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2006-04-10 第164回国会 参議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月十日(月曜日)    午後一時二十分開会     ─────────────    委員異動  四月五日     辞任         補欠選任         白  眞勲君     加藤 敏幸君      仁比 聡平君     小林美恵子君      大田 昌秀君     又市 征治君  四月七日     辞任         補欠選任         尾立 源幸君     家西  悟君  四月十日     辞任         補欠選任         藤末 健三君     白  眞勲君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中島 眞人君     理 事                 小池 正勝君                 武見 敬三君                 直嶋 正行君                 松井 孝治君                 山下 栄一君     委 員                 荒井 正吾君                 田浦  直君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 西銘順志郎君                 野村 哲郎君                 森元 恒雄君                 山内 俊夫君                 山本 順三君                 家西  悟君                 加藤 敏幸君                 神本美恵子君                 佐藤 雄平君                 谷  博之君                 那谷屋正義君                 白  眞勲君                 簗瀬  進君                 和田ひろ子君                 高野 博師君                 西田 実仁君                 小林美恵子君                 又市 征治君    国務大臣        文部科学大臣   小坂 憲次君        厚生労働大臣   川崎 二郎君        国務大臣        (内閣府特命担        当大臣少子化        ・男女共同参画        ))       猪口 邦子君    副大臣        厚生労働大臣  赤松 正雄君    大臣政務官        財務大臣政務官  野上浩太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        桐山 正敏君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       松井 房樹君        内閣府政策統括        官        林  幹雄君        内閣男女共同        参画局長     名取はにわ君        文部科学大臣官        房長       玉井日出夫君        文部科学省初等        中等教育局長   銭谷 眞美君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        素川 富司君        文化庁次長    加茂川幸夫君        厚生労働大臣官        房総括審議官   恒川 謙司君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省健康        局長       中島 正治君        厚生労働省医薬        食品局長     福井 和夫君        厚生労働省職業        安定局長     鈴木 直和君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       北井久美子君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中谷比呂樹君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        社会保険庁運営        部長       青柳 親房君        経済産業大臣官        房審議官     西川 泰藏君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   千坂 正志君        会計検査院事務        総局第四局長   帆刈 信一君        会計検査院事務        総局第五局長   増田 峯明君    参考人        独立行政法人雇        用・能力開発機        構理事長     岡田 明久君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十六年度一般会計歳入歳出決算平成十六  年度特別会計歳入歳出決算平成十六年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十六年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十六年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十六年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)  (文部科学省及び厚生労働省の部)     ─────────────
  2. 中島眞人

    委員長中島眞人君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五日、白眞勲君、仁比聡平君及び大田昌秀君が委員辞任され、その補欠として加藤敏幸君、小林美恵子君及び又市征治君が選任されました。  また、去る七日、尾立源幸君が委員辞任され、その補欠として家西悟君が選任されました。  また、本日、藤末健三君が委員辞任され、その補欠として白眞勲君が選任されました。     ─────────────
  3. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 平成十六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、文部科学省及び厚生労働省決算について審査を行います。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 西島英利

    西島英利君 自由民主党の西島でございます。  本日は、まず、富山県の射水市民病院で起きました、連日報道されております事件について御質問をさせていただきたいと思います。  本来、これは決算委員会とは全く違った方向質問になるかもしれません。しかし、先日の厚生労働委員会でも、私は福島県の産婦人科医師事件の問題を質問させていただきました。このときには、医師法二十一条が、ずっと解釈等々を先送りしてきた結果ではないかというお話をさせていただきました。今回のこの事件延命治療中止という非常に重大な問題でございますが、これもやはり国としての考え方が示されないまま来たところで今回のトラブルになっているのではないかというふうに思っております。  そういう意味では、まさしく医療に関する問題の総決算という形での質問とさせていただきたいというふうに思います。  まず、今回の事件でございますが、御存じのように、富山県の射水市民病院で男性の外科医師入院患者人工呼吸器を外して患者さんが死亡したという事件でございました。本当に連日これはマスコミで報道されております。最初報道のされ方から少しニュアンスが違ってきたのかなというふうには思うんでございますが、よくよくこの内容を見たりそれから聞いたりしてみますと、この言葉、使われている言葉にかなり混乱が起きているのではないかなというふうに感じるところでもございます。  そういう意味で、まずこの言葉整理をしていただくという意味で、特に尊厳死延命治療ということについて国として何らかのお考えがあればそれをお教えいただきたいというふうに思います。
  5. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 安楽死尊厳死等につきましては公的な定義があるわけではございませんけれども、一般的に用いられている意味といたしましては、例えば医学用語を解説した辞典等によりますれば、安楽死とは身体的、精神的苦痛の激しい患者さんを安楽に死なせることを示しており、三つの場合に分けられて考えられております。  一つは、積極的安楽死として、苦痛軽減のために医師が作為的に行う場合、それから二つ目に、間接的安楽死として、苦痛緩和処置生命短縮の副作用を伴う場合、三つ目として、消極的安楽死として、積極的処置をとらず、言わば不作為の安楽死とされまして、延命治療中止人間尊厳重視につながる場合は尊厳死というふうに考えられるとされております。  なお、延命治療についての御質問もございましたけれども、これについても決まった定義はございませんが、例えば人工呼吸器あるいは特別な栄養法といったようなものが延命治療内容として取り上げられる場合が多いかと存じております。
  6. 西島英利

    西島英利君 我々臨床に携わっている者からしますと、尊厳死というのは、自分植物人間的な状態になったときにもう積極的な治療は必要ないという、そういう考え方を前もって示しておくというのから尊厳死ということを言われてきたんだろうというふうに思いますし、安楽死は、まだ意識のある間に、このような苦しみはもう味わいたくない、だからできれば早く楽にさせてくれというようなところが中心になって、本人意思に基づいての医師の措置という形になっていくのかなというふうに思うんですが。ただ、この安楽死の場合は、日本でもしこれを医師がやりますと、これは殺人罪ということで、法的に認めておられないわけでございますね。これ、非常にやっぱりなかなか難しい問題でもあろうかというふうに思います。  しかし、今回の問題は、これは延命治療中止というところで起きた事件だろうというふうに思うんですが、この延命治療の中で問題になるのは人工呼吸器の問題であろうというふうに思っています。  最初は、患者さんが来られますと、そのほとんどが救命のために人工呼吸器装着されるわけでございますけれども、そしてこの人工呼吸器装着したおかげで心臓とか肺呼吸が停止していた状態から改善した方々というのは、これはもう数多くいらっしゃるわけでございます。しかし、その回復見込みがなくて意識のない状態人工呼吸器を付け続ければ、これは心肺機能は停止をしないわけでございます。つまり、機械的に生かされているという、この状態がずっと続いていくということでございます。  もちろん、これはよく団体の方からも要望受けるんでございますが、筋萎縮性側索硬化症という自然と筋力が低下をしていって自分呼吸ができなくなってしまうというような方々もいらっしゃいますけれども、これは進行していけば当然機械に頼らざるを得ないわけでございますけれども、しかしこれは当然必要であるから、これは人工呼吸器としてはやっぱり装着をずっと続けていかにゃいけないわけでございます。  しかし、今回のこの富山県の射水市民病院事件のように、回復見込みがなく、そして意識のない状態人工呼吸器を付け続けた場合、これに限って質問をさせていただきたいというふうに思います。  今回の問題は、昭和四十年前後だと思いますけれども、人工呼吸器開発をされたときからずっと先延ばしをされてきた問題だというふうに私は考えております。この機械そのものが非常に高いわけですね。高価でございますし、よって数も多くない時代が当時はございました。しかし、一度装着しますと、数少ない機械ですから、それずっと続けていかにゃいけない、心肺機能が停止しないわけですから。そういう状況の中で、次から次にその人工呼吸器を必要とする患者さんが入院をしてこられるわけでございます。しかし、幾ら来られても、数限りのある人工呼吸器でございますから、それを簡単に外して新しく来た患者さんにそれを装着するということができないわけでございまして、この人工呼吸器を外さない限り、救命可能性のある人には装着をできないということでございます。  私も実は大牟田労災病院というところに勤務をしておりまして、その当時は、この人工呼吸器二台しかございませんでした。連日のように脳卒中の患者さんが入院をされてきまして、この方に人工呼吸器を付けると何とか救命できるんだがなと思いながらも、一方ではもう付けているわけでございますから、どうしてもそれを簡単に外すわけにいかないということで、非常に医師としても残念な思いをした経験がございます。  ここに、昭和四十七年の一月三日の毎日新聞に「「植物人間の生と死」 いつ、だれが、見切るのか」という記事が出ております。日本で第一号の集中治療室を作られた順天堂大学の病院、この佐藤光男教授という方が、この記事の中でこのように述べていらっしゃいます。限られたベッド、これ十三ベッドしかございませんけれども、この限られたベッドにどの患者を入れるか、蘇生術をどこで打ち切るか、一切私の判断に任されています。各科の医師に任せれば、どうしてもそれぞれのエゴイズムが絡むからです。私は、だれよりも中立無私判断を下せる立場に置かれているんですがと。つまり、突き詰めて考えれば、どの命に救いの手を差し伸べ、どの命を見限るかと、常にぎりぎりの判断を迫られているわけだと。最新のICUをつくったばかりに背負ったこれは苦痛である、苦悩であるということが書かれてあります。いかに手を尽くしても死を免れない患者、例えばがん末期のような患者さんはもう初めからこの集中治療室には入れないんだというところまで割り切っておられるということでございます。そして、この方は、七年間ずっとこの集中治療室でかかわられて、今でも解決しないということを実はこの新聞の中で述べられているわけでございます。  また、東京慈恵会医科大学、ここも集中治療室を当時つくられたわけでございますが、このときには、一人の医師判断させるべきではないということで、昭和四十四年にICU委員会というのをつくられました。そこで、この人工呼吸器を取り外すかどうか、延命治療中止するかどうかというのはこの委員会判断をするということをお考えになってつくられたわけでございます。  今急がなければならないという問題は、今回、厚労省から高齢者医療制度の創設が提案をされているわけでございます。特に、後期高齢者医療制度、これは、積極的な延命治療は行わずに、みとりの医療にするということがどうも今までの議論中心だったように私自身は思っているわけでございます。そういう考え方の中でこの高齢者医療制度というのが提案をされているように私自身考えているわけでございます。  そういう中で、今全国で実はこういう問題起きているんですね。みんな医師は悩んでいるわけでございます。しかし、これは、じゃ法的にどうなのかといいますと、これは法律整備をして解決する問題ではない。ですから、今申し上げたような、じゃチームで判断をし、当然これは家族の御希望も入れた中でやっぱり判断していく、そのような仕組みというのが私自身は必要だろうというふうに思っております。是非、国の考え方を、ガイドライン的なものでも結構ですから、やはり早急にお出しをしていただきたいなというふうに思っております。  実はここに、日本医師会平成四年の三月に、日本医師会生命倫理懇談会というところから「「末期医療に臨む医師の在り方」についての報告」書というのが出ております。平成四年でございます。この中にも「延命生命の質について」と非常に詳しく載っておりまして、この中で、これは二年間議論をして出された報告書でございますが、この中の委員のメンバーは、元の東大の学長をされておりました加藤一郎先生中心にして、哲学者とか経済家方々とか、様々な方々で実は一つ報告書を出されているわけでございます。  そういう意味では、議論のほとんどというのは私はし尽くされてきたのではないかなというふうに思っております。そういう意味で、国からの指針というのを早急に示していただけないだろうかというふうに私自身は思っているところでございます。  また、これは私、現場でずっとやっていて、希望のない延命家族方々の精神的な疲労というのも大変なものなんですね。それで、それがずっと続きますと、家族内での実は様々なトラブルに発展してしまったということを何回も私自身は体験をいたしました。  ですから、そういう意味で、是非早急に、これだけ大きな問題になったわけでございますから、国としての何らかの考えをお示しをいただけないだろうかという質問で、大臣、できましたらコメントいただければと思います。
  7. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先日は、厚生労働委員会西島委員から異常死の問題を取り上げて御質問いただきました。  今お話ありましたように、医師法の問題と仕組みの問題、少し、今モデル事業でやっておりますけれども、スピードアップをさせていただきたいとお話をさせていただきました。今回の尊厳死安楽死の問題につきましても、過去から様々な議論がありながら、少しスピード感がないのかなと、このように私思っております。一方で、国が一つ方向性を示さないことによって医療現場混乱をする、こうした問題にもなってきたと思っております。  先ほど局長から、積極的安楽死間接的安楽死消極的安楽死三つに分けてお話をさせていただきました。この三つをまとめて議論をいたしてまいりますと、国民の中に様々な議論があり、結論に至らないことになってしまうかもしれない。また、議員連盟皆さん方もいろんな議論があるように思います。したがって、三番目の消極的安楽死、すなわち回復見込みのない末期状態患者に対する治療行為中止、この問題に絞って早く結論を出したいということで今お願いをいたしました。  今、法律よりガイドラインの方がいいぞというお話ございました。ただ、有識者で懇談をしていただいておりますので、法律にすべきか、やはりガイドラインでやるべきかという問題も併せて、できるだけ早く結論を出してほしい、そして国がやはり方向を示すべきだろうと、こう考えております。  委員の御議論をいただきました一つは、医師独り判断では行わない、委員会なり医療機関全体としてこの判断に当たる。それから、今回はいろんな報道の中でも言った言わないというような表現もあったように思いますので、やはり文書等での本人若しくは家族意思の確認、こういった問題も踏まえてしっかりとした結論を早く出して、一方で、やはりこういう問題でございますから、国民の意見も聞かなければならないだろうと。その手順を、従いながらできるだけ早く進めたいと思いますので、また委員にもいろいろ御指導賜りますようお願い申し上げます。
  8. 西島英利

    西島英利君 ありがとうございました。今本当に現場が大きな混乱を起こそうとしているところでございますので、できる限り速やかに何らかの方針をお示しいただければと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。  それでは、本来の決算の方の質問に移らせていただきたいというふうに思います。  まず、医療分野IT化に向けた基盤整備についてでございます。  私は、昨年の六月七日に行われました決算委員会締めくくり総括審議で、医療IT化に向けた標準化、それからメーカーが違うと機能しない互換性の問題、セキュリティー問題等環境整備がまだまだ整っていないという質問をさせていただきました。特に、メーカー協力が得られていないということを質問いたしましたところ、当時の尾辻厚生労働大臣も、今後の普及のためには産業界の更なる取組を期待しているということでございまして、暗にやはりメーカー協力が得られないということを実はここで答弁をされたわけでございます。  また、今回の診療報酬改定で、レセプトオンライン請求条件にしたIT加算が新設をされました。さらには、このレセプトオンライン請求は、二〇一一年までには全医療機関に義務付けるというかなり踏み込んだ内容改定であるというふうに私自身考えております。  義務付けの環境整備、これはできているのかどうかということでございますが、義務付けるということはやはり環境整備がきちんとできた段階でないかなというふうに思っているんでございますけれども、昨年の六月の質問以降、この標準化、それから互換性セキュリティー等々について、この進捗状況をお教えいただきたいと思います。
  9. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 医療分野情報化推進に向けまして、厚生労働省経済産業省とも役割分担をしながら協力関係を築いてやってきたところでございます。  メーカー等を所管しております経済産業省におかれましては、情報技術開発標準化相互運用性に係る実証事業厚生労働省協力の下に担当してやっていただいておりますし、一方、厚生労働省では、確立された情報技術を活用した診療情報連携推進セキュリティー基盤確保に向けまして、経済産業省協力の下で取り組んでいるところでございます。両省連携によって得られました成果を踏まえまして、取組を進める上では、更に安全な診療情報連携のためのセキュリティー技術開発、応用、それから更なる標準化推進、システムの相互運用性確保などにつきまして、引き続き、産業界への働き掛けなど、両省の緊密な連携の下に医療分野の適切な情報化推進を積極的に推進していく所存でございます。  年ごとに、この分野につきましては技術の方も変わっていきますけれども、その基盤についてもそのように変えていかなければならないと思っておりまして、更に進めていきたいと思っております。
  10. 西島英利

    西島英利君 実際に四月一日からIT加算が付いたんですね。しかも、それはレセプトオンライン請求条件になっているわけですよ。そのときに、環境基盤がまだこれからだというのは、ちょっと少し問題があるんじゃないかなというふうに私自身考えているんですね。ですから、これはやはり速やかに進めていかなきゃいけない話だろうと思います。これはまた後ほど別のことで御質問をさしていただきたいと思うんですが。  それに伴いまして、地方公費制度御存じだと思いますけれども、医療費の負担の問題で、例えば無料になる等々がそれぞれの地方によって決められているわけでございますけども、これが、オンライン化に伴う対応というのがどこまで進んでいるんでしょうか。それをできましたらお教えいただきたい。
  11. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) お答えいたします。  地方自治体独自の医療費助成事業に関する医療機関からの費用の請求についてのお尋ねだと思いますけれども、現段階では紙及び一部電子媒体で行われている、こんな状況でございます。  もう少し詳しく申し上げますと、国民健康保険におきましては、既にレセプト電子的手法請求されている場合には地方単独事業請求電子的手法によって行われているものでございまして、言ってみますとオンライン化まであと一歩というところまで来てございます。一方、被用者保険の扱いの部分でございますけれども、これにつきましては、この四月診療分以降、一部の県で電子的手法による地単事業請求は可能となる、こんな予定でございます。  この地方単独事業電子化オンライン化推進するためには、この事務を委託する各地方自治体におきまして電子的な形での受入れ体制を整えるという必要がございますので、国としてもこうした体制準備について指導してまいりたいと、このように考えてございます。
  12. 西島英利

    西島英利君 私、何回も先ほどから申し上げていますけれども、四月からオンラインの要するに加算が付いた、そういう中で、この地方公費制度そのものは問題ないんですよ。要は、この記載データ形式標準化がなされていないがゆえに、要するにばらばらなんですね。ですから、一部の県ではこれはできるようになったということですが、全国的に見たらこれはほとんど進んでないに等しいわけで、実際にオンラインでできる医療機関も紙ベースで出さざるを得ないというような状況がまだ続いている。これは間違いないことだというふうに思うんですが、是非これも速やかに進めていただいて、これはまさしく前から言われてきた問題でもございまして、これに関しましては厚労省が強いやっぱり指導力を発揮していただかないとなかなか進まない問題であろうというふうに思っております。  次に、今回の医療情報、これは国民の健康情報が主なわけでございますけれども、特にレセプトには様々な情報が入っているんですね。病名、検査名、薬名、この情報だけでその個人の健康状態はこれ容易に推測できるわけでございます。つまり、まさしく健康情報が満載になっていると。これがレセプトでございます。特に遺伝子情報、これはその患者さん個人の問題じゃなくて、家族、家系全体に実はかかわる情報でございます。もしこれが漏れるということになりますと、新たな差別を生み出す状態もこれは起きてくる非常に大変な問題であろうというふうに思っております。  ただ、今回のこのIT加算に関しましては、韓国が非常にもう進んでいるんだというところで、日本でもやれるはずだということも一方では私はあったのかなということを自民党の部会の中でもいろいろ情報聞きながら感じていたところでございますが、韓国が一気に進んできたという中で、最近韓国がトラブルがあったということでございますけれども、このことについてお教えいただければと思います。
  13. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 韓国の状況そのものにつきまして詳細には承知してございませんけれども、インターネットを使う情報のやり取りにおきまして、例えば行政自治部の電子文書の偽造が行われたとか、あるいは裁判所のシステム、登記のシステムでプログラムにエラーがあって、これを悪用することで電子文書の偽変造がなされたと、こんなようなことが言われておりまして、トラブルの原因といたしましては、インターネットを使用していたということと、それから公文書の電子文書ファイルがパソコン上で修正可能な状態であったというような、こういったことが原因であったというふうに言われております。
  14. 西島英利

    西島英利君 たしか内閣府も来ていただいていると思うんですが、できましたらその件についてお教えいただければと思います。
  15. 松井房樹

    政府参考人松井房樹君) 内閣情報セキュリティセンターでございます。  先ほど御説明ありましたように、韓国でのいわゆる電子政府システムでの情報セキュリティー上の脆弱性がありまして、その結果としてサービスを一時期停止せざるを得ないような状況が起きたということは私どもも聞いておるところでございます。  このように、政府機関のシステムだけでなくて、情報通信あるいは電力などのいわゆる重要インフラ分野におきますこういう情報セキュリティー上の問題というのは、発生いたしましたら国民生活や経済社会活動に重大な影響を及ぼすおそれがありますので、委員御指摘のように、私どもとしましても、この重要インフラ分野の情報セキュリティー対策の推進というのは大変重要であるというふうに考えているところでございます。
  16. 西島英利

    西島英利君 この韓国のレセプトオンライン請求については、もう十年近い実は歴史があるわけでございます。この中で、二〇〇四年の十月に韓国の政府保健福祉部診療情報標準開発研究領域事業というところで保健産業振興院によるセキュリティーの検討が始まったと、これ二〇〇四年からスタートしたんですね。つまり、セキュリティーに問題があるということを韓国が認識をしてきたということでございます。  私は、先ほどから何回も申し上げていますように、この国民の健康情報、これは絶対漏らしてはならない情報だというふうに思いますので、これ以上私は申し上げませんが、是非これも速やかにこの辺りの検討といいますか開発をやっていただいて、そして医療機関から安心してレセプトオンライン請求できるような、そういう環境整備をつくっていただきたいというふうに思っております。もしこれができなければ、二〇一一年からの義務付けというのは非常に早く見直しをしていかにゃいけないだろうというふうに思いますので、是非その辺り、何かございますか、どうぞ。
  17. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) レセプトオンライン請求に伴うセキュリティーの問題でございますけれども、先ほどの韓国の事例ということも踏まえまして、当面インターネットは用いないということで対処したいと思っております。つまり、一対一のダイヤル方式の回線、ISDN回線又はネットワークが利用者のみに閉ざされたIP—VPN回線、これを用いる予定でございまして、これによって外部からの不正アクセスを遮断できると、このように考えてございます。その上で、さらに通信中のデータにつきまして暗号化し、さらに送信者につきましては、審査支払機関で管理しております医療機関情報との突合によって真正性を確認するということを考えてございまして、通信過程で第三者が介入するといった懸念はないようにしてございます。
  18. 西島英利

    西島英利君 こういうふうにする予定ですけれども、もう実際にこれスタートするんですよということですから、医療機関が今実は混乱を起こし始めているんだということで私は今日質問させていただいているんです。是非、安心できる情報を早く医療機関に提供していただくようにお願いを申し上げたいというふうに思います。  それでは、次に移りますけれども、これは経済産業省事業でございますが、平成十六年度医療情報システムにおける相互運用性実証事業ということを行われております。これに関してはもう結果が、一つの結果が出ているだろうというふうに思いますけれども、経産省の方、おいででしょうか。──この結果について、何か課題があればお教えいただきたいと思います。
  19. 西川泰藏

    政府参考人(西川泰藏君) お答え申し上げます。  平成十六年度におきましては、一般的な病院システムで用いられます基本的なデータを対象にいたしまして、システム間の情報交換を可能とするためのデータフォーマット及びそのデータの交換規約の標準化、こういったことを実施いたしました。  御質問のその課題ということでございますが、一つは、ユーザーの意向がこういった標準の策定に反映されるようなユーザー、ベンダー間の円滑な意思疎通が必要だということが一つ。それから二つ目には、医療施設の中のシステム全体にわたる一貫したセキュリティー確保が必要、こういった課題が挙げられたところでございます。  それに対しまして、私どもでは、そのユーザー、ベンダー間の意思疎通の円滑化の点につきましては、医療機関とベンダーによりまして構成されます普及懇談会、この懇談会の開催を通じまして標準化作業に反映いたしております。また、二点目のセキュリティー確保につきましては、複数のシステムを安全に運用するための共通基盤整備の中で対応しておるところでございます。
  20. 西島英利

    西島英利君 私もこの報告書を読ませていただきました。これでございますね。(資料提示)  この報告書内容を読みますと、今まで指摘されてきたこと、こういうところに問題あるんじゃないかと、こういうふうにしなきゃいけないんじゃないか、そういうことがだっと書かれているんですよ。つまり、それ以上の進歩がまだこの中ではないんですね。ですから、まずは課題がここに出てきたというふうに私自身はこれを読ませていただいて、受け止めております。  さらには、この評価委員会というのが討議をされまして評価をされております。そうしますと、強力なインセンティブかトップダウンの力が働かないと標準化相互運用性の普及が進まないのではないかと。医療機関にとってのインセンティブがないので、国が覚悟して強力なトップダウンをやり、かなりの金を投資しなければならないと思うと。導入する側だけではなく、売る側の方にも何かインセンティブを与えるのはどうかと。標準仕様適合性評価認定のための組織体制及び認定の在り方など検討すべきである、こういうふうに、実は今まで言われてきた問題点、全部ここに実は書き込んであるわけでございます。  まさしく、経産省は経産省としてメーカーをしっかりと指導していただいて、そして厚労省連携しながらやはりその課題について早急に進めていただけませんと、これは前から言われてきた問題、しかも平成十五年だったと思いますが、やはり経産省から出されました報告書でも似たようなことが実は書き込まれていたということでございますので、是非、これも速やかに御対応をお願いを申し上げたいというふうに思います。  それでは、次の質問に移らせていただきます。  独立行政法人国立病院機構の平成十六年度の決算についてでございます。  国立病院が独立行政法人になったわけでございますが、このときにいろいろと議論された一つに、政策医療とは何なのかということがございました。これについて簡単にお教えいただければと思います。
  21. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 政策医療でございますが、政策医療とは、独立行政法人国立病院機構法における国立病院機構の第三条に目的規定がございますが、その中にございます、国民の健康に重大な影響のある疾病に関する医療その他の医療であって、国の医療政策として国立病院機構が担うべきものであるというふうに定義されているところでございます。
  22. 西島英利

