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2006-04-18 第164回国会 参議院 経済産業委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月十三日     辞任         補欠選任         松村 祥史君     太田 豊秋君  四月十四日     辞任         補欠選任         太田 豊秋君     松村 祥史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         加納 時男君     理 事                北川イッセイ君                 佐藤 昭郎君                 松山 政司君                 若林 秀樹君                 渡辺 秀央君     委 員                 魚住 汎英君                 倉田 寛之君                 小林  温君                 林  芳正君                 保坂 三蔵君                 松村 祥史君                 岩本  司君                 小林 正夫君                 直嶋 正行君                 藤末 健三君                 山根 隆治君                 浜田 昌良君                 松 あきら君                 田  英夫君                 鈴木 陽悦君    国務大臣        経済産業大臣   二階 俊博君    副大臣        経済産業大臣  松 あきら君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       小林  温君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    政府参考人        防衛庁防衛参事        官        小島 康壽君        文部科学大臣官        房審議官     布村 幸彦君        文部科学大臣官        房審議官     磯田 文雄君        厚生労働大臣官        房審議官     草野 隆彦君        経済産業大臣官        房地域経済産業        審議官      奥田 真弥君        経済産業大臣官        房審議官     大辻 義弘君        経済産業大臣官        房審議官     谷  重男君        経済産業省経済        産業政策局長   北畑 隆生君        経済産業省貿易        経済協力局長   石田  徹君        経済産業省産業        技術環境局長   肥塚 雅博君        経済産業省製造        産業局長     石毛 博行君        経済産業省製造        産業局次長    塚本  修君        経済産業省商務        情報政策局長   豊田 正和君        中小企業庁長官  望月 晴文君        国土交通大臣官        房審議官     小野 芳清君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○中小企業ものづくり基盤技術高度化に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○民間事業者能力活用による特定施設整備  の促進に関する臨時措置法及び輸入促進及び  対内投資事業円滑化に関する臨時措置法を廃  止する法律案内閣提出衆議院送付) ○工業配置促進法を廃止する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○独立行政法人エネルギー産業技術総合開発  機構法及び石油及びエネルギー需給構造高度化  対策特別会計法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 加納時男

  3. 加納時男

    委員長加納時男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 加納時男

    委員長加納時男君) 中小企業ものづくり基盤技術高度化に関する法律案民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法及び輸入促進及び対内投資事業円滑化に関する臨時措置法を廃止する法律案工業配置促進法を廃止する法律案、以上三案を一括して議題として、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 林芳正

    林芳正君 自民党の林芳正でございます。おはようございます。(拍手)盛大な拍手をありがとうございました。  中小企業ものづくり基盤技術高度化に関する法律案あと二つほど廃止する法案がございますが、このものづくりの方を中心に御質疑をさせていただきたいと思っております。  中国韓国、台湾と、近隣諸国との外交的な関係は少し波乱含みでございますが、経済の方で見ますと、国際市場での競争というのは、もう私から申し上げるまでもなく、どんどん進展しておるわけでございます。昔は雁型というのがございまして、日本がまず先頭を走って、その後フォードラゴンズで、その後がASEANの先進五か国と、中国はその後ぐらいだと、こういうふうに言われておったわけでございますが、先日、藤末議員ともある会議で御一緒したんですが、そこでも、もう今から、そういう縦で、雁行型でいくんではなくて、水平に競争していくと、そういう時代に入ってくるんではないかということを中国韓国の人とも議論を交わしたところでございます。  そこで、国内の構造的な問題としては少子高齢化が進んでいくという予想もあるわけでございますが、そういった国内状況を受けながら、大きな環境変化の中で、やっぱり国際的に我が国競争力というものを保っていきませんと、資源もない、人しかいないと、こういうものが我が国のジオグラフィカルな状況でございますので、この中で引き続き豊かで安定した生活国民に保障するためには、製造業国際競争力というのは大変大事だというふうに思っておるところでございます。  付加価値が高くて消費者に喜んで受け入れてもらうと、こういうようなものを、いかに製品を常に提供していくことが、これが重要であろうかと思いますが、今回のこの法律、いろいろな中身、今から聞いてまいりたいと思いますが、まず大臣に、こういう大きなこの経済社会変化の中で、どういう戦略の中で位置付けられるのか、まずお聞きしたいと思います。
  6. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 御答弁の前に、先般来度々御紹介申し上げてまいりました、「元気なモノ作り中小企業三百社」という選考をいたしておりましたが、ようやくそれがまとまりましたので、委員長、各理事、委員各位のお許しをいただければ、後ほどお配りをさせていただきたいと思いますが。それじゃ、どうぞお願いします。
  7. 加納時男

    委員長加納時男君) どうぞお配りくださいませ。    〔資料配付
  8. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 今後、ただいま林議員から、これからの国際競争力という面からどう考えているのかという御質問でありますが、国際競争の更なる進展、急速に進む少子高齢化など、我が国経済社会構造の大きな変化が予想されることは当然のことであるわけであります。  こうした構造変化の中で、製造業国際競争力強化することは、正に国富を拡大し、豊かな国民生活を実現するための国家戦略の大きな柱となると位置付けをいたしております。今回のこの法律は、この製造業競争力強化するため、その源でもあるものづくり中小企業の優れた技術力を更に高めようとするものであります。  具体的には、中小企業が担っているものつくりの基盤技術の中から鋳造メッキなど特に重要な技術を選び、そしてそれらの技術に対して予算措置金融面での支援など総合的な、政策的な支援を行ってまいりたいと存じます。将来また、税制面におきましても、今ある中小企業技術基盤強化税制などの活用をしっかりと願うとともに、今後この拡充強化をするなど、万全の対策を講じてまいりたいと存じております。
  9. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  大きなこの位置付け大臣からお聞かせをいただきましたけれども、そういうものづくりを支えている中心はやっぱり何といっても中小企業でありまして、今、大臣からこれをお配りいただきました。  皆さんもそうだと思うんですが、これをいただくと最初に開けるのが自分地元ページということでございまして、今日はせっかくですから三百六十一ページをごらんいただければと、こういうふうに思うわけでございますが、山口県の我が地元企業、三百六十一ページから四社ほど出ておるわけでございます。いずれも顔写真出ておりまして、それぞれ大変お世話になっておる皆さんなんでございますが、例えば、この一ページ目の柳屋さん、全国のいろんなお世話もされておられますけれども、よく海外出張されて、本当はゴルフに行っているんじゃないかと言う人もいるぐらいゴルフも上手なんですが、駆け回りながらカニかま皆さんもよく食事をされるときあると思いますけれども、あれの機械を造っておられると。二代目でございますが、ここに書いてありますように七〇%を占めるシェアを実は持っているというところであります。こんなような企業、そして、私もよくお付き合いをこの皆さんとしておりますけれども、非常に元気のいい、また、いろんなアイデアを持った方でありまして、多分、この本の中にほかの県の方がいろいろ出ておられますけれども、それぞれそういう方が選ばれておられるんだろうと、こういうふうに思うわけでございます。  ただ、やはりこういう方とお話をしておりましてひしひしと感じるのは、彼ぐらいになって、毎月のように東京に出てきていろんな勉強会をやったりというふうな方でも、どうしても、大企業の大きなブランドイメージとかネットワークというものとどうやって太刀打ちをしていくのかと。なかなか大きな、最近はスカッドミサイルぐらいに竹やりで挑むようなものだという話を聞きます。最近ちょっと違うのは、インターネットなんか出てきて、大きなお金を使わなくてもインターネットを通じていろんなことができるということは出てきたようでございますが、やはりこういったすばらしい技術を持っていて、実はもうかなりの実績も持っている企業国内立地地域においてもまだ十分に知られていないというケースも多々あるんではないかと、こういうふうに思うわけでございまして、こういう世界に冠たる日本中小企業というもののアピールということについて、まあこの本も作っていただいたわけでございますが、今後どういったことが考えられるのか、大臣にお聞かせいただきたいと思います。
  10. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) このたび、今お示しをいたしておりますこの小冊子は、世界に誇れる日本ものづくり中小企業の象徴として、全国四百三十二万社の中から三百社を選定させていただいたところであります。  今、林議員指摘のように、ちょうどこの三百といいますと、衆議院などは三百選挙区でございますから、一地域一つかと、こうまあ皆おっしゃるわけでございますが、今回は、申し訳ありませんが、そういうことは一切考慮に入れずに、大学先生だとか言論界の方とか、各界の代表的な方々の手によって公平公正に、そして情実因縁は一切排除する、そういう形で選ばせていただいたものでございます。自分地域は思ったより多いというところもあれば、自分が考えていたより大分少ないなということを言われるわけでございますが、今回はこれで御辛抱いただいて、この次のときにはこの三百社には卒業していただいて、新たな三百社を選んでいくというふうにしたいと思っております。  そして、これならば私の会社も入れる、私たち会社も入れるんじゃないかと思われる方もいらっしゃると思うんです。今この選定をしておる最中にこうした情報がいろんなところに伝わるや、海外からも是非これを英訳して送ってくれないかと、またOECD事務総長もこの前お見えになりましたので、日本経済の元気を取り戻しつつある今日、その源はやっぱり中小企業にあるのかという御質問もありましたので、私たちはこの中小企業技術力ということに大いに期待をして頑張っていきたいと思うので、OECDでも機会があればこの御紹介もしていただきたいということを申し上げた次第であります。  先般も日銀の総裁とちょうど席を隣り合わす機会があったわけですが、この冊子をごらんになりながらこのページをめくって、みんないいお顔をされておりますねというのが第一番目の印象として語られました。御苦労されてみんなが頑張って、だんだんこんないいお顔になるとすれば本当にうれしいことですということを申し上げたんです。そこで、日銀を通じてもこの中小企業にやはり配慮をする、目を配るという姿勢が是非お願いをしておきたいということを申し上げましたら、近々、支店長会議があります、私はこれを日銀支店長紹介をして、あなた方は恐らくこれだけ有力な、有名な中小企業経営者、ほとんど顔見知りでしょうねということを問うて、もし顔見知りでなければ自ら足を運んでこの会社状況等をみんなで調査をする、そういう気構えで対応したいと、こういうふうにおっしゃっていただきましたので、中小企業日銀が足を運んでくれるということは恐らくいまだかつてなかったかもしれない。しかし、そういう配慮が、予算だけの面ではなくて、中小企業を励ますことになるので、中小企業に自信を付けていただく、そういう意味からも是非配慮をいただきたい。  先ほども申し上げましたが、全国にはこの三百社に勝るとも劣らないような企業が存在していることも事実であります。今後も我が国製造業の、縁の下のこの御努力をいただいておるものづくり中小企業に光を当てる政策を考えていかなくてはならないと思っております。地道に今日まで頑張ってきていただいておるこの中小企業皆さんに奮起をしていただく、このことが我が国経済を持続的に好調、更に発展に、繁栄につなげていく大きな要素になるのではないかと考えておる次第であります。
  11. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  今、大臣おっしゃったように、学術的といいますか、専門的な見地から選んでいただいていると。山口県も小選挙区四つでございますが、たまたま選ばれていない小選挙区、安倍官房長官のところでございますので、なるほどそうかなと、こういうふうに今思いましたが。  まあ冗談はさておきましても、日銀の方に所管を越えてお話をいただいていると、大変力強く感じた次第でございます。もう一つ、大変いいお言葉だと思いましたのは、卒業していただくということでございまして、ここで今回選ばれた方がまたまた次にこうやって挙げなきゃいけないということではなくて、これをきっかけにどんどん羽ばたいていただいて、次にここに来る人はまた次の人が来ると。是非こういういい循環をつくっていっていただきたいと、こういうふうにお願いをしておきたいと思います。  それで、法案中身の方に入ってまいりたいと思いますが、今回のものは、先ほどお話がありましたように、技術について指定をして、そしてその指針に基づいて計画を作っていくと、こういうスキームでございますけれども、どういう技術支援対象というふうにしていくのかと、これが非常に大きなポイントになると思います。  また、技術別指針を作るということでございますが、川下企業という、まあユーザーといいますか、ニーズを持っている方の、技術開発のどういうニーズがあるかということを踏まえて今後の発展すべき方向性を示すと、こういうふうに書いてあるわけでございまして、こういうものが今後要るようになるんですよというものを、ある意味、教科書で言うと指導要領みたいなものを作っていくということであろうかと、こういうふうに思うんですが、大変大事な役割になると、こういうふうに思いますので、先ほど三百社御紹介いただきましたけれども、こういう実際技術を持っている中小企業方々からお話を聞くのは当然でございますが、そういう方々を含めて広く関係者の御意見というのを聞いていただいてこの大事な技術別指針というのを作っていくという必要があると、こういうふうに思いますが、どういうふうに作っていかれるのか、これは副大臣にお聞きをしたいと思います。
  12. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) おはようございます。  本当に林先生のおっしゃるとおりであるというふうに私も思っている次第でございます。  このものづくり基本法というのは、そもそも平成十一年に制定をされまして、ものづくり基盤技術というものが、その中で、ございます。これは、中小企業が有する技術の中で我が国製造業競争力強化あるいは新たな産業の創出に特に資すると考えられる技術について、中小企業政策審議会意見を聴いた上で経済産業大臣指定をすることとなっておりまして、どういうことが指定をされるのかということでございますけれども、具体的にはメッキ鋳造、鍛造、プレス加工など、当初は十七程度の技術、これを対象とすることを現在検討しております。  正に先生がおっしゃったとおり、きちんと川下の、ニーズを持っている川下企業あるいはいろんな技術を持っている中小企業、こういうところに広く聞かなきゃいけない、せっかくこれだけの三百社の本を作っていただいたんだから、こういう方たちに広く意見を伺いなさいということであると思いますけれども、正に私どもはそうした皆様、広く御意見を聞いてこれは策定する予定でございます。きちんと、こうした技術高度化指針は、市場ニーズを踏まえて技術開発の羅針盤として重要な役割を果たすというふうに思っております。  中小企業政策審議会は、大学先生などでつくられております。けれども、そこから一つ一つのこうした指針を作るのは、こういう方たちをヘッドとして、それぞれに、例えばメッキに係る技術鋳造に係る技術プレス加工に係る技術等々で、細かくこうした中小企業あるいは川下企業、こういう方たち民間の知見を結集した取組を行いまして、ものづくり中小企業が目指すべき実効性のある具体的な研究開発目標、これが示されるものと私どもも認識をしておりまして、そのために頑張ってまいる所存でございます。
  13. 林芳正

    林芳正君 是非、その方向でよろしくお願いをしたいと思います。  これが、やっぱり川上の方の指針というのがちょっとずれますと、ゴルフと一緒でスタンスがちょっとずれると二百ヤード先はかなりのOBになると、こういうことでありますから、やっぱり川上の方の指針をきちっといいものをつくっていただくということは大事であると思います。そして、この指針ができますと、この指針に基づいて実際に中小企業がこの研究開発計画を作成する、これも大臣に認定していただくと、こういうことになるわけですが。  よく地元のこういうような企業方々勉強会やったりしますと、どうも旧通産省、経産省、いろいろいいことを考えていただくんですが、たくさん書類を作る割には、支援措置の方はその紙の数に見合ったぐらいは余りないなというのがかつて聞かれたことでございまして、私もそのたびごとにいろいろお願いをしたりしておったんですが、今回も、なかなかこういう方々、ここへ出てくる方々はそれなりにスタッフもいるんですが、もう少し小さいところになるとなかなかもうその紙を書く手間すら大変だと、こういう方々もたくさんおられるわけでございまして、例えば添付資料がたくさん要るとか書くところがいっぱいあると、これは適度にきちっと書いてもらわなければいけないんですが、その辺りの、可能な限り簡素化していくということが必要になる、こういうふうに思いますけれども、これは長官にその辺の御決意をお聞かせ願いたいと思います。
  14. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 先生指摘のとおり、本法案は、技術高度化に関する方向性を示した技術高度化指針に沿ってものづくり中小企業自身研究開発計画を策定をして認定を受けた場合に支援策が講じられるという仕組みになってございますので、この高度化方向性に沿った研究開発目標とか具体的な内容とか実施期間というものがその研究開発計画の中に盛り込まれていないと支援が受けられない、こういう仕組みになってございます。また、研究開発実施に当たって、川下企業大学などの研究機関と協力する場合には、その内容研究開発を行うための必要な資金の額や調達方法などについても記載をするというのが条件になってくるんではないかと思います。  したがいまして、その際の申請書類につきましては、これは従来から私どもも、随分そういう苦情というか御指摘がいろいろあるわけでございますので、都度いろいろ勉強して簡素にすべく努力はしているところでございますが、なかなか十分なものになっていないということも事実でございます。  今回、私どもも、この趣旨に、この研究開発資金調達先に関する記載などにつきましても、従来の技術開発支援の際には申請に、例えば資金調達先種類別に分けて、十二種類ぐらいに分けて書けというようなのが従来の様式なんかにあるわけでございますけれども、これもまあ十二種類書かせたところで何ほどの意味があるのかということも十分精査をいたしまして、例えば今回のやつにつきましては五種類ぐらいに、自己資金か借入れか投資なのか何かというようなことを含めて、五種類ぐらいに整理できるんではないかというようなことも中で議論しているわけでございまして、そういった一つ一つのチェックをした上で、極力様式簡素化をしていくというような配慮をしていきたいという所存でございます。  あわせまして、さはさりながら、書くこと自身が大変慣れない方多いわけでございますので、この研究開発計画の作成に際しましては、窓口である経済産業局、あるいは場合によっては中小企業基盤整備機構窓口になることも、物によって違うわけですけれども、そういう窓口になるところが冷たいお役所の受付窓口みたいなことではなくて、むしろ適切にその指導助言窓口の方からしてあげられるような形で温かい窓口にするというようなことが、実際問題、こういう心理的な壁を乗り越えて効果的な支援になるんではないかというふうに思っているわけでございますので、そういったことも心掛けて対応してまいりたいというのが当面の私ども決意でございます。
  15. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  是非、社会保険庁のようにならないようにしていただいたらと、こういうふうに思いますし、この間、参考人に来ていただいたときに、実は大変面白いといいますか、なるほどなということをお聞きしたんですが、余り細かく事前の段階で決め過ぎちゃうと、中小企業の現場というのは、ものを作って、また戻って作ってと、この繰り返しで、その中から新しいものも出てくる可能性があるということでありますから、その辺はその現場に合ったフレキシビリティーというのもこの中で取り込めるようにしていただきたいということも併せてお願いをしておきたいと、こういうふうに思います。  そこで、予算の面での中心というのが、ものづくり基盤技術研究開発支援六十四億円ということで措置をしていただいているところでありますけれども、この間も参考人のときにもお話があったと思いますけれども、やはり一社だけというよりも、いろいろな組合をつくってやったりとか、それからもう一つはやっぱりユーザーの方と、これはもう少し大きな企業になる場合が多いんですが、そこの関係のある研究機関や独立した研究機関、こういうところとも連携をしてやっぱりやらないと、なかなかうちだけではねと、こういうところも多いわけであります。  そういうような、ほかのところと連携をしながら研究開発をやっていく、今回の予算措置でその辺が具体的にどういうふうになっておるでしょうか。長官お願いします。
  16. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 御指摘戦略的基盤技術高度化事業は、指針に沿いまして中小企業者が研究開発計画を策定をし、認定を受けた者のうち特に国として支援する必要性の高いプロジェクトについて資金面から支援をするという仕組みになっているわけでございまして、具体的には、基盤技術を有する中小企業中心といたしまして、おっしゃいましたニーズを有する川下企業や周辺技術を担う他の事業者、中小企業者の場合もあると思います、それから大学などの研究機関から成るそういった共同研究体により実施される研究開発というのが本予算の受皿としては主力になるんだろうと思います。それに対して、国からは委託するということによって支援をする形になります。  事業期間というのは二年から恐らく三年程度というふうに考えておりまして、一件当たりの事業規模というものは、これは中小企業の行う研究開発の規模の多様性というのがございますから、できるだけ弾力的に数千万円から数億円と、全体としてでございますけれども、の規模とするようなことを想定した形でございます。  こういった形で、技術高度化指針に示された高度な目標に向けた技術開発に取り組むものづくり中小企業是非強力に支援していきたいというふうに思っているところでございます。
  17. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  是非その連携がうまくいくような、何といいますか、ポイントみたいなものがやっぱりあると、こういうふうに思います。今までも幾多の施策で産学連携というのはもう経産省中心になってやってきた、まあ言わばお手の物のところでございますので、そのポイントを押さえた支援というものをお願いしておきたいと思います。  もう一つ、ただでなかなか研究開発というのはできませんから、お金をどうやって確保するか、これが大変に重要な課題であります。かなり大きなところになりますともう予算でRアンドDというのは確保されるわけでございますが、中小企業というのはもうなけなしの中からこれを絞り出してくると、こういうようなことであろうと、こういうふうに思いますので、この今回の法律に基づいて認定を受けた事業者が円滑に取り組めるような金融面支援措置というのは大変に大事だというふうに考えておるところでございます。  御説明聞いたわけですが、中小企業信用保険法の特例などといったようなものがいろいろ用意されているということでちょっと御紹介いただきたいと、こういうふうに思いますのが一点と、私、平成十年になるんですが、経済活性化及び中小企業対策に関する特別委員会というのが当時ございまして、そこでも一度御質問をしたことがあるんですけれども、その当時は今とちょっと違いまして、貸し渋り、貸し渋り、貸し渋り、貸しはがしと、こんなようなことがもう声高に言われていたときでございました。いろんな対策を打っていただいたんですが、私はそのときちょっとお聞きをしたのは、例えば中小企業と銀行の力関係というのがどうしても銀行の方が強いわけでございます。これはある程度は仕方がないと思いますし、日本の場合は、エクイティーで本当は持っているべきところも、根雪のように間接金融でずっと持ってローリングをしていくというところがありますので、このメーンバンクという制度は中小企業世界ではまだ厳然としてあると、こういうふうに思うんですが。  あの当時、非常に銀行の方が世知辛くなってきたということもあって、ずうっとお付き合いしてたメーンバンクですら非常に冷たいと、こういうことがありまして、どうしたらいいのかな、もう少しバーゲニングパワーというのを付けてもらうためにということを考えておりましたときに、アメリカのSBAがやっていたというのを教えてもらいまして、これは実は、メーンバンクをもうどうしても変えたいと中小企業者が思った場合に、A銀行がメーンバンクだったとしますと、B銀行というところにまあ浮気をするわけですね。ここが私のところへ貸してくれる。しかし、私のところはもうA銀行にお金を借りてますから担保は入っているわけでございまして、このB銀行が今度新しく新規で貸してくれようとしてももう担保の余力がないということで、どうしても例えば第二抵当なるものを入れてお金を借りる。  この第二抵当でリスクを取ってお金を貸してくれるというB銀行に対して保証なり支援をするというのがこのSBAの仕組みだそうでございまして、当然、B銀行から少しずつお金を借りてA銀行の方はだんだん返していきますから、ある時点でA銀行の残高がゼロになります。そうすると、ここの担保はなくなりますから、第二抵当は当然第一抵当へ繰り上がって、そこまでを支援をしてやると、こういう仕組みがSBAではやっているということをお聞きして、日本でも、いろいろ商慣行違いますけれども似たようなことができませんかねというふうにそのときは申し上げて、まあ検討の一つの材料にはなるのかなというような御答弁もいただいた記憶がございますが。  その後、こういう一般的に中小企業側の金融機関に対する競争力強化する、今言ったような具体的なことを例えばできるとすれば、例えば信用保証協会のようなものも考えられますけれども、どういうふうにしたらいいのかということも併せてお聞きしたいと思いますので、長官、よろしくお願いいたします。
  18. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) まず最初に、この本法案におけます信用保険の特例について御説明を申し上げます。  この法案に基づいて、中小企業研究開発計画実施するために必要な資金民間金融機関から借りる場合に、中小企業が利用可能な信用保険の限度額を増やす、大ざっぱに言えば倍にするということでございますけれども、具体的には、通常の保証限度額二億円に加えまして、普通保険で二億円、無担保保険で八千万円、特別小口保険で千二百五十万円、それぞれ別枠を設定をします。また、新事業開拓保険というカテゴリーがございますが、それにつきましても限度額の二億円を三億円に引き上げるという限度額の特例を受けることができるようになっているわけでございます。  また、研究開発計画実施するために必要な二十年以内の設備資金か原則五年以内の運転資金につきましては、中小企業金融公庫から、最優遇の金利であります特利三、今現在では一・五五%になっておりますけれども、で借入れ可能ということが今回の法案にかかわる金融面での支援策になっているわけでございます。  それから、先ほど後半で先生質問いただきました、中小企業がメーンバンクとの付き合い方の中で、新しいメーンバンクのような方にお金を借りるときに担保がない、そういうときにどういうふうに対応するんだという御指摘だったと思いますけれども、今現在、信用保証協会の保証は、件数で八〇%、金額で七〇%が無担保になっているわけでございます。  これは、私ども、デフレ不況の中で不動産価値が非常に下がって中小企業の信用力が、自分の事業は何の落ち度もないにもかかわらず信用力が落ちていくという事態の中で、できる限り不動産担保に依存しない金融というものを広める必要があると。それは官民の金融で広める必要があると。その先駆的な役割として、官の関与した金融のところで実施すべきであるということで無担保の金融というものを進めてまいりましたが、そういった中で、信用保証協会の保証制度も無担保の割合が非常に高まっております。特に、過去の趨勢を見てみますと、金額ベースでいいますと、やっぱり、先ほど先生おっしゃいました平成十年から、十年より前は五〇%弱だったのが、十年を越えたところから無担保の比率が急増いたしまして、七〇%を超える数字に今なっているわけでございます。したがいまして、そういう信用保証協会の保証制度を利用すれば、一定の条件の下に利用すれば、無担保の保証を受けて新たな金融機関との付き合いを始めることができるということでございます。  ただ、特別保証、金融が非常に混乱したときに問題になりました、信用保証協会を使ってかつての既存債務を借り換えるというためのダイレクトな保証をするということは信用保証協会の本来の目的ではございませんので、それはちょっと対象にはいたしておりませんけれども、ルールどおり返していきながら片方の方で新しいお付き合いを始めるという際には、今の無担保の保証制度というのを活用すれば新たな銀行とのお付き合いを始めることができるという制度になっていると思います。
  19. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。随分進んだなと、こういうふうに今聞いてて思いましたけれども。  確かに、今借りているお金を全部すぐ返してしまうということであれば、金利をその分、期待利益みたいなのがなくなっちゃうわけですから、正に今長官おっしゃったように、徐々に徐々に、総額は一緒なんですけれども、それが入れ替わっていくと。入れ替わっていく間は二重になりますから、まあ第二抵当というお話をさっきしましたが、そこが無担保であればもっといいわけでございまして、まあ、こういうことを勧めるわけではないんですね。なるべくメーンバンク等がきちっと付き合えばそれはそれにこしたことはないんですが、どうしてもという場合にこういうところがあるという仕組みが、不当に銀行の方が競争力が、関係が強いということにならない一つの抑止効果みたいなのがあるんではないかと思いますので、こういうものも併せてこの支援措置一つにしていっていただいたらと、こういうふうに思うわけでございます。  いろんな支援をいただいて、この間も参考人にも来ていただいたような、またこの本にも取り上げていただいているような割といいものを持っておられる、技術基盤を持っておられる中小企業者にとって、この知的財産に係る戦略というものは大変大事だろうと、こういうふうに思っております。  先ほどカニかまの人も、ヨーロッパ等いろいろ出張へ行って国際的にも売り込みをやっておられると。ただ、やっぱり何度か行ってその国のいろんな状況が分からないと、ぱっとこう買ってくれるから売れるというものではないと。カニかまそのものですと、一回売って買ってくれればそれで終わりなんでございますが、このカニかまを造る機械ですと、せっかく作った機械、まあリバースエンジニアリングされるかなとかパテントどうなっているかなといろんなことを考えられるわけでございまして、やはりせっかくこうやって仕組みをつくっていい技術基盤持っているということは、そこはとらの子でありますから、このとらの子を簡単にまねされたり持っていかれたりということがないようにするというのは、まあ中小企業のみならず全般的にも大きな問題でありますけれども、この質の高い知財を保護、活用する、できる仕組みというものは大変大事だと、こういうふうに思っておりますが、この法案についても特許の特例というものをつくっていただいているようですが、全般的に中小企業ものづくりの知財の保護、活用に関する支援ということを長官にお伺いしたいと思います。
  20. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 御指摘のとおり、ものづくり中小企業にとりましては、自らの知的財産を戦略的に保護し活用できる仕組みということを整備することは大変重要な課題であるわけでございますし、またかなり困難な課題であることも事実でございます。  この法律案におきましては、技術高度化に取り組むものづくり中小企業研究開発成果につきまして、審査請求料を半額、それから特許料につきましては最初の六年間を半額ということで、その負担軽減の対象といたしているわけでございます。  また、加えまして、中小企業が外国において権利化を行う場合に必要となる弁理士費用や翻訳費用などの補助する支援制度も別途昨年から始めているわけでございます。また、コピー商品などの被害が外国であった場合に、その調査費用を補助する支援制度も整備をいたしているところでございます。  それから、あわせまして、本年度から新たに知的財産に関する駆け込み寺というものを全国の商工会、商工会議所に整備をいたしているわけでございまして、これはなかなか、日本の津々浦々、地域に参りますと弁理士さんの数も少なくて相談相手もいないということで、全国の商工会、商工会議自身がその相談相手として、万全の能力を持っているわけではございませんけれども、相談の窓口としてしかるべきところにきちっとつなげるというような意味での駆け込み寺を従来の相談制度に加えまして開始をいたしまして、できる限り中小企業の知的財産に関する相談を受け付ける窓口となりたいということで、地域における中小企業の知的財産問題につきましても支援をしてまいりたいということでございまして、今後ともこの知的財産の問題というのは、中小企業のまず戦略としてなかなか、権利を取ることがベストの戦略なのか、あるいはノウハウとして自分の手元に隠しておくことがいい戦略なのかということも含めまして、中小企業自身なかなか難しい問題を抱えておりますけれども、権利化をするときであれば、そのためのその手段として私どもとしての支援の制度を整備しつつあるというような状態にあると思っております。
  21. 林芳正

