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2006-03-22 第164回国会 参議院 経済産業委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月二十二日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         加納 時男君     理 事                北川イッセイ君                 佐藤 昭郎君                 松山 政司君                 若林 秀樹君                 渡辺 秀央君     委 員                 魚住 汎英君                 倉田 寛之君                 小林  温君                 林  芳正君                 保坂 三蔵君                 松村 祥史君                 岩本  司君                 小林 正夫君                 直嶋 正行君                 藤末 健三君                 山根 隆治君                 浜田 昌良君                 松 あきら君                 鈴木 陽悦君    国務大臣        経済産業大臣   二階 俊博君    副大臣        経済産業大臣  松 あきら君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       小林  温君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    政府参考人        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      伊東 章二君        防衛庁防衛局次        長        金澤 博範君        財務大臣官房審        議官       佐々木豊成君        国税庁課税部長  竹田 正樹君        文部科学大臣官        房審議官     山中 伸一君        厚生労働大臣官        房政策評価審議        官        村木 厚子君        厚生労働省職業        安定局次長    高橋  満君        経済産業大臣官        房審議官     深野 弘行君        資源エネルギー        庁長官      小平 信因君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        近藤 賢二君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     広瀬 研吉君        中小企業庁長官  望月 晴文君        国土交通省海事        局次長      冨士原康一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成十八年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十八年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十八年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (内閣府所管公正取引委員会)、経済産業省  所管及び中小企業金融公庫)     ─────────────
  2. 加納時男

    委員長加納時男君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  去る十六日、予算委員会から、本日一日間、平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち公正取引委員会経済産業省所管及び中小企業金融公庫について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。     ─────────────
  3. 加納時男

  4. 加納時男

    委員長加納時男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 加納時男

    委員長加納時男君) 審査委嘱されました予算について、まず二階経済産業大臣から説明を求めます。二階経済産業大臣
