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2006-06-07 第164回国会 参議院 決算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年六月七日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月三十日     辞任         補欠選任         荻原 健司君     荒井 正吾君      川口 順子君     西島 英利君      二之湯 智君     森元 恒雄君  六月六日     辞任         補欠選任         高野 博師君     白浜 一良君      小林美恵子君     井上 哲士君  六月七日     辞任         補欠選任         中村 博彦君     末松 信介君      西島 英利君     河合 常則君      谷  博之君     黒岩 宇洋君      井上 哲士君     小林美恵子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中島 眞人君     理 事                 国井 正幸君                 小池 正勝君                 武見 敬三君                 直嶋 正行君                 松井 孝治君                 山下 栄一君     委 員                 荒井 正吾君                 河合 常則君                 坂本由紀子君                 末松 信介君                 田浦  直君                 西銘順志郎君                 野村 哲郎君                 森元 恒雄君                 山内 俊夫君                 山本 順三君                 尾立 源幸君                 加藤 敏幸君                 神本美恵子君                 黒岩 宇洋君                 佐藤 雄平君                 谷  博之君                 那谷屋正義君                 藤末 健三君                 簗瀬  進君                 和田ひろ子君                 白浜 一良君                 西田 実仁君                 井上 哲士君                 小林美恵子君                 又市 征治君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     竹中 平蔵君        法務大臣     杉浦 正健君        外務大臣     麻生 太郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   小坂 憲次君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        農林水産大臣   中川 昭一君        経済産業大臣   二階 俊博君        国土交通大臣   北側 一雄君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        沓掛 哲男君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融、        経済財政政策)        )        与謝野 馨君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革))      中馬 弘毅君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策食品安        全))      松田 岩夫君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        ・男女共同参画        ))       猪口 邦子君    内閣官房長官        内閣官房長官  鈴木 政二君    副大臣        財務大臣    赤羽 一嘉君        国土交通大臣  松村 龍二君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        財務大臣政務官  野上浩太郎君        国土交通大臣政        務官       吉田 博美君         ─────        会計検査院長   大塚 宗春君         ─────    政府特別補佐人        内閣法制局長官  阪田 雅裕君    事務局側        常任委員会専門        員        桐山 正敏君    政府参考人        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        財務省主計局次        長        鈴木 正規君        財務省理財局次        長        浜田 恵造君        文部科学省初等        中等教育局長   銭谷 眞美君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        素川 富司君        厚生労働省職業        能力開発局長   上村 隆史君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        社会保険庁長官  村瀬 清司君        資源エネルギー        庁長官      小平 信因君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成十六年度一般会計歳入歳出決算平成十六  年度特別会計歳入歳出決算平成十六年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十六年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十六年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十六年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出) ○会計検査要請に関する件     ─────────────
  2. 中島眞人

    委員長中島眞人君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月三十日、荻原健司君、川口順子君及び二之湯智君が委員辞任され、その補欠として荒井正吾君、西島英利君及び森元恒雄君が選任されました。  また、昨六月六日、高野博師君及び小林美恵子君が委員辞任され、その補欠として白浜一良君及び井上哲士君が選任されました。     ─────────────
  3. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 平成十六年度決算外二件を議題とし、本日は締めくくり総括質疑を行います。  まず、私が決算委員長として若干の質疑をいたします。  平成十六年度決算審査議論になった事柄を中心に、私から三点ほど、総理財務大臣厚生労働大臣にお伺いいたします。  まず、随意契約割合の高さについてです。  政府が行う公共調達については原則として競争入札に付すこととされておりますが、中央省庁が結んだ五百万円以上の契約のうち約七割が随意契約であるという実態が明らかになりました。特に、各省庁所管公益法人との契約では、その多くの随意契約割合が一〇〇%に極めて近い率になっていて、それらの法人には省庁OBが多数天下りしていることが本委員会議論の中で指摘されました。国からの補助金で行われる事業で、国は地方に対して例えば五社以上の競争入札を行うようにと指示をしているものもあります。しかし、その指示をしている中央省庁の側で随意契約割合が非常に高いというのはおかしな話ではないでしょうか。  政府調達においてなぜこのような安易な随意契約が行われてきたのか、その原因と反省、今後の改善に向けた決意をお伺いいたします。  次に、独立行政法人在り方についてですが、本委員会では、昨年、独法業務運営等に関し会計検査院検査要請をいたしました。それに対する報告書では独法における幾つかの問題点が報告されております。また、決算審査の中で、独立行政法人国立病院機構において旧国立病院出身者が数多く天下りをしている民間企業に集中して随意契約をしていることが指摘されました。この問題について川崎厚生労働大臣は、命令権はないができる限り指導する旨の答弁をしておられました。  独法には多額の運営費交付金が国から交付されています。それにもかかわらず、改善が必要な問題点があっても、制度上、政府はその運営について直接的に命令することができません。国のお金の使い方をチェックする立場にある決算委員会としては、このような制度が本当に良いのか、疑問なしとは言えません。国費は適正かつ効率的に使用されなければならないとの観点から、独法制度在り方について所見をお伺いいたします。  三点目に、補助金制度在り方についてです。これは私の関心事項としてお尋ねさせていただきたいと思います。  地方自治の現場では、以前から国の補助金の使い勝手の悪さを指摘する声もあります。各省庁から少額の補助金がばらばらに交付され、さらに補助金を使って行う事業には様々な制約があるために、どうしても不効率が生じてしまう部分があるということです。この補助金問題点は、十六年度から三か年にわたって取り組まれてきた三位一体改革では国庫負担率の引下げが多くを占めているため、解消されているとは言えません。財政効率化を図るためには、補助金一般財源化をより一層進める必要があるのではないでしょうか。財政効率化という観点から見たこれまでの補助金制度反省と今後の更なる改革必要性について所見をお伺いいたします。  最後に、答弁は求めませんが、特別会計について申し述べておきたいと思います。  決算委員会では、かねてより特別会計の問題について高い関心を持っておりました。昨年の警告決議では、事務事業見直し歳出歳入両面での合理化透明性の確保などを求めました。政府では特別会計改革に取り組んでおられるところですが、余剰資金の縮減、一般会計への繰入れなど更なる改革努力をお願いしておきたいと思います。  ところで、小泉首相改革のため、その手腕に期待して内閣政策会議等民間企業経営者方々を積極的に登用されてきたところであります。しかしながら、最近、これらの方々あるいはその出身企業をめぐり様々な問題が報道されております。そして、このことが国民政治不信を招くのではないかと懸念されますが、私は、政治行政に携わる者は更に襟を正していくことが必要であろうと考えていることを一言申し添えます。  以上、随意契約割合の高さ、独立行政法人制度補助金制度在り方の三点について、総理財務大臣厚生労働大臣の御所見を求めまして、私からの質問とさせていただきます。
  4. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私からは、今の委員長の御質問のうち、調達に関する随意契約の問題と、それから補助金の問題についてお答えをいたします。  国の調達は、これは一般競争入札によることが原則でございまして、例外として随意契約による場合であっても、これは透明なものであること、それから効率性の確保されたものであるということが必要でございます。  しかし、こういう基本線から逸脱した安易な随意契約が国と公益法人等との間で行われているのじゃないかという御批判をいただきまして、これは真摯に受け止めなければならないということで、各省庁におきまして今、公益法人等との間の随意契約について見直しを行っているところでございます。  今各省庁で行われている随意契約見直しは、国民の目から納得できる理由のある随意契約であるかどうかといった観点から、これは厳正な点検を行いまして、例外である随意契約をできるだけ一般競争入札等に移行するということを基本として進めているところでございます。  それから、随意契約によらなければならない場合でも、その透明性を確保するために、平成十七年度から、契約の相手方、それから契約金額随意契約によることとした理由等々につきまして、公表対象基準を大幅に引き下げまして、各府省ホームページ公表する、それから平成十八年度からは、公益法人等との間の随意契約につきましては、随意契約によることとした理由、これをホームページで詳細に公表すると、こういった随意契約に関する情報公表に積極的に取り組んできているところでございます。  今後とも、各省庁における随意契約見直し情報の公開が十分行われますよう適切に対応すると同時に、公共調達適正化のため、情報公表の拡大、もっと必要なところがあるのじゃないかといった点についても検討していきたいと思っております。  それからもう一つ補助金につきましては、三位一体改革で、地方にできることは地方へという方針の下で地方の権限と責任を大幅に拡大して、国、地方を通じた行政スリム化を図っていくという観点、それから国と地方役割分担に応じた事務事業、それから国庫補助負担金在り方見直しを行ってきたところでございます。  そういう方針の下で、税源移譲に結び付く補助金改革、それから地方自主性裁量性を高める交付金化改革、それからスリム化を図っていく改革、この三つを進めまして、十六年度から十八年度までの合計で四兆七千億円の補助金改革を実施しまして、うち三兆円税源移譲を行ったところでございます。  こういった改革の結果、例えば公立保育所やあるいは特別養護老人ホームに係る補助金について税源移譲を行いまして、地方の判断と責任地域の実情に応じた施設整備サービス提供が可能となると。あるいは、事業間や年度間で流用が可能な交付金をつくるということによって地方が策定する事業計画に基づいて自由な施設整備が可能となるといった、地方分権がより一層推進されて国と地方改革に資するものがあったと考えております。  今後、国と地方改革につきましては、昨年十一月の政府与党合意にもございますように、まずは平成十八年度までの改革の成果を踏まえた上で、本当に地方の自立とそれから責任を確立するために何が必要かという観点から更に議論をしていかなければならないと思っております。  それから、国、地方を通じた行財政スリム化を図るために、納税者の視点に立って補助金見直しを厳しく行っていくことは当然のことと思っておりまして、その際には、政策目的の実現、それから国と地方役割分担といった観点から個別の事業の性格に応じまして十分な議論を行っていくことが必要だと思っております。
  5. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先日の委員会国立病院機構随意契約に関する問題について御指摘をいただきました。そのとき私の方から、大臣責任でやるという御答弁を申し上げました。この随意契約の問題、理事長を呼びまして、駐車場の管理の問題、また食堂、院内売店の問題、またエレベーター等の問題、御指摘いただいた案件について指導をいたしたところでございます。  また、その後、委員会でまた御指摘をいただいた問題も加えて、国、すなわち厚生労働省基準に合わせながら随意契約というものを直していくようにと指導いたしたところでございます。  いずれにいたしましても、厚生労働省が所管する各独立行政法人におきましても、厚生労働省と同じ基準でやるように指導を続けていく方針でございます。
  6. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ただいま谷垣財務大臣川崎厚労大臣からそれぞれ委員長の御質問、御指摘に対して答弁ありましたが、私も委員長質問であります随意契約の問題、また独立行政法人の問題、補助金の問題について、財務大臣厚労大臣答弁したところでありますが、総理として、財務大臣厚労大臣のみならず全閣僚に対して、随意契約例外的な措置であると、原則競争入札という、この原則を忘れずに対応するようにと、そして独立行政法人についても主務官庁の関与というものは必要最小限にとどめること、さらに、補助金の問題につきましても地方にできることは地方にという趣旨にのっとって各府省は対応するようにという指示を出しているところであります。  今後、当委員会、さらには予算委員会等始め、各委員会で出された指摘というもの、これを真摯に受け止めて改革を進めていきたいと思います。
  7. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 以上で委員長質疑を終わります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 武見敬三

    武見敬三君 総理、本論に入る前に二点、ちょっと先にお伺いをしたいことがあります。  あの野口英世賞、これは大変マスコミでも話題になっております。この野口英世賞ですね、どういう人たちをどういう目的で表彰するのかということは誠に重要な課題になるわけです。そうすると、野口英世博士ですから感染症ということで、エイズだとかSARSだとか、そういう感染症にかかわる分野というものを一つ対象とするというのもあると思いますけれども、同じく、野口英世博士は、やっぱりアフリカの地で、やはりコミュニティーヘルス地域医療にも大変貢献をされた重要な方でございますので、是非、そういう感染症だけじゃなくてコミュニティーヘルス地域医療についてもこの野口英世賞で表彰する分野として考えていただきたいと思うんですけれども。  なぜこんなことを申し上げるかというと、この考え方は、正に小渕内閣森内閣、そして小泉内閣とずっと続いてきた人間安全保障考え方とぴったり合うんですよね。これは言うなれば、地域社会一つの単位として、そこに住む人々対象として人間生存、生活、尊厳を守る、そういう考え方人間安全保障ですけれども、それを正にこの医学医療分野で具体化した一つの表彰する制度として、この野口英世賞というのは私は物すごく重要な役割をこれから国際社会の中で確立できると思うんです。  したがって、そういう人間安全保障という考え方をひとつ基本に置きながら、野口英世賞というものの中で表彰する分野というものの中に、是非地域社会と関連したコミュニティーヘルスというのを入れていただいて、我が国としてもそういう独自の役割をこういう国際社会の中で果たしていくんだという象徴にもしていただきたいと思うんでありますけれども、総理、いかがでございましょうか。
  9. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、先般エチオピアガーナ、訪問いたしましたが、エチオピア日本との長年友好関係がある国で、同時に五十三か国、アフリカ諸国の、アフリカユニオンAU本部のある国であります。ガーナは御承知のように野口英世博士黄熱病研究の最中に五十一歳で命を落とされた地で、今もガーナの国では野口英世研究室が残され、胸像も建てられ、尊敬を集めております。私もアフリカ全部の国は訪問できませんから、どの国を訪問するかということを考え、そのアフリカユニオンAU本部のあるエチオピアと、日本と特に野口英世博士を通じて関係のあるガーナを訪れた。その際に、野口英世博士というのは、医療医学、この研究最中に自らの命を落とされた。国内でも、今、野口英世記念賞という賞があります。国内医学研究者に大きな励ましも与えています。  それと、病気の問題で一番困難にあえいでいるのがアフリカ人々であります。そこで私は、アフリカ医学研究者、またアフリカ医療に従事している方々ノーベル賞に匹敵するような野口英世博士にちなんだ賞を日本は考えた方がいいのではないかと。日本ノーベル賞を取るということに極めて熱心でありましたけれども、取るだけでなく、日本が持っている研究者医学関係の資産というものを与えるということを考えてもいいんじゃないかということから、私はこの考え方アフリカAU委員長コナレ委員長ガーナ大統領クフォー大統領に話しました。両氏から賛同をいただきました。  そこで、この野口英世記念賞というものについて、今後コナレ委員長ともガーナクフォー大統領とも相談いたしますが、まず対象者日本人でもアメリカ人でもヨーロッパ人でもアフリカ人でもアジア人でもだれでもいいと、ただしアフリカ医学研究医療に従事している方々に限ると、しかも、エイズだけじゃない、感染症だけじゃない、病気全般アフリカ医学医療貢献している方々個人対象を絞ろうと。そして、まずたたき台日本として作っていこうと。今まで野口英世記念賞ということを国内で努力していた方々意見も聞きながら、国際的にも日本医療研究、また病気の克服に熱心だということを理解していただくためにも、世界の方々からの理解や協力を得るのも大事だと。  特に、アフリカ方々が一番困っておりますから、アフリカ意見も聞くことも大事だということでこの賞を、コナレ委員長が近々日本を訪問されるということであります。そのときまでに日本としてのたたき台を作って、AU委員長コナレ氏とガーナクフォー大統領賛同を得て、これをちょうど、二〇〇八年には第四回TICADというトーキョー・インターナショナル・コンファレンス・オン・アフリカン・ディベロプメントというアフリカ開発に関する会議日本は五年ごとに開いております。アフリカの首脳がたくさん訪れます。今回、二〇〇八年には第四回目のTICADが開催されます。そのときに合わせてこの第一回の授賞式日本で行おうと。  そして、これに対しましては、今のところ、ノーベル賞を超えるようなということは僣越ですから、余り差し出がましい、厚かましいことをしない方がいいと思いまして、ノーベル賞を超えないけれどもノーベル賞に匹敵するような日本国際賞。  そして、野口英世博士アフリカの地で、五十歳のときに、アメリカでも名声を博した、日本でも名声を確立して、五十歳であのガーナの地に行って研究して、五十一歳で現地で亡くなったんです。二〇〇八年は、野口英世博士が亡くなってちょうど満八十年になるんです。それを機会に、たまたま第四回目のTICADが開かれますから、それにちなんで、間に合わせるように第一回の野口英世賞を与えるよう今検討を進めております。
  10. 武見敬三

    武見敬三君 是非、こうした賞を創設するときには、今のお話ですと、感染症だけじゃなくてアフリカのあらゆる地域医療も含めた医療全体を一つ対象として考えられるということで、私は大変すばらしいことだろうと思います。  また、そういうことをするときには、一つのやっぱり政策理念というものが基本にあってそういう顕彰をするんだということを国際社会の中でやはり説明することが必要になってくるだろうと思いますので、そのときには、この人間安全保障という考え方は極めて国際社会の中で説得力のある説明の仕方だと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  その上で、二つ目ですけれども、実はWHO事務総長の李さんが、これ韓国の方ですが、残念なことに急逝されてしまいまして、十一月に実は選挙が行われることになりました。我が国の、WHO西太平洋事務局長をやっておられます尾身茂さん、この方が今度この機会に立候補しようということになりました。  野口英世賞の創設も同じなんですけれども、やっぱりこういう保健医療という人間生存に直接かかわるような分野我が国国際社会で大きな貢献をする、我が国国民がこの分野で非常に大事な役割を果たしていくということは、私は、日本という国が国際社会の中で平和国家として責任のある役割を果たすという目的に非常にかなったことだろうというふうに思います。  それだけに、是非この尾身茂さんに対して政府としても全面的に支援をしていただいて、やはり選挙ですから、当選しなきゃならないものですから、世界じゅう三十八か国ぐらい理事国があって一票を持っているらしいんですが、是非その支援体制を組んでいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  11. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私も、尾身茂WHOの西太平洋の事務局長、よく存じております。この西太平洋事務局長になるときも、私は厚生大臣でありましたが、支援した一人であります。そして、尾身氏に対しては世界各国から高い評価をいただいております。既に西太平洋の事務局長として、就任以来、再選もされています。現在五十六歳。  正に私はWHO全体の事務局長としてふさわしい方だと思っていますので、十八票獲得しないと過半数に達しないと、三十四か国ですかね、代表、一票持っていますから。ですから、是非このような優秀な、能力のある、また各国から評価されている尾身茂氏が当選できるように、政府としても挙げて積極的に支援をしていきたいと思っております。
  12. 武見敬三

