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2006-03-30 第164回国会 参議院 厚生労働委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月三十日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下 英利君     理 事                 岸  宏一君                 中村 博彦君                 谷  博之君                 円 より子君                 渡辺 孝男君     委 員                 阿部 正俊君                 岡田  広君                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 武見 敬三君                 中原  爽君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 水落 敏栄君                 朝日 俊弘君                 家西  悟君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 津田弥太郎君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 山本  保君                 小池  晃君                 福島みずほ君    委員以外の議員        発議者      岡崎トミ子君        発議者      和田ひろ子君        発議者      神本美恵子君    国務大臣        厚生労働大臣   川崎 二郎君    副大臣        総務大臣    山崎  力君        厚生労働大臣  中野  清君        厚生労働大臣  赤松 正雄君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    政府参考人        内閣府大臣官房        審議官      松山 健士君        内閣府大臣官房        審議官      中村 吉夫君        内閣府大臣官房        審議官      堀田  繁君        内閣規制改革        ・民間開放推進        室長       田中 孝文君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部長   舟橋 和幸君        金融庁総務企画        局審議官     畑中龍太郎君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        法務大臣官房審        議官       深山 卓也君        外務大臣官房参        事官       佐渡島志郎君        財務大臣官房審        議官       加藤 治彦君        文部科学大臣官        房審議官     徳永  保君        厚生労働大臣官        房総括審議官   金子 順一君        厚生労働大臣官        房審議官     大槻 勝啓君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省職業        安定局長     鈴木 直和君        厚生労働省雇用        均等児童家庭        局長       北井久美子君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中谷比呂樹君        厚生労働省老健        局長       磯部 文雄君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        厚生労働省政策        統括官      塩田 幸雄君        国土交通大臣官        房審議官     和泉 洋人君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○国の補助金等整理及び合理化等に伴う児童手  当法等の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○児童手当法の一部を改正する法律案岡崎トミ  子君外二名発議)     ─────────────
  2. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国の補助金等整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案及び児童手当法の一部を改正する法律案の両案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省雇用均等児童家庭局長北井久美子君外二十四名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山下英利

    委員長山下英利君) 国の補助金等整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案及び児童手当法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 おはようございます。民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。  まず、昨日の公明党渡辺委員発言につきまして、私は訂正を求めたいと思います。  衆議院に提出した我が党の議員立法につきまして、「目的」の部分文言を修正した上、参議院に提出をさせていただきました。そして、本日も提出者にこの委員会に来ていただいております。  で、「児童」という言葉から「子ども」という言葉に修正した、これは非常に私は進化したというふうに思っております。「児童」というものはそもそも非常に限られた狭い範囲お子さんたちの、表す言葉でございまして、それをより広い範囲で「子ども」というふうに、子供に着目をして私ども文言を修正したということに、進化させたということに対して、あのような党利党略というような言葉を使うというものはいかがなものかと。  そして、我々立法府にある人間としては、閣法を議論する、問題点について様々議論をして、必要であれば修正を加えていくと、そういうことも立法府の一員としての責任でございますけれども、一方、議員立法ということで、様々な法律提出して議論の俎上にのせていくということも私どもの大きな責任であると考えております。  そういう意味におきまして、昨日の渡辺委員党利党略という発言に対しては非常に憤りを覚えておりまして、このことについては訂正をしていただきたい、撤回をしていただきたい、まずもってそのことを申し上げておきますが、理事会において協議をお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  6. 山下英利

    委員長山下英利君) 理事会協議をいたします。  質問を続けてください。
  7. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 それでは、まず最初に、今般、この児童手当三位一体改革のところに、昨日の参考人言葉をおかりすれば、地方との協議もなく突然にというふうな表現があったわけでございますが、地方団体と十分な協議を行ったというふうに政府の方は答弁されておりますけれども児童手当国庫負担割合見直しについて、まずどのような協議が行われたのか、伺いたいと思います。
  8. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 何回か御答弁をさせていただいておりますけれども、約一年間にわたり、生活保護費児童扶養手当適正化について、地方団体代表の方、石川県知事さん始め、そして有識者の皆さん方、私ども厚生労働省、それから総務省、それから財務省、各、厚生労働省大臣が出ておりますけれども、副大臣出席いただいて、十数回にわたって議論をしてきたと思っております。私も尾辻さんから引き継いで、何回かその会合に出てまいりました。  もう生活保護費の話をすると長くなりますからここで差し控えますけれども生活保護の問題については、両者の結論に至りませんでした。就労支援、また住宅、医療という切り口議論いたしてまいりましたけれども、お互いの結論を得られなかったという中で、児童扶養手当につきましては、就労支援という切り口の中で自治体の占めるウエートも高いという御判断もいただき、最終的にはこの問題についてまず合意に達したところでございます。  その後、児童手当につきましても、児童扶養手当児童手当の率の問題、これも議論地方団体の方から提起された問題でございますので、それでは同じ率に合わせましょうということで最終的合意に達し、知事さん、市長さんを始め、六団体方々にお示しをして了解に至ったと、このように考えております。
  9. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 今ほど御説明があったわけですけれども、どなたがどこでどのように児童手当をこの国庫負担割合見直しに入れると、入れた方がいいのではないかという御主張をされたのか、政府参考人に伺いたいと思います。
  10. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 生活保護児童扶養手当に関する関係協議会の場におきましては、これは生活保護児童扶養手当議論でございますから、基本的に児童手当が中心となっているテーマではないのでございますが、その議論の中で、全国知事会代表全国市長会代表の方から、児童手当、まあ児童扶養手当国側の御提案が、要するに二分の一にしたらどうかという提案をしていたものですから、そうした議論の中で、児童手当は国が三分の二を負担しているんだけれども、そうしたこととの整合性が考慮されていないではないかというような、つまり同じ子供手当であるのにその負担率が違っていいのかというような御意見があったというふうに承知をしております。それは十一月十日のことでございます。
  11. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 そうしますと、十一月十日の生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会における谷本石川県知事発言ということでよろしいんですか。
  12. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) その関係協議会における発言はそういうことであったというふうに思っております。
  13. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 ほかにはありますか。
  14. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 基本的にはそのときの発言だったと思います。
  15. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 それだけですか。ここに議事録の私は抜粋を持っているんですけれども、皆様にもお考えいただきたいので、その部分の前後の文脈が分かるように少し読み上げさせていただきたいと思うんですけれども。  第七回生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会議事録でございます。   「(三)児童扶養手当見直しについて」は、就業自立に向けた総合的な支援に関する実施自治体役割責任拡大をして、実施自治体が二分の一負担をするということでありますけれども児童扶養手当認定基準は収入のみということであります。地方自治体裁量の余地はなく、三位一体改革に名を借りた単なる地方への負担転嫁であると考えるわけであります。   また、児童手当では国が三分の二負担をしているということとの整合性が考慮もされておらず、単に二分の一負担ありきといわざるを得ない。このように考えたわけであります。以上で、私の方からの説明を終わらせていただきたいと思います。 というふうになっておりまして、発表されている議事録を見ますと、今の部分だけなんですね、児童手当についての何とかという話は。  まず、確認なんですけど、これ、この部分だけのことを取り上げて先ほどからの御発言があるというふうに理解してよろしいですか、局長。ほかにあれば言ってください。
  16. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 表舞台といいますか、公開された協議会等の場での発言はそういうことであったと思っておりますが。そのほか、政府与党の数々の協議を経て最終結論に至っておりますので、そうした場における議論については、私ども事務局としては承知をいたしておりません。
  17. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 裏で何かあったということなんでしょうかね。地方に対して、生活保護を取るのか児童手当を取るのか、児童手当をのまないんだったら生活保護の方を入れるぞというようなやり取りがあったっていうふうに聞こえましたけど、そういうことなんでしょうか。
  18. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) そういうことは申し上げておりません。表舞台での発言というのはこの協議会の場での発言議事録のとおりということでございます。
  19. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 先ほど読み上げました議事録は、つまり、地方団体主張は、国が児童扶養手当を四分の三から二分の一へ引き下げることを主張したのに対して、児童手当では国が三分の二負担していることとの整合性が考慮されておらず、単に二分の一負担ありきであるという旨を述べているにすぎません。そうじゃないというんであれば根拠を教えていただきたいんですが、これをもって地方協議を行ったと果たして言えるんでしょうか。見渡す限り議事録は、ここにしか見当たりませんし、局長も今そのようにおっしゃいました。これだけで果たして地方との協議があった、行ったと言えるんですか。
  20. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) この三位一体改革の最終的な合意というのは、十一月三十日に政府与党合意がなされ、そしてその翌日の十二月一日に地方団体政府与党との協議の場がセットされ、そこで最終的合意に至っております。したがいまして、この提案、全体的な提案について十二月一日の地方との協議の場で最終的に了承が得られたということでございます。
  21. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 今の御説明では、つまり、地方協議さえしていない児童手当国庫負担見直し政府与党合意をして、そして後日、地方に報告するということでございますよね。児童手当について議事録に記載されているものは先ほど申し上げたものだけだということは、今皆さんも御確認になったと思います。で、十七年十一月三十日に政府与党合意をまとめ、そして十二月一日の国と地方協議の場で政府与党合意の結果が報告をされている。  地方協議さえしてないものを一方的に政府与党合意したといって、後日、地方に報告するというこの三位一体改革の進め方は、何度も出てきております、地方意見を聞きつつ議論を進めるとする骨太の方針、そしてまた地方意見を真摯に受け止めるとする小泉総理発言に反するのではないでしょうか。大臣の御見解を伺いたいと思います。
  22. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 生活保護児童扶養手当をめぐる公式な協議会というんですか、そういう場は、もちろんマスコミも入り、全体にオープンな形でやらしていただいてまいりました。一方で、私と知事会代表者、それから市長会代表者皆さん方が、例えば知事さん自ら私のところへ足を運ばれたり、また官邸に六団体代表者が来られて大臣と話合いをすると。そうした場、幾つのものを経ながら最終的な結論に至ると。舞台の設営としては生活保護児童扶養手当を一年間にわたって長い間議論してきたと、議論してきた中で児童扶養手当児童手当の率の整合性というものについて意見が合ったということだけは事実でございます。
  23. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 今の御説明では、その児童手当について十分な協議が行われた、地方意見を尊重したということにはならないのではないかと思うんですが、そもそも伺いますが、そもそも。  三位一体改革を推進することによって地方にどのようなメリットがあるのでしたでしょうか。大臣、お願いいたします。これ、総務大臣がいいですか。それとも川崎大臣、どうぞ。どちらでも。
  24. 山崎力

    ○副大臣山崎力君) 三位一体のそもそも論ということでよろしいかと思うんですが、これは簡単に申せば、地方にできることは地方にということで、地方への権限を移譲していくと、国の関与を縮小していくという中で、全体として国、地方の行政のスリム化を推進すると、こういうことでございまして、そこのところで問題となるのは当然お金の問題があるわけですが、そういうことを改革の中の金銭面でいけば三兆円の税源移譲と、それに四兆七千億円の補助金改革と、こういうことで今までさせていただいているわけでございます。  そういった意味で、今いろいろな御指摘あるわけでございますけれども、一応そういった意味で、地方移譲された、移譲という言葉が適当かどうか分かりませんが、移された予算面において、地方自らが創意工夫責任でいろいろなことをやっていけると、そういうふうなことができるというふうなことを考えますときに、いい方向でこの三位一体改革は進んでいるのではないかというふうに認識しております。
  25. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 地方が自らの責任で自主的、効率的に選択できる幅を拡大すると、地方自由度を高める、で、本当に地域の実情に合った政策が進められるということに本来の目的があったと思うんですけれども。  それでは、伺いたいんですが、今回のこの児童手当国庫負担見直し地方自主性、そして裁量性にどう寄与するのか伺いたいと思います。児童手当ですから厚生労働局長
  26. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 児童手当は、そのものは現金給付事務でございますから、直接的に自治体裁量して支給をしたりしなかったりということにはならないと考えます。ただ、この三位一体改革全体の改革趣旨の中で、児童手当もその三位一体改革趣旨が実現されるものであるというふうに考えております。
  27. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 済みません、全然それ答弁になってないような気がするんですが。  まずは、地方裁量拡大につながるものではないということはお認めになってるんですよね。それをまず一つ確認さしてください。
  28. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) その現金給付事務自体が直接裁量拡大するということではないと考えます。
  29. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 で、その結論によって。ということは、何も、三位一体改革趣旨に照らし合わせて、この今回の三位一体改革法案の中に児童手当負担割合というものを入れるその何か理由が全然見当たりませんけれども大臣、いかがですか。
  30. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほどから申し上げましているとおり、一つは、生活保護費児童扶養手当適正化という問題について議論をしてまいりました。  一方で、地方自治体から、厚生労働省からこういう財源を地方側に移していただきたいと、こういう御要求がございました。それに対して、私どもは、例えば難病治療、例えばSARS対策障害者自立支援法、四月一日から動いていく中で、地方一体性地方と国、国全体の一体性を担保するために、そういったものについてはなかなか難しいですねというお話をさしていただく中、先ほどから申し上げている知事さんや市長さん、いろいろな議論の中で児童扶養手当については就労支援という切り口の中で地方が果たす役割は極めて高いと、こういう御判断の中でこの問題については合意に達したと、先ほどから申し上げているとおり。その中で、三位一体改革全体で介護施設施設整備費給付の問題、これは給付の問題もある意味ではくっ付いていく話でありますけれども施設整備費給付一体のものですよという形で、給付も実は合意に至ったわけでございます。  そういう意味では、児童扶養手当児童手当というものを合わせて一体の中で今回合意に至ったと、こういうふうに理解をいたしております。
  31. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 済みません、児童扶養手当児童手当一体としてここに入れる、直接的には児童手当国庫負担割合を変えても地方裁量性自主性拡大するというその本来の三位一体改革メリットはない。ないが、しかし、児童扶養手当児童手当一体のものとしてここに入れる、その理由が私にはどう考えても理解できないんですが。  じゃ、ちょっとお聞きしますけれども先ほどからお述べになっていらっしゃいます生活保護児童扶養手当については、保護率の上昇及び児童扶養手当の増加と地域間格差を指摘をされておりますね、厚労省は前々から。その実施主体である地方が積極的に就労支援等に取り組むよう地方責任役割を重視する観点から、国庫負担率を引き下げることをこれまでも強く主張されておりました。  一方、その児童手当の場合はですよ、少子化対策に積極的に取り組んで児童が増加する自治体ほど負担が増すことになるんですね。すなわち、その政策効果としては少子化対策に逆行するんじゃないんですか。
  32. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ですから、そういう切り口もあるでしょうと。一方で、先ほどから申し上げているとおり、児童扶養手当の率と児童手当の国からの負担率というものが違うということについては整合性が欠けますねと、こういう御指摘いただきました。  私どももやはりそうなんだろうなという議論の中で詰めてきたということで、最終的には知事さんと市長会代表者方々、六者の方々合意に至りました。三位一体改革議論の中で詰めてきて、地方と国が合意に至った案件についてまとめて法律として御提案をさせていただいているということでございます。
  33. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 児童手当の場合は、協議をして問題を整理して合意に至ったというのは到底言えないと思います。  先ほども申し上げたとおり、児童手当について言及があったのはさっきの、議事録でいえば先ほど部分だけなんですよ。これをもってして児童手当国庫負担割合を変えることは地方と十分協議してそして合意に至ったと言うのは、これはちょっと言い過ぎというか、昨日も参考人の中からだまされたという表現もあったわけですけれども、そう言われても仕方ないんじゃないですか、大臣
  34. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 会合出席された六団体の長の方がそういうふうにお考えになるんでしょうか。いろいろな議論をしてきて、我々大臣も何回かその場に呼ばれて議論をしてきて、最終的にこういう形でまとめましょうということで御提案をさせていただいて、六団体の方もそれは受け入れます、結構でございますというお話があったと。正に国の代表者地方代表者合意をしたことでございますから、六団体の方が今のような発言をされるとは私は思っておりません。
  35. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 その発言でございますけれども、昨日、坂本委員が、昨日の委員会参考人質疑の中で、前宮城県知事浅野参考人に対して、まあ手元に速記録がまだでき上がっていないものですからこれは正確性を欠くかもしれませんが、御趣旨といたしまして、最終的な国と地方協議の中で、生活保護を取るのかそれとも児童手当を取るのか、その選択肢を示されて、児童手当の方を地方側が選択したんだというふうな、とも受け取れるような発言をされたわけですよね。  先ほど局長の方からも、済みません、議事録がないものですから精査できてないんですけれども、昨日の委員会でその発言、それから浅野宮城県知事とのやり取りを聞いていますと、何というんでしょうか、国の側がそういうふうに迫ったというか、どちらを取りますかというふうに迫ったということが何かあったのかなというふうに何か感じたんですけれども、これは私のあれでしょうか。それとも、先ほど局長も、まあ裏ではみたいな話があったんですけれども、そういうことで地方に迫ったんでしょうかね。いかがですか。
  36. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 浅野さんが六団体の中でこの交渉のどういう役目をお務めになったのか私はよく分かりません。交渉相手代表の福岡県の知事さんでございましたし、金沢の市長さんでございました。こういう方とお話をしていた中での話でございまして、一方でそれぞれの知事さんが、この三位一体に対して様々なお考えをお持ちになっていることは事実でございます。様々な御意見をお持ちになっている。しかし、最終的に取りまとめるということになれば、その団体の長の方がそれぞれの責任を持って協議の場に臨まれると。私も厚生労働省代表してその協議の場に臨んでいくと。その協議の場が、先ほど申し上げたようにすべてオープンにして生活保護児童扶養手当議論を十回、十数回でしょうか、議論をしてきた場と、それからこの三位一体改革をめぐって様々な議論をお互いにしてきたと。そういう場は何回もありました。その結果として六団体方々と我々がお互いにこれでいいでしょうという合意に至ったわけですから、また、法律自体もその合意に基づいて提出をさせていただいていると、こう申し上げているわけです。
  37. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 本来、三位一体改革趣旨からいたしますと、まず地方団体から要望のありましたその補助金の改革についてなされるべきだったと思います。で、その地方案に沿った補助金改革に関しましては、全体の一二・一%しか盛り込まれませんでした。地方裁量自主性拡大に資するという本来の目的からは、結果として今回の三位一体改革というのはその目的から逸脱したものになったというふうに思われます。  大臣は、私の昨日の本会議の質問に対しまして、今後とも地方との信頼関係を大切にすることを基本に行政を進めてまいりたいと考えておりますというふうにおっしゃったわけですけれども、私は今回、地方の信頼を大きく裏切ることになったのではないかと思います。  で、今後の方針について伺いたいんですけれども、今回は一二・一%しか地方意見が入れられなかった。これが地方意見を十分尊重するということに果たしてなるのかどうか非常に疑問でございますけれども地方への税源移譲ということが真の地方分権にとって必要であるということは論をまたないところだと思いますが、平成十九年度以降どのように進めていかれるのか、今後の方針を伺いたいと思います。
  38. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今回の改革は、小泉総理のリーダーシップの下、数字が先に示されました。このやり方についていろいろございます。しかしながら、今公務員の数の削減についても、自民党も民主党もお互いにまず数を先に出して、それへ目標に向かって進もうと、こういうことをやっておりますので、そういう意味では、手法としては当然あるべき手法なんだろうと思います。  結果として、正直、それぞれ担当の部署の人間から見ますと、この補助金についてはこういう意義がある、こういう政策についてはこういう意義がある、したがって国がすべてやるべきだと、こういう議論をしがちでございますけれども、そこは先ほどからのお話のとおり、六団体と十分な話合いの上で最終決着をして三兆円という税源移譲を成し遂げたと、このように考えております。  ただ、お互いのこの議論の中で、例えば先ほど申し上げました、委員会でも随分御質問いただきました、この二か月の予算委員会でも、難病治療というものを地方にお渡しするんですか、がん対策についてはこれから国がきちっとやってもらわなきゃならないじゃないですかと、こういう御質問が出ていますように、地方の御要求も少し粗かったな、私はこう思っております。本当に現場の声を聞かれてお詰めになった我々への要求であったのかなと、こういう気もいたしております。  したがって、やはりお互いに理念というものをきちっと詰めた上でやっていかなきゃならない。基本的には、まず国が責任を負うべきものはどういうものであろうか、また地方にはどういうものを移譲していくことがいいんであろうかなということをもう少し私どもは詰めていきたいなと、こんな感じを持たしていただいております。  今回の総理のリーダーシップによって進めてまいった改革、次の段階を迎えますときに、もう少し理念的なものを詰めたいなという思いを私自身は持っております。
  39. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 理念なき三位一体改革であったということを大臣自身がお認めになったと。非常にこれは大きいことだというふうに私は思います。  地方自治体の中には県レベル、市レベルで、特に、児童手当の話を今してきましたので、子育て支援策というのは非常に斬新なものを展開しているところが多いんですね。私も参議院に来る前は実は、たった二年間でしたけれども、町会議員をいたしました。国から来るいわゆる交付金なりひも付きの補助金というものが、その地方で本当に実情に合った子育て支援策を進めていきたいと地方が思っても、それが逆に邪魔になってできない、何で国がこういうことをやっているんだろうという思いがございました。少なくとも、このことが多少は改善されるべきであったろうと思いますが。  ちょっと時間もないので次の質問に行きたいと思うんですけれども、今、理念なき三位一体改革と言った後で理念のことを聞くのはちょっと気がとがめるんですけれども、そもそも、今日は民主党の提案者も来てらっしゃいますし、まず対比させていただくという点においても、児童手当法の理念そして目的をまず、局長で結構でございますが、伺っておきたいと思います。
  40. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 児童手当制度の理念でございますが、目的、理念でございますが、児童手当制度は、児童を養育する家庭の生活の安定と児童の健全育成に資することを目的としております。そして、次世代育成支援対策の重要な柱の一つであると認識をいたしております。  以上でございます。
  41. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 昨日の本会議でも指摘をさせていただきました。これまできちんとした今の時代に合った児童手当というものの理念、目的というものが改めて見直されて、そして拡充を図る、必要な拡充を図るなら図るということでやらなければならなかったと思います。いろいろな経緯があってこういうことになってきたということだろうと思うんですけれども。  続けて伺いたいんですが、今回の改正では支給対象年齢について小学校修了までとあるわけですけれども、その支給対象の根拠は何でございましょうか。
  42. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今回の拡大に当たりまして、支給対象年齢、小学校修了前までとしたわけでございますが、この根拠についてでございます。  子育てに関する様々な調査におきましても、児童手当など子育て家庭に対する経済的支援についての要望が常に高くなっているところでございます。今般の児童手当の拡充に当たりましては、特に小学生までは基礎的な生活能力を身に付ける重要な時期でございますし、その時期は親の年齢も若くて、収入や母親の就業にも制約がありますというようなこと。それから、拡大に当たりましては、受給者側にとって支給期間の継続性ということも重要である、それから一方で財源ということになりますと厳しい財政事情もあると、こういったようなことで、総合的に勘案いたしまして、小学校修了前までの児童のおられる御家庭に対して優先的に支援を行うということにしたわけでございます。
  43. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 一昨年の児童手当、参議院選挙の直前の児童手当の拡充についても、その政策的な、政策の、その何というんですか、効果というものについて科学的な検証がされたのかどうかということが議論になったんですけれども、そのときは坂口大臣はそういう検証がなされていないということで、今の局長の御説明ですけれども、その何となくお金の何とか都合付く範囲で少し広げましたと、やった、やった、拡充しましたというふうにしか聞こえないわけなんですが、じゃ、支給対象年齢についてはそうだということなんですけれども給付額についてはどうなんでしょうか。
  44. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 児童手当の支給額につきましては、制度創設時はおおむね児童の養育費の半額程度を目安に、第三子以降の児童につきまして月額三千円と設定されたわけでございます。その後、第一子まで支給対象を広げることになりましたけれども、第一子、第二子の額は子供の数が少ない御家庭ではその家計に占める養育費の割合が低いことから、第一子、第二子については第三子以降の半額とされたわけでございます。支給額につきましては、以来適宜見直しが行われまして、平成四年より現行の第一子、第二子は月額五千円、第三子以降一万円となっているところでございます。  児童手当制度は、児童養育家庭の家計負担の軽減を図るものではございますが、その養育費の全額を支給するものではなくて、その一部を軽減することによって、国や社会が次代の担い手である児童の養育について応分の寄与をしようとする制度でございます。こうしたことから、今回の改正に当たりましては、支給額ということは見直さずに、支給期間の延長ということに優先順位を置いたということでございます。
  45. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 優先順位ということだったんですね。  それで、先ほど民主党の議員立法に対しての発言訂正を求めたわけですけれども、私、児童手当に限らず、子育て支援についての理念、目的というのは非常に重要なことだと思うんですね。  民主党の方の提案者に伺いたいんですけれども、まず、先ほどのその文言の修正について、児童から子どもに変えたということについては、これは非常に重要な点だと思いますので、昨日、まあ非常に不適切な他党からの発言もありましたし、そのことについて提案者に御説明をお願いをしたいと思います。
  46. 神本美恵子

    委員以外の議員神本美恵子君) お答え申し上げます。  我が党が提出しております子ども手当法、この名称が児童手当ではなくて子ども手当といたしましたところにその目的趣旨とも合致するんですけれども、そもそも我が国も批准しております子どもの権利条約、まあ政府訳では児童の権利条約となっておりますけれども、これは批准の際にも国会で様々な議論があったところでございます。  で、その権利条約によりますと、これは非常に我が国の子育て支援にもかかわりまして、大きな発想の転換を迫られた条約でございます。子供は、児童生徒は保護の対象ではなくて権利主体であると、子供は主体であるというとらえ方がこの権利条約でございます。  で、これを批准しております我が国とそれから我が民主党としましても、党の政策としてチルドレンファースト、子供を主体とした子供第一の施策を考えるべきだということで、この法案につきましても子ども手当という名称を使わせていただいております。  そのことをより明確にするという意味で、保護者の児童の養育に係る経済的負担の軽減を図るとともに、それだけではなくて、子供自身の成長及び発達に資するという、子供を主体として、目的の中にそれをより明確にするためにそういうふうに書いた法律として提出をさせていただいたわけで、これは党利党略とかそういうことではない、より我が党の政策を明確にしたものであるということを御理解いただきたいと思います。
  47. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 ありがとうございました。  で、その支給対象を十五歳以下の義務教育終了前としたその御趣旨についてはいかがでしょうか。
  48. 神本美恵子

    委員以外の議員神本美恵子君) 子ども手当を何歳の子供まで支給するかということについては様々な議論があるところですけれども手当額の水準、所要財源、それに対する財源措置というような問題、我が党としましてはヨーロッパ諸国なども調べさせていただきまして、そういう子ども手当の状況などを勘案しまして今回の提案内容、十五歳以下、義務教育終了前の児童というふうにさせていただきました。  なお、子供といいますと十八歳未満というふうに国際的にも定義付けされておりますけれども、高校生や大学生の子供を養育する者については、希望者全員に対する奨学金の無利子貸与、私立学校通学者に対する授業料の直接補助その他の措置によって、別途支援をしていきたいと考えております。
  49. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 そして、今回の法案では、子ども手当の月額は一人当たり一万六千円というふうにされていますけれども、この額の根拠についても伺いたいと思います。
  50. 神本美恵子

    委員以外の議員神本美恵子君) 子ども手当の月額でございますけれども、この支給は、先ほども申しましたように、子供の養育に係る経済的負担の軽減を図ることを目的の一つとしております。  手当の月額については、所得税の配偶者控除、扶養控除等の改廃による税の増収分による支給することができる額ということをベースにいたしまして、諸外国の支給額も参考にして検討をした結果、子供一人当たり一万六千円を支給することとしているものでございます。
  51. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 それぞれ政府案、それから民主党案、今御説明をいただきました。  ここで、川崎大臣に子育て支援に対する経済的支援の在り方についてお考えをいただきたいと思うんですけれども、現在の我が国における子育て家庭への経済的支援制度としては、扶養控除等による税制上と、そして今ほど話題に、議題になっております児童手当による現物給付というものが併存をしているわけでございます。  で、扶養控除というのは、扶養する児童の人数に応じて所得から一定の額を控除するために、課税最低限以下の所得の低い家庭には効果がない、そして所得の高い家庭に有利に働く、そしてまた、税制上の措置であるため目に見えにくい制度でもあります。  一方、児童手当は、児童の人数に応じて定額で支給される制度となっているため、国民にとっては分かりやすい、そして所得の低い家庭ほど家計に与える効果が大きいということで、諸外国の例を見ても社会保障による児童手当給付を採用する国が多いところでございます。  そして、前回のときにも問題になったわけですけれども、その政策効果ということについてその分析をきちんとした上で、私は筋の通った対応をすべきではないかというふうに考えておるところでございますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
  52. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、経済的支援だけを充実したらどのぐらいの数字、すなわち出生率上がるのかという計算は、正直難しいだろうと思います。それは、前からお話ししているように、ドイツの例を取りましても、極めてフランスより高い児童手当制度を持っておりますけれども、現実は、我が国同様一・三という出生率の中でドイツ自身も悩んでいる。フランスは、やはり保育なりまた雇用の問題なりきめ細かい施策が行われていると。したがって、一つの施策をもってどのぐらい効果が上がるんですかという算定はなかなか難しいなと言わざるを得ない。  しかし、一方で、いろいろな施策を組み合わした上で、我が国はどうするんですかということは私はそろそろ考えなきゃいけないんではなかろうかと。要は、支援というものだけでこれから議論をしていっていいのか、支援の結果というものをどこに目標を置いていくかというのは実は大きな議論をしなければならないんだろうと。今までは実はそこのところは欠いていました。そこはどうするかと。正に、与党の中でも大きな議論だろうと私はまず思っております。  それからもう一つは、民主党の案との対比で申し上げれば、やはり企業が責任を担う面はあるんだろうと、こう思っております。現実に今、森委員は二つと御発言ありましたけど、私は三つだと思っているんです。税制の支援と国、地方による児童手当、これに企業の負担も一部入っています。一方で、企業は独自に、また公務員の皆さん方もそうでありますけれども、妻の扶養手当、そして子供に対する手当をもらっております。  フランスは、また諸外国は、イギリスも含めて、これを一括してまとめたということの中で成り立っている。したがって、フランスでは制度を維持していくために企業に五・四%上乗せをして徴収をしておると、それによってやっています。しかし、一方で、企業が払う児童手当というのは、子供手当というのはなくしていると。したがって、この三つをどうするかという議論を進めなきゃならないんだろうと。  で、私の立場からいえば、一つにまとめるのも案だなという感じはします。しかし、一方で、税制をしている人たちからいえば、いや、税額控除の方がいいよと、見えるという形になれば税額控除も見えるんじゃないかという意見もある。そこは正にこれから様々な議論をしながら、今我が国は税制と、それから国、地方による支出、それから企業の支出、三つによって経済的支援がされている。これをどう考えていくか。特に、企業が出しているものを我々がこうやりますよと一気に決められません。したがって、企業の皆さん方ともしっかり話していかなきゃならない。しかし、私は企業が負担が全くなくなるというのは必ずしも賛同はできないと、こう思っております。
  53. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 私も、その企業に対して、こういうことに対する責任を何も負わなくていいんだという意味でこの民主党の案が出されているとは思っておりません。  で、民主党の提案者に伺いたいんですけれども、厚生保険特別会計の児童手当勘定を廃止する理由というのをお聞かせいただけますか。
  54. 神本美恵子

    委員以外の議員神本美恵子君) お答えいたします。  この児童手当制度においては、その財源は国庫だけでなく厚生年金保険の事業主等からの拠出金もございます。政府の経理を明確にするため、厚生保険特別会計における児童手当勘定で経理されているところでございます。子ども手当制度におきましては、子ども手当の支給に要する費用の全額を国庫で負担するので、この厚生保険特別会計の児童手当勘定という形で経理する必要がなくなったため、これを廃止することとしております。
  55. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 私は、企業の責任が軽くなる必要はないと思っております。民主党の提案は、理念に沿ってこのような対応が取られておるというふうに思っているところでございます。  実際、先ほどの税額控除の話なんですけれども、私もずっと確定申告を自分でしてまいりまして、確定申告をすると、どれだけ控除されているのかとかいろんなことが分かるんですが、普通、サラリーマンはやっぱり分からないんですよ、もう源泉徴収でやっていますからね。だから、そういう意味で、これは税制全体の問題ですけれども、もっとやっぱりシンプルに、だれが負担をして、そしてその負担したものがどのように使われているのか、みんなが本当に必要としているところにきちんと無駄なく、そして公正に使われているということをもっと明らかにしていく、そういう政策に全体としてやっていかなければいけないということだろうと思うんですね。  先ほど大臣の方から、経済支援だけではない、もっと総合的にというふうなお話でございました。私もそういう意味においては大臣のお考えに同感でございますが、ここに「希望格差社会」という本がございます。これは東京学芸大学山田昌弘先生、かつてパラサイトシングルという言葉を世に送り出した先生でございますけれども、ここに、先生も厚生労働省からの研究委託等も受けられて様々なところで発言をされていらっしゃいますけれども、この本の中に「ガダルカナルの教訓」というのがあるんですね。山田先生は「少子化対策のシンポジウムで、「ガダルカナルの教訓」を例に引いたら、」、ここちょっと引用させてください、「多くの人はきょとんとしていた。」とあります。「太平洋戦争中、南方の小さな島をめぐって日米が争奪戦を繰り広げていたとき、日本軍は、戦力を小出しにしては各個撃破されて、敗北してしまった。それに対して誰も責任をとらなかったというのも付け加えておこう。厚生労働省が打ち出す少子化対策は、方向性や各施策は間違っていないのだが、なにしろ小出しにしているという印象である。」と。  私も同感でございまして、いろんな施策がいろんなところからやられているわけですけれども、これをもっと総合的に、本当に緊迫感を持って、少子高齢、人口減少というのは避けられないのかもしれませんけれども、しかし少しでも少子化のスピードをダウンさせるということは非常に今重要だと思っているんですね。そういう意味で、私はもっとスピードアップして、しかも、先ほど大臣がおっしゃったように、もっと全体を見渡して、本当に少子化対策政府がもう本当に全力を傾けてやっているというふうに言われるようにならなければならないと思っております。  何か一言ございましたらお願いします。
  56. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 委員の御指摘どおりだと思います。そういう意味で、与党も猪口大臣を中心にしながら六月までに基本的なものをまとめようと。特に保育の問題、それから児童手当の問題、だんだん理解も進んできたし、政策も進んできたと思っているんです。しかしながら、雇用の面からなりますと、例えば最近の課題の中で、結婚をする人たちが少ない、結婚をして子供を産む数が少ない、この二つが要因になっておりますけれども、結婚の阻害要件の中に若者の就職、雇用というものが大きなウエートを占めていることは間違いないだろうと、こう思っております。そこへあわせて女性の雇用という問題もかみ合いながら、経済界全体にもやはり理解を求めていかなければならないと、このように思います。  そういった意味で、私、昨年の暮れに我が国は人口が減りますよということを発表させていただいた。例年なら一月一日に発表するんですけれども、一週間早めて、やはり人口減少社会にもう入ったと、もう後がないですよと、今政策を打たなければという一つのシグナルを上げさしていただいたと。そういった中で、国民的な議論が高まり、そして各党からも様々な施策が御提案いただいていると。大変いい話だろうと私は思ってるんです。そして、そういうものが、議論をだんだんだんだん高まっていって、国民的な議論として一つのものがつくり上がっていく。そして、そこには当然負担というものが付きまといますから、負担に対する御理解をどういただいていくかと。特に政策を進めていく与党の立場からいきますと、問題は原資をどこに求めるか、しっかり議論しながらやっていきたいと、このように思っております。
  57. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 ありがとうございます。  時間も少ししかなくなりましたので、経済的支援だけではなくて、ワーク・ライフ・バランスということについてもきちんとした体制が整えられる必要があると思うんですけれども。  育児休業制度改正後の状況について伺っておきたいと思うんですけれども、平成十七年四月より一定の要件を満たしたパートや派遣社員などの有期雇用者も育児休業が取得可能となりましたが、対象となるための要件、そして該当する有期雇用者、すべての有期雇用者のうちに占める割合、そして改正法施行後、実際に育児休業を取得し休業給付を受けた者の実績等、局長から簡単に御答弁いただけますか。
  58. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 前回の育児・介護休業法の改正によりまして、新たに期間雇用者で一定の要件を満たす方も育児休業が法的な権利として取ることが可能になったわけでございますが、その主な要件は、同一の事業主に引き続き雇用された期間が一年以上あること、それから子供が一歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれること、そしていわゆる二歳に達する日までに明らかに労働契約期間が満了するようなことがないというようなことの要件を満たす方でございます。これは、育児休業を可能にすることによって雇用の継続が見込まれると考えられる労働者については、有期雇用者であっても休業の対象とするという考えにのっとったものでございます。  全有期契約雇用の労働者、期間雇用者の中で何%かということについては把握が困難でございますけれども、昨年四月から本年一月までの間に育児休業給付を申請して受給資格が確認された期間雇用者の数は千八百三十人でございます。期間雇用者以外の、つまり常用労働者で受給資格が確認された方は九万五千人余りでございますから、一割強ということになるかと思います。
  59. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 やっぱり仕事と家庭の両立というのは本当に難しいということでございますが、近年は非正規労働者が増加して、出産適齢期にある女性パート労働者の層も増えておりますし、改正育児休業法によって有期雇用者の育児休業取得が可能となり、少子化対策としての効果が期待されるところなんですけれども、今御報告がありました、実際どのくらいのパーセントなのかは把握できないというふうな御答弁もあったんですけれども、現状を見ますとかなりいらっしゃるんじゃないかというふうな感じがあります。その中で一割ということですので、非常に少ないなと。  私は、さきの改正が有期雇用者、期間雇用者の育児環境の改善にどの程度効果があったかを検証し、そして必要に応じて見直しを行っていくべきではないかと思いますけれども、これを最後に伺って、質問を終わりたいと思います。
  60. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 済みません、御答弁の前に一つ。先ほどの計算を間違えました。一割強というのは少し多いと思います。恐れ入ります。一割強には達しておりませんので、そこは訂正さしていただきます。  それから、今後の期間雇用者の取得状況についての検証でございますが、来年度には法改正一年経過後の実態調査を行う予定としております。この期間雇用者の育児休業制度の在り方につきましては、こうした調査をしっかりとして法の施行状況を把握し、必要に応じて適切に対処していきたいというふうに考えております。
  61. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 ありがとうございました。
  62. 下田敦子

