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2006-04-25 第164回国会 参議院 厚生労働委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月二十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十一日     辞任         補欠選任      主濱  了君     下田 敦子君      鰐淵 洋子君     山本  保君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下 英利君     理 事                 岸  宏一君                 中村 博彦君                 谷  博之君                 円 より子君                 渡辺 孝男君     委 員                 阿部 正俊君                 岡田  広君                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 武見 敬三君                 中原  爽君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 水落 敏栄君                 朝日 俊弘君                 家西  悟君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 津田弥太郎君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 山本  保君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   川崎 二郎君    副大臣        厚生労働大臣  中野  清君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    政府参考人        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省雇用        均等児童家庭        局長       北井久美子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○雇用分野における男女均等機会及び待遇  の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を  改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、鰐淵洋子君及び主濱了君が委員を辞任され、その補欠として山本保君及び下田敦子君が選任されました。     ─────────────
  3. 山下英利

    委員長山下英利君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  雇用分野における男女均等機会及び待遇確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案審査のため、明二十六日午後一時に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 山下英利

    委員長山下英利君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  雇用分野における男女均等機会及び待遇確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省雇用均等児童家庭局長北井久美子君外一名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 山下英利

    委員長山下英利君) 雇用分野における男女均等機会及び待遇確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 円より子

    円より子君 おはようございます。民主党・新緑風会の円より子でございます。  金曜日の質疑に引き続きまして、今日は野党のトップバッターで質問をさせていただきますが、もう御存じのように、均等法の成立後二十年が経過いたしました。また、九七年に均等法改正がございましたが、こうした中で、かつてのような露骨な男女差別は少なくなったと言われておりますけれども、見えにくい差別が広がっていることはもう皆様御承知のとおりだと思います。  九七年の均等法改正では、男女差別禁止がそれまでの努力義務から法的禁止に変わりました。ところが、このとき同法の指針で男女差別同一管理区分内の差別禁止とされたために、男女差別総合職一般職の区別といったコース別雇用管理の拡大やパート派遣といった非正社員増加など形を変えてまいりました。  ちょっとお見せしたいと思うんですが、皆様資料をお配りさせていただいておりますが、今日は傍聴の方もたくさん来ていらっしゃいますので、ちょっとパネルを用意させていただきました。(資料提示)これが最近の、ずっと一九八四年から二〇〇五年の直近までのそれぞれ、正規社員、非正規社員男女別の推移でございます。  御存じのように、男性の方も非正規が確かに多くなってきておりますけれども、まだまだ微々たる増加でございますが、女性の方は、何と一九八四年のころは七〇%が正規社員であったにもかかわらず、今は五〇%を切っているという状況でございまして、逆に非正規社員の方が三割未満だったものが今は過半数を超えた、こういう状況にあるわけですね。  私は、もう大学を卒業したのは随分昔のことでございますけれども、当時、学部、文学部だったものですから出版社に入ろうとしましたら、短大卒でないと駄目だと言われまして試験がなかった。四年大学卒の女などというのは試験も受けさせてもらえなかった。それから、家政学部で料理とか裁縫ができる人だったら出版社は採るけれどもというような、今からは余り考えられないような差別が歴然としてあったわけでございますから、そういう意味では、均等法ができて、私のような人間が普通に学部差別もなしに入れるようになったかもしれませんが、でも、例えば理工学部とか経済学部とか、そういうのでなければまた駄目だということも今なおあるようでございますし、何よりも私が今日今この非正規社員が増えているということの表をお見せしましたのは、女性がこれだけ非正規雇用形態に閉じ込められている中で、この人たち待遇改善が今回の改正でなされるのかと、どうもその見通しはほとんどないのではないかという、そういう改正であって、この均等法男女が本当に働きやすい社会を築く基になるのかどうか、その辺のことを大変憂えておりまして、今回は民主党修正案を今用意させていただいておりますが、その主要な修正点は、まず間接差別禁止なんですが、今回限定列挙になっております、三つだけの。  そうしますと、今申しましたような、住民票上の世帯主であることを要件とする場合や、正社員パートあるいは契約社員という雇用形態の違いによる取扱いの差異の場合などの現実社会で生じている問題につきまして、この均等法では間接差別ではないということに今回の改正ではなっておりますので、この改正法案による救済は受けられないということになってしまいます。ですから、これをきちんと間接差別の中に入れてほしいというのが私ども修正案のまず第一の骨子でございます。  もし、このように省令で限定されると、該当しないケースが裁判で争われた場合に非常に困難になるのではないかというようなことがございまして、これは木曜日の質疑の中で、そういうことはないという大臣の御答弁もいただいているようでございますけれども、このことも確認させていただきたいというようなことがございます。  それからもう一つ派遣有期雇用やそれからパート契約社員、こうした非正規社員方々収入といいますのは大変低いんですね。そうしますと、この賃金における差別というものがあって生活が成り立たない。  今、少子化のことが大変問題になっておりますけれども、もちろん子供を産む産まないというのは経済的な理由からだけではありません。そうではありませんけれども現実に、十五年前までは専業主婦の片働き家庭で最も子供が生まれていた。それが今は、正社員ボーナスもあって安定した職業にある共働きの、妻も夫もそうした安定したボーナスのある正社員である家庭が最も子供を産んでいるという統計が、これは政府統計でございますが、出ていることを考えますと、やはり、収入だけではないけれども人間というのは、安定した雇用というのがいかに子供を産むことの一つのバックボーンになる、背景として大事かということははっきりしているわけでございまして、こういうことを考えますと、女性の非正規社員が増え、そして賃金が格段に低いということは大変問題だと思うんですね。  政府は、外に向けまして、男性正社員の給与を一〇〇としますと、女性の場合は平成十七年で六五・九%だと公表しております。米国ではこの賃金格差が一〇〇対七六、イギリスは一〇〇対八〇・六、フランスは一〇〇対七九・八、こうしたようなことを考えますと、これでも大変低いんですが、でも、私たちはこの六五・九という数字にだまされてはいけないと思うんですね。これは正社員だけの比較なんです。  先ほど申しました半数以上になった非正規女性を含めますと四九・六、半分にならないんです。パートだけですと三七・九になってしまうという、こういう数字を一切出さないで七割近くになっているというのは、私はちょっと現実を見据えて法案作りをなさっているという姿勢には思えないんですね。  今回の均等法では、そうした男女差別がこの雇用形態別には当たらないと、雇用形態別差別禁止法案ではないというお答えが何度も返ってきておりますけれども、このような非正規社員がどんどん増えている状況で、この男女雇用機会均等法改正する意義というのはどこにあるのか、この非正規社員がどんどん増え続けて現実には間接差別になっているような状況を、まず大臣はどのようにとらえ、今後、この均等法以外でもよろしいんですが、どのようにこうした問題を是正し、そして少子社会の中で子供を安心して産めるような、男女ともに働いていけるような状況をつくろうと厚生労働省トップとして思われているか、まず意見をお聞かせ願いたいと思います。
  10. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、現状の認識でございますけれども雇用情勢全般からいえば、もうお分かりのとおり、十五年でしょうか、一番厳しい数字でありましたのは、特に平成十五年は若者失業率が一〇%を超えた時代でございます。その後、改善に向かい、昨年の暮れに有効求人倍率が一・〇を超え、また失業率も四・一%まで改善をしてきた、これは間違いない事実だろうと思います。そういう意味では、改善方向に進みつつあるということは、まず申し上げていいんだろうと思います。  しかし、一方で、改善方向に進みつつあると言いながら、今申し上げたように、第一に、若者雇用はまだ極めて弱い、ここをどうするかという問題が一つある。それからもう一つは、同一労働をしながら、パートタイマー労働者正規雇用者の間の賃金格差問題、この問題をどうとらえていくか、これは既にパートタイム労働法律がございますから、こうした問題を含めて議論をしっかりしながら煮詰めていかなければならない話であろうと思っております。  一方で、正規、非正規の問題でございますけれども、私ども団塊世代、そろそろ六十という定年の年になってくる、したがって六十二歳への延長、六十五歳への延長という形で話を進めてまいりました。ただ、そのときにやり方として、一つ定年制延長、もう一つは再雇用制度というものを進めてまいったと、その再雇用制度の中で三年とか五年の契約的な形、これはトヨタさん始め各メーカーがそうであります。したがって、六十超えた人を高齢者と呼ぶのがいいかどうか別の話として、我々の世代ですね、かなり非正規雇用分野が増えてきているだろうと、これも一つ、それは働き方、必ずしも週五日働き、フルで働くということはなじまないという方々もいらっしゃいますので、そこも、それは非正規雇用ととらえたからといって、これが駄目だというのでは、我々の政策、違うところへ走っていくことになりますので、それは違うと思います。  しかし、一方で、御指摘をいただきました男女間の賃金格差という問題が間違いなくあると、こういう認識はいたしております。我が国の男女間賃金格差一般労働者については縮小傾向にあるといえ、国際的に見てその格差は大きく、男女間の賃金格差縮小は重要な課題と考えております。  そこで、この改正法案には、男女双方に対する差別禁止差別的取扱い禁止する雇用ステージ明確化、追加、間接差別禁止など性差別禁止範囲、また妊娠理由とする解雇禁止規定の強化や、解雇以外の不利益取扱い禁止など、こうした形で盛り込ましていただいております。こうした規定を強化することによって、女性労働者が配置や昇進において差別を受けない、また、妊娠、出産により離職を余儀なくさせられる、したがって勤める年数が少ないから賃金が少ない、こういう悪循環を止めることができるんだろうと、こういうふうに思っております。  この二つの措置によって女性勤続年数というものが長くなっていくだろうと。したがって、その結果として、男女間の賃金格差縮小してくると。そういう意味では、冒頭お尋ねあった、この法律によって男女間の賃金格差は埋まっていくのかということになれば、この法律改正によって男女間の賃金格差の解消に資するものだと、こういうふうに考えております。  もう一方の話のパートの問題については、もう少ししっかり準備をしていきたいと、このように考えております。
  11. 円より子

    円より子君 今日はたくさんの傍聴の方もいらしていますけれども、ずうっと働き続けた女性の中での差別というのは昇進差別ですとか様々、少しずつこの均等法改正されていくと思いますけれども、先ほど大臣もおっしゃいました再就職時の年齢制限というのがずっとございまして、これが女性たちを苦しめてきたんですね。  国会議員になってすぐのころ、十何年前でございますけれども年齢差別イギリスなどでは間接差別だと、もうそのときから規定されておりまして、どうしてかといいますと、やはり諸外国でも、結婚し子育てをする中で子育ての負担はほとんど、家事もそうですが、妻の側に掛かるということで、仕事を辞めざるを得ないのは圧倒的に女性の側でしたから、子育てが一段落して、そして就職しようとしたときの年齢差別、そのときの就職時の年齢制限でフルタイムの仕事に就けないということがありました。そうしますと、圧倒的にそれは女性の方が男性よりもそうした差別を受けることが多いということで、イギリスでは間接差別として規定されていたので、日本でも、長い間、パートにしか就けない、有期雇用派遣社員、そのころ、それほどそういうものは多くなかったですけれども、十何年前は、でもそういう形で賃金が低く抑えられてしまうと。  多様な働き方という言葉は大変美しい言葉なんですけれども現実には、じゃ短い時間しか働けない、食べていけないという問題がありまして、決して、ゆったり食べていけて生活が豊かだから短い働き方がいいとか、そういうことではどうも日本の場合はない。そういう中で、年齢制限がほとんど女性のそうした賃金の低さというものにつながるということで、これは間接差別ではないか、是非九七年の改正のところでこれを加えてほしいと随分話したんですが、再就職時の年齢制限均等法範囲ではありませんということで、全く相手にされなかった覚えがあるんですけれども是非、今大臣がおっしゃったパートタイム労働法ですとか様々なところで、正社員のための均等法ではなくて、これだけでやれるというものは少ないのかもしれませんが、是非正規社員、それから子供が熱を出して保育園に預かってもらえないとき、何度もそういうこと私などもありましたけれども、じゃどうするかといいますと、日給月給の方は、つまり残業してもお金が入らない、それから休むとお金が入らない、有給休暇もないというような働き方の人が圧倒的に多いわけで、そうした人たちは、熱を出している子供保育園に預けられないから、大抵独りで寝かせて仕事に出るという、そういうことをずうっとやってきたわけですね。  そういうことを是非厚生労働省は頭に置いて法案作りを進めていただきたいなというふうに思っておりますが、もう一つ、話を戻しますと、修正案骨子の中で、先ほど言いました間接差別にそうした問題を入れることと同時に、限定列挙ではないようにすることと同時に、賃金の問題も言いましたが、もう一つ大事なことは、私ども仕事生活調和ということをしっかりこの均等法の中に、理念目的で、そこに入らなくても、そうした姿勢を入れていきたいということがございまして理念に入れさしていただきましたが、先ほど申しました社会的な問題となっています急速な少子化、これは働き方の二極化を解消しない限り解決しないと思うんですね。  ここに、三枚の資料の中の一枚に、皆様のお手元にございますが、男女別労働時間、これ週当たりでございます。日本は一番下なんですが、フランス、スウェーデン、イタリア、イギリス韓国日本と、六か国の比較を今資料に載せておりますが、男性大変週当たり労働時間、日本は長い、韓国も似たり寄ったりのところございますけれども韓国女性も長いですね。  こういうような状況がありまして、三十代の子育て期の男の人の労働時間が大変長いということはもう大臣御存じだと思いますが、均等法改正後の十年間の変化を見ましても、週の労働時間が三十五時間以上六十時間未満の人は減少しておりまして、それに代わりまして三十五時間未満と六十時間以上の人が増えているんですね。これを働き方の二極化と言っているわけですけれども、これが先ほど大臣もおっしゃったように、若い世代で深刻な問題になっていると。これ、別に短い時間がいいというわけじゃなくて、こういう非正規の短い時間の働き方しかなくて賃金も少ないということになるし、またもう一つは、長時間労働がもう当たり前になって、一時は帰るコールなどというのがコマーシャルやらいろんなところでも言われまして、お父さんは余り長時間労働せずに家庭を大事にしましょうと、仕事生活調和をとそのころから言われていたわけですけれども、逆に今は長時間労働の人が大変増えているという状況になっていまして、私は、男女雇用機会均等法の一番のねらいは、均等にするというのは長時間労働男性女性を合わせることではないと思っているんですが、まず、ここを大臣にちょっとお聞きしたい。当然そうですよね。
  12. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 働き方の中で日本の働き過ぎというものはできるだけ是正の方向で進まなきゃならぬと、これは認識は一緒だろうと思っております。
  13. 円より子

    円より子君 そうしますと、この仕事生活調和というのは均等法ではどういうふうに実現を図るようになさっているんでしょうか、どの部分で。
  14. 山下英利

  15. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) いいですか。私の方から言いましょう。
  16. 山下英利

  17. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 基本的に今お話ございました仕事生活調和、これは極めて重要な話だろうと思います。  ただ、どの法律でやるかということになれば、労働基準法とか労働時間という切り口の法案がふさわしいだろうと私どもは考えております。そういった意味で、均等法性差別禁止のための法律でございますので、均等法の中に、労働法制全体の思想としては、正に委員指摘のように、また私が申し上げたように、仕事生活調和、大事だと思います。しかし、均等法の中に入れた方がいいではないかという御議論になりますと、まだ他の法律の方がなじむのではなかろうかなと、このように思っております。
  18. 円より子

    円より子君 そうしますと、労働基準法ですとかそういうところでの方がなじむということで、じゃ、労働関係法令全体の中で仕事生活調和というのを図っていこうというふうな今趣旨でお話なさったんだと思いますが、均等法はその中に含まれると思うんですね、労働関係法令に。私は別に両方で書いてもいいと思うんですけれども。  九七年の均等法改正においては、職業生活家庭生活調和というのが以前にはあった。その文言が削除されました。それは、女性差別禁止する法律だったから、仕事生活調和女性だけを対象にしてしまうのはおかしいという意味でどうも削除されたそうでございます。また、もう一つ育児介護休業法仕事生活調和規定されましたので、働き方規定する均等法との法律の管轄の区分というのがあって、こちらでやったからいいじゃないかというので削除されたといういろんな理由があったようでございますけれども。  育児介護を担う人だけの問題ではないと思うんですね、この問題は。すべての労働者にとって、仕事生活というのは、生活というのは育児介護家事だけではなくて個人の生活、地域の生活、いろんなものがあると思いますから、私は、すべての男女労働者にとって、これは働き方の問題ですから、差別禁止の内容にもかかわりますので均等法でもおやりになったって何も問題はないと思うんですが、いかがでしょうか。
  19. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほどお答え申し上げましたように、基本的には性差別禁止をするという目的で作った法律に、労働法制全体としてなじむ問題だからどこにも入れろという御指摘になりますと、ちょっと法律構成からいってどうかなと。もちろん、九年の改正にそのような議論がございました。そして、この法律目的としてもう少し絞った目的にしていった方がいいんじゃないかというのが当時の結論としての議論であったと思いますので、今回の改正はそこに合わせながら私どもは御提案をさせていただいた。元のように戻してなるべく範囲を広げた方がいいんじゃないかという御主張でございますけれども、そこは他の法律の方でいろんなセットがされておるという形で御理解を賜りたいと思います。
  20. 円より子

    円より子君 それでは、ちょっと先ほどの長時間労働等についてお聞きしたいと思いますが、今回の改正女性だけではなくて男女双方に対する差別禁止規定となるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、男性のみが長時間労働や転居を伴う転勤、単身赴任を強いられることはこの法に抵触することになるんでしょうか。また、今回の男女双方差別禁止規定によりまして男性の無理な働き方改善には結び付くんでしょうか。この辺りをお答えいただければと思います。
  21. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 理屈論としてなかなか難しい議論になってきているんですが、男性だから転勤しろと、男性だからこうしろということになれば、法の精神からいえば、男に対する差別でございますからそれは触れることになるんだろうと思います。男性だからという理屈が付けば、そう思います。
  22. 円より子

    円より子君 なぜ今そういうふうな話をしたかといいますと、やっぱり人事処遇制度の中で、企業のですね、仕事生活の両立が困難になるような、もちろん転勤が駄目とかそういうことを言っているわけではないんです。ただ、本当にその両立が困難になるような転勤ですとか長時間労働が、そういうことを必要とされるような、条件とされるような場合があるそうでございまして、そうした場合に現状では、特に家族的責任を今の場合は女性の方が多く負っていますので、そういう女性が排除されることになる可能性がございます。これは性差別になって、均等法ではこういう問題にはどのように対処できるのかを教えてください。
  23. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 転勤を含みます配置などにおきまして女性であることを理由として異なる取扱い差別的取扱いをするということは、これは直接差別として現行均等法においても違反になるところでございます。  また、今回御提案をしております改正法案におきましては間接差別禁止しようとしているわけでございますが、今後、この法案の成立後省令で定める予定の要件、措置の中にも、コース別雇用管理における全国転勤を要件とする総合職の募集、採用に関する措置であるとか、転勤経験を要件とする昇進に関する措置ということを盛り込む予定でございますから、この意味からも、転勤あるいは昇進に関する男女異なる取扱いというのが禁止が強化されるものと考えております。
  24. 円より子

    円より子君 女性だからというので転勤させるということの今お話がございましたが、取りあえずは、じゃ、女性子供がいて、夫がいて、家族的な責任を相当持っているときに、どう考えてもそういうものの家族的責任が果たせないような状況下への転勤とか、そういう相当程度の不利益が生じるような場合に、それは間接差別に該当するというふうに考えてよろしいんですね。
  25. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) この均等法違反として禁止の対象とする、範囲とするという意味では、今申し上げたような省令で定める予定のものは今申し上げたようなことで考えているところでございますから、それ以外のすべてのものが当初において間接差別になるということではないと思います。  ただ、育児介護休業法におきまして、育児や家族の介護をする労働者については転勤の配慮というような規定もございますので、この育児介護休業法の趣旨にのっとって仕事育児介護との両立ということについては進めていかなければならないと考えております。
  26. 円より子

    円より子君 育児休業法では、育児中のお母さんの申請があれば深夜業の免除とかいろいろありますし、今おっしゃったような転勤のこともあります。  今回の均等法でも転勤というのが指導ができるような措置になるというふうになっておりますけれども、先ほどから申し上げている転勤とかだと割と目に見えやすいんですが、長時間労働、同じ都内ですとか同じ地方で長時間労働だと、やはりこれも相当な家族的責任が果たせないし、仕事生活調和というところからほど遠いものになってしまう。  これについては、どのように今回の均等法は措置を講ずることができる、指導ができるようになるんでしょうか。
  27. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 長時間労働という意味は恐らく残業の多い仕事に就くということでありますので、例えば残業の多い仕事女性であることを理由として就ける就けない、あるいは男性であることを理由として就ける就けないというようなことがあれば、これは配置というような問題になってきて、現行均等法でも差別として禁止されるというものでございます。
  28. 円より子

    円より子君 もう一つ長時間労働についてお聞きしたいんですが、長時間労働を是正するという点で、労働時間設定改善法ですとか検討中の労働時間法制、これにおいて仕事生活の両立の促進という点で育児介護休業法も入れて、それにもちろん今回の均等法も含めて一層取組を進めていただきたいと思うんですが、先ほど少し大臣も答弁していただきましたけれども、それを更に進めていくようなちょっと取組への姿勢をお聞かせいただきたいと思うんです。
  29. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今ほど大臣が御説明申し上げましたように、仕事家庭との両立、あるいは職業生活家庭生活調和ということについての関係する法律としては、育児介護休業法や次世代育成支援対策推進法それから労働時間設定改善法等がございます。  こうしたものについての法律の円滑な施行という意味で必要な施策を強化をして、きちんとこの法の趣旨が徹底するように啓発や指導あるいは援助ということに努めていきたいと思っております。
  30. 円より子

    円より子君 またまた仕事生活調和についてお聞きしたいんですが、御存じのように、国連の女性差別撤廃委員会の最終コメントの第三十四項で、委員会は、家族的及び職業的責任の両立を可能にするための措置を強化し、女性男性の間における家庭及び家族的仕事の平等な分担を促進し、家族及び労働市場において女性に期待される固定的な役割の変化を促すことを勧告するとしておりますけれども、国際的にも仕事生活調和について求められております。  この今回の均等法改正の内容は、このコメントが提起しております課題を充足するものなのでしょうか。
  31. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 女子差別撤廃委員会平成十五年の最終コメントにおきましては、家族的責任と職業上の責任の両立を可能にする施策が強化されることを勧告するとされているところでございます。  今ほど来御説明を申し上げておりますとおり、均等法はワーク・ライフ・バランスについて直接規定するものではございませんので、均等法のこの今回の御提案によってこのコメントと何か関係があるかというと、関係しないというふうに考えております。  むしろ、この勧告を受けて近年、最近実現したものとしては、平成十五年には次世代育成支援対策推進法を制定をいただきまして昨年四月から施行されておりますし、また、平成十六年には育児介護休業法改正いたしましたところでございます。こうしたことで、次世代法に基づいて地方自治体や企業が行動計画を作って両立支援対策を含む次世代育成支援に取り組んでいるところでございますし、また、改正された育児介護休業法に基づきまして育児休業制度の期間延長や有期契約の労働者に対する対象拡大ということがなされたというふうに承知をいたしております。
  32. 円より子

    円より子君 今局長の答弁をお聞きしておりますと、この女性差別撤廃委員会の最終コメントというのは均等法とは関係のない部分だと、別の次世代法律育児休業の法律、こちらの方でやっているということでございますけれども、先ほども申しましたように、大臣仕事生活調和というのは子育て世代のためだけではないと私は思うんですね。  せんだって少子高齢調査会の方で参考人でお呼びした産婦人科のお医者様が言っていらしたんですが、今子供をもっと、もっととは変ですね、少子化が大変だから何とか子供たちを産みたい人には産めるような社会をつくらなきゃいけないという、その一つ政府の欠けている部分があると。それをどういうふうにおっしゃったかといいますと、働き過ぎがやっぱり大きな原因で、まず若い人たちが相手を見付ける機会がない、デートする機会がない。それから結婚してから、せっかく結婚したり同棲したりしても、もう働き過ぎで疲れて帰ってきて、何となく子供を産むための性生活の時間も持てないほどゆとりが持てない、ゆとりがないと、そういう傾向が今若い人たちに、まあこれも二極化していると思いますが、大変強いと。  そうすると、ワーク・ライフ・バランスという言葉がありますけれども、わざわざそんな言葉を言わなきゃいけない、仕事生活調和などということを言わなきゃいけないというのもそれこそおかしな話で、そんなふうに言ってしまえば、均等法などというのを必死で改正していくという社会自体がおかしいのかもしれないんですけれども、まず、そうした子育て世代だけではない、だれもが仕事生活調和のできるような、仕事生活調和が図れるような、そういう働き方ができるということが、私は均等法というのは、先ほど長時間労働、無理な働き方をする男性の方に女性を合わせるのが均等ではありませんよねと申し上げた趣旨なんですが、全員にそうした形の働き方ができるような社会にしていくために、まずは均等法にそういう目的のところにうたわれたらどうかなと、また、大変こだわるようですけれども、入れられなかったとしたらじゃどうしていくかと、もう一度大臣のちょっと意見を教えていただけますか。
  33. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今回、労働法制で能開法と併せて男女均等法を御審議いただく、多分来年はかなり多くのまた労働法制議論をいただかなければならないんだろうと。先ほどありましたパートの問題をどういうふうに詰めていくかという問題も当然出てくると思いますし、また先ほど御発言ありました多様な働き方という議論も出てくるだろうと。そういう意味では、労働法制全体を通じながら、目指す方向としては、言われるとおり、正にそうしたワーク・ライフ・バランスというものはしっかり置きながら、全体の方向として定めながらやっていかなければいけないということはよく分かっております。  しかし、九年の改正の中の議論の中で、この男女雇用均等法は、ある意味では目的を絞ってきちっとここに焦点を当てようということでやってまいりましたので、そこへまた九年の改正議論のところに戻って、またできるだけ広くとらえようという改正を今回はしなかったということで御理解を賜りたいと思います。  しかし、委員がおっしゃることもよく分かりますので、方向性は間違えないようにやってまいりたい、このように思います。
  34. 円より子

