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2006-04-05 第164回国会 参議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月五日(水曜日)    午前十一時三十分開会     ─────────────    委員異動  三月三日     辞任         補欠選任         加藤 敏幸君     浅尾慶一郎君      谷  博之君     主濱  了君  三月六日     辞任         補欠選任         浅尾慶一郎君     加藤 敏幸君      主濱  了君     谷  博之君      小池  晃君     小林美恵子君  三月七日     辞任         補欠選任         小林美恵子君     大門実紀史君  三月八日     辞任         補欠選任         大門実紀史君     小林美恵子君  三月九日     辞任         補欠選任         森元 恒雄君     常田 享詳君      藤末 健三君     柳田  稔君      西田 実仁君     山口那津男君  三月十日     辞任         補欠選任         常田 享詳君     森元 恒雄君      加藤 敏幸君     主濱  了君      柳田  稔君     浅尾慶一郎君      山口那津男君     西田 実仁君  三月十三日     辞任         補欠選任         浅尾慶一郎君     藤末 健三君      主濱  了君     加藤 敏幸君      小林美恵子君     大門実紀史君  三月十四日     辞任         補欠選任         西田 実仁君     澤  雄二君      大門実紀史君     小林美恵子君  三月十五日     辞任         補欠選任         澤  雄二君     山口那津男君  三月十六日     辞任         補欠選任         荒井 正吾君     岸  宏一君      森元 恒雄君     山本 一太君  三月十七日     辞任         補欠選任         岸  宏一君     荒井 正吾君      山本 一太君     森元 恒雄君      山口那津男君     西田 実仁君  三月二十七日     辞任         補欠選任         坂本由紀子君     大仁田 厚君  三月二十八日     辞任         補欠選任         大仁田 厚君     坂本由紀子君  四月四日     辞任         補欠選任         加藤 敏幸君     白  眞勲君      小林美恵子君     仁比 聡平君      又市 征治君     大田 昌秀君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中島 眞人君     理 事                 国井 正幸君                 小池 正勝君                 直嶋 正行君                 松井 孝治君                 山下 栄一君     委 員                 荒井 正吾君                 田浦  直君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 西銘順志郎君                 野村 哲郎君                 森元 恒雄君                 山内 俊夫君                 山本 順三君                 尾立 源幸君                 神本美恵子君                 佐藤 雄平君                 谷  博之君                 那谷屋正義君                 白  眞勲君                 藤末 健三君                 簗瀬  進君                 和田ひろ子君                 高野 博師君                 西田 実仁君                 仁比 聡平君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君    副大臣        防衛庁長官   木村 太郎君        外務大臣    金田 勝年君        文部科学大臣  河本 三郎君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        財務大臣政務官  野上浩太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        桐山 正敏君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       伊佐敷眞一君        内閣官房内閣情        報調査室内閣衛        星情報センター        次長       上原美都男君        内閣府政策統括        官        東  良信君        防衛庁防衛参事        官        増田 好平君        防衛庁防衛参事        官        小島 康壽君        防衛庁防衛参事        官        佐々木達郎君        防衛庁長官官房        長        西川 徹矢君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        防衛庁運用局長  山崎信之郎君        防衛庁管理局長  横山 文博君        防衛施設庁長官  北原 巖男君        防衛施設庁総務        部長       地引 良幸君        防衛施設庁施設        部長       渡部  厚君        防衛施設庁業務        部長       長岡 憲宗君        総務大臣官房審        議官       綱木 雅敏君        消防庁次長    大石 利雄君        法務大臣官房審        議官       三浦  守君        外務大臣官房審        議官       兒玉 和夫君        外務大臣官房参        事官       松富 重夫君        外務大臣官房国        際社会協力部長  神余 隆博君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省欧州局長  原田 親仁君        外務省国際法局        長        小松 一郎君        文部科学省研究        開発局長     森口 泰孝君        経済産業大臣官        房審議官     長谷川榮一君        国土交通省河川        局次長      押田  彰君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   諸澤 治郎君        会計検査院事務        総局第二局長   千坂 正志君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成十六年度一般会計歳入歳出決算平成十六  年度特別会計歳入歳出決算平成十六年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十六年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十六年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十六年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)  (外務省及び防衛庁の部)     ─────────────
  2. 中島眞人

    委員長中島眞人君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、小池晃君、又市征治君及び加藤敏幸君が委員辞任され、補欠として仁比聡平君、大田昌秀君及び白眞勲君が選任されました。     ─────────────
  3. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 平成十六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、外務省及び防衛庁決算について審査を行います。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 松井孝治

    松井孝治君 民主党新緑風会松井孝治でございます。  私、冒頭に、三月三日のこの本委員会全般的質疑でテレビ中継された際に質疑が中断した項目について、額賀防衛庁長官に一問御質問をさせていただきたいと思います。  平成十五年度決算措置要求決議について防衛庁からいただいていたスタンスと最近の官製談合問題をめぐっての防衛庁問題意識、ここに明らかにそごがあるのではないかという三月三日の我が党の直嶋理事からの御質問に対する答弁、必ずしも十分でないということで、後ほど理事会において事務的に官房長から御説明をいただきました。  この際、当委員会において、事は参議院政府との関係でございますので、防衛庁長官の方からいま一度、現時点での防衛庁姿勢考え方を御表明いただきたいと思います。
  5. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 決算委員の各先生方には、日ごろから御指導いただいておりまして、感謝を申し上げます。  ただいま松井委員からの御指摘につきまして答弁をさせていただきたいというふうに思っております。  まず、平成十五年度決算審査措置要求決議に対する措置として一月二十五日に本決算委員会に対し御報告をいたしました趣旨は、防衛庁として同決議を重く受け止め、不当利得返還請求訴訟東京地方裁判所に提起した旨を報告することが第一の目的でありました。その際、あわせて、防衛庁として過去の反省と教訓を踏まえ、今後に向けて入札における公正性透明性を確保し、自由な競争の推進に努力していく決意を表明したものであります。  しかしながら、防衛庁としてこういった決意を示した直後の一月三十日に、防衛施設庁建設事業に関して幹部職員などが逮捕されましたことは誠に遺憾であり、本決算委員会において改めて深く反省の意を表したいと思います。  防衛施設庁事案につきましては、私の統括の下で調査委員会及び検討会を設置し、本事案の事実関係を徹底的に究明するとともに、真に実効性のある再発防止策検討全力を傾注しておるところであります。  私としては、防衛庁全体の問題として、入札における公正かつ自由な競争の確保に更に万全を尽くし、二度とこういった事態を引き起こすことのないよう、私自ら先頭に立って全力で取り組んでいく決意でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  6. 松井孝治

    松井孝治君 ただいま防衛庁長官から反省とこの問題に対する真摯な取組の表明がございました。この委員会でも、我が会派でも、今日は藤末委員の方からその問題に関連して質疑をさせていただきます。しっかりと御答弁いただきたい、そのことをお願いを申し上げまして、私の質問は終わらせていただきます。
  7. 谷博之

    谷博之君 私は、民主党新緑風会谷博之でございます。  質問の機会が与えられましたので、早速質問に入りたいと思います。  今日は外務省関係の事柄について幾つかお伺いしたいと思いますが、まずODAに関する問題でございまして、昨年の私は当委員会決算委員会質問をさせていただきましたが、コンサルタント会社PCIパシフィックコンサルタンツインターナショナル、この会社のことについてお伺いをいたしたいと思います。  この会社には、二〇〇〇年から二〇〇四年までの間に、コスタリカを始めグアテマラとかエクアドルとかボスニア、こういうような国々に対して、ODA受注を受けまして、再委託契約を改ざんするなどして水増し請求をしたということで問題になりまして、一応この会社処分を受けております。そして、十八か月の指名停止ということで三月の二十日までこの処分が行われてきたと、こういうふうに聞いております。  私は、昨年の当委員会質問したときにはコスタリカだけの話であったんですが、その後三か国の新たなそういう事実が見付かったということでありまして、これは大変大きな問題でありまして、昨年の当委員会でも警告決議がなされて、その結果、会計検査院が今年の秋までこの問題について調査をしていると、こういうふうに私たちは聞いているわけであります。  それで、JICAとかJBICなども連携しながらこの調査を進めているようでありますが、その後新たな事実が見付かったかどうか、その後の調査の動きについてお伺いをいたしたいと思います。
  8. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、昨年の六月、参議院決議を踏まえまして、会計検査院が現在検査実施中でございます。それと連動する形で、JICA及びJBICにおいても、平成十二年度、二〇〇〇年度でございますけれども、十六年度までの過去五年間にPCI受注した現地委託契約について調査を現在まで実施してきたところでございます。  調査結果についてでございますが、ただいま申しましたように検査院検査が現在進行中であることを踏まえまして、恐縮ではございますが、現時点で確定的なことを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  9. 谷博之

    谷博之君 先ほど私申し上げましたように、このPCIの問題についてのいわゆる指名停止処分は三月二十日で一応終わっていると。したがって、その後、このコンサルタント会社は新たな指名なり受注なりを受けることは可能になっているわけですね。  ただ、問題は、私は一つ外務省姿勢だと思うんですが、今年の秋に会計検査院報告が出されるというその間に、もし他の国との間でこういう不正な問題が見付かった場合、これは既に処分を受けたその事案とまた別の新たな事案ということで、これは当然指名停止登録取消しの対象になるというふうに私は思っておりますが、そういうふうな考え方でよろしいんでしょうか。
  10. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) お答え申し上げます。  既にこれまでに重ねました計十八か月にわたります措置指名停止措置でございますけれども、現地の再委託契約に関する一連の不当な行為を行った事業者に対する措置としては、これはJICA措置規程の上で最も厳しい、その他の措置事案と比較した上でも大変厳しい措置であるというふうに考えております。  他方会計検査院検査が今行われているわけでございますが、その結果として、今後、仮に従来の措置事由を超える悪質な事案が判明する場合には別途の措置検討するということは排除されないと、そういうふうに考えております。
  11. 谷博之

    谷博之君 これ、一つは基本的な姿勢だと思うんですけれども、一つは今年の秋の会計検査院報告待ち、そして、当事者の外務省としてはそれまではどうも積極的な対応をするような雰囲気でもないということでありまして、これは、このPCIの問題については、先ほど申し上げましたように、昨年の決算委員会では公明党の遠山委員も再三にわたって取り上げた、私も何度か質問をさせていただいた、そういう大変重要な問題であり、非常にある意味ではケースとしては悪質と思えるような、そういうケースが非常に多かったと思うんです。  したがって、私は、何かそういうことで先入観的にこのコンサルタント会社について見るということはいかがかとは思いますけれども、しかし、それはやっぱり外務省姿勢として、しっかりその後の会計検査院報告が出るまでやはりこの調査をしていくといいますか、対応していくという、そういうことがやっぱり必要なんだろうというふうに思うんですね。これはあくまで私はその姿勢の問題として強調しておきたいというふうに思っております。  それで、ODA問題に関連して更にお伺いしたいわけでありますが、お手元資料としてお配りをいただきましたが、現在、日本ODAのいわゆる供与国ということでいいますと、中国に次いで第二位はどこかというとベトナムです。インドネシアをもう既に抜いておりまして、ODA供与国の第二位はベトナム。このベトナムで、実は今大変大きな問題が起きているということであります。時間がないので、この出どころがはっきりした新聞のコピーをお配りをさしていただきました。  簡単に申し上げますと、そのベトナム交通運輸省インフラ建設局、ここのところで今大変な贈収賄事件が起きております。その中で、ありていに申し上げますと、この新聞をちょっと読んでいただきますと、このインフラ建設局の、これはPMU18ということで呼ばれておりますが、PMU18事件というふうに言われております。その担当管理部長あるいは建設会社の社長など数名が逮捕されております。  四月の四日、昨日には、ついにその担当大臣が逮捕され、その責任を取って交通運輸省大臣辞任をいたしております。大変これは警察捜査も入って、元々共産主義国であったベトナムの中でこういうふうな事件が発覚をしていると、このことをまず前提に踏まえていただきたいと思うんです。  中身はどういう不正かというと、ヨーロッパのサッカー賭博に八億二千六百万円もこの幹部がつぎ込んだり、あるいはまた高級乗用車を二台も取得して、あるいは別荘を持ったり、様々な幹部に対する賄賂を贈ったり、こういうふうなことが次々に明るみに出ております。  問題は、この資金源が一体どこから来ているかということなんです。皆様方のちょっとお手元にお配りした資料を見ていただきますと、資料の二を見ていただきたいと思います。ベトナムPMU18関連現地報道記事ということで、これは一番下に、現地メディアネット版をNGOの協力で翻訳し、私の事務所で作成をしておりますが、問題はこの二番、三番。PMU18の汚職事件には日本ODA事業がかかわっていると報じられていると。それから三番に、JBIC円借款事業である国道十八号線の改良事業関連ということで幾つかの問題が既に出ておりまして、この写真に出ておりますように鉄材の代わりに竹が使われていたと報じる記事、これ竹なんですね、これ。それから、土砂の質をごまかして裏金をつくっていたとベトナム会計検査院指摘している。もう会計検査院が動いているんです。この金額は三億五千四百万円、このように言われております。  それからまた、この十八号線ではございませんけれども、国道二号線建設工事でアスファルトの厚さを七センチから五センチないし六・四センチにごまかしていたことをベトナム会計検査院が発見している。こういう重大な問題が起きているわけであります。  これは、今申し上げましたように、何とJBIC円借款事業でこれが行われているということなんですよ、この国道十八号の改良事業。  そして、資料三を見ていただきたいと思います。これはベトナムPMU18関連円借款事業一覧ということで、上がJBIC有償円借款事業、下の枠が無償資金協力事業、これはJICAですね、このそれぞれの事業がこのような形で執行されております。上のJBICの真ん中辺りの枠を見ていただきますと、国道十八号線改良事業に既に百五十九億五千万円、これが貸し付けられているんです、この工事に。そしてまた、その下の欄のJICA、これも北部地方橋梁改修計画からトータルで百二億円、これが施工管理に与えられているんですね、総額。  ここでまずお伺いしたいんですが、この事件で逮捕されたその民間の建設会社、これはホアヴィエトという会社ですけれども、このホアヴィエト社がこの施工に、事業にかかわっているかどうか、お答えいただきたいと思うんです。
  12. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) お答えいたします。  ベトナム交通運輸省でございますが、その第十八事業管理局通称PMU18でございます。それによる今回の疑惑事件でございますが、その中でホアヴィエト社の会長が逮捕されたと承知しております。他方我が国によるODA事業でございますけれども、ベトナム側実施機関でありますPMU18が契約をしているベトナム側事業者の中にこの会社は含まれておりません。
  13. 谷博之

    谷博之君 今申し上げましたように、この事業について一番問題にしなければいけないのは、我が国ODA事業で行われているそういう具体的な事業が、その工事の中に大変構造的な欠陥があると、このように指摘をされているということだと思うんです。つまり、我が国ODAへの信頼はこのことによって著しく傷付けられたと、このように言わざるを得ないと思うのであります。  昨日の報道を見ておりますと、さらにその現地報道では、この交通省道路建設部であるPMU18によって建設された多くの道路と橋は、建設材料の横流しによって急速に質が劣化していると、こういうふうなことも言われておりまして、これは正にこの工事をめぐって構造的なそういう問題が内在をしているというふうに私は言わざるを得ません。  したがって、今は現地警察汚職捜査を見守るという状況でございますけれども、建設途上のものは工事をいったん中止をして、施工内容欠陥がないのかどうか現時点で改めて再調査し、報道の真偽を確かめて日本ODAの質への不信と疑惑を晴らすべきだと、このように思うんですが、大臣、どうでしょう。大臣、いかがですか。
  14. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) ただいまの御指摘ベトナムPMU18の件に関しまして、私ども、ベトナムにあります日本国大使館の方からベトナム交通運輸省に確認したところによりますと、各国からのODA資金については効率的かつ適切に使用されているという回答に接しているわけであります。  いずれにしましても、PMU18に関する本件疑惑につきましては現在ベトナム公安省当局による調査が行われているところでありまして、我が方といたしましてもその結果を注視しているところであります。我が国としては、ODA事業実施については、ベトナム側調査結果を踏まえまして適切に対処をしていきたいと、このように考えております。
  15. 谷博之

    谷博之君 重ねてお伺いしておきますが、ということは、我が国ODAのこの案件については、契約に基づいて計画どおり事業は行われ、手抜き工事による欠陥はない、このように我々は考えていいんでしょうか。
  16. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) PMU18が実施機関になっております事業の中には、先ほど先生のお配りになった資料の中にもそれぞれJBICあるいは無償ということの内訳が出ているわけでございますが、円借款については七件、それから無償資金協力については四件ございます。今日に至るまで、現在までのところ、これらの事業は私どもきっちりフォローしておりまして、着実に進められていると、事業自体、そういうふうに承知しております。  繰り返しになりますけれども、今、ベトナム交通運輸省としては、今後、今回のPMU18による日本からの援助を含む各国、これは世銀とかアジア開発銀行の事業も含まれておりますが、そうした事業について総点検をするというふうに聞いております。  いずれにしても、ベトナム公安省当局による本件調査の結果を注意深く見守り、フォローしていきたいと思っております。
  17. 谷博之

    谷博之君 これは、ODA事業の本来の趣旨というのは、有償無償援助をすることによってその相手の国の言うならばインフラ整備とか、あるいは国民生活の向上にそれが寄与するということが一番の目的だと思うんです。そういうことで、貴重な財源がそれぞれの国に言うならば提供されているわけですね。そのことを考えますと、私は、当然その相手国のこういう問題、いわゆる不正があるかないかも含めて、それが本当に有効に使われているか、正しく使われているか、そのことをやっぱりしっかり見抜いていくというのは、これはやはり政府責任だというふうに思うんですね。そういう点で、今の御答弁は、それはそれとして、現時点では受け止めておきます。  実は委員長にちょっとお願いがあるんですが、これは、これだけ多額の賄賂や遊興費の資金源がどこから来たのか、現時点では全く不透明だというふうに言わざるを得ませんけれども、捜査結果次第では、これODAにおける偽装事件の可能性がないとは言えない。そういうこともありまして、この問題について当決算委員会としてある意味では看過できないというふうに思っておりまして、是非現地調査を行い、その調査結果をこの当委員会報告するよう、そしてそのことを外務省に要求していただくように委員会としてひとつ御検討いただきたいと思います。
  18. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 理事会検討いたします。
  19. 谷博之

    谷博之君 この問題に関係して、これは資料をお配りいたしました。資料一を見ていただきたいわけでありますが、資料一の右側、タイトルは、外国公務員へ贈賄起訴ゼロ、日本甘いと、こういう記事が出ております。これは外国政府関係者に対する日本企業の贈賄行為についての捜査が不十分、こういうことで、OECD、経済協力開発機構が専門チームを日本に派遣をして、この二月二十一日から三日間、日本の法務・検察当局に事情聴取をしております。  これはこの記事にも書いてありますけれども、日本は一九九八年にOECD外国公務員贈賄防止条約、これを批准をいたしておりまして、そしてこの批准に基づいて現在三十六か国署名しておりますけれども、その一員として日本は今活動しているわけです。  御案内かと思いますけれども、既にこの条約が批准された後、アメリカ、スイス、韓国など、合わせて三十件に上る具体的な有罪判決が下りている、こういうことでありますが、日本は一件もそうした事例が、起訴された事例はございません。ここがどうもおかしいということで、OECDは何度か日本調査をしているんですよ。これはこの記事を見ていただきますといろいろ書かれております。不正競争防止法の改正をしたりいろいろやってきておりますけれども、日本は実態としてはそういう訴追される事件というのは一件もないということです。  この記事の右側に出ておりますけれども、梅田徹麗澤大学教授の話ということで、海外での日本企業の動向について情報を収集する専門の捜査機関を設け、国内外のNGO等との連携したチェックを毅然とする体制をつくるべきだ、こういうふうに書いてあります。  これは正に私は必要なことだというふうに思っておりますが、この点についてどのようにお考えでございますか。
  20. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) お答えいたします。  検察当局におきましては、不正競争防止法上のいわゆる外国公務員贈賄罪に関するものも含めまして様々な情報収集に努めているものと承知しておりまして、こうした罪に関係します刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処するものと承知しております。
  21. 谷博之

    谷博之君 ちょっとそういうふうな感覚でよろしいんでしょうかね。少なくとも、日本の企業が海外で、特にODA事業なんかでかかわっていくときに、当然その相手政府相手の様々な業界との関係というのが出てくるわけですが、それらは少なくとも今の捜査体制では不十分だということをOECDの人たちは指摘しているんですね。  これは、そもそもこの条約ができたのは、アメリカがロッキード事件を契機にして、正に国際的なこういう疑惑問題についてしっかりとしたチェックをしようということでスタートしたはずなんです。ところが、日本もちらちらこういう問題が新聞報道されています。例えば、平成十四年の九月には、モンゴルのODAをめぐる三井物産による贈賄容疑とOECD外国公務員贈賄防止条約というこういう、外務省平成十四年の事件をいまだにホームページに載せて、こういう報道をしているんです。  つまり、それだけ外務省としても、あるいは政府としても非常にこの問題については関心を寄せている事案だというふうに思うんですけれども、にもかかわらず、そういう意味ではそれを取り締まるべき体制というものが不十分だというふうに私は言わざるを得ないのでありまして、外務省のこういうホームページに載せているということからして、大臣、どのように御認識されておられますか、この問題について。
  22. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 基本的にはこの種の話っていうのは常に付いて回る話で、世界じゅう皆同じような問題に悩んでおられるんだと存じます。  日本としても、そういった状況を踏まえてホームページに過去の事例を挙げておるんでありまして、私どもとしてそれに対して真摯に取り組むという責任はあろうと思いますけれども、この外国の公務員に関する贈賄というのは基本的に端緒が物すごく難しい、どこから始めるかというのが物すごく難しいというところがいま一つなかなか踏み出し切らない大きな背景だと存じます。  また、日本の場合、たしか司法取引もできないと思いますので、そこのところも話を更に難しくしておると思いますので、これはもっと全部、法体系全体の話を、司法取引の話から始めないと、アメリカとか韓国とかみんな司法取引でやってきているというように、私の浅はかな知識でそのように理解をしておりますので、日本の場合はそれがありませんので向こうに対しての取っ掛かりがなかなか難しいだろうなという感じはいたしますので、是非、この面に限らず、全体な問題として取り組まねばならぬのじゃないかなという感じがいたしております。
  23. 谷博之

    谷博之君 外務大臣のお立場とすればそういうところが、まあ御認識でそうなのかなと思いますけれども、しかし、これは事政府全体の問題ですからね。私はそう思うんですよ。ですから、この新聞にも出ていますけれども、東京地検特捜部はこれまでに数回、総合商社による外国公務員への贈賄行為について刑事訴追を検討したけれども、金銭提供が少額だったということであきらめたというふうに書いてありますが、少なくともそういう、まあ法務、検察もそうでしょう。警察もそうでしょう。当然それは外務省もそうだと思うんですが、そういうやっぱり一体となったそういうふうな法体系の整備とか、あるいはそれを取り締まるべき体制整備とか、こういうようなものはやっぱりつくらなきゃいけないと思うんですよ。そのことを実はOECDは言っているんですよ。日本はそこのところが余りにも掛け声だけであって、この条約を批准しているにもかかわらず実態が伴っていないじゃないかということを彼らは指摘していると思うんですよ。  そのことについて、これは大臣の立場で答えられなければ、どうですか法務省、答えてください。
  24. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) お答えいたします。  不正競争防止法上のいわゆる外国公務員贈賄罪を含めまして、いわゆる贈収賄事件につきましては、一般に隠密裏に行われるなどといった捜査の困難性といったものが認められるものと承知しております。  検察当局といたしましては、そういったことを踏まえまして様々な形で情報収集に努め、これまでも法と証拠に基づいて適切に対処してきているものでありまして、今後ともそのような形で対処がなされるものと承知しております。
  25. 谷博之

