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国務大臣(
額賀福志郎君) 西銘
委員にお答えいたします。
今
委員は、今度の普天間の全面返還というものが最大の焦点であるというふうにおっしゃいました。私もそのとおりであるというふうに思っております。
もちろん、米軍再編の問題は基地の整理、統合、縮小だけではなくて、その背景には、
日本の安全保障、
地域の安定を図っていくために
日本の自衛隊の
改革と日米同盟をどういうふうに今後形作っていくかということの基本的な
考え方が流れていることは御承知のとおりであります。そういう中でこの普天間、沖縄の、米軍基地というものは、御存じのとおり圧倒的に沖縄に集中しておりますから、これを負担をどういうふうに軽減をしていくかということは最大の焦点でございました。その象徴的なものが普天間の返還であります。
これは、御承知のとおり、
平成八年に橋本・モンデール会談でこの普天間の全面返還を成し遂げようということでございました。その後、
平成十一年に閣議決定をし、
平成十四年に基本計画を作られた、そして十五年から具体的に沖縄でどういうふうに実現をしていこうかという話合いが行われました。
当初は、大田知事等の話合いの下では、これは撤去可能な基地を造ることが前提であるということで、辺野古沖に撤去可能の浮体工事という形で当初考えられたわけでございますけれ
ども、地元の強い要望がありましてこれを埋立て工事にいたしました。そしてまた、稲嶺知事の強い要請によりまして軍民共用化という形にもしたわけであります。
ところが、実際に工事を始めようとすると、
環境の問題とか様々の反対が強く沖縄県、いや全国的に波及をいたしまして、なかなか工事が進捗することがありませんでした。結果的にはボーリング
調査もできなかった。
で、私は、後でこのボーリング
調査がなぜできなかったのかということをよくビデオ等々で調べてみましたところ、反対陣営は船で妨害活動をするわけでありますけれ
ども、当時、海上保安庁の船がこれを排除するために行動を起こすわけでございますが、反対派の船は、追い詰められていくと今度は海に飛び込んでまいります。そして、海上保安庁の船とか、あるいはまた
調査のためのやぐらに上り込んで抵抗を試みます。海の中に飛び込まれますと、海上保安庁の船のスクリューに巻き込まれてこれは死者を起こしかねないという
状況になります。そうすると、海上保安庁の船はエンジンを止めます。エンジンを止めると、これは反対派の行動を封じることはできません。そういう流れの中で実際にボーリング
調査もできなかったというのが実態であろうというふうに思っております。そのために十年近く時間がたってしまったわけでございます。
その間、一昨年、普天間でヘリが墜落をいたしました。私も即座に、当時、自由民主党の政調会長時代でありましたけれ
ども、現場に行きました。正に市街地のど真ん中におっこちれば大惨事になりかねない
状況でありました。ラムズフェルド
長官も、こんなとこで訓練をしていたのかと、これは一日も早くこれを撤去しなければならないという
発言をしたことは、私は政治家であるならばだれでもそう考えたに違いないというふうに思います。
そこで、我々は、沖縄県民の悲願であるこの普天間基地を全面返還させていくためにはどうしたらいいのかということを考えて考えて、党内でも
議論し、いろいろと考えた結果、普天間の機能をほかに分散することによって一日も早く普天間の全面返還を達成することが知恵というものではないかということを考えまして、普天間の機能は、これは西銘先生御存じのとおり、
一つはヘリの訓練の機能があります。そのヘリに油を供給するもう
一つの、KC130という油を供給する機能があります。もう
一つは、有事のときにあの滑走路を使えるという三つの機能があるわけであります。その三つの機能をどういうふうにじゃ分散をしていくのかということを考えたわけであります。
一つは、まあどうしてもアメリカの海兵隊は、海兵隊の実動部隊が沖縄にいるわけでありますから、その直接的な訓練のヘリポートだけは沖縄に置かせてくれということでございます。そこで、あとの給油機のKC130は本土に移転しようと。もう
一つは、有事の際の滑走路も本土で機能を賄うようにしましょうということで、三つのうちの機能は本土に持っていって、そして直接的な訓練のヘリポートだけを沖縄に造ろうということでいろいろ考えた結果、キャンプ・シュワブの陸上案と、まあ沿岸案と言いますけれ
ども、海を埋め立てたり桟橋を造ったりした形で、
環境に気を配りながら、ここでヘリポート基地を造っていこうということに日米の間で合意をしたということでございます。
私は、このキャンプ・シュワブ案とそれから従来の辺野古案ですね、要するに辺野古沖合案のその違いというか、メリット、デメリットと言いましたけれ
ども、
一つは、やっぱり従来の辺野古沖案は相当サンゴ礁をつぶします。それから、沖合二・数キロメートルでありますから、深さが四十メーターぐらいのところを埋め立てていきますから、膨大な工事費が掛かります。太平洋の荒波が直接的に押し寄せてきますから、防波堤を造っていかなければなりません。膨大な工事費が掛かります。と同時に、もう
一つは、今言ったように反対派の行動が起これば、なかなか工事が進捗をしないということ等の問題がありました。
それから、このキャンプ・シュワブ案の良い点というものはどういうことかというと、辺野古沖合案の場合は新しい基地を沖合に造るということになりますけれ
ども、キャンプ・シュワブ案の場合は従来の米軍基地の中にほとんど利用した形で新しいヘリポートを造るわけでございますから、新しい基地を造るという形にはならないということ。それからまた、陸上案、従来の基地の中の陸上を生かして造られることでございますから、当然工事がしやすいということ、それから米軍の理解を得ることが、取りやすいということ等があるわけであります。
若干、藻場をつぶすのではないかという心配がありましたけれ
ども、藻場は、従来、まあ言ってみれば、アメリカが主張しておりますような縮小案でありますと三十ヘクタール以上つぶしますけれ
ども、我々が考えているキャンプ・シュワブ案の沿岸案はわずか十ヘクタールぐらいの影響で済ますことができる等々のメリットがあると同時に、工事費が安く済む、あるいは短期間で工事ができる。従来の辺野古沖案ですと、今から
環境調査をやって三年から四年掛かる。更に工事が十年近く掛かる。十数年掛かってもできるかできないか分からないということでありますけれ
ども、キャンプ・シュワブの沿岸案であれば、これはもう数年で完成ができる可能性がある。
これは、もちろん名護市民始め県民の
皆さん方の御理解を得ることが前提でありますけれ
ども、そういうまあメリット、デメリットがきちっとなっているということでございますので、これは名護市民の
皆さん方の理解を得る形で、是非その方向で今後も
説明をしていきたい。そして、三月中に日米の間で最終的な合意をつくるために、今、急速度で、スピードを上げて最後の調整を行っていることでありますから、我々はしっかりとこの経過について、あるいはまた実際にまとまったことについて、今、あらゆるレベルで名護市民の
皆さんや県民の
皆さん方に誠意を持って
説明をさしていただいているところであります。