    円より子君 それでは、少し細かいことになるんですが、大変大事な問題ですので、間接差別禁止についての質問をさせていただきたいと思います。  男女共同参画社会基本法というのができまして、この中には、間接差別も含めて積極的になくしていくということが確認されております。また、国連の女性差別撤廃委員会の最終コメントでは、コース別雇用管理制度における男女格差の問題が取り上げられております。この最終コメントの留意事項に定められたガイドラインは、コースの区分や処遇の格差に関する透明性、合理性を求めておりますが、もしこの透明性、合理性が認められない場合は実質的には性差別であると考えておりますけれども、それでよろしいんでしょうか。また、この点については、行政指導はどのように徹底されてこられたんでしょうか。
  35. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今御指摘のございましたコース等で区分した雇用管理についての留意事項におきましては、コース等の各区分における職務内容や処遇について合理性、透明性を高めることということを規定しておりますけれども、これは適正で円滑な事業主の雇用管理を行うための留意事項として定めたものでございます。したがいまして、これに沿わない雇用管理がなされましても、直ちにその実質的な性差別として均等法上の違法とはならないという性格のものでございます。  しかし、この本留意事項につきましては、均等法に違反をしている、これをこうやると違反していますよということだけではなく、いま一歩で均等法違反になりますからこういうことのないように、あるいはこういうことを改善してくださいというようなことで留意事項を定めたり、あるいはもっと趣旨に照らして、前向きに女性の能力発揮のためにこういうことをやっていただくのが望ましいですよということを定めた総合的な指針でございますので、こうした留意事項につきましては事業主に対して周知啓発を行っているところでございます。  特に、このコース別雇用管理につきましては、行政としても問題意識を持ってまいりまして、平成十五年からは個々の事業所にも訪問させていただきまして、積極的にコース別雇用管理の実態についていろいろ伺って、必要な助言、指導を行ってきたところでございます。
  36. 円より子

    円より子君 募集・採用区分とか昇進における配置転換を今回省令に定めたということですが、この配置には勤務場所と職務の双方を含むんでしょうか。もしそうだとしましたら、転居を伴う転勤を区分の基準にしているものと、基幹業務や補助業務というように職務を区分の基準にしているものがありますけれどもコース別雇用管理制度は問題意識を持って各企業所に指導もしてきたと今おっしゃっておりましたけれども、こうした基幹業務、補助業務というように職務を区分の基準としているようなことがありますが、こういう双方を含んでちゃんと指導をしていくというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  37. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 均等法の配置という意味については、御指摘のとおり、従事すべき職務の内容と就業の場所を主な要素とするものでございます。したがいまして、例えば、女性については基幹業務に就けないとか、あるいは男性だからという理由のみで転居を伴う転勤をしろというようなことになるとこれは違反ということになるわけでございます。
  38. 円より子

    円より子君 日本におけるコース別の雇用管理制度というのは男女別管理制度として使われているんではないかということはいろいろ、国内でももちろん国連等からも言われていることでございますけれども、今回の間接差別については、差別を可視化して排除していく、見えるようにして排除していくという法的な理論と、また間接差別の法理というものがあるというふうに専門家は言っているんですが、外見上は性に中立的な基準を適用しても、それが実質的には性による差別であると認められる場合、これは個々の取扱いは違法と判断していいということなんでしょうか。
  39. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 御指摘はそのとおりだと思います。  間接差別は、性別以外の事由を要件とする措置が実際には男女異なる取扱いをする直接性差別と同様の効果をもたらし実質的には性差別となり得るという観点から、差別意図の有無を問うことなく、合理性がない限り違法とする概念でございます。したがって、性中立的な要件に基づく措置であっても、間接差別法理の適用により合理性がなければ実質的には性差別として違法と判断される場合があると、このように考えております。
  40. 円より子

    円より子君 そうしますと、間接差別の法理は、間接差別を排除する制度が確立されていない場合であっても一般法理として機能する。そしてまた、この法理の運用によって、性中立的な基準の適用であったとしても、適用により実質的には性差別として違法と判断される場合があるんですけれども、それはどうなんでしょうか。
  41. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 御指摘のとおり、一般法理としての間接差別法理が適用といいますか準用されることによって、民法九十条などの適用に際しまして、裁判所におきまして間接差別として個々の事案ごとに違法と判断される場合があり得るというふうに考えております。
  42. 円より子

    円より子君 一九九五年に北京で世界女性会議の第四回が開催されました。日本からも本当に大勢のNGOの方々、参加なさいましたけれども、ここにおいて採択された北京行動綱領において、各国の政府が女子差別撤廃条約に定める措置を講じる上でも間接差別禁止を制度化するよう求めておりました。均等法の第七条はこの間接差別の、性別以外の事由を要件とする措置として今回講じられるんですが、行政権限を発動して間接差別を排除する特別な仕組みを法制度化したものと、先ほどの北京綱領のあれを受けて法制度化したものという理解でよろしいんでしょうか。
  43. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 均等法七条に基づく省令で列挙する措置を行う事業主に対しましては、その措置を行うことについての合理的な理由についての説明を求めていき、そして合理的な理由があると認められない場合はその七条違反として行政指導を行うことになるものでございます。したがいまして、第七条は、この第七条違反の企業に対して行政権限を用いて間接差別を排除する仕組みを法制したものということができると思います。
  44. 円より子

    円より子君 大変法的に細かい話で恐縮でございますけれども、結構大事な部分でございますのでもう少しお付き合いをいただきたいと思いますが、募集、採用ないし昇進の入口段階という言葉が、せんだって北井局長お使いになっていましたが、その入口段階で振り分けの基準が第七条に違反すると判断されたときには、そうした基準の撤廃にとどまらずに、その後の配置、昇進などの処遇も含めて格差を是正できると考えてよろしいんですね。
  45. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 改正法案第七条違反の措置につきましては、まずはその段階でその措置の撤回を求める行政指導を行うことになるわけでございます。そして、それによって七条違反の是正が図られた後に配置、昇進について何らかのこの第六条違反が認められるということになれば、今度は第六条に基づいて行政指導を行うということになると考えます。
  46. 円より子

    円より子君 そうしますと、行政権限によって間接差別を排除する制度ということを定めたことになっておりますが、その場合の間接差別の概念というのはどういうふうになりますか。
  47. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別の概念は、第一に外見上は性中立的な基準等であって、第二に他の性の構成員と比較して一方の性の構成員に相当程度の不利益を与え、第三に、しかもその基準等が職務と関連性がないなどの合理性、正当性が認められないものということでございます。今回御提案しております改正法案の第七条は、これを均等法上の制度として規定したものと考えております。
  48. 円より子

    円より子君 均等法の法制度として具体化した内容を表すものだというふうに解釈、今のお答え、もしそうだとすれば、その具体化といいますのは行政権限によって差別を排除する仕組みをつくったというふうに解釈してよろしいんでしょうか。
  49. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) そのようなふうに御理解をいただいて結構であると思います。
  50. 円より子

    円より子君 もう一つ、この概念ですが、省令に定めるものであるという部分も含みますので、間接差別の法理は省令に定めるものであることを要しないが、行政権限発動の根拠規定として均等法上の制度として省令に定めるという、そういう理解でよろしいんですか。
  51. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別の概念は今申し上げましたような概念でございますから、何でもその議論対象の俎上に上り得る広い概念でございます。したがいまして、一般法理としてはあらかじめ排除されているということはない、排除されているようなものがあるということにはならないと思いますけれども、しかし一方で、均等法という法律においてきちんと間接差別を違法として行政指導等の対象にしていくということになれば、やはりきちんとその範囲を明確にする必要がございますので、そうした意味で今回の御提案の方式を取ったということでございます。
  52. 円より子

    円より子君 私のちょっと聞き方が悪いのかどうか、聞いておりますと、今回の法案規定間接差別の定義と今ちょっと答弁をなさったものとが違うような感じがするんですね。これは国際的に通用するんでしょうか。諸外国の間接差別規定は、概念定めているものや、まあいろいろあると思いますが、ちょっとこれは、この法案規定はイレギュラーな規定ではないかという気がするんですが、今の答弁をお聞きしていますと。
  53. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 各国におきましても差別、直接差別間接差別を問わず各国での法律の書き方というのは様々でございます。そうした中で、我が国において間接差別禁止法律上載せていく場合に、今のような、今御説明しているような考え方を取っているところでございまして、このような法的仕組みにおきましても、間接差別の対象としてその議論の俎上にのるものを限定しているわけではなく、すべて議論の対象になり得るものでございまして、一般的な概念やあるいは諸外国の内容と考えても決して間違ったものではないというふうに考えております。
  54. 円より子

    円より子君 今のはまたあさっても質問させていただきますので、引き続き質問させていただくとしまして、省令の定めが限定列挙、三つに決められていますけれども、見えない差別を見えるように可視化するという手法として機能する間接差別の基本的性質と矛盾するように思うんですね、限定列挙にすると。厚生省はこのことについてどのようにお考えなのか。先週の本会議答弁で、大臣は限定的に機能する危険はないとおっしゃってますが、その趣旨はどういうことなのかをお答えいただきたいと思います。
  55. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 改正法案におきましては、均等法という法体系におきまして違法とすべき間接差別規定するわけでございまして、その対象は現時点においては三つの措置を想定いたしておりますが、その以外には将来あり得ないというものではなくて、判例の動向や労使の合意の、コンセンサスの状況などを踏まえて見直しが図っていくことができるように省令において対象を規定するという方式を取っているものでございます。  そうした中で、先日、本会議において大臣が申し上げましたのは、厚生労働省令を規定するに当たって、その対象を限定的にとらえるつもりはないという趣旨であるというふうに理解をいたしております。  このような法的な仕組みによりまして、間接差別の対象として規定すべきものはすべて対象とし得るところでございまして、間接差別の基本的性質と矛盾するということにはならないというふうに考えます。
  56. 円より子

    円より子君 そうしますと、行政権限発動の根拠として省令に列挙されるけれども、ほかにも間接差別に当たるものは存在するということなんですね。そしてそれは、例えば先ほど労使のコンセンサスによって違法と判断されればというようなことをおっしゃいましたけれども、このコンセンサスとは、省令に掲げるかどうかが、つまり、そういうふうにおっしゃるということは、時々に、時代が変わるというか、それによって判断していくということでよろしいんですね。
  57. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 私どもで現在考えております三つの措置以外につきましてもその対象となり得るものは幾らでもあるというふうに考えておりますが、その中でどうしたものをこの均等法上の間接差別の対象として列挙していくかということについては、判例の動向も見なければなりませんし、あるいは、やはり今回もなかなかやっぱり労使の意見の一致、つまりは社会のコンセンサスが得られなかったような問題もありますから、そうしたような状況も見てまいらなければいけないと思いますし、また、私ども雇用均等室でいろんな相談事案が上がってき得ることもあります。そうした状況も見なきゃいけません。そうしたものも様々見ながら、適時適切に見直していくということになると考えております。
  58. 円より子

    円より子君 先ほどから言っております女性差別撤廃委員会の最終コメントで、間接差別意味範囲について意識啓発のためのキャンペーンを勧告しております。間接差別の定義や間接差別法理についての意識啓発を行うと同時に、それらが省令の定めに限られないこと、間接差別に当たることがほかにも存在することを明示しつつ、研究会報告で示された七つの事例を始め参考例を示していくというふうなお考えだと今の御答弁から推測いたしますが、それでよろしいでしょうか。
  59. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 改正法案が成立いたしました場合には、全力を挙げて改正法の趣旨、内容について国民に、特に労使の方々に周知をしていかなきゃいけないと思っておりますが、そのやはり趣旨、内容の中心は、この省令に列挙するようなことも含めた均等法上の違法になるもの、これは何ぞやということを中心となって周知していくことになると思います。
  60. 円より子

    円より子君 間接差別の三つに限定された、省令に限定されたものだけではなく、再度お聞きしますが、参考例も含めて間接差別とはどういうものかというふうに周知していただくということでございますね。
  61. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別というのはまだ、本当に難しいといいますか、まだまだ説明の要る概念であると思いますから、一般的な間接差別の法理も含めて周知をしていきたいと思いますが、しかしやはり違法となる内容をウエートを置いて周知していくことになるというふうに考えます。
  62. 円より子

    円より子君 二〇〇三年の、先ほどから言う女性差別撤廃委員会勧告によりますと、主に職種の違いやコース別雇用管理制度に表れるような水平的、垂直的な雇用分離から生じている男女間の賃金格差の存在及び雇用機会均等法に関連する政府のガイドラインに示されている間接差別の慣行と影響についての認識の不足に懸念を有する、この政府というのは日本政府のことなんですが、として政府のガイドラインの改正を勧告しております。  国連も、単なる正規、非正規格差の問題ではなく、これは男女間の格差の問題として勧告していると思うんですけれども、この勧告は今回の均等法改正でどのように反映されているのか。また、この法改正で盛り込まれた間接差別の概念は省令に定めるものであることも含むとしましたら、直接及び間接差別を含む女性に対する差別の定義が国内法に取り込まれることとの勧告内容に合致していないのかなという気がするんですが、この辺については、一応勧告に沿ったものという、先ほどの御答弁からいいますと、解釈でよろしいんでしょうか。
  63. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 御指摘のとおり、改正法案におきましては間接差別の概念について定めておりますし、その女子差別撤廃委員会の最終コメントにおいて指摘がなされておりますコース別雇用管理制度につきましても省令に規定することを予定しているところでございますから、この委員会の勧告に沿ったものと考えております。
  64. 円より子

    円より子君 先ほど申しましたように、一番最初に申しましたように、この省令で規定しているその三つ以外の、それに該当しないケースを裁判で争うことが非常に困難になってしまうと懸念している方々が、今までの様々な裁判を行ってきた方々やその弁護士さんから出ております。これはやっぱり当事者でないと分からないことでございまして、是非この間接差別がこの限定された三つだけではなく、また研究会報告の七つだけでなく、様々な広い概念から照らし合わせてそういうものはしてはいけないということで、裁判に影響を与えるものではないという形でこの今回のCEDAWの勧告が生かされているというふうに解釈したいと思います。是非、そういう啓発をしていただきたいと思いますが。  さらに、このときの日本レポート審議の場で、このCEDAWの委員のショップシリングさんという方がこんな指摘をしております。コース別人事制度やパートタイム労働者に圧倒的に女性が多い現状は間接差別に当たる、異なった雇用管理カテゴリーを均等法の指針が許容しているのは問題だと。また、低い賃金昇進しにくい分野女性が集中しているのも先進国では間接差別とされていると。何か日本は先進国じゃないというふうに言われているのかなとも思えますが、また、同一価値労働同一賃金について政府や組合は具体的な措置を取ったのか。こうした様々な指摘受けているんですが、私は何もこんな指摘を受けなくても、国内の女性たちはみんなこういうことはとっくに言ってきたわけですよね。こういったことが、今回の政府案がこうした指摘に堪え得る内容にしっかりとなっていますでしょうか。
  65. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 御指摘の内容につきましては、この女子差別撤廃委員会の審議の場におきます御発言でございまして、国連の同委員会の最終コメントにおきましては、この間接差別についてその定義を取り込むように勧告がなされたと、これに集約されているというふうに考えております。  したがいまして、今般の改正法案では間接差別禁止規定を定めて対処をしているところでございまして、この最終コメントに沿っているものというふうに考えております。
  66. 円より子

    円より子君 一番最初にも申し上げましたけども正社員と非正規方々、まあ正規社員雇用よりも非正規雇用が増えているんですけれども、そうしたものは間接差別だという中で今まで勧告も受け、また国内の女性たちからもたくさんの意見が出されています。  そういう中で、ちょっとこれ見ていただきますと、(資料提示正社員パート、今はパートの店長だとかいろんな形で生きがいのある人たちが出てきているというふうにもてはやされたりしている部分もありますけれども、ほとんどの場合はフルパートといいまして、時間はほとんど正社員と同じくらい働いて、それでいて条件、待遇はもう圧倒的に悪いという、そういうところに何十年も女性たちは押し込められてきました。それを何とかしたいというのが女性たちの願いだったわけで、これを見ますと、まず退職金制度、青い方が正社員でございます。パートの人はこんなに少ない。賞与、ボーナスの支給も、正社員は八〇%になろうとしていますが、パートの方は四〇%弱。また、福利厚生を見ても社内の教育訓練を見ても自己啓発の援助を見ても、何を見てもパートというのはこれほど待遇が悪い。もちろん、賃金のことは先ほどから申しましたが、それも当然ございます。  そうした中で、例えば、低い賃金昇進しにくい分野女性が集中しているというこのことで、例えば雇用管理区分を温存することとはまた違いますけれども雇用管理違うという名目で、正社員並みなのに賃金は低賃金女性並みに合わされて格差が広がるという、雇用管理区分を温存することがそういうことの格差の広がりをどんどん助長してしまうんじゃないかという、このことを、もう一度、どう考えどう是正していくべきか、御答弁いただきたいと思うんですが。
  67. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 均等法では性差別禁止するということでございますから、やはり性差別の有無の判断に当たっては比較の対象を定めるということが必要になりまして、差別を受けたとされる人と同様の条件にある別の性の方を比較するということになるわけでございます。そういった観点から、雇用管理区分ごとの比較ということでやってまいっているところでございまして、この雇用管理区分の考え方そのものを廃止することは考えていないところでございます。  しかし、同時に、この雇用管理区分につきましては、これが同一か否かの判断は単に形式でやってはならないというふうに考えております。企業の雇用管理の実態に即して行う必要があると考えておりますので、今後、現在のこの均等法の指針に雇用管理区分についての解釈が書いてあるわけでございますが、こうした考え方に沿って、より適切な比較が行われるように見直しをしていきたいというふうに考えております。
  68. 円より子

    円より子君 今、企業は派遣パートなどの非正規雇用社員を長期的な戦略に取り組み始めてます。形式的に労働時間を三十分だけ例えば短くして賃金労働条件の格差を付けている現実がありまして、非正規雇用労働者が、先ほどパートの店長をつくったりという話もしましたが、実際に残業や休日出勤、また後輩の正社員への指導までしているというような状況があって、それらの多くが女性なんですね。  こういう現実がある中で、今雇用管理区分の削除は考えていないとおっしゃいましたけれども、この改正案が通った後でガイドラインの改正等があるかと思いますが、私どもというよりも多くの女性たちは、このガイドラインの改正の中で、例えば募集並びに配置、昇進及び教育訓練について事業主が適切に対処するための指針の雇用管理区分の削除というものが最も大事だと考えているんですけれども、この削除は今後もお考えにならないんでしょうか。
  69. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 我が国の企業におきましては、長期的な視点から人事制度が設計、運用されておりまして、職種や資格などの区分ごとに人材育成や処遇の仕組みを設定するという雇用管理が広く行われておることにかんがみますと、雇用管理区分の考え方そのものを廃止することは考えておりません。
  70. 円より子

    円より子君 差別禁止同一雇用管理区分の中のものとされたことによって、コース別雇用管理ですとか期間の定めのある雇用契約といった新たな男女差別の形態が今広がっていることはもう十分、大臣局長も御承知のことだと思います。  ですから、厚生労働省の研究会でも同一価値労働同一賃金の考え方について一定の整理をしているかと思いますけれども差別禁止同一雇用管理区分の中に限ってしまいますと、同一価値労働同一賃金の原則と私は整合しないのではないかと思うのですが、いかがですか。
  71. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 同一価値労働同一賃金というのは、職種などを超えた比較をきちんと行いまして賃金差別を認定する法原則でございまして、その意味においては我が国において厳密にこれが採用されているものではないわけでございます。例えば運転手さんと車掌さん、これは職種は違っても、労働の価値としては一緒かどうかというようなことを客観的に判定し、あるいはどういう価値なのかということを評価しながらやっていくという法則、なかなか難しい法則で、我が国におきましては、単にその職種ごとの賃金というよりも、長期的なその人事システムの中で賃金も定まっていくということが多いわけでございます。そうした中で、なかなか雇用管理区分同一価値労働同一賃金の整合性というところにつきましては、なかなかお答えしにくい問題でございます。  同一価値労働同一賃金というこの厳密な原則が仮に導入されれば、雇用管理の区分の考え方を取っていることと矛盾するとは思いませんけれども、こうした例えば車掌と運転手というようなことで、これも同一雇用管理区分であって、その中での性差別比較するべきであるというようなことになりますと、なかなか、それは今のこの均等法の中では取りにくい。やはり同じ雇用管理区分の中で差別されたと称する一方の性と、それから同様の条件にある別の性のものを比較するということがやはり必要なのではないかというふうに思います。
  72. 円より子

    円より子君 労働基準法や、またILO百号条約等々の問題とともに、議論すれば多分いろんな問題が出てきますし、多分、北井局長は、女性たちの非正規雇用人たちが増えていて、賃金格差も広がっていること等をいろんな形で是正したいと思っていらっしゃるから、ちょっと今の御答弁も大変苦しそうな答弁だったので、またそれはいずれするといたしまして。  もう一つ、期間の定めを置いた契約か定めを置かない契約かで、またここでも男女で分離が生じているようなことが今あるんですが、その場合に、期間の定め、有期雇用とか、それが性差別として機能したり、性差別として利用されたりしていると考えられるケースがあるんですが、均等法ではこうした場合の是正は可能なんでしょうか。
  73. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 有期の契約の仕事、これを女性であるからという理由女性だけを対象にする、あるいは男性だからという理由男性だけを対象にすると、こういうことになりますと均等法に違反するということになると考えます。
  74. 円より子

    円より子君 それでは、修正案、私ども出したいと準備していると先ほど申し上げましたけれども、今の御答弁の中で、まあ少しは前進している部分はもちろんあるんですが、やはり非正規雇用正規雇用の間の差別が、女性たちの多くが非正規雇用に閉じ込められ、賃金も悪ければ、先ほど申しましたような様々な教育訓練ですとか、福利厚生施設の問題、退職金の問題、ボーナスの問題等々、いろんな点で格差があり過ぎている。これを間接差別だとしっかり認めていただき、そうして、先ほどこの削除は必要がないとおっしゃっていました雇用管理区分の問題等々、問題点が山のように今回の改正案にはあるんですね。  ですから、私は、この修正案、何とか少しでも勝ち取りたいと思いまして、話合いも今まで水面下でやってきたわけですけれども、使用者側の意見が強くてなかなかこれが修正できないということでありましたら、是非とも見直し規定だけでも入れていただきたい、そのように思うんですね。  今、今回の改正案の附則の五条のところに労基法の改正はございます。これは坑内労働を技術者の女性がやれるようになっておりますので、それの部分だけは見直しを五年をめどとしてするということが出ているんですけれども。私は、今回の雇用均等法も、決して法律すべて一〇〇%十全なものを作れるということはそれは思いませんけれども賃金の部分、間接差別の部分、そして仕事生活調和の部分、そうした幾つかの修正ができないのであれば、せめて見直しをする、これを入れていただきたいのですが、最後にそのことを大臣にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  75. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 労使間の様々な議論をいただきながら、また審議会等で御議論をいただきながら、今回の法案、現状においてベストであるという形で内閣としては提出をいたしました。しかし、国会にもう提出して正に委員会にゆだねられた話でございますので、そこは各党間で御議論を賜る課題かなと、このように思っております。
  76. 円より子

    円より子君 もちろん各党間でもやりますけれども、公益委員や、また労働側、そして使用者側で長年積み重ねてきた改正案だからといって、国会での審議で一つも修正もできないということであれば、国会の審議というのは何なのかということになりますので、各党だけではなくて、是非大臣が、私は、ここを修正しろあそこを修正しろなんて本当だったら全部言いたいところですが、見直しだけと、思ったよりも相当に譲歩したことを言っているんですから、大臣是非見直しますと、そのぐらい言っていただいていいと思うんですが、いかがですか。
  77. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 大変厳しい御指摘いただいている、正に委員会で御審議していただいている中でございますので、どうぞ各党間の中で御議論を賜りたいと。私は、立場としては内閣として閣議決定をして提出をした法案でございますので、そこは正に委員会の御議論だろうと、このように思います。
  78. 円より子