  6. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 平成十八年度の経済産業省関係予算等について御説明申し上げます。  我が国経済は、企業部門家計部門がともに改善し回復していることは御承知のとおりであります。他方、一部の地域中小企業には回復の遅れがあることと、高止まりする原油価格の影響については引き続き留意が必要であります。また、中長期的には、少子高齢化人口減少社会の到来、グローバル化国際競争の激化、エネルギー環境制約の高まりなど、我が国経済を取り巻く環境が大きく変化をしております。  こうした状況の下、内外の諸課題に全力で取り組むべく、厳しい財政制約の中で、以下の四つの柱を中心にめり張りのある予算編成を行っております。  第一の柱は、イノベーションを通じた競争力ある産業群の創出であります。  中小企業の優れた物づくり技術や高度な部材産業は、我が国産業競争力基盤であり、強みの源泉であります。こうした日本の誇る中小企業物づくり技術を一層強化するための法案を提出したところであり、これにより鋳造、メッキ等基盤技術高度化のための研究開発人材育成などに対する総合的な支援を行ってまいります。  次に、資源に乏しい我が国にとって、優れた産業人材は貴重な宝であります。このため、工業高専等との連携による中小企業人材育成地域産業界大学等との連携による高度な専門人材育成若年者就業促進等に向けた支援を行ってまいります。  次に、科学技術創造立国実現に向け、戦略的に研究開発を行うことは未来への投資として重要であります。このため、半導体、ロボット、健康福祉等重点分野につき研究開発推進してまいります。また、知的財産立国実現に向け、世界最高水準の迅速かつ的確な特許審査実現や、模倣品海賊版対策などに取り組んでまいります。  また、挑戦を促し競争力の強化に邁進できる社会とするため、中小企業再生支援する仕組みの充実や、対日直接投資促進に加え、製品の安全性の向上、コンピューターのセキュリティーの確保など、安全、安心な社会システム構築を進めてまいります。  第二の柱は、東アジア地域を重視した通商戦略展開であります。  東アジア地域成長力我が国経済活力として取り込んでいくため、戦略的に経済連携交渉推進するとともに、中国を始めとするアジアの国々との人的交流を拡大するなど、我が国相手国とが相互に発展できるような取組を進めてまいります。  WTO交渉については、本年末のドーハ・ラウンドの交渉終結に向け、鉱工業品関税、農業、サービス、ルールなどの主要分野における我が国国益を最大限反映した成果を目指してまいります。また、途上国支援の一環として、途上国の特色ある商品の発掘、育成などを内容とする「一村一品」運動に積極的に取り組んでまいります。このため、ジェトロ等による途上国の魅力ある商品展示を進めるとともに、国内の主要空港における発展途上国産品展示販売コーナー設置等支援してまいります。  第三の柱は、エネルギー環境政策推進であります。  省エネルギーの更なる推進や、バイオエタノールなどの新エネルギーの導入、安全確保を大前提とした核燃料サイクルを含む原子力発電推進、石炭のクリーンな利用などによるエネルギー源多様化に取り組んでまいります。また、石油天然ガス自主開発供給源多様化海洋権益確保に力強く取り組んでまいります。さらには、本年五月に第一回の日中省エネルギー環境総合フォーラム日本で開催するなど、我が国の優れた環境エネルギー技術を活用した国際協力推進し、世界エネルギー問題の解決に貢献してまいります。  また、地球環境問題や循環型社会構築は、今や全人類が一丸となって取り組む喫緊の課題であります。京都議定書の目標を達成するため、政府としても、我が国の優れた技術などにより途上国の持続可能な開発地球規模での温暖化防止に貢献するとともに、政府としても国民各層の参加と協力をいただきながら、ともに目的を実現する法案を提出したところであり、京都メカニズムの活用を推進してまいります。  第四の柱は、中小企業活性化地域経済再生であります。  我が国経済の力強い発展には、中小企業地域経済活性化が不可欠であります。このため、さきに述べた物つくり中小企業技術開発支援するほか、中小企業金融円滑化を進めてまいります。  地域経済活性化については、各地域が、歴史や文化・伝統、観光資源地場技術大学といった固有の資源を活用し、地域ブランド確立などにより地域産業競争力が向上するよう支援してまいります。中心市街地活性化については、コンパクトでにぎわいあふれるまちづくりを推進すべく、関係省庁連携して法案を提出いたしました。これにより総合的な支援を行ってまいります。  以上の施策を中心に、平成十八年度の経済産業政策の実施に向け、当省予算として、一般会計総額七千八百二十八億円を計上しております。また、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計に五千五百四十二億円、電源開発促進対策特別会計に二千五百三十三億円、特許特別会計に千百八十六億円、貿易再保険特別会計に千五百八十三億円を計上しております。  なお、二つのエネルギー特別会計につきましては、特別会計改革への取組と、責任あるエネルギー政策の遂行の両面を念頭に置き、歳出全体の額を大幅に削減する一方で、石油天然ガス開発省エネ対策原子力推進などに重点的に予算確保しております。また、エネルギー特会を含む四つ特別会計について、昨年十二月に閣議決定した行政改革重要方針に従い、制度改正も含め積極的に改革を進めてまいります。  なお、経済産業省平成十八年度の予算及び財政投融資計画の詳細につきましては、お手元に資料をお配りしてありますので、説明を省略させていただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  7. 加納時男

