運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2006-04-20 第164回国会 参議院 厚生労働委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月二十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十八日     辞任         補欠選任      又市 征治君     福島みずほ君  四月二十日     辞任         補欠選任      下田 敦子君     主濱  了君      山本  保君     鰐淵 洋子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下 英利君     理 事                 岸  宏一君                 中村 博彦君                 谷  博之君                 円 より子君                 渡辺 孝男君     委 員                 阿部 正俊君                 岡田  広君                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 武見 敬三君                 中原  爽君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 水落 敏栄君                 朝日 俊弘君                 家西  悟君                 島田智哉子君                 主濱  了君                 津田弥太郎君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 山本  保君                 鰐淵 洋子君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   川崎 二郎君    副大臣        厚生労働大臣  中野  清君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    政府参考人        人事院事務総局        職員福祉局長   吉田 耕三君        人事院事務総局        人材局長     鈴木 明裕君        厚生労働大臣官        房総括審議官   金子 順一君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省雇用        均等児童家庭        局長       北井久美子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○雇用分野における男女均等機会及び待遇  の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を  改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、又市征治君及び下田敦子君が委員辞任され、その補欠として福島みずほ君及び主濱了君が選任されました。     ─────────────
  3. 山下英利

    委員長山下英利君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  雇用分野における男女均等機会及び待遇確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省雇用均等児童家庭局長北井久美子君外四名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山下英利

    委員長山下英利君) 雇用分野における男女均等機会及び待遇確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。川崎厚生労働大臣
  6. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ただいま議題となりました雇用分野における男女均等機会及び待遇確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  我が国の人口減少局面を迎える中、労働者性別により差別されることなく、かつ、母性を尊重されつつその能力を十分発揮することができる雇用環境整備することは、極めて重要な課題となっております。  こうした状況に対応すべく、政府といたしましては、男女雇用機会均等の更なる推進を図るため、本法律案を作成し、ここに提出した次第であります。  次に、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、女性であることを理由とする差別禁止している募集採用配置昇進等について、男女双方に対する性別理由とする差別禁止することとし、新たに降格退職勧奨等についても性別理由とする差別禁止するほか、いわゆる間接差別禁止することとしております。  また、妊娠出産、産前産後休業の取得を理由とする解雇禁止妊娠又は出産に関するその他の事由理由とする解雇禁止を加えるとともに、これらの事由理由とする不利益取扱い禁止することとしております。さらに、妊娠中又は出産後一年を経過しない女性労働者に対する解雇は、事業主妊娠等理由とする解雇ではないことを証明しない限り無効とする規定整備することとしております。  第二に、職場におけるセクシュアルハラスメント対策として、事業主は、雇用管理上必要な措置を講じなければならないこととし、男性労働者もその対象に加えることとしております。  第三に、調停制度の充実を図るとともに、公表制度対象拡大等を行うこととしております。  第四に、女性坑内労働に係る規制について、妊産婦が行う業務等を除き緩和することとしております。  なお、この法律は、平成十九年四月一日から施行することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  7. 山下英利

    委員長山下英利君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 おはようございます。  今日、今大臣が御説明いただきましたように、二本の法律がかかるわけでございますけれども、私は雇用機会均等法について質問したいと存じます。  この雇用機会均等法、一九八五年に、当時、国連の女性差別撤廃条約批准のための国内法整備という形で、当時の勤労婦人福祉法改正する形で制定されまして、今年二十一年になりました。この間に、育児休業法が施行されたり、あるいは均等法改正されたり、あるいは男女共同参画社会基本法が施行されたり、あるいは育児介護休業法が施行されたり、いろいろ職場の中で男女の平等を確保するための法的な整備だけはかなり進んできたというふうに思っております。  大臣、まずこの均等法を制定して二十年、この成果、実際にその職場でどんな成果が現れているというふうに思っていらっしゃいますか。その評価をお聞かせいただきたいと存じます。
  9. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 清水委員から、まず均等法二十年の評価について御質問をいただきました。  均等法の制定以降、男女雇用機会均等についての考え方は社会に広く浸透し、企業雇用管理見直しも進展したと認識しております。また、実態面でも、女性雇用者数増加とともに、女性勤続年数の伸長、女性職域拡大管理職に占める女性割合上昇などが見られております。しかし、一方でまだまだ問題は残されておると考えております。  まず、女性に対する差別事案複雑化妊娠等理由とする解雇解雇以外の不利益取扱い増加セクシュアルハラスメント相談増加等状況が見られ、問題と認識しております。また、先ほど管理職に占める割合上昇したと申し上げましたけれども、改善しつつあるとはいえ、上昇のテンポが緩やかであることや、男女間の賃金格差が依然として大きいことも問題として認識をいたしております。
  10. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 これまではどちらかといえば差別されているのは女性の方であるというような感じで、女性に対する差別禁止ということをうたってきた均等法でございますけれども、今回の改正では男女双方に対する差別禁止をうたったという点で、その姿勢は私は評価したいというふうに思っております。  いよいよ人口減少社会になりました。職場家庭生活の両立あるいは調和を図りながら、男女それぞれの持っている能力を十分に社会で発揮できる、そういう環境をつくらなきゃいけないということについては、かなり国民一般認識されてきているというふうに思っております。しかし、今大臣が最後の方でお述べになりましたように、依然として職場の中における男女の例えば賃金格差でありますとか、あるいは今非常に多くなっております非正規雇用者割合格差、あるいは雇用慣行上の格差、あるいは妊娠出産をめぐる不利益取扱いなどについて、なかなかまだ私たちが望んでいるような実態になっていかないということでございます。  このたびこの改正になるわけでございますけれども、今回の改正のポイントと、そしてそれをすることによってどのようなことが期待できるのか、その辺についてお伺いしたいと存じます。
  11. 中野清

    ○副大臣中野清君) 今回の改正内容でございますが、今般の改正法案におきまして、間接差別禁止、また男女双方に対する差別禁止など、性差別禁止規定強化を図ることといたします。また、二番目といたしまして、妊娠出産理由とする不利益取扱い禁止で、例えばこれは雇い止めなどがございます。それから、三点目といたしまして、男女を含めまして雇用管理措置を義務付けるところのセクシュアルハラスメント対策強化、また四点目といたしまして、調停及び企業名公表制度対象範囲セクシュアルハラスメント及び母性健康管理措置を追加すること等について措置をすることとしておるわけでございます。  また、この効果をということでございますが、これらの雇用に関する新しいルール作りを進めることによりまして、企業における男女均等取扱いが一層促進され、労働者性別によって差別されることなく、かつ女性労働者母性を尊重されつつ、その能力を十分発揮することができる社会の実現を図ることができると期待をいたしておるところでございます。
  12. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今、副大臣、一番先に間接差別禁止、これは前回の平成九年の改正のときに参議院の附帯事項の中にもこの問題について検討するようにということが指摘されている、附帯決議の中に付いているわけでございます。今改正の中で間接差別禁止ということを明記したと、これはとてもいいことではないかというふうに思いますけれども、これも労働政策審議会の中の雇用均等分科会の中での御検討の結果を拝見しますと、労働側使用者側でかなり意見の対立があって、そして結局、妥協の産物ではないかと思うんですけれども省令三つの場合に限って明記するということにされたわけでございまして、この三つのものだけに絞ることについては非常に今いろんな意味で批判がありまして、私どものところにもたくさんのいろんな意見が寄せられております。  省令の中でこの三つにとどめているということについての問題意識について、局長の方から御説明いただきたいと存じます。
  13. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別についてのお尋ねでございます。  間接差別は、性中立的なものであれば、およそどのような要件でも俎上にのり得る大変広がりのある概念でございます。このために、間接差別均等法違反と、違法ということにするに際しましては、対象となる範囲を明確にしてスムーズに雇用の現場においても理解がされるようにしていく必要があるというふうに考えております。  こうしたことから、改正法案におきましては、対象となる措置厚生労働省令規定することとし、必要に応じてその対象となる措置見直しができるように、法律を一つ一つ変えなくても見直しができるように、この省令を見直すことで必要に応じて見直しができるような法的な枠組みということにしたところでございます。  今、御指摘がございましたように、厚生労働省規定するものとしては、現時点では労働政策審議会においてコンセンサスが得られた三つ措置を想定しているところでございますが、これらの措置以外のものにつきましても、今後の見直し対象からあらかじめ排除されるというものではないというふうに考えております。  また、この厚生労働省令対象となる措置規定することと、そういう方式を取ったわけでございますが、こうした方式を取りますと、例えばほかの国では、間接差別禁止労働者が争う際には、まず個々事案ごとに一方の性に対する相当程度不利益ということを証明をしていかなきゃいけないわけでございますが、その証明というのはなかなか困難なところがございます。この厚生労働省令では、その相当程度不利益も勘案して、男女比率を勘案して厚生労働省令で定めるということにしておりますから、個々事案ごと労働者が、男女比率格差というものの存在を示し、証明していく必要はなくなります。こうした点からは、労働者にとって使いやすい制度という面があると考えております。
  14. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今の御説明ですと、当面、労使意見がある程度合意ができたところから乗っけたと、そして必要があれば、それについては見直しができるようにはなっているという御説明でございました。  実際に、雇用均等室に持ち込まれたいろいろな相談があると思うんですけれども、その中には、いわゆる間接差別に該当すると思われるものというのはどのくらいあって、しかもこの三つの今の事案の中でこれで全部解消されるものでしょうか。ちょっとその辺を教えていただきたいと存じます。
  15. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別の問題として一番国内外で指摘をされてまいりましたのは、典型的にはコース別雇用管理における全国転勤要件の問題であろうと思います。  私ども雇用均等室コース別雇用管理を導入している企業に対して報告徴収指導ということを行いましたわけでございますが、コース別雇用管理を取っておられる企業の中で、総合職について女性が事実上満たしにくい全国転勤要件としている企業がかなりに上りまして、かつ要件としていてもその必要性を十分検討されていないまま導入しておられるという企業が四割にも上っているというところでございます。こうしたことからも、こうした要件が安易に要件付けされますと、総合職女性が応募をしたり、採用されにくいということの要因となっているというふうに考えているところでございます。  今回の改正によりまして、その想定しております三つの中にこのコース別雇用管理制度における全国転勤要件の問題入っておるわけでございまして、これが実現しますと、合理的な理由なく全国転勤ができることを要件として募集採用を行うことは禁止されるということになるわけでございますから、従来指摘されてまいりましたコース別雇用管理についての運用の是正が進むものと考えております。  また、そのほか、間接差別として問題視、いろんな方面から問題視されておりましたケースとしては、身長、体重、体力要件であるとか、あるいは学部の問題であるとか、それから世帯主要件であるとか、あるいはパートと正社員の処遇の差というようなものがございまして、こうしたものについて一定のものはこの審議会の議論に先立ちます有識者の研究会でも御議論いただいたわけでございますけれども、今回、省令で当面何を書いていくかということは、労使コンセンサスができたこの三つのものを想定しているということでございます。
  16. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 このたび初めてこういう問題が出されてきて、そしてその中身については、非常に広がりある概念で、具体的に決めてしまうことがかえって問題ではないかということだと思いますけれども局長の御説明では、労働者側にとっても非常に使いやすい形なんじゃないかという希望的なお話もございましたので、是非これ、この三つでもうおしまいじゃなくて、事案によって問題を更に検討できるような仕組みを是非していただきたいと存じます。  次に、国家公務員について少しお伺いしたいんですけれども国家公務員というのは、男女のいろんな意味差別のない一番状況の整っている職域かと思うんですけれども人事院は、国家公務員というのは国家公務員法に基づいていろいろ規定されているのでこの均等法については適用されないんだというお話でございますけれども、この改正された均等法内容、こういったものがすべてこの国家公務員法規定で担保できているのか、あるいは改めてそこも改正しなきゃならない状況なのか、ちょっとその辺についてお伺いしたいと存じます。
  17. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) お答え申し上げます。  一般職国家公務員でございますけれども公務員雇用関係につきましては、民間労働者と別の法体系が構成されておりまして、国家公務員法の第二十七条によって、性別による差別その他不合理な差別禁止する平等取扱い原則が存在するなど、均等法に定められている内容公務については法制上の措置がなされている等を理由均等法規定は基本的には適用除外とされてきているところでございまして、今回の改正案では、先ほど来御説明ございますように、性差別禁止範囲拡大であるとか妊娠等理由とする不利益取扱い禁止などの措置が講じられるものというふうに承知しておりますけれども、その内容につきましては、申し上げましたように、国公法二十七条の平等取扱い原則とか、あるいは国公法七十五条で、免職等不利益処分をする場合には事由を法定するとかなどのこれら基本的な枠組みに相当する規定が既に存在しておりますので、国公法改正は不要と考えているところでございます。
  18. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 この均等法の中では、特に男女双方に対する差別取扱い事項として、募集採用配置昇進教育訓練福利厚生、定年、解雇に加えまして、このたび、降格でありますとか、雇用形態あるいは職種の変更、退職勧奨労働契約更新等そういったものが入ったわけでございますが、公務員の場合には特に問題ないということでございます。  実際問題として、こういう規制の中で、何も問題がなく、つまり男女差別がなくという実態になっているのでしょうか、その辺をお伺いしたいと存じます。
  19. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 法制上は差別がないという仕組みになっておりまして、実際の採用とか登用状況につきましては少しずつ改善してきているというふうに思っておりますけれども、なお必ずしも十分でないところもあると思っておりまして、その点につきましては私ども公務のあらゆる部署に女性参画していただくこと、特に政策方針決定過程への女性参画拡大をしていく必要があるというふうに考えておりまして、そのために国が率先垂範して女性公務員採用登用拡大を図っていくことが更に必要であるというふうに考えております。
  20. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 実際問題として、例えば管理職に占める女性比率でありますとか、いろんな点で十分ではないんじゃないか、国際的に見ましても非常に日本の場合には率も低いというようなこともございまして、問題ではないかというふうに思っております。  人事院はかなり、かねてから女性登用について努力をして、いろんな通知を拝見しましたけれども、いろいろな通知を出したりして各府省に督励もしているようでございますけれども一体今までどのようなことを努力していらっしゃるか、そしてそれが具体的にどんな効果が現れているのか、教えていただきたいと存じます。
  21. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 先ほど申し上げましたような認識に基づきまして、人事院平成十三年に女性国家公務員採用登用拡大に関する指針というものを策定をいたしまして、各府省はこれに基づきまして女性職員採用登用拡大計画策定をいたしまして、全府省一体となって取り組んできているところでございます。  さらに、昨年十二月にはこの指針を改定いたしまして、平成十七年度までとされておりました各府省計画目標年度平成二十二年度までといたしまして、この改定された指針に基づきまして、各府省では平成二十二年までの目標を設定した採用登用拡大計画を新たに策定をするということとなっているところでございます。  また、このほかにも人事院は、女性職員能力向上を目的とした女性職員対象とする研修を実施したりとか、あるいは意欲のある女子学生の方に採用試験を受けてもらうよう女子学生のためのセミナーを実施したり、あるいは女性向け募集パンフレットを作成したりホームページを開設をしたりなど、女性対象とした特別な募集活動にも力を入れておりまして、これら引き続き全府省一体となって取組を一層推進してまいりたいと思います。
  22. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今もおっしゃいましたけれども政府は、二〇二〇年までに指導的立場にある女性割合を三〇%に、そしてまた平成二十二年ころまでに採用者に占める女性割合を三〇%、今は二一・七%というふうな数字をいただいていますけれども、そういう目標を掲げているわけでございますよね。今実際に指導的立場にある女性割合って何%になっていて、それを三〇%に、二〇二〇年までちょっと間ありますけれども、でもそんなにないんですね、どういうふうにしてその三〇%まで達成できるのか、人事院ができるというのはどこまでできるんでしょうか。要するに、採用するのは各府省がやっているわけですよね。それを高める努力をどんなふうに人事院ができるのでしょうか。
  23. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 平成十六年度で見ますと、公務員行政職(一)の係長クラスで見ますと、女性割合が一五・一%ということになっておりまして、これが本省の課室長クラスになりますと、まだ一・七%程度ということでございます。  こういう状況でございますが、先ほど申し上げました昨年十二月に女性公務員採用登用拡大に関する指針を改定をいたしまして、その中で、研修等意欲能力のある女性職員を積極的に参加をしていただいて、あるいは女性職員に助言、指導するいわゆるメンターを導入したりとか、あるいは選考採用における、中途採用ですね、中途採用等選考採用においても、過去に中途退職された女性を含む、専門的な知識経験管理監督能力を有する女性採用に向けた努力などを各府省に対して求めているところでございまして、この指針に基づきまして、各府省は二十二年度までの目標とした登用計画策定するわけでございますけれども人事院としましても、各府省人事担当課長さんをメンバーとして女性職員採用登用拡大推進会議というものを毎年開いておりまして、このような機会を活用しながら、引き続き、計画の達成に向けまして各府省に一層指導、助言してまいりたいと思います。
  24. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 恐らくこの問題は何度も今までも取り上げられている問題で、いつも苦しい答弁をされていることではないかというふうに思いますけれども、この中でポジティブアクションについてはこれは奨励しているわけでございまして、その政府が作ったポジティブアクションを本当に具体的にどうやってするのか。もう少し各府省協力協力というか本当にしてもらわなければいけないわけでして、人事担当者だけでいいのかなという気がしてなりません。是非、次にはいい答弁ができますように、よろしくお願いをしたいと存じます。  それから次に、育児休業の問題に少し入りたいと存じます。  公務員の場合には非常に育児休業の取得率が高いというふうに伺っております。ほとんどの人が、期間は別としてほとんど取れるというようなことも伺っておりますけれども公務員の場合には、そうしますと、余り一般の日本の女性の特徴でありますM字カーブというのはないというふうに考えてよろしいですか。
  25. 吉田耕三