    武見敬三君 それで、実はこれから本論に入りますが、皆保険制度というのを我が国見てまいりますと、組合健保、政府管掌健康保険、国民健康保険とあります。景気が悪くなってくると組合健保から政管健保にだんだん人が移ってくる。そして、この政管健保も更にもたなくなってくると国民健康保険に移っていくという。そしてまた、最後の最後はもう生活保護と。生活保護の給付見てみますと、もう半分が医療だという、医療費ということになっておるわけでありますけれども、そういう意味で、全般的に見てみるときに、国民健康保険というのが我が国の皆保険制度を維持していくときの最大のよりどころになっているということがはっきりしているわけであります。  しかし、これを改めて国民健康保険見たときに、お手元に資料を配らせていただいておりますけれども、残念なことに滞納世帯数というものがここ十年間の間に物すごい勢いで実は増えてきているわけであります。それで、これは平成七年に国民健康保険の滞納世帯数は二百九十五万、全世帯数の一六・五%。これが平成十七年には、何と四百七十万世帯、全体の一八・九%、何と二割近い世帯が既にこうした滞納世帯になってきてしまっているというのが実情であります。これはもう十年間で百七十五万世帯も増えてきているというわけであります。さらに、実際に納付できずに滞納してしまったら、改めて督促を受け、それから市町村の窓口で納付相談を受けて、納付指導を受けて、そして短期被保険者証がそこで発行されるわけであります。  そうすると、短期被保険者証の発行件数を見ていますと、これも十年間ですごい勢いで増えていて、平成七年に十三万三千世帯であったものが平成十七年には百七万世帯と、九十四万世帯と、すさまじい勢いでこれ伸びているわけであります。このような形で、実際に約一年間滞納した後に相談を受けて短期被保険者証などが発行されるわけでありますが、おおよそ一年後にその市町村の窓口で特別の事情がありや否やということの判断を受けることになるわけです。  この特別の事情というのは、お手元の資料の中にありますけれども、世帯主がその財産に損害を受けて、盗まれちゃったりしたとか、あるいは会社が失敗して事業が廃止されてしまったとか、あるいは世帯主が病気になって非常に家計が苦しくなったとか、そういう特別な事情があると、そこで改めて保険証が発行されて、あるいは低所得者に対する特例措置というものがあって、保険料の軽減制度などが今度適用されてくるということになるわけでありますけれども、この点について厚生省にお聞きしたいんでありますけれども、何ゆえにこのように滞納世帯数というものが増加してきているのか、この点について、その原因をどうまず認識しておられるのかということを伺っておきたいんですが、いかがでしょう。
  13. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、滞納世帯数、増加傾向にあるわけでございますけれども、その原因につきまして、近年の収納状況を分析いたしますと、まず地域におきましては大都市における収納率が低いということ、それから年齢層につきましては若年層の納付率が低いと、こういう傾向が見られるわけでございます。これらを踏まえますと、都市部の住民、特に若年層の納付意識の低下でありますとかあるいは厳しい経済情勢、こういったことが原因であると、このように考えております。
  14. 武見敬三

    武見敬三君 これ見ていますと、実際に低所得者の特例措置というのの中で、夫婦世帯での場合の例えば二百五十八万円以下の年収の方々とかいろいろあるんですけれども、いわゆる都市部の若年層がなっているフリーター、これ大体年収で百万から三百万ぐらいの人たちについては、従来の低所得者の特例措置の枠組みでいくとどうも不利な処理になってしまっているんではないかというようなことが言われていると思うんでありますが、それがもし事実であるとすればどういうことか、そしてまた、それを今後改善しようとすればどのような改善措置があり得るのか、この点について伺っておきたいと思います。
  15. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 国民健康保険制度におきましては、ただいま委員指摘のとおり、低所得等の事情のある被保険者の方々につきましては保険料を軽減する措置をとっているわけでございます。この軽減の対象となる収入額について申し上げますと、単身世帯でありますと百三十三万円以下と、こういう水準になっているわけでございます。  この水準をどう見るかということでございますけれども、一方で、国民健康保険、相互扶助の制度でございますので、一部の被保険者につきまして保険料を軽減するということは他の被保険者の保険料の増加につながる。特に、国民健康保険の場合ですと中堅所得層の保険料の増大ということにつながりますので、負担の公平の観点から現在以上の軽減措置を行うことは困難であろうかと思っております。  そういう意味では、先ほどの資格証明書の交付、そういうものを通じまして、できるだけ被保険者との接触の機会を増やして納付相談を行いまして、現実の少しでも保険料を払っていただけると御理解を得るように努力をしていきたいと、このように思っております。
  16. 武見敬三

    武見敬三君 短期被保険者証というのを滞納すると発行されて、その短期間だけである意味というのは、その期限が過ぎるとまた窓口に来て相談して督促もできるようにしようというんでこういうやり方をやっているんだというんでありますけれども、こうしたやり方だけで本当に解決し得るのかというのは甚だ私なんかは疑問なんですよね。  それから、各市町村ごとに実際に特別の事情があるかどうかという判断をしているわけであります。その判断の公平性というのがどの程度保たれているのかという点も、これはやはり相当きちんと考えないといけないんだろうと思います。この点について問題点があるとすれば指摘していただきたいと思いますが。  加えて、この特別の事情がないというふうに認められますと、今度は保険証を返せという通知が来て、そして今度は資格証明書というのが交付される。資格証明書というのが交付される方々というのは、平成七年、五万三千世帯のみだったのが、平成十七年には三十一万九千世帯、二十七万世帯も増えてきているということなんでありますが、この資格証明書というのを交付された場合には、窓口では十割負担、そして後で七割償還されると、こういうふうな仕組みになっていると聞いているんでありますけれども、この資格証明書のこうした制度について、この制度が当初期待されているような形できちんと機能しているかどうか、この点の評価を伺っておきたいんでありますが、いかがでございましょうか。
  17. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) お答えいたします。  この資格証明書の交付、発行、これによって、先ほど申し上げましたようにできるだけ被保険者との接触の機会を増やす、納付相談の機会を増やすということでございまして、実は各保険者に対しまして、私ども、昨年二月に収納対策の緊急プランの策定を行うように、そういう形で収納対策の強化を行うような通知を行っております。その中で、様々、口座振替の推奨でありますとか滞納処分の徹底、あるいはコンビニ収納の実施の円滑化、こういったことを言っているわけでありますが、こういうプランを作る過程で、やはり市町村の保険者の方々からは、この資格証明書、これは意味があるものだと、このような評価をいただいているところでございます。
  18. 武見敬三

    武見敬三君 これに加えて、実際に保険料を滞納してしまっている場合に、しかもその理由が明確でないというような場合には、さらに強制徴収というのもあるわけですよね。この強制徴収というのを見てみますと、平成十六年度で、何と件数で六万八千四百八十八件、差押金額で二百四十五億円ですよ。相当な件数ですし、相当な額になっているわけですね。  こうした実態を見ておりますと、コンビニなどを通じて払いやすくするとか、あるいは定期的に電話を掛けて、そしてしつこくしつこく保険料を払えというような督促をするとかいうような、そういう手だてだけで本当に改善でき得るのかという問題意識を私なんかは持たざるを得ないんですよ。  この点は、実際に保険料というものを払うと、これは公平性の原理で戦後の皆保険制度というのは一貫してきましたよね。公平性の原理というのは、保険料というものについては保険料率であって所得に応じて払うわけでありますから、所得の多い人はより多くの額の保険料を払うというようなことで、所得の再配分もこうした保険料を払うときには機能してきている。ただ、給付については、人の命は平等だから平等にするというので、平等性という考え方でこの皆保険制度というのはもう運営されてきたというふうに思います。  その際の負担の公平性というものを維持していく上でも、こういう滞納世帯の中できちんとやはり納付していただくための努力というのは徹底的にしなきゃいけない。制度化をより緻密にしていく必要性もあると。しかし、それと同時に、私は何か非常に本質的な問題点があるような気がするんです。  それは何かといいますと、若い人たちを中心にして、自分が社会で、それぞれ大きな自由を民主主義社会の中で享受する一方で、そこでは同時に社会に対する責任というものを自らやはりきちんと認識をして、こういう国民健康保険とか年金という制度の中でそういう連帯意識というものをやはりきちんと持って、その責任を全うして保険料もちゃんと払うんだという、そういう認識がだんだん希薄になってきているような気がする。  この問題をどう認識して、それがまたどのようにしたら改善できるのかということを政治の世界は本気で考えなきゃならないというふうに思っておるわけでありますけれども、この点について、厚生労働大臣、そしてまた総理、御所見を伺っておきたいと思います。
  19. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今の委員の御指摘は、国民健康保険、国民年金共通しての課題をお話しをいただきました。  社会連帯で支え合う、こうした意識をどう涵養していくか。特に医療サービスを受ける機会の少ない若年層を中心とした納付意識の低下、三十五歳以下が七九%、逆に六十五歳以上は九八%、七十五歳以上になりますと九九%お納めいただく。また年金も、二十代、三十代は低うございますけれども、四十代、そろそろ自分の将来設計というのを考え始めますと、四十代になりますと国民年金の納める率も上がってくるということが実態でございます。  そういう意味では、二十代、三十代のときに社会全体のために自分も税を納め、そして様々な負担をしながら、しかし同時に、自分の将来はまた社会にお世話になることがあるんだと、こういう意識をどう高めていくか。  もちろん厚生労働省としてもしっかりやらなければならないと思っておりますけれども、同時に政治全体の問題としてお話を賜りました。政治家としても心掛けていかなきゃならないと、このように思っております。
  20. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 武見委員指摘のとおり、我々は一人で生きていくことはできません。多くの人の協力、支え合いによってこの社会は成り立っているわけであります。  医療保険にしても、これは、一度も病院に通ったことがない、お医者さんに診てもらったこともない、健康だという方々も保険料を納めていただかない限り、病気になった方々が軽い負担で医療、治療を受けられることができない制度であります。だから、そういう観点から、お互いが決められた保険料を負担していただく。自分は病気にならなくても病気になった人が軽い負担で済むんだったらいいじゃないかと、支え合い、助け合いの気持ちからこの保険制度は成り立っていくわけでありますので、そういう点もよく考えながら、今後、皆保険制度というものを持続可能な制度にしていかなきゃならないと思っています。  また、年金についても、年金は保険料を幾ら払ったって老後になれば返ってこないよとかいう誤解に満ちた宣伝が一部になされております。そうじゃありません。それは国民年金にしても税金が投入されているわけですから。民間の保険は税金は投入されていません。だから、どのような民間の保険よりも有利なものなんですが、そこら辺が、今までの高齢者の保険料負担に比べれば若い世代は保険料負担は重くなる、これは高齢者が増えて若い世代が減ってくるのはそれは当然でありますけれども、税金を投入しているということは変わりませんから、これは税と保険料とそして自分たちの給付がどのぐらいになるかということについて、若い世代は、いずれ、おれはそんなに長生きしなくてもいいよと、もらわなくてもいいよという点は若いうちは考えていきますが、年金をもらう世代になるとやっぱり年金は必要だという意識に変わってくるのはどのような調査をしても出てきます。しかしながら、高齢者は若い人の負担によって自分たちの年金なり社会保障というのは成り立っているんだと、若い人もいずれは年を取るんだという、そういう気持ちを持っていただいて、支え合いの精神でこの制度を持続させていかなきゃならないと思っております。
  21. 武見敬三

    武見敬三君 私の質問はこれぐらいで。
  22. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 関連質疑を許します。森元恒雄君。
  23. 森元恒雄

    森元恒雄君 地方財政について数点お聞きしたいと思います。  今政府と与党が一体となって歳出削減の具体案を詰めている最中でございますけれども、そういう中で地方団体は私はかつてない危機感を持っていると思います。  それは、平成十六年度の予算において地方交付税と臨時財政特例債が三兆円と、にわかに大幅にカットされてしまいました。県や市町村はこんなことをされたんでは予算が組めないと、悲鳴に近い声が上がりました。その後、事態は一向に改善されておりませんで、更に歳出削減の圧力が強まっておるわけでございまして、必死に再建団体に陥らないでこれをしのぐ努力をしておりますが、そんな中で、交付税の金額が社会保障費に次いで大きいというようなことから、これを抜きにして国の財政再建はあり得ないと、交付税削減論というのがあちこちから出ております。  しかし、地方財政と国の財政を比べれば、例えば、プライマリーバランスで国は依然大幅な赤字だけれども地方は黒字であるとか、更にまだいろんな面で改革努力の余地があるんじゃないかと、こういうようなことを言われるわけですが、これはなぜそういうふうになったかといえば、今申し上げたように地方の努力の結果でありまして、努力すればするほど、国よりいいじゃないかとか余力があるじゃないかと言われたんでは、だれも努力しようとしなくなるんじゃないか。正に、努力すれば報われるじゃなくて、努力をすればますます報われなくなると、こういうようなことになりかねないんじゃないかと私は思いますが、財務大臣として地方に対してどういう態度で臨まれるのか、お聞きしたいと思います。
  24. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 地方財政、長年御苦労をいただいた立場から今御意見がございました。  確かに、地方財政も依然として厳しいということであろうかと思いますが、今お話しになった基礎的財政収支、つまりその年いただいた税金でその年の政策が打てているかという観点から見ますと、国の方は十一・二兆円の赤字でございますが、地方は四・四兆円の黒字ということでございまして、地方に比べて国の財政が一層厳しい状況にあるということは、私は否定できないことだと思っております。それで、今後、歳出歳入一体改革ということで、将来の国民負担を極力抑制していくという観点から、国、地方双方が歳出削減に努力していくということがまず私は基本だろうというふうに思っております。  そういう意味で、地方におかれても最近のその歳出削減努力、今お触れになりましたけれども、よく承知しておりますが、引き続きその御努力を継続いただきたいと思っているわけでございます。  交付税につきましては今までもいろいろ議論もございました。私どもは、交付税の法定率削減というようなことを所与の前提として議論しているわけではもちろんございません。今後も、真に必要なその交付税額は措置していかなきゃならないと思っておりますが、同時に、現行の法定率分が言わば聖域だということでもないんであって、真に必要な額を超える場合は、国民に還元して将来の国民負担の増加の抑制に努めていくということが大事ではないかと思っております。  森元委員のように地方財政のために御苦労いただいてこられた立場から見ますと、私のような議論地方のことはちっとも考えないで国の立場だけから議論をしているというふうにお見えになるかもしれませんが、まず納税者にとって将来の税負担の増加を極力抑制するという観点が大事だということは森元委員もよく御理解をいただけると思っておりますし、また、地方もまだ債券を発行しなければならないような状況が続いておりますけれども、こういった金利の動向も国の債券の、国債の金利の動向で左右されるところが多うございまして、国の財政規律というのは地方が資金を調達していく上でも大きな意味を持っているということを御理解いただきたいと思っております。  それからまた、地方が非常に努力をされたということは私もよく承知をしておりますが、国の方が努力が足りないではないか、努力したものがばかを見るようなことは、それはおかしいじゃないかという御主張でございます。歳出削減の努力のとらえ方については、なかなかどっちの努力かととらえにくいところもございまして、例えば公共事業に係る地方向け補助金の削減というようなものが、果たしてこれ国の努力なのか地方の努力なのかと簡単に言えない点があるかと思っておりまして、私は、国、地方双方から歳出削減の努力をして、将来の国民負担を軽減していくということが考え方基本ではないか、こう思っております。
  25. 森元恒雄

    森元恒雄君 地方歳出削減努力、行革努力をしないといけないという点については私も全く異論ございません。  ただ、申し上げたいのは、この小泉内閣の五年間に国と地方がどちらがより汗をかいたのかと。国の歳出削減はこの間に一・六兆円、地方歳出削減は四・七兆円、三倍の額を切り詰めております。これ切り詰めざるを得なかったということでありまして、例えば給与にしても、人勧があってもそれを無視して、緊急避難として首長、職員の給与をカットするとか、あるいは職員についても、国は純減はほとんどありませんけれども、地方は四%を上回る純減をしていると。私は、そんな今言われた公共事業じゃなくて、実質的な面で地方は本当必死に努力していると思います。  私、二年前に、もうこんな状態でぽんと背中を押されたら、どぶに落ち掛かっていると、落ちかねないと申し上げたんですが、今や川に落ちた犬の状態、あっぷあっぷしています。これ更に追い打ちを掛けるようなことをすれば、私は、犬に石を投げ付けることになるんじゃないか。税制や財政の決定権を握っているのは国でありまして、こういうときこそ、むしろ温かい引っ張り上げてあげる手を差し伸べるのが国の役割じゃないかと、こういうふうに思います。  今大臣は交付税の法定率を頭から切り下げるというようなことは我々も考えていないとおっしゃいましたけれども、経済財政諮問会議では法定率を下げることあり得べしというようなことも言及されておられるわけでありまして、改めて地方のその交付税、あるいは財源確保に対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  26. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほど申し上げたところですが、私ども法定率分をまず引き下げることが前提だなんというのは考えておりません。  私どもの基本的な立場は、先ほども申し上げたように、必要なものは付けるけれども、それを超えたものはやはり国民に還元していくという考え方が必要ではないかということを申し上げているわけでございます。  それから、交付税全般の在り方については、近年、各省庁の施策に必要な財源として財源保障を手厚く行ってきたわけですが、これがかえって地方団体への国への依存を強めているんじゃないかと、それから地方歳出効率化を妨げているんじゃないかといったような御議論もありました。  それから、決算から見た支出の実態と地方財政計画の内容が乖離しているのじゃないかというような指摘もございまして、その財源保障範囲の見直しあるいは縮小、それから計画と決算の乖離の是正、これは地方にも随分御努力をいただいてやってきたところでございます。  これまでそういう議論をやってきましたが、私は地方交付税の役割はやはり地域間の財政調整というものを中心にとらえられるべきじゃないかと。それで、各省庁の施策の財源を手当てするという財源保障の役割、私はこれは全部要らないと言っているわけじゃございませんけれども、そこを、その役割を強調すればするほど先ほどの申し上げた批判のように地方財政の自立を妨げるという面も出てくるのではないかなと、こんなふうに思っているわけでございます。  それから、私、この議論をさせていただいて常に思いますのは、私ども特に財務省というところで仕事をしておりますと、とかくマクロでとらえた地方財政の姿ということに頭が、頭といいますか目が行きがちな点があったことは、これは事実でございますけれども、それは個々の実態の実感ともかなり離れている面があるという御指摘は私は確かにそうだというふうに思います。  税というものは、それはどうしても人口や経済活動が集中している都市部に集中してしまう傾向が強いわけですから、東京といったような規模も大きい、まあ言わばお兄さんのようなところにはたくさん税収が入りますけれども、末端の町村というような末っ子みたいなところにはなかなか税が集まってこないというのは、これは事実だと思います。  今までは、言わば親の立場にいる国がそういう兄弟間の言わば不均衡というかアンバランスを調整してきたわけですけれども、だんだんこの税源移譲なんかもやりまして、親元も余りゆとりがないと、なかなか兄弟間のこの調整までできなくなっていると。こういうことになりますと、それで更に交付税を増やしていくということもなかなかできないという現状でございますと、地域間のこの財政調整というのは兄弟の間でよく話し合っていただく必要もあるんじゃないかなと、こんなことも感じておりまして、この辺りもまたいろいろ議論をさせていただきたいと思っているところでございます。
  27. 森元恒雄