  8. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 平成十八年度における公正取引委員会関係予算につきまして、その概略を御説明申し上げます。  内閣府所管一般会計歳出予算のうち、公正取引委員会予算額は八十三億三千八百万円となっております。これは、前年度予算額に比べますと、総額で二億七百万円、二・五%の増額となっております。このうち、人件費は二億三千二百万円の増となっております。人件費の中には、違反事件審査部門中心とした四十二名の増員のための経費が含まれております。また、物件費は二千五百万円の減となっております。  以下、その内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律、いわゆる独占禁止法施行経費等として八十一億五千五百万円を計上しております。  これは、独占禁止法違反事件に対する迅速かつ実効性のある法運用、ルールある競争社会推進等競争政策を積極的に推進するための経費であります。  第二に、下請代金支払遅延等防止法、いわゆる下請法施行経費として九千二百万円を計上しております。  これは、下請法の厳正な運用啓発普及活動を積極的に行い、下請取引適正化推進するための経費であります。  第三に、不当景品類及び不当表示防止法施行経費として九千百万円を計上しております。  これは、景品表示行政を積極的に推進し、公正な競争を維持促進することにより、消費者利益確保を図るための経費であります。  以上、平成十八年度における公正取引委員会予算につきまして、その概要を御説明申し上げました。  何とぞ、御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
  9. 加納時男

    委員長加納時男君) 以上で説明の聴取は終了いたしました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 松村祥史

    松村祥史君 おはようございます。自由民主党の松村祥史でございます。本日は、平成十八年度の経済産業省関連予算委嘱審査ということで、トップバッター質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  その前に、昨日、ワールド・ベースボール・クラシックが開催されまして、王ジャパン世界一の称号をかち取られました。この中でも見られていた方もたくさん、多いんじゃないかなと。国民皆さんにも大変な勇気を与えられたことと思っております。日の丸の国旗を背負って戦う選手の真剣な姿に非常に感動も覚えましたし、日本人としての誇りを感じたところでございます。そういう意味では、我が国有数企業も、ある意味日の丸を背負って世界各国活躍をいただいているものと思います。同様に、是非御活躍をいただきたいなと。  そういう意味では、この経済産業委員会というのはその中枢でございますから、今年度の予算審議の上では大変質のあるような質問をさせていただければなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  まず、二階大臣におかれましては、昨年の秋の御就任以来、精力的に海外にもどんどん出られまして、FTA、EPAの確立でありますとか、とりわけ東アジア圏における通商戦略においては大変に奔走されておられますことに心から敬意を表する次第でございます。また、他方地域経済にも大変な御理解を示していただいて、先ほどのお話の中でも力強い中小企業政策支援のお言葉をいただいたと認識をしております。  私、思いますに、今現在、我が国経済バブル崩壊後ようやく長引く景気低迷を脱して、少しではありますけれども緩やかに成長しつつあると、このように思っております。三月でございますから、それぞれの企業決算期でございまして、三年連続の過去最高益を上げるなど、その実績もしっかり出ていると、このように認識をしておりますが、他方でですね、他方格差という言葉がまあ新聞紙上始め今飛び交っておりますように、地域経済においては、それぞれの地域によってはいろんな格差が広がっている。人口格差所得格差地域格差経済格差、こういったものが広がり、なかなかそれを脱却することができない実情があるんじゃないかなと思っておる一人でございます。特に、地域経済、このことを活性化させていくには、これからの我が国のことを考えますと、まあ少子高齢化人口減少、こういった問題を抱える中で大変大きな問題があるなと思っております。  私は、この委員会に所属をさせていただいて、日ごろから、企業においては、日の丸の旗を背負って世界で戦う大企業皆さんには、これはもちろん国益のためにどんどん頑張っていただきたいし、その支援充実をしなければならないと思っております。しかしながら、地域経済を担う中小企業政策においては、もっともっと充実を図る必要性があるんじゃないかと。やはり地域経済活性化には、この中小企業活性化なくして日本経済の根幹を支える経済発展はあり得ないと、このように日ごろから考えております。  その地域経済を語るときに、じゃ、どうやったら地域経済が良くなるかと。これは持論でございますが、やはり金融政策充実というのは、これはもう必要不可欠であると思います。いまだ地域経営者皆さんは、本当に経済が良くなったと、よし、将来に向けて夢と希望を持って戦略を立てていこうという段階には至っていないんじゃないかなと、こう思っております。中小企業が生き抜いていくためには、やはり安定的な資金繰り、これがあって初めて戦略が立てれると。