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2006-03-16 第164回国会 参議院 厚生労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月十六日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下 英利君     理 事                 岸  宏一君                 中村 博彦君                 谷  博之君                 円 より子君                 渡辺 孝男君     委 員                 阿部 正俊君                 岡田  広君                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 武見 敬三君                 中原  爽君                 西島 英利君                 水落 敏栄君                 朝日 俊弘君                 家西  悟君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 津田弥太郎君                 森 ゆうこ君                 山本  保君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   川崎 二郎君    副大臣        厚生労働大臣  中野  清君        厚生労働大臣  赤松 正雄君    大臣政務官        法務大臣政務官  三ッ林隆志君        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      中村 吉夫君        警察庁刑事局長  縄田  修君        消防庁次長    大石 利雄君        法務大臣官房審        議官       深山 卓也君        法務大臣官房審        議官       三浦  守君        文部科学大臣官        房審議官     布村 幸彦君        文部科学大臣官        房審議官     徳永  保君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省職業        安定局長     鈴木 直和君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        鳥生  隆君        厚生労働省職業        能力開発局長   上村 隆史君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       北井久美子君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中谷比呂樹君        厚生労働省老健        局長       磯部 文雄君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        社会保険庁次長  小林 和弘君        国土交通省自動        車交通局次長   松尾 庄一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○社会保障及び労働問題等に関する調査  (厚生労働行政基本施策に関する件) ○地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき  、公共職業安定所設置に関し承認を求めるの  件(内閣提出)     ─────────────
  2. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医政局長松谷有希雄君外二十名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  4. 山下英利

    委員長山下英利君) 社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、厚生労働行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 中村博彦

    中村博彦君 この一月の八日にグループホームで大きな火災事故が起こりまして、七名の死者を出すに至りました。本当に、今資料を皆さんにお配りしてございますように、グループホームは、現在、施設数で七千二百五十五、入所定員数にして十万四千人に上っておるわけでございます。そして、平均要介護度が二・二三。そして、御存じのとおり、小規模施設である関係上、この四月の報酬改定から見るならば、三十四万二千円、二・二三の要介護度で計算さしていただきますと、三十四万二千円の高い収入が入るようになっておるわけでございます。  しかしながら、御存じのとおり、緊急にできました施設だけに、防災関係につきましても本当に実態としてはひどい実態でございます。消防庁実態調査をされておりますが、実態調査を御報告願いたいと思います。
  6. 大石利雄

    政府参考人大石利雄君) このたびの長崎大村におけるグループホーム火災を受けまして、消防庁では全国消防機関を通じまして認知症高齢者グループホーム等実態調査を一月末に実施をいたしたところでございます。  調査対象建物数で申しますと、事業主体数をこれ上回るわけでございますが、八千二百五十九ございまして、そのうちのいわゆる福祉施設に当たるものが七千八百六十三でございましたが、この中で消防法違反というものがどれぐらいあったかということでございますが、防炎物品の未使用、つまりカーテンとかじゅうたん、これが防炎物品でなければいけないわけでございますが、これが未使用であったものが二四・三%、そのほか何らかの違反があるものが四六・八%に及んでおりました。
  7. 中村博彦

    中村博彦君 今御報告いただきましたとおり、本当に消防法としては低いハードルにもかかわらず、消防法違反は四六%の施設で行われておるようでございます。そして、今回のこの事件、本当にグループホーム存在意義さえ問われる問題が大きく含まれておるわけでございます。  グループホームは前老健局長によって大きくボリューム大をしていただいたわけでございますけれども、本当に今回のこの火事を見てみますと、グループホーム特別養護老人ホームと違って地域密着なんだと、地域隔絶ではいけないんだと、それが条件でつくられたわけです。しかし、このグループホームは、御存じのとおり、五百メーター周辺に民家なし、このような状態でこのグループホームがつくられておる。  そして、御存じのとおり、今うわさの中にございますけれども、なぜ七人の方が亡くなったか。そして、たばこと思われたけれども、たばこ可能性は大変低い。すなわち、独立行政法人消防研究所などが実施した燃焼実験の結果、たばこの火ではないと。ソファーなど短時間に燃焼せず、出火原因可能性は低いことが十四日までに分かったと、こういうように書かれておるわけです。  そして、長崎県の皆さん方からすれば、やはりこれ十分な仮眠時間が取れておったんだろうかと、十分な夜勤体制が取れておったんだろうかと。そして、この出火に気が付いた施設代表は、携帯電話本人用施設用がありながら二つの携帯電話で連絡せず、前へ飛び出していって、道路で行き違いの車に、運転手お願いをしたと。だから、もう完全燃焼したと、こういうように出ておるわけでございます。すなわち、届出は夜勤体制であった。しかし、本当にこれは夜勤体制であったのかどうか。  厚生労働省はどのように考えられているか、消防庁がそういう事実を確認しておるならば、どちらでも結構ですから、御答弁を願いたい。
  8. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) 委員指摘のとおり、本件におきましては夜勤体制を取っているというふうに承知しておりますが、実際その日どうだったかというところは我々としては承知しておりません。
  9. 大石利雄

    政府参考人大石利雄君) 現在、火災原因につきましては捜査当局消防において究明中でございまして、詳細は公表されていないわけでございます。したがいまして、その後の究明を待たなければいけないという状況でございます。
  10. 中村博彦

    中村博彦君 三月十五日の長崎新聞では、県警は今後更に出火原因を調べ、七人の犠牲者が出た火災重大性から立件も視野に捜査を進める方針と、このように書いてございます。  私は、やはりいろいろなことが最悪展開された結果の事故であったとはいえ、私はやはりこのグループホーム制度設計ミスがあったと、このようによく思っておるわけでございます。  そして、何と、グループホーム御存じのとおり外部評価がございます。第三者による外部評価があるわけでございますけれども、この施設は七十一項目中六十三項目でできている、八項目だけが要改善であると。本当に評価が高いグループホームでなぜこんなことが起こったのかなと、こういうように思っておるわけでございます。  そして、このグループホーム評価制度でございますけれども、この外部評価によってこれだけの良とする施設がなぜこんなになるか。それを考えたときに、御存じのとおり、評価調査員が各県にいらっしゃいます。そして、多分複数で現場グループホームを見に参ります。しかし、先ほども申し上げたように、大臣、多くの施設数を有しますものですから、ピストン運転のようなわけでございます。  それと同時に、その評価調査員チームが出した調査項目評価決定委員会決定されるわけであります。しかし、評価決定委員会で要改善が必ずしも実行に移っていないというのが各県の大半の状況でございます。一年に一回。そして、御存じのとおり、この評価調査員報酬は、御存じのとおりグループホーム側で支払うわけであります。例えば、徳島であればツーユニットで十四万も支払う。そして、そのような流れの中で、主任だとかサブに、調査員にお金が支払われる。しかしながら、実質外部評価が義務化されているにもかかわらず、要改善事項というのは全く改善が見られぬ傾向が大変強い。  こういうシステムについてどのように考えられておられるか、お聞かせ願いたい。
  11. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) 認知症高齢者グループホームにつきましては、委員指摘のとおり、サービスの質の向上に結び付けるということで、外部第三者機関によりサービス評価を行っていただくこととなっております。実際に、どの程度評価側が多忙であるかといった点はそれぞれの地方公共団体等によって異なると思いますが、基本的には御指摘のとおり、費用施設側で持っていただいて行っているというのが一般的かと存じます。  そして、今御指摘のとおり、そういう場合に要改善事項が出てきたということにつきましては、現在こうした評価に基づく、評価を受けること自身が、それぞれのホームが自分のサービスの質の向上をより向上させていくということを主眼としておりますので、基本的にそのグループホームが自覚してそれを直していっていただくということになろうかと考えております。
  12. 中村博彦

    中村博彦君 それじゃ、誠に恐縮でございますが、各都道府県のこの外部評価、今申し上げたように、各グループホームからはどれだけの調査費をいただいているか、そしてその調査費がどのような形で使われているか、そして要改善に対してどのような流れの中で要改善がなされているか、その辺を一度ペーパーでお答えをいただきたいと思います。  それでは、続きまして、本題に移りますけれども、今申し上げたように、第三者による外部評価は本当に良という施設であったということでまずあります。そして、御存じのとおり、この消防法では、このペーパー参考にしていただいたらお分かりのように、各施設ともスプリンクラー通報装置等の必置というものができてございますけれども、今消防庁ではこの事故を受けて認知症グループホーム等における防火安全対策検討会というのが行われておると思うんですね。そういう中にあって、今回の事件の後どのような対応をされるのか、その協議も含めた形で御答弁をいただきたい。
  13. 大石利雄

    政府参考人大石利雄君) このたびのグループホーム火災で七名の高齢者の方が亡くなるという大変痛ましい事態になったわけでございまして、消防庁としましては、二度と再びこういう事態を招いてはいけないというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、火災発生後直ちに御指摘ございましたグループホーム等における防火安全対策検討会を立ち上げまして、このような施設における消防用設備防火管理等防火安全対策について検討を行っているところでございます。昨日もこの検討会、第四回目が行われたところでございます。私ども、この認知症高齢者グループホームには入所者自力で避難することができない要介護者の方がおられるわけでございますので、火災発生時に夜間職員一名で全入所者を短時間に避難させることは困難であろうと。したがって、犠牲者を出さないようにするための対策はどうしたらいいんだろうかという観点検討をいたしているわけでございます。  このため、防火管理者選任義務対象範囲拡大自動火災報知設備、それから自動的に消防機関に通報する装置、これに加えまして、消火、延焼拡大の防止をし、入所者全員が避難することのできる時間を確保するために住宅用スプリンクラー設備設置を図る必要があるんではないかと考えております。この住宅用スプリンクラーというのは、一千平米以上の施設設置されます通常スプリンクラー設備の十分の一程度費用設置できるものでございまして、大村のような延べ面積三百平米程度グループホームであれば約三百万円程度設置できるものと考えております。  こうした考え方に基づきまして、三月二日に行われました第三回目の検討委員会におきまして消防庁の案を示したところでございます。昨日もその案に基づいて更に検討委員皆様方で深めていただいたわけでございます。  今後、三月中には検討会での結論を得まして、必要な制度改正を行ってまいりたいと考えております。
  14. 中村博彦

    中村博彦君 分かりました。それじゃ、防災上、現在では防火管理者選任義務というのがございませんけれども、選任義務という前提の中で進めていくということを聞かしていただきました。  それじゃ、これは検討会グループホーム等と書いてございますけれども、今回の介護保険改正で本当に小さな施設がたくさんできておるわけですね。特別養護老人ホーム地域隔絶だった、集団処遇だと、だから地域密着施設が要るんだ、そういう前提で多くの施設ができておるわけでございます。  小規模多機能型居宅介護事業所というのができておるわけですね、消防庁次長さん。これは御存じのとおり二十五名の登録で、泊まり九人、デイ十五名。そして今、この小規模多機能型居宅介護事業所というのは全国で千か所手が挙がっておるわけです。こういう事業所についてもグループホーム同様、御検討いただいておるわけでございますね。
  15. 大石利雄

    政府参考人大石利雄君) このたびの大村における大変な惨事を踏まえて、どのようにしたらいいかということで厚生労働省と現在協議を進めているわけでございますが、私ども、自力で避難することが困難な方々を抱えている施設につきましては、このたびのグループホーム同様の措置を講ずべきものであると考えております。
  16. 中村博彦

    中村博彦君 ベビーホテルのときにもいろいろ死亡事故が出ました。これは当然、当然と言ったら失礼かも分かりませんけれども、行政主導でつくられた施設でございませんでした。しかし、今回のグループホームにしても、先ほど申しました小規模多機能型居宅介護事業所にしても、官製による施設であるだけに、防災、これは万全な体制お願いいたしたいと思います。  それじゃ続いて、このグループホームにはいろいろ問題点を有しておるわけでございまして、御存じのとおり、この衛生安全管理の問題でございますけれども、この衛生安全管理につきましても、健康増進法というのができております、平成十五年五月に。そして、各介護施設では、調理員検便検査、月一回、夏場は二回という義務付けがされておるわけですけれども、この衛生安全管理につきましても、もう本当に、現場職員皆さんに聞くと、食中毒、感染症対策は本当に寒々しいと。ノロウイルス一つ取ってみても、O157、インフルエンザ一つ取っても全くの無防備だと言われておるわけですが、今回消防の問題が出てきておりますけれども、本当に集団感染と言ってもおかしくないような状況下の中で事業展開されておるわけですけれども、この衛生管理についてどのようにこれからされていくのか、御答弁お願いいたしたいと思います。
  17. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) 先ほどお話がございましたグループホーム外部評価項目の中におきましても、運営体制の中で衛生あるいは安全管理といったものも定められております。  突然の御質問ですが、当然のことながら、それぞれの施設、必要な衛生管理を行って対応していくということだと考えております。
  18. 中村博彦

    中村博彦君 それじゃ、他の施設同様、この健康増進法に基づいて是非御検討お願いいたしたいと思います。  それから、グループホームにつきまして、本年度から、御存じのとおり、介護支援専門員資格を持つサービス計画作成担当者が一人必要だという四月一日からの改定を行うわけでございます。すなわち、サービス計画作成担当者配置義務が四月一日から行われるわけですけれども、これにつきましても厚労省調査を発表されておりますけれども、この事業所が、一人もいないと回答した事業所が二千八百五か所も厚労省のデータであるわけでございますが、これの体制はどうなるのか、よろしくお願いしたい。
  19. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) ちょっと突然の御質問でございますので、ちょっと状況をよく把握いたしましてからまたお答えしたいと存じます。
  20. 中村博彦

    中村博彦君 どちらにしても、制度改革というのはニーズにこたえるために、サービス質向上を促すために制度改革はこれは本当によしとするべきですけれども、現実にどうあるべきか、現実にその職種の皆さんが対応できる需給関係にあるかよく考えてお願いをいたしたいと、このように思っております。  それから、先ほども申し上げました、この事件の中で申し上げましたけれども、事故の中で申し上げましたが、この労働環境の問題、事故が起こると、このグループホームの九人床の人員配置で本当に夜勤ができたのだろうかな、仮眠でなかったんでないのか、寝てはいなかったんでないのか、それぐらいの火災延焼の仕方であったと言われておるわけですね。  そういう意味からして、人員配置基準労働環境、厚生省は厚生労働省であります。だからもう一度、労働側としては、この労働環境というのはグループホームでどうなっているのかを是非、防災点検だけでなく、衛生点検だけではなく、人事環境を総点検お願いいたしたいわけでございますが、まあ大臣でも副大臣でも結構でございますが、全体の感想としてどなたか御意見をいただいたら有り難いですが。
  21. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今いろいろ御指摘を賜りました。  今回の火災は誠に悲惨な事件であり、お亡くなりになった七名の方々の御冥福を心からお祈りをしたいと思います。  また、このような事件が生ずることのないように必要な対策を講じなければなりません。  一方で、先ほど委員からも御指摘をいただき、消防庁からも答弁ありましたけれども、現在捜査中ということで、火災原因が私どもつかめておりません。このことをしっかりつかみながら議論をしていかなければならないなと思っております。  取りあえず私どもがしたことといたしましては、介護報酬改定の中で夜勤職員配置義務付け指定基準において火災発生時の通報体制確保等義務付けをいたしました。  これから出てくる議論として、当然、自動火災報知設備消防署への通報設備等の問題、それから、消防庁からもございましたけれども住宅用スプリンクラー設置、こういう議論をさあどこまで経済的負担も含めてやっていくべきか。安全という問題と経営という問題、両面からしっかり議論をしていかなければならない。  それから、今御指摘いただいた、火災に至った理由の中に労働環境というものがあれば、これはまた大きな課題でございますので、そういったものを併せてまず原因究明、その上で私どもしっかりした議論の中で方向付けをしてまいりたいと思います。  また、今日、委員からいただきました問題点もしっかり頭の中に置いておきたいと思います。  なお、これはグループホームだけのことではなくて、障害者児童小規模施設の問題も当然出てまいりますので、広範な議論をしていかなければならぬだろうと、こう思っております。
  22. 中村博彦

    中村博彦君 ありがとうございました。  このグループホーム利用料も、食材費光熱水費、家賃、一割の自己負担、こういうものを含めますと、大体約十一万円支払わなくてはグループホームに入れないわけでございます。そういう実態の中で、この権利入所者に対する権利というのはひとつ厳粛に受け止めていただきたいと思います。  そこで、今、先ほど申し上げましたように、このグループホーム介護支援専門員ケアマネジャー資格の必要とする方が各ユニットに一人ずつ配置義務されるんだ、こういうことでございますが、今ここで一番問題になっておりますのが今回のケアマネ介護報酬改定でございます。  まあ皆さん御存じのとおり、ケアマネジャー介護支援専門員は、介護保険制度が始まると同時にスタートを切りました。そして、鳴り物入り介護保険サービスを支える最重要資格として国も国民も認知をした形で現在推移をしてきております。  その介護支援専門員がこの四月一日からケアプランを執り行うわけですけれども、要介護一、二が一万円であります。そして、その一人のケアマネジャーが担当する部分は三十九例しかできないんです。もちろん、四十、四十一、四十二は報酬が四〇%減になりますので、実質は三十九事例しか執り行うことができない。一万円の事例を三十九事例と、三十九万円にしか業としていえば成り立たない。  業としての所得保障、考えたときに、あれだけ鳴り物入りケアマネジャーが三十九万の所得保障しかされていないと。三十九万といいましても、経費が要ります。だから、実質の取り分からいえば、通常四割ぐらいと考えられると十六、七万円になるわけであります。こんな業としてしか認めないのか、どのようにお考えなのかを、どなたでも結構でございますので、副大臣でも結構でございますから、どうぞお答え願いたいと思います。
  23. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) 十八年の四月の介護報酬におきまして、居宅介護支援につきましては介護給付ケアマネジメントの質を確保するという観点から、御指摘のとおり、現行の五十件から三十五件に引き下げまして、担当件数に応じた報酬設定を行うとともに、業務の実態を適正に反映するために報酬改定を行ったところでございます。  そこで、例えば要介護三から五の方につきましては月一・三万円、一万三千円というふうにするなど報酬体系を組んでおりまして、御指摘のような一律に一万円というところではございません。また、最も手の掛かります初回につきましては加算をするなどの対応をいたしておりまして、こうした見直し、特にやはり介護給付ケアマネジメントの質の確保といった観点からこうした改定を行ったわけでございまして、これまでの報酬水準が確保されるよう設定しているところでございます。  その意味で、今回のこの居宅介護支援報酬水準につきましては妥当なものだと考えておるところでございます。
  24. 中村博彦

    中村博彦君 もちろん、今老健局長がおっしゃっていただいたとおり、要介護三—五は一万三千円でございます。そして原則三十五件。そういうような形からすれば、五十万前後になります。しかし、本当にケアマネジャーを育てる単価かどうかということでございます。  それともう一点、そしていかにも不思議なのが、御存じのとおり、あの鳴り物入りで、介護予防プランはケアマネジャーにほぼ全面的にさせない、そして介護予防は本当に無資格に近い市町村福祉事務所の現業員にさせると、もちろん切り分けられておるわけですけれども。介護保険におけるケアプラン介護保険サービスケアマネジャーと、そして介護予防は市町村、そして当然市町村にお任せすると。しかしながら、介護予防プランについては、御存じのとおり、社会福祉主事でも可と。社会福祉主事は、市町村の福祉事務所の現業職員は全員取っておるわけです。こういう同じプランがある、ケアプランがある。同じ条件になぜしないのか、専門性に立ったケアプランにしていかないのか。介護予防プランも同じだと、それぐらい力を入れなくてはいけないんでないかということでございます。  それから、続きまして、この資格、有資格で五年間の経験を有するケアマネジャーが今回免許更新制度になったわけでございます、五年間の。いろいろ免許更新というのは議論がございます。看護師さんもございます。介護福祉士さんもございます。理学療法士、作業療法士もございますけれども、この免許更新制をなぜこのケアマネジャーをまずトップに採用したのか、お聞かせを願いたい。
  25. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) 先ほども申し上げましたが、ケアマネジメントの在り方につきましては、いろいろな御批判もあり、改善すべき点もあるということでございました。そこで今回の改正におきまして、やはりそうしたケアマネジメントの質の向上といった観点から、御指摘のとおり、ケアマネジャーにつきまして更新制を設けたということでございます。
  26. 中村博彦

    中村博彦君 後でまたペーパーでもお願いをいたしたいと。  そして、先ほど業としての所得保障の問題を提起してございますけれども、皆さん御存じのとおり、理学療法士、作業療法士が高齢社会では最も重要な職制として重視されてきております。そして、御存じのとおり、理学療法士は昭和四十年に法制化されて、現在までに四万六千しか理学療法士取得者はおりません。そして、御存じのとおり、平成十八年には一年ごとに一万二千人もこれから増えてくるわけであります。  今まで四十年間で四万六千人の資格者、それが今後一年ごとに一万数千人が増えていく。これも本当に、理学療法士、作業療法士の所得保障というのは介護保険報酬であり、医療保険報酬であるわけです。これを考えたときに、理学療法士、作業療法士の業としての所得保障というのができているのかどうかということでございます。この辺も是非お考えになっていただいたら有り難いかなと思います。  今回、特別養護老人ホームに重度化対応加算の創設というものができました。特別養護老人ホームは九〇%の入所者がみとってほしい、最後は特養ホームでという希望のとおり、重度化対応加算がされました。そして、御存じのとおり、この重度化対応加算施設は常勤の看護師一名を配置し、看護に係る責任者を定めていることと、こういうことになっておるわけでございます。平成十九年三月三十一日までは看護職員でいいと、こういうことでございますけれども、実質、現在の老人ホームでは看護師、看護職員、まあ准看を入れた看護職員は構成できておりますけれども、このようなサービスを構築するにしても、看護師が本当に充足できない。  老健局長におかれては、現在の特別養護老人ホームでどれだけの施設が看護師で構成されているか、資料がありましたら御答弁を願いたい。
  27. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) 突然の御質問ですので、申し訳ありませんが、手元に資料がございません。後で調べまして御報告いたします。
  28. 中村博彦

