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2006-04-24 第164回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月二十四日(月曜日)    午後一時一分開会     ─────────────    委員の異動  四月二十一日     辞任         補欠選任         那谷屋正義君     白  眞勲君  四月二十四日     辞任         補欠選任         白  眞勲君     那谷屋正義君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中島 眞人君     理 事                 国井 正幸君                 小池 正勝君                 武見 敬三君                 直嶋 正行君                 松井 孝治君                 山下 栄一君     委 員                 坂本由紀子君                 田浦  直君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 西銘順志郎君                 野村 哲郎君                 森元 恒雄君                 山内 俊夫君                 山本 順三君                 尾立 源幸君                 加藤 敏幸君                 神本美恵子君                 佐藤 雄平君                 谷  博之君                 那谷屋正義君                 藤末 健三君                 簗瀬  進君                 和田ひろ子君                 高野 博師君                 西田 実仁君                 小林美恵子君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     竹中 平蔵君        国務大臣        (内閣官房長官) 安倍 晋三君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革))      中馬 弘毅君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策食品安        全))      松田 岩夫君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        後藤田正純君        内閣大臣政務        官        山谷えり子君        財務大臣政務官  野上浩太郎君    政府特別補佐人        人事院総裁    谷  公士君    事務局側        常任委員会専門        員        桐山 正敏君    政府参考人        内閣審議官        兼内閣官房行政        改革推進事務局        公務員制度等改        革推進室長    上田 紘士君        内閣大臣官房        長        山本信一郎君        内閣府政策統括        官        丸山 剛司君        内閣産業再生        機構担当室長   広瀬 哲樹君        内閣統計制度        改革検討室長   川崎  茂君        経済社会総合研        究所国民経済計        算部長      飛田 史和君        金融庁総務企画        局審議官     細溝 清史君        総務大臣官房長  森   清君        総務大臣官房総        括審議官     荒木 慶司君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君        総務省行政管理        局長       藤井 昭夫君        総務省行政評価        局長       福井 良次君        総務省自治行政        局長       高部 正男君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        総務省情報通信        政策局長     竹田 義行君        総務省政策統括        官        清水 英雄君        総務省政策統括        官        久布白 寛君        財務省主計局次        長        鈴木 正規君        文部科学省科学        技術・学術政策        局長       小田 公彦君        経済産業大臣官        房総括審議官   松永 和夫君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      安達 健祐君        国土交通大臣官        房長       春田  謙君    説明員        会計検査院事務        総局次長     石野 秀世君        会計検査院事務        総局第一局長   諸澤 治郎君        会計検査院事務        総局第五局長   増田 峯明君    参考人        日本放送協会会        長        橋本 元一君        日本放送協会理        事        小林 良介君        日本放送協会理        事        中川 潤一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十六年度一般会計歳入歳出決算平成十六  年度特別会計歳入歳出決算平成十六年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十六年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十六年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十六年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)  (皇室費内閣内閣府本府、総務省公営企  業金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫の部)     ─────────────
  2. 中島眞人

    委員長中島眞人君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  平成十六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、皇室費内閣内閣府本府、総務省公営企業金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 山本順三

    山本順三君 自由民主党の山本順三でございます。  今日は、地方分権について、それからNHK改革について、この二点を中心に質問させていただきたいと思います。  私も総務委員会にも所属いたしておりますので、そちらの方でも地方分権あるいはまたNHK改革についていろいろと議論をしてきたところでございますけれども、重ねていろいろ観点変えて質問させていただきたいというふうに思っております。  まず第一番目、地方財政についてのお話でありますけれども平成十六年から三年間、三位一体改革、第一弾完了といいましょうか、一つ方向性が決まったわけでございますけれども、その結果として、補助金削減で四・七兆円、税源移譲で三兆円そして地方交付税削減が五・一兆円と、こういうふうなことでございまして、地方分権に向けての確かな一歩を踏み出したというふうにも思いたいところでありますけれども、さはさりながら、この三位一体改革が果たして地方分権に向けての大きな一歩になるのかどうか、まだこれからのことだろうというふうに私どもは考えております。  特に、さき総務委員会でも申し上げましたけれども、我々、地方議会に所属しておりましたときを振り返りますと、何といっても税源移譲してもらいたいと、地方が自由に使えるような体制を整えてもらいたい、こういうことをずっと要望してまいりました。  ただし、税源移譲現実に行われてみると、改めて税の偏在ということ、これに直面をいたしました。そうなってくると、中央地方格差あるいはまた富める地方とそうではない地方格差等々もある程度顕在化するような状態になってまいりました。その格差是正を、埋めんがために、また中央に向けて、地方交付税どうぞ減らさないようにひとつよろしくと、こういうふうな流れになってくる。これは果たして地方分権なんだろうかと、つい自問自答せざるを得ないような、そんな場面も実は現実あるわけでございます。  そして、それと同時に、やはり何といっても地方交付税が五兆一千億ということでございますけれども、大幅に削減されて、またこれからも削減されるかも分からないというような状況の中で、その削減の結果、地方財政もこれ大幅な財源不足に陥ってしまって十三兆とも十七兆とも言われておるわけでありますけれども、その借入金残高も十八年度見込みで二百四兆円というような大きな数字になってまいりました。これの改善見通しがなかなか立たないというのが今の現状であろうと思います。  そこで、三点併せて、大きな質問でございますけれども、基本的な考え方でございますので質問させていただきたいと思います。  まず第一点は、先ほども申し上げました現在の地方財政収支三位一体改革の経緯の中で現状どうなっているのか、そして今後の見通しをどのように立てているのかということをお伺いしたい。  加えて、平成十六年にいわゆる地方交付税での大幅削減という大きなショックを地方は受けたわけでありますけれども、今後、地方交付税がどういうふうになっていくのだろうか。後ほどまた細かい質問はいたしますけれども、今後の増減見通しについてのお考えをお示しいただきたい点。  三点目は、近い将来、二〇〇七年問題とも言われておりますけれども団塊世代退職、それに伴う退職金支払というのが出てまいります。恐らく地方財政収支に大きなダメージを与えかねないその退職金支払見通しはどうなっているんだろうか、加えて、その影響が地方財政収支にどのように展開されるんだろうかと、その三点についてまず総論をお伺いさしていただきたいと思います。
  4. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 地方財政につきましての現状見通しということでございます。  御指摘のように、現在の地方財政、非常に多額財源不足を抱えておるわけでございまして、十八年度では、そういった中におきましても八・七兆円という状況になっておりまして、非常に多額財源不足でございます。また、債務残高も、御指摘のように、平成十八年度末には二百四兆円という見通しでございまして、非常に厳しい中、今後も健全化に向けて最大限の努力をしていかなきゃいけないというふうに考えておるわけでございます。  そういった中で、これからの取組といたしましては、二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支黒字化に向けまして、国と地方が歩調を合わせまして歳出歳入一体改革を進めるということが必要でございまして、この歳出歳入両面から努力いたしまして地方財源不足の解消に努めていくということが必要ではないかというふうに考えております。  そういった中で、交付税の先行きどうかという御質問でございます。これは結局、全体としての税収動向というものに大きく左右されるわけでございますが、我々といたしましては、十六年度のように非常に大きな額が突然削減されるというようなことでは予見可能性のある財政運営はできないわけでございますので、もう少しそこら辺のところ、予見を持って地方団体財政運営をしていただく必要があろうかということで、こういった歳出歳入一体改革整合性を取りながら中期地方財政ビジョンというものを策定して地方団体にお示ししていきたいというふうに考えているところでございます。  また、今後、団塊世代退職ということで非常に地方団体にとっては大きな変動要因があるわけでございます。現在の年齢ごと在職者状況を見ますと、平成十八年度、本年度から定年退職者が急増いたしまして、今後十年程度高い水準で推移するのではないかというふうに考えております。そういうことを見越しまして、今般、交付税法の改正の中で退職手当債というものの制度化をしていただいたところでございますが、そういったことも踏まえ、十八年度地方財政計画におきましては前年度と比して三千億円増の退職手当を計上し、地方財政運営支障がないようにしていこうとしているところでございます。  いずれにいたしましても、今後、全体の税収動向あるいは国、地方歳出歳入一体改革動向等今後の状況にもよるわけでございますけれども、我々といたしましては、歳出の見直しを進める一方、地方財政運営支障がないように必要な地方税等一般財源の確保を図ってまいりたいというふうに考えております。
  5. 山本順三

    山本順三君 地方においても、それぞれの地方歳出削減に向けての努力程度がそれぞれ違うんだろうと思うんですけれども、やはりどの地方も総じて厳しい財政状況に立ち至っていることは間違いのないことでありますし、また今ほど言ったように、将来の地方財政収支が悪化する材料というものがまだまだたくさんあるというふうに懸念されるわけでありますから、是非そういった点をしっかり御理解の上、地方分権という旗の下に地方財政がしっかりと立ち行くような方策というものを、地方とともに痛みを分かち合う、そういう覚悟で進めていただければ大変有り難いと、要望をいたしておきたいと思います。  それから二点目なんですけれども竹中大臣にお伺いをしたいと思います。  実は三月の二十九日の経済財政諮問会議におきまして、竹中大臣の方からペーパーが出ました。そして、今後の歳出削減名目成長率によって地方交付税削減可能額を一ないし六兆円とする試算を示されたわけであります。これは、新聞各紙はこれを非常にセンセーショナルに取り上げまして、そして竹中総務大臣地方交付税六兆円削減可能と試算というような大きな見出しを付けた新聞社もございました。  この件に関しましては、さきの自民党の部会におきまして、地方交付税削減額試算したものではございませんよと、そして、単純なイメージ数字であって、政策論として中間支出である交付税削減目標を立てることは間違っていますよというような説明大臣自らがされたと。私も実はその場におりまして聞かせていただきました。  しかしながら、実はこれ、前々から大変私も危惧をいたしておりますけれども財務省は従来、地方交付税地方にはまだまだ無駄が多いから、七兆とも八兆とも言われるようなそういう数字削減できるんではないだろうかというようなことを主張されておりまして、地方は実は戦々恐々としておるような状態であります。そういったときに竹中大臣の六兆円という数字が独り歩きをしたというふうに私どもは見ておりますけれども、それにしても地方交付税、やはり大幅削減されるんではないだろうかというような、そういう心配の声が地方では非常に大きく今なっているということも、これ見逃せない事実だろうと思っています。  加えまして、大臣の方から、地方交付税の不交付団体の比率、これを現在の六%から一三%に倍増させるんだというこの目標もその中にあったやに思っておるわけでございますけれども、そういったことを一つベースにしてお伺いいたしますけれども、今回の歳出歳入一体改革に関するペーパー、これに示された試算の根拠、それから竹中大臣地方交付税削減に対する考え方の真意について、各地方団体竹中大臣に大いに期待すると同時に若干の不安感を持って、きっと地方の味方なんだろうなというふうに思いながら、いやあというふうに今ため息をついている最中でございますので、大臣の方からしっかりとした答弁、よろしくお願いいたします。
  6. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 山本委員から大変重要な問題について答弁機会をいただきましたことをむしろ感謝を申し上げます。  新聞報道は存じております。新聞はセンセーショナルに報じたというふうにおっしゃいましたが、報じたのは一紙だけです。本当に私がそういうことを言っていたら全紙報じたと思いますけれども、一紙だけ非常に局部的な数字を取り上げて、そのようなストーリーを報じたのだというふうに思っております。  大変良い機会でございますので、地方交付税に対する考え方と、それと、先般、諮問会議に提出した資料の中身について是非もう一度申し上げさせていただきたいと思うんですが、御指摘のように諮問会議においては、ともすれば交付税を減らせという、今日は財務省政務官いらっしゃいますけれども財務省的な意見というのは非常に強うございます。これは、民間議員の中でもなかなか交付税仕組みをちゃんと御理解いただかない上で、この金額が大きいから、社会保障とこれが大きいからこれを減らせというような議論が横行しているというのは事実でございます。  それに対して、私は総務大臣として常に申し上げてきたのは、交付税というのは中間的な支出である、地方には地方最終支出がございます。それは社会保障であり、公共事業であり、人件費であり、その他の支出、この最終支出は国と同じです。地方の場合には、その最終的な最終支出地方税等々の歳入の差額を補てんするものとしての交付税があるわけですから、これは最終支出ではありません。したがって、例えば国の財政を論じるときに、社会保障地方交付税というのを別のテーマとして議論すること自体がそもそも適切ではない、そのことを常に申し上げているわけでございます。したがって、それに対して目標値を設けるということもこれはやはり不適切である。国も地方も今のような状況下でできるだけ最終支出を減らさなきゃいけない、その努力をしなきゃいけないというのはそのとおりだと思います。そして、努力をした結果、地方税収も上がって、結果的に交付税が減ってくるのであれば、それはそれで結構なことであるというふうに思います。  私がそういう認識の下で諮問会議でまず申し上げたのは、三点申し上げているんです。そのうちの一つがその新聞が取り上げたことなんですが、三点申し上げたうちの一つは、まず重要な点として、二〇〇二年から二〇〇六年度までの四年間で、国と地方プライマリーバランスは何と二十八兆円の赤字から十四兆円の赤字に、別に消費税を引き上げたわけではありません、しかし、半分になっているわけですね。その半分の、そのなっている要因は一体どこにあるのかと、税収なのか歳出削減なのか、国なのか地方なのかと。その実績をちゃんと議論しないと、全くそういうことが議論できないではないかと。残念ながら内閣府等々はそういうことをやってくれなかったわけでありますので、私自身が問題提起をして、それを踏まえなくば歳出歳入一体改革議論などできないではないかというふうに申し上げたわけでございます。  結果から言いますと、国と地方、大体半分ずつの貢献です。二十八兆のマイナスから十四兆のマイナスに十四兆円改善しているうちの、国と地方が半々ぐらい。国は、主として国税が増えたという税収増によってその半分の貢献、七兆円の貢献を実現をしております。地方は、主として歳出削減によってそれを実現しております。地方プライマリーバランス貢献が七兆円ぐらいあったわけでありますけれども、実はそのうちの半分くらいを、約半分を地方交付税削減という形で国に戻す貢献をしているわけなんです。したがって、地方プライマリーバランス改善幅がどのぐらいかということを議論をすることは、私は重要だろうというふうに思います。  そこで、まず一番目がそういう要因がどうであったかということを踏まえて、二番目に、じゃ今後機械的な試算として、これまでと同じような歳出削減を続ける場合、名目歳出横ばいにする場合、実質で歳出横ばいにする場合、つまり物価上昇分ぐらいはまあ見ましょう、それと極端なケースですけれども名目成長率と同じぐらい歳出を増やす場合、その四つのケースについて各それぞれまた成長率が三%名目成長と四%名目成長と、八つの場合につきまして国と地方収支改善幅が機械的な試算でどのぐらいになるかということをお示ししたわけです。私は八つ、そういう場合で示している。  そのうちの一つを恣意的に取り上げてある新聞が、これだけ減らす、減らせると、改善するんだからその分交付税を減らせるというふうな報道の仕方をしたわけでございます。私は、交付税をどのようにするかというのは、これは全く別の、どれだけ収支が改善するかということと交付税をどうするかということは別の次元の政策論議であるということを明記して申し上げているわけでありますけれども、そのような報道をしたところが一紙あったということでございます。  ついでに申し上げますと、私はもう一点実は議論させていただいております。それは、やはり不交付団体の数が余りに今のところ少のうございます。例えば、日本で一番元気な市と言われる名古屋市ですら交付金を受けるような状況になっている。これはやっぱり仕組みの在り方として考えていかなければならないのではないだろうか。  そういう観点で、例えばですけれども、人口二十万以上の都市、やはりそれなりに自立していただかなきゃいけない、その二十万都市のうちの半分が不交付団体になれるようにするためには、もちろんこれはいろんな仕組みも変えていくわけですが、とどのつまりはやはり交付税ではなくて地方税で賄うわけですから、地方税への税源移譲というのは不可避でございます。その地方税への税源移譲のためにどのぐらいの税源移譲が必要かというのを、ラフな形で二・五兆円から五兆円ぐらいということで数字をお示しをしております。私は、どっちかというとそれが新聞でちょっと騒がれるかなというふうに思ったんですけれども財務省は余りそういう数字はお好きじゃないと思いますので、いずれにしても、そういう三点についてのめどといいますか、イメージについての議論をさせていただいております。  いずれにしましても、交付税の本質というのは先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。中間的な支出です。国も地方歳出をスリム化しなければいけません。その結果として、税収も増えて交付税削減できるんなら、それはそれで結構なことでございますが、そのことを目標として何か数値目標数字で言うのは、これは政策論として私は不適切であるというふうに思っております。  長くなって恐縮でございますが、その中身については今申し上げたとおりでございます。
  7. 山本順三

    山本順三君 丁寧な説明ありがとうございました。  我々としても理解するところ多々あるわけでございますが、一点だけちょっと今の答弁の中でお伺いしたいんですけれども、いわゆるプライマリーバランス二十八兆から十四兆というお話がございました。そして、国は税収増でそれをある程度賄った、半分、あとの半分は地方歳出削減ということで賄って、そしてそのことが地方交付税の減につながっていったという、そういうお話でございました。  ただ、そこで一つだけ、私ども地方議員の生活長かったもんですからつくづく思うんですけれども、今もう歳出削減ということをいや応なくやらざるを得ない状態に追い込まれてしまっているという現実があります。我が愛媛県、先般の総務委員会でも実情を細かく申し上げましたけれども、五か年計画立てていますけれども、千五百億だったかな、それだけのいわゆるもう実際のお金が不足するんだというような状況の中で、歳出削減、もちろん無駄を省いていかなければならないけれども、無駄じゃないところまで省かざるを得ないような状況にまで今追い込められつつあるということについての考え方是非お聞かせいただければ有り難いと思います。
  8. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 地方自治体が大変な御努力をしておられるというのは、私もよく承知しているつもりでございます。  そして、先ほど言いましたように、よく国の中で、霞が関や永田町で議論をすると、地方はまだまだ甘いという言い方をよくするわけですけれども、個々について見ますと、国がやっていないような厳しいいわゆる財務リストラをやっている地方公共団体はたくさんございます。これは事実です。  ところが一方で、これはあえて名前をもう申し訳ありませんが出させていただきますが、よく例に出る大阪市のように、これはちょっと幾ら何でもどういうことなんだというような例がやっぱり存在しているということも事実なわけでございます。そうしますと、もう一事が万事、そういう象徴的な事例がございますと、それを振りかざしていろんな議論がなされてしまうという、これは諮問会議等々でも私自身大変なかなか議論のしにくい面がございます。  確かに一方で、地方自治体が努力しているというのは紛れもない事実。しかし一方で、どうもそうではないところも明確に存在していると、こういうことが放置されているという制度上の問題点が何かあるのではないかということに対してはやはり答えを出していかなければいけないのだと思います。  我々は、その地方のいろいろある実態を正確に諮問会議等々でもお伝えする中で、だからこそ制度をこう変えていく必要があるのではないかという議論是非結び付けていきたいというふうに考えております。
  9. 山本順三

    山本順三君 是非そういう形で進めていただきたい。我々も、根本的な制度改革はやっぱり必要だよというような、そんな立場でこれから地方分権に向かっての議論をさせていただければ有り難いと、このように思っております。  それで、その一つになるんでしょうか、実は先般、全国知事会など地方六団体によります新地方分権構想検討委員会なるものが四月の十七日に分権型社会ビジョンの中間報告素案を提示して、その中で、今後、地方交付税に代わる一つの選択肢として地方共有税ということを、これを創設を明記しているという報道がございました。  実は、私もさき総務委員会地方共同税ということの考え方についての質問をしようとしておりましたけれども、時間が参りましてできませんでしたが、その地方共同税にしてもあるいはまたこの地方共有税にしても、この考え方というのは、国に依存しない地方固有の財源として、地方交付税のように一般会計を通さずに、新たな特別会計へ国税の一定割合を直接繰り入れて地方自治体に配分すると、こういう考え方の下に議論されておるところだろうというふうに思っております。  そこで、私ども、国に依存せずに地方間で必要な財源というものを融通し合うということは地方分権に向けては非常に大きな意義があるんだろうと、こう思っておりますけれども、そしてまた、そのことが地方の自律性を高めるだろうというふうに期待もするところでありますが、一方では、国税の減税があった場合にその共有税というものをどうしていくんだというような議論から始まりまして、一番肝心なその共有税の配分方法をどのように考えていくんだと、これまた地方交付税と同じような考え方に戻ってしまう危険性もあるわけでございますし、また、実際にその配分のときに行司役というのは一体だれがするのか、どの団体がするのか、これ地方同士で調整するというのは非常に難しいところがありますし、そこへ国が入ってくるとなったら、これ地方交付税とどう違うんだという議論にもなってくると思います。  いずれにしても、様々な問題点があるんですけれども竹中総務大臣はこの地方共有税につきまして、地方分権を先頭に立って推進する立場としてどのようにお考えなのか、その御所見を是非お聞かせ願いたいと思います。
  10. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 地方六団体の新地方分権構想検討委員会、東京大学の神野先生が中心になっておられると思いますが、そこでの、実は中間報告の内容についてまだお話を十分伺っていないのでございますけれども、中間報告の素案の段階でそのようなお考え方が示されたというふうに聞いております。これは、まだ先方としても議論の途上であろうかと思いますので、それについて私自身も十分に全容を承知しているわけではございませんので、厳密なコメントは差し控えなければいけないと思っております。  ただ、今委員言われましたように、かつて共同税の話がありました。共有税とどのように制度設計が違うんだろうかと、そして今委員おっしゃったようないろんな問題点も含めて、どういう制度設計なんだろうかという思いはいろいろございます。是非、まずは神野先生始め皆さんにそういう考え方詰めていただいて、その上で内容についてはよくお話を伺いたいと思っております。  実は、この総務省総務大臣の私的な諮問機関として地方分権二十一世紀ビジョン懇談会を設置しておりますけれども、これを設置するに当たりまして、実は私から地方六団体の方に、総務省でもそういう検討の場をつくるので地方六団体でも検討の場をつくってほしいと、そして意見を交換いたしましょうということを申し上げました。それにのっとってと申しますか、地方の方でそのような場を設けて議論してくださっているということですので、そのこと自身は大変前向きで結構なことであるというふうに思っております。  私どもの方でも今検討進めておりまして、実は二十八日、今週の金曜日になりますでしょうか、その中間取りまとめを行う予定にしております。そういう中でも、いろいろな検討が出てくると思います。是非地方でも、また総務省でも、また先生方の間でもいろいろな前向きな議論を進めていただく段階であろうかというふうに思っております。  ただ、一点だけ、やはり地方分権の制度というのは全体のことを議論をする必要があると思っております。この部分だけ、税だけとか、そのことだけで議論をするとなかなか議論が行き詰まってしまうのではないかなという思いがございますので、是非全体像についての議論を、我々も深めますし、地方においても深めていただきたいというふうに思っております。
  11. 山本順三

    山本順三君 今おっしゃった全体像ということ、正にそのとおりであると思っていまして、三位一体改革につきましても、冒頭申し上げましたが、税源移譲、それと、それに連動した形でもちろん補助金削減もあって、加えて地方交付税を基本的に改革していくということでありましょう。  ただ、私が危惧したとおり、いわゆる税源移譲をどんどん進めていく、税の偏在がある、そしてその結果としてまた地方交付税に頼らざるを得ないという、そういうシステムを根本的に切り替えていく、そういった意味ではこの地方共有税の発想というものは一つ考え方だろうというふうにも思っておりまして、もちろん全体像の中でこれから地方分権に向けてどういう制度改革をしていくかということが一番重要であろうと思いますけれども、その中の一つとしてしっかりとまた議論をさせていただければというふうに思います。  それから、続いて、ちょっと順番変えますけれども、市町村合併について質問させていただきたいと思います。  三点の質問準備をいたしましたが、まず一番目、簡単に答えていただければと思うんですけれども、市町村合併によって各自治体、特別職なりあるいは議員数がどのぐらい減って、そしてその経済効果どうだったんだろうか、さらには職員の削減がどうなっているのか。今ちょっと本会議場で竹中大臣からそれなりの私に対しての答弁が先行してあったなと、ついつい思いながらその答弁聞いておりましたが、その三点、取りあえずお答えください。
  12. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) 市町村合併によりまして、三役及び議会議員が平成十五年度から合併後にかけまして全国で約二万一千人減少いたしまして、それに伴います効果として給与、報酬が平年度で約千二百億円削減される見込みでございます。  職員全体の効率化効果につきましては、合併後、直ちに現れるものではありませんで、若干の時間を要するものでございますが、そのようなことから現時点で正確な見通しを立てるのは容易ではないところがございますが、例えば関係団体、合併した市町村数の数の多い大規模な合併や適度な面積の市町村同士の合併などにおきましては、相当程度削減ができるものと想定されるところでございます。  なお、職員の削減効果の具体例で申しますと、一般職員の削減によりまして、静岡市では合併後十年間で約七十六億円、広島県廿日市市では合併後十年間で約二十七億円の削減効果が見込まれているところでございます。
  13. 山本順三

    山本順三君 ひとつ、行政の効率化という意味ではそのこともしかと我々見届けていかなければならない、このように思っておりますけれども、もう一点、合併特例債、実はこれは元利払いの七割を国が交付税で面倒を見てくれるという、ある意味では財政的な特典というふうに我々も考えておりました。  ところが、これほど財政状況が厳しくなってまいりますと、なかなか夢を語るというような意味合いでの活用方法ができなくなりつつあるんではないだろうか、こんな心配をいたしておるところでありまして、そういった意味を込めまして、合併特例債の発行状況、それから今後の発行予定額及びその活用方法についてお示しをいただきたいと思います。
  14. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) 合併特例債の発行状況でございますが、平成十一年度から平成十六年度までの間で九十三団体で約二千百十億円となっております。  それで、今後の発行見込みでございますが、現時点で正確な見通しを立てることは困難でございますが、合併市町村におきましては、自ら行政改革に取り組む中で施設の維持管理費や将来の財政負担などにつきましても十分見通しを立てまして、この特例債の発行額を慎重に検討しているという状況であろうかと思います。大変財政状況厳しい、起債残高も大変増嵩しておりますので、かなり慎重に検討して使うという状況になっているものと思っております。  この特例債の使われ方でございますが、合併市町村が自らの市町村建設計画に基づきまして実施いたします公的施設の整備事業について活用しているところでありまして、事業としましては道路の整備、学校、ごみ処理施設、火葬場の整備など住民生活に不可欠な施設の整備に使われているところでございます。  合併特例債の活用に当たりましては、先ほども申しましたように、真に必要な施設かどうか、将来の維持管理費等が過大なものにならないか、こういった観点について十分検討していただくように市町村に助言しているところでございますが、私どもとしましては、今後もこの特例債が新しい町づくりに有効に使われますように適切に対処してまいりたいと考えております。
  15. 山本順三

    山本順三君 恐らく現実は通常の事業費減額補てん分にかなり使われているだろうし、これからもっとそういう傾向が出てくるんだろうと思うんです。ただし、合併特例債と銘打った以上は、今ほど答弁になったとおり、やはり町づくりのために、それも合併して良かったなというふうに思えるような町づくりのために活用していくという大原則があろうかと思いますから、その点もしかと見届けていただきますようにお願いしておきたいと思います。  それから三番目でありますけれども、今後の市町村合併の進め方なんですけれども、合併自体は第一幕は終わったというふうなことで、結果的には西高東低というような、そういう結果が出ておるように思います。そして、昨年の四月に合併新法が施行されまして更なる合併推進に向けての第二幕がスタートしたと、このように思っておるところでございます。  その中で、具体的に申し上げたら、いわゆる新たな組合せというものを示す構想を策定しなさいよということで、現在十二県がその構想を策定しておる。今後、策定予定を含めると二十五道府県になるということでありますけれども、十三県はもう合併も進んでいるし、これは設置はしないということでございますけれども、なかなかスムーズにいきにくいなというような今数字が出てきているんではないだろうかというふうに思っております。それから、合併協議会の設置を市町村に勧告できると、これは都道府県がということでありますけれども、これもその役割を本当にしっかりと果たせるかどうか、これは今ほどの構想をしっかり立てれるかどうかというところにもかかわってくるように思っております。  そこで、今後の注目点といたしましては、恐らくおおむね一万人未満の小規模自治体の合併をこれから特に進めていくと、そして足腰の強い基礎自治体をつくるんだというふうな、そういう点が挙げられると思いますけれども、そのためにはそれと連動した形でやってくる地方交付税の見直しというものが大きく影響をしてくるんだろう、こんな感じを持っておるところであります。それやこれやを含めて、今後、市町村合併の進め方、どのようにされるのか、その考え方についてお示しいただければと思います。
  16. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 我々が今どういうことを考えているかということは、実は今、山本委員がほとんどおっしゃってくださったわけでございますけれども、確かに、委員のお言葉ですと第一幕といいますか、十八年の四月一日には千八百二十というふうになりました。これは十一年三月三十一日、三千二百三十二あったわけですから、その意味では第一幕に関してはそれなりの成果を上げたというふうに思っております。一方で、相当皆さんに御努力いただいたという一方で、地域ごとの進捗状況にはやっぱり確かに差異が見られております。  そこで、その合併新法では、総務大臣が定めます基本指針に基づいて都道府県が市町村合併の推進に関する構想を策定して、その構想に基づいてあっせんや勧告等の措置を講じることができるというふうにしております。やはり、その仕組みそのものについてしっかりと運用していくというのが我々の立場であろうかと思います。これも委員指摘になられましたが、現在三十四の都道府県で構想を検討する審議会の設置条例が制定されておりまして、十二の県で構想を策定をしているところでございます。我々としては、都道府県への構想作成の働き掛けなどを通じて、引き続き自主的な市町村合併を積極的に推進していきたいというふうに考えております。  交付税等々についてもお尋ねがございましたが、そもそも、やはりしっかりとした財務基盤、一定の財務基盤を持っていただくために、それが自らのためであるという御判断を自主的にいただいて、このような市町村合併、今後もやはり続けていっていただく必要があるというふうに考えております。
  17. 山本順三