まあ私も経営者をやっておりましたからこのように実感をしておりましたし、まあ何というんでしょう、返すためのお金じゃなく投資的経費が借りられるような形になってくると、企業としては非常に成長のスタートが切れるというふうに理解をしております。  今、地方に参りますと、経済が良くないという地域に参りますと、この金融政策がなかなかうまくいかないという企業方々の声を聞きます。と申しますのが、日本企業は、日本経済は良くなったと申しますけれども、メガバンクが昨今誕生いたしまして、こういったメガバンク地方への進出を今いろんなところでやっております。そうなりますと、地銀皆さん方との競争が発生するわけですね。この地銀皆さん方も大事な地域経済の担い手の地場企業でございます。しかしながら、メガバンク皆さん方は、やっぱり資本力に物を言わせて非常にいいところとのお付き合いをどんどん展開をされる。そうなりますと、地銀皆さん方はそういった方々競争になかなか勝てないと。そうなりますと、末端の皆さん方はもっとハードルが高くなり、貸し渋りや貸しはがしなんというのも、数字では出てきておりませんが、実際には発生しているようなことも聞き及んでおります。  そこで、今日までこうした中小企業金融機関として、国民生活金融公庫中小企業金融公庫商工中金、こういったいわゆる政府系金融機関の役割というのは大変大きなものがあったと思っております。行政改革推進法の議論が進む中で、政府系金融機関政策金融改革後もこういった機能やその形態であるとか、中小企業皆さん方への十二分な融資、とりわけ小規模零細企業への方々へのその機能充実改革後もしっかりと果たしていただきたいと強く望んでおる一人でございますけれども、このことについては二階大臣も再三いろんな御説明もされておりますし、十二分な御理解をしていただいているものと理解はしております。しかしながら、あえてですね、あえて今日は冒頭にこのことを、大臣の強い決意をお伺いできればと思っておりますので、どうぞ、大臣、よろしくお願いをいたします。
  11. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 答弁に先立ちまして、先ほど松村議員から御指摘のありました昨日のこの王ジャパンの優勝に対して、今朝ほどの閣僚懇談会におきましてもこのことに対して意見が出まして、監督、選手に対して何らかの国としての表彰するようなことを考えられないかというふうな意見もあったようでありますが、私は、今議員の御質問を聞きながら、松村議員はたしか東都大学の名選手東都大学リーグの名選手であったということを聞いておりまして、時代時代であればその一員にも選ばれたのではないかと思っておりますが、いずれにしましても、不況だなんだというような話がたくさんある中で、私は、日本全土に明るい話題をもたらしたということは、これはもう称賛に値することであるというふうに思っております。また、全国商工会議所青年部長として松村議員は長年御活躍をいただきましたが、今回の中小企業の金融問題にも、ただいま大変御理解の深い御質問をいただきまして、私ども経済産業省として、この問題に取り組んでいる者として大変力強く、また有り難く思った次第であります。  いずれにしましても、我が国経済活力、その源泉は私は中小企業にあると。したがって、中小企業が大企業に比べて景気回復がまだなお一歩だ、あるいは地方が、都会地はいいが地方が後れているではないか、こういう声が私が就任当時、随分言われておりました。私もそういう認識は持っておりましたが、認識を持っておるからといってそのことにうなずいてばかりおったのでは、これは地方中小企業も元気を出すというわけにいかない。したがいまして、私は正にその逆風をついて、中小企業地方も奮起をしてください、一緒に頑張ろうではないですかということをずっと言い続けてきたものでありますが、今御指摘中小企業皆さんに対しての円滑な資金供給ということは、これはもう大変重要なことであります。  私は、随分前のことでありますが、ある金融機関の、当時その方は副頭取をされておりましたが、後に銀行協会会長にもなられた方であります。全然別のところでお目に掛かって、少しお話をしたいと、こういうことでありますから、ちょっとお話を伺っておりますと、私は長年金融業としてこの仕事に携わってきて、一般企業というのは限りなく貸し続けてあげればやがて黒字になる、必ず黒字になる、私はこう確信しているんですと、こうおっしゃるんです。私はびっくりしまして、金融機関皆さんは、今、松村議員から御指摘がありましたように、貸し渋り、貸しはがしというのが得意技じゃないかと、何かあったらそんなことにして、それで結局企業をつぶしてしまうというふうなことが今まではあった。したがって、私は、金融機関の人というのはまあ冷たい人が多いんだなというふうに思っておったけど、今あなたのお話を聞いて私は本当に感心したと、今後またいろいろな御意見をお聞かせ願いたいと言ってその場はそれで別れたんですが、注目してその方の活躍、行動を見ておりますと、ついに銀行協会会長までお務めになったということでありますが、私は他の金融関係に携わる皆さんも、つめのあかとは言いませんが、少しはそういうことにも配慮をする気持ちがなくてはならない、いわんや政府系金融機関の立場は、私は、中小企業皆さんの本当にお役に立てるような機関でなくてはならないと思っております。  しかし、現に今、関係者皆さんの話を聞きますと、中小企業問題に一生懸命取り組んできたその実績、だんだんこの期に及んで特に高い評価をいただいておるようであります。