    中村博彦君 だから、申し上げておきたいことは、先ほども、現場と制度というのはやはり密着不離でなくてはいけないんだ。だから当然、看護師さんが、我々は重度化対応加算をしていくということは全施設が考えておられると思います。しかし、需給関係というものを考えた上で是非ともお願いいたしたいし、それが足らないということであれば、養成というものまで踏み込んだ形でお願いをいたしたいと、こういうように考えておるわけでございます。  栄養ケアマネで管理栄養士の業としての報酬、栄養士の業としての報酬、この辺の部分につきましても、やはり報酬改定というのは、その業としての報酬というものを考えられた上で是非とも御改定お願いいたしたいと、このように思っておるわけでございます。  本日はこの辺で、時間が参りましたので質問を終わらさしていただきます。それじゃ、よろしく。
  29. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 先日の本委員会における大臣の所信表明の中で、少子化への対応は国民的な重大課題である、若者の自立、子育てに十分な時間を取れる働き方、そして経済的支援の拡充について取り組むという力強いお言葉をいただきました。  若者の自立につきましては、労働力人口が減っている中でとりわけ大事な課題だと考えます。二〇〇五年のフリーターの数が二百一万人と推計されておりまして、二年連続で減少をしているのではありますが、対象人口が減少していることを考えますと、私はこのフリーターについては横ばいに近い減少ではないかというふうに思えるのであります。  調査によりますと、結婚相手の条件として経済力を考慮するかという問いに対して、女性は重視する、考慮するという人が九割以上を超えております。若年者の雇用者所得というのがこのところ低所得者の占める割合が大きくなってきております。正社員とフリーターの賃金格差が三・七倍というデータもございまして、特にフリーターの場合には賃金が二十代の後半で頭打ちになりますので、三十代、場合によって中高年のフリーターというような、そういう生活をしていくことは社会の格差の固定化にもつながりかねないと憂慮されるところであります。  また、先般、第三回の二十一世紀成年者縦断調査というのが出ましたが、これによれば、仕事の有無や仕事の形態と結婚との関係を考えると、正規の仕事に就いている方の結婚した割合と、非正規の方、そして仕事なしの方、大きく差が出ております。正規と非正規では三倍以上の開きがありますし、仕事なしもそれ以上の開きになっております。  厚生労働省では、フリーターの二十万人常用雇用化プランというものを進めてこられまして、一定程度の成果が上がっているということは承知をいたしておりますが、この点については更なる取組が必要ではないかと思っております。若者がフリーターから脱却をして、安定した仕事に就いて能力をしっかりと発揮していただく、有為な人材として育ってもらう、そういう社会とするためのこれからのお取り組みをお伺いしたいと存じます。
  30. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 坂本委員の御質問にお答えをしたいと思います。  今、今日の若者の雇用環境につきましては、有効求人倍率が一・七九倍と高い水準で引き続き上昇する一方で、失業率もやはり七・八倍という高い水準で推移をしているわけでございます。また、フリーターが二年連続で減少するなど、各種対策の効果が表れつつはございますが、今委員が御指摘のとおり、いまだ二百一万という多い状況でございまして、なお厳しい状況であると認識をいたしておるわけでございます。  このような状況が続きますと、本人にとりましては、生活の不安定や将来への不安からなかなか結婚できないおそれがあるだろう、これは今委員もおっしゃるとおりでございまして、そういう観点からまた社会不安を醸成するというような面もございまして、少子化対策観点からも積極的に対策を講じていく必要があると考えておるものでございます。  そのために、常用雇用を希望するフリーターに対しましては、平成十七年五月よりジョブカフェ等による就職支援やトライアル雇用の実施等を柱とするところのフリーター二十万人常用雇用化プランに取り組んでいるところでありまして、十八年度には目標を二十五万人に引き上げ、就職支援の充実強化を図ることといたしております。  さらに、フリーターとなることを防止する観点から、新規学卒者を主な対象に、若者に実践的な職業能力を習得させ、現場の戦力として育成するために事業主が実施する職業訓練といたしまして、職業機関における座学と企業における実習を組み合わせた実習併用職業訓練を新たな職業能力開発促進法に位置付けることといたしまして、このたびそのための改正法案を今国会に提出をいたしたところでございます。  あわせて、ハローワークにおきましても求人開拓推進員を活用した正社員求人の確保に重点を置いた求人開拓を推進するとともに、未充足となっている正規求人について積極的なマッチングに努めたいと考えております。またさらに、今未充足になっている主な原因が非正社員求人であることを考えられる求人につきましては、可能な限り正規求人への求人条件変更を積極的に働き掛けてまいりたい、これらの取組を推進してまいりたいと思っております。  また、若者の雇用につきましては、特に正社員の雇用の拡大というものが、ついては企業の理解とか協力が絶対に必要でございますので、この点、私といたしましては、川崎大臣の御指導の下でできる限りこの努力を関係方面にしてみたいと考えております。  また、厚生労働省といたしましても、これらの施策につきまして、積極的に取り組むことによりまして、若者一人一人の課題に応じ、若者の安定した雇用の実現に向けたきめ細かな支援を講じてまいりたいと思いますので、よろしく御支援賜りたいと思います。
  31. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 是非、今副大臣からお話しいただいた施策がしっかりとした成果につながりますように、全力でのお取り組みをお願いしたいと存じます。  次に、日本二十一世紀ビジョンについての専門調査会の報告書の中で、避けるべきシナリオとして、希望を持てない人が増えて社会が不安定化すること、いったん不安定な低賃金雇用に陥ると、そこから脱却することが難しくなって再挑戦する機会が乏しく格差が固定化される、あるいはニートなど社会的なつながりを欠いて孤立した人々が増加して希望格差社会が深刻化する、こういうことは避けなければならないと指摘されておるところでございます。  学歴別の非正規雇用者の割合を見ますと、中卒の場合には四九・五%ということで半数、高卒につきましても三八%ということで、学歴によって非常に就労についての格差が顕著になっているというところが大変問題ではないかと思うのであります。  高校中退者が、ひところに比べますと随分減ってはきておりますが、それでも平成十六年でなお七万七千人強という多数に上っております。このような中退者を出さないで社会へしっかりとした教育をして送っていただくということ、あるいは、不幸にして中退という事態になったけれど、また社会の中でやり直したいという方たちに学び直しの機会が提供されるということが大変大事ではないかと思うのであります。この点では、高等学校等での柔軟な受入れをするなどの学校教育の現場での門戸を広げる、柔軟な門戸とするということが大変大事ではないかと思うのでありますが、この点についての文部省のお考えを聞かせてください。
  32. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。  高校を中途退学した者の学び直しの機会の提供についてでございますが、高等学校の中途退学者につきましては、各都道府県の教育委員会あるいは学校におきまして様々な取組を進めているところでございます。例えば東京都におきましては、退学した者が同一の高校の同一課程に編入学をしたいと希望する場合には、一定の条件の下で、例えば作文、面接等によりまして選考を行うことができるという機会を提供してございます。  また、文部科学省におきましても、中途退学問題全般につきましては、例えば中学校における偏差値依存の進学指導から能力、適性、興味、関心に応じた進路指導への転換、また高等学校におきましては、選択可能な教育課程の編成でありますとか、中途退学後に再び学び直すことを希望する場合に、できる限り本人の希望を尊重して円滑に高等学校に戻れるよう、編入学という制度の積極的な受入れを進めるということなどの配慮を求めるなど、総合的かつ積極的な取組を図るように依頼をしているところでございます。  また、新たに平成十六年度からは、定時制の高校、通信制の高校の科目履修生制度という形で、生徒にとりまして必要な科目のみ選択して学習するという科目履修生制度を活用して、高校中途退学者などに修業に必要な知識や技能というものを高校において習得させる学び直しの機会の提供推進事業という事業に取り組んでいるところでございます。  なお、実態として、中途退学をした者の中には再び高等学校で学んでいる者もおりまして、平成十六年度の調査によりますと、平成十六年度以前に中途退学をし、同一の高校に再入学している人が九百五十五名、また他の高校で学んでいる者が九千七百六十九名という状況にございます。  今後とも、各高等学校におきまして、生徒の能力、適性、興味、関心等に応じた魅力ある教育活動の展開、また一層きめ細やかな教育相談、ガイダンスの提供等などを含めまして、高等学校中途退学問題について適切な指導を重ねてまいりますとともに、高等学校中途退学者に対しましては、学び直しの機会の提供などに適切な対応が図れるよう努めてまいりたいと考えております。
  33. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 若者は私たちの社会の未来を担う大事な人材でありますので、是非、今おっしゃったようなお取り組みを、今後とも各地においてしっかりと根を広げてやっていただけることになるようにお取り組みをお願いしたいと存じます。  非正規の労働者の問題は、若者だけではなくて、女性にとっても出産、子育ての機会費用が増大するということで、少子化の進展に拍車を掛けるものであります。賃金などの処遇に大きな格差がございますと、なかなか女性が市場に出てこない、あるいは元々結婚しない、仕事を独身でし続けるというような選択になって少子化が進展いたしますし、正規と非正規の間の壁が大きなもので立ちはだかりますと、格差の固定化になって社会不安が増大するというような問題も出てきます。また、何より、定型的な仕事だけをしているということによって、仕事によって職能、職業能力が伸びていくということがなくなってきまして、労働力の質の点でも非常に課題があると思います。  パートタイム労働法ができて十年たちました。この点について、この間どのような取組をしてこられたのか、そして来年度の政策等においてどういうことをしてこの問題についての解決を図ろうと考えているのか、厚生労働省のお考えを聞かせてください。
  34. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) パートタイム労働は、家事や育児などとの両立が図りやすいという長所がございまして、大事な働き方であると認識をしておりますが、しかし、その処遇は必ずしも働きに見合っていない場合もありますことから、パートタイム労働者の公正な処遇を確保していくということは大変重要な課題だというふうに認識をいたしております。  このため、これまでパートタイム労働対策といたしましては、まず事業主への啓発ということで、均衡処遇を具体的に示しましたパートタイム労働指針の内容を事業主への説明会や個別訪問を通じて図ってきているところでございます。また、あわせまして、短時間労働者の雇用改善のための助成金の支給をして事業主に支援をいたしております。さらに、こういった処遇改善の取組に意欲のある事業所に対しましては、コンサルタントを派遣してその支援をしてきているところでございます。  さらに、十八年度の取組につきましては、予算案におきまして、新たにパートタイム労働者の評価資格制度を整備した事業主に助成金を支給するなど、均衡処遇に取り組む事業主への支援を強化するということで、助成金の支給要件を大幅に見直したところでございます。こうしたことで、例えば通常の労働者と共通の制度を設けた事業主や、パートから正社員への転換制度を設けた事業主、あるいは短時間正社員制度を設けた事業主などへの支援を強化していきたいというふうに考えております。  さらに、均衡処遇に向けた取組につきまして、事業主自らがチェックしてアドバイスを受けられるインターネット上の診断システムを開発中でございまして、新年度から開始をすることといたしております。  さらに、公正な処遇が確保される短時間正社員制度につきまして、制度導入マニュアルを作りましたので、このマニュアルの周知を通じましてその普及に努めていきたいと考えております。
  35. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 四割の事業所において職務や責任が正社員と同じパートがいるという調査結果でもありますし、また、現に役職に就いているパート労働者の割合は一〇%を超える状況になってきていまして、パートタイム労働者が基幹的な労働者として、私たちの社会の中で企業の担い手として重要な役割を果たしているというのは紛れもない事実でございます。パートがいなければ成り立たない産業があるという中で、ふさわしい処遇をするということを今局長からも答弁で言っていただきましたが、現実にそれでは企業の中でそれがどの程度実現できているかということについては、やはりその賃金の水準等を見ますと必ずしも十分な成果につながってないのではないかということも感じられると思っております。  したがいまして、このパートタイム労働者については、その仕事の内容であるとかあるいはその責任に応じてきちっとした仕事をする、同一の労働であったら同一の賃金が払われるというような点については、事業主の啓発という形で本当に成果がきちっと出るんだろうかと。そろそろ法的な措置を講ずることも含めてこの点についての検討をいただく時期に来てるのではないかというふうに思うのですが、この点についての大臣のお考えを伺いたいと存じます。
  36. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ちょっと切り口違いますけれども、高齢者の雇用につきまして、昨日、おとといですか、数字を見ていましたら、全体の失業率が四・四に対して、高齢者、六十歳以上六十四までですけれども、四・〇か四・一。したがって、全体よりも高齢者の雇用の方が良くなってきた、それなりの成果が上がってきたのかなと。現実に企業が、六十を超えての雇用という動きに入ってきております。その中で、これは総理とも議論になったんですけれども、大会社がこれから五年間再雇用するよ、しかし現実は一年ごとの更新をしていくわけですね。しかしまあ六十五歳、ただしもう一回退職金払っているんだから退職金はないよねという考え方の中で、ある意味では安定した非正規雇用、安定した非正規雇用と、こういうものが随分出てきているんだなと、こう思います。  そういう意味では、委員が言われたようにパートタイム労働というものも一つの目で見るんではなくて、例えばもう既に労働組合を結成されておるところもございます。また、パートタイム労働だけれども、今言いましたように六十五まで契約するよという会社も出てきました。そういう意味では、パートタイム労働の安定した雇用、また今言われた賃金、この問題をよく分析をしながら企業としっかり話合いを続けていかなければならないんだろうと。  今、局長から説明をしましたように、ある程度の助成策は講じておりますけれども、これだけでは当然いかない話でありまして、やはり企業側の理解というものをどう進めるか。委員の御提案は、企業側の理解が進まなければ法律まで入っていったらどうかと、こういう御提案だろうと思いますけど、私どもとしてはまだその前の段階のもう少し分析をさせていただきたいと思います。  それからもう一つは、やっぱりこの十年、かなり日本の企業つらかった。私は衆議院の委員会でも同じ表現を使ったんですけれども、私は松下という会社で七年働いておった。幸之助さんから雇用というものが一番大事だと教えられたけども、あそこでも二万人ぐらいのリストラをしました。この十年間、特に中国から幾らでも安い物が入ってくるという戦いの中で、企業が本当に必死の努力をしたことは事実だろうと。しかし、その波をかぶった人たちがいることも事実でございます。一方で、この春の就職状況、高校生、大学生ともに三ポイント以上上がってまいりました。そういう意味では、新規一括雇用の問題が前進してきたいい数字になってきておるだけに、波をかぶった方々、また今御議論いただいたパートの問題等、私ども次の問題、積極的に取り組む大きな課題として認識をさしていただいて頑張っていきたいと思いますので、また委員の御指導もよろしくお願いを申し上げます。
  37. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 ありがとうございます。是非、しっかりと実態を踏まえて、実効ある施策が進むようにお取り組みをいただきたいと存じます。  次に、少子化に関連して、先般、妻の職場の育児休業制度と出生の関係についての調査が出ました。これによりますと、妻の職場に育児休業制度があって、しかも利用しやすい雰囲気があるというところでは、一年間で、この調査の一定の期間を置いてるんですが、この一年間で子供が産まれた割合が一八%を超えていると。それに対して、制度はあるけど利用しにくい雰囲気のところは九・八%、制度がないところは五・二%ということで、やはり少子化問題を考えたときに、この育児休業制度の有無と、それが実際取れるかどうかということが大きな意味合いを持っているということが言えると思います。  その点で、これももう前から言われているところですが、中小企業にとっては難しい、あるいは女性は結婚、出産を機に七割が退職していますが、各地の労働局には出産等に伴う各種の相談の事例も多いということを聞いております。これから労働力人口が減る中で、女性が社会の中で労働力としてきちっと力が発揮できるということは大変大事なことであろうと思います。  この点での環境整備についての今後の取組について伺いたいのと、その際、子育てを支援している企業については今ファミリー・フレンドリー企業ということで表彰をしておりますが、これだけではなくて、もう少し踏み込んだ措置、例えば優良な企業については税制上の優遇措置をとるとか、あるいは国や地方公共団体が入札等においてそういう企業をプラスアルファで評価する等々、様々な施策が、取組があり得ようと思いますが、そういうことについても是非この際積極的にお考えいただく時期に来てるんじゃないかと思いますが、この点についての考え方を伺いたいと思います。
  38. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今御指摘いただきましたように、女性が妊娠や出産ということを理由として不利益を受けない職場環境の整備、そして本当に育児休業を取りやすい職場環境の整備ということが大変重要な課題であるというふうに認識をいたしております。  そこで、まず育児休業を取りやすくする職場環境の整備についての中小企業への支援ということでございますが、中小企業は大企業に比べまして両立支援の場合の負担感が強く、育児休業を取るということが立ち後れております。こうした中小企業に対しまして重点的な支援を行うために、平成十八年度予算案におきまして五年間の特別措置として新たな助成制度の創設を盛り込んでいるところでございます。  具体的には、百人以下の中小企業におきまして育児休業の取得者が初めて出た場合に、一人目百万円、二人目六十万円を助成することなどを内容としております。これによりまして、これまで育児休業を取った人がいなかった中小企業において最初の育児休業取得者を出していただき、そしてその後の第二、第三の休業を取りやすい職場環境の整備につなげてもらうことを期待しているところでございます。  また、妊娠、出産を理由とする不利益取扱いの増加に対応いたしまして、妊娠、出産等を理由とする解雇禁止の規定の強化、それから解雇以外の不利益取扱いの禁止などを内容といたします男女雇用機会均等法の改正法案を今国会に提出をさせていただきましたので、よろしく御審議を賜りたいと思います。  さらに、企業への更なる支援策ということでございますが、これまで、今御指摘いただきましたようにファミリー・フレンドリー企業の表彰であるとか様々な両立支援のための助成金の支給による支援、それから次世代二法に基づきましては平成十九年度から認定制度が始まります。そうした認定による支援といったことを進めているところでございますが、今後ともいろんな方々の御意見を伺いながら、更に効果的に企業の取組を促進するためにはどうしたことができるか、御指摘のことも踏まえてよく考えてまいりたいというふうに考えております。
  39. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 やはり頑張っている企業にはしっかりとした応援をということで、めり張りのある施策を今後更に検討していただきたいと思います。  十八年度の予算につきましては、厳しい財政状況の中ではありますが、少子化対策にそれなりに御尽力をいただいたと思います。児童手当についての対象者の引上げでありますとか、あるいは保育所の整備等々が取られているところでございます。ただ、この少子化の問題については、私たちの社会はもう一刻の猶予もできない事態になっているのではないか、あらゆる手だてを検討してこのための対策を講じていかなくてはならないのではないかと強く思う次第でございます。  今の育児休業制度につきましても、育児休業の普及を男性にも広めていこうということを子ども・子育て応援プランの中でも目標値を持ってたしかやっていると思いますが、この男性の取得が進まないのは、ただ単に理解がないということだけではなくて、育児休業給付の水準が低いということもあるのではないかと思えるのであります。現在は失業等給付で四割が支給されるわけでございますが、若い人たちは元々給与が低いのでありまして、そういう点では子供が生まれてお金が掛かると、で、育児休業給付が充実してはきていますが、それでもまだ従前の四割、休業中にもらえるのは三〇%ですが、という状況というのは、これはやはりもう少し充実する方向で手だてを御検討いただく必要があるのではないかというふうに思えるのであります。  今失業等給付で支給をされておりますが、雇用状況改善したこともありまして、この雇用保険の中の失業等給付の積立金の残高が十六年度で一兆六千億まで回復しておりますし、十七年度は予算ベースで二兆円近くになっております。恐らく雇用状況は十六年度よりも更に改善しておりますので、この積立金についてはもう少し余裕があるのではないかと思えます。  育児休業については、仕事を継続することができるということ、それから、待機児童ゼロ作戦をやっていますが、まだ保育所機能が十分でない中で待機児童の解消にも役に立つということにもなりますし、また育児休業を男性も取るということになれば、男性にとっては大変貴重な経験でありますし人生がとても豊かになるのではないかと思います。少子化対策については、ここ数年が、つまり団塊のジュニアが三十代でいる間という意味ではここ数年が勝負であります。  そこで、昨年十一月の財政制度等審議会の建議におきまして、雇用保険三事業の見直しと併せて、雇用保険制度全体についても国庫負担の在り方を含め見直しを検討する必要があるという指摘を受けているところでございます。この検討に当たりまして、是非、育児休業給付の水準の引上げについても含めて御検討をいただきたいと思いまして、大臣のお考えを伺いたいと存じます。
  40. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 何でも御存じな上で御質問いただいているんだと思いますけれども、失業給付、一般求職者の給付が、給付率の下限が原則五〇とされていると。一方で、育児休業期間中は年金等の社会保険料が免除されている。したがって、四〇ですけれども、現実的な水準がやはり五〇であろうと。この比較論の中でこれを一般求職、失業中の方々のものを超えてしまっていいだろうかと、こういう議論が根底にあるということは御存じだろうと思います。  一方で、雇用保険制度全体の見直しについて、現在、公労使三者構成の審議会、労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会において今御議論をいただいております。その中で育児休業給付の在り方についても議論がされることになると思いますので、問題提起はいただいておきたいと思います、今日は。
  41. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 保険の原理原則は承知をいたしておりますが、この問題が非常に社会、国家にとって大変大きな問題であるということで、暫定的な特別措置等々、様々な工夫をする余地もあるだろうと思いますので、是非前向きに御検討をいただきたいとお願いを申し上げる次第です。  次に、難病対策についてお伺いしたいと存じます。  FOPという、生後二、三歳の間に発生をして筋肉が骨に変わってしまう病気がございます。二百万人に一人という大変珍しい病気でございまして、骨が体の関節を固めてあらゆる部分の動きの自由を奪ってしまう。体が変形することに伴いまして呼吸器官や内臓への影響も出てくるという大変深刻な病気であります。これについて、患者の方々が是非これを難病として国の対策の中で加えてバックアップをしてほしいということを願っておるんであります。  現在の国の対策としては、特定疾患として四つの条件を満たす百二十一の疾患があります。四つの条件というのは、おおむね五万人未満の患者という希少性、それから原因だとかメカニズムが未解明という原因不明であるということ、それから効果的な治療方法が未確立だということ、そして生活面への長期にわたる支障があるという、この四つの条件であります。今申し上げたこのFOPというのは、この四つの条件をいずれも満たしていると思えるのであります。  一方で、この制度は昔からの制度でございますので、かつてはこの条件を満たしていたけれども、例えば希少性という、患者がおおむね五万人未満というこの要件を外れているというものが現在もう既に幾つか出ているのであります。この点については見直しが必要だということが従前から指摘をされておりますが、この点について現在どういう状況になっているかということについてお伺いをいたします。
  42. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) 難病の問題でございますが、特定疾患の選定につきましては、ただいま御指摘のありましたような四条件をすべて満たすということで選定をしておりますが、さらに、全国規模で研究を行わなければ原因究明や治療法の開発等が進まない疾患を、その百二十一の疾患の中から、診断基準が定まっていること、治療が困難であること等を総合的に考慮いたしまして、特定疾患治療研究事業という四十五疾患を更に決定をしているという構造になってございます。  こうした対象疾患の決定につきましては、特定疾患対策懇談会の意見を踏まえて行うこととしておるわけでございますけれども、この懇談会から、特定疾患の対象となる疾患選定等に当たってはより明確な基準作りに向けた検討が必要であるという提案がございまして、これを受けまして、現在その検討のために必要なデータ収集の在り方などについて検討を行っているという状況でございます。  お尋ねの進行性化骨筋炎につきましては、こうした検討作業に並行いたしまして、今後この懇談会で議論する場合に基礎資料として必要となります文献でありますとかあるいはデータの収集を行っているという状況でございます。  なお、議員御指摘がありました特定疾患の選定要件から外れているような疾患に関しましては、これまでも、例えば患者数が五万人を上回るということで患者数が少ないという要件に外れるような疾患の取扱い等の検討の必要性につきまして、厚生科学審議会においても指摘をされてきております。その取扱いについて今後検討する必要があるというふうに考えておるところでございます。
  43. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 この問題については、平成十四年ですから四年近く前に、「今後の難病対策の在り方について」という中間報告が難病対策委員会から出ているわけです。それで、こういうことについて、例えば対象となった後で患者数が五万人を上回った疾患だとか、特定疾患に指定された当時と比較して治療成績等の面で大きく状況が変化したと考えられる疾患、こういうものについて、特定疾患として引き続き取り扱うことが適当かどうか定期的に評価を行うことについて検討する必要があると言われているわけであります。  その四十五の疾患についても、ある程度治療効果が高くなっているものもあるわけでありまして、そういうものについては、私は現に、難病に指定されないと治療法の確立についてきちっとした前に進む見通しが付かないという、現にそういう方たちがいることを考えると、私はこういう点についてこんなに長い時間を掛けるというのは果たしていかがなものかと思うんです。  十六年の七月のその委員会でも、選定のための明確な基準作りに向けた検討が提案されて、それで、そのときには特定疾患について追加をしないと、その検討結果を待つということになっているわけです。それが十六年の七月ですから、もうこの夏で二年になるわけです。  患者さんは命と闘っているわけでありますので、そういう意味で一月だって長い期間であることを思うと、それを受けて検討をするというには余りに取組が私はスローテンポ過ぎるのではないかという思いがいたしまして、是非、恐らくこういうことを見直すと、いろいろな課題があって余り表に出せないようなこともあるんだろうと思うんですが、そういうこととは別に、やはりきちっとやるべきことはやるということを重ねてお願いしたいと思いますが、この点について早急なお取り組みを願いたいと存じます。御答弁、重ねてお願いします。
  44. 中島正治

    政府参考人(中島正治君) 確かに、検討に少々時間を要していることは御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、そういった先ほど申し上げましたような、どのようなデータに基づいて、どのような判断をすることがこの事業の趣旨に合っているのかということについて早急にまとめまして、また、新しい疾患の指定の問題も含めてできるだけ速やかに対応したいというふうに考えております。
  45. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 恐らく予算の枠もありますので、追加をするとなると、厳しい予算の中でというようなこともありましょうし、その他様々な情報を集めなきゃいけないという、加えるについての準備等もあるかと思いますが、患者の立場を考えると是非、そういう事情はあるにせよ、既にこの問題が非常に後れているんだという御認識の下にやっていただきたい。  また、患者の数が五万人を超えて八万人になっているようなものもありますし、治療法も確立しているというようなものについては私はこの対象から外して、すべてがなくなるということではなくて、必要な手だては残しつつ、この対象疾患からは外すということは大いにあり得ることで、そういうことを思い切ってやっていただいていいんだと思います。是非、そういう思い切った措置をやっていただきたいということを重ねてお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  46. 西島英利

    ○西島英利君 自由民主党の西島でございます。  今日はまず、先日、福島県の県立大野病院の産婦人科の医師が業務上過失致死、そして医師法二十一条の違反の疑いで逮捕され、起訴された事件がございました。この件について御質問をさせていただきたいというふうに思います。  これは、平成十六年の十二月の十七日に帝王切開術を受けた妊婦の方が、同日十九時一分に手術室にて死亡するといった医療事故が発生をしたわけでございます。そして、この県立大野病院は医療事故調査委員会をつくりまして、この事例を検証して、今後の前置胎盤・癒着胎盤症例の帝王切開手術における事故防止対策検討することを目的としてこの調査委員会設置したと。そういうことで、この調査委員会の報告書が平成十七年の三月の二十二日に提出をされたわけでございます。それ以降、警察による証拠保全が行われ、先ほど申し上げました産婦人科医の逮捕というふうに状況が変わったということでございます。  私は、この報告書を読んでみますと、そもそもこの医療事故調査委員会設置目的、先ほど申し上げましたけれども、「事故防止対策検討することを目的として設置した。」ということが書いてございますので、この内容を読んでいきますと、かなり厳しく実は検証をし、そして再発防止のためのかなり厳しい実はまとめがなされているというふうに思わざるを得ないわけでございます。  例えば、総合判断というところで見ますと、出血は、子宮摘出に進むべきところを、癒着胎盤を剥離し止血に進んだためであると、胎盤剥離操作は十分な血液の到着を待ってから行うべきであったとか、輸液のルートをきちんと確保し、そして増やすべきであったとか、手術途中で、待機している家族に対し説明をすべきであり、家族に対する配慮が欠けていたと言わざるを得ないと、かなり踏み込んだ実は報告書になっているわけでございます。そして、さらに、今後の対策として、既往の帝王切開が一回であっても前置胎盤の場合には付着部位にかかわらず癒着胎盤を常に念頭に置き十分な術前診断が求められると、前置胎盤を含めリスクの高い症例の手術に対しては複数の産婦人科医師による対応及び十分な準備が必要であると、医師間及び医師・看護師間の意思疎通や緊急時の助言といった相互協力を十分に行ってチーム医療を活用すべきであると、こういうふうにかなり実は踏み込んだ報告書となっているわけでございます。  しかし、この県立大野病院の状況というのを見てみますと、この産婦人科医は一人で勤務をし、本来一人の医師が行う年間の術例といいますと百五十症例前後でございますけれども、この医師は二百症例ぐらいをこなしていたということで、大変過激な勤務状態であったこともこれから容易に実は測られるわけでございます。そういう中でのこの事故でございました。  これ以降、新聞から逮捕の報道がございましたらば、もう全国の医師、これは何も産婦人科医にかかわらず、様々な医師から、こういう状況で逮捕されるんであれば我々はもう医療は提供できないと、リスクの高い手術等々は我々はできないというようなメールがもう連日実は来ているわけでございます。  今日は、私はこのことの是非を問うわけではございません。実は、問題になりました医師法二十一条、これによってこの方は逮捕されたわけでございます。ですから、私は今日はこの医師法二十一条について御見解をお伺いしたいというふうに思います。  まず、本日は警察庁の方から来ていただいておりますが、この医師法二十一条、「医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。」となっておりますけれども、警察庁はこの異状死体というものをどういうふうにお考えになっているのでしょうか、教えていただきたいと思います。
  47. 縄田修

    政府参考人(縄田修君) 委員指摘のとおり、医師法二十一条につきましては、死体等を検案して異状がある場合には警察への届出義務を規定しておるものでございますけれども、その場合の異状につきましては、過去の裁判例などによりますと、警察官が犯罪捜査の端緒を得ることを容易にするという観点からの法医学的な異状という側面を有するものと、こういうふうに理解をいたしております。  したがいまして、純然たる病死、自然死でございますか、こういう場合でありまして、かつ当該死亡に至る経緯につきまして何ら異状が認められない場合は格別、医師が死体等を検案して、法の趣旨に照らしまして、何らかの異状を認めた場合には警察へ届け出なければならないものと、このように認識をいたしております。  なお、医師法二十一条の規定に基づく届出を行うべきものか否かにつきましては、これはもう個別にいろいろ判断される事項でありますので、なかなか難しいものだろうと、こういうふうに思っております。
  48. 西島英利

    ○西島英利君 それでは、厚生労働省はこの異状死体に対する考え方、どういうふうにお考えになるんでしょうか。
  49. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 医師法二十一条では、今先生おっしゃったとおり、「医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。」ということとされているわけでございます。  ここでいう異状というのは法医学的な異状とされておりますが、具体的にどのような死が異状死に該当するかにつきましては、個々の状況に応じて個別に判断される必要があるため、死体を検案した医師が個別に判断をしているということでございます。  なお、この立法の趣旨でございますが、これ相当早くから医師法の中には規定されておるものでございますけれども、死体又は死産児には時とすると殺人、傷害致死、死体損壊、堕胎などの犯罪の痕跡をとどめている場合があるので、司法警察上の便宜のために、またそれらの異状を発見した場合の届出義務を規定しているというものでございまして、したがって、異状というのは病理学的な異状ではなくて法医学的なそれを意味するというふうに解されております。
  50. 西島英利

    ○西島英利君 ところが、国立大学医学部附属病院院長会議常置委員会というところが医療事故防止方策の策定に関する作業部会中間報告を平成十二年の五月に出されました。これによりますと、医療行為について刑事責任を問われる可能性がある場合は速やかに届け出ることが望ましいと考えると。判断に迷うような場合であっても、できるだけ透明性の高い対応を行うという観点から、まずは速やかに警察署に連絡することが望ましいと考えると。そして、この下に医師法第二十一条というのが実は書き込まれているわけでございます。そして、医療行為について刑事責任を問われる可能性がある場合は、一般に、患者が死亡するなど結果が重大であって、医療水準から見て著しい誤診や初歩的ミスが存在する場合であると言われていると。かなり踏み込んだ判断をこの国立大学医学部附属病院長会議でなされたわけですね。  そして、さらには、厚生省のリスクマネージメントスタンダードマニュアル作成委員会というところが平成十二年八月に報告書をまた更に出しております。これによりますと、「医療過誤によって死亡又は傷害が発生した場合又はその疑いがある場合には、施設長は、速やかに所轄警察署に届出を行う。」というふうな、こういうような実はガイドラインも作ってしまったわけでございます。  ここで警察庁にもう一度お教えいただきたいと思うんですが、これは平成十二年に出された国の施設のガイドラインでございます。これの前後でこれによる届出件数及び送致件数はどういう経緯をたどったのか、お教えいただきたいと思います。
  51. 縄田修

    政府参考人(縄田修君) 平成九年以降、警察庁としては、都道府県警察から報告をさせまして、医療過誤の疑いのある事案の総件数を把握いたしております。  年別で見ますと、九年から十一年にかけましては医療過誤の疑いのある事案という件数が、大体二十数件から四十数件ほど報告をされておりました。そのうち、医療関係者からの届出によるものは十数件から二十件程度、半分ほどでございました。平成十二年に、委員指摘のとおり、大幅に増加をいたしました。平成十二年には百二十四件でございまして、このうち医療関係者からの届出は八十件でございます。  ちなみに、昨年は二百十四件、医療関係者からの届出によるものは百七十七件でございました。  送致の関係でございますけれども、平成九年以降で申しますと、平成十一年までは十件程度ないしはそれ以前ということでございましたけれども、平成十二年に二十四件でございます。それから、十三年には五十一件というふうに徐々に増加をしてまいりまして、昨年は九十一件の送致でございます。
  52. 西島英利

    ○西島英利君 つまり、国系のこういうガイドラインが出された以降、二倍、三倍の届出、それから送致になっているんですね。これはこのガイドラインがいかに大きな効果を示しているのかという証拠であろうというふうに思います。  ところで、先ほど局長が医師法二十一条の異状死体の話をされました。一九九四年発行の医療法・医師法の解釈集を見てみますと、これは厚生省の健康政策局総務課が編集した内容でございますが、この内容におきますと、「死体又は死産児については、殺人、傷害致死、死体損壊、堕胎等の犯罪の痕跡を止めている場合があるので、司法警察上の便宜のためにそれらの異状を発見した場合の届出義務を規定したものである。」というふうに書いてあるわけですね。  しかし、先ほどのガイドラインはそれ以上に踏み込んだガイドラインを作っておられると。このガイドラインについて、じゃ当時、医事課はかかわったんですか。
  53. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) ガイドラインについてでございますけれども、当時の、今は医政局でございますが、当時は健康政策局だったと思いますが、の医事課がかかわっているということはないと聞いております。
  54. 西島英利

    ○西島英利君 つまり、これだけ大きな解釈の変更なんですよ。そして、その解釈の変更によってこれだけ届出件数も二倍、三倍に増え、送致件数も増えたわけです。それに対して、医事課は全くかかわっていない。つまり、これは勝手に解釈を変えてしまってガイドラインを作ってしまったと。これは非常に大きな問題ではないかなというふうに思っています。  また、さらに、これに影響を与えたのが、日本法医学会がガイドラインを作りまして、これは平成六年にこのガイドラインを出されたわけですが、ここから、診療中の死亡事故についてもやはり異状死体とみなすべきではないかという実はガイドラインを出したんですね。  ところが、日本法医学会のこのガイドラインを出された文を読んでみますと、「条文からは、生前に診療中であれば該当しないように読み取ることもできるし、その他、解釈上の問題があると思われるが、」、とにかくまあ医療事故が増えているので、こういう考え方も出してみようということで出されたわけです。つまり、これは日本法医学会が一致して出した実はガイドラインじゃないんだということでございます。  そして、この法医学とは一体何なのか調べてみますと、北海道大学の医学部のところから出しております「法医学分野」というのがございますが、ここに「法医学を勉強したい人に」ということで、道に倒れていた人がいたと。どうも車にひき逃げされたらしい。我々は遺体を調べて種々の判断を下す。そのけがはどのようにしてできたか。そのけがで亡くなったのか。歩いているところをはね飛ばされたのかどうかと。そしてどのように、なぜひかれたのか。心臓や脳に病気があって事故に巻き込まれたのか。アルコールや薬の影響はどうか。人の死には法的問題が絡む。どのようにして亡くなったのか。それを医学的に考えるのが法医学だと。こういうふうに書いてあるんです、こう案内書の中に。  つまり、ここには臨床的な考え方は実は入ってないんですよ。それなのにもかかわらず、こういうような状況になってしまったということです。  では、外国ではこういう状況があったときにどのような対応がなされているのか、お教えいただきたいと思います。
  55. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 諸外国の状況でございますが、諸外国では、医療事故等について警察とは別の行政機関に対して届出が行われ、その行政機関が死因の調査を行うなどの例もあるというふうに承知してございます。  例えば、米国カリフォルニア州では、医療事故死は行政官である医師、メディカルエグザミナーというようですが、これに対する届出が義務付けられておりまして、この医師等が事情聴取や解剖を行って死因の調査に当たるということだそうでございます。  なお、この死因究明の結果、医師の過誤が疑われるケースについては、州の医療委員会、メディカルボードでございますが、これに報告され、行政処分の対象となっていると聞いております。  また、英国では、医療事故の大部分はコロナーと呼ばれる行政官に対して届出が行われ、このコロナーが解剖の手配や関係者への事情聴取を通じて死因の調査に当たり、死因や死の態様、病死であるか事故死であるか、自他殺等であるかといったような死の態様を決定しているとのことでございます。  一方で、例えばフィンランドでは、大部分の医療関連死が異状死として警察に届け出られて調書が作成されているということでございます。警察で調書が作成された後は、大学の法医が医師の報告書と警察の調書を基に検案を行い、必要に応じて解剖を行って死因を究明しているというふうに聞いております。  いずれにしても、それぞれの国の法制度の下で様々な対応が取られているということだと思います。
  56. 西島英利