    山本順三君 ありがとうございました。  続いて、NHK改革について質問させていただきたいと思います。  三月の末に総務委員会の方で平成十八年度のNHKの予算審議を行いました。私も質問に立たせていただきました。そして、各委員からいろいろ厳しい御意見もございました。そして、橋本会長始め、皆さん方から強い固い決意も述べられました。最後には附帯決議を付けて、そして予算を承認するというようなことになったわけであります。  私どもも、そのNHKの皆さん方の強い決意というものに大いに期待もしておりますし、そしてまた、最近NHKに対しての批判といいましょうか、あるいは不信感といいましょうか、そういったものが若干変わってきて、たしか今年の一月末ぐらいから、もう受信料、言わば底打ちをして、だんだん回復基調に戻ってきつつあった。それを大変喜んでおったわけでございますけれども、極めて残念なことに、先般、二百四十二回の空出張を繰り返し、千七百万円を着服した報道局のチーフプロデューサーの事件が起こったわけであります。これは今までの皆さん方の決意というものが正に水泡に帰するというような結果に相なったと思いますし、我々も真剣に審議をしてきたその審議の過程というものが極めて残念な形で露呈してしまったというような、そういう気持ちも今現在しておるところでございます。  それで、この数年、一、二年、NHKの不祥事、どんなことがあったのか私もちょっとまとめてみたんですよ。そういたしましたら、平成十六年、例の紅白歌合戦などの番組に絡む不正支出、これでチーフプロデューサーが懲戒免職になった。そして、それから二〇〇四年度も一件、二件、三件、四件、五件の不祥事が起こっている。二〇〇五年に入っても、これまた、例えば福井放送局のチーフカメラマンがビール券を換金して三百五十万円着服であるとか、あるいはまた今回の事件であるとか、もう枚挙にいとまがないなんていう表現したくないんですけれども、次から次へこのような形で出てくる。これは一体いかがなものかというふうに皆さんが思っていらっしゃると思います。  実は、そのことについて、例えば今回の空出張についても、あれほどの議論があった後でございますから、これ、NHKのチェック体制どうなっているんだろうか。通常ならば、出張するときには出張命令が発行されて、そしてだれかが当然それをチェックして、またその復命というものをしっかり受けている。これは民間企業ではごく当たり前の手法でありますし、そのチェック機能が果たしてどこまで働いていたんだろうかということ、首をかしげざるを得ない。  また、今後の再発防止策でありますが、今度どうされるのか、今議論を内部でされておる最中だと思いますけれども、果たしてこれ、内部調査だけでしっかりとした調査ができるんだろうか。もちろん外部に委託して外部監査等々はしっかりされておると思いますけれども、やはり外部のメンバーによって調査委員会しっかり設置をして、そしてうみを出してしまう、こういうふうな体制がなかったら、またこれ発覚してという繰り返しになると思います。過去のことでありますから、厳しく調査をすればするほどうみが出る、これは私いいと思うんです、どんどんうみ出していいと思うんです。ただし、今後出ないようなシステムをどうつくっていくかというために、そのうみを出すということではかなり思い切った対応が必要になってくるんではないだろうかと。もちろん、これは会長だけじゃなくて、あるいは経営委員会だけじゃなくて、職員一人一人の意識改革というものもこれしっかりとしていかなければならないし、それに対しての研修がどう行われているのかということも考えなければならない。いろんなことを今日は実は質問しようと思いました。  ただ、先般、我が党の片山委員会の方で世耕総務委員長からも非常に厳しい糾弾がされた。そして、そのことについて今NHKの内部で具体的な答えについてのまとめ作業している最中だと、その話を聞きましたので、細かいことはここではお聞きいたしません。ただし、このような事件が、どんどん不祥事が起こってくる、そのことに対して、今後、今ほど私いろいろ申し上げましたけれども、NHK、どのような対応されようとしているのか、そのお考えを一回お聞かせ、改めてしたいと思います。よろしくお願いします。
  18. 橋本元一

    参考人(橋本元一君) 山本委員の御指摘のとおり、大変私としても、NHK全体にとってもこれはつらい出来事でございました。  まず、特に本年度の予算というものを衆参両院に御議論いただきまして御承認いただいて、新しい年に踏み出した直後ということもございます。それから、この一年いろいろ信頼回復に向けて、番組面でもNHKらしい番組というものを努めてお届けして、これは大変好評な状態でございました。大河ドラマにしても、朝のドラマ、それからドキュメンタリー等、いろいろ大変好評な反応の中で、委員お話ありましたように、ほんのわずかではありますけれども、回復の兆しというものが見えているやさきということでございました。そういう中で、誠にこの事態というものを深刻に、痛切に感じております。また、国民、視聴者の皆様、それから衆参両院の議員の皆様方にもおわび申し上げたいと思います。誠に申し訳ございませんでした。  これまでいろいろ経営改革あるいは業務改善、先ほど申しました番組としても、視聴者、国民の方々に納得される番組というものを目指して取り組んでまいりましたけれども、いずれもこの改革のハードルが極めて高い状態になってしまったということにつきまして、私ほか痛切に感じておりますのは、やはりこの経営改革、業務改善というものがまだ心がこもっていない。意識という、職員の意識です、ここのところを改めて徹底を図る必要があるというところに強く感じております。  こういう点で、今回この件について、当然ながらより詳細に原因とその問題の所在、こういう点について徹底して調べまして、具体的にこれを、実効力のある対策といいますか、こういうものを築き上げるという、これにもう全力、全精掛けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。やはりこの意識改革の徹底という点では我々不十分だったということを十分認識し、またさらに経理的な手続、あるいは業務管理の仕方、あるいは人事研修、こういう面で足りなかったところを掘り下げて追求して、我々自身そこを十分強化してまいりたいというふうに思っております。襟を正して取り組んでまいりたいと考えております。
  19. 山本順三

    山本順三君 そのお気持ちは私どももしかと受け止めたいと思いますし、何度も実はそのような話もお伺いしました。  大変失礼な言い方で恐縮なんですけれども、今の会長の答弁を聞かせてもらって、私の率直な印象としては、そんな悠長なことでいいんですかというふうについつい申し上げたくなるような、そんな気持ちを禁じ得ません。これは本当に大変な状態になっておりますし、公共放送としてNHKが果たすべき役割というのは我々も高く期待をし、評価をしておるところでありますから、その我々の気持ちにこたえるためにどうするべきかということについてはかなり真摯に、また真剣に、また抜本的な改革をしていくんだというような気持ちがどうぞ我々に伝わるような対応策を練っていただきたいと思います。  今ほどの答弁も含めて、NHKの監督官庁とでも申しましょうか、所管の官庁である総務省としてどういう御見解があるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  20. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 正にNHKが改革、再生に向けて全力で取り組んでいるやさきに再びこのような不祥事が明らかになったということは、もう極めて遺憾であると。この遺憾であるという言葉を何度も使わなければいけないということが正に極めて遺憾であるというふうに思います。  今回の事案に関しましては、さらには詳細な事実関係、そして再発防止の取組につきましては、十分に事情を聴取するよう事務方に私からも具体的に指示をしたところでございます。この聴取内容を十分精査した上で、総務省としていかなる対応が必要となるかを考えたいと思います。  特殊法人でございます。多くの場合、監督省庁の大臣が一般監督の権限を持つわけでございますが、実はNHKというのはやはり表現の自由にかかわる公共放送ということで、ここを大切にしようということで、いわゆる総務大臣の一般監督権限というのは規定されておりません。例えば、予算について意見を付すとか、出資の認可、受信契約の認可等、限定的な形で総務大臣が認可等々するというかかわり合いになっております。それもこれも、やはりNHKにしっかりとやっていただきたいという立法者の思いがそこに表れているのだというふうに考えております。  通信・放送の在り方に関する懇談会におきましても、そうした観点からNHKのガバナンスにつきまして議論をいただいているところでもございます。我々としても、そのガバナンスの在り方について十分に検討をしたいというふうに思っております。
  21. 山本順三

    山本順三君 是非よろしくお願いしたいと思います。  時間が大分迫ってまいりましたので、ちょっと順番変えまして、NHKの関連団体についての質問をさせていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕  今、NHK関連団体数は、子会社が二十一、関連会社四、それから公益法人が九、合計で三十四団体。以前はもう少し多かったというふうに伺っておりますけれども、大分圧縮はされたんだろうと思います。そして、平成十六年度の売上高が三十四団体全体で合計二千八百億円、そのうち半分近い千二百三十億円がNHK本体からの業務委託収入と、このようになっていると伺っております。  一方、これらNHK関連団体からNHK本体に還元される副次収入、これは約七十六億円にすぎず、関連団体の利益がNHKに還流されずに子会社等に蓄積をされているんではないかと、こういうふうな批判もあるというふうに聞いております。  そこで、実は先般、新聞を読んでおりましたら、NHKの子会社であるNHKエンタープライズが剰余金を取り崩して、そしてNHK本体へ二十億円を超える巨額の配当を行うというふうに報じられておりました。それで、その子会社あるいは関連団体の剰余金というのはどうなっているんだろうかと。NHKの方でお示しいただいた資料がございまして、それをずっと見てまいりましたら、例えばNHKエンタープライズ七十九億円余り、またNHKエデュケーショナルが三十五億円余り等々となっておりますけれども、まず簡潔にお答え願いたいんでありますが、関連団体三十四団体の剰余金の合計額が幾らなのかお示しいただきたいと思います。
  22. 中川潤一

    参考人(中川潤一君) お答え申し上げます。  先生御指摘の関連団体三十四団体ございます。十七年四月一日現在でございますが、これで剰余金の合計額は八百四十八億円でございます。
  23. 山本順三

    山本順三君 大変巨額な剰余金があるということでありましょう。  そこで、今ほど申し上げましたその受信料でNHKは安定収入を確保している。関連会社はその受信料で作った番組ソフトや放送技術というものを駆使して利益を出して、そして今ほど八百億を超えるような内部留保を出している。このことはそのままでいいんだろうかというような気持ちに私自身はなります。そして、でき得るならば、でき得るならば、今ほど二十億円、NHKエンタープライズが巨額の配当をしたということでありますけれども、もう一回その剰余金を見直して、そして例えばその剰余金を活用して受信料引下げの原資に充てるということも当然これ考えられるんではないだろうかと。  特にNHK、これから信頼回復をしていかなければならない。そして、多くの国民の皆様方、特に三割の人がまだ受信料不払というような現状をかんがみたときに、そういった人たちにアピールする手段としまして、例えばこれほどの剰余金があったよ、だから少しでも受信料を下げて、そしてNHKの努力を国民の皆さんに見ていただいて、三割を二割、二割を一割に減していく、そういうふうな努力があってもしかるべきというふうに私は思っておりますけれども、そのことについてはどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕
  24. 中川潤一

    参考人(中川潤一君) お答えします。  先ほど三十四団体、合計で八百四十八億円と申し上げました。この中には財団法人とかいわゆる公益法人も相当含まれてございます。それを除きますいわゆるNHKが直接出資しております子会社十九社、これの合計額が七百二十三億円でございます。さらに、ここからNHKの議決権比率といいますか、出資に応じまして割り出しますと、それは大体四百二十七億円になります。四百二十七億円がNHKが自由にできると言っちゃおかしゅうございますが、そういう金だということを考えますが、例えば出版協会という子会社もございますけれども、ここなどはその剰余金をすべて現金で持っているわけでございませんで、出版の在庫として抱えている分もございます。そういったものはございますが、確かに今これ大きな額でございますので、できるだけ本体の方に還元してもらいまして、それを更に役立たせていくと。  それで、先生の御指摘では受信料引き下げたらどうかと、こういう御指摘でございますけれども、一気にこの剰余金そのものをなくしてしまうというのは、現に今関連団体も活動をしておりまして、それぞれがこれまでの古い経緯を引きずりながら、事情を抱えながらやっております。ほかの株主さんの意向もございます。そういったことを兼ね合いしながら、できるだけ配当という格好で還元してもらおうということで、十八年度につきましては、エンタープライズの二十億を含めまして三十三億円ほどを予算上計上しているということでございまして、様々な形でもっともっと還元してもらって、受信料の負担の抑制というものに対して貢献してもらおうというふうに考えているところでございます。
  25. 山本順三

    山本順三君 確かに、その八百四十八億円の中身を精査していったら今ほどの答弁のようになるというのも分かります。  ただ、私は、ここはひとつNHKの姿勢を明確に出していくと。これはこうですからこうできません、これはこうですからこうできませんというのではなくて、NHKはこれから変わっていくんだと、そのときに、この剰余金も含めてどう改革していくかということでの前向きの議論をしっかりしてもらわないと。  例えば、唐突にNHKエンタープライズから二十億円という記事を見ましたら、NHKの内部って一体どうなっているんだろうかというような、そんな率直な私どもの違和感というものが出てくるわけでありますから、その点はしかと御理解いただきたいというふうに思っております。  それで、この三十四団体の関連団体ということでありますけれども、これは以前もいろいろありました。本体でもうけずに子会社でもうけさせるというような特殊法人、何かしら、道路公団の民営化のときにそんな話が我々の耳に入ってまいりました。本体ではなかなかもうけづらいけれども、その周辺で、子会社として大いにもうけているところがあるじゃないかという議論がたくさん出ました。  ですから、私ども、子会社との関係というものをより明朗なものにしていかなければならない、そしてしっかりと説明責任が付くようなものにしていかなければならない。なぜならば、NHKは国民の皆さんの受信料で運営されておる、ここが一番の私はポイントだろうと思うんですね。  ですから、そういった意味におきまして、これ、子会社等三十四団体ありますけれども、これからこういうふうなことを根本的に見直していくお考えがあるのかどうか。  あるいは、NHK本体でやれることは本体でやっていきましょうと。例えば人員の削減にしましても、NHKはこれだけ人員削減しましたというのはあるんです。でも、後ほど申し上げますけれども、一方では、子会社なり関連団体では人員が増えているという現状もあります。  ですから、そんなことも含めて、今後、その三十四団体の子会社をどういうふうな形で運営していくのかということについてお伺いしたいのと、もう時間ございませんから、今ほどの話に関連して質問いたしますけれども、百七十三名の子会社の常勤役員がいらっしゃる。その中で、八割を超える百五十人がNHKの出身者であるということでございまして、正に、定年後のNHK職員の天下り先あるいは再就職先になってしまっている。  このことが、今、直接的にはこの議論とは関係ございませんけれども、いわゆる天下りと、それから随意契約とかあるいは官製談合とか、今回の国会でいろんなところでこれ議論されたわけでありますけれども、そういったことに共通する素地にもなりかねないというふうに私ども感じておりまして、いわゆる不祥事発生の危険性を誘発することにもなりかねない体制ではないだろうかと。そういったことについて、今後、現状を見直すつもりがおありかどうか、そのことを併せてお伺いしたいと思います。
  26. 橋本元一

    参考人(橋本元一君) お時間も短いので、簡潔に申し上げます。  NHK、やはりいろいろこの関連子会社につきましては御指摘ございます。我々、十八年度から二十年度にかけての改革案の、いわゆる経営計画の中で、関連子会社についてもしっかりと点検し、今後、いろいろ御意見ありますから、そういうことをしっかりと踏まえて、いろいろと今後の新しいNHKの体制をサポートするにふさわしい子会社ということで実際の改革案というものを検討してまいりたいと。できるものから行っていきますけれども、様々改革に向けて統合というふうなこと、前提の中でまとめてまいりたいと考えております。
  27. 山本順三

    山本順三君 最後に受信料の話しようと思ったんですが、もう時間ないので、NHKの改革についての自浄能力をしっかり発揮されて、恐らく近いうちに我が党にもその御報告があろうかと思いますけれども、心して改革に掛かってもらいたいということを私の方からも申し上げておきたいと思います。  それと同時に、最後の最後でありますけれども、今度そういう、先ほど申し上げましたNHKの関連団体の今後の在り方について、総務省としてはどういうふうにお考えかだけ最後に聞かせてもらって、質問を終わりたいと思います。
  28. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 関連会社の在り方について、基本的にはこれはやはりNHKに正に問われているガバナンスと説明責任の問題の中でしっかりと対応していただかなければいけないというふうに思っております。スリムで効率的な体制の構築を進めていくということが当然の方向であろうかと思います。  このため、私としましても、既に御承認をいただきました平成十八年度収支予算等に付しました大臣意見の中で、NHKの子会社等について、NHKと一体となった人員削減、統廃合等の経営改革を行うことにより合理化、効率化を推進すること、そして業務委託及び調達について一層透明性の高い事業運営を推進することが重要であると、そのような認識を示させていただいております。  なお、NHKとしても、この平成十八年度から二十年度のNHK経営計画の中で、子会社等の統合を行うとともに、随意契約によって行っている業務の見直しを行い、競争契約を一層推進していくということを表明をしておられますので、会長以下皆さんの御努力によって是非そういう方向を目指していただきたいというふうに思っております。
  29. 山本順三

    山本順三君 終わります。
  30. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 それでは、数点お聞きしたいと思います。  まず最初に、道州制についてお聞きいたします。  先月、地方制度調査会が答申を出しました。また、北海道について道州制特区とでもいう法案を今まとめ中、今国会に提出するという作業中でございますが、市町村合併の動きに比べて、政府あるいは国会の取組がこの道州制について私はやや熱が盛り上がらないといいますか、腰が引けているというか、そういう印象を受けておるわけでございますけれども、まず、総務大臣としてこの道州制にどういうふうにお取組をされようとしているのか、その基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
  31. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員も積極的に関与をいただきました例の二十八次の地制調において、道州制の在り方の諮問をいただきました。  委員もよく御承知のように、これ調査会からは、これは広域自治体改革を国の形の見直しにかかわるものとして位置付けて、そして国と地方双方の政府の在り方の再構築によって我が国の新しい政府像を確立するという見地に立つならば、その具体策として道州制の導入が適当であると、大変明確な御答申をいただいております。同時に、その答申の中では、やはりこの問題、国民生活への大きな影響を及ぼすことから、国民的な議論動向を踏まえて行われる必要があるという、これも貴重な点を御指摘いただいております。  私としては、今回の答申を踏まえて、この道州制に関する取組を是非進めたいというふうに考えております。  その一歩はやっぱり、先ほど後半の部分で御紹介したように、国民的な議論を深めていただくこと、それに尽きるんだと思います。その手順を今我々の中で検討しておりますけれども、例えばですけれども、当面これに関するタウンミーティング等々も開きたいというふうに思っておりますし、さらに周知するためのいろんなパンフレットの作成を含め、地道な作業から始めなけりゃいけないと思っております。  いずれにしても、これは決して腰が引けているということではございません。我々としても、これを国民的な議論から出発して進めてまいりたいというふうに思っております。
  32. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 地方制度という観点から見て大きな制度改革であることは間違いありませんが、それだけではなくて、やっぱり私は国の、国家の枠組み、統治機構そのものを変革する課題だと思うんですね。  したがって、国として、国の立場でこの道州制を導入することがどういう意味があるのかという国の立場での、何といいますか、評価がいま一つ明確でないところが国会や政府での議論が熱を帯びてこない原因の一つじゃないのかなと、こんなふうに思っているんですが、その辺について大臣はどういうふうにお考えでございましょうか。
  33. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これはもう委員指摘のとおりでございまして、これは決して地方財政の改革とかそういう次元の問題ではございません。正に国、地方を合わせた我が国全体の統治機構をどのようにしていったらよいかという非常に正に重要な問題であると思います。  結局のところ、我々の社会が解決していかなければいけない問題というのは非常にたくさんあって、これからも難しい。そういう中で、行政のリソースを国と地方でどのように、いわゆる集中と選択、割り振っていくのかという、私はそういう問題であろうというふうに思っております。  したがって、国はやっぱりその本来の役割に重点的に特化せよ、そして内政に関しては広く地方公共団体が担えるはずであると、それを進めると、そして新しい政府像を確立していけということだと思いますので、これは難しい状況の中で問題解決能力を有する統治機構としての国と政府、新しい国の全体の姿を示すという、そのように位置付ける必要があると思っております。そのような議論是非進めていきたいと考えます。
  34. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 そうであるとすれば、地制調からは一応答申が出たんですけれども、私はそれだけではこれは前に行かないと思うんですね、やはり政府を挙げて取り組むような舞台が必要じゃないかと。地方分権改革についても、地方制度調査会だけで議論していたときにはなかなか大きな成果が得られなかったんですけれども地方分権推進委員会を設けて政府を挙げて取り組んだということで前進したと私は思っておりますが、この道州制についてもう少しそういう大きな舞台をつくる考え方がないものか、大臣としてのお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  35. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 森元委員は舞台というお言葉で表現されましたが、どのような形でやはりこれは行政のアジェンダにのせていくのかという、そういう御指摘であろうかと思います。これはもう当然総務省として、総務大臣として考えていかなければいけない重要な課題であると思っております。  そう考えるときに、改めてでありますけれども、やはりじゃこれを行政のアジェンダにのせていく上に当たって、まずはやはり国民の皆さんの御理解がなければいけないだろうと、そういう今段階なのかなというふうに思っております。これは、恐らく何年掛かりになるか、十年掛かりと考えるべきなのか、もっと長いのか分かりませんが、そういうこの国の形そのものの話でございますので、我々としてはしばらくこの国民への周知徹底、この理解を深めるということを行いたいと思います。  私は、国民の皆さんの理解は得られるだろうというふうに思うんです。その段階で、委員が言われるところのそのアジェンダにどのようにのせていくのが最適の方法であるのかということをやはり省として判断をしていかなければいけないというふうに考えております。
  36. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 この道州制の意味、意義はいろいろあると思いますが、私は、その一つに国と地方、特に都道府県と合わせた行財政改革、特に行政改革、行政のスリム化に大きく貢献する有力な手法の一つだと思うんですね。  市町村からしますと、一番弱い立場にある市町村に汗をかけ、血を出せと言って合併を国を挙げて推進してきたわけですけれども、国や都道府県が、じゃ何かそういう血が出るような大変な決意の下で行わないといけない改革をやっているんでしょうかと、こういう声がよく聞かれるわけですけれども。今、小さな政府を目指す、そしてまた公務員を国、地方ともに純減として五%達成するという目標を掲げて進めようとしておりますが、世界の主要国の中で一番と言ってもいいぐらい少ない公務員を、単純にその行政レベルを、行政の質や内容を落とさないで減らすというのは私はかなり厳しい作業になるんじゃないかと思っておりますが、そうしたときにこの道州制をしくことによってかなり思い切った二重行政といいますか、国と地方の役割を再度見直すことによっての簡素化ということが抜本的に図れるんじゃないかと。  そういう観点では、確かに時間掛かることは間違いありませんけれども、この小さな政府の柱の一つに掲げて推進すべきテーマではないかと思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。
  37. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) お尋ねの点は、結論から申し上げますと私もそのとおりであると思います。最も住民にとって身近な総合的な行政主体でありますところの市町村の役割が重要だと。だからこそ、いろいろお願いをしまして市町村合併をここまで進めていただきました。市町村がそれなりの一定の財務基盤を持って自立できるようになるということは、これはやはりできるだけたくさんの仕事を市町村にやっていただこうということになります。そうなりますと、やはりより広域的な行政体として、今の都道府県でそのままでよいというふうにはやっぱりなかなか考えられないわけでございます。  私は、分かりやすい例としていつも地元の和歌山県の例を考えますが、人口十万であれば十の市ができると、人口三十万であれば三つの市が県の中にできると。県というのはそれで終わってしまうわけでございます。そうしますと、より広域的なやはり行政体というのは当然必要になってくるわけで、そうしますと、国も絶対いろいろスリム化して現場に下ろすことを下ろしていかなければいけない。そうしますと、委員指摘のように、地方でできることは地方でということを考えるときに、やはり主役になる一つの重要な可能性としてこの道州というものが出てくるんだろうと思います。  なかなかそういうところまで話がまだ行ってないわけでございますが、やはり一つイメージとして、これは地制調でもそういった点も踏まえて明確に示されてそれぞれの役割分担をお示しをいただいているわけでありますので、それをやはり一つイメージとして、我々としても今後の、地方でできることは地方でというその方向を進めていきたいと考えております。
  38. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 先ほど十年ぐらい掛かるのかなとちらっとお話ありましたが、私は、市町村合併でも十年たってようやく終わりごろになって盛り上がってきました。都道府県がこれなくなるという話ですから、市町村合併の比でないぐらいのやっぱり社会的な影響が様々な分野で起こってきますので、少なくとも二十年ぐらい掛かるんじゃないかなと。ただ、二十年というといつまでも具体化しませんから、一つの案としてかねがね思うんですけれども、プログラム法を作って、さかのぼって今年から何を始めるかというものをきちんと枠組みを、手順を法律で決めてしまうというようなことが大事じゃないのかなというふうに思っておりますが。  あわせて、北海道特区がようやく生まれようとしておりますので、これも、今回の法案は必ずしも十分でないというふうに率直に言って思いますが、小さく産んで大きく育てるということもありますので、この北海道の特区もやっぱり本格的な道州制につながるようにしっかりと大きくそれこそ育てていかなければいけないんじゃないのかなと思っておりまして、その辺は希望だけ申し上げて、次に移りたいと思います。  次に、大臣が就任以来取り組んでおられます懇談会のテーマの一つに、地方財政についてですが、破綻法制を検討しておられるというふうに承知しておりますけれども、それに関連して幾つかお聞きしたいと思います。  まず、地方財政と国の財政比較しますと、地方の方は既にプライマリーバランスが黒で、国はしかし依然赤だと。地方の方が若干財政が、国に比べればではありますけれどもいいんじゃないかというような見方があり、そこから、地方財政更に一段の切り込みやるべきじゃないか、可能ではないのかと、こんな意見があるわけですが、まずこの点について大臣としてどういうふうに受け止めておられるのか、お聞きしたいと思います。
  39. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員指摘のように、諮問会議等々でも、まず我々は、今二〇一〇年代初頭に国と地方合わせたプライマリーバランスの回復というのをこの五年間目指してやってまいりました。そして、それが今半分になって、もう一頑張りすれば何とかそれが実現できるのではないかというところが見えてきているところだと思っております。  しかしその上で、じゃそれで十分だろうかという、プライマリーバランスはやっぱり一里塚だという議論、これはこれで私は正しいと思います。その上で、しっかりと更にそれを確実なものにしていく努力というのが二〇一〇年代の初頭以降また必要になってくるわけでございます。  そしてその際に、諮問会議等々の一部でやはり聞かれるのは、国と地方をじゃ合わせて今見てきたけれども、国と地方を別々に見てみると、地方の方は改善がしているけれども国は改善していないと。そうすると、今度は国だけでも、国だけから見たプライマリーバランスも回復させなければいけないのではないだろうかという議論でございます。  これも実は、国自身がやはり一つの主体として国債を発行して債務を持っているわけでありますから、その考え方を否定することは私はできないと思います。しかし、もしもそういう一つの法律的な主体としての国のプライマリーバランスの回復が必要だという議論を本当にしっかりとするんであるならば、実は地方というのはないわけです。地方というのは千八百の主体の合計ですから、その千八百の一つ一つについてもそういう問題が出てくるのではないかということを私はやはりフェアに議論をすべきであろうかと思います。  この議論は、やはり余り下手にすると私は国民から全く支持されないと思うんです。それは、国民は、国税であれ地方税であれ負担は変わらないわけですから、それを国と地方がお互いの何か縄張で分捕り合いをしているというふうにしか多分国民には映らないと思います。そういう非生産的な議論をやはりするのは私はいかがなものかというふうに思います。  一方でまた、地方は、じゃフローで見ますと確かに国よりは改善しているように見えますけれども、ストックとの比率で見ますと、世界の中で見ると、日本地方政府というのはやはり非常に大きな借金を持った主体でございます。国も借金を持っています。国も先進国の平均よりもたくさんの借金を持っていますけれども、その相対的なバランスを比べますとむしろ地方の方がたくさん持っているというような言い方もできるわけでございますので、そういった点に関しては、国と地方それぞれ良くしていくことは必要だけれども、まず国をこの時期までに良くするというような一方的な議論は、これは慎まなければいけないと思っております。  そういうことを諮問会議では申し上げておりますけれども、なかなか御理解をまだいただけていないというのも事実でございますので、辛抱強く議論をしていきたいと思っております。
  40. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 大臣もこの間、経済財政諮問会議にお出しになった資料、あの中で、国と地方のこの数年間のプライマリーバランスの多少の改善が何によって行われたかと、国の方は税収増が大きく寄与し、地方の方は歳出カットが大きく寄与したという資料をお出しになられたわけですが、私、地方交付税も臨財債も切られて、あるいは税収も伸びない、やむにやまれぬ状況の中で、本当に給与カット、人員削減、事業の縮小とやれることはやり尽くしつつある状態だと私は思っていますが、そんなときに、その努力の結果良くなったことが、よく頑張ったと言われるんじゃなくて、そんなに良くなっているんだったらちょっとこっちへ回してくれやと、これがそういう今のような国と地方の違いをおっしゃる方々の多くだと思うんですが、地方からしたらそれはたまったものじゃないと思うんですね。必死の思いでここまでやったら、余裕があるんだからちょっと貸せや、ちょっと待てやとか、とんでもないと。要するに、人の努力を横取りせんがためのというか、せんばかりの発言なり考え方じゃないかとさえ思うんですけれども、そこのところは地方団体所管の総務大臣としてやっぱりしっかりと主張していただきたいなという思いでございますが、改めて御意見をいただければと思います。
  41. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 励ましをいただいてありがとうございます。  本当に、これまで四年間、プライマリー赤字が半分になった、そのうちのかなりの部分が地方歳出カットによっているわけでございます。にもかかわらず、もっと削れという議論が出てくると。それはなぜかというと、実は先ほど申し上げた大阪市の例にやっぱり帰着するわけであります。そういう、なかなか目に見えてここがひどいではないかというものがあるがゆえに、私はそういうところが多数だとは思いません。ただ、現実にあるということも事実です。そういうものが見えるだけにその努力、これまでの努力が逆に評価されてしまうという残念な結果になりがちだというふうに思います。  この点は、しかし、一方で制度の改革は改革としてきちっとやって、地方行革がしっかりと進むような枠組みをつくって、その上で、皆さんから見てこれはひどいじゃないかというようなところはもうなくなりますよと、そういう枠組みとセットにしてやっぱりお示しをしていかなければいけないんだというふうに思っております。  その意味では、この今回の改革というのは本当にトータルに行わなければいけないわけでありますが、いかんせん、現状仕組みが大変複雑であるがゆえに、専門家と称する方と議論をしても意外と肝心なところが分かってなかったりする、これはもう委員もいろいろ御経験があると思います。そういう中で、議論を根気よくしていかなければいけない状況であると思っておりますので、委員の先生方からも是非いろいろな御示唆をいただきたいし、また御発言をいただきたいというふうに思っております。
  42. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 財務省の次長さんにもお越しいただいていますので、この点、財務省にもちょっとお聞きしておきたいと思いますが、私が見ていまして、やっぱり地方の方は、一つには、何といいますか、税財政の枠組みが国で決められておって自分の自由にならないという制約が一つありますが、加えて国と地方の違いは、地方団体の場合にはいろんな財政指標がふだんから公表されておる。そのことが自分たちが自律、自己規制を働かせる、セルフコントロールを働かせる一つの大きな目安になっているんじゃないかと。  例えば、経常収支比率が一〇〇を超えるということはもう異常値に近づいてますよとか、あるいは公債費比率なり起債制限比率が一五を超えれば黄色信号、二〇超えれば赤信号ですよとか、あるいは実質収支比率が五%を超えたり二〇%を超えたら再建団体に転落ですよと。要するに、その目安が客観的に指標としてはっきりしていることが歳出カットを促進する一つのよりどころになっているんじゃないかなと。  国の方はそういうものが、寡聞にして今まで私は知らないんですけれども、まず、あればあると、どういうものがあるのか教えていただければ有り難いですし、ないとすれば、なぜ国にはそういう指標がないのかということをこの際ちょっと改めて教えていただければなと思います。
  43. 野上浩太郎