    林芳正君 かなりきめ細かくやっていただけるということが今の御答弁で分かりましたけれども、この駆け込み寺、分かりやすい名前だと思うんですね。  ちょっと確認なんですが、今、長官おっしゃったこの駆け込み寺というのは、最後の方で大変大事なことを一つおっしゃって、本当に権利を特許として取っちゃうのか、取ると一応ここへ出てきますから、公開をされてそのライセンス料を払ってくれれば使うんですが、似たようなものを、ああ、なるほどというのがあると、こういうところは出さない方がいいという選択肢もまあ経営戦略としてあり得るということでありましたが、その辺りの、どうしようかなという御相談もこの駆け込み寺というのはやってくれるということでございましょうか。
  22. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 今、私申し上げた話というのはなかなか難しい実態にございます。  権利化をすると公開されるということ、公開された場合にはまねされる可能性出てきて、まねをされることに対してはそれと、その侵害を訴えて闘わなければいけないわけで、中小企業方々にとって、自分の事業以外のところでその労力を使わなければいけないということは、きちっとスタッフが整っている大企業などに比べればはるかに困難なことであるわけでございまして、その辺で中小企業方々は生来的にそういう実態というものを直感しておられて、場合によっては、むしろノウハウとして持てるだけ隠していて、それであるところまできちっと自分の利益を確保していくということをねらうという戦術も、これよくある話でございます。  その点の戦略について、本当に適切な相談相手というのは一体だれなんだということがございますけれども、ただ、私どもは、やっぱりそういうことについての相談にも乗れるような経営相談というのがやっぱり本当の経営相談じゃないかということで、私が口で申し上げている話と実態との間である程度のギャップがあることは重々承知しながら、駆け込み寺の充実というものは図っていかなければいけないと。それから、そういう適切な相談相手のところにきちっと相談できるせめてルートを持っている窓口をつくりたいということでございます。
  23. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  これはものづくりではありませんが、コンテンツの方でよく有名な話は、手塚プロが、「ライオン・キング」というのがディズニーでありますが、これと全く同じような「ジャングル大帝」というのを、ちょうど私が幼稚園のころだったと思いますけれども、作って、これを見付けたディズニーがこれ買いたいんだということで、当時、まあ二束三文ではなかったでしょうけれども、全くこちらは今おっしゃったように法律的なスタッフもいない、権利のこともよく分からない、まああのディズニーが買ってくれるんだからということで「ライオン・キング」になって、この「ライオン・キング」というのはもうディズニーの定番で物すごい収益を上げているわけですが、もしあのときに駆け込み寺があったら、手塚プロが駆け込み寺へ行って、いやこれはちゃんと将来の収益の何割は、またキャラクター商品の何割は戻ってくるようにしといた方がいいですよと、もしあのときそういうものがあれば、「ライオン・キング」というのは「ジャングル大帝」の焼き直しなんですと、今の日本の映画が、ハリウッド版ができるようなことがあのとき起こっていたかもしれないと、こういうふうに思うわけでございまして。  長官おっしゃったように、そういうことを、経営戦略そのものですから、そこに入っていって一緒にリスクを共有できるというところまでなかなかこれは難しいし、そこまで本当に官がやるのかという議論も出てくるかと思いますが、正におっしゃっていただいたように、大変に難しいが大変大事なところでございますので、中小企業の方が最後は自分で判断するにしても、十分なサポート、情報というものを与えるようないい駆け込み寺にしていただけたらと、こういうふうにお願いをしておきたいと思います。  やはり、そういう技術を使って付加価値の高い製品を開発するということは、皆さんも日夜努力をされておられると思いますけれども、今ちょっと話が出ましたように、お客さんが大企業である場合が多いと。そうしますと、打合せをし、今おっしゃったようにノウハウをどうするかを考えながらやっていくわけですが、やはり今、正にお話しになったように、お客さんの方に、やっているうちに、取られてしまうんではないかということを心配される方がおられます。  いったんそういうことになりますと、元々敵同士やるよりも、元々一緒にやっていたものですから離婚訴訟みたいなもので本当に厳しい話になるわけでございまして、それで二の足を踏むということもあり得ると思うんですが、しかし、そこを怖がっていると中小企業としてはもう活路がないということでありますから、大企業と一緒にやっていく場合の知財の取扱い等非常に大事になってくると。今までもそうであったわけですが、今回このような法律を作っていくことになりますと、ますます大事になってくると思います。  大事なことは、中小企業が不利にならないということだと思いますが、この辺、長官、いかがでございましょうか。
  24. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 先ほど来御説明申し上げておりますこの法案に基づきます研究開発に関する予算措置というのは、川上中小企業川下企業中心に、大企業のことが多いと思いますけれども中心とする共同研究体に対して支援を行うということが基本になっているわけでございます。  研究開発実施に当たりましては、予算の配分を始め、担当する研究開発事項や研究開発成果の利用などにつきましては、それぞれの共同研究体においてあらかじめ取り決められるということが原則になると思っております。成果の配分というものは、開発の寄与度を基に適切になされるべきものというふうに考えております。  また、中小企業が不利になることのないよう、定期的な評価を行いまして計画実施状況を確認するなど、適切な執行を行っていきたいと。つまり、たまたまこの共同研究開発は官が一定程度の関与を持ってやる制度であるがゆえに、私ども自身も、こういったところで中小企業がその成果の配分等々で不利な扱いにならないように監視をし、逆に私ども政策の知識、ベースである知識も蓄積されていくんで、その過程でも更に勉強をしていきたいと思っておりますけれども、取りあえずは、もう当然のことながら中小企業が不利にならないような仕組みというものを実施されるような体制をしていきたいと思っているわけでございます。  それから、特に、こういう場合にアイデアを持っている中小企業が大企業にその製造委託をするというような共同研究開発みたいなものもあるわけでございますけれども、その大企業側が相応の対価を支払うことなくその製造ノウハウやアイデアなどのまだ必ずしも権利化されていないようなものの提供を要請するというようなこともよくある話でございまして、こういった話、よくあるというか、そういう可能性がある話でございまして、こういった話につきましては、私ども、実は下請代金支払遅延等防止法で禁止しているところの不当な経済上の利益の提供要請ということに当たるわけでございまして、ちょっと厳しい話を申し上げれば、経済産業省といたしましても、基盤技術を用いる事業分野においても関係行政機関と連携してこういった下請代金支払遅延等防止法などの運用についての徹底を図る、あるいはそれについての親企業、下請企業の間においての十分な理解というものを双方きちっと図った上で厳格に実施をしていくと、そういうカルチャーを醸成するということも今先生指摘になったような問題の解決のためには重要なことではないかと思いますし、場合によっては毅然として対応するということも必要ではないかというふうに思っております。
  25. 加納時男

    委員長加納時男君) 大臣、御発言ありますか。
  26. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) いいですか。
  27. 加納時男

    委員長加納時男君) じゃ、今の件について、二階経済産業大臣
  28. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 今、望月長官から詳しく申し述べたところでありますが、先ほど林議員から、大企業のいわゆる知財の取扱いといいますか、大企業と相対して協力関係を持続していく上において知財の取扱いというのは極めて重要だという御指摘がありましたが、私も全くそのとおりだと思います。せっかく蓄えた技術、せっかくもうとらの子のようにして一生懸命育て上げて立派になった技術を、大企業の資本と、そしてそういういわゆる力によってそれが一挙に奪い取られてしまうというようなことは、これはもうモラルの上から見ても許してはならぬことでありますから、その点と、今答弁申し上げた下請代金支払遅延防止法でありますが、私はひょんなことからあの法案ができるときの状況等を承知をしているわけでありますが、今日までほとんど、あの法律が適用された事実というのは全くないと言っても差し障りないほどないわけです。それは、大企業と下請との力関係によって、この法律に訴えていくということはほとんど不可能な状態であるわけであります。  私は、委員各位も同じような思いを持っておられると思いますが、私ども、これから経済産業省として大企業のいろんな関係皆さんと協会その他でお目に掛かる機会がありますが、そのときは、この知財の問題と支払遅延防止法の問題は、大企業としての本当のモラルとしてお互いに大企業同士が申合せをしていただくぐらいで中小企業を守っていただくと、そういうことにしっかり対応してもらいたいと言うことを私は当委員会にお約束して、今後そうしたことに懸命の努力を注いでまいりたい、私はこう思いましたので、あえて答弁をさせていただいた次第でございます。
  29. 林芳正

    林芳正君 大臣、誠にありがとうございました。今、長官の御答弁に私ちょっと確認をしようと思っておりましたことを大臣のお口で自らおっしゃっていただきまして、大変にうれしく思っておる次第でございます。正に、法案をお作りになるときの過程をよく御存じだということでございますから、どこをきちっと押さえればもう少しそういうことになるのかというのは大臣一番よく御存じだと、こういうふうに思いますので、その観点からきちっとこう押さえていただければと、こういうふうに思います。  最初にアジアとの関係を申し上げましたが、実はその会議小林務官も御出席でありました。そこでも出たんですけれども、やはり特に我が国の場合はこの狭い国土、資源もないということで、最終的には、今いろんなことを申し上げました、知財をつくるのも技術をつくるのも汗をかくのもみんな人であります。やはり、人、物、金のうちどれか一つということであれば、やっぱり間違いなく人ということになると、こういうふうに思いますが。  一方で、三Kという言葉もあるように、この製造現場、この間も参考人の方もおっしゃっておられましたけれども、なかなか、この現場で汗をかいてこう旋盤回すというのを敬遠をするというような風潮も一方であるわけでございまして、特にこの将来の日本ものづくりを担ってもらう日本の若者というものに対して、どういうふうにこのものづくりの魅力といったようなものを伝えていったり技能というのを高めていったらいいのかと。政府でどういう取組をされておられ、またされていこうとされておられるのか、小林務官にお聞きしたいと思います。
  30. 小林温

    大臣政務官小林温君) 今、林議員から日中韓の会議についても御言及いただきましたが、人口が一杯いて、国土が広くて、資源のある中国我が国比べた場合に、やっぱりこの人というものをいかに育て守っていくかということが大事かということも認識を改めてさせていただいた次第でございます。  この法案に先立ちまして、私もいろんなものづくりの現場に視察に行きましたが、例えば企業の中であるいは産業の中でこの人材育成、いろんな形で取り組まれておりますが、うまくいっている部分とうまくいっていない部分がやっぱりあるんだろうと思います。  そういう意味では、今回の法案も含めてきめ細やかな支援策というものが必要だろうというふうに思うわけでございますが、現在まで行っている支援策について少し御説明をさせていただきますと、一つには、ものづくり現場の魅力を伝達する観点から、その中核を担う優秀な人材をものづくり日本大賞によって表彰しております。それから、小学校、中学校、高校において、ものづくり体験などを通じたキャリア教育を推進もしております。一方、その技術を高めるという観点からは、地域産業界と大学などが連携をし、ものづくり現場の中核となる高度専門人材を育成する事業を行っておりますし、また地域産業界と工業高等専門学校、これが連携をしてものづくり現場を担う若手技術者を育成する事業も始める予定というふうになっております。  先ほど世界に誇れる中小企業三百社の公表についてもお触れをいただきましたけれども、この我が国産業競争力を支えているものづくり中小企業に光を当てるという取組は、例えば、若い人たち自分地元にこういうすばらしい企業があるんだということでそのものづくり企業に例えば入社をされたり、そういうきっかけにもなるという意味で、そのものづくりの機運全体を高めていくことにもなるんだろうというふうに思いますし、こうした取組、それぞれ機能的にあるいはきめ細やかに今後とも進めていきたいというふうに思っております。
  31. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  最後に、大臣に通告しておりましたのはこの二つ廃止される法案のことでございましたが、それに加えて、特にこの工業再配置法なんというのがなくなって、ものづくり基盤法ができると。これ、産業政策の大きな転換ではないかと、こういうふうに、感慨ひとしおというほど私も年を取っておりませんが、やっぱりそういう時期だと、こういうふうに思います。  そこで、今後、このものづくりを含めた広いサービスや知財や我が国産業戦略いかにあるべきかと。この間も指針を出していただいたところですが、どこが日本の強いところだと、どういうふうに支援していくんだという御決意を最後に大臣からお聞きして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  32. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 私は、今、林先生質問を承りながら、ふと、若いころ国会議員の秘書をいたしておりまして、先生の御尊父に経済産業省における、あのころは通産省と言っておりましたが、陳情に伺って、そこで初めてお知り合いになって今日までずっと御指導をいただいている間柄でございまして、今、正に感慨を持って林議員質問を伺っておりました。  議員が御指摘のように、私ども、今の、今日までの我々が対策として取ってきた法律を廃止をする、このことに関しても御意見をちょうだいしましたが、これまで民活法あるいは輸入・対内投資法及び工業配置に対してのこの法制等の社会的な要請を踏まえ、それぞれ法律の使命というものが当然あったわけであります。その結果、関係者の皆様、先輩各位の御努力によって、約三兆円の内需拡大効果や製品輸入比率の一〇ポイント強の上昇がありました。また、地方の工業出荷額が大都市の工業出荷額を逆転し、大都市の約三倍となっておるのであります。このように、今回廃止する三法はそれぞれ一定の成果を上げ、その役割は十分果たした、このように認識をしているところであります。  しかし、一方、我が国全体の経済成長を達成していく上で、対日投資の拡大や地域経済の活性化、引き続き重要な課題であることは当然のことであります。そこで、このたび新経済成長戦略の策定を急いでおるところでありますが、大体五月じゅうに世に問うといいますか、国民皆さんにお示しをし、御一緒に、日はまた昇るではありませんが、経済の新しいステージを構築していく、かなり積極的にこの問題に取り組んでおります。  したがいまして、今お尋ねありましたようなことも十分念頭に入れて、新経済成長戦略におきまして積極的なこの産業政策を展開してまいりたいと思っておる次第であります。
  33. 林芳正

    林芳正君 終わります。
  34. 加納時男

    委員長加納時男君) 林芳正君の質疑は終了いたしました。
  35. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林秀樹でございます。  私の方からは、この三つの廃止法案につきましては、基本的にその役割を終えたということで、具体的には小林正夫議員の方から後ほどまた質問さしていただきますけれど、この中小企業ものづくり基盤技術高度化に関する法案に絞って質問をさせていただきたいと思います。  私も、大臣の所信に対する質疑におきまして、ものづくり産業の重要性、位置付けについてはお話をさせていただいたところであります。企業にも選択と集中が必要なように、国においてもやっぱり選択と集中が必要な時期に来ていると。その意味では、ものづくりに成果が表れるような、帰結するような、やはり資源の再配分、あるいは教育の重要性が必要ではないかということを申し上げたところでございます。  今の景気回復も、やはりすそ野が広い、ものづくりが今元気になってきたから、やはり全国各地で経済が立ち直りつつあるんではないかなというふうに思っているところであります。その意味においては、自動車、電機、鉄鋼、造船、様々な大きなものづくり産業がある中で、それを下支えするこの基盤技術、いわゆるまあ金型、鋳造、鍛造、プレス、メッキ、様々な基盤技術に光を当てるということについてはもう大賛成でございますんで、是非いい運用をしていただきたいなというふうに思っているところでございます。  私自身も、学校を卒業して以来、まあ多かれ少なかれものづくりに身を置いてずっと今日まで至っているわけでありますし、特に国会議員になってからは、国が何をなすべきなのか、どういう支援策をやるべきなのかということを、まあある意味ではこれは自分に対する自問自答ということで、今日まで明確な答えは必ずしもないわけですが、そこに一つのやっぱり考え方、理念、原理原則がないと私はいけないというふうに思っているわけであります。  極端に言えば、じゃ、競争力強化するんだったら法人税ゼロにしちゃえばいいじゃないか、固定資産税ゼロにすればいいじゃないかと、そういう考え方もないわけじゃないんですけれど、私はもちろん必ずしもそうあっていいわけではないというふうに思いますんで、まず経済産業省の大臣として、このものづくり国際競争力強化のために政府としてはどういう考え方で支援すべきかということについてのお考えを伺いたいと思います。
  36. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 我が国のものつくりの実態等を十分的確に把握された若林議員から、今、このものつくりが日本経済の元気の源であると、また基盤技術についてしっかり光を当てることは大いに結構なことだという御意見をちょうだいし、私どもも大変力強く思っておるところであります。  現在の経済の回復は、確かにものつくりによって生み出された。例えば、薄型のテレビやハイブリッド自動車等の革新的技術の製品によるところが大きいと認識をいたしております。アジアの急速な追い上げの中で、国際競争力を維持強化するために我が国世界のイノベーションセンターとして取り組むことが重要であろうと。そこで、私たち経済産業省の政策を、世界のイノベーションセンターとしてどうあるべきかということに焦点を当ててこれから対策を講じてまいりたいと考えておるところであります。つまり、世界の最先端の産業を育成する、そういう心構えで取り組んでまいりたいと思っております。先ほども申し上げましたが、新経済成長戦略の下では技術革新への政策資源の集中を考えております。  次に、特許や国際標準といった市場環境の整備であります。今日は御承知のとおり発明の日でございまして、特許の関係の皆様をただいま表彰あるいはまたそうした皆さんに感謝の集いを行っている最中でありますが、この技術革新への政策資源の集中、そして特許国際標準といった市場環境の整備、知的財産の保護等、国内外の制度を整備していく、委員皆さんの御理解やまた御指導によりましてこの点を懸命に取り組んでいきたいと思っております。  今朝ようやくでき上がったばかりでございますが、産業財産権の活用企業で百の優秀企業を選んでみました。そして、まあ役所の仕事としては見違えるようなスピードで、今日の特許の日に間に合わせるということで、先ほど間に合ってまいりました。ここには今、一部しかございませんが、後ほど、これまた委員長のお許しをいただければすぐ準備をして委員各位にお配りをして是非ごらんをいただき、また御指導、御意見をちょうだいしたいと思っております。  これらは日本の誇る本当にすばらしい技術であり、いわゆる特許であろうと思っておるわけであります。こうしたことをしっかり取り組んでいきたいと思いますが、これは関係省庁の協力はもとよりでありますが、民間皆さんのやはり積極的な協力がなくてはなりませんが、そうした面で委員各位の一層の御指導、御協力を特にお願いを申し上げておきたいと思います。
  37. 加納時男

    委員長加納時男君) 大臣の御発言にありました資料につきましては、後ほどどうぞお配りください。
  38. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございます。  私は、もう少しその理念、原理原則的なものについては伺いたかったわけでありまして、企業もやはり自らの自立した企業体として、やっぱり自己責任原則に基づいて企業を経営しなきゃいけないということにおいて、何を国としてやるべきなのか、どこまでやるべきなのかということについての考え方がやっぱり必要ではないかなというふうに思います。  そういう意味では、国として、経済産業省として、もうちょっとマクロ全体でのその政策の誘導とか、あるいは一企業ではできない基礎研究なり、あるいは企業が失敗してもやり直せるような、そういう環境づくりということが私はやっぱり必要なんだろうなというふうに思いますんで、是非よろしくお願い申し上げたいなというふうに思います。  あわせて、どこまでやるべきかということなんですけれど、例えばWTOでは農業輸出補助金については既に禁止になるということで、これは工業製品についても輸出を前提とした補助金というのは駄目なんですね。しかし、中小企業研究開発はいいということでありますけれど、ただ、元々、輸出比率の高いものづくり産業への補助というのは、補助金というのは、あるいは支援というのは、ある意味じゃ輸出と連動しているわけですから、その辺のやっぱり切り分けも難しいというふうに思うわけですけれど、その辺について、どういう理念、哲学でこの輸出比率の高いものづくり産業への支援があるべきかということについて、改めてちょっとお伺いしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。──どっちでも構いませんけれども、基本的には大臣に。
  39. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 法令上あるいは事実上、輸出を条件として企業に交付される輸出補助金や特定の産業のみを対象とした財政支援措置は、他国との関係で、自国産業を必要以上に保護強化をし、自由な貿易競争を妨げるものとなることから、議員先ほどお述べになりましたとおり、WTOの補助金協定に基づき禁止あるいは規制の対象となっております。  他方、今般の施策は、輸出を条件としているわけではなく、特定の産業に着目した支援策でもありません。重要な製造業全般に必要とされる汎用性の高い基盤技術指定し、事業者が提出した個別の計画を政府が認定した場合に支援を行うこととなっておりまして、WTO協定上、こうした支援措置は問題ないものと考えておるわけであります。  また、経済産業省としては、自由貿易確保のための国際ルールを守り、我が国製造業競争力強化と新たな産業の創出のために適切な支援を図ってまいることに留意していきたいと思っております。
  40. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございます。  三番目の質問に関連するわけでありますけれど、やはり農業と工業というのは、もちろん違うわけではありませんが、一方途上国も、農業の比率が多い中で、やはりものづくりなりそういう製造業に少しずつ花開かせていこうという努力もあるわけですから、適切なやっぱり支援の在り方というのもあるだろうと思いますし、最終的にはやっぱり途上国に対する適切な投資あるいは技術の育成、移転も必要なんではないかなというふうに思います。  その上で伺いたいんですけれど、今回の法律にありますように、中小企業と大企業、発注メーカーとの連携が必要であると。つまり、一方で大企業、発注メーカーも生き残らなきゃいけない。そっちもないと中小企業も育成、発展できないという関係にありますと、このグローバル経済の中でやっぱり相当数シェアを取っていかないと、大企業そのものが生き残れない時代に入っているわけですね。  その上で、公取の委員長に伺いたいわけですけれど、従来ですと、自由で公正な競争を阻害するものについての公取の在り方ということが問われているわけですけれど、一方では、このグローバル経済において、どういう考え方においてこの公正な取引を考えるかということを、考え方そのものもやっぱり変化しているのではないかというふうに思います。  日本では、ある意味じゃ、逆に、独占と言ったらおかしいですけれど、ある程度シェアを取らなきゃいけない、逆に寡占ぐらいにならないと世界競争できてない。従来からの観点でいえば、これはもう不当で、公正な競争を阻害する部分になっていたかもしれない。世界の全体の中でのやっぱり企業の在り方といったときに、考え方がやっぱり変わってくるのではないかなというふうに思いますけれど、その辺について公取としてどういう認識があるのか、お伺いしたいと思います。
  41. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) おっしゃるとおり、経済のグローバル化といった事態を踏まえて、日本国の市場において最終的には消費者利益を損ねないような、そういう企業活動が行われているかどうかということをチェックするというのが我々の仕事であると思っております。  特に企業結合、要するに合併のときに、今委員指摘のような論点がよく言われるわけでございますが、私どもは、この日本の独禁法というのは当然日本国内市場を見ているわけでありまして、国内市場におけるプレーヤーの行動をチェックしているわけでございまして、大きいから即駄目だというような考え方はもちろん持っておりません。しかしながら、グローバル化しているんだから、世界競争に勝つために日本国に大きな企業が、まあ寡占的、独占的な企業が起きるのはやむを得ないじゃないかという考え方については、やはり一定の留保をさせていただく必要がある。  本当にグローバルなプレーヤーで、それらが日本国内において、外資系も日本系も正に競争しているということであれば、それはそれで問題ないということがあり得ますが、ライバルの外資系は日本には余り来ておらない、それに対して同種の企業日本一つか二つしかない、日本のマーケットを事実上独占ないしそれに近い形で押さえていると、そういう合併でも国際競争のために認めろというお話になりますと、これはやはり問題がある。日本国内市場における競争が阻害されないかどうかということでございますので、事実上輸入品も外資もここに入っていないというふうなことで、しかし世界市場では戦っているというようなものについて、そういうことになるような企業結合を日本国内において認めるということになりますと、これは正に独占の弊害ということを心配せざるを得ない。  日本国の消費者輸入による代替もままならず、外資系のサービスも受けられないという状態のままで日本の大きな企業が事実上マーケットシェアを大変たくさん持つというようなことは、正に独占の弊害のおそれがあるということになりますので、その辺をやはり個別に見ていかなければいけないというふうに思っております。
  42. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 非常に重要で難しい問題だというふうに思います。  そこには、ある一定のルールなり、消費者利益あるいは国内での公正な競争をやっぱり阻害するといった個別ごとの判断もあるのかなというふうには思いますけれど、大きくやっぱりグローバル経済における公平公正な競争の在り方について今ちょうど問われている時期ではないかなという感じがします。  その上で、経産省として、結果的に寡占にならざるを得ないような状況をつくるために特定の企業は応援できないわけでありますけれど、一方では、そういう状況にならないとやっぱり世界で生き残れないという商品群も抱えながら、行政府としてどういう考え方でやっぱり支援があるべきかということについて伺いたいというふうに思います。  特定企業を挙げると問題がありますけれど、やっぱり韓国等の巨大メーカーに対して、投資能力を持たないと、ある程度、寡占状態の中で、余力を持った、技術力を持たないとやっていけないというところがあるわけですけれど、その辺についてどう考えるか、お伺いしたいと思います。
  43. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 先生の問いに対しまして直接的なお答えではないかもしれませんけれども、本当に、おっしゃるとおりに、グローバル経済が進む中で世界の有力企業と伍していかなければならない、競争していかなければならないということを考えますと、やはり規模やあるいは競争力を有した大企業の存在というものは我が国経済の発展に非常に大事な必要なものであると私どもも認識をもちろんいたしております。こうした大企業をしかし支えているのは、正に先ほど来審議にありますように、正に中小企業、正にものづくり中心とした中小企業がこうした大企業を支えているわけでございます。  ですから、今般提出をいたしましたこの法律案は、こうしたものづくりを支える中小企業川下の大企業とも密接に連携をしつつ、その技術力の一層の高度化を図ること、これを支援する法案であるわけでございます。  私どもは、しかし、先生も今おっしゃいましたように、特定の企業支援するということはもちろん言えないわけでございます。しかし、大企業中小企業を問わずに、新たな事業に挑戦する企業の意欲と能力を最大限に引き出せるような環境、これは是非整備をしたい。そうすることによって投資能力を高めていただけるのではないかというふうにも期待をしているところでございます。
  44. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございます。  そういう意味で、外資系企業があっても、国内にある限り、それは当然支援対象になるべきだと思いますけれど、一方では、ファンド系の投資会社というんでしょうか、どっちかというと企業価値を高めて、ある程度ものづくりでもどんどん買収が始まりつつある。一方では、転売も視野に置きながらそういう動きも出てくると。しかし一方、この支援策国民のやっぱり税金であると。それを使ってやるからには当然ある判断も必要だと思いますけれど、これについて何かお考えあれば経産大臣の方から伺いたいと思います。
  45. 小林温