    円より子君 終わります。
  79. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。  ただいま円委員の方から御質問をさせていただいたところでございますけれども、改めて、私どもの今回の法案に対する基本的な姿勢、三つ申し上げておきたいと思うわけでございます。  まず一つは、法律理念仕事生活調和を明記すること、二つ目に、間接差別禁止の基準は限定列挙ではなく例示列挙とすべきこと、三番目が、ポジティブアクションの義務化を明記すること、こういう三つを私どもの基本的なスタンスとして持っているわけでございます。そのような中で、今、最後の円理事からの御提案にもつながっているわけでございますけれども、そのような基本的な方針を踏まえつつ、今日は大臣に御質問をしたいと思うわけでございます。  そこで、まず本論といいますか中身のことに入ります前に、今回のことに関して私いろいろ調べておりますときに改めて見付けたといいますか、思い当たったことがございます。それに関連してお伺いしたいんですけれども、紛争解決の手段としてかつては機会均等調停委員会があったわけでございますが、今は紛争調整委員会の下に機会均等調停会議になっていると、こういうことになっているわけですが、これはいつ変わったか、そこだけ教えてください。
  80. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 平成十三年十月一日に個別労働紛争解決促進法が施行されたことによりまして、従来の機会均等調停委員会を改組して、同法に基づくあっせんを行う機関として紛争調整委員会が行われたところでございます。そのときに、現行の機会均等調停会議というものを紛争調整委員会の中に設けることになったものでございます。
  81. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 大臣、実は、これなぜこういうことをお聞きしましたかといいますと、予算委員会で私、総理がおられたときの予算委員会でしたけれども、いろいろな政策の中で雇用対策基本計画が非常に、一九九九年に作られて以後長い間たなざらしになっているといいますか、現行の計画自体が一九九九年のものだということで申し上げて、見直しが必要だと、余りにも時間がたっているがゆえにずれてしまっているということを申し上げました。  さっき大臣は、年齢、もう六十歳以上の方を高齢者と言うかというのがありましたけれども、その基本計画の中に、高年齢層五十五歳以上というのがあるわけですね。そんなこともいろいろ申し上げて、余りに時間がずれているじゃないかと。千八百時間も、もう法律改正したにもかかわらずそれが入っているということがございました。それから、もう既に失効した法律に基づきというのが二つもあると、こんなことも申し上げて、見直しすべきだということで、あのときは時間がなくて余り十分な議論できませんでしたけれどもね。  今回のことも、私実は、改めてそこに立ち返ってみましたときに、どう書いてあるかといいますと、「機会均等調停委員会の円滑な運営により、」と、こうなっているわけでございます。だから、今お話しになったように、平成十三年ですか、もう既になくなって変わったことで、今は調停会議なんですね。それなのに、前の調停委員会の円滑な運営にと書いてあるのが今の日本における雇用対策基本計画でしかないわけです。改めてこのずれというものを再確認するといいますか、私、前にペーパーで予算委員会で配りましたが、それに一つ項目追加をすることになるわけですけれども、余りにもずれていると。  これは実は、川崎大臣になられる以前から私は何年も言ってきていて、厚生労働委員会でも言いましたし、総務大臣やら官房長官にも言ったことがありますけれども、計画作ったからといって雇用が出るわけじゃないんですけれども、しかし基本的な政策の一つの結集であって、これは基本法に基づくものでもございますし、経済計画は既に毎年ローリングプランで変えていくという「改革と展望」になっている中にもかかわらず、十年間固定であって、それでもう今日に至っては、七年もたっている中で、もう既になくなっている法律だとかなくなっている部局だとか、今の委員会もそうですけれども、こんなずれたものが政府の現行の計画だと言っていること自体が誠に情けない。それは労働行政のずれでもあるというふうに私は思うわけです。  ですから、これから御質問をするようないろいろな労働行政にかかわるテーマはありますけれども、そういったものを、機動的な見直しというものをなされているのかという根底に突き当たるんですね。ですから、今日はこのことだけの議論ではないですけれども大臣是非そういった意味からも雇用対策基本計画が余りにもずれている、そのことについてしっかり認識を持っていただいて、是非見直しということを、再改定を考えていただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか。
  82. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 予算委員会でしたっけ、委員から御質問いただいて、一応十年の区切りで作らしていただいたと申し上げました。しかし、一方で委員の御指摘のとおり、環境がかなり変化してきていますねと。先ほどから申し上げているとおり、平成十五年が頂点でしょうか、極めて厳しい雇用の状態のときがあった、それが違うステージにそろそろなりつつあるときに次の時代をにらみながらしっかりやっていかなきゃならぬだろうと、こういう御指摘をいただいて、私もこういう委員会の審議の中で、委員の皆さん方からいただいたものの中で訂正すべきものがあれば訂正したいという思いで聞かしていただいておりますので、建設的な御議論をいただいたという形で受け止めさせていただいて、私なりに努力はしてみたいと、このように思います。
  83. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 私いろいろ今までの歴代の大臣の御答弁をいただきましたが、その中では一番前向きな御答弁をいただいたかもしれません。まあ御在任もいつまでか分からないなんて言うと怒られますけれども、私はこのことがすべてじゃないんですけど、やはり行政の在り方といいますか、その機動的見直しを行っていくとか、あるいはこれは他省とのかかわりもあるから大変なことなのかもしれませんが、やはりその経済計画とリンクしているという雇用対策基本計画でそれぞれほぼ大体同じときに作ってきているわけですから、それが平成十四年に経済計画が改定されたにもかかわらずこれだけ遅れて、ここだけずれているという、その中でさっき申し上げたような組織の対応も余りにもずれた、それが現行の政府の計画であるというこのようなずれというのは、やはり正されるべきであろうというふうに思うわけでございますので、その点については是非リーダーシップを発揮していただいて御対応いただくように、改めて申し上げておきたいと思います。  そこで、先ほど円委員の質問にもあったことでもございますけれども、若干関連してお伺いしておきたいと思います。  国連の女子差別撤廃条約委員会の最終コメントというのが二〇〇三年七月にあったわけでございます。その中に男女間賃金格差への懸念という指摘があったわけでございます。これに対してどのように対応してこられたのか。今後この点についてどういうふうに処していかれるおつもりか、そのことについての方針をお伺いしたいと思います。
  84. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 我が国の男女賃金格差の問題については、重要な課題であると考えておるところでございます。この男女間の賃金格差解消に関して取った施策ということでございますが、この賃金格差に関しましては、やはりその役職、職階というものや勤続年数男女差が大きな要因であるという認識をいたしておりまして、この男女間の賃金格差解消のための賃金管理及び雇用管理改善方策に関するガイドラインを策定いたしまして、公正、透明な賃金制度や人事評価制度の整備、運用の啓発、それから仕事家庭の両立支援対策などを推進してきたところでございます。  また、今般の改正におきましては、その差別的取扱い禁止する雇用ステージ明確化、追加をいたしますことや、間接差別禁止などを盛り込みました性差別禁止範囲の拡大、あるいは妊娠等を理由とする解雇禁止規定の強化や、解雇以外の不利益取扱い禁止などの内容を盛り込んだところでございまして、こうした改正案による規定の強化を通じまして、女性労働者が配置や昇進において差別を受けることなく、また妊娠、出産によって離職を余儀なくされることなく安心して働き続けられる環境の整備に資するということになるというふうに考えております。
  85. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それで、お取組の一つとしてガイドラインを作られたり、賃金格差レポートというのを作られたりしているわけです。それはもっと普及していくべきことだと思いますが、いただいたのが十六年度のパンフレットだったり、レポートの方は二〇〇五年十二月だったりするんですけど、これは新しく更新をされてそれぞれしっかりと普及啓発に当たっていただいているという理解でいいんでしょうか。
  86. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 必要に応じ、補給をしてやっているところでございます。
  87. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 財源の限りもあるのかもしれませんが、ちょっと時期的に私がいただいたのがたまたまそうなのかもしれませんが、ちょっと更新できていないようにも思うわけでございまして、そのことはそのときの在庫があるということなのかもしれませんけれども、それ自体いかが普及されているのかなということでもございますので、これは大事なポイントでもあろうと思いますので、是非更新をし、もっと普及に当たっていただくように申し上げておきたいと、このように思う次第であります。  それからもう一つ、同じく国連女子差別撤廃条約委員会の最終コメントに、パート派遣賃金格差への懸念ということも指摘がなされていたわけでありますが、この点について正規、非正規労働者賃金格差、この是正に向けてどういうふうに取り組んできておられるのか、今後どうしていかれるのか、このことについて政府の方針をお示しください。
  88. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) パート派遣賃金格差の問題でございますが、派遣労働者賃金につきましては、平成十六年度の派遣労働者の平均賃金、これ月収として試算いたしますと、一般労働者派遣事業においては二十四万円、それから特定労働者派遣事業においては三十三万七千円となっているところでございまして、それに対して平成十六年度の一般労働者の平均月収は約三十万二千円となっているところでございます。  また、パート労働者の処遇につきましては、平成十七年度の数字で、女性一般労働者の時間当たり平均所定内給与額を一〇〇とすると、女性パート労働者では六九・〇と差があるところでございます。こうした中で、特にパートの問題につきましては、基幹的役割を果たすパート労働者増加する中でその処遇が働きに見合ったものとなっていないという場合もあることを認識をいたしておりまして、パート労働者正社員との間の公正な処遇を図っていくことが大変重要な課題だと認識をいたしております。  このために、平成十五年八月にはパートタイム労働指針を改正をいたしまして、パート労働者正社員との処遇の均衡に向けた考え方やルールをお示しをして、それに基づいて事業主に対しまして周知啓発を図っているところでございます。  また、平成十八年度予算におきましては新たに助成金を見直しまして、パート労働者の評価・資格制度を整備した事業主、具体的には正社員と共通の評価・資格制度を整備した事業主やパート労働者仕事、能力に応じた評価・資格制度を整備した事業主に助成金を支給することといたしまして、均衡処遇ということに取り組む事業主への支援を強化しているということでございます。
  89. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 いろいろお取組をいただいているのかもしれませんけれども、なかなか正規、非正規格差というものの是正が進んでいないというのが現状だと思います。  私ども民主党としては、短時間労働者への均等待遇の確保と差別的取扱い禁止というものを盛り込んだ均等待遇の法制化、パート労働法の改正ということを申し上げているわけですけれども、そういった運動、そういった取組を我々も今後続けてまいりますけれども是非政府におかれましても、その点についてやはり法律的に明記するということが大事だと思いますので、そういった方向でのお取組を改めて申し上げておきたいと思います。  それで、次に、中身にだんだん入ってまいりますけれども、ポジティブアクションについてお伺いしておきたいと、このように思います。  ポジティブアクションも当然ながら大きなポイントになるわけですけれども、今回の資料をいただいて、法案もさることながら、法案の概要というペーパーがございまして、これでエキスが入っているということになっているはずなんですけれども、残念ながら、この中にポジティブアクションは何も入っていないわけなんです。私が見落としているのかなと思って探しても、よく聞いたらやっぱりないんですね。まあそのこと自体がある意味で正直、素直な対応になっているというふうな、言ってみればそうなるかもしれませんけれども、ポジティブアクションの対応は今回の法案には非常に弱かったというふうに言わざるを得ないと思っています。  これ、局長に聞きましょう。概要に入っていなかったんですけど、ちょっと寂しくありませんか。
  90. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) お示しいただきました概要ペーパーには入っておらないんでございますが、一つ改正をしておりまして、これまでポジティブアクションにつきましては、これは男女間にある事実上の格差の解消、改善を目指して個々の企業で自主的に取り組んでいただく積極的な取組のことでございますが、こうしたお取り組みをいただく事業主に対して国は相談その他の援助を行うということができることになっております。今回の改正では、この援助規定一つ加えまして、事業主がポジティブアクションの実施状況、取組状況を自ら開示される場合にも国の援助の対象とするという規定を設けたところでございます。  なかなか我が国では、そのポジティブアクションの強化策として、例えば何らかの行動計画等の義務付けであるとか、そういう強制的な手法についてはコンセンサスが得ることができません。こうした中で、均等法規定では、相談その他の援助によって自主的取組を促すと、奨励していくという手法を取っております。そうした中で、ひとつ自ら公開をしていただくということを促していくこととしたわけでございまして、これによりまして企業の取組状況が広く世間に認知、評価されるとともに、企業の取組も促されるという効果が期待できるのではないかというふうに考えているところでございます。
  91. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 この点につきましては、さきの参議院本会議における四月十九日の質疑の中でも大臣自身がおっしゃっておられて、今回の改正においては枠組みを維持していると、こういうことをおっしゃっていて、それはそれでそのとおりではあるんですが、しかし、せっかくの改正でございますから、やはりもっと義務付けといいますか、そちらの方向是非入っていっていただきたかったというふうに思うわけでございます。我々としては修正を求めるわけですけれども。  それで、かつて次世代育成支援対策推進法がございまして、これについては、仕事子育ての両立を図るために必要な雇用環境の整備等を進めるために事業主に行動計画を作ってもらうということで義務化をしたわけでございますね。一定以下のところは努力義務になっているようですけれども。そういったことも現にあるわけで、やはりどちらも大事なポイントでございますから、そういった意味で今回のポジティブアクションも義務化ということがあってしかるべきだったと思っておりまして、その点については今回においても私どもとしては修正すべきだと思っているわけです。その点について、大臣、いかがでしょうか。
  92. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 確かに労働行政担当する者として、企業としっかり話をしていくことは大事だと思っております。  二年前でしょうか、坂口厚生労働大臣の時代に高齢者雇用を打ち出させていただいて、ここについてはかなり進んできたという認識をいたしております。  しかし一方で、先ほどから議論しておりますとおり、氷河期と言われた就職の時代に就職し損なった若者に対する対応、これもかなり遅れているな。また、障害者の雇用の問題。また、今日、女性雇用、まあ雇用は進んでおりますけれども、正に今回議論されておりますように、例えば営業職には女性はほとんど配置されていない、課長以上の管理職は男性が大半を占めていると、こうした現状認識の中でどう変えていくべきかと。企業と話をしなきゃならぬ課題が山積いたしておりますけれども、これを全部、義務だ義務だ義務だと一方的に重ねていくことがいいかどうかという議論であろうと思います。  そういった意味では、今回、枠組みを維持しながら、企業の皆さん方にやはり自主的に取り組んでいただくということを促していくように我々自身も一層の努力というものが求められているだろうと思いますし、そうした観点で、法律が通りましたら、このポジティブアクションについても一つの大きな課題としてお話をさせていただきたいと、こう思っております。
  93. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 継続雇用も四月から施行されたわけですけれども、それは企業の大きな理解も得られて、より財政的には大変なことだろうと思いますけれども、それはそれなりにうまくいっているんだろうと思うわけです。そういった意味でやはり企業の社会的責任というものがあるわけで、そういった見地からこういったことも恐らくこなしていただけるものだと私は思っておりますので、是非そういった意味大臣の前向きなお取り組みを、我々としては修正を求めるわけですが、そういったことで対応していただきたい。  それで、ついてはこの法案の条文の解釈でちょっとお聞きしておきたいと思うんです。第十四条になるわけですけれども、「事業主に対する国の援助」というところがございまして、今回は五項目めが追加になったと思うんですけれども、「実施状況の開示」というところが入ったわけですね。それに対する相談その他の援助と、こういうふうになっているわけですが、その他の援助というのは何に当たるのか、ここをちょっと明示しておいていただきたいと思います。
  94. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) この新しく入れました改正法案に係る援助の内容としては、ポジティブアクションに関するポータルサイトを設けまして、個別企業から寄せられた取組状況を紹介をすることなどを考えているところでございます。
  95. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 ちなみに、今までの一から四の既存の条項がございましたけれども、項目がございましたけれども、これに対するその他の援助というのは何があったんでしょうか。
  96. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) この均等法でお示しをしておりますポジティブアクションというのは、まず女性労働者の配置などの状況をよく企業内で分析をしていただいて、そして分析に基づいて問題提起をし課題を発見し改善計画を作っていただいて、そしてその計画に基づいて取り組んでいただくと、それも人事の一部でちょこちょこっとやるのではなくて、実施体制もきちんと企業で整備をしていってやっていただきたいということをお勧めをしているわけでございまして、こうした内容を国が援助するということになりますと、特に経営者団体と連携をいたしました協議会を開催して企業のトップ層に御理解をいただくとか、あるいは個々のセミナーの実施で研修をするとか、あるいは企業表彰ということで積極的に女性労働者の活躍にお取組の企業を表彰するとか、それから個々の企業が実情に応じた目標を立てていただく際に活用できる情報を提供するとか、そんなような相談援助をやってきたところでございます。
  97. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 次に、間接差別についてお伺いしたいと思います。  まず、先ほども議論ございましたけれども、そもそも間接差別の定義について、一般的な定義、また今回の法案上の定義、それぞれについて簡潔に御説明ください。
  98. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 一般的な間接差別、外見上は性中立的な基準等、他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与え、しかもその基準等が職務と関連性がない等、合理性、正当性が認められないもの、これが一般的な考え方だろうと思います。  今回の法改正においては、間接差別禁止として、労働者の性別以外の事由を要件とする措置で、要件を満たす男性及び女性の比率等を勘案して実質的に性別を理由とする差別となるおそれがあるものとして厚生労働省令で列挙するものは、業務遂行上の必要その他の合理的な理由がなければ講じてはならないことを規定するものであります。一般的な間接差別概念のすべての要請について規定していると考えております。
  99. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これは、先ほど申し上げた法律の概要というところのペーパー、一枚紙があるんですけれども、この中には「間接差別禁止」というふうな見出しもあって、内容としても「間接差別として禁止する」という文章があるわけなんです。これが悪いというわけじゃないんですけれども、ただその法案自体には間接差別という言葉が出てこないわけなんですね。私は、新しい概念を入れるということ、それはそれなりに評価するところではございますけれども、しかしその点について、本当は法案の中でももう少しそういったことについての間接差別の定義というものがあってしかるべきだったんじゃないかと、このように思っているんですけれども局長、どうですか。
  100. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) その点につきましては法技術の問題になりますけれど、日本均等法におきましては、直接差別の方もこの差別という定義を書いてございませんので、その直接差別間接差別とも、差別とはこうこうこういうものだというその定義という方式を取らないで、具体的に雇用管理上禁止をされる内容を各条文で示しておるわけでございます。もちろん、この改正案、通していただいた後には、この間接差別の趣旨が徹底されるように、分かりやすいペーパー等でもって周知をしていきたいというふうに考えております。
  101. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 差別というのは一般的な言葉でもあるわけですけれども間接差別というのはなかなかなじみがないということがあると思うんですね、現実の一般的な言葉としては。そういう意味ではやはり差別規定がないからという、直接差別規定がないから間接差別は要らないというのはちょっと私は違うんじゃないかと思うんですね。ですから、本来はそのことについての定義付けといいますか、そういったものもあってしかるべきであったんじゃないかということで、問題点として指摘しておきたいと思います。  それで、この概念、間接差別の概念ですけれども、これの沿革といいますか歴史といいますか、そもそもいつごろから出発しているのか、簡単に御説明ください。
  102. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別法理は、一九七一年にアメリカの連邦最高裁判決におきまして、公民権法第七編の解釈として登場して発展してまいりました概念でございます。アメリカが最初で、その発展した概念がヨーロッパに渡ったところでございます。アメリカにおきましては、裁判例の蓄積を経て、一九九一年に明文規定が置かれております。一方、ヨーロッパにおきましては、一九七五年にイギリスにおきまして性差別禁止法に明文規定が置かれておりまして、一九七六年にはEU指令において間接差別性差別に含まれることが示されているところでございます。
  103. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そこで、日本において今まで間接差別法理によって判断された裁判例というものがあるかどうか、具体例をお示しください。
  104. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 我が国におきましては、現在までのところ、間接差別法理に立って判断された裁判例は雇用分野において見いだせない、雇用分野におきましては見いだせないと考えております。  雇用分野以外の分野におきます間接差別に関する判例としては、平成十四年七月三日、大阪高裁判決の被災者自立支援金請求事件がございまして、この事案につきましては、阪神・淡路大震災の被災者自立支援金の世帯主被災者要件が世帯間差別及び男女差別を招来し、かつそれらの差別に合理的理由を見いだすことができず、公序良俗に違反するということで判示された事案であると承知をいたしております。
  105. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そこで、さっきの話になりますけども、直接差別間接差別という考え方があるわけですが、間接差別と直接差別というものの相違ですね、それを御説明ください。
  106. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 一般的に申し上げますと、いわゆる直接差別は性に基づく取扱いの違いということに着目する概念でありますのに対しまして、間接差別は、外見上は性中立的な基準が男女に与える影響の違いに着目をし、かつ差別意図の有無は問わないという違いがあるものと承知をいたしております。
  107. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それから、今回の間接差別法理を導入した目的ですね、そのことについて考え方の基本をお話しください。
  108. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) これまでの、従来の女性差別というのは、男女別定年制であるとか女性結婚退職制などといった明らかな女性差別が多かったわけでございますが、均等法制定以降はそうした明白な差別は減少してまいりましたが、反面、事業主によっては女性を採用、登用しなくても済むように女性が満たしにくい要件を課すなどの差別事案が複雑化する中で、形を変えた差別への対応が問題となってきたところでございます。こうした一方の性に対して不利益を与える不必要で不合理な障壁を取り除いて機会均等を確保するということが今回の間接差別法理を導入する目的でございます。
  109. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そこで、諸外国においての間接差別法制、また法理の適用状況、それから対象事案、これについて御説明ください。
  110. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 諸外国におきます間接差別法制は、まずアメリカの例は、裁判例が蓄積されて、具体的にどのようなものが間接差別になるかについて社会的な合意が形成されてから条文に規定されたケースになります。一方で、規定が置かれてから多数の裁判例の蓄積によって概念が確定されてきたケースとしては、イギリス性差別禁止法というようなケースがあると承知をしております。  これらの国の間接差別の適用例といたしましては、アメリカの適用例としては、身長や体重など男女の生物的な違いに関する基準を課すことが間接差別とされた事案がございまして、採用、昇進に関する事案が多くなっております。一方、イギリスにおきます適用例としては、シングルマザーにとって満たしにくい基準が間接差別とされた事案であるとか、パートタイムの処遇をめぐる事案があると承知をいたしております。  一方で、アメリカにおきましては、パートについての事案はないということでございます。
  111. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そこで、今回の法案の中の第七条の解釈について幾つか御質問をさせていただきたいと思います。  これは先ほどの質問にも若干関連しておりますけれども、まず一つ、この第七条は行政権限発動の根拠規定というふうに考えていいでしょうか。
  112. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 改正法案第七条は、同条違反の事業主に対して行政指導を行うことの根拠規定であるということでございます。
  113. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それから、今回の第七条の規定によって第六条の効力や裁判への影響はないというふうに考えていいでしょうか。
  114. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 改正法案第七条を規定することで第六条の効力に影響を与えるものではございません。この点につきましては、裁判においても同様に取り扱われるものと承知をいたしております。
  115. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それから、第七条の、何々の場合というのは三つあるんですけれども、最後のところのその他の合理的な理由というのがあるわけですね。要は、現実的には限定列挙という形になっていますけれども、その三つについては、業務遂行上必要である場合、雇用管理上必要である場合、その他の合理的な理由がある場合と、この三つが例示されているわけですが、この三つ目のその他の合理的理由とは何が具体的にあるのか、このことについてお願いします。
  116. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 性別以外の事由を要件とする措置が間接差別についての合理的な理由があるかどうかということを検討する際には、その措置ごとに合理的な理由の内容は様々になってまいりますので、そうしたことを包括して、その他という規定を設けているものでございます。  具体的な例示につきましては、この改正法案成立後速やかに、審議会におきます議論も経まして、指針において定めていきたいというふうに考えております。
  117. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 現実的にはそうかもしれませんが、しかし、法律に三つ目に書いてあるわけだから、こんなものがあるとか、イメージ的なものぐらいはあっていいんじゃないですか。
  118. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) これは、念のためにその他のということで、将来いろんなものが追加されていく可能性もありますので、それにも対応できるように設けているところでございまして、特に今、具体的に想定しているものはないところでございます。
  119. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 じゃ、その他の合理的な理由についての方針はいつごろ出されるんですか。それは省令の方針を出すときと同じときなんですか。
  120. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 指針を出す時期は省令と同時期ということを考えております。
  121. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それはいつごろですか。施行のある程度前とか。
  122. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) これは、今度の改正法案の内容は、十分施行前に労使に周知をしていかなきゃなりませんので、法案を成立させていただいた暁には、できるだけ速やかに審議会などの議論を得て速やかに策定、公示をしていきたいというふうに考えております。
  123. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それから、この七条に係ってですけれども、必要性の有無だとか合理的な理由の有無とか、こういったものの挙証責任は事業主にあると、このように考えていいでしょうか。
  124. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) この合理的有無の規定自体は民事訴訟の際の主張立証責任の在り方について直接定めるものではないわけでございますが、しかし、事業主はこの省令で定める措置を行う場合に合理的な理由があることを説明できない限り均等法違反ということになるわけでございますから、そのような解釈を取りますと、当然訴訟の場においても考慮されていくと、実質的に挙証責任が事業主にあるというようなことになるのではないかというふうに考えております。
  125. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それから、今回の間接差別禁止の法理、今回の措置によって間接差別禁止の法理が日本の法体系に組み込まれたというふうに考えていいでしょうか。
  126. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今回の改正法案が成立いたしますれば、我が国の実定法において初めて間接差別禁止が明文化されることになるというふうに認識をいたしております。
  127. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 その法理に基づいて司法判断を求めることができると、こういうことでいいですね。
  128. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) この均等法規定自体は、均等法上違法となったものについては行政指導の対象になると、これを目的とした規定でございますので、その行政指導の対象となる規定を定めたものでございますけれども、司法判断を求められる場合にはこの司法の場で個別に、民法九十条の適用によって公序良俗違反としてこの間接差別の法理を用いて無効と判断されることが今回の改正によって妨げられることはないというふうに考えております。
  129. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これは、昨年の十一月十八日だと思いますけれども、鈴木均等業務指導室長さんが、審議会でございましたか委員会でございましたか、それで答弁をされていて、間接差別にかかわってくる法律は民法のほかにもいろいろ法律があると、こういう御発言をなさっている議事録が正規に出ているわけなんです。  それで、今も御発言もあったところですけれども、これはまず、民法というのは民法九十条のことだろうと思いますけれども、そのことと、他にもいろいろ法律があると、こうおっしゃっているので、要は、その他の法律は何がかかわってくるのかと。民法以外にも法律があって、それらが今回の間接差別法理と関連してくるだろうと、こういうふうな御主張だと思うんですが、そのその他の法律は何か、お示しください。
  130. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 具体的には、これはいずれも民法の条文になりますけれども、民法九十条による公序良俗違反、それから四百十五条の債務不履行、それから七百九条の不法行為の責任の規定などが考えられるところでございます。
  131. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そうすると、これはまあ分科会ではございますけれども、役所の立場でほかにもいろいろな法律があると言っていらっしゃるのは、民法以外にないということですか。
  132. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) このときの御答弁は十分に正確だったかどうかはちょっと分かりませんけれども、基本的に民法の様々な規定を想定して御説明したものということでございます。
  133. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 諸外国の例で、どういう法律間接差別法理とかかわってきているかということについて把握されていたら、お示しいただきたいと思います。
  134. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今承知をしております諸外国の規定例としては、イギリス性差別禁止法の中で、雇用分野だけでなく、雇用分野以外の分野間接差別規定についても禁止をしているところでございます。  また、二〇〇二年のEU指令に基づきまして、二〇〇五年のたしか十月までに各国は法制度の整備をしなさいというようなことが出ておりまして、それに基づいてヨーロッパ各国、EU各国は整備を進められているのではないかと思いますけれども、ちょっとまだ、情報をちょっと収集し切れておらないところでございます。
  135. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それじゃ、より議論を進めまして、限定列挙、省令で定める方式、この部分について御質問しておきたいと思っています。  さっきの御答弁でも局長が、対象は三つ以外にも幾つでもあると、こういう御答弁があったと思います。それで、報告書では七つの事例が示されたわけですけれども、この報告書の七つの事例以外にもいろいろなケースが想定されると思うんですが、それについてはどういうお考えでしょうか。
  136. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 我が国の審議会、それからそれの前の研究会での議論としては、我が国でこれまでいろんなところで指摘をされてきた事例を整理していただいたわけで、それはおおむね七つだと思っておりますが、諸外国の事例におきましては、例えばイギリスの裁判例において、募集、採用における年齢制限女性に対する差別として問題とされた例があるというふうに承知をいたしております。
  137. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それから、報告書の七つの例示があったわけですけれども、これでちょっとお聞きしておきたいと思いますけれども、これは平成十六年六月の研究会報告に例示されているところからきているわけですけれども、この中で、七つあって、一、二、三、四、五、六、七、番号が付いているわけですけれども、研究会の中でも二、四、六、七についてはそもそも間接差別の俎上にのせるべき事案ではないのではないかとの意見もあったと、こういうふうになっているわけなんですね。  それは議論としてあったのかもしれませんが、ただ、私がお聞きしたいのは、この報告書において二、四、六、七は疑問視されていたと、しかし省令で列挙するのは一、二、四と、こういうふうになっているわけなんですね。ですから、研究会で疑問視された二、四は疑問視されたけど入ったと、また、三、五は疑問視されていなかったけど今回の省令で入っていないと、こういうふうになるわけです。そうすると、取捨選択の基準というのがよく分からないんですね。ここをどういうふうに判断されたのか、お伺いしたいと思います。
  138. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 均等政策研究会の議論の際には、その俎上にのせることについて否定的な意見をお述べになった有識者の方の考えとしては、職業に関して女性自らがその自らの意思や選択に基づいてできるというようなこと、その自らの意思で選択ができるというようなことについては、これは俎上にのせるべきではないという意見がございまして、そういう記述になっているところでございます。一方、しかし、根強かったんですけれども、研究会では、幅広く七つの事例について、仮にのせるとすればどういうところが合理的な理由になるのかならないのかとかいうようなことについて御検討いただいたわけでございます。  それを参考にしながら審議会で御議論いただいたわけでございまして、審議会ではむしろこの七つの内容が、間接差別について、今均等法上の禁止規定の対象にしていくことについて合意ができるかどうかという観点の審議が中心になりまして、結果的に審議会でコンセンサスが得られた三つのものについて今般の規定の対象にしたいというふうに考えておるわけでございます。
  139. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そうすると、七項目例示されていたわけです。そのうちの一、二、四が今回省令だということでやっていこうとおっしゃっているわけですが、結果として外れた三、五、六、七があるわけですが、これは何ゆえ外れたのか、その具体的な理由を簡単で結構ですのでお示しください。
  140. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 四つの例につきましては、いずれも審議会で現時点でコンセンサスが得られなかったものでございますが、その理由でございます。  まず、一定の学歴や学部を要件とする募集、採用に関する措置につきましては、どの程度の業務遂行上の必要性があれば学部とか学歴について要件を課すことが認められることとすべきかという合意形成が現状では困難であったからでございます。  また、住民票の世帯主であることなどを要件とする措置、福利厚生などの措置につきましては、審議会の議論におきましても、世帯主を夫婦のどちらにするかについては世帯での選択が可能な事項でありまして、女性が世帯主になることが排除されているものではないとか、あるいは家族手当や住宅手当の支給方法については生活補助的な賃金として労使協議の中で積み上げられてきたものだというような強い意見が見られて、直ちにこれもコンセンサスが得られなかったところでございます。  それから、処遇の決定に当たっての正社員を有利に扱うこととか、福利厚生の適用等に当たってパートタイム労働者を除外することといった、いわゆる正社員パートタイム労働者との間の処遇の問題につきましては、これはパートタイム労働者の処遇問題はパートタイム労働法で対応することが適当であるというような強い意見があり、また実際にも、正社員パートタイム労働者の均衡処遇の問題は、その本質は性差別というよりも雇用形態間の処遇の均衡問題ではないかと、そして、諸外国の例を見ましてもアメリカでは適用例がないように、対応の仕方が分かれておりますというようなことで、今回対象にならなかったということでございます。
  141. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 限定列挙の場合に非常にその辺をがちがちに考えるということはあるかもしれませんが、しかし、例示的な列挙であればある程度潜在的にそういった温床といいますか、そういった素地のある部分ということであり得るわけで、現実に研究会報告に載っているわけですから、そういう意味で、私どもはそういった意味からも、そういったそのところにあり得るというふうな意味合いにおいて例示して、七つ以上あるかもしれませんが、少なくとも七項目を掲示するというやり方でやるべきだということが今の御答弁からも言えるんじゃないかと、このように思うわけなんですね。  もう一つ確認しておきますけれども、四項目御説明ございましたけれども、この法律で見ますと、措置の要件を満たす男性及び女性の比率その他の事情を勘案して省令で定めると、こういうふうな流れになっているわけですが、この四つについては比率ではクリアしたのかどうか、比率をクリアしたけどその他の事情で駄目だったというか、その辺はどうなんでしょうか。
  142. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 御指摘の四項目につきましては、いずれも現時点で間接差別の対象としていくことについて審議会でコンセンサスが得られなかったことから規定しないということにしているわけでございまして、この要件を満たす男性及び女性の比率を検討してそれが満たされなかったからという理由ではございません。
  143. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 すべてそのコンセンサスというところになるかもしれませんけれども、コンセンサスも大事ですが、やはり理想を追求といいますか、あるべき姿を追求するという行政の在り方も求められるべきだと、このことを申し上げておきたいと思います。  それで、結果として今回の対応というのは三項目以外、直接的には四項目になるわけですけれども、それが間接差別かどうか現時点でははっきりできないといいますか、はっきりさせないということになると思うんですけれども、結局そういうことになるわけですね。
  144. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) はっきりさせないということではなくて、将来的には対象とする可能性はあるとしても、現時点ではコンセンサスが得られていないので対象とすることは適当でないという趣旨に考えております。
  145. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それで、今回対象基準を三つに限定されているわけですけれども均等法努力義務であったときに、努力義務に反しても公序良俗に反しないという裁判の対応というものがあったわけですが、それと同様な懸念がぬぐえないわけであります。  限定列挙の場合にいわゆる門前払いのおそれがあるのではないか、限定列挙にすればそれ以外が救われにくくなるのではないかというふうに懸念を持つわけですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  146. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別につきましては、厚生労働省令に規定されない事案でありましても、司法の場で個別に、この法理を用いて民法九十条の適用によって公序良俗違反として無効と判断されることが今般の改正によって妨げられるものではないというふうに考えております。現実に、均等法規定をされていない事項につきましても現に違法というような判断を下した裁判例は、例えば妊娠、出産等を理由とする不利益取扱い禁止の判例などを見ても存在をしているところでございます。
  147. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それから、建議の中で、今後判例の動向を見つつ見直すというふうな指摘があるわけですけれども現実に裁判というのは非常に時間が掛かるということになるわけで、それの判例を見て対象追加を検討していくとなると非常に時間が掛かるということで、実質的には見直しはなかなかなされないんじゃないかというふうに思わざるを得ないんですけど、その点についてはいかがですか。
  148. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) この厚生労働省令につきましては必要に応じて見直しを行いたいと考えておりますが、その場合、新たな判例が出されたといったような場合のほかにも、例えば均等室への相談事案において間接差別議論の対象としていくことが適切な事案が出てきたような場合とか、審議会において委員の先生方から間接差別の対象の追加の提起がなされたような場合も、これは見直しの契機になるものというふうに考えております。
  149. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 大臣、今大事なところなんで大臣にもお聞きしたいんだけど、私どもは例示列挙すべきだと言っていますけれども、省令で定める限定列挙の場合であっても、政府の今のお立場であっても機動的に見直すということで、それはいいですね。
  150. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) そういうつもりでおります。
  151. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それで、大臣が四月の十九日、これまた参議院の本会議において御答弁をされている中で、省令の部分について限定的に機能するという危険はないと、こういうふうな御答弁になっておりまして、先ほどの指摘もありました。  それで、局長はさっき対象を限定する趣旨ではないと、こういうふうな解釈であるようにおっしゃったように思うんですが、ちょっとそれは大臣のおっしゃったことと趣旨が違っているんじゃないかと思うんですね。大臣は限定的に機能することじゃないよということでもっと大きなことをおっしゃっているんですが、局長は対象を限定する趣旨ではないというふうにちょっと違うようにおっしゃっていますが、そこはどうですか。
  152. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 私どもの理解では対象を限定する趣旨ではないとお答えになったんだと思っておりますが、たしかあのときの質問では、相当程度の不利益ということが限定的に動くのではないかというような御質問の趣旨であったかと思っておりますので、そういう不利益の程度というようなことも含めて何か限定的に対象の議論を決めていくものではないというふうに大臣はお答えになったんだというふうに理解しております。
  153. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 じゃこれ、限定的に機能するというふうに言っていますが、機能って書いています、言っていますけど、そういうことでいいんですかね。
  154. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) それは、本会議の御質問の趣旨がそういうことであったんではないかと思っておりますが。
  155. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 じゃ、これまた本会議のともう少し精査してお聞きしたいと思いますけれども、ちょっとずれているような感じもいたします。  それで、もう一点、間接差別についてのこれまでの審議会等での審議、それを改めて拝見いたしますと、研究会の座長を務められた奥山委員は、間接差別の例に当たるとか当たらないというものを一律に事前に議論することは難しいと、これは問題となったケースごとに判断をしていかざるを得ないと、このような考え方を述べられているわけでございます。また、間接差別がこれだけに限定されるのだという議論をした記憶はないと、ここに出てくるものですべて終わりということでは理屈からいえば違うと、まだまだあり得るかもしれないと、これがすべて、これで終わりということでは議論はなかったように思うと、こういったことをおっしゃっていて、要は限定列挙というトーンではないお考えだと思うんです。公益委員でいらっしゃって研究会の座長もされた方がそうおっしゃっているわけですね。  ですから私は、そういった意味からもこのことの本質はやはり限定列挙にはなじまないと、やはり間接差別の法理というものが、ある意味でこれだというふうに決めて取るものじゃないという基本のことをおっしゃっていると思うんですね。  ですから、そのことを受ける意味合いからも、それが私は正しい理解だと思いますけれども、そういった意味合いからも、やはり限定列挙という形で三項目に絞るではなくて、例示的な形でこういったものが当てはまり得るんだということを示すと、それが七より増えるかもしれませんけれども。そういったことが本来の姿であり、この奥山委員は研究会の座長をされた方でございますから、その辺は実は本当に大事なところだと思うんですね、魂のところだと思うんですね。だから、そこの部分をどう評価されているか、お伺いしたいと思います。
  156. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 雇用均等分科会におきましては、奥山委員も始めとして非常に長期間にわたりまして、間接差別の概念を雇用の現場にスムーズに導入するためにその概念の問題や導入するための手法について様々な意見が交わされたところであります。  最終的には、我が国においてコンセンサスが得られているものから導入することとして、そして対象となる措置を省令に列挙するという今御提案している形で、公益委員も含めてその建議がまとまったところでございます。  委員の御発言がどういう文脈でという、流れの中でというのは必ずしも判然といたしませんけれども、その間接差別の概念が一般的な概念であるということと、それから均等法できちんとその間接差別の問題を違法として対処していくために、その範囲を明らかにしていく手法として省令方式を取るということについては問題がないというふうに考えております。
  157. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 厚生労働省のお立場としては合意、コンセンサスということを前面に出されるわけで、それも一つの論理ではありますけれども、しかしやはり、研究会の報告という学者、研究者の方々が中心になって当初お考えになったあるべき姿、こういうものから、法案を作る段階で非常に、現実対応といえば言葉はきれいかもしれませんけれども、非常にあるべき姿から後退してしまったというふうに判断せざるを得ないというふうに思っているわけでございまして、そういった意味で私どもとしては、七項目を、少なくとも七項目を例示列挙するということでの主張をこれからもしていきたいと、このように思っているわけであります。  それで、もう一点お聞きしておきますけれども、しからば諸外国での範囲限定をしている国はあるのかと、このことについてはいかがですか。
  158. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今般の改正法案第七条と同様に、間接差別規定の対象を下位の法令で列挙することとしている例は承知をいたしておりません。
  159. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 要は、そういう国はないということですね。
  160. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) そういう国を承知していないということです。
  161. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そうおっしゃると、承知するまで調べてくれと言いたくなりますけれども是非次回の委員会で御報告ください。承知していないって、私はこれ通告しているわけで、ないならないでいいんですけれども。その辺は、これだけ長い期間研究会もやってこられたんでしょうから、答えが出ているはずですよね。だから、それは、今答えられるんだったら答えていただきたい、言い方を変えて答えられるなら答えていただきたい。もし違うなら、次回までにお調べいただいて御報告ください、お願いします。いかがですか。
  162. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) これまでの私どもの精査した範囲では、ないということでございます。
  163. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 まあ、それは一つの答えでした。最初からそう言っていただければよかったというふうに思うわけであります。  それで、局長の御答弁でちょっとお聞きしておきたいと思うんですね。前回の二十日の審議のときに、限定列挙にしない場合の問題点ということでの御質問があって、それについて局長が御答弁をされて、三つポイントがあるんですね。  一つは、一つはというか、それが一つ大きなところだと私は思っていますけれども、こういう今度の限定列挙という、私ども言葉になるかもしれませんが、それでやった場合、そういう形を取らなければ、労働者間接差別であることを主張する場合には、性中立的要件であることと、それから個々の事案ごとにこの男女の比率の格差というものの有無を、その格差があるということを労働者が立証しなければいけないということになると思います、つまり、個々の事案ごとに格差の有無を判断することが必要になるわけでございます、この格差の存在を示していく負担が労働者に掛かってまいりますと、こういうふうにおっしゃっているんですね。  この側面は、これ自身はそうかもしれません。しかし、逆に言えば、その三つ以外については労働者に負担が掛かるということをおっしゃっているわけですね。それはそういうことになりますね。
  164. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 司法の場で、例えば何らかの性中立的な要件を付した措置を間接差別法理で争う場合には、そういう男女間の格差の問題、つまり、一方の性が別の性に対して相当の不利益を受けるというようなことを主張していかなきゃならないのではないかというふうに考えます。
  165. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 ですから、局長がおっしゃっているのは、三つについては、そのことを労働者が立証しないでいいよということをおっしゃっている。それは実はそうなんですよ。しかし、それ以外のこと、三つ以外については労働者が立証せないかぬよということをおっしゃっているし、今の答えもそうなんですね。だから、その部分をはっきりさせてください。
  166. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) この三つの措置については均等法の世界での措置でございまして、その他のものについて、その均等法の省令の中に入っていないものについては司法の場の争いになるわけでございますから、そうした場合においては労働者が主張していくということになるんだというふうに思います。
  167. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 ですから、先ほどはそうはならないとおっしゃったけれども、やっぱり限定列挙の場合はその三つ以外が救われにくくなるといいますか、やはりハードルが高いということを今回のことによって導き出すという結果になっていることをある意味でお認めになっていると思うんですね。ただ、私どもといたしましては、やはりそういった意味からも、限定的にするんじゃなくて例示的なことで、その他についても同様な形、すなわち労働者が立証しなければいけないという、その負担が掛かるということを局長自らおっしゃっているわけで、そういった意味でも私は例示列挙であるべきだと、このように申し上げておきたいと思うんですね。  もう一つ、そのときにおっしゃったことで、今回の省令で定める方式を取らなかったら、個別事案ごとの格差、相当程度の不利益というような判断になりますと、なかなか容易ではございませんので、行政指導に当たります雇用均等室もまあ率直に申し上げてなかなか慎重にならざるを得ないという面もあろうかと思います、こうおっしゃっているんですよ。まあ、これは一つ理屈として分からなくはないんですけれども、しかし、しっかりと取り組んでいただきたいということを申し上げると同時に、これは何も限定列挙だからできるできないじゃなくて、例示列挙でもできるわけですから、そのことによっては、このことは申し上げておきたいと思いますけれども、それはそれでいいですね。
  168. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 例示ということになりますと、やはり範囲が、間接差別均等法上違法とするに際しての対象となる範囲が広がってしまうわけでございます。これは例示でございますから、その例示以外でも何でもあり得るということになるわけでございます。そうしたことではこうした間接差別の概念を雇用の現場にスムーズに導入することはできない、非常に混乱が生じるということでありますから、私どもではきちんと範囲を省令で明確にしたいということで省令方式を取っているわけでございます。  仮に例示列挙方式というような法形式になりますと、その法条文も恐らく大分変わってくるのではないか、つまり一方の性に対する相当な不利益ということをきちんとその要件の一つとして書いて、それで訴える方が証明していくというようなことになるんではないかというふうに考えます。
  169. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 何でもありとおっしゃったけれども、何でもありではないんで、当然それなりの枠といいますか範囲があるわけですから。  そういった意味で、むしろ限定することによってそれ以外が救われにくくなると、やはりその部分が意味が大きいわけで、やはり何でもありという言葉はあれですけれども、しかしそれの可能性あるものは変えていくと、労働者の負担にならないようにしていくと、そのことが大事だというふうなことですね。  そのことを改めて申し上げたいと思いますし、もう一つ局長が先般の御答弁の中で、限定列挙しなかった場合に、事業主にとって何が間接差別となり得る措置なのかということが非常に明らかでないということで、事業主による雇用管理改善が図られにくくなるという懸念があると、こういうふうにおっしゃっているわけなんですね。ただ、これも例示列挙においても、これはこれで一つ対応することができるというふうに私は思っている、このことを申し上げておきたいと思っています。  それで、時間が大分なくなってまいりましたけれども、あと二点ぐらいお伺いしておきたいと思うんですが、まずさっきのことにもかかわりますけれども大臣ちょっと確認ですけれども、四月十九日の本会議の中で、「四項目についても、今後の見直しの対象からあらかじめ排除されるものではないと」、こういうふうな御答弁があったわけです。先ほども確認しましたけれども、改めて、できる状況になるならばいつでも機動的に追加するんだと、こういう方針だということで確認させていただいていいですか。
  170. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 大臣に代わりまして御答弁いたしますが、今おっしゃるとおり、この三項目は今差別対象として定めておりますけれども、この差別対象を定めた厚生労働省令につきましては、今判例の動向とか、それから労働政策審議会における労使のコンセンサスの状況、それからまたその他社会的コンセンサスの状況、これは、例えばこの状況といたしましては、審議会以外で主要な労使が間接差別についていろいろな取決めをして、そういうものがだんだんだんだんと広がってきて社会的に認知されたと、そういう状況になってくると、そういうときには適時適切に追加の措置をやっていきたいということは間違いないと思いますから。
  171. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 大臣、お伺いしたいんですが、その同じ四月十九日に、最後のところで、今回の均等法改正の検討に際しては、公開の審議会で議論を行った、国民からの御意見を募集したと、また各種団体からの多数意見をいただいたと、こういったものを真摯に受け止めて検討して参考にしてやってきたんだと、こういうことをおっしゃっていて、最後に、厚生労働省令、指針の策定に当たりましても、同様に適切に対応してまいりたいと、このようにおっしゃっているんです。  ということは、厚生労働省令をこれから決めていかれるわけですけれども、その過程に当たっても、こういった審議会での議論、国民からの意見を聴取する、また当然国会の議論もありますが、それらを踏まえて決めていかれるということでよろしいでしょうか。
  172. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 議論の中に随分出てしまっているんですけれども方向性としてはそうなっておりますから、当然法律が成立をさせていただきましたら、すぐその作業に移り、審議会でしっかり検討してもらうと、国民の意見をもらいながら決めていくと、こういう手順になります。
  173. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 済みません、確認をさせてください。今おっしゃったことは、この法律が通った暁に国会で議論も、これは我々がさせていただく、これから衆議院にも行くことでございましょう、そういった議論、それから審議会での議論、国民の意見、こういったものを踏まえて厚生労働省令を決めていくと、こういうことでよろしいですね。
  174. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 手順論としては当然そういうことになります。
  175. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そのことはしっかりやっていただくように御要請申し上げておきたいと思います。  最後の質問になるかもしれません。今回の法案の最後といいますか、検討規定が附則に入っておりまして、この五条に検討規定があるわけでございます。それで、これは円委員からも御指摘があったところでございますけれども、今回のこの均等法と労基法があって、労基法の方の見直し規定がここに書いているわけですけれども、私はやはり均等法においても見直し規定というものがあってしかるべきじゃないかと、このように思うわけです。これは私ども申し上げている、三つの修正ポイントと申し上げましたけれども、それとは独立した形で私どもとしてはあるべきじゃないか。  すなわち、今まで議論してきましたように間接差別の法理というものは新しく日本の法制の中に組み込まれたということで、そういうこと自体は画期的であるというか、一定の評価をすべきことだと思いますけれども、そうであれば、そういった新しい考え方を入れた法律というものがどういうふうになっていくのかということをやはり三年なり五年なり、期限はそれなりの判断があるかもしれませんが、見直しをしていくということを入れておくということが私は大事なことだと思っておるわけでございます。  今までの新規の立法、これは新規じゃございませんけれども、考え方を新たに入れるという意味においては新しいことになるわけですね。そういった意味でも、是非その部分についての、間接差別等についての見直し規定が入るべきだと、すなわち均等法の部分の見直し規定が入るべきだということ、またこの五条の検討規定、労基法の方のことが小さいということでは毛頭ございませんけれども、そういった坑内労働のことについての見直し規定もしっかり入れていられるわけです。そのこと自体はいいことだと思います。だから、それとパラレルな形で均等法についての新たに考え方を導入するわけですから、そういった意味での見直し規定というものがあってしかるべきだと、このように思うわけですけれども、その点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  176. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今回は二十年ぶりの改正ということでございますけれども、基本的には法律を預かる厚生労働省として、法律が成立した後、いろいろな事態の変化に合わせながらまた法の見直しを行っていくということは当然であろうと思います。そこを事前に予定をして法律を入れるべきかということについては、正に委員会にお預けをいたしておりますので、委員会議論。ただ、円議員と委員から今そうした御質問があったということは受け止めておきます。
  177. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今日はいろいろ御質問させていただきましたけれども、改めて私どもの主張の正しさというか、政府の対応の非常に後退的な部分を痛感したということを申し上げざるを得ないわけであります。  改めて、冒頭申しましたように、法律理念仕事生活調和を明記する、二つ目に間接差別禁止の基準は限定列挙でなく例示列挙とする、三番目にポジティブアクションの義務化を明記する、そのことの修正、そして見直し規定の挿入、そのことについて今後とも私ども主張をしていくことを改めて申し上げまして、時間が参りましたので、私の質問を終わります。
  178. 山下英利