    谷博之君 これは出どころがはっきりしませんからこれ以上のことは言いませんけれども、いろんなこういうメールが錯綜しておりまして、結局、そでの下も税金が掛かりますとか、どこそこの商社どこそこの会社がどこそこの、これはインドネシアの多分ことだと思うんですが、その政府の高官に賄賂を贈ってくれとか贈っているとか、こういうふうなことが、これはある意味じゃ根拠のない情報かもしれませんけれども、こういうのがどんどん飛び回っています。  もうこれはある意味では、それはもう今おっしゃるとおりのことなのかもしれませんけれども、やっぱりこういうことが万が一にも事実だとしたら、こういうことをやらしておいていいんですかね。私は、そういう点は日本というのは非常に、このODA事業、特にそうですけれども、大変私は政府として無責任な対応をしているというふうに言わざるを得ないと思うんです。これだけの事件がたくさん起きている、すべてが正しいことをやっている人たちだけの事業ではない。性善説だけじゃない、性悪説のそういう人たちもいるかもしれない。そういうことをチェックするために、この麗澤大学の先生はちゃんとしたそういう一つの縛りをつくりなさいと言っているんですよ。  それに対して、ここに書いてありますけれども、新聞に出てますよね。相手国捜査共助の条約がない場合、収賄側の事情聴取が困難だ、リベートを渡す際ブローカーが介在する場合が多く、渡された金銭の趣旨を明確にしづらい、これは新聞報道ですが。こういうことのためにこれが縛りが掛けられないということになれば、私は、余りにも政府といいますか法務省なり外務省なりの取組というのは非常に私は問題があるというふうに思います。  これは、この委員会ではこれ以上の答弁出ないのでやめますけれども、しかしこれ、必ずこれは第三弾のOECDからの厳しい私は注文が付いてくると思います。このことをよくひとつ考えて取り組んでいただきたい、このことを申し上げておきたいと思うんです。  それから次に、今、今度の国会で、行政改革推進法案がいよいよ今月の三日から衆議院の行政改革特別委員会で審議が始まっています。  その中で政府系の金融機関の見直しの問題も議論をされようとしておりますが、特に私は今回、JICAJBICの統合の問題についてお伺いしたいと思います。  これ非常に図式をお示ししないと難しい機構の関係になっているんですが、まずJBIC、国際協力銀行はこの見直しの中で解体をされて円借款の部分をJICAに統合すると、こういうふうな構想がなされておりまして、これは私はある意味では前進かなというふうに思っています。  ところが、この円借款部分のうち、これは財務省との共管でございまして、これはどうも将来にわたって天下りの道をつくっているんじゃないかというふうに私は推察をしておりまして、まあ問題があるかなというふうに思っておりますが、いずれにしてもこの動きがある。  一方では、一九九八年七月に当時のジェトロとアジア経済研究所、日本貿易振興会とアジア経済研究所が合併をして、新しい独法のジェトロが誕生しております、日本貿易振興機構という名称でありますが。そうした中でこういう、頭が外務省、財務省、経済産業省、もうそれぞれのいわゆる頭を持ったこういう機関、こういう組織が実は今存在をしているわけですね。そして、この新しく誕生した新ジェトロ、これは今年の一杯で、今年度末までに今の中期計画が終了して、今年度一年掛けて来年度以降の第二期の中期計画を策定するということになっております。  そこで、行政改革ということを言っているわけですから、新しいジェトロのスリム化を図るためにも私はこのアジア経済研究所、もう一回これ切り離してみたらどうかというふうに思っています。つまり、このアジア経済研究所というのは発展途上国の政治や経済や社会について基本的、総合的に研究をする機関でありまして、特に今回いわゆる合併されておりますけれども、貿易振興というこの側面もそうですけれども、現地の実情を踏まえたODAの効果的な実施の是非についてもある意味では検証する立場、そういう役割も果たしているというふうに思っておりまして、そういう意味でのアジア経済研究所の本来の役割というものを果たすためには、このジェトロから切り離すことが私は大変大きな重要な意味があるというふうに思っています。  そして、このいわゆるアジア経済研究所の役割も、まあ内部から聞こえてくる話としては、結局一部の役員の報酬は上がった以外に何のいいこともなかったというような声も聞こえてきているわけですが、こういうことではない本当の、アジア経済研究所の本来の活動ができるような、そういう仕組みにすべきだというふうに思いますが、これはどのように考えておられますか。
  26. 長谷川榮一

    政府参考人長谷川榮一君) ただいまの御質問、お答え申し上げます。  谷先生指摘のように、日本貿易振興会、当時でございますが、アジア経済研究所を一九九八年の七月に統合したわけでございます。この統合の背景、眼目等申し上げた方がいいかもしれませんけれども、我が国とアジアを中心といたします地域との通商経済関係が大変緊密をしてきたということがございます。  振り返っていただきますと、世界の貿易、さらにはサービス、投資、こういったものが九〇年代に至りまして顕著に増大をしてきた中で、特にアジア地域ではこの傾向が強かったわけでございます。我が国とアジア諸国との貿易を一例に挙げますと、量もさることながら、内容につきましても、部品であるとか素材であるとか、要するに大変日本の経済、各民間の方が苦しい中で、世界的な競争に勝ち抜くためにアジアとの分業体制をつくったわけでございます。  実態面でもこういった背景がある中で、我が国が、とりわけ民間の力を生かしていただくということで、もちろん我が国自身、民間自身の業績を上げていただくということもございますけれども、同時にアジアの途上国の発展にも寄与して、そして双方が協力関係を推進するということで、通商、貿易、投資振興、こういったことの厚みを増すというようなことで、アジア経済研究所の保持しております豊富な地域研究の成果を存分に活用できないかといったような時代的な流れがあったというふうに認識をしております。  折から、御案内のとおり、九七年、九八年にはASEAN地域を中心といたしまして通貨危機等がございまして、当時、日本の企業も現地に出ておられる方々を中心に、特に中小企業の方につきましては想像に難くないわけでございますけれども、大変な状況変化がございまして、こうした厚みのある情報提供あるいは相談事業といったものの必要性が改めてこれは実証されたものであるというふうに思っております。  世紀変わりまして、近年でございますけれども、御案内のとおり、東アジア経済連携構想あるいはFTA構想、こういったようなものにつきましても、国のリーダーを始めとしまして是非進めたらいいのではないかというようなことで、一部は経済連携協定という形で国会の御承認をいただくに至っております。こういった制度づくりの実態におきましても、ジェトロがアジア経済研究所の研究成果を活用する形で、言わば新ジェトロとして一体となりました産業連関表の作成であるとか、あるいはFTA構想の研究の実施であるとか、こういった実績も上げております。  したがいまして、今後とも、こういったジェトロと旧アジ研の統合性を高めるということを基本にした上で、関係の諸機関、もちろんJICAもありますけれども、情報交換や連携を密にいたしまして、そういったようなことの考え方、さらには利用者、この方々の声が一番大事でございますので、利用者の方々の声、評価委員会の御意見をいただきながら、御指摘ございましたように平成十九年の三月末までの間に新しい中期目標、中期計画の策定を図っていきたいというふうに思っております。
  27. 谷博之

    谷博之君 私、今の御説明ありましたけれども、私なりの考え方を申し上げたいと思うんですが、このアジア経済研究所、アジ研については、再度分離して、先ほど申し上げたいわゆるJICAJBICの統合した新JICAに統合すべきじゃないかというふうに思っています。これはもう御案内のとおりでありますけれども、この新JICAといいますか、新しく統合されようとしているJICAには、元々そのJICAの国際協力総合研修所とJBICの開発金融研究所、こういう二つの発展途上国の調査研究を行う似たような機能を持っているシンクタンクがあります。これに私はこのアジ研を、アジア経済研究所を統合して新JICAのシンクタンクを一層強化する、これがやはり私は一番筋ではないかというふうに思っておりますが、これ、大臣どう思いますですか。
  28. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 貴重な御意見と考えますけど、ただいま統合を検討しているかといえば、今直ちに統合を研究しているということはございません。EPAやら経済連携協定やら何やらいろいろ、今JICA含めましていろいろと進めておりますけれども、ジェトロって元々貿易を主としてやっている話と、現地に入って工場を造って経済をやろうという話と、もうかなり内容が違っておる背景だとも思いますので、私どもとして、そのジェトロの研究機関でされた資料を有効活用させていただければ私どもとしてはそれで十分なんであって、直ちに今それを統合して一緒にというようなことを考えているわけではございません。
  29. 谷博之

    谷博之君 直ちには考えていないということでありますけれども、これは将来の一つの何というか取組といいますかね、そういう考え方としては、やはり私どもはそういうふうに考えておりますので、是非ひとつ御検討いただきたいと思っております。  それから、最後にもう一つ問題をお聞きしたいと思っておりますが、それは、私前々からいろいろ戦後処理の問題について予算委員会等でも質問もさせていただきましたが、シベリアの抑留問題についてお伺いをしたいと思っています。  御案内のとおり、三月の二十九日に、ちょうど一年前、二〇〇五年の二月に在ロシア、モスクワの日本大使館がロシア側から、二万七千人のシベリアから北朝鮮に逆送された、移送された方々の名簿を受け取りました。それを、言うならば解読といいますか翻訳をして、その名簿をこの三月二十九日に公開をするといいますか、公開ということでなくて照会受付といいますか、問い合わせがあったものに対してお答えをするという、こういうふうな措置をいよいよスタートしました。  私は、そこでお伺いしたいんでありますけれども、ロシア政府から日本にこの名簿が渡されたその段階あるいはその後で、ロシア側から例えばコピー代というふうな名目でその経費を費用として請求される、そういうことがあったかどうか。そして、もしそれが請求された場合は、平成十六年度の決算上、どういう名目で幾らそのお金を払ったか、お答えいただきたい。
  30. 原田親仁

    政府参考人(原田親仁君) お答えいたします。  ただいま先生指摘のとおりに、昨年三月、ロシア国立軍事古文書館より厚生労働省に提供されたいわゆるシベリア抑留者のうち北朝鮮に移送された約二万七千人分の名簿については、三月二十九日より厚生労働省において一般からの照会の受付が開始されたと承知しております。  昨年三月、この資料の入手に当たりまして、厚生労働省からロシア国立軍事古文書館に対しまして資料の探索及び資料の複写のための必要経費として千百四十八米ドルが支払われたと承知しております。
  31. 谷博之

    谷博之君 これは私、関係者からお聞きした話なんですけれども、この名簿をロシア側で調べるについては、大変その調べる方が御苦労があったとか、それから、いろいろその担当者、日本側の担当者に対してそういういろんな、それとなくそういう費用を請求するようなそういうふうな雰囲気があったというふうに聞いているんです。  これは私は、どういう目的で、どういう名目でこれが、今おっしゃったような金額が支払われたのか。これは、どこのところからこれ出されたんでしょうかね。どういうそれで名目でこれ出されたんでしょうか。お答えいただけますか。
  32. 原田親仁

    政府参考人(原田親仁君) 直接には厚生労働省がやり取りをやっておりましたし、それを支払ったのも厚生労働省でございますので、詳細は我々も正確なところを承知しておりませんけれども、先ほど申しましたように、ロシア側は費用として、資料の探索及び資料の複写のための必要経費だということでそういう請求をしたというふうに我々としては承知しております。
  33. 谷博之

    谷博之君 私も実はその複写された紙については拝見をいたしました。そんなに掛かる紙なのかなと思いますが、いろいろ提供する側のそういう一つ考え方もあったんだと思います。  ただ、これは昨年の十一月に小泉総理とプーチン大統領の会談がございましたね。そのときにプーチン大統領は、この名簿の問題についてはこれからも積極的に日本政府の期待にこたえるように協力をしたいって言っているんですよね。その協力のあかしがそういう若干のお金になっているのかどうか、それは分かりませんが、いずれにしてもこれは、いわゆるその十一月の会談以降、少なくとも現時点までのこの動きを見ていると、そのプーチン大統領の言葉のような内容には実はなっていないような気もするんです。誠意ある取組をしていただいているかどうかについてはどうも疑問符が残るような今の動きなんですね。  ですから、相手側は、その資料を見付ける人がどんどん年を取っていってなかなかこれ見付けるのが大変だなんていう話もちらちら聞こえてくるんですけれども、そういうことではなくて、今もう本当に戦後六十年過ぎて、この時点でやはりその名簿を一日も早く返してもらうというのが私は今の我々の立場だと思うんですね。  ですから、そういう意味で、もう一度強くこれ大臣、どうですか、ロシア政府に、あるいはロシアの大使館に話をするというようなことできませんか。
  34. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 非常に時間のたっている話ではあろうとは存じますけれども、少なくとも、今関係者の方々も高齢化されておられるという実態も踏まえまして、御希望等々が強いというのはよくよく承知しているところでもありますので、今後ともロシア政府に対して交渉を、交渉というか要求をしてまいりたいと存じます。
  35. 谷博之

    谷博之君 もうこれ、また言うことではないのかもしれませんが、いわゆる終戦直後、約六十万人近くの人たちが中国東北部そして現在の北朝鮮等々で抑留生活といいますか、そういう状況になったわけです。かなりの部分がシベリア、モンゴル、そして遠くはモスクワの近くまで移送されていった。一方では、北朝鮮にそのまま抑留されて、そして戦後生活をした人もいます。これが、終戦直後、昭和二十年から二十一年にかけてお互いが逆送するわけですね。  そして今、日本政府は、平和祈念事業特別基金、こういうところから慰労金をそういう方々に出しております。ただし、これは条件がありまして、いわゆるシベリアを含む旧ソ連、モンゴル、この地域で、ある意味では強制労働といいますか、そういうふうな立場に置かれた人たちに対する慰労金は支払われております。しかし、それは請求があったものにですから、全部の人にそれが支給されているという状況ではありません。  問題は、私は、北朝鮮なり旧満州、中国東北部にそのまま拘束をされた人たち、こういう人たちも、いわゆる関係者、八十過ぎたそういう方々の聞き取りをしますと、ある意味では強制労働に近い状況に追い込まれていたというふうな話も聞いているわけですが、残念ながらロシア政府の証明がなければこの基金からの慰労金は出ないという、こういう仕組みになっているんですね。  したがって、この辺の、同じように強制労働というかそういう立場に置かれて、そして何年間か大変御苦労されたこういう方々に対して、私はこの平和祈念事業特別基金から慰労金が支給できるように、こういうふうにすべきだと思うんです。当然これは、終戦直後はソ連軍がその場所を管轄していたわけですから、そういう点からも私は是非検討すべきだと思うんですが、いかがでしょう。
  36. 綱木雅敏

    政府参考人(綱木雅敏君) 朝鮮半島、旧満州等の地域につきましては、先生今お話ございましたように、戦前はしかし日本の領土又は満州国の領土でございまして、日本国民が多数居住していたこと等、終戦後の状況も旧ソ連の状況とはかなり異なっていたというふうに理解されております。  ですから、基金制定時におきましても様々に議論は重ねられたところではございますけれども、やはり極寒のシベリアの地とは異なるということもありまして慰労金の支給の対象とはされなかったというふうに理解しております。ですから、すぐにそのような措置を行うということは困難であるとは考えます。  なお、今先生からお話ございましたように、いったんソ連又はモンゴルに抑留されて、その後北朝鮮などにいわゆる逆送された方々につきましては基金の慰労金の支給の対象とされております。
  37. 谷博之

    谷博之君 この問題については、今国会で、私ども民主党もその補償をするための党としてのいわゆる議員立法も提出をしようとしておりますので、是非各会派の先生方にも関心を持っていただいて御配慮いただきたいと思っております。  最後になりますが、大臣に一点だけお伺いしておきますが、いわゆる韓国の盧武鉉大統領が靖国神社の遊就館を訪問したいというふうな発言をされております。例えば、これ仮説の問題ですけれども、盧武鉉大統領が将来日本に公式訪問をした、そういう際にそういうリクエストがもし出たときに、これどう対応するかということについてお答えいただきたいんですが。
  38. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 先月の十六日の日に盧武鉉大統領が、今、谷先生指摘のような発言をされたという報道は承知をいたしております。  御存じかとは思いますが、昨年の六月の日韓首脳会談におきまして、次回の首脳会談を昨年中に我が国で行うということに合意をしておるんですが、その後、両国関係ぎくしゃくいたしましたんで、盧武鉉大統領の訪日は実現をいたしておりません。日本側で今度会談をすることになっておりますんで、そういった意味では私どもはこの対話の必要のためにも是非と思っておりますけれども。  ただ、今の御発言、今の盧武鉉大統領の発言の翌日の日に韓国大統領府の報道官の広報として、同発言は神社参拝に反対するという韓国の立場を再び確認するというレベルから出てきた発言という報道官の言葉があり、日韓首脳会談開催の可否と結び付けることは適切ではないということを改めて確認すると述べたと私ども承知をいたしております。  したがいまして、今の、大統領が訪日され、靖国神社を参拝され、遊就館を訪問というのは現実的な話ではないと思っておりますが、具体的にもし向こうが御希望をされるということに関して、こちらに来られた方の御希望に、いやそれは駄目とかなんとかというような話を私ども言う立場にはありません。
  39. 谷博之

    谷博之君 現状の話ということでそういうことかなと思いますが、しかし、これは遊就館ということについては、これもいろんな、国会でもまた取り上げられておりますけれども、靖国神社そのものもそうでしょうし、そこにある遊就館についても、アメリカの例えば有識者なども随分その存在を気に掛けておられる方もおられるということはもう御承知のとおりだと思ってます。今後そういう状況が起きれば、また大臣に改めてお伺いをしたいというふうに思っております。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  40. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党新緑風会の藤末健三でございます。  私は、本日、防衛施設庁及び外務省ODAにつきまして御質問申し上げたいと思います。  ただいまお手元資料を配付させていただいておりますが、それの一ページ目をちょっと皆様ごらんになっていただけますでしょうか。    〔資料配付〕
  41. 藤末健三

    ○藤末健三君 今ちょっと配付中でございますが、この資料の一ページ目、一杯契約を書いてある表をごらんになってください。  これは平成十四年度から十六年度までにおける防衛施設庁及び防衛庁から防衛施設技術協会への調査の発注の実績でございます。この問題につきましては、外交防衛委員会の方で浅尾議員から話があったものをより深く調査したものでございまして、前回の外交防衛委員会におきましては、請負金額のうち再委託、防衛施設庁及び防衛庁から協会に請負で流されたお金や委託されたお金のうち大部分が再委託調査に再委託されているということでございますが、個別に契約を分解してみますと、多くの契約におきまして防衛施設庁から防衛施設技術協会へ委託され、これもほぼ全部随意契約です。ほぼじゃなくてすべてですね、すべて随意契約でございます。随意契約で流れ、そしてそのうち三分の二を超えるものが、ほとんどの契約において三分の二を超えるものが外部の民間企業に再委託されているという状況でございます。この再委託も随意契約。  ですから、全体状況を申し上げますと、防衛施設庁及び防衛庁から防衛施設技術協会に随意契約、すべて随意契約で流され、そして防衛施設技術協会から民間企業に随意契約、すべて随意で流されているという状況。そして、もう一つ大事なことは何かと申しますと、ほとんどの契約が、三分の二以上が再委託されているという状況です。ですから、もう完全に防衛施設庁が民間企業に随意契約で委託しているのと変わらない状況になっているというのがございます。  これが全体像でございまして、まずお聞きしたいのは、防衛庁にお聞きしたいのは、このように調査の請負契約を随意契約で行うこと自体が問題あると思うんですけど、いかがでございましょうか。異常じゃないでしょうか。お願いします。
  42. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 施設庁の不祥事が起きまして、我々、今各公益法人について調べているわけでありますが、特に今度の不祥事の温床となっていた施設協会、施設技術協会においては、藤末議員御指摘のような随意契約あるいは再委託による契約等々が行われておりまして、一般的に私は、競争原理が働いた中で適正なコストで仕事がなされるということから考えれば、これは正しい姿ではないというふうに思っておりまして、防衛庁全体も、これからは競争入札、一般競争入札をどういうふうに図っていくかということについて主眼を置き、改革を進めていきたいというふうに思っております。  と同時に、これまでの施設協会そのものの存在が不祥事の温床になっておりますので、この施設協会を防衛本庁に統合する形で、再びこういうことが起こることのないように、相互牽制が発揮できる形、あるいはまた人事交流がなされる形、そういうことを全体ににらみながら改革をしてまいりたいと。そして、施設協会は解体をして、こういうことがないようなことをしていきたいと。そしてまた、全般的に防衛庁入札についても、総合評価方式とか一般競争入札導入とか、そういうことを考えながら透明性を持った形にしていきたいというふうに思っているところであります。
  43. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、長官には頑張っていただきたいと思います。  あと、お願い一つありまして、この中間取りまとめに書いてあることはもう読んでますんで、もう省略してください。是非ともお願いいたします。  続きまして、例えばこの中のリストにおきまして、岩国に対する平成十四年度とかの二十四、二十五とかいう契約番号ございますが、この中におきまして協会さんが何をされたかということをちょっと教えていただけないでしょうか。一応私も勉強しております。お願いいたします。
  44. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 今先生から配付いただきました資料の中、それで一例といたしまして岩国の飛行場、これは番号で言いますと三十一番、三十二番という形になります。その業務の御説明でよろしいでしょうか。
  45. 藤末健三

    ○藤末健三君 はい、お願いします。
  46. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) はい。それでは、その三十一番目の岩国飛行場、十六年度の滑走路移設埋立造成舗装委員会委託業務、これにつきまして御説明をさしていただきます。  これは、トータルでここに書いてございますように、契約金額は八百六十一万円でございます。それで、業務の具体的内容でございますけれども、委員御承知の、私ども今二十年度完成を目指して移設事業をやっておりますけれども、この事業は埋立て造成をいたしました敷地の上に滑走路等を建設するということでございまして、地盤の沈下によりまして機能的損傷を受けるおそれがあると。このために、地盤又はその舗装構造に配慮する必要がございます。この点につきまして、我が国では埋立地でのアスファルトではなくコンクリート舗装によります飛行場建設の実例は大変少のうございまして、実績も……
  47. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 簡潔な答弁を。
  48. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) はい。実績もほとんどございませんので、舗装工学、それから土質工学の学識経験者で構成します委員会において、埋立て造成、それから舗装の設計につきまして検討審議し、技術的意見をお願いしているものでございまして、協会が実施した業務はこの委員会の運営、それから委員会が必要といたします資料の整理、取りまとめなどを行っているものと承知をしております。  それからもう一つ、済みません、三十二番目でございますが、これは、この業務につきましては、ここにございますように、契約金額は九百八十七万円でございます。その具体的内容は、滑走路移設工事に伴います飛行場舗装工事施工計画の検討業務、それから路盤材、アスファルト、コンクリート等の材料提供計画に係ります資料収集それから検討業務を行うものでございまして、防衛技術協会が実施いたしました業務といたしましては、これら業務の細部の計画、工程などを定める業務計画書の企画ですとか立案、作成を行いまして、再委託業者を管理監督しながら、方針等につきまして防衛庁と調整を行って最終的な成果品を取りまとめると、そのように承知をしているところでございます。
  49. 藤末健三

    ○藤末健三君 まとめて申し上げます、今の説明を。  協会がなされていることは何でしょうかというと、例えば委員会を開きます、調査委員会委員会の選定や委員会の運営です。はっきり言って職員の方ができる仕事、そういうものです。  かつ、ここに契約書がございます。なぜ防衛施設技術協会じゃなきゃいけないかという随意契約書がありますが、ここの中に書いていますのは、防衛施設協会は防衛施設に関する広範な知識を持ち、技術を持ち、そして経験を持っていますということを書いています、すべて一緒なんですよ、随意契約理由。それで何をやっているかというと、先ほど御説明いただいたように一般の方ができるようなことをなさっています。これは事実です。ということを皆さん御理解ください、お願いします。  続けて御質問申し上げたいんですけれども、協会が受けた役務請負の三分の二以上、これを再委託へ出すことは問題ないか、どう考えるか、簡潔にお答えください、簡潔に、お願いします。
  50. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御指摘の点につきましては、技術業務、まずは技術業務につきましては、ほぼすべて同協会がこれは独自に行っておりますことを御理解いただきたいと思います。  それから、先生指摘調査研究業務、これにつきましては専門業者を活用する方がよい、より効率的ということで今再委託をやってきたところでございますが、これにつきましては、先ほど大臣からも御答弁申しましたとおり、当防衛技術協会につきましては自主解散を要請をするとともに、またその公益法人と締結した随意契約につきましては、これからはよほどの事情がない限り一般競争入札に移行するというようなことも考えて、今、これまで託してきた調査研究業務を移行していきたいと、そのように考えているところでございます。
  51. 藤末健三

    ○藤末健三君 質問に答えてくださいよ。問題ないんですかと申し上げているのに、将来のことは後でお聞きしますからいいです。いや、本当にそうですよ。  ちゃんと答えていただきたい。三分の二ぽんと、ほとんどの方が、OBの方の協会に仕事が来ましたと、そのうちいろいろな事務作業を協会はされますと、専門的なことは全部随意契約で民間に流しますよということをやっています。全体の契約のうち三分の二を外部に出していると、それはどうかということをお聞きしているんですよ。将来のことは後でお聞きしますからいい。お答えください。
  52. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 約三分の二の調査委託業務を再委託をしてまいりました。これをするに当たりましては、先ほど来申し上げておりますけれども、専門業者を活用する方がより一層効率的だろうといった観点からやっておるわけでございますけれども、この点につきましては再度精査をいたしまして、そして国民の視点から一点の曇りもないように、疑いもないように対応してまいりたいと、そのように考えているところであります。
  53. 藤末健三

    ○藤末健三君 再度調査は是非やっていただきたいんですが、じゃ、ちょっと追加の質問でございますけれども、どのような企業に再委託をされていますか、そしてその企業には、再委託先の企業、協会から再委託された企業、どういう企業があるか、そしてまた、OBの方々がいないかどうか教えてください。  一般的に考えますと、これは防衛施設庁さんが競争入札で民間企業を選び、その民間企業が残り三分の一を協会さんに委託すべきなんですよ、これは、常識的に考えて。どうですか、皆さん。企業がまず受けて、それから協会しかできないことをまた協会に戻すというのが普通だと思うんですけれども、どうですか、長官
  54. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 協会から企業への再委託、その再委託先でございますが、これは、これまで協会としましては実績も踏まえましてそれぞれの専門性を持ちました業者、具体的には建設コンサルタント会社などと契約をしているところでございます。  また、この点につきまして、OBが就職しているかどうかということでございますけれども、今手元に具体的な資料持っておりませんけれども、就職もしている企業もあると承知をしております。
  55. 藤末健三