    大臣政務官小林温君) もう一度確認をさせていただきますが、今般の施策の目的は、中小企業基盤技術高度化し、我が国製造業国際競争力強化することにあります。このため、あくまでも、国内に立地し、そして川下企業が求める基盤技術高度化に取り組む中小企業であれば、今お尋ねの件でございますが、外国資本が参加しているか否かにかかわらず、これは支援対象になるというのが基本的な考え方でございます。  なお、今回の支援制度のみならず、中小企業支援施策の一般については、これはもう外国資本と国内資本とで差を設けるということは今のところはしておりません。
  46. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 今回の法案に限らず、一般論として伺ったところでありますので、当然のことながら、何というんでしょうか、内外無差別の原則というのは適用されるべきだと思いますが、一方で、明らかに転売を前提としたようなそういうファンドの動き等々もやっぱり注視しておく必要はあるんではないかなというふうに思っているところであります。  その意味で、今回の法案に関する質問に入りたいんですけれど、今回の法案は、私なりに理解すると、ある意味じゃ、実力のある企業を更にその力を高めていこうという意味では、中小企業といっても対象となる企業数は限られているんではないかなというふうに思いますが、具体的にはどの程度の企業対象となりまして、幾つぐらいの研究機関のプロジェクトを資金面で支援しようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  47. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 技術開発に対する支援といたしましては、今年度予算に六十四億円の予算を計上いたしております。一件当たりの事業規模というのは、当然、様々な研究開発が含まれているわけでございますので多様であろうかと思っておりますので、私どもとしてもそれについては柔軟に対応するようにしなければいけないと思っております。したがいまして、規模的には、一件当たり数千万円から場合によっては数億円程度ということがあり得るかと思います。  したがいまして、対象となる研究開発プロジェクトの数は、採択される案件の規模にもよりますが、ある意味では予想というか予定というか、というものでは八十件から百件程度ぐらいのものが適当ではないかというふうに想定をしているところでございます。  実際の研究開発に当たりましては、単独の中小企業による実施というよりは、プロジェクトの性格から、恐らく周辺技術を担う他の中小企業者やあるいは川下製造業者、それから先ほど来出ております大学などと研究機関との共同で実施することを想定をしているわけでございます。このため、支援対象となる中小企業の数といたしましては数百社に上るんではないかと。つまり、八十件から百件ぐらいのプロジェクトの中に数社ずつ入ってくるというようなことが、想定をしているところでございます。  具体的にはこれから法律が成立した後の申請状況いかんによるわけでございますが、今私どもが検討しているところではそのぐらいになるんではないかというのが予想でございます。
  48. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 私の最初の質問のところは、今回の法律によって対象となる、結果として申請してくる企業数じゃなくて、元々ベースとしてどの程度、日本全国のどの程度の企業数を対象としているのか、あるいは、中小企業の中での上部何%を対象としているのか、そういうお考えあれば聞きたいということであります。
  49. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) この法律の思想が、先ほど来の議論になっております、日本を支える先端的なものづくりを更に支えている基盤技術を持っている中小企業と、こういうことになるわけでございますので、ある程度高度な技術の層というのは、富士山の山のようになっているとすれば、かなり上の方になるんではないかと思っておりますので、そういった意味で、四百三十万の中小企業者の中で申し上げれば、一割とか二割とかいうところが直接的には対象可能性のあるところではないかと思っております。  ただ、そういう企業が、むしろ私どもが注目しておりますのは、ここの三百社に表れておりますように、トップの企業になろうとして努力をしたいという企業がどれぐらいあるかということだと思っているわけでございまして、高度化をしようとする企業というものを高度化をするために、ここで、法律で想定しているような新しい取組ということをその他の企業と共同してやりたいという、そういう意欲のある企業に対して私どもはむしろ支援をしたいということでございますので、その意欲ある企業がそのうちまたどれぐらいかと、あるいは私ども想定している幾つかの基盤技術の中でそういうことをやりたいという企業がどれぐらいかというのは、若干、今想定の範囲を申し上げるのは非常に困難でありますけれども、私どものイメージはそういうことでございます。
  50. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございます。  非常に難しい答えと思いますけれど、要は、私の申し上げたいのは、中小企業四百三十万社あるとしたら、トップの一割、二割というだけじゃなくて、いろんな中小企業がいるわけですから、こういうことに挑戦したいんだということに対して、ある程度やっぱり門戸を広げられるような見せ方というのが私はやっぱり必要なんだろうなというふうに思いますので、本当に小さな中小企業でも、これやったらひょっとしたら申請して受けられたなと、非常にやっぱり意欲もわいてくると思いますので、そういう配慮をよろしくお願い申し上げたいなというふうに思います。  その上で、私もこのものづくり基盤技術の振興施策ということを読みまして、研究開発の推進に関する支援がどのくらいあるんだろうなと、ぱっと見てみますと、結構あるんですよね。ざっと数えて三十弱あるんでしょうか。それが今回の支援策によりましてどういうふうに、まずは質問の第一としては、これまでのこういう支援策がどの程度有効だったのか、そして今回のこの支援策がどういう形でこれフィットしていくのか、そして全体としてどういうふうに整理統合されていくのかというのがなかなかやっぱり見にくいんではないかなというふうに思います。分かりやすく言えば、何がこれまでの方針、施策の中で足りなくて、なぜ今回こうなったかということについても含めて、お答え、幾つかちょっと質問を重ねて言っている感じもしますので、代表としてだれかお答えいただければというふうに思います。  例えば、これ見てみますと、失敗知識のデータベースの整備で百五億円の予算が計上されているんですよね。あるいは一方で新規産業創造技術開発費補助事業で六十一億円、これちょっと古いですけれど、今回の例えば六十四億円に対して、何か非常に凸凹がありながら、本当にこの程度でいいのか。六十四億は決して少ない額でないと思っておりますけれど、その辺の全体像におけるこの高度化支援策がどういう位置付けにあるのかということについて、できる限り分かりやすく御説明いただきたいと思います。
  51. 小林温

    大臣政務官小林温君) ありがとうございます。  まず一つ目の御質問でございますが、これまでの支援策がどの程度有効だったのかということだと思いますが、従来の中小企業に対する技術開発支援策の代表としては、委員も御承知のとおり、中小企業・ベンチャー挑戦支援事業などの、これは研究開発の一定割合を補助する技術開発補助金、こういうものと、試験研究費の一定割合を税額控除できる中小企業技術基盤強化税制などが挙げられるというふうに思います。  例えば中小企業・ベンチャー挑戦支援の前身でありました創造技術研究開発費補助金については、この補助金を通じてその事業化率が三二%に達するなど、資金力に乏しい中小企業の積極的な研究開発やその成果の事業化の促進につながったというふうに理解をさせていただいております。また、税制措置も、中小企業の試験研究への投資のインセンティブとしての機能を果たしてきたというふうに、これも理解をさせていただいておるわけでございます。  また、中小企業・ベンチャー総合支援センターや都道府県の中小企業支援センターなどにおいては、例えば知的財産戦略など経営課題への支援あるいは助言、技術的な支援ども含めて一定の実績が上がっているわけでございまして、これらの今までの実績を整理統合して更に今般の支援策につなげるわけでございますが、このことを通じてものづくり中小企業の一層の強化を図っていくというのがこれまでの実績、さらに今般の支援策中身だというふうにまずお答えをさせていただきたいというふうに思います。  その上で、今回の中小企業支援策がこの高度化法によってどう整理統合をされるのかということでございますが、ものづくりに対する支援策としては、平成十五年度から十七年度まで、これは金型とロボット部品に関する中小企業者の研究開発に対して重点的に予算措置を講じてまいりました。この成果等も踏まえて、今般、金型やロボット部品のみならず、鋳造、鍛造、メッキなど、ものづくり基盤技術高度化のための法案を今回提案をさせていただき、関連する各種施策を体系的に推進することとさせていただいております。  この中では、当然昨年度まで行ってきた事業についても新たに組み替えて拡充を図るということになっておりますし、これは特に、後ほどまた論点もあるかと思いますが、製造業国際競争力にとって重要な技術を特定をして、その高度化に向けた取組を重点的に支援する、めり張りの利いた施策というふうに我々は考えさせていただいているところでございます。  最後に、幾つもの支援メニューが重なっているということでございますが、これはあくまでも使いやすい、そして中小企業者の皆さんにとっては分かりやすい施策として整理統合していくという視点が必要だと思います。  例えば、中小企業支援策全般については、この委員会でも御審議をいただきましたが、中小企業新事業活動促進法、これは三つの法律一つに統合するなど利用者にとって分かりやすく整理して必要な充実を行ってきたわけでございますが、こういう考え方を、例えば今回の法案の中でも鋳造メッキなど特定の技術に、繰り返しになりますが、着目し、その高度化に向けた研究開発支援していくと。具体的には、法案に基づいて技術別指針を策定し、その内容に沿った事業者の取組に対して予算面、金融面での支援を集中的に行ってまいります。  ですから、この新しい支援策について御活用をお考えの中小企業皆さんにとっては、特にこの特定ものづくり基盤技術の開発への支援というものは、今般の新しい法律の下で行うものというふうに整理をさせていただいているところでございます。
  52. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 言葉のやり取りで全体像を把握するというのは、質問していて難しいのは分かるんですけれども、それぞれの政策支援策の評価をしながら是非分かりやすいメニューを作っていただきたいと思いますし、やはり底辺で支えている中小企業、様々な中小企業ありますので、中小企業から見て、支援策をうまく活用すれば、自分がやる気があれば、その意欲を引き出して、能力を引き出していただけるような施策を常にやっぱり再整理して分かりやすく提示していくという努力お願いしたいなというふうに思います。  その上で、技術高度化指針について伺いたいというふうに思います。  なかなかイメージがつかみにくいんですが、そのためにだれがどのような手順で具体的にどこまで盛り込む施策を、指針を作るのか、具体的なイメージをつかみやすいように御説明をいただきたいと思います。
  53. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 技術高度化指針は、川下製造業者のニーズを、技術課題、中小企業をめぐる事業環境等を十分に踏まえて策定することにいたしております。  具体的には、中小企業政策審議会において、基盤技術を有する中小企業者、ニーズを持つ川下製造業者、また、学識経験者の意見などを聴取し、原案を策定いたします。また、これらの原案を公表し、更に幅広い関係者方々から御意見をお伺いした上でその内容を決定してまいりたいと存じます。  指針内容については、例えば鋳造については、川下企業、いわゆる自動車等の組立て産業から求められる部品の軽量化、さらに、超精密化等の技術開発方向性を示します。このように、ものづくり中小企業が目指すべき実効性のある具体的な研究開発目標を示してまいることになっております。
  54. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 まだイメージがちょっとよく分からないところもあるんですけれど、ある意味では、日本の大企業中小企業の強さと弱さを明らかにするような部分も私は非常にあるんではないかなというふうに思います。  それが指針として出たときに、これは日本国内だけじゃなくて、全部オープンになるわけですから、当然それは翻訳されて海外にもどんどん出ていくと。それを見た中小企業、あっ、これは日本企業としてはこういうことを求めているんだ、じゃ、これをやれば、我々自身がやっぱり日本企業を助けて自分たちのビジネスにもなるという可能性も非常にあるわけで、ある意味では非常にセンシティブな私は指針ではないかなというふうに思いますし、逆に、具体性がないと非常に抽象的で分かりにくいという非常にジレンマもあるわけなんですが、それに対しての、指針の在り方としてどんな注意を払うべきか、お考えがあれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  55. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) これは、委員指摘のように大変センシティブな部分がございます。  ただ、最初ちょっとおっしゃいましたように、公開をしてしまえば、外国にいる企業がそれを読んで直ちにそれに対応できるということかどうかということにつきましては、元々このものづくり法案が出てきた背景、今の時代的背景を申し上げますと、日本ものづくり、組立て産業が、日本の非常に高度な技術を持ったものづくり中小企業日本に集積していることについて意味を感じて国内投資回帰をしていると。そういう中で、その中小企業と大企業がすり合わせをして技術を進めていると。こういう事態というのを評価した上で、これがこれから五年、十年、同じような環境が続くかどうかということを考えてみますと、今の中小企業の中にある様々な問題、高齢化の問題だとか、技術情報の流通が非常に、だんだん困難になってきているような親企業、下請関係であるとか、そういった問題があるんで今のうちに準備をしておかなければいけないので、この中小企業のところを今の高度な状態を更に進めておく必要があるというのが、この法律の言ってみれば時代的背景であるわけでございます。  したがって、申し上げました川下企業が今これから向かおうとする方向を、ただ単にそれを発表して、ただ単にと申し上げても、かなり技術開発方向性は出すにしても、発表したからといって今の、ある意味では密接なすり合わせなぞを前提にした国内企業と同じように海外にいるサプライヤーの企業が対応できるかというと、それは圧倒的な優位性は日本にある、今の現にあるものづくり中小企業群の方があるんではないかという前提に立って物事をやろうとしているわけでございます。  もちろん、そこの情報の開示には限度があって、本当に細かいスペックのところまで公開してしまったんでは困難になると思いますし、現に、発注側の企業にとっても、具体的に対象になる、あるいは自分と一緒にやるような中小企業とだけ公開できる情報もあることも事実でございますから、おのずと段階はあると思っております。  今私どもは、ちょっと分かりにくくて恐縮ですけれども指針のベースになるような勉強をいたしておりますけれども、例えば自動車部品で、鋳造でいろんな部品、軽量化しなきゃいけないといったときに、今ここで先生方が言っておられるのは、材料自身を変えて、鋳造の、鋳物の材料自身を変えて軽量化するというのが一つのやり方の大きな方向じゃないかということを提案をされようとしているわけで、これについてはまだ出たわけじゃございませんから最終的な結論ではございませんけれども、材料自身を軽量化してやるのか、あるいは形の設計を、軽量化するための設計をしていくのか、いろんな選択肢があると思いますけど、そういう選択肢の中で、じゃ材料自身の方の変更をねらっていくんだというような方向性が出された場合に、下請中小企業側での、自分自身研究開発方向性というのはより分かりやすい方向へ、これから自分はどこへお金を投資して研究開発をしていくということは、下請の中小企業にとってみれば非常に分かりやすいその方向性が示されるんではないかと、そういったたぐいの指針というものを今検討しているということでございます。  ちょっと長くなりましたが、以上でございます。
  56. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 趣旨は分かるんですけれど、やっぱりオープンにするということは、当然海外の中小企業日本が何を、大企業が何を求めているのかということが分かるわけですし、明確にその進むべき方向が分かりやすくなる、目標が分かりやすくなるわけで、これは非常に海外の中小企業メーカーにとっても重要な要素だと思うんですよね。  目標が明確化になれば当然そこに立って、当然、日本企業に対して接触してくるだろうと思いますし、そのことが外資を呼び込むことにもなるんで、日本経済全体にとってはプラスになる部分もあろうかと思いますが、一面、そういう海外の外資を呼び込むことによる影響というのもあるということをやっぱり注視していく必要は私はあるんじゃないかなというふうに思うところであります。  その上で、次に知財について伺いたいというふうに思います。  今回の環境整備の中には、中小企業の知的財産の活用や課題解決のための知財駆け込み寺を整備拡充一億円というところがあるわけですけれど、一方では昨年六月にまとめました知的財産推進計画二〇〇五年では、これは中小企業基盤整備機構だと思うんですけれど、中小企業・ベンチャー総合支援センターの窓口を知財駆け込み寺として機能するよう整備すると、これ書いてあるんですよね。ですから、要は、分からないのは、一方でこういうことを、同じ文言を使いながらこっちはこっちでやってということが分かりにくいんですけれど、例えばこの中小企業・ベンチャー総合支援センターというのはどの程度じゃ今整備が進んでいるのか、まずお伺いしたいと思います。
  57. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 先生おっしゃいますように、非常に大事だというふうに思っております。  しかし、ちょっと言いにくいんですけれども平成十七年度におきましては全国で九か所、中小企業・ベンチャー総合支援センターが知的財産相談窓口として専門家を配置しまして、中小・ベンチャー企業が知的財産に関する相談をできる体制を整備をしたところでございます。  平成十七年度のこうした相談件数は千百三十二件、まだ少のうございます。同センターでは、本事業を中小・ベンチャー企業に周知するためにパンフレット及びホームページを通じた広報を行うとともに、知的財産に関するセミナーの開催を実施いたしているところでございます。  まだ浸透していないというところに関しましては、反省もしなければいけないというふうに思っております。今年度におきましてもセミナーの開催回数を増やすなど更なる広報に努めてまいりたいと考えております。
  58. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 全国で九か所ですか。ホームページで調べてもなかなかこういう知財駆け込み寺をやっているというような情報も外にはオープンになっていませんし、まだまだ広報活動も足りないんではないかなというふうに思います。その上で、あえて言えば、足りないというんであれば、各都道府県に中小企業支援センターとかあるいは特許庁が各都道府県ごとに設置している知的所有権センターが同じようなことをやっているわけですから、まずはやっぱりそこを活用すべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  59. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) おっしゃるとおりでございまして、九か所では少ないということでございます。都道府県等中小企業支援センター、これは全国で五十九か所ございます。ここでも相談に乗っておりますし、また知的所有権センターにおきましても中小企業からの知的財産に関する相談に応じているところでございます。都道府県の中小企業支援センターでは年間約三千件のこうした相談に応じておりまして、知的所有権センターにおきましては年間約五万四千件の相談に応じております。それから、更には商工会、商工会議所でもこうした知的財産に関する駆け込み寺というものをつくる必要があるということで整備をいたしております。  今後とも、経済産業省では一層こうした中小企業の知的財産の活用支援してまいる所存でございます。
  60. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 お話を総合しますと、知財駆け込み寺のようなものが何か所かにわたってその町にやっぱりあるということが現実的に発生する場所もあるわけですよね。その上で更に商工会、商工会議所でその駆け込み寺をつくるというのは非常に私はやっぱりちょっと中途半端な感じがしますし、ましてや一億円で何するんですかと。それ以前に、まずはやっぱりワンストップとして、ここに行ったらすべて知財については解決するというようなやっぱり相談窓口能力強化することが私は先決じゃないかなというふうに思います。  ましてや、人材といえどもそんなに多く有しているわけじゃありませんから、やはり専門能力を有する相談機能を特化してやっぱりワンストップセンターぐらいにしていくという方向にしていかないと、またこれで全国中小企業、行ったら何でもやってくれる、商工会議所に行けば何でもやってくれるような錯覚を与えると私はやっぱり良くないんじゃないかなというふうに思いますんで、まずはやっぱりきちっと、どういう形で相談能力を高めるか、それについてはやっぱりしっかりとした考えに基づいてやるべきだというふうに思いますが、もし答えがあれば答えていただければと思います。
  61. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) これは中小企業施策の場合によく使う手法でございますけれども、いろんないいことを中小企業施策はやっているんだけれども、現実の、先ほど来申し上げている四百三十万中小企業のところに届かない、あるいは情報が来ない、あるいは使おうと思っても県庁所在地に行かないと窓口がない、そういう御不満が私どもにとっては一番難しい御不満としてあるわけでございます。そのときに、中小企業施策というのは国だけじゃなくて都道府県もやっているわけでございますし、国の外郭団体もやっているわけで、そこのところをいかに有機的に連携をして幅広く窓口を開くかというのが、よく私どもは悩む手法でございます。  今申し上げた、確かに沿革から申しますと順次できてきた格好ではございますけれども、まずは中小企業基盤整備機構中心になって、これは支部が全国で九つございまして、そこにいろんな情報があるわけでございますけれども、そこに知的財産の専門家を具体的にきちっと配置をして、とにかく一番難しい相談でも受けられるようにしようというのがこの九つのところ、センターでございます。それから、当然、都道府県によってはそれがある県とない県と出てきちゃいますから、そういうときに都道府県自身も、今、知的財産の問題、非常に重要な中小企業支援の都道府県行政の問題でもあるわけでございますので、都道府県が持っている各センター、中小企業対応の窓口のセンターのところにそういうものを置く、あるいはできれば特許庁の支援で各県に知的所有権センターを一つずつ整備すると。  こういうことを実施してきたわけでございますが、さらに、じゃ地域に行くと、弁理士さんというのは何人いるかということになると専門家はいないわけでございまして、そういう方々が、じゃ自分はどうしたらいいんだと。いや、県庁所在地に行かなきゃいけないというわけにはなかなかいかないわけでございまして、私どもとしては、できれば、せめてそういうものの課題を受け付ける窓口ぐらいは商工会議所とか商工会という中小企業の専門家の、相談の専門の方々のところに開いて、そこに一人ずつ弁理士さんを配置するわけになかなかまいりませんから、その窓口からしかるべき専門家のところにきちっとその相談なりなんなりをつないで、お答えもある程度できるような体制の窓口地域の市町村につくるということも可能になるんではないかということで商工会議所、商工会に協力を求めて、その地域における一番ローカルなところにおける窓口というものを開設をすることが必要じゃないかということでやったわけでございます。  したがって、予算的には一億四千万で何ができるかということございますけれども、それはほとんど、窓口を受けて、できれば専門家の弁理士さんというのを、自分がきちっと連絡を取ってあるところに連絡をしたり、あるいは通信をしたり、そういう窓口、それからもう一つはパンフレットを作ったり、おっしゃるように、パンフレットぐらいではないかとおっしゃいますけれども、正にそのとおりでございまして、そういった窓口機能を整備をするというのがまず第一の主眼でございまして、その全国地域中小企業方々にできる限り、どこへどういうふうに相談に行ったらいいかということを幅広くやるということが最大の目的であります。
  62. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 まあ、いろいろ言い訳が長いとそういう説明も長くなるんだろうというふうに思いますけれど、やっぱりちょっと中途半端な感じがしますし、窓口だけであれば、もう今はインターネットそのものが窓口機能になっているわけですから、それはやっぱりそこそこの様々なセンターが、既存なものがあればそれを活用して、それでも足らなければやればいいわけであって、一方、ばらばらばらそういう形でやるというのはいかがなものかなと。本当に、それで行ったら、窓口能力もなかったりしたら、逆にやらない方がいいわけですから、そういう危惧もするわけでございますので、是非注視してやっていただきたいというふうに思います。  最後の方になりますけれど、基盤技術の承継の円滑化、技能、技術の伝承ということについて伺いたいというふうに思います。  二〇〇七年問題を含めまして、どうやって我が国の技能、技術、技能工さんのこの技能を伝承していくかというのは非常に重要な問題でございます。  私も十年ぐらい前に、この技能、技術をIT化によってどこまで伝承できるかということを一回調査したことがあります。そこで分かったのは、やっぱり人はすごいと、人の目というのはもう瞬時に全部判断をして、光り具合から角度からなんかをやって、そして手作業で、熟練の経験から踏まえた手探り状態でやっぱり調整をしていくということは現実的にほぼ無理だなというのが私自身の結論であります。もし違ってたら教えていただきたいんです。ある程度まではもちろん行くわけですけれど、やっぱりそれぐらい大変なことであるということを一方で分かりながら、何にもしないわけにはいかないという意味において、こういう生産技術、ノウハウを目に見える形でデータベース化していくこと自体は必要ではないかなというふうに思います。  その意味で、経済産業大臣に伺いたいんですが、本会議の答弁では、もう既にそういうデータベース化することは可能であり、そういう手法はもう開発済みであるかのような御発言をされましたけれど、ややその後、少し微妙にちょっと修正されたかに伺いますけど、現状についての認識についてまず伺いたいと思います。
  63. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 経済産業省では、平成十三年から十七年度にかけて、鋳造とか切削だとか機械加工の十五の分野を対象といたしまして、加工技術のデータベースというものを開発し、これを公表いたしております。  このデータベースには、加工に関する基礎知識、加工作業の事例などが集められておりまして、中小企業がこれを活用することによって比較的簡易に加工条件を見付けられるという特徴がございます。現在、このデータベースというのは四千七百の中小企業方々にアクセスをしていただいて、利用をしていただいております。これら中小企業から、データベースの使い勝手や有用性について伺いましたところ、今やっている作業の作業時間が短縮されるなどの評価を受けているということでございます。そういうデータベースは既にある意味では作っているというのがまず現状でございますけれども
  64. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 それだけですかという感じなんですが、データベースを整理するというのはいいんですけれど、本当に技能、技術をソフト化して実用化できているのかどうかということについては、私はまだまだ開発できてないんではないかなというふうに思います。  ですから、データベース化してそれをマニュアル化しただけじゃなくて、もうちょっと幅広く、さっき言いましたように技能、技術をIT化して、ソフト化して、それを機械で置き換えることまで、やっぱり幅があるわけですから、その辺についてどこまで行っているかということについて御認識を伺いたかったんです。
  65. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 最初に先生おっしゃいましたように、熟練技術者の言ってみればノウハウになっているような部分というものは、先ほど申し上げた加工データベース、加工技術のデータベースの中ではデータベース化なかなか困難な部分があるわけでございます。  それで、今その技術の承継をしていかなきゃいけないということになりますと、そういうノウハウを持った熟練技術者が手取り足取り若者に教えなければ本来なかなか伝わらないところでございますけれども、これを何とか伝える方法を研究しようということを今やろうと今回思っているわけでございまして、その中で、本来であれば熟練技術者のノウハウ、まあよく暗黙知なんて言われますけど、ノウハウに属する部分につきましていろんな問い掛けの質問を作りまして、それで自分はこういう加工、一般的な技術に対して、実際にやるときにはこういう要素を付け加えて判断をしてこの加工をやっているんだと。そのこういう要素を付け加えてというところをできる限り言っていただきまして、それでそこをデータベースの中へ取り込むという作業をしていかなきゃいけないと。  ただし、それは個々の熟練者との関係で、ほとんど一つ一つつくっていかなきゃいけないような熟練技術でございますので、まず我々がやらなきゃいけないのは、そういう、こういう質問を作って、データベース化するための手法、そのソフトウエアみたいなところをまず開発をし、その開発されたソフトウエアを使って、それぞれの会社におられる熟練技術者のノウハウというものを引き出さしていただくと、それで伝えていくと、こういうようなやり方をできるんではないかということを今研究を開始しているところでございます。
  66. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そういう意味では、データベース化による技能、技術の伝承というのは緒に就いた段階であるという、その程度だということで、ある意味じゃ、データベース化してマニュアル化しつつあるというところで、まあ進むべき道はまだまだ長いというふうに私は今答弁を伺って聞くわけでありますが。  一方、二〇〇七年問題をもう来年に控えているわけですから、私は、後でここに聞く四・九億円のこの予算というのは、正にこれこそ政府がやらなきゃいけないものづくり支援策ではないかなというふうに思います。これは一企業でできないんです。やっぱり政府としてはこういう支援こそ、一けたこれ足りないんじゃないかと、もっとやっぱり莫大なエネルギーとお金をここにつぎ込んでやるぐらいのものが私は国としての支援策ではないかなというふうに思いますが、二階大臣、いかがでしょうか。これこそが日本がやっぱり政府としてやるべき仕事ではないでしょうか。
  67. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 大変力強い御支援をいただいたという感じがいたしますが、今ちょうど予算が国会を通していただいたところでございますから、今この額につきまして私の方から直接申し上げることはいかがと思いますが、今議員が御指摘のように、こうしたことこそ積極的に対応していくことが中小企業政策、ものつくり政策の上に重要であるという認識は同じくいたしております。
  68. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございます。  やっぱり一企業ではできない分野としては私はこういうエリアがあるんではないかなというふうに思いますんで、やっぱりそれが分かったら、そこに特化して政府としてはやっていくべきではないかなというふうに思いますんで、まあ、ちょぼちょぼとは言わないですけど、様々な、幾つかある予算を細切れに使われてますけれど、やっぱりやるところはどおんとめり張りを付けた支援策をしていただきたいというふうに思いますんで、最後にもう一度、ものづくり、この高度技術化に向けた御決意を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  69. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 我が国ものづくりの基本を成すものとして、ただいま若林議員の御指摘はもっともなことだと思っております。  今後におきまして、私どもは、この問題を大きなテーマと考え、積極的に努力をしてまいりたいと思います。
  70. 加納時男

    委員長加納時男君) 若林秀樹君の質疑は終了いたしました。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  71. 加納時男

    委員長加納時男君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、中小企業ものづくり基盤技術高度化に関する法律案外二案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  72. 山根隆治

    ○山根隆治君 衆議院の方でも議事録見ますと我が党の議員が五人質問いたしておりますし、今日も林先生、若林先生も御質疑があって、なかなか重ならないでと思っていましたけれども、重なる部分多少ありますので御理解をいただきたいと思います。  まず冒頭、大臣に、本法案の成立によりまして短期、中期、長期で我が国ものづくり技術の向上、あるいは経済全体に及ぼす影響、それをどのように御認識をされているのか、この点について簡単に冒頭お尋ねをいたしておきたいと思います。
  73. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 今回の法律支援対象とする技術我が国製造業にとって不可欠でありまして、適用範囲の広い基盤技術支援する、そういう方向で進めていきたいと思っております。  今回の法律に基づく支援により、このような基盤的技術について、中小企業によるレベルの高い研究開発が行われることが期待されるわけであります。それにより、我が国のものつくりが一層高度化し、日本製造業国際競争力強化や新たな事業の創出につながるものと確信をするものであります。
  74. 山根隆治

    ○山根隆治君 ありがとうございます。  今年度の予算の中でいろいろと措置をされているわけでありますけれども、この法案の中、後半の部分で、五年間たったところで直すところがあればまた直すというふうな記述も法文の中にあるわけでありますけれども、このことの意味でありますけれども、五年たって更に必要とあれば予算を大きく増やしていく、あるいは継続をしていくということなのか。そして、この五年間、今年度予算から五年間、必要があればその予算の増と、今年度よりも増ということをお考えになっていくのか。あるいは、増減なしということで五年間推移していくというふうに考えたらいいのか、その点について予算措置のお考えをお尋ねをいたします。
  75. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 今も政府の予算の、単年度予算方式になっておりますので、私どもは毎年その時点において私どもの考え方を述べてやらなきゃいけないことになるわけでございます。したがいまして、この法律を担当する立場から申し上げれば、今年法律を成立していただきまして、速やかに執行をし、それで多大な成果を上げて、来年度更に充実させたいと、更に一層充実して増額させたいと、こういうのが担当する所管の立場から言えば、心からの気持ちでございます。
  76. 山根隆治

    ○山根隆治君 そこを言っていただかないとならないと思ったんです。増額という言葉を使ったんですね、今。ちょっと聞き取れなかったんですが、それでよろしいですね。はい、分かりました。  実は、午前中の質疑の中で、当委員会参考人先生方においでをいただきましていろいろと御意見聞く中で、これは林議員の方から触れられましたけれども書類提出、これは補助金の経験でございますが、非常に煩雑だというふうな御指摘等もありまして、御答弁にもございましたとおり、本法案に係る書類提出につきましても、長官も御答弁いただきましたので、しっかりと、十幾つかある項目の中を今度五つぐらいに絞るというふうなお話でございましたけれども、数字のことを言っても、五つを三つにしろというような話してもしようがないんですけれども、なるべく簡素化ということでひとつ一層の御努力お願いしたいと思います。  もう一点、参考人からの要望で、私、気になっておりましたところ、非常にいいアイデアがございましたが、それは、中小企業技術開発ということで、その開発の担当者への表彰制度というものを与えると非常に効果があるのではないかというふうな御指摘もございました。大臣表彰といったものを積極的に活用したらどうかというふうな提言もございました。この質問については事前にちょっと申し上げておりませんでしたけれども、そういった大臣表彰というものも積極的にこうしたものづくりについて活用すべきというのが私の考え方でありますけれども大臣の御所見、この点について簡単にお伺いしておきます。
  77. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 中小企業皆さんは、世間からそんなに目立った存在でもなく、黙々と技術の研さんに励んで、そして力を付けてこられた立派な方々が多くいらっしゃるわけでありますが、そういう方々を顕彰し、そして世の中に出すといいますか、大変失礼な言い方になるかもしれませんが、みんなで支援して押し上げていくということが大事であると思います。やっぱり、スポーツの世界でも、多くのファンの皆さん拍手、多くの皆さんのファンの声援によって鍛えられていくものだと思うわけであります。ですから、中小企業のそういう技術世界に生きる皆さんに対しても、いろんな場面で顕彰していくことなど、私は、大変重要なことでございまして、委員の御指摘のとおりであり、また今後においてどうすればいいかということを検討してみたいと思います。  私は、先ほども、少し先方に伺うのが遅れてしまいましたが、お昼の休みの時間を利用して、今日は、午前中も申し上げましたが、発明の日でございまして、全国から発明の日に表彰される皆さんがお集いになっておられましたが、みんな自信に満ちた、しかも国際社会で頑張っておられる方々、本当はじっくり話をお聞きしなければならなかったんですが、私は、また別の機会に、関係者皆さんに、御上京の機会があれば一度、皆さんの現在の特許という問題についての専門的なまた具体的な御意見などを承りたいと申してきたわけでございますが、中小企業関係者皆さんが、しっかりものづくりに対して頑張っておられる皆さんに対しての敬意を払う、国を挙げてそういうふうなことを考えるということは今後極めて重要なことだと思っております。
  78. 山根隆治

