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2006-06-08 第164回国会 参議院 経済産業委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年六月八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  六月六日     辞任         補欠選任      藤末 健三君     峰崎 直樹君  六月七日     辞任         補欠選任      峰崎 直樹君     藤末 健三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         加納 時男君     理 事                北川イッセイ君                 佐藤 昭郎君                 松山 政司君                 若林 秀樹君                 渡辺 秀央君     委 員                 魚住 汎英君                 倉田 寛之君                 小林  温君                 林  芳正君                 保坂 三蔵君                 松村 祥史君                 岩本  司君                 小林 正夫君                 直嶋 正行君                 藤末 健三君                 山根 隆治君                 浜田 昌良君                 松 あきら君                 田  英夫君                 鈴木 陽悦君    国務大臣        経済産業大臣   二階 俊博君    副大臣        経済産業大臣  松 あきら君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       小林  温君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    政府参考人        金融庁総務企画        局参事官     山崎 穰一君        厚生労働省職業        安定局次長    高橋  満君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君        中小企業庁長官  望月 晴文君        中小企業庁経営        支援部長     古賀 茂明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 加納時男

    委員長加納時男君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会金融庁総務企画局参事官山崎穰一君、厚生労働省職業安定局次長高橋満君、厚生労働省社会援護局長中村秀一君、中小企業庁長官望月晴文君及び中小企業庁経営支援部長古賀茂明君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加納時男

    委員長加納時男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 加納時男

    委員長加納時男君) 中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 自由民主党の北川イッセイでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  今回、改正案が提案されております中小企業等協同組合法、この法律の最もその基本的な精神というのは、これは相互扶助精神だと、こういうように思います。  実は、私はこの法令を基本法とする信用協同組合に勤務しておったことがあるんです。大阪でございます。大阪一円を営業範囲とする信用組合でございました。その信用組合のできたところは、先般、二階大臣タウンミーティングで来ていただきました東大阪が発祥の地でございました。もう三十年以上も前のことですけれども、当時は、その役員あるいは職員の人たち中小零細企業のために何とか働きたいと、こういうことで大変気概を持っておったように思うんですね。組合員同士もその信用組合を媒体にして横のつながりも非常にあったというように思っています。しかし、その後、金融ビッグバンがありまして、膨脹、拡大志向に走ったと。大きいことはいいことだというふうな形の金融機関になっていったと、こういうことでございます。  要は、組合員意識が大変薄くなってしまったと。今もう、弱い立場の中小企業の同業者がお互いに助け合っていこうと、こういうような気風が何か薄れてしまっておるんじゃないかなというふうな思いがするわけです。人のつながりよりもむしろお金つながりオンリーになってしまったのではないかなというような思いがしております。  本来、組合員相互のこのつながり、地域の連携とか、そういうような、同業の連携とか、そういうようなものを大切にするということでなければならないと、こういうふうに思うんですが、私が経験したのはそういう信用協同組合ですけれども、こういうような状況というのは事業協同組合においても同じような、大なり小なり同じような傾向にあるんじゃないかなというような思いがしています。現状相互扶助というその意識というのがどこまで浸透しているのか、私自身はちょっと疑問に思うところがあるわけです。  経済産業省としては、基本的な考え方として、それでもなおかつ、現状中小企業零細企業の苦しさを思うと、そういう相互扶助精神というものはなかなか捨て難いと、こういうように思っておられるというように思うんですが、そういう相互扶助基本精神とする中小企業等協同組合法に対する今までの評価、また、現在、現状における評価について大臣の所見をまずお伺いしておきたいと思います。
  6. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 北川議員が信組で御活躍をいただいたということは私も承知をいたしておりますが、今お尋ねのような相互扶助精神ということは、いつの時代においても、特に中小企業施策を推進していく上には極めて重要なことだと認識をいたしております。  中小企業者相互扶助精神に基づいて協同して事業を行うことで、その自主的な経済活動の促進と経済的地位の向上を図るということを目的に、中小企業協同組合法は、御承知のとおり昭和二十四年に制定された法律であります。中小企業者がその競争力強化する、互いに助け合う、経営資源技術力等を補い合うというものでありますが、先ほどから御議論のありました相互扶助精神ということは極めて重要なことであると認識をいたしております。  最近は、異業種の中小企業者が大規模組合設立するなど、法制定時にはとても想定していなかったような事態が次々に発生しております。このため、自治運営が機能しにくくなり、破綻事例も発生しておることは残念なことであります。今回の法改正は、こうした実態に対応し、相互扶助に基づく自治運営が正しく機能するために行うものであり、極めて重要な改正であると認識をいたしております。  しかし、法律法律として重要でありますが、今、議員指摘相互扶助精神をどう涵養していくかというふうなことについても、私どもとしても十分配慮してまいらなくてはならないと思っております。
  7. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 まず、今、共済事業を行っているところが大変問題になっておるわけですが、この共済事業の過去の経緯、それから問題点というような観点でまず質問を進めていきたいと、こういうふうに思います。  我が国の企業は、随分たくさんあるんですけれども、御承知のとおりその九九・七%が中小企業であると、こう言われておるわけです。その会社の数、約四百七十万社あると、こう言われております。そのうち、この協同組合組織率というのは幾らぐらい、どれぐらいになっているんですかね。
  8. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 中小企業者であって中小企業組合に加入している者の割合というのは約六六・三%、三百十万強というふうに推計をいたしております。この数字は、実は、火災共済協同組合だとか信用協同組合商工組合など、事業協同組合等組合員と重複することが想定されている組合員を除いて算出をしたものでございまして、推計上六六・三%になっておりますが、ただ、相当程度実態を反映したものでございまして、規模的にはそう間違いはない、六六・三%に近い数字であろうかというふうに思っているところでございます。
  9. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 今の説明のとおり、約三百万社が事業協同組合その他のそういう組織をつくっておられると、こういうことでございます。大変その影響力というか波及力というか、そういうものも非常に大きいということが予想できると思うんです。  このうち、共済事業を扱っている組合はどれぐらいあるんですか。
  10. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 実は、共済事業を非常に小規模でやっているような場合には、ほかの事業協同組合共同事業の一部としてカウントされているもので、なかなか実態が把握しにくいものでございますけれども保険代理店として行っているものを除きました、元請として共済事業を行っている組合は約六百組合程度存在するのではないかというふうに思っております。  先ほどの、全体の組合の四万数千と、あるいは事業協同組合の三万八千ぐらいの数字に比べれば、六百組合というぐらいの程度のものというふうに思っております。
  11. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 その六百社ですね、共済組合をやっている六百社、これの法律的な根拠というのは、当然、中小企業等協同組合法だと思うんですが、それは、中小企業等協同組合法のどの部分を適用してこの共済事業が行われておるのか、教えてください。
  12. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 中小企業協同組合における共済事業というものは、現行法で申し上げれば、九条の二の第一項第三号で規定しております福利厚生事業の一環として行われてきたものでございます。
  13. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 今御説明の九条の二ですね、福利厚生事業ということなんですが、この条文を見てみますと「組合員福利厚生に関する施設」という、そういうことになっているわけですね。この施設というのを、今まで、共済事業ということで読み替えてやっていたんじゃないかなというような思いがするわけです。この施設というのも、共済事業と読めるということなんかもしれませんけれども。ちょっとこの解釈が、普通に、まともに読んで解釈すれば、組合員福利厚生に関する施設ということですから、施設事業はこれ違うんですね。  今度の改正でこれ、事業に変えると、こういうことになっておりますけれども、どうも今までの扱いが、中小企業等協同組合法に基づく共済事業扱いが非常にあいまいじゃなかったのかなと、こういうような思いがしています。この議論は、今度、これ、事業ということに法改正されますので、それはそれでいいということなんですが、今までの共済事業の取り扱っておったのがどうも分かりにくいというか、そういうような状況になっておったと。  これは、その経過を見てみますと、火災共済があるんですね。火災共済のところに、火災共済だけは別に規定があるわけですね。そのほかの共済交通傷害共済とか傷病の保障共済とか、こういうようなものも火災共済と同じようにできるようにしようじゃないかと、こういう法改正をしようとしたらしいですね。しかし、それができなかったということで、しかし現実にはこういう共済事業が若干進みつつあったと。こういうようなことで、これを中小企業庁長官通達ということで、取扱いのいろんな注意事項とか詳細とか、そういうようなものを都道府県知事に示達をしたと、こういうような形になっておるんですね。通商産業局長都道府県知事あて中小企業庁長官通達という形で出しておると。こういうことで、私は、この共済事業を行うについては法的な根拠が非常にあいまいじゃなかったのかなというような、そんな思いがしているわけです。  そういうようなことですから、今度の法改正については、これはもうきっちりとやっぱりやっていただかないと、そのあいまいなままでやっているからいろんな事故が起こるんじゃないかなというような思いがしております。  それで、今度の改正で、特に特定共済組合について非常に厳しい改正があるわけですけれども、今おっしゃった六百社のうちでこの特定共済組合というのは幾つぐらいあるんですか。
  14. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) 特定共済組合に該当すると想定される組合の数でございますけれども、これも厳密に正確な数字というところまではいきませんけれども、おおむね百程度組合が存在するのではないかというふうに推計しております。
  15. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 特定共済組合については組合員千人以上と、こういう概念があるようなんですが、先ほど大臣の方からも共済組合のいろんな事故が出てきたというお話がございました。  これ、平成十四年の五月二十八日の日経新聞なんですが、四日市商工共済協同組合、それから四日市商工貯蓄共済組合破綻ということが新聞に出ているわけですね。これが今回の改正の大きな要因というかきっかけになったんじゃないかなというようにも思うわけですけれども、この四日市商工共済協同組合四日市商工貯蓄共済組合特定共済組合に入っているんですか。
  16. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) 四日市商工共済協同組合というものの方は、これは中小企業等協同組合法に基づいて設立された中小企業組合でございます。  この組合では、組合員に対する事業資金の貸付けや、そのための借入れというようなことが実施されておりましたけれども、今回、特定共済組合というのは、共済事業として定義されておりますいわゆる保険事業を行うものが特定共済組合ということになりますので、その保険事業自体はこの四日市商工共済協同組合の方は行っていなかったということでございますので、もし仮にこれが、こういうものが存在するという場合でも、今回の改正で定義される特定共済組合というものには該当しないということになります。  他方で、非常に名前が似ていて紛らわしいんですけれども四日市商工貯蓄共済組合という、今委員から御指摘のありましたこちらの方の組合は、中小企業等協同組合法に基づく組合ではございませんで、民法上の任意組合でございました。こちらの方で実は生命共済事業、いわゆる生命保険的な事業を実施をしていたものでございます。  したがって、その実施していた事業自体は、今回の改正で定義されますいわゆる共済事業というものを行っていたということにはなりますけれども、これは事業協同組合ではございませんので、もし仮に今これと全く同じようなものがあった場合には、今度の組合法特定共済組合というものには該当しないということになります。ただ、昨年の通常国会改正されて今施行されました保険業法の方では対象になってくるということだろうと思います。  そういうことではございますが、もし仮に、じゃ今度は保険業法の適用を逃れるために協同組合の方にその共済事業を持ってこようというようなことをもし仮にやれば、今度はそれはこちらの組合法特定共済規制が掛かるというような形になるかと思います。
  17. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 もう今御説明のとおり非常にややこしいんですね。この四日市商工共済協同組合中小企業等協同組合法に基づく組合であると、それで共済という名前付いているけれども共済事業はやっていないと。四日市商工貯蓄共済組合は、これは民法に基づく組合であって、これは共済事業をやっているけれども中小企業等協同組合法規制には掛からないと、こういうことなんですね。非常にややこしいんです。  この法律根拠の違う二つの組合が同じ事務所を使っているんですね。また、役員の構成も同じなんですね。これが、それは一般の人が見たら、これ分からないですよ、その区別が。名前も、これよく似てる名前やし、事務所一緒やし、こんなの絶対分からないです。ですから、先ほど申し上げたこの設立法の、中小企業等協同組合法の、この設立の、これが非常にあいまいな形でなってるからこんなことになるんじゃないかなというような思いもしておるわけです。  一つ、私はこれちょっと問題提起しておきたいのは、四日市商工共済協同組合というのは共済事業をやっていません。で、貸付け事業をやっておるんです、組合員に対するね。信用協同組合みたいなことをやっておるんですよね。それは、貸付け事業もできるということでこの事業の中に入っていますからいいんですけれども、それをするための借入れということ、これもこの事業の中に入っています。入っていますけれども、これは私は、商工中金なんかを対象とした借入れということではないのかなというように私は思っています。  ですから、これを、この四日市商工共済協同組合というのは一般組合員からその資金借入れしているんです、借入れをね。これ無制限にもうどんどん借入れして、それを貸しているんです。それで事故起こったわけですよね。これはどうも、貸付けをした人というのは、片一方で四日市商工貯蓄共済組合というのが同じところに看板上がっているわけですから、これは恐らく貸付けじゃなしに預金貯金という感覚で出しておるんじゃないかなというような思いがします。ですから、これはもう非常に紛らわしい。こういうことを許しておった、そういうところに非常に大きな問題があるんじゃないかなと、私はそういうように思っています。  これは、貯金とか出資金とかいう形でお金を集めたら、これは完全に違法なんです。違法なんです。それを貸付金という形で集めているわけです。これは私は脱法行為であったと、こういうように思います。もう今はこれつぶれてしもうてないですから、まあ脱法行為をやっておったんじゃないかなというような思いがしているわけですね。  私は、この法改正の中で、貸付けができる、借入れができる、この法改正を、新たに今度変える場合にもこれは変わっていません、同じようになっていますから。私はむしろ、この借入れをする事業というのは、これは一遍考える必要があるんじゃないかなというような思いがしています。借入れは、これは商工中金なら商工中金とか、そういうような、法人なら法人とか、何かそういう規制が必要なんじゃないかな。一般個人から借入れどんどん集められると、これはまたこれ間違いが起こって、貯金感覚で、預金感覚一般の方がそこへ預けられるというようなことになるんじゃないかなというような思いがしてならないんですね。  これ、今まで四日市のこの問題、これなんかの指導監督というのは一体今までどこでやっておったんですか。
  18. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 非常に名前が紛らわしいんで話が混線をするんでございますけれども、実は四日市貯蓄共済組合の方は、当時いろいろ問題になったいわゆる無認可共済でございます。そして、民法上の組合でやっていたわけです。これが非常に問題だということで、実態、やっていることは掛金を集めて保険業務まがいのことをやっているわけでございますので、これを規制するということで金融庁保険業法改正をして保険業法対象にしたわけでございまして、それはそれなりに無認可共済のある意味じゃ退治ということでは良かったわけでございます。  それから、名前一緒で恐縮ですけれども事業協同組合の方でやっていた組合員からの借入れ組合員の中で貸付けをしているという事業自身は、組合金銭消費貸借契約に基づいてやっているわけでございます。中小企業組合による組合員借入れ及び貸付け事業というのは、従来、小規模組合において組合員間の資金の融通をするために行われてきたもので、まあ昔の無尽の延長線上みたいなところにあるわけでございまして、これは、組合自治運営の中で一定規模で行われている限りにおいては、自律的な運営がなされて目が届くということであれば、その組合のある意味じゃ本来業務みたいなところにあるわけでございます。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、本来想定していた組合が非常に大規模なものが出てきてこういうことが起こったり、あるいは組合のその管理上、先ほど先生がおっしゃいましたような脱法的な、貯蓄組合と同じように一体でやっているような脱法的なことが起こってきたということになってきたわけでございますので、むしろこういう組合についての、事業協同組合についても、いわゆるガバナンスの強化運営規律強化ということをしないと組合の本来業務であるところまで崩れてしまうということで今般改正お願いをしているわけでございまして、したがって、例えば監事に、従来は会計監査しかやらなくてよかったものを、業務監査権を付与してきちっとそれを監督する、しかも員外の監事ども義務付けると、一定の場合にはですね、そういうことで運営規律強化ということを図ることによって、組合相互扶助でやっているその本来業務であるところが崩れないようにしなければいけないという新しい問題が出てきたので今般改正お願いをしてきたということで、金融庁無認可共済規制と私ども事業共済組合規制と両々相まってこのような問題が回避されるというふうに考えているわけでございます。
  19. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 ちょっと今質問をした、これ今までどこが指導監督しておったのかという。
  20. 加納時男