    大臣政務官野上浩太郎君) 森元先生御指摘のとおり、地方公共団体におきましては、公債費の財政規模に対する比率である、今お話のございました実質公債費比率が一定の値を超える場合には規制が、制限される仕組みが設けられておりまして、財政悪化の歯止めが設けられているということは承知をいたしております。  ただ、地方におきましては、必要な事業実施のための財源が起債によらずとも地方交付税等によって確保される仕組みとなっておりますが、国においてはそのような仕組みがないというようなこともございまして、起債制限等の考え方を国においてもそのまま機械的に適用するということは困難であるということも御理解賜りたいというふうに思っております。  政府といたしましては、財政運営に当たりましては、まずは二〇一〇年度初頭の国、地方合わせた基礎的財政収支黒字化をするということ、また、財政はその足かせとならないために、基礎的財政収支黒字化を実現した後に膨大な水準にある債務残高をGDP比で引き下げていく必要があるというふうに考えております。こうした考えは、先般、経済諮問会議において策定された歳出歳入一体改革の中間取りまとめにおいても示されたところでございまして、今後六月を目途に明らかにする選択肢等の取りまとめに向けて今具体的な検討を精力的に進めてまいりたいというふうに思っております。
  44. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 ちょっとそのなぜかという理由がいま一つ私飲み込めなかったですけれども、仮に地方で今設けているようなそういういろいろな指標を国に当てはめて計算してみたら幾らになるのかと。これ多分いずれの指標も圧倒的に国の方が悪い数字が出てくるんじゃないかと、今の状況ではですね、思います。しかし、一つは、規模が余りにも国の場合は大き過ぎて、実感としてそのことがどの程度のことを意味しているのかということが一般の人間には理解がなかなかしにくいと。  加えて、今申し上げたような指標がないというようなことが、やっぱりこの歯止めが掛かりにくい大きな原因になっているんじゃないのかなというふうに思いますので、これは今すぐ答えが出ないかもしれませんのでお願いをしておきたいと思いますが、是非国の方も、地方に倣ってというのは立場からしゃくかもしれませんが、地方に準じてそういう指標の持っている意味とか重みというものをやっぱりよく御検討いただいて、なるものなら採用を、できるものは採用していただければ有り難いなというふうに思います。  それはなぜかというと、公債残高比率が例えばGNPの何割ぐらいだったらよしとするのかというようなことを一つ取っても、全く学者の間でもコンセンサスといいますか妥当な水準がないというふうに私は承知しておりまして、そういうことがやっぱり議論が分散しちゃう、発散してしまう原因じゃないのかな。そういう意味でも、よりどころというものをつくる意味は大きいんじゃないかと思います。これは是非お願いしておきたいと思います。  そんな前提の上で、国の方が悪い、先ほど来の話のように悪い中で、国の方にはこういう指標もなければ破綻法制を検討しようという動きも今のところないわけですけれども、なぜ地方の方にだけ破綻法制というものを新たにつくらないといけないのかと、私自身は余りよくその理由が分からないんですけれども。ここは大臣にお聞きしておきたいと思います。
  45. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、二十一世紀ビジョン懇談会におきまして地方自治体に関して破綻法制を御議論いただいているというのは事実でございます。その初期の段階で国にも同じような制度が必要なのかというような御意見は確かにございました。  これ、突き詰めれば非常に哲学的な問題に行くんだと思いますが、まあちょっと分かりやすい例で申し上げますと、EUでは、EUの財政に関してEU本部の下で、EU議会というかEU本部の下で一定の議論がなされておりますから、国家についてもそういう一種の統合体の中では議論はあり得るのかなというふうに思います。  ただ、これはちょっとなかなか神学論的な議論だと思いますので余り立ち入るのはやめさせていただきたいと思いますが、またもう一つは、実は国と地方はその意味では上下関係にあるのではなくて対等のパートナーであるわけではございますけれども、しかし、一つの国という統治機構の中に地方もいるというのは事実でございまして、地方税法を決めるのも国でありますし、地方自治法を決めるのも地方交付税法を決めるのも実は国でございます。そういう中で我々としては、神学論争を避けた上で、やはり地方自治体に自由と責任を持ってもらうという現実の政策要請の観点から議論を深めようではないかというところから出発したわけであります。その上で地方には非常に大きな自由を持っていただきたい。その自由の中身についても御議論いただいていますが、自由を増す以上、更に責任も明確にしていただく、その一つが破綻法制の議論であると思っております。  しかしながら、破綻という言葉が若干物々しいものですから新聞等々で面白おかしく取り上げられる面もございますが、これはそこに現に行政の需要が存在しているわけですから、いわゆる清算型の破綻、倒産ということは全くあり得ないわけでございます。再建型のものになるということでございます。  その再建型のものをしっかりとつくることによって、最大の目的は、これは予防であると。再建型のそういう仕組みをつくっておくことによって予防のメカニズムがしっかりと働いて、本当に住民が困らないような仕組み、正に自由と責任を十分に果たしていただくような仕組みにしたい、そのための具体策はどういうことかということについて今御議論をいただいておりますので、その趣旨については何とぞ御理解をいただきたいというふうに思っております。
  46. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 今のようなお話ですと、その具体的な中身は正に検討中ですからこれからだということで、今お聞きしてもなかなか全容がはっきりしないかもしれませんが、もしそういう基本的なお考えでいくとすれば、私が思うに、既にもう財政再建法というのがあるわけですね、地方団体については。  そのことと、全く別の言葉でおっしゃられるこの破綻法制ということとは、その程度はちょっとおいておきまして、中身の点で本質的に決定的に違うのは一体何なんだろうかなというふうに思うんですが、これ何が違うんでしょうか。
  47. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 財政再建法は確かに長期間にわたって日本の中で大変重要な役割を果たしてきたというふうに認識をしております。そして、今改めて我々としては破綻法制というふうに言っていますが、専門家の議論の中でも、今までの法制と本質的に一体どこが違うのかというようなことに関してはいろんな問題意識も提示をされております。本質かどうかということを申し上げるのはなかなかその意味では難しゅうございます。別に清算型のものは全く考えていないわけでございます。再建型でございます。  ただ、今のままで本当にうまく機能するかというと、これも別の委員会で以前御説明させていただきましたけれども、フローの概念は今の再建法の中に入っているんだけれども、ストックの問題、つまり過去債務をどうするかと、債務をどうするかというような問題に関しての概念が今の体系の中にはないというのは事実だと思います。そのストックの概念を入れることによってやはりより強い市場からの予防のメカニズムが働くというのは、これは私は間違いない事実としてあろうかと思います。これを本質的と言うかどうかはともかくとしまして、やはり今の法制を生かすところは生かしながら、さらに、今申し上げたような自由と責任という観点からやっぱり強化する必要はあるだろうというのが今の議論の方向だと理解をしております。  そのための具体策についてはまだ全容明らかじゃございませんですけれども、今のような問題意識の下で議論をしているということでございます。
  48. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 今おっしゃられた、過去債務の扱いが今の現行法制では十分でない点があるんじゃないかと、こういうお話だったかと思いますが、そうしますと、懇談会の審議の結果、インターネットなんかで出ているのを拝見しますと、何か金融機関に言わば民間と同じように債権放棄を一部甘受してもらうというようなことでも新たに考えるということなんでしょうか。  ただ、もしそうだとすると、私は、やっぱり民間と地方団体の決定的違いは、公権力の主体であり、課税権があり、民間と違って倒産することがあり得ない、そういう地方団体に、債権者にもその責任を追及するということが適当なのかどうかなという気がいたしますけれども、その辺についてお考えをお聞かせいただければと思います。
  49. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 御指摘の点は大変微妙な、難しい問題だというふうに私も理解をしております。  実際に債権放棄というべきなのか、それをより緩和するリスケジュール、リスケというようなものになるのか、これもその再建の具体的な手段、手法、中身の問題になってこようかと思いますが、私は、やはり返せないものを借りてはいけない、これは借り手のモラルだというふうに思います。しかし、返ってこないものを貸してはいけない、これも貸手のモラル、重要なモラルであろうかと思います。この点についてお互いのモラルがしっかりと働くようなメカニズムを組み込んでおくことが、予防手段としては私はやはり極めて有効であろうというふうに思います。  一つ、これまた哲学的な問題にどうしてもなってしまうんでありますけれども、課税権、将来の税ですね、課税権を持っている以上、その意味では債権放棄とか金利減免とか適当であるかという議論はこれは確かにあり得るわけでございますけれども、課税権を持っているから、ちょっとこれも逆の極端な議論で大変恐縮ですが、課税権を持っているから何も問題ないということでもしあるならば、これは、国の借金も含めてどれだけ借金があってもどれだけ財政赤字になっても何も究極的な問題は生じないではないかという、ちょっと別の非常に極端な議論に私は行ってしまうんだと思うんです。  そこはむしろ、神学的なといいますか哲学的な問題は、これはある程度の整理をきっちりとしていかなければいけないわけですが、やはり私たちとしては目の前にある問題をどのように解決していくか、それはやはり地方自治体に自由と責任を持っていただくことであると。責任を持っていただく制度として今の再建法制だけではなかなか不十分な面があるのではないだろうか、その点をしっかりと強化して新たないわゆる破綻法制のようなものを議論をしたい、その方向で私たちは議論を重ねているということでございます。  非常にその概念的な整理をきっちりとやるのは、これ現実には大変、公的な債務の場合は難しい問題が私は出てくるというふうに思っておりますけれども、今申し上げたような現実的な対応策を考えるという中でしっかりと議論を重ねていきたいというふうに思っております。
  50. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 課税権があるにしても、起債の枠組みについては全く自由だということであれば、あるいはそういうお話もあるかもしれませんが、地方債は原則自由だけれども、それこそ一定の実質公債比率が限度を超えたりすれば許可制に変わるわけですよね。ですから、そういう意味では事前規制を掛けるということになっていて、野方図に発行できる状況ではないわけですね。あるいはまた破綻法制の方の大臣お話のように、清算型じゃなくて再建型だといえばやっぱりそこはおのずと事前チェック型になってくるんだと思うんですね。ある一定のところまで来れば、とことん行かない前に是正していこうという法制ですから。  そうすると、現在の枠組みと余り大きく違わないんじゃないか。それをおどろおどろしく破綻破綻と言うから、マスコミも騒げば地方団体も要らぬ不安に駆られてしまうんじゃないのかなというふうに私は思うんですが、おっしゃっている中身は現行制度を多少手直しするという程度ではないのかというふうに勝手に推測しますが、それは違うんでしょうか。
  51. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず二点あれですけれども、起債のところで一定の歯止めが掛かるという議論も理解できる面があります。しかし、その起債そのもの、地方債そのものをこれは時間を掛けてどんどん自由化していくということが私は必要になってくると思います。地方は自由と責任というふうに言うわけですが、その自由の中で、私はやはり資金調達の自由化、自由にするというのは非常に重要な方向であるというふうに考えているわけです。だから、自由度を増すということと表裏一体、コインの両面のような関係でその責任を持っていただく一端としての破綻の法制ということを我々としては議論をしたいというふうに思っております。  大きく違わないのではないかという点に関しては、これはもう御評価の問題であろうかと思います。しかし、私は、その中に市場のチェック、メカニズム、市場からのチェックというのが入ってくるとこれは正に貸手のチェックということにもなろうかと思いますし、地方債を自由化したときの格付というようなことにもなろうかと思いますが、そういうものが、これも民間と同じように、完全には入らないわけでありましょうけれども、何らかの形で入ってくるということは私はやはり一つの大きな変化になり得るのではないかというふうに思っております。  これは最終的にどのような形になるか、これは制度設計の問題になろうかと思いますので、いろいろと御議論を賜らなけりゃいけない問題が出てくると思います。  ただ、私としては、方向として、今申し上げたような方向での議論是非一度進めていただいて、そして自由と責任というものについて、地方についてどのような方向、枠組みが可能であろうかということについての何らかの方向性をお示しできればというふうに思っております。
  52. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 大きな変化になるとおっしゃられたわけですけど、それはそうだと思いますが、私は、その変化がいい方向での変化なら大いに賛成しますけど、果たしていい方向の変化と言えるものになるんだろうかと。  これは、すぐ出てくるのは、やっぱりそういうことを言えば金融機関としてはリスクが大きくなりますから、これは金利を上げるとか条件を悪くするとか、やっぱり地方団体にとってマイナスの方向に働くしかこの結果は出てこないんじゃないか。その中で、しかも財政力の弱い弱小団体のコストだけが負担になって、地方団体間の格差が広がり、またそこに何らかの支援策を講じないといかぬと。  何かいい方向、いい結果よりも悪い結果の方が大きくなるような気がいたしますが、ここはしっかりとそういうことも見極めて最後の判断をしていただきたいと、これはお願いだけをしておきたいと思います。  あわせて、もう一点お願いは、まず大臣は何度も自由と責任とおっしゃるんですけれども、これまでの少なくとも経緯を見ている限り、責任は国から見れば簡単に取らせることはできますが、地方の自由を、じゃどこまで拡大できるのかと。去年第一ラウンド終わった三位一体の改革を見ても、あの改革の流れの中で行われた国庫補助負担金の改革だって、自由度の増大にどれだけつながったかといえば私は甚だ疑問だというふうに思っておりまして、自由と責任という、言葉では一対でおっしゃいますが、自由が置いていかれて責任だけが先に強化されてしまうと、これまでそういう面が強かったんじゃないかという気もいたしますので、そういうことのないようにしっかりとそこもお願いをしておきたいと思います。  ちょっと順番変えて、一つ先にお聞きしたいと思いますが、これは余り一般的な制度でありませんから広く知られてはおりませんが、今もなお一部の市においては、共済組合と別に健康保険組合で運営をしているというところがございます。  これは、法律ができたときにそういう制度があったもんですから、余り一気に共済に統合してしまうのはいかがかという配慮から暫定的に経過的に認められた制度だと私は思いますが、既に四十年が経過している中で、なお全国的には二十近い、そういう健保組合が残っていると。残っているだけならいいんですが、基本である事業主と本人の保険料負担が折半というのが原則ですけれども、こういう残っているところは事業主負担の方が重くなっているということでありまして、これは年金を始め、あるいは給与、あらゆる面でこの公民の格差を是正する、適正化していくということが言われている中で、こういうのがまだかなり残っているということはいかがなものかなと思うんですけれども大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
  53. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、森元委員に御指摘をしていただきましたけれども、御指摘のような状況が続いてまだ残っております。  共済組合に加入する地方公務員が二百九十万ぐらいであるのに対して、健康保険組合に加入する地方公務員が三十五万ですから、一〇%、一割強いらっしゃるということでございます。そして、市町村の健康保険組合では、事業主の保険料負担割合が高いケースが多くなっているという事実がございます。  こうしたことにつきましては、この公務員の均衡の観点から、これまで関係地方公共団体に対して、保険料の負担の在り方の見直しについてはいろいろと助言を行ってきたところでございます。その結果、年々、事業主の負担割合が引き下げられているというのも事実でございます。  今後、これまでの働き掛けに加えまして、関係の地方公共団体において保険料の事業主負担割合を公表していただくという方法など、一層の取組を我々としても促進をしてまいりたいというふうに考えております。
  54. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 今のお話のように、是正していくということですので大いに進めていただきたいと思いますが、懇談会の報告書を見ましたら、早期に移行するように取り組むと、こう書かれておりますが、早期にということで具体的に書いてないんですが、大体早期という限りは二、三年だと思うんですが、その辺はそれぐらいの腹積もりでお取り組みいただけるんでしょうか。
  55. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 御指摘の懇談会は、今年の三月、先般出されました地方公務員の医療保険制度に関する懇談会であろうかと思いますけれども、御指摘のように、この市町村の健康保険組合について、今後は地方公務員共済組合に移行するという方向で早期に取り組むべきであると、そのような正に意見を取りまとめをいただいております。  そもそもこの市町村の健康保険組合、これやはり経過措置でそもそもあったわけでございます。そして、懇談会のやはり意見出されておりますので、やはり我々としても一生懸命取組を進めなければいけないと思います。ただ、この共済組合の移行については関係者の合意が当然のことながら必要になります。その合意がどのくらいの時間で取れるかということもありますので、何年後という時期は一概に言えないわけでありますけれども、懇談会の意見が出たというのは事実でございますので、我々も全力を挙げて早期に対応したいと思います。
  56. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 じゃ、是非お願いいたします。  最後に、時間がなくなってきましたので一点だけ。  地方自治体における民間開放といいますか、民間移管についてお聞きしたいと思いますが、これまでも地方団体は本当に行政のスリム化に真剣に取り組んできておりまして、実績も上がっているわけですけれども、私は、更に抜本的に見直す分野があるとすれば、それはやっぱり役所だけではなくて、民間でも同種の事業をやっているのをあえて役所側、官側でやっている分野だろうと思うんですね。それは何だといえば、やっぱり公営企業と福祉と教育だと思います。  特に、公営企業については、民間では採算が取れないからやむなく地方自治体がやっているというような説明が今までなされておりますが、これも、しかし、民間で成り立たないからいきなり役所じゃなくて、その中間形態が十分あり得るわけですね。具体的には助成をするとか、様々な形で支援するということがあり得ると思うんですが、公営企業の民営化を始め、こういう社会福祉、教育について、役所としてどういうふうに今後取り組んでいかれるのか、まずお聞きしたいと思います。
  57. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 福祉、教育を中心として民営化等との方向性についてのお尋ねでございましたけれども、国、地方を通じて簡素で効率的にやっていきたい、民間でできることは民間でというのは当然のことであろうかと思います。このため、昨年三月の新地方行革指針におきまして事務事業の必要性について検討してくれということを求めております。また、公共性の確保等の意義が薄れている場合には、民間への事業譲渡等に積極的に取り組むということも要請をしております。  我々、総務省としては、その意味では、今後とも地方行革の取組に資する情報提供や取組状況に応じた適切な助言を行いたいというふうに思っております。地方行革の観点から、今申し上げたような方針で是非進めたいと思っております。
  58. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 私、今申し上げた中で、教育、特に義務教育はちょっと別としましても、幼稚園、高校、大学については、これは正に民間、私立と国公立が競合している分野だと思う。しかも、国公立の方に税金をより手厚く投入しておりますから、どうしても父兄負担に大きな格差が出る。入学金、授業料合わせますと、四、五倍の差があります。多少の差ならともかく、四、五倍の差がある。  その差が出る大きな要因は、国庫補助金の額もさることながら、やっぱり地方交付税の積算が国公立と私立で違うということが決定的だと思うんですが、この辺について何か抜本的に見直すお考えはありませんでしょうか。最後にこの点だけお聞きしたいと思います。
  59. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 学校教育制度は文部科学省の所管だと思いますので、全体についてのお答えはちょっとしかねるんでございますが、御質問でございますので私なりの見方を御説明申し上げたいと思います。  教育は国の基本であるということ。国、地方が責任を持ってやらなければいけない。しかし、どのような形で教育サービスを提供するかというのは、これはまた別の話でございまして、現に公立も私立も国立もいろいろ存在しているわけでございます。  委員指摘のような公立学校を私学と同じような形でやるということになりますと、これは教職員の身分をどうするかとか、そもそも皆さんの理解が得られるかとかと、そういう問題があるわけですけれども、そういう問題を解決すれば、仕組みの上ではこれは不可能なということではないと思っております。基本的にはやはり多様な選択肢を提供することは望ましい。その際には、私立も公立も同様な公的財政措置、これは教育をやっているわけですから、それが平等な取扱いをするということになると思います。  そうした観点から一点申し上げますと、本年三月に閣議決定されました規制改革・民間開放推進三か年計画の中では教育バウチャーについて議論がされております。そして、今後更に積極的な研究、検討を行うというふうにされている。これは先般の、先週の経済財政諮問会議でも総理も大変御関心を示されたわけでございますけれども、いい意味で競争をいろんな主体にしていただいて、それに対してバウチャーが財政的な基盤を保障して、そして多用な選択肢を提供すると、そういうことは方向としては私は大変重要であるというふうに思っております。
  60. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 終わります。
  61. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋正義でございます。  本日は、安倍官房長官、そして中馬行革担当大臣竹中総務大臣、三大臣に今日御出席いただいておりますので、それぞれ質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず初めに、ポスト小泉の有力な一人と言われております安倍官房長官にお尋ねをいたします。  様々論議が展開されております靖国参拝について、靖国神社の春季例大祭が昨日終わったところでもあり、今後、任期終了までの間で総理の参拝の有無が注目されるところでありまして、本来、総理がいらっしゃれば総理に直接お伺いしなきゃいけないところでありますが、その総理が、〇一年五月十四日の衆議院予算委員会においては、内閣総理大臣として参拝すると明言をされていたものの、〇四年四月七日の福岡地裁の違憲判断以降は発言を修正して、総理大臣である小泉純一郎が一人の国民として参拝すると、私的参拝であることを強調するようになったわけであります。  仮に総理の言うように私的参拝であったとすれば、私的な行為に公用車を使用したことになるわけであります。  一九七五年には、三木首相は、参拝を私的なものとするために公用車不使用等の四条件を定められました。その後、七八年十月に政府統一見解が出され、この統一見解については、現在の安倍官房長官のお父さんでありましたけれども、閣僚の場合、警備上の都合、緊急時の連絡の必要等から、私人としての行動の際にも必要に応じて公用車を使用しており、公用車を利用したからといって私人の立場を離れたものとは言えないとし、公用車の私的利用を肯定しているわけであります。  私的利用が許されるとするこの統一見解に従えば、例えば余暇で温泉旅行に行く場合などにも公用車を使用できることになるのではないか。これは明らかに権利の濫用になるわけであります。そのような余暇目的には使わないというならば、公用車の使用について、同じ私的な利用でも、靖国参拝には使える、温泉旅行には使えないなどといった基準を定めているのかどうか。  いずれにしても、国民が納得できる基準が示されない限り任意による公用車の私的利用はやめるべきで、当然靖国神社への私的参拝にも使用すべきではないと考えるところでありますが、見解をお尋ねいたします。
  62. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) ただいま委員が例示として挙げられましたように、昭和五十三年の十月十七日の当時の安倍官房長官の答弁にございますように、閣僚の場合は、警備上の都合、緊急時の連絡の必要等から、私人としての行動の際にも必要に応じて公用車を使用しているものと承知をしていると。したがって、内閣総理大臣の地位にある者が私人として靖国神社に参拝する際に公用車を利用したからといって私人の立場と矛盾するものではないと考えると、こう答弁をいたしております。  閣僚個々の行動につきましては、それぞれ公私の別において、閣僚の見識の上においてしっかりと公私の峻別がなされていると、このように承知をいたしております。  そしてまた、総理におきましては、これは特に警備上の理由、あるいはまたこれは危機管理上の理由等におきまして、これは常に基本的には秘書官が同行、また警護官も同行することがこれは必要でもありますし、また警備の都合上、公用車を総理がこれは使用すると、これは当然ではないかと、このように考えております。
  63. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 想定される範囲内の答弁だったなというふうに思うわけでありますが、つまり総理はある意味私人というふうなことにはなり得ないというふうに私は理解しますが、いずれにしても、この場ではこれについてこれ以上議論しようとは思いませんけれども、ただし、今のやり取りでも分かりますように、参拝を公人としてなのか、国民の一人、私人としてなのか、その整理の仕方が国民の理解を得られるものになっていないというふうに私は考えます。  総理の靖国参拝に対する中国、韓国等からの批判に対しては、心の問題に他人が干渉すべきでないと言明する一方で、国を愛する心を法律で縛ろうなんていう全くの矛盾をよもや繰り返すことがないよう御忠告をして、次の質問に入りたいと思います。  政府が行革推進法で標榜する簡素で効率的な政府をとの理念からは、国の都合や財政上の要請という目的しか私には感じられません。国民的な利益の実現は、小泉内閣が考えるような簡素で効率的な政府論では本質的には困難だと私は言い切るところであります。この実証を公的な調査結果等にも触れながら明らかにしてみたいと思います。  まず、それは財政危機のとらえ方においてであります。私は、真の財政危機とは、財政収支赤字になっていることを指すのではなく、財政が経済的危機や社会的危機を解消することができずに有効に機能しなくなっている状態を言うのではないかと考えるところであります。この考え方に基づくならば、小泉政権の選ぼうとしている道は正に世界の非常識であることが如実となります。  我が国の中央政府は、総支出でも総負担でも世界で冠たる小さな政府としての実態にあります。例えば、租税及び社会保障にかかわる〇四年度公的負担の対国民所得比は約三六%と、アメリカと同じく最小グループにあること、さらには、〇五年度の公的支出、いわゆる一般政府支出も対GDP比約三七%と、OECD二十八か国中、下から六番目の最下位グループにとどまっていることなどからも一目瞭然であります。にもかかわらず、更に切り詰めようというわけであります。つまりは、市場原理に翻弄されることが必然として待つ極小の政府への道を突き進もうとしている。これをして、市場原理万能主義にどっぷりつかった政府と言わないで何と評価をしたらいいのでしょうか。  小泉政権のあしき特徴は、国民経済にとって大きな政府論は、そしてその象徴としての公務労働者への人件費はコストであり、これを切り捨てれば国際競争力が高まるとうそぶいてはばからないことに現れています。  ところが、例えばダボス会議を主催する世界経済フォーラムによる二〇〇五年版国際競争力ランキングでは、我が国の競争力は前年の九位から十二位に転落をしています。  同調査においては、アメリカ型の小さな政府路線は凋落する一方、公務労働者のウエートが高く、安心の給付が行き届く北欧型の躍進は目覚ましいばかりであります。首位のフィンランド、三位となったスウェーデンを始め、北欧五か国はすべてベストテン入りをしています。フィンランドでもスウェーデンでも、人間がより人間的な生活を送れるよう希求して、結果として競争力が高まっている。国際競争力とは人間の力そのものにほかならないからであります。国際競争力を高めるためにという掛け声の下、人間らしい日々の営みを犠牲にしてきた日本は、かえって競争力を低下してしまったという皮肉な結末は、むしろ当然のことかもしれません。是非教訓とすべき成功例ではないでしょうか。  観点を変えて、小泉改革が二、三十年前の新自由主義に毒されていることをリスクという切り口から例証してみたいと思います。  今、私たちは、温暖化や各種汚染などの地球規模での環境リスク、遺伝子組み換えなどによる悪影響や情報漏えいに象徴されるウィニー問題など技術的リスク、そして失業や就労形態の不安定、凶悪犯罪の多発などの社会的リスクに見られる三つのリスクに直面をしています。このリスクからは権力者も富める者も逃げることはできません。貧困の顕在化は階級、階層的だが、リスクはだれにも生まれ得るということで、言わば民主的とも言える包摂性を持つわけであります。  社会的弱者に対するきめ細やかな施策の実現は政治が最優先で取り組むべき責務であります。あくまでこの土台の上での議論になりますが、小泉内閣が大好きな財政的な合理主義を貫徹するためにも、これら三つのリスクに対応できるセーフティーネットを張るための費用、つまりは事前的な安心給付の方に目を向けてはどうでしょうか。事後的な対処コストよりも、そこに要する費えは少なくて済むことは自明であります。にもかかわらず、所得階層の底割れ懸念のみに注意を奪われているかのような小泉政権の政策選択にかかわる発展性のなさは大変悲しいものであります。  ともあれ、いま一度、三大臣にはよくよく心してほしいことがございます。公共部門は平等性、民間サービスは機敏性、民間非営利サービスの親密性といった相互の長所を生かすことができる連関の環を結ぶことに全身全霊を懸けることこそが、マンパワーを含めた資源の迅速かつ適正な配置及びその利害調整機能としての現代に問われている政治の役割、要諦ではないかという命題であります。すべては国民のためにということでもあります。  この目的の達成には、公共部門と民間部門とが足し合わせると結局はゼロに帰するがごときゼロサム的関係ではなく、相互に協力して発展していく非ゼロサム的関係の構築が不可欠となります。  公務労働に携わる方々に対する小泉内閣の仕打ちは、その職務に対する誇りや希望などを無残にも打ち砕くものであります。そして、それは公共サービスの受け手である国民にとっても不幸この上ないわけであります。正に、幸田真音さんが剔抉した人の心までもが冷え切ってしまう凜冽の時代が、いつ果てるともなく国民をからめ捕ってやまないことを指すのであります。  以上、言いたい放題の無礼はお許しいただくとして、政策的な反論があれば是非お出しをいただきたい。本来ならば各大臣にお尋ねしたいところでありますが、時間の都合もございます。この間、総務委員会で数多くやり取りをさせていただいております竹中大臣に見解をお聞きしたいと思います。
  64. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 那谷屋委員の御見解はしっかりと賜ったつもりでございます。  簡素で効率的な政府というのは市場原理万能主義につながるのではないかという、そういう御指摘であったと思いますが、私はしかし、委員の御指摘で理解できるところもありましたが、ちょっと理解できないところもやっぱりあったかと思います。  簡素で効率的な政府の反対は何かというと、多分、肥大化して非効率な政府、それがいいとはやっぱり思われないのではないのかというふうに思うわけでございます。その意味では、簡素で効率的な政府を目指して、その中で適切な姿を見いだそうというのは、これは決して市場万能主義でも何でもないのではないのかなと、これは国民が求めていることではないのかなというふうに日々認識をしております。  もう一点、那谷屋委員の御指摘の中で、財政危機、これはやっぱり機能しない政府財政の危機だというふうな御指摘でございました。これはこれで重要な御指摘かと思いますが、やはり我々がまず考えなければいけないのは、財政が持続可能でないような状況というのが最も危機的であり、リスクが大きいのではないかというふうに思います。  財政が持続可能ではないということは、赤字が増え続けて、このままでいけば経済の身の丈、GDPに対する国債の残高が無限大に発散してしまう状況、今のところ、経路はまだ残念ながらそういう経路にあるわけでありますが、実はそれを防止することがやっぱり一番重要なことであって、これは名目成長率と金利が同じ水準であるならば、プライマリーバランスを回復すればこの発散型の状況は回避できる、つまり財政がサステーナブルな状況を実現できるということだと思っております。であるからこそ、民主党のマニフェストにおかれても、これは六年後でしたか七年後でしたか、やはりこのプライマリーバランスを回復するんだということをやはり確かに掲げておられるのであろうというふうに思います。  恐らく、そのときに、そのサステーナブルな状況にする、プライマリーバランスを回復する姿として、国民の負担をできるだけ低くするのか、いやある程度北欧のように高くてもいいではないかと、負担が高くてもいいからそれなりの支出を行えというのかと。私は、これはやはり政治の重要な一種の座標軸であろうかと思います。そのような軸が明らかになるということでもしあるならば、それは国民にとってもその選択が明示されたということで歓迎されるべきかもしれません。  ただ、小泉内閣においては、ここはやはり少子高齢化が進み、グローバルな競争が厳しくなる中で、国民の負担をやはりできるだけ大きくしない、そういうところで財政のサステーナビリティーを回復するということが重要なのではないか、それは正に簡素で効率的な政府をつくることではないかというふうに考えているところでございます。  委員がおっしゃるような選択肢、北欧のような選択肢も確かに私はあると思いますが、我々としては簡素で効率的な政府を掲げて、そして財政の危機を回避しながら、同時に必要な財政サービス、国民に必要な財政サービスはしっかりと提供していきたい、狭い道ではありますが、それを是非実現していきたいというふうに考えております。
  65. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 簡素で効率的な政府の反対は確かに肥大で非効率的なんです。それを我々も望んでいるわけではなくて、私は必ずまくら言葉として、政府が今行おうとしている、政府が言うような簡素で非効率的な政府について意見を述べさしていただいたところでございます。  それでは、たくさんありますので次に進ましていただきたいと思いますが、特別会計剰余金の一般会計繰入れの必要性について安倍官房長官に御質問をしたいと思います。  〇五年十一月に財政制度等審議会から特別会計の見直しについてが公表され、その中で積立金、剰余金の活用、とりわけ初めて剰余金の繰入れが指摘されたことや、〇八年度に償還を迎える国債が多額に上っていることから、その期限前償還が課題になっていたことなどもあり、〇六年度予算において総額十三兆八千億円の特別会計の積立金及び剰余金等を一般会計あるいは国債整理基金へ繰り入れることになりました。この経緯等は一定理解をするところであります。  ただし、財政融資資金特会などの積立金の活用に関して極めて不十分な取組しか講じられなかったことは、我が党の直嶋委員が二回、そして本日の本会議にわたってただす中で明らかとなってまいりました。さすがに日ごろ強気な総理も、不効率な資金、積立金については一般会計等での活用を検討する旨答弁せざるを得ない仕儀となったことは記憶に新しいところであります。  この直嶋委員の成果もありますので、積立金については触れませんが、積立金の元となっている剰余金の中で実施済みの、いわゆる外為特会並びで、当面一般会計に繰り入れても支障が生まれようもない特会の剰余金については、一般財源として積極的に活用すべきではないかという問題意識から、二点お尋ねをします。  我が国の公務員は国際比較でも半分以下の人員で、ほとんどの公務員は実によく働いているというふうに私は考えます。これ以上の削減は国民に対する必要なサービスの切捨てにつながる危険が極めて大きいとの指摘が説得力を持つゆえんであります。  真っ当な国民ニーズに沿う公共サービスを提供する装置、手段である公務労働の在り方について、見切り発車的手法ではなく、国民的な議論を十二分に保障することを通じて将来に禍根を残すことのない結論を得る、この国民的合意形成に必要な時間を確保するための財政上の貢献策として、剰余金、正に余った金を最大限有効に使うことが今政治に問われている果たすべき責任ではないかと思います。  ちなみに、交付税や国債償還、年金など、支出目的が決まっていて次年度以降に支出することが確実な交付税特会、あるいは国債整理基金特会、そして各保険特会、また、その多くを翌年度以降に繰り越して使うもので他の目的に使うことができないと考えられる道路整備、治水など公共事業関連六特会を除く各特会にかかわる剰余金の決算ベースの合計額は、私の試算では、〇三年度は約七兆円、〇四年度は五・八兆円にも上ります。国が人件費として支払う年間予算はここ数年来四兆円強で推移していることからも、財源的な裏付けとしては十分過ぎる額であるということは明白であります。  決意をお尋ねをいたします。
  66. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 特別会計の剰余金につきましては、各特別会計の性格に応じまして固有の意義がある場合もあり、一律に論じることは難しいと、このように考えておりますが、現下の厳しい財政状況委員が御指摘になったような状況でございますが、この財政状況にかんがみれば、使途が特に定まっていない剰余金については一般会計への繰入れを検討していくことが必要であり、今後五年間において合計二十兆円程度財政健全化への貢献を目指しているわけでございます。  政府としては、改革案に沿って、十八年度予算を第一歩といたしまして着実に進めていきたいと、このように考えております。
  67. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今、二十兆円ということで、先ほども会議でもそういった答えがあって、その二十兆円の内訳といいますか、具体的な根拠はというふうなことの中でははっきりした答弁がいただけなかったわけですけれども、もう少し大胆にいく必要もあるんではないかというふうに思います。  ただ、特別会計が一般会計とは全く別の会計であって、どこか余ったところがあったら別の足りないところへ何でもかんでも繰り入れていいという話ではないことはよく承知をしています。ただし、同じ国というレベルにある一般会計、そして特別会計であります。せめて一般会計の財政状況がある程度好転するまでの間、相協力して財政運営に当たるということがあってもいいはずではないかというように思うわけであります。  確かに、形式的には、借りたわけではなく、繰入れという財政処理を行ったにすぎないという理屈を完全否定するつもりもありません。しかしながら、そもそも特会で資金が足りないときには一般会計から繰り入れてもらいながら、その特会で資金が余っても一般会計には戻さない、繰り入れないとの論法が絶対視されるとしたら、いかにも虫が良過ぎると言わざるを得ません。それは一般的な常識からも外れているし、さきに触れました昨年十一月の財政制度等審議会答申にある特別会計の見直しの基本的考え方にも背くものであります。  我が国の財政状況も勘案した上で、国、地方を通じた政府の在り方を定義すると同じである公務員制度改革に完全を期すならば、政府の責任ある選択とは、支出目的が決まっていて次年度以降に支出することが確実な特別会計の剰余金以外の剰余金については、時限的にでも結構ですので一般会計に繰り入れるという処理を行うこと、つまりは、そのための特別措置法を検討することが道理ある解決策だと確信するところであります。  改めて、確たる答弁をお願いをいたします。
  68. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 特別会計の剰余金についてはその全額が翌年度に繰り越せるなどの経理上の扱いが行われている例もあるわけでありますが、これについては、行政改革推進法案におきまして必要な法制上の措置を今後講じるとされており、今後、個別特別会計の性格に応じまして一般会計への繰入れも視野に入れた検討が行われ、平成十九年の通常国会への提出を検討している特別会計整理合理化法にその内容が盛り込まれることとなると、このように考えております。  いずれにせよ、明確な必要性がない剰余金等については積極的な活用を図ってまいりたいと、こう考えております。
  69. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 是非、私の方で指摘をさせていただいた点について、十分御検討いただく中で、その案の中にも反映をしていただけたらというところであります。  さて次に、公務員制度改革について質問をしたいと思います。  政府は、昨年末に閣議決定した行政改革の重要方針で総人件費改革の実行計画を定めるとし、その具体化作業を進めているところであります。国家公務員の総人件費削減方針で今後五年間で五%の定員を純減する方針を打ち出されたわけでありますが、その内訳は、全省庁で一律に一・五%削減した上で特定の事務事業の縮小や廃止を通じて三・五%削減しようというものであります。  これまでの定員削減の流れを見れば五年間で一・五%でも大変な数字であるわけでありますが、特定の事務事業の廃止等を抱える府省はそれに何%もの数字が上積みされることになるわけでありまして、公務員は大変な雇用不安を抱えております。政府は、この数値目標達成へ配置転換と新規採用抑制でこなすという考え方を三月三十一日に行政改革本部了承という形で打ち出されております。  そこで確認をしたいわけでありますが、これは中馬大臣がこの間様々なところで述べられているように、生首は切らない、配置転換で雇用を確保するという考え方を前提にしてまとめられたものと受け止めてよいでしょうか。
  70. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 先ほど総務大臣の方からもお話がありましたように、今回の行政改革は、何か財政的な、苦しいから人減らしをするという話じゃないんですね。大きな行政の在り方を変えていくということでございます。  今お話がありましたように、もう無駄なものは極力減らしていく、時代に合わなくなったものも、これまたこれを廃止していく、そして民間でもっと効率的にやれるところは民間に移していくという市場化テストのこの法律も併せて出させていただいております。  そのほか、これから逆に人口減少に入っていくわけですから、そうしますと、現状のままで、確かに今まで〇・一%しか毎年減らしておりませんでしたが、それだとこれは公務員の方が過大化してしまうおそれがある。やはり人口減には少なくとも合った形で減らしていただきたい。こういったことを併せて、今回の総人件費改革、五年で五%という数字をこうした形で出させていただいているわけでございます。  そこででございますが、今お話がありましたように、この法律の中でも第四十五条第二項に、府省横断的な配置の転換及び職員の研修を行う仕組みの構築や、配置転換される職員を受け入れるための採用の抑制等を行う旨の規定を盛り込んでいるところであります。また、配置転換、採用抑制等の枠組みについて、お話がありましたように、先月末に行政改革推進本部で了承して、さらに内容の具体化を進めまして、定員の純減についての具体的な方策を定める六月ごろには全体計画を策定していきたいと、このように考えております。  こうした枠組みをやっていくわけでございますが、三年間で二割ならばともかく、五年で五%の範囲内であれば、政府全体として配置転換、採用抑制等の取組によって職員の雇用を確保したいと、このように考えております。  もちろん、その前提としましては、職員及び職員団体においてもそうした趣旨を踏まえまして柔軟に対応していただきたい、このように考えております。
  71. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 一部に今あるように、この際分限免職をやってしまえばというような意見が、極めて乱暴で無責任な意見じゃないかというふうに思いますんで、公務員にも民間の判例法理、いわゆる整理解雇の四要件に準じた雇用保障は担保されるべきでありますし、使用者としての政府の責任は明確に存在しているはずであると思います。  まず、公務員の使用者たる立場にある総務大臣はこれについてどのように考えられているのか、また、公務員の利益保護等を所管する人事院総裁はこの点どのように考えていらっしゃるか、確たる答弁をお願いいたします。
  72. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 民間の判例法理に準じた雇用保障を担保すべきではないかという御指摘でございます。分限処分の規定というのはあるわけでございますけれども、今般の総人件費改革におけます純減目標の達成の取組に当たりましては、これはもう中馬大臣が今お答えになったとおりでございますけれども、職員の利益保護の観点から、やはり慎重に対処しなければいけないと思います。そして、そのことは既に国会の附帯決議でありますとか裁判の判例等々でも示されているというふうに承知をしています。  したがいまして、まずは配置転換、採用抑制などに努めることが重要であるというのが使用者である私の立場であろうかと思います。  このために、内閣に国家公務員の雇用調整本部、仮称でありますけれども、これを置きます。そして、職員の採用抑制、配置転換を実施することとしているわけでございます。この制度設計、運用そのものは内閣官房において必要な検討が進められているわけでございますけれども、私としても、今後設置されるこの本部の事務に必要な協力を行うなど、内閣官房と是非連携をしまして、政府の責任をしっかりと果たしていきたいと思っております。
  73. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 国家公務員法の七十八条四号に規定がございますように、行政組織の改廃や定員の純減を行うに当たりまして、余剰人員が出ました場合には分限免職を行うということは制度的にはあり得るわけでございます。しかし、民間企業におきまして整理解雇が行われる場合につきましては、判例や学説などによりまして、いわゆる御指摘の整理解雇の四要件というものが確立してきておりまして、これらの要件を満たさない整理解雇は解雇権の濫用に当たるものと解されておるところでございます。  また、公務員の分限免職につきましての、分限処分につきましての過去の裁判例におきましても、廃職又は過員を生じた場合において、任命権者において、被処分者の配置転換が比較的容易であるにもかかわらず、配置転換等の努力を尽くさずに分限免職処分を行った場合には権利の濫用となると判示されている例もあるところでございます。  したがいまして、民間におけるいわゆるこの整理解雇の四要件のような考え方は公務部門にも妥当すると考えるべきであるというふうに考えております。
  74. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今、竹中大臣から御答弁いただきました雇用調整本部のことでありますけれども、雇用保障のためのあらゆる努力を行う責務が政府に求められているというふうに思います。その点で、先ほどの中馬大臣の見解は一つの見識ではあるかというふうに思います。  だとすると、本当に配置転換がスムーズに行えるかどうかという問題が出てくるわけであります。特定の事務事業の見直しを抱える府省内では到底収まり切れずに、府省を超えた配置転換が必要になると思われます。その場合、一・五%でもそれぞれふうふう言っている府省が、他の府省の人をそんなに抵抗なく受け入れられるものなのかどうか。事務事業の見直しに関係のない府省から見れば、ある程度年齢がいった給与が高い人を受け入れるより新採の方がよいということになるんではないかと。この問題を官僚同士のやり取りに任せていたのでは絶対にうまくいくはずがありません。私としては認め難いところでありますが、仮に政府案を前提に考えたとしても、かなりの程度の、言い方を変えれば一種の強制力を伴った受入れ体制を整えることなくして事の完遂は望めないところだというふうに思います。  三月三十一日の了承事項には雇用調整本部を設置するというふうにあるわけでありますが、この雇用調整本部を本当に機能させたいのであるならば、内閣総理大臣が本部長になって全閣僚が参加する体制をつくるべきではないかと考えます。一九八五年、国鉄の民営化のときには、約四万一千人の職業転換ということで、全閣僚でやはりその体制を整えたという歴史もあるわけでありますので、その点について中馬大臣からお尋ねいたします。
  75. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 先ほどからお話ししておりますように、今回のこの改革は一つの大きな国家的な、何といいましょうか、大転換でございまして、もちろん公務員の方々にも御協力を願わなきゃなりません。その調整は、これはやはり国挙げて取り組むべきことでございまして、国家公務員雇用調整本部、これ仮称でございますが、これは本年六月ごろに政府の方針として決定する事務事業の見直しの内容を踏まえて策定する配置転換、採用抑制の全体計画、この実施を任務することを考えているわけでございまして、今お話がありました本部長をだれにするかといったこと、総理というのも一つの案かもしれませんが、まだそこのところは決めておりません。ともかく、政府を挙げてこれに取り組むということで、そのように御理解をちょうだいしたいと思います。  現時点では、本部長をだれに充てるか、どの閣僚に参加するかを含めまして本部構成についてはまだ今のところはっきりとは決まっておりませんが、もちろんそのように政府が挙げて取り組むということだけは明言いたしておきます。
  76. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 先ほど竹中大臣も連携を密にしてというようなお話がございましたので、是非全閣僚でお願いをしたいというふうに思います。  しかし、たとえ体制が今度確立したとしても、本当に配置転換をスムーズに行おうとするのであれば、今度はミスマッチをどうなくしていくかということもまた重要になってまいります。例えば、北海道の五十歳の職員がいきなり霞が関に配置転換といっても、そう簡単にいくはずがありません。まず、地域でどう解決できるかが第一義であります。  そういう意味で、配置転換が必要な数に倍するぐらいの職を用意するぐらいの意気込みがないと、結局意に沿わないということで退職せざるを得ない局面に追い込まれることは火を見るより明らかであります。これでは、実質的な分限解雇と何の変わりもありません。生首は切らないと断言してきた中馬大臣の決意を政府全体のものとするためにも、政策と財政を総動員した対応、対策が必要不可欠であります。安倍官房長官に決意をお尋ねいたします。
  77. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 業務の大胆かつ構造的な見直しによる定員の純減を円滑に進めるに当たりましては、配置転換、採用抑制等により職員の雇用の確保を図ることが重要であると、このように考えております。国家公務員雇用調整本部を設置をいたしまして、政府全体として取り組んでまいらなければいけない。もちろん、その際には、政治的なリーダーシップが極めて重要であるというふうに認識をいたしております。  職員及び職員団体においても、配置転換等の取組のこうした趣旨を踏まえ、柔軟に対応をしていただきたいと、こう考えております。
  78. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 先ほど申し上げましたように、多くの公務員の方が雇用不安ということを抱きながら今仕事をされている方が多いわけでありますので、是非よろしくお願いしたいと思います。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕  次に、今回の定員の話でなくて、今度閣議決定ではもう一つ、給与制度について触れております。官民比較の対象となる企業規模の見直しなど、官民比較方法の在り方について人事院に要請するというものであります。これは、今日から本院で審議入りした行革推進法案でも同様の趣旨のことが記されております。  言うまでもなく、人勧制度は労働基本権制約の代償措置として設けられているものであり、人事院は、使用者としての政府からも公務員労働者からも独立した第三者機関としての立場を保障され、かつ中立的な専門機関としての役割を担っているわけであります。したがって、どのような勧告を行うかは言わば人事院の専権事項であります。  今回の政府の企業規模見直しなどの要請は、人事院に一定の圧力を加えたことになり、人事院の強い独立性及び中立性を損ねる、人勧制度の空洞化につながることになるのではないか、政府がこれまで説明答弁してきた人勧制度尊重の基本姿勢とも矛盾するのではないかと思いますけれども、安倍官房長官の確たる答弁をお願いいたします。
  79. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 国家公務員の給与につきましては、横並び、また年功序列的な給与体系を抜本的に改革するとともに、民間準拠を徹底するなど、制度改正を進めることが重要であると考えています。  このため、本年四月から地域の民間賃金の的確な反映、年功的な給与上昇の抑制等の給与構造改革を実施をしているほか、人事院に対して、官民給与比較方法の見直し等について早急に検討を行い、本年の人事院勧告から順次反映されるよう要請をしてきているところであります。  この人事院への検討要請については、国家公務員の労働基本権制約の代償措置である現行の人事院勧告制度を前提とした上での要請でありまして、人事院の独立性、中立性を損なうものではなく、政府の人事院勧告制度尊重の基本姿勢と矛盾するものではないと考えております。
  80. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 人事院の方で是非そのように受け取っていただきたいと思いますけれども。  周知のとおり、公務員給与の水準は民間準拠の原則の下で決められています。どのような民間企業に準拠するかは、公務員にどのような人材が必要とされているか、つまりどのような仕事をさせるかによって決まってくるわけであります。  一部で盛んに公務員給与が高いというようなバッシングが行われておりますけれども、その議論の一番の問題点は、現行の民間準拠が果たしてきた人材確保の役割という議論を全く度外視しているということであります。今、真に望まれている国、地方の、それぞれ政府の在り方とはという観点から、私がさきに触れたように、小泉構造改革で格差が拡大し、リスクが個別化する今日の状況の下では、公共サービスの役割はますます重要となるというふうに思います。  単に財政論の立場で公務員給与を論ずるべきではないと考えますが、安倍長官の見解をお願いいたします。
  81. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 国家公務員の昇給につきましては、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度尊重の基本姿勢の下、国政全般との関連について検討を行い、その取扱いを決定をしてきております。  人事院は、勧告に当たって、官民給与の正確な調査に基づき国家公務員の給与水準を民間給与に準拠させることにより、国家公務員の給与に社会経済情勢を反映をさせているわけであります。  また、政府においても、国政全般との関連についての検討に当たっては、国の財政事情だけでなく、その時々の経済・雇用情勢、公務員の士気や人材確保への影響等も考慮をしてきているところでもあります。
  82. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 私なりに今の答弁解釈すると、何が何でも公務員の給与を下げろということではなくて、公務員給与の国民に対する理解を本当はより深めてもらうよう努力すべき趣旨だというふうに私の方では受け止めておきたいと思いますが。  竹中大臣是非質問をしたいと思いますが、地方公共団体が有為な人材を確保できない限り、経済のみならず人材の面でも際限のない一極集中、大都市圏集中が進んでしまうという問題であります。  ここまで行き着くとなると、国土の均衡ある発展どころか、地方分権の推進という総務省が掲げる大命題も空々しくなってしまいます。多くの自治体が悩む地域社会、経済の停滞や衰退化に反転攻勢を掛ける意味でも、優秀な人材確保をするための待遇面にかかわる充実策等はリクルート戦略としても必須の要件になるはずだというふうに思いますけれども竹中大臣の見解をお願いいたします。
  83. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 人材の確保、極めて重要であると思います。地方でできることは地方でという、そういう大きな動きの中で、とりわけ地方での人材確保が重要だと思います。  ただ、同時に、人材の確保とその条件の確保というのは、これはやはり鶏と卵のような関係がどうしてもあるように思われます。我々としては、やはりいい仕事を存分にしていただいて、そしていい給料をもらっていただきたい、そういう好循環をつくり出すということが今我々において求められるということだと思います。地方公共団体も当然のことながらそういう観点から、やはり戦略性を持った人材の確保、人材の育成というものをお願いしなければいけないと思っています。  しかし、一部でまだ住民の皆さん、国民の皆さん、公務員に対する厳しい目があるということもこれは事実でございますので、だからこそ、先ほど申し上げましたように、いい仕事をしていただいて、そしていい給料をもらっていただけるようにする、そのための努力は我々としても総合的な観点から行っていかなければいけないというふうに思っております。  その際、民間企業とのバランス等々、国と地方のバランス等々、やはりそういうことは当然のことながら配慮すべき問題として出てくると思います。
  84. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 いずれにしても、国民が理解をする形でないとやはりいけないわけであります。  次に、遅々として検討が進んでいないのが天下りの問題、キャリア制度の問題、そして労働基本権の問題であります。三月二十日に、政府、川崎厚労大臣、中馬行革担当大臣竹中総務大臣と連合幹部の政労会談が行われ、労働基本権を付与する公務員の範囲について検討する場を設けることで合意されたというふうに伝えられております。  極めて意味深長な言葉だなというふうに思うわけでありますが、いずれにしろ、様々な面で公務員制度が総じて民間並みになりつつあるときに、労働基本権だけが制約されたまま放置されてよいはずがないわけであります。この際、労働関係もきちっと民間並みにして、労使の話合いで賃金、労働条件を決めるような制度にする必要があるんではないか。是非そういう趣旨、目的意識で検討の場の議論を進めていただきたいと思いますが、中馬行革担当大臣の見解をお願いいたします。
  85. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 今お話がありました政労協議、これは公式的には二回やりましたが、そのほか、ごあいさつに見えたり、個人的にもいろいろとお話もさせていただいております。連合の幹部の皆様方、本当にこの時代の大きな流れ、この必要性は非常に認識されておりまして、公務員改革その他につきましてもいろいろと御理解いただいたことをうれしく思った次第でございます。  ただ、その労働基本権の問題についてももちろんお話が出まして、そこで労働基本権につきまして、これは今までの一つの流れがございます。その地位の特殊性と職務の公共性から一定の制約がなされておりまして、これに見合う代償措置として人事院勧告制度等が設けられていることは御承知のとおりでございます。その労働基本権の在り方につきましても、国民意識もありますから、これも十分踏まえた上で現実的な姿勢で検討していく必要がある、このように考えておりまして、政府と連合の間で行った協議の成果を踏まえまして、労働基本権についてニュートラルな立場でお互いに検討するという場を設けることとしたところであります。  検討の場の在り方とか設置時期については、今後関係者で調整しまして、五月の連休明けを目途に連合との間で行う予定の政労協議の場で成案を得ることといたしております。この検討の場において、公務と公務を担う公務員の範囲、在り方についての総合的な検討を踏まえて基本権の在り方を論議することとしておりまして、予見を持つことなく幅広い観点から検討がなされることが必要だと、このように考えております。
  86. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今の労働基本権のことについては総務委員会等でも竹中大臣と一緒に話合いをさせていただいているところですので、是非早い取組をしていただくことをお願いしたいと思います。  ちょっと時間がもう残り十分ぐらいになっちゃったんで少し飛ばしますが、先ほど優秀な人材ということでお話がありましたけれども、聞くところによると、本年一月からスタートした人事評価にかかわる第一次試行において、これまでの人事慣行が崩れてしまうおそれがあるということで、幾つかの省庁が試行に抵抗したというふうにも聞いています。これまでの年次別、グループ別の人事慣行を能力主義に基づくものに変えるのが新たな評価制度の目的のはずであったにもかかわらず、それに抵抗するということは、これまでどおりで何の問題もないとの意思表示そのものではないのかというふうにも考えちゃうところであります。  抵抗した府省はどこかと聞いても、素直に答えてはもらえないと思います。ならば、新たな評価制度の重要なポイントである評価結果の開示、すなわちフィードバックを行う府省と行わない府省、それぞれを明らかにしていただきたいと思います。  また、〇六年度中に第二次試行を行おうとしているわけでありますが、第二次試行では第一次試行と異なって、管理職だけでなく組合員層もその対象に組み入れられることになると思われます。現在の勤務評定制度が機能しない最大の欠陥、問題点は、勤評制度そのものに対して労使双方からの信頼性がないことに見いだせるわけであります。これに代わる新たな評価制度で重要なことは、透明性、すなわち評価基準や評価結果がちゃんと開示されることであり、それが信頼性につながると思います。また、苦情処理制度の万全な整備も不可欠な要件になります。これらについて組合としっかり協議することを強く要望しておきたいというふうに思います。  といいますのも、評価というものは、評価する側だけでなく、評価される側の理解と協力があって初めてうまくいくものだからであります。一方通行では絶対うまく機能いたしません。あわせて、竹中総務大臣に見解をお尋ねいたします。
  87. 戸谷好秀

