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2006-03-30 第164回国会 参議院 経済産業委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月三十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月二十八日     辞任         補欠選任         松村 祥史君     阿部 正俊君      山根 隆治君     富岡由紀夫君  三月二十九日     辞任         補欠選任         阿部 正俊君     松村 祥史君      富岡由紀夫君     山根 隆治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         加納 時男君     理 事                北川イッセイ君                 佐藤 昭郎君                 松山 政司君                 若林 秀樹君                 渡辺 秀央君     委 員                 魚住 汎英君                 倉田 寛之君                 小林  温君                 林  芳正君                 保坂 三蔵君                 松村 祥史君                 岩本  司君                 小林 正夫君                 直嶋 正行君                 藤末 健三君                 山根 隆治君                 浜田 昌良君                 松 あきら君                 田  英夫君                 鈴木 陽悦君    国務大臣        経済産業大臣   二階 俊博君    副大臣        経済産業大臣  松 あきら君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       小林  温君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    政府参考人        総務省行政管理        局長       藤井 昭夫君        法務大臣官房審        議官       深山 卓也君        特許庁長官    中嶋  誠君        特許庁総務部長  野澤 隆寛君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○独立行政法人工業所有権情報研修館法の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 加納時男

    委員長加納時男君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求についてお諮りいたします。  独立行政法人工業所有権情報研修館法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会総務省行政管理局長藤井昭夫君、法務大臣官房審議官深山卓也君、特許庁長官中嶋誠君及び特許庁総務部長野澤隆寛君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加納時男