    ○西島英利君 例えば、アメリカではこれはまず刑事事件として扱われないわけですね。問題は、そういうような事故の再発を防止するためにそういうような様々な実はシステムができているわけでございます。日本のように警察に届け出る、しかも二十四時間で、それが医療事故なのかどうかと、これ判断できないわけですよ。様々な状況。ですから、先ほどのこの県立大野病院の事故調査検討会、これ数か月掛かっとるんですね、やはり。そういう流れの中で初めてその医師が過失したのかどうかというのは実は判断をできるわけでございます。  十三の外科系医の学会が出しました声明文が平成十三年四月十日に出されております。そのときにも、臨床の現場でやる場合にはやはりリスクの多い治療もやっていかざるを得ない。それは、当然患者さんや家族の方にきちんと説明をして、そしてそのリスクの多い手術もやっている。しかし、こういうような状況であれば、もうそんなリスクの高い治療、手術等はできないという、そういうような声明文を実はここに出しているわけでございます。  また、日本医師会が医賠責といいましてそういう事故が起きたときに経済的にお支払をするという、そういう制度がございますけれども、その中に全国から集められる件数が大体年間四百件ぐらいございますが、その中で実は産婦人科医が三割なんです。アメリカでもそうなんですね。アメリカは今、脳外科医、産婦人科医のなり手が非常に少なくなってきております。それは、やはり民事的に訴えられるからです。とても保険料が払えないというような状況の中で、なりたくないという人が非常に多いわけでございます。やはり産婦人科の分娩というのは正常と言われても何が起きるか分からない、常にそういうリスクを含んでいるわけでございまして、そういう流れの中で、国がこの異状死体に対する定義といいますか、判断を今まで全く変えてこなかった、ここに今回の大きな混乱があるのではないかなというふうに思っております。  是非、この点について速やかにこの医師法二十一条の改正若しくはその解釈も含めた検討を早急にやっていただきたいというふうに思いますが、大臣、いかがでございますでしょうか。
  57. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) いろいろ議論いただきましたように、基本的に異状死の範囲を国が具体的に示すことができるかということになると、なかなか難しい課題だなと。一方で、医師法二十一条が外国等と比較していったときにこのままでいいかという議論はやはりしていかなければならないだろうと。今、アメリカの例、またイギリスの例、フィンランドの例、いろいろお示しをいたしました。その中で、いろんな議論をいただく中でやっぱりやっていかなきゃならないと。そういう意味では、この二十一条問題をしっかり議論していかなきゃならないときを迎えていると、こういう認識をいたしております。
  58. 西島英利

    ○西島英利君 診療は日々行われているわけでございます。全国の医師の不安を軽減するためにも、できるだけ速やかな対応をお願い申し上げたいというふうに思います。また、この事故につきましては、学会を含め全力を挙げてこの医師に対して支援するというようなメールも私どものところに来ております。ただ、今ここでこの議論をしても、もう既に起訴されている状況でございますので、私は今日はこれには触れませんが、私も感覚としては、これが本当にその医師の過失だったのかなという感覚は強く持っているわけでございます。厚生労働省としても、こういう状況が今後起きないように、是非速やかな対応をお願いを申し上げたいというふうに思います。  次に進めさせていただきますけれども、今回、診療報酬改定が初めての大幅な改定、つまりマイナス三・一六という改定が行われました。診療報酬本体、医科でマイナス一・五%の改定でございまして、過去にはないようなマイナスの改定であったわけでございます。  今日、皆様方の方へ資料をお配りしておると思いますが、この資料を見ていただきたいと思いますけれども、まず第一ページ目でございます。実は、このグラフを見てみますと、二〇〇一年六月の時点での、これは医療経済実態調査の収支差率の推移でございますが、このときは四・六%、医療法人、つまり民間病院でございますけれども、四・六%の収支差益がございました。このときの改定がその直後にマイナス二・七%、医科マイナス一・三%の改定が行われたわけでございます。そして、次に調査をしますと一・八%の収支差益でございました。そこで、このときはプラス・マイナス・ゼロの改定が行われました。ところが、今回、二〇〇五年の六月の時点での調査を行いましたらば、一・三%というふうになってきております。つまり、プラス・マイナス・ゼロであったにもかかわらず、一・三%という形で収支差率はどんどんどんどんこう落ち込んできているわけでございます。  二ページを見ていただきますと、下の表を見ていただきますと、やはり医療法人で見ていただきますと、一般病院百床当たりの医業収入の推移ということが書かれておりますが、年々ですね。二〇〇一年のときには病院もまだまだ頑張りようがあったんですね。ですから、利益は伸ばしたわけでございますが、プラマイ・ゼロのときはもうこれは頑張れずにこういう形で下がってしまったという状況がございます。  次のページを見ていただきますと、これは、上の方は医療法人でマイナス二・四%の対二年前の減だということです。それから、看護職員の給与、賞与を見ていただきますと、医療法人は一か月当たりでございますけれども、三十七万二千四百円。ところが、国公立は四十五万以上の実は給与なんですね。今回の改定からいきますと、この改定幅が決まる前は盛んに人事院勧告で一〇%下がったんだから当然下げるべきだという話でございましたけれども、しかし人事院勧告はこれは国公立の職員の給与でございます。一〇%下がってもまだこれだけ高いわけでございます。そういうふうな状況の中で、今回、診療報酬改定が行われたわけでございます。  いろいろと諸団体からの御意見をお伺いしますと、特に中小病院が大変厳しい状況にあるというふうに伺っております。平成十四年の四月の改定のときに、このままでうまくいくだろうと言っていましたらば、このときは大混乱が起きてしまいました。そこで、日本医師会が四、五、六とこの三か月レセプトの調査をいたしまして、対前年度と比較し、その比較の中で、これは一年後に再診料の逓減制の廃止を決めたという状況もございます。  今回、これは特に中小病院の場合は経営が非常に困難になることはこれは目に見えております。ですから、そういう意味では、今回の中医協総会の二月十五日に答申書附帯意見というのが出ておりますが、この中で慢性期入院医療については患者分類も付いた云々ということで検証を行うということになっています。余りにも大きな影響が目に見えておりますので、できるだけ速やかな検証をして、何らかの対応をしていただかないと、本当に地方の地域医療を担っているのはまさしく中小病院でございます。この医療提供体制が崩れてしまうということになりかねないわけでございますので、是非その点をお願い申し上げたいと思いますが、大臣、いかがでございますでしょうか。
  59. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) まず、今回の診療報酬改定の組立て方でございますけれども、委員御承知のとおり、大筋は政府・与党で決定されました医療制度改革大綱に基づくものでございまして、賃金、物価の動向あるいは医療経済実態調査の結果、これらを踏まえまして、まず引下げの方向で検討し措置すると、こういった方向性が示されたわけでございます。これを受けまして、予算編成過程におきまして、全体でマイナス三・一六%の改定とするということが決められたものでございます。  また、中身、改定の内容につきましても、医療制度改革大綱あるいは社会保障審議会で取りまとめられました基本方針に即しまして、重点的に評価する領域、それから適正化を図る領域でめり張りを付けた評価とするということが定められたわけでございます。  御指摘のありました結果の検証でございますけれども、今後の取組といたしまして、個々の診療報酬改定が意図した効果を上げているかどうかの観点から結果の検証を行っていくことになります。その中で、例えば委員指摘の慢性期入院医療につきましては、中医協の答申におきます附帯意見の中でも特に触れられておりますので、こうした方針を踏まえまして適切に対処していきたいと、このように考えてございます。
  60. 西島英利

    ○西島英利君 診療報酬改定のやっぱり前提は、経営の安定がなければ経営が本当に成り立たない、ということは質が下がってしまうということになるわけでございますから、是非今回、めり張りというのは実は怖い意味もあるんですね。つまり、大規模の病院は今回かなりいい実は点数の設定になっておりますが、中小病院、例えば看護婦数の少ない中小病院に関しては、これは大変大きな悪影響を与える点数設定になっているんだと。私も専門でございますし、私も中医協の委員をしておりましたので、その辺りは読めます。  ですから、これは早急にこの検証をしていただいて、もし経営が成り立たないような状況であれば何らかの対応を是非お願いを申し上げたいというふうに思います。大臣、いかがでございますでしょうか。できればコメントいただければ。
  61. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今回の議論で、特に小児科、産科、それから麻酔科、それから特に救急というものをしっかりしなきゃならぬという中で、診療報酬改定を最終的にさせていただきました。しかし、一方で、こうした改定後どういう動きになるかと。診療報酬改定なり医療制度改革の本旨に沿ってやっていけてるか、実態がどうなのかと、これはもう正に役所がしっかりウオッチしながら、また皆さん方議論しながらやっていかなきゃならない問題でありますので、当然、医療制度改革を御議論いただき、また法律が通りましたならば、その問題が本当にうまく機能するかどうか、しっかり見さしていただきます。
  62. 西島英利

    ○西島英利君 是非速やかな検証をお願い申し上げたいと思います。  続きまして、本来の法改正の方へ進ませていただきますが、今回、高齢者医療制度が創設をされました。この高齢者医療制度の考え方、これは平成十四年に健康保険法の附則第二条第二項に実はこの創設がうたわれたわけでございます。この考え方は、七十五歳以上の後期高齢者、これはもうみとりの医療だという考え方の中で、積極的な医療よりはみとりの医療を中心にした新しい診療報酬体系をつくっていけば、それに対してまさしく医療費の適正化が行われると。つまり、対前年度比で三%ずつ伸びていくこの医療費の増大に対して、この高齢者医療制度、特に後期高齢者医療制度の新しい診療報酬支払方式を国民の合意形成を得てやれば、対前年度比〇・五%に抑えられるはずだという考え方を当時日本医師会が提案をいたしまして、実はこの附則の中に入れていただいたという経緯がございます。  そこで、今回創設されたわけでございますが、その中で、実は二〇二五年度の医療費がいろんな適正化対策の中で四十八兆円になるという数字が出ておりますけども、この高齢者医療制度が二〇二〇年に導入されたときに、仮定として、推計値としてどれだけの医療費が適正化されるのかという検討をなさったのかどうか、お教えいただきたい。検討していただいていれば、その数字をお教えいただきたいと思います。
  63. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) ただいま委員指摘のありましたとおり、今般の医療制度改革におきまして新たな高齢者医療制度、七十五歳以上の方々についてこういった後期高齢者医療制度を導入するということが決められたわけでございますが、この制度におきましての診療報酬の在り方、これにつきましては、後期高齢者の心身の特性にふさわしい診療報酬を定めるということが決められているわけでございまして、委員指摘のありましたような踏み込んだ形での検討というのはこれからでございます。したがいまして、その部分に関する医療費への影響ということは、今回の財政試算においては織り込んでございません。
  64. 西島英利

    ○西島英利君 本来であれば、こういう制度導入のときには、当然仮置きの何らかのやっぱり数字というのは出さなければいけない。でないと、例えばその後期高齢者方々の保険料をどうするのかとか、それからもう一つは自己負担をどうするのかと。今回これ議論になったわけでございますね、どこにその保険の運営主体をお願いするのかと。これだけが中心になってて、本来の目的である医療費の適正化、特に今回は七十五歳以上の方々の終末期医療をどういうサービスを提供していくのか、慢性期医療をどういうサービスを提供していくのか、実はこれが本当の議論でなければいけなかったわけでございますが、経済的な問題だけが主導されて今回の高齢者医療制度が今法律として出てきているというふうに思ってます。  そして、それに続きまして突然出てきましたのが療養型病床群でございます。これもやはり医療費適正化の流れの中で出てきた私は考え方であろうというふうに思いますが、本来の順番からいきますと、高齢者医療制度を創設することによってどれだけの医療費になるのか、それでもやはりとてもこれでは国民皆保険制は維持できないということであれば、次のステップとして当然療養型病床群の廃止も含めた考え方というのは出てくるべきであろうと、そういう順番であろうというふうに思うんですけども、突然出てまいりました。  しかも、これは平成十五年の八月の三十一日に、一般病床に行くのか療養病床に行くのか、その届出をしなさい、この限りで。そこで締め切ってしまいますよというこの縛りがあったわけです。そして、それぞれの医療機関はそれなりに考えて実は届出をやったわけでございます。それ以降、療養型病床群を選んだ人は、やはりいい施設でないと患者さん来られないということで、新築、増築を実はやってきたわけでございます。  私、先日、福井に災害特の視察で参りましたときに、通りを通ってましたらば、療養型病床群増築中というのがあるんですよ。私、それを見ましてかわいそうだなと思いました。これが実はもう消えていく運命にある。そういう状況の中で、やはり段階を踏んだやっぱりこういう考え方をしなきゃいけないのではないかというふうに思うんですが。  それはさておきまして、この医療区分一も含めた方々を老人保健施設へその病棟ごと転換をさせたいという考え方がございます。そこで、この老人保健施設、最初に作られたときは、やはり経過型ということで、平米的には一人当たり四・三でもいいですよというところからスタートしたんですね。そして、今は八・〇でないとならない。様々なリハビリもやらなきゃいけない。かなりやっと整理が付いてきた。この中で療養型病床群の医療区分一を中心にした人たちの今後の行く末は、要するに老人保健施設への転換という、そういう考え方を提案をされているわけでございますが、さあそこで、先日、武見敬三参議院議員が決算委員会質問しまして、水田保険局長が、平成二十一年度の時点で変わる参酌標準の下でいろいろと考えたいという実は答弁局長がされてます。  ところが、つまり、今老人保健施設が一杯の地域を考えてみたときに、本当にその参酌標準を変えて老人保健施設の数を増やしてくれるのかどうか。これ全く今のところ担保がない。しかもこれ、参酌標準作るのは実は市町村なんですね。国ではないわけですよ。それをどういう形で指導されるのか、是非教えていただきたいと思います。
  65. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) 第四期、すなわち二十一年度からの三年間におきます参酌標準のお話でございます。この二十一年度から二十三年度までの第四期の介護保険事業計画における参酌標準、これは実は国が参酌標準を示しまして、それに基づいて市町村が事業計画を立てるという関係になっておりますが、そういう意味で国がその参酌標準を設定することになりますけれども、いずれにせよ、この標準につきましては平成二十年度からの医療費適正化計画、あるいは医療計画の策定、見直しとも整合性を図りまして、療養病床の見直しの状況の全体像や介護保険施設等への転換の進捗状況などを見ながら行うことになるだろうと考えております。  そして、いずれにいたしましても、まあ入院しておられる方々が退院せざるを得ないというような状況になるようなことをまあ市町村が事業計画で作るということは一般には考えられないと考えておりまして、介護施設として必要なものは存続するというふうに考えております。
  66. 西島英利

    ○西島英利君 ちょっと答えになってないんですが。参酌標準によってその計画を作るのは市町村なんですね。これ以上要らないというふうな判断された場合に、じゃその例えば介護保険準備病棟に移行するような今回考え方を持っておられます、医療保険の中で。それで介護保険準備病棟になっても、いやもう、その市町村がもういいんですよと言われたときに、これは宙に浮いてしまう。また、さらには、医療保険の介護保険療養病床が経過型介護療養型医療施設という形での点数設定をされようとしています。これも、いやそういうのは要らないと言われたときに、じゃ一体どうするのかという考え方が全く示されないから、実は医療関係方々は大変な不安を実は持っておられる。  さらには、医療区分で社会入院が問題だと。だから、医療区分の一の人はもう老人保健施設でいいんだという考え方ですが、実は私は一番問題にしているのは医療区分三でございます。大変な状況方々が医療区分三になっているんですね。そして療養病床の中で実は治療を受けておられる。  これは、この医療区分三を全体で見てみますと、全国の日本療養病床協会の調査では、医療区分三は九・一%の方、一つの病棟の中、医療区分二は三五%の方が入っておられる。ところが、これを一病棟五十床と考えますと、医療区分二と三でいきますと、これは四割ですから二十床。二十床でペイできるんですか。さらには、この医療区分一というのは、二十四時間常に看護が必要な状況でございます。そういう中で、この今のマンパワー、看護四対一、介護四対一で、二十床で当直体制も組めるんですか。様々なことを実は考えなきゃいけないわけです。そういうものを全く議論のないままこういう形の絵図が出されてきたということを、私は非常に不審に思っています。  ですから、是非、こういう考え方を法律としても提案されているわけでございますから、七月からこれをスタートさせようと医療保険の場合はされておるわけでございますから、やはりこれに対する不安のないような対応を早急にやっていただきたい。でないと、とてもじゃないけれども、こういうような療養病床を持っておられる経営者、それからここで療養されている患者さんたち、追い出されるんじゃないかとか、特に医療区分三の方々は、病棟がばんと転換されたらこの方はどこに行くんですか、一般病床には絶対に行けませんよ、これは、平均在院日数長くなるわけですから。そういうことも含めて、単なる社会的入院の問題じゃないんだという御理解を是非していただきたいというふうに思います。  様々な問題ありますけれども、時間が参りましたので、これはもう、また後刻この話はしていきたいというふうに思いますが、大臣、いかがでございましょうか。最後にコメントいただきたい。
  67. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) もちろん、今現在療養病床に入っておられる方々に不安を招くことがあってはならない、これはきちっとやらなきゃならない、また、現実に経営される皆さん方にもしっかり御説明をしていかなきゃならないと、こう思います。
  68. 西島英利

    ○西島英利君 是非、こういう問題をしっかりと検討して、皆さん方が提案された考え方でございますから、やはりこれで経営をしている者たち、患者さんたちにしっかりとした通知を出していただきたいというふうに思います。  ということで、時間参りましたので終わります。ありがとうございました。
  69. 山下英利

    委員長山下英利君) 午後一時から再開することとし、休憩いたします。    午後零時五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  70. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、厚生労働行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  71. 円より子

    ○円より子君 民主党・新緑風会の円より子でございます。  私、三期目になるんですが、厚生労働委員会に所属するのは初めてでございまして、まして川崎大臣とはなかなか御縁がなくて、今まで委員会等でもお会いすることがなかったものですが、同じいのしし年ということで、大変今日は親近感を持って質問をさせていただきたいと思っております。  川崎大臣のいろいろホームページを見させていただきましたら、大臣はすごいですね、三十二歳で初当選してからもう本当に長い議員歴がおありでございますが、一貫して訴えていらしたことが、政治家の世代交代と少子社会の改善ということだとホームページの一番のところにお書きになっておりまして、もう本当に厚生労働大臣として少子社会のことをしっかりやっていただくには大変ふさわしい方だと思っているのでございますが。  少し今度の予算で変わるのではないかと期待しておりますけれども、今まで高齢者に対する社会保障七〇に対して子供には四という数字がよく言われてまいりました。そういう話を去年の衆議院選、またその前の、ちょうど私が三期目当選させていただいた選挙でございましたが、そのときもそんな話が随分出まして、お母様方からこんな意見が出たんですね。どうしても有権者に政治家は目を向けるんじゃないかと。選挙権を持っていない子供たちのことがなおざりになってしまう。生まれたときから選挙権を持たせて、そしてそれを親が行使するというのはどうだろうかという、そんな意見も出たりして、学者の中にもそういうことを言っていらっしゃる方々もいらっしゃいますが、それはともかくとして、生まれた子供たちがとにかく健やかに育ち、そして女性が子供を産みたくなるような、育てたくなるような、育てることがとても楽しいと思えるような、そんな社会をつくることが私たち政治家の責任であり、使命ではないかと思っているんですが、今日は、その子供たちの中でもなかなか日の当たらない立場にいるような子供たちの問題を私は質問をさせていただきたいと思っております。  まず、多分大臣はよく御存じだと思いますけれども、一九九六年に法務大臣の諮問機関であります法制審議会が、非嫡出子の相続分差別を撤廃するための民法の一部を改正する法律案を当時の法務大臣、たしか長尾さんでいらっしゃいました、私、法務委員会にそのころいたんですが、答申をしました。  ところが、この答申に基づく民法改正案を閣議で決定されずに、そのまま、いまだ国会には上程されていない状況なんですね。十年間放置し続けていられるという形で、非嫡出子であっても日本の子供たちに変わりはないわけで、こうしたその法制審議会の答申を尊重した答申を早く内閣としては提出すべきではないかと私は考えるんですが、まず大臣の御意見を伺いたいと思います。
  72. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私も厚生労働委員会にこうやってお邪魔するのは初めてのことですので、これからずっとお世話になりますが、よろしくお願い申し上げます。  児童福祉法では、「すべての児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。」と定めております。子供の福祉については、その事情のいかんにかかわらず同様に保障されるべき、こうした観点から見ますと、すべての我が国の子供の福祉サービスについては、嫡出子か否かで特にその取扱いに当然差異は設けていないと。  一方で、先日の参議院の予算委員会で同様の御質問が出ました。官房長官に対してあったんですけれども、それはやはり法務大臣がきちっと整理しておやりになることであろうと、こういう御答弁をされました。私もそういう答弁をせざるを得ない。法務大臣がいろいろなところの御意見を聞きながらまとめていく、私に意見を求められれば、厚生労働大臣としての立場から今のような見解を述べることになるだろうと、こう思います。
  73. 円より子

    ○円より子君 それでは、法務省にお伺いいたします。いらしてくださっているでしょうか。  十年間この法案が放置されてきているその理由と、それから、今後どうなさるおつもりか、法務大臣は今日いらしておりませんが、お聞かせいただきたいと思います。
  74. 三ッ林隆志

    大臣政務官(三ッ林隆志君) お答えいたします。  ただいま先生が御指摘いたしましたこの制度改正、婚姻制度や家族の在り方にかかわる重要なものでありまして、法務省としましては大方の国民の理解を得ることができる状況の下で改正を行うのが望ましいと考えておりますところで、その当否につきまして各方面で様々な御意見があると承知しております。このような事情から、非嫡出子の相続分についての民法改正は行われることなく今日に至っております。  今後、各方面での議論がより一層深められることを願っております。  以上です。
  75. 円より子

    ○円より子君 各方面からとおっしゃいましたが、答申をまず出されたときに、法制審議会では五年以上有識者からの意見聴取もしておりますし、それから国民からの意見も聞いて民法改正のこれをまとめられたと私存じておりますので、ほとんどの方々は子供のそうした差別をなくそうという意見の方が多数だと思います。  それで、先ほど大臣は法務大臣の所管だというようなことをおっしゃいましたけれども、法務大臣は、これは是非やりたいということで出されたんです。それから、法務省に今、先ほど私が聞いたりするのは逆に酷であって、法務省は何とかこれを出したいと思ってきたにもかかわらず、自民党政権下の閣議で否決されてしまったという経緯がありまして、是非とも大臣は、先ほどおっしゃったように、どの子供も親の条件や理由で差別されてはならないという形で厚生行政をやっていらっしゃるのであれば、是非、内閣大臣から、子供たちへの差別はおかしいんじゃないかと私は言っていただきたいんですね。  それで、実は今度、男女雇用機会均等法改正が行われます。それで、このところずっと、調停に出されたり、セクシャルハラスメントや、またいろいろな不当な解雇があったりというような方たちの当事者の声を聞いているんですが、その中にこんな方がいらっしゃいました。  交際していて結婚するつもりだった相手の男性から婚約破棄をされ、そのとき既に妊娠していたと。最近できちゃった婚なんていうのが多いですが、残念ながらできちゃった婚のできない、陰で泣いていらっしゃる女性もたくさんいらっしゃるわけです。でも、彼女は妊娠中絶を選ばずに一人で産む決意をしたわけです。正社員としてかなり、子供を一人ででも育てていけるだけの収入もあった方なんですが、出産休暇を取って復帰いたしましたら異動を命じられて、そしてそれも嘱託の形で収入が激減して、子供と二人食べていくのもままならないという形で、今調停や裁判をしていらっしゃるというような方がいらっしゃるんですね。  その方を支援している方や周りの方の意見等々を見ますと、ただの妊娠、出産による不利益な異動等配置転換ではなくて、そこに結婚もせず子供を産んだということに対する懲罰的意味合いがどう考えても見えると。それは証拠として、じゃ、どこにあるかというのを出すことは難しいですけれども、私もこの方のケースだけじゃなくて様々なケースを、そういったことを聞いております。  多分、法的な相続分の差別等がいまだに厳然としてある日本だからこそこうした企業での差別、社会的な差別がまかり通ってしまうのではないかと思うのですが、やはりこういったことを是非、法務大臣の所管だということではなく、是正する努力を川崎大臣にもしていただきたいのだと思うのですが、いかがでしょうか。
  76. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 郵政法案、たしか私が扱ったんですけれども、郵政公社法という法律がありまして、党内了解をもらわずに出した例はありますけれども、内閣と与党というのは基本的には一体でございますから、法務大臣が出したい、しかし法務大臣は党内のしっかりとした議論を踏まえて出していくというのが基本でありますから、自民党、公明党、与党の中でしっかり詰めていく、その結論を得ていく努力を法務大臣がされるということであろうと思います。
  77. 円より子

    ○円より子君 是非、厚生労働大臣からも働き掛けをお願いしたいと思いますが、もう一つ、相続分差別だけではなくて、続き柄の差別というのがあるのは御存じでしょうか。  十七年間も裁判を起こしてらした御夫婦というか、これは日本でいう法的な御夫婦じゃありませんが、ずっと結婚生活を続けてらしてお子さんを産んでという方が、そういった場合の非嫡出子に対する住民票の記載が婚内子と婚外子で違うということで訴えを続けてこられました。で、その訴えの方ではなく、その間に行政の方では住民票の続き柄がどちらも子というふうになったことは御存じだと思います。  戸籍の方で差別がまだ残っておりましたので、戸籍の方の訴えもなさってきましたが、それも最高裁の方に去年上告棄却が出たんですが、その前に、既に平成十六年十一月一日以降に生まれた子供については、これも戸籍上婚内子と続き柄を一緒にするという。つまり、非嫡出子については、相続分の差別だけじゃなくて常に、住民票を出せとか戸籍を出せと言われたときにもう歴然として非嫡出子ということが分かる仕組みに今までずうっとなってきたんですね。  まあそれがようやく変わったんですけれども、十六年の十一月一日以前に生まれた子供たちは申出をしなければやはり許可がされないというようなことがまだ残っておりまして、まあ長年、本来は立法府の責任として変えていくべきものだったと思うんですが、これを延々と放置し続けてきた私たち政治家の責任でもあるんですが、ここの部分を法務省は変えようというおつもりはないでしょうか。
  78. 三ッ林隆志

    大臣政務官(三ッ林隆志君) お答えいたします。  非嫡出子の続柄は母を単位としておりまして、長男若しくは次男等と認定することとされておりますが、この長男や次男等の順番は当事者である非嫡出子又は母が最もよく知る立場にあることから、既に戸籍に記載されている続柄欄の記載を改めるためには、非嫡出子又は母から申出をいただく必要があります。  仮に職権で戸籍の続柄欄の記載を改めるとした場合には、市町村の戸籍担当者において、母が産んだすべての子について、同一の戸籍記載がない者も含めまして嫡出子か非嫡出子かを確認しまして、更に非嫡出子の続柄を一つ一つ認定する必要がありまして、膨大な事務負担となりますことから、現実問題といたしまして、職権で戸籍の続柄欄の記載を改めることは不可能であると考えております。
  79. 円より子

    ○円より子君 別の視点からちょっとお伺いいたします。  嫡出推定の規定というのがあります。民法七百七十二条の二項なんですけれども、離婚後三百日以内に生まれた子供を前の夫の子供とみなすというのがございまして、離婚後三百日以内に出生届を出すと、再婚した同士の子供であっても前の夫の戸籍になってしまうわけです。  今、母親は必ず自分の子かどうかというのが分かるとおっしゃっていましたけど、当然のことなんですが、夫の方も自分の子だと言っているにもかかわらず、前の夫の子供になってしまうということで大変苦労した方が何名もいらっしゃるんですが。  この方は二〇〇四年の十一月十一日に娘が誕生し、翌日、市役所に出生届を出しに行ったところ、前の夫の子供になりますよと言われてびっくりしてこの規定を知ったというんですが、その後、別れた夫と妻が会いたくないとか、夫の方もなかなか嫡出否認をしてくれなかったということで裁判になったんですね。そうしますと、DNA鑑定ですとか弁護士の費用とか、出生届一枚出すのに百五十万も掛かってしまったと。  で、出費も痛いけれども、子供が生まれたっていうのはとってもうれしいことですよね。そのうれしさが半減してしまうようなこういった嫡出子の推定という規定を、私は、これも延々と非嫡出子に対する差別、家を守るためだか何だか分かりませんけど、これ、旧民法のときにも八百二十条とか八百二十二条にあったそのままなんですね、嫡出推定の。夫からしか、つまり男の方からしか嫡出否認ができなかったりという。女性はみんな自分の子供であり、だれの子供であるかぐらい分かるんですけれども、男の方からしかできないような状況になっておりまして、これも是非、法務省の方で早く変えていただきたいことの一つなんですが、いかがでしょうか。
  80. 三ッ林隆志

    大臣政務官(三ッ林隆志君) 現行民法が嫡出否認の訴えを提起することができる者を夫に限定しておりますのは、嫡出推定の効果を強力なものとしまして、子ができるだけ嫡出子としての地位を得ることができるようにすることが子の利益に資すると考えられるからであります。  また、夫が長期不在のために妻と性的交渉がなかった場合など、妻が夫の子を妊娠する可能性がないことが客観的に明白である場合には嫡出推定は及ばないと解されておりますので、このような場合には妻から親子関係不存在確認の訴えを行うことができます。  したがいまして、嫡出否認の提訴権者を夫以外の者に広げることにつきましては慎重に対処する必要があると考えております。
  81. 円より子

    ○円より子君 今おっしゃった、子供が父親からの嫡出推定を受けるとか否認を受けるということが子の地位を得るために妥当とかおっしゃった、地位を得るためというのはどういうことなんでしょうか。
  82. 深山卓也

    政府参考人(深山卓也君) 今大臣政務官がおっしゃられたのは、子ができるだけ嫡出子としての地位を得ることができるようにすることが子の福祉に資するという立法思想に基づくものだと、こういう趣旨でございます。
  83. 円より子

    ○円より子君 では次に、質問を続けさしていただきますが、小泉総理が格差のあることは悪いことではないというようなことをおっしゃっていますが、どんどんどんどん地域格差、それから所得格差、さらには今健康格差まで広がっているというような状況なんですが、負け組とか勝ち組とか私嫌いな言葉ですけれども、最貧層に位置して、その格差がどんどん広がって、下の方で本当に苦しんでいらっしゃる方たちの中に一人親家庭がございます。今からちょっとその一人親家庭の中の特に母子家庭についてお話をさせていただきたいんですが、母子家庭で育っている二十歳未満の子供たちの数というのはどのぐらいか、大臣御存じでしょうか。──数を是非大臣に頭に入れておいていただきたいと思って質問したんで、別に意地悪に言ったわけではございませんので、御了解いただきたいんですが。  今、二十歳未満の子供で母子家庭で育っている子は百九十二万人もおります。それから、父子家庭の方は、父子家庭がですね、何万人でしたっけね、父子家庭も入れて、ごめんなさい、入れて二百二十万人ですから二十八万人ほど父子家庭がいるという計算になるかと思います。ごめんなさい、違います、父子家庭が二十六万七千四百人です。ですから、二十七万人ですね、およそ。  それで、二百十九万人一人親家庭で育っているという状況なんですが、この一人親家庭の子供たちが大変厳しい状況にさらされているということで、私は、少子化対策をするときに、ただ産んでほしいというだけの対策ではなくて、こうした一人親家庭の子供たちが健やかに育つような、きちんと学歴を付けて就労していけるような、そういう対策を取らなきゃいけないと思っているんですが、大臣が去年の、十七年十二月七日、第十四回社会保障の在り方に関する懇談会でこのようにおっしゃったということを聞いております。  まず、大臣の言葉を申し上げます。  それから、児童扶養手当については、児童扶養手当というのは十八歳未満の子供を扶養している母子家庭のお母さんと子供に与えられる手当なんですけれども、まあ与えられるという言い方はちょっとまずいですが、この児童扶養手当については、大臣のお言葉で、やはり母子の就業支援が基本であるので、県、市と協力し合いながら、例えば五年たっても仕事をする意思がない場合は既に法律で平成二十年度からは給付を半額まで下げられることも決まっている。そういった意味では、あめとむちがセットされた中での児童扶養手当をできるだけ地方と協力し合いながらやってまいりたいという整理であるとおっしゃったんですね。  一体、あめというのは何で、むちというのは何なんでしょうか。
  84. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 文脈読んでいただきましたように、就業支援というものを一生懸命やっていくという意味で申し上げたと。ただし、用語の使い方にいろいろ御批判もいただきましたんで、そこは割愛させていただきました。
  85. 円より子