    委員長加納時男君) 今の質問に答えてください。
  21. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) したがいまして、四日市商工共済協同組合事業協同組合の方は、これは組合法に基づいて、認可した都道府県がその監督官庁になります。それから、貯蓄共済組合の方は民法法人でございまして、そういう意味ではこの組合自身監督官庁というものは、まあそういう意味では存在をしないということでございます。
  22. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 貯蓄協同組合ですか、これの方は監督するところがないという、これもしかし、ちょっと、これからは保険業に引っ掛かるから、それでやっていけると、こういうことなんですね、はい。  私は、出資金、それから貯金、そういうものと紛らわしい形で資金を集めるというようなことができないように、これは規制すべきやというように思いますので、一つ問題提起をしておきたいと、こういうように思いますので、よろしくお願いします。  それでは次に、今回の改正案についてお尋ねをしたいというふうに思います。  今度、共済事業を実施する組合に対して、共済以外の事業とのその区分の経理をしなさい、あるいは事業方法書提出認可、提出して、それを認可を受けなさい、それから責任準備金規定を設ける、あるいはまた余裕金の運用の制限、それから外部監査導入と、こういうようなことが今度の改正で盛り込まれています。財務の健全性を保っていくという上では、これらの基準の導入というのは、私は当然のことで大賛成なんです。もうしっかりやってもらわないかぬと、こういうように思っています。  ちょっとその中で私、疑問に思っているのは、特定共済組合組合員が一千人以上、まあ大規模共済組合と、こういうことなんですが、これは原則兼業禁止であると、兼業してはいけないと、こういうことなんですね。で、元々事業協同組合というのは、例えば共同仕入れをしたり、あるいは共同でいろんな研究開発をしたりというようなことが本来の目的だと思うんです。それが、共済事業を取り扱っている場合にはその兼業をしてはいけませんよということになってしまったら、そういう前向きのいろんな事業がなかなかできないようになってしまうんじゃないかなという懸念を持っていますが、その点はいかがなんですか。
  23. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) 御指摘のとおり、今回の改正によりまして、事業協同組合の中で大規模共済事業を行うと、具体的には、千人を超えるような規模で行うという場合には兼業を原則禁止するという内容の改正お願いをしているところでございます。  今、現状といたしましては、そういう大きな組合共済以外の本業を本格的に行っているというような組合は現実にはほとんどございません。これは、やっぱり大きくやるということになれば、それなりの組織、体制も必要になりますし、始めるときに、元々じゃ共済をやろうということで共済のための組合をつくってきたところが大部分だというところからきているものだと思います。  そして、したがいまして、兼業原則禁止ということではありますけれども、その中で兼業を認めるということも考えておりまして、例えばガソリンスタンドの組合などが共同で窓ふきをするタオルを購入するというような事業をやっているところがあります。これは規模としてはかなり大きな事業になるわけですけれども、こういったものは注文を受けて入金をしてもらって、その上でそのタオルを購入して配付するというような形で行っておる事業がありますけれども、こういうものであればリスクはほとんどないということでございますから、そういった内容をちゃんとチェックをした上で、差し支えないものは引き続きやっていただくということにしております。  仮に何か本業として大きなものがあるというような場合も、急に兼業をあしたからやめてくださいということだとなかなか対応も大変だと思われますので、この改正の中では、五年間の猶予期間を置いて、それなりに準備をする時間を取るようにするというようなことで、過度な負担にならないようにということを配慮させていただいております。
  24. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 今の説明なんですが、どれぐらいあるかちょっと知りませんけれども、若干兼業しているところがあると、こういうことなんですが、恐らくそういうところというのは、先に本来の、本来というか、いろんな、共同でいろんな事業をやっていこうという、そういうものがあって、そこへ先ほど議論になっています福利厚生事業の一環として共済が乗ってきたということじゃないかなと思うんですよね。  本来の事業がこれ、禁止するということが法律上いいのかどうかというのはちょっと私も疑問に思うとるんですけれども、大部分が共済目的につくった組合だと、こういうことですから、むしろそういう組合のつくり方をしなさいと、こういうことだと思うんですけれども。  これ、せっかくそれぞれの中小企業事業発展のために共同事業でやろうということで前向きにやっておられるものを兼業禁止だといって全部なくしてしまうということも、これも非常にもったいないというか、将来のことを考えますと非常に惜しいなというような思いもするわけで、先ほどそういう暫定期間とかいろんなお話もございましたが、そこらのところをうまく考えていただいて、例えば事業組合を別につくるとか何か、いうような方法もあると思いますが、そういうところの指導とか方針とかいうものもしっかり出しておいてやる必要があるんじゃないかなと。もうこれ禁止だからこれ五年たったら駄目ですよと、こういうことじゃなしに、どうしてやっていったらいいのかということをちゃんと指導してやる必要もあるんじゃないかなというような思いがしています。  それから、特定共済組合の認定ということについてでありますけれども、これは組合員一千人以上ということになっていますね。しかし、これは本来、保険の契約期間とか契約金額とか、こういうようなものについて考慮しなくていいのか、むしろ契約金額が大きいということの方がリスクが大きいというように思うんです。千人以下の共済組合であっても非常に契約金額が大きいというところもこれ出てくる可能性があると思いますので、そこらの点はどう考えておられるのか、お答えいただけますか。
  25. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 正に先生がおっしゃるとおりであるというふうに思っております。組合員の数が多数になりますと、組合員共済事業運営者としての意識が薄くなるというふうに先ほども先生もおっしゃられましたけど、そのとおりでございまして、自治運営機能がしにくくなるという傾向があるわけでございます。  このために今般の改正では、組合員数が千人を超えるか否かということを基準にいたしまして、基準を超えるものを特定共済組合として規制を上乗せをいたしました。けれども、先生がおっしゃいましたように、人数が少なくて特定共済組合に該当しなくても負債が一定規模を超える組合については、会計監査人による外部監査、これを義務付けております。また、同じく、特定共済組合に該当しなくても、共済期間が長期の共済を扱う、こういう組合につきましても共済計理人の選任、関与を義務付けております。これは保険のプロですけれども、民間の資格でございますけれども、かなり権威が高いプロでありまして、農協法とか保険業法にもこうした人たちが入っております。こうした人たちにもきちんと関与を義務付けております。組合員数とは別の指標によるこうした規制導入をしているわけでございます。  したがいまして、今般の改正におきましては、御指摘のような考え方も踏まえたものというふうに考えております。
  26. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 組合員数千人以上ということで、これでそういう規制をして、そしてあとの契約金額、リスクの面については別の方法でチェックしていくと、こういうことでございます。よろしくお願いします。  それでは次に、この中小企業組合事業組合に対する検査、指導ですね、この体制は実情どうなっているのか、教えていただけますか。
  27. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 中小企業組合における共済事業、先生先ほど来御指摘いただいておりますように、組合員から掛金を預かってこれを運用して、事故が発生したときに共済金を支払うと、そういう仕組みでございますので、その健全性が確保されなかった場合に組合員に与える影響というのは非常に大きな事業であるというふうに思っております。したがって、こういう共済事業を行う組合事業健全性を確保するというのは非常に大切なので、適切なその検査、指導を行うということが基本だろうと思っております。  今回の改正によりまして、共済事業を行う組合に対して行政庁が、組合員その他の共済契約者の保護の必要があると認めるときは随時、検査及び報告徴収を行うことができるとするような改正を盛り込んでおりまして、行政庁の指導監督権限というのもそういう面では強化されているわけでございます。  また、経済産業省といたしましても、共済事業を行う組合に対して改正法に基づいた適切な指導あるいは監督を行うというのも非常に大事なことでございますので、まずは組合を所管し監督する各都道府県や、あるいは法律上、会員組合に対して指導を行うよう規定されております中小企業団体中央会、これも義務があるわけでございますけれども、こういった方々に対して共済のガイドラインや運用マニュアルなどを提供して、より組合に近い現場での指導監督強化ということにも努めていかなければいけないというふうに考えているわけでございます。
  28. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 今、指導監督について、その体制について御説明いただいたんですが、これはあくまでも自己ガバナンスということを生かしていかないかぬと、こういう、片一方でそういう趣旨があると思うんですね。ですから、あんまり規制、監督厳しくして、自己運営が非常にやりにくいということでも困るわけでしょう。ですから、そこらのところを勘案しますと、私はやはり、この事業協同組合共済を扱っているこういう組合というのは、内部検査というか内部監査というか、これをもう絶対充実する必要があると思うんですね。そこらのところを是非とも考慮をしていただきたい。幾ら、もう組合の大小にかかわらず、内部監査というものはきっちりやってくださいよと。それをチェックするのはむしろ、先ほどおっしゃった連合会とか中央会とか、そういう組織でそういうチェック、やっておるかどうかのチェックをできないのかなと。そういう仕組みをつくったらどうなんかなというような思いがしていますので、これも一つ問題提起をしておきたいなと、こういうふうに思います。よろしくお願いします。  次に、今まで非常にネガティブな話が多かったんですけれども、今回のこの改正によって、もっと前向きに、この法律をもっと前向きにどんどん使って、そして中小零細企業が自主的にいろんなことがやっていけるというようなことを経済産業省としても考えておられると思うんですが、そこらのところの期待というか、そういうものについて御説明いただけますか。
  29. 小林温

    大臣政務官小林温君) 今まで北川委員よりいろいろ御質問いただきましたように、法律の制定以降、相互扶助精神の下、この中小企業組合中小企業者事業活動を強力に後押しをしてまいりました。これまでは、これは、御地元の東大阪中小企業の町でございますので、主として同業種の中小企業者が集まり、そして共同購入、共同生産、共同販売等の事業を実施する組合がほとんどを占めてまいりました。しかし、近年は異業種を含めて中小企業者連携し、創業あるいは新事業の展開を行う、こういう事例が増加をしております。こうした利用は、やる気と能力のある中小企業の育成、発展という現在の中小企業政策の基本理念にも合致するものであるというふうに考えておりまして、今般の法改正により組合制度の信頼性を向上させるということを目的ともしておりますので、中小企業組合中小企業者による創業あるいは新事業展開など多方面で更に一層活用される、こういうことを期待をしている次第でございます。
  30. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 是非ともひとつよろしくお願いします。  最後に、この中小企業等協同組合法についての今後の考え方ということでお尋ねしたいんですが、先ほど来お話ししておりますように、またお答えをいただいておりますように、この精神というのは、その普遍の精神として相互扶助ということがあるわけです。今後も中小企業政策を進めていく上でその精神を生かしていくのかどうかと、こういうことなんですけれども、冒頭、大臣の方から、これは非常に大事な精神であると、これからの中小企業のためにも、是非とも相互扶助と、助け合ってやっていくということが非常に大事だというような御答弁もいただきました。  地域の連携とか、あるいは同業者の連携、あるいは先ほど来お話ございました異業種のそういう連携ですね、いろんな多様なケースがあると思いますが、要は、非常に資金力の弱い中小零細企業が大企業に立ち向かっていくためにはそういう共同体をつくって対応しなければならないということであると、こういうふうに思うんです。しかし、ちょっと先ほど来お話し、四日市の例にも申し上げました。そういうことを見てみますと、この基本法である中小企業等協同組合法が果たしてそういうニーズに対応できるのかどうかという問題があると思うんです。  昨今、国会の開会の都度、中小企業対策が確立されて、組合設立についても、会社法、それから有限責任事業組合法、商店街振興組合法中小企業団体の組織に関する法律など、この組合設立するについても非常にいろんな法律があって多岐にわたっていると、こういうことなんです。さらにその上、保険法ですとかあるいは金融に関する法律、こういうものとも密接に関係していると、こういうことであります。  中小企業等協同組合法自体が、昭和二十四年に制定されて半世紀を経過したと。それが幾度となく改正を重ねておる。その改正も、問題が起きたときに直していくという微調整のそういう改正であります。既にこの法律自体がもう制度疲労を起こしているというようなことも言われる一面もあるわけです。  今回の改正案については、私は、こういう共済組合のいろんな問題があって非常に緊急性があると、こういうことで、そういう観点から是非とも必要だ、是としたいと、こういうふうに思いますけれども、将来の課題として、中小企業者相互扶助の在り方というようなそういう原点に立ち返って、根本的にこの中小企業等協同組合法を見直す必要があるんじゃないかなというような思いがしてならないんです。その点について大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  31. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 中小企業組合制度は、御承知のとおり、同業種の事業者による共同生産等から異業種連携による新事業展開など、様々な場面で中小企業者に活用されてきた制度であり、その都度、時代の変遷とともに発展をしてきておるわけでありますが、ただいま御指摘のように、有限責任事業組合あるいは合同会社の創設など、連携して事業を行うための組織が大変多様化しておることも事実であります。したがいまして、大企業中小企業、学者など多様な方々が営利目的で柔軟に事業を行うための組織であって、時代の要請に対応した制度であると認識をいたしております。  しかし一方、ただいま議員指摘のような大企業中小企業の視点、同時に、中小企業は御指摘にもありましたとおり資金力の弱い、比較的弱い方々が存在するわけでありますから、そうした面についてどう対応するかなど、今お話にもありましたとおり、事が起きて対応するというんではなくて、常時そうしたことに備えて中小企業対策、中小企業施策ということを考えていかなくてはならないと思っております。  このたびの法改正によりまして、相互扶助精神に基づく自治運営という中小企業組合の機能がこれまで以上に発揮されることを期待しておりますが、あわせて、ただいま議員指摘のような、将来に向かって今から中小企業対策の基本、根本問題、これは十分対応してまいりたいと思っております。  私は、今、例えば中小企業の皆さんの中で物つくりを熱心にやっておられる人々の中から、国際的視野で、国際的な舞台で活躍できる企業等をピックアップをして、三百社を今一層、経済産業省として押し上げようという努力をいたしております。商店街も、七十七商店街を選んで、模範的な商店街として、この商店街の皆さんに更に奮起していただくと同時に、昨日も衆議院の方の委員会でもいろんな御議論がありましたが、商店街振興につきましても委員各位がそれぞれ御意見を持っておられることを承知をいたしております。  そうした今度の国会における御審議、御意見、しかも、資金力の問題についての政府系金融機関の問題等につきましても、これまた委員各位の御協力によりまして、今極めて難しい状況にあったこの政府系金融機関の問題につきましても、両院における附帯決議等をちょうだいして、我々、今、最終的な制度設計に向かっておるわけでありますが、そうしたことなど、やはり今、議員の御指摘はごもっともな点でありますので、我々はそれを参考にして、これからたゆまず中小企業振興に力を注いでまいりたいと思っております。
  32. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 二階大臣には、また通商産業省におかれましては、非常に中小企業対策として前向きに取り組んでいただいておりまして、本当にうれしく思っています。今後とも、是非とも、この中小企業が振興しますように是非ともお力添えいただきますようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  33. 加納時男

    委員長加納時男君) 北川イッセイ君の質疑は終わりました。
  34. 山根隆治

    ○山根隆治君 おはようございます。  既に大臣は、本委員会におきまして提案理由の説明をお述べになりましたし、北川イッセイ議員の御論議の中でもその法案提出の意味合いというものは若干理解するものでありますけれども、しかし、提案理由の説明にもありますように、一連の不祥事への対応ということでの法案提出ということだけでは、少し、余りに夢がない法案になりかねないというような思いもあるんでございますけれども、その辺のところ、大臣のお立場で、法案提出の理由、そしてその背景について、いま少し詳しく理由をお述べいただければ有り難いと思います。よろしくお願いいたします。
  35. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 中小企業組合は、御承知のとおり、昭和二十四年の法律の制定以降今日まで、製造業、卸・小売業などの同業者による共同生産、共同販売、共同購入など、商工中金からの転貸融資を加えるなどいたしまして、幅広く活用されてきた制度であることは御承知のとおりであります。  しかし、最近は、異業種の事業者が大規模に集まり組合設立し、さらに、事業運営がそこから不適切に行われて破綻した事例が発生しておりますこと、これも議員承知のとおりであります。四日市、静岡においてもそうした例があります。また、非常に大規模共済事業を行い破綻した事例も、佐賀県などで発生をいたしております。  こうした状況を判断いたしまして、今般の法改正は、これらの問題を解決するために、緊急に中小企業組合事業運営の適正化を図るための制度としてこれを強化するという考えであります。また、共済事業に関しましては、その健全な運営を確保するための制度を導入するものであります。
  36. 山根隆治

    ○山根隆治君 戦後の日本の経済というものを大きく方向性等で、現在の経済産業省の方で果たしてきた役割は非常にもう大きなものがあったと思うんです。しかし、今回の法案に象徴されるように、どうも民間の企業の方が先行して、そしてそれを行政が後追いするというふうなイメージがどうしてもぬぐい切れないわけでございます。  時代の進展、そのテンポの速さというものは驚くべきものがあるわけですから致し方ない部分もありますけれども経済産業省として、私は、後追いということでなくやはり指導性を持って、先見性を持って中小企業をやっぱりリードするということに少し欠けていやしないかというふうな思いがしてならないわけでありますけれども、その辺、経済産業省大丈夫なのかというふうな思いも私自身するわけでございますけれども、その点についての御見解があれば、大臣若しくは副大臣等々から御見解があればお聞かせいただきたいと思います。
  37. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 御指摘の点、もっともなことだと私も思っております。  というのは、各方面から、役人の日常の活動、行動等にも極めて厳しい御指摘が集中しておりまして、できるだけそうしたことにぶつからないようにしておろうと思えば、できるだけ接触を避けるというようなことにはなってはならないというふうに私は基本的に考えております。  したがって、私の責任においてやるから、できるだけ関係者の意見を聞くようにと。そして、机に座っているだけが仕事ではなくて、思い切って前に出ると。そういう意味では、国会開会中は致し方ありませんが、国会が終われば、こうした法改正等を行った問題、あるいはまた先ほども申し上げましたが、元気な中小企業の事例、あるいはまた逆に全くそうではない中小企業もたくさんあるわけでありますから、そうしたことに対しても自ら現場に赴くなどして、指導するという立場ではなくて、むしろ中小企業の現業に携わっている皆さんから御意見を謙虚に聞くと、こういう姿勢で中小企業施策ということを編み出していこうではないかということを話し合っております。特許の問題においてもそのとおりであります。  したがいまして、今後そうした問題について幅広く積極的に、一口で言えば、打って出る経済産業省と、こういうふうな気合を込めて対応していきたいと思っております。
  38. 山根隆治

    ○山根隆治君 大ベテランの大臣からの御答弁、達見であるというふうに思いますけれども、ちょっと振るようで恐縮です、政務官小林務官あるいは松あきら副大臣の方で、新しい感覚の中で経済産業省にかかわられて、入られて、今私が御質問したような疑問について何か特別な感慨があればお述べいただきたい。なければ結構です。
  39. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 先ほど大臣が御答弁したことに尽きるかなというふうに思っております。やはり私は、全般的にいろいろな政策、すばらしい政策も打っておりますけれども、やはり私は実地、皆さん方の話を真摯に聞いて、そこで本当に何を必要としているか、その中で一つ一つの政策が図られるべきだというふうに思っておりますので、正に大臣のおっしゃるように、私どもも実地で出向いていって伺って役所に伝えたい、その使命があるというふうに思っております。
  40. 山根隆治

    ○山根隆治君 はい、分かりました。  それでは、少し視点を変えて更に質問させていただきます。  この法律が成立をしたと仮定いたしまして、成立後、その施行に伴う予算というのは具体的にはどの程度のものになっていくのか、お尋ねいたします。
  41. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 今般の法改正に伴います予算措置といたしましては、全国中小企業団体中央会向けの予算の中で、これは全体としては十一億七千万ぐらいある予算の中で、実はこの法改正の内容を、一番大事なことは、各組合に先ほど来御議論がありましたように普及させる、周知徹底していただくための広報費が大事だと思っておりますけれども、五百万円程度増額をいたしました。  それから、現場で各組合に対して指導を行う各都道府県中小企業団体中央会の指導員に対する周知徹底の研修につきましても、引き続きその支援を行うことといたしております。これは、県の中央会の指導員等研修費として二百万円強の金額を追加をいたしております。  それから、中小企業庁といたしましても、こういった予算措置に加えまして、各都道府県の担当者、あるいは各中小企業団体中央会、各組合に対するそれぞれの説明会を積極的に開催することを考えているところでございます。  いずれにいたしましても、関係者と緊密に連携を取りながら、改正法の円滑な施行に向けて、この法律が成立をいたしましたら万全を期していきたいというふうに思っております。
  42. 山根隆治

    ○山根隆治君 まちづくり三法では一兆円の予算が伴うというふうなことも明らかになってきました。しかし、今のこの法律では広報費として五百万円、あるいは都道府県への指導等に使うものとして二百万円、非常に地味めの予算ということで、まあ質問に立っている私も地味ですからフィットしているのかもしれませんけれども、しかし地味ではあっても大事な法律でございますので、その実施については是非十分な御配慮もいただきたいということを要望させていただきたいと思います。  これは、そうすると、経済産業省だけの予算措置というふうなことになるんでしょうか。
  43. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 今回の中小企業庁が提出いたしました法案の普及ということでございますので、私どもの方に計上してございます。
  44. 山根隆治

    ○山根隆治君 それでは、まず基礎的な数値についてお尋ねをいたしたいと思います。  先ほど北川イッセイ議員質問に対してもお答えになっていた部分もありますけれども、そのほか改めてお伺いしておきたいと思うんですけれども中小企業組合実態がどうなっているのかということで、数字的なところでお伺いいたしたいんですけれども組合員の数ですね、これはどれぐらいになるのか、あるいは事業協同組合企業組合等の種別ごとについての数字等があればお答えいただきたいと思います。先ほど、組合組織率については六六・三%ということで、加入割合がおよそ三百十万だというふうな数字は聞かせていただきましたが、そのほかの細かしい数字についてお答えいただきたいと思います。
  45. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 十七年三月現在の調査でございますけれども中小企業組合組合の数は四万七千九百八十七組合で、組合員数は先生今御指摘になりましたように、三百十一万八千人でございます。これはただ、推計値も入っておりますので、そうは違わないと思いますけれども、そういう数字でございます。  その内訳でございますけれども、先ほど来議論になっております事業協同組合は二百八十三万人の組合員でございます。それから、事業協同小組合というのが組合法に書いてございますけれども、これはごくごく少なくて、三百六十八人でございます。それから、企業組合というのがございまして、これが五万四千六十四人、協業組合が八千二百四人、商店街振興組合が七万八千二百二十三人、生活衛生組合が十四万七千十四人、それらを合わせまして三百十一万でございます。
  46. 山根隆治

