行政法人評価委員会のようなものは持ち合わせてないということですか。まず、それをお伺いいたします。  それからもう一つ、厚生省からの委託事業費は、公費として使い切れなかった場合、国庫に返還するという決まりがあるようでありますが、過去五年分のうち、使い切ってない分は返還しましたか。それをお尋ねします。
  100. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) お尋ねのまず第一点の、独立行政法人にございますような評価委員会がないのかということでございますが、それはそういったものはございません。今現在ございませんで、今申し上げましたような参与の制度、団体法に基づく参与の制度が業務実績の評価を行うということとされております。  それからお尋ねの二点目でございますが、過去五年間、中央労働災害防止協会への労働省からの補助金等について返還、余ってなかったのか、返還はなかったのかということでございますが、これにつきましては、国からの委託事業につきましては、概算払を行ったものについては委託事業が完了したときに残額が生じていた場合には、その残額は国に返還しなければならないというふうに、委員指摘のように、されております。平成十二年度から十六年度までの間の委託事業についての残額は、合計で六億六千六百八十三万円、委託費総額の約二・三%でございます。この残額は国に返還をされているところでございます。
  101. 下田敦子

    ○下田敦子君 これは何年分ですか。過去五年分が当時あったと思いますけれども、これは何年分に相当するんですか。
  102. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 平成十二年度から十六年度、それぞれ、十二年度は一億六千万余り、以下、十六年度、合計で六億六千六百八十三万円ということでございます。
  103. 下田敦子

    ○下田敦子君 報道によりますと、四年分使い切ってないという、このギャップはどういうことなのか。まあ報道はあくまでも報道ですけれども、どういうふうなんでしょうか。
  104. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 四年分といいますのは、十二年度から十六年度のうちの十二、十三、十四、十六年度ということであろうと思います。それらを足し合わせますと六億六千六百八十三万一千円ということでございます。
  105. 下田敦子

    ○下田敦子君 いずれにいたしましても、同協会に対して国庫補助金収入が先ほどお答えくださいましたように十四億五千六百余であります。ですから、慎重を期して、外部監査も当然な時代でありますし、また内部的に定期的にこれを報告するべきと私は今日この場をおかりしてお願いをしたいと思います。  それから、時間がありませんので、最後に大臣にお願いと要望を申し上げて、閉じたいと思います。  実は、ハローワークに参りますと、最も今足りなくて困っている職種、これへのアクセスがないんです。例えば、医療の現場を一例にして挙げますと、臨床工学士とか、それから放射線技師とか、それから、介護福祉士等は最近厚労省でもいろいろと養成をし始めた、そういうこともありますけれども、訓練もし始めていますが、いわゆるこういう医療関係職種の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等々の、これは当時、斎藤十朗厚生大臣がすべての医療関係の資格を私は体制付けたいんだと大変高邁なお気持ちの下に手掛けられたことが、大変スタートとして有り難いというか、むしろ世界的には非常に後れてきたものをやっていただいたわけなんですが、第一次ベビーブームの二十二年、二十三年、昭和のこのころに人口問題研究所が、当然、今日の高齢社会を考えて養成するべきだった、これが後れてしまった。ですから、五十倍です、物によっては。三十倍、四十倍、五十倍という求人が続いている。これを、同じ厚生労働省でいながら、この面に関しては、やっぱり厚生省は厚生省、労働省は労働省ということで手掛けられてない。何なんだろうといつも思うんであります。訪ねてみてもアクセスができない。しかも、その現場では、どうやって求人して、どうやって養成していったらいいか分からない。それほどにせっぱ詰まっている。  この辺の問題なんですが、これ本当は文科省にもお願いしたいんですが、高校等の進路指導の方々、先生方の情報不足と私は時代錯誤があると思います。実に実に大変です。これは進学校ほどそうでございます。医学というと、すぐ医師、看護師という、こういう単純なことしか考えない。結果として今の、ある意味では、これすべてではありませんが、医師不足だとか医務過重だとか、看護婦さんが大変だとか、そういう時代を呼んでいるわけですが、こういうことへ、なぜ厚生労働省となってからも、省庁再編されてからも行き着かないんだろうというのが私の今日のお願いでございます。要望して終わりたいと思います。  大変ありがとうございました。
  106. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 民主党の津田弥太郎です。  まず冒頭、宿題から取り組ませていただきます。  去る三月二十二日の本委員会で、千葉南公共職業安定所、ハローワーク千葉南の増設の承認案件がかけられました。もちろん、民主党は本案件自体には賛成したわけでありますけれども、その審議において我が党の、前回までここに座っておりました谷博之議員から、千葉南公共職業安定所には障害者の方以外の駐車場が一台もないという問題提起がなされました。  その後、何らかの進展ございましたか。
  107. 金子順一

