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2006-05-10 第164回国会 参議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月十日(水曜日)    午後一時三分開会     ─────────────    委員異動  四月二十七日     辞任         補欠選任         西銘順志郎君     松田 岩夫君  四月二十八日     辞任         補欠選任         松田 岩夫君     西銘順志郎君  五月九日     辞任         補欠選任         小林美恵子君     仁比 聡平君  五月十日     辞任         補欠選任         簗瀬  進君     前川 清成君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中島 眞人君     理 事                 国井 正幸君                 小池 正勝君                 武見 敬三君                 直嶋 正行君                 松井 孝治君                 山下 栄一君     委 員                 荒井 正吾君                 田浦  直君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 西銘順志郎君                 野村 哲郎君                 森元 恒雄君                 山内 俊夫君                 山本 順三君                 尾立 源幸君                 加藤 敏幸君                 神本美恵子君                 佐藤 雄平君                 谷  博之君                 那谷屋正義君                 藤末 健三君                 前川 清成君                 和田ひろ子君                 高野 博師君                 西田 実仁君                 仁比 聡平君                 又市 征治君    国務大臣        法務大臣     杉浦 正健君        国土交通大臣   北側 一雄君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        沓掛 哲男君    副大臣        国土交通大臣  松村 龍二君    大臣政務官        財務大臣政務官  野上浩太郎君         ─────        会計検査院長   大塚 宗春君         ─────    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局経理局長   小池  裕君        最高裁判所事務        総局刑事局長   大谷 直人君    事務局側        常任委員会専門        員        桐山 正敏君    政府参考人        警察庁長官官房        長        安藤 隆春君        警察庁刑事局長  縄田  修君        警察庁交通局長  矢代 隆義君        金融庁総務企画        局総括審議官   中江 公人君        金融庁総務企画        局審議官     畑中龍太郎君        金融庁総務企画        局審議官     谷口 博文君        総務省行政評価        局長       福井 良次君        消防庁次長    大石 利雄君        法務省民事局長  寺田 逸郎君        法務省刑事局長  大林  宏君        法務省入国管理        局長       三浦 正晴君        外務大臣官房国        際社会協力部長  神余 隆博君        財務大臣官房審        議官       青山 幸恭君        財務省主計局次        長        鈴木 正規君        文化庁次長    加茂川幸夫君        厚生労働大臣官        房審議官     松井 一實君        厚生労働大臣官        房審議官     御園慎一郎君        厚生労働省職業        能力開発局長   上村 隆史君        国土交通大臣官        房長       春田  謙君        国土交通大臣官        房審議官     小野 芳清君        国土交通省総合        政策局長     竹歳  誠君        国土交通省国土        計画局長     小神 正志君        国土交通省土地        ・水資源局長   阿部  健君        国土交通省都市        ・地域整備局長  柴田 高博君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君        国土交通省鉄道        局次長      大口 清一君        国土交通省自動        車交通局長    宿利 正史君        国土交通省港湾        局長       鬼頭 平三君        国土交通省航空        局長       岩崎 貞二君        国土地理院長   矢口  彰君    説明員        会計検査院事務        総局次長     石野 秀世君        会計検査院事務        総局第一局長   諸澤 治郎君        会計検査院事務        総局第三局長   高山 丈二君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十六年度一般会計歳入歳出決算平成十六  年度特別会計歳入歳出決算平成十六年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十六年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十六年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十六年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)  (法務省国土交通省警察庁裁判所及び住  宅金融公庫の部)     ─────────────
  2. 中島眞人

    委員長中島眞人君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨九日、小林美恵子君が委員辞任され、その補欠として仁比聡平君が選任されました。  また、本日、簗瀬進君が委員辞任され、その補欠として前川清成君が選任されました。     ─────────────
  3. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 平成十六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、法務省国土交通省警察庁裁判所及び住宅金融公庫決算について審査を行います。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 中村博彦

    中村博彦君 二十一世紀に向けた日本の取組の中で最も後れているのが人の受入れ策であります。一九九〇年の出入国管理難民認定法改正以来、ほとんど国の統一的な意思は示されておりません。  また一方、この二十一世紀グローバル化が一段と進んでおります。物、金だけでなく人のグローバル化を前提とした基本戦略が本当に必要になってきておるわけでございます。  しかしながら、先ほど申したように、一九九〇年の入管法改正を契機に日系二世や三世の移住が進んでおります。しかしながら、いまだに政府の一元的な管理は行われておりません。ここで、本当に真剣に人の移動ということを再構築しなくてはいけないときが来ておるのでないかということでございます。  浜松市は、人口八十万のうちに三万人が外国人でございます。人口の約四%が外国人が居住をいたしております。その浜松市の調査によれば、五〇%の近い外国人の方が健康保険の無保険者だそうであります。また、滞在期間が十年以上の方が四一%以上と、こういうような町が多く日本国内に出ておるわけでございます。  外国人登録証の在り方、外国人登録証入国時に登録をいたします。よって、転居後の変更登録がなされないために統一的な行政のサービスを含む管理がなされていないというのが現況でございます。このような外国人による問題が生じて、大きな悲鳴になっておる都市が多く出てきておるわけでございます。  それとまた同時に、人口減少社会生産労働人口減少というところから、労働力不足に苦しむ企業が多く出てきておるわけでございます。今、日本には約二百万人の方が訪れておるわけでございます。九〇年が百万人、二〇〇四年は二百万人の方が雇用という形の中で受け入れられておるわけでございます。そのような中で、今緊急に私たちはこの外国人労働者受入れを早急に立ち上げていかなくてはいけないのでないかと、こういうことをまず問題提起をさせていただくわけでございます。  そして、御存じのとおり、在留資格の問題がございます。そのような在留資格を含めた、今申し上げました現状認識について、入管局長がどのようにお考えになっておられるか、お答え願いたいと思います。
  5. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 我が国におきます外国人受入れ政策につきましては、専門的、技術的分野外国人の積極的な受入れということを中心にして進められているところでございまして、入管法におきましても、必要な在留資格につきましてこれの整備を図っているところでございます。
  6. 中村博彦

    中村博彦君 今何を言ったか分かりませんが、どちらにしても先ほど申したこの日系二世や三世が就業制限のない定住者になっておるわけでございます。そういう問題点。そして、先ほども申し上げたように、健康保険がない、市民権が得られていないというような現状が執り行われておるわけです。  そういうものに対する御認識、まあ法務大臣、お答えいただけるのであれば、そのような全般的な御認識のお答えをいただけたら有り難いと思います。
  7. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 外国人労働者と申しますか外国人受入れ先生外国人労働者の問題に触れておられると思うんですが、この問題についての所管官庁は多岐にわたっております。  我が省は、先ほどお触れになりましたが、出入国管理基本計画というのを五年ごとに策定しておりまして、現在は第三次出入国管理基本計画というものを策定して受入れ管理適正化を図っているわけですが、これは、外国人労働者問題関係省庁連絡会議、これは昭和六十三年五月十三日に発足いたしまして、関係省庁官邸にできております。議長内閣官房長官補議長が内政、構成員が外政、そのほかメンバーは、官房内閣審議官内閣府政策統括官警察庁総務省法務省外務省財務省文科省厚生労働省、農林水産省、経済産業省国土交通省、それぞれ局長クラスメンバーになった会議で、我が国国際化進展等の観点から外国人労働者受入れ範囲拡大円滑化が要請される一方、外国人不法就労等が社会問題化している現状にかんがみ、外国人労働者受入れ範囲拡大是非、拡大する場合、その範囲及び受入れ体制整備等外国人労働者中心とする外国人受入れに関する諸問題を検討するために設置するということで設置され、検討を進めておるところでございます。  この出入国管理基本計画もこの議を経て策定されたものでございまして、現在、先ほど入管局長が申しましたように、我が国が必要とする外国人の円滑な受入れを行っていくと。そして、専門的、技術的分野における外国人労働者受入れについては基本的に受け入れる方向で種々の施策を講じると。高度人材受入れは促進すると。ただし、単純労働者については引き続き検討するという基本的方針でやっておるところでございます。  先生のおっしゃる、御指摘されるような問題がいろいろと起こっておることは事実でございまして、政府として一元的に対応することが必要であるというふうに私も思っております。この官邸における連絡会議中心にいたしまして、今後とも外国人労働者受入れ問題については検討を進めていくべきだと思っております。  なお、平成十七年六月、犯罪対策閣僚会議におきまして、内閣官房外国人在留管理に関するワーキングチームが設置されまして、外国人在留情報の把握と在留管理の問題についても検討が行われております。  法務省としては、これらの会議に参加いたしまして検討を行っているところでございます。今後とも、関係省庁と緊密に連絡を取りながら、外国人労働者受入れ問題について考えてまいる所存でございます。  なお、省内に、外務大臣を長とする外国人問題検討プロジェクトチーム大臣就任早々立ち上げまして、省内的にも様々な角度から検討を行っておるところでございます。  先生のおっしゃられるような各省庁における政策政府として一元的に管理するところまで行けるかどうかは別といたしまして、一元的に政府として方針を出し実施していくことは非常に大切なことだという認識を私としては持っております。
  8. 中村博彦

    中村博彦君 入管行政を預かる大臣が積極的な御発言をいただきましたので、感謝を申し上げたいと思います。  それでは、続きまして、現在FTA交渉の中で日比間、また日本インドネシア間で、御存じのとおり、介護職看護職受入れ協定が順次煮詰まってきておると聞いてございます。私が聞いておる範囲では、フィリピンに関しては、三年間の実務経験として介護施設で受け入れる、また介護福祉養成施設で二年間勉強して資格を取得するという二つのコースが設定されておるそうでございます。  どのような今動きになってきているのか、そしてどのような形で体制を整えていくのか、そして、聞くところによると当然言語の問題もございます。それと、我が国介護福祉士資格という資格の問題もございます。そういうものがスムーズに取れる体制ができてきているのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  9. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 今先生御質問の資格関係につきましては厚生労働省所管だと承知しておりますが、ちょっと今日お見えになっていないようでございますので、入管局から便宜分かる範囲で答えさせていただきます。  現在、先生指摘のとおり、日比その他との間で経済連携協定、いわゆるEPAでございますが、この交渉が行われておるわけでございます。これは外務省交渉の担当ということになるわけでございますが、私ども伺っている範囲におきましては、かなり人移動関係につきましても特に日比間でその交渉が煮詰まってきているのではないかというふうに伺っております。その中に、介護福祉士看護師受入れの問題も含まれているというふうに聞いております。  私ども入管の立場といたしましては、仮にこういった形で協定が成立いたしまして、看護師介護士予備軍といいますか、これから日本資格を取られるというような方が日本に来られるということになりますと、当然、そういう方々に対しまして、適切な在留管理ですとかをした上で、不法就労不法残留といった問題も生じないような形の手当てをする必要があるわけでございますし、それ以前に、そういう方々についてどういう在留資格をもって対応するかということも考えなければいけないという状況にございます。現時点におきましては、いわゆる特定活動という在留資格がございますが、この資格をもって対応をするということを考えている現状にございます。  以上でございます。
  10. 中村博彦

    中村博彦君 御存じのとおり、中心的には上村局長のところでされておるようでございますが、ひとつ前向きのお願いをいたしたいと、このように考えております。  御存じのとおり、三K職場といいますか、本当によく話が出るわけですけれども、我々今介護現場でも、緊急に調査をしてみますと、看護師、正看護師でございますけれども、緊急でございましたので二百四施設しかしてございませんけれども、その施設でやや困難と、採用見込みが、やや困難が四十一施設、絶対困難九十五施設、どうにかなるというのが八施設でございます。このような今状況下であるわけでございます。  それからまた、同時に、大臣是非認識願いたいんですけれども、今、介護保険が順次進んでございます。そして、高齢化の中でございます関係で、現在の介護職員介護に携わっておられる方は約六十五万八千人と言われております。この六十五万八千人が二〇一四年、十年後、今の統計が二〇〇四年でございますから、十年後には百万を超えると言われておるわけでございます。もちろん、日本若年労働者に対しての啓発、ニート対策、いろいろな掘り起こしというものがあることは事実でございますけれども、これだけの介護職員介護看護従事者というものが必要になってきているということでございます。  そして、現在の介護現場での定着率というのは大変低うございます。離職率が三割を超えておる現況でございます。三年たてばほぼ一巡してなくなると、こういうような状況でもあるわけでございまして、こういう流れの中にあって、介護福祉士在留資格については、このFTA交渉流れの中にあってどのように引き受けていくのかということでございます。  これはもう私が申し上げるまでもなく、御存じのとおり、この出入国法の第七条においては、法務大臣が定める在留資格によれば、法律上資格を有する者が行う医療に係る業務に従事する活動として、医師歯科医師保健師看護師准看護師等十四の職種皆さん方には在留資格が認められているわけでございまして、正に看護介護職専門性が高く必要になってきておる現況として、大臣の方から、この在留資格、前向きな御答弁をお願いいたしたいと思います。
  11. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) お答え申し上げます。  先ほども御答弁申し上げましたが、現在、日比経済連携協定で、介護福祉士看護師受入れ協議が行われているところでございますけれども、今委員指摘の点は、介護福祉士という資格を持たれた方の外国の方につきまして、看護師医師と同じような形で新たな在留資格を創設してはいかがかと、こういう御趣旨かというふうに思うわけでございますけれども、現在、医師看護師等につきましては、医療という在留資格の中で対応しているわけでございますが、介護福祉士の方につきましては、この医療在留資格には入っていないわけでございます。  それで、我が国介護福祉士資格を有する外国の方が我が国において就労できるような在留資格を新たに創設するということにつきましては、今後、正にEPAで今協議が行われているところでございますので、これの状況等を十分踏まえた上で検討をする必要があるんではないかと考えておるところでございます。
  12. 中村博彦

    中村博彦君 それじゃ、続いて、外国人技能実習制度についてお聞かせ願いたいと思います。  現実に、我が国労働力不足を補うものとして外国人研修制度技能実習制度が存在してございます。一年間の外国人研修制度、そして終了した者が二年間の技能実習制度、結果として三年の在留が認められている制度がございますが、現在、これらの制度研修生実習生がどのような今状況にございますでしょうか。
  13. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 入国状況等というふうに御理解して御説明したいと思いますけれども、まず技能実習生研修新規入国をしてまいりまして、研修終了技能実習へ移行するわけでございますが、この数について申し上げますと、研修目的とした新規入国者数の推移は平成十六年が七万五千三百五十九人、十六年の技能実習への移行申請者数は三万四千八百十六人という状況でございます。
  14. 中村博彦

    中村博彦君 そして、この外国人技能実習制度の中で中心的に担っておられるのがJITCOという団体でございます。このJITCO団体は、御存じのとおり、財団法人国際研修協力機構という中にございまして、現在、技能実習生受入れを行っておるわけでございますけれども、研修実習を行っておるわけでございますけれども、現在、このJITCO実態というものが研修から技能実習の移行する中で六十二業種、百十四作業が認められておるわけですけれども、この業種というものが妥当なのか。そして、御存じのとおり、我が国技能実習技能移転ということで目的として執り行われておるわけでございまして、帰って、帰国後、技能移転という成果が上がるかどうかというのがポイントになろうかと思いますが、そのような視点からどのようにお考えなのか、御答弁願いたいと思います。
  15. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) まず、職種作業につきましては委員から御指摘のありましたとおりでございますが、これらにつきましては、ニーズにこたえて必要な見直しを行い、順次拡充、拡大してきているところでございます。  それから、制度趣旨にのっとった技術技能移転の件につきましては、その本来の趣旨に沿った活用がされているようにということで努めているところでございますが、その実情についてはまだ十分把握していない、できていないんではないかという御指摘等もございまして、その実情について、今後把握していくようにしているところでございます。
  16. 中村博彦

    中村博彦君 御存じのとおり、今申し上げたように、六十二業種、本当に技能移転という名目で、成立していないような職種というのもあるわけでございますので、総点検をお願いいたしたい。  それと同時に、これなぜ、技能移転ということになれば、その必要な国々から必要なニーズに応じた量的なものが確保されるわけでありますけれども、今なお中国が圧倒的に多い。八割超えた方が中国でございます。そして、御存じのとおり、その次がインドネシア、タイ、ベトナム、フィリピンというような流れになっておるわけでございまして、あくまでも技能移転ということであれば、東南アジアの国々というのは当然必要であろうかと思いますので、その辺の、中国ばかりというようなこのシフトの仕方はなぜなのか、もう一度御検討を願いたい、このように思っておるわけでございます。  そして、このJITCOで受け入れておる団体が、御存じのとおり、現在の日本人の二十歳から二十四歳の賃金でいえば二十一万五千円であります。また、二十五歳から二十九歳では二十六万円の平均賃金をもらっておりますけれども、この技能実習生研修生と違いますよ、技能実習生の手当の総額は十六万三千円しかもらっておりません。そして、平均十一万円から十三万円未満が六一・三%にも上るわけでございます。正に同一労働同一賃金でない、そういう実態が大変多い。これはどこに起因するのか。  恥ずかしいんですけれども、徳島県での外国人実習生労働問題で、違法最悪六十六事業所、このように書かれておるわけでございまして、新聞報道でございますが、何と賃金不払、残業など割増し賃金の不払、最低賃金の不払。そういう安かろう労働というために、本来の目的である技能移転であるこの制度が実質、低賃金外国人労働者雇入れシステムという形になっておるのはどのようにお考えか、入管局長上村局長もお答え願いたい。
  17. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 今委員から御指摘ございましたように、技能実習生支払賃金額については、JITCO調査に基づいたものでございますが、委員からお話のありましたように十六万三千円ということになっております。  ただ、技能実習制度につきましては、法務省の告示におきまして、日本人が従事する場合に受ける報酬同等額以上の報酬を受けることとされておりまして、また当然、労働保護法制最低賃金法を始めとする各種の法令の適用があることにはなっておりますので、その適正には努めていきたいというふうに思っております。  それから、御指摘ありましたように、平成五年から実習制度がスタートした中で、今お示しされましたような報道等にありますように、賃金や時間外割増し賃金の不払、あるいは三六協定の不締結、そういった基準法違反の問題等も見られるところでございまして、これにつきましては関係省庁と連携を取りながらJITCOを通じた巡回指導の強化等によって是正の措置を講ずるよう努力しているところでございまして、今後ともその適正な運用に努めていきたいというふうに思っております。
  18. 中村博彦

    中村博彦君 これは委員長にお願いをいたしたいんですけれども、この外国人実習労働問題、これはすべて全国的に労働局が把握をいたしておりますので、是非資料提出をお願いいたしたいと思います。  それでは、このJITCOが賛助会員という形で企業一万四千六百七十四施設から賛助会費としていただいておるわけでございます。それと同時に、外国人研修生総合保険というのを執り行っておるわけでございますけれども、このような指導的立場のJITCOが、このような賛助会員を募ってそして大きな会費を取り上がっておるところにJITCO問題点がないか、入管局長、お願いいたしたいと思います。
  19. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 賛助会員というシステムがあるということは承知しておるわけでございますけれども、これはそれぞれ任意で行われているものであるというふうに承知しております。  また、仮に問題がもしあるということであれば、私どもも国際研修協力機構につきましては所管省庁になります。これは法務省外務省厚生労働省経済産業省国土交通省、五省庁共管の法人になっておりますけれども、私どもといたしましても、問題がないように、そこら辺は関係省庁とも連携いたしまして、一層の適切な運営をしていただくように努めてまいりたいと考えております。
  20. 中村博彦

    中村博彦君 今申し上げましたように、この低賃金になる理由。低賃金になってまいりますと、これはなぜなるか。企業が、そのような賛助会費だとか外国人研修生技能実習総合保険を掛けておるわけであります。だから、本人に渡る賃金は本当に少なくなっておるわけでございます。  それと同時に、この外国人研修生総合保険と、先ほども申し上げましたように、実質、国として受け入れている実習生に対しては、健康保険、適用されているのか、労災保険が適用されているのか、雇用保険が適用されているのか、本当にこれは整理整とんをしていただきたいということでございますが、どのように現在考えられているか。この任意でつくられた保険と国がつくっておられる健康保険、労災保険、雇用保険等の整理整とんという部分についてはどのようにお考えになっておるか、お答え願いたいと思います。
  21. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 今委員からございました保険でございますけれども、外国人研修生を受け入れるに当たりましては、出入国管理及び難民認定法の規定による省令に基づきまして、受入機関に関して傷害等の保険加入等の保護措置が義務付けられているところでございまして、これは研修生労働者でございませんので、労災保険等の適用がないことに伴う事故等に備えることとしているところでございます。  また、その受入機関が、研修生を対象とした保険でどこに加入するか、それは任意でございますが、その一つとしてJITCO研修生総合保険というものをつくって便宜を図っているというふうに理解しております。  それから、技能実習生に移行した後でございますが、技能実習生労働者でございますので、労働者としての労働保険、社会保険の適用を受けることになりますので、民間保険への加入等は当然のことながら義務付けられているところではございません。  ただ、健康保険の自己負担等、公的な保険制度で給付されない部分について補償の対象とする任意保険が実習生総合保険として用意されているところでございます。
  22. 中村博彦

    中村博彦君 だから、その制度の中に漏れておる実習生があるということでございますから、もう一度時期を見て総点検をお願いいたしたいと、こういうことでございます。  時間がございませんので次々飛ばしてまいりますけれども、この一番の問題点は、今、皆議員さんに回していただいておりますけれども、この民法三十四条法人であるアイム・ジャパンでございます。このアイム・ジャパンは、御存じのとおり初代の理事長はKSDの古関さんが兼務されておったそうでございますけれども、そのまま残っておられるわけでございます。  なぜ中小企業国際人材育成事業団、アイム・ジャパンというのがこのインドネシア、タイを中心にしてのみ存在しているのか、なぜ研修生技能実習生をアイム・ジャパンのみがその権益を持って対応しているのかをお答えを願いたいと思いますが、ちなみに平成十六年は、インドネシアが千四百四十四名、タイが百四十三名、技能実習生が、インドネシアが三千五百三十四名、タイが四十二名であります。そして、このインドネシアのパンフレットを見ますと、インドネシア労働移住省、タイ労働省が直接派遣する政府派遣の研修生であるという位置付けをいたしておるわけでございまして、これらの背景にあるインドネシア政府、タイ政府との両国との協定はどのようになっておられるのか、お知らせを願いたいと思います。
  23. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 今委員からお話のありました中小企業国際人材育成事業団、いわゆるアイム・ジャパンと言っておりますが、これは平成三年に、中小企業の国際化への対応に向けた人材育成及び技術・技能者の交流等に関する事業を行い、我が国の中小企業の発展と国際貢献に寄与することを目的とするということで設立されたというふうに理解しております。  今お話のありましたように、研修生受入れ実績は、十六年度で千五百八十七人、うちインドネシアが千四百四十四人、タイが百四十三人というような数字でございますが、ここが独占的にということではなくて、第一次受入れ機関の一つとして機能しているというふうに理解しているところでございます。
  24. 中村博彦

    中村博彦君 私の言った数字はもう答えなくていいですからね。  だから、なぜこのインドネシアなのかということです。そして、このような特例を認めているわけですから、上村局長、よく聞いてください、特例を認めておるわけですよね。普通、非実務研修は年間四か月と決まっておるわけです。それにもかかわらず、アイム・ジャパンは非実務研修は五分の一でいいと、二・五か月でいいという特例が適用されているわけです。これは一体なぜなのか。特例が適用されている法的根拠はなぜなのか。  そして、先ほども申したように、インドネシア政府との協定の中身を、どのような流れの中で日本インドネシア政府の中で取り交わされたのかを是非聞かしていただきたいということでございます。
  25. 上村隆史

    政府参考人上村隆史君) 後段の方でございますけれども、日本政府としてはインドネシア政府とその関係での協定を取り交わしてはおりません。アイム・ジャパンとインドネシア政府とが取り交わしているというふうに理解しております。
  26. 中村博彦

    中村博彦君 だから、その権益をなぜアイム・ジャパンに渡しておるんでしょうか。
  27. 三浦正晴

    政府参考人三浦正晴君) 具体的にどの国の方がどの第一次受入れ機関によって招聘されるかということにつきましては、それぞれの当事者の契約といいますか、意思の問題であろうと思っておりまして、私どもではその辺りの詳細についてはちょっと承知していない状況にございます。
  28. 中村博彦