    ○円より子君 用語の使い方がおかしかったというのは御自分で思われたわけじゃなくて、母子家庭のNPOの団体等から異議申立てがあって議事録削除となっておりますから、今ホームページで出ているものにはそこは確かに出ておりませんね。  あめとむちという言葉を使われたことを別に私それほど問題、それだけのことを問題にするわけじゃないんですけれども、大臣にお伺いしたいのは、何%の母子家庭のお母さんが働いていらっしゃるか、そのぐらいは御存じですよね。
  86. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 昨日御質問いただいたばかりですから、八〇%を超えていると承知いたしております。  母子家庭世帯数としては百二十三万、ですから、先ほど教えていただきまして百九十二万ということですから、平均一人半、一・五人の子供がいるというように今理解させていただきました。ありがとうございました。
  87. 円より子

    ○円より子君 あめとむちというような言葉を使われる前に、母子家庭のお母さんたちがどのくらい働いていらっしゃるかとか、どの程度の収入をお持ちなのかということをやはり知った上で、昨日聞いたからではなくて、去年の十二月の前の段階でやっぱり知っておいていただくのが当然ではないかと私は思うんですね。  今、ニートとかフリーターの問題も大変重要な問題になってきて、若い人たちがこの後三十代、四十代になったときも、なお非正規の社員、非正規雇用者として働き続けたら日本はどうなるかというような問題が出ておりますけれども、実は、母子世帯の子供は一般世帯の子供よりも中卒、高卒が多いんです。大卒は大変少ないんです。そうしますと、労働市場に登場する以前から子供の人的資本に格差が生じています。機会の不平等があるわけです。  日本でもアメリカでも、親の所得水準が高いほど子供の正社員率が高くて、親の低所得が子供の無業化を招くことはもう立証されているんです。御存じだと思いますけれども、大臣でいらっしゃいますから。そして、母子世帯の低所得が、母子世帯だからニートやフリーターになるんじゃなくて、母子世帯が低所得だから子供の低学歴に影響している。それも日米ともにはっきり実証されているんですね。こういう事実を知っていれば、私はあめとむちなどということは言えないと思うんですね。  それで、例えば十代の母子世帯がどのくらい働いているかとか一般世帯と比較なさったことがあるでしょうか。八十何%というのは、日本の女性の就業率がずっとM字型といって、子育て期間は子育てに大変なケア、負担が掛かるから、だからM字になって、その世代のところが労働力率が低いことは御存じだと思いますが、母子世帯は何十年も前からずっと台形なんですよ。全然M字じゃないんです。乳幼児であれ、学齢前の子供であれ、小学生であれ、いつでも働き続けなければ食べていけないからずっと台形なんです。そういう働き続けてきた人たちが、なぜじゃ母子世帯は低所得なんだと大臣お思いですか。
  88. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、データでお話し申し上げますと、平成五年就業率八七%、残念ながら今、平成十五年八三%、七十九万世帯だったものが百二十三万世帯。したがって、仕事を残念ながらできない母子世帯数が増えていることは事実でございます。まあ、円委員御存じだろうと思いますが。したがって、そういう部分にしっかり就業という支援をしていかなきゃならぬと、これはどうぞ御理解を賜りたいと思います。減ってきているんです、就業率が。  それからもう一つは、これはもう一つの議論になると思うんですけれども、平成十年の段階で平均収入額が二百二十九万だったものが、平成十五年で二百十二万円に下がっているんです、これも。そういった意味では、パート労働等の基本的な問題、いつもここで御議論いただいていますけれども、一つは非正規雇用からできるだけ正規雇用に転換をしていきたい、これ一つあります。それから、パート雇用のいい面もあります。それは時間的に短い。したがって、このパート雇用の場合に、正規社員と同じ仕事をしていながら今度は賃金の実態がどうだ、そういうものにやはり我々もしっかり目を向けながらやっていかなければならない。  そういう意味で、母子家庭というものに対して、我々はそれ以上の目配り、一般以上の目配りをしながらやらなきゃならないねということを申し上げております。  子供さんがどのぐらいのところで働いているか、正直言って、私は資料を今持っておりませんので分かりません。また教えていただければ有り難いと思います。
  89. 円より子

    ○円より子君 今大臣がおっしゃったように、パート労働、同じ仕事を正規雇用の人とやりながら賃金が大変低いことは、大臣のせいではなく、やはり労働組合も全力を挙げて、労働組合は春闘をやっていますけれども、もっともっとパート労働者も同一労働同一賃金になるようにしていかなければ、パート労働のメリットというその短時間だからというところは全く消えてしまうわけですよね。それはおっしゃるとおりだと思います。  しかし、バブルがはじけて以降のデフレ不況が長引いて、その間に、金融行政が大事だからといって銀行ばかりを重視して、何とか立ち直らせるような形でやってきた中で、国際社会でBIS規制だとか早期是正措置ですとか、もう様々銀行だって大変な思いをしてきましたが、ほとんど貸出しができないような状況で、やっと日銀が量的金融緩和はしましたが、それだって全く市場には流通しないような状況が本当に長い間ありまして、そうすると、零細企業とか中小企業の中でも資本力のない、体力のないところは相当つぶれていく、またリストラをせざるを得ないという状況で、母子家庭のお母さんの就労率が低くなったとおっしゃいましたが、彼女たちのせいじゃなく、そういうところでは、子供がいるというだけで面接試験五十も六十もはねられている人はたくさんいるんですね。景気のいいときは、三歳の子がいても能力があれば就職ができたんですけれども、この十五年、二十年、本当にひどい状況でした。ですから、仕事をしたくてもできなかったんです。まずそれがあります。  そうしますと、先ほど、午前中の審議の中で失業率が高齢者は四・〇に下がってきたと、先ほど大臣おっしゃっていました、午前中。ところが、もちろん母子家庭だって九%というような高い失業率からは下がりましたけれども、まだたしか七・七%というような一般や高齢者に比べて大変高い失業率なんです。これは仕事をしたくないからではなくて、先ほど言いましたように、何とか子供を育てていきたいから必死で仕事を探しているんだけれども、子供がいることで面接が全部駄目になっているという状況が本当にあるんですね。ですから、失業率が高い。  それから、先ほど私が言いました、なぜじゃこんなに必死で働いて職探しをしても母子家庭の収入が低いのか。母子家庭、本当低いんですよ、もう情けないぐらい。  もうこんなこともわざわざ申し上げることではないかもしれないんですが、一般世帯の一人、一人、済みません、どこに書いたかな、ごめんなさい、ちょっと後で話します。一般世帯と高齢者世帯の世帯ごとの収入ではなくて、一人当たりの収入というのは百万以下なんですね。八十たしか六万だったと思います。そうすると、一般世帯の三分の一よりは多いんですけれども二分の一以下というふうな、そういう状況で、高齢世帯が百九十六万だったと思いますので、その半分以下なんですね。  その今申し上げたような低い、必死で働いても低い状況にある一つは、これはなかなか言われていないんです。私も一人親家庭等の子供たちを支援するための議員連盟もつくって、坂口前厚生大臣やまた元厚生大臣の丹羽さん、丹羽先生等、皆さん入ってくださって一生懸命やっておりますけれども、なかなか学者の方でも、なぜこんなに低いんだろうかという調査が余り研究がなかったんですが、最近いろんな調査から分かってきたことは、母子世帯の子供の学歴が低いと先ほど申しましたが、実は母子世帯のお母さんの学歴が大変低い。例えば、一般の世帯、二人親ですね、一般といいませんで二人親世帯の母親では、大学、大学院卒業の割合は一〇・一%なんですが、一人親、母と子の母子世帯では四・二%ですし、中学卒業の割合は、一人親世帯では一九%、二人親世帯では七・五%で二倍にも膨れ上がっております。  このように、元々母親の学歴が低いと、今の社会では男女格差もありますし、その上に学歴格差というのはもうやはり歴然として私あると思うんですね。そうすると、学歴が低くてどんなに頑張って仕事を探しても低い収入のものしかないし、そして非正規社員、非正規雇用で働く人たちが母子家庭には大変多いことが、これも調査、データで出ているんです。  そうしますと、こういった数字をごらんになりますと、大臣としては、就労支援というのを満遍なくただやるよりも、何かしっかりやらなきゃいけないことが見えてくるような私は気がするんですが、いかがでしょうか。
  90. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 委員が母子家庭の母の就業の支援に関する特別措置法も作られたということも勉強させていただきました。  いずれにせよ、母子家庭に対してしっかりとした就労支援をしていく、それも国だけで行うんではなくて、地方としっかり手を携えながらやっていきましょうと、こういうことを御提案申し上げております。  特に、先ほど数字で御指摘いただきましたように、まず一番低い世代は、私の認識では十五歳から二十四歳の若者、失業率たしか八%を超えておると思います。その次に、そういう母集団で考えれば母子家庭の失業率が高い、これは間違いないと。逆に高齢者は、先ほど申し上げたように少しずつ改善をしてきている。ある意味では、社会経験というものを買っていただけている企業も出てきたということになるだろうと。当然、国としては、数字的に弱い部分に対してできるだけの支援を考えていかなければならない。  したがって、今、我々の大きな課題としては、一つはフリーター、ニートと言われる問題であり、もう一つはやはり母子家庭に対する就労支援であり、もっと突っ込んでいけば、男女の格差の問題、またパート労働と正規雇用の差の問題、そういう問題にもしっかり私ども目を向けながらやっていかなければならないと、このように思っております。
  91. 円より子

    ○円より子君 先ほど、なかなかデータが見付からなかったので、ちょっと訂正をしておきます。世帯人員一人当たりの高齢者は百九十六万一千円、母子家庭は八十七万三千円、一般世帯が二百四万七千円でございました。  それで、私がこうした母子家庭のお母さんたちの学歴が低くて、必死で働こうとしてもなかなか非正規雇用にしか、まあ経済の状況もありますけど就けないとか、そういう状況下で、じゃ母子家庭のお母さんたちにきちんと子供を教育していけるような収入を持ってもらうためにはどうするかという、かなり就労支援でも特化してやらなきゃいけないんじゃないかということで、何か大臣ございませんかと今質問をさせていただいたんですけれども。  実は、十代でも母子世帯になっている人たちがいるわけです。そうしますと、十代の母子家庭のお母さんが何と六二・二%働いているんですね、十代でも。もちろん未婚の十代の就労率というのは一五・二%なんです。ですから、若くても必死で働いている姿がここから見えると思うんですが。  今失業率が高いのは母子家庭よりも若い世代だとおっしゃいました。確かにそうなんです。ところが、その若い世代の子供たちの多くが母子世帯でもあるんです。これも大変重要な問題なんです。  私が是非、じゃこういう形はどうだろうかと提案させていただきたいのは、若者の雇用もそうですし、母子世帯のお母さんもそうだし、その母子世帯の子供たちもみんなそうなんですが、こういう状況が続きますと、貧困の再生産ということが行われていきます。逆に生活保護とかそういったものが増えていって、国としても、財政からいったって決していいことではない。  そうすると、働きたい人にきちんと働いてもらう状況をつくるためには、今のような私の、私がやったわけではないんですが、きちんとした調査が出ている、学歴が低いことから見ますと、何をしなきゃいけないかということは賃金の上昇を図るような就労支援が大事で、そのためにすることは、学歴形成を促す訓練とか教育支援が私は大事で、多分これは母子家庭のお母さんに限らず若者にも同じ共通して言えることだと思うんですが、三十代前半までにやはり正規の職に就けるような、そういった就労支援策が大事なんじゃないかなと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  92. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) そこは、母子家庭に対して特別な支援をしているかどうかは別として、切り口としては若者に対する支援、場合によっては、高校を中退してしまった、言われるとおりしっかりとした仕事に対する訓練がされていない、そういう者に対して、例えば文科省のサイドから、また私どものサイドから、また場合によっては仕事をしながら勉強していただくと、こういうようなスキームもでき上がっておりますので、それはその一人一人の皆さん方に対応しながら相談に乗っていきたい。そして、それは先ほどから申し上げていますとおり、国のハローワークだけではなくて、地方でもいろんな試みがされておるということは御承知だと思います。
  93. 円より子

    ○円より子君 若者だけではなく、是非母子家庭のお母さんたちへの就労支援もその実が上がるように、そうした学歴を付けるような、学歴形成を促すような就労支援を是非していただきたいと思うんですが。  先ほど大臣もおっしゃってくださったように、特措法を作った後、年次報告、母子家庭の母の就業の支援に関する年次報告が出ておりますけれども、政策効果というものが余り出てないんですね。  年次報告では、賃金水準が測定されておりませんし、雇用期間も示されておりませんし、常用雇用に就職できたとかって書いてあるんですが、就業支援策がなくても同じような年収二百万の仕事を紹介したとか、そういった形で、余り私には就業支援策の効果が上がっていると思えないんですね。自分たちで作っておきながら、その効果が上がっていないということは大変じくじたる思いがございまして、是非、本当の意味で就労支援が上がるようにしていただきたいんですが。  そこで、また大臣はちょっと、余りこの言葉を取り上げられるのはお好きじゃないかもしれませんが、さっきのあめとむちというのは削られたんですが、実は、五年たっても仕事をする意思がない場合は、既に法律で平成二十年度から給付を半額まで下げられると決まっている、これ、こういう解釈でよろしいんですね、これは。
  94. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 法律上はそうなっておりますけれども、これからですね、最終的な政令の定めは。
  95. 円より子

    ○円より子君 意思がない人というのは本当に少ないと思いますので、意思があって働いていても低収入である人には、この五年で切ってしまうということは、今五年で非正規から正規雇用になれる社会なら別ですけれども、それと両方をきちんとやっていただかないと子供たちも困るばかりだと思いますので、是非その辺りはきちんと配慮をしていただきたいと思います。  それから、今学歴を何とか付けて正規社員になれるような就労支援が大事だと申しましたけれども、もう一つ、私は自分でも子育てをしてきた経験から、乳幼児のときだけではなくて小学校に入ってからでも思春期でも、子供というのはやっぱり親がなるべく家にいることが大事だということはもう実感しているんですね。もう夜も仕事で私も外に出ましたし、それから土日も講演や何かあれば外に出るというようなことがあって、保育園のころは運動会とか何とか一年間の行事が大体分かっておりましたから、全部まず先にそれを手帳に書いて、どんなに仕事が入ってもそれはキャンセルして運動会に行くとかできましたけれども、特に国会議員になってからは一切そういうことができなくなりまして、宮仕えって本当こんな大変なのかしらと、子育てとなかなか両立し難いなと痛感したんでございますけれども、やはりそうやって仕事ばかりにかまけておりますとてきめんに子供から、何て言うんですかね、親としてはもう信じられないような逆風が吹いてまいりますので、やっぱり質よりも量という部分も大事なんじゃないかと、そういう気がいたしております。  ところが、母子家庭のお母さんたちは一人で育てていますから、先ほど言いましたように、非正規雇用で収入が少ない。少なくといっても、もう本当に八十万とか九十万とか、そんな年収ですとやっていけません。中学校にもやれない、高校にもやれない。足立区の今学業費の助成が増えているといいますが、ああいうのも母子家庭の方多いんですね。そうしますと、二つ三つ仕事を掛け持ちしていらっしゃる方がざらなんです。五時までの仕事から帰って、夜も皿洗いに居酒屋に行く、土日も別のところに働きに行く、そうするとどうしても子供は母親とも会えないというような状況があります。  そこで、私は、何とか土日とか夜ぐらいはお母さんが家にいて在宅就労ぐらいできないかなとか思ったわけです。これは障害を持つ方もそうですし、今後ますます高齢社会になっていきますから、高齢社会では毎日毎日ラッシュアワーに乗って、もちろん地方ではそういう職住近接ですからそれほどラッシュアワーでという通勤の地獄はありませんけれども、そういうことをしないでも、週に一日会社に行くとか、サテライトオフィスでみんなと会うとかというような形で、在宅就労というのは今後の私は労働政策のかぎだと思っているんですが。  実はここで個人情報保護法というのがネックになっておりまして、先日、これは読売新聞なんですが、「異議あり 匿名社会」という座談会がございました。この中に江川紹子さんというジャーナリストの方が、障害を持った女性に、保護法のために、個人情報保護法のことです、のために仕事を失ったと聞いたと。勤め先から営業先の名簿を預かって資料をそろえる在宅の仕事だったが、名簿を外に出して法に触れると言われると困るのでと言われたと。もちろん個人情報がみだりに流れては大変ですから、こういう保護法を作ることは大事だったと思うんですけれども、保護ばかりが優先して、情報の利用という、それとのバランスがどうも欠けているんではないかと思える節がございます。  そこで、この個人情報保護法の保護と利用のバランスを取るためにはどのようなことをしていらっしゃるのか。それによって仕事を失ったり、企業も萎縮して出せなかったりというようなことが余りあってはならないと考えるんですが、これは内閣府の方から御答弁いただけますか。お願いいたします。
  96. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答え申し上げます。  個人情報保護法上では、個人情報取扱事業者には、個人情報の取扱いに当たりまして従業者の監督あるいは委託先の監督に関する義務が課せられております。この義務につきましては、在宅労働の場合にも適用されます。このため、個人情報取扱事業者につきまして、個人情報の保護に関する基本方針の中でも、例えば委託の場合には、委託契約の中で、個人情報の流出防止を始めとする保護のための措置が委託先で確保されるよう、委託元と委託先の責任等を明確に定めるとともに、実効的な監督体制を確保するというようなことが求められております。こうした措置が講じられますれば、在宅労働を行う場合にも個人情報を取り扱うということは可能でございます。
  97. 円より子

    ○円より子君 個人情報を切り分けて、一人の人の在宅のところで個人情報が分からないようにするというような、私、余りデジタルの方詳しくないんですが、バーチャル・プライベート・ネットワークというんでしょうか、VPNというような、そんなシステムもできているように聞いておりますので、そういうものを駆使したり、また、今おっしゃったような、きちんと契約をして個人情報が流れないようにするようなことであれば在宅就労も可能だと思われるんですが、大臣、私が先ほど申しましたように、子供の育成のためにはお母さんが在宅就労をするような機関があって、それを母子家庭にも、また障害者の人たちにも高齢者にも今後在宅就労というものを広げていくということは必要なように思うんですが、いかがでしょうか。
  98. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 御指摘いただいたように、母子家庭もそうでありますし、障害者においても在宅の就労を進めていきたいと。一方で、プライバシー保護の問題ありますから、はっきり言って再委託の問題が引っ掛かってくると思うんですね。そこがどう契約をきちっとしてやっていくかと。自分が直接受けた場合は自分が責任を負うという中でかなり保護されていくんだろうと思いますけれども、再委託というときに、契約の問題でいろいろな問題が出てきます。だから、そこはやっぱり、逆に言えば大事な話ですから、個人情報保護はきちっとしなければならないと。しかしながら、言われるとおり、自宅で仕事ができるような環境整備、IT戦略の中で大きな柱の一つだと思っておりますので、しっかり進めてまいりたいと思います。
  99. 円より子

    ○円より子君 ここまで母子家庭の話をしてきましたけれども、実は父子家庭も、今父子世帯が十七万三千八百世帯ございます。そもそも、先ほどから申し上げていたように、離婚した母子家庭というのは大変厳しい生活を余儀なくされておりますが、父子家庭というのはどちらかというと、男女の賃金格差から考えますと、父子家庭は経済的には割合裕福なんだろうというふうな言われ方がしてきて、私もそうかななんて、大変あれなんですが、無責任なんですが、ちょっと思っていたところがあるんですが、調べましたら、もし父子世帯も母子世帯と同じように児童扶養手当を受けられるとしたら、一部支給を受けられる人、というのは収入が割合高い方の、高いといったって低いんですけど、上の方の人が七万二千人、父子世帯でいるんですね、お父さんが。それから、もっと、全部支給といいまして受けられる人は四万人にも上る。そうすると、両方で六四・一八%が父子世帯の中で母子世帯と同じように児童扶養手当をもらわないとやっていけないような貧困世帯であるということになってしまう。  そうすると、私がさっき言いましたような、父子世帯は割合収入がいいねというのは三割程度の人の話なんだなということになりまして、なぜかというと、やっぱり今の社会では育児休業を父親の取る率が一%もないのと同じように、男の人が子育てをするような職場環境になかなかないのが実態なんですね。そうしますと、子供を引き取った場合に残業ができなくなる、それから営業の仕事から内勤に変わるとか、いろいろ異動をして収入が激減したというような方々がいらっしゃいまして、こうした父子家庭への支援も、もしかすると経済的支援も含めて、今ほとんど支援がないような状況なんですね。必要ではないかと思われるんですが、いかがでしょうか。
  100. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) もう既にその数字も出されましたんであれですけど、母子家庭の平均収入百六十二万、父子家庭が三百二十万というのが一つの根拠になっておるようでございます。  実は私も疑問に思いまして、何で出さないんだと。実は私は、女房が働いたときに夫手当をもらってきたという経過があったものです。私も働いていたんですが、働いていたけど、外国の会社だったものですから、だんなの手当をもらってきまして、随分変わった会社だなと思ったけど、まあそんな会社もあったものですから、疑問に思って尋ねました。  一つは、やっぱり母子家庭では家計、父子家庭ではやっぱり家事に対する援助というのが一つの切り口としてあるのかなと。そういう意味では、市町村に対する保育所の入所に際しての特別の配慮、親の残業、病気などの場合に子供を一時的に児童養護施設などにおいて預かる子育て短期支援事業、親の病気等により家事や保育のサービスが必要になった場合に家庭生活支援員を派遣すると、こんな切り口をしっかり進めた方がいいんだろうという今は政策を行っております。  一方で、父子家庭で障害がある方々、ここについては父子手当が出るという対応をさせていただいております。  今後どうなるかということについては、もう少し勉強をさしてください。私のような意見の者もいるものですから。
  101. 円より子

    ○円より子君 大臣のお勤めになっていた会社は大変すばらしいと思いますし……
  102. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 女房の会社です。
  103. 円より子

    ○円より子君 はい。でも、そういうことは今まで余りありませんでしたから。  そういう意味では、男女雇用機会均等法もあれですが、父子家庭、母子家庭、男女にかかわらず、一人親家庭で育つ子供たちには同じようなやはり配慮をしていく必要がある。ただ、財政的な問題が悩ましいところではございますけれども、是非これから研究なさっていただきたいと思います。  さて、少し子供のことから離れるんですが、離婚の年金分割についてお伺いしたいと思います。  実は、この法律ができまして、ただ基礎年金だけだった女性たちが大変これはいい法制度に変えてもらえたとおっしゃっているんですが、いよいよその分割の時期が迫って、法の施行が迫ってまいりましたら、あちらこちらで、新聞、テレビ、週刊誌、いろんなところでこの離婚時の年金分割制度のことが出ているんですが、みんな私のところに相談にいらした方たちが、円さんの言っているのと違うじゃないかと言われるんですね。私、割と正確に伝えているつもりなんですが、新聞とかテレビで言っているの、違うわよと。みんな、とにかく今度法制度がちゃんと施行されれば、法律が施行されれば、もうすべて今までの年金が半分夫からもらえるように自動的になると。どうも、でも新聞にもそう書いてあるわよと言われるわけですよね。  それで、確かにこれ、ついこの間の日経新聞なんですけど、「現在、サラリーマンの夫と専業主婦の妻が離婚すると、元妻が老後に受け取る年金は最大で月約六万六千円の基礎年金のみ。離婚分割制度が始まる二〇〇七年四月以降に離婚すれば、婚姻期間中に夫が納めた保険料に基づく報酬比例年金を元妻が最大五〇%受け取れるようになる。」と書いてあるんですが。  例えば、二〇〇七年四月に離婚したとします。そうすると、その人がやっとそのときから年金を受け取れるようになるとしたら、本当に今までの婚姻期間中の半分が自動的にもらえるようになるのかどうか。この新聞だとそう読めるんですよね。  そこまで離婚を待つわという人が随分いまして、本当は年金のことだけなんかで離婚なんということはできないことは重々分かっております。夫が浮気をして何十年苦しめられても、夫の経済力があれば大体離婚しないという、そういうケースを山のように見てきて、やっぱり愛よりもお金なのかしらと、私なんか相談を受けながらもう愕然とした思いがございますけれども、だから年金だけのために離婚を待つなんということはもちろんないんですが、でも、今するほどいろんな原因があるんだったら待とうという人たちが多いんですが、本当にそういう了解でいいのかどうか、私は違うと思うんですが、いかがですか。
  104. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 社会に誤解があることは私も事実だと思います。もうちょっとしっかりPRをしなきゃならぬなと思いますと同時に、ちょっと最終的なところが詰まり切ってないところがあるようでございます。それまでになるべく早く詰めて、しっかりとしたアナウンスをしたいと。  一方で、こういうことが話題になりましたので、報道各社からも随分問い合わせがあって、正確に厚生労働省から知らせているんですけれども、報道のときになるとまた間違ってしまうということがありますので、私がしゃべるとまた間違えるかもしれません、少し読みます。  厚生年金のいわゆる離婚時の分割制度については、平成十六年改正により導入されました。これは、平成十九年四月以降に離婚する夫婦を対象に、十九年三月以前の期間も含めて、年金計算の基礎となる保険料納付記録を、納付記録なんです、納付記録を分割するものであり、これにより、例えば夫の厚生年金の一部を離婚時に妻に分割できることとなる。ただし、例えば夫から妻が分割を受ける場合、分割対象となるのは御夫婦が結婚していた期間中の保険料納付記録。つまり、会社へ入って五年後に結婚したと。その五年間、だんなさんが単身の時代は関係ない、一緒に生活していた時代ということが一つです。  また、分割割合は、夫婦間の合意若しくは裁判所の決定により定めることから、すべてのケースにおいて夫の厚生年金が一律に半分ずつ分割されるというものではない。また、基礎年金については分割の対象になりません。  で、納付記録が分けられるわけですから、自分自身が二十五年国民年金にきちっと、基礎年金に入っていたかというのが前提条件。そこで加算になるということですから、そこは特に、自分は何にもしてなかった、納めてなかったということではもらえないということは御理解賜りたい。  それから、なお、平成二十年四月からは、第三号被保険者、奥様ですね、専業主婦にかかわる厚生年金の分割制度も導入される。これは、例えば専業主婦の方が離婚する場合などに、二十年四月以降の第三号被保険者期間に限り、ですから二十年四月以降なんです。その期間における夫の保険料納付記録の二分の一を請求によって、これは裁判要りません、請求によって一律に分割できると。二分の一が取れる。これは二十年四月以降の権利ですから、どうぞ御理解賜りたい。  要は、一律に二分の一に分割されるのは、平成二十年四月以降に妻が第三号被保険者であった期間分であること、その他の期間については両者の合意や裁判所の決定により分割割合が決まる。また、そもそも夫が就業していた全期間の保険料納付記録が対象ではなく、あくまで婚姻期間中に限られる。そういうことでございます。  いずれにせよ、裁判所の実務を交えてもう少し詰めさしていただいた上、しっかりPRをしていきたいと思います。余り離婚に結び付かないようにお願い申し上げます。
  105. 円より子