    委員長山下英利君) 午後一時三十分から再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  179. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、雇用分野における男女均等機会及び待遇確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  180. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。  同僚委員に引き続き、質問をさせていただきたいと思います。  近年、我が国では少子高齢化が急速に進展しております。そして、ついに人口減少社会に突入いたしました。それに伴い労働力人口も減少することから、女性を始めとする潜在的労働力の活用が求められております。  平成十七年の女性労働力人口は二千七百五十万人、雇用者全体に占める女性の割合は四一・四%と女性の職場進出は進んでおりますが、女性労働力率を年齢階級別に見ると、出産・育児期に当たる三十から三十四歳層をボトムとするM字カーブを依然として描いており、これをいかに解消するかが重要な課題となっております。出産・育児期に女性労働力率が低下する要因の一つには、妊娠、出産を理由とした解雇、雇い止めや不利益取扱いなど性役割分業意識に基づく様々な性差別的取扱いがあります。また、募集、採用、昇進、配置での差別的取扱い、セクシュアルハラスメントなど就労女性が能力を十分発揮できず苦しめられているケースも少なくありません。  こうした状況を踏まえ、労働者が性別により差別されることなくその能力を十分に発揮できるよう、男女雇用機会均等法の実効性を高める、そしてより良い労働環境の実現に向け努力することが重要であると考えております。  そこで、まず、先ほど午前中の質問にも度々出てまいりましたワーク・ライフ・バランス推進のための施策の必要性について、私の方からも重ねて御質問させていただきたいと思います。  我が国においては、依然として性別による役割分担意識が強く、女性家事育児の大部分を担っております。男性仕事一辺倒の生活を続ける限り、女性は、男性同様に働き結婚、出産を断念するか、仕事家事育児を一手に背負うか、仕事を辞めるかの選択を迫られることになり、男女均等は実現されないと思われます。週六十時間以上就業する三十代男性労働者は、二〇〇四年で約二三%。現在の長時間労働働き方を見直し、男性家事育児において役割を果たすことができるようにすることが重要であり、そのためにはまず長時間労働の是正が前提となります。  そこで、大臣に伺いたいんですが、長時間労働の原因は何にあるとお考えでしょうか。そしてまた、その是正のための今後の取組について御所見を賜りたいと思います。
  181. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、年間の総実労働時間でございますけれども労働者全体としては減少傾向にある。それは、すなわち短時間労働者の割合が高まっているからということになります。しかし、一般労働者だけを見ますと、依然として長時間労働の実態がございます。特に、週休二日制に入ってもう十年たっておりますけれども、残念ながら全体の労働時間が減っていない。すなわち、残業時間が増えておるというのが実態であろうと思います。企業間競争が激化する中での一部の労働者への業務の集中、成果主義の広がりなど、人事労務管理の変化がもたらす労働時間の影響などが大きいのではないかと考えております。  このような状況に対して、厚生労働省としては、本年四月一日から施行された労働時間等設定改善法に基づき労使の自主的な取組を促進すること等により、所定外労働の削減や年次有給休暇の取得促進を進めていくこととしております。加えて、現在、労働政策審議会において労働時間法制の在り方について検討をいたしております。生活時間を確保しつつ仕事生活調和させて働くことを実現する観点から、長時間労働の問題も含めて今議論をいただいており、でき得れば来年に法律を提出させていただきたいと思っております。
  182. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そこで、引き続き質問をしたいと思うんですけれども、このワーク・ライフ・バランスの取組によりまして、従業員の忠誠心及び生産性が向上し、企業業績も向上すると言われております。従業員だけでなく事業主にとっても大きなメリットがあることを示すため、ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業と、そしてその業績との関係について実証分析し、そして結果を周知することが重要ではないかと思われますが、この点についての御所見を伺いたいと思います。
  183. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 御質問いただいたように、そのような観点から平成十五年から十六年度にかけて仕事生活調和に関する検討会議を開催し、その際行った意識調査において、企業に対して、従業員の仕事生活調和の取れた働き方について聞いたところ、労働生産性の低下を理由に導入に消極的だった企業は八・一%にすぎず、反面、労働者のモラル向上や企業イメージのアップを理由に導入に積極的な企業は三五・二%であり、仕事生活調和に肯定的な評価を与える企業の方がはるかに上回ったと、こういう数字になっております。  この調査結果を受けて、厚生労働省としては、労働時間等の設定を労働者の健康や生活に配慮するとともに多様な働き方に対応したものへの改善するため、労働時間等設定改善法を本年四月一日に施行したところでございます。この法律に基づき、事業主等が労働時間の設定の改善を図るに当たってのガイドラインとすべき労働時間等設定改善指針を策定し、その周知啓発に努める一方、仕事生活調和キャンペーンを推進し、仕事生活調和にかかわる社会的機運の醸成に努めていくことといたしております。  働く者が仕事家事育児とを調和させつつ、その意欲と能力を生かし充実した生涯を送れるような環境整備を送ることが極めて重要な施策であると考えております。
  184. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今ほどもいろいろなお話がありましたけれども、国全体として意識改革を進めていくということが非常に重要なんだろうと思います。  大企業におきましては、そういうワーク・ライフ・バランスの取組によって生産性も向上するというふうに御理解をいただいているところが多いと思うんですけれども、企業の大半を占めます中小企業等におきましては、まだまだこれからだというところだと思います。そういう意識の変革を図るためにも、先ほど来私どもが提案をさせていただいておりますワーク・ライフ・バランス、仕事生活調和、この理念を法制化するということが必要だとやはり思われます。  先ほど来の大臣の御答弁は、労働関係法令全体を通じて実現が図られるべき、また、先ほどの円理事の質問に対して方向性は間違いないというふうな御答弁がございましたけれども、やはりどうもすっきりいたしません。政府の意思が感じられないというふうに思います。やはり理念を法制化するべきだと考えますが、仕事生活調和、ワーク・ライフ・バランスの理念を法制化するとすればどの法律に条文化するのが適当とお考えか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  185. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今、労働時間等設定改善法の内容を少しお話をさしていただきました。また、基本的には労働基準法という基本法がございます。あわせて、最近作らしていただいた育児介護休業法、次世代育成支援対策推進法、様々な法律全体で政府労働行政関係をきちっと位置付けていくということが大事だろうと思いますけれども、さあどの法案にと言われると、なかなか私もどの法案と言い難い面がありますけれども、基本的にやっぱり時間の概念を持っておる法律に、もし定めるとしたらそこへ定める方がいいだろうと、時間の概念、働く時間の概念。そういう意味では、男女雇用均等法というのは性差別禁止を打ち出しておるところでありますので、この法律にということについては私は余りなじまないんではないだろうかと、こう思っております。
  186. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 どの法律に明文化するのが適当かということが私の質問の一番大事なところなんですが、つまり時間の概念のある法律ということでございますので、例えば労基法ということでしょうか。
  187. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今、例えば時間に着目したということであれば労働時間等設定改善法であろうし、労働基準法も基本的な法律としてはあります。また、来年の議論いたしております法律も、そういった意味では多様な働き方という切り口の中で労働時間管理をいたしますので、そういった概念もあるだろうと。しかし、一つ法律に書くことがいいのか、法律全体でその思想を生み出していくということが大事かということになれば、今私どものスタンスは後者の様々な法律の中でそれをにじましていくことが大事だろうと、このように考えております。
  188. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 にじませると言われても、どうもやっぱりすっきりしないですよね。やはり、先ほども申し上げました意識改革をしていくためには、きちんとしたワーク・ライフ・バランスという理念を法制化するということが私は重要だと思います。これ、何度やり取りしても今の時点では大臣はそれ以上のお答えをする気がないというふうに感じられますので、是非御検討いただきたい。今、時間の概念のある法律というふうなお話がございましたので、そういう法律に、一番早く改正する法律に盛り込むということを是非御検討をいただきたいと思います。  次の質問に移りたいと思います。  妊娠中、出産による不利益取扱いに対することについての質問をさせていただきます。  今回の改正案で盛り込まれている規定妊娠中又は出産後一年を経過しない女性労働者に対する解雇は、事業主が妊娠等を理由とする解雇でないことを証明しない限り無効とする、この規定に関しては評価をしたいと思いますが、多くの国々で既にこの規定については導入していると聞いております。諸外国では、妊娠、出産による不利益取扱いについてどのような規定を置いているのか、また、不利益取扱いとなるのは具体的にどのような内容のものであるか伺いたいと思います。
  189. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 妊娠、出産等を理由とする解雇その他の不利益取扱いについて、諸外国におきましても規定の仕方は様々でございますが、大きく分けますと、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱い性差別として規制する国と、性差別とは別個に規定する国とがございます。  アメリカ、イギリスフランス、ドイツの状況を簡単に御説明申し上げたいと思いますが、アメリカにおきましては、公民権法第七編におきまして、妊娠、出産及び関連する医学的状況に基づく差別性差別として禁止をされております。また、イギリス雇用権利法で規定されておりまして、あらゆる不利益取扱い禁止をされております。フランス労働法典でございまして、雇用の拒否、配置転換における妊娠の考慮が規定をされております。また、ドイツは母性保護法でございまして、妊娠中等の解雇禁止され、解雇以外の不利益取扱いについては性差別ということで解釈をされているようでございます。
  190. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今回の先ほどの改正については私は評価を申し上げますというふうに言いましたけれども、ILOの母性保護条約の第九条の募集、採用時の不利益取扱いについては今回は除外されました。ドイツなどで、今ほどいろいろな各国の例を挙げられましたけれども、ドイツなどで既に採用されているというふうに認識をいたしておりますけれども、いかがでしょうか。
  191. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) ILOの母性保護条約の第九条の募集、採用時の不利益取扱いにつきましては、ドイツではその関連の規定として、ドイツ自身はこの条約は未批准でございますが、関連する規定として母性保護法におきまして、女性労働者が採用に際し、自らが妊娠していることを使用者に告げる義務はないとされているところでございます。
  192. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今ほど局長の説明がありましたとおり、既に諸外国ではもっと踏み込んでいるわけですね。会社に就職したいと思ったときに既に妊娠をしていたとしても、女性労働者はこの採用に際し、自らが妊娠していることを使用者に告げる義務はない、そして使用者からの質問に答える義務もない、そして従事する予定の業務内容が妊娠中の女性の就業が禁止されているものでも同様であると、このようにいただいた資料には書いてあります。  ちょっと具体的な例をお聞きしたところ、厚生労働省としては把握はされていないという御回答だったんですけれども大臣、いかがでしょうか、今回は除外されましたけれども、ILOの母性保護条約の第九条の募集、採用時の不利益取扱いについても、各国では既に相当踏み込んだ法整備をしておりますけれども、この点について今後我が国でも導入するお考えはないかどうか、御答弁をお願いいたします。
  193. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 一つの御提案ですし、また、外国においてもそういう例もあると。今回はこういう形の法律でございますけれども、またいろいろ議論をいただく中で私ども議論を重ねてまいりたいと考えております。
  194. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今回の均等法改正で評価すべきところはたくさんあるんですけれども、やはりいろんな、改めて諸外国等と比較してみますと、かなり後れているというふうに言わざるを得ないと思います。今のドイツの事例については具体的なところを少し把握できなかったんですけれども、こういうところまで踏み込んで母性の保護、そして男女均等待遇というものにつなげていくという取組が既になされているということを我々は認識しておくべきだろうと、そのような観点から今の御質問をさせていただきました。  続きまして、中小企業における仕事家庭の両立を支援するための取組について伺いたいと思います。  仕事家庭生活を両立させることは先ほどの様々な例を見ましても既に国際的潮流でありまして、特に、少子高齢化、そして人口減少の局面を迎えました我が国におきましては、妊娠、出産を機に女性労働者が退職することのないよう、企業が就労継続を積極的に支援することが重要であると考えております。  従業員の仕事家庭生活の両立を支援するため、先進諸国ではどのような取組が行われているのでしょうか。特に、中小企業の従業員に対する支援、取組にどのようなものがあるのか、伺いたいと思います。
  195. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 諸外国の仕事家庭の両立支援対策といたしましては、我が国の例えば事業主に対する助成金の支給というようなものは余り一般的ではない、むしろ、育児休業制度、従業員に対する育児休業制度とその休業期間中の休業給付というものが典型的な制度であろうと思っておりまして、それを若干御紹介したいと思いますが。  まず、フランスでは、育児休業期間は子が三歳になるまで認められておりまして、休業中の経済的支援は、第一子の場合は生後六か月まで、第二子以降は三歳になるまで月額七万円程度を支給されているようでございます。  また、ドイツでは、休業期間、子が三歳になるまでで、休業中の経済的支援は子が二歳になるまで約月額四万円の育児手当が支給されております。  スウェーデンでは、子が八歳になるまで両親合わせて四百八十日間の休業が認められておりまして、休業中の経済的支援としては従前賃金の八〇%を支給しております。  イギリスでは、母親に産後一年間の出産休暇が認められており、また子供が五歳になるまで両親合わせて十三週間の育児休暇ということでございまして、経済的支援は、出産休暇については生後六か月まで従前賃金の九〇%を支給ということになっておるところでございます。
  196. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今ほど御説明がありましたように、様々な取組が行われているところでございます。そしてまた、先日、清水委員の方からも、少子高齢社会に関する調査会の会長として様々な御経験からパパクオータ制の御紹介等もあったところでございますけれども、とにかくできる支援はすべて十分行っていくということが重要だと思います。  中小企業におきましては、個々の従業員が企業経営上欠かせない戦力として業務に従事しております。このため妊娠、出産等に伴う産前産後の休業、そして育児休業の取得者が出た場合、企業経営に大きな支障が生じております。育児休業等による欠員に人事配置等で柔軟に対応できるのは多くの従業員を雇用する大企業であり、中小企業の多くは何らかの支援がなければそれに対応するための経営余力を持ち合わせていないのが現実ではないかと考えます。  中小企業において育児休業等の取得を促すためには何が支障になっていると厚生労働省認識し、そしてどのような取組を進めるべきと考えているのか、御所見を伺いたいと思います。
  197. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 議員の方全員だろうと思うんですけれども、お互いに秘書がおり、また地元で働いてくれる各事務所があって、そこへ多くの女性方々に手助けしてもらっている、事実だろうし、私も実は二人、この五年間で二人職員の子供が生まれまして、残念ながら一人は辞めました。辞めてくれとは言いませんよ、残念ながら子育てのために辞められた。また、もう一人は休暇を取って、今また現場で働いてもらっていますけれども。  そんなときに、事務所といっても三人ぐらいの事務所ですからね、正直言って、大変他の人たちにも負担、みんなでカバーし合いながらやってもらわなきゃならない。特に事務所ですから、急にアルバイトの代わりの女性入ってやるというわけにもいかぬものですから、そういった意味では、お互いが協力し合うという気持ちが中小企業でも大企業でもなきゃならないと、みんなでカバーし合うという気持ちが私一番大事なんだろうと思います。  そういう意味では、まだ世の中全体にみんなで、育児に専念する間はみんなでカバーしてあげましょうよという雰囲気をまず醸成することが一番大事なのかなと、こんな感じを受けております。  育児休業取得率を見ますと、大企業に比べ中小企業では育児休業の取得が立ち後れている実態にあり、その背景には、今申し上げたように、中小企業の経営基盤の弱さ、育児休業への負担感があるのではないかと考えております。  中小企業で働く労働者が安心して育児休業を取得できるようにしていくためには、事業主の過大な負担感を軽減し、育児休業が人材確保に役立つことを実感してもらうとともに、労働者側の育児休業取得への心理的抵抗感を解消することが必要であろうと、全体の雰囲気がまず大事だと思います。  その上で、国で何ができるんだということになりますと、平成十八年度に、従業員百人以下の中小企業において育児休業取得者が初めて出た場合には一人目百万円、二人目六十万円を支給する手厚い助成制度を創設したところであり、このような助成金も活用しつつ、中小企業に対し育児休業等の定着、浸透を図ってまいりたい。そういった意味では、新しい助成制度を導入した中で、できるだけ多くの人たちに理解をしてもらうという政策を進めなければならないと、このように思っております。
  198. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 改めて雇用均等室の相談事例を見ますと、そもそもこの均等法の趣旨、今特に妊娠、出産による不利益取扱いについて質問させていただいておりますけれども、そういうこと自体、経営者の側が全く理解をしていないのではないかというふうに思われる事例が本当にたくさんございます。まずは、今大臣がおっしゃったように、きちんと妊娠、出産ができるという企業風土というものをみんなでつくっていくということが重要だと思いますし、そのためにできるだけの支援をしていくということが必要だと思います。  今ほど御説明もありましたけれども、まあ我々も、先ほど大臣がおっしゃいましたように、それぞれ議員が個人事業主ですから、皆同じ悩みを確かに抱えております。私は、育児休業等の取得を阻害する最大の原因は、やはり代替要員の確保の問題だというふうに考えております。育児休業の取得者が、欠員に伴い同僚の業務負担が重くなることにまず負い目を感じないようにするということ、そのためには企業が代替要員を確保する体制を整えておくことが重要でありまして、それに伴う企業のコスト負担を軽減することが、企業規模にかかわらず従業員の仕事家庭の両立を実現することを可能にするというふうに思います。  育児休業取得者の代替要員を確保した企業に対する助成事業があるというふうに承知をしておりますけれども、最初に対象労働者が生じた日の翌日から三年間に支給が制限されるなど、そして助成額の水準も含め十分とは言えないと思います。特に、先ほどからお話を申し上げております中小企業に対しては、より重点的にこのような施策を行う必要があるのではないかと考えておりますけれども、いかがでしょうか。
  199. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今申し上げましたように、一つは国として助成をしっかり中小企業、特に力の弱い中小企業をバックアップしていくことが大事だろうと。また、育児休業の取得促進のために、休業中の代替要員の採用や労働者派遣の活用等により必要な能力、技能を持つ代替要員の確保が円滑に行われることが重要である。そういう意味では、ハローワークにおきましても、代替要員を求める企業から求人が出された際には、的確な職業紹介を心掛けていかなければならないだろうと思っております。  助成の面、金銭的な経済的な助成の面と、やはり代替要員を望むときにどうやってしっかり確保できるかということに対して、我々としてできるだけのことをしていかなきゃならぬと、このように思っております。
  200. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今、少しお答えいただいたと思うんですけれども育児休業取得者の業務によっては、ある一定の技能、そして能力が必要な場合もありますが、このような能力、技能を持つ代替要員を容易に確保できるような仕組み、今ほど少し、若干御説明になりましたけれども、もう少し充実を図られるべきと考えますが、いかがでしょうか。
  201. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今大臣が御説明を申し上げましたように、一つは助成金の支給ということで、代替要員確保助成金とともに、一人目百万円、二人目六十万円の中小企業に限っての手厚い助成も設けましたので、その要件が微妙に違いますけれども、利用しやすい方、要件に合う方を活用していただいてやっていただくということ、中小企業の取組を進めていただくことが一つでございます。  それから、今御質問のございました必要な代替要員を確保するというための方策ということでございますけれども、やはり休業中になかなか後に残った同僚だけで、要するに休んでいる人の配分をして賄うということだけではなかなか済まない場合がございます。休む側も心置きなく休むためには、休業中の代替要員というものがきちんと確保されていくことが大切だろうと思います。  かつまた、その代替要員はずっとそこに残って、今度、今まで休んでいた方が戻れないようなことになってもこれは困るわけでございまして、その意味で、代替要員の採用というのは少し難しいことでございますが、やはり休業中の代替要員のきちんとした採用、そして、特に必要な能力、技能を持つ方が休まれている場合の代替要員というのは、やはりその一つの方法として、例えば労働者派遣を活用するといったようなことも含めて必要な人材が確保されるということが重要であると思っております。  そうした観点からは、ハローワークにおいて的確な職業紹介に努めてまいるということでございます。
  202. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今の代替要員の確保についてもう少し、局長で結構なんですが、伺いたいんですけれども、この助成金の予算額、そして実績を表にしていただいたんですけれども、予算は増えているんですけれども実績がそれほど伸びていない。平成十六年の実績、これは途中経過なんでしょうか。そして、平成十八年度予算は大幅に、平成十七年度予算に比べると約半分になっているんですけれども、これはうまくこの助成金が利用されていないということなんでしょうか。
  203. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 育児休業の代替要員確保助成金の予算額のお尋ねでございますが、十七年度に比べまして十八年度が減っておりますのは、やはり厳しい財政状況の下で支給実績を問われまして、その支給実績の見合いでこのような減額となったところでございます。
  204. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 要するに、実績が上がらなかった理由というのは既に検証されておりますか。つまり、助成金は、いつも言われることなんですけれども、ここに「事業主の方への給付金のご案内」、これは平成十七年版をいただいているんですけれども、かつて、もう山ほどあって、その助成金を一回、使い勝手がいいようにという形で一度大きく整理していただいて、今は、かつてに、五、六年前に比べれば企業主にとっても分かりやすくはなっていますけれども、非常に使い勝手が悪いということが常々指摘されているところですけれども、この育児休業代替要員等の確保助成金が実績が余り上がらなかったというのは一体どのような原因があるんでしょうか。
  205. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 一つには、周知がまだまだ十分でなかったということがあるかもしれません。それからまた、額の魅力あるいは支給要件が細か過ぎるというようなことも時々指摘されるところでございまして、私どもとしては、この様々な両立支援のための助成金をなるべく多くの企業の皆様方に御利用いただけるように、支給要件の簡素化であるとか額の魅力付けであるとかに努めてきているところでございます。  また、十八年度におきましても、非常に一つ一つの助成金の名前がこれまで硬い名前であったわけでございまして、非常に分かりにくかったわけでございますので、すべてこれをもう少し平たいコースに変えまして、もっとそれぞれの助成金が大いに御活用いただけるように周知に全力を尽くしていきたいというふうに考えております。
  206. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今のが象徴的なんですけれども、様々な国の支援が使う方にとって分かりにくい、きちんと周知されていないということでは、こういう施策をいろいろやりますといっても結局効果が上がらないということになると思うんですね。  大臣、一言、もう少し改善を図るとか、何か御答弁をいただければ。
  207. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 確かに、このことではないんですけど、不妊治療を制度としてセットさせていただいておりますけれども、なかなか利用者の数が少ない、現実に申請もされないのかもしれない、そういったものをしっかり解消をしていかなければならないなと。実は今、この不妊治療の問題についても充実しようと思っているんですけれども、充実しても、本当にそれを利用していただく方々が増えていかなければならないわけですから、そういった意味では制度をつくって、その後の運用というのがやっぱり大きな課題だなと。そういう意味からいきましても、この制度もやっぱり育児休業を取るということを促進させるためにどうやったらいいかというスキームでございますから、中小企業がもらうことが目的ではなくて、やっぱり取りやすい雰囲気つくるためには中小企業に援助するということですから、より中小企業にPRをしていくことが大事だろうと。  そういった意味では、御指摘いただいたことも踏まえて周知徹底に努めてまいりたい、このように思います。
  208. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今回の改正均等法では、先ほど申し上げたとおり、妊娠中、産後一年以内の解雇妊娠等が理由でないことを事業主が証明しない限り無効というふうになりました。このことに関しては、地元の中小企業の経営者からは、こうした措置に対する不安というんですか、不満というんでしょうか、そうは言ってもなかなかというような戸惑いというんでしょうか、そういう声も寄せられていることも事実でございます。しかし、それを乗り越えて一歩前へ踏み出していかないとこういう状況改善できないんだろうと思うんですね。  そういう意味で、この均等法の実効性をきちんと確保するということが非常に重要だと思いますし、そういうことを乗り越え、様々な不安、不満の声もあってもそれを乗り越えて、こうした性差別の是正を図ることで、女性労働者がその能力を十分発揮し、女性労働者の更なる職場進出を促し、我が国の経済社会が安定した活力を維持するということにつなげていくと。これは労働者のみならず使用者にとっても多大な利益をもたらすということ、これを本当に社会全体で認識を共有し、この法の趣旨を広く啓蒙周知することが重要であるというふうに考えております。今ほども大臣からその趣旨の御答弁をいただいたところでございます。最後にまたこの件に関して伺いたいと思いますけれども。  先ほど来出ております国連女子差別撤廃委員会の最終コメントにおきましては、男女均等取扱いは、我が国においてです、日本において確実に浸透してきているが、事実上の格差は依然として残っていると、このように述べられております。で、課題はというところで、課題は事実上の格差をいかに解消するかであると、このように報告をされているところでございますけれども、今回の改正におきましては、やはりキーワードは私は均等法の実効性を確保するということに尽きるのではないかと思っております。  それで、次の質問に行きたいんですけれども、今回、実効性の確保につきまして、今ほど来お話をさせていただいております、いわゆる母性健康管理の措置、そしてセクシュアルハラスメント等について、実効性の確保については改正が見られたわけでございますけれども局長に一応事実確認だけをさせていただきたいんですけれども、これまではいわゆる性差別禁止解雇禁止等々がこの均等法における実効性の確保の取組に含まれていたわけですけれども、セクハラ、そして母性健康管理等に関しましては公表、そして調停等は対象になっていなかったわけですけれども、今回の改正で一応一通りこの対象になったということでよろしいですね。
  209. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 御指摘のとおり、現行均等法におきましては、セクシュアルハラスメントと母性健康管理につきましては調停の対象となっておりませんが、改正法案におきましてはその二つを調停の対象といたしたところでございます。
  210. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それで、事業主の均等法違反行為に対しましては調停制度、今ほどありましたこの調停制度を設けておりますが、しかし、この調停というのは相互譲歩の話合いでありまして、調査権限も差別を判定する機能もないなど、先ほど来キーワードは実効性の確保というふうに申し上げたんですけれども、この実効性の確保という面では私は不十分な制度であるというふうに考えております。  裁判に訴えると長期にわたり、そして費用もかさむなど、差別を受けた労働者に非常に過大な負担となっております。こうした状況にかんがみ、現行では事業主の努力義務となっております苦情処理機関の設置を義務化するほか、簡易かつ迅速で、そして強い権限を持った是正機関を設置すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  211. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 均等法の実効を上げるために均等法の中で二つの制度がございます。一つ労働局長の紛争解決の援助であり、もう一つは調停制度でございます。これはいずれも差別を受けたと主張される女性労働者雇用の継続ができるように粘り強く女性労働者と事業主との間の紛争解決に向けた援助を行っているところでございまして、簡易で迅速な紛争解決制度として効果を上げているものと私どもは考えております。  お尋ねの、苦情処理機関の設置の義務付けということでございますけれども、現行の均等法では、苦情処理機関などをつくるなどして、企業の中でできるだけ自主的に苦情処理をしてくださいという努力義務が企業に掛かっております。これをもう少し強化をして、一律に法律で苦情処理機関を設けることを義務付けたらどうかということでございますけれども、やはり企業内でどのような苦情処理の方法を取るかということは、企業の自主性に一義的にはゆだねることが適当ではないかと考えております。また、そもそも事業主は紛争の一方当事者でございますから、すべての紛争を処理するよう義務付けるということも現実的ではないんじゃないかということを考えております。  私どもといたしましては、今般の改正におきましては、これまでの実効性確保措置に加えまして、行政からの報告の求めに応じない事業主に対する過料の創設もいたしましたし、それから行政指導に従われない企業に対する企業名公表制度も設けております。こうしたような様々な均等法の措置によりまして実効性を確保していきたいというふうに考えております。
  212. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今までもその調停というのは一定の効果はあったとは思いますけれども、やはり実効性の確保という面でまだまだ私は不十分であると思っておりますけれども、今回、母性健康管理措置、そしてセクシュアルハラスメントに関して実効性の確保ということで取り入れられたことは評価をするところです。  関連してです、関連してといいますか、このセクシュアルハラスメントに関して、若干、少し具体的に、今回の法改正によってどうなっていくのかということを少し確認をさせていただきたいと思います。  雇用均等室に寄せられたこの相談を見ますと、やはり相変わらずこのセクシュアルハラスメントに関する相談というものが多数を占めております。事例も少し見させていただきましたけれども、裁判に至らないまでも、非常に多くの女性が職場におけるこうした行動に苦しめられているんだということを改めて実感をしたところでございます。今回の改正が、そういう職場で苦しむ女性たちを元気付ける、勇気付ける改正になっていることが望まれますけれども、配慮義務が措置義務に変わるということでございますけれども、これは行政指導の在り方や企業の対応というものは具体的にどのように変わっていくのか、お答えいただけますでしょうか。
  213. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今御指摘のように、現行均等法では事業主に対する雇用管理上の配慮義務ということになっており、改正法案におきましてはその規定を強化して、雇用管理上必要な措置の実施を義務付けることとしたところでございます。  これまでの配慮義務におきましても、厚生労働省では指針を定めまして、セクハラというようなことを起こさない企業の方針を明確にすることとか、相談体制を整備していただくこととか、それから問題が起きたときの適時適切な対応だというようなことを具体的に取り組んでくださいということを示してまいりましたけれども、この措置義務ということになりますと、これまでは配慮ということになると、配慮をしたので、配慮をしているから何もしなくていいというようなともすれば誤解もあったところでございますが、今回の法案では必要な措置を実施する義務でございますから、こうしたきちんとした措置の実施をやっていただくということになるわけでございます。その意味規定は強化されたものと考えております。  また、今ほど申し上げましたように、セクハラ、セクシュアルハラスメントについても改正法案では調停制度と企業名公表の制度の対象といたしておりますし、それから行政からの必要な報告の求めに応じられない事業主に対しては過料を創設しておりますので、そうした意味でもセクシュアルハラスメント対策についても強化をされているものと考えております。  また、セクシュアルハラスメントにつきましては、一番問題となりますのは、事業主が事実関係の確認を行おうとしても、白黒がはっきりしないと事実関係が分からないというところがなかなか困難な点でございます。したがいまして、企業の中でだけその事実関係を確認することが難しい事案も見られるところでございますので、今回の改正法案ではセクシュアルハラスメントに係る紛争を調停の対象にしたわけでございますが、この調停というのは第三者の有識者によって必要な調停をするということでございますから、中立的な方々に紛争の解決の援助に当たっていただけるということで、その意味でも速やかな紛争の解決に資するのではないかというふうに考えております。
  214. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 では、今のところを少し条文で、調停のところを少し確認させていただきたいんですが、第二十条でございますけれども、「委員会は、調停のため必要があると認めるときは、関係当事者の出頭を求め、その意見を聴くことができる。」で、その二項におきまして、「委員会は、第十一条第一項に定める事項についての労働者と事業主との間の紛争に係る調停のために必要があると認め、かつ、関係当事者の双方の同意があるときは、関係当事者のほか、当該事件に係る職場において性的な言動を行つたとされる者の出頭を求め、その意見を聴くことができる。」と、このようになっているところでございます。  ということは、この当事者の出頭はどの段階で可能となるわけでしょうか。
  215. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 第二十条の第二項の規定でございますが、ここで示しておりますのは、そのセクシュアルハラスメントについての労働者と事業主との紛争についての調停のために必要があるときは、まず関係当事者の出頭を求めるのは当然でございますが、そのほかに、その行為者とされる方、つまり加害者と疑われる方の出頭についても新たにここで規定しているところでございまして、調停の場で事実関係の的確な確認を行うために、事業主と労働者だけではなくて、具体的にセクシュアルハラスメントを行ったんではないかと疑われる方の出頭についても求めてその対処をしていくという規定でございます。
  216. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そうしますと、先ほど質問をしたことに関してなんですけれども、先ほど調査権限もないというふうに申し上げました。差別を判定する機能もないということも申し上げました。実際に性的な言動を行ったとされる者の出頭を求めて、その当事者に対して事実関係をただ確認するというだけのことなんでしょうか。それに基づいて、調査権限はないんですけれども、この委員会が何らかの別な機能を果たしていくというようなことがあるわけでしょうか。
  217. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) この調停におきましては、第三者機関であるところの機会均等調停会議がその事実を確認し、そして調停でございますから一方的に是正命令というのではなく、場合によっては相互が歩み寄った調停案をお出しして、この紛争の速やかな解決を図るということになります。  したがいまして、そのための事実行為の、事実関係の確認のために必要な出頭を求め、そしてもちろん必要であれば資料も求めて事実関係を確認し、そして調停案を作っていくということでございます。そして、調停案ができますと、その双方に受諾を勧告いたします。その勧告に応じていただければ調停成立ということになりますし、残念ながら受諾できないということになれば、この制度としてはそこで終わりということでございます。
  218. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 様々な事例を見てみますと、ほとんどの場合、結局、被害者が結果としては退職せざるを得ないというケースが多いというふうに思われますが、今回の措置義務規定によってこのような事態は改善するのでしょうか。
  219. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) セクシュアルハラスメントの措置義務化ということでございますので、これまで以上にその義務付けが強化されますので、よりこのセクシュアルハラスメントというような、機会均等の前提となるような、このセクシュアルハラスメントのない職場づくりということはその前提となるものでございますから、こういうセクシュアルハラスメントの防止対策ということで効果が上がっていくものと考えております。  また、この改正法案が成立した際には、この改正法に基づくセクシュアルハラスメントについての指針も改めて作りまして、十分事業主に周知を図っていきたいというふうに考えております。
  220. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そうしますと、今後、この法案の成立後に新たに指針において事業主の講ずべき措置を明らかにしていくということでございますね。  それで、企業に対して、企業の加害者に対する適切な処置が、配慮ではなく、実際にそれを講じなければならないということになるということだろうと思うんですけれども、こういう状況厚生労働省としてはどのように確認をしていかれるおつもりなのか、伺いたいと思います。
  221. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) セクシュアルハラスメントの事件を始めとして、もろもろの均等法に基づきます紛争についての援助を行った場合、あるいは行政主導で是正を行った場合もそうでございますが、そのフォローアップにつきましては必要に応じて雇用均等室がやっているところでございますし、またその解決に従って、思うように本当の意味での解決がなされていないと、話が違ったというようなことでありますと、当然、その労働者からの申入れ、あるいは場合によっては事業主からの申入れもあるわけでございますから、そうしたことにも速やかに対応をできるようにしていきたいというふうに考えております。
  222. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 済みません。で、具体的に細かく通告していなかったんですけど、もう一問、関連して伺いたいんですが、様々な事例を見ますと、職場でのこのセクハラの被害者は非常に精神的なダメージが大きいということで、現行の労災認定におきましては精神疾患に関する基準におけるセクハラの度合いが引っ越しや離婚よりも低く設定をされております。  こういう低い取扱いということは問題ではないかと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。済みません、通告はしていないんですけれども、お答えいただけますでしょうか。
  223. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 今お触れになりました心理的負荷による精神障害についての業務上外の判断指針でございますけれども、表でその評価を個々具体的なケース、場合に応じて示しているわけでありますけれども、セクシュアルハラスメントについては内容、程度等が千差万別でありますので、平均的なものをその表に当てはめているということでございます。しかし、個別の事案を処理する際には、事案ごとにそれぞれその内容でありますとか程度でありますとか、そういったものを検討しまして修正評価もしているということでございます。  そういうことで、個別の案件には適切に対応しているということでございます。
  224. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今の御答弁、何となく余りよく理解ができないんですけれども、どの精神疾患においても個別の事案を処理する際にはそのような対応をされるのではないかと思うんですね。ですから、基準というものを決める、その基準がどうであるかということがつまりはセクシュアルハラスメントについての評価という、評価という言い方は変かもしれませんけれども、このセクシュアルハラスメントによって受けるその精神的なダメージというものを過小評価していることの表れではないかと思うんですね。  ですから、そのこと自体が問題だというふうに申し上げておりますので、これをもう少し見直す、その基準そのものを見直すお考えはないのかどうか、もう一歩踏み込んで御答弁をいただければと思いますけれども
  225. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) この指針、基準につきましては、労災の認定あるいは認定申請、そういった事案の蓄積によりまして、私ども逐次見直しをしたり、修正をしたりしております。今後とも、そういう意味でいろんな事案、個別の具体的な事案の蓄積に応じましていろいろ検討していきたいというふうに思っております。
  226. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 大臣に一言このセクシュアルハラスメントについてコメントをいただければと思います。  私も今回改めていろいろな事案を調べてみまして、まだまだこういう職場での状況があるのかと、そのことに関する事業主等々の意識もまだまだだというふうに感じました。  このセクハラの被害者のダメージは非常に大きい。今回は調停ということが新たに盛り込まれたわけですけれども、裁判に持ち込まれたとしてもまた二重の苦しみを味わう、また、相談をしたということが引き金になってまた二重の被害を被ったケース等もいろいろ事例がございます。  こういうことをやはり解決していかなければならないと思うんですけれども厚生労働省としてもう一歩踏み込んで更に対応を取るお考えはないのかどうか、大臣の御答弁をお願いします。
  227. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) より強い法律を作ってやったらどうだという御下問だろうと思うんですけれども、一方で、やはり女性労働者の継続雇用というものをどうやって維持していくかと、そこが一番大事だろうと思います。  特に、小さな事業場で起きた場合に、正直、神経を使いながらやっていかなければならない事案だろうと。大きな企業で起きた場合は、管理者との問題、そのセクションの管理者との問題をまた上の管理者がさばいていくということが割合可能でございますけれども、小さな事業場の場合はなかなかそういった面では、委員が御指摘されたように、結局、従業員の方が辞めていかざるを得ないようなことになるんじゃないですかという御指摘いただきまして、正にそこのところをやっぱり神経使いながら、やはり雇用を維持していくということが大事でございますので、現行法律の、今度御提案させていただいた中で努力をしてまいりたいと。しかし一方で、局長からも答弁させましたように、事案の変化を見ながら、また対応もその都度修正をしていかなきゃならぬ部分は出てくるだろうと、このように思っております。  一方で、この法律全体の問題でありますけれども、やはり国民の理解、それから経営者の理解というものをよりどう進めていくかということが一番大事なんだろうと思いますので、そのことにしっかり意を用いていきたいと思います。
  228. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ありがとうございました。  今回の改正につきましては評価をする部分もございますが、やはりまだまだ踏み込み方が足りない。改めて、先ほどからも、諸外国の例と比較をしてみましても非常に後れているというふうに言わざるを私は得ないと思います。  いろんなセンシティブな問題もありまして、おっかなびっくりっていう感じも確かにありますし、それから事業主の理解をやっぱり得ていくということは非常に重要だとは思うんですけれども、やっぱりもっと、もう一歩踏み出すやはり勇気というものが必要だと思うんですね。  そういう意味で、もっと踏み込んだ、もっと前へ踏み出した改正案を提示されるべきだったなということを申し上げまして、その不十分だった部分はやはり見直し規定を入れて改正をしていくべきであるということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。
  229. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  法案そのものに入る前に一問、三月三十日に取り上げたファミリー・フレンドリー企業表彰制度の問題なんです。  これ、前回も問題にしましたけれども、企業の表彰対象として男性育児休業の取得とか、あるいは短時間勤務制度の活用などについて、これ表彰を受けているんだけれども、実績がどれだけかっていうのは公表できないと、企業の事情もあるんでと、そういう答弁で、場内からも、与党の議員からもおかしいじゃないかっていう声が飛んで、大臣もあのときいらしたんで御記憶まだ残っていると思うんですね。  私、やっぱりおかしいと思うんですよ。こういう表彰制度を持ちながら、実績が一切公表されないと。やはり、この制度について、これは相手もあることではありますが、やはり基本的に中身公表すると。むしろ、表彰していいことをやっているんであれば、それを明らかにすることによってその表彰には逆に、何というか、説得力というか信頼性というか権威というか、備わってくるものでもあると思うんですね。ですから、やっぱりこれは前向きに公表という方向で考える必要あると思うんですが、大臣いかがでしょう。
  230. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、それぞれ表彰を受けた企業が様々な形で努力していることは間違いないだろうと。その数字を見ながらファミリー・フレンドリー企業として表彰しているわけでありますけれども、一方で、切り口にございました男性育児休業取得率、これについては正直言ってまだまだ胸が張れるほどの数字になっていないということから多少答弁側が懸念をしたようでございます。  しかし、現実はやはり企業の了解を得て公表できるようにしていくというのが筋道だろうと思いますので、その方向で進めてまいりたいと思います。
  231. 小池晃