    委員長加納時男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 加納時男

    委員長加納時男君) 独立行政法人工業所有権情報研修館法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 自由民主党の北川イッセイでございます。  情報研修館法の一部改正について質問をさせていただきたいというふうに思います。  最近、特に知的財産権保護ということが大変重要な問題になっております。特に中小企業者にとっては、特許権ですとか、あるいは実用新案ですとか意匠登録ですとか、大変、この手続が非常に煩雑で、中小企業者といいますといつも資金繰りで困っておるんですけれども、その次に困っているのがこういう登録とかそういう事務だと、こういうようなことだそうでございます。せっかく発明実用新案に該当するものがあっても、その登録手続をちゃんとやっていなかったということで、ほかの業者に先を越されて大きな損害を被ったというようなケースが随分たくさんあったわけでございまして、そこで、かつては特許庁がそういう登録ですとかいろんな相談業務ですとか、そういうようなものを一手に引き受けてやっておったわけですけれども、これが非常になじみがないというか使いづらいというか、そういうようなことがあって、今議題になっております独立行政法人工業所有権情報研修館、いろいろ変遷はありながら、結果的にこういうものができたと。これは特定独立行政法人公務員型であると、こういうことなんです。  この名前を聞きますと、いかにも公務員らしい名前で、もうちょっと親しみのある、ドリーム情報館とか夢づくり研修館とか、何かそういうような親しみのある名前を付けてほしかったなというように思うんですが、それはそうとして、この中小企業者にとっては、この機関というか施設というか、これが非常に今の時代、重要な施設である、機関であるということは間違いないと思うんです。更に今後ますますその重要性が高まっていくということも間違いないと、こういうように思います。  これは、政府方針として、構造改革に関する基本方針二〇〇四の閣議決定に基づいて、行政改革推進本部独立行政法人に関する有識者会議の中で、国家公務員身分を有しない者が担う場合の具体的な問題点を明確に説明できない場合には非公務員化すべきという、非常に明確でない、分かりにくいような表現で方針が出された。その方針に基づいて今回のこの改正が行われるんだというように思います。要は、本当に公務員でなかったらこの情報研修館運営できないんだろうかというところが問題点であり、そしてその今回の改正によって、中小企業者、それからユーザーが今まで以上に更に使いやすい、そういう機関、そういう施設になるんだろうかというところが論点であろうかというように思います。  そういう意味でひとつ質問をさせていただきたいんですが、今回の改正、つまり公務員型を非公務員型にすることに伴って業務体制というのはどのように変わるんでしょうか。局長、お願いします。
  6. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 今のお尋ねの件でございますけれども、情報研修館、おっしゃいますようにその出願人、特にこれ中小企業の方が多いんですけれども、ユーザーに対しまして、その特許公報などの産業財産権情報提供あるいは出願に関する具体的な相談業務を行う、さらには民間企業の方が特許先行技術の調査、いわゆるサーチと申しますけれども、それにかかわるノウハウを取得できるような研修、そういうものを行っている法人でございます。  今回、非公務員型に移行していきますと、具体的には弾力的な勤務の形態とかあるいは柔軟な雇用形態採用することが可能になることが期待されます。結果として、中小企業を始めとするユーザーサービスの一層の向上が図られるのではないかというふうに考えております。  例示を申し上げますと、例えば業務面では、相談窓口の開設時間を現状よりも更に延長するとか、あるいは平日に受講が困難な中小企業の方に対する研修を週末に行うといったようなことが考えられます。それから、人事採用面でございますけれども、民間における経理専門家とかあるいは情報通信技術に詳しい専門的な人材採用するといったことによりまして、この法人業務効率の改善あるいはより利便性の高い情報システムの開発、提供というようなことが期待されると考えております。
  7. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 この特許ですとか実用新案ですとか意匠登録ですとか、こういうことの相談には非常に秘密が多いんですね。秘密というか、よそへ漏らしてほしくないというような場合がある、あるというよりも多いわけです。中身の相談に行って、それが先によそへ漏れてしまうということでは非常に困るわけでございます。今までは公務員さんですから公務員法によってその守秘義務というものはきっちり決められておった、決められておったという、まあ公務員のそういう守秘義務があったわけです。  今回の場合も、その守秘義務について、この九条ですね、九条では職務上の秘密に対する保持義務を課すということでちゃんと決められております。また十条でも、いわゆるみなし公務員という形で取り扱いされると、こういうようなことにも決められております。さらに十四条では、その違反に対する罰則規定というようなことも決められておるわけでありますが、今回、この改定案で決められておるこの守秘義務と元来ある国家公務員守秘義務とを比較して、どこがどういうように違うのか、御説明いただけますか。
  8. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 刑事罰の点についてのお尋ねだと存じます。  それで、情報研修館を、今回、公務員型から非公務員型に変更いたしますと、そのままにしておきますと、その役職員国家公務員法等で定められております秘密保持義務あるいは収賄罪などの同じく国家公務員に科せられている刑法上の罰則の対象から外れることになってしまいます。しかしながら、この情報研修館業務を遂行する上で必要なユーザー信頼を維持するためには、引き続きこうした秘密保持義務禁止規定を別途担保する必要があるというふうに考えられます。  このため、本改正案におきましては、国家公務員法と同様の秘密保持義務をまず課すと、と同時に、従来と同様、出願中の特許意匠の漏えいや盗用につきましては、現在、我々特許庁職員並みの一段と重い刑罰、つまり通常の国家公務員よりも重い刑罰が現に科せられておりますけれども、この点についても引き続きそういう措置をとることにしております。さらに、情報研修館役職員国家公務員とみなすといういわゆるみなし公務員規定というのを設けまして、収賄罪とかあるいは公文書偽造罪などにつきましても国家公務員に科せられております刑法上の罰則を引き続き適用することとしております。  こうした形で、この改正法案の中では、これまでと同じ守秘義務あるいは刑法上の規制を科する措置を講ずることによりまして情報研修館に対するユーザー信頼を引き続き確保することができるというふうに考えております。
  9. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 この守秘義務については国家公務員と同等の守秘義務を課しており、罰則についてはむしろそれ以上の罰則が科せられておると、こういうことですから、これは公務員から非公務員に変わっても問題がないと、こういうことだということですね。  それでは、特許庁との関係についてお尋ねをしたいと思うんですが、今までこの情報研修館というのは特許庁出先機関みたいなものでございまして、独立行政法人とはいうものの、まさしく特許庁出先機関でございました。人事は、特許庁から全部、ほとんどですね、この情報館の方に人は派遣されておると、そしてそれで運営されておったと、こういうことなんです。  今度のこの改正で、特許庁の方は公務員なんですね、この独立行政法人情報研修館の方は非公務員になるんですね。そこらのところのこの人事交流というか、今までみたいに丸抱えというか、特許庁丸抱え人事でやっていくと、そういうことができるのかどうか。  もう一つは、先ほどのお話で、いろんな、何ですかな、特殊な業務の方については民間からも入れることができると、こういうお話でございましたけれども、それを更に広げて、一般職員さんについても民間からどんどん登用していくというようなことも考えられるのかどうか、そこらのところをお答えいただけますでしょうか。
  10. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 情報研修館業務内容でございますけれども、委員おっしゃいますように、民間の、特に中小企業を中心とする出願人に関する相談業務とか、あるいはサーチ研修業務といったようなものでございまして、これらはいずれも特許庁自身が直接責任を持って行う審査あるいは審判業務と密接な関連を有するものでございます。  したがいまして、こういった情報研修館業務、つまり、産業財産権制度それ自体について専門的な知識とか経験を有している特許庁職員が行うことが適当であるという認識の下で、従来、公務員型であった間は特許庁からの出向者をその職員として運営されてきております。そういう意味におきましては、非公務員型に移行した後も引き続き特許庁との人事交流が円滑に行われるように、それを担保するための規定、例えば年金の取扱いとかということについては手当てをしております。  他方、同時に、先ほど申しましたように、情報研修館業務を更に高度化するためには、経理とか情報通信技術などに関して高度な専門的知識を有する民間人材の活用が有用と考えられます。したがって、今後、一義的には、まずこうした高度な専門知識経験を有する民間の専門的な人材採用ができないかという点につきまして、積極的に検討していくことが適当だというふうに考えております。
  11. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 ありがとうございます。  私が、この今度の改正で純然たる独立行政法人になっていくと、そこで一番心配しておりますのが実はこの採算の問題なんです。  この情報研修館が果たして、独立行政法人、非公務員型のそういう形で採算の面でいけるんだろうかということを非常に心配しております。財務の状況を見ますと、自己収入が非常に少ないと、収入の大部分が国からの運営交付金で賄っておると、十八年度の予算運営交付金百二十七億七千三百万の予算ということです。その運営費の九九・四%をこの運営交付金で賄っておる。十六年度の決算見ましても、九九・二%が運営交付金であると、こういうことであります。  独立行政法人ということですから、純粋なそういう民営化ということではないと思うんですけれども、しかし、それでも独立行政法人なのだから少しは経営努力もしなさいよというようなことで、不採算部門が非常に多いわけですね。  例えば、閲覧ですとか情報提供ですとか研修、そういうようなものは今までテキスト代とかそういう実費だけでやっていたわけですね。それのその手数料とかそういうものは全くいただいてなかった。それが、いただくようになってしまうんじゃないかと。受益者負担というような原則に当てはまっていくんじゃないかというようなことを非常に心配しております。  非常に大事な、何というか、経済活性化のための大変重要な仕事もしておられるわけですけれども、例えば特許流通アドバイザー派遣というのがありまして、これ見ますと、休眠特許権一般中小企業紹介をして、そして、その休眠特許権大会社、大きい会社で持っている、もう休んでいる、使ってない特許権、それを中小企業に使ってもらうというような、そういうあっせんをやっておられるんです。そのアドバイザーの方も現在百十何人ですね、おられて、そのあっせんの、何というか、企業同士の支払のお金ですね、これも何と千五百億を超えているというような行き来があると、こういうようなことでございます。これなんかも非常に大事な仕事なんですが、これは、それを紹介したからといって現在あっせん料も何ももらってないと、こういうことなんですね。ですから、本当に中小企業の方々はこれで助かっておられる。  そういう部分が非常にたくさんあるわけですけれども、先ほど申し上げましたように、受益者負担やないかということで、これも料金が非常に高くなるというようなことにならないかということで、非常に私は心配をしておるわけであります。これは、先ほど申し上げました運営費交付金との絡みもありますので、大臣、どういうふうに考えておられるか、ちょっとお答えいただけますか。
  12. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) お答えいたします。  情報研修館が担っております相談また閲覧研修等業務は、知的財産立国実現に極めて重要なものであります。特に、ただいま北川議員から御指摘がありましたように、大企業に比べ資力あるいは体制において弱い立場の中小企業やあるいは大学にとっては、この今日までの行ってきたサービスというものは不可欠のものであります。このような公益性の高い行政サービスは、基本的に無償で提供されるべきものと考えております。  このため、従来からユーザーには複写手数料研修教材などの実費相当額をちょうだいをいたしております。職員身分が非公務員化になったとしても、この方針を維持することが適当と考えております。独立行政法人として自己収入の拡大の努力重要性は理解しておりますが、政策効果を減殺するようなことがあってはならないと思っております。  いずれにしましても、中小企業を始めとする幅広い利用に支障が出ることがないように、法人を十分監視し、適切に指導してまいりたいと考えております。  また、北川議員も御承知のとおり、我が国には発明の日が制定されております。明治十八年、一八八五年に専売特許の条例が定められたときを記してこの発明の日というものが制定されたようでありますが、知的財産立国実現に向けて発明の日の意義を広く国民皆様に周知するとともに、国民的な意識の向上あるいは制度普及啓発を図る目的で、記念日の行事をこの四月十八日に平成十八年度の発明の日として実施をさせていただくことになっておりますが、今後、知的財産の問題をもっと広く国民の皆さんに御理解いただき、国を挙げて発明の更に発展的に環境をつくっていくためには、この発明の日を、今は事業者発明に功績のあった人等を表彰したりあるいはシンポジウムを開催したりしておりますが、本当はこの発明の日に、小さい人は小学校から中学校、高等学校に至るまで、何か発明をしてこの功績認められた人を、この発明の日に国としてもそういうことを顕彰するというふうなことも考えてもいいのではないかとさえ思っております。
  13. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 今、大臣から、四月十八日、発明の日ということで、大変すばらしい御紹介もありました。  この知的財産権保護ということは、中小企業政策にとっては非常に重要な、大事なことだというふうに思いますので、是非ともこれは一つの国の政策としてしっかりと守って進展をしていただきたい、このように思う次第でございます。  もう一つ、今大臣から非常に力強いお言葉がございました。しかし、とはいうものの、この運営交付金をどういうように査定したらいいのかということは、これは非常に難しい問題だというように思うんです。これは、この独立行政法人、非公務員化すると、こういう時期に、是非ともこの情報研修館評価、そのときそのときの評価、また長期にわたる期待期待度、そういうことの評価、そういうようなものを公平にしっかりとやれる、そういうシステムが必要じゃないかと、こういうふうに思います。今現在もそういう審査会というかシステムというか、そういうものもあるというふうに聞いておりますけれども、どういうものがあって、そして今後それを更にその評価システムを充実させていくという考えはないのかどうかということで、ひとつ御質問申し上げたいと思います。よろしく。
  14. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 今、委員お尋ねになったのは、この独立行政法人業務を行っていく際に、しっかりとした目標をまず定めて、それが実際どのぐらい遂行されたか、後でこれまたしっかり検証していくということだと思います。  それで、まずその最初の点でございますけれども、この情報研修館経済産業大臣から示されます中期目標、それと、これに対応する中期計画において、まず五年間で達成すべき業務目標が定められることになっております。実は、来年度、十八年度からの五年間の中期計画を、現在、私どもで内容を検討中でございます。間もなくこれを大臣が認可をするということになると思います。それから、その上で、この法人が毎年度この中期計画に基づきました事業計画を策定しまして適切な業務運営を行っていくというような仕組みになっております。  その過程におきまして、この情報研修館業務につきましては、外部の有識者で構成されます経済産業省独立行政法人評価委員会というものによりまして、各事業年度終了後、年度計画を達成したか否かの実績について、項目別にしっかりと評価が行われます。その後、その評価を踏まえた法人業務見直しが行われるというような仕組みになっております。情報研修館に交付されますこの運営交付金につきましても、こうしたその独立行政法人評価委員会のこの評価結果及びそれを踏まえた業務見直しに基づきまして、適正に決定されることになっております。  幸い、第一期の中期計画期間中は、全体としまして、この総合的な評価が一応Aと、良好という形で情報研修館いただいておりますけれども、今後とも、この評価委員会におきます厳格な評価を求めますとともに、それを十分反映した形での業務見直しを行って、同時にその運営交付金決定を行うように努めてまいりたいと思っております。
  15. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 今のお話しのとおり、評価委員会もあって厳密に運営しておられると、こういうことでありますけれども、この評価委員会というのがどことも皆非常に形式的になりがちだと、こういうように思います。これは、役所の方でそういう委員会をつくって評価してもらうということ、そういうことだと思うんですが、ひとつ政治的な感覚是非とも、そういう評価システムでいいのかどうかということをしっかりと点検していただいて、この運営交付金ですとか、この研修館運営の一番基本となる部分だと思いますので、是非とも厳密に政治的感覚でひとつ検証をしていただきたいと、このことを要望して、質問を終わらせていただきます。
  16. 加納時男

