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2006-02-03 第164回国会 参議院 厚生労働委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年二月三日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員氏名     委員長         山下 英利君     理 事         谷  博之君     理 事         円 より子君                 阿部 正俊君                 岡田  広君                 岸  宏一君                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 武見 敬三君                 中原  爽君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 水落 敏栄君                 朝日 俊弘君                 家西  悟君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 津田弥太郎君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 山本  保君                 渡辺 孝男君                 小池  晃君                 福島みずほ君     ─────────────    委員異動  二月二日     辞任         補欠選任      小池  晃君     仁比 聡平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山下 英利君     理 事                 岸  宏一君                 中村 博彦君                 谷  博之君                 円 より子君                 渡辺 孝男君     委 員                 阿部 正俊君                 岡田  広君                 坂本由紀子君                 清水嘉与子君                 武見 敬三君                 中原  爽君                 西島 英利君                 藤井 基之君                 水落 敏栄君                 朝日 俊弘君                 家西  悟君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 津田弥太郎君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 山本  保君                 仁比 聡平君                 福島みずほ君    衆議院議員        厚生労働委員長  岸田 文雄君    国務大臣        厚生労働大臣   川崎 二郎君    副大臣        厚生労働大臣  赤松 正雄君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       岡田  広君    事務局側        常任委員会専門        員        江口  勤君    政府参考人        内閣食品安全        委員会事務局長  齊藤  登君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        スポーツ・青少        年総括官     西阪  昇君        厚生労働大臣官        房技術総括審議        官        外口  崇君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       松本 義幸君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中谷比呂樹君        農林水産大臣官        房審議官     高橋 直人君        経済産業大臣官        房審議官     深野 弘行君        経済産業省商務        情報政策局消費        経済部長     谷 みどり君        国土交通大臣官        房審議官     和泉 洋人君        国土交通大臣官        房技術審議官   中島 威夫君        環境大臣官房審        議官       寺田 達志君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国政調査に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支  給等に関する法律の一部を改正する法律案(衆  議院提出) ○社会保障及び労働問題等に関する調査  (食の安全等に関する件)     ─────────────
  2. 山下英利

    委員長山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  議事に先立ち、一言あいさつを申し上げます。  昨年の十一月一日の本会議におきまして、厚生労働委員長選任をされました山下英利でございます。  本委員会は、年金医療社会福祉雇用、労働問題など国民生活に密接にかかわる重要事項を幅広く所管する委員会でございます。このたび委員長選任され、その責任の重大さを痛感している次第でございます。  皆様方の御指導、御協力を賜りながら、公正かつ円満な委員会運営に努め、その重責を果たしてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  3. 山下英利

    委員長山下英利君) それでは、委員異動について御報告いたします。  昨日までに、遠山清彦君、田村耕太郎君、藤本祐司君、鰐淵洋子君、田浦直君、中島眞人君、国井正幸君及び小池晃君が委員を辞任され、その補欠として下田敦子君、坂本由紀子君、渡辺孝男君、山本保君、阿部正俊君、岡田広君、仁比聡平君及び私、山下英利選任されました。     ─────────────
  4. 山下英利

    委員長山下英利君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が三名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事岸宏一君、中村博彦君及び渡辺孝男君を指名いたします。     ─────────────
  6. 山下英利

    委員長山下英利君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、社会保障及び労働問題等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 山下英利

    委員長山下英利君) この際、川崎厚生労働大臣赤松厚生労働大臣及び岡田厚生労働大臣政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。川崎厚生労働大臣
  9. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) おはようございます。厚生労働大臣川崎二郎でございます。  急速な少子高齢化の進行や人口減少という局面を迎え、医療年金などの社会保障制度改革、将来の我が国を担う若者の働く意欲を高める雇用対策、子育てと仕事の両立支援等の少子化への対応など、厚生労働行政をめぐる課題は山積しております。  私は、これら諸課題解決に向けて全力を尽くしてまいりますので、山下委員長を始め皆様方の一層の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
  10. 山下英利

  11. 赤松正雄

    ○副大臣赤松正雄君) 厚生労働大臣赤松正雄でございます。衆議院公明党に所属をいたしております。  厚生労働行政は、今、委員長からも、また大臣からもお話がございましたように、極めて国民生活に深いかかわりのある重要な分野を担うところでございます。人間の生命の誕生から、いわゆるその就労期を経て、そして高齢、死に至るまで、人間のあらゆる分野に深くかかわる、そういう大事なところの分野を担当させていただくこと、強い使命感責任感を感じているところでございます。  厚生労働委員会委員長を始め皆様方の御理解、御協力を得ながら、引き続き中野大臣、また西川岡田政務官とともに、しっかりと川崎大臣と心を合わせ、力を合わせ支えてまいりたい、そんなふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
  12. 山下英利

  13. 岡田広

    大臣政務官岡田広君) 厚生労働大臣政務官岡田広です。  赤松中野両副大臣西川大臣政務官とともに、引き続き川崎大臣を補佐して、厚生労働行政の推進に最大限努力してまいりたいと考えておりますので、山下委員長さん始め委員皆様方の御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手
  14. 山下英利

    委員長山下英利君) 以上で発言は終了いたしました。     ─────────────
  15. 山下英利

    委員長山下英利君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  ハンセン病療養所入所者等に対する補償金支給等に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として厚生労働省健康局長中島正治君の出席を、また社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として厚生労働大臣官房技術総括審議官外口崇君外十二名の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  17. 山下英利

  18. 岸田文雄

    衆議院議員岸田文雄君) ただいま議題となりましたハンセン病療養所入所者等に対する補償金支給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  本案は、戦前国内ハンセン病療養所と同様の隔離政策が実施されていた国外療養所に入所していた方々について、その精神的苦痛を慰謝するため、補償金支給しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。  第一に、昭和二十年八月十五日までの間に、厚生労働大臣が定める国外ハンセン病療養所に入所していた者であって、現行法施行日において生存しているものに対し、その者の請求により、補償金支給すること。  第二に、補償金請求は、この法律施行日から五年以内に行わなければならないこと。  第三に、補償金の額は八百万円とすること。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしておりますが、施行前に補償金請求する意思が書面により表示されていたものとして厚生労働省令で定める者については、施行前に死亡した者も含めて、請求があったものとみなすこととしております。  以上が、本案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  19. 山下英利

    委員長山下英利君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  20. 谷博之

    谷博之君 おはようございます。  私は、民主党・新緑風会の谷博之でございますが、冒頭川崎厚生労働大臣一言あいさつをさせていただきたい。  先ほど大臣からのごあいさつございまして、大変力強いと申しますか、積極的なごあいさつというふうに受け止めさせていただきました。また、副大臣政務官のそれぞれの方々にも同様の気持ちということで拝察をいたしました。厚生労働行政については、大変、国民全体の中で非常に重要な課題が山積し、注目もされている分野でございますので、どうか今のごあいさつ気持ちをこれからもしっかり持ち続けていただいて、国民の信託、負託にこたえられるように御尽力いただきますように、冒頭、心からお願い申し上げておきたいと思っております。  早速、ただいま提出されました法案質疑に入りたいと思いますが、川崎厚生労働大臣に絞って御答弁をいただきたいと、このように思っております。  実は、ハンセン病の問題につきましては、私もずっと前から個人的にいろんな分野で関心を持ち、そしてその様々な対策自分なりにかかわってきたつもりでございますが、そういう中で、私、二、三ちょっと申し上げておきたいと思いますのは、最近の事例として、一月三十一日に、国立ハンセン病療養所の多磨全生園で適切な医療を受けられずに後遺症が残ったとして、元入所者女性が国に損害賠償を求めた訴訟控訴審があり、東京高裁で開かれて、国がその責任を認めて三千万円を支払うことで和解が成立したと、こういうふうな判決も一応下りております。こういうことからして、絶えず、このハンセン病対策についても今なおそういう様々な分野動きがあるということだと思います。  二つ目は、これは全国の都道府県でどこでも取り組んでおられることと思いますが、私の地元の栃木県でも栃木藤楓協会というのをつくりまして、ずっと長い間、このハンセン病啓蒙普及とか、あるいは里帰りとか、あるいは見舞金等を送ったりする、そういう活動を続けておりまして、そういう活動の中心に地元新聞である下野新聞社というところが、社長が会長になって積極的に取り組んできていると。県民からも広く浄財を集めて、その団体、氏名などを新聞に公表しながら、積極的なそういう活動をしていると。これは、ほかの県もそういう事例はたくさんあると思います。  こういうふうな動きとか、あるいはまた、これは私、昔からの大変長い間付き合いをした方で、在日朝鮮人の方で趙根在という方がおりまして、この方が六十四歳で人生を全うしたわけですが、その三分の二をこのハンセン病患者療養所に、自分がそこで生活をしながら、一緒になって写真を撮り続けた、そういう写真家の方がおられまして、これがその「趙根在写真集」という、こういう本なんですけれども、「ハンセン病を撮り続けて」ということで、大変この写真を見ますと、その療養所の中の本当に生々しい姿が写されているわけですが、こういうふうなのを見たりしておりまして、本当にハンセン病という病気の元患者皆さん方の御苦労、そして今日、やっと国がそういう様々な支援策に取り組んでいると、こういうことについて改めて認識を深くさせていただいたと、こういうことであります。  そんな中で、大臣に、この法案が提出された、そのことを受けて、改めて政府の今後の取組について、その考え方をこの法案を生かしながらどのように政府として対応していくのか、そういうことを含めてお伺いをしたいと思っております。  まず一つは、この改正法案に基づいて償いのための具体的施策を行う政府から、補償金支給趣旨とその基本的姿勢について、どのようにしていくのか、お伺いいたしたいと思っております。
  21. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ハンセン病補償法前文に記載されていますとおり、戦前我が国隔離政策が実施されていた国外ハンセン病療養所に入所されていた方々の精神的な苦痛について慰謝させていただきたいと考えております。  厚生労働省といたしましては、今回の法改正趣旨を踏まえ、ハンセン病問題の全面的解決に向け、真摯に取り組んでまいりたいと考えております。
  22. 谷博之

    谷博之君 ありがとうございました。  次に、皆様方のお手元に資料として配付をしていただきましたが、資料一をごらんをいただければと思っておりますが、戦前国外ハンセン病療養所一覧というこの資料が出ております。これは厚生労働省からの出典でございますが、御案内のとおり、韓国台湾、そして南洋諸島戦前、こういう療養所が設置をされておりました。  この内容を見ていただきながら質問をさせていただきたいんですが、今回の法改正に基づく厚生労働省告示では、補償金支給対象として戦前のすべての日本統治下での国外療養所を含むべきと考えておりますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  23. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 告示指定対象となる国外療養所としては、当面、国内療養所と同様、法令隔離収容施設として位置付けられ、法令に基づく隔離政策が行われた実態が明らかになっております韓国の小鹿島更生園及び台湾楽生院の二施設になるものと考えております。  この表にありますその他の国外療養所につきましても、今後必要な情報を得て追加に関する検討を行うことになると考えております。
  24. 谷博之