    ○山根隆治君 それでは、続きまして、法文の、逐条的に解釈等についてお尋ねをいたしておきたいと思います。  まず、本文の第一条、二行目のところでありますけれども、「基盤技術高度化を図り、」ということで、この基盤技術高度化ということでの定義については抽象的にお答えということになりましょうが、その想定しているところをお伺いしたいんですけれども、この場合の、今という時点から考えると、今日的にとらえてみると、これは多種少量のものというふうな理解をしたらいいのかどうか。その辺のところ、イメージ、特別にあるのかどうか、なければないで結構です。お答えください。
  79. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) ここでまず想定しております基盤技術は、先ほど来話が出ております加工技術中心でございますので、切削だとかあるいは鋳物だとか、そういうことだと思います。そういった場合に、高度化と一般的に、まあこれ技術種類によっても相当違いますけれども、申し上げますと、より難易度の高い加工ができるということが高度化であるということを意味すると思います。そのことによって、具体的には、例えば製品の精度が非常に上がるとか、生産のスピードが速くなるとか、そういったことが向上することを私どもとしては高度化のイメージとして考えております。
  80. 山根隆治

    ○山根隆治君 そうしますと、完成された製品そのもののイメージではなく、その技術を評価しているということですね。はい、分かりました。  それでは、続きまして、第二条の第二号でありますけれども、「常時使用する従業員の数」ということでございます。  この「常時使用する従業員の数」ということについては、様々な労働形態が今日あるわけでございまして、正規社員あるいは非正規社員というふうなことでの確認もしたいと思いますし、あるいはまた、短時間労働の場合、パート労働等の場合についてはどのようにカウントをしていくのか、その定義についてお尋ねします。
  81. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 本法案における中小企業者の定義にかかわります常時使用する従業員の範囲につきましては、中小企業基本法におきまして同様の字句がございますけれども、その解釈と同じようにいたしておりまして、原則として二か月を超えて使用される者であって、かつ週当たりの所定労働時間が当該企業の通常の従業員とおおむね同等である者というふうに解すべきものと考えております。
  82. 山根隆治

    ○山根隆治君 続きまして、同じく第二条の二項であります。  「この法律において「特定ものづくり基盤技術」とは、」というところがございまして、「中小企業者がその高度化を図ることが我が国製造業国際競争力強化又は新たな事業の創出に特に資するものとして経済産業大臣指定するものをいう。」ということでございますけれども。  で、この場合の我が国製造業の国際的な競争力強化又はということで資するものというところの概念でありますけれども、この評価というのは時間的な枠というものはどのぐらいのもので考えておられるのか。スパンはどのぐらいで考えているのか。つまり、すぐに役に立ってすぐにもうかるもの、あるいはある一定の期間がたって、何年かたってこれは製品化されたりして高い評価を下すことができるというふうなもの、二つの見方があると思うんですが、時間の枠で考えた場合にはどのように理解したらいいんでしょうか。
  83. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 明白な時間、非常に明白な時間というのはないんですけれども、ただ、私どもこの研究開発計画とかいうものを作る場合に、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、二、三年のスパンの研究開発計画を想定をいたしております。と申しますことは、その後に成果が必要とされるというイメージでございますので、ある種の中期的な期間のことを想定しているものと思っております。
  84. 山根隆治

    ○山根隆治君 中期的というのはどれぐらいでしょう。
  85. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) これはなかなか、すべての場合に明確に当てはまるというのは非常に難しいんでございますけれども、私どもは通常、こういう場合には五年ぐらいのことを考えてまずはその計画を作っていくということが常套でございますので、そのようなものというふうに私は考えておりますけれども
  86. 山根隆治

    ○山根隆治君 同じく第二条第四項でありますけれども、「特定ものづくり基盤技術指定し、又はこれを変更しようとするときは、製造業を所管する大臣に協議するとともに、」ということの文言がございます。この場合に、「大臣に」というのは適切な表現ではなく、私は「大臣と」ということだろう、が適切だと思うわけでありますけれども、この点についてはいかがでしょう。──じゃ、もうちょっと言いましょうか。
  87. 加納時男

    委員長加納時男君) もう少し説明されますか。ちょっと質問を十分に理解してから答えてもらいたいと思います。山根隆治君。
  88. 山根隆治

    ○山根隆治君 国語の勉強という意味ではなくて申し上げているんですけれども、つまり具体的には私は、「大臣と」というふうにすべきだ、つまり経済産業大臣とそのほかの大臣と協議するわけでありますから、経済産業大臣とそのほかの大臣製造業を所管する大臣と協議するということの方がより分かりやすいわけであります。  このままの文章で読むと、文法的に合っているかどうかは、私、間違っているかどうか分かりませんが、非常に日本語として読みにくいものだと私は思っております。  この点について、あるいはこの「大臣に」ということをそのまま入れるのであれば、私は協議を申し入れ等の文言がこの中に入れば、「に」という言葉を使っても日本語としては素直に読めるわけでありますけれども、これは非常に不適切な言葉の使い方だというふうに思いますが、いかがでしょう。
  89. 加納時男

    委員長加納時男君) 望月中小企業庁長官日本語として分かりやすく説明してくださいということであります。よろしくお願いします。
  90. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) はい。  ここに法文上出てまいります「経済産業大臣」は、経済産業省の長たる機関の長は、その製造業を所管する大臣、例えば国土交通大臣であったりすることがございますけれども、機関の長たる大臣に機関として協議をするということになるわけでございまして、その場合、通常、法文上は「に」という言葉を使うのが通例でございまして、私どもも法制局と相談をしてこういう文言になっているというのが実態でございます。
  91. 山根隆治

    ○山根隆治君 時間もないんであれですけど、日本語としては美しくないということだけ申し上げておきたいと思います。  その同じところの行で「中小企業政策審議会意見を聴かなければならない。」とされております。これは既存の組織でありますけれども、本法律案がもし可決されたということになった場合に、特定ものづくり基盤技術に対する相当な見識を持った方がいないとなかなか適切な判断ができないかと思うんですが、この中小企業政策審議会のメンバーについての変更というものはお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
  92. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 実は、今回のものづくり基盤技術高度化に関する施策につきましては、昨年の秋以来、中小企業政策審議会の経営支援部会におきまして審議をいただいて、政策提言をいただいた上で法律を立案し、国会に諮っているわけでございます。  したがいまして、現在の中小企業政策審議会の経営支援部会の皆様方は、この法案について最も熟知し、御提言をいただいた方々だというふうに理解をしておりますので、法案の施行に当たりましても、必要な事項はこの経営支援部会に諮ろうというふうに考えておりますので、当面、特段委員を変更するということは考えておりません。
  93. 山根隆治

    ○山根隆治君 続きまして、第三条でございます。  第三条の第二項のところで、それぞれ一から四の定める事項がございます。例えば、第二では「達成すべき高度化目標」、それから第三では「高度化目標の達成に資する特定研究開発等の実施方法」ということを、これは経済産業大臣がこれを定めるとされているわけでありますけれども、かつて、まあ戦後、産業界を引っ張っていた経済企画庁、通産省の時代であればうまくいっていましたし、それなりの意味もあったと思いますけれども、今日のように民間企業世界を相手にいろいろな活動をしている中で、私は、こうした達成すべき高度目標等を官がそれを示すということが本当に能力的に可能なのかどうかが非常に疑問であります。むしろ、民がそれをまとめ上げて、そしてそれを官がまあ幾つかの中で選択をしていくというふうなことであれば分かりますけれども、これは官の能力を過大に少し評価し過ぎて自らいるのではないかという思いがありますが、この点、いかがでしょうか。
  94. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 先ほども経営支援部会の話を申し上げましたけれども、この経営支援部会の構成は、学識経験者とそれから民間の事業者あるいは専門家が数多く入っております。それから、実はこのこういった指針の詳細にわたる部分につきましては、経営支援部会の下に、種々の基盤技術を専門といたします学識経験者を加えました技術委員会を設置することといたしておりまして、その技術委員会における原案作成というものをベースにして国として決定をするということになるわけでございますので、そういった面では官の技術的分野における、あるいは知識あるいはその方針についての能力不足のところにつきましては、そういったところからの原案を大切にし、判断をし、作っていくということになろうかと思っております。
  95. 山根隆治

    ○山根隆治君 じゃ、次に行きます。  第四条でございます。「特定研究開発計画の認定」であります。第一項のところで、特定研究開発等に関する計画を作成し、経済産業省令で定めるところにより、これを経産大臣提出して、その計画が適当である旨の認定を受けることができる、こういうふうになっているわけであります。これをそのまま読めば、提出すればすぐ認定を受けられるというふうな理解がこの文からは出てくるわけでありますけれども。ということは、こういうふうな書きようをしているということは、事前審査があって、事前にある程度のものが、細かな審査があって、実際に書類提出する段になると認定が受けられると、こういうふうなイメージを持つんですが、こういう理解でよろしいんでしょうか。
  96. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 実は、その同じ条文の二項に、まず何をそういうときに書いてこなければいけないかということが書いてございますので、認定を受ける者は、その二項の要件、要件というか、二項の記載事項についてまずきちっと書いてこられるということがベースであって、それを三項のところで、経済産業大臣は、一項の認定の申請があった場合において、次の各号の、つまり認定要件に合致するものであると、適合すると認めるときにはその認定をするものとするという手続がございます。  したがいまして、内容が今申し上げたことをすべて満たしていた場合には認定が自動的に下りるということでございますので、場合によって、これは先ほどから中小企業者の方々がどういうふうに書いたらいいんだとか、そういう分からないところもございますし、それだけのまあなかなか人手も割けないわけでございますので、そういったことにつきまして、この法律の条文だけで、あるいは省令を見ただけでは分からないような場合には、私どもに当然御相談があって、私どもはその御相談に親身になって受けて、こういったものを満たすような申請にしていただくという事実上の作業は相当あろうかと思います。
  97. 山根隆治

    ○山根隆治君 私は、やはり法文というものも、見てすごくやっぱり分かりやすさというものを追求する必要が私はあると思うんですね。そういう意味では、ここのところで、申請を出せばもう認定を受けられるというふうな書きっぷりではなくて、申請をすることができるということにして、そしてその後でいろいろな条件がかなえばということを書くべきではないかというふうに思うわけであります。  細かな議論になって大変恐縮でございますけれども、最初に、提出すればもうすぐオーケー、認定されるんだというふうに書いてあって喜んでいたら、後の方で駄目ですよというのは、これはちょっと嫌らしくないですかね。
  98. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 第四条は全体として計画認定の手続を定めたところでございますので、その四条の一項から三項までを通して読んでいただければ、その認定を受けるための必要条件ということは分かりやすく明示されているんではないかという気はいたしますけれども、ただ、ここに書いてある法律の書き方でございますので、私ども中小企業の皆様方がこれを満たすために幾つかの困難があろうかと思いますので、そこはよく御相談をしながら、支障のないようにしたいというふうに思っているわけでございます。
  99. 山根隆治

    ○山根隆治君 第五条、「特定研究開発計画の変更等」についてお尋ねをいたします。  第五条の第一項のところでございますけれども、当該認定に係る特定研究開発計画を変更しようとするときは、経産省令の定めるところにより、経産大臣の認定を受けなければならないということで、簡素化された措置になっております。と申しますのは、第二条の第四項では、関係大臣との協議や審議会の意見を聴くことなどを書いてありまして、丁寧な措置となっているわけでありますけれども、ここでは経済産業大臣のみの認定でいいと、こういうふうなことになっているわけですけれども基盤技術と開発計画というのは不二のものだというふうに思います。  この辺のところの整合性ということに問題はありやしないかということについてはいかがでしょう。
  100. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 今御質問あった条項は、個別の開発計画で、企業の個別の開発計画でございますので、根っこになるその指針を作るに当たっての基本的な国の政策の立案にかかわる部分についての担当大臣との協議ということと、個別の認可についてはそういう協議なしという簡易な仕組みにしているという法体系でございますので、変更も簡易になっているということだと思います。
  101. 山根隆治

    ○山根隆治君 法文の解釈ずっとやっていますとかなり時間も掛かりますし、一つ一つもっと深追いをしたいんですけれども、ほかに聞くべきことがございますので、この辺で法文の解釈については終わらせていただきますけれども、幾つか私が指摘したことについて、御答弁は御答弁として、本音ではそうだよなと思っているところがあったら、是非何かの機会に御検討いただきたいということを要望をしておきたいと思います。  次に、午前中の質疑で若林議員からも御指摘がございました。外資系の企業についてもこれ適用されるというのが既に御答弁であったわけでございますけれども、それでは外国企業日本支店については対象となるのかどうか、この点についてお尋ねします。
  102. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 基本的には日本法人を対象にするわけでございまして、その法人の所有者がいかなる方であるかということは問わないということでございます。ですから、日本支店とおっしゃった場合には、外国法人そのものでございますので、本件の対象にはならないと。
  103. 山根隆治

    ○山根隆治君 日本支店とそれから外資系、まあ外資系という意味、いろんな定義ございますけれども、例えば経済産業省では外資系企業動向調査の中でその定義はこういうふうに書いてあります。「外国投資家が株式又は持分の三分の一超を所有している企業」ということで、経済産業省の方は規定をいたしておりますけれども、こうした外資系とそして日本支店とを分けるということについては、具体的にはどのような影響があるということになって分けているのか、その点についてお尋ねします。
  104. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) この法律の全体系もそうでございますけれども、特に補助金の場合に、私どもが補助金の交付をする対象というものは、我が国予算を使って支援をするという観点から、特にこういう産業政策上の支援をするということでございますので、日本法人に限っているわけでございます。したがって、外国法人の支店というものは対象にしないということでございます。
  105. 山根隆治

    ○山根隆治君 それでは、少し別の角度から質問をさせていただきますけれども、例えば外資系、その外資の比率が非常に高いところの企業が特許を得たということの場合ですね、これは日本で特許を得ても、WIPOによってこれは国際的に直ちにもうどこでも適用されるものになってくるわけでありましょうけれども日本企業との競合ということが当然、純粋な日本企業、外資ではない日本企業との競合ということになった場合に、国益を結果して損ねるということになるわけでありますけれども、この点については致し方なしという理解でよろしいのでしょうか。
  106. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) ちょっと御質問の趣旨を十分理解していないかと思いまして、そうしたら修正させていただきますけれども、私どもがこの支援措置をする相手は日本法人ですと、それの所有者がどなたであるかということは余り興味は、興味というか関係はちょっとないということになっております。  ただし、日本法人であっても、例えば大企業の子会社の、一〇〇%子会社の、まあ規模としては小さい中小企業というのは、みなしで大企業として見て、この中小企業向けの補助金は渡さないと、交付しないというのがルールでございます。そういう意味でいうと、外国の大企業日本法人というのが仮にあった場合に、それが一〇〇%子会社であるような場合には、私どもとしては日本の大企業の子会社と同じような扱いで、この中小企業施策という観点からは対象にしていないということでございます。  おっしゃいましたような日本の国益を、まあ害するかどうかはあれでございますが、国際競争という観点からいって、そういう意味では十分配慮しなきゃいけないようなケースというのは、日本法人であって、外国の大企業が持っているような日本法人というものは、いささかそういう視点からの配慮が必要かというようなものと考えておりますので、直ちには今私どもの施策のやり方で問題が起きるとは思っておりません。
  107. 山根隆治

    ○山根隆治君 十分にケアして運用をしていただきたいということをこの際申し上げて、次の質問に移らせていただきます。  中小企業の基盤整備ものづくりということでございますけれども、これは防衛産業についても私はかかわりがかなり出てくるんだろうというふうに思っておりますけれども、防衛庁の方にお尋ねをいたします。  陸海空それぞれで、製造業における民間企業との取引の業者の数というのはどのように把握されているでしょうか。
  108. 小島康壽

    政府参考人小島康壽君) ただいま御質問がありました陸海空の自衛隊が使用しております艦船ですとか航空機ですとか戦車ですとか、そういった主要な装備品の調達に関しまして防衛庁が平成十六年度に契約をいたしました企業の数は、約七百八十社でございます。
  109. 山根隆治

    ○山根隆治君 陸海空で分けるとどうなりますか。
  110. 小島康壽

    政府参考人小島康壽君) 今、陸海空で分けた数字は持ち合わせておりませんけれども、ざっとのことで申し上げれば、陸が半分、空、海がそのまた半分ずつというような感じだと思います。
  111. 山根隆治

    ○山根隆治君 防衛産業の生産規模というのは大体二兆円近くになるだろうというふうに言われておりますし、我が国では就業者の数も四万人、まあカウントの仕方によりますけれども、四万人程度というふうに言われております。これはもうこの大きさはフランスの防衛産業に匹敵するものでありますので、私はこの防衛産業というものにももう少し光を、ある種の光をやっぱり当てて、しっかりと認識をしていく必要があるんだろうというふうにも思っております。つまり、民生への技術の転用、そして今回の法案とのかかわりもございますけれども、そうした零細中小企業技術力というものも高めていくということでの意味というのも十分感じるわけであります。  例えば、防衛産業から生まれたもの、これは一九九五年ころの新聞によく出ておりましたけれども、例えば魚の雄雌の判断をする装置を作られていたり、あるいは自動車のエアバッグもそうだと言われています。家庭用のゲーム機というのもその一つでありましたし、そのほかの多機能のディスプレーもございました。あるいはまた、これも当時、私もかなりのショッキングなニュースとして見ましたけれども日本の商社とアメリカの宇宙航空業界がジョイントしまして衛星写真ビジネスというものが行われてきたというふうなこともあります。あるいは、さらにまた掃海艇のノウハウを生かして木造住宅を造って、それを販売するということ等が今日まで行われてきたわけでございます。  防衛産業というと一つタブー視される傾向、空気というものが我が国にずっとあったわけでありますけれども、これらの防衛産業から派生した民生への転用、そうした技術というものを持った中小企業の人たちが今回のこの法案成立後、適用というものを申請したときに、これは当然門前払いすべき話でありませんけれども、そうした理解でいいのかどうか。あるいはまた、こうした防衛産業からの派生する技術というものに対する評価というものについてはどのように認識をされているのか、お尋ねをしておきます。
  112. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) この法律の適用との関係でまずございますけれども、この法律のねらいは、我が国製造業国際競争力を支える優れた技術力を備えたものづくり中小企業群を強化するということでございますので、広く製造業競争力強化や新たな事業の創出に資する技術を特定ものづくり基盤技術指定して支援をするということでございますので、この技術は、まあ簡単に申し上げれば汎用的な技術をベースにしているというふうに思っております。  こういった様々な分野に活用可能な技術に着目して研究開発支援を行うために、その成果が防衛産業に及ぶ場合もあると考えておりますけれども、しかしながら、専ら防衛産業の特定のもののために資する研究開発というわけではございませんので、それ以外のものにつきましては、私どもはこの支援対象にすべきだというふうに思っておりますので、思っておりますということでございます。
  113. 山根隆治

    ○山根隆治君 ちょっと今の御答弁で気を付けなくてはいけないことが一つあったと思いますけれども、今長官は、民間技術がそれが防衛産業に生かされるというふうな云々というのがありましたが、私が申し上げているのはそうじゃなくて、明らかに最初から防衛産業から生まれた技術というものがそれから波及して民生に活用される、修正を加えて活用されるという場合についての話をさせていただいた。その辺ちょっと混乱があると思いますが、もう一度答弁し直してください。
  114. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) その、それから先、この法律の適用を受けるために研究開発計画とかそういうのを作るわけでございますが、その計画それ自身が民生のものであるということであれば、ほかの方がやる場合と全く同じように何の問題もないというふうに考えております。
  115. 山根隆治

    ○山根隆治君 今、欧米では防衛産業かなり業界の再編というのが行われてきております。それは経済的な事由であるとか、そして一九九〇年に前後してから東西の冷戦構造が変わって防衛産業に大きな変更がもたらされてきたということにもよるわけでありますけれども、そうした経緯があって、やっぱり輸出ということについて非常に欧米から我が国へ防衛産業についての圧力が掛かっているというふうなことも言われているわけであります。  私は、防衛産業技術というものについては、国産品のやっぱり比率を高めることが防衛力を高めることにもなりますし、そしてそれが今私が問題提起しているように民生への転用ということも増加させるということにもなるんではないかというふうに思っているわけでありますけれども、これらについて防衛庁の方から御見解、御認識を聞かせてください。
  116. 小島康壽

    政府参考人小島康壽君) ただいま防衛品の製造、調達に関しまして国産化をすべきじゃないかということでございますが、現在、先ほど全体で二兆円ぐらいの調達をしているということですが、現在、日本企業から調達している部分は八五%ぐらいでございまして、その中にもちろん日本企業輸入をしているもの、あるいは防衛庁が直接輸入しているものもございまして、そこのところは具体的にどの部分、実際に輸入と国産というのは明確に分けられないので数字はございませんけれども、基本的には自衛隊の運用に直接影響があるような部分はできるだけ国内で調達する、あるいは技術が欧米のものであってもライセンス国産するとか、あるいは整備に関するライセンスの技術の供与を受けるとか、そういうことで運用に支障が生じないように国産技術、国産製品を使うということはやっております。
  117. 山根隆治

    ○山根隆治君 そうすると、輸入は減っているということでしょうか。国産品の比率というものは変わってないんでしょうか。減っているんでしょうか増えているんでしょうか、どうでしょう。
  118. 小島康壽

    政府参考人小島康壽君) ちょっと今数字を持ち合わせておりませんけれども、ごく最近の数字では、数字といいますか状況では、御承知のようにイージス艦の装備ですとか、それからペトリオット等の装備ですとか、そういったものが非常に巨額の装備が近年増えていますので、その分で若干輸入が増えているかもいたしませんが、従来から使っているようないわゆる正面装備品というものについては余り変わりはないと思います。
  119. 山根隆治

    ○山根隆治君 それで少し安心したところありますけれども、欧米のそうした圧力によって武器輸入ということを増やしていく、その比率を高めるということは、逆に言うとそうした外国、欧米の兵器産業というか武器産業、防衛産業というんですか、それを幇助するようなことに結果としてなるということにもなるわけでございまして、我が国の平和戦略というか、そういうことからすると少し問題も起きやせないかということで、あえてお尋ねをさせていただいたわけでございます。  私は、やはりこれからの我が国の防衛ということを考え、そして防衛産業ということを考えた場合には、やはりしっかりとした部品の調達ということもそうでありますし、防衛力、防衛機器の、私はやはり圧倒的な、他国に比べて圧倒的な品質の良さあるいは精度あるいは機能というものをやっぱり高めるということが、これ逆に軍縮というものを国際的にも高めるということにもなるんだろうというふうにも思っているわけでございまして、そういう意味で、研究開発費ということについては、私は、日本の平和戦略というものはどこの国も認めているところでございます、平和路線というものは認められているところでありますから、そうした意味では防衛のための機器の能力の向上ということについては非常に意味があると思います。  この点について、研究開発費の増額ということについてはどのように考えられるのか、お尋ねいたします。防衛庁です。
  120. 小島康壽

    政府参考人小島康壽君) 防衛庁におきましては、防衛装備品の研究開発について一千億を超える研究開発費を毎年使用しておりますし、また、近年は特に、国産の哨戒機あるいは大型輸送機というものの開発に傾注しているところでございまして、これらについては防衛庁で哨戒機、輸送機として使用するほか、民生転用も踏まえた、将来の民生転用も踏まえた研究開発をしているところでございます。
  121. 山根隆治

    ○山根隆治君 質問経済産業省の方に移させていただきます。  平成十六年の三月に十五年度の汎用技術実態調査報告書というものを出されまして、まとめられまして、防衛装備品のスピンオフ動向に関する実態調査というものであります。この場合のスピンオフというのは、民間のものに転用をするというふうな意味であろうかというふうに思っておりますけれども、この実態調査を受けて、この感想、対応というものはどのように持たれているのか、お尋ねをいたします。
  122. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) お尋ねの報告書でございますけれども、まず防衛産業技術が民生分野で応用されている事例、そういうスピンオフを分析したものでございますが、その中でアンケート調査による分析を行っております。その中で、スピンオフに関心のある企業、そういうもののうち実際にこれを試みた企業、それがどれぐらいあるかと、六割ほどございます。このうち、さらに、スピンオフが成功した、ある一定程度の売上割合を占めるようになったと、そういう企業がその中で七割というようなことでございます。  具体例を一例申し上げますと、航空機用エンジンの部品を作っている企業でございますけれども、チタン合金ボルトを医療用の人工骨に転用した例と、そういうようなものが挙げられております。  そういう成功例とかうまくいかなかったケースとかいろいろ見てみますと、そういう成功した例では、技術的課題というのももちろん解決したというのはあるわけですけれども、販売面、営業面でうまく企業を見付けることができたとか、それから、逆にうまくいかなかった例としては、自分のところで持っている技術とそういう売り先がうまく見付からなかった、民生分野とのミスマッチが起こってしまったというようなことだと、その報告書の中では言っております。  私ども、そういうことを受けまして、防衛の関係で開発されたいろんな技術、そういう技能、そういうものが民間の製品にあるいは技術に転用できるように、防衛庁の方とも連携を取りながら可能なことをやっていきたいというふうに思っております。
  123. 山根隆治

    ○山根隆治君 防衛庁及び防衛施設庁、イメージがちょっと今悪くなっていますが、そういうところにはしっかりと技術というものを広げていっていただきたい、汎用していただきたいということをこの点については御要望を申し上げまして、この点についての御質問はもう終わらせていただきたいというふうに思います。  それでは続きまして、技能教育の現状と施策ということでお尋ねをさせていただきたいと思います。  一九六二年に創設されました高専、高等専門学校は、当初はいろいろな世の中の批判にさらされてまいりまして、大変な厳しいスタートでございましたけれども、現在時点でこの高専の果たしてきた社会に対する役割、評価、どのようにお持ちなのか、お尋ねをさせていただきたいと思います。
  124. 磯田文雄

    政府参考人磯田文雄君) お答え申し上げます。  高等専門学校は、産業界の強い要望にこたえまして、五年制一貫の教育により実践的技術者を養成する高等教育機関として昭和三十七年に制度化されたわけでございますが、現在、全国に六十四校が設置され、うち五十九校が工業系の分野でありまして、ものづくりに関する教育は高専の重要な機能の一つであると考えております。  このため各高専におきましては、従来から産業界のニーズに即した実践的、創造的な技術者の養成に努めており、現在でも求人倍率がおおむね十倍以上ということで、ほぼ一〇〇%に近い就職内定率を維持するなど、その実績は社会から高く評価されていると、かように考えているところでございます。
  125. 山根隆治

    ○山根隆治君 そういたしますと、この高専の今後のありようというものは、制度的な変更を加える必要というものはないということでしょうか。あるいは更にこれをレベルアップをさせる、社会のいろんなニーズに適応させるということでは、例えば、今五年制でありますけれども、それも六年制にするとか、あるいはカリキュラムを大幅に変えるとか、あるいは研修で海外研修というものを取り入れているんだかどうか分かりませんけれども、入れていくとか、様々な私は検討課題もあるんだろうと思いますが、この点については何らかの検討がされているのか、あるいは検討されなくとも、そうした要望等というのは高専の方から来ているのかどうか。それらについて、まとめて御答弁ください。
  126. 磯田文雄

    政府参考人磯田文雄君) 現在、各高専におきましては、地元企業との様々な連携を通じまして地元との意見交換をしながら、高専の本来の責務であります実践的技術者の養成ということに努力をしているところでございますが、基本的にはこれまでの考え方を維持しつつ今後の発展を考えたいと考えておりますけれども、今後とも各地元企業関係者方々との対話を通じまして、ものづくりに貢献する優れた人材の育成に努めてまいりたいということで、そのために必要な様々な御意見というものは十分参考にしてまいりたいと考えているところでございます。
  127. 山根隆治

    ○山根隆治君 参考人お話の中で、当委員会でお伺いをしたときに、東北大学の堀切川先生お話しになっておられましたけれども、東北大学で御自分のところから各企業に逆に出前出張みたいな形で行っていると。それが非常に喜ばれていて、敷居が取れたということで非常に企業から喜ばれている。そこで、あと一歩というところで技術開発ができるところを相談に乗って、製品化して、うまくいったという事例を幾つか挙げておられました。  高専ではこういったような取組というのは行われていないんでしょうか。
  128. 磯田文雄