    ○山根隆治君 分かりました。そうすると、それら大体把握をされているということで、実態というのをつかまれているということが分かりました。ありがとうございました。  それでは次に、私、そうしたいろいろな数字を基にして実態というものを当然つかんでいかなくてはいけないわけでありますけれども、本委員会におきましても、今まで実際、中小企業の景気状況というのはどうなっているのかということでのお尋ねは何度もさせていただいておりますけれども、政府が発表する数字、あるいはつかんでいる数字見ても、しかし私たちが政治家として地域で企業主の方々、あるいは働いている勤労者、労働者の方々からのお話との間ではいつもやはりギャップが埋められない、そんなふうな思いがして仕方がないわけでございますけれども、特に零細企業の実情については、私は、きめ細かな分析なり状況把握というものが非常に大事だろうと思うんですね。そういう意味では、そのサンプルの数についてもやはりもう少し細かく取っていかないと、実態というものをなかなか把握し切れないのではないかというふうな思いがして仕方がないわけであります。  聞くところによりますと、そのサンプルの今回の法律案を作るに当たっての状況把握、中小企業実態把握ということについても、やはり毎回企業対象を変えるとかいうふうなことの実態がないように思うんですけれども、それはやはり随時その対象となる企業、調査対象となる企業についても変えていく必要がありますし、そのサンプル数も場合によっては極端に増やしたり、適正な規模ということについてはやはりその状況によって細かくやっていかないと状況を把握し切れない。つまり、格差社会というのは今はもう、中小企業庁認めておられますけれども、もう現出しているわけで、ある部分の階層のところだけをサンプリングしてしまったら大変な誤差が生まれるということにもなりかねないわけでございますので、そうした零細企業の実情についての調査についての考え方についてお尋ねいたします。
  47. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 先生がおっしゃいましたように、小規模企業の方が大変にまだ苦労していらっしゃるということは本当ではないかと私自身も実際に感じております。  小規模企業といいますのが、先生御存じのように、製造業、建設業、運輸業では二十人以下の従業員のところ、あるいは小売、卸とかサービス業ですと五人以下の従業員のところということでございまして、日銀の短観は二千万以上ですね、資本金が、そこを調べて出しているということがあります。日本は九九・七%が中小企業と言われておりますけれども、実際はそのうち、先ほど申しましたいわゆる小規模あるいは零細企業と言われるところが八七・一%もあるわけですね。そしてまた、働いていらっしゃる従業員数で言いますと、全体が三千九百五十五万人のうちの二四・九%、約九百八十五万人がそうした小規模零細企業にお勤めしていらっしゃる方なわけでございまして、我が国経済においてこの方たち、この事業者は大変重要な役割を担ってくださっているというふうに思っております。  そうした中で、私ども経済産業省といたしましては、小規模企業の動向につきまして、四半期ごとに中小企業基盤整備機構に実施をさせております中小企業景況調査、これを通じましてその業況やあるいは売上げ、雇用や金融について的確な把握に努めているところでございます。同調査におきましては、一万四千社のそうした小規模零細企業対象となっております。  ただ、先生おっしゃいますように、その対象も時には変えていく必要がある、あるいは本当にもっと細かくやっていく必要がある、それは本当にそういうふうに私も思います。  しかし、今のところ、この調査、これは実は全国の商工会とか商工会議所を通じて行っているんですけれども、こちらから出向いていって、何か持っていらっしゃいとかペーパー配って出しなさいということではなくて、きちんとこちらから伺って調査をしているところでございますけれども、それによりますと、この小規模企業の業況DIにつきましても、二〇〇一年で第四・四半期を底として改善の動きが続いております。その一方で、その他の規模の大きい企業に比べれば、やはり回復の遅れというのは依然として実際にあるわけでございます。  当省といたしましては、引き続き、小規模企業の動向のきめ細やかな実態把握に努めるとともに、政策立案に当たっても適切な対応を取ってまいりたいと考えております。
  48. 山根隆治

    ○山根隆治君 私たち政治家ですから選挙の状況等を調査するのにいろいろな手法を使っていますけれども一般のマスコミでやるよりも例えば我が党の独自の調査の方が精度はすごく高いというふうに私自身は思っているんですけど、同じ調査でもやはりその調査の手法とか範囲とかいうことによって実情の把握がもう随分違うというのが、こうした私の個人的な体験の中でも持っているわけですね。今、松副大臣が言われたように、やはり出向いて調査していく、もうこれを徹底して是非いただきたいというふうに思うんですけれども。  実は、昨年の九月の上旬から下旬にかけて地域中小企業金融のヒアリングというのを中小企業庁でやっておられまして、その全体的な分析結果では、業種間の景況感の格差や企業間の二極化が鮮明になってきており、これが地域間格差にも反映している。あるいはまた、零細中小では受注しても収益が上がらない企業の格差というのが非常に拡大しているというふうな分析をされていたり、あるいは、金融機関は総じて中小企業向け貸出しを強化する意向を示しているけれども企業選別は強まっており、同地域・同業種内でも貸付条件格差は拡大傾向にある。さらには、中小企業側には、景気の先行き不透明感もあり、なるべく借入れに頼らずに対応する姿勢が見られるというふうな分析をされていて、これは非常に私たち政治家の感覚にかなり近いものがあるということで、この調査については私も高く評価するし、納得するものでございますけれども、そうした四半期の景況調査ということで発表されているものでは、小規模事業には三百七十七万社あって、そのうち一万六千社をサンプリングしていると。  こういうことでございますけれども、今後はこのサンプリングについてはもう少しやっぱり増やしていくということが、私は、どのぐらいの程度がいいかということは別といたしまして、歩いていくという、歩いて足で稼いで、稼いでというか足で実態を把握するというその姿勢はよく分かりましたけれども、しかし総数としてまだまだやっぱり少ないような気がするんですね。  予算も伴うものでありますから、そう簡単にいい御答弁は期待できないのかもしれませんけれども、ここはひとつもう少し検討をしてもらってやっていくというか、中小企業庁、経済産業省がそういう姿勢を示すことによって、政府のほかの省庁にもやっぱり波及して、そのサンプリングといいましょうか調査の方法というものも政府全体に影響を与えると思いますので、ここは是非経済産業省の方で音頭を取っていただきたい、率先垂範していただきたいと思うんですけれども、御決意のほどをお聞かせをいただければと思います。
  49. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 先生おっしゃるように、私は、やはりこのサンプリング、私どもは一万四千社ということですけれども、増やしていかなければいけないというふうに思っております。
  50. 山根隆治

    ○山根隆治君 ありがとうございます。  それでは、次に移らせていただきたいんですが、是非サンプリングについては増やす方向で頑張っていただきたいと思います。残り任期は短いと思いますけれども──失礼いたしました、頑張っていただきたいというふうに思っております。  それでは、中小企業をめぐる諸問題について、角度を変えてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。  中小企業の側からは、金融機関と取引をする際に最も重要視をするのは安定した資金供給ということに、今いろいろなアンケート調査の結果、なっております。例えば、独立行政法人経済産業研究所で出した中小企業金融環境に関する実態調査の中でもこれは突出しておりまして、安定した資金供給を望むというのがもう四六・二%ですね。その次に関心があるというか期待するのが金利ということに実はなっておりまして、安定した資金供給ということについての声が非常に高いものがあるわけでございますけれども、これについてはどのように御見解をお持ちでしょうか。
  51. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 中小企業にとって資金の調達ということが最大の課題でございますし、そこが途切れることによって経営が一気に危うくなるわけでございますので、安定した資金供給ということが中小企業経営者の常に頭から離れない課題であるということはその調査にも如実に表れていることだと思っております。  したがいまして、中小企業施策のある意味では柱は金融と税制だとよく言われますけれども、そういったことを反映して、私どもは、中小企業金融の円滑化ということが私どもの最大の使命の一つであろうというふうに思っているところでございます。
  52. 山根隆治

    ○山根隆治君 予算委員会に提出を既にされている資料を見ますと、中小企業金融三機関については非常にこうした要望におこたえされているというふうに数字的には見えるわけでございますけれども、ちょっと腑に落ちない点が資料を見てございましたので、お尋ねをさせていただきます。  事例でございますが、中小企業金融公庫の貸付けの実行額あるいは申込みの件数等で、申込みの件数に対して、申込みの件数が十七年度では一万七千五百七十八件、全国トータルでございまして、そしてその貸付けが二万百三十六件ということで、もうこれ一〇〇%を超えているわけですね、一一五%。これはいろいろな数字のマジックというか、細かしい事情はありますけれども、ほぼ一〇〇%。ほぼというか、一〇〇%超えているわけですけれども。つまり、申込みをすれば政府系金融機関、ほかの金融機関も同じような状況かと思いますけれども、このように全部実行されるというふうな認識を、これだけを見るとそんなふうに思えるわけです。そういう認識でよろしいんでしょうか。
  53. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 中小公庫の申込みとその実行、実績の統計のところは、実は実務上の処理のところで特別なことがございまして、あるお客様から一の申込みがあったときに、中小公庫の場合には基本的には特別貸付枠というのが中心になっているわけで、政策的に特に意義のあるものについて特別貸付枠というものをつくってやっているわけでございまして、そのお申込みがあった中身の中で特別貸付枠に該当するような部分があった場合には、そちらの枠から融資するということがございますので、一件の申込みに対して数件の融資実績になるということがある場合がございまして、したがって件数だけ足し合わせますと一〇〇を超えちゃうというようなことがあるわけでございますが、当然、お申込みがあったやつに、一〇〇%、すべての件におこたえできているとは私としてはちょっと想像できないわけでございます。  現に、例えば、これ先生今おっしゃった数字と私の手元のちょっと数字が違うんでございますが、実態は似たようなところでございますが、申込みの金額と貸付けの金額で見てみますと、十七年度の貸付実績で申し上げますと、申込みの金額が、これは一兆三千五十億円という申込実績がございまして、貸付実績は一兆二千九百十五億円という実績がございます。したがって、その点、当然ある種の査定というか審査が行われていることも事実でございます。  ただ、このお申込みに至るまでのところでのいろんな御相談がございますので、相当確度の高いものになったところで実際に申込書をお出しになって、その前にいろんな御相談もあるというようなことが実態ではないかと思いますので、現場の実態一件一件を見ますと、今私が申し上げたことでない部分、例外の部分もいろいろあろうかと思いますが、ただ、申し上げますことは、中小公庫を始めとした政府系金融機関は積極的にこの厳しい中で貸付けをしてきたということももちろん背景にございますから、一〇〇か九〇かということはございますけれども、応じてこられた一つの結果ではないかとは思っております。
  54. 山根隆治

    ○山根隆治君 民間の金融機関借入れに行けばどんどんはねられて、とても一〇〇%に近いような数字というのはあり得ない実態があるわけでございますけれども、しかし政府系金融機関だとそれに近い数字になってくるというのは一体何なのかなというふうに思うわけですね。事前の御相談とかチェックというのがあるわけですから、その中で返済能力であるとか事業内容等のチェックがあって、そこでもはねられるということがあるんだろうかと思うんです。  その辺の数字、率というものが分からないと、実態というか、政府系金融機関中小企業者に対してどのように温かいのか冷たいのかどうなのかというのがちょっと見えないんで、その辺の数字というか、事前チェックでの数字というのは明らかにしていただけませんか。
  55. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) お答え申し上げますけれども、なかなか、窓口に来られて時折々に御相談をされるという件数は統計としては取れていないものでございますので、直接には先生に正確な数字をお答えすることはできないと思います、申し訳ございませんが。  ただ、今申し上げたように、申込件数と実績のところを見る限りは、そういう意味で積極的に応じているということではないかというふうに思うんでございますが、相談に来られて、それが申込みに至るまでの間で何回か来られたりすることはあるわけでございますので、そこのところを統計として窓口で取っていないということは事実でございます。
  56. 山根隆治

    ○山根隆治君 それをちょっと取ってくださいよ。取らないと、それじゃもう先着順ということになりますよね。だって、一〇〇%ほぼオーケーなんだから、早く行った方が勝ちということになって、そこでいろいろな問題、物議醸しませんか、現場で、どうですか。
  57. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 窓口の実態をもう少し私どもも詳細に把握するようにいたしたいと思いますけれども中小企業関係の政府系金融機関は、例えば災害のときなどにも様々な相談について幅広い、金融のみならず幅広い御相談を、経営の御相談を受けたりしているわけでございますので、そういった面の幅広い活動を含めて私どもとしては正確に把握をしたいというふうに思っておりますので、もう少し勉強させていただきたいというふうに思います。
  58. 山根隆治

    ○山根隆治君 私も埼玉県ですけど、いろいろな融資の御相談がございますので、そうしたときには積極的に中小企業金融三機関に対して御紹介をいたしますので、その節はひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  実は、行革法が一段落をいたしました。その大方針、政府の方針の中で、政府系金融機関平成二十年までに一本化するという方針が出されておられるわけでございますけれども、今、中小企業を取り巻く環境は必ずしも安定はしていないという状況の中で、今、中小企業庁長官議論させていただきましたけれども、もう一〇〇%の融資率に近いものがあるという実態の中で、期待するものは中小企業非常に多いと思うんですね。これが政府系金融機関が一本化されたとき一体どうなっていくのかという中小企業者には不安もあろうかと思うんですけれども、この点、政府内でもいろんな議論がありましょうし、私ども民主党の中でもいろいろな、様々な議論をしてきた経過がありますけれども、こうした中小企業者の素朴な不安というものにはどのように大臣はおこたえいただけるんでしょうか。
  59. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先ほども申し上げましたが、政府系金融機関の民営化の問題につきましては、私は本当に各党の皆様から大変な御支援をいただいたと思っております。いよいよ詳細な制度設計に入るわけでありますが、これは当然、国会における御論議、あるいはまた衆参の委員会での附帯決議等をちょうだいをいたしておりますので、その点を十分念頭に入れて、新政策金融機関につきましても中小零細企業者の利便の維持向上に努めることなど附帯決議をいただいておりますが、私はこのままこの制度設計に反映をさしていきたいという決意をいたしております。  詳細設計につきまして今対応いたしておりますが、これからいよいよ総仕上げというところでありますが、あくまでも、度々国会審議における答弁でも申し上げてまいりましたように、この改革が中小企業者にとってかえって良かったと思われるような改革につなげていきたい、この私の考えには変わりはありませんから、この方針に基づいて積極的な対応をしていきたいというふうに思っております。  そして、中小企業の皆さんにとっては、ある意味では金融がすべてと言ってもいいくらい、金融は我々の体内の血液のようなものでありますから、一瞬たりともこれを止めるということはできないわけであります。  そして、私は、ある金融機関のトップから聞いた話でありますが、企業というのは限りなく貸し続けてあげれば必ず利益を上げると、言い換えれば黒字になると、こんなふうに自分は考えるということを聞いた途端に、私は実は、金融機関人たちというのは、中小企業の皆さんが金が要らないときに貸してやろうか貸してやろうかと親切に言ってくる、いざ必要なときにはそういう態度をころっと変えると、続いてまた担当者が替わって取立てに来ると、そういうことで、銀行家というのは、あなた方はどう思っておるか知りませんが、余り一般の皆さんから評判は良くないよと、しかし、その中にあって、あなたの哲学はすばらしいということを申し上げました。その方は後に全銀協の会長まで上っていかれましたが、私は、最近お会いしておりませんが、そういう考えが私は金融機関のリーダーにあってほしいと思うわけであります。  そういう意味で、議員が御指摘になったところは全く同感でございますから、ともに今後の金融機関の姿を注視していきたいと思っております。
  60. 山根隆治

    ○山根隆治君 バブルのとき、本当にお金借りてくれ借りてくれと言ってきて、そして、いざ必要となったときにはもう非常に冷たいということで、銀行への信頼というのは、中小企業者はもう本当に落ちて、大幅に大きく落ちてきている今実情があろうかと思います。そういう意味では、政府系金融機関の果たす役割、信頼性というものは非常に高いものがありますから、是非今後とも、どのような状況変化があろうとも、期待にこたえるように、大臣もひとつ御努力のほど、一層の御努力をお願いをしておきたいと思います。  さて、今、日本人の中で毎年、いや、毎日相当な人が自殺をしている。年間三万人を超えている。その中では病気の事由が一番大きかったんですけれども、だんだんと経済的な事由によって自殺に追い込まれる方々がおられるということで、その一つの原因として、家屋敷まで、自分自身の、経営者が家屋敷まで全部担保に提供するということに問題があるのではないかということで民法改正が行われて、こうした包括根保証制度というものが廃止になってもう既に一年たっているわけでございますけれども、これらの一年たった状況の中での現場での混乱等は金融機関においてあるのかどうか、その辺についてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  61. 山崎穰一

    政府参考人山崎穰一君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、平成十七年四月の民法の一部を改正する法律の施行によりまして、包括根保証制度が廃止されております。  包括根保証制度の廃止そのものについては、所管の法務省によって適切な周知が図られているものと考えておりますが、金融庁といたしましても、金融機関向けの監督指針を改正し、根保証契約を締結する際の顧客に対する説明体制の整備に係る着眼点などを示しております。また、業界団体との意見交換におきましても、包括根保証制度の廃止等を内容とする民法改正を踏まえた適切な対応を実施するよう要請を行うなどして金融機関への周知を図っております。  なお、これまでに、包括根保証廃止以降、これについて金融機関と顧客との間でトラブルになったという事例につきましては、今のところ承知してございません。  以上でございます。
  62. 山根隆治

    ○山根隆治君 それでは、その民法改正で保証の限度額、極度額というのがあって、これが、この枠というものが超えたところでの申込みをされている率というものはどのぐらいになっているのか、お尋ねします。
  63. 山崎穰一

    政府参考人山崎穰一君) 御指摘のように、保証の極度額というものがあるわけでございますが、これを超えた融資の申込件数がどれぐらいあるかとか、それから、その比率については申し訳ございませんが把握しておりませんけれども一般的に申しまして、その保証極度額を超える仮に融資申込みがあった場合には、各金融機関が適切なリスク管理を行う中で個別に対応を決定しているものというふうに承知してございます。
  64. 山根隆治

    ○山根隆治君 しかし、実際に保証をするまでの額を融資するということではなく、それ以上の、保証人がなかなか見付からなくて、当然、その額を超えるものを融資申込みしているんだと思うんですね。その辺のちょっと実態というものを把握しておかないと、これからの国の金融行政についても適切な措置がとれないんじゃないんでしょうか。掌握してないという理由がちょっとよく分からないんですが。
  65. 山崎穰一

    政府参考人山崎穰一君) 今のところ大きなトラブルがないというふうに承知しておりまして、確かにそこまでの詳細については把握してございませんけれども、例えば我々の対応の一例だけ申し上げさせていただきますと、今回の法改正が行われたことによりまして、ちょっと角度が違うのでございますが、例えば包括根保証がなくなるので貸せないといった説明をして融資を引き揚げるというような不適切な場合があれば、これに対して適切に対応するというようなことで、何か不適切な事例があれば適切に対応していきたいというふうに考えてございます。
  66. 山根隆治