    ○下田敦子君 民主党・新緑風会の下田敦子でございます。よろしくお願いを申し上げます。  今、森委員の御質問、それから大臣始め各位の御答弁を拝聴しておりまして、本当に本当に国民が行政、政治に一番強く望んでいるものはやっぱり生活の安寧だなと。そしてまた、生活関連テーマが今や政治の主流になっているのに、この国のそういう判断が大変まだ薄いのではないかと、大臣の日ごろの御苦労を拝察しながら今承りました。  さて、私の質問でございますが、まず第一に、このたびの三位一体改革、税制改革に伴いまして児童手当について国と地方公共団体負担割合、それからその他、地域における公的介護施設等の計画的な整備についてお伺いいたします。  三位一体というのはここ二、三年の間に随分耳にいたします。ザ・トリニティーという言葉を、私は率直に申し上げまして恐れ多くも聖書の中から引用されてきたというこの不自然さを常に覚えながら考えております。それから、二〇〇〇年に地方分権一括法施行になりましたが、地方から見ますと、課税権の分配等から見れば見るほどこの三位一体改革というのはほど遠いものがあるなというのが実感でございます。なぜ四兆円の補助金削減なのか、なぜ三兆円の税源移譲なのか。目的達成のためにこのたびの運びはどうであるか。これを大臣のお立場から、社会保障サイドから、厚生労働省はどのようにお考えか、御所見をちょうだいいたしたいと思います。
  63. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、厚生労働省が国の予算の中で多くを占めます。七十九兆円の予算に対して二十一兆円の予算でございますので、大変大きな部分を占めている。したがって、ある程度の目標額が決まりますと、我が省がそれを担っていかなきゃならないと。すなわち、社会保障分野で地方移譲できるものをしっかり考えろと、こういうテーマになることは事実でございます。  一方、我々が一番悩みますのは、厚生労働省がやっていた施策はやはり地方一体となりながらやってきた施策が多い。もっと言えば、国と地方がそれぞれ役割を担いながらやってきた、すなわち重層的にやった部分が多いものですから、これを完全に移譲してしまえという議論になりますと、いろんな問題が出てまいります。後でも例えば公立の保育園の問題とか、いろいろ出てまいります。こういうのを移譲したときに地域で、税源も移譲するわけですから当然施策は実行されていかなければならないんですけれども、当然それは地方自治体判断にゆだねられることになりますので、今までやってきた施策とは変わってくることになります。もうこれは変わることを期待して移譲するわけですから。したがって変わってくると。  その中で、今まで進めてきた例えば保育の対策等、新しく移譲した結果どのようなものになってくるかということについていろんな意見が寄せられてくることになると。我々の立場からいえば、これは移譲したものでありますから地方自治体が当然やってくれるものでございますと、こういう答弁をするんですけれども、一方で、厚生労働行政、社会保障全体を預かる者としてはどういう進捗をするかをしっかり見ていかなきゃならぬなということも事実であろうと思います。  そういった意味では、今回の一つの試みの中で大きな三兆円という税源移譲がなされた。これは多分、小泉さんじゃなきゃできなかったと思います。なかなか官僚はやっぱり理屈を付けますからね、いざとなると理屈付けますからなかなかできない。それは、小泉さんの大号令でできたことは事実だろうと。しかし一方で、様々な移譲したものに対する意見というものは、厚生労働省、いろんなところに耳が入ってまいります。そこはしっかりフォローだけはしていかなきゃならぬなという感じを私ども受けているところでございます。  特に、地方が一番期待をし強く要求してまいりました施設整備費という問題について、厚生労働省が思い切って踏み込みました。これは財務省の考え方と、特に総務省かな、総務省はいなくなっちゃったか、総務省との考え方にかなり乖離があった、特に公共事業ですから。乖離がありましたけれども、そこまで踏み込んで、ただし給付一体でやってくださいというところまで持っていったと。これは随分地方からも支持をされていることであろうと思います。しかし一方では、地域団体から、本当に県はやってくれますかという声が掛かっていることも事実。  ですから、政策というのは、一つの決断をしてやったときに、後のフォローをきちっとやれますかというのが私は大事なんだろうと思います。したがって、三兆円の税源移譲はした、そして様々な改革がされると。しかし、それが本当に私どもが進めてきた社会保障の理念に沿って、きちっと地方、国、特に地方が担いながら期待どおりやっていただきたいという期待感も込めながら、一方で、先ほどから申し上げているとおり、ウオッチはしていかなきゃならぬ、また国会のそれが役目かなと、こんな思いもいたしています。
  64. 下田敦子

    ○下田敦子君 今の施設整備に関しましてはまた後ほど申し上げさせていただきますが、私はエッセンスを拝見いたしまして、大変微に入り細に入り細かい施策をこのたび打ち出されたなと、私はそういうふうに拝見いたしました。  まず、この三位一体についてなんですが、私はニュージーランドの行政改革を見まして大変感ずることは、やっぱりアングロサクソン・スタンダードだなと思いました。御案内のとおりのああいう巨大開発のツケが回ってきて、そして外国資本に押さえられて、思っても見ないような、例えば郵政民営化も一つでありますが、ある意味での失敗。そのツケが国民のどこに回ってきたかというと、社会保障と医療制度、これに来た、一番影響を受けたのがまず第一であります。これ時間がありませんので、この話をするとまた長くなってしまいますから、これは私の私見にとどめて前置きとさせていただきますが。  大臣の御苦労はよく分かります。また、厚生労働省のお考えもよく分かるのですが、私はこれに号令を掛けておられる小泉さんが、東京都も地方ですし神奈川県も地方です。しかし、この青森県という地方、東北という地方、あるいは九州、沖縄、これらを考えたときに、横須賀とこの永田町を行き来する間に、月に一回でもいいから地方を少しズックを履いて御視察をなさる総理が私は願いです。実に地方にそういうことができているのに余りにも違う。  そこで、もう一度伺いますが、ただいまの御答弁の中で、この三位一体の補助金の削減あるいは地方への税源の移譲地方交付税の削減等ありますが、大臣は十分だとお考えですか。
  65. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これは総務省が苦労されるんだろうなと思います。  というのは、税源移譲という問題になりますと、かなり小さな施策、例えば五十億、百億オーダーの施策も地方政策と同時に移譲しています。それを本当に税源としてうまく割り振れるのかなと、こういう感じはいたしています。そこは総務省に期待したい。  実は、今年の雪で、雪下ろしの予算、何とか厚生労働省ならぬかという御下命を各所からいただきました。実は数年前にもう地方税源移譲いたしました。こういう問題になりますと、雪の降る地域と降らない地域がある。こういうものをどうやってバランスを取りながら、総務省さん御苦労されているだろうなと思いながら、一方で、残念ながらそういう、こういう災害時に手の届くような施策はだんだんだんだん国としてはなくなっていくなと、知事さんの判断でやってもらわなきゃならぬ時代を迎えたなという感じは受けているんです。ですから、青森県というお立場からすると、相当大変だなと、総務省の今、副大臣がちょうど青森でございましたんで、御苦労されているだろうなという感じを受けていることは事実でございます。  ただ、阿部委員の御答弁で申し上げたわけですけれども、分権というものを進めれば進めるほど、地方の中でも差が開いていくということは事実であろうと。そこをどこまで分権の中で和らげながらやっていけるかというのが政治の一番これから大きな課題と、こう考えております。
  66. 下田敦子

    ○下田敦子君 雪が降っても厚生大臣は心配されるということを今初めて拝聴いたしました。雪が降るのは北海道も降るんですが、今日、山崎大臣が帰られましたのでちょっと残念なんですが。  そういう意味では少しおかしいなと。おかしいというのは、その所管がなぜだろうというふうに今思いました。そういう意味もありますが、持っている各自治体の力における開きが出るということは、大変今御示唆をいただきましたけれども、本当にそのとおりだと思います。  さて、じゃ二番目のお尋ねでありますが、これは大臣がお出ましの場だと私も記憶しておりますので、ただいま森委員の質問と重複はいたしますが、御所見を伺いたいと思います。  昨年の十一月の二十九日だったと思いますが、関係閣僚の協議生活保護費の取下げ、その代わりに児童手当児童扶養手当を削減する内容を出した経緯について、前段伺いましたので本当にもう一度伺いますのもあれなんですが、再度お伺いいたします。  それから、地方自治体から、その話合いの場がなかったということはよく聞くわけです。本県の知事もそうでありましたが、また昨日お出ましの浅野知事もちょっとそういうお話がございました。この点についてもう一度お伺いいたさせていただきます。
  67. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 生活保護費児童扶養手当適正化の問題につきましては、石川県知事さんと金沢市長さんが代表して六団体からお出になった。そして、先ほど申し上げたように、三省がその場に出てずっと議論をしてまいりました。先ほど申し上げなかったことから申し上げますと、金沢じゃないな、金沢は、ごめんなさい、市長会の会長でございました、高知の市長さんがお出になって議論をしてまいりました。  その中で、私の方から少し申し上げたのは、我が国の、先ほどの課題につながるんですけれども地方分権というのはどういう方向を目指すんでしょうかと。フランスという中央集権国家ならば、生活保護というのは当然一〇〇%国でやる、こういう倣いになるだろうと。逆にドイツという分権国家ならば、当然州がその責任を担うと。我が国は四分の三、四分の一、そういう意味では、先ほどから申し上げている、重層的に役割を果たしてまいりましたと。さあ、これをより地方へ財源を移譲しながらやっていくというスタンスに私どもは立っていると。一方で、いや、これは国がすべてやるべきだという御主張の中での様々な議論がございました。  しかし、私の最終判断としては、やっぱり地方の皆様方がいろいろなものを、形の中から、不安を感じているものを無理して押し付けるということについてはしない方がいいだろうと。これは官房長官と私とで最終的には決めたわけでありますけれども、しない方がいいだろうという結論に至りました。  したがって、知事さん、市長さん、これは福岡県知事さん、金沢の市長さんの方々でございますけれども市長会知事会代表皆さん方とこの問題については私どもは、いろいろ議論ありますけれども、今回は見送らせていただきますという話をして、一方で、児童扶養手当についてはいろいろな議論の中で、就労支援という切り口で何とかお願いできないかと、こういう形でしましたときに、実は思い切った提案もあったんです。それじゃ全部やりましょうかと、一番分かりやすいと、国から全部移譲して全部地方で担おうかと、こういう議論もありましたけれども、一方で、法務省というサイドからいきますと、児童扶養手当というものを国が責任を持たないという形でこれは許されるだろうかと、こういう議論になって、そこは先ほどのやっぱり重層的な役割だというところで最終の形が決まってきたと。あわせて、先ほどからの議論ありますように、児童手当についても児童扶養手当と併せて整理をさせていただいて、これは六団体の長と話して最終的に結論に至った。  その間の中で、知事さんと他の県の知事会方々とどういうお話合いが行われたか、また代表市長さんと他の市長さんとどういうお話合いが行われたか私は正直言って存じておりません、存じておりません。それは何日間の中での決定でございましたので、その辺についていろいろお話はあるだろうと思います。しかし、最終的にはやっぱり代表者たる者がお互いの意見集約、責任を持つという形でやらせていただいたと、こういうように理解をいたしております。
  68. 下田敦子

    ○下田敦子君 動あれば反動ありで、何事もやはり思ったとおりの考え方では一方的にはいかない、これが人と人との間だなと思います。やっぱり日本にこの明治以来続いている中央集権体制というのが今大きな手術をしながら前に進まんとしているこの状況は、やはり痛み分けというのは中央も地方も意識改革が第一として必要だなとは思いますが、これ大変大臣にお聞きにくいかもしれませんが、率直に地方の声を、これ青森県のみならずです、やはり少子化でその支出が増えにくいだろうと、だから児童手当削減は受け入れやすいんじゃないかとか、あるいはまた国の負担率を下げたけれども、国の関与がなくなるわけでなくて、給付内容を独自に見直したりする地方団体独自性、工夫が限られるからだとか、これは大変様々な狭い意見が当然出てくるわけでございますが、何せやっぱりお忙しいと思いますけれども、コミュニケーションということは非常に地方から託されている者としてお願いいたしたいと思っております。  さて、次、三つ目のお尋ねですが、児童手当制度の各国の比較についてお伺いいたしたいと思います。  給付対象者の年齢、給付額、所得制限の有無、税制上の措置等についてお尋ねをしたいと思います。
  69. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) イギリスとドイツとフランスとスウェーデンの四か国について概括を御説明を申し上げます。  支給対象児童は、イギリス、ドイツ、スウェーデンの児童手当では第一子から対象となっておりますが、フランスにおきましては第二子からを対象といたしております。そして、支給対象年齢は、どの国もおおむね十六歳から二十歳ということになっております。支給額は、一人当たりおおむね月額一万円から二万円となっております。そして、所得制限は設けられておりません。  また、税制上の措置につきましては、イギリスは児童税額控除がございます。それから、ドイツは児童手当と所得控除の選択制でございます。それから、フランスはN分のN乗税制がございます。スウェーデンについては税制上の措置はなく、手当のみということになっております。
  70. 下田敦子

    ○下田敦子君 ということは、日本以外は所得制限がないというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  71. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 手持ちにございます国ではございません。  ただ、日本の場合、所得控除がございますし、それから企業の中で家族手当が出たり、あるいは年功序列型の賃金体系であったりしますので、ほかの国と我が国とを比べて、その制度の在り方をすべて単純に同列で議論することはできないと思っております。
  72. 下田敦子

    ○下田敦子君 受給者家族の被用者収入ベースが年間七百八十万から八百六十万のような所得制限ということなんでありますが、私、このたびいろいろフランスの家族給付全国公庫、CNAFという団体のものを調べてみますと、大変私は、これは宗教の違いあるいは政治の違い、様々なものを感じますが、こういう言葉が見付かりました。フランスの家族給付には三十種類の手当があるけれども、生活困窮者や低所得者を対象としたものではなくということが書かれてあります。  私は、所得の高い家族はこれはある意味で上げる必要はないんじゃないかとか、ばらまきじゃないかとか、そういう説も耳にするわけなんですが、私は富める者、貧しい者、これは国にとって差があっていいんでしょうか。私は、大変、まず本当にプラスマイナスのない純粋な一つの立場から子供というものを考えたときに、私はこういう思考が果たして豊かな思考なのか、貧しい日本の考え方なのか、その辺を非常に危ぶまれて、今再度お伺いいたしますが、これ、いかがでしょうか。
  73. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今回のこの改正法案の提案では、所得制限を緩和いたしまして、より多くの子育て家庭を支援するために支給率をおおむね九〇%まで引き上げることとしたわけでございますが、しかし所得制限を撤廃するということにはしておりません。  こうした理由でございますが、厳しい財政状況の中でどうしたところの支給拡大をしていくかという議論になるわけでございますが、やはりそうした中では児童の養育費が家計への負担と感じない所得階層にまで支給する必要性は相対的に低いと考えられますことから、政策の費用対効果等にもかんがみて、現在一定の所得制限を設けることは必要ではないかというふうに考えておるところでございます。
  74. 下田敦子

    ○下田敦子君 おっしゃる意味はよく分かりますが、費用対効果という考え方は、これは私はこういう問題においては企業経営と違いますので、考えていく限度が一つあると思います。  「国家の品格」という本を藤原さんがお書きになりましたけれども、やっぱり私は今、日本が、今まで日本が体験したことのないようなこういう少子化、そしてもう目に見えて将来的に大きな大きな様々な要因が押し寄せてくるということは予知できている現在において、やっぱりそういう考え方から少し変えていく必要があるのではないかと思います。いかがでしょうか。
  75. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 財政状況に制約がある中で、やはりどこに優先的に支給対象拡大をしていくかという議論になりますので、なかなか現状では一定の所得制限を設けることはやむを得ないのではないかと思っておりますので、諸外国におきましては、我が国であります税制の所得控除もございませんし、それから企業において年功序列的な賃金体系にもなっておりませんことから、そういうこともあって所得制限はないのではないかと思いますけれども、日本の我が国の制度においては、そうした企業の賃金体系や税制の在り方とも併せて今後、総合的に今後の在り方については考えていくべきものではないかというふうに思います。
  76. 下田敦子

    ○下田敦子君 お立場上よく分かります。私もいろいろと教えられること、たくさんありますけれども、結局はやっぱり厚生労働大臣的総理が出ないことにはこの問題は解決ができないだろうと思います。  一つ、民主党にお伺いいたしますが、参考人にお伺いいたします。  党の案として、政府案と民主党案がありますけれども、違いはどこにありますか。お伺いいたします。あわせて、この子ども手当が支給されている者に所得制限を設けないという考え方、原点をお伺いいたしたいと思います。
  77. 和田ひろ子

    委員以外の議員和田ひろ子君) お答えいたします。  第一に、政府案と民主党案の違いについてお答えをいたします。  制度の仕組みですけれども政府案が児童手当制度の抜本的な改革は行わないで、当分の間の暫定措置としての特例給付拡大する改正であるのに対し、民主党案では制度を一本化し、抜本的な改革を行っております。  第二には、制度の目的ですが、政府案が家庭における生活の安定を目的とした制度であるのに対して、民主党案は党の政策である子供第一という方針の下、子供に着目して、子供が安心して育つことができるよう子育てに係る費用を社会全体で負担すべきであるとの考えに立ち、児童の養育に係る経済的負担の軽減を図ることを目的としております。  第三に、支給対象の年齢ですが、政府案は小学校終了前でありますが、民主党は義務教育の終了前、中学校卒業前としております。  第四に、所得制限ですが、今ほどありましたように、政府案が依然として所得制限を設けているのに対して、民主党案は所得制限を設けずに、義務教育終了前の児童を教育する者すべてに対して手当を支給するということにしております。  第五に、手当の額ですが、政府案では支給額が現行と同じく第一子及び第二子が五千円であるのに対して、第三子からは一万円ですが、民主党案は支給の対象となる児童一人につき一万六千円としております。  第六に、費用の負担ですが、政府案では現行制度と同様に複雑かつ一貫性のない費用負担の仕組みのままになっておりますが、民主党案は子育てに係る経済的負担に社会全体で負担すべきとの観点から、国庫が全額負担することとしております。しかし、当分の間は暫定措置で国が百分の九十二、そして地方が百分の五、そして事業主が百分の三としております。  そして、お尋ねの高額所得者にも支給の対象をするのかということですが、子ども手当制度は家庭における生活の安定を図るものではなくて、民主党案はあくまでも一人一人の子供に着目をしております。高額所得者については累進課税で応分の税負担を求めることにしており、高額所得者の子供であっても子ども手当を支給するということにしております。
  78. 下田敦子

    ○下田敦子君 おわびを申し上げます。  昨日、参考人としてお出ましいただいたこともあって、そそっかしく間違えました。民主党の提案者でいらっしゃいます。ありがとうございました。  それではお伺いをいたしますが、エンゼルプラン、それから新エンゼルプランがございます。随分私どもも、私個人的なことですが、県議会におりましたときから拝見をしてまいりました。長い長い施策であったなということも今感じております。このときからの児童手当予算の推移をお伺いしたいと思いますが、従来どおりといたしますと十八年度予算額は幾らになるのか、そのことをお伺いいたします。
  79. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 児童手当予算でございますが、児童手当勘定の国庫負担額で御説明を申し上げます。  エンゼルプラン開始時、平成七年度でございましたが、平成七年度におきましては、児童手当予算二百四十二億円だったわけでございますが、終了時の平成十一年度には二百七十八億円となっております。  それから、新エンゼルプラン開始時、平成十二年度は千百七十七億円に達しておりましたが、終了時の平成十六年度には二千九百十一億円となりまして、平成十七年度には三千百五十七億円と、順次増加をしてきております。  それから、平成十八年度予算の国庫負担額は二千二百六十億円となりますが、これが三位一体改革がなかった場合には、国庫負担額は四千五百二十一億円となりまして、その差額は二千二百六十億円でございます。
  80. 下田敦子

    ○下田敦子君 地方にできることは地方へという理論を総理はよくおっしゃるんですけれども、これの少子化対策の主推進者は地方団体ですか。ちょっとお伺いいたします。
  81. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これは、猪口大臣も積極的に地方へ出まして、知事さん、市長さんの意見を伺いながら、国の政策としても取り上げたいし、地方も推進してもらいたいということでやっておりますので、先ほどからの答弁のとおり、重層的に役割を担いながらやるものと、こう考えております。
  82. 下田敦子

    ○下田敦子君 国民生活白書によりますと、一人の子供を育てるのに、おぎゃあと生まれてから十二歳まで一千三百二万円掛かるそうであります。二人目が一千五十二万円、二〇%減と。三人目が七百六十九万円、二七%減であるという白書が伝えられておりますけれども。  このたび国家として、地方と一緒にということであれば、国家としてこのたびの児童手当負担減はどのようにお考えでしょうか。
  83. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 国庫、国の負担割合を三分の一とし、地方の割合を三分の二に変えたことについてでございますが、これは、大臣からるる御説明がありましたとおりの三位一体改革の結果でございますので、こうした割合が変わっても、給付事務にいささかも問題があってはいけませんので、きちんと給付事務がなされていくことが必要だと思っておりますし、それから財源の負担も、そういう割合になりますけれども、国、地方が応分の負担をして重層的に協力していくということになるかと思っております。
  84. 下田敦子

    ○下田敦子君 大変きついことを耳にしますが、今回の改革だけでは児童手当の実際の受取額は変わらないという意見がこのところ述べられています。  大変いろいろな問題があって、要はやっぱり財源の問題、そしてこの財源をどう確保するかという問題を考えたときに、スタンスをやっぱり全く平地に戻して、私は、フランスの家族給付全国公庫とか、それから他国の例、そのままいかないとは思いますけれども、やはり財源の出し方が非常に組織的に、そして歴史があるということを感じます。ちょっと短期間ではありましたけれども、ノルウェーにおりましたときとか、組織がやっぱり、システムが違う、ある、日本にはないというものがやっぱりいろいろあるので、特にこの少子化と、この問題で児童手当ということを考えたときにはやっぱりスローガンだけではいかないなと。  現在のこの金額では足りないというよりも変わらないという、受取額が変わらないということを言われますと、私ども答弁に窮してしまうわけですけれども、そういう声を受けていることだけを申し上げたいと思います。  さて、具体的なんですが、このたび、この児童手当負担割合でいきますと、地方にしてみますと大変驚いて、その措置をどうしたらいいかということを考えているんですが、この財源措置をまずどのようにしていらっしゃるか、お尋ねをしたいと思います。
  85. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 三位一体改革におきましては、今般の児童手当に関する国と地方の費用負担割合の変更に伴う税源移譲も含めまして、全体で約三兆円規模の税源移譲が行われることになります。  この税源移譲につきましては、平成十七年十一月三十日の政府与党合意におきまして、平成十八年度税制改正において所得税から住民税への恒久措置として行われるものとされております。  なお、平成十八年度予算におきましては、税源移譲額の全額を所得譲与税によって国から地方へ譲与されるものと承知をいたしております。
  86. 下田敦子

    ○下田敦子君 元来、この地方交付税というのは地方のためのものであって、言ってみれば地方自治体の凸凹を調整するという考え方であったと思うんですけれども地方交付税改革の、この地域間格差、これが施策にブレーキを掛けないかどうか、これをお尋ねすると同時に、実際、現場では、県議会はもう三月議会終わっておりますし、当初予算なのか補正予算なのか、これすら明確に決められない市町村もまだあると、そういう対応をどうすればいいんだということを耳にするわけなんですが、いかがでしょうか。
  87. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 交付税の調整も含めました地方への適切な財源の確保につきましては、これは総務省においてきちんとやっていただけるものと私どもでは申し上げざるを得ないと、総務省できちんとやっていただけるものと承知をいたしております。  それから、具体的に事務をされる市町村における当初予算対応か補正予算対応かと、こういうことでございますが、児童手当の改正内容につきましては、政府予算案が閣議決定をされた昨年の十二月二十四日に直ちに第一報として自治体に情報提供を行っておりまして、さらに、本年二月二十日には全国の関係事務担当者会議も開きまして、自治体からの質問等について十分御説明をする機会を設けて準備を進めております。そしてその中で、市町村において当初予算にするのか補正にするかというような御質問もあったと承知しておりますけれども、これは、各自治体の議会日程などの実情を勘案して、自治体がそれぞれの実情に応じて適切に判断していただくべきものであるというふうに考えております。
  88. 下田敦子

    ○下田敦子君 ありがとうございました。  昨日、母子家庭の方をこちらにお願いいたしまして、お話を聞く機会を得ました。非常に驚いたというか、私、個人的なことを申し上げてなんですが、私も母子家庭で育ちましたけれども、現代、今、こういう生活を強いられるのだなということで思ったのは、新聞を取ることもやめていると。購読料がやはり間に合わないというお話なんですね。  私、非常にそういうことで痛感いたしまして、ちょっとここで伺いますが、このたびのこの改正、まあ改正ですね、これを、児童手当市町村事務処理ガイドラインというのを見ますと、二十条の三項に、年一回の支払通知を実施している市町村においてこのたびの制度改正に伴って支払内容が変更する場合、個別の通知が必要と考えられるわけなんですが、これの時期、それからどのような通知を送付するのか。市町村もまたちょっと手探りの状態のところもあって、これ、どういうふうにしたらいいのか、お尋ねします。
  89. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今回の改正に伴いまして、このガイドラインの改正点については、この法案を通していただいた暁には交付がされますので、交付に合わせて速やかに通知をしたいというふうに考えております。  それで、先ほども申し上げましたが、この二月二十日に担当者会議も開催をいたしまして、このガイドラインの変更についてはその様式変更だけをするのだということを説明しておりまして、その事務処理に支障がないように御説明をしておりますので、そうしたことで円滑に事務が進められるようにやっていきたいというふうに考えております。
  90. 下田敦子

    ○下田敦子君 この場合の、広報その他で周知徹底を図ると思いますけれども、これらも修正経費とかあるいはその広報関係の経費が市町村、自治体それぞれ掛かるわけですけれども、これに対する国の対応はどういうふうになっていますか。
  91. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) この児童手当関係の法施行事務費につきましては、実はこの三位一体改革において、最初の年に既に一般財源化をいたしておりますので、この市町村の一般財源で必要なその広報啓発あるいはシステム改修等の準備をしていただくことになるわけでございます。
  92. 下田敦子

    ○下田敦子君 じゃ、基準財政需要額に算入されているという取り方でよろしいわけですか。
  93. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 基準財政需要額に算入されておるところでございます。
  94. 下田敦子

    ○下田敦子君 それでは、ちょっと視点を変えまして、このたびのこの児童手当の財源はたばこ税の引上げに伴う増収分を充てていくと、そう決定されたようですが、大変単純に考えて、私はえっと思いました。というのは、十八年度健康フロンティア戦略とか、更なる推進、たばこ対策の推進、がん対策、これとの整合性をどうお考えでございますか。
  95. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) まず、私の方から、今回の財源のことについて説明を申し上げます。  今般のたばこ税の引上げは、現下の極めて厳しい財政事情にかんがみ、国債発行を極力圧縮するために、歳出歳入両面における取組の一環であるということでございまして、特定の歳出のために引き上げられたものではないと承知をいたしております。  なお、今回の児童手当の拡充の財源は、歳出面での徹底した削減の努力に加え、歳入面での増収が図られたことを踏まえて措置がなされたものと承知をいたしております。
  96. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) 私の方からは、たばこ対策の関係について御説明をさせていただきます。  我が国が平成十六年六月に批准をいたしましたたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約におきましては、たばこの価格及び課税に関する措置がたばこの消費の減少を目指す保健上の目的に寄与する効果的かつ重要な手段であるということを締約国は認識することというふうにされております。また、たばこ税に関しましては、平成十八年度与党税制改正大綱におきまして、「検討事項」として、「たばこに関するあらゆる健康増進策を総合的に検討した結果を受けて、たばこ税等のあり方について、必要に応じ、検討する。」というふうに記述をされているところでございます。  たばこ税の扱いにつきましては、様々な御意見がありますことから、更に関係各方面の御意見も伺いながら進めてまいりたいというふうに考えておりますが、こうしたことを含めまして、現在、厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会におきまして、たばこ対策に関する総合的な検討を進めていただいているところでございます。(発言する者あり)
  97. 下田敦子

    ○下田敦子君 大変失礼しました。今、森委員お話が耳に入りまして、本当にそう思うものですから。やっぱり悲しいと思うんですね、こういう財源の在り方というか、取り合わせ方というのは。何とも言えない。本当に。  私は、これで提言をさせていただいて、要望申し上げたいんですが、やっぱり少子化という問題を絡めながら、国の本当に重要な重要な将来の問題として、やっぱり私はこの財源を生み出すシステムを何とか厚生労働省サイドに考え、またそれを、新大臣がどなたになるか分かりません、大臣じゃない、失礼、総理がどなたになるか分かりませんけれども、やっぱりこういうことを考えたときには、根本から考えていくシステムづくりを私は提言させていただければいいと思います。  やっぱりこのフランスの家族給付全国公庫、それからそのほかのヨーロッパの国々の財源を見ても、ほとんどがこういう民間の企業それから国庫、そして様々なまた義援金その他ひっくるめてそれを常がね財源にしていっているという。で、もう各県に様々なそれらのまた支所並びにそれを取り扱うシステムがあるということ。地方分権が進んでいる国々においても、こういう、国民の生活を見ていくという意味からはこういう支所がやっぱりあっていいんだなということを考えます。  ですから、もう一度、やはりこういうたばこ税などというふうなことをやはり少なくとも打ち出されられますと、何かこう、ちょっと、いや、違うんじゃないかなという意見もまた耳にしますので、お願いを申し上げたいと思います。  それから次に、この児童手当の最後のお尋ねですが、この児童手当制度の改正案を十年間の時限措置とされました。これを平成二十七年としている意味は何であるか、それをお尋ねしたいと思います。
  98. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 政府提案児童手当の拡充につきましては、時限措置ではなく恒久措置で御提案を申し上げております。
  99. 下田敦子

    ○下田敦子君 それは、私は、じゃこれは見間違いということになるんでしょうか。十年間の時限措置でということを承りましたのでお尋ねをいたしました。  それでは次に、三位一体改革にかかわる地域介護それから福祉空間整備等の交付金の見直し、あるいは施設等の給付等の負担割合見直しについてお尋ねをしたいと思います。  本法案の中を拝見しますと、ハードの交付金あるいはソフトの交付金、あるいは交付金のメニューを再編して特養のユニット化の改修であるとか、あるいは高齢者、障害者、子供の共生型のサービスの推進、それから混合型の特定施設、それから住所地特例の見直しなど現場の実情を取り入れられた、そしてまた、より将来的な視点のエッセンスを感ずるわけでございまして、大変時宜を得たものではないかなと思います。  これは、今言われていることは、特養の建て替えが始まる時代であると。いわゆる多床室からユニットケアへということで言われているわけですが、ここで更にまた出てくる問題は、じゃ、このユニットケアの介護ができるスタッフはどういうふうにして養成されているのかということがまず一つ問われるわけでございます。  これはどのようにお考えであるか、お尋ねをします。
  100. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 突然のお尋ねでございますけれども、介護職員の育成につきましては、介護に当たる方が非常に重要であるということから、これまでも種々研修等を行っているところでございます。
  101. 下田敦子

    ○下田敦子君 突然のお尋ねということでありますが、昨日いろいろ打合せをさせていただきまして、とてもこれ重要なテーマであろうかと思います。ですから、是非また、今御答弁いただけないのであれば、これはこの施設の拡充を考えていらっしゃるというのであれば、ハード面だけじゃなくてそれに連なる必ずマンパワーなり、そこにあるのはいわゆるそのハードの面だけではないはずでありますから、その点をお尋ねいたしたわけでございます。
  102. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) ちょっと失礼いたしました。グループホームとちょっと混同を私の方がしていたのかもしれませんが。  ユニットの職員につきましても、そのチーフを含めまして研修をこれまでも行ってきておりますし、これからも行っていくということでございます。
  103. 下田敦子

    ○下田敦子君 これはまた今通常国会の中で様々出てくる機会がありますのでその場にゆだねたいと思いますけれども、研修ではこれは育つような介護ではないと思います。短期間のそういうことではない。ですから、そういう面でのやはり御示唆をいただけるような、また行政のお立場としてお願いを申し上げたいと思います。  そこで、先般発生しました長崎県の認知症高齢者グループホームにおける火災事故に伴ってお尋ねをしたいと思います。  このグループ介護職員に対する資格、それから免許規定を設けてない。まあこの四月からはケアマネジャーを置く云々の話は前にございました。ですけれども、どういうふうに今なっているのか、お尋ねをしたいと思います。
  104. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) グループホームにおきますサービスの質の確保ということは非常に重要であると考えておりまして、特にそれに当たります職員につきまして種々の研修等を義務付けてきております。従来から、グループホームの管理者につきましてはその受講を義務付けてきておりまして、その他の職員につきましてもケアに係る知識や技術の習得のために研修を実施してきたところでございます。  また、今回のグループホームの指定基準の改正によりまして、グループホームを設置する法人の理事長や、それから管理部門の責任者などの代表者にも研修を義務付けることといたしました。また、介護支援専門員につきましては、十五年の四月に義務化しておりましたのが、三年間の経過措置を経ましてこれが実質的に義務化となるということで、ケアの質の向上を図るための対応がなされてきているところでございます。  また、研修に限らず、全体の問題といたしましては、グループホーム全体の質の確保につきまして、自己評価、サービスの自己評価、あるいは第三者による外部評価の実施とその結果の公表を義務付けてきたところでございますけれども、十八年度からは、それに加えまして、より地域に開かれたサービスを提供するということから、利用者やその家族、それから住民の代表、あるいは市町村の職員等をメンバーとしたグループホームの運営推進会議の設置を義務付けるなどの措置を講じたところでございます。
  105. 下田敦子

    ○下田敦子君 全国にこのグループホームの認可を得て設置して開設しているところは何か所でございますか。
  106. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) ちょっと細かい数字持っておりませんが、約八千だったと記憶しております。
  107. 下田敦子

    ○下田敦子君 長崎県は何番目でございますか、数の多さからいけば。
  108. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) ちょっと突然のお尋ねでございますが、ちょっと具体的な数字を持っておりませんが、相当に多い県だと承知しております。
  109. 下田敦子

    ○下田敦子君 大変そういう意味では、八千もある地域の中で、施設の中でこういう事故が起きているということを考えたときに、私は大変心配になることがたくさんあります。  このたび、いろんなこういう施策を施設整備費としてどういうことをお考えであるかをちょっと勉強させていただきましたが、非常に驚くことは、やっぱり自動火災報知設備だとか、カーテン、内装の不燃化だとか、ライター、たばこの適切な管理であるとか、やっとここでマンパワーがちょっと感じられるんですが、火災の通報体制など出てくるわけですが、ハードの整備が非常に目に付くわけでございます。で、マンパワーとかマニュアルの整備とか、こういうものが余りこの検討されている事項の中で拝見することができません。どういうふうになっておりますでしょうか。
  110. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) グループホームの、先ほども申し上げましたが、グループホームの指定基準等の見直しをやっておりまして、今お話のありましたハード以外の部分につきましては、一つはその事業所の立地につきまして、住宅地又は住宅地と同程度に家族や地域住民との交流の機会が確保される地域の中にあるようにすべきであること、それから非常災害時の関係機関への通報及び連携体制を整備して、その内容を定期的に従事者に周知すること、それから人員につきまして、これまでの宿直を改めまして夜勤の職員の配置を義務付けたといったことをしているところでございます。
  111. 下田敦子

    ○下田敦子君 宿直でなくて夜勤ということでありますが、今このグループホームの現状がどうなっているのかということから推して考えますと、夜勤という意味はもちろん一睡もしないで見るということだと思うんですけれども、夜の場合は二ユニットまで、九人掛ける二で、その人数まで一人で見なければいけないという、そういうことでございましょうか。
  112. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) まず、夜勤は一睡もしないといいますか、休憩は認められております。  それから、その最大許される範囲といたしましては、委員御指摘のとおり、二ユニット、十八人まででございます。
  113. 下田敦子

    ○下田敦子君 スタッフが極めて少ないです、このグループホームのスタッフは。例えば、一ユニットで九人、まあ二ユニットまでということで十八人、その十八人の日常の患者さんを、休息は認められているとおっしゃいますが、夜勤一人で行うということはどういう現状であるか、これは少しお調べをいただかないと大変なものだと思います。  スタッフの数が限られておりまして、これは全国グループホーム協会で出している現状についてのデータから申し上げますが、まず土日、休日、正月休み、お盆休み、取れない。で、パート化された職員が甚だ多い。これはやっぱり、なぜそうなるかということは、多くて十八人のその収入で経営が難しいという現状があるということだと思います。若しくは、またそういう経営があってても雇わないでいく経営方針なのか、その辺はちょっと調べなければ分からないことでありますけれども、現状として、とにかくスタッフの勤務時間の調整が難しいということがデータとして出てきております。いかがでしょうか。
  114. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) グループホームに限らず、やはり施設全体としてどういった人員基準にするかというのは非常に難しい問題だろうと思います。もちろん給付面からの制約もございますし、そうした費用をできるだけ合理化した中でいいスタッフを集めてくるということにも非常に御苦労があろうかと思います。  介護三施設を始めといたします施設全体の報酬、それから在宅でおられる方々の報酬との関係から現在グループホームについての報酬が決められ、それによって人員が配置されているということかと考えております。
  115. 下田敦子