    政府参考人磯田文雄君) お答え申し上げます。  各高専におきましては、地元企業との様々な形での連携協力を進めるということを重要な使命にいたしまして、インターンシップによる学生の派遣あるいは地域ニーズに即した共同研究、受入れ、受託研究等を行っているところでございますが、御指摘のような出前で行かれるということは、各高専と地元企業との垣根を低くするということでございまして、これ幾つかの大学でも試みられておりますけれども、高専でもそのような努力が必要ということで様々な取組を進めようとしているところでございます。
  129. 山根隆治

    ○山根隆治君 取組、進めようとしてて、今やってないということなんですか。
  130. 加納時男

    委員長加納時男君) やってるのかやってないのかという質問なんですけれど、文部科学省磯田審議官、答えてください。
  131. 磯田文雄

    政府参考人磯田文雄君) 失礼いたしました。  実際に高専の教員が地元中小企業の現場を訪れるという取組は行っております。
  132. 山根隆治

    ○山根隆治君 大学と違って、もう一つ高専ということになると、なじみやすさもあるし、気安いいろんな相談等もできると思いますし、一緒にやっていくという空気が醸せるので、是非積極的に取り組んでいただきたいということを要望をさせていただきたいと思います。  さて、こうしたものづくりということについては、持って生まれたセンスあるいは器用さということもありますけれども、実は、その国の発展というのは理数系の能力がどれぐらい高いかということによって決まるというのが、最近の「国家の品格」という本を書いた藤原先生がその著書の中で述べておられます。まあ、それが本当かどうかというのは私もよく分からないんですけれども。  私も数学は非常に苦手ですが、九九はできますね。しかし、イギリス、ヨーロッパでは非常に、フランスのことをまあ石原都知事、前に悪口言っていろんなことがありましたけれども、ヨーロッパではなかなか歌のように覚えるということができない。戦後、アメリカが日本の教育を見たときにびっくりして、小学生がみんな九九を覚えている、こんな難しいことを覚えるのかということを言ったとかということですけれども。  その理数教育というのは、本当にものづくりとかいうものに対して非常に大きな成果が上がるものかどうか。まあ文科省でもいろんなことをやっておられる。この認識をちょっとお聞かせください。
  133. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。  日本の子供たちの理科離れという点も大きな課題として受け止めておりますので、小学校の段階から理科、数学に力を入れて、理工系の興味、関心を引き続き持っていただいて将来を担える人材の育成をしたいと、そういう観点から、例えば高校の段階ではスーパーサイエンスハイスクールという、研究開発学校という形で指定をさせていただいております。  現在、このスーパーサイエンスハイスクールにつきましては、全国で九十九校指定させていただいておりまして、高校全体で五千四百十八校のうちの九十九校で一・八%の割合でございますが、このスーパーサイエンスハイスクールにおきましては、生徒の体験的、問題解決的な学習を重視したり、あるいは大学企業方々の施設設備を活用させていただいたり、最先端の研究の成果を高校生に直接教えていただいたりという先進的な理数教育の実践に取り組んでいただいているところでございます。  したがいまして、数自体は少ないのですが、こういうスーパーサイエンスハイスクールが周辺の高等学校に理数教育の重視という意味合いで大きな役割を果たしてくれるものと期待しております。  そのために、文部科学省がその成果を全国に普及をさせていただいたり、また生徒による研究発表会というものを催したりしております。  また、先ほど理数教育のお話でございましたが、学校教育全体のカリキュラムの基準になります学習指導要領を今見直しを進めておりますけれども、その際、重視すべき事柄として理数教育の充実ということを掲げております。今後、科学技術の土台となり得る理数教育の充実に向けて改訂に取り組むと。  これらの活動を通じて、理数教育全体の質の向上を図りながら、生徒の知的好奇心や探求心というものを向上させて、将来のものづくりにつながるようにという取組を進めてまいりたいと思っております。
  134. 山根隆治

    ○山根隆治君 私、数字に強いところとか弱いところありまして、例えば十代のときには三けたの掛け算、三けた掛ける三けたというのは暗算でできたんですよね。ところが、今は二けた掛ける一けたしかできない。これみんなびっくりするんです。これは、そろばんやっていると暗算やっていますから、かなりできるんですね。これは別に数学能力とは直接は関係ないんだろうと思うんですね。  イギリスでも、理数系の能力をみんな上げなくちゃいけないということで、ブレア政権で担当大臣にその仕事をやらせたら、そうしたら、インタビュアーがテレビで、じゃ八掛ける九は幾つかといって何か間違えちゃったということが実はありまして、それほど日本人と同じレベルというのはなかなかないんですよね。  ところが、その「国家の品格」で書いてあったのは、インドは十九掛ける十九があるというのでびっくりして調べてみたら、そうじゃないです、もっとすごかったですね。二十一掛ける二十とかって、それが暗記しているかどうかというのは分からないんですけれども、ただそういう表があるということだけでしてね。  なぜこういうことかというと、理数系の能力というのはだれしもが持っているんで、その能力を引き出すということが必要なわけです。そういう教育にするのか、それとも私みたいに、そういう計算はできるけれども弱いというのあるんで、そういう人はもう除外していくという、そこら辺のところは資質の問題なんでしょうかね、持って生まれた、その辺はどう考えますか。
  135. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) 大きな課題として受け止めておりますが、最近の脳科学の研究の成果でも、脳の可塑性という発達段階にも年齢に応じたピークがあるようで、そういう機会に適切な教材が当たるようにということは今後の大きな課題だと思いますが、現在、理科、数学の教育につきましては、まず、数学におきましての九九のような、あるいは計算の力というのは、基礎、基本たる知識ですとか技能はしっかりと身に付けてもらいながら、それを実際に生活において、社会において活用する力、考える力というものを伸ばせるような先生方の働き掛けというものも大切にして、基礎、基本のしっかりとした定着と自ら学んで考える力というものもしっかりはぐくむと、そういう視点から取り組もうと考えているところでございます。
  136. 山根隆治

    ○山根隆治君 少し、ちょっと質問落としちゃったところがありますので、がらっとまた変えます。  予算のところで、ものづくり基盤技術研究開発支援六十四億、そして事業者の出会い促進で二億、高専等を活用した人材育成支援四億、製造中核人材育成事業二十八・四億というふうなことで予算措置が一覧表の中に出ているんですけど、これ、具体的にどのように使うかというのはもう固められているものなんでしょうか。主なところだけで結構ですけれども、お答えください。
  137. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) その予算を作成しましたときに一定の仕組みをそれぞれつくっております。例えば、技術開発予算につきましては、この法律に基づく研究開発計画の認定を受けた者が応募してくるということでございまして、それに対しての審査をしてやるということでございますし、先ほどちょっと、まあぽつぽつで恐縮でございますけれども、高専などを使った人材対策につきましては、高専が地域中小企業と組んである人材育成のプロジェクトをつくった場合にそれで応募してくると、これも公募方式でございますけれども、そういう仕組みでやることになっておりまして、私どもは、法律が成立をいたしましたらできるだけ速やかにこの公募手続を開始をしたいというふうに思っておるわけでございます。
  138. 山根隆治

    ○山根隆治君 すばらしい知恵等が出てきてこの予算では足らないというような場合には、補正ということも、大臣、これはあり得るんでしょうか。
  139. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 私が申し上げることかどうか、あれでございますけれども先ほど大臣申し上げましたように、予算成立したばかりでございますし、私どもとしては、今ちょうだいしました予算をきちっと有効に全部使うというところをまず第一の目標としてやりたいと思っているところでございます。
  140. 山根隆治

    ○山根隆治君 最後に、大臣、引きも切らずいろいろな知恵が出たり申請が出たら、いいものだったらどんどんおれに任せろという一言、お願いします。
  141. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先ほど来、大変幅広いお立場からいろんな御意見をちょうだいしました。御答弁を申し上げた中で、議員にしっかりそれでよろしいという評価をいただいたかどうか、私も先ほど来答弁を聞いておりまして、これからの課題として我々は真剣に受け止めさせていただきたいと思っております。  さきに、高専の問題につきまして何回か非常に緻密なお尋ねをいただいたわけでありますが、今日はたまたま閣議の後、小坂文部科学大臣にお会いをしまして、高専の問題、工業高校の問題等について、我々は今ものづくり法案を審議しておる中で、経済産業省としても、特にこれからは大学の持っている技術だけではなくて、高校、高専、そうした先生方の技術及びそこに学ぶ学生たち、生徒の皆さん、こういう人たちがこれからの日本中小企業を担っていくという立場にあるならば、我々は経済産業省として、文部科学省の範囲を超えるものを考えるわけではありませんが、できるだけ協調して、お互いに協力してやっていきたいと考えておるものでありますが、大臣はいかがかということを申し上げましたら、自分としてもそういう面で経済産業省と協力して、中小企業あるいは日本技術にお役に立てば大変結構だということで、両省でしっかり話し合おうということを今朝お話をしてきたばかりでございまして、そういう意味からも、ただいまの御質問等は十分受け止めさせていただいて今後に対応したいと思いますが、予算の面におきまして、今も中小企業庁長官からお答えしましたとおり、ちょうど予算を皆様のおかげで通していただいたばかりでございますから、今から私の立場で補正予算に言及することは適当ではありませんが、しかし、補正予算を組むような政治情勢になった場合に、我々はこの中小企業のものつくりという面からも積極的に取り組んでいきたい、そういう気持ちを持っておりますことをお伝えをしておきたいと思います。
  142. 加納時男

    委員長加納時男君) 山根隆治君の質問を終わります。
  143. 小林正夫

    小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。  今日はまず、民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法及び輸入促進及び対内投資事業円滑化に関する臨時措置法を廃止する法案について質問をいたします。  今回、廃止の提案がされている民活法の実績に対する評価として、今年の二月の経済産業省の民活法政策評価研究会の報告によれば、例えば研究開発企業化基盤施設についての経済効果としては六千八百六十九億円の効果があったと、このようにしております。  一つ質問として、民活法認定案件全体としてはどの程度の経済効果があったのか。また、雇用創出の効果を含めてどうだったのかということをお聞きしたいと思います。さらに、それらの効果はどのように評価をされているのか、この質問をいたします。
  144. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 民活法では、内需拡大や地域経済の振興、活性化のために、これまで全国で百八十五件の施設整備支援してまいりました。民活施設に対する総投資規模は約三兆円に及んでおります。周辺の商業施設に対する投資地域の雇用創出という効果も勘案いたしますと更に大きな内需拡大効果があったものと理解をいたしております。  また、各地の民活施設は地域における技術革新や国際化の拠点としての有効活用をされております。例えば、神奈川のサイエンスパーク等の研究開発や起業家を支援する施設から四百社以上のベンチャー企業が誕生いたしております。また、幕張メッセ等の国際会議場では、御承知のとおりモーターショー等が頻繁に開催されておりますが、年間七百四十万人が訪問するなど、国内有数の国際化の拠点となっております。今既に各地域におきまして、幕張メッセを目指して、自分たち地域にもあのような施設を建設することができないかということを模索、研究しているということを時々耳にするわけでありますが、この幕張メッセは正に成功例と存じます。  こうしたことから、民活法は所期の目的をおおむね達成したものというふうに考えております。
  145. 小林正夫

    小林正夫君 今大臣が御答弁いただいた、結局効果があったと、こういうところもあるんですけれども、でも片方では、いろいろ調べてみますと、特定基盤施設の主な事業体となっている民活事業者の経営状態の問題というのも一方では指摘をされていると思います。二〇〇四年度の事業者百二十二社の経営状態を見ると、累積損失なし、こういう事業者が五十五社、累積損失あり、更に債務超過の事業者は六十七社、こちらの方が上回っている、こういう数字になっています。さらに、株式会社大阪ワールドトレードセンタービルディングなどの一部の事業者では法的整理の動きも出ている、こういう動きもあります。  そこでお聞きをしたいのは、民活法による事業が失敗した理由は何なのか。先ほど大臣はいいところもあったというふうにおっしゃいましたけど、今私が指摘したように悪い面も出ているんじゃないかと思います。そういう意味で、民活法による事業が失敗した理由は何なのか、それと、累積損失あり、債務超過の事業に対してどのように対処していくのか、質問をいたします。
  146. 北畑隆生

    政府参考人北畑隆生君) 民活施設のうち、バブル崩壊等の経済情勢の変化の中で財政状況が非常に厳しいものがあるというのは委員指摘のとおりでございます。累積損失ありという企業が百二十二社中の五十四社でございますし、債務超過があるというのは十三社であるのは御指摘のとおりであります。ただ、これは、まあ非常に公共性はあるけれども低収益で、長期的に解消していかなければならないという民活施設の性格もあろうかと存じます。  いろいろな努力がされておりまして、今、累積損失ありと言われた五十四社のうち二十四社、四割強は、二〇〇四年度の単年度では黒字を計上いたしております。また、債務超過十三社のうち五社、これは四割弱に相当いたしますけれども、これも単年度で黒字を計上いたしておりまして、累積損失があるので失敗をしたという評価にはならない、すべてがそういう評価にはならないのではないかと存じます。  ただ、御指摘の民活法政策評価研究会におきましても、そういう経営的に苦しい、経営の厳しい状況にある民活施設の問題点につきましては三点ほど御指摘をいただいております。  一つは、当初、この計画の見通しが現実的でなかったということ、とりわけバブル経済下で進めたものにつきましては過大な想定の下で計画を策定しておった、こういう問題点があるという指摘をされております。また、需要に比べまして過大な施設を整備した、これは民活法の問題点かと思いますが、施設ごとに非常にレベルの高い規模要件というのが定められておりまして、やや背伸びをした施設があったということでございます。そういった過大な施設を整備したり、またそれに伴って過大な借入れをした、金利・償却費負担が重くなって経営を圧迫した、こういう指摘が二点目でございました。三番目としては、このような施設の中には、コスト削減の経営努力が十分とは言えなかった、こんな御指摘をいただいたところでございます。  経営状況の厳しい事業者におきましては、こういった指摘を踏まえつつ、現在、その事業の出資者あるいは支援者であります地方自治体、民間企業の御支援、御協力によりまして再建に向けた経営努力が進められているところでございます。私どもといたしましても、公共性の高い事業でございますので、そういった機能が維持されるよう、これらの事業者に対しまして経営再建に向けた努力を促すとともに、御相談に応じ、また適切に指導、助言を行ってまいりたいと考えております。
  147. 小林正夫

    小林正夫君 今答弁をいただいたように、失敗をした、それを次に生かしていく、このことが大変大事だなと思います。また、学習効果を更にいいものに生かしていく、こういうことが大変必要だと思いますけど、そういう意味一つ質問をいたします。  最近では、民間資金活用による公共施設の整備に関する法律、こういう法律に基づいて新しい産業基盤整備が行われていると思います。この新しい今の施策について、民活法の失敗が再現されるおそれがないのか、民活法の失敗の教訓をどう生かしていくのか、このことを質問いたします。
  148. 北畑隆生

    政府参考人北畑隆生君) 民活法に代わる新しい公共施設の整備手法といたしまして、平成十一年よりPFI制度が導入されております。十八年の四月三日現在で二百二十九件の事業がこの法律に基づいて実施され、推進されているところでございます。  このPFI制度を民活法と比較をいたしますと、民活法では十七類型の法定施設に限定をいたしまして、支援対象となるものについては施設規模の要件、これかなり高い水準で定められておったと、こういう問題がありました。これに対しましてPFI制度は、幅広い公共施設を支援対象にする、硬直的な施設の限定はやらないという工夫がなされているところでございます。  二つ目は、民活法では主として第三セクター方式、第三セクターを支援対象と想定をしておりましたけれども、PFI制度では純粋の民間企業もこの支援対象にするという新たな工夫がなされております。  三点目は、PFI制度では競争入札制度を活用するということでございまして、より効率的で効果的な施設整備ができるような仕組みが導入されたものと考えております。  したがいまして、民活法に問題点が幾つかあったという御指摘はそのとおりでございますが、このような問題点を克服するような制度上の改善が行われると考えておりまして、今後はこの民活法に代わりましてこのPFI制度の利用、活用を進めていくことが重要であると考えております。
  149. 小林正夫

    小林正夫君 そこで、今日は資料を配付をさしていただきました。民活法特定施設ごとの活用状況という資料を今日は提出をいたしましたが、これを見ながらお聞きを願いたいと思うんですけれども。  現在の民活法によって全国に百八十五の施設が現在開業していると聞いております。入居率、稼働率が一〇〇%のこういう施設は大変いいことだと思いますけれども、その一方で、この資料でいくと活用状況の稼働率が五〇%を切っている施設、港湾交流研修施設、これは国土交通省の所管と聞いております、この稼働率が二二%。国際会議場施設は四一%の稼働率にとどまっている。それと特定大規模スタジアム、これも四七%という状況であります。  それぞれの施設の所管省庁として、今後この施設の活用策としてどのような施策を講じていくのか、お聞きをします。
  150. 小野芳清

    政府参考人小野芳清君) お答え申し上げます。  ただいま港湾交流研修施設の利用促進策についてお尋ねがございました。港湾交流研修施設と申しますのは、港あるいは海での適正なレクリエーション活動に関する知識の普及、それから研修、展示ということを行う施設でございまして、港湾における交流活動の拠点となる施設でございます。民活法に基づきまして、これまで室蘭、伏木富山、それから博多の各港におきまして三施設が整備されてきてございます。  この港湾交流研修施設を始めとしまして、民活法に基づく各種の特定施設と申しますのは、あくまでも民間事業者能力活用を図って整備、運営をするということを基本としております。これら三施設についても、基本的には事業者が自らの努力によりその稼働率の向上に努めるべきものというふうに考えております。  現在、事業者におきまして、港湾管理者や地元自治体と協力して広報活動を強化をすると、あるいは地元の小学校とタイアップをいたしまして利用促進活動を行うといったような、稼働率の向上を図るための施策を推進しているというふうに承知してございます。国土交通省といたしましても、これらの利用促進の取組を様々な形で応援をしてまいりたいと、かように考えてございます。
  151. 加納時男

    委員長加納時男君) 経済産業省、回答ありますね。
  152. 豊田正和

    政府参考人豊田正和君) 私の方から、国際会議場施設、そして特定大規模スタジアム施設について御説明をさしていただきます。  国際会議場施設は国際交流の場を形成するという視点から、特定大規模スタジアムの施設は地域コミュニティーの健全な発展に寄与するという視点から造られたものでございます。先生指摘のように、民活法に基づいて国際会議場施設は四施設、そして特定大規模スタジアムについては一施設が整備されております。  御紹介の紙にもございますように、平均いたしますと稼働率四〇%台でございますけれども、現在事業を続けている四施設を見ますと、稼働率は実は様々でございまして、稼働率が六〇%を超えて黒字を続けて出しているところもございます。そういったものの状況を見ますと、全国的な学会ですとか展示会ですとか様々なイベントの開催誘致などを行い、積極的な営業活動も行っております。施設が建設された後は、民間事業者が自助努力によって活用促進を図ることが前提ではございますけれども経済産業省といたしましても、様々な魅力ある事業の実施などによって稼働率が向上していくように、利用環境の把握ですとか事業活性化のための課題を明らかにするような調査事業などの支援もしております。  今後も、そういった調査事業の結果も踏まえながら、適切な指導、助言を行ってまいりたいと思っております。
  153. 小林正夫

    小林正夫君 是非、その施設が有効に使われるようにしっかりした取組をお願いをしておきたいと思います。  次の質問に移ります。  工業配置促進法を廃止する法律案について質問をいたします。  昭和四十年代、我が国経済社会、これは工業化と都市化、こういう方向で進みまして、三大都市を中心として大いに発展をした、また人口も集中した、こういう時代だったかと思います。逆に言えば、反面、過疎地を生み出したと、こういうことも言えるんじゃないかと思います。ただ、この法律ができて三十年ほど経過をいたしますけれども、現在では工場が外国に移転をしていく、こういう例なども見られるようになり、産業の空洞化も大きな問題となっております。したがって、この工業配置促進法を廃止する方向は私は合っているのかなと、このように思います。  そこで、廃止に当たりまして、これまでの工業再配置政策が果たしてきた役割について経済産業省はどのように総括されているのか、お聞きいたします。
  154. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 正に昭和四十七年にこの工業配置促進法が制定されたわけでございます。それに基づいて、工場の再配置を促進するために補助金の交付あるいは税制措置など各般の施策を行ってきたところでございます。この結果、工業配置促進法の制定前と比べますと、地方の工業出荷額は大都市の工業出荷額を逆転しまして、大都市の約三倍となったわけでございます。このように、先生先ほど工業化、都市化、けれども過疎地もできたのではないかというお話ございましたけれども、私は、やはりこの工業配置促進法に基づいて行った工業再配置政策は一定の成果を上げ、その役割を、十分に役割を果たしたというふうに認識をいたしているところでございます。
  155. 小林正夫

    小林正夫君 今副大臣が答弁されたように、成果も確かにあったと思います。ただ、移転促進地域の中には、工場が減少して、ものづくり産業の集積メリットが失われて産業が空洞化した地域もある、このように指摘もされております。  例えば東京の大田区。大変中小企業の多い地域ですけれども、ここの地域を調べてみますと、昭和五十八年には九千百九十件の中小企業があった。しかし、二十年後の平成十五年には五千四十件、したがって四千百五十件が少なくなって四五%減ったと、こういうことが実際には東京の大田区では起きています。したがって、工業再配置政策産業集積地域の空洞化を加速させていると、こういう指摘もあるんですが、このことに対してどのようにお考えか、お聞きをいたします。
  156. 奥田真弥

    政府参考人奥田真弥君) お答えいたします。  工業配置促進法は、今御説明ございましたように、昭和四十七年に制定されたということで、大都市における公害問題の発生などの過密のデメリットを解消して、過疎問題も同時に解消していこうということで制定されたわけでございます。また、御説明ありましたように、そういう法律制定の結果、地方と大都市の工業出荷額が逆転するというふうなことで、一定の成果があったわけでございます。  ただ、その間、大都市から地方に工場は移転をしておりますけれども日本全体として見ましても工場数というのは一貫して減少しているというのが事実でございます。その中でも、集積によるメリットを必要とするような工場は引き続き国内にも存続をしておりますし、また今先生お話ございました大田区でございますが、確かに企業の数あるいは工場の数自体は減っているというところは事実でございますけれども、意欲のある中小企業の活動が今でも失われておりませんし、正に日本中小企業のメッカというような位置付けになっているわけでございます。  そういう状況に加えまして、近年では工場の国内回帰の動きも一部に見られるということでございまして、我々といたしましては、この工業再配置政策によって産業集積地が空洞化したということは必ずしも当たっていないんではないかというふうに考えております。
  157. 小林正夫

    小林正夫君 この工業再配置政策の基本的考えは、国土の均衡ある発展を目指したもの、このように私は理解をしております。そういう意味で、今回、この法律を廃止をしていくということになるわけですから、この国土の均衡ある開発という社会的、政策的なこういう理念を今回は転換をしてしまうのかどうか、このことについてお聞きをします。
  158. 奥田真弥

    政府参考人奥田真弥君) お答えいたします。  工業再配置政策は、国土政策と大変緊密に連携をいたしておるわけでございます。この国土政策でございますけれども平成十三年から見直しに関する議論が行われておりまして、この結果、平成十七年には、国土政策の軸足を開発を基調とした量的拡大から質的向上に移るという方向が決められております。こういう状況に加えまして、工業再配置政策の有効性が減少したということなどから、今回、工業配置促進法の廃止法案提出したところでございますけれども、しかしながら、地域の特性を生かしつつ国土利用の過度の偏在を是正するという国土の均衡ある発展の本来の趣旨は引き続き維持をしていく必要があると考えております。  こういう観点から、我々といたしましては、新経済成長戦略、ただいま取りまとめを行っておりますけれども、こういう中でも地域活性化を大きな柱の一つとして取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  159. 小林正夫

    小林正夫君 次に、地域産業政策と今お話のあった新経済成長戦略、この整合について質問をいたします。  経済産業省は、平成十三年度から地域産業政策として産業クラスター計画を推進しております。これまでの実績や成果についてどのように政策評価をしているのか、今後についてどのような中長期的な目標を設定しているのかどうか、このことをまずお聞きします。  あわせて、幾つか先に質問をさせていただきますけれども、この産業クラスター計画全国九ブロックの経済産業局の単位で行われている、こういう状況ですけれども、各地域ブロックを超えて広範囲な連携事業を行う必要があるのではないか、各地域ブロックを超えた広範囲な連携は経済地域間格差の解消にもつながるのではないかと私は思いますけれども、そのことに対してどのように考えられているのか。  さらに、あわせて、今年の三月に公表された新経済成長戦略中間取りまとめでは、複数市町村圏単位での地域振興策を推進することなどが言及されておりますけども産業クラスター計画との整合をいかに図っていくのか、そして、新たな政策が打ち出されて、地域産業政策が複雑化して地域に混乱を招くおそれがないのかどうか、この辺についてお考えをお聞きいたします。
  160. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 経済産業省におきましては、全国で約六千百社、二百五十大学の参加を得まして産業クラスター計画を推進しております。これまでに地域で新事業を次々と生み出しております産学官ネットワークの基礎ができたというふうに評価をいたしているところでございます。  こうした取組を更に強化するために、今般、今年度から平成二十二年度まで五年間で四万件の新事業を創出するという目標を定めた中期計画を策定しているところでございます。さらに、今般の計画では御指摘地域間の広域的な連携、これは非常に重要であると思います。新事業の創出を加速するものとして、これは重点的に取り組むこととしております。  さらに、新経済成長戦略におきましてどうかという、中間取りまとめ出たけれどもどうかという御質問でございました。これは、イノベーション創出のためには産学官の連携が重要であり、産業クラスター計画はそのための重要施策と、この新経済成長戦略の中でも位置付けております。経済産業省といたしましては、今後とも産業クラスター計画を強力に推進をしてまいる所存でございます。
  161. 小林正夫

    小林正夫君 新経済成長戦略については、今後、この委員会を始めとしていろんな場面で論議をさしていただく、あるいは質疑を交わしていただく機会があると思いますので、十分その中でいろいろお聞きをしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  次の法案中小企業ものづくり基盤技術高度化について、この法案についての質問をいたします。  今日、私たちの方に配られましたこの「元気なモノ作り中小企業三百社」、大変立派な資料ができ上がったと思います。この中で、関東の東京都を見てみますと、東京都には幾つかのここに紹介されているところがあるんですけども、その中でやはり大田区の中小企業会社が非常に多いんです。東京、三十四社この中で紹介されていますけれども、そのうちの実に十五が大田区にある中小企業ということになっておりました。  そこで、私、この法案が出された以降、大田区のある中小企業をお訪ねして、実際に工場、あるいは社長さんと懇談もさしていただきまして、今回の法案に対する意見、あるいはものづくりの実態、それと安全対策の取組など、どういうことが行われているのか、実際足を運んで見さしていただきました。今日は、そのときにお聞きをした内容も含めて幾つか質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。  そこで、まず、このものづくりの振興策、こういうことを今まで長年にわたってやってきました。特に平成十一年、議員立法で成立をしたものづくり基盤技術振興基本法というもの、これに基づいて今日までずっと来ているわけですけども、今回新たな法律が出てきました。したがって、ちょっと整理する意味で、これまでの間、経済産業省として中小企業支援に対する法律など、全部挙げてくれというと時間がないと思いますので、主な中小企業に対する支援策、どういうものであったのか、それと、その支援策についてどのぐらいのお金を投じてきたのか、そのことをまずお聞きをしたいと思います。
  162. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) その法律中心とした支援策につきましては、ちょっと今思い出しながら申し上げますけれども、ただ一番大きいのは、昨年、過去にありました中小企業支援法律が三本ございまして、この三本が、歴史的経緯は幾つかございますけれども、重複があって分かりにくいということがありましたものですから、中小企業の新たな事業活動を促進する法律として一本化をいたしまして、中小企業支援をする法律はこの一本を見れば分かるという法律にしたことがございます。したがいまして、過去に技術開発支援する法律であるとか、創業を支援する法律であるとか、あるいは経営革新を支援する法律であるというものが、累次平成十年ごろから続いてまいりましたものが、昨年、一つ法律にまとまったというのが、ある種の歴史的経緯がある部分でございます。それは、中小企業が前向きにいろいろなことを努力しようとするときに、創業あるいは技術開発、経営革新という、それぞれの分野について力を入れて前向きのことについての対応をするということになったわけでございます。  今回、ものづくり法律につきましては、もう少し、中小企業日本経済産業産業構造を支えていると、あるいは先端的な部分を支えているという観点から、そういう視点で、日本経済の基盤を支えている中小企業という観点から中小企業技術基盤技術というところについて着目をして集中的に、選択と集中で支援をしようという法律を出したわけでございまして、若干これまでの法律とは毛色の変わった法律になっているわけでございますが、それによって基盤的技術高度化していこうという体系になったわけでございます。  そういった政策支援のために、まず中小企業予算の方は、中小企業予算というのは大体過去十年ぐらい、今、少し減って、削減されておりますけれども、千六百億円ぐらいから二千億円ぐらいの間でトータルの予算が、年々大体その範囲内のところで、その時々の予算情勢によりますけれども、推移をしてきているオーダーでございます。  その中で、今回の技術開発などを中心とした政策に対して、支援を幾つかの形で、少しずつ形、変わった形で支援してまいりましたけれども、十年間の累計で千三百六十億円でございますから、全体の中小企業予算の中で一割弱のところがその技術開発に使われてきたと、こういうことになるわけでございまして、特に私どもとしては、その成果としては、当然、その中小企業方々が先端的な技術開発をするときに、それの底上げにつながってきたということはもちろんございますけれども、質的には、昨今の動きを中心として申し上げれば、産学官の連携みたいなものに対してより焦点を当てて、その連携が具体的に進んできたというような一つの質的な成果がございますし、それからごく直近でございましたら、このものづくり法律ができる前の先駆的な、先行的な予算としては、戦略的な技術開発の補助金としてここ三年ぐらい、金型とロボットというものに対しまして集中的に支援をしてきたということがございまして、この分野におきましては、中小企業研究開発がその予算前に比べて一番質的なところが非常に上がったというような評価をしているわけでございます。  ただ、反省を述べよということでございますので、私ども、真摯に反省をいたしますと、こういった産学官の連携でもそうでございますけれども、こういった技術開発の成果が必ずしも事業化にきちっと結び付いていないということが中小企業政策といたしましては少しジレンマのようなところがございました。したがって、ここごく最近の中小企業政策では、るる申し上げませんが、昨年、新しい連携を推進するという観点から新連携対策事業、新しいビジネスをやるために連携を中心としてやろうということとか、あるいは創業支援の格好でスタートアップ支援事業などというのを予算措置としてやり始めましたけれども、ここも、今申し上げました反省の上に立って、事業化に結び付くような仕組みをより強化して盛り込んでいるということでございまして、私は、中小企業のそういった政策は事業化できて何ぼのものということになるのではないかというようなところを強く認識をしながら施策を積み上げてまいったつもりでございます。
  163. 小林正夫