    政府参考人(金子順一君) 千葉南公共職業安定所についてのお尋ねでございますが、国会での御承認を得まして、本年三月三十一日、設置をさせていただいたところでございます。  委員から御指摘のございました駐車場の設置につきましては当委員会でも御指摘をいただいたところでございますが、その質疑の際にも答弁をさせていただきましたが、この千葉南公共職業安定所につきましては蘇我の駅前と、駅のロータリーの中でございますけれども、そこに立地をするということでございまして、障害者の来所者、利用者の方々の駐車スペースを若干確保するほかは駐車場については設けないということでお答えを申し上げたところでございます。  現在まで、一か月余でございますが、運用開始後の状況について千葉労働局を通じまして確認いたしましたところ、いろいろ御利用についてのお尋ね、十五件ほど寄せられているというふうに聞いておりますけれども、駅前であることを御説明申し上げ、また公共交通機関の利用をお願いし、どうしても車をという方には周辺の有料駐車場を御案内するというようなことで御理解をいただいているというように承知をしているところでございます。
  108. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 ハローワーク千葉南の場合、駅前に設置、今おっしゃったように、そういうことなんですが、非常に管轄エリアが広いんです。公共機関を使って行こうとすると不便が生じる人は決して少なくありません。  ハローワーク千葉南の管轄エリアの人たちは、分割前はハローワーク千葉、ここは九十一台駐車場あったんですね。これ、ちゃんと調べてもらった、そちらから出てきた資料だから間違いない、九十一台。そういう利用者にしてみれば、これまでは車で行けたのに、四月以降は大幅にハローワークまでの時間が掛かるようになったということになるわけです。  もちろん、どこのハローワークに行くのが一番よいかという選択が失業者ができるわけではないわけですよね。これはもう当然住んでいるところで決められてくるわけでありますから、そういう点では大変不便が生じる。何とか駐車場を確保するような努力をされることによって、今回二つに分けた効果がより大きくなるんではないかというふうに思うわけであります。  千葉南に限らず、実は全国のハローワークにおいて駐車場不足が極めて大きな問題になっております。例えば新潟市のハローワークは七台、柏崎市は十五台、私の住んでいる諏訪市のハローワークは二十一台なんですね。実は、富山市のハローワークは百十七台あるんですよ、百十七台。ああ結構あるなと思うんですが、私はあそこに何回も行っているんですが、いつも駐車場の周りを最低でも一重に車が回って空きを待っているんですね。  残念ながら、ハローワークが大変繁盛だというのはうれしいやら悲しいやら複雑な気持ちなんですけれども、そんな状況にあるということを大臣、これやっぱりきちんと考えていただく必要があるんではないかと思うんですが、どうでしょう。
  109. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 今御指摘いただきました千葉南につきましては、どちらがいいだろうか、大きなスペースが取れて車で行けるところがいいか、公共交通で来れるところがいいかと。最終的には公共交通という判断をして、最終的に御承認いただきました。  全体では、平成十七年四月一日現在、平均で、ハローワーク全体の平均は三十一台分の駐車場というような状況にございます。しかし、今委員が御指摘のように、車の需要が極めて高いところ、また、都市部のようにいろいろあっても公共交通で来てもらう、これは会社に通うのでも当然、霞が関に勤めている者が車で来るなんてことはこれは基本的にはない話でありますから、当然公共交通、役職員でも途中から電車に乗ってくると、こういう時代でございますから、そこは理解してもらわなきゃならないだろうと。しかし、地方において公共交通機関が十分でない、車でしか行けないじゃないかというところにはやっぱり十分な配慮はしていかなければならないだろうと、このように思います。  したがって、必要なところにはやはり確保するということをしっかり頭に置きながら、今御指摘いただきましたので、そうした状況について各所、チェックはしてみたいと考えております。
  110. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 是非そのようにお願い申し上げます。  次に、労働基準監督署の統廃合問題について大臣にお尋ねをいたします。  労働基準監督署あるいは公共職業安定所については、国家公務員定員削減の考え方に基づき、今後五年間で合わせて五十か所を統廃合することとなっております。そして、その一環として今年度は全国で八か所の労働基準監督署が統廃合されました。統廃合された宮城、山形、栃木、群馬、新潟、滋賀、広島局管内の労働者からは戸惑いと不安の声が発せられておりますが、とりわけ新潟局管内では、さっきも出ましたが、柏崎署と糸魚川署の二つが廃止をされ、それぞれが長岡署と高田署に統合ということになりました。新たに長岡署と高田署がカバーしなければならない面積的な観点、交通の便の観点からも余りにも唐突でありまして、大変私は強く抗議をしたいというふうに思います。  そもそも労働基準監督署は、臨検監督を通じて労働基準法等労働関係法の履行確保を図り、最低限の労働条件を保障するために必要不可欠な機関であります。特に、近年の労働分野の相次ぐ規制緩和を踏まえるならば、事後チェック機関としての労働基準監督署の役割は一層高まっており、拡充強化が私は必要であるというふうに考えるわけであります。  さらに、労働基準監督署は労働相談窓口も設置をされており、数多くの労働者からの労働相談はもとより、事業主からの問い合わせへの対応、あるいは集団指導を通じた法令周知等も行っております。不払残業や違法解雇、賃金未払、労働基準法の違反が後を絶たない現状におきまして労働基準監督署の統廃合を行えば労働基準監督行政の後退が懸念をされ、労基法にうたっております働く者の最低限の生活をも脅かしかねません。  我が国の場合、労基法の適用を受ける適用事業所数は約四百四十二万八千事業所ありながら、マンパワーの不足もあって、平成十六年中に労働基準監督官が事業場に赴き監督を実施した件数は約十六万五千件にすぎません。ドイツでは労働保護監督官により、年に百万件の違反が認定され、二万二千件の命令が発せられたことと比較をしますと雲泥の差があります。  現在でも我が国労働基準監督体制は不十分であるという事実を認識をし、今後の行政改革の過程において決して監督機能は低下させないということを改めて大臣に明言をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  111. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 日ごろから労働基準監督行政に対して御理解とある意味での御支援をいただいてまいりまして、御礼申し上げたいと思います。  労働基準監督署の果たすべき役割は、今お話しいただきましたように、私も重要なものと考えております。しかし、一方で、厳しい行財政事情の中、国の地方支分部局の組織の効率化も当然求められております。  そういった中で、今お話がございましたように、この機能は低下させないということを前提にしながら監督署の再編を実施いたしております。再編に当たっては、産業構造の変化、情報通信網の進展、交通事情の変化等の地域の実情を踏まえつつ、行政運営や利用者の利便性に著しい支障が生じないようにしてまいりたいと考えております。組織運営の効率化を進めるとともに、地域のニーズに合った効果的な行政運営を展開すること等、総合的に勘案して、その対象を選定して進めてきております。  実は、私も気仙沼の方から御陳情をいただきまして、ハローワークは残りますので、そこへそれでは週に一度か二度かという形で当然回りますので、職員は回るわけですから、そこへ常時立ち寄りという形にさしてもらいましょうというお話をさせていただいたこともございます。  そういった各地域の事情を聞かしていただく中、できるだけの対応をしてまいりたい、そして、先ほども申し上げたように、機能は決して低下させない、職員が頑張ってもらってしっかりとした仕事をしてもらいたいと、このように思っております。
  112. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 是非そのようにお願いを申し上げたいと思います。  さて、労働者派遣法の改正によりまして、製造業に派遣労働が解禁をされ、急速に製造業現場に派遣労働者が増加をいたしております。さきの均等法の質疑の際にも指摘をさせていただいたわけですが、この派遣労働労働者自身の主体的な選択で行われているならば、多様な働き方という意味ではむしろ評価をすべき側面もあるものと考えるわけでありますが、現実には、企業の使い勝手の良さ、経費削減、こういうところが中心となって派遣労働が使われているのは、私は製造業の場合には特に、まあそのほかの産業も似たり寄ったりだと思うんですが、そういうふうに認識をしております。  このように、企業の論理で無原則に派遣労働が拡大することで、技能継承が極めて困難になったり、就業形態の異なる労働者間の意思疎通が十分でないことから重大事故につながったという事例、これも私が前に指摘をさせていただきましたが、こういう事例も出ているわけであります。  製造業への派遣が解禁をされて二年が既に経過をしておるわけでありますが、現在のこの状況について、大臣、率直に、ちょっと行き過ぎじゃないかという認識は多分私と同じではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  113. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 半分ぐらいは同じ気持ちでおります。  製造現場への労働者派遣の解禁については、産業構造の転換や国際化が進展する中、日々変動する業務量に応じ、労働力需要に迅速、的確に対応するというニーズにこたえるため、平成十五年六月、改正労働者派遣法成立ということでさせていただきました。特に派遣については、派遣期間に制限を設けているということも事実でございます。しかし、一方で、若者雇用という面から見ますと、余りこれに偏るという話になると、なかなか大変だなという思いは正直持っております。  そういう観点からしましても、それから先ほどから御議論いただいておる工場で、製造現場でしっかり技能継承を育てるという面から見ましても、人件費削減の観点等からやみくもに派遣の活用を行うのは適切ではないと考えており、正規雇用を増やすということも事業主の皆さん方に理解してもらいたいと考えております。  そういった意味では実は半分同じ気持ちでおりますので、これは経産大臣も同じ気持ちでおります。できるだけ経済界に働き掛けはしてまいりたいと、このように思っております。
  114. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 いや、半分じゃありません。かなりもう、九割ぐらい一致しておりますので。  それでは、今回の改正案の内容についての質問に移りたいというふうに思います。  今回の改正案の大きな柱は、従来厚生労働省で行ってきました日本版デュアルシステムに加えて、新たに教育訓練機関における座学、座って学ぶと、企業が雇い入れて行う実習とを組み合わせた実習併用職業訓練を設けることにあるわけであります。ドイツで行われている本家のデュアルシステムも近年様々な問題が浮き彫りになっているところではありますが、基本的には、今回提案されました法案の意図する座学企業内での実習、この有機的な組合せについては評価をしつつお尋ねを行っていきたいと思います。  冒頭、厚生労働省が行っております日本版デュアルシステムと今回新たに設けられるシステムについて、何が共通し、何が異なるのか、能開局長、簡潔に説明いただきたい。
  115. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 座学実習を組み合わせているという点については全く共通、一緒でございます。  ただ、日本版デュアルシステムにつきましては、教育訓練機関が主体となって、教育訓練機関主導で、主に若年失業者フリーター、そういった方々対象に、基本的には企業で行われる実習につきましても雇用関係を伴わない形で実施するというものでございます。  これに対しまして、今回御提案させていただいております実習併用職業訓練につきましては、企業が主体となりまして、新規の高校卒業者を主な対象といたして、企業における雇用関係の下での実習を組み込んで訓練実施するというものでございまして、そういった違いがあるところでございます。
  116. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 ということは、従来の日本版デュアルシステムが十分に機能してこなかった、したがって今回新たに改正を出してきたというふうに理解をしていいのでしょうか。  つまり、今回の新たなシステムは、反省をして、つまりうまくいかなかったということを踏まえた上で出てきたというふうに理解してよろしいんですか。
  117. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 現在実施しております日本版デュアルシステム、これにつきましては、先ほど申し上げましたが、教育訓練機関が主体となって若年失業者あるいはフリーター対象として実施しているものでございますが、その効果は、座学のみの訓練と比較しまして就職率が高いなど一定の効果は出ているところでございます。フリーター若年失業者等の数が依然として高い水準で推移している現状でございますので、その就職支援策としての重要性は変わらないというふうには思っております。  一方、今回御提案させていただいております実習併用職業訓練につきましては、人口減少社会を迎える中で重要となる若年人材の一人一人の実践的な職業能力を習得するものであること、それから企業における現場力低下を防ぐこと、そういったことが強く求められていることにこたえようとするものでございまして、その普及、定着を法制化を機に進めてまいりたいというふうに思っております。  今回御提案させていただいているものが普及し、ワーク、機能していけば、フリーターやあるいは若年失業者等の数が減ることにつながるんではないかと、そういう方向で進めば、そういう意味での就労支援策としての位置付け等が変わってくることはあろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように、今現在におきましては就職支援策としての重要性は変わらないというふうに思っております。
  118. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 難しい言い方、回りくどい言い方されていますけれども、要は、座学主体だといまいちだということなんですよ。そこはちゃんと認めた方がいいですよ。  で、文科省、文科省でも日本版デュアルシステムと銘打った政策が行われているわけであります。これについては、厚労省の行う従来型のデュアルシステム及び今回新たに設けられるシステムとはどのような違いがあるのか、対象者や受入れ企業などについて両者は区分けがなされているのか、すみ分けがちゃんとできているのかどうか、文科省。
  119. 山中伸一