    森元恒雄君 交付税が国に対する地方の依存度を高めておるんじゃないか、モラルハザードを起こす元凶になっているんじゃないかと、こういう意見があるのは承知しておりますが、私はそれは地方財政なり交付税の本質を正しく理解されない方の意見だと思います。  まず、地方財政を大きく膨らましてきたのは、それは何をおいてもバブルがはじけてから公共事業を中心に何とかして景気対策をして経済を立て直さなきゃいけないと、地方も車の両輪だから一生懸命頑張ってくれといって、渋々と言ったらまあ語弊がありますが、嫌々付き合わされたのは地方の側でありまして、それを今になって、協力した方が甘かったと、おかしかったと言わんばかりのそういう言い方をすることは、国と地方の信義を壊すことになると思います。信頼関係を、長年積み上げてきたものを壊してしまう。それではこれからの国全体の財政再建にもいい結果をもたらしませんし、あるいは経済全体にも悪影響が及んでこないとも限らない。是非信頼を壊さないようにやっていただきたい。そのためには、やはり地方の実態をよく聞いていただいて、地方が納得できるようなやっぱり形で進めていただくということが何より大事なことではないのかなというふうに思っております。  それから、交付税について言えば、これは地方の固有財源であります。本来、地方税できっちりとすべて措置できればそれが一番ベストですけれども、団体間の税収格差がどうしても解消できませんから、それを調整するのが交付税。地方の固有財源に一方的に国が手を突っ込むというようなことがあっていいのかということを考えた場合に、交付税削減ありきなんていうのは根本的におかしいんじゃないかと、改めてお聞きしたいと思います。
  28. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私も先ほどから何度も、むしろ森元委員に言わされているというべきかもしれませんが、頭から削減ありきというようなことを申し上げているつもりではございません。真に必要なものを超えたところは国民に還元すべきだということを申し上げているところでございますし、今、森元委員がおっしゃいましたように、地方との信頼関係を持ちながら議論を進めていくべきだというのは私もそのとおりだと思っております。余り私どももマクロな視点から見た、こうじゃないかということばっかりを言わないで、もう少しやはりそれぞれの自治体の苦労にもよく、何というんでしょうか、アプローチしながら考えるべきだということもさっき申し上げたつもりでございます。  それから、固有財源かどうかというのは、これも長い間また論争の焦点でございまして、そこに一方的に手を突っ込むと、こういうふうにおっしゃいました。確かに、国税の一定割合を交付税にしていく、こういう意味では地方の財源ではございますけれども、これはやはり北海道から沖縄までの全国の国民が納めた国税収入でございますから、やはり先ほど申し上げたように、真に必要なものを超えた場合には国民に還元していくという議論があって私はしかるべきだろうと思います。
  29. 森元恒雄

    森元恒雄君 交付税が固有財源だということはかつて大蔵大臣が国会で正式に答弁されておりますので、そのことをしっかりと御認識いただきたいと。もしそういう誤解があるなら、やっぱり地方六団体が言っているように、共有税というような、名前を変えるべきだと私も思います。  次に、ちょっと別の話題に移りたいと思いますが、公営企業金融公庫が政府系金融機関の再編の中で廃止になりました。それに関連して、二兆三千億余りありますこの引当金をどう処理するかというのがあるわけですけれども、国の方、財務省の方は、百六十六億円ですか、出資を国がしているんだから、それは全部国の方に返してもらうのが筋だという御意見かと思います。  しかし、私に言わせると、出資してその運用益でこの二兆三千億が積み上がってきたんならそのとおりです。しかし、これは地方団体が、金利変動リスクをカバーするために、本来安く借りれるところをその積立金分を含めて若干金利を上へ上げて上乗せして借りている。地方団体の実質負担で二兆三千億が積み上がってきた。それを百六十六億円出資しているからといって全部国のものだと、とんでもない話だと私は思います。地方に還元するのが筋じゃないかと思いますが、御意見をいただきたいと思います。
  30. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 公営企業金融公庫につきましては、詳細な制度設計はこれからでございますし、行政改革担当大臣の下で検討が進められておりますので、その引当金の帰属をどうするかという問題もまだ答えが出ておりません。したがって、私の今の考え方ということになりますけれども、これは委員が批判されましたけれども、公庫の出資者は国であるというようなことを踏まえますと、国の財政健全化への貢献といった観点からの議論があってしかるべきだと私は思っております。  それで、今、高い金利を払ってきたじゃないかとおっしゃいますが、確かに平成十七年度末時点で約二・八兆円という多額の純資産が公営企業金融公庫にはあるわけでございますが、これは、これまでの金利情勢という要素ももちろんあるわけですが、公庫は国の出資によって設立された公法人でございますから、政府保証によって有利な条件で市場から資金を調達できたということもございます。それから、過去において国の一般会計や産投会計が多額の公的資金を投入してきた、それで経営支援を行ってきたと、こういう国の信用や直接、間接的な支援によって積み上がったという側面が私は大きいんじゃないかと思っております。  ただ、これはまだこれからの議論でございますから、これから大いに議論をさせていただきたいと思っております。
  31. 森元恒雄

    森元恒雄君 今の政府保証による金利低下分は、これは実質貸出し金利に反映されていますから、その分はこの引当金には何ら貢献しておりません。関係ないということだけ申し上げたいと思います。  総理に最後に一つだけお聞きしたいと思いますが、道路特定財源の一般財源化がいよいよ結論を出していかないといけない時期に来ております。八百二十万余りの国民方々一般財源化するぐらいなら暫定税率を廃止してもらいたいという署名をしておられます。私も全くそのとおりだと、理屈はですね、思います。しかし、もし暫定税率はやめない、現行税率でいくんだとおっしゃるなら、なおかつその上で納税者の理解をいただかないといけません。いただくためにはどうするかといえば、私は、仮に国の方で若干オーバーフローするんであれば、地方の方は道路財源に特定財源は半分も入っておりません、残りは一般財源で地方は道路を整備、維持管理しておりますので、国のオーバーフロー分は地方に回すのが筋ではないか、それがやっぱり納税者の理解を得る方法ではないか、唯一の方法ではないかとさえ思うわけでありますが、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  32. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もう時間がありませんので簡単に答弁いたしますが、御意見は分かりますが、道路だけに使われているこの財源というのを一般財源という基本方針の下に議論を深めております。納税者の理解が得られるように今後議論を進めていきたいと思います。
  33. 森元恒雄

    森元恒雄君 終わります。
  34. 神本美恵子

    神本美恵子君 民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。今日は総理始め文科大臣を中心に御質問させていただきたいと思います。  小泉総理には、昨年の特別国会で、本会議質問させていただきましたが、私、十五分質問をした中で、総理答弁が余りにもそっけなくて、後で時間を計ってみましたら四分半という答弁でしたので、今日は是非、時間は長くなく簡潔に、しかし誠意ある答弁をまずお願いをしたいと思います。(発言する者あり)簡潔にですね。  さて、私は、一昨年からこの決算委員会で特に警察問題を中心に質問をさせていただいてまいりました。今年の決算報告書には、この警察問題でどのように不正流用、裏金がつくられたかということが図式で示されております。会計検査院が、それぞれの警察の、各県が内部監査なりをした報告書を基に更に検証された結果としてまとめられているわけですけれども、これはこれで一つ検査院の仕事としてきちっと検証されたというふうに受け止めておりますが、一昨年来、もう一つ、今決算委員会でも問題になりましたが、都道府県の労働局の不正経理問題、これの決算報告書を読んでおりますと非常に似通ったものを私、感じております。  といいますのは、会計担当の職員が書類を偽造する、水増し請求をする、それから空出張、架空領収書というようなやり方で、一定の不正に別のお金をつくるというようなやり方が行われているのが一つと、それから警察の問題は内部告発等もあって明るみに出てきたわけですけれども、この労働局の問題も検査院の指摘等があってやられてきていますが、証拠になる書類がないというような、組織的に隠ぺいするというようなやり方もこの二つに私は共通のものを感じてまいりました。  私は、個人的に着服したという問題はもうもちろんですけれども、それだけではなくて、組織的に、しかも長年慣行的にやられてきたこういう行政庁での不正経理なり不正流用の問題については、この間、どなたか委員、この決算委員会でもモグラたたきのように決算報告で毎年毎年指摘をされて繰り返されているという指摘もございましたけれども、この決算報告の中では、こういった問題について、内部監査を強化充実しようとか、それから会計法令の遵守が必要だというようなことが繰り返しこれも書かれてきております。  私は、小泉総理のこの五年間の中で、この五年に始まったことではないのかもしれませんが、決算重視で参議院でやってきた中でこういうことが根絶されないのはなぜなのか、根絶するためにはどうしたらいいのかということについて、まず総理に御所見をお伺いしたいと思います。
  35. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 決算重視という観点から、今日もこの決算委員会においては全閣僚出席の下に審議が行われております。言わば、参議院は衆議院とは違う役割があるのではないかと、決算重視がその一つ在り方だということで、今日もこうして全閣僚出席の下に審議が行われているんだと思います。各位の御努力に負うところが多いと思いますが、政府としても、この決算委員会の審議を重視して、今までの国の予算の使い方、これについてどういう点に無駄があったか、どういう点が不必要だったかということを真剣に受け止めて、その無駄の排除に努めてきたところであります。  そういう中で、毎年無駄がなくならないのはどうしたことかということでありますが、これはやっぱりどのような予算についても見積りの段階では必要であったと。しかし、余った。余る場合はどのような使い方がいいかというのは不断の私は見直しが必要だと思います。毎年毎年この委員会の審議を重視して、それに沿って不要な部分は削除していく。そして、この審議を通じて指摘された点については的確な対応をするということによって、この決算委員会役割というものをしっかりと機能させていかなきゃならないなと。  政府としても、そのような御指摘を踏まえて、毎年毎年不十分な点は適切に正していかなきゃならないと思っております。
  36. 神本美恵子

    神本美恵子君 無駄をなくしていくという意味で、今総理がおっしゃったのはそのとおりだと思いますけれども、私が今問題にしましたのは不正についてですね。しかも、行政庁の中で組織的に行われているというようなことも何度も何度も指摘をされてきております。こういったものを二度と起こさないように再発防止なり、ほかの省庁、まだというか、今指摘されていない省庁においても、未然にそういう問題を防ぐためにはどうしたらいいのかということについて、総理、お考えを是非お願いします。
  37. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いかなる法律を作っても制度を作っても、これを運用するのは人間ですから、人間の意識の改革、これがどのような法改正においても制度においても必要だと思います。そのような点について不断のやっぱり人間としての規律というんですか、倫理観というんでしょうか、そのような対応について、それに当たる人は常に自戒自省して対応していかなきゃならないと思います。
  38. 神本美恵子

    神本美恵子君 意識の問題もありますけれども、私はもう一つ、やっぱり組織の在り方ということを御指摘したいと思います。  警察問題でも、この検査報告の中に検査院が指摘しておりますけれども、実際に捜査員の方に聞き取りをしたら、上司の命令だから当然従わざるを得なかった、その不正経理ですね、というようなことや、それから、正規の手続に違反することは理解していたが、捜査に必要な経費を手当てするためにはやむを得なかったとか、自分自身が会計に疎かったというようなことから見ても、意識改革と同時に組織の在り方を見直す、一回。本当に自由に意見が言えて、こういうやり方は間違っているんじゃありませんか、こういう使い方はいけないんじゃないかというようなことがお互いにやっぱり言えるような、一言で言えば民主的な、しかも透明性を確保した組織の在り方というのが繰り返しモグラたたきをしなくて済むという意味では非常に重要ではないかと思います。  それと、それとも関連しますけれども、こういった不正の背景にもあるということで、天下り問題や随意契約の問題も随分この委員会でこの間話題になってまいりました。  これは本日の読売新聞に載っていたわけですが、公益法人への天下り規制を新たに課長補佐以下も対象にするという記事が今朝報じられておりました。これについては、この間、当委員会や行革特別委員会で松井委員の方から何度か指摘をされてきて、総理も前向きな答弁をなさったことなんですが、まず総務大臣にお伺いしたいんですが、これまでの基準、従来の課長以上の基準で全国の公益法人には何人の天下りがあるのか、また、今日の報道でありますような新たな基準、課長補佐以下の基準だと何人の天下りがあるのか。教えていただきたいと思います。
  39. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) お答え申し上げます。  現在の基準でどうなっているかというのは、この十八年の四月一日現在でございますけれども、国所管のもので約四千二百人という集計になっております。  それで、その対象をですね、つまり今委員おっしゃった課長相当級以上、退職後十年未満の就任という要件を外した場合どうなるかということでありますが、これ正に今調査を行いまして、集計のための票を出しまして、そして回収をしまして、今集計中でございます。これ、調査票に記載のミスがある等々、そういうことを確認していかなければいけませんので、一定の時間を要するところでございますので、まだ数字は出ておりません。  ただ、あえて、今委員のお尋ねでございますので、ちょっと感触として、現状時点で、確たる数字ではないんですが申し上げておきますと、国所管分でこの制約を外しますと二ないし三千人の増ということになるというふうに考えております。
  40. 神本美恵子

    神本美恵子君 今集計中ということですけれども、課長補佐以下に広げるということは、これは当然閣議決定では、理事のうち所管する官庁の出身者が占める割合はそれぞれ理事現在数の三分の一以下とするということで指導監督基準が決められていたわけですけれども、それが申合せによってその基準が狭められるというようなやり方について松井委員の方から指摘がされ、今回その基準を撤廃するということなんですが、総理、この天下りの定義を本来の形に、課長補佐以下にも拡大した場合、今総務大臣の方から二、三千人はプラスになるだろうというふうにおっしゃいましたけれども、改めてこの現在の公益法人の天下り規制、これを閣議決定に乗って厳正に対処されるのかどうかということを改めてお伺いします。
  41. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 御指摘のとおり、課長以下にも適用するように、各大臣に、中馬担当大臣始め指示しているところであります。かなり……
  42. 神本美恵子

    神本美恵子君 課長補佐。
  43. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 課長補佐以下にも適用するということで対応しなきゃいかぬと、その指示を出しているところであります。そのとおりにしていきたいと思います。
  44. 神本美恵子

    神本美恵子君 それでは次に、これからが総理に誠意ある答弁をお願いしたいところなんですけれども、先般、厚生労働省が合計特殊出生率を発表いたしました。この数値は一・二五ということで、大変皆さんにもショック、私もショックでしたけれども、五年連続で過去最低を更新しております。  内閣府が四月に公表した少子化社会に関する国際意識調査というのがございますが、その中では、日、米、韓、仏、スウェーデンの五か国で調査が行われたわけですが、子供を増やしたいとする人の割合が日本が一番低い。しかも、その理由として、半数以上の人が子育てや教育に金が掛かり過ぎるというふうに答えております。政府もこの間、エンゼルプランを始めとして、最近では子ども・子育てプランということで、応援プランを策定して具体策講じられているんですけれども、改めて、子育て、教育に金が掛かり過ぎるというこの声について見ていただきたいパネルがございます。(資料提示)  これはある保険会社が試算したものですけれども、お手元にも資料をお配りしていると思います。出産から大学卒業までの総費用ということで、一番左側が幼稚園からずっと公立の小中学校、高校、それから大学も国立で、すべて国公立で行った場合、教育費プラス養育費で、一番下、金額があるんですが、二千九百八十五万という試算になってございます。これが、途中で大学を例えば私立に行ったり、高校から私立に行ったり、あるいはずっと幼稚園から、小学校は私立が非常に少ないので公立というふうな試算になっておりますが、ずっと私立に行った場合、しかも医学部系の大学を出た場合には、一番下見ていただきたいんですが、六千万を超えるこれ出産から大学までに掛かるお金、現在の子育て、教育に掛かる費用として試算が出されてあります。  こういうふうに非常にお金が掛かる今の現状になっているということ、これでお分かりいただけると思いますけれども、子供を産み育てることへの障害や負担感ですね、この経済的負担が原因の一つになっているということはずっと言われ続けてもきているんですけれども、総理自身は、子育てや教育に非常にお金が掛かっているということについて、そのことが少子化の一因にもなっている、非常に大きな要因になっているということについてどのような御認識をお持ちでしょうか。
  45. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 養育費、教育費に負担が掛かるというのが少子化の一因でないかという点についてはそうだと思います。しかし、それがすべてではないと思います。先進国に共通して少子化の傾向があるんですね。  日本も世界の中では平和で豊かな社会の部類であります。日本はもっと貧しかった時代に子供が多かった。豊かになってくるにつれて、教育費の負担あるいは養育費の負担等で少子化の傾向が顕著になってきた。そこで、この一つの原因であります教育、養育費のみならず、今の時代におきましては、男は仕事で女は家事、育児という時代ではありませんから、男も女も仕事も家事も育児も共同して行うという時代になってまいりましたので、そのような子を持った親にとって働きやすい環境をつくる、その一つが教育費、養育費の負担軽減だと思っております。  様々な要因があると思いますので、先進国の少子化の例、そして少子化の傾向を防ぐためにどのような対応をしているかという例も参考にしながら、またこの国会での審議の中で少子化対策の意見が様々出されておりますので、そういう点も踏まえて、少子化の原因の様々な点、一つ一つ解消して、もっと多くの親御さんが子供を持つ負担感よりも子供を持つ喜びを感じてもらうような施策が必要だなと思っております。
  46. 神本美恵子

    神本美恵子君 その負担感の方が今大きいと。どんな負担か。子育て、教育に掛かるお金という、そっちの方が喜びより勝っているわけですから、そこにやっぱり重点的にお金を配分していかないと、この少子化の問題というのは、要因はもちろん様々あると思いますが、それが非常に大きな比重を占めているということを、私は、今の一人の子につき公立ばっかりに行ったって三千万近く掛かる、子供の希望で医学部などにやろうと思えば六千万も掛かるというようなこういう現状の中で、もっと子育て、教育にお金を配分すべきだということを再度申し上げたいと思います。  それから、更にこの多額の教育費負担というのがどういう問題を生じさせているかということについて、次に申し上げたいと思います。  昨年末から格差の問題がいろいろ話題になっております。総理は、この格差については必ずしも悪いことではない、いつでも、どの地域でも、どの時代でもあったというようなことをおっしゃっておりますけれども、その格差が主に教育の場面においてどのような影響を与えているかということをこれからちょっと資料をお示ししたいと思います。(資料提示)  これは、格差というよりも低所得層が増えているという資料なんですが、上の段の右側、これは年収二百万円未満世帯の推移を表しております。特に、総理になられた二〇〇一年から、その前、九九年ぐらいからすごく増えてきているんですけれども、年収二百万未満といえば、これはとても、さっきの一人の子を育てるにしても三千万掛かるんで、とても子供を産み育てるなんてことはできないような状態だということが一つ。こういう二百万世帯が増えている。それから、貯蓄を所有していない世帯の割合も、九九年、二〇〇〇年以降から増えて、二〇〇五年では二四・五%も貯蓄ゼロの世帯があるということですね。  このことが恐らく教育の部分でも反映していると思いますが、公立高校の授業料減免、これは、こういう制度があって、教育、就学の機会を確保している、そういう制度だと思いますが、この授業料減免の数も年々増えております。今は七・八%、生徒総数の中で子供たちが授業料減免を受けているというような状況になっております。  これは高校の授業料減免だけ申し上げましたが、義務教育段階でも、義務教育は無償であると憲法で保障されておりますけれども、まあ授業料は取らないけれど、給食費や修学旅行費、それから中学に、言えば部活に掛かる様々なお金、教材費等もあるんですが、過去に比べて非常にお金が掛かるようになっております。  今言いましたように、低所得層がどんどん増えてきているというような現状の中で、それが教育にどのように影響しているかということで、もう一つの資料をお願いします。(資料提示)  これは、年収階級別に見た世帯の在学費用と世帯の年収に対する在学費用の割合というふうなグラフになっております。棒グラフが在学費用です。一番下に年収が書いてありますが、年収四百万未満の世帯における在学費用は百七十万ぐらいですかね、九百万以上の世帯では二百三、四十万ぐらいのお金を掛けている。そんなに大きく差はないと思いますけれども。  では、この年収の中でこの在学費用がどれだけの割合を占めているかといいますと、四百万未満の世帯においては六〇%近く、五八%も教育費が占めている。一方、九百万以上になりますと、割合としては二十数%、二三、四%というふうに、これだけ年収によって教育費の占める割合が違うということは、低所得層においてはいかにこの教育費が生活を圧迫しているかということも見られるのではないかと思います。  一番心配するのは、低所得層の家庭においては家計をこれだけ圧迫するわけですから、その子供たちが就学の機会や進路選択の幅を狭められるんではないか、そういう現状になっているのではないかということを非常に懸念するわけですが、総理、これについてはいかがでしょうか。
  47. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 親が収入が、所得が低いということで就学の機会を奪うことがないように、就学の意欲のある子弟に対しては就学の機会が与えられるような支援は、日本では制度としては整っております。  現に、本人が意欲のある方に対しては、奨学金事業等すべて支給されるようになっております。また、働いてから返せばいいという制度も行われております。費用が賄えないということになっても就学の機会を持ちたいという子弟に対しては、これからも提供できるような体制を整備していきたいと思っております。
  48. 神本美恵子