    ○小池晃君 やっぱり、表彰したんですからね、了承を得るといったってそんな抵抗ないはずなんで、これは基本的にやっぱり公表するというふうにすべきだというふうに、当然のことだというふうに思います。  さて、法案なんですが、最初にちょっと大臣に基本的な認識をお伺いしたいと思っております。  大臣は先日の質疑でも、まだまだ問題が残っているんだと、女性に対する差別事案の複雑化、妊娠等を理由とする解雇解雇以外の不利益取扱い増加、セクシュアルハラスメントの相談の増加等の状況が見られると、管理職に占める割合の上昇のテンポが遅い、あるいは男女間の賃金格差が依然として大きいと、これは問題だというふうに答弁されて、私もそのとおりだというふうに思うんです。  今回の法案というのは、今日も傍聴席もうぎっしり障害者自立支援法のとき以来ぐらい埋め尽くしていらっしゃいまして、やはりその関心の高さ、期待もあるんでしょうが、それを上回る不安と不満というか、そういう気持ちがやっぱり渦巻いてこういう状況になっているんだろうというふうに私思うんですが、大臣は、先日述べられたこういう今の基本的な問題意識、現状認識に対して、今度の法案というのはこれにこたえるんだと、これを、雇用における男女平等というのを徹底するために出した法案なんだというふうにおっしゃるのであれば、その思いというか、どういうところでそこを打ち出しているのかということについて、最初に御認識をお伺いしたいと思います。
  232. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今御指摘いただきましたように、本会議の答弁でも、また先日の委員会の答弁でも、二十年たってどう考えるか、一定の進展があるものの、女性に対する差別事案の複雑化、妊娠等を理由とする解雇解雇以外の不利益取扱い増加、御指摘いただいたセクシュアルハラスメントの相談の増加、こうした意味でまだ大きな事案を抱えておると。その上に、管理職に占める女性の割合の上昇テンポが緩やかである、男女間の賃金格差が依然として大きい、こうした問題を抱えております。  したがって、今回、これらの状況を踏まえた上で、差別的取扱い禁止する雇用ステージ明確化、追加及び間接差別禁止を含む性差別禁止範囲の拡大、妊娠、出産等を理由とする解雇その他不利益取扱い禁止、セクシュアルハラスメントについての規定の強化等の措置を行うことにより、更なる男女雇用機会均等の推進を図ることができると、このような見地で出さしていただいたものでございます。
  233. 小池晃