    西島英利君 実は私は、この独立行政法人、独法化に向けての検討会の委員もしておりました。毎回毎回、政策医療とは何かということが議論になりました。つまり、これだけのお金を投入して、これだけの赤字があって、本当にそれで意味があるのかどうかというのが実は議論になったように私は思ってます。で、今の政策医療についての考え方もしっかりとしたものではないわけでございまして、当時の結論は、今ある病院が要するに病院として存続するための付け足しみたいな、理屈付けとしての政策医療考え方があったように思っています。しかし、小泉総理が小さな政府ということを言われる以上は、やはりこれについてもきちんとした検討をしていかなければいけないだろうというふうに思います。後ほどまたこれについては御質問さしていただきたいというふうに思いますけれども。  そして今回、この国立病院機構、平成十六年度事業概要説明資料に、国の時代も含め初めて借入額が返済額を大幅に下回ることになり、固定負債を減らす方向に転換したというふうにこれ評価をされております。  それで、少し御質問をさしていただきたいんですが、損益計算書にあります運営費交付金の平成十六年度の金額とその内訳をお教えください。──アバウトで結構でございますから。
  23. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 平成十六年度の国立病院機構運営費交付金の収益の状況でございますけれども、診療事業につきましては三十五億一千六百五十七万六千円となってございます。それから教育研修事業では三千万余、それから臨床研究事業で三十億四千五百万余ということでございます。そして、財政基盤安定化ということで四百四十九億五千百万余ということでございまして、合計で、収益額でございますが、五百十五億四千三百四十三万四千円となっているところでございます。
  24. 西島英利

    西島英利君 この運営費交付金、このかなりの部分は実は退職金の問題なんですね。そうしますと、実は病院経営にとって一番大きいのはこの退職金をどうするのか、それから人件費の問題でございます。  この医業収益に占める今回の機構の人件費比率、これを見てみますと六二・一%ですね。医療法人、つまり民間病院は、これは去年の六月に行われました医療経済実態調査によりますと、五二・一%でございます。つまり一〇%も高い、国立病院機構が。しかも、この人件費をいかに抑えるかということを民間病院は必死になって考えているわけですが、これも同様に看護職の平均給与を見てみますと、医療法人は月平均三十七万二千円、国立病院は四十五万八千円、つまり十万近い、高いのが独法でございます。  これから先、この経営考えていく上において人件費率というのは非常に重要だというふうに思うんですが、今回は、退職金に関しましては、これはこの運営交付金の中に入っているわけですね。つまり、国からちゃんと補てんしますよということなんですが、これからの経営ということを考えた場合に、このような高い人件費、つまり高い人件費はイコール退職金も高いということになるわけでございますから、こういう形で本当に経営としてやられていくのかどうか、これはやっぱり見直しをしていく必要性があるのかなというふうに思っております。  さらには身分が、これ国家公務員になっておられるわけですね。当時私もなぜ国家公務員になるのかという質問をして、大体聞いてはいるんですが、なぜこの独法の国立病院機構については国家公務員なのか、もしお分かりになったら、分からなければ結構でございますけど、お教えいただきたいと思います。
  25. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) まず、人件費の件でございますけれども、経営上、おっしゃるとおり、病院の経営では人件費の部分という非常に大きい部分がございまして、それが経営を左右するということでございますので、国立病院機構といたしましても相当の努力をしている最中ということでございます。  国時代の年功序列になっていた俸給体系を民間に近づけるべく独自に給与を定めまして、役職の付いていない一般職の給与水準につきましては、民間の給与水準との乖離を見定めた上で、国との均衡を考慮してフラット化をしているところでございます。まだ経過措置期間中でございますけれども、これが完成いたしますと、民間と同水準程度になるものと聞いておるところでございます。  なお、退職手当の関係でございますが、これにつきましては、現在、退職手当分を運営費交付金で払っているわけではございませんで、平成十六年三月までの国の時代の部分につきましては、これは当然のことでございますけれども国の方で負担をしているということでございまして、独立行政法人になった後のものにつきましては当然独立行政法人の中の会計でやっているというところでございます。  なぜ公務員かということにつきましては、これは相当議論があったところでございますけれども、国立病院の今まで果たしてきた役割、それから今後果たしていく役割ということをかんがみて、その時点で公務員としてやっていくことが最も適当という結論を得たものでございます。もちろんこれはその都度その都度見直しをしていくということで、今また別の議論が出ているということも承知してございます。
  26. 西島英利

    西島英利君 退職金の問題ですけれども、要は、今例えば医療法人の会計基準をどうするのかという議論があっていて、これなかなか進まないんです。その中の大きな問題は、退職引当金をどうするのかという問題なんですよ。これ入れちゃうと医療法人赤字になっちゃうんです。つまり、退職金の問題はそれぐらい大きいわけで、今までの問題はそれで構いませんが、これから先入ってこられる方々の当然退職金の積み立てしていかなきゃいけないわけでしょう。ですから、これは非常に重要な問題ですよということを私は申し上げたわけでございます。  さらにもう一つ、国立病院の医業利益別構成比、これを見てみますと、つまりこれはどういうことかといいますと、赤字の病院か黒字の病院かということで見てみますと、病院別で病床利用率が八〇%未満の病院が百四十九病院中四十三病院ある。そして、八〇%未満の病院では六割以上が医業利益が赤字だと。八〇%以上の病床利用率の病院は赤字は四割弱。まあ四割弱ですから、まあまあ何とかやっていけるのかなというところなんですが、この病床利用率が低いというところに、私先ほど申し上げたように、政策医療的な意味があって存続しているのかどうかと。これはやはり早急に検討していく必要性があるのではないかなというふうに思っているんですね。  ですから、今後、今何年までこの統廃合計画お作りになっているか分かりませんが、これから先、やっぱりそういうところをきちんと整理をしていかないと、独法としての将来というのは私は非常に暗いもんじゃないかなというふうに思っています。ですから、何らかの統廃合計画、将来計画、お作りになったのかどうか、これ是非お教えいただきたい。  なぜかといいますと、赤字になったときにはどうしても税金からの投入ということが出てまいります。そのときに説明責任がきちんと果たせるのかどうかということがございますので、是非お教えいただきたいと思います。
  27. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 御指摘のとおり、病床利用率が低いところが赤字が多いというのは、ある意味では当然でございますけれども、そういう状況になってございます。  ただし、平成十六年度の全体の赤字の病院は八十三か所でございましたけれども、十七年度の見込みでは七十六か所程度に減少するというふうに聞いてございます。これは、独立行政法人になりまして、従来の言わば親方日の丸的な意識が改革され始めて、その結果として合理化、効率化が着実に結果として現れてきつつあるということじゃないかと見ておるところでございます。  国立病院機構は、十六年に移行いたしまして三年目でございます。移行に当たりまして中期目標を掲げてやっておるところでございますので、まずは現在の中期目標に沿った取組を進めるということが重要であると考えてございます。  なお、御質問の統廃合計画が今あるかということでございますけれども、今の五か年の計画の中では入っておりませんけれども、いずれにしても、今後の在り方につきましては、独立行政法人通則法に沿いながら、必要に応じて検討を行っていくことになると考えております。
  28. 西島英利

    西島英利君 経営というのは単年度黒字赤字で考えるんじゃないんですよ、長期的に見てどうなのかと考えなきゃいけませんので、今回、あえてこの独法の国立病院機構が出された事業報告を見て私は実は質問をさせていただいているんですね。是非そういう観点でお考えをいただければというふうに思います。  次に移らせていただきます。  厚生保険特別会計貸借対照表について見てみますと、ここで、負債の項目で、一兆四千八百億の累積債務がございます。これいろいろ調べさせていただきましたらば、一九七三年度までの医療保険の累積赤字と、これは政管健保でございますかね、一九八四年に廃止されました旧日雇保険事業の累積赤字に係る借入金というふうに聞いております。これは一般会計の負担において返済されることになっていますけれども、いまだこれは実現されてない。そのままずっとこの負債は毎年毎年同じ負債が付いていて、利子だけはこれは一般会計からどうも負担をされているようでございます。  私は今この問題をどうして質問するのかといいますと、政府平成二十年に政管健保を公法人化することで今回提案をされております。そうしますと、これは来年の問題、平成十九年度までにこの一兆四千億というお金を処理しなきゃいけないわけですね。これに対してどういうお考えをお持ちになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  29. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) ただいま政府管掌健康保険の累積債務についてお尋ねがございました。  この累積債務については、保険料の収入によらずに一般会計からの繰入れで償還するということで、いわゆる棚上げ措置という形で現在取り扱われているものでございます。  お尋ねの中にもございましたが、本来であれば一般会計の方からこれは返済するということでございますが、一般会計が厳しい財政状況にある中で、一般会計からの繰入れは現在までのところ実現するに至っておりません。したがいまして、このため、財政融資資金、かつての資金運用部資金でございますが、ここから借入れを行って充てておるということでございまして、この借入金に関しては、元本が膨らまないようにということで、その利子の全額を一般会計から繰り入れて補てんしているという仕組みでございます。これを、健康保険法、現在国会に提出をさせていただいておりますが、その改正法案で予定されておる全国健康保険協会ができた暁にはどのような取扱いになるのかという御懸念でございました。  この全国健康保険協会が政府管掌健康保険の資産や負債を継承するということにされておるわけでございますが、その具体的内容については政令でその中身を定めることとされております。公法人でありますこの全国健康保険協会がこれらの累積債務を承継するということは私ども想定もしておりませんし、また保険料で償還するということも考えておりません。  いずれにいたしましても、これらの累積債務の取扱いにつきましては、今後、財政当局とよく協議をしながら詰めてまいりたいというふうに考えております。
  30. 西島英利

    西島英利君 この問題は非常に大きな問題であると同時に、処理をするんであれば、これはもう来年、平成十九年度に処理しなければならない問題でもあろうかというふうに思います。これについてもやっぱり早急な御検討をしていただければというふうに思います。  それからもう一つでございますが、ちょっと細かいことを、あとちょっとしかお時間ございませんけれども、させていただきます。  この業務勘定の業務取扱費というところでこの貸借対照を見てみますと、通信専用料、これが平成十六年度決算は百五十一億、電子計算機等借料、これが三十四億でございました。平成十五年度を見てみますと、やはり似たような決算等々でございます。平成十七年、十八年はやや下がってまた上がったというような数字が出ているわけでございますが、これ、昨年の決算委員会でも社保庁の問題で、例えば随意契約でこういう大きな問題、高額な金額になったのではないかというふうな僕は質疑応答があったように思うんですけれども、それ以降、平成十七年、十八年とこれはそのまま随意契約が続いているのかどうか、それから、もしそうでなければどのような検討の中でこういう金額が出てきたのか。それだけをちょっとお教えいただければというふうに思います。
  31. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) ただいまのお尋ねのありました件は、いわゆる社会保険のオンラインシステムに係る経費についてのお尋ねということでございます。  このオンラインシステムを維持するための通信専用料というものにつきましては、昨年の決算委員会でも御審議をいただきましたけれども、いわゆるデータ通信サービス契約という契約に基づく仕組みになっております。これは、システム開発等の経費を言わば平準化して負担するために一種の延べ払いのやり方で負担をするという仕組みになっておるわけでございますが、そういう仕組みを取っておるがために、一つには、お尋ねにもございましたが、契約が非常に何か不透明ではないかという御指摘がございました。また、延べ払いでございますので、それが払い終わるまでは言わばシステムに手を付けることができませんので、いわゆる随意契約を更新せざるを得ないというような問題がございます。また、そういう仕組みになっていることがこのシステムの維持を非常に割高なものにしておるのではないかと、こういう問題点が指摘されているところでございます。  このシステムを見直すためには、最終的にはこれらの言わば延べ払い分を全部返済をいたしまして、新たなシステムを構築してオープン化をし、最も最適なシステムに切り替えていくと、こういう手続が必要になってくるわけでございまして、私ども現在、これにつきましてはいわゆるレガシーシステムの見直しというテーマの中で、平成十八年度から二十二年度までの五年間で新システムに切り替えるという形の対応をさせていただいております。  しかしながら、それまでの間、では手をつかねて何もしないのかという御懸念があろうかと思いますが、私ども、その点につきましては、まず毎年のシステムの更新等に必要な調達に当たりまして、特にそのソフトウエアあるいはハードウエアの調達に関しては、いわゆるシステム検証委員会というものを庁内に設けまして、これは専門知識を持つ民間スタッフの方にも参画をいただきまして、それぞれのシステムの必要性あるいは妥当性といったものについて個々に検証を行い、開発後においてもその実績等をきちんと確認して、言わば開発単価を含めたコスト全般について精査を行うという取組を既にさせていただいております。  最終的には、先ほど申し上げました最適化計画の完成を待たなければ御懸念の問題点は全面的には解決をいたしませんけれども、それまでの間も、ただいま申し上げましたシステム検証委員会等を十分に活用いたしまして、適切な運営に努めてまいりたいと考えております。
  32. 西島英利

    西島英利君 これは結果的には国民が負担する話にもなるわけでございまして、国民皆保険制度というのを維持するためにも、こういうことについてきちんとした透明化、そして説明責任が果たされて国民が納得できるような、そういうシステムづくりに是非努力をしていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いをいたします。  では、質問を終わります。
  33. 田浦直

    ○田浦直君 私も、今の西島委員と同じように、社会保障に関係して厚労省にお尋ねをしたいと思っております。  初めは年金ですね。年金といってもいろいろあるわけですが、一元化ということに絞ってお尋ねをいたします。  一元化といっても、これもまた共済年金の一元化、あるいは全国民の年金の一元化と、これは政党間でいろいろ論議をされて、この辺で何かこう止まっているような感じがこれまでしておったわけですけれども、厚労省では今、被用者年金の一元化ということで作業を進められると聞いております。私は、それは非常に具体的に進んだわけですから評価をしたいと思っておるわけです。しかし、この被用者年金の一元化といっても、厚生年金あるいは共済年金、共済年金の中の公務員の年金あるいは私学年金、いろいろあって、保険料率だけ取ってもまちまちだろうと思うんですよね。こういったものをどのように今検討をされて一元化を目指しておられるのか、まずここから質問をさせていただきたいと思います。
  34. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) お答えいたします。  現在、各共済年金の厚生年金と同じ一、二階部分の保険料率、これが厚生年金に比べて低くなっているというようなこともありまして、今御質問にありましたような保険料の問題も、この被用者年金一元化において中核的な課題とされております。この一元化に当たりましては、制度の安定化、公平化を図るために、また国民の信頼を確保するために、すべての被用者が同一の報酬であれば同一の保険料を負担して同一の給付を受ける、こういうことにすることが重要であるという観点で検討を進めております。  現在、政府・与党協議会というものが組織されております。その中で、政府サイドといたしまして、二月九日に、保険料率につきましても、具体的な共済年金の保険料率の引上げ幅及び統一時期をどうするかについて、加入者や事業主の負担増が急激なものにならないように配慮しつつ、できる限り速やかに厚生年金の水準に統一するという方向で検討する旨が打ち出されております。現在、具体的な保険料率の統一スケジュールにつきまして、御指摘のように公務員の共済の場合、私学の共済の場合、そして厚生年金、こう対比いたしまして、四つの案を軸に鋭意検討を進めているところでございます。  もう少し詳細に申し上げることをお許しいただければ、四つの案と申しますのは、国共済、地共済の保険料率が統一される平成二十一年の翌年、平成二十二年に直ちに厚生年金に統一するという考え方一つ。  もう一つは、厚生年金の保険料率が去る平成十六年年金改正によりまして平成二十九年に上限料率の一八・三%に達することから、その平成二十九年というところを軸といたしまして、公務員共済の場合は均等に割っていきますと毎年〇・五六三%ずつ引き上げる、また、私学は同じ上げ幅でいうと平成三十四年に厚生年金と合わせる、こういう厚生年金の上限料率の達成年度ということを軸とした考え方も出されております。  また他方、同じく平成二十二年以降でございますが、二つに分かれる案がございまして、厚生年金は毎年〇・三五四%ずつ上げているということがありますので、その引上げ幅を共有するという観点から案の三と案の四というのが分かれてございます。  一方におきまして、公務員の給付面での厚生年金との違いということで職域部分というのがございますが、そこを平成二十二年以降廃止するということも検討がされておるものでございますから、そうしたいわゆる三階部分までに予定されていた率も厚生年金と共通の一、二階分の保険料率として、その率から厚生年金と同じく〇・三五四%ずつ引き上げていく。こういう考え方でまいりますと、平成三十年に公務員共済は厚生年金に同じ保険料率となる。この上げ幅でございますと、スタート台が低いものですから私学の場合は平成三十九年になる、こんな考え方一つ。  それから、平成二十二年以降、同じ〇・三五四%ずつと申しましても、これまでの一、二階分として予定されていた率に一度下げて、そこから〇・三五四%ずつ上げていくという考え方、こんな考え方も案の四として示されておりまして、平成三十四年、私学は平成四十一年に厚生年金に合わせる。こうした、少々技術的でございますが、四つの大きな考え方に沿って、具体的にはどういう上げ方にしていくのか、現在、政府及び与党内部で精力的に調整を進めているところでございますが、この四月の連休始まる前には、政府として、政府・与党協議会の議を経て、新しい閣議決定を基本方針として決定できますように調整を急ぎたいと、こういうふうに考えております。
  35. 田浦直

    ○田浦直君 今、保険料につきましては四つの案を出して、その中でどれがいいのかということを検討されている、四月までにはその中からどれかを選んで、それで決めるということで進められているというお考えだと私はお聞きしました。まあそれはそれでいいことではないかなと。やっぱり早く具体的な案を決めなければ、ずるずる論議だけやって進まないということがありますから、是非きちんと決めていただきたいと思うんですね。  一つは、今、保険料の問題もそうですが、今度はその受給額ですね、これもまた厚生年金、共済年金、それぞれまた違うわけですね。これもやはり、一元化するわけですから、できるだけ一つの案に持っていかぬといかぬというふうに思うんですよ。例えば、共済年金だと職域加算だとか遺族に対する転給とかですね、そういういろんな独特の制度があるわけですよね。それをまた厚生あるいは私学というものと合わせるということになると、ここもいろいろ難しい問題があるんじゃないかなというふうに思うんですが、これについては、制度間の違いですね、今度は、それについてはどういうふうに検討をされているのか、お尋ねをしたいと思います。
  36. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 共済年金制度と厚生年金制度の制度的な差異というところで、とりわけ今給付面につきましてお尋ねがございました。  御指摘ありましたような職域部分、先ほども少し述べましたが、これは過去の様々な経緯で共済年金制度にあるわけでございますが、去る三月二十九日の政府・与党協議会における、政府における検討状況ということでお示しした中では、基本方針として、公的年金としての職域部分、すなわち強制適用で後世代に賦課方式の形を取っている職域部分、これは廃止するというふうに方向を打ち出して議論をしていただいております。  また、共済年金と厚生年金の主な制度的な差異の例としてよく言われますのは、遺族年金の転給制度というものがございます。共済年金の場合、先順位の者が失権した場合、次順位の者に支給されるということでございまして、残された奥様が受給していたのがおじい様に替わってしまうとか、そういうようなことも制度的にあり得る。恩給制度的な要素をまだ持っておるわけでございます、その転給制度というものでございますが、厚生年金の場合は先順位の者があれば次順位以下の者には支給されないというルールになっておりますので、こういうものを含めまして、基本的に、経過措置的に残っている差異は別といたしまして、共済年金制度の仕組みは厚生年金の仕組みに極力合わせていく、こういうことを中心に詳細な検討を進めているというところでございます。  そのほか、給付面以外にも、積立金の問題等々、様々共済年金制度と厚生年金制度での差異がございますので、基本的には厚生年金制度というものを見て、そちらに合わせていくということを基本にやっていく必要があると。  ただ、共済制度、御承知のように医療や福祉と一緒にやっているという独特の側面もございますので、そうした部分についての配慮をどうしていくかという点についても併せて整理をしていくということにしております。
  37. 田浦直

    ○田浦直君 受給額にしても保険料にしても、それぞれ制度ででこぼこがあるわけですから時間が掛かるだろうと思うんですね。今、さっきの四案でいうと、一番長いのでいえば平成四十一年ぐらいまで掛かる、あと二十三年ぐらいは掛からないと完全に一本化はできないというふうな状況になっているんじゃないかなと思うんですが、そのでこぼこを有しながら一本化していくというのが今の作業の状況かなと私は理解をしたわけですね。  仮にそれがうまくいったと、どの案でいくか分からないけれども、仮にうまくいったと。もう一つ問題があるのは国民年金ですよね。これは、今の被用者年金の場合は、いずれもサラリーマン対象ですからそれなりに似通った面が多かったんですが、国民年金と厚生年金ということになると全然違うわけですね。これもやっぱり一本化するという方向で取り組んでおられるのかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
  38. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) いわゆる公的年金制度の一元化につきましては、昭和五十九年に基礎年金を国民年金それから被用者年金の一階共通部分として確立、導入さしていただいたこと、あるいは、その後平成九年に基礎年金番号というものを打つようになった実務的な一元化、こういったこともありまして、昭和五十九年以来、国民年金を含めた公的年金の制度の一元化というものはどういう姿かということを様々に御議論をいただき、また展望しながら今日に至っておると思っております。  十六年制度改正におきましても、将来に向けた公的年金の一元化というものを展望しながら当面の諸課題に対応していく、こういう方向をいただいたのではないかというふうに理解をしておりますが、こうした公的年金制度の一元化につきましては、まずは、おっしゃられるように給与所得者でございます被用者年金の一元化を進めるべきであるという方針の下に、現在、先ほど来申し上げました作業を急いでいるところでございます。  国民年金の問題につきましては、二年前の国会での御議論にもありましたように、一人一人の方が定額の保険料を納めていただく仕組みになっており、職場でまとめて源泉徴収していただくことができない国民年金、ここの収納率の改善の問題、あるいは非正規のパートタイマーの方々の年金制度の加入の問題、あるいは女性と年金の議論にありますような、女性の様々な立場における年金の適用の問題等々も絡みまして様々に御議論いただいてきたところでございますが、既に給付面あるいは実務運用面において基礎年金制度というものが確立し、今日運用されておりますが、それ以上に、更にサラリーマンと共通の所得比例年金を構成することによって、サラリーマンも含めた公的年金制度の一元化を図っていくべきではないかという御議論があることはよく承知しておるところでございます。  その場合に、様々な態様の方々国民年金に加入されておられるとはいえ、本来的にその中核となってこられた自営業の方々につきまして正確な所得の把握をどうするのか、サラリーマンの保険の場合にはいわゆる諸控除をする前の給与に保険料を賦課させていただいておりますが、自営業の方々に必要経費の取扱いを認めないなどというような扱いをできるのかできないのか、あるいは、サラリーマンの事業主負担は付いておりますが、自営業の方々の場合その分も負担するという大原則で臨むことができるのか、こうしたこと、様々解決をしていかなきゃならない大きな課題があると認識しております。  いずれにしても、被用者年金の一元化をまずは実現しつつ、今後とも引き続き年金制度に対する国民の信頼が確保されるよう、私どもとして長期的な視野に立って改革を更に進めてまいりたいと考えておるところです。
  39. 田浦直

    ○田浦直君 今説明があったように、自営業が主ですから、所得の把握が非常に難しいということで、その対応をどうするか、これが一番議論になっているわけですね。  大原則は、年金でいえば、同じ給料であれば同じ年金がもらえる、同じ所得であれば同じ年金がもらえる、これが国民年金、国民の統一した年金ということに、理想的なものですが、是非そこまで到達するようにやっていただきたいというふうに思っております。  次は、障害者自立支援法についてお尋ねをしたいと思うんです。  これは四月一日から実施されておるわけですね。これはしかし、利用者からいっても、法人の方、経営している方からいっても非常に厳しい状況に入っている。利用者も、これは利用者の負担というのがこれまでに比べると随分増えてきているわけですから。それと同時に、今度は施設の方も収入、報酬が減っている。そうすると、この障害者に対する支援サービスというのが本当にこれまでのようにうまくいけるのかどうか、それは是非考えていただきたい。これは、障害者も施設の経営者も、両方とも非常に心配をしているということですね。  その中で、減免制度がありますよね、低所得者に対して。その減免制度、社会福祉法人減免制度というんですか、これは適用すると負担は減る。負担は減るんだけれども、その減った分を法人が半分はかぶらぬといかぬ。これはどう考えても国の施策としては私はおかしいんじゃないかなと思うんですね。国が低所得者の障害者に対してそういう制度を設けるということであれば、それは全額当然国が負担すべきことであって、それを半分は法人が持ちなさいというのはちょっと私は理解できないんですね。是非公費で全額負担していただきたいと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
  40. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 御答弁申し上げます。  今般の障害者自立支援法におきましては、一割の定率の負担を原則としていただくことになりますけれども、やはり利用者負担の軽減、きめ細かい措置を講じる必要があるという国会の御論議を踏まえまして、格段の措置をしております。  すなわち、介護保険制度と同様に月額の負担上限の設定や初期負担の軽減措置といたしまして補足給付を設けることとしております。加えまして、障害者の方々は、障害基礎年金のみで生活している方や資産が少ない方、こういう方々がおられることを考慮いたしまして、更なる負担軽減措置として、ただいま御質問ございました社会福祉法人減免制度というものを設けているところでございます。  この制度につきましては、社会福祉法人は他の法人と異なりまして低所得者が福祉サービスを利用できるようにすることを目的とする公共性の高い法人であると、こういう制度上位置付けられているものでございますので、社会福祉法人が自ら負担することで利用者負担を減免することをお願いをいたしまして、そのうちの一部について公費により助成を行おうという仕組みを導入したところでございます。  お尋ねの公費負担でございますけれども、少なくとも減免額の二分の一を対象とした上で、減免の対象者が多い事業所、これらに配慮いたしまして、利用者負担総額の五%を超える部分は四分の三まで助成対象としているところでございまして、当該制度を実施する事業所の負担軽減、これを図っているところでございますので、関係方面の御理解と御協力を是非いただきたいと考えております。
  41. 田浦直