    ○藤末健三君 これはもう是非、委員の皆様とこの部屋にいる方にお話ししたいんですけど、私は、これは協会から民間企業に委託した契約書を持ってます。どうなっているかと申しますと、どの企業に委託するかという理由書がないんですよ。本来あるべきなんですよ。なぜその企業に委託したかという理由書がなければならないのに、このいただいた契約書の中にはありません、なぜそうなったのかという。  そういうものは是非、直すというか、やはり責任もやっぱり生じると思うんですよね。だれがどう責任を取るかもきちんとやっていただきたいと思うんですけど、これは防衛庁長官にお願いしたいんですけど、いかがですか。この問題の責任はどう考えるか。将来展望は後でお話しします。お願いします。
  56. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、防衛施設庁が協会に、仕事をし、再委託するときは、防衛庁担当者に報告をし、そしてまたその協会の人にもきちっとそういう約束事を、契約上の約束事をきちっと守らなければならないところを守っていなかったという実態があります。そういうことが非常にルーズであるということと同時に、委員おっしゃるように、これはこういう契約が正しい姿とは思ってないので、改善をしていかなければならないというふうに思っております。
  57. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に、額賀長官からお話ありましたように、その再委託の契約は、本来、防衛施設庁、委託元である防衛施設庁が、あらかじめ再委託の相手、住所、氏名、委託を行う範囲、再委託の必要性及び金額を記載した書面を提出し、防衛施設庁契約担当官に承認を受けなきゃいけないとなっているものが、全く受けてないんですよ、承認を。ですから、もう勝手に協会が随意契約で民間企業に落としていると。その選定理由さえも分かってない、防衛施設庁は全然知りませんでしたという状況だったということです。  ですから、本当にもう野放しなんですよ。防衛施設庁及び防衛庁から防衛施設技術協会に随意契約で行きましたと。その後、民間企業に三分の二近く行っているものがほとんどですと。それも、選定理由書もなく民間企業に行く。そして、その次に大事なことは、再委託した場合に、きちんと防衛施設庁及び防衛庁契約担当官にあらかじめ書面を提出して、そして了承を受けなきゃいけないということさえもやってない。  その責任をどうするかということを、額賀長官、お答えください。将来の改善ポイントは今からやります、私が。これを、これまでの反省、どうして、どうけじめ付けるかということをお願いします。
  58. 中島眞人

    委員長中島眞人君) まず、北原長官、今の質問、事実としてなのかどうかを、まず北原長官、答えてください、簡潔に。
  59. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) ただいま先生から御指摘をいただきました。防衛施設技術協会におきましては、確かに再委託の承認手続がなされておりませんでした。  また、これは私ども謙虚に、謙虚にといいますか、独り防衛施設協会だけの問題ではないと防衛施設庁として考えております。  すなわち、発注者たる私どもの各防衛施設局等におきましても、やはりこの点については、この契約が、条項が入っている、また主計局長からの通知も出ているわけでございまして、そういった点を本当に徹底して、業務に緊張感を持ってまた当たっていなかったということについては深く反省をしているところでございます。
  60. 中島眞人

    委員長中島眞人君) もう一回確認しますけれども、額賀長官が就任する前の段階で、この辺はきちんとけじめを付けておかなきゃならないんで、今、藤末委員が言ったようなことがそうだったのかどうかということを端的に答弁しなさい。
  61. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 今、今日、この席上に、先生から十四年度、十五年度、十六年度の契約が表示されました。この中で、いわゆる再委託をするに当たっての手続上の欠缺があったと。それは額賀防衛庁長官が御就任される前の話でございます。
  62. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、施設庁内におきまして一連の談合事件について調査をしております。これまでは検察庁の捜査の障害にならない範囲でやってきたわけでありますけれども、今、公判に入りました。その公判の流れを見ながら施設庁としての調査結果をきちっと公表し、その上で厳正な処分をしてまいりたい、そして新しい体制の出発を図りたいというふうに思っております。
  63. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いします。  私、額賀長官責任を問うというわけじゃ全くないんですよ、本当に。これは、やっぱり何かおかしいことをやった人は絶対いるはずなんですよ。そこをやっぱりきちんと調べ上げて、ある程度の責任は取っていただくことをお願いしたいと思います。そうしないと、やはり施設庁の方々も、私もいろいろお話しさしていただいたんですけれど、まじめに働いている方がやっぱり本当苦労されていますですよ。一部の幹部の本当にもう犯罪になっていますからね。そのために多くの方が、職員の方々が苦労されていますんで、その方々のやはり、何と申しますか、もっと活動しやすい環境をつくっていただきたいと思います。  そしてまた、これ防衛庁長官、額賀長官にお願いしたいんですけど、やはり一つの大きな問題点は何かというと、職員の方の数がやっぱり足りないんじゃないかという感じがします。  今防衛施設技術協会の方がやっている仕事、ある程度施設庁の方がやる仕事を何か請けている感じが強いんですよ。何でこんなことをするんですかとお聞きすると、これは余り言うとあれですけれど、やっぱり職員の数が足りなくて頼まざるを得ないところがあるということをおっしゃる方がおられましたですね、僕が直接お会いした方じゃなくて、議員会館で。やっぱりそういうことを見ていますと、是非とも職員の方々がきちんと働ける環境をつくっていただきたいと思います。  特に今回、これからの対応の方針の中間取りまとめの中に早期退職慣行をやめますよということをおっしゃっておりますけれど、この具体的な姿がまだ見えていません、この中間取りまとめでは。ただ単純に早期退職をやめさせますよというだけですと、本当に高齢者の方が、高齢者って失礼な言い方しました、やはり退職間際の方々がどんどんどんどん増えていくし、逆に、定員がございますんで新人の方が入ってこないと思うんですよね。そうすると、ますます苦しくなると思うんですよ、職員の方々が。ですから、やはりここはもう額賀長官がリーダーシップを取っていただき、本当に適正な防衛施設庁若しくは防衛庁の仕事の在り方を考えていただき、全体像としてきちんと調和が取れたものをつくっていただくことが本当の解決になるんではないかと思います。  ただ、それは前向きな話でございまして、今まで起きたことをやはりきちんと責任も問わなきゃいけないというふうに考えておりまして、これらの契約について会計検査院としてどう見ているかということを、今までの議論を踏まえた上でちょっとおっしゃっていただけませんでしょうか。
  64. 千坂正志

    説明員(千坂正志君) お答え申し上げます。  御指摘の事態につきましては、個々の契約の内容について具体的に調査した上でその適否を判断することとしたいと考えております。  会計検査院といたしましては、随意契約による場合には会計法令等に基づいた正当な理由が必要であると考えております。また、再委託については、定められた手続にのっとり適正に行われることはもちろん、随意契約とした理由との整合性も取れていなければならないと考えているところであります。さらに、再委託する場合には発注者の承認を得ることが契約条項に定められているならば、当然承認を受けることが必要であり、これが行われていないとしたら適正な会計経理であるとは言えないと思います。  いずれにいたしましても、今後の検査に当たっては、ただいまの委員の御指摘も踏まえまして、契約方式の決定等の契約事務が適切に行われているか、会計法令等に照らし競争性を高める余地がないか、当局に改善を促す点はないかなどに留意して、厳正に検査してまいりたいと考えております。
  65. 藤末健三

    ○藤末健三君 今会計検査院の方からも話がございましたが、是非とも、まだこの防衛施設庁の問題、そしてこの防衛施設技術協会の問題、会計検査院が入っていません、まだ。ですから、是非とも国会法百五条の検査を私はお願いしたいと思いますので、是非とも理事の方で議論していただきたいと思います。  会計検査院にもちょっと別にまた、これちょっとお答えいただかなくて結構なんですけれども、是非ともきちんとした検査を行ってください。こういうことを言うと怒られますけど、これを見逃した人も責任あると思うんですよ、僕は正直言って。私みたいな素人が三日、四日で調べられるんですよ、正直言って。それをやっぱり調べていただかないと困ります、はっきり言って。それは是非とも会計検査院も頑張ってください。お願いします。  続きまして、こういう前向きな話をしないと決算委員会盛り上がりませんので、前向きな話を差し上げていただきたいと思います。(発言する者あり)はい、盛り上がっていますか。  今、手元に三月二十四日に出されました「防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策の基本的方向について」という資料がございます。済みません、配っていません。申し訳ございません。  この資料を見ますと、抜本的、基本的って書いていますけれど、ちょっと抜本的じゃないところがあるかなというふうに考えております。一つは、入札、一般競争入札の対象を七・三億円から二億円まで基準を下げるということでございます。  ただ、皆様思い出していただきたいのは、昨年七月に道路公団が橋梁談合事件起こしました。何となく似てる感じするんですよ。そして、インパクトもそれに近いんじゃないかと私は思っています。  そのとき日本道路公団が何をしたかと申しますと、一気に二百五十万円、億じゃないですよ、二百五十万円超の全工事に一般入札を導入する、指名競争入札は廃止しますというようなことをおっしゃっていまして、ちょっとレベルが大分違うんじゃないかなということを感じておりますが、その点、いかがでございましょうか。防衛庁、お願いいたします。
  66. 木村太郎

    ○副長官(木村太郎君) お答え申し上げます。  今委員道路公団と比較されて御指摘されましたけれども、今お話あったとおり、先般の中で私ども七・三億円以上を二億円以上に広げるということを明記したわけでありますが、また一方で、これは防衛庁、施設庁に限る話ではなく、政府全体としての対応ということも今積極的になされているところでありまして、内閣の中に関係省庁の連絡会議を昨年設置されまして、その中で、二億円以上の工事は基本的に一般競争入札に移行する、そして、二億円未満の工事につきましてもできる限り導入に努めるという内容が含まれておりまして、私ども、今長官統括の下、私を委員長にその再発検討会の中で、単に二億円以上ということだけじゃなくて、二億円未満も最大限努力するという思いを先般の二十四日の段階で発表しているところであります。
  67. 藤末健三

    ○藤末健三君 やはり七・三億円を二億円に下げるというのは、これは普通の感覚に戻したという感じだと思うんですよ。たばこを吸っている人がたばこをやめて健康になったと勘違いするのと似ているところがあります。元々健康じゃなかったと。  ですから、二億円というのは、例えば国交省でいうともう二億円になっていますですし、あと関係省庁の連絡会議でも二億円を目指すというお話になっていて、二億円は僕はもうスタンダード、当たり前だと思うんですよ。もっと踏み込んでいただかなきゃいけない。  是非お願いしたいんですけど、イエスと言っていただけないでしょうか、ここで。お願いします。
  68. 木村太郎

    ○副長官(木村太郎君) 決して二億円以上ということだけを明記したわけではなくて、委員と意識は私は共通していると思いますので、できる限り二億円未満も対応していくということで、先般の段階ではその方向性を示したということであります。
  69. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非やっぱり政治のイニシアティブを取ってください、本当に。これだけ問題になっているわけでございますし、私はもういろいろ勉強さしていただいて、これだけノーズロにしたものだと。本当に私が思っているのは、防衛施設庁防衛庁は過去にも談合事件を起こしているんですよね。燃料談合事件、タイヤ談合事件、もう本当に知っているだけでも二つですよ。まだありますよ。そのたびにいろんな組織改革をしてきたわけなんですよ。  その総括、それがなぜ機能しなかったかという総括を是非してください、この中間取りまとめの中で。これ、お願いします。それをなくして、今の事件だけを見て対応しましたということであれば、抜本ではないですよ。基本的じゃないですよ。長官、お願いしますよ。是非、過去の燃料談合事件や、あとタイヤ談合事件などもありますので、もう本当にここまでやるのかってみんながもう涙流すぐらい厳しいことをやってください。これはお願いでございます。もう質問じゃございません。  そしてまた同時に、今回は防衛施設技術協会ということでいろいろ調べさしていただいたんですけど、調べていますと似たような協会がほかにも二つございます。一つは防衛施設周辺整備協会、これも役員の方が十八名おられるうち六名が施設庁のOB、職員の二百名のうち約半分が防衛施設庁のOBになられていると。もう一つございますのが、駐留軍労働福祉財団、役員八名のうち四名が施設庁のOBになられていると。  この二つの財団、この中間取りまとめにおきましては、額賀長官からもお話がございましたけれど、防衛施設技術協会は解散、統合しますと書いてございます。その文書の中に防衛庁所管の公益法人すべてについていろいろ調査をしましたと書いてございますが、非常にこの防衛施設技術協会と似ている防衛施設周辺整備協会と駐留軍労働福祉財団、これについてはどうか、問題ないかということについてお答えください。お願いします。
  70. 木村太郎

    ○副長官(木村太郎君) 今回の事件というか、この事案に直接関係した、先ほど来御指摘ある施設技術協会、これはもう長官おっしゃるとおり解散の方向で今対応すると。そして、私どもこの検討会でも、防衛庁に係る公益法人というのが二十二ありますので、今一つ一つその姿をきちっとチェックしながら、これからも存在していいのかどうかも含めてきちっと結論出していきたいと、こう考えております。
  71. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非きちんとした調査をお願いしたいと思います。  これで、また調査した後に、問題がありませんということをおっしゃった後に問題起きた場合には、もう本当に信用がなくなるどころか、いや、私は国の防衛政策さえもおかしくなると思います、正直申し上げて。是非きちんと徹底して調査をお願いしたいと思います。  また、今回、この三月二十四日に中間取りまとめ、抜本的対策の基本的方向についての中間取りまとめが出ましたが、これは検討委員会という委員会報告書でございますが、一方で調査委員会という委員会も動いているはずでございます。その調査委員会検討状況と、特に私、職員のアンケート調査をなされていまして、その結果について非常に興味がございますが、それにつきまして教えていただけないでしょうか。お願いします。簡潔にお願いします。
  72. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 現在、防衛庁長官統括の下に、私を委員長といたしまして調査委員会を開催しております。そして、本件が、どうしてこのような事態が起きたのか、徹底的に原因を究明するということで今動いて、鋭意やっているところでございます。  今、いずれにいたしましても、私どもといたしまして、自浄能力を示し、失墜した国民の皆さんの信頼を回復するためには、きちっとした調査をして、そしてそれを報告書にまとめて国民の皆さんにしっかりと御報告するということで、今本庁、局を挙げまして、総力を挙げて調査をしているところでございます。  それから、アンケート調査の点でございますが、私どもこの調査の一環といたしまして、多角的な観点から、三千百名職員がおりますけれども、職員の意識を調査して、そして事案の原因や背景、再発防止についての検討の資にするということで実施をいたしました。対象約三千百名でございますが、回収率が九九・二%でございまして、本庁、全国の局、職員が真摯になってこのアンケートに答えてくれたと思っております。現在、暫定的な評価、分析をしております。また、アンケートの中には自由に記述する欄も大きく設けておりますので、今その点についても鋭意分析をしているところでございます。  ただ、これまで、暫定的な評価、分析した段階ではございますが、その中でも、例えば今回の事案についてどのように見ているのかといった点について、大変我々、今後の再発防止を、徹底した再発防止を考える上で役に立つ意見等がございますので、全庁的にこの問題を取り上げ、施策として具現化していかなければならないと、そのように考えております。
  73. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非きちんとやっていただきたいと思います。  それで、額賀長官に最後にちょっとお聞きしたいんですけど、最終的な調査結果と再発防止策の取りまとめはどういう見通しかということを副長官にお聞きしたいと思いますが、ただ、いつごろどういうふうなことをやるか、まとまるかということを教えてください、今後のスケジュールを。お願いいたします。
  74. 木村太郎

    ○副長官(木村太郎君) あしたまた第九回目の検討会を、私、委員長の下で開催する予定になっておりますが、先ほどお話あったとおり、調査委員会と私どもの再発防止の検討会というのは一体的なものと考えておりますので、それを大事にしながらも、できる限り早期にまとめる努力をしていきたいと、こう考えております。
  75. 藤末健三

    ○藤末健三君 できるだけ早く徹底したものをつくっていただきたいと思います。  最後に、これはもう質問じゃございませんが、職員の方のアンケート調査結果を見ました。一番この改善のポイントは何かということを、職員の方のアンケート調査によりますと、職員の方の四六%が幹部の意識だということをおっしゃっているんですよ、幹部の意識。これはすごく含蓄あるなと思っていまして、いろんな制度をつくるんじゃなくて、やはり幹部の方々の意識を改革するということを是非これ盛り込んでください、お願いします、対策に。いろんな研修もあるでしょうし、考え方、外部の方々の考え方もあるだろうし。  やはり表面的な制度をつくっても、やっぱり過去に二回談合して、また三度目ですよ、これ。仏の顔も三度と言うぐらいですから。(発言する者あり)いや、本当に。ですから、抜本的なものをつくっていただきたい。その中に、一つにやはりそういう意識の問題とか心の問題を是非対策の中に入れていただきたいということを本当にお二人に、長官と副長官にお願いしまして、防衛施設庁の御質問は終わらさせていただきます。  次に、外務省の方のお話をさせていただきたいんですが、お配りしたページの裏、二枚目でございます、裏をごらんください。  これ、細かい数字一杯書いていますけど、例えば予定価格と契約額がございます。皆さんごらんになってください。ここまで一緒になるかというぐらいですよ、これ。見てください、本当にこれ。ここまで一緒になるかということでございます。本当にすばらしいぐらいにぴったりだと。  で、ちょっとこれは財務省か何かのデータを見ますと、ODAの一般プロジェクト無償に係る入札実績、二〇〇四年度、その六割、約六割、五八・九%でございますが、その五八・九%が、何と落札率、予定価格と落札価格の比率、九九%以上です、九九%以上。六割が九九%以上で落札しちゃうというですね、(発言する者あり)神業でございます。  ちなみに、先ほど議論させていただいた防衛施設庁の空調工事、問題になりましたよね。空調工事の平均落札率は九七・一%、九七・一。何と、先ほど問題にした防衛施設庁の平均落札率よりもODAの方が高いんですよ、高い。これは公表したやつをまとめたものですね。  これにつきまして、その競争入札の機能が不十分ではないかと考えるんですが、これは外務省は、副大臣ですか、ちょっとお願いします。
  76. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) ただいま委員が御指摘をされました資料、出典書いてあります、外務省ホームページより作成ということでありまして、お調べになられた正にこの落札率でございますが、一般プロジェクトの無償資金協力による事業実施に伴います入札におきましては、我が国企業というものは、海外での事業を行う上でのリスクなどに関連しまして、国内における入札との比較においては応札業者数が非常に限定的になると。その結果として落札率が高くなるという事情があるというふうに考えられます。  他方におきまして、入札における無償資金協力事業の効率化という観点からは、入札参加者の拡大を図りまして競争性を向上させるということが重要ということになるわけでありまして、そのために不断の努力を行っていく必要があると考えているわけであります。  こうした認識の下に、私ども外務省としましては、JICA協力をいたしながら入札期間の延長、以前は三十日だったのを四十五日に延長をいたしております。契約の細分化、そして入札関連情報の拡充といった措置を通じまして、競争性の向上に取り組んでいるわけであります。  こういった取組を通じまして、今後ともより効果的、効率的な無償資金協力実施を目指していきたいと、このように考えておるわけであります。
  77. 藤末健三

    ○藤末健三君 恐らく、過去のODA改革の資料を読むと、入札をどんどん進めて競争させますよと書いておられるんですよ。失礼ですけど、金田大臣がおっしゃっていることはそれのオウム返しです、もう本当に。本当にそうです。調べてください、それは。  ですから、今このODA、これから予算も増えるし、この日本の国際貢献はODAでやっていこうという中、こういう状況が続くと、先ほど谷委員からもお話がございましたが、九九%以上でほとんど落札しちゃうような一般公開入札をしているような国の制度は信用されないと思います、僕は、はっきり申し上げますけれども。ですよね。  例えば、私はタンザニアの小学校を西銘委員だとか尾立委員とかで見てきました。私は現地で話聞いたんですよ、この小学校は幾らだったですかと。で、現地でまた別の人に聞いた。現地だったら半額でできると言うんですよ。  例えば、この表にある、二十八番にありますナイジェリアの小学校。もしきちんとした入札をやれば僕は半額になったんではないかと。これは分かりません、なったんではないかという可能性はあると思います、これは。是非ちゃんと機能する入札制度をつくっていただきたいと思います。恐らくこれは外務省の役人の方に任せたらできないと思います。是非とも副大臣大臣のイニシアチブを取ってやっていただきたいと思います。  もう一つ、これちょっとお願いがありまして、私が実は今回のこのODA調査をする中で、ある、例えばインドネシアの沿岸無線整備事業というのがございます。これは質問じゃございません、お願いでございまして、インドネシアの沿岸無線整備事業というのは何ぞやということをちょっと調べておりました。  マラッカ海峡、タンカーが、もう日本の石油八割通ります、マラッカ海峡を。そのマラッカ海峡の安全はどうなっておるんだということで調べたんです。その中で、円借款でインドネシアの沿岸無線整備事業というのが出てきました。この中、説明を、パンフレットに書いてある説明を読みますと、海難事故防止及び海賊、海上テロ等の対策のためにODAで無線局を造るんですよということを書いてあるんですよ、これはパンフレットに、ODAの。  ところが、インドネシア政府との間に結ばれたこの英語の資料読みますと、目的では明確には海賊対策、テロ対策とは書かれていません、目的には明確には。附属する効果というのがちょっと書いてあるんです、下の方に。この広いページの中のこの一行です、テロ対策とか海賊対策と書いてあるのは。それがなぜか表題になっちゃっているという状況。僕はこれはもう責めません、はっきり言って。責めませんけれども、こういう状況になっている。これはもう本当に意訳したとしか思えませんですよね。ここはいいです。  ただ、もっと問題は何かというと、この資料が出てくるのに一週間ぐらい掛かっているんですよ、お願いしてから。なぜか。相手国政府の了解を得なければ出せませんというふうに言う。今相手国政府の了解を得ているから出せませんと言われて一週間ぐらい待たされました。これですと、ODA調査はできないですよね、相手国政府の問題を出されたら。  同時に、ここに会計検査院の調書、検査院報告がございます。そこにも同じことが書かれていまして、ODA案件についてはいろいろ調査をしているけれど、何が問題かというと、被援助国の了承を得られたものにつき、同年、平成十五年十月以降、順次公開していると。被援助国の了承を得たものじゃないと公開できませんということで、会計検査院さんもチェックできなくなっているんですよ、これ。  是非ともきちんと情報を出すことを指示していただきたいと思います。僕はこれ、お願いでございまして、少なくとも、この決算委員会委員にはスムーズに情報を提供してください。我々は国会議員です。そんな情報、外に流しませんよ、絶対、本当に。是非これはもう麻生大臣、お願いしますよ。こういう情報を一回一回一週間待っていたら、五十回往復したら一年たっちゃう。是非きちんとこういうODAに関する情報をスムーズに我々や会計検査院に流すということをちょっと約束していただけませんでしょうか。お願いします。
  78. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 幾つ関連する質問があったと思いますけれども、まず、今の藤末先生、これは二国間で結んだ話ですから、相手国の了承なしに一方的に出すということはできません。これがまず第一条件です。
  79. 藤末健三

    ○藤末健三君 そうですか。
  80. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) はい、できません。これが第一条件。  二つ目。今、九九%の話をされて、ナイジェリアの話されましたね。私、あなたのように訪問したんじゃなくて、西アフリカ、シエラレオネという国に二年住んでいました。持っていった機材、翌日、半分なかったです。それが当たり前なんです。したがって、コストはすごい掛かります。その分だけ自分でディフェンスするんです。そのためには武器を持たないかぬ。それが現場に働かされている民間人の置かれる立場なんですよ、私ら民間で行って働いていましたから。  そこで、そういった経験がありますから、みんな企業は行かないんですよ。応札する企業が少ないから九九%になるんだ。応札する企業が三社来りゃいいよ、一社しか来ないんだもん。そういったというのは幾つもあります、場所によって。しかも、額はどんどんどんどん小さくしましたから、一件当たり二億だ三億だと分割すりゃ、ますますもうけは少ないから行く人が減るんですよ。商売やったことないから、あなたお役人やったらしいから、おれは商売人から来たから分かるんだけど、商売する方からだったら、ロットが多くなりゃ、ああこれはもうかるなと思って行きますよ。だから、イラクのあれには結構応札は多かったと思いますよ、あれは十何億だったから。そうでしょう、あれ。  だから、僕はもう大分、二十五年もこの辺にうろちょろしていますんで、大分感覚は狂ってきているとは思いますけれども、商売人の感覚からいったら、もうけが少ないところに危険まで冒してやるという気は、とても社員を預かっている立場からいったらやらせられぬというのが普通に思う感覚なんだと思うんですね。だから、そこらのところも考えておあげにならぬと、この種の話は。  おっしゃっていることは絶対間違っていないですよ。あなたの言っていることは間違っていないけど、現場としてやらせられる民間側、応札させられる側からいったら、ちょっと二の足踏むところが大きいというのもちょっと御記憶をいただければと存じます。
  81. 藤末健三

    ○藤末健三君 はい、分かりました。大臣、本当にありがとうございます。  僕、一点だけお願いさせていただいていいですか。  この英語の情報ですけれど、これは公開されるわけじゃないんですよ、私のところに来ても。公開は当然了承取らなきゃいけないと思います。同じ政府政府じゃないですけれども我々は、例えば会計検査院だったら同じ政府だと思うんですよ。当然、国家公務員法上の守秘義務が掛かっています。ですが、その範囲でさえも渡せませんよというのはおかしいと思うんですけど、そこを是非、大臣の指示で変えていただけませんでしょうか。    〔委員長退席、理事国井正幸君着席〕  この英語の情報を公開するということじゃないんですよ、お願いしているのは。政府の内部だけでもちゃんと見せるようにしていただけないですか。お願いします。
  82. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) 先ほど来、先生インドネシアの円借款関係での情報提供ということで御指摘をいただいておると思います。大臣からも御答弁を申し上げたわけでございます。  正に、私どももできる限り、援助案件についての透明性の向上、国民参加の拡大と、いろんな形で、ODA改革をやる中で情報の公開ということは大事だと思っております。それで、ただ先ほど来大臣も申し上げましたとおり、当然しかし相手側のある話なので、ですから……
  83. 藤末健三