    委員長加納時男君) 北川イッセイ君の質問は終わりました。
  17. 岩本司

    岩本司君 おはようございます。民主党・新緑風会を代表いたしまして、国民皆様に分かりやすい質問をさせていただきますんで、分かりやすい御答弁、どうぞよろしくお願いいたします。  独立行政法人工業所有権情報研修館法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。  まず、独立行政法人と国の関係についてお伺いします。  国家行政組織法第二条によりますと、「国家行政組織は、内閣統轄の下に、内閣府の組織とともに、任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲所掌事務を有する行政機関の全体によつて、系統的に構成されなければならない。」と。また、「国の行政機関は、内閣統轄の下に、その政策について、自ら評価し、企画及び立案を行い、並びに国の行政機関相互調整を図るとともに、その相互連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない。内閣府との政策についての調整及び連絡についても、同様とする。」と規定されております。また、第三条では、「国の行政機関は、省、委員会及び庁」と規定されております。ゆえに、独立行政法人は、国家行政組織法上、国の行政機関ではないはずであります。  では、独立行政法人工業所有権情報研修館は、国との関係でどのような位置付けになるのか、まずお答えいただきたいと思います。
  18. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 独立行政法人は、公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものなどを効率的かつ効果的に行わせることを目的として法律に基づいて設立される法人であります。これはもう議員承知のとおりであります。  独立行政法人は、国家行政組織法に定められる国の行政機関とは別の法人格を有する組織でありますが、あくまでも、主務大臣法人に提示する中期目標に基づいて中期計画を作成し、その範囲で効率的な業務運営を行うことが求められております。  情報研修館につきましても、元々特許庁が行っていた特許公報などの情報出願等に関する相談サービス提供、また特許先行技術調査にかかわるノウハウの提供を通じた研修など、公共性の高い業務を行う政府関係の一組織として、特許庁審査、審判と一体不可分となって質の高いサービス国民の皆さんに提供していくことを期待しておるわけであります。
  19. 岩本司

    岩本司君 ありがとうございます、大臣。  第三条の「国の行政機関は、省、委員会及び庁」と規定しているわけで、ちょっと分かりやすく国民皆様に御説明いただきたいのは、ということは、研修館ですから省でも委員会でも庁でもないわけですね。ということは、国の行政機関であるかないかという質問にお答えいただけませんでしょうか。
  20. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) いわゆる国の行政機関ということではございませんで、独立行政法人の通則法に基づきまして定められている法人というふうに考えております。
  21. 岩本司

    岩本司君 ということは、国の行政機関ではないという答弁でございますね。確認させていただきます。  次に、独立行政法人は国と別の法人格を持った法人ということをおっしゃっていますね。通則法では、特定独立行政法人と非特定独立行政法人の二種類に分類されます。公務員型の独立行政法人は、通則法第二条によりますと、業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすものと、法人目的業務の性質等を総合勘案して役員及び職員国家公務員身分を与えることが必要と認められるものとなっておりますが、今般の法改正情報研修館を非公務員型にするということでございまして、この通則法第二条の定義の業務の停滞が、これ、国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすものと、法人目的業務の性質等を総合勘案して役員及び職員国家公務員身分を与えることが必要と認められるものの条件に該当しなくなったということでございますか。要は、業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼさないということでございますか。
  22. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 今のお尋ねの点につきましては、この法人の第一期の中期目標の最終年度、つまり今年度、平成十七年度でございますけれども、今年度に経済産業省として組織業務について全般的な見直しを行いました。特に、その役職員身分につきまして、その在り方について、この法人が円滑かつ確実に業務の遂行を可能とすること、これは当然でございますし、それから、その場合に内外からの十分な信頼を確保することを重視しまして、様々な観点から検討を行いました。この過程におきまして、経済産業省独立行政法人評価委員会はもとより、総務省の政策評価独立行政法人評価委員会あるいは政府全体の独立行政法人に関する有識者会議の御意見も伺ったわけでございます。  その結果でございますけれども、これまでの第一期の中期計画期間におきますこの法人の着実な業務実績も踏まえまして、さらに、この法人中小企業を始めとするそのユーザーのニーズにどう的確にこたえていくかという観点からいたしますと、より柔軟な業務運営を促進する観点からは非公務員化が適当であるといったような結論になったわけでございます。  ただし、その際に、その業務の確実な実施あるいはそのユーザー信頼の確保という観点から、先ほども北川委員の御質問にもございましたけれども、秘密保持義務を課するといったことを始めとする様々なその所要の措置は併せて講ずるということにいたしたわけでございます。  そうした意味におきましては、独立行政法人通則法第二条二項に規定しております特定独立行政法人、いわゆる公務員型の独立行政法人のままである必要はなくなったということを総合的に判断したということでございます。
  23. 岩本司

    岩本司君 まあ、そう判断されたと。  じゃ、業務の停滞が、ちょっと国民の皆さんに分かりやすくお答えいただきたいんですが、業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼさないわけではないということですか。
  24. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) この法人のやっております業務というのは、特許審査とか審判とか、直接的に国民のその権利義務あるいはその権利の付与に関するものではございません。あくまでも、出願に際してのその相談業務とかあるいは研修業務でございます。  で、もちろん、非常にそのぎりぎりのところで、じゃ仮にこれが非公務員型になったときに、例えばその職員の方がストライキをしたらどうかとかいったようなことを考えてみますと、今までのその実績からすれば、あるいは今のこの団体の内部の状況等を勘案すれば、そういうことはよもや起こるとは思っておりませんけれども、あくまでも頭の体操ということで考えますれば、そういうときには、今のこの組織の中の管理職の方々を総動員して、当然ながら、しっかり対応していくといったようなことは当然ながら想定されているわけでございます。  そういう意味におきまして、この法人業務に関連して、非公務員型に移ったからといって国民皆様方に御不便をお掛けするということはないようにしっかり仕組みをつくり、かつ実際にそういう業務運営を毎年度監視をしていくと、指導をしていくというふうに考えております。
  25. 岩本司

    岩本司君 ちょっと質問に答えていただきたいんですが、支障を及ぼすか及ぼさないかというふうにお伺いしているんですが。
  26. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) この業務の停滞が、今御指摘のは独立行政法人通則法の第二条だと思いますけれども、「社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるものその他当該独立行政法人目的業務の性質等を総合的に勘案して」定めるというふうになっておりますけれども、したがって、あくまでもその最終的な判断は総合的でございますけれども、この「業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼす」ものということにつきましては、先ほど申しましたように、この法人業務は直接国民のその権利義務に影響をもたらすようなものではないというふうに考えております。  だからといって、それに関連するその周辺業務だからといって、もちろん御不便をお掛けしてはならないことは当然でありまして、それは、そういうふうにならないようにいろいろな仕組みあるいは実際の運営を担保していきたいというふうに思っております。
  27. 岩本司

    岩本司君 せっかく、法務省から来ていただいてますんで、ちょっと通告していませんけども、法務省さん、もしお答えできれば、この点にお答えいただきたいんですけど。
  28. 深山卓也

    政府参考人深山卓也君) 御指摘のとおり、通告のない話ですから、今この条文だけ読んでどう解釈されるかということだけ申し上げますけれども、今のこの通則法の二条二項の「その業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるもの」というのは、例示でございます、条文上はですね。で、その他、今、特許庁長官お話にもあったように、本質的な要件は、「当該独立行政法人目的業務の性質等を総合的に勘案して、その役員及び職員国家公務員身分を与えることが必要と認められるもの」、これが本質的要件で、最初に述べたのは例示でございます。  したがって、ここの点の読み方の問題ですが、その「直接かつ著しい支障を及ぼすと認められる」という状況が変わったかどうかということで認定が変わることももちろんありますし、そこについてではなくて、より本質的な要件である、要するにその「国家公務員身分を与えることが必要と認められる」状況かどうかという点が変わったと、そういう場合であっても公務員型から非公務員型へ移るということは、私は正に条文の文理だけのことを言っているんですけれども、からは読み取れるということになると思います。
  29. 岩本司

    岩本司君 ありがとうございます。  通則法に言う独立行政法人の趣旨からすれば、情報研修館業務の効率性また機動性を一層高め、情報提供人材育成を促進する理由で非公務員型にするというのは、その法改正の理由としては不適切ではないかというふうに考えます。  これ、業務の効率性や機動性を一層高めて、情報提供人材育成を促進することが国民や国家の知的財産保護にとってこれ重要であるならば、特許庁自身がこれ業務を行うべきと考えますけれども、いかがでございますか。
  30. 小林温

    大臣政務官小林温君) 特許庁とそれから情報研修館、この二つが責任を有する産業財産権関連業務は、いずれもこれは我が国の知的財産立国実現のために不可欠なものであるというふうに我々も考えております。しかしながら、その二つの実施主体の在り方については、特許庁業務情報研修館業務では異なるものであるというのが今回の法改正の考え方でございます。  まず、特許庁でございますが、これは独占権の付与を行うための審査や裁判の一審に当たる審判の事務産業財産権制度の企画立案を行っておりまして、これらはあくまでも国が責任を持って遂行するべきものというふうに位置付けさせていただいております。  一方で、今回の法改正を御提案をさせていただいております情報研修館業務は、特許出願人などの知的財産権制度ユーザーに対して、その活動の前提となる特許情報提供人材育成などの、不可欠とはいえ間接的なサービス提供するものであって、先ほど来御指摘もいただいておりますような、例えば業務の機動性、効率性を高めるという観点から踏まえましても、これは必ずしも国あるいは特許庁が行わなければならないというふうには今回の法改正の中では位置付けておりません。
  31. 岩本司