    ○円より子君 大臣、詳しい御説明ありがとうございました。  結局、皆さんが誤解していらっしゃるのは、二十年以降のところの、例えば平成五十年に離婚したとします。そうすると、二十年からの三十年間の婚姻期間の半分は自動的にもうもらえるんですが、二十年に離婚したら、そこの部分は全然ないということですから、今までどおり、夫との合意ができればいいけれども、調停なり何なりで合意ができなかったらもらえないよということなんですが、もうそこで今までの分がもらえるんだわと思っていらっしゃる方が多いんですね。その誤解のところをしっかり、やっぱりそこの部分を割ときちんと言わないと皆さんお分かりにならないと。もちろんおっしゃるとおり、そういうことで離婚が増えないように私も願うものでございます。  それでは次に、産婦人科医不足と助産師の関係についてお話を聞きたいんですが、午前中に西島先生の方からも、福島県県立病院で産婦人科医が帝王切開ミスのことで一年以上たってから医師法二十一条によって逮捕されたという事件のお話がございました。亡くなられた方には大変気の毒だと思っておりますけれども、とにかくこうした医療事故を防ぐことが急務だと思いますが、西島先生からのお話にもありましたように、大変な激務で、一人でハイリスクのお産に臨んでいらっしゃるというようなことがこういう事故につながっているのではないかと思っておりまして、この逮捕を受けて実は産婦人科医になる人が減るんじゃないかという懸念もあります。そうしますと、私たち女性の側からしますと、ますますそんな産科医離れが進んでは安心して子供を産むことができなくなります。  そこで、実は私ずっとミッドワイフの会というのを助産師さんたちと何年も前から勉強会を続けておりまして、助産院とか自宅で産めるお産というのが、もちろんこのごろ病院でもいい形のお産がだんだん出てきてるんですが、そういう助産所や自宅で産めるような方向に持っていきたいなと思っておりまして。紀子様の御懐妊、大変おめでたいことで国民みんなが喜んでおりますが、実は今の皇太子殿下がお生まれになるときに、それまでは皇居内の、病院ではなく、自宅出産みたいな形でずっと皇室ではお産みになっていたのが、美智子様が初めて宮内庁病院でお産みになって、そのころから、GHQが、もちろん助産婦さんの、昔お産婆さんといったそういう制度を不衛生だなんて言って変えたところから病院出産がだんだん増えてきたんですが、特に皇太子殿下がお生まれになった辺りから急激に実は病院出産が増えたという状況がありまして、私たちは、やっぱり皇室を皆さんとても愛してらして、皇室にあやかっていろいろやりたいということがそういうところにまで現れるんだと思ったんでございますが。私も二十年ほど前に子供を産んだときに、お医者さんや何かにしかられて、下のコンクリートで、こんなところで子供落ちたらどうしようとかすごく心配しながら、すぐに抱かせてもらえなかったしというようなことがございまして。  そのミッドワイフの会というところで勉強会を始めてから、前にこの厚生労働委員会で助産師さんたちを呼んでお産の問題について質疑をしたことが、私はたまたまそこへ振替で来させていただいたんですが。そのときに助産師さんからこんな話、ビデオみたいなものを見せていただきまして、赤ちゃんは生まれてすぐにどんなふうな状況になるかというのを見て、ほかのビデオも見たんですけれども、じっと赤ちゃんがお母さんを見詰めて、おなかの上に乗せると、お母さんも赤ちゃんを見詰めて、覚せい水準と言うらしいんですけれども、そういう状況になるととても赤ちゃんがいとおしくていとおしくてしようがないと。暗いところで、おうちで産んで、羊水が付いたままの温かい赤ちゃんをお母さんはそのまま抱かせてもらえる。産湯をつかったりいろんなことをしてから、もうおくるみにくるまれて、はい、あなたの赤ちゃんですよというのと全然違う。暗いところでお父さんも赤ちゃんに声掛けると、赤ちゃんがお父さんの方を振り向くとか、そういう感動的な出産シーンを私幾つも見せていただいて、ああ、私も病院じゃなくそういうところで産めばよかったと、もう後の祭りなんですけれども。  そのとき、それでも子供を産むというのはとてもすばらしいことで、感動的で、私もお産の後で、ああ、二人目、三人目、もっと産みたいわと思ったようなことがありまして、お産というのはやっぱり女性にとって大変大事な体験だと思うんですけれども、そのいい体験をすれば虐待なんということもなくなるというふうにも言われておりますし、親子関係が大変いい形で愛着が生まれていくと私は思うんですね。  そのお産のときに、ですから私はずっと、病院出産も大事だけれども、そこの出産の状況をどんどん、今日も清水嘉与子先生もいらっしゃいますが、変えていってくださっていることは十分分かっているんですが、助産所で産みたいというお母さんも増えてきている。そういう人たちのためにも、私は、それから産婦人科医の医療事故を減らすためにも、是非助産師さんにもう少し出産を任せてはどうかと思っているんです。正常な出産にまで医師が立ち会う必要は病院でもないと思いますし。  しかし、今、助産師の少ないところがございまして、助産師の定数配置といいますか、実は医療事故は助産師さんのいないところで多く起こっているというデータもございまして、厚生労働省が医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会で、一か月に三十件以上のお産を扱う施設でも助産師が一人もいない施設が百十七か所あることが明らかになったと書かれておりますけれども。  そうした助産師が一人もいない施設で医療事故が起きている確率も高い中で、何とか助産師の活用をするためには、看護師とか保健師は定数配置が決められているんですが、これが大変あいまいなんですね。全く助産師の場合は何件以上出産があるところでは何人配置すべしというものがないんです。こうしたことをきちんと定数配置をなさり、そして業務の拡大も、もちろんそれは訓練と教育も含めてということですが、助産師さんの業務の拡大もして、お母さんたちが本当に安心、安全、満足のいくお産ができるような形に、そして選択肢があるようにすべきだと私考えているんですが、いかがでしょうか。
  106. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、助産師は正常産を扱うことができる、そうした意味から、今後とも産科医師と助産師の役割分担、連携を積極的に進め、安心、安全なお産ができる体制をつくってまいりたいと、このように考えております。  それから、内診行為を含め助産行為は分娩進行に伴う危険の予見とその回避のための業務であり、助産師以外には医師しかできない医療行為であることから、医師の指導の下に看護師が行う診療の補助行為とは異なるものであると。これらの性格から、助産師養成を看護師とは別に行っているところでございます。  医療機関で助産師を確保しやすい環境を整備するため、平成十八年度から助産師確保総合対策事業を創設するなど取組を今進めております。  それから御質問の中にありました産科医療を行う病院における助産師の配置について、現在医療法に基づき看護職員のうちの適当数を助産師とすることを義務付けているところであると。ですから医療はある程度決まっていると。一方で、診療所については、基本的には外来医療や短期間の入院医療を行うことを前提とした施設であることから、その従業者については原則として配置基準を定めておりません。  産科医療を行う医療機関については、分娩にかかわるリスクなど、妊産婦の状況や産科医師の配置状況が医療機関によっては様々あることから、助産婦の配置については国が一律の標準数を定めるよりも、各医療機関において個々具体的な状況を勘案して適切な配置を行うことがふさわしい。ただし、今回の医療制度改革におきまして、すべての医療機関に対し安全管理体制の整備を義務付ける、新たに創設する都道府県を通じた医療情報の提供制度を通じて診療従事者の配置など、医療機関情報の開示、ここは助産婦さんがいますというようなことも含めてきちっとやっていくということでございます。  御質問の中で一つだけ答えになっていないのは、義務付けてはおりますけれども、その数については明確にしていないと、そこは医療機関でしっかりとした判断をしてもらいたいというように考えております。
  107. 円より子

    ○円より子君 是非その定数配置について御検討いただきたいと思います。  助産師さんがしっかりいることが、そしてだれが助産師さんなのか分かるように、患者さんの方に分かるようにしていただくことも大事かと思いますし、助産外来とかそういうものを少しずつ作っている病院もあると聞いております。医師じゃなくても助産師さんができるような分野が大変多い。その定数配置とともに、今大臣おっしゃってくださいましたが、保助看法の三十七条、三十八条を、解釈では今、医療行為の禁止として、ただし臨時応急の手当てをし、又は助産師がへその緒を切り、浣腸を施しその他助産師の業務に当然付随する行為をする場合はこの限りではないとか、異常妊産婦の処置禁止も、これもただし臨時応急の手当てについてはこの限りではないとなっているんですが、しっかりと、例えば会陰裂傷の縫合ですとか産後出血に対する救急措置、早期新生児の救急蘇生など、こうしたものを、呼吸困難時の挿管訓練ですとか、いろんなもちろん訓練もきちんと、助産師の養育の中ではしてないらしいんですが、そういうことだけをすれば当然そういう業務拡大は可能だと思いますので、私は保助看法第三十七条、三十八条もただし書ではなく法改正をしていただきたいと思いますので、御検討いただきたいと思います。  それから、先ほど助産師が一人もいないところでの事故が多いと申し上げましたが、本当に医療事故のどういうものがあるかと話しましたら、もういろいろ調べていらっしゃる大学関係者やいろんな事故のあれのとか、どさっとこんなに送られてきまして、もう読むような暇もないぐらいなんですが、その中にこんなものもございました。  例えば平成十五年、診療所で、助産師は一人も雇用されておらず、看護師が婦長であり、看護師、准看護師が内診も含めすべての分娩を管理しており、遅発性徐脈が出現していてもその徐脈に気付くことはなかったと。その上、児頭、子供の頭ですね、が発露しても、准看護婦は、院長がいないという理由で、胎児仮死状態だったにもかかわらず四十分にわたり出生しないように児頭を押さえ続けたと。それで子供は仮死出産となり、精神運動発達遅滞の診断を受けている。こういうケースは山のようにあるんですね。  ですから、こんなことは助産師さんがいれば防げたケース、そうしたものがたくさんあるのではないかと思いまして、是非助産師さんの業務拡大、そして産婦人科医の不足をそこでかなり補えるようにすることや、また助産師教育も問題なんですが、欧米諸国では十八か月以上ですとか四年間きちんとダイレクトエントリーで最初から助産師の教育を四年間大学教育でやっている。そういったところもあって、子供とお産に関しては大変各国熱心なんですが、日本の場合はたった六か月しか、四年制大学の最後の六か月しかしないということで、まじめに助産師さんになりたい方々は大変困っていらっしゃるというようなこともございます。  その辺りも是非、大臣お忙しいとは思いますが、お産のことは、産んでほしいという少子化対策を幾らやっていても、こういうお産の実情ではお寒い限りでございますので、やっていただきたいと思っております。  それからもう一つ、嘱託医に関してなんですが、産科医が不足している中で、助産院で産む場合の嘱託医というのがなかなか産婦人科医が見付からないというケースがありまして、これはもう連携医療機関できちんとリスクのあるときにはすぐさまその連携医療機関に搬送できるような、そういう仕組みにすべきであって、もし嘱託医制度で産婦人科医として限定してしまうと助産院を選ぶことができなくなると思うんですが、いかがでしょうか。
  108. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ここのところは、先ほどから御議論ありますように、お産という一つの行為の中で医師と助産師が責任を持ってやっていくということでありますので、今まで嘱託医については様々な開業医が引き受けてまいりましたけれども、今回の医療制度改革においては産科医師とさせていただくと考えております。  今回の制度改正において、嘱託医師に加え助産所に産科等を標榜する連携医療機関を定める、これはもう当然だと思いますけれども、させていただくということで、冒頭申し上げたように、やはり産科医と助産師さんがしっかり連携を取りながらやっていくということでどうぞ御理解を賜りたいと思います。
  109. 円より子

    ○円より子君 助産師だけでもできる正常なお産と医師がかかわらなきゃいけないところの、もちろん連携大事なんですがその辺はしっかり分けていただき、そして嘱託医だけの制度じゃなく、今おっしゃったように、連携医療機関でオーケーという形にしていただきたいと思っております。  そろそろ時間がなくなってきましたので、助産師の方はこの程度に、出産の方もいたしまして、ちょっと幾つか言っていたのを飛ばさなければいけなくなりましたけれども、内閣府にちょっとお聞き、大臣にもお聞きしたいんですが、今まで言ってきたような子供たち、母子家庭等の子供たちやそれから非嫡出子の子供たち、そういった方たちへの対策というものをしっかりしていくことが少子化の一つの対策にもなると思うんですが、今までそういったことをされてきたのか、また少子化対策の中でこれから入れるおつもりがあるのか、これはもう内閣府で結構ですが、お聞きしたいと思います。
  110. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) 政府におけます少子化対策は、御承知のように少子化社会対策基本法、それに基づきます少子化社会対策大綱、さらには子ども・子育て応援プランに沿って推進をされているところでございます。  この大綱プランの目的は、社会全体で子供の育ちや子育てを応援する環境づくりを進めるということでございますので、すべての子供を対象にして少子化対策を進めておるところでございます。特に、本日話題になりましたような一人親の家庭のお子さんのように、特に支援を必要とする子供とその家庭に対する支援の充実を図るというようなことも大綱の中には記述されておるところでございます。  いずれにいたしましても、子供は皆平等であるという基本的な考えの下に、苦しんでいる子供がいるならばその子供たちの幸せのために必要なことは何かという視点で、関係省庁と連携をして様々な施策に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  111. 円より子

    ○円より子君 文部科学省もせっかく来ていただいていますよね。なのでちょっと質問をさせていただきたいんですが、二つ続けてさせていただきます。  先日、少子高齢社会調査会の方で浜松の方に視察に行かせていただきまして、浜松市は御存じのとおり日系ブラジル人の方々が大変多いんですね。そこで子供たちのカナリーニョ教室というのがございまして、親とのコミュニケーションが途絶えないように、ブラジルの、つまりポルトガル語等を勉強するのと日本語の勉強などをしておりました。その浜松で、そういう子供たちに対してどのレベルまで学校、日本の教育を受けたいかというと、大学卒業までというのが五一%もございました。  そして、その先生たちのあれで、外国人枠、海外帰国子女枠ができたんだから、是非外国人枠などをつくってもらえれば、文部省にですね、そうするとその子供たちが定着して就労も良くなり、そしてそうした外国人だからといって差別されたり犯罪なども起きなくなるんじゃないかというお話があったんですが、この点が一つ。  それから、今日もう少しやりたかったんですが、中絶で十代や二十代の前半の中絶が大変増えております。もしちゃんと妊娠をしても学業が続けられそして就労ができるような社会状況であれば、つまり非嫡出子として差別されるようなそういう状況がなければ、この中絶はかなり私は食い止められて子供たちの数が増えるんじゃないかと思っておりまして、文部科学省にお聞きしたいのは、そうした子供たちへの学業の支援があるのかどうか、この二点をお願いいたします。
  112. 徳永保

    政府参考人(徳永保君) まず、大学の入学者選抜の点からお答え申し上げます。  御承知のように、大学の入学者選抜、これは大学教育を受けるにふさわしい能力、適性を判定をするということでございますので、公正かつ妥当な方法で実施するのが基本でございます。  しかしながら、当然入試に関して例外的な取扱いが必要と考えられる場合には、各大学の判断で様々な工夫や特別な選抜も行われております。  御指摘の大学入試で外国人労働者の子供たちのための特別な枠を設けるということの、まあ具体的にどのような取扱いを求めるか、ちょっと私どもの方では明確ではございませんが、各大学でそれぞれの入学者受入れ方針に基づいて適切に判断して、特別な選抜を行ったり受験者の負担軽減を図るようなことは可能だと考えております。  ただ、その際も、やはり受け入れた大学におきまして責任を持って受け入れた後の教育を行うこと、あるいはまた学生も十分学んでいけるということが大切であると考えております。
  113. 円より子

    ○円より子君 最後に大臣に一つお聞きしたいんですが、外国人労働者の場合も、例えばハローワークの利用を見させていただきますと、一般の日本人の場合は求職者の数に対して就職件数が三一%という就職率なんですね。ところが、外国人の労働者の場合は二一%となっておりまして、できるだけこういうところでも外国人の方の就職ができるように、そして子供たちがそれによってまた教育を受けてやっていけるようにということが、今後、外国人の労働者の受入れについては慎重論、賛成論、様々あるでしょうけれども、既に来ていらっしゃる方々の子供や家族をしっかり支援していくというのは大変重要なことだと考えるんですが、どのような厚生労働省としては外国人の子供たちに対する支援を考えていらっしゃるか、それをお聞きして終わりたいと思います。
  114. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私の住んでおる伊賀市というところも五千人ぐらいいらっしゃいますでしょうかね。かつて、六万人の市で五千人ぐらいの外国人労働者、したがって、家族入れると一万以上になるんでしょうか、そうした状況にあります。私の息子の同級生にも日系人がいました。  その中で、最大問題はやっぱり日本語教育、これをどうするか。地域でも随分悩みながらやっています。三重県の警察は年に二人ぐらいブラジルに言葉の勉強に行っているんでしょうか、そんなことも含めて、地方ではこの問題をどういうふうに全体としてやっていくか。特に、教育を中心に大変苦労されているということは事実だろうと。そういった意味では、しっかり国の方からもウオッチしていかなけりゃならぬなと思っております。  一方で、日系人の多い全国六十九か所のハローワークに、ポルトガル語、スペイン語の通訳を配置した専門のコーナーを設置し、職業相談、職業紹介を実施しております。言葉の問題等より就職の困難の人たちが多うございますけれども、何とか細かい指導をしながら少しずつ努力していきたいと。求職者数、十六年実績で七千二百四十六人。残念ながら就職者数は千六十四人、一五%というのが現状でございます。そういった意味で、やはり教育の段階からしっかりしなきゃならぬなと、こう思います。
  115. 円より子