    ○山根隆治君 不適切な事例って、今までのことからするとこれはもう不適切な事例ばかりだろうと思うんですよ、逆に言うとね。そういう事例がない、あるの問題じゃなくて、私はそこのところは実態把握しっかりする必要があるんだと思うんですね。保証人が見付かって、例えば五千万の融資が欲しいと、だけどその保証人が二千万円までしか保証できない、そうするとあと三千万どうするかという話になりますよね。そうすると、今までの銀行、もう銀行の体質がらっと変わっちゃって、もう金もうけ主義に走っちゃっているというふうに一般に見られていますけれども、そういう状況の中では、それは保証人の範囲までに抑えてくださいと、つまり融資の額を落としてくださいと、こういうことを言っているに違いないですよね。その辺の事例というものが余りないみたいな話というのは、ちょっと現実離れしているんじゃないですか。
  67. 山崎穰一

    政府参考人山崎穰一君) お答え申し上げます。  先ほどの、どういうことで私どもがその事例があるかないかということでございますが、例えば私どもに金融サービス利用者相談室というのがございます。それで、融資のトラブルに関するものも含めまして顧客からの苦情や相談を受け付けておりまして、それで寄せられた情報について、金融機関において適切な業務運営の確保が図られたかどうかを検査・監督する際に活用しておりますので、こういうところに仮にそういう情報が寄せられるようなことであれば、適切に対処したいというふうに考えてございます。
  68. 山根隆治

    ○山根隆治君 そういう消極的なことではなくて、積極的にやったらどうですかと。ちょっとどの資料だか忘れましたけれども経済産業省自身が調査していたものだったと思うんですけれども、例えば地方銀行なんかはその貸出しの額というのは非常にもう下がってますよね。それは、もう余り銀行に借り入れないようにして自立していかなくちゃ、自己資本比率を高めていかなくちゃというふうな思い中小企業者には多いというのは確かですけどね。しかし、予測されるところでは、その保証の限度が少ない、担保の物件が少ないということで貸し渋りというのは実態としてあるんじゃないかと十分想像できるわけですね。それは、皆さんの政府の調査によっても地方銀行の貸出しというのは非常に下がっているという実態があるわけで、その辺のところはもう少し現実に即した調査を改めてし直さなくちゃいけないんじゃないですか。していないのはちょっとよく理解できないですね。なぜですかね。同じことばっかり聞いていますけれども
  69. 山崎穰一

    政府参考人山崎穰一君) 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、保証の極度額を超える融資が幾らあるかということにつきまして調査、把握はしてございませんけれども、それぞれこれは個別の問題だというふうに承知してございまして、個別にいろいろな問題点があれば適切に対応していくということでございます。
  70. 山根隆治

    ○山根隆治君 これ、大臣、是非、実態把握までしていないというのはもうちょっと聞いてあきれる話ですけれども、その辺のところ、もう一年、法改正、民法改正になって起こっているわけですから、実態がどういうふうになっているのかと、そしてそれが金融行政にはどのような影響が及ぶのかということを是非ひとつ御検討をいただきたいと思うんですが、御決意のほどを今の議論の中でお聞かせいただけますか。
  71. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 担当閣僚との間で話し合ってみたいと思っております。
  72. 山根隆治

    ○山根隆治君 それでは、次に質問を移りますけれども、そういった環境もありまして、なかなか思うように中小企業者お金借りられないということで、民間の企業などでは金利の高いクイックローンが非常に今はやっている。つまり、すぐ融資が、今まで、申し込んでからいろいろな書類の審査であるとか実行までに二週間、何か月掛かるというふうなものが、それが非常に短期で出る、しかし金利が高いということで、企業にとっても非常にリスクの多い制度でありますけれども、このクイック制度の実情についてどのように把握されているか、お尋ねいたします。
  73. 山崎穰一

    政府参考人山崎穰一君) お答え申し上げます。  御指摘のクイックローン、すなわちスコアリングモデルを活用した融資商品の貸出し実行額でございますが、主要四行、これはみずほ銀行、旧東京三菱銀行、旧UFJ銀行、三井住友銀行につきまして、平成十五年度は約一兆五千二百億円、平成十六年度は約三兆百億円、平成十七年度上半期は約一兆七千五百億円というふうに承知してございます。
  74. 山根隆治

    ○山根隆治君 大臣、このクイックローンを利用している企業というのは非常に零細企業が多いんですね。クイックローンを利用していると回答した調査によると、四〇・八%が従業員二十人未満の小規模企業であって、従業員数が百人未満の企業全体で七七・六%に達しているということがあるわけですね。私は、ここに第二の悲劇が生まれやしないかという不安もあるわけなんですね。非常に借りやすくなっているということはあるんですけれども、銀行の方もその事業内容等も非常に緩やかに見るということは、企業の側からはいいかも分かりませんけれども、いざ返済ということになってきた場合に、後々いろんな問題が起きたりしないかということが非常に不安なわけでありますけれども、どんどんどんどん各行にこのクイック制度というのが広がっているというふうな実態があるわけですね。  このクイック制度というのは外国から出発して、アメリカから一九九〇年代に開発されたものというふうに言われているわけでございますけれども、やはり日本のお互いを思いやる社会というか、それにふさわしい金融制度であるかどうかというのは、ちょっと私は個人的にも疑問な部分があるんですけれども、この点について是非いろいろな調査をして、ケアをしていく必要があると思うんですけれども、新たな不幸を出さないためにも、その辺についての御見解をお聞かせいただければと思います。
  75. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先ほど金融庁山崎参事官から御答弁がありましたが、その前に、私は金融担当大臣と話し合ってみるということをお答えしておりますので、その際、クイックローンの問題等につきましても大臣の見解も伺ってみたいと思います。
  76. 山根隆治

    ○山根隆治君 それでは、法案自体の御質疑もさせていただきたいというふうに思っております。  まず、中小企業組合の基本原則というのは相互扶助ということでございますけれども、こうした基本理念と、今回の法改正規制強化ということでございますけれども、この辺の二つの相反する理念はどのようにバランスを取っていこうとされるのか、その基本的な考え方についてお尋ねいたします。
  77. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 中小企業組合の基本原則は、相互扶助精神に基づき組合員自治運営するということであります。今回の法改正におきましては、不適切な組合運営により破綻事例が次々に発生していることなどを考え、この実態を踏まえて、組合員相互扶助による自治運営を正しく機能させる、運営規律強化する、これが基本的な考えであります。  具体的には、監事等のいわゆる業務監査権、また任期の延長などを積極的に対応することによってさらに内部のチェック機能を強めるなどを行い、自治運営が正しく機能することを目的に指導強化をしていきたいというふうに思っております。
  78. 山根隆治

    ○山根隆治君 是非、そうした基本的な考え方に基づいてお願いをしていただきたいと思います。  そこで、具体的な法律の中で、第九条の二で、原則兼業禁止ということで企業組合、なっているところがございます。特定共済組合、先ほど北川イッセイ議員もいろいろとお尋ねございましたけれども、実際、原則兼業禁止というふうなことになっているわけでございますけど、実際にはどれぐらいの組合兼業が行われているのか、お尋ねいたします。
  79. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) 御指摘のとおり、共済事業を行っている組合のうち、非常に規模の大きいもの、具体的には千人を超えるような規模のものにつきましては、原則として兼業を禁止するという内容の改正お願いをしているところでございます。これは、組合員の数が一定数を超えますとなかなか自治機能というのがうまく機能しにくくなるということ、それから、非常に規模が大きくなって被害が大きくなるということで、そういう措置を講じるということでございます。  このような、改正後、特定共済組合というものに該当するような組合で他の事業を行っているという組合は、私ども承知している限りではほとんどないという、ほとんどないというのは全くないという意味ではありませんけど、極めて限定的であるというふうに理解しております。
  80. 山根隆治

    ○山根隆治君 ちょっと今聞き落としたかも分かりませんけれども、そうしますと、原則五年間の猶予があるというふうなさっき御答弁ございましたけれども兼業を廃止することによってその企業組合自体が崩壊していく、つぶれていくという、そういう心配というのはないんでしょうか。
  81. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) そのような大規模組合でございますので、普通の場合はかなり財政的な基盤もかなりありまして、組合員もかなり、千人を超えるというようなしっかりした組合になっております。  五年間の間、猶予があるということでございますけれども、これは五年の間に廃止をしろという意味ではございませんで、五年の間に、例えばほかの事業を行っている場合に、その事業を別の組合として、組織を別組織にして行うというような準備をいろいろするのに相当時間が掛かることもあるだろうということで、そういった対応の猶予期間を設けているということでございまして、私どもとしても、仮にそういうことについていろいろ困ったことがあるとか、そういうようなこともないとは言えませんので、個別の事案については、県やあるいは局やあるいは中央会等も使いながらしっかりと円滑にうまくやっていけるようにということで努力していきたいと思っております。
  82. 山根隆治

    ○山根隆治君 そうすると、兼業はいけないよということで、もう一つの、二つの事業、Aという事業、Bという事業があったら、Aという事業は引き続いてやって、そしてBという事業はやっちゃいけないからまた別建ての組織をつくりなさいと、こういうことですね。  そうすると、同じ地域でやる事業でありますから、人材にも限りがある。そうすると、人材が重なって、さらに複雑な問題、第二の問題というのが発生しませんか。役員であるとか監事であるとか、そういったところに重複するとか、そうしたいろいろな問題発生しないんでしょうか。その辺の予測はどうですか。
  83. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) 今、先ほど申し上げましたとおり、そういった具体的な問題が起きそうだというようなものは私どもとしては承知していないわけですけれども、仮に二つ事業を行っていて一つ組合を別につくるというような場合に、特に保険事業の方が相当いろいろ、大規模なものであればいろいろな知識も必要になりますし、相当しっかりやっていただかなくちゃいけないということですから、そこのところは相当いろいろな規制が今度入るわけでございます。  それから、共済事業以外の事業をまた別の組合で行うということになった場合も、これは数が多いということでございますので、その場合には一般のガバナンスというものも強化されますので、そういったところは適切なガバナンスが行われるようにということで、私どもとしてもしっかり指導をしていきたいというふうに思っております。
  84. 山根隆治

    ○山根隆治君 質問前後しますけれども特定共済組合規模、基準というのが千名というのは、根拠は何でしたっけ。
  85. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) これは、今まで、最近、先ほど来お話が出ておりますいろいろな破綻事例というようなものを見てみますと、小さいものでも千数百名というような規模に達しておりまして、これはやはり規模がある程度大きくなりますと、なかなか一人一人の組合員というものが自分がその組合に参加しているという意識が希薄になってきておりまして、なかなかガバナンスが利きにくいという傾向があるのだろうということで千人ということで切らせていただいたということでございます。
  86. 山根隆治

    ○山根隆治君 まあ、千人というその基準がちょっとよく分からないところありますけれども、いろんな事例で、破綻した組合等の事例見て千人くらいが一応限度だと、こういうふうな判断だというふうに理解をいたします。  それでは、特定共済組合というのはそれなりに、今お話ありましたように力も持って、経験もある、実績も積んでいるというところでございますから、例えば農協なんかいろんなことをやっていますね、火災共済、生命共済、自動車共済等を一括して取り扱っているわけなんですけれども。今回法律で、これとは別建てでありますけれども、そうした、逆に言うと、企業組合を逆に育てるということで検討するやっぱり余地というのはなかったのかどうか。つまり、いろいろな事業を逆にしっかりと管理する、監視する、監視といいましょうか、チェックする中で育てていくというふうなことの発想はなかったのかどうか、農協とはどう違うのか、まあ法律によって違っていますけれども、この辺の理念というか考え方をちょっと聞かせてください。
  87. 小林温

    大臣政務官小林温君) 今回、火災共済事業については、火災共済協同組合のみが専業的に行うということになっております。これは、火災共済という名前でございますが、中身は火災や台風の損害をてん補するというものでございまして、近年、台風による大災害が発生した場合に多額の共済金の支払が生じるという点で、このリスクが非常に高いという点でこれは専業の組織に行わせるのが適当であるという考え方に基づいて、今回の法改正においても現行法の枠組みを維持させていただきました。
  88. 山根隆治

    ○山根隆治君 今度のこの法律によっていろいろな政省令がたくさん用意されているかと思います。その一千人という数字についても政令で決められていくんだろうというふうに思っておりますけれども、様々な政省令、これはいつ発布していくという今お考えでありましょうか。
  89. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) この政省令につきましては、遅くとも秋口ごろまでに終了して速やかに公布をしたいというふうに考えております。  組合の適切な運営を確保するためには、各組合を所管する省庁や、特に都道府県との緊密な連携が不可欠であるというふうに思います。公布後、速やかに都道府県に対しまして説明会を開催するなど、積極的に情報交換を行って密に連携していくことで法の円滑な施行に万全を期してまいります。ホームページとかパンフレットでもしっかりと広報いたしますし、これ規制法なので、知らないと罰せられるということがございますので、もう本当に広くお知らせできるように万全を期してまいりたいと思っております。
  90. 山根隆治

    ○山根隆治君 中小企業を取り巻く環境というのは本当に今激変しているわけでございます。この法律を作るに当たってもパブリックコメント等をやられたと思うんですけれども法律作るまではいろいろな国民の声を聞こうという意欲があるんですけれども、しかし実際に法律が成立してそれを施行していった後、それが国民からどう評価されているか、あるいは中小企業者自身からどのような目で見られているか、批評があるか、批判があるか、評価があるか、これらについては非常に、政府に義務というものが負っておりませんので放置されることが非常に多いわけで、国会でいろいろな決算等で論議して初めて指摘されるということがあるんですが、しかし私は、もっと積極的に政府自身がこうしたパブリックコメントも成立後も求めて、そしていろいろな支障が出ないように細かなケアをしていく必要があると思うんですけれども、この点について最後に考え方聞かせていただきたいと思います。
  91. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 法律施行後も、今先生御指摘になりました例えば政省令を定めたりするときには、パブリックコメントを今義務付けられておりますので、それは必ずやることになると思います。  加えまして、施行状況等々につきまして、様々な場面で各方面からの御意見を伺いながら対処していくというのは中小企業施策の基本だと思いますので、是非そのようにしていきたいと思っております。
  92. 加納時男

    委員長加納時男君) 山根隆治君の質問が終わりました。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  93. 加納時男

    委員長加納時男君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  94. 小林正夫

    小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。質問をさしていただきます。  平成十八年度の経済産業政策の重点ということで、経済産業省の方から私たち民主党の経済産業部会の中でもいろいろ今年度の取組について説明をお伺いをしてきました。今年度の重点目標としては、イノベーションを通じた競争力ある産業群の創出、二つ目が東アジア地域を重視した通商戦略の展開、三つ目がエネルギー・環境政策の推進、四つ目に中小企業の活性化と地域経済の再生という、こういうことが重点施策だというふうにお聞きをいたしました。  今回提案されている法律は、その四番目にある中小企業の活性化と地域経済の再生という項目の中の中小企業の活性化対策の一つの法案として位置付けられていると私は認識をしております。そういう意味で、前段、この中小企業の活性化対策について中心的に質問さしていただきますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。  そこで、先ほど午前中の質疑の中でも松副大臣の方から、中小企業の比率が九九・七%、このようなお答えもありました。私たちもよくその数字を使うんですが、今日現在、一番新しい日本の企業数、内訳として、大企業中小企業の内訳、それと従業員数、その比率がどうなっているのか、一番新しい数字を教えてください。
  95. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) 今、新しい数字ということでございますけれども、我が国の企業数は二〇〇四年時点で約四百三十三万八千社でございます。このうち中小企業は約四百三十二万六千社。したがいまして、全体の九九・七%ということになります。また、従業員に関しましては、これは会社の常用雇用者数とそれから個人事業所の従業者総数の合算でございますけれども、これが約三千九百五十五万人。このうち中小企業で働く人たちが二千八百八万人というふうになっておりまして、全体の約七一%ということになります。
  96. 小林正夫

    小林正夫君 ありがとうございました。  それでは、実は独立行政法人中小企業基盤整備機構が昨年の、平成十七年の十一月から十二月にかけて、都道府県中央会会員の事業協同組合企業組合商工組合、協業組合、商店振興組合、生活衛生協同組合、こういう中から一万組合を抽出して、組合現状と課題及び高度化ニーズに関する調査としてアンケート及び委員による現地ヒアリングを行った、こういう調査結果が今年の二月にこのようなものとして出されました。  この中で、直面している課題として上位五項目を挙げてくださいと、こういう質問があったんですけれども、その回答が、実は一番目に出てきたのが製品価格の下落というものが四三・七%という回答でした。二つ目の課題として挙げられたのが後継者不足、このことが四二・一%。三番目が消費者ニーズの多様化、二九・八%。四番目がエネルギー、原油、原材料の高騰、このような理由を挙げているのが二八・二%。五番目に大企業、大型店との競争の激化、これが二二・一%となっています。  そこで、特に課題の第一番目として挙げられた製品価格の下落というのは、製造業がその中でも六二・二%と最も多い回答を寄せているという実態でした。私は、外国製品との価格競争だとか原油高などコスト要因を価格に反映できていない今日の状況が、大変厳しい状況がその要因の第一位になっている理由かなと、このように私は思っておりますけれども、まず、この製品価格の下落について政府はどのように分析をされているのか、お聞きをしたいと思います。
  97. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 先生今お示しの基盤機構の調査は、組合現状と課題及び高度化ニーズに関する調査報告といって、組合法を検討するに当たったときに、同時に、業界及び組合員が直面している課題についてのアンケート調査が行われたものをお示しなんだろうと思います。  この調査は、御指摘のとおり、十一月ごろには委員のヒアリングが行われましたけれども、アンケート調査の方は実は昨年の九月時点で行われたものでございまして、製品価格の下落が第一位の課題と挙げられているということでございますが、最近の物価動向、その後ごく最近の物価動向を見ますと、消費者物価がプラスで推移するなどデフレからの脱却に向けた改善が見られるということで、若干その感じも違っているかもしれませんけれども、物価の基調やその背景を考慮いたしますと、依然として緩やかなデフレ状況にあるという認識が政府の認識でございます。  こういった状況に関する要因としては様々なことが考えられますが、例えば、やはり人件費の低い諸外国において作られた低価格製品の流入などが挙げられるということがメーンの理由ではないかと思っております。総じて経営基盤の弱い中小企業にとりましては、製品価格の下落はそのまま売上げの減少による収益の圧迫につながりかねないため、このようなアンケート調査結果になったのではないかというふうに認識をいたしております。
  98. 小林正夫

    小林正夫君 そこで、この課題について政府としてはどういう取組を行ってきたのか、あるいはこれからどういう取組を行おうとしているのか、このことについてお聞きをいたします。
  99. 小林温

    大臣政務官小林温君) 今、政府参考人からその原因についてはお答えがございましたが、その対策といたしましては、まず政府全体として構造改革を加速、拡大するとともに、デフレからの脱却を確実なものとするために、政府、日本銀行が一体となった取組を行わせていただいております。  また、個々の中小企業者の立場からすれば、その製品の付加価値を増大をさせる、つまり、安かろう悪かろうではなく、性能や品質に勝る製品を市場に出していただく。そして、景気も改善をしておりますので、日本の消費者や企業というのはそうした製品の質を見極める目というものも元々持っているというふうに考えております。こうした対策が有効であろうというふうに認識をしておりまして、そのため特に中小企業者に対しては、その中小企業者が付加価値を向上させるための経営革新や技術開発に対して予算あるいは金融の措置を活用し、積極的な支援を行っているところでございまして、こうした取組を通じて競争力強化されていくということを期待しております。
  100. 小林正夫