    岩本司君 政務官、ありがとうございます。  ただ、例えば海外でいいますと、イギリスですとかそういうところはもう役所でするんですよね。これまた、先ほど冒頭、中嶋長官お答えになりましたけども、国の機関ではないとはっきり明言されまして、そうすると、やっぱり効率化という意味で、非公務員化というか、もう非公務員化すれば効率が上がるだろうと。しかし、その先には、情報提供する場合の料金に影響を及ぼしてくるんですよね。いずれにしても、ちょっと後で触れますので。  次に、独立行政法人の行為と国の責任について、これ法務省にお伺いします。  現在、法案審議中でありますために、独立行政法人工業所有権情報研修館公務員型の独立行政法人ですよね。ですから、役員、職員国家公務員なんですよ、今は。一般的に、公務員型の職員の違法行為によって国民が損害を被った場合、賠償責任訴訟は法人を相手に行うのか、役員、職員国家公務員ですので国を相手に行うのか、御答弁いただきたいと思います。
  32. 深山卓也

    政府参考人深山卓也君) 一般論として申し上げますと、独立行政法人業務のうち国家賠償法第一条第一項に言う公権力の行使に該当するものが含まれている場合には、独立行政法人職員がそのような公権力の行使に際して違法に他人に損害を加えたときは国家賠償法が適用されるものと考えております。この場合に、その独立行政法人業務の性質等にかんがみて、その公権力の行使の主体が国であるのか、つまり国の公権力の行使と解されるのか。その場合には、損害を被った者は、国それからその職員の給料等の負担者である独立行政法人のいずれか、あるいはいずれかの一方、あるいは双方を相手に国家賠償法に基づく損害賠償請求ができることになると考えられます。  他方で、その公権力の行使の主体独立行政法人であると、つまり独立行政法人の公権力の行使をその職員はしているという場合には、損害を被った者は独立行政法人のみを被告として国家賠償法に基づく損害賠償請求の訴えを提起することになると考えられます。  これに対して、その職員の行為というものが公権力の行使とは関係ないと、これには該当しないという行為であるということになりますと、これは国家賠償法の適用はありませんで、民法が定める使用者責任等に基づいて、その独立行政法人に対して損害賠償請求をすることになると、こういうことになると思います。
  33. 岩本司

    岩本司君 ありがとうございます。  その内容によってというか、そういう国民が被害を被った場合のそのケース・バイ・ケースでという御答弁でよろしいですね。はい。  この法案が成立されますと非公務員型の独立行政法人になるわけですが、平成十八年度予算で、これ、特許特別会計から運営交付金として百二十七億七千三百万円が繰り入れられることになっておるわけでありまして、非公務員型の独立行政法人になっても国の税金が投入されることは何ら変わりがないと。また、法人の長の任命ですね、また役員の解任、業務報告書の許可、また中期目標決定中期計画の認可や中期目標期間終了時の業務の全般的検討や財務諸表の承認に財産処分の許可まで、これすべて経済産業大臣の権限なんですね。現状と全く変わらないわけでありますけれども、これ、非公務員型の独立行政法人職員による違法行為、この場合の損害賠償はどうなるわけですか。
  34. 深山卓也

    政府参考人深山卓也君) あくまで国家賠償法や民法を所管する立場から一般論として申し上げますと、国家賠償法一条一項に言う公務員というのは、国家公務員法とか地方公務員法といういわゆる公務員法上の公務員には限りませんで、公権力の行使に当たる者であれば、皆これに該当すると一般的に解されております。  独立行政法人職員の違法行為に国家賠償法の適用があるかどうかという問題に関しましては、その職員公務員としての身分を与えられているか否かということよりも、その職員の行った行為が公権力の行使に当たるか否かというのが重要な基準になります。  したがいまして、独立行政法人職員による違法行為に対する損害賠償責任につきましては、いわゆる非公務員型の独立行政法人であるからといって、当然に公務員型のものと異なる結論になるというわけではございません。あくまで問題なのは、どういう行為をしたのかと、ついての責任であると、こういうことでございます。
  35. 岩本司

    岩本司君 ただ、冒頭質問させていただきました、「国の行政機関は、省、委員会及び庁」と規定しているわけですね。国の行政機関ではないのに、そういう人事権は大臣が持ったままで、もちろん税金も投入すると、で、そのケース・バイ・ケースで国も責任取らなきゃいけないとか、それを法的にもう少し明確に答弁いただきたいんですけれども。これ、残る話ですからね、議事録に。
  36. 深山卓也

    政府参考人深山卓也君) 確かに一般的に、公務員という言葉が国家賠償法には主体として入っていますので、ごく俗に言う公務員というのは、国家公務員、地方公務員という公務員法上の公務員を指すというのは先生の御指摘のとおりなんですけれども、この国家賠償法の公務員範囲についての解釈というのは昔から幾つか、非常に狭く国家公務員、地方公務員に限られるという説から、民間人であっても公権力の行使をしている者はみんな公務員と解すべきだという非常に広い説までいろいろな考え方があったところですが、現在の通説、判例では、先ほど私が申し上げたとおり、機能的に見て公権力の行使に当たる者は、身分民間の人であっても、あるいは特殊法人であっても、あるいは独立行政法人の者であっても、やっている業務が公権力の行使に当たるんだということになれば国家賠償法上の責任を国ないし公共団体が負うということになっておりまして、これは解釈論ですけれども、判例も含めた確定した解釈論だと考えていいと思います。
  37. 岩本司

    岩本司君 じゃ、公務員型であろうが非公務員型であろうが変わらないということですね。御答弁お願いします。
  38. 深山卓也

    政府参考人深山卓也君) 御指摘のとおり、当該独立行政法人業務あるいはその職員が具体的にした職務が同じである以上、ここの公務員としての身分の有無は、国家賠償責任の有無とは直接関係がございません。
  39. 岩本司

    岩本司君 直接関係ないんですか。じゃ、その法人の長はどういう責任取るんですか。
  40. 深山卓也

    政府参考人深山卓也君) 先ほども申し上げたとおり、国家賠償法の適用がある場合に損害賠償の責任を負いますのは公権力行使の主体でございます。ですから、国の公権力の行使であれば国、それから国とは別の、独立行政法人の公権力の行使と見られる場合には当該独立行政法人ということになりますので、長個人が、代表者個人という意味ですね、が損害賠償責任を負うことはございません。法人としての独立行政法人あるいは国が賠償責任を負うと、こういう構造になっております。
  41. 岩本司

    岩本司君 次に行きます。  国家賠償法の第一条でございますけども、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」と、これ、規定されております。第三条は「国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。」と規定されておりますけども、この国家賠償法の第一条の公共団体には独立行政法人含まれるんですか。また、非公務員型の独立行政法人も含まれるんですか。
  42. 深山卓也

    政府参考人深山卓也君) 国家賠償法一条一項に言う公権力の行使に該当するものが独立行政法人業務に含まれていて、その公権力の行使の主体が当該独立行政法人である場合には、国家賠償法の今お読み上げになった第一条、第三条、どちらにも公共団体という言葉がございますが、この公共団体に独立行政法人は該当すると考えられます。この点は、公務員型の独立行政法人であるか非公務員型であるかということで変わりはございません。
  43. 岩本司

    岩本司君 ということは、公務員型の独立行政法人でも非公務員型の独立行政法人であれ、独立行政法人は公共団体であるということでよろしいですか。正確にお願いします。
  44. 深山卓也

    政府参考人深山卓也君) 国家賠償法が適用される公共団体になり得るということでございまして、どんな職員の違法行為であっても全部その公共団体が責任を負うという趣旨ではございませんけれども、この国家賠償法の適用との関係ではこの公共団体というのは独立行政法人を含むというのが一般的な解釈だと思います。
  45. 岩本司

    岩本司君 独立行政法人に対して国家賠償法がこれ適用されるんであれば、ほとんど、国の機関と全然差異がないと思うんですけども、そういう認識でよろしいですか。
  46. 深山卓也

    政府参考人深山卓也君) 結局、問題の本質は、その業務が公権力の行使に当たるか、職員が違法行為をしたときに、した職務がどういう業務関係するものであって、その業務自体が公権力の行使と評価できるかどうかというところにかかわってきますので、今先生御指摘のとおり、国が当該業務をやろうと、独立行政法人が、全く同じ業務であればですね、やろうと、国家賠償法の適用という観点からすれば差はないということになります。
  47. 岩本司

    岩本司君 じゃ、国の行政機関、「省、委員会及び庁」と規定しているわけですけども、独立行政法人もこの国家行政組織法第三条には入ってませんけども、その第三条に値するという認識でよろしいですか。
  48. 深山卓也

    政府参考人深山卓也君) 国家行政組織法と国家賠償法との目的の違いということがありまして、国家賠償法は公権力の行使によって国民が損害を受けたときの賠償の責任を規定した法律で、先ほどもちょっと解釈のことを申し上げましたが、解釈で広めに公務員範囲を言わば機能的に考えるという解釈が確立しております。で、これと少し法分野を異にする国家行政組織法では、公務員という同じ法律の文言であっても広狭に差があると、こういうことだと思います。
  49. 岩本司