    政府参考人(吉田耕三君) お答えを申し上げます。  数字で説明いたしますと、十六年度中に産後休暇が終了した女性職員のうち、九二・五%の方が育児休業を取得しております。人数で申しますと四千八百人になります。これ以外の七・五%、三百八十七人の方が育児休業を取得していないと。育児休業を取得しないで直接職務に復帰したかあるいは退職したかということで、そこの具体的な内訳は把握しておりません。ただ、九二・五%というほとんどの方が育児休業に移行しているという状況がございます。それから、育児休業期間中に退職した職員というのは三・〇%、それから育児休業から職務復帰直後に退職した方も一・二%ということで、育児休業を終えた方の九五・八%が職務復帰をしているという状況にございます。  なお、妊娠あるいは出産理由退職した職員、つまり育児休業に入る前に退職した職員が公務員にどのくらいいるかという実態について具体的な数字を把握しておりませんが、出産理由退職する職員というのは非常に少ないのではないかというふうに考えております。
  26. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 公務員の場合には辞めなくても済むような状況が整いつつあるんだろうと思いますけど、一般でも育児休業取得率、随分高くなってきています。高くなってきているんですけれども育児休業に入る前にもう辞めてしまう、辞めなきゃならないという実態が多いものですから、公務員の場合にそれがなければ、実態を把握していないというお話でございましたけれども、是非、辞めないで済む状況を、もう辞めなければならないような状況がないと思いますけれども、その辺を是非担保していただきたいと存じます。  その中で、これもポジティブアクションの中に入っているんですが、男性の育児休業取得率というのを政府目標を一〇%に掲げたわけですよね。しかし、今は、この十七年のデータでしょうかね、これで見ますと〇・九%と随分乖離がありますけど、これはどうでございましょうか。どんなふうな見通しでございましょうか。
  27. 吉田耕三

    政府参考人(吉田耕三君) 今先生御指摘のように、男性の育児休業の取得というのは、十五年度の実績で七十五人、それから十六年度の実績で百二十二人、これも率に直しますと、子が出生した男性職員ベースということで見ますと、十五年度が〇・五%、それから十六年度が〇・九%ということで、数字は伸び率でいうと非常に伸びておりますが、絶対数なりそれから比率というのは非常に低いというところにとどまっております。  この背景には、これまでの職場慣行の中で男性職員に育児のために休むという意識が必ずしも高くないこと、あるいは職場の中で休みづらいというようなことは考えられますので、まずは各府省の現場で意識改革を行っていく必要があるというふうに考えております。  人事院としては、男性職員がよりハードルの低い形で育児に参加できる仕組みとして、妻の産前産後期間中に五日間取得できる育児参加休暇という特別休暇を昨年の一月から導入しております。また、育児、介護のために早出遅出勤務をこれも昨年の四月から制度化いたしまして、男性職員も手軽に育児に参加するところから始めて育児休業の取得等の推進が図られるようにというふうに取り込んでおります。  今後も、様々な機会を通じまして、育児休業制度のPR、あるいは育児休業を取得しやすい環境整備等について各府省への要請、働き掛けなど、積極的な対応をしたいというふうに考えております。
  28. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 これは通告していないんですけれども大臣に是非御感想を伺いたいと思っているんですけれども、私たち、今参議院に少子高齢社会調査会という調査会がございまして、昨年の秋に、先進国の中でも少しその合計特殊出生率が上がっているようなノルウェーだとかフランスの調査に参りました。  で、ノルウェーで特に見たんですけれども、パパクオータといって、一年のうちに五週間父親が育児休業を取る、取れば手当をもらえる。まあ大体これ取る期間によって違うんですけど、八〇%から一〇〇%手当をちゃんともらえる仕組みができておりまして、新しい政権ではこれを四年間の間に十週間に延ばすというふうなことを言っているんですね。そして、それによって育児休業を取っている男性が九〇%でございました。  私たち、企業で実際に育児休業を四回も取った男性とお話をしてまいったんですけれども、やっぱり非常にその後、人生経験においてすばらしい経験をした、子育てに自分たちが参加できるということに対しては非常にもう前向きの御意見もちょうだいしたんですね。  こんなことはもうやっぱりこれノルウェーだからできるんで、日本ではとてもできないんじゃないかと思っていましたところ、広島の三次市がこの四月から子育ての特別休暇の制度をつくったというニュースがありました。これ聞きましたら、お父さん・お母さん休暇というんですけれども、一年六か月未満の子供を有する職員が子育てに専念するために、一人の子供について二か月、まあ一か月ずつ分けてもいいんですけど、二か月はこれ義務なんですね。取得義務がある、取らなきゃいけないことになっているんですね。要するに、配偶者と一緒に、お父さんもお母さんも一緒に子育てができるというような制度をつくったというんですね。今までの制度ももちろん育児休業制度、男性も対象だったんだけどちっとも取らない。今度はもうそれを取らせようという、こういう話なんですね。  で、こういうところが出てきているのかなと思って私もちょっとそれに関心を持ったわけなんですけれども、こういう夫婦が一緒に子育てをするために休むのが当たり前だという風土、職場風土をつくるんだというこの市の姿勢、こういう政策について、大臣、ちょっと御感想を伺いたいと思いまして。
  29. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 目指すべき方向としてはそういうものを考えていかなきゃならぬというのは清水委員御提案のとおりでありますし、また先駆けてどこがやっていくのかという中で市が一つの決断をされた、市長の一つの決断というものを評価したいと思います。  正直、こうした議論をいたしておりまして、子供の教育に掛ける費用、コスト、子育てに掛ける費用、コスト、また出産に至るまでのそうしたものに対してどこがどう負担をするかという議論がまだ我が国の中、成熟し切っていないなと、こういう感じがいたしております。例えば、フランスでありましたら、子育ての費用は企業が五・四%特別に支出をしている。  いずれにせよ、どこがどう負担をしながらやっていくか、我が国の社会制度の中で正に負担と給付というものをしっかりみんなで議論しながらやっていかなければならない時代になってきていますね。  数字をいろいろ委員会でもお示しいただいて議論をいただいておりますけども厚生労働省認識としては、足らぬ、足りない、こんな思いをいたしております。そして、それは全体の皆さん方に御理解をいただく中でそのコストを出しながら子育てをやっていかなければならない時代と、私はそんな感覚でおりますし、また先ほど言いましたように、でき得るべき方向というものを指し示したときに、どっかがトップランナーでやっていかなきゃならないということも事実だろうと。そういう意味では、厚生労働省、自分で主張して自分のところしっかりやれと、こういう御指摘をしょっちゅういただくわけでありますけれども、それも頭に置きながら頑張ってまいりたいと思います。
  30. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 今の三次の話なんですけれども、実際には休業中に代替職員を雇わなきゃいけない、その分については、市長さんたち特別職が期末手当を、また室長級以上の六十五人の管理職管理職手当を一〇%カットしてそれでお金を工面して払うと、こういう前向きな姿勢なんですね。  この取組に対しまして総務省のコメント。二か月の有給休暇は住民の理解が得られるかどうか疑問だというコメントが付きました。そしてまた、広島の労働局。育児のための長期有給休暇の義務付けなんて聞いたことがない、適用を見守りたい、こういうコメントが出されたというふうに聞いております。  やっぱり、こうした地方自治体が挑戦的な取組をするということに対して、やはりもう少し応援してもいいんじゃないかなと、私はそういうふうに思ったんですけど、局長局長だったらどんなコメントを出されますか。
  31. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 国、地方自治体も一つの事業主として大いにこの職業生活と家庭生活とが両立できるような環境整備、それから子育て世代の、男性も女性もが子育てに十分時間を取りながら仕事もできるような環境整備と、こういうことが本当に日本の最大の課題の一つであるということで私どもも取り組んでいるわけでございます。そうした中で、今大臣からお話がありましたように、一つの事業主としていろんな試みがむしろ先駆的になされていくということは結構なことだと思っております。  必ず休まなきゃいけないということがいいのかどうかということはちょっとあるのかもしれませんけれども、一つの実験的な試みとしてお取り組みいただいているということは評価をしたいというふうに思っております。
  32. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 是非温かく見守って、是非、広げられるところがあればどんどん広げていただきたいなというふうに思っております。  ここでもう一度人事院に返りますけれども育児休業公務員の場合三年間取れるような仕組みになっております。三年間取っている人もいるというふうに伺ってはおりますけれども、伺いますと、育児休業中というのは働いちゃいけないんだそうで、三年間全く家庭で育児休業しなきゃいけない。それですと、やっぱりこれから貴重な女性の労働力をまた復帰してもらうということが大事なことだと思うんですけれども、三年間全く職場から離れているというのはちょっとやっぱりきついんじゃないかというふうに思うんですね。そこの中で、何とか現場復帰が可能になるようなそういう措置も必要ではないかというふうに思うんですけれども、例えば在宅勤務だとかあるいは研修制度だとか、とにかくいろんなことを取り込みながら現場に復帰できるような仕組みをもう少し検討していただけないかと思うんですけど、いかがでしょうか。
  33. 吉田耕三

    政府参考人(吉田耕三君) お答えいたします。  国家公務員育児休業、今先生御指摘のように、最長三年まで取れる仕組みになっております。ただ、大体八割方は一年以内といいましょうか、程度でございます。それにしても、長期間職務から離れるということになります育児休業中の職員にとって、円滑な職務復帰を図るということは大きな関心事項というふうに考えられます。育児休業の取得を推進する上からも、また公務の能率的運営を図る上からも、この点は重要なポイントであるというふうに認識しております。  人事院としては、昨年の二月に各府省に対しまして、仕事と育児の両立支援制度の活用に関する指針というものを示しまして、その中で、育児休業中の職員が円滑に職務に復帰できるよう、育児休業中の職員に対する職務に関連する情報の提供、あるいは職務復帰直後のフォローアップ研修の実施等の措置を必要に応じて講ずるように求めたところでございます。  さらに、これまで、今先生御指摘のように、育児休業というものは身分は持つけれども職務に従事しないということになっておることとの関係で、育児休業期間中に、例えば各府省が催します研修であるとか新制度説明会でありますとか、そういうものには出席しないということで運用されてきたわけですけれども育児休業職員の不安感とか孤立感を軽減するということと、それから職務に対する知識、技能の維持向上を図るという観点から、各府省に対しまして育児休業中の職員がそういった研修説明会に自主的に参加することは可能であるというふうにお示しいたしまして、各府省において育児休業中の職員の円滑な職務復帰に向けた積極的な取組を促したところでございます。  それからさらに、人事院といたしましては、現在育児を行う職員が常勤職員のままで短時間勤務をするということを認める短時間勤務制を検討しております。こういう制度ができた場合には、育児休業から職務復帰する際に一気にフルタイムの職員になるのではなくて、短時間勤務という場を経由してと申しますか、円滑かつ段階的に復帰することにもかなうのではないかというふうに考えております。
  34. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 恐らく男性が三年も休むというふうになったらこんなふうにゆっくりしてないと思うんですよね。是非是非その辺について前向きの御検討をよろしくお願いしたいと存じます。  そこで、今まで一般の国家公務員の話をずっとしてまいりましたけれども、先ほど大臣もおっしゃいましたように、厚生労働省はまず、こういう法案も所管している省でございます。まず率先してやるべきだと、もうどこでも言われ、私もそう言いたいわけですね。もう恐らく厚生労働省がほかのいろんな省庁の中で一番女性の管理者も多い省だと思うんですけれども、それでもまだまだ目標には達成していないと存じます。女性管理者の増加あるいは男性の育児休業取得者をどのようにこの目標に向かって増やしていくのか、具体的に厚生労働省のお取組を伺いたいと存じます。
  35. 金子順一