    谷博之君 ありがとうございます。  その次の資料二を見ていただきたいと思いますが、これは平成十五年十二月のいわゆる国外ハンセン病患者皆様方補償金請求を求める第一次訴訟以降の百四十二名の申請者のうち、もう既に亡くなられた方、これが二十六名いるという資料でございます。これは韓国の小鹿島病院で亡くなられた方二十六名でございまして、この百四十二名の申請者の内訳は、韓国が百十七名、台湾が二十五名ということになっておりますが、このうち韓国の小鹿島病院でお亡くなりになった方が二十六名ということであります。  特に、今年に入って、九十歳と九十四歳の女性の方お二人がお亡くなりになってきていると。非常に高齢であるということもあって、こういう方々のいわゆる補償についてはもう本当に前々から急がれていたということだと思いますが、そんな状況の中で、こうした状況から、いわゆる補償法の適用に関する個別認定についても、人道的観点から可及的速やかに実施しなければいけないだろうというふうに思っておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
  25. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 本予算の審議に入る前に、衆議院において岸田委員長始め委員会皆さん方、そして参議院におきまして山下委員長始め委員皆さん方意思でこのような法案審議をいただいております。その意思をまず厚生労働省として強く受け止めておきたいと思います。  改正法が成立いたしましたら、補償金が速やかに支給できるよう、改正法施行後直ちに審査手続に着手したいと考えております。
  26. 谷博之

    谷博之君 是非ひとつ、そういうことでお取り組みをよろしくお願いしたいと思っております。  最後でございますが、こういう一つ法改正ができまして、この法改正に基づく、当事者はもちろんでありますが、関係者に対するその周知徹底方策、これが非常に大事だというふうに思います。先ほど大臣がお触れになりましたような小鹿島更生園、これは韓国ですが、それから楽生院台湾、の二つ施設対象者並びにその他の国外療養所対象者に対する制度周知徹底方策、これが非常に大事だと思っておりまして、その方策について、例えば在外被爆者に対する健康手帳支給在外公館などを活用する、こうした先例参考にして、今後、こういう対応についてそのような方法も含めた検討が必要ではないのかというふうに思っておりますが、この点についてもお伺いしたいと思っています。
  27. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 戦前国外ハンセン病療養所に入所されていた方々制度内容周知徹底されるよう、関係省庁とも協力しつつ、在外公館等を通じて制度内容について広報に努めてまいりたいと思います。  また、私自身も韓国台湾への働き掛けを直接行ってまいりたいと考えております。
  28. 谷博之

    谷博之君 大変、四つの項目にわたって質問をさせていただきましたが、それなりにその内容をしっかりと受け止めさせていただいて、そして今後の政府の積極的な対応を強く要請したいと思っております。  最後になりますけれども、一月の二十七日、衆議院厚生労働委員会でこの法案審議をされ、そして本会議で可決をされて、参議院にこの法案が回ってまいりました。その段階で、私ども民主党は、ネクスト厚生労働大臣というふうに我々は呼んでおりますが、仙谷NC大臣のいわゆる党の声明というものを発表しております。  それに若干触れておきたいわけでありますけれども、今日まで患者、元患者が強いられてきた苦痛と苦難に対して、今回政府として深く反省し、率直におわびを申し上げるということを、これは二〇〇一年の五月の小泉内閣総理大臣談話で、熊本地裁判決が出た後ですね、こういう談話も出されております。また、二〇〇一年の六月二十二日にできたこのいわゆる議員立法ですね、この議員立法でもハンセン病補償法前文には、ハンセン病患者であった者等のいやし難い心身の傷跡の回復と今後の生活の平穏に資することを希求して、ハンセン病患者であった者等の名誉の回復及び福祉の増進を図る、こういうふうに前文で書かれておりまして、こういう趣旨というのは非常に私は大事な趣旨であり、今度の法改正もそれを踏まえて法改正がされていると、このように認識をしております。  したがって、私ども民主党は、かねてから国外で収容され現に居住している方であっても、日本政府によって設置されたハンセン病療養所に収容された方に対しては、ハンセン病補償法において国内で収容された方と同様に公平に救済すべきであると主張してまいりまして、そういうふうな流れの中で、今回国会として、立法府としてそういう意思を明確にしながら法改正になったと、このように考えておりまして、今後は、このハンセン病のいわゆる補償の充実ということと同時に、それ以外にもいわゆる戦後六十一年たってまだまだ戦後の補償の問題について残っている分野もございますので、そういう分野についても我々は今後とも積極的に解決のために力を入れていきたいと、このように考えております。  例えば、アジア諸国の特に原爆被爆者の問題、あるいはまたシベリア抑留者に対する戦後補償の問題、こういう問題も残っておりまして、これらは、まあ、ある意味ではハンセン病患者の、元患者皆さんとの置かれているところ、あるいは内容は若干違いますけれども、戦前、戦中、戦後にかけての出来事としては、ある意味では私は時期を同じくした問題だというふうにも思っております。  そういう点を考えまして、是非今回のハンセン病補償法改正を期に、何度も申し上げますが、これらの課題政府としても積極的に見据えていっていただきたいと、このように思っているところであります。  若干時間が短く終わりますが、以上をもって私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  29. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党仁比聡平でございます。  ハンセン病補償法に基づいて、韓国・小鹿島療養者補償金請求をされて後、既に二十六名の方々がお亡くなりになっています。十月二十五日の判決以降だけでも既に五人の原告が亡くなられました。私は、我が国戦前以来九十年余りに及んだ絶対隔離政策によって人生を丸ごと奪われるという被害の中で亡くなられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。そして、すべての療養者方々人間回復の道を歩むことができるように、ともに生きていくという決意を改めて申し上げたいと思います。  本改正に当たって、まず提案者である衆議院厚生労働委員長にお尋ねをいたしたいと思います。  二〇〇一年五月の熊本判決を受けて同年六月に成立、施行されたハンセン病補償法現行法のこの趣旨はその前文に明らかにされています。そこでは、戦前以来、これまでハンセン病患者は偏見と差別の中で多大の苦痛と苦難を強いられてきた、我らは、これらの悲惨な事実を悔悟と反省の念を込めて深刻に受け止め、深くおわびするとともに、ハンセン病患者であった者等に対するいわれのない偏見を根絶する決意を新たにするものであるとしています。国外療養所についての今回の改正後の補償法、成立をすれば、この改正後の補償法はこの前文に導かれた言わば謝罪と人間回復の理念に基づくものとなるのだろうと思います。  そこで、改めて我が国衆議院を代表する提案者として、旧植民地、日本統治下で強制隔離をされ、戦後今日まで差別と偏見に苦闘をしてこられた療養者に対する思いをお伺いをしたいと思います。
  30. 岸田文雄

    衆議院議員岸田文雄君) まず、戦前、この我が国隔離政策により国外ハンセン病療養所に入所しておられた方々、当時大変つらい経験をされたということ、このことにつきまして思いを深くしております。そうした思いを持ち、こうした方々精神的苦痛を思い、新たに補償金支給対象とすることを通じてその精神的苦痛を慰謝させていただきたい、これが今回法改正を提案させていただいた趣旨だというふうに考えております。  このように戦前方々のこのつらい経験にしっかりと思いを致しながら、これを、少しでもこの精神的苦痛を慰謝させていただきたい、これが今回の法改正趣旨だと御理解いただきたいと存じます。
  31. 仁比聡平

    仁比聡平君 直接ハンセン病問題に携わっていかれる大臣にお尋ねをしたいと思います。  昨年、二〇〇五年の三月に厚生労働省が設置されたハンセン病問題に関する検証会議、この検証会議が最終報告書を提出をいたしました。そこでは、旧植民地及び占領地を含めた強制隔離の数々の実態を明らかにした上で、小鹿島慈恵医院、小鹿島更生園に代表される植民地下の韓国ハンセン病政策は日本国内の絶対隔離政策の一環であり、少なくとも韓国ハンセン病患者日本ハンセン病患者が受けた人権侵害と同様の被害を受けている、しかし、その人権侵害に植民地支配下の民族差別感情が加わり、被害の程度は日本国内のそれをはるかに上回るものであった、二重の人権侵害があったとしています。台湾についても同趣旨のまとめがされています。  大臣がこの検証会議の最終報告書をどのように受け止めていらっしゃるのか、そのことをお伺いしたいと思います。
  32. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 検証会議最終報告書において、戦前台湾韓国においては隔離政策に伴う被害には、植民地支配下の被害が加わり二重の人権侵害があったとの記載がされていることは承知しております。  戦前の植民地統治に伴う問題は今回の補償法の問題とは次元の異なる問題だと考えておりますが、国外ハンセン病療養所に入所されていた方々は当時のハンセン病隔離政策によって大変な経験をされたと、このように考えております。  今後とも、疾患による偏見、差別の解消に全力を挙げてまいりたいと思います。
  33. 仁比聡平

    仁比聡平君 私がお会いした小鹿島更生園の七十九歳になる原告の方の声をちょっと紹介したいと思いますが、忘れ掛けていた怒りがよみがえっている、生きている原告は寝込んでいる人がほとんどだが、恨みを持ったままあの世に行くのではなく、感謝の気持ちであの世に行けるよう解決を求めたいと、こうおっしゃいました。この訴えに我が国が、立法府も行政府もどのようにこたえるのか、そのことが問われていると思うんです。  改めて大臣にお尋ねしたいと思うんですが、補償法前文の理念、そして本改正に当たっての提案者衆議院厚生労働委員長のお気持ちも聞かれ、それを踏まえた上で、旧植民地、日本統治下で強制隔離をされ、戦後、今日まで差別と偏見に苦闘をしてきた療養者に対する思いを大臣御自身のお言葉でお伺いをしたいと思います。いかがでしょうか。
  34. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今申し上げましたように、戦前我が国隔離政策により国外ハンセン病療養所に入所されていた方々の大変な経験というものを改めて銘記しながら、二度とこのようなことが行われないようにしていかなきゃならぬと思っております。ハンセン病補償法前文に記載のとおり、戦前我が国隔離政策が実施されていた国外ハンセン病療養所に入所されていた方々の精神的な苦痛について慰謝させていただきたいと考えております。  厚生労働省といたしましては、今回の法改正趣旨を踏まえ、ハンセン病問題の全面的解決に向けて全力で取り組んでまいります。
  35. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣、もう一点。  今後、申請と認定が行われていくに当たって、その基本姿勢として、原告を始めとした関係者の思いを正面から受け止めて、最大限この思いにこたえることができるように努力をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  36. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 既に、尾辻前大臣の時代に原告団また当事者の皆さん方に会わせていただきました。私も、非公式でございますけれども、原告団の方に会わせていただきました。そして、先ほど申し上げましたように、本予算の審議の前に衆参においてこのような形で御審議をいただき、法律が制定される直前になっております。そうした両院の意思というものも私どもしっかり受け止めながら、改正法に基づき補償金が速やかに支給できるよう施行後直ちに審査手続に着手したいと考えております。
  37. 仁比聡平