    政府参考人(戸谷好秀君) 評価結果の開示の関係につきまして、私の方からお答えさせていただきます。  本年一月から行っております新たな人事評価の第一次試行におきましては、職員の主体的な能力開発、業務遂行等に資するため、現行の勤務評定にはない新たな仕組みとして、評価内容を面談等を通じて被評価者にフィードバックするということにしております。  具体的にどのような内容で行うかにつきましては、各府省それぞれの実情に応じた工夫をして実施していただくということにしておりますが、実施機関十九のうち、部分的なものを含めまして、評価結果としてのABC等の評語の開示を伴う形で行うというふうにしておる機関が十ございます。また、評語の開示を伴わない形での助言、指導、こういうものを行うとしております機関が九つとなっております。  私どもといたしましては、試行期間終了後、それぞれのケースにおける試行参加職員の受け止め、職場環境への影響などの把握に努める所存でございます。
  88. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 信頼性の確保等々についてどうかということで、私の方からお答えさせていただきます。  人事評価に基づく能力、実績重視の人事管理を、これ定着させていただきたいわけですけれども、それがうまくいくためには、やはり評価にかかわる職員が評価システムの趣旨とか目的を十分理解してくださって、そして、何よりもやはり信頼感が出てこないと、これはうまく機能しないというふうに思います。  その意味では、何が必要かと、いろいろあると思いますけれども、例えば被評価者への評価結果のフィードバックの在り方をどうするか、これ重要だと思います。また、評価に対してもしも不満等がある場合には具体的にどういう対応をするのかというような仕組みづくりも信頼性確保の観点から主要な論点だと思います。  今試行を行っているわけですけれども、この数次の試行を通じて実証的な知見を得たい、そしてその中で出てくる問題、これは辛抱強く一つ一つ解決をしていって、そもそも公務にふさわしい評価システムというのはどういうものかということを構築していかなきゃいけないと思います。そして、その過程においては職員団体とも十分意見交換をしながら進めていかなければいけないというふうに思っております。
  89. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 正に先ほど竹中大臣が言われたように、いい仕事をしていい給料を払うという、そのことは国民にも認められるという、そういう一つの方法としてやはりこの人事評価の部分がこれから非常に重要になってくるというふうに思います。  ただ、だれが評価をするのかというふうなこととか、いろいろ問題も出てきますので、是非、今の言われた、特にフィードバック、そして苦情処理の部分というのを踏まえて制度全体をつくっていただきたいというふうに思います。  時間が残り二分になっちゃったな。それでは、あと二問。  三位一体改革によって国から地方に事務事業を移譲しようとしているわけでありますが、その一方で、行政改革の重要方針では、地方が主体的に定員を定める分野の職員についてはこれまでの実績を上回る純減が確保されるよう地方努力を要請すると。地方に仕事を移譲しながら人減らしも強要するという、およそ理不尽な論理が突き付けられた形になっているんではないかと。これは、まるで住民、ひいては国民に対する必要なサービスまでも削減しろと言うのに等しいのではないか、また、地方のことは地方でという分権の思想、理念に反することも明らかであります。竹中大臣に見解をお尋ねいたします。
  90. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 国も地方も厳しい状況の中で、国も地方も徹底した行革が求められているということ、そして国民が求めているということは、これは否定できないんだと思います。  今後五年間で過去五年の純減実績であります四・六%を上回る純減を図る必要があるという考え方の下に、各団体における自主的な取組を国としては地方に要請をしたというところでございます。  政令市及び都道府県の集中改革プランにおけます平成二十二年四月一日の職員数の数値目標を先般取りまとめて速報値を発表したわけでありますけれども数値目標を公表した四十二都道府県と十二政令都市の全体で五・三%の純減となっております。四・六%を上回るということを申し上げたわけですが、速報値で五・三という目標値が示されておりまして、これは各地方団体において本当に真摯な取組がなされたものというふうに思っております。  那谷屋委員、今、これは理不尽ではないかと、地方でできることは地方でやる中で更に減らせというのは理不尽ではないかという御指摘があったわけでございますけれども、大変厳しいということはそのとおりだと思います。理不尽というのはなかなか、言葉としてきつければナローパスというふうに言ってもよいかもしれませんが、大変厳しい目標だというふうには思いますけれども、やはり分権型社会を国民の理解の下で確立していくためにはその一層のスリム化というのもこれは避けて通れないんだと思います。  今そういう取組に向かって真摯に努力をしていただいておりますので、是非ともそういった方向を実現したいというふうに思っております。
  91. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 時間がもう来ましたので最後の質問にしたいと思いますが、公務員総人件費削減の方針が打ち出されている一方で、早期勧奨退職の慣行見直しが明確化されています。それは、天下りしなくても済むように若くしての肩たたきはやめ、退職時年齢を延ばすようにしたわけだろうと、これとの整合性を取っておかないといけない、早期退職をしないで済むようにしていかないととの小泉総理発言でも明らかであります。言ってみれば、ピラミッド型から台形型あるいは円柱型に公務員の人員構造を変えていこうとするものであります。  しかし、総人件費削減が相当に厳しいものであるにもかかわらず、台形型、円柱型にしていくことが果たして可能なのかどうか。さらには、定年まで公務職場で働けるようにすれば、総人件費はその分かさむのは当たり前であります。このように政府提案の行革推進法案は普通の常識では解決不能の二つの矛盾を抱えていると断ぜざるを得ないわけでありますが、最後に中馬行革担当大臣の見解をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  92. 中馬弘毅