    ○藤末健三君 そんなことじゃないんですよ、僕が言っているのは。
  84. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) しかし、いずれにしても、相手国政府の了解を取らなければ次のステップへは行けないものですから、それは我々できるだけ公開する方向で働き掛けをし、この前、一週間とおっしゃいましたけれども、我々も努力をした上で、インドネシア側の了解を取って先生にお示ししたと、そういうことで引き続き努力はしていきたいと思っております。
  85. 藤末健三

    ○藤末健三君 公開をお願いしているわけじゃないんですよね。政府の内部若しくは国会の人間に対して、公開しませんよ、見せてほしいと申し上げているんですよ。公開じゃありませんからね。公開は、当然いろんな機密があるでしょう、それは望みません。しかし、これをきちんとだれかがチェックしなきゃ、チェックされていないじゃないかという批判を浴びているわけでございますよ。  会計検査院さん、いかがですか。これについてお考えをお聞かせください。
  86. 諸澤治郎

    説明員(諸澤治郎君) お答え申し上げます。  ODAは、援助相手国が主体となって実施する事業に必要な資金を供与するなど、相手国の自助努力を支援するものでございますので、個々の事業における入札でございますとか契約等につきましては、基本的には相手国実施機関責任において行われているものであるものでございますが、ODA、特に無償資金協力我が国の多額な予算を投じて実施されているということでございますので、私ども、先ほど先生御紹介いただきましたように、十四年度決算検査報告におきましては、無償資金協力のうち一部のものでございますけれども、施設の建設とか資機材の調達等の手続、及び契約全体の状況につきましては検査報告に掲記させていただいているところでございます。  無償資金協力につきましては、我が国の財政資金で全額賄われておりまして、将来の返還を求めないということでございますので、私どもといたしましては、その契約等の透明性競争性の向上につきましては、そういう我が国の財政資金で全額賄われているという、そういうことを踏まえまして、検査に一層の努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  87. 藤末健三

    ○藤末健三君 会計検査院にお願いしたいんですけど、まず、じゃ二つ御質問します。  この九九%という状況は異常と思われるかどうかというのが一つと、それともう一つは、ODA検査はもっと踏み込んでやるべきだと思っているかどうか、その二つについて簡単にお答えください。
  88. 諸澤治郎

    説明員(諸澤治郎君) 落札比率の個別のことにつきましては、やはり個別の検査を行った上で評価をするべきものと考えております。    〔理事国井正幸君退席、委員長着席〕  それから、ODA検査につきましては、先ほど申し上げましたように、私ども、この資金が我が国の財政資金を投じているということを踏まえまして、今後検査には一層の努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  89. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、会計検査院頑張っていただきたいと思います。  それで、最後にちょっとこれはお願いですけれど、私、このODAの問題は、ODA特別委員会にも入ってございますので、具体的にビジネス経験はございませんけれど、具体的な中身をきちんと、例えば英語で書いてあることが日本語と違うじゃないかとか、そういう小さいところも含めましてきちんと見ていきたいと思いますので、是非これは本当に、もう麻生大臣にお願いするしかございませんが、私はお願いしたやつ絶対表に出しませんので、公表しませんので、少なくともすぐ情報が来るようにやらさせていただけませんか。指示してください。是非お願いしたいと思います。(「厳しく」と呼ぶ者あり)厳しくですか。是非ちょっとお願いします。これもう回答結構です。お願いです。是非させてください。きちんと見ていきますので、私も。これだけ、これ多分ちゃんとせにゃあかぬですよ、はっきり申し上げて、絶対。大臣の本当にイニシアチブで、外務省変わったよね、ODA変わったよねというふうに、私も微力ながら役立ちますので、是非やってください。  あともう一つ防衛施設庁につきましては、額賀長官、そして副長官、お二人に抜本的、基本的というのをお願いします。もう二回過去に起きていて、また起きましたということで、やはり先ほど申し上げましたように、職員の方々が考え方、意識を変えなきゃいけないということをおっしゃっているわけでございますので、本当に踏み込んだ、だれもが見ても抜本的であるし基本的だという、ここまでやるかと、かわいそうだというぐらいのことをやっていただいて、防衛庁防衛施設庁の名誉回復を果たしていただきたいと思います。  時間も来ましたので、これで私の質疑は終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  90. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  私は、在日米軍再編に関してお尋ねしたいと思います。  岩国の住民投票の結果にも示されましたが、米軍再編をめぐって、米軍来るな、基地の機能強化反対という自治体ぐるみの世論と反対の声にもかかわらず、今、最終合意に向けた調整だといって審議官級協議が行われているわけでございます。そこで、今日は、嘉手納、三沢、岩国から全国五つの自衛隊基地、そして三沢基地への訓練の分散移転の問題について、額賀長官にお尋ねをしたいと思います。  例えば小松基地におきましては、施設庁と小松市の間で、一九八二年、昭和五十七年に日米共同訓練に関する協定書が結ばれております。ここでは、共同訓練の期間は年四回、年間合計約四週間とする、これを契機に恒久的に米軍基地にはしないということが明確に記されています。同様の協定が各地で結ばれているわけですけれども、ところが、防衛施設庁が先月二十一日にこの回数制限の撤廃を求める、さらには、米軍が必要とすれば米軍施設を建設する可能性があると各地元自治体に要請をしております。  一部の訓練移転は今年秋から開始されるとも報じられているわけですが、長官に、何のためにどのような要請をされたのか、明確に御説明をいただきたいと思います。
  91. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今の御指摘のとおり、米軍再編に伴う米軍の基地と日本の自衛隊の基地をどういうふうに再編をしていくかを協議中であります。  基本的なキーワードは、我が国の抑止力を維持するということと、日本全体の基地の負担を軽減をしていくことであります。したがって、全体的には、全国的には日本の基地が縮小されてくる形でこれは収まっていくものと思っております。  今委員指摘の問題については、小松基地の問題でありますが、これは嘉手納、三沢、岩国の言ってみれば米軍の戦闘機の訓練等々による負担、被害をできるだけ少なくしていくために、日本の小松基地とか私の地元の百里基地とかに移転、分散訓練をすることによって地域のそういう負担を少なくすることができないか、全体で賄っていくことができないかということで、各基地の周辺の自治体の皆さん方に状況説明をしているところであります。  特に、日米のそういう共同訓練を分散することによって、これまでの三沢とか岩国の負担を、嘉手納の負担を少なくしていくことと、日米が共同訓練をすることによって能力を高めていく、そして抑止力を高めていく、そういうことを考えながら、百里だとか小松だとか新田原とか築城とかの基地の周辺の皆さん方にお願いをしているところであると。  その中で、特にそれぞれの基地と周辺の、日米合同委員会の取決めによる年何回かの訓練ということについては、共同訓練が弾力的に柔軟に行えるように、そこは年何回という固定的な回数は解消させていただいて、ただ何回、そして何回というよりも、全体の日数、何日から何日までという全体の日数は変えない、しかし年四回という訓練の回数はちょっと弾力的にやらしていただけないかという話をしているところでありますが、今正に日米の間で協議をしているところでございますので、きちっとこれが固まったわけではありません。
  92. 仁比聡平

    仁比聡平君 いずれも重大な内容だと思うんです。規模を、どういう訓練を移転するのかという規模の問題についても御説明なさっていると思いますが、そのことは後で聞きますとして、必要に応じて施設の整備について実施する旨を説明しておられますね。これはどんなものを想定をしておられるのですか。
  93. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、具体的な施設整備については、これから基地の皆さん、周辺の皆さん方と相談をし、納得をしていただく中で決めていくことでございますけれども、前提として日米の再編協議がまとまらなければいけないわけですが、そのまとまったという前提の上に立って、まあ共同訓練でございますから、その施設を、駐機場を増やしたりとか、あるいはまた訓練をするパイロットの宿泊施設を、例えば三日なら三日訓練をする、一週間なら一週間訓練をする、その間にその駐機場とか宿泊施設とかその他の設備を造る場合がありますと、そういうことでございます。
  94. 仁比聡平

    仁比聡平君 格納庫もあり得ますか。
  95. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 整備したり、格納庫を造られる場合もあります。
  96. 仁比聡平

    仁比聡平君 正に施設の拡張なわけですね。小松市長は珍しく語気を強められたというふうに報じられております。これ以上の負担は受け入れられるものではないと、直ちに文書で回答といいますかね、私、抗議と言ってもいいのではないかと思うんですけれども、石川県知事もその市の意向を尊重して県として対応すると表明をしておられます。  小松でいいますと、爆音はもちろんですけれども、昭和四十四年には所属機が金沢市に墜落をして二十二人の死傷者が出るという本当に痛ましい墜落事故が起こりました。二〇〇二年に、基地騒音訴訟の第三次、四次訴訟で金沢地裁は、被害は受忍限度を超えているという認定の上でこんなふうに事実認定をしているんですね。第一次、二次訴訟の一部勝訴の確定にもかかわらず、一向に抜本的な改善の見られないまま騒音暴露とこれによる被害が継続している状況の中で、原告からの精神的苦痛と被害感情はいよいよ厳しさを増していると。  私、この小松基地に関しての協定を拝見をさせていただきましたけれども、この幾つもの協定というのは、この地元の厳しい要求と実態の中で、あくまで基地をという政府とのせめぎ合いの中で結ばれてきたものにほかならない。だからこそ厳格に守らなければならないと思うわけです。長官は、この協定を結んできた趣旨、重みというものをどういうふうに考えておられるんですか。
  97. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それは、我々の米軍施設及び自衛隊の基地においても、地域住民、更には国民の理解を得ることがなくてこれは存続ができない、安全保障体制、防衛体制を築くことはできないということは原点でありますから、当時協定を結んだときは、地元の気持ちもよくよく分かりながら日本全体の防衛、日米同盟関係等々のことを考えて御理解を得たものと思っております。  今回また、全国的な米軍再編に伴う基地の負担の軽減を考えていく上で、各航空基地のあるところの自治体の皆さん方に事情をよく説明をし、御理解を得る努力をしているというのが現実でございます。
  98. 仁比聡平

    仁比聡平君 今のお言葉の中に、現実に基地の存在によって耐え難い痛みを受けているというこの地元、基地周辺住民と自治体のその苦悩、戦後ずっと続いているその苦悩、ここについての思いが感じられないような気がしますが、もう一度いかがですか。
  99. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私も、百里基地という基地を抱えているところが私の生家の隣であり、私の選挙区でございますから、よく承知をしているわけであります。これは、基地のある地域の方々は、多くの人々がみんなそういうことを負担をしているということについて思いを致していると思っております。私も全国の基地のある知事さんとか市町村長さんとお会いをいたしましたけれども、多くの、大半の知事さんや市町村長さんは、日本の安全保障のことも考えていかなければならない、日米同盟は不可欠である、しかし一方で、基地のある周辺住民、県民の負担がいかに強いものであるかということは承知していただきたいということをどこの地域に行っても言われておりますから、私もその点については重々承知をしているわけでございます。  しかし、私としては、防衛庁長官としては日本全体の安全保障を考えていかなければならないという立場でもあります。と同時に、地域の皆さん方の御負担の思いとどういうふうなところで接点をつくるかが私の仕事であるというふうに思っております。
  100. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本全体のことを考えるなら、基地周辺住民の受忍限度を超える被害、これに更に被害を押し付ける、加えていくということが許されるなんということはあり得ないわけですよ。長官が本当に基地周辺住民の実態に思いを持っておられるとおっしゃるんだったら、自治体との間での信義を踏みにじるようなこの協定の改定、これ許されないんじゃないですか。  過去の共同訓練の実績について、お手元資料を配らせていただきました。〇〇年の新田原、それから二〇〇四年の百里、ここは合計十二機なんですが、これ聞きますと、小分けをされた部隊が交代で訓練をしたものの合計だと。つまり現状は、過去七年間さかのぼって、米軍二機ないし六機、こういう訓練しか実績がないわけです。  今回、協定の改定、回数制限の撤廃という要請に伴って二つのタイプに移転の訓練の規模を分ける、こういうふうに説明をしておられると聞いていますけれども、どういうことですか。
  101. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今委員指摘のとおり、私どもが各基地の自治体の皆さん方に御説明をしているときに移転訓練の一定のイメージとして申し上げておりますことは、タイプ1として、日米の航空機がそれぞれ一機から五機程度で一日から七日間程度訓練する場合、それはまあタイプ1。タイプ2として、日米の航空機がそれぞれ六機から十二機程度で八日から十四日間程度訓練する場合、これをタイプ2という形にしているわけでございます。  当初、タイプ1的な訓練をし、そしてその後タイプ2の訓練をしていく、双方の訓練をしていくという形のイメージを御説明しているものと思っております。
  102. 仁比聡平

    仁比聡平君 この資料でごらんいただけますように、今長官説明をされたタイプ2というやつはこれまでないんですよ。すると、そのタイプ2というタイプの規模の訓練、これが全国にばらまかれるということになるんじゃないんですか。一回に飛来する機数がこれ多くなれば、それだけで被害が大きくなるというのは、これは明らかなことです。  ならば飛来回数はどうなのかと。この資料を見るとおり、過去の運用実績というのは、二〇〇一年に小松基地で二回、あとはすべて年一回です。年四回という制限回数一杯はこれまでやってないんですね、現実に。そこを、あえて米国と協議中の内容だ、あるいは沖縄始めとした三沢、岩国も含めた負担の軽減だと、こう言って、訓練を多く移転をするために回数制限の撤廃を要請しているわけです。それはつまり、小松で四週間、築城や新田原では五十六日間、千歳では六十日ですけれども、この上限日数、この日数の上限は守ると幾らおっしゃっても、回数制限を外して日数上限目一杯訓練を移転するということにつながるわけで、すると、これまでの実績比、これで見て格段に頻繁に共同訓練が行われることになるんじゃないんですか。これが過去の合意の枠内だ、日米共同訓練の枠内だという説明は、私はごまかしにほかならないと思いますが、いかがですか。
  103. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 年四回行うということについては弾力的に考えていただけないか、その代わり、その基地における訓練の日数については守ってまいります。これはどういう理由でこういうことになるのかというと、先ほども申し上げましたけれども、嘉手納とか三沢とか岩国とか、そういう訓練の回数を全国で負担することによって平均的に負担を解消していく、そういうことによって沖縄の負担を少なくしていこうではないかという、ある意味では分かち合い、その上に立って、その日米の共同訓練を強化していくことによって日本の防衛能力を高める、あるいは日米同盟関係の抑止力を高めていく、それによって日本の安全保障体系をきちっとしていく、そういうねらいがあるわけでございます。  したがって、私どもは、地域の皆さん方に誠意を持ってよくこれを説明をし、御理解を得る努力を、今最善の努力をしているということでございます。
  104. 仁比聡平

    仁比聡平君 負担軽減とおっしゃいますけれども、嘉手納は、戦時の作戦行動あるいはその訓練や移動で、夜間も構わず二十四時間どんどん飛んでいるわけですよ。だから、毎日が戦場だと言われて、嘉手納の爆音訴訟の原告住民は、静かな夜を返せと、こう訴えておられるわけでしょう。もしこの負担を軽減するというんだったら、莫大な規模の訓練を本土に移転しなきゃいけないということになる。本土の自衛隊基地から見れば、際限のない基地強化に道が開かれて訓練が常態化をする、恒久的な米軍基地化につながる、そうなるのではないかという厳しい怒りの声が起こっているのは私は当然だと思います。  今年一月には、嘉手納のF15が漁場と接する海上に墜落をして、幸い前日に漁が終わって船が出ていなかったからよかったものの、漁師の皆さんはその恐怖がトラウマになっているというふうに訴えておられます。三月三十日には、F15が照明弾を誤射をして、一歩間違えば住民を巻き添えにした重大事故が起こったわけですね。  ですが、嘉手納町議会の決議の要求は、これ、長官、ごらんになりましたか、F15戦闘機部隊の撤去ですよ。撤去であって移転では決してない。沖縄県民の皆さんは耐え難い被害をばらまき、たらい回すことを断じて望んでいないと私は思います。沖縄を口実に使うことはもうやめるべきではないでしょうか。  時間がもうございませんので、指摘だけしておきたいと思うんですが、今度の二十一日に行われた説明では、分散移転だけではなくて、築城と新田原の地元に対して米軍機の緊急時使用、そしてそれに備えた訓練として米軍の単独使用があり得る、こう説明をしておられます。  緊急時の定義の中には、主に日本有事、そして周辺事態を想定するとおっしゃっていて、主にというのはつまり例外があるということですね。一体、私たちのこの国、国土をどうしようとしているのか、アメリカ側がどういう真意でいるのかということは、例えば昨年十二月十三日に、額賀長官御自身がアメリカのローレス国防副次官ですか、から聞いていらっしゃると思います。  ローレスはこう言っている。日本側は沖縄の負担軽減だと言うが、アメリカ側は訓練減少自体が目的とは考えていない、自衛隊との共同訓練や相互運用性の向上がまず目的だ、日米同盟の能力強化が重要なねらいであるというわけでしょう。どうしてこういう観点で行われるものが、長官が冒頭おっしゃったような、全体としての訓練あるいは被害、これが縮小されていくなどと言えるのか。私は、こういう米軍再編は撤回をするほかない、まして、関係自治体の合意が得られない状況の中で、明日にも審議官級協議で合意をして最終合意をするということは絶対に許されないということを厳しく申し上げて、質問を終わります。
  105. 大田昌秀

    大田昌秀君 社民党・護憲連合の大田でございます。よろしくお願いいたします。  まず最初に、防衛庁にお伺いいたします。  二〇〇四年十二月十日の閣議で、新防衛計画大綱と併せて二〇〇五年度から二〇〇九年度までの中期防衛力整備計画が決定されました。この中期防の中には、航空自衛隊の新規事業として、F2戦闘機二十六機と新戦闘機七機の整備が盛り込まれました。これによってF2支援戦闘機の新たな調達は中止となったわけですが、F2の調達を打ち切った理由について簡単に御説明ください。
  106. 小島康壽

    政府参考人(小島康壽君) 御指摘のF2につきましては、F1戦闘機及びT2練習機の後継として日米共同で開発されまして、平成八年度から量産化が行われているところ、当初は取得数百三十機とされたものでございます。  しかしながら、現在の戦闘機部隊を取り巻く状況といたしまして、厳しい財政状況の中、対地支援、対艦攻撃の任務を中心とするF2の当初の取得計画と実際の取得数の差が拡大しておること、それから一方で現有の戦闘機F4が平成二十年代の半ばごろに所要機数を割り込む見通しであり、中期防期間中にF4後継機の整備に着手する必要があるといった状況が存在しているわけでございます。  このような状況を総合的に勘案いたしまして、F2の取得数を抑制して効率的な戦闘機の準備を行っていくために、F2の取得機数を百三十機から九十八機に抑制したものでございます。
  107. 大田昌秀

    大田昌秀君 東京新聞のある記者は、F2は一九九九年、空対艦ミサイル四基をつり下げた強度試験中に主翼に亀裂が入るなど、開発中にいろいろ不具合が見付かった。その後、航空自衛隊航空総隊からはF2の機体の受取に難色を示す意見が出されたり、マスコミでは何度も欠陥機と報道されながら、官邸や与党も見て見ぬふりして開発、配備が強行されたと指摘していますが、防衛庁はこのような指摘をどのように受け止めておられるんでしょうか。
  108. 小島康壽

    政府参考人(小島康壽君) 先ほど申しましたように、対地支援、対艦攻撃を主戦務といたします戦闘機として開発されたF2につきましては、その要求性能として、速度・旋回性能ですとか行動半径、搭載武器等の当庁が設定した要求性能を満足するということは各種試験で確認しておりますし、現に、既に配備されておりますが、部隊での実運用においてもその能力を発揮しておりまして、先生指摘の点がいかなるものであるかつまびらかではありませんけれども、そのような御指摘は当たらないと考えております。
  109. 大田昌秀

    大田昌秀君 F2支援戦闘機の一機当たりの開発見積価格と調達価格について、つまり見積り段階と調達後の価格差を教えてください。また、F2の開発費を含む最終的な調達に係る経費総額はどれくらいになりますか。
  110. 小島康壽

    政府参考人(小島康壽君) 現在のF2のまず調達価格でございますけれども、十八年度予算におけますF2の予算単価は、初度部品を抜いた本体価格の単価で約百二十億円でございます。また、量産開始時、平成八年でございますけれども、の見積りとしましては、その後十二年間で百三十機調達した場合の全平均量産単価は、先ほどと同様に初度部品抜きの本体価格で約八十億円、それに従って生産した場合の平成十八年度の見積単価は約六十五億円と見積もったところでございます。  その差異につきましては、平成八年度の量産開始時と十八年度予算との間では、主として、年の生産機数の減少、それから為替レートの変更によって単価が上昇したものでございます。  それから、御指摘の開発費及び取得経費でございますけれども、開発費の総額については約三千二百七十四億円、それから、これまで機体及び初度部品の取得に掛かった金額の総計は一兆四百億円でございます。
  111. 大田昌秀

    大田昌秀君 新戦闘機についてはF4戦闘機の後継機という位置付けとなっているようですが、後継機の選定に関連して、去る二月二十日付けの朝日新聞は、米空軍の最新鋭戦闘機F22ラプターを日本に輸出する案が米空軍内部で検討されていると報じています。その記事によると、F22はレーダーに捕捉されにくいステルス性と超高速巡航能力を兼ね備えた高性能戦闘機で、一機当たりの調達価格は約一億三千万ドル、日本円にして百五十二億円ということであります。  防衛庁として次期戦闘機の選定リストの中にF22も入っていますか。もし入っているとすると、F22戦闘機は、米国でさえまだ調達中途の最新鋭機で、しかもこれほど高価なものをなぜ我が国が保有する必要があるのか、また新戦闘機選定の考え方について簡潔に御説明ください。
  112. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今の委員指摘のF4後継機のことでございますけれども、F4戦闘機は平成十四年に耐用命数が決定されておりますので、現在のところ、平成二十年代の半ばごろから所要機数を割り込む見通しとなっているわけであります。これを踏まえまして、中期防期間中に、F4後継機として新しい戦闘機七機を整備するという考え方を持っております。  新戦闘機の調達に当たっては、平成二十年度以降に着手することになっておりますけれども、今はそれぞれ要求性能とか諸外国の最新型の戦闘機についての情報収集とかいろいろと検討を行いつつあるというところでありまして、具体的に決まっているわけではありません。
  113. 大田昌秀

    大田昌秀君 そうしますと、F22は入っていないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  114. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) F22も含めて、様々の外国の戦闘機について、どういう特徴があるのか、どういう性能があるのか、そういうことについて情報収集を行っているところであると。
  115. 大田昌秀

    大田昌秀君 防衛施設庁にお願いいたします。  SACO最終報告において返還に合意した基地・施設のうち、普天間飛行場以外の案件の進捗状況について、返還済み及び処理が進行中並びに調整中という区分で大まかに御説明ください。
  116. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) ただいま御指摘の件でございますが、普天間を除きますと十の施設・区域が返還の対象になっております。  状況でございますが、安波訓練場につきましては既に平成十年十二月に返還済みでございます。それから、キャンプ桑江、これにつきましては一部でございますが、北側部分約三十八ヘクタールにつきましては平成十五年の三月に返還済みであります。  それから、北部訓練場などの残りの八事案でございますけれども、これにつきましては既に関係自治体の、地方公共団体の了解が得られまして、事案処理が現在進行中でございます。そのうち、楚辺の通信所、それからキャンプ桑江、瀬名波の通信施設、それから住宅統合の四事案につきましては移設工事に既に着手をしております。そして、特に瀬名波の通信施設につきましては、つい先日ではございますが、三月三十一日に移設工事が終了をしているといった状況に現在あるところでございます。
  117. 大田昌秀

    大田昌秀君 関連して防衛施設庁にお願いいたします。  SACO関係経費の二〇〇四年度の決算額及び一九九六年度補正から二〇〇四年度までの支出総額を教えてください。
  118. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御指摘のSACO関係経費のうちの、平成十六年度までには千九百四十七億円を支出をいたしました。そして、年度別でございますが、平成八年度は約二億円、九年度は約九十三億円、平成十年度は約百六十二億円、平成十一年度は約二百二十五億円、平成十二年度は約二百十五億円、平成十三年度は約二百八十二億円、平成十四年度は約二百六十二億円、平成十五年度は約三百九十億円、平成十六年度は約三百十七億円となっております。
  119. 大田昌秀

    大田昌秀君 二〇〇四年度の普天間飛行場移設に係る事業及びその経費について御説明ください。
  120. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 普天間飛行場代替施設の関係でございますが、平成十六年度の支出額は、金額的に申しますと約四億四千百万円となっております。それから、その内容でございますけれども、現地の技術調査といたしまして約七千三百万円、それから環境影響評価といたしまして約四千百万円、それから基本検討といたしまして約三億二千七百万円と、そのようになっているところであります。
  121. 大田昌秀