    小林正夫君 大臣にお伺いしたいと思っています。  私は、もう一つの原因としては原油高、このことで大変製品を作るのにお金が掛かるようになった、ただそれを価格には転嫁できない、こういう悩みが大きいと思っております。  そこで、今日資料として提供いたしましたのは、昨日の読売新聞のこれは記事でございます。左の方に最近の原油の動向が示されておりまして、見出しとしては、原油高、地方を直撃している、中でも、小売価格への転嫁は大変難しいと、こういう記事が昨日出ておりました。  左側にある原油の動向については、私たちも今まで勉強会の中で経済産業省の方から現状の動向についてこのようなグラフをもって説明を聞いたことが多々あります。  今日お聞きしたいのは、大臣としてもこの原油の安定化に向けて、あるいは安価な原油が輸入できるように大変な御努力をされているということは認識をしております。そこで、今ここに書いてあるとおり、最高値で七十五・一七ドルという、こういう数字になったということもここに記載されておりますけれども、これから先、この原油高というのがもう日本の国民生活に大変大きな影響を与えるし、日本の産業界にも大変大きな影響を与えてきます。  そこで、この原油の価格がどのようになっていくと見通しを付けられているのか、またそのことに対してどういう努力をしていくのか、このことについて大臣質問をしたいと思います。
  101. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 原油の高騰ということは、政府にとっては当然のことでありますが、民間企業の皆さんにとっても極めて頭の痛い問題でありまして、何としてもこの状況を打開していく手だてを考えていかなくてはならないと思っております。  先般、四月でございましたが、カタールで行われた国際エネルギーフォーラム、これは産油国、消費国ともに閣僚が集まりまして、約六十か国の関係者が集まりました。これは、消費国の立場から、あるいは産油国の立場からそれぞれ意見を述べ合い、互いに共通点を見いだそうというわけでありますが、私はこの場におきましても、原油は、産油国にとっては高ければ高いほどいい、あるいは消費国にとっては安ければ安い方がいい、そういうものではないと。これはやはり、安定供給があって初めてそれぞれの国がお互いに経済の発展を見出すことができる。  特に、我々は二度にわたるオイルショックを経験しておりますだけに、そのオイルショックの後に我が国は懸命にエネルギーの節減に努力をしました。その努力の結果がてきめんに現れて、本来困っております方の日本よりも産油国の方が、石油価格が下落をするというふうな事態になって産油国の方も大変お困りになったという、こういう事実があります。  したがって、私たちは、こういう今のような状況を続けていくということに対しては双方で協力し合わなくてはならないということを私も呼び掛けたわけでありますが、その際、二日間ではありましたが、十一人の閣僚と個別の折衝、意見交換等を行いました。  サウジアラビアを始めとして産油国の方々から、我が国は日本に対しての引き続きの安定供給国であり続けたい、そういう意思を持っておると。今の値上がりは産油国がコントロールをして値上げしておるのではないと、私たちの方も今の状態に戸惑いを持っておると、そういうお話でありました。  我々は、これからどういう対策があるかと言われれば、まあ通常の対策で、びっくりするような名案があるわけではありませんが、まずは省エネ、これは積極的にやっていかなくてはならない。しかし、これはまた国民の皆さんの御協力もなくてはならない、そういう意味で省エネ対策をしっかりと打ち出していきたいと思っております。  また同時に、新しいエネルギーの開発、新エネルギーの問題、これはいろいろありますが、これはもう議員が御案内のとおり、原子力等に比べて、新しいエネルギーということを言ってみても、なかなかそれが数量的には大きなものになるわけではないんです。ないんですが、しかしそれでも我々は将来に備えて新エネルギーのやはり開発という面に努力をしていく必要がある。  したがって、バイオエタノールの問題等につきましても、私も国会が終了の時点で沖縄に伺い、そしてブラジルに伺うなどという計画を今立てようとしておるところでありますが、バイオエタノールの問題等についても既にアメリカ等でもかなり積極的に進めておるわけでありますから、私たちもそういう事例をよく見極めながら対応していきたいと思っております。  いずれにしましても、石油の安定供給の確保ということは極めて重大な政治問題、政治課題でありますだけに、多くの国民の皆さんの御協力をいただきながら、そして各党の御理解をちょうだいしながら、今後ありとあらゆる方策を講じて懸命に取り組んでまいりたいと考えております。
  102. 小林正夫

    小林正夫君 大臣は、今大体七十ドルぐらいでこの数字が示されておりますけれども、これから先、この七十ドルが高値安定で行ってしまうのか、あるいは上がっていくのか、あるいは下がっていくと。どのような見通しをお持ちでいらっしゃるか、お聞きをします。
  103. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 私は、この現在の立場で、これがこのまま推移するだろうとか、もっと上がっていくだろうとかということを予言することはかえって得策ではないというふうに考えておりますが、現状から見ますと、当面、この構造的な要因がすぐ解決できるということでないとすれば、このような事態がしばらくは継続するのではないかと思っておりますが、これが急速に上がっていくという事態は私は考えられないと思っております。と申しますのは、異口同音に産油国の皆さんがおっしゃったことは、自分たちがコントロールしているのではない、あるいは供給が足りなくて値段が上がっているのではありませんよということを再三言われました。  なお、この機会にもう一つ付け加えておきたいことは、そういう産油国の中でいろんな御意見の交換のある中に、極めて大事なことの御指摘は、日本との間の関係を単なるこの原油の取引、やり取りだけの関係で終わらせたくないと、私たちはもっと日本の文化や日本の優れた技術等を教えてもらって、そしてその交流によって、将来私たちの国が原油の問題だけに頼るのではなくて、もっと国民生活が豊かになるようにやっていきたいと、そこに日本の協力を得たいんだと、それにもかかわらずということで、日本との交流が少ないということに対して御意見がありました。ちょうどその国に対しては、私ども、何回か申し上げました、国際版の一村一品運動で、あなたの国のこういう商品とこういう商品はどこそこで扱っていますよという話をしましたら、ああ、そんなことを日本がやってくれているんですかといって思い直したような感じでありましたが。  私は、帰国後、早速先般の閣僚懇談会におきまして、私が外務省へ問い合わせて、どの国に閣僚が一回も訪問したことのない国であるか、そういう国がこの世界に幾つあるのか。これは余り力んで表へ発表する話ではありません。ある意味では恥ずかしいことだと思います。国際社会、グローバル社会、あるいは国際社会のいろんな機関のトップリーダーに日本がもう今立候補しようとしていますね。WHOにも今度立候補します。私どもの関係でも立候補しようとしているのがおります。そういうことからしますと、そこへ選挙運動に行っても、大臣も一回も行ったことない、大使館も置いてない、領事館もない、何にもないと、こういう国へ行って、日本ですけれども、経済大国ですなんて言って行ったって相手にされないわけです。ですから、そういうことをもっと日常しっかりした対応をしなきゃならぬ。  先般そういうことを閣僚懇で申し上げて、今早速そういう国を選び出して、この夏休み等に議員の先生方も、またいろんな関係者が海外に出られるわけですが、どこかその近くにそういう国が存在する場合には必ず立ち寄っていただくというようなことをお願いしようではないかと、そして閣僚も必ず一か国はそういう国を行ってこようじゃないかと。そして、一回も行ったことのないようなそういう国に対して、一つ一つ消していって、すべての国と交流を持つ。私自身も、その産油国との間においてはできるだけの努力をしてみたいと思っておりますが、何せ体一つでそれは全部網羅できないんですが、我々、五人の副大臣、政務官そろっておりますから、及びいろんな、閣僚だけではなくて、いろんな関係の皆さん、国会議員の皆さん、今、OBの皆さんでも活躍してくれている方々がいらっしゃいますが、私は有り難いことだと思いますが、やっぱりいろんな国と連絡、連携をよく取っておく、回り道のようなことでございますが、是非そうした地道な努力に対しても超党派で御理解、御協力をいただきますように、ちょうどこの機会にお願いを申し上げておきたいと思います。
  104. 小林正夫

    小林正夫君 ありがとうございました。  それでは次に、経営課題の二番目として挙げられた後継者不足、こういうことについてお聞きをしたいと思います。  これを、よくこの資料を見てみますと、さらに小売業の人たちが六二・三%、こういう数字を示しておりまして、ほかの業種よりか二〇ポイントも高い、こういう結果になっております。  そこで、二〇〇六年の中小企業白書を見ますと、二〇〇一年から二〇〇四年、正に小泉政権においてですけれども中小企業の廃業、これが年平均二十九万社あった。逆に、新たな開業ですね、新たな開業は十七万社。したがって、年間で平均十二万社も減ったと、こういう結果になっております。この結果、中小企業の総数、ピークだった一九八六年の五百三十三万社から、現在では百万社減り、先ほどの四百三十三万社になっていると。これが白書にもうたわれておりました。  そこで、人口減少化時代、こういう背景を私たちは抱えているわけですけれども、小売業の後継者対策についてどのような支援を行っていくのか。先ほど、この委員会でも審議しましたまちづくり活性化対策、中心市街地の活性化対策の中でも空き店舗対策、これも大変大きな課題なんだ、こういう話合いもここでさせていただきました。  そういう意味で、この後継者対策についてどのように取り組んでおられるのか、松副大臣の方から答弁をいただきたいと思います。
  105. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 先生がおっしゃいますように、後継者難ということは大変重要な課題であるというふうに私も認識をいたしております。  これまで税制面では、自社株式を親族以外の者やほかの会社に売却をして経営を引き継ぐことを円滑化する等の観点から、平成十六年度改正におきまして、非上場株式の譲渡益課税の税率を二六%から二〇%に軽減をしたところでございます。しかし、その後継者難の企業を始めとする中小企業事業承継問題につきましては、税制面だけではありません。中小企業経営者の皆様の意識の在り方、あるいは関連法制度を含めて総合的な対策が必要であるというふうに思っております。  私どもは、日本商工会議所や関連する士業、これは昨年十月から、弁護士あるいは税理士の団体の方々とも、皆様方と一緒事業承継協議会というものを発足をさせまして、いろいろな分野の実務家の方々とともに検討を行っているところでございます。小売業ということに限ったことではないんですけれども、こうした特に中小企業の方の後継者難ということについて協議会で検討しているというところでございます。特に、その親族内に後継者が存在しないケースにつきましても、従業員等への承継やあるいはMアンドAの承継方法、そうした各ごとですね、あるいは具体的な承継計画の立て方や対策の実行方法についても検討をいたしております。  検討成果は事業承継ガイドラインとして来週公表する予定でございますけれども、その効果的な普及に努めるとともに、後継者不足の中小企業のための施策について引き続き懸命に検討してまいりたいというふうに思っております。
  106. 小林正夫

    小林正夫君 この関係で、もう一点質問をいたします。  先月の五月一日に施行された新しい会社法、これでは、最低資本金規制が廃止をされて資本金ゼロでも会社をつくることができると、こういうことになりました。そのことによって中小企業の開業の見通し、これは明るいものなのかどうか、現段階でどのように見通しを付けているのか、お聞きをしたいと思います。
  107. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 先生よく御存じでいらっしゃいますとおりに、残念ながら、一九八〇年代以降、開業率が廃業率を下回るという状況が続いているわけでございます。しかし、その低下していた開業率は、一九九〇年代後半以降は底堅く推移をいたしておりまして、二〇〇一年から二〇〇四年までの期間は、三・一から三・五に、〇・四%でございますけれども上昇をしているところでございます。  開業率が少しでも上昇している理由といたしましては、もちろんばらつきはあるものの全体的には景気が回復をしているという、そうした中で、政府におきましても、一円でもオーケーという最低資本金規制特例制度、これを設ける、あるいは様々な開業支援の取組を行ったことも挙げられます。同制度の利用実績は、二〇〇三年二月から二〇〇六年四月までの三年三か月の間に、総計約三万七千社に上っているわけでございます。  この新会社法、五月一日から最低資本金撤廃ということでございますし、開業活動、今後より活発になっていくものというふうに私は期待しております。  経済産業省といたしましても、引き続き様々な施策を実施しまして新規開業を促していく決意でございます。
  108. 小林正夫

    小林正夫君 大臣にお聞きをいたします。  平成十一年に改正された中小企業基本法ですけれども規模が小さいあるいは資金調達力や情報収集力が弱い、技術力が低いなど、事業経営の中で不利な立場に置かれやすい中小企業組織化することで結束をさせて大企業との格差を是正していく、こういう理念であったものから、多様で活力ある独立した中小企業の育成、発展、自ら頑張る企業への支援と理念が変わってきたと、私はそのように受け止めております。  今、私の方で指摘した今日的な問題を考えるとき、自ら頑張る企業が頑張りにくくなってきている、こういうことに対して、この経営基盤が弱い中小企業がお互いに協力して助け合う相互扶助精神に基づいて事業を進めていくことが改めて大事じゃないだろうか、こういうことを露呈しているんじゃないかと私は思うんですけれども中小企業基本法の理念と今日の課題について大臣の御所見をお伺いいたします。
  109. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 御指摘の点でありますが、私どもも、やはり我が国における中小企業のシェアといいますか、位置付けを考えれば、何としても日本経済の底上げをしていくためには、中小企業の皆さんに元気を出していただき、それなりの発展を続けていただかなければならないわけでありますが、この中小企業が元気を出すかどうかというのが経済の成長の大きな視点であろうと思っております。  そこで、先般来、中小企業の対応として、実験的でありますが、ありとあらゆる対応を取っておるわけでありますが、先般から申し上げておりますような、中小企業の国際的な分野で活躍しておる立派ないわゆる優等生の中小企業、物つくりの業種等で三百社を選んで、あのような形でプレーアップするといいますか、ステージにのせたわけでありますが、そうしますとどういう効果が起こってくるかといいますと、まず、従業員の皆さんが胸を張って、我々の企業経済産業省から全国の三百の中に入った。三百といったら大変な数ですが、全体は御承知のとおり四百三十万社からあるわけですから、その中の三百社というのは大変な名誉なことであるわけですが、まず、従業員の皆さんが喜んでくれる。次に、取引先の皆さんが本当に祝福をしてくれている。金融先の評価が高くなった。  こういうことで喜んでおっていただくということを耳にするわけでありますが、それよりも、この中小企業のそういう優秀な方々が、今まではそれぞれ日本のどこに存在しているかということは、およそとして分かるかもしれませんが、実際は顔も見たことなければ、会社の名前も知らないという状況にあったところが、三百社が浮かんできたわけですね。そこで、三百社が地域別に集まる機会が増えてきたんです。そのことによって、お互いの持っておる技術あるいは知見、いろんなことを交流することができるようになってまいりました。  私は、この前、ある大学の理事長にこの三百社の冊子を提示して、こういう企業があると、この中の希望者は、場合によっては経済産業省も後押しして冠講座をお宅の方の大学でやらせてもらえないか。そうしますと、中小企業の経営者の皆さんがそこで講義をする。その講義を聞いておる学生の中に、自分も中小企業で働きたいと思う人も出てくるかもしれない。後継者不足で悩んでおるところ、経営者の後継者がいなくて困っておる会社も一杯あるわけですから、そういうところをそのまま申し上げることによって、私は学生にも大変刺激的な影響を与えるんではないかと思っておるんですが、大学側がそのことに大変賛同されまして、是非うちの学校でやってもらいたい。私は、実験的な試みでありますが、これが成功すれば他の大学でもどんどんと交流して、かねて、大学は、学校は社会のために門戸を開け、また社会は学校のために門戸を開けと言われた言葉がありますが、私はそういう面で、相互乗り入れ、相互交流、こういうことを盛んにやっていきたいというふうに考えております。  しかし、いずれにしましても、私は、今日の中小企業の関係者が持っておる悩みということについては、やはりここ十年、十五年の長きにわたる経済の低迷が一番の大きな原因であったと思います。今よく言われる言葉に、中小企業はまだ日が当たっていない、あるいは地方はまだ元気が出ていないということを言われるんですが、そういうことをいつまでも繰り返しておったって、これは仕方のないことであって、もうここらで私たちは、新経済成長戦略がうたうところの日本経済が成長発展の方向にお互いに歩んでいこうということを呼び掛けていきたいと思っております。
  110. 小林正夫

    小林正夫君 どうもありがとうございました。  いずれにしても、日本の企業の九九・七%を中小企業が占めている、もう中小企業が元気じゃなければ日本が元気にならないと、こういうことだと思います。  したがって、今までいろんな施策を打ってきたと思いますけれども、更に検証しながら、よりこの中小企業が活性化するように努力をいただきたいと思いますし、また私たちもこの活性化のためにいろんな意見交換をこれから先もさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。  次に、本法案について具体的に質問をさせていただきます。資料ナンバー二を見ながら質問をさせていただきたいと思います。  中小企業組合に対して、この中小企業の安定や健全な育成、発展のために大きな役割をこの中小企業組合は果たしてきていると思います。そこで、国や都道府県から各種の援助を受けている、こういう団体でもあります。したがって、国だとかあるいは都道府県からどのような助成金を受けてきたのか。こういうことで事前に経済産業省の方とやり取りをさせていただきました。回答もいただいたんですが、それをちょっと紙に書いて整理をしてもらいたいと、このように私の方でお願いをして出されてきた資料がこのナンバー二なんです。  改めて、平成十七年度あるいは十八年度、この中小企業組合などに対してどれだけの金額がどういう項目に対して援助されているのか、説明をいただきたいと思います。
  111. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 御説明申し上げます。  お手元の資料、先生お配りになられました資料にも書いてございますように、平成十七年度におきましては、全国中小企業団体中央会向け予算として約九億円、各都道府県経由、各県の中小企業団体中央会向けの予算として六億八千万円の予算を措置してございました。  この予算の中身といたしましては、全国の中央会向け予算の、①から書いてございますのは、各県の中小企業団体中央会指導員の資質向上のための研修を中央の団体がするという意味での指導事業と。それから、組合において新たな分野に進出する際の販路開拓とか市場調査に対する助成、活路開拓・調査実現化事業と言っておりますけれども、それが二番目に。三番目には、組合の先進的な活動事例の普及、情報収集・発信事業というものを全国団体向け予算で措置をいたしておりました。  それから、各県の中央会向けの予算としては、各県の中のまた各組合に対して専門家を派遣した指導をする際の指導事業、それから、国、地方公共団体の、私ども含めて、国、地方公共団体の施策の普及を各県の中央会がやっていただくための予算として措置されております。  平成十八年度におきましては、その間に起こりました国と地方の三位一体改革によりまして、都道府県経由の各県中央会向けの予算が廃止をされ、税源移譲され、各都道府県が独自に交付する、手当てをするという格好になっておりますので、各都道府県向けの予算はここには計上されておりません。  なお、また、全国中央会向け予算措置につきましては、平成十八年度におきまして若干の増額を行いまして、約十億円の予算措置を引き続き十七年度と同様の内容で行っているものでございます。  それから、なお一言申し上げますと、三位一体による各県中央会向け予算の税源移譲、国の予算の廃止の際には、二階経済産業大臣から全国知事会の麻生会長に対して、各都道府県が責任を持って予算措置を講ずるというお約束でこれを廃止するんでありますのでということで書簡の交換をいたしまして、麻生知事からは各県の知事さんあてにその趣旨をお伝えいただいて、各県で手当てをするという格好になっているわけでございます。
  112. 小林正夫