    仁比聡平君 私は、現行のハンセン病補償法は、国籍、居住地を問わず、らい予防法が廃止された九六年までに隔離施設に収容されたことがあるすべての者を対象として被害回復生活支援のための補償金支給すると、そういう趣旨のものであると理解をしてきました。その適用に当たって療養所が内地にあったか旧植民地にあったかで違いがあるはずがないと私自身は理解をしてきました。  本改正によって、原告らの高齢化を前に、平等原則に基づく早期の解決という観点から、その趣旨法律上、曇りなく明確にされるというものであると私は考えております。  実際に、韓国・小鹿島を出て定着村で生活をしている元入所者二百数十名の方々補償請求をされており、ソウルでも台湾でも大きな動きが起こっています。この改正を第一歩としてすべての療養者方々がそれぞれの人間回復への道を歩んでくださるように心から祈念を申し上げ、そして、内外でなお重要な課題を抱えていますハンセン病問題の今後の取組に是非政府を挙げて尽力をしていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。
  38. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  ハンセン病に関しては、裁判で立法不作為であると強制隔離政策が厳しく批判をされ、国会の中で超党派の議員懇談会ができて、立法ができました。しかし、それに漏れる形になってしまったという韓国・小鹿島台湾楽生院、両方裁判が起き、十月二十五日、台湾の関係については原告側勝訴、しかし韓国の関係については原告側敗訴となってしまいました。  当時、尾辻大臣の下へ、何とかこれは早期に解決してほしいと、原告の皆さんたちと行って交渉し、会っていただいたことは記憶に新しいところです。  川崎大臣も、大臣に就任された直後から、このハンセン病の問題に関して積極的に取り組んでいくことを表明され、取り組んでくだすったことに心から感謝をいたします。また、この件で、超党派での努力、そして本日、衆議院厚生労働委員長がまとめて、今回、議員立法の提案となったことに、尽力をされてまとめてくだすったことに心から感謝をいたします。  こういう立法ができることを、当事者を始め、本当に待っていたというふうに思っております。その意味で、これが超党派、そして厚生労働省大臣委員長を始め皆さんの努力で今日審議ができることを本当にうれしく思っております。  ところで、本日、大臣は慰謝という言葉を使ってくださいました。これはやはり強制隔離政策も含めて慰謝という言葉を私たちは使わざるを得ないと思いますが、是非、後悔と反省の念を込めて深刻に受け止め、深くおわびするという意味だというふうに理解してよろしいでしょうか。慰謝という意味をもう少し語ってください。
  39. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今回の法改正趣旨もございます。それから、私が先ほど御発言をさせていただきましたとおり、精神的な苦痛について慰謝をさしていただきたいという意味発言をさせていただいております。  また、先ほど福島議員の御発言に、御質問ではありませんでしたけれども、御発言ございました。私も十月三十一日に就任いたしまして、尾辻大臣からの引継ぎもございます。また、今お見えでございますけれども、江田さん、また衆議院において仙谷さん、福島さん等にもお目に掛かり、また自民党の皆さん方にお話し申し上げる中で今日に至ったと思っております。そういう意味では、党派を超えて皆さん方が今日の問題解決のためにお取り組みいただいたと、このように受け止めさしていただいております。
  40. 福島みずほ

    福島みずほ君 この慰謝という意味を本当にきちっと受け止めて、精神的にきちっと、まあ精神的な慰謝ということですから、そのこともこの委員会でも受け止めたいというふうに思っております。  ところで、私が危惧をいたしますのは、また漏れたところが出る。つまり、初め日本人やって、次、台湾韓国出て、またほかのところが出てくることについて、これではやっぱり立法不作為って言われるというふうに思います。  そうしますと、韓国台湾以外の日本の占領下における療養所について広く補償対象とすることを是非明らかにしていただきたい。
  41. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今の御指摘は二種類あると思うんです。一つは、南洋諸島の四療養所、パラオ、サイパン、ヤップ、ヤルート、それから、韓国台湾の私立の療養所というものを先ほど表で出していただきましたけれども、あります。しかし、正直申し上げて、必要なしっかりした情報を得ておりません。あくまでそれは国の正に税金を使うわけでありますから、しっかりした資料に基づいて進めていかなければならないだろうと。  そういった意味も含めて、私は、先ほど申し上げましたように、韓国等とも直接お目に掛かりたいと、このように思っております。
  42. 福島みずほ

    福島みずほ君 日本の占領地下においてやはり強制隔離政策が当時行われたということは事実であると。ただ、その資料が足りないということであれば、また漏れて、また新たに、例えばですよ、仮に万が一裁判が起きるとか、後でこれがやっぱり立法不作為だという、漏らしたということがないように、是非今後も台湾韓国以外のところについて積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。  あとですね、補償の認定方法について通達を作成する際には、是非当事者の意見を聴く機会を設けるべきと考えますが、いかがですか。
  43. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほど申し上げましたように、非公式でございますけども原告団にもお会いいたしました。また、尾辻大臣のときにも随分お話を聞かしていただいております。  今回のこうした法改正の御趣旨、一日も早くやれと、この御趣旨を生かすべく全力を挙げます。
  44. 福島みずほ

    福島みずほ君 是非、公的あるいは非公式的でも、実態に即応して補償がなされるようよろしくお願いいたします。  先ほどの質問とちょっとまたダブって、駄目押しになって申し訳ないんですが、六十年以上の前のことであり、今回の法改正によっても取りこぼしがあって裁判が起こることのないよう、是非、他の占領下における問題、それから韓国台湾における問題についても、例えば資料等が若干散逸していないかどうか、あるいはなかなか、今回、台湾韓国、特に韓国において実は被害を受けていたけれども何かの事情でなかなか認定がされないということがないようにと、二つのことを思いますが、この点について考慮をしていただきたいと考えますが、いかがですか。二つのことを同時に言って申し訳ありません。
  45. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 度々お答えしていますとおり、法改正趣旨というものを踏まえながら、厚生労働省として全力を挙げるということを重ねて申し上げます。
  46. 福島みずほ

    福島みずほ君 立法ができても、実はハンセン病の人たちに対する差別や偏見、なかなか社会復帰が難しいということは指摘をされてますし、当事者からも話を伺います。日本においても、九州においてあるホテルが宿泊を拒否するという人権問題が起きました。立法があり、補償がされても問題は続くというところがこの問題の根深さだと思います。  これらの点についてのお考え、対策等について是非取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  47. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私の地元でも、ハンセン病方々が帰ってこられたときに、旅館業をしてましたのでその宿を提供するというのを長い間続けてこられた方がいらっしゃいました。二年前ですか、たしか叙勲ということで表彰をいただきました。そういう様々な活動に対しても、我々やっぱり目配り、気配りしながら、正に差別をなくす、偏見をなくすという覚悟でやってまいりたいと思います。
  48. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございます。取組については他の省庁とも併せて是非よろしくお願いいたします。  先ほど、谷理事の方からも質問がありましたが、この委員会でも、六十一年目の、戦後取り残した問題ということで、在外被爆者の問題などについても私も質問してきました。若干前進があったことをうれしく思うのですが、先ほどもありましたが、是非きちっとした認定、取りこぼしがないようにということと、本人たちが高齢なのでスムーズな、余り負担を掛けない形の認定や工夫がやはり必要だと思いますが、在外公館を使う、あるいは在外被爆者のときにおける交渉などの成果も踏まえて、是非前向きに取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  49. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 在外被爆者の手帳を持っておられる方々には、手続を簡素化するということで改正をさしていただきました。今の話は、手帳を持たずに認定を外国で受けられないか、在外公館で受けられないかという問題だろうと思うんです。まあ、正直言ってなかなか難しいなとは思っております。まあ、御意見でございますので、検討はしてまいりたいと思います。
  50. 福島みずほ

    福島みずほ君 今日のは、だから台湾韓国、それから日本の占領下における問題、そしてそれらの人たちが救済をするときにおける、是非、日本政府側の努力と外国の公館との連携を是非お願いいたします。  最後に、今日このような立法ができる、十月二十五日の判決以降非常に早い形でできることを、また大臣から慰謝という言葉が出たということについては、どうも本当にありがとうございます。今後、韓国台湾で残された人が出ないようにということと、占領下におけるこのハンセン病の強制隔離で被害に遭った人々への配慮も含めて要望した上で、私の質問を終わります。
  51. 山下英利

    委員長山下英利君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  ハンセン病療養所入所者等に対する補償金支給等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  52. 山下英利

    委員長山下英利君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 山下英利

    委員長山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  衆議院岸田委員長、御退席いただいて結構でございます。     ─────────────
  54. 山下英利

    委員長山下英利君) 次に、社会保障及び労働問題等に関する調査のうち、食の安全等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  55. 谷博之

    谷博之君 民主党・新緑風会の谷博之でございますが、食の安全等に関する件ということですが、食の安全につきましては私の後の森ゆうこ議員に質疑を譲ることにいたしまして、私は、等というところで障害者自立支援法における重度訪問介護及び重度障害者等包括支援について、一点に絞ってお伺いをいたしたいと思います。  御案内のとおり、さきの第百六十三国会で障害者自立支援法という法律が成立したわけでありますけれども、それを受けまして既に報酬単価などを決めるということで、四月の施行に向けてかなりその検討作業を進めてきていると、こういうふうに聞いておりますけれども、もう時間がありません。そういう状況の中で、川崎厚生労働大臣に是非聞いていただきたい、そして前向きな本当に御答弁、決意を聞かしていただきたい、このような気持ちで今回この問題を議題として私の方から質問をさしていただく次第でございます。  この点につきましては、今資料としてお配りいただきましたけれども、前回の国会で尾辻前厚生労働大臣が、これは衆議院厚生労働委員会での答弁でございますが、このように答弁もされております。これらを踏まえながら後ほどこの点については重ねてお伺いをいたしますが、今回のこの障害者自立支援法というのは、まあある意味では、元々低いレベルにある国庫基準を多少上げただけでは、尾辻前厚生労働大臣が答弁されておられますように、多少上げただけでは十分な介護給付が保障されることにはならないんではないか、こういう声が当事者の間からも随分出ております。そういう意味では、この障害者自立支援法という法案の名前ではなくて、障害者自殺支援法というふうに呼ぶ当事者の方もいるぐらいでございまして、大変これは厳しい法律内容だと、このようにも言われております。  実は、大臣、後ろの傍聴席に今日は日本ALS協会の患者皆さん、そして御家族、そして介護者の皆さんが傍聴にお見えになっております。今日、これ何で来られたか、なぜ来られたかということでありますが、前国会でこの法案審議をしている過程で、大変、政府が約束したサービスの質、量、そして報酬の基準といった、そういう具体的な内容について政省令にこれをゆだねるということになったがゆえに、十分その法案審議の中では内容が明らかにならなかったということもあって、それを是非見届けたい、確認をしたいという思いもあって、今日この場に、寒い中ですけれども、大勢の皆さん方に来ていただいているということを是非御理解をいただきたいと思うんです。  そして、そうした中で、御本人の実は御了解もいただいておりますので、今日来られている方の中で横前知恵さんという三十六歳の当事者の、ALS患者の、その方の具体的な問題を通してお伺いをしたいと思っておりますが、横前さんは都内の板橋区に住んでおりまして、約二年前の三十五歳で発病されました。人工呼吸器はまだ付けておりませんけれども、ALSの進行とともに日常生活やあるいは外出の行動に大変困難になってきているということです。そして、一月からはようやく一か月で二十七時間分のホームヘルプサービスを受けられることになったと。しかし、これでは本来必要な長時間介護は受けられない。そういうことから、ふだんから水分を控えたり、外出を控えて懸命に今生活をしているということです。  今後は徐々に食事をすることや会話をすることさえも困難になってくるのではないか、こういうふうに不安を絶えず感じておられる。御家族は母親一人でありまして、お母さんも仕事で外出をすることも多いことから身の回りの世話をする人もほとんどいない、そういうことでふだんは一日じゅう一人で在宅療養をしていると、こういうふうな状況にございます。  横前さんは、病気の進行によってはいずれは気管を切開しなければ人工呼吸器を装着して生きる道を選ばざるを得ないと、このように思っているが、しかし、そこには二十四時間の介護サービスがないと、どうしても生きていくことはできないと、こういう厳しい現実が待っています。  そして、横前さんは四十歳に達していないため介護保険サービスは受けられない、その結果、この障害者自立支援サービスで二十四時間介護に頼るしかないと、こういう状況にございまして、先日私どもの民主党の中でのこうした問題のいわゆる相談窓口のところに来られまして、いろんなそうした現状を、実情をお聞かせをいただきました。そして、自立支援法でホームヘルパーの単価が下がったり、利用上限時間が低く設定されたら、もう人工呼吸器が付けられない、そういう思いで涙ながらに震える声で私どもにそういう訴えをされました。  そこで、どうか大臣、こうした差し迫った状況の中で障害者自立支援サービスの報酬額の国庫基準を政省令で定めるに当たって、このような横前さんのような人に対しても今までどおり、いや、今まで以上に安心して在宅で暮らせる、そうした内容に是非していただきたいと思うんですけれども。そして、若年発症した若いこういうALS患者の生存権、これを今後とも保障することをしっかり約束していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  56. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今御指摘いただきましたALSについては、病状が重篤であり、闘病生活を送る患者御自身はもとより、看病される家族の肉体的、精神的負担も非常に大きいため、ALS患者生活の質の向上が図られるよう、保健、医療福祉にわたる総合的な対策を講じることが重要と考えております。  このため、ALSに関しては、病因の解明や画期的診断、治療法の開発等を目指した調査研究、特定疾患治療研究事業による医療費の自己負担軽減、医療施設の整備や難病相談支援センターの充実、一定の医師や看護師を配置した場合の報酬の加算による障害者福祉施設における専門的な医療提供の確保、また、十八年十月から、今の御指摘でございます障害者自立支援法に基づき、著しく重度のALS患者の方等を対象とした新たな福祉サービスである重度障害者等包括支援等を実施することといたしております。  今後とも、これらの総合的な対策を着実に進めてまいりたいと考えております。
  57. 谷博之