    ○小池晃君 そういう御答弁なんですが、私どもは極めて不十分な点が多いというふうに考えております。日本共産党としても修正すべき点が多々あるというふうに考えておりますので、具体的に聞いていきたいと思います。  まず最初に、仕事家庭調和を図る、このことを法の目的に据えるということであります。これは、九七年の均等法の見直しのときに、これは職業生活家庭生活との調和を図るというのは削除されました。で、前回の改定時には、その時点での法の目的と基本的理念女性についてのみこれが規定されていたので、これは家族的責任の比重を男女ともにというILO条約の趣旨に合わないのではないかということが問題になって削除されたというふうに聞いているわけであります。  しかし、今回の改定案というのは、これは男女労働者両方に対する性差別禁止法に法の枠組み自体変わったわけですから、それによって前回削除した理由はなくなるわけで、やはりその考え方を均等法に戻していくということを取るべきではないかと思いますが、局長、いかがですか。
  234. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 平成九年の均等法改正におきましては、今御指摘のような議論理由もあったわけでございますが、その目的規定から、職業生活家庭生活との調和を図る等の措置を推進し、という文言が削除された最大の理由は、具体的な規定としてそれまでありました、国等の女性労働者に対する職業生活家庭生活との調和の促進等に資するために必要な指導、相談、講習その他の措置という規定があったわけでございますが、この具体的な規定を削除をしたことに伴いまして目的規定からも文言を削除したところでございます。  今般の改正におきましては、職業生活家庭生活との調和に係る措置ということは具体的に盛り込んでおりませんことから、目的規定職業生活家庭生活調和という文言を規定することは適当ではないというふうに考えております。
  235. 小池晃

    ○小池晃君 いや、前回、その担保措置も含めて取ったのは、それは目的変えたから同時にそれは両方なくなったわけで、これは広い意味でいえば、担保措置ないないというけれども、私は男女雇用機会均等ということそのものが、これは仕事家庭の両立支援の担保そのものではないかと、重要な担保ではないかというふうに思うんですね。  ちょっと御認識をお伺いしたいんですが、性差別禁止というのは、仕事生活調和にとって、これを実現する上で重要だっていう認識は、それはもちろんお持ちでしょうね。局長、いかがですか。
  236. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 均等法それ自体は性差別禁止のための法律でありまして、何度も御答弁申し上げておりますように、仕事生活調和という課題とは切り口が違うと考えておりますが、私ども行政は雇用分野における男女均等な確保と、それから仕事家庭生活との両立支援ということについては車の両輪で取り組んでおります。そして、この二つの課題がともに非常に重要な課題であるというふうに考えております。
  237. 小池晃

    ○小池晃君 車の両輪だと。だからこそ目的にしっかり明記すべきじゃないかということだと思うんですよ。  大臣、私はこれは、現状を見れば、女性働き方も女子保護規定が撤廃されて非常に長時間労働を余儀なくされているし、一方で厚労白書などを見ますと、子育て期の三十代男性の四人に一人が週六十時間以上の就業をしていると。男性家庭責任を負うことができないような深刻な状況にあると。やはり以前にも増して今仕事家庭調和ということがこれほど大事になっている時期は私はないというふうに思うんです。  で、先ほどいろんな法律に書く、もっとなじむ法律があるようなことをおっしゃいましたけど、そういうところに入れても別にいいと思うんですよ。それを否定はしません。しかし、今せっかく均等法を作り替えると、より実効あるものにするという議論をしているときであると、しかも昔はこれは載っていたということがある。  大臣、にじませるとおっしゃったけど、それじゃ駄目で、はっきり言わないと駄目なことじゃないですか。幾らにじませたって、実態はこれ変えられないんです。やっぱり今こそ均等法にはっきり明記をして、いや、ほかの法律でもどんどん載せていいと思いますよ、全部、労基法にも時短法にも載せていいと思うんですが、せっかく今均等法議論をしているんだから、そこで載せたらどうなんだと、前もあったんだしと、こういう議論なんですが、大臣、いかがですか。
  238. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これは先ほどからお答え申し上げていますとおり、この法律自体がかなり目的を絞ってきているなという感じを受けております。性差別禁止のための法律であると。そういう意味では、先ほどからお答え申し上げているように、様々な法律構成の中で、私はにじませた方がいいと考えているんですけれども、先ほどからどこかの法律にきちっと書けと、こういう御下問をいただきました。そうなると、やっぱり労働時間というものに着目した法律の中にきちっとうたう方がいいのかなという感じを私は持っております。しかし、これはまだ、それじゃどこに書こうかというところまで決めておりませんので、今日は御提案をいただいて、検討事項ということにさせてください。
  239. 小池晃

    ○小池晃君 私は、これは是非、しっかり目的に書くことによって逆に性差別禁止というものの持つ意味もはっきりしてくるんだろうというふうに思っておりますので、これは明記すべきだと思います。  引き続いて、賃金の問題を均等法にどう位置付けるかという問題なんです。  これ、男女間の賃金差別という場合に、同じ正規労働者で同じ仕事をしていても、雇用管理区分などによって男性のみがという問題がずっとこう問題になって男女賃金差別ということが起こっているわけです。  これ、実態としてどうかというお話をしますと、例えば私どもの事務所なんかによく来る相談なんかでも、例えばこうなんですね。昇進による賃金差別の解決を求めて労基署に行ったと、ところが労基署では昇進に伴って生じた賃金格差というのは一般に労基法四条違反とは言えないと、これはうちではなくて均等室に行ってくださいというふうに言われるんだと。じゃ、均等室へ行ってどうかというと、均等室では、これは均等法には賃金についての規定がないので対応できませんと、昇進、昇格の基準も男女差別とはすぐには断定できませんと、こう言われちゃうと、こんな相談なんですね。配置、昇進等々の均等待遇原則と性による賃金差別というのが均等法、労基法、それぞれの法律禁止されているのに、こういう悩みを持っている方が実際にその解決に行っても行き場がないと、こういう実態が現実には起こっているというふうに聞くわけです。  これはもう言うまでもないことですが、労基法四条には、使用者は、労働者女性であることを理由にして、賃金について男性差別的扱いをしてはならないとなっていて、直接的差別禁止していますが、これは昇進などの雇用管理などを理由とした差別規定がないわけですね。また、均等法には確かに賃金に関する規定は見当たらないわけです。  局長ね、現実にこういう窓口対応起こっているんですが、やはり今の法の枠組みでいうと、こういう今指摘したような対応になってしまうんじゃないですか。
  240. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 御指摘のようなケースにつきましては、昇進において差別的な取扱いを受けたことによって、その結果として賃金格差が生じているような場合であると考えられるわけでございますが、そのような事案につきましては均等法上の問題として雇用均等室において対応を行うべきものであると考えております。  今後とも、そんなような取扱いが起こらないように徹底を図っていきたいというふうに思います。
  241. 小池晃

    ○小池晃君 いや、行うべきものであると、そういう対応に現場がなってないという話が一杯来ているわけで、そういうふうにそうするべきであると言うんだったらちょっと現状を見守りたいと思いますが、しかし現実には門前払いになっていることが非常に多いと。  やっぱり今日の職場で起こっている男女賃金格差を生み出していることに対して、有効にこれだと言える対応できる法律がないということが大問題なんだろうというふうに思うんです。だからこそ、今回の均等法案への日弁連の意見書では、現行均等法六条の差別禁止賃金を加えるべき、均等法上も性別による賃金差別禁止を明確にすべきと、こういうふうに求めているわけです。  大臣にお伺いしたいんですが、労基法にあるからというだけじゃなくて、やはり均等法にも性別による賃金差別禁止をこれ規定してこそより実効あるものになるというふうに考えるんですが、日弁連のこういう提案を大臣、どう受け止めていらっしゃいますか。
  242. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これは同じ答弁になって申し訳ないんですけれども賃金についての差別的取扱い禁止労働基準法四条に規定されております。したがって、今の御指摘をいただいて私の方から労働基準局にしっかりこの問題について相談を乗っていくようにということは申し上げておきたいと思います。  一方で、先ほど北井局長から答弁いたしましたように、昇進において差別的取扱いを受けたということになりますと、これは雇用均等室の仕事でございます。そういった意味で両局室が連携を取りながらきちっと対応するように私の方から徹底をさせていただきたいと思います。  その中で、それでも男女雇用機会均等法規定をしろというお話でございますけれども、そこはそれぞれの法律の中でやらせていただきたいと、このように思います。
  243. 小池晃

    ○小池晃君 私は両方に禁止規定を置いてこそ有効に実際に現場で使える法律になるというふうに思いますし、同一価値労働同一賃金の原則を労基法にも均等法にも明記をするということを行うべきだというふうに思います。  引き続いて、間接差別の問題ですが、今労基法四条でそういう要請は満たすんだというような答弁ですが、本当にそうだろうかと。差別にいろいろありますが、賃金差別というのは最大の問題であります。今実際に男女間の賃金差別取り締まることできるのは労基法四条しかない。しかし、これは明らかな直接的な差別を対象としたものです。昭和二十二年というまだ本当に女性の職場進出そのものが少ない時代に、公然とした男女差別というのはこれで対応できたかもしれません。実際、ある程度是正が進んだというふうに聞いております。  しかし、現在全く様相が違うわけで、公然とした四条違反というのはほとんどありません。これは直近の二〇〇四年一年で四条違反は全国でわずか八件であります。職務、能率あるいは技能が違えば差別に当たらないとなれば、これは労基法四条に違反しない。そこで、先ほどから議論されているような雇用管理区分、コース別というようなやり方がどんどん持ち込まれて、その典型が総合職一般職という職務である、あるいは非正規雇用の激増であると、これが今の実態で、これに対応できる法改正でなければならないというふうに思うわけであります。  そこで、幾つか局長に確認をしたいと思うんですが、本改正の目玉の一つ間接差別禁止で、実際これに苦しめられている女性はある程度解決するのかと期待をしたわけですが、前回もそうですし、今回も多くの議員からなぜ限定列挙なのかという基本的な疑問が寄せられています。これでは救われないという声が上がっているわけですが、もう何度も答弁されていますが、改めて簡潔に、なぜ限定列挙にしたのか。
  244. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別は性中立的なものであればおよそどのような要件でも俎上にのり得る広がりのある概念でございますので、間接差別を違法とするに際しましては、対象となる範囲を明確にする必要がございます。  このために、改正法案では対象となる措置を省令で規定することとし、必要に応じて対象となる措置の見直しができるような法的枠組みとしたものでございます。
  245. 小池晃