    ○円より子君 ありがとうございました。終わります。
  116. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日です。  フレッシュな円議員と違って、厚生労働委員会、古ダヌキでございます。五十分ほどの時間をいただきましたので、あえて大臣が所信の中で一言も触れられなかった問題に絞って質問をしたいと思います。少々残念でありました。  一つのテーマは、去年の七月十五日から施行段階に入っています心神喪失者等医療観察法の施行状況について、それからもう一つは精神保健医療福祉施策の具体化について、この二つのテーマに絞って質問をさせていただきます。是非大臣もこの機会に勉強していただきたいというつもりでありますので、よろしくお願いします。  まず最初にお尋ねをしますが、法務省の方から来ていただいています。  去年の七月十五日にこの心神喪失者等医療観察法が施行されました。今日が三月の十六日ですから、ちょうど八か月経過をしております。直近の状況を是非お知らせください。例えば、この医療観察法に基づく申立ての決定は何件ぐらいあるのか、そしてその審判の結果はどのような結果になっているのか、その対象者については例えばどのような刑事処分における種類や対象行為があったのか等、ざくっとした数字で結構ですので、直近のデータをお示しください。
  117. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) 私どもの方で把握しております限りで申し上げさせていただきますと、この法律が施行をされました昨年七月十五日から本年二月二十八日までの間でございますが、検察官が行いましたこの法律による医療等に関する決定を求める申立ては合計で二百一件でございます。  それに対します決定でございますが、まず、入院決定が八十二件でございます。それから、通院決定が三十一件。それから、この法律による医療を行わない旨の決定が十二件となっております。またさらに、四件につきましては申立てを却下する決定がされたというふうに承知しております。  それから、それらに関しまして検察官の処分等がどのようなものであったかということでございますが、この申立てに、先ほど申し上げました二百一件につきましては、不起訴処分に基づく申立てが百七十九件、それから確定裁判、無罪等の確定裁判に基づく申立てが二十二件あるというふうに承知しております。
  118. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ちょっと御説明から抜けたんじゃないかと思うんで確認しますが、申立てが二百一件で、先ほどお話しいただいた審判の決定をいただいたのが百二十九件ですから、そうすると残る七十二件はどういう状況なんでしょうか。
  119. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) 先ほど申し上げましたのは、申立て件数が二百一件ということでございます。それから、先ほど申し上げた期間の間になされた決定の件数がそれぞれ申し上げたとおりでございますので、まだ申立てをしたけれども決定に至っていない事案というのもあると。要するに、裁判所にまだ係属しているものもあるというふうに御理解いただければと思います。
  120. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そうすると、まあいろんな処遇の形が想定されますけど、一応、鑑定入院なりなんなりしている数がおよそ七十二名というふうに受け止めてよろしいですか。
  121. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) それでよろしいかと思います。
  122. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それじゃ次に、そういう決定を受けてですね、約七十二名の方が鑑定のための入院をされているようだと。で、既に審判の決定を受けた百二十九件のうち八十二件が入院決定をされているということですが、この八十二件の方について何人くらいがどこに入院をされているのか。お手元に資料を配らせていただきましたので、できればその資料を活用しながら厚生労働省の方から御説明いただきたいと思います。
  123. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 御答弁申し上げます。  お手元に配付されております資料に基づいて御説明いたしますと、現在、指定医療機関は五つございます。その名称、所在地等はここにお示ししたとおりでございます。定員等もここにお示ししたとおりでございます。  現在入院されている方、総数でいいますと八十一名でございます。それから、それぞれの病院ごとの人員の配置状況、ここについてもここにお示ししたとおりでございます。  なお、男女比につきましては、おおむね八・五対一・五、男性が八五%、女性が一五%、このような状況になっております。  以上でございます。
  124. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ちょっと通告しておりませんでしたが、今お示しいただいた指定入院医療機関は五つの医療機関名が挙がってます。これトータルすると約百二十床分は既に整備されてるというふうにこの表から読み取れます。  しかし、先ほどの法務省のお話からいくと、七十二名程度の方が鑑定入院をされてて、近々審判の決定がされてくるということで、その中でまあ何人入院決定があるか分かりませんけど、これで足りるのかなという心配がちょっと今感じるんですが、この点はどういう状況になってて、どうされるおつもりですか。
  125. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 御答弁申し上げます。  厚生労働省管下では十四の精神科病院がございます。そこの病院すべてに医療観察法に基づく病棟を整備しようという方針を定めまして、順次整備を進めているところでございます。  現在、私たちが持っております病床ということでありますと、ここにお示しいたしました五病院百二十床でございますが、今後とも整備を進めまして、不都合がないよう最大限の努力をしてまいります。
  126. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それでは次に、実はまだ法律の施行に入って半年ちょっとということで、必ずしも詳しいデータというか資料が手に入っていないんですけれど、私のところには現段階でもう既に幾つかこんな例があるけどもどうなんだという問い合わせが来ているわけです。そこで、幾つか、必ずしも正しい情報ではないかもしれませんけど、お尋ねをしたいと思います。  一つは、この法律に基づく対象となる疾患は、単なるアルコール依存とか人格障害は対象にはならない。かなり重度の統合失調症など精神疾患があって、心神喪失もしくは心神耗弱状態の方がその対象になると。しかも、この法律に基づく医療が必要な人という対象が決められていたと思うんですね。  そこで、一つは、実際に単なるアルコール依存とか単なる人格障害というだけの診断名で審判の結果入院に決定されている方があるのかどうか。こういう事例はちょっと詳しくその資料をいただかないと判断がしにくいので、より正確に判断するために、入院決定となった方々についての病名等について事例的に資料を提示いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  127. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) 決定になりました対象者の方々の病名といいますか、精神障害の内容につきましては、私どもも現時点におきましてその決定内容を網羅的に把握しているというわけではございませんので、委員指摘事例というものにつきましても、必ずしもどれがどういう形でお話が委員のところにあったのかということを必ずしも正確に把握することはできないわけでありますけれども、この法律の施行状況につきましては可能な限り御説明できるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  128. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 いや、可能な限りでなくて、それを判断をするためには基礎的な資料が欲しいんですよね。だから、今すぐ出せというつもりではありませんけど、この法律の対象者としてどういう方が、まあ間違いなくというか、きちんと判断されているのかどうかを検証したいわけです。ですから、一定時期、まあ五年先と言われても困るんだけど、例えば一年なら一年を区切ったところで、どんな事例がどんな診断名でどんな処遇を受けているかということの基礎的な資料ぐらいは出していただいていいと思うんですが、どうですか。
  129. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) この委員会への資料の提出につきましては、当然のことながら委員会の御指示に従って対応させていただきたいというふうに考えております。  なお、御要望の資料につきましては、今お話にありましたように決定書きを検討する時間、あるいはプライバシーの問題などを考慮する時間等もございますので、その点について御配慮いただければというふうに考えているところでございます。
  130. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 是非、考える材料というか検証すべきデータ、素材を提供していただきたいと思います。  そのことを前提にしてあと幾つか伺いたいんですが、例えばですね、今回の制度に基づいて鑑定のための入院になったと。ところが、そもそも該当する行為をしたかどうかのところで認定が正しくなかったと。したがって、当然この制度には該当をしないということになったと。その間、一か月、二か月、三か月の間、本人は入院をさせられて、経済的損失も含めてダメージを受けたという事例を伝え聞いてるわけですが、こういう場合にはその間の経済的損失等を含めて何らかの形で手だてを講じられるべきだというふうに思うんですね。行く行くは、最終的には国家賠償法に基づく手だても考えざるを得ないのではないかと思ってるんですが、こういう場合についてはどういう手だてを想定しておりますか。
  131. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) 医療観察法に基づく鑑定入院が行われた後に、その審判の結果、対象行為を行ったとは認めることができないということで申立てが却下されるということは想定されるわけでございますが、その場合の損害の補償と、あるいは賠償ということにつきましては、公務員の違法な行為によって損害を与えたというような場合に国家賠償法の適用によって賠償を受けることがあり得るということでございますので、御指摘のような場合にも、そういうことがありますればその賠償を受けることがあり得るというふうに考えているところでございます。
  132. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そのことは承知してるんだけども、その国家賠償法に基づく手だて以外には想定していないのかどうか、念のため確認します。
  133. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) それ以外にこの法律あるいはその他の法律で補償をするということは想定をしてございません。
  134. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 本来こういうことがあってはならないわけですけど、既に先ほどの御報告でも四例ほど却下という例があったわけで、これ詳しくどういう理由で却下になったのか検討してみないといけませんけれども、少なくともその一番物事の最初の対象行為そのものの判断が間違っていたというような場合には、これはもう少し国としての責任をどう取るのかということも含めて検討すべきではないかという意見だけ申し上げておきます。  さて、その次に、今日はいろんな問題をお伺いしたいんですが、特に指定入院医療機関に入院決定を受けて入院する前の段階の、申立てを受けて鑑定入院をする、この鑑定入院の部分について絞って幾つかお尋ねをしたいと思います。  御存じのとおり、この医療観察法では、例えば入院決定となったその受皿となる指定入院医療機関あるいは指定通院医療機関等についてはかなり詳しい規定がされていて、あるいはガイドラインが設定されていて、それに基づく医療の提供とかあるいは施設の運営がされなければいけないと、こういうことで国会の審議においても随分細かい部分も含めてやり取りがありました。ところが、その指定入院医療機関に入るまでの鑑定入院の期間、この鑑定入院の期間についてのその責任の所在というか、あるいは基本的なサービスの提供の在り方というか、あるいは患者さんの処遇の原則というか、そういう問題について極めてきちっとした詰めができていなかったように思えてなりません。これはまあ私どもの責任もあると思うんですが。  そこで、改めて法務省と厚生労働大臣にお尋ねしたいと思いますが、その指定入院医療機関に入院するまでで、以降ではなくてこの鑑定入院の入院の期間、当然この期間、鑑定という業務もあるわけですけれども、同時に精神科的な治療を行うということも並行して行われるわけで、この鑑定入院中の処遇なり治療の在り方なりについてどこかがきちんと責任を持ってフォローしなければいけないというふうに思うんです。  いろいろお聞きしますと、鑑定入院を命ずるのは裁判所であると、しかしそれぞれの制度的な所管は法務省と厚生労働省と共管でやるという答えで、何かこう、どこがどうきちっと責任を持って当たっているのかどうもよく見えないんで、ちょっとその辺について改めて法務省と厚生労働大臣からの所見を伺います。
  135. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) この心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の処遇という問題につきましては、今委員のお話にありましたように、この法案審議の段階からいろいろな御議論ございまして、そもそも司法と医療が連携をしてこれに当たるべきであるという御意見が非常に強かったわけでございますが、そういったことも踏まえまして、この法律というのは法務省と厚生労働省が共管で作成させ、あるいは運用させていただいているところでございます。  御指摘の鑑定入院につきましても、審判の過程で裁判官の命令によって行われるものであるというわけですが、その一方で、医療施設に入院をさせて精神医学の専門的な観点から鑑定その他医療的観察を行うものということでございまして、その鑑定入院における在り方につきましても、やはり法務省と厚生労働省が正に連携をして対応をすべき事柄であるというふうに考えているところでございます。
  136. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) お話しいただきましたように二年前、坂口大臣でしたでしょうか、正に医師としての御経験も加えた上で御苦労された法律だと思っております。大臣のその当時の見解を踏襲しながら答弁をさしていただきますので、お許しを賜りたいと思います。  鑑定入院は、鑑定その他医療的観察のために行われるものであるが、医療施設において精神科医により鑑定等が行われるなど精神科医療と密接に関係する部分があることから、厚生労働省としては、必要に応じて精神科医療に関する知識や技術の面から関係省庁等に協力してまいりたいと考えております。
  137. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 いや、だから、確かに共管で、共同してというのでは分かるんですがね。  そうしたらちょっと、もうちょっと具体的に聞きましょう。二つあります。一つは、指定入院機関においては様々なその入院治療に関するガイドラインや患者処遇の原則も含めて一定のものが作られているわけですね。これは、見本は精神保健福祉法における幾つかの原則やガイドラインを参考にして、指定入院医療機関においてはこうですよというのを作ったわけです。で、そういうものに類するものを鑑定入院中も当てはまるようなものを作るべきだと私は思うんですが、この点についてそれぞれ法務省と厚生労働省とお考えをお聞かせください。
  138. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) 鑑定入院中の医療につきましては、まずそもそも鑑定入院というものが法律の規定によって鑑定その他医療的観察を行うためのものということでございますので、基本的にはその鑑定その他医療的観察のために必要と考えられる医療、あるいはその鑑定その他医療的観察の目的に反するものでない医療といったものを行うことができるというふうに考えられるわけでございますが、では具体的に個々の対象者に対しましてどのような医療を行うかというのは、正にそれぞれの患者さんの病状等を踏まえまして、必要性、相当性を判断して決定されるものだろうというふうに考えております。  その場合、私どもといたしましては、通常の精神医療、これは精神保健福祉法に従って行われているものと思いますけれども、こういったものを提供している限り問題を生じるものではないというふうに考えているところでございまして、そのことにつきましては、法務省とそれから厚生労働省協議の結果に基づきまして文書で明らかにしているところでございます。  今後とも、この鑑定入院医療機関における医療の在り方につきましては、いろいろな実情等を把握して、また厚生労働省とも協議して問題のないようにしていきたいというふうに考えているところでございます。
  139. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ちょっと確認です。じゃ、厚生労働省協議をしてきちっとした文書で既に示しているという今の回答でしたが、そういう理解でいいんですか。
  140. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) 先ほど申し上げましたように、通常の精神医療を提供している限り特段の問題は生じないというふうに考えているということを示しているという、そういう趣旨でございます。
  141. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 いや、だから、私が求めているのは、通常の精神医療においては精神保健福祉法の適用を受けてそれに基づく処遇の原則とかあるいは治療のガイドラインとかが一応定められていて、指定入院医療機関についてもそれに準じた形でそれぞれ定めがある、作られていると。ところが、どうも鑑定入院のところだけそういう部分がないと。だから、そこは精神保健福祉法の適用を受けている病院と同じようにそれに準じて考えなさいというふうにはっきり言えるのかどうか、そこを聞いてるんですよ。新たに文書を作るか、準ずるかということをはっきりしてほしいんです。どうですか。
  142. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) やや繰り返しになるかもしれませんが、鑑定入院というものが、鑑定その他医療的観察を行うためという目的に照らして、それに必要な限度あるいはそれと抵触しない範囲で医療を行う、あるいはそれに必要な範囲で行動制限を行うといったことになるわけでございますが、具体的にどのようなことができるのか、あるいはできないのかといったことに関しては、先ほど申し上げましたように、精神保健福祉法における医療等を行っていただく限りにおいて問題は生じないということをお示ししているという、そういう趣旨でございます。
  143. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 厚生労働大臣
  144. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 追加をして御説明を申し上げます。  鑑定入院中におきます医療につきましては、ただいま法務省からお話ございましたとおり、協議の上で精神保健福祉法に基づく入院において提供される医療と同様の内容であれば問題はないと、このようにお示ししているところでございます。  そのお示しした文書でございますけれども、やはり私たち厚生労働省としても、司法と医療と両方でこの制度を支えていくという観点から、今までは裁判所、検察官の方が鑑定をされる方をお探しになって御苦労されていたわけですが、じゃ私たちもそういうお探しになるところについては御協力を申し上げようということで、各都道府県にお願いをいたしまして、適切な方を、医療機関を御推薦いただくようにお願いしたところでございます。その中で、やはりお受けになる医療機関としてはどんなことをしたらいいんだろうかと、こういうふうに思われるというのは当然でございますので、法務省などと協議の上で、現在、精神保健福祉法に基づく入院において提供される医療と同様の内容であればということでお示ししたというわけでございます。  いずれにしましても、鑑定入院が適切に運営されますよう、厚生労働省としては必要に応じまして精神科医療に関する知識や技術の面から関係省庁などに御協力してまいりたいと、このように思っております。
  145. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 私は、確かに、もちろん協議は必要ですし、協力必要ですし、通常の精神保健福祉法上の言わばレベルを確保してればという説明は、それはそれで分かるんですけど、鑑定入院というのは、ある意味では鑑定という作業とそれから入院治療という作業を並行しなければいけませんし、しかも一番最初に、ある意味では最も急性期のところを受け持つ病院ですから、かなりレベルは高い水準が要求されると思っているんですよ。だから、むしろそこには、そこに合わせたより高いレベルのスタンダードがあってしかるべきだと思っているんです。だから、一般の精神保健福祉法上のルールあるいはガイドラインのレベルを満たしていればそれでいいじゃないかという説明では足りないんじゃないかということを申し上げているんです。  是非一度、これは再度検討をしてみていただきたい。むしろ私は、求めるべきレベルは指定入院医療機関と同じレベルを求めるべきだと思う、鑑定入院中もと思うんですが、その点は何かコメントありますか。
  146. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) 精神医療の、何といいますか、中身そのものに入ってまいりますと、なかなか法務省の立場でこうだということが申し上げにくい部分もございますけれども、いずれにしましても、その御指摘も踏まえまして、今後ともそういった鑑定入院におけるいろいろな処遇の、あるいは医療を含めた取扱いの在り方につきまして、現状、実情を十分に情報収集しつつ、厚生労働省関係機関とも協議をしながら問題のないように、あるいはどういう問題があるのかということも検討してまいりたいというふうに考えております。
  147. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 もう一つ具体例。今、医療のレベルの話をしていましたが、もう一つは、鑑定入院中の入院している患者さんの生活費。当然、家族がいたり自分で財産を持ってればそれはそれでいいんだけれども、しばしばこういう形で入院になった人は、言わば行路病者のような形で着のみ着のままで入院ということがあったりする。家族もすぐには連絡は付かない、金銭も本人は持ってない。しかも判断能力はかなり損なわれている。そこで、あしたからの歯ブラシも買えないという状態。つまり、鑑定入院中の日常生活費はどのように考えているのか。  つまり、今のような家族もいない、本人も自発的にこうしてくれ、ああしてくれと言える状況ではない、しかしあしたからの歯ブラシが足りない、さあどうするというときに、たしか鑑定入院に関する費用は裁判所から病院にお支払していると思うんだけど、私の理解は、それは鑑定のための医療を受けるための費用であって、患者さんの生活費までは含んでいるのかいないのか、いないんじゃないかと思うんですね。そうすると、そういう例はどうしたらいいのかということをそれぞれ法務省と厚生労働省と、どう考えているか聞かしてください。
  148. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) 日用品の購入費など鑑定入院中の対象者の生活費につきましては、基本的には一般の入院患者の方と同様に本人の負担になるというふうに考えているところでございますが、御家族が十分そういう関係での面倒が見られないというような場合にはどのようになるのかということかと思います。  この法律の仕組み上で申し上げますと、検察官によるこの審査の申立てがなされた場合には、対象者には必ず弁護士である付添人が付されるということになっておりまして、鑑定入院命令が発せられた場合にはその付添人及びそれから保護者に対しましてその旨の通知がなされますので、鑑定入院中の対象者の問題につきましても、こういった付添人あるいは保護者の方によってしかるべき援助が期待されるのではないかというふうに考えているところでございます。
  149. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) ただいま法務当局から御答弁ございましたけれども、大体そのラインですが、やはり鑑定入院中の対象者の日常生活費につきましては、一義的には対象者御本人あるいはその家族などが負担すべきものと考えております。しかし、不動産などの資産ですとか扶養義務者による扶養といった能力など、すべてを活用した上でもなおかつ困窮のために日常生活費を負担することができないと、こういう場合におきましては、生活保護の申請手続、これを速やかに行っていただくことが必要になる場合もあるというふうに考えております。  これはその他の病院あるいは精神科の医療の中でも起こることでありますけれども、鑑定入院の方がどのような理由で日常生活費を確保できないのか、よく精査する必要もありますけれども、やはり適切な申請手続を行っていくと。このような趣旨から、関係省庁や医療機関を含めました関係者に対しましては、必要に応じて制度の理解の促進あるいは手続の周知、このようなことを努力をしてみたいと思っております。
  150. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 一般的なお答えとしてはそうなるのかもしれませんけど、よく考えてください。この法律の一番対象は、心神喪失若しくは心神耗弱状態の方で、しかも重大な犯罪を起こしたという方が対象なんですよね。だから、そういう意味でいうと、本人の財産というか、金銭が原則というような原則をあえておっしゃるのは分かるけど、しかし現実にはやっぱり相当の配慮をきめ細かくしないと、日常品費にも不足するという事態が想定されるし、それに近い話を聞いているものだから、あえて聞いているわけです。  是非これは、先ほどの医療のレベルの話とまた違って、生活費をどうするかというレベルの話ですが、両省きちっと連携を取って、十分な配慮をしていただきたいということをお願いをしておきます。  それで、この問題の一つの区切りとして最後に確認しておきたいんですが、この半年間の例、まだまだ十分正確な資料を得てないので、必ずしも正確な判断ができてないのかもしれませんけど、相当次々と問題が出てきているんじゃないかというふうに私思えてなりません。まあ、初めての法律ですし、そういう意味では幾つかの問題が出てくることは、それはそれである意味では当たり前だろうと。問題は、それをきちっと、その問題点なり資料なりをきちっと集めて、それぞれが例えば司法のサイドと医療のサイドがちゃんと見て、レビューをして、問題があれば現場に返すという、こういうことをきちっとやることが一番大事だと思うんですね。そういう丁寧な積み重ねの上にこの法の運用がより適切になされていかなければいけないと私は思う。  そこで、そういう方向で努力される姿勢があるのかどうかということと、そのための体制をきちっとつくる必要があると思うんですが、この点について法務省と厚生労働大臣にお伺いします。
  151. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) ただいま委員指摘の点につきましては、法務省といたしましても、この法律の施行状況につきまして各検察庁等から報告を受けてその実情の把握に努める一方で、厚生労働省その他関係する機関と問題がないのかどうか、あるいは改善すべき点があるのかどうかといった点につきまして必要な協議を十分に行って、今後とも適切な運用に努めてまいりたいというふうに考えております。
  152. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今の御質問の中で、医療の問題と生活保護の問題、生活費イコール生活保護の問題まで出てまいりました。そういった面で、厚生労働省、法務省としっかり連携をしながらやっていく。今日も二人の担当者を呼んでいただいて、そういう意味ではしかと今も言ってもらいましたけれども、私の方からも二人にしっかりやるように申し上げておきます。
  153. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 是非、これ大分、文化が違うというか基礎的発想が違うというか、法務省と厚生労働省、ある意味では司法精神医学というのはある種まだ日本では非常に未熟な分野なんですよ。だからこそ、私はこの法律そのものに必ずしも全面的に賛成をするものではありませんが、せっかくスタートしたんなら運用をきちっと丁寧にやって適切な形に動いていくような努力は両省できちっとやってほしいと思うんですね。そういう意味で、是非現場からの意見を受け止めながら、責任のなすり付け合いをするんではなくて、問題の共有をできるだけ図るように是非お願いをしたいと思います。  じゃ、あと時間が足りなくなっちゃいましたので、次の課題、幾つか質問をはしょって質問させていただきます。  精神保健医療福祉施策の具体化について。これは先ほど大臣おっしゃったように、さかのぼると坂口元厚生労働大臣、そして尾辻前厚生労働大臣のときからずっと引き続いている課題でありまして、まず最初に大臣にお伺いします。  二〇〇四年、ですから、おととしの九月に精神保健医療福祉の改革のビジョンというものが策定をされました。私は、この改革ビジョンというのはそれなりに努力をされた跡が見えるという意味で評価をしました。しかし、どうもこのビジョン策定されてからのその後の進捗状況が必ずしもスムースに進んでいないのではないかというふうに思えてなりません。  そこで、まず改めて大臣にこの二〇〇四年の九月に策定された精神保健医療福祉の改革のビジョンの骨子と、それからこのビジョンの政策的な持つ意味について大臣の方から伺います。
  154. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 我が国の精神保健医療福祉政策においては、歴史的に入院処遇を中心とした対策が講じられてきたという経緯があり、近年、精神医療の質的向上や早期の社会復帰支援への方向転換が図られてきたものの、現状では、我が国の精神病床数は約三十五万床であるが、人口当たりの病床数も、諸外国ではここ数十年間で減少しているのに対し我が国ではおおむね横ばいであり、かつ諸外国に比べて高い水準にある。精神病院の入院患者数は約三十二万人、そのうち七万人の方が受入れ条件が整えば退院可能な精神障害者であること、その一方で精神障害者の地域移行、社会復帰を支援するためのサービス基盤が不十分であることなど、その成果はいまだ十分ではございません。  このような現状を踏まえ、入院医療中心から地域生活中心へという基本的な考え方に基づいて施策を見直していく上での具体的な方向性を示すために、平成十六年九月に精神保健医療福祉の改革ビジョンを取りまとめさせていただきました。  この改革ビジョンの取りまとめに当たっては、それに先行する医療観察法の国会審議や、精神医療改革、地域生活支援、正しい理解のための普及啓発に関するそれぞれの検討会における報告書も踏まえつつ検討を行ったところであり、患者の病状等に応じてより適切な医療が行われるための精神医療の改革、障害者も地域で安心して暮らせるための地域生活支援の強化、精神疾患や精神障害者に対する国民の理解の深化について取り組むといたしております。  この改革ビジョンは、今後の精神保健医療福祉施策の基本的方向性を示したものと位置付けており、この方向性に沿って精神障害者の方が安心して暮らせる社会づくりに全力で取り組んでまいりたいと、このような考え方で十六年九月にスタートをさせていただいたところでございます。
  155. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 さてそこで、十年の計画を立てようということになっているんですけど、いつから十年なのかがどうも今まではっきりしなくて、ビジョンができたのは今御説明いただいたように二〇〇四年の九月ですから、当然まあ素直に受け止めると二〇〇四年からの十年と、それの前半の五年が第一期で後半の五年が第二期というふうに私は単純に受け止めたんですけれども、そういう理解でよろしいですか。要するに、この計画の、いつからいつまでという。
  156. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 改革への動き自体、今十六年の九月に取りまとめたと。その始まりは、改革ビジョンの冒頭で、平成十七年における精神保健福祉法の改正を始めとする施策の実施につなげるとあるように、法改正等の具体的な取組は平成十七年、二〇〇五年に着手することを意図していたと考えております。したがって、平成二十六年、二〇一四年までの十年間にわたって一連の改革に取り組み、その中間点である平成二十一年、二〇〇九年までが第一期、それ以降が第二期と考えております。  障害者自立支援法の附則において施行後三年の見直し規定が設けられていること、最初の障害福祉計画が平成二十年度までを期間として策定されることなどを踏まえて、柔軟に対応してまいりたいと考えております。
  157. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そうすると、ビジョンを策定したのは二〇〇四年の九月、計画のスタートは二〇〇五年からですと、こういうお話であります。ビジョンの中にある程度いつごろまでに移行しますというのが書いてあるので、今日はずっとお聞きしようと思ったんですけど、時間が足りませんから一点だけ聞いて終わります。  精神病床に関するその病床の数の算定の仕方を、医療計画の中で算定をすることになっているんですけど、その算定の仕方を平成十七年度から新しい考え方で切り替えますということが書いてある。平成十七年度というと、もうこの三月一杯ですね。いまだに私、これがどうなっていくのかというはっきりした通知を見ていないんですね。約束違反になりかねないと思っているんですが、精神保健医療の、特に精神病床に関する基準病床数の新たな算定方式等に関する医療計画上の措置についてはいつまでにどうされるつもりか、この点だけ確認をして終わりたいと思います。
  158. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) このお尋ねの精神病床の基準病床数の新たな算定でございますけれども、この算定式自体は平成十七年七月の医療法施行規則の改正省令によりまして既にオープンにしてございます。  そこで、この新たな算定式において用います入院後一年未満の患者の在院率の指標であります平均残存率及び一年以上入院している患者についての退院率、このような変数を新たに導入しまして、都道府県ごとに目標値を設定していただこうと、こういうことになっているわけでございます。  具体的には、平均残存率二四%、退院率二九%、これは改革ビジョンに盛り込まれた数字でございまして、全都道府県において十年後に達成すべき目標値として設定をしまして、そのほかの数値と併せまして厚生労働省告示としまして年度内にお示しをいたしたいと考えております。  そして、新たな算定式を定めた改正省令、これは平成十八年四月一日より施行されることになっておりまして、これに伴って各都道府県において新たな算定式に基づく基準病床数による医療計画の見直し、これを進めていただこうと、このように考えております。
  159. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 終わります。
  160. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。川崎大臣の所信に関連しまして質問をさせていただきます。  まず最初は、医療保険制度改革に関連した質問となりますけど、確認といってよいと思います。  医療制度改革に関しまして、川崎厚生労働大臣は、国民皆保険を堅持し、将来にわたり持続可能なものにしていくと、そのように述べておられます。公明党は、これまでの医療保険制度改革議論の中で、特に平成十四年度の健康保険法改正時に、患者の自己負担の上限は将来にわたり三割とすると、そのような旨を主張をさせていただきました。そのときの平成十四年度の健康保険法改正時の附則第二条にその旨が盛り込まれたわけであります。  それで、念のために確認をしたいんですが、今後も必要に応じて法改正が行われるかもしれないと、そのようなことも考えに入れまして、川崎大臣としても、今後の改革の中で、この患者負担の上限三割ということが守られるのかどうか、その点を確認さしていただきたいと思います。
  161. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 十四年の健保法改正附則に、「医療に係る給付の割合については、将来にわたり百分の七十を維持するもの」と規定されております。正直、いろんな球飛んできます。私は、この法の精神に基づいてやるつもりでありますし、厚生労働省としてもいろんな御意見に対し、私どもはこれをきちっと守っていく、国民皆保険と百分の七十、これをきちっと維持するということで対応しております。
  162. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 同じような質問になりますけれども、これも確認をさせていただきたいと思います。  これからは、政府の方では都道府県単位を軸とした保険者の再編統合、あるいは都道府県医療適正化計画の策定なども行っていく方向を示しているわけでありますけれども、これは地域の医療費を反映した保険料率の調整や、平均在院日数削減に関係するような診療報酬の特例を設けるなどを含むような、そういうお考えのようですけれども、このような地方での裁量が強まっていく流れの中で、やはりこの患者の自己負担は三割を上限とするという先ほどの大原則も、これも守られていくということで考えてよろしいわけですね。この点、もう一度大臣に確認をしたいと思います。
  163. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 都道府県単位で患者負担の割合を変えることはない。ただし、小児医療等、逆に都道府県で上乗せをして負担が少なくなるようなシステムは、都道府県、市町村、それぞれ応じてやっておることは事実でございます。
  164. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 軽くなる分には私どもは大歓迎でございまして、いろんな形でこの患者負担上限三割というのが崩れていくようなことがないようにしていただきたいと、そういう意味で確認をさせていただいたわけです。  次に、少子化対策に関して質問をさせていただきたいと思います。  人口減少、少子化への対応策の一つとして、経済的支援の拡充ということが所信の中でも挙げられておりますけれども、今回平成十八年度予算案では、小学校六年生まで児童手当の対象拡充等が行われることになっておりますけれども、その後も、財源の確保を前提としてですけれども、更なる拡充あるいは対象年齢の拡充、例えば対象年齢の拡充、あるいは支給額の拡充等もあり得ると考えてよろしいわけですね。この点、川崎大臣にお伺いをしたいと思います。
  165. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 昨年の暮れ、自民、公明の両政調会長、そして財務大臣、総務大臣協議をいたしまして、最終、小学校三年生までを六年生までに、そして九〇%の対象者まで行き渡るようにということで基本的な与党の方針、内閣の方針が決まりまして、法律として御提案をさせていただいているところでございます。  その当時の議論として、一つは、幼児期にもう少し掛かるからそこに手厚くできないだろうかと御意見もございました。また、年齢ももう少し引き上げたらいいではないかと、こういう御意見もございました。それから、九〇%じゃなくて一〇〇%までという御議論もございました。そういった問題については、今年の六月まで様々な議論としてつながっていくんだろうと、こう思っております。  私としては、この児童手当、最初に始まりましたときには、第三子から、かつ企業負担というものがメーンで構成されたと。その後、国の負担、地方の負担、こうしたものが重なりながら今日の児童手当制度になってきております。  今、与党内の議論を見ましても、税制による支援の方がいいんではないかという議論と、もう手当という形ではっきり見える形の方がいいんではないかと、こういう議論がございます。そういった意味では、税制、それから実額、それから既に企業等が、例えば公務員ならば配偶者手当プラス子供の手当という形で出しております。そういった三つの施策が行われているものを、これからどういう方向にしていくべきかというものはしっかり議論していかなければならないなと考えております。ただ、厚生労働大臣という立場から見ると、児童手当という方が分かりやすいなと、国民に分かりやすい、税よりは少し分かりやすいなという感じはいたしております。  一方、これ文科省としっかり詰めなきゃならない話として、高校生、大学生を持つ親の負担の方が極めて高うございますから、教育費という側面から、これも子育ての一つの中だと思うんですけども、どう支援をしていくかと、総合的に与党内でも様々な調整、議論が行われることになるだろうと、このように考えております。  厚生労働省としても、皆さん方の今回の御意見通じながら、しっかりとした方針を出していきたいと考えております。
  166. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 やはり、お子様を持っておられる方々の声をよく聞いて、どういう支援策ならば喜ばれるのか、そういうことをよく聞いて総合的に対応していただきたいと、そのように思います。  次に、少しこれに少子化対策関係しているので質問をさせていただきますけれども、妊娠中の母体と胎児の健康を守ることを大変重要視しておりますけれども、近年、母体の健康と胎児の健康を長期的な視点でともに守っていこうという、そういう考えの母性内科という、そういう研究も進められているわけです。  例えば、母体の糖尿病のコントロールがうまくいかないようなときには胎児にも影響しまして、胎児の代謝系、そういうものが異常を来しまして巨大児として生まれることがあると。一方、母体に関しましては、糖尿病でない妊婦の方でも妊娠糖尿病が起こる場合には、出産後に2型糖尿病が起こってくる、そういうリスクが高いことも分かってきているわけです。そういう意味では、その後のそういう妊娠糖尿病等になった場合には、その母体に関してその後の健康のチェック、糖尿病を発症して、2型の糖尿病を発症してこないのかどうかチェックするような健康管理も必要になってくるのではないかと、そのように言われておるわけであります。また、母体側が十分な栄養を取れずに、あるいは栄養を取ることを控え過ぎて胎児に十分な栄養が与えられないときには、胎児にも悪影響が及んで低体重児で出生することがあるわけであります。  このような場合に、その胎児が子供さんとして生まれた後に、遺伝的素因とは別に代謝系や内分泌系が関連して様々な変調を来していくことがあるという、そのように言われておるわけです。そのことが影響して、糖尿病とか高血圧とか虚血性心疾患あるいは脳卒中などの、いわゆる昔成人病と言われて、今日では日本では生活習慣病というように呼び名が変わってきましたが、こういうものを起こしやすくなってくるのではないかと、そういう指摘があります。  近年、イギリスのD・バーカー教授、サウザンプトン大学の医学部教授ですけれども、この方がこういう問題を精力的に研究をしまして、成人病胎児期発症説と、そのような説を提唱しまして、二〇〇五年に栄養学分野でのノーベル賞と言われるダノン賞というものを受賞をしたということで、この学説の研究や検証が欧米の研究機関で行われている、そのような状況にあります。  こういうことでありますので、そういう疾患が成人病あるいは生活習慣病と言われているような疾患の予防にも関係してくるものですから、公明党としましても、二月の二十八日に、この分野の専門家であります東京大学の大学院医学系研究科発達医学科の福岡秀興助教授、この方をお招きしまして勉強会等も開いているわけです。  ただ、この成人病胎児期発症説というものはまだまだ日本では知られておりませんので、日本でこういう学説の研究や検証というものがどのように行われているのか、この点を赤松厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  167. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 今、渡辺委員が御指摘いただきましたバーカー教授のいわゆる成人病胎児期発症説、この説の言わば日本における継承者といいますか、代理人といいますか、これを積極的に取り上げて主張しておる人が、今委員指摘の東京大学の福岡助教授でございます。  この福岡助教授も含めまして、今厚生労働省が行っております厚生労働科学研究子ども家庭総合研究事業でありますが、これは、若い女性の食生活はこのままでよいのかというふうなことをテーマにして行っている研究ですが、そのメンバーとして、先ほど述べられた、また私が今述べました福岡さんも入って研究を進めておられます。  その中におきまして、平成十六年度から、妊娠中の栄養状態に対応した体重管理や、それから出生体重とその後の生活習慣病リスクとの関連ということについて研究しているわけですが、その中で、今御指摘のバーカー説等も視野に入れながら研究に取り組んでいる、こういう状況にございます。ただ、なかなかこれ検証が難しいということも御賢察どおりありまして、更に研究、検証を推進するということにつきましては、関係学会等の御意見もしっかり伺いながら、必要に応じて取り組んでまいりたいと、そんなふうに厚生労働省として考えているところでございます。  以上です。
  168. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほどのバーカー教授の説ですと脳卒中とかそういう虚血性心疾患とかにも影響を与えてくるんじゃないかと、そのように言われているわけでありまして、私も東北地方におりまして、東北地方では脳卒中が多いということで、今までもいろんな原因を追求し、そのための予防として高血圧にならないように食生活の改善ですね、食塩を減らすとか、あるいはたんぱく質が足りないことも栄養状態が悪くて血管が切れやすいんじゃないか、脳出血になりやすいというようなことで、そういうたんぱく質等も取った方がいいんじゃないかと、まあそういうことが言われておったんですけれども、今お話しありましたように、バーカー教授の説を考えますと、もう妊婦さんの栄養とか、その生まれてくる子供さんの低栄養とか、そういうものが将来の生活習慣病、いわゆる昔成人病と言われていたものに関係してくるんじゃないかと、そういう説が出たものですから、まだまだ東北地方ではそういう脳血管疾患、心疾患の死亡率が高いわけです。  先日も、先日といいますか、先月に、厚生労働省で統計をまとめられました心疾患—脳血管疾患死亡統計の概況でも、やはり東北の中でも北三県の方にそういう心疾患、脳血管疾患の死亡率が高いという、そういうデータも出ておりまして、もしそのバーカー教授の成人病胎児期発症説が正しいとするならば、ただ単に生まれてから食生活を改善するというだけではなくて、やはり妊娠されたお母さんのときから、あるいは妊娠前の母体、母体といいますか、妊娠前の女性の方々の栄養というようなこともきちんと考えに入れながら、脳卒中対策、虚血性心疾患対策をやっていかなければいけないんではないかと、まあそういうことにつながってきますので、私としましては、厚生労働省としてそういう東北地方、特に北三県での妊婦さんの栄養の状況とか、生まれてくる胎児の栄養状況とか、そういうものを調べていただいて、脳卒中とか虚血性心疾患と関連が本当にあるのかどうか、そういうことを調査をしていただければ、新たな観点からの脳卒中予防対策、虚血性心疾患の対策、あるいは糖尿病の対策とかそういうもの、まあ糖尿病といっても2型の方ですけれども、そういうものが、新たな対策が出てくる可能性もあるので、その点も調査をできればお願いしたいと、そのように考えているところです。  この点に関しましては、厚生労働省のコメントがいただければと思います。
  169. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 今お話がございましたように、確かに東北地域では脳卒中や心疾患の発生割合が高いわけでございますけれども、一方で、三十年余りのデータでは、東北地域において低出生体重児の割合が特に高いということにはなっておらないわけでございまして、なかなかこの問題は、その胎児期の低栄養状態と脳卒中や心疾患の発症の関連がなかなか明らかになることが難しいというか、まだ現時点では明らかになっていないということだろうと思っております。  したがいまして、直ちにですから疫学的研究を大々的にやるということは、正直、率直に申し上げまして難しいのでございますが、私どもの厚生労働科学研究におきまして、来年から、近年、低出生体重児が増加しておりますから、その低出生体重児の増加の背景要因について調べていただくことになっております。そうした研究の中で、地域性も加味して、できるだけの研究がなされるようにということで思っております。
  170. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 様々な角度から予防が大切だということでありますので、そういう調査研究もしていただいて、新たな予防対策が出てくれば有り難いと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。  次に、いわゆる二〇〇七年問題ですけれども、まあ団塊の世代に絡んでくるわけですけれども、医療福祉関係者のこの二〇〇七年問題ということで、何かその医療福祉関係者に特徴があるのか、ほかの分野の職業と違ってそういうことがあるんであれば、それに向けての厚生労働省としての何らかの対応というものがあるのかどうか、その点についてお伺いをしたいと思います。  川崎厚生労働大臣よろしくお願いいたします。
  171. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 六十を過ぎて働きたいという人は、日本の国は六十から六十四で七〇%、労働力人口としてとらえておりますので、そういった意味では技術も持っておるお医者様の場合はほとんど働かれるだろうと、こう思っております。  そこに加えて、我々の世代は余りお医者さんの数も多くない世代のようでございます。昭和四十年代からお医者さんの数を増やしてきたということでございますので、そういう意味では、対象者数自体も余り多くないということから、お医者様の数という面で二〇〇七年問題が一挙に出てくるとは思っておりません。  ただ、一方で、女性の方々は六十から六十四、仕事をしたいという人が四〇%ぐらいになっております。そういった意味では、女医さん、看護師さん、こういう方々にもう少し頑張っていただく要素があるかもしれないと。これは全体の話でありますから、看護師さんの全体の数はとらえておりませんけれども、しかし、資格を持ち能力ある皆さん方に六十五ぐらいまでは頑張ってもらいたいなと、こんな思いを持たせていただいております。  あとは、そう、他の職場と違って、会社をリタイアしてその技術を伝承するためにどうだというような問題は起こらないと考えております。
  172. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 東北地方に限らず、地方では医師不足、あるいは地方での薬剤師不足とか看護師不足とか介護の専門家の不足とか、いろんな意味で医療福祉関係者の不足というものが言われておりますけれども、そういう不足に対して、やはり団塊の世代が何らかの貢献ができないのか、あるいは貢献したいと思われている方も多いんじゃないかと思うんですが、こういう方々が、そういう医療福祉関係者が不足しているような地域で様々な貢献ができるような環境整備が大事なんではないかなと私は思っているんですが、こういうことを促進するような何か、あるいは支援をするような国としての、厚生労働省としての施策等がございましたらお伺いをしたいと思います。
  173. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今申し上げたように、基本的には六十過ぎても働いていただけると思っております。  ただ、一方で、病院、公立病院等でいったん六十をもって退職しなきゃならないと、そういう方々が地域医療に貢献していただくということは大変大事な観点だろうと思っております。  平成十七年度からへき地等勤務希望医師の再就業支援研修事業を実施いたしております。この事業は、へき地勤務の意欲のある定年退職した医師等がへき地医療支援センターに登録を行い、派遣先医療機関のニーズに応じた分野の研修及び現地の拠点となる病院における研修といった二段階の研修を行った上、再就職を実現しようとするものであります。  このほか、例えば高齢医師も含め、地域での医療活動に意欲がある者に適切な就業の機会を紹介する事業などを活用することにより、もう一踏ん張りしていただこうということで進めていきたいと考えております。
  174. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 地方では、やはりそういう医療関係者の人材不足というのが非常に問題になっておりまして、定年退職の方々をあてにするというだけではなくて、もちろん若い方々にもどんどんそういう地域医療に参加をしていただきたいと、そういう思いはあるんですが、公的病院とか定年のあるところでお勤めになっている方々がまだまだ余力があると、そういうところで働いていきたいと、そういう方々にはいろんな支援をしていただきたいと、そのように思っております。  それとは別に、今度は全般的な、そういう高齢者に対して、定年後も働いていただこう、あるいは定年をなくしていこうということで、改正高齢者雇用安定法というものが施行されているわけでありますけれども、これが具体的に進める段階になってきておりますけれども、企業においての取組ですけれども、これが現状でどのようになっているのか、法が目的とした理想どおりの展開になっているのかどうか、この点を確認をさせていただきたいと思います。
  175. 鳥生隆

    政府参考人鳥生隆君) 本年一月時点で全国の三百人以上の企業の状況調査した結果によりますと、約九八%の企業において改正法に沿った高年齢者雇用確保措置の導入済み又は導入の見込みが立っている等の結果を得ているところでございます。施行に向けた着実な取組が行われていると考えております。  今後とも、中小企業も含め、すべての企業において改正法に沿った雇用確保措置が導入されるように万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  176. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 実際上、定年が延長になっているというような企業というのはどの程度あるんですか。
  177. 鳥生隆