    ○田浦直君 どうも私が納得いかないのは、国が制度をつくって、しかもその減免措置をつくったと。しかし、その負担は半分しか持ちませんよというのでは、これはちょっと理屈に合わないんじゃないかなと思うんですね。これはもう一度ひとつ考え直していただいて、公費で負担するように検討をしていただきたいというふうに思います。  それからもう一つ、今度は入所の場合ですね、最近は入所者も高齢者が増えて、外泊することもある、入院することもある、いろんなことが起こってくるんですよね。大体百床ぐらいの施設であれば、五、六名ぐらいは大体いつも外泊するか入院するか、そういう状況だと思うんですね。  その空いているベッドのこれまで保障としては、大体普通の入所している場合の八〇%ぐらいを三か月を限度に報酬として認めておったわけですよね。ところが、今度の改正では、それはまあ八〇%というのがどのくらいになるか、三千円かそこいらに落ち込んで、率でいうと五〇%を割るぐらいになっている。しかも、それは六日間だけだということになっているんですね。  これは、入所者は、これはほかの施設の入所者と違って、大体必ず入院しても外泊しても戻ってくるんですよ。だから三か月間ベッドを空けておったわけですよね。でも、今からは六日間しか見ませんと、それも定額でしか見ませんとなると、これは施設側からいえば、もう空けておく理由はないんですよね。そうすると、今度、障害者は非常に路頭に迷うというか、どうすればいいのかという問題があると思うんですね。  私は、何でそういうふうに急激に変えたのか、八〇%の三か月というのと三千円ぐらいですかの六日間、余りにも違いがあり過ぎるんじゃないかと思うんですね。この辺はどういう理由でこういうふうに変えられたのか、説明をしていただきたいと思います。
  42. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 従来、日々の利用状況にかかわらず毎月一定額の報酬を保障するという月払方式ということでお支払がなされてきたところでございます。  ただ、今般の障害者自立支援法におきましては、サービス量に応じて利用者の方に御負担いただくということにしました関係上、利用していない日につきましても利用料といたしまして一定額をいただくということはやはりいかがなものかということから、日々の利用実績に応じた報酬を支払うという日払方式に改めたところでございます。  ただ、一方で、施設からサービスが適切に、また安定をした形で提供されていくということも重要でございますので、施設に対しましては二つの意味での配慮をさせていただいたところでございます。  一つは、日払による報酬単価の設定に当たりまして、従前の月払による報酬水準を勘案しつつ、委員がおっしゃいました利用者の入院の実情、実績等々の実態を踏まえまして単価自体の設定をしたところでございます。  また第二に、利用者が入院や外泊した場合に、サービス提供の継続性を担保する観点から、介護保険制度など他制度との整合性も踏まえまして、一か月に六日を限度に、居室を確保するための費用としまして、施設の定員規模に応じまして、委員御指摘のような、十人以上六十人以下の施設であれば三百二十単位、これは一日についてでございます、三千円とおっしゃった、こういうような額を給付することとしたわけでございます。  こういった様々な配慮を行っておりますので、施設の運営に必要な経費、これについては賄えるのではないかというふうに考えておりますので、関係方面の御理解と御協力をいただきたいと思っております。
  43. 田浦直

    ○田浦直君 今の説明は非常に分かりにくいですね。私が施設の経営者であっても、ああそうかと納得するというわけにはいかないですよね。もう少し分かりやすいような制度をつくらないと、こんな訳の分からないような、理解し難いような制度で、じゃそれでやってくださいって言われても、これは経営する人ももう本当に不安だし、障害者もその利用者もどうすればいいのか、これ路頭に迷うわけですよ。  その辺は私は、これ仮に知的障害者でいえば、何かもう少し、介護全体のことで考えておられるのかもしれぬけれども、それぞれの特色があるんですよね、知的障害者、精神障害者、それで考えて配慮しなければ。もうみんな一緒にやるという考えですから、それでは私は、今までやってこられた経営者、あるいは、そしてそれを受けておった利用者、何か不安でしようがないという気持ちになると思うんですよね。もう是非この辺もやっぱりもう一遍検討してもらいたいなと思っているんです。もう実際に四月からやってきた段階で、もう非常に不安な声が上がっているという感じですよね。是非、再考慮をお願いしたいと思います。  それから、今度はそれを知的障害者にこうちょっと絞ってやりますと、介護と同じように区分をする。じゃ、判定の方法も介護と同じような判定基準を作る。利用して、それに幾らか判定項目を加えて判定をするということになっているようですよね。そうしますと、今の介護保険の介護というのは主として身体ですね、痴呆の問題もありますが、身体の機能によって区分が重くなるんですね。でも、知的障害者の場合は、それでやられると、もう非常に区分からいうと軽くなる感じがするんですね。やっぱり介護の認定方法をこれに利用するということ自体が無理があるんじゃないか。私はそう思うんですね。だから、そうすると、今話したように、知的障害者の場合は今まで認定されておったのよりも区分的にいうと低いランクの介護しか受けられないということになりかねないですね。  私は、どうしてこの介護保険の判定基準をこれに使うのか、その辺が不思議でならない。知的障害者をやるならそれなりにその判定基準を作ればいいじゃないですか。全然違うわけですから、ものが。ものがというか、人がですね。その辺をひとつ、どういうふうにしてその介護保険の判定基準を応用しようと考えられたのか、その辺をひとつ説明をしてください。
  44. 中島眞人

    委員長中島眞人君) その前に、中谷部長、こういう施設関係者との話合いとかそういう経過があったのかどうか、その辺も田浦直君に付加質問で答弁してやってください。
  45. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) まず、委員長の御下問にお答えを申し上げます。  施設関係者とのでございますけれども、この論議につきましては、社会保障制度審議会の障害者部会、ここで論議をしていただいておりまして、そこの中では当然施設関係者の方が入ってございます。また、非公式の打合せ、協議の中でも御相談をしながら進めてまいった、こういう状況でございます。また、先ほど来御質問委員からございます事項につきましても、こういう中での論議があり、また審議会での意見を踏まえましてパブリックコメントもお願いをいたしましてここに至っておると、こういう経過がございます。  これを申し上げた上で委員の御質問にお答えしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  46. 田浦直

    ○田浦直君 はい。
  47. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) それでは、お答えを申し上げます。  お尋ねは、障害程度区分につきまして、知的障害者の部分については介護の判定ではなくて、また分けてやるべきではないかということだと思います。  この障害程度区分につきましては、確かに介護保険の要介護認定で用いております項目、七十九項目、これを使っていることは事実でございます。しかし、知的障害者、精神障害者の特性、これを判定するには七十九項目では不十分であると、こういう認識から、これらの知的障害者、精神障害者の特性を反映するように、こだわり、パニックなどの行動面に関する項目、働き掛けに応じず動かないでいるなどの精神面に関する項目、交通手段の利用、買物、掃除や調理など日常生活に関する項目、これら二十七項目を加えました百六項目によりましてまず第一の判定をすることとなっております。  さらに、最終的な障害程度区分を定めるに当たりましては、市町村ごとに審査会を設けていただきまして、この審査会では障害者の保健、福祉にかかわる有識者の方が委員となっていただきまして、百六項目の認定調査結果に加えて認定調査をした際の特記事項あるいは医師の意見書、こういうことを総合的に検討することによりまして障害者の特性を踏まえた総合的な判定結果が得られるものと考えております。  また、実際のサービス面におきましても、この障害程度認定を踏まえましても、従来の知的障害者や精神障害者の方の障害の程度や報酬水準を勘案した上での様々な報酬単価の設定、あるいはサービスの内容などを考えておりますので、適切なサービスが確保されるものと考えているところでございます。  いずれにしましても、障害程度区分の認定作業、始まった、スタートしたばかりでございますので、今後、その結果、これを収集いたしまして検証を行っていきたいというふうに考えております。
  48. 田浦直

    ○田浦直君 今おっしゃった研究事業でいろいろ検討されたんだということだろうと思うんですけれども、私は勘ぐるわけじゃないけど、この研究事業というのは厚労省からお金が出て厚労省が人を集めてやっているわけですよね。ある意味では、よく使われる隠れみの的なやり方で介護保険の制度をこれに充てるというのが初めからあっているんじゃないかなという思いがしてならないんですよね。  だから、私は、本当は論議の中身ですね、例えば会議録があれば会議録、あるいはその研究会で論議をするときに関係者に傍聴をさせるとか、何かそういうのをこれからはやってもらいたいと思うんですが、そうしなければ、どうしてもそういう疑惑がぬぐい去られない。やっぱりもう今の時代ですから、こういう大事なことを決めるときにはオープンに、関係者にも分かるようにやってもらいたいと思うんですが、その点についてはどうですか、今後のことですが。
  49. 中谷比呂樹

    政府参考人中谷比呂樹君) 委員御指摘のとおり、オープンに論議すること、極めて大切でございます。私たちも、この研究につきましても、最初の研究報告書、これはオープンになってございます。また、関係者の、当事者の方を含めた関係者の方からの意見聴取の場も設けてございます。  しかし、御指摘のあった以上、それを意に留めまして今後対応してまいりたいと思っております。
  50. 田浦直

    ○田浦直君 障害者自立支援法が始まったばかりですから、しかも大きな変換ですから、法人の経営者にしても障害者にしても大変な不安を持っていると思うんですね。  やってみたら計算どおり全然いかない。今の例えばランクだって、研究事業としてはこれがいいとおっしゃられるけれども、やってみたら全然実態と合わないとか、あるいはそのためにランクがこれまでと比べるとどんどん下がって、報酬が減って、とても支援サービスができない、もうやめざるを得ぬとか、そういう事態まで何か発展しそうな感じを私は持っておるんですよ、今ね。  それで、それが見直しをするのは三年先ということになっておる。そんな悠長なことではとても待てない。もう随時、問題が出てきたら見直しをするぐらいの心構えで臨んでいただきたいと私は思っているんですよね。だから、三年後の見直しというような悠長なことで書かれてはたまらない。是非もっともっと、もう問題点が出たら出たときに見直しするぐらいの心構えで臨んでいただきたいと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
  51. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 田浦委員の方から、具体的な例を挙げながらこの障害者自立支援法の施行に対する懸念というものをいろいろ挙げていただきました。  今、厚生労働省の基本的なスタンスというのは、部長の方から答えたように、今までの国会における様々な議論、附帯決議等を含めましていろんな議論、あるいはまた委員長から御下問あったような、そういう関係団体に対する意見聴取等もそれなりに一生懸命やってまいったわけですけれども、今御指摘のように、始まってまだ旬日をいでないというような状況でございますので、今直ちに見直しについてどうと言われてもいささか困るわけですけれども、ただ、御指摘のような点、確かに私なんかも具体的にいろいろ聞いております。  施行までの期間が限られていたというふうな、そういう部分があって、若干きちっと現場に伝わってないというふうな側面もあって、そういう点もあって、今しっかりと地方自治体の方に対して改めて周知徹底を、先ほどもっと分かりやすくというお話がありましたけれども、分かりやすく、新たな制度がきちっと伝わるようにやっているところでありますが、その施行状況をしっかり見守りながら、今具体的に三年待てないというお話がありましたが、いついつまでにということは明言できませんけれども、しっかり注視しながら、適宜必要な対応を図っていくことにやぶさかでないと、こんなふうなことでいきたいと思っております。
  52. 田浦直

    ○田浦直君 今副大臣から理解のある御答弁をいただいたんですけれども、仮に、例えば障害者の方からもうこれはとても問題だという問題が出てくる、あるいは法人の施設の経営者からこれはこういうふうになって今の予定と全然違うというような御提案があれば、是非その都度検討していただいて見直しをいただきたいと思いますが、もう一度、よろしゅうございますか。
  53. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 取りあえずはこの法律の施行をしっかりやっていくという上で、今御指摘いただいたような点もしっかり勘案しながら対応していきたいと思います。
  54. 田浦直

    ○田浦直君 じゃ次に、私も西島委員と同じように医療問題について少し触れさせてもらいたいと思うんです。これもちょっと絞りまして、診療報酬ということにちょっと絞ってみたいと思うんです。  今度の診療報酬は三・一六ということで、診療報酬の本体部分は一・三六だ、過去最大の下げ幅だということでしたね。  私は、ちょっとこの数字を見て奇異に思ったのは、これまでは大体小数一けただったんですが、今回は小数二けたまで出している、ここいらに何か取り組む考え方が違ったのかなと思うんですが、これは何かあるんですか、二けたまで出したということは。
  55. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の診療報酬改定率についてのお尋ねでございますけれども、流れといたしましては、委員御承知のとおり、昨年十二月にまず政府・与党で医療制度改革大綱が定められまして、それに沿った形で、賃金、物価等の昨今の経済動向、それから医療経済実態調査の結果、それから保険財政の状況等を踏まえて決定されたものでございます。  具体的には、平成十八年度の予算編成過程におきまして厚生労働大臣と財務大臣とで協議を行いまして、最終的には官房長官も交えて協議を行った結果といたしまして、おおむねマイナス一・四%、詳しくはマイナス一・三六%と決定されたものでございまして、まさしくその協議の結果としてこういう数値になったということでございます。  過去に、おっしゃいましたように平成元年にも小数点以下二けた出したことございますし、また平成九年にも薬価等でマイナス二けた、下二けたまで出したことがございますんで、そういう意味では過去に例がないわけではございません。なぜ今回かと言われますと、これはもう協議の結果としか言いようがないと思っております。
  56. 田浦直

    ○田浦直君 私が聞くところでは、厚生大臣は一・三、財務大臣は一・四、その中を取って一・三六というふうな決め方をされたというふうに聞いておるんですね。ここで分かるのは、これまでは大体この改定率の論議をするのは中医協だったんですよね。中医協でこの医療経済実態調査、あるいは薬価、あるいは賃金、あるいは物価、いろんなものを加味しておおよそまとめて、それを政府に答申しておるというのがこれまでの経過だったんですが、今のお話のように、もう財務大臣と厚労大臣が二人で決める。私が心配しているのは、そうすると、今まで経営実態とかいろんなものを加味していろいろな検討をしておった、支払側も診療側もその中に入って検討しておったという場がなくなってしまう。政治的な色彩、あるいは財政的な色彩が非常に強くなってくる、この改定率を決めるのにですね。  私はこういうことは今回がもちろん初めてだと思うんですが、今回の改定率で中医協はどのくらい、どのように関与したのか、その辺をちょっとお尋ねをしたいと思います。
  57. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の改定率の決定に当たりまして中医協の関与の在り方についてでございますけれども、これにつきましては、まず昨年に厚生労働大臣の下に中医協の在り方に関する有識者会議というものが設置をされまして、その報告書において中医協の機能、役割を明確化する、こういう観点から、一つには、改定率につきましては予算編成過程を通じて内閣が決定するものであるということを明確に確認をすると。実はこれまでも法律的には正にこういった構成取られてきたわけでございますけれども、その点を確認する。もう一点は、中医協におきましても、医療経済実態調査等を踏まえまして改定率について議論を行い、その結果を厚生労働大臣に意見として進言するということもあり得るものと、このようにされていたわけでございます。  審議の経過でございますけれども、中医協におきまして、医療経済実態調査の結果、それから賃金、物価の動向、薬価調査、それから材料価格決定等を踏まえながら、計五回にわたって審議が行われまして、その結果につきまして昨年十一月末に厚生労働大臣への報告書として取りまとめをいただいたわけでございますが、この報告書の中におきまして、支払側の意見といたしましては、診療報酬引下げを断行してめり張りを付けた財源配分、是正を行うべきという意見でございました。その一方で、診療側の委員の意見といたしまして、医療の安全の確保医療の質の確保、小児・産科医療への対応等を保障するための診療報酬の財源として少なくとも三%以上は確保されるべきであると、このような意見がございまして、この両論が併記された形で厚生労働大臣に対する意見が出されまして、この結果も踏まえつつ、結論としてはこの予算編成過程での両大臣の協議にゆだねられたという形になろうかと考えてございます。
  58. 田浦直

    ○田浦直君 それでは、その診療報酬のこれちょっと中身についてお尋ねしますが、例えば急性期であれば、小児科とか産科とか麻酔科とか救急医療とか、やっぱり少しそっちに重点的に配分をされているんじゃないかと。それはそれでめり張りが利くわけですからいいことだと思うんですよ。  しかし同時に、この中で、今度随分変わっているのはこの紹介率ですね。要するに、町の診療所から病院に紹介するときの紹介率によって診療報酬が高くなっておった。そういうものがなくなってしまう。あるいは入院期間を今できるだけ短縮させるということで、十五日だ二十日だとか、平均すると、というふうなことで病院がどんどん進めてきておったわけですよ。それがいい病院だというのが今までの厚生省の考え方だったんでしょうけれども、これを今度は取っ払ってしまった。そうなると、これは病院というのは、これは今までの流れと違って、ぐらっと変えられても戸惑うわけですよね。実際、今そういう状況にあるんじゃないかなと思うんですが、どうしてそういうふうな、まあ急にこう変えたのか、それが本当に適正な医療になるのかどうか、その辺の考え方をお尋ねをしたいと思います。
  59. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 御指摘の紹介率を要件といたします各種の加算についてでございますけれども、御指摘のようにそのねらいそのものは医療機関の機能分化、連携推進するということでございました。しかしながら、こうしたその加算の基礎となる紹介率を現実に定める場面になりますと、例えば救急医療に積極的に取り組めば取り組むほど紹介率が低下するという現象が生じましたり、あるいは外来にありましては、その紹介状を持参して受診した場合でございましても、病院全体の紹介率の高低でもって患者負担が決まってくる、あるいは入院でございましても外来の紹介率によって患者の自己負担が異なってくる、こういった様々な不合理な点があるとかねて指摘をされてきたわけでございます。さらに、この不合理を是正しようといたしますと複雑な算定式を導入せざるを得なくなりまして、その結果として更に患者にとって分かりにくい仕組みになるという指摘もございました。  また、こうした加算が現実の先ほど申しましたねらいであります医療機関の機能分化、連携に対して必ずしも十分に寄与していないのではないか、紹介率を上げるための紹介率アップの努力といったこともあるのではないかとの指摘もございまして、これらの指摘も踏まえまして、中医協で、今回は病院の意見を反映できる医師の方にも参加していただいたわけでございますけれども、そこでの中医協における議論を経まして、平成十八年度の診療報酬改定で紹介率を要件とする加算を廃止することとしたところでございます。  この加算の廃止によりまして、医療機関の機能を特化するような、そういうインセンティブが失われるのではないかという御指摘もあるわけでございますけれども、この医療機能の分化、連携につきましては、病院、診療所が本来有する機能でございます急性期入院医療の評価、あるいは救急医療の評価、在宅医療の評価、こういった本来有する機能について適切な評価を行うことによってその推進が図られるものと考えてございます。
  60. 田浦直

    ○田浦直君 まあ今までそうやってきたのが、医療機能の分化ですね、今おっしゃられた、あるいは診療所と病院連携、そういうものに大きく貢献しておったという意義はあるんですよね。だから、そういうものを失わないように、失わせないようにひとつ配慮して今後やっていただきたいというふうに思っております。  今のは急性期ですが、慢性期についても同じようにちょっと問題があります。それは、よく言われる療養病床ですよね、慢性期の療養病床、これを医療機関で置いて介護の療養病床をなくするというふうなことで取り組まれるということですね。それを六年掛けて三十八万床のを十五万床ぐらいまでなくす。何かそういうところから出された患者さんは一体どうするんだろうかなという思いもありますし、今度は病院の方もそれで取り組んで、設備投資をやってきて、人員を配置してきたわけですから、病院側も非常に困った状況になるのではないか。  非常にこれは、もう私どものところには医療機関医師会やいろんなところから激しく抗議をされておるんですけれども、この辺について、何でそんな急に三十八万を六年掛けたらもう十五万に減らすとかいうことを考え付いてやっているのかなというのが私は分からないんですが、その辺についてひとつ分かるように説明をしていただきたいと思います。
  61. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の診療報酬改定についてでございますけれども、その大本の基本方針は、実は平成十五年三月に閣議決定されました医療制度改革の基本方針に定められたものでございました。その中で、医療療養病床につきましても、患者医療の必要度に応じた評価を導入することによって介護保険との役割分担の明確化を図ると、このようにうたわれていたわけでございます。  この方針に沿いまして、具体的には本年の七月から、医療の必要性の高い患者に係る医療については評価を引き上げるとともに、医療の必要性の低い患者に係る医療については評価を引き下げると、全体として適正化を図ると、このようにしているわけでございます。このような措置は、もちろん入院している方々が無理に退院せざるを得ないような状況にならないようにすることが大前提であるわけでございます。  その過程で、こういった措置をとることによって、言ってみますと、今申し上げたものは診療報酬そのものでございますけれども、冒頭申し上げました介護保険との役割分担という中で、介護型、医療型、両方の療養病床を通じまして、医療の必要度の高い方につきましては、これは医療で療養病床として受け止めようと、必ずしも医療の必要度が高くない方につきましては基本的に介護施設でこれを、あるいは在宅でこれを受けていただこうということで、全体として三十八万床、医療療養二十五万、介護十三万の中で、医療の必要度の高い方は様々な調査によりまして十五万程度であろうということで先ほどの委員が申された数字になるわけでございます。いずれにしましても、これは療養病床を再編成しようということでございます。  ただ一方で、先ほど申し上げましたような診療報酬体系にいたしますと、医療の必要性が低い患者が多く入院されている病棟につきましては収入減になるということが、これは想定されるわけでございます。ただ、こういった病棟につましては、仮称でございますけれども、介護保険移行準備病棟というものを設けまして、医師、看護職員等の配置が薄い場合でも診療報酬の算定を認めるということとする予定でございまして、言ってみますと医療機関がコストを引き下げることによって収入減に対応するという選択肢も取っていただけるように十分配慮を行ったつもりでございます。  その上で、またさらに、療養病床には難病患者さんあるいは障害者の方々も入っておられるわけでありますけれども、こういった方々の必要な医療確保するようにということは中医協の答申における附帯意見の中でも明記されているところでございまして、この点につきましては、医療の必要性等の判定基準の中で配慮を行うこととしているところでございます。
  62. 田浦直

    ○田浦直君 もう、質問通告もう少し出しておりましたけれども、時間が参りましたから、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  63. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  今日は、大臣、よろしくお願い申し上げます。  今日は、まず、参議院のこの決算委員会が会計検査院に昨年要請をいたしまして報告をいただきました独立行政法人の業務運営等の状況に関する報告書というものが昨年十月に出来してきたわけでございます。そして、この各独立行政法人、様々ございますが、私が本日取り上げさせていただきたいのが青少年教育法人三法人、今、今度機構として新しい法人になりまして出発をしました。この会計検査院による報告というのはもちろん旧独法時代の三法人についてでございます。  この決算委員会が要請して出てきた会計検査院の報告書に対しまして各省庁から措置状況というのが出されておりまして、それも文科省の分をいただきました。率直に申し上げまして、この検査院の報告というのは、私たち決算委員会から要請して調べてもらったわけでございますが、その結果についてどういう措置を取っているのかという報告を見たときに、その報告書を見て、ああ、なるほどそういうことなのかというふうにすぐに納得のできるものでは正直言ってなかったということでございまして、あえて今日は質問させていただくということでございます。  この検査院によります独法三法人、オリンピックセンター、また青年の家、そして少年自然の家、この青少年教育三法人につきまして主に三つの指摘がなされていたと承知しております。一つは、宿泊の稼働率が低いんではないかという点。二つ目には、いわゆる主催事業と称しますけれども、個別法等によって定められたこの設立目的、これを積極的に推し進めるための言わば政策的な大変重要な事業であるところの主催事業、この主催事業への参加者が低いんではないかと。つまり、本来の積極的に進めるべき目的ではないものの方の参加者の方が多くて、そこで何とか参加者は多くなっているけれども、よくよく見てみると、本来の目的のところに参加している人は少ないんじゃないかと、こういう指摘が二つ目にございました。そして三つ目には、利用者の属性ということで、本来青少年教育ということが目的にもかかわらず、そうではないその他の企業とかが非常に多いんではないかと、こういう御指摘もございました。  以上三つの点につきまして、一つ一つまず御質問させていただきたいと思います。  これは、文科省さんの措置状況等を見ますと、まず一番目の宿泊稼働率につきましては、これはそもそもベッド単位で見ることが間違いなんだという、こういう反論を試みられております。つまり、元々青少年教育というのは団体訓練施設であると。団体訓練で団体宿泊訓練なんだと、こういう定義付けがなされていますので、団体で宿泊する、そして訓練をすると、こういう目的からすると、ベッド数、個室はそんなに多くならないんだと。自然、四人から十六人ぐらいという、非常に幅がすごく大きいんですけれども、そういう部屋が増えていくので、ベッド数はどうしても空いてしまう、部屋単位で見てほしいというような、そういうニュアンスさえ聞こえてきたわけであります。  まず、この一番目の宿泊稼働率につきましてお聞きしたいと思います。  確かに、このベッド数、ベッド単位で見るという判断基準というものがそぐわないという言い分も分からないわけではありませんが、稼働率といった場合には、しかしやはりそのベッド単位での稼働率を上げていくためにもっと工夫するということが必要ではないかという、まあ素朴に思うわけでありまして、まずその点につきましてお聞きしたいと思います。
  64. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。  昨年の会計検査院の報告書を読みますと、今先生お話しのような御指摘をいただいたところでございまして、私ども、その青少年三法人のいわゆる稼働率、必ずしも高い水準となっていないということについては、これをよりより、もっと引き上げなければいけないと思っております。  ただ、過去五年間の、独法になってから少しずついわゆる稼働率というものについては上昇してきているということも御報告の中にはあるわけでございますけれども、我々もっと頑張らなければいけないと思っています。  ただ、その中で、やや青少年団体宿泊の特色といたしまして、相部屋といいますか大勢で泊まる施設というものがあるというような状況を説明の中で少ししているわけでございますけれども、基本的にこの稼働率引き上げていかなきゃいけないということについては、御指摘のとおり私ども努力しなければいけないと思っておるところでございます。
  65. 西田実仁