    小林正夫君 そうしますと、確認ですけれども、左側にある平成十七年度で見た場合に、全国の中小企業団体中央会向けに国から助成したお金が九億五百二十万、そして各都道府県が交付したお金が六億七千八百万、さらに、これは国として各都道府県向けに助成したのが六億七千八百万、それと同額が各都道府県からも出ていると。したがって、平成十七年度、合計すると二十二億六千万円ほどのお金がこの組合に助成金として出ていると、こういう理解でいいですか。
  113. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 十七年度の予算に関しては、おっしゃるとおりでございます。
  114. 小林正夫

    小林正夫君 そこで、先ほど少し説明がありましたけど、平成十八年度いよいよ三位一体の改革が行われて、この資料でいくと十八年度の右下の方が空欄になっているわけなんですが、先ほど書簡を交わしたと、このようなお話もありました。  ここは、従来、平成十七年度と同額程度のものが各都道府県で助成金として用意がされてくるだろうと、このように理解しておいてよろしいんでしょうか。
  115. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 私どもの期待は、この事業は各都道府県が独自に、自ら責任を持ってやるというお約束の下に措置されたわけでございますので、こういう措置になったわけでございますので、各都道府県の現場の御事情はいろいろあろうかと思いますけれども、そういう事業がこれまでと同様に行われるということを期待しているわけでございます。
  116. 小林正夫

    小林正夫君 そこで、平成十七年度使ってきたお金が分かりました。また、十八年度も使おうとするお金も分かりました。したがって、私たち、税金、公のお金を使ってくるわけですから、そのお金がどのように使われてどのような効果があったのかと。やはり費用対効果という意味ではきちんとチェックをしなきゃいけないというふうに思います。  そういう意味で、この金額を含めてどのような検証を行ったのか、そのときに課題として、どういう点が課題として集約をされたのか、質問をいたします。
  117. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) これまでの中小企業組合に対する助成につきまして、今御説明申し上げました例えば中央会向けの予算では、指導事業、活路開拓・調査事業、情報収集・発信事業などを行っているわけでございますけれども、こうした事業につきましての評価でございますけれども、指導事業につきましては、各組合が個々に抱える問題の解決に、その地域の組合の創意工夫を活用しながら中央団体として単体の組合に対して指導しているわけでございまして、健全な組合運営だとか組合活動の活発化につながるために極めて有効な自主的な活動費用ではないかというふうに思っているわけでございまして、私ども、こうしたできるだけ使い勝手のいい予算として活用されているというふうに理解をしているところでございます。  また、活路開拓・調査事業というものは、組合において新分野進出とか新商品開発を行う際の市場調査や展示会への出店等の販路開拓などを助成するものでございまして、これは新たな事業の創出に直接結び付くものでございますし、中小企業競争力強化という観点からは極めて有効な予算措置であると認識をいたしております。  一つ一つの助成につきましては、例えば一例を挙げれば、有田焼の四百年の伝統を生かしながら新しいブランドづくりをする有田の陶磁器の組合の活動などに五百万円ぐらいのお金で大変ユニークな活動が行われているということは私どももよくフォローしているところでございますし、ニットなんかでは、輸入ニット製品の急増に対しまして、産地で、強い競争力を持つ産地となるために差別化商品が提案できるような国内屈指の技術力を生かしたオリジナルデザインなどの研究開発を行っている組合がございますけれども、こういった組合に百五十万円ぐらいの予算で新しい活動をしているというような例が散見されるわけでございまして、全体としてそんなに大きな金額では、先ほどごらんになっていただきましたように、ございませんけれども、個々の組合からの御報告を承る限り、大変有効な予算ではないかというふうに考えております。
  118. 小林正夫

    小林正夫君 次の質問を行います。  六月六日、提案理由の中で大臣から、制度の創設以来約半世紀が経過する中で、当初の想定を超えて、極めて大規模事業を展開する組合や、共済事業に代表されるリスクの高い事業を行う組合が出現しており、運営規律が十分に働かなくなった中小企業組合破綻事例が散見される状況となった、このように提案理由の中で述べられました。  この半世紀の間に、中小企業等の協同組合共済保険事業規模、これはどのように推移をしてきて、今日どのようになっているのか、また、半世紀にわたったわけですから、この間に法改正をする必要はなかったのかどうか、この辺の経過についてお聞きをします。
  119. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) お答え申し上げます。  事業協同組合などの共済事業につきましては、これまでは組合福利厚生事業の一環ということで行われてまいりました。そのため、この共済事業ということを切り出してその事業に着目した法律上の規定というのは基本的には、火災共済については別でございますけれども一般についてはなかったということでございます。したがいまして、特に共済事業を特定する形で行政庁の方に報告義務というようなものも掛かっていなかったことから、必ずしもこの事業規模の推移というものが十分に把握できる仕組みとはなっていなかったというのが実際のところでございます。  ただ、いろいろな団体が公表している資料とか、そういったものから見てみますと、例えば契約件数を例に取りますと、もう最近の数字中小企業共済は今約二百八十万件ぐらいになってきているという数字がございます。そして、これは他の共済や保険と比べてどんな規模かと申しますと、例えば農協の共済では六千万件というかなり大きな契約件数になっておりますし、生協の共済が三千二百万件。これは民間の生命保険ですと二億二千万件、あるいは民間の損害保険の会社では一億四千万件というようなことでございまして、そういう意味では、まだほかの民間の保険会社あるいは他の共済制度に比べれば件数で見ても規模はそれほど大きくなってはいないわけでございますけれども、しかしそれでもかなりの規模になってきている。そして、現にその共済事業をやっていて破綻をして大変な被害を、組合員に迷惑を掛けたという事例もごく最近出てまいったということでございます。  その間、もっと早く何か規制導入するようなことはなかったのかというお尋ねでございますけれども、そういう規模が大きくなるものが出てきたということは認識はしておりましたけれども、一方で火災共済についてはかなり早くから、規模もかなり大きいしリスクも大きいということで規制は入っておったわけですけれども、その他の一般共済につきましては、必ずしも問題が生じていなかったというようなこともあってそこまで、これほど深刻な状況になるということは想定はされなかったということでございます。  そして、保険業法の方で、今回改正されまして無認可共済の方にも一定程度の網がかぶるということになりまして、これによって、こちらの組合法の方を放置しますと無認可共済の方から組合の方へなだれ込んでくるというおそれが現実のものになってまいりましたので、そういったタイミングをとらえてここで改正をしなければならないという判断に至ったわけでございます。
  120. 小林正夫

    小林正夫君 なぜ想定できなかったのか、そこが、いまいち私よく分からないんです。この半世紀の間に高度成長という時代もあったし、大変経済の情勢が厳しくなった時代も、もう本当にあらゆることをこの五十年ぐらいの間で経験をしてきたんだけれども、その間にこういうことが起きるんじゃないだろうかとか、そういうことがなぜ想定できなかったのか、このことについてお聞きをします。
  121. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) 想定できなかったというのは、もちろん論理的には、当然規模が大きくなればリスクも大きくなるということでございますから、それが、およそそんなことがあり得ないというふうに判断をしていたということではございませんけれども、一方において、組合というのが相互扶助精神でみんなの自治運営でやっていくものであるということは、余り、何か規制をするとしても、かなり行政としては謙抑的に行っていくべきではないかというような基本的な考え方もございまして、そうしますと、現実に特に問題が生じていないにもかかわらず、論理的にはあり得るのではないかということでかなり厳しい規制を入れていくということはいかがなものかというような判断もあったというふうに考えております。
  122. 小林正夫

    小林正夫君 今回のこの法改正の軸ですね、軸がお金の管理に関するガバナンス、こういうものになっていると私は思っています。改正の参考した法律が会社法によるところが多いのかなと、このようにも感じております。会社法では、会計知識に乏しい取締役など、共同で会社の計算書類を作成させることによって会社の計算書類の適正を確保するために社外役員として会計参与が置かれることになったわけです。  今回論議している組合と会社とは当然違うという認識はしておりますけれども、今日この組合で発生をしている貸付金の不良債権化、あるいは保有資産の評価損などによる破産、それと組合員から受け取った共済掛金を株式に投資するなど、こういうことの要因によって破綻事例が生じたと、こういうふうに考えていくと、今回の改正目的が、いろいろ組織内部で事故が起きたり、これから起きそうだと、したがって改正しようじゃないかということであるならば、今回の改正で示されている組合役員任期の見直しとか理事による利益相反取引の制限とか、監事への業務監査権の付与、共済以外の区分整理など、こういうものに加えて、計算書類の適正を確保するために会社法で言う会計参与、こういう役が必要じゃないかと私は思いますけど、このことに対してはいかがでしょうか。
  123. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) 御指摘のとおり、今回の改正の大きな柱としてガバナンスを強化する、その中でも会計面のあるいは財務面の健全性というのを確保するというのが重要な柱になっているということは御指摘のとおりでございます。  今先生御指摘になりました会計参与の制度につきましては、これは任意となっておりますけれども、この会社法の今度の改正によって新設されまして、これがうまく活用されて、特に小規模な会社などでも財務の健全性が確保されるということに活用されることが期待されているわけですけれども中小企業等協同組合法におきましても、当然のことながら会計面の健全性というのを確保するというのは非常に重要な課題でございまして、一方で、共済事業を行う場合には様々な規制が掛かりますので、相当程度、それはかなり規制としてもしっかり掛かっていくというふうに考えております。負債の額が一定規模を超えれば外部監査が入るというようなこともございます。  それ以外のものにつきましては、監事のその監査の業務範囲、業務監査まで強化するとか、あるいは規模の大きなところは員外監事を入れるとかいうようなこと。それから、特に問題を起こしたところが、大部分は資産運用が非常に危ない資産に投資しているというケースが多かったので、大規模なところについてはそういったところの資産運用の制限を加えていくというようなことで財務、会計面の適正性というのをやるということでございますけれども、御指摘になりましたその会計書類そのものをしっかりしたものにしなくちゃいけないということはそのとおりでございまして、この組合法においても、会社法とは少し違いますけれども、同じような発想で会計主任の制度というのがございます。この制度は、組合執行部の幹部職員として会計事務を担当して、理事の補佐役としてその活用が期待されているところでありますけれども、必ずしもその十分な活用が行われているかというところは、私どもとしても少し反省をしまして、是非、こういう制度がありますので、今回の改正に併せましてこういうものの活用を図ってもらうというようなことで普及啓発に努めていきたいというふうに考えております。
  124. 小林正夫

    小林正夫君 やはり組合員の人から預かった大事なお金をきちんと運用していく、このことが求められているんだと思います。  そういう意味で、今お話がありました会計主任と会計参与の仕事はやはり違うんだと私は思うんです。きちんとチェックをしていくために、せっかく会社法では新たな会計参与という、そういうことをやる人を設置をしていこうと、こういうところまでできたわけですから、やはりこの組合においてもそういうものが私は設置をされていくことも検討をしていかなきゃいけないんじゃないだろうか、このように思いますけど、大臣、この辺についてはどうでしょうか。
  125. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) そうしたありとあらゆる方策を講じて、私は中小企業の振興に本当に役立つようなものに仕上げていきたいというふうに思っております。  今回は緊急を要した法改正でありますが、同時に、今後ともこの審議の過程で多くの問題点の御指摘をいただきました。私どもはそれを真摯に受け止めて、これからの具体的な施策の運用に配慮していきたいと、このように思っております。
  126. 小林正夫

    小林正夫君 今回の改正で最低出資金規制導入する、このようにあります。先月の五月一日に施行された会社法では、逆に最低資本金規制を撤廃をして資本金ゼロでも会社がつくれると、こういうことになったわけですけれども、時代の流れという観点から見て、最低出資金規制導入についてどのように考えていけばいいのか。この件について、政務官、お聞きをしたいと思います。
  127. 小林温

    大臣政務官小林温君) 会社法において最低資本金規制の撤廃が行われ、これ新たな企業群の創出が我が国経済の活性化に不可欠であるということでこういう措置がとられたわけでございますが、この実績については先ほど松副大臣からも御紹介がございました。  一方、共済事業を行う中小企業組合については、やはり共済の契約者の適切な保護を図る必要性が、特に昨今のいろんな事件、事故が起きている部分を考えても、高くなっているというふうに考えておりまして、このため、組合が大規模共済事業を行うに際しては、自己資金が極めて少ないまま、その共済掛金のみを当てにして事業を開始することは適切ではないというふうに考えます。  したがって、事業健全性が確保されるよう最低限の財務基盤を有する仕組みをつくるということが必要で、今般この最低出資金規制を義務付けることとしたものでございます。
  128. 小林正夫

    小林正夫君 午前中の北川委員質問にもありましたけど、改めてお聞きをしますけど、今回の法改正中小企業組合のガバナンス強化のためにいろいろ規制強化される部分もあります。中小企業者にとって組合の使い勝手が悪くなってしまう、こういう心配がないのかどうか、改めてお聞きをいたします。
  129. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 組合運営規律強化に係ります措置は、組合自治運営が円滑に機能するためのものでございます。こうした措置を法律上明確化することで組合制度全体の信頼性が向上し、中小企業者などの事業活動にむしろ好影響を与えるんではないかというものだと考えております。  共済事業につきましては、既に同様の改正保険業法、農協法において行われておりますし、これを適切に踏まえた対応が必要でございます。対応が遅れた場合に中小企業組合が不適切に利用され、また中小企業組合制度の信頼性が損なわれるという懸念もございますので、可能な限り早期の対応が必要であります。  なお、組合が新たな制度に円滑に対応できますように所要の経過措置を設けることといたしておりますが、また、私ども自身としても制度の広報についてもしっかりと行っていき、中小企業組合の方々が不都合が起こらないように、使い勝手についても支障が生じないように私どもとしても万全を期してまいりたいと思っております。
  130. 小林正夫

    小林正夫君 最後に、大臣にお聞きをしたいと思います。  小泉政権五年間経過をする中で、私は、やはり景気対策、景気を浮揚する、こういう対策が非常に薄かった、このように感じております。その結果いろんな現象が起きて、大変中小企業も厳しい経営が強いられている、こういう実態にあると思います。特に、働きたくとも職に就けない、こういう人が多かったり、あるいはこの三年間で倒産件数が五万社にも及んだ、三百九万人の方がリストラに遭った、こういう社会状況になっているんだと思います。自殺する方も八年連続で三万人を超えてしまった、こういう社会になってしまった、こういうことだと思います。  そこで、冒頭に数字をいただきましたけど、やはり日本の企業の九九・七%が中小企業なんだ。したがって、先ほど私言ったように、やはり日本の元気は中小企業の皆さんの元気だと、このように私は思います。  したがって、二階大臣には、中小企業活性化の取組の意気込みと元気を取り戻す決意、このことについて質問を最後にさせていただきたいと思います。
  131. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 小林議員から様々な角度から中小企業振興のために御意見をちょうだいしたことは、大変有り難いことであったと思って拝聴しておりました。  仰せのとおり、日本の企業のほとんどが中小企業であるわけでありまして、お示しいただいた数字のとおりでありますが、私どもは、正に中小企業の躍進こそ日本経済がよみがえった、日本経済が新しい成長の路線に入ったということが言えるのではないかと考えております。  そこで、小泉政権のことについてお触れになりましたが、私があえてここで時間もございませんので反論を申し上げるわけではありませんが、昨日の実は経済財政諮問会議で、締めくくりの総理の発言の中に、その前に私が、新経済成長戦略、これをいよいよ具体化していくその道筋につきまして御報告を申し上げ、そしてほどなく会議は終了したわけでありますが、その終了の直前に総理が、改革であれも切るこれも切るということだけでは先の展望がないということをよく言われるが、将来に明るさを感じていただく、改革の先に何があるかという意味で、新経済成長戦略はこれは大変大事なことだという認識を示されました。そのことは、私ども当初から、改革は改革でいいとしても、その改革の先に見えるものを国民の皆さんに指し示すことができなければ政治にならないという私は思いを持っておりました。  そこで、この改革の先の展望でありますが、おかげさまで各界の皆さんからもいろんな御意見を伺い、先ほどからもいろんな御意見の中にもありましたが、私ども新経済成長戦略を作る上において、単にアンケートやいろんな書物の上から数字を拝借するというんではなくて、これはもう三百社の企業を選んで、直接面接をして、経済産業省の者が直接伺って御意見を伺い、基本的な企業のお考え等を承ってまいりました。そうしたことなどを重ねて、ようやく新経済成長戦略、世に問えるような状況になってまいりました。その中で、既に御承知のとおりと思いますが、GDPで二・二%以上の成長を期すると。これからこれを十年続けてまいりますと国民所得は着実に三割方上昇するであろうということを明言をさせていただいております。  このことによって、先般ある企業の方が、二・二%を着実にということを言われるならば自分の方も思い切った投資に踏み切れると。今、思い切った投資をしようかこのまま行こうかということを迷っておったところですと。政府がそういうことを、経済産業省がそういうことを明確におっしゃっていただくことは大変有り難いと。先ほどもOECDのお話も紹介しました。  ロンドン・エコノミストで著名な前の編集長のビル・エモット氏も、私と対談で意見の一致をしたところは、人口減少下においても逆風をついて進むというぐらいの気概を持って我々は成長戦略を進めていくんだということを言いましたら、人口減少下でもやりようによってはそのことは可能だということをビル・エモット氏もおっしゃっておりました。  我々は、そういうことから、国民の皆さんに自信を付けていただいて、御一緒に新経済成長戦略の道を歩もうではないかということを呼び掛けたいと思っております。  例の三百社の中小企業の皆さんのこの冊子につきまして、いろんなところから問い合わせが殺到しておりますので、今もう既に英語版、中国語版も作りました。そうしますと、フランスもこれを活用したいということでありますから、じゃフランス語でどうぞということを言っておりますので、これはジェトロ等が協力し合って現地でお作りいただくようでありますが、いずれにしましても、そうして日本の中小企業を世界に御紹介する、そして世界からもまた中小企業との取引の道を考えていただく。いろんな意味中小企業の育成に背中を押していく、地道な努力を重ねていく。ですから、経済産業省とはいえ、日本の国の企業の九九・七%を占める中小企業であるならば、我が経済産業省も九九・七%ぐらいの精力を費やして中小企業振興に努めてまいりたいと思っております。
  132. 小林正夫