    大田昌秀君 いま一つお願いいたします。  二〇〇四年度のSACO関係経費の中で土地返還のための事業に百三十六億円が支出されていますが、この事業の中身について御説明ください。
  122. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 約百三十六億円の内訳でございますが、これは米軍施設・区域の返還を受けるための移設工事及び補償等に必要な経費として、平成十六年度約百三十六億円を普天間関係等で支出をいたしているところであります。
  123. 大田昌秀

    大田昌秀君 いま一つお願いします。  返還軍用地の跡地利用における地権者への補償について、沖縄における駐留軍用地特措法、いわゆる軍転法によって、地主に対して返還から三年間は地料相当分の給付金が支給されることになっています。  また、二〇〇二年四月施行の沖縄振興特措法によって大規模跡地あるいは特定跡地に指定されると、地主に対して軍転法による給付金支給の三年を超えて、それ以降も地料相当分の給付金を一定期間支給する措置が用意されています。ただ、沖振法では、その給付金の支給の限度期間については政令で定めるとなっていますが、政令ではどのように定めているんでしょうか。
  124. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) ただいまの点でございますが、先生指摘のように、政令で支給の限度となる期間を定めることになっております。そして、それを定めるに当たりましては、先生指摘の大規模跡地給付金につきましては、市街地の計画的な開発整備等の見通しを勘案して跡地ごとに定めることになっております。  それからまた、もう一つの特定跡地給付金につきましては、原状回復に要する期間を勘案して、これも跡地ごとに定めることになっているところであります。  それで、最初に申しました大規模跡地給付金につきましては、まだ現時点におきましてこうした大規模跡地に指定された事案はございません、今現在はですね。  ただ、特定跡地給付金でございますが、こちらの方につきましては、平成十五年三月の末に返還されまして、同じ年の十月に特定跡地に指定されましたキャンプ桑江の北側地区などに係る支給がございますが、これは原状回復に要する期間などを勘案いたしまして、トータルといたしまして一年六か月としたところでございます。
  125. 大田昌秀

    大田昌秀君 もう一つだけお願いします。  軍用地が返還されても跡地が利活用されるまでには長い年数を要します。沖縄県軍用地等地主会連合会の調査によりますと、返還から事業認可までに平均して六年七か月、事業完了までに平均十四年という年数が掛かっています。軍用地主にとっては跡地利用までの期間が長ければ長いほど損失が大きくなるわけですが、沖振法による返還給付金の延長期間は、今は桑江の場合ですと二年足らずということでございますけれども、相当長い時間が掛かるという現状を踏まえて、もう少し明確にどれくらいは保障できるという形の方法は取れないものかどうか、お考えをお聞かせください。
  126. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) ただいま先生指摘の点につきまして、軍用地主の方々の御意向もよく承知しているところでございます。私どもといたしましては、そうしたお気持ちも十分体しながら、そして現行の法律の適切な執行に努めてまいりたいと、そのように考えております。
  127. 大田昌秀

    大田昌秀君 内閣府にお願いいたします。  一九九九年十二月二十八日の普天間飛行場の移設及び沖縄の地域振興に係る閣議決定を踏まえて、SACO最終報告等で返還合意された軍用地の跡地利用促進のため、二〇〇一年度から大規模駐留軍用地跡地等利用推進費が措置されています。この推進費は、この間、どんな事案にどれくらいの予算が執行されてきたのか、簡潔に御説明ください。  また、米海軍恩納通信所跡地の場合、一九九五年に返還されて十一年経過した現在も大半の跡地が未利用のままで、跡地対策にこの推進費が措置されていますけれども、その額を教えてください、そしてその推進費は何に使われたか、御説明ください。
  128. 東良信

    政府参考人(東良信君) お答えいたします。  御質問の跡地利用推進費の件でございますが、これは、例えば南部都市圏将来展望調査とか、それからあと埋蔵文化財既存資料検討調査だとか、それから地権者意向全体計画調査等々に使われております。  それで、十三年度は一億二千九百三十万六千円、それから十四年度は一億七千百八十万二千円、平成十五年は二億一千七百四十五万円、それから平成十六年度は二億一千五百四十三万九千円という形で使わせていただいているということでございます。  それから、恩納通信所の関係でございますけれども、これも昨年度調査をさせていただいておりまして、事業費総額で一千三十五万九千円、国庫補助は九百三十二万三千円という形になっておるところでございます。
  129. 大田昌秀

    大田昌秀君 これはもう内閣府に何度も御質問している点で恐縮ですが、どうしても解決を図りたいと考えておりますが、恩納通信所跡地の利活用ができずに、地主たちは、軍転法によって返還後三か年の返還給付金が打ち切られた以降というものは何らの補償も受けられない状況にあります。  沖振法第九十六条には、「国は、前条の駐留軍用地跡地の利用に関する基本原則にのっとり、駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用を促進するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。」とあります。大規模駐留軍用地跡地等利用推進費を措置するだけではなくて、沖振法による跡地利用措置を講ずるなどして抜本的な対策を講ずる必要があると思いますが、御決意をお聞かせください。
  130. 東良信

    政府参考人(東良信君) これはもう先生十分に御案内のことだと思いますけれども、跡地利用というのは沖縄の振興のためには非常に大切なことだというふうに理解しておりまして、今現在、民間主導の経済自立型の事業をやろうということで努力しているところでございます。したがいまして、跡地利用につきましても、大きな観点でいろいろな事業検討をさせていただき、実現を図ってまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。
  131. 大田昌秀

    大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  132. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 午後三時まで休憩いたします。    午後二時二分休憩      ─────・─────    午後三時開会
  133. 中島眞人

    委員長中島眞人君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十六年度決算外二件を議題とし、外務省及び防衛庁決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  134. 荒井正吾

    荒井正吾君 自由民主党荒井正吾でございます。  防衛庁の予算について質問をさしていただきますが、その前に、普天間の地元調整についてちょっと伺いたいことがございます。同僚の西銘議員も後刻御質問あるかもしれませんが、先日の予算委員会で地元調整の重要性ということを質問させていただきまして、防衛庁長官は最大限努力するとおっしゃっていただきまして、報道によりますと大変な御苦労をされているというふうに思います。  うまくまとまればいいかと思いますが、その中で、三月末までの日米2プラス2の最終期限というか、やろうというのが延長されたという報道の中で、毎日新聞記事でございますが、三月二十九日の二面で、「再編協議延期 にじむ米の不信感 普天間地元調整、見極めか」という見出しの中で、その本文の中で、「この最終報告期限を破る米側の延期通告に防衛庁幹部は「一方的で礼儀を欠いている」と不快感をあらわにした。」という報道があるんですが、その2プラス2の中間報告を読みますと、大臣は地元調整を完了することを約束したという中間報告の合意があるわけでございます。明らかに地元調整が完了していない段階で、米がどういう理由か別にして、延期があったときに、一方的で礼儀を欠いていると不快感をあらわにしたというこの防衛庁幹部のセンスは、大変僕は理解に苦しんだわけでございます。  このような事実、このような防衛庁幹部がいるのか、あるいはそれを長官が認識されているのか。僕は、こういう幹部がいれば即刻仕事を替えろと言うぐらいの、この記事を読んで不思議に思ったわけでございますが、その点について大臣の御認識を伺っておきたいと思います。
  135. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今の荒井委員指摘のとおり、米軍再編に伴う日米協議というのは今精力的に行われておりまして、昨年秋の中間報告の時点におきましては、三月末を目途に最終的な合意をつくり上げるということが双方の共通の認識でありまして、我々もそのために努力をしてきた、最善の努力をしてきているというのが実態であります。  特に、この一月十七日に私はワシントンでラムズフェルド長官と会談をし、お互いにこれは詰めるべきは詰め、譲り合うべきは譲り合ってこの調整をしていかなければならない、最終的には政治決断をしなければならないという認識で、その会談以降は審議官級クラスの協議も毎週一回、あるいは十日に一遍ぐらいのペースで開かれてきたという感じを持っておりますし、アメリカ側も加速して協議に臨んできたというふうに思っております。  先月三十、三十一日に協議が行われる予定でありましたけれども、私の受け取り方は、米国側が、幹部が米国議会に呼ばれているので三十、三十一日は協議ができないということで四月の上旬に延ばしてほしいということでございましたので、我々はこの四、五、六、今会談が行われているというふうに思っておりまして、様々な問題点がありますけれども、この四、五、六の協議において相当問題点が集約されてくるものと思っております。  防衛庁幹部が、新聞によると一方的で礼儀を欠いているとの不快感をあらわにしたという報道については私も承知しておりますけれども、そういう受け取り方をしているものが常識的な受け取り方とは思っておりません。私としては、全力を挙げて誠意を持って日米間の協議をし、一方で私どもは、国内問題としてきっちりと各基地に付随する様々な問題について地元の理解を得る努力をしていかなければならない。これは両方が相まって最終決着になるものと思っておりますので、これは我々は誠意を持って全力投球で対応していかなければならないというふうに思っているところでございます。
  136. 荒井正吾

    荒井正吾君 長官のお言葉を聞いてちょっと安堵いたしました。ここも防衛庁幹部おられますが、まさかこの中にはおられないと思いますが、このような方がおられるんじゃないかと推察されるだけでも僕は日米の信頼醸成が壊れるんじゃないかというほどに心配するところもあるわけでございます。地元調整、一生懸命やっておられる大臣の顔に泥を塗るような、これが本当のことであれば、態度の表明じゃないかというふうにも憤ったわけでございますが、常識的な受取方じゃないという大臣のお言葉を聞いて大分安堵した次第でございます。  本日の議論で資料を出させていただきました。お手元に、約十ページぐらいの資料でございますが、質問するに当たって、防衛庁の事務方の人といろいろお伺いしながら作り上げていただいたものでございます。基本的には防衛予算のアカウンタビリティーを証明していただきたいというつもりで作ったものでございます。  防衛領域の議会統制というのは、もう各国で極めて重要になっておるわけでございます。軍の活動の正当性は、今はどの国でも議会のみが与えられるということと思います。  党は、いかに強い党でも党は正当性を与えられない。よく中国は人民軍だからというふうに、国家の軍じゃないからというふうに批判するわけでございますが、余り政党の意向が強くて国会の統制が弱いと党の軍隊になってしまう。我が国でも、人民軍をやゆしていると人民軍になってしまいやせぬかというふうに思うときもあります。人民軍にならないように、国会の統制のある防衛予算になるようにということで、アカウンタビリティーを増していただきたいというつもりでございます。  特に、決算は予算の統制と違って過去をまとめて振り返ることができるという特色がございますので、決算委員会の通じた予算統制は重要だと思っております。しかし、統制主体の我々に情報の評価能力が十分あるかといえば、それほど自慢できない、よく分からないことも多いということでございます。易しく説明していただきたいということでございますが。  それで、防衛予算の全体の大まかなフレームでございますが、今年の予算でおきましてもマイナス〇・九%の伸びということでございますが、他の予算がすごく削減の圧力が掛かっている中で非常に優しく扱われているんじゃないかなという感じもするわけでございます。構造改革は聖域ないということでございますが、この防衛予算の扱いが国民の理解を得るものであるのかどうかということについて、しばらくの時間議論させていただきたいわけでございますが。  まず、一ページ目の防衛関係費の推移、三軍をその他と分けて一応まとめて作っていただいたんですが、その中で、大きな十年ごとの傾向を見ると、陸自が減ってその他が増えているというような感じになるわけでございます。これを大まかにどのようにアカウンタブルな資料というふうに認識すればいいのか。いろんなことを言われておりますが、海自、空自の防衛力を米軍の要請に応じて整備するためにいっとき伸びた、あるいは冷戦の構造で陸自の役目が減少したというふうに言われておりますが、何ゆえ、変化はこれあったと見るかなかったと見るかということですが、この過去の分析、評価を大きくされているのかどうか、それはどのように国民に説明されているのかということを事務方と議論したわけでございますが、もう少し分からないところがあったわけですが、こういう資料をごらんいただいて、何か説明していただくことがあるのか。あれば、若干伺いたいと思います。
  137. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今私も、荒井委員が御説明なさった陸海空各自衛隊の予算の配分、枠組みを見ておるわけでありますけれども、一つは、やっぱり冷戦の崩壊によって従来型の脅威が変化しつつある中で、着上陸型の侵略に備えるというよりも、様々な事態、大量破壊兵器とかあるいはテロだとか、あるいはまた日本の場合は海洋国家として四海、海に囲まれているわけでございますから、どうしてもそういう大きな時代の流れの中で、陸自の中でも海自の中でも空自の中でもそれぞれ変化が行われていると私は思っております。  例えば、陸自についても、これは大体三六、七%の枠組みでありますけれども、戦車部隊だとか火砲だとか、そういうものは削減しつつあるし、あるいはまたゲリラだとかテロだとか、そういうことに対応していくためにどうしたらいいのかとか、あるいはまた、国際的な平和協力活動というのは、資源もない日本が世界の中で安定的に国際的な中で経済活動を展開していくためには安定していかなければならない、平和を構築していかなければならない、そういうところにもシフトされていく。あるいはまた、海自においても、やっぱり不審船の事件だとかミサイルの問題だとか、いろんな状況の変化に応じて装備やあるいはまた事態の対応の仕方が変わりつつある。空自においても同様な変化が内部的にあるというふうに思っております。  最近の中期防の変化においても、そういう従来の、この極東における北朝鮮だとか不安定な要因があるから、従来型の侵略に対応することはもちろん堅持しながらも、テロだとかゲリラだとか、新しい時代に柔軟に対応できる形をつくりつつあると、そういうことがこの背景にあるのではないか。  ただ、残念なのは、恐らく陸自あるいは海自、空自の中でそのバランスが動かされているだけであって、海、それから空、陸、大きな流れというものは余り変わってないんじゃないかという感じがいたします。
  138. 荒井正吾

    荒井正吾君 この三軍の固まりだけ見ると、中身よく分からないという印象を確かに受けました。しかも、毎年の防衛予算の概要を拝見いたしますと、こう変わるこう変わると随分変わっていくように思うんですが、十年十年たつと、こういうくくりだと余り変わってないんじゃないかというふうにも見えるわけでございます。  それで、それをどう分析するかというのは我々の役目だと思いますが、手持ちのこれも防衛庁に相談しながら作っていただいた資料の二ページから五ページに、主要戦力の変遷ということを作っていただきました。例えば二ページ目では、戦闘機の勢力、全体としては減っておりますのと、中身が変わる。しかし、これだけではその減勢の意味が、F1なりF4の減勢の意味が、説明力はもちろんこの資料だけではない。それと、全体の機数の減勢の意味がもう少し分からない。あるいはほかの資料でももう少しはっきりしない。あるいは機種ごとの変遷の役割というのを、みんな防衛大綱、防衛大綱というふうに、もう決まっていますからというふうに逃げられるんですが、いつでも説明していただきたいなというふうに思って御議論させてもらったところがあります。  それと、三ページ目だと哨戒ヘリコプターの勢力ですが、SH60JというのがSH60K、これはSH60Kというのは潜水艦対処能力が優れているというふうに予算の概要には書いてあるんですが、すると、この哨戒ヘリコプターの方は、どちらかというと急速に入替えがあるようにこの資料からは見受けられるんですが、これはヘリコプターの耐用年数のせいなのか、何か特殊な事情なのか、こんなに旧式を減勢してもったいなくはないかとか、そのようなふうにも思うわけでございます。  それから、四ページ目は戦車のことですが、上陸侵攻に備えて過去、大変な戦車の数をつくってきたんですが、減勢はしておりますが、これが上陸侵攻、冷戦後の減勢として十分なのかどうかと。よく国内戦車が、九〇式というのは五十トンもあるようでございますが、戦いがあって、国内で橋や道路は動けないと、重過ぎて動けないというのを、これだけよく整備してきてまだ九〇戦車、九〇式というのはまだ伸びているわけでございますが、どこで使うのかというようなことが俗に言われているわけですが、この防衛大綱に決まっているからというだけじゃ国民の納得感がもう一つのような気がしますが。  戦車は上陸してからやるよりも、運ぶのに、敵から持ってくるのも大変ですので、こんなのこちらにあると、占拠されて逆に向いて撃たれるんじゃないかというふうに私なんか心配するんです。ないと、向こうから持ってきて戦車戦せないかぬ、船で渡るときにやればいいじゃないかと、水際作戦って日本はいろんなことで言いますが、どうしてその戦車の水際作戦というようなことをまずしないんだろうかと。まあ素人ですのでちょっとお聞き苦しいかもしれませんが、そのように思う。上がって戦車戦をするというような発想は、日本国で作戦の、防衛力の整備で本当に必要なのかということ、これはいろんな人も言っているぐらいなんですが、その勢力がこのように変化している。減勢ではありますが、まだ一部整備が続いているというようなことがある。これ、在庫処分じゃないかというような悪い見方もあるかもしれません。  あるいは、五ページ目でありますと、その性能は私よく分からないんですが、七五式百五十五ミリ自走りゅう弾砲が減勢して九九式自走りゅう弾砲が増勢していると、これはどういうことなんだろうかと。陸上自衛隊は鉄砲を撃たないと役に立たないというふうに固定観念があるかもしれないですが、先ほど長官がおっしゃいましたようにテロに対応する、いろんな小規模の武装勢力に対応するというのにこの百五十五ミリ自走りゅう弾砲というのはどこで使うんだろうかというような素朴な疑問が、この主要火砲の勢力推移と、こういう基本的な数字を見ても思うわけで、それへの説明があんまりないんでございます。  それで、一々を説明を聞くと、先ほどの傾向からはとても長い時間説明されるので防衛局長答弁要りませんので、もう少し説明していただく資料を改めて私どもに用意していただきたい。ここで、これはこれ、これこれという、それで十分ぐらい掛かるんじゃないかと心配するんです。だから、もしそういう答弁だと、今たくさんのことを問いに入れましたので、一々は結構なんですけれども、こういうのは見て勢力の整備というのをもう少し説明していただきたいということが基本的な、私ども専門家ではないんですが、こういう防衛予算の非常に大きな部分を占める主要防衛勢力の推移ということがこの年度の予算ではよく分からない。防衛大綱が決まるときはいっときの議論があるんですが、年々国民に説明していただきたい、あるいは聞いたらすぐ答えられるように資料をそろえてほしいというのが基本的なお願いで、及ばずながらこういう資料を議論の中で作って配付させていただいた次第なものでございますので、その意を酌み取っていただいてというのと、大臣の所見、御感想を伺う程度にしたいと思いますが。
  139. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、私よりもそれは荒井先生の方がきっと詳しいんじゃないかと思っておりまして、私も装備についてはそんなに詳しいわけではありません。  私も言われてみればトレンドとしてどういうふうになっているのかなと、そういうことについて国民の皆さん方に分かりやすく説明していくことは極めて重要であるという認識は共通のものを持つわけでございますが、恐らく少ない予算の中でそういう脅威に対してどういうふうに対応していくか、あるいはまた脅威を起こさないためにどうしたらいいのか、そういうことについてそれぞれ中期防計画の中で対応させていただいているということと、もう一つは、やっぱり日本のそういう防衛能力、防衛産業の維持とかそういうことと兼ね合わせる中でこういう装備品が構築されているというふうに思っております。  それぞれ今、先生から戦闘機とか哨戒ヘリとか戦車とか火砲とかいろんな説明がありましたが、それぞれの能力について一々私も詳しいわけではございませんので、大きなトレンドとしてこういう傾向である、これはこういう安全保障環境の変化に合わせたものである、将来の展望はこういうことを見通している、そういうことについて私の方で改めて、先生の御指摘もあるから、ちょっと整理をさせていただいて、説明ができるように整える努力をさせていただきたいというふうに思います。
  140. 荒井正吾

    荒井正吾君 ありがとうございます。  これがどうして要るのかということを子供に聞かれても分かりやすく説明できるようなことにならないかと思うわけです。例えば、ここには載っておりませんが、対戦車ミサイル装備のAH64というヘリコプターが一機百億円するわけでございます。上陸侵攻が脅威が薄れたという中で対戦車ミサイルを装備したヘリを十八年度予算で購入されるというのは、そのロジックはどういうことなのかなというふうに思ったりするわけでございます。あるいは、F2戦闘機というのは大変高級ですが、約百三十億円すると。戦車は上陸侵攻の脅威が薄れた中でも十一両、今年の予算で買われるわけですが、各八億円するといったように、まだ旧来の思想の設備投資が進んでいるような印象もあるわけでございますが、それはどうして必要なのかということを、高価なものですから、より丁寧な御説明をお願いしたいと。  私、昔勤めた海上保安庁は、一万二千人の人がいるんですが、総予算が約千七百億円なんですね。それで年間の活動すべて賄っているんですが、ここには出しておりませんが、イージス艦一隻が導入当時で千七百億円と。イージス艦一隻あればすべての人件費もできるというような部隊でございます。装備も比較的安くて、二千トンのヘリ巡が約八十億、それから千トンの不審船対応の巡視船が五十五億というようなことでございます。固定翼でも三十億の固定翼というような装備で、まあ武器対応じゃありませんので軽装備で済むわけでございますが、移動性能とかいろんな哨戒性能からすればそう劣らないというようなことでございますので、そのいろんな脅威が、向こうは小さくなっていると、小火器化、小さな攻撃力にだんだんなっている中で、大きな火器を整備するというのがもうなかなか理解得られないという一般的な傾向としてあるんじゃないかと思うんですが、そのような中で今後のアカウンタビリティーをお願い申し上げたいというふうに思うんですが。  それと、新しい予算でミサイル防衛が今年の予算で上がっておりますが、千数百億、千三百億強上がっておりますが、これは将来随分大きな予算に膨れ上がる可能性があるように思います。  戦艦大和というのは、今映画になったりして非常にいいイメージですが、当時は余り、今から振り返ると役に立たなかった武器じゃないかというふうに思います。大蔵省で有名な昭和の三ばか査定という中に戦艦大和の査定というのがあるわけですが、ミサイル防衛が平成のばか査定にならないことを、口が悪くて恐縮ですが、本当に願っているんです。米国のいろんな防衛思想の中でお付き合いをされている面もあると思うんですが、我が国の防衛にとってミサイル防衛の必要性ということの説明が、私の方からはやや十分じゃないんじゃないかというふうに思うんですが、簡単で結構でございますけれども、ミサイル防衛の必要性というのについての長官の御見解を伺いたいと思います。
  141. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 九八年に北朝鮮がテポドンというミサイルを発射して、日本列島をオーバーして太平洋上に着弾したということがありました。あのとき私、防衛庁長官をしておりまして、情報収集・分析、それからどういうふうに対応したらいいのかということについて、我が国の当時の安全保障上の体制というのは、実に私は国民の皆さん方に対して自慢ができるものではなかったというふうに思っております。  そこで、やっぱりこういう事態の変化に合わせてどういう抑止力を持つのかということを考えたときに、これは日米同盟でお互いに、ミサイルがこれから拡散していくことを想定すると対応措置を考えていかなければならないということで共同研究をスタートしたという経緯があるわけでございます。これはそういうことを、対処能力を付けていくことによって国民の安全を、安心を確保すると同時に、相手のそういうミサイルを、攻撃しようとする人たちにもその思いをとどまらせる、意思をとどまらせることができる、そういうことを考えていくことができるのではないか。そのために、これまでに既に弾道ミサイル防衛システムとして我が国は、先ほどイージス艦の話が出ましたけれども、イージスBMシステムと特定地域、地上からのペトリオットPAC3の多重層の防衛システムを構築していく、さらにその能力を発展させるために共同研究開発をしていこうという段階になっているわけでございます。  余り意味がないんじゃないかということでありますが、これまでの研究とか発射試験で、イージスBMでは八回中七回成功している。それから、ペトリオットPAC3は十二回中十回成功している。PAC3については、さきのイラク戦争で既に実戦配備されているということでございますので、我々は今後努力していくことによってきっと実効的な専守防衛に役に立つものと考えておるわけでございます。
  142. 荒井正吾