    政府参考人鳥生隆君) 企業の中で定年の延長あるいは定年の廃止あるいは継続雇用制度の導入という措置を今回の法改正では義務付けているということでございます。  今申し上げた高年齢者雇用確保措置の九〇%以上が継続雇用制度の導入ということで対応しているということでございます。
  178. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほどの話とも関係するんですが、いろんな技術の移転とか、まだまだ能力があって働きたいというような方々が、やはり少子化で労働人口も減ってくるということですので、十分活躍していただけるように、そういう雇用の面でも環境整備をお願いしたいと。これ、企業の方の努力が一番だとは思うんですけれども、厚生労働省としてもその法の目的を達するようにしっかり指導をしていただきたいと、そのように思います。  時間が短くなってきましたが、一つだけ質問をしたいと思います。  今、相補代替医療、西洋医療と、もう一つ相補代替医療、あるいは伝統医療というようなものがございますけれども、そういうものを一緒にいろいろ研究をしていって、患者さんに合った医療サービスをしていこうと、そういう流れで統合医療というような考え方が提唱されておりまして、これは欧米の方でどちらかというとそういう考え方が取り入れられているようですが、伝統医療が盛んであった日本においてもそういうものを研究していこうと、そういう統合医療という形で研究していこうという流れも起きておりますけれども、この統合医療に関してどのような厚生労働省はお考えを持っているのか、お伺いをしたいと思います。
  179. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 渡辺委員指摘されました統合医療につきましては、極めて今国民の関心が高まっている、こんなふうな認識をいたしておりまして、そういった関心を受けて、当国会におきましても衆参両院の与野党を超えた議員の皆さんで議員連盟も昨年できたと、そんなふうに聞いておるところでございます。  厚生労働省におきましては、従来、あん摩マッサージ指圧師を国家資格として位置付ける等の施策を行ってきたところですが、さらに平成十八年度から、統合医療に関しまして、一つは、内外における普及の状況や経済効果、二つは、西洋医学に相補代替医療を併用することによって具体的に高まる効果、こういったものなどについての研究を実施するための所要の予算措置を行いまして統合医療を推進するための土台づくりを図る、こんなふうにしているところでございます。  今後、こうした研究によって得られた成果等を踏まえて、国民の皆さんや医療関係者等への情報提供を充実させるとともに、医療現場におきまして適切な取扱いがなされるように努めてまいりたい、そんなふうに考えているところでございます。  以上です。
  180. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 やはり世界一の長寿国になった日本におきましては、やはり患者さんの医療サービスのニーズも様々変わってくるんじゃないか、高齢になってくれば、西洋医療の手術とか難しい治療法というのを受けた方が本当にその方にとってメリットがあるのかどうかというものも考えていかなければならない。様々な選択肢があって、どれを選ぶかは患者さんの方に選んでいただけると。ただ、そういうのを提供する体制が整っていないと、こういうサービスを受けたいといっても提供できなくなりますので、そういう研究というものを進めていただきたいと思います。  残った質問もありましたが、これは後日に回したいと思います。
  181. 山本保

    ○山本保君 公明党の山本保でございます。  昨日は予算委員会でも厚生労働省お願いいたしまして、中野副大臣始め担当の方にお世話になりまして、ありがとうございました。  川崎大臣、私初めて質問さしていただきますので、久しぶりに厚生労働委員会へ帰ってきまして、何年ぶりかの質問でございます、どうぞよろしくお願いします。  それで、私は幾つか、最近地元などでお話を伺ったり説明をしておりまして、どうかなというふうに思ったことなどについて、確認の意味も込めましてお答えいただきたいと思っております。  最初は、障害者自立支援法についてでございますけれども、当初、昨年、法律の審議のときには相当な厳しい批判、一部からは強い批判があったというふうに聞いておるわけですけれども、最近、県内いろんな形で私も毎週のようにお話をしておりますと、だんだんその辺は変わってきたのかなと。それはやはり額、金額などの形が少しずつ明確になってまいりまして、負担があるとしましてもそれほど大きな負担にはならないというようなことが周知され、皆さん御存じになってきたのかなという気もしているわけですけれども。  そこで、ただそのときに、説明のときに、役所の方又は県のお役人の方などの説明で、途中をはしょられているんでしょうか、大変今予算が厳しい、財政が厳しい中で、しかも障害者関係の予算は必要な量が増えてきていると、そこで皆さんから負担をいただくんだと、こういうふうな説明といいますか、が時々聞かれまして、これは明らかにその意図と違うのではないかということで話をしているわけでございます。ただ、役所の文書なども見ておりますと、当初割とそういうニュアンスが強かったのかなと。だんだん、私も現場の方にいろいろお話、注文いたしまして、少しずつその辺の説明は丁寧になってきたのかなとは思っているわけでございますが。  最初に、この利用者負担の見直しということを行った趣旨につきまして、大臣の方から改めて御説明いただきたいと思っております。
  182. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 御指摘のとおり、多くの皆さん方にしっかりとした説明をしていかなければならないなと、このように思っております。  障害者自立支援法においては、障害福祉サービスを契約に基づきだれもが利用できるものとしてより普遍的な仕組みとする観点から、介護保険や医療保険制度などの他の契約による制度と同様に、利用者に対し、受けたサービス量に応じた負担と食費等の実費負担を求める仕組みに改めました。また、障害福祉サービスに係る費用が増大する中で、その費用をみんなで支え合うという観点から、利用者負担の見直しと併せ、在宅サービスに関する国の負担を義務的なものとしたところでございます。ただし、利用者負担を求めるに当たっては、過大な負担とならないよう月額負担上限額を設けるほか、障害基礎年金のみで生活している方や資産の少ない方がおられることを考慮して各般の負担軽減措置を講じております。  これらの見直しは財政不足対策のためだけに行うものではなく、障害者が自らも制度を支える一員となるとともに、自立に向けた必要なサービスを安定的に受けることができる仕組みを実現をするために行わせていただきました。多くの皆さん方に支えていただきながら、そして持続する制度にさしていただいたということで、どうぞ御理解を賜りますようお願い申し上げたいと思います。
  183. 山本保

    ○山本保君 幾つかまだ具体的に、今日せっかくの時間がありますので、もし時間が後であれば今の大臣のお答えについても担当の方からもう少しまたお聞きしたいなとも思っておりますが。  先にまず、その中から副大臣に、赤松副大臣に御質問を用意しておりましたのでまずお聞きしますが、今お話の中にもあったと思うんですけれども、所得が厳しいという方につきましては施設利用とかまたいろいろなサービス利用については個人減免というような形をしようという原則になっていると思いますが、そのときに、よく聞かれるんでございます。  この前も、東浦という私どもの県の町内に行きましたら、熱心な方たちにいろいろ疑問ありまして、その中で、三百五十万円の預金というんですか、そういう資金というか、が本人が持っていると、それが、それ以上の場合はまず決まったことになってきて、これを基準として、それがない方については減免をすると、こういうふうになっていると。ただ、子供のためにいろいろ親がしっかり将来のためにと思ってためてきたと、もちろん御主人、お父さん、お母さん、一生懸命仕事をされて残されていくと、こういう方が、こういう場合の、お金がたくさんあるからといって、どうなんでしょうかと。もちろんあるわけですからそれでお払いするのは構わないんだけれども、もし、例えば自分が亡くなったというときに遺産というような形で子供さんに行くと、こんなときでもやはり同じようにそれを払わなくちゃいけないでしょうかと。こんなような御質問をいただきました。  たしか、昨年のこの法の審議のときにも、この辺についてはもう少し詳しく考えたいというふうにも伺っていましたし、担当の方からもそのように伺っております。何かこの辺について、現実に合った対応といいますか方策が決まったのではないかと思いますが、教えていただけますでしょうか。
  184. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 今、山本委員が御指摘になりました点、いろんな場面でそういう懸念があるというふうなこともお聞きしておりますが、昨年の国会、この法案審議の流れの中で、当時の大臣、尾辻大臣の方から、障害者の暮らしの安心や障害者の自立のために将来の生活費として障害者本人のために設定された一定の範囲の信託等につきましては、個別減免の基準における預貯金等には含めないで考えることにしたいと存じますと、こういう答弁があったことは御承知のとおりでございます。  そういったことを踏まえまして、今、先ほど来御指摘がありましたことで重なってまいりますが、障害者の自立やまた将来の生活のために必要と考えられる、例えば、一つとして親等が障害者を受益者として設定している一定の信託財産や、もう一つは障害者を受取人とした個人年金など障害者の将来の備えとしており受益者の自由な意思によって解約できないものなどにつきましては、本人の負担能力を認定する際の資産としてみなさない取扱いとしている、こういうふうにいたしておりますので、先ほど来、地域で聞かれた場合、御安心されるように言っていただきたいと、そんなふうに思う次第でございます。
  185. 山本保

    ○山本保君 そうしますと、例えば、個人年金なり信託という形で毎月、何といいますか、障害者の方にお金が入ると。それはその時々の収入というふうにカウントをして、そして定められた、場合によっては、その額が大変多ければこれは一割ということになるんでしょうし、もしそうでなければその時々の形で減免になると、こういうことでよろしいでしょうか。もう一度お願いいたします。部長さんでも結構でございます。
  186. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  先ほど大臣から御説明申し上げましたように、個別減免をする際のメルクマールとして資産を考えると。そのときに、入所された方の所有する預貯金等の額が三百五十万円以下であると、こういう基準でございます。ですから資産、言わばストックのところで判断をするということでございますので、その三百五十万円を判断する際に、信託財産とか個人年金など、今は使えない、しかし将来障害者が受益者として使うことができると、そういったものは、三百五十万円カウントする際に、たとえその信託財産が仮に五百万円あったとしてもそこは三百五十万円のカウントには含めないと、こういうことになるわけでございますので、そこでまず個人減免が利くという制度でございます。  その後、例えば親御さんが亡くなって信託財産が入って、そのときの収益などはフローの所得として出てくるような場合あると思いますんで、そういった場合にはカウントされることになると思いますし、現に使えるような預貯金というふうになった場合については、またこの信託財産から外れるような場合についてはカウントの対象になるということがあるかもしれませんが、今はとにかく制度をスタートするときに、今市町村が正に四月一日目指してやっておられるわけですが、その三百五十万円のカウントの際には、繰り返しになりますが、信託財産とか個人年金などについてはカウントされないと、こういうことでございます。
  187. 山本保

    ○山本保君 これは伝えてなかったんですが、部長、もう一つ、じゃ。  それで、もう一つ聞かれますのは、どうして三百五十万円なんだと。私もたしか、若い方、いろんな所得の今の状況だとか、そんなもので決まったんじゃないかというふうに答えておりますが、これは当然、この社会状況が変わってきたときにはこれは変化するというふうに考えてよろしいでしょうか。
  188. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) この額を決定する際には国民の御理解が得られる水準とすることが必要であると考え、言わば低所得で同様の生活水準にある世帯の貯蓄水準、あるいはマル優などにおける低所得者の方への配慮の措置の水準を踏まえて決めるということで、具体的にはマル優の制度などを参考にさしていただいております。  また、この負担の問題につきましては、制度の実施状況を見て、三年後、言わばこの障害者自立支援法についても見直しを検討するということにされておりますので、まずその際よく検討するということになると思いますし、今委員指摘のとおり、様々な経済状況なりそういったものの変化があった場合によく考える必要があると、そこの点は御指摘のとおりであると考えております。
  189. 山本保

    ○山本保君 もう一つ、この今回の制度でやはり非常に画期的だったなと思いますのは、いわゆる世帯特例というんですか、世帯という言葉は今までどおり使っておられますけれども、場合によっては選択をして障害者御本人の年金ですとかその他のいろんな工賃などだけで数えると、こういうのをお話ししますと大変皆さんほっとされまして安心されるんですが。  そうしましたら、最近いろいろなところで、どうもうちの市はそうはしないと言っておられると。そういう、具体的に言えば、例えばそうしますと国民健康保険などは別に作らなくちゃいけないだろうと、しかしそういうのは出さないことになっておりますとかですね。逆に今度は、じゃどういうふうにしたら別世帯、別世帯じゃないですが、特例と説明できるのかと。同じ家の中にいて同じように食事しているんだが、それだったら別ではないと言われるんではないかというようなことも聞かれるんですけれども。  この辺、まず私は多分周知が足らないのかなという気もしますし、制度が、何かほかの制度でうまくいかないところがあるのじゃないかというおそれもあります。それから、何か簡便な方法できちんと別世帯、別といいますか、別会計ですよということが分かるような、何かそういうものをお示しいただくというのが必要じゃないかなとも思うんですが、どうですか。
  190. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答えを申し上げます。  世帯の特例制度は、先ほど委員からの御指摘のございましたとおり、所得の低い方にはより低い上限額を設定するために作っている基準でございまして、具体的には市町村民税非課税世帯ということを使っておりますので、世帯単位にしていると。しかし、住民票上、住民基本台帳上同一世帯に属していても、生計を一にする範囲で負担能力などを設定する必要がありますので、実態の生計を一にしているかどうかということを見て、生計一の範囲が違うんであれば、世帯特例として住民基本台帳上とは違うことをこの障害者自立支援法の扱いにはしようということでさせていただいております。具体的な基準は、税制や医療保険において被扶養者になっていないと、そういう関係にないということで、ルールは明確にいたしております。  委員指摘のとおり、現場で混乱しているということであれば、あるいはその周知が足りないということであれば、私どもまだ足りないということだと思います。私どものホームページや累次の課長会議、あるいは私どもブロックに出向いて御説明さしていただいておりますが、今、言わば四月一日目指して最後のホームストレッチに来ておりますので、その点、更に努力をしてまいりたいと思っております。
  191. 山本保

    ○山本保君 どうぞよろしくお願いします。  それではもう一つ、医療費について、二つ用意しましたが、後の方の御質問だけにいたします。  今度、障害者の医療、自立支援医療でございますが、先生方もう御存じだと思いますので結論のところだけちょっとお聞きしますが、いわゆる重度かつ継続ということでその負担を、上限額を設定しているわけですが、この重度かつ継続というものの範囲について、何か最初の案からまた少し変わっているようではありますけれども、自分のところが入るのかどうかということを心配されておられますし、三年ぐらい見直しがないんじゃないかという声もちらっとありまして、ここは柔軟にというか機動的に調査若しくは現状に合わせて変えていただきたいと思っているわけですが、この辺はいかがでしょうか。
  192. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 御答弁申し上げます。  ただいまお尋ねの重度、継続でございますけれども、低所得者の方には減免措置があるわけですが、ある程度の所得のある方でも重度かつ継続的に医療費が掛かっていくというのは大変なことであるということから設けられた制度でございます。そして、その範囲を検討会を設けまして定めたところでございまして、国会で御審議のときはその検討会はまだ動いておりまして、その検討会の結論を得まして、もう既に四月一日からスタートの部分については公示をしたところでございます。  一方で、この重度かつ継続の範囲につきましては、やはり継続的にデータを集め、検討しなければならないというふうに認識をしておりますので、私たちといたしましては、この範囲につきまして、結論を得たものからまた見直しをしていきたいと、このように考えております。
  193. 山本保

    ○山本保君 どうもありがとうございます。  では次に、余り時間もありませんが、これはまた法律が今度出てくるわけですけれども、ちょっとその前にいろいろなところから御質問もありますので、認定こども園について、どうも文科省の方で法律が出るようですから、ちょっとこちらで先にお聞きしておきますが、こういう施設といいますか、新しいタイプの幼稚園と保育所の機能を持った新しいものをつくっていこうということでございますが、このねらいといいますか意義といいますか、それから具体的に言えば幾つぐらいできるだろうというふうに思っておられるのか、御答弁お願いいたします。
  194. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今回の提出をいたしました認定こども園、就学前の子供に関する教育、保育ニーズの多様化を踏まえ、幼稚園や保育所等が保護者の就労の有無にかかわらず教育及び保育を一体的に提供する機能、子育て相談や親子の集いの場の提供など地域における子育て支援を提供する機能を備える場合に都道府県から認定を受けることができるものでございます。  これにより、一つは、親が就労を中断、再開しても、子供が施設を替わることなく一貫した教育、保育を受けることができる。二番目に、少子化の進行により、地方を中心に幼稚園、保育所別々で子供集団が小規模化しているが、子供の健やかな成長に大切な集団活動や年齢の異なる交流の機会が確保できる。幼稚園の有効活用が図られることにより、待機児童の解消が見込まれる。さらに、育児不安の大きいゼロ歳から二歳の専業主婦家庭の支援を含む地域の子育て支援が充実できると、こういう効果を期待しております。  当面は千か所ぐらいを考えております。
  195. 山本保

    ○山本保君 全国に三万ぐらいのその両方の施設があると思いますから、千というと多いようですが、実際はそんなに、まあ当初多くないなと。私も大学院でもう三十何年前に幼保一元化というのを勉強しましてから、厚生省の保育の専門官もやらしてもらいまして、こういう施設ができたらいいなということでずっと粘ってきたんですが、とうとう実現するかということで、個人的には大変喜んでいるんですが。ただ、どうしても最初は産みの苦しみか、今どうしても現状でやっておられる方もおられますから、こういう形で出てくるのは仕方がないのかなという気はいたしますが。  一点だけ、保育内容とか、それから、そうですね、一つはやっぱり財政的な問題と、職員といいますか専門家の資格、身分の問題がこれは非常に大きな問題で、これはこれからやっていかなくちゃいけないと思うんですけれども。  そこで、今回、見ますと、両方の認可を取ったこども園というのは、まあまあ今の両方のその助成なり助けるその制度に乗りまして、補助制度に乗りますから、うまく動くであろうという気がするんですけれどもね。片方の認可といいますか、はっきり言えば、つまり両方で、学校法人を持っている、で経営している幼稚園の方が保育所をつくる、それから社会福祉法人で保育所を経営しているところに幼稚園をつくると、このタイプですと両方の制度が非常にうまく動くわけですけれども、例えば宗教法人立、お寺や教会などでたくさんまだやっておられます。これはもう当然、教育というのは宗教との非常に関連が強いわけですから、私は大変いいことだと思っておりますけれども。若しくは個人で、個人立の施設がある。こういうところでは、今までやっているところについては認可が出るわけですけれども、新しい方についてなかなか取りにくい。  この辺をどうしたらいいのかということなんです。ひとつちょっと時間があれですので結論的に私の方から申し上げますと、なかなか文科省の方の学校法人というのはなかなか取るのが大変なんですね、今。それで、クラス数ですとか非常にあります。  ところが、今社会福祉法人というのは結構取りやすく、今垣根を下げているわけですね。もう一つ、公益法人改革というのもあったり、またNPO、昨日も申し上げたんですが、にも出てきておりますから、私は本来、この法人格というところでどれだけの資産がなくては駄目だという、建物がなくちゃ駄目だという縛りよりは、実際にどういう仕事をしているのかというふうに見ていく時代だと思っているわけです。株式会社も一千万ではなくなっていくなんというのは正にそういう流れなわけですね。  ですから、ここで私は厚生労働省お願いしたいのは、例えば、小さな社会福祉法人というのが一千万円で、実は数年前に私提案してつくっていただいているわけですが、こういう小さな社会福祉法人、もっと小さくてもいいです、一千万円も要らなくてもいい。こういう社会福祉法人格を何とか出すようにできないだろうかと。  そうしますと、今、文科省は珍しく、はっきり言って珍しく今まで認めていなかった社会福祉法人の経営する幼稚園についても私学助成もしましょうと、そこまでは踏み込んだんですよ。かといって、じゃ、学校法人与えればいいのに与える気はないと、こういうわけですから、ここはひとつ厚生労働省の方が便宜を図ってあげて、ニーズがあればですが、僕はあると思っていますので、小さな社会福祉法人を、この例えばこども園に限定してもいいですから、こども園を運営する場合に、宗教法人立、個人立の幼稚園をやっていると、こういうところ、若しくは保育所をやっていると、ここに簡便な方法で社会福祉法人格を与えるということを是非踏み込んでいただきたいと思っているわけですが、結論を最初に申し上げましたけれども、これについてどんなお考えでしょうか。
  196. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 認定こども園につきましては、地域のニーズに柔軟に対応できるように幼稚園や保育所が認定こども園に円滑に移行できるための措置を講ずることが重要であると考えておりまして、今お話がございましたように、幼稚園と保育所が一体化した認定こども園につきましては、設置者が学校法人、社会福祉法人、いずれでありましても特例的にいわゆる運営費、経常費と施設整備費を助成する措置を講ずることとしているわけでございます。  しかしながら、この特例は、個人立あるいは宗教法人立の施設について同様の措置を講ずることは憲法上の問題から困難であるということになっております。そうした措置以外の面ではどのような設置主体でも基本的には同様の取扱いとなるよう配慮してまいりたいと考えております。  問題は、保育所と幼稚園の法人の問題、あるいは認可、運営費、整備費の問題を見ますと、保育所の場合は、認可におきましても、あるいは運営費におきましても主体制限はないわけでございますが、幼稚園の方がなかなかハードルが高いところがあるように思います。  それで、社会福祉法人の問題につきましては、今、社会福祉法人の要件というのは、基本財産が幾らというのではなく、上物の建物が自前で要るということであると聞いておりますので、そうしたことをよく個々の事例ごとに御工夫をいただきまして、うまくこの認可こども園に、意欲のある法人におかれましてはいろんなそれぞれ相談に行政も乗ると思いますので、いろんな御工夫をいただきたいというふうに思っております。
  197. 山本保

    ○山本保君 今、局長のお話あったとおりでありまして、保育所というのは既にNPOでも、場合によれば株式会社によってもきちんとした認可をしまして助成をしておると。ところが、文科省の方はそれは行っていないと。ここに一つ問題があるわけです。ですから、向こうの問題なんだといえばそうなんですが、ここはしかし役所同士、やはり今憲法問題というような大きなものがあるとすれば、そこを、文科省は社会福祉法人を持っておれば認めましょうとまで言っているんですから、何とかこちらで、じゃ社会福祉法人格を与えてあげると、こういうことがいいなと思ってお聞きしました。  確かに、お話ありましたように、なかなか、建物だけでいいはずなんでもっと柔軟にいくべきなんですが、どうもその辺の理解が余り進んでいないようです。実際、お寺さんによっては当然檀家さんのいろんなお話とかいうのがあるようでありますけれども、しかし、これはお寺の建物をどうするだけでなくて、子供用の建物のことなんでありまして、この辺は、建物というのはもう二十年も三十年もすればもうなくなってしまうわけです。そのほかに直すときには公的に応援してくれるというんですから、こんないいことはないじゃないかとお話ししているんですけれども、どうもその理解が足らないようなので、またこれから担当の方ともいろいろお話ししながら、その辺分かりやすい考え方を示していただければと思っておりますので、よろしくお願いしますと申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  198. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  来年度は介護保険が始まって七年目に入るわけです。三期目の見直しの時期で、現在、地方自治体の三月議会で保険料を決める条例が議論されております。  厚生労働省は昨年末に調査をされていると思うんですが、六十五歳以上を対象とする一号保険料の基準額、四月からどのようになる見込みでしょうか。
  199. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) 各市町村の条例案につきましては、現在、各市町村の議会において審議中のもの、あるいはまだ議会に提出されていないというものも含まれておりまして、現在のところ全国の保険者の保険料額については調査中でございます。
  200. 小池晃

    ○小池晃君 政令指定都市。
  201. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) 政令市につきましては、現在、議会に条例案を提出しております十二市について見ますと、第三期の保険料は平均で月四千三百四十一円程度になると調査しております。
  202. 小池晃

    ○小池晃君 政令市の平均、前期は三千五百円ですから、九百円ぐらい、を超える値上げになるのかなと思うんですが、高齢者世帯の負担能力というのは、年金はむしろマイナス改定が行われているわけで、限界に来ているわけです。更に千円近い負担増というのは、これは非常に深刻な影響を与えることになると思いますし、全国の市町村も悩み抱えていると思うんですね。  この値上げというのは給付費の増が主な要因ではありますが、昨年の法改正で介護予防事業を公費で行ってきたものを地域支援事業ということで介護保険に吸収するなど、国が財政的な責任を後退させてきた姿勢も背景にはあるというふうに言わなければいけないと思います。  大臣にお聞きしたいんですが、四月から介護保険料、千円近く上がってくる見込みになっておりますが、これが高齢者世帯に与える影響をどのように考えておられますか。
  203. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 介護保険の五年間の施行状況を見ますと、サービス利用の大きな伸びに伴い費用は急速に増大しており、高齢者方々にも御負担をいただいております保険料の急激な上昇を抑え持続可能な制度としていくためには、給付の効率化、重点化を図ることが必要と考えております。  このため、今回の見直しにおいては、軽度の方を対象としたサービスをより介護予防に効果的なものに見直すなど予防重視システムへの転換を図ること、在宅と施設との利用者負担の不均衡の是正等の観点から、介護保険施設入所者の居住費、食費の負担の見直しを行うことなどにより給付の効率化、重点化を図ることとしております。また、個々の被保険者に賦課される保険料については、これまで負担能力に応じた設定がなされてきましたが、今回の見直しにおいて、負担能力のある方には税制改正にかかわる激変緩和措置を講じながら負担をお願いする一方、所得の低い方にはこれまでより一層配慮した保険料の設定方法に見直しをすることといたしております。  現在、各市町村において改定作業が進められており、第三期の介護保険料についてはこうした見直しの趣旨や地域住民のニーズを踏まえ、改定が行われていくものと承知しております。  今後とも、各市町村、各都道府県と連絡をしながら適切な運営に努力をしたいと考えております。
  204. 小池晃

    ○小池晃君 大臣もこの引上げの影響についてお話しされませんでしたが、これが本当に大きな負担になることは間違いないというふうに思うんですね。全国市長会、町村会が要望しているように、国庫負担を現在二五%から三〇%に引き上げる、これをやれば一号保険料の値上げを抑えることができるわけでありますし、このことを強く求めたいと思います。私どもは、将来的には国庫負担、計画的に五〇%に引き上げるべきだという主張もしております。  さて、今回の値上げの要因、先ほど言ったように給付費の増であるわけですが、自治体によっては財政安定化基金からの借入れを一号保険料で償還しなければいけないということが要因にもなっております。三年前に一回目の保険料の見直しを行ったときにはこの償還の繰延べやったんですね。今回も大幅な値上げになっているわけですから、せめてそのぐらいやるべきじゃないかと思うんですが、老健局長、いかがですか。
  205. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) 財政安定化基金からの貸付金につきましては、本来、当該事業運営期間において保険料で徴収すべきであった費用でございまして、原則としては次期、次の事業運営期間の三年間で償還する仕組みとなっております。  しかしながら、第一期につきましては、それまで介護保険制度が当然なかったわけで、その実績がないということでサービス量の推計を行わざるを得なかったという特別な事情がございまして、そのために翌事業運営期間から起算して最大九年までの延長措置を認める特例措置を講じたところでございます。  しかしながら、第二期におきましては、各保険者が第一期の実績も踏まえてサービス量を見込むことが可能でありましたし、また結果的にも給付額、給付見込額と実績額の乖離、すなわち給付に占める貸付額の割合も、第二期は第一期よりも小さくなっているというようなことでございまして、第一期と同様の特例措置を講ずることは考えておりません。
  206. 小池晃

    ○小池晃君 そうはいうものの、実績ベースで見積もったらこれは一期目に比べて二期目は大幅に貸付額増えているわけですから、私はこういうふうにその保険料が三年ごとに大きく跳ね上がるということになりますと、制度に対する信頼性も失われることになるというふうにも思いますし、やっぱり負担減のためにこの程度検討すべきだということを申し上げたいというふうに思うんです。  それから、介護予防の問題です。  介護予防事業や新予防給付のケアマネジメントを行う地域包括支援センター、これは四月に向けて準備がされております。去年の法改正の議論の際に、私の質問に対して、後ろにおられる当時の中村老健局長が、人口二、三万人に一か所だと。人口十万人だと大体四、五か所だと。全国で五、六千か所だというふうに言ってこられたんですね。  これ四月からどのくらい設置される見込みなんでしょうか。
  207. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) 四月から設置されます予定の地域包括支援センターの箇所数については、具体的には現在把握しておりませんが、約九割の市町村が十八年度に地域包括支援センターを設置し、新予防給付をスタートする予定であると承知しております。
  208. 小池晃

    ○小池晃君 問題は自治体数じゃなくて、実態の中身なんですね。  いろいろ調べてみると、去年の説明と全然違う事態になっているんですね。例えば千葉県の柏市、人口三十八万人、一か所です。それから松戸市、四十七万人で一か所なんですね。それから四十七万人の市川市で三か所。同じく五十七万人の船橋市で三か所。人口九十三万人の千葉市で五か所。こういう実態なんですよ。  厚生労働省、これ生活圏域に設定するっていうふうにおっしゃった。きめの細かい対応をするって言っていた。人口二、三万人に一か所って言っていた。これ実態全然違うじゃないですか。どうなっているんですか。
  209. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) どのような地域を単位として地域包括支援センターを設置するかは、最終的には各保険者であります市町村の御判断でございまして、厚生労働省からは確かにおおむね人口二、三万人に一か所ということでお示ししておりますけれども、委員指摘のとおり、多くの人口を抱える地域に一センターを置くという予定のところもあるようでございます。  ただ、こうした場合でありましても、当面その一つの地域包括支援センターに専門職種をそれぞれ複数配置いたしまして徐々に地区割りをしていこうというふうに考えておられる市町村、あるいは一つの地域包括支援センターの下に総合相談の受付窓口となります、いわゆるブランチと呼んでおるようでございますが、ブランチを複数設けるという形でいこうとしている市町村などもございまして、圏域が大きいからといって直ちに包括支援センターとしての業務に支障が生ずるものとは考えておりません。
  210. 小池晃

    ○小池晃君 それは去年と説明が違うと思うんですね。やっぱりきめ細かくやるんだと。そのために二、三万人に一か所と言ってたんだ。  例えば、東京の文京区の説明なんかは、警察署の管内に一つあるから安心ですってね、全然とんでもない話になっているわけですよ。それから、例えば山形県の鶴岡市というのは、これ面積で東京都の七割ぐらいある大きなところですが、ここでも一か所なんですね。これで果たしてきめの細かい介護予防なんかできるのかと。  これ当初の説明と全然違う事態になっていますし、あわせて、再委託可能だということを去年は大分説明されていました。私が質問して、地域包括支援センターにケアプラン集中するんじゃないかと言ったら、再委託が可能だという答弁中村、当時の局長されたんですが、四月からの介護報酬改定でこれは再委託する場合、ケアマネの一人当たり八人までという制限を付けたんですね。しかも、予防プランの場合は委託料が四百単位、四千円、非常に低い単位になっております。既にこれはもう再委託は引き受けないという事業者が出てきている。    〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕  結局、地域包括支援センターも当初言っていたような数ができない。そこにケアプラン作成が集中する。再委託もできない。正に、この経過措置があって半年間はこの八人という制限はないわけですが、経過措置が終了したらばケアマネ難民が発生するんじゃないかというような報道すらされている。こういう実態でいいんですか、局長答えてください。
  211. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) 委員指摘のとおり、地域包括支援センターにつきましては、要支援者に対するケアマネジメント機関として法律上位置付けられておりまして、その業務の一部を居宅介護支援事業所に委託できるということとされております。  ただ、この居宅介護支援事業所の行います要介護ケアマネジメント、これをやはり十分に行うべきだという御意見も強くございまして、そうした観点から、地域包括支援センターからその居宅介護支援事業所への受託につきましては件数の制限を設けることとしたところでございます。  受託件数の上限の設定に当たりましては、社会保障審議会介護給付費分科会の御議論等も踏まえまして、今御指摘のとおり既存の事業所につきましては六か月間は適用しない旨の経過措置を設けるほか、新予防給付のケアマネジメント自体、業務の見直しによりまして業務量の軽減あるいは合理化を図る、それから地域包括支援センターへの人員配置につきましても、こうした業務に携わる人材をより確保しやすくするための一定の配慮措置を講ずるといったことを通じまして、できるだけ円滑な事務の実施に向けて配慮していきたいと考えております。    〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
  212. 小池晃