    ○西田実仁君 このベッド単位の稼働率は、低いのはもちろんですが、部屋単位でじゃ見てみても結局六割を切っているところが結構多いという現実があるわけでありまして、政策目的は、青少年のために資する施設というものは大きな目的としてはもうますます重要になってきているということは、これはもう、これまでも重要でありましたし、またこれからはもっと重要になると、ニーズは間違いなく増えているということは私もそのとおりだと思います。  しかし、その実際のニーズが増えているということと、それにちゃんとそぐうような仕組みなり施設なり整えているのかということはまた別の問題でありまして、そこがうまく一致していかないと、これはやはり独立行政法人を見ていく場合に何となく瑣末なことだけにとらわれてしまうということになってしまうんじゃないか。政策目的というものを本当に達成する機能になっているのかどうか、あるいはそういう施設になっているのかどうか、このことをしっかり見ていく必要があると私は思っております。  二番目の主催事業の参加者の割合というのは正にそういうことであります。  これも先ほど申し上げましたが、例えばオリンピックセンターでは〇・七とか、女性会館では五・九とか、青年の家では一〇%、少年自然の家は六%と、こういう検査院の方は報告をしておりまして、いわゆる主催事業というものに対する参加者の割合が非常に低い。これはどう反論しているかというと、まず数字で見ちゃいけないというふうに言っています、文科省さんはですね。これ質で見るんだと、一言で言えばそういうことだと思うんですね。利用者数で比較することがおかしいと、こういう反論をされております。  なるほど、いろいろと理屈があるもんだというふうに私も思いましたし、思わず納得してしまうように見たわけですが、確かにそういう面もあると思います。あると思いますが、しかし、そうはいっても、やはり政策目的に沿った施設ということになりますと、そこにどれだけ多くの人が参画してくれるのかということは大変重要な指標であり、それを比較評価することが困難であるということの一言で片付けてはならないんではないかと。  ここはちょっと政策目的にかかわることでございますので、お忙しい中お時間割いていただきました大臣にお答えいただければと思います。
  66. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 西田委員から御指摘をいただきました今回の検査院の報告でございますが、私の基本的な姿勢は、これらの御指摘にありましたような三独立行政法人が、設立に当たってそれぞれの目的そして目標を掲げてスタートをしたわけでございますが、それが今回全般的なレビューを行われて、その中で御指摘を受けたという意味で、真摯にこの指摘の内容を受け止めにゃいかぬと思っておるわけです。  それぞれにその稼働率あるいはその主催事業の参加者等の割合等、これはやはり一つの指標でございますし、それに対してそれぞれの理由というものはそれなりにありますけれども、しかし、私も客観的に見て会計検査院が指摘したと同じような疑問を当然持つわけでございます。  そういった観点で、今回は、取りあえず今までのことに対してそれなりの言い訳は聞いたので、いったんの猶予を与えると。しかし、今後ともそれが十分に改善されないならもっと大きななたを振るわざるを得ないということだと思っておりまして、つきましては、まずこれらの中でどういうことをできるかということで、まずはその独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター、また同国立青年の家、同国立少年自然の家につきまして相互に連携をさせ、そして青少年にとって重要な体験活動の機会の提供や教育的研修支援を行うということが、これまでも行ってきたと認識はいたしておるわけでございますが、これからそれをより効率的にやるにはどうやったらいいかという観点で平成十八年四月一日にこれらの三法人を統合いたしまして、新たに独立行政法人国立青少年教育振興機構という形に統合をさせていただきまして、この統合の効果を最大限に発揮するようなことをまずやらせていただくということで、まずもって第一に、法人本部というものをつくりまして、そこで集中的、統一的に企画立案事業を実施をさせていただくということ、二点目に、全施設において青年、少年という区別なく青少年を受け入れて、宿泊を伴った体験活動に対して支援を行っていくということ、また、事業連携による効果的な青少年教育を実施するということで、より効果的に青少年教育を振興するという本来の目的を十分に実を上げられるように期待をしていきたいと、こういうことでございます。さらに、私としてもこの経過をしっかり見守っていきたいと、こう思っております。  そういった意味で、今後これが実際にちゃんと、今回こういう形でやらせていただく実績が出るかどうか、これが文科省に問われていると。私はそういう認識で今回の統合を見守って、皆さんに御説明をし、その御説明したことがちゃんと守られるように見守ってまいりたいと、このように考えております。
  67. 西田実仁

    ○西田実仁君 大変厳しく大臣が受け止めていらっしゃるということがよく認識させていただきました。  今大臣の御答弁の中でもありましたとおり、今のこの主催事業、受入れ事業という分類を、今度この中期目標の中では名前が変わっているんですね。というか、何かわざと変えているんじゃないかと私は思っております、まあ勘ぐりかもしれませんが。どう変わっているかと、今大臣おっしゃいましたとおり、企画と研修というふうに変えておられます。非常に何か前向きな分類の仕方を変えておりますが、中身は、でも多分この主催事業と受入れ事業の言い換えをしているんじゃないかと。私が間違っていたら御指摘いただければ結構ですが。  そういう区分の分け方をして、かえって政策目標との連動というものが見えにくくなってしまうんじゃないかということをちょっと懸念をしておりますが、これ、政府参考人の方、いかがでございましょうか。
  68. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) 主催事業、受入れ研修事業といいますか、それにつきまして、その法人全体としてのやっぱり企画立案ということが重要であるということで、企画事業というふうに名称を改め、また研修受入れ事業につきましても、この研修のサポートというものが、やはり専門職員を中心とする専門的な立場からの研修を効果的にするための支援が重要であるということで、研修支援というようなことを中心に頑張っていきたいということで、私どもの事業の大きな二つの柱を整理させていただいたところでございます。
  69. 西田実仁

    ○西田実仁君 是非この独立行政法人、今度機構になって、その政策目標とのかかわりというものをしっかりして、必要なものはきちっとやっていくということが大事なわけでありますので、そこを変にごまかすようなことがないようにお願いしたいと思います。  その上で、先ほど来から私が申し上げているとおり、この青少年の育成とかあるいは教育というようなこと、あるいはかかわりということについてニーズは増える一方であるということはもう事実であると私は思っております。しかし、そういうニーズがどんどん増えていくという現実が一方にありながら、もう一方で、一番そのニーズに近い、国よりも市町村あるいは都道府県、こういったところで今何が進行しているかというと、例えば県の青年の家と称するものは、どんどんこの青年の家というものが、青年という言葉をまず外すと掛かっていると。例えば、いろんな各地で名称があると思いますが、青年という冠を外して元気な何とかとか、そういう非常に一般的な名称になっている。  つまり、これは何を意味しているかというと、都道府県のそうした青少年教育施設と称するもの、これが青少年教育よりももうちょっと幅の広い生涯学習機能として衣替えしつつあると。なおかつ、生涯学習機能として衣替えしつつあるそうした旧青年の家、県立の青年の家はかなりこの指定管理者制度の適用を受けようとしていると。今既に、私がお聞きしたところでは、導入済み、この指定管理者制度を導入しているのは全国二百六十四あるこうした教育施設のうち十五、導入予定があるのが百十四、予定なしが百三十五というのが直近の数字というふうに聞いておりますので、もう半分近くは指定管理者制度、これを適用を受けようとしている。  簡単に言えば、国の方はこの三法人が一体となりまして、かなりその施設としても充実したというか、以前と同じような形で残っているわけでありますが、ニーズは増えていることは間違いない。そのニーズに一番近いところで起きていることは、一つは指定管理者制度にという形での公設民営化が進んでいる。そして、もう一方では、青年の家という、青年という、まあ今どき青年の家に行こうっていう、余りなかなか少ないのかもしれませんが、その青年の家の名前を変えてもっと広く生涯学習機能に変わろうとしている、こういう現実ですね。  一方で、確かに青少年教育のそういういろんな自然との触れ合いとか大事なこと一杯やっていること、私も存じ上げております。環境プログラムも一生懸命やっていらっしゃるとかそういうことも存じ上げておりますが、そういうニーズが一方でありながら、でも一番そのニーズに近いところでは、国はちょっと遠いかもしれませんが、一番ニーズに近いところではそういう形の変化が起きてきている、こういう現実についてはどのように文科省はとらえておられるんでしょうか。
  70. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。  公立の青少年教育施設の指定管理者制度導入状況、今先生のお話しになったとおり、大体半分ぐらいがそういう方向で、半分ぐらいは導入予定がないというのが大ざっぱなとらえ方でよろしいかと存じておりますが、基本的に指定管理者制度の導入につきましては、地方公共団体におきまして住民サービスの向上を図る観点からその導入の適否を判断されるということでございますけれども、私どもといたしましては、やはり青少年教育施設でございますので、指定管理者制度が導入された場合においても、やはりその指導者といいますか専門職員、そういった人材といいますか、そういう形の配置というものが今後とも重要であるのかなというふうには考えておりますが、基本的には各自治体において御判断いただくべき性格のものであるとは存じております。
  71. 西田実仁

    ○西田実仁君 この三法人、新しくなったところの重要な機能の一つは、そうした地方公共団体の青少年教育施設に対しまして様々なモデル事業なりを、プログラムを普及していくというお立場になっていく。今までもそうでしたけれども、いわゆるナショナルセンターになっていくと、こういうことですね。  その普及すべき相手がこうした形の指定管理者制度を受けて公設民営化されていくと。公設民営化ですから、もちろん協定書を結んだりしてそのときに担保できるかもしれませんが、法的にはどうなんでしょうか。この三法人がこういうことを是非ともやってほしいといったときに、一方で公設民営化されたところが、いやいやそんなことよりもニーズはこっちにあるんだという、もう当然話合いはあるでしょうけれども、拒否するとか、そんなことはニーズがないとか、そんなプログラムは駄目なんだとか、こういうような、せっかく普及するというナショナルセンターの機能をより充実、今回したわけですが、普及させるべき相手のところがどんどん公設民営化されていって、一体として本当に機能するんでしょうか。ちょっと素朴な疑問ですが、お答えいただきたいと思います。
  72. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、やはり重要な青少年教育施設でございますので、その設置形態、指定管理者制度の導入のいかんにかかわらず、やはり青少年教育施設としてその研修支援を行います専門職員の配置などを中核といたしますそういった機能というものが十分担保されているということが必要ではないかと考えておりますが、そういうことを前提にして、やはり先生が今お話しになりました、国立で開発しました青少年の現代の課題にかかわるモデルプログラムというものを一緒に普及していく仲間として公立の青少年教育施設を考えたいと思っているところでございます。
  73. 西田実仁

    ○西田実仁君 地方自治法の第二百四十五条のこのいわゆる関与ですね、国のそうした様々な関与が助言とかあるいは勧告という形でこうしたところにも利いてくると考えていいんでしょうか。
  74. 素川富司

    政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。  基本的には、新しい自治法の仕組みの中での国と地方の関与の枠内でのことになると思いますけれども、やはりこれは独立行政法人でございますので、直接国立の施設では、国そのものではございませんけれども、やはり広い意味での国と地方という関係で申し上げれば、やはりいいプログラムを開発し、それに対して情報提供等々の手段、それから研修についてこの公立の青少年教育施設の方も参加していただく等々の連携を図りまして、その普及に努めてまいるというのが基本的姿勢であると思います。
  75. 西田実仁

    ○西田実仁君 これは大臣にお聞きしたいと思いますが、こういった県立の青少年施設から青年という言葉が消えて、むしろ生涯学習機能という形で、ある意味ではニーズに応じて変化してきていると、こういう現実がありますね。  そうしますと、じゃ市町村にある公民館と都道府県のそうした生涯学習機能の充実していった元青年の家みたいなところが何が違うのかというと、宿泊ができるという、多分それだけの形上の違いになってくる。  そういう意味で、今、どんどんどんどんニーズに応じて、住民のニーズに応じていろいろと、住民に近いところであればあるほど変化は様々な形で柔軟になって、また変わってきている。当然国としてこうすべきであるという大方針というのもあると思いますが、こうした住民ニーズに一番近いところでの今申し上げたような変化、そして旧青年の家が公民館化していくという、しつつあるという現実、こうした社会教育全般についてどのような、今後のビジョンなり考え方、もしお示しいただければお願い申し上げます。
  76. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 委員の指摘された点は私なりにも理解できるところが多い、共鳴するところも多いんでございます。  公立の青少年教育施設というものの中でも、機能がそういった形で公民館的なものと何が違うかといえば、確かに宿泊のあるなしが違うわけでございます。ただ、逆に言えば、その公民館と青少年教育施設の相互の連携というものもあるわけでございまして、やはり公民館活動の中で、やはり宿泊体験をする中で青少年教育をやりたいというようなプログラムを公民館が考えた場合には、この青少年の宿泊施設のくっ付いた方を逆に活用するということにもなってくるんだと思います。  それからまた、先ほどもお話がございましたように、独法と公立の間の連携でございますけれども、独法の青少年の教育施設を通じて先進的ないろいろなプログラムを開発して、それを使っていいものを企画すれば、権限規定とかそういうものにかかわらず、いいものを企画すればやはり公共の青少年教育施設の方でも、指定管理者の枠の中であっても、やはりそれを使ってうちの方でもやってみようと、こういうことになりますし、また逆に、公立の施設、それぞれの単体はいろいろ考えるけれども、やはり考えるのに幅が出てこないということの悩みもあると思うので、そういう点は、俯瞰的に全国を見ているこの独法の施設の中で研修をすることによってより幅広い企画力が出てまいりますし、また、その実施した上での成果というもののサンプルも実例として見ることによって、それを導入しやすいという、自信を持ってそれをやってみようという気にもなるわけでございますので、そういった役割を国の独法の方の枠ではしっかりとやって企画を出していくと。で、中核的な拠点として先導的なプログラムを実施させていただきたい、こう思っておりますし、また、公立施設の職員の教育プログラム、企画や手法や調査研究成果等のそういった情報の提供をするとともに職員の研修、先ほど申し上げた職員の研修とともにそういった教育プログラムの企画や何かについての情報提供をするとか、国立施設への講師としての派遣ということも考えていけば、そういったことで影響力を行使して教育プログラムの普及を推進して公立施設との事業を円滑に進め、また相互に影響し合っていい影響を出していければいいんではないかと。  そのことが今回三法人を統合したことによるわけでございますし、また名称的に公立施設がそういった形で青年、少年というものを冠しないというのは一つの時代の流れでもあろうと思います。生涯教育の中で親子が一緒に泊まりたいというときに、やはり少年の家にお父さんが一緒に行くというのがいいのか悪いのかという気がするといけないので、家族でもいいですよ、ただ目的は一緒ですよねと、自然というものをお父さんも子供たちも一緒になって体験してもらいましょうと。そういう中から、教育的効果がより発揮しやすい体制にするには利用しやすい名前を冠した方がいいだろうということで、生涯教育と連携する中でそういうことができるということにもなる。  これは一つの、独法の方でも学んでいくべきことだと思いますし、そういったことを否定するものでもございません。独法の自由な企画力の中で、そういった公立施設との連携を深めるいろんな方法を模索しながら、これからの中期的な目標の中でしっかりと実績を出していきたい、このように考えるところでございます。
  77. 西田実仁

    ○西田実仁君 この青少年の育成、何度も申し上げたとおり、時代の変化とともにそのニーズというものはもうますます増えているわけでありますが、その増えているニーズにいかに対応していくのかということは、もう国という大変に大きな存在、組織というものはなかなかそう素早くぽんぽんぽんぽん変えられないというのもまあ理解できます。理解できますが、そうだからといってニーズからどんどん離れていくと、やはり検査院の指摘の、これがすべてだとは私も申しませんが、一つ数値として表れている結果のようになってしまう、簡単に言えば利用されなくなってしまうと、こういうことにもつながりかねないことでありますので、その現場、住民に一番近いニーズというものを常に吸い上げていく、こういう御努力を、今もなさっておられると思いますが、更に引き続きお願い申し上げたいと思います。  続きましては、厚生労働省さんの方にちょっとお聞きしたいことがございます。かなり瑣末なことと言われれば瑣末かもしれません。独立行政法人の年金積立管理運用独立行政法人ですね、この年金資金運用基金につきまして御質問をさせていただきたいと思います。  この四月から新たに、百五十兆円に上る国民の年金保険料、これを預かり運用する独立行政法人が誕生したわけであります。そういう意味で、独立行政法人、今までもそうでありましたけれども、更に国民の保険料を払っている方々からすれば、厳しい監視というものが目を向けられるんじゃないかというふうに思うんですね。  当然、運用については、私も平成十六年の、これはまだもちろん独立行政法人の前のあれですけれども、拝見をさせていただきまして、ベンチマークも含めて様々きちっとした科学的な運用、非常に透明性の高い運用をされているというふうに私も思います。その大変重要な本体の部分はもうそのとおりだと思いますが、今日お聞きしたいことは物すごく手触りのあるというか、簡単に言えば株主優待物の資産管理についてであります。  当然、株式で運用しておりますので、年金の保険料が入ってきて、それを直接この独立行政法人がやるわけではございませんので、信託銀行なりに、信託会社に信託していくと、そしてそこで株式運用するわけです。そうすると、銘柄によっては当然株主優待物というのがありますね。私も前職で会社四季報を書いてましたので、会社四季報の巻末には常にこの株主優待というのが一杯、これは拡大したものですけれども、たくさんあります。その中にJRのいろんな無料券とかJAL、まあ飛行機、航空券とか、あるいはギフト券とか、もうたくさんあります、お米券とか、もう一杯あるわけで、どこでどの株主優待物が入っているのかどうかは分かりませんが。  今日は、この株主優待物の資産管理がどうなっているのかという、まあ百五十兆円というもう膨大なこの運用資産からすれば本当に小さな瑣末なことだというふうに事務方の方から質問する前に言われました。しかし、そうはいってもやはりこれは大事な国民の年金保険料のことでありますので、あえてお聞きしたいと私は思っております。  これはまず、平成十六年度の数値でもちろん構いませんが、この株主優待物をどう処理して、どのぐらいの、換金をしていると思いますけれども、上るのか、お分かりであれば教えていただきたいと思います。
  78. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) この四月から、独立行政法人であります年金積立金管理運用独立行政法人がスタートいたしましたが、おっしゃるように百四十数兆円に上る年金資金運用の専門機関として私どもも大いにその専門性の発揮を期待しているところでございますが、今御指摘のありました株主優待物、まあよく言われる株主優待券などでございますが、一般に株式を長期間保有し続けてもらえる安定的な株主をつくることをねらいとして各企業さんが発行されるというように理解をしております。  私どもは、資産運用でございますので、株主優待物を目的として資産運用をするというものではございませんが、株式を保持する以上、こうした株主優待物というものも先生御指摘のとおり付いて回るわけでございます。これにつきましては、御指摘のとおり、この新しい独立行政法人が直接国内株式の管理を行っているわけではなく、すべて資産管理を行う信託銀行に信託して行うこととされております。したがって、株式の名義人は資産管理を行う信託銀行となりまして、株主優待物はすべて株式の名義人である信託銀行に送付され、管理が行われております。  新しい独立行政法人におきましても資産管理に関するガイドラインというものを定め、株主に提供される便益等について信託会社の方はどうあるべきかというガイドラインを定めておるわけでございます。具体的には、資産管理を行う信託銀行において、資産運用業界において既に定着した慣行と承知しておりますが、当該信託銀行において、株主優待物のうち現金化可能なものについては売却し、その際の売却収入については株式の配当金と同様信託財産における実現収益として取り扱うこととされております。  換金の可能なものとそうでないものというのは確かにあるわけでございますが、実際の実績ということでございますが、私どもの今回把握させていただいた金額でございますが、平成十六年度における株式優待物の換金による収益額が約三億七千万円ほどというふうに承知をしております。
  79. 西田実仁

    ○西田実仁君 これ、最初私がこの質問をするときに言ったら、分かんないと言っていたんですよね、掌握してないと。そもそも今まで一度も照会したことないんじゃないですか。
  80. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 今御質問のとおり、これは私ども、株主優待物として区分けして、前身であります年金運用基金、そして今の独立行政法人が区分けをして数値を把握するという業務の仕方にはなっておりません。現状でございます。信託収益ということで、配当金その他と一緒になってこれの経理がされておりますが、もとより、先ほど申しましたように、信託銀行としては資産管理の上で当然ここの部分について、株主優待物について、しっかりどのような処理をしているか把握していなければ全体としての数字をまとめることができません。  したがいまして、今般、御指摘も踏まえまして、御協力をいただいて、十六年度分について信託収益の中の株主優待物換金分というものを報告を求めましたところ、それは業務上出ているということでございますので、把握をさしていただいてただいま御報告申し上げたところでございます。
  81. 西田実仁

    ○西田実仁君 これは、要するに今までやってなかったと。私、最初聞いたときには、信託収益か雑益かどちらかに入っているという非常にあいまいな答えだったわけですけれども、今回調べて分かったということであります。  しかし、更に問題なのは、ガイドラインを私も拝見しまして思いましたけれども、これ換金するわけですから、ありていに言えば入札をするんですよね。金券ショップとかに持っていって、どこが一番高いかということをやるということにガイドラインで決まっていますね。そうすると、大体何社ぐらい入札掛けているんですか。
  82. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 今の点につきましては、独立行政法人から資産を運用管理委託を受けました信託銀行の内部における処理でございますが、もとより、ガイドラインに沿って、また投資信託協会の内部ルールに沿いまして、換金市場が存在するなど容易に換金できるもの、基準価格に影響する等受益者の利益のために必要と判断されるもの、これを受託者と協議の上換金して投資信託財産に繰り入れるというのがそもそもの信託の基本ルールでございますので、適切な売却、換金というものが行われていると承知しております。
  83. 西田実仁

    ○西田実仁君 それは形式では何というかそういう手順になっているということを言ったにすぎないわけであります。  実際に最大の努力がなされているかというのは、一つの例で結構ですので、何社ぐらいこの入札掛けているのか教えてください。
  84. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 入札の手続を踏んでどうなっているかという点含めまして、改めて独立行政法人を通じ、委託先の信託関係者によく調べをさしていただきたいと思います。
  85. 西田実仁

    ○西田実仁君 ということは、じゃ、今までもうずうっと、こうしたまず額も掌握していない、そして入札されているか、されているだろうという、そういうプロセスは定めていますという、ちゃんとやっているだろうということで検証もしていない、あるいは点検もしていない、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
  86. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 実際に業務が処理されておるわけでございますので、独立行政法人として信託銀行と話し合っていただいて実情の把握に努めると、これは当然行うべきことと考えられますので努力さしていただきたいと思いますが、冒頭御指摘のとおり、全体の運用という観点と安定株主のための株主優待券というような優待物の問題と若干観点の違うところもあったかと思いますが、いずれにしても、詳しく調べをするといったときに、効率的にそれが行われるというような事務体制、あるいは委託手数料にどのように跳ねるのか跳ねないのかという効率性も含めて御相談をさしていただくよう指導したいと思っております。
  87. 西田実仁

    ○西田実仁君 これはやっぱりしっかり、三億七千万にもなるわけですし、これまでもちゃんと本当に入札されていたのかどうかよく分からないということもあります。もう百五十兆にも上る、確かに本体じゃないかもしれませんが、結局、保険料を払っている人はもうとらの子のお金を払っているわけでありまして、大変な生活をしながら払っている、それをどういうふうにして、付随的に発生するにしてもそこまできちっとやるということがやはりこれは私たちに課せられていることだというふうにも思いますので、しっかりとこれやってもらいたい。  最後、副大臣、いかがでしょうか。
  88. 赤松正雄

    ○副大臣(赤松正雄君) 西田委員から極めて大事な御指摘をいただいたと思っております。  株主優待物の売却益は、今話の中に出てきましたように三億七千万というそういう額であって、非常に大事な運用の収益源ということでございますんで、きちっと取り扱っていかなくちゃいけないものだと、そういう認識をいたしております。  今局長からもありましたけれども、現在、信託銀行における株主優待物の取扱いにつきましては、信託銀行と管理運用法人がいわゆるヒアリングという方式を通じてルールどおり行われているかどうかを確認しているという形を取っておりますので、さらに、こういった形以外にどのような形できちっとした確認が可能なのかどうか、そういう点を含めまして、契約当事者であります管理運用法人と信託銀行の間でしっかりと検討していただくようにこちらとしても見ていきたいと、そんなふうに思っております。  以上です。
  89. 西田実仁