    荒井正吾君 ありがとうございました。  新装備、新技術は必要だと思いますが、一つ心配しておりますのは、人の能力は付いていくのかどうか。コンピューターのいろんな能力が集結している器具を使うわけでございますが、ちょっと故障したときに、動かないときに、おおい専門家といって戦場で呼ぶわけにいかないわけなんですね。自己修繕能力といいますか、評価能力が自衛隊の中の自己の能力として求められているところがあると思うんですが、それが追い付くかどうかというふうに心配する。新技術は買うことはできても使いこなせないんじゃないかという心配があるわけでございます。  午前中、藤末委員質問されました、随意で外にお任せでやっていると能力が付かないんじゃないか。この決算委員会でも、昨年は社保庁のITのレガシーとデータ通信の丸投げ外注というのが話題になりました。IT技術を外注すると、分からないまま、我々がテレビでも新しいのが使いこなせないぐらいなんですが、そういうことが自衛隊で起こらないかというふうに思うんですが、最近では、聞くところによると、部品は広くオープンマーケットで調達して自己で組み合わせると、すり合わせると。すり合わせ能力こそが防衛力の技術根幹だという思想もあるようでございます。言ってみれば、秋葉原でいろんな部品を買ってうまくITを防衛器具にするという能力は部内であった方がいいような気がするんで、何でも機械があれば押せばいいというものでも組織はないように思うんですが、その点がミサイル防衛といったときに、とても大きなものを買うと国が守れると、立派な機械を買うと国が守れるというのではなくて、それを使いこなしたり修復したり、あるいは評価をしたりという能力が防衛庁内にあるのかどうかという点が大変危惧しているんですが、その点についていかがでございましょうか。──まあ難しくなるといかないので、危惧しているというところで止めさせていただきます。後刻、事務方でもいいですが、大丈夫だとかこのように研究しているとかという御報告があれば改めて伺いたいというふうに思います。こちらの危惧の内容を理解していただければそれで結構でございます。  それともう一つは、個別ですが、P3Cというのが随分各国の潜水艦の捜索、探知の、特に米海軍の世界的なシステムの中で日本の海上自衛隊はP3Cを整備してきました。冷戦後、ロシアの原潜というのが解体される中で、原潜を追跡するという必要性がやはり低くなっていると、なくなってはいないけど低くなっているように思いますが、そうしますと、現在におけるP3Cの意義というのが、中国の原潜が出るからということであっても、それほど今までどおり要るのかどうかと。  P3Cは主に海中の音を聴取するので、海上自衛隊じゃなしに海中自衛隊じゃないかというふうに思うんですが、海上保安庁にすれば、海上の不審勢力を察知するというのはとても警察としては重要なわけでございます。それを通報してきたところもあるんですが、最近のこの概要でも、海上保安庁とのインフォメーションシステムのインフラストラクチャーということで連携が図られているという構想があるので大変歓迎しているんですが、そういう中でP3Cの哨戒能力を、海上の哨戒能力も活用して、とても滞空時間が長いというのはもううらやましいぐらい長いんですが、海中の時々出るイルカのような潜水艦だけじゃなしに、海上をうろうろするイワシのような不審船も正確に察知できるという能力を兼用してもらえないかと。そのためには、情報の流通、あるいは、何というんですか、海上保安庁へレンタルするというのはちょっと突拍子もないことかもしれませんが、そのようなことを検討していただけないかというのが質問ないし要望でございますが、御感触があればどうぞ。
  143. 増田好平

    政府参考人(増田好平君) 海上保安庁とのP3Cの連携についてお答えをさせていただきます。  既にP3Cと海上保安庁との巡視船の間では通信ができるようになっております。それもいわゆる秘話化といいますか、秘匿化といいますか、要するに暗号が掛かった通信ができるようになってきております。これは、平成十一年度以降、そういう形でやっておるところでございます。
  144. 荒井正吾

    荒井正吾君 短くて、大変ありがとうございました。  米軍の基地経費について聞かせていただきますが、資料の六と七で基地関係経費の推移を調べていただきました。昭和五十三年、左の、六ページに資料ありますが、一九七八年でございますが、六十二億円のこれは米軍駐留経費負担、思いやり予算ということでございますが、これは米国の財政がしんどかった、日本は財政が良かったということで始まったんですが、その後膨らむばかりでございまして、現在では二千三百二十六億円の思いやり予算が計上されている。  ところが、財政はアメリカの方が比較的良くなって、日本は悪くなっているという状況の中で膨らんでいるということを国民にどう説明されるんでしょうかということでございます。  地位協定二十四条一項では、日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、日本国に負担を掛けないで合衆国が負担すると。例外として、施設及び区域は日本無償で提供すると。しかし、思いやり予算というこの二千三百二十六億は地位協定で米側負担と決まった費用を日本側が負担するという性格のものでございます。  これは、グアムに海兵隊移転するときの我が方の義務の考え方、あるいは向こうの日本国に求める要費用の要求の考え方ということに関するものでもございますので、この米軍の基地負担は、またもう一方、外国の駐留、米軍が駐留している基地の予算に比べて日本は比較的多く負担しているんじゃないかという議論もあるわけで、これ資料なかなか調達できなかったんですが、日本の基地関係予算のこれで適正だということを国民にどういうふうに説明していただけるのか、この思いやり予算というのはもう今は性格は変わってきているんじゃないか、グアム移転経費の折衝というのは、国民にその対立点、日本の主張というのをどのように理解してもらえばいいのか、その三点について簡潔な御答弁がいただければお伺いしたいと思います。
  145. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) まず、この駐留軍経費の負担でございますけれども、これは荒井先生が御指摘のとおり、アメリカの財政事情とか当時の円高、そういう経済的な背景等々によって思いやり予算あるいはまた特別協定等々が生み出されてきたものと思っておりますけれども、その背景には、やっぱり冷戦時代あるいはまた冷戦後のこの北東アジアの不確定な状況の中で日本の防衛、安全保障環境をどういうふうに維持していくか、その中で同盟関係のプレゼンス、同盟関係の比重というものが定量的に計算できない形でこの我が国の国益につながっている。  そういう形の中で、私は、日米同盟関係が円滑に進むように、あるいはまたきっちりと、この日本だけではなく、アジアにプレゼンスされることによってこの地域の安定がつくられていく。しかも、なおかつこれは、日本は海洋国家でありますから、中東からのシーレーンの確保、様々なことを考えた上で総合的に勘案をして、今日の負担をしているというふうに考えるのが適切であると。しかし、我が国も財政事情が大変厳しいわけでございますから、これは極めて効率化を図り、合理化を図っていかなければならないことは当然であるというふうに思っております。  それから、海兵隊の移転についてどうして財政負担をするのか、資金的な負担をするのかということについては、これは今度の米軍再編に伴う我が国と日米同盟関係の在り方が今後二十年、三十年先の将来をにらみながら今問われているものと思っておるわけでございまして、どういうことを考えても、我が国の選択肢の一つは日米同盟関係を堅持することであると、その中で抑止力を維持しながら負担を軽減する必要がある。そのときに、在日米軍基地の七五%は沖縄に集中している。沖縄県民の悲願はそういう負担をできるだけ軽減してほしいということである。その中で、アメリカの戦略的なことと相まって、沖縄における海兵隊八千人がグアムに移転できる可能性があると。それをスピーディーにできるだけ短期間にやってのけるためには、沖縄県民の期待にこたえるためには、我が国も一定の負担をすることによって海兵隊の移転をスピーディーに早めていくことが国益につながるのではないか、沖縄県民の利益につながるのではないかという背景があるわけで、今、日米間で精力的に協議を行っているということであります。  それから、我が国の国防費の負担についてでありますが、これはそれぞれの国の負担の中でいろんな要因があるから、一概に短絡的に比較をして、どこの国が多い、どこの国が少ないと言うわけにもいかないところがあると思いますけれども、例えばGDP比で見れば、我が国は〇・九%台で、アメリカやよその国と比べると七割から、恐らくアメリカは三%台でありますから、三分の一ぐらいになっているとか、そういう別の、あるいはまた、一人当たり国防費負担はどういう割合になっているのかというと、それほど多い負担ではないということを一面では言えるものと思っております。
  146. 荒井正吾

    荒井正吾君 防衛力なり防衛、まあ決算ですから、お金の面での彼我の防衛費の比較というのももう少し比較しつつ、その防衛費の我が国の国民負担が意味あるものだということをどう説明するのかと。米軍の存在の説明を国民理解するのはなかなか難しいところがあるように思うんですけれども、それをどのように説明すればいいのかということを格闘しているような作業ですが、その中で、八ページ、九ページに近隣諸国の防衛費の比較を、これ単純なのでどういう意味を求めるか難しいんですが、比較をしていただきました。  八ページの資料ですと、日本は四百五十億ドル、中国が約三百億ドル、ロシアが百八十億ドル、韓国が百八十億ドル。これ、全体の国防費のドル換算ではこの程度になるわけでございます。日本は人件費が半分ぐらいありますし、中国はどの程度の費用が入っているか分かんないということなんですが、多分調べたら分かるかもしれない。あるいは、この次の九ページの表では、主要勢力の存在がミリタリーバランス上取った資料で出ているんですが、情報衛星があったり、この勢力はどこに配置しているのと、もう分かりませんじゃ多分不安でしようがないわけでございます。  この戦車にしろ艦船にしろ航空機にしろ、どの辺りに配置されているのかというのは、相手が公表しなくてもこちらは知っているよというメッセージが防衛庁からは全然出てこないんですけれども、これは知っているべきことだと私は思うんですが、国民に知ってもらうべきかどうかというのはまた一つの判断があろうかと思うんですけれども、近所の脅威になる可能性のある戦力の所在というのはとても情報上大きなものでございますので、この点についての、今後どのように情報を開示されるかということを御検討を進めていただきたいという要望をさせていただきたいと思います。  時間が少なくなってきましたので、最後のページ、十ページ目の資料で、午前中の藤末議員の質問にも関係するんですが、随意契約というのはどの程度あるのかという資料を作っていただきました。  ここの十ページ目にありますように、随意契約一兆七千三百七十九億ということでございますが、中の部内の検討委員会でも、この中で入札にかけられるものがもっとあるんじゃないかと、部内の検討会の中でも、どうしてもしようがないのは随意にかけるけれども、そうでないものは入札にするという方針が出ているようでございますが、防衛予算の中核となるものは随意になる性格はあると思うんですが、防衛予算はそんなものだからといって、広く、建物にしろ、秋葉原で買えるようなものまで随意にしないでほしいという私は願いはあると思うんですが、やはり専門性、サプライを養わないかぬと、継続的にサプライをいただかないかぬという性格の組織ですので、それは随意で継続してほしいんですけれども、そうでないものまで防衛庁の予算だからといって随意にしてないかというのが疑問点なんですが、これはちょっと大きな質問ですので、それはある、ないと言ったところで始まらないので、今の不祥事を踏まえて庁内で随意を、やむを得ぬもう随意以外は減らしていくという方針を出されていると聞きましたので、それを厳格に吟味していただきたいというふうに思う次第でございます。  ただ、一方、自衛隊の職員の大体、定年制の自衛官はもう五十歳半ばで一万人程度毎年退職される方、その七割ぐらいが再就職を希望されてどこかにこれは再就職されると。この再就職の負担というか、これは大事な隊員の育成ですので、大変大切な事業だと思うんですが、中高年雇用をどう確保するかというのはなかなか難しい面がありますので、これはほかの役所もそうなんですけれども、隊員の生涯設計をどうするかと、その結果天下りとか不公正な入札をなくすということが基本的な課題だと思いますので、その点を確保していただくようにお願いを申し上げたいと思います。  最後の質問をさせていただきますが、戦史研究についてでございます。  戦史の研究は極めて重要だと思っておりましたが、最近まで我が国の公式の戦史研究はどこでされているか分かんなかったんです。昭和の四十一年から五十五年まで防衛研修所戦史室で戦史叢書全百二巻が編さん、刊行されたということでありますが、その編さん、刊行の内容がその後公正な吟味を経たかというと、まだそこまで行ってない。最近は昭和史の在野の方のいろいろな研究が進んでいるわけですが、公式な研究が発表されてない。中国の方と付き合って、三千万人日本軍に殺されたということを聞き、いや、どこで殺されたんですかと聞いても向こうはもちろん言えないんですが、いや、うちは三千万人じゃないよということも言えないと。  これ、今の歴史認識が食い違っているような、そのささいな例かもしれませんが、公式の、ある限りの公正な情報を集めるという努力を我が国はしてこなかったことは確かだと思うんですが、遅まきではありますが、戦史の客観的な研究を進めていただきたいというふうに思うんですが、防衛庁ではこの戦史研究、今後とも防衛庁としてやっていただくということを御確認したいと思います。
  147. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 荒井委員が御指摘のとおり、昭和四十一年から五十五年にかけて太平洋戦争について戦史叢書百二巻を作ったというのは、一定の私は成果であるというふうに思っておりますけれども、その後、やっぱり余り戦史について力を入れてこなかったような気がするわけでありますが、近年では、戦争史研究国際フォーラムというのを平成十四年から毎年一回、各国との研究者との間で戦史を比較検討するというフォーラムを開いているということになっておるわけでありますけれども、私は、やっぱり我々の人間の頭というのはそんなに知恵があふれているわけではありませんから、あるいはまた十年も二十年も五十年も先が見通せるほど先見力があるわけではありませんから、こういう時代の転換期には過去の歴史を振り返って、そして自らがどっちの方向に行くべきかということの知恵を酌み取るということの意味で戦史をきちっとしていくことは極めて重要であると。そういう認識があるところに日本の国民の健全な思想とか、あるいはまた見識というものが生まれてくるんだろうというふうに思っておりますので、荒井先生の御指摘を受けて、しっかりとそういう体制が整うように環境を整備することが我々の務めではないかという思いがいたします。
  148. 荒井正吾

    荒井正吾君 もう終わりますが、過去を振り返ってその教訓を酌み取り将来に役立てるというのはもう決算委員会の機能そのものでございますので、その延長に戦史研究もこの防衛領域ではあるんじゃないかと思って触れさしていただいた次第でございます。  歴史をかがみに未来を志向するという、どこかの国が言っているような言葉になりますけれども、その点でお願いしたいというのと、それと、その防衛予算の決算的な観点から議論をさしていただいても、なかなかこちらの情報評価能力が低い面もあってよく分かんないところが多い。会計検査院が防衛予算の有効性ということを検査した例は歴史上ないんですが、与党として百五条の調査要請をお願いするかどうかは個人的には迷っているんですが、この防衛予算の構造の変化を自発的にいろいろ勉強して出してもらうのもいいし、場合によっちゃその調査要請が要るのかどうかというようなところまで気持ちはちょっと進んでいるんですが、今日はそのような気持ちをちょっと表明するにとどめておきたいと思いますので、後刻、機会がありましたら理事懇の議題にでも、話題にでもしていただければというふうに思います。  大変ありがとうございました。資料もありがとうございました。
  149. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 自由民主党西銘順志郎でございます。  額賀長官、それから麻生大臣も後ほどお見えになるようでございまして、まず、岸本前名護市長の市民葬に両大臣御出席をいただきまして、本当に心から御礼を申し上げたいというふうに思います。約四千人の方々が御参列をいただいたようでございまして、大変厳粛なうちにも厳かに終了させていただいたというふうに思っております。  冒頭、こういう中で、私、防衛庁あるいは防衛施設庁になるかもしれませんが、苦言を申し述べさせていただきたいと思うのであります。  岸本市長がお亡くなりになられて、市民葬が四月二日に行われるというような状況でございましたけれども、防衛庁から、この「普天間飛行場 移設と返還の早期実現のために」というパンフレットが名護市の全戸に配布をされたというように私は聞いておるところでございます。タイミング的に言うと、名護市の市民の皆さんの感情に逆に火を付けたんじゃないのかなと。  このパンフレット、額賀長官のおっしゃることとも違うわけでございますから。ある意味では、政府の沿岸案を強制的にやりますよと、従来の一センチたりとも動かさないというこのパンフレットでございますから、こういうものをそういう岸本さんの亡くなった市民葬の前に名護市の全戸に配布をするというのは、私は市民感情からしたら余りやらない方がよかったんじゃないのかなという思いが非常に強いものですから、あえて苦言を呈させていただきましたけれども、額賀長官、何か御感想ありますか。
  150. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今の西銘委員がおっしゃるように、普天間飛行場の代替施設受入れについて、二代目市長さんの比嘉さんが苦渋の決断をして受入れを表明され、その後市長さんになられて今日までいろいろと御苦労をいただいた岸本市長が先般逝去されました。名護市で初めて市民葬が行われたわけでありますけれども、改めて、西銘先生と共通の思いで、御苦労さまでしたと心から御冥福をお祈りしたいというふうに思うし、また御功績をたたえたいというふうに思っております。  今度のパンフレットについては様々ないきさつがあって、昨年の秋に2プラス2でキャンプ・シュワブ沿岸案というものができ上がったわけでありますけれども、その後、名護の市長選等々も行われ、そういう状況を勘案しながら、政府の沿岸案について十分に名護市民の皆さん方に説明するチャンスがなかったと言ってもよいと思っております。もちろん、中間報告ができ上がった後、我々は、知事さんとか市長さんとか市町村長さんには私自身が出向いて御説明をしたわけでございますけれども、一般市民の皆さん方には直接御説明する機会がなかったことは事実でございます。  そういう中で、政府原案についてパンフレット作成をしておりましたので、沖縄県民の皆さん方には、普天間を全面返還をするということが最大の目標であると。その全面返還をするために、普天間基地の機能を分散をし、キャンプ・シュワブにヘリポートを造らせていただきたい、そういう思いと、それから事実関係についてきちっと説明をし、その上に立って、今この普天間の代替施設の移転について名護市長さんや議会の皆さん方や市民の皆さん方と話をしているという現状と実際の動きというものを、歴史というものをよく知っていただくという意味でパンフレットが作成されたと。その作成されたパンフレットが配布されるときに、市民の皆さん方が喜んで受け入れてくれたという状況ではないということは承知しております。
  151. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 正に長官がおっしゃったように、タイミング的にいうと私は大変まずかったんではないのかなというような思いをいたしております。  今回の米軍再編につきましては、先ほど来荒井先生からもお話ありましたように、私たちは評価すべき点はちゃんと評価をしたいと思っています。海兵隊のグアムに移転八千人、家族まで含めますと一万七千人の方々が移転をされる。そういう中で、今、日米審議官級協議も行われているようでございまして、政府が大変御苦労いただいているというのはよく理解をいたしておるものでございますけれども、このパンフレットのタイミングというのは決していいタイミングではなかったということを申し上げたいというふうに思うわけでございます。  このパンフレットを活用させて質問するのも余りしゃくではあるんですが、ちょっとだけ借用をさせていただいて、質問をさせていただきたいというふうに思います。  これ、パンフレットの何ページでしょうか、五ページに提供区域というのがございます。これは、提供区域が水域も含めて第一区域から第五区域まであるわけでございますが、今政府がキャンプ・シュワブ沿岸案を進めておるその主な理由といいますか、これは周辺住民の生活の安全、あるいは実現可能であること、自然環境の保全という三点がそのメーンになっているようであります。  私から言わしていただくと、飛行機があるいはヘリコプターが住宅の上空を飛んで住民生活の安全というのもおかしなものじゃないかなというような思いがあるわけでございまして、是非この豊原、安部といった住宅の上空を飛ぶことは避けていただきたいというふうに思います。これも、名護市も恐らくそういうことを額賀長官にしっかりと要望しているというふうに理解をいたしておるわけでございますが。  この提供水域についてちょっと質問をさせていただきますが、これ提供水域、沿岸から五十メートルが第一区域というような形になっていると思いますが、これはどこがどういうふうにしてそういう指定をするのか、教えていただきたいというふうに思います。
  152. 渡部厚

    政府参考人(渡部厚君) お答えいたします。  キャンプ・シュワブにおきます提供水域につきましては、沖縄が復帰しました昭和四十七年五月十五日の日米合同委員会合意、いわゆる五・一五メモと呼ばれておりますが、この日米合同委員会に基づき提供されているものでございます。
  153. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 日米合同委員会で合意をすれば提供区域、提供水域がちゃんと決めることができるということですか、もう一度。
  154. 渡部厚

    政府参考人(渡部厚君) はい、基本的にはそういうことでございます。
  155. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 辺野古沿岸案を推進される政府の立場からすると、工事が入れやすい、反対派が余り入ってこれないということで、この沿岸案、第一区域を中心にして早期に完成ができるというような説明が私ども党の、自由民主党の中の部会でも何回も説明をされているわけでございますが、そういう観点からいたしますと、額賀長官、これ、日米合同委員会でこの提供水域の第一から第五までの指定ができるということであれば、その第二区域という、第二区域というのは常時立入禁止、ただし、妨げとならない小規模漁船を除くというような説明がございます。  この第二区域を広げるということ、広げるということも一つの、広げることによってある程度名護の要望にこたえることができるんではないかというふうに私は思うんですが、長官、いかがでしょうか。
  156. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今の私どもが名護市や沖縄県とこの問題について話し合っている基本的な考え方については、私ども政府側はキャンプ・シュワブ中間報告に決められた政府原案を踏まえて、それを基本にして、今、西銘委員も御指摘なさいました、一つは周辺住民の安全を考えると、もう一つの要因は環境であると、それから、この十年間、ボーリング調査もできなかったということを踏まえて、今度やるときはきっちりと実行できると、実現させると、この三つが大前提になっているわけでございます。  だから、それを全部兼ね合わせるような形にしたいと、そして環境問題も考えなければならないと。一方で、名護市の市長さんを始め地域の人たちは、これも西銘委員が御指摘のとおり、辺野古とか豊原とか安部地区の上空を飛ばないようにしてほしいということでございますから、その上に立って、今お互いに誠意を持って建設的に話合いをしているということでございまして、その上に立って何らかの解決策を、できるだけ早く結論を出したいというところでございます。  したがって、第二水域を拡大するとか、そういうことを今考えているわけではありません。
  157. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 考えていないのはよく分かっています。ですから、名護とがっちゃんこしているわけでございますから。これは一つの選択肢としてお考えになられてもいいんじゃないのかなということを今申し上げているわけでございまして。  日米合同委員会でございますから、これ、外務大臣、北米局長になるんでしょうか。私たち、選挙を当選させていただいて、地位協定の改定についても何回も質問をさせていただきましたが、当時の外務大臣から返ってくる言葉は運用の改善という言葉で、ずっと同じ言葉を聞かされてまいりました。そういう意味では、この日米合同委員会で合意ができるという一つの話であれば、この提供水域の問題、選択肢の一つとしてお考えをいただきたいんですが、これ外務省、どのようにお考えなのか、運用の改善でちゃんとできるのかどうか、その辺をひとつ教えていただきたいと思います。
  158. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今御質問の点ですけれども、これは西銘先生、まだ最終的な案が分かっていませんから、その答えが決まったところで、そこの段階で、第一がいいのか第二までにするのかということは、最終案が決定する前に、ちょっと今の段階で確たることを申し上げる段階にはございません。
  159. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 仮に名護と政府が合意をするという形の中でやれば、そういう、ある意味では立入禁止区域といいますか、そういうところを多くするということは非常に工事をするにしても大変やりやすくなっていくんじゃないかと思いますんで、そういう意味での一つ御提言として申し上げておきたいと思います。  今日、そのほかに情報収集衛星について質問をしたいと思いますので、沖縄の問題、また後で時間がございましたら質問をさせていただきたいというふうに思います。  情報収集衛星についてお伺いをしたいと思います。  安倍官房長官が、この通常国会の中で、所信表明の中で、情報収集、分析の重要性がますます高まる中、政府の情報機能の充実強化に努めるとともに、情報収集衛星について、所期の目標である四機体制の確立を目指し、平成十八年度に予定している二号機二基の打ち上げに向け、準備に万全を期してまいりたいという決意を述べておられます。  安全保障とのかかわりも深い情報収集衛星でございますので、若干質問をしたいと思いますが、まず、この情報収集衛星二号機二基、光学衛星、レーダー衛星の打ち上げはいつごろを予定しているのか。光学衛星の二号機は平成十七年度打ち上げというふうになっていたわけでございますが、十八年度に打ち上げが延期された理由についてもお答えをいただきたいと思います。
  160. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) お答えをいたします。  情報収集衛星の光学二号機及びレーダー二号機につきましてでありますが、所期の目標であります四基体制を確立するべく、本年度、平成十八年度中に打ち上げを予定しているところでございます。  このうち、光学二号機につきましては、委員指摘のとおり、当初の打ち上げ予定は平成十七年度でございました。しかし、衛星に使用されております米国製の電子部品FPGAに不具合があるということが明らかとなりまして、当該部品の交換作業が必要になりましたことから、打ち上げを本年度、平成十八年度に延期することとしたわけでございます。  政府といたしましては、光学二号機及びレーダー二号機を本年度、平成十八年度中に予定どおり打ち上げることができますよう、引き続き衛星の開発等の諸準備を着実に進めてまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  161. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 これは、平成十四年度の決算審議を踏まえまして、参議院平成十六年の六月に、HⅡAロケット六号機の打ち上げ失敗等のトラブルが続発して宇宙開発事業に対する国民の信頼が失墜したことに対して警告決議を行い、政府に改善を求めたところでございます。  これに対して政府が講じた措置については十六年十一月に報告がなされておりますが、その後、十八年度に予定されている二号機二基の打ち上げに向けてどのような準備を整え、信頼回復の措置をとってこられたか、改めて説明をいただきたいと思います。  これは河本副大臣でございますか。
  162. 河本三郎

    ○副大臣(河本三郎君) 残り二基の情報収集衛星の打ち上げについては、ロケット本体の製作それから衛星の組立て、調整を慎重に着実に進めております。さらに、HⅡAロケット六号機の失敗を受けて、信頼性向上措置については、宇宙開発委員会において十分な研究と対策の検討を行い、これが一番のポイントでありますが、事故の原因となった固体ロケットブースターの設計変更を行いました。  もう一つは、JAXAと製造企業との責任分担の見直しであります。技術・体制両面から整備を進めてきました。  JAXAにおいては、平成十七年度から信頼性向上プログラムを創設し、信頼性の向上に不断に取り組んでおります。こうした結果、昨年の二月以来、三機のHⅡAロケット、ミューⅤ二機の打ち上げ、すべて成功してきたところであります。  今後も、宇宙開発事業の信頼性向上に向けて、継続的な打ち上げ実績を積み重ねてまいりたいと思います。
  163. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 どうぞ副大臣、何か御予定があられるようでございますから、結構でございます。是非頑張って、ひとつ激励でもしていただいて、ずっと連続成功させるようにしていただきたい。
  164. 河本三郎