    谷博之君 この法案のいわゆる採決に当たって、二十三の附帯決議を参議院のこの厚生労働委員会で付けさせていただきました。そのうち十一番目の項目に、まあちょっと長いですが、少し読ましていただきますが、こういう附帯決議があります。  ALS、進行性筋ジストロフィーなどの長時間サービスを必要とする重度障害者については、受け入れる事業者が少ない現状にかんがみ、その居住する地域において必要なサービス提供が遅滞なく行われるよう、社会資源の基盤整備などの措置を早急に講ずること。また、現行のサービス水準の低下を招くことのないよう重度障害者等包括支援や重度訪問介護の対象者の範囲については、重度の障害のある者のサービスの利用実態やニーズなどを把握した上で設定することとし、そのサービス内容や国庫負担基準については、適切な水準となるよう措置することと、こういうふうな附帯決議が実は付いております。  これは、あえてこの附帯決議を付けたというのは、それだけこのALSや進行性筋ジストロフィーの皆さん方は、毎日毎日のその生きるということについて大変な状況に陥っているということをかんがみたがゆえにこの附帯決議というものは付けたというふうに私たちは認識しております。  そういう中で、大臣にちょっと重ねてお伺いしたいんでありますが、今、私、具体的なお話をさしていただきましたこの横前さんのように、人工呼吸器を付けていなくても呼吸ができる人の中でも、たんの吸引が必要となって気管切開だけをする方も今多くなってきています。そして、そういう方々というのは、もう夜間も定期的にたんの吸引が必要になってまいりますから、これは二十四時間のサービスをどうしても受けない限り生きていくことはできないわけであります。したがって、通所などの普通のサービスを組み合わせた重度障害者等包括支援の枠組みが横前さんにも必要だと思うんですね。ただし、この重度障害者等包括支援は、その対象者として人工呼吸器を装着した方のみという対象に今は限定しようとしています。  そういう意味で、大臣、これは人工呼吸器を装着しているかいないかというそういう問題ではなくて、いわゆる日常生活動作能力、ADL等に着目して、横前さんのような方でもその対象を広げていただくことはできないでしょうか。その点について、もし広げていただければ横前さんは生きるすべをしっかりつかむわけでありますし、そして、この問題は大変切実な問題だというふうに思っております。どうぞひとつ前向きの御答弁をいただきたいと思うんですが。
  58. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今御指摘のALSのような進行性の疾病の場合、その心身の状態に応じて、通常のホームヘルプサービスのみならず、重度化が進んだ場合には重度訪問介護や重度障害者等包括支援といった介護サービスを利用いただくことになっております。  御指摘の重度障害者等包括支援は、特に著しく重度の障害者の方を想定し、様々なサービスを特定の事業者が責任を持って包括的に提供するものであり、その対象者の範囲については、昨年、全国六十の市町村で実施した障害程度区分の試行事業の結果等を基に現在検討を進めております。  今御質問の中にありました、現段階においては寝たきり状態にあるような重度の方のうち、人工呼吸器を装着したALS患者の方や重度の知的障害がある方のように、意思の疎通に困難が伴うことにより、通常の介護に加えてコミュニケーションに特別な負担が生じる方を想定をいたしております。  いずれにいたしましても、重度の障害のある方がその心身の状態に適したサービスが利用できるよう、各サービスの対象者の範囲を始めとして、報酬基準や国庫負担基準などについて、有識者の方々の意見も伺いながら検討を進めてまいりたいと思います。
  59. 谷博之

    谷博之君 今の答弁の中の、その対象者のところのやっぱり人工呼吸器ということですけれども、現実に今全国で七千人ちょっとおられる患者の中で、実際人工呼吸器を装着している人たちというのは割合はかなり低いんですね。そういう中で、しかし人工呼吸器をもう付けなければならない状態にある方でも、こういう問題があって装着できないという人もいるわけなんですよ。そういうことを考えますと、先ほどADLの話しましたけれども、その対象者というものは、これはかなり私は広げていただかないと現実対応ができないというふうに思っております。そういう点は、これは是非ひとつ、大きな課題ですが、前向きに検討していただきたいと思っております。  それからもう一つ、国庫基準の問題ですけれども、これは御案内のとおり、時間当たりの報酬単価掛ける一か月当たりの利用時間上限で一応算出をしているということです。現実には、これが二十二万という金額であります。これは一時間当たり千七百六十円の報酬単価を月間最大百二十五時間分使うという、使える、これを事業者に支払うという、こういうことで毎日利用しているわけですが、その毎日の利用の時間というのは四時間分にしかなっていないということです。  この横前さんの場合には、介護保険が使えない四十歳以前にもしも気管切開をするということになると、今いただいている板橋区が区分間活用というやりくりを最大限行っている、そういうふうな介護しか受けられない。とても二十四時間の介護給付はここでは認めないということになるわけです。そして、今回この国庫基準を、先ほどの二十二万を例えば二倍、三倍に上げたとしても、実際にはその必要な給付量は到底確保できないというような状況になっているわけです。そして、しかもこの千七百六十円という報酬ではヘルパーの社会保険料などを賄うには全く足りませんし、ALS患者の介護は一般の要介護者と比べると労力も掛かるということから、本当にALS患者を引き受ける訪問介護事業者が非常に少ない、これも現実だと思っています。  そういう中で、結果として人工呼吸器を装着できずに、不本意ながらも厳しい在宅での生活の道を選んでいると、こういうのが横前さんたちのそういう具体的な例だというふうに思っております。  そこで、重ねてお伺いしたいんですけれども、この国庫基準の引上げに当たっては、一か月当たりの利用時間の上限を上げていただいて、二十四時間掛ける三十一にし、つまり七百四十四時間に近づけるように是非検討していただきたいと思っておりますし、しかも時間当たりの報酬単価も最低でも二千五百円に引き上げていただく、こういうことが必要なんではないかなというふうに思っておりますが、財政負担が大変だと、こういうふうな考えもあるかもしれませんが、しかし横前さんのように介護保険を利用できない、こういう若年のALS患者のことを考えれば、もう待っていられないという状況だと思うんです。  そういう意味で、先ほどちょっと数字を挙げましたけれども、七千人強おられる患者さんの中で、若年のALS患者の数というのはそう多くありません。こういう方々に対して、少なくとも国庫負担にそう大きな負担にはならないというふうに思っておりますが、今申し上げたような見直しについて大臣はどのように考えているか、前向きなひとつ御答弁をいただきたいと思うんですが。
  60. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 重度訪問介護や重度障害者等包括支援にかかわる報酬基準、国庫負担基準などについては、現在検討を進めている段階でございます。  基本的な考え方としては、報酬基準については、長時間滞在して提供を行うというこれらのサービス実態にふさわしい内容にする。国庫負担基準については、サービスの利用水準に大きな地域格差がある中で、限られた公費を、国費を公平に配分するという観点から、重度の障害者に対する給付の実績などを踏まえつつ設定してまいりたいと考えております。  また、国庫負担基準の障害程度区分間の流用については、障害程度区分ごとに国庫負担料を定めることとした障害者自立支援法の趣旨からすると、基本的には適当ではございませんが、障害程度区分という新しい制度の導入に当たっては、各区分に該当する方々の分布等を見極める必要がある。サービスの利用水準に大きな地域格差がある中で、制度変更に伴って現にサービスを利用しておられる方に大きな変化が生じないように配慮することが必要であります。制度移行時の計画的な措置としての取組を現在検討しております。  なお、重度訪問介護と重度障害者等包括支援の併給については、重度障害者包括支援は利用者が必要とする障害福祉サービスのすべてを包括的に提供する仕組みであることから、他のサービスを併給することは今段階では想定しておりません。
  61. 谷博之