また、商工中金等とお付き合いをしておる中小企業皆さん、私は会社がつぶれ掛かった、もうほとんどつぶれた、もうどうしようもないといったときに、商工中金へ駆け込んで御相談を申し上げたところ、あなたの技術に期待するということを言って自分の希望する額を貸していただいた。それから三十年になるが、そのおかげをもって私は今日ある。もうその中小企業世界的堂々たる企業成長しております。感謝の念を忘れたことはないというお話を聞きながら、私も本当に感動深くその方のお話を伺いました。いったんつぶれ掛かった会社だということを堂々とおっしゃいながら、商工中金が適時適切に対応していただいたことが私の今日があると。そのときにこの商工中金機能がもし中小企業皆さんの期待にこたえるような状況でなくなれば、これはもう大変なことになるわけでありますから、我々はこれから詳細な制度設計に入っていくわけでありますが、常に各地で中小企業皆さんから随分御熱心な御意見を伺っておりますから、完全民営化の後も、引き続き中小企業向け金融機関としてこれを、この機能を大切にしてまいりたいと思っております。  二、三日前、政府内閣府のやっておりますタウンミーティングというのに、私は東大阪市へ参りました。いろんな方々から御意見がありましたが、特に印象に残ることは、我々の頼りとする中小企業金融機関が私たちに、引き続き自分たち相手になってくれるような金融機関として残ってほしい、そのことを経済産業省として十分取り組んでもらいたいと御意見がありました。私もこれらの御意見を体して、先ほど申し上げました、これからの金融機関の、政府系金融機関制度設計において、特に商工中金において現在の機能が維持できるような道をしっかり考えてまいりたいと思っておりますので、この道に大変お詳しい松村議員にも、今後一層の御支援をこちらからもお願いを申し上げておきたいと思います。
  12. 松村祥史

    松村祥史君 大臣、力強い御答弁、ありがとうございました。大変な御理解をいただいているものと改めて認識を深くしたところでございます。  とりわけ、国民生活金融公庫中小企業金融公庫、その機能については、これはもう政府系金融機関という形で残していただけるんではないかと思っておりますし、その機能については十二分に今後も発揮していただき、中小企業者の金融のパートナーとして是非その存続をお願いしたいと。  また、商工中金についても、いろんな問題はございますが、民営化の道をたどるに至っても、それなりの私は助走期間が必要だろうと思います。さあ、あしたから民業をやりなさいと言われても、資本金の問題であるとかいろんな問題を抱えていると思っております。そういう意味では、今後もその機能というのはしっかりと果たしていただけるような形を取っていただくような施策に展開していただきますようにお願いをしておきたいと思います。  また、私の詳細までいろいろとお褒めいただきまして、ありがとうございました。付け加えさせていただくならば、私は名ショートも、名選手も、迷う方の迷でございまして、余り大した活躍はしておりません。そういう意味では、この国会に送っていただいて、しっかりと中小企業者の代表としてまた頑張りたいなと思っておりますけれども。  その中小企業団体向けの補助金についてちょっとお伺いをしたいと思います。  我が党も昨年の衆議院選のときに、マニフェスト作成のときに、中小企業政策充実、今回初めて小規模企業者の施策の充実ということを掲げました。この地域経済団体としての中小企業者のチャンネルの一つとして、商工会や商工会議所がございます。実は、昨年の十一月の八日でございました、税源移譲ということでこういった団体向けの補助金が全額廃止ということを決定されたわけでございますが、この経過の中においては二階大臣にも大変な御尽力をいただいて、全国の知事会の会長でございます麻生知事にも直談判をいただいて、しっかりと地方でやってくれと、またお手紙まで書かれていろいろと御尽力をいただいたと聞いております。  そのことは大変感謝を申し上げる次第でございますけれども、今後、こういった地域経済の団体の役割を、事業展開をそれぞれの地方行政が担っていくわけでございますけれども、私は少々不安がございます。と申しますのが、それぞれの県のやっぱり財政状況も大変良くありません。ましてや地方分権という中で、変わり目の中で、それぞれの首長さん方の指針というのもまだまだ暗中模索の状態ではないかと。そのときに果たして、地域経済団体というものの在り方論がまだまだ明確ではない中で、単なる削減であったり、本当に重点策を、このことを充実していくんだというような形ができているのかどうか、こういった意味では大変な不安を持っております。  そういう意味では、私は、ある一定の国の関与というのは今後も必要ですし、これまでも必要であったと、このように考えておりましたし、この委員会でも再三発言をさせていただきました。こういった不安を抱えた中で廃止が決定をいたしましたが、こういった地域経済団体というのは非常に大切だと思っております。こういったものをもっともっと生かし、その潜在能力を高めていくことというのは重要なことであると認識をしておりますので、そういった点で国の関与についてどのようにお考えか。  松副大臣も大変、小規模事業政策については、昨年も一緒にやらせていただく中でお詳しゅうございます。是非、御見解をお聞かせいただければと思います。