    国務大臣(中馬弘毅君) 簡素で効率的な政府を実現し、政府の規模を大胆に縮減するには公務員の総人件費削減は避けて通れない課題であります。一方、公務員の早期退職慣行につきましても、いわゆる天下り問題の一因との批判もあることから、職員が公務内においてできるだけ長期間勤務できるよう、その是正に取り組む必要があると考えております。  早期退職慣行の是正の推進に当たっては、平成十四年十二月の閣僚懇談会申合せにおきまして、能力主義の徹底により、年次主義やピラミッド型人事構成の見直しを進めるとともに、行政の複雑化、高度化、スリム化への対応を行うことにより、複線型人事管理、職務経験の多様化等を推進するとともに、行政の肥大化や総人件費の増大を招かないようにすることとされておりまして、総人件費の増大を招かないように留意しつつ、人員構成の変化に柔軟に対応していくこととしております。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕  また、総人件費改革においては、国家公務員の定員を五%以上純減させるとともに、給与制度についても職務と責任に応じた給与の体系等の検討を行うこととしておりまして、早期退職慣行の是正がその分人件費の増加を招くとの議員の御指摘は当たらないんじゃないかと、こう思っております。したがいまして、総人件費改革の推進と早期退職慣行の是正は矛盾するものではないと、このように考えております。
  93. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 終わります。
  94. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末健三でございます。  本日は、三点について御質問したいと思っております。  一つは、今お手元に資料を配らさせていただきますが、総合科学技会議、国の科学技術政策の予算配分等をやるという組織がございますが、その活動がどうなっているかということが一つ。  結論から言いますと、省庁別の予算配分はほとんど変わっていないという状況になっていますね。その理由等をこの決算委員会議論させていただきたいと思います。  二つ目にございますのが、行政の側の評価を行う総務省におきまして、非常に高い随契率、特定の財団、社団について一〇〇%の随契を行い、その社団、財団等に多くの方々が、役所のOBが行かれているという状況、それについてどう考えるか。  そして、三番目にございますのが、今特にIT系、情報通信技術についてのいろいろな活動がございますけれど、その活動につきまして経済産業省と総務省が非常に重複があるということがございまして、その三点について質疑を行いたいと思っております。  まず、総合科学技会議の活動につきまして、皆様お手元にあります資料をちょっとごらんになってください。これは、上が我が国の科学技術の予算の省庁別の推移になります。ごらんのとおり、もう真っ平ら、ほとんどシェアは変わっていません。一方、下の方が同じタイムスパンで見ましたアメリカの科学技術関連予算の推移です。もう目まぐるしく変わっているという状況でございます。  現在の総合科学技会議におかれましては、平成十一年に設置されまして、省庁の科学技術の予算なんかの資源の配分を行うというふうになっておりまして、その活動をしていただいているわけでございますが、実際の活動については非常に私も頑張っておられると評価しております。しかしながら、このような資料にございますような予算配分についてどう思うかということと、まず一つは、実際にどういう活動をしているか。  総合科学技会議内閣府の設置法を見ますと、科学技術に関する予算、人材その他の科学技術の振興に必要な資源の分配の方針その他科学技術の振興に関する重要事項について調査審議することと。予算、人材その他の科学技術の振興に必要な資源の配分の方針を決めれるということになっておりますが、具体的な活動をどうしているかということ、そして、この私が配付させていただいた表をどう評価するか。私から言わせますと、省庁別の科学技術予算の配分は変わってないように見えます。それをどう評価するか、そして、なぜ変化してないかということにつきまして、総合科学技会議及び財務省にお答えいただきたいと思います。
  95. 丸山剛司

    政府参考人(丸山剛司君) お尋ねの第一点目についてお答え申し上げます。  科学技術について、予算等資源配分について、いつからどういうことをやっているかというお尋ねでございます。  総合科学技会議は、平成十三年に設置されて以来、毎年六月ごろ、次の年度の重要な政策、資源の配分に関する考え方を明らかにしました科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針というものを決定し、内閣総理大臣や関係大臣に意見具申を行ってございます。その上で、予算編成過程におきまして、経済財政諮問会議財政当局と連携しながら適正な資源配分に向けて取り組んでおります。  平成十五年度の予算の概算要求からは、真に重要な施策に研究開発資源を重点的に配分するという科学技術予算を実行するために、各府省の科学技術関係施策につきまして、科学技術政策担当大臣及び総合科学技会議有識者議員は、外部の専門家の助言を得ながら、優先順位付け、いわゆるSABC評価というものを行っております。また、その結果は、総合科学技会議に報告するとともに関係府省に通知をしてございます。そして、十一月には優先順位付け等の結果を踏まえまして、次の年度の予算編成に当たっての重要事項あるいは留意事項を取りまとめまして内閣総理大臣や関係大臣に意見具申を行っております。  これによりまして、めり張りの利いた科学技術関係予算が編成されるよう努めておるところでございますが、今後とも、更に重点化を図り、効果的、効率的な予算となるように努力していくことが必要というふうに認識をしております。  それから第二点目の、省庁別の科学技術関係予算の配分は変わっているかというお尋ねでございます。  委員指摘のとおり、平成十八年度科学技術関係予算における省庁別シェアは、文部科学省が六四%、経済産業省一六%、防衛庁五%、厚労省四%、農水省三%、国土交通省二%、総務省二%となっております。この省庁別のシェアは、確かに御指摘のとおり過去五年間ほぼ同じ状況となってございます。  同じような配分ではないかという点でございますが、確かに省庁の予算はほぼ同じでございますが、最も重要なことは、真に重要な研究開発課題や施策に適正に予算配分がされることというふうに考えておりまして、例えば第二期の科学技術基本計画の期間中、ライフサイエンスの分野について申しますと、二〇%平成十三年度シェアがあったものが十七年度には二三%ということで、三%増えているということで、分野ごとに見ますと、省庁別よりは予算の変動が大きくなっているというのが実態でございます。
  96. 野上浩太郎

    大臣政務官野上浩太郎君) 科学技術関係の予算の編成に当たりましては、今ほど内閣府からも御答弁があったところでございますけれども科学技術担当大臣と総合科学技会議有識者議員が行っている優先順位付けですね、今お話がありましたが、いわゆるSABC、この優先順位付けなどの専門家の意見を踏まえて、個別の事業内容に着目をいたしましてめり張り付けを行っているところであります。  もとより予算編成におきましては、省庁別の配分を念頭に置いてあるものではなくて、これはあくまで個別プロジェクトの中身について専門家の意見も参考としながら行っているものであるということを御理解賜りたいというふうに思います。
  97. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、この委員の皆様に聞いていただきたいのは、科学技術予算というのは今増えているんですよ。第一期科学技術基本計画においては十七兆円、そして第二期においてはたしか二十四兆円ということで増えている。増えているということはどういうことかというと、増えている分だけちゃんと差配すればシェアを変えやすいという状況にあります。しかし、結論を見ると変わっていない。  実際にこの評価のペーパーとかを拝見してますと、確かに財務省の方々はこの評価に従ってやっておられますけれど、正直申し上げて、総合科学技会議が純粋に科学技術を評価し、やっているのかなということを、結論だけ見たらできてないんじゃないかと思うんですけれど、松田大臣、どうお考えでしょうか。
  98. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) ただいま丸山政策統括官が御答弁申し上げましたように、確かに省庁別に見ますと余り変動がないなということはそのとおりであります、過去。しかし、省庁の配分もさることながら、中身だと思うんですね。  重要なことに本当に配分されているかどうかという観点でよく見てみますと、過去の間に、先ほども丸山統括官答弁したように、例えばライフサイエンス、これはまあ重点四分野ということで力を入れてきた一つの分野ですけれども平成十三年度二〇%から十七年度には二三%と、それぞれ増えておる。重点四分野ということで、御案内のようにライフサイエンスとか情報通信とか環境とかナノと、こういった分野、四分野を重点四分野といたしました、第二期でですね。で、エネルギー、製造技術、社会基盤、フロンティアと、こういった分野、その他分野ということで。例えばそれで見ますと、合計してみれば、平成十三年度が重点四分野三七・九%から十七年度には四五・一%と、かなりのシェアの変化を示しておるわけでございます。  しかし、いずれにしても、先生おっしゃるとおり、正に最も重要なところに本当に貴重な資源が生かされていくということが大事であります。いろんな予算、お互い節約節約、改革改革ということで今進めているさなかでございます。科学技術もその例外ではないと思いますけれども、しかし科学技術は本当に将来への投資だということで皆さんの御理解をいただいて、正直、科学技術関係の予算は着実に伸びておるわけでございます。そういう意味で思いますと、一層これをいかに効果的に使っていくかということは、もうどれだけ力点を置いても置き過ぎることはないという思いで今度の三期の基本計画は作らさせていただいたつもりであります。  今度の三期では、御案内のとおり、今までにはなかったことでございますけれども、さらに、今までの重点四分野、推進四分野に加えて各分野ごとに作らさせていただいた、戦略重点科学技術というものを選ばさせていただいた、先生御案内のとおりであります。答弁が余り長くなってはいけませんけれども、先生の御趣旨を十分体して頑張っていきたいと私としては思っております。
  99. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非やっていただきたいんですよ。  それはなぜかと申しますと、例えばライフサイエンスの予算が伸びていると、めり張り付けましたよとおっしゃっていますけど、このライフサイエンスの部分を見ると、文部科学省、厚生労働省、そして経済産業省、農林水産省、本当にほとんどのやつが入ってて、もう本当に役所ごとに分配してるんじゃないかというふうに誤解を受けるような内容になっています、正直言って、これ。本気でやるとこうなるかもしれません。  一つ申し上げたいのは、財務省が総合科学技会議の意見に従うと今日言っていただいたんですよ、今、副大臣から。是非めり張りがある、本当に、プロジェクトごとじゃなく、省庁の枠組みも変えるようなことを総合科学技会議に期待したいと思うんですが、是非ともお願いしたいと思います。  それで、私──じゃ、大臣、どうぞお願いします。
  100. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 今先生がおっしゃったとおり、総合科学技会議でめり張りを付けさせていただいて、それに従って財務省の方も予算査定なりしていただいているわけでございまして、各省それぞれの目的で、先生御案内のことなんでもうあれですが、例えば連携施策群ということで、今おっしゃった正にライフサイエンスなんかもそうでございますけれども、各省それぞれ役割がございます。それぞれの役割に従って、一つの体系としてでき上がるように我々目配りして、正に今おっしゃったSABCにいたしましてもその中で評価をいたさせていただいておるわけでございます。  なお、更に努力しろという御趣旨であれば、そのとおりで、更に努力をしてまいりたいと思います。
  101. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非大臣にお願いしたいことを一点明確に申し上げます。  それは、SABCという、スペシャル、A、B、Cという通知票みたいなやつを付けているんですよ、プロジェクトごとに、今。そういうプロジェクトごとの評価も非常に大事だと思うんですけど、もっと何か人の配分とか含めてやっていただきたいと思いますし、また、私は一つこれ提言申し上げたいのは、総合科学技会議は、設置法上、非常に重要な研究開発の評価も行いますし、また、科学技術の総合的かつ計画的な振興を図るため基本的な政策について調査審議をする、調査審議ですよね、することが設置法上明確になっているんですけど、調査機能が不足しているんじゃないかと、調査機能が、というふうに思うわけでございますが、大臣、いかがでしょうか、その点。調査機能が不足しているんじゃないかと、科学技術政策の。その点、どうお考えかということをお願いいたします。
  102. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 委員指摘のとおり、総合調整をしたり、あるいは今言ったような評価したりする上で本当に調査分析機能、重要だということは、全く私もそう思っております。  そこで、もちろんのことでございますけど、内閣府としては、正に関係各省の調査機能もフル活用させていただいているわけでございます。そういう意味で、例えば今年度決めたこの科学技術基本計画でも、ついこの間、閣議決定もさせていただいたんですが、正にその調査分析機能を強化すると。例えば今年度から更にスタートした事業で、いろいろありますけれども、例えば科学技術振興調整費に新しく重要政策課題への機動的対応の推進ということで、当初予算になくても正にその年度で必要だと、今必要だということであれば、私の責任においてと言うと言い過ぎですが、総合科学技会議の責任においてすぐ調査をさせるというような制度も発足させたところでございます。  いずれにしても、先生おっしゃるように、本当に調査機能は大事でございます。
  103. 藤末健三

    ○藤末健三君 ありがとうございます。是非、調査機能の強化をお願いしたいと思います。  その点に関しまして一つ議論をさしていただきたいことがございまして、今、文部科学省の下に科学技術政策研究所というのがあります、文部科学省の下に。なぜか文部科学省。その科学技術政策研究所、これは科学技術のいろいろな調査研究をやっております、政策の。この科学技術政策研究所は総合科学技会議の下にあるべきではないかと私は考えますが、科学技大臣、いかがでございましょうか。
  104. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) それも一つの意見かと思います。しかし、考えてみれば、内閣府に私おるわけでございまして、あらゆる省の、今例示におっしゃいました科学技術政策研究所のみならず、あらゆる調査研究機関を総動員というのがむしろ私の責務ではないかと、そういう考え方で今行動を取らさしていただいておりますし、正に今先生おっしゃった研究所のフル活用、これはもう当然のことだと思っておりまして、第三期の計画を作るときにおきましても、正直、フルかどうかはともかく、私としては思い切り活用させていただきました。正に、そういう意味では政府全体を動かすのが私の責務だと思っております。
  105. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に私が今一つ思っていますのは、竹中大臣がおられますんで、褒めるわけじゃないんですけれども、やはり経済財政諮問会議の下に研究所があるじゃないですか、その中で相当提言を受けられていると思うんですよ、私が見た範囲。ですから、やはり本当に科学技術政策研究所を総合科学技会議の下に持ってきていただきたいと思うんですよ。  そして、一点、科学技術政策研究所は設置法上の組織じゃないんですよね、政令上の組織なんですよ、実は。ですから、是非大臣のイニシアチブで科学技術政策研究所をきちんと総合科学技会議が直接使えるようにしていただき、そしてきちんと予算配分を、省庁別の予算配分も変えるところまで突っ込んでいただきたいというのが私のお願いでございます。文部科学省の下にあれば、文部科学省に有利なこと以外は、不利なことは言えないですよ、はっきり申し上げて。いかがでございますか。
  106. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) そうですね、例えば、今おっしゃった経済社会総合研究所でございますか、例えば私も使わさせていただいております。例えばイノベーションの創出のためにはどういう政策が必要なのか、イノベーションというのはどういう状況で起こるのかということを今御指示いたしまして、そこで研究をしていただいております。かように、私の立場とすれば、あらゆるそれぞれの専門分野にそれぞれのことでお願いするのが筋ではないかというふうに思っております。  しかし、藤末委員の御意見もよく理解できる考え方ではあるなと思っておりますが、しかし今やるべきことは、むしろ今あるものをフル活用しろということではないかと、むしろそのために私がおるのではないかと、私はそう思っておりますが。
  107. 藤末健三

    ○藤末健三君 松田大臣の力強いお言葉、ありがとうございます。  なぜ申し上げたかと申しますと、法律を変えなくてもいいわけですよね。閣議で議論して、是非総合科学技会議の下に科学技術政策研究所を持ってきてください。そうしなければ、文部科学省の下に科学技術政策研究所があるということは、やはりはたから見れば科学技術政策研究所は文部科学省の意向に逆らえないんじゃないかと見えるはずなんですよ。是非、本当に決断してください。僕はもうそれは是非お願いしたいと思います。  もう一つついでに申し上げますと、総合科学技会議、本当に今いろいろ活動していただいてすばらしいと思います。  二ページ目、ちょっとごらんになっていただいてよろしいでしょうか。私が配付したページの二ページ目の上でございます。  日本とアメリカの比較というのがございます。このCSTP、済みません、このCSTPというのは総合科学技会議日本の総合科学技会議の英語訳でございまして、日本のそのCSTP、今たしか委員数が十五人おります。そのうち産業界の出身の方が二名となっていると。アメリカを見ますと、NSTCというのが大統領の府の中にございまして、その外に大統領の諮問機関としてPCASTというのがございます。  これを比べてみますと、何が私は思うかと申しますと、非常に産業界出身、上から三行目に産業界出身者が何人いるかという比較をしておりますが、産業界出身者が少な過ぎるんではないかというのが私の思いでございます。  今我が国の研究開発の約八割は産業界が担っているという状況において、もっとこの産業界の方々を活用すべきじゃないかと思うんですが、松田大臣、いかがでございましょうか。
  108. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 総合科学技会議は、委員は十五人ですけれども、ここに書いてございますように閣僚が含めてでございますね、これ。
  109. 藤末健三

    ○藤末健三君 はい。
  110. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) ですから、一三%とちょっと小さく見えましたけれども、これは全部からの比率でございますね。ごめんなさい、確認でございますが。  今委員おっしゃいましたけれども、この総合科学技会議が考える課題というのは、正に大学、知の基であります大学というものも非常に大きなウエートを占めております。大学で、いかに基礎研究ばかりではなく、更にそれから発展して本当に大きなイノベーションが起こるような知の正に拠点たり得るかどうか、今度の第三期ではそれが極めて大きな課題でございまして、世界最先端の知の拠点を少なくとも三十ほどはこの我が国につくりたいというのが第三期の大目玉の一つでございます。そこで生まれる種がいずれ大きなイノベーションを日本の国内に起こす、それがねらいでございます。  例えばそんなこと一つ含めますと、一つの例示でございますけれども、あらゆる分野の専門家を動員したいという面が一つございます。また反面、今おっしゃったように、本当に科学技術の成果が国民が本当に分かる、正にその成果が国民に還元されるというものでなければならない。その還元は分かりやすく言えばイノベーションだということで、イノベーションに力を入れる。ならば、もっと経済に近い人たちも大いに入れるべきではないかという意見もよく分かります。私は、そういう意味で、藤末委員お話しになったことを否定いたしません。ただ、今はこういう現状であって、それはなぜかといえば正にということです。  更に言えば、人数のこともおっしゃいましたし、私どもの方はこれ常時でございまして、向こうは年何回とかおっしゃっていたな、年四回ですね、本当に儀礼的に開いているんでございます。こっちはもう、正直、大臣を含んで毎週やっていると、毎月本会議もあるという会議でございまして、正に熾烈な議論を通じて政策作りを一緒にやっている仲間であります。と同時に、ごめんなさい、時間使って。もうそういう意味でいろいろな方に参加していただいて、その都度その都度、第三期計画作るときも何十人という方に実は産業界含めて参加していただきました。それから、さっき言った戦略重点科学技術決めるときは三百人を超える方々に参加していただいて、本当に日々四か月間、何十回になりますか、数え切れない回の会合を開いて作り上げております。  しかし、先生おっしゃったことはよく分かりますので、更によく踏まえて考えていきたいと思います。
  111. 藤末健三

    ○藤末健三君 ありがとうございます。いや、もう松田大臣の本当に心がこもった回答をいただいて、ありがとうございます。是非民間議員の数、増やしていただきたいと思います。  やはりイノベーションということをおっしゃいましたが、イノベーションは何かというと、研究して新しい発見ができただけじゃ駄目で、社会を変えてから初めてイノベーションなんですよ、社会を変えて初めてイノベーション。そのためには産学連携が必要なんですよ。大学だけで幾らいい研究しても、それが世の中に出てきちんと製品やサービスになって世の中を豊かにしていくことがイノベーションですから、そのためには、やはりイノベーションを本当に起こす主体はだれかというと産業界の方でございますので、是非考えていただければと思います。  そして、この総合科学技会議に関しましては最後のこれちょっと御質問になりますが、総合科学技会議は予算の配分、人材の配分を行う方針を出せるわけでございますけど、会計検査院との連携はどうなっているかということにつきまして、丸山統括官及び会計検査院から話をお聞きしたいと思います。
  112. 丸山剛司