    ○下田敦子君 今から三十何年ぐらい前ですが、老人保健施設の件、あるいはこの当時は痴呆と呼びました、そのことについて指導をいただきに厚生省へ来たことがあります。そうしましたら、そのときの御指導は、精神科の医師がいますかと、まず第一の質問がそうでした。それから、施設は夜間徘回を考えて廊下は回遊式の廊下を造りなさいと、一回りじゃなくて、それを更に十の字にクロスするように造りなさいという御指導がありました。  以後、こういう認知症の患者さんがどんどんどんどん増えている現状に合わせて、こういうグループホームということをお考えになったことは大変いいことだと基本的には思います。  地方へ参りますと、農家の方が敷地が空いているところにこういうものを一ユニット、二ユニット造って、そして農閑期を利用した、またその村の主婦の方がお世話をしに、介護をしに来ると。これは基本的には大変いいことだと私は思います。その数が今おっしゃられた数で、大変多い。長崎県は、これちょっと古い数字かもしれませんが、二百十か所、北海道が一番多いというふうな状態の中で、私は、たまたまこういう火災事故があって云々ということではないと思います。痴呆の患者さんに毎日接しておられる方がもしこの状況をいろいろ考えてごらんになったときに、私は大変危惧することがこのグループホームの現状において多いのではないかと思います。  大変失礼なことをお尋ねするかもしれませんが、このたびの施設整備に当たって検討されておられる方々がおられますが、御担当の中で現場の経験をお持ちの方、いらっしゃいますか。
  116. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 職員でということでございましょうか。
  117. 下田敦子

    ○下田敦子君 はい。
  118. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 直接グループホームで実際に勤務した経験がある者かどうかちょっと把握しておりませんが、実際に県なりでそういった施設を身近に多く見てきているという職員はございます。
  119. 下田敦子

    ○下田敦子君 これは別に厚生労働省だけではなくて各省庁皆さんに痛切に感ずることなんですが、やっぱり現場を一か月でいい、一か月でもいいから見ていただきたい、体験していただきたい。そうしないと、こういう検討案がやはりハードの面だけで、自動火災報知機を設備したから、カーテンが不燃だからなどという問題のレベルでないと思います。いろんな意味で、いろんな意味でやはりもう少し地に足を付けられた案をここに出していただければ有り難いと思います。  一つ、先ほどの御答弁の中で、これを設置しようとして借財をしながら例えば自分の畑にこういう施設を造り、田園風景としては大変ほほ笑ましいことであります。その村の人たちも大変助かる。ですが、この管理者あるいは計画作成者、三日間の講習でこの資格を得て、この難しい認知症の患者さんを九人といえ十八人といえお預かりする施設の責任者となるということについて、どういうふうにお考えですか。
  120. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) この五年間に御承知のとおりグループホームが非常に急増いたしまして、当初数百だったと思いますが、それが八千までなってきたということで、その間に、先ほども申し上げましたように、管理者について研修の受講を義務付けているということでございまして、それによってできるだけグループホームのケアの質の確保を向上すべく努力しているところでございます。
  121. 下田敦子

    ○下田敦子君 大変恐縮ですが、もう少し心をいただきたい。本当に心をいただきたい。私はこういう、火災でとどまっているということを申し上げれば亡くなられた方にも大変御無礼なことだと思いますが、掛けるこの数の八千か所ということをどういうふうにおとらえであるか。私、これ大変語弊のある申し上げ方をしますが、設置者が全く医療関係の経験もなし、福祉関係の経験もなし、学術的なそういう基礎的な勉強をされた方でもなし。こういう方々が、それは御自由です、御自由ですけれども、三日間の講習を得て、最近、施設実習を三週間やればまたこれを認めると。いかがですか、この現状を。
  122. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 管理者研修自身は御指摘のとおり数日の間になりますが、そもそもその管理者研修を受ける前提といたしましては、受講要件として、その現場の実際の介護の経験等を三年以上有している者ということを要件としておりまして、全く経験のない者が直ちにその管理者となるということにはなっておりません。
  123. 下田敦子

    ○下田敦子君 介護の経験というのをどういうふうにおとらえになるかは何の規定もないんですね。全く資格要件も、そういうこともないんです。最近は、その他の御自分の持っている施設じゃない別な施設に行って経験を積めばいいということもまた付記されてきているわけなんですが。  なぜこういうことを申し上げなきゃならないかというと、私は、団塊の世代がもう既に目の前に迫って、一番増えていって、一番どうにもならないというか、現時点の医学のレベルからいえば、どうにもならないという言い方は大変無責任な言い方ですけれども、こういう認知症の対策が極めて目前に迫った大きなテーマではないかと思うんですね。これを当時の課長様も大変肝いりでこのグループホームというのをアイデアでお出しになったことも、これもグッドアイデアだとは思うんですが、その内容が果たして今このままでいいんだろうかということを私は危惧いたします。危惧いたします。  そこで、この管理者、計画作成者の資格要件をもう一度見直すお考えがないかどうか。それからもう一つ、この春からケアマネジャーを置けば云々というお話があったのでありますけれども、そのケアマネジャーの要件をどういうふうにお考えでございますか。充足できるとお思いでございますか。
  124. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) まず、グループホームが非常に急増してきている背景に、御指摘のとおり、やはり認知症の問題が大変大きいわけでございます。したがって、ある程度やはり数を確保していく方向も必要だろうと思うわけであります。片や、委員御指摘のとおり、その質をいかに確保していくかということも重要でございまして、繰り返しになりますが、できるだけそうした質の面での向上を図るといった観点からその管理者の研修を従来からも義務付けてきましたし、また介護支援専門員につきましては三年間の猶予を置いていたものがこの三月でその猶予期間が切れるということで、実際に配置をしていただくということでございます。  そして、先ほど管理者の話だけ申し上げましたけれども、そのほか、実践者研修として、やはり現場の経験を一年以上有する者に対しましての実際の研修も行っているということで、非常に悩ましい、数を確保しながら質も確保していかなくてはならないという非常に難しい状況の中で、できる限りその質の面にも配慮して取り組んでいきたいというふうに考えております。
  125. 下田敦子

    ○下田敦子君 選挙は政治家を育てると申します。いろいろ回らせていただきまして、県下に拝見することあります。いいことだと思いますが、いいことだと思いますけれども、大丈夫かなというのが私は大変正直なところ感ずる現場、現場がございます。そろそろ整備をしていただくべき時期ではないのかなと思います。  そこで、昨年、中村局長様にもお願いをしたときがありましたけれども、例えば十八年の四月からケアマネジャーを置きなさいと。なぜケアマネなのかなと。ある声では、ケアマネジャーというのは老健局から生み出された資格だから云々という声も聞きまして、なるほどと思われる部分もあるわけなんですが、例えば本県、青森県で三百人このたび誕生いたしました。ところが、どこへどうお願いしてこのケアマネジャーを授けていただけばいいか分からないグループホームの設置者がいまして、県当局に相談をしたそうです。そしたら、個人情報保護条例で教えられませんと。だから、どこへ足を使って歩いて、どこからこのケアマネをお願いしてくればいいか分からない。本当に現場としては、霞が関で一行書き換えていただくことにおいて物すごい苦労と悩みが今生まれているわけです。  それから、もう一つお尋ねします。ケアマネジャーというのはそもそも御案内のとおり、釈迦に説法ですが、義肢装具士も栄養士も受験して合格すればケアマネジャーであります。この設置基準でよろしゅうございますか。
  126. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 御指摘のとおり、医師等も受験をし研修を受けるといった形で、現在三十七万人ぐらいのたしか資格を有している方がおられると思います。その中で御指摘のような青森県の状況もあるとすれば、やはりそうした方々、資格は持っているけれども使っておられない方々の活用も大事だろうと思います。  それからもちろん、ケアマネ自身のその資格としては医師だけに限りませんで、もちろん介護福祉士の方とか義肢装具士の方等ももちろんそうした資格を有し得るということでございますので、そうした全体の力を使ってできるだけ必要な配置を行っていただきたいというふうに考えております。
  127. 下田敦子

    ○下田敦子君 大臣にも要望申し上げます。本当にこのままでは、私は、第二の長崎、あるいはまた違った意味でのことがマンパワーの意味から出てくる危険を、危惧を私は感じておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に、小規模特別養護老人ホームあるいは小規模多機能施設がありますが、老健の場合も定員がそれぞれ二十九人という規模をお出しになりました。このことの意味から御所見をお伺いしたいと思います。
  128. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 御承知のとおり、三十名以上のものにつきまして比較的大規模だということで都道府県知事の今まで指定あるいは認可等を必要としていたということでございますが、今般、この地域密着型を中心といたしまして、小規模なものについての整備も進めていくということで二十九人以下の特養等を認めるということになったと承知しております。
  129. 下田敦子

    ○下田敦子君 確かに地域密着型で小規模というのは、開設するときはそれは一つのやり方として安易な、いい方法であるという考え方ができると思いますが、よく特養は三十人では成り立たないということをよく聞きます。こういう意味では、経営が成り立ちますか、そういう意味からの許認可をどういうふうにお考えですか。
  130. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 御指摘のとおり、こうした小規模の施設につきまして、従来の設備あるいは人員基準をそのまま適用いたしますと高コストになるということが懸念されますことから、サービスの質を確保しつつ効率的な運営を可能とするために、本体の方の施設、これはまあ五十人なり、大きな特養あるいは老人保健施設あるいは病院等の本体がしっかりして、連携を確保できるということを前提といたしまして、医師、栄養士等の配置を不要とする、あるいは調理室等の設備を設置を不要とするなど、設備・人員基準を緩和することによって対応しようとしております。
  131. 下田敦子

    ○下田敦子君 時間もありませんので最後のお尋ねです。このたびの施設整備と直接的にはかかわらないと思いますが、お許しをいただきたいと思います。  療養病床群が全国で三十八万床あると言われて、これを六年掛かりで介護施設に転換を図るという改革案が一方では出されております。そういう中で一つ気掛かりなことが、私個人として感じておりますのは、実は厚生労働省は居住系の使用割合を四一%から三七%に引き下げることを先般決定されました。  ところが、このたびの国土交通省所管の高齢者用賃貸住宅への介護保険の適用がこの四月からスタートするという報道がされております。各地の自治体並びに厚生労働省介護施設関係各者からの問い合わせがあります。また、これを、厚生省のみならず、国土交通大臣にお伺いいたしたいんですが、この報道によりますと、高齢者用賃貸住宅に、バリアフリーにした場合には、これはまあいいことだと思うんですが、介護士やケアマネジャーが常駐している同施設には介護保険適用になるということを書かれて、まあ新聞が正しいかどうか分かりませんが、ありました。いかがでしょうか。
  132. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) お答え申し上げます。  高齢者世帯の増加等が見込まれる中で、高齢者が安心して住み続けられる住まいの確保が重要であることから、国土交通省におきまして、今委員御指摘のように、専ら高齢者世帯に賃貸する住宅について、都道府県に登録しまして、情報提供する高齢者専用賃貸住宅制度を創設したところでございます。  一方、高齢者の多様な住まいのニーズに対応するため、介護を受けながら住み続けることのできる住まいの確保に向けまして、厚生労働省と国土交通省におきましていろいろと検討してまいりました。  今回の介護保険法の改正におきまして、このような検討等を踏まえまして、この高齢者専用賃貸住宅のうち一定の要件、今委員御指摘の物的な要件とかあるいは人的な要件、そういったものを満たすものを介護保険法における特定施設入居者生活介護の対象とする方向として現在厚生労働省におきまして検討が行われているものと認識しております。
  133. 下田敦子

    ○下田敦子君 はい、ありがとうございます。  この辺も消費者あるいは国民にとっては様々な選択肢があっていいと私は個人的には思いますので、いいことだとは思いますが、やはり、今まで厚生労働省がきちっと指導してきた、そういう様々な高齢者のための施設が片方にはあって、片方は所管が違うお役所なのでこうこうこういう建物であって、こういう人が、資格者がいてもいなくてもいいというふうな状況がもし繰り広げられるならば、今までが何だったんだろうということを、介護保険ということを前にして私は感じます。  それで、各市町村が介護保険制度にも少し疲れぎみで、役所の玄関には、介護保険施設の開設についての相談は一切受け付けませんという張り紙をしている行政機関も出てきている次第であります。  ですから、大変これはまあ、ある意味ではいいことだと思うんですが、一つ厚生労働省にお伺いしますが、この新聞で拝見する限りは、介護士を置く、ケアマネジャーを常駐させるとあるんですが、介護士とはどういう資格者ですか。
  134. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 介護職員につきましては、特定の資格を有するということを要件としておりませんので、介護士というような資格はございません。事業者の責任におきまして適切な介護を行うことのできる従業者が確保され、提供するサービスの質が確保されるということが必要であると考えております。
  135. 下田敦子

    ○下田敦子君 ちょうど時間になりましたので、これで。二十二分というところまでいただきましたので。恐れ入ります。ありがとうございました。どうぞひとつ、斎藤十朗厚生大臣のときにできた資格をきちっと整理整とんして、いろいろな方に御指導をいただきたいと思います。  以上です。大変ありがとうございました。
  136. 山下英利

    委員長山下英利君) 午後一時二十分から再開をすることとし、休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  137. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国の補助金等整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案及び児童手当法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  138. 円より子

    ○円より子君 民主党・新緑風会の円より子でございます。  私、二時間の質問時間をいただいておりまして、ちょうどお昼御飯を皆さん終えられた後で、睡魔に襲われないような、皆様方が、しっかりした質疑をさせていただきたいと思っております。  今日は、児童手当児童扶養手当の国庫負担引下げ、負担率の引下げというものを含んだ三位一体改革質疑でございますが、お許しをいただきまして、ちょっとその前に、富山県射水市の射水市民病院で延命治療を中止された患者七人が死亡なさった問題が社会の耳目を集めているところでございますので、この件について先に質問をさせていただきたいと思います。  この人工呼吸器を取り外すことについて、家族の同意を得ていたかどうか、また、意識不明の患者さんであれば、本人の意思の確認があったか、また、日本尊厳死協会の方に警察が問い合わせて、その七人の方々がそうした尊厳死を認める意味の御自分なりの遺書みたいなものを出されていたのかどうか、そんな取調べもあったようでございますが、まだ全容ははっきりしておりません。  こうした安楽死といいますか、尊厳死といいますか、延命治療の廃止といいますか、様々な言葉が使われますけれども、こうした問題が発生したのは、一九九一年の四月、東海大医学部の附属病院の事件が発端でございました。このときの医師は殺人罪で懲役二年、執行猶予二年の一審有罪判決が確定しているということでございますが、以来、幾つかのそうした事件が起きております。  こうした事件があるたびに、私ども、だんだん高齢社会になりまして、八十、九十まで長生きできることはいいことでございますけれども、その医学も発達しまして、苦痛だけを与えるような延命治療もあるかもしれない、でもそれが家族や本人にとっては延命治療というよりもやっぱりもうとにかく生きていたいということだってあるでしょうし、本当に何人も自己の生命を維持するための措置を受容すべきか否かについて自ら決定する権利を有する、それは確実なことでございますけれども、治癒する可能性がなく、かつ末期の状態にある場合に、延命措置を望まない人の意思を尊重することも重要であると考えております。  こうしたときに、治癒する可能性がなく、かつ末期の状態にある場合に、延命措置を望まない者の意思を尊重することを担保する法制度というのが全く日本では整備されてないように思うのですが、厚生労働省ではこうした法整備の検討はなされているのでしょうか。司法や警察の判断とは別に、終末期医療の中で延命治療の在り方をきちんと位置付ける必要があると私は思うのですが、いかがでしょうか。
  139. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 司法と医療の問題、最近いろんなことが提起されております。前回の委員会でも、福島県の産婦人科の医師の逮捕という事件が起きて、いろんな議論がされました。また、今回の件につきましても、医療と司法、その判断をまつ前に、国なり厚生労働行政として何かの考え方を決めていくべきではないだろうかと、こんな声が多いように思っております。  終末期医療に関する国民の関心が高いことは承知しており、望ましい終末期医療のための環境整備を促進していくことが重要であると考えております。一方で、終末期医療の在り方やその法制化については国民の間でも判断が分かれる難しい問題であると認識しております。平成十六年七月に取りまとめられた終末期医療に関する調査等検討会報告書には、リビングウイル、書面による意思表示の考え方に賛成しつつも、その法制化はしなくてよいという意見が多い、また、延命医療を中止すること等に関して判断基準が明らかでなく医師が悩む場面が多い、こうしたことが指摘されております。  今回の事件を一つの契機としまして、私自身、厚生省の局に指示をいたしております。東海大学の附属病院事件、一九九五年の例を挙げられました。このときに、一つとして積極的な安楽死。苦痛から解放するために意図的に死を招く行為の適法要件。二番目、間接的安楽死。死期を早める可能性のある薬剤を投与すること。三番目、治療行為の中止、いわゆる尊厳死。回復の見込みのない末期状態、患者の推定意思、事前の文書、口頭、家族の意思から本人の意思を推定。  実は、この三番目の治療行為の中止、この問題について、私自身、今、全体を含めて医療界、法曹界の方々に御議論いただいているところでございますけれども、三番目の問題について少し早めるようにと。もちろん、専門家によって議論がなされ、最終的にはパブリックコメントも掛けなきゃならぬだろうと思います。国民の意見を聞きながら最終的な調整はしなければならないと思いますし、一方、委員が御指摘のように、法律化するのかガイドラインでやるのかという問題も含めて意見を早く出してもらえないかと。  余り拙速に進めますとしかられますけれども、一方で長い間掛かっていますので、そろそろ今年をめどに結論を出せないかということで今作業を進めさせております。また委員会等でも御議論いただくことになるんではなかろうかなと、このように思っております。
  140. 円より子

    ○円より子君 国会では超党派の国会議員連盟、これは尊厳死の法制化についてなんですが、こうした国会議員連盟もできておりまして、私もそのメンバーであるんですが、今大臣がおっしゃったように、本当にこの法制化の勉強をしておりますと様々に難しい問題があって、おっしゃったとおり、法制化がいいのかガイドラインがいいのか本当に迷うところでございます。そして、医学界だけではなくて、多分宗教界や様々な方々の御意見を聞きながらやらなければいけないことでしょうし、国民の間でも議論の分かれるところだと思いますが、各省連携して是非早めに進めていただきたいということを要望させていただきます。  それでは次に、今日の本題に入りたいと思いますけれども、まず、今回の三位一体改革、これを見てまいりまして、一体地方分権改革っていうのは何だったのかと思うことがございます。  ちょうど一九九三年に国会が地方分権の推進に関する決議を作りました。このときは自民党政権が野に下って細川政権ができたときでありました。私は実は、生活者主権それから地方主権、これで国民がゆとりと豊かさを実感できる社会をつくれるのではないか、そう思いまして日本新党結党のメンバーになった人間の一人でございますが、そのときから考えまして、本当に三位一体で財源の、取りあえずは財政面での分権改革とも言うべき三位一体改革は決着したとも言われておりますけれども、本当にこの日本の国民がゆとりと豊かさを今実感できているかというと、決してそうではないと思うんですね。逆に、不安と格差を実感しているような社会になっていはしまいか、そう思いますと、この間の地方分権の改革というのは何だったのかという気がするんです。  成長重視の、成長優先の政策から、生活重視、生活優先の政策へと転換することがこの改革目的だったと私は思っておりまして、そういう意味で言いますと、どうも国と地方のせめぎ合いみたいな中で、国の方は地方の行政が機能しないんじゃないかみたいなことが随分あったように思うんですが、実は日本では、これは二年前に大原謙一郎さんという方が朝日に投稿された原稿なんですけれども、今まで全国各地でいろんなビジネスが、新しいビジネスが生まれてくる。それは本当に、日本というのは地方が新しい事業を生み出す母体になってきたというふうに書いておられます。  例えば、クラレは岡山県倉敷の生まれで、地元の繊維産業の伝統と天領だった江戸時代に培われた企業家マインドの、それが創業の背景にあったと。また帝人は、山形県米沢市、これはもう皆様御存じのように、上杉鷹山の藩政改革で知られるこの町の歴史がはぐくんだ事業風土と無縁ではありませんし、マツダは広島、ダイハツは大阪、ホンダとスズキは浜松ですよね。そして、今もう貿易で一躍世界の雄になっておりますトヨタは愛知県豊田市。  このように、日本では長い間、地域の歴史の中で豊かな文化が育ってきて、それが様々に日本をダイナミックな国にし、そして人々がゆとりと豊かさを感じられるような社会になっていた。途中からどんどんどんどん中央集権の中で、経済の統計などでも常に東京中心になってしまうような状況がありましたし、地方でせっかく芽が出てもそれがまた東京の方に吸い取られてしまうという、ちょっと残念な状況が長い間ありましたけれども地方というのは単なる生産基地ではありませんから、こうした地方にしっかりと財源そして裁量自由度、こうしたものを渡していくことが、本来の国民の豊かさ、ゆとり、そうした社会、生活につながるのではないか。  私もそう思い、私が国会議員になったのはひとえにその辺に掛かっているところなんでございますけれども、残念ながら、今回の三位一体、集大成だとしたらまだまだこれから第二段階を迎えなきゃいけないと思うんですが、川崎大臣は今までの地方分権の決議をした一九九三年の大きなそのときに目指した目的が今回の三位一体で達成されたとお思いでしょうか。まず、それをお聞きしたいと思います。
  141. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 国の予算が七十九兆円、しかし現実は使える予算は五十兆円ぐらいですよね。その中で三兆円という規模の税源移譲に至った、これはある意味では大きな目標を達成したと言えるんだと思います。  ただ、大きく数字を掲げながらやる手法と、下から一つ一つの政策を吟味しながらやっていく手法と、二つあったと思うんです、正直申し上げて。残念ながら、この下からの積み上げをやっていくと多分小泉さんの任期では終わらない。官僚はいろんなことを言いますから。当然、彼らは今までいろんな立案の中で、自分たちの責任範囲の中を決めてやってきている。それを突き崩す話ですから、下から積み上げではなかなか進まないだろうという一つの考え方でやった。  これは、先ほど私が申し上げましたけど、公務員改革与党は五年で五%、民主党はもっと高く、三年間で二〇%の人件費削減ということを挙げられる。これは両党一緒ですよね。一つの目標をぽんと掲げて、さあ、それに対してどうするか。これは政党ですから、やっぱりそういうやり方を取る。小泉さんはそういう意味では下からの積み上げ方は取らなかった。上からどんと下ろしていく中で、まず三兆円の税源移譲をやってみろと。こういう中で、知事さんの方にも提案があればそれを出せという形で出された。  現実、詰めていく中で、まず二十一兆円という予算を持っているといいましても、ほとんど義務的経費です。裁量的経費は五千億ぐらいです、私ども。それが毎年毎年縮減されてきています。したがって、そう易しい話ではございません。  そして一方、御提案の中に、先ほども申し上げましたけど、障害者自立支援法、去年法改正させていただいて四月一日から新しい制度で動き出す。国全体の一体性を確保しなきゃならぬ。今までやっていなかった地方自治体にやってもらう部分も出てくる。そういった意味では、今それを地方に全部財源を渡しなさいといっても、国としてはなかなかできませんと。がん対策、難病対策、こういうものをずっとメニューで地方皆さん方は私どもにお示しされましたけれども、少しそこは無理ですねという中でいろんな詰めをしてきた。  二重丸もらったのは、施設整備費厚生労働省は思い切って出してきた。これについては大きく評価をいただいたと思っているんです。一方で、生活保護の問題、児童扶養手当の問題、いろんな議論の中で、マルぐらいはもらえたのかなとは思っているんですけれども、最終決着をしたということでございます。  そういう意味では、私どもからいえば百点満点のものができたのかといったら、そうは思っていません。正に道半ば。じゃ、第二のやり方をまた数字を掲げてやるんですかということになると、私は先ほど答弁申し上げたように、もう少しきちっと、どれを地方へ、どういうものが地方移譲するのになじんで、どういうものは国がきちっとやらなきゃならないんだというメジャーを少し決めて第二段階に入りたいなと、こんな自分の思いをさっきも語らせていただきました。
  142. 円より子

    ○円より子君 今回の改革は歳出削減の視点が大変強かったように思います、国の方のですね。そして地方裁量拡大、こうしたことが本当は大事でしたが、それも、また納税者の視点というものも私は置き去りにされてきたと思っております。  それで、ここで私の意見というよりも、大変、ああなるほどなと思ったのがあるので、また引用させていただきたいんですが、佐賀県の知事であられる古川さんが「三位一体改革で分権は進んだのか」ということを書いていらっしゃいます。  そこで、例えば今大臣がおっしゃったような、皆さんからこれはよかったと言われているものもあるというふうなことや、それから、余りいいとはなくてもまあ三角かマルか、バツではないというふうな今御意見のあった児童手当児童扶養手当のこと、様々な三兆円の問題を四グループに古川知事が分類なさっているんですよ。  この中でおっしゃっているのは、行政サービスの具体的な内容や提供方法に関する地方自由度拡大したときと、もう一つは、地方自由度は高まらなくても国に対する補助金の申請や会計検査といった、言わば内向きの業務コストや時間が縮減したとき、この二つが何とかあれば、いずれかが満たされれば、県民満足度が高まるような行政サービスが実現するとおっしゃっているんですね。  先ほどから私が、人々の生活が本当にゆとりと豊かさを実現できるような社会になるように、それが地方分権のそもそもの一番の目標だった、目指すところだったと申しましたが、そういう点から見ますと、今、この二つというのは大変重要になってくる。地方自由度、これは、その自由度を生かしたサービスを提供できることから、当然、その県に住む県民の満足度が高まるということなんですが、この両方でこの三兆円を見てみますと、例えば、まあマルが付けられるのは、まあといいますか、ちゃんとマルが付けられるのは奨励的な補助金が中心で、地方自由度拡大し、同時に官の効率化が図られた、これは小規模企業等活性化補助金、在宅福祉事業費等補助金。ですから、厚生労働省関係のがこれに当たるわけですね。  それから次に、二番目ぐらいですね。五、四、三、二とするのか、四、三、二、一と、通知表のあれでいきますと次の三ぐらいのところにありますのが介護保険の事務費の交付金、公営住宅の家賃対策の補助、これが、地方自由度は三角だけれども、官の効率化はマルだとおっしゃっています。  次の、二ぐらいでしょうか、通知表でいくと。公立保育所運営費、社会福祉整備費関係、これは自由度はバツ、効率化はマル。そして一番、二兆四千五百億円にもなる義務教育費の国庫負担金と国民健康保険と児童手当児童扶養手当、これは自由度も効率化もバツ、一になるんじゃないかなと、通知表でいいますと、思うんですね。  この最後の、今申しました一のグループですね、通知表でいうと。これは負担率のカットで国の負担がただ地方に行っただけのことですから、地方自由度は高まらず、かつ申請事務も引き続き残っている。中には、国民健康保険のように申請事務手続が新たに生じたものまである。そうしますと、まあ何とか自由度があるのは最初のものだけで、四グループのうちの一つだけなんですね。で、効率化は上から三つが効率化されたとなっておりますけども。  こういうことを考えますと、国と地方の財政負担割合を変えたにすぎず、これが本当に改革で、地方負担の増加分に相当する税源移譲もなく、こういうことが今大臣がおっしゃったような、まあ全部合格ではないけれどもということに相当するのかなと首をかしげざるを得ないんですが。
  143. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 佐賀県の知事さん、私もお会いしたことはあります。あの若い知事さんですよね。そのときも何か一つの御提案を持ってお見えになったと思います。まあ一つの知事の見方というのもあると。それから、今お話しいただきましたように、積極的に評価できるものもあるしバツのものもあると、こういう御判断をいただいているようでございますけれども。  いずれにせよ、一つの目標を立てながら知事さんや市長さんと私どもが正面からぶつかり合いながら話をし、最終的に三兆円の税源移譲を決めたということは初めての試みであって、そういう意味では私は、先ほど申し上げたように百点満点とは申し上げません、しかしながら一歩前進したことは事実だろうと。五十兆円の中の正に三兆円が税源移譲されたと。次の段階として何をやるかというのが大きな課題になってきていますねと、こう私は認識をいたしております。
  144. 円より子

    ○円より子君 補助金付きの事業を補助金ごと廃止する。せっかく一般財源化しても、これまでの基準というものが変わらなければ本当に地方自由度は増えませんので、その辺りをしっかりやれるようなまた改革を進めなければいけないのかなと私は思っておりますが。  それはともかくとして、今度、生活保護費と同じ法定受託事務であります児童扶養手当児童手当につきまして、児童扶養手当は最初から項目として上がっておりましたけれども、この負担割合、国の負担割合が引き下げられた、この経緯が納得できません。この経緯について納得いくような御説明をいただきたいんですが。
  145. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 納得いくような話すると生活保護の話を延々としなきゃなりませんので、衆議院でそれしましたらしかられたものですから余り細かく話いたしませんけれども。  生活保護費の問題をめぐりまして、私ども就労支援とそれから入院、病院の問題、医療ですね、それから住宅、特に住宅というものについては国で一律に基準を決めております。地方の実態を見ながら決めておりますけれども、もう全額移譲しますので地方でおやりください、こういう提案をしました。医療につきましては、入院というものを介護に、また在宅へ変えていかなきゃならない、これもやはり私どもの手の届くところではないと。したがって、そうした政策も含めて生活保護というもの、支給する生活保護費、これについては従来どおり四分の三、四分の一という負担にいたしましょうと、しかし他のものについては変えていきましょうという御提案をいたしたわけでありますけれども、やっぱり国の責任論、地方責任論、こうした議論になりまして、全体的な意見集約ができませんでした。それで、先ほども申し上げたように、この意見集約ができないまま国の方から強引に押し付けることはあってはならないと思いますし、また厚生労働省という立場からいえば、やっぱりほとんどの仕事を重層的にやっておりますので、ここで地方との信頼関係が壊れることはあってはならない。  一方で、児童扶養手当については、側面として就労支援という側面が強いですよねと。特にこの数年間、就職率も下がってきております。母子家庭の就職率も下がってきています。そういう意味では、地方がより良い仕事をお世話をさせていただくという切り口からすれば、地方がより積極的にやっていただける仕事ではないだろうかと。もちろん、我々のハローワークも十分応援をいたしていきますけれども、お互いに手を携えてやりましょうという全体的な議論の中で、最終、児童扶養手当は分かりましたと、これについては積極的に受けましょうと。先ほどちょっと申し上げましたように、それじゃ全額こちらへ下さい、全部、権限も全部下さい、こういう御意見もありました。しかし、そこは法制局等との見解からしますと、国の責任部分というものはやっぱり残しておかなきゃならぬという議論の中で三分の一という経過をたどったというのが私ども知事会なり市長会での話合いの一つの結末でございました。あわせて、先ほどからこれは児童手当切り口の中でいろいろお話し申し上げましたように、負担率をやはり同じにしないとおかしいですねという議論の中で同じ負担率を取らしていただいたということでございます。
  146. 円より子

    ○円より子君 今、国は少子化対策、次世代育成ということで一生懸命子供の産み育てやすい社会を目指そうということで頑張っていらっしゃるときなんですが、この児童手当とそれから児童扶養手当の二つは国の負担を縮減する、これは国の責任を後退させることであって、どうも少子化対策などと整合性が取れないように思うんですが、この点はいかがですか。
  147. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これは、正直申し上げて、国と地方が重層的に責任を担う、地方が担当するからその仕事は重きを成さない、国がやるから重きを成す、こういう発想は地方分権にはないと思います。地方分権にはそれはない。国の役割地方役割、それぞれの中で国民サービス、住民サービスを充実していくということでありますので、私は税源移譲がされる以上はそこのところの御懸念はない、このように思っております。
  148. 円より子

    ○円より子君 地方分権の趣旨としてはそのとおりかもしれませんが、そうしますと、負担が変わっただけで、例えば児童手当は三分の二から三分の一になりますね、国の負担が。それから、児童扶養手当は四分の三が今度は国は三分の一になってしまうわけです。でも、子供は、児童手当の方は、その子供たちが生まれれば生まれるほど地方の財源は必要になりますよね。  それから、児童扶養手当の場合は、昨日、参考人の方で、お一人どなたかこんなことをおっしゃっていました。児童手当は、地方も国も負担割合が変わっても、とにかく今大臣がおっしゃったように頑張って、子供たちの育成に励むために児童手当は要る。でも、児童扶養手当の方は、財源が少ない、地方財政が逼迫している折に、負担割合だけが地方が多くなった場合に、窓口で厳しくして、そしてまた、もちろんそれだけじゃなく、就労支援の実を上げて、受けられる人を少なくしていく方向に行くだろうとおっしゃっていたんですが。  地方と国が率先して少子化対策を進める、それは地方にももちろん大事な、重要な役割ですが、このときに受ける側の消費者、納税者、国民といいますか、そういう人たちの一体国の負担が下がることによるメリット、デメリットというのはどうなるんでしょうか。どうも国の、その受ける人たちの、民の方の視点が欠けているように思うんですが。
  149. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これは、様々なものを権限の移譲税源移譲する、そうすると、当然それぞれの団体から今まで国がやってきたようなことが行われなくなるんではないかという心配がもちろん地元の国会議員の方々にいろいろ寄せられてくる。それを我々のところへいろんな形で御意見が上がってくることは事実でございますけれども、やはり地方分権というものはそういうものを踏み越えながら、一方で地方というものを信用しながらやっていかなければならないということは間違いない事実だろうと思うんです。  財政は正直言って国も厳しゅうございます。地方も厳しゅうございます。しかし、何をやらなければならないかということは地方自治体も国もお互いに認識しながらやっていく話で、地方移譲したからこれがなくなるという懸念がある、実は私も懸念持っている一人なんですけどね、正直言って。しかし、そこのところはやっぱりお互いが信用しながらやっていかなきゃならぬ。ただ、一方、先ほど答弁で申し上げたように、私どもはそこをやっぱりしっかり見ていかなきゃならぬことは事実ですね。  先ほど日本新党のことを挙げられました。当時、港湾に魚釣り場になっていると細川さんに掛けられましてね。バスの停車場を決めるのにこんだけの手間が掛かるんだってやられて、さあ運輸省徹底的に規制緩和やれといって私も大臣のとき随分やった。しかし、今年になって、やっぱりタクシーの規制緩和はやり過ぎじゃないかと激しい御質問をいただいているように、当然こういうのあるんですね。政策を進めるとやっぱり行き過ぎちゃうときがあるんです。ですから、そこはだれかがウオッチしていて、修正すべきものは修正していく。いったんやったからずっと変わらないと、これは駄目だと思うんです。  そういう意味では、今回の児童扶養手当地方に少し負担を増やしていただいた。しかし肝心なことは、就労支援がしっかりできるかという切り口が一番大事だろうと。そこはやっぱりみんなで力を入れていくように私の方からも強く指示をしておきます。
  150. 円より子

    ○円より子君 物事に風穴を空けることは重要で、田中角栄さんもたくさんの法案を議員立法で出されましたが、それが時代が変わってもなおかつそのまま既得権益を持つ人たちがそこでのさばってしまうことは大変重要でございますから、当然時代に合わせて変えるべきだと私も思っております。  そこで、先ほどから申しますように、地方を信用してと大臣おっしゃっていますけれども、この児童手当児童扶養手当負担を変えたことは、先ほども申しましたように佐賀県の知事だけではないんですよ。まあ地方団体だとかいろんな人たちが最終的にのんでしまったということはあるのかもしれませんけれども、でも各知事さんはこんなのはいいとは思っていらっしゃらない部分がありまして、これは申請事務とかそういうものが引き続き残ってしまうわけで、負担率がカットされただけで、地方財政は厳しくなるだけで、全然その地方裁量度、それは広がらないというふうに思っていらっしゃるわけですね。そうしますと、先ほども申しましたように、私にとっては、厚生省はどうしてもう少しこういう子供の少子化のところ頑張れなかったのかなと、それはカットするならまた別の部分を何か考えられなかったのかなと思うわけですが。  ちょっとここで、今日は民主党の方で出しました議員立法につきまして趣旨説明もさせていただき、また質疑応答もさせていただくということで、国民の皆様に少子化の問題、児童手当の問題をより多く分かっていただけるようにということで、皆様方の、大変与党方々にも御配慮いただいたことを感謝し、質問をさせていただきたいと思うんですが。  まず、この法案は、現在所得税の控除制度というのは所得の高い層に相対的に有利な制度になっておりまして、本当に支援を必要としている方たちに対する適切な支援にはなっていないと。そこで、控除を解消して手当に変換することによって、特に所得の低い層の子育てを応援することができる、そういうことを趣旨説明お話しなさっていましたよね。私も子ども手当というのはそういうものだと思っております。  そこで、その子ども手当目的の中に、「家庭における生活の安定に寄与する」と書いてありました、衆議院の方の法律にはそのような規定があったと思うんですが、それを削って「児童の養育に係る経済的負担の軽減を図る」と、そのようになさった趣旨は何か、お教え願えますか。
  151. 岡崎トミ子

    委員以外の議員岡崎トミ子君) 「家庭における生活の安定に寄与する」ということになりますと、家庭という単位に着目して所得保障施策ということの位置付けとなってしまいますけれども、民主党は子供に着目して、子育てに係る経済的負担を社会全体で見ていくべきではないかという立場に立ちまして、子供の養育に係る経済的負担を軽減するということを目的としております。  つまり、子供手当は何のためにするのかということを明確に表現するために、「児童の養育に係る経済的負担の軽減を図る」という規定にいたしました。
  152. 円より子

    ○円より子君 そうしますと、その子ども手当なんですが、支給対象を十五歳以下の義務教育終了前の児童というふうに政府案から比べますと相当広げていらっしゃいますが、この趣旨は何でしょうか。
  153. 岡崎トミ子