    神本美恵子君 一応、制度としては奨学金制度や今の減免制度、それから就学援助制度というのがあるんですけれども、そういうものがあってもなおこういう状況になっているということを私は分かっていただきたかったんですけれども、その結果、どういうふうになっているかと。  ちょっと幾つか具体的な子供の声といいますか、御紹介したいんですが、これは中学三年生、東京都の女子生徒の声なんですが、受験を決めるのに、お金のある家の子は落ちても私立に行けるから危なくても希望の都立に挑戦できるでしょう、お金がないと行きたい高校も受けられないんだよ、先生、これって差別だよね、目に涙をためて話す生徒に、学年主任の教師は掛ける言葉が見付からなかった。  公立であれば授業料減免も受けられるし、しかしこの子は、その都立を挑戦したいけれど自分の学力では無理かもしれない、私立も一応受験しておきたい、進学して勉強をもっとしたいと思っても、お金持ちの子だったらそっちも受けられるけど自分は受けられない、これって差別じゃないかというふうにこの女の子は思っているわけですね。  同じような事例は、特に、今のは東京都ですが、就学援助や授業料減免受給者が多いと言われる大阪でも、公立学校の中学校の先生がおっしゃっています。  ある子は、低学力ながら高校への進学を希望している。経済的な理由で私学併願をさせてもらえなかった。担任が公立高校が不合格ということもあるので私学も併願して受験したらどうかというふうに親御さんに相談したけれども、私立高校へはやれないので受験する必要もないという一点張りで受験させることができなかったというような、こういう事例にも見られるように、今、国が制度をいろいろ用意していますけれども、それでもなお、格差が拡大し低所得層が増えている中では、子供の進路選択の幅が狭められているという現状があるわけです。  これに対して、どうしたらいいのかということを現場の先生方も大変苦慮しているわけですね。子供たちにそんな思いさせたくないというふうに思っているわけですけれども、今のような現状についていかがですか。
  49. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 制度としては就学の機会が与えられるけれども、実際の指導の状況でその選択がなくなっているのではないかという御指摘だと思うんでありますが、私は様々な機会をどのように与えるかというのは教師としても大事な役割だと思っています。生徒の、子弟の学力、また持ち味違うと思いますけれども、そういう点については、もし子弟が、生徒が希望する、また学力を付けたいという意欲のある子弟に対しては選択肢を与えるというのが制度のみならず教師としても大事だなということを是非とも考えていただきたいと思います。  また、生徒諸君においても、道は一つじゃないと、学校も一つじゃないと。駄目だと言われて、もし自分がほかの道を進みたい、この学校が駄目だったらほかの学校を選ぶというチャンスに挑む意欲も持ってもらいたいなと。様々な道、チャンスを提供すると、これもやっぱり政治として大事な役割だと思っております。
  50. 神本美恵子

    神本美恵子君 もう時間が余りなくなってきたんですが、その意欲があっても行けないというのが先ほど紹介した子供たちなんですよね。意欲はあると、高校行きたい、大学にも行きたい、しかし、その行きたいところが公立ではなくて私立であったりという場合もあるわけですね。ところが、それが親の経済状況によって行けないというような事態が起きているということを今申し上げたんです。一生懸命勉強して学力付けて公立に通るようにすればいいと、それはもうもちろんです。そういうふうに一生懸命やっています。  ところが、次にもう一つ御紹介したいんですが、一生懸命やってもやってもというようなところもあると思いますが、これはやっぱり所得格差が学力に与えている影響の一つの事例、事例といいますかデータですけれども、東京都二十三区、これも新聞等で言われていますが、それぞれ二十三区内で就学援助の、左の方は就学援助率が低い区、それから一番高いのが一番右になりますが、これと、青い折れ線グラフは学力テスト五教科の合計点、中学二年生を対象に去年やられた分なんですけれども、学力テストで測られる学力がすべてではないということは前提として、この学力テストの結果が就学援助率と相関しているというのが見て取れると思います。  就学援助率が高い区ほど学力テストの結果が低くなっている、このことは何を指しているのか。要するに、就学援助を受けている子供たちがたくさん通っている学校やその区においては学力テストの結果も低くなっているということが一つの相関として読み取れるのではないかというふうに思います。  これはデータの一つですが、佐和隆光先生という方を中心に有識者でつくっている日本の教育を考える十人委員会というところが義務教育アンケートというのを取られて、一万人調査をされております。その調査の結果によると、学力の二極化が進んでいると感じている人が六〇%、その二極化の原因は家庭の所得が原因と考えている人がそのうちの七割いるということなんですね。似たような調査、読売新聞の調査でも報じられておりましたが、親の経済力の差によって子供の学力差が広がっていると感じている人が七五%に上っているというような調査結果もあるんです。  ですから、幾ら頑張ろうと思って、そして頑張っても頑張っても、親の経済力によって学力にもこういう差が付いてきているというデータや意識が今出てきているということを私は申し上げたいと思いますが、これについて、やはり子供たちに、学力が今低くても、一生懸命頑張って学力を上げるという機会を与えたいし、進路も、頑張って自分が行きたい進路に進みたいという子は親の経済力にかかわらず行けるようにするというのは、私はこれは、教育機会均等をうたっている憲法に基づいてやっている国の教育施策としては是非今必要なことではないかと思うんですけれども、それについてはいかがでしょうか。大臣、短くお願いします、もう三分しかないんで。
  51. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 時間の問題もありますけれども、若干の説明をさせていただきたいと存じます。  小学生、中学生、義務教育段階におきます就学支援につきましては、先ほど委員も御指摘がありましたように、地方自治体によりまして就学支援、要保護世帯あるいは準要保護世帯に対する支援が行われているわけでございますけれども、これらに対しては一層の充実を図るということがまず第一であろうと思います。機会の均等を保障するという国の立場から、各自治体に対して要請をしてまいりたいと存じます。  また、経済的な理由によって学習塾等に行けないというようなお子さんに対しては、放課後の時間を使って子供の居場所づくりということを厚生労働大臣少子化担当大臣と協議をいたしておりますが、その学校のスペースに退職教員等の方のボランティアの支援をいただきましてそういった施策を推進してまいりたい、このように考えております。  また、高校につきましては、旧日本育英会、日本学生支援機構の育英資金というものが各都道府県に移管されました。そういうことから、都道府県に対して就学支援の高校に対する奨学金制度の一層の充実を図ってまいりたいと存じます。  また、大学生に対する就学支援につきましては、奨学金制度が同じ支援機構によって行われておりますけれども、私といたしましては、今後とも、学生が奨学金を自ら申請をし、自らの責任で自ら学ぶという自立心を育成する観点からも、奨学金の制度の全体的な充実を図る必要があると考えております。  学ぶインセンティブを与えるような制度の設計と、そしてまた経済界の協力を得た、そういった幅広い奨学金制度の充実について検討を進めてまいりたいと思っておりますし、また現在行われております奨学金制度につきましてもなお一層の充実、また有利子制度の利子の軽減化についても成績が反映するような、そういった制度の充実も含めて全体的な支援強化に努めてまいりたいと存じます。
  52. 神本美恵子

    神本美恵子君 もう時間が来てしまったんですけれども、私は、今、こういう格差が拡大して特に低所得層の子供たちが教育の機会や進路の機会が狭められている、また学力にも格差が出てきているということについて、国はこのままで本当にいいのですかということを言いたいんです。  例えば、ブレア政権では、こういう格差によって特に低所得層が社会的に排除されることを、排除ではなくて社会的包摂をしていくという、ソーシャルインクルージョンと言うんですが、そのためには教育によって、英語はちょっと駄目でしたら社会的包摂です、そのためには教育によって社会的排除を防いでいかなければいけないというようなことで、ブレア政権も取っているわけですね。  もう是非、この貧困が連鎖していかないように教育にもっとお金を掛けるべきだと思いますが、今政府が取っている施策は教育費の削減の方向でしかありませんので、それについて、総理、一言でいいですから、その方向でいくということを是非言っていただきたいと思います。
  53. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 教育を重視してきたからこそ、資源のない日本は今日まで発展してきたんだと思います。  私は、収入が低くても教育の機会を与えられることができるように、意欲のある、学力を身に付けたい生徒にとって学力を付ける、そのようなチャンスを提供するような制度の拡充というものは、今後も続けていきたいと思っております。
  54. 神本美恵子

    神本美恵子君 終わります。
  55. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 関連質疑を許します。加藤敏幸君。
  56. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。神本委員に引き続きまして、関連質問を幾つかやっていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  大きく言って四つの項目についてお伺いをしていきたいと、このように思います。その前に、今日はテレビで多くの方がごらんになっていられる。よく、決算委員会って何なのと、それやって何が良くなるのと、こういう質問も結構受けますので、少しまとめてみました。(資料提示)お手元に資料があるというふうに思います。  最近、PDCAということで、プラン・ドゥー・チェック・アクト、こういうふうなことがよく言われるようになりました。これは会社経営で管理改善のためのサイクルを回していくと。これを、くるくるくるくる回していくと良くなるんだと、こういうことであります。  簡単に言えば、プランというのは、我が議会でいえば予算委員会。ドゥーは行政府、行政府だけじゃないんですけれども、予算を執行するという、これお金を使うところです。そしてチェックが、これは会計検査院並びに我がこの決算委員会と、こういうことだというふうに思います。  そこで、この会計検査院決算委員会議論しておるだけで何かこうぴりっとしないねと、そういうこともありますので、もうここは皆様方、こういうのを使って──余りこれをやっていると時間がなくなる。警告決議ということで我々やるわけですけれども、あるいは措置要求、百五条の調査と、こういうふうなことになるわけであります。  そこで、私は最も大事なのは、この警告決議にしても議論にしても、じゃ、それを一体どう反映さしていくのと、どう改善さすの、このアクトというところがこのサイクルで一番大切だと。じゃ、だれの責任でこの改善アクトをするんですか、こうなったときに、私はそれは内閣責任者、小泉総理大臣ではないかと、こういうふうに考えておるわけでありますけれども、是非とも総理には、この決算委員会あるいは会計検査院指摘議論そして警告決議などを受けて、八月の概算を要求含めて十九年度予算の展開等に向けて、どういう決意で対応されるのか、是非お願いしたいと思います。
  57. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今この分かりやすい表を示していただきましたけれども、正に参議院は決算重視と、予算がどのように適切に執行されているかということ思っているからこそ今日もこの決算委員会を開催しているんだと思います。しかも、すべての閣僚出席の下に。この加藤議員の御指摘、私は賛成であります。  いかにこの決算の審議を有効に活用していくかでありますので、度々警告決議も受けております。その警告決議を受けて今後の予算編成にも生かしていくと。現に、今までの御指摘で剰余金等無駄があるじゃないかと、あるいは会計検査院検査によって具体的な指摘も受けております。そういう点も踏まえて予算を作っているわけでありますし、また予算を作った後も毎年決算委員会指摘されております。  こういう点についても真摯に受け止めて、これからの予算編成に生かしていきたいと思います。
  58. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 ありがとうございました。  そこで、二点目が、この経済運営在り方ということについて少し質問を、これは与謝野大臣中心にお願いをしたいというふうに思います。  二十年前から私、労働組合の役員をやっておりまして、いつも要求書を書いたり運動方針を書いておったんですけれども、テーマは常に外需主導型経済から内需主導型経済への転換を図らなきゃいけないねと、これ二十年来、何回も何回も出てきたんです。今回も、済みません、これは、その前に、議員って決算で何しているのと言われたときに、実はこういうふうな書類を目の前に集めてやってきているよということをテレビを見ておる人にちょっと分かってほしいということと、こういうふうに、もうほとんど黒塗りになった原票を見て我々はやっているということで、済みません、失礼いたしました。  それで、これが二〇〇二年度から二〇〇五年度、ほぼ総理の中心的な在任期間中の経済の成長率を中心とした指標を集めてみたんです。GDPは実質で見ると八%ということを、四年間で伸びておりますし、こちらの図を見ていただければ、お手元にありますけれども、潜在成長率二%程度ではないかという議論の中で、二〇〇一年度は残念ながらこれはもうマイナスであったということであります。しかし、二〇〇二年度からはプラスに転じて、二〇〇五年度は一応プラス三・〇%ということで、一言で言えばよく頑張りましたねと、こうなるんですけれども、私は、頑張ったのはだれなのと。  そこで、特に二〇〇二年度、三年度というのは、あの苦しいマイナス成長からプラスに転換してきたあの一番しんどかったあそこは、よく見ていただきますと、外需依存というのが〇・七、〇・八ということで、やっぱり外需のこの伸びが日本経済をプラスに転換していった大きな原動力になった。つまり、ああ、外需依存、これで助けられたねということがあると思うんですね。  これ、外需依存と言うたら何かよく分からないんですけれども、早い話、輸出競争力を持った製造業、物づくり産業なんです。私は物づくり日本と、もうこればっかり言って三年間やってまいりましたけれども、日本の物づくり、強い国際競争力、そしてそれらの産業は、この前年辺りからリストラで苦しみながら頑張って頑張って、頑張って抜いて、ここで経済成長に大きな役割を果たしたと、こういうことが言えるんではないかと。別に小泉さんが大したことないとかそういうことを言うつもりはないんですけれども、データとしては、ここはこうあるんだ。  しかし、問題は国内需要の伸び、ここを見ますと、家計消費は六%、しかし民間住宅はマイナス、公的需要はこれはもうマイナスで公共事業絞っていますからなります。民間設備投資は一六・六%、外需で中国に建設機械を売ればどんどん売れた、鉄鋼もどんどん売れた、だから国内設備投資を増やしていったということから徐々に国内景気がうまく回り出したと、教科書に書かれているような展開であります。  そこで、これを中心にテーマというわけじゃなくて、与謝野大臣にはこっちです。(資料提示)  さて、うまくいっている我が国経済、これを今年の後半から来年にかけて展望したときに、私は、大きな課題がある、心配事があるんです。どんな心配かというと、外需依存で結構頑張っていたけれども、海外市場はどうなっているんだと。アメリカ、中国経済、これで引っ張られた。しかし、ここはどうも成長低下しているらしい。あるいは、円高の問題があるんじゃないか、原油の高騰が経済にマイナス面があるんじゃないか。  そして一番大きな問題は、そろそろ家計、個人消費、これが大きな原動力になってほしいねと言うけれども、家計を見ると、雇用者所得、雇用者報酬というのは言うほどは伸びていない。大企業は伸びてきたけれども、中小零細あるいはパートタイマーの皆さん方の収入、所得というのは余り伸びていないということ。加えて、税金、保険料、公共料金などの負担増、格差拡大、そういうふうないろんな問題の中で、日本経済が本当に個人消費を中心としたそういうふうな経済に転換できるのかということが私は心配でならぬ。  そこで、英明な与謝野大臣の、おれはこうするんだと、心配するなということがあれば是非お願いをしたいんです。
  59. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 二〇〇二年度は確かに外需が日本の経済を引っ張っていたわけですけれども、最近では外需、すなわち輸出と国内の企業による設備投資、また個人の消費というものがほどよくバランスが取れている、そういう姿が日本の経済の好調さを引っ張っていると私は思っております。  先生が示してくださったリスクの問題は私はそのとおりだと思いまして、常に将来の日本が直面するリスクを考えながら、経済政策、財政政策を考えていかなければならないというのは政策運営の態度としての私は基本であると思っております。
  60. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 そこで、私は最初のプラン・ドゥー・チェック・アクションというあの図を示して、今言われて、ああ、あなたの言うリスクはそのとおりだと。じゃ、このリスクに対して一つ一つの処方せんをきっちり、この八月の概算要求を含めた具体的な政策の中にきちっと日本語としてあるいは数字として織り込んで示していかれると。  特に、私は、家計の問題というのは大きいと思うんですよね、個人家計の。例えば、連合の皆さん方がサラリーマン増税反対だと、こう言われている、その増税と言われているその問題についても私は今後の経済運営の中で非常に重大なポイントであるし、それから金利の問題だとかいろんな問題もありますけれども、今日は時間がございませんので、あれば一時間でもやってみたいと思いますけれども、そこは今日はこの辺でおいておきたいと。  そこで、もう一度これを見ていただきたいんです。(資料提示)  私も初めてですから、ちょっとペースが速過ぎるんではないかと。  四大リスクと書きましたけれども、ここの職業能力開発の遅れというところは、実は余り世間の人は言っていないんです。これは私が最初に言ったと思うんですね。私は現場でやってきましたから、いろいろ考えられるけれども、今、日本の経済の中で最も大事なのは人の問題なんです。物づくり日本、物づくりの裏はひっくり返したら人づくり、人づくりというきちっとした裏書がなければ物づくりは進まないんだと。そういうふうなことで、少しこの職業能力の問題に移っていきたいと。  これは、厚生労働省の皆さん方の少し力もかりて、データとしてはなかなか難しい。三十人以上が対象のデータですけれども、なかなかいいデータがない。けれども、これを引っ張り出してきました。  これは簡単に言うと、企業内教育訓練の実施状況を、普通は企業調査なんです、企業としてやっているかやっていないか、どの程度やっているか。だから、今まで百人やっていても五十人減らしたと。やっているということは一なんです、丸なんです。これを受ける側の従業員でどうだと。これで見ますと、普通は百人でやっていたのが今年からリストラの結果二十人になったと、それが如実に出てくるという意味で従業員調査の方を取っているわけですね。  これを見ていただくと、顕著に一九八九年、バブル最盛期からばっと見ます。赤いのが自己啓発実施率、これは企業の方がちょっと支援をしたり応援をしてくれている場合がある。それから、この青いやつがオフJT、職場外研修なんです。OJTというのはありますけれども、OJTというのは仕事のついでにとかあって、これはなかなか中身がいろいろあって難しい。オフJTの方がはっきりとその時間、研修を受けさせられると。  見てください、一九九八年、この問題の一九九八年から九九年、二〇%ポイント落ちているんですよ。これは正にリストラの影響を、つまりこの企業内教育訓練にどおんと爆弾が落ちたようなもんなんです。これがそのまま引きずってきているし、つい最近、この二〇〇二年、三年のつらいときには更にランクが落ちていったというのがこれは企業内訓練の現実なんですね。  訓練というのはいつ役に立つの、何となくかったるいねという声もありますけれども、総数でいうとやっぱりこれは効いてくるんです。現場でやってきた私の経験からいくと、大体五年から十年たつとやっぱりこういうふうなものが効いてくると。  もっと言うと、中小零細はもっと状況としては悪い。物づくりにしたって、大手企業はまだ社内学校を持っていますけれども、多くはそれをつぶしてきたという流れの中で、そして我が国の教育訓練、これは雇用保険だとかこういうふうな制度でやっていますね、国の直接一般会計の中でどのぐらいお金を使っておるんですか。そういうふうなことを含めて、川崎厚生労働大臣に、我が国の企業内職業訓練の実態あるいは課題、これからの意欲、これをお話しいただきたいと思います。
  61. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 委員も団塊の世代の生まれでございますし、私も委員も電器メーカーで働いていた者、そういう意味では共有をしておると思います。  特に今お示しいただいた時期は、松下においても多分三菱さんにおいても大量にリストラをした時代、正に今働いておられる従業員も辞めてもらった時代でございますから、社内における訓練、その関係企業、そういったところがだんだんだんだん社内訓練というものが少なくなってきたと、その数字をお示しいただきました。  景気がだんだん良くなってきたけれども、全体的にまだそれに対する投資は落ちたまま、こういう認識が一つ。もう一つは、今申し上げたように、団塊の世代である我々が、私は来年六十ですけれども、企業でいえば大体定年を迎える、次の人材はしっかり育っているのか、特に物づくりの人材は育っているのか、こういうことが日本にとって大きな課題ではないかと、こうお示しいただいたんだろうと思っております。共通した課題を抱えておると思っております。  一つは、やはり企業の中において必要とする人材を、学校なり、また当時就職できなかった人たちが再チャレンジという形で会社の中に入っていく、そのときに企業が求めるニーズに合っているか、ここを私どもがやはりしっかり職業能力開発という形でサポートをしていかなければならないと思っております。  それから、学校の段階において自分がどういう職業観を持つかということが一番大事だろうと思いますので、小坂文部大臣としっかりやっていかなきゃならないという意識を持っておりますけれども、最近聞いた話では、同友会の経営者の皆さん方が学校の現場に、人材バンクに登録していただきまして、その経営者自らが学校へ出向いていただいて、物づくりなり会社が求めるものというのを直接お話しいただいている。そういう意味では、企業の方もだんだんそういうものに強く意識をしていただいておる、こういうふうに思っております。  それからもう一つは、企業の中で技術を持った人の位置付け、これがまだ日本は弱いんではないか。技能検定制度を始めとした職業能力というものをどう評価していくか。今までは、何となく管理者になることがステータス、給料が上がる。しかし、技術を持っている人をやはり正しく評価していくという形にだんだん変えていかなければならないだろう。そういった中で、今能開法の審議をいただいておるところでございまして、学校を卒業して、そして企業に入る、その段階において、自分は専門学校でもう少し勉強してみたいというものと会社へ勤めるということを両立できないだろうかということで、今法改正をお願い申し上げております。  もう一つ、やっぱり国内の中に、やっぱり物づくりが大事だと、委員のような御主張をしっかりしていかなきゃならぬ。そのきっかけとしまして、来年十一月に二〇〇七年ユニバーサル技能五輪国際大会、我が国で、静岡県で行わさせていただきます。それを契機としながら、特にその場に中学生、高校生がなるべく働く場、そして外国から来た人たち日本人が一緒になって競い合う姿を見てもらって、自分もこういう仕事をしてみたいという職業観を持ってもらうことが一番大事だろうと。  そういう意味では、委員が御指摘いただいたこと、極めて日本の国に大事なことだと思っておりますので、しっかり雇用保険制度の中で、また、国としてできることも含めてしっかりやらせていただきたいと思っております。
  62. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 一つだけ申し上げたいのは、企業名出されて言われたんですけれども、私は確かに中央執行委員長やりましたけれども、リストラ策の中でも人的リストラについては、自信を持って、私は賃金は下げましたよ、年金も。それは、私は一生懸命やってきたということですから、ここはまあまあ、いろんなやり方があって、労使本当に苦労しながらやっぱりやってきたということだけ少し申し上げたいと思います。  後半、静岡での技能五輪国際大会、来年、小学校、中学生ということについて、これ今、厚生労働大臣お答えになったけども、これ文部大臣の所管ですから、簡潔に大臣の方にもお願いしますね。
  63. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) どうも簡潔にということが多いんでございますけれども。  今御指摘いただきましたように、やはり小中学校の時代から、物づくりのすばらしさ、そういうものを教えていくことは大変重要なことでございます。そういう意味で、日本の企業を支えてきた物づくりの精神というものをしっかり植え付けるためにも、今御指摘がありましたように、二〇〇七ユニバーサル技能五輪国際大会、今回は史上初の技能五輪国際大会と障害者の皆さんも参加される国際アビリンピックが同時開催と、十一月に同時開催をされますので、このことにつきまして昨年の八月一日付けで通達を出しております。各学校に通知を出しまして、大会の開催を周知を図っておりますが、さらに、今御指摘のように、いろいろな会議を通じて、またこのパンフレットを各学校に配付をする等、積極的な参加を求めたいと思っております。  また、中学校において、五日間の職業体験で、地元のそれぞれの物づくり現場へ五日間研修に行っていただいたり、あるいは商店街に行って勉強したりという、この職業訓練の、職業意識育成のための授業でもこういったことをしっかり周知をして、物づくりの日本の伝統をしっかり守るように小中学生に対しても伝えてまいりたいと、このように思っております。
  64. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 本当に全国的に物づくりというと、直接旋盤を回したり、とんてんかんやったとかいうイメージが強いんですけれども、ソフトウエアも含めて販売からリサイクルまで、やっぱりそういうふうに長い工程を含めて私は物づくり産業ということをとらえていただいて、やっぱりこの物づくり産業が外貨の九十何%を稼いでいるし、それで原油を買い、食料を買っていると、この基本的な構造の中で私はやっぱりみんなで盛り上げていくということが大事ではないのかと言いつつ、次のテーマに移りたいと思います。  そこで、小坂文部大臣に再びの質問ということになりますけれども、会計検査院の報告の中で私は一番気になったのは、このサッカーくじなんです。  お手元にありますように、スタートのときは六百四十三億円の売上げが、ずっと右肩下がり、これによって発生する収益は、当年度は百七億円の収益があって、これでいろいろと助成事業をやってきた、支援をやってきた。これは良かったわけですね。  ところが、二年目からはマイナス二十三億、七十億、マイナス六十一億ということで、これも何か嫌な状況だな。そして、成果としてのスポーツ団体助成金も、翌年から始まりますから、五十八億円あったのが今は二・五億円ということになっています。だから、どうするんですかと。  まず、この状況と対応策について大臣のお考えをお伺いします。
  65. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) スポーツ振興くじに関しましては、平成十三年にスタートいたしまして、御指摘のように、当初は十分な助成の財源が得られるものと思ったわけでございますが、なかなか制限も多くて、そういう中で売上げが低迷しております。今日、助成金額も非常に少ないという中で、スポーツ振興のために、何ゆえにこのスポーツくじがあるのかという疑念さえ生じてしまいます。  このことは誠に遺憾でありまして、私としては、この夏、そして秋までに何が何でも売上げを上昇させて、そして実質的なこのスポーツ振興くじの助成というものを獲得をしたい。正に今正念場にあると、そういう危機感を持っております。  具体的な問題点といたしましては……(発言する者あり)
  66. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 御静粛に願います。
  67. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 今まで、当たる確率が低い、また購入者の購入頻度、購入額が伸びない、また適当な販売店がないなどによって、今日この問題が指摘をされておりますので、販売チャネルの増強とともに、皆さんに買っていただきやすいくじ、そしてその効果がスポーツ支援に回りやすいような、そういう仕組みというものをしっかり構築すべく、今抜本的な立て直しを図っているところでございまして、皆さんの御指摘をしっかりと受け止めながら最大限の努力をさせていただきたいと、このように思っております。
  68. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 スケート連盟への助成ということでいけば、これはスポーツ振興の基金から一般会計、そしてこのくじが十五万、こういうことなんです。  そこで、これ総理にお伺いをしたいし、御意見も半分あるんですけれども、まず、国の赤字がたまると、これで。これは第一の、まあ大罪という言葉はあれですけれども罪ですよね。これどこで止めるんですか、どうするんですか、これが第一。  二つ目は、これはやっぱりサッカーくじという名前付いていますけど、スポーツ振興なんです。当てにする側はやっぱりコンスタントに欲しいわけですよ。そういう意味で、スポーツ振興の基本的な私は考え方として、やっぱりちょっとずれてきているんじゃないかという二つをして、最終的に内閣総理大臣の御見解をお伺いをし、質問を終わりたいと思います。
  69. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) スポーツ振興くじ、いわゆる俗にサッカーくじと言っているのが、売上げも減って収入も減っている、それに従って助成金も減っているということでありますので、これは私は見直しが必要だと思っています。果たして、役所がこういうものを考えて、売上げ上げようと言ったって上がるかどうか、私ちょっと疑問に思っているんですよ。これが本当に役人の仕事かどうか、これも含めて見直さなきゃいかぬと思っています。  それと、今、国立の施設でもネーミングライツというんですか、宣伝を許すと、そこから収入を上げるという意見も出ておるようであります。公共施設で宣伝したいと、それでお金払ってでも使いたいという意見もあるようであります。そういう点も含めて、公共施設からどのような国民一般が使えるような収益を上げるかということも考えていいんじゃないかということもあります。  いずれにしても、スポーツは大事であります。甲子園の高校野球は有名でありますが、あの高校野球だけじゃなくて、いろんなスポーツの振興を図っていく必要があると。高校のレベル、中学、小学、あらゆるスポーツ振興を図っていく上において、全国で、さっき言った技能のみならずスポーツの振興も図っていきたいと、そのような方策、今までどおりでいいと思っておりません。見直しが必要だという観点から今後検討していきたいと思っております。
  70. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 終わります。     ─────────────
  71. 中島眞人