    小林正夫君 どうもありがとうございました。
  133. 加納時男

    委員長加納時男君) 小林正夫君の質問は終わりました。
  134. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  今般の中小企業等協同組合法等改正でございますが、既に午前中から審議がありましたように、その改正目的は二点であるわけでございます。一点は、協同組合全般におけるガバナンスを強化していく措置を導入するという点でございます。もう一点は、協同組合の一部で行われている共済事業、これに対して特に健全な運営を確保するための措置を導入すると、この二点であったわけでございますが、まず具体的な法案の中身に入ります前に、この中小企業協同組合、この役割についてまず二階大臣にお聞きしたいと思います。  既にお話もありましたように、中小企業者の約七割、三百十一万社が組合員となっている四万八千の中小企業組合の役割は、中小企業政策の中でどのように位置付けておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  135. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 中小企業組合は、議員も御承知のとおり、中小企業者がそれぞれの有する経営資源を相互に補完し合いながら連携して事業を行うための極めて重要な制度であると認識をいたしております。  また、中小企業組合には相当多くの中小企業者が、今議員が御指摘のとおり加入されておるわけでありますが、こうした中小企業組合の大部分は、中小企業組合の指導機関である全国及び各都道府県中小企業団体中央会に加入しておられます。このように、中小企業のかなりの部分が中小企業団体中央会及び中小企業組合中小企業者という形でお互いに緊密に組織化されております。これらの組織は、例えば施策の普及や各種の調査の実施など、中小企業施策を推進するに当たり様々な形で活用されており、協力をいただいております。  こうした観点から、中小企業組合制度は重要な役割を果たしておると認識している次第であります。
  136. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  ただいま大臣が御答弁いただきましたように、中小企業協同組合は本当に重要な役割を果たしていると。相互補完、また相互扶助という観点から果たしているわけですが、例えば商工中金は転貸事業というのをやっていまして、いわゆる組合員に直接貸すんではなくて組合に貸すと。組合が付き合いのある組合員ですから、目利きなわけですね。担保によることなくお金を貸すことができると。  こういう意味で非常にいい制度だと思っているんですが、聞きましたところ、この商工中金の転貸事業の割合が減っているという状況を聞いたんですが、この商工中金の転貸事業評価と今後の見通しについて松副大臣にお聞きしたいと思います。
  137. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 先生おっしゃっておられますように、正に商工中金中小企業組合とその構成員を対象とした専門の金融機関として重要な役割を担ってまいりました。その転貸事業も非常にすばらしかったと私も思っております。御指摘のとおり、組合を通じた金融というものは、中小企業と日ごろから密接な関係にあります組合の目を通して、その企業本来の能力を見極める目利き能力、またその企業事業活動を観察してその変化を常にとらえるモニタリング能力など、優れた特徴を有しているわけでございます。  今回の政策金融改革におきまして、商工中金は民営化をされることになっておりますけれども、そのさなかにありましても、商工中金の行ってきた組合金融の機能の重要性というものはいささかも失わせてはいけない、このような機能をしっかりと維持していくことこそが大切であると考えている所存でございます。
  138. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。松副大臣から力強い御答弁いただきましたように、商工中金の転貸事業も、今回の政策金融機関の改革の中でも位置付けて、引き続きお願いしたいと思っております。  次に、質問として、いわゆる破綻防止を目的とした規制強化と、あと本来組合の持っている自治のガバナンスとのバランスという案件を小林務官にお聞きしようと思いましたが、既にこれ質問が出まして、山根議員からも質問がございましてお答えいただいておりますので割愛させていただきます。  次に、この法律改正趣旨にもありますように、近年、大規模組合共済事業を営む中小企業協同組合破綻が問題となっているわけでございます。そこで、この中小企業協同組合の業態の変化について松副大臣に再度お聞きしたいと思いますが、この中小企業協同組合の役割として、法制定当初、想定していなかった異業種だとか大規模組合共済事業の拡大が顕著になってきた背景は何でしょうか、お答えいただきたいと思います。
  139. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 午前中からいろいろ御議論をさせていただいておりますけれども、法制定当初は、同業種の中小企業者から構成される組合において共同購入、共同生産、共同販売等の事業を行うものが中心であったわけでございます。それが、御指摘のとおり、異業種組合あるいは大規模組合が増加しているわけでございまして、これは今おっしゃっておられるように、業種、業態の異なる中小企業者連携して新事業展開を行う事例が増加したためであります。また、金融事業や高速道路料金別納割引制度、この規模の拡大によりまして経済的なメリットが極めて大きい事業組合で実施する事例が増加したためと認識しておりますけれども、こういうところで不正をしたり、いろいろな事例が発覚をした、今回のこの改正にもつながったというふうに思っております。  他方、共済事業につきましては、当初はいわゆる見舞金的な共済金の給付を行うものが中心でありましたけれども、近年、組合員のニーズの高度化あるいは多様化、つまり生命保険や傷害保険や損害保険などもやってほしい、そういうふうになってきたと。その規模の拡大、事業内容の高度化、多様化を遂げてきてこうなったということであるというふうに思っております。
  140. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  正に時代の変化に伴ってそういう業態が出てきたんだなという気がしているわけでございますが。  そこで、経済産業省の方に質問したいと思いますが、異業種大規模組合が多くなっていると、そう言いますが、具体的に組合員千人以上の組合数がどれぐらいあるのか、またその中で破綻事例としてはどのようなものがあるのか、お聞きしたいと思います。
  141. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) 組合員数千人以上の中小企業組合数は、おおむね、これ推計でございますけれども、六百組合ぐらい、程度ではないかというふうに推計しております。  また、破綻事例といたしましては、幾つかございますが、共済事業を行っていない一般事業協同組合の例では、例えば株式のように元本が保証されていないような資産で資産運用を行って、その価値が下落をして、それによって破綻をしてしまった組合、あるいは組合員向けの貸付けを行っている組合で、組合規約に違反をしまして特定の組合員に非常に多額の貸付けを行って、これが不良債権化したために破綻をしてしまったというような組合、あるいは、高速道路の別納割引制度というのがございましたけれども、これを利用していた組合で代表理事が横領し、逮捕、起訴されて、最後は破綻してしまった組合というようなものがございます。  それから、共済事業を行っていた組合では、外債など非常にリスクの高い資産で運用を行い、この価値が下落をして破綻をしてしまった組合といった事例がございます。
  142. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいま御答弁いただきましたように幾つかの破綻事例があるわけでございますが、その中で、共済事業破綻した事例で外債を使っていたということでございますが、これは多分、平成十五年八月に自己破産を申し立てた佐賀商工共済のことだと思いますが、そういう意味では、表面的には外債を使ったということですが、なぜその外債みたいなものに走ってしまったのか、根本原因はどういうふうに考えておられるか、お伺いします。
  143. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) 今御指摘のありました佐賀商工共済協同組合でございますけれども、これは共済事業とそれから組合員等からの借入れと貸付けを行うという事業を行っていた組合でございます。組合員の数が一万五千人を超えるという非常に大きな規模組合でございます。  お話のありましたとおり、アルゼンチン債あるいはその他の外債で運用をいたしまして、直接のきっかけはこの価格が下落したということで破綻をしたということでございますけれども、今おっしゃられたとおり、これは直接の原因でございますけれども、そういった結果につながる元になりましたのは、やはり、元々は組合といいますと同業者、顔が見える人たちが集まって自治運営ということで機能しているというのが普通の状態なんですけれども、このように見ず知らずの事業者を一万五千人も集めまして構成される組合になりますと、なかなか組合員がその組合を自分たちが運営しているんだというような意識というのを持ってもらうというのは、これは非常に難しくなってくる傾向がございまして、その結果、全体のガバナンスが利かなくなり、自治運営というのが機能しなくなったと、その結果、非常にずさんな組合経営が放置されてしまったということではないかと思います。
  144. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいま御答弁いただきましたように、一万五千人という大きな組合になりますとやはり顔が見えない組合になってしまうと、それによって自治、自分で治めるんだという自治意識が薄れてしまってガバナンスが緩んでくると、それをいかに補完するのかというのが今回の法律改正の大きな目的だと思っております。  そこで一方、昨年の保険業法改正があったわけですが、そして本年四月から施行されたわけでございます。しかし、その副次効果が、先ほども少し答弁でもありましたけれども、懸念されているわけでございまして、つまり、何かといいますと、今まで無認可共済の問題が背景となって保険業法改正され、小規模短期保険業者等の規制導入されたわけでありますが、その施行状況は今どうなっているでしょうかというのをまず聞きたいと思うんですね。  その上で、無認可共済中小企業協同組合等、保険対象外の制度共済に移行するというようなことがないんでしょうかと、そういう事態が出ていないかどうかについてお答えいただきたいと思います。
  145. 山崎穰一

    政府参考人山崎穰一君) お答え申し上げます。  いわゆる根拠法のない共済への対応といたしまして、契約者保護の観点から、本年四月に御指摘のように少額短期保険業制度が導入されたところでございます。新たな制度の下では、少額短期の保険のみの引受けを行う事業者について登録制の導入や資産運用規制を課すなど新たな規制の枠組みを設けますとともに、円滑な移行のための経過措置として、四月一日以降引き続き保険の引受けを行っている既存事業者は特定保険業者として位置付けられまして、本年九月三十日までに届出を行うことにより、法施行日から二年間は少額短期保険業者としての登録等が猶予されております。  現在、少額短期保険業者の登録等に係る事務につきましては各財務局で行われておりますが、少額短期保険業者として登録されている業者はまだおらず、現時点では登録の手続に関する事前照会等への対応が行われている状況であると承知しております。  なお、御指摘の、無認可共済中小企業協同組合等、保険業法対象外の制度共済に移管するような事案については、金融庁としては現在のところ把握しておりません。
  146. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今のところ金融庁としては把握していないということですけれども、引き続き、そういうことがないようにウオッチをしていただきたいと思っております。  今、制度共済の話をしましたので、同じく制度共済一つとして生協、生活協同組合ですね、に関して質問したいと思います。  全国の生協の制度共済のまず規模、またその実態はどうなっているでしょうか。今までに破綻など問題となった案件はどの程度あるんでしょうか。お答えをお願いしたいと思います。
  147. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 消費生活協同組合共済事業についてのお尋ねでございますので、お答え申し上げます。  生協は、一定の地域又は職域による人と人との結合で相互扶助を行うということで、御案内のとおり、購買事業、利用事業などを行っておりますが、その事業一つとして共済事業がございます。  共済事業を行っております消費生活協同組合は百四十三組合ございますけれども、どのような規模かということでございますが、農協さんでございますとか漁協、あるいは中小企業協同組合など、共済組合すべての中でのシェアを申し上げますと、例えば生協の共済は契約件数では七千五百九十三万件ということで、全体の共済の中の五一・七%を二〇〇四年度で占めております。掛金では一兆七千百五十四億円ということで、共済全体の二二・八%、総資産では四兆六千六百五十八億ということで、九・七%ということでございます。  つまり、契約件数では半分を占めておりますけれども、受け取っております掛金では二割程度、総資産は一〇%以下ということでございまして、どちらかというと小口の契約が多いんではないかと、そんなようなふうに考えております。
  148. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいま御答弁いただきましたように、契約では五一・七%ということで、確かに小口であるわけでございますが、逆に言えばそれだけとらの子を預けているというわけでございますので、やはりこの生協の共済事業についてもある程度のガバナンスの強化といいますか、が重要だと思うんですが。  それで、今般、保険業法改正されて施行されたと。で、今回、今は中小企業組合法の審議をしていると。この中で、いわゆる生協の共済事業に対する規制現状はどうなっているんでしょうか。また、それに対して今後改正をするという見込みはあるんでしょうか。
  149. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。先ほどのお答えの中で一つ答弁漏れをいたしましたので、それも含めてお答えをさせていただきます。  破綻事例があるかという先ほどの御質問でございました。厚生労働省としては、これまで消費生活協同組合が実施する共済破綻したと、そういった事例は承知しておりません。ないというふうに考えております。  保険業法改正なり、それから今回の中小企業組合法の改正がなされている中で、生協に対するそのガバナンスなり、そういった規定の整備についてどうかと、こういうことでございます。  もちろん、現在、生協法によりまして、組合の規約において共済事業の種類ごとに実施方法、共済契約、責任準備金の額の算出などに関する事項を定め、これを行政庁の認可が必要とすること、責任準備金等の一定の基準を元に積み立てなければならないことを規定するとともに、行政通達で、長期の共済においては共済計理人に関する関与等をさせること、募集時におけるルール、そういったことについて定めて指導を行っているところでございます。  しかしながら、この消費生活協同組合法は昭和二十三年に作られた法律でございまして、共済事業健全性の確保、組合員の保護の観点から見ますと、法律規定としてはいささかやはり古いのではないかというふうに私どもも考えておりまして、共済事業を行う生協の実態を十分踏まえながら、法律規定の整備、そういったことについては検討を加え、取り組んでまいりたいと考えております。
  150. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 昭和二十三年の法律で行政通達でやっているというのは限界だと思いますので、早く、秋の国会もあるかもしれませんので、準備をしていただいて、お願いしたいと思います。  次に、保険業法と本法律規制の違いについて経済産業省質問したいと思います。  保険業法の少額短期保険業者の場合は、保険期間、保険金額の上限が規制されているほか、取扱商品が少額、短期、掛け捨てに限定されるなど、今般の中小企業組合規制案よりも厳しくなっております。  そこで、同じように中小企業組合についてもこういう規制をきめ細かくする必要はないのかどうなのかについてお答えいただきたいと思います。
  151. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) 先ほど来お話し申し上げておりますとおり、組合というのは相互扶助ということを基本にしまして自治運営でやっていただくというのが基本だろうというのが基本的な考え方でございます。一方の保険業法というのは、そういった観点とはまたちょっと違った観点で規制を行っているというふうに承知をしておりまして、その組合の理念と実態を踏まえた上で、最も合理的なやり方は何なのかということをいろいろ検討した結果、今回の改正案を出させていただいているわけでございます。  具体的には、大規模共済事業を行う組合の場合には、その健全性を確保するために行政庁が健全性の基準、いわゆるソルベンシーマージンというようなものを設定できるというふうにしておりますし、またあわせて、その組合の支払能力によって必要があるというふうに認めるときは随時、業務停止命令等監督規定についても新たに整備をすることにしております。  こうした措置を導入するということを総合的にやっていくことによりまして、共済金額の上限について特段制限を設けなくとも共済事業健全性は確保されるものではないかというふうに考えております。  また、共済期間が短期のものに限るというようなお話もございましたけれども、長期になったり、あるいは非常に複雑で共済数理の知見を要するというようなものにつきましては、責任準備金の適正な積立てあるいは適正な契約者割戻しを確保するために共済計理人の選任、関与を義務付けるというようなことも措置することになっておりまして、共済期間が長期にわたる場合でありましても共済事業健全性の確保ということはできるというふうに考えております。
  152. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 確かに、協同組合ですから、自治の原則で、それをベースにして規制を考えていくというのが基本かもしれませんが、先ほど例が挙がりましたような一万五千人という組合員、もうそれは実態上、自治というのは難しいんだと思うんですよね。そういう意味では、この法規制でスタートするにしても、それで問題がないかどうかをやっぱり逐次チェックをしていただいて、問題があれば直していくということを考えてほしいと思うんですが、そういう意味で、この法律には見直し規定はありましたっけ。
  153. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) これは規制法でございますので、政府全体として常に、五年で見直しということになっておりまして、この法律も五年後に見直すということにしております。
  154. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 そういう意味では、その五年間の間にいろんな事例を積み重ねていただいて適切な規制の在り方を検討していただきたいと思います。  次に質問しようと思っておりました、いわゆる組合員千人というところで線を引く、これは一般もそうですし共済の方もそうですが、これについては既に山根委員から質問もございました。また、組合員千人というだけじゃなくて、共済事業の金額とか契約期間も踏まえて規模を考えるべきじゃないかという質問も既に北川委員からございましたので、この質問は割愛させていただきます。  今次改正については、規制強化しているだけではなくて、一部規制緩和をしている部分があります。つまり、共済事業を実施する組合について、他の共済代理店の兼業を認めるなどの規制緩和が行われているわけであります。  そこで、経済産業省質問したいと思いますが、今回改正共済事業を実施する協同組合に関して規制を緩和した事項の概要はどうなっているでしょうか。これらにより組合員のリスクが高まることはないでしょうか。
  155. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 今般の法改正におきましては、共済事業を行う組合に対する措置として、例えば保険会社の代理業務を明確に位置付けるということとともに、これまで総会の決議が必要とされておりました合併決議を総代会でも認めることといたしております。保険会社の代理業務につきましては、組合共済商品として取り扱っていない内容の保険を組合員に対して提供することを法律上明確化するものでございまして、組合員の利便性が向上することができると思っております。また、合併決議を総代会で認めることにつきましては、機動的な合併決議を可能とするものでありまして、これによって、共済事業実態を踏まえて、必要に応じて共済事業規模の拡大を図ることが可能となると、事業の安定運営につながるものであるというふうに考えているわけでございます。  これらの措置につきましては、共済事業のリスクを増すものではなくて、むしろ共済事業の健全運営を確保することを目的とするものでございまして、組合員が安心して共済事業を利用することが可能となるというふうに考えているわけでございます。
  156. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 組合員のリスクが増さないということを確認させていただきまして、次の質問に移りたいと思います。  この組合員のリスクを低減するには、余裕金の運用方法を規制するということが不可欠であると思います。今般、組合員千人以上の大規模組合及び共済事業を行う組合については余裕金の運用制限が課せられたわけでございまして、外債購入や投機的な資産運用が禁止されているわけでございますが、しかしそれではどういう資産運用が認められるのか、それの内容についてお答えいただきたいと思います。
  157. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 運用を認める有価証券の具体的な内容につきましては、現時点では外債での運用は認めない予定でございます。社債、株式、金銭債権、信託については一定の安全性が確保されているものに限定することを考えております。詳細につきましては、今後引き続き法成立後を目指して検討をしていくことといたしております。
  158. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 引き続き検討をお願いしたいと思いますが、是非そのリスクについて問題がない形でお願いしたいと思います。  また、組合員のリスクを低減するもう一つの方法として、最低出資金責任準備金の積立てがあると考えますが、このような規制は重要なんですけれども、逆に組合員にとってみると猶予期間なく導入されてしまうと困るわけでございます。  そういう意味で、経済産業省質問しますが、この共済事業を行う中小企業組合における最低出資金規制責任準備金の基本的考え方、具体的規制導入のスケジュールはどのように考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  159. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) 御指摘のとおり、共済事業を行う組合のうち千人以上の大規模なものにつきましてはなかなかガバナンスが利きにくいということで、一つ上乗せした規制として最低出資金規制というものを課すことにしております。これは、やはりこういう事業を開始するに当たって、他人からの掛金だけを当てにして始めると、これは適切ではないだろうということで、最低限の財務基盤を整備していただくという趣旨でございます。  今お話ありましたとおり、出資金を増額するということになりますと、当然明日からということはなかなか難しいということを私どももよく理解をしておりまして、もう組合の方々からもいろいろな意見をちょうだいをいたしまして、今回の案の中には一定の期間、経過措置を設けるということで、施行日から五年間経過措置を設けることにしておりますので、この期間内に各組合において出資金の引上げということの準備をしていただきたいというふうに考えておりますし、またそれで対応していただけるものというふうに考えております。  それからもう一つ責任準備金の考え方でございますけれども、これは自ら締結しましたその共済契約上の支払責任を全うするために、将来の事故による共済金の支払に備えて一定の金額を積み立てておく必要があるということでございまして、基本的には掛金をもらったらそれを規定に従って準備金として積んでおいてくださいと、こういう考え方でございます。したがいまして、これは責任準備金の積立てというのを義務付けたからといって非常に何か急激に出資金お金を集めてこなくちゃいけないと、こういう性格のものではございませんし、これは支払うべき共済金の財源、直接の財源となるものでございますから、可能な限り早期に積み立てていただかないといけないということで、これは改正施行日以降に開始する事業年度から行うべきものというふうにしております。
  160. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 責任準備金はすぐに施行後積み立てられて、最低出資金については五年後、五年間の猶予があると。その中で、組合員にとっては無理のないスケジュールでありつつ、かつリスクが回避できるようにお願いしたいと思います。  また、少額短期保険業者に比べまして、組合員千人以上の特定共済組合は、契約期間も金額も青天井の中で最低出資金の適正なレベルについてどうなのか、この点についてお聞きしたいと思いますが、特定共済組合でも最低出資金が一千万というのは十分と言えるのか。また、組合員千人未満の共済事業を行う組合についても、何らかの最低出資金規制がなくてもリスクは対応できるのかについてお答えいただきたいと思います。
  161. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) 最低出資金規制導入の考え方は先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、実際に共済事業事業運営を継続して行っていただく場合に、その健全性の確保というのは出資金の額だけで確保するという考え方ではございませんで、その他、大規模なものについてでありますから、ソルベンシーマージンとかそういったようなことで継続的にその健全性を確保するための施策、規制を総合的に講じることによってその安全性を担保していこうということでございます。保険業法における少額短期保険業者の最低資本総額も一千万円ということになっているということ、あるいは今の組合実態というようなことも考えますと、現実的にもこの金額が妥当なところではないかというふうに考えております。  それから、千人未満の比較的小規模共済事業を行う組合についてでございますけれども、こちらにつきましては、健全性確保のために区分経理あるいは情報開示等々の措置を義務付けておりまして、また負債総額が非常に大きいというようなものについては外部監査を入れるとか、あるいは長期、複雑なものを行う場合には共済計理人の関与を義務付けるというような措置を併せて講じることによりまして、過度な規制にならないという一方の要請と、それからその安全性を確保するという要請を両立させようというふうにしているところでございます。
  162. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今御答弁ございましたように、一応今の時点ではそう考えるということだと思います。組合員一千人未満の事業については区分経理をし、負債が、金額が多ければ違う手だてもするということでございますが、そういう形でうまく回るのかどうなのか、五年間の状況をよく見ていただいて、問題があれば是非その法見直しのときに対応していただきたいと思います。  次に、特定共済組合兼業の問題について質問しようと思っていたんですが、これについては北川委員の方から午前中質問ございましたので割愛させていただきまして、最後に二階大臣に、この中小企業組合法の改正によって中小企業事業者の受けるメリットを最大化していく方途について、是非お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  163. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) このたびの法改正を行うに当たりまして中小企業組合実態把握に努めてまいりましたが、様々な分野におきまして中小企業組合が活用されているということを改めて確認したところであります。例えば、中小企業者が地域の製品、デザインを活用し、地域ブランドあるいはジャパン・ブランドなどを確立しようとして、その結果、これが世界に通用するブランドとして確立していきたい、競争力強化をしていきたい、中小企業の積極的な支援に活用していきたいと考えておるところであります。  このような取組におきましても中小企業組合は十分役割を果たしており、中小企業競争力強化に大きく貢献していると考えておるところであります。  ジャパン・ブランド、一例を挙げれば、例えば旭川の家具ブランドというのは高級家具としてこのブランドが非常に有名になっております。この確立推進事業につきましても、中小企業組合等と経済産業省は相協力して対応してまいったところでありますが、もう一つは、この淡路のいぶしがわらのブランド育成プロジェクト等におきましても顕著な成功例と思われるわけであります。  今般の法改正によりまして、中小企業組合の根幹であります相互扶助精神に基づく自治運営、これまで以上に機能させることを目的に行うものでありますが、何としましても中小企業者自身の奮起が大事でありますが、そういうことを周りから支えていく、そういう意味で今回の法改正がお役に立てばいいということを願っておるわけであります。  いずれにしましても、我が国経済を支える中小企業の活発な活動が日本経済の中心であるということを忘れずに、我々は、日々、中小企業の進展、繁栄のために努めてまいりたいと思っております。
  164. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 大臣、ありがとうございました。  正に中小企業のその発展に向けて、この協同組合、正に相互扶助、また相互補完という意味で非常に大きな武器になると思っておりますので、そういうものをこの共済とかほかの事例で破綻させないように是非お願いしたいことをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  165. 加納時男