    中村博彦君 しかし、これはすべて、杉浦法務大臣、これは皆入管行政から派生しておる問題でございます。そして、先ほども申し上げましたように、この技能実習制度というのは、本国の職種と同じものを日本で習得するということが目的であります。その辺がちゃんとできておるんですね。  やはり、入管行政で特例を与えた以上は、私はこれは絶対に、そういう後々の動きが条件に担保できておるかというのが私は、入管局長、これは責任があると。上村局長の方に任してあるからというのでは、それは、厚生労働省労働省の方がアイム・ジャパンの理事長をされておるようでございますが、昨日も是非お出まし願いたいということでございましたけれども、御健康の今現状として大変ということでございましたので上村局長がすべてお答えをするということで了承をしたわけでございますので、その辺を是非お願いをいたしたい。  そして、この今ペーパーを見ていただいてもお分かりになっていただけるように、入会時に入会費十万円、月会費一万円、年間十二万円、JITCOによる審査料、初回二万円、このように大きな金額が必要になるわけでございます。そして、この研修手当と事業奨励基金というのは本人の手に入るわけでございますけれども、実質、この事業奨励基金は帰国後本人が受け取るんだそうであります。帰国後、これは本人が受けておるという確認はあるんでしょうか。  それと、御存じのとおり、今申し上げたように、このアイム・ジャパンは研修期間が二・四か月でいいという特例をしながら、集合研修費は毎月二万七千円、年額三十二万四千円取っておられるわけですよね。研修期間を短くするんだったらこの集合研修費も少なくしてその本人に安くするようにしたらどうなんだと、こういうことであろうかと思います。  もう一度、このアイム・ジャパンにつきましては、このペーパーをお渡しを申し上げましたので、本来的にどのような形で賃金が支払われ、各企業はどれだけの負担があるのか、もう一度法務省の方でお調べを願いたい。そして、事業奨励基金が、帰国後、インドネシア労働移住省、タイ労働省を通じて本人に支給される目的で積み立てているものだそうですけれども、本当に手渡されているのかも是非お願いをいたしたい、このように思うわけでございます。  本当に、この入国管理行政というのは本当に私は大変だと思っております。実質技能実習でありながら、供給としては、供給、需要の大きく意識が違うわけでございます。そういう流れの中で、もう一度、この人口減少社会での労働力問題というのは深刻化しておりますので、よろしく杉浦法務大臣にお願いを申し上げたい。  杉浦法務大臣は矢作中学だそうでございます。私、阿波でございまして、蜂須賀小六のところでございます。矢作といえば蜂須賀小六と日吉丸が出会うたところでございまして、是非、私は蜂須賀小六役をやりますんで、是非藤吉郎秀吉のようになっていただきたいと。御苦労の末、大臣に、代議士に当選されたと聞いております。  それで、私が最も尊敬する杉浦大臣に、私が中学校のときに読みあさりましたクーデンホーフ・カレルギーの、政治の本質的要素は権力であり、政治の形式的要素は法律である、力に限界を設けることが形の本質である、権力に限界を設けることが法律の本質である、形は力の形を成したものであるごとく、法律は権力の形を成したものである、それゆえに法律が権力の代わりになろうとすることは許されず、法律は権力を補うものであり、権力を制限するものでなければならない。クーデンホーフ・カレルギーの言葉をお贈りして、この入管行政をひとつ是非国民のものにしていただきたいと思います。
  29. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 矢作橋のたもとで生まれ育ちました杉浦でございます。  先生、様々に研修・技能制度、技術研修制度について御指摘がございました。それらの制度は、我が国で習得した技術等を本国で生かすと、本国の経済発展や技術の進歩に寄与するという制度趣旨で設けられたものでございますが、しかしながら、研修生や技能研修生受入れ機関の中には、その制度趣旨を十分に理解せず、研修計画に沿った研修を行わず、事実上の単純労働者として使用するなどの不適正な受入れの事例があることも承知いたしております。このような研修技能実習制度を悪用する機関については、法務省令の規定に基づきまして、その受入れ機関に対して不正行為との認定をし、研修技能実習制度の適正な運用に努めておるところでございます。  今後とも努力してまいりますが、ただ、私は基本的には、先ほど申し上げました私どもの副大臣PTでも検討しておりますし、また副大臣会議でもPTができて外国人労働者問題が検討されていると聞きますが、根底に、単純労働者受入れを真正面から認めるべきではないかと、認めるべきか否かという問題があると思います。これがふさがれておりますから種々の脱法行為と申しますか、こういう事態が生まれているのではないかと個人的に考えておるところでございます。  現在のところ、この出入国管理計画、第五次にございますように、高級技能者の受入れは行っております、成果上げております、IT技術者等々ですね。しかし、単純労働者は認めておりません。この点について、もちろん政府部内でも先ほど申し上げましたような官邸会議等々で検討をいたしておりますが、議会においても諸先生方においても、十分に御議論いただければ有り難いと個人的には思っておるところでございます。
  30. 中村博彦

    中村博彦君 ありがとうございます。  私が申し上げたかったのもそういうことでございまして、やはり技能実習制度はもう時代的な役割が終わったと、それが延長線上の中にあって、受け入れる側は単純労働者と、技能移転という視点は大変少なくなってきておるということであろうかと思いますので、ひとつ少子化対策と同じぐらいの私はこの外国人雇用問題というのは二大柱だと、こう考えておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  続いて、昨年の質問で、JR西日本福知山線の事故、本当に大きな事故になってしまいました。そして、利益優先、安全軽視体質、質問をさせていただいたわけでございます。JR西日本のトップ、これはどうなっているんだというようなこともお話をさせていただきましたが、そしてその後、新型ATS、ATCの問題、JR四国管内では五十四か所の危険区域がある、対策が急ぐ、こういうお話もございました。その後、近代化設備整備費が黒字路線には適用されないというお話もございましたけれども、その後どのように有効に使われているか、鉄道局長にお聞かせを願いたいと思います。
  31. 大口清一

    政府参考人(大口清一君) 先生の御質問にお答え申し上げます。  鉄道事業者としての最大の使命は、先生指摘のとおり、安全輸送の確保でございますが、一義的には事業者が取り組む課題ということで、特にATSの設置等安全対策の設備につきましても、事業者自らの責任で整備することがまずは基本かというふうにとらえております。  しかしながら、私ども国土交通省としましては、経営基盤の脆弱な、先生指摘のそうした鉄道事業者が行うようないわゆる安全対策につきましても、従来より近代化補助制度によりまして財政上あるいは税制上の支援を行ってきたところでございます。特に昨年の事故以降、特に経営が厳しい事業者に対する安全あるいは保安対策の支援、あるいはATSを含むいわゆる緊急を要する安全対策の整備につきましては補助率をかさ上げするなど、随時その拡充を図りながら可能な限りの対応を図ってきたところであります。  ちなみに、十七年度につきましては、近代化補助全体の補助実績、これは五十六社を対象にしまして二十七億円を補助したところでございますけれども、その中でまたATSにつきましては、ATSを含む安全補助実績につきましては、五十五社に対しまして十九億円補助をさせていただいております。  また、先生指摘の昨年の四月二十五日の福知山線事故にかんがみまして、実は約、その事故から一か月後の五月の二十七日に、急曲線に進入する際の速度超過防止対策として、いわゆる速度超過防止用のATSの整備につきまして鉄道事業者に指示をしまして、同じ昨年のことでございますが、八月に入って早々の二日の日に各事業者が出しました整備計画を全体を取りまとめ、公表しました。そして、今年の四月の二十一日に十七年度全体の総括整備状況を取りまとめ、公表したわけでありますが、その状況によりますと、四十九事業者合わせて二千九百四十五か所、これにつきまして約六割の一千六百九十一か所が整備が行われまして、二十八事業者につきましては既に整備が終わっております。  なお、JR四国につきましては、整備予定箇所六十二か所のうち、今年の三月三十一日までに三十三か所の整備が行われておりまして、残る二十九か所につきましても今年度中に整備が完了する予定でございます。  いずれにしましても、私ども国土交通省といたしましては、ATSの整備など安全対策が着実に進むように引き続き全鉄道事業者を指導、支援してまいりたいと考えております。
  32. 中村博彦

    中村博彦君 JR西日本の問題でもトップの問題が問われましたけれども、スカイマークエアラインズの西久保参考人の発言というのを本当にびっくりしておるわけでございます。衆議院の小里委員の質問に答えて、四国で昨年、七億の赤字が出ております、関西空港では二十七億、鹿児島線では三億、こういった赤字の中で当社は就航してまいりました、そのまま就航を続けるということは、スカイマークに対してその赤字を続けなさいということと同意義の言葉であると私は考えます、そうすれば、その赤字の責任はどなたが取っていただけるのか、その赤字の責任ははっきりしないまま公共性だけを出されても、我々としてはこたえるすべがございませんと、こういう発言をしておるわけでございます。  もう本当に、(発言する者あり)これけしからぬ、これは鹿児島がおっしゃるとおり、これ本当にけしからぬわけでございます。そして、羽田の発着枠を取りながら本当に撤退するのは後足で砂を掛けるごとく、この徳島便も、今年の一月から四月まで機材トラブルによる整備不良整備不良で実質、飛行機が飛ばなかった日が多いぐらい欠航相続いたわけであります。そして、次は羽田—新千歳ということをやるという、羽田—新千歳。これは、確かに改善勧告し、それを条件に、四月十七日にスカイマークが申請しているのを認可すると言っておられるけれども、こんなトップでいいんでしょうか。  それからまた、先ほども申した陸の安全の、この阪神の問題、阪神の村上さんとの問題、こういうようなものを一体、安全性を一番に考えなくてはいけない企業と、安全性、公共性を基本とする鉄道や航空事業経営者と、株主に利益を配分することを第一義と考えるトップ、これどのように松村副大臣考えられておるか、お願いします。
  33. 松村龍二

    ○副大臣(松村龍二君) スカイマークの件について、大臣も厳しく公共運送機関に携わる者の責任ということをマスコミでも主張しておられたわけでございます。  申すまでもなく、今回の阪神の問題にいたしましても、私どもも報道で知る程度でございますけれども、鉄道事業は安全で利便性の高い大量輸送サービスを安定的に提供するという公益性の高い使命を負った重要な事業と認識しております。  このため、鉄道事業の最も重要な使命である安全性の確保と利用者利便の向上が損なわれる現実かつ具体的なおそれが生じれば、鉄道事業法に基づき、必要な指導、助言、保安監査、改善措置等を含め適切に対処していく所存でございます。したがいまして、これは外国資本や特定者による鉄道会社株式の大量取得そのものを問題とするのではなく、鉄道事業者の事業運営において実際に問題があれば対処していくという考えでございます。  さきに、三月二十七日に運輸の安全性向上のための鉄道事業法の一部改正というのを通していただいたわけでございますが、ヒューマンエラーに基づくいろんな事業、やはり経営者の心得が安全ということについてしっかりなければならないということを軸に置きました法改正をいたしまして、鉄道のみならず、航空その他、特に自動車等の運送につきましてもその安全措置のあれを出させましてこれも監督すると、しかも国民にも事業者あるいは政府が在り方を公表するという法律をこの前通していただきまして、先生のおっしゃるような経営者の重大な責任ということを徹底してまいりたいというふうに思っております。
  34. 中村博彦

    中村博彦君 その他、グループホーム等で消防庁次長さんや住宅局長さんにお聞きをいたす予定にしておりましたが、何分、後ろに大物が控えておりますんで、もうこれで時間が参りましたので、申し訳ありません。  ありがとうございました。
  35. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 質問がかなり多岐にわたってますので、もう端的にお聞きします。簡潔にお答えいただきたいと思いますし、また時間の進み状況によっては多少省いたり一体でお聞きしたりしたいと思います。  まず最初に、GISについてお聞きいたしますが、阪神・淡路の大震災を受けて、その直後、日本でもにわかにこのGISの必要性、有用性の声が高まりました。関係省庁会議も開かれて今日まで取り組んできておられるわけですが、十年近くたちまして、今どの程度まで進んでいるのか、まずその説明をお聞かせいただきたいと思います。
  36. 小神正志

    政府参考人(小神正志君) お答え申し上げます。  ただいま委員も御指摘いただきましたように、政府といたしまして、関係省庁連絡会議を十一年前に設置いたしまして、この間、計画をいろいろと立ててまいりました。今の計画でございますけれども、GISアクションプログラム二〇〇二—二〇〇五という計画に基づきまして、GISの利用を支える地理情報の整備あるいは相互利用の環境づくり、こういったものに取り組んでいるところでございます。  これまでのこの計画による成果でございますけれども、紙地図を電子化いたしました数値地図の整備、あるいはそれをインターネットによって提供する、あるいは地理情報標準を作ってこれを普及する、さらには地理情報の検索を容易に行えるようなクリアリングハウスといったものも整備をして、一定の成果を上げてきたところでございます。  今後とも、行政、産業、国民生活、それぞれの各分野でGISを活用した効率的で質の高い活動を実現させることが重要でございますので、今後とも関係府省の連携の下にその推進を図ってまいりたいと考えております。
  37. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 ちょっと今のお答えだと、具体的にどの程度その整備が進んでいるのかというのが今ちょっとよく分かりにくいんですが、端的にお聞きしたら、多分、二万五千分の一の地図ですね、あれだと全部もう電子化されているというふうに理解してよろしいんでしょうか。あるいは、都市計画図の二千五百分の一であれば例えばどの程度GIS化されているのかと、そういう数値でちょっと、もしお手元にあればお答えいただきたいと思います。
  38. 小神正志

    政府参考人(小神正志君) 国土地理院におきまして電子地図の作成を行っているわけでございますけれども、二万五千分の一の地図につきましては全国の地域について概成をいたしております。また、二千五百分の一の地図につきましては全国の都市計画区域について概成をしているというような状況でございます。
  39. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 それでは、一応基本となるベースはできたという理解でよろしいわけですね。  あとは、これを有効に使っていくためにはいろんな統計データを地図の上にリンクさせていくということになろうかと思いますが、こういう点について、それはだれがやっていくのか、そのためにどういう手だてを国交省としては講じようとしているのか、その辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  40. 小神正志

    政府参考人(小神正志君) 今申し上げましたように、地図につきましてはできているということでございますけれども、この地図の整備普及につきましてはデータの標準に基づいて行う必要がございますので、それにつきましては政府の方で地理情報標準を策定し、政府においては当然これを率先して使うということでございますけれども、さらに地方公共団体あるいは民間におきましてもこの利用が促進されるように、普及活動あるいは技術支援というものを国としても今後とも進めていきたいと考えております。
  41. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 今のようなお答えだと、具体的にどういう方策があるのかなというのはちょっとイメージがわきませんが、やっぱり私は、こういうものができると非常に役所が仕事をする上でも便利だし、一般の国民の方々もネットを通じて簡単に引っ張り出せると、あるいはまたいろんなシミュレーションもしやすくできるというようなことだと思いますので、できるだけそういう先行事例をまず作っていただいて、それを見本に、手本に普及が進むように是非頑張っていただきたいとお願いをしておきたいと思います。  次に、地籍調査についてお聞きしたいと思いますが、地籍の調査日本の場合、残念ながら全体ではたしか四六%かと思います。これができていないと境界の争いが絶えないとか、あるいは登記をするにしても手続が、非常にコスト、時間が掛かるとか、あるいは公共用地の買収等にも手間取るとか、あるいは災害復旧がやりにくくなるとか、様々な面で不都合があると思います。それで、そういう意味で政府も従来から一生懸命力を入れてその促進を図っておられるわけですけれども、まだ全体としては半分程度と。  しかも、データを見ますと、全国的にはかなり地域的にアンバランスといいますか格差が生じている。北海道、東北、中・四国、九州の各県はかなり進んで、全体として進んでいるように見えますが、本州の中央部に位置する各県はおしなべて低いと。なぜこんなに大きな地域格差が生じるんだろうかというふうにまず最初に疑問に思うんですが、その点について御説明いただければと思います。
  42. 阿部健

    政府参考人(阿部健君) 今の御指摘でございますが、一概、一般的に申し上げまして、東北とかそれから九州とか農林業が盛んで、また国有林野も非常に多いというようなところは面積的に、そういうところは元々面積が多いものですから、そこがきちっと地籍整備がされておりますと進捗率が高い数字になってございます。  一方、中部とかそういうところの山は、どちらかといいますと必ずしも林業が余り進んでいないと、それから国有林野も余り多くないというようなことも一つ原因しているのかなと思います。  それから、あと沖縄の場合でございますと、ちょうど第二次大戦中にすべて、地籍調査もすべて散逸してなくなりましたものですから、昭和三十七年に特別措置法で琉球政府が当時直轄でやられて、今一〇〇%近いような数字になってございます。  更に申し上げますと、大都市部におきましては、やはり土地が細分化されて調査すべき筆数が多いとか、それから権利意識も非常に強いと、地価が高いこともありまして、数センチでも差がありますと大変な価値の違いになって出てくるということで非常に神経質な状況でございます。また、権利関係がふくそうして、権利の、土地所有権の移動なんかも激しいというようなことから境界確認の合意を得るのが非常に難しくて、少し進捗が遅れているんじゃないかというような感じがいたしております。
  43. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 今のその地域だけではなくて、土地の利用形態によってもかなり差があるようで、いただいた資料では、特にDID地域についてはまだ二〇%ぐらいしか進んでいないということかと思いますが、そういう中で特に都市部につきましては、再開発等の必要性からここ二、三年、力を入れて取り組んでいるやにお聞きしております。  その都市再生街区基本調査というものをまずやって、それをベースに地籍調査につなげていこうと、こういうことのようですけれども、このまず基本調査の方は大体予定どおり完了する予定なのかどうか、その辺の状況をお知らせいただきたいと思います。
  44. 阿部健

    政府参考人(阿部健君) 都市再生街区基本調査につきましては、平成十六年度から三か年計画ということで実施いたしております。  現在までの実施状況でございますが、十六年度、十七年度末、二年目でございますが、その段階で、一応、対象市区町村七百五十一、対象面積一万百平方キロメートル、これのすべてで調査を着手いたしております。十八年度、本年度が最終年度になるわけでございますが、順次着手した調査についての成果を取りまとめるということになっておりまして、最終年度でございますので、十八年度末、一応、最終的に終わるように努めたいというふうに思っております。
  45. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 予定どおりいけば、今年度中にDIDは一〇〇%達成、基本はまずできるということですね。  そうすると、あとはそれを使って本来の地籍図に作り上げていくということになると思いますが、それはあれでしょうかね、基本調査ができているとあとは簡単に進むというふうに理解してよろしいものでしょうか。
  46. 阿部健

    政府参考人(阿部健君) 都市再生街区基本調査は、全国の人口集中地区の全域につきまして基準点を高密度に設置いたします。したがいまして、その基準点を使って市区町村が後続の地籍調査を円滑に進められるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  また、あわせて、その整備された基準点を用いて、土地所有者とか開発業者とかそういったところがいろいろな事業をやる場合に測量するわけでございますが、その測量結果を、基準点がはっきりしていますので、地籍整備に生かすこともできるというようなことで、後続の地籍調査に伴います市区町の負担軽減というものも図られるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  47. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 この地籍調査は、一番どこで使うのかと考えれば登記所、土地の登記の作業のときじゃないかと思うんですね。そういう意味では、素人考えでは、なぜ法務省でやらないで国交省でやっておられるのかなという気もしますが、これは法務省としては地籍調査の作成に当たってどういう役割を果たしておられるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  48. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 今委員の御指摘になられましたとおり、元々不動産登記法上の地図を備えるという規定になっておりますけれども、そこでの最大の供給源がこの地籍調査事業の成果であります地図になるわけであります。  それで、今回の地籍整備の推進、都市再生に関連しているわけでございますけれども、その事業に当たっても法務省国土交通省と連携してこれを行うということになっておりまして、とりわけ、いわゆる地図混乱地域、すなわち地図と現況とが大きく違う地域において土地の境界をどうやって確定するかということについては様々なノウハウも必要でございますので、こういうところを中心法務省が協力して全体の地籍の整備を行うということにさせていただこうと考えているところでございます。
  49. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 この地籍調査がなかなかはかどらないところがあるということについて、何が一番のネックになっているのかなと思うんですが、これはあれでしょうか、予算のやっぱり措置が十分でないと、特に国の方の予算が十分でないということが影響しているのか、あるいは地方団体の方が財政が大変苦しくなってきてこういう事業部門には余りお金を回せないというような状況なのか、あるいはまた、この地籍調査をやることの意味合い、効果、有効性を余り認識しておられないからなのか、どんなところに一番のネックがあるのか、それを解消するためにはどういう工夫をしようとしておられるのか、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
  50. 阿部健

    政府参考人(阿部健君) 今委員に主要な点を御指摘いただいたわけでございますが、私どもも同じような認識でございまして、この原因といたしましては、第一点、まずもってこの地籍調査の主体が市町村でございますので、市町村が本気になって発意していただくということが大事でございますが、これがなかなか非常に地味で苦労が多いんですけれども、目に見える効果というのがなかなかすぐ出てこないということになりますと、対外的なアピールも弱くて切実な行政需要に結び付かないというようなことで未着手の市町村、これが約五百四十ございます。これが全体の二一%を占めてございます。そういったところがまず第一にあるんじゃないかなと思います。  それからもう一つは、公共団体におきます専門的な知識を必要とする地籍調査に従事する職員、これの確保というのが十分なかなかできないと。特に小さな町村になりますと、そういった地籍調査に多くの人員を割くことができないというようなことも大きな原因でございます。  それから三点目としまして、やっぱり財政が非常に厳しい状況でございます。国の方としましては一応十分な、公共団体から出てきたものについては対応できるような予算を準備いたしておりますが、都道府県によってはシーリングがございまして、市町村から要望があってもそれに対応し切れないというようなことがございます。  地籍調査につきましては国が五〇%、残余の五〇%につきましては二五%都道府県、それから市町村はさらに二五%、これで一〇〇%になるわけでございます。それから、市町村に対しては、その二五%負担に対して八割の特別交付金がいただけることになっておりますので、特にそういった意味では県の財政状況というのが少し影響しているんじゃないかなというふうに考えております。
  51. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 これは要望しておきたいと思いますけれども、先ほどのお話のように、DID地区のこの基本調査については一応今年度で終わるということのようですから、次のステップとしてはやっぱりそれ以外の、特に市街地地域で地図混乱地域なんかをやっぱり重点的に国として、政府として取り組むというような方針是非考えていただきたい。  それから、お答えの中にもありましたように、沖縄の場合なんかは特例措置として国がほとんど自ら実行したというようなことのケースもあるようですから、やっぱり市町村に任せ切りだと、今の状況ではやっぱり余り急にとんとんと進んでいくという状態にはならないんじゃないかということを懸念しますので、促進に向けた政府としての取組をもう一段御努力をお願いしたいと思います。  じゃ、次に港湾について、ちょっと話ががらっと変わりますが、お聞きしたいと思います。  日本の港がかつての地位をかなり失って、アジア、特にアジアの韓国なり中国の港あるいはシンガポール等と大きく水を空けられてきておりますが、なぜこういうふうな事態になってしまったのかということをかねがね疑問に思っておりますので、まず、その辺の原因をどう分析しておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  52. 小野芳清

    政府参考人(小野芳清君) ただいま、日本の港湾の地位の低下についての御質問がございました。確かに、アジア地域の港湾に比べまして我が国港湾、相対的に地位が低下していることは事実でございます。  これには様々な要因があろうかと思いますけれども、その中の主なものを挙げれば、まず第一に、アジア地域の急速な経済成長というものが挙げられるんではなかろうかと思います。それから、これに加えまして、アジアの港を始めとする海外の港湾と比較いたしまして、我が国の港湾においてはコンテナ一個当たりの取扱いコストが高い、あるいはリードタイム、いわゆるコンテナが入ってから出るまでの時間でございますけれども、そういうリードタイムを始めとしましたサービス水準が相対的に低いということ、これが主な原因というふうに我々は認識しております。  この港湾コストが高いというところでございますけれども、これは、所得レベルの相違によります労働コストが違う、あるいは物件費が割高であるといった、これは国全体の問題ということもございます。それから、我が国のコンテナターミナル、細切れに運営されておりまして規模が小さいということから、いわゆる規模の経済性が発揮できない、効率化が後れてきたということがございます。それから、大規模化、大水深化の必要性に迫られて行っております施設整備費用が様々な要因で増大をしておるといった要因がございます。これが港湾コストの問題でございます。  それから、リードタイムに関しましては、これまで関係機関と協力をいたしましてその短縮に努めてはきておりますけれども、輸出入あるいは港湾関係の手続の簡素化、効率化あるいは港湾そのもののフルオープン化、二十四時間オープンですね、これが若干後れたということによって、これは現在ではこのところは改善はされておりますけれども、結果的にアジア主要港よりもリードタイムが長くなっているというふうに考えております。
  53. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 今お聞きしていますと、何といいますか、建設、ハードの整備の方はまあおしなべてそういう日本の場合傾向があるように思いますが、そこは割と力を入れて取り組んでこられた中で、一方、様々なサービスのインフラといいますか、条件整備が後れたんじゃないか。その最たるものがこのFAL条約の締結が二〇〇五年になってようやく日本は批准した。一九六七年にもう既に条約は発効していたわけですけれども、何で三十年近く後れたんだろうかと。  特に貿易立国である日本が、空港、いやそれ以上に経済的には従来は港が死命を制する前線であったのにかかわらず、ここに私は何か問題のすべてが集約的に表れているような気もするんですが、これは外務省の方に、なぜこんなにFAL条約の締結が後れたのか、お聞かせいただきたいと思います。
  54. 神余隆博