    委員長中島眞人君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、西島英利君が委員辞任され、その補欠として河合常則君が選任されました。     ─────────────
  72. 白浜一良

    白浜一良君 公明党の白浜でございます。  今日は二十四分いただいておりますので、総理始め若干の議論をさせていただきたいと思うわけでございますが。  先ほどから議論されていますように、いわゆる決算重視の参議院ということで、既に施行されている制度、予算、適正かどうかということを議論することは大変大事でございまして、我が党も国の事業を全部事業仕分しようと、こういうことを言っているわけでございますが、時代の中で不要なものも出てくるわけでございまして、当然廃止するものは廃止すると。総理いつもおっしゃるように、民営化するものは民営化すると。そういうことがごく普通にできた方がいいわけでございますから、そういう面で本院の決算委員会は大変役割が大きいと、このように思うわけでございます。同時に、決算委員会では、私思うんですが、世の中の大きな事件とか出来事、また社会現象、そういうものを政治の場でどうとらえるかということも議論することが大変大事だと、このように思うわけで、今日は二つだけ総理質疑したいんですが。  一つは、今、秋田県の豪憲君、幼児殺人事件が、容疑者が逮捕されたと、こういうことになってございます。大変、連日報道をにぎわしているわけでございますが、つい最近は、滋賀県の長浜で、いわゆる中国人妻が二人の園児を殺害したという事件もございます。それから、随分これは時間がたちますが、栃木県の女のお子さんが茨城県で殺害されていたと、これ全然犯人は予想も立っていないと。  こういう悲惨な出来事が度々起こっているわけでございますが、子供というのは、長じて幸せになる権利を持っています。どんな理由があっても子供たちを虐待したり殺害したりする権利はないわけでございますから、今起こっているこの事象に対して、悲惨な出来事に対して総理はどのようにお考えでございましょうか。
  73. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 連日痛ましい事件が起こって、誠に残念でなりません。  特に、警察だけでなく地域の住民の皆さんの協力得ながら児童のこのような痛ましい事件を防いでいかなきゃならないということで取り組んでいる最中に、滋賀県の事件におきまして、地域の皆さんが協力して子供の安全のために、親の監視の下で学校登校、下校。その最中に、安全だと思って親が付添いしている、その親が子供を殺害する。これはもう防ぎようがないなと、そんなことされたら。常に自分の子供は目を離しちゃいかぬという状況になってくるんではないかと。そして、最近では親が自分の子供を虐待したり殺害したりする。もう何と言っていいのか理解に苦しむ事件が多いんですが。  秋田の事件においても、地域方々の協力を仰ごうと、隣近所の人に、しかもふだん子供と遊んでいる、まあはっきり今事実が判明して判決が下りたわけじゃありませんので、うかつなことは言えませんが。子供と遊んでもらって、地域の人の協力を得る、同じ子供の父兄の協力を得ると。その協力を得る人があやめると、子供をあやめるというんであったら、どういう対策があるのか。  非常に今、難しい問題に直面しております。しかしながら、まず、警察のみならず、国民のいろいろな協力、地域の協力、父兄の協力を得なきゃなりませんが、このためにも、犯罪が起こったらしっかりと犯人は逮捕しなきゃいかぬと。犯罪は決して報われないというような検挙率の向上、政府としてはそういう面にも努力していかなきゃなりませんし、こういう、実際の親御さんが自分の子供をあやめたり、協力を求めている身近の大人が、助けてくれるだろうと思っていた親が逆に被害を与えるというような事態というものについては、全体的な取組、また不断の国民の協力をどのように求めていいか、十分今後も政府として対応していかなきゃならないということを痛感しております。
  74. 白浜一良

    白浜一良君 確かに、おっしゃっているように、これは難しい問題なんですね。  ただ、親の問題とか近隣者の問題とかございますけれども、結果としてやっぱり地域に、安全力を高める以外ないわけでございまして、これはもう総合力です。親だけでもできません、警察だけでもできません、学校だけでもできません。そういう意味で、私は一つ、具体的な解決策になるかどうかは別にして、江戸川区ですね、東京の、すくすくスクールというのをやっているんですね。  これ、何かといいますと、いわゆる学校、授業が終わってからおうちに帰れない子供たちは学童保育という制度がございます。これは、だけれども、制度としては予算も少ないですし、限定されたものになるんです。だから、江戸川区が音頭を取りまして、教員も区の職員もそれから地域のボランティアも挙げて要するに子供たちを守っているんですね、学校という施設があるわけでございますから。そうすると、江戸川区で三万七千二百人の全児童数の中で二万七千七百人、全児童数の七五%近くがこれに参加して、非常にこういうことをするということが地域をお互い守り合うことになると思いますので、それぞれ各省庁、連携を取ることは大事でございますけれども、基本的にやっぱり自治体がこういう呼び掛けして、そういう目を向けるということが大事と思うんですが、総理、いかがでしょう。
  75. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 白浜議員御指摘のとおり、地域が協力する、この一環として今、魔の八時間対策というものに力を入れているんです。魔の八時間、何だと。  これは保育所とか幼稚園だけでなくて、学童、最近は親御さんが父親も母親も働きに出ている家庭が多いわけです。その際に、保育園にしても幼稚園にしても、学校が終わって、小学生徒にしても、あと午後二時から夜十時まで、これが一人で何かしなきゃならない時間だと、勉強するにしてもあるいは遊ぶにしても。この午後二時から、普通親御さんが働くのは午後五時、六時だと思うと違うんだと。六時に会社が終わってもすぐ帰れないと。実際は十時までがいわゆる危ない時間なんだと。だから、午後二時から夜十時までが魔の八時間。この時間がいわゆるうち帰ってもだれもいないと。かぎだけ渡されて、お小遣いだけ渡されて、何か買って食べていなさい、一人でテレビ見ていなさいと。遊び相手がいない、どこか歩くと犯罪の誘惑に引っ掛かってしまう。そういうようなのをなくすために、午後二時から夜十時まで、うちに帰ってもだれもいない、遊び相手がいない、どうしたらいいのか分からない学童に対して、学校の先生だけじゃなくて、地域の皆さんが、遊び場なり一緒に何かする場所を提供しようと。  この問題については、この話をしてくれた、島田教授なんですけれども、これは予算は要らないんだと。協力する体制さえ取ってもらえればいいんだということでありますので、実際は何がしかの予算はこれから必要になってくると思いますけれども、いずれにしても、そういう意識を多くの国民に持ってもらって、そういう魔の八時間対策に協力しようという、そして協力しやすいような環境をつくっていくことが大事だという提言を受けておりますので、政府としても、仮にお金は要らないといっても、協力したり、あるいは国民に啓発活動することはできるだろうという提言もありますね。それは当然だと、一生懸命やりますという今返事をして、それでは政府としてはどういうことができるのか、今提言を受けている最中であります。  この午後二時から夜十時までの一人で過ごさなきゃならない学童に対しても、お子さんに対しても、地域の皆さん、父兄の皆さん、様々な方々の協力しよう、できるという方々の支援も得ながら、この魔の八時間対策をしっかりやって、少しでも犯罪に巻き込まれやすい児童生徒を防止する対策を政府としても取っていきたいと思っております。
  76. 白浜一良

    白浜一良君 今総理がお話しになったとおりでございまして、特効薬はないかも分かりませんが、我々はあきらめてはならない大事な問題なんで、しっかり環境づくり、政策をリードしていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。  もう一つの大きな出来事というのは、いわゆる村上ファンド事件でございました。  今日、午前の参議院の本会議で証取法の改正が成立しました。当然、こういう事件が起こりますと、総理も昨日ですか、おっしゃっておって、法が生きているから逮捕されたんだと、それは当然そうなんですが、ただ実際の取引の方は、この法の何というか、すき間という、そういうところをついて商売しようと、こういうふうな実態的な取引が先行するわけでございます。  そういう意味で、本日成立した証取法の改正もそれなりに意味あるわけでございますが、一つはそういうルールをしっかりするということが大事で、与謝野大臣、何か、今日はこれ中継されておりますので、これ大丈夫ですよということがあれば言っていただきたいと思いますけれども。
  77. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 今日、参議院で御承認をいただいた証券取引法、今度は名前を改めまして金融商品取引法になりましたが、ファンドの規制を始め罰則の強化等、時宜に適した改正を国会に御承認をいただいたと思っております。  今後は、この法律に基づいて、実際の法律の運用を厳正かつ的確にやっていかなければならないと思っております。
  78. 白浜一良

    白浜一良君 時間がないので具体的なことはおっしゃりませんでしたが、本日成立した改正案というのはライブドアをベースになっているんですね、あの事件が。だから、市場内外の取引は規制されています、今回の法改正でですね。ところが、それも大きく前進した。事業組合のいわゆるファンドの不明さも今回改善されております、随分。それは前進した。  しかし、この村上ファンド問題を見ますと、国内のファンドとか国内のいわゆる投資家は、これは登録制、届出制で、ある一種の網が掛かるわけですね。ところが、海外ファンドは駄目なんですね。また、海外ファンドといいましても、ファンドそのものは海外ですけれども、日本人が投資している場合、分からない。だから、ここのところはやっぱりきちっと整備していかなきゃなりません。  まして、日本日本のルール作っていますが、海外は海外のルールがあって、ファンドは物すごく動いているわけでございますから、だから、今後の一つはルール作りを明確にするという意味で、やっぱり各国、海外とのそういう統一したルール、一遍にできないかも分かりません。しかし、国際会議あるごとに、こういうルール作りを、そういう透明性という観点からこういうルール作りに向けて努力をしていただきたいと、これ一つお願いしたいと思いますが。
  79. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 今回の法律では、日本のファンドのみならず外国のファンドについても包括的な定義を設けておりまして、外国ファンドの持分にかかわる販売、勧誘及び投資運用について業者としての登録又は届出の対象業務としております。したがいまして、外国において組成されましたパートナーシップ等の投資事業組合であっても、日本国内の居住者から出資を募る場合には国内の投資事業組合と同様の業規制に服することとなります。  また、大量保有報告制度、公開買い付け規制やインサイダー取引規制等、市場の公正性、透明性を確保するための規制についても、我が国の市場に投資する国内外の者について広く適用されております。  なお、御参考までに申し上げておきますと、シンガポールとは金融関係のきちんとした情報交換のシステムが例えばできております。
  80. 白浜一良