    谷博之君 最後一言申し上げますが、今の大臣の答弁を受けながら、それに関係するわけですけれども、我々としてはこれは強く要望させていただきたいことがございますが、それは三つありまして、利用時間上限を上げる際に、いわゆる時間単価を下げずにむしろ上げていただきたいということ。それから、重度包括と重度訪問の併給を特例的に認めることができないだろうか。それから、従来の区分間の活用についても、今御答弁ございましたが、そういうものも更にこれからも継続していただく。  こういうふうなことの中で、本当にこれは、私は横前さんの例を具体的に申し上げましたけれども、この状態をやっぱり国や行政が、地方自治体がもしもこのまま放置をしていくということになれば、これは正に私は政治の責任だと思いますし、これは我々国会議員もそういう意味では、そういう意味責任を取らなければならない、そんな大きな私は生存権にかかわる問題だというふうに思っておりまして、これは単に一人二人の問題ではなくて、やっぱりそういう意味ではALS患者全体のそういう状況がそういうところにあるということをよくひとつ御理解をいただいて、今後ともそういう思いを是非共有していただいて、最大限のお取組を心からお願いを申し上げたいというふうに思っております。  以上で私の質問を終わります。
  62. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。大臣、どうぞよろしくお願いいたします。  私は、BSE問題について質問をさせていただきたいと思います。  輸入再開ありきでの議論を食品安全委員会に押し付けてまで強引に推し進めた米国産牛肉の輸入再開、しかし結果はどうだったでしょうか。ふたを開ければ検査官でなくても見れば分かる背骨付きの牛肉の登場です。私は先日成田の検疫所に行ってまいりました。所長さんは開いた口がふさがらない、このようにおっしゃっていらっしゃいました。検査官は専門的な訓練を受け、様々なことに対応できるように訓練を受けていたんだけれども、検査の訓練を受けていなくてもだれでも分かるような背骨付きの牛肉、国民の食に対する信頼は地に落ちたと言っても過言ではありません。  動物検疫所の畜産物の輸入検査要領によれば、輸入されてくる物品のうち実際に検査されているのは全体の〇・五%だということでございます。たった〇・五%の検査率の検査で、しかも輸入再開以来たった一か月で、だれが見ても明らかな日米合意違反の牛肉が出てくるのでは、輸入再開以来一体どれだけの危険な牛肉が国内に流通してしまったのか、考えただけでも恐ろしくなります。食の安全、安心を失墜させた政府にまず猛省を促したいと思います。  それでは、質問をさせていただきたいと思いますが、アメリカのずさんな輸出管理体制を知っていれば、消費者もそして関係業者も米国産の牛肉を購入しなかったと考えられます。それが全く裏切られる結果となったわけですけれども、厚生労働大臣はその責任も含め、御認識をいかがお持ちでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  63. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) もう予算委員会を始め、何度も答弁いたしておりますけれども、食品安全委員会で科学的な議論を尽くした上、答申をいただきました。それを踏まえながら、農林水産省と厚生労働省として一つの判断、再開という手続に入りました。  その中において、当然アメリカが守るべきこと、今御主張にありましたように、開いた口がふさがらないと。こういう御主張どおり、正にアメリカにおいてするべきことがされていなかった。その中において、検疫体制において、危険部位が入っていたということでございますので、直ちにその輸入というものを全面的に止めさしていただいたというのが今日の事情でございます。  したがって、基本的にはアメリカに責任があると考えております。
  64. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 先日来、そのような御答弁、いろんなところでされていますけれども、私から見ますと、全くの開き直りというふうにしか受け取れません。リスク管理機関としての食品安全行政をつかさどる厚生労働省としての責任はどうなのか、このことを私は問いたいと思いますが、厚生労働省と農水省の査察チームの検証結果について伺いたいと思います。  今回の米国産牛肉への特定危険部位の混入は、検査官ですら脊椎の除去義務を認識していなかったとされております。査察を行った十一施設では本当に輸出管理プログラムを正確に理解できていたと、政府は現時点で断言できますか。
  65. 外口崇

    政府参考人外口崇君) お答え申し上げます。  米国における日本向け牛肉輸出の認定施設の査察についてでございます。  十二月十三日から二十四日までの間、厚生労働省及び農林水産省の担当官を派遣いたしまして、米国政府が認定した施設のうちの十一施設について、日本向け輸出プログラムがシステムとして機能しているかどうかを確認、検証するために実施いたしました。その結果は、昨年の十二月の二十六日に、査察施設における輸出プログラムのシステムについて特段問題がなかったとの査察結果を公表したところであります。  今回の査察におきましては、対日輸出認定施設責任者や施設に常駐する農務省の検査官の責任者に、対日輸出条件の内容や不適合品を発見した際の措置についても確認いたしましたが、これらの検査官は輸出プログラムを理解しており、検査官の理解度に関しては問題は確認されなかったところでございます。
  66. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それでは、次の質問に移りたいんですけれども、まあ成田での検疫手続中に発見された背骨付きの牛肉について、それがこん包されていた箱にはどのように表示がされていたのでしょうか。また、輸出証明書に記載された内容についても伺いたいと思います。
  67. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) お答えを申し上げます。  米国産牛肉がこん包された箱の外装には、アメリカ政府が発行いたします輸出証明書と現物を照合するために、証明書番号、それから部位名、重量、食肉処理施設の承認番号などが記載をされておりました。  また一方、その輸出証明書の方には、当該牛肉が米国政府が定める輸出プログラムを充足していること、それから屠畜場における生前生後の検査に合格していることなどが記載をされておりました。
  68. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 その箱のところですね、商品名といいますか部位の名前が書いてあると思うんですけれども、それは何と書いてありましたでしょうか。
  69. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) 箱の方には、ヴィール・セブンリブ・ラック、それからもう一つの箱には、ヴィール・ロインでございます。
  70. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 輸出証明書に記載されている商品名とその箱に付いている商品名とは全く同じものだったでしょうか。
  71. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) 輸出証明書の方には、先ほど申し上げましたヴィール・セブンリブ・ラック、これに相当するものでございますが、フレッシュヴィール・ホテルラック・セブンリブズ、それからヴィール・ロインということで箱の方に書いてあったものにつきましては、輸出証明書上はフレッシュヴィール・トリムド・ロイン・フォーバイフォーという記載になっております。
  72. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私がちょうだいいたしましたこの輸出証明書のところには、フレッシュヴィール・ホテルラック・セブンリブズと、このように書かれている、この部分と、それからフレッシュヴィール・トリムド・ロイン・フォーバイフォー、この両方から背骨付きの肉が見付かったというふうにありますけれども、これでよろしいわけですね。
  73. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) はい、先ほど申し上げたとおりで、そのとおりでございます。
  74. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それでは伺いますけれども、この輸出証明書並びに箱に書かれてありますヴィール・ホテルラック・セブンリブズという商品は、そもそもどういうものを指すものでしょうか。
  75. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) ホテルラックといいますのは、これロインと合わせての話で申し上げます。  まあ、ちょっと人間の体で申し上げますと、この上半身の、まあ牛はちょうどこの辺、人間のおしりが一番後ろにありますけれども、ホテルラックとロイン合わせまして腹側と背中、この辺の肉全体を、まあなるわけですけれども、ホテルラックというのは、まずロインの方から申し上げますと、ロインが背骨の周りの背の、背中の肉の方、そのロインを除いた腹側の方のあばら骨の周りの筋肉、肉、その辺がラックと言われる部位でございます。
  76. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私、ヴィール・ホテルラック等について、ゆうべ、今便利ですよね、インターネットでアメリカのホームページも全部出てきますから、様々なパッケージの会社等、精肉会社等調べてみたんですけれども、ヴィール・ホテルラックっていうのは、まあ子牛の背骨付きの肉という意味だというふうに書いてありました。ホテルラックというふうに表示してあれば、それは背骨を含むというふうに書いてありましたけれども、ということはですよ、つまり、この輸出証明書に記載されているこの商品名自体、これを見ただけでも背骨がそこに付いているということが検証できるんじゃないでしょうか。
  77. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) 日米で昨年十二月に合意いたしました日本向けの輸出条件というのは、その商品名と、それから通常想定されるそういったものがそういうものであっても、当然、特定危険部位を除くというものは、そういった、通常ですと、民間の理解を超えて、規制措置として必ずそれを除くということを強制しておりますので、それは当然、民間のものが通常はそういうものであっても、日本向けにはそれは必ず取り除くというのが当然のことであるというふうにアメリカ側としても理解をしているはずでございます。
  78. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ここに、食肉の、特に向こうの英語の分かる食肉の専門家に来ていただかないとこれ判明しないんですけれども、今、高橋さんおっしゃいましたけれど、この輸出証明書を見ますと、フレッシュヴィール・ホテルラック・セブンリブズ、これ骨付きの、背骨付きの肉ということなんですね、子牛の背中からあばらにかけての肉。それで、その下に、フレッシュヴィール・ホテルラック・チョップレディー・セブンリブズというのも入っているんですけれども、これは、そのホテルラックのところから背脂と、そして背骨を取り除いて、それでチョップレディーにしてある、すぐ簡単に切り分けられるようにしてあるものをそう言うんであるという理解でいいんだと思うんですね。  そうしますと、今の御説明説明にならないと思うんですよ。背骨を取り除いて、少なくとも、背骨を取り除いて少しでもこの日米の輸出プログラムに合わせたものにしてあるとすれば、このヴィール・ホテルラックという商品は入らないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  79. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) ちょっと原則的なところから申し上げますと、日米で合意いたしました日本向けの輸出条件というのは、これは行政上の強制措置でございます。したがいまして、民間の名前がどうであろうが、民間の実態がどういうものであろうが、アメリカから日本に輸出されるその肉からは必ず特定危険部位が除かれなければならないというのは、これ当然のことであります。  ですから、先生おっしゃいますように、そのホテルラック・セブンリブズというのは、これ通常、脊柱が付いているというのは、私どもそれは知っております。ただ、それはそうであっても、日本向けにはそれを取り除くということが正に日本向け輸出プログラムの条件でありますので、当然、それを前提にアメリカ側ともこれまでも話をしていますから、それが民間側で、あるいはそれを検査した農務省の方も知らなかったというのは、これは私どもとしても大変遺憾であるというふうに考えているところでございます。
  80. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 これ、ここでやっても水掛け論になっちゃうんですけれども、その説明に間違いありませんね、間違いありませんね、まあいいですよ。  背骨付きの肉を背骨を取ると別な商品名になるんですね。ですから、私が申し上げているのは、ヴィール・ホテルラックというふうにもうここに記載がある以上、それはもう背骨付きの肉という意味なんですね。しかも、その下にそれを取り除いたチョップレディーというものも付いているわけですから。  要は、私が言いたいのは、このアメリカの輸出証明書、この書類審査の時点でもうミスを犯しているんですね。そこにしっかりとEVプログラムを満たしているという証明書も一緒にくっ付いて、そして送られてきているわけですから。様々なミスとか様々な問題が指摘されましたけれども、こういう、本当に根本的な書類審査さえも遵守されていなかった、きちんとされていなかったということの証明だと思います。もしこれ、先ほどの説明が違ったらまた大変なことになると思いますけれども、大丈夫なんでしょうね。  次の質問に移りたいと思います。  輸入再開について、もう既に検討されているようなんですけれども、政府は、日本側の専門家が査察を済ませた処理場からの牛肉の輸入だけを認める方針を固めたとされていますけれども、これはいかがでしょうか。
  81. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 今後の対応についてでございますけれども、これはあくまでもアメリカ側からの原因究明や再発防止策の内容を踏まえて決めていく問題でございますので、アメリカ側からの報告を待って、これをよくよく検討して決めていくことになると考えております。まだどういう方針を固めたとか、そういったことには至っておりません。
  82. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 再開に関してもアメリカ任せなんでしょうか。私は、食品安全委員会への再諮問の必要があると思っております。  今回の禁輸措置は、食品安全委員会の懸念が露呈した形となったものであります。したがって、再度諮問を行うのが筋と考えます。  なぜ厚生労働省と農水省は再度諮問することに対してちゅうちょをするのか。諮問をすべきではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  83. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今の議論も聞かせていただいてまいりました。  アメリカがなぜそのようなことをしたかというのを、今アメリカ全体のプログラムとして調べている、その結果がまだ私どもに届いていないわけですから、もう既に次の作業が始まっているんじゃないかという御懸念は、私、大臣として否定をしておきたいと思います。したがって、アメリカから結果が出た時点で私どもは物の考え方を始めるという形で御理解は賜りたいと思います。  食品安全委員会につきましては、今日の事情、食品安全委員会から答申いただいて私どもはやってきたわけですから、そうしたこの経過というものをまた食品安全委員会に御報告しながらやっていくということで御理解を賜りたいと思います。
  84. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 アメリカからの結果が出るまでもなく、私は、今後アメリカからの輸入の再開に関しては、検討する場合には再度食品安全委員会に対して諮問するということを今の時点で私は大臣は言うべきだと思うんですね。  これまでの対応はすべてアメリカ任せ、すべてアメリカの責任だというふうに言ってきたわけですけれども、そもそも、まあ農水省も一緒なんですけれども、厚生労働省食品安全委員会が答申を出すに当たって附帯事項を付けてまで懸念を示されたわけです。そして、その懸念が当たったわけですけれども、そのことをどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
  85. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 昨年の十二月に米国産牛肉の輸入再開に際しまして、食品安全委員会からの答申における附帯事項、補足意見において述べられている事項につきましては、これは、農林水産省と連名で米国政府に対し要請をしたところであります。内容は、御存じのように、脊髄除去の監視強化を図ることが必要であること等でございます。  この食品安全委員会の答申における附帯事項、補足意見は委員から出された御意見を整理したものと理解しておりますが、輸入再開の前提条件とはされていなかったものの、厚生労働省といたしましては、今後もこれらの考え方を尊重して適切に対応していきたいと考えております。
  86. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 食品安全委員会はアメリカ、カナダの検査体制のデータが不足していることについて強い不満を持っていたとされております。食品の安全性を確保するために食品安全委員会をつくった経緯からすれば、まずは食品安全委員会が求めていたデータの提出を行った上で再度輸入再開の是非を議論するのが筋と考えます。  今の時点では、アメリカからの結果を待つという先ほどの御答弁でございますけれども、私は、厚生労働省はそもそも食品安全委員会を軽視をしている、それから、むしろ、その条件付きの諮問の中で答えを出すことを言うことでお墨付き役、政策の単なるお墨付きを与えるということに利用しているのではないかというふうに勘ぐりたくもなりますけれども、大臣はいかがこの件についてお考えでしょうか。
  87. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) もう御承知のとおり、食品安全委員会専任の松田大臣を置きながらきちっとした対応を行っている、内閣において厚生労働大臣、農林水産大臣、また松田大臣、正に対等の立場の中で議論しながらやっているわけですから、私ども、食品安全委員会の意見というものが十分尊重されながら内閣というものは物事を決定していくということには変わりございません。
  88. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 では、大臣、伺いますけれども、厚生労働省食品安全をつかさどる機関として、そのリスク管理機関として、その責任において、今回の件に関してアメリカの報告が出てくるまでは何もしないということなんでしょうか。何かきちんとした対応をされるというお考えが今ございますか。
  89. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 御承知のように、検疫の結果危険部位が出てまいりましたのですべての輸出を止めたというのがまず、リスク管理機関としてのまず第一の仕事であります。  その後、官房長官からの御指示によりまして、五百七十トンぐらいになりますでしょうか、危険部位が、脊柱が混入されている可能性というものの中から、地方自治体を通じながら輸入業者に今自主的な検査をお願いをしておる。現在、約半分程度の報告が来ておりますけれども、今のところ、そのようなものが混入したという報告はございません。  いずれにせよ、私どもといたしましては、この二月の上旬ぐらいには報告を受けて中間発表をしたいと思っております。したがって、今私どもがやっているのは、基本的に念のための作業を続けておるということでございます。
  90. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今朝のNHKニュースで、食品安全委員会のプリオン専門調査会の座長の吉川先生がこのようなことをおっしゃっていらっしゃいました。  日本が査察をした施設から輸入再開するという方法を取っていれば、今回のような問題は起きなかったと思う。もうちょっと最初から申し上げますと、実際に輸出した業者だけでなく、そこに肉を出荷した業者にも見逃しがあったわけで、個人的なミスというよりはアメリカの輸出システム全体の問題と考えられる。日本が査察をした施設から輸入再開するという方法を取っていれば、今回のような問題は起きなかったと思う。そして、日米両政府対応を批判しました。そして、アメリカにすべての責任を転嫁して、ただ報告を待つだけでなく、日本側として安全確保にどういう手続やシステムが必要かを検討すべきだというふうにコメントをされております。この吉川座長のコメントに対して、大臣はどのようにお答えになるでしょうか。
  91. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私も今日、NHKのニュースでそれは見せていただきました。先ほどから申し上げておりますとおり、科学的なデータに基づいて食品安全委員会が答申をされた。その中において、事前査察というものが必要条件という形では書いていない。我々は念のために各施設を査察をさせてもらうということで順次行うと。これはカナダも同等でございます。そのような形でやっている。  その中において、アメリカが守るべきことを守らなかったという中で今止めているわけです。そして、アメリカにどうしてこういう実態になったのか、きちっとした解明をしなさいということを申し上げているわけですから、そこがきちっと出てこないで次から次へと先の議論をしても始まらないと私どもは思っております。  そして、先ほど申し上げたように、検疫で止める、そして念のために自主的な点検を今さして、その報告を我々は受けて、また国民に開示していくということが私どもの今務めではなかろうかなと、このように考えております。
  92. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 食品安全食品安全行政に対する国民の信頼、これは物すごい失われたわけですね。五年前のあの九月十日、あの後、BSE感染牛は焼却処分をしたと言いながら、実は焼却処分されていなかったということが後で分かったり、様々なことで本当に大騒ぎになったわけです。それを長い時間を掛けてようやくここまでやってきた。そして、食品安全委員会で、本当に条件付きで、一度は座長も評価不能という答申も意識したと、このようにおっしゃっていらっしゃるわけですけれども、そういう中でも、何とか答申を出して、しかもそれは条件付きの答申だったわけですけれども、大丈夫か大丈夫かと、本当に大丈夫だろうかとみんなが心配している中で、そんなに早くやっていいのか、そんなに早く解禁していいのかとだれもが心配する中で解禁して、一か月もたたないのにこの有様なんですよ。  この失われた信頼、国民の食の安全に対する信頼、これをどうやって取り戻すんですか。今のようなもうアメリカ任せ、アメリカが悪いんだと開き直っているようなそんな答弁じゃ国民は納得しませんよ。もっときちんと答弁してください。
  93. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ですから、検疫でそのような事態が発見された段階で肉の輸入をすべて止めた。そして、正に御指摘のように、私どもは検疫というものできちっとクリアされているだろうと。ある意味では、検疫をしているわけですから、今、七百五十トンですか、市場に出たものについては大丈夫だと思っているけれども、国民の信頼という面からすれば、もう一度自主的な点検を地方自治体を通じながらお願いをしていると。念には念を入れて今作業を進めさせていただいていると。様々な行動を取りながら、国民の食に対する安全、理解が得られるように努力してまいりたいと考えております。
  94. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 米国産牛肉の加工食品や外食における原産地表示についても、私は国民への正確な情報提供の観点からも徹底すべきではないかと思っておりますけれども、現在、米国産牛肉の流通先についてどの程度把握していらっしゃるでしょうか。
  95. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 現在、既に輸入されたものの調査を行っているわけでございますけれども、この内容につきましては、調査内容でございますけれども、念のため、既に国内に入っている米国産牛肉に脊柱が混入していないか、輸入業者に対して、これは販売先も含め自主的に調査し報告するよう関係都道府県等を通じて要請しているところであります。  また、これはその当該品が既に転売されていた場合には、販売先も調査対象に含まれると、そして、販売されたこん包も可能な限り追跡し、調査を行うよう関係自治体を通じて要請しているところでございます。
  96. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そして、お母さんたちが大変心配しているわけですけれども、輸入禁止前も含めて、米国産牛肉が学校給食にどの程度使用されているのかということをお聞きしておきたいと思います。
  97. 西阪昇