    政府参考人(神余隆博君) お答え申し上げます。  国際海上交通簡易化条約、いわゆるFAL条約でございますけれども、この締結が後れた背景としては様々な要因があると考えられます。かつて、御説明もありましたけれども、我が国の港湾は高い国際競争力を有していたことでありますけれども、そのために我が国の港湾手続を国際標準に合わせるという必要性が必ずしも強く認識されていなかったという事情があったのかと思われます。    〔委員長退席、理事国井正幸君着席〕  しかし、アジア諸国の急速な経済進展、経済発展を背景といたしまして、近年、我が国の港湾競争力が失われつつあるという実態がございます。諸外国と比べて煩雑であるという指摘もございます。そういった入出港手続を見直すということによって競争力を強化する必要性が各方面から指摘をされてきたわけでございます。  また、FAL条約の二〇〇二年の改正ということで、新たに船舶の入出港の書類の具体的な国際共通様式、これはFAL様式と申しますけれども、これが定められまして、EU諸国が二〇〇三年九月からこの方式を採用するということもございました。国際的にこの手続の画一化に向けた様々な動きが、重要な動きがこの時期に見られたわけでございます。  こういった状況を踏まえまして、外務省といたしましても、平成十四年、二〇〇二年でございますけれども、主要締約国におきます現地調査を開始いたしました。それとともに、関係省庁とともに合計六十回にわたる勉強会、これを実施いたしまして、我が国の港湾手続を見直しいたしました。また、輸出入・港湾関係手続の簡素化に関する関係省庁政務官会合ということで、ここにおきましても議論いただきました。  そういった議論を経まして、港湾法、港則法、関税法等の改正によりまして、入出港に必要な書類を半分程度まで減らすことができるんではないかと、他の締約国と比べて遜色のない程度まで手続を簡易化した上で、ようやく昨年六月に国会の御承認をいただき、昨年九月、FAL条約を締結したものでございます。
  55. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 日本の港湾のサービスが、何といいますか、後れている一つには、今のFAL条約締結が後れて手続が非常に複雑で時間が掛かるという点があったことと併せて、IT化、電子化がやっぱり後れたということが響いているんじゃないかと私は思うんですが、シングルウインドーができましたということでお聞きしましたら、それは単にパソコンを開いたら各省のゲートウエーがそこに一覧で載っているだけで、全く個別の情報、各省ごとに入力しないといけないと。  システム全体が一本化されていたわけじゃないということで、今つくり替えに掛かっておられるわけですが、これは平成二十年を目途に本来の意味でのシングルウインドー化を目指すということをお聞きしておりますが、本当にそれはもう二十年になれば世界のどこの国にも負けないようなものになるというふうに考えてよろしいんでしょうか。
  56. 野上浩太郎

    大臣政務官野上浩太郎君) ただいま森元先生から、次世代シングルウインドー化、本当に万全なものになるのかという趣旨の御質問をいただきました。  今お話ございましたとおり、平成十七年の十二月に、財務省国土交通省などの六府省が連携をいたしまして、輸出入及び港湾・空港手続関係業務の業務・システム最適化計画を策定をしたところでございます。この最適化計画では、平成二十年十二月の府省共通ポータルの開発による、いわゆる次世代シングルウインドーの実現ですとか、FAL条約対応等に伴う手続の簡素化等が定められているところでございます。  この府省共通ポータルの開発によりまして、これは要は、今お話ございましたとおり入口を一つにするということでございますので、このことによって、システム利用者はポータルに接続すればすべての関係手続を行うことが可能となりますことから、従来のように手続によってシステムを使い分けるということが不要になりまして、その利便性は大きく改善をされるというふうに思っております。  財務省といたしましては、今後もこの関係府省及び関係民間業界と連携をいたしまして、この次世代シングルウインドーの実現を含めた最適化計画を実施していきたいというふうに思っております。  なお、もう世界で通用するのに大丈夫なのかと、こういう御懸念でございますが、税関におきましては、平成十七年の十二月二十六日、昨年の十二月二十六日から、輸出入手続に係る電子的な税関申告様式の、これ世界標準モデルでございますが、このWCO税関データ・モデル形式にのっとった申告フォームによる輸出申告を可能としたところでございます。  ですから、WCOは世界税関機構でございますけれども、このWCO税関データ・モデル、世界標準モデルですね、これが世界各国に普及することによりまして貿易手続の迅速化及び経費の削減が図られるものと見込まれているところでございます。
  57. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 是非、予定どおり整備ができるようにお願いしたいと思います。  それから、民事局長さん、どうぞもう結構でございます。ありがとうございます。  大臣にお越しいただきましたので、次の国土政策についてお聞きしたいと思いますが、まず大臣から、日本の国が直面しているといいますか抱えている、あるいは国交省としての一番の課題であると思いますが、この国土政策として何を重点的に取り組まなければいけないというふうにお考えになっておられるか、その辺、まずお聞きしたいと思います。
  58. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 一つは、人口構造の大きな変化の問題でございます。人口減少時代にいよいよ突入いたしましたし、また本格的な高齢社会もこれからやってくるわけでございます。こういう人口構造の急激な変化というのは我が国の歴史上経験したことがないことだと私は思いますが、これは当然、国土計画、国土の整備をどうしていくのかということにも大きくかかわってくる問題であると思っています。人口減少高齢化に対応できるような国土政策が必要である。  また、今も物流のお話を、国際物流の話をされておられましたが、経済がグローバル化する中で国際競争が大変激しくなっている。そういう中で、国際競争力を強化していくためのやはり国土の基盤整備というものも私は大変優先順位が高いのではないかと思っております。さらには環境の問題もあります。持続可能なやはり国土の管理をしていかねばなりません。こうした種々の大きな課題への対応が今求められているというふうに考えております。    〔理事国井正幸君退席、委員長着席〕  現在、国土交通省の中では国土形成計画について論議をスタートをさせていただいております。東アジアとの連携を強化するためのシームレスな交通・情報通信基盤の形成だとか、それから、これは今国会でも御論議いただきましたが、様々な機能がコンパクトに集積した都市構造への再編だとか、それから森林、農地の適切な管理など、人口減少下における国土利用上の課題への対処、これについても国土形成計画では重要な位置付けをしなきゃならないと考えております。  さらには、都市と農山漁村の交流、それから観光産業の振興、二地域居住の促進等、こうした地域の活性化も進めていく必要がありますし、そして防災・減災対策の推進を始めとする安全、安心な国民生活の実現などの政策課題も当然のことながら重要な課題だと考えております。  こうした課題について、今、国土形成計画を策定すべく論議をしているところでございますが、こうした課題にしっかり対応できる安心できる国民生活の実現に向けた国土のビジョンを国土形成計画において提示をしてまいりたいと考えております。
  59. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 そういう中で、私は、一つやっぱり、都市と地方というか、特に東京圏とそれ以外の地方圏との格差が再び大きく広がりつつある、依然としてそういう流れが止まらないということをどうするのかという点があるんじゃないかなという気がしております。  とりわけ、東京の様々な機能を見ますと、三次産業のウエートが高い。その中でも、出版、放送、それからファッション、デザイン、それから技術開発、研究、そういうこれから日本として伸びていきそうな分野がその中でも特に東京圏に集中しておりまして、そういう中での均衡ある発展を図っていくというのが至難の業ではないのかなとかねがね思っておりますが、大臣としては、まずこういう東京へのすべてのもの、特に成長部門が集中してくることはやはり日本全体の国際競争力を維持していく上ではある程度やむを得ないことだというふうにお考えなのか、それともやっぱりこれは何とかやれるものならしたいというふうにお考えになっておられるか、その辺、お聞かせいただければと思います。
  60. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今、東京圏は面積でいいますと三・六%でございますけれども、人口の二七%が集中をしております。今、森元委員の方から御指摘ございましたように、様々な機能がこの首都圏に集中している。金融の部門取りましても、貸付残高の約五割がこの首都圏、東京圏で集中しているということでございます。  また、近年の地域間の人口動向を見ましても、これは東京圏に再び集中傾向が現われる一方で、地方の方ではむしろ転出超過というふうな傾向が続いておるところでございまして、私はこうした東京圏に様々な重要な機能が集中をしているということは、国土の適切な利用だとか、それから、私はこれが大事だと思うんですが、危機管理という観点からも私は決して好ましいものではないと考えております。  やはり、国土全体での機能分担を図っていくことがやっぱり大事でございまして、東京圏への過度な機能集中、人口流入を是正していく必要があると考えております。
  61. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 もう全く心強いお答えいただきました。  私は、大臣もそういうふうにお考えであられるんであれば、その一極集中の弊害という面をやっぱりもっとスポットを当てていただいて、一般の方々あるいは有識者の方々、あるいは学者、経済界等々の方々にやっぱりこういうことは決して日本の将来にとって好ましくないんだという認識をもっと深めていただく必要があるんじゃないかと。  その集中のメリットは強調される方は多いんですけれども、そのデメリットなり弊害、問題性についての具体的な形というものが余り聞かれないわけでありまして、そういう作業はやっぱりどこかでやっていただかないといけないんですが、それをやるとすればやっぱり国交省じゃないのかなと私は思いますけれども、その辺、お取り組みいただくお考えあるかどうか、大臣にいま一度お聞かせいただければと思います。
  62. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今まさしく国土形成計画について策定すべく御論議いただいています。この論議の中で、当然多くの有識者の方々に参加いただいて御意見を賜っているわけでございますし、これから各地方の県知事の皆さんとも当然議論をしないといけません。  そういう中で、この東京一極集中の問題については、その問題点、弊害の問題についてはしっかりと議論させていただきたいと思っております。
  63. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 一、二だけ申し上げると、例えば日本のこれからの大きな将来の課題、内政上の課題は私は少子化だと思いますが、少子化は国全体の問題であると同時に地域問題。東京都の合計特殊出生率は〇・七五なんですね。鹿児島県とか沖縄県だとこれが一・七以上なんですね。要するに、地方が発展すれば少子化は解消ある程度できるというような面も持っているんですね。これはその一つの例です。  それから、教育の問題取りましても、最近いろんな面で陰りが出てきておりますが、そんな中で、例えば小学校の子供に自分の背丈より高い木に登ったことがあるかと聞いたら、ほとんどゼロに近いと。こういう自然に触れないで生活してきた、育ってきた子供たちが将来どういう人になるんだろうかということを考えましても、これは数字で結果は出ませんけれども、やっぱり懸念するところがありまして、是非、均衡発展を目指すように御尽力いただきたいと思います。  ただ、そうはいいましても、じゃ具体的に何を、どういう手段で地方の振興、発展を図っていくのかと、この道具が私はなかなかないんじゃないか。これまた、規制緩和あるいは小さな政府というようなことで、政府の役割をできるだけ小さくしていこうということは政策手段を少なくしていくということにも通じるわけで、ここが難しい点だと思いますが、大臣として、今の時点で地域の発展を図る手段、武器はこれだというのをお持ちであれば、お考えであれば、お聞かせいただきたいと思います。
  64. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) まず大都市ですね、大都市はほかにも大都市がありまして、関西圏であったり中部圏であったり、また北部九州であったり、そういう大都市圏の持つ機能というものを、東京圏ではない大都市圏の、ここをやはりもっと機能強化をしていくような政策というのは大事なんだろうと私は思っております。  それとともに、大都市圏ではない多くの地方圏、この地方圏における魅力ある居住環境の創造だとか地域経済の活性化を図ることが大事なわけでございますけれども、それぞれの地域には独自の歴史、文化、伝統があるわけでございまして、そうした歴史、文化等に根付いた、自らの有する、その地域の有する優位性を発揮して、個性のある発展をしていくことが私は大事なんじゃないのかなというふうに思っているところでございます。  従来のように様々な公共投資なりそういうものをやって、もちろんそれも重要なんですが、これからやはりいかに自立をしていくのか、その自立に向けた道筋というものをしっかりつくっていく、またそれをしっかり支援をしていくということが大事であると思っています。  具体例、幾つか申し上げますと、観光産業ですね。観光というのは非常に経済効果が高いものでございます。また、雇用の受皿としても、これは人的な集約産業でございますので、雇用の受皿としても非常に期待ができます。こういう観光を始めとした地域資源型の産業の振興だとか、それから、これから高齢化、特に地方の場合は高齢化がより進んでおりますので、介護などのコミュニティービジネスの促進だとか、また一次産業の振興ということも私は非常に大事ではないかと思っております。  それと、あと、都市と地方との交流ということも非常に大事でありまして、定住促進はもちろんです。よく言うUターン、Iターン、Jターン、UIJターンというふうに言うんですけれども、そういう定住の促進策だけではなくて、これからの時代は二地域で居住をしていく方々も増えていくんではないか。都市におうちをお持ちで、一方、地方の方にもおうちを持たれると、そういう二地域居住の推進なんかも非常に大事ではないかというふうに考えております。そうしたことをしっかりと進められるようにさしていただきたいと思っております。  以上のような取組を通じまして地方の活性化を図りまして、国土全体での機能分担と連携を図りつつ、東京圏への過度の集中を是正をしていかねばならないと考えております。
  65. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 東京の持っている吸引力に反発できるだけの力を地方が付けるには本当にいろんなことを、相当強力なことをやらないと私はなかなか勝てないんじゃないかと、あらがえないんじゃないかと思いますが、是非御尽力をお願いしたいと思います。  あと、時間がなくなってきましたから簡単にまとめてお聞きしますが、日本の社会の問題の私は一つに、衣食住と、こういうふうに言えば、衣と食は非常に世界の中でもトップ水準にもう位置付けられるところまで来ていると思いますけど、住は、量はともかくとして、質的にはまだいまいちではないのかな。特に、それの集合体である都市の形態といいますか景観といいますか環境というか構造というか、そういう要するに町並みですね、平たく言えば、そういうものがやっぱり欧米諸国と比較して非常に見劣りがするのは否めないと思うんです。何でこういう町でしかないのかなと。  日本人の感性とかあるいは技術、あるいは経済力をもってすれば、どこにも負けない町がもっとできてきていいんじゃないかという気もするんですけど、その原因と、やっぱり方策ですね、今後の取組についてお聞かせいただきたいと思います。
  66. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 我が国の戦後は急速に都市化が進みました。人口も、終戦直後からたしか五千万人近く人口も増え、そしてそれがなおかつ都市に集中をしていくというのが昭和三十年代また四十年代であったというふうに思うわけでございますが。そういう中で、都市の側はむしろもう住宅をどう確保していくかと、それがもう目一杯でございまして、従来の既成の都市がスプロール的にどんどん拡大をしていくと、こういうことであったと思います。  その結果、災害に対して脆弱な密集市街地がこの東京でもございます。また、慢性的な交通渋滞や、必ずしも、景観とか環境についてきちんと配慮されたかというと、そうではないと。そういうことがやはり一番の大きな、急激な都市化というのが一番大きな要因ではなかったかというふうに考えております。  そういう意味で、ちょうどこれで人口減少時代に昨年から入ったわけですが、私は、そういう意味で、人口減少社会に入ったということは、ある意味、否定的な意味ではなくて、国土の利用という観点からいきますと、そういう意味じゃ、ある程度ゆとり、余裕を持った国土の計画を作れるような時代になってきたんではないか。なおかつ、今はもう高齢社会ですから、物の考え方も、景観だとか環境というものに対して非常に重視されるような、価値観が上がっている、そういう時代に入ってきていると思えるわけでございまして、これから、そういう意味では美しい町づくり、都市をつくっていくことができるのではないかというふうに思っております。  昨年、景観法が施行されました。この景観法につきましても、現在、もう既に二百以上の地方公共団体においてこの景観法を活用した取組が進んでいるところでございます。また、この国会では都市計画法の見直しもさしていただきまして、コンパクトシティー、歩いて暮らせるまちづくりを志向した、まあある意味じゃこれも規制強化なんですけれども、都市計画法の改正も出さしていただいたところでございまして、これから、これまでの我が国のその地域地域の持つ歴史とか文化とか伝統、そうしたものに根付いた町づくりができる時代になってきたのではないか、またそういう制度についても今整えさしていただいているところだというふうに考えております。
  67. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 是非、今おっしゃられた方向で御尽力いただきたいと思います。  最後に、財務省にもおいでいただいていますので、ちょっと話は全然また違って恐縮ですが、予定価格についてお聞きしておきたいと思うんです。  私、かねがね、入札の予定価格制度というのがよく自分自身で理解できないんですね。それはどういう点かといえば、一つは、上限、これが要するに入札したときの落札金額の上限価格だという上限制ですね。これは、こういう形を取っているのは余りほかの国ではないというふうに聞いていますが、その点。それから、今、最近は地方自治体が大分この予定価格を事前に公表するというところが増えてまいりまして、県で半分ぐらい、政令市で三分の一ぐらいかと思いますが、一般の市町村でもかなりやっておりますが、そういう地方自治体はどんどんやっているんだけど、国の方は会計法の規定があって公表できないという扱いですけれども、なぜこれを公表できないんだろうかと、公表したら何がまずいんだろうかと。いま一つよく分からないんで、その辺について、まず財務省の方から説明をいただければと思います。
  68. 鈴木正規

    政府参考人(鈴木正規君) お答え申し上げます。  予定価格は、契約の目的となります物件あるいは役務につきまして、取引の実例価格等々を勘案して適正に定めるというふうになっております。この予定価格は、契約の見積価格としての機能のほかに、我が国におきましては、国会の議決を受けた予算の範囲内で契約を行うための限度額と、言わば予算統制の機能を持たせているということがございます。具体的には、国の調達の場合、国会の議決を受けた予算の範囲でしか債務を負担できませんのでこうした予算統制機能が必要なことから、予定価格が上限価格として機能をしているということでございます。  それから、地方の方でかなり事前に公表されている例があるということは私どもも承知しておりますが、どういう理由でそういうふうな形で公表されているかということを個々具体的に詳細承知しているわけではないんですが、国の場合、事前公表を行っていない、法令上行えない形になっているわけですが、これは、一つは価格競争に対する意欲が低下するおそれがあること、もう一つは、入札に関します贈収賄事件の多くが事前に予定価格を入手することを目的としたものであるということからかんがみますと、予定価格を事前に公表するということは結果として談合を誘引するおそれがあるということがございまして、こうしたことから事前公表はしていないということでございます。
  69. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 今の、予算統制との関係という御説明だとしますと、それは外国だって事情は同じなんですよね。外国は予算統制する必要がないんだけど、日本だけありますというのもどうも私には納得がいま一ついかない。  それから、談合を誘発するおそれがあるとおっしゃられるんですが、その予定価格というのはやっぱり積算、要するに設計書に基づいて、単価掛ける歩掛かりで計算できるわけですね。単価は一般に公表されているわけですから、そのことが、公表することが即談合をしやすくなる、そういう状況をつくっちゃうということにはならないんじゃないか。  しかも、地方自治体の状況を見ますと、これは総務省が調べたデータですが、公表している入札と公表しない場合の入札とで落札率がどうなのかというのを比較したのを見ますと、むしろ公表した方が落札率は低いんですね、おしなべて。だから、公表することによって何か高止まりしちゃうとかいうお話もあるわけですが、そんなことにはこの実績が出ていないと。  あれこれ考えまして、殊更、丸秘扱いなり上限制にする必要はないんじゃないかと。  もう一点だけ申し上げると、競売の場合には、従来は最低制限価格というのがあったんですけれども、これが制度改正で売却基準価格と、さらにこれを二割ぐらい下回っても成立というように制度が改められまして、正に制限価格制が撤廃された、そういうような例もありますので、ひとつここは、お答え結構ですけれども、是非前向きに御検討いただきたいとお願いして、終わりたいと思います。
  70. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 民主党・新緑風会の佐藤雄平でございます。  十六年の決算の審議の前提の中で、まず会計院の院長にそれぞれ質疑をさせていただきたいと思います。  今、毎日のように、国会ももちろんでありますけれども、マスメディアで入札、官製談合、随意契約と、もう枚挙にいとまがない、そのようなことが出ております。私は、明治以来の会計院、これしっかりやっていると思うんですけれども、会計検査院の役割のある意味では新たな段階が来ているんじゃないかなと、単に年度の予算の使い方を調査しながら指摘すると同時に、もっと大変な役割を含んでいるんじゃないかなと、そんな思いがしてなりません。参議院と会計検査院、ある意味では近年二人三脚でやってきているような気もいたします。ですから、当然のことながら、霞が関の中でも全く違った役割を果たさなきゃいけないもう別機関という認識であります。私は、国民サイドから見て、連日のようなこのような状況の中で、我々の税金はどのように使われているんだろうと、どのようにまた国民の皆さんに有益に使われているか、もう正に家計簿を見ながら来年の家計簿の予測を作るということだと思います。  そういう中で、会計院の院長、民間人として二人目、もう大変な私は決意を持って今職務に執行してもらっているのかなと。今までは、ややもすれば、霞が関のOBの方がそれぞれ院長になって、我々からすりゃ同じ仲間のところを調べて調査をしている、これ本当の調査ができるかなと思うような気もしないでもなかったんですけれども、改めて、大学の教授をして、そして検査官をして院長になった、そのまず御決意と、それから先ほど私が言った新たな段階を迎えたと、もう正に入札等についての様々な今事案が起きているわけでありますけれども、この件について新院長としてどのような決意で臨むか、まず御所見と決意をお伺いしたいと思います。
  71. 大塚宗春

    会計検査院長(大塚宗春君) 私、去る一月二十七日に会計検査院長を拝命いたしました。その約三年半前の平成十四年の七月三十一日に、三十三年間勤めました早稲田大学を退職いたしまして会計検査院の検査官に就任いたしました。そういった意味で、民間から検査官になったということで、金子院長に次いで二代目だということになるかと思います。  私が検査院に来て、大学にいたときに思っていた検査院のイメージと若干自分の印象が異なったなという点をまずちょっとお話をさせていただきたいと、こんなふうに思います。  まず、それは会計検査院の仕事の内容というのが非常に広いと。その検査対象が単に国、出資法人や補助金の交付先といった広範囲、非常に広い範囲にわたっているということと、それからもう一つは、その検査のやり方が、例えば公認会計士なんかの場合ですと、財務検査、財務諸表の検査だけですけれども、検査院の検査というのはそれにとどまらず、有効性の検査と、いわゆる業績の検査といったようなところまで非常に幅広く行われているということが、この点をまず一般の国民の方に知ってもらいたいなというふうに私は考えました。  それからもう一点は、いわゆる検査院の検査報告はいわゆる実地検査にみんな基づいているということですね、現場をきちんと見て物を言っていると。ただ単に書類だけ見て言っているのではないという点は、非常に私は印象に持った点であります。私は、こういった点はこれからも是非大事にしていく必要があると、こんなふうに考えております。そこで、私としましては、そういった伝統を他の二人の検査官とともにこれからも会計検査院の職を全うする上で維持していきたいと、こんなふうに考えております。  そして、これから会計検査院の検査の方向として私が思っております事柄は、先ほどちょっと申し上げましたように、会計検査院の言ってみれば基本的な大きな検査が財務検査と業績検査という二つの側面にあるわけです。これは会計検査院にとっては、私は車の両輪のようなものだと思います。しかし、この言ってみれば検査は、まず財務検査がしっかりできているというところがないと、ただそのないところで業績検査というわけにいかないだろうということで、私としては、できれば財務検査と業績検査、これを今後とも更にしっかりやっていきたいと、ちょっと長くなりまして申し訳ございませんけれども、そういうつもりでおります。
  72. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 院長、これ、会検のこれPR冊子、ここに、氷山の一角にすぎないと評されていることがありますと。いわゆる施行率が八%、駅とか特定郵便局等、それを除くと二〇%を超えた実地検査が行われていると。これが極めて大事な話ですね。この件について、院長の御所見、要するに二〇%というのは残念ながら八〇%はどうだという話になりますね、これについての御所見をお伺いしたいんです。
  73. 大塚宗春

    会計検査院長(大塚宗春君) 毎回毎回、検査の実施率が一〇〇%であるということは望ましいと言えるかどうか分からないんですけれども、今現状は二〇%です。ただ、一〇〇%するためにはそれなりのまた人員と予算が必要になってくると。そこで、私どもとしては、現状の限られた予算の中でやはりきちんと効率的に行うと。そのために、いわゆる検査のための計画をきちんと立てると。そして、その検査のための計画をきちっと立てて、それに従って今年は言ってみればどういうことをきちんとまずやるかということにのっとって、今年の検査対象を例えば個々に決めていくということで、過去の実際に検査で行ったところも、言ってみればそういった実績も勘案しながら検査の対象を決めていくと。  そういった意味で、二〇%ということなんですけれども、本省等につきましてはこれは毎年やっておりますし、重要なところについては大体四〇%ぐらいになっておりますので、大きな見落としがあるような数字ではないんじゃないかなと、こんなような私は所感を持っております。
  74. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 私が申し上げたのは、この後、随契についていろいろお伺いしようかなと思っていたんです。ですから、そういうふうな中でやっぱり会計検査院が新たな気持ちを持ってしないと、この随契なんというのは幾らでも、百万円を十万円で十か所で買えばこれは引っ掛かんないとか、いろんな方法、悪意に解釈すればあるんです。  そういうふうな中で、私は、その次にお伺いしたいことは、検査の対象をどういうふうにまず決めていくかということ。そして、検査の対象を決めてずっと検査をして、これは問題だなということ。今の院長の話からすれば、やっぱり八百人、九百人でやっておるからある程度限界があるということなんで、かつて私は福島県庁の皆さんからいろんな話を聞いて、まあ会計検査院が来るのは二年に一回だとか三年に一回だとか、来年そろそろ来そうだなと。たしかこれも、今もそのような状況になっているのではないかなと思います。  それと同時に、実施をする場合の基準というか、これは省庁別に、今年は国土交通省をやるか、来年は農林省をやるか、どうも県の方は二年に一回やるか三年に一回やるかと、そういうふうな何か一つの手だてと何ですか、基準、そういうふうなものがあって、いわゆる調査、それから実施というふうなことになっておるのか、この辺についての見解というか、方法をお伺いしたいと思います。
  75. 大塚宗春