    委員以外の議員岡崎トミ子君) 現在、子供を持ちたい人が持てない原因としまして、子育てに掛かる経済的負担が重いということが理由として挙げられております。  そこで、平成十七年二月の内閣府社会意識に関する世論調査ですが、全国一万人の二十歳以上の男女に聞いたもので、有効回収数が六千五百八十六人でした。まず、理想の子供の数ですが、理想として自分自身何人くらいの子供がいるのがいいかというふうに答えたのは、第一位は三人と答えて、この割合は四五・七%、二人というふうに答えた人が二位で、これが三八%でした。では、実際に持てる子供の数はということで調べましたところ、二人と答えた人が四六・一%で、三人と答えた人が二五・六%、つまり希望することの半分しか実現されていないということがございました。  このような理想と現実の乖離の背景は何であろうかということなんですが、国立社会保障の人口問題研究所、第十二回の出生動向基本調査、二〇〇二年に行われましたが、この中で、理想の子供の数を持たない理由の中で最も多いのはやはり子育てや教育にお金が掛かり過ぎるからというようなことで、全体で六二・九%の人が指摘しておりまして、民間研究機関によりましても理想とする子供の数は年代別で大きな差は見られませんが、現実的には可能な子供の数については若い層で減少傾向であるということが分かっております。  民主党は、子供を持ちたい人は子育てに掛かる経済的負担が非常に重いということを心配なく安心して子供を産むことができる、そういう社会を目指しております。そして、民主党は、控除から手当への転換、すなわち配偶者控除、扶養控除等の改廃をして手当の充実を主張しておりますが、現状としては子供に対する社会保障給付は高齢者関係の給付と比較して著しく低い水準にとどまっているところでありまして、政府としましても子供に対する施策を充実させるという、そういうことは認めているところでございます。  そこで、民主党といたしましては、そうしたことを踏まえまして、やはり社会全体で支えていくというチルドレンファーストの社会の実現に向けまして、国の責任において取り組んでいくために国の全額負担によって子ども手当を支給していくということにいたしました。
  154. 円より子

    ○円より子君 政府案よりも手当の支給対象を広げたことや、またその要する費用の全額を国庫負担になさるという趣旨がよく分かりました。ありがとうございました。  それでは、たしか民主党ではマニフェストで十八歳未満までというようなことも言っていらしたと思うんですが、各国ではかなり、イギリスは十六歳未満までですし、ドイツも十八歳未満、さっき大臣もこういうことをおっしゃっていましたが、フランスが二十歳未満、スウェーデンが十六歳未満というような形になっておりますが、民主党は義務教育終了までというのが今回の法案ですけれども、この子ども手当の支給対象を拡大なさるおつもりはあるんですか。衆法と参法でその辺りはちょっと違っているのかなと思いましたが。
  155. 岡崎トミ子

    委員以外の議員岡崎トミ子君) 子ども手当を何歳まで支給するのかということについては様々な議論があるところなんですが、手当額の水準、所要財源、財源措置、あるいは、ただいま円議員が触れられました欧州における子供手当の状況、こういうことを総合的に勘案しました結果、今回の提案内容とさせていただきました。  なお、この法案では、法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後の子ども手当法の施行の状況、社会経済状況などを勘案して、子ども手当の支給の範囲拡大について検討をしていきたいというふうに思っております。  民主党は、高校生及び大学生の子供を養育する者については希望者全員に対する奨学金の無利子貸与、また私立学校の通学している者に対しても授業料の直接補助そのほかの措置によって別途支援していきたいとも考えております。
  156. 円より子

    ○円より子君 ありがとうございました。これで私、民主党の議員立法の方に対する質問終わるんですが、委員長、もし差し支えなければ退席していただいてよろしいでしょうか。
  157. 山下英利

    委員長山下英利君) では、発議者、よろしければ退席ください。
  158. 円より子

    ○円より子君 ありがとうございました。  それでは、引き続き、大臣に質問をさせていただきます。  児童扶養手当の方なんでございますけれども、これはもう御存じのように、昭和三十七年に制度が開始されまして、これは死別の母子家庭に出ている母子福祉年金の補完的制度として発足したわけですね。そして、昭和六十年に制度が抜本改正されました。以後ずっと、制度の創設時は十割が国の負担でございました。だんだん国の負担が減って、今回三分の一になったわけですけれども、平成元年に四分の三になったと、その前は十分の七だったんですけれども。こうした国と地方負担割合というのは、先ほど大臣がおっしゃったように、国にも地方にも子供を育てるための責任がある、国だけではないというようなお話もありましたが、この負担割合がどんどんどんどん変わるその根拠というのがよく分からないんですね。なぜこういう負担割合に、最初は十割だったのが何割になり、そして今回三分の一になったと。児童手当と一緒とか何とか、同じに、横並びにしなきゃいけないという、そういう問題ではなく、必ずこういう負担率を変えられるには根拠があると思うんですが、教えていただきたいと思います。
  159. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 児童扶養手当国庫負担率の変遷の経緯について御説明を申し上げます。  制度創設当時は、児童扶養手当国庫負担率が十分の十から始まったわけでございますが、それは、母子福祉年金の補完的制度ということで国の十割負担から始まったわけでございます。そして、昭和六十年度に十分の八になりましたが、そのときには、福祉制度に改めることになったことに伴って、ほかの、他の福祉制度に倣って二割の地方負担を導入したということでございます。そして、昭和六十一年度からは十分の七になりましたが、これは、このときから生活保護に並んできた経緯がございまして、生活保護との並びで一割削減ということで十分の七になりました。制度の経緯や性格にかんがみて生活保護に準ずることが適当であると当時は考えたわけでございます。そして、平成元年度に四分の三ということになりまして、これも当時の政府与党合意に基づいて生活保護国庫負担率が四分の三とされたことに伴いまして、児童扶養手当国庫負担割合も四分の三になったということでございます。
  160. 円より子

    ○円より子君 今の御説明では全然その合理的理由というのが分からないんですが。
  161. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 制度発足以来、いろいろ国庫負担率の変遷があることは事実でございまして、その時々の福祉制度に倣う、それから生活保護との並びということで、その時々の考え方に沿って、その時々には合理的なものとして考えられたということであると思いますが。
  162. 円より子

    ○円より子君 まあ結局、国の財政が大変だから地方に押し付けようという、そういうことかなと思いますが、全くこの児童扶養手当を受ける側の人たちのことを考えた合理的理由なんというのはないんだなというふうに思いますね。  今回、三分の一が国庫負担、三分の二が地方負担なんですが、地方の財政が大変今厳しいということは、大臣、御存じですよね。
  163. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これは話合いの中に総務省という役所が入って、この財源についてはきちっと手当てをするという中で合意をしたものでございます。我々も、この政策が落ちて、少なくなっていくということであってはならないと思っています。適正化は図らなければなりませんけれども先ほど申し上げたような就労支援、また実際の生活支援という側面はやはりしっかりやらなければならないと思っておりますので、それは当然竹中さんと私の合意の中でやってまいりました。
  164. 円より子

    ○円より子君 そうしますと、今の大臣言葉どおり、財源の手当てはしているから、負担部分地方が増えたからといって児童扶養手当の支給が減るということはないと考えてよろしいんですね。
  165. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 仕組みとしては当然そういうことでございます。
  166. 円より子

    ○円より子君 昨日いらした、大阪から来た参考人の女性は母子家庭の方で、現況届というのが毎年母子家庭は出さなきゃいけないんです、児童扶養手当を受けるために。今でも現況届を出すときに、お米や野菜を実家からもらっているかとか、それから養育費はきちんともらって、幾らもらっていますかとか、もちろん養育費のことはいいんですが、お米や野菜まで書かされていると言われたので、いや、そんなことは、一度、厚生省が書きなさいという指示を全国の市町村に出されたことがございまして、それを私のところにファクスが送られてきましたので、即座にそうしたプライバシーを侵害するようなことはやめてほしいとやめていただいた経緯があったんですが、どうも昨日お聞きしたらまだやっていらっしゃるということを聞いたんですね。だからちょっと驚いたんですが。  それで、窓口でどういうふうに、なぜそんなことを書かされたり聞かれたりするかというと、少しでも受給者を減らしたいというのがあって、厳しく現況届のときに嫌みを言われるというんですね。もうそれで、本当に仕事も見付からず、また子供が病気で困っているようなときに追い打ちを掛けられるようなことをされてということで、それが地方財政が逼迫するとますますそういうことが厳しくなるんじゃないかと言われているんですが、不安をお持ちだったんですが、昨日の参考人質疑で。  大臣は、必ずそうしたことのないようにという通達なり何なりを窓口に出していただきたいんですが、いかがでしょうか。
  167. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 個別のケースがどうなっているかはちょっと、具体例をお示しになりましたけれども、その個別のケースがあればまた個々に対応させます。  基本的な認識として、今回、六団体とかなり議論をしましたので、そのようなことが起こらないと私は思っております。御懸念のないように、我々もハローワーク持っていますから、そこも通じながら、やっぱり就労支援やることが目的だということをはっきり申し上げます。
  168. 円より子

    ○円より子君 大臣が、そのように受給者を減らして地方財政の逼迫を何とかしようなんということは絶対ないとおっしゃってくださったんで良かったと思うんですが、やっぱりそれぞれの市では大変気にしておりまして、県でも。  これは今年の一月二十一日付けの琉球新報なんですが、御存じのように沖縄というのは、北海道と沖縄で常に離婚率一位を誇っている、誇っているとは言いません、一位になっているような県なんですね。やはり貧しい母子家庭が大変多いんです。  そうしますと、その沖縄県の事例によれば、沖縄県の児童扶養手当の受給者は二〇〇四年度に二万人を超え、二〇〇五年十月末現在で二万六百四人、人口千人当たりの受給者は二〇〇三年度で一四・四人と、全国平均が六・九人で、その二倍以上もあるらしいんです。そうしますと、三位一体改革で二〇〇六年度から児童扶養手当国庫負担率が三分の一に減少すると、二〇〇六年度の県の児童扶養手当、これは県ですから市が入らず町村だけなんですが、二〇〇五年当初予算の二・六七倍、十五億四千百万九千円となるという、こういうことを、まあこれは県の町村分だけですが、心配なさっておりまして、そうすると、今どういうことが起きているかと申しますと、児童扶養手当以外に割合豊かな市町村が母子家庭に出していた、例えば育成手当とか母子家庭向けの児童手当というものが各市町村に今までありました。これが、千葉県船橋市ではもう既に、平成十六年以降減るだろうということを見越して一人親家庭を対象から外しました。それから、愛知県も平成十八年度より支給開始三年間だけに限定します。小田原市もこの十八年度から母子家庭対象の児童手当を廃止します。この根拠はすべて国が自立支援策を打ち出したからということなんですけれども、じゃ本当に自立支援が進んでいるのかというと、なかなかそうはなっていないんですね。  それで、この間の大臣所信に対する質疑の中でも、私、大臣に質問させていただいたんですが、懇談会の席で大臣が、平成二十年度からは、例えば五年たっても仕事をする意思がない場合は、既に法律で半額まで児童扶養手当を下げることが決まっていると話されてたんですけれども、これはもう一度、どういう法案のどういう趣旨なのか、お話いただけませんでしょうか。
  169. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 受給期間が五年を超える場合の児童扶養手当の一部支払停止措置の具体的な内容については、平成十四年改正時の附帯決議に、今後、「子育て・生活支援策、就労支援策、養育費確保策、経済的支援策等の進展状況及び離婚の状況などを十分踏まえて制定すること。」とされております。  附帯決議にこのようなお話をいただいて、そして最終的には十九年中に議論を詰めて二十年から実施をいたしていくことになると理解いたしております。
  170. 円より子

    ○円より子君 この半額まで下げられることというのは、ぎりぎり半額までということで、半額下げるということではなくという意味でよろしいんですか。
  171. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 正にこれから御議論いただいて、先ほど言いましたそうした状況も勘案しながら十九年中に結論を出すということでございますから、すべて半額にすると決まったということではありません。
  172. 円より子

    ○円より子君 今それを聞いて安心いたしました。  といいますのは、その法案が制定されるときの議論の中で、ちょうど坂口先生が大臣でいらっしゃいました。この法律は減額するということが書いてあるけれども、その減額が一%なのか一〇%なのか二〇%なのかということは、今大臣がおっしゃったとおり、附帯決議にも書いてあるとおり、この五年間でどれだけ母子家庭のお母さんたちがちゃんと就業をし、そして収入も上がり、子供たちを育てられるような環境になるかということをちゃんと見てからやるというふうに言っていらっしゃるんですよね。  ところが、母子家庭のお母さんたちはもうみんな窓口で、二年後には半額になるんだから早く就労しろとか、まあ就労しろというのはおかしいですね、大体就労している方が多いんですよね、八割以上ですから。もっと収入上げられるようにしないと大変ですよとかって言われて、就労しないとという方よりも半額になりますよという方のことがもう頭に入ってしまって、皆さん戦々恐々としていらっしゃるので、今大臣の御答弁を聞いて少し安心いたしましたが、是非、各市町村にはそのことをもう一度、調査を待ってからということなんだということを徹底していただきたいと思います。  そこで、その調査なんですが、実は平成十四年のこの法案が通るときの審議のときにも、この母子家庭の実情調査というのが古いものしかございませんでした。それで、やっとこの審議が終わってしまってから、平成十五年度の調査の結果が十七年の一月に出たというような状況なんですね。これは、毎年ではなく厚生労働省では五年ごとに調査をしていらっしゃるんです。そうしますと、今度のこの、何%削ることになるのか知りませんけれども、その率を決めるに当たって、就労支援がどうなっているか、失業率がどうなっているか、お母さんたちの収入が上がっているのかどうか、子供たちの高校の進学率も上がっているのか、父親からの養育費がしっかりと来ているのかどうか、こういったことの調査というのは、今度二十年の四月から変えようとおっしゃるんですけれども、いつなさって、いつ調査の報告が出て、そして周知徹底するための時間というものも必要なんですが、どのようになさるおつもりなんでしょうか。
  173. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) お話しのように、おおむね五年ごとに全国母子世帯等調査を実施しており、十五年十一月にやりました。今の御意見も踏まえた上で、今年の秋ごろを目途に同様の調査を実施するという方針であります。
  174. 円より子

    ○円より子君 今現在、もう二年後実施が決まっているという法改正に当たって、そろそろ調査を始めないと間に合わないわけですよね。今年じゅうにして来年ぐらいには報告が出て、そしてそれを見てどうするかということなんですが、そうすると今年じゅうの調査となりますと、この間大臣もおっしゃっていましたが、失業率、まあ少しは下がっているけれども、収入は下がっていたりとか、いい状況になってないと思うんですが、何か母子家庭の生活状況でいいデータがありましたら、私もうれしいですから教えていただきたいんですが。
  175. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 個別のデータあればお話し申し上げますけれども、私の方から見れば、全体の流れとしては改善の方向に進みつつあるという認識をいたしております。これは、高校卒、大学卒の数字が随分変わってまいりました、新卒の採用が。それから有効求人倍率が変わってきた。それから、一方でパートに対する物の考え方が少しずつ改善されてきている、こうした状況に全体としてはなってきているんだろうと。  ただ、母子家庭をめぐる環境については、私、今ちょっと母子家庭を特別に取り出したデータを持っていませんので、また後ででも御連絡申し上げます。
  176. 円より子

    ○円より子君 先日、私が質問で申し上げたんですが、例えば一般世帯の世帯人員一人当たりは二百四万七千、約二百五万と申しました。年収ですね、一人です。高齢者の場合で百九十六万一千と申しましたね。母子世帯は八十七万三千円とそのとき申し上げたと思うんですが、母子世帯もこれは死別が入っている金額なんです。  大臣、是非頭に入れておいてほしいんですが、離別ですと六十一万しかないんです、一人。一般の状況が良くなっているといっても、常に経済指標を見ていただくと分かりますが、東京は良くなっていても地方が悪かったり、全体が良くなっているからといって個別、個別というんじゃないんですが、百万以上の世帯の母子世帯が良くなっているとは言えませんので、是非細かく見ていただきたいんですね。  そうしますと、そういうような就労状況の中で、また常用雇用の人が減っているんです、今、母子家庭では。パートとか非正規の派遣とかが増えてます。必ず年代が上がったら収入が上がるという状況ではないんですね。高校生になったからお金が掛かる、でもお母さんの収入は上がらず、逆に年を取って下がるというような状況です。清掃の仕事にやっと就いて、ホテルの深夜、土曜日の夜、朝まで日曜までやってというような仕事に必死に就いて仕事してらしても、時給八百円だったのがまた減ってしまったという、そんな今状況ですから、こういう人たちの今年母子世帯調査をして、私は良くなっているように思えないんですね、全体の周りの。皆さんは母子世帯の方たちと余りお会いになってないかもしれませんが、私は毎日のように母子世帯の方たちの話を聞いておりますので、決して状況が良くなっているように思えない。  そうしますと、前回の法律で五年後に削減していくということは、撤回しなきゃいけないという可能性もあるということでしょうか。
  177. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これは仮定の上に仮定を重ねた議論ですから、言われるとおり、今年の秋に調査をいたします。  もう一つは、全体の数字は円委員が言ったのと同じなんですよね。去年一年間見れば、確かに常用雇用が増えてない、非正規雇用の方が増えている。しかし、昨年の暮れぐらいから少しずつ改善の方向になってきてて、かつ、先ほど申し上げたように新卒の採用というのが随分上がってきた。それから、最近伝えられる様々な情報は改善の方向になってきているねという私の認識を示しました。  したがって、秋、円委員の認識と私の認識は今の時点では違う、しかし秋には数字が出てきますから、またそのときに私がしていれば、ここでお話合いをしましょう。
  178. 円より子

    ○円より子君 是非その調査をしっかりと見て、もちろん大臣がおっしゃるように、去年の秋から母子家庭の状況が良くなれば私だってとてもうれしいですからあれなんですが、残念ながら今まで政府がなさった調査で、何か削減するというときに調査を必ず審議会の先生たちにやっていただくようなことがあるんですが、その報告見ますと、物すごく悪くなっているにもかかわらず、調査はした、だから下げるというようなことが度々行われてきたことをよく分かっておりますので、そういうような調査の使い方をされないようにお願いしておきたいと思います。  それから、予算のことなんですが、いろんな就労支援のプログラムを立ててらっしゃいますが、十五年度の児童扶養手当二百億を削ったときにやった就労支援なんですが、十五年度は本当にまだまだ徹底がしてなかったせいもありますが、母子家庭等対策総合支援事業が一七・八%しか予算が使われませんでした。私が訓練などが大事だと言ったその訓練は、十一億取ってあったんですが、その年二百万しか使われなかった。  もう国民の皆さんどなたに聞いても、十一億の予算が一年間でどのくらい使われたと思いますかと聞いたら、まあ五億ぐらいかしらという人が多かったんですが、二百万ですと言ったら、もうほとんど皆さんのけぞりますよね。ということは、作ったせっかくの政策が本当に使われないようなことをやっていて情けないと思うんですよ、作られた方もね。それで、次の年はやっと六〇%になったんですが、なかなか、もっと本当にするといいというのは一二・九%だったり、三五%だったり、ばらつきがあります。  今度どういうふうになるか。全部一括して、実はこの中には十分の十国が負担するものが一つ入ったんですね、今度。それまでは全部国と地方で分けてあった。地方負担が多いところはほとんど使われてなくて、じゃどうなるかといいますと、すべて一括してどれを使ってもいいですよと、地方に、自由裁量にまあなったわけです。で、自由裁量と言ったら聞こえはいいですが、国が全部やるものも一つ入ってますと、それを全部一〇〇%やったらとても数値が上がるわけですよね。何だかこそくなやり方じゃないかななんて私は思うんですが、いかがでしょう。本当にそれが就労支援になるんでしょうか。
  179. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) そこは先ほどから申し上げている、多少悩みはあるんですよね、我々。例えば小児医療で八〇〇〇番、シャープ八〇〇〇番、制度作らしていただいてお願いしております。そして、小児医療がこれだけ国会で議論されていても、やっていただいている県は半分でございます。がんの問題でも、地域拠点病院つくろうと、がん登録しっかりしていこうと言っても、現実に七県の方々がまだ参加していただいていない。今度、四月からの新制度にはみんな乗っていただけるように、どうやら歩調が合ってきたように思います。そういう意味では、しっかり、制度を作ったときに地方へ周知をしながら、そしてしっかりやってもらうことが大事でありますけれども、なかなかすぐには付いてこないという現状にはあります。  しかし、先ほどから言っていますとおり、それを言い出しますといつまでたっても地方に分権というものが進みません。そういう意味では、やはりしっかり切り分けをしながら進めていかなきゃならないだろうと思いますし、また私どもも、もう少しそういった点に、地方に対してしっかりやってもらうような要請、努力を重ねていかなければならないだろうと。お示しいただいたような数字、細かく見てませんけれども、スタートしたときもそんな数字だったと、誠に申し訳ないと思っております。
  180. 円より子

    ○円より子君 実は、これは厚生労働省がおやりになった、平成十七年一月に発表された五年ごとの調査でございますけれども、福祉関係の公的制度等の利用状況の中に、母子家庭等就業・自立支援センター事業を利用していない、又は利用したことがないという人が九九・四%なんです。高等技能訓練促進費事業、これも、利用したことのない、又は利用してないというのが九九・八%、ほとんど一〇〇%に近いんですね。ほかのも全部そうなんです。  そうしますと、今大臣は何とかそういう状況じゃないようにしていきたいと、地方にも徹底したいとおっしゃいましたが、ただ地方に徹底したりするだけでこの比率が上がって利用してもらえるのかというと、どうもそれだけで私はないんじゃないかという気がするんです。何か一生懸命いろんなことをやって作ってはみたけれども、本当にそれが母子家庭のお母さんの就労支援の実を上げることになってないとしたら、作った側に何か問題があるんじゃないかと、徹底して分析して違う方法を考えない限り、本当に、私も何も児童手当児童扶養手当でばらまいたらいいとは思ってないんです。  お母さんたちのほとんどはきちんと仕事をしたいと思っていますし、そして八〇%以上の人が働いてもいますし、働いてもなおかつ貧乏だという状況を何とかして子供を育てたいと思ってらっしゃいますから、就労というのはとても大事なことなんですが、じゃ、様々な施策を作ってもほとんどが使われてないんだったら何が問題なんだろうと。作りましたよ、はい、こんなにメニューは持ってますよといっても、そこにお客さんが来て食べてないということなんですよね。民間企業だったらつぶれてますよ、とっくに。そうしたら、メニューを変えなきゃいけない。もう毎晩十二時、一時、二時まで、そのメニューをどうすればいいかということを考えるのが必要だと思うんですが、いや、地方がなかなかやってくれないからという問題じゃない、徹底すればいいという問題じゃないように思うんですよね。  大臣、どう思われますか、ずっとこんな、使われてないという状況がずっと続いていて。私なんかもう本当、私、割とそんな物事悪く考える方じゃないんですが、予算付けましたよ、メニューも作りましたよ、だけど使われないのはあなたたちの勝手であって、私たちはこんなちゃんとやってますよという、あぐらかいてるようにしか思えないんですよね。
  181. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 確かに、国が全部まとめてやっていけばその差がないんだろうと思います。しかし、そこはやはり、先ほどから言っていますとおり、地方の役目、国の役目、そこはやはりきちっと方向付けをしていかなければならないだろうと。  そういう意味では、円委員からもどうしたらいいという御提言をいただければ早速取り入れさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  182. 円より子

    ○円より子君 では、早速提言をさせていただきます。  まず一つは、私は、本当にその五年間という期限を切って、お母さんたちの児童扶養手当の財源を減らすため、お母さんたちのというか、国の財源も地方の財源も大変ですから、負担を減らしていくためにということがまああったとしても、お母さんたちがちゃんと就労して食べていけるようになるのはお母さんたちも望んでいることですから、じゃ、その五年の期限を切ったところにだあっと本当に全力投入して、資金も投入してやるべきだったと最初から言っているんですが、ちまちまちまちまとしかお金出してないんですよ、切ったお金と比べて。でも、五年間にどおんと、今、地方のもちろん裁量とかそういうことは大事なんですが、五年間は全部国の負担就労支援しますってやったら、私は相当お母さんたちの就労は進んだというふうにまず思います。  それから、国と企業、また地方自治体、みんな率先して母子家庭のお母さんたちを例えば何%の割合で雇うとか、皆さん女の人は母子福祉資金などを借りても絶対にちゃんと返していくというような、銀行でもそうですけれども、ちゃんと働き場所があって収入さえあれば、それを猫ばばしたり、それから返さないなんて、ほとんど女の人はないんですね。  ですから、そういう投入をまずするということも一つですし、もう一つは、実はこの五年で切るというのは、どうもアメリカ、ごめんなさい、男性に対する差別発言でしたでしょうか、申し訳ありません。バングラデシュとかいろんなところで、女性たちの教育機会を増やし、そして就労機会を増やすために銀行が、民間銀行が貸すなんということをずっとやっているんですが、そういうのも九十何%のちゃんと返済率で、世界じゅうで女性の返済率は高いということが言われてたものですから、ちょっとそれを例として挙げさせていただきました。別に男性に対する差別発言ではございませんので御了解をください。    〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕  それで、もう一つ、実は今私が言い始めましたのは、五年で働かない人たちには児童扶養手当をまあ削減していく。働かない人だけだったらまだ、まだしもなんですが、働いている人でもどんどん収入で切って減らしていくということなんですが、それを決めた五年というのが、もちろん、離婚した後、五年ぐらいがめどで割合自立しやすいということももちろんあったと思いますが、日本という国は、金融業でも何でも、金融政策でも何でも、割と外圧に弱いところがございまして、アメリカで実は五年で切るというようなことがありまして、アメリカというのは余り福祉に手厚い国ではないと思ってたんですが、このアメリカで、実は、何と言えばよろしいんでしょうね、やはり受給者の長期的な依存が問題になりまして、母子家庭が随分そういう扶助を受けているということで、受給期間を五年間に制限したことがございました。これに倣ったのではないかと私も思っているんですが。  ただ、同時に、アメリカの現状を見てみましたら、どんなに働いても働いてもワーキングプア、つまり貧乏だという、そういうふうになりやすい福祉受給者への最低所得保障として、EITCというらしいんですが、これは勤労所得税額控除という、これを引き上げる政策一体として実施してるんですね。これは母子家庭だけではないんです。父子家庭も入ります。それから、夫婦そろっている、つまり父親と母親がそろっている二人親家庭も、一生懸命働いてもなかなか子育てができないような、そういうワーキングプアになりやすい人たちに対して、稼得所得額の一定割合の税額控除を与えて、税額控除の額がその納税者が負う所得税額及び社会保障税額の合計額を超えた場合に、その超えた部分を納税者に還付する制度なんです。  そうしますと、働けば税額控除が受けられる年収限度とかを気にする必要がなくて、勤労すればするほど、働けば働くほど支援が受けられるということで、働くことへの勤労意欲がわくといいますかインセンティブが働く制度で、こういうことを考えろと言ったのは、大統領の経済諮問委員会に大統領が言いまして、必死で働いてもなかなか子育てもできないような貧困層の人たちにどういうふうにすれば働いてもらいながらちゃんとした福祉もやっていけるかということで考えられたのがこのEITCで、貧困との闘いで主要な武器になるということで大統領の経済諮問委員会も大統領も大変高く評価しておりまして、今、英国などもこういうものを参考にした制度を取り入れてるんだそうです。  私は、児童扶養手当は少しそれに、八〇%のお母さんが働いてますから似たようなものかしらとも思うんですが、こういうものにいっそ切り替えられたらどうかというのも一つの提案なんですが、いかがでしょうか。
  183. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これは先ほどから、児童手当自体を税額控除でやるのか経済的支援として実額でやるのか、また企業から出すのかと、こういう議論があると申し上げました。民主党さんは、今回はすべて実額でやろうという整理をされてるんだと思うんですね。我々の中には、税額控除というものを取り入れた方がいいんではないかという意見も党内の部会等であります。一方で、公明党さんも、やっぱり基本的には児童手当に集約した方がいいんではないかと、こういう考え方があります。  こういう考え方をどう全体で調和させるかというのが一つと、もう一つは、日本とアメリカの最大の違いは、多分課税最低限が全然違うんじゃないでしょうか。例えば、児童扶養手当という仕組みで申し上げれば、お母さんと子供一人と考えたときに、百七、八十万まで税は掛からないという社会、アメリカは多分課税最低限は相当低いというふうに私どもは思っております。  そういった意味では、税というものに対する形がどうあるのか、私も実は専門家でないものですからあんまり答えにくいんですが、この話は。しかし、我々の党の中でも税控除という問題について議論を今いたしていることは事実でございます。
  184. 円より子

    ○円より子君 扶養控除とかそういう形ではなくて、勤労所得税の控除ですし、是非そういうことも考えていただきたいんですが。  もう一つ、先ほど言いましたような現況届を出すときに、養育費の虚偽記載なんかがあったら、懲役三年以下のとか、又は罰金ですよと、三十万円以下の罰金ですよというようなことを書いて出させるような、そのスティグマみたいなものがEITCにはありませんし、今アメリカと違うとおっしゃった、課税最低限はアメリカの方が高いと今大臣おっしゃいましたよね。高いとおっしゃいましたよね。
  185. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 向こうの方が低い。低い。
  186. 円より子

    ○円より子君 低い、あっ、ごめんなさい、低いとおっしゃいましたよね。  実はこれ、ドルと円の関連と、それからまた購買力平価でやりますとアメリカの方が高いというようなことがきちんと学者の中で出ていまして、決してただ低いというようなことではないというのも出ておりますので、もう少しその辺りも全部考えて、先ほど何かいい方法がないでしょうかということも言われましたので、少しEITCのこともお考えいただけたらなと思って提案させていただきました。    〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕  財務省の方では、このEITCのような考え方は何か考えていらっしゃいますでしょうか。
  187. 加藤治彦

    政府参考人(加藤治彦君) 今お話のございました勤労所得税額控除というアメリカの制度でございますが、私ども課税当局の立場からこの制度を評価させていただくとすれば、実は税という名前は付いておりますが、この主なねらいは、むしろ社会保障給付をどのように流していくかという、その仕組みとして税の形式を使っている。  それで、むしろ、みそは、ほとんどのこの対象の方が実際には税金を払わなくてもいい方で、じゃどうなるかというと、税額控除という名、本来払ってないんで、日本的に言う税額控除はゼロのはず、それでもうストップになるんですが、実は負の所得税のような考え方を導入しておりまして、その分はもう、還付というんですけれども、払ってないんだけれども還付、実は給付と、こういうことを行っておるわけです。ですから、私ども、むしろこの問題というのは低所得者対策としてどのような政策を行うかということがまず先にあると思います。  その上で、どういうルートでどういう、給付、仮に給付ということになれば、どういうルートでその給付を行うことが適当か。ここは正にアメリカと日本の違いですが、現行の国家行政組織の体系から申しますと、我が国の租税当局は正に徴税の行政機関でございますので、歳出権をそこに与えるというためには相当大掛かりな行政組織の変更も必要です。その辺も含めて、どういうやり方がいいかというのは、むしろ中身としてのまず御議論をしていただいた上で御議論いただくのが、税制当局からするとそう言わざるを得ないという感じでございます。
  188. 円より子

    ○円より子君 都道府県別の最低賃金の最低額が、これ青森だったと思いますが六百八円なんですね。一番高いところでも、これを、例えばこの六百八円で年間二千時間例えば働くとしても百二十一万六千円ですし、最低賃金の一番高いところでも、そういうふうに計算しますと百四十二万八千円なんです。これに対して、生活保護の支給額は、母子二人世帯の場合ですと、地方によって、地域によって差がありますので、最低で百六十一万円余、最高で二百七万円余となります。  そうすると、母子世帯でかなりその最低賃金レベルで働いていらっしゃる方が多くて、年収二百万円未満の世帯が、これ二百万といいましても児童扶養手当があってですから、就労の平均が百七十万ぐらいですからもっと低いんですが、五六・二〇%というような状況で、今私が何を申したいかと申しますと、過半数が、母子世帯の、生活保護を受けた方が収入が多いという状況が今、日本ではあるんですね。  そうすると、労働インセンティブといいますか、そういうものがすごく阻害されるので、どうしても就労支援をしても収入が上がらなければ、大変というか、きつい、でも生活保護は受けないという母子家庭のお母さんたちの結構プライドがあるんでしょうけれども、また、それとも生活保護を受けるときの基準が厳しいのか、それちょっとよく分かりませんけれども。  生活保護世帯も増えていますから、決して生活保護を受けることはいいわけじゃないんですが、何とか働いたことによって食べていけるような社会をつくらなきゃいけないんじゃないかと思いまして、今財務省の方からは、税額払わずに確定申告して還付される福祉みたいな状況のだと、給付のような状況だとおっしゃいましたが、これは確かに政府の方でやってはなかなかうまくいかないものなのかなと、アメリカもだから大統領が諮問機関でやったということがありまして、我が国も政治主導で、経済全般の運営の基本方針とか財政運営の基本、予算編成の基本、こうした重要事項について調査、審議をする機関として経済諮問会議が官僚主導でなく今運営されているわけですけれども。ここでは、こうした働いても働いてもなかなか収入を得られない、それなのに子供を必死で育てなきゃいけないというような一人親家庭や、二人親でもそうなんですが、そうした人たちへの配慮、格差の拡大を何とか食い止めようとするような、こうした考慮、配慮、研究はなされているんでしょうか。EITCのような制度を我が国においても導入できるかどうかはともかく、導入すべきかどうかの研究なさっているんでしょうか。
  189. 松山健士

    政府参考人(松山健士君) ただいま御質問の点でございますけれども、経済財政諮問会議、こちらの方では、もちろん政府の一つの機関でございますけれども、これまでも委員御指摘の点も含めまして低所得者対策に関しまして、例えば企業も地域も個人も、自らを助ける精神と自らを律する精神を大切にし努力をすれば報われる社会を目指していくことが大切であると。また、しかしながらどうしても一人でやっていけない人に対しては、お互い助け合いながら支えながら支援の手が差し伸べられる社会が大切であると。また、勝ち組、負け組に固定されずに常に様々なチャンスが与えられる社会が望ましいと。  そういう認識の下で様々な検討は行っておりまして、景気の回復を図りながら持続的な制度の構築に向けた社会保障制度改革におきましても、低所得者層への配慮を行いつつ、セーフティーネットの確保に万全を期すということ。また、ニート、フリーター、生活保護受給者の自立支援対策の充実に向けた施策の一層の推進、こういったことに取り組んできたところでございます。  御存じのとおり、六月にいわゆる骨太の方針、これを毎年策定しておりますけれども、この策定におきましてもこれから様々な議論がされるわけでございますけれども、経済財政諮問会議におきまして関係大臣の御出席をいただきまして、委員御指摘のような点も含めて検討を行いまして適切な取りまとめをしていくと、そのように考えておるところでございます。
  190. 円より子

    ○円より子君 それでは、次に母子家庭の子供たちの問題の方にちょっと移りたいんですが、経済的な問題だけではなくて、大臣は、面接交渉とか交渉権とかっていう言葉、お聞きになったことあるでしょうか。アメリカなどではビジティングライツというふうな言い方、訪問権とか、「クレイマー、クレイマー」という映画、覚えていらっしゃいますでしょうか、その中で別れた子供と親が行き来するという、そういうものなんですが、日本ではこういうことがされているかどうか、御存じでしょうか。
  191. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 基本的に、例えば私が別れた場合に子供に会いたいと、それは他の阻害要件がなければ会える権利はあると、このように承知しております。
  192. 円より子

    ○円より子君 私は、長い間いろんな離婚ケースを見てまいりまして、子供たちのためにはできれば離婚は避けた方がいいと思っている人間でございますけれども、もしやむを得ず別れた場合は、親が会いたいというのももちろんですけれども子供の方の権利として面接交渉があった方がいいと考えてきたんですね。それは自分の個人の考え方だけではなくて、大勢の離婚したケースの一人親、つまり母子家庭に限らず、父子家庭の方々にもアンケート調査を読売や朝日で呼び掛けまして、したことがございます。  その中で、きちんと離婚した後、子供のために父親なり母親なり別れた子供と会わせている、会っている子供たちには、なぜ別れたかもきちんと話していて、うそを言ったりごまかしたりもしてませんし、それから、別れても会っているお母さんとかお父さんのケースはどちらのケースも割合正社員で、正規の雇用で収入の多い、多いと言うとおかしいですね、ぜいたくではないけれども、ある程度安定した仕事と収入を持つ方々に多かったんです。  これ、すごく経済と、その子供の離婚後の精神的安定や父親との面接が関係していることが、三回ぐらいの年度を変えてやった調査で分かったんですね。こういったこと、なかなか調査、プライバシーの問題もあってできておりませんで、多分うちの研究所でやっていることぐらいしかないんじゃないかと思っているんですが。  そうしますと、私は、その子供たちにとって別れた父親なり母親なりとちゃんと会って、別れた親もずっとその子の成長にかかわり、愛情を持っているんだということが子供に分かるということはとても大事だと思っているんですが、現況届出用紙に実はこんなことがある。別れた夫の定期的な自宅への訪問の有無とか、別れた夫が自宅で食事をしたりしてないかとか、そういうことを書かせる現況届がございました。今ももしかして、そんな全部を精査してませんから、あるかもしれない、なければいいんですけれども。  で、なぜ私がこれを問題にするかと申しますと、例えば養育費を払っていない父親、私は、養育費はきちんと、また後でこの問題もやらせていただきますが、当然子供を産んで産み捨てにするような無責任な親なんというのは困ったもので、どんなに収入がなくても養育費は送るべきだとは思っていますが、残念ながら離婚する人たちの大半が、性格の不一致でも何でもなく、経済的理由で別れている人たちが多いんですね。そうしますと、夫の側が失業したり、どこかへ倒産でいなくなったりで、払えない人もまたいることも事実なんですが、それでも私はやはり養育費というのはきちんと決めなきゃいけないと思っているんですが。  どんなにもらいたくてももらえない状況の父親というのがいたときに、その母親は、じゃどういうことをしているかといいますと、ベビーシッターを雇えばお金が掛かるしいろいろあるけれども子供は父親と遊びたいとか懐いているというときに、じゃ、自分が仕事ですごく忙しくて夜遅いときは、ベビーシッター雇えない代わりに別れた父親に来てもらって、子供の御飯を食べさせて寝させるところまでやってもらうとか、そういうことで、養育費代わりというふうに打算的ではないんですが、やっているケースだってあるわけです。それは子供にとってとても、その別れた妻は本当は顔も見たくないというケースだって子供のためにやっていることもありまして、そうすると、こういう現況届の調査をされてしまいますと、本当に事実をちゃんと書こうとすると、きっと児童扶養手当がもらえないんじゃないかとか、とてもそういう心配をするお母さんたちがいるんです。  面接交渉を本当にきちんと日本で位置付けられていれば、こういう調査なんということはあり得ないと思うんですが、子供たちの離婚後の精神安定と経済安定のためには、こういうことはやるべきではないし、是非、これは現況届だけの問題ではなく、大臣としても面接交渉を是非子供のためにはやるべきではないかと思われるかどうか、その二つをお聞きしたいと思います。
  193. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 法律で定めてありませんけれども、判例では、離婚後、親権を、若しくは監護権を有しない親は、未成熟子の福祉を害することがない限り、未成熟子との面接交渉権を有していると、こういう判例になっております。ただ、そこで無理が生じて夫婦間、夫婦間というか、元の夫婦間の亀裂がかえって子供に悪い影響を与えるとか、それは正直言ってケース・バイ・ケースは当然あるんだろうと思います。  それからもう一つは、今のケースでございますけれども、一方で偽装をする人がいることも事実ですよね。離婚してないのに離婚したと言って手当をもらいにくると。当然、この仕事をしている人たちが職務に誠実に、まさか生計を一緒にしてないでしょうねと言うことは、これは職務上やらざるを得ない仕事でございます。そこは、すべての人が善意でやってくれればいいですけれども、当然それだけの責任を負った仕事を彼らもしております。ただ、プライバシー問題に必要以上に立ち入らないようにということは地方自治体に指導しているところでございます。  面接交渉権を法律的にやった方がいいかどうかということについては、私より法務省に聞いていただければ有り難いと思います。
  194. 円より子