    岩本司君 独立行政法人は、主務官庁による強い事前関与、また統制による自主性の欠如、また事業運営の非効率性また硬直化、経営内容の不透明性、そして組織業務の自己増殖、不要不急な業務の拡張、あと経営責任体制の不透明性、こういう問題点を解消する仕組みとして創設されてますよね、これ。  で、もう何度も繰り返しになりますから言いませんけども、所管大臣の権限が広範に及ぶと。これ、いまだに独立行政法人制度のこの制度設計といいますか、これが確立してないというふうに考えますけども、今の御答弁でもお分かりになると思うんですけども、この制度をどのようにしていけばいいと考えますか。
  50. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) お答えいたします。  まず、独立行政法人制度そのものの趣旨からやっぱり御説明させていただきたいと思うんですが、元々この制度が出てきたのは、国の事務というのは企画立案から実施までいろんな事務をやっているんですが、そのうち実施部門については何も自ら国の行政機関がやる必要はないんではないかと。むしろ、例えば民間でできるものはもう民間委託してしまうとか、あるいは民間委託できないものについては中間的に組織的にしっかりした法人にやっていただくと。そういう形で、できるだけ国の行政機関組織、それから業務というものをスリム化していこうと、そういう流れでこういう制度が生まれてきたところでございます。  独立行政法人が生まれる前にも、御存じだと思いますが、特殊法人とか認可法人とか、よく似たような法人があったわけなんですが、ある意味で、そういった特殊法人、認可法人というようなのは既にあったんですが、これも御批判がいろいろございまして、手取り足取り主務官庁が監督しているとか、あるいは、やっぱり親方日の丸体質が抜けてないとかいうことで、透明性が重要だとか、委員御指摘だったですけれど、もろもろそういう御批判の下にこの制度が生まれたということでございます。  先ほどの御論議お聞きしてて感じたんですが、国の行政機関、これは国家行政組織法に定めてるんですが、確かに、法律に基づく事務を実施すると、あるいは権限行使をする、そういうために設けられていることでございますが、法律によって例えば国の事務を特別の法人にやらせるとか、あるいは民間機関でも権限を委任するというふうなことで、行政事務行政機関以外でやることは可能でありまして、ただ、可能でありますけど、その際いろいろ、損害賠償が出てきた場合どうするかとか、あるいは国家公務員法制を適用する場合どうするかとか、刑法適用をどうするかというような問題がいろいろ出てくるんですが、それは個別に調整しているという形になっているわけでございます。  そこで、お尋ねの件なんでございますが、そういうもろもろの議論を踏まえてこの通則法というのは設けられたんですが、そのときの根本思想は、やっぱり国の事務をやってもらう特別の法人なんであると。ですから、一つは、法人は国が強制設立することになっております。それから、政府出資もいいことになっています。それから、運営については交付金という形で財政支出もすることができます。それから、国の言わば事務としてやっていただく以上は、やっぱり国として最低限必要な責任が担保できるような仕組みが要るというようなことでの関与、これがやっぱり残さざるを得ないだろうということで残っておるところでございます。  ただ、さはさりながら、実施事務でございますので、大体、実施事務というようなのは、いかに国の事務でも、ある程度定型的、反復的なものですから、ある程度中間的にルールを作っていただければ、きちっとしたものを作っていただければ問題なくできますし、あと、むしろ成果、成果が大事なんであって、日々の運営法人に任せていいじゃないかというようなことも可能になります。  そういう意味で、従来、特殊法人なんかは特にそうなんですが、事業計画とか予算というようなのは毎年度の予算ごとに承認を得るとか、そういう相当細かい監督権限がございましたし、あと、特殊法人等については一般監督権限というようなのが設けられておりまして、運営についても事細かく所管大臣が関与できるような制度になっていたのを、それをむしろ抜本的に見直して、少なくとも中期目標を設定して、四年ないし五年間の期間、これは少なくとも運営面については法人が言わば民間企業的な運営ができるような仕組みにすると。そして、その間は所管大臣の関与をもう原則撤廃すると。  ただし、終わった後は、やっぱり目標に対する評価、こういったものをきちっとするという意味で、第三者機関のチェックを受けるということと、あと見直しをすると、そういう制度設計にしているところでございます。  私どもとしては、この制度はやっぱり今の段階ではベストな制度だとは思っていますが、ただ、一般論として、制度というようなのは、やっぱりいったんつくって、ベストだということでつくっても、いろいろな事情の変化はあると。それから、思ったように運営されていないことは大いにあり得るという意味で、正に今日のこの国会での御論議とかあるいは関係各方面の御論議、そういったものを踏まえながら、よりいい制度運営ができるように注視なり検討をしていきたいと、そういうふうに考えているところでございます。
  51. 岩本司

    岩本司君 非公務員化した後に、先ほど三十分掛けて質問をさせていただきましたいろんな法整備を今からやっていくと、後からですね。民間でできることは民間でというようなお話もされたりしていますけども、その法整備を後から追い掛けて、大体どのぐらい、何年ぐらいでやるつもりですか。
  52. 藤井昭夫

    政府参考人藤井昭夫君) ちょっと私の御説明が不十分だったかと思いますけれど、法整備を後からするという意味で申し上げたのではなくて、いろんな個別の作用ごとに関係法制が適用されると、その一つが国賠法であったり国家公務員法だったりしたんですが、その国家公務員法の適用については、今度非特定化という形でむしろその適用を廃止して、むしろ一般企業と同様の労働関係法制の適用の対象になると、そういうようなむしろ個々の行為、作用、それごとに関係法制が適用されるということを申し上げた次第でございます。
  53. 岩本司

    岩本司君 今回の法改正で、情報研修館、変わっていくわけですけれども、十八年度予算で百二十七億七千三百万円、先ほども午前中、同僚委員からも御質問ありましたけれども、自己収入ベースは予算ベースで八千万円となっていまして、これ財政状況はとても厳しいわけですね。だから、民間に近くしてその採算ベースを効率化するといいますか、採算取れるようにバランスを今から図っていくということだと思いますけれども、これ、非公務員化することで増収が見込めるんですか。
  54. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) この情報研修館提供しておりますサービスの中身は、元々は特許庁が無償で公表している各種の公報の閲覧でございますとか特許情報提供、それから中小企業を中心とする出願に対する相談業務でございます。したがって、その知的財産立国実現を目指します産業財産権行政における基本的なサービスということでございますので、原則として無償で提供されるべきものと理解をしております。  このため、これらのサービス提供に当たりましては、相当の対価を取ることにより自己収入の確保あるいはその増大を図っていくということは適当ではないというふうに理解をしております。これはこの法人が非公務員型になっても基本的には変わることはないと思っております。  ただ、一方で、少しでも運営交付金以外の収入を得る努力を行うという観点からは、そのサービス提供に当たりまして、これまでコピー代、いわゆる複写手数料やあるいは研修教材などについての実費相当額を負担していただくという方針で、十八年度においては御指摘のとおり約八千万円というふうになっております。  したがって、その非公務員化後におきましても、サービス提供は原則として無償ではあるけれども、サービス内容や対象者などに応じまして、その教材などについては実費相当額を負担していただくということを基本にいたしまして、できるだけ独自収入の確保に努めると。同時に、先ほど申しましたような勤務の形態とか採用面での弾力化ということで、全体としてユーザーに対するサービスの充実に努めていくということだと考えております。
  55. 岩本司

    岩本司君 予算が百二十七億七千三百万なんですね。で、収入が八千万円という。だから、端数が収入で、百二十七億、国民の皆さんの税金が投入されるわけですけども、今からサービス向上に努めると。具体的にどのぐらい、どういうサービスをして収入を上げていくんですか。
  56. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) これは、これから、その法人がどういうことをこれからやっていくかにもよりますけれども、私ども、知的財産の分野というのは非常に幅広い行政ニーズ、行政、その附帯的に関連するサービス内容があると思っておりますので、様々な知恵を出しながら、そのサービスの中身に応じまして、一方では基本的なサービス中小企業向けを中心に無償、他方で実費徴収の延長線上で更にどういうのが考えられるかということで知恵を絞っていきたいと、そういう形で指導していきたいというふうに思っております。
  57. 岩本司

    岩本司君 もう順番が逆です。先にやっぱりもうどういう計画を、来年どういう事業収入をやるですとか、どういうサービスをやるということができて、それから非公務員化にして法律改正する。先に法律改正した後に、さあ今からちょっとやっていきますなんて言ったって、なかなか国民の皆さん納得しないと思いますよね。  民間に対する情報提供、無償ですか、もうちょっと確認させてください。無償でそのままされるんですか。
  58. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、元々のその基本的な特許関連情報閲覧とか、これは物理的に事務所に来て閲覧される場合と、それから電子図書館などに電子的にアクセスされる場合とか、いろんな形がありますけれども、そういった閲覧とか情報提供、あるいは相談業務といったものは基本的に無償だというふうに思っております。  他方で、様々な研修業務、例えば民間の方のサーチをする、先行技術サーチするための研修でございますとか、あるいは特許庁審査官自身が行っておりますその審査の具体的な運用の基準を含めたそういった様々な知識についての民間企業向けの研修でありますとか、そういった場合には教材等の実費は徴収させていただくといったような形になると思っております。
  59. 岩本司