    小林正夫君 今日の製造業の実態をちょっと調べてみましたら、一九九四年から二〇〇三年までの十年間、この十年間で見てみますと、従業員四人以上の事業所の数は三十八万件から二十九万件と二四%も減っている。働く人は一千四十二万人から八百二十三万人に、実に二一%働く人も減っているという状況でした。したがって、私は、必ずしも中小企業に対する支援策が効果あるとばかりは言えないと。先ほど反省の弁もありましたけれども、大いにやはり、そういう今までやってきたんだけれどもうまくいかなかった点を、今おっしゃったことも含めてよく自分たちのものにして、その反省を生かして次の施策を打っていくということ、このことが大変大事だと思いますので、是非そのような取組をお願いしておきたいと思います。  次の項目ですけれども、四月の十三日に参考人の方にお越しいただきました。同僚の藤末委員の方からも、当日、質問がありまして、要は、いろんな支援を受けるときの手続の関係質問のときに、大変いろんな手続がふくそうしていて、これを何とかしてくれと、今日、午前中の林委員質問にもそのお話がありました。大臣からも是非そういうことも検討するという旨のお話もありましたけれども、実は私が、この間、大田区の中小企業をお訪ねしたときに、正にそこの社長さんが同じことを言われていたんです。いろんな支援策はあるんだけれども、それを実際に適用を受けようと思って役所に行っていろいろ聞いてみると、いろんな書類を書きなさいと。なかなか、書くことは余り得意じゃないので、一回駄目でまた次の日行っていろんなこう、そのために自分の工場を何日か空けなきゃいけないと。実際に中小企業というのは、小林さん、自分の工場なんて空けられないんですよと。したがって、是非この手続の簡素化について前向きに取り組んでもらいたいと。このように本当に切実なお話がありました。  したがって、今回法律を審議しているこのまた法律も、いい法律として多分定着をしていくんでしょうけれども、でも、実際に使われなきゃしようがない法律ですから、そのためには、この手続の簡素化をしていくということが私は一つのポイントになっていると思います。  是非このことについて大臣の御所見をお聞かせ願いたいということと、今まで中小企業に対する技術開発支援として、これまで研究開発補助金だとか技術指導あるいは試験研究費の税額控除など、こういうことも実施をしてきましたけれども、実際にこれらの施策を活用してきた企業がどのぐらいあるのか、把握をされていれば報告をいただきたいと思います。  是非この二点について御答弁をいただきたいと思います。
  164. 小林温

    大臣政務官小林温君) 前半の手続面についてお答えをさせていただきます。  小林委員には、大田区まで足を運んでいただいて現場の声を聞いていただいたこと、大変有り難いというふうに思います。  これは午前中の議論でもありましたが、申請手続面での負担が意欲を持った中小企業支援措置利用をちゅうちょさせることがあってはならない、これは深く認識をしておりますし、分かりやすいそして使いやすい制度にしていくということが我々の務めだというふうにしっかりと認識をさせていただいております。  そのため、申請書類や手続については可能な限り簡素化を進めるということが必要だと考えておりますし、今回の法案の具体的な申請手続の詳細は今後検討するということになっておりますが、今の小林委員の御指摘も踏まえて、中小企業者の皆さんにとって利用しやすい制度となるように努めてまいりたいと思います。  また、申請事業者の事務負担を軽減するという観点から、各地の経済産業局中小企業基盤整備機構においても、この申請についての利用者の視点に立っての指導、助言などを行っていくということも決めておりますので、またこれも是非活用いただきたいというふうに思います。
  165. 加納時男

    委員長加納時男君) 後段の回答、お願いします。
  166. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) ちょっと大変恐縮でございますけれども、手元に資料を持ってまいりませんでございましたのであれでございますけれども、税制につきましては、中小企業の設備投資税制は現在大変レベル高く有効に活用されておりまして、今年度の税制改正でも拡充しながら延長していただいたということでございまして、今、中小企業が、なかなか余裕資金で設備投資をしにくいところを底支えをしてきたという意味では非常に要望が強く、実績が上がっている制度ではないかと思っておりまして、本来であれば明確な数字を申し上げなければいけないところ、ちょっと手元に数字がないので恐縮でございます。  それから、長い、ここのところの十年ぐらいのスパンで見てみますと、幅広く多くの企業に利用されてまいりました中小企業支援制度といたしましては、経営革新制度という、中小企業が三%以上の、経営革新をして三%以上の売上げの増を目指す者に対して、法律に基づいて申請をして都道府県が認定をすれば、一定の融資あるいは場合によっては補助金がもらえるという制度があるわけでございますが、これはかなり都道府県レベルでの中小企業施策としては定着をしてまいりまして、先般、過去の実施累計を勘定しました。たしか二万数千件の実績が、中小企業がこれを活用していたということがございました。そういった成果が幾つか上がっている中小企業施策であろうかと思っております。
  167. 小林正夫

    小林正夫君 委員長お願いなんですけれども、やはり今までいろんな法律を作って施策をしてきたけれども、いろんな理由で使い勝手が悪いと、こういうことも実際にあると思います。したがって、今の例えば研究開発補助金だとか技術指導、試験研究費の税額の控除など、どのぐらいの企業が適用してきたのかという今お聞きをしたわけなんですが、今手元に数字がないというふうにおっしゃったもんですから、後日この資料の提出を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
  168. 加納時男

    委員長加納時男君) この件につきましては、その御意見を理事会にて検討させていただきます。御期待にこたえられるように委員長としては努力をいたします。
  169. 小林正夫

    小林正夫君 次の質問ですけれども、四月の十一日の当委員会大臣の提案理由の中で、製品開発等における大企業との連携協力の関係が弱まり、目指すべき技術開発方向性を見定めることが困難になりつつあると、このように提案の中で述べられました。その理由を、国際競争の激化で従来の固定的な系列取引が大きく変化したことと、このように指摘をされておりました。  私は、連携協力が弱まってきた原因の一つに、川下企業ものづくりを行っている川上中小企業との間の信頼関係が壊れてきているんじゃないか、取引慣行とは違う意味でこの信頼関係が壊れてきているんじゃないかというふうに思うところがあるんです。  先日、参考人の方がお見えになったときに、田先生の方から、中小企業というと下請というイメージがあるのかと、このように先生から質問がされました。そのときに参考人の方からは、外国ではパートナーと言われている、下請という言葉は使うべきではないと、このように参考人の方は答弁をされていました。実態としては、仕事を依頼する川下の大企業は、物を作らせているとか、あるいは言うとおりに従わせる又は川上は下請であると、このような思い込みが残念ながら私はまだ強いんじゃないかというふうに感じておるんです。  発注元の大企業中小企業を下請との感覚で強い態度で、巧みな言葉でものづくりのノウハウを盗んで、労働力が安い外国で同じものを作らしてしまう、こういうことが起きていて、大企業はずるいとか、あるいは中小企業技術を盗んでしまう、一生懸命頑張っても報われない、こういうふうに言われる方も多いんです。正に信頼関係がなくなっているんじゃないかというふうに私は思います。  ものづくり川下川上の連携が一番大事だと思いますので、大臣はこの信頼関係が崩れてきている、壊れている、こういう指摘に対してどのような御所見をお持ちなのか。それと、この下請という言葉ですね、この言葉をどのように受け止められているのか、このことについて是非大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  170. 小林温

    大臣政務官小林温君) 今、小林委員指摘のように、川下企業川上企業との間の従来の固定的な取引が変化をしてきていると、これまた事実だというふうに思いますし、そのことによって関係も多様化しているだろうというふうに思います。まず、この両者の情報交換が日々円滑に行われる、信頼関係に懸念が生じないように我々もサポートもしていきたいというふうに思っているところでございます。  そうした中で、今般の施策は、川下企業の求める技術開発方向性技術別指針に取りまとめて公表するということになっております。また、川下企業川上企業との連携構築にも力を注ぐということになっています。このことによって両者の間に信頼感を醸成する、そして、正に我が国ものづくりの強みの源泉であります川下川上間のすり合わせを促進をしていくということを目的としています。  なお、下請という言葉でございますが、先日の参考人からもパートナーという言葉もございました。一般的には取引先から製造工程などを請け負う形式、取引の形態を指しておりまして、ほかの多くの法律でもこの下請という言葉が用いられているというのが現状でございます。我々といたしましては、むしろ今回の法案等により現実の取引関係を改善をしていく中で、御指摘のように、その下請という言葉が消極的に受け取られないように努力をしていくということを考えていきたいというふうに思います。
  171. 小林正夫

    小林正夫君 今日の今までの質疑の中でも、例えば下請代金支払遅延防止法、法律の中でもそういう下請という言葉が使われているんですよね。ですから、これは一つの言葉だといえば言葉なんですが、やはりこういうところから私は直していって、それぞれの人の気持ちの中に、やっぱり協力会社あるいはパートナーとしての位置付けをしていかなきゃいけないかと思うんですが、大臣、この辺、いかがですか。
  172. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 御意見のとおりでありまして、私も下請という言葉を平気で使われていることにやや戸惑いを感ずるものでありますが、ただいま御指摘のありましたように、下請代金支払遅延防止法なる法律を始めとして、下請ということを法律の中で今日までしっかり使いこなしてきておるというのが現状でございます。したがいまして、これから私ども努力をして、パートナーということが一番適切であるかどうかは別といたしましても、何かもう少し下請を現に行っておられる企業に対して敬意を払った言葉がもっとほかにあるのではないかという思いをいたしております。  ただし、議員も大田区の方においでになったということを伺いましたが、私も、大田区だけではありませんが、幾つかの企業にお伺いをさせていただいて、中小企業皆さんのこのごろの気概といいますか、かなり我々が、今までともすれば、中小企業といいますと社会福祉的な考えで中小企業対策ということを言われた時期も否めないと思うんですが、しかし、このごろは、我々のこの技術がなければ大企業の、具体的に○○会社の、もう名前を指して、あの会社のテレビもあの会社の自動車も我々の技術がなければできないんですということを胸を張っておっしゃる社長といいますか、創業者おられました。そういう人たちは、インターネットを駆使して、随分一日の先頭立って働かれた後にまたおうちへ帰って勉強されるんだなと。インターネットで財政諮問会議においてはと、こういうことをおっしゃって、財政諮問会議のそれぞれの発言等はみんな覚えておられて、それに対して私にも御意見をちょうだいすることができましたが、そうしたことからしますと、下請という言葉がこの中小企業経営者にふさわしいかどうかというのは、私はその場でも考えました。  もう下請というような時代は去っていって、新たな中小企業の存在、中小企業日本の大企業をむしろ支えていっておるんだ、技術面で、そういうことを思ったわけですが、これは我々もこれからもう少し研究、勉強していかなくてはなりませんが、下請という問題に対してはこれからの課題として取り組んでいきたいと思っております。
  173. 小林正夫

    小林正夫君 次に、安全問題についてお聞きをします。  今日、お手元に平成十七年度版の厚生労働白書の中から、「労働災害発生状況の推移」という資料を提出をさしていただきました。  この資料を見ていただくと分かるとおり、死亡者数は減ってきていると。ただ、減ってきているけれども平成十六年度現在でも千六百二十名の方が年間、労働災害で亡くなっている。これを三百六十五日で割りますと、一日平均四人から五人の方が労働災害で亡くなっている実態がまだまだあるということ。  それと、重大災害の発生率は、昭和六十年ぐらいからずっと今日まで発生件数が伸びてしまっていると、こういう実態があります。この伸びている理由はよく分析しなきゃ分からないと思いますけど、私はある意味では、大変大競争時代に入って、少ない従業員でより大きな効率を上げなきゃいけないとか、あるいは安全対策が少し切り捨てられてしまっている、こういうことも原因じゃないかというふうに思っているんです。これ、こういう実態なんです。  このことに対しては、私、二月二日の予算委員会の中でも二階大臣の方に質問をさしていただきました。そのとき二階大臣からは、安全というものは何よりも重要視しなければならない、一層各企業皆さんに御協力を呼び掛けて安全の徹底に努めてまいりたいと思いますと、このように答弁いただいていますので、是非今後も強力に進めていただきたいと思うんです。  そこで、私、今回見さしていただいた工場がどのような安全対策かなと思って社長さんによくお聞きし、現場を見さしていただいたら、その社長さんの指導は、まず自分が仕事をやっている回りの床をきれいにしなさいと。何か異常だなと感じたときに、すぐ自分がその場から離れられるように、何か物が置いてあるとそこでつまずいたりなんかしちゃうんで、まず自分の身の回りをきれいにしなさいということの指導をしているということが一つと、あとは、回る機械が非常に多かったり、あるいは削る機械、鋼板を曲げる機械、そういう動く機械が非常に多いものですから、その動く機械のところにはきちんとカバーを掛けて安全対策をやっているという現場でした。したがって、私、そういうものを見たり聞いたりして、やっぱり安全対策にしっかりお金を使っているなと、このように正直私は思いました。したがって、中小企業支援策として、もう何しろ安全は何よりも大事であると。どこで働こうが、大企業だろうが何だろうが、もうすべて安全最優先だと私は思います。  そういう意味で、ものづくりの職場の安全対策への指導とか、あるいは財政的な支援について、この安全対策にかかわる財政的な支援についてどのような取組をされているのか、お聞きをいたします。
  174. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) お答えいたします。  安心、安全についての企業の取組についての考え方は、今、委員が御指摘したとおりだと私ども思っております。で、経済産業省としましては、まず産業事故の防止を徹底するために、主要業界のトップをメンバーとします産業事故連絡会というのを平成十六年の一月に設置をいたしました。これまで三回開催をしておりますけれども産業事故に関する調査結果の周知徹底、それから産業事故情報の共有化、どういうことで事故が起こったのか、そういうものの共有化に努めております。それから、個別の業界におきましても、様々な産業事故防止の取組の場で、そういう事故防止に向けての取組をよく要請をしております。これは個別業界ごとにやっております。  で、現場の保安技術が低下をしているとか、あるいは設備が高齢化をしてきているとか、そういうことがその産業事故発生の要因として挙げられております。これは、今委員も御指摘になったとおりでございます。そういうことでございますので、ものづくりの現場において、その技能とか技術とかそういうものの伝承を支援をする、あるいはプラントの保守点検の技術開発などを推進するということで、予算面でも、例えば化学プラント、発電プラントなどの構造物の劣化の状況を把握あるいは診断するための技術開発ということで、平成十八年度も一億円余り予算を付けていただいております。それから、石油プラントの保守点検作業についても同様のものを、失礼、これは点検作業を記録、チェックするためのシステムづくりということでございますけれども、そういう予算を講じております。  経済産業省としましては、引き続き、こういう産業事故防止に向けて必要な各種の対策を取っていきたいというふうに思っております。
  175. 小林正夫

    小林正夫君 是非、安全対策、何よりも大事だと思いますので、強力に進めていただきたいと思います。  次に、若い人へのものづくりの魅力あるいは必要性を教えていく、こういうことについて質問をさしていただきたいと思います。  私事になるんですけども、私、昭和三十四年に東京都が都立の工業高等学校に附属中学をつくったときがあったんです。都立世田谷工業高等学校に都立の中学を併設をしたんです。で、私、そこの二期生で入学をいたしました。したがって、中高と、世田谷工業工業高校と附属中学で工業教育の一貫教育を六年間受けてきた、こういう経験をいたしました。非常に、今でもその六年間の教育が非常に身に付いたなと、このように自分では思っていますけど、四十年たった今、当時、四十年後に国会議員になっているなんて夢にも想像していませんでしたけど、でも、当時、その学校で六年間、私は電気の関係の勉強をしたんですが、その勉強したことは大変良かったなと、このように思っております。  それで、先日、大田に行ったものですから、その社長さんが、今、都立六郷工科高校というのが、あれは港工業と羽田工業を統括して新しい工科高校というのをつくっているんですね。で、そこの学校では地域企業に実習に行くと。そうすると、実習に行くと授業の単位としてきちんと加算されるという、こういうシステムで、学校と地域企業が本当に結び付いているなということを感じました。  そこで、社長さんが、うれしい話なんですけどという中に、今年実習に来た生徒のうち、親御さんがこの間お見えになったそうです。是非、来年三月卒業するので、私はこの会社に入りたいと、こういうふうに言ってきた方がいらっしゃった。そうしたら、もう一組いたんですって。したがって、その社長さんは、地域のこの六郷工科高校が本当にいい学校でこれからもあって、来年の卒業生は二十人なんだけど、もう一年間で三百人ぐらい卒業できるように若い人をその学校に入れてものづくりの教育をしてもらうと有り難いなと、こんなようなお話もありました。  あわせて、その社長さんがおっしゃっていたのは、もっと学校に新しい新鋭の機械を入れてやらないと、どっかの学校が廃校になったからその機械を持ってきてそこで実習しろということも間々見られるんで、これは直してやらなきゃ駄目ですと、こういうお話もありました。  そういう点で、自分自身も中学、高校という、そういう教育受けて良かったなと思っているんです。したがって、早い時期から技術教育だとか人材の育成についてやはり取り組んでいく必要もあるんじゃないかと思いますけど、先ほどは高専の話が出ましたけど、そのことも含めて、この若いときからものづくりの大切さ、魅力だ、こういうことを教えていくという教育についてどのように考えられているのか、お聞きをしたいと思います。
  176. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。  今、小林先生から大田区における六郷工科高校のいいお話をいただきまして、ありがとうございました。  ものづくりに資する人材の育成という観点から、学校教育におきましては、小学校で図画工作、中学校で技術家庭という形で教科で取り組んでおりますけれども、それを生かす場として、今、中学校では週五日間、丸々職場体験をしようということで、身近な企業あるいは中小企業方々の御協力をいただいて、まず働くこと、物を作ることの実体験の場を生かすように取り組んでおります。  また、高校におきましては、先ほど紹介いただきました東京都の都立の六郷工科高校につきましては、日本版デュアルシステムという形で、経済産業省等と連携しながら、働くことと高校で学ぶことを両方並行してやると。具体的には、大田区のものづくり中小企業の方の御協力をいただいて、一年次には十日間の企業実習を三回、また二年次には二か月間連続した企業実習を実施し、それらを高校の教育の中にしっかり取り組んで、いい人材の育成につなげるという取組をしてございます。  また、専門高校におきましては、もう一つ、目指せスペシャリストということで、スーパーサイエンスハイスクールのことを先ほど紹介いたしましたが、スーパー専門高校ということで、職業系の高校におきましてもしっかりとした技術者の養成を目指そうということで、メカトロニクスなどの先端的な技術、技能、あるいは伝統的な技術をしっかり高校の段階から地域企業の方と連携してはぐくんでいこうと、そういう取組を進めているところでございますので、ものづくりの大切さというものを、学校教育を通じて、また体験を通じて子供たちにしっかり身に付くように努力をしてまいりたいと考えております。
  177. 小林正夫

    小林正夫君 時間の関係で、最後、大臣にお聞きをしたいと思います。  その先日訪問した社長さんに、中小企業の経営で喜びを感じるのはどんなときですかと、こういう質問をさせていただきました。返ってきた答えは、今は喜びを感じている時期ではない、二十数年前にゼロからスタートしたので土地や工場に相当の費用が掛かっている、今までは競争に勝てる企業づくりで精一杯であった、これからうちの社員を優遇してやる、このことが目標であり喜びかなと、このように語られておりました。私は、中小企業の社長の心意気を聞いたような気がいたします。大臣はどのように感じられるのか、このことをお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
  178. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 中小企業経営者というのは、経営者の立場であると同時に、同じような目線といいますか、同じように並んで一緒に労働をしておられるというような場合が多いわけですが、それだけにもう、スキンシップとかというふうな表現でなくても、お互いに家族同様の気持ちで信頼関係を築いているということでは大変立派な関係にあるわけでありますが、そうした方々が、ずっと苦労の連続の中からようやくゆとりが出てきて、そして一緒に働いてくれる仲間たちにその喜びを分かち合いたいというお気持ち、それが今議員がおっしゃった、御紹介いただいたことであろうと思いますが、私は本当にすばらしいことだと思います。  特にこの満足感というのは、何によって満足感が得られるかということになりますと、人それぞれ人生もあり、また生い立ちもあり、いろんな経験によって各々満足感の評価というものは異なるものであろうと思いますが、私は、中小企業皆さんが今日までとにかく営々として築き上げてこられた、このことに対して、私ども経済産業省の立場から、単に中小企業の発展のためにというお題目を唱えるだけではなくて、本当に真剣に、この日本産業を支えるその根幹は中小企業にありと、中小企業経営者にあり、中小企業の勤労者にありということを思うて、このことに対し、我々は次々と手を打っていかなくてはならない。  したがいまして、先ほどお配りしましたこのような冊子もこのほんの序の口でございまして、私たちはなすべきことはまだまだたくさんある。そして、すぐ予算のことにみんなが言及しがちでありますが、予算も大事です、予算がなければ何も、仕事が進まないということも私も理解できないわけではないですが、やっぱり政策担当者はもっと汗を流すべきであると。もっと、この中小企業皆さんが真っ黒になって働いているあの姿を見て、我々もその同じような気持ちで中小企業の発展に取り組むべきである、そこに新たな展望が見いだされてくる、新たなパートナーとしての、またもっとすばらしい日本語で表現できるようなお互いの関係も生まれてくるのではないか。その方向を目指して、私どもも及ばずながら一生懸命頑張っていきたいと思っております。
  179. 小林正夫

    小林正夫君 どうもありがとうございました。
  180. 加納時男

    委員長加納時男君) 小林正夫君の質問は終わりました。
  181. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  それでは最初に、中小企業ものづくり高度化法のその必要となる背景についてまず質問をさせていただきたいと思います。  ものづくり中小企業にとってものづくりの力を高度化していくということの必要性についてはだれもが認めるところでございますけれども、それをどうやってやっていくのかと。その手法についてはいろいろ議論があるところだと思っております。  そこで、まず二階大臣に御所見を賜りたいと思いますが、本日、このような元気なモノ作り三百社という資料もいただきました。こういうものづくりの強さを持った中小企業の源泉ですね、またアジアの中国韓国に打ちかっていくその源泉、どういうところにそういう中小企業の源泉があるのか、御所見を承りたいと思います。
  182. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 私たちの国のいわゆるものつくりの中小企業は、先ほども申し上げましたとおり、とにかく地道に、そして勤勉に研さんに励み、独自の高度な技術を培ってこられたのであります。したがいまして、大企業の厳しい発注対応に際し、まず価格、そして品質、スピードで高い競争力をおのずから実現していかれているものと思うものであります。  しかし、大企業皆さんも近ごろは、発注するときの態度にしましても言葉にしましても、中小企業がだんだんと力を付けてきているということを察知しておりますから、このような品物、製品を作っていただけますかということで大企業の部長や取締役と言われる肩書を持った人たち中小企業の現場に訪れることも珍しくないと。つまり、机に踏ん反り返っておって、下請だ、中小企業だということで呼び付けて、仕事を発注してやろうというふうな態度ではなくて、正にそれこそパートナーとして一緒にやっていこうという姿勢でいろいろ注文をいただけるようになったと。こういうことを中小企業経営者がおっしゃっていることに、だんだんと中小企業の実力が高くなってきたということを感ずるわけですが、この中小企業消費者の要望を十分熟知しておる大企業とお互いに密接な意見交換やすり合わせを行うことによって高い競争力、それは他の国々との競争力にも影響してくるわけでありますが、そうしたことが日本中小企業競争力の源泉となっておるというふうに感ずるものであります。  ものつくりの中小企業が今後とも厳しい国際競争の中で打ちかっていくためには、一にも二にもやはり優れた技術力、これに一層磨きを掛ける努力、このことに経済産業省として積極的に支援をしてまいりたいと考えておるものであります。
  183. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  ただいまの大臣の御答弁で、大企業の発注に対して品質面、またスピードの面で必死に対応していくと、その中でいろんなすり合わせが行われていくという話もございました。このすり合わせという言葉について次にお聞きしたいと思います。  日本産業組織の中で非常に特異なことかもしれないなと思っています。ある面ではこの中小企業の強みを引き出した関係かもしれないと思っていますが、中小企業庁の資料でも、このすり合わせ力があるがゆえに日本の大企業の工場が国内回帰してきたと、そういう部分も、説明した部分もございました。ただ、このすり合わせというのは、どういう関係のことを正確にいうのかということ、また今後もそういう関係が継続して続いていくのか、この点について中小企業庁に御説明をお願いしたいと思います。
  184. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) すり合わせとは、高品質、高機能な新製品を生み出すために技術力の高い川上中小企業川下の大企業などと新製品の企画・開発段階から緊密な意見交換を行うことを申します。  取引関係が複雑化する中で、こういった川上中小企業川下の大企業とがこのような良好な関係を維持することが徐々に難しくなってきているという懸念を指摘する向きもございます。したがって、今後はそのすり合わせを促進するような支援を行っていくことが今の日本のそのものづくり産業の強みを維持促進していくためにも是非とも必要であるというふうに考えております。  今の法案に則して申し上げれば、基盤技術高度化方向を示す指針を策定することにしておりますが、これによって川上中小企業川下企業との密接な連携のために必要な情報の共有化を図ると、一種のすり合わせを、ある種関係をつくるということと、それから川上川下の連携すり合わせをコーディネートする人材の配置とか、あるいは逆見本市の開催など、両者の有意義な出会いの機会を創出する。さらに、実際の研究開発ものづくり中小企業川下企業とのコンソーシアムを基本として、両者のすり合わせを促進すると。そういうようなことをしながら、今、強みと言われているそのすり合わせの状況を維持促進するということが必要になっているという状況ではないかというふうに私どもは思っております。
  185. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいまの御答弁で、何もしないとこのすり合わせの関係が薄くなっていくと、それで今回の法律を用意されたというお話ございましたが、別の言い方をしますと、取引関係が従来のような系列的な関係ではなくてメッシュ化していると、こういう言葉もありました。錯綜した関係になってきていると。  これについても同じことかもしれませんが、メッシュ化した取引関係が多くなってきている要因、また今後の見通しについていかがでしょうか。
  186. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 一九九〇年代の厳しい経済環境の中で、川上川下の各段階において競争が進展いたしました。結果として、川下の大企業は従来の固定的な取引関係に必ずしもとらわれないで、優れた技術を持った中小企業との取引というものを重視するようになってきております。また、自社で開発、保持する技術というものを取捨選択をして、特定の技術については外部の中小企業、優秀な中小企業に依存している、アウトソーシングしていく状況にございます。これが、取引関係が従来の固定的な囲い込みのような状態の下請企業関係からむしろメッシュ化してふくそう化してきている要因というふうに考えております。  企業間の取引関係は様々なその事業環境の下で変化するものでございますので、今後の動向を予測するのは容易ではございませんけれども、しかしながら、今後のその市場競争状況にかんがみれば、川下の事業者も力ある取引相手との戦略的な提携を追求して、取引関係が更にメッシュ化が進展するということは十分に予想できることだと思いますし、私どもはそういう前提で政策を用意しておかなければいけないと、こういうふうに考えております。
  187. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいまの答弁で、産業組織が一つはメッシュ化すると、一方では企業企業の間の関係が、いわゆるすり合わせという関係が薄くなっていくと。この中で、ものづくり力をもう一度再構築しなきゃいけないというのが今回の法律のその背景にあるんだなと思うんですね。  実は私、五年ほど前、電子材料を担当、経済産業省でしておりまして、液晶とか半導体の材料の分野の企業、十数年前でもそういう系列関係の崩壊といいますか、そういうことが話題となっておりました。そこで重要と言われていたのは、もう新しいビジネスの仕方として、下請のような待ちの姿勢ではなくて、やっぱり攻めの姿勢、開発提案型の企業に変身しなきゃいけないと、そういうことでないともうやっていけないということが言われておりました。  そこで、大臣の所感をお聞きしたいと思うんですが、従来型系列関係が薄れてくる中で、先ほども議論がありましたように、いわゆる下請のように待ちの姿勢ではなくて、逆に組立て企業に対して課題の解決の案を提案するような提案型、開発型、そういうビジネスがものづくり中小企業にとって重要となると思いますが、この点についてお考えはいかがでしょうか。
  188. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 私からお答えを申し上げます。  先ほど来、すり合わせあるいはメッシュというような言葉も出てきておりますように、やはり今はいろいろな関係が変わってきているというふうに思います。以前は、例えば企業が設計図を渡して、いわゆる、もう下請という言葉は良くないと私もそう思いますけれども、パートナーと言うか、どう言うかというのは今後これはまた私ども課題でございますけれども、そうしたいわゆる川上企業に設計図を渡してこういうものを作ってくれという、以前はこういうような注文だったと。でも、今はどちらかといいますと、簡単に言いますと、こういうものが欲しいんだけれども、ついては考えて作ってちょうだいというような時代になったというふうに認識をしております。  ですから、やはりここは川上と言われます中小企業が、正に先生おっしゃるように、待ちの姿勢ではなくて、反対に、こういうものをどうでしょうか、私たちはこういうことを考えていますけれどもと正に提案をする、あるいはこういうふうにしたら更に開発しますという、そういうふうに従来にも増して中小企業はその提案力や開発力というものが求められているというふうに思っております。  このような提案力あるいは開発力を持つには、その中小企業川下企業、大企業が求める機能やそれに必要な技術内容を的確に把握することがまず必要であります。また、これを実現する独自の高い技術力を持つことが中小企業も必要であります。大事であります。  今般の施策は、そのものづくり中小企業のこのような方向努力を強力に支援するものであると考えているところでございます。
  189. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  ただいま御答弁いただきましたように、正に考えて作ってきてという、そういう中小企業群をいかに作るのかと、それが今回の法律の大きな目的だなと思っております。  それでは、法案内容について質問させていただきたいと思いますが、まずこの特定ものづくり基盤技術、これについては鋳造プレス加工メッキなど、その相当部分が中小企業において行われ、その高度化を図ることが我が国製造業競争力強化又は新たな事業の創出に資する技術とのことでありますが、そこで経済産業大臣にお聞きしたいと思いますが、この特定ものづくり基盤技術について具体的にどういう尺度で網羅的に大臣指定されるんでしょうか。産業界の側から提案でもできるようにすべきと思いますが、いかがでしょうか。
  190. 小林温