  13. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 先ほど大臣から、松村先生は全国商工会の青年部の連合会の連合会長をなさっていらっしゃるというお話ございましたけれども、正にだれよりもそうした中小企業あるいは小規模事業者の皆様の御苦労を肌身で知っていらっしゃるのが松村先生であるというふうに認識をいたしております。  そしてまた、小規模事業者の方が地域で果たす役割、これは非常に大事であります。地域経済発展のためにはこうした皆様方の御努力があるわけでございまして、大変にこの方たちのためには私どももしっかりと支援を、協力をしていかなければならないというふうに思っております。  昨年のこの三位一体に関しましては先生よく御存じで、正にこういうペーパーを、私も官邸に実は、これ、できたてのほやほやのときに持ってまいりまして、口約束だけではない二階大臣でありますということで、だれでも口でお願いするのは簡単なんですね、ああ分かりました分かりました、いただいた七十億円大丈夫ですよと、こうおっしゃっても、なかなか実際はそうはいかない。国の分は、出す分もないわけですから。それで、こういうふうに、地方自治体が国が負担している分も含めてこれまでどおり確実に執行してくれるかどうか、中小企業関係者が強い不安感を抱いているというふうに文面にもしっかり書かせていただいて、お互いの文書をサインをして取り交わしたということがございます。もちろん、これは法的な拘束力というのはありませんけれども、これだけきちんとお互いに文書を取り交わしたということは大きな私は、全国の知事会の会長、麻生知事もよく認識をしていらっしゃって、それぞれの知事さんにしっかりお話をしていただいたというふうに、こういうふうに思っております。  しかし、だからといって、私どももこれで終わりとは決して思っておりませんで、商工会・商工会議所関連予算として百二億円、また小規模事業経営支援事業費補助金ということで、例えばジャパン・ブランドですとか創業人材育成費あるいは販路開拓、経営革新、いろいろなそういうものに対するお金、これが七十七・九億円、また地域中小企業経営支援事業、シニアアドバイザーですとかマッチング事業ですとか、こういったところに二十四・四億円、そのほかにも若者と中小企業を結び付けるこうした事業、あるいは少子高齢化の、商店街等の、これにも四十七・九億円と、しっかりと私どもは関連の予算を取っております。その際は、商工会あるいは商工会議所には中心的な役割をお願いすることになっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  14. 松村祥史

    松村祥史君 松副大臣、ありがとうございます。大変な御理解をいただいているものと、改めてまた認識を深くしたところでございます。  私も若い経営者地方におりましたから、地域経済団体というのは、経営をただやるだけではなくて、しっかりと地域を守っている。私はこういう単語を使うんですが、地域の防人だと。昨今、地域経済も悪くなりますと、犯罪も多発してまいります。そんな中で、しっかりと家業、企業の経営をやりながら地域をしっかり支えていると、その上でまた子供たちを守ったり、本当に尽力いただいている、このように理解をしております。ですから、こういったところを、こういう組織を充実をさせていく、もっともっと潜在能力を高めていくことが大事であると思っておりますので、是非今後もよろしくお願いをしたいと思っております。  もう一歩踏み込ませて中小企業政策についてお尋ねしたいと思いますが、地域中小企業者を見ますと、なかなか、成長段階において特に小規模事業者なんというのは情報の活用方法が下手だなと。いい逸品であるとか技術であるとか持っていらっしゃるのに、これは小が小たるゆえんであるわけですけれども、なかなか活用し切ってないなと、こういうことを目の当たりにすることがございます。いろんなアドバイスをいたしますが、やはり企業体系が小さいゆえに、なかなかそのことを分かっていてもできないと、こういった方々がたくさんいるなと。逆に言うと、日本にはそういった方々がまだまだ埋もれていると。そういったものにもう一歩踏み込んで、国としても、経営面での支援とか金融政策のみならず、やはり情報の活用方法であったり、いろんなこういう、もう一歩踏み込んだ政策展開できないものか。  小林務官は、情報にもたけていらっしゃいますし、企業も経営していらっしゃいました。そういう意味では、是非、こういったものについての御見解があられるかどうか、ありましたら是非御所見を伺いたいと思いますので、お願いします。
  15. 小林温