    政府参考人(山中伸一君) 文部科学省でございます。  文部科学省で現在やっておりますデュアルシステムでございますけれども、これは工業高校あるいは農業高校などの専門系高校でのモデル事業として行っているところでございます。高校生、就職する前に、専門高校等の高校生が在学中に企業に行って実践的な訓練を行うということで、技術技能を習得させる、あるいは就労観をはぐくむと、そういう実践的な職業教育というものを目指したものでございます。  例えば、東京でございますと、六郷工科高校というのがございますけれども、一年生で十日ずつ三つの企業をまず行きまして、その中で、あっ、この企業に行きたいというのをマッチングします。二年生のときに二か月その企業実習する、三年生でも二か月から四か月実習すると、そういうふうな形でやっております。  こういうものでございまして、厚生労働省が行っております日本版デュアルシステムでございますと、これは学校を卒業した後、不安定就労を繰り返しているような方を対象にしたものというふうに承知しておりますし、あるいは今回新たに設けられます実習併用の職業訓練でございますと、これは高等学校等を卒業して就業している、その方を対象とした座学と実学訓練というものを併用したものというふうに承知しているところでございます。
  120. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 縦割り行政の弊害を指摘しようと思っているわけじゃないんですが。  それじゃ、能開局長、今の説明を聞いて、文科省のデュアルにはない今回のシステムの魅力あるいは強みというものは何なのでしょうか、簡潔にお願いします。
  121. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 文科省から御説明のありましたものにつきましては、学生を対象として、学校で早い時期から職場で働く体験を付与し、職業観の涵養や職業選択の効果を発揮するというものだというふうに理解しておりますが、今回の実習併用職業訓練につきましては、訓練生を企業に雇い入れ、繰り返しになりますが、現場において行う文字どおりのOJT、業務の遂行の過程内において行う職業訓練ということでございまして、これと企業のニーズに即した座学とを組み合わせるものでございまして、現場を支える人材確保、定着を目指す企業、それからそういった方向に向いている実践的な資質を持った若者の双方にとって魅力を持つものではないかというふうに思っております。  それから、恐縮でございますが、先ほど、現在の日本版デュアルシステムについて企業等からいろいろな課題が出ている、あるいはそういう課題があることは委員おっしゃるとおりでございまして、先ほどの説明で失礼いたしました。
  122. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そのときに答えてくれりゃ一番良かったんです。  ちょっと飛ばして、訓練生の労働者性について確認をしたいと思います。  今回、新たに設けられる実習併用職業訓練において、実習に従事する訓練生の位置付けについてであります。訓練生は労働者でしょうか。端的にお答えください。
  123. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 労働者でございます。
  124. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 労働者である、すなわち、訓練生と事業主の関係は雇用契約であるということですから、これは確認でありますが、訓練中であっても当然に労働法の適用があるということでよろしいでしょうか。例えば、最低賃金法、労働基準法なども当然適用されるということで間違いないですね。
  125. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 委員おっしゃるとおりでございまして、最低賃金法、労働基準法あるいは労災保険法等適用になるものでございます。
  126. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 ありがとうございました。  しっかり確認をさせていただきました。  それで、我が国における職業能力開発については、一義的に事業主が主導的に行っております。OJTを中心とした事業職業訓練が長期雇用システムにおける効果的な人材育成方法として機能してまいりました。しかし、バブル崩壊後の長期停滞の間、企業による人材投資は減退をし、景気が回復しつつある現在も人材投資が業績によって二極化する、そういう傾向が見られております。また、能力開発対象者についても、従来の一律一斉型の教育訓練ではなく、対象者を選択して行われるようになってきているわけであります。つまり、新卒の正社員であっても必ずしも全員が能力開発対象とならなくなり、まして非正規労働者の増加によって能力開発対象から漏れる労働者が急増をしているわけであります。  厚生労働省として、我が国における能力開発の現状についてどう見ていらっしゃるのでしょうか、お答えください。
  127. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) ただいま委員指摘のとおりでございまして、企業における職業能力開発状況を統計調査等に基づいて見ますと、企業間競争の激化やそういったことなどを背景としているんだと思いますが、計画的なOJTオフJT実施率が停滞している。午前でも御説明申し上げましたが、企業に対する調査でも、それから従業員に対する調査でもかなりの率で低下を見ているところでございまして、また、訓練対象者の重点化等の傾向が見られるところでございます。さらに、就業形態の多様化の中で、希望に応じた職業能力開発機会を得られない者が増加してきておりまして、こういった状況に対して適切な取組が必要ではないかというふうに思っております。
  128. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そもそも、同じ部署で働き同じ仕事をしているのに、派遣、請負などの非正規労働者に対しては教育訓練内容が異なるということ自体も大きな問題ではないかというふうに考えるわけです。こうした非正規労働者に対し適切な訓練が行われていないことが現場力、最近よく使われる言葉でありますが、この現場力の減退や安全面、先ほども申し上げました、安全面にも影響をしているのではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。  そもそも、厚労省として、職場における非正規労働者に対する能力開発の実態について詳細を把握しておるのかどうか、また、今後実態調査を行い、その結果を踏まえて非正規労働者への能力開発在り方について、非正規労働者への能力開発在り方ですよ、研究会などの場で検討していただくというようなことは十分考えられるのでしょうか、お答えください。
  129. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 委員から御指摘がございましたように、非正規労働者と正規の労働者正社員と非正社員との間の訓練実施状況には大きな違いがございます。平成十四年の調査でございますが、オフJTについて言いますと、正社員について言えば六割、非正社員については二割を切っており、一七・四%、計画的なOJTについては正社員四八・九%、非正社員一八・三%というような数字がございます。  こういった非正規労働者の実態や能力開発在り方については、本人や企業のニーズが様々であることもございまして、更に詳細な把握が必要ではないかというふうに考えておりますが、今年度、そのため、非正規労働者に対する能力開発状況についてより詳細な調査を実施することを検討しているところでございます。  さらに、委員から御指摘がございましたが、今後の在り方につきましても、非正規労働者能力開発の今後の在り方につきましても、この調査結果を踏まえた上で研究会等を設けるなりして更に検討を進めていきたいというふうに思います。
  130. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 今回の改正案において、労働者の自発的な職業能力開発促進に向けた環境整備が図られることになります。そこで、一点確認をしたいと思います。  私は、こうした労働者個人が自発的に能力開発を行っていくことを否定するつもりは全くありません。しかし、本来企業で仕事をするために必要とされる能力開発企業が行うべきものであり、労働者の自発的な能力開発を進めた結果、その裏腹に企業による教育訓練が後退するようなことにならないよう配慮が求められるものと考えますが、いかがでしょうか。
  131. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 労働者個々人のキャリア形成支援するという観点から、労働者職業生活設計に即した自発的な職業訓練も重要ではございますが、今般の法律改正におきましては、それを支援する事業主支援するということを考えておりまして、時間面において事業主が講ずる措置として勤務時間の短縮の措置を追加したところでございます。また、労働者の自発的な職業能力開発を後押しする企業、それを支援するため、既に今年の四月からでございますが、キャリア形成促進助成金のメニューの一つといたしまして、自発的な職業能力開発に取り組む労働者に対しまして金銭的あるいは時間的な配慮を行う企業に対しまして、助成する措置を講ずることとしたところでございます。  以上でございます。
  132. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 分かりました。  個人能力開発を行う場合のネックとして、今も出ましたが、当然ながら経済的な負担の問題が挙げられるわけであります。例えば、栃木県の場合は、三十五歳未満であって、かつ雇用保険制度支援を受けることができない就労不安定者及び無業者を対象として職業訓練バウチャー、職業訓練利用券、これを給付する事業を行っております。  厚労省として、こうした制度についてどのように評価をしておられるか、また今後こういった能力開発に関する個人の選択肢を広げる制度を全国に広げるというような考え方はおありでしょうか。
  133. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) ただいま委員から御指摘がございましたように、栃木県においてバウチャー制度を取り組んできているところでございます。  委員から御指摘がございましたように、雇用保険の給付が、雇用保険の対象とならない、雇用保険につきましては教育訓練給付という制度がございますので、そういった若年者対象としているものでございますが、これにつきましては、昨年六月に策定されました経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇五におきまして、外国や都道府県における取組を検証しつつ、有効性及び問題点等について今後一年以内を目途に検討し結論を得るというふうにされているところでございます。このため、現在、厚生労働省、内閣府と一緒になりまして、海外の取組や栃木県のこの事業、モデル事業の検証作業に入っているところでございます。  こうした取組の検証等を踏まえまして、職業訓練のバウチャー制度の有効性やあるいは問題点等について検討し、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  134. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 安定局長にお伺いします。  二〇〇七年から技術技能ノウハウを身に付けた団塊世代定年を迎える、もう御案内のとおりであります。これまで現場を支えてきた技術技能ノウハウが急速に失われてしまうということが懸念をされております。私は事あるたびに製造業における二〇〇七年問題について警鐘を鳴らしてきましたが、この問題は製造業に限らず、例えば金融分野のホワイトカラーにおいても融資に関するノウハウ継承の問題などが懸念されているところであります。  我が国の強みである現場を支えてきた技術技能を円滑に継承していく、このためには中核を担う若年者現場への入職を持続的に確保するとともに、技術技能を持った団塊世代人材を引き続き現場に供給し、技能継承を進めていく必要があるものというふうに考えるわけです。  二〇〇七年問題について、現在、政府としてどの程度の緊急性を認識をされ対策を講じているのでしょうか。今回の中小企業労働力確保法においてそうした趣旨改正が盛り込まれているものと考えるわけですが、今後、特に企業レベルで具体的にどのような支援がなされるのでしょうか。
  135. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 今、二〇〇七年問題の御指摘ございました。この問題に適切に対処していくということは極めて緊急の課題というふうに考えております。  まず、今も御指摘ありました中小企業労働力確保法、この点について申し上げますと、今般、職業能力開発促進法と併せてこの法律改正もお願いをしているところでございます。この目的は、実践的な職業能力開発向上が必要な青少年につきまして職業能力開発を積極的に行うこと等を内容とする青少年雇用創出計画を作成して都道府県知事の認定を受けた中小企業に対しまして、各般の援助策を講じるということにしております。  具体的に申し上げますと、青少年を自己雇用する者以外の者に委託して募集する場合の規制の緩和、それから、青少年を正規雇用することを前提に、それに先立って青少年の適性等を判断するために一定期間試行的に雇用する中小企業に対する奨励金の支給、さらには、青少年に実践的な職業能力、熟練技能を習得させるための職業訓練に係る経費助成、さらには、教育訓練施設の整備等の雇用管理改善に必要な資金の確保の円滑化、そういった支援措置を講ずることにしております。  同時にまた、こういった技能継承ということを考えますと、そういった、これから団塊世代と言われる方がリタイア年齢にもう差し掛かってまいります。こういった方のいろんな能力、意欲を活用するという観点も必要であると考えております。こういう観点から、一つは、中小企業につきまして技能継承に関する情報提供とか、いろんな相談援助、そういったものを行う窓口を設置する。  それから、そういった団塊世代の力をかりるという意味で、先ほどもいろいろお話がありましたが、若年技能者育成を行うために高度熟練技能者中小企業に派遣する事業、そういったものも今実施しておりますので、こういった点にも力を入れて実施していきたいと考えております。
  136. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 しっかり進めていただきたいと思います。  さて、午前中の委員会水落委員からユニバーサル技能五輪国際大会に関する質問が行われました。ダブらないように大臣のすさまじい決意を確認をしたいと思うんであります。  この大会の意義や重要性については全く同感であります。確認として、政府として予算面において、このユニバーサル技能五輪国際大会に関し万全な体制を確保していく。誤解を恐れずに言えば、東京オリンピックだとか福岡オリンピックだとか言っておりますけれども、実は本当はこれが一番大事なんです、誤解を恐れずにあえて言えば。そのくらいのお心積もりで取り組んでいただきたいと思うんですが、御決意をお伺いします。
  137. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 御支援をいただいてありがとうございます。  御指摘のように、二〇〇七年ユニバーサル技能五輪国際大会は、若者技能向上に寄与することはもとより若者職業観の確立や国民各層の技能尊重機運の醸成に資するものであり、是非とも成功させたいと考えております。予算的には、雇用の方、障害者の方の予算、また、経済界の方々にも随分協力を得られると今考えております。  具体的な内容を申し上げますと、六十種目なんですけれども、例えば、メカトロニクスとか、機械製図とか、CNCマシニングとか、溶接とか、こういう正に技術的なものもありますし、例えば、れんが積み、広告美術、家具、建築大工、貴金属装身具、フラワー装飾、ビューティーセラピー、美容、理容、洋裁、洋菓子、自動車工、西洋料理、レストランサービス等々、いろいろ興味がわく種目も随分入っております。  そういった意味では、第一には、午前中もお答えいたしましたように、やっぱり学生に見てもらいたい、現場を見てもらいたい。二番目は、やはりマスメディアとしっかり提携をして、やっぱりマスメディアに乗せて国民の皆さん方に見てもらう。それによって、よりこうしたものを、今委員が言われましたように、誤解がないようにと言われましたけれども、正に物をつくる、また、働くということをより一層理解してもらうためにしっかりやりたいと思いますので、どうぞ御協力のほどお願い申し上げます。
  138. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そこで、先ほど下田委員の方からありました「十三歳のハローワーク」の話に入らせていただきたいと思います。  今日は持ってきております。まあ本の宣伝してもしようがないんですが。この二年半に出されました村上龍さんが書かれました「十三歳のハローワーク」が何と百二十万部を突破している。大変なベストセラーになっているわけであります。これ、これだけ売れている。果たして中学生がどのくらい読んでいるか、恐らく親や教師も読んでいるんではないかな、そんなふうに思うんですけれども、どうも余り読んでない人が多いみたいなんで、関係者の紹介をちょっとしてみたいと思います。  政治家。そもそも政治とは何かと考えると、これも極めて分かりにくい。ひょっとしたら政治家ほど分かりにくい職業はこの世にないかもしれない。この本は職業を定義するためのものではないので結論を先に言うが、世の十三歳はこんな分かりにくい職業を目指すべきではないと。非常に分かりにくいようで分かりやすいこの説明があるわけであります。ちなみに、あと、その次にいらっしゃる公務員。国家公務員Ⅰ種合格者はキャリアと呼ばれ、特に法的根拠があるわけではないのに圧倒的なスピードで出世することで知られている。非常に分かりやすい。まあ例えばですよ、例えば。  現在、若年失業者フリーターニートの総数は三百七十九万人に上がっておるわけであります。好奇心に満ちあふれている中学生時代に自ら関心を持つ仕事との接点を持つことができれば、その後の状況が相当程度変わってくるんではないかというふうに考えるわけです。  文科省にお聞きをしたい。文科省において、そのような趣旨により全国の中学校において二年生の段階で五日間以上の職場体験を全国的に推進していくことになっております。ドイツでは中学生に同じことをやっているわけですが、中学三年の場合は、例えば小売店では、開店前の準備、接客、店じまい、売上げの計算や商品の発注、翌日に向けての準備、在庫管理、これ一連の業務を全部体験させているんです。その職業にはどのような能力が必要かをしっかり認識させている。例が悪いんですが、私の息子、中学二年のときにやったのは何か。コンビニで昼の客の少ない時間帯に商品棚に商品を詰め込んでおけ、商売の邪魔をしないようにという、それを五日間やって何が残ったのだろうかと、今から思い起こせばそんな状況だったわけであります。  ドイツの比較をしてしまうと、どうしても日本の場合は今申し上げたような商売の邪魔にならないときにちょこっと、つまり職場経験をしたというその言葉だけなんですね、中身がない。単なるちょっとしたお手伝いという域を脱しないというのが現状ではないかというふうに思うんです。  今回の文科省の職場体験、一歩前進ではあるとは思うんですが、これを終着点にすることではなくて、さっきのドイツの話もしましたが、より充実した取組をしていくべきだというふうに思うんですが、いかがでしょう。
  139. 山中伸一