    岩本司君 研修でも、その教材が実費で、研修は、それでは、お金を企業からいただかないという認識でよろしいですか。
  60. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) その研修の中身は、一般民間の団体が知的財産に関する様々な研修事業をおやりになる場合、これはいろいろまたそういった料金の設定の仕方があると思いますけれども、私どものこの情報研修館で行っております研修の中身は、先ほどの例えばサーチの能力を向上していただくということは、結果として、民間企業からの出願に際しまして先行技術を十分あらかじめ調査をしていただきまして、無駄な出願を省くと。  現在、大変な多くの出願あるいはその審査請求を受け付けているわけでございますけれども、この日本全体の特許制度を効率的に運用していくためには、特許庁自らがその審査能力をアップして最大限効率的に、迅速的に審査をしていくことに努めるべきことは当然でございますけれども、他方で、民間の産業界の方もそのサーチの能力を向上していただいて、十分その事前のサーチに徹底を図っていただくということが必要でございます。  そういった意味では、この特許行政と表裏一体の面がございますので、情報研修館の行います研修の在り方といたしましては、教材などの実費徴収にとどめるという形が適切ではないかというふうに考えております。
  61. 岩本司

    岩本司君 そのコピー代とか、研修でも企業からいただかないわけですよね。それ、効率的にとかおっしゃっていますけど、そういう危機が全然ないんじゃないですかね。研修費もいただかないわけでしょう。これ、百二十七億七千三百万円を毎年毎年これ国民の税金を入れていって、何か、非公務員化したからって全然変わらないように感じるんですけどね。──いや、ちょっと待ってください、もう少し言いたいことが、言わなきゃいけないことがありますから。  さっき、民間でできることは民間でとおっしゃっていまして、口でそういうふうに言っても、じゃ現実問題、これ採算取るには、その企業研修収入を増やしていったりするしかないと思うんですよ。しかも、企業の、百二十七億ですよ、赤字という言い方すれば、国の機関ではないということですから。  民間でできることは民間でと言っているんであれば、その百二十七億、例えば一企業から年間一億研修費もらったとしても、これ百二十七社要るんですよ。しかし、そういう企業に対して研修費ももらわないと、無償でやっていくと。そうであるんならば、今、これ職員さん七十八名いらっしゃいますけど、三十名ぐらいにして特許庁の中に入れて、そしたらもう天下って高収入とか要らないわけですから、そういうふうにした方が私は効率的で、情報も外部に漏れない可能性も高くなると思うんですけども。  冒頭、何か、民間からもいろいろ、何というんですか、新しい知識とかを入れるというのをちょっと、僕、おっしゃったと思うんですけども、民間から役員ですとか中途採用とか、職員をする予定はあるんですか。
  62. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 直接御質問にお答えする前に、先ほど委員のおっしゃられている中に、国民の税金を投入ということがございましたけれども、一応事実関係といたしましては、この交付金の出元は特許の特別会計、つまり出願人の方からいただきました審査手数料とかいうことから支出をされているものでございます。  したがいまして、全体といたしまして、日本の産業界あるいは、もちろんこれは大企業中小企業、それから一般の個人の発明家も含めまして、そういう方々からちょうだいしたその出願料あるいは審査料等を元に、それらの方々がその特許制度を円滑に利用できるように、あるいは言い方を換えますと、特許制度が効率よく迅速に運営ができるようにという観点からの関連業務についての交付金というふうに御理解いただければと思います。  それから、今御指摘がございました非公務員型に移行するに際しまして公務員以外からの採用が可能になってまいりますので、この法人につきましては、多分一番検討すべき点は、ユーザーのニーズにこたえるという意味で、専門的な知識、ある場合にはそれは知的財産の分野、ある場合には経理、ある場合には情報システムの開発といったような点につきまして、民間専門家採用についてできる限り前向きに検討していくべきだというふうに考えております。
  63. 岩本司

    岩本司君 民間からも入れるといったって、人件費どんどん膨らんでいきますよ。  それと、先ほど、じゃその百二十七億円は、これは一切税金は入っていないということでよろしいんですね。一切税金が入っていないと。民間のお金で、特許庁を通してそのお金を交付金として支払うということでよろしいですか。簡潔にお願いします。
  64. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 基本的におっしゃるとおりでございます。
  65. 岩本司

    岩本司君 ありがとうございました。もう時間がなくなりましたので終わりますけども、最後に大臣、一言御決意をいただければと思いますけども。
  66. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま議員の御質問を拝聴しておりまして、私どもも更に工夫を凝らし、そしてこの特許というものの重要性を改めて国民の皆さんにも周知徹底をして御認識をいただく。同時に、今、海外との間でもこの問題をしょっちゅうやり取りをしておるわけでありますが、例えば中国とは近く中国の商工大臣を招いてフォーラムを開催しますが、その当面の議題には入っておりませんが、これは別途、前々から協議を続けておりますので、話し合いたいと思っております。そして、アメリカ等の大変この迅速に対応されていることなどもよく参考にして、私どもも速やかにその特許の持つ、国民の財産のようなものでありますから、これを日本産業の進展に大いに役立てるようなことについて、我々は一層の工夫を凝らしていかなくてはならない。  そして、今の財源の問題につきましても御指摘がありました。それじゃ国民の税金でなければそれでいいのかということではなくて、費用対効果という面につきましても、今後この制度が永続的に、更に発展的にこのお役に立てるような機関に仕上げていくために、一層工夫を凝らしてまいりたいと思っております。
  67. 岩本司