    政府参考人(金子順一君) お答え申し上げます。  まず、女性の職員の採用登用に向けた取組についてでございますが、これは先ほど人事院の方からも話がございましたが、厚生労働省といたしまして採用登用拡大計画というものを策定をいたしまして、積極的な採用登用に取り組んでいるところでございます。  少し数字的なことを申し上げますと、平成十七年度の採用の実績でございますが、厚生労働本省、それから都道府県労働局、社会保険庁、それぞれいずれもⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種の試験区分がございまして、そちらの女性の合格者の割合、これ例えて申し上げますと、Ⅰ種ですと一七・三%が国家公務員試験の女性合格者割合でございます。Ⅱ種につきましては二八・七%でございますが、先ほど申し上げました厚生労働本省、労働局、社会保険庁、いずれもこの合格者割合の数字を上回った数字で採用をさせていただいております。そういうことで、積極的な採用に取り組んでいるところでございます。  採用に当たりましては、特に説明会などにおきまして、女性職員による説明会を開催するなどの工夫を凝らしているところでございます。  それから、登用の方でございますが、こちらにつきましては、議員御指摘のように、なかなかまだ率直に言って進んでないところがございます。先ほど人事院の方から御報告がございましたけれども国家公務員全体ですと係長クラス大体一五・一%ぐらいの登用割合なんですが、厚生労働省の方は今二二・八%という数字になっております。ただし、本省の課室長クラスでございますが、こちらにつきましては四・六%ということでございまして、全府省合わせました一・七%に比べますと高い数字にはなっておりますが、絶対的な数字としてはまだまだでございます。これは背景には、既にこれまでの過去の採用、そういったものの積み重ねの中でこの数字が今出てきているんだろうと思いますので、採用昇進に向けまして適切な取組をすることによりまして、女性の積極的な登用拡大に努めていきたいというように考えております。  それから、議員から御指摘のございました育児休業の取得でございます。  こちらにつきましては、女性職員につきましては九七・四%の方が取得をされているということでございますが、男性につきましては、これ平成十六年度の数字でございますが、男性につきましては全体で十四人という数字になっております。当該年度に子供が誕生した男性という人を分母に取りまして割合を計算してみますと一・三%ということでございまして、先ほど人事院の方から御報告ございました数字よりは若干は高くなっておりますけれども、まだまだ取組を進めなければいけないだろうと、こういう認識でいるところでございます。  育児休業の取得に向けましては、次世代育成支援法に基づきます特定事業主行動計画、これを厚生労働省事業主として策定をさせていただいております。こちらの中でとにかくまず制度をよく職員に周知をするということが大事でございます。  それから、取りやすい環境をどうつくっていくかということで腐心をしているところでございますが、取組について例えて申し上げますと、お勧めプランというのを実は作っておりまして、これを職員に配付をしております。過去、先輩たちでこういった形で育児休業を取ったといったような例をプランにしまして示すというようなことをやっております。それから、育児休業中の職員に対します情報提供というのも、育児休業を取った、終えた後、復帰のためには大変大事なことでございますので、パソコンなどを貸与をするといったような取組もしているところでございます。  いずれにいたしましても、厚生労働省育児休業を含め男女共同参画、こういった様々なことにつきまして主導的な、政策的な役割を負っているわけでございますので、私ども人事当局といたしましても、積極的に前に行くように努力をしていきたいと思っております。  以上です。
  36. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 育児休業を取った男性の分母が男性だけというのはちょっとおかしいですよね、本当はね。生まれた子供が分母にならなきゃこれはおかしいと思いますけど、まあいいとしまして。  大臣、特に女性の管理者の登用だとか任用についての御決意をちょっと伺いたい。
  37. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 審議会等ではもう女性委員を何%にすること、国会で御承認いただく場合もその規定を満たしてないと駄目だぞというような形で、ある意味では上から圧力を掛けながらやってきたことは間違いないだろうと思っております。  かつて、宮澤内閣だったと思うんですけれども、加藤官房長官の時代に、上級職職員の任用で、東大出ばっか順番に採ってるじゃないかと、ひとつ地方の国立大学、民間大学からもう少し採用枠を増やせという形で官房長官から厳しく指導された時代がございました。それは一つの切り口であろうと。また、そういう切り口ができるならば、職員の雇用に関しても、女性は三割採ることという数値をやはりもう決めてそれに取り掛かるという手法は許されるのではないかなと、こう思います。成績順じゃない、これ官房長官が言われたわけですからね、成績順じゃないよと、できるだけ私立や一般の国立大学から採れという方針を出したことがございます。そういう意味では、女性雇用三〇%にしろという形ではっきり出していくのも一つのこれからの手法になるのかなと、こんなふうに思います。  現実、我が省は全体で、今お話あったと思いますけれども女性割合が二三・五、全府省が一六・一、そういう意味ではトップランナー走っていることも事実でありましょうし、十七年の実績で申し上げると、社会保険庁が二七・八%、都道府県の労働局、ここが一番トップランナーだと思うんですが、三七・四%という数字になってきております。本省におきましても、Ⅱ種、Ⅲ種については三一・一、そういう意味では三割をクリアする段階を迎えてきたと。そういうことで、ほかの省にいろんなこんな話をいたしましていくにしても、やっぱり我が省が先頭を走りながら、他省にも働き掛けながら、最終的には採用を、ある意味では少し高圧的な手法になるかもしれないですけど、きちっと目標を決めて採用するというところまで持っていく時代が来ていいんではなかろうかなと、こう思っております。  あわせて、育児休暇も、だれでも取るということになると、やっぱり各職場においてしっかり仕事をしているという人間が率先して取る、そしてそういうことをしていく人間がやっぱり役所の中で認められていくという全体の人事体系をつくっていかなければならないだろうと。その人事体系は、地方から始まるというより、中央がどうしてるんですかという、やはり地方が見ながらいることは事実でありますから、そういう意味では御指摘いただいたことも踏まえながら前向きに取り組んでいきたい。ただ、あしたからこうできるかということになると、よく相談しないと、後から意見が出てくるかもしれません。しかし、方向性については、厚生労働省がトップランナーであるべきだ、また最終的には全府省に広げるように要請をしていくというのが私どもの仕事だろうと、こういうふうに思っております。
  38. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 昨年の十二月に閣議決定されました男女共同参画基本計画、この中にはっきりと、政府が、女性国家公務員採用登用、二〇二〇年までに少なくとも三〇%程度、はっきり出されているわけでございまして、是非、三〇%でとどまることなく、それ以上やってくださってもちろん構わないわけでございますので、能力のある女性については是非よろしくお願いをしたいと存じます。  今大臣がおっしゃいましたけれども、どこかでいい人が、いい人って、能力のある人がモデルになるといいというお話がございましたけれども、ちょうど一昨年ですかね、経産省の課長補佐が一年間の育児休業を取っているんですね。それが、山田さんというんですけど、私ちょうど環境省にいたときに一緒に仕事さしていただいて、非常にさわやかな青年だったんですけれども、とてもいいなと思いました。NHKのテレビにも取り上げられましたし、御本人がその体験談を出版されて、ただいま育児中という本なんですね、是非お読みいただきたいと存じますけれども、真剣に育児に立ち向かうことによって、父親として、人間としてやっぱり彼自身が成長していく姿が見えてるんですね。育児というのは、女性だけでなくて、父親としてしかできないこと、父親だからできることというのが一杯あるわけでございまして、そういうことが描かれております。  今、少子化対策というと、いかに女性に子供を産んでもらうかという議論が多いんですけれども、やっぱり生まれてきている子供たちをどうやって本当に安心して安全にお父さんもお母さんも育てていく環境をつくるのかということの方がより大事ではないかというふうに思うんですね。そういう意味では、ひとつこの均等法が、女性が働きやすくなるだけでなくて、男性にとってもやっぱり人間らしい生活ができるような環境をつくる、そのために有効であるべきでないかというふうに思っておりますので、是非そのこともよろしくお願いをしたいと存じます。  次に、大臣にまたお願いしたいんですけれども、今、行政改革推進法で国家公務員の定員削減というようなことがやがてもう参議院にも回ってくるわけでございますけれども、そういうことを論じられております。  確かに国家公務員でなくてもできる仕事を民間に移譲するということで、私も大いに賛成でございます。しかし、国家公務員でなくてはできないような仕事の中にもかなり無駄なことがあるんじゃないかというふうに思います。こちらにも公務員の経験者もおりますし、何が無駄か、本当に自分の青春を無駄にしたなあと思う時間というのは何だろうかと考えると、やっぱり例えば大蔵の待機であったり、それからまず国会の待機なんですよね。これは本当に皆、うなずいている人がいますけど、本当に国会の待機というのが非常に長い時間費やしております。調べていただくと本当に分かると思います。まあ、大蔵の方は随分良くなったというふうに思いますけれども、大蔵というか、財務省の待機の方は随分良くなったと思いますけれども、国会待機というのはやっぱり改革が必要だと存じます。  突発的なことはもちろん仕方がございませんし、それから与野党のいろんなことがあると思いますけれども、法案が出され、どこの委員会に付託されるということが分かればそれなりの対応の仕方ってあると思うんですよね。質問をしたい人がちゃんと勉強をして、事前に勉強しておけばかなり早く通告もできるわけですし、そのことができないために、もう本当に夜遅く仕事をしている。しかも、ちゃんと質問があればいいんですけど、時には全く空振りなんということもあったりしているわけでして、特にこのところ厚生労働省はたくさんの大きな法案を出しております。みんなもう、局長も担当者もみんな青い顔になって、年金のところでも介護のところでもそうでした。これから恐らく医療制度なんかもそうだと思いますけれども、余りに不健康な状況で仕事をさせるのはやっぱり問題ではないかというふうに思うわけでございます。  少ない定員で能率的に仕事をするために国会の方にも改革が必要だと私は常に思っているんですけれども、是非、こういう法案を所管している厚生労働委員会からでもこういうことを改革したいと思いますし、それはもうこちらの方に、理事さんにお願いするわけでございますけれども、行政庁におられます大臣の方からも、要するに行政府に対して、やっぱりこういうことについて申入れしてくださるようなこともしていいんじゃないかと思うんですよね。  是非それをもう少し、やっぱり公務員の働き方に大きな影響を及ぼしている国会の在り方、ここについても改革できるように是非したいというふうに思うんですけど、ちょっと、もう国会改革のことは全部よく御存じの大臣でございますから、何かコメントがあったら教えていただきたいと思います。
  39. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、この十年ぐらいでございますけれども、私、初当選してから二十六年たちましたけれども、一番変わったのは、今、清水委員が御指摘いただいた予算折衝であろうと思います。毎晩毎晩、徹夜をしながら、その徹夜をするところを国会議員が激励して歩くというのが当たり前であった時代でありました。もう正直言ってそんなものはなくなりました。時間になれば、ある程度の時間になればもう帰っていく、また年末まで予算折衝が掛かるという時代ではなくなってきた。そういう意味では、随分本省の中も予算折衝という側面を取り上げれば変わってきたなと思います。  それから、私も、平成五年に自民党が野党になりました時代、自社さ政権、自自公政権、自公連立政権、この時代ずっと国会対策をしてまいりましたので、自分の反省として言わしていただければ、小沢一郎さんの御提案によって、総理大臣が余り国会に来過ぎると、もっと総理大臣として国全体のリーダーシップを取ってほしいし、外交的な仕事もしてほしい、したがってクエスチョンタイムというものをつくって党首同士で一週間に一遍話をしようと、ただ余り委員会に呼び出していくというのはやめようと、これが当時改革の大きな柱。そして、副大臣、政務官をつくって、しっかりこうしたものが政策決定、また答弁に関与していこうと、そういう意味では変わってきたんだろうと思います。しかし、国会と行政府の職員との関係ということになりますと、どうも我々は余り思い至らなかったのかなと。今、清水委員から御指摘をいただきました。正直、与党の都合もあります、急に決まって、あしたから審議やれ。また、野党側のそれぞれの戦術もございます。それがゆえに職員が真夜中まで待機しているという事態が双方の理由により生じていることは間違いない事実だろうと。  各地域を見てきた中、例えば、ドイツという国は一年じゅう国会は開いている。ただし、一月の最初に、国会を開く予定が一年間じゅう全部決められる。この日はこの委員会を開く、三か月前、半年前から決定をされていて、全体のスケジュールを決めながらやっていったと、こんな国の例もございます。  そういった意味では、国会改革、その後、小沢さんから提案あった後の国会改革、少し止まってしまったのかなという、自分自身、自責を持っております。御指摘いただいたように、濃厚ないい議論ができます場をつくっていくためにも、国会というものと行政府との関係、お互いが、与野党が議論していくべきときも来ておるんではなかろうかなと、そんな、会期主義にこだわりながらやっていくべきかという根本的な問題も含めて、私自身そんな思いを持たしていただいております。  ただ、これ以上踏み込みますと、厚生労働大臣という立場で、おしかりいただくことの方が多いと思いますので、このぐらいにさせていただきます。
  40. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 環境省が今、四月から午後八時に退庁するという、電気を消して退庁するという方針を出しました。これは省エネのためだということなんですけれども、実際に聞いてみますと、結構、国会待機などで残る人はどこか部屋に集めてやるみたいなことを言っているようでして、ですけれども、しかし半分以上はもう帰っているというようでございます。そして、早く帰った人は逆に早く出てくるというふうなことを私聞いております。  八時に帰る、一般の人というのは、国家公務員てそんなに長く働いているんだろうかというふうに思うでしょうか、それとも、そんな早く帰ってどうするのかと思うでしょうか。普通は、やっぱりそんなに働いているの異常じゃないかというふうに思うんじゃないかと思うんですよね。  今、私も申しましたけど、やっぱり無駄な作業、本当に能力のある方々が生産的な仕事をするのはもちろん構わないわけでございますけれども、無駄な作業をするために、国会の仕事、やり方を変えるべきだと。是非、厚生労働省でも午後八時の消灯、あそこ、同じ建物でございますから、是非そういうことを実践できるように、とにかくいろんな面で、いろんな面で恵まれている国家公務員が、しかも男女生き生き生活できる環境というのをつくる、そのやっぱり先頭に厚生労働省になってほしいということを願いながら質問に立たせていただきました。  あと、女性の年金の問題をしたかったんですけど、時間がなくなりましたので、坂本委員の方にお譲りしたいと思います。  どうもありがとうございました。     ─────────────
  41. 山下英利