    ○円より子君 それで、養育費なんですが、昨日も自民党の同僚議員の阿部先生からも養育費の話がございました。  養育費の算定のガイドラインは作られましたけれども、養育費の取決め状況は余り改善されてないような気もします。また、それから民事執行法の改正が行われて、これは大変、毎月毎月せっかく決めた養育費を元夫が払わないことで、もうとても困っていらっしゃるケースをたくさん見てまいりまして、一回ごとにその請求もしなきゃいけないなんというのが大変でございましたから、一回ですべてできるようになったことは大変、私はもう二十年来そういったことを求めておりましたので良かったとは思うんですが、実際に法務省の方で見ていらして、この数年間で養育費の取決めが増えたのか、また民事執行法が改正されたことによって養育費の取決めがちゃんと支払われるようになっているのかどうか、それから養育費の額が上がっているのかどうか、その辺りについて、分かる範囲で結構ですので教えていただきたいと思います。
  195. 深山卓也

    政府参考人(深山卓也君) 今議員御指摘のとおり、民事執行法を二度にわたって改正をいたしまして、養育費の執行を容易にする措置を講じたところでございます。  離婚に際して養育費の取決めをする件数の割合が増えたのかと、あるいはその額が上がったのかというお尋ねにつきましては、正直申し上げてその点についてのデータは持っておりませんが、ただ新制度、今御紹介のあった執行を将来の分にわたって容易な手続でするようにした新制度は相当程度使われていると聞いておりますので、その養育費自体の取決めやその額が増えた、あるいは上がったという問題はひとつまずおきますと、きちっと決められたものについての回収といいますか、履行の強制というのは新制度を利用して相当程度以前より行われていると思っております。
  196. 円より子

    ○円より子君 厚生省の方でこの秋にも調査なさる中には養育費のことも当然含まれるんでしょうか。
  197. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) そのような方向で考えたいと思っております。
  198. 円より子

    ○円より子君 調査をしても多分なかなか養育費を支払う人は増えないんじゃないかという気がして、まあ悲観的な見方ですが。私は、子供に対する責任としてやっぱり養育費は当然支払わなきゃいけないですから、確かに裁判離婚だけのアメリカ、欧米諸国と比べて、日本は協議離婚が九割ですから、そこで養育費を決めたかどうかということが分かりません。  でも、例えば、役所に離婚届を出しますが、そこに養育費の取決めの有無という項目を入れて養育費の取決めをちゃんとしているかどうかぐらいはチェックすれば、離婚するときに子供のことを捨てては駄目ですよ、ちゃんと養育費を払うのはもう当然のことなんですよと、少しは注意を喚起できるんじゃないか。窓口でも、ここちゃんと書いていませんねと言えるようにするとかですね。  本当は、子供がいる人は、離婚のことは協議離婚で決めても養育費については家裁の調停に行って取決めをするというぐらいのことをしてもいいんじゃないかという気もしているんですが。そうして、その調停で取決めをしたり裁判で取決めをした養育費について支払わないときは、第三者機関でというか、国なりが逆に先に渡してあげて夫から強制的に取り付けるというようなそういったこともできないのかなと。まあこれは様々な問題があるかもしれませんが、母子家庭のお母さんたちの養育費の一番の要望は国が立て替えて取り立ててほしいということなんですね。  こういったことについて厚生省はどのように、また法務省はどのようにお考えでしょうか。
  199. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 離婚届の用紙に、若干圧力になる意味でもその養育費の取決めのことについて項目を設けていただきたいというのは、厚生労働省としては実はそう思っておりまして、しかるべく機関にもお願いをしたりしております。  ただ、その強制徴収だとか立替払だとかいう仕組みは、今委員もおっしゃいましたように、きちんと、諸外国であれば裁判離婚できちんと取決めをするということが前提になっているような仕組みでございますから、なかなかそうした抜本的な仕組みにならないと、現状の日本の協議離婚が多くて、その取決めも任意というような様子の中ではなかなか制度化というのは難しかろうと思っております。
  200. 深山卓也

    政府参考人(深山卓也君) 今お話がありました離婚届に養育費の定めに関する欄を設けるということにつきましては、ここにきちっと書かないと離婚届を受け付けない、つまり離婚を認めないということになりますと、離婚をすることが子供の養育費の合意ができないということで非常に難しくなってしまうケースが相当程度出てくると。あるいは、どうしても離婚したければ、そこはまあ不合理であっても何でもとにかく書いてしまうというようなことにもなりがちで、なかなか制度化することに難しい面はあると思っております。  では、それじゃ、任意に書きたい人が書くということはどうかということもございますが、戸籍の届出、離婚届も戸籍の届出書ですから、戸籍に反映することを最低限度書いていただいて、必要以上にプライバシーにわたるようなことを一々戸籍の届出書に書いていただくということは、ほかの届出書も含めてですけれども、しておりませんので、そのこととの関係で、任意であっても戸籍におよそ反映しないこういう事項についての記載を求めていくということがいいのかどうかという点もまた一つ問題があろうかと思います。
  201. 円より子

    ○円より子君 確かに、暴力的な夫から逃げたいとか、それから働いても働いてもその収入を持っていってしまう夫というようなケースもたくさんありまして、協議離婚ができないで困る人たちもいることは確かです。だから、難しい問題かと思いますが、養育費の取決めの有無だけでしたら、月に幾らというふうな金額を決めるわけではないんですよ。  私もいろいろ、二十年間いろんな人たちの意見を聞いて考えたのは、取決めの有無だったら、取決めをしなかったの、なしのところに丸を付けるだけで、受理はできるわけですよね。そうしますと、それは、何というんでしょうか、そんなにプライバシーには触れることでもありませんし、養育費は必要なんだよということが、何というのか、別れる人たちに、アドバイスではないですね、強圧的でもないんですが、ちゃんと分かるようにできると思うんですね。  で、もしそれができないとしたら、じゃ法務省は一体養育費の取立てということに対してどういう手段を考えていらっしゃるんでしょうか。
  202. 深山卓也

    政府参考人(深山卓也君) 先ほど先生のお話の中にもありました、平成十五年、平成十六年に、きちっと養育費の取決めをした場合についてのその支払が受けられない場合の強制執行の方法につきまして民事執行法等手当てをして、取立てといいますか強制履行を容易にするという形で、今ですと、離婚の際に必ず決めるということにはなっておりませんで、決めているケースもあれば、その後調停や審判で決まるケース、いろいろありますけれども、きちっとしたそういう取決めが月幾らと決まったものについての回収策といいますか、履行を強制する手段については、考えられるだけのことはここ、十五年、十六年ですから、ここ二、三年のことですけれども、手だてを講じてきたところでございます。
  203. 円より子

    ○円より子君 取り決めた後のケースというのはそんなに多くないんですよね。だから、ちゃんと取り決めてもらえるような方策を是非考えていただきたいと思っておりまして、例えば、協議離婚した後でも未成年の子供がいる場合は養育費について調停に出てやりなさいというようなことであれば、例えば離婚をそれでできなくなるということはないわけですし、様々なことが考えられると思うんですが、子供たちのことを考えれば、親にはいろんな責任はあったとしても、子供には責任はないわけです。ですから、是非とも、子供たちがきちんとした、母親の収入の就労支援ももちろん大事ですが、どうしても男女格差のある中で、お母さんだけが必死で働いたって無理なときは父親の養育費というのも当然必要なことは当たり前で、これのやっぱり取決め方法を考えるべきではないかと要請をしておきます。是非それは、厚生省、法務省、様々な分野の関連機関でやっていただきたいと思います。  それではもう一つ、その秋の調査のときに、住宅事情も大変重要だと思います。あした働いてお金が入るかどうかということと同時に、ほとんどの人が賃貸住宅に住んでいます。離別母子家庭の二割ぐらいしか持家を持っていません、家を持っていません。そうしますと、働き口がなくなったときにまず真っ先に困るのは、家を出なきゃいけないということです。暮らしの土台である住宅がなくなるかもしれないということは、大変母親の不安をかき立てます。  私は、子供たちに母親の気持ちの心理テストとそれから描画テストというのをずっとやっておりまして、子供に、小さい子供たち、女の子も男の子も、春、夏の合宿のときにいつも絵を描いてもらったりしますと、母親が安定した仕事に就き、そして家を追い出されるような状況でないときはゆったりとして子供を育てられますから、とても子供たちが自分を出せる絵をかけるんですね。ところが、母親はやっぱり父親役割と両方やりますから、みんな、私もそうでしたが、すごいきついお母さんになってしまう。そういうときの子供たちというのは、自分を出せない、線でしかかけないとか、とても攻撃的な絵をかく子供がたくさんいます。  こういうのを見てますと、子供たちがしっかり育っていくためには、やはり母親の経済的安定、住居の安定、そういうものが十分大事だと思いますが、住居について厚生労働省は、国土交通省の管轄だということではなく、母子家庭に対しての住宅問題をどういうふうにするかはどのように考えていらっしゃるでしょうか。厚生労働省
  204. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 具体的な手段というのは今ちょっと考え足りないわけでございますが、その全国調査の際に住宅事情のこともしかるべく調査をする方向で考えてみたいというふうに思っております。
  205. 円より子

    ○円より子君 是非それは国土交通省の問題だというふうになさらずに、住宅問題もしっかり考えていっていただきたいと思っております。  それでは次に、ちょっと保育所の問題に移りたいと思います。  地方分権改革推進会議が平成十四年の十月に提出しました「事務・事業の在り方に関する意見 自主・自立の地域社会をめざして」の中に、「保育所調理施設の見直し」と題された項目の中でこんな言葉がございました。当会議としても、保育所に調理施設はあってもよいと考える。しかし、必ず調理施設を設置しなければならないと国が一律に義務付ける必要性は認められない。こうした国による最低基準の義務付けが、地方判断による機動的な保育所の設置や運営を妨げているとすれば、政策そのものとして疑問であり、また、今日の社会情勢や食品保存・流通技術にかんがみれば、なぜそこまで国が義務付けなければならないのか不明であると、そういう言葉があるんですね、意見が出てるんです。  今日の社会情勢や食品保存・流通技術ということは、冷凍食品もすごく、冷凍技術も進んでいるし流通も早いのに、なぜ一つ一つの保育園に調理室が要るのかという意味なのかなというふうに思うんですけれども。  子供が小さいときというのは、食育、すごく大事だと思うんですね。今のお母さんは何か缶詰だとか瓶詰だとかの離乳食をどんどん食べさしてるようですけれども、やっぱり家でしっかりとかつおぶしや昆布のだしを使った離乳食から始めていると、とても舌のいい子になりますし、ちゃんと包丁もちっちゃいうちから持たせて料理をしていると、刃物というのは、人を殺したり傷付けるためではなくて、おいしいものを作るものなんだということ、鉛筆を削るものだなんというふうなことが分かってくるはずなんですが、残念ながら何か事件があるたびに子供から刃物を取り上げるというような状況がございまして、まずまともな大人が育たないんじゃないかという危惧をしている人間なんですが。保育所でも、やはりそこに栄養士さんと調理師さんがいて、何というんですか、余り加工品ですとか冷凍品ですとか、そういうものを与えない、ちゃんとした食事を与えることがとても私は好ましいように思うんですが。  厚生労働省は、こうした地方分権改革推進会議が出された意見に余り左右されずにきちんと子供たちの食育、保育園での食事も守っていこうとされているのかどうかをちょっとお聞きしたいと思っております。
  206. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これはいつも守旧派と言われるんですけど、規制緩和しろ、しかしこういう問題点が生じると思いますよと、分権をしろ、しかしそのときに地方裁量にすべて任せていいですかと言われると、守旧派と言われるんですけども、立場上言わざるを得ませんので、申し上げます。  保育所における食事は、子供の発育、発達に欠くことのできないものであり、保育所に設置することとされている調理室は、離乳食やアレルギー児の食事など、個々の子供の状況に応じたきめ細やかな対応、食育を通じた児童の健全育成といった観点から重要な役割を果たしていると考えております。  一方で、近年、地域によっては公立保育所の運営の合理化を図るために給食の外部搬入を求める声もあることから、平成十六年四月から特区においてこれを認めております。ただし、この特区の全国化の是非については、昨年五月に実施施設の評価を行ったところ、一部の施設においてアレルギー児への適切な食事の提供などの点で懸念される状況も見られたことから、今年度再度評価を行った上で判断をするということになっております。  なお、今国会に関連の法律案を出しております認定こども園については、今年度実施しておりますモデル事業の評価委員会において、調理室の設置が望ましいが、これは幼稚園を指していると思うんですけども、既存施設が総合施設となる場合、調理室の整備が困難な場合もある。仮に給食の外部搬入を認める場合でも、子供の育ちに悪影響が生じないような、個々の子供の年齢、発達に応じた対応について一定の条件を付す必要がある。例えば、三歳以上は外部搬入を認めるけども、ゼロ歳から二歳ぐらいまではやはり職員の人たちでしっかりやってくれないかというようなことも含めまして、これから議論を聞きながらやっていかなければならないと思っております。  ただ、厚生労働省としては、冒頭申し上げましたように、余り無理して進めるものではないなという感じを持っております。
  207. 円より子

    ○円より子君 物事は何でも全部一律に改革すればいいものではなくて、確かに大臣のようにここは守らなきゃいけないというのはありますから、そういうときには守旧派でいてくださって私は結構だと思うんですけれども。  民営化された保育園でとてもいいことをやっていらっしゃるところはたくさんあります。その方たちが、給食だけは、調理施設だけはなくさないでほしいとおっしゃっているんですね。やっぱり子供の生活をきちんと見ている方たちはそういうふうにおっしゃいます。是非その辺りを気を付けてこれからやっていっていただきたいなと思っております。  それで、もう一つ、利用者に対する認可保育所への直接契約とか直接補助方式の導入についてお聞きしたいんですけれども、テレビで何かとても人気のあるギターかマンドリンか何か忘れましたが、そういうものを弾いてる保育士さん、男の方なんですが、いらっしゃる保育園がすごく人気がありまして、そっちにお母さんたちがわっと子供を預けようというのがあって、私の知り合いで見に行った方がいるんですが、その人気のある人がいるけれども、実際にはそれぞれ、数にしてもいろんなものを見ても、自分の子供をもし預けるとしたらやっぱりやめようと思って帰ってきたという方がいらっしゃる。一方、でもそこにわっと本当に人がすごく集まっているんだそうです。それがいいとやっぱり思う方も、もちろんそれぞれ価値観が違いますから、それはこっちがおかしいとは言えないんですけれども。  そういうことと同時に、もう一つ、私もゼロ歳から娘を保育園に預けて働いてきた人間から見ますと、仕事をしながら保育所に子供を預ける母親としては、どんなに、もしこの保育園がいいかしらと思っても、通勤する会社と自分の家と保育園とが遠いところであれば、やっぱり近くの保育園が一番いいということになるんですね。  そういうことを、通うということを前提にした何か選択ではないような、契約とかなんとかという、こういうのをおつくりになった方々って、もしかしてゼロ歳児だけではなく子供を預けた経験のある方かしらと、諮問会議なりなんなりか知りませんが、そういうところの委員方々は。そういうようなことまで思ってしまいまして、本当に園児のことを考えた、子供のことを考えた方策を今やろうとしていらっしゃるのかどうか、私にはとても疑問に思うんですが。  当然、保護者に選ばれる保育所は収入が増えますから、そういう意味で競争原理を導入することになるんですけれども、そして保育サービスへの新規参入も促進されるでしょうが、子供の、保育を受ける保育サービスの低下とか、そういうことにならないのかどうか。いろいろ難しい問題があるなと思うんですが、これは厚労省内閣府の両方に、市場原理主義的な今の改革が保育にまで格差が生じることにならないかどうか、お伺いしたいと思います。
  208. 田中孝文

    政府参考人(田中孝文君) お尋ねの件は、昨年十二月に規制改革民間開放推進会議の第二次答申におきまして取り上げられました認可保育所への直接契約及び利用者に対する直接補助の導入の提言を指しておられると思います。  この趣旨は、利用者と保育園とが直接契約をする方式に改めることによって保育所にサービス向上のインセンティブが働くようにするということ、及び利用者に対する直接補助に転換することによって認可施設とそれ以外の保育サービスの間の利用者の負担の公平化をする等の観点から提言されたことでございます。  ただ、先生おっしゃいましたように、様々な問題、弱者である保育者が、子供たちが排除されるのではないか、様々な意見、ヒアリングの過程でも、あるいは北井局長にも来ていただいて委員方々と討論をしていただきました。その結果、実は、これについては慎重に取り扱うべきことということで、答申の中でも、例えば当該保育所が審査、決定を行う直接契約方式を導入することについては、低所得者層や母子世帯等の保育の確保など一定のルールが必要であるということから、十八年度本格実施に向けて準備を進めている総合施設、先ほどお話がありました認定こども園、こちらの方では一応直接契約というのを導入することになってございますが、市町村から保育に欠ける子供である旨の通知があった場合はこれを排除してはならないといったようなセーフティーネットを導入をした上で施行する。そうしたものの直接契約の実施状況を踏まえて長期的に検討していくという答申になってございます。
  209. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今、内閣府の方から話ありましたように、可否については長期的に検討するという十二月二十二日の閣議決定でございますから、そういう意味では、今度の総合施設の運営状況を見ながら、まあ正直言ってゆっくりやろうと考えております。
  210. 円より子

    ○円より子君 是非そうしていただきたいと思います。  それで、もう一つは学童保育なんですが、ようやく六年間の保育所生活を卒園した子供に対して、まあ、よくやってくれたねというのが働く母親の気持ちなんですが、やっと小学校に入ってくれたとほっとするのもつかの間、小学校の方が子供にとっては本当に環境が激変して大変でございまして、働く母親にとっては、今度は一人でかぎっ子で家にいるというのも大変ですから、学童保育が学校と家の間ぐらいにあって、ちゃんとそこで子供たちが過ごしてくれればとても安心なんですが、この学童保育の数は足りているのかどうか、待機児童数はどのくらいいるのか、そして指導員、ちゃんとこれも不足していないのか、入所定員や指導員の資格を定めるべきだと思いますけれども、こういったことはどうなっているのか。小学校の一年、二年、三年ぐらい、四年生ぐらいまで、やっぱり一人で留守番させるというより、友達とのんびりしたり、ちょっと勉強したり、遊んだりという、そういう学童保育って大変重要だと思いますが、この整備について厚生労働省内閣府にお聞きしたいと思います。
  211. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 平成十七年五月一日現在で、放課後児童クラブ数は、これは国庫補助が付いているものも付いていないものも含めてでございますが、一万五千百八十四か所となっております。放課後児童クラブの平成十八年度予算額は百十二億円でございます。前年度より九百か所の増を目指した予算額になっておるところでございます。この補助基準額については児童数に応じたものとしておりまして、特に長時間開設や障害児受入れのための加算など、配慮もしているところでございます。  一方、利用できなかった児童の状況ということでございますが、十七年五月一日現在で放課後児童クラブを利用できなかった児童は一万一千三百六十人ということでございます。ちなみに、登録児童数は六十五万四千八百二十三人ということでございますが、利用できなかった児童、お子様が一万一千三百六十人ほどいるということでございます。  それから、クラブを全く設置していない市町村数は四百十九の市町村でございますが、これは、市はほとんどもう設置されておりますが、大体、未実施市町村といいましても、町村部がほとんどになっております。  厚生労働省といたしましては、子ども・子育て応援プランに基づきまして、このプランでは二十一年度の目標値を一万七千五百か所と掲げてございます。この一万七千五百か所の目標値の早期達成に向けまして必要な予算を確保し、各自治体に働き掛けをしていきたいというふうに考えております。
  212. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) 放課後児童クラブにつきましては、今厚生労働省の方から御答弁がありましたように、着実に整備が進められているというふうに思っておりますけれども、近年、仕事と子育ての両立支援ということから大変ニーズが強いし、また一方で、子供の安全の確保という点にも寄与する面がございまして、内閣府といたしましても少子化対策を進める上で大変重要な事業だというふうに認識しております。  先ほど子ども・子育て応援プランの中での計画がお話にございましたけれども、そういう中で更に拡充に努めていきたいというふうに思っております。
  213. 円より子

    ○円より子君 学童保育も働く女性が増えてくる中で子供の安全という意味では大変重要な施策だと思いますので、本当に思い切った拡充が必要ではないかということで要望しておきますが。  実は、前回の大臣に対する質問のときも今回もそうなんですが、少子化担当大臣というのをせっかく設置されたわけですから、こうした子供のことを審議するときには少子化担当大臣にも来ていただきたいと申し上げました。なかなか、国会のこれは、そちらの厚生労働大臣川崎大臣のせいではなくて、国会の方の仕組みのせいかもしれませんが、委員長に是非お願いしたいのは、こういうせっかく子供のことをやるような厚生労働委員会では少子化担当大臣も呼べるような状況にしていただけるとうれしいなと要望をさせていただきまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  214. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  厚生労働分野の三位一体児童手当の増額、基礎年金の国庫負担への加算措置は全く法律改正の趣旨目的が異なっております。共通しているのは、国庫負担見直しという点だけです。形式的な共通点を挙げて一つの法案にまとめるのはいささか強引ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  215. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほどから御議論いただいておりますけれども三位一体改革をめぐって様々な議論地方自治体と私どもの間でしてまいりました。そういった意味では、そしてまとまり得たものを税源移譲、また財政との兼ね合いということの中から提案をさせていただき、昨年もこのような形でお願いをしたと、御理解をいただいたものとして今回も提案をさせていただきました。
  216. 福島みずほ

    福島みずほ君 昨日、参考人質疑で、地元の声や当事者の声を十分聞いたのかどうかという指摘が参考人からなされました。今回、児童扶養手当国庫負担率引下げ、児童手当国庫負担率の引下げなどを決定した際に、協議の過程において地方の声、なかんずくできれば当事者の声というものをきちっと吸い上げたのかということをお聞きしたいと思います。
  217. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほど答弁で十回と申し上げたのは九回でございました。十七年四月から十一月までに九回、生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会ということで、全国六団体代表する石川県知事さん、それから高知市長さん、そして有識者の方お入りいただき、私ども厚生労働省総務省、それから財務省が入りまして、私もそこに参加をしながらずっと議論してまいりました。そういう意味では、六団体代表の方が地方意見を十分掌握した上で会議に参加をしていただいたと、このように考えております。
  218. 福島みずほ

    福島みずほ君 六団体との協議というのはよく分かります。三位一体議論をするときに、国は地方代表する人間と協議をせざるを得ないというのは実は分かります。ただ、どうもこういう議論の中で、当事者の声が、だれを当事者というかというのはもちろんありますが、当事者の声を十分本当に吸い上げているのかというふうに思っております。  今後、是非、もちろん地方が当事者の声を吸い上げてなければならないのですが、また協議の過程で今後も工夫をして、生の声を是非国自身が、厚生労働省自身が聞いていただきたいと思いますが、今後工夫していただけるでしょうか。
  219. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 例えば、今度の施設整備費税源移譲、権限移譲問題について党内からも様々な意見もございます。しかし、最終的には大臣のリーダーシップでやれという強いお声をいただいて、実は反対意見もありましたけれどもさせていただいた。一方で地方から強く望まれた。そういう意味では、ある意味政策決定がトップダウンにならざるを得なかった側面があったことは事実でございます。  ただ、これから次の段階を迎えるときによく注意しろという御提言だと受け取れば、もちろんそういうことを十分念頭に置きながらやっていきたい、こう思います。
  220. 福島みずほ

    福島みずほ君 是非よろしくお願いします。  やはりトップダウン的に決められたということになれば、当事者にも浸透していないし、本当の意味政策決定が公平かつ合理的かどうかということがありますので、是非工夫をして、当事者の声を極力吸い上げるという形での政策提言をお願いいたします。  国庫負担金を三分の一に引き下げる論拠ということがやはり分からないので、御質問いたします。  この問題は、現行、児童扶養手当ですが、現行四分の三の国庫負担金割合を、目的趣旨も異なる児童手当とそろえて三分の一にまで引き下げるということになっております。去年の秋、政府地方自治体との議論では、生活保護とともに二分の一という数字が出ていました。四分の三から二分の一、で、三分の一になったわけですが、こういうふうに変化したのは何か理由があるのでしょうか。あるいは三分の一の論拠をお伺いいたします。
  221. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 何回も御答弁申し上げてまいりましたけども生活保護費の問題については、最終、私どもの御提案は、生活費については従来どおり、そして、これも余り伝わってませんのであえて申し上げますけども、住宅と医療という地方がよりかかわりを持っておる分野については地方のリーダーシップでやっていただけないか、特に住宅の扶助については権限も制度も全部移譲しましょうと、こういう議論をしたんです。ですから、そういう意味では何分の一ということではなくて、最終的には生活費、住宅、医療と切り分けまして、住宅はもうゼロ、国はという形で御提案申し上げましたけども、最終的に調整が付かなかったというのは先ほどから申し上げているとおりでございます。  そういった中で、児童扶養手当につきましては地方と国がお互いに担っていこうと、しかし一方で、先ほどからお話ありました就労という側面が強いだけに、私どももハローワークでしっかりやりますけれども地方で果たす役割が多いということから、今回、三分の一国が負担をするという見直しをさしていただいた。  一方で、先ほどのとおり、児童扶養手当が三分の一で、児童手当が三分の二のままで残ればまた何ですかという議論も当然出てくるんだろうと。そういった中で、地方との協議の中で相調いましたので、両方三分の一で合わさしていただいたということでございます。
  222. 福島みずほ

    福島みずほ君 これは他の委員からも質問が出ておりますが、私自身納得がいかないので、あえて私からも質問をいたします。  今回、児童手当地方負担割合が増えると、児童の増加が地方負担増に直接つながることになってしまいます。つまり、児童手当そのまま払うわけですから、地方の積極的な少子化対策に対する逆のインセンティブとして働くのではないか。政策効果として国庫負担率の引下げは少子化対策に逆行するという意識はないのでしょうか。
  223. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 児童手当自体、元々地方がされていた経過もあります。そして、今現在も、児童手当について上乗せの支給をされている地域も多うございます。そういう意味では、国で決められた制度に上乗せで各地方が子育てというものについて非常に意を用いていただいていることは間違いない事実だろうと思っております。  また、先ほど御指摘いただいた猪口担当大臣も、地方へ積極的に出向きながら、知事さんや市長さん方とこれからの少子化対策どうあったらいいかといろんな御議論をいただいておりますので、今、国全体を含む認識といたしまして、地方も国も少子化対策をしっかりやらなきゃならない、児童手当等充実をしていかなきゃならないという認識の中にあると考えております。
  224. 福島みずほ

    福島みずほ君 この問題につきましては、国庫負担率の引下げと財政難に苦しむ自治体がどうなっていくのかという点についての検証が今後は必要だと考えます。是非それをお願いいたします。
  225. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) それは、先ほど申し上げましたように、いろんな意味税源移譲が行われます。そういった中で、もう地方に渡したから厚生労働省知らないよということではいかぬだろう、当然しっかりウオッチをしていかなきゃならないと。ましてや、今回のやつは国と地方が重層的な役割しっかり担い合っていこうということでありますから、地方の状況は私どもしっかり見ていくつもりでございます。
  226. 福島みずほ

    福島みずほ君 衆議院での審議の中で、児童手当自体は現金給付事務であるので、それ自体の直接的な地方裁量拡大につながるものではないという答弁がありました。そもそも三位一体改革とは何かということにつながるもので、正直、私はこの答弁びっくりいたしました。というのは、地方裁量拡大につながるものではないと。  三位一体改革への認識は、地方自主性や自立性というものをどう見ているのか。地方自主性や自立性は一切ないという認識でよろしいのでしょうか。
  227. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほども北井局長の方から、児童手当については現金を支給する事務であるということから裁量拡大にはつながらないということは申し上げました。これはもう隠していても仕方ない話でありますから。  私どもは、児童手当との一体性の中で今回併せて整理をしたという御報告をさせていただいております。
  228. 福島みずほ

    福島みずほ君 三位一体改革をなぜやるのかという根本のときに、これはやはり地方を活性化させる、地方自主性や自立性を非常に高めていくという根本の目的があったはずです。それがなかなかそうどうもなっていないというかですね、今回の法案でも、財源だけの問題、あとは三分の一に切りそろえるという形で、まあ数字上の統一性といったことがむしろ重視されているのではないかという懸念を大変思っております。  厚生労働省としては、この三位一体の中で正直言って厚生労働省の予算が、まあターゲットになっていると言うとちょっとひどいですけれども、ちょっと言い方が悪いですかね、厚生労働省としてやっぱり地方自主性や自立性の問題とナショナルミニマムの問題についてどうお考えか、ちょっと話してください。
  229. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これは先ほどちょっと本音でも申し上げたんですけれども、国の予算が七十九兆円、事実上使えるお金が五十兆。その中で三兆税源移譲していこうという大きな大方針が出てきたと。五十兆の中で我が省の予算が占める割合は二十一兆ですから、当然高いウエートになると。しかし、政策経費は余りない、義務的経費の方が多いと。その中で、地方皆さん方厚生労働省から何を譲ってもらおうかということで悩まれたこと、事実だと思うんですよ。  で、結果として我々にお示しいただいたのは、例えばSARSの対策とかがん対策とか障害者自立支援法とか保育の民間のやつをとか、こういう話がずっと出てきましたので、これは正直言って、障害者自立支援法一つにしても、四月一日から始まる。そして、委員皆さん方からも御懸念をいろいろ示されて、やっぱり国一体性を保ちながら新しい地方自治体もやっていかなきゃならぬということですから、これは御勘弁くださいということで、どうしても我々の主張とは合わなくなります。それは当然合わなくなる。  どうして地方自治体要求のとおり厚労省はしなかったんだと言われるけれども、我々も現実問題、国会でこういう議論をいただいて、言われるとおり、厚労省としての主張はどうなんだと言われれば、当然、地方自治体に対してさせていただいた。その中で、今回、施設整備費、これなかなか財務省という役所がきつうございまして、公共事業等含めて、それは駄目だと。しかしながら、これは思い切って踏み込ましていただいて、それで、給付というものも併せて実は地方移譲することになったという意味では、非常に評価されているものもある。  また、一部、この議論に参加していない方、自治体の長の皆さん方から御批判されている部分もあるということは承知いたしておりますけれども、いずれにせよ、あの三兆円という数字の中で厚労省がかなり苦労したことは事実でございます。
  230. 福島みずほ

    福島みずほ君 生存権、あるいはナショナルミニマムということに一番直結すると思われる役所がやはり厚生労働省だというふうに思っています。ですから、地方分権はもちろん最重要課題ですが、というか、住民の権利ですね。だけど、ナショナルミニマムを国としてどう保障していくか、これからせめぎ合いと調整がとても必要だと思っています。そのときにおける厚生労働省の考え方と、もう一つのポイントは、住民というかやっぱり当事者のニーズというか、こうしてほしいということのようにも思っています。  済みません、ちょっと駄目押し的な質問で済みませんが、先ほども申し上げましたが、これから三位一体のもし第二幕が上がるとしたら、当事者の声を具体的に吸い上げるある種の仕組みが必要ではないかというふうにも思っております。先ほどは要望という形で申し上げましたが、大臣、どういう工夫をしていただけるか、よろしくお願いします。
  231. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) うちの持っている予算、正直言って政策的な経費としては五千億でございますので、もちろん全部オープンにしているわけです。当然、各団体がありまして、団体から随分反対陳情来ます。これもう地方に渡すと回ってこないかもしれないから、きちっと今までどおり厚労省でやってくれという陳情。ただ、それを裏から見ますと、厚労省が言わしているんではないかと、こういううがった見方も当然されるわけですよ。  したがって、委員が言われたとおり、地方の声、それは必ずしも知事さんや市長さんの声だけではなくて、地方団体の声というものがどう生かされるか、地方住民の声がどう生かされるか、そういう工夫はしたいなと思います。
  232. 福島みずほ

    福島みずほ君 是非よろしくお願いします。  介護保険施設等にかかわる給付費の負担割合の引下げ、地域介護・福祉空間整備交付金を見直して都道府県分を一般財源化することが提案をされております。施設整備が後退するんじゃないか、施設の待機者問題は解決しないのではないかという点についてはいかがでしょうか。
  233. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) この辺の議論は昨日阿部さんとさしていただいたんですけれども、第一段階として我々がきちっとやるべきもの、そして第二段階に入ったものと、こういう区分けが一つあるだろうと。もう一つは、ナショナルミニマムなり危機管理なり、こういうものは国がやっていかにゃいかぬ。しかし、そうはいっても生活保護でも四分の三の四分の一。  タミフルという薬を買うときも、我が国は一千五十万錠を国ですよ、半分を地方ですよ、しかし国がまずストックしますと、こういう方針を立てています。フランスはもう国家で二五%ストックしました。ドイツはまだ何も決まってないです。地方でいろいろ財源の問題を議論しているというようなことで、これは国の在り方としてヨーロッパのいろんな国々あります。まあアメリカのやり方もある。  そういった中で、我が国は基本的には重層的にやってきてます。しかし、重層的にやる中で、第一段階の整備がそろそろ終えたんではないかという認識の下で、今回県の分ですね、県の分についてお渡しすることにしたということでございますので、基本的な認識としてはある程度成熟してきた制度。そして、これから、もちろん税源移譲になっておりますから、県知事さんとの御判断で施設整備はしっかり進んでいくものと、こういうふうに思っておりますし、逆に県によっては、これで国の規制が取れたからおれのところしっかりやるんだと、正直言って首都圏後れてますからね。こういうところは我々の裁量でやるよというのを明言されておる知事さん方もいらっしゃるということは事実でございます。
  234. 福島みずほ

    福島みずほ君 これは都道府県議会でチェックをすると同時に、是非国会、私たちもチェックをしますが、厚生労働省としても目を光らせてというか、是非検証をよろしくお願いいたします。  知的障害、身体障害の施設、生活保護法に基づく公立の施設整備費負担金の廃止も同じように障害者の生活を支える基盤整備を後退させるのではないかという意見がありますが、いかがでしょうか。
  235. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  今委員からお話ございましたように、今回の三位一体改革において公立の障害者の施設整備、あるいは生活保護施設の施設整備費につきましては、国庫補助を廃止し、税源移譲の対象といたすところでございますが、これは地方関係団体からの強い要望もあり、自治体が、公立でございますので、地域の実情等により主体的に整備を行うことが可能となると、こういうふうに考えたところでございます。  障害者施設につきましては、障害者自立支援法も定めていただきまして、これから新しい障害施設整備が進むわけでございますが、障害施設の大半は、現在、一九七五年、昭和五十年当時は公立施設が四七・九%でございますが、平成十五年、二〇〇三年においては二三・七%と。逆に申し上げますと民間立が四分の三を占めると。近年の整備は民間によって担われているところでございますので、この障害施設につきましては引き続き国庫補助制度で対応をすると、こういうふうに考えておりまして、障害者自立支援法等新しいニーズについてはきちんと対応をしてまいりたいと考えております。
  236. 福島みずほ