    会計検査院長(大塚宗春君) 基本的には毎年九月の初めに検査計画というものを、検査院全体の基本方針をまず設定いたします。そして、この基本方針に基づきまして、各検査課ごとに今年の重点的に検査すべき検査事項、それから検査方法等を定めました検査計画というものを策定すると。この検査計画を策定する段階におきまして、いわゆるこれまでの検査対象機関の予算とか事業実績、それから国会等の議論、論議と、こういったようなものを十分踏まえてこの検査計画を策定するということにしております。  そして、具体的な実地検査箇所の決定につきましてはこの検査計画に基づいて行うことにしておりまして、重点的に検査すべき検査事項や過去の検査実績といったようなものを十分勘案した上で決めていると、こんなような手続でございます。
  76. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 そういうふうな中で、手続的にはそういうふうにして決めていくと。私は、総務省行政評価局長来てもらっていると思いますけれども、その指摘と同時に、やっぱり国民の税金、しかもやっぱり先ほどから人口減少時代、本当にお金というのは税金をどういうふうに使うかと極めて国民が注視をしている状況だと思うんです。となると、おのずと、行政評価法ができて費用対効果等がいろいろ一つの事業の基準になっているわけでありますから、となると、私は、会計検査院も、様々なお金の使い方の間違いとかオーバーとか、それと同時に行政評価をするということもこれから一つその検査の対象に入れなきゃいけないんじゃないだろうかと、そんな思いをしているんです。  そういうふうな中でこれ、これは総務省が出しているのかな、予算執行調査決算検査報告、行政評価等の目的等の比較というふうな中で、決算調査報告、この中で、近年、行政改革などによる効率的な行財政の執行が強く求められている状況の中、正確性、合規性はもちろん、経済性、効率性、有効性の観点から検査の重要性が高まっているということになっています。となると、当然のことながら、私は行政評価というふうなことも考えていかなきゃいけないと思います。  そういうふうな中で、会計検査院の行政評価に対するこれからの姿勢、それからまた総務省行政評価、これはもう専門ですから、これとどういうふうな連携を取りながらやっていくのか。まず会計院からお伺いしたいと思います。
  77. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) お答えいたします。  先ほど私どもの院長からも申し上げましたとおり、検査院の検査、財務検査とともに業績検査というのもその車の両輪の片一方だということで重視してきておるところでございます。  ただ、検査院は、御案内のとおり、内閣から独立した立場から国や国の出資法人などの会計経理を監督し、その適正を期し、是正を図るという立場でございます。一方、総務省では、行政部内における第三者的な立場から、各府省の政策又は行政運営全般を対象として評価を行うという立場であると承知しておりまして、検査院とはおのずとその立場あるいは目的が異なっているというふうに承知しております。  ただ、今お話しのとおり、検査院と総務省の行う評価という面では類似した点もございますので、検査院といたしましても、限られた陣容で検査効率を上げるという観点からも、総務省での実施状況ということについては強い関心を持っておるところでございます。  したがいまして、総務省行政評価局との間で連絡会を催すというようなことをして情報交換を行っているところでございまして、こういったことは我々の検査にとりましても有意義なことだというふうに考えております。今後とも一層相互の情報交換に努めてまいりたいというふうに考えております。
  78. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 それじゃ、行政評価局との連携の中で指摘をした案件というのはあります。
  79. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 今手元でちょっとしっかりしたものございませんけれども、当然どういう状況総務省の評価がどういう観点について行われているかということは十分踏まえまして、我々の実際の検査をつくっていくといいますか、どういうところを検査していくかということに当たってはそれを十分踏まえた上でやっているつもりでございます。
  80. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 じゃ、それ、次長、そういうその事案があったら後で教えてもらえば有り難いかな。今分かる。
  81. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) いえいえ……
  82. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 後で教えてください。  じゃ、あと行政評価局長お願いします。
  83. 福井良次

    政府参考人(福井良次君) お答え申し上げます。  会計検査院からも御説明がございましたように、総務省が行います政策評価、行政評価・監視は行政部内におきまして行政運営全般を対象といたしますので、必ずしも会計経理的な側面だけではございません。したがいまして、かなり取り扱う範囲が違う面がございます。あるいは、実施主体の位置付けも違う面はございますが、委員指摘のように、適正かつ効率的な行政の確保を図るという点で共通する面も多々ございます。  したがいまして、先ほど検査院からも御説明がございましたように、定期的に局長クラスあるいは課長クラスで連絡会を設けまして、情報交換のみならず、問題意識の共有を図りまして、お互い相まって適正かつ効率的な行政の確保を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  84. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 その辺はやっぱりよく連携を取って、ある意味では、行政評価法の中で余りやっぱり評価できないなというものについては会計院も指摘をするというような一つの方針というのはこれから重要じゃないかなと思います。  次、ちょっと具体的にいきます。随意契約。  随意契約、いろいろこれも毎日、新聞に出て、朝日新聞は、天下りと随意契約百八十六億円とか、先般我が党の松井先生もいろいろ指摘をしておりますけれども。それで、この随意契約にかかわる関連規定、これ読みます。第四節に「随意契約」がある。予定価格が二百五十万を超えない工事又は製造をされるとき。二番目に、予定価格が百六十万を超えない財産を買い入れるとき。まあそれぞれ幾つかの項目あるわけですけれども。  先ほども私はちょっと触れましたけれども、場合によっては、やり方によって、この法のいわゆる決まりを、分けながらやると抜けられるというか、そういうことがあるんです。ですから、それがこれだけの金額になっているわけですから、会計検査院としてこの項目について今後、随契、要するにちゃんと使われているなと。ですから、例えば一つの事務機器も、やり方によっては、局で一括買う場合、これはやっぱり二百五十万以上になっちゃうなということになってしまう。しからば、じゃ課でそれぞれ買ったら五十万ずつになるからこれは随意契約やってもよろしいということにもなるかと思うんです。  こういうふうなことについてこれからどのように会計院は会計検査をしていくか、この点についてちょっとお伺いしたいと思います。
  85. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 今お話しのとおり、随意契約には要件がございます。少額の場合もございますし、一方で契約の性質又は目的が競争を許さない場合とか、あるいは緊急の必要性のある場合というふうな一定の要件の場合に認められている方式でございます。したがいまして、そういう状況がないにもかかわらず、あるいは少し工夫すれば競争契約にできるという状況であるにもかかわらず、安易に随意契約によっているということであれば、それは不適切な事態であろうというふうに考えます。  したがいまして、検査院では、これまでもそういった観点から検査を実施してきておりまして、例えば十六年度の決算検査報告では、衆議院の電話関係業務、あるいは独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構ほか一独立行政法人において、競争に付することが可能であるのに随意契約によっていたというふうな事態も指摘したりしております。あるいはまた、全体的な状況ということでありますと、すべてではありませんけれども、広報業務につきましては、国会、裁判所等十四府省等での実施状況を横並べで検査を実施いたしまして、随意契約が、その全体の中で八三%になっているというふうな事態を分析したりして、その結果を検査報告に掲記し報告しているところでございます。  ただ、今お話しのとおり、随意契約につきましていろんな議論がなされ、特に国会等におきまして疑問点があるというふうな御議論があるということは十分承知しております。したがいまして、検査院といたしましても今後そういった面の検査を十分行っていく必要があろうと考えておりまして、具体的にどういうふうに取り運ぶかは十分検討の上検査してまいりたいというふうに考えております。
  86. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 その件はもうしっかりお願いしておきます。  時間が、ちょっと今日はボリュームあるものですから、次の院長の質問は削除します。  次に、今いろいろ入札等について話をさせていただきました。先日、こういうふうな事案がありました。我が福島県の中で、ある国土交通工事事務所だったかで入札をしたら、北海道の某業者が入ってきて、北海道の業者の方がいわゆる予定価格の六〇%という話。それ一瞬、六〇%、百万円のものを六十万で本当にできるのかなと思うし、公共事業の品確法もできたんだから、これ本当に品質が保証できるんだろうかという疑問も抱いたし、かといってまた、かつての道路公団のような一〇〇%という、これもまずおかしな話だなと思います。  そういうふうな中で、先ほども森元さんからも話が出ましたけれども、予定価格の積算価格というのはどういうふうにしてこれ出しているのかなと思うんです。これは本当に公共事業の場合というのはある意味では未来永劫きちっとしたものを造らなきゃいけないだろうし、かといって丸々の金というのもおかしい話。しかしながら、予定価格というのは、国交省でそれぞれ建材一つから生コン一つから積み上げた価格の中で一千万なら一千万というのを決めていると思う。そこにも当然のことながら労働賃金も入っている。労働賃金も、東京の労働賃金か福島県の労働賃金か、生コンにしても、東京か福島か、それぞれまた違うと思うんです。  まずお伺いしたいことは、積算の単価の基準、この基本というのはどのようにして決めて予定価格を決めているのか、この件についてお伺いしたいと思います。
  87. 春田謙

    政府参考人(春田謙君) お答えを申し上げます。  今、予定価格、またその予定価格をどういう形で積算をするかということでお尋ねをいただきました。  予定価格につきましては、先ほども御議論がありましたが、契約金額の上限基準ということで、その限度内であれば契約が許される、逆にその額を超える場合は契約ができない、こういう価格でございます。こういった価格を決めるに当たりましては、工事の品質を確保する、あるいは下請企業等へのしわ寄せというようなことがないような適正な価格とする必要がございます。  この予定価格の積算に当たりまして、どういうそれぞれいわゆる単価を使うかということにつきましては、いろいろな実は単価の項目がございます。労務費であるとか資材費であるとか機械損料であるとかその他の経費であるとか、いろいろございます。これらのいわゆる経費につきましては、それぞれいわゆる工事あるいは契約を実施する場所におきますところの実態、流通の実態、これを踏まえまして地域ごとに定期的に調査をいたしまして、平均値あるいは最頻値、こういったものから原則都道府県別の地域ごとにいわゆる市場の調査を通じた単価というものを決定をしてございます。したがいまして、東京と地方あるいは都道府県の間では単価が異なると。この単価を公表をしているわけでございます。  これらの単価を用いまして、民間企業もある程度どういう工事費になるかというようなことの算定も可能でございますが、実際に入札に応じて民間企業が取り組む場合には、工法だとか段取りなんかを工夫したり、あるいは工期を短縮する工夫をしたりとか、あるいは資材を一括購入するというようなことで調達コストを縮減するであるとか、いろんな工夫をいたしまして、必要な経費を積み上げまして入札価格を決めているという実態でございます。
  88. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 官房長、都道府県によって単価が違うとすれば、東京はおのずと高くなるでしょうね。東京に福島県の業者が来てやったら、福島県は単価安いから福島県の業者が取っちゃうんじゃないかな。そういうことはないですか。  それと、要するに私もう一つ言いたいことは、やっぱり民間、民間もそれに右倣えしていると言うけれども、しかしながら民間の方は余り利益が上がらず、公共事業の方が利益が上がるという一つの風潮みたいのがありました。この辺からすると、やっぱり民間の積算価格といわゆる官庁の積算価格というのは違うんじゃないかなと思うんですが、その点についてはいかがですか。
  89. 春田謙

    政府参考人(春田謙君) 今都道府県ごとに単価をまず調べているかということにつきましては、私ども、実は北海道のような場合には区域が非常に広いものですから更に場所をある程度分けまして調査をしているというところもございますけれども、原則は都道府県別に、特に労務費等は相当違いもございますが、そういったようなものについてはそれぞれの地域のいわゆる実績、実態というものを調べているということでございます。  そういった意味でいきますと、民間でいわゆる工事の単価を出す場合と違いがあるのかということになるんですが、これは実際に広く行われている工事、それにかかわるそれぞれ単価的な労務費であるとか資材費であるとか、そういったようなものを調べておりますので、いわゆる平均的なものとしてはそういう市場の価格というものが一応把握されているという考え方の下に、私どもその把握したものの最頻値、平均値ということで決定をしてございます。
  90. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 現実的に、何ていうんだろうな、東京と地方、先ほどもいろいろ議論になっておりますけれども格差、正に出てきておりまして、それはどういうことかというと、昨日も我が福島県で大きな、大手が合併すると。毎日のように地方の建設業界というのは倒産したり合併したりしている。そういうふうな中で、大手、準大手、準大手B、中堅A、B、これずっと見てみますと、この四年、五年と利益を上げているんですね。ですから、どうもやっぱり大手に集中しちゃって、地方の業界というのは、当然のことながら、これは公共事業が減っているから非常に厳しい状況になっていると思うんです。  しかしながら、それぞれ地方から出ている先生方もたくさんおられますが、やっぱり地方の業界の窮状というのも大変な窮状で、特に積雪地帯なんというのは、一番活躍したのは地方の業界で、大手の東京の業界なんか何も、除排雪も何もしていない。そういうふうなことを見ると、やっぱり地方の業界と中央の業界をずっと見たとき、中央の業界がどんどんどんどん成長して地方の業界がしぼんでしまう。ある意味では、その業界全体として、これ国交省としても方策というか、ランクがあるからと言えばそれまでの話ですけれども、地方の業界に対しての一つの見識と、これからどういうふうな建設業界の進み方というか、こういうふうなことを考えているか、この点についてお伺いしたいと思います。
  91. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 地方の建設業界に対する見識と、それから対策でございます。  まず第一は、毎年度、中小建設業者の受注機会の確保を図るために目標を定めて発注をしておりまして、国土交通省直轄工事におきましては、平成十六年度で中小企業者の受注割合は五〇・八%と……
  92. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 もう一回、済みません。
  93. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 五〇・八%で、半分強を中小企業に発注しております。  今先生指摘のように、特に日本の場合には、自然災害が多発するという中で地域の守り手としての中小建設業、地元の役割は大変大きいわけでございますし、もちろん社会資本整備の担い手でもございますし、基幹産業として多数の雇用も担っているという重要な役割がございます。ただ、建設投資の急速な減少によりまして、特に公共事業への依存度が高い地域の中小建設業は厳しい経営環境でございます。  例えば、地域のしにせと言われるような有力な企業が加盟している、各都道府県に協会がございますけれども、ここ五年平均しまして、毎年三百数十社倒産しております、優良企業が。ということは、毎日一社ずつ倒れているという非常に厳しい状況でございます。御地元の福島県でも、この八年間、一社当たり受注額は三〇%減、従業員はマイナス四〇%という大変厳しい状況でございます。  このため、国土交通省としては、まずやはり何といっても、非常に情勢は厳しいんでございますけれども、公共投資の額をきちっと確保していくということが我が国全体のためにも必要ですし、地域の中小建設業にとっても一番の薬ではないかと思っております。特に、安全、安心の問題ですとか地域の自立に向けた戦略的投資、こういうことをやる分野はたくさん残されていると思います。  ただ、そうはいっても厳しいわけでございまして、例えば新分野の進出、福祉の分野とか農業の分野、こういうことについて各省横断的に政策群として支援していこうというようなこと、さらには、基本的にはやはりまじめで努力する企業が生き残っていくと、技術力のない不良不適格業者が生き残るというようなことがあってはならないということで、やはり競争環境の整備ということが大事だと思います。  そういう意味で、価格だけの競争ではない、技術力をきちっと評価した競争ということで、公共工事の品質確保法に基づく総合評価方式ということについても現在全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
  94. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 今局長の五〇・八%というのは、件数で五〇・八%か金額、どっち。
  95. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 金額でございます。
  96. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 金額。  今、品確法の話が出ました。これはもう議員立法で作った話で、それはもう前提としては、ペーパーカンパニーとかいわゆる悪徳業者がどんどん入って、場合によっては暴力団が入っていると。そういうふうなことも排除しながら、未来永劫にわたるいいものを、公共事業をつくっていこうというふうなことで、総合評価方式ということでございます。  総合評価方式も、これもやっぱり冷静に考えると大手と中小でえらいやっぱりどうしても差が出てしまうのかなと。今の発注の現状を見ていると、国交省の直轄が約四割ぐらいはこれを導入、施行しているのかな。ところが、自治体の県とか市町村、市町村なんかは、もうほとんどこれ品確法に準じた総合評価方式というのはなかなかできないんですね。ですから、この辺はやっぱりいい法というふうなことで作ったわけでありますが、何かもう一つ方法というか、せっかく作った法律、すばらしいものを世の中に残していこうというふうなことなわけですから、これのやっぱりもう施行実績をもっと上げるような何か工夫がないかどうか、これちょっと局長答弁願います。官房長か。
  97. 春田謙

    政府参考人(春田謙君) 今お尋ねの品質確保法の関係で、いわゆる契約そのものにつきましても、価格競争から価格と品質で総合的に優れた調達、こういったものに転換をしていくと、こういうことが正に法律でうたわれている理念でございます。そういったものをどういうふうに発揮をしていくかということでございます。  国土交通省におきましては、この品確法、またこの法律に基づきますところの基本方針を踏まえまして、昨年九月にいわゆる品質確保の促進のためのガイドライン、これをまとめたところでございます。これに基づきまして、特に今お尋ねの関係でいきますと、いわゆる比較的規模の小さい事業者さん、そういったところで、どういうその総合評価方式による発注の拡大ができるかということで簡易型の総合評価方式と、こういったものを導入したところでございます。従来から実施してきた方式に比べますと、いろいろな創意工夫というのがより働くような形で取組ができないかと。  例えて申しますと、工事中の安全管理あるいは騒音対策など、工事の施工に際しての工夫などについて提案をいただいて、それを評価する。こういうようなことで、きめ細かい地域住民への配慮が必要な事項についてはむしろ地域の実情を熟知をしている企業が有利になるというような点もあろうかということで、むしろそういう地域の中堅、中小の建設事業者の方が今まで培ってきた技術力、経験を発揮して活躍するということも期待しているわけでございます。これ、こういうことで簡易型の総合評価方式も導入いたしまして、実は昨年度、まだ導入したところでございますが、千百二件の工事でこの簡易型の総合評価を実施したところでございます。  私ども、正に品確法の取組ということをこれから実際に生かせるような仕組み、特に地方公共団体等ではまだまだそういうものへの取組が技術的な対応も含めて困難であるというような点につきましても、積極的な支援をしてまいりたいというように考えてございます。
  98. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 官房長、その総合評価型、提案型でやって、これはその予定価格をオーバーしたということはなかった。
  99. 春田謙

    政府参考人(春田謙君) この総合評価型のいわゆる工事契約に当たりましては、予定価格というものは当然こう前提になるわけでございますが、ただこれ、実は価格だけではなくて、先ほどのいわゆるいろいろ工事に取り組むときの工夫、こういったものも実は評点をいたしまして、必ずしも価格で一番安いところが契約を取るということではなくて、そういった評点も含めた総合的な評価でもって実は契約をするところを決めていくと、こういうことになるわけでございます。
  100. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 本当にこの運用はある意味では提案型で、これはいいものだからというと、じゃあと一千万足すかというふうな話になるところもあるかも分からぬ。ですから、この辺は非常に運用を、一般競争入札もきちっと頭へ入れながら運用してもらわないと、それはいいものはと言うけれども、青天井で幾ら金掛かってもいいというふうなことじゃありませんので、極めてその辺は厳粛に運用をしていただきたいなと思っております。  次に、大臣、国土政策いきましょう。  森元さんからも先ほどありました。先般の最初のこの決算委員会のときも私が言わしていただいて、小泉内閣の光と影、格差社会のどんどんどんどん拡大していく、そういうふうな中で、一つは社会の所得層の格差拡大と、さらに都市と地方の格差の拡大、これがどんどんできていると。  今、先ほど森元さんの質疑の中で、大臣が一極集中を是正しなきゃいけないと。これはもう私は本当に初めて大臣からこの答弁を聞いたんじゃないかなと。今までもう何十回と大臣とやっていても、いや住むところは人の勝手だというふうなことで、是正というのはなかなか言葉は出なかったんです。しかし、ただ、これ冷静に考えてみると、これ小泉内閣の大失政なんですよ。  なぜならば、いわゆる経済財政諮問会議で、国土をどうするか、全総が終わった後。そのときに、財政諮問会議で某大学の教授、後の平蔵氏が言っていたことは、いわゆる特色ある地方と。これはまだいいんですよ。都市の再生なんです。それで、都市の再生で、しかもその都市の再生は大都市の再生、八つ都市の再生やって、七つが東京ですからね。あのときも私は、小泉さん、失敗したでしょうと、六本木ヒルズを造っちゃって、六本木ヒルズ造らなかったらライブドアの事件は起こらなかったでしょうという話をさしていただいた経緯があったんですけれども。  私はもう本当に、これが結果的に、その都市の再生を六本木ヒルズから汐留からやっている、これが地方の若者をやっぱり誘客する、呼ぶ原因になって、それが先ほどいみじくも大臣も、都市人口が増えている、東京の人口が増えていると、増えている結果になっている。人口減少時代の中で、これが、都市がどんどんどんどん残念ながら人口が増えている。  人口が増えるとどういうふうなことになるかということの中で、先ほども森元さんが申し上げておりましたけれども、一つは過密の問題、まず災害ですよ。直下型地震が起きる。避難者が七百万人いる。人的被害が一万三千人。  それは、私はもっと心配なのは、中越のときも阪神・淡路のときもそうなんです。それ一年、二年やっぱり仮設住宅に住まなきゃいけない。これちょっとその計算すると、やっぱり東京でも百万人ぐらいはどこか仮設住宅に住まなきゃいけない。自分の住むところをどこかに見付けなきゃいけないと。これはやっぱり地方になってしまうんです。だけど、地方はそれだけの受皿は残念ながらない。  それからもう一つ、ヒートアイランド現象で、これはあと十年間で東京の温度が上がってくる。緑化対策やったけれども、全くこれは効き目が、残念ながら、緑化対策四年前やったのかな、効き目がないんです。それから、交通渋滞当然起こす。テロがあったら大変なことになる。火災も大変だ。犯罪と、やっぱり社会がどうしても荒廃している。残念ながらこの大都市部の社会の荒廃が地方にも行っている。この間の山形県にも伝播したんじゃないかなと思うようなことがあるんです。地方のちょっとした都市がみんな東京ナイズ、東京イズムなんです。  それと同時に、地域社会が崩壊している。今、教育問題、基本法、いろいろやっているけれども、あれが地域社会がしっかりして、人の子も我が子と同じ愛情でなんというふうな気持ちでもおったら、まさしく今の荒廃した気持ちになっていかないんです。  さらにもう一つは出生率なんです。出生率、これ繰り返しますけれども、〇・七でしょう。我が県は一・五。地方ほど出生率は高いんです。今、出生率の、少子化で問題だ問題だといろいろ議論しているけれども、こういうふうな複合的にやっぱり都市問題、一極集中も解決していかないと、私は少子化問題も解決しないと。一つの大きな原因であると、そんな思いをします。  一方、過密の弊害、過疎の弊害、これはもう村がなくなる。全部もう高齢者になっちゃう。そして農林水産業も衰退する、そうすると空気も水も東京に送れないような状況になってしまう。しかも、あと六年のうちに二千の集落がなくなると。本当に私はこれでいいのかなと思うんです。  ですから、国土政策を、まず基本的には人口の分布をも考えた国土政策を志向しないと、私は日本は壊滅すると思うんです。その点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
  101. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 東京一極集中のテーマにつきましては、佐藤先生とはこれまで何百回と議論、何百回というのはちょっと。  先ほども申し上げましたが、私、以前からそういうつもりで申し上げていたつもりなんですけれども、国土の適切な利用とか危機管理という観点からは、東京圏に様々な機能が集中している、これはやはり是正をしなければならない、これは以前もたしかそういうふうに申し上げておったかと思います。  問題は、じゃ、どうやってやっていくのかというところだというふうに思うんですね。今国土形成計画を策定しようということで議論をしておりますが、その中で地域の再生を図るべく、地域の魅力をどう引き出していくのか、居住環境をどう整備していくのか、また地域における産業をどう活性化していくのか、そうした議論を今まさしくさせていただいているところでございます。  観光とか、それから介護などのコミュニティーサービスビジネスですね、こうしたものはやはりこれから非常に可能性を地方の方は持っているというふうに思っております。また、二地域居住ですね、東京にいらっしゃるけれども、例えば夏休みとか正月は地方の方へ行かれるというふうな、こういう二地域居住もこれから、そういう志向性は相当ありますので、しっかりとそういう条件、環境というものを整備できるように努めてまいりたいと考えているところでございます。  委員からは非常に悲観的なお話が出ているわけでございますが、以前も申し上げましたが、委員の地元の福島なんというのは私は本当にすばらしいところだと思っているんですね。首都圏からも近い、そしてもう温泉も一杯ありますし、それから、前も申し上げましたが、果物なんかも南限と北限が両方重なって、もうあらゆる果物が福島県では取れると、本当にすばらしい地域だなって私は思っているんですが、そうした魅力をどう産業として引き出していくのかということが大事だというふうに思っているところでございます。
  102. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 産業としてもそれぞれ努力をしていくような決意であります。  今大臣から出ました国土形成法についてお伺いさせていただきたいと思います。  去年、国土形成法ができました。全国計画と地域計画、それぞれ今進めていると思うんです。まず、その全国計画と地域計画の、今の段階ではどのような進み方になっているのか、手短にお願いします。
  103. 小神正志