    大臣政務官小林温君) 私からお答えさせていただきます。  特定ものづくり基盤技術は、ものづくり基本法指定されているものづくり基盤技術の中から一定の要件を満たすものについて経済産業大臣指定をいたします。その具体的な要件としては、まず対象となる技術の相当部分が中小企業者によって担われているもの、そして当該技術高度化我が国製造業国際競争力強化等に特に資するものという規定がされております。  産業界側からの提案ということでございますが、この指定を行うに際しては、中小企業政策審議会において、技術を有する中小企業あるいは川下製造業者、技術ごとの有識者など、産業界側からの御意見も聴取することにしております。また、その指定の原案はパブリックコメントに付しまして、関係者方々の御意見を伺った上で指定する技術を決定をさせていただくという手続になっております。
  191. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  中小企業政策審議会意見を聴かれるということは法律の条文であったわけでありますが、多分、今、委員の分野は限られておりますので、是非パブリックコメントであったりとか、また広く中小企業者から募るというような手続を是非入れていただきたいと思います。  次に、特定ものづくり基盤技術高度化指針内容について経済産業省に質問したいと思いますが、この高度化指針には川下産業の最先端ニーズを反映した研究開発内容を公表すると、そういうことのようでありますが、企業秘密とも言えるような具体的スペックは川下企業から聞き出すのは困難じゃないのかどうなのかという点ですね。また、技術進歩が激しい分野では目標スペックの改定が非常に頻繁になるんではないかと思いますけれども、実際にこの技術指針の策定及び改定の具体的な手順についてはどう考えておられるでしょうか。
  192. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) お尋ねの高度化指針の策定に当たりましては、対象となる基盤技術を有する中小企業者と、ニーズを有する川下製造業者などの意見を聴取いたしまして策定することにいたしております。  この中で、川下製造業者から提示される製品のスペックについても可能な限り聴取することとしておりますけれども、おっしゃいますように、企業秘密などとの関係でおのずと制限があるということは認識しております。  いずれにしても、技術別指針川下ニーズを十分に踏まえた、川上中小企業者にとって意義のある内容にしてまいりたいというふうに思っているわけでございます。また、技術の進歩や川下製造業ニーズ変化など事情の変更が生ずることも考えられますので、その際は、技術指針の改定につきまして適切に行っていくというふうに考えております。
  193. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 是非適切な作り方で、また公表の仕方も考えていただいてお願いしたいと思います。  一方、この特定ものづくり基盤技術高度化指針は、研究開発内容だけではなくて幅広いものであると、こういう規定がございます。  そこで、経済産業省に質問しますが、指針には、研究開発内容だけではなくて知的資産の活用の在り方、また取引慣行の改善に関する将来ビジョンと、こういうものを盛り込むと書いてございます。具体例としてどのようなものを予定し、また強制力のない指針でどのようにそれを改善するのか、これについてお聞きしたいと思います。
  194. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 技術高度化指針におきましては、川下の大企業ニーズ技術課題を踏まえました川上中小企業技術高度化方向性を示すということにしておりますけれども、あわせて、研究開発などを実施するに当たって配慮すべき事項というのがございまして、その中で知的財産や改善すべき取引慣行についても盛り込むことといたしております。  具体的に申し上げますと、知的財産に関しましては、中小企業者が共同研究開発をする場合に、知的財産など、その成果の取扱いに関する事前の取決めに係る事項を盛り込むということを予定しております。また、取引慣行に関しましては、中小企業者における軽量化のための研究開発を阻害する要因となっている鋳物の重量取引などについて盛り込むなどを予定をいたしております。また、策定された指針につきましては業界団体などを通じて広く普及に努め、浸透させてまいりたいと思います。  取引慣行などにわたる部分につきましては、強制力のない部分かもしれませんけれども、それはむしろ、取引双方において共通の向かうべき認識としてある程度公なものとして、業界団体全体の中で改善をするような努力を起こしていただくということを、ある意味では経済産業省全体として努力をしていくというようなことで、一歩一歩改善をしていきたいというふうに思っているところでございます。
  195. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 指針ですから、研究開発計画の認定には使えると思いますので、そういう認定を使ったりとかいろいろと方法を使いながら、せっかくの知的資産の活用の在り方、また取引慣行の在り方、改善の在り方について普及がされるようにお願いしたいと思います。  また、本法律によれば、特定ものづくり基盤高度化指針に沿って、中小企業研究開発に関する計画を作成し経済産業大臣の認定を受けると助成金が受けられるというわけでありますが、その点で経済産業省に質問いたしますが、この中小企業政策審議会の報告、審議会の報告ですね、によれば、本法案支援措置対象となる中小企業は、トップレベルの技術力はないものの、潜在的な技術力を有しトップの次の位置に位置する、言わば八合目ぐらいですか、富士山でいうと、そういう中小企業とすべきであると、こうありますけれども、そういう企業がどの程度我が国に存在するのか、また具体的にどのような基準でその対象企業を認定するのか、お聞かせ願えればと思います。
  196. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 本施策のねらいは、我が国製造業国際競争力を支える優れた技術力を備えたものづくり中小企業群の層を厚くするということでございます。  御指摘の、トップの次に位置する中小企業の正確な数を申し上げることは非常に困難なことでございますけれども我が国製造業が求める世界に通用する高い技術水準を達成できる潜在的な技術力と経営基盤を有してトップレベルを目指すことのできるものづくり中小企業というのは相当程度存在しているのではないかと考えております。  実は、先ほど大臣からお配り申し上げた三百社の企業につきましても、私どもがこれをまとめる過程において、日本のトップの中小企業の層というものの厚さというのを改めて勉強したというようなことでございますので、今それが何社と申し上げるのはなかなか難しいと思います。  ただ、私どもは、それを余り厳密に、トップの下とかどこの何合目までということを申し上げるよりも、そういう、例えばこの三百社という具体的な姿をごらんになって、大臣も言っておられますように、明日はここに入りたいという努力をされるような中小企業で、かつ自分技術力を誇ってそれを磨いていこうと、そのためにここに書いてあるような指針というものを納得し、指針に沿って努力をしていこう、そのときに関係企業と連携をして手をつないでその計画を作っていこうと、そういうような、この法律が予定をしておりますような政策に対して御賛同いただいて乗ってきてこられる中小企業については、できる限り前向きに、この層を厚くするということに私どもが資すると考えれば前向きに拾っていくということがこの法律のある意味では本当の適正な運用ではないかというふうに考えているわけでございます。  このものづくり基盤技術高度化指針の作成に当たりましては、川下企業にとっておおむね三年とか五年以内に必要とされる高度な技術開発方向性目標というものをできる限り具体的に定めるということになっているわけでございまして、この高度化指針を踏まえて、こういう御自身のグループの研究開発計画を立てて認定を受けたいという方々にとりましては、この指針目標に適合しているかどうかを基準として認定されるということになるわけでございまして、双方相呼応してこの政策対象を探していきたいということになっております。
  197. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  私自身も、その層を厚くするというのは大賛成でございます。  先般の参考人質疑のときに、ある参考人の方が言っておられましたけれども、一部分だけの技術が強くなっても駄目なんだと、全体としてレベルアップしないと駄目なんだと、一つのものをつくろうと思っても、ある鋳造品ですけれども、いろんな技術を使うんだと、レベルはいろいろあるんだと。それを全体を上げていくことが重要だと思いますので、別に八合目に限定することなく、是非、層を厚くするという意味で取り組んでいただければと思います。  そういう意味で、この高度化指針の認定スキームを見ますと、先ほどの御答弁でも、年間数百の中小企業事業者が認定されるという話がございました、御答弁がございました。一方、中小企業事業者は全国四百三十万社あるわけでございますけれども、それを考えますと、もう少し認定の数を増やすことができないんでしょうかと。この数倍、数十倍できるといいんではないかなと思うんですが、この点について、この波及効果を考えれば、認定数について増やしていく工夫についてどうお考えでしょうか。
  198. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 私どもは、この指針に沿ってやる気のあるものづくり中小企業がその研究開発計画を作成した場合には、これを広く認定していきたいということは予定をしているわけでございます。  ただ、私どもが提示しております、提示というか研究会で検討しております各技術に関する検討状況を見ますと、恐らくその分野におけるこういった中小企業の数を予測していきますと、先ほどの御答弁でもございましたように数百社になるのではないかということをむしろ予想しているということでございます。  しかしながら、特定の認定数を事前に決める必要は必ずしもこの政策の上ではないわけでございますので、そこはじっくりこれから私どもとしては見てまいりたいとは思っております。  いずれにいたしましても、この本法律支援対象とする技術そのものは、我が国製造業にとって不可欠で適用範囲の広い基盤技術でございます。このため、このような基盤的な技術について中小企業によるレベルの高い研究開発が行われて技術高度化が図られるということは、我が国製造業国際競争力強化や新たな事業の創出を通じて国民経済の健全な発展には大変大きな貢献をするものと期待しているところでございます。
  199. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 先ほども御答弁で、補正予算の話がございました。もしそういうことがあれば前向きに御対応いただけるというような話もございましたし、是非、数を限ることなく、幅広くお願いしたいと思います。  一方、中小企業における経営革新法制、いろんな法律については、従来の法制が錯綜して分かりにくいと、こういう批判もございまして、昨年、研究開発中心の中小創造法と、こういう法律に、より幅広い経営革新法、新事業創出促進法の三つの法律を統合して中小企業新事業活動促進法、ここに一本化したばかりであります。さらに、今般提案のものづくり高度化法の法律事項の信用保険の特例や投資育成会社の特例も、この中小企業新事業活動促進法で既に措置されております。  そこで、経済産業省にお聞きしたいんですが、この昨年四月に施行された中小企業新事業活動促進法の新連携及び経営革新計画の認定の状況はまずどうなっているでしょうか。それらの中で、ものづくり高度化をねらったものがある程度存在すると考えておりますが、実態はどうでしょうか。
  200. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 昨年の法律が、先生御説明ございましたように、経営革新及び新連携などを柱として中小企業の新たな事業活動への支援実施しております。  具体的な成果でございますけれども、経営革新については、新商品や新サービスの開発、提供、新たな生産方式の導入など、個別の中小企業による新しい取組への挑戦を促すものでございまして、平成十七年度は四千四百二十五件の承認を行っております。新連携につきましては、複数の中小企業者が連携して、それぞれ得意とする技術などを持ち寄って新しい商品の開発、販売をしようとする取組を支援するものでございまして、初年度である十七年度は百六十五件の認定を行っております。  経営革新及び新連携は、先ほどもちょっと言及いたしましたけれども、いずれも事業化を目指した中小企業の取組を支援するものでございます。一環として、その事業化の際の技術開発に関する支援も行っております。例えば、新連携で今百六十五件と申しましたけれども、百六十五件の認定案件中百三十二件において試作品の開発、事業化を目指した技術開発に対する支援も行っているところでございます。
  201. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。  ただいまの御答弁で、新連携は百六十五件、経営革新関係は十七年度で四千四百二十五件ということで、事業化をねらったものでありますけれども、試作をねらったものもあるという御答弁でございました。そこで、そういう意味では確かに事業化に少し、ちょっと近いなというような感じはするんですけれども、とはいうものの、研究開発も含んでるなという感じがするんです、この中小企業新事業活動促進法というのはですね。  それで、経済産業省に再度質問しますが、今般ものづくり高度化法を立案するに当たって、昨年この中小創造法等三法を統合したこの新事業活動促進法を、その改正で対応した方が、中小企業事業者にとってみれば、一気通貫、ものづくりから事業化まで乗れるかもしれないと、そう、使い勝手が良いとも考えられるんですが、そうではなくて本法案を独立した法案とした理由は何なんでしょうか。
  202. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 今御答弁申し上げましたように、昨年の中小企業の新事業活動促進法は、新しいビジネスモデルを展開する新連携や、新製品、新サービスを提供する経営革新を支援するということでございますので、支援対象となる産業やある分野を特定することなく、事業化が比較的短期間のうちに見込まれる中小企業の取組を幅広く支援するという、中小企業者側の工夫を是として私ども支援していきたいと、こういうことになっているわけでございます。  今般の法律は、支援の部分もさることながら、一番最初に、製造業国際競争力強化を目的として、競争力の源泉であるものづくり中小企業技術に着目をしているわけでございまして、その技術をめぐる様々な今の日本の問題点について、まずもって環境整備をするというところがあるわけでございます。  したがって、先ほどちょっと出てまいりましたように、ある取引関係の親企業と、川上川下の間の情報流通が不完全であると、あるいはだんだん難しくなってきた、メッシュ化をしたとかいうようなことで難しくなってきたような環境にとって、私どもは、今の状況に合った格好でこの情報流通を良くするための手段を講ずるとか、あるいは川下中小企業方々が先々の中期の研究開発方向性を見定めるために、この技術分野であれば全体の大きな流れは、川下の、大手企業が向かっている大きな流れはこういう方向だというような、言ってみればビジョンを示すということによってその情報提供をするというような、いろいろ、様々のこの法律で必要とされる環境整備というものを前提として特定の技術に着目をして作っていくと、情報提供をしていくというようなこともかなり大事なところでございまして、それに沿って中小企業側が様々な努力をすることに対して具体的に、お話だけではなくて、お金とか金融であるとか、そういう支援を乗せていくのが政策だろうということになっているわけでございまして、この前の部分というのは割と大変大事なものでございまして、私どもは今、研究会レベルでございますけれども、個別技術ごとの将来ビジョンみたいなものを、専門家が集まる、民間の専門家の方々、学識経験者が集まっていただいて作っている、このビジョン作りのプロセスというものが非常に重要だと思っているわけでございます。  こういったものをやっていくためには、やはり先般の、昨年作りました法律が、前向きに努力する中小企業というものが自分の工夫で手を挙げてきたことに対して金融だとか補助金だとかいうのを付けるという、まあある、国から見れば少し受け身の政策に比べまして、少し産業政策上前へ出た政策であるという意味では、法律がその趣旨、目的、支援対象が異なるということから、別法で措置することが適切だというふうに考えたわけでございます。
  203. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 分かりました。まあ別法で用意した方がいいだろうということですが、うまく連携を取っていただきたいなと。技術のレベルとして、先ほど山根委員の御質問に対して、このものづくり法案でも対象とする研究開発は五年ぐらいというイメージもありました。新連携なんかでも、幾つかのお話を聞きますと、その程度の年数の研究開発を念頭に置いたものも含まれているようでもありますんで、是非うまく連携をしていただいて、中小企業にとって使いやすく、よりまた、このものづくり法案で卒業した技術が今度は新連携で事業化されると、そういうこともあるようにお願いしたいと思います。  次に、ものづくり技術の伝承について質問したいと思いますけれども中小企業研究開発段階における課題として、中小企業庁が行った調査によりますと、第一位が資金調達で四三%、第二位が人材確保、二六%となっております。  そこで、経済産業省に質問いたしますが、本法律により認定を受けた事業者が受けられる助成措置は研究開発補助金など資金の調達に関するものが主体となっておりますが、技術者の能力開発等、人材育成対策に関する支援措置との組合せは必要ではないんでしょうか。
  204. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 今般の政策において、優れた技術力を備えたものづくり中小企業強化するという観点から申し上げれば、大変その人材の育成確保という事項についても重要であることは間違いございません。したがって、この技術別指針の中には、ものづくり基盤技術高度化方向性のみならず、人材の育成確保に関する事項についても盛り込むことといたしております。  具体的には、技術別指針に基づいて認定された研究開発計画に対する支援措置に加えまして、地域中小企業と高専等が連携をし、若手技術者を育成する事業を行うとか、あるいは産学連携によって製造現場の技術を維持確保する実践的な人材育成プログラムの開発を支援する事業なども併せて行うことといたしております。  こういった人材育成施策を研究開発に対する資金支援と組み合わせることによって、ものづくり中小企業強化に真に役立つ支援策となるということは先生指摘のとおりでございますので、私どももできる限り総合的なものと連携してまいりたいと思っております。
  205. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 少し一般論になってしまいますけれども、二〇〇七年問題とよく言われます。二〇〇七年から団塊の世代が大量退職を迎えて、中小企業において基盤技術の伝承が十分に進んでいないという状況があるわけですね。ある金融機関によるアンケートによりますと、従業員十人未満の企業では、伝承が十分順調に進んでいるというのは二割しかいないと。思うように進まないが八割。そのうち、そもそも若手がいないというところがあるんですね、これが三割に上ります。一方、大学生に聞くと、大企業志向は近年高まっており、なかなか両者のギャップは埋まりそうにありません。  そこで、経済産業省に質問したいと思いますが、このものづくり、これを、この法律をうまく運用していくためにも、ものづくり中小企業において、熟練した技能、知識を有する労働者が二〇〇七年から大量退職していく中で、技術の承継をどのように支援していくのか、これについてお答えいただきたいと思います。
  206. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) ものづくり中小企業の熟練技術者の高齢化というのは大変喫緊の課題になっているわけでございまして、技能や技術の次世代への継承ということをどうするかと、これは大変頭の痛い問題であることは間違いございません。中小企業方々に伺いますと、そのために割かなければいけない時間と労力とコストというものは、大変企業経営上は重大な問題になっているということでございます。  私どもは、こういった熟練技術者のノウハウとなっていたような技術や技能というものを円滑かつ確実に継承するようなために、何とか中小企業方々支援できないかということを考えまして、これまで加工技術の、先ほども議論ございましたが、加工技術のデータベース化とかいうことをやってまいりましたけれども、なかなかそれだけでは熟練技術者のノウハウになっているような部分というのを継承することは非常に困難であるということでございまして、まあその一つの手法としてこういった熟練技術者の方々のノウハウの部分をできるだけデジタル化、体系化するような手法、ソフトウエアのようなものを開発をいたしまして、中小企業方々に提供していくということが大事ではないかと思います。  具体的には、熟練技能者がものづくりの現場で行った製造手順や手法にかかわる判断あるいはその根拠などをデータベースとして蓄積できる手法を開発いたしまして、中小企業方々に提供してまいりたいというふうに考えております。
  207. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 一方、即戦力として近年、先ほどお話ございましたけれども、高等専門学校や工業高校が期待を集めております。先日の参考人質疑でも、工業高等専門学校卒業生は地元都道府県に定着すると、この比率が高いという御報告がございました。  そこで、経済産業省に質問いたしますが、ものづくり中小企業を引き継いでいく若い人材に高度技能を身に付けてもらうための高等専門学校、工業高校とものづくり中小企業との連携ですね、特にまたそのOBでもいいんですけれども、そういう連携が重要と考えますが、その御見解はどうでしょうか。また、もし支援するとすればどのような支援策があるでしょうか。
  208. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 若手人材に高度な技術を身に付けてもらうというためには、高専や地域中小企業のOBの方々などとの連携をすることは非常に有意義であると思っております。  今年度から、高専などが行う中小企業人材育成事業を、私ども、委託事業として実施することができるように予算措置をいたしておりまして、地域産業界が高専などと連携をして中小企業の製造現場を担っていく若手技術者を育成するということを是非支援したいというふうに考えております。  具体的には、高専などの有する設備を活用し、高専の教授や地域のベテラン技術者などの協力の下で、地域ものづくり中小企業ニーズに応じた講義と実習を実施することといたしております。このために必要な教材開発費あるいは機器設備使用料などの諸経費について支援するということになっております。  こういう事業におきましては、より現場に近い実践的な人材育成を行うために、豊富な知識やノウハウを持つ、正にその地域中小企業のOB人材の方々と連携をして実施をしていくということを構想いたしているところでございます。
  209. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 是非、今回の法律は単独でものづくりができるわけじゃなくて、関連するいろんな施策、人材育成策であったり、その連携をうまくさせていただいて、法律も、ほかの、新事業法もあるでしょうし、そういう連携をうまく審議会を通じてやっていただいて、ものづくりの基盤を是非、層を厚くお願いしたいと思います。  それでは、少し時間が過ぎましたので、廃止法について次に質問移りたいと思います。  今回廃止することになりました三つの法律工業再配置、民活法及びFAZ法のそれぞれの今までの評価と今後の対応についてまず聞こうと思いますが、まず工業再配置法についてであります。  本法は一九七二年に均衡ある国土の発展を目的として制定されたものでありますが、近年では、東大阪市や尼崎市や堺市では構造改革特区として移転促進地域から除外について特例認定されるという事態にもなっている状況でございます。また、産業再配置促進費補助金もピーク時の四分の一近くに落ち込んでおります。しかし、一方では、今般の景気回復において大都市と地方の格差というのはなくなってはいないんですね。やっぱりまだあるんです。  そこで、まず大臣にお聞きしようと思いますけども、この国土の均衡ある発展を目指した工業再配置政策がその役割を終えたとする中で、今後の地方の経済格差にはどのように対応していくのか、考え方をお聞きしたいと思います。
  210. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) お答え申し上げます。  我が国の景況は、喜ばしいことに改善をしているところでございます。しかし一方、産業構造の違い等を背景に、依然として業種間、地域間で格差が見られるのもまたこれ現実でございます。例えば、地域でいいますと、二月の有効求人倍率見ますと、愛知県の約一・七倍に対しまして、青森県、沖縄県は〇・五倍を下回っております。こうした中で、地域経済の活性化は極めて重要な課題だと私どもも認識をいたしております。  このために、経済産業省では地域活性化を柱の一つとした新経済成長戦略の中間取りまとめを行いました。午前中からこれは何度も出ておりますけれども、大事な柱の一つがこの地域活性化であるというふうに認識をして中間取りまとめを行いました。この新経済成長戦略の中では、五年間で千の新たな取組を進めるための地方活性化総合プラン、これを実行することといたしております。これらの実行を通じて今後とも地域の活性化に取り組んでまいる所存でございます。
  211. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。是非積極的にお願いしたいと思います。多分、今までと手法は違いますけど、地域経済の重要性は変わっておりませんので、是非お願いしたいと思います。  一方、工業再配置計画平成十二年末以降新たな計画が策定されておりません。また、工業再配置法と表裏一体にありました工場等制限法、これは平成十四年に廃止されております。  そこで、経済産業省に質問いたしますが、工業再配置法の廃止はもっと早く行うべきではなかったのか。本年まで遅れた理由は何なんでしょうか。
  212. 奥田真弥

    政府参考人奥田真弥君) お答えいたします。  先生御承知のように、工業再配置政策は国土政策の考え方と密接に関係をしているということでございまして、その議論の推移を見守っていたというのが大きな理由でございます。  具体的に申し上げますと、平成十二年に今お話ございましたように第二期の工業再配置計画目標を達成しまして、その後、新たな工業再配置計画の策定を検討することとしたわけでございますけれども工業配置促進法上、全国総合開発計画との調和を図るべきというふうにされておりますので、平成十三年から始まりました国土審議会での全国総合開発計画の在り方の議論を注視しておったわけでございます。この議論が平成十六年に終了いたしまして、昨年七月に新たに国土形成計画法というのができまして、国土政策の軸足が開発を基調とした量的拡大から質的向上に移るということになりました。こうした状況も踏まえて今国会に廃止法を提出させていただいたという次第でございます。
  213. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  また、法律が廃止されても残る事業があります。それは、中核工業団地の販売についてであります。現状では未分譲の率が二〇%近くであると、こう聞いておりますが、今後の取組について経済産業省に質問したいと思いますが、旧地域公団が行ってきたこの中核工業団地の販売について、いまだ売れ残っている件についてどのように今後対応していくのでしょうか。
  214. 奥田真弥

    政府参考人奥田真弥君) お答えいたします。  旧地域振興整備公団が行っております中核工業団地の販売業務につきましては、現在、独立行政法人中小企業基盤整備機構が引き継いでおります。引継ぎに当たりまして、特殊法人整理合理化計画において早期に売却するということで定められておりますので、現在、同機構におきまして、地方公共団体などの関係者の協力を得ながら、総合的な分譲促進を進めているところでございます。  具体的には、いわゆる分譲価格の引下げでございますとか、トップセールスの展開とか、あるいは積極的なPR、いろんな販売促進活動を実施しておりまして、その結果、平成十六年度は三十三・二ヘクタール、また平成十七年度も五十二・二ヘクタールということで、七年ぶりあるいは八年ぶりという高い水準の販売実績を上げております。  今後とも、未分譲用地が有効利用されまして地域経済活性化につながりますように、早期売却のための努力を続けるよう、当方といたしましても機構に対して促していきたいというふうに考えております。
  215. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいま答弁で七年ぶり、八年ぶりの分譲ができたという話もございましたが、是非目標達成に向けてお願いしたいと思います。  次に、民活法及びFAZ法、輸入促進及び対内投資円滑化に関する臨時措置法の両法案を廃止する法律について質問したいと思いますけれども、両法律とも附則で廃止期限が本年五月二十九日になっていることに対応して廃止するものでありますが、そこで、まず松副大臣質問したいと思いますが、この民活法、FAZ法が果たしてきた役割及びその目的を果たしたと判断する根拠はどこにあるのでしょうか。
  216. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 民活法及び輸入対内投資法は、民間活力の活用によりまして、産業基盤施設の整備促進して内需振興や輸入拡大を図ることを目的として制定された法律でございます。  民活法につきましては、全国で百八十五件の施設が開業しまして、約三兆円の内需拡大効果がございました。また、全国十四の研究開発企業化基盤施設により、四百社以上のベンチャーが創出をされているところでございます。  輸入対内投資法につきましては、全国二十二地域で三十九の輸入促進基盤施設が整備をされまして、地域輸入促進について一定の効果があったと思っております。また、製品輸入比率も制定時と比べまして一〇%ポイント強高まっております。なお、対日投資につきましては、初めて国の促進姿勢を法律上明記したということで、その後の対日投資会議、これは平成四年でございますけれども、これが設置をされまして、各種施設の施策の充実等につながったわけでございます。  このように、両法に基づく支援によりまして、内需拡大やあるいは輸入振興、地域経済の活性化等の効果がございました。したがって、両法によります支援措置役割は達成されたということでございまして、先生おっしゃるとおり、五月二十九日、期限どおり廃止をすることとしたものでございます。
  217. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  この両法律は、実は当初の期限が一九九五年だったんですけれども、その廃止期限があったものを自治体の要望で一度延長しております。  そこで、小林務官にお聞きしたいと思うんですが、今般の廃止に際して、このFAZ法、民活法の廃止に対して地方公共団体はどのような御意見だったんでしょうか。
  218. 小林温