    政府参考人(山中伸一君) 御指摘にございました中学校段階での職場体験、職業体験でございますけれども、これは兵庫県で震災の後に始まりましたトライアルウイークという中学校二年生、一週間、近所の企業でございますとかいろんな職場、あるいは農業、いろんな体験をする、そういうことで地域に対しての貢献あるいは職業に対しての意識、こういうものを持とうと、こういうことで始まりまして、非常にこれ効果があるということで全国的にも広がってきたところでございます。  文部科学省におきましても、平成十七年から、中学生が五日間以上の職場体験を行うキャリア・スタート・ウイークということで、全国的に展開するということで取り組んでおりまして、まだ今集計中でございますけれども、昨年度、全国百九十九地域、千校近い学校がまず参加と。これ以外にも、従来からやっていました兵庫県は全校、富山県でも全校がやっておりますので、そういう学校もございます。そういうところで取り組んでいるところでございます。  まだ、そういうことでドイツ等に比べますと日が浅いというところもございますが、例えば参加した子供からは、初めは自分のことをやるだけで精一杯だったけれども、二日目、三日目と日を追うごとに自分から進んで働くようになったと、人の役に立つことのうれしさ、喜びを感じ、自分自身が大きくなったと感じた、働くということは社会に貢献するという意味を持っているんだということに気が付いたと、こんなふうな感想も寄せられているところでございます。  私どもも、こういう中学校段階職場体験を積むということは非常にその子の人生あるいは職業について考えさせるという意味で大きな意味を持っていると考えているところでございまして、今後ともしっかりと充実していきたいというふうに思っております。
  140. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 是非、より更に進めていただきたいと思います。  ニートフリーター問題に移ります。  この法案は、高校三年生段階を念頭に置き、正規雇用に結び付かなかった若者に対する対策を行うという意味ではニートフリーター状態になることを防ぐということが施策になるのだと思うわけであります。それでは、既にニートフリーターになっている人への施策ということになるわけであります。  トライアル雇用に類似した制度で、雇用能力開発機構が求人セット型訓練という制度を行っております。この制度は、訓練修了後に正規雇用と結び付く割合が極めて高いというふうに言われておるんですが、その実績について能開局長説明してください。
  141. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) ただいま御指摘の求人セット型訓練でございます。これは、雇用能力開発機構におきまして求人者、求職者双方のニーズを満たし、両者のマッチングを推進するため、ハローワークに求人申込みを行った個別企業の具体的な人材ニーズを踏まえまして、これに必要な知識、技能の習得を目指して訓練を設定するものでございます。委員からお話のございましたように、この実績につきましては、平成十六年度で就職率が八七・八%と九割に近い数字になっておりまして、委託訓練全体の就職率が六割であることを考えますと、かなり高いものとなっております。  この求人セット型訓練につきましては、こういった実績にかんがみまして、今後とも有効な施策だと思いますので、効果的な実施に努めてまいりたいと考えております。
  142. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 今おっしゃったように、本当に高いんです。  この求人セット型訓練というこの制度は、雇用保険の枠外にあるニートフリーターも利用できるという意味で非常に効果があるわけですが、一点問題があるんですよ。ここからが大事なんです。それは、訓練期間中、受入れ企業に対しては助成がなされるんです。しかし、雇用保険の受給資格のない訓練生の場合、本人には日当、交通費を含め経済的な支援が全くなされないこと。確かに、訓練が修了すれば雇用に結び付く可能性が高いということは分かっていても、当座の生活の問題からニートフリーターがこの制度を利用することをためらうケースが少なくないようなんです。何らかの手だてが必要というふうに私は考えるわけです。  ニートなどの支援というのは、財政的にはマイナス要因と誤解されがちでありますが、これが常用雇用につながる、彼ら、彼女らが雇用保険の保険料を支払う立場に立つ、また税の納税者になっていくという意味ではむしろ財政的にプラス要因ととらえるべきだというふうに考えるんです。昔から私たちの日本の古いことわざに損して得しろということわざがあるわけであります。是非ともこの制度について、雇用保険の対象外の方への経済的支援というものを能開局長、検討していただきたいんですが、いかがでしょう。
  143. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 働く意欲が不十分なニートあるいは定まった職に就いていないフリーター、その間の違いはあろうとはございますが、いずれにしましても、一人一人の事情を踏まえた対策が必要であるというふうに考えています。  特にニートにつきましては、その就業意欲をいかに持ってもらうか、そもそも就業意欲をいかに持ってもらうかということがまずはスタートでございまして、そのため労働体験を通じて、訓練ということではなく、労働体験を通じて働く自信、それから働く意欲、そういったものを喚起してもらい、就職しようという意欲につなげると、そういったための施策を若者自立塾ということで昨年度からスタートさせ、若年者が低廉な費用で参加できるようにしているところでございます。また、求人セット型訓練につきましても、公共職業訓練におきましては、無料又は低廉な費用で訓練を受けられるコースを中心に設定し、必要に応じて訓練を受けるための資金の貸付け、技能育成資金という制度がございますが、そういった制度整備しながら、訓練生の負担が過重なものにはならないように配慮してきているところでございます。
  144. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 私がお願いしたのは、負担が過重にならないようにではなくて、生活しながらこの求人セット型訓練をできるように何とか検討をしてほしいということを申し上げているんで、もう一回。
  145. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 繰り返しになりますけれども、なかなか、まずはニートにつきましては、その働く意欲をいかに持ってもらうかというための取組が重要でございますし、フリーター方々につきましても、対応は区々であろうとございますが、働く意欲をいかに高めるかということだというふうに思います。  そういう意味で、今申し上げましたようなメニューに応じて取り組んできているところでございますが、財政状況がなかなか厳しい現状におきましては、委員からお話のあるようなことにつきましてはなかなか難しいところがあるというふうに思っております。
  146. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 大変残念です。これは、これだけ正規雇用に結び付く率が高い制度なわけですから、これをやっぱりもっと活用しない手はないと思うんですね。更に次の場でまた議論をしてまいりたいと思います。  時間がなくなってまいりました。大臣にお聞きをしたいというふうに思います。技術技能を有する労働者の評価及び処遇という問題でございます。  私、前回もそのことについてお尋ねをしております。四月七日の参議院本会議における技術技能を身に付けた労働者の処遇改善に関する私の質問に対しまして、川崎大臣は、「これまでの実態調査によりますと、技能検定合格者を社内の管理監督者として活用するなどとしている企業の割合は約三割から四割となっております。」というふうに答弁をされました。されましたよね。  私は、この技術技能を身に付けた結果、労働者が管理監督者として処遇されることに異を唱えるつもりは全くありません。しかし、いわゆる高度熟練技能者においては必ずしもラインにおける上昇を目指している方ばかりではないのが実情であります。そうした技能者について、企業内での処遇は一義的には賃金の上昇に結び付くことになるのではないかというふうに考えるわけですが、技術技能を身に付けた労働者について、賃金と結び付けた調査というのはこれまで行われているのでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
  147. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 技能検定合格と賃金について、これまでの実態調査によりますと、一時金を支給しているとする企業の割合が二九・七、月々の資格手当として支給しているとする企業の割合が二九・二%でございます。これを業種別に見ますと、製造業では一時金を支給している企業の割合が高い、建設業では月々の資格手当を支給している企業の割合が高くなっております。また、企業別の規模で見ますと、大企業では一時金という形で支給している、中小企業の方が逆に月々の資格手当と、このような形になっております。  まあ、委員が言われるとおり、今までの雇用管理の流れが、ラインの長になり、係長になり、また課長になり、それによって給料は増えていくものだ、管理者になることが給与につながると、こういう評価、しかし、それを変えていかなきゃならないと。技能をそのままストレートに評価していくという時代に変えていかなきゃいかぬぞという御指摘だろうと思います。企業の方も随分変わってはきておりますけれども、まだ変わり切ってないということは事実であろうと。  そういった意味で、今度の技能五輪国際大会も通じながらも、様々な、我々、技術者また人事の方と接触する機会も増えてまいると思いますので、できるだけ委員の御指摘、我々の方からもこういうことをより大事にするという気持ちを企業もより進めてくださいという形でお互いに話し合ってまいりたい、このように思います。
  148. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 是非そのようにお願い申し上げます。  最後の質問大臣にお願いしたいと思います。  テクノロジストの位置付けの問題であります。国際的には技術技能を有する労働者は三つのカテゴリーに分かれております。一つ目がエンジニア、二つ目がテクニシャン、三つ目がテクノロジスト。日本では、エンジニアには技術士、テクニシャンには技能士、これが資格として対応しているんですが、テクノロジストについては相当するものがないんです。テクノロジストとは工学理論を実際に応用するために必要な知識とスキルを持った技術者、技能者を示しておる。  昨年、九十五歳で亡くなったピーター・ドラッカーが、テクノロジストこそ先進国にとって唯一とも言うべき競争力要因であり続ける人たちであるという言葉を残しているわけで、ちなみに、エンジニアについては、これに対応する工学教育プログラムがワシントン・アコードという形で国際協定で一九八九年に締結をされ、日本が二〇〇五年、去年正式に加盟をして、JABEE、日本技術者教育認定機構が中心となって取組を進めている。しかし、テクノロジストについては、同様の国際協定としてシドニー・アコードが二〇〇一年に締結をされ、アメリカと日本以外のワシントン・アコード加盟国が入っているにもかかわらず、日本では全く進んでおらない。日本語訳もない。テクニシャンもダブリン・アコードという協定がありまして、例年、ワシントン・アコード、シドニー・アコード、ダブリン・アコード、この三つは同じ場所で連続して会議が行われ、多くの国は同じ団体が国を代表してそれぞれに参加をしている現実であります。日本は、ワシントン・アコードのみ。  テクノロジストについて国際的な移動が今後増加していくことは必定であります。日本にだれを入れるか入れないか、どのような処遇にするか、逆に我が国のテクノロジストが他国でどのように評価されるべきか、我が国もそうした問題に直面する日は近いんです。問題は発生してからではなく、今から対応することが必要ではないかというふうに考えます。  そのような状況を踏まえ、是非ともテクノロジストの資格認定に関する検討をとにかく早期に行っていただきたい。これ縦割り問題がまた出てくる可能性が強いと思うんですが、大臣、是非お願いをしたいと思いますが、いかがですか。
  149. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 私、こういう仕事をする前に一番関心を持っておりましたのは中国との貿易でございます。この四、五年、ある意味では中国日本の分業がうまくいっている。おかげさまで、我が国物づくりを中心として、輸出産業を中心としてよみがえってきた、一時失ってきた自信が戻ってきたと、こう思っているんです。  ただ、多分十一兆円ぐらい我が国が輸出をして、中国から十兆円ぐらい買っていると。一兆円ぐらいのプラスになると。台湾、韓国を足しますと、四兆円か五兆円の黒字になっていると思います。しかし、これがひっくり返る日が来るんじゃないかというのが一番私の懸念でございます。したがって、貿易統計、毎月見せてもらいながら、実はひょっとしたらその日が近いのかなという感じもして、実は、さあその中で我が国はどうやって生きるんだということになりますと、今委員が御指摘いただいたことを、我が国どうするかと、大変大きな課題を御指摘いただいたと思っております。  すなわち、テクノロジスト、技術技能も分かる労働者。少品種大量生産から多品種少量生産、中国に勝つ方法としては、やはり科学技術で、そしてかつ多品種少量生産という技能を持ち続けないと、技術を持ち続けないと我が国はいけない。それをどういうふうに我が国が形付けていくかということの中で、テクノロジストという表現、私ちょっと余り横文字が得意じゃないものですから、テクニシャンとエンジニアとテクノロジストと言われるとなかなか理解しにくいですけれども、今みたいな理屈付けからいけば、やはりしっかり日本の中で養成しなきゃならない、養成するためには形付けをしていかなきゃならないと思いますので、今御指摘いただいたことを社会的にどういうふうにするか。もちろん経産省とも関係が深うございますし、文科省ともやらなきゃならぬだろうと。特に、経産省も自分の役所の前に中小企業のそういう技術をずうっと並べるようでございます、今週ぐらいから始めるようでございまして。他省ともしっかり連携取りながら、目指すべき方向は御指摘いただいた方向ということでしっかり勉強してまいたいと思います。
  150. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 終わります。
  151. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  今回の法案については、実習併用型の職業訓練制度を創設して法的根拠を与えるということで賛成であります。  最初に伺いたいのはディーセントワークのことなんですが、若者雇用の問題、日本でも深刻ですが、世界的にも大変問題になっていて、ILOが昨年六月の総会で若年雇用に関する決議というのを上げております。その冒頭で、若年者のディーセントワークの達成は、すべての者に対する貧困撲滅と持続可能な発達、成長及び福祉において不可欠な要素であるというふうにしております。この報告書では、目標は単に雇用創出することではなくて良質の仕事をつくり出すことだというふうに述べておりまして、前提として雇用機会を保障した上で、まず第一に十分な所得を保障すること、第二に労働者としての権利と代表権を保障すること、第三に適切な社会保障と、こういう三つの保障が必要だというふうにしているんですね。  大臣にお伺いしたいんですが、日本政府はこのILO決議のディーセントワークの達成という提起をどう受け止めていらっしゃるのか、日本においては若年者のディーセントワークというのはどの程度達成されているとお考えなのか、お答えください。
  152. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) また横文字が出てきたものですから、ディーセントワークって質問があるということで勉強させてもらいました。  ディーセントワークとは、人間らしい仕事のことであり、まず仕事があることが基本であるが、その仕事は、権利、社会保護、社会対話が確保され、自由と平等、働く人々の生活の安全保障のある仕事であるとされております。  昨年六月のILO総会における若年雇用者に関する決議においては、若者についての雇用創出職場の安全、賃金、労働時間政策などとともに、ディーセントワークを達成するための職業能力開発の重要性等が盛り込まれております。この決議は、参加した政労使の総意により採択されており、我が国はこの決議を尊重すべきものと考えております。  厚生労働省としては、従来から労働関係法令の整備や各種施策の推進により、労働条件、その他労働者の働く環境の整備及び職業確保を図ることを努めてきたところであり、この決議の趣旨を踏まえ、今般提出の法案も含め、若者ディーセントワークの達成に向けて努力をしてまいりたいと思います。  何%できているのかとなると、これなかなかお答え申し上げにくうございますので、お許しを賜りたいと思います。
  153. 小池晃