    政府参考人(小神正志君) 国土形成計画の検討状況についてのおただしでございます。  昨年の九月から、委員にも御参画いただいております国土審議会におきまして検討を進めているところでございます。  全国計画につきましては、テーマごとに五つの専門委員会を設置いたしまして、政策課題の整理、方向性について議論をいただいているところでございます。今年の秋ごろには中間的な取りまとめを行った上で、来年の中ごろを目途に全国計画を策定したいという予定で作業を進めているところでございます。  一方、広域地方計画でございますけれども、その前提といたしまして、まず全国を幾つかの広域地方計画区域というブロックに分ける必要がございます。この地域区分の在り方につきましても、この国土審議会におきまして今検討を進めていただいているところでございます。この方は、この六月を目途に広域地方計画区域割りというものを決めていただきたいというふうに考えているところでございます。
  104. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 広域地方計画ですけれども、これはちょっとこの間素案みたいなのを見さしていただきました。非常にこの区分の仕方って難しいんですね。経済圏域で区分するのか、ある意味ではその文化の圏域で区分するのか、それぞれみんなやっぱり混在しているんです。  例えばの例で恐縮でありますけれども、新潟は、これある意味では福島県と、非常に会津との交流が深い。経済圏域も新潟、電力の配給もそうだ。ところが、新潟は東西に非常に二百キロ、三百キロぐらいあって、南の方に行くと何か関東地方と、というふうなこともあるんです。  ですから、そういうふうな地域がいわゆる東北だけじゃなくて中国、四国にもそれぞれあるのかなと思う中で、やっぱり大事にしなきゃいけないところというのは、これまた格差の話で申し訳ないけれども、経済的に豊かなところだけが一つのブロックになったら、これまたやっぱり大変な差ができてしまうんです。ですから、そういうふうなことをも考えた一つの地域のブロック、これはやっぱり一つの選別する、ブロック決めることの要素の頭入れておいていただきたいなと思います。  それともう一つは、今言ったように、いわゆる居住地域というか、一極集中、これを是正するような考慮があるのか。それで、それはまた逆に、今都市災害の問題が非常に懸念されている。それは、一極集中を是正すれば当然のことながら都市の犠牲者も少なくなると思うんです、私。ですから、これはもう災害というのは、これは防ぎようがないですからね。地震をだれも防げる人いないと思うんです。台風を止める人もいない。来たものの犠牲をいかに少なくするかというのは、そこに集中している人がどれぐらいいるかというのも大きな原因になってくると思うんです。  そういうふうなことをも含めた中でまず検討してもらいたいということと、今地方に東京の人が、団塊の世代はこれから五二%は行ってみたいという希望者がいるみたいだけれども、奥さん方がほとんど反対だから、女性から言われるとだんなは言うことを聞かなきゃいけないからなかなか実現しないと思うけれども、居住地を二つ持つということ、これはもう十分可能性があると思うんです。この点については、もう本当に私は、この政策の最重点政策として、地方から出ている国会議員の一人として何としてもやってもらいたい。ついては、それをだれが仲人をするかなんです。  幸い、福島県は今日から銀座にアンテナショップみたいなのをやって、それで、東京から来る人いらっしゃいというふうなことで始めておりますが、それぞれの都道府県、それぞれみんな苦労しながらやっているんですけれども、これは霞が関がどこかで助けてやらないと実現しないので、その決意について、短くお願いします。
  105. 小神正志

    政府参考人(小神正志君) 二地域居住の推進につきましては、私どもも、委員お話しありましたように新しい国土形成計画の中できちっとした位置付けをしたいと考えて、今検討を進めているところでございます。ただ、委員の御指摘にもありますように、具体的に二地域居住をどうやって進めるかという点につきましては、いろいろな課題があるというふうに我々も考えております。  例えば、住宅の手当てをどうするかとか、あるいは農山漁村で都市の住民がどういう活動をするのか。単に住むだけで、やはり農山漁村にとってみても何らかの効果といいますかメリットがないと、お互いに、都市側にも農山村側にもそういった効果が及ぶということが大事じゃないかというふうに考えております。特に、仲介的な役割を果たす人が重要だというふうに考えております。これは都市側においても必要ですし、それから受入れ側の農山漁村においてもそういった組織が必要だと思っております。  そういったいろいろな課題をこれからどういうふうに推進していくかという点につきましては、当座はやはり御指摘のように県なりあるいは市町村なりの役割は重要だと思いますけれども、これが広く普及するためには、例えばNPOとかあるいは地域の民間の方々が入った組織とか、そういったものがなければ広がりはないと思っていますので、そういった組織のこれからの育成策、こういったことも検討していきたいというふうに考えております。
  106. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 局長も地方にいた経験があるから、県庁の事情というのは十分承知していると思いますので。まあなかなかやっぱり中央というか霞が関にお願いに来るというのも遠慮する場合もありますので、むしろ霞が関の方から手を差し伸べて、そしてやっていただければ有り難いなと思います。要望しておきます。  私、警察の方も担当しておりましたので、せっかく公安委員長お見えになっていただいておりますので、これ産経新聞の五月三日なんですね、いわゆる駐車違反の取締りを民間業者に開放したと。  これはある意味ではいいのかなと思うけれども、民間業者がやっぱり今までの警察の代行をできるのかなと、いろいろ思いをはせながらこれを読んでみますと、運輸業界も非常にこれ厳しい。ちょっと時間、配達しているうちにそのレッテル、ペーパー張られたら、それがすべて駐車違反になってしまう。あとコンビニエンスストアなんかも、あれずっと配達しているときたまたま用事ができちゃって、身体的な用事ができてトイレに入っているうちにぱっと張られてしまうこともあるんじゃないかとか、そんなことを考えると、この方式を運用することは非常に懸念することがたくさんあるんじゃないかなと思うんです。  その件についてまず御所見と、それから、もう時間ありませんので、あと検挙率が、これ二六%というのはいいのか、高いのか低いのか分かんないんです。ただ、諸外国と比べると、諸外国もそんなような検挙率になっているんですけれども、今のいろんな事件を含めて検挙率の、極めて私どもは低いと思うんですけれども、この辺のその理由はどういうふうなことなのか含めてひとつ答弁願いたいと思います。
  107. 矢代隆義

    政府参考人(矢代隆義君) お答え申し上げます。  駐車違反の取締りのやり方が大きく変わるということで御心配の向きが確かにございます。ただ、この取締りを強化するところですが、これは駅前ですとか非常に駐車が問題になっている一区画あるいは一路線、部分的な路線でございまして、その場所がかなり局限されます。  それからもう一つですが、駐車の取締り厳しくなりますので、これまで二年間掛けて駐車規制そのものについて見直しをしてきておりまして、それで本当に必要なところについてはこれを緩和する、あるいは場合によったら解除するなどの措置もとってきておりまして、その上でこれから、六月一日から臨もうとしております。  現実の場所を考えますと、車のところに運転者がいない場合に標章を張るわけですけれども、それを作業をしているときに運転者が帰ってくればこれを張らないということにいたしております。  それから、その前提として荷物の場合が問題になるんですが、荷物の、貨物の積み降ろしで運転者が近くにいる場合には、これは五分間は駐車扱いしておりませんので、これは従来どおりでございます。  それから、あと引っ越しなどでやむを得ず長時間駐車が必要な場合もあるんですが、これは現在もそうですが、警察署長の駐車許可を求めるというやり方がございますので、私ども、道路交通は国民生活そのものでございますので、駐車秩序も国民生活をやりやすくしようということでやるわけでございますので、この新しい制度の運用、規制、取締りにつきましても、道路環境あるいは地域の実態を踏まえて現実に即してやるということにしております。
  108. 縄田修

    政府参考人(縄田修君) 私の方からは検挙率の関係でお答えを申し上げたいと思います。  過去十年間で見ますと、平成八年には四〇・六%でございました。それが徐々に検挙率、低下をしてまいりまして、平成十三年には初めて二〇%を下回ったところでございますけれども、平成十四年以降これは上昇に転じておりまして、平成十七年は二八・六%と若干ながら回復の兆しが最近うかがえているところであります。  以前に比べまして検挙率が低いという、若干低下しておるということでありますけれども、これは犯罪の発生に対しましてなかなか検挙が追い付かないと申しますのは、昭和期のちょうど倍ほどの認知件数がございます。二百六十万余の件数がございまして、そういったことでなかなか追い付かないというようなこと。あるいは、来日外国人の犯罪の増加等もございますし、それから国民の警察に対する協力意識の低下というようなこともございます。これは聞き込みによるものがかなり低下をしてきております。あるいは、いわゆる大量生産、大量流通の進展ということで物からの捜査というのも難しくなった、こういったことが原因であろうかと思います。  検挙率、殺人等はこれ九六%程度でもう従前と変わらない高率で、検挙率でございますし、いわゆる捜査本部事件といいますか、重要事件の解決率も何ら変わるところはないところでありますけれども、ただ、全般の検挙率が低下しておる。国民の身近な犯罪も含めまして、期待にこたえる検挙活動というのは重要であろうと考えておりまして、今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。  それから、外国の検挙率との関係でございますけれども、二〇〇三年の法務総合研究所の犯罪白書によりますと、フランスが二八・八ということでほぼ日本と同じような形、ドイツが五三・一、英国、イギリスが二三・五、米国が一九・八でございます。これはどういったものを認知件数に加えるかということ、あるいは検挙の概念どうなのかということが各国によって随分違うと思います。それから、アメリカの統計も州によってかなりばらつきがございます。一概になかなかこれをもっていい悪いという評価は難しいものだろうと思っています。  私、先日、ドイツの司法担当の参事官に話を聞きましたが、これ五〇%を超える検挙率なんですけれども、日本の治安ははるかにいいという認識をされていまして、満足をされておられるようでした。いろいろ状況によって認識の差があるんだろうというふうに考えております。
  109. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 時間が来ましたので終わりますけれども、安全、安心、かつての日本は世界で一番安全、安心の国だと言われていたわけですから、しっかり確保していただくことをお願いして、終わります。  ありがとうございました。
  110. 前川清成

    前川清成君 二〇〇四年七月の選挙で奈良県選挙区から当選させていただきました前川でございます。今日は決算委員会で初めての質問に立たせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。  さて、一九七二年、昭和四十七年に高松塚古墳が発掘され、その石室から極彩色の壁画が発見されました。特に飛鳥美人と名付けられた婦人像は、その後、飛鳥ブームを巻き起こしました。しかしながら、壁画は公開されず、石室は直ちに閉鎖をされました。以来三十五年間、壁画は文化庁だけが観察し得る状態に置かれてきました。国民は、そして奈良県民は、また明日香村に住む人々は、壁画は国が守ってくれるだろうと、大丈夫だろうと、そう信頼して暮らしてまいりました。  ところが、実は壁画はカビだらけ、ぼろぼろになっている。そればかりか、高松塚古墳は文化庁の職員によって二度も傷付けられたと、しかもその傷跡をごまかすために泥水を塗っていた、そんな事件までありました。カビ同様に文化庁はこの事件も隠匿し続けたわけであります。  そこで私は、この文化庁自らによる壁画の損壊と泥を塗ってごまかそうとしたこの事件につきまして質問主意書を政府に提出いたしました。これに対して四月二十八日、政府から答弁書を受領しましたが、なぜこの事件を公表しなかったのか、公表しないと決めたのはだれか、なぜ泥を塗ったのかと、この三点の質問に関しては、調査委員会を設置したので、調査委員会が調査して公表するという回答しかありませんでした。すなわち、今は答えないという答弁でした。  そこで質問をいたします。現時点において、だれが高松塚古墳の傷に泥を塗ってごまかそうとしたのか、当事者の名前は分かっていないのでしょうか。文化庁。
  111. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) お答えをいたします。    〔委員長退席、理事国井正幸君着席〕  平成十四年一月に起きました高松塚古墳の事故についてでございますが、委員指摘にございましたように、現在、この事件等につきましては調査委員会を立ち上げまして事実関係等について究明中でございます。  御指摘の、具体のだれが何をしたかということにつきましても調査中でございまして、会議がもう既に一回目開かれたわけでございますが、短期間のうちに調査をまとめまして、私ども、明らかになり次第公表したいと考えておるところでございます。
  112. 前川清成

    前川清成君 いろいろお尋ねしたいことがありますので、答弁者は聞かれたことだけ答えるように御注意願えませんでしょうか。  それで、私は今、当事者の名前が分かっているのか分かっていないのか、この質問をしました。それについて加茂川さんからは、はいかいいえをお答えください。
  113. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) お答えをいたします。  作業点検日誌からは、当日に入った者の氏名は特定できております。
  114. 前川清成

    前川清成君 だれが泥を塗ってごまかすよう指示したのか、その名前も分かっていますよね。
  115. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 具体についてはなお調査委員会で調査中でございます。
  116. 前川清成

    前川清成君 今のは分かっていないというお答えですか、はっきり答えてください。
  117. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 調査委員会での調査にかかわることでございまして、ここで私どもが私どもの限られた情報でお答えをすることは控えさせていただきたいという趣旨でございます。
  118. 前川清成

    前川清成君 どうして調査委員会を立ち上げたら国会の決算委員会では答えられないんですか、その理由を答えてください。
  119. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) お答えをすべきだという趣旨委員の御指摘だと思いますが、私どもとしましては、外部の方々に入っていただいて調査をお願いした手前、私どもだけの情報を提供することははばかられるのではないかという判断を今のところいたしておるわけでございます。
  120. 前川清成

    前川清成君 問われたことに正面から答えてください。  今のは、だれが泥を塗ったのか、だれが高松塚古墳の壁画に泥を塗ってごまかせと指示したのか。今日時点において文化庁は分かっているのかいないのか、分かっているなら氏名を答えてもらいたい、分からないなら分からないと答えてください。
  121. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 現時点で特定できておりません。
  122. 前川清成

    前川清成君 仮に、加茂川さん、今の答えがうそだったらば、すなわち高松塚古墳の壁画の傷にだれが泥を塗ってごまかせというふうに指示したのか、加茂川さん、あなたが知っているにもかかわらず、今、国会でうその答弁をしたというのならば、あなたの責任問題は生じますね。
  123. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 前提はごまかす指示をしたという特定の御質問でございましたので、そういった前提に立って特定できる情報はないということをお答えしたわけでございます。
  124. 前川清成

    前川清成君 だれが泥を塗れと指示したのか、その人は分からないという答えですか。
  125. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 委員は、新聞情報等に基づいて、私どもが当然何か情報を持っているべきだという前提でお尋ねかもしれませんが、私どもとしては、その委員が御指摘作業又は行動について指示した者について現時点では特定できていないと、なお調査中だと、調査委員会に出す資料についても鋭意精査中だというのが現状でございます。
  126. 前川清成

    前川清成君 それじゃ、加茂川さん、最後に確認しておきます。  もし今、分からないという今の答えがうそだった場合、あなた個人の責任は生じますよね。どういう責任を取るのかだけ答えておいてください。
  127. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 繰り返しで恐縮ですが、現時点で特定すべく、又は調査委員会で調査すべく、資料について鋭意精査中ということでございまして、そのことを、私の現状について私自身が判断すべきことではなくて、この後、調査委員会での結論なりそれに対する行政の対応についての御判断があるべきものだと思っております。
  128. 前川清成

    前川清成君 私は、ここで加茂川さんにお聞きしたいことは、調査委員会の結論、結果は出ていないという今御答弁でした。しかしながら、当時の作業日報等から、文化庁においては一定程度の情報を持っておられます。なぜその一定程度の情報を、私が提出した質問主意書に対して答えないのか、今調査中だから、調査結果が出たらそのとき答えるという答弁で終わっているのか、その答弁の法律上の根拠をお伺いしたいと思います。    〔理事国井正幸君退席、委員長着席〕  私は、国会法七十四条に基づいて質問主意書を提出いたしました。その場合、国会法第七十五条二項によって、内閣は質問主意書を受け取った日から七日以内に答弁をしなければならないとあります。もしその場合、答えられないのであれば、答弁することができない理由及び答弁する期限を明示して回答しなければならないと、こう国会法七十五条二項は記載しております。しかし、文化庁から提出された答弁書は、なぜ答えられないのかについては記載されておりません。いつまでに答えるのかについても書かれておりません。  したがって、私はこの文化庁が提出した、正確には政府が提出した高松塚古墳の壁画損傷に関する質問主意書の答弁書は国会法七十五条二項に違反する違法な答弁書だと判断しています。そうでないというふうに判断されるのであれば、なぜ調査委員会を立ち上げたから今直ちに回答しないということが法律上是認されるのか、その法律上の根拠をお答えください。
  129. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 答弁書におきましては、この調査委員会において調査をし速やかに公表する予定であるという私どもの現時点での考え方をお示しをしておるわけでございまして、これは私どもは特別の法律の根拠ということは明示できないわけでございますが、法令に従った、答弁書の手続に従った作成手続を踏まえたものであると理解をしております。
  130. 前川清成

    前川清成君 役所に、役所が調査委員会を設置しました、そうしたら質問主意書に対して答えなくても構わない、そんなことがまかり通ったならば質問主意書の制度なんか吹っ飛んでしまうし、そもそも国会なんか要らなくなってしまう。役所にとって都合悪いことができたら全部調査委員会をつくったらいいと、こういうことになってしまう。違いますか。  だから、もし加茂川さんが適法な答弁書だというふうに言い張るのであれば、国会法七十五条二項が明示しているように、答えなかった理由といつまで答えるかという期限を記載しなければならなかったんです。ところが、政府が出した答弁書にはこの点が記載されていない。そうであるならば、法律上の根拠を欠いている以上、違法な答弁書と言わざるを得ない。いかがですか。反論することがあれば反論してください。
  131. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 私どもとしては所定の手続を踏まえて答弁書を作成させていただいたと思っております。  繰り返しになりますが、調査結果については私ども速やかに公表すること、その意思は答弁書で明らかにしておるところでございます。
  132. 前川清成

    前川清成君 所定の手続に沿って答弁したから合法だとおっしゃるのであれば、その所定の手続について法律上の根拠をはっきりとおっしゃってください。
  133. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) いただきました質問主意書につきましては、私どもが担当いたしまして、内閣法制局にも協議の上、閣議に手続を諮りまして答弁書を作成させていただいたわけでございまして……
  134. 前川清成

    前川清成君 そんなこと聞いてない。条文。
  135. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 申し上げました所定の手続というのはそういう趣旨でございます。
  136. 前川清成

    前川清成君 条文答えてください。
  137. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 今特定の条文について言及することはできませんけれども、所定の手続を踏まえてこの答弁書を作成させていただいたということを、申し訳ありません、繰り返させていただきます。
  138. 前川清成

    前川清成君 通告していますから、答えられないのであれば速記を止めてください。委員長、速記を止めてください。
  139. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  140. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 速記を始めてください。
  141. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) お答えをいたします。  いただきました質問主意書は国会法七十四条によって提出されたわけでございます。私どもは、これを踏まえまして、同法七十五条によって答弁書を作成させていただきました。
  142. 前川清成

    前川清成君 今の国会法七十五条の解釈は明らかに間違っていますが、素人相手にこんな議論しても仕方ありませんので前に進めさせていただきたいと思います。  それで、高松塚古墳壁画は国宝であります。すなわち国民の財産であります。それを文化庁が預かっていた、国民から預かっていたわけです。他人から預かった大切なものに傷が付いたならばまず持ち主に報告をする、そしておわびをする、それが私たちこの国の常識じゃないかと思います。それを文化庁は怠った。加茂川さんは、文化庁には何の罪もない、そういうふうに言い放ったらしいですが、隠し続けていたこと自体が罪ではないんですか。いかがですか。
  143. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 御指摘のように、仮に隠ぺいという事実があったという前提に立ちますならば委員の御指摘のとおりだと思いますが、現在そういった事実があったかどうかについて調査を進めているということを御理解いただきたいと思っております。
  144. 前川清成

    前川清成君 高松塚古墳は、先ほども申し上げましたように、国民にも研究者にも公開されておりませんでした。ただ文化庁のみが観察することができた状態にありました。  そんな状況の中、文化庁の河合長官は、平成十六年三月に出版されました国宝高松塚壁画という書籍の序文の中で、幸い三十年を経ても壁画は大きな損傷あるいは退色もなく保存されていますと、こういうふうに書いておられます。  これは国民に対する詐欺ではないでしょうか。なぜ河合長官はこのようなうその文章を書いたんでしょうか。
  145. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 委員指摘の写真集の序言、序文に当たるものでございますが、そこでの河合長官の表現の仕方が、御指摘のその部分だけを見ますと不適切だというのは大変ごもっともなことだと私どもも理解をしておりますが、この序言の全体を読んでいただきますならば、この壁画の保存事情が大変厳しい環境の下で、その保存、管理を行うことが前例のない困難な作業であったと、そういう趣旨を述べる中での今の表現、一文があったことを是非御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  146. 前川清成

    前川清成君 加茂川さん、今のようなことをこじつけって言うんですよ、日本語でね。  それで、恐らく河合さんは悪意でうその説明をしたのではないと私は思っています。むしろ、河合さんはだれかによってうそを書かされた。河合長官はうその説明を聞いて、それに基づいて、幸い三十年を経ても壁画は大きな損傷あるいは退色もなく保存されていますと書いてしまって大恥をかいたわけであります。だれか後ろに黒幕が、この黒幕を究明しなければ、悪いやつほどよく眠ると、こういうことになってしまいます。  河合長官の後ろにいる黒幕、それは加茂川さん、あなたですか。
  147. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) この序言、序文に当たるものでございますが、この表現につきましては、担当者、担当課長、この壁画について経緯も詳細を知っている者でございますが、これから長官に説明をいたしまして、写真集を出す趣旨、それから序言、この序文に当たるものにつきましても長官に説明をさせていただきましたので、長官も承知の上でこの写真集が発行されておりますことを御理解いただきたいと思っております。
  148. 前川清成

    前川清成君 そうしたら、河合さんは承知の上でこう書いたと、こういうことですか。
  149. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) この高松塚古墳壁画写真集につきましては、壁画全体についてありのままの写真を公開をするのだと、国民の理解を得るために私どもはなすべき義務を果たすんだという思いで発刊したものでございますが、そういった趣旨を踏まえて、先ほど申しました長官の序言についても御理解の上、掲載させていただいておるという事情がございます。
  150. 前川清成

    前川清成君 質問したことに答えてくださいね。  今の答えは、河合さんも知った上で、高松塚壁画がカビだらけになっているのも知った上で先ほど読んだような序文を書いたと、こういうことですね。  それで、次の質問に移りますが、石室、高松塚古墳の石室は解体すると、こういうふうに平成十七年六月の恒久対策検討会で決まっています。ところが、この十七年六月の時点では、平成十三年に文化庁の職員が防護服を着ずに作業してしまった、その結果、直後に大量のカビが発生したという事実は公表されていませんでした。すなわち、検討会のメンバーも知らなかったわけであります。したがって、検討会の、石室を解体するというふうに決定した検討会の前提となった認識に間違いがあった。それゆえに、私は、検討会による解体という結論自体も見直さなければならないのではないか、そう考えています。  この点、文化庁、いかがですか。
  151. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) この後の壁画の修理、保存のために石室を取り出す、いわゆる解体をしなければならない状況にあるのは━━━━━━━━━━  この基本方針を決定いただきました……
  152. 前川清成

    前川清成君 そんなこと質問していないよ。
  153. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 専門家の会議の前提としてはいろんなことがございましたけれども、十三年度における石室前工事、この工事の際の防カビ対策が不十分であったという事情も検討の際には情報として提供されておりまして、検討会にはこの情報も明らかになってございました。また、この会議は一般に公開をされておった会議でございます。
  154. 前川清成

    前川清成君 委員長、私は今、石室が解体しなければならない状態にあるなんてことは一言も言っていません。検討委員会が解体を決定したと、そういうふうに言っただけなんです。  今の加茂川さんの発言、速記録から削除していただけませんでしょうか。
  155. 中島眞人

    委員長中島眞人君) この問題については理事会で協議をさせていただきます。
  156. 前川清成

    前川清成君 高松塚の失態を見ていますと、そもそも文化庁は貴重な税金を使う能力を有しているのかどうか、私は大変疑問に思っています。  そんな中、今、平城京では大極殿の復原工事が行われています。その予算は百九十五億円というふうに説明を受けています。  去年、ブッシュ大統領と小泉総理が京都迎賓館で首脳会談を行われました。その京都迎賓館の総工費が二百億円であります。京都迎賓館には大会議室や晩さん室あるいは大広間なんかもありますし、内装には人間国宝が七名も携わっています。なぜ大極殿に百九十五億円ものお金が必要になるのか、この点を御説明ください。
  157. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 今復原作業を進めております平城宮跡の第一次大極殿正殿についてでございますが、申すまでもなく、この平城宮跡は大変貴重な文化遺産でございます。律令国家形成期における政治文化の中心として極めて歴史上重要な文化遺産だと私どもは認識をしておりまして、昭和二十七年に既に特別史跡として指定を受けておるわけでございます。
  158. 前川清成

    前川清成君 聞かれたことだけ答えてください、時間ないから。
  159. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) そこで、私どもとしましては、この大極殿の復原に当たりましては、その規模、構造、意匠において奈良時代の姿に忠実に復原することを目指しておりまして、当時用いられておりましたと考えられます材料あるいは技術工法を駆使して行っておるわけでございます。そのため、およそ百九十億円の総経費が必要となっておるわけでございます。  なお、このうちのほとんど六割が木材購入等、木工事分に当たっているものでございます。
  160. 前川清成

    前川清成君 大極殿が奈良時代のとおり造られているというのも知っていますし、木造建築だというのも見たら分かるんです。  なぜ百九十五億円もの巨費が掛かるのかと、京都迎賓館の二百億円に比べてお金が掛かり過ぎるんじゃないですかという質問です。その質問に答えてください。
  161. 中島眞人

    委員長中島眞人君) この際申し上げます。  答弁者は質問者の意味を十分踏まえて発言をしてください。
  162. 前川清成

    前川清成君 ごまかそうとするな。
  163. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 先ほど申しましたように、この百九十億円の六割が木工事分、木の、木材の購入等に充てられておるわけでございますが、この購入費、国産のヒノキを使っておることもございまして割高に付いておりますし、先ほど申しました構造、意匠につきまして当時と同じものを復原しようとしますために、技術者の確保にしましても、その細かな技術の実行にしましても、ほかの一般の建築物よりはかなり割高に経費が掛かるわけでございます。
  164. 前川清成

    前川清成君 百九十五億円の六割ですから、およそ百億円以上ヒノキを買わなあかんと。どんだけの量を買うんですか。  今の、ちょっと明らかにおかしいと思いますので、委員長、なぜ百九十五億円も掛かるのか、詳細な資料をこの委員会に提出していただくよう要求いたします。
  165. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 詳細な資料の提示を文化庁に求めます。
  166. 前川清成