    岩本司君 終わります。
  68. 加納時男

    委員長加納時男君) 岩本司君の質疑は終わりました。
  69. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  本日は、独立行政法人工業所有権情報研修館法改正案について質問さしていただくわけでございますが、その前に、まず特許行政の全般についての課題について質問をしたいと思っております。  二階大臣は、昨年十二月に特許審査迅速化・効率化推進本部というのを設置されまして、官民挙げて取り組むべき行動計画をこの一月の十七日に策定されました。特許行政について積極的に取り組んでおられるわけでございますが、最初に当該推進本部について質問をさせていただきたいと思います。  この特許審査迅速化・効率化推進本部を設けた趣旨、そしてまた、たしか現在、審査待ちは二十六か月とか二十七か月だと思いますが、それを知的財産推進計画では二〇一三年にたしか十一か月に審査待ちにするという目標にはなっていると思いますけれども、その辺の達成の度合いについて、もくろみといいますか、御決意について最初にお聞きしたいと思います。
  70. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 特許の迅速な権利化ということは、これはもう国民の皆さんがひとしく希望、願望されておられることであります。我が国の国際競争力の強化という点から考えましても極めて重要であります。特許を申請して、そこで渋滞を来しておる間に他の国が特許を取得し、それで競争にもうスタートの段階で負けてしまうというようなことがあってはならないわけでありまして、こういう点につきまして、特許審査請求期間の短縮ということに力を注いでまいりたいと思っております。  一昨年来、特許審査請求件数がまた急増をいたしております。この状況に対する特許審査迅速化・効率化推進本部というものを設置いたしまして、私自身がその本部長を務めておるところであります。この本部におきまして、官民挙げて取り組むべき特許審査迅速化・効率化のための行動計画を決定をいたしました。経済産業省としては、出願人にも協力をいただきながら、行動計画の達成に今後全力を挙げて取り組んでまいる決意であります。  この計画の着実な実行によりまして、いわゆるこの審査順番待ちの期間というのが、議員も御指摘になりましたように、今日現在は残念ながら二十六か月を要しております。これを二〇一三年には十一か月にすることを目的目標といたしておりますが、これは実現可能と考えております。いずれの日かこの待ち時間ゼロということを目指して、我々は真剣な取組を行ってまいりたい。  そのために、国際的な協力も必要であります。他国で既に特許審査を行い、これがもう特許が下りるという状況になっておるというようなことに対して、あらかじめそうしたことの情報を入手することができれば、我々の、私たちの国の側の特許審査にも影響してくるわけでありますし、そうしたことは相互に協力できないかどうか、他の国々とも交渉したいと思っております。  今、経済産業省と同じような機能を持ついろんな国の大臣がお越しになりましたときの御発言のテーマの中に、この特許の問題が必ず入っております。この間もフランスから参りました閣僚が、私が中国から帰ってきた翌日でございましたが、知的財産の問題で中国とどんな話合いをされましたか、正に目を輝かすようにしてこの話の内容を知りたい、こういうことでありますが、私は諸外国、特に先進国が相協力してこの迅速化に向けてやってまいりたいと思っております。  その上には、我が国としては将来的には、先ほど申し上げましたように、待ち時間ゼロ、世界最速の審査実現を、このこと自体を我が国の国際競争力の向上に資するように対応してまいりたいと、このように考えております。
  71. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。  誠に力強い御答弁いただきまして、待ち時間ゼロということで、そういう審査の迅速化、また効率化というのは本特許行政の大きなかなめだと思っておりますので、是非引き続きよろしくお願いしたいと思っております。  また、そういう意味では、この今審議しております情報研修館も、そういうところに効果が、貢献があったのかどうなのかというところをまず聞きたいと思いますけれども、そもそもこの工業所有権情報研修館特許庁の当初は附属機関として設置したわけですね。で、その経緯、その当初の目的はどうだったのか、そしてその目的は十分果たしてきたと今から振り返って評価できるかどうかについて、松副大臣にお聞きしたいと思います。
  72. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 浜田先生おっしゃいますように、正に情報研修館の前身は特許庁の内部組織としてその工業所有権総合情報館があった、附属機関としてあったわけでございます。これは、そもそも設立の経緯は、明治二十年に、審査のための文献、商標見本、特許明細書などの閲覧させるための図書館を設置したことに始まるわけでございます。先人は、もう特許重要性ということを認識をしていらして、このころにもうつくられたということでございます。  その後、明治三十二年に、我が国が工業所有権の保護等に関するパリ条約に加盟をしたことに伴いまして、同条約に基づく中央資料館としての国際的な地位を獲得して、機能の拡充が図られてきたわけでございます。  平成九年に至って、この中央資料館としての機能に加えまして、工業所有権に関する相談業務や、あるいは未利用特許の活用を図る特許流通業務という役割を担うことといたしました。これは、眠っている特許等を発掘をしてこれを仲介するという、こういう業務でございますけれども、工業所有権総合情報館へと改称されたわけでございます。この間には、紙からITへ、つまり電子図書館になったわけでございます。  このように、工業所有権総合情報館特許行政に不可欠な役割を果たすものとして長い歴史を有し、また時代の要請に応じて機能の追加、拡充を行うなど、その目的を十分に果たしてきたものと考えております。
  73. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  当初の目的を十分に果たしてこられたという御説明でございますが、それでは、その工業所有権情報研修館を二〇〇一年四月に今度は独立行政法人に移行をしたわけでありますが、その経緯について、今度、特許庁の方にお聞きしたいと思いますが、二〇〇一年四月にこの工業所有権総合情報館独立行政法人として移行し、そうした方がその設置目的をより果たしやすいと判断した根拠はどういうことなんでしょうか。そして、その際、今回は非公務員化するんですが、当初は公務員化だったわけですね。公務員型の方がその独立行政法人として目的が果たしやすいと判断した理由について御説明いただきたいと思います。
  74. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 今御指摘がございましたその情報研修館の前身でございます工業所有権総合情報館、まあ元々、特許庁の内部組織でやってまいりまして、相談閲覧情報提供、そういったサービス業務をやってまいりました。ただ、これらの業務の性格を見ますと、迅速かつ的確な提供によりまして、少しでも民間の方々の利便性向上させるというのが最も重要だというふうに考えられます。そういたしますと、より機動的な組織運営あるいはより柔軟な予算管理といった独立行政法人のメリットを十分生かした業務運営が可能ではないかと、それが適当ではないかという判断の下で独立行政法人に移行したものであります。  その際、その工業所有権総合情報館業務の中身にかんがみますと、あるいはまた、国が、元々、特許協力条約上の国際調査に必要な最小限の資料を収集して提供するといったような、いわゆる中央図書館と申しますか、そういう義務という面もございますので、当初は公務員型の特定独立行政法人という形でスタートをしたわけでございます。
  75. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今御答弁ございましたように、二〇〇一年四月に独立行政法人に移行したわけですが、そして二〇〇六年三月までの中期目標によりますと、その役割として三つ挙げられているわけであります。第一には重複研究の回避による研究開発効率を向上させるんだと、また第二には権利化による負担軽減、そして第三には権利の流通促進ということがあるわけですが、この五年、中期目標については五年間たつわけでございますけれども、こういう目標についてはどの程度達成できているのかについて御答弁いただきたいと思います。
  76. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) まず、三点ございまして、第一点目の重複研究の回避によります研究開発効率の向上の点でございます。  今現在、五千四百万件に及びます情報をデータベースとして、インターネットを通じまして提供しておりますいわゆる特許電子図書館のアクセスの回数が年間約六千万件を超えるに至っております。これは、大企業はもとより、大学とか中小企業、あるいは個人に至るまで幅広い利用がされております。また、閲覧業務におきましても、年間七万人を超える利用者が訪れていらっしゃいます。これらのことから、この情報研修館は、既に存在しております技術、いわゆる先行技術と重複する研究の排除や、あるいは特許が認められる可能性の高い出願に絞っていくというような点におきまして大きく貢献しているものと考えられます。  それから、第二点目の権利化に要する負担軽減でございますが、これにつきましても、電子図書館や閲覧によります情報提供事業に加えまして、特許出願等の手続に関する相談が毎年度増加をいたしておりまして、近年では年間六万件を超えております。したがいまして、出願人が権利化する際の負担の軽減ということにつきましても大きく貢献しているのではないかというふうに認識しております。  最後に、権利の流通の促進でございますけれども、情報研修館独立行政法人として発足した平成十三年度以降、特許流通促進事業におきますライセンス契約などの締結件数が約六千七百件に及びまして、まあこれも着実に成果を上げております。大学、中小企業、大企業につきまして、お互いの技術移転、あるいは休眠特許事業化に大きく貢献しているものと考えております。  このような成果を踏まえまして、実は経済産業省独立行政法人評価委員会が第一期の中期目標の期間の予備的な評価を行いましたけれども、情報研修館の業績につきましては総合的に見てA評価ということになっております。したがいまして、今委員御指摘の三つの目標につきましては、この五年間でかなりの程度達成できたものと考えております。
  77. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 五年間の間でこの中期目標をほぼ達成できたという御答弁でありますが、一方、この工業所有権行政では国際的なハーモナイズというのが重要だと思っておりますけれども、そこで特許庁にお聞きしたいと思いますが、海外では、この日本の工業所有権情報研修館類似の機能を果たしている機関法人格、またそこで働く人の身分公務員なのか非公務員なのか、これについてはどのようになっているでしょうか。
  78. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) この情報研修館が実施しております業務に類似する業務については、ほとんどの場合、米国あるいはヨーロッパなどの諸外国では国の機関が自ら行っている場合が多いのが実情でございます。また、その機関に勤務する者につきましては、おおむね公務員というふうになっております。
  79. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今回、身分公務員から非公務員に変更するわけでございますが、ただいま御答弁ありましたように、諸外国では国の機関であり、公務員であると。そういう点で、そういう身分の違い、法人格の違いが問題とならないでしょうか。
  80. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) この身分の在り方につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、様々な観点から見直しを行いまして、結論としては、これまでの着実な実績も踏まえまして、更により的確にユーザーのニーズに対応できると、柔軟な業務運営を促進するという観点から、非公務員化が適当だという結論になったわけでございます。  ただし、業務の確実な実施あるいはユーザー信頼確保といった観点から、秘密保持義務あるいはみなし公務員規定の整備といったような所要の措置を講ずることといたしました。こういうことによりまして、ユーザーの方にとりましても、この職員公務員でなくても職務における公平性、中立性は担保し得るというふうに思っております。  それから、各国の該当する機関との情報提供情報交換ということにつきましては、これは元々が公開情報についての情報交換でございます。そういう意味で、我が国のこの情報研修館が非公務員型になったからといいましても、諸外国の類似の機関信頼性を損なうことはないというふうに考えております。もちろん、諸外国の機関から問い合わせがあれば、当然、十分説明をして理解を得てまいりたいと考えております。
  81. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 一方、当該情報研修館の設置目的一つに、中小企業などへの関連情報提供という話がございましたが、これにつきましては、既に同僚議員の方から効果を発揮しているというお話をございましたが、それで、最後に大臣に御質問させていただいて私の質問を終えようと思いますが、今回、本独立法人の非公務員化を通じて、本来我が国が目指していく、知的財産立国を進めていく大臣の決意を是非お聞かせいただいて、終わりたいと思います。
  82. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先ほどから、浜田議員もこの面でも専門家であられるわけでありまして、大変的を得た御質問をちょうだいしてまいりましたが、私どもも、現在策定中の御承知の新経済成長戦略の中でも、知的財産権保護というのは重要な施策の一つとして今後これを盛り上げていきたいと思っております。  情報研修館の非公務員化は、知的財産保護の推進に大いに役立つものであると考えておる次第であります。経済産業省としては今後とも、正に省を挙げ、この情報研修館など省外の資源も有機的に活用しながら、知的財産立国実現に努めてまいりたいと思っております。  なお、国際的には、特許手続の効率化、また出願人が国際的にも早期に特許取得を可能とするための特許審査ハイウェイ構想などを考えておりますが、これも実現に至りたいと思っております。また、これも議員承知のとおり、世界知的所有権機関というものがありますが、ここで新たな条約等をきちっと整備するように我が国も貢献してまいりたいと考えております。
  83. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 終わります。
  84. 加納時男