    ○小池晃君 そうはいっても、介護報酬示された途端に自治体からは要望書がたくさん出ているわけですよ。  紹介すると、東京都は、当初予定されていない基準の突然の提示に都内の市区町村は対応に苦慮していますとしています。神奈川県の市町村の担当課長の連名の要望書では、今般の介護予防支援などにかかわる報酬基準は介護予防の軽視と言わざるを得ないというふうに言っています。それから、兵庫県の意見書は、保険給付対象者の約半数近くに上る予防支援対象者が十分な介護予防支援を受けられなくなる可能性があり、制度の信頼性に関する懸念も生じかねないと言っています。それから、京都府の意見書では、予防プランをセンターですべて処理することは困難だと、できたとしてもプランの質は担保できないと。こういう声が自治体からどんどん寄せられていると、これが実態なんですね。  大臣、これやっぱり地方自治体がこういう懸念を持っているわけですよ。私は、ケアマネ難民などは決して生じてはならないと思うんです。介護予防というのであれば、しっかりそういう人たちのニーズにこたえる体制をつくらなければいけないし、私はこの報酬、見直す必要があると思っています。それから八人という制限も撤廃する必要があると思っています。せめてこの半年間の経過措置を機械的に打ち切るのではなくて、やっぱり状況を見ながら丁寧に対応していく、やはりその介護予防重視という本来の姿をやろうというのであれば、そういう配慮が必要なんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
  213. 磯部文雄

    政府参考人磯部文雄君) 今、介護報酬の御指摘がございました。  介護報酬の在り方につきましては、先ほども申し上げましたが、新予防給付におきましては訪問介護などの主なサービスが月単位の定額報酬となるということから、給付管理業務の事務量が軽減されるといったことがございます。そうしたその他の業務量の軽減、合理化を図っているところでございまして、こうした事情を勘案しておりますし、また最も手間の掛かる初回につきましては二千五百円の加算を設けるなどしておりまして、六千五百円の単価といったことで、介護報酬介護予防支援の報酬水準については妥当なものと考えております。  そうしたこともございまして、これらの介護給付、予防給付に関しますケアマネジメントを適切に実施するということで、先ほど申し上げましたような経過措置等を取り組んでおりまして、こうしたことによって是非円滑に実施したいと考えておるところでございます。
  214. 小池晃

    ○小池晃君 理屈言ったって現場はそんなふうに円滑に進んでないんですよ。だから言っているんですよ。  大臣ね、やっぱり介護予防というのは絵にかいたもちにこのままではなってしまう。予防サービスそのものの提供基盤だって十分整備されてないんですよね。そういう中で、私は、もう丁寧な対応、これ必要になってくる、決してケアマネ難民なんて生まれないように、これは丁寧に対応していく必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
  215. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 四月からの実施に向けて、都道府県、各市町村が様々な形で御努力をいただいております。一方で、いろんな御意見も出ておりますので、しっかり実施状況を把握しながら、私自身も注視をしていきたいと、こう考えております。
  216. 小池晃

    ○小池晃君 これは本当に、まあ介護予防、予防重視といううたい文句に見合うような中身にする責任があると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  続いて、社会保険庁の問題をちょっと取り上げたいんですが、資料配付をお願いします。    〔資料配付〕
  217. 小池晃

    ○小池晃君 我が党は、年金保険料の流用の問題などは厳しく批判をしてまいりました。個人情報を外に流すということも、これは許されない行為であるということは当たり前のことだと思います。  今日は、社会保険庁の非常勤職員、とりわけ謝金職員と言われている人たちの問題を取り上げたいんです。  私は、先日、神奈川の社会保険事務局を訪問しました。非常に多忙を極めていて、電話相談とか年金の窓口相談、殺到している。現場の方は、団塊の世代の人が大量に出てくると、殺到したらば本当に対応できないというふうにおっしゃっていました。  で、実感したのは、現場で窓口業務に携わっておられる中心が、非常勤の人たちが中心になっている。専門知識を持った謝金職員という人たちが非常に大きな役割を果たしているということなんです。例えば、横浜中社会保険事務室の年金相談コーナー、ここで働いておられたのは、正規職員が一人と謝金職員が四人。それから、横浜の年金相談センターでは正規が一人、謝金が五人、賃金職員が二人。まあ正規よりも謝金職員の方が多いわけです。非常に込み入った相談が多いので、知識も経験も必要だと。  しかし、待遇が、これは勤務時間は正規職員と同様に八時半から十七時までの勤務、賃金は五年以上の方で一日七千七百円なんです。二十日勤務で十五万四千円なんです。定期昇給なし、期末手当なし、夏季休暇なし、こういう実態です。  大臣、こういった社会保険庁における謝金職員の果たされてきた役割、これをどうお考えか、あわせて、現在の労働条件や待遇についてどういうふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  218. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今お話ございましたように、社会保険庁、二年前の年金改正の議論から始まって、業務の効率化、合理化についていろんな御批判もいただき、またその中で懸命な努力をいたしておるところでございます。  年々増加する年金受給者からの相談業務やレセプト点検業務等について、専門的な知識や能力を有する者を謝金職員として委嘱し対応してきたところであり、社会保険庁の事業の効率的な実施に今日まで寄与していただいたと考えております。  この謝金の単価につきましては、この表にありますとおり、私ども基本的には一万二千五百円、七千七百円、七千百円と考えておりますけれども、業務の特性や内容に応じて定めておるものであり、適正であると考えております。
  219. 小池晃

    ○小池晃君 一万円を超える人はほとんどいないんです。主力は大体七千円台なんですよ。  適正だと言いますが、この表を見ていただくと分かるんですが、非常に不思議なことに、交付日数が五月と十一月だけ十七日となっているんですね。何でこうなっているのかなと思っていろいろと調べてみたらば、実はこの規定で、要するに十八日以上一月働くのが六か月以上継続すると退職金が出るという仕組みがあって、だから五月と十一月は十七日勤務にして退職金払わなくてもいい仕組みにしているということなんですね。こういうひどいやり方が、もう労働者をまあ守るというか、労働行政つかさどる厚生労働省がこういうことやっていいんだろうかというふうに思うんですが。  しかも、私聞きたいのは、このいわゆるのぞき見、業務外閲覧の問題で、自らは見てないというふうに言っている人も含めて、カードの管理が、個人カードの管理が不十分だという理由で処分しているんですね。のぞき見をしていないのにカード管理が悪いと言われて、いかなる処分を受けても異存ありませんという自認書をこうサインしろというふうに求められている。これで閲覧を否定している人に対してまで処分をしている。実際、この謝金職員の中でこれで戒告以上の処分を受けた人、百八十四人もいるんです。  社会保険庁にお聞きしますが、見てもないと、自分は情報をのぞき見してないと言った人まで処分するというのは、これは行き過ぎじゃないですか。
  220. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) まずもって、業務目的外閲覧ということで、昨年年末に大量の処分者を出してしまいましたことについて、深くおわびを申し上げたいと思っております。  社会保険庁におきましては、被保険者あるいは年金受給者、多くの方々の個人情報を大量に保有をさしていただいております。そういう意味では、個人情報の管理につきましては、業務を行う上で最も注意すべき事項であるというふうに考えております。  社会保険事務所において、こういう年金の個人情報を執り行う場面につきましては、窓口装置で業務を行うための必要な業務カードの払出しを行うということをやっております。この業務カードの払出しを受けた方が自ら責任を持ってその業務カードの管理を行うと、これが原則でございます。  今御指摘の、昨年年末に公表さしていただきました処分、これは平成十六年の一月から十二月の一年間、この一年間の期間内で業務目的……
  221. 小池晃

    ○小池晃君 答弁簡潔にしてください。
  222. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) はい。業務目的外閲覧について処分を、調査をした上での処分ということであったわけですけれども、まず、閲覧行為を否定した方につきましても、業務カード払出し簿というのがありまして、そこに払出しを受けた方が明記をされており、かつ通信記録で当該カードを使って記録が閲覧されているということがはっきりしている方については、少なくともその払い出された業務カードの管理責任が十分果たされていないということがやっぱり言えるわけであります。結果として個人情報の安全性を脅かすような事態が生じてしまったということから処分を行ったところでございます。
  223. 小池晃

    ○小池晃君 ただ、実態聞くと、その謝金職員にカードをきちっと管理するように研修したのは一昨年の九月からで、それまではもうカード差しっ放しにしててだれでも見れるようになっていたと、そういうふうに現場でも指導されてたというんですよ。一々差していって立ち上げてたら大変だから、だから、それでたまたま自分のカードが刺さっているときにこう業務、閲覧の記録があったら処分と、これはひどいじゃないかという話になっているんですね。  で、確認、一言でお答えいただきたいんですが、これは平成十七年十二月二十七日の処分で、業務外閲覧問題というのは処分は終わっているんですね。終わってない、終わったのか終わってないか、それだけ答えてください。
  224. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 平成十六年の一月から十二月にかけての業務目的外閲覧行為に関しましてはできるだけの調査を行いまして、その現時点で更なる処分ということが行われるというようなことは考えておりません。
  225. 小池晃

    ○小池晃君 処分は終わったということなんです。  ところが、それにもかかわらず、謝金職員で戒告以上の処分受けた人はこの三月末で契約更新しない、つまり雇い止めということになろうとしているんですよ。先ほど言ったように、謝金職員で戒告以上の処分を受けた人百八十四人なんです。実際に現場では本当に掛け替えのない役割を担っている人なんです。ところが、処分されたのに、処分終了しているにもかかわらず、それに加えて雇い止めと、これは余りにも行き過ぎじゃないですか。  大臣ね、労働者の権利守る厚生労働省がこんな無法なことをしていいんですか。
  226. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 個人情報の保護、正に国が一番責任を負わなきゃならない分野におきまして残念ながら処分に至るような事案が発生をいたしました。そして、誠に大量の処分に至ったということについて厚生労働省としても深く反省をしなければならないと、このように考えております。  このため、職員の処分に加え、職員の意識啓発や管理、監視の徹底等の再発防止策並びに昇任昇格の停止、管理職ポストからの異動等の人事政策上の対応も行うとしたところでございます。この一環として、非常勤職員で戒告以上の処分を受けた者については、採用に関する年度更新を行わない方針であり、謝金職員等の非常勤職員については、年度末までの一年間を限度に委嘱する期間を相手方に明示して委嘱しているところであり、当該期間満了後に継続して業務に従事することが不適切な者については更新を行わないとする取扱いは基本的に問題はないと、そのように考えております。
  227. 小池晃

    ○小池晃君 いや、問題ありますよ、これは。もう質問しませんが、これ、やはり一事不再理という原則もあるわけですし、これは有期労働契約の雇い止めの問題では反復更新、正にこの謝金職員皆さん、もう反復して連続して更新されてきた、こういう人は雇い止め認めちゃいけないわけですよね。これ、正にこういうやり方で、実際にその現場では非常に大きな役割を果たしてきたし、そして実際には見ていないと言っている人もいる。しかしながら、そういう人までカード管理が悪いという理由で処分をした。処分の上に更に雇い止めをするということは、私は、これは絶対許されない、企業を指導すべき厚生労働省として余りにも行き過ぎである、これについては再考を求めたいというふうに思います。  以上で質問を終わります。
  228. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず、タクシーの規制緩和政策のもたらした問題点についてお聞きをいたします。  これは、各政党からも今まで質問がありました。予算委員会などでも質問がありました。これについては、タクシーの台数の規制緩和、一人当たりの年収が減る、事故が増えるという、タクシーの運転手さんたちの睡眠時間を奪い、収入を奪い、かつ消費者にとっては安全を奪っているんじゃないかという問題です。  これについては、調査委員会を立ち上げ、かつ報告書が出ましたけれども、そもそも規制緩和に問題があったのではないでしょうか。私自身、二〇〇〇年の段階で問題があると、規制緩和をするなという国会で質問をしましたけれども、残念ながら規制緩和になりました。根本的に問題があったのではないですか。
  229. 松尾庄一

    政府参考人(松尾庄一君) タクシーにつきましては、平成十四年二月の改正道路運送法施行後、新規事業の参入あるいは多様なサービス・運賃の導入など規制緩和ということで実施をいたしまして、我々といたしましては一定の成果が現われていると考えておるところでございます。  一方で、タクシーをめぐる経営環境は、委員指摘のように、一部地域で若干明るい兆しが見られるものの依然として厳しく、それがタクシー運転者の収入等にも影響を与えているということで様々な指摘があるということは承知をしておるところでございます。
  230. 福島みずほ

    福島みずほ君 立入調査やあるいは実態調査をされるということは、私はすごい前進だというふうに思っています。ただ、去年五月十一日、規制緩和後、既存事業者を中心に増車が盛んに行われていること等により営業収入が低下したため、歩合制を基本とする賃金体系を取っているタクシー運転者の収入低下を招く事態が生じていると、ゆゆしいことであるというふうに厚生労働省、国土交通省自身が調整会議を立ち上げるときに書いていらっしゃいます。問題があったということではないですか。あるいは、規制強化、見直しが必要ではないですか。単なる実態調査、把握や立入調査では不十分だと考えますが、いかがですか。
  231. 松尾庄一

    政府参考人(松尾庄一君) タクシー運転者の適切な労働環境を確保するという観点では、委員指摘のように、厚生労働省との連携を強化して、この四月から合同監査、監督あるいは総合通報制度の拡充等を実施することとしておるところでございます。
  232. 福島みずほ

    福島みずほ君 規制緩和をするなと二〇〇〇年の段階でも言いました。こういう結果になると言いました。で、そのとおりになりました。だから、調整会議を立ち上げ、調査をし、これから査察をするとか言っているわけですね。でも、根本は政策の結果、台数の規制緩和で問題が起きたわけですから、政策の変更が明確に必要だと思います。  規制強化について、例えばタクシーの大口利用者についての割引があります。これは通達が、二〇〇四年九月十六日、通達が出ております。タクシー会社は、大体三割ぐらいこの大口利用者がいるというふうに聞いております。とすると、運転手さんは歩合制ですから、いわゆる実入りが減ると、歩合制が減って収入が減になるわけですね。この点については、例えばこの通達の見直しなど必要ではないでしょうか。
  233. 松尾庄一

    政府参考人(松尾庄一君) 二点御質問がございました。規制緩和に伴って安全性が損なわれているのではないかという御指摘でございます。  私ども、規制緩和によりまして、事前のいわゆる規制というものをできるだけ少なくして事後チェックを行おうということに行政手法も変えたわけでございます。その事後チェックとしての監査というものにつきましては、その一層の充実を図るということから、この二月からバス、トラックも含めた、タクシーのみならず、バス、トラックも含めた自動車運送事業者全体に対して原則無通告による監査の実施、新規参入事業者に対する早期監査の実施等の予防的監査に重点を置き、また行政処分にめり張りを付けるなど監査の充実を図っているということで、安全性の確保を図ろうとしております。  それから、もう一つの大口割引の問題でございます。これにつきましては、十六年三月に閣議決定で、規制改革・民間開放推進三か年計画というものがございます。その内容を踏まえまして、十六年の九月に関係通達の改正を行って、事業者の創意工夫を生かした運賃の多様化を促進するということで、大口割引も含めた割引制度の例示を行ったものであります。  大口割引は、そのお客さん、大口のお客さんに対して一定の割引を認めて更にタクシーを利用してもらおうという戦略からなされるものでございます。タクシーに限らず、他の運送事業においても一般的に実施され、社会的に広く受け入れられている割引方式であると考えております。  ただ、国土交通省といたしましては、事業者からの大口割引の申請があった場合には、運賃の認可に当たって不当な競争を引き起こすおそれがないか、あるいは不当な差別的取扱いをするものでないかを厳正に審査した上で適切に対処してまいる所存でございます。
  234. 福島みずほ

    福島みずほ君 タクシーの運転手さんの平均年収は三百万ちょっと、労働時間は通常の労働者よりもはるかに長くなっています。この通達によって歴然と、今まで収入減だったのがますます収入減というふうになっています。国土交通省が取ってきた政策の転換が必要であると、幾らばんそうこうを張ったところで、大本のところで問題があれば、それは根本的な政策を見直さない限り問題の解決にはならないというふうに思っております。どうですか。
  235. 松尾庄一

    政府参考人(松尾庄一君) その点に関しましては、私どもといたしましては、現在、国交大臣の諮問機関であります交通政策審議会に設置したタクシーサービスの将来ビジョン小委員会におきまして規制緩和後の実態把握、分析を行い、輸送の安全と利用者利便の増進を図るとの観点から、今後のタクシーサービスの在り方及びその実現のために必要な環境整備方策について現在御審議いただいているところでありまして、ここでの審議結果を踏まえまして、今後の政策立案に適切に反映してまいりたいと考えております。
  236. 福島みずほ

    福島みずほ君 よろしくお願いします。  大阪でタクシーに乗ったら、五千円以上五割引き、しかも値切る人がいるんですよと運転手さんがおっしゃっていましたけれど、是非きちっと政策を見直してくださるようお願いいたします。  次に、母子家庭の問題についてお聞きをいたします。  母子家庭の就業・自立支援センター事業の就業相談・促進活動の実績が示されておりますが、個別について、非常勤、パートがどのような条件、実態で就業しているのか、就業実態の内訳を明らかにし、就業後の支援に役立てるべきではないでしょうか。
  237. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 母子家庭等就業・自立支援センターにおきます就業実績を基に国が更にそれを分析をするということは、なかなか地方自治体との関係で難しいと思いますけれども、私どもといたしましては、母子家庭の母の就業の実態について詳しく調べることは大変重要だと思っております。そして、その実態につきましては、五年ごとに実施しております全国母子世帯等調査という調査がございますが、それによって調査をしているところでございまして、母子家庭のお母さんの就業をしている仕事の内容であるとか資格の有無、その種類、それから仕事の内容別の年間収入の割合、それからお母さんの勤務先事業所の規模や帰宅時間、それから転職希望の有無などを取っているところでございます。  こうしたことを踏まえまして実態を把握していきたいと思っておりますし、この調査につきましては、本年、つまり平成十八年秋を目途にこの直近の実態を把握したいと考えております。さらに、地方自治体が実施しておりますセンター事業におきましての就業支援につきましては、就職支援後におきましても、巡回相談などによりまして継続的な生活支援を行っていただくよう要請しておりますし、今後とも機会をとらえてそういうふうに要請をしてまいりたいと考えております。
  238. 福島みずほ

    福島みずほ君 現在モデル事業として行っている母子自立支援プログラムは、二〇〇六年度から全面展開をすることになっております。そこでは個別プログラムで対応しているので、そこで就労の実態について調査実施し、支援につなげていただきたいと思いますが、いかがですか。
  239. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 平成十八年度から、今御指摘がございましたように、福祉サイドと労働サイドが連携をいたしまして、自立支援のプログラムを個々人ごとに作り、そして就業につなげていくという事業を全国展開をしたいと思っております。  これは、実施主体としては地方自治体にやっていただくわけでございますが、その際に、きちんとその状況がよく分かるようなことで把握をしながら、実施をしながらその成果を上げていくというようなことをよく要請してまいりたいというふうに思っております。
  240. 福島みずほ

    福島みずほ君 よろしくお願いします。  二〇〇二年度の児童扶養手当の改悪により、手当支給後、五年間で支給額を半減することになりました。しかし、母子家庭の実態は実施する状況にあるのでしょうか。母子家庭の一世帯当たりの平均所得金額は二百三十三万六千円です。母子家庭への就労支援などの実効性が上がった段階で実施すべきではないですか。
  241. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ちょっとさっき円さんとの間でもあったんですけれども、今の現行法、現在できる措置として、受給資格者が正当な理由なく求職活動しなかった場合に手当の一部又は全部の支給停止ができると。二十年四月からは、受給期間が五年を経過する場合に、政令で定めるところに手当の一部を支給しないことができる、ただし減額は手当額の二分の一を超えることはできないと、こういう定めになっております。またあわせて、三歳未満の児童の養育者、障害者の自立困難者への配慮ということが書かれており、正直申し上げて、二十年の実施でございますから、十九年の状況、しっかり把握しながら政令で定めることになります。
  242. 福島みずほ

    福島みずほ君 障害者自立支援法の実施運用における問題についてお聞きをいたします。  障害者自立支援法が去年の秋に成立をしましたけれども、障害者の人たちが地元自治体担当者と打合せをする中で不安感、不信感が高まっております。いろんな例がたくさん挙がってきております。例えば、十月以降グループホームを利用している障害者の人がホームヘルパーを利用した場合、新たな費用負担が発生し、利用が事実上困難になるとの事例が大阪で議論になっています。知的障害者の人たちのグループホームでは、ホームヘルパー利用を広く行っておりますが、その費用が別途加算されることになると。国の説明では各種加算があるとのことですが、加算対象が狭く、救済策となっておりません。入居者の事故を招く危険があり、障害者の生活が激変するかもしれないというふうに言われております。このような不安が出ていることをどう受け止められますか。
  243. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 障害者自立支援法は四月から施行する部分と十月から施行する部分がございまして、それぞれ省令とか基準、時期に応じまして作業を続けております。特に、今委員から御指摘のありました具体的な事業者さんに対する基準や報酬につきましても、これは、新基準は十月実施でございますけれども、四月に間に合うようにということで、できるだけ早く明らかにするということでパブリックコメントをしているところでございます。  今お話のありましたグループホーム関係につきましては、現在はグループホーム入居されている方がホームヘルパー使えるという制度になっておりますが、これにつきましては、サービスの質や責任関係が不明確であるということで、新しい基準では、グループホームが入っている方についてサービス管理責任者を置きまして、すべてサービスグループホームの責任ですると。その際、グループホーム事業者の委託により、外部委託によりホームヘルパーさん、外部からのホームヘルパーさんも入っていただける仕組みにはしておりますが、それは仕組みが変わります。そういった新しい仕組みが十月から実施されますので、その辺についてまだなじめないということで御心配されているんではないかと思います。  ただし、この制度につきましても、平成十九年度末までは経過的な措置として、事業者の選択によりまして外部ホームヘルパーさんの給付も受けられる方式も可能でございますので、まだパブリックコメントをしている段階でございまして、十分徹底してない面もあるかもしれませんが、正式に決まりましたら周知徹底に努めてまいりたいと思います。  いずれにしても、平成十九年度末まで経過措置もあるということも御紹介をしておきたいと思います。
  244. 福島みずほ

    福島みずほ君 尾辻大臣は、昨年十月二十六日の厚生労働委員会で、衆議院ですが、障害をお持ちの方で今サービスを受けておられる方、この方々が適切なサービスを受けておられるという、その水準を私どもが下げるということは決して考えておりません、また、そんなこともいたしませんということをかなり何回も何回も答弁をされました。  ところで、二月九日の社会保障審議会の障害者部会で、厚生労働省から出されたものなどについて、例えば居宅介護については、身体介護が一日三時間以内、家事援助が一日一・五時間以内で検討しているということが明らかになりました。これはまさしく介護保険の基準をそのまま持ってきたものです。その基準ゆえに、ほとんどの人が、行動援護の対象とならない知的障害者や精神障害者の人たちがこれに当てはまって、非常にサービスが減退しちゃうんじゃないかという不安が広がっております。これについてはどう受け止められますか。
  245. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 今委員から二月九日のお話がございました。その後、先ほど申し上げましたように、詳しい報酬単価や施設基準についてもパブリックコメントを掛けているところでございますが、今委員から御指摘ありましたのは、身体介護や生活支援については短時間の部分を重視するという基準が作られております、居宅介護対象でございます。そのほか、長時間介護が必要な方については、重度訪問介護対象者ということで、例えば八時間あるいは二十四時間というようなことも念頭に置いた、言わば訪問介護の基準が作られているところでございます。  当委員会の御審議でも水準下げることのないようにということでございましたし、私ども、ホームヘルプサービスの国庫補助基準も最大で二倍、現行月二十二万円というのを四十五・五万円に引き上げるなど大幅な改善を図ったということで、当委員会で御審議いただき御指摘いただいた点については十分配慮させていただいていると考えております。
  246. 福島みずほ

    福島みずほ君 今出ましたけれど、重度障害者等包括支援の対象者、この委員会でも来られましたけれど、常時介護を必要とする人たちについて、今局長は八時間あるいは二十四時間というふうにもおっしゃいました。二十四時間介護ということはあり得るわけでしょうか。
  247. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 私どもの重度訪問介護などそういった制度で、例えば八時間で重度訪問介護は打ち止めにすると、そういうふうにはなっておりませんし、基準の中では正に深夜のサービスした場合には加算が付くとか、そういうことになっておりますので、八時間を超えて、あるいは場合によっては二十四時間サービスする、その場合には八時間ではございませんので深夜のサービスもあり得ると、したがって深夜加算も付くというような構成になっておりますので、そういったことから御理解いただけると存じます。
  248. 福島みずほ

    福島みずほ君 サービスを短時間に集中的に利用することを期待される状態になるのではないかなど、障害者の人たちが非常に心配をしています。ですから、これからまた詰めていくことになると思いますが、是非、レベルが下がってしまって生活できない、生きられないということがならないように、よろしくお願いします。交渉も続けていきたいというふうに考えています。  次に、労働者派遣事業法についてお聞きをいたします。  直接雇用についての制度ができました。労働者派遣法の期間制限を超えて派遣労働者を受け入れた派遣先が、労働局から直接雇用の指導を受けて派遣労働者を直接雇用するに際して、有期雇用契約や派遣で働いていたときの労働条件を下回る不利益な労働条件を提示する例が出ております。  派遣スタッフも正社員になれるよということについては、とても派遣の人たちが期待をしている、正社員になれるという部分が期待をしたわけですが、ただ、なるに当たって労働条件が下がったりとかということがあって、それだと何のために正社員になるか分からないという状態もありますので、この点では行政指導としても、従前よりも、直接雇用した場合、労働条件が下回らないようなという指導等を是非していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  249. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 労働者派遣法違反等があった場合には、まずは違反状態、是正することが基本ではございますが、そういった場合、労働者の雇用の安定のための措置を講ずることを前提とした上で、派遣法に抵触している違法状態を速やかに是正するように指導をしております。  その際に、派遣先が派遣労働者を直接雇用することとなった場合の労働条件につきましては当事者間で決定されるべきものでありまして、派遣先と派遣労働者との間で、派遣就業中の労働条件やその業務に従事している派遣先の労働者の労働条件、そういったものを総合的に勘案して話し合って決定すべきものというふうに考えております。
  250. 福島みずほ

    福島みずほ君 話し合って解決すべきとおっしゃいましたが、派遣労働者の組合の組織率はどれぐらいでしょうか。
  251. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 派遣労働者の組合の組織率という形では、私どもは今手元にそういった数値はございません。
  252. 福島みずほ

    福島みずほ君 パートタイマーの人たちの推定組織率は三・三%です。派遣や有期契約については、加入率について調査はないというふうにも厚生労働省から聞きました。恐らく限りなくゼロに近いか、パートで三・三%ですから、統計取ってないことも問題だと私は思います。ただ、とても低いと思うんですね。だから、対等に労使でやれといったところで、対等になんか、これ、やれっこないんですよ。  ですから、是非これは、直接雇用する際にちゃんと労働条件、従前よりも下がらないようにと。なぜ直接雇用がいいかといえば、派遣よりも労働条件、まあ身分が安定するからなわけで、身分というか、労働条件がより安定するからなんですが、この段階においてその行政指導をしてください。
  253. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 先ほど、直接雇用の場合、その就業条件、当事者間で話し合ってということを申し上げました。それは、派遣の場合は、派遣という形でその条件は決まってまいります。  ただ、直接雇用となりますと、その際に、その派遣先の企業としてのいろんな労働条件の実態がございます。そういったものとの調整を踏まえた上で当事者間で話し合って決定すべきものというふうに考えております。
  254. 福島みずほ

    福島みずほ君 しかし、派遣は、派遣元がその分、マージンと言っていいか、利益を得ているわけですから、直接雇用になればそれを払う必要がないわけですから、前よりも基本的には労働条件が、少なくとも賃金などについて上がらないと、これはおかしいわけですね。  つまり、働いている人は直接雇用してほしい、しかし前よりも労働条件が悪くなるというと、何かもう究極の選択ですよね、どっちがいいか。それを当事者がやれというのは酷だと思いますが、いかがですか。
  255. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 派遣就業中、これはその派遣契約に基づいて派遣元がそういった就業条件、労働条件、決めてまいります。ただ、これが、派遣が終わり、それからいろんな指導の結果として派遣先での直接雇用となった場合は、派遣先でのいろんな規定もございますし、そういったものを含めて当該労働者と派遣先との間で具体的に十分話し合われるべきと考えておりますので、そういった点を周知していきたいと考えております。
  256. 福島みずほ

    福島みずほ君 高齢者雇用促進法について、これは定年廃止か定年の引上げか継続雇用制度のいずれかの措置をとることが義務付けられました。しかし、前二者を取る企業はほとんどなく、ほとんどの企業が継続雇用制度を選択をしております。  これについては、原則として、継続雇用制度を選択する場合、希望する全員が選択できるのが原則であるということでよろしいですね。
  257. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 改正高年齢者雇用安定法によります高年齢者雇用確保措置のうち、今御指摘のありました継続雇用制度を導入する場合については、継続雇用を希望するすべての労働者を対象とすることが原則となっております。  ただ、同時に、改正法におきましては、すべての企業に一律の義務付けを行うと各企業の経営環境等に応じた適切な対応が取れない等の意見も踏まえまして、各企業において労使協定により基準を定めた場合には、基準に該当する労働者を対象とする制度を導入するということも認められているところでございます。
  258. 山下英利

    委員長山下英利君) 時間です。
  259. 福島みずほ

    福島みずほ君 終わります。
  260. 山下英利

    委員長山下英利君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  261. 山下英利

    委員長山下英利君) 次に、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、公共職業安定所設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。川崎厚生労働大臣
  262. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、公共職業安定所設置に関し承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  現在、厚生労働省の地方支分部局として公共職業安定所全国配置されておりますが、これに関しては行政改革の一環として統廃合を積極的に推進するとともに、地域の実情の変化に対応した配置の適正化を図ることとしております。  この案件は、平成十七年度において、右の理由から千葉南公共職業安定所を新たに設置することについて、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、国会の御承認を求めようとするものであります。  以上が、この案件の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御承認くださいますようお願い申し上げます。
  263. 山下英利

    委員長山下英利君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十九分散会