    政府参考人(丸山剛司君) 先ほど御答弁申し上げましたように、総合科学技会議の方は資源配分の基本方針、これは概算要求が行われる前、通例ですと六月ごろに議論をして決定、意見具申をしているものでございます。他方、会計検査院の方は例年十一月ごろに前年度の会計検査報告が行われているというふうに承知をしておりますので、翌六月ごろに策定する私ども総合科学技会議の資源配分方針との言わば時間的なずれというものが三年間ございます点から、これまでは、御指摘のとおり、会計検査院とは具体的な連携は取ってございません。  委員指摘のように、限りある資源を効果的、効率的に使っていくということの重要性は私どもも十分認識しておりますので、研究開発の不合理な重複回避を進めるという問題意識、こういうものは同じでございます。今後、こういうものがどう連携できるか研究をしてみたいというふうに考えております。
  113. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 会計検査院では、会計検査の結果ができるだけ予算に反映されるようにということで、決算検査報告の内閣送付を従前より早めまして、十一月初旬にこれを行うということで対処しております。  今お話しの内閣府の総合科学技会議との連携につきましては、特に具体的なものということでは図ってございませんけれども、今申し上げました検査報告の早期提出によりまして、毎年度の予算編成にはその結果を反映していただいているものというふうに考えております。  現に、平成十八年度の予算編成におきましては、本院の検査結果が反映された額といたしまして、財務省が整理し公表したものだけでも約二千百億円という数字がございます。それから、今お話しの科学技術関係予算につきましても、会計検査の結果というものが反映しておるものがあるというふうに承知しております。
  114. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、総合科学技会議と会計検査院の連携を深めてください。今日は、本当に、財務副大臣の方からお話がありましたように、科学技術予算の総合的な指針、予算配分の指針を総合科学技会議が行うということでございますんで、是非連携していただき、会計検査院の検査結果を総合科学技会議の出す予算配分、人材配分の指針の方に是非フィードバックと申しますか、反映するように努力をしていただきたいと思います。  また、本日、松田大臣そして丸山政策統括官におかれましては、本当に真摯なる御議論をいただいてありがとうございます。我が国は、やはり何やかんや申し上げても、エネルギーとそして原材料を輸入して、それを加工して付加価値を付けて輸出することによって生きている国だと私は思うんです。その基盤はやはり科学技術でございますんで、是非とも、お二人と申しますか、皆様がこの国の将来の基盤をつくるという意気込みの下、予算配分も含めまして活動していただければと思います。是非お願いいたします。  続きまして、総務省の方に話を移らさしていただきたいと思います。  これは衆議院の方では武正議員の方からいろいろ話があったものでございますが、皆様のお手元に配付した資料の三枚目をごらんになっていただきますでしょうか。いろんな細かい契約が書いてございますが、これは総務省関係の物品購入や請負契約のまとめでございまして、特定の財団若しくは社団法人にどのような契約が行われ、そしてそのうち契約方法、随契か一般競争かということを総務省の会計課の方の方の多大な御支援の下に作成させていただいたものでございます。  これは、一般的なものを見ますと、平成十六年度のものでございますが、総務省全体を見ますと、平成十六年度の五百万円以上の契約において随契が七一%になっています、平均すると七一%。ところが、これを見ていただきますと分かりますように、国際通信経済研究所、財団法人でございますが、こちらの契約を見ますと、右側に随意契約率が書いてございますが、全体で約これは三億二千万ですね、三億二千万の契約のうち八六%が随意契約となっていると。そして、この国際通信経済研究所に対して公務員のOBの方何人おられるかと調べますと、十一人おられる。そして、役員数がそのうち六人ということでございます。これだけの方々が、OBの方々がおられると。  そして、次にありますのは、地方自治情報センターというのがございます。これは二件しかございませんが、二件とも随意契約。額も多大です、大きくなっています、四億七千万円。一〇〇%の随意契約。そして、中身を見ていただきますと、どれだけの方が、国家公務員のOBがおられるかと見ていただきますと、八名、そして役員数が二名と。  次にございますのが社団法人行政情報システム研究所です。こちらも調べてみますと、随意契約が何と一〇〇%でございます。金額が二十八億七千万円と。OB十一人、そして役員数が七名もおられると。  そして、次、社団法人電波産業会でございますが、こちらの方も、ごらんになっていただきますように、下の方にございますように、約八億四千万円の契約、随意契約の率が九三%、国家公務員のOBの方が九名、そのうち役員が二名というふうになっておりまして、このような状況をどのように考えておられるかということを総務省の方に伺いたいと思います。
  115. 森清

    政府参考人(森清君) 随意契約の理由はどうしてそうなっているのかということかと思いますけれども一つには、契約の目的物件が特定の相手方でなければ導入できないものである場合があると、それから二つ目には、契約上特殊な物品の買入れ又は特殊な技術を必要とするものである場合であるということ、それから三つ目には、当初一般競争入札で調達いたしますけれども、次年度以降も継続して使用する場合には随意契約によるということになっておりまして、これらはいずれも会計法に言いますところの契約の性質又は目的が競争を許さない場合に該当するものというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても会計法令にのっとって適正に処理されているものと認識しております。
  116. 藤末健三

    ○藤末健三君 会計法の御説明を伺うために私はこの資料を作ったわけじゃないんですよ、はっきり申し上げますけど。そんなこと分かってます。問題は、これはもう、竹中大臣是非ちょっとお答えください。問題は、これを見てどう思われるかですよ、一般常識として。大臣いかがですか、行政管理、評価をされる大臣としては。
  117. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、この表で、とりわけその四法人について藤末委員からお示しをいただきました。これ正直言いまして、随意契約率高い、契約金額も多い、また公務員OBが就職していると、これはもう事実であろうかと思います。  これどうしてこういうことになっているのかということに関しては、今、これ官房長から申し上げましたように、例えば知識、経験、ノウハウ等々、そういう理由があるというふうには聞いております。また、公務員のOBについても、その知識、経験が法人の事業を遂行する上で必要であると、そして各社で選任しているという報告は受けております。  しかしながら、これはもう委員も御承知のように、今月十一日の閣僚懇談会において総理から直接我々に指示が下りております。政府においては随意契約の見直しをしっかりと行えということです。これ随意契約、どうしてもそうでなければいけないものは随意契約にするけれども、そのあとのものはみんな一般競争入札なんだと、その方針でやれと、それに対して各大臣がしっかりと指導力を発揮して総点検を行えというふうに言われておりますので、私自身、その務めを果たさなければいけないというふうに思っております。  どのような形でやっていくかということも踏まえて、今いろいろ考えておりますけれども、これ六月をめどに総点検をしなきゃいけないと思っておりますので、そこでこれは是非しっかりと大臣として責任のある答えといいますか、をお示ししたいというふうに思います。
  118. 藤末健三

    ○藤末健三君 じゃ、済みません、ちょっと登録と違いますけれども、そうしますと、六月中に点検をされるのであれば、その結果を私に見せていただくことは可能ですか、各契約ごとに。  大臣にお願いします。
  119. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは内閣全体として点検を行えというふうに言われております。それを内閣全体としてどのように取りまとめるかというのは、これはちょっと私一存では申し上げられない、総理、官房長官の御指示をいただかなければいけないものだと思っております。  ただ、これは国会の答弁でも、今日の本会議でも、たしか総理が各大臣に指導力を発揮させてちゃんとやるんだということを本会議答弁でもおっしゃっておられたと思います。それと同じ内容のことを先般の閣僚懇で我々言われておりますので、これはしっかりと、いずれにしてもしっかりと点検をいたします。点検をする以上、これはやはり何らかの形でしっかりと点検しましたと、そして改めるべきところがあればこれを改めますということは、これは政府として責任を持って何らかの形でこれはお示しするというのが自然であろうかというふうに思います。
  120. 藤末健三

    ○藤末健三君 済みません、竹中大臣は、お立場上、行政の評価、管理をされる大臣でもあられるわけですよ。そのおひざ元でこういう状況にありましたという状況を見られて、いやこれはちゃんと会計法上のっとってやりましたという回答でいいんですか、本当に。理屈じゃ分かりますよ、おっしゃることは。これだけ改革を進めてこられた竹中大臣が、おひざ元はこれでいいんですか、本当に。僕は評価していますよ、本当に、竹中大臣のやられたことを。言ってくださいよ、ちゃんと、本当に。
  121. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 何か初めて評価すると言っていただいた気がいたしますが、これは御指摘のとおり、基本的には我々も、私自身、これは一つ一つの契約、これまでの契約、これはもう過去の契約でありますが、承知しているわけではありませんが、そのようなプロセスを経て、きちっとした手続にのっとって、必要だからこういうふうになったという報告を受けております。しかし、その報告を受けて、それでよしとしないということであるので総点検をしろという指示が総理から直々に下っているわけでございます。  これは、どういう形でこれは一つ一つ点検できるのかということを、きちっとやはり何といいますか、手法も含めて検討しなければいけないというふうに思いますので、六月をめどに総点検ということになっているわけでありますが、これでいいとは思っておりません。したがって総点検をするわけでございます。これはもう責任を持ってしっかりと対応いたします。
  122. 藤末健三

    ○藤末健三君 私は、竹中大臣に申し上げたいのは、政府としてという話じゃなくて竹中大臣としてということをおっしゃってください。総務省大臣として自分の身元をきちんとしますということは、それはほかの省庁よりももっと深い責任があるんですよ。だから、竹中大臣は率先してやって、それをきちんと処理していくということを言っていただかなければ。いや私はもう政府の、首相の言うことに従いますよということではないんじゃないですか。いかがですか、その点、お願いします。
  123. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これはもう、私は国会で私が責任を持ってやりますというふうに申し上げていますので、是非そのように受け取っていただきたいと思います。今、随意契約の緊急点検を行う、そして六月を目途に各省庁において随意契約見直し計画を作成するということになっております。  私は、御指摘のとおり、総務省総務省としての契約の主体がございますけれども、この中に行政の評価をするような組織を持っている、その意味で率先してやらなければいけない立場であるということを十分に認識をして、自覚をして事に当たりたいと思っております。
  124. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、省庁横並びというよりも、総務省としてきちんと足下を正すということをやっていただきたいと思いますし、また、一つお願いがありまして、今回、総務省の会計課の方に御負担掛けちゃいけない、余り負担を掛け過ぎちゃいけないということで、それぞれの契約に関する随意契約理由、随意契約の理由及び予定価格というのはお聞きしなかったんですよ。  これはもう委員長に言うというよりも大臣にお願いしたいんですけど、是非この平成十六年度につきまして、随契理由とそして予定価格、随契でも予定価格つくりますんで、予定価格とのずれを見たいと思いますんで、その二つを平成十六年度、そしてまたできれば十七年度、いただけないでしょうか。
  125. 森清

    政府参考人(森清君) 必要な資料につきましては、精査いたしまして提出をさせていただきたいと思っております。
  126. 藤末健三

    ○藤末健三君 それはもう出していただけるという認識でよろしいんですか。御負担掛けたくないんで、余り、徹夜とか。ですから、一か月とかぐらいで結構ですから、きちんと出していただくということを約束してください、明確に。(発言する者あり)じゃ、委員長に。
  127. 中島眞人

    委員長中島眞人君) どうぞ、先に言ってください。
  128. 森清

    政府参考人(森清君) 委員会、理事会の御指示に従って、適切に対応させていただきたいと思います。
  129. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 委員長にということでございますので、今日の総理の発言、竹中総務大臣の発言等もございまして、六月中にはこれらについての精査をして、いわゆる明らかにしてまいりたいと、こういうことでございますので、当委員会に対してもその旨を十分果たしていただきたい、こういうことを申し添えますが、御確認してよろしゅうございますか。
  130. 藤末健三

    ○藤末健三君 異議なし。お願いします。
  131. 中島眞人

    委員長中島眞人君) いいですか。そういうことでいいですね。
  132. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、私もいろいろチェックさせていただきたいと思うんですけれども、もう一度お願いします。竹中大臣がこれだけ改革を進めておられるわけですから、おひざ元をきちんとやってください。それも、大事なことは、政府全体というよりも竹中大臣が率先して政府を引っ張るぐらいのことをやっていただくことをお願いします、これは本当に。これはやっていただかなきゃいけません。こんなのおかしいですよ、はっきり言って。(発言する者あり)おかしいですよね。常識的におかしいことは直してくださいよ、そこはきちんと。それをお願いいたしたいと思います。  続きまして、総務省に関してですけれど、二ページ目、ちょっと資料を配っておりますのでごらんになってください。二ページ目の下側にございます。情報通信政策において経済産業省と総務省が非常に重複していると言われて久しいわけでございますが、その重複はずっとずっと続いているということでございます。  例えば、情報のセキュリティー、似たような名前が載っていると。微妙に総務省の方には通信みたいなことが書いてあるのが違うと。例えば、人材育成で総務省、ICT人材の育成ってございますが、Cというのはコミュニケーションです。ちょっと違うということでございますが、中身を見てみますとほとんど一緒でございます。このような重複しているものについて、どのようにお考えかということを竹中大臣そして安倍官房長官にお聞きしたいと思います。
  133. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、私の方から申し上げたいと思います。  委員指摘の例えば電子タグについて、これはもう御承知のように、これ役所の仕事というのは、これはもう設置法に基づいて行われるわけでございますので、実はそれなりの線引きというのは実はそれなりには行われているわけであります。例えば、電子タグについては、総務省がネットワーク上での利用技術の研究開発を行う、経済産業省が製造コストの低廉化、流通業、自動車など所管業界における利用促進、そういった役割分担というのは決められているわけでございます。また、情報セキュリティーについても、総務省がネットワークの安心、安全な利用の確保、そして経済産業省が情報処理の促進、これも役割分担でございます。  そのような意味での重複がないような政策を実施するということは心掛けているわけでございますが、私は担当大臣としてむしろ感じますのは、重複云々というよりも、その間の戦略的な連携がむしろどのようになっているのかと、そこが問われているというふうに日々感じております。  実は、この問題に関しましては、これをある意味で総合的に調整していただくためにIT戦略本部があるわけで、そこに松田大臣が今手腕を発揮しておられるわけでございますが、そういう下で内閣一丸となってやるような体制は私はできているというふうに思っております。もちろんこれは常にその戦略性が十分か等々、いろんな形の議論は私は不断の見直しが必要であるというふうには思います。今与党においてはそうした様々議論が行われているというふうにも承知をしております。私たちとしては、現状のそのIT戦略本部の下でしっかりと戦略性を持って連携をして、そして重複は万が一にもないようにすると、そのような心掛けで日々運用をしております。
  134. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 既に竹中大臣がお答えをしたとおりでありますが、このICタグや、また情報セキュリティーの技術の開発を含めまして、IT政策については多くのこれ府省にかかわってきている問題でありまして、総務省と経産省だけではなくて多くの府省に関係をしている事柄でもあるわけでありまして、これはそうした重要な政策でありまして、各省庁のこれは縦割りを排しまして連携を一層強化をしていくことが大切であろうと、こう考えております。内閣に設置をいたしましたIT戦略本部の下で各府省の政策に重複がないように調整を図っております。さらに、本年一月に決定したIT新改革戦略の下、IT政策の重点化を図り、政府一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。
  135. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) ただいま両大臣からお話のとおりでありますけれども、ちょっと補足させていただくのは、科学技術政策担当としても全く同じ立場でございまして、先ほど御議論ございましたけれども、そこでも答弁しましたが、例えばこのICタグとかロボットというのはその典型と言うと言い過ぎかもしれませんけれども科学技術連携施策群という政策がございまして、そのテーマでユビキタスネットワーク、電子タグ技術等の展開と、ロボットといえば次世代ロボット共通プラットフォーム技術の確立ということで、それぞれ関係する政策全部横に並べまして、不必要な重複はやめさせ、かつ連携すべきことは連携させるという手続を取っております典型例の一つでございます。  私の立場としても、科学技術担当の立場としても、当然のことでございますけれども、そういう政策をいたさせていただいております。なお一層努力をしていきたいと思いますけれども
  136. 藤末健三

    ○藤末健三君 竹中大臣、松田大臣がおっしゃること、本当に分かるんですよ。ただ、一つだけありますのは、供給者側の立場なんですよ。政策を供給する立場としては連携していますよとおっしゃっていますけど、店側に二つあるんですよ、入口が。だから、政策を受ける立場であられる産業界の方、民間の方々はどっちがどっちか分かりませんと。じゃ、ICタグをやりたい方がおられましたと、総務省の下にTAOという組織がありますと、経済産業省の下にNEDOという組織がありますと。入口が違うんですよ。その問題はどうお考えですか。これは竹中大臣にお聞きします、時間の関係がありますので。
  137. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、先ほど言いましたように、役所の仕事というのは、これは設置法に基づいてかなりきちっと区分けをされております。しかし、現実問題としては、今の情報、特に通信というのはもういろんなものが入り乱れてまいりますから、例えば今の話でももう一つ、まだ話は出てきていませんけれども、重要なのは文部科学省の関係の著作権の問題、これも正にいろんな形で絡んでくるわけでございます。  そういうことを総合的に戦略として調整して、内閣として一体として取り組むためにIT戦略本部ができて、IT戦略本部ができたからこそ、これまでインフラ面に関して世界で最も早く最も安いブロードバンドが実現したというふうに思っております。  しかし、繰り返しますけれども、これ更にどんどん複雑になっていきますので、今TAOの話が出ましたけれども、そういう問題があるということは私たちも承知をしております。そういう下でどのような連携をしていったらいいかということは、これは不断の見直しをしていこうと、そしてその戦略本部等々でしっかりと議論をしていこうではないかという体制で今取り組んでいるわけでございます。
  138. 藤末健三

    ○藤末健三君 IT大臣にお願いいたします。IT担当大臣、簡潔にお願いします。
  139. 松田岩夫

    国務大臣(松田岩夫君) 答弁、実は尽きておるかと思うんでございますけれども、正にIT戦略本部をつくり、そこを担当する大臣として、官房長官の下で私取り仕切らさせていただいている立場でございます。おっしゃるとおりの藤末議員のいろいろなお考え、よく分かります。そのために、私どもの下に、例えば関係各省局長クラスでIT担当連絡会議というのを設けました。精力的な今連絡調整を図っております。  また、電子政府、電子政府担当者はまた別の人です、各省。各省にCIOがいます。このCIOの方々で全部私の下に集まっていただいて、これも定期的に今電子政府実現のために一生懸命頑張らさしていただいておりますし、また、ちょっと時間がありませんか、もう一言だけ申しますと、例えば電子政府を推進するために安倍官房長官の下に電子政府推進管理室というものをしっかり設けさせていただいて、専門官を配置させていただきました。いろいろな努力を積み重ねております。  それぞれ分かれておって、それぞれ得意なところを大いにやってもらう、しかし、それらを総合調整し、総力を挙げて最も大きな成果を上げるということだろうと私は信じておりますが、一層ひとつ御指導を。
  140. 藤末健三

    ○藤末健三君 最後に、安倍官房長官にちょっとお聞きしたいと思うんですけど、資料、今お手元にございますか、私が配付した資料。ございますか、三枚紙の資料。ちょっと抜けておられたんで御説明しますと、一枚目の紙が各省庁の科学技術予算のシェアの推移なんですよ。上が日本です、下がアメリカ。日本はほとんど変わってないということを御指摘申し上げました。次、二枚目、ちょっと見ていただいてよろしいですか、二枚目の下、これは情報通信政策の重複でございます。こういう重複があるという御説明を申し上げております。  今日、私申し上げたいのは、この決算委員会におきましてやはり一番重要なことは何かと申しますと、予算の有効利用するのを我々促進しなきゃいけないと、そういう観点で見ますと、例えば総合科学技会議がもう松田大臣の下に本当に一生懸命頑張ってもらっているのは本当に理解します。しかしながら、結果としてこのように役所のシェアは公共事業と同じようにほとんど変化してないという状況。そしてまた、ITの問題。情報通信の政策は連携はされているかもしれませんけど、外から見たら設置法なんか読まないですよ、竹中大臣、申し上げますと、民間の方は。設置法じゃないんですよ。外部のやっぱり政策を利用するであろう民間人の方々が理解できるように変えていかなきゃいけないという課題があるわけでございますが、今後、もしかしたら日本のトップになられるかもしれない安倍官房長官、こういう、もう一度役所の構造的な組織的な問題、これを直さなければ私は予算の支出を減らせないと思うんですが、その点、もう一回政府の省庁再編とかを考えていかれるかどうかということについて御意見いただけませんでしょうか。
  141. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 小泉内閣におきましては、政策にしっかりとしためり張りを付けるためにも、例えば各省庁横並びの削減あるいはまた乗せていく、予算を増やしていく、そういう姿勢は取らずに、しっかりと政策別にこれはめり張りを利かしてきてはいたわけでありますが、委員の御指摘ではまだまだ不十分ではないか、こういうことなんだろうと、このように思うわけでありますが。  ITにつきましては、広く国民生活あるいは経済活動にかかわることでありまして、これはもう各省庁すべて包含した政策が必要になってくると、このように思うわけでありますが、そこで、私どもはIT戦略本部をつくって、そこには正に総理大臣がこれは本部長として強力なリーダーシップが取れる体制になっている。組織論としては、私どもは、新しい例えばIT担当省をつくるよりも、総理が自ら本部長を務めるこの戦略本部においてしっかりと全体を俯瞰しながら、このIT戦略においてどのような予算をしっかりとどこに付けていくかというリーダーシップを発揮をしていく方が有効ではないかと、そういう判断に立っているわけでありまして、IT新改革戦略を一月に決定をしたところでありまして、総理のリーダーシップの下にしっかりとこの戦略を実行していきたいと、このように考えております。
  142. 藤末健三

    ○藤末健三君 僕は正直申し上げて安倍官房長官からも勇ましいお言葉をいただけるんじゃないかと思って期待していたんですが、私が今日申し上げたことは何かというと、総合科学技会議ができ、そしてe—Japanができて、e—Japan本部ができて内閣の調整をずっとなさってきたわけじゃないですか。その結果がこうですよということなんですよ、私が申し上げたいのは。  それに関して、最後、簡単にコメントください。私は、e—Japan本部を強化します、総合科学技会議をこのままやりますということについては、決算委員としては反対です、予算の有効利用としては。それについていかがですか。
  143. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) その点がこれは言わば若干見解の相違だというふうに思うわけでありますが、私どもも、しっかりとこの重複をなくしていく、そしてめり張りを付けた予算のこれは執行も考えていかなければいけないと、こう考えておりますが、今あるこの仕組みにおいて、戦略本部、正にこれは、先ほど申し上げましたが、総理が本部長を務めている戦略本部でありますから、ここでしっかりとリーダーシップを発揮をしながら、また松田大臣の下にめり張りを付けた中身のある政策を実行していきたいと、このように考えております。
  144. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 藤末君、時間が来ています。
  145. 藤末健三

    ○藤末健三君 はい。  ありがとうございます。松田大臣、そして丸山統括官、頑張ってください。是非お願いします。そして、竹中大臣も、もうお願いです、足下きちんとやってください。もう改革改革と言って足下これじゃ笑われますよ、まじで。お願いします、是非とも。  以上をもちまして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  146. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  本日は、まず初めに、産業再生機構とカネボウとの関係につきまして、カネボウ再生にかかわる産業再生機構のかかわりにつきまして御質問をさせていただきたいと思います。  このカネボウ再生につきましては、もう御存じのとおり、平成十六年度に再生計画の変更に伴いまして再度支援を決定をいたしました。そして、てんまつといたしましては、今年の一月でございますけれども、機構がカネボウ株をファンドに譲渡し、それの結果によって七割強をファンドが所有をし、そして二月下旬から今度はファンドが一般投資家に対しましていわゆるTOB、株式の公開買い付けというものを開始をいたしまして、そして三月末に終了していると、こういう経緯だというふうに私は理解しております。  そこで、まず最初にお聞きしたいんですけれども産業再生機構はこのカネボウ関連の再生によりましてどういう収益を上げたのか、決算委員会でございますし、そのことをお聞きしたい。そして、新たな国民負担というものは発生したのかどうか、これにつきましてまずお聞きしたいと思います。
  147. 広瀬哲樹

    政府参考人(広瀬哲樹君) 私の方から概要を御説明したいと思います。  産業再生機構は、もう委員御高承のとおり、産業再生を産業と金融一体で行い、それで国民負担を最小限にするということを本旨にやっております。個別の再生事業につきまして、実は、利益が上がった、上がっていないということは常からお答えしておりません。  なお、私が承知しております限り、新たな国民負担は生じていないというふうに理解しておりますけれども、ということでございます。
  148. 西田実仁

    ○西田実仁君 新たな国民負担は生じていない、そういう形で再生支援が完了したと、こういうことだと思います。  ここでお聞きしたいんですが、今、個別の収益については公表していないということでございます。一応確認のためにお聞きしますが、機構がファンドに対しましてカネボウ関連株を売却をしております。先ほど申し上げたとおり一月にしておるわけでありますが、この価格については公表しておられません。なぜでしょうか。
  149. 山谷えり子

    大臣政務官山谷えり子君) 機構が処分決定の際に公表するべき内容は、個別の事業者等の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害することがないよう関係法令に定められておりまして、その中に機構による債権及び株式の売却価格は含まれておりません。
  150. 西田実仁

    ○西田実仁君 私は、今日ここで御質問する背景というのはもう御存じだと思います。つまり、機構がファンドに売却をし、七割の圧倒的な支配権を保有したファンドが一般投資家に対しまして公開買い付けをいたしまして、その価格が上場廃止以前の、直前の半分以下の百六十二円というTOBの価格が提示され、それに対して一般投資家が十分には必ずしも応じなかったという結末になっているわけであります。  私は、今日御質問させていただきたい観点は正に経済の民主主義というものをこの日本に根付かしていく、こういうことを考えたときには、やはり個人投資家、一般投資家の、特に少数株主の権利をきちっと保護していくと、こういう、言うまでもない、釈迦に説法でございますが、前提、これをやはり日本に根付かすということが大変これからの経済の活性化あるいは貯蓄から投資へという大きな流れをつくっていくときに欠かせない視点であると、このように思っております。そういう視点からあえて御質問をさしていただいているわけでございます。  そこで、引き続き御質問をさせていただきたいと思います。  これはTOBの価格が高いか低いか、こうしたことは当然コメントはできないと思いますので、ちょっと角度を変えて御質問をさしていただきたいと思います。  この機構がファンドに対しまして株式を売却いたしましたが、その株式はいわゆる種類株でございまして、C種後配株、この種類株式につきましてはいわゆるTOBルールによらない、そういう売却だったわけでありますが、これはなぜでしょうか。
  151. 細溝清史

    政府参考人細溝清史君) TOBルールは、通常の会社支配権に影響を及ぼし得るような証券取引につきまして買い付け者が開示をするというルールでございますが、その中で株券の所有者の数が二十五名未満の場合であって公開買い付けによらないことについて総株主の同意があるというような場合には、この公開買い付け手続が強制されないということになっております。
  152. 西田実仁

    ○西田実仁君 この機構がファンドに売却をしたことによって、所有割合は三分の一を超える買い付けでありました。しかしながら、いわゆる三分の一ルールは適用されないと。なぜならばということで今お話しあったのは、総株主、すなわち株券等の所有者の数が二十五名未満であると、の同意があると、こういうことであれば公開買い付けによらなくてもいいという、そういう今御説明だったと思います。  そこでお聞きしたいわけでありますが、ここで言う総株主というのは何を意味していると解されるんでしょうか。まあいろんな解釈があると思いますが、総株主という、所有権がこれだけ大きく移動するということであれば、いわゆる総、すべての株主と、こういうふうに解釈をするのか、それとも違った解釈をするのか、これについてお聞きしたいと思います。
  153. 細溝清史

    政府参考人細溝清史君) この場合の総株主といいますと、実は株券にはいろんな種類がある場合がございます。配当の内容について例えば種類ごとに違うというような場合には、その種類ごとの株主、その種類株式にかかわる総株主ということで種類株ごとに判断するということに解されております。
  154. 西田実仁

    ○西田実仁君 その三分の一ルールというのは、そもそもどういう法の趣旨、法の精神なんでしょうか。
  155. 細溝清史

    政府参考人細溝清史君) 繰り返しになりますが、会社支配権に影響を及ぼし得るような証券取引につきましては、買い付け者があらかじめ買い付けの期間でありますとか数量、価格を開示いたしまして、言わば株主に公平にその売却の機会を与えるといった制度でございまして、それが大量になります場合に、例えば三分の一を超えます場合には、そういった公開買い付け手続が強制されるというようなことが普通、通常のルールでございます。
  156. 西田実仁