    ○西田実仁君 終わります。
  90. 神本美恵子

    神本美恵子君 民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。  今日は決算ということで、文科、厚労とそれから男女共同参画少子化担当の特命大臣、猪口大臣もお越しいただけるということなので、その問題についてまず、若干ですけれども、お伺いしたいと思います。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕  私、昨年の本会議、特別国会における本会議で小泉総理に、男女共同参画少子化対策というのは重要に関連している、特に少子化対策においては男女共同参画推進は重要な課題であるということを申し上げましたら、総理もその場で、これまでの我が国における少子化対策、いまだ子育てと仕事の両立に多くの困難がある状況である、男女共同参画推進少子化対策と軌を一にするものであるという御答弁をいただきました。  私は大変意を強くいたしまして、この二つの特命大臣が今回猪口大臣という形で位置付けられましたこと、大変心強くも、また歓迎もいたしております。これは、何というか、ごますりとかそういうことではなく、心からそういうふうに推進されたらという気持ちを持っております。  ところが、それで、これは決算委員会ですので、決算の視点からこの男女共同参画推進少子化対策はどうなっているのかということを見ようと思いまして、内閣府の男女共同参画局、直接、取りまとめでございますので来ていただいて御説明を聞こうと思いましたら、局としての決算はないというふうにおっしゃったんですね。  内閣府の中の男女共同参画局、予算はおよそ四億前後で推移しているようですけれども、それがどういう施策に使われて、決算を見た場合、どこに重点化が足りないとかどこに無駄が多いとかいうこと、普通、予算、決算というのはそういうサイクルでやって次の予算に反映させると。これはもうこの決算委員会ずっとそれをやってきたわけですので、そういう観点から御質問しようと思ったんですけど、それがないというので本当に、えっ、じゃ何を質問したらいいのかと思っていろいろ調べましたところ、この平成十六年度において講じようとする男女共同参画社会の形成の推進に関する施策というものの最後に男女共同参画推進関係予算の概要というのがございまして、十五年、十六年の予算額、比較増減額が一覧表になっております。  これはいろんな省庁分がここに書き上げられているんですが、予算がこういうふうに一覧になって関連施策として総合化されているんであれば、この決算が当然出されてしかるべきではないかなというふうに思うんですね。それがないと、どの施策がどうだったのかという政策評価もできませんし、お金の使い道の無駄はなかったのかというふうなことも指摘できないわけですよね。  この十六年度ではないんですが、その前に、たしかこれは、厚労省さんも今日おいでになってますが、厚労省が私から見れば大変いいパンフレットをお作りになった。これは男女共同参画、特に思春期の子供たちの性に関するパンフレット、ラブ&ボディというのを作られたんですけれども、それが一部からの意見で全部回収というような、あれ何億掛かったのか私も分からないんですが、そういう問題の指摘も決算がなければできないわけですよね。  そういうところについて、これは大臣にいきなり聞いてもと思います。(発言する者あり)聞いていいですかね。そこを是非……
  91. 武見敬三

    ○理事(武見敬三君) 聞いてください。
  92. 神本美恵子

    神本美恵子君 じゃ、まずちょっと短く、簡潔にお願いします。
  93. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) よろしいですか。
  94. 武見敬三

    ○理事(武見敬三君) どうぞ。
  95. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 恐れ入ります。  神本先生にお答え申し上げたいと思います。  私のところでは、男女共同参画、そして少子化につきましても、各省庁との連携におきまして総合調整機能を発揮するよう努力しております。したがって、決算につきましては、各省においての決算を出していただき、私が担当しております、例えば男女共同参画基本計画につきまして、その決算の形で項目を分解して出してくることがなかなか難しいという事情がございます。ですから、各省の決算をもって御審議いただければ有り難いと思っております。
  96. 神本美恵子

    神本美恵子君 難しいというか、こういう予算が一覧にできるのであれば、例えば、もう読み上げる時間ないんですが、多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実ということで、文部科学省四十三億です。それから厚生労働省七千四十億というふうに、項目ごとにあるわけですね。  そうしたら、この文部科学省がこれをどういうふうに使ったのか、厚生労働省がどういうふうに使ったのか、その内容が、当然そこを把握しないと内閣府特命大臣としては、厚労省さん、頑張りが足りませんよとか、文科省さん、これではなくてこういう施策を講じてくださいというような連携が取れないのではないかと思いますのでお伺いしているんですけれども。
  97. 名取はにわ

    政府参考人名取はにわ君) お答えいたします。  今、私どもは、男女共同参画基本計画につきましてどのような施策をするかということについて各省の施策について取りまとめ、そしてそれを白書という形で御報告もしておりますんですが、決算につきましては、例えば内閣府ですと内閣府の決算というのは出ますけれども、どのような政策にどのように使ったのかというふうなところでは出ておりませんので、各省におきましても同じ状況でございますので、男女共同参画基本計画に合わせた決算額というふうな形では取りまとめていないのでございます。
  98. 神本美恵子

    神本美恵子君 だから、内閣府の男女共同参画局予算四億円の内訳ではなくて、私が申し上げているのは、ここに書いてある、これ内閣府で作られたんではないかと思うんですが、このそれぞれについて各省庁が出す決算を一覧にして、内閣男女共同参画局として政策評価をして次の予算に反映させるよう調整すべきではないかということを申し上げているんです。
  99. 名取はにわ

    政府参考人名取はにわ君) お答えいたします。  男女共同参画社会基本法におきましては、年次報告を国会にするようにというふうなことで規定がございますんですが、こちらにつきましては、毎年、これから講じようとする施策について国会に提出しなければならないというふうに規定されておりまして、それでございますので、予算額につきましては、きちっと各省がどのような計画について予算をそれぞれの施策について要求したのかというふうなことについては私どももきちっと取りまとめておるのでございますけれども、決算につきましては今のような仕組みでございますので、それができないというふうなことでございます。
  100. 神本美恵子

    神本美恵子君 恐らく局長レベルでお答えできないかもしれません。  大臣、そこで、大臣の就任に当たる記者会見を読ませていただいたんですが、就任ではありませんけれども、そのときにおっしゃっているんですが、各省庁の大臣に、この男女共同参画及び少子化は最重要課題であると、政府にとって。ですから、各省庁の大臣によろしくこの分野お願いしたいということを積極的に伝えていきたいというふうにおっしゃったんですね。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕  私は、よろしくお願いしますだけではなくて、どのくらいできましたか、ここはなぜできないのですかということを、特命大臣ですから是非言っていただきたい。それを言うにはバックデータが必要だと思います。このお金はどう使ったんですか、これよりもこっちに回すべきではないか。特に少子化対策、今重要課題だし、最近、朝日新聞の調査でも出ておりました。子育てできる労働環境の整備が今最も求められているというふうなアンケート結果も出ておりましたので、そういう、どこに重点化するのかということを各大臣に、よろしくではなくて、厚労大臣、あなたはどこまでできたんですかというふうに強いリーダーシップでやられるように、御決意を短く。  それから、そういう決算をきちっと出すということをお約束いただきたいと思います。
  101. 猪口邦子

    国務大臣(猪口邦子君) 神本先生おっしゃいますとおり、少子化男女共同参画はワンセットの政策として推進しなければならない我が国におけます最重要課題と認識しております。そして、私としては、決してよろしくと申し上げているだけではなく、連携しながらも、今までの政策のまず分析から見直して、より総合的な対策、そして多角的な観点からの多様なニーズにこたえる政策を議論する、そういうことをやっております。それは、今までの政策についての評価と、更にどういうことが必要かという分析に基づくものです。  例えば少子化対策でございますと、過去のエンゼルプラン、新エンゼルプランなどは保育関係事業の拡充を中心としておりました。これは働く女性のための不可欠な支援ですが、今日、例えばいわゆる専業主婦の方も育児の中で不安感を持っている。より総合的な対策が必要ということから子ども・子育て応援プラン、これは若者の就労支援でありますとか、先生おっしゃいますような男性も含めた長時間労働などの働き方の見直し、それから女性の育児休、まあ男女ともですけれども、育児休業の取得の促進、制度はあっても取りにくい、そういうことは、例えば様々な予算措置を含めて議論をし、今年度から実施の方向で進むことになってきております。  それは、先生おっしゃいますとおり過去の政策について非常に真摯な分析をし、その成果を認めつつ、それが不必要であったということは決してなく、非常に重要な成果をもたらしたと私は考えておりますが、より多角的な観点からの補充が必要であるという認識の下、少子化対策も男女共同参画も両方とも拡充していくという認識でおります。
  102. 神本美恵子

    神本美恵子君 御認識はもう重々、書かれたものや発言されたことで存じ上げております。  それで、私は政策評価をする場合に決算が必要だということを申し上げているんで、もうそのことは是非、大臣、よく考えていただきたいと思います。  この一覧表の中に、高齢者等が安心して暮らせる条件整備、ちなみにこの予算の全額が二兆七千億、十六年度予算額であったわけですね。その中の一兆九千億は高齢者対策なんですよ。それが男女共同参画の中に入っている。もちろん、高齢者の中には、半分は女性ですからいいんですけれども、こういう形で、じゃ、男女共同参画に二兆七千億も使っているというような国民は錯覚を受けますけれども、内訳はこうなっているって、これはどうなんだというようなことにもなりますので、是非そこも見直していただきたいということを申し上げまして、時間がないので次の問題に行きたいと思います。  次は、教科書業における特殊指定廃止に関する問題です。  今日、文科大臣おいでいただいておりますが、三月十六日に公正取引委員会がいわゆる教科書特殊指定を廃止する方向で検討に入ったというふうに報じられておりました。その理由が、制定後五十年が経過し、教科書採択の方法、手続が整備され、教科書発行業者による売り込み競争や取引の実態も大きく変化してきたため、採択がゆがめられるおそれが著しく減少し、教科書の分野への特殊指定は不要になってきたというふうに言われております。これは文科省と公正取引委員会とが、むしろ制定の経緯としては、公正取引委員会が経済的分野において教科書の販売における過当な競争が行われている、あるいは不当なやり取りが行われているというようなことからこの特殊指定が設けられ、文科省はそれを受ける形で、文科省としては、教育の内容、教科書の内容をゆがめないように、公正な採択が確保されるようにという両者の合意といいますか、から置かれた特殊指定だと私は認識しているんですけれども、この廃止を打ち出すに当たって文科省に事前の折衝とか、そのパートナーとして事前に何か相談などあったんでしょうか。局長で結構です。
  103. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 教科書の特殊指定は、教科書における公正な競争の確保の観点から、教科書業者などが行うことが禁じられる不公正な取引方法の内容を明らかにするために、公正取引委員会において告示を行っているものでございます。今回の件につきましては、昨年末来、公正取引委員会の方からこの特殊指定について廃止を検討しているというお話文部科学省の方にございました。  文部科学省としては、この特殊指定がこれまで長年にわたり運用されまして教科書採択の公正確保を図るために大変重要な役割を果たしてきたということを申し上げまして、公正取引委員会との間で話合いは続けてきたところでございます。そういう中で、三月の十六日に公正取引委員会の方から廃止についての意見募集が行われたという経緯でございまして、私どもといたしましては、これまで教科書の特殊指定が果たしてきた役割にかんがみまして、この件については引き続き公正取引委員会と協議をしていく必要があると、こう思っているところでございます。
  104. 神本美恵子

    神本美恵子君 この件については小坂大臣も懸念を発言していらっしゃるようですけれども、今後公取と協議していくということですが、スタンスとしては廃止の方向でいらっしゃるのか、それとも懸念があるので存続といいますか、という立場でいらっしゃるのか、大臣としてはどのようにお考えですか。
  105. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 既に私が言っていることは御存じのようでございますが、廃止を前提に懸念をするというのも変な話でございまして、廃止をすることを積極的に考えて懸念をするというのは変な話でございまして、懸念をするというのは、今のこの特殊指定の果たしている役割というものをしっかり御理解をいただきたいという立場でまずあるわけでございますね。  ですから、スタンスはそういう形の中で、仮に、お決めになるのは公正取引委員会の方でございますので、そのような場合にどのような形でこれを、今まで築き上げられてきた秩序が引き続き維持されるのかについて、公正取引委員会としてのお考えを聞かせていただきながら、そこで私どもの懸念が払拭されるかどうかという議論でございますので、そのような形で私どもの懸念を払拭できるような御意見が得られれば、私どもとしてはその決定に従わなきゃならないという立場はあるわけでございます。  しかし、私どもとしては、今日まで、昭和三十一年に告示されて以来のこの長年にわたる運用でございますので、この禁止された事柄が一つの商習慣になって今後ともちゃんと守られるから大丈夫だというようなことがしっかりと私ども認識できればいいですが、そうでないならば、どのような形で公正確保が図られるのかという点について十分な議論をしてまいりたいと、このように考えております。
  106. 神本美恵子

    神本美恵子君 猪口大臣、名取局長、もう結構ですので、ありがとうございました、私の質問は終わっていますので。  それで、小坂大臣、確かにこれが廃止されたらどうなるかということに対して、やってみなきゃ分からないというところはあるのかもしれませんけれども、私は、今回公取委がなぜこれを廃止しようとするのか、もう制定された当時と状況は変わったというけれども、果たして変わったのかな、むしろもっと激しい過当競争が出版社同士で行われるのではないか、あるいは他社に対する誹謗中傷が行われるのではないか。それによって、今でもこの特殊指定があっても寡占化が非常に進んでいますし、それによって小さな出版社は見本本も配れない状況が出てきているというような今実態がございますよね。  そういう中で、これをだれのために廃止するのか。少なくとも子供のためではないということは私ははっきり言えるのではないかと。子供にとって、この特殊指定が廃止されたら子供たちが使う教科書の選択の幅が狭まるということはもう目に見えていますので、これにはもう懸念ではなくて断固反対ということ、これを堅持すべきだ、存続すべきだということを明確に打ち出して公取委と協議をしていただきたいと私は思うのですけれども、最後に大臣、一言お願いします。
  107. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 委員のおっしゃりたいことは各方面でも議論されておると思っております。  そういった中で、教科書の見本の送付を始めとしたこの制限事項が廃止された場合にも、これまで同様にその制限を行うことができるのかどうか、こういった点について十分に協議をさせていただきまして、この採択の公正が損なわれることのないように、そこを一点に私どもはしっかりとらえてこの問題に対処してまいりたいと存じます。
  108. 神本美恵子

    神本美恵子君 是非、週刊誌などでは教科書も金次第なんてことが書かれておりますし、やはり子供たちの手に渡る教科書はより良質なものでなければいけないし、多様な教科書の中からより良いものが選択されて、教科書そのものもその選択によってより良いものにまたなっていくという、そういう制度として機能してきたと思いますので、是非存続の方向で頑張っていただきたいと思います。  次に、強制連行犠牲者の遺骨問題に関する御質問をしたいと思います。厚生労働大臣もいらっしゃいますので、是非お聞きしたいと思います。  これは、この問題については一昨年の十二月、日韓首脳会談で小泉総理が盧武鉉大統領に対して、強制連行をされた民間徴用の方々の遺骨収集を検討したいというふうに約束されて、日本政府としても今誠意を持ってそれにこたえた取組がなされているということについては、私もまず敬意を表したいと思います。  ところで、この問題について衆議院の予算委員会において我が党の松本龍議員からも質問があって、その際、厚労大臣は、一体でも多くその結果が出るように全力を挙げてまいりたいというふうに述べておられます。その決意は変わりはないのかということについて、まず御決意を伺いたいと思います。
  109. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) たしか衆議院の予算委員会の分科会で松本龍委員から御質問をいただきました。これは、今言われましたように、一昨年、日韓首脳会談が行われましたときに盧武鉉大統領から小泉総理に御要請があり、そして何ができるかということを考えたいということで総理が受け止められ、その後、厚生労働省、また外務省、それから内閣官房併せてその問題に当たるようにという御指示をいただいて、今懸命に取り組ませていただいているところでございます。  そのときに私は、こうした経過もあり、また我が国の正に日韓関係に懸ける誠意として一体でも多くお返しできるように努力をしたいと、こう申し上げたとおりで、正に予算委員会の場で申し上げたことでありますので、精一杯頑張りたいと思います。
  110. 神本美恵子

    神本美恵子君 本当に政府挙げて誠意を持って取り組みたいという大臣の御決意をいただきました。  それを踏まえて幾つかお伺いをしたいと思いますけれども、政府から地方自治体の方に遺骨の調査依頼が昨年六月二十日付けで行われて、昨年の九月二十日までの調査結果が韓国側に伝えられたというふうに聞いております。  これは新聞でも報道されていましたように、企業からの情報も合わせて八百六十八体の遺骨情報があり、韓国に伝えられたというふうに聞いておりますが、これはその母数が幾つなのかというのがはっきりしませんので、多いのか少ないのかという評価は難しいかもしれませんけれども、やはり民間の研究者によれば、六十万人の方が日本に徴用されたというふうに言われております。必ずしも六十万人が全部こちらで亡くなったわけではありませんので、無事に帰られた方もいらっしゃいますでしょうし、こちらに、その御家族の方と一緒にこちらに残って暮らしていらっしゃる方もいらっしゃいますでしょうし。しかし、その母数が分からないにしても、韓国が真相究明委員会で韓国におけるその被害者からの申請を受け付けたものが十九万件、そのうち労働者として徴用された人が十三万件、そのうち死亡、行方不明があるということで申請した遺家族の方が二万三千件あるということなんですね。その二万三千件という数から見ても、八百六十八体というのは余りにも少な過ぎるということで、韓国の方からもそういう不満の声が上がっているというのは聞いております。  政府から各自治体に調査依頼をされて返事が来たものがそれだけなんですが、幾つの自治体から返答があって、幾つからはなかったのか。回答がなかった自治体に対しては、今後改めてもう一度再調査を依頼するなり、そういうことを当然やられると思いますが、いかがでしょうか。
  111. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 今御指摘ありましたように、朝鮮半島出身の旧民間徴用者等の御遺骨につきましては、昨年の六月二十日付けですべての地方公共団体と宗教法人に対して情報提供依頼を行いました。今御紹介ありましたように、現在、地方公共団体及び企業から寄せられた情報分として、八百六十八体の遺骨の所在に関する情報を韓国側に提供したところでございます。  この後も地方公共団体に対してはフォローアップをしていきたいと考えておりますし、それから、これからの宗教法人からの情報提供と合わせて、情報収集、これから進展するものと見込んでおります。
  112. 神本美恵子

    神本美恵子君 回答がなかった自治体にもフォローアップをしていきたいというふうに受け止めてよろしいですね。  それから、その次に、昨年五月の第一回日韓、これ実務者協議だと思いますが、韓国側からの要請で、調査は体系的かつ広範にということで、具体的に埋火葬認可証や徴用者の死亡報告の情報提供というものを厚労省中心になって是非欲しいということが出されておりますけれども、これらの情報は死者を特定して遺骨がどこにあるのかということを突き止める重要な情報源であると思います。  これについて、すべての地方公共団体からこの埋火葬認可証、徴用者の死亡報告の情報提供というものについて取り組みをなさる、働き掛けるべきだと思いますけれども、これについてはいかがですか。
  113. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 昨年の六月二十日に情報依頼をしたときに、そういった遺骨に関する情報が所在する可能性がある部署ということでいろんな例示を挙げて情報提供の依頼をしております。  その中で、今御指摘のありました埋火葬認許証等につきましては、六月二十日の段階でもそういったものを例示として挙げておりますが、韓国側から、そういった調査を徹底してほしい旨の要望がございましたので、今年の一月に、これについては注意を喚起するために、すべての地方公共団体に対して埋火葬許可証等に関する部分について再度調査を依頼したものでございます。
  114. 神本美恵子

    神本美恵子君 その調査依頼された文書は見せていただきましたので、あと、それがどのように各自治体で取り扱われるかということが重要だと思うんですね。本当に捜すのか。新聞報道などを見ますと、厚労省さんがせっかく出された文書がたらい回しになって、都道府県で総務課が受けて、総務課から市町村に行くと、どこの部署も対応するところがないということで、たらい回しになって、結局、うちにはないという返事でもうそれで終わりというふうなことも報道されておりますし、私、NGOの方からこの埋火葬認可証というものの写しを見せていただいたんですが、本当に、死亡者のところに、本籍地、これは韓国、朝鮮の住所が書かれておりますし、亡くなられた方のお名前、日本名になっている方もいらっしゃいますが、それから死亡場所、死因、それから埋葬地も書かれております。  本当にこれ、こういうのが見付かれば、遺族、家族の方はどんなに、何といいますか喜ばれるというか、六十年たった今ですけれども、非常にこれは重要な書類だと思いますので、是非この発掘を各自治体に、すべての自治体が取り組むように働き掛けていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  115. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 昨年六月二十日に依頼をして、その中に例示をして依頼をしておりました。また、今年の一月、依頼をしておりますので、そういった面で地方公共団体の方も誠実に取り組んでいただけるものと考えております。  今後、実地調査等の段階でも、そういった関係のところには協力お願いしていきたいと考えております。
  116. 神本美恵子

    神本美恵子君 是非しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  また、そういう死亡情報ということでは、これもお借りしているんですが、戸籍への記載の元になる死亡情報を含む戸籍受付帳というものが福岡県山田市から、また同様のこういう資料が北海道の富良野町からも出てきたというふうにお聞きします。これも、こういう山田町の受付帳なんですが、この中に、同じように、本人の名前とそれから本籍地、それから死亡情報等も書かれております。  この戸籍受付帳ですね、こういうものもどの程度保管されているものなのか、市町村合併でこれから様々にこういうものも処理されたりするおそれもありますので、早急に保管状況を調べて、この中にそういう情報がないかということを把握していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  117. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 戸籍受付帳につきましては、昨年六月二十日の段階でもそういった戸籍の担当部署にも確認してほしいというお願いをしております。  埋火葬認許証につきましては、その後、韓国側から要請がありましたので再度という形でやっておりますが、ただ、いずれにしても、地方公共団体、私どもがいろいろ例示をしてお願いをしておりますので、誠実に対応していただいたものと認識をしております。
  118. 神本美恵子

    神本美恵子君 今まで幾つかの死亡情報が含まれた名簿等のお話をしましたけれども、地方公共団体に厚労省としてお願いをされて、そしてそこから上がってきたのがどのぐらいなのか、私、担当の方とお話ししましたら、それは申し上げられませんと言われて、私は何とも評価のしようがなかったんですね。  その厚労省さんが出された文書を見ますと、関連の情報提供につき御協力お願いすることといたしました。なお、この情報提供依頼は地方公共団体の自発的な協力を仰ごうというものですが、上記の趣旨も踏まえて、是非とも御協力お願いしますと。あくまであなたたちの自発的な協力ですよという、こんなことわざわざ書かなくたって当り前でしょうという感じなんですね。それから、提供お願いしたい情報のところにも、以下のような情報がある場合には、判明している範囲で構いませんので、別添の回答表に記入の上この回答送付先までというふうな、何だか、本当にすべての自治体からなくなる前に、資料がなくなる前に何とか早く集めて韓国に誠意ある情報提供なり遺骨を探し出そうという、全然腰が引けて、見えないんですけれども、どうですか。
  119. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 国と地方公共団体の関係、これは指揮命令関係にあるわけではございませんので、あくまでも情報提供依頼ということでお願いをしております。  ただ、その依頼に当たっては、そういった資料があるないにかかわらずいろいろ情報提供をお願いをしておりますし、電話等でもフォローをしておりますので、そういった点から地方公共団体の協力は十分得られるものと考えております。
  120. 神本美恵子

    神本美恵子君 こういう腰が引けた状態ではもう何年たっても出てこないでしょうし、もう出てきた分だけで、はい、終わりですということにしかならないと思いますので、それについてはまた後でちょっと触れたいと思いますが。  また、韓国側からは具体的に、例えば厚生年金名簿、供託金名簿などにも死亡者名や就労した企業名、死亡年月日などが記載されているので、そういうものも集めてください、情報提供くださいということが向こうから依頼をされていると思います。  私、福岡出身ですけれども、やはりこの問題にずっと取り組んでいらっしゃる市民団体、今、去年辺りネットワーク、全国ネットワークをつくって本当に精力的な取組をしていらっしゃるんですが、その方からお借りしたものは、変災、変わった災い、変災報告書綴というんですが、ある鉱業所の落盤事故の資料なんですね。そうしますと、これに、だれが亡くなったと、一人につき一枚ずつ亡くなった方の名前、韓国、朝鮮名の方がいらっしゃいます。そして、二枚目に落盤事故の図があって、これのどこでどのような格好で、状態で亡くなったかということまで一枚一枚企業が作っているものがあるわけですね。こういうものが保管されている、すべてとは言いませんけれども、保管されている可能性があるということを前提に、これもなくならないうちに是非もう総力を挙げて探し出していただきたいと思うんです。  こういうものを民間の手で探し出して、それが実際遺族の方とつながったときに、その遺族の方はこれを読みふけり、この図を見たり、こういったものを読みふけって、父はこのようにして亡くなったんですねと言って本当に泣き崩れられるというような新聞記事を見たりしたんですけれども、私もそれはよく分かります、その気持ちをですね。  そういうことを是非、これは厚労省だけではなくて、先ほど大臣おっしゃったように、内閣官房も外務省も一緒に協力してやっているわけですから、政府全体としてこういう気持ちを、何というんですか、気持ちを思いながら、思いをはせながらこの名簿探しをやっていただきたいというふうに思いますけれども、今日は厚労省しかおいでになっていただいておりませんので、厚労省、担当としてどうですか。
  121. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) この朝鮮半島出身者の遺骨の問題、これは非常に重要な問題でございますので、厚生労働省としてもこの問題に対して体制を整えて現在取り組んでいるところでございます。  今後とも、厚生労働省としてできる限りの情報が集まりますように取り組んでまいりたいと考えております。
  122. 神本美恵子