    ○副大臣(河本三郎君) 連続成功させます。
  165. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 じゃ続きまして、情報収集衛星の予算、決算についてお伺いをいたしたいと思います。  この衛星の導入につきましては、平成十年十二月に閣議決定が行われまして、その経費は平成十年度の補正予算から計上されたと承知をいたしております。情報収集衛星に要した経費は平成十六年度決算までにどのぐらいであるのか、また十七年度、十八年度の予算を加えるとどの程度になるのか、その総額を示していただきたいと思います。
  166. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) お答えをいたします。  平成十年度から平成十六年度までの情報収集衛星関係経費の決算額は約三千七百三十四億円でございます。また、平成十七年度予算額に平成十六年度からの繰越しを加えた額と平成十八年度予算額との合計は約千二百三十七億円でございます。これらを合計いたしました総額は約四千九百七十一億円でございます。  以上でございます。
  167. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 五千億近い予算あるいは決算がなされているわけでございますから、しっかりと無駄遣いのないように、ちゃんと成功できるように私たちも念願をしておきたいというふうに思います。  一号機の後継機になると思いますが、いずれ一号機が耐用年数が来て、三号機の打ち上げをしなければならないというふうに思います。この三号機、大体いつごろの打ち上げの予定なのか、また三号機の打ち上げに係る経費というのは大体どのぐらいになるのか、御説明をいただきたいと思います。
  168. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) お答えをいたします。  光学一号機の後継機になります光学三号機につきましてですが、平成二十一年、二〇〇九年度に打ち上げるべく、現在、研究開発を進めているところでございます。  光学三号機の経費につきましては、現在、研究開発を行っている段階でございまして、確たることは申し上げられないものの、内閣衛星情報センターにおいて一定の条件の下で行った試算によりますと、光学三号機、本機の研究開発費用、光学三号機で採用する新たな技術を事前に実証するための実証衛星の関連費用、ロケットの製作及び打ち上げ費用といたしまして合計でおよそ七百億円が見込まれているところでございます。  以上でございます。
  169. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 七百億という大変高額でございますから、本当にしっかり頑張っていただきたいというふうに思います。  十六年度の決算で情報収集衛星業務費に十七億円という多額の不用額が生じておるわけでございまして、この同業務費の不用額をさかのぼって調べてみますと、十五年度が十億円、十四年度が十九億ということになっておりまして、非常に不用額が多くなってきております。情報収集衛星業務に多額の不用が連続しているこの理由をお聞かせをいただきたいと思いますし、特に不用額の多い情報収集衛星システム開発等委託費についてはどのような予算執行の形態が取られているのか、御説明をお願いを申し上げます。
  170. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) お答えをいたします。  情報収集衛星業務費の不用額につきましてですが、平成十四年度に約十億円、平成十五年度に約十九億円、平成十六年度に約十七億円が生じているところでございます。  この情報収集衛星業務費の予算の見積りにつきましては、我が国初の情報収集衛星の開発でありまして最大限慎重に行ったところでありますが、最先端の高度な技術を要するシステムでありますことから予測の困難な状況が生じ、結果として不用額が生ずることになったと考えているわけでございます。  これら不用額が生じた主な原因でございますが、具体的には平成十五年十一月のHⅡA六号機の打ち上げ失敗に伴いまして、打ち上げ後の衛星の機能確認に係る諸経費が必要なくなったこと、及び情報収集衛星の運用及び維持管理に係る不具合対応に要する経費が当初想定額より少なくなったこと等の予測できない状況が生じたことによるものでございます。  また、情報収集衛星システム開発等委託費の執行形態につきましては、情報収集衛星の開発に着手いたしました平成十年度当時は、衛星開発に実績のある関係省庁に支出委任を行うことにより開発を行ってまいりました。その後、平成十三年度に内閣衛星情報センターが設立されたことから、これ以降開発に着手した光学三号機以降の情報収集衛星につきましては、内閣衛星情報センターにより一元的に開発を行っているところでございます。  内閣衛星情報センターといたしましては、平成十七年度及び十八年度予算におきまして、システムが安定をいたしましたことから衛星の運用に係る不具合対応経費等を減額する等の取組を行っておりまして、今後とも予算の見積りを精査いたしますとともに、その適正な執行に努めていく所存でございます。  以上でございます。
  171. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 情報収集衛星のシステム開発や、これ施設の建設が重要であることは大変論をまたないわけでございますが、それと並行して解析能力の向上が更に重要であるというふうに思います。  そこで、解析能力向上のための予算は情報収集衛星業務費に計上されているのか、またその内訳はどのようになっているのか、御説明をいただきたいというふうに思います。
  172. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) お答えをいたします。  情報収集衛星の運用に当たりましては、委員指摘のとおり、衛星システムの開発等とともに、画像分析を行います要員の解析能力の向上が不可欠と考えているところでございます。内閣衛星情報センターにおきましては、解析能力向上のために分析要員の教育訓練の予算を情報収集衛星業務費の中で計上しているところでございます。  当該予算の最近の推移でございますが、平成十六年度は約一億三千万円、平成十七年度は約一億九千万円、平成十八年度は約一億八千万円となっているところでございます。  以上でございます。
  173. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 アメリカ等の情報収集衛星と申しますか、そういうその衛星の解析能力というのは非常に、地上十五センチぐらいまでは解析する能力があるというふうに言われておりますが、これは、我が国の今二号機の、二つの衛星のその解析能力というのは大体どのぐらいあるのか、お分かりですか。
  174. 上原美都男

    政府参考人上原美都男君) お答えをいたします。  現在運用しております我が方の二つの衛星の地上分解能は、約一メートルでございます。  以上です。
  175. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 アメリカが十五センチで我が国のが一メートルというのもちょっと差があり過ぎるのかなというような思いをするわけでございますが。  この情報収集衛星の画像の提供を受ける防衛庁外務省において、この解析能力向上のための要員の訓練や予算はどのようになっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  176. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 我が国としては、平素から常に国の安全に必要な情報の収集、分析を行うとともに、そのための各情報機能の充実を図ることは極めて重要であると思っております。  画像解析能力について申し上げれば、防衛庁としては昭和五十九年度以来、商業衛星画像データを用いて画像情報業務を行ってきておりまして、解析システム運用、解析要員の育成などに関して一定の経験、実績を持っているところであり、内閣情報センターともよく交流を図ってお互いの能力向上に努めているところであります。  防衛庁においては、画像情報の収集、整理を行っている情報本部画像・地理部の平成十八年度予算では、分析能力の向上として空間情報支援システムの整備五十四億三千万円、収集能力の向上として地上局の改修二十六億三千万円、画像データ受信料十九億八千万円などを計上して、二百三十名の要員を画像収集の収集、整理に当たっているところであります。
  177. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 委員指摘の点につきまして、我が国が戦略的な外交を展開していくためには、優れた対外情報の収集そして分析の能力が必要不可欠であるというふうに考えております。したがいまして、外務省としては、対外情報機能強化の一環といたしまして、情報収集衛星の画像を活用をいたしております。  衛星画像の解析には専門的な知見を要しますので、外務省としてそのための要員の育成に努めておりますほか、予算につきましては、平成十八年度予算では外務省は衛星画像等によります情報収集分析能力の強化に係る経費といたしまして約三億七千七百万円を計上しておるところであります。  外務省としては、今後とも引き続いて予算や要員訓練の充実を通じまして、衛星画像による情報収集、分析能力の強化を図っていく所存であります。
  178. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 画像情報の収集及び配布など衛星の利用に関する基本方針を総合的に検討するために情報収集衛星運営委員会が設置されておりますが、その構成メンバー以外の省庁で画像の情報提供を受けている、あるいは画像情報を要求している省庁があれば御説明をいただきたいと思います。
  179. 伊佐敷眞一

    政府参考人伊佐敷眞一君) お答え申し上げます。  情報収集衛星運営委員会現時点でのメンバーは、内閣官房、警察庁、防衛庁、公安調査庁、外務省でございます。このほか、メンバーではございませんが、利用省庁といたしまして、消防庁、経済産業省、国土地理院、海上保安庁がございます。  また、内閣府防災担当につきましては、大規模防災発生当時に幹部を含めて関係職員が画像を利用できるよう、平時から必要な手続を整えているところでございます。また、これらの省庁以外であっても、情報収集衛星運営委員会において決定された場合には、情報収集衛星の撮像画像を利用することが可能でございます。
  180. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 平成十年十二月の閣議決定では、情報収集衛星の導入の目的に、これは外交・防衛等の安全保障と、それから大規模災害等への対応等の危機管理の二つを挙げているわけでございますが、安全保障、テロなどの危機管理のこれは運営委員会の役職者はおりますけれども、大規模災害への対応に直接関係ある省庁が構成メンバーから外れているということでございます。その理由は何なのか、教えていただきたいと思います。
  181. 伊佐敷眞一

    政府参考人伊佐敷眞一君) お答え申し上げます。  先生指摘の閣議決定におきまして情報収集衛星は導入されたわけでございますが、この閣議決定におきまして、衛星の運用、利用につきましては、中央省庁等改革との整合性を図りつつ、行政の簡素、効率化及び内閣の情報収集機能強化の観点から運用等に関する組織体制を整備すべしと、こういう決定になってございます。これを踏まえまして運営委員会が設置されているわけでございますけれども、大規模災害関係のメンバーといたしましては、内閣危機管理監、安全保障危機管理担当の内閣官房副長官補、それから警察庁が入っております。それ以外の大規模災害関係の省庁、運営委員会のメンバーにはなっておりませんけれども、利用省庁となることは可能でございます。運営委員会の決定に際しましては、メンバー以外の利用省庁の要望、御意見も十分踏まえた上で決定を行うという仕組みになっております。  このメンバーを限定しておりますのは、効率的な運営を図るためにある程度規模を抑える必要があるという考慮から、特に関係の深い省庁をメンバーとしたものであるというふうに理解しております。
  182. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 これは新聞の写しなんですけれども、これは去年の九月に出された朝日新聞だと思いますけれども、これは安保を優先して災害時はこの多目的衛星の利用が余りできないというような報道がなされておりまして、それで今お尋ねをしたわけでございますけれども。    〔委員長退席、理事国井正幸君着席〕  国交省の災害対策室では、これは大災害で、衛星画像を見せてもらったことはないというようなことでございまして、可能なら活用したいが、秘密管理が厳しいと聞いており、要求したことはないと。それから、総務省の消防庁の防災情報室も活用したことはないというようなコメントが載せられておりますが、この両省、まず御答弁をお願いを申し上げたいと思います。
  183. 押田彰

    政府参考人(押田彰君) 国土交通省におきます情報収集衛星に関する大規模災害等への利用についてのお尋ねだったと思います。  衛星が打ち上げられました平成十五年三月以降の災害に関しましては、国土交通省におきましては、災害対策用のヘリコプター及び道路河川管理用固定カメラの画像を中心に利用して対応してきております。これまでのところ、情報収集衛星の画像の提供を要求した実績はございませんが、大規模災害につきましては政府一体となった対応が必要となることから、今後とも情報収集衛星の画像の利用に関し、関係機関と連携して適切に対応してまいりたいと考えております。
  184. 大石利雄

    政府参考人(大石利雄君) お答えいたします。  消防庁では、これまで地震災害や火山状況の把握等のために情報収集衛星の画像の提供を受けておるところでございます。これまでのところ、それらが直接の対策に結び付いたということではございませんが、今後想定されます大規模地震の被害状況の把握等には大いに役立つものと考えております。
  185. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 委員長委員長が替わられたんでびっくりしました。  情報収集衛星、これは二基体制でありますから、安全保障分野を優先するというのは本当にもうある程度理解をしたいというふうに思います。  これは、大規模災害などやはり国民の生命や財産に直接かかわることでございまして、これ衛星画像が十分に活用されていないという事態は大変大きな問題だと思います。河川局の今、次長さん、消防庁さんもお話ございましたけれども、これしっかり活用できるように早急にそういう体制をつくるべきだというふうに思いますが、これは内閣官房の方から御答弁をお願い申し上げます。
  186. 伊佐敷眞一

    政府参考人伊佐敷眞一君) お答え申し上げます。  消防庁につきましては、既に申請をいただきまして、運営委員会におきまして利用省庁とするという決定を行い、既に利用を開始したところでございます。国土交通省につきましては、秘密保全について所要の措置を講じた上、情報収集衛星運営委員会に申出をいただき、認められた場合には画像を利用することが可能になるということでございますので、今後国土交通省から申出がある場合にはしかるべく対応したいと、このように考えております。それ以外の省庁につきましても同様でございます。
  187. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 是非そういう体制を早めに取っていただきたいというふうに思います。  今後の情報収集衛星の開発及び利用の在り方について質問をしたいというふうに思います。  宇宙空間の開発と利用については、宇宙条約などの国際条約による規制のほか、我が国独自の問題として、昭和四十四年の国会決議とその解釈による制約がございます。当時の決議では、我が国における地球上の大気圏の主要部分を超える宇宙に打ち上げられる物体及びその打上げ用ロケットの開発及び利用は、平和の目的に限り行うものとされており、平和の目的をこれは非軍事と解釈され、今日に至っております。  また、この決議との関係では、自衛隊が米海軍のFLTSAT衛星を利用した通信を行うことについても問題となり、昭和六十年に、一般的に利用されている機能と同等の衛星であれば利用することが可能とする政府の統一見解が出され、自衛隊のFLTSAT衛星利用が認められたところでございます。この考えは平成十年の情報収集衛星導入に当たっても適用されておりまして、先ほどなぜ一メーターなのか、なぜアメリカが十五センチで我が国が一メーターなのかということもこれで理解をするわけでございますが、衛星解析度を民間並みに抑えたというふうに言われておるわけでございます。今後、自衛隊による国際貢献がますます要請される中で、現在の衛星利用体制では我が国の防衛という観点からも余りにも制約が多いというふうに思われます。    〔理事国井正幸君退席、委員長着席〕  そこで、我が党の政調会の宇宙開発特別委員会や小委員会等で議論が開始されておりますが、安全保障や国際貢献の観点から今後の情報収集衛星の開発及び利用の在り方について議論がなされるわけでございますが、額賀防衛庁長官、麻生外務大臣のこの衛星利用についての御所見をお伺いをいたしたいと思います。
  188. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今の西銘委員指摘のとおり、我が党の中でいろいろと御議論をいただいていると聞いておりますけれども、我々は、宇宙の平和利用という中で衛星が一般利用されていく枠内で自衛隊も衛星の活用がされているわけでございますから、我々独自の情報入手の一環として、国会あるいは国民の理解を得て拡大されることは、国民の安全あるいはまた安定のために役に立っていくものと思っておりますので、関心を持って見守っていきたいというふうに思っております。
  189. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 情報収集衛星につきましてはいろいろ御議論のあるところではありますけれども、私どもは基本的に最も重要な、外交の面におきましても、国防上に限らず外交の面におきましても、また災害の面におきましても、多方面にわたってこの情報収集衛星というのは国家として大事に育成すべきものだと思っております。  基本的には、情報を集めるだけではなくて、それを解析する、分析する、いわゆる分析官、解析官というものも育てないと、ただ見ていても何の意味もありませんので、そういった意味では、精度が上がると同時にそれを解析、分析する能力を持つ人を育てるというのも併せてやっていかねばならぬ。手間と暇と金の掛かる話ではありますけれども、きちんとやらないと、衛星持っているだけでは何の意味もないと思っております。
  190. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 両大臣、しっかりとこの情報収集衛星について、利用方のほど、頑張ってやっていただきたいというふうに思います。  質問項目、ODAの件についても申し上げておりますけれども、少し沖縄についてもやりたい、もう少しやりたいので、多少はしょってさせていただきたいと思いますが、中国のODAについてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。  中国に対するODAの九割は円借款でございまして、一九八〇年度以降、総額は三兆円を超えているというふうに言われております。中国につきましては、二〇〇八年度をめどに停止するという方針を打ち出しておられるわけでございますが、今、日中間の関係というのは大変ぎすぎすした関係と申しますか、そういう関係にあるわけでございまして、この借款が打ち切られることによってますます対中国がおかしくなるのではないかというような話もございますが。  私は沖縄県の出身でございます。せんだっても質問をさせていただきましたが、宮古島と多良間島の間を中国の原潜が通っていく、あるいは尖閣諸島の問題等もございまして、日本固有の領土である尖閣諸島を中国が、近海で石油が出るのかエネルギーが出るのか分かりませんけれども、そこいらで、これは尖閣列島は元々中国のものであるというような領土問題まで絡んでまいりますし、東シナ海のガス田の問題まで絡んでまいりますと、これは中国のODAなんというのは本当にある意味ではもう考えた方がいいんじゃないのかなというような思いを非常に大変強くするわけでございまして、これから、私はまだ、大変恥ずかしい話と言った方がいいのかもしれませんが、中国へ行ったことはまだ一度もございません。行こうとも思わないようなものもあるわけでございますが、そのぐらい、麻生大臣と同じぐらい対中国に対しては強い懸念を持っているというふうに言ってもいいのかなと思いますが。  今後の中国に対するODAの在り方について、御見解をお聞かせをいただきたいと思います。
  191. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 西銘先生の御見解はよく、初めて伺いましたので、私より右かなと思いながら聞いていましたけれども。  見解と言われましたので、御存じのように、二〇〇八年をもちまして、円借款というものは北京オリンピックをもって終了ということは、これは両国間で合意をいたしておりますので、その線できちんと対応させていただきたいと存じております。  ただ、その後いろいろ、無償資金等々いろいろな問題というのは、ODAの中に技術協力いろいろございますので、私どもとしては、環境とか、御存じのように環境は多々問題があるというのはもうよくマスコミ等々で出るとおりでございますので、いわゆる感染症の話がよく分からぬとかいろいろございます。そういった意味で、日中両国にとりまして共通する課題というのはいろいろあろうと思います。その点につきましては、無償というものに関しましてはそういうものに絞って考えてしかるべきではないか。また、いろんな意味で、相互理解とか交流とか今いろいろプログラムが組まれておりますので、そういったものを考えておられる方も多いと思いますので、私どもとしてはそういったものに絞って無償協力というものは考えられておかしくないのではないか。  もう一つ、技協、技術協力があります。  この技術協力につきましては、これは今御存じのように、水の話にしても環境の話にしても空気の話にしても、何にしても、これはもう我々今から三十年前、四十年前ほぼ皆経験をしてきたものが一杯ありますので、そういったエネルギーを少なくして済むもの等々の技術というものは中国にとりましても、また、その環境汚染について、私の選挙区の北九州辺りは何となく今ごろになってくるとこう何となく空の空気がというのは、これは昔から言う話でもありますから、そういうことを考えますと、全体としてこういったものには技術協力等々をしていくというのは両方の、日中の共益、共通の利益につながる、日中共益につながっていくと思っておりますので、こういう面に関しましては、援助の在り方というものに関しまして基本的には双方、双方というのは日中双方の利益につながっていくようなものに絞って考えていくべきものではないかと考えております。
  192. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 中国の、今大臣からお話ございましたように、環境分野、あるいは人材育成といったようなところで協力を続けていくというような形になろうかと思いますが、しっかりとおやりになることを要望しておきたいというふうに思います。  続きまして、国連分担金の問題についてお伺いをしたいと思います。  昨今、新聞報道等でいろいろあるわけでございますが、平成十八年度に予定されている分担率の改定に合わせて、我が国が二〇%弱を負担しております国連分担金の負担の割合を見直すべきであるという主張を麻生大臣もよくやられておるわけでございますが、中国、ロシアが日本の提案については反対だとかなんとかいうような話等も報道で聞いておりますが、これから国連分担金にかかわる今後の方針についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  193. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 国連の分担金につきましては、基本的には一国のGDPに比例してということになりますので、日本として今大体一九・五%、もうちょっと下がるかと思いますけれども、その年々によって少しずれがありますけれども、基本的にはそれくらいのものになります。  今言われました国連分担金の話に対しまして、今国連では更に金が必要というのは、鳥インフルエンザの話にいたしましても、またいろんな地域で起きております地域紛争の件にいたしましても、いずれにしても、国連としてはそういったものに対して何らかの形で関与せざるを得ないという部分で極めて資金が要るということになってきております。  そういう中にあって、少なくとも国連常任理事国と言われる国々の中にあって一%とか二%しか払ってないというのはちょっといかがなものかと。おれのところを安くしろとは言わないけれども、せめてそちらの分ぐらい上げたらどうだというのが、かなり品良く言っておりますけれども、こういう言い方で、少なくとも三%とか五%とかいうのを、国連常任理事国だったらそれぐらいの分担はしていただいてもいいのではないかと。そういったものがいわゆる地位と責任に応じた額なのではないかということを私どもは申し上げておるんであって、この話と国連常任理事国の話とよく一緒にされますけれども、これと分担金の話は基本的に区別して考えていただかないと何となく話が妙に品のない話になりますので、私どもとしては十分に注意してやっていかねばならぬと思っております。
  194. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 私どもは、国連分担金二〇%も払っておれば当然常任理事国になっていいんじゃないかというような、私どもはそういうような思いをするんですが、麻生大臣は非常に品のある御発言を今なさっておられるわけでございまして、よく分かりましたから、ちゃんと勉強して、これから頑張ってみたいと思います。  もう時間がなくなりました。沖縄の問題についても、もう一点お聞きしようというふうに思ってあるのがございます。  今、キャンプ・シュワブ沿岸案のL字型になったところで、これは埋立てをする予定になっております。長官、御存じですよね、L字型になって。そこの公有水面の埋立てについて、あくまでも合意がなされず、沖縄県知事も反対だというような状況がずっと続けば、これは知事の権限であります公有水面の埋立てを特措法でも作っておやりになるのかどうか。  私は、是非そういうことは避けていただきたい。これやることによって、島ぐるみ闘争になってそれどころの話じゃなくなりますから、是非そういうことは避けていただきたいという要望をさせていただいて、長官、ひとつ御答弁をお願いを申し上げたいと思います。
  195. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、そういうことがないように、名護の市長さんを始め関係地方公共団体の責任者あるいはまた知事さんともよく話し合っております。  一生懸命頑張りますから、西銘委員も御協力をお願いできればそういうことにならないようになるんではないかと思っております。どうぞよろしくお願いします。
  196. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 額賀長官には私どもの考え方はもう何回もお伝えしておりますから、できるだけ、名護市がちゃんと合意をすれば、納得をすれば私たちもちゃんと後押しをして、額賀長官のおしりも一生懸命押して協力をしていきたいというふうに思いますから、どうぞしっかり名護の合意を取り付けるようにこれからも話合いを続けていただきたいというふうに思います。  決して見切り発車なんということもまたなさらないように、日米で合意したものをそのまま沖縄県民に押し付けるというような話になれば、もう本当に今よりもっとこじれていって、日米安保体制もおかしくなるんじゃないかというふうに思いますので、その点も要望をさせていただいて、質問を終わります。
  197. 高野博師

    ○高野博師君 今日はロシア、日ロ関係について、何点か大臣にお伺いしたいと思っております。決算委員会でありますけれども、数字は余り問いませんが、外交政策の決算というか検証、総括と、そういう意味での質問をさせてもらいたいと思います。  日ロ関係をなぜ取り上げるかということでありますが、今はグローバル化が進み地域統合等も進んでいると、大きく変化している国際社会の中で、日ロ関係というのが近年大きな進展がないと。そして、一方で日中、日韓関係、これが難しい状況にある、また東アジアの動向もいろんな構造的な変化も起きていると。そういう中で、日ロ関係はこのままでいいのかという私は基本的な疑問がありまして、日ロ関係を好転させることによって、我が国が対アジア外交でももっとダイナミックな力を発揮できるのではないか、そういう考えを持っておりまして。  当然のことながら、日ロ関係を考えるときに北方領土問題に触れざるは得ないと思うんです。今までいろんないきさつがあった関係で、若干この問題について引いているかなと、マスコミの関心もあるいは我々の関心も若干薄くなっているかなという感じがいたします。  この問題についての解決の見通しが立たない、あるいは解決に向けての日ロ双方の強い政治的な意思というものが余り感じられない、そう私は受け止めておりまして、一方で、領土問題を解決しなくても日ロ関係というのはうまくいくんじゃないかと、そういう見方をする人もあると。国民の中にも、何となく北方領土問題についてあきらめに近い感情を持っていないかなと、そういう懸念も私は持っておりまして。  そこで、そもそも領土問題あるいは国境が画定しないということは、この国の形が定まっていないということでありますから、戦後六十年たってこの国の形が決まっていないということはこれは重大なことではないかと、こう思うのであります。  改めてこの問題について真剣に考えて取り組む必要があるんではないか、そしてそれを解決した上で新しい日ロの時代を構築していくということが求められてはいないだろうか、こう思っております。それによって北朝鮮、中国、韓国、こういう関係を動かす大きな力にはなりはしないか、あるいは日米関係にも新たな視点を与えることはできないか、こういう私は認識を持っております。  そういう関係で、まず基本的に、昨日から同じようなことを聞いているんですが、昨日はイギリスとはどういう国かと聞いておりまして、インドとはどういう国だと。今日は、ロシアという国はどういう国だととらえておるのか、この国の本質というのは何だと思っておられるのか、簡単で結構ですからお伺いしたいと思います。
  198. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 最も格調高い質問だったので、今。ロシアの本質、ウラル山脈をまたいで、太平洋、大西洋、両岸にまたがる大国という、領土的な面積は最大と思っております。  また、できましたときが西暦九世紀ぐらいだと思いますから、それ以後、十三世紀にはダッタン、いわゆるジンギスカンから攻められ、そしてナポレオンに十六世紀に攻められ、いわゆるアジアからも西からもいろんな形で領土を侵される等々の長い歴史を経てきた国でありますので、ロマノフ王朝の紋章が双頭のワシというのは多分両方を向くためという説があるぐらいの国であろうと思っておりますが。ツァー時代からいきなり共産主義に一九一七年に歴史が変わっておりますので、いろんな意味で、私どもの隣国にあって、資源を持ち、私どもとしては大事な隣国として今後とも付き合っていかねばならぬ国の一つだと思っておりますが、今言われましたように、何となく今までヨーロッパに主に向いておった国であって、今改めてアジアに向きつつあるところが大きくなりつつあるような感じが最近の実感であります。
  199. 高野博師