    ○小池晃君 これ、元ILO事務局長補佐の堀内光子さんによれば、日本は世界で十五位だという、そんな分析もあります。やはり実態を見ると、雇用の流動化の名の下に非正規雇用が拡大しているわけで、やっぱりディーセントワークということでいうと、特に若者の今の雇用状況はほど遠いところにあるのではないか。それをやはりつくっているのは、規制緩和、労働法制の改定によるものが非常に大きいのではないかと思います。もちろん、職業能力開発、これは非常に大事なことだし、力強めなければいけないと思いますが、私どもとしては、やはり労働基準法や労働者派遣法などを見直して、きちっと労働者としての権利が保護されるように、本当の意味での人間らしいディーセントワークが特に若者の中で達成できるようなルールを確立していくことが必要だというふうに思っております。  その点で今度の制度についてお伺いしたいんですが、今回、六か月から二年間の間、受入れ企業に有期雇用されてOJT及び座学を行うと。これ、その企業への就職を望んだ場合に訓練を終えても自動的に正規雇用につながるということにはならない、保証はないわけですね。しかし、そのOJT座学を終えた訓練生に対する評価というのがやっぱり公正、公平に行われなければいけないというふうに思いますし、訓練修了時に不当に排除されるようなことは絶対あってはいけない。先ほどこれは労働者だというふうに明確におっしゃいましたし、やはりきちっとその辺の仕組み担保することが必要ではないかと思うんですが、そこはどうお考えなんでしょうか。
  154. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 御指摘実習併用職業訓練につきましては、若者対象として、その実践的な職業能力開発それから向上を通じて、安定した就職に結び付くことが重要なものでございまして、きちんとしたその内容、きちんとした質が担保された形での実施促進することが必要であるというふうに考えております。  今回の改正法案におきましても、事業主からの申請によります実習併用職業訓練実施計画、これを大臣が認定することとしております。その認定に当たっては、訓練の期間や時間数、それと併せまして、修了後の職業能力の評価の方法が適切に定められていることについても確認するということとしております。あわせて、事業主訓練生との間の評価をめぐるトラブルの未然防止を徹底するため、法案を成立させていただきました暁には事業主訓練生の雇用契約のモデル様式を定めることとしておりまして、その中に能力評価に係る項目も設けることなどについても検討していきたいというふうに思っております。  なお、具体的な評価項目についてでございますが、職業能力開発学校において現在やっております日本版デュアルシステムに向けた評価項目例等がございますが、そういった事例やノウハウ等を十分活用しながら適切な評価が普及、定着するように努めてまいりたいというふうに思います。
  155. 小池晃

    ○小池晃君 労働者の権利、しっかり守ることを求めたいというふうに思います。  続いて、認定職業訓練校や自治体立の職業訓練校についても聞きたいんですが、これは実態として既に自治体立の学校や認定訓練校があって、認定訓練校だと全国で千三百六十五校、訓練生も二十万人を超すという到達にある。  今回の新しい仕組みは民間の専門校のほかにこれらの施設も対象となると聞いているんですが、実際にその認定訓練校から上がっている声を聞きますと、もう既にそのOJT座学を並行する事実上のデュアルシステムやっているんだと、それで成果上がっているんだと。で、もし今回法的に位置付けるというんであれば、もっと認定校に対してもしっかり応援してほしいという声を聞いております。  実態としてどうかと見ると、これ認定訓練校への助成というのは自治体の財政状況に応じて行われていまして、三分の一上限、その同額を国が補助する。実際はこの五年間で三割も減っていて、二十四億円から十七億円へ七億円以上削減されているんですね。自治体立の訓練校も、まあ今自治体の財政状況厳しい中で規模の縮小とか閉校なんかも続いているんですね。  で、局長にお伺いしたいんですが、わざわざ新しい制度をつくる一方で、既に実績が上がっているこういう訓練校に対する国の支援が、これは自治体が決めていることだって言われればそれで終わっちゃう話なんですが、そうではなくて、やっぱり国の支援というのは事実としてはこれ後退しているわけで、私、これ納得できないんですね。やっぱりせめてその入校希望者が、もう実態を見るとその二倍ぐらいの希望者が殺到しているような学校もあるわけで、きちんとやっぱり入校を希望するような人がみんな入れるような仕組みにするためのやはり国としての応援という仕組みを何らかの形で考えるべきではないだろうかと思うんですが、いかがですか。
  156. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 都道府県が設置しております職業能力開発校、それと民間事業主等が行う認定職業訓練に関する事務、これは都道府県の自治事務として位置付けられているものでございまして、国におきましては都道府県職業能力開発校の設置運営に関する交付金、補助金、それから認定職業訓練に係る補助金の交付等により都道府県に対する支援を行ってきているところでございます。  国の財政、引き続き厳しい状況にありますけれども、都道府県に対する財政支援を強化することはそういった厳しい状況からいきますと困難ではございますが、これらの制度につきまして、制度改善を図るとともに職業訓練内容の質的向上や効率化のための支援等、そういったソフトの充実をさせることによって、都道府県の職業能力開発施策が一層適切に実施されるように支援してまいりたいというふうに思います。
  157. 小池晃

    ○小池晃君 やっぱり団塊世代退職日本産業の将来そのものが危ぶまれているんですから、私はやれることは何でもやるという姿勢で臨むべきだと思うし、この点でやはり自治体やあるいは省を超えた取組というのを是非求めたいというふうに思っております。  引き続いて、外国人青年への技能技術研修、技術移転を通じてその国の経済発展を担う人材育成を目的とする外国人研修・技能実習制度について取り上げたいと思います。これは国際協力の一翼を担うとされているんですが、実態を見ますと非常に悲惨な実態があって、違法行為が横行しているようにお聞きをしています。  基準局長おいでいただいているんですが、外国人技能実習生を受け入れている昨年度の事業場への立入検査の結果、これをお示しください。
  158. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 平成十七年におきまして、事業場に立入調査、臨検監督をいたしました。その中におきましては、九百六事業場が技能実習生を受け入れている事業場でございました。このうち七百三十一事業場において労働基準関係法令違反が認められました。違反率八〇・七%ということでございました。  この違反が認められたものにつきましては、労働基準監督官といたしまして是正勧告を行いまして、その是正を図っているところでございます。
  159. 小池晃