    前川清成君 次に、何のために百九十五億円も掛けて復原するのか、復原後はどのように利用するのか、この点お伺いします。
  167. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) この復原工事は、先ほど申しました歴史上極めて貴重な文化遺産と評価されております平城宮跡に関しまして、古代都城、都の城でございますが、都城文化の正しい理解を資するため、例えばこれを活用して、子供を始めとした国民一般が体験学習を行う場として活用しますことや、いろんな企画事業の場として創意工夫をする余地があろうと思っておるわけでございます。現に、現在、地元の奈良県が平城京遷都千三百年記念の事業を企画しておるものと伺っております。
  168. 前川清成

    前川清成君 じゃ、今のお答えは遷都千三百年祭にこの大極殿の建物、復原された大極殿を利用させると、こういうことですね。
  169. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 今申しました、奈良県を中心に予定されております千三百年記念事業につきましては、その詳細について私ども今協議を受けておるところでございまして、どういった活用方法になるのかはこれから子細が決まってくるものと思っております。
  170. 前川清成

    前川清成君 同僚議員の皆さん、聞いていただきたいんです。百九十五億円もお金を掛けて大極殿を造りますと。で、何に使うか決めていませんと。こんな税金の使い方あるんですか。むちゃむちゃじゃないですか、今のは。文化庁というのはそもそも税金を使う責任がない、責任感がないんじゃないですか。  ちょっと時間の都合もありますので、北側大臣の方に質問を移したいと思います。  平成十四年に、乗り合いバス事業に関しては免許制から許可制に変更されると、規制緩和があります。例えば、もうかるバス路線だけにバスを走らせることも可能になりました。この結果、空港へのリムジンバスや夜間高速バスというのは増えたと思うんですが、過疎地だけではなく、地方都市でも生活に密着したバス路線、これが随分廃止されたように私は感じています。私の地元、奈良県でもそういうふうに思います。  しかし、公共交通機関がなくなってしまえば子供たちは学校に行けません。先ほど大臣自ら、高齢化に適合した交通政策と、このような御発言をされましたが、自らは自動車を運転できないお年寄りも多く、その場合病院にも行けないということになりかねません。  バス事業に関して、だれも乗らない無人のバスを全国津々浦々に走らせろと、そんな無理を言うつもりはありませんが、人々の暮らしがある町を結ぶ公共交通機関は、ある程度は、仮に赤字路線であっても、赤字を最小限度にする、そういう努力を条件に、社会的なコストとして国もバス路線維持に一定の責任を負うべきではないかと私は考えています。  ついては、バス路線維持に関する国の責任と国の関与の形についてお考えと取組を御説明いただきたいと思います。
  171. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 生活交通路線としての地方バス路線の確保というのは大変重要な課題だというふうに認識をしているところでございます。この国会でも道路運送法という法律を提案をさせていただいています。その内容は、コミュニティーバス、各地域地域でコミュニティーバスだとか、それからNPOによる自家用車による有償移送、これを制度化をきちんとしていこうと、そういう趣旨で、まさしくこれからの高齢社会にふさわしい高齢者の足として、足をきちんと確保していこうという趣旨で今回そういう法案も御審議をいただいているところでございます。  この地方バス路線につきましては、国と地方の適切な役割分担の下、国の補助制度と、それから、これ総務省でございますが、地方財政措置の組合せにより総務省と連携を図りつつできる限りの支援措置を行っているところでございます。  具体的には、地域が必要とする生活交通路線のうち、国は広域的、幹線的なバス路線について都道府県と協調して支援をする、その他の路線については地方公共団体が地方財政措置を講ずることで必要な生活交通の確保を図ると、こういう分担をしておるところでございます。  国の補助制度につきましては、平成十四年度以降、毎年度約七十二億から七十三億円の国庫補助金を交付をしておるところでございまして、県も同額市町村に対して同じ補助をしているところでございます。こうした補助を通して、生活交通の維持確保を図っているところでございます。  今後とも、総務省とも連携を図りつつ、地域が必要とする生活交通への支援に引き続き努めてまいりたいと考えております。
  172. 前川清成

    前川清成君 金融庁が貸金業に関する懇談会というのを立ち上げましたが、先日、その中間報告書が提出されました。この貸金業に関する懇談会に関して、以前、昨年三月八日の予算委員会でも伊藤大臣にお答えいただいていますが、この貸金業に関する懇談会は幅広い観点からの勉強のため立ち上げたと、こういうふうにお聞きしていいんでしょうか。あるいは何か隠された意図はあるんでしょうか。
  173. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答え申し上げます。  平成十六年一月に施行されましたいわゆるやみ金対策法の附則第十二条におきまして、貸金業制度の在り方及び出資法の上限金利について、法律施行後三年を目途として見直しを行うという規定がございます。  このような検討条項の趣旨を踏まえまして、今御指摘ございました貸金業制度等の在り方について幅広い観点から勉強していくため、総務企画局長の懇談会として、昨年三月から貸金業制度等に関する懇談会を開催してきたところでございます。
  174. 前川清成

    前川清成君 勉強のための懇談会ですが、座長や委員、オブザーバーには、その都度日当は支払われているんでしょうか。これまで日当や資料のコピー代あるいは委員の交通費等、どれだけのお金が合計使われたのか、金額をお答えください。
  175. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) お答え申し上げます。  貸金業制度等に関する懇談会につきましては、昨年三月三十日以降、これまで十七回会合を開催しております。委員等に支払う謝金や旅費等で合計六百四十万円程度、内訳で申し上げますと、謝金約五百五十万、旅費約八十万、庁費約十万円を支出しているところでございます。
  176. 前川清成

    前川清成君 この貸金業に関する懇談会にはオブザーバーとしてサラ金の社長や貸金業協会の会長も含まれています。どうしてオブザーバーにサラ金の社長が含まれているんですか。
  177. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) 貸金業の在り方を考えていく上で、貸金業のいろいろな実態というものを把握していく必要がございますので、オブザーバーとして参加をしていただいているところでございます。
  178. 前川清成

    前川清成君 貸金業の実態を知るには、貸手であるサラ金から事情を聴くのであれば、借り手である消費者からも事情を聴かなければならない、それが公正な態度だと思うんです。国の税金を六百六十万って今おっしゃいましたか、六百四十万、六百四十万も使っていると。中間報告ですから、これから一千万以上の金を使って勉強会を続けていく。その一千万以上金を掛けた勉強会にサラ金の社長だけをオブザーバーに入れて、消費者の代表を入れないというのはどういう意味ですか。畑中さん。
  179. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) 御指摘のように、この貸金業の在り方につきましては、貸手サイドのみならず、借り手サイドの意見を十分に聴いていくことは非常に大切なことだと思っております。この懇談会のメンバーにつきましては、消費者保護に関する委員の方あるいは消費者問題に携わっておられる弁護士の方に入っていただいておりますし、またヒアリングとして実際被害に遭われた方々からもこれまで数回御意見をお聴きしているところでございます。また、あわせて、オブザーバーで弁護士の宇都宮先生にも入っていただいているところでございます。
  180. 前川清成

    前川清成君 畑中さん、今僕にうその説明をしましたよね。知らないと思ってだまそうとしても駄目ですよ。今だったらいいですよ、今うそをつきましたと言ってください。
  181. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) 意図して申し上げた次第はないんでございますが、御指摘を賜れば幸いでございます。
  182. 前川清成

    前川清成君 畑中さんも、じゃ、だまされているんだと思いますけど、この貸金業に関する懇談会というのは十七年の三月三十日から始まっているんです。宇都宮さんが出たのは十五回と十六回、今年になって、しかも中間報告がまとめられる直前になってです。  畑中さん、あなたがうそをついたのかどうかは知らないけれども、去年の四月二十七日、これは金融庁のホームページにも記載されていますが、日弁連の消費者委員会から宇都宮、木村達也、三木俊博、新里宏二、この三名の弁護士が出席をしました。その場で三木弁護士の方から、サラ金の社長が、貸金業協会の会長がオブザーバーで出ているのであれば日弁連の消費者委員会もオブザーバーに入れてくれと、こういうふうに申入れがあったんです。それを断ったのは金融庁なんです。それは認めるでしょう。畑中さん。
  183. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) 正確性を欠いたかもしれませんので改めて申し上げますが、第十四回、第十五回、第十六回、それから最後の中間整理取りまとめの十七回、この四回、宇都宮先生に御出席はいただいております。それ以前はございません。
  184. 前川清成

    前川清成君 そうしたら、あなた、都合のいいことだけ答えて、都合の悪いこと隠したけど、第二回のときに、去年の四月、日弁連の消費者委員会もサラ金の社長がオブザーバーに入っているんだったら我々も入れろと、その正当な要求を握りつぶしたその理由。畑中さん。
  185. 畑中龍太郎

    政府参考人畑中龍太郎君) 握りつぶしたとか、そういう事実は承知をしておりませんが、委員先生の中には上柳先生という日弁連の消費者問題ずっとやってこられた先生方が入っておられるところでございます。
  186. 前川清成

    前川清成君 畑中さん、僕にうそついてもあかんて。上柳さんは金融庁からの一本釣りでしょう。日弁の消費者委員会から推薦して出したのと違うじゃない。何でそんなうそをつくの。よっぽど隠したいことがある。  アコムの社長は、オブザーバーとはいいながら四月十八日の懇談会において、(発言する者あり)前回出ている、四月十八日の懇談会において中間報告書の文言についてまで口出しをしている。それを傍聴してきたマスコミの皆さんからは、あたかも言い掛かりのような発言だったと、私はそう聞いています。借り手の側の代表は入れずに高利貸しの代表だけこうやって入れている。何かおかしいなと、こういうふうに思うんです。  それで、以前、商工ファンドという高利貸しが、高利商工ローンがありました。今SFCGということで屋号を変えています。このSFCG、当時の商工ローンは、平成十一年十二月、代表者が参議院財政・金融委員会で証人喚問を受けています。当時の悪徳商工ローンというのが大変問題になったときであります。そのとき、この商工ファンドの代表者の補佐人として弁護士が付き添っています。その弁護士は、何と今、金融庁の顧問弁護士になっているんです。  そこで質問します。商工ファンドの顧問弁護士、国会で、この参議院で悪徳高利貸しとして国会で喚問まで受けたその高利貸しの顧問弁護士が、どうして金融庁の顧問弁護士になったんですか。理由。
  187. 中江公人

    政府参考人(中江公人君) お答えいたします。  久保利弁護士は金融庁のいわゆる顧問弁護士ということではございませんで、金融庁の顧問ということでございます。  これは……(発言する者あり)いえ、これは重要な、重要な個々の政策について参画をしていただくということで顧問になっていただいておりまして、久保利弁護士の場合には、平成十四年の十二月からいわゆる不良債権問題に関する金融問題タスクフォースにおける検討に参画をしていただくということで顧問になっていただきました。またさらに、平成十五年の六月から金融庁の法令等遵守調査室の顧問ということで任命をしているところでございます。いわゆるその貸金業等と特に関係のあることについて何か参画していただいているということではございません。
  188. 前川清成

    前川清成君 今、答えてないよ、理由に。久保利弁護士がこうしました、ああしましたと言っただけやん。どうして商工ファンドの顧問弁護士が金融庁の、言うたらね、分かるかな、泥棒と警察があって、泥棒の弁護士がいつの間にか警察の弁護士になりましたということですよ。監督する側とされる側が一つ同じ顧問弁護士、それは普通の感覚ではおかしいんですよ。国民の皆さんがそれを見たら、ぐるだと思うんですよ。商工ファンドの顧問弁護士がいつの間にか金融庁の顧問弁護士になっている。  金融庁には、平成十六年一万八千四百三十件、実に年間二万件近い消費者からの苦情が寄せられています。これに対して行政処分はわずか八件しかありませんでした。率にして〇・〇四三%です。金融庁がサラ金や高利貸しに寛大なのも、久保利弁護士の例のように裏でつながっているんだなということが今日この決算委員会御出席の国会議員の皆さんにはよく御理解いただけたと思います。  アイフルの社員が取立てに当たって債務者を殴るという事件がありました。私たちは、私が弁護士だったとき、その違法行為の確認を求めて裁判を起こしました。一審の大阪地裁は、一発ぐらいだったら権利の行使の範囲内だという判決を書いてしまいました。  ここで最高裁に、返済が滞っていたら一発ぐらい殴られても仕方ないんですかというような質問はしません。控訴しましたところ、当然ですが、大阪高裁は、平成十一年十月二十六日の判決において取立て時におけるアイフルの暴行行為を認定し、三十五万円の損害賠償を命じました。アイフルは上告もすることなく、この判決は確定しました。賠償金も支払われました。しかし、この暴行事件に関していまだアイフルは行政処分を受けていません。  どうして、明らかな暴行行為が行われていながら、違法行為が行われていながら、なぜまだアイフルは行政処分を受けないんでしょうか。その理由は、裁判所の判決なんか信用できない、やっぱり裏でつながっている、アイフルの弁解の方が信用できると、こういうふうに金融庁は考えているからじゃないんですか。あるいは、金融庁も、借金を返さなかったら一発ぐらい殴られてもしゃあないと、こう思っておられるからでしょうか。  この点、裁判所の判決は信用できないのかどうか、一発ぐらい殴られても仕方ないのかどうか、この二点についてお答えください。
  189. 谷口博文

    政府参考人(谷口博文君) この問題につきましては既に先生から何度も御質問いただいておりますけれども、従来からお答えしておりますが、恐縮ですけれども、行政処分を行っていない個別の事案に対する対応につきましては従来から答弁を差し控えさせていただいているところでございますので、よろしく御理解いただきたいと思います。
  190. 前川清成

    前川清成君 行政処分を行わなかったら答弁しないというのは、それはどういう理屈なんですか。
  191. 谷口博文

    政府参考人(谷口博文君) これも三月の財政金融委員会で委員の御質問に対して大臣から御答弁申し上げましたが、業者も社会的存在であり、行政処分を行っていない個別の事案についてまで当局が言及することは、その権利や信用、競争上の地位等を不当に害することとなる懸念があるということだからであります。
  192. 前川清成

    前川清成君 そうしたら、金融庁のお考えは、おれたちは裏でつながっているから、あるいは不正なことをやっているから、あるいは公正にやっているのかもしれない、いずれにしてもおれたちのやることについて国会は口出しするなと、おれたちは聖域に守られているんだと、そういうことですよね。
  193. 谷口博文

    政府参考人(谷口博文君) 貸金業者に対しまして行政処分を行うに当たりましては、関係者に対するヒアリングとか、あるいは検査、報告徴収、あるいは民事裁判、刑事裁判等によって事実関係を把握いたした上で、行政処分を行うに足りる事実関係が認められると判断いたした場合には厳正に対処するということでございまして、それについては公表いたしておるところでございます。
  194. 前川清成

    前川清成君 今日は、今日の議事録は、我々、政権取ったとき必ず取り出すよ。うそばっかりやないか。谷口さん、何が関係者に対するヒアリングを行ってんの。アイフルに殴られた債務者からヒアリングした。してないでしょう。我々弁護団からした。してないでしょう。あなた方がやった関係者というのはサラ金だけやないか。何でそんなうそをつくの、この国会で。怪しいでしょう、そこまでうそつかれたら。  それで、杉浦大臣にお待ちいただいていますのに質問しないわけにはいきません。済みません、長い間お待たせいたしまして。  金融庁が、今申し上げたように貸金業に関する懇談会も立ち上げて中間報告書まで整理をいたしました。出資法あるいは利息制限法の上限金利の引下げについてどうするのか、法務省においてもいろいろ調査をしていただいているとは思います。  去年三月八日の予算委員会で、私から、制限金利引下げは法務省、金融庁、どちらが担当するのですかというふうにお尋ねしましたところ、南野大臣から、必要な調査法務省で行うというふうな力強い御答弁をいただきました。必要な調査法務省に譲った金融庁でさえ貸金業に関する懇談会を立ち上げて、既に六百四十万円ものお金を掛けて中間報告書を作っています。  法務省においてはこれまでにどのような調査研究をされたのか、どの部署でだれが責任者になってどのような調査を行っているのか、その結果何が分かったのか、お答えいただきたいと思います。
  195. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 法務省における出資法及び利息制限法の所管部局は、刑事局刑事課及び民事局参事官室でございます。刑事局は刑事課長、民事局では参事官がそれぞれ責任者となって調査を担当いたしております。  調査の内容といたしましては、例えば我が国における最近の高金利に係る出資法違反事件の調査、諸外国における金利規制の状況等調査を行っているところでございます。  高金利に係る出資法違反事件につきましては、受理件数、起訴件数ともに、平成十五年以降減少に転じてはいるものの、なお非常に高い水準で推移しており、例えば平成十七年の起訴件数は七百件を超えております。  また、諸外国における調査に関しましては、諸外国への調査照会結果、各種文献等を基に、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ合衆国などについて上限金利規制や刑事罰則の有無などの把握に努めているところでございます。  ごく簡単に申し上げますと、イギリスやアメリカ合衆国の連邦法においては上限金利規制はございません。ドイツやフランスにおいては上限金利規制が設けられ、刑事罰も設けられているものと承知いたしております。  上限金利の在り方等につきましては、経済・金融情勢や貸金業の業務の実態等を勘案して検討する必要があり、現在、金融庁において先生指摘の貸金業制度等に関する懇談会が開催されていることから、法務省においても、担当者がこれに出席し、貸金業の業務の実態外国法制の状況などの把握に努めているところでございます。
  196. 前川清成

    前川清成君 昨日、法務省が質問取りに来まして、またこのこと聞くんですかと、非常に嫌そうな顔をされました。  私は、性格的に、良く言えば粘り強いと、悪く言えばしつこいですから、これはまたまた、もちろん金融庁と高松塚のことは忘れませんし、それで、この問題も是非大臣、テロ対策と並んで、テロ対策と同じような熱意でお進めいただきたいと思います。  それで、ごめんなさい、時間がなくなってきたんですが、警察庁にも来ていただいています。  この捜査費の問題、我が党の神本議員が熱心に取り組んでこられた問題でありますが、五月五日の毎日新聞によりますと、各都道府県警察の捜査費の執行額が激減をしています。二〇〇〇年に警視庁は十四億二千七百八十九万円の捜査費を執行しましたが、捜査費を実際に使いましたが、二〇〇四年に至っては五億八千百二十九万円とおよそ三分の一になっています。全国でも七十九億九千二百八十二万円が二十五億八千八百六十三万円とおよそ三分の一になっています。どうしてこの捜査費の執行額がこのように減ったのか、理由をお尋ねいたします。
  197. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 今お尋ねの件でございますが、平成十三年度以降、捜査費の執行額が減少した理由については様々な要因が考えられます。  具体的に申し上げますと、一つは、情報収集に長じたベテラン捜査員が大量退職するなど、捜査をめぐる環境が変化しており、個々の捜査員による情報収集のみに頼る従前の在り方が見直されていること。これはちょうど一九七〇年に、ちょうどこの時点において交通事故死者が記録的に一万六千人を超えることになり、政府といたしましても、十か年間で死者半減にするということを昭和四十五年からやったこと。また、第二次安保などの問題もありましたので、警察では大量増員を図りました。ちょうどその方々が今辞める時期に来たものですから、大量の退職者が出ております。  それから次に、インターネットの活用あるいはDNA鑑定などの鑑識・鑑定技術の高度化、外国捜査機関との連携強化など、捜査における情報収集の在り方が多様化してきた。今まで人に主に頼ったものをこういうふうな機械的な、近代的ないろいろな手法によって、科学技術の進歩に伴ってやってきているという問題。  さらには、犯罪の発生状況や手口の分析等に基づく組織的な捜査活動が更に推進されるようになってきたこと。  さらに、四、平成十五年度以降、不適正経理事案をめぐって捜査費の取扱いが注目されることとなったために、捜査協力者が捜査員との接触や捜査費の受領を拒否する事例が出ていることなどの要因が考えられております。  いずれにせよ、捜査活動のために必要となる捜査費が第一線の警察官により適正かつ積極的に使われるよう警察を督励してまいりたい、それによりまして世界一安全な国日本の復権に向けて全力を挙げてやっていきたいというふうに考えております。
  198. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 時間が参っておりますので。
  199. 前川清成

    前川清成君 はい、委員長指摘のとおり、残念ながら時間が来てしまいました。  ただ、今日の議論を通じて、文化庁は怪しいと、何でもかんでも隠しているということがお分かりいただけたと思います。  金融庁はうさん臭い。貸金業者と裏でつながっている。その例が、オブザーバーにサラ金の社長は入れるけれども消費者の代表は入れない。悪徳商工ローンとして国会で喚問を受けた業者の顧問弁護士が、いつの間にか金融庁の顧問弁護士になって税金から顧問料をもらっている。  こういうことから、今日御参集の委員先生方にも御理解いただけたと思います。その点を再度皆様方にお訴え申し上げまして、今日の私の質問、終わらさしていただきます。  ありがとうございました。
  200. 高野博師

    ○高野博師君 共謀罪についてお伺いしたいと思います。  この共謀罪については、まだ参議院の法務委員会でも審議がされておりませんが、私は今重大な、重要な局面にあるのかなという認識がありまして、幾つか私が疑問に思っている点についてお伺いをしたいと思います。  まず、組織犯罪処罰法に言うところの団体とかあるいは組織、この定義は何でしょうか。
  201. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) お答え申し上げます。  組織的犯罪処罰法第二条第一項は、団体とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるものをいい、また、組織とは、指揮命令系統に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいうと規定しております。  今御指摘ありましたように、現在国会で御審議いただいている組織的な犯罪の共謀罪が成立するためには、詐欺など一定の重大犯罪のうち、団体活動として犯罪行為を実行するための組織により行われる犯罪を実行しようと共謀することが必要とされています。  この点、深刻な社会問題となっております振り込め詐欺を例に説明いたしますと、例えば、不特定多数の者に電話を掛け、近親者の起こした交通事故の示談金の名目で金を銀行口座に振り込ませてだまし取ることを目的として結成され、実際そのような行為を繰り返しているような集団はこの団体に当たることになりますし、そのような団体構成員が、リーダーを筆頭にあらかじめ決められた役割分担に従って一体となって金をだまし取っているような場合は組織もあると認められることから、そのような団体がこのような組織により同様の振り込め詐欺を行うことを共謀した場合には、この組織的な犯罪の共謀罪が成立し得ると考えております。
  202. 高野博師

    ○高野博師君 人数、数なんですが、例えば三人で何か国会議事堂を爆破してやろうと共謀しました。そのうちの一人が、おれやめておくということで自首したと。そうすると残り二人ですが、この二人で、この組織という認識の下でこれは共謀罪が適用されるんでしょうか。その適用される場合に、もし、いや一人やめちゃったからもう二人でやるのもやめたよということが内々打合せができた場合なんかにはどうなるのか。  これ、ちょっと質問項目に入れていませんが、その人数の問題、二人でも組織と言えるのかどうか。ちょっと簡単にお答えください。
  203. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) 共謀罪の要件でございます「団体活動として」に言う団体構成員の数につきましては、法文上多数人とされているものの、具体的な数までは特段定められておりません。その数が余りに少ないときには、構成員の変更が集団の同一性に影響を及ぼすこととなるため、継続的結合体という要件を欠き、また、その活動が組織により行われるという要件を欠くことから、団体に当たらないことも多いと考えられます。  今例を出された三名から一名が脱落したという場合でございますが、理論上は今のように制限はされていませんけれども、やはり二名、三名という場合には、やはり先ほど御説明しました団体要件が欠けるという問題、それから今のように一名が脱落してやめちゃったという場合は、そもそもいわゆる共謀罪に言う共謀がもう成立しているのかどうかという問題も事実認定の問題としてはあろうかと、そういう問題があろうかなというふうに思います。
  204. 高野博師

    ○高野博師君 なぜそういうことを聞いたかといいますと、テロというのは一人でも二人でもできるというような事実がありまして、そういう中で、この三人あるいは二人というのが適用されるのかどうかということをお伺いしたわけであります。  そこで、共謀罪の前に、国際組織犯罪防止条約の趣旨をお伺いします。
  205. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) 国境を越えて組織的に敢行される国際的な組織犯罪の脅威が深刻化していることは、サミットの声明等でも繰り返し指摘されております。  一方、我が国におきましても、集団密航事犯、覚せい剤の密輸事犯、クレジットカード事犯、ピッキング用具を使用した窃盗事犯など、国際的な犯罪組織によって敢行される各種の犯罪が多発しております。  国際組織犯罪防止条約は、一層効果的に国際的な組織犯罪を防止し、これと戦うための協力を促進することを目的としております。そして、このような目的を達成するため、重大な犯罪の共謀等の一定の行為を犯罪とすることを義務付けるほか、国際的な組織犯罪の捜査や訴追における国際協力に関する規定も設け、締約国間における組織犯罪対策の協力の促進を図ることとしております。  このような国際的な組織犯罪の脅威という現実や、このような犯罪を防止しこれと戦うことを目的として、そのための様々な方法等を定めているこの条約の内容にかんがみると、我が国としてもこの条約を締結する意義は大きなものがあり、これにより、司法、法執行の分野における一層強化された国際協力の下で国際的な組織犯罪から国民を守ることができるようになるものと考えております。
  206. 高野博師