    大臣政務官小林温君) 民活法及び輸入対内投資法の廃止に向けた検討については、これは従来から地方自治体とも十分な連携、連絡を取ってきておりまして、廃止期限を延長しないことについて地方自治体からも十分な理解を得ております。  また、輸入・対内投資法については、平成十五年の参議院の本会議において、これは行政監視委員会の審議を経てでございますが、輸入・対内投資法に基づく地域輸入促進に関する政策については、意義、役割が薄れてきており、原則として新たな支援は行わないことと決議されているということも併せて御報告を申し上げます。
  219. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  そういう形で、今回、廃止に至るわけでありますけれども、民活事業者の経営の状況については先ほど同僚議員から質問もございましたので再度質問いたしませんが、先ほどありましたように、半数が累積損失があり、また債務超過となっているという民活法適用事業者の実態がありますので、是非適切な指導をお願いしたいと思います。  今般、FAZ法を廃止するということでありますけれども、実はその支援対象となっている対内直接投資については、小泉内閣として、二〇〇二年に六・六兆円だったものを五年以内に倍増すると、そういう目標がございます。現時点、二〇〇五年末は十・一兆円にとどまっておりますが、そこで最後に大臣質問したいと思いますが、このFAZ法は廃止いたしますが、対日直接投資倍増という目標がある中でどのように今後倍増を達成されていかれるのか、決意をお聞きしたいと思います。
  220. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 御質問のように、小泉内閣の下で対日直接投資促進に取り組んでおるところでありますが、その結果、当初の倍増目標は着実に達成される見込みであります。このため、先日、二〇一〇年までにGDP比倍増となる五%程度という更に大きな目標を掲げたところであります。現在、この新たな目標の達成に向けた投資促進策について、対日投資会議などで政府一丸となって検討が行われておるところであります。  経済産業省としましても、特区制度の活用などにより、外国企業誘致に意欲のある自治体への支援を行いたいと思っております。また、ジェトロの対日投資ビジネスサポートセンターを拡充し、外国企業を更に支援をしてまいります。税制も含む一層の投資環境の整備我が国市場の魅力の積極的な発信にも全力で取り組んでまいりたいと思っております。
  221. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。力強い答弁いただきました。既に倍増ではなくてGDP比五%を目標にされるということでございますし、対内直投は地域経済にとってみれば非常に活性化につながる大きな手法でございますので、是非引き続きお願いしたいと思います。  以上、聞きまして、私の質問を終わります。
  222. 加納時男

    委員長加納時男君) 浜田昌良君の質問を終わります。
  223. 田英夫

    ○田英夫君 私は、一点についてだけ御質問いたします。  先日、参考人においでをいただいたときに、参考人から私の質問に対して、中小企業も二種類ないし三種類あるというお答え、それから別の参考人は、ナンバーツー、ナンバースリー程度の上の方に対する施策であって、まあ大きいというか強いところをまず取り上げようということなんだと。そうすると、取り残されるわけですが、その取り残された部分については数は実は多いだろうと思うんですね。その部分についてどういう施策を準備しておられるか、既に準備しておられるんだろうと思うんです。これをある程度明らかにしていただきたいと思います。
  224. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 今回の法案のねらいは、先ほど来るる申し上げておりますように、我が国製造業国際競争力を支える優れた技術力を備えたものづくり中小企業群の層を厚くするということを申し上げておりました。そのために、まずそういう方々のために、ものづくり中小企業を担う技術高度化方向性を示す指針を策定するということを申し上げて、これを広く周知していくということを申し上げました。  この指針は、言わば市場ニーズを踏まえた技術開発の羅針盤になるべきものだと思います。そういった意味で申し上げれば、どの層にいるかは関係なく、日本中小企業であってものづくりに携わる方々は、この羅針盤というのは非常に役に立つものではないかと私どもは思っております。その羅針盤に沿って、私どもが今回御提示したメニューであるところの層を厚くするための技術開発計画をお作りになるかならないかは別問題といたしまして、この羅針盤自身ものづくり中小企業の方、ほとんどの方々にとって、日本ものづくりの向かうべき方向はこういうことなんだということで、大変参考になるんではないかというふうには思っております。  また、今御指摘になりました、非常に層の広い、幅の広い、そんなに先端的な技術ではないけれども日本ものづくりの一端を担っておられる中小企業方々にとりましては、上を目指して駆け上るというよりは、日々のものづくりの中における様々な課題、運転資金の問題であるとか、自分の経営上の様々な課題というものに対してどうやって対応していくかということに追われている方々、大変多いんだろうと思うんです。  そういう方々に対しましては、私ども中小企業施策のらち外に置くわけにはもちろんまいりませんし、例えば昨年、中小企業支援法律を三本あったのを一本にまとめましたと申し上げましたけれども、そこで言っている経営革新に対する支援などは、幅広い層の方々が前向きに活動しようということについて、都道府県レベルではございますけれども、認定をして支援をしていくとか、そういうこともできるような体制になっておりますし、それから金融面でいえば、そういう中小企業方々資金的なその困難に対して、政府系金融機関や信用保証協会が支えておりますセーフティーネットと言われている金融面支援制度なども幅広く活用していただけるような状態にしているわけでございまして、私どもはそういうところについても十分な目配りをして政策の推進していくことが必要ではないかというふうに思っているところでございまして、今回の法律が私ども政策のすべてというわけではございませんので、できる限りこの法律自身も幅広い方々に役に立つものにしたいとは思いますけれども、それなりのねらいを持ったものというふうにさせていただきたいと思っております。
  225. 田英夫

    ○田英夫君 もう本当に、大部分の実はものが残る、残りの方の、数からいったら圧倒的に多いだろうと思うんですね。その人のことを考えていかないとまずいと。それから、残るものの中の質の問題になると、これは千差万別だろうと思います。したがって、一度に考えるんじゃなくて、順次考えていかないと難しいだろうと思うんですね。この点をひとつ考えてあげてもらいたいということでありますが、よろしくお願いします。  終わります。
  226. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 本日最後の質問に立たせていただきます、鈴木陽悦です。  日本の元気は中小企業の元気からということで、私、最後の質問でございますから、かなり声を高らかに、元気にやらしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ただ、山根委員からもありましたけれどもかなり最後になると重複いたします。重複部分を全部削ると質問することなくなってしまいますので、あえて顔の皮を厚くして聞かしていただきますので、よろしくお願いいたします。  今、後半三人、浜田委員、そして田委員、私も地域の部分については同じ共通認識を持ってますので、この辺からちょっとお話をさしていただきたいと思います。  平成十七年の経済産業省のものづくり政策懇談会のものづくり国家戦略ビジョン、それから今年一月の中小企業政策審議会経営支援部会の、何回もお話出てますが、この中小企業技術協力についての計画によりますと、今日のものづくりパラダイムにおける価値創造プロセスは、生産の拡大や能率化ではなくて、物質負荷や人間負荷を掛けずに顧客や消費者の満足を高めることに重点が移っていると、このように述べております、文章載っております。  先ほどから議論されてきましたように、正に時代の変化を感じないわけにはいかないものでありまして、今回の改正案はこうしたことを反映させての提案と受け止めております。しかしながら、先日の参考人の聴取なんですが、今、田英夫先生からもお話出ましたが、ナンバーツー、ナンバースリーが、ナンバーワンにする手だてだと理解しているとの意見を聴取いたしました。それでは実際対象となり得る企業かなりこう限定されてくるんじゃないかなと思うわけであります。  数日前、先週のちょうど参考人質疑の日の日経新聞には、設備投資の元気な企業が商工中金の調べで一面に載っておりました。たしか一面だったと思います。やはり東海とか関東の元気な地区の企業投資意欲を示しておりまして、今回の支援策を歓迎している向きの記事が掲載されておりました。正に地域の取組の姿を象徴している記事だったんですが、たしか愛知、大阪、東京とか、それから北関東の方ですか、そういった代表的な部分が載っておりました。  一方で、その地方の中小零細企業というのは、こうした支援策に反応できていない企業が多く見られているわけなんですけれども、こうした高度技術の分野で地方中小企業の参画をどのように支援できるのかという点をまず一つ目としてお聞きして、また新しい分野の開拓など、国際的な競争力を付けることはどの企業も望んでいるはずでございまして、そういった機会は平等に与えられていいと思っております。もっと地方の企業に対して、委員のいろんな質問とちょっとダブりますが、もっと地方の企業に対して新しい分野の開発とか支援の具体策などを誘導すべきではないかなと考えます。  さらに、現状は産業集積が進んで二極化が進んでいるわけなんですが、こうした法案が結果として格差の拡大につながらないように指針を策定する必要があると思うんです。今も日経新聞の商工中金の調べの話しました。例えば、黒い土ありますね、栄養たっぷりの。農業で、畑作ですと、黒い土は栄養含まれてますから、種まくと成長はすうっといきます。ところが、荒れた地に種まいてもなかなか育ちません。これが今、中央部というか、元気のある地域と地方の格差につながっている部分があると思いますので、こうした点もしっかり踏まえて指針というものを策定する必要があると思うんですが、その地方への目線という点からまず最初に長官に伺います。
  227. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 一面においては、先生おっしゃいますように、集積をしている地域における企業がこういった面でのものづくり政策に参画を、手を挙げてこられるということが数の上では多いというのは事実だろうと思います。ところが、大臣もおっしゃいましたように、このモノ作り三百社というのは、確かに有名な中小企業が固まっているところに数が多いことも事実でございますけれども全国拝見をすると地域の津々浦々にこの企業はあることも事実なわけでございます。したがいまして、こういう企業がむしろ地域にもあるんだということを我々はもって自覚をして、その地域においてそういう潜在的な能力はあるんだという前提に立って政策実施するということが肝要ではないかと思っております。  そういった面で、例えば一つの、非常に重要な今回の政策一つでありますところの人材対策などを考えてみますと、工業高専を中心として地域中小企業と一緒になってやる人材対策について、私ども是非支援をしたいということで申し上げているところでございますけれども、この工業高専というのは国立高専だけでも五十五あって、全国地域の特に工業技術を支える根っこになっているところでございますけれども、そういうところからもこの政策に対する反応は非常に強いわけでございまして、そういった確かにたくさん集積している地域ではないところでもそういう芽があるということで、私どもは可能性を信じてこういった地域中小企業に対する、まあどちらかといえば厚い施策を実施していきたいというふうに思っているわけでございます。
  228. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  いろいろな形で施策を講じてその芽を育てていただくという今長官お話でございましたけれども。  そういった意味では、先日の参考人皆さんの聴取というのは、非常に地方の事情がよく伝わってきまして面白かったし、それからいろんな意味で、皆さん、自信を持てたんじゃないかなと思いました。  東北大学大学院の堀切川教授ですね、産学官の連携を地方の中小はもっと積極的に進めるべきだと、そのメリットを強調しまして、同じ私も東北人として非常に感銘を受けた次第ですが、いわゆる新連携とはやや違った、できるところから始まる連携、どんどん進めていくのが有効であるという堀切川先生の印象を持ったんですが、この堀切川先生地域連携フェローという、まあ御用聞き、地方の御用聞きみたいな、中小企業を訪ねて御用聞きをやるという、そういうユニークな発想もなさいましたが、この実践論を、そしてまたこうした地方独特のユニークな産学官の取組についてどのように評価なさったか、感想を含めて聞かしていただければと思うんですが。
  229. 谷重男

    政府参考人(谷重男君) お答えいたします。  今、先生の方から御指摘のありました東北大堀切川先生のような取組につきましては、地域における産と学の垣根を低くして、産学官による有機的な連携、こういったものが行われやすい環境を整備する、そういう取組であるというふうに非常に高く評価しているところでございます。  我々経済産業省といたしましても、我が国産業国際競争力強化の観点から、産業クラスター計画の推進、こういったものを通じて、地域において新事業が次々と生み出されてくるような産学官のネットワークの形成等に取り組んできているところでございまして、このような地域における産学官の連携の促進というものが産業振興を促すものとしても非常に重要であると考えております。  今後とも、大学等と産業界による共同研究やあるいは技術移転あるいは人材育成等の取組、こういったものを地域においても促す施策というものを積極的に推進していく所存でございます。
  230. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  堀切川先生は、地域の本当に元気人の代表という形で御登場いただいた、そんな感じがいたします。やっぱり地域の活性化というのは、何回も言いますが、地域に元気な人がいるところはやっぱり活性化にしっかり結び付くということで、こうした人材育成も非常に大事だと思います。  堀切川先生は、官としてのかかわりを地域の現状に沿ったもの、ある意味、ケース・バイ・ケースで対処していかなければならないと指摘されました。ですが、その産学官連携をちょっと面白いアイデアをいただいたんですが、産学官の連携を中小企業支援病院と見立てます、中小企業支援病院。患者を企業、それから医者を大学などの学、それから官を看護師とか介護士、事務職員と見立てて、いろんな診療内容を準備していくのはどうであるかと、こういう提案も後でしていただきました。それに対する御所見ちょっと伺いたいんですが、その官の支援の在り方を含めてお願いしたいんですが。
  231. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 看護師のような優しい気持ちにちゃんとなれるかどうかというのは、私どもとしては若干自信のないところではございますけれども、ただ、今おっしゃいました堀切川先生のお考えの中で、やはり技術とかあるいは事業とかいうビジネスの本質的なところとか企業の本質的なところについての識見というのは、やっぱり民なりあるいは産学の学のところにある知識というのを活用するというのがキーではないかと思っております。  私どもは、どちらかというと、そういう前向きの努力をされるような方々に対して国のいろんな、言ってみれば助力策でございますね、資金であるとかあるいはその環境整備をしなきゃいけない、そういったことについての国の役割というものがあるんではないかということでございまして、それが両方相まってしかるべき有意義な結果が生まれるという意味では、ある種納得できる、何というんですか、例えであるかなというふうに思いました。
  232. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  私も、様々な支援策を有効に、何というか、当てはめていくにはどうするかという点が官に求められていると思いますが、官というと、官主導というとどうも非難が大きくなりますので、やっぱり官の立場としては、いろんな意味でコーディネートといいますか、プロデュースとか、そういった面が求められるんではないかと思います。  そういった点で、今日、浜田委員からも質問出ていましたね、小林さんから出たかな、産業クラスターの話も出ましたよね。新連携というのはまだスタートしたばかりでなかなかその具体例という事例は出ないと思うんですが、産業クラスターがうまくいっているところの事例を、先ほどほかの委員からも出ましたんで、これ別に、何というんですか、具体的にしゃべってもいい例があるんだったら出していただいて、そのうまくいっているところの秘訣、要因等も御紹介いただければいいなと思うんですが、お願いいたします。さっき何か漠然として、具体例が余り出てこなかったんですが、もしこれは堂々と出せるものがありましたら、ここの場でおっしゃっていただいた方がいいと思います。
  233. 奥田真弥

    政府参考人奥田真弥君) お答えいたします。  産業クラスターは全国に現在十七ございますけれども、その中で例えば成功例としてよく取り上げられておりますのは多摩のクラスターでございまして、これは非常に有名なクラスターになっております。それから、例えば近畿地方では大阪とか神戸の辺りの大学それから企業、そういったものが連携いたしまして医療関係のクラスターが大変成功していると。  いろんな事例がございますけれども、そういった中で、先生お話にございましたように、やっぱりコーディネーター役とか、そういったものがやっぱりネットワークを形成していく上では非常に重要でございますので、そういう人々の役割を今後とも重視をしてこのクラスター計画を発展さしていきたいというふうに考えております。
  234. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 成功している要因。
  235. 奥田真弥

    政府参考人奥田真弥君) はい。  成功している要因でございますけれども、やはり、そのネットワークをうまく形成をしていくということで、人がその中できちんと働いているというところが大きな要素だというふうに考えております。
  236. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  では次に、ちょっと質問を変えます。  いわゆる今日も何回も出ておりますが、二〇〇七年問題、余り、問題ととらえていいのかどうか、前向きにとらえた方がいいのかなと思いますが、二〇〇七年については、技術の伝承や空洞化などの心配な点がいろいろと挙げられておりますけれども、私は一方で、元気なシニアベンチャーの人材が大量に確保されていると、やや前向きにとらえております。  この間の参考人質疑でも前向きにとらえている先生いらっしゃいました、堀切川先生ですね、今日はどうもその先生の話が多いんですが。堀切川先生が話しておりましたが、建設業のシニアの皆さんが新たな仲間と一緒にリフォームとかメンテナンス業をやっていると聞きました。これはリタイアじゃなくてそのまま、卒業してからもシニアとして、シニアベンチャーみたいな形でやっているということです。こうした考えというのは、団塊世代に、私も団塊の最後の方ですが、共通する部分じゃないかと思います。  少しの報酬で磨き抜かれた技を生かすというのはいかがでしょうか。シニアベンチャー支援策といったものも二〇〇七年問題については考えてもいいと思うんですが、その辺のお考え、もしありましたら聞かしてください。
  237. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 先生の御指摘のとおり、長い経験を積み、またすばらしい技能、技術を持っているシニアの方が退職後も活躍をしていただける、働いていただける、また御指導していただけるということは非常に重要なことであるというふうに思っております。私どもといたしましても、先ほどからこれは御答弁いろいろしておりますけれども、若手の人材の育成やあるいは教育、経営支援などの事業においてもこうしたOBの人材を積極的に活用していきたいというふうに考えております。  具体的には、今年度から開始をいたします地域産業界と高専等の、これもさっきから出ておりますけれども、連携によります若手技術者の育成事業においてはOB人材の豊富な知識やノウハウも活用いたします。また、ものづくり体験等を通じて職業意識を養成するキャリア教育、これも先ほど文科省からも出ていたと思いますけれども地域のOB人材に小中学校の教育の現場に参加をしていただいて、ものづくりの魅力を直接伝えていただいてはどうかと、これも考えております。さらに、新事業展開等のアドバイザーを必要とする中小企業と自らの知識や経験を生かしたいという意欲を持つOB人材との橋渡しを支援する事業、これを実施いたしております。  実は商工会議所でこうしたデータベースを作っているんですけれども、現在約四千名が登録をされております。まだまだ少ないです。ですから、民間会社とまたこれは連携いたしまして、今年度末で一万人くらいは登録していただきたいと。そうすることによって、このOBの人材をより活用できるというふうに思っております。  シニアベンチャー支援政策ということもしっかりと念頭に置きまして、今後ともこうしたOB人材の活用に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
  238. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 副大臣、ありがとうございました。  人の育成というのは非常にものづくりの上で大事でございますが、人材育成という面でつながりがあるかと思いますので、ちょっと次の質問に触れさせていただきます。  去年初めて行われましたものづくり日本大賞について伺いたいと思いますが、これはマークが、シンボルマークが天の沼矛、イザナギ、イザナミの神が日本をつくったときの矛、これが何かシンボルマークになって、メダルもこれ使っているんですよね。それで、去年はこの委員会でも、ものづくり日本大賞について中川大臣、一生懸命紹介していただきました。八月に表彰式が行われまして、いろいろと表彰された皆さんがいらっしゃいます。  私、いわゆるやる気という面では、この間の参考人質疑でも、お金そのものよりも、何というか、しるしがあった方が、いわゆる手に仕事を持った皆さん、中小の皆さんはそちらの方が張り合いがあるんだという話をされておりました。やる気ということで、意欲の向上には非常にものづくり大賞というのは大きな効果を発揮するんじゃないかと思います。大賛成なわけなんですが。  この表彰は年に一度の、去年は一回目でございましたが、どうもその二年刻み、二年に一度の表彰の予定というところがちょっとスローペースかなというふうに思うんです。初年度の成果についてももうちょっと大きくアピールすればいいなと。中小企業間の情報交換とか、やる気につながってくるんじゃないかと思います。個人的な意見でございます。優れた企業、人をもっと積極的にアピールして、次のものづくりの意欲に結び付けていくのはいかがかと思うんですが、これは、二年に一度は多分変わらないんでしょうか。最初、オリンピックみたいに四年に一度という話もあったそうですが、こうしたいいものはもっと積極的に展開していただいた方がいいと思うんですが、その辺のお考えを聞かせてください。
  239. 塚本修

    政府参考人塚本修君) お答えを申し上げます。  今先生から、二年に一度ということで、もうちょっと頻度を高くしたらどうかということでございますけれども、やはり内閣総理大臣賞にふさわしいということで、ふさわしい案件を発掘するということもありまして、取りあえず二年に一度ということでスタートさせていただいています。  それで、今先生からも御指摘ありましたように、ものづくりのその人材の意欲を高めると、それから、そのものづくり人材が広くやはり社会に知られるということが大変重要かと思っておりまして、この受賞された方々を含めた、受賞者を招いてのシンポジウムとか、それから子供向けのものづくり教室、パネル等、全国で各経済産業局等を通じてその成果の普及に努めているということで、引き続きこういうことで一生懸命PRもしていきたいと思っております。
  240. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  ものづくりという言葉、非常に何か響きが良くて使い勝手がいい言葉だと思いますが、恐らく皆さんもそう感じていらっしゃると思うんですが。一体、だけど、ものづくりって一言で言ったら、一口に言ったら何だろうと考えちゃうんですが、もしお分かりになっている方いらっしゃったら教えてほしいんですが、何だろうと思います。この法案の中では、その技術の部分は設計に係る部分から二十六項目ありますが。ただ、いろんなところでものづくり使われていますが、非常に漠然としていますんですが、どういう形でそのものづくりを提唱して、一生懸命政策進めていますが、もし分かったら、もし駄目だったらいいです。望月長官
  241. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 識見を最後に問われたような感じがしますけれども、私どもは、やはり日本国際競争力の源が我が国の優れた製造業にあるというふうに思っているわけでございまして、そういった意味では、ものづくり基本法議員立法していただいた以来、日本製造業に対する思いというのをきちっとしないと日本経済全体についての真の理解はないだろうということで考えておりまして、なぜそれが単に製造業じゃいけなくてものづくりなんだということになりますと、一口には私どもで申し上げ難いところがございますけれども、今の、今回の政策につきましては幅広い製造業について施策の対象にしたいというふうに思っているところでございます。
  242. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 突然、ありがとうございました、申し訳ありません。ものづくり日本大賞に、これ、経産省はもちろんですが、国交省、文科省、厚生省、いわゆる技術の部分から技能の部分、様々な分野がこのものづくり日本大賞に入っております。その意味で、ちょっと、ものづくりというのはどういう位置付けかなというんで伺いました。  製造業全般と答える人もいるでしょうし、ある商品を完成させる過程を含めた行為と答える人もいるし、人づくりと答える人もいると思いますが、私は全部にこれは当てはまるんじゃないかなと思います。しかし、今長官におっしゃっていただきましたが、やっぱりいろんな意味で、今日何回も出ていますが、分かりやすい政策、分かりやすい言葉というのは必要だと思います。  実は、中小企業に対する様々な支援策、今日分かりにくいという話が出ましたが、実は今出たばっかりの中小企業施策利用ガイドブックというのが、これ、中小企業庁の方から出ています。いろんな支援があります。それこそ下請という言葉もこの中、使われています。さっき調べたら、五つぐらいのジャンルの中で、もっとあるのかな、二百四十九のいろんな支援策ありますが。  じゃ、ベンチャーで相談に行きました。どこに行ったらいいか、ちょっと迷います。中小企業支援見ると一杯あります。もう山ほどありますが、どこに自分の、その会社の仕事が当てはまるかというのはなかなか分かりにくい。確かに、細分化されているのは、支援策がいろいろと細かく取られているというのは分かるんですが、何かこう総合的に相談できる部門というのが、一体自分はどこに行ったらいいのかというのも、やはり是非分かりやすい施策というのを、いろんな対策を取っていただくのは結構なんですが、今日は何回も委員から出ていますが、その分かりやすいというのが一番だと思いますので、よろしくお願いいたします。  そこで、もう時間がそろそろありませんので、具体的により分かりやすくということを注文いたしまして、今日、衆参通じて最後の質問でございますので、中小企業ものづくり支援策全般について、最後に大臣から御所見を伺えれば幸いでございます。
  243. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ものづくりの今回の法案に対しまして、各党の委員の皆様から大変御熱心な、また的を得た御指摘をたくさんちょうだいいたしました。いよいよ最後の御質問ということで私どもも緊張をしております。  そこで、今、さきにお述べになりましたこの分かりやすい中小企業政策ということ、特に地方にも分かりやすいように配慮すべきだ、ごもっともな御指摘であります。  昨年度、先ほど長官からも度々お話を申し上げておりましたが、三本あった中小企業支援のための法律を一本に整理した。また、中小企業金融公庫の貸付制度を見直し、平成十五年度の九つの制度を十八年度には六つの制度に整理統合するなど行っておりますが、これからも中小企業にとって本当に利用しやすい、活用しやすい施策の体系をするということ、これが大変大事なことだと思っております。  中小企業技術面等におきまして、できるだけ、このOBの皆さん等の熟練した技術、これを若い世代に継承していくためにどうすればいいか、そしてまた、せっかく熟練した日本の宝ともいうべきそうした人材を海外にどんどんと流出していくというさまを黙って見ておるというのは、これはちょっと、政策といいますか、知恵がなさ過ぎるんではないかという我々も感じを持っております。そうした面でも、これからも十分配慮をしてまいらなくてはなりません。  同時に、やはり中小企業には何といっても金融が大事であります。金融の面につきましても、当委員会でもしばしば御指摘をいただいておりますように、今回、中小企業の政府系金融機関の民営化の問題等につきまして、これまた地域の声を代弁された真摯な御意見をちょうだいしてまいりましたが、私どもも、中小企業のこの金融問題をどう守っていくか、そしてこれからも中小企業皆さんが安心してこの新しくできる制度の中で企業を営んでいくことができるか、これは私どもの大いなる責任だと思っております。  したがいまして、各党の委員皆さんが当委員会又は予算委員会あるいは行革委員会等でお述べをいただきました皆さんのその心を体して、我々は制度設計におきまして万全を期してまいりたいということを決意しているところでございます。  中小企業問題は極めて難しい問題でありますが、それは四百三十二万社という企業が存在するわけでありますから、先ほどものづくり日本大賞ということに対して次長から御答弁申し上げましたが、次長の答弁は次長の答弁としてそのとおりだと思いますが、しかし、四百三十万社あるわけですから、一年に一万社ずつ表彰したとしても四百三十二年掛かるわけでありますから、そういうことからすると、一年に一回という鈴木議員の御提案は正に傾聴に値することだと思っておりますが、これからもいろんな意味議員各位から御意見をちょうだいして経済産業省は柔軟に対応していくと、こういう姿勢で頑張っていきたいと思いますので、よろしく御指導のほどお願いを申し上げます。
  244. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 大臣、ありがとうございました。  私の質問を終わらせていただきます。失礼します。  ありがとうございました。
  245. 加納時男

    委員長加納時男君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより三案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより順次三案の採決に入ります。  まず、中小企業ものづくり基盤技術高度化に関する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  246. 加納時男

    委員長加納時男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、若林秀樹君から発言を求められておりますので、これを許します。若林秀樹君。
  247. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 私は、ただいま可決されました中小企業ものづくり基盤技術高度化に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各派並びに各派に属しない議員鈴木陽悦君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     中小企業ものづくり基盤技術高度化に関する法律案に対する附帯決議(案)   我が国中小製造業競争力強化するためには、中小企業ものづくり基盤技術の一層の高度化を図ることが重要であることにかんがみ、政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 技術力を有する中小企業の製品開発には、最終製品を提供する大企業・発注企業との連携協力が重要であることを踏まえつつ、特定ものづくり基盤技術高度化指針を策定するに当たっては、中小企業者の技術力意見を十分反映させること。  二 中小企業大学、高等専門学校、公設試験研究機関等との産学連携による研究開発を更に推進するとともに、その技術中小企業が容易に活用できるよう指導すること。  三 中小企業におけるものづくり人材の育成・確保が課題となっている現状にかんがみ、初等中等教育におけるものづくり体験等による次世代のひとづくりの推進、大学、高等専門学校、工業高等学校等による高度な人材の育成については本法の目的を達成するよう、関係省庁が緊密に連携して取り組むこと。  四 我が国産業競争力の源泉である中小企業研究開発やその技術活用した事業活動を促進するため、事業の将来性、技術力を評価した融資制度の拡充、中小企業信用保証制度の充実及び政府系金融機関による低利融資の拡大等金融支援、知的財産保護の強化、取引慣行の改善を図るなど、事業環境の整備に努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  248. 加納時男

    委員長加納時男君) ただいま若林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  249. 加納時男

    委員長加納時男君) 全会一致と認めます。よって、若林君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、二階経済産業大臣から発言を求められております。この際、これを認めます。二階経済産業大臣
  250. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案実施に努めてまいりたいと考えております。  ありがとうございました。
  251. 加納時男

    委員長加納時男君) 次に、民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法及び輸入促進及び対内投資事業円滑化に関する臨時措置法を廃止する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  252. 加納時男

    委員長加納時男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、工業配置促進法を廃止する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  253. 加納時男

    委員長加納時男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 加納時男

    委員長加納時男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  255. 加納時男

    委員長加納時男君) 独立行政法人エネルギー産業技術総合開発機構法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。二階経済産業大臣
  256. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 独立行政法人エネルギー産業技術総合開発機構法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  京都議定書に定められた温室効果ガスの排出削減約束の達成に向けて、政府は、平成十七年四月に京都議定書目標達成計画を閣議決定しました。本計画に基づき、現在、我が国においては、環境と経済の両立という基本的な考えの下、これまでの省エネルギーの経験や世界最高水準の技術等を最大限生かしつつ、各界各層が総力を挙げて温室効果ガスの排出削減に取り組んでいるところであります。その一環として、国内での取組に最大限努力してもなお排出削減約束の達成に不足する排出削減量について、他国における温室効果ガスの排出削減量を取得して対応する必要があるため、本法律案提出した次第であります。  次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、独立行政法人エネルギー産業技術総合開発機構法の一部改正であります。この一部改正におきましては、独立行政法人エネルギー産業技術総合開発機構の業務として温室効果ガスの排出削減量の取得を規定するとともに、本業務について国が債務を負担する場合には、通常五か年度以内である債務の負担期間の年限を八か年度以内とする特例を設けることとしております。  第二に、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部改正であります。この一部改正におきましては、独立行政法人エネルギー産業技術総合開発機構が行う温室効果ガスの排出削減量の取得に係る業務に必要な費用の一部を歳出するための根拠を規定することとしております。  以上が本法律案の提案理由及び要旨であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  257. 加納時男

    委員長加納時男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十九分散会