    委員長山下英利君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、山本保君が委員辞任され、その補欠として鰐淵洋子君が選任されました。     ─────────────
  42. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 自由民主党、坂本由紀子でございます。  清水委員に引き続きまして、男女雇用機会均等法の改正法案についてお伺いをいたします。  先ほど清水委員からお話がありましたように、雇用機会均等法ができて二十年がたちました。この均等法というのは、働く女性の応援団として女性を育てると同時に、均等法自身がそういう女性たちによってまた育てられてきたということも言えるのではないかと思います。もちろん、働く女性を取り巻く男性たちの理解を得てということではありますが。  最近は少子化が進んでいることもありまして、両立支援について非常に大きな関心が寄せられております。ただ、私は、女性が働くという意味で、この男女雇用機会均等法の占める意義は誠に大きいものがあると思います。二十年前にできたときには努力義務規定等が大半であったので、本当にこれで実効性があるのかと言われました。それを十年前の均等法改正で、努力義務規定を義務規定に直し、さらに、セクシュアルハラスメントでありますとかポジティブアクションを導入するというようなことで着実に歩みを進めてきたわけであります。  前回の改正から十年がたちました。この間に女性労働者の就業実態がどのように変化してきたのかということと、それから、今後少子化が進む中で、私たち日本の社会の中で女性労働力をどのような役割を果たすものとして認識をしていらっしゃるか、大臣の御見解を伺いたいと存じます。
  43. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 前回の法改正以降の女性労働者の就業実態を見ますと、女性雇用者数が引き続き増加し、現状は四割を超えました。女性勤続年数の伸長、女性職域拡大管理職に占める女性割合上昇などが見られております。しかし、一方で、雇用形態の多様化の中でいわゆる非正規雇用増加をしている。改善しつつあるとはいえ、先ほどもお答え申し上げたように、管理職に占める女性割合上昇テンポが緩い、遅いと言った方がいいかもしれませんが、遅い。それから男女間の賃金格差が依然として大きい、こうした問題がございます。男女均等取扱いという点での改善のテンポは緩やかであると認識をいたしております。  その一方、これ、経団連の奥田さんとも話をしたときに出てまいったわけでありますけれども、我が国の今労働力人口が六千六百万人、十年後はこのまま推移しますと六千百万人ぐらいになるんでしょうか、人口減少社会に入ってきておりますし、団塊の世代の我々がそろそろ六十歳を迎える。そういった中で、私どもの方から、六千六百万人に対して十年後六千五百万人の労働力人口という提案をさせていただいております。  その中で大宗を占めますのは、女性雇用三百万人ぐらいが増える、それから、これは順調に進んでいると思います、六十から六十四、六十五歳、この高齢者の雇用。これは、団塊の世代が今の流れを見ますとやはり年金もらうまでは働くという方向性は出てきておるように思います。それから、やはり失業率が一番高うございます若者、これが八%台の失業率でございますから、これは平成十年で四%ぐらい、たしか十五年ぐらい前は三%を切っておったと思うんですけれども、これはフランス等の例を見ても分かりますとおり、世界的に若年者の雇用というものが非常に弱くなっていると。  こういった問題をきちっと解決をしながら、六千五百万人というものをつくり上げて、そこにITというものを足して我が国の国際競争力そして経済力というものを維持していこうと、これはお互いが同意した基本線だろうと思っております。  そうなりますと、やっぱり具体的に三百万人の女性雇用という問題がしっかり議論をされ、より進まなければならない。その中の一つの切り口として今回の改正を出させていただきましたけれども、これだけではないだろうと思いますし、まして企業全体がそういった意識を持ちながら、より一層努力をしてもらわなきゃならないし、私どもも強く働き掛けをしていかなければならないと、こんな認識をいたしております。
  44. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ありがとうございます。これからの時代、女性の活躍抜きにして私たち日本社会の発展というのはあり得ないだろうと思っております。  男女雇用機会均等法の存在もあって、企業の中で女性能力を活用するというか、女性にしっかりと頑張ってもらって企業を発展させていくという認識が随分広がってきたように思います。特に、業績のいい企業ほど女性の力を発揮することに熱心に取り組んでいるということは言えるかと思います。日本を代表する経営者の御発言でも、女性に対しての真摯なお考えを披瀝されるというようなことも聞くようなところであります。そういう意味で、企業にしっかりと取り組んでいただくということはもちろんこれからも大事だろうと思います。ただ一方で、それだけに頼っているとなかなか改善が期待できないという部分があるのも事実なんだろうと思います。  男女雇用機会均等法について、各全国の労働局の雇用均等室女性労働者から随分相談等が寄せられていると思います。どんな状況になっているのか。そして、そのような相談事案が今の法律の中では解決できないというようなものもあるのではないかと思いますが、今回の改正法はそれにどういうふうにこたえようとしているのかということについてお答えください。
  45. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 全国の労働局の雇用均等室に寄せられる女性労働者などからの御相談状況でございますが、二十年前均等法が成立しました前後につきましては、女性差別という分野におきましても、例えば男女別の定年制であるとか女性だけの若年退職制であるとか、外形から見ても分かりやすい差別取扱いが多かったわけでございますが、近年におきましてはそういう分かりやすい差別というものは姿を消して、女性に対する差別取扱い事案が非常に複雑化する中で、形を変えた差別であるとか、直ちには外形的に簡単に差別かどうか判断がしにくいケースが現れてきているという状況がございます。  また一方で、均等法では妊娠出産等を理由とする解雇禁止はできたときから禁止規定になっておりますけれども、それにもかかわらず依然として妊娠出産等を理由とする解雇といったような事案もございますし、また解雇に準ずるような雇い止めであるとか退職の強要であるとか不利益配置転換といったような不利益事案増加をいたしております。また、セクシュアルハラスメント対策規定は十年前の均等法改正で入ったわけでございますが、引き続き、近年におきましてもセクシュアルハラスメント相談が多くなっております。  こうしたことに対応するために、今回の改正法案では、間接差別禁止を含む差別禁止規定強化、それから妊娠出産などを理由とする不利益取扱い禁止、そしてセクシュアルハラスメントに係る事業主措置義務の義務付け、それから行政から報告を求めましてもなかなか応じていただけない事業主もございます、そうした事業主への過料の創設といったようなことを内容とする法案を提出させていただいたところでございまして、こうしたことによってこれまでのこのような問題に対処をしていきたいというふうに考えております。
  46. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 現実に起きている問題に対応しようということで規定を盛り込んだというのは分かりました。  先ほど大臣お話にもございましたが、最近非正規の雇用者が非常に増えております。様々な法律がすべて非正規の人たちにも効力を持っているかというと必ずしもそうでないというところにまた問題があるわけでありますが、今回の改正案はこの非正規の雇用者にどのような恩恵をもたらすことになるでしょうか、その点について教えていただきたいと思います。
  47. 中野清