    神本美恵子君 もう時間がなくなりそうなので、最後に、今日、厚労大臣、文科大臣もおいでになっていらっしゃいますし、副大臣もおいでのようですので、今の厚労省任せのような取組だけでは、先ほど言いましたような、本当に必要な死亡情報が集められて、それを基に遺骨に行き当たって、その遺骨をちゃんと返還できる、遺族の元にお返しするというところまでとても行かないうちに遺族の方がまず高齢化してお亡くなりになるというおそれもありますし、こちらが今、まだ今なら残っているかもしれない情報が消却されたり、もう処分されたりするというおそれもありますので、これは本当にスピード感を持って体制を整えてやるべきだと思います。  お聞きしましたら、厚労省には人道調査室というのが置かれまして、これはいいんですが、三人そこにいらっしゃるだけだというふうにお聞きしたんですね。予算は特に組まれていないので、庁費でそこで調査する予算は使われるというふうなことをお聞きしました。こういうことではなくて、政府と、それから自治体と企業と、それからNGO、それから仏教会、全日本仏教会も総力を挙げて協力するというようなことも聞いておりますので、是非この五者が緊密な連携の中で総合的な調査ができるように取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。  それぞれの大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  123. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 一昨年来の経緯、また事務的に進んでいる状況局長から御説明申し上げました。  今お話ございましたように、内閣官房が全体の調整を行う、官房長官がされます。また一方で、日韓の信頼関係の問題でありますから、外務省が韓国との関係、民間企業との関係をやる。また、小坂さんにも今横で話していたんですけれども、文科省は宗教団体との関係をやっていただく。また、地方自治体の動きが鈍いじゃないかという御指摘をいただいて、もうちょっと厚生労働省しっかり言えと、こういうお話をいただきました。これは、実際は総務省がしっかり物を言ってもらわなきゃならないと思っております。各役所がそれぞれ連携取りながら、そして正に韓国の大統領から言われて総理が引き取った話でありますから、小泉内閣としてもしっかりやらなきゃならないと、こういう認識をいたしております。  一方で、私どもは中で組織をつくらしていただいた、これは現地に出向きます、経費の問題いろいろありますけれども、現地に出向いて各地域を調査させたいと、この一年間やらせますので、また成果が上がった段階で御報告をさしていただくことになるだろうと思います。
  124. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 神本委員、大変に熱心に勉強されての御質問でございますから、私ども確かに重要な問題だという認識を改めて深くしたところでございまして、今厚生労働大臣おっしゃったように、内閣官房を中心にいたしまして、外務省、厚生労働、そして総務省、さらに私ども文部科学省、宗教団体との連絡を担当しておりますから。そういった意味で、これはタイミングが非常に重要だという認識を持って、その御意思に、皆さんの気持ちに添えるような取組厚生労働省としっかり連携を取ってまいりたいと存じます。
  125. 神本美恵子

    神本美恵子君 厚生労働大臣、文科大臣、前向きに政府として取り組むという姿勢を表していただきましたので、大変今日は質問してよかったなというふうに思っております。あと、これが具体的に本当に人的に、もう体制として大臣同士で話していただいて、体制を取って前へ進めていただきたいということを申し上げたいと思います。  仏教会のこと、曹洞宗のことを私ちょっと資料で読んで感動したんですけれども、ここはきちんと、自分たちも戦争に加担したという反省の下に、二度とこういうことを繰り返さないためにということで、その宗派の中に方針を立てて、六項目の基本原則を作って、それに基づいて自分たちのお金でダイレクトメールを送ったりして調査を進めていらっしゃる、もう自分たちの問題と自覚して主体的にやっていらっしゃるという、このことは学ぶべきだと思いますので、最後に蛇足ですけれども付け加えさせていただいて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  126. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋正義でございます。  小泉改革は小さな政府の掛け声の下で様々な改革に今取り組まれているわけでありますが、それに対して、東大の神野直彦という教授がいらっしゃいますけれども、「日本の目指す「ほどよい政府」への道」という、そういう論文がありまして、その中で、二十世紀から二十一世紀への世紀転換期である今日を、スウェーデン政府言葉をかりながら知識社会の時代と位置付けているわけであります。  その知識社会の時代になると、自然に働き掛ける生産の主体としての人間そのものが重要な役割を果たすということになります。そうなると、人間的な能力を高めるサービス、知識資本が社会的インフラとなります。つまり、学校教育の重要性はもとより、人間のあらゆるライフステージでの掛け替えのない能力を高めるために、職業能力開発や求職者等が有する潜在的な成長力、それを、発揚を図る観点から、職業紹介を通じた就職の実現なども含めた様々な広範囲にわたっての教育サービスが最重要視されるべき社会的インフラとなるというふうに思うわけであります。  そういう点、この理念に小泉改革は無謀にも挑戦をしているのではないかというふうに思うわけでありまして、その中でやはり矛盾がだんだんむき出しになってきている。その中で不幸にも一番鋭く噴出しているのが教育分野であり、職業安定行政であると言わざるを得ない。この問題意識から、小坂文部科学大臣、そして川崎厚生労働大臣に順次お尋ねをしたいというふうに思います。  本院において子供たちの観点に立った熱い教育論が展開されてきております。子供の最善の利益が第一義とされることは言うまでもありません。このプライオリティーからしてある意味当然かもしれませんけれども、教育現場を成立させる両輪のもう一つ、つまりは教職員が抱える問題について、これまでどうしても軽視されがちであったというふうに言わざるを得ないというふうに思います。とりわけ、その働き方については意外と知られていないというふうに思われます。  日教組が〇四年十月に行いました職場点検全国実態調査というのがございまして、昨年五月に、〇五年五月に発表されましたけれども、その報告書と調査の結果のまとめがあるわけでありますけれども、この調査は全国の小中高、障害児学校、幼稚園を対象とした三千四百四十一の職場調査と、そこに所属する教職員全体を対象とした九千六百三十二人の個人調査という二本柱で構成されています。要は、集団と個という二つの切り口で行われていることから、いわゆる建前ではない本音の部分も浮き彫りになっているなど、教職員が置かれている現状等を知る上で非常に有効な資料になっております。この調査結果からは、一言で言いますと、いわゆる乾き切ったぞうきんにもかかわらず、もう一絞りをという実態が一目瞭然になってくるわけであります。  そこで、文科大臣に御質問をいたしますが、学校教育の成果はその直接の担い手である教員に懸かっているというふうに言われますが、教員が心身ともに健康な状態で児童生徒に接することができるようにすることが不可欠であるというふうに考えます。また同時に、地域に開かれた学校を目指す文部科学省の方針からするならば、様々な職種から構成される学校のスタッフにも同様の配慮等が要請されることは論をまたないというふうに思います。  学校教育を所管する文部科学省として、教職員の勤務実態について一体どのように認識をされているのか、まず見解をお聞きしたいと思います。
  127. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 委員が御指摘なさいましたように、学校教育というものはそこに働く人に負うところが多いわけでございまして、とりわけ教員の意欲と使命感というものに負うところが非常に大きいというふうに認識をいたしております。その教育活動に専念していただく教員の皆さんの現状というものを、意識調査や病気休職等に関する調査結果などを見ますと、多くの教員が多忙感を抱いたり、あるいは精神性疾患による病気休職が増加している状況にあるということは私どもも認識をいたしております。  文部科学省としては、多忙感の解消やメンタルヘルスの保持などのために、今後とも各学校や各教育委員会に対して、校務の効率化や教員の適切な勤務時間管理について促してまいりたい、このように思うところでございまして、日教組が実施されましたその調査結果においても、多くの教員が日々の勤務において多忙感を感じている状況だと、このようにあることは認識をしているところでございます。
  128. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 認識を共有化できているのではないかというふうに思いますけれども、ここでもう少し、この調査結果のバックグラウンドとなるここ数年来の学校を取り巻く状況について少しお話をさせていただきたいというふうに思います。  五日制による授業時間数の削減とゆとり教育路線が学力低下を招いているという批判が強まる昨今、現場では、ゆとりの創造に、確かな学力を加えた教育実践が求められることになっています。このため、授業時間数確保が至上命題というふうになっているわけでありますけれども、行事や定期試験後にも無理やり授業を入れたり、教職員のみならず、子供たちにも過密な日課が今当たり前になってきている。また、ゆとり教育としての総合学習や選択授業あるいは少人数学習などでは、通常授業よりも多くの教員が必要となります。しかし、必ずしも十分な人的措置がされているわけではないので教員一人当たりの授業時間数が増え、これまでいわゆる空き時間というふうに言われていたその空き時間に行っていた様々な業務、教材研究ですとか、あるいは子供たちが提出したノート、プリントへのコメント書き、あるいは成績処理等々が放課後の仕事となって積み重なる悪循環が拡大再生産されることになります。じゃ、その放課後はといいますと、実はほとんどが会議や打合せでつぶれるわけでありまして、当然超勤仕事とならざるを得ない。  調査結果によれば、全国平均では、教職員は毎日、通常勤務開始前三十分早く出勤をし、通常勤務終了一時間四十分後に退勤するのが今や普通の姿となっていると。さらに、退勤後も自宅に持ち帰って仕事をせざるを得ない点が多いと。教職員の勤務実態にかかわる特徴であります。持ち帰り仕事の一日平均は約一時間もあり、出退勤における二時間強の超過勤務を合わせると一日の時間外勤務は優に三時間を超えると。これは一か月に換算すると実に六十時間を超える数値であって、医師の助言、指導が必要とされる厚労省の基準があるわけでありますが、その月四十五時間の超勤時間を上回るものとなっています。  御存じのとおり、教員は給特法により労基法三十六条、三十七条の適用除外になっておりますので、原則として時間外、休日勤務は命じられないにもかかわらず、こうした実態になっております。まさしく、学校は恒常的サービス残業が野放しにされた異常な職場環境にあることが浮き彫りになってきているわけであります。  この日教組の調査によって明らかになったこのような学校現場の教職員の異常な職場環境について、文部科学省の見解をお尋ねしたいというふうに思います。  また、超過勤務や休憩、休息時間の不適切な運用が野放しにされている実態について文部科学省としてどのような指導を行っていく用意がおありかどうか、併せてお尋ねをいたします。
  129. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) ただいまお話のございました平成十六年十月に日教組が組合員等を対象にした調査によりますと、今先生からお話がございましたような結果が報告をされているわけでございます。以前と比べて多忙感を感じている教職員が約四分の三に上るといったようなこととか、持ち帰りの仕事を含めて一日当たりの時間外勤務がおよそ三時間に達しているといったような結果が報告をされているわけでございます。  先ほど大臣の方からもお答えを申し上げましたが、文部科学省が実施をいたしました意識調査におきましても、やはり常に忙しいと感じている教員が六一%、時期によって忙しいと感じている教員が三四%ということで、全体の九五%の先生が常に又は時期によって忙しいという感じを持っているという結果が出ております。  私どもとしては、こういった調査結果を見る限りにおきましては、多くの教員がやはり日々の勤務において多忙感を感じて仕事にいそしんでいるという状況が示されているというふうに認識をいたしております。  それから、お話のございました超過勤務、休憩、休息時間の問題でございますけれども、まず超過勤務、いわゆる地方公務員法制上で言う時間外勤務につきましては、公立の義務教育諸学校等の給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法の規定に基づきまして、公立学校の教員に時間外勤務を命ずることができる場合を実習や学校行事などのいわゆる超勤四項目に限ることとすることが定められているわけでございます。しかしながら、公立学校教員の勤務時間については、いわゆる超勤四項目に該当しない自発的な時間外勤務が多いということも事実ではないかと思っております。  それから休憩時間につきましては、八時間の勤務であれば、少なくとも四十五分の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないと労働基準法上定められているわけでございますが、公立学校の教員につきましては、例えば給食指導の関係などから昼に休憩時間を取ることが難しいといったような声があることも承知をいたしております。日教組の調査でもそういった休憩時間が短いといった結果が出ていると承知をいたしております。  私どもといたしましては、これまでも七次にわたる教職員の定数改善によりまして教職員の配置改善は進めてきたわけでございますけれども、加えて、各教育委員会に対して校務の効率化あるいは教職員の適切な勤務時間管理等について指導することによりまして、時間外勤務の縮減を図ることや、休憩時間等につきましても、児童生徒が帰宅した放課後に配置をしたり、交代で休憩を取るなどの工夫を講ずることなどを促してきたところでございます。  今後とも、各学校の状況に応じた適切な工夫等につきまして、文部科学省として各教育委員会取組を促してまいりたいと考えているところでございます。
  130. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今お答えいただきましたように、本当に休憩時間というのがあっても実質それが取れずに、休憩時間も入れて八時間四十五分実質連続勤務をするというのがもうほとんど実態でありまして、それプラス、さっき言いました超過勤務、休憩時間の分も含めればそれ自体も、もう超過勤務になるわけでありますけれども、そうした今状況の中で、やはり教員が教室で授業など子供たち、教育活動に専念できるように学校全体の仕事を見直し、その効率化、精選を行うなど、教員をいわゆる雑務から解放することが最優先される必要があるんではないかというふうに思うわけでありますが。  雑務等からの解放に向けた具体的方針、方策も含めた小坂大臣の決意をお聞きしたいと思います。
  131. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 非常に教員が多忙感を抱いていることは私も日ごろから気になっております。  そういう中で、文部科学省として、各教育委員会に、先ほどから申し上げているように、会議などの見直しによる校務の効率化を図っていただきたい、あるいは各種調査等に当たってはこれを厳選してほしい、また事務処理体制の整備を図っていただいて分担をしっかりしていただきたいと、こういうことで教員の多忙感の解消に向けて各学校、教育委員会取組を促すということとともに、文部科学省としても教員の勤務の実態についてよく現状を把握していきたいと、こう考えております。  平成十八年度以降の教員配置につきましては、ただいま局長の方から答弁申し上げたように、第八次の定員改善五か年計画というものを策定しようと考えておったわけでございますけれども、総人件費改革を進めるという政府の方針がございます。そういう中で、十八年度からの計画の策定に当たっては、大臣折衝の中でむしろ実質的な人員の十八年度確保ということを前提にこれを見送った経緯がございます。  文部科学省としては、今日的な教育課題への対応のために、今後とも、計画的に少人数教育の推進や特別支援教育の充実、あるいは食育という新たな視点に対応していく必要があると、このように考えておりまして、このための総人件費改革に取り組みながらも、今後の教職員定数の在り方についてどのような対応が可能か、これを含めまして十九年度以降の予算編成過程においてしっかりと検討してまいりたいと存じます。
  132. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 子供たちの主体性を培うという本来の意味での教育再生を実現するためにも、教職員に対する人間らしい働き方の復権というのがいわゆる一丁目一番地の意義を持つんではないかというふうに思うわけでありますけれども、今大臣が答弁いただきましたように、実態把握をしていきたいというお話でありますが、この実態把握に向けて、先ほど私は日教組の調査についてお話をしましたけれども、文部科学省として、この日教組に負けないような学校現場の実情を把握するための勤務実態調査を行い、教職員の勤務状況がいかに過酷であるかというふうなことをやはり国民に公表するべきではないかというふうに思うわけでありますが、それについてはいかがでしょうか。
  133. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 基本的には、公立学校教員の具体の勤務実態につきましては、服務監督権者である各教育委員会がその権限と責任において適切に把握すべきものではございます。現に、各教育委員会におきましていろいろな調査をやりまして、その結果の御報告も私どもいただいているところでございます。そういった状況、あるいは先般来の文部科学省意識調査の状況等を踏まえまして、私ども近く教員の勤務実態について全国的な調査を行いたいと思っております。  とりわけ、今後、公立学校の教職員給与の在り方について、先般閣議決定をされまして国会に提出されております行政改革推進法案においても、一年間掛けて検討するということになっている状況がございます。  教職員の給与というのは、教職員の職務と責任、あるいは勤務実態の特殊性に基づいて決定をされるわけでございますので、私ども、こういった教職員の給与を検討する際には、教職員の勤務実態も踏まえつつ、教職員の職務の在り方、学校の役割の在り方など、幅広い検討が必要だと思っております。  そういうことからも、近く教職員の勤務実態について全国的な調査を行い、今その具体の調査方法などについて検討を進めているところでございます。教員の勤務実態、勤務の内容ですとか超過勤務の状況、仕事の持ち帰りの実態等の定量的な調査、それに加えて学校や教職員に求められる役割や教員の勤務等についての意識調査等につきまして、できるだけ早い段階で実施できるように検討を進めていきたいと思っております。
  134. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 是非、やはり現場を具体的によく知らないというか、それを把握していないと、やはり具体的な施策というものは生まれてこないわけでありますから、是非それをやっていただきたいというふうに思います。  今、行革推進法のお話が出されたわけでありますけれども、児童生徒の指導、あるいは授業の準備、様々な教育活動があるわけでありますけれども、学校の仕事が、先ほどから申し上げているように、非常に今あふれているというか、もう大変な状況にあるわけでありますけれども。こんな中で、やはり一番大切なのは、子供に寄り添いきめ細やかに育ちをサポートするということが教職員に求められているわけですけれども、これはやはり教職員の増員以外には手だてはないのではないかというふうに取りあえず考えるわけでありますけれども。行革推進法の中では、公務員の削減の話等々が出ておりまして、いわゆる総人件費削減というか、そういうふうなことが出ておりますけれども、学校教育の質の向上を図るために教職員定数の改善に全力でやはり取り組むべきだというふうに思うわけでありますが。  ここで小坂大臣に決意をお聞かせいただきたいと思います。
  135. 小坂憲次

    国務大臣(小坂憲次君) 先ほど申し上げましたけれども、この行革の中での総定員、人件費の削減という方向性はありますが、その中において教育に必要な人材につきましてはしっかりその定員を確保してまいりたいと、このように考えております。
  136. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 是非頑張っていただきたいというふうに思います。  次に、川崎厚労大臣にお尋ねをしたいと思います。  小泉改革の下、安定した雇用が激減しているという私は認識をしているわけでありますが。予算委員会において総理は、雇用情勢は改善したと断言されていたわけであります。現実には、例えば〇一年、これは正規雇用が三千六百四十万人、そして非正規雇用が千三百六十万人、〇五年には正規が三千六百四十万人だったのが三千三百三十三万人ということで、三百万人の減であります。そして、非正規雇用者が千五百九十一万人ということで、ここは二百三十万人の増というふうな形、そして形としてはパートですとか派遣、それから契約・嘱託社員、請負といった、そういった形になっています。  また、若者については、ニート、フリーター等の不安定雇用が増えているわけであります。フリーターについては、ここ三年間、統計上はわずかに減少しているわけでありますけれども、しかし、ニートについては十年前に四十万人というふうになっていたのが、ここ三年間、六十四万人とずっと増加して、引き続き問題になっているわけであります。  さらに、地域格差がありますけれども、完全失業率を、この一位が福井県で今二・七%、数の少ない上で二・七%、そして最下位は北海道、秋田、鹿児島の五・三%、このように格差が大きくなっております。また、有効求人倍率では、一位が愛知、一・七二倍に対して、最下位の北海道、長崎は〇・六〇倍と、このように地域格差も非常に大きくなっているわけであります。国民の多くが将来に希望が持てなくなっており、将来不安はむしろ増大しているんではないかと、こういうふうに思うわけでありますが、雇用の現状について厚生労働省としてどのような認識を持っていらっしゃるのか、お聞かせください。
  137. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 直近の数字に触れていただきましたので、私の方からも少し数字の認識を申し上げたいと思います。  今年の高校生、大学生の内定率、高校生が八五・三%、前年同期比三・七ポイント増でございます。大学生が八五・八%、前年同期比プラス三・二%になっております。完全失業率、二月で四・一%、前月より〇・四ポイント低下いたしました。有効求人倍率もこれで三か月連続で一を上回った。厳しい時代をそろそろ乗り越えつつある、こういう認識をいたしております。  今お示しをいただいた北海道、青森、実は秋田、それから高知、長崎、鹿児島、沖縄、私どもの副大臣、政務官が直接出向いて知事等と雇用の問題で話合いをさせていただいておりますけれども、ここにおいても、一昨年、昨年に比べたら良くはなっているんです。しかし、今お示しいただいた愛知県とか東京に比べたら改善率が遅れている。したがって、そこをしっかりやっていかなければならないな、こういう思いをいたしております。それから、今週中に日商の会頭、先週は経団連の副会長に私どもの副大臣がお会いいたしました。  これは、やはり今お話ありましたように、この十年間、特に五年前ぐらいがピークであったと思いますけれども、若者の失業率が一〇%を超した時代がございます、今約八%でございますけれども。大学を卒業して、高校を卒業して就職がないという時代があった。これはよく、私自身、松下という会社の出身でございますので、よく言うんですけれども、大リストラしました。松下、二万人カットした時代です。日産自動車、各電機メーカー、どんどんやった時代。ましてや、そういう時代でございますから、若者が新規の就職をするというときには極めて厳しい時代だった。  実は、その数字が今お示しいただいたフリーターに残っています。フリーター等を見ていきますと、数字的にはどうしても、若い世代がだんだんだんだん今お示ししたように良くなってきていますから、したがって二十五歳から三十ぐらいの数字が、実はその時代に簡単に言えば就職をし損なった、若しくは行ったけれどもいい就職ではなかったと、こういう形になっております。したがって、そこに経済界全体で光を当てていただけませんかというのが今私どもの仕事であろうと思います。それから、先ほど少子化議論をいたしておりましたけれども、やっぱり若者が正規雇用がないという中で、やっぱり結婚という問題にもなってきているという認識をいたしております。  したがって、そういう意味では、景気がだんだんだんだん雇用の改善が進んできたという中で、もう一踏ん張り私どももしなきゃならぬ、踏み込まなければならないときが来ているんだろうと。そういった意味で、私もこんな発言を、実は皆さん方と同じような発言をしておるところでございます。若者の雇用を経済界に求めていきたい、できれば正規雇用という形でお願いしたいと、こう考えております。
  138. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 本当に私どもと同様の認識の中で力強い答弁をいただいたわけでありますが、最近私が読んだ本の中に中公新書の「経済学的思考のセンス」という、そういう本がありまして、これは小泉改革をある意味理解をしている大竹文雄という人が著した本でありますけれども、この本の中で「失業がもたらす痛み」という章があって、この日本において、失業率の上昇に伴って犯罪率と自殺率が上昇しているということがもう明白に示されているわけであります。特に、高校の新規学卒者の就職状況の悪さと少年犯罪の検挙者数には見事な相関関係があって、若者の雇用環境の悪化が少年犯罪の増加につながっていることが証明されているわけであります。  このことからすると、先般三月の末あるいは四月の冒頭、フランスでも大変この若者や労働者の気持ちを無視した雇用政策が国民の批判を招いて、大々的なデモ、ストライキあるいは暴徒化というような形で問題、そういうふうな状況がありましたけれども、これはあくまでも海外のものであるというふうなことではなくて、やはり日本でも、もう起きかねない状況になっているというふうに考える必要があるというふうに思います。  政府は、若年者の雇用対策の目玉として、昨年度、フリーター二十万人常用化プランを打ち出したというふうに聞いていますけれども、本当にきちんとした対応を講じられているのかどうか。数字だけの打ち上げ花火ではないのかという、そういうふうな疑問もわいてくるわけでありますが、もう四月にもなり、年度も替わっております。このプランの達成状況はどういうふうになっているんでしょうか。成果を数字で。
  139. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) フリーター二十万人常用雇用化プランについてでありますが、この施策は、フリーターが増加してきているということを踏まえまして、関連する施策、これを効果的にやろうと。例えば、ジョブカフェとかハローワークの就職支援あるいは若年者のトライアル雇用とか、いろんな施策ございますが、それらを効果的に展開しようということで始めたものでございます。  今時点の実績がどうかという点申し上げますと、各事業ごとに把握の仕方が若干違う面ございますが、今年の二月までの十か月間で約十八万三千人でございます。これは、昨年の五月からやっておりますので、その一年間を通じて見れば二十万人、十分可能であると考えております。
  140. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 もちろん目標は目標としてあるわけでありますが、しかし、先ほど言いました六十四万人というニートがまだいるわけですから、これはもう欲かいていいというか、欲出していっていいわけでありますので、是非お願いをしたいというふうに思いますし。先ほど大臣の答弁からもいただきましたけれども、特に二十代後半から三十代のフリーターを長くやっている若者たちに、今非常に、やはりここを何とかしなきゃいけないという問題であります。我が国の将来を担うべき世代が低賃金、単純労働に従事して、技能も身に付いていない。彼らの多くは希望してフリーターになったわけではなくて、この間の小泉改革のあおりをもろに受けて正社員になれなかった者たち、方たちであるというふうに考えます。  彼らに対する対策に本腰を入れて安定した職に就けるようにしなければならない。このことについては先ほど大臣から答弁いただきましたので、質問として用意しましたけれども、ここは省略をさしていただきます。  さて、今答弁の中にハローワークのお話が出ました。この大変な時期にハローワークの民間開放が進んでいるというふうに今言われています。ハローワークというのは、憲法に規定されているいわゆる勤労権の保障、そして職業選択の自由を具体化する最低限必要な組織であり、これはアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスといった欧米主要国においても国の責任において公的機関が運営をしているわけでありまして、正に雇用のセーフティーネットとしての最後のよりどころであり、国が責任を持って運営すべきものと考えているわけであります。市場化テストの動きなどに見られるように、民間にやらせればよしとの考えには全くくみすることができないと。公共サービスが提供してきたものを市場で受け取るとどうなるのかに関して、余りに楽観的なのは小泉内閣の通弊としても、その思考停止状態は噴飯物であるというふうに思うわけであります。  市場原理主義に基づく矛盾は、職業紹介の分野でとりわけ極大化せざるを得ないことは、少し考えれば分かることだというふうに思います。民間の職業紹介市場に求職者が全面的に投げ込まれたとすれば、市場を通じた配分としての紹介の過程においては、利潤が優先の企業原理とも相まって、現在価値という限られた基準に基づき、現在の能力に富む者だけが豊かなサービスを享受できるという、そういう帰結にならざるを得ないというふうに思います。  働く意欲についての、また能力開発についての可能性を加味して、一般的なレベルにある最大多数の求職者に力点を置いた上で、職業紹介を行うことこそがセーフティーネットとしてのハローワークの存在価値そのものではないかと考えます。職業安定行政が本来果たすべき役割というものを考えたときに、この点についての見解をお尋ねをしたいと思います。
  141. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 小泉改革をしてきたからやっと明るさが出て、その明るさを若者に与えたいという私の立場ですから、御理解は賜っておきたいと思います。  セーフティーネットですけれども、これは雇用のセーフティーネット、すなわち雇用保険の徴収という仕事と給付という仕事、それから職業紹介という仕事、これは今御指摘いただきましたように、どこの国におきましても国が責任を持つべき仕事、全国にしっかりとしたセーフティーネットを張り巡らす、これはもう御指摘のとおりでございます。  一方で、一階部分、そういう形できちっとやるとしまして、二階建ての部分で、やっぱり民間の知恵、ノウハウというものを生かす部分はあるであろうと。逆に、今まで私どもが直接やっていて、どうも民間の実態を知らないなといって御指摘いただいた部分もございます。そういったものの部分については、セーフティーネットの部分ではございませんから、そこは民間の知恵を使いたいということでやらせていただいております。  そういう意味では、基本的な仕事はハローワークで公務員がしっかりセーフティーネットを引きながら新たなる知恵を少し出していかなきゃならぬと、こういう認識で進めておりますので、どうぞ御理解賜りますようお願い申し上げます。
  142. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今御答弁いただいた中で、公務員がということでありますけれども、この間雇用のセーフティーネットを担っているという自覚に欠けた方たちが少なからずいて、そして公務員で失業しないから失業者の痛みが分からないという批判もこの間出てきているわけでありますので、今お話しいただいた部分というのは一定理解をしなくもないんですが。  しかし、聞くべき批判には謙虚に耳を傾ける姿勢をお持ちいただいて、そしてハローワークの窓口においては失業者の立場に立ったきめ細やかなサービスが提供できるよう、その体質改善というものが必要ではないかというふうに思いますけれども、その具体的な方策を含めて決意をお聞かせいただきたいと思います。
  143. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) ハローワークの仕事の進め方の問題でございますが、一つは、定員等が減ってくる中で効率的に仕事をしなきゃならぬという点がございます。同時に、今御指摘のありました失業者、求職者、そういったお客さんの視点に立って仕事を進める、これは極めて重要なことだろうと考えております。  そうした観点から、ハローワークでは具体的には、いろんな事業ごとに、例えば就職率等について数値目標を設定して目標管理によって仕事を進めていく、それから昼休みの時間帯、それから平日の夜間、それから土曜日にも開庁するということでサービスの提供を拡大する、それから求職者等の方が来られて、ハローワークのレイアウトがどうかというような意見もございます。そういう観点から、所内のレイアウトも含めたハローワークサービスについて、全所の職員による求職者の視点に立った総点検、そういったものを実施しております。そうした取組をして職員の意識改革をしながら、業務の改善に取り組んでいきたいと考えております。
  144. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 時間がもう大分なくなってまいりましたので、もう質問を最後にしたいというふうに思いますけれども。  今検討されております行革推進法には、雇用保険本体、すなわち失業給付の国庫負担についても廃止を含めて検討というふうに規定をされているわけでありますけれども、これは今お話、やり取りをさしていただく中で、とんでもないことではないかというふうに考えるわけであります。  失業は、政府の経済政策、雇用政策と無縁ではなく、失業の発生については政府が一定の責任を負うべきという考え方に基づいて失業給付の国庫負担が設けられたはずであります。国庫負担の廃止は、正に失業に対する国の責任放棄であり、断じて許されるものではないというふうに考えるわけでありますが、川崎大臣の見識にふさわしい答弁を求めて、質問を終わりたいと思います。
  145. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 失業保険に直接国が負担をいたしておりますのは、我が国とドイツでございます。しかし一方で、フランス、イギリス、アメリカ等の国を見ましても、失業扶助という形で国が例えば長期間にわたった場合必ず手を差し伸べる、その場合は国庫負担一〇〇%というような形でやっておるわけですから、そうしたもののバランスもしっかり考えなければならないだろうと。  特に、これは労使がお互いに苦労しながら拠出をしていただいている、そこへ国が持つ責任という中でやってきたわけでありますから、そういう意味では政労使が力を合わせてやっている事業でございますので、そういう意味では、私は、国が担うべきものは担いながら雇用のセーフティーネットは引いていくべきだろうと、このように考えております。
  146. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 では、終わります。
  147. 家西悟