    ○高野博師君 この条約の趣旨は、世界各国が協力して国際組織犯罪、これを防止すると、そのために共謀罪を制度化しようということになっているわけですが、国際的な犯罪であるかどうかにかかわらず、重大な犯罪については共謀を犯罪としなければならないということが条約にうたわれてありますが、組織犯罪というのは国際的な広がりを持つおそれがあるという認識が恐らく背景にあるんだろうと思うんですが、この共謀罪については、本来のこの条約で言っている目的ないし趣旨以外に適用されることがないように適用条件というのは非常に厳格にすべきだと思いますが、この条約の制定前に国際会議におきまして、日本政府は、この共謀罪を創設するというのは日本の法体系になじまないと、こう主張していたということが言われていますが、これはなぜでしょうか、どういう理由でしょうか。
  207. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) 御指摘のとおり、条約交渉の初期の段階では、現在の条約第五条に相当する規定が犯罪化を義務付ける共謀罪は、単に重大な犯罪を行うことを合意することというものでございまして、これは、米国等においては広く共謀罪が認められているというような実情もあってこのようになったんだと思いますけれども、このことから、いまだ共謀罪の対象となる重大な犯罪の範囲が定まっておらず、また、現在のような組織的な犯罪集団の関与するものという条件を付けることも認められておりませんでした。  他方、我が国におきましては、一定の犯罪については実行の着手前の共謀、陰謀や予備行為を処罰する罰則があるものの、すべての犯罪の共謀を一般的に処罰の対象としておりません。そこで、我が国は、その当時の条約の規定のまま、その中で犯罪とすることを義務付けられている行為を犯罪とすることは我が国の法的原則と相入れない旨の意見を述べるとともに、共謀罪については組織的な犯罪集団が関与するものという要件を加えるべきことなどを提案いたしました。  このような我が国の提案のうち、共謀罪の要件に組織的な犯罪集団が関与するものという要件を加える点については、関係国との調整の結果、国内法上求められるときは組織的な犯罪集団が関与するという条件を付けることができる旨の規定とすることが各国に受け入れられました。また、共謀罪の対象となるべき重大な犯罪の範囲についても種々の議論がありましたが、各国による協議の結果、長期四年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重い刑を科することができる犯罪とされました。  このような経緯を経て、我が国も本条約に賛成し、署名に至ったものでございます。
  208. 高野博師

    ○高野博師君 今答弁されたように、日本の場合は、法体系は、犯罪行為に着手してからこれ処罰するというのが原則になっておりまして、殺人とか強盗とか、あるいは爆弾とかというような重大事件についてだけ予備罪、予備段階で処罰するということになっているわけですが、この共謀罪を導入するというか、創設することによって、その法体系は崩れないのかどうかというところの懸念があります。  私は、この共謀罪という考え方は、条約でなぜこれをうたったのかということになりますが、これは安全保障でいいますと、先制攻撃とか予防的軍事力の行使とか、例えば何かをやる、攻撃をする、脅威がある、脅威の能力とそして意思がある組織、国に対しては、それを予防的にその芽を早く摘み取っておこうというような考えがあるんですが、それと同じような発想でこの共謀罪というのを考えているのかなと。これは私の個人的な考えであります。  そこで、日本の場合もこれまでと違った考え方になるわけですが、ほかの国は、この共謀罪を導入するということについて、法体系が崩れるとかいろんな混乱が生じるとかというようなことはないんでしょうか、あるいはなかったんでしょうか。
  209. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) 今回の組織的な犯罪の共謀罪の新設は、直接的には我が国が国際組織犯罪防止条約を締結するために必要であることに基づくものでございます。  一方、我が国外国からの捜査共助や犯罪人引渡しの要請に応じるためには、共助や引渡しの対象となる行為が我が国においても犯罪に該当するものであることが必要ですが、今回、組織的な犯罪の共謀罪を新設することにより、外国からの要請に応じて捜査共助等を行い、国際社会と協力してテロを含め国際的な組織犯罪の防止に取り組むことが可能となります。  また、我が国におきましても、例えば暴力団による組織的な殺傷事犯、薬物取引や人身売買等の事犯、いわゆる振り込め詐欺やリフォーム詐欺といった組織的な詐欺事犯等が多発しておりますが、今回、組織的な犯罪の共謀罪が新設されれば、我が国における組織的な犯罪に対してより一層効果的に対処することができることとなりますので、国民の生命や財産を保護し安全と安心を確保する上でも十分に意義があるものと考えられます。  次に、現在の法体系をゆがめることになるのではないかという御懸念についてでございますが、我が国の刑事法においては、いまだ法益侵害の結果が発生していなくても、その危険性のある一定の行為についても未遂犯や危険犯として処罰することとしているほか、特に重大な犯罪や取締り上必要がある犯罪については、先ほど指摘にもありましたように、予備罪や共謀罪等、実行の着手前の行為をも処罰することとしております。  そして、法案の組織的な犯罪の共謀罪は、すべての犯罪の共謀を広く一般的に処罰するものではなく、重大な犯罪であって、かつ厳格な組織性の要件を満たす犯罪の共謀に限って処罰することといたしております。したがって、法案の組織的な犯罪の共謀罪の新設が我が国の刑事法の法体系をゆがめるということはないものと考えております。
  210. 高野博師

    ○高野博師君 答弁をしっかり読まれちゃうとあんまり面白くないんで、もう少し強弱を付けて、分かりやすく答弁していただきたいと思いますが。  それでは、要するに、この共謀罪を導入することによって六百二十もの犯罪にこれがかかわってくるというのは、条約の本来の趣旨目的から相当要するに広過ぎるんではないかというところの疑問があるんですが、法体系を崩さないでこれが導入できるということであれば、それはそれでいいのかなと思いますが、もう少し詰めたいと思いますが。  適用される団体についてでありますが、政府の原案は、共同の目的を有する多人数の継続的結合体、与党の方は、犯罪の実行が共同の目的である団体という修正案を出しております。そこで、今日のこの犯行の実行が共同の目的である団体、あるいは共同の目的を有する多人数の継続的結合体だと、要するに犯罪組織だということを認定するのはだれなんでしょうか。
  211. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) 一般に、捜査を行う場合、犯罪の構成要件に該当する行為が行われたという客観的な嫌疑が存在しなければなりません。また、逮捕や捜索等の強制捜査を行うには、刑事訴訟法に定められている要件を満たすものとして裁判官が発付する各種令状がなければなりませんが、このことは法案の共謀罪に関する捜査においても変わりはないというふうに考えております。  したがいまして、ある団体について共謀罪に関する捜査を行うには、お尋ねのような要件、例えば当該団体がその共同の目的が重大な犯罪等を実行することにある団体であることについても客観的な嫌疑が存在しなければなりません。つまり、構成員の供述や物証等によって明らかとなった当該団体活動状況等を基に客観的に何が構成員を継続的に結び付けている基礎となっているのかを社会通念に従って判断した結果、当該団体がその共同の目的が重大な犯罪等を実行することにある団体であり、当該団体構成員によって共謀罪に該当する行為が行われたという嫌疑が客観的に認められる場合に初めて捜査が開始されることになると思われます。  そして、このような判断や認定はまずもって警察等の捜査機関が行うこととなりますが、強制捜査を行う際には、改めて裁判官において、当該団体がその共同の目的が重大な犯罪等を実行することにある団体であるという嫌疑が客観的に認められるかどうかや刑事訴訟法の要件を満たしているかどうかなどについて、慎重な判断がなされるというふうに考えております。
  212. 高野博師

    ○高野博師君 その認定の段階で警察、検察あるいは最終的には裁判所ということでのチェック機能はきちんと働いているという理解でよろしいでしょうか。  そこで、この共謀罪についてはいろんな誤解が、非常に誤解がなされていると。新聞報道等のいろんな記事を読んでみても、本当にそうなのかという疑問がありまして、今日の新聞でも飲み屋の営業妨害法案だとかというようなことがありますが、幾つかのケースについて少し具体的にちょっとお伺いしたいと思いますが。  これはある新聞に出ているケースですが、例えば希少生物の生息する森にマンション建設が強行されると分かり、町内会と環境保護NGOが建設会社ロビーで座り込み運動をしようと決め込んだと。この場合、合意したメンバーは実行しなくても威力業務妨害罪の共謀罪になると。こういうことが出ているんですね。  ケース二として、議員選挙の陣営でアルバイトに金を払って有権者への電話作戦を展開しようと決めたと。実際に支払わなくても公職選挙法の買収罪の共謀罪となると。こういうことが出ています。  もう一つは、脱税をもくろむ会社社長が顧問税理士に経費水増しの帳簿操作をしたいと持ち掛けたと。税理士は実行するつもりはなかったが、いいですよと言って、その場をやり過ごした。この場合、二人とも法人税法違反罪の共謀罪となると。  こういうことが出ているんですが、これは間違いだろうと。要するに共謀罪に当たらないと。正にその適用される団体ではないと思うんですが、ここをもう少し、この三つのケースについて分かりやすく、そうではないということを説明してください。
  213. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) 共謀罪の成立要件として、まず一つとしては、重大な犯罪に当たること。それから二番目として、重大な犯罪等を実行することをその共同の目的とする団体活動としてということがあります。それから三番目として、犯罪実行のための組織により犯罪を行うこと。それから、もちろん四番目として、その共謀、具体的な共謀があることが挙げられると思います。  まず第一番目の町内会等の座り込み運動の相談をしたという場合について、威力業務妨害罪の共謀に当たるかどうかということでございますが、一般の町内会やNGOにおきましては、住民や構成員の間に指揮命令の関係が通常はないでしょう、代表者はいるかもしれませんけれども。犯罪に向けての、そういう指揮命令系統というものが通常は考えられないということで、まずその団体に当たらないのではないか。要するに、今のような反対運動自体はそれはある程度正当な理由でやっておられるものですから、そういうまず団体性の要件に欠けるのではないかと。それから、住民等の継続的な結合関係の基礎となっている目的が重大な犯罪等を実行することにあるのだろうかと、これは否定されるというふうに思います。それから、今さっきもちょっと触れましたけど、犯罪実行部隊が存在するのだろうかと、これも否定的であろうと。それから、今度は威力業務妨害自体の行為なんですけど、例えばどこかに座り込むというだけの問題で直ちに威力業務妨害が成立するものでもございません。各要件を比べた場合に、これの共謀罪には当たらないと私どもは考えております。  それから次に、議員選挙の陣営で電話作戦の相談をしたと、買収罪に当たるかどうかという問題でございます。  まず、選挙対策本部の構成員の継続的な結合関係の基礎になっている目的が、通常は当然ある候補者を当選させると、選挙運動によって当選させるということが通常でございまして、それが買収というような犯罪を実行するためのものであるというふうに言えるのかと、これはやはりその要件がまず問題であろうと。それから、犯罪実行部隊、先ほどの繰り返しになりますが、犯罪行為を実行するという目的構成員の結合関係の根拠になっているんだろうかということでございまして、仮の議論としては、例えば選挙違反だけを請け負うと、仮にそれだけを目的にしてある種の団体ができてそれだけ毎日繰り返すと、仮にそういうものがあれば、それはそういうものだと思います。ただ、先ほどの例で挙げられた通常の選挙対策本部の構成員の場合にそのようなことは考えられないだろうというふうに考えます。  それからもう一つ、会社社長と顧問税理士が脱税の相談をされたということですけれども、これについて、犯罪を実行することについての具体的かつ現実的な合意がまずあるだろうかと。通常、そういう話が冗談で出ることはありますけれども、実際に具体的にそういう合意がまずなされるんだろうかと。それから、会社の社員の継続的な結合関係の基礎が重大な犯罪等を実行することにあると、そういうふうに認められるのだろうかと。それからまた、犯罪実行部隊、犯罪行為を実行するという目的構成員の結合関係の根拠になっている、そういう組織なんだろうかと。こういう点を考えてきますと、やはりいずれも共謀罪の成立要件には欠けるというふうに私どもは考えております。
  214. 高野博師

    ○高野博師君 よく分かりました。  そこで問題は、組織的な犯罪集団というのは、今言ったようなケースではなくて、実際には会社とかNPO法人とかそういう法的に一見問題ない組織を利用して、あるいはそういうものを隠れみのにして、カムフラージュとして使いながら何らかの形で犯罪をやろうということを考えると思うんですね。したがって、実際には正当な活動をやっていると、一方では。しかし、一方では犯罪をたくらんでいこう、やるという、そういうケースが恐らく一番考えられるんじゃないかと思うんですが、そういう要するに正規の合法的活動、そうでないということをやっている、どうやってこれを見分けをするのかと、そこが一番難しいわけで、その団体が、その会社が、あるいはNPO法人が組織犯罪だと、犯罪組織だということを認定する、あるいは確認するためには相当、これは内部の告発とか密告とかあるいは要するに盗聴とか、そういう形の情報の提供がなければそう簡単に共謀罪適用ということはないんではないか。  そこについて、そうすると、そういうことをやらないとなかなか証拠物件がつかめないということになると、今正に報道等でも、あるいは一般で心配されている監視社会とかあるいは警察国家になるんじゃないかという懸念があるわけですが、そういうことにはならないということについて明快に答弁してください。
  215. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 先生が御心配されたような監視社会になるだとか警察国家になるという心配は、もう全くないと申し上げてよろしいかと思います。  まず最初に先生が御指摘になった会社とか団体の名義を使って犯罪行為をやる、そういう悪徳な者もおります。私の地元で、住宅リフォーム会社が会社ぐるみで年寄りをだましていまして、もう社長から幹部社員全員逮捕されましたと、そういうケースもございます。  ただ、同じリフォーム詐欺でも一部の者がやっているだけというようなケースもあるらしいんですが、これはもうそういう団体の実際の活動内容、名前とか名称とか形式だけじゃなくて、実際の活動内容等を総合的に考慮すれば容易に判断できることではないだろうかと、そんな難しいことではないんじゃなかろうかというふうに思います。その構成員が会社なら会社の活動として重大な犯罪を遂行することを共謀した場合に成立するわけですので、そんなに難しいことではないと思います。  それから、捜査の方法等ですね、新たな手法を導入するとかいうことで警察国家、監視国家になるんじゃないかという御心配でございますが、私どもは、今回の法案におきまして共謀罪が導入されたということを前提として、共謀罪の立証を念頭に新たな捜査方法を導入することは考えておりません。全く考えておりません。今まで通常どおりの方法で捜査の手掛かりを求めて、必要かつ適正な調査を尽くすことになると思っております。  某新聞に、何か密告社会をつくるんじゃないかと、自首すれば減免、密告社会の恐怖なんておどろおどろしいタイトルがあってびっくりしたんですけれども。犯罪グループですね、例えば振り込め詐欺集団だとかあるいは組織暴力団の一部の者が警察に密告をして、その結果共謀を阻止して犯罪行為を止めるわけですから、これはむしろ望ましいことであって、むしろ彼らによる犯罪が抑止されるわけですから、そういう者を自首してきた場合に減免するというのは、自首減免というのはどの罪にもございますですけれども、特にこういう組織犯罪集団による犯罪から社会を防衛するためにはむしろ大事なことであって、それを認めるからといって密告社会になるなんというのは、むしろ密告してくれたために社会がそういう犯罪から守られるわけであって、これは大変な誤解だと、こう思うんですが、こういうことを新聞が書かれるのはいかがなものかと、私、この記事を読んでびっくりした次第でございます。  ほか、ございましたでしょうか。  まあともかく、そういう誤解が多くて、例えば今日の衆議院の委員会で、罪が六百幾つあると、適用する罪が。皆、国民が不安に思っているという御質問がありましたから、それは罪が六百か、諸外国もまあそれぐらいあると思うんですけれども、しかし、この罪で罰せられるのは組織犯罪集団だと。国際テロ組織であり国際犯罪組織であり、例えば、有名な国際犯罪組織は蛇頭が有名ですが、そういう連中とか、あるいは組織暴力団、日本の、これはそういう国際犯罪組織と提携しているものも一部ございますが、それとか、振り込め詐欺集団だ、リフォーム詐欺集団、犯罪行為をやることを、反復して行うことを目的とした者どもを念頭に置いて、そういう者が犯した罪が六百何種類あるからといって、適用されるのはそういう人たちであって、一億二千五百万国民のうち、そういう犯罪行為をする者についてその六百幾つ罪が適用されるということであって、国民の方が不安を感じられることじゃない。むしろ、それによって犯罪行為をチェックされて、国民はむしろ安全、安心を取り戻すんだと、そういう趣旨に御理解いただく必要があるんじゃないでしょうかということを申し上げたわけなんですが、そのたぐいの誤解が本当にあっちこっちございまして、もし何かあればまた申し上げますが、決して警察国家だとか監視国家になるという心配はおろか、むしろそういう犯罪集団による行為をチェックすると、そのためにこの共謀罪を導入させていただくという趣旨でございます。
  216. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) 恐縮です。  先ほどの御質問の中に、我が国の法秩序の問題、法体系を矛盾させるということで、我が国のことを先ほど説明したんですが、他国の、先進国の問題について御質問あったように思うんですが、それはよろしゅうございますか。
  217. 高野博師

    ○高野博師君 じゃ、時間があったら、後でいいです。
  218. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) はい。
  219. 高野博師

    ○高野博師君 新たな捜査手段等は導入しないと、今の現行の体制でやれるということなんですが、それだけで本当にできるのかなという感じがするんですね。  実は、僕はある国の、この盗聴のシステムがある国の現場を見たんですが、小さい部屋に盗聴器が一杯ありまして、二人の女性があちこちひねっているんです。これみんな盗聴やっているんですね。そこで、これはゲリラ組織とかテロリスト対象なんですが、それをやらないとほとんどこれ、どこにいてどうするのかというのは対応できないということであります。  今大臣がおっしゃったような振り込め詐欺集団とか集団窃盗組織とか、まあ割と単純な犯罪組織は今の体制でできると思うんですが、本格的な、例えばアルカイダが日本に入ってきたと、いろんな形で潜り込んでいったときに、今のような手段で果たして共謀罪の段階で逮捕なり対応ができるのかなという気がいたしまして、その中で、例えば通信傍受法案を改正してもっとやりやすくするというような方には行かないという理解でここはよろしいですか。
  220. 杉浦正健

    国務大臣杉浦正健君) 考えておりません。  通信傍受法案は、先生御案内のとおり四種類の罪に限定いたしております。組織的殺人行為とか薬物、銃不法取引、それから人の密輸でございますので、もしその犯罪集団がそういうものにかかわって、裁判所の許可を得て通信傍受をするという過程で共謀関係もはっきりするという場合もあるかと思いますが、この共謀罪について通信傍受は法律上行うことができませんので、直接的にはこの共謀罪の立証のためには不可能でございます。
  221. 高野博師

    ○高野博師君 ちょっとそれではほかの国の法体系との関係、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  222. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) 他の先進国でございますが、例えばアメリカ合衆国とイギリスは、いわゆる共謀、コンスピラシーを犯罪としており、特に対象犯罪を限定することなく、一般に犯罪を犯すことを合意することを処罰していると承知しております。  また、ドイツは、犯罪団体の結成の罪として、犯罪行為の遂行に向けられた団体を設立する行為やこのような団体構成員として関与する等の行為を犯罪としていると承知しております。  また、フランスは、重罪又は五年以上の軽罪の、軽い罪の準備のために結成された集団又はなされた謀議を凶徒の結社とし、凶徒の結社に参加する行為を犯罪としていると承知しております。また、カナダは、共謀罪により、一般に犯罪を犯すことの共謀を犯罪とし、また犯罪組織への参加又は貢献する行為も犯罪としていると承知しております。  これらの国々のうち、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどにおいては、平成十二年に国連で国際組織犯罪防止条約が採択される前からこのような罰則を整備していると承知しておりまして、これらの国々において共謀罪や参加罪がそれぞれの国内法の法体系と矛盾しているなどといった批判等がなされているということは聞いておりません。
  223. 高野博師

    ○高野博師君 もう一つ、共謀罪で当局が逮捕するなり何らかの行動を取るときに、証拠なんですが、証拠物件というのはどういうものになるんでしょうか。例えば、何らかの合意ができたと、その具体的、現実的な犯罪を犯そうという合意があったと。これは暗黙の連絡でもいいし、目くばせでも成立するんだというような答弁もされていますが、しかし、それは証拠として具体的にどういう形で把握するんでしょうか。要するに、会話をしていると、あるいは何か合意しましたと、文書ができるわけじゃないと思います。そうすると、何か録音したものか、そういう記録が必要なのか、その証拠物件というのはどういうものなんでしょうか。
  224. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) これはもうケース・バイ・ケースでございまして、一般論で申し上げれば、共謀罪の共謀の段階でこれを摘発するというのはなかなか難しいことであろうと私どもも考えております。  それは、例えば、その共犯者であった人が例えばある別な罪で捕まって、その余罪的なものとして自分はこういうことも共謀したんだよという話があるとか、その具体的な例えば計画書が出てくるとか、これは予備の段階で捕まえるということはなかなか難しいことかなと、ごめんなさい、予備というよりは共謀ということだと思います。  これは、また一つの例として引かしていただければ、例えば振り込め詐欺なんかの場合には、例えば詐欺罪、あれは予備罪もございません、重大犯罪にはなりますけれども予備罪は成立しないと。そうすると、しかも電話を掛けるなどの実行行為が着手されないと処罰できないと。そうすると、例えば振り込め詐欺の場合に、例えば他人の名義の携帯電話を買うとか、それから電話帳とかそういうものをそろえる、これは今の現行法では処罰することができないです。  ですから、そういう行為をもって、ああ、あの連中は悪いことをしようとしているなという形で例えば捜査に入るということ、例えば一例として。そういうふうな、割合と外に見えやすい犯罪と、それからそうでない犯罪がありますので、それはもうケース・バイ・ケースでございますけれども、一般的には御指摘のとおり、なかなかやっぱり摘発は難しいのじゃなかろうかというようなことは私どもも考えているところでございます。
  225. 高野博師

    ○高野博師君 この共謀罪については一般国民が大変不安を持っていると。マスコミの報道もかなりセンセーショナルな言い方をしているもんですから、政府としては是非これはきちんと分かりやすく説明をしていただきたいと思います。  今、テロとかあるいは麻薬とか、新たな脅威というものが国際的な広がりを見せているという中で、それが実際に起きた場合には非常にその被害が甚大になるということも予想されるわけで、こういう事件を未然に防ぐという意味では正に国際約束としてこの共謀罪を導入するということでありますが、この適用に当たっては、当局自身も厳格にこの条件を守った上で適用する必要があろうと思います。その慎重な、そして厳格な適用を求めたいと思います。  私の質問は以上で終わります。
  226. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  まず、鹿児島県で、先日、高速船事故を起こしました岩崎グループが、一昨日、八日、県下全域で二百八路線に上りますバス路線の廃止を届け出た、この問題についてお伺いをしたいと思うんです。  これは関係自治体の対策協議会の要望を振り切る形での届出で、ほとんどの県民、利用者にとっては突然のことでありまして、大変大きな衝撃が広がっております。廃止対象は鹿児島交通など五社三百二十三系統、運行距離は一千百七十四キロメートルに及ぶ大変大規模なものでございまして、全国的に見ましてもこれほど大規模な路線廃止というのはないのではないかと私は思います。  大隅半島で申しますと、岩崎グループのバス以外公共交通機関はございません。お年寄りあるいは障害者、学生、子供たちなど、交通弱者にとって正に生活の足を奪われるという事態でございまして、例えば県立鹿屋高校の教頭先生に私どもお伺いをしましたら、在校生が九百五十四人いるんですけれども、うち二百三十九人、二五%はバス通学、で、もう途方に暮れていると、そういうことになるわけです。私もこの鹿屋にも度々お訪ねをしてきましたけれども、大変深刻な地域経済を考えたときに、この路線廃止がどれほど甚大な影響を与えるのかと、大変重大な懸念を覚えております。  ついおとといという突然のことですから、詳細は別の機会に譲りたいと思いますし、政府の支援策の枠組みについては先ほど前川委員の御質問に大臣も御答弁されておりましたので、その点は省いていただいても結構でございます。国として地域住民の足を守る、鹿児島県の県民の多くの方々にかかわるこの足を守るというために、国としても是非特段の御努力をお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  227. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今、仁比委員からお話がありましたとおり、五月の八日の日に岩崎グループ五社から鹿児島運輸支局及び宮崎運輸支局に対して路線の廃止届出がなされました。おっしゃっているとおり、廃止キロは一千百七十四キロ。これ八日にあったばっかりでございますので、詳細な届出内容、まだそれぞれの路線がこれまでどういう状況であったのか等々は、現在精査をしているところでございます。  これは、道路運送法では、路線の廃止は事前届出制でございまして、基本的には事業者の経営判断によります。届出がありまして、六か月で何もないとその路線の廃止が決まってしまうということになってしまうわけでございます。ただし、今委員がおっしゃったように、このバス、ここだけではございませんけれども、地方バス路線というのは非常に地域にとって、高齢者の方々やまた学生にとりまして必要不可欠な公共交通機関でございまして、この地方バス路線の維持確保というのは大変重要な課題であると認識をしております。よく県と、そしてまた市町村とこれから協議をさしていただきたいと思っているところでございます。都道府県が主宰します地域協議会がこの件についても開かれるかというふうに思っております。そこで今後どうしていくのかよく協議をさしていただきたい。  いずれにしても、多くの地域の方々の貴重な足でございますので、その足をどう確保を今後していくのかという観点からしっかり対応をさしていただきたいと考えております。
  228. 仁比聡平