    政府参考人(西阪昇君) 学校給食におきましてどのような食材を使用するかにつきましては、各学校、調理場ごとに保護者の御意見も聞きながら決定されているところでございます。そのような食材につきまして、全国的な網羅的な調査というのは私ども従来からやっておりませんので、データがございません。  ただ、急遽幾つかの都道府県あるいは学校、調理センターを通じまして状況をお聞きいたしましたところ、昨年の輸入再開以降、米国産の牛肉を使用したことはないということでございました。
  98. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 時間ですので終わりますが、私は、リスク管理機関としての厚生労働省責任、そしてこれを無理やり拙速な輸入再開の判断をした政府責任、強く改めて批判をして、質問を終わりたいと思います。
  99. 山下英利

    委員長山下英利君) ちょっと速記止めてください。    〔速記中止〕
  100. 山下英利

    委員長山下英利君) じゃ、速記を起こしてください。
  101. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党仁比聡平でございます。  政府のアスベスト対策について、我が党は、国の行政責任と加害企業の責任をあいまいにし、被害者の真の救済や問題の根本的解決にとって極めて不十分なものであるということを指摘してきました。アスベストと同様、粉じんを吸い込むことによって健康と命がむしばまれ、現代医学では治療法がないじん肺被害者の救済と根絶についての政府の施策も同様に極めて不十分であり、正にアスベストとじん肺は根は一つです。  じん肺は世界最古にして今なお最大の職業病です。じん肺法が制定された一九六〇年から四十五年が経過をしましたが、現在でもなお毎年新たに一千名前後の労働者が療養に専念しなければならない重度のじん肺と認定され、苦しんでいます。  二〇〇四年四月二十七日に言い渡された筑豊じん肺最高裁判決は、初めて国の責任を認めました。最高裁は、じん肺法が制定された後も、炭鉱において長年にわたってじん肺が多発しているにもかかわらず、国が適時適切な権限を行使しなかったこと、省令の改正などをせず、被害発生を放置したことは著しく不合理であり、違法であるとの判断を示しました。二〇〇五年七月十四日、北海道石炭じん肺訴訟においても同様に国の責任を明確に認めました。  私は、アスベストもじん肺も、国や企業が粉じん防止対策を取るなら確実に予防することができると思います。そこで、国がこの二つ判決あるいは決定を真摯に受け止めて、じん肺根絶に向けてあらゆる努力をする必要がある、その立場から、トンネルじん肺の幾つかの点に絞って今日質問をさせていただきたいと思います。  じん肺を予防するためには、まず労働者の粉じん吸入を抑制すること、坑内粉じん暴露時間を短縮することが不可欠です。  国土交通省にお伺いをいたします。国交省発注のトンネル工事について、土木工事積算基準では坑内作業の労働時間がどのように積算されているのか御紹介ください。
  102. 中島威夫