    ○副大臣中野清君) 非正規の雇用者の実態につきましては、まず第一に、女性の非正規雇用者のみに労働契約を更新をされなかったと、いわゆる雇い止めの問題とか、それからまた非正規雇用者妊娠したと告げたらば労働契約が更新されなかったと、そのような問題とか、また弱い立場の非正規雇用者に対しましてセクシュアルハラスメントが行われたなどの、いわゆる男女雇用均等機会確保の観点から問題が多いと考えております。  そのために、今般のこの改正法案におきまして、そのメリットといたしまして、目的といたしまして、労働契約の更新について性別による差別取扱い禁止をすること、二番目といたしまして、妊娠等理由とする労働契約の不更新を含む不利益取扱い禁止すること、三番目といたしまして、雇用管理上の措置を講ずることを義務化をするなど、いわゆるセクシュアルハラスメントにかかわる規定強化すること等を行うこととしたものでございまして、これらはこの非正規の雇用者に対するメリットになると私ども考えております。
  48. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 確かに最近は女性が、特に高校を出て就職する女性の場合には、非正規の労働者として扱われる方が大変増えておりますので、そういう意味で、妊娠等理由とする雇い止めのところに、しっかりとそういう方たちに保護がかかわるように、あるいは往々にしてセクシュアルハラスメントは立場の弱い非正規の労働者の方が被害者になることが多いですので、こういう点については大変大事なことだと思います。  今回の改正は、差別禁止について私は質的な転換が図られたと言えるのではないかと思います。つまり、最初の改正努力義務を強制的な義務規定にした。今回の場合には、これまで女性差別しないでくださいと言っていたのを、男女ともに均等に取り扱う、差別をしないということで、言ってみれば本来のあるべき姿にやっとたどり着いたということがあると思います。  それと、もう一つ大きいのは、間接差別規定を盛り込んだことであります。前回の法案のときの附帯決議で、この委員会でも、間接差別について、何が差別取扱いかということについて引き続き検討するということを要請してきました。この間接差別については、なかなか、どういうものとして取り扱うかというところが難しいということがこれまで言われていながら、前回のときにもそういう附帯決議として行政に要請をしたということになった主な理由だと思うのであります。したがいまして、今回、間接差別規定を設けるわけでありますが、この規定の趣旨ですとかその内容についてお伺いしたいと思います。
  49. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別規定を設けた趣旨ということでございますが、先ほども少し御説明申し上げましたところでございますが、均等法制定以降、外見的にすぐ分かるような明白な差別は減少をしてまいりました反面、事業主によりましては、内心の意思としては女性を採りたくない、登用したくないというようなことで、そうした、しなくて済むように、女性が満たしにくい要件を課すといったようなことなど差別事案が非常に複雑化する中で、形を変えた差別への対応が課題となってきたところでございます。均等室が調べました結果によりましても、例えば、総合職について、女性が事実上満たしにくい全国転勤要件としているけれども、その必要性が十分検討されていないという企業が四割に上ったところでございます。  こうした中で、国内的には、前回の均等法改正のときに、衆参両院から、附帯決議におきまして間接差別について引き続き検討という指摘をいただきました。また、国際的には、国連の女子差別撤廃委員会から日本政府に対して、直接・間接差別を含む女性に対する差別の定義が国内法に取り込まれることということを勧告されているところでございます。  こうした状況を踏まえまして、今回の改正法案におきまして間接差別禁止規定を設けることとしたわけでございますが、この規定は、業務遂行上の必要性その他の合理的理由がなければ労働者性別以外の事由要件とする措置で、実質的に性別理由とする差別につながるおそれがあるものとして、厚生労働省令で列挙するものを講じてはならないとする規定を設けたところでございます。
  50. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 省令で列挙するということで、先ほどの清水委員からも指摘をされておりましたが、限定され過ぎないかと懸念する声も一方ではあるわけであります。  この点についてそういう声がある中であえて省令で定めるという方式を取ったところの理由説明してください。
  51. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) この法案では、間接差別規定の適用対象厚生労働省令で定めることといたしております。  この理由でございますが、間接差別は、性中立的な要件であればおよそどのような要件でも議論の対象になり得る、俎上に上り得る非常に幅の広い概念でございます。やはり均等法の中で間接差別を法違反だと、違法だということにするに際しましては、対象となる範囲を明確にしていく必要があると考えたところでございます。  そうしたことから、改正法案におきましては、対象となる措置男女比率などを勘案して厚生労働省令規定をすることとして、そして必要に応じて対象となる措置が、法律を一つ一つ改正しなくても見直しができるように、その下位法令でございますところの省令規定することによって必要に応じた見直しができるような仕組みにしたところでございます。
  52. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 その逆から伺いますが、仮に省令方式にしないとした場合に、今回の間接差別規定を実際適用しようと思ったときに、具体的に困ることですとか問題が生じるというのがあるんでしょうか。
  53. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別規定について厚生労働省令で定める方式としない場合にどのような問題が生ずるかと、こういうことでございますが、間接差別概念は、まず性中立的な要件であって、そしてそれを適用すると実質的に一方の性に相当程度不利益を生ずるものというのが基本の要件になっております。  厚生労働省令で定める方式は、その性中立的要件であって、そして一方の性に相当程度不利益を生ずるものという趣旨のものを省令で定めるという方式を取っているわけでございますが、これを取りませんと、基本に立ち返りまして、労働者間接差別であることを主張する場合には、性中立的要件であることと、それから個々事案ごとにその男女比率格差というものの有無を、その格差があるということを労働者が立証しなければいけないということになると考えます。つまり、個々事案ごと格差の有無を判断することが必要になるわけでございます。  こうしたことになりますと、労働者が主張していく場合に、かなりその格差の存在を、例えばこれも国じゅうで一本で示すのか、個々企業で示すのか、職場単位で示すのか、なかなか難しい問題があると思いますけれども、この格差の存在を示していく負担が労働者に掛かってまいります。  それから、この個別事案ごと格差相当程度不利益というような判断になりますと、なかなか容易ではございませんので、行政指導に当たります雇用均等室もまあ率直に申し上げてなかなか慎重にならざるを得ないという面もあろうかと思います。  それから、何よりも、事業主にとって何が間接差別となり得る措置なのかということが非常に明らかでないということで、事業主による雇用管理改善が図られにくくなるという懸念がございます。こうした問題があるのではないかと考えているところでございます。
  54. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 そうすると、その諸外国では間接差別個々事案格差の有無の判断がなかなか難しいという事情があるというふうに聞いています。今の局長説明ですと、格差の存在を省令に書かないと労働者側が立証しなきゃいけなくなるということでありましたので、そうするとその労働者にとって証明が難しい、そういうその間接差別について、今回のこの規定は、省令に書くことによってここをうまく解決してくれるというふうに理解ができるかと思うんですが、この点についてはそういう、均等法格差証明ということをどう対応しようとしているのかということを明確に教えていただきたいと思います。
  55. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) この改正法案間接差別規定は、対象となる措置要件でありますところの一つでありますところの男女比率格差について、個別事案ごとではなくて一般的な傾向によってとらえて、あらかじめ厚生労働省でそれも踏まえて定めるということにしているわけでございます。  したがいまして、労働者間接差別規定違反だということを主張する場合には、そういった省令で書いてある措置が実施されたことを示せば足りるわけでございまして、ほかの国の場合とは異なりまして、個々事案において相当程度不利益とか男女比率格差というようなことを示す必要はないということでございます。こうしたことによって、この点からは労働者の負担が諸外国に比較しましても相当程度縮減されるものというふうに考えます。
  56. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 そうすると、必要なことが省令に書いてあればいいということでありますから、何が省令に書かれるかということが問題になってきます。先ほど来出ていますが、いま一度御答弁いただきたいと思いますが、この間接差別として厚生労働省令規定を予定するものは具体的にどういうことになりますでしょうか。
  57. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 厚生労働省令で定める措置は、この法案成立後の労働政策審議会に改めてその議論を、審議をいただきまして決定していくわけでございますが、現時点で考えておりますのは、労働政策審議会コンセンサスが得られております三つ措置、すなわち一定の身長、体重又は体力を要件とする募集又は採用に関する措置、それから二つ目は、コース別雇用管理制度における全国転勤要件とする総合職募集又は採用に関する措置三つ目は、転勤経験を要件とする昇進に関する措置、以上三つを考えているところでございます。
  58. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 この省令の位置付けからいきますと、どんどんこの省令に書く、間接差別事案を増やせばいいということに多分、必ずしもならないんだろうと。そこは企業の現場で、こういうことについては明らかに間接差別として避けなくちゃいけないんだということがきちっと検証できる事案というものを捕捉をしていくということが事前に必要になってくるんだろうと思います。  そういう意味で、審議会等の場において、これまで日本における間接差別というのはどういうことだろうかということを労使で真摯に議論をしてつくり、結論的に今考えているのが先ほどおっしゃった三つだと思うんであります。  で、間接差別というのは、差別というのが表立って明確に、男女別定年だとかそういうものではない隠れた差別の形態を取ってくると非常に、こういうものを排除するという意味ではとても有効になってきます。ですが、すべてがこの間接差別で私は解決すべきものではないと思うんです。  例えば、パートの労働者に対して賃金が非常に格差があると、これはパートに女性が多いので、これについては間接差別として取り扱うべきかといえば、それは必ずしもそうではないだろうと。むしろ、本来の、非正規の雇用・パートタイム労働対策というものを進めていく中で、その均衡処遇をどう図るかということをきっちりやっていくことが大事だと思いますし、あるいは年齢差別というような問題があれば、年齢差別という観点でしっかりと差別というものは排除するというような措置をそれぞれの法体系の中でつくっていくということが大事だろうと思います。  そういう観点で、この間接差別というものを、今後必要なものを逐次規定の中に取り込んでいって、企業の中で女性労働者男性労働者がその能力を十二分に発揮できるようにするということが大事だと思います。  コース別雇用管理については、先ほど指摘がありましたように、日本が批准している女子差別撤廃条約を審議している国連の場において、この間接差別についてきちっと定義を明らかにするようにということを言われた、あるいはコース別雇用管理について問題があるということを指摘をされたことからすると、私は、こういう国際的な要請にこたえる最小限のものとして、今回の規定の仕方としては、スタートとしては取りあえずは合格点が付けられるんだろうと思います。  ただ、均等法が最初に努力義務規定でスタートしたとき、努力義務規定では不十分だからそんな法案を作ることに意味があるのかというようなことを厳しく言われた中で、当時の総評の婦人局長であった山野和子さんは、そこで席をけって、努力義務規定だとか、あるいは当時は勤労婦人福祉法でしたがそういう改正というようなこそくな手段でこの均等ということをやることは実にけしからぬと、だけれども、女子差別撤廃条約を批准するという大きな目的のために、そしてとにかく、取りあえず男女雇用機会均等をスタートする足掛かりとしての法案を作るということが大事だということで、審議会出席をしてその審議に参加をしたという決断をされたことがありました。  私は、そういう意味で、間接差別というのも、片方でとにかく可能性があるものは全部盛り込むべきだという意見があることは承知をいたしておりますが、それは結果的に、そういうものを持ち込むことによって間接差別を排除しようということの最初のスタートに混乱を起こす、極端に言えば、そういうものであれば間接差別などという不明確なものを均等法の中に持ち込むことは認められないという、また一方でもっともな意見も出てくるんでありまして、そういう現実を踏まえた中で、取りあえずのスタートとしては今回それでスタートするというのはいいだろうと。ただ、労働政策審議会の建議の中においても、必要に応じて対象基準等の見直しができるような法的仕組みをということも言われています。こういうことを踏まえて、私は、将来的にこの間接差別が本当に私たちの社会のすべての差別を撤廃することになる大きな足掛かりとして機能する余地も残しておかなきゃいけないと思っております。  この点についての、この趣旨に対応する仕組みとしての考えを伺いたいと思います。
  59. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 正に今御指摘いただきましたとおり、労働政策審議会の建議で、必要に応じて対象基準等の見直しができるような法的仕組みとすることが適当という建議を踏まえて、この厚生労働省令定め方式を取ったところでございまして、この省令対象につきましては、これまでのところ労使の非常に真摯な議論を踏まえてコンセンサスが得られているのは、先ほど申し上げました三つでございます。  まず、この法案成立の暁にはその三つを定めていきたいというふうに考えておりますが、その後の話としては、その三つ以外に絶対に増えないというようなことではなくて、判例の動向であるとか労使コンセンサス状況などを踏まえて見直しを行っていくことができるような仕組みであるというふうに考えております。
  60. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 間接差別をなくすという意味では、日々の雇用均等室指導の中でもこういう事案についてのきっちりとした捕捉をしつつ、制度の充実というものを忘れずに推進をしてもらいたいというふうに思います。  次に、妊娠出産についての不利益取扱いの関係でお伺いをしたいと思います。  国を挙げて少子化対策に取り組んでいます。子育て支援というものが本当に国政の最重要課題になっている中で、この妊娠出産にかかわるところの規定をきちっと充実するということは本当に大事なことだろうと思います。  まず、最初に実態を伺いたいと思いますが、雇用均等室に寄せられている相談の中で、妊娠出産等を理由とする解雇以外の不利益取扱いとして具体的にどのようなものがあるでしょうか。
  61. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 妊娠出産等を理由とする解雇以外の不利益取扱いの具体的な例といたしましては、退職を強要する、それから妊娠を告げたとたんに例えば正社員からパートタイムに変われというような身分変更の強要をするというようなこと、それから不利益な、例えば遠隔地などに配置転換をする、あるいは当初の自分の職種でないところの職種に配置転換をする、それから解雇に準じます有期契約労働者の雇い止め、こういうものが見られるところでございます。
  62. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 若干繰り返しになりますが、一応念のために。  非正規の女性労働者増加をしているという御答弁を先ほどいただきました。この妊娠出産の適齢期にある女性についてはどうなんだろうかということを伺いたいと思います。
  63. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 出産期に当たります二十五歳から三十四歳の女性について非正規率を見ましたところでございますが、いわゆる有期契約の多いパート、アルバイトや契約社員などの非正規労働者割合は、二十五歳から二十九歳層で、平成九年の二六・四%から平成十四年には三六・七%に、また三十歳から三十四歳層では、平成九年の三八・六%から平成十四年には四五%へとそれぞれ上昇いたしております。  このように、出産期に当たる女性については、契約社員などの有期契約の労働者増加していると認識をいたしております。
  64. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 そうしますと、先ほどから話が出ていますが、有期の人たちにとって雇い止めというのは非常に深刻な問題になります。  この妊娠出産を機に日本ほど女性職場を離れているというのが多い国は余りないわけでありまして、この点で、この雇い止めを含めて、不利益取扱いというのをしっかり禁止をしていただくということが大事だろうと思います。  それから、妊娠出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益取扱いをしてはならないと書いてありますが、この禁止される事由を定める省令はどういうものを規定することを考えておられるでしょうか。  つまり、妊娠等によって能率が低下したと、そういう能率が低下したというのはもっともな理由だというようなことになると、これは、なかなかこれを定めるところの実効性が確保できないのではないかと思いますが、こういう点については不利益取扱い禁止がなされるべきだと考えますが、どのような対応をなさるお考えなのかをお伺いしたいと存じます。
  65. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) まず、今回の法案で禁止をしようとしております妊娠出産理由とする不利益取扱いのこの内容でございますが、具体的には、この改正法案が成立してから審議会の議論を経て、指針においてお示しをしたいと考えておりますが、現在のところ考えておりますのは、雇い止め、退職の勧奨、パートタイムへの身分変更の強要、不利益配置転換等が含まれるというふうに考えております。  それから、現在の均等法では、妊娠出産、それから産前産後休業理由とした解雇禁止というのが書いてあるわけでございますが、そのほかに、今回の改正法案では、妊娠出産、産前産後休業以外の厚生労働省令で定めるものも理由として、解雇その他の不利益取扱い禁止をしようとしております。  その厚生労働省令で定めるものの具体的な内容という御質問でございますが、その内容につきましては、今、労働基準法の産前産後休業以外の母性保護措置もございます。例えば、妊娠中の女性労働者に対する軽易な業務に転換をするような請求権だとかいうのがございますが、そうした労働基準法上の母性保護措置。  それから、均等法上には、母性健康管理措置と申しまして、医師の指導に基づいて、例えばつわりで休むだとか時差出勤をするだとかいうことができるようになっておりますが、そうした均等法上の母性健康管理措置、こうしたものを受けたこと、あるいはこれらを受けようとしたことによって不利益取扱いを受けることをひとつ禁止したいというふうに考えております。  それから、妊娠出産ということになりますと、どうしてもそれに起因する能率低下や、あるいは場合によっては労働ができないということが生じますけれども、こうした能率低下、労働不能が生じたことを理由とする不利益取扱い禁止をしたいというふうに考えております。
  66. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ちょっと通告をしていなかったんで恐縮なんですが、今の妊娠出産等を理由とする不利益取扱い禁止、つまり母性保護規定だとか母性健康管理措置を受ける等々について、不利益取扱いを受けた場合、こういう事案というのは均等法の実効性確保の措置として認められているところの助言、指導、勧告の対象になると考えてよろしいでしょうか。
  67. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 個別紛争解決援助としての助言、指導、勧告、それから行政指導としての助言、指導、勧告、いずれもこの対象になるということでございます。
  68. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 今回の均等法のこの関係で、私は一番大きいのは、妊娠中の女性労働者、そして出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は無効とするという、つまり解雇無効が労働法の中で初めて挙証責任が転換されたことであります。現実に妊娠によって解雇されたという女性の声を聞くことが残念ながらまだ多いわけでありまして、解雇された場合には、これはもう自動的に無効だと、よほどの正当化する理由というのを事業主の方で別途これを証明しない限りは、この問題について女性を守るということは大変大きな力になると思いまして、この挙証責任の転換については今回の改正の中でもとても思い切った措置だということを申し上げたいと思います。  そして、こういう規定ができたということを、逆にこういうことがないようにしっかりとこれから周知をしていただくということがまた大事であろうとも思います。  次に、セクシュアルハラスメントについて伺います。  セクシュアルハラスメントは、十年前の改正のときに、雇用管理上必要な配慮をしなければならないということで、事業主に対して配慮すべき措置をすることを義務付けたものでありましたが、今回はこの規定について、規定強化が図られております。  十年前のときには、セクシュアルハラスメントと言った場合に具体的にどういうものが該当するのかと、女性がセクハラだと言ったらみんななってしまうんじゃないかと不安に思った男性の声が随分聞かれたりいたしましたが、現実にこのセクシュアルハラスメントについての相談指導等がどのくらい寄せられているか、また非常に深刻な事案も多いと聞いていますが、具体的にどのようになっているかということについてお伺いいたします。
  69. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) セクシュアルハラスメントに関します女性労働者などからの雇用均等室への相談は、この均等法事業主の配慮義務が導入されました平成十一年度以降増加傾向にございます。具体的な数字で申し上げますと、平成十六年度では六千二百九十一件の相談を受けております。これは女性労働者などからの相談件数全体の四割を超えているところでございます。  この中には深刻な事案も少なくないところでございまして、やはり立場の弱い契約社員に対していろいろセクハラをするとかいうこともございますし、それから、まあこのセクシュアルハラスメントはいわゆる対価型と就業環境型という二つのタイプがございますけれども、やはり上司であるところの立場あるいは事業主の立場を利用して女性労働者にいろいろ性的な言動をして、拒否をしたりすると解雇をするとか、あるいは遠隔地に配転をするとかいったような例、それから就業環境型におきましても、非常に性的なうわさを言い触らされて仕事場に行けなくなる、精神的にも問題が生ずるといったような深刻なケースも多々御相談の事例に上がっているところでございます。  で、セクシュアルハラスメントの防止対策に関して均等室が行いました是正指導の件数は、平成十六年度には四千六百二十八件となっておるところでございます。
  70. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 このセクシュアルハラスメントについては、当事者の言い分が食い違うというようなことも間々ありまして、事業主からすると事実関係の判断が非常に付きにくいと。で、それはまあ具体的にどういう事後処理をするかというのは大変だということも伺うところであります。  で、このセクシュアルハラスメントについては、これまでの均等法の中の実効性の確保の措置も、今局長から話がありました指導等に限られているわけでして、こういう点についても、事業主に対してこういう解決策の支援をするという意味でも政策の充実が必要だろうと思うわけでありまして、今般の改正は具体的にこの点についてどういうことを講じようとするものでしょうか。
  71. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) セクシュアルハラスメントについての紛争でやはり問題となりますのは、例えば差別の問題でありますと事業主差別をされたという労働者の直接の問題、紛争になるわけでございますが、セクシュアルハラスメントの紛争の場合は、具体的に性的な言動を行ったと、加害者と疑われる人がいて、その人の具体的な言動をするのは、その事業主と訴える女性労働者以外の、紛争当事者以外の人の行為という点が特徴であるわけでございます。そして、事業主セクシュアルハラスメントに対する対策として、問題が起きたときにきちんと対処をしようとした場合に一番問題になりますのが、やはり当事者間で事実関係について争いがある場合が挙げられるのではないかと思います。こうした当事者間で争いがある場合などにおきましては、やはり紛争当事者に加えまして、性的な言動の行為者とされる方の証言を得ることが紛争解決のために重要であるわけでございますが、なかなか企業の中の解決ではそこがうまくいかないという場合もございます。そうしたことから、その紛争解決のためには、行政機関による調停など中立的な第三者機関に対して、そうした事実関係の確認も含めて紛争解決をゆだねるのも一方法ではないかと考えるところでございます。  そうしたことから、この改正法案におきましては、そうした意味でもこの均等法上の調停制度を御活用いただきたいということで、調停対象セクシュアルハラスメントに係る紛争を加えることといたしたところでございます。そして、事実の確認をきちんとするために、事業主労働者以外の行為者とされる方の出頭についても新たに規定をすることとしたわけでございます。
  72. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 事業主労働者以外の第三者がいるがゆえの行為者とされる人への出頭要請というのは日本のユニークな規定なのかもしれませんが、今後、このセクシュアルハラスメントを紛争解決の手段としての調停対象にもするということにしておりますので、そういう意味で、この第三者が入る調停内容が有効に機能するということをこの規定によって期待をいたします。  このセクシュアルハラスメントについては、最初は被害を受けた労働者相談ですとか苦情を申し出るわけですが、その事実関係を確認する中で、同僚などがそういうことについて発言を求められることがあるだろうと思います。往々にしてセクシュアルハラスメントの行為者は上司に当たる人ですので、同僚もその上司に気兼ねをしてなかなか正確なことを言いにくいというようなことで、事案がきちっと明らかにならなくては困りますし、あるいはそういうことをちゃんと言った労働者がそれを言ったがゆえに不利益取扱いを受けるというようなことがあるとすれば、これは大変問題ではないかと思います。また、セクシュアルハラスメントを受けた当事者も、やはりそのセクシュアルハラスメントを受けたことによって心身に深い傷を負うというようなことで、場合によって休業につながったりというようなことがあるかもしれません。  でありますので、このセクシュアルハラスメントについては、法の十一条の二項で、厚生労働大臣が、事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとされております。この指針を定める際に、そういう周辺の事情についても十分考慮をしていただきたいと思いますが、是非、指針をお定めになる大臣に、この点についての御配慮をお願いしたいと思います。
  73. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今御質問いただきました、証言をする同僚等が不利益取扱いを受ける可能性があるんじゃないか、逆に言えば、優越的地位にある者が、そうした調停の場においてその力をもって他の証言を引き出すということになりかねないかと、こういう御心配だろうと思います。  もちろん、方向性としては労働政策審議会に議論をしてもらって決めることになりますけれども、こうした御懸念については私もそのように考えますので、その方向で調整はさしていただきたいと思います。
  74. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。  それで、次に、男女雇用機会均等法には、実効性の確保のために、紛争の解決のための紛争調整委員会と、それから助言、指導、勧告という行政指導があります。これまで助言、指導、勧告というのがそれぞれ雇用均等室で行われ、勧告に従わない場合には企業名を公表することができるというふうになっているわけであります。これを事前に資料を見たところ、助言、指導等については直近で五千百二十二件、勧告は六年間の間に七件、企業名の公表はゼロということになっておりまして、しかも、この助言、指導というのは、このところ少し数が減ってきている。ちょっと事前に通告をしてなかったんで恐縮ですが、この点について、行政としてどうこれをお考えでしょうか。  つまり、私が感じるところでは、助言、指導の件数が減っているというのは、本当に改善したから減っているのか、それとも雇用均等室の職員の数が少ないのでなかなか手が回らないというようなこともあって減っているのか。あるいは、勧告が余りに少な過ぎるんじゃないか。その勧告に至るまでの間にかなり長時間助言、指導に職員が労力を使い過ぎているんじゃないか。もう少し、せっかく法に与えられた勧告という手だてをもっとスピーディーに使った方がより多くの事案のスピーディーな解決につながるんじゃないか。  公表というのはないんですが、昔、私が担当課長をしていたときに、障害者の企業名の公表というのがあったんですが、これもずうっと長いこと公表しませんでした。でも、最近は毎年きちっと公表する企業について、ゼロなのか、あるかというようなことをやっておりまして、やはり法に規定された実効性の担保措置を有効に使うということはとても大事なことだと思いますが、この点はどうなっているでしょうか。
  75. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 十一年の法改正公表制度が導入されました以降、御指摘のように、これまでに公表の実績はございません。これは、問題となる事案についていずれも公表に至るまでの助言、指導等の段階で事業主の法違反が是正されているということによるものと理解をいたしております。  この公表制度は、十一年度法改正でできたわけでございますが、そのときの当時の大臣答弁におきましても、この公表をばんばんやる、あるいは当時こうしたらどうかという御指摘のありました、罰金を設けたらどうかということもありましたが、それは罰金幾らか払って差別をしてもいいと、こういうようなやり方ではなくて、やはりこうした企業名公表という、企業の矜持に訴えるような措置を伝家の宝刀としつつ、置きつつ、行政指導の段階で粘り強く指導をして、なるべく本当に雇用管理を直していただいて、女性労働者が気持ち良く働き続けられるようにすることが基本であるというような御答弁を当時の大臣が申し上げたわけでございますが、そんなようなことで、この公表制度は実績ゼロでありますけれども、そうしたことを伝家の宝刀としてそれまでの段階で直っているものというふうに理解をいたしております。  なお、この助言、指導、勧告、公表に至る行政指導の流れが長過ぎないかという御指摘もございましたが、一応、私どもの行政のマニュアルでは、全体として、行く場合は、大臣勧告に行くまでに六か月程度ぐらいまでの流れで行く場合は行くことになっておりまして、その後、もし大臣勧告までやっても聞かない場合は審議会にかけまして、報告をいたしまして、その御意見を伺った上で事業主に公表予定日を通告して公表するというルールになっております。これまでのところは、そこまで行かないで是正をしているという理解でございます。
  76. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 それは、公表しないで勧告の段階で解決すればその方がベターですから、それはそれでいいと思います。ただ、法に違反しているということで指導を受けているわけですから、それは一刻も早く改善してもらわなければいけないわけでして、助言や指導をしてもなかなかそこに取り組んでいただかないというのを粘り強くというのは、それはそれでいいんですが、一方で、当事者である、これまでのところは女性であると思いますが、労働者からすれば早く解決してもらいたいということがあるわけですから、私は、その六か月という期間がたつまでは勧告をしないということではなくて、これは勧告をしなければとても改善しないというような確信犯的な事業主であれば、私はもっと早くやるべきだと思いますので、そこは強く要請をしておきます。  最後に、今回の均等法は様々な面でやや細かいくらいにいろんな規定を入れております。この改正が行われたということを事業主に知ってもらってちゃんと取組をいただくということが大変大事でありまして、この辺の周知啓発について、雇用均等室は非常に職員も少ないんですが、どのようにお取り組みをいただくかということについて、お答えいただきたいと思います。
  77. 中野清