    ○小池晃君 法律改正しなくても間接差別範囲を広げられるようにするために、均等法上の違法行為は省令で定められるようにしたと。そうすると、今回均等法で定める間接差別というのは、行政処分の対象となる違法行為として定められたものだと。これはあくまでも均等法上の違法行為であって、均等法上の違法でなくても民事法上違法な間接差別を含む性的差別というのは別個に存在するということでよろしいですね。
  246. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今般の改正法案の七条が設けられることによりまして、この厚生労働省令で定める措置につきまして、合理的な理由がない場合にはそうした要件を設けることやその要件を用いて措置を行うことが均等法上違法となって、行政指導の対象になるということでございます。しかし、省令に規定されておらない事案でありましても、司法の場で個別に民法九十条の適用によりまして公序良俗違反として無効と判断されることが今般の改正によって妨げられるものではないと考えております。
  247. 小池晃

    ○小池晃君 均等法で定める違法行為以外にも違法な間接差別はあるということだと思うんです。  もう少しお聞きしますが、それでは、今回均等法で定める間接差別というのは、民事法上違法な性的差別のうちで、特に行政が関与して速やかに解決することが求められる特に悪質かつ明白な行為ということになるかと思いますが、いかがですか。
  248. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 厚生労働省令で定めたいと思っておりますのは、間接差別として均等法上違反として行政指導の対象としていくことが適当であることについて、社会的にコンセンサスが得られたものを規定していきたいというふうに考えております。
  249. 小池晃

    ○小池晃君 ちょっと私の言ったことにストレートに答えていないように思うんですが。つまり、聞きたいのは、民事法上違法な行為を定めるんではなくて、民事法上違法な行為のうち均等法上違法な行為として行政が関与して解決すべき行為という性格のものですねということをお聞きしているので、イエスかノーかでも結構ですから答えてください。
  250. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 我々が問題意識を持ってきたものを均等法上の措置として規定しようとするもので、御指摘のとおりだというふうに思います。
  251. 小池晃

    ○小池晃君 改正案というのは、合理的な理由がなければ、均等法上違法な間接差別について判断基準を示した上で、均等法上違法な行為とする決定権を厚生労働省に与えるものではないかと思うんですね。つまり、本改正は合理的な理由がなければ間接差別と認められる行為について、いろんな段階があると思います、募集、採用、配置、研修、昇進等、あるいは福利厚生、職種、雇用形態の変更、退職勧奨、定年解雇等、それぞれについて男女比その他の事情を勘案して実質的な差別になるおそれがある行為という判断基準を示したと、こういう理解でよろしいでしょうか。
  252. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 省令で定める措置の基準としては、御指摘のとおりであると思います。
  253. 小池晃

    ○小池晃君 いや、私が聞いているのは、省令で定める基準ということではなくて、これも民事法上の判断基準にもなり得るということですねということをお伺いしているんです。
  254. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別の法理の一般概念としては、性中立的な要件であって、そして一方の性に相当の不利益があって、そして合理的な理由がないものと、こういうことでございますから、そういうことから考えると、その真ん中の趣旨の意味が入っているというふうに考えますけれども
  255. 小池晃

    ○小池晃君 真ん中の趣旨というのはちょっとよく分からないんですが、議事録残りますので正確にお願いします。
  256. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 法律で定めております「措置の要件を満たす男性及び女性の比率その他の事情を勘案して実質的に性別を理由とする差別となるおそれがある措置」という意味は、一方の性に対して相当な不利益があるという趣旨が入っているということでございます。
  257. 小池晃

    ○小池晃君 そして、それはだから、民事法上の判断基準にもなり得るものであるという理解でよろしいんですねということなんですが、どうでしょう。
  258. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) そういうことになると思います。
  259. 小池晃

    ○小池晃君 本来、改正法というのは、募集、採用、解雇、退職という雇用の全ステージにわたって間接差別を定めることを予定しているのに、厚生労働省令では、募集、採用における全国転勤要件、昇進の際の条件だけに限るとしか言っていないと。実際にはいろんなステージで、いろんな場面で、いろんなステージの差別が絡み合って、結果として男女格差を生じているわけでありますが、これも何度も繰り返されている質問ですが、なぜそれなのにたった三つに限ったんでしょうか。
  260. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別は我が国で初めて明文的に導入をする概念でございます。そして、性中立的なものであればどのような要件でも俎上にのり得る非常に幅の広い概念でございます。そうした中で、均等法上の違法ということにするに際しましては、対象となる範囲を明確にする必要があるということで、省令で定める方式を取ったわけでございます。  そして、具体的に何をこの省令で規定するかということでございますけれども、この改正法案成立後、審議会の議論も経て定めることになりますけれども、具体的に現時点で考えておりますのは、審議会においてコンセンサスが得られております三つの措置を規定することを予定しているわけでございます。
  261. 小池晃

    ○小池晃君 検討会報告の中では、福利厚生の対象に世帯主要件を付けることによって実質的に男女間で差別を付けるという形態、これも間接差別類型として挙げているわけです。これは社宅とか家族手当に世帯主要件を課して実質的に男女差別が行われている、こういう実態があるわけですが、こんなのは本当に明らかな形態ではないかと。  しかもこの種の差別というのは、かつて公務員宿舎への入居が、これは世帯主要件ということが大問題になって、我が党の議員も国会で取り上げたし、女性の運動もあって、政府自身がもうこれ是正してきた行為なんですね。政府自身も問題がありと認めたからこそ是正してきたはずであります。それから、これは労使関係の裁判ではありませんが、阪神大震災の被災者自立支援法の支給をめぐる訴訟で、世帯主要件を支給要件とすることは公序良俗違反という判決もあります。  これだけはっきりしている。なぜ盛り込めないんですか。
  262. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) この世帯主要件については、均等政策研究会においても議論になったわけですけれども、それを踏まえた労働政策審議会の議論におきまして、幾つかの理由で結果的にコンセンサスが得られなかったということでございます。  具体的には、世帯主が夫婦のどちらになるかということについては世帯の中での選択が可能な事項であって、女性が世帯主になることが排除されていないであるとか、あるいは家族手当、住宅手当というようなこと、あるいは福利厚生については生活補助的なもので労使協議の中で積み上げられているというような意見もあり、そして制度自体に対して導入企業割合も依然として高い、そういったことでは実際の制度の中で根強い支持があるというようなことが様々ございまして、現状ではコンセンサスということに至らなかったわけでございます。
  263. 小池晃

    ○小池晃君 導入企業割合が高いものを入れなかったら何の意味もないじゃないですか。コンセンサス、コンセンサスと言うけれども大臣、これ基本的な考え方として、この議事録、コンセンサスと何回出てくるか後で数えようと思いますが、すべてこれで片付けるんですけど、私は、行政というのは、コンセンサスがあってそれに従ってやるだけが行政じゃない、コンセンサスつくるのだって行政だと思うんですよ。今みたいに労使全部太鼓判を押してだれも文句ないとなったら行政が静々と進んでいくような、こんなやり方でこういう問題が解決するんでしょうか。私は、これでは現状一歩も解決しない、現状追認にしかならないと思うんですよ。  私はそんなに別にむちゃくちゃなこと言っているわけじゃない。ちゃんと検討会では課題として挙げられて、ある程度そういう意見は大方の意見になっているけど、一定部分から反対が出たらこれはもう入れない、こういうことでいいんだろうかと。コンセンサス、コンセンサスということでこういうものを切り捨てていったら、私は行政の前進ないと思いますけれども大臣、いかがですか。
  264. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 審議会また労使の話合い、そんなものを踏まえながら最終的に内閣として判断していく、厚生労働省として判断していくということになりますけれども、新しい間接差別という概念を入れて問題が動き出そうとするときに、今委員が言われるように、少し無理してでもいろんなことを入れてしまえという御主張も一つでありますけれども、私どもは、まずこの三つの概念でスタートさせていただいて、しかしその他のものをまたいろいろ議論はしてまいりますと、こういう仕組みで今回は提案をさせていただいた。  そういう意味では、やはり労使間なり様々な職場の中で理解が進むような努力を私どももしていくということになろうかと思います。
  265. 小池晃

    ○小池晃君 私は決して無理なことを言っているつもりないんですけれども、これは全くない話ではなくて、研究会ではちゃんと挙がっていたものですからね。  じゃ、その三つについてちょっと聞きたいんですが、一番目の募集、採用における身長、体重、体力という要件ですが、こういう要件が問われた日本での裁判例みたいなものはあるんでしょうか。
  266. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 我が国におきましては、現在までのところ、裁判例は、間接差別法理に立って判断された裁判例は雇用分野においては見いだせません。  そして、御指摘の募集、採用における身長、体重、体力要件についての裁判例もないというふうに承知をいたしております。
  267. 小池晃

    ○小池晃君 実例ないわけで、これからもし起こった場合の禁止項目ということですから、これで多くが救われるとは言い難いわけであります。  二番目のコース別雇用管理制度における総合職の募集、採用における全国転勤要件、これ建議では、これは例として支店、支社がない、又はその計画もないにもかかわらず、全国転勤要件が可能とするとなっているんですが、こういうふうになっちゃうと、これは一つでも支店があればいいということになる、あるいは計画だけありゃいいということになるじゃないかという懸念が寄せられているわけですね。  指針でこの建議に示された内容を書くということになっちゃうと、私はこれ違反対象となるものはほとんども現実には存在し得ないことになるのではないかと思いますが、局長、いかがですか。
  268. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 建議におきましては支店や支社が一つでもあれば合理性があるということを言っているのではないと思います。例えば、支社等がありましても、支社等の間で全く人事異動が行われていないような場合には合理性がないということになります。  いずれにしても、合理性の有無についての具体的な例示については、法案成立後、審議会における議論を経て、指針において定めていく予定でございます。
  269. 小池晃

    ○小池晃君 三項目めの、じゃ昇進における転勤経験要件ですけれども、現在昇進に当たって転勤の経験を要件としている企業というのはどれだけあるんですか。
  270. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 労務行政研究所の平成十七年の実態調査によりますと、管理職への昇進に当たって転勤、職務異動歴などの職務経験を問うこととしている企業割合は一七・二%ということでございます。
  271. 小池晃

    ○小池晃君 直接その昇進の要件としていると、転勤経験を、そういう企業についての調査はあるんですか。
  272. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 調査はないと思います。
  273. 小池晃

    ○小池晃君 要するに、転勤経験を昇進の要件としている企業は実態としてどれだけあるかも分かんないわけですね。  実際には、様々な要件を課して事実上女性昇進できないシステムになっております。到底、今回の限られた要件で対応できる実態ではない。  実例をちょっと御紹介したいんですが、社会保険診療報酬支払基金では、この職場では、これは七九年から二十年余りの闘いで、職場内での研修実施に男女差別があること、昇進昇格差別の是正の裁判を通じて、係長職への昇進にかかわって起こってきた男女差別はなくすという判決が出て、これは多くの女性を励ましてきたわけです。  現在、四級から三級、三級というのは係長職ですが、ここまでは男女比がほぼフィフティー・フィフティーになっているんです。しかし、この上ですね、三級から二級へ、係長職から課長職へとなると、男女比は、八年前には八十四対十六だったのが昨年は八十七対十三へ、格差は歴然としているし、むしろ拡大している。なぜかというと、この二級は課長なんですが、二級の課長職になるには女性にとって厳しい全国転勤の要件が課せられているということなわけであります。  そこでお聞きしたいんですが、今回三つ目の項目にあります募集、採用時の全国転勤要件と、この現実に支払基金で行っているような昇進の際の全国転勤要件というのは、これは同じなのか違うのか、違うとすればどこがどう違うのか。
  274. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 厚生労働省令で定めようとしておりますのは、募集、採用時に全国転勤ができますねという要件を課しているような場合でございまして、御指摘になりましたケースは、昇進をさせるときにこれから全国転勤ができますねということを要件としようとする場合であると思っておりまして、これと厚生労働省令で定めようとしていることとは異なるというふうに思います。
  275. 小池晃

    ○小池晃君 いや、何で異なるんですか。同じ雇用におけるステージにおいて、片や入るけれどもこっちは入らないと。何で採用時、募集時は入るけれども昇進の際は入らないんですか。
  276. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 昇進時の全国転勤要件につきましては、コース別雇用管理の募集、採用のときの全国転勤要件と異なって、労働政策審議会において議論がなかったわけでございまして、そうしたことで対象としなかったわけでございます。  今後の省令の見直しに当たりましては、御指摘の措置についても検証の対象となり得るものと考えているところでございます。
  277. 小池晃

    ○小池晃君 ちょっとこんな大事な問題、議論なかったで済ませるのはひどいんじゃないんですか。これ重大問題ですよ。これ、至急検討していただかなければいけないというふうに思いますが。  この支払基金の場合の昇進の際の全国転勤要件、じゃこれも議論してなかったということになるのかもしれませんが、研究会報告の七例のうちの四つ目の項目に、昇進に当たって転居を伴う転勤経験要件というふうにありますね。その昇進の際の全国転勤要件と、じゃ昇進の際の転勤経験要件というのは、これはどう違うのか。昇進の際の転勤経験要件には昇進の際の全国転勤要件というのが含まれるのか、該当するのかしないのか、お聞きします。
  278. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 省令で定めることを予定しておりますのは昇進時の転勤経験要件でございまして、昇進をさせるときに転勤をしたことがあるという経験を要件とするということでございますので、昇進させるときにこれから全国転勤ができますねという要件とは異なると思います。
  279. 小池晃

    ○小池晃君 こういうふうに異なる、異なると言っていくと、実際に救われないんじゃないかという不安がどんどん広がっていくわけですよ。  この職場で今どういう実態になっているかというのを紹介すると、昇進での格差というのは直接賃金格差になります。この職場の女性の多くが昇進を阻まれている課長職、係長職の賃金差を計算すると一体どうなるかなんですが、平均的な昇格年齢の四十五歳から六十歳までの十六年間では一人当たり千三百万円、五十歳で昇格した場合でも九百万円の賃金差が生まれることになります。さらに、退職金や年金にもこの差別格差広がっていくわけです。  問題なのは、今この職場で何が起こっているかというと、新たに、今までは係長職はなかったんですが、係長職に昇進する場合、つまり四級から三級に昇進する場合にも更にこの全国転勤要件を逆に広げようとしているんですね、ここでは。せっかく均等待遇になってきた男女格差を更に一層広げるということが起こってきているんですね。これ、聞くところでは、今回の均等法限定列挙にしたことが現場ではこういう事態を生んでいるんだというふうにも聞いているわけです。  この支払基金というのは、一般的な企業じゃありません。厚生労働省管轄の公法人であります。こういうところでこんな事態が起こっているということを、局長、放置していいんでしょうか。これ、どんなふうに思われますか。
  280. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 個々のケースについてちょっと論評することは差し控えたいと思います。
  281. 小池晃

    ○小池晃君 しかし、正に逆行するような事態が起こっていて、それが今回の均等法一つの口実にされているという事態が起こっているとすれば、これは調べていただきたいと思いますが、いかがですか。
  282. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 個々のケースについてということで、できるだけ調査をしてみたいと思っております。
  283. 小池晃

    ○小池晃君 実態としてはこういうことになっているわけですよ。本当に、検討会で検討しなかった、入れなかったと、それだけで現場の労働者にとってみれば天と地ほどの違い出てくるわけですからね。やっぱり余りにももうそうやって、私は無責任だというふうに先ほどの答弁は思いますね。  先ほどのその全国転勤要件について、昇進の際については検討してなかったということであれば、これは私は直ちに検討して、これ直ちに是正をするということをお約束いただきたいと思いますが、局長は重ねていかがですか。
  284. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 国会での御議論はもちろん踏まえていくわけでございますが、こうした御議論も踏まえて審議会において改めて議論いただいた上で省令を定めていくことになりますので、そうしたときの検討ということになるかというふうに思います。
  285. 小池晃

    ○小池晃君 大臣、私、限定列挙というのは正にこういう問題を生んでいくんだというふうに思うんですね。本当に、細かく決めれば決めるほど、そこから漏れたものが堂々と合法的な行為としてまかり通っていくということになりかねない危険性を持っているというふうに思うんです。  こういう事態は支払基金の場合に何もとどまりません。これ転勤要件でなくても、出張できるかどうか、このことをわざわざ昇進の要件というふうに考える企業も出てきているというふうに聞いています。これも結果として男女間の大きな差別を生むことは明白であるというふうに思うんです。  こうして見ますと、私は、研究会で論議された七項目、それでもあったのがわずか三項目に絞り込まれていること、しかもそれが例示列挙ではなくて限定列挙にしている。その部分にしか違反とならずに、明らかにだれが見ても、常識的に考えてこれは間接差別だと思われるようなものについても対応できないし、いろんな複雑なケースについては全くお手上げになってしまうことになりかねない。これで間接差別禁止だと言えるのかどうかということすら私は疑わしくなるような規定になっているというふうに言わざるを得ないんです。  そもそも、国連女子差別撤廃委員会の勧告というのは、これは法律による間接差別規定がないために、裁判一生懸命闘ってもその主張が認められずに来たと、多くの日本女性の訴えがこれ反映した結果なわけです。今回、間接差別限定列挙という規定では極めて狭い部分的なものになってしまう。私はこの勧告の、間接差別を含む女性に対する差別の定義が国内法に取り込まれることを勧告する、この国連の要請にこたえるものとはなっていないというふうに言わざるを得ない。だからこそ、労政審でも例示列挙にすべきであるという、言わば異例の意見も付いたんだろうというふうに思うんですね。  大臣、限定したことによって立証しやすくなるんだという議論が先ほどありましたけれども、それはそれとして、じゃ、それは例示列挙という形にして、それ以外にも広げ得るという枠を作っておかなければ行政としての発展が今後保障できないではないかと。しかも、これだけ、ほとんどもうコンセンサスと思われるものですら、もう一つでも反対意見が出れば入らないという現状を見ると、私はここで三つに決めたらば、これは、かなりこれがそのまま行ってしまうんではないかという不安を持つ。そういう不安を皆さん持っているのは私当然だというふうに思うんですね。  ですから、少なくとも、私は研究会で検討された項目を対象にして、限定列挙ではなくて例示列挙とすると。そして、やっぱりこれからの行政の中で、間接差別について広く救済していく。これは間接差別なくすというのが目標なんですから、できるだけなくさないための法律作るんじゃなくて、できるだけなくすための法律作るんですから、私は例示列挙とするというのが法の正しい趣旨に沿ったやり方ではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。
  286. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 何回かお答え申し上げております。労働政策審議会、また検討会での様々な議論、また労使間での議論を踏まえながら今日の法律を出させていただきました。一方で、改正法案、必要に応じて対象となる措置の見直しができるような法的な仕組みにもなっております。  そういった意味で、委員の御主張は御主張として、私どもは今回、男女比率等も勘案して対象となる措置を厚生労働省令で規定し、これらについて合理性の判断の参考となる考え方をあらかじめ示した上で、個々の事案ごとに合理性の有無を判断する仕組みということで今回は提案をさせていただきました。今後の状況変化に対応していくということをお話しさせていただいて、御理解を賜りたいと思います。
  287. 小池晃

    ○小池晃君 私は、せっかくこの法の見直しをするのであれば、本当にこの問題で現場で闘ってこられた、いろんな問題抱えてこられた方々が歓迎できるような中身にするのがやっぱり行政としての責務だというふうに思うんですね。是非そういうものにしなければいけないというふうに思っております。  その点では、修正が必要だというふうに思っております。  仕事生活調和を第二条に盛り込むということ、間接差別禁止の対象に賃金を加えるということ、間接差別については限定列挙ではなく例示列挙とすること、ポジティブアクションを義務化すること、そして、こうした措置をその実効あらしめるにふさわしい常設機関、男女雇用平等委員会のようなものを設けること、こういう中身で修正が何としても必要であるというふうに思っております。  やはり現場の声にこたえて、本当に現場で使える法律にしていくのが私ども立法府に課せられた使命だというふうに思っておりますので、是非、党派を超えてそういう検討をしてくださるように心からお願いして、私の質問を終わります。
  288. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  実効性のある均等法改正がなされるよう頑張っていきたいというふうに思っております。また、その方向に向けて改正がされることを心から期待をしております。  残念ながら男女差別日本の中での根深い問題であり、雇用の場においてはむしろ男女差別が広がっています。非正規雇用も非常に拡大し、貧困の問題は特に女性に集中をしている。働いても働いても年収が少ない、差別の是正が行われないということをどう立法府として解決するかということが問われております。  まず、そもそも間接差別についてお聞きをいたします。  間接差別は、外見上は性に中立的な基準を適用しても、それが実質的には性による差別であると認める場合においては、個々の取扱いは違法と判断されてしかるべきだと考えますが、よろしいですね。
  289. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 御指摘のとおりであると思います。
  290. 福島みずほ

    福島みずほ君 そのとおりです。  間接差別は、どうして女性差別が生ずるのか、何で男女差別が生ずるのか、それをきちっと見た上で、何が差別を生み出す障害になっているのかをきちっと見て、それを除去していく、それが間接差別です。一見、直接差別とは見えないけれども、それをどうやって排除していくか。したがって、見えない、あるいは当たり前とされてきた、あるいは傾向としてあるということをきちっと見て、それを除去していくことに間接差別という考え方の有用性、効用があります。今回、間接差別は盛り込まれてはいるのですが、残念ながら省令列挙となっていることに納得がいきません。  例えば、例は違いますが、セクシュアルハラスメントについて均等法に条文は今入っておりますが、例えばこれをセクシュアルハラスメントは次の三つに限定をするというふうに省令ができたらどうでしょうか。ホテルに行こうと誘う、例えば胸やおしりに触る、三つ目にヌードポスターを職場に張る。その三つだけが省令でセクシュアルハラスメントであると規定をされれば、それは全く使い物にならない、現実におけるセクシュアルハラスメントの防止にもならないというふうに考えますが、なぜ限定列挙なのか、私にもお聞かせください。
  291. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、間接差別の概念を初めて我が国で導入するに当たりまして、やはり幅広い概念でありますことから、均等法上の違法ということを明確にするには、対象となる範囲を明確にする必要があったためでございます。こうしたことから、必要に応じて柔軟に見直しができるような法的枠組みということで、この省令方式を取ることとしたところでございます。
  292. 福島みずほ

    福島みずほ君 私が理解できないのは、行政指導する範囲内を三つに限定をする。それ以外も違法となり得る間接差別法理が適用されるところがある。そこは裁判に訴えれば違法となり得るものがある。民法九十条、四百十五条の債務不履行責任、民法七百九条の不法行為責任。なぜ行政指導する範囲が狭いんですか。
  293. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) やはり雇用の場で現実に事業主の皆様方に分かっていただいて、円滑な雇用管理としてこの概念を導入していく必要がある。それから、行政機関である均等室も、司法機関ではありませんから、やっぱり行政指導をするに当たって、すべての者が当たり得るので、個々に判断をして、合理的な理由があるかなしかも含めて判断をして行政指導に当たりなさいということはなかなか難しい。そういうことから、行政指導の根拠法であります均等法については、要するに、初めて導入するに当たっては省令で定める方式とすることとしたわけでございます。
  294. 福島みずほ

    福島みずほ君 理解できません。  裁判で違法と認定される方が広い。冒頭、私は間接差別の一般論について聞きました。実質的には性による差別であると認める場合には個々の取扱いは違法と判断されてしかるべき、答えはイエスです。また、公序良俗違反、不法行為、債務不履行責任で違法となる場合が歴然とあることを認めています。  裁判所で違法と明確に判断される場合の方が広くて、行政指導する場合の方がなぜ狭いんですか。
  295. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 例えば、均等法におきましても、現行均等法では妊娠、出産等を理由とする解雇禁止されておりますが、不利益取扱い禁止されておりません。そこを今回の改正法案では不利益取扱い禁止も入れようとしているわけでございますが、裁判事例としては、この現行均等法には規定していない不利益取扱い禁止について判例が出ているケースもございます。このように、均等法で定めてないものが裁判の事例として挙がっているケースもあるわけでございまして、裁判事例と均等法上の違法の範囲というのは一緒にはなっていないと思っております。
  296. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、厚生労働業務の責任の放棄ではないですか。  というのは、行政指導は幅広くやる必要がある。行政指導の範囲外に違法となる場合があることを厚生労働省は明確に認めながら、なぜそれについて行政指導しないのか、なぜ現実に起きている違法行為を救済しようとしないのか、理解ができません。それは広げるべきだ。そして、今後も、今回のは限定省令と言われていますが、どんどん拡大をすべきだというふうに考えています。  コンセンサスという話が出ました。労使の合意という話が出ました。しかし、人権問題は合意で解決できません。職場でコンセンサスが取れない、労使合意が取れない、社会にコンセンサスがないからこそ女性たちは裁判に訴え出るわけです。どうですか。裁判の基準になるのは法律です。
  297. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 何度も同じ答えになって恐縮でございますが、やはり均等法上の違法という範囲と司法の場の判断というのは一致するわけではないというふうに考えております。  ただ、御指摘のとおり、これは言わば初めて間接差別概念を導入するわけでございまして、この三つでずっと今後何もしないというわけではないのでありまして、適時適切に必要な見直しをしていくことといたしておりますので、今回のような御議論も踏まえて今後の検討の課題となっていくというふうに考えております。
  298. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、質問を誤解しています。  私が申し上げたのは、今回なぜ三つに限定されたのかというときに、コンセンサスあるいは審議会における合意ということを強調されたのが全く理解をできないからです。  ここは立法機関であり、価値基準によって判断をすべきです。労使合意やコンセンサスというのは単なる合意です。人権問題は合意では考えられない。だから、例えば若年定年制はかつて一般的に社会にありました。しかし、裁判が初めて起きたときには多分みんなは何でそんなの訴えるんだと思ったかもしれません。しかし、今は若年定年制均等法上違法と明確にされています。  判例の蓄積を待って立法に盛り込むということでは実際は解決が付かないということを申し上げたいんです。公序良俗は価値基準でしょう。合意ではないです。問題があると考えれば、それは救済をすべきですが、いかがですか。
  299. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 公序良俗違反というものは、司法の場で公序良俗違反として無効と判断されて司法救済が行われるということでございます。  行政法でありますこの均等法を制定あるいは改正をしていくに当たりましては、理想的に言えばすべての、公序良俗違反になりそうな性差別をすべて盛り込んですべての強烈な実効担保措置もつくっていくのが理想かもしれませんけれども、この均等法制定のときから一つ一つ、最初は努力義務と言われて非常に弱い法律と言われながらも一つ一つ積み上げて今に至っているわけでございます。  その意味では、今回の法改正一つの大きな、間接差別禁止というのを盛り込んだということが大きなセールスポイントの一つでございまして、今後、その対象に当たっては、判例の動向等も勘案しながら必要な見直しを行っていくというシステムでございます。
  300. 福島みずほ