    委員長加納時男君) 浜田昌良君の質問が終わりました。
  166. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 本日最後の質問立たせていただきます鈴木陽悦でございます。  午前中から午後にかけて各委員のいろんな質問を伺ってまいりまして、私も何か申し上げたいなと思いましたが、持ち時間少のうございますので、直球勝負で質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  さて、中小企業組合法ですが、昭和二十四年に制定されまして、それ以来一貫して中小企業と大企業との格差の是正を基本理念としてきましたけれども、近年は、中小企業基本法改正に見られますように、多様で活力のある中小企業の育成、発展へと転換していきます。そこに呼応するわけじゃありませんけれども、いわゆる共済活動の不祥事、事件が発生してまいりました。先ほど同僚議員からもいろいろと御指摘ございました。今回の法改正というのはそんな反省を踏まえてしたんじゃないかなと思います。  しかし、今日は、静岡であるとか佐賀とか、それから四日市の例が出てまいりましたが、この不祥事はこれだけじゃございません。今日出てきた三件というのは比較的新しい方でございまして、私、ちょっと紹介したいのは、実は十一年前なんですが、こういった朝日新聞に結構大きく紹介されまして、「十二億円融資、半年後に破産」というタイトル、見出しでございます。極めて深刻な事件が起きています。  ちょっと簡単に説明しますと、通産省の特殊法人である中小企業事業団から総額十二億六千万円の融資を受けた首都圏の青果業者の協同組合が、融資後わずか半年で自己破産して融資が焦げ付いたという内容です。税金をつぎ込んだ事業団の融資が短期間に破綻したわけでありまして、非常にゆゆしき事態でございます。つまり、大規模、小規模にかかわらず、問題点が内包しているその土壌が含まれているということなんではないかと思います。  そこで、今回の法改正がこうした問題に対応しているのかどうか、その長い歴史の中、今回の改正の位置付けについて伺いますとともに、改正理由にあります使い勝手のいい組合、これを考えますと、つまりその規制強化組合組合員に過度な負担になりはしないか、こういう懸念があるわけでございますが、ちょっと各委員とダブる部分ございますが、これについて、この二点について伺いたいと思います。
  167. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 先生御指摘のように、この法律は昭和二十四年に制定されまして、制定から五十年以上の年月が経過をいたしました。近年では、規模の大きい異業種の組合の出現、あるいは事業の多様化、高度化に伴いまして、組合員による自治運営が機能しにくくなっております。また、破綻する組合も先生も御指摘になりましたように存在しているわけでございます。このために、今回の法改正におきまして、昨今の中小企業組合実態に応じて組合運営規律強化するとともに、共済事業健全性を確保するため必要な措置を講ずることにしたわけでございます。  運営規律強化は、一部の組合におきましては既に自発的に対応がなされているものと認識をしております。また、共済事業につきましても既に同様の改正保険業法、農協法においても行われておりまして、これを適切に踏まえた対応が求められている状況にございます。つまり、ここで手当てをしておきませんと規制の緩い方に流れてしまう、つまり悪用されるおそれがあるということでございまして、しっかりと当法律も変えて、改正をしていかなければならないというふうに思っております。  また、これらの措置につきましては、組合に過度な負担とならないように、先ほど来長官及び部長及び種々御答弁申し上げておりますけれども、所要の経過措置を設けるとともに、制度の周知徹底のために広報につきましてもしっかりと行ってまいる所存でございます。
  168. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  再三質問出て、私の質問が再々々質問ぐらいになりましたので、是非そのお気持ちをしっかりといただきまして取り組んでいただきたいと思います。  ところで、これも小林委員とちょっと重なる部分ありますが、改正案では組合員数が大規模組合につきましては監事にその業務監査を義務付けることとしておりますけれども組合を適切にチェックしていくことはすべての組合におきまして大変重要でありまして、大規模組合以外につきましてもその監事業務監査権を義務付けるべきではないかと思うんですが、この辺についてのお考え聞かせてください。
  169. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 組合員数が千人以下の組合につきましては、組合員組合運営に対する参加意識が高く、自治運営が効果的に機能するのではないかというのを期待しているわけでございまして、この場合、監事業務監査権を付与することが必ずしも必要でない場合もあると考えられるため、組合員の判断により監事の権限を会計に限定することを可能にするという仕組みになっているわけでございます。  ただ、監事の権限を会計監査に限定した組合におきましては、組合員監事に代わって組合運営状況をチェックすることが期待されておるわけでございまして、そこでこうした組合組合員に対しては、例えば理事が違法行為を行おうとしている場合、理事会の招集請求を可能とする権限を付与するなどの措置を逆に行っているわけでございます。
  170. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 その権限に絡めましてもう一つ質問させていただきますが、今回の改正の柱の一つに、理事の任期を三年から二年に縮める一方で、監事の任期を三年から四年に延長することとしております。組合の問題事例には理事による不適当な業務執行に起因するものもありまして、理事についてはその権限をより適切にチェックする観点から任期を二年以内としたものと思われますけれども、一方の監事につきましては権限強化に伴って四年に延長すべきとされております。これを見る限り、結局は理事にとって都合のよい監事が長く存在することになるんじゃないかとちょっと懸念するんですが、この点についてはいかがでしょうか、お答えください。
  171. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 委員今御指摘になられましたように、今回の法改正におきましては、むしろ監事に期待をし、監事の権限を強化することを目的監事の任期を延長することといたしております。  しかしながら、監事を含む組合役員につきましては、総組合員の五分の一以上、あるいはこれを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上の方々の連署をもって役員の改選請求が可能とされております。これにより、御指摘のような仮に問題のある監事の任期長期化といったような事態は避けられるのではないかというふうに考えております。  なお、監事の任期につきましては、これまで三年以内で定款で定める期間としていたものを四年以内で定款で定める期間とするものでありまして、このように実際に監事の任期をどのように設定するかは、組合における自治運営によって決定することができるようになっているわけでございます。
  172. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 よく分かりました。  共済組合が、ちょっと話違うんですが、破綻した場合ですが、認可した責任に関しては共通点がございます。共済組合破綻した際、その認可した行政庁の責任を求める声というのは、まあいろいろと今新聞も御紹介しましたけれども、各種報道で話題になります。  今回の規制強化によりまして、認可した行政庁の責任を問う声というのも、これ、いろんな意味でより一層高まるんではないかと懸念されますが、この行政庁の責任についての政府の見解というのはどうでしょう、いかがでしょうか。
  173. 古賀茂明

    政府参考人古賀茂明君) 現行の組合法では、政府の直接の規制というのはかなり限定をされているわけでございます。そうしたことについて見直しを行った結果として、かなりの規制が今度強化されると。で、その裏返しとして行政側の責任も非常に大きくなるというふうに考えておりまして、これを全うするということが非常に重要だというふうに考えております。  経済産業省といたしましても、その組合の適切な運営が確保されますように、所管する組合の適切な監督指導を私ども自らもちろんしっかりやるということとともに、組合を所管する他の省庁あるいは都道府県というところとも密接に連携、力を合わせまして、必要な体制整備ということもしっかりやっていただくようにお願いをしていきたいというふうに考えております。
  174. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 その責任については、先ほどから大臣が何回も、しっかりやると、頑張るという御決意をお話しいただきましたんで、是非その路線でお願いいたしたいと思います。  大変きついところをついた部分がありますが、ちょっと目線を明るく持っていきたいと思います。  二〇〇七年の団塊の世代がリタイアの時代、間もなく迎えます。また、地域の女性たちがボランティア活動から起業とか創業することが珍しいことではなくなって、いよいよコミュニティービジネスとかスモールビジネスが盛んにこれからなっていくんではないかと思います。都市部に比べて景気の回復が後れていると言われます地域経済を活性化するためにも、その地域に根付いた中小企業組合の活用、これが是非とも必要であると考えております。  そこで、中小企業組合を活用して地域経済の活性化をしている例、どんなものがあるのか、教えていただきたいと思います。
  175. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 中小企業組合を活用いたしまして地域経済を活性化している事例といたしましては、例えば、しょうゆ・みそ醸造業の組合員で構成します事業協同組合、これは石川県の金沢市にございまして、組合員十八人でございますが、組合員の敷地内にあった遊休化していたしょうゆ仕込み蔵を改造しギャラリー喫茶として再生をさせたりして、古いしょうゆ仕込み蔵を再生して町おこしに取り組んだという事例であるとか、生協の共同購買運動に携わった方が企業組合、個人が集まってつくる組合中小企業組合でございますけれども企業組合設立し、食べ手から作り手としてジャム作りを行っている事例、これは例えば、町田で、企業組合ワーカーズコレクティブ凡というんですか、組合員十三人で、食べ手から作り手になりたいということを思い至って、地元の農家とのかかわり合いを深めるうちにブルーベリーソースを中心とした各種ジャム類の製造に取り組み、働く場の確保と地域経済の活性化につながった、これはまあ主婦の方々だろうと思いますけれども、などの事例がございます。  こういった、地域において様々な人材や資源を活用した活動を、中小企業組合を利用しながら事業化することによって地域経済の活性化に貢献している例というのは多数散見されるところでございます。
  176. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 是非そうした、地域と一体化した取組というのはいろんな形で御紹介できればいいと思います。私の地元秋田でも、保育園を運営する企業組合が誕生いたしました。子育てとか介護施設ができ上がることというのは、子供を育てながら、介護しながら働き続けられるその共生として、環境づくりに企業組合が利用できて大変すばらしい事象だと思っております。そうした意味では、いろんな形で企業と地域が溶け込んでいく、この必要性というのは強く訴えていきたいと思います。  ところで、近年、株式会社の最低資本金規制の撤廃とか、LLPそれからNPO制度が創設されるなどの状況の中で、中小企業組合を活用することのメリットというのがよく分からないんじゃないかという部分も、いろんな声が聞こえてまいります。制度が多様化する状況の下で、役割分担といいますか、制度のこの整理整とんというのも一つ検討されるべきであると考えるんですが、その辺についてのお考えはいかがでしょうか。
  177. 小林温

    大臣政務官小林温君) 組合制度を御指摘をいただいたようなほかの制度と比較した場合に、まず、例えばNPO法人につきましては、これは非営利事業を行う組織体で、例えばまちづくりの推進など不特定多数の利益の増進に寄与するものというふうに考えております。一方で、中小企業組合は、今までもありましたように、共同購買や共同研究開発など、その内容は組合員の共通の利益を追求するための事業組織というふうに分けられるかと思います。  LLCについては、これ社員によって意思決定や業務決定が行われる。そして、中小企業組合は、総会で理事を選出して、理事会によって意思決定と理事による業務決定が行われ、重要な意思決定については、これは組合員全員によって構成される総会で、これ一人一票の原則に基づき決定をされるということになっております。  LLPについては、これは法人格を持たない組合であるのに対して、中小企業組合法人格を有する。  以上、三つぐらい比較をさせていただきましたが、今回の改正の中で、やはりこの組合制度は相互扶助精神に基づき、その組合員のために共同販売、共同研究開発など、協同して事業を行う場合にメリットがある組織形態だというふうに我が方では分類をさせていただいております。
  178. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。是非分かりやすい制度ということを強調していただきたいと思います。  もう一つ伺いたいんですが、組合の立ち上げ、運営などについてサポートする中小企業団体中央会、この中央会のコーディネート機能の強化が大変重要だと思うんですけれども、この概要と今後のその機能の充実、人材面の確保について、どういった計画、そして取組、あるんでしょうか、教えてください。
  179. 小林温

    大臣政務官小林温君) 中央会につきましては、これまで特に中小企業組合の新事業の展開でありますとか経営革新の支援を行ってきたところでございますが、今後、特にこの改正も受けまして、組合員の間のマッチングの場の提供あるいはビジネスが軌道に乗るまでその販路開拓を行うような人材を充実させる予定でございます。  現在、各都道府県の中央会には九百五十人を超える組合の指導員が配置をされているわけでございますが、一層の資質向上を図るために、特にビジネスの観点から様々なアドバイスができるような資質を身に付けていただくために、様々な形で研修事業の実施を検討しているというところでございます。
  180. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 政務官、ありがとうございました。  最後になりますけれども、本日の審議のまとめといたしまして、大臣、先ほどから決意、何回もお述べいただきましたが、中小企業組合を活用した地域経済の活性化について大臣の御所見を伺って、終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  181. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 地域経済を支える中小企業の役割とその重要性について、先ほど来、度々議員各位から御提言をいただき、また御質問をちょうだいしてまいりました。私どもも、その都度、中小企業の重要性について経済産業省としての位置付け等も申し上げてまいりました。  そこで、今回の法改正に伴い、中小企業組合のいわゆる相互扶助、この基本的精神、また地域において事業を展開する際の一番重要な点は、何をなすにおいても基本は相互扶助であるわけでありますから、この点は、今度の法律改正とともに、中小企業施策を進めていく上において特に重要視してまいりたいと思っております。  中小企業組合組合施設を町おこしに活用したり、先ほど中小企業庁長官から申し上げましたような例、地域の特産品の商品化に取り組むこと、地域経済が活性化した事例も現に存在しているわけでありますから、これらの成功事例等もまたいつか御紹介を申し上げて、他の組合の皆さんの奮起も促してまいりたいと思っております。  このたびの法改正におきまして、中小企業組合相互扶助がこれまで以上に十分この目的、効果を発揮することを期待するとともに、地域経済の活性化のために中小企業組合が更に活用されることを期待し、私たちも積極的に支援をしてまいりたいと思っております。
  182. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  終わります。
  183. 加納時男

    委員長加納時男君) 鈴木陽悦君の質問が終わりました。  他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより採決に入ります。  中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  184. 加納時男

    委員長加納時男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、若林秀樹君から発言を求められておりますので、これを認めます。若林秀樹君。
  185. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 私は、ただいま可決されました中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各派並びに各派に属しない議員鈴木陽悦君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、相互扶助精神に基づいて運営する中小企業組合制度の趣旨を踏まえ、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 中小企業組合の行う共済事業に対する規制に当たっては、従来の無認可共済中小企業組合の形態を悪用して事業を継続することのないよう、関係行政庁は連携してその実効性を担保すること。また、契約者保護の観点から、関係行政庁は連携して適切な監督、検査体制の整備に努めること。  二 大規模共済事業を行う中小企業組合に対する他の事業との兼業規制に当たっては、本来、組合は同業種、異業種の中小企業者が協同して様々な事業を行うための組織であることにかんがみ、その活動が過度に制約されることのないよう、個々の組合実態を踏まえて適切に対応すること。  三 中小企業組合が、有限責任事業組合や合同会社等とともに創業や新連携等における事業組織として十全に活用されるよう、今後の中小企業組合制度の在り方を含め、法体系の見直しについて検討を進めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  186. 加納時男

    委員長加納時男君) ただいま若林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  187. 加納時男

    委員長加納時男君) 全会一致と認めます。よって、若林君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、二階経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを認めます。二階経済産業大臣
  188. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
  189. 加納時男

    委員長加納時男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 加納時男

    委員長加納時男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三分散会