    家西悟君 民主党・新緑風会の家西悟でございます。  本年はあの薬害エイズ問題が、国、製薬会社と私ども被害当事者と和解してからちょうど十年目の節目です。血友病患者治療の過程で使用したアメリカから輸入された非加熱の血液製剤でHIVに感染させられました。私もその一人です。当時、このアメリカから輸入された非加熱の血液製剤でHIVに感染した患者は、千四百三十五名のうち、既に五百八十六名が亡くなっております。昨年だけでも二十一名の方が亡くなられました。  川崎大臣におかれましては、本年二月一日の予算委員会における補正予算の審議の際も御質問させていただき、大臣から、和解から十年を迎え、現在でも薬害エイズの深刻な被害と、こうした事件が二度と発生しないよう最善の努力を重ねていくとの丁寧な御答弁をいただきました。  また、先月二十五日、薬害エイズ裁判和解十周年記念集会の開催に当たりましては、川崎大臣から懇切丁寧なメッセージと、休日にもかかわらず中野副大臣や福井医薬品局長を始め厚生労働省の幹部、職員の方々に御臨席いただきましたことを、この場をおかりいたしまして改めて御礼申し上げます。  今後とも、薬害エイズに対する被害者救済対策を始めとする恒久対策やHIV、エイズの蔓延防止と治療体制の充実のために一層取り組んでいただきますようお願い申し上げます。  大臣、いかがでしょうか。
  148. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 三月二十五日に薬害エイズ裁判和解十周年、その集会に私もメッセージを送りましたけれども、総理からもメッセージを送らせていただきました。  薬害エイズ裁判和解十周年記念集会の開催に当たり、お亡くなりになった患者方々の御冥福を衷心よりお祈りいたしますとともに、現在もなおお苦しみを伴う生活を余儀なくされている方々にお見舞い申し上げます。私は、和解の年の平成八年、厚生大臣に着任しましたが、今でも当時のことをはっきり思い起こします。これまでの十年の取組を踏まえ、悲痛な経験を二度と起こさぬよう、今後とも対話を進めるとともに、再発防止に万全を期したいと考えております。この式典が次の十周年を更にたくましく生きるステップとなることを祈念しております。こういうメッセージを送らしていただきました。  私も同様の気持ちの中でもう少し長い長文のメッセージを送らしていただきました。長文ですのであえて読みませんけれども、そんな気持ちでございます。
  149. 家西悟

    家西悟君 重ねて御礼申し上げます。また、総理からも御丁寧な、懇切丁寧なメッセージいただいたこと、本当心より感謝申し上げたいと思います。  そこで、今日は決算委員会ですので、この薬害エイズ問題やHIV、エイズの蔓延防止策に関してこの十年間どのような施策やまた予算が使われてきたのか、その成果について御質問いたします。  まず、この十年間のエイズ関連予算並びに主な施策についてお伺いいたします。担当局長からで結構ですので、お願い申し上げます。
  150. 中島正治

    政府参考人中島正治君) この間、私ども、エイズ対策といたしまして行ってまいりました様々な事業でございますけれども、主としてエイズ予防財団というようなところを通じまして行ってまいりました事業といたしましては、相談員の設置、あるいは正しい知識の普及啓発を図るエイズ予防対策事業、またエイズの診断、治療、予防に関する研究への助成を行いますエイズ対策研究推進事業等でございます。  それで、これらの事業につきましては国からの委託及び補助金によって実施をされてきておりまして、主要な事業での事業費を見ますと、平成十六年度の決算ベースで申し上げますと、エイズ予防対策事業につきましては約三・九億円、エイズ対策研究推進事業につきましては約四・五億円というようなことになってございます。この財政規模につきましては、各年において増減はありますものの、十年間ほぼ同水準で推移をしてきているところでございます。
  151. 家西悟

    家西悟君 そうおっしゃいますけども、成果が、十年間横ばいというようなお話をいただいたわけですけども、現実はどうなのかというと、私は相対的に予算は減ってきたと思ってます。そういう資料をいただいているわけですけれども、効果が出てきてその分野の予算が減っていくということに関しては私自身は納得をしているわけですけれども、しかしながら逆に感染者数は増えているわけですので、そういった部分は増えていってもおかしくはないんじゃないか、もっと増やしてもおかしくないんじゃないかということを改めて申し上げたいと思います。  そして、もう一点申し上げますと、薬害エイズの被害者ですね、同時に白血病、悪性リンパ腫、肝硬変などで新たな病に直面しています。特に、C型肝炎の重複感染による肝疾患での死亡者が増加していると聞きます。昨年二十一人が亡くなりました。ほとんどがHIV肝疾患を、HIVがですね、正確に申し上げると、肝疾患を加速させ、それにより抗HIV薬が投与できなくなっています。先週も幼なじみ、長い闘病生活を経て、肝硬変で亡くなりました。  お聞きしたいのですが、政府としてこのような被害者、患者の実態を把握されていますか、担当局長にお尋ね申し上げます。
  152. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 主としてC型肝炎のことだと思いますけれども、これとHIVの重複感染についての取組ということでお答えをさせていただきたいと思いますけれども、私ども、従来からHIV感染におけるC型肝炎ウイルスの感染対策というものは大変に重要な課題であるというふうに認識しております。で、このことにつきましては、平成十六年度のエイズ対策研究班、厚生労働省でございますが、によりますと、HIV感染症例でのC型肝炎ウイルス陽性率は一九・二%ということで、日本全体でのC型肝炎ウイルス陽性率、これが約一・四%程度と言われておりますが、これに比べて高率であるというようなことで認識をしております。  このため厚生労働省におきましては、平成十二年から十四年度のエイズ対策研究班の活動成果といたしまして、疾患概念あるいは薬物療法、肝移植といった治療法等に関しまして、HIV、HCV、C型肝炎ですが、重複感染時の、感染症時の診療ガイドラインを作成いたしまして、さらに平成十六年度に新たな知見を加えて改定を行い、エイズ治療拠点病院を始めとした全国の医療関係者等に広く周知をしてきたところでございます。  今後とも、HIV感染者における肝炎ウイルス感染対策のより一層の充実を図り、ガイドラインの更新も含めまして、研究から治療に至る総合的な対策の充実に努めてまいりたいと、こう考えているところでございます。
  153. 家西悟

    家西悟君 局長、ちょっと勘違いされているんじゃないでしょうか。私は、血友病のHIV感染者ということをお尋ねしたわけです、その実態調査をされているんでしょうかと。  今の一九・何%ということは、これすべてのHIV感染者に対しての割合じゃないでしょうか。血友病でいうと八割、九割が感染者と、HIVとHCVを感染しているはずです。一九%というのはそういうことではないのかというふうに思います。  そして、私が言いたいのは、HIVとC型肝炎を重複感染している、免疫力が下がってくる、ましてや肝臓障害を起こす、肝機能障害を起こすということは何が起こるのか。それは、抗HIV薬の解毒作用というのが、肝臓機能が低下するために薬が効かなくなる、また使うことによって肝臓が悪くなる、悪化する。そして、血友病のHIV感染者でC型肝炎をお持ちの方々は、一般のC型肝炎の感染者と比べて一・五倍から二倍、場合によっては三倍の早さで肝硬変、肝がんへと移行していくという研究があるはずです。  私は、そのことについて掌握をされているんですかということをお尋ね申し上げたわけです。間違いですよね、今御質問させていただいたのは。それは、性行為を含めた全部のHIV感染者を含めた数ということで間違いないですよね。
  154. 中島正治

    政府参考人中島正治君) ただいま家西議員から御指摘のような点につきましては、議員のおっしゃるとおりでございまして、私の方は全体のHIV感染者ということでお話を申し上げたということでございます。失礼いたしました。
  155. 家西悟

    家西悟君 そうすると、血友病の実態掌握はしていないというふうに判断してよろしいんでしょうか。していないんですよね。それはすべてのHIV感染者であって、しかしサーベイランス委員会というか、エイズの掌握、そういったものは血友病を除く、薬害の被害者は除くというふうになっているわけですけれども、掌握はされていないということと承知してよろしいんですよね。
  156. 中島正治

    政府参考人中島正治君) ただいま手元に資料がございませんが、私どものエイズ対策研究事業の中で、平成十七年度におきましても血友病の治療とその合併症の克服に関する研究というようなことも含めまして、そういった面についての研究、掌握も進めているというふうに認識をしております。
  157. 家西悟

    家西悟君 しているということですか。  改めて申し上げます。しているというふうに解釈してよろしいんですか。
  158. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 私どもとしても、この分野についての掌握をしているというふうに認識しておるということでございます。
  159. 家西悟

    家西悟君 じゃ、具体的な数字を教えてください、掌握しているんであれば。ないんなら後でも結構ですけど。
  160. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 質問のお知らせを事前に私どもで把握しておりませんでしたので、今現在は手元にございません。後ほど御用意させていただきたいと思います。
  161. 家西悟

    家西悟君 そういう趣旨で聞き取りをしていただいたと思ってました、私自身は。  そして、ここからが今言うような話になっていこうかと思う。局長は今答弁をごっちゃにされてされたと思ってます。  説明のあった医療提供や研究開発推進などの施策において、この重複感染は薬害エイズ被害者にとっても最も深刻、今直面している問題です。必要な検査や適切な治療を受けることなく病態を悪化させてしまったケースが目立っていると聞いています。国際医療センターのACC、エイズ研究開発治療センターや地方ブロック拠点病院などでの治療機関や研究開発協力で進めていただくということだと思っていますがいかがでしょうかということで、今、先ほどの御答弁だというふうに認識していますけれども、それでよろしいですよね。
  162. 中島正治

    政府参考人中島正治君) ただいまお話しのようなことで、ちょっと私の方で先走ってお答えしたようなことかもしれませんけれども、そういった点も含めまして、今後のこの重複感染における診療につきまして対応を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
  163. 家西悟

    家西悟君 これ、二つに分けて考えていただかないといけないと思っています。正直言って、薬害の問題と一般的なHIV、性行為や含めた人たち、そして厚労省の発表、サーベイランスというか動向調査というものは必ず分けてこれ報告出されておるわけですから、私は分けて質問しているわけです。それをごっちゃにして御答弁いただくというのは、いかばかりかなというふうに思えてなりません。もう少し、局長、しっかりと認識をいただきたいと思います。  それでは、今まで述べられましたが、政府は本年四月から後天免疫症候群に関する特定感染症予防指針を全面改定されたとのお話です。この問題は厚生労働委員会でも質問しますのでこの場では取り上げませんが、もう一つ予算面でいいますと、HIV、エイズの正しい啓蒙、啓発、普及の予算が、国際的な連携の予算はこの十年間大幅に減っていると私は認識しています。しかし、HIV感染者は増え続けて、昨年は累計で国内で一万人を超えました。特に若い人々、都市部に限らず地方も増えています。私はこの十年間、このエイズの正しい知識の啓発普及を国会を始め至る所で言い続けました。なぜならば、HIVがアウトブレークする前に何とかしなければならない、まだ間に合うと考えていたからです。  昨年十月、政府はエイズストップ作戦本部、本部長川崎厚生労働大臣ですが、十三年ぶりに設置されたと聞いています。政府も真剣に取り組むということであり、私は大変評価しています。  まず、今やらなければならないHIV、エイズの正しい啓発普及、検査体制を整えるということですが、HIV、エイズの正しい啓蒙、啓発、普及の推進では、エイズ予防財団を始め多くのNPO、NGOの協力をいただき、進めていくことが大事ではないかと考えますが、いかがでしょうか。分かります、質問の趣旨。
  164. 中島正治

    政府参考人中島正治君) ただいまの御質問でございますが、この後天性免疫不全症候群についての、エイズ予防、特定感染症予防指針の改正、そしてその基本的な考え方ということでお答えをさせていただければというふうに思いますが、このエイズ予防指針につきましては、我が国のエイズ対策の方向性を示すものということで平成十一年に定めたところでございます。しかしながら、その後の新規感染者、患者報告件数の上昇、そしてその一つの原因として、従来の予防指針が近年の発生動向の特徴を十分に踏まえていないというような御指摘を踏まえて抜本的な見直しを行ったところでございます。  この新しい予防指針の方向につきましては三つございまして、一つは疾患概念の変化を踏まえた施策の展開、そして二つ目は国と地方公共団体の役割分担の明確化、そして三つ目は施策の重点化、計画化というような内容でございます。これらの内容を踏まえまして、具体的には、感染者、患者の発生動向等に留意をいたしまして、青少年、同性愛者に重点を置きました啓発普及の実施、また検査相談体制の充実、また中核拠点病院の創設等による医療提供体制の再構築を行うこととしておるわけでございまして、こういった対策も含めまして、エイズの更なる増加をいかにして防ぐかということについて一層の努力をしてまいりたいというふうに考えてございます。
  165. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今局長から基本的な施策を御説明申し上げましたけれども、同時に、エイズ予防財団及び友愛福祉財団、二つの財団が担っておる仕事が緊急性、重要性、ますます高まっていると思っております。エイズ予防財団は国民各層への正しい知識の普及啓発の中核、また友愛福祉財団は平成八年のHIV訴訟の和解等に基づく各種事業の実施を通じて、HIV、エイズ対策の推進の上でそれぞれ重要な役割を果たすと考えております。  また一方で、今、予防指針を地方公共団体の責任の下にやっていくという局長からの報告がございましたけれども、この改正した予防指針において地方公共団体等に対しNGOとの連携強化の必要性を示しており、普及啓発や患者支援等における活躍を大いに期待しております。  いずれにせよ、国民に対する普及啓発含めて、HIV対策を努力をしてまいりたいと考えております。
  166. 家西悟

    家西悟君 是非ともそのようにお願いしたいと思います。  なぜこれを言うのかというと、ここに年次表があります、予算の。十三年度は十八億六千万余り出ているわけですけれども、今現在八億、全体で。十億以上減っています。そして、この二年間、昨年までですけれども、この五年間ですか、推移を見ると、これ予防指針の改定に書かれているわけですけれども、増加傾向にある、増加していると。これは非常に危惧しなければならないというようなこともずっと書いてあるわけです。しかしながら、予算的にはそういうふうに減っている。そして、そういう啓蒙啓発の活動が大事であるということが綿々と、政府がお出しになった、厚労省がお作りになったものに書いているわけですから、そういうふうにしていただきたいということです。  それともう一つ、HIVの抗体検査ですが、アメリカでは全国HIV検査デーというのが実施されています。毎年六月二十七日、全国HIV検査デーを設け、CDC、米国疾病管理センターの協力の下、米国の州、地方医療機関、行政機関、病院、診療所、そしてNPO、NGOが繰り出して施設を開設し、無料で検査、相談を実施していると聞いています。厚生労働省もお考えになられますか、こういうようなことをということをお尋ね申し上げたい。  そして、もう一点、厚生労働省が所管するその財団に対して、しっかりと応援をしていただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。  そして、時間がもう四十一分までですので、あと三、四分程度しかありません。せっかくですので、このパネルを見ていただきたいと思います。(資料提示)予算委員会でもこの同じパネルをお見せしたわけですけれども、世界の生存HIV感染者を世界地図に示したものです。昨年十二月に国連合同エイズ計画、UNAIDSが報告した数です。特に、中国、日本での感染拡大が懸念されています。世界で四千三十万人が感染し、累計で二千五百万人が死亡しています。昨年の死亡者数は約三百十万人。そして、日本国内のHIV感染者、患者数も増加しています。日本は先進国の中で唯一増え続けているのです。  エイズを始めとして、二十一世紀は感染症の時代と言われています。先ほども質問しましたけれども、HIV、それ以外に結核、マラリアで世界で年間六百万人の方々が命をなくされています。どうか、日本政府もしっかりと諸外国と協力し、リーダーシップを発揮していただきたい。  そして、こういったものは、特定の人たち、特定の病気だと思っているととんでもないことになるんじゃないか。感染症というものはだれにだって襲い掛かる、そしてその国の存亡を危惧される。サハラ以南の国々では、多くが国がもたないんだということも言われるようになっている昨今じゃありませんか。今ここでみんなが真剣に取り上げ、そしてこういった問題を真摯に受け止めていただき、そして蔓延防止のための施策を取っていかない限りは、蔓延してからでは手の施しようがない。そして、私たちHIV感染を受けた者は、差別、偏見の中、苦しみながら苦しみながら生き、そしてほかの病態に苦しみ、そして亡くなっていく、こんなことを続けてはいけないという思いで御質問をさしていただきました。  大臣、最後に御答弁いただき、私の質問を終わりたいと思います。
  167. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 予算委員会でも一度御質問をいただきましたけれども、重ねて、正に一つの警告を発していただいたと、こういうふうに受け止めさせていただいております。  今、地方公共団体との連携、両財団との連携、それからNGOとの連携、これをまず国内の柱。一方で、国際的には、国連合同エイズ計画に対する拠出、これが少し減っているといっておしかりをいただきました。一方でWHOとの連携、これは拠出を増やしております。こうしたものを併せながら、国内的にも国際的にもしっかりとした目標を立てながらやってまいりたいと、このように思います。
  168. 家西悟

    家西悟君 終わります。
  169. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子です。  二〇〇四年度決算内容といいますのは、年金保険料の引上げや生活保護の給付の削減、高齢者を始めとする庶民への増税など、一兆円もの負担の増が追加されたものだと私は思います。その結果、勤労者世帯の実収入は前年度比で二・四%減、完全失業者も前年比二万人増の結果にもつながっています。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕  私は、二〇〇七年度予算編成に生かすためにも、今回の二〇〇四年決算審査の中の問題点として、政府が犠牲を強いていますこういう低所得者層の生活と住まいに関して、特に雇用促進住宅の譲渡・廃止問題について質問します。  まず、雇用促進住宅の貸与要件、現在の箇所数、戸数、入居者の総数、そして入居者の方々の年収四百万円未満の方が世帯として何割あるか、御説明いただけるでしょうか。
  170. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 雇用促進住宅につきましては、まず入居要件でありますが、広域職業紹介活動に係る公共職業安定所の紹介により就職する移転就職者、それから職業の安定を図るために宿舎の確保を図ることが必要であると公共職業安定所長が認める者、これを対象にしております。  それから、住宅数、戸数につきましては、平成十八年二月末現在でありますが、千五百三十四住宅、戸数は十四万二千二戸となっております。  それから、入居者数、入居者の年間所得につきましては現状を網羅的に把握はしておりませんが、平成十二年十一月の入居者実態調査によりますと、入居者数は約三十五万人、それから、入居者のうち年間収入が四百万円未満の割合は約六一%になっております。
  171. 小林美恵子

    小林美恵子君 住宅数とその棟数もお聞かせいただけますか、棟数。
  172. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 住宅数は、先ほど申し上げましたように、千五百三十四、それから戸数が十四万二千二戸でございます。
  173. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は棟数まで聞いたんですけど、三千八百四十六棟かと思います。  では、この雇用促進住宅の社会的必要性について川崎大臣にお聞きしたいと思いますけれども、二〇〇三年五月にお出しになっています雇用促進住宅にかかわる検討会の報告というのがございます。その報告の中には、低所得の勤労者などの住宅として公営住宅に代替する機能を果たしている、住宅そのものの意義が否定されるものではないとありますけれども、大臣もこうした認識でいらっしゃいますでしょうか。
  174. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 雇用促進住宅が低所得者向けの住宅として一定の役割を果たしてきたことは事実であり、現在入居している低所得者の方への配慮は必要であると考えております。このため、規制改革・民間開放の推進に関する第二次答申においても、地方公共団体への譲渡を行わず住宅を廃止する場合には、公営住宅等の入居基準を満たす入居者については所在地の地方公共団体の公営住宅への入居等を図ることとされるなど、低所得者への配慮が書かれております。  いずれにしても、上記第二次答申及び同月二十二日の閣議決定を踏まえ、民間事業者等の知見、ノウハウを活用しながら、譲渡、廃止の完了までの間の総収益の最大化を図りつつ、閣議決定に従い、現に入居者がいることを踏まえた上で、できるだけ早期に譲渡、廃止していくこととなると考えておりますが、個別の住宅の譲渡、廃止に当たっては入居者の方々の御理解を得ながら進めていきたいと考えております。
  175. 小林美恵子

    小林美恵子君 役割はあるというふうに御答弁をされました。  私、昨年の十二月のいわゆる答申のことも御答弁をされましたけれども、後々にその点についてお聞きをしていきたいと思いますけど、まず雇用促進住宅の整備費の原資ですね、これはどの会計から支出されて、その額は幾らになっているんでしょうか。
  176. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 雇用促進住宅の整備費につきましては、労働保険特別会計の雇用勘定からこれまで約九千五百億円支出をされております。
  177. 小林美恵子

    小林美恵子君 整備費には九千五百億円投じてきたと。しかし、雇用促進住宅というのはそもそも独立採算制で行われてきました。  そこで、改めてお聞きしたいと思います。二〇〇四年度のいわゆる収支ですね、これまでの、二〇〇四年度末までの累計の収支というのはどういうふうになっているでしょうか。
  178. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 雇用促進住宅の運営の収支でありますが、雇用促進住宅、これは家賃等収入により賄っておりますが、二〇〇四年度の単年度収支につきましては十三・九億円の赤字となっております。  累計というお話でございますが、これまでは収支差がありますと、プラスの場合には次期繰越しということで処理しておりましたが、二〇〇四年三月の独立行政法人移行後からはこの収支に関しまして目的積立金が設けられております。この目的積立金、この二〇〇四年度決算におきましては百十億円が積み立てられております。
  179. 小林美恵子

    小林美恵子君 つまり、この雇用促進住宅の今の維持管理といいますか、その収入源というのは入居されている方々の家賃で賄われているということですよね。国から出しているわけではございません。それで、累計の収支を御説明ありましたけれども、百十億円黒字になっているというふうにございました。  私は、入居者の皆さんの収入で賄って、それで累計で今も百十億円も黒字になる、入居者の皆さんが現にいらっしゃるのに何で譲渡、廃止をこんなにスピードアップして進めなくてはいけないのかと思うんです。この点での道理ある理由というのはどこにあるのか、大臣、いかがでしょうか。
  180. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今議論いただきましたように、まず基礎的な投資については、これはなかなか回収は難しいんだろうと。単年度収支はどうですかということになると、累積的には百十億円の積み上げがあると。去年は、おととしですか、少し支出がありました。また、去年もちょっと支出があったようですから、この二年間ぐらいは赤字基調かなと。しかし、全体的にはまあ収支的には合っているんじゃないですかと、こういう御下問だろうと思います。  一方で、雇用・能力開発機構が設置運営をこのまま特殊法人として住宅政策を続けるのかという議論の中で、現に入居者がいることを踏まえた早期廃止のための方策を検討し、できるだけ早期に廃止というのが十三年十二月の閣議決定でございます。そういう意味では、入居者の方々の御理解を得つつということが一番大きな基本であろうと思っております。
  181. 小林美恵子