    ○高野博師君 今大臣がおっしゃられたように、双頭のワシというのが国の紋章になっているんですが、実は二月にパキスタンへ行ったときにガンダーラの遺跡を見てまいりました、世界遺産になっているんですが。そのガンダーラの遺跡に双頭のワシがかかれてありまして、そんなアレキサンダーの時代から双頭のワシというのを使っていたのかなと思いまして、ロシアがこの紋章を持っているということは、正に西はヨーロッパ、東はアジア、このユーラシア大陸をにらんでいると。そして、本質的には、外に向かっては拡大すると、内に向かっては権力を集中すると、あの双頭のワシがつかんでいる王笏というのは正に権力の象徴でありますから、そういう本質を持っているんではないかなと。ロシアに言わせればとんでもないと言うかもしれませんが、やっぱり領土拡張、膨張、それと権力集中というのがある意味では本質的なものではないかなと、私はそう理解しておりますが。したがって、この国というのはなかなか難しい国ではないかと、簡単に交渉もうまくいくとは思えません。  そういう中で、ロシアの対外政策について若干お伺いしたいと思いますが、中国との関係はいろんな問題がありましたが、中ロの戦略的パートナーシップと、これが一九九六年に結ばれたんですが、この戦略的パートナーシップという言葉はエリツィンが飛行機の中で思い付いたらしいんですね。それでこれを使ったと。しかし、使ってみたら意外とインパクトがあったという、いろんな影響力もということでこの言葉がはやり出したところがあると言われておりますが。これは一九九六年ですから、二〇〇一年に中ロ善隣友好協力条約を結んでいると。そして、二〇〇四年十月にプーチンが訪中し国境を最終的に画定したと。こういう中で、また二〇〇五年六月末から七月に胡錦濤も訪ロをしたと、共同宣言も出していると、エネルギー等の分野での協力関係が緊密化になっていると。  この一連の動きの中で大事なことは、この両国関係緊密化の背景には国境問題を解決したという、これが決定的な重要な要素になっているというふうに私は理解をしております。  中央アジア、これ元々旧ソ連時代の国境でありますが、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、そしてロシア含めて二〇〇一年、上海ファイブというのをつくって、そこでウズベキスタンも入れて上海協力機構が創設されました。この中央アジアとの関係、これは中国もロシアも新たな関係を結んでいると。しかし、その背景には、これも国境画定というのが中央アジアと中国の間でできているという、そういうこれが解決されたという背景があるという視点をこれはきちんと踏まえておく必要があるんではないかと思います。  それから、NATOとの関係、EUとの関係、これも天然ガスとか石油の輸出とかいろんなことも含めて、NATOの拡大はロシアも望まないにしても新たな関係を結ぼうとしている。インドとの関係、アメリカとの関係、これもいろんなパートナーシップを結んでいる。  こういうロシアの外交政策でありますが、一方、日本との関係はどうかといいますと、貿易投資、それほど大きくはなっていない。人的交流もまあそこそこ、文化芸術交流、これもまあまあやっている。しかし、最近はロシアの経済も順調なものですから、非常に強気になってきているんではないか。  二〇〇四年の貿易額で比較しますと、日米が一千九百二十四億ドル、それから日中が一千六百八十四億ドル、日韓が六百六十三億ドル、これに対してロシア、日ロはわずか八十八億ドルと、もう全然けたが違う、こういう関係なわけですが、このロシアとの関係で、平成十五年には日ロ行動計画を作ったりとか、いろんな関係強化の方向性等をつくっておりますが、このロシアの外交政策について、あるいは対日政策について、どういう認識をされているか、簡単にお伺いしたいと思います。
  200. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) ロシアにとりまして、中国というのは隣国で最も国境線を長く接しておる国であります。加えて、その中国の足りないものが主に石油、天然ガスを含むエネルギー、ロシアにありますのがエネルギー、中国に逆にあるのが人口、ロシアのウラル山脈東側の方にないのが人口ということになりますので、双方でないものとあるものが合っているという点に関しましては極めて両国関係が向上しやすい状況にある。これだけはもう地理的状況と与えられている自然条件等々から明らかだと存じます。加えて、今言われましたように国境線の画定を二〇〇四年にしておりますので、その意味では明らかに双方ともその意図を明確にしているという具合に理解できます。  EUに関しましては、少なくともNATOがポーランド、ハンガリー、ラトビア、エストニア、リトアニア、あの辺までずっと広まってきておりますので、ソ連と接しておるところがずっと東に寄っておりますので、その分だけ何となく従来とは違った、こう強迫観念みたいなものがあろうというのは容易に想像の付くところです。  したがいまして、その分だけ東側にということになりますので、昨年十二月の東アジアサミットのときにもロシアは参加を希望ということになっております。そういう意味で、アジア側に非常に関心を持つというのが多分今ロシアの対ヨーロッパ、対アジア、対中国の基本的な考え方だろうと思っております。  日ロ間においては、やっぱり今言われましたように、この北方四島の話をもって国境線が画定をしていないという点は非常に大きく引っ掛かっている問題であることははっきりしております。したがって、この問題もう長いことこれやってきておりますので、国境線というのはどの国でも、今ロシアの南西の方ではいずれもチェチェン始めいろいろ難しいところをロシアも抱えておりますので、今随分頭の痛そうな話を向こうもしておりますけれども、私どもにとりましては、この北方四島というのは、これは六十年にわたります長い話でありますけれども、ほかの国々にも同じように昔からの国境の問題を抱えている国というのはヨーロッパ側の方にも決してないわけじゃありませんので、そういった意味では根気よくやらねばいかぬところだとは思いますけれども。少なくとも双方、お互いに今のまんまがいいとは、プーチン、昨年の十一月の訪日のときも、どうしても自分のいる間に解決したいということを非常に強く言っておりますことは確かであります。したがって、どこかできっかけを見付けなきゃいかぬところだとは思います。  ただ、領土問題というのは、これなかなかどの国見ましても難しい問題だと思っておりますんで、二島だけにしろとか、いや、もうこの際どうしても全部とか、いろいろ間に立たれた方はこれまで苦労をしてこられたことは確かだということもよく知っておりますけれども、根気よく粘り強くやる以外に手がないと思っております。
  201. 高野博師

    ○高野博師君 日ロ行動計画の中で、北方領土問題については一九五六年の日ソ共同宣言、これはちょうど今から五十年前、もう今年は五十周年になるわけですが、この日ソ共同宣言と一九九三年の東京宣言、そして二〇〇一年のイルクーツク宣言、この三つの合意文書が基礎になるということを明記しているわけですね。  そこで、これは橋本元総理の時代に対ロ三原則と、これをうたったんでありますが、日ロの最大の問題点というのは相互の不信にあるんではないかと、信頼関係というのが余りないんではないかと、この点が。それをよく言われるんですが、橋本三原則で信頼と相互利益と長期的な視点という三つを打ち出したんですが、領土問題だけでなくて経済関係、経済協力、いろんな分野で相互の利益になるような関係を深めていこうと、こういうことだったんですが、そのときにも勝者も敗者もない解決を目指すんだというようなことも言っておりますが、この三原則に基づいて日ロ関係というのは今まで進んできたんでしょうか。
  202. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今言われましたように、一九九七年七月の橋本・エリツィンだったかな、会議のときにこれ決まったというように、プーチン、九七年にとにかく決まったんだと記憶いたしますけれども、信頼、それから長期的な視野というものと相互利益というのを三つを三原則にして、いわゆる通称橋本三原則というのが結ばれておりますが、それ以後今日までその原則というものは、やっぱり外交というものを考えますときにこの三つは基本原則に入り得るほど大事なものだと思っておりますので、私どもとしては、こういったものは、歴代内閣いずれもこの点に関しましては、信頼関係の醸成というのは、今回のプーチン・小泉会談の中、その前の森・プーチン会談、幾つかございましたけれども、いずれも相互信頼というものが、やっぱり冷戦構造が長く続いておりましたので、冷戦が終わって何となくソ連邦が分裂して十五の国に分かれ、そして今ロシアという国になって、プーチンという人と森喜朗、最初の関係はこれから始まりましたけれども、それ以後今日まで、お互い、少なくとも総理と大統領との間の関係というのは昔とは全く比較にならないほど話ができるようになったことだけは確かだと思っておりますが、いずれにいたしましても、一番上だけ良くてもほかが駄目では話になりませんので、そういった意味では、私どもとしては更に時間を掛けていくときにはやっぱり相互利益というのは大きな問題だと思っております。  私ども、この橋本演説というのは、たしか同友会か何かで、たしか経済同友会か何かのときに発表されたものが基になって、これ国会で言われたわけじゃなくて、その同友会で発表されたのが基になったということだと思いますけれども、この三つの点というのは、やっぱりそれ以後の歴代の方々も基本的には相互信頼の醸成とかいろいろやっぱり、ある程度利益にならないことは両方ともやりたくないからとか、いろんなことは考えられたとは思いますけれども、基本的にその三つを踏まえて対応してこられたと存じます。
  203. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、北方領土問題についてもう少し突っ込んでお伺いしたいと思いますが、去年の七月でしたか、知床が世界遺産に登録をされたので、私も環境省にいたんで現地を見てまいりました。知床の方から見ると国後島がこんなに近いものかというのにちょっと驚きまして、これが北方領土なのかと。  地元のいろんな町民の方等と懇談をしましたときに、向こう側からごみが流れてくるとか、トドは国境がないから向こうに行っちゃってとか、いろんな問題がありまして、自然遺産を本当に保護するにはロシアの協力がないとうまくいかないと。僕はその後、在京のロシュコフ大使にもその話をして協力をお願いしました。  北方領土というのは面積が約五千平方キロメートル、約五千平方キロメートル。人口は一万四千三百人。択捉にロシア人が約七千八百人住んでいると。この択捉に半分以上はもう住んでいるんです、ロシア人が。国後は四千四百人と。色丹に二千百人。歯舞は国境警備隊等が住んでいると。  こういう状況なんですが、この北方領土問題について、実際にはロシアが実効を支配しているわけです。日本が幾ら不法占拠だと言っていても、実効的に支配しているのはロシア。これを、この状態をいつまで続けるんだと。日本が四島は一括返還だとずっと原則的に主張しているのは、それはそれでいいんですが、そもそもこの領土問題というのは簡単に解決したためしがないわけです。  そこで、例えばイギリスとスペインというのは、一七〇二年からジブラルタルというスペインにある小さい町を争っているわけですね。もう三百年以上も領土問題を争っている。チャールズ皇太子が新婚旅行で寄ったというだけで大騒ぎになったわけです。こういう関係がありまして、お互いに主張を曲げない限りは絶対解決しない。あるいはアルゼンチン、昨日も話しましたが、アルゼンチンとイギリスはフォークランドの島をめぐってこれは戦争までやっているわけです。  こういう、もう世界じゅうで至る所領土問題というのはあるんですが、主権国家が併存するこの国際社会の中で、最も古くて最も難しい問題というのが領土問題だろうと思うんですが、それを何とか乗り越えられる知恵を出せないものかというふうに考えるんですね。  そこで、我が国は北方領土は固有の領土だと言っているんですが、固有の領土、これはどういう意味でしょうか。
  204. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 一般に、一度も他の国の領土となったことがない領土という意味で固有の領土という表現を用いております。北方領土も竹島もこのような領土であります。
  205. 高野博師

    ○高野博師君 ロシア側は北方領土を最初に発見したのは我々だと、こう言っているんです。太古からの領土だと、こういう言い方をしているんですが、歴史的にも国際法上的にも我々はこれは日本の領土だろうとずっと主張しておりますが、ヨーロッパでは国境線というのはしょっちゅう歴史的に見ると変わっているわけですから、どこが元々の国の領土だなんということを言ったってほとんど意味がない。戦争で勝った方が取っちゃう。返してほしいなら戦争をやって取り返すしかなかったわけです。そういう中で、固有の領土という言い方はなかなかヨーロッパでは通用しない言葉だと思うんですね。そこはきちんと踏まえる必要があると思うんです。ロシアが不法占有している、占拠していると、これも一貫して言っているんですが、国際法上違法だという、これも当然そうなんですが。  そういう中で、この返還交渉についての我が国の主張といいますか、あるいはこれまでの経緯も含めて、若干、我が国がやってきたことについて簡潔に御説明をいただきたいと思います。
  206. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今、これまで我が国がどのような主張を行ってきているかということで、今固有の領土ということを申し上げましたけれども、国際法上も明らかに固有の領土であるということは、もう国際法上は間違いないと存じます。  少なくとも私どもとしては、少なくともこれは不法占拠が続いて、しかも戦争が八月十五日に終わった後からの話なんだからということで、これまで日ロ間の諸合意、今まで幾つか文書が交わされておりますんで、日本の固有の領土であるという問題を解決して平和条約を締結をするということを言っておるんですが、一番の問題は四島と、あの北方四島というものは日本に帰属しているものだということだけ確認してくれと、確認をまずしてくれさえすれば、実際の返還の時期とかまた態様については、これはいろいろ考えようがあると。しかし、これは固有の領土であることは間違いないんじゃないかということを基本的に私どもとしてはずっと取っておるポジションというように御理解いただければと存じます。
  207. 高野博師

    ○高野博師君 正にその帰属が、返すということについてロシア側は、これを返すというのはこれはもうルーズだと、要するに敗北だというとらえ方を恐らくするだろうと思うんですね。したがって、そうは簡単に返せないと。  一九五六年の日ソ共同宣言では、これは両方の議会が批准していますから、これは法的拘束力を持つ国際約束だと、こういう位置付けができると思うんですが、平和条約締結後に色丹、歯舞の二島を引き渡すということは五六年の共同宣言で言っているわけですね。ということは、少なくとも二島は返す意思があるということはこれで確認できると思うんですが、一九九三年の東京宣言では、これは法的拘束力はないと思いますが、四島の帰属問題を解決することによって平和条約を早期に締結するよう交渉を継続すると、こういう言い方、この帰属を明確にしてから平和条約結びましょうと、こういうことになっていますが、その間に橋本当時の総理の川奈の会談があって、中身については明確にされておりませんが、明らかにされておりませんが、潜在的主権というようなやり取りで恐らく交渉したんだと思いますが、これもうまくいかなかった。  そして、二〇〇一年にイルクーツク声明を出して、これも法的拘束力はありませんが、共同宣言、東京宣言、両方を交渉の出発点とするということがうたわれたんですが、これ相互に受入れ可能な解決にすると、これを目的にすると、こういうことなんですが、正に相互に受入れ可能な解決方法と、これが一番難しいんですが、そこについてもっと詰める必要があるんではないかと思うんですが。  まず、中国とまずロシア、さっきちょっと触れましたが、ソ連時代から中ソの国境、東部国境というのはずっと争っていたと。そして、東部国境は四千三百キロ、そのうちの三千五百キロは河川の国境だと。アムール川、ウスリー川。しかし、一九六九年にダマンスキーというか、珍宝島で軍事衝突があって、これは正に両方とも核戦争の危機もあったと言われるぐらい緊迫したわけですが、その後、徐々に関係が少しずつ良くなり出して、そういう中でペレストロイカが進んでロシアになり、そういう中で中ソの東部の国境、これはやれるところから決めていきましょうと、こういうことになって、最終的に先ほど言いました二〇〇四年の十月十四日にプーチンと胡錦濤両首脳の間で最終決着がした。これはある意味で世界を驚かしたわけでありますが、このやり方についてはどういう認識をされていますか。
  208. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) ただいま委員指摘のとおり、中国とロシア間の国境問題に関しましては、一九六〇年代に中ソ間で武力衝突にまで発展したわけですけれども、一九八〇年代後半から河川の主要水路を国境として島の帰属を決めるという立場で交渉を再開したと、ダマンスキー島ですか、この交渉を再開しております。  その後、十五年余の交渉を経まして、二〇〇四年十月のプーチン大統領訪中の際に、中ロ間の国境の最終的な画定につき合意に至ったというふうに認識いたしております。しかしながら、具体的な国境画定の詳細は公表はされておりません。
  209. 高野博師

    ○高野博師君 このやり方はフィフティー・フィフティー方式を取ったと、こう言われていまして、中央アジアと中国も、これも同じように、いずれも必ずしも等分ではないんだが、フィフティー・フィフティーというやり方をしたと。それは法的な根拠はないんです。政治的な妥協と現実的な利益に基づいてこれは合意に達したということなんですね。それから、中国とベトナムも、この陸の国境の係争地は二百二十七平方キロ、ほぼこれは等分したんですが、トンキン湾は五三%がベトナム、四七%は中国と。これもフィフティー・フィフティーというやり方で解決、決着をしたと、こういう事実があります。  これはかなり重要なポイントではないかと思うんですが、国民の世論、これは両方の国民が納得しない限り領土問題というのは恐らく解決することは難しい。中国とかロシアあるいは中央アジア、ある程度秘密裏に交渉するということはできると思うんですが、日本の場合はもうほとんどそれができない、川奈会談でももうほぼ分かっていたというような状況がありますんで。したがって、国民にいろんなやり方、考え方を提示した上で、国民の支持を得ながらこれは交渉する必要があるんではないかと思うんですが、そこで日本の国民も現状維持のままでいいのかと。必ずしもそうは思っていない。特に地元の人はできるだけ早く返還してもらいたいというのがあるのと、それから四島返還というのは本当なのかと、本当にあり得るのかという、かなり疑問を持っている人も相当増えている。  そういう中で、これは一九九九年の世論調査ですが、国民の八〇%は日ロ平和条約は不可欠だと、しかし八二%の人はその阻害要因は領土問題だと、こういう調査結果も出ていますが、二〇〇〇年の場合には二島返還が三四%、四島返還が三二%、二島返還の方が少し増えている。こういうことで、一方で二六%の国民は日本は領土問題に固執すべきではないという意見も強くなりつつある。多くの日本人は日本とロシアのパートナーシップ、友好関係、これが領土問題よりも重要だという、そういう見方が増えていると、こういう現実があります。また一方で、ビザなし交流もかなり進んでいますので、相互の理解というのも相当進んでいる。ロシア人と共生することもできるという日本人も地元地域では増えていると、こういうことがあります。  そこで、去年の十一月、プーチン大統領が訪日したときに私は相当期待をしたんです、何か進展があるんではないかと。小泉さんが選挙で圧勝したので、これは国民を説得するような何かやれるかなと。プーチンも国内の権力も握っているしと。しかし、何ら進展はなかった。むしろイルクーツク声明よりも後退したという見方もあるぐらいであるということがありまして、先般、森総理が訪ロしたときにプーチン大統領は、両国に平和条約がないのは残念だと、両国にとって受入れ可能な、すべての問題の解決を見いだせることを期待していると、こういう言い方をしているんですね。正にこの両国にとって受入れ可能なやり方、解決方法というのはあるのかないのかということだと思うんです。  そこで、私は、ロシア側の考え方を、これは私の推測ですが、こういうことが言えるんじゃないかと思うんですね。歯舞、色丹の二島はもう返さざるを得ないということは、これ認識はあると。しかし、四島返還というのは、さっき言ったように、これは敗北を意味し、ロシア国民を説得するというのは難しい。しかし、今現在ロシアは景気はいいと。しかし、いずれにしても資源に依存した経済構造ですから、構造改革をやって安定的な経済成長ができるようにする必要があると。そのためには日本の技術と資本が必要だという考えはあるだろう、シベリアの開発も日本とやる、やりたいという希望はあるだろうと思います。  そこで、中ロの、ロシアと中国の戦略的パートナーシップはあるけれども、日ロの関係を改善して北東アジアの安定を図るというのは、ロシアの国益にとってもこれは意味があることだろう。日米同盟の一方の日本との関係を良くするということは、これもロシアにとってはプラスになるだろう。これはロシアがそう言っているわけじゃないんですが、私の考えではそうだろうと思います。  アメリカにとっても、日ロの平和的、安定的関係というのは、アジア太平洋の平和と安定にとって、そしてこれも米国の、アメリカの利益にかなうということだろうと思うんですね。そしてまた、対中国を考えたときにアメリカが、この日ロの良好な関係というのは非常に重要な意義を持つだろうと、六者協議もプラスに働くだろう、こういう、アメリカ側に立ってみればそういうことも言えるのかなと。  これは、こういう関係は特に反対する理由、勢力って大きくないんじゃないか。要するに、ロシア国民と日本国民を説得できる解決方法があるかどうかということだと思うんですね。そこで、領土問題は、お互いが勝利したと、ウイン・ウインだという解決方法でないとこれは絶対うまくいかないだろう。そういう意味では、二島か四島かという数字にこだわる必要があるのかどうかということなんですね。  これは、この北方領土問題を面積でもし半分こしたらどうなるかといいますと、歯舞、色丹、国後は、日本の三島は間違いなく返ってくるんです。択捉の四分の一まで行っちゃうんですね。択捉が物すごい大きいんです。しかも、あの大半はロシア人が住んでいるんです。必ずしもその四分の一までで国境を切るかどうかは別にしても、私は自分では三・二五と呼んでいるんですが、こういう解決の仕方はあり得ないのかどうか。  両方の国民がこれじゃ納得できないと言うのかどうか。今までの日本が主張した原則からいうと、とんでもないという話になるのかどうか。私は、必ずしも法的な解釈だけではうまくいかないんではないかということで、新しい発想で、新しいアプローチで現実的な判断と政治的な決断、そういう努力をする必要があるんではないか。  これはこれでやれと言っているんではないんですが、こういうアイデアもあると。新しい発想がこの打開につながらないかどうか。具体的にはどこで本当に切るかというのはいろいろあると思います。しかし、三・二五というのは私はかなり現実的なアイデアとして、考えとして取れないかなと。それはいろんな考えの人がいますが、とんでもないと、四島しか絶対許さないと言う国民もいるでしょう。そうでない人もいるでしょう。しかし、二島か四島かではどっちも満足させることできないということだと思うんですが、これについて大臣の御意見をお伺いいたします。
  210. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 少なくとも、日本にとりましてもロシアにとりましても、今の状況を永遠に続けるというのは双方の国益には沿わない、これだけははっきりしていると思います。先方もその点に関しては十分に認識をしていると思っております。  その上で、今ウイン・ウインの話でどうするかということとして、二対二じゃなくて三対一、だけど三・二五だという話は、今までこの世界で二十五、六年稼業としてやらしていただいていますけど、初めて聞いた説だったんで、頭が柔らかくてうらやましいなと、正直年の差を感じました。  昔、アラスカなんというところはアメリカがロシアから買ったものじゃないかと。考えたらバージニアだって、あれはオランダから、オランダ王室から買ったし、ミシシッピーだって、あれはフランスから買ったものじゃないかと。いったん、だからこの際買ったらどうだと今から二十年前ぐらいにしゃべって、右翼の街宣車にがんがんやられた記憶が今思い出しましたけれども、そういった話で、国境問題というのは、もう昔からこの種の話は一杯解決方法というのはあります。今言われた話というのは確かに一つの御説なんだと思うし、世論が変わってきているということも、私ども今の若い方の話聞いて特にそう思います。  もう一点、ただ、これ一九五六年のときに、二島でもいいじゃないかというのが世論の底流にあるんだったら、あの一九五六年のときにもう決着がしてなくちゃおかしいんだと思うんですね。しかし、おまえ、麻生、そう言うけれども、あれからおまえ、かれこれ四十年たったぜというのもまた御説として正しいと思いますんで、この種の話は今御意見として拝聴させていただきまして、大変いろいろ今まで考えたこともないアイデアだったんで、参考になりながら危うくうなずきそうになったんで、危ないなと思いながら拝聴をさせていただきましたけれども。  少なくともこれまでの、いろいろロシアと、こうした人の話を、アメリカ側からもイギリス側からもいろいろロシアと交渉した人の話によると、少なくとも向こうから新しい柔軟性のアイデアが出てきたことはないと。必ずこちらから考えて向こうに渡すということを言わない限りはなかなか解決には結び付かないんだという話を対ロ交渉をずっとやってきた人たちから聞いたことがありますんで、今の話を含めまして、この問題はすぐ決着付く話ではありませんし、我々の方もこれまでの経緯もありますんで、今後ともきちんとした整理をした上でもう一回考えなければならぬ問題だと思いますが、今の状況をこのままずっと突っ張っていくままでいいというふうには双方とも思っていないというところが救いなんだと思って対応させていただきたいと存じます。
  211. 高野博師

    ○高野博師君 是非、今の考え方も含めて、北方領土問題の解決に全力を尽くしてもらいたいなというふうに思っております。よろしくお願いします。  終わります。
  212. 中島眞人

    委員長中島眞人君) 他に御発言もないようですから、外務省及び防衛庁決算についての審査はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十七分散会