    ○小池晃君 ありがとうございました。八割、賃金不払、割増賃金不払とか、最賃法違反などの違反があると。資料をお配りしておりますが、年々そうした指導監督数も違反事業所数も増えているというのが実態なんですね。  実例をお聞きすると、これは印刷会社で働いていた中国実習生の男性の例ですが、毎月三百時間から四百時間の労働にもかかわらず残業代ゼロ、給与は十二万四千円、しかし宿舎、光熱費二万九千円、仲介者への仲介料一万五千円が天引きされて、実際に支払われるのはわずかに八万円。仲介者に二十万円、送り出し機関に六十万円支払って、それはすべて借金になっていると。話が違うと思ったんだけれども、途中で帰ろうとするとこの借金を返すことができなくなるので我慢してきたというお話。  同じく、これは徳島県の縫製会社の例なんですが、普通に仕事をしていると突然仕事が遅いんだというふうに怒られてしまった、そのために本人、中国人の方ですが、昼休みを削って、さらに残業もしたけれども、残業代請求もしなかったと。一生懸命働いて多くの仕事をこなしたけれども、あなたなんか要らないんだというふうに言われて、結局帰国させられた。  なぜそんな嫌がらせをやるかというと、最初の一年間は研修生だから労基法の対象にならないんだけれども、一年たつと技能実習生になるので労基法の適用となって、コストも高く掛かるしあるいは労基署の監督対象になるということで、嫌がらせをして出してしまうと。正に、ちょっと言い過ぎじゃないと思うんですが、現代の奴隷労働みたいなことがいろいろ起こっている実態がある。  これ、こういう制度をつくったときには、与野党を問わず、こういった形では本当に人権は守れるのかということは国会で何度も問題になってまいりまして、その都度、解決する解決するというふうにおっしゃったんですが、先ほど示したようにどんどんどんどん違反事例は増えているという実態なんです。  大臣にお伺いしたいんですが、政府はこの制度の点検というのを何度も指示していますね。制度改善、検討を何年も前から言っていますが、こういうふうに違法事態が続いているという実態をどうお考えでしょうか。
  160. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 今御指摘いただきました研修・技能実習制度我が国で取得した技術等を母国において生かすことにより母国の経済発展や技術の進歩に寄与すること、この趣旨に沿った制度の適正な運用ということがなければならない。しかし、今、九百六事業場を調査した結果、七百三十一の事業場、違反率八〇・七%と、こういう結果になっております。  制度趣旨理解不足を背景に一部の、一部のというより多くの受入れ機関において、研修生、技能実習生に対する研修手当、賃金の一部不払、パスポートの不適切な管理、こうした問題が出てきております。  厚生労働省としては、国際研修協力機構、JITCOを通じて、受入れ団体・企業に対する制度趣旨や関係法令の周知徹底のためのセミナーの開催、計画に基づく研修、技能実習の適正な推進等に進めてまいりましたけれども、一方で、労働基準監督署の方でチェックをさせているところでございます。  いずれにいたしましても、こうした実態に照らし合わせながら、法務省を始めとした関係省庁と連携を取りながら、制度の適正な運営に努めてまいりたいと、このように考えております。  特に、研修生の法的保護の在り方や研修生、技能実習生に対する受入れ機関の管理体制の強化等についてしっかりもう一度検討を行い、研修・技能実習制度の本来の趣旨に戻るようにしっかりやっていかなければならないという認識をいたしております。
  161. 小池晃

    ○小池晃君 今日、今お話ありました財団法人国際研修協力機構、JITCOの専務理事にも参考人でおいでいただいております。  お聞きしたいと思うんですが、このように毎年毎年、入管法令、労働関係法令違反の事例が増えている。しかも、例えば最近の例ですが、二〇〇四年十一月に徳島で、研修生、実習生を不法に働かせたとして入管法の不法就労助長容疑で受入れ団体の徳島県研修協同組合と、そこから溶接の技能実習を行うはずの研修生を受け入れて違法に働かせていたボロニヤ四国などが摘発されているんですね。  これ、極めて悪質な事案なんですが、JITCOは事件発覚前の二〇〇四年六月に協同組合に立入調査を行って、九月に自主点検も行っていたのに問題を発見できなかった。こういうふうにずっと一貫して問題になって指摘もされながら、問題を発見できない、改善されない。この事態についてJITCOとしてはどうお考えですか。
  162. 佐田通明

    参考人佐田通明君) おっしゃいましたように、JITCOでは、法令違反等がないようにということで巡回指導をやっておりました。そして、関係法令あるいは技能実習のガイドライン等を説明しているわけでありまして、大臣がおっしゃったような賃金の未払とか実習場所の無断変更というのがあった場合は、文書の改善を指導する。  それから、入管法関係につきましては、入管局から依頼を受けて調査をして、その結果を報告していると、入管局に報告しているということでございます。特に悪質な場合には、関係当局に情報提供して、その措置をお願いしております。  それから、具体的な例で……
  163. 小池晃

    ○小池晃君 それはいいです。
  164. 佐田通明

    参考人佐田通明君) よろしゅうございますか。
  165. 小池晃

    ○小池晃君 結局、通報して、入管当局あるいは労基署に通報してということで、JITCOそのものに権限がないということが非常に問題だと思うんですね。  しかも、その体制面にも問題があって、今、四国の例を挙げましたが、一万人が四国では外国人研修生、技能実習生いるんですが、この四月に松山に事務所できるまでは高松にしかなかった、わずか三人だった。各県に相談員というのはいるそうなんですが、わずか一名ということで、非常に貧弱な体制になっている。  JITCOのホームページを見ますと、使命としては、研修生、技能実習生の悩み相談にこたえて法的権利を保障すると掲げていますけど、こんな貧弱、貧弱と言っては失礼ですけれども、体制で権利保障ができるんですか。
  166. 佐田通明

    参考人佐田通明君) 駐在事務所を設けて実施しているわけでありますが、おっしゃいましたように、私ども、今まで十八ございましたけれども、関東地方のを統合いたしまして、問題の起こりました四国あるいは中国地方に新しくつくるということで対応いたしております。  制度は、確かに人数は少ないんでありますけれども、今日も職員を呼んで研修をしておりまして、職員の能力のアップを図りながら対応させていただきたいと考えております。
  167. 小池晃

    ○小池晃君 私は、構造的な問題がやっぱりあるんじゃないかと思うんですね。  先ほど言ったように、JITCO自体は、外国人研修生、実習生に対する権利保障に対して権限を持っていない、その上に体制も非常に、少ないと率直におっしゃったけれども、不十分だと。  しかし、ここで指摘したいのは財政構造なんですね。これ、賛助会費を受け入れているわけです。団体、企業からの資金が全収入の約半分を占めているわけです。言わばお客さんである受入れ団体や企業に対して厳しい指導ができるんだろうかという問題なんです。これ、十万円、年間十万円の会費なんですね。  先ほど指摘したボロニヤ四国の事件に関しては、地元の徳島新聞というのはこう書いているんですね。JITCOの運営が賛助金で成り立っていることを考えれば、賛助金を納める事業所や協同組合に対して厳しい調査ができるはずがないという関係者の声を紹介しているんです。  JITCOとしてこういう指摘をどういうふうに考えておられますか。
  168. 佐田通明

    参考人佐田通明君) 私どもは、会員に限らず、幅広く事業計画を作って書類の点検、あるいは入管局からの依頼等の調査をやっておるわけでございます。  そして、会費のところでございますけれども、会費は、第一次受入れ団体というところがございまして、私どもが直接行く各企業の、個々の企業から会費をいただいているという仕組みにはなっておりません。したがって、今後とも会費について、会費をもらっているから手を抜いているということは今までもないというふうに私どもも思っておりますし、御指摘のことのないように努めたいと考えております。
  169. 小池晃

    ○小池晃君 いや、ないように努めたいと言いながら、実態としてはチェックできていないわけですよ。  受入れ団体通じて会費や賛助会費を集めると。で、なぜ年間十万円も払うかというと、理念に賛同してというのもあるとは思うんですが、先ほどお話あったように、これは賛助会員になればJITCOが申請代行をしてくれる、その結果、入管の許可が早く下りるという実利があるわけですね。JITCO自身もパンフレットでこう言っているんです。申請書類の提出とその許可をもらうための時間、労力を節約することができますので是非御利用くださいと、こう言って賛助会員を集めているわけですよ。  しかも、問題なのは集めた資金がどう使われているかということなんですが、ちょっとお伺いしたいんですが、JITCOの理事長の年間役員報酬額、それから常勤役員に対する役員報酬額というのは年間で幾らになるんでしょうか。
  170. 佐田通明

    参考人佐田通明君) それぞれ申し上げますと、年俸のベースで申し上げますと、理事長が千七百三十万円、それ以下、千六百四十万円が専務理事、常務理事が千五百五十万円、理事が千四百六十万円という状況でございます。
  171. 小池晃

    ○小池晃君 役員報酬総額。
  172. 佐田通明

    参考人佐田通明君) 役員報酬総額、ちょっと計算して、申し訳ございませんが、ありませんですが。
  173. 小池晃

    ○小池晃君 一応通告してあったんですけど、役員報酬、役員は七人、常勤役員ですね。ですから総額で一億九百六十三万何がしということになるんではないかというふうに思うんですが。  この七人の常勤役員というのは、これは一人を除くとすべて天下りですね。間違いございませんか。
  174. 佐田通明

    参考人佐田通明君) おっしゃるように、公務員の経験の方がおられますが、各省から来られております。  それから、役員といっても、全部……
  175. 小池晃

    ○小池晃君 常勤役員。
  176. 佐田通明

    参考人佐田通明君) はい、常勤役員も全部部長を兼ねております。私も専務ですけれども事務局長をやっておりますので、そういうそれぞれラインの中で仕事をしているということは御理解を賜りたいと思います。
  177. 小池晃

    ○小池晃君 いや、仕事していないとは言ってないわけで、天下りかどうかという確認だったんですけれども、七人のうち、一人を除いてすべて天下りなんです。  この役員報酬というのは財団収入の五%を占めるんですね。これ、わずか七人の常勤役員報酬のために費やしていて、しかも役員以外でも法務省から四名、厚生労働省から四十六名天下りをしている。  JITCOの役員、これは常勤役員でない役員のメンバーは、奥田さん、日本経団連会長、それから澤田陽太郎元厚生労働事務次官などが、そうそうたるメンバーが官界、財界から名前を連ねて、そういう威光を背景にして受入れ団体、企業から資金を集めて天下りの受皿をつくっていると言われても仕方ないんじゃないか。しかも、ここに補助金、委託金で年間六億円の国費が投入されているわけであります。  私、大臣、お伺いしたいんですが、こういう今のJITCOの実態、非常に問題が解決されない、むしろ違反事例なんかどんどんどんどん増えている中で、権限もなく体制も不十分で、しかも受入れ企業に対してきちんと物が言えないようなこういう団体を中核に据えて制度の推進を図っていくのでいいのか。私は、体制、権限ともに受入れ企業に強力に指導ができる機関を中枢に据えて、制度の理念と実態が懸け離れているわけですから、しっかりそれ一致させるような方向に根本的にこの仕組み見直す必要があるんじゃないかというふうに考えるんですが、大臣、いかがですか。
  178. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) 当然、権限あるなしは別として、JITCOが期待される役割を果たし得ないということになれば、今御指摘いただいたような議論が当然出てくることになるであろうと。  そういった意味では、今日お見えになっていますから、やはり期待される権限、仕事というのはしっかりしてもらわなきゃならないということは今日は申し上げておきたいと思います。
  179. 小池晃