    大臣政務官小林温君) おはようございます。  私もかつて商工会青年部のメンバーでございましたので、松村委員の御活躍ぶりははたで拝見をさせていただいておりました。  今委員御指摘のとおり、特に中小企業を見た場合に、例えばすばらしい技術を持っていても、それ以外の人的資産、例えば御指摘の経営面ですとか、あるいは販売面とか宣伝だとか、今で言うとITの活用だとか、そういった部分の人的資産にすべて恵まれている企業というのはなかなかないわけでございます。そういう意味においては、これからの中小企業支援策というものは、資金面のみならず、そういったソフト面での支援というものも充実させていく必要があるというふうに認識をさせていただいております。  これまでも、全国各地にあります中小企業支援センター、あるいは商工会、商工会議所が気軽にそういう経営課題の相談の窓口になってきたというのは事実でございますが、こうしたソフト面での取組というもの、経営面、販売面あるいはITの活用といった部分のアドバイス機能というものを更に充実をさせていくということがこれから必要になってくるというふうに思います。また、やる気と能力がある中小企業に対して、資金面とノウハウ面を組み合わせて支援する制度の充実も現在も図っているわけでございますが、一例を挙げれば、十七年度から始まっております新連携事業、ここでは、新しい製品を開発する取組などについて営業の専門家が計画の策定から事業化まで一貫して支援を行うというようなことも始まっているわけでございます。  ですから、今委員御指摘の点を踏まえて、是非、資金面のみならず、それ以外のソフト面あるいはノウハウ面での支援策というものをこれから実施をしていきたいというふうに思うところでございます。
  16. 松村祥史

    松村祥史君 ありがとうございました。是非、そういった、一歩前に出る、やる気のある方々を強力なバックアップでもって御支援いただきますようにお願いをしたいと思います。  また、この支援については昨年の委員会でも質問をさせていただきましたけれども、ジャパン・ブランドという育成支援策がございます。このことについては、私も、単年度のいろんな支援ではなく、やはり経営というのは、成長企業ですからステップアップが必要だと、育てる、戦うための形を取る、そして勝つと、こういった二、三年ぐらいのじっくりと腰を据えた施策の展開が必要であろうと思っております。このことも十二分に御理解はいただいていると思っておりますけれども、実際、平成十七年度の成果についてはどのような成果が出たか、また今後このジャパン・ブランド、どういった形で進めていかれる予定なのか、御所見をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  17. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) お答えいたします。  ジャパン・ブランドの育成事業というのは、地域でそこそこきちっとやっておられるいいもの、あるいはいい技術があった場合に、これを日本全体あるいは世界に打って出ようということで始めた事業でございますけれども、十六年度の事業開始以来、十六年度、十七年度で六十一件の事業が採択をされておりますし、その中で既に海外での本格的な販売が始まった事例も出てきておりまして、それなりの成果は上がっていると思います。  例えば、先生の身の回りでは、天草の、熊本でいえば天草の陶磁器、有田焼の原料に使っている陶石を使って新しいタイル、絵タイルというものを造るということを十七年度から始めておりますけれども、これなども絵タイルの本場であるポルトガルのものを念頭に置いた市場調査をやり、これから正に展開をしていこうという時期になっているわけでございます。  しかしながら、この例を見ましても、海外におけるブランドの確立には製品開発展示会出展等の情報発信を少なくとも数年間継続的に行うことが必要だというのが実情だということもだんだん私どもも十分理解するようになってまいりました。こういったことから、ブランド確立をより強力に推進するために平成十八年度から制度を変更いたしました。具体的には、最大三年間にわたる継続的な支援を可能とするとともに、全国各地で案件を掘り起こすためにブランド確立に向けた戦略の策定に対する支援というのも新たに導入をするということでございます。  今後とも、本制度の実効を上げるために私どもとしても更に工夫をしていきたいと思いますし、全国にはこういったもの、全国あるいは海外で通用する地域発の製品というものが数多く、可能性があると思いますので、こういったものが数多く生まれるように積極的に支援をしていきたいということでございます。
  18. 松村祥史

    松村祥史君 ジャパン・ブランドについては是非、それぞれの成果もしっかりと問いながら、二、三年の経過措置もいろいろと考えていただいているというふうにお答えをいただいたものと認識をしました。是非今後も強力な支援をしていただきますようにお願いいたします。  また、ただその支援をするだけでなく、しっかりとその成果も確認をしながら進めていただきたいと。経営者皆さんというのは、やはりハードルが高ければ高いほどその成果というのは大きなものが得られる可能性があります。是非このこともお願いしたいと。  また、その予備軍としてまだまだ世界に通用するなんていう感性のない方々にとっては商圏が地域であったりするわけですから、その予備軍としての地域ブランド、こういったものについても、その地域がブランドとなり得るのか、観光であったり、自分商品とか技術がブランドとなり得るのかと、こういった観点ももう少し深く掘り下げて、是非予備軍の育成についても考えていただきたいなと。そのことでストーリー性も生まれますし、やはり少しずつ成長企業の段階をたどっていくことは大事であろうと。このことがやはり日本経済発展につながっていくと確信をしておりますので、よろしくお願いをいたします。  中小企業政策についてはそれぞれ数千億の予算を付けてここ数年やってきたわけでございますけれども、基本的には、私は、国会に上がりましてから中小企業予算を見ましたときに、少々少ないなと、こういう実感を持っております。