    政府参考人中島威夫君) トンネルにおける労働時間についてでございますけれども、積算基準等において記載しております作業時間と申しますのは、トンネル工事において標準的に採用されている作業のやり方を明らかにすることによりまして、作業に要する総人件費の積算、これを行うための資料を提供するものにすぎません。個別の工事において請負者が労働者を何人編制の体制で一日何時間作業に従事するのか、これを規定するものではございません。  土木工事積算基準におきましては、トンネル工事における掘削の作業時間は一日二方、二交代でございますけれども、の場合、十一時間を各方の拘束時間とし、九時間を各方の実作業時間としておりますが、積算基準等の内容は、個別の工事における個々の労働者の労働時間を直接縛るものではございません。積算基準の労働時間等に関する記載につきましても、実際の施行を規律するものではないことはこの積算基準にも明記しているところであります。
  103. 仁比聡平

    仁比聡平君 総人件費を積算するものにすぎないというふうに今おっしゃいました。ですが、現実に、拘束十一時間、労働時間は賃金対処で十時間、実作業時間は九時間、そういう積算はやっていらっしゃるわけでしょう。何がすぎないですか。驚くべき積算だと私は思います。  そもそも劣悪な環境にある坑内で、国発注の現場であるにもかかわらず、八時間以上、九時間、十時間、そういう超過勤務が恒常的に行われているという現場の実態を追認するということじゃありませんか。これ国交省として見直すおつもりないんですか。
  104. 中島威夫

    政府参考人中島威夫君) ただいまお答えさせていただいたとおり、この積算に用いられます労働時間、標準的に採用されている作業のやり方を積算のための資料として提供するものでありますので、標準的に採用されている作業のやり方、これが変わりましたら積算基準にも反映されることになります。
  105. 仁比聡平

    仁比聡平君 今おっしゃっていることは、結局現場が、現場の実態が変わらなければ今の積算のままでいくと、そうおっしゃっているのと等しいんですね。  実際、想像していただけたらと思いますけれども、受注元請業者、ここが超過勤務を前提にした積算でしか受注していないという以上は、重層下請構造の下で現場労働者が恒常的に超過勤務を強いられていくという実態は容易に想像できることだと思います。私は、劣悪な環境だからこそ、そもそもこの二交代という実態そのものを改めるべきだと思います。  厚生労働省は、昭和五十四年、旧労働省のときですが、五十四年の十二月二十一日に、隧道建設工事における労働災害の防止についてという労働基準局長名の通達を出しておられまして、そこでこう言っています。坑内労働など有害業務において時間外労働の法定限度を超えて時間外労働に従事させている者、恒常的な時間外労働を前提とした二直二交代制などの勤務体制を取っている者が認められると、これを正さなきゃいけないというんですね。その前年、昭和五十三年に、六月二十三日に同じく出されています通達では、特に二直二交代制による二十四時間の連続操業は、形式的には三六協定による所定外労働の形を取っているものの、所定労働時間が恒常的に八時間を超えることを前提としたものであり、したがって、かかる連続操業は法三十二条の八時間労働制の趣旨に照らし好ましくない勤務体制であるから、これを改善するよう指導することという通知を出していらっしゃるわけです。  そこで、大臣にお伺いをしたいと思うんですが、このような粉じん職場では、粉じん暴露時間を抑制をするためにも、その労働時間はせめて、せめて八時間以内にするべきではないでしょうか。
  106. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) トンネル工事等の坑内労働、その特性にかんがみ、労働基準法により三六協定を結んだとしても、労働時間一日十時間までに抑制しているところでございます。
  107. 仁比聡平

    仁比聡平君 十時間まで働いて、働かせるということでよいということなんでしょうか。今、現実に粉じんに暴露されるその職場でじん肺の患者も発生をし続けている。その中で、この粉じん暴露時間を抑制をするためにこれを見直すということが必要なのではないでしょうか。  三十年前に、一九七四年ですけれども、じん肺法改正のために開かれたじん肺審議会というところでは、時間外労働を禁止するという言葉が明確に盛り込まれています。その後三十年間、国発注の現場ですらその基準が改まっていないと。ここに問題があると思うんですね。大臣自らが、せめて国発注の工事において、このような労働実態を改める、労働時間を短縮するということを働き掛けるべきでありませんか。いかがでしょう。
  108. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 粉じん作業に従事する労働者の健康被害、これをいかに防止するか。基本的には粉じんの暴露を回避することが重要であると考えており、そのため、粉じんの発生の抑制や防じんマスクの着用等により粉じんの暴露を防止しながら作業を行っていただくように指導をいたしております。トンネル工事現場においては、まず粉じん、粉じんへの暴露の防止措置を講じていただくということがまず基本であろうと思っております。  労働基準法における労働時間の規制、これは先ほど申し上げたように三六協定を結んだとしても十時間までということで抑制をいたしております。
  109. 仁比聡平

    仁比聡平君 これまで繰り返し、省の通達の中でも、この労働時間の実態を改めるべきだという認識が繰り返して示されながら、一方では、現場の実態が三十年を超えて変わってきていないという状況があるからこそ、私はお尋ねをしているんです。  少なくとも時間外労働を禁止するという方向での方策について、かつてそういう答申も出ているわけですから、改めて真剣に検討をするということが必要ではありませんか。大臣として、その検討するというお考えは是非聞かしていただきたいと思います。
  110. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほどお答え申し上げましたように、労働基準法においては、坑内労働に従事する労働者の時間外労働については、三六協定によっても二時間までとする規制になっております。そういう意味では、一般の労働者に比べ厳しい規制となっております。  また、国の発注する公共工事も含め、恒常的な時間外労働が生じることは好ましくないとの考え方に立って、労働時間等について労働基準法に沿って適正に管理されるよう、引き続き監督指導を行ってまいりたい。ましてや、国の公共工事、そういった意味での規制をしっかり守っていただくように我々も注意を喚起してまいりたいと思います。
  111. 仁比聡平

    仁比聡平君 恒常的に時間外労働が生じているという実態、好ましくないとおっしゃっている実態が正に現場で起こっているわけですから、しっかり受け止めていただきたいと思いますし、有毒職場の現場の労働時間というのはもっと短い規制をしているところだってあります。それをこのトンネル工事の職場でやっていただきたいということなんです。強く検討を求めたいと思います。  もう一点、根絶のためのもう一つの柱は、坑内作業現場での定期的な粉じん測定及びその結果に基づく評価を義務付けることだと思います。  〇五年の三月末に厚生労働省は、鉱山保安施行規則の改正に合わせて屋外作業場における作業環境の管理に関するガイドラインというのを出されています。そこでは、個人サンプラーといいまして、個々の労働者が装着できる試料採取機器で粉じんの濃度などを測定するといった測定方法、あるいはその結果の評価、改善措置を通達するという点で重要な前進があったと評価をできるものだと思います。  これをトンネルで最も粉じん濃度が高い掘削の最前線である切り羽、ここで働く労働者に装着させて粉じん濃度を把握し、作業環境を管理してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
  112. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) トンネル建設工事の掘削作業におきましては、法令により、湿潤化によりまして発じんを防止する、あるいは呼吸用保護具を使用する、あるいは換気をするというようなことを義務付けております。こうした対策によりまして労働者の粉じん暴露を防止しているところでございます。  今お話ありました濃度測定ということでございますが、一般的に粉じん濃度の測定は粉じんの発生を抑制するためにその前段として重要なものであると思っておりますけれども、切り羽につきましては、重機による掘削作業をやりますし、掘削した土砂を搬出したりする作業が行われているというような状況でございます。また、切り羽はずんずん前に進んでいくということで、日々移動していく作業現場ということでございます。したがって、そこでの粉じん濃度の測定結果というのは粉じんの抑制策に反映できないということであります。切り羽における粉じん抑制は、むしろ測定というようなことよりも、むしろ、もうそういうことをまつまでもなく、抑制ということをきちんとしていかなければいけないというものだというふうに思っております。そういう意味で、切り羽での粉じん測定は行っておりません。  なお、切り羽から五十メートル手前の位置におきましては、坑内全体における粉じん濃度を換気により抑制するという、そういう観点から粉じん濃度を測定することといたしております。
  113. 仁比聡平

    仁比聡平君 作業環境を管理するというのは、そこで働く労働者の健康や命、安全を、これを守るためにやるわけですね。それは切り羽は前進していくでしょう。ですけれども、そこに働いている労働者に装着させて測れば濃度を測定できるんですから、それを測るというのは私、当たり前だと思うんですよね。  今、切り羽から坑口に向けて五十メートルのところでは測定をしているとおっしゃいました。ですけれども、これは現場で伺いますと、換気の装置のための風管の出口のこれ後ろで測っているわけですね。ここで測るのと切り羽で現実に労働者が暴露されている粉じん濃度というのが大きく違うというのは、これ少し考えれば分かることじゃありませんか。そして、個人サンプラーは実際に装着させて動かすということができるわけです。  大臣、今の現状というのはおかしいと思われませんか。私は、大臣責任でといいますか、大臣に、是非トンネルでもこの個人サンプラー使うということを検討していただきたいと思います。  二〇〇〇年のガイドラインの中でも、政府は、トンネル建設工事において今なおじん肺新規有所見者の発生率が高いということなど、粉じん障害の防止への一層の取組が求められているという認識に立っていらっしゃるわけで、これをなくしていくためにこの個人サンプラーをトンネルの切り羽の労働者に是非装着をさせるという方向での検討お願いしたいと思いますが、いかがですか。
  114. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 今お話ありました個人サンプラーですか、若干個人で携帯できるということで小型にはなっておりますけれども、相当程度の重量はありますし、チューブをずっと巻いてやるというようなものでございます。そういう意味では、そういったものを作業者が装着しなければいけないということでありますので、切り羽付近で測定しようとすると、そういった個人サンプラーを装着した作業者の切り羽での作業を妨げることになりますし、むしろ作業者の十分な安全確保を図るということからしますと、これはちょっとなかなか難しいということで、このお話のありましたガイドラインでもそういった取扱いをするということにいたしているわけでございます。  トンネルあるいは粉じん、じん肺、そういったことに関しましては、今お触れになりましたように、今なおやっぱりじん肺発症率がトンネル等では高いと、かなり相当程度、経年で見ますとかなり減ってきてはおりますけれども、まだやっぱり高いという状況でございますので、私どもとしては、法令あるいはそういったガイドライン、そういったものをきちんと指導監督いたしまして、労働者の健康被害につながることのないようにきちんと対応していきたいというふうに思っております。
  115. 仁比聡平

    仁比聡平君 やれることをやらないとおっしゃっているのと同じのように思います。明らかにされたら困るという実態がある、そこから目を背けようとするものにほかならないんじゃないですか。  私は大臣に、是非そこは検討していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
  116. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 委員が御指摘いただいたことは、現実に作業をしている方にとって可能であるかも含めて、議論はさせましょう。
  117. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず、BSE問題についてお聞きをいたします。  順番が違う。なぜ再開決定前に、輸入再開決定前に査察をしなかったんですか。大臣
  118. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) もう既に何回もお答えをいたしておるわけでございますけれども、十一月十八日の答弁書においては事前事後にわたって査察をしたいと考えている、その後、現実的に可能であるか、いろいろな議論の中で、十二日に再開、十三日に査察団を送ったと。こうした経過の中で、ある意味では同時並行的に査察が進んだということになります。
  119. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、全くひどいんですよ。開始を決定する前に査察をやらない。  なぜ、なぜ事前にできないんですか。ラインが動いてないからということですか。
  120. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 一つは、食品安全委員会の答申を受けて最終決定をしたということになります。事前にやるか今言いましたように十三日からやるかということについては、八日の段階で最終結論を出したということになります。  それで一方で、現実に肉の作業というものが進みますのは再開が決まった段階から動き始めますので、今申し上げたように、十二日再開、十三日査察という形で物事を進めさせていただいたということでございます。
  121. 福島みずほ