    小林美恵子君 入居者の方々の御理解を得つつという御答弁をいただきました。  改めて私は、この雇用促進住宅の問題で一九九九年に審議をしたことがございます。それで、このときに、我が党の大森議員の質問に対しまして当時の甘利大臣がお答えになったことがあるんですね。その点について改めて、川崎大臣にも私は念押しのために確認をしたいと思います。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕  大森議員が申し上げましたのは、いかなる理由があろうとも入居者の同意のないまま退去の強制をしたり、あるいは家賃、管理費などの一方的引上げ、契約条件の一方的な改悪、こういうものは絶対にあってはならないということを、今不安をお持ちの、当時のね、三十八万の入居者の方々に是非大臣の口からその点お答えをいただきたいと思いますと指摘をしました。当時の甘利国務大臣は、御指摘のとおり、この十四万戸の雇用促進住宅には三十八万人という人が現在現実に入居されているわけでありますし、結論から申し上げますれば、入居者の理解を十分に得ながら譲渡を行っていくということでありますということで、入居者の理解を十分に得るということを答弁をされました。  先ほどから大臣も答弁をされていますけれども、この入居者の理解を十分に得る、川崎大臣国民の皆さんに約束をしていただけますか。
  182. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 当時は甘利大臣の御答弁だったようでございます。雇用促進住宅を地方公共団体等に譲渡する際には入居者の理解を得ていくという趣旨のものであったと理解しております。この答弁、平成十三年十二月の特殊法人整理合理化計画の閣議決定前のものであります。  当然のことながら、これから雇用促進住宅を地方公共団体等に譲渡する場合でも、入居者の方の理解を得ながら進めていくことは重要であると、これは私も同様な考え方をいたしておりますし、今、逆に言えば、地方公共団体に譲渡していこうという話はないということでございます。
  183. 小林美恵子

    小林美恵子君 入居者の方々の理解を十分に得るという大臣の答弁でございました。  私、実際、入居者の皆さんが今どんな思いでいらっしゃるかということも大臣にお聞きいただきたいと思います。特に、この間耐震診断が行われまして、その耐震診断の結果で二〇〇八年度までに退去を命ぜられた住宅の入居者の皆さんが全国にいらっしゃいます。その中で、大阪の八尾市の別宮団地というところがございますけれども、ここの要望書を基に私はちょっと紹介をしたいと思います。  別宮団地は、昭和四十三年に国が設立し、雇用促進事業団が運営をしてきた住宅です。これまで住民は自治会を中心に力を合わせて住みよい環境をつくってきました。花見や祭り、運動会などの行事に取り組んで親睦を図り、日常的にもゲートボールなどを通して助け合い、励まし合って生きてきました。ところが、今年の四月に突然、平成二十年三月末までに退去するようにという通知が配付されました。私たちは突然死刑宣告を受けたぐらい衝撃を受けました。しかも、移転費はわずか二十万円だけ。これでは移転費用にも借家の敷金にも足りません。一般に鉄筋の耐用年数は六十年以上とされていますが、当宿舎は築三十七年です。阪神・淡路大震災のときにもびくともせず、とても老朽化しているとは思えません。耐震診断の数値が低いというなら、耐震補強を行って住み続けられるようにしてくださいと。  こういう入居者の皆さんの気持ちというのは、大臣、どのようにお受け止めなのでしょうか。
  184. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 個別の案件として御指摘いただきました別宮雇用促進住宅、これは大阪府の八尾市にあって、八棟から成る住宅であると承知しております。  この耐震調査を実施しました結果、コンクリートの強度が、設置基準は百八十キログラム、平方センチメーター当たりですけれども、なければならないのが四分の三、最低基準の百三十五キログラムにも耐えられないということが八棟のうち七棟。したがって、これに耐震補強工事を行っても耐震基準を満たすことが不可能であるという判断をいたし、阪神大震災のときは大丈夫だったということでございますけれども、大地震のときには倒壊するおそれがあると、こういう判断をいたしております。  一つだけで運営をしていくということになるとこれはまたなかなか難しい運営になりますので、そうしたことから、そのような状況においてそのまま住み続けるとすれば入居者の方々生命にもかかわる。お年寄りの方が多いようでございますから、それも含めて入居者の方々の理解を得るべく今、雇用・能力開発機構において説明を行わさせていただいていると、このように考えております。
  185. 小林美恵子

    小林美恵子君 耐震診断問題は、あと、今日は機構の理事長さんがお見えでございますのでお聞きしたいと思いますが、その前に大臣に。  今そういう御答弁がございましたけれども、二〇〇八年度末までに退去を命ぜられている入居者の皆さんがいらっしゃるわけですけれども、しかし、入居者の理解を十分得るとするならば、二〇〇八年度以降も決して強制的に退去することはあってはならないと私は思いますけど、この点は確認できるでしょうか。
  186. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ただ、これ二つの問題が掛かっていますよね。  雇用促進住宅をどうするのか。これは閣議決定において、住民の皆さん方の理解を得ながら進めていこう、できるだけ他へお移りをいただきたいと、こういうお願いをして話を進めている。一方で、耐震性という問題が出てきて、結果としてこの方々の正に生命、財産に影響を与えることになるかもしれないということが出てきておりますので、これは雇用促進の側も来ておるようですから、専門家の立場での見解というものを聞いていただいて、これについて私が大丈夫だと言うと、実際もし地震のときにおかしなことになったらこれは大変なことでございますから、これは専門家としての判断にゆだねたいと、こう思います。
  187. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、強制的に退去することはあってはならないと思いますかと聞いたんです。強制的には行わないですね、その点はどうですか。
  188. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ですから、初めの仕組みの雇用促進住宅としてどうするかということになれば、先ほどから御答弁しているとおりです。  しかし、今回の案件は耐震性という問題ですから、これは専門家の意見に私はゆだねたいと、こう申し上げているんです。
  189. 小林美恵子

    小林美恵子君 では、機構の理事長さんにお伺いをします。  耐震診断に伴う退去、住宅の廃止についてですけれども、そもそも雇用促進住宅の普通借家契約では、借地借家法の下、借家人の権利は手厚く保護され、正当な事由がなければ借主から解約されることはないとこの検討会の報告にもあります。今回の機構が行った耐震診断が正当な事由に値するのかどうか。  例えば、政府から出されているコンクリート強度調査の結果によりますと、コア強度値、シュミット値の二種類のデータ及びその補正値が提示されているだけで、コンクリートの劣化度だけで耐震度を算出しているわけです。これだけのデータでマンション、住宅を取り壊すから出ていけと言われても、住民は到底納得できないんです。八尾の方もそうですけど、八尾だけではありません。北海道からも大分からも同様の意見が出されています。  さらに、自由法曹団であります弁護士の専門家の皆さんも二月二十二日に、耐震性不足を裏付ける基礎データも開示されず、解約申入れを正当化する事由は見当たらないという声明も出されています。  私は、改めて理事長さんにその正当な事由に値する根拠があるのか、また、そういう根拠があるんだったら住民が本当に納得できる調査とデータの開示を行って、本当にしっかり説明すべきだというふうに思いますけど、この点いかがですか。
  190. 岡田明久

    参考人(岡田明久君) 耐震診断につきましては、建築の専門家によりまして建物からコンクリートのコアを取り出しまして、その強度試験をして判断したものでございます。その結果、技術的な見解といたしましては、大規模な地震が起こった場合は倒壊のおそれがあると。それに加えまして、先ほど大臣が御答弁されましたように、それを補強工事によって耐震性を確保することは不可能であるということでございます。したがいまして、我々といたしましては、住民の方の安全上の観点から転居いただくように現在お願いしているところでございます。  御理解がまだ十分でないということにつきましては、引き続き根気よく御説明してまいりたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
  191. 小林美恵子

    小林美恵子君 住民の皆さんはなかなか納得できないとおっしゃっているんですね。ですから、先ほど根気よくとおっしゃいましたけれども、いわゆるどういう調査をしてどういうデータがあるのかと、しっかりと住民の皆さんに示しをして説明をするということを約束していただけますか。
  192. 岡田明久

    参考人(岡田明久君) 現在までも、診断の方法であるとかその結果についてはデータをお示しして御説明しております。  ただ、今御指摘のように不十分だというふうにお受け取られる方があるとしますと、なお一層のまた引き続き御説明をいたしたいというふうに考えております。
  193. 小林美恵子

    小林美恵子君 最後に私は申し上げたいと思います。  冒頭質問しましたら、川崎大臣が昨年十二月のいわゆる規制改革・民間開放推進会議による大臣答申の話を出されました。その十二月の答申は、雇用促進住宅について事業廃止までに三十年掛けるという考え方は撤回した上で、二〇〇六年度中に検討し結論を得ると、しかもこの方針を最大限尊重すると閣議で決定もしている、こういう状態でございます。  今まで三十年掛けて譲渡、廃止という方向で来ていました。住民の皆さんもそういう説明を受けられている面もあります。三十年間あるからまだ安心だという面もあるんですね。しかし、そのことを撤回して二〇〇六年度中に検討し結論を得るというのは、このやり方では私は住民の皆さんの、入居者の理解を十分に得ることは保証できないというふうに思います。この政府のやり方で犠牲者が一人も出るようなことがあっては本当にならないというふうに思います。  私は、改めてこういう政府の方針を撤回すべきだということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  194. 又市征治

    又市征治君 社民党の又市です。  大臣とは初めて質疑をさしていただきますが、よろしくお願いしたいと思います。  まず、国民年金の保険料納付率の問題について伺ってまいりたいと思うんです。  二〇〇四年度末では六三・六%、今年二月末では六五・六%で、二ポイント改善されたように見受けるんですが、そうはいいながらなお未納が三四%台、三分の一が未納だということですから、年金制度の空洞化は深刻だろうと思うんです。  未納者への最終催告状の発送が十五万五千件に増えたそうですけれども、これは市町村の協力を得た結果のようですけれども、今回の市町村の協力内容について簡潔に御説明をいただきたいと思います。
  195. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) 現在、国民年金事業の運営におきまして市町村の協力をどのような形で受けておるかというお尋ねでございます。  まず、これは法定受託事務という形で資格の取得の届けや裁定請求の受理というのは当然受けておるわけでございますが、それ以外に資格取得届の提出時における納付特例あるいは口座振替の促進と、こういったような協力連携事務もやっていただいております。  また、ただいまお尋ねが出ましたように、平成十六年の国民年金法の法律改正によりまして、市町村から所得情報の提供をいただきまして、これに基づき被保険者の負担能力に応じた対応が可能になり、具体的には、保険料の負担能力が乏しい方につきましては免除、あるいは学生の納付特例、あるいは若齢の方についての納付猶予と、こういった形で確実に年金権に結び付けるということ。それから一方、十分に負担能力がありながら納付義務を果たさないような方に対しましては、差押えを含む強制徴収による適切な対応を図るということが可能になりました。  とりわけ強制徴収につきましては、所得情報を磁気媒体でいただくことによりまして、お話が出ましたけれども、最終催告状の発送件数が、平成十七年度十七万件、十八年度は今度三十五万件を予定しておりますが、将来的には年間六十万件を実施したいというふうに考えております。
  196. 又市征治

    又市征治君 税務データを市町村が磁気データで外へ出すというのは、これは個人情報上大変問題があるんですね。前の坂口大臣が私の質問に対して、国への逆移管というのは失敗だったと、こういうふうに答弁をされたように、徴収そのものを二〇〇一年度以前のように市町村と協力をして行うということが適切なんだと思うんですね。住民に身近な自治体は、不正な滞納者への督促を強化をする面だけではなくて、督促された住民に支払能力があるかどうか具体的に見て対処する、こういう点でもむしろ適格だと、こう思うんです。  もう一つお伺いしますが、納付率が向上したのは実は見掛け上の理由がありますね。分母となる対象者数、まあ納付対象月数、これが減少している。ここのところはどういうふうになっていますか。
  197. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) ただいま納付率の計算の基礎になっている納付対象月数の推移についてのお尋ねがございました。具体的に数字を挙げて御説明をさせていただきますと、平成十八年の二月末現在という最新の納付対象月数で申し上げれば、対前年同期比で千二百七十七万月の減少という形になっております。  この内容を具体的に整理をいたしますと、まず第一点として、被保険者数そのものが減少していることによりましておよそ二百万月が減少していると、全体の二割程度に当たるものでございます。それから、お尋ねがございましたが、免除者あるいは学生納付特例といったものの増加によりまして約四百四十万月、全体の三割程度の減少がございます。  これらに加えまして、平成十六年に年金改正を行っていただきましたときの改正事項でもございます若齢者の納付猶予制度によるものが約三百五十万月、それから免除申請をさかのぼって適用できるようにしたことに伴うものが二百八十万月ということで、法律改正によります効果が全体の約五割を占めているというふうに分析をしております。
  198. 又市征治

    又市征治君 分母の人数がしばらく増加した主な理由というのは、小泉内閣のリストラ推進によって正規労働者としての厚生年金から追い出されて国民年金に移った。しかも、最悪の場合は失業者となった状態で移ってきたということですね。未納が増えても当たり前なわけです。  そこで、今は失業率は回復していますけれども、国保の事務者数の減少、昨年比で今お話あったように二百万月、約八十万は厚生年金に移れた人なのかどうか。中でも、フリーター、ニートが多い若年者、また正規の再就職が難しい高年齢層というのはどうなっているんですか。
  199. 青柳親房

    政府参考人(青柳親房君) 被保険者の動向ということでお尋ねございました。  これにつきましては、現在私ども把握しておる一番新しいデータが十六年度末までの数字ということでございますので、平成十五年度末から十六年度末の一年間でただいまの数字についてお答えをすると、厚生年金の被保険者数は約三十七万人増加し、これに対応する形で国民年金、いわゆる第一号被保険者の数が約二十三万人減少しているということがございます。  しからば、これが年齢ごとに見るとどうであるかというお尋ねでございましたが、若齢者、二十代については、厚生年金の被保険者も国民年金一号被保険者もともに減少をしております。他方、中高齢者というところでは、厚生年金の被保険者数が増加し、国民年金の一号被保険者数が減少するという傾向が生じております。  具体的に数字を申し上げれば、五十代の方を取ってみますと、厚生年金の被保険者数は約三万人の増加、一方、国民年金一号被保険者数は約四万人の減少という形になっております。
  200. 又市征治

    又市征治君 大臣、お聞きのとおりなわけでございまして、やはり大変、そういう意味では国民年金、先ほどから申し上げてきたように非常に、まだ三四%程度の未納、こういうことになります。  最近報じられるように、医者など現役で相当の収入を得ている人が滞納していますなんてこれもう論外なわけですが、しかし、先ほども申し上げたように、市町村の協力といっても、国民健康保険と連動させて、それで健康保険証の短期証への切替え、病気のときには大変なことになるぞと脅かして、それで年金保険料を督促するという方策というのは、私は、制度の目的外使用だ、格差社会を是正する立場の厚生労働省の責務に逆行するんじゃないのか、こう申し上げたいと思うんです。本来は、雇用の拡大と正規雇用化によって厚生年金への異動を図りながら、そして年金への信頼を高めて、減免や遡及納付などによって未納者の納付を助けることが基本でなけりゃならぬ、こんなふうに思います。  そこで、大臣にお伺いするのは、市町村への委任の復活なども含めて、納付率の向上、八割達成への決意をお伺いしておきたい。
  201. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほど衆議院の行革では、重野先生とこの議論をいたしてまいりました。彼は地方自治に詳しゅうございますので。  私自身は、国の社会保障政策、どういう切り口でやるかというときに、介護保険については市町村が担い手になってもらっていると。これから医療についてはできるだけ県のウエートが高まってくると。その中で、平成九年に行われました整理のとおり、やはり年金は一元的に国が責任を持っていくべきではなかろうかと、このように思っております。  しかし、一方で、先生御指摘のように、しっかりとした納付率にしていくためには市町村との連携をしっかりやらなきゃならないと。具体例を先ほどお示しをさしていただきましたけれども、いろんな形で連携をしていかなきゃならぬと。一方で、市町村も、例えば国民健康保険一つを取り上げましても、やはり経済の影響を受けておりますので、五%ほど下がってきております。  そういった意味では、お互いに苦労をし合わなきゃならないなという立場であることは事実だろうと。そして、社会保障全体が国、県、市、重層的に担い合いながら、しかし、ポイントはどこにあるかとなれば、年金はやっぱり私どもなのかなと、介護はやっぱり基本的には市町村で担っていただく仕事なんだろうかと。しかし、それでも、そういったって、介護だって我々が基本的な設計をするわけですから、そういう意味ではお互いにしっかり連携を取れるようにやってまいりたいと、このように思っております。
  202. 又市征治

    又市征治君 市町村との連携というのは一番現場が分かっているわけですから、そこのところは是非しっかりやっていただきたいと思っています。  次に、医薬品医療機器総合機構、この独法について伺いたいと思うんです。  私は四年前に行政監視委員会で、認可法人であった医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構について質問をいたしました。まあ非常に長ったらしい名前なんですが。この機構は一九七九年に薬害スモン病の救済基金として設立されて、その後、先ほど話ありましたHIVも扱うようになり、さらに、救済以外の業務も拡大をして今申し上げたような長ったらしい名前になったということでありました。私はそのとき質問したのは、救済というふうに名前、スタートをしているんだけど、全く名ばかりじゃないか、実態は医薬品の研究開発と称して、国費ベースでいうならば九五%以上も実は企業助成に補助金をばらまく、こういう機構そのものは問題だというふうに指摘をしてきたわけです。  ところが、この機構の研究開発助成事業というのは突然二〇〇五年度に消えてしまいました。いや、消えたんじゃなくて、別の独法である医薬基盤研究所へ移管されたわけですね。  そこで、まずこの研究開発助成部門の支出額の機構から研究所への前後五年間の推移を簡単に述べてください。
  203. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 今、先生御指摘の医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構、長い名前でございますけれども、これが平成十六年に医薬品医療機器総合機構に独立行政法人としてスタートをいたしまして、このうちの研究開発振興事業につきましては平成十七年から独立行政法人医薬基盤研究所というのに引き継がれていると、こういう状況でございます。  これらの研究振興業務につきましては、平成十四年度決算ベースで申しますと約九十五億円、平成十五年度約八十八億円、平成十六年度は約百一億円となってございます。十七年は、医薬基盤研究所は平成十七年四月に設立されたものでございますので、決算はまだございません。  以上でございます。
  204. 又市征治

    又市征治君 いや、十七年度は、今あなた言わなかったけど、予算でいうと百億円でしょう。そして、十八年度も予算百三億円ですよ。つまり、毎年ほぼ百億円。二〇〇五年度に医薬基盤研究所に移管されても継続をされているわけですね。  四年前、私の質問に対して、当時の石原行革担当大臣は、こうした研究開発を一般会計からの出資金によって行うことは廃止をして、費用対効果分析を実施して補助金に置き換える、こういうふうに答え、また、産業投資特別会計からの出資を受けて実施するこの法人からの出資は収益の可能性がある場合に限定する、こういうふうに答弁されているんです。これは、そういう意味では、この機構の問題で言っていますけれども、全省庁の公益法人に共通の改革のはずでありまして、産業投資会計も今度は廃止になるわけですね。この一般会計の補助金に置き換えると述べておったんですが、実際は、この場合はバイドル委託方式に変えたわけですね。  これは、時間がありませんから私の方で勝手に言いますが、この平成十六年度でいうと、一億円以上のこの件数は、委託をしたのが二十四件、こういう格好になっておるわけですね。もっと正確に言うならば委託は二十三件で、これがバイドル方式だ。あとは助成金交付というのが一件ある。こういうことで間違いないと思いますが、実際上、だけども、名目上、委託先は大学であるとか国立病院となってますけども、その先に行くとみんな製薬会社に丸投げじゃないですか、これ実態は。  私が、出資は毎年出しっ放しで、ノーリターンで、実態は補助金だ、こう指摘をしてきたから、結局はこういうふうに、何のことはない、形だけは変えた、出資というこういうものは変えた、そしてこれは補助金だと言いながらバイドル方式に変えた、こういうことなんですが、結局、納付金が上がってきたのを見ますと、二〇〇四年度分決算審査やろうという、これでいうと、十七件で一億五千八百万、すべてオーファンドラッグ、つまり希少疾病用医薬品の開発だということですね。なぜこうなっているんですか。よく分からぬ。  つまり、患者が少ないので開発利益が見込めない、だけど公益性のために開発を委託しているはずのオーファンで収益納付金が上がってくる、ところが一般的な実用化研究支援事業、つまり利潤の見込める開発の方はリターンがゼロというのはどうも理解ができない。お答えください。
  205. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 基盤研究所で行っておりますオーファンドラッグ等に対する助成金の対象となる研究は、原則として臨床試験段階の研究でございまして、かつて医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構等において実施しておりました出融資事業が対象としていた研究に比べますと成功確率が高いものを対象とするようになったということでございます。  このため、オーファンドラッグ等に対する助成金の事業の方が収益確保可能性が高くなり、おっしゃるとおり、一部納付金も発生しているところでございます。
  206. 又市征治

    又市征治君 納得できないんですね。  大臣にお伺いをいたしたいと思うんです。  オーファンでない一般的な開発は製薬会社がしのぎを削って競争している部門ですから、正にこれは民間にゆだねるべきで、そこに国費をつぎ込む必要がなぜあるのか。これは国民から見て全く納得できませんよ。まして、その出してきた金の累積結果がどうなっているか。二〇〇四年度の機構の貸借対照表で見ますと、開発振興勘定の政府出資金三百五十七億円に対して欠損金が三百十一億円、すなわち政府出資の八七%が毀損している。もう一つ基盤研究所に移した継承勘定にも二〇〇五年度三百六億円の政府出資金が残っているはずですから、そのうち二百五十四億円、すなわち八三%が毀損している。二つ合わせて五百六十五億円が焦げ付きになった格好になるわけ。これでは、独法だとか企業会計方式を導入するといったって全く絵そらごとじゃありませんか。  この点について、大臣、どういうふうにお考えになります。
  207. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私もまだ詳細を調べてませんけれども、平成四年当時でしょうか、NTT株を利用して、通産においても郵政においても様々な、基盤研究という形で出資をした。結果として、正直外れが多かったという結果になりました。そこは整理が済んだんだろうと。我々のところもオーファンドラッグということで投資をしてきたけれども、正直言って大きな収益、リターンに結び付くものにはなかなかなり得ないということは事実だろうと。そういった意味では転換を図ったんだろうと思いますけれども。  一方で、転換を図った結果、オーファンドラッグが主流になるのか、今先生が御指摘いただいたように一般薬なのか、ちょっとそれは私の方で調べます、今の御指摘でございますので。そこはよく内容を吟味させます。
  208. 又市征治

    又市征治君 御案内のとおり、それこそ、最近は出さなくなったのかもしれませんが、長者番付じゃありませんけれども、高額納税者の上位、製薬会社の方々が随分名前連ねているわけですよね。こういうところに一生懸命金出して、さっき申し上げたように出しっ放しなわけですね。だからここは問題だと言ったら、これは実は少し、補助金なら補助金に切り替えます、とりわけオーファンの方に金をつぎ込むんなら分かるんですよ。ところが、一般開発用のところに金をどんどんつぎ込む、これがみんなノーリターンと。こんなばかな制度というのはない。  私は、この背景にやっぱり天下り問題がある、こう言わざるを得ないと思う。現在、機構の役員は、五名中三名が厚生労働省のOB。で、OBのための独法じゃないかと言いたくなる。そんなのあちこちにある。おまけに、製薬会社、今申し上げたように利権ばらまきだと。おまけに、ちょっと調べてみたら、私は余り、私の立場からいうとこんなこと言いたくないんだけれども、百四十九名の職員の平均給与も対国家公務員一二四・二%、こんなにひどい格好にこの独法はなっているわけですよ。独法に関する政府の方針は矛盾だらけじゃないかと、こう私は言いたい。独法になって利益を上げるなどと言う前に、こうした巨額の不透明な企業へ出しっ放しの国庫支出というのは即刻打ち切るべきじゃないのか、こんなふうに思うんです。  最後にもう一度、この点について、今私が申し上げたことについて大臣の御見解、お聞きをいたしたいと思います。
  209. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今委員から御指摘いただいたように、オーファンドラッグ等に投資をしていくということについては国策としてやむを得ないだろうと思ってます。しかし、その先が御指摘のようにはっきりしないということなら、私の方から、しっかり吟味をしてまた御報告をいたします。
  210. 又市征治

    又市征治君 時間が参りましたからまとめますが、いずれにいたしましても、今大臣からここの支出の内容は点検をしてということでお話がございましたが、独法そのものもやはりそういう意味ではかなりメスを入れていただきたい。厚生労働省関係の独立行政法人だけでたしか十五ぐらいあると思うんです。残念ながら、やっぱりOBの皆さんの天下り非常に多い、こういう格好にもなっています。  そういう点も含めて是非きちっとやっていただいて、政府全体がそれこそ何とか節約せにゃいかぬといろんなこと言いながらこういう格好で何百億も欠損を出しておるという、こんなばかな話は一刻も早く廃止できるように御努力いただくことを申し上げて、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  211. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 他に御発言もないようですから、文部科学省及び厚生労働省決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十四分散会