    ○小池晃君 これは、もう本当に十年来指摘をされ続けながら一向に改善していない、しかも状況は悪化を続けているわけですから、私、真剣にこれは在り方を見直す必要があるということを申し上げておきたいというふうに思います。  以上で質問を終わります。
  180. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  本題に入る前に、二つの項目についてちょっとお聞きをいたします。  まず初めに、タクシーの規制緩和問題についてお聞きをいたします。  五月八日付けの朝日新聞で、トラック、バス、タクシーの運行会社が道路運送法など悪質な違反があれば直ちに営業停止処分ができるよう基準を強化する予定との報道がありました。もちろんそれは一歩前進なんですが、しかし、タクシー業界に見られるように、交通事故数の増加、労働者の平均年収の低下、スピード違反が起きやすいことなどは規制緩和が一つの原因になっているということは明らかです。したがって、根本的な対応策は新たな規制を、再規制を早急に導入するべきと考えますが、いかがですか。
  181. 松尾庄一

    政府参考人(松尾庄一君) お答えいたします。  タクシーにつきましては、平成十四年二月の改正道路運送法施行後、新規事業者の参入や多様なサービス、運賃の導入など一定の成果が現れつつありますが、タクシーをめぐる経営環境は、一部の地域では若干明るい兆しが見られるものの依然として厳しく、それがタクシー運転者の収入等にも影響を与えていると承知しておるところでございます。  委員指摘の交通事故の件でございます。  これにつきましては、その発生件数につきまして、規制緩和の前後三年間の平均年間増減率を比較してみましたところ、緩和前の三年間が年間平均七・八%の増であったと、一方、緩和後の三年間はその年間平均率が一・四%の増ということで、ポイントとしては六ポイント強減少しておるという状況でございます。このことから、規制緩和の影響によりタクシーの事故が増加したということは必ずしも言えないのではないかと考えておるところでございます。  また、タクシーの運転者の平均年収につきましてですが、これにつきましても、法改正が施行される十四年以前から低下傾向が続いております。その要因としては、近年の景気動向の影響、それから輸送人員が長期にわたり低迷していることなどのことが考えられ、必ずしも規制緩和の影響によるものとは言えないと考えております。  とは申しますものの、国土交通省としては、昨年十月に交通政策審議会にタクシーサービスの将来ビジョン小委員会を設置し、規制緩和後の実態把握、分析を行い、輸送の安全と利用者利便の増進を図るため、今後の望ましいタクシーサービスの在り方、その実現のために必要な環境整備方策について御審議をいただいているところであり、ここでの審議結果を今後の政策立案に適切に反映さしていくということとしております。
  182. 福島みずほ

    福島みずほ君 二〇〇一年、タクシーの台数の規制緩和をする際に社民党は反対をしました。台数を増やせば自動的に運転手さんの年収が減ってしまうことは明らかであって、その前から年収の減少が見られるけれども、それ以降、年収の減少が明確に全国的に起きたと。しかも、今全国の中で地域によって格差がとても拡大をしていることは御承知のとおりだと思います。沖縄では年収が二百万円以下となっております。  その意味で、もうこれは最賃さえ、下になってしまう。働きながら、平均年次が五十二、三歳の人の平均所得がとても低くなっていると。労働時間は長いという状態の中で、国土交通省、そして厚生労働省はこういう労働実態に関してきちっと考えるべきであると。去年調査をしていただきましたので、私は、立入調査をする、あるいは摘発をする、もちろんそれは重要だけれども、再規制をきちっとすべきであると考えますが、改めていかがですか。
  183. 松尾庄一

    政府参考人(松尾庄一君) ただいまも申し上げましたように、今現在、国土交通大臣の諮問機関であります交通政策審議会にタクシーサービスの将来ビジョン小委員会を設置して、規制緩和後の実態把握、分析を行っておるわけでございます。  その結果、数々、幾つかの問題というものも明らかになっております。そういう中には交通事故の増加等の問題もございます。また、タクシー運転者のいわゆる収入の低下というような問題もあると。そのほか、一部地域におきましては、客待ちによる交通渋滞の増加等々の問題が生じておるというような実態分析、把握に基づきまして、そういう、今後輸送の安全と利用者利便の増進を図るためにどうやったらいいのか、そのための環境整備方策ということを御検討していただいております。その結果等必要な、例えば仮に規制をすべきであるというようなことになれば、そういう話を今後の政策立案に適切に反映してまいりたいと考えております。
  184. 福島みずほ

    福島みずほ君 審議会は今年六月をめどに報告書が提出される予定というふうに聞いておりますが、それでよろしいですか。
  185. 松尾庄一

    政府参考人(松尾庄一君) 今現在、審議会精力的に御審議をいただきまして、御指摘のとおり六月をめどに、六月末をめどに報告書をいただくということで進んでおります。
  186. 福島みずほ

    福島みずほ君 小委員会で議論されていることは大変結構なことですが、国土交通省としてどう考えるのか、いかがですか。
  187. 松尾庄一

    政府参考人(松尾庄一君) この小委員会には、タクシー事業者、それから労働組合の代表、それから学識経験者等々、多方面にわたる委員の今熱心な討議が行われております。そういうものの中で将来の、タクシーの将来ビジョンにつきまして有意義な答申をいただけるものというふうに思っております。私どもといたしましては、その答申を誠実に実行してまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  188. 福島みずほ

    福島みずほ君 大口利用者の割引の問題については、御存じ裁判が提訴をされております。その意味で、今まで行ってきた国土交通省の規制緩和政策がどうだったのか。私は、社民党としては再規制をしていただきたいということを強く要望として申し上げたいと思います。国土交通省としてこの点については去年調査委員会を合同で立ち上げられ、結論も出されたわけですが、いかがですか。──厚生労働省。じゃ、いいです、国土交通省だけで。分かりました。じゃ、厚生労働省もよろしくお願いいたします。  では次に、ゆうメイトのことについて一言お聞きをいたします。  総務委員会で私はゆうメイトの雇用継続問題について質問をいたしました。これもう全国十二万人余り、平成十四年度統計のゆうメイトの人がいらっしゃるんですが、なぜ私どもが関心を持つかといえば、これが日々雇い入れられるといういわゆる非正規雇用の人たちであるという、その労働の問題です。  政府は、新会社の採用方針が明確にならないと公表できないということですが、いつ雇用計画をゆうメイトの皆さんに伝える予定なのか。来年の四月ごろとの説明がありますが、厚生労働省としては公社並びに新会社のこの方針にどのような関心を持って指導していくのか、お聞かせください。
  189. 山下英利

    委員長山下英利君) 厚生労働省ですか。
  190. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい。じゃ、総務省どうぞ。
  191. 佐々木英治

    参考人佐々木英治君) 福島先生に総務委員会の場でもお答え申し上げましたけれども、公社といたしましては、業務運行確保を考えますと、現に公社に雇用されているゆうメイトの方々のサポートが非常に大事だと、必要不可欠だと考えております。  そこで、総務委員会の場でも申し上げましたように、来年の四月、十九年の四月に九月末までの雇用についてゆうメイトの方々説明をすることになりますので、その際に新会社における雇用についても何らかの説明をしたいというふうに考えているところでございますけれども、現段階におきましてはどの時点ということをまだ正確に申し上げられる段階にございません。  個々の勤務継続の有無につきましては、これもう先生御案内のとおり、準備企画会社であります日本郵政株式会社の方で労働条件あるいは募集手続、日程等について確定してから決定されていくものと考えておりまして、この雇用の可否をいつお伝えするかにつきましては、現段階ではお答えできる段階にはございません。
  192. 福島みずほ

    福島みずほ君 国鉄が分割・民営化されるときに一人も首を切らないということでしたが、残念ながら大量の解雇が起きたわけです。今回、このゆうメイトの人たちは非正規雇用ということで不安定雇用であるので、この人たちがきちっと採用されるようにということを改めて強く要望をいたします。  公社自体に徐々に首切りなどがされないようにということについてはいかがでしょうか。
  193. 佐々木英治

    参考人佐々木英治君) 私ども、現在、公社が発足しましてアクションプランというのを策定をいたしまして、この推進に取り組んでいるところでございます。  このアクションプランでは、健全な経営基盤の確立、それから顧客の視点に立った真っ向サービス、職員が明るい将来展望を持てて働きがいのある郵政事業の構築という三つの経営ビジョンの達成を目指しているところでございますが、この健全な経営基盤の確立のためには、当然、収入の増大あるいは費用の削減ということが必要でありまして、中でも効率化というものが非常に重要な課題と考えておりますし、従来からも取り組んでいるところでございます。  この効率化につきましては、民営化のいかんにかかわらず進めてきているところでございまして、民営化前に殊更に大規模な効率化施策を行うというものではございません。
  194. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございます。  改めて、もう一回確認をいたしますが、竹中五原則、平成十五年十月三日、大臣が竹中五原則と出しましたが、五番目、「郵政公社の雇用には、十分配慮する(配慮原則)」というのがありますが、ゆうメイト職員は対象になるということでよろしいですか。
  195. 佐々木英治

    参考人佐々木英治君) 直接にゆうメイトの方に対してこの五原則が適用になるというふうには考えておりませんが、十分それは配慮しながら策定されるというふうに思っております。
  196. 福島みずほ

    福島みずほ君 平成十九年四月採用計画で、十月に新会社になりますが、どの段階で個々のゆうメイトに説明するのか、それについて是非早目にきちっと、そして、今答弁していただきましたが、その答弁でちょっと安心をいたしましたが、雇用の継続について心からよろしくお願い申し上げます。また、今日この質問をしたのは、労働条件という意味で厚生労働省にも関係が大変あることなので、是非厚生労働省も目を光らせてくださるよう心からお願い申し上げます。  では本題に入りますが、日本版デュアルシステムというのが今まで行われておりますが、予算どれぐらい掛かったかについてもデータを出してもらいました。  平成十七年度は公共職業訓練活用した日本版デュアルシステム実施民間活力活用した日本版デュアルシステムの拡充等の合計百二億円、平成十八年度は八十七億円、予算が使われております。何が問題で今回このような法案の提案になったのでしょうか。
  197. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 今御指摘のありましたいわゆる日本版デュアルシステムにつきましては、若年失業者それからフリーター対策として平成十六年度から実施してきているものでございます。  これにつきましては、その実績は、五か月間の短期訓練については、十六年度で二万三千人、その就職率が六八・四%、それから翌年、十七年度についてはまだ十月までの実績しかございませんが、その就職率は七一%ということで、座学のみ、施設内訓練座学のみの委託訓練と比べて就職率は高いものとなっております。効果が上がっているというものでございます。また、長期の訓練のものにつきましても、平成十七年十月末までに訓練が修了した者についての就職率は九割を超えるということになっております。  この施策につきましては教育訓練主導型で展開されているものでございまして、企業側からしてなかなか主体性が発揮できないというような、午前からの御説明に申し上げましたようなことが指摘されているところでございますが、ただ、今申し上げましたような効果が上がっているところでございますので、今回御審議いただいている実習併用職業訓練とは別に若年失業者あるいはフリーター対策としては重要なものだと思っておりますので、引き続き推進をしていきたいというふうに思っております。
  198. 福島みずほ