    ○副大臣中野清君) 今回の改正内容につきまして委員がおっしゃる周知啓発につきましては、特に事業主に対しまして、中小企業を含めまして、均等法の趣旨やこの法律とか省令とか指針ですね、この内容を十分理解してもらう。理解してもらうだけじゃなくて、理解というか方針に従って対応をしっかりしてもらうということが重要であると考えておりますし、また、特に労働者には、不利益を受けた場合には都道府県の労働局、特に雇用均等室だと思いますが、そこに相談をしていただければ速やかに対応するということを広く知ってもらうと、そのことが非常に大事であり、重要じゃないかと考えておるわけでございます。  委員がおっしゃったそのための周知のためには、政府広報とかホームページの掲載とかリーフレット、パンフレットという配布、これはもう当たり前のことでございますけれども、当然やらせていただきますけれども、特に日本商工会議所とか全国商工会連合会、それから日本経団連、また中小企業中央会といういわゆる使用者側といいますか、そういう団体に対しての、また、連合などという労働組合の皆さんに対して周知の依頼をしまして、あらゆる機会をとらえてお願いをしたいと思っておりますし、また、地方公共団体のいろいろな会合とかございますのでそれについても出席をさせていただき、そのための講師の派遣とか、もうとにかくできる限りの手段を取ってやらせていただくことをお誓いをしたいと思うわけでございます。
  78. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 副大臣おっしゃったように、すべての機関を総動員してこの問題にお取り組みをいただきたいと思います。  最後でございますが、今般の男女雇用機会均等法の改正は、男女労働者双方に対して、その職場においてその能力が十二分に発揮される一つの道筋を開くものだと思います。  ただ、世界の中における日本の女性労働者の現状というものを見てみますと、様々な数値がありますので、これが絶対的に正しいということではないのですが、一つ申し上げますと、世界経済フォーラム、これは各国の大手企業で組織する民間団体で、ダボス会議を毎年開いているところでございますが、ここがジェンダーギャップ指数というのを出しています。男女間の格差の大きさを測るものでありまして、経済と雇用と政治と教育、健康という五つの分野を指数化しています。  これが日本は、全体指数としては、順位からいくと五十八か国中の三十八位になるんであります。このうち、雇用機会については、何と五十二位なんであります。政治に至っては五十四位ですから、私たち政治の方がもっと反省をしなくてはいけないんですが、雇用の部門においてはまだまだその女性の力を十二分に生かし切れていないという現実があると思います。  この男女雇用機会均等の確保はもちろんですが、両立支援策の充実でありますとかパートタイム労働対策推進というようなもろもろの施策を併せて、労働者能力を十分発揮できる社会の実現に向けて、大臣の御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  79. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 一番最初に議論をいたしましたけれども人口減少社会を迎えて我が国はどうするんだ、少子化に対する対応、しかし急に人口が増えるわけではありません。したがって、我が国の経済力、国際競争力をどう保ちながら一人一人の国民が正にどう生きていくべきか、労働というものを通じて正に所得を得、そして人生をより良いものにしていく、こうした切り口の中でしっかりした議論をしていかなきゃならないだろうと。三百万人の女性雇用を増やさなきゃならぬ、これはもう経済界もまた私どもも同じ意見になりました。  また、一方で、昨年の暮れに政労トップ会談、連合の高木会長がお見えになりまして、総理とトップ会談を行われました。そのときに、間接差別の問題が高木会長から意見として出されて、また総理にもお話があり、私の方から男女雇用均等法を出して前向きにやらしていただきますという御回答を申し上げました。  また、経済全体が大変厳しかった時代から、今年の三月の新卒の雇用というものが大変良化をしてきているということも事実だろうと。そういう意味では、あの氷河期と言われた時代に就職の機会を逸してしまった、もっと言えば正規雇用のチャンスを逸してしまった若者にもう一度どうやってチャンスを与えるか、企業も考えてもらわなければならない時代。  あわせて、経団連の会合でごあいさつあったと思うんですけれども、今まで企業は、できるだけ優秀な人を採ってその人にしっかり働いてもらってそれに報いると、こうした方向で来たけれども、今年は、黙々として汗を流しながら働いてくれる労働者にみんなに報いなければならない年にしていかなきゃならないと、こんな新年のごあいさつがあったと私記憶をいたしております。  正にそういう意味では経済も活力を取り戻しつつある今日、また一方で人口減少が進む中で、やはり男女がともに働いていく社会というものを本当につくり上げなければならないと。これをこの今年一年どうやって醸成をしていけるかというのは、私どもの役所の大きな役目であろうと思っております。  そういった中で、今この法案を御審議いただいて、法案が成立いたしましたら、今御指摘いただいたことも含めて、しっかりやらしていただきたいと思いますと同時に、育児休業の取得、パートタイム労働者の均衡処遇と、こうした問題も進めさせていただきたいと。そういった意味では、少し環境が変わってきた中、私どもがしっかり物を言っていかなければならない年であろうと改めて思わせていただいております。
  80. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ありがとうございます。
  81. 山下英利

    委員長山下英利君) 午後一時から再開することとし、休憩をいたします。    午後零時九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  82. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、雇用分野における男女均等機会及び待遇確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  83. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。  雇用分野における男女均等機会及び待遇確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案に関連して質問をさせていただきます。  まず最初にお伺いをしたいと思うんですけれども男女雇用機会均等法が施行されてこの四月で二十年を迎えるわけですが、女性雇用も二十年、ある程度進んできたと思われますけれども、欧米に比べるとかなりの後れを感じるわけであります。したがって、この後れが急速に進む我が国の少子社会の大きな原因の一つではないかと、そのように私は考えております。  そこで、まず最初に、厚生労働省がこの二十年間取り組んできた機会均等男女雇用対策についてどのように評価されているのか、この点を川崎厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  84. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今お話しいただきましたように、均等法制定以降二十年たちました。  男女雇用機会均等についての考え方は社会に広く浸透し、企業雇用管理見直しも進展してきたと認識しております。また、実態面でも、女性雇用者数増加とともに女性勤続年数の伸長、女性職域拡大管理職に占める女性割合上昇などが見られております。しかし、まだまだ問題を抱えており、近年、例えば女性に対する差別事案複雑化妊娠等理由とする解雇解雇以外の不利益取扱い増加セクシュアルハラスメント相談増加等状況が見られ問題と認識をしております。また、管理職に占める女性割合、改善しつつあると申し上げましたけれども、まだまだそのテンポは遅いと言ってもいいだろうと思っております。また、男女間の賃金格差が依然として大きいことも問題であり、様々な課題を抱えた中、今回の法の改正をお願いをさせていただいたところでございます。
  85. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 二十年になりますけれども、まだまだ解決すべき課題があるという大臣お話でございました。更にこれを改善していくのが私たちの役目でもあると、そのように考えております。  日本の特徴としまして、一つお伺いをしたいんですけれども、いわゆるM字カーブというものがあるということであります。少子化が進む先進国におきましては女性の労働率の高い国、例えばスウェーデン、ノルウェー、フランスなどでは出生率が高い、逆に出生率が高いと。労働率が高い国の方が出生率が高いという相関関係が認められております。日本では、年齢別で見た女性の労働率がいわゆるM字カーブを描いています。さきに述べた国々ではM字カーブは描いていないということであります。  日本とこれらの国々との違いの原因がどこにあるのか、厚生労働省認識をお伺いをしたいと思います。
  86. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今御指摘がございましたように、我が国の女性の労働力率は、年齢階級別に見ますといわゆるM字型カーブを描いているところでございます。このM字型カーブは欧米には見られないところでございまして、M字型カーブを描いている典型的な国は日本と韓国だと言われております。  これは、欧米各国におきましても、一時期は出生率の高い国の方が女性の就業率が低いというような時代もあったんですが、これが一九八〇年代から九〇年代にかけて逆転をいたしまして、むしろ女性の就業率が高い国ほど出生率が高いというようなことになっておると認識をいたしております。  そういうことからかんがみますと、我が国ではやはりまだまだ仕事と育児の両立が困難だということがこのM字カーブの主たる原因ではないかというふうに考えております。女性は、いわゆる三十代前半層あるいは二十代後半層の出産、子育て期にいったん就業を中断して、子育てが一段落したところで再就職をするという就業パターンを取られる方が多くなっておりまして、そうしたことからM字カーブを描いているというふうに認識をいたしております。
  87. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 それと関連するわけですけれども厚生労働省の第一回二十一世紀出生児縦断調査ですか、これは二〇〇一年に行われているようですけれども、これによりますと、出産一年前に働いていた女性の七割が出産半年を経過した時点までに退職となっているということであります。  このような現象について、どういう理由でそのようになっているのか、この点の認識を伺いたいと思います。
  88. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 平成十五年に日本労働研究機構が行ったアンケート調査によりますと、これは、出産の一年前には雇用者であったけれどもその後仕事を辞められた女性に対して伺ったものでございますが、その辞めた原因でありますが、家事、育児に専念するために自発的に辞めたという方が五二%、それから、仕事を続けたかったけれども仕事と育児の両立の難しさということで辞めたという方が二四・二%、それから、出産育児と関係ない理由で辞めましたという方が七・四%、それから、解雇されたあるいは退職勧奨されたという方が五・六%ということになっております。  こうしたことからいたしますと、七割の方が出産を契機に辞められたわけですが、その中で約半数は離職が自発的な意思によるものと言えるということでありましょうが、少なくとも四人に一人は仕事と育児の両立の難しいことが理由で離職することとなった、そして五、六%はその意思に反して離職を余儀なくされたという事態であるというふうに考えております。
  89. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 解雇された五・六%、これは非常にこういうことがあってはならないと思いますので、今回の法改正にもつながってくると思うんですが、そのほかに育児と仕事の両立が難しかったという、今そういうアンケート調査があったということでありますが、それが四分の一ぐらいだということでありますので、こういうところを改善をしていくことが大事だと、そのように思うわけです。  そのほかの、ちょっといろんな雑誌等読んでおりますと、もう一つこういうことが書かれておりました。一九九〇年以降に学校を卒業した若い方、若い世代の方が出産退職をする者が多いと、そのような研究があるということでございます。こういう近年の現象の原因というものをどのように考えておられるのか、厚生労働省にお伺いをいたします。
  90. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 一九九〇年以降に学校を卒業された方の方が出産退職を多くしているというデータでございますが、これは財団法人家計経済研究所が実施した調査によるものでございまして、比較的限られたサンプル数に基づくデータである点には留意すべきであると思いますけれども、このデータを用いて分析をされた研究者の御見解によりますと、一九八七年から九〇年に卒業した均等法世代の継続就業率に比べ、一九九一年以降に卒業したバブル崩壊後世代の継続就業率が低下しているのは、法制度整備によってそれによる継続就業効果はあったけれども、それ以上に景気低迷による抑制効果が強く働いた結果ではないかという分析をなされているところでございます。  一方、この研究者は、同時に、均等法前の世代よりも均等法後の一九八七年から一九九〇年に卒業した均等法世代の継続就業割合の方が上昇しているということも指摘されておりまして、要は景気の状況によってかなり出産退職というようなことには影響が大きいわけでございますが、均等法育児介護休業法の法整備による影響もそれなりに大きいというような分析ではないかというふうに認識をいたしております。
  91. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 そういう意味では、バブルの時代には、やはりいろんな法整備は徐々に進んでいるけれども、景気の影響で出産退職をした方が多いというような状況でありまして、やはり景気の影響が大きいというお話でございました。当然そういうことになるのかなと思いますけれども、景気の影響にも左右されないような、こういう出産退職というものが少なくなることが一番望ましいわけで、今回の法改正もそういうことに資するものであるというふうに評価をしているわけでございます。  次に、ワーク・ライフ・バランスの検討についてお伺いをしたいと思います。  仕事と生活の調和、いわゆるワーク・ライフ・バランスに関して、厚生労働省認識と今日の取組について、どのようになっているのか、川崎厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  92. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 人口社会を迎える中、男性も女性も希望に応じて仕事と家庭のバランスの取れた働き方ができる社会を実現することが重要な課題であると考えております。  このため、次世代法に基づく企業の行動計画策定、実施の促進、仕事と家庭のバランスに配慮した柔軟な働き方ができるファミリー・フレンドリー企業の一層の普及促進、育児休業制度や勤務時間短縮等の措置の普及、定着に取り組んでいるところでございます。また、労働時間等の設定を個々労働者の健康と生活に配慮するとともに多様な働きに対応したものへ改善を図る労働時間等設定改善法が本年四月一日から施行され、その円滑な実施に努めております。  こうした取組により、今後とも、労働者一人一人が仕事も家庭も大切にしながら働くことができる環境整備に努めてまいりたいと考えております。
  93. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 雇用分野における男女均等機会の確保と待遇の確保は、ライフスタイル、つまり生活と仕事の在り方そのものと直結しているわけであります。  今回の法改正に当たって、仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランスという課題がどのように検討されてきたのか、また本改正案にはこの文言が明記されなかったんですけれども、この理由というものがどういうことなのか、中野厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  94. 中野清