    福島みずほ君 それも本当にひどいんですね。十二月十二日、再開決定をした日にアメリカ農務省は大丈夫だ大丈夫だという判こを押しています。ライン動いているじゃないですか。  なぜ米国農務省はラインが動いてないにもかかわらず再開開始を決定した日に大丈夫だと言えるんですか、じゃ逆に。
  122. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 再開決定、私どもが大使館を呼んで通告をした、連絡をしたということになりますでしょうか、それを受けながらアメリカで作業に入っていって、認定施設、十二日、当然時差がございますから、こちらが大使館に通告した後その過程に入っていって、十二日が十三施設、十三日が十施設、十四日が六施設、十五日が四施設、十六日が三施設、二十日が一施設、一月十二日が一施設という形で順次許可が行われているということでございます。
  123. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、順番が全く違うんですよ。アメリカの牛肉がきちっと輸出プログラムにのっとっているかどうかを日本政府は一切チェックをしないまま十二日再開決定をした。で、十二日に米国農務省は大丈夫だというのを出す。日本は十三日から査察を開始し、アメリカから肉が登場した後に報告書が出るんです。  私が今回怒りを感じるのは、日本の農水省、厚生労働省日本政府責任においてチェックをするという気概がないからですよ。だからこそ今回このような事態が起きたんじゃないですか。日本がアメリカ、カナダから牛肉を輸入する資格はないですよ、今回チェックできなかったんだから。再開開始決定前に査察すら行わなくて、自分たちの目でチェックをしないでなぜ輸入再開ができるんですか。順番が全く違ってますよ。  お聞きをします。アメリカの四十か所あるうち十一か所査察をしました。この十一か所のリストはアメリカ側が作ったリストですか。
  124. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 米国におけます日本向け牛肉輸出認定施設の査察につきましては、十二月の十三日から二十四日までの間、厚生労働省、農林水産省の……
  125. 福島みずほ

    福島みずほ君 結論だけで結構です。
  126. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 担当官を派遣いたしまして、米国政府が認定いたしました施設のうち十一施設につけてやっております。ただ、その選定につきましては、農林水産省と連携いたしまして、四大パッカーを中心に、対日輸出が見込まれる大手の屠畜場及び食肉処理施設を重点的かつ効率的に訪問できるよう、米国側とスケジュール調整を行ったものであります。
  127. 福島みずほ

    福島みずほ君 米国側が用意したリストに従い査察をしたということでよろしいですか。
  128. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) スケジュールの案につきましては米国側から提示されたものでありますけれども、その提示に当たりまして、我が国の要望というのを入れて話しておりますので、それが入れられた形の提案だという具合に考えております。
  129. 福島みずほ

    福島みずほ君 アメリカ側が出したリストに変更はあったんですか。十一か所の選定について日本側が変更を申し入れたことはありますか。
  130. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 当初は十か所ということでございますけれども、追加として一か所要求しておりますので、当初の案からしますと変更があったということであります。
  131. 福島みずほ

    福島みずほ君 結局、アメリカ側が用意したリストに従って見たんですよ。四十か所あるうち全部なぜ見なかったんですか。
  132. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 輸出プログラムを遵守というのは基本的には米国政府責任において行われるものであります。我が国といたしましては、その輸出プログラムがシステムとしてちゃんと稼働しているかどうかというのを念のために査察に行ったわけでございます。そういう点におきまして、この十二日の段階から順次認定施設が増えておりますけれども、その当初十か所、もう一か所増えまして十一か所視察したということでございます。
  133. 福島みずほ

    福島みずほ君 日本は輸出プログラムを確認する気がなかったということですよね。それはひどいですね。農水省、厚生労働省、安全だって国民説明する能力、資格ないですよ。  四十か所のうち十一か所しか見なかった。しかも十か所はアメリカ側が用意したリストだった。全部大手なんですよ。カーギル社四か所、タイソン社二か所、スイフト社二か所、ほとんどアメリカ大手です。つまり、輸出プログラムを遵守していると思われる大手の、最大手の食品工場を主に見たと。で、中小はチェックしてないんです。だから、今回背骨付きのが出たのは十一か所以外のところから出たわけです。  私は思いますが、日本がここから輸入しますよというんであれば、再開決定前にきちっとその四十か所を見るべきじゃないですか。それすら見なくてなぜ安全だと言えるんですか。アメリカが間違ってたら、日本はじゃ間違いますよ。
  134. 松本義幸

    政府参考人(松本義幸君) 何度も繰り返しになりますけれども、輸出プログラムの遵守は米国の責任において行うものでございまして、我が国はその輸出プログラムがちゃんと遵守されているかということを念のために確認、査察に行ったわけでございます。  また、全部というわけではありませんけれども、十二日に再開を決定したときに、国民の皆様にということで、できるだけ早い時期にすべての施設を査察をし、その結果を公表するということをお知らせしております。取りあえず再開後十一か所を見に行ったということでありまして、その残りの施設についてもその後行く予定とはしておりました。
  135. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、ひどいですよ。日本は、だから、アメリカが輸出プログラムを守らなかったらどうなるんですか。それをチェックする気がないんだということをはっきりおっしゃっているんですよ。それはアメリカが守るべきことだ。だって、現に中途半端にしか見てないんですよ。向こうが用意したリストで、あ、大丈夫ですと言ったところで、そんなお仕着せの査察じゃないですか。向こうが作ったリストのところを日本政府が行けば、それは大丈夫なはずですよ。残りのところがずさんだったからそこから出てきた。それは現にすべて、一〇〇%日本が水際でチェックできないわけですから、日本側が再開決定をする前にきちっとそれは確認すべきなんですよ。  日本政府がこのような答弁を繰り返している限り、輸入はできないですよ。だって、それアメリカの輸出プログラムだ、日本の農水省、厚生労働省はチェックする気はないということじゃないですか。念のためにやったなんという答弁をやっている限り、輸入再開は絶対にできません。白紙でやってください。もう一回やり直すべきです。アメリカ任せで、日本の農水省、厚生労働省がチェックをする気がないんだもん。お仕着せのところだけ見て何になりますか。しかも、再開決定後に、査察の結果が出る前に肉は届いているんですよ。日本はだからノーチェックだということですよ。ひどいですよ。もう顔洗って出直せというふうに言いたいと思います。  日本の農水省、厚生労働省にアメリカの牛肉とカナダの牛肉が安全であるということなんか言わせないですよ。だって、日本政府はチェックする気がないんだもん。チェックする気が自分でなくて、自分の目で見て、自分で確認せずに、なぜ安全だと言えるんですか。アメリカが安全だと言っているから安全である、しかし、アメリカのは安全ではなかったんですよ。米国農務省にも欠陥があったんですよ。それが露呈したわけですから、日本の農水省、厚生労働省に外国からの輸入牛肉について安全だと言う資格はないですよ。  次に、アスベストについてお聞きをいたします。  アスベスト問題は明らかに行政側に不作為があったのであるから、事業者や地方自治体から救済基金への拠出を求めるのは筋違いではないですか。労災のシステムを使って、すべての事業、労災システムを使っているところからお金を上乗せして取ります。でも、事業者だって被害者じゃないですか。被害者と加害者を一緒くたにぐちゃぐちゃにして、なぜお金を取るんですか。
  136. 寺田達志

    政府参考人(寺田達志君) お答え申し上げます。  まず、今御質問の前提に国の責任というお話がございましたけれども、政府は昨年アスベスト問題に関する関係閣僚会議を開催し、国のこれまでの対応について検証をしております。その結果といたしまして、この閣僚会議での合意でございますけれども、検証結果全体としては、それぞれの時点において当時の科学的知見に応じて関係省庁による対応がなされており、行政の不作為があったということはできないというのが現在の政府の立場でございます。  その上で、今回、救済制度についての負担の問題でございますけれども、これにつきましては、暴露から発症まで三十年、四十年という長い潜伏期間があるという石綿被害の特殊性にかんがみまして個別の因果関係というものは明らかにできない、つまり、具体的には責任者というのが見いだし難いという状況にかんがみまして、事業者、国、地方公共団体、それぞれの立場で負担をするということで考えているところでございます。
  137. 福島みずほ

    福島みずほ君 国に責任がないということについては驚いてしまいます。これは国家賠償請求訴訟が起きれば故意、過失、違法性、損害の立証はかなりできるのではないかというふうに思います。なぜ国の責任を認めず、被害者である事業者たちから一律に広く薄く取るのかというふうに思っております。これはやはり見直すべきだというふうに思います。  アスベスト工場の周辺住民、アスベスト除去工事などで暴露を受けた住民や生徒、アスベスト関連作業者の服から家庭内で暴露を受けた家族など、ハイリスク者の健康管理対策については長期にわたり継続し健診を実施していくなど、健康管理手帳を交付したり費用の免除を行うことなどが必要と思われるが、いかがですか。その点で、今後患者を増やさないためにも、総合的な対応策としての基本法の制定が必要ではないですか。
  138. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今、環境委員会で御審議いただいているところでございますけれども、この法案が成立いたしましたならば、来年から周辺住民の皆さん方の健康診断に応じる、いろいろ不安を持たれている方がいらっしゃいますので、まず問診という形でさしていただいて、その結果に基づいて健康診断を行う。そして、そのスキームの中で継続して検査を行っていくことが大事であるという認定がされましたら、そうしたものを協力者名簿という形で登載をさしていただいてずっと管理を続ける。また、健康診断自体、負担がない形でできるようにしてまいりたいと、このように思っております。
  139. 福島みずほ

    福島みずほ君 今生まれた赤ん坊もアスベストに暴露する可能性があるわけです。そのために私たちは、ノンアスベスト社会、どうやって除去するかということをやるべきだというふうに思っております。  最後一言。現在出回っている製品についてどうやって回収するのか、あるいは建築物の検査、除去に要する費用について一定の助成なり融資をするべきではないかについて簡単に教えてください。
  140. 谷みどり

    政府参考人(谷みどり君) 昨年、経済産業省、二万以上の企業に対する調査をいたしまして、家庭用品の製造実態について調べましたところ、百八十五社の製品にアスベスト含有部品が使用されていたことが確認されましたが、ほとんどの場合は、小さなパッキンに少量のアスベストが練り込まれているなど、通常の使用においてアスベストが飛散する可能性は極めて低いとの報告を受けております。  経済産業省は、アスベスト含有部品を使用した実績のある企業等に対しまして、消費者の視点に立って迅速、十分な情報提供や相談対応を実施するように要請いたしましたし、また、調査時点においてアスベスト含有部品を使用していた企業に対しては、早急に材料の代替化を行うように要請いたしまして、昨年十月末までに代替化が完了したことを確認をしております。  こうした対応につきまして、関係省庁と緊密に連携しつつ進めておりまして、今後とも政府一体となってアスベスト問題に取り組んでまいります。
  141. 福島みずほ

    福島みずほ君 質問を終わります。
  142. 山下英利

    委員長山下英利君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時十二分散会