    仁比聡平君 ありがとうございます。  規制緩和、このバスの問題でも、以降、国の支援の在り方も随分それ以前とは変わったという中で、現在の支援策の枠組みという中ではなかなか対応がしづらいという事情も出てくるかと思うんですね。ですから、そういった意味では特別な対策が必要になるかもしれないんですが、そういうことも含めて是非検討を強くお願いをしておきたいと思います。  次に、規制緩和後のタクシー事業についてお伺いをしたいと思うんですけれども、この問題では昨年十月も、違法なリース制とかあるいは運賃の不当ダンピングの問題などについて大臣とも質疑をさせていただきまして、その様子も含めて幾つかの地域で報告も私、させていただいたんです。  その中で強く印象に残っておりますのが、大臣答弁に対するタクシー労働者の方の反応なんですね。大臣、そのときに、ちょっと紹介しますと、タクシー事業もこれは大事な公共交通の一つであると思っております、したがって、当然のこととして利用者の方々の安全確保というのが最大のやはり大きな役割でないといけないというふうに思っておりますという御答弁を、これは大臣としては自然なお気持ちでされたんじゃないかと思うんですが、これを聞いたタクシー労働者がこんなふうに言うんですよ。おれたちタクシー労働者はまるでゴキブリのように扱われている、それでも仕事に誇りを持たなければと必死で自分を支えて頑張ってきたけれども、もうもたないというふうに思うようなときもある、その中で、大臣が大事な公共交通機関だというふうに答弁をされたということを聞いて、不覚だけれども涙が出たというふうに私も言われました。  そこまで追い詰められているんだということを私たちは改めて深く踏まえて対策を考えなければならないと思うんですね。異常なまでの低賃金、あるいは事業者のモラルの崩壊、交通事故の増大などの中で、利用者の安全、安心が脅かされ、私はタクシー事業そのものが危機的な状況にあるというふうに思います。  この打開のために、まず、大臣に改めてお伺いをしたいと思うんですが、交通政策審議会のタクシーサービスの将来ビジョン小委員会が行われておりまして、六月には中間報告を取りまとめる目途というふうに伺っております。  この中で、タクシー運転者の質の確保、向上ということが大変重要な柱として課題整理をされて、例えばこういう表現がございます。タクシーは極めて労働集約型な産業であるため、運転者の労働環境の悪化が運転者の質の低下、ひいては安全の確保及びサービス水準の低下につながりやすいという認識ですね。  小委員会の中でこういう認識が示されているわけですけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  229. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) これは、委員とこのタクシー労働者の置かれている厳しい状況について以前も論議をさしていただいております。ですので、繰り返しになるかもしれませんが、規制緩和後、ちょっと申し上げますと、平成十四年一月末と平成十八年一月末、この四年間を比べてみますと、増車の届出が全部で一万七千台強、タクシーの車が増えております。そのうち一万三千台は既存のタクシー事業者の方々が増車をしたと。要するに、新規の事業者が届出したわけじゃなくて、既存の事業者が届出をして増えている。だから、増えているところのかなりの部分が既存のタクシー事業者の方々の増車届出であるということでございます。  経済状況も大変悪い中で、事業者の方々からしますと、これは歩合制ですから、タクシーの運転手さんの給与体系というのは歩合制になっておりますので、むしろ車の台数を増やしてやった方がいいわけですね。その方が少しでも収入、全体としての事業収入が増えるのではないかというふうに働きがちなことがここに現れているのではないかというふうに思っているところでございます。  非常に労働環境が厳しい状況にあることは私もよく承知をしているところでございまして、今、厚生労働省と連携を強化をいたしまして、本年四月より、合同監査、監督、それから最低賃金法違反等について相互通報制度、こうしたことも拡充を開始をしたところでございますし、また、そもそもタクシーサービスの将来ビジョン、そこをしっかりつくっていく必要があるということで、昨年の十月から委員会をつくりまして、規制緩和後の実態把握、分析を行って、輸送の安全と利用者利便の増進を図るため、今後の望ましいタクシーサービスの在り方、また必要な環境整備方策について今まさしく論議をしているところでございまして、六月を目途に取りまとめをさしていただきたいと考えております。
  230. 仁比聡平

    仁比聡平君 厚生労働省に数字を紹介してもらいたいと思うんですけれども、タクシー労働者の賃金労働時間が男子常用労働者の全国平均と比べてどんな水準にあるのか、端的に、時間がありませんので数字だけお答えください。
  231. 松井一實

    政府参考人松井一實君) 賃金構造基本統計調査によりますと、タクシー運転者の平成十六年の年間給与総額三百八万円でありまして、全産業労働者、これは五百四十三万円となっておるのと比較いたしますと二百三十五万円は少ないと、こういう状況になっております。  また、年間総実労働時間につきましては二千四百十二時間でありまして、全産業労働者二千百九十六時間と比較いたしますと二百十六時間長いと、こんな状況でありまして、非常に厳しい状況にあるという認識でございます。
  232. 仁比聡平

    仁比聡平君 労働時間が異常に長くて、給料、収入は少ないわけですから、これ賃金の格差で、時間当たりの賃金格差に言いますと、ほぼ半分程度というような状況なんですね。  この数字自体深刻なんですけれども、更に実態はもっとひどいということを、お配りいたしました一枚目の資料をごらんいただければと思いますが、先ほど大臣からもありましたように、タクシー労働者の賃金形態というのはオール歩合がもうほぼすべてになっておりまして、この表は福岡のある会社の賃金体系です。ごらんいただけますように、Aというランク、つまり、四十二万円以上の月営収が上がれば歩合は五七%なんだけれども四十二万円を切ればいきなり一〇%落ちて四七%になる。こうやって会社の方は、一台当たりの営収が上がらなくても会社全体としての売上げは確保するというふうになっているわけです。  これ現実には、千円、二千円足らないということで給料がここまで変わるということになっちゃうわけですし、ここに書いてある基本給というのはここから控除、公租公課等が引かれるわけですから手取りはもっと少ないわけですから。ですから、そのノルマに足らない分を自らの手出しをして会社に納める、あるいはひどい例では、サラ金からそれを借りて自己破産にまで至るという事案も私自身も依頼を受けたことがあるんですね。  こういう労働者の低賃金構造というのが私は運転者の質の低下というところを生み出しているのではないか、そこの認識を持って対応をしていっていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  233. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) これはよく厚生労働省と連携を取らしていただきたいと思っておるんです、この問題も。こういう歩合制のありようについても、おっしゃっているとおり、これで本当にいいのか、そこのところについても厚生労働省とよく連携を取って対応をしなければならないというふうに私は考えております。
  234. 仁比聡平

    仁比聡平君 こういうありようでいいのかという大臣の御答弁、私、初めてお伺いをしまして、是非実態をよく調べていただいて対策を取っていただきたいと思うんです。  もう一つ大事な問題は、タクシー事業においては、その市場原理と需給バランスが働かずに逆に増車競争、つまり一車営収が下がっても会社全体の売上げを確保するために増車すると、その中で過当競争が生まれて長時間労働が常態化するということだと思うんです。タクシー労働者の間では、規制緩和を推し進めると北九州のようになるというふうに言われた時期がありまして、私、出身が北九州なんですけれども、この北九州がどうなっているのかと。二枚目の資料をお配りをいたしました。  これは北九州のタクシー協会が実績報告書として取りまとめているものですけれども、この営業収入という真ん中よりも少し右側にありますが、ここの欄の一番下の合計の欄を見ていただきますとお分かりのように、今年三月の一日一車の営業収入というのは、これ二万一千二百九十五円にとどまっているんですね。これは東京などと比べても大変厳しい状況でございます。  その印を付けています上から三番目の事業者、ここを見ていただきますと、台数は三十八台です。ずっと右の方を見ていただきますと、運転者数、タクシー労働者は三十七人しかいないんですね。だけれども、実働率、左から四番目、八二%の実働率になるんですね。運転者一人当たりの収入は四十万八千九十六円ですけれども、一日一車は一万五千六百三十一円しかありませんから、これ割りますと、二十六日働かないとこれこういう計算にならないんですね。タクシーの労働時間というのは、ほぼ二十四時間あるいはそれを超えて二十六時間などと働いている人たちもいるわけで、極めて異常な長時間労働。  大阪のタクシー労働者が眠れないというNHKスペシャルがございましたけれども、これは決して大阪だけのことではなくて、地域市場を具体的に見ればこういう実態にあるんだと思うんです。こういう実態は、厚生労働省、極めて異常だと思いますが、一言いかがですか。
  235. 松井一實

    政府参考人松井一實君) 厚生労働省といたしましては、タクシー事業者に対しましても積極的な指導監督ということを行ってきておりまして、労働時間あるいは賃金、こういった労働条件が労働基準関係法令に違反しているということが確認された場合は厳正に対処するということでやっておりますし、引き続きしっかりとした対応をしていきたいと、こういうふうに考えております。  あと、大臣からもありましたように、国交省とも連携を取り、監督署あるいは地方の運輸支局、こういったところとの合同による監督、監査といったような実施も今年度からしっかりやっていくというふうなことで対応したいと考えております。
  236. 仁比聡平

    仁比聡平君 私はその四月から始まった抜き打ち監査ですね、合同での、これも、どういう実態が起こっているのかというところをしっかりねらいを定めて、あるいは特徴的な地域にしっかりねらいを定めるような形も含めて戦略を持ってまず取り組んでいただきたいと思います。  時間が大変限られていまして、私の方から数字を紹介したいと思うんですが、こういう実態の中で、規制緩和後急速に増車した地域で事故件数の増大が起こっているという相関関係、私これは特徴的だと思うんです。例えば、増車が全国トップであります宮城県では増車率が一一八%、事故率は一三一%です。激戦区の大阪は増車率が一一三%で事故率は一一八%になっている。唯一緊急調整地域に指定されました沖縄県は増車率一〇七%で事故率一四九%なんですね。全国平均は一〇六%の増車に対して事故率が一〇四%ですから、一つ一つの地域市場を見たときにはこれに応じた対策を具体化をするということが大変急務になっているということだと思います。  少しはしょりますが、そういう中で、自交総連の皆さんはタクシードライバー免許制度を提案をしておられるわけですけれども、先ほどの将来ビジョン委員会の中では、現在、東京と大阪で実施をしていますタクシー業務適正化特別措置法の指定地域、これを全国の政令指定市に拡大をしようということが議論をしておられるとお伺いをいたしました。  私、このタクシーセンター、この拡大を、その市場のそれぞれの特徴をしっかり踏まえた、それを正していくことのできる機能を持たせて、そしてかつ事業者から中立で独立した形にちゃんとなっていけるように検討をしていただきたいと思いますが、大臣の御見解をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  237. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今御指摘のタクシー業務適正化特別措置法による指定地域の拡大の問題につきましては、現在、先ほど申し上げました交通政策審議会のタクシーサービスの将来ビジョン小委員会の場において、これについても議論をしていただいているところでございます。ここには組合の方にも入っていただいておりまして、御意見また御提案も踏まえて審議はしていただけるものというふうに認識をしているところでございます。  いずれにしましても、六月を目途にその結果が出ますので、しっかりと今後の政策立案に反映させたいと考えております。
  238. 仁比聡平

    仁比聡平君 ありがとうございました。
  239. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  道路公団や防衛庁の官製談合事件をきっかけに今公共調達の見直しが始まっておりますけれども、今日、資料をお配りを今いたしておりますが、この資料は、先月衆議院の行革特別委員会に提出された各省庁の資料の中から、国交省の分の二〇〇四年度分で、しかも国交省って非常に数が多いですから、その中の金額一億円以上の、かつ随意契約だけに絞って私の方で企業や団体ごとに名寄せをしてみたものであります。  前回のこの委員会で私が随意契約をただしたときに、各大臣は問題だと認めるんだけれども、その部下であるはずの官僚の皆さんは違法ではないんだという意識で、大変温度差を感じる、こういう有様なわけですが、そこでまず冒頭、北側大臣、この一覧を見られて御感想をお聞きをしておきたいと思います。
  240. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) この内容を見ますと、物品の調達とか調査委託等の役務が大半でございます。  随意契約というのは、もう言うまでもございませんが、法律上、契約の性質又は目的が競争を許さない場合ということになっているわけでございまして、例外的な場合のみでございます。やむを得ないものに限定することが当然求められなきゃいけないと思っております。  現在、国土交通省におきましては、公益法人等と締結しました随意契約について今緊急点検を行っておりまして、六月を目途に随意契約見直し計画を作成をしたいというふうに今取り組んでいるところでございます。これらを通じまして、公共調達の透明化、適正化にしっかりと取り組んでいきたいと思っております。
  241. 又市征治

    ○又市征治君 まず、先に大体私二問目に質問しようということまでお答えいただいたような感じがするんですが。  私は、まず指摘したいのは、一億円以上の随契だけでも、今日の国交省の二枚目の資料、この小計を二つ足していただきますと、随意契約だけで六百二十億円もあることでありまして、大臣おっしゃったように公共調達は一般競争入札という原則がほとんど意味を成していないという、こういう事実、これを指摘したいわけですね。  NHKが衆議院提出資料から独自に集計したという二〇〇四年度分の全省庁データによれば、件数ベースで、国交省は随契が九〇%で二番目に高かったということですね。また、八日付けの東京新聞によりますと、二〇〇五年度の二つのデータを基に独自に集計した結果、所管省庁から随意契約を受注した公益法人等の少なくとも三分の二が天下り官僚を受け入れているというふうに言っているわけですね。国交省所管の法人は八割以上に上り、これも二番目だと、こう言っているわけです。随意契約は、省庁所管する公益法人、いわゆる天下り法人への資金供給ルートになっている、これはもうだれもが承知しているわけです。  そこで、この天下りと、大臣、この天下りと随意契約の相関の構図というものを大臣はどうすべきだというふうにお考えになっているのか。いや、これはしようがないんだというお考えなのか、その点について見解を伺いたいと思います。
  242. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 随意契約については、先ほど申し上げたとおり、これはあくまで競争入札が原則でございます。例外的な場合に、やむを得ない場合に限り随意契約ということで、今見直し作業をさしていただいているところでございます。  再就職、天下りの問題でございますけれども、是非、又市委員にも御理解をお願いしたいと思うんですが、民間への天下りもありますし、また公益法人や独法への天下りもあると思うんですが、一つは、独法というのは、独法になった業務というのは、元々これは、元々本省で担っていた職務が独法に移行していると、かなり極めて公益性が高い業務でございまして、そういう独法、また公益法人のすべてとは申しませんけれども、公益法人のかなりの部分を、私はそういう意味では公益性が強い業務を担っているわけですね。  そういう意味で、本省の職員が再就職に当たってそういうところに行くということについては、一概にすべて駄目だということでは私は決してないんだというふうに思っております。やはり公益性だとか専門性だとか、そうした理由から人事を行うということは、これはその人の持っている能力を活用するという意味でも、それは一定のルールの下で透明に公正にきちんとやるということが大事なんだろうと思っています。  また、民間企業への再就職の問題もあるわけでございますが、特に、国土交通省は特にそうなのかもしれませんけれども、私もいろいろ調べてみましたら、本省の職員よりも地方の現場の職員の方が圧倒的に多いんですね、地方整備局等々。また、キャリアの方よりもノンキャリの方が圧倒的に多いわけなんですね。という意味で、国土交通省に限って申し上げますと、もちろんキャリアの問題や本省の問題、本省の職員の幹部の再就職の問題、もちろんあるわけですが、数からいいますと、圧倒的にキャリア以外、また、本省ではなくて地方機関の職員の人たちの再就職をどうするかという問題が圧倒的に多いんだということも是非御理解をお願いしたいと思っておるわけなんです。  そういう中で、この再就職の問題をどうしていくのかということは、これはこれまでにもう何度も議論になっておりますけれども、一つは、定年までしっかりと公務の世界の中で働けれるような公務員制度のシステムにやはり変えていかねばならないと思っております。定年前に早期退職の慣行があって辞めざるを得ないと、そういうふうな慣行というのは見直していかねばならない。そのためには、今も、この早期退職慣行を徐々に見直そうといって見直しを進めている最中でございますけれども、一方で、例えばスタッフの制度をしっかりつくっていくだとか、それから給与体系の問題も、ある一定のところまで行ったら、もう給料を上げるのではなくて、給料についても、場合によっては同じ額、若しくは場合によっては下がることもあるというふうな、そういう柔軟な給与体系にするだとか、そうしたことも総合的に含めて検討していかないとこの再就職の問題というのはなかなか解決が付かないなというのが私の率直な実感でございまして、しっかりと今のこの公務員制度改革の中でそうした問題についても議論をしていきたいというふうに思っております。
  243. 又市征治

    ○又市征治君 北側大臣、大変誠実な方ですから真剣にそうお考えなんだと思うんですね。  ただ、若干意見が違いますのは、現実に天下りとこの随契問題とが密接不可分の関係になってきている、極めて不透明だ、こういう問題があって、随契で非常に高く現実問題としては支出がされている。このことはもうあっちこっちで指摘されている問題、去年もこの決算委員会でさんざん議論してきた問題なんですね。だから、そういう意味で、天下り問題は私も意見がございまして、これもう既に行政監視委員会の時代に随分とこれも決議上げることに私も努力をした一人でありますけれども、その問題は今日はやっているとまた時間がありませんから。  そこで、大臣が今おっしゃった独立行政法人などの問題と違って、少し民間企業の随意契約に絞ってちょっと今度は伺いたいと思うんです。  資料をごらんをいただきますと、右端の欄で、ごらんのとおりNTTデータは九件で百億円余り、これは企業分の二六%を占めているわけ。以下、三菱電機一九%、日本電子計算機が一七%など、上位五社の合計で二百九十七億円、七七%を占めているわけですね。いずれもIT関連企業なわけです。ITゼネコンという言葉が生まれましたけれども、国交省の民間随契は、少なくとも本省分は今やITゼネコンの支配するところと、こう言っても過言でない。したがって、IT発注は随契がまかり通っておって、随契によって今度はITゼネコンに無競争の利益を保障するシステムになっている、こういう指摘さえもされる状況にあるわけで、これに天下り問題がまた民間問題としても絡んでおる、こういう傾向が随所に見られているということなんですね。  そこで、IT調達の不透明さ、無駄な出費は、先ほど申し上げたように、昨年決算委員会でさんざん批判が出て、そして措置要求決議にまで至ったわけでありますが、問題は、古いシステムに限らず最新の案件でも随契によってこのような寡占状態で不当な暴利が許されている、こういう実態があるということなんです。  そこで、自らの省内部のすぐできる行政改革として、大臣に、ここの点はどういうお考えをお持ちなのか、お伺いをしておきたいと思います。
  244. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今御指摘の民間のIT関連の企業への随意契約についても、今の見直しの中で一つ一つきちんと、本当にそれが随意契約でなきゃいけないのか、そこはきちんと見させていただきたいというふうに思っております。  これ、それぞれ見てみますと、システムの性能の向上とか機器の購入とか賃貸借となっておりまして、システムとか機器を継続して使用する際に、それらのそれぞれの相手方以外の者から調達をしますと性格上その使用とか利用に著しい支障が及ぶ場合があるということで、いずれも随意契約にせざるを得ないというふうにしているわけでございます。  ただ、そうはいうものの、非効率なシステムに対して安易に随意契約が行われているのではないかという御指摘もいただいているところでございますので、古くて効率の悪いシステムにつきましては計画的に刷新の可能性を検討するなど、システムの効率化をしっかり図ってまいりたいというふうに思っておるところでございます。  また、どうしてもそのシステムの場合は継続性が必要であるという判断となって随意契約にする場合も、その見積価格や理由等の公表、調達事例の情報提供等を通じて透明化、適正化をしっかりと図ってまいりたいと考えております。
  245. 又市征治

    ○又市征治君 それじゃ、同様のことを警察庁にもお伺いをしておきたいと思います。  これも、警察の問題につきましては三枚資料をお配りをいたしましたが、警察庁の方は、私の方で一億円以上に絞って名寄せをしたものであります。  一ページから二ページの随意契約で五十二件三百八十八億円、随契の割合は一億円以上の金額ベースで七〇・六%ですから、これまた入札を原則とするというには余りにもほど遠い状況にあることはお分かりのとおりであります。  随契は、一位の日本電子計算機が百四十億円で三六%、次いで日立製作所、日本電気、ごらんのようにナンバー六と七と八は相手先が秘匿された大型IT案件でありまして、これが五十八億で六・六%ありますから、正確な順位はこれは分からないんですね。ともあれ、四位の三菱電機を含めたIT企業上位四社は、それに秘匿分六、七、八番を加えますと七三・二%を占めることになるわけで、警察庁においてもIT調達が随契の主流であって、随契によって役所とITゼネコンとの間に不透明な関係は同じだ、こう言わざるを得ないわけです。  そこで、沓掛委員長、公安を理由に行政改革からの聖域化というのは許されないわけでありまして、入札の改善はもとよりですが、随契の縮小、透明化にどのように取り組む予定なのか、特にIT調達をどのような公正なものにしていくのか、伺いたいと思います。
  246. 沓掛哲男

    国務大臣(沓掛哲男君) 今IT関連産業における随意契約が非常に多いという御質問でございましたが、警察庁における契約には、警察活動上必要とされる通信機器あるいは鑑識機材や各種システム等の調達について、いわゆるIT関連企業との契約は相当数含まれております。まあ御指摘のとおりですが。  これは、当初の導入時にはほぼすべてのケースで一般競争入札を行っているところでありますが、しかしながら、これら機器等の導入後の保守点検等については、当初の契約業者のみが有する技術や情報は要不可欠とされるものが多く、そのような場合には、会計法に基づいて、契約の性質又は目的が競争を許さない場合に該当する随意契約といたしておりますが、今いろいろ委員の御指摘もありましたように、今後警察の公共調達における随意契約については、本当に真にやむを得ない場合に限定するほか、随意契約によらざるを得ない場合においても可能な限り複数社から見積りを徴取するなど、透明性、競争性が確保されるよう警察庁をしっかりと指導していきたいというふうに考えております。
  247. 又市征治

    ○又市征治君 レガシーシステムの問題は去年随分議論をしたんですが、政府全体で四千億ぐらいだったですかね、それをいろいろとやりますと九百五十億円ぐらい節減できると。結局、やっぱり国会でこうやって問題になっていろいろとやってみたら、それだけでも約四分の一ぐらいは節減できるという数字が出てきたわけですね。だから、そういう点でやっぱりこれは厳しくやるべきだろうと思うんです。  そこで、時間がなくなってまいりましたから、これまた決算委員会で毎回ずっと一番多く出席時間数でなさっている野上政務官に伺ってまいりますが、ごらんのとおり、随契の現状は決して天下り法人を相手とする場合だけの問題ではなくて、むしろITゼネコンに対しても多大な無競争による利益をもたらしていると思われるわけです。透明化と入札への切替えというのは抵抗が大きくて困難な問題ではあるでしょうけれども、これこそが真っ先に改革すべき行政内部の暗部、暗い部分ですね。やはり今国民がやっぱり注目しているところですよ、これは。  五、六月には公益法人向けの随契の緊急点検が終わって改革案をまとめる予定だと思いますけれども、一つは、どこをどう絞っていくのか、財務省考え方、まずお聞かせいただきたい。二つ目に、その際、民間企業向け随契だって見直し基準は同じであるはずでありまして、実情は今日私が示したとおり、公益法人以上に独占、無競争がはびこっている、こういう状況にあります。こちらは一体どうするのか、これが二点目。あわせて、これは、今日はそこまで言いませんでしたが、この期に及んでデータをまだ提出していない省庁がある、あるいは理由を付けて秘匿するという一部の態度というのは、これは改革のモラルに著しく低下させているわけであって、そういう意味では、会計情報の公開の拡大について改めて財務省の模範見解も示してもらいたい、こんなふうに思います。  以上三点、御質問したいと思うんです。
  248. 野上浩太郎

    大臣政務官野上浩太郎君) 国の調達につきましては、これは一般競争入札によることが原則でありまして、例外として随意契約による場合であっても透明性、効率性の確保されたものでなければならないということでございます。国と公益法人との間の随意契約につきましては、現在、各省庁において緊急点検の結果を踏まえて一般競争等に移行できないかといった見直しを行っているところでありまして、又市先生指摘のとおり、六月を目途に公表すべく作業を行っているところでございます。  一方、御指摘のとおり、民間企業との間の契約を含む随意契約全般につきましても、これは透明性、効率性が確保される必要があることは、これは当然であるというふうに思っております。  財務省といたしましても、昨年二月に各省庁に対して通知を行いまして、随意契約の公表対象の大幅な拡大ですとか内部監査の重点的実施等の措置を行ったところでありまして、これを受けて今各省庁においてホームページによる随意契約の公表等の措置がとられているところであります。  今お話のありましたIT調達に関する随意契約につきましては、これは情報システムに係る政府調達府省連絡会議が取りまとめました情報システムに係る政府調達制度の見直しにつきまして、これは平成十六年の三月に改定をされておりますけれども、情報システムに係る政府調達につきましては原則として一般入札によることとされまして、例えば複数年にわたる契約につきましても国庫債務負担行為の活用ですとかライフサイクルコストベースでの価格評価を導入をすることとされております。  こういうことを踏まえて、今各省庁におきましては、システムの新規導入時ですとか、さらに更新時におきましても、これ一般競争入札に移行できないかといった検討が行われておるところでございまして、これは財務省といたしましても周知徹底してまいりたいというふうに思っております。
  249. 又市征治

    ○又市征治君 歳出削減には行革だ行革だと大騒ぎをされるわけですが、随意契約の横行とそれにリンクした天下りの問題、国費の無駄遣いが言われ続けて、とりわけ去年、この委員会で相当やったんですね。そういうのに、いまだにこの改革案はまだこれから五月、六月ですと、こういう話なわけでして、さらに今度行革推進法案が一方でかかっておりますけれども、この中に何らこれらの改革案が盛られていない。  そういう点で言うと、参議院の決算は、決算重視だ決算重視だと言われたけれども、参議院から出されたこの決算委員会からの、そして本会議で決議をした措置要求決議などは非常に軽視されている。このことを厳しく私は指摘して、今日の質問は終わりたいと思います。
  250. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 他に御発言もないようですから、法務省国土交通省警察庁裁判所及び住宅金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  次回は来る十五日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十三分散会