    ○西田実仁君 つまりそれは、やはり少数株主の権利を保護するということが含まれていると理解してよろしいんでしょうか。
  157. 細溝清史

    政府参考人細溝清史君) 株主に公平に売却の機会を与えるということで、そういう種類株を買いたい人は、その種類株について買い付けの期間なり数量なり価格なりを開示して、売却ないし、そういった株主に売却の機会を与えるという趣旨でございます。
  158. 西田実仁

    ○西田実仁君 結果として、所有権が大変に大きく移動する。この三分の一ルールの本来の趣旨というのは、支配権が移動する取引におきまして少数株主の権利を保護していくという、そこにそもそも三分の一、そもそも三分の一というふうになぜ数字がなっているのかといえば、これは商法上の恐らく特例で異議を申し立てるときに三分の一が必要だからということだと思うんですね。  そういう点で申しますと、私がここで、今回の産業再生機構におけます一連の取引ということについて、少数株主の権利保護という観点が抜け落ちてはいないかということを懸念しておりますが、内閣府はいかがでございましょうか。
  159. 山谷えり子

    大臣政務官山谷えり子君) 機構においては、こうした法令及び機構自身が売却先と結んでいる守秘義務契約に基づいて売却価格を公表していないものと聞いております。  いずれにしましても、売却後の一般株主に対する公開買い付け自体については機構の手を離れており、詳細は存じ上げる立場にございませんが、事業再生支援という極めて機微な経営上の課題に取り組んでいる機構が行う個々の取引について法令の定める範囲を超えて追加的に情報を公開することは、実際に事業を行っている民間事業者等に不測の事態を招きかねないことから適当ではないと考えております。
  160. 西田実仁

    ○西田実仁君 結局、今の御説明は価格を公表しないということの説明いただいたと思いますが、私が申し上げているのは、この機構がファンドに株式を譲渡したことによって、七割を超える大変強い支配権を保有するファンドがその支配権を背景にしてTOBを掛けていく、一般投資家に対して掛けていく、しかも上場廃止前の半額という、半額以下という価格で掛けていく、こういうことが少数株主の権利を侵害する、不利益につながるということにならないのかという、そういうことを言っているわけでございます。  これにつきまして、法律の枠組みというのは当然あって、必ずしも、私はかなりグレーゾーンになってきていると思っておりますけれども、違法ではないのかもしれませんが、政治家というお立場で、こうしたことはそれこそ余り美しくないんじゃないかというふうにも意見もございますけれども、いかがでございましょう。
  161. 山谷えり子

    大臣政務官山谷えり子君) 機構による一連の行動は適切だったかどうかというような御趣旨かと思いますけれども、資本市場の公正性自体は極めて重要な政策課題であると考えております。関係機関において今後とも追求していくべき課題だと思っております。  また、機構による一連の行動については、現在の法令に基づき適切に対処いただいたものであり、そうした法令についても、産業と金融の一体再生、国民負担の最小化といった機構の有する政策課題を追求したものであることを御理解いただきとうございます。  今後とも、関係機関におきましてこれらの政策課題について可能な限り達成するべく努力していきたいと思っております。
  162. 西田実仁

    ○西田実仁君 金融庁の政務官に是非お聞きしたいと思います。これも政治家としての御意見を求めたいと思いますが。  要するに、私が今一連申し上げていることはもう十分御理解いただけていると思っております。この機構によって確かに国民負担の新たな負担は生じなかったという、これは事実だと思います。一方で、やはり少数株主あるいは一般投資家、これをきちっと育成していくということもこれは大きな政策課題になっているわけでございます。一般投資家の方々が私からすればかなり犠牲になってこのスキームが進行しているというふうにしか見えないわけでございます。  三分の一ルールの本来の法の趣旨、こうしたこともかんがみて、確かに法的にはそこの三分の一を超える株買い付けであっても、種類株であれば少数、皆いわゆる総株主、私に言わせればかぎ括弧付きの総株主ですけれども、同意があれば全く問題ないと、こういう解釈だと思いますが、この一連の取引、再建のスキームにおいて一般投資家、少数株主の権利保護ということについてどのようにお考えになりますでしょうか。
  163. 後藤田正純

    大臣政務官後藤田正純君) 先ほど来、内閣府からいわゆる再生マーケットにおける機構法の意義というものお話しございまして、その点については委員も御承知をいただいていると思います。  我々、一般法である証券取引法と特別法である機構法のやはり違いについても御認識をいただいていると思いますが、その中で我々としても、委員のおっしゃるように、投資家保護、消費者保護の観点から、その点については全力を挙げているところでございまして、いわゆるTOBの局面におきましては、証券取引法令に基づきまして買い付け者等から投資者に対して十分な情報の開示、これが行われていることが何よりも重要と考えておりまして、適切な情報開示の確保等に引き続き全力を挙げて取り組んでいく考えであります。  さらに、証券市場の信頼性を確保するためには、市場の公正性、透明性が確保されること、投資者、株主の権利が十分に保護されることが重要であると認識しており、企業再生等をめぐる市場関係者にもこうした観点を踏まえた対応が求められるものと考えております。
  164. 西田実仁

    ○西田実仁君 その情報開示ということについて、それでは引き続きお聞きしたいと思います。  この公開買い付け制度では、買い付け価格の算定根拠についてきちっと公開するということになっております。今回の一連のTOBにつきましても既にそれが示されております。提出先は関東財務局でございます。公開買い付け届出書におきまして一度、二月にファンドから提示をされました。そして、そこには算定根拠として二つの手法が用いられているという、そういう算定の基礎が示されました。しかしながら、一か月後、今度はそれが修正、訂正というのがなされました。そこには、二つのうち一つしか、横文字ですが、DCF法しか示されていなかった。この価格を決める根拠となるところが、わずか一か月もたたないところでこのように修正をされていく。確かに、EDINET等で見ればいいじゃないか、当然それを見ていけばいいじゃないか、あるいは一般投資家も嫌だったら応じなきゃいいじゃないか、いったん応じてもまた取り消せばいいじゃないか、そういうルールになっていることも承知はしております。  しかしながら、私は、ここで関東財務局がどういう対応を取っておられたのか。この公開買い付け届出書を受け付け、そしてそれを機械的に受け付けて、修正すればまたそのまま出すという、まあそういうものではないと思いますが、ないと思いますが、今申し上げている、繰り返し申し上げておりますが、少数株主の権利保護という観点からどういう検討を関東財務局において行ったのかどうか、又はそういうことを行わないのか。形式基準だけで満たされていれば、それで、はいということで受け付けるものなのか。この辺についてちょっとお聞きしたいと思います。
  165. 細溝清史

    政府参考人細溝清史君) ただいま委員指摘のとおり、カネボウ株式に対しますトリニティの公開買い付けにつきましては、当初二月二十二日に提出された公開買い付け届出書につきまして、三月十七日に訂正が行われているものでございます。  ただ、何分、個別事案にかかわることでございますのでコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、あえて一般論を申し上げますと、公開買い付け届出書などといった書類を財務局で受け付けますと、受け付けた後審査を行います。仮に、これ万が一ですが、仮に記載内容や開示事項に問題があれば訂正等を求めるといった対応を行っているところ、これはあくまでも一般論でございますが、そういった対応を行っているところでございます。
  166. 西田実仁

    ○西田実仁君 これ、事は価格にかかわることでございまして、TOBは正に価格がすべてでございます。その価格を算定する根拠がわずか一か月の間にもう大きく変わってしまうということは、事は重大だと私は思っておりまして、これはもうある意味では虚偽記載ということの論点にもつながっていくんじゃないかと、こう思っておりますが、いかがでございましょうか。
  167. 細溝清史

    政府参考人細溝清史君) これも事実関係を申し上げます。  二月二十二日に出ておりました公開買い付け届出書、この中では、価格のところにつきましてはDCF法や市場株価基準法を用いた対象者の株式価値等の諸要素を総合的に勘案して決定しましたと書いてございます。それで、三月十七日に提出されました訂正届出書におきましては、そこのところが大幅に記述内容が、実は二月二十二日の場合五行だったわけでございますが、三月の十七日に出てきてまいりました訂正後の届出書では、それが二、三ページにわたっておるといった長い記述がございました。それで、いろいろこういうふうに判断した結果、こうした価格を決定したものであるという説明が三月の十七日の訂正届出書には書かれておるということでございます。
  168. 西田実仁

    ○西田実仁君 それは今事実を言っただけにすぎないわけでありまして、もうちょっと詳しくあえて申し上げますと、そうすると市場株価基準法というのは、いわゆる一般的にはDCF法に比べると恣意性がないと言われておりまして、粉飾が発覚して上場廃止決定直前の平均株価は七百円ぐらいだったわけですね。その市場株価基準法というものが取られずに、採用されずにDCF法のみになって百六十二円という結果になったわけでありまして、ここは明らかにこの算定根拠というものが大きく変わることによって、TOB、そもそもの買い付け価格に大変な多大な影響を与えたと、こういうふうに思うわけであります。  そうしたことが虚偽記載という論点につながらないのかということであります。いかがでございましょう。
  169. 細溝清史

    政府参考人細溝清史君) これは正に個別の事案でございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思っております。  確かに、両方法を総合的に勘案したと最初書いてありまして、二回目のやつにはいろいろ比較検討したと、この両方法で比較検討したと、その結果こういう価格にしたと書いてございます。  ということが事実でございまして、一般論でございますが、ここから先は一般論でございますが、仮に何らかの問題があるとすれば、当然監視委員会において適切な対応が図られるものと考えております。あくまでも一般論でございます。
  170. 西田実仁

    ○西田実仁君 これ以上やっても水掛け論になりますけれども、私は、今回のこの産業再生機構によるカネボウ再生計画スキームというのは、一方でやはり大事な国民負担を新たに生じさせないという政策目的があることはよく理解しています。それは達成されたというふうに理解しています。しかしながら、その一方で、一般投資家なりあるいは少数株主の権利というものが、そこまで視野をきちっと入れた再生計画になったのかどうかということについてはやや疑念を持っておりまして、その視点から質問をさせていただきました。  実際に、機構は転社で一株三百八十円で購入しているわけでございまして、そこの個別の収益が上がっているかどうかということはコメントできないという最初のお話でしたので、ここは推測するしかございませんけれども、一部では機構はこの株式の譲渡に関して損失は回避できたというような指摘もなされております。ということは三百八十円以上で売ったということになります。となれば、一方で機構は一月の段階、終了したのが一月ですから、三百八十円ないし四百円近辺で売り、一方で一般投資家は百六十二円という上場廃止前の半額以下で強制的な支配権、七割以上の支配権を持ったファンドからTOBを掛けられるという、こういうことが果たして本当に公正と言えるのかどうかというような私は視点を持っておりまして、今日は質問をさせていただきました。  これ以上やっても、多分個別案件とかいろいろと水掛け論になってしまいますし、しっかりとした解明をまた証券取引等監視委員会でもなされるんではないかというふうに期待しておりますので、ここでいったん質問を変えさせていただきたいと思います。  残った時間を独立行政法人の在り方につきまして総務省にお聞きしたいと思います。  この独法に関しましては、もうこれまでも様々な論点がございました。実態として独法がどういうものなのかということにつきまして、特に幾つかの具体的なことを申し上げたいと思います。  まず、会計検査院にお聞きしたいと思いますが、独立行政法人四十五法人につきまして本院の決算委員会の要請に基づいて調査がなされました。そこにおけます少額随意契約の限度額、これについてどのような実態になっているのかをまずお知らせいただきたいと思います。
  171. 増田峯明

    説明員(増田峯明君) お答え申し上げます。  私ども会計検査院では、ただいま委員がお触れになりました報告書におきまして、物品の購入等の場合のいわゆる少額随意契約の限度額につきまして、国の場合の限度額である百六十万円、この百六十万円を超える金額を設定している法人が、検査の対象とした法人、今四十五ということであるわけですが、その八割に達しているということを記述しているところでございます。
  172. 西田実仁

    ○西田実仁君 この一覧表、私も今手元にいただいておりますが、少額随意契約の限度額一覧表を見ますと、国の基準である百六十万の一倍の機関が七機関ございました。一・三倍から一・九倍が十五、そして三・一倍がぐっと増えて二十一、一番高いのは国立美術館、六・三倍ということになっておりまして、ありていに言えば大変に横並びになっていると、この少額随意契約の限度額というものが国の基準に比べて大変横並びになっている。なぜそうなっているのかという理由もちょっと私よく理解できないというか、つまびらかになっておりません。  ここは独立行政法人という自主性を持った機関としていかがなものかと、こういうふうに思うわけですが、検査院としてはいかがでございましょう。
  173. 増田峯明

    説明員(増田峯明君) 私どもの検査の結果におきましては、今委員が御指摘になりましたように、国の限度額を超える額を設定している理由については、他の法人を参考にするといったようなやや合理的ではないなというようなものも見受けられたわけでありまして、各法人がその実情に応じまして少額随契の限度額を独自に設定すること自体は独立行政法人制度の趣旨に沿っているというふうに考えるわけでございますが、国の限度額を超える金額とすることにつきましては競争の利益を享受できなくなるデメリットもあるわけでございますので、このことに十分留意した上で検討することが必要であると考えておりまして、今後の検査に当たりましてはこの点も念頭に置いて検査してまいりたいというふうに考えております。
  174. 西田実仁

    ○西田実仁君 総務省にお聞きしたいと思いますが、独立行政法人の役員の退職金でございますけれども、これは政独委、いわゆる政策評価・独立行政法人委員会、政独委におきまして、役員の退職金に係る業績勘案率というのが発表になっておりました。これを見ますと、二つの法人、文科省所管ですが、独法以外はすべて一・〇という、業績勘案率ですので〇・〇から二・〇まで幅を持たせるようになっておりますが、結果としてはほとんどが一・〇というふうになっているという、いわゆる横並びの実態が浮き彫りにされております。  ここで総務省にお聞きしたいんですが、まず一点目の、この今会計検査院にお聞きしました少額随意契約、独法における少額随意契約の限度額でございますが、これについては、全般的にこの随契そのものを見直していこうというこういう中で、今申し上げたような、指摘されたようなことを含めてどう見直していくのか。また、業績勘案率についても、これはせっかく制度があっても、結局最終的にはみんな一・〇になって何の変わりもないじゃないかと。これじゃ業績を勘案して一・〇なんだというふうに、詳細に私もある独法の全部見させていただきまして、いろんな評価軸があるというのはよく理解しておりますが、そうは言っても、結論としては全部一・〇というのは、これ非常に納税者からも見えにくいと、こういうふうに思うわけでありまして、この二点につきましてお聞きしたいと思います。
  175. 藤井昭夫

    政府参考人(藤井昭夫君) 独立行政法人の随意契約の基準について改善点は何かということを、独立行政法人通則法を所管する制度官庁という立場でお答えしたいと思っております。  独立行政通則法上というか制度上は、こういう契約金の基準というようなのは業務方法書とか会計規程で定めることとされておりまして、正に今御指摘もありましたように、それの当該独立行政法人が自分の業務に対応して適切に定められるべきものというふうに考えておるところでございます。  ただ、制度官庁として何かやることないかということなんでございますが、やはり独立行政法人制度というようなのは、極めて業務運営の自律性というものを尊重するというつくり方になっておりまして、業務運営に直接介入するということは慎重にやるべきだと思っております。  ただ、そういう自律性が適正に行われているかどうかということを支えるために実は二つの仕組みが設けられておりまして、一つはディスクロージャーと申しますか、透明性の向上と申しますか、やはり業務運営の実態をやっぱり国民の批判の目にさらさせると、これが一つでございまして、もう一つは、第三者機関としての独立行政法人評価委員会が客観的、専門的な立場でチェックしていただくと、そういう仕組みになっているところでございます。  私どものところで、実態はその随意契約基準についてどういう取扱いをしているかということをちょっと調査したところ、一つはやっぱり具体的な基準がまだ定められていないところがあるとか、あるいは理由も含めてそれが公表されていないというようなところがございます。やはり私どもとしては、ディスクロージャーして国民の目にさらすということが、これがやっぱり改善の第一歩だと思っておりますので、これは極めて重要だと思いまして、実は、十八年というか今年の三月十九日に、私どものところから一つは具体的な基準、こういったものを業務方法書等で明確に規定するということと、それと、規定するだけじゃなくてホームページ上で公表するということ、それから一定額以上の随意契約については、その随意契約とした理由、これはやっぱり一番のポイントだと思いますので、その理由も明らかにして公表するということを各省通じて指導しているところでございます。
  176. 西田実仁

    ○西田実仁君 その情報開示が大事だということは正にそのとおりでございます。是非随契の、なぜ随契なのかという理由も含めてきちっと情報公開していただきたいと思いますが、今までの例でいきますと、大体、そうするとみんなまた横並びの同じような文言がずっと並ぶんじゃないかというような気もしております。そこは是非もう魂を入れていただいて、本当に、本当の意味での情報公開ということをしていただかないと、何となく形がそうなっているからもうそれでいいんだというふうになってしまえば今までと余り変わらなくなってしまうと、こう思うわけであります。  横並びということで言いますと、あえて言いますと、この目標も一般管理費を五年間で一〇%、事業費を五%削減するというような独立行政法人全般にわたるこの中期目標というものもよく見られます。やはり大事なことは、業務上、業務におけるアウトプット単位当たりのコストをきちっと把握していくということが私は重要ではないかというふうに常々思っておりまして、これにつきましては総務大臣竹中大臣にお聞きしたいと思いますが、こうしたアウトプット単位当たりのコスト把握、これがなされている、算出されている独立行政法人の現状と、これについてその認識をちょっと大臣からお聞きしたいと思います。
  177. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 独立行政法人につきましては、その自律性を確保する、そして効率的な運営を担保するために目標を設定するわけでありますけれども、業務実績を第三者によって事後評価するというのがこの制度のかなめでございます。その意味で、中期目標を主務大臣において明確かつ具体的に設定することが重要になります。したがって、その主務大臣が各法人そして評価委員会の意見を聞きながら、できる限り明快で具体的な中期目標を設定してもらわなければいけないというふうに考えております。  今、アウトプット目標を示した中期目標を立てるべきではないかという委員のお尋ねがございましたですけれども、その意味では、アウトプット目標というか、アウトカム目標というか、成果目標ですね、そういったものについてしっかりと御議論いただくことが、これはもう当然必要であるというふうに思います。  総務省としても、そうした取組状況をしっかりと注視をして、各方面の意見を踏まえながら、どのような基準が適切かどうかということの研究もこれ重要な課題であるというふうに思っておりますので、今この制度そのものが滑り出した段階でありますので、しっかりと対応していきたいというふうに思っております。
  178. 西田実仁

    ○西田実仁君 ありがとうございました。  私は、アウトカムの話ではなくて、一単位、このアウトプット一単位を出すときのコストをどう把握していくのかということが大事じゃないかという、それももう認識されていると思いますのであえてお聞きしませんが。  それで、結局、今、独法が一杯あるわけですが、結局なかなか所管官庁で、主務官庁で把握し切れていない、あるいは政策目標に本当にこの独法がどの程度、ありていに言えば役立っているのかということが掌握するのが難しくなっているのではないかというふうな問題意識を持っております。  例えば、よく引かれるニュージーランドなんかは、やはり政府との距離を三段階ぐらいに分けて、独法自体を種類別にして、そしてかかわり方によって大きく三つにカテゴライズして、その上で政策目標が達成できるように所管をしていくという、そういうやり方をしておりまして、人口が少ないから日本と比べられないというのはそのとおりでありますが、私から言わせれば、むしろ人口規模が少ないニュージーランドでさえそういうことをしなければなかなか把握できないと。人口がもっと大きい日本であれば、また独法の数ももっと多いわけですから、そうした政府との距離というものを、もうちょっと種類別にして、試験研究機関とかあるいは研修施設とか随分、一律に全部見るというのはなかなか難しい。結局、そうであるがゆえにかえって横並びにすべてなってしまっているんではないかというようなことを感じております。  これにつきまして、竹中大臣、いかがでございましょう。
  179. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 西田委員の御指摘は、独法と一くくりに言うけれども、もう少しカテゴライズできるのではないのかと、そして、そういうことを考えるに当たってニュージーランドの例が何か参考になるのではないかという。これは、ニュージーランドの例というのはいわゆるクラウンエンティティーの話だと思いますが、そんなに詳しく承知しているわけではありませんので、私自身はよく是非勉強してみたいと思います。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕  実は、よく似た議論を特殊会社について私自身考えたことがございます。これは郵政民営化の際に、持ち株会社と郵便事業会社とそして郵便局会社、これは特殊会社だけれども、どうもやはり段階が違うだろうと。例えば、ユニバーサルサービス義務を課されている郵便事業会社については、これは非常に厳しいチェックが必要だろうけれども、郵便局会社というのはもう少し柔軟にやっていただいてもいいんではないか。同じ特殊会社でも確かに段階が違うと。そう見てみると、いろんな特殊会社がありますけれども、かなりばらばらな規制になっているわけですね。そういうことで、実は問題意識を持ったことはございます。  ただ、同じようにこれを今度、独立行政法人について当てはめられるかなということを質問通告をいただいて考えたわけでございますけれども、ニュージーランドの例はこれはもう本当にいろんなものがその中に入っているようですね。準司法的なものからかなり企業に近いものまで、それで四区分しているということでございます。独立行政法人の場合は、実はこれかなり、基本的には独立して正に自由にやっていただこうと、できるだけ柔軟にやっていただこうということで、余りその間で、何といいますか、非連続な形での段階を求めないで本当に柔軟にやっていただこうというのが本来の趣旨なのだろうなというふうに思います。  ところが、先ほどから西田委員に御指摘いただいているように、何でも柔軟にできるはずなんだけれども、今極めて横並びになっている、これも御指摘現実だと思います。柔軟にできるがゆえに、今まだ非常にトライ・アンド・エラーの段階でなかなか非常に特色のある独立行政法人が出てきていなくて、その結果、結果的に見るといろいろ横並びになっているというのが現状なんだろうと思います。  ニュージーランドの制度はニュージーランドの制度で私自身もよく勉強してみたいと思いますが、これはやはり余り非連続な形での区分、区分けをするというよりは、できるだけ柔軟にやっていただくというのが独法の本来の趣旨だと思いますので、まずはその中でいろいろ特徴を発揮していただく。数が多くて主務大臣がそれぞれいろんなものの認可を与えるようになっておりますから、それぞれの大臣の役割は大変だとは思うんですが、まずは当初のねらいに合わせて、今の滑り出しの段階でもう少しいろいろ御努力をいただくということが先決かなというふうに思っております。
  180. 西田実仁

    ○西田実仁君 それでは最後の質問ですが、統計について、総務省さんですので特に統計のことは余り決算委員会で話題になることは少ないかもしれませんが、もうこれ時間もありません、大臣にちょっと一問だけさせていただきたいと思います。統計に関してはもうお詳しいでしょうから、お聞きしたいと思います。  日本の国家の統計業務全般というのが実際どうなっているのかというのが、正直言ってなかなか見えにくいということをまず指摘したいと思います。  私も今回、各省庁別の統計予算、どうなっているのかということをいろいろとまず総務省さんにお聞きしましたが、これは各省庁で分かれていますということを言われて、各省庁にお聞きしますと、そこに人件費がどのぐらい含まれているのか、まあ決算ですので、どれだけの予算がつぎ込まれてどういう形が出たのかというのを見たくても、なかなかそれが見ることができない、そういう今実態になっております。  また一方で、よく指摘されることですが、農林水産関係はもうGDPで一%なのに、統計予算では物すごい予算の比率を取っているじゃないかと。これが是か非かというのはいろんなまた議論があると思いますが、経済の実態というところと統計業務ということが必ずしもうまくマッチしていないという、そういうこともよく指摘されるところであります。  今私が申し上げましたのは、国家におきます統計の司令塔的な機能が不十分ではないかという点と、そしてまた経済の実態と合ってないのではないかという二つ目の実態と、この二つの点を御指摘させていただきまして、これから歳出歳入一体改革とかあるいは中期的ないろんな見通しをする上で、統計というものは本当に基礎的な大事な大事な数値になりますので、これを戦略的に、また重点的に取っていくためにも、是非とも抜本的な改革というか、まず全体像がきちっと見えるということが大事だと思っておりまして、この日本の国家におきます統計業務全般について、大きなテーマで恐縮ですが、竹中大臣にお聞きしたいと思います。
  181. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 行政を行う上で又は立法を御検討いただく上で統計の存在というのは必要不可欠なものであるというふうに思います。そういう観点からすると、日本は統計先進国かそうでないのかというふうに問われると、実はなかなか答えが難しいわけでございます。  これは今、いろいろな途上国に対して日本は一生懸命いろんな指導をして非常に感謝されているという事実がございます。その意味では非常に先進的な部門がある。ところが、じゃ日本の統計全体を見ると、非常に幅広く整備されていて信頼性が高いか、ないしは、もっと言うと、例えばGDPが出てくる期間が十分短くてその速報性があるかどうかということになると、実は改善の余地がかなりあるということになろうと思います。  私の理解では、統計を作っている現場の皆さんは非常にしっかりとしてやっておられて、その意味では世界に誇れるべきものがその場限りにおいてはあると思うんですが、実は、全体として見た場合の正に委員指摘の司令塔、ヘッドクオーター機能というのが、気が付いてみると決して十分ではない。だから、全体として見るとかなり改善の余地があるというふうに思っております。その人員の配置等々についても、正に総人件費等々の関係で、農林統計の話とかも、その限りではやっぱり出てくるわけでございます。  実は、経済財政政策担当大臣をしておりますときに、諮問会議の下に、吉川議員に中心になっていただいてこの統計の改革の委員会、これは内閣府の中に今もできております。ここは正に司令塔機能、ヘッドクオーター機能をどうするかということで非常に精力的な議論もいただいているというふうに認識をしております。  我々としては、この委員会の検討にも積極的に協力をしてまいりましたけれども、全体として総合調整機能をどのように強化していくかということは、強い問題意識を持って対応してまいりたいと思っております。
  182. 西田実仁

    ○西田実仁君 終わります。
  183. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  今日私は、NHK問題について質問させていただきます。  二〇〇四年度のNHK決算を見ますと、受信料収入が六千四百十億円で、本体収入の九六%を占めています。受信料を納めた契約世帯は三千四百四十七万世帯で八〇・二%でした。正に私は、NHKは国民そして視聴者の皆さんが納める受信料で成り立っていると改めて痛感をしたんです。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕  しかし、二〇〇四年に発覚した相次ぐ不祥事で視聴者や国民の怒りを買い、受信料支払拒否が急増してきました。二〇〇五年一月に海老沢会長が辞任しましたけれども、しかし国民のNHK不信、支払拒否は拡大し、不払は約三割にも上っています。  そこで、さらに、今回また不祥事が起きました。先ほど山本順三議員もお話がございましたけれども、まず私は、この直近に起きた不祥事についてお聞きをしたいと思います。  四月十二日付けの各紙の報道によりますと、いわゆる報道局スポーツセンターのチーフプロデューサーが〇一年一月から今年四月までの五年間に二百四十二回の空出張、千七百六十二万円を着服していたと、しかも、空出張旅費を申請する際に航空券を購入して領収書をもらい、その後に転売するなど繰り返していたとあります。  このことについて、発覚したそのときから総務省はこうした件についての報告を受けていたのでしょうか。
  184. 清水英雄

    政府参考人(清水英雄君) 先生御指摘の四月十一日の二十時三十分にNHKが記者会見をしておりますが、私ども、本件につきましては、同じ日の十八時三十分ごろNHKから最初の報告を受けました。ただし、その報告では十分ではございませんので、それ以降現在も、大臣の指示を受けまして、不祥事が発生するに至った背景、原因、それからNHK内における対応の経緯等を中心に、本件不祥事に関する詳細な事実関係の把握に努めているところでございます。
  185. 小林美恵子

    小林美恵子君 報告を受けたのは、要するに記者会見をされたその日の二時間前だと、中身については聞いていないと、今聞いている最中だというお話ですね。  一点確認したいと思うんですけれども、NHKは当初内部チェックで発見したと、四月五日付けの出張伝票で上司が発見したんでしょうか、発見したと記者会見で発表しました。しかし、その後NHKニュース報道で、その内部調査は外部からの情報を基にしたものだったと発表内容を訂正しました、訂正、おわびをしました。四月二十七日付けの週刊誌を見ますと、こうしたいわゆる訂正、おわびの放送というのは正に異例のおわび放送だと書かれています。  こうした点についても総務省は経過については把握しているのでしょうか。
  186. 清水英雄

    政府参考人(清水英雄君) 先生御指摘の一部NHKにおいて経緯の一部訂正が四月十七日の十六時三十分にございましたが、その前段で、その日の午後の時点で、私ども、空出張のための経緯の一部訂正についてNHKの担当者から経緯を聴取したところでございます。
  187. 小林美恵子