    白浜一良君 ちょっと違うんですが。それはまあおっしゃっているとおりなんですけれども、その海外ファンドでもいわゆる日本の投資家は法の対象になると、それは当たり前、そのとおりなんです、今回の法改正で。しかし、日本人が投資しているかどうかというのは分からないんですよ、分からないんです。だから、もういいです、もう詳しく話はいいんで。  だから、私は、もうそういう問題も現実問題起こってくるわけですね、やっぱり法の抜け道というのは必ず探られるわけでございますから。だから、一遍に国際ルールできなくても、そういういろんな海外の担当大臣とお話しされる機会があろうかと思いますんで、こういう問題もきちっと議論していっていただきたいと、このことだけ答えてくださいよ。
  81. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 当然、今回御承認いただいた法律は、金融庁が考えておりますベストのものを皆様方に御承認いただいたわけですけれども、やはり取引形態等々いろいろ進んでまいりますと、規制の仕方、また国境を越えての取引も多くなっているわけでございますから、そういう将来の問題についても経験を積み重ねて、将来また御承認をいただくような法律改正が必要になるかも、私はそういう場合もあり得ると思っております。
  82. 白浜一良

    白浜一良君 常にそういう姿勢で市場を見守っていただきたいと、このように思うわけでございます。  時間がないので、本当はもう少し議論したいんですが、もう八分しかございませんので次に行きたいと思いますが、少し具体論を二つだけ質問したいと思います。  一つは、社保庁改革ですね、川崎大臣にですね。この国会で改正、改革案が出ているわけでございますが、いわゆる不正事件が起こったということで徹底した調査をすると大臣自らおっしゃっているわけでございますが、私は、徹底して調査して、その調査結果で不正を働いた人がいたと、どのランクにいたか分かりません。しかし、調査というのは明らかに、なぜこういう問題が起こったかということが原因も分かるわけでございますから、もしそういうことが明確になったら徹底した調査とともに厳正な処分をしていただきたい。これ、お願いしたいと思います。
  83. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 社保庁で起こりました不祥事については、国民の皆さん方におわびを申し上げたいと思っております。今私どもがまずやることは、この実態を明確に出すことであろうと思います。  まず第一に、所長また県の事務局長レベルから申告させました。こういう問題があった、全部出せということで、あしたが最終区切りになると思いますけれども、出させます。九日からは今度本庁から人を出しまして、二百七十四万人のデータ一つ一つ見ます。判こがあるか、名前が書いてあるか、どのような手続で行われたか検証させていただきます。  一方で、それだけでは私は足りないと思っております。内部調査だけでは駄目だという御指摘もいただきましたので、政務次官を先頭に民間の方々にお入りいただいて、これは法律関係方々、会計学の方々、また企業でコンプライアンスを専門の方々、こういう方々に入られていただいて、今度外部から調べます。これは社会保険庁の本庁の問題も含めまして調べて、その結果を出さしていただいて、その段階において、問題が当然あったからこのようなことが生じておりますから、厳正な処分を行うということになります。
  84. 白浜一良

    白浜一良君 私が確認しましたのは、社会保険庁だけの問題だったらいいんです。しかし、これ大事なことは、ここの社会保険庁に対する不信が年金そのものに対する不信になる。こうなったらもうめちゃくちゃになるわけでございまして、だから私は、調査とともに国民が見て、ああそうだという措置をしなければならないという点で今大臣に確認したわけでございます。  と同時に、もう一点大臣に確認したいのは、この結果、どういう調査結果が出るか分かりませんけれども、その結果に基づいて、この国会でかかっている社保庁の改革案ですね。当然、改革しようということで、よくできた改革案であることは間違いないんですが、今回は新たな事態が起こっているわけでございますから、もし今回の事件のいわゆるきちっとした調査また総括の上で、もう一度この改革で良かったかどうかというぐらいは私は大臣のお立場で見直していただきたいと、このように思うわけでございます。
  85. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず御理解を賜っておきたいのは、二年前様々な不祥事事件が出ました。そうした結果に基づいて党内でまた政府内で議論した結果、社保庁自体を手直しすることではいかぬ、この組織はこのままではいかぬ、したがって解体的な出直しをしなければならない、そうした形の中で法案を提出させていただきました。そういう意味では、今の組織全体は、もう変えなきゃならない組織を村瀬長官が引っ張りながら、しっかり毎日国民のサービスはしなきゃなりませんから、それを続けている状態。そういう意味では、ある意味では中途半端な形の組織になっていることは事実だろうと思います。  今回の事案を調べている中で、よりこの組織の問題点は明確になってくると思っております。その組織の問題点が明確にされた中で、今回の法案と比べてみて直すべき点があれば、これはもう委員の言われるとおり直す、それは委員会の審議を通じながら努力をさせていただきたい、こう思っております。
  86. 白浜一良

    白浜一良君 大臣おっしゃるとおりでございます。しっかりお願いしたいと思います。  もう一点、特別会計の話で財務大臣にお聞きしたいんですが、一般会計はもう剰余金が出たら二分の一は国債返還に決まっていますね。特別会計三十一ございますが、内容はいろいろあるんで、私も分かります。全部同じでないというのは分かっていますけれども、剰余金が出たら一般会計に繰り入れるという規定あるのが、これ三十一のうち、たった四つなんです。  私は、今回特別会計見直される中で、いろんな種類のものがありますから一律にはいきませんけれども、基本的には剰余金が出たらそれを一般会計に繰り入れるというルールを原則にすべきであると思いますが、いかがですか。
  87. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 随分当委員会でも特会改革議論をしていただきまして、その中の基本的な論点が、それぞれポケットにお金をため込んでいて、本来国民のお金が有効に使われていないじゃないかと、こういうことにあったわけですから、今おっしゃったような剰余金等も精査して、きちっと有効に使わなきゃいけないということで、今度の行政改革法でも二十兆それをやろうということになって、初年度十三・八兆でしたか、やろうということで、やっているわけであります。  おっしゃるように、剰余金を一般会計に繰り入れる規定がなかったところがございまして、今回またその手当てもしたわけでありますが、今後の特会改革の中でそこはきちっと、物によってはいろいろあると思うんで、まだ今、全部結論は出ませんが、きちっとそこは見直していきたいと思っております。
  88. 白浜一良

    白浜一良君 年金とかそれは当然無理ですから、よく分かりますが、よく精査していただきたいと思うわけでございます。  それで、ちょっと具体的な問題を一つ経済産業大臣にお伺いしますが、これも議論されていると思いますが、特許会計というのがあるんですね。これは、当然剰余金は一般会計に繰り入れるという規定はあるんですが、しかし内部で決めていらっしゃらない。どういうふうに繰り入れるかというルールを作っていらっしゃらない。だから、十四年度は九百三十四億、十五年度は九百三十五億、十六年度は八百二十七億、それぞれ剰余金出ているんですが、このままになっているわけです。当然、こういうことは今回の見直しの中で変わるんでしょうね。
  89. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 特許特別会計につきましては、御承知のとおり、特許の審査、審判に要する経費、これは出願人が支払っていただく手数料で賄い、中期的には収支がバランスすると、そういう仕組みになっております。また、手数料の支払が実務の審査、審判の処理の前に行われるものですから、一時的に剰余金が発生する仕組みになっております。近年の審査請求の急増によりまして審査等に着手できていない案件が増えていることから、当然、剰余金の額は増加しております。  そこで、経済産業省としては、特許審査の迅速化を進めることはもちろんでありますが、同時に、未着手部分の処理が進んで剰余金がこれは必ず減少していくわけでありますから、これはいわゆる世間的に言う剰余金ということには当たらないと思うんであります。  御指摘の剰余金の取扱いにつきましては、今後とも十分精査をして、特許特別会計を適切に運営してまいりたいと思っておりますが、剰余金という表現が果たして適切であるかどうかということも含めて私は検討してみたいと思っております。
  90. 白浜一良

    白浜一良君 時間がございません。  終わります。     ─────────────
  91. 中島眞人

    委員長中島眞人君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、中村博彦君が委員辞任され、その補欠として末松信介君が選任されました。     ─────────────
  92. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  二〇〇四年決算は、年金保険料の引上げなど、国民への負担増が行われた下での決算であります。小泉内閣の負担増はこれにとどまりません。(資料提示)私、挙げてみましたけれども、定率減税の半減、廃止から、年金、医療、介護、障害者福祉等々、合わせますと十三兆を超える負担が国民にかぶさってきた。特に社会的弱者に対する負担というのは大変重いものがあります。  特に、今日は障害者福祉の問題で質問をしたいと思います。  四月一日から障害者の自立支援法が実施をされました。これまでは所得に応じて負担をしていたのが、原則一割負担という応益負担が導入をされました。これは自立に反するということで関係者の強い反対もあったわけですけれども、四月一日から実施をされた。  実施を前に、二月の二十八日の予算委員会で、既に負担増を苦にして施設を退所を予定する人が出ていると、この問題を総理にただしました。総理は、実施した上で問題あると分かればしかるべき対応を取ると、こういう答弁をされております。  実施して二か月が過ぎました。予想を上回るいろんな問題が起きているというのが今の実態で、全国から悲鳴の声が上がっております。大幅な負担増、そして相次ぐ施設からの退所やサービス利用の手控え、そして施設経営を大本から揺るがすような報酬の激減と、いろんな問題が起きている。先ほどの紹介した総理答弁からいえば、これはまず国として大至急、利用者や施設の実態を調査をして改善をすべきだと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。
  93. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この法律は、趣旨として、今まで障害福祉サービスについてばらつきがあったと、だから精神障害等はこのサービスの対象とされていなかった、こういう障害別にサービスの格差があったと、これをなくしていこうというのが趣旨なんです。また、在宅と施設の間の負担の格差も見られるからこれもやっぱりなくしていく方がいいのではないかと、より多くのサービスを受けられるよう市町村を中心に一元的にサービスを提供する仕組みをつくりたいと、そういう趣旨でこの法律を四月一日から施行しているわけであります。国の費用負担の義務化あるいは利用者負担の見直し等を行っておりますが、四月一日から実施されてまだ四、五、六と、三か月たっていないわけであります。  実際、この障害者福祉のサービスの拡大を図るためにこの法律を制定したんでありますが、苦情があるのも事実であります。だから、そういう点も踏まえてよく、この四月一日から施行されたわけでありますので、この政府の趣旨の障害者の福祉サービスというものの向上、拡大につながっているかどうか、これをよく見ていかなきゃいけないと思っております。  しかし、今の時点でまだ三か月たってない、それでどういう対応が必要かというのは、もう少し時間が必要じゃないでしょうか。やはり、この趣旨のとおりにいっているのかどうかという点も踏まえて、私はもう少し時間が必要じゃないかと思っております。
  94. 井上哲士

    井上哲士君 福岡で、この自立支援法の実施を前に、将来の生活を苦に、障害者を介護されていたところで親子の無理心中を図るという痛ましい事件があったわけですね。私は、本当に一刻も猶予ならない問題だと思います。  今、苦情があるのも事実だとおっしゃいました。二月の段階では制度が理解されてないから問題が起きているんだと、だから制度の理解に努めるんだと言われました。しかし、もう実施したんです。そして、わずか二か月であってもこれだけ問題が起きているわけですから、私は、そんな悠長なことを言っているんじゃなくて、直ちに今ある問題の解決を図るということが必要だと思うんです。  私たちは、政府がなかなかやらないということがありますので、党の国会議員団として緊急の調査を行いました。身体と知的、精神の通所、入所施設、それからグループホームを中心に全国から二百三十の施設を任意で選んで、二百を超える施設から回答がありました。今日、これについては発表をいたしますけれども、回答用紙には本当に深刻な事態がびっしりと書き込まれております。  これ、一つの例でありますけれども、例えば利用料負担でいいますと、通所の方の場合はもう一律一万円から三万円の負担増に全部なっていると、こういうことが起きております。障害者年金とわずかな工賃収入で厳しい暮らしを送っている方にすれば、本当に耐え難い負担になっているんです。もらう賃金よりも出す利用料の方が高いと、何のためにこれでは来ているんだということになって、働く意欲を失って退所をされるという人も出てきている。私たちの調べでは、その二百を超える施設の中で既に施設の利用を断念した障害者六十五人、検討中含めますと百七十六人の方がこの施行によって退所ないしはそれを検討されていると、こういう実態があるんです。全く自立と反する事態が起きているんです。  総理、こういう今の実態についてはどう受け止めていらっしゃるでしょうか。総理総理
  95. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 具体的な点について後ほど川崎厚労大臣からお話があると思いますが、今私が申し上げたとおり、様々な実態を含めて調査する必要があると思っております。それを、この四月一日から施行してありますので、少し時間が掛かるんではないかと申し上げているわけであります。  苦情ばかりじゃないんですよ。こういう改正を望んでいた方々もいるわけですから、そういう点も含めて、何事も賛否両論あります。どのような法改正するにしても、現状を変えようという場合には賛否両論あるんです。そういう点も含めて、まだ三か月たっていない時点ですぐこうやりますという段階ではないという点も御理解いただけるんじゃないかと思います。  川崎厚労大臣に。
  96. 中島眞人

  97. 井上哲士

    井上哲士君 いいです、いいです。時間ないですからいいです。  今、実態を含めて調査する必要については……
  98. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 指名を受けてから。  井上哲士君。
  99. 井上哲士

    井上哲士君 今、実態を含めて調査する必要があるということはお認めになりました。そして、私は、これだけ短い期間でも問題が噴出をしている。当時は期待をされた方も含めて、やってみたら大変だという実態があるわけです。国のいろんな負担の上限額などの軽減措置があったとしても、所得制限が厳しいということで実際上は役立っていない例が数多くあるんです。  地方自治体は既に八都府県と二百四十四市町村が独自の減免措置決めていますけれども、これは逆に言えば国の措置が十分でないということの裏返しだと思うんですね。私は、今起きている問題だけ見ても緊急の措置が必要だと思います。  月額の負担の上限額の大幅な引下げ、それから各種減免制度の所得要件の緩和、食費軽減措置の緩和と恒久化、少なくともこの三つは直ちにやるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  100. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、総理から御説明ありましたように、障害者自立支援法はいまだサービスを利用していない障害者が多数おられる状況を踏まえて改革をいたしたものでございます。市町村を中心に一元的に提供する仕組みとなっております。  一方で、国の費用負担、義務化をいたしました。今年の予算におきましても、昨年と比べて四百二十八億円増、四千三百七十五億円、約一一%の増とさせていただいておるところでございます。  また、利用者負担の見直しに当たっては、障害者等の家計に与える影響を十分に考慮して月ごとの負担上限額を設定する、収入、預貯金の状況に応じて個別に減免するといった形で、国として最大限の配慮をいたしてきたところでございます。  このような配慮処置を講じることにより、障害者が必要なサービスを年金収入などの範囲内で受けることができると考えております。  一方で、四月からスタートいたしました。三月までの段階におきましては、この新しい制度をしっかり周知するようにと、厚生労働委員会等でも共産党の委員の方からもいろいろ御議論をいただいてきたところでございます。四月からスタートをいたして、どのような状態になっているか、自治体関係者からのヒアリングを通じながら今チェックをいたしている段階でございます。私も、地元の三重県の状況につきまして先日、三重県から説明を受けたところでございます。  一方で、もう委員御承知のように、四月施行分の事務に加えて、十月に新たに障害程度区分の判定等の事務をしていかなきゃならぬということが、今各県が作業を進めている中でございます。そういった意味で、最終的に各県の意見をまとめて、どのような形でやっていくかということについてはもう少しお時間を賜りたいと思っております。
  101. 井上哲士

    井上哲士君 今のような説明は法案審議のときにもうさんざん聞きました。現行サービス後退させないとか、限りなく応能負担に近いとか言ったわけですね。  私の地元の京都新聞が四月十八日に、「自立支援法「看板に偽り」早く正せ」と、こういう社説を掲げました。「障害者の自立を支援するはずの法が、まったく逆に運用され始めている。」「厚生労働省は昨年秋の自立支援法成立の際、現行サービスを後退させない努力を約束している。その約束に立ち返って、早急に自らの姿勢を改めるべきだ。」と、こういうふうに言っているんです。  国会であれだけ議論をした、そのことと違うことが現に起きているわけですから、私は、そんな十月とか言わずに直ちにやるべきだと思います。  しかも、施設や事業所が非常にこの報酬の大幅減で混乱をもたらしております。四月から報酬の減と一緒に、月額制からいわゆる日額制に支払方法が変わっております。しかし、障害者は体調が悪くなって急に休む方もいらっしゃいます。それが収入減になる。同時に、施設側の方は来てもらわないと収入になりませんから、今までは土日はグループホームに行っていた人も施設に来てくださいという形になって、実際、本当に自立に役立つんだろうかという事態が起きております。  これも、私どもいただいた回答でいいますと、例えばある施設でいいますと、三月と四月比べますと月額で二百十三万減収になっていると、一四%減ですね。多いところでは二割、三割の減ということがあります。そして、そのことによって正に廃園も現実的な課題になってきたと、こういう悲痛な声も寄せられました。  そして、そのためにどうしているか。障害者のための施設を守るというぎりぎりの状況で、やむなく職員を犠牲にするということも起き始めているんですね。ここの園では、回答としては、賃金の切下げ、人員削減、職員のパート化ということを言われました。夏季の一時金をカットするという計画を持っている園もありました。  私、本当にこれ深刻だと思うんですね。福祉というのは人なんです。今でも福祉の職員の方は、低い賃金とか大変厳しい条件の中でやっておられる。そこにもっと労働条件が下がるということになりますと、サービスの低下にもなりますし、若い福祉の職員の皆さんを確保することがますます難しくなる。正に私は、日本の福祉の将来を憂うべき事態にしてしまう状況だと思うんですね。その点からいっても、こういうやり方、日額制自身も見直すし、元々根底にある応益負担ということをやはり今直ちに見直すことが必要だと思います。  総理、もう一度伺います。やはり日本の福祉の将来考えても、今早くこれは見直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  102. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは施行前からもそのような御議論をいただいているわけで、予算の中で、政府としては、各予算ほとんど減らしている中でこの障害者福祉については一〇%以上伸ばしているんですよね。そういう中でサービスを拡大していこうと。しかも、収入のない人に対して減免措置とか様々な配慮をしているわけです。  そういう点をよく御理解いただきながら、この法の適切な運用を図っていかなきゃならない。そういう中での問題点が、今、施行して二か月ちょっとたった、今後、各県、市町村等の御意見を聞きながら、問題点があった場合はその問題をどう正していくかという見直しについては政府としても真剣に対応しなきゃならない。  しかし、まだ三か月もたってないんですから、しかもこれだけ予算を増やした、福祉サービスの拡大、提供している、そういう中でありますから、制度を変えるという上においては、賛否両論ありますので、反対の意見も含めて、賛成の意見も含めて、よく状況を見て対応していきたいと思います。
  103. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 時間が。
  104. 井上哲士