    福島みずほ君 非常に重要な点で、障害者自立支援法案との関係もあるので、私たちも検証、チェックをしていきたいと思っています。  児童手当についてお聞きをいたします。  これは衆議院でも議論になっておりますが、児童手当の財源は複雑な構成になっています。サラリーマン家庭の場合、支給対象児童がゼロ歳から三歳未満であれば、次世代労働力の確保の観点から受給する児童手当の大部分は事業主からの拠出金で賄われております。しかしながら、支給対象児童が三歳から小学校三年修了前の場合、受給する児童手当は全額公費で賄われ、事業主からの拠出金はありません。  財源構成が極めて複雑化をしています。これは、児童手当の理念、目的が十分詰められないまま始まって、その後の財政状況などによって制度が変遷してきたということがあります。もう一度制度の理念や目的整理して、だれがどれだけ負担すべきなのかという財源構成の在り方についても議論を深めていくべきではないでしょうか。
  237. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 今委員がおっしゃったとおり、零歳から三歳未満まではいわゆる事業主負担と、それから小学校の学童については公費負担というのはそのとおりでございまして、それについて議論をすべきだという御意見でございますが、まず児童手当の財源構成につきましては、国のみならず、地域福祉の観点から地方が、また将来の労働力の維持とか確保の観点から事業主がともに応分の負担をして支えているものということはもう御承知のとおりでございます。  こうした考えを基にいたしまして、今後の事業主負担や公費負担の在り方については、国の財政事情や、また企業の家族手当の在り方などを踏まえまして、少子化対策の全体の検討の中で合意を得ていくものと考えております。  現在、政府少子化対策推進会議が開催されておりまして、また先般は政府与党少子化対策に関する政府与党協議会が設置されまして、少子化対策の在り方についての、この六月の取りまとめに向けて活発な議論が行われております。このいずれの会議につきましても我が川崎大臣出席しておりますし、また、この政府与党協議会の小委員会には私も参加しておりますけど、今委員がおっしゃった点の、いわゆる議論を深めて、これからも根本的にやっていこうということについては、これからも頑張ってまいりたいと思います。
  238. 福島みずほ

    福島みずほ君 昨日、参考人が、子供が大きくなればなるほどお金が掛かるということを言っておりました。特に高校生、大学生、特に実は大学生がお金が掛かるというふうに思います。例えば、国立大学の授業料は現在一律年五十二万八百円です。しかし、二〇〇五年の法人化で五十七万二千八百円が上限となり、学費が上がってきております。  児童手当は小学校修了まで、そして児童扶養手当は十八歳までの支給となっております。子供は大きくなればなるほど負担が大きくなり、教育費も掛かってきます。この点、文科省はどう考えていらっしゃるでしょうか。
  239. 徳永保

    政府参考人(徳永保君) お答え申し上げます。  教育費負担の軽減ということにつきましては、私ども文部科学省におきましても、幼稚園の就園奨励費補助金あるいは私学助成、奨学金事業など様々な諸施策を通じて取り組んでいるところでございます。  国立大学の授業料につきましては、従来から私立大学の授業料の水準など、社会経済情勢等を総合的に勘案して改定を行っているところでございまして、平成十七年における学部、大学院の標準額の改定といったこともそういったことの踏まえたものでございます。  なお、国立大学法人制度におきましては、各法人の授業料につきましては、文部科学省が示す標準額を踏まえつつ、その一〇%の上限内でそれぞれ定めるということでございます。十七年度の各法人の授業料を見ますと、言わば専門職大学院二千校で標準額を上回る金額を設定しているほかは、すべての法人におきまして標準額あるいは標準額を下回る金額となっておりまして、法人化に伴って授業料が増加傾向に転じたということではないと考えておるものでございます。標準額そのものにつきましても、十八年度におきましては改定しないとしたところでございます。  今後とも、国立大学の授業料標準額につきましては、経済状況にかかわらず、学生に進学機会を提供すると、こういう国立大学の役割を踏まえまして適正な水準を維持をするとともに、奨学金事業や授業料免除など、教育費負担軽減に係る施策の充実に努力していきたいと思っております。
  240. 福島みずほ

    福島みずほ君 格差拡大社会の中で、健康格差社会、あるいは教育格差社会というふうにも思います。  国立大学の授業料は以前は随分安かったと思うんですが、文部科学省の政策が不思議なのは、私立大学に合わせて国立大学を上げなければならないというふうに考えていることです。私立大学に対する援助ももちろん重要ですし、国立大学の授業料をなぜ私立大学との均衡で上げていくのか、その点についてはいかがですか。
  241. 徳永保

    政府参考人(徳永保君) お答え申し上げます。  国立大学の授業料につきましては、まず一つ、高等教育の機会提供という国立大学の役割、当然これは踏まえております。一方で、大学教育を受ける者と受けない者との公平の観点、これを確保しなければいけない。あるいはまた、私立大学の授業料の水準、やはりそういった、現に私立大学で学んでいる学生とのバランス、そういう様々な社会経済状況等を総合的に勘案しなければいけないと考えておりまして、結果としてほぼ二年ごとに改定を行ったところでございます。  私立大学における授業料等自体につきましても、これはもちろん私立大学自身の責任において自主的に決定すべき事柄でございますが、文部科学省としては、従来から、学生や保護者の就学上の経済負担の軽減に資するため、経常費助成を中心とした私学助成、あるいは奨学金事業、そういったことに努力しているわけでございますが、私立大学の一層の経営努力により極力授業料を抑制するよう、一方で私立大学に対して要請をしているところでございます。
  242. 福島みずほ

    福島みずほ君 今の答弁にもあるとおり、実は国立大学の授業料は私立大学と合わせる公平の観点から二年置きに上げてるんですよね。もちろん私立大学の援助もとても重要です。しかし、もちろん、国立大学の行く学生の親の方が年収が高いなんという統計もありますが、しかし、お金がなくても大学に行ける、あるいはもちろん奨学金制度を充実する、要するに、家が経済的に豊かでないために大学に行けない、唯一経済的な理由だけで学業を断念しなくちゃいけない子供たちをなくすというのも国の政策にとって非常に重要だというふうに思います。  北欧のように授業料を全部無料にしろとか、ノルウェーやスウェーデンのように生活ローンみたいな形で無収入でも大学に行けるようにしろというところまでは申しません。しかし、文部科学省の政策として、お金がなくても大学に行ける、そういう意味で、国立大学の授業料を二年置きに必ず上げていくというのは首をかしげますが、いかがですか。
  243. 徳永保

    政府参考人(徳永保君) 先ほど、私、二年置きにということを御答弁申しましたが、これは最近の傾向として結果的にそう申し上げているわけでございまして、私どもといたしましても、それは基本的に国立大学というものが経済的な状況いかんによらず進学機会を提供する、そういう国立大学の役割ということは十分踏まえているつもりでございます。ただ、そういう中で、私どもといたしましても、先ほど、繰り返しになりますけれど、様々なバランスを踏まえて授業料を適正に維持するということを考えているわけでございます。  今後とも、こういう国立大学のそういう性格ということにかんがみまして、まず授業料については適正な水準に維持したいと思っておりますし、その上で奨学金事業、あるいはまた、どうしてもその上で様々国立大学に来られる方の中で必要な場合については授業料減免、授業料減免につきましては国立大学でも運営費交付金で措置をしておりますし、あるいはまた私立大学における授業料減免については私学助成等でこれも助成をしているところでございます。そういうことによりまして、実質的に経済状況にかかわらず進学の機会を提供していくという基本的な考えを踏まえて、私どもとしてはそういったものを、授業料の標準額の設定ということに意を用いていきたいと思っております。
  244. 福島みずほ

    福島みずほ君 しかし、授業料が減免されるかどうかというのは大学に入ってしまわないと分からないわけですよね。その点はいかがですか。つまり、今、年収が二百万円以下の世帯が五世帯に一世帯。うちに二百万しか年収がないと思った子供は、奨学金もらえるかもしれない、授業料減免を受けるかもしれないけど、それは分からないわけですね。授業料が六十万近く、しかも生活費が掛かる。じゃ、東京の大学に行こうかと思えるでしょうか。  ですから、やはり制度の設計を是非、子供たちが親の財布の大きさで未来が決まらないように、文部科学省はちょっと頭を切り替えてほしい。いかがですか。
  245. 徳永保

    政府参考人(徳永保君) 授業料の設定のこと自体につきましては先ほど答弁したとおりでございますが、例えば奨学金の問題につきましても、高等学校で大学に行く前に予約をするというような制度もございます。あるいはまた、授業料減免等につきましても、それぞれ国立大学あるいは学校法人のそういう様々な自主的な努力によって、あらかじめそういう条件等を提示をするということによって自主的に、高等学校に在学する段階でそういうチャンスがあるということを十分お知らせし、あるいはまた予約奨学生というような形で具体的にそのことをお約束をするという措置等につきまして、私どももこれからもいろいろ工夫をしてまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、私どもといたしましても、繰り返しになりますが、経済的状況によらず高等教育の機会を提供するということについては政策の基本に置いているつもりでございます。
  246. 福島みずほ

    福島みずほ君 大学に合格する前に奨学金や学費の免除を要請する、あるいは予約をするというのはなかなか難しいと思うんですね。どれぐらいそれは認められているんでしょうか。
  247. 徳永保

    政府参考人(徳永保君) ちょっと手元に現在具体的な資料がございませんのでございますが、基本的に、予約奨学金制につきましては、その制度もございます。ちょっと、大変申し訳ございません、本日はそういった具体的な量等の資料を持ってまいりませんので、またいずれお答えしたいと思っております。
  248. 福島みずほ

    福島みずほ君 児童手当児童扶養手当のことに私たちが非常に重要だと思い、こういうふうな質問をするのは、やはり子供たちが育っていくのに、お金がない、あるいはそれが子供たちの人生を決めていく、生活を決めるからこそやっぱり大事だと、こう思うわけですね。予約奨学金や予約授業料免除もあるということですが、自分が高校生の立場で考えれば、まだ受かりもしないのに、よっぽど自信がないとそこまでやって大学行こうって思えない、経済的なことでやっぱりめげてしまうというふうに思うんですね。是非、国立大学の授業料や私立大学に関する援助、そういうことを文部科学省は是非頭を切り替えて積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。
  249. 徳永保

    政府参考人(徳永保君) 私ども、学生の、いずれにしても教育費負担を軽減するという観点から、奨学金あるいは授業料減免といったことについては、具体的なそれぞれ学生さんの希望あるいは実態、そういったことを踏まえてこれからも様々な制度の改善に努力していきたいと思っております。
  250. 福島みずほ

    福島みずほ君 学費を、まあいろんな、学費については微妙かもしれませんが、やはり余り学費が高くならないように、心からよろしくお願い申し上げます。  次に、児童育成事業は、平成六年の改正児童手当法において、とりわけ働く女性の低出生率に考慮し、仕事と子育ての両立を支援するためのきめ細やかな各種のサービスの充実を図るため、全額事業主からの拠出金を財源に導入された経緯があります。これは三百三十四億円ですが、三百三十四億円が確保され、特別な保育事業や放課後児童クラブの普及促進等の予算に充てられています。  児童手当の中でこうした仕組みが導入された経緯と児童育成事業に対する評価についてお伺いします。
  251. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 児童育成事業は、今お話がございましたとおり、平成六年の法改正によりまして、共働き世帯の増加や核家族化、都市化の進展など、児童や家庭を取り巻く環境の変化の状況を踏まえまして、児童手当制度の中できめ細かな育児サービスや児童の健全育成のための事業の充実を図るために創設をされたものでございます。そして、全額、事業主の御理解を得て、事業主の方々にその費用を御負担いただいて実施することとしたところでございます。  平成十八年度の児童育成事業については三百三十四億円を確保しておりますけれども、例えば、放課後児童クラブにつきましては、制度発足当時、平成六年度四千五百二十か所であったものが、平成十八年度には一万四千百か所、これは国庫補助の付いている数字でございますが、そうしたことに増加をいたしておりますし、それから、専業主婦家庭を含めた保護者の育児相談に乗る地域子育て支援センター事業につきましては、平成六年度二百三十六か所であったものが、平成十八年度には三千四百三十三か所に増えております。また、一時的に子供さんをお預かりする一時保育事業につきましては、平成六年度四百五十か所であったものが、平成十八年度には七千八十九か所と増えております。  こうしたようなことで、この事業は一定の成果を上げているものと考えております。
  252. 福島みずほ

    福島みずほ君 これは以前にも質問し、かつ昨日参考人からも出たことですが、二〇〇八年には児童扶養手当が五年後の受給後には半分を限度として減額されるということが議論されており、この児童扶養手当制度改正の施行については母子家庭の人たちが不安を募らせております。  それは、母親に対する労働環境の整備などが非常に遅れていることですが、以上のことから施行時期を見直す必要があるのではないでしょうか。また、政令の検討状況はどうなっているでしょうか。
  253. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今お話がありましたように、この母子家庭の支援につきましては、平成十八年の法改正によりまして、平成二十年度からの受給期間が五年を超える場合の児童扶養手当の一部支給停止措置を導入したところでございます。  まず、私どもとしては、この母子家庭の就業自立に向けた支援の充実強化を図らなければならないと思いまして、その実績を積み上げていくことが一番大事なことであると考えております。そして、この減額に当たっての検討につきましては、平成十四年度法改正のときの附帯決議で、今後、その子育て・生活支援策、就労支援策、養育費確保策、経済的支援策などの進展状況や離婚の状況などを十分踏まえて決めることとされておりまして、こうしたこの附帯決議も踏まえまして、今後検討していきたいと思っております。  そして、既に御説明をしておりますけれども、五年ごとに全国母子世帯等調査を、全国の調査をやっておりますが、これを前倒しをいたしまして、本年の秋にはこういう調査をして、しっかりとそのまず状況を把握していきたいというふうに考えております。そうしたことや、あるいは関係の団体、それから地方自治体等の意見も踏まえながら検討していくことになるものと考えております。
  254. 福島みずほ

    福島みずほ君 是非、見直しや検討をよろしくお願いします。  と申しますのは、母子家庭の生活は五年前の調査時よりすべての点で悪化しています。年収入は二百十二万円、うち勤労収入はたったの百六十二万円、前回五年前の調査時よりも十七万円減少をしています。ですから、自分の勤労収入に児童扶養手当があって生活がやっとできると。ですから、よく母子家庭の人たちが児童扶養手当は命綱だと言うのは、正に児童扶養手当があってようやく生活ができるという実態を本当に反映をしております。  ですから、是非というか、この一件当たりの支給額を増やすとか、現状をきちんと見て対策を設けるということについてはいかがでしょうか。
  255. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 児童扶養手当は母子家庭の生活の安定と自立の促進に寄与する制度であり、他の就業自立支援策と相まってその目的を果たしていくべきものと考えております。そういう意味では、手当の増額というよりも、子育て・生活支援や就業支援など、総合的な取組を進めていきたいと考えております。  一方で、女性の雇用の問題で、中身の問題の議論が国会でも盛んになってまいりました。パートで短時間労働の方がいいという方々もいらっしゃいますが、一方で、パートで正規社員と同様の仕事をしていながら賃金に極めて格差があると、こういう問題についてもう少し国も是正をしていくべきではないかと、こういう認識を私も持っております。  それは、女性の雇用の問題、それから若者の雇用の問題、実は明日も中野副大臣に経団連に会ってもらうわけですけれども、この十年、極めて経済状況が悪かったもんですから、その当時卒業した人たちの就職、数字で見ますと、若者が一番ひどかったときは一〇%を超えている失業率になっていると。それが二、三年たって少し良くなってきて、それでも七%台。一方で、新卒の雇用は上がってきていますね、明らかに上がっている。そうすると、その十年の日本が極めて厳しいときに正に波をかぶった人たちにもう少し経済界としても目を向けてくれないかと、女性の雇用の問題とこの青少年の雇用、これについてもう少し私ども、物を言っていこうと、こう思っておりますので、どうぞ御理解お願い申し上げます。
  256. 福島みずほ

    福島みずほ君 大臣が踏み込んでそこまで言ってくだすったことは、とても私たちもうれしいというふうに思っています。  いわゆる団塊ジュニアの世代が一番就職が実は悪くて、今おっしゃったとおり、なかなか、非正規だったりフリーターだったり、そこが立ち直ってないという問題があります。極端に言えば、雇用を良くすることが日本の社会を安定させると私自身も思っています。ですから、母子家庭の児童扶養手当ももちろん重要だけれども、二十歳とか、若いときからの雇用がちゃんとしていればそれが一番いいことでありますし、雇用が安定すれば結婚したり子供を持とうというふうに思うわけですし、実は財界にとっても、みんなが購買力を持ち、安定し、子供を産み、また命の再生産も含めて社会が安定する方がこれはいいわけですから、是非、厚生労働省も、少子化対策というのの一番大本は実は雇用の安定であると。  さっきも、私も、例えば七時間、六時間しか働かないけれども、同一価値労働同一賃金で働きたい、あるいは正社員とほぼ同じ仕事をしているのに全く待遇が違うということに関して、もう少し同一価値労働同一賃金的なことにして、その分、例えば時間が少ない分給料が少なくても、きちっと働きに見合った賃金を払うというふうにすれば、やはり児童扶養手当だけという議論だけではない議論が出てくるだろうと思っています。  是非、これから経済界も含めて意見交換をされるということで、是非、長期的に見て、それが、ウイン・ウインというか、経済界にとっても、働く人にとっても、社会にとっても、未来にとっても、子供にとっても、若者にとっても、女性にとってもいいのだという、そこを是非頑張ってください。  何かお願いがあって済みません。大臣、もう一回決意をお願いします。
  257. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 今大臣お話しのとおり、明日経団連へ行きまして、今新卒者については比較的いいわけでございますけど、いわゆる氷河期の皆さんといいましょうか、そういう皆さんについては、これはやはりこの新卒と同じように考えてもらわなきゃ困るということが一点ございます。  それからもう一つ、今おっしゃいましたけど、経歴の中にでも、例えばフリーターだという、勤めがはっきりしたところじゃないという方もいらっしゃるけど、それだけでもっていわゆる差別は困るよという話もしてまいりたいと思いますし、またそういう点で、今回は特に若者にチャンスをということでやりまして、この後は、また大臣の御指示いただきながら、例えば時間外労働の問題等も、これはもうこれから遠慮なしにどんどん言わしてもらおうということで頑張りたいと思いますんで、よろしくお願いしたいと思います。
  258. 福島みずほ

    福島みずほ君 是非よろしくお願いします。  履歴書を書くときに、例えば大学中退だったりすると、何十社受けても、何で大学やめたんだって言われる。あるいは、大学卒業してブランクがあると、なかなかその履歴を書くときになぜだなぜだと、こう言われたりすると。ある意味、聞く方は当然の面もありますが、なかなか履歴書が難しいという話も実は聞きます。是非、今二十代、三十代の人たちを特に応援するように、是非よろしくお願いします。  踏み込んで答弁してくださり、また頑張るとおっしゃってくだすって、それはありがとうございます。  次に、保育園のことについてお聞きをいたします。  公立保育所運営費一般財源化後の保育の実施状況に関する調査などがあります。例えば、平成十六年度及び十七年度において、約一割の市町村で公立保育所運営費予算の減少を理由に保育料が引上げとなっております。つまり、一般財源化をしたら保育料の値上がりが起きてしまったという問題があります。一般財源化のしわ寄せが、結局、保育材料、備品購入コストの削減など、保育の質につながっております。  例えば、平成十六年九月に厚労省が調査を行ったところ、約一割の市町村から公立保育所運営費予算の減少、若しくは減少予定という回答があります。これは非常に問題ではないか。施設整備費の一般財源化による保育の質への影響をどうお考えでしょうか。
  259. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) この問題が一つのサンプルなんですけども、なかなか難しい議論がこれからも出てくるだろうと思います。しかし、私どもは最終的には地方自治体を信用したいと、こう思っております。地方自治体の自主的判断によって運営が進められると思っております。  平成十六年に公立保育所運営費を一般財源化した後、同年九月に行った保育の実施状況に関する調査では、平成十六年度において公立保育所の運営費が前年に比べて減少した市町村、全体の三八・九%においては、保育材料等のコスト削減や新規職員の採用抑制、パート職員への切替え等で対応しているということでございます。平成十六年度に保育料を引き上げた、又は平成十七年度に保育料の引上げを予定している市町村、全体の一割のうち、五割弱は公立保育所の運営にかかわる配分予算の減少を理由としております。  しかしながら、一方で保育料の引上げについては地方自治体独自の保育料軽減措置を縮小し、国の費用徴収基準に近づけた場合が考えられること、公立保育所運営予算の減少については、民間保育所と比較して高コスト構造との指摘がある公立保育所運営の効率化を図った場合が考えられる、また保育所運営に関しては最低基準により保育の質を担保していることから、一般財源化が保育の質の低下をもたらすとは現在考えておりません。  来年度から、公立保育所施設整備費の一般財源化については、公立保育所は地方自治体自らその責任に基づいて設置するものであり、運営費も既に一般財源化され、地方に同化定着していることから、地方から強くの要求でございましたので、保育の質の低下をもたらすとは考えていないと、こうした思いの中で決断をいたしたことでございます。  先ほどから議論が出ておりますけれども、しかしその後はしっかり見とけよというお話をいただきました。それはそのとおりで、やはり保育行政全体は国の責任でありますので、それをしっかりウオッチしながらいくことは事実でありますが、一方で、やはり分権が進む中、地方責任を持って進めていくということについてはしっかり応援していきたいなと、こんな思いを持っております。
  260. 福島みずほ

    福島みずほ君 衆議院の厚生労働委員会でデータが出ておりますが、民営化、民間委託の保育園が非常に増え、公立保育園が減っています。全国、保育園が民営化されることで何が起きているのかということの検証も社民党としてもやっています。  各地で、御存じ、裁判が起きています。横浜市の例ですと、例えば、ある日までは公立、ある日からは民営化、そうしますと、施設も子供たちもそのままだけれども、保育士さんだけ全取っ替えをやる。子供にとっては家族のようなもの、先生というのは、それがある日突然全取っ替えになってしまう。そうしますと、例えば子供が不安定になるとか。で、経費削減のためにやっているわけですから、雇われる人たちは契約社員で、パートで、有期契約でどんどんどんどん替わっていく。この問題点は全国的に指摘をされております。  この経費削減のために保育園、民営化になり、裁判が起きている、各地で起きているということを厚生労働省としてはどうお考えでしょうか。
  261. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 保育所の運営に当たりまして、民間保育所の資源を大いに活用するということも重要なことでございますが、そしてまた、現に最近の状況を見ますと、平成十七年四月一日現在で、公立保育所が一万二千か所、民間保育所が一万か所余りでございますが、前年と比べますと、公立施設が二百六十八か所減少したのに対して民間施設が三百四十八か所増えております。  こうしたことから、民間への移譲とか委託というような形が進んでいると思いますけれども、そうした場合にも、私どもとして、厚生労働省としてはやはり一定の配慮をして、きちんと保護者や市民の皆さんに不安がないようなことにしていかなきゃいけないと考えております。  それで、特に民営化という場合には、早期に情報提供をして十分保護者等々との話合いの場を設けるとか、意見交換をするとか、それから実際に実行する場合にも慣らし保育であるとか、それから保育士さんの引き続きの必要な場合には雇用であるとか、いろんなことを配慮していただいてスムーズにやっていただかなければならないというふうに考えております。
  262. 福島みずほ

    福島みずほ君 民間になると、例えば採算が取れないと撤退するということもあるわけです。やはり障害者、障害のある子供の引き受けている率は公立の方が多いです。今どんどんどんどん民間になっている。ですから、少子化といいながら、国が責任を持って保育をやるということも大事にされなければならないのではないか。実際、自治体ではどんどんお金が足りないということで民営化し、保育士さんは非正規でしか雇わない。この状況がいいとはやっぱり思いません。是非、厚生労働省はこの点について再考してくれるよう要請します。  次に、がん患者の対策についてお聞きをいたします。  地域がん診療拠点病院、全国百三十五病院では、がん登録の専任者を置き、がんの種類や治療内容、治療後の状況など重要なデータを院内並びに地域がん登録に活用していくこととなっております。これらの実施率が低いとの報道がありましたが、今後どのように体制を整備されるのでしょうか。
  263. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 昨年末のがん診療連携拠点病院、百三十五か所でございますけれども、そこに対する現況調査によりますと、百十八の回答のうち、院内がん登録を実施していないところが四か所、地域がん登録にデータを提供していない、四十七か所、がん登録の実務に携わる専任者がいない、四十六か所となっております。  このがん登録データを提供していないうち、地域がん登録を行っていない都道府県の拠点病院が三十五か所あります。これらの拠点病院は、本年二月に見直す前の整備指針に基づき指定されておりますが、従来の整備指針では数年以内に院内がん登録システムが確立する見込みが確実である場合も認める扱いといたしておりました。これに対して二月に見直した新しい整備指針では、「院内がん登録を実施すること。」、「都道府県が行う地域がん登録事業に積極的に協力すること。」、「診療録管理(がん登録実務を含む)に携わる専任者が一人以上確保されていること。」と、こうしております。今後は、この新しい整備指針に基づき、がん診療連携拠点病院の整備を推進していくと考えております。  実は、何回かお話ししておりますけれども、七件ほどこのがん診療連携拠点病院に入っておりませんでした。その中で、多少補助金が少なかったこともあるのかもしれませんけれども、少し補助金の方も充実させていただいて、今最初の話合いをさせていただいておりますけれども、四十七都道府県にすべてこの拠点病院ができ上がることになります。そして、今の基準によってもう義務化ということで院内がん登録を実施することという条件で進むことになりますので、体制は整ってくると考えております。
  264. 福島みずほ

    福島みずほ君 今年十月までに国立がんセンター内にがん対策情報センターを設置するということで十五億円の予算が付いております。どのような体制でどのような委員会のメンバーで設置するべく準備を進めていらっしゃるのか、工程表も含め明らかにしてください。
  265. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 御指摘のとおり、がん対策情報センターにつきましては、これまで、本年十月設置に向けてその準備を進めているところでございます。昨年十二月から国立がんセンター内に作業部会及び検討班を設置をいたしまして事務的検討を実施してきたところでございます。  今後の具体的な準備につきましては、先般の平成十八年度予算の成立を受けまして、四月中旬を目途に国立がんセンター内に開設準備室を設置をいたしまして、関係の方々意見などを聞きながら進めてまいりたいと考えております。
  266. 福島みずほ

    福島みずほ君 従来、国の政策医療として全国の五十か所以上の国立病院をネットワークされている政策医療ネットワークと今回の情報センターの違いは何なんでしょうか。二重のシステムにならないのかという点についてはいかがですか。
  267. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) がん情報につきましては、がん対策全体の中で国立がんセンターがその情報の中央のセンターとして機能すべくその準備を今進めているところでございます。がん診療連携拠点病院でそれぞれ相談支援センター等が設けられるということでございまして、これらにおきます患者、家族に対して正確な情報に基づく支援が行われるわけでございますが、それに役立つような情報の提供ができるような仕組みにいたしたいと考えてございます。  従前の国立病院のネットワーク、もちろん、国立病院グループでのがん情報のネットワークというのはその一角をまた担うものと考えております。
  268. 福島みずほ

    福島みずほ君 これは先日、独立行政法人化で出ましたけれど、国立がんセンターの独立行政法人化ですが、やはり若干問題ではないかと私自身も思うんですが、この間大臣答弁されましたが、改めていかがでしょうか。
  269. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これからのがん医療がどうあるべきか、私自身もがんセンターを視察してまいりました。それから、多くの皆さん方から御意見いただきました。また、先ほど申し上げたように連携拠点病院も、まあNHKで報道されて初めて知ったんですけれどもね、各県でできてなかったものがあったというようなこと、詳細を聞きながら、これから我が国のがん治療どうあるべきかということを考えたときに、一つは、外科手術が中心だったがん治療から、化学物質というんですか、薬を使った治療、それから放射線治療、ここを飛躍的に発展させなければならないなと、こういう感じをいたします。特にアメリカとの比較ではその部分が多く遅れているということは事実だろうと。  そういう意味では、そうした技術、新しい医療技術者を養成することも大事でありますけれども、今の現状どうするかということでございますから、そういう意味では、あのがんセンターをより高いものにして、そこから医療技術を地方に下ろしていく、また地方の拠点病院からまた下ろしていくと、その中に医療技術というものがしっかり入っていかなければならないと、こう考えております。  その中でがんセンターというものを、今の国の公務員の削減の枠の中でやっていく、また限られた予算でやっていく、なかなか難しいなという議論をいたしまして、そういう意味では、独法というものが人を減らすため、効率化を図るためというならば、私はがんセンターの独法化には乗らないと。これはあくまでより大きなものにしていくと、そして民間との連携の中でやっていくという中で踏み切らしていただくと。したがって、担保されなければならない。したがって、これからまだ実は詰めが、担保される、大臣が本当に納得するまでの担保がどう取れるかというところが一番大事であります。いずれにせよ、大きな山をつくって、そこから技術を各所に流していかなければならない。情報も同じような、情報の行き来ががんセンターを中心にしながらやれなければならないと。そういった意味で実は踏み切らしていただきました。  いろいろな御意見があると思いますけれども、是非がんセンターを御支援賜りたいと、このような気持ちで一杯でございます。
  270. 福島みずほ

    福島みずほ君 よろしくお願いします。  次に、自主共済を保険業法にしていくことが極めて問題ではないかということについてお聞きをいたします。  これは衆議院でも出ておりますが、互助会、例えば知的障害者が入院時の支えとしている互助会や、それから例えば全国各地の保険医協会、医会の連合体である全国保険医団体連合会が自主運営している休業保障制度など、一九七〇年に例えば設立され、とても長く自主共済としてみんなで支え合ってきた様々な自主共済があります。これが十把一からげで、消費者保護の名目で保険業と同列として一律に規制をしていくことで逆に壊れていってしまうのではないか。知的障害者互助会などの団体からは、国の施策が及ばない部分を自分たちで補ってきたと、そんな共済にまで規制する必要があるのかという声が上がっております。  各団体が自助努力として自主的に運営している共済を明確に保険業の適用除外としないまま四月一日の施行日を迎えると、多くの共済制度が後退を余儀なくされて、社会的に非常に大きな問題になるんではないかと思います。この点についてはいかがでしょうか。
  271. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答えを申し上げます。  いわゆる、自主共済の保険業法の適用除外について基準が明確ではないではないかというお尋ねでございました。  今般、改正保険業法におきましては、保険業の定義から除かれるもの、すなわち保険業法の適用除外につきましては法律上列挙をしているわけでございますが、その考え方といたしましては、構成員の自治のみによる監督を理由に自己責任を問うことが可能なことが、法令上、社会通念上明らかである団体、これを例外的に適用除外としているところでございます。  具体的には、一つには、共済を運営しております団体が高い自治性を有していること。逆に申しますと、万一の破綻の際にも処理をこの団体の自治にゆだねることが適当と認められることと。それから二つには、団体の位置付け、外延が既存の法制度上明確であること。これは、保険業法の適用除外に該当するか否かというのは刑事罰に直結する問題でございますので、その辺りを明確にすると。こういう二つの要件を満たすものに限っているところでございます。
  272. 福島みずほ

    福島みずほ君 そうしますと、今議論になっている知的障害者入院時の互助会や、それからさっき申し上げた休業保障制度などというか、保険医協会が自主運営している休業保障制度、これらはいかがでしょうか。
  273. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答えを申し上げます。  今ほど申し上げました基準に照らしますと、一つには、御指摘の団体というのは同一の職業に従事されている方あるいは同じ資格を有する方の集合体と、こういうことですが、これのみでは、先ほど法律で適用除外をしておりますところの一の学校あるいは一の企業と比肩し得るほどの高度の自治性を有することが明らかであるとは言えないということが一つございます。それからもう一つは、当該団体法律で決まっていない、いわゆる法定化された団体でないという、この二つの条件がございまして適用除外とすることは困難であると考えておりますが、先生御指摘のように、このそれぞれの団体が長年にわたって有意義な共済活動を行ってこられていることは十分承知しているところでございまして、こうした方々が新制度に円滑に移行して契約者保護が図られますよう、それぞれの事情をよく伺いながら、引き続き真摯に御相談にあずかってまいりたいと、このように考えております。
  274. 福島みずほ

    福島みずほ君 これは与謝野国務大臣も衆議院で、財務金融委員会で答えているところではありますけれども、私は思うには、利益、利潤追求だけの団体というようなのはもちろん取り締まらなければならないというふうには思うんですね。ただ、極めて長い間、必要に迫られてみんなが支え合って問題の生じてない共済についてまでもその適用にしてしまうと、実際はですね、例えば制度そのものが成り立っていかないという問題があります。是非この点については再考していただきたいですが、いかがでしょうか。
  275. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答えを申し上げます。  衆議院におきまして与謝野大臣が御答弁申し上げましたように、今般の保険業法の改正におきましては、保険業法の適用範囲について、契約の相手方が特定されているか不特定であるか、あるいは営利性があるか非営利かといったことにかかわらず、およそ保険の引受けを行う方につきましては、その契約者を保護し、健全な運営を確保するために必要な規制の対象とすることとしたものでございます。  いわゆる、根拠法のない共済の中に、先ほど申し上げましたように、有意義な活動を行っている方が数多くおられることはよく承知しておりまして、こうした方々が新制度へ円滑に移行し、事業を継続しながら健全な運営と契約者保護が実現することが望ましいと考えておりまして、引き続き円滑な移行に向けて真摯に御相談にあずかってまいりたいと考えております。
  276. 福島みずほ

    福島みずほ君 今までの状態ですと、円滑に移行できないんではないかというふうに非常に心配をしております。  すべての自主共済が、保険会社の保険商品とするか少額短期保険業者として保障を小さくするなど、対応を迫られるのではないか、円滑な移行は難しいのではないかという点についてはいかがですか。
  277. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答えを申し上げます。  様々な活動形態がございますので、私どもその活動形態の実態にできるだけ配慮をしたいというふうに考えたところでございます。  具体的には、現在、共済を行っている団体の中には小規模に運営されておられるところもございますので、こういったところには一定の配慮が必要であるということで、少額短期保険業者に係る最低資本金、これは原則は一千万円でございますが、こういった小規模については七年間、半分の五百万円という経過措置を政令で講じることとしております。これは、知的障害者に限らず、一般的に小規模の制度共済の方に適用される措置でございます。
  278. 福島みずほ

    福島みずほ君 是非、再考していただきたいというふうに思います。  次に、視覚障害者無許可マッサージの件についてお聞きをいたします。  視覚障害者の皆さんから話を聞きました。今、無資格者の人たちが非常に多くなっていて、視覚障害者の皆さんがせっかく頑張って勉強して資格を取ってもその資格が生きないとか、数少ない生活の糧を得る場所がなくなりつつあるという危機感を大変お持ちでした。無資格者への行政指導はどのように行っているのか、取組の現状についてお聞きをします。
  279. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師につきましては、伝統的に視覚障害者の方がたくさん業とされていることは存じておるところでございます。  このあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第一条におきまして、医師以外の者であんま、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゅうを業としようとする者はそれぞれの免許を受けなければならないということを規定してございます。一方、あんま、マッサージ、指圧、はり又はきゅう及び柔道整復以外の医業類似行為につきましては法第十二条で禁止されてございますけれども、ここで禁止されておりますのは人の健康に害を及ぼすおそれのある行為に限られているところでございます。  厚生労働省といたしましては、各都道府県に対しまして、医業類似行為に対する取扱い等の通知の発出や全国医政関係主管課長会議等を通じまして、無資格者の取締り等について周知徹底を図っているところでございまして、引き続き適切に対処してまいりたいと考えております。
  280. 福島みずほ

    福島みずほ君 警察にデータをもらいましたら、平成十七年度、あはき法違反というのでは、件数三十一、人員が五十一名ということなんですが、現場では非常に、せっかく資格を取ってもなかなかもう自分たちが働く場所がなくなりつつあるという大変切実な状況です。是非、無資格者への行政指導を徹底していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  281. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 無資格者につきましては、先ほど申し上げましたように、通知の発出あるいは会議等の機会を通じましてその周知徹底を図っていきたいと考えております。
  282. 福島みずほ

    福島みずほ君 それからもう一つ、雇用促進の拡大が必要だというふうにも思います。これについてはいかがでしょうか。
  283. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 視覚障害者の雇用の促進でございますが、視覚障害者につきましては、障害者の中でもコミュニケーション上の制約が大きいということから、雇用機会の確保についてもいろいろ課題があるというふうに考えております。  こうした観点から、具体的に雇用促進を図っていく。そのためには、一つは、そうした視覚で情報を得ることがなかなか困難であるという点を補うために、例えばパソコン画面の拡大装置、あるいはパソコン上の情報を音声で読み上げるソフト、そういった就労の支援機器、これを開発しまして、OA事務処理分野での職域拡大を図る。それからもう一つは、あんま、マッサージの技術を生かして、企業におけるヘルスキーパーとしての雇用を図る。あるいは、特別養護老人ホーム等の福祉施設における機能訓練指導員としての雇用を進める。そういったいろんな形で工夫を凝らしながら雇用促進を図っていきたいと考えております。
  284. 福島みずほ

    福島みずほ君 在外被爆者について、手当や葬祭料が在外公館を通じて国外から受け付けできるようになりました。厚生労働省と外務省の努力に心から感謝をしたいというふうに思います。今後、手帳の申請など、高齢となった被爆者のために制度を改良して運用していただけるよう、より一層の努力をしていただきたいと思います。  現在、在日韓国・朝鮮人のうち、四十三歳以上の障害者と七十九歳以上の高齢者が完全な無年金状態で放置をされております。在日韓国・朝鮮人の人たちは、税金も払っておりますが、無年金でありながら介護保険料を納めなければならないという状況になっております。  在日韓国・朝鮮人の障害者や高齢無年金者の置かれた状況について、大臣の見解をお伺いします。
  285. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 国民年金におきましては、昭和五十七年の難民条約の批准以前に、在日外国人の方々を適用対象外としてまいりました。  同条約の批准に伴って、外国人への適用拡大を行い、他の制度も含め、将来へ向かってのみ効力を発生すること等整理したものであり、一定年齢以上の在日外国人の障害者や高齢者の中には年金受給権を得られなかった方々もいらっしゃいます。年金等の受給権を有していない在日外国人の障害者や高齢者が様々な御苦労を抱えていることも事実でございます。  こうした方に対する福祉的措置については、昨年四月一日より施行されております特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律附則第二条の検討規定の趣旨等を踏まえ、社会保障制度や社会福祉制度全体の整合性などにも十分留意する、様々な御議論を踏まえて引き続き検討すべき課題だと考えております。
  286. 福島みずほ