    ○副大臣中野清君) 今回の改正に当たりまして建議をいただきました労働政策審議会審議過程におきましては、ワーク・ライフ・バランス、すなわち仕事と生活の調和を男女雇用機会均等法の目的、基本的理念に規定すべきという意見も出されたわけでございます。しかしながら、均等法それ自体は、御承知のように、雇用における性差別禁止のための法律でございまして、仕事と生活の調和という課題とは切り口が異なることから、均等法の目的、それから基本的理念に明記することは適当でないと考えたわけでございます。  なお、今議員が御指摘の、仕事と生活の調和、いわゆるワーク・ライフ・バランスですか、は重要な課題でございますから、育児介護休業法、それからまた次世代育成支援対策推進法、労働時間等設定改善法など労働関係の法令全体を通じまして、必ずその実現を図っていくべきものと考えておるわけでございまして、御理解と御支援をお願いをしたいわけでございます。
  95. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今お話がございましたけれども、全体的にはいろんな法律の体系を整えながらワーク・ライフ・バランスを十分に検討していると、また考えているということではないかなと、今のお答えを聞きますとそういうことですので、これからますますこういうワーク・ライフ・バランス、非常に大事な課題となってまいりますので、しっかり取り組んでいただきたいと、そのように思います。  次に、性差別禁止範囲拡大についてお伺いをしたいと思います。  いわゆる間接差別禁止規定に関してでございますけれども改正案の第七条におきまして間接差別禁止が創設されたわけです。その禁止規定は厚生省令で定めるものとなっております。その省令は、募集採用における身長、体重、体力要件、あるいは総合職募集採用における全国転勤経験の要件、あるいは昇進における転勤経験要件、こういう三項目であると、そのように言われているわけですけれども、この点を確認をしたいと思います。
  96. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 間接差別規定の具体的な対象範囲といたしましては、厚生労働省令で定める法的な仕組みといたしておりますので、この法案の成立後、審議会の議論を経て省令できちんと定めていきたいと思っておりますが、現時点での厚生労働省の考え方は、労働政策審議会コンセンサスが得られた今御指摘三つの点を明記をする予定でございます。
  97. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今回の改正案の一つの、いろいろな方々からの御指摘の中には、この三項目に絞って限定列挙するとそれ以外の、それ以外は間接差別ではないとみなされるおそれがあるというような御意見があるわけですけれども、例えば、働く時間も責任も同じ仕事であって賃金退職金あるいは有給休暇、あるいは福利厚生などにおいて正社員と大きな開きがあるパートなどの非正規社員などは女性比率が高いわけですけれども、こういうものも間接差別ではないのかという、そういう声もあるわけであります。  このような声に対して、厚生労働省はどのように受け止めているのか、また対処しようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
  98. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 正社員とパートタイム労働者との間の処遇差につきましては、この間接差別問題の議論の過程、審議会の議論におきましても議論がなされたわけでございますが、その中で、パートタイム労働者の処遇問題はパートタイム労働法で対応することが適当であるという強い意見がございました。  また、実際、正社員とパートタイム労働者の均衡処遇の問題は、その本質は、性差別というよりも雇用形態間の処遇の均衡に係る問題でありますことから、労働政策審議会において、直ちに間接差別として違法とすべきであるというコンセンサスが得られなかったところでございます。こうしたことから、今般の間接差別規定対象とする予定にはしていないところでございます。  このパートタイムの問題も含めまして、様々な間接差別の議論になっているようなものについて、今後、見直し対象からあらかじめ排除されるものではないと考えておりますものの、やっぱりパートタイム労働者の問題は、正規労働者と非正規労働者の均衡処遇の問題として対応していくことが適当であるというふうに考えております。
  99. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほど御紹介したように、まだまだ正規の労働者と非正規の労働者との間の格差はあるけれども、今回の均等法の中での解決というよりは、よりそれに適した法律での解決を図るとか、そういうお考えをお聞きしたわけですけれども、この問題は、本当に皆さん、大変関心のあるところでございますので、そういう処遇の格差等の是正について引き続き検討して、いい方向に向けていただきたいと思います。  次に、改正法の第六条関係においての差別禁止対象拡大でございますが、労働者配置昇進降格退職勧奨、労働契約の更新、いわゆる雇い止めでございますけれども、これなどが追加されているわけであります。  この問題について、日本弁護士連合会では、賃金が含まれていないと、そのように指摘されております。労働基準法第四条による救済のほかに、こういう雇用均等法規定されている間接差別禁止対象とすべきであるという、そのような主張をされておるわけでありますけれども、このような日弁連の指摘について厚生労働省はどのようにお考えなのか、その点をお伺いをしたいと思います。
  100. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 均等法禁止範囲におきましては、従来より、賃金についてはその対象となっていないところでございまして、この賃金についての男女差別禁止というのは労働基準法第四条に規定をされております。そうしたことから、均等法において賃金のことを重ねて規定する必要はないと考えているところでございます。  特に賃金について間接差別禁止均等法規定するということについては、賃金に係る要件間接差別対象とすることについて、これは例えばこの対象とすることになりますと、世帯主を対象にして支給している家族手当というようなことになるわけでございますが、そうしたことを間接差別禁止対象にし得る議論について社会コンセンサスが得られていないという状況にございます。  したがいまして、現時点で、均等法間接差別規定対象としても、この問題を規定することは適当ではないというふうに考えております。
  101. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、間接差別について、本改正案の第七条では、当該業務の遂行上特に必要である場合、あるいは事業の運営の状況に照らして当該措置の実施が雇用管理上特に必要である場合、並びにその他の合理的な理由がある場合は間接差別規定から除外されているわけですけれども、この第七条にあるこの三つの類型ですね、そういうのは具体的にどういうことを指しているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  102. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 第七条の間接差別規定におきまして、合理的な理由がある場合は省令に定めた措置であっても間接差別にはならないということになっているわけでございまして、その合理的な理由がある場合の具体的事例について御質問いただいているのであると認識をいたしておりますが、その一つにございます、まず、業務の性質に照らして当該措置の実施が当該業務の遂行上特に必要である場合、つまり、業務の遂行上特に必要である場合の例えば具体的な例でございますが、一定の筋力を要件とする募集採用を行う場合に、その従事する業務の遂行に当たって、例えば実際に重い荷物を長時間運ぶために一定の体力といいますか筋力を必要とするような場合で、機械の導入その他の方法で体力の差を補うことができないようなケースは、これは例えば合理的な理由があるということになることも想定されるわけでございます。  それから二つ目の、業務の運営に照らして当該措置の実施が雇用管理上特に必要である場合、つまり、雇用管理上特に必要な場合の具体例としては、全国転勤要件とする募集採用を行う場合に、全国に支社、支店がかなりある場合で、異なる地域の支店や支社で管理者としての経験を積むことが幹部としての職務能力の育成、確保に必要である場合であるとか、組織運営上全国転勤を伴う人事ローテーションを行うことが特に必要であるとか、そういうようなケースが想定されていくのではないかと思っております。  そうした雇用管理上の必要性、業務遂行上の必要性に加えて、場合によりましてはその他の理由も想定し得るので、その他の合理的理由というのも法律に盛り込んでいるところでございまして、いずれにいたしましても、この具体的な例示については、この法案の成立後に審議会におきます議論を経て、労使にきちんと周知をしなきゃいけませんので、指針においてできるだけ具体的に示していきたいというふうに考えております。
  103. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今、間接差別の除外のことについて御説明いただいたわけですけれども、いろんなこれから社会が進歩して、そういう間接差別の合理的な理由というものがだんだん少なくなってくる可能性が高いと考えておりますけれども、そういう状況を含めながら、除外規定というようなものはなるべく少なくなっていくことが望ましいというふうに考えております。  そのほか、次の質問でございますけれども、一般事務員や契約社員等の女性が多い職場等を中心としまして、男性からの性差別相談が多くなっていると、そのような指摘がありますけれども相談件数の増加や具体的事例のどういう項目あるいはどういう分類といいますか、そういうものがなされているのか、御説明をいただきたい。それから、今後の対策について併せてお伺いをしたいと思います。
  104. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今回の改正法案では、男性に対する性差別についても禁止することとしたわけでございますが、これまでの雇用均等室に寄せられております相談等によりまして実態を見てみますと、やはり募集採用についての分野で従来女性が多く従事してきた、例えば一般事務であるとか経理事務であるとか、あるいは保育士であるとか訪問看護のヘルパーといったような仕事を中心に男性であることを理由として採用されない、あるいは応募を受け付けてくれないというような御相談が寄せられているところでございます。  この法案が成立いたしました場合には、男性に対する差別についても、これまでの女性労働者と同様に、差別を受けた男性労働者事業主との間の紛争解決援助を労働局長が行うことができるようになります。また、調停制度等の対象にもなります。こうしたことを活用して、性差別の是正を図ってまいりたいというふうに考えております。
  105. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、妊娠出産等を理由とする不利益取扱い禁止について質問をさせていただきます。  現行雇用均等法の第十三条、紛争解決の援助に基づいて行われている個別紛争解決援助の状況について見ますと、平成十六年度の総援助件数百四十九件のうち、募集採用に関しましては四・七%、配置昇進教育訓練に関しまして一〇・七%、福利厚生が〇・七%、現行法の第八条関係の定年、退職解雇に関しましては八三・九%と多いわけでありますけれども、このうち妊娠出産関係が七一・一%と圧倒的に多いわけであります。  妊娠等理由とする不利益取扱いに関しての現状ですね、これを御説明いただきたいと思います。
  106. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今御指摘がございましたように、雇用均等室におきます個別紛争解決援助件数のうち、妊娠出産による解雇等に関するものの件数が非常に多くなっております。平成十六年度では百六件、全体の七一・一%を占めているところでございます。  この相談を受けました不利益取扱いの具体的な事例といたしましては、例えば、切迫流産で医師の指導に従って欠勤をいたしましたところ強く退職を勧められたような事案、それから上司に妊娠を報告して今までどおり勤務したいと伝えましたところアルバイトへの身分変更を勧められた事案、それから産休を取りたいと思うことで申し出ましたら、復帰後は今より時給の低い職種への配置転換を通告された事案、それから産休の申出をしたことを理由に契約の雇い止めが行われた事案などが挙げられるところでございます。
  107. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 そういう事案は大変問題であるというふうに考えるわけですけれども、今回、現行法の雇用均等法第八条を改正して、法案第九条四項において、「妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。」と。ただ、その次に「ただし、」という法文がございます。その中で、妊娠出産による解雇でないことを証明した場合はこの限りではないと、そのようになっているわけですけれども、具体的にどういう証明があればこれに当たるのか、御説明をいただきたいと思います。
  108. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今御指摘がございましたように、今回の法案では、妊娠中の女性労働者、それから出産後一年を経過しない女性労働者についての解雇原則無効ということになっております。ただし、事業主が、その解雇がそうした妊娠出産等を理由とするものでないということを証明した限りにおいて無効でなくなるというわけでございます。したがいまして、この証明につきましては、この妊娠等ということが、妊娠出産ということが解雇を行った理由とは関係がないことを事業主が立証しなければならないわけでございます。  具体的に解雇が有効と認められ得るケースといたしましては、例えば経営環境が非常に悪化いたしまして、その妊娠中の女性労働者も含めて全員整理解雇対象になるようなケースであるとか、あるいはこの女性労働者企業の懲戒解雇規定にも該当するような重大な服務規律違反を犯したとか、そんなようなことが考えられるのかなというふうに考えております。
  109. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 なかなか微妙な事案も発生してくる可能性がありますけれども、この法の趣旨に沿って妊娠出産等を理由にする解雇でないということですね。その解雇禁止するという、そういう趣旨を徹底していただきたいと、そのように思います。  次に、私は、女性が安心して妊娠出産できる体制をつくるということが少子社会の改善に資すると、間接的といいますか、資するものと考えているわけですけれども、そのためには事業主を始め社員全体で子育てを応援するように企業の理解を深める、あるいは意識改革を進めていく、それが非常に大事であると、そのように考えております。  このような企業への働き掛け等について、川崎厚生労働大臣の御決意をお聞きしたいと思います。
  110. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 女性が子育てをしながら安心して働くようにするためには、企業において従業員の子育てを支援するという意識を高め、実施していただくことが必要であると考えております。  政府としては、このような認識の下に、次世代育成支援対策推進法に基づき、企業における子育て支援のための行動計画策定、実施を促進いたしてきております。同法において行動計画策定、届出が義務付けられている三百一人以上の大企業においては、昨年末段階で九七%の企業計画策定、届出済みであります。このような仕組みを通じて企業の子育て支援に対する認識も深まってきていると認識しております。今後は、企業の取組が更に普及するよう、特に三百一人以下、すなわち中小企業に対してどう働き掛けをしていくかということが重要な課題であると思っております。  これから経済界との話合い、一つは、人口減少社会に入った中で、十年後、二十年後の我が国の労働力人口をどうやって確保していくのか。女性雇用、高齢者の雇用、若年者の雇用、それにプラスITをしながら我が国の経済力、国際競争力を保つというのが基本的な経済界また私どもの合意になっておるように思っております。したがって、その中で雇用は、先ほど申し上げたように、女性雇用を三百万人増やしたいと、そのためにはやはり企業がしっかりとして女性雇用を支援していただかなければならないと、これが一つだろうと。  一方で、少子化対策をどうするんだというときに、やはり子育てを支援してもらわなければならない。働きながら子育てをするという環境をお互いに醸成をしていかなければ、我が国は将来大変な禍根を残すことになると。したがって、今からお互いに行動していきましょうという話合いを今始めさしていただいているところでございます。六月ごろには少子化対策もまとめていかなければならないと考えておりますけども、そうした議論も踏まえながら、経済界側の理解が深まるよう、一層努力をしていかなければならないと、このように思っております。
  111. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 前、ファミリーフレンドリーな企業ということで、そういう課題で参議院の委員会質疑をしたことがございますけれども、家庭という観点から見れば、企業の方では、例えばお父さん、お母さん、片方でもお子さんの、夜いらっしゃらないと困るんで、片方だけでもとにかくお休みが取れるようにしようというような考え方もあるかもしれませんけれども、子供の立場から考えれば、両親といいますか、両親がそろって食事のときとかいてほしいというようなこともあって、ファミリーフレンドリーという中に子供の視点に立ってチャイルドフレンドリーといいますか、そういう視点に立つと。両親が片方だけお仕事お休みといいますか、終わって帰ってきているというものだけではなくて、さらにそういう家庭の団らんのときには両親がそろっているような、そういう観点まで含めたファミリー・フレンドリー企業というようなことに進んでいただければと私は考えておりまして、そういう意見も述べさせていただいたわけであります。  次に、セクシュアルハラスメント対策について質問をさせていただきます。  平成十六年度の雇用均等法が扱った、同法に係る相談件数によりますと、総相談件数一万九千六百六十八件のうち、募集採用が九・六%、母性健康管理に関してが二三・一%でした。一方、セクシュアルハラスメント関係が三九・二%でトップであったわけです。  この略してセクハラ案件は引き続き増加している、そしてまた深刻な事案も多くなってきていると、そのようにとらえているわけですけれども、まずそこで、セクハラの相談、苦情処理に当たる担当者の要件研修等について現状がどのようになっているのか、また当面する課題があれば、その改善に今後どういうふうに取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。
  112. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 企業におきますセクシュアルハラスメント対策といたしましては、まずその発生が、そうしたセクシュアルハラスメント事件が起きないようにしかるべく企業の方針をきちんとするということがまず第一でございますが、第二に、相談、苦情への対応のための窓口を明確にすることであるとか、あるいはその相談、苦情に対して、その内容状況に応じて適切、柔軟に対処するということを求めているわけでございます。  具体的に、この相談、苦情への対応に当たります企業の中での担当者についての要件のお尋ねでございますが、均等法指針におきましては担当者に一定の要件を具備することまでは求めておりませんけれども、各企業内において担当者が相談、苦情に対して適切で柔軟に対応できなければいけませんので、そうした意味事業主に対し必要な取組を行うことを求めております。  具体的には、なるべく身近な方々が相談の担当者になっていただくということでありますから、必ずしも人事の専門家ではありませんので、人事部との連携といったような体制をきちんと整えるであるとか、相談マニュアルを整備するといったようなことを求めているわけでございます。また、この担当者の資質の向上という観点からは、厚生労働省におきましても相談対応マニュアルを作っております。それから、相談対応者用のビデオも作成をしておりまして、普及をいたしております。また、関係団体に委託をいたしまして、セクシュアルハラスメント防止実践講習ということで、事業主や人事労務担当者あるいは相談に当たる方々に対して具体的な取組のノウハウや事例を提供する講習を行っているところでございます。
  113. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 やっぱりセクシュアルハラスメント相談を受けて対応される方というのは大変難しい対応をするケースが多くなってくるんじゃないかなと。今回は男性に対する性差別も担当するというようなことにもなってくるわけで、やはりある程度この担当に当たる方の理解度というのが大事なのかなというふうに思っております。また、いろんな事例を勉強しながら、そういう企業内で適切に、性差別が起こらないようにしていくと。そういう事後処理だけではなくてやっぱり予防対策といいますか、こういうことはいけないんですよというようなことをしっかり教えていただけるような担当者であればいいわけでございまして、こういう担当者の資質の向上についてもしっかりやっていただきたいと思います。  次に、セクハラの紛争解決のために取られている種々の方法と、具体的にどのくらい起こっているのか、その頻度並びに行政指導に至っているような状況、どの程度あるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  114. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 均等法におきましては、セクシュアルハラスメントにつきまして、事業主の配慮義務違反が認められた場合には助言、指導などを行うことによりまして法違反の是正を図っているところでございます。  全国の雇用均等室におきます平成十六年度の指導等の件数は八千四百九十九件となっております。それから、セクシュアルハラスメントによって生じた損害の賠償という民事紛争につきましては、個別労働紛争解決促進法によりましてあっせんといったような制度を利用することができます。このいわゆる個別紛争解決促進法によるあっせんの申請件数は、平成十六年度では二百三十三件となっているところでございます。
  115. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 そのほかに、企業内で自主的に解決されるとかいろいろな方法があるわけですけれども、そういうものを使いながら、余り長期化しないように、改善されるようにしていただきたいと思います。  それから、今回の改正におきまして、報告徴収に応じないような場合、二十万円以下の過料が創設されておりますけれども、この二十万円以下にした理由と、あと、今後の厚生労働省のセクハラ防止への取組の強化、こういうことに関しまして、川崎厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  116. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 改正法案におきまして、職場におけるセクシュアルハラスメントについての規定強化し、雇用管理上必要な措置の実施を事業主に義務付けることといたしております。あわせて、セクシュアルハラスメントについて均等法調停制度及び企業名公表制度対象とするとともに、行政からの報告の求めに応じない事業主に対し二十万円の過料を創設することにいたしました。いずれにいたしましても、実効性を強化するような措置を加えたところでございます。  改正法案が成立した場合には、以上のような規定を活用し、セクシュアルハラスメント対策についてこれまでにも増して周知啓発に努めると、ここが一番大事なことだろうと思います、周知啓発に努めるとともに、事業主に対する指導を徹底してまいりたいと考えております。
  117. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、女性坑内労働規制緩和についてお伺いをしたいと思います。これまで女性労働者坑内労働禁止をしていた理由について、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  118. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 現行の労働基準法におきましては、坑内労働につきまして、医師、看護婦の業務等一定の、臨時に従事する方を除きまして、女性坑内労働原則として禁止をされているところでございます。  少し歴史的な経緯も申し上げますと、昭和三年に鉱夫労役扶助規則に女性坑内労働禁止規定されるまでは多くの女性が鉱山で坑内労働をやっておられました。当時の鉱山における坑内労働内容というのは、つるはしなどを使用します人力による筋肉労働が主でございまして、大変厳しい作業条件でございました。このような実態を踏まえて、女性坑内労働禁止規定されておるものと承知をいたしております。  戦時下には特例によりまして女性の入坑も認められておりましたけれども、昭和二十二年の労働基準法の制定に当たりまして、女性坑内労働については肉体的、生理的に特殊性を持つ女性にとって適当な労働とは言えないということで、再度全面的に禁止をされたわけでございます。  その後徐々に、雇用男女機会均等に際して女性保護規定はむしろ均等を阻害するものであり改めるべきであるという考え方が一般的になってまいりまして、我が国におきましても、昭和六十年の労働基準法改正によりまして、全面的な禁止から医師、看護師の業務や取材の業務について臨時的に女性が入坑することができるように規定改正されたわけでございます。  しかし、そうした規制緩和は、あくまで臨時的な業務についての例外規定の追加にとどまっているところでございまして、女性坑内労働については、やはり肉体的に、生理的に特殊性を持つ女性にとっては適当な労働とは言えないということで、これまで原則禁止という規定が維持されてきたというところでございます。
  119. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今回、管理・監督業務については規制緩和を行うと、そういうふうに改正するわけでありますけれども、その理由についてお伺いをしたいと思います。
  120. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 坑内労働につきましては、施工技術の進歩でありますとか労働安全衛生法令や鉱山保安法令などの法規制の充実に伴いまして、戦後すぐのころの非常に厳しい条件と比べますと格段に安全衛生水準が向上をしてきております。それから、女性技術者から、坑内工事の管理・監督業務に従事できないと一人前の技術者になれない、技術者としての仕事ができないというようなことで、規制緩和の強い要望がなされておるところでございます。  改正法案におきましては、こうした安全衛生上の水準の向上、それから技術者からの規制緩和の要望などを踏まえまして、女性坑内労働原則禁止を改めて、妊産婦とそれから現場の作業員を除き解禁をすることとしているものでございます。
  121. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 この規制緩和により女性坑内労働に携わる方がどの程度増えるのか、もし見込み等が分かっておられれば、その点をお伺いしたいと思います。
  122. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今般の規制緩和につきましては、今申し上げましたとおり、女性技術者から坑内工事の管理・監督業務に従事できるように要望されていたところでございまして、これが実現いたしますと、従来、坑内労働以外の建設工事や土木工事には従事していた女性の技術者が坑内労働にも、坑内労働の管理・監督業務にも従事されるようになるということが見込まれるわけでございます。したがいまして、改正によって女性技術者の数自体が増加する効果というよりは、まずはその女性技術者の職域拡大するという効果があるものと考えております。  なお、女性技術者の職域拡大することに伴いまして、女性技術者をこれまで以上に新たに雇われる企業増加することが見込まれるわけでございまして、いずれは女性労働者の数の増加にもつながっていくものと考えております。
  123. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 最後に、坑内労働者の労災事故の発生の動向と労災防止対策の取組についてお伺いをしたいと思います。
  124. 中野清