    井上哲士君 時間ですので終わりますが、やはり大本にある応益負担というものをやっぱり根本的に見直すべきだ、そのことを改めて求めまして、質問を終わります。
  105. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  まず二階経済産業大臣、五月の十五日のこの委員会で、原子力発電所建設を強行しようとする中国電力と漁業権を主張する地元漁民とのトラブルについて、あなたは私に、議員御指摘の件につきまして、今後、安全性が厳正に守られることが重要でありますから、よく地元の実情等を伺った上で改めてまた御相談をしたいと、こう答弁をされました。先月、中国電力が、海上保安庁まで動員して海の上で小競り合いを繰り返して危険を招いた後でしたから、大臣の判断は私は賢明だったと、こう思います。  ところが、昨日と今日、朝から、七時過ぎから、またしても中国電力は突入の暴挙に出て、漁民を危険な状態に追い込んでいる、こういう状況が伝わってまいりました。  私は、大臣の人柄と先日の対話の姿勢というものを信頼をして見守ってまいりましたけれども、昨日からのこの中国電力の暴挙というのは一体どういうことなのか。何もその間なされてこなかったのか、この点について御説明を求めます。
  106. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 五月十五日でありましたが、決算委員会で又市議員からお地元の問題としてそういう御主張がありました。  もとより、原子力政策あるいは原子力の問題等につきましては、又市議員の所属する政党と私どもの方針とはやや見解を異にする点もあるわけでありますが、これは地元御出身の又市議員のお話でございましたので、私も精一杯誠意を込めて、地元の実情を聞いてみるということを申し上げました。しかし、現に今、国会開会中でありますし、私はその間、ちょうど四回ぐらい海外へ出張の機会がありまして、昨日ようやく中国電力の社長においでをいただいて御意見を伺いました。  まず、今回の工事につきまして、中国電力が関係する当事者であるということには間違いないと思うわけであります。漁業補償契約を結ぶなど、適切な手続にのっとって行われていると、このように私は報告を受けております。  原子力発電所の建設、操業は安全確保が大前提に進められるべきものであるわけでありますから、私としては、引き続き関心を持ってこの状況を見守っていきたいと、これが基本的な考えでありますが、又市議員から、先般の御質問、また私の答弁等につきまして今お話がありましたが、昨日、白倉中国電力の社長の説明につきまして、若干御紹介をしておきたいと思います。  調査は、調査海域に漁業権を有する二つの漁協、四代漁協及び上関漁協の同意をいただき適法に行っているものであると。反対されているのは関係八漁協の中の祝島漁協のみである。先般の漁業補償判決では、祝島漁協及びその組合員には漁業権がないことを明確に認められていると、こういうお話でありました。  私は、この立場から、引き続き安全の確保に十分留意して工事を実施してもらいたいということを申し上げるとともに、国会で、関係者と話合いをするということを申し上げましたが、関係者は中国電力であり、また、場合によって、必要に応じて地元自治体とも話合いをする必要があるかと存じますが、八漁協一つ一つと私は直接この話合いを持つということは、これは事実上難しいというふうに思っております。これは地方自治体を通じてお話を承りたいと、このように思っております。
  107. 又市征治

    ○又市征治君 私、山口県出身でございませんで、地元じゃございません。  問題は、いずれにしても、中国電力がこういう強硬な姿勢やっているわけですから。住民との間にトラブル起こったらその住民側の意見も聞かないといけない。私、八漁協全部でやれという話は申し上げていません。  やはりこの種の問題は、いずれにしても安全性が非常に大事な問題ですから、そういう点で、大臣の円満に何とかしたいという思いは先般もお答えがありましたから、その点をやらないと、こういう強硬なことをやっておったんじゃ、問題は、怒りや恨みやつらみしか残らないわけで、うまくいかないということを私申し上げている。是非その点は善処方願いたい、こう思います。  次に、財務大臣に、決算審議を締めるに当たって、二点について念押しをしておきたいと思います。  まず、随意契約問題ですけれども、大臣が各省をリードして政府調達の厳正化、そして随意契約の縮小と入札への転換を迅速に進められてこられたことについては、私は評価をしたいと思います。ただ、随契は、この天下り団体あるいは各省庁の所管法人との間だけではないわけですね。  私は、五月十日にも明らかにいたしましたけれども、実は、民間企業との間にも横行しているわけです。国土交通省と警察庁の例を私は挙げましたが、一億円以上の随意契約の、金額ベースで七割から八割をITゼネコンと呼ばれる大企業に丸投げしている、こういう実態、恐らく他の省庁もそんな状況だろうと思います。  随意契約見直しは、所管公益法人等にとどめずに、次は民間企業、特にIT関係について調査をすべきではないかと、こう思いますが、簡潔にこの点をお答えいただきたい。
  108. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 随意契約に関しては、先ほど委員長からも御質問をいただきまして、今やっていることについてはそのときお答えをいたしました。今、緊急点検をやっておりますので、そこで、なるほど改善したなという成果を出していきたいと思っております。  それで、今お尋ねの民間企業との間の契約も、結局、随意契約例外だというのは、透明性あるいは効率性というものがそこに担保されているかどうかということになってくるわけでございますので、昨年二月に、各省庁に対して財務省としても通知を行いまして、公表対象の拡大であるとか内部監査の重点的実施等をやりまして、さらにこれを、ホームページによる随意契約公表等の措置がとられているわけでありますが、さらに、政府のIT調達ですね、これにつきましては、情報システムに係る政府調達府省連絡会議情報システムに係る政府調達制度見直しについてというのをまとめまして、これで原則として一般競争入札によるということにされております。  したがって、これを踏まえて、各省庁において、システムの新規導入時あるいは契約更新時等に際しては、一般競争入札に移行できないかという形できちっと検討するというふうになっておりまして、今検討が行われているところでございます。  今後とも、この点についても改善が進んだなと言っていただけるように努力をしたいと思っております。
  109. 又市征治

    ○又市征治君 もう一つ特別会計です。  谷垣大臣が私の度々の質問指摘にエールを返していただいたことは感謝をいたしますし、大変また御努力なさっていることもまた私も評価いたしますが、問題は、五年前の会計検査院指摘に端を発して、そして財政審も勧告したように特別会計制度そのものの問題だと思います。今年の改革は一定評価をいたしますけれども、依然として多くの特別会計において不要不急の事業の実施であるとか多額の積立金、資金、不用、剰余金を抱えて、一部は引き続き増加傾向にある、こういう傾向はあります。政府のこの五年間で二十兆円、向こう、来年度から四年間で六兆円活用するという数字は、だから私は実は従来ベースで絞り込み済みの数字ではないか、こう申し上げた。えらいきついと、こう大臣おっしゃったけど、現実はそういう実態があるんです。  だから、申し上げたいのは、法改正を含めてやはり一般会計への繰入れ、繰戻しというものをもっと徹底する決意を示してもらいたい。これは三月三日のときに総理大臣も、この点については具体的な提案もあるんで今後真剣に検討したいと、こうおっしゃっているわけで、是非この点について明確な決意を示していただきたい。
  110. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほど白浜委員からの御質問にもお答えいたしましたが、特会改革一つのポイントが、剰余金、積立金等々ポケットの中で滞留している金があるんじゃないか、それを有効活用しようということでございますから、やはりそこのところに工夫が必要でございます。  今後おおむね五年間で二十兆、今年は十三・八兆と。これも委員議論しましたが、あと六兆強ある。私はなかなかそう簡単ではないと思っているんですが、しかし、これを具体的に果たすためにも一つ一つ何が問題かを検討して、法制度等、剰余金組入れなんかまだ仕組みとしてないものもございます。一つ一つ検討をしていく中でその辺りもきちっと手だてを講ずべきものは講じなきゃならない、このように考えております。
  111. 又市征治

    ○又市征治君 次に、総理にお伺いをしたいと思います。場合によると総理大臣としては最後にお伺いすることになるかもしれませんから、是非丁寧にお答えいただきたいと思いますが、あなた自身の行き過ぎた、私、規制緩和論について伺いたいと、こう思うんです。  厚生大臣経験者のあなたが医薬品と部外品の違い分からぬわけはないわけでありますけれども、あなたは四月十五日の千葉の補欠選挙の演説で、コンビニで薬が買えるようになった、これはもう規制改革の成果だと、まあ大聴衆の前で大演説なさったと、こういうことでありました。間違った政府広報に対して薬害被害者団体から抗議を受けて、川崎厚生労働大臣が謝罪をし、安倍官房長官もこれを訂正指示した後に総理がそういう演説をなさったわけでありまして、この点は、総理、率直に撤回をこの場でしていただきたい。今衆議院で、今日から医薬品の販売資格制度を強化するための薬事法改正案がちょうど審議が始まったところであります。是非そういう点で、しっかりとここらのところは、薬害被害者の皆さんや、誤解のないように訂正方を願いたい。
  112. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 又市さんもね、政治家が街頭演説する場合にどういう分かりやすい話をするかというのは分かっているでしょう。委員会質疑と、たくさん来てくれる聴衆の前でどのように分かりやすい話をするかというのは、政治家として一番大事な点なんですよ。それをね……
  113. 又市征治

    ○又市征治君 うそついてるじゃないですか。
  114. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) うそなんか全然言っていませんよ。
  115. 又市征治

    ○又市征治君 うそですよ。
  116. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) コンビニで医薬品も買えるようになった。それを、正確を期すためにどれが医薬品でどれが医薬部外品か一々説明して、この大勢の聴衆が、様々な問題に関心があるんです、それを一番見てどうやって分かりやすく話をするかというのが大事なんですよ。医薬品買えるようになったんですよ。
  117. 又市征治

    ○又市征治君 どうしてなっていますか。全然違うじゃないですか。何言ってるんですか。
  118. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、医薬品買えるようになったんですよ。
  119. 又市征治

    ○又市征治君 医薬部外品でしょうが、あなた。何言ってるんですか。
  120. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、医薬品も買えるようになっているんですよ。
  121. 又市征治

    ○又市征治君 どうして買えますか。何が買えるんですか、言ってごらんなさいよ。
  122. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは具体的な……
  123. 又市征治

    ○又市征治君 何を言っているんですか、あんた。厚生労働大臣、じゃ後で聞きますから。全然違います、買えませんよ。何言っているんですか。違いますよ、あなた。
  124. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) しかしね、その点ね……
  125. 又市征治

    ○又市征治君 しかしねも何もない、それは。間違ってることは間違っているんだから、これは。駄目だ。
  126. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、だって、うがい薬だって医薬品でしょう。ね、そうでしょう。
  127. 又市征治

    ○又市征治君 医薬部外品ですよ、医薬部外品。医薬部外品ですよ。駄目だよ、それは。
  128. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、広い意味での医薬品なんですよ。
  129. 又市征治

    ○又市征治君 医薬部外品なんだって。
  130. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それを分かりやすく、この国会で質疑と、一般の聴衆に話すように、医薬品はこうです、医薬部外品はこうですというのを話せばいいのと、医薬品として分かりやすく話すと。それを街頭演説の言葉じりをとらえて、これは政治家の言動に野党の又市さんが……
  131. 又市征治

    ○又市征治君 そんな演説ばっかりどんなにやっても駄目だよ、これ。時間だけたっていくんだもの。
  132. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これに対して一々撤回しろというのは、私はどうかと思いますね。
  133. 又市征治

    ○又市征治君 駄目だよ、これ。止めてください。
  134. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  135. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 速記を始めてください。
  136. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は分かりやすく話している。もし正確に話せと言ったら正確に話しますよ。私の発言は、演説はこうなっているんですよ。最近、薬もコンビニで買えるようになったでしょう、それほど副作用が激しくない風邪薬とか胃腸薬、そういう薬は薬局に行かなくてもコンビニでも売れるようにしよう、これも小さなことかもしれませんが規制改革の一環ですと。これ、どこが悪いんですか。
  137. 又市征治

    ○又市征治君 今、あなたは薬売れると言ったじゃないですか、薬が。
  138. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 薬も、広い意味で医薬部外品も医薬品も薬なんですよ。
  139. 又市征治

    ○又市征治君 委員長、全然違うよ、これ。駄目だ。
  140. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これを正確に言葉じりをとらえて、この発言をどうして撤回しろと言うんですか、これを。
  141. 又市征治

    ○又市征治君 何を言っているんだ、全然違うじゃないか。
  142. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) だから、今の答弁だって、どこが問題あるんですか。皆さん、国民の皆さん判断してくださいよ。
  143. 又市征治

    ○又市征治君 これ、質問できない、委員長。これじゃ質問できないよ。
  144. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  145. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 速記を始めてください。  よろしいですか。川崎厚生労働大臣
  146. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ちょっと補足さしていただきます。  今回の決定は、安全上特に問題がないとされた医薬品の医薬部外品への移行、すなわち、三百七十一品目の医薬品について、平成十六年七月三十日から、注意事項を外箱へ表示すること等を条件に医薬部外品に移行して一般小売店、すなわちコンビニ等での販売を認めたということでございます。
  147. 又市征治

    ○又市征治君 今、厚生労働大臣から説明があったように、コンビニで売れるのは医薬部外品のみ、風邪薬だとかそんなものはコンビニで売れない、これははっきりしているわけで、さっきの議事録をちゃんと、きちっと整理してもらいたい。総理は明確に、風邪薬やその他も売れるようになった、こうおっしゃっているわけで、それは売れないわけであります。  こんな話をしているから、だから私は冒頭に、大政治家、総理大臣が、最後かもしれないから、ここのところは率直に、素直に……
  148. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 売れるんだよ。
  149. 又市征治

    ○又市征治君 何で売れるんですか。まだ言っているじゃないですか。全然違うんだから、これは。これで一体全体、厚生労働委員会、衆議院通るんですか、この薬事法は。厚生大臣、これで一体全体、こんな答弁しておって薬事法通るんですか、今日。こんな話ならぬじゃないですか。違法販売許すの。
  150. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今、私が御答弁申し上げたとおりでございます。  また、いろいろ御配慮をいただいて、先ほど採決さしていただきました。ありがとうございました。
  151. 又市征治

    ○又市征治君 まあ、こんな格好で……
  152. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 時間が参っておりますので。
  153. 又市征治

    ○又市征治君 はい。だけど、もうさっきからこんなくだらぬ話ばっかりされて。  まあ、大政治家、総理ですから、私は冒頭に、だからさっき申し上げたように、率直にそれは誤りがあったらそれは改めたらいいじゃないですか。そうした医薬品の中の安全性のあるものの部外品にした、それは部外品としてコンビニで売れるようになったということなんで、風邪薬も売れますってまだ強弁されるのは駄目です。  まだ本当は外交問題のところ聞こうと思ったらまるで時間がなくなってしまって、大変残念でありますが、約束の時間でありますから、ここで終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  154. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 他に御発言もなければ、平成十六年度決算外二件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 御異議ないと認めます。  内閣総理大臣及び要求のない大臣は御退席いただいて結構です。     ─────────────
  156. 中島眞人

    委員長中島眞人君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、井上哲士君及び谷博之君が委員辞任され、その補欠として小林美恵子君及び黒岩宇洋君が選任されました。     ─────────────
  157. 中島眞人

    委員長中島眞人君) それでは、これより平成十六年度決算外二件について討論に入ります。  お手元に配付してあります平成十六年度決算審査措置要求決議案及び平成十六年度決算議決案の案文につきましては、いずれも理事会において協議の結果、意見が一致したものでございます。  それでは、警告の案文を朗読いたします。     内閣に対し、次のとおり警告する。     内閣は、適切な措置を講じ、その結果を本院に報告すべきである。  1 平成十六年度中央省庁が実施した一件五百万円以上の工事の発注や、業務委託等の契約に占める随意契約の件数の割合が約七十パーセントと極めて高率になっており、中でも、国土交通省所管の各建設協会などを始め所管公益法人に発注した契約には、随意契約割合が百パーセント、あるいはそれに近い高率になっている例が少なからず見られ、さらに、これらの公益法人に多数のOBが天下っていることは、契約の公平性、競争性及び透明性の確保に疑念を抱かせ、看過できない。また、IT調達にあっては、民間企業を相手とする随意契約が金額の七割から八割を占めている省庁もある。    政府は、随意契約見直しに当たっては、相手方の官民を問わず一般競争入札原則とし例外的に随意契約を認めている会計法の精神に照らして厳格な運用に努めるとともに、所管公益法人等への業務委託の実施に当たっては、天下りの状況も含め積極的に情報開示を行うなど、国民の不信を招くことのないよう厳正に対処し、公共調達適正化に努めるべきである。  2 独立行政法人において、従来の特殊法人をも上回るような役員報酬を定めたり、職員給与が平成十六年度の対国家公務員ラスパイレス指数で事務・技術職員が一〇七・一、研究職員が一〇三・二となっているなど、概して高い水準となっていることに加えて、国立病院機構において、特定の業者に種々の業務を随意契約により発注する一方で、旧国立病院から多くの天下りが行われている事実や、医薬基盤研究所の承継勘定において、政府出資金三百六億円の八十三パーセントに当たる二百五十四億円が繰越欠損金として計上され、国費の毀損が生じている事実等が見られることは、看過できない。    政府は、独立行政法人運営の大部分が国からの運営費交付金等により行われている実態にかんがみ、原則一般競争入札の徹底及び随意契約受注企業への天下りの抑制、事業実施に当たって収益見込み等の一層厳格な審査による政府出資金の欠損の最小化に努めるよう、指導すべきである。  3 特別会計については、歳出規模が純計額で前年度を上回り二百二十五兆円余と一般会計を大きく上回っており、依然として多くの特別会計において、不要不急の事業の実施や多額の積立金・資金、不用・剰余金を抱え、一部は引き続き増加傾向にあることは、看過できない。    政府は、各特別会計事務事業見直しに加え、右の各種の余剰資金の縮減、一般会計への繰入れ・繰戻し、事業の実態に即した適切な予算計上を行うなど、透明化のため、一層目に見える改善に努めるべきである。  4 国が公益法人等補助金等を交付して設置造成させている資金等について、本院からの要請に基づき会計検査院会計検査をした結果、平成十六年度末時点で設置されている百十六資金のうち、食品流通構造改善対策債務保証事業基金を始めとする三十三資金において、事業実績が継続的に少ない状況となっている等の問題点指摘され、その上、平成十二年度決算検査報告でも指摘をされながら依然として事態が好転していない資金があったことは、遺憾である。    政府は、これら三十三資金についてはもとより、行政改革の一環として見直し方針が示されている公益法人等が行う政策金融類似業務も含めて、事業を継続実施することの必要性、ニーズに即した事業内容及び利用条件、需要に応じた資金規模等の検討を行い、事業の終了や資金の国庫返納も含めた所要の措置を積極的に講ずるとともに、今後の資金事業の実施に当たっては、目標達成度を測るための基準の設定やサンセット方式の導入など、定期的に見直しを行う体制を整備すべきである。  5 防衛施設庁において、同庁幹部が特定の建設業者に業務を受注させるため、当該業者と共謀して他の業者に高い入札金額で入札させて公正な価格を害し、刑法の競争入札妨害罪で逮捕されるに至ったことは、極めて遺憾である。また、同庁所管の公益法人「防衛施設技術協会」に多数のOBがいったん再就職し、自衛隊法で営利企業等への再就職を規制している離職後二年間を経過した後、関連建設業界に次々と天下っている事実が明らかになったことは、看過できない。    政府は、防衛施設庁の官製談合のみならず、日本道路公団や新東京国際空港公団が発注した工事における官製談合事件の摘発が相次ぎ、官製談合の排除の徹底が強く求められている現状を踏まえ、一般競争入札の一層の拡大、公益法人への天下りの自粛など、抜本的に官製談合の再発防止策を講ずべきである。  6 日本郵政公社の複数の郵便局において、郵便料金の別納制度等を悪用して、特定のダイレクトメール発送代行会社等に対して料金の不正値引きを繰り返し、多額の損失を発生させている事実が次々と明らかになったことは、極めて遺憾である。また、冊子小包の取扱いについて不適切な事例が見られることは、遺憾である。    政府は、これまでも郵便の別納制度等をめぐる不正が生じてきたことを重く受け止め、日本郵政公社に対して、法令順守の徹底、内部監査の更なる充実、この種事案の再発防止に向けた運用改善の具体的取組を強く求めるべきである。  7 日本放送協会(NHK)において、近年、相次ぐ不祥事により国民・視聴者の信頼を大きく失墜させ、受信料不払い急増など受信料制度の根幹を揺るがしかねない事態を招いたことに加えて、今般、新たに職員の度重なる架空出張による公金横領が発覚し、再び国民・視聴者の信頼を損ねたことは、極めて遺憾である。また、受信料支払いを法律で義務付けるとの議論がある一方、NHK関連団体に多額の余剰金が積み上がっている事実は、看過できない。    政府は、NHKの度重なる不祥事を重く受け止め、NHKに対して、綱紀粛正、内部監査の更なる充実によるこの種事案の再発防止に向けた取組、及びNHK関連団体が保有する多額の余剰金の見直しの検討を強く求め、国民・視聴者の信頼回復に努めるべきである。  8 航空機を利用した出張に係る旅費について、税関や都道府県労働局では、実際には割引運賃の航空券を購入しているにもかかわらず、これより高額の航空賃を支払ったとする領収証を旅行業者等から受領するなどして、国費が過大に支給されるという事態が多年にわたり生じていたことは、誠に遺憾である。    政府は、各府省等における出張に係る旅費の支払の際には、証明資料の確認を強化するなど、この種事案の再発防止に努めるとともに、公金等に対する意識の徹底のための取組を強化し、国民の信頼回復に万全を期すべきである。  9 独立行政法人日本スポーツ振興センターが運営するスポーツ振興くじ(いわゆる「toto」)については、売上実績が当初の目標を下回り、その目的であるくじ収益からスポーツ振興事業への助成も少額にとどまっている上に、くじの販売業務等の委託経費により生じた累積欠損金が多額に上り、また、運営状況及び財政状況が財務諸表に適切に反映されていなかったことは、看過できない。    政府は、独立行政法人日本スポーツ振興センターに対して、累積欠損金の解消に向けた現実的で国民の理解を得られる対応を求め、その負担が国民に及ぶことがないよう尽力するとともに、「toto」の制度そのものの在り方を再検討すべきである。  10 社会保険庁は、市町村から国への保険料収納事務移管後六割台に低下した国民年金保険料の納付率を、平成十九年度に八割にすることを目標にその向上に努めているところであるが、大阪府内を始め各地の社会保険事務所等において、国民年金保険料の未納者から保険料の免除あるいは猶予の申請がないにもかかわらず、不正に保険料の免除手続等が行われ、かつ、社会保険庁が累次にわたって内部調査を行った際には、複数の社会保険事務局から不正行為を隠蔽する虚偽報告が行われるなど、不正な免除手続の実態が次々と発覚したことは、極めて遺憾である。    政府は、未納者の増加の背景には平成十四年度制度変更及び不況等による多数の勤労者の厚生年金から国民年金への移動があった事情も考慮し、高齢者の生活の基礎的部分を担う公的年金の保険料収納において、かかる事態が生じたことを重く受け止め、職員の意識改革及び内部規律の遵守を徹底し、収納事務の適正な執行を図るとともに、国民年金制度に対する国民の理解の向上に努め、未納者の実情を熟知する市町村との協力をさらに強めるなど、国民年金保険料の納付向上及び減免制度の周知徹底による真に納付不能な人の救済に一層努力すべきである。  11 厚生労働省において、広島労働局における不正経理を受け、全国の都道府県労働局に対し特定監査を行い兵庫労働局における旅費等の不正支出を発見したが、その後の警察の捜査により特定監査で判明した以外にも同労働局において多額の不正経理が行われていたこと等が明らかとなった。さらに、会計検査院検査において、北海道労働局ほか五労働局においても、庁費、謝金、旅費等の不正支出や職員による国庫金の領得などの事態が見受けられたことは、極めて遺憾である。    政府は、特定監査において北海道労働局等における不正支出等を確認できなかったこと、並びに二年続けて都道府県労働局に係る警告を受けたことを重く受け止め、都道府県労働局に対する監査体制の一層の充実を図るとともに、会計経理の適正化、倫理の徹底及び綱紀の粛正についての指導監督に努めるべきである。  以上でございます。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  158. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 速記を始めてください。  それでは、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  159. 藤末健三