    小林美恵子君 そういう経緯をお聞きになって、それでまた今も聞いている最中だという先ほどの御答弁でしたけれども、そういう事情をお聞きになって、いわゆる監督官、総務省としては今後どういうふうに対応していくのでしょうか。まず、政策統括官にお聞きします。
  188. 清水英雄

    政府参考人(清水英雄君) 本件の空出張問題につきまして、まず総務省として監督官庁としての立場がございますが、まずは不祥事についての実際の背景、原因、具体的な事実関係、これらを十分把握した上で必要な対応を考えなければいけません。したがいまして、現在の時点では、そのたびごとに説明を受けた時点の内容、あるいは不足した点について、現時点で報告を受けながら事実関係を解明するという立場で事務的には進めているところでございます。
  189. 小林美恵子

    小林美恵子君 現時点では報告を受けながら対応を進めていくという御答弁でございました。  では、私、竹中大臣にお聞きをしたいというふうに思います。  今のような御説明でございますけれども、いずれにしましても、空出張、五年間二百四十二回、一千七百万円以上も着服、大きく報道されたわけでございます。しかも、五年間もの長期にわたってNHKの内部ではだれも見抜けない。摘発もできない。視聴者から受信料をいただいて成り立っているNHKがこんな状態では、いつまでたっても視聴者の信頼を得ることはできない。ますます不信が募るばかりだと私は思います。  今回の不祥事についてのNHKの調査、また発表についての対応といいますか、この点についての大臣の見解はいかがでしょうか。
  190. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今回再び、本当に再び不祥事が発覚した、これはもう国民はまたかというふうに思っていると思います。大変強い怒りを感じておられると思います。  御指摘のとおり、視聴者の受信料で成り立っている組織なわけです。加えて、今回、その不正発覚の発端についての説明が二転三転しているということ、これももう極めて遺憾なことであると思います。この不正発覚の端緒がそもそも自らの調査によるものなのか、それとも外部の調査によってもたらされたものなのか、これはNHKのコンプライアンス活動などの、いわゆる不正の再発防止に向けた自浄作用の効果がどのぐらいあるのかということを判断する上でも、実はこの点重要なわけですね。  そうした点も含めて、先ほどから清水統括官が答弁させていただいていますように、まず事実関係を我々としてはしっかりと把握しなきゃいけないということで、私から統括官に対して、これこれこういう点も含めて詳細に報告を求めよということを依頼をしております。そして、NHKの再発防止に向けた今後の取組、原因とそして事実関係、それと今後の取組、そういったことをしっかりと今情報を把握しようとしているところでございます。  この聴取内容を十分に我々としては精査をいたします。そして、精査をした上で、総務省としてはいかなる対応が必要かということを考えてまいる所存でございます。
  191. 小林美恵子

    小林美恵子君 是非早急に対応をしていただきたいというふうに思うんです。  私、一つ大臣に確認したいと思いますが、こうした問題といいますのは、結局視聴者の受信料支払にも影響を与えていく要因になると私は思いますけど、この点、大臣も同じでしょうか。
  192. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 正に今回の不祥事は、ガバナンスの問題、そしてガバナンスの欠如がやはり視聴者の不信感を増長させているわけですね。その不信感が結果として受信料の不払につながっているというふうに私も考えます。  今回の不祥事が具体的な不払の件数にどのような影響が出てくるだろうかというのは、今後我々も注目をしなければいけないと思っていますけれども、例えばNHKから聞いたところによりますと、放送コールセンターにおいて二十日までに千七百十八件のいろんな怒りや叱責の電話があったということでございます。やっぱり視聴者の方は怒っておられるということだと思うんです。  いずれにしましても、これはNHK、徹底的な原因究明、そして再発防止策、これは組織を挙げて全力で取り組んでもらわなければならないと思っております。
  193. 小林美恵子

    小林美恵子君 今の御答弁を踏まえまして、次に私はこの間のNHKの受信料不払実態について質問させていただきます。  冒頭にも申し上げましたけれども、相次ぐ不祥事で受信料の不払が拡大をしています。昨年十一月末現在での支払拒否・保留件数を見ますと百二十八万件、昨年の九月末からいきますと一万件これ増えていますね。未契約を含めての不払総件数は一千三百六十万件に上っています。そうしたことに伴います前年度比年間減収というのは五百三十八億円にもなると、これは総務委員会でも指摘をされてきたことじゃないかと思います。  こうした実態について大臣はどのように認識されておられるでしょうか。
  194. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) NHKという組織は、やはり日本の社会の中でやっぱり非常に重く定着をしているわけです。それだけに、国民の間からは非常に強い期待がある組織だと思います。公共の福祉のために、あまねく全国において豊かで良い国内放送を行うということを特別の使命にしているわけでございます。そして、委員も冒頭で御指摘になられましたように、その基本的な財源は受信料なんだと、国民が払う受信料なんだということなわけでございます。  今委員は不払総数千三百六十万件とおっしゃいましたけれども、総契約対象は四千六百万件でありますから、正に三割が未納になっている。これはもう受信料の平等負担という観点から見ても極めて遺憾なことであるというふうに思っています。払っている人は、自分が払うのがもう、まあばかばかしいというとちょっとあれかもしれませんけれども、嫌になってくるという、そういう思いをするわけですね。これはもうそうなってくると本当に悪循環になるわけでございます。このやはり悪循環を断ち切らなければいけないということだと思います。  現在、NHKにおいては平成十八年度から二十年度NHK経営計画というのを示しておられますけれども、この中で受信料体系の改定など受信料の公平負担に向けた取組を強化するということを表明しております。これ今後ともNHKの再生、改革に向けまして組織を挙げて全力で取り組んでもらわなければいけないと思っております。
  195. 小林美恵子

    小林美恵子君 いみじくも大臣は、今年一月、NHKがいわゆる経営計画を発表されたとおっしゃいました。それのベースになるのが昨年九月のNHK新生プランだと思いますけれども、いずれにしてもその経営計画の中を見ますと、簡潔な資料も作っていただいているわけでございますけれども、その中で受信料未払の方に対して民事手続の支払督促を申立て、この四月以降実施というふうにあります。私は、民事手続による支払督促は、不祥事の大本を正すことなしに、一層視聴者の不信を増大させ、信頼関係を悪化させるものと思います。  ところが、四月十二日の日経新聞報道を見まして、私は大変驚いたことがございます。それを見ますと、「総務省は」という主語になっておりまして、「総務省は受信料収入が急減したNHKの経営再建に向け、受信料支払いを法律で義務付け、不払いに罰則を科す案を検討する。」というふうにあります。さらに、「総務省は」というふうにありまして、政府が六月にまとめる骨太方針二〇〇六年に反映させたい考え、「早ければ来年の通常国会に放送法改正案を提出する段取りを想定する。」と、こういうふうに報道されておりました。  この報道といいますのは、まずは事実なのかどうか。もし事実であるとするならば、竹中大臣の意向なのでしょうか。この点どうでしょうか。
  196. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 事実であるかどうかということに関するお答えは極めて簡単でございまして、事実ではございません。これはいろんな今まだ検討している段階でございます。総務省が何々を決めた、懇談会で何々を決めた、ないしは私がこういうふうに何か言った、そういう事実はございません。事実かどうかという御質問でございますので、これは事実ではございません。そのようなことを決めたという事実は一切ございません。
  197. 小林美恵子

    小林美恵子君 事実ではないという御答弁でございました。  では、私、四月二十日にも大臣の私的懇談会でございます通信・放送の在り方に関する懇談会が開かれているかと思います。その点につきまして、四月二十一日付けの日経新聞はこのように報道されていました。NHK改革では空出張疑惑など不祥事の再発を受け、受信料の支払義務化や罰則導入は経営統治、ガバナンス強化の成果がないと国民の理解は得られないとの意見が大勢を占めたとあります。  この懇談会には竹中大臣もいつも御出席だというふうにお聞きしておりますけれども、この日も多分出席されていたんだろうと思いますが、いわゆる今回のような不祥事もまた起こったと。そういう中で、受信料の支払義務化や罰則化の導入というのは国民の理解を得られないという大勢の意見、この大勢の意見については大臣も尊重するというお考えでしょうか。
  198. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと新聞報道等々は承知をしておりますけれども、基本的に懇談会ではいろんな立場からの議論をまだしていただいております。その中では、現実にいろんな意見があります。  御承知のように、今の法律では契約が義務付けられているわけでありますけれども支払が義務付けられているわけではございません。ましてや何の罰則もございません。これ、諸外国どうなっているかといいますと、これは罰則を設けているというところもありますし、実質的に義務付けに等しいようないろんな工夫を、様々な工夫をしているという国もたくさん見られます。  今後の方向としてどういうことが求められているかというのは、これは、その意味では幅広く議論をしていただいている、その中ではいろんな議論があるというのが現状でございます。  もう一つの点について申し上げますと、いろいろ今後議論していくに当たっても、やっぱり国民の皆さんに何かを求めると、従来とは違う何かを求めるということであるならば、やっぱりNHK自身がしっかりやっているということを見てもらわないと当然国民の皆さんには納得できないですよね、そういう意見が出されているというのは、これはもう事実でございます。  いずれにしましても、義務付けを含めて、どういうふうにするかというようなことを含めて、何かを決めたという事実ではございません。いろいろ自由に濶達に今いろんな議論を積み重ねていただいているところでございます。
  199. 小林美恵子

    小林美恵子君 大勢の意見は意見としてあったと言いつつ、幅広く議論をしていくというお話でございました。  私は、そこで改めてお聞きしたいと思うんですけれども、私、NHKの受信料を集金されている職員の皆さんからお話をお聞きしましたけれども、皆様本当に御苦労されておられます。  例えば、年収が三百万円以下の世帯にとっては受信料はやっぱり払えない。低所得の人たちの中には払いたくても払えない方がいて、罰則なくても生活が良くなれば払うんだと、こうした方々がいらっしゃるということですね。こうした方々に職員の方がやっぱりお出掛けになるという実態がある。  元々、大臣もおっしゃいました、放送法が罰則を伴わない契約義務制を採用したのは、お金も払うけれども放送サービスについても注文を付けるという相互関係の下で視聴者の参加意識を重視したものだったと私は理解をしております。  こうした中で、専門家の御意見がございますけれども、メディア総合研究所研究員の松田さんは、積極的な参加意識を持つ視聴者の中から支払停止運動が起きていることの意味をNHK経営陣は考えてみる必要があると。さらに、昨年十月の読売新聞では、今受信料制度は自覚的な支払へと転換が迫られていると、最後に問われるのは視聴者と信頼関係であり、信頼がなければ罰則を設けても公共放送は成り立たないんだと。  私、重要な指摘だと思いますけれども大臣もこうした認識こそ私は必要だと思いますが、この点、大臣いかがですか。
  200. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと今の御主張そのものを全部存じ上げているわけではございませんですけれども、いろいろ、これはサービスを受ける側がサービスを出す側に注文を付けるやり方というのは、これは大きく言えば二とおりあるわけですね。  よく、ボイスとイグジットという言い方をいたしますけれども、例えばイグジットというのは出口から出ていくという意味でございます。例えば、サービスが悪いものはもう買わないんです。サービスの悪いレストランにはもう行かないんです。そういう拒否する権限というのはあるわけです。もう一つは、良くしてくれと、ここは悪いぞということをボイスで、声を上げてちゃんと注文を付けるわけですね。  NHKのように公共的なサービスに関しては、実は通常はそのイグジットというのがなかなか働かないわけです。だから、ボイスとして視聴者の声を直接反映させるシステムが何らか必要ではないだろうかと、こういう議論は以前からずっとあるわけで、経営委員会の中にもそのような趣旨から一つの工夫は今でも凝らされている。地域の代表が入る仕組みになっているわけでございます。  今回の不払というのは、ある種その視聴者が強権を発動して、本来は難しいイグジット、それを拒否するという、出口から出ていくというその行動に出ているんだというふうに思います。もちろん、だから今のままでいいということにはやはりならない。それだけ消費者が思い詰めて思い切った行動を取っているというのは、そこにやはり解決すべき問題があるということでございますから、その問題をまずしっかりと解決してもらわなければいけないというふうに思っております。  しかし、いずれにしてもこれは公的な器です。公共放送です。その公共放送が皆さんの実質的な負担金によって成り立っていかないと国民全員に対して良質の放送のサービスができないわけでありますので、そのシステム全体がうまくいくにはどのようにしたらいいかという観点から、これは懇談会でもいろんな議論を重ねていきたいと思います。  繰り返しになりますけれども、NHKには今の制度の中でこれはもう最善を尽くしていただきたい。同時に、我々としてはその制度そのものに見直していくべき点があるかどうかということを懇談会で今議論をしてもらっているところでございます。
  201. 小林美恵子

    小林美恵子君 終わります。
  202. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  まず、IT調達について総務省にお尋ねをしたいと思います。  中央省庁のレガシーシステムについては決算委員会で度々議論もし、決議も上げ、そして刷新可能性調査も行われて、その結果、予算の四分の一、約九百五十億円が削減できるという、こういう見通しになったというふうに報告をされています。  ITゼネコンと称される一部の巨大業者が、システムの構築、機器の納入から運用まで一貫して請け負って役所に過大なシステムを押し付ける、中には解約を認めない不当な契約で役所を縛るなどという例もあって、行政のIT化を食い物にしていることも昨年来の審議で明らかになってまいりました。公共財産としての行政ITをどう守るか、ITゼネコン任せの無駄な投資にならぬように厳しいチェックが必要であります。  総務省自身も電子自治体というスローガンでIT投資のしりたたきをやってきたわけですけれども、住民基本台帳ネットワークがほとんど利用されないなど、過大な投資や負担をしょわせてきた、こういうこともございます。自治体のIT調達は約六千億円、大変でかいんですね。同様な無駄、ITゼネコンへの過剰な支出があることが総務省の昨年十二月の調査でも分かったと思うんですが、この概要について簡潔にひとつ紹介をしてください。
  203. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 御指摘いただきました調査でございますが、各市町村において現在運用されている業務システムの導入及び維持に要する経費等を把握するために実施したものでございまして、代表的な二十八の業務システムについて調査いたしたところでございます。この調査で、市町村の人口規模別の構築費用でありますとか、人口一人当たりの額が示されているところでございます。  市町村におきましては、調査結果を活用して、例えば人口や産業構造が類似した他の市町村と経費を比較検証いたしまして、他団体に問い合わせを行うことなどによりまして、自団体のシステムの規模やサポート体制が適正かどうかを分析することや、共同化、標準化の手法などシステムの適正化に資する他団体の取組状況を把握することが可能となるものであります。  総務省では、この調査をきっかけといたしまして、各市町村間におきます情報共有やコミュニケーションが促進され、各団体の共同化、標準化等の取組が一層推進されることを期待しているところでございます。
  204. 又市征治

    ○又市征治君 高部局長から御説明ございましたが、どうもこの結果について総務省として何もコメントを付けていないわけですね。ただ単にデータ集計をされておるということで、他の専門雑誌などが逆にこの調査を使って分析をしているのが流されている、こういう状況があります。  ちょっとこの中身見ますと、市町村の基本と言える財務会計システムの初期構築で、経費ゼロの市町村から一億円払った市町村もある。何でゼロと一億円も違うのか、こういう問題が起こってきます。調査をやられても、究極的には住民に使われなけりゃ何も意味がないわけであります。  そこで大臣にお伺いをいたしますが、自治体がITゼネコンから過大なシステム構築費や高額の運用手数料を押し付けられないようにどのようにアドバイスをしていくかが今問われているんだと思います。国の各省で対策を共有したわけですから、そういう意味では自治体に対しても積極的に情報提供をすべきだと思うんです。各省庁のやつはこんな分厚いマニュアルを作られたわけでありますけれども、自治体はやっぱりもっと丁寧に助言、指導をむしろする中で、六千億円というこんなことが使われているわけですから、類団比較とかというのはやられていますけど、これじゃ具体的に相談に乗った、あるいはこれを減らす助言をしたことにならないと思う。この点について、大臣、どういう方向でやるおつもりか、お伺いしたいと思います。
  205. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 結論として、積極的な我々が持っている助言の機能をやはり活用しなければいけないと思っております。これはもう地方団体においてもしっかりと効率化を図っていただかなければいけません。  我々としましては、そうした点で申し上げますと、地方自治体システムに関する主要三事業というのが重要であろうというふうに思っています。  まず第一は、いわゆる共同アウトソーシングの推進でございます。複数の自治体が共同してシステム運用を実施するということ、これは平成十五年から一応やっておりますけれども、そういうことを更に進める必要があると思っております。そして二番目には、エンタープライズ・アーキテクチャーというふうに申しておりますけれども、組織全体を通じた業務の最適化を図る設計手法の活用でございます。これも平成十七年度から実施をしております。三番目にデータの標準化でございます。  こういった事業を推進するということが我々としての一つの立場でございますけれども、更に地方自治体と共同しながら、いろんな形での協議の場などを通じて国が進めている最適化計画の成果についても情報交換を行いながら実施をするということを今後も続けていきたいと思っております。  また、経費等の調査結果、今御紹介いただきましたけれども、そうした分析などを積極的に行いまして、地方公共団体に対し必要な助言や支援を是非行ってまいりたいと思っております。まあ助言に関しては、時々助言に対して大きなお世話だとおっしゃる自治体もあるわけでございますけれども、こういう必要なことはやはりしっかりとやっていきたいと思っております。
  206. 又市征治

    ○又市征治君 いずれにいたしましても、交付税ども、もちろんこれ出しているわけでありますから、そういう点でしっかりとこの無駄なものはやっぱり省く、こういう点はしっかりとアドバイスしてほしいと、こう思います。  私は、国はやった、自治体が六千億、次出てくるのは独立行政法人ですよ、ここのところで約三千億、レガシーシステムなどのこういう問題であるのは。ここらのところもやっぱりしっかり目配り気配りしていく必要があるんだろうと、このように思います。  次に、公共調達の適正化の問題について官房長官にお伺いをしたいと思います。  昨年は道路公団の官製談合、今年は防衛施設庁の相次ぐ官製談合、防衛施設庁もずらずら続いているんですね、これ、前から。こういうことが後を絶たないために、政府は二月に公共調達の適正化方針を出されて調査をされたということであります。  今回、衆議院の要求で提出された五百万円以上の契約五か年分を見ますと、国交省の例だけで挙げてみましても、一年分につき約八十ページ、千五百件ぐらいあるわけでありますから、全省庁のをちょっと見せてもらいましたけれども、段ボール箱二つぐらいあるんですね。莫大な量の公共調達あるんですが、国会と国民の前にこれが一応出されたことは評価をしてもいいと思います。  しかし、件名、相手方、つまり契約相手ですね、それから金額、契約の種別が羅列されているだけで、名寄せもされなければ焦点となった随意契約の理由も書かれてない、みんな各省庁ばらばらのものが出されている、こういう状況なわけです。  そこで官房長官にお伺いするんですが、今後何らかの集計、分析報告というのは当然出されますよね。
  207. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) お尋ねの資料は、衆議院の行政改革特別委員会におきまして資料要求がありまして、先日、十八日、各府省から行政改革事務局を通じまして提出をいたしたものでありますが、充実した審議のためには早急な資料提出が必要不可欠との理事会の御指示によりまして、極めて短い期間に各府省が可能な範囲で提出をいたしたものであります。提出された資料の集計につきましては、ある程度時間をいただければ、各府省に協力をさせ、適切に対応をさせることとしたいと、こう考えております。  なお、政府としては、現在各府省において随意契約の緊急点検、見直しを行っており、その結果については六月を目途に関係省庁連絡会議に報告をし、公表することといたしております。各府省は、自ら締結した随意契約について、その内容について十分分析、検討の上、見直しを行っているものと、こう考えております。  いずれにいたしましても、各府省は国民に対してしっかりと説明責任を果たすよう努力をしていかなければいけないと、こう考えております。
  208. 又市征治

    ○又市征治君 いずれにいたしましても、官房長官の責任でまとめていただくということでありまして、先ほど来からも出ていまして、竹中さんからもこれについては六月までにというお話がございました。委員長からもこれらの資料をしっかり出していただくようにということは要望ありました。  問題は、出させてみたら、さっき申し上げたように、相手方と名寄せができたり、契約者ごとにずっと並べ替えができたり、それからやっぱり電子データで公表してもらわにゃ困るんですよね。我々自身がそういう意味では分析をしたりなんかすることができなきゃ意味は成さないということがあるわけでありまして、落札率であるとか、あるいは随契の理由だとか再委託の有無など、やっぱり世論が求めるデータの書換えがそれぞれちゃんとできるようにこれはお出しをいただきたいというふうに求めておきたいと思います。  ちなみに、そこで官房長官、これは通告していませんが、今度の行革推進法の中などでこうした、行革を言うならば初歩の初歩ですよね、これ。こうした言ってみれば随意契約がべらぼうに多い、こういう問題などについてはどこかに、この見直しなどというところは法案の中でどこか入っているんでしょうか。あったらちょっと御紹介いただきたいと思うんですが。
  209. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) 突然の御質問でございますので、法案をもう一度よく精査をしてみる必要があるわけでありますが、基本的には一般競争入札でというのが基本的な方向であると、つまり特別な理由がない場合は一般競争入札であるということでございますが、法案にちょっとどういう対応をしてあるかということにつきましては後ほどお答えをさせていただきたいと思います。
  210. 又市征治

    ○又市征治君 多分入っていないと思ってお聞きしたんですが、そういう点では、これだけ問題になっているわけですから、これだけ論議しているときに、私はできたらこの種の問題もむしろ修正をして入れるぐらいのこんな決意を持ってもらいたいと思うんですが、その点は御相談いただけますか。
  211. 安倍晋三

    国務大臣(安倍晋三君) いずれにいたしましても、今日はちょっと行革担当大臣も来ておりませんので、よく、その法律をよくもう一度精査をさしていただきたいと思います。
  212. 又市征治

    ○又市征治君 ちょっと通告外のことを申し上げて官房長官もお困りでしたし、恐縮でしたが、随意契約が非常に多いということで十八日に出されたものをNHKが独自に集計をした結果、二〇〇四年度、我々が今ここで論議をする二〇〇四年度決算の分ですけれども、環境省で九二%、国土交通省で九〇%、金融庁が八四%、内閣府と経済産業省がそれぞれ八二%で、これがワーストファイブだと、こういうふうに報道されているわけです。  そこで、幾つかの府省だけ急いで二〇〇四年度分の集計をお願いをしたんですが、まず内閣府ですけれども、入札と随契の比率、相手方が会社か公益法人か、落札率又は随契の理由はどのようなものか、随契のうち二月の会議で精査を指示された再委託の案件はなかったかなどの集計結果、これについて簡単に御説明をいただきたいと思います。
  213. 山本信一郎

    政府参考人山本信一郎君) お答えいたします。  内閣府が平成十六年度に発注しました五百万円以上の契約、全部で六百四十四件、三百三十五億ございます。うち随意契約五百二十七件、二百七十億円、比率は件数で八二%となっております。この随意契約の中にはいわゆる企画競争というものなどでやっているものもございまして、これを除きますと比率は七三%ということになるわけでございます。  随意契約の相手先でございますが、独立行政法人が十二件、それから所管いたします公益法人が九十七件、その他民間企業等が四百十八件ということになっておるところでございます。  随契の理由は、これはもうケースによって様々でございますけれども、一、二申し上げますと、例えば食品添加物のリスク評価に関する調査研究など専門性が必要なもの、あるいは景気ウオッチャー調査など、これまでの成果を基に複数年度にわたるようなもの、あるいは全国交通安全母の会などへの事業推進といったようなふさわしい団体に委託するようなもの、こういったものがございます。  以上でございます。
  214. 又市征治

    ○又市征治君 続いて国土交通省に伺いますが、おたくは余りにも多過ぎますから、一億円以上の超大型案件八十三件について是非紹介してほしいということで要請をいたしましたが、その点の御回答をいただきたいと思います。
  215. 春田謙

    政府参考人(春田謙君) 今お尋ねいただきました一億円以上の本省の発注契約の件数でございますが、平成十六年度で全体で百十六件でございました。そのうち随意契約の占める割合は八十三件、七一・五%になります。  契約の相手先につきましては、民間企業が五十六件、それから公益法人が十七件、特殊法人等が十件でございます。  随意契約の理由の大半は、会計法の第二十九条の三第四項のうちの「契約の性質又は目的が競争を許さない場合、」ということになります。  例えばどういうものかと申しますと、例えば地価の調査、地価調査というものを実施しておりますけれども、非常に専門的な内容を含む体制的な能力、そういったものが、専門的なものが必要だということでこういった契約をしているというような例がございます。また、航空機の、航空の中でも飛行検査機の部品を購入するというケースがございますが、日本におけるいわゆる取り扱っている事業者が一社に限られるというようなことで購入をしているケースがございます。  また、「競争に付することが不利と認められる場合」というのが会計法でございますが、これに当たるというようなものとしては、例えば航空路のレーダー情報処理システムの中央装置の性能向上というようなときに、実際にそのプログラムを最初に設計をいたしましたところに頼むということが、契約上、他の業者にいわゆる契約をする場合に不利であるということで随意契約を結んでいるという例がございます。
  216. 又市征治

    ○又市征治君 時間がなくなってきましたから、経済産業省もお聞きするつもりだったんですが、これ二〇〇四年度の分で経産省でいえば、私の方で勝手に言いますが、百七十一件の中で随契が百四十件、八一・八%、こういうことだろうと思うんですね。  どうもさっきからお話聞いていると、政治家が言われることと官僚の皆さんがおっしゃることはもう全然食い違うような雰囲気なんですね。政治家の皆さんはこれは何とか見直さにゃいかぬと、こうおっしゃっておる、大臣はお二人とも。官僚の皆さんは、随意契約をやっているのはこういう理由でこういう理由でこういう理由で、理由がいかにも正当であるように主張なさっている。  少なくとも、これは一般競争入札が原則なんでしょう。随契が八割も九割もあるというのは全くこの原則が踏みにじられているということの表れじゃありませんか。このことを、確かにそれは会計法の二十九条の三の四項だとか五項だとか、あるいは対政府調達の対象になる場合とかというのはありますよ。しかし、これがみんなそうですか。まるででたらめじゃないか。だから、あなた方は現実になぜ随契にしたかという理由は出していないじゃないですか、十八日の報告に。こういうむちゃな話というのは私はないと思う。  そこで、一体全体これをどういうふうに直していくのか。以上、三つの府省の大変に比率の高いところの随契分、十六年度分だけ申し上げさせていただいたわけですが、この随契の基準を厳しく見直すというだけではなくて、原則である一般競争入札に戻すべきだろうと思うんですね。だから、そこで今、行革の全く初歩中の初歩の問題ですから、さっき官房長官にも、それならば、そんなことを是非この今の議論の中に修正をするなり何か加えるなり入れてもらいたいと、こう申し上げたわけです。  そこで、一体全体、こうした見直しをやっていこうということについてあるわけですけれども、これを各府省にどういうふうに徹底をされていこうとしているのか、これはもう具体的には財務省がおやりになるんだろうと思いますが、是非、これは私の同郷の、同じ学校卒業の野上政務官からひとつお答えをいただきたいと思います。
  217. 野上浩太郎

    大臣政務官野上浩太郎君) 同郷の高校の先輩からの御指名でございますので、心して答えさせていただきたいと思いますが、今、又市先生から御指摘のとおり、随意契約の透明性、効率性を確保することは極めて重要なことであると認識をいたしております。  先日、二月二十四日には、これは内閣官房副長官補を議長といたします公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議におきまして公共調達の適正化に向けた取組が取りまとめられたところでございますが、その中では、これは随意契約の緊急点検、見直しによりまして不適切な採択が行われている随意契約を排除をすると。また、各省庁のホームページにおける随意契約の公表内容を充実させるなどの措置を講じることとされているところでありまして、こうした措置をしっかりと実行して、公共調達の透明化、適正化に政府を挙げて全力で取り組んでいく必要があると考えております。  さらには、四月十一日の閣僚懇談会において総理から、随意契約の見直しについて各大臣自らがしっかりと取り組んでもらいたいとの御指示があったことを踏まえまして、これは財務大臣からも関係閣僚に対しまして、公共調達において随意契約は真にやむを得ないものに限るべき点について、各大臣が自ら、自らです、事務方を指導し、厳正な点検を行うようお願いをしたところであります。  今後においても、各省庁における随意契約の見直しが十分に行われるように適切に対応してまいりたいというふうに思っております。
  218. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  219. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 他に御発言もないようですから、皇室費内閣内閣府本府、総務省公営企業金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時八分散会