    福島みずほ君 今回の法案はどこからの要請なんでしょうか。
  199. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 今回の御審議いただいているものにつきましては、昨年の末に、ほぼ一年にわたって御検討いただいた労働政策審議会の中の関係の分科会で御議論をいただき、そこから今後の職業能力開発施策在り方についてという建議をいただいたところでございます。  この審議会、その分科会の構成は、学識経験者、それから労働者を代表する者、使用者を代表する者の三者構成から成っておりますが、そこからいただいた建議の中で今回の実習併用型職業訓練の推進について強く提言されているものでございまして、それを踏まえて今回御提案させていただいた次第でございます。
  200. 福島みずほ

    福島みずほ君 中小企業からの強い要請があったというふうに聞いておりますが、それでよろしいでしょうか。
  201. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) その分科会の中にも中小企業を代表する者も入っておられましたし、また中小企業の関係の団体の方からも、極めて効果のある、意味のあるものだということで要請が出されていることもございます。
  202. 福島みずほ

    福島みずほ君 今度の法案によって予算はどれぐらいの規模、まあ従来の予算の一部を使われるということを聞いておりますが、予算はどれぐらいというふうに考えていらっしゃるのか、どれぐらいの雇用をできるとお考えなのか、そのうち正社員、非正社員の割合をどれぐらいと予測を立てているのでしょうか。
  203. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 今回この御審議いただいております実習併用職業訓練にストレートにつながる予算としては、既存のメニューを、助成金等のメニューを活用するということでございまして、今回の御提案も予算非関連ということで御提案させていただいている次第でございまして、ストレートな額は今特に予算を講じているということはございません。新規高卒の、卒業生が来年出てまいりまして、この仕組みに乗ってくることを目途に今後必要な施策については検討をしていきたいというふうには思っております。  それから、どのくらいをめどにしているのかということだとございます。  民と民の組合せで実施するシステムで考えているものでございますので、具体的にどれだけをというのはなかなか難しいところはございますが、目標としてはこのシステムに乗ってくる者が五年間で五万人程度を確保できればというふうには思っております。  以上でございます。
  204. 福島みずほ

    福島みずほ君 予算を伴わないというのがちょっと理解ができなくて、あるいは予算の予測をしていないというのも実は理解ができないんですね。これだけの事業をやろうとしているのに予算の予測を立てていない、答弁が出てこないというのは実は私は奇妙に思っています。  また、五年間で五万人、一年間で一万人というふうに聞いておりますが、けたが違うんじゃないかと。二十五万人正社員化対策というのを厚生労働省は打ち立てられましたが、これから一年間に一万人つくっていくと。何かなかなか少な過ぎるんではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  205. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 先ほど申し上げましたが、教育訓練機関それから民間事業主、それの組合せで実施させていただくものでございまして、それぞれの御理解と御協力を前提にして進めるものでございますので、どれだけのということは、これから我々がそういった関係の方々と、法案を成立させていただきました暁には、具体的な進め方等について詰めた議論、相談をさせていただきまして、それに基づいて、一層の普及、定着、そういった方向に努めていくことにしたいというふうに思っております。
  206. 福島みずほ

    福島みずほ君 今資料を配っていただいておりますが、若年雇用対策費の国際比較、GDP比で、日本は二〇〇二年で初めて〇・〇一%と大変低いものです。もちろんこれは国際比較ですからいろいろ言い分はあるかもしれませんが、厚生労働省として、これから法案作って、一年間一万人つくると、これはやっぱりちょっと少ないんじゃないかと。あるいは、予算のどれぐらいの規模かと聞いても、それは計算していない、あるいは今回予算を伴いませんと言われると、実は正直首をひねってしまいます。一年間に一万人雇用をつくるぞ、分かりました。  正社員、非正社員についてはどのようにお考えですか。
  207. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 現場人材としての入職を予定しているものでございまして、今申し上げた数も正社員としての数として考えているものでございます。
  208. 福島みずほ

    福島みずほ君 日本版デュアルシステムの検証では、先ほどもありましたが、ほぼ正社員と非正規雇用が半々ぐらいだというふうにデータが出ているというふうに思います。これは必ず正社員になるのでしょうか。日本版デュアルシステムをやっても半分は非正規雇用なんですよね。
  209. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 正規雇用になるように取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
  210. 福島みずほ

    福島みずほ君 しかし、保証はないわけですよね。お金を掛けて、何十億、八十億、例えば毎年八十億掛けて日本版デュアルシステムをつくって、半分は非正規雇用というのは若年層雇用については非常に残念というふうに思います。  次に、今回の法案では、実習しながら座学をやると。日本版デュアルシステムと違う点は、自分で学校の費用を払うわけですね。これは研修生のような、実習生なわけですから給料はそんなに多額ではないわけですよね。昼間働いて、研修をして、夜学校に行くと。その学費も自分で負担すると。そうしますと、独り暮らしをして自分で生計を賄いながら働けるという金額ではないと思いますが、いかがですか。
  211. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 中心の層としましては、先ほど来申し上げておりますように、新規の高校卒業生を念頭に置いたものでございまして、そういう意味で、実習生としては労働者でございますから企業から賃金をいただいて、座学の方、研修を受けることにつきましては本人の負担でということで考えているものでございます。
  212. 福島みずほ

    福島みずほ君 私の質問は、自分で、高校を卒業した人が学校に行く授業料も負担するわけですよね。親のすねかじりでない限りなかなかできないんじゃないですか。
  213. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 高校に入学される場合でも、大方親の負担でということで……
  214. 福島みずほ

    福島みずほ君 でも、卒業後でしょう。
  215. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) ええ、卒業後のことでございますけれども。  実習生としては一定額の賃金を通常の労働者として受け取るということになりますので、それを前提にして座学の方の負担は本人にしてもらおうというものでございます。
  216. 福島みずほ

    福島みずほ君 働きながら、夜学校に行く費用は自分で負担するわけで、これはアパート借りて自分で生活費を払ってという金額では、とても無理だというふうに思っています。設計が、親のすねかじらない限り、あるいは親元にいない限り無理ではないかというふうに思います。  このことをやって、例えば企業がその人を雇わないということもあるわけですよね。あるいは、トラブルが生ずる、こんな会社嫌だと、それは両方あるかもしれません。そのときのトラブルのときに、企業での訓練状況チェックなどはどこがやるのでしょうか。
  217. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) まず、事業主から出されます訓練の計画についての認定を大臣が行うこととしておりますが、その中で適正な認定をしたいというふうに思っておりますし、それが、その認定された基準にのっとって適正に実施されているか否かのチェック、それから、企業からの相談への対応等の実施体制につきましては、現在実施しておりますデュアルシステムを通じて得られた成果等も踏まえながら、現在検討中でございますが、いずれにしましても、企業が質の担保された訓練を適切かつ円滑に実施することができるような体制づくりにこれから努めていきたいというふうに思っております。
  218. 福島みずほ

    福島みずほ君 若い人たちの雇用がきちっと成るということは大変いいと思いますが、今お聞きした範囲でも、厚生労働省の地域での出先機関が窓口となるのか、地元の商工会議所などの組織が窓口となるのか、検討中ということなわけですね。  トラブルが起きる可能性が十分ある。例えば、そこで研修して自分に合わないとか、あるいはそこの企業で働きながら、結局つぶしが利かなくなるんじゃないかと、いろんなことが考えられるわけです。そのトラブル処理をどこがやるのか、チェックをどこがするのかについても今日の段階で答えがないということに、非常に私は問題だと考えております。  是非、このシステムがうまく回っていくように、かつ、一万人といわず一けた違うぞということと、是非プログラムが、私たちも監視していくということを申し上げ、私の質問を終わります。
  219. 山下英利

    委員長山下英利君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  職業能力開発促進法及び中小企業における労働力確保及び良好な雇用機会創出のための雇用管理改善促進に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  220. 山下英利

    委員長山下英利君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、中村君から発言を求められておりますので、これを許します。中村博彦君。
  221. 中村博彦

    ○中村博彦君 私は、ただいま可決されました職業能力開発促進法及び中小企業における労働力確保及び良好な雇用機会創出のための雇用管理改善促進に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     職業能力開発促進法及び中小企業における労働力確保及び良好な雇用機会創出のための雇用管理改善促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。  一、若年者人材育成については、教育、雇用産業など幅広い観点からの総合的な対策が必要であることにかんがみ、関係省庁間の連携を一層強化し、政府が一体となって対策の効果的推進を図ること。  二、実習併用職業訓練について、事業主のニーズの的確な把握に努めるとともに、制度の実効性を確保するため、業界団体をはじめとする民間団体及び地方公共団体と連携を密にし、事業主学校関係者等に十分な周知を図り、訓練に取り組む事業主を積極的に支援すること。  三、実習併用職業訓練における実習に従事する訓練生は労働者であることから、労働関係法令が適用されることについて事業主等に対し周知徹底を図り、訓練の適正な実施確保すること。  四、労働者の自発的な職業能力開発を推進し、雇用の安定を図るため、キャリア・コンサルタントの養成、資質の向上及び活用や、教育訓練休暇、再就職準備休暇等の普及、定着に向けた環境整備に努めること。  五、職場における非正規労働者に対する能力開発の実態に関する調査を行うとともに、非正規労働者に対する能力開発在り方について、研究会等により検討を行うこと。  六、いわゆる「二〇〇七年問題」に適切に対処するため、中小企業において熟練した技術技能継承に向けた取組が積極的に行われるよう、技術技能の受け手となる人材確保も含めた支援に努めること。また、その支援策の運用に当たっては、改善計画の認定制度の周知を図るとともに、不正受給の防止に十分留意しつつ事務の簡素化に努め、その利用の促進が図られるよう環境を整備すること。  七、「二〇〇七年ユニバーサル技能五輪国際大会」の成功に万全を期すとともに、同大会を契機として、技能とものづくりの振興に積極的に取り組むこと。  八、能力開発事業を含めた雇用保険三事業については、その事業の必要性に配慮しつつ、法に定めた目的にかなうかどうかという観点から、徹底して精査し、適切な見直しを行うこと。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  222. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいま中村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  223. 山下英利

    委員長山下英利君) 全会一致と認めます。よって、中村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、川崎厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。川崎厚生労働大臣
  224. 川崎二郎

    ○国務大臣(川崎二郎君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。
  225. 山下英利

    委員長山下英利君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会