    委員長加納時男君) 浜田昌良君の質疑は終わりました。
  85. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 鈴木陽悦でございます。  時間短うございますが、衆参を通じて最後の質疑になると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  これまでの議論で大方出尽くしていると思いますけれども、私なりに感じた疑問点を質問させていただきたいと思います。重複点がありますところはどうぞお許しいただきたいと思います。  今回の法案審議なんですが、やはり政府知的財産戦略と、もう一つ行政改革推進の、この両方をにらんで考えなければいけないものだと思っております。といいますのも、去年の八月に出ました情報研修館見直し素案の中で、経産省としてはメリット、デメリットを挙げているわけでございますが、このメリットの項目を見ても、現行の公務員型の特定独立行政法人であることが望ましく、これを変更することは適切でない、最後の方のまとめでも、特定独立行政法人の位置付けを維持することが適当であるとしております。  この中で、独立法人化するデメリット、これについてちょっと申し上げますと、特許庁審査、審判等との密接関連性に対する影響、二つ目は国民等の信頼に対する影響、三つ目は国際的信頼に対する影響、この大きな三つの項目にわたって問題点それから懸念される点を挙げておりますが、こうした点に新年度からどのように対処していかれるのか、まずその辺からお聞きしたいと思います。
  86. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 今、委員御指摘がございましたとおり、幅広い観点から見直しを行い、特に三つの点がございます。  まず、第一点の業務の例えば遅滞することについての懸念に関連いたしますと、第一期の中期期間、五年間の実績から見て、この情報研修館において何かそういった業務の停滞、例えばストライキとかといったようなことが起こることは考えにくい実態ではございます。万が一そういう事態が生じても、管理職員、役員による代替で十分対応が可能と考えられるというふうな実態認識をしております。  それから、二点目でございます国民信頼に対する懸念でございますけれども、これも、例えば秘密保持義務、あるいは中立性、公平性についての、例えば収賄についてのみなし公務員規定とか、あるいはもちろん内部の就業規則等々によって担保していくことが可能ではないかというふうに考えました。  それから、最後の国際的信頼についての懸念につきましては、元々、独立行政法人に移行すること自体につきましては、発足の時点におきまして各国の理解を得ておりますけれども、今回、その身分が非公務員になるからといって、先ほども申しましたように、元々、公開情報の交換であることもございまして、十分理解は得られると思いますし、説明をしてまいりたいと思っております。  それらの点を総合的に勘案いたしまして、今回、独立行政法人として、公務員型のままでいるよりはむしろユーザーニーズに的確に対応できる柔軟な非公務員型に移行するのが適当だという結論になったわけでございます。
  87. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 次に、非公務員型ということについて伺いますが、これを契機といたしまして、業務見直し、コストダウンなどの効率化、それからサービスの充実を一層図っていくというふうにおっしゃっておりますけども、あさってからもう新年度、四月一日でございます。非公務員化で効率化、サービスの充実、それからまた民間的な発想というのも必要になってくると思うんですが、職場環境の問題で、やることは余り変わらずに意識を変えなくてはいけないと思います。その職員の皆さんの意識感覚と申しましょうか、結構つらいものがあるんじゃないかなと思っております。ちょっと心配でございます。まして、人事交流するとなればいろんなパターンも考えられるわけでございまして、こうした職員の皆さんの意識改革、この意識の問題にちょっと触れたいと思います。意識改革は大丈夫なのか、皆さんに何を求めていくのか伺いたいと思いますし、また、ちょっときついんですが、長官自身もですね、公務員と非公務員の部門の両方併せ持つことになるわけでありまして、長官御自身の意識改革、変化というものも併せて伺いたいと思います。
  88. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) この情報研修館、過去五年間、既に独立行政法人としてのメリットを生かして、自律的といいますかより柔軟にといいますか、機敏に業務運営してきたとは思っております。  実は、独立行政法人になりましてからユーザーサービスといいますか、接遇の研修なども導入いたしまして、あるいは閲覧相談時間の延長も図るとかいう形で既にユーザーに対するサービス向上実現してきております。さらに、御指摘のように四月一日から今回非公務員型に移行するに際しましては、すべての業務についてアンケートによりましてそのユーザーニーズを把握をして、常に職員国民皆様ユーザー皆様と同一の視線で一層のきめ細かいサービス提供ができるようにという職員の意識改革を進めていくというふうに承知しております。  あと、委員が御指摘になりました私自身につきましても、これは当然ながら二階大臣の名の下でこの情報研修館を所管しているわけでございますけれども、そもそも特許庁仕事自体が審査登録というような行政サービスを自ら責任を持って提供するということでございます。したがいまして、日ごろから常に産業界を中心とします特許出願人サイド、ユーザーの視点に立った業務運営に努めているつもりでございますけれども、そういった意識で同時に情報研修館につきましても指導していきたいというふうに思っております。
  89. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 今、長官お答えいただきました、その利用者目線というのをひとつ是非大事にしていただきたいと思います。  ちょっときつい言い方ですが、私、今回の改正案ですが、知的財産戦略に基づく改革とはちょっととらえにくいなという感じがいたしまして、規制改革・民間開放推進会議の非公務員化の流れの方が強いというふうにとらえております。  経産省・特許庁として、今後、知的財産戦略二〇〇五に基づいて組織改革、業務見直しに取り組む必要があると思うんですが、今後の取組の姿勢、それから、昨日いただきましたけれども、新経済成長戦略中間取りまとめ、この中で、重複になりますが、どう反映されているのか、この辺をお尋ねしたいと思います。
  90. 中嶋誠

    政府参考人中嶋誠君) 今後の取組でございますけれども、まず、直接的な特許審査あるいは審判といったような事務、あるいはこの産業財産権制度そのものの企画立案ということは、あくまでも国である特許庁が自ら直接責任を持って遂行すべきだと思います。そういう意味で、特許審査能力のパワーアップという観点からは任期付き審査官の大幅な確保等を行ってまいるつもりでございます。  他方で、必ずしも国自らが直接行う必要がないような業務、これにつきましてはこの非公務員化いたしました情報研修館の能力を最大限活用することが可能かと思います。  具体的には、特許電子図書館あるいはサーチャーの研修などを通じて民間企業サーチ能力を向上するということが期待されます。それから同時に、民間の能力それ自体をもっと活用するという観点からは、積極的にアウトソーシングも進めていくべきだと考えております。既にサーチにつきましては株式会社を含みます三つの民間登録調査機関に委託をしておりますけれども、今後更にそれを拡大をしていくつもりでございます。  こういった形で、政府自ら、それから独立行政法人、それから民間事業者サイドと、三者がそれぞれ分担、協力しながらその能力を最大限に発揮していくという形で、その知的財産立国実現に向けて最大限努力を続けていくということかと思います。あわせまして、現在策定中の新経済成長戦略の中でも、こういったことにつきまして知的財産を最重要施策の一つというふうに位置付けているわけでございます。
  91. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。大臣の御決意は先ほど浜田委員の方で伺いましたので、私の質問はここまでにさせていただきます。  ありがとうございました。
  92. 加納時男

    委員長加納時男君) 鈴木陽悦君の質問は終わりました。  他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  93. 藤末健三

    ○藤末健三君 私は、民主党・新緑風会を代表しまして、独立行政法人工業所有権情報研修館法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論を行います。  独立行政法人制度は、国の行政活動から政策の実施部門のうち一定の事務及び事業を分離し、これを担当する機関に独立の法人格を与え、当該業務を効率的かつ効果的に行わせることを目的に創設されたものであります。  しかしながら、現実には、独立はおろか各省庁からの天下りが継続しており、業務の効率化そして合理化には全く検証できていないという状況でございます。工業所有権情報研修館においても、職員を非公務員化するだけであり、これらの弊害を払拭できるとは思われません。  以下に改正案の反対理由を述べます。  第一に、独立行政法人工業所有権情報研修館の非公務員化は、国家公務員の定数削減の見せ掛けではないかという点であります。法改正後も官庁との人事交流は従来どおり可能となっています。現在、同法人の常勤職員のほぼすべてが特許庁などからの出向となっています。つまり、経済産業省は、独立行政法人を利用することによって、見せ掛けの国家公務員削減を行っているのではないかという疑問が残ります。  第二に、運営交付金が増加している点であります。独立行政法人の趣旨に従えば、工業所有権情報研修館は自立した収支計画及び資金計画を作成しなければなりません。しかしながら、収入のほとんどを国から、運営交付金に依存しており、その上、運営交付金が増加している状況では、いつまでも自立した業務運営を行うことは困難であると考えます。  そして第三に、業務見直しが不十分な点であります。工業所有権情報研修館職員は、ほとんど特許庁から出向しており、特許庁との業務の一体不可分な関係にあります。独立行政法人として行うべき業務を抜本的に整理しないまま非公務員化独立行政法人に移行しても、非公務員化の意義を見いだすことはできません。  知的財産立国は、我が国の大きな目標であります。しかしながら、本法改正は、そのような大きな政策目的から逸脱した公務員定数削減の目標を満たすためだけに行われているものであります。  以上の理由から、民主党・新緑風会は本法案に反対することを申し上げまして、私の反対討論を終わります。
  94. 加納時男

    委員長加納時男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  独立行政法人工業所有権情報研修館法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  95. 加納時男

    委員長加納時男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 加納時男

    委員長加納時男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十分散会