    ○藤末健三君 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました平成十六年度決算外二件に対し、その是認に反対するとともに、委員長提案の内閣に対する警告案並びに内閣及び会計検査院に対する措置要求決議案に賛成する旨の討論を行います。  平成十六年度決算の是認に反対する第一の理由は、財政の悪化に歯止めが掛からず、とりわけ多額の国債発行により国の借金を一段と膨らましたことであります。  平成十六年度の公債発行は三十五兆四千八百九十九億円になります。当初予算に比べれば若干減少したものの、これは過去二番目に多額の発行となりました。そのため、公債依存度は三年連続で四〇%を超え、平成十六年度末の公債残高は約五百兆円、国と地方を合わせた長期債務残高は何と七百三十兆円と、国内総生産の約一・五倍に達しています。  このような危機的財政状況に至らしめました現内閣責任は極めて重いものであります。  反対する第二の理由は、このような危機的状況にもかかわらず、政府は予算執行において無駄遣いをなくすという意識があるのか甚だ疑問であるということです。  これは、本決算委員会においても度々取り上げられました各省庁随意契約の問題に顕著に表れています。会計法により、契約は複数の業者が参加する一般競争入札に付することとされています。しかしながら、平成十六年度中央省庁が実施した五百万円以上の契約のうち、何と七割が特定の業者と契約をする随意契約であります。特に、省庁が所管する公益法人との間では極めて高い割合で随意契約が行われています。  そして、一方で、その法人に多数のOBが天下りをしている例がこの決算委員会指摘されています。この随意契約と天下りの構図の中で、大切な税金が垂れ流され、その行き着いた先が防衛施設庁における官製談合事件であります。このような状況を野放しにしてきた現内閣には強い反省を求めなければなりません。  そして、反対の第三の理由は、こうした財政運営随意契約を始めとする無駄遣いにより生じた負担を国民地方に押し付けているということであります。  国民に対しては、税制面では、お年寄りの税額控除の廃止、年金課税の強化などのほか、年金保険料の引上げも行いました。また、地方に対しては、中央政府から地方政府への交付税を大幅に削減しました。このため、地方においては、コスト削減努力だけでは予算が編成できないという自治体も生じております。このように、政府の失敗のツケを国民地方に押し付けたことは断じて容認できません。  以上が平成十六年度決算の是認に反対する理由であります。  また、国有財産関係二件については、財政再建に不可欠な国有財産売却の努力が不十分であること、会計検査院指摘した国有資産等所在市町村交付金の交付ミスなどに表れているように、国有財産の管理に不備があったことから、是認に反対いたします。  内閣に対し警告すること及び措置を要求することについては、適正な内容であり、賛成いたします。これらの内容が完全に政府の施策に反映することを強く望みます。  平成十六年度決算に関しては、政府において取りまとめられ次第早期に審査に着手する必要があるとの問題意識から、平成十五年度決算審査に入った時期よりも早い十一月十七日に実質的な審議を開始しました。以来、無駄遣いの温床となっている、離れでステーキを食べているとやゆされた特別会計や、まだその評価、監視が十分でない独立行政法人についての参考人質疑など、多様な議論が精力的に行われました。  平成十六年度決算の審査が四年連続して通常国会会期中に終了したこと、平成十五年度決算審議に引き続き警告案、措置要求決議、国会法第百五条に基づく会計検査院への検査要請が取りまとめられたことは、税金の無駄遣いをきちんとチェックする本決算委員会の審査の充実を物語るものであります。委員長以下、関係各位の御尽力に敬意を表するものであります。  平成十六年度決算の審査結果、特に警告案及び措置要求決議において取り上げられた事項が確実に平成十九年度予算編成に反映されること、そして依然として深刻な状況にある我が国財政改善の一助となることを強く要望して、私の討論を終わらさせていただきます。
  160. 国井正幸

    ○国井正幸君 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました平成十六年度決算外二件に対し、是認することに賛成するとともに、委員長提案の内閣に対する警告案並びに内閣及び会計検査院に対する措置要求決議案に賛成の意を表するものであります。  是認に賛成する理由の第一は、我が国の厳しい財政状況等を踏まえ、適切な経済財政政策運営が行われたことであります。  平成十六年度当初予算は、歳出全体にわたる徹底的な見直しを行うなど引き続き改革断行予算を堅持する一方、科学技術や治安対策など、活力ある社会経済の実現や国民の安心の確保に配慮し、めり張りある予算配分を行い、一般会計歳出及び一般歳出を実質的に前年度水準以下に抑制いたしました。  是認に賛成する理由の第二は、構造改革の取組強化が図られたことであります。  官から民へ、国から地方への基本考え方の下、年金を始め社会保障制度改革や国と地方改革など、各種の制度、政策を見直し補助金改革地方交付税改革及び税源移譲を含む税源配分見直しのいわゆる三位一体改革を進め、また金融再生プログラムなどを通じて不良債権問題正常化への着実な進展が見られるなど、日本経済の再生に向けた取組が積極的に推進されたことであります。  是認に賛成する第三の理由は、経済運営を始めとする適切な諸政策の成果により、バブル崩壊以降我が国経済に重くのし掛かっていた設備、雇用、債務の三つの過剰が解消に向かうなど好循環の兆しが見られ、景気回復局面が続いたことであります。  平成十六年度国内総生産は名目で四百九十六兆二千億円となり、経済成長率は実質で年率一・七%と堅調に推移し、完全失業率も四・六%と前年より〇・五%改善するとともに、税収も企業収益の改善を背景に大幅に増加し、四年ぶりに前年度実績を二兆三千六十六億円上回る総額四十五兆五千八百九十億円になるなど、明るい兆しが見られました。こうした景気回復の着実な進展は、平成十六年度経済財政政策運営が適切であったことを何よりも証明するものであります。  以上、是認に対する賛成理由を述べてまいりましたが、厳しい財政状況に基本的な変化はなく、政府は引き続き規律ある財政運営と予算の適正な執行に努める必要があります。  しかしながら、平成十六年度の決算検査報告には依然として不適切な経理など多くの不当事項が繰り返し指摘されており、極めて遺憾であります。政府に対し、改めて深い反省と再発防止のための徹底した改善措置の実施を強く求めるものであり、この観点から、内閣に対する警告案並びに内閣及び会計検査院に対する措置要求案に対して賛成の意を表するものであります。  当委員会においては、昨年秋以降、決算の概要説明を聴取し、実質的に決算内容を踏まえた質疑や視察を積極的に行うなど、決算審議をより実りあるものとするための努力をしてまいりました。  私ども参議院は、今後とも決算審査の充実に向けて一層の努力をすることをお誓いを申し上げ、私の賛成討論といたします。
  161. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、日本共産党を代表して、二〇〇四年度決算の是認に反対するとともに、国有財産増減及び現在額総計算書の是認に反対、国有財産無償貸付状況計算書の是認に賛成、また、措置要求決議案及び内閣に対する警告案に賛成することを表明して、討論を行います。  まず、二〇〇四年度決算の是認に反対する第一の理由は、決算と表裏一体の関係にある二〇〇四年度予算の問題です。二〇〇四年度予算は年金保険料の引上げや庶民増税など、向こう十数年にわたる国民負担増のレールを敷く連続負担増予算で、〇四年度から〇六年度までの三年間で三兆円の負担増となります。地方自治体への一兆円補助金削減も、義務教育や公立保育所などの国の義務的負担を削減し、地方自治体と住民にツケを回し、住民サービスの低下をもたらすものです。  この結果、〇四年度は勤労者世帯の実収入は前年度比で二・四%減、消費支出は名目で〇・一%減、完全失業者は二万人増加で約三百万人、企業倒産も負債総額一千万円以上で一千百十四件、前年度比四・七%増との結果となり、国民生活に著しい悪影響を与えました。  第二に、大企業奉仕や公共事業の浪費の仕組みが温存されたままで、国債新規発行は決算ベースで史上最高となり、財政破綻をますます進行させるものであります。  例えば、五・七兆円にも及ぶ道路特定財源を温存し、新直轄方式による高速道路建設を更に推進する道筋をつくったことにより、巨額の債務のツケを将来の国民に回すことになりました。こうした結果、国の長期債務残高は小泉内閣発足から〇四年度末までに約七十三兆円増加し、五百六十四兆円の規模まで増加させたもので、政府責任は重大です。  第三に、イラク戦争の大義や自衛隊派兵の前提が明白に崩れたにもかかわらず、米の占領政策への支援を中心としたイラク復興支援経費、自衛隊派兵に要する経費を組んだことであります。米の侵略戦争とイラク支配に加担するこれらの経費は削除すべきであります。  この間の決算審査を通じても、随意契約問題の是正や米軍の思いやり予算の問題等を取り上げてまいりましたけれども、こうした無駄を削って福祉、教育に回すことなど、来年度の予算編成にしっかり生かすべきではないでしょうか。  次に、国有財産増減及び現在額総計算書は、二〇〇四年度予算の執行結果を国有財産の増減として集約したものであり、その内容として国有財産の増加分のうち自衛隊の艦船、航空機の新造や購入が突出しており、これを是認することに反対であります。  なお、国有財産無償貸付状況計算書は、国有財産を公園、緑地等に使用する目的地方公共団体に無償で貸し付ける制度の意義を認め、是認に賛成することを申し上げ、討論を終わります。
  162. 又市征治

    ○又市征治君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、二〇〇四年度各会計決算の是認に反対、警告決議に賛成、国有財産増減及び現在額総計算書の是認に反対、その他の諸議決に賛成の立場から討論を行います。  二〇〇四年度は、まず予算において地方が悲鳴を上げた交付税、補助金削減という改悪、物価スライドによる年金支給の引下げ、厚生年金保険料の引上げ、基礎年金の国庫負担率の二分の一への引上げの先送りなど、国民への犠牲と痛みの強要が際立つばかりであり、景気回復を一層長引かせるものでした。  また、自衛隊のイラク派兵、ミサイル防衛システム関係費が新たに盛り込まれるなど、予算上も対米追随を一層強めるものでした。  そして、決算審査の中では、公共調達において、随意契約が件数ベースで平均で七割、省庁によっては八割、九割を占めており、入札を原則とするという法令がほとんど空文化していること、随意契約は当該省庁所管の公益法人等との間で多く、これが幹部職員の天下りと連動して、不要不急事業調達、国費の無駄遣いの構造を作り上げてきたこと、また、随意契約民間企業との間でも多く、複数の省庁において、金額ベースで七割、八割をIT企業が占め、内容や金額の妥当性が疑われること、特別会計は各省庁の既得権益と化し、政府出資を毀損したり、多額の積立金資金を蓄積し、また、繰り返し不用、繰越し、剰余金を放置しているという会計検査院や我が党の度重なる指摘にもかかわらず、改革の着手が遅れてきたことなどが明らかになり、警告決議にも盛り込まれているところです。  なお、国民年金保険料の免除該当者に対して、本人の同意なく免除手続をした事案は、背景に市町村委任事務を国に吸い上げてしまい、納付義務者との関係を自ら断ち切った制度的失策とリストラを奨励する経済社会政策の下で、多数の勤労者を失業、倒産、非正規労働などに追い込み、納付困難な状況を作り出した政府政治責任に留意し、減免制度を正しく周知、適用していく必要があり、この点が警告決議案触れられたところです。  国有財産の増減は、工作物、船舶、航空機の増加が主として基地や武器など防衛費関係であったこと、また政府出資で増と減が入り組んで計上されましたが、道路公団等の民営化や独法化によるものが中心で、国有財産を国民の監視から遠ざける上、回収、再評価の際の減額、再び出資するなど、手続も不透明であり、是認に反対いたします。  以上申し上げ、私の反対討論を終わります。
  163. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決を行います。  まず、お手元に配付の平成十六年度決算審査措置要求決議案につきまして、本委員会の決議とすることに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  165. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  次に、平成十六年度一般会計歳入歳出決算平成十六年度特別会計歳入歳出決算平成十六年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成十六年度政府関係機関決算書の採決を行います。  第一に、本件決算は、これを是認することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  166. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 多数と認めます。  第二に、内閣に対し、先刻朗読のとおり警告することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  167. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 全会一致と認めます。よって、平成十六年度決算につきましては、多数をもってこれを是認することとし、内閣に対し、先刻朗読いたしましたとおり警告すべきものと議決いたしました。  次に、平成十六年度国有財産増減及び現在額総計算書の採決を行います。  本件につきましては、これを是認することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  168. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。  次に、平成十六年度国有財産無償貸付状況計算書の採決を行います。  本件につきましては、これを是認することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  169. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。  なお、これらの案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、平成十六年度決算審査措置要求決議及び内閣に対する警告について関係国務大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。まず、谷垣財務大臣
  171. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ただいまのIT調達に係る契約在り方について、特別会計積立金の一層の活用方策の検討について及び分かりやすい政府会計への取組についての審査措置要求決議につきまして、適切に対処いたしますとともに、公共調達随意契約割合の是正について、特別会計見直しについて、公益法人等の資金の見直し及び事業の再点検について及び出張に係る旅費の過大支給の再発防止についての警告決議につきましては、御趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいる所存であります。
  172. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 次に、安倍内閣官房長官
  173. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) ただいま議決されました防衛施設庁を始めとする官製談合の排除と公益法人への天下りの是正についての警告決議につきましては、御趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいる所存であります。
  174. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 次に、中馬国務大臣
  175. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) ただいまの公務員の早期勧奨退職慣行の見直し等、公務員制度改革につきましては、審査措置の要求決議につきましては、御趣旨を踏まえ、適切に対処してまいる所存であります。
  176. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 猪口内閣特命担大臣
  177. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) ただいまの少子化対策及び男女共同参画推進に関し一元的に決算状況を把握する必要性についての審査措置要求決議につきましては、予算書と決算書の見直し状況を踏まえながら、適切に対処してまいる所存でございます。
  178. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 竹中総務大臣
  179. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ただいまの独立行政法人業務運営等見直しについて、公益法人の設立認可及び指導監督基準の運用指針の見直し必要性について及び地方自治体、独立行政法人におけるITシステムの見直しについての審査措置要求決議につきましては、適切に対処してまいります。  独立行政法人における随意契約及び天下りの是正等、事業見直しについて、郵便及び小包の不適正取扱いについて及びNHKの不祥事、関連団体が保有する多額の剰余金の見直しについての警告決議につきましては、御趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいる所存であります。
  180. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 麻生外務大臣
  181. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) ただいま議決されましたODA案件の調査についての審査措置要求決議につきましては、適切に対処いたします。
  182. 中島眞人

  183. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) ただいまのスポーツ振興くじの累積債務の解消についての警告決議につきましては、御趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいる所存であります。
  184. 中島眞人

  185. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ただいまの年金福祉施設等の整理合理化についての審査措置要求決議につきまして、適切に対処いたしますとともに、社会保険庁における年金保険料の不正免除の問題について、都道府県労働局における不適正経理についての警告につきましては、御趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいる所存であります。
  186. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 次に、大塚会計検査院長
  187. 大塚宗春

    会計検査院長(大塚宗春君) ただいまの会計検査院の独立性の確保及び随意契約見直しについての審査措置要求決議につきまして、御趣旨を踏まえ、適切に対処してまいる所存であります。
  188. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 以上をもちまして関係国務大臣等の発言は終了いたしました。  財務大臣以外の国務大臣は御退席いただいて結構です。     ─────────────
  189. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 会計検査要請に関する件についてお諮りいたします。  国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査のため、会計検査院に対し、お手元に配付のとおり、各府省等が締結している随意契約の状況について、政府開発援助の無償資金協力及び技術協力における契約入札手続等について及びNHKの不祥事、関連団体の多額の余剰金について会計検査を行い、その結果を本委員会に報告するよう議長を経由して要請いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十七分散会