    福島みずほ君 よろしくお願いします。  在日韓国人の法的地位及び待遇に関する日韓局長協議において、在日韓国人障害者及び高齢者の救済について議論されたと発表がありました。  この問題は何回、何年にわたって局長協議で取り上げられているのか、お願いします。
  287. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) お答え申し上げます。  結論から申し上げますと、これまでに十二回でございます。この協議は、平成三年以降、昨年の十二月のソウルでの会議まで、合計十四回開かれております。御指摘の問題については、平成四年の第二回協議以来取り上げておりますけれども、平成八年の第六回協議には議題として出ませんでした。したがって、十四引く二ということで、これまでに十二回取り上げてこられました。
  288. 福島みずほ

    福島みずほ君 今まで十二回協議が行われているということなんですが、何が障害なんでしょうか。
  289. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) 私ども、障害と申しましょうか、先ほど厚生大臣の方からもお答えがございましたけれども、難民条約の加入以降、一定の条件を満たされる方について給付があると。それ以外の方をどうするかということについては、先方政府からも何とか待遇の改善をしてもらいたいということを受けて、関係のところともずっと協議をしてきております。  他方において、私ども承知しておりますところでは、給付措置を講ずるに当たりましても、在日の外国人の方にのみ無拠出制の給付を行うのはどうだろうかというような、国内での同例の日本人の方との比較のバランスの問題とか、いろんな問題について慎重に検討をする必要があるというふうに伺っております。  私ども、国内の措置に関しましては厚生省さんにお願いをしながら協議をしておりますけれども、引き続き、韓国側から日本側の事情など等を説明をしておりますが、今後とも、先ほど厚生大臣がお答えになりましたとおり、様々なバランスとの中で何ができるかというのを引き続き関係のところともお話を続けてまいりたいと思っております。
  290. 福島みずほ

    福島みずほ君 高齢者の方は七十九歳以上なので、もう余り期間が本当にないという問題があります。ほかに、無年金の人がいるからだという議論がありますけれども、それだとしたらむしろひどい話で、できるだけ無年金の人をなくしていくということが必要です。これについて、スケジュール等見通しについてお聞かせください。
  291. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) お答え申し上げます。  年金制度、我が国におきましては御承知のとおり社会保険方式を取っておりますので、原則として、国民年金に加入せず保険料を納付してこられなかった方々について給付を行うことができないというのが大前提であろうかと思います。したがいまして、昭和五十六年まで国民年金の対象外とされていた在日外国人の方について年金制度の中で特別な措置を講じるということは、これまでも申し述べておりますように、困難であると考えているというのが基本とならざるを得ないわけでございます。  昨年から、特定障害者に対する特別障害者給付金の支給に関する法律が施行されております。この法律における附則では、無年金の障害者につきまして検討規定が設けられたと、こういう経緯がございますが、そのほか各方面の御議論を、様々な御議論を踏まえまして対応すべき、判断していくべきものというふうに考えておりますので、現時点で特定の対策を念頭に置いたスケジュールを申し上げるべきような段階にはないものと思いますが、引き続き、立法府その他関係者の方々の御議論等々に十分留意しながら検討をしていくべき課題であると考えております。
  292. 福島みずほ

    福島みずほ君 無年金の人たちの問題は放置できない問題です。立法不作為とそれこそ言われる問題だというふうに思っています。この点について、具体的なスケジュールも含め、私たちも努力をしますが、厚生労働省としても対策をもっとスピードアップしていただけるよう、成果を出してくださるよう、要請いたします。  日本国外の遺族の慰霊巡礼はいつ可能になるのでしょうか。慰霊巡礼ができないとしたら、その理由は何か。いつ可能になるのでしょうか。
  293. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) お答え申し上げます。  現在までのところ、韓国を除いて、御質問の慰霊巡拝を我が国に対して要請を申し越してきている国、地域はございません。ないものと承知しております。しからば、じゃ、韓国についてどういうことかということでございますが、これについても韓国政府と鋭意協議を続けております。  当省としましては、内閣官房、それから厚生労働省さんとも御相談を申し上げながら、政府としていかなる対応が可能か、検討を行ってきております。まだ、実現をできるところまではこぎ着けておりませんが、できるだけ急いで先方の要望にかなえられるような形で実施に移せるべく、今最大限の努力をしておるところでございます。そう遠くない将来に実現できればと、私どもも頑張っておるところでございます。
  294. 山下英利

    委員長山下英利君) 時間。
  295. 福島みずほ

    福島みずほ君 分かりました。じゃ、終わります。
  296. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  二〇〇四年の合計特殊出生率は一・二九ということで少子化対策が急がれているわけですが、二〇〇五年に開かれたOECDの社会保障担当会合で報告書が提出されています。で、御紹介いただきたいんですけど、局長、いいですか、日本の出生率について、OECDの報告書で、政策改革によってどの程度引き上げることができると紹介しているか、紹介していただきたいと思います。
  297. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 御指摘の報告書、昨年改正されました第四回OECD社会保障大臣会合におけるワーキングペーパーであると承知をいたしますが、この報告書の中では、第一に子供に掛かる直接費用の軽減、それから第二に女性がパートタイム雇用を利用できる可能性の増加、第三にフォーマルな保育の利用可能性の増加、第四に出産休暇及び育児休業の延長、この四つの政策について、それぞれOECD加盟国の上位三か国のレベル並みに実施された場合に、各国で到達し得る可能性のある出生率水準をシミュレーションした結果が紹介をされております。  それによりますと、御指摘のとおり、我が国の合計特殊出生率は約二・〇まで増加する可能性があるとされておりますが、このシミュレーションは非常に単純化されたモデルによります簡易なシミュレーションでございまして、必ずしも国ごとの固有の影響や様々な政策の相互作用を考慮していないものでございますので、結果の解釈には注意が必要とも記載されておりますが、一応二・〇と、こういうことでございます。
  298. 小池晃

    ○小池晃君 この報告書にもあるように、ここでは子供の直接経費の上昇といいますか、子供を持つことで所得が減少しないようにすることが非常に大きな効果があるということが指摘されていて、その意味では、児童手当役割というのは非常に大きいと私どもも思っておりますし、今回、少しですが引き上げられるということはこれは前進だというふうに思います。ただ、諸外国から見ると極めて低い水準でありまして、抜本的な強化が必要だというふうに思います。ただ、同時にやはり働きながら子育てを進めるための支援策を根本的にやっぱり充実させなければいけないということを今日はちょっと取り上げたいんですが。  次世代育成支援法、施行から約一年たって、その到達であります。この次世代育成支援法では、従業員三百一人以上の企業に仕事と子育てを両立するための行動計画の作成を義務付けました。これ、三百一人以上の企業では九七%と聞いておりますが、三百人以下の事業所はこれ努力義務となっております。で、これ、三百人以下の事業所で計画が提出されている事業所の数、比率、示していただけますか。
  299. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 昨年十二月末現在の数字でございますが、三百人以下の企業の行動計画策定届出状況は千四百二十二社でございまして、まあ、三百人以下の企業数、約百五十万社と推計いたしますが、百五十万社を母数といたしますれば、約〇・一%ということになります。
  300. 小池晃

    ○小池晃君 義務付けされている三百一人以上は九七%、それに対して努力義務の三百人以下の企業ではわずか〇・一%ということは非常に開きが大きいわけであります。  で、この三百人以下の企業努力義務のところの計画作成、どのように進めていかれるのでしょうか。
  301. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 三百人以下の中小企業の行動計画の策定届出の目標値を子ども・子育て応援プランにおきましては二十一年度までの目標値として二五%として、目標を持って策定努力を促していきたいということにしておりますが、今の数字の状況から見ますと、かなり相当力を入れてやっていかないと、なかなか難しいといいますか、ハードルの高い目標だと考えております。  したがいまして、私どもとしては、これから三百人以下の中小企業の行動計画の策定に向けて最大限積極的に取り組んでいきたいと思っておりますが、具体的には、全国八十九か所に指定しております次世代育成支援対策推進センターを活用しまして、そのセンターにおきます相談、援助であるとか、中小企業向けのモデル計画の提供や好事例集の提供といったことを進めてまいります。それからさらに、各労働局におきましては、県や市町村といった地方自治体や労働団体、経済団体の御協力も得まして、地域の実情に応じた広報啓発活動を進めていきたいというふうに考えております。
  302. 小池晃

    ○小池晃君 三百人以下といってもかなり幅があると思うんですね。中小企業と一くくりにできないと思うんです。私は、せめて例えば百人以上の企業辺りを区切って、そういったところはちょっと実態調査をやるとか、やはり特別な取組しないと、これ〇・一%から二五%というのは、これはなかなか大変ですよ。これやっぱり実態調査などを含めて目標に近づけるちょっと工夫、努力をすべきだということを申し上げたいと思います。  続いて、ファミリー・フレンドリー企業の問題なんですが、こういう表彰を厚生労働省として行っておりまして、表彰基準は、仕事と育児、介護が両立できる様々な制度を持ち、多様で柔軟な働き方が選択できるような取組を積極的に行い、効果が上がっている企業というふうにあります。  これは、昨年は、ソニー、東芝、松下が大臣優良賞、ヤマハが努力賞ということでありますが、この表彰企業の男性の育児休業の取得率というのは実績としてどうなっているんでしょうか。
  303. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) このファミリー・フレンドリー企業表彰の企業選考に当たりましては、男性の育児休業の取得状況についても考慮をする要素となっておりまして、どの表彰企業においても男性の取得実績はございますけれども、この具体の数字につきましては公表内容の範囲に入っておりませんので、受賞企業との関係上差し控えさせていただきたいと思います。
  304. 小池晃

    ○小池晃君 表彰されても実態を公表できないんじゃ、これは本当にどうなんだろうかと。余り小さ過ぎて公表できないんじゃないかというふうに勘ぐりたくもなるわけでありますが。  これ、効果が上がっているというのが表彰の条件のはずなわけで、これはどういう効果がこういう企業では上がっているのか、これはどうなんですか。
  305. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) このファミリー・フレンドリー企業と申しますのは、その法律を上回る制度があるということはもとよりでございますが、それだけではなくて、かつ実際にその利用者がおられて、仕事と家庭との両立がしやすい企業風土、文化があるといったような要素を選考の基準としておるわけでございます。  したがいまして、例えばその法を上回る制度がそれぞれあるか、それから、多様な働き方といったような短時間勤務の制度があるかといったような制度の問題だけではなくて、男性の育児休業取得の状況であるとか、あるいは育児休業、介護休業の利用、取得者数だとか、選考に当たっては聞いておりまして、相当の日本の企業のモデルといいますか、かなり先端的なお取り組みをやっていただいている企業として表彰するにふさわしい企業であるというふうに思っております。
  306. 小池晃

    ○小池晃君 今日、公表して数字が出るんだったら、そういうことも納得できるんですが。  これはちょっとお聞きしたいんですけど、男性の育児休業の取得率というのは、これ表彰基準ではどうなっているんですか。要するに、一人以上取得すれば表彰基準クリアすると聞いたんですけど、これ本当ですか。
  307. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 表彰基準としてはそういうことでございます。
  308. 小池晃

    ○小池晃君 ソニー、松下、東芝といったら巨大企業ですからね。一人男性の育休取れば表彰基準クリアするって、こういう実態なんですよ。どれだけ取っているかは公表できないという、これは問題だと。  さらに、育児のための短時間勤務制度というのをもう持っているということがこのソニー、東芝、松下、ヤマハは言っているんですが、この短時間勤務制度というのはどれだけ活用されているのか、数字はこれも公表できないんですか。
  309. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 短時間勤務の利用状況についても、選考に当たりまして聞いておりますけれども、やはり個々の企業ごとの数字は御勘弁いただきたいと思います。ちなみに、若干申し上げますと、男性の育児休業の取得者については、その優良賞の企業は複数おられますし、それから短時間勤務の制度の利用者数の方は百人単位で利用状況がございます。
  310. 小池晃

    ○小池晃君 ちゃんとやっぱり公表すべきだと思うんですね。表彰しているんだったら、どれだけのものなのかというのを示すというのは私当然のことだというふうに思うんです。それができないというのはやっぱり非常に、ファミリーフレンドリーというけれども、やっぱり実績がどうなんだろうという国民の疑問も出てくるだろうというふうに、当然議論していても、この場でも疑問が出てくるぐらいですから、これはちょっと改善していただきたい、公表していただきたい。  それから、根本的な問題としては、そもそも少子化対策というのであれば、男女ともにどんな働き方が求められるかが重要なわけで、行動計画の指針にも所定外労働の削減のための措置というのが入っている。しかし、今実態を見ますと、年間総労働時間千八百時間を超えたままだし、有給休暇の全体の取得率は四八%と年々減少している。配偶者出産休暇とかこういうファミリー・フレンドリー企業ではあるようですが、とても忙しくて元々の有休取れないという中では本末転倒だという実態が実際はあると思うんですね。  長時間労働の問題でちょっと御紹介しますと、本来は大臣告示では年間三百六十時間が限度です。ところが、今回ファミリー・フレンドリー企業として表彰されている東芝の事業所では、三百六十時間の残業協定の上にいわゆる特別条項付き協定を結んで、年間何と九百時間まで残業させることができるという事業所があります。実態としてどういう働き方になるかというと、これ月にすると七十五時間、毎日四時間ぐらい残業すると。家に帰ったら深夜だと。これで家族が触れ合える日常生活が送れるのかと。ファミリーフレンドリーというふうになるのかという実態があると思うんですね。川崎にある東芝のマイクロエレクトロニクスセンターと、ここが九百時間の残業協定できているんですが、ここはしかも、いわゆるサービス残業、労働基準法違反の、これ昨年十二月に川崎南労基署が立入検査に入って摘発をして、その中心は正に二十代、三十代の子育て世代だと言われます。  私、大臣にお聞きをしたいんですが、こういう東芝に限らない日本の企業風土全体として、本当に正社員の長時間労働というのはまだまだ改善されていない、むしろ悪化しているような傾向もある。こういう異常な職場環境をやっぱり変えない限り私は少子化に歯止めを掛けることはできないのではないだろうかと。子育て支援のいろんな制度を充実させていくことは当然必要だけれども、やはり厚生労働大臣の本来の責務として、労働時間の短縮、有給休暇取得率の促進ということを確実に進めていくということが大事ではないか。  それから、先ほど大臣は、パートの問題、あるいは氷河期と言われた時代に正社員になれなかった世代をどう救うのかという点で経団連に物申すとおっしゃいましたけれども、本当に今矛盾していると思うんです。膨大な非正規雇用の働き方をさせられている若者がい、正社員として企業に雇われている若者はもう深夜まで長時間労働をされている。これ足して二で割ればもっともっと幸せな職場社会をつくれるはずなのが、そういう極端な状況が生まれている。こういうときこそ、私、行政の役割が問われているのではないかというふうに思うんですよ。  大臣先ほどは非正規雇用の問題、パートの問題などでは踏み込んで企業に物を言っていきたいとおっしゃいましたけど、やはり併せて長時間労働の問題にも、やはりこういう情勢になってきているわけですから、しっかり踏み込んでいく、そういう役割が求められているんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
  311. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今、表彰対象になりました松下というのは私の出身企業でございますし、人事本部長が私の同期でございますので、よく実情は聞いてみたいと思いますけれども。  正直、この十年間、雇用の数字を見ても、確かに若者につらい、先ほど申し上げたように、一〇%を超えた失業率の時代がありました。それがだんだん改善されてきた中で、今御提案いただきました若者の働き方の問題、一つは非正規雇用の方々をできるだけ正規雇用に、またフリーターの人たちを正規雇用に変えていく、こうした努力が世の中全体として求められているんだろうと。それは、雇用状況が改善されればされるほど、かつてのその時代の人たちにしっかりとした目配りをしなきゃならぬということが一つであろうと。  もう一方、企業が極めて収益が厳しいという中で、労働時間が実態として厳しい方向に向いてしまった。しかしながら、ここでもう一度全体を見直すべきではなかろうか、こうしたお話だろうと。  当然、法に照らしてきちっとした対応をしてもらわなきゃならないと。そういった意味では、私ども厚生労働省、労働分野でもしっかりとしたものを各企業にも言いながらやっていかなきゃならぬし、先ほど御指摘いただいたように、労働基準監督署の方から様々な形で御注意を申し上げていることも事実でございますので、しっかり目を光らす役目というものは果たしていかなきゃならないと、このように思っております。
  312. 小池晃

    ○小池晃君 やはり少子化対策、仕事と子育ての両立という点では根本的な問題だと思いますので、是非引き続き御努力をお願いしたいというふうに思っております。  延長保育の問題についてお聞きをしたいんですが、これは三位一体改革で既に予算事項ではあるんですが、公立保育所が延長保育を行った場合に加算される補助金が一般財源化されました。公立での延長保育を民間並みに引き上げるための補助金だったはずであります。  局長にお伺いしますが、そもそも、公営、民営で延長保育、今どの程度の到達になっているんでしょう。
  313. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 保育所における延長保育の実施状況でございますが、平成十六年度において、公営は四千四百二十二か所、全公営施設の三五・八%でございます。民営の場合は八千六百六十四か所、全民営施設の八五・五%で実施されているところでございます。
  314. 小池晃

    ○小池晃君 大臣にお伺いしたいんですが、「仕事と子育ての両立支援策の方針について」、閣議決定がございました。ここでは、延長保育については遅くても〇四年度までに、その当時ですよ、その当時一七%の公営保育所における延長保育を民営並みの六二%実施を目指すというふうに決めております。そのために特段の配慮をし、必要な予算を確保するんだという閣議決定があるんですね。  今御紹介あったように、〇四年度末の実績でも公営三五・八%、〇一年当時の六二%にすらほど遠い実態なんです。閣議決定の目標にはるかに到達していない段階でこれを一般財源化してしまうというのは、私は、閣議決定に照らしても問題があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  315. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 公立保育所の延長保育に関する経費については、地方自治体から一般財源化が主張される中で、事業の実施・運営責任が市町村にある、対象経費は市町村の職員の給与であることにかんがみ、一般財源化を行っても必要な財源が確保されるため、地方提案を受け入れることといたしました。  延長保育を含む多様な保育サービスについては、各自治体で定めた行動計画において住民のニーズを踏まえて目標量を設定しており、その達成に向けて各自治体で適切に対応していただけるように促してまいりたいと思います。  国がすべてのことについて責任を持ってきちっとやれというのも一つの御議論だろうと。しかし一方で、こういう時代の中でできるだけ地方責任を負うと。そして、この部分は公立でございますから、正に首長の目の届くところで、自治体の長が目の届くところで行われる事業でございますので、やはりそこをしっかりやってもらうように我々の方からも促していきたいと思います。
  316. 小池晃

    ○小池晃君 しかし閣議決定なんですね。  しかも、去年この問題私この委員会で取り上げて、そのときは、要するに引継ぎのときの補助金だからこれは仕方ないと、延長保育の時間帯の費用は今までどおり維持しますって当時の伍藤局長はここで答弁されたんですね。それが一年たって、そこまで一般財源化というのは、私は、これほどくるくる変わっていいんだろうかということは非常に疑問を持ちます。ただ、予算事項でもう通ってしまっている問題なんで、これ言ってもせんない話なんですが。これしっかりと財源確保する努力をやっぱり厚労省としてはしていくべきだということを申し上げたいというふうに思います。    〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕  それから、子育て支援の問題でもう一つ、乳幼児医療の無料化の問題取り上げたいんですが、私どもも長年このことを要求してきましたし、参議院に無料化法案も提出したこともございます。  最初に、各自治体が今独自で助成制度やっていますが、今全国の都道府県、市区町村が行っているこの助成制度、自治体数としてどれだけあるのか、それと総事業費は最新で幾らになるのか、お聞かせください。
  317. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 乳幼児医療費の助成を行っております地方自治体の数は、平成十七年四月一日現在で、四十七の全都道府県、それから二千四百十八の全市区町村でございます。すべての自治体において何らかの形で助成が実施されていると承知をいたしております。  また、これらの地方自治体負担総額は、平成十七年度の都道府県の予算額から推計をいたしましたものでございますが、都道府県と市区町村分を合わせ、約千三百五十億円と推計いたしております。    〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
  318. 小池晃

    ○小池晃君 六歳未満の医療費の自己負担分は、保険局長、現在幾らなんでしょうか。
  319. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 六歳未満のお子さんに係ります医療保険の自己負担額の総額についてでございますけれども、平成十八年度で二千三百億円と見込んでございます。
  320. 小池晃

    ○小池晃君 重ねてお聞きしますが、六歳未満の乳幼児医療費の無料化を行うとすれば、国の負担二分の一というふうに置きますと、どの程度の負担になるんでしょうか。
  321. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) お示しいただいた前提で計算をいたしますと、自己負担無料化の波及増も含めまして、医療保険の給付費は平成十八年度で三千五百億円程度増加すると見込まれます。その二分の一を国庫負担するとした場合には、その半分で千八百億円程度と、このように見込まれます。
  322. 小池晃

    ○小池晃君 無料化すると需要が増えるというのはちょっと、老人医療とかではそういうことが傾向としてあるのかもしれませんが、子供の医療でそういうことがちょっとあるのかというのは私、疑問なんですが。  いずれにしても、大臣、これ今お話あったように、すべての自治体で乳幼児医療の助成制度、何らかの形でやっている。自治体によって水準かなり違ったりする。東京の二十三区でも、隣の区に行ったらそこは六歳なのに、隣の区は中学生までとか、こういうのがいろいろあるわけですね。  私、少子化に本格的に歯止めを掛け子育てを支援する、そういう意味でこの問題は、国の決意を示すというか、国は本気でやっぱり子育て応援しているんだよということを示す上では、私は非常に効果的な政策ではないかなというふうに思っておるんです。  是非、やっぱり国の制度として、この乳幼児医療費の無料化ということをいよいよ踏み切る必要があるんではないかというふうに考えるんですが、大臣、いかがですか。
  323. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私、現状見させていただいて、国の施策に地方が上乗せをする、これは児童手当でもそうですし、様々な施策はそうであろうと、教育でもあります。  そういった意味では、地方自治体の中に乳幼児医療費を無料化しているところあります。医療費は、医療を受ける者と受けない者との均衡を踏まえ、受診者に一定の御負担をいただくのが原則であると考えております。  また、こうした無料化のほか、地方自治体が独自に乳幼児医療費の負担軽減措置を行っているが、これはそれぞれ地域の実情を踏まえた判断によるもの。むしろ、国としては厳しい財政状況の中で、未熟児、慢性疾患児といった手厚い援護が必要な児童の医療費の公費負担を優先的に実施しております。  厳しい保険財政の中でありますが、平成十四年十月から三歳児未満の乳幼児に対する医療費の一部負担を三割負担から二割負担に、さらに昨年十二月の医療制度改革に沿って、平成二十年度から乳幼児に対する自己負担軽減の対象年齢を三歳未満から義務教育就学前まで拡大するという方向で整理をいたしてきております。  そこは、地方がまた独自に乗せていただくということについては、正に地方判断をしてやっていただく、国が最低のものをやらせていただくということで、私は政策、両方とも相まっているんではなかろうかと、こう思っております。
  324. 小池晃

    ○小池晃君 いや、ちょっとこの間の坂口大臣や尾辻大臣答弁に比べるとかなり後退している印象を受けるんですね。  私としては、六歳までの国の制度として無料化というのは、それこそむしろ土台であって、そこから更に自治体が上乗せしていけばいいわけですよ。今、実態そうなっている。中学生までなんてやっているところもあるわけですから、やっぱり最低ラインとして六歳未満までの医療費の無料化というのは国の制度としてやって、どうぞ自治体自由に更に上乗せする事業をやってください、これこそ私は進むべき道だと思いますけれども、ちょっと聞いても余りいい答えにどうもなりそうもないんで、もうこれ以上言いませんが、ちょっとこれは困ります。是非やっていただきたいということを重ねて申し上げたいというふうに思います。  引き続いて、今回、地域介護・福祉空間整備交付金のうち、特養、老健施設など大規模施設の整備を対象とする都道府県交付金が廃止されるわけです。これは、要するにかなり整備が進んできたから一般財源化してもいい、地方に任せてもよいというようなことなのかもしれませんが、しかし待機者の問題というのは依然としてこれあるというふうに思うんですね。  現在の待機者、特養の待機者の数、一体何人になっているのか、お答えいただきたいと思います。
  325. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 本年三月の時点で各都道府県が把握しております入所申込者数を単純に足し上げますと、三十八万五千人となっております。  ただ、この中には、複数施設に入所申込みをしている方、それから特養以外の施設の入所者など在宅以外の方が六割ぐらいを占めていること、それから要介護度三及びそれより軽い方々の割合が六割を占めているなどの状況は一昨年の調査のときと基本的に変わっておりませんで、こうした単純合計した数が直ちに入所を必要とする方の数を示すものではないと考えております。
  326. 小池晃

    ○小池晃君 しかし、前回は三十四万というお答えでしたから、更に増えているわけであります。しかも、入所しているからいいんだとおっしゃいますけど、その入所している療養施設もベッドをなくしていくということまで出されているわけですからね。  しかも、これは予算委員会で我が党の紙智子議員大臣に質問した関係でちょっとお聞きしたいんですが、負担増で施設から出て行かざるを得ないようなケース、いわゆる居住費、食費の問題ですが、大臣は、ウオッチしており、個々の事案には対応していきたいというふうに答弁されています。居住費、食費の徴収を契機とした施設退所の状況について、これは調査すべきでないかと思うんですが、局長、いかがですか。
  327. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 衆議院でもたしか御答弁申し上げたところでございますが、我々のところでは、所得の低い方々にとって過重な負担とならないようにきめ細かな低所得者対策を講じていること、それから、保険者等から昨年十月以降、こうした費用負担の増加によって介護保険施設から退所せざるを得なかったケースはほとんど聞いていないといったことから、退所者の実態調査を行う必要はないと考えております。
  328. 小池晃

    ○小池晃君 いや、ほとんど聞いてないって、いろいろと照会しているのにそういう言い方はないというふうに私は思うんですよね。  ちょっと具体的に聞きたいんですけれども、全国保険医団体連合会が居住費、食費の導入によってどういう影響が出たか全国調査をやっています。回答があった千三百六十五施設のうち二百九施設で負担増による退所があった。その総数は三百八十八人だった。しかも問題なのは、これ退所した人のうち負担段階が分かる人を調べますと、三人が一段階、生活保護になる、二十五人が第二段階、十四人が第三段階というわけです。  大臣は、先日の予算委員会で、これ第二段階、いわゆる年間八十万以下の場合はむしろ負担は減額になると答弁されているんですけれども、しかし、その第二段階の人も含めて低所得者でも退所者が出ているという実態がこう報告をされている。大臣は、予算委員会で個々の事案について調査して対応していきたいというふうに答弁されたわけですから、やっぱりこの十月のホテルコスト徴収の実態がどうなっているのかというのを、これ少なくとも調査する必要があるんじゃないですか。  これ大臣、お答えいただきたいと思います。
  329. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これは当時お答え申し上げましたように、第一段階が、十月までの利用者負担が二万五千円、それが新しい制度、十月以降は二万五千円、したがって、これが上がったからという理由にはならないだろうと。第二段階も四万円が三万七千円になるわけですから、これもなかなか考えにくいですねと御答弁申し上げました。実は、第三段階なんだという御指摘がありまして、それは四万円が五万五千円になると。ただし、この方々は年金八十万円以上の方々であるということの中から……
  330. 小池晃

    ○小池晃君 年間ね。
  331. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 年間です。これがゆえにというのはなかなか考えにくいですねという御答弁申し上げました。  一方で、いろんな資料を見させていただく中で、必ずしもこの保険医団体がお調べになった、保険医協会というんでしょうか、ものについても、他のところへ移ったという人たちも含まれておりますので、必ずしも実態をどこまで表しているのかなという感じをいたしております。  それから、紙議員が言われた、私が多分勘違いしたんでしょうね。二十万円と言ったんで、年間二十万かなと。八十万円って数使ってましたんでね。月二十万かもしれないなということでありますと、母親の入所費用、例えば八万円を負担することでこの世帯が生活保護の水準を下回るような形になるかもしれないと。これ母親の利用者負担段階を引き下げる境界層措置というのがあるようでございます。それによって第一段階、第二段階と同じような措置が行われるというように承知しておりますので、是非御相談をいただきたいなと、こう思っております。  また、各自治体からも、当然自治体も自分の内部の調査なりいろんな調べをいたしております。ここに、後でお配りしても構いませんけれども、神戸市からの報告もいただいている限りは余り影響は出ていないなと、こういうふうに思っております。  いずれにせよ、調査というよりは我々しっかりウオッチしながら、各自治体から、また各施設等から情報が上がってまいりますので、それを注意深く見守っていきたいと、こう思っております。
  332. 小池晃

    ○小池晃君 保険医協会の調査にまあクレームというか一言言われましたけれども、ただ調査、厚労省やっていて言うんだったらともかく、やってないわけですから、やってなくってそういうことを言うのはちょっとひどいんじゃないんですか。  僕が言っているのは、調査したらどうだという話なんですよ、少なくともね。ウオッチするけれども調査しないというのが分からない。ウオッチするということは調査するということじゃないですか。これやっぱりこれだけ声出ているんだから、そうじゃないよというふうに皆さんだっておっしゃりたいだろうから、そうじゃないというのを調査して示してくださいよ。  それから、自治体の調査だって、例えば埼玉県なんかは負担増で退所者出ているって調査していますよ。だから、いろいろそういうこと出ているわけですから、少なくとも調査はしたらどうですかということなんですけれども、これどうですか。
  333. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今埼玉県と御提言いただきましたから、埼玉県にも聞いてみましょう。いろんな情報収集の方法があるだろうと。全国一律の調査は今掛ける段階ではないと思っております。
  334. 小池晃

    ○小池晃君 私はこれは今こそするべきだと。医療の問題でこの医療施設の居住費の問題も出てくるわけですから、やっぱりそれを提案するのであれば、介護で一体どうだったのかということをちゃんと調べて提案するというのが私筋だと思います。これやっていただかないと困ります。  やはり日本の特養の待機者数、先ほど述べましたけれども、これ私日本の社会保障の貧困さの一つの象徴だというふうにも思いますし、しかも増大続けているわけで極めて深刻で、こういうときに都道府県交付金の廃止は許されないということを申し上げたい。  さらに、受皿として有料老人ホームがあるんだという議論があるので、この問題をちょっと取り上げたいんです。  そもそも有料老人ホームの負担、非常に高額でなかなか受皿にはなり得ない実態がある。入所しても、金銭的な負担に耐えかねて退所するなんということもよく聞きます。  内閣府、おいでいただいていると思うんですが、国民生活センターに寄せられたこの有料老人ホームをめぐるいろんな相談件数、簡単に主な内容を教えていただきたいと思います。
  335. 堀田繁

    政府参考人(堀田繁君) 国民生活センターでは、各地の消費生活センターを結ぶPIO—NETシステムを運営しておりまして、消費生活相談情報を収集しております。PIO—NETシステムで収集されております有料老人ホームに関する苦情相談件数ですが、二〇〇〇年度以降で約九百件となっております。  相談事例でございますけれども、契約、解約に関するものやサービスの質、安全性に関するものが目立っております。例えば、契約、解約については、入居前又は入居後間もなく解約したが、一時金や申込金、保証金などの返還額に納得できないという相談や、月額費用が説明と異なるといった相談がございます。また、サービスの質については、介護サービスの質の粗悪さのために床擦れができたり、食事管理が十分でないために脱水症状や高血圧などにより体調を崩したといった相談、さらに、安全性につきましては、転倒によります骨折や投薬の誤りなどの介護事故をめぐる相談といったものがございます。
  336. 小池晃

    ○小池晃君 公正取引委員会もおいでいただいていると思うんですが、これ二〇〇四年から有料老人ホームは景品表示法の対象とされていますが、介護保険導入された二〇〇〇年以降に公正取引委員会が有料老人ホーム等に対して行った警告、排除命令の件数はいかがでしょうか。
  337. 舟橋和幸

    政府参考人(舟橋和幸君) お答え申し上げます。  当委員会が景品表示法に基づきまして有料老人ホームの不当表示に対しまして平成十二年から現在までに措置をとった件数でございますけれども、警告が八件、それから排除命令が六件ございまして、年度ごとも御紹介しましょうか。
  338. 小池晃

    ○小池晃君 いや、いいです。
  339. 舟橋和幸

    政府参考人(舟橋和幸君) よろしいですか。  以上の件数、八件と六件ということでございます。
  340. 小池晃

    ○小池晃君 ありがとうございました。  東京都が行った調査でも、六十件の不当表示の疑い事例が寄せられて、二十九件が実際に指導の対象となっている。いろんなケースがあるんですね。すべてが本当にもうめちゃくちゃ悪質というものばかりではないというのは、これはちょっと申し上げておきたいと思いますが、しかし、その広告と実態に乖離があるというのがトラブルの原因の一つになっていることは間違いないと。  厚労省にお聞きしたいんですが、これは不当表示については課長会議通じて指導の強化を都道府県に求めておりますが、こういう実態を見ますと、これは十分に指導が行われているとは言い難い実態あるんじゃないかと、国民生活センターに寄せられているような実態見ますと。この辺、いかがでしょうか。
  341. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) まず国民生活センターの方の報告書でございますが、そこで指摘されております入居契約解除のルールなどに関する情報開示の重要性あるいは一時金の返還に関するルールの設定などにつきましては、厚生労働省としても重要な課題と認識しておりまして、特に昨年の介護保険法に伴う老人福祉法の改正等によりまして具体的にいろいろな対応を図ろうとしております。  具体的には、一つには老人福祉法の改正によりまして、入居希望者等に対しまして重要事項説明書の交付をこの四月から義務付けることとしております。また、有料老人ホームの標準指導指針の改正によりまして、九十日以内の契約解除の場合には一時金をすべて返還する旨の規定を設けるよう、本年七月から実施させるようなことも考えております。  そうしたこと、それからまた法律改正が四月から実施されますが、その中では、これまでやっておりませんでした入居者保護に関して、幾つかの項目がございまして……
  342. 小池晃

    ○小池晃君 いいです、後で聞くから。
  343. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) そういったこともやろうとしております。  取締り指導の件につきましては、基本的に都道府県が責任を負っておりますので、かつ相当有料老人ホームの数は県によって差がございますが、そうしたことも踏まえながら各都道府県において適切に指導を行ってもらいたいと考えております。
  344. 小池晃

    ○小池晃君 ちょっと今までのはやっぱり不十分で、ようやくいろんなことをやり始めたということなのかもしれませんが。  今ちょっともう答弁があったんですけども、やっぱり一番多いトラブルは解約とそれに伴う返金なんですね。入居一時金が返金されるかどうか分からない、返金されないという話が多い。これ、国民生活センターの調査研究を見ますと、二・三%の有料老人ホームで、一月以内に退所した場合は入居一時金を返還しないという対応を取っているというふうに答えております。以前この委員会で質問したときに、一時金平均一千五十五万円という御答弁ありまして、これが一か月以内で退所しても返ってこないとなると、これ大変な問題になるわけです。  今御答弁ありましたように、九十日以内の退去については全額返還するような、これは通知を出されるんですか。簡単で結構です。
  345. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 明日付けですか、三十一日付けで通知を発出しようと思っております。  ただ、すべてといいますか、その間にもちろん多少消費している部分がございますから、それを除いてすべてということです。
  346. 小池晃

    ○小池晃君 しかも、重ねて問題点としては、サービスに不満があって文句言ったら退去を求められるという問題もあるんですね。  これ、さきのアンケートで退去理由を見ますと、大声や暴力、徘回など利用者が迷惑というそういうケースがあるホームが八・八%、ホームの指示が守れないというケースがあるホームが六・八%、高齢化に対応できないというケースのあるホームが二・四%、終身利用権、介護付きの施設にもかかわらず、強度の認知症などを退去事由として契約書に例示するホームもあるわけです。  終身利用とか終身介護といいながら、重度の認知症となった場合に施設の側から退去をさせることができるとなると、これ大変な問題ではないかと思うんですが、こういうことを許さないような仕組みというのはあるんでしょうか。
  347. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 契約の中身につきましては契約にのっとってやるという基本があると思いますが、老人福祉法上の措置で、あるいは対応といたしましては、都道府県知事は、有料老人ホームの設置者が先ほどの帳簿の保存等に違反したとき、又はその入居している方の処遇に関し不当な行為をし、又はその運営に関して入居者の利益を害する行為をしたと認めるようなときには、当該設置者に対して改善に必要な措置をとることを命ずることができるといったことで対応できると考えております。
  348. 小池晃

    ○小池晃君 情報開示は極めて重要であるというふうに思うんですね。この点で、昨年の介護保険法の改定で情報開示が強化されて、重要事項説明書に相当する中身も開示対象になったということであります。  しかし、実態を見ますと、この先ほどの国民生活センターのアンケートを見ましても、重要事項説明書を入居契約をする際に渡すというものが最も多いんですけれども、反面、入居後に渡すというのが三・四%ある、それから重要事項説明書を作成していないというところも一・三%あるんです。  標準指導指針では、この重要事項説明書を、先ほどもありましたけれども、入居相談があった場合に交付する、あるいは契約締結前に十分に時間的余裕を持って説明書について十分説明すると、こうなっているわけですが、実態としてそうなっていないんですが、これはなぜなんでしょう。
  349. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 委員御指摘の情報公開につきまして、これもこの四月からの施行でございます。それから、先ほど申し上げましたように、この重要事項の説明書についての指導指針、あるいは法律の施行もこの四月一日からということでございますので、これから正にそうした義務付けがきっちりとなされていくものと考えております。
  350. 小池晃

    ○小池晃君 しかし、この義務付けの問題で、その新しい仕組みでは書面交付による情報公開義務付けていますけど、その時期まで限定してないじゃないですか。これで十分機能するというふうにお考えですか。
  351. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 老人福祉法の中に、二十九条四項におきまして、当該有料老人ホームに入居する者又は入居しようとする者に対して情報開示をしなければならないとございますので、基本的には事前に情報公開しなければならないと解釈しております。
  352. 小池晃