    福島みずほ君 判例の動向というふうにおっしゃいましたけれども、裁判をたくさん重ねない限り立法に盛り込めないというのでは問題だと思うんですね。例えばセクシュアルハラスメントの例で、均等法改正が起きたときにはまだ概念の混乱はあったかもしれない。しかし、当たり前ですが、セクシュアルハラスメントも間接差別限定列挙などできません。だからこそセクシュアルハラスメントの条文が一般条項として均等法の中に入っているわけです。  間接差別だけなぜ省令で限定できるのか。概念上すべて違法となり得ると、一般的にはいろんなことが違法となり得るといいながら、なぜ限定にするのか。それはもう概念、矛盾が生じている、論理的に破綻をしていますが、いかがですか。
  301. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 御意見は承りますけれども、要するに、行政府として法律の提案をさせていただく観点からは、特に労働法に当たりましては審議会での議論も積み上げてやってきて、それはなぜかというと、やはり雇用の現場において十分労使が理解して進めていく必要があるからであるというふうに考えております。  そうした意味で、繰り返しになって恐縮ですけれども、こういうシステムを取らせていただいたわけでございます。
  302. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、労使の理解では駄目なんですよ。労使の理解ではなくて、価値基準としてそれが公序良俗違反か、間接差別としてなぜ日本の中に差別がまだまだあるのか、なぜ女たちは安いパートや有期契約やそういうところに押し込められているのか、そこを端的に見て、どうすればこの差別がなくすることができるかを考えるのが厚生労働省仕事ではないですか。
  303. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 考えるのが仕事ということでございますけれども、立法を考えるに当たりましては、しかし、現実一つ一つ雇用管理の是正ということで積み上げていくということが実効が上がる、その方がむしろ実効が上がると考えております。  公序良俗違反で様々な裁判例もありますけれども、逆に言えば、問題があったとしても何も裁判例がないケースもあります。我が国においては、この間接差別の判例というのは一つもまだないわけでございます。そうした判例が一つもない中で、今回、労働法において間接差別の概念を明文化して規定をしようと決断をしたわけでございます。  その意味で、委員の御指摘からすると全く矛盾だらけで概念がおかしいということかも分かりませんけれども、私どもは精一杯この法の改正作業を進めてきたという理解でございます。
  304. 福島みずほ

    福島みずほ君 間接差別の裁判例が一つもないというのは事実ではありません。  具体的に聞いていきます。  手元に資料をお配りしておりますが、S社における世帯主要件で生じる男女間の格差、住宅手当。世帯主で被扶養者を有する社員、京浜地区では四万八千円、世帯主で被扶養者を有しない社員三万二千円、世帯主でない社員一万六千円。社内共働きの男女の場合、通常男性にのみ月額四万八千円の住宅手当が払われ女性はゼロである、ともに三十歳で結婚すると女性定年まで一千七百二十八万円も男性より収入が少なくなる。社内共働きの場合、三万二千円と一万六千円に分け支払うことを求めたが会社は拒否。社外共働きの場合、女性には一万六千円が支払われます。女性が世帯主としての支給を求めると、住民票上世帯主であっても夫より収入が多いことを証明する書類の提出が求められています。男性に配偶者の収入証明を求めたことはありません。  これは「わたしたちの求める均等法改正」、均等待遇アクション事務局の資料ですが、これについていかがですか。これはどう救済されるんですか。
  305. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 均等法賃金を対象にしておりませんので、まず住宅手当の問題は直接均等法の対象にはなりませんが、仮にそれを忘れまして、この事例についてと、こういうことであるとすると、男女で異なる取扱いをしておりますので、これはむしろ間接差別ということでなくても直接差別という事案で救い得る事案ではないかと。  今ぱっと見ましたところでございますので、間違いがあるかも分かりませんが、私の取りあえずの感触としてはそう思っております。
  306. 福島みずほ

    福島みずほ君 そうしますと、今回の改正法案第六条として、使用者側に明確なる差別的意図等がなくてもこれは今度の六条で救済されるということでよろしいですか。
  307. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 外形的に男女異なる取扱いをするということでありますと、直接差別ということで対象になってくるというふうに考えます。
  308. 福島みずほ

    福島みずほ君 例えば、女性が圧倒的に補助職である、男性は圧倒的に正社員である、これは間接差別になりますか。どう救済されますか。
  309. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) その結果になっておりますのは、いろんなケースがあると思いますけれども、例えばそうした中で基幹的な仕事男性のみに、男性だけを求人の対象にしているであるとかいうことになりますと、これは募集、採用における均等法上の直接差別としてもちろん救済がされるわけでございます。
  310. 福島みずほ

    福島みずほ君 直接差別について聞いているのではありません。圧倒的に男性の多くが正社員女性の多くが補助職、これは間接差別ですか。
  311. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) その結果となっている何らかの性中立的な要件があって、そしてそのかなりの相当な一方の性に対する相当の不利益ということになってくると、間接差別議論の対象になってき得るというふうに考えます。
  312. 福島みずほ

    福島みずほ君 間接差別の対象になるのであれば、どのような救済が可能でしょうか。
  313. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 私どもの提案しておりますのは、何度も繰り返しておりますけれども、省令で定めてということでございますから、仮に省令で定めたものについての救済ということになりますと、まず省令で定めたもののうち、すべてが間接差別として違法になるわけではない、そうした措置が合理的な理由があるかどうかを判断するということになります。そして、合理的な理由のない省令に定めた措置ということになりますと、そこで均等法上の違反ということになりまして、行政指導の対象になるということでございます。
  314. 福島みずほ

    福島みずほ君 今回、省令で限定するものの中にこの補助職というのは入っておりませんね。そうしますと、もしこれが、改正法案がこのまま成立しますと、さっき言った、今局長は圧倒的に男性正社員、多くの女性が補助職、これは間接差別だ、間接差別当たり得るとおっしゃいましたね。じゃ、これはどうやって救済するんですか。省令では限定されているので、これ行政指導の対象にならないんですか。おかしいですよね。
  315. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 均等法上の省令の範囲に入らないと、均等法上の間接差別として行政上の救済の対象にはなりません。  ただ、正規、非正規労働者の問題、正規労働者と非正規労働者の均衡処遇という問題、あるいは男女賃金格差の解消という問題は大きな問題だというふうに認識をいたしておりますので、その均衡処遇対策の強化、あるいは男女賃金格差改善していくための様々なガイドライン等による啓発普及等に努めているところでございます。
  316. 福島みずほ

    福島みずほ君 これから均等待遇の立法など、是非大臣もいつも積極的に発言してくださってますので、厚生労働省が立法に踏み込んでくださることを心から期待をいたします。  今局長はガイドラインで作っているというふうにおっしゃいましたが、しかし残念ながら、女性の半分以上はいわゆる非正規です。私が今質問しているのは、こういうことです。  さっき局長は、女性の圧倒的多くの人が補助職、男性正社員であるのは間接差別だ、間接差別当たり得るというふうにおっしゃいました。では今、どうやって救済するんですか。この均等法が成立した後、どういう救済が可能なんですか。行政指導の対象にはならない。だとしたら、間接差別だと、圧倒的にこういう状況差別が潜んでいる。この間接差別はなくすべきでしょう。どうやってやるんですか。行政指導ができない。どうやって救済可能ですか。
  317. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 何度も繰り返しの答弁で恐縮でございますが、賃金格差の解消のためのガイドラインであるとか、あるいはコース別雇用管理の関係のガイドライン等において様々なことを事業主に要請をしているところでございまして、そういうことの啓発指導によって救済をしていくことになると考えます。
  318. 福島みずほ

    福島みずほ君 今賃金だということを言っているのではありません。先ほど間接差別だと明言されたじゃないですか。直接差別じゃないけれど、このような状況は現に差別を助長し、差別をつくっている。だとしたら、この間接差別を、女性の圧倒的に多くが補助職、男性正社員、これを厚生労働省としてはどうやって差別を是正するのか、お聞かせください。
  319. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別として違法になると断定したわけではなくて、間接差別の対象となる範囲というのは性中立的な要件であれば何でも当たり得るわけでございますから、あらかじめその対象となる範囲議論を妨げるものではないという意味で、仮に一方の性別の間に相当な格差があれば議論の対象になるということで申し上げたわけでございます。
  320. 福島みずほ

    福島みずほ君 結構です。  ですから、実態を見たら、男性女性の比率やいろんなので相当程度に差別だというケースだったら、厚生労働省、どうやって救済しますか。
  321. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別そのものにおいては省令で規定する範囲ではありませんので、行政指導はすることができません。むしろ、その募集、採用、配置、昇進等に当たって必要性のない要件がないか、あるいはどちらかの性に満たしにくい要件がないかというようなことを問題を分析していただき、その実質的な男女機会均等の実現のために改善をしていただくという形でポジティブアクションの推奨であるとか、あるいはコース別雇用管理改善であったことについての指導をしていくことになると考えます。
  322. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、それは迂遠じゃないですか、とても迂遠ですよね。間接差別となり得る、そしてその実態を見ると、比率やいろんな差別、いろんなことからこれは間接差別だと認定をした。でも、間接差別だと認定しながら、行政指導ができないなんておかしいじゃないですか。このことにメスを入れれば、歴然とやっぱり差別がなくなる。女性の圧倒的多くが補助職、男性正社員、これを改善すべきだとなったときに、そういう迂遠な方法でしかやれないんだったら、何で間接差別の導入ということをこれほどやるんですか。  端的に間接差別はこういうものだとして、具体的に救済していけばいいんですよ。それをやらないで、無理やり限定列挙なんて、省令列挙なんてやるから、あるいはもう即座にどんどんどんどんいろんなものを追加することでしか現実の救済はできないというふうに考えます。いかがですか。
  323. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 何度も申し上げておりますように、間接差別範囲につきましてはやはりその均等法上の違法の範囲を明確にしてやるべきものであると考えておりますので、第一歩はその三つの予定しているものからやっていきたいというふうに考えております。
  324. 福島みずほ

    福島みずほ君 しかし、局長はさっき女性の大部分が補助職、男性正社員というのは間接差別となり得るとおっしゃったじゃないですか。間接差別となり得るというふうに言いながら何で救済できないのか。だれが考えたって、これ間接差別ですよ。  もう一回別の件をお聞きします。  では、女性の圧倒的多くが有期契約、男性の圧倒的は正社員女性待遇が圧倒的に悪い有期契約、これについてどうですか。どう救済しますか。
  325. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) まず申し上げておきたいのは、要するに、結果として男性が多いあるいは女性が多いということだけで、その結果の平等ということで、といいますか、結果だけを見て間接差別だということにはならないわけでございまして、相当なその格差があった上で合理性があるないということをきちんと見て初めて間接差別ということになるわけでございます。  その前提として、先ほどの御指摘のケースでございますが、正社員と有期社員の相当な男女差があるというようなケースにつきましては、これも個々の事案ごとに見てみませんと、本当にその結果になっているのが合理的理由があるのかないのか分からないわけでございますけれども、一般論で申し上げれば、正社員と非正規との均衡処遇というものの問題であるというふうに考えております。
  326. 福島みずほ

    福島みずほ君 もちろん個々で見なければ分からないかもしれませんが、女性の圧倒的多くが有期契約、男性正社員、これについて間接差別となり得ると考えますが、では救済はどのように可能なんでしょうか。均等待遇の立法ができればベストです。私たちも目指します。しかし、残念ながらできておりません。現実差別があります。どうやって解決しますか。
  327. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) パートタイム労働法に基づいて指針がございます。その指針に基づいて、事業主に対して指導をしてまいるということが一つ。それから、コンサルタントの派遣であるとか、あるいは自主点検の推進といったようなことについて、事業主にパートタイム労働者の処遇改善あるいは均衡処遇といったことについて改善を促していくということであると考えます。
  328. 福島みずほ

    福島みずほ君 それで解決していないから質問をしているわけです。  女性の圧倒的多くが有期契約、男性の圧倒的多くが正社員、これは間接差別となり得ますか、なり得る場合がありますか。
  329. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別の対象となる範囲議論において、あらかじめその対象にならないというものを決めて掛かっていく必要はないというふうに思います。
  330. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございます。間接差別となり得るわけですよね。  では、間接差別となり得るということは、直接差別ではないけれども差別をつくり、格差をつくっているわけだから、どう私たちがそれを解決するかと。  じゃ、厚生労働省、今現にガイドラインでは解決していない。どうやってこの間接差別となり得ることを解決しますか。女性の圧倒的多くが有期契約、男性正社員、どうやってこれを是正しますか。
  331. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 何度も申し上げて恐縮でございますけれどもパートタイム労働法に基づく均衡処遇の改善指導等でやっていくものだと考えております。
  332. 福島みずほ

    福島みずほ君 改善指導で実効性が上がってないこと、固定化していることをどうお考えですか。
  333. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 現実男女賃金格差もあり、それから正規労働者と非正規労働者男女比率を見ると、日本国内においての全体の数値においても男女差があるということは認識をいたしております。しかし、すべての、個々の企業におけるケースケースがすべてこれで、結果としてそういう数字になっているのがすべて間接差別だということで断罪されるわけではないということは何度も繰り返し申し上げておきたいと思います。  その上で、私どもは、そうした正規、非正規の問題あるいは正社員パートの問題、均衡処遇というような問題は、これ、非正規労働者の中にも、あるいはパート労働者、その中のパート労働者の中にも、女性だけでなく男性の比率もかなり今高くなっておりますので、性差別という問題ではなくて均衡処遇という切り口で対策の強化を図っていかなけりゃならないということで考えております。
  334. 福島みずほ

    福島みずほ君 均等処遇の立法は心から、大臣もいつも前向きに言ってくださっているので、本当に大至急作っていただけるよう、あるいは一緒に作れるよう、心から申し上げます。  ただ、今日お話をしているのは、間接差別の切り口で、基準としてお聞きをしているわけです。圧倒的に女性が有期契約、男性正社員、これは間接差別について除外例を一般論としてはつくらないということですから、間接差別となり得ることがあるわけです。局長自身も、日本の中で圧倒的に女性たちパートや非正規雇用あるいは賃金格差があることはお認めになっております。じゃ、それをどうやって是正するんですか。やっぱりこれは間接差別でしょう。どうやって是正するのか、まだ私には分かりません。答えてください。
  335. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別議論から排除するものではございませんけれども、当面、積み上げてきました今回の御提案している均等法改正案の中ではそうした問題は省令に定めることを予定していないわけでございます。まあそれは将来の検討の対象から排除するものではございませんけれども、現状におきましては、何度も繰り返しになって恐縮ですが、パートタイム労働者の均衡処遇といった形でその対策を強化していくべきものと思っております。
  336. 福島みずほ

    福島みずほ君 間接差別となり得る可能性があることを認めながら今回盛り込めないことは極めて残念です。そこに切り込めばかなり変わるし、労働条件も変わるわけですよね。  大臣、いつも同一価値労働同一賃金等で踏み込んで発言をしてくださっていますが、どうですか。要するに、間接差別で攻めると均等待遇でやると言って、均等待遇でやろうとすると立法、まだつくらないと言う。いつまでも解決しないという、これをどうお考えでしょうか。
  337. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今論議聞いていまして、正直言って一番職場として多いのはスーパーマーケットになるんでしょうか、店長さんがいて、四、五人の管理者がいて、そして数十名の女性パート方々がいらっしゃると。この労働実態を見て間接差別だと言って決め付けるというのはちょっと無理じゃないでしょうか。いろいろ解決すべき問題はある。しかし、スーパーマーケットのその業態を見てこれは全部違反であると、間接差別ですよと、こう北井さんに答えろと言うけど、なかなかそれはそうでございますという答弁はできないんではないんだろうと。  しかし一方で、福島委員が前から御主張のとおり、実態論として、そのパート労働女性が一日それこそ八時間正社員と変わらない勤務しているのに余りにも賃金格差があるじゃないですかというところは私どもしっかりやらなきゃならないですねということは申し上げているんですけれども、今スーパーマーケットを全部否定するような話になってしまいますので、私はそこはちょっと違うんじゃなかろうかなと、こう思います。
  338. 福島みずほ

    福島みずほ君 すべての点について申し上げているというよりも、でも私自身は、スーパーマーケットで店長は必ず男性、圧倒的に女性たちパート、しかも同じような仕事をしながら同じスーパーの中で男性女性賃金が非常に、多くの男性正社員女性パートで違う。もちろんこれは銀行であれほかのところであれ、あらゆるところにこれは広がっている。これについてどう変えていくかという視点は非常に必要で、なぜそこに切り込まないのかということが理解をできません。  だからこそ、今日、局長間接差別となり得ると、将来排除するものではないと。しかも、今日の答弁の中で、限定省令以外の点も違法であり、間接差別だというふうにおっしゃっているわけですから、ここについて、じゃ私たちは、問題点をどう発見し、どう立て、どう差別をなくしていくかという視点が必要だと思います。  今日、女性差別撤廃委員会日本政府に対する勧告についてもほかの委員からも質問がありました。私はやはり水平及び垂直的な職域分離の両方を撤廃するために努力することを勧告する、これはパラグラフ三十四ですが、この垂直的な職域分離の両方を撤廃するために努力をする。これはどう実現していかれるんでしょうか。
  339. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 男女賃金格差を見ますと、その役職、職階の違いあるいは勤続年数の違い、それから職域の違い等の原因で日本国における男女賃金格差というのが生じていると思います。  したがいまして、この賃金格差を解消していくためには、公明、公正な、透明な人事制度、賃金制度を整備し運用することや、仕事家庭の両立支援対策、そういうことも含めたポジティブアクションの推奨といったことがもろもろ進めていかなけりゃいけないと考えておりまして、ガイドラインに基づきましてそうしたことを事業主に啓発指導をしているところでございます。
  340. 福島みずほ

    福島みずほ君 ポジティブアクションや啓発では間に合わないというか、現実には正社員の中にも男女差別がある。でも、それ以外に、圧倒的に女性たちパート派遣契約社員に押し込められて、そもそも賃金体系そのものが全然違う。有期でいつでも解雇をできる。だからこそ、ここに間接差別というふうにして個々の問題点をきちっと見て、そしてそれを救済できるようにどの職場でも改革をしていくというふうにしなければこれは実現できないというふうに思っています。今回の均等法改正法案は、残念ながら女性差別撤廃委員会の勧告の中身を十分に満たしているものではないと、必要条件ではあっても十分条件とはなり得ていないというふうに考えております。  では次に、先ほど、S社における世帯主の住宅手当に関して、これは直接差別でいけるのではないかという旨の答弁がありました。住宅手当の支給要件、一般的に、住宅手当の支給要件、住宅手当の支給状況、家族手当の支給状況で明確に性差があります。例えば、一般労働者のうち事業者が住宅手当を支給した労働者の割合は五一・五%。男女別に見ると、女性は一九・二%、男性は八〇・八%というように明らかに性差が、男性女性で差が生じております。  これらは六条の、六条、「福利厚生の措置であつて厚生労働省令で定めるもの」と、六条の直接差別ということで今後救済されると理解してよろしいでしょうか。
  341. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 世帯主に支給する住宅手当とか家族手当ということになりますと、これは賃金ということでございますので、均等法では賃金雇用ステージの対象としておりませんので、それは均等法の問題とはならなくなります。  ただし、世帯主にかかわります福利厚生の措置というようなことであれば、男女異なる取扱いがあるということであれば、均等法の対象になるわけでございます。
  342. 福島みずほ

    福島みずほ君 積極的に六条違反ということで直接差別で解決してくださるようお願いをいたします。  これは行政指導でおやりになるわけですね。
  343. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 六条違反にかかわる問題につきましては行政指導でやってまいります。
  344. 福島みずほ

    福島みずほ君 ちょっと質問が前後して申し訳ありません。  先ほど、有期契約と補助職についての間接差別となり得るということについてお聞きをいたしました。アメリカは、確かにパートタイマーなどの問題を間接差別とはしておりません。しかし、今日も出てきておりますが、ヨーロッパの裁判所、ヨーロッパでは実際の差別是正についてこの間接差別が大きく寄与をしております。例えば、EUの裁判所では間接差別の判例は四十八件ぐらいですが、例えばそのうち半数がパートタイマーの事件、ドイツのほとんどはパートタイム関係だというふうにされております。こういう視点は非常に重要だと考えますが、いかがでしょうか。
  345. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今御指摘がありましたように、アメリカでは間接差別の対象からパートの問題は見られない。一方で、EUにおきましては間接差別というとパートに係る問題が大変多いということで、諸外国の状況も様々であるというふうに考えております。  我が国においてどうするのかということにつきましては、先ほど来からお答えしておりますとおり、間接差別の対象範囲にあらかじめ制限を掛けるわけではございませんけれども、そのパートの処遇問題は直ちに今回省令に入れることにコンセンサスは得られなかったということであります。そして、むしろこの問題は、正規労働者と非正規労働者の均衡処遇の問題として対応していくことが適当であると考えております。
  346. 福島みずほ

    福島みずほ君 しかし、今日の質問の冒頭にあったように、間接差別というのはそもそも限定をしていないわけですね。たまたま省令列挙では三つに限定をした。  パートタイマーの問題、非正規雇用の問題というのは女性問題でもあると。男女差別の問題でもある。この視点は正しいですね。
  347. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) パート労働者の中で女性は七割ほどを占めております。その意味で、パート労働者の問題は女性の処遇改善という観点からも大きな課題であるというふうに思います。
  348. 福島みずほ

    福島みずほ君 均等待遇の問題でもありますが、同時に女性差別の問題でもあると。圧倒的に比率は女性が多いわけですから、私はこれこそ間接差別でもあるというふうに思っております。  局長、この女性差別の面があるということについて、今後、均等待遇の立法と同時に、どのようにこの改善をされていかれるおつもりでしょうか。
  349. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 繰り返しになりますけれどもパートタイム労働対策の強化ということと、それから男女賃金格差の解消のための様々な施策の強化ということに努めてまいりたいというふうに考えております。
  350. 福島みずほ

    福島みずほ君 条文上例えば、「男性及び女性の比率その他の事情を勘案して」とありますが、比率は例示であって、したがって統計的数値以外からも差別的効果が生じていると見ればそれでも勘案するということでしょうか。比率のみを重視しないということで理解してよろしいでしょうか。
  351. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 男女の比率ということが結局一方の性に対する不利益ということでポイントになるわけでございますが、その男女の比率のみならず、その他の事情も勘案してやってまいることになると思います。具体的には、判例の動向であるとか社会的なコンセンサスの動向も勘案して省令を定めていくということになると思います。
  352. 福島みずほ

    福島みずほ君 判例の動向と社会のコンセンサスとおっしゃいましたが、もう一歩踏み込んで、諸外国の例やあるいは価値基準として、日本の中で何が女性差別を発生させているか、その視点から積極的に勘案していただきたいと考えますが、いかがですか。
  353. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 御意見も十分承ってまいりたいと思いますが、審議会の議論を経て省令を定めることになりますので、最終的には審議会での議論を踏まえたいというふうに思っております。
  354. 福島みずほ

    福島みずほ君 例えば丸子警報器事件は、均等待遇正社員一〇〇に対して八割以下であれば公序良俗違反だといった判例があります。あるいは、御存じ三陽の会社のケースで世帯主を争ったケースや、実はたくさん私自身は、女性差別を争う、あるいは間接差別を争った例はたくさんあるのだというふうに思っています。  判例の動向とおっしゃいましたが、実は判例はたくさん出ております。たくさんの女性差別の事件が裁判で争われている。にもかかわらず裁判に訴えなければ解決ができない。でも、パートの人で裁判を起こせる人なんてごくわずかですよ。そのことをきちっと踏まえて積極的に今後、間接差別の考え方あるいは限定省令についてもっともっと拡大をしていくことが必要だと考えます。同時に、均等待遇の立法が必要だと考えます。  「業務の遂行上特に必要である場合、」、「雇用管理上特に必要」と法案にありますが、一方の性が受ける不利益が重大な場合には特に必要の判断がより厳格に行われなければならないと考えますが、いかがですか。
  355. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別の合理性につきましては、例えば募集、採用の措置について全国転勤ができることといった要件を設けます場合には、採用された後に就く業務においてそうした要件を課すことが真に必要かどうかという観点から判断されるべきものであると考えます。  したがいまして、不利益の大小というよりも、特に必要、客観的に見て真に必要であるかどうかということを示していく必要があるというふうに考えます。
  356. 福島みずほ

    福島みずほ君 今回、均等法改正法案が一歩進めるものとなることを本当に期待をいたしますが、間接差別を始め正直不十分、やはり理解ができない、無理して概念上破綻をしているという気がいたします。  修正案を考え、是非賃金も、間接差別禁止の対象に賃金を加える、あるいは限定ではなく指針で一般的に定めることということなどを強く要望し、法案のきちっとした実効性のあるものが作れるよう、今後も審議を重ねていきます。  以上です。
  357. 山下英利

    委員長山下英利君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。    午後四時一分散会