    ○副大臣中野清君) お尋ねの坑内労働災害の発生状況でございますが、トンネル工事における死亡者数を昭和四十年と平成十六年で比較してみますと、昭和四十年の八十五名から平成十六年の三名と大幅に減少をしております。  また、トンネル工事における主な危険要因といたしましては、落石、それから落盤、ガス爆発等がありますが、法令等によりまして地質を調査し、それに応じた適切な計画を作成するなど、その防止のための措置を講ずるよう事業者に義務付けたところでございます。  また、トンネル工事につきましては、建設労働災害防止の重点対象としておりまして、工事の計画を事前に労働基準監督署長、又は大規模なものは厚生労働大臣へ届け出ることが義務付けられておりますが、この届出の際におきまして、落盤による災害の防止対策、建設機械への挟まれ防止対策、粉じん発散防止対策等について指導を行っているところでございます。  こうした取組の結果、労働災害は大幅に減少しておりますが、今後ともこれらの対策の徹底によりまして労働災害の一層の防止に努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
  125. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 坑内労働の特徴として粉じん対策等大事なわけでございますので、そういう点にも更に取組をしっかりしていただいて、労災事故等が起こらないようにしていただければと思います。  次に、男女の共同参画あるいは子育て支援に資する雇用の在り方ということでちょっとお伺いをしたいと思うんですけれども、まず、袖井孝子お茶の水女子大学の名誉教授が、週刊社会保障の一月二十三日号の掲載で「少子化と男女共同参画」という論文の中で、「今日、女性が被っている性と年齢という二重の差別を解消するには、アメリカのように雇用における徹底した性差別禁止に加えて、年齢差別禁止する法律の制定が望まれる。さらに、法律の有無にかかわりなく人権尊重や社会正義という観点から、企業職場における性差別や年齢差別の撤廃に尽力してほしいものである。」と、そのように記されております。  この点に関しまして、川崎厚生労働大臣の御所見をお伺いをしたいと思います。
  126. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 我が国とアメリカの最大の違いは、終身雇用退職金という制度であろうと思います。日本の、特殊と言えるかもしれませんこの終身雇用退職制度、この制度をどう考えるかというところが今の議論の中で一番課題であろうと思っております。  日本における定年制を含めた年齢による雇用管理の全面禁止、すなわち年齢差別禁止については、年齢に代わる基準が確立されていない我が国の雇用管理実態にかんがみれば、年齢差別禁止は労働市場の混乱を招くおそれがあること、定年制を禁止することにより、定年制の有する事実上の雇用保障機能、すなわち終身雇用制が当然なくなるということになりますので、そういったことを考えますと、現時点においてアメリカ同様の制度にするということは困難であると考えております。  一方、募集採用時の年齢制限は、個人の能力や適性にかかわらず、年齢のみを理由として就職の機会を奪うものであり、合理的な理由はなく、年齢を考慮して採用を行おうとする事業主に対しては、年齢制限是正の意義と必要性の浸透を図ることが重要であると考えております。  現在、ハローワークでは、雇用対策法の労働者募集採用に当たっての年齢制限緩和の努力義務、改正高年齢者雇用安定法による年齢制限に係る理由の提示の義務付けを踏まえ、求人受理の際に合理的な理由なく年齢制限を課すことのないよう指導をいたしております。今後ともこのことについては徹底を図ってまいりたいと考えております。
  127. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 もう一問予定しておりましたが、時間ですので、これで終わりにしたいと思います。
  128. 山下英利

    委員長山下英利君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後一時五十五分散会