    ○小池晃君 さらに、都道府県がそれを指針に基づいて指導というけど、どういう実態かといいますと、これは国民生活センターは都道府県にもアンケートをやっています。  これ見ますと、老人福祉法二十九条に基づく改善命令出したことあるのは一自治体、文書による行政指導は十自治体、口頭指導など何らかの対応を行っているのが五。二〇〇四年までは有料老人ホームがなかった一県あるんで、そこを除いて残り三十二自治体は、これは何の指導もしてないという実態です。この三十二自治体の中には百以上のホームを持っている四自治体も含まれております。  もちろん、この三十二自治体何にもしてないと言うつもりはないです。しかし、これ何の指導もやってないというのは問題なんじゃないかと思うんですが、これいかがですか。
  353. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 有料老人ホームに関する指導につきましては、最初にも申し上げましたように、やはり都道府県がその実情に応じて指導するということでございまして、当然その実施体制につきましても都道府県の御判断によるものだと考えております。その意味で、今回の老人福祉法の改正を含めましていろいろな規制がこれから新たに始まっていくということでございますので、それぞれの都道府県において的確にこの制度の運用を行っていただけるものと考えております。
  354. 小池晃

    ○小池晃君 まあそうはおっしゃいますけども、例えば、ホームが五つ程度であっても専任の担当者を置いている自治体もあります。一方で、二百を超える有料老人ホームがありながら、兼任の担当者が二人という自治体もあります。これから多分届出件数も急増するでしょう。体制整備については特に考えてないというような都道府県、自治体が多いんです。  私は、少なくとも、ぎちぎちに縛る必要はないかもしれませんが、一定の有料老人ホームを抱えるようなところは、少なくとも専任の担当者をやっぱり都道府県に置くということぐらいの最低限の基準を示すことは検討する必要はあるんじゃないかと。これが受皿だというふうにおっしゃるんであれば、そのぐらいの体制をつくるというのは当然検討しなきゃいけないと思うんですが、いかがですか。
  355. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 地方自治の中で都道府県の実施体制についてなかなか国から言うというのは非常に難しい今状況ではないかと考えております。むしろ、先ほどから申し上げていますように、今回の老人福祉法の改正を適切に運用していっていただく、そういう体制を取っていただくことはその裏腹の関係として必要だと考えておりますが、その意味で的確な制度運用をお願いするのが国の立場ではないかと思います。
  356. 小池晃

    ○小池晃君 大臣、今までちょっと有料老人ホームの問題を取り上げましたが、なぜかというと、この特養に代わってこういったところをこれからの介護の受皿にしていくというようなそういう議論もある中で実態がどうなっているのかということで取り上げたわけです。  先ほどから御答弁内閣府の方からあったように、いろんなトラブルが起こっていると。証券業とか不動産とか保険とかいろんなトラブルが起こっている業界がほかにもありますが、ここでは業法があって、約款を認可制にして不当条項を排除するとか、法律で一定の基準以下の条項を契約に盛り込むことを禁止するとか、あるいは交付、説明、これを法律で契約前に行うことを義務付けるとか、業法によって一定の対応をしてきているところがあるわけですね。  私は、これだけ供給件数が急増してきていて様々な業者が参入しようとしてきている有料老人ホームについて、いろんな問題ある業者に対して指針に基づく行政指導やります、それから情報の開示を通じて市場から排除されます、これで消費者保護がされますというのは私は非常に不十分ではないかと、これ限界があるんじゃないだろうかというふうに思うんです。それは、この間のやっぱり指導指針の徹底の状況であるとか、あるいは行政の体制がなかなか十分できてないというところから見ても無理があるというふうに考えるんですね。  やっぱりこの際、この有料老人ホームについて業法的な規制の枠組みということを検討する時期に来ているのではないだろうか、その点について大臣の御見解を伺いたいと思います。
  357. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今説明ありましたように、老人福祉改正法、改正によりこの四月一日から重要事項説明書の交付等義務付け、こうした運用をしっかりやりながら、一方で、基本的には消費者契約法というんですか、事業者の不適正な行為による契約を取り消すことができるほか、消費者の利益を不当に害する一定の条項を無効とするなど、消費者の保護が図られていると。この基本法で基本的には処理できるんではないかと思っております。  ただ、言われますとおり、各県の対応が遅れておるという御指摘をいただきました。この県の対応についてはしっかりこちらの方から注意喚起を促していきたい、こう思います。
  358. 小池晃

    ○小池晃君 やっぱりこういう状態を改善することなく特養ホームに対する交付金を廃止するということは許されないのではないかということを改めて申し上げたいと思います。  さらに、介護保険にかかわって、新予防給付、新予防介護導入の問題ですが、これは前回も私ここで質問しまして、大混乱しているということを取り上げました。  例えば、例のケアマネ一人当たり新予防給付プラン外部委託八件というのが突然出されて、移行措置ありますけど、不安が広がっておりますし、それから四月から要介護度の認定結果について、これは政令、省令が出るまで行わないようにという指導がされている。ところが、政令、省令は予定より一週間遅く出される。その結果、ちょうど今ごろ利用者のところに認定結果が送られて、これからケアプランの作成が始まると。大変な状況になっている。  私が国会で質問したらば、議事録をホームページで見た方から、県の担当者からメール来まして、こんなメールですね。これはちゃんとしたメールですが、県の──済みません、県の介護保険を担当していますが、国に照会掛けたら、隅から隅まで読んでから問い合わせしてくるようにと高圧的に言われました、隅から隅まで読んで電話したら、ファクスしろって言われました、結局何回ファクスしても回答はありません、ひどいところです、そんなところに御努力って何をすればいいの、絶対パワハラですよ、ひどいひどい老健局はと、こういうメールが現職の県の担当者の方から私のところに来ました。  この準備不足の状況について、老健局として、私、国の責任重大じゃないかと思いますが、どのように考えておられますか。
  359. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 大変大きな事務量をこの四月からやらなければならないという市町村、それに対応しまして実は国の方の準備も非常に膨大な量になっておりまして、その意味では若干の事務の遅れ、あるいは今お取り上げになりましたような事例がもしあるとすれば、私どもも早急にまた具体的に教えていただきまして対応をしたいと考えております。  非常に事務量の多い中でそれぞれ市町村あるいは国も最大限の努力をして、できるだけ円滑な施行を図ってまいりたいと考えております。
  360. 小池晃

    ○小池晃君 事務量の多さが問題じゃないんですよ。突然新しいことを持ち込まれたり、前言っていたことと違うことが出てきたりするから混乱しているんです。そういう実態があると。  それと加えて、前回ちょっと取り上げた問題で、地域包括支援センターの問題で実情をいろいろ聞きましたらば、これは最初、私、厚労省から聞いていた説明では、基本的には常勤の職員、三種三人置いて、それぞれ基本的に同じ業務を行うと。それで二千万円交付しますという話だったんですけれども、いろいろ実態を聞くと、例えば横浜のように、ここは二千百五十万円出すと。ほぼ国が言っていた数字と近い数字ですが、例えば埼玉県の草加市では委託費八百万円。これ八百万円で国が言っている三業種三人確保するっていうのは至難の業ですよ。あるいはその受託する法人に対して、赤字が出ないように支援するって言っている自治体もあるんです。一方で、仙台市や新潟市などは、赤字はやむを得ないわ、受託してくれというふうに言っているところもあるそうであります。受託費が八百万円とか、赤字やむを得ないからやってくれというこういうやり方では、委託を受けようとして準備進めているところからもこれ受託拒否という事態が生じても私、やむを得ないというふうに考えるんですね。  局長、こういう実態がある。やはりばらばらなんですよ。実態をしっかり把握するとともに、やはり委託費が適切な水準で各自治体が出すように徹底すべきじゃないか。また、困難抱えている自治体支援するということも考える必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  361. 磯部文雄

    政府参考人(磯部文雄君) 地域包括支援センターの運営に要する費用につきましては、御指摘のとおり、十八年度におきましては当該保険者の保険給付費の一・五%を上限として地域支援事業の交付金に充てるという仕組みとなっております。そして、この水準は、おおむね人口二、三万人に一か所ということでいきますと、千四百万から二千万ぐらいでしょうか、の給付費になるということでございます。  ただ、各保険者におきましてはその地域包括支援センターの運営について、どのような単位として運営するか、それからその運営を委託する場合にどういった委託費の水準にするかといったことにつきましては、各保険者が、各市町村が地域の実情を踏まえて適切な額を設定し、適切に運営をしていくのが、この自治を主体とした介護保険のやり方としているのではないかというふうに考えております。
  362. 小池晃

    ○小池晃君 しかし、三人雇って八百万円という委託費が適切な水準なんですか。これ絶対適切じゃないですよ。こういう実態についてしっかり調査していただきたいということを申し上げたいと思います。  加えて、介護労働者の問題について聞きたいんですが、一昨日の労働政策審議会で介護労働者の離職率を二十年度までの四年間で二〇%以内に引き下げる目標が確認されたというふうに聞いております。この介護労働者の労働実態、非常に深刻だということは何度もこの場でも議論がありましたけれども、どのようにこの離職率を抑えるのか、その施策を簡潔に御説明願いたいと思います。
  363. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 今御指摘のありました介護雇用管理改善計画、これ現行の計画ございますが、介護保険法等見直しを受けてこれを見直すという形になっておりまして、その現在必要な見直しを行って離職率の低減等を目標として盛り込む等の改正を行いまして、明日付けで告示をする予定でございます。  それで、具体的にどうやってそういった改善を図るのかという御質問でございますが、離職率を低くするというためにはその雇用管理全般の改善を図るということが一番重要な課題でございますので、これにつきましてはシンポジウムとかあるいはフォーラムの開催、それから事業主を集めた講習等の実施、そういった形で事業主自ら取り組んでいただくこと。  それから、雇用管理改善計画、企業ごとの改善計画を策定して都道府県知事の認定を受けた場合にはいろいろな助成金が出ることになっております。例えば、企業の中でその雇用管理の改善の中枢的な役割を担うような介護福祉士等の基盤人材を雇った場合の介護基盤人材確保助成金とか、あるいは、具体的に雇用管理の改善を行った場合に助成される介護雇用管理助成金、そういった助成金がございますが、そういった助成金等を活用しながら、具体的に雇用管理の改善を行っていきたいと考えております。その具体的な予算で申し上げますと、介護基盤人材確保助成金は約六十三億円、介護雇用管理助成金は約一億円、これが十八年度予算額でございますので、こういったものを十分活用したいと考えております。  また、これらに加えて、十八年度には、こういった介護分野における標準的な雇用管理モデル、そういったものを学識経験者あるいは介護の事業者等にも参加をいただいてそういったモデルをつくりまして、そういったものを周知していきたいと、そんなふうに考えております。
  364. 小池晃

    ○小池晃君 そういうことにようやく着手したということは、これはいいと思うんですが、ただ劣悪な労働環境という現状は、介護報酬なんかをそのままにしておいたら、幾らその講習やったりフォーラムやったりしてもこれ改善しないというふうに思うんです。  私、ちょっとやはり介護労働者が介護の専門家として質を高めたくても今時間も資金もないという実態があるんですね。この間いろいろと調査結果など見ますと、介護福祉士の受験資格として三年間の経験というんですけれども、実態見ますと、勤続年数は三年未満が非正規で八四・九%、正規で七一・七%で、多くの人が三年以内に離職しているわけで、やっぱり今の雇用環境の下では、三年間の経験すれば介護福祉士になりますよといっても、三年間仕事を続けること自体が非常に困難になっているという実態がある。しかも、民間のいろんなヘルパー試験の講座料というのは一級講座で十七万円から二十万円、二級講座で八万円から十万円と。で、講座の開設数も非常に少ないという実態もあるようです。  私は、今のこうしたその厳しい労働環境が介護労働者の専門性を高める道を閉ざしているということについて何らかの支援が必要ではないかというふうに思うんですが、その点はいかがですか。
  365. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 介護分野の雇用管理の改善、これは先ほど助成金とか講習とかいろいろ申し上げましたが、具体的に企業内でいろんな取組ができるようにいろんな情報の提供等も行っていきたいと考えておりますし、例えば企業内でいろんな講習を行う、そういった助成等についても周知をしながら取り組んでいきたいと考えております。
  366. 小池晃

    ○小池晃君 介護雇用管理助成金については、その中身を改善をしてより拡充して使いやすいものにするということをやっていると聞いているんですが、その点はいかがですか。
  367. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 介護雇用管理助成金、これにつきましては、例えば事業者がその所属する労働者に教育訓練を受けさせるという場合に、こういった介護雇用管理助成金という形で助成をしているところでございます。  これにつきましては、十八年度からは、具体的にこれが企業全体の雇用管理の改善にも結び付くように、介護労働者雇用管理責任者、雇用管理全般を統括するような責任者を選んでいただく、そういったことを要件にして全体として雇用管理を改善していただく。それから、教育訓練の中身についても、時間単位で行われる教育訓練も助成対象にして、この助成金が実効あるものになるような、そういった取組をしているところでございます。
  368. 小池晃

    ○小池晃君 こうした中身をもっと周知を徹底して、規模、内容も拡充すべきだということを申し上げたいと思います。  続いて、四月施行の自立支援法に関連して、この間の質問の続きのようなことになりますが、中谷部長にお聞きしたいんですが、いわゆる重度かつ継続の問題で、この間の委員会で中谷部長は実証的な研究の結果が出次第その対象とすると答弁された。法案審議の際に尾辻前大臣は急いで検討したいというふうに言って、私、大分ニュアンス違うなと思って、あのときに問題だというふうに申し上げたんですが。  これ、確認したいんですけれども、元々、これ今年度内に厚生労働科学研究の結論を得て、急いで検討するということだったんじゃないんですか。
  369. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 育成医療と更生医療の重度かつ継続の範囲につきましては、早急に具体的な検討を行うということで、新年度の施行を待たずに、厚生労働科学研究などによりまして現行制度におきますデータの収集、解析を進めているところでございます。今後、その結果に基づいて有識者の検討会で御論議いただくということにしておりまして、その結果によりましては、現在お示ししている範囲からの変更もあり得るということで引き続き検討というふうに前回御答弁したところでございます。
  370. 小池晃

    ○小池晃君 要するに、早急に検討会再開して結論を得ると。そうなれば、来年度の年度途中であっても、これは重度かつ継続の範囲拡大することぐらい、これは約束できないんですか。もし結論が出たらばですよ。
  371. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) ただいま御答弁いたしましたとおり、この研究の成果、その後、データによりまして検討会で御論議をいただきまして、それで結論を出たものから対応してまいりたい、適切に対応してまいりたいと、このように考えております。
  372. 小池晃

    ○小池晃君 それから、もう一点、川崎大臣が予算委員会で、高額療養費の償還払い制度について、来年四月から医療機関窓口での支払、自己負担限度額にとどめるという答弁をされました。これは前進だというふうに思っております。  一方で、この四月から、心臓手術のように高額な治療費の掛かる治療については、自立支援医療の自己負担額が高額療養費の自己負担額を超えてしまうために、治療費が一定額以上掛かる月は、これは自立支援医療、更生医療の給付対象とならない。その場合は、医療保険の負担上限を超えた部分については高額療養費として償還払いされるんだけれども、一時的には窓口負担が生じる。これは、昨年私この問題取り上げて、中谷部長は、これはせめてこの償還払いなくす必要があるんじゃないかと言ったらば、よく検討してみたいというふうにおっしゃったんですね。  川崎大臣答弁で、来年四月から一般医療ではそれが実現されるわけです。ところが、それが実現するまでの一年間、これどうするのかという問題ある。やはりそれまでの一年間、更生医療の受給者が、交付された障害者については、自立支援医療受給者への措置として、自立支援医療、更生医療の給付がなくても、高額療養費を現物支給、現物給付とするということをやはりこれはすべきではないかと思いますが、いかがですか。
  373. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 従来から、医療保険と公費負担医療の併用が行われる際、これは今の先生の例ですと、正に定額の場合につきましては、これは自立支援医療制度におきまして、医療保険との併給調整の結果、更生医療の支給が行われているわけでございますけれども、それが行われないような高額の場合をどうするかということにつきまして、先ほど引用されました大臣の御見解を含めまして検討させていただいた結果、公費負担医療の対象である医療として取扱いをいたしまして、自立支援医療制度の施行時より高額医療費を現物給付化するということにしております。
  374. 小池晃

    ○小池晃君 分かりました。  加えて、育成医療の対象の問題なんですが、障害者自立支援法では、これは自立支援医療、育成医療の対象範囲は障害者だけ、障害児だけとなっています。しかし、自立支援医療の実施要綱では、現存する疾患が放置すれば将来障害が残ると認められる児童、例えば、心臓病で今はそれほど症状強くないけれども、このまま行くと重大な障害を持つおそれがあるような人、これも対象にされました。これは私、当然の措置だというふうに思うんです。  しかし、元々がこれは児童福祉法でやっていまして、児童福祉法ではきちっとこういう法律に規定があったんですね。ところが、自立支援法は法律には規定がなくて、今回の実施要綱で入ってきたということになる。そうなると、関係者の方々からはやはり、自立支援法の下では今後も恒久的に対象となるんだろうか、児童福祉法のときと違うんじゃないかという不安の声が出ているんですね。  私、この問題では、将来的にもやっぱり恒久措置として、現存する疾患が放置すれば将来障害が残ると認められる児童についてもこれは恒久措置として対象にするんだということを明確にすべきだと思うんですが、大臣いかがですか。
  375. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 育成医療の制度の趣旨については制度の見直し後においても変わるものではなく、自立支援医療の定義を定めた施行令においても、育成医療は障害児の健全な育成を図るものである旨を織り込んだところであります。  したがって、育成医療の対象者の範囲についても従来どおりでございます。身体障害児、将来において障害を残すと認められる児童
  376. 小池晃

    ○小池晃君 将来的にもそういう規定なんだという理解でよろしいですね。──まあ、うなずいていらっしゃるので、一応議事録にはうなずいたということで残させていただこうと思います。  それから、三位一体改革の問題ですが、病院内の保育所と看護学校の運営費の補助金の削減の問題です。  看護師確保法では、国の責務が第四条と第二項に書かれているんですね。看護師を養成し、資質を向上し、就業を促進し、処遇を改善し、確保を推進するための財政措置をとらなければいけないとなるわけです。その看護師確保法から見て、今年度の三位一体改革の中で公的分の病院内保育所の運営費、それから看護師等の養成所の運営費の国庫補助金負担金が削減されたというのは、これは問題ではないか、看護師確保法に定めた国の責務を放棄するものではないかという批判がありますが、この点いかがですか。
  377. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今先生御指摘のとおり、看護師等の人材確保の促進に関する法律におきましては、その法律第四条で国の責務が定められているところでございますが、この法律では、国の責務と同様に、地方公共団体の責務として「看護に対する住民の関心と理解を深めるとともに、看護師等の確保を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」と規定されているところでございまして、地方公共団体においても一定の責務を求めているところでございます。  公立分や日本赤十字社、社会福祉法人恩賜財団済生会等のいわゆる公的分の看護師等養成所運営費、それから病院内の保育所運営費につきましては、国と地方役割分担、地方分権の理念といった観点から今回国庫補助事業の見直しを行ったものでございまして、利用者のニーズ、それから看護師等の人材確保の促進に関する法律における地方の責務、そして交付税措置がされていることということを踏まえますれば、引き続き地方公共団体において必要な措置が継続されることが適当と考えております。  なお、民間立の看護師等養成所、病院内保育所の運営費につきましては、引き続き補助を行うことといたしているところでございます。
  378. 小池晃

    ○小池晃君 引き続き措置されることが適当と言いますけれども税源移譲というのは八割程度しかこれ移譲していないわけですから、これは結局それぞれの施設にとっては支援のカットということに実態としてはなっているんですよ。  ちょっと実態として院内保育所の問題について聞きたいんですけれども、ちょっとこれは、看護師確保法の基本指針では院内保育所についてはどう述べられておりますでしょうか。
  379. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 平成四年に策定いたしました看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針におきましては、ちょっと長くなりますけれども、看護婦等は女性が大半を占めており、育児が離職理由の一つとなっているが、夜勤等により一般の保育所の利用が困難である場合もあるので、院内保育施設の利用が効果的である。したがって、病院等においては、地域の実情や利用者のニーズに応じて院内保育体制を整えるとともに、国及び地方公共団体においては、中小病院等が共同利用できる施設等多様な形態や二十四時間対応できる体制の整備等院内保育の充実を図っていく必要がある。また、病院等の立地や住居との関係から、院内保育施設の利用が困難な場合もあるので、国及び地方公共団体においては、夜間保育、延長保育等の保育対策の充実を図る必要があると示されているところでございます。
  380. 小池晃

    ○小池晃君 そういう重要性がある院内保育所ですが、九八年に補助をカットされた公立病院で何が起こっているかということをちょっと紹介しますと、岩手県の盛岡市立病院の院内保育所、これは三月末で市側が休園を通告して、反対運動が起こりました。この盛岡市立病院の院内保育所というのは、一九七七年に設立をされて、三十年近く不規則な勤務の看護師さんの勤務を支えてきた。この四月からも八人の園児が希望をしているということなんです。病院の側は、必要性は分かるけれども、現在の状況では休園せざるを得ないというふうに言って、取りあえずその反対の声が強くて来年度残すことになったそうなんですが、当局側は光熱水費程度の負担しかできませんと言っているそうです。とにかくお金が掛かる、財政負担が大変だ、これが補助金カット、税源移譲の現場での実態なんですね。  国の責務は変わらない、地方の責務はあるんだとおっしゃるけれども、やっぱりこの運営費補助のカットというのはこういう実態を生み出しているということについてどうお考えですか。
  381. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今回の改革につきましては、国と地方役割分担等の観点から見直しを行ったところでございまして、利用者のニーズ等を踏まえますれば、引き続き地方公共団体において必要な措置が継続されることが適当というふうに考えておりますので、税源移譲もされたことでございますので、引き続きその措置が継続されることを望んでおるところでございます。
  382. 小池晃

    ○小池晃君 今回は、今度、公的病院ですから、日赤なんか例えば補助金が廃止される。これは日赤の院内保育所は、五年前には三十九か所だったのが今三十四か所になっていて、以前は保育料安かったけど年々上がっているという声も現場からは聞いております。裁判まで起こっているということもお聞きをしています。  院内保育所というのは看護師の確保にだけ重要なんじゃないんですね。これは大臣にお聞きしたいんですが、これは女性医師が働き続けるためにも院内保育所というのは非常に大事だという指摘がございます。厚労省の医師の需給に関する検討会の中でも、院内保育所の開設に国の補助を求めるという意見が出たというふうに私お聞きをしているんです。  大臣にお聞きしたいんですが、病院の中の院内保育所、この持つ意味をどういうふうにお考えなのか。やはり看護師だけじゃなくて女性医師も含めて、今やっぱり働き続けるということが非常に重要になっている。そういう時代の中で、やっぱり国の支援をこの分野では強めていくということが非常に求められている分野の一つではないかと思うんですが、この点についていかがお考えですか。
  383. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 院内保育所につきましては、職員の離職防止、再就業の支援という、看護師を始めとする医療従事者、当然医師も入ります、確保対策という観点から有効であると考えており、地域の実情や利用者のニーズに応じて院内保育体制の整備充実を図っていく必要があると考えております。  この議論というのは、先ほどからずっとしてきている議論でございますけれども、やはり国と地方の在り方、地方分権という趣旨の中で、これは移譲しようという決定をいたしました。特に、地方団体からも裁量をもうこちらにゆだねるべきだという中で決定をされてきたものでございますので、やはり地方団体地方自治体がそれなりの責任でしっかりやってもらわなければならないと思っております。  一方で、先ほど私御回答申し上げましたように、しかしその状況については国としても注視する必要があると。移譲した結果どうなっていくかというのは、これは全く無責任なままではいられませんので、そういった面ではしっかりウオッチはしなきゃならぬなと、こう思っております。
  384. 小池晃

    ○小池晃君 もう大分ウオッチされてきていると思うんですよね。実態としては一般財源化どんどんやって、先ほど福島さんが言ったように公立保育所では保育料の値上げという形で出てきたりと、いろんな実態あるわけですから。  私は、見合いできちっと税源移譲しているんであれば、何も絶対国の補助金でなきゃいけないなんて、そんな硬直した立場ではございません。きちっとその分確保されればいいんですけど、実態としては見合いになっていないわけですから、それが本当に深刻な影響を与えているんだということを是非考えていただきたいし、こういう行け行けというふうにどんどんどんどん削っていくというやり方には、国の社会保障を守る立場の厚生労働省がやっぱり待ったを掛けるという役割を果たす必要があるんだということを重ねて強調したいというふうに思っております。  最後に、国民年金法の改正案に関連してお聞きをしたいと思うんですが、資料を配っていただきたいと思います。    〔資料配付〕
  385. 小池晃

    ○小池晃君 これは、日本生活協同組合連合会の皆さんが税金や社会保険料がどの程度負担になっているのかという実態調査をやっているんですね。組合員の方々に調査をしているわけであります。  これを見ますと、まず一枚目にありますように、非常に私はこれを見てなるほどこうなっているのかと思ったんですが、税と社会保険料を加えて、足し上げて収入に占める割合を見るとどうか。給与所得世帯はやっぱり一定の累進性ということは残されております。ただ、頭打ちになってきているなという感じはするんですけれども。  しかし、やっぱり年金世帯というのはかなり逆進的だということがこの数字からは見て取れるのではないだろうか。既に現在の税や社会保険料の負担、やっぱりこれ社会保険料の果たしている役割というか、悪い役割ですけれども、非常に大きいと思うんですね。介護保険料、国保料という逆進性の強い保険料が非常に負担になってきているという表れだろうというふうに思うんです。  それに加えて、その次のページを見ていただくと、消費税の問題ですが、消費税が収入に占める負担率であります。広く薄くと言いますけれども、やはり所得の少ない人ほど負担率というのは多くなっていく。やはり消費性向が高いですからこういう結果になっていく。やはり消費税率が言われているように一〇%、一五%などということになると、例えば一五%だと実効負担率は一〇%を超えていく、こういう実態になっていくわけであります。既にかなり逆進的である中で、こういう消費税率の引上げということが一体どういう結果をもたらすのかということを考えるわけです。  大臣は、先日の記者会見で、消費税の引上げの法案、これを二〇〇八年の国会に提出をすべきだということを発言されました。年金財源だということでおっしゃられたのかもしれませんが、しかし、この資料に見られるように、消費税の逆進性というのは明白です。税率を上げれば上げるほど逆進性は強まっていくという実態が示されているわけです。やはり今所得の格差の拡大ということが非常に重大な問題になっているときに、消費税を引き上げる、年金財源のためだということであっても、やはり消費税引き上げていくということは、今大変問題になっている所得格差の拡大ということについて大変深刻な影響を与えることになるのではないかというふうに考えるんですが、その点、大臣はどういうふうにお考えですか。
  386. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 世代間の公平感というものをどう担保していくかという問題であろうと思います。ある意味では私は、今のお年寄りの皆さん方は、公的援助のない中で、例えば私らのおやじですと、四・三人の子供を育て、そして、私からいえばじいさん、ばあさんの世話をし、やってきた。それは全部自分の懐の中の努力の結果としてやってきた。しかし、今、今日、私的なものから公的なものに替わりつつあるという中で、そうした苦労されたお年寄りの負担、年金というものと若者のこれからの負担というものをどうバランスを取るかというのが大きな議論であろうと。  年金だけを取り上げて比較すれば、今の若者は随分損をすることになる。正直申し上げて、今のお年寄りの時代からいえば、お年寄りは少ない掛金で高い年金をもらっていることは事実でございますから、そういうことになる。しかし、他のものを全部含めたときにどうであるかという議論をいろいろしなければならぬだろうと。しかし、それにしても若者の負担が高過ぎるではないだろうかという中で、国が基礎年金について二分の一税で賄おうというのが二年前の法改正でございます。  したがって、これから二十一年度までに二兆五千億ぐらいのお金を何とか財源手当てをしなきゃならない、どういう財源によるのがいいかということになれば、やはり薄く広く全員の方に御負担をしてもらう消費税というものも一つの考え方であろうというように私は考えております。したがって、消費税の議論を避けるわけにはいかない。  いつ出せばいいかということになれば、私どもは、二十一年までに二兆幾らかをきちっと担保しなければならないんですから、再来年までにはきちっとやってもらわなきゃならぬなと、厚生労働大臣としての見解を示したところでございます。
  387. 小池晃

    ○小池晃君 まあ時間がそろそろ来ますので終わりにしますが、私は、若者にといっても、消費税だって例えば今百万円から二百万円のフリーター世代というのは一番これは深刻な打撃になるわけですから、もう決して若者の負担の軽減なんかにはならないわけで、まあこの消費税の問題、これから恐らく今年、来年とこの場でも何度も何度も議論させていただくことになるかと思います。今日はちょっと触りで、入口程度でもうやめますけれども、私どもとしては、やはり今の格差社会という点を考えれば、一番その被害が深刻になっている高齢者やあるいは非正規雇用の若者に対して、一番打撃になる税制で社会保障の財源つくるというのは本末転倒の議論であるということを申し上げておきたいというふうに思います。  以上で質問を終わります。
  388. 山下英利

    委員長山下英利君) 他に御発言もないようですから、国の補助金等整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  389. 島田智哉子

    島田智哉子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました国の補助金等整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案について反対の立場から討論を行います。  反対の理由の第一は、国と地方役割分担について明確な理念が欠如している点です。  本来、三位一体改革は、地方分権型社会の構築に向け、国から地方へ財源と責任移譲し、歳入歳出の両面で地方自由度を高めることで、住民に必要な行政サービスを地方が自主的に選択できる幅を拡大することを目的に行われてきたはずです。  しかし、今回の法改正では、政府地方が納得できる根拠を示すこともなく、地方自由度が低い現金給付である児童手当児童扶養手当の国の負担割合を引き下げています。  特に、児童手当については、当初政府が考えた生活保護国庫負担割合の引下げが地方の反発を招きとんざした代替措置として行われてきたにすぎず、何の理念もないものです。これでは、地方に三兆円を税源移譲するという数値目標を達成するために、単なる数合わせを行っていると断ぜざるを得ません。  昨日、参考人として出席いただきました浅野宮城県知事は、事前に十分な議論もなく唐突に児童手当国庫負担割合を引き下げる今回の改革は、罪深い改革であるという趣旨発言をされております。  地方の主体性を無視し、地方不在のまま進められた今回の改革を断じて認めるわけにはまいりません。  反対の理由の第二は、基礎年金の国庫負担割合の引上げの財源として定率減税を廃止した財源を充てていることです。  政府は、所得税の抜本改革を行わないまま、平成十八年度の税制改正で定率減税の廃止を決め、その財源を基礎年金の国庫負担に充てております。しかし、基礎年金の国庫負担割合の引上げについては、まずは公共事業や特別会計など、国の歳出の抜本的な見直しを通じて捻出すべきであり、政府案は到底容認できるものではありません。  反対理由の第三は、児童手当制度について抜本的な見直しが行われていないことです。  被用者、自営業者、公務員それぞれにおいて所得要件、財源構成、認定権者などが異なるなど複雑かつ一貫性のない構成であるため、制度の抜本改革が求められているにもかかわらず、政府はこれを先送りし続けており、今回の改正内容も正にその場しのぎの内容で、少子化対策に逆行するものと言わざるを得ません。  なお、民主党・新緑風会は、子供第一、チルドレンファーストという方針の下に、児童手当の一部を改正する法律案提出しております。子供がまず安心して育つことができるよう、そして保護者が安心して子供が育てられるよう、子育てに掛かる経済的負担を社会全体で負担すべきだという考え方に立って作られており、理念、目的が明確にされております。  民主党のこの法律案を成立させることこそが、次代の社会を担う子供たちが健やかに育つことに資するものであるということを付言させていただき、私の討論を終わります。
  390. 中村博彦

    中村博彦君 自由民主党の中村博彦でございます。  私は、自由民主党及び公明党を代表して、内閣提出の国の補助金等整理及び合理化等に伴う児童手当法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論を行うものであります。  本法案は大きく分けて、いわゆる三位一体改革の実現のための厚生労働省所管の国庫補助負担金の改革及び少子化対策、次世代育成支援対策としての児童手当の拡充の二つの内容を含んでいますが、いずれも喫緊の課題として是非とも推進しなければならないものであります。  国庫補助負担金の改革は、税源移譲地方交付税の見直しとともに、三位一体改革の内容として国の関与を縮小し、地方の権限、責任拡大して地方分権を一層推進することを目指すものであります。  本法案は、児童手当児童扶養手当における国庫負担の割合の見直しや老人福祉施設等の施設整備に充てる都道府県交付金の一般財源化等により、厚生労働省所管の国庫補助負担金について地方への移管を行うものであり、地方の権限、責任拡大及び地方分権の推進に資するものであります。  また、児童手当の拡充については、少子化が急速に進行する中で子育てに対する経済的支援を充実するため、支給対象年齢について現行の小学校三年生から小学校六年生までに引き上げるとともに、支給率をおおむね九〇%まで引き上げるものであります。このような支給拡充のために必要な財源については、責任ある与党の立場として既に成立している平成十八年度予算に計上しているところであり、本法案の施行については万全を期しているところであります。  このように、三位一体改革及び児童手当の拡充を内容とする本法案は、地方分権及び少子化対策という現在の我が国において早急に実現しなければならない施策の推進を図ることを内容とするものであり、是非とも成立させることが必要であると考えております。  以上、政府案について賛成することを表明して、自由民主党及び公明党を代表して、私の賛成討論といたします。
  391. 小池晃

    ○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、内閣提出の国の補助金等整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。  政府案は、三位一体改革の名の下で国庫補助金を削減し、その一部を税源移譲とするものです。昨日の参考人質疑でも、削減額と比較して移譲額が少ないという問題が指摘されていました。財政難と相まって住民サービスへの影響が懸念され、地方自治体から厳しい批判の声が上がっています。自治体間の格差の一層の拡大は避けられません。  質疑の中で、特別養護老人ホームの待機者数は昨年から更に増えていることも明らかになりました。にもかかわらず、政府は特養の整備が進んでいるとして、特別養護老人ホームなどを対象とした都道府県交付金を廃止しようとしています。廃止する補助金額の五〇%しか税源移譲は行われず、深刻な特養の待機状況は悪化することは明らかであります。  また、公立施設整備費補助金の廃止は、身体障害や知的障害の施設整備について国の責任を後退させ、財政的に大変な地方に更なる負担を押し付けるもので容認できません。身体障害や知的障害の施設整備が更に遅れることが懸念されます。  児童手当の受給年齢や所得制限の緩和は、私どもも繰り返し求めてきたことであり、一層の拡充が必要です。しかし、児童手当児童扶養手当については、地方には一切の裁量がなく、国庫負担率を引き下げ、財政負担だけを地方に押し付けることは容認できません。  合計特殊出生率が過去最低になる中、子育て対策の重要な柱の一つである児童手当については、国が財政責任を維持するべきであります。基礎年金の国庫負担率を引き上げることは当然の措置ですが、その財源を定率減税の廃止という庶民増税に求めることは容認できません。  以上を申し上げまして、反対討論とします。
  392. 福島みずほ

    福島みずほ君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、政府提出の国の補助金等整理及び合理化等に伴う児童手当法の一部を改正する法律案について反対の立場から討論を行います。  厚生労働分野の三位一体児童手当の増額、基礎年金の国庫負担への加算措置は、全く法律改正の趣旨目的が異なっております。共通しているのは国庫負担見直しという点だけです。形式的な共通点を挙げて一本の法案にまとめることは、そもそもおかしいのではないでしょうか。  また、今回の国庫補助負担金の見直しは、その八割が厚生労働省関係予算に割り当てられ、施設費も、医療福祉関連施設整備費に集中し、全体的な見直しの中でバランスを欠いております。  国の補助金等整理及び合理化等に伴う児童手当法の一部を改正する法律案は、児童手当児童扶養手当の国庫負担金を一気に三分の一まで引き下げ、都道府県及び市町村に責任を転嫁するものであり、反対をいたします。  本来の三位一体改革のあるべき姿とは、国と地方の歳入歳出のバランスを見直し地方自主性や自立性を高めるよう、地方財源の充実強化を図ることが目的であると考えます。しかしながら、本法案は、児童手当児童扶養手当は、国が定めた認定基準により地方自治体が全国統一的に現金支給を行う法定受託事務となっており、地方自治体創意工夫に富んだ施策を展開できる余地は全くありません。  また、この法案は少子化対策の逆を行く法律であると言わざるを得ません。  児童手当地方負担割合が増えると児童の増加が地方負担増につながっていくのです。政府は、少子化対策と叫んでいながらも、現実を見ない、中身の問わない、掛け声だけの少子化対策です。名ばかりの三位一体改革であるとしか言いようがありません。  また、児童手当の場合は世帯の収入のみで現金支給がなされますが、児童扶養手当の場合は認定の決定に自治体の干渉が可能です。自治体の財政が逼迫する中、手当申請者のプライバシーに踏み込み、結果として受給制限となるような窓口対応も増えてきております。自治体負担を増やしては支給が抑制的になるという危険性があります。  児童手当は暫定的な地方特例交付金の創設が手当てをされておりますが、児童扶養手当税源移譲のみとなっております。基礎年金の国庫負担割合の引上げの財源に定率減税を廃止した財源を充てるべきではありません。基礎年金の国庫負担割合の引上げ分は所得税の抜本改革、公共事業や特別会計など、国の歳出の抜本的見直しで捻出をすべきです。  また、介護保険施設等にかかわる給付費の負担割合の引下げ、地域介護・福祉空間整備交付金を見直して都道府県分を一般財源化することは問題です。施設整備が後退する危険性があります。施設待機者問題は解決をいたしません。  また、知的障害、身体障害の施設、生活保護法に基づく公立の施設整備費負担金の廃止も問題です。障害者の生活を支える基盤整備を後退させる危険性があります。  以上が反対の理由です。
  393. 山下英利

    委員長山下英利君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  国の補助金等整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  394. 山下英利

    委員長山下英利君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  395. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十五分散会