今年が一千百億ほどでございますか。中小企業というのは日本経済の根幹を成す方々なんだと、日本の全事業所の九九・七%なんだと、こう言われながらも一千百億とは少ないなと。しかし、少ない予算の中でしっかりとした成果を上げられていることと、こういう認識をしております。  しかし、戦後六十一年たちまして、バブル期を過ぎて、これからやっと日本企業グローバル化の中で戦う成長企業をもっともっとつくっていくと。そういう意味では、これまでの成果の中でしっかりとした数字の把握ができているのか。私、常々思いますのが、九九・七が中小企業であるならば、そのうちの八割弱が小規模事業者でございます。〇・三%が大企業と。じゃ、五年後には〇・五%の大企業をつくりましょうよと、こういった目標もあってしかりじゃないかなと。そのためには、中堅企業がやはりこれからの施策の中でこうだと。そういったことを考える中では詳細な分析が必要であろうと。  そういう意味では、是非、目標数字でございますけれども、これまでの成果というのは数字として把握をされているのか。されているのであれば、是非教えていただきたいと思います。
  19. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 中小企業施策、少ない予算の中で、限られた予算の中で効果的に中小企業支援策を実施していくと、成果を上げていくということは私どもに課せられた大きな課題だというふうに思っております。これまでの施策、様々なことをやってまいりましたけれども、具体的な成果で幾つかの点で御報告を申し上げたいと思いますけれども、例えば、平成十一年ぐらいから経営革新、これは中小企業の、それぞれの中小企業が経営を革新をしていくというために経営革新を都道府県の御指導の下にやるという施策があるわけでございますけれども、こういったものも、約二万一千件の経営革新計画の承認を平成十一年から十八年の、今年の冒頭までにやってございます。このうち既に計画を終了している事業者というのが七千四百社あるわけでございますけれども、この経営革新というのは年平均三%以上の付加価値額の改善をするという企業努力目標を立てて計画を作ってやっているわけでございますが、七千四百社のうち約五割、半分が年平均三%以上の付加価値額の改善を実現しているということでございまして、これはグラスルーツでやっている経営改善政策としてはかなり効果が上がっているというふうに考えております。  ちなみに、こういう承認を受けていないごく普通の企業の平均で申し上げれば、三%以上の付加価値が上がっているというのは約二割でございますから、倍以上の効果があるという政策だろうと思っております。  それから、例えば創業支援などについて、新しい会社をどうしたら日本でどんどん創業できるかという、創業率低下の中での窮余の一策でありました最低資本金規制の例外を認める、特例を認める制度を十五年の二月に導入いたしましたけれども、これまで三万五千件の企業がこの特例の下で創業しているということでございます。  まだまだ廃業率は下がらない、創業率も大してそれに逆転するというわけにいかないわけでございますけれども、統計が少し遅れておりますけれども、この三万五千件の分はその開業率の向上には大いに寄与しているのではないかというふうに思っております。  それから、中小企業再生問題が非常に大きな問題にここ数年なっているわけでございますけれども、平成十五年から始めました中小企業再生支援協議会というものを実施しております。各地方でやっておりますけれども、これまで八千三百の企業からの相談に応じまして、そのうち金融機関との調整を含む抜本的な対策を、計画を作って、再生計画を作って対策をしておる企業が七百九十六件、約八百件の企業がこの再生計画の策定が完了し、逆に言うと倒れる予定になっていたものが倒れないで立ち直って活動をし続けられているという会社が八百件、八百社あるわけでございますが、ここに雇われている方々というのは五万四千人いるわけでございますから、失われることに、非常に危機に瀕していた五万四千名の雇用が確保されたという意味では、この再生支援については殊のほかここのところではよく機能しているのではないかというふうに考えているわけでございます。  今後とも、大変限られた予算の中でより大きな成果を上げていくよう、中小企業施策の改善に全力で取り組んでまいりたいと思います。
  20. 松村祥史

    松村祥史君 時間が参りましたので終わらせていただきますが、是非、これから地方分権が進む中で、冒頭申し上げました格差、こういったものを縮めていくためには、やはり日本経済を支える中小企業、とりわけ小規模事業政策というのは大変重要な位置付けになってくるものと思っております。また、こういった小規模事業者を育て中堅企業成長させ、そのことがまた大企業になっていくと。地方の中で税金としっかりと雇用をやってくれる企業をつくっていくことは経済政策の上で最も大切なことだと思っておりますので、今後とも是非御指導賜り、御支援いただきますようにお願いを申し上げて、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  21. 山根隆治

    ○山根隆治君 おはようございます。  平成十八年度の経済産業政策の重点というものを出されておりまして、その中でまず冒頭、中期的な経済産業政策の方向性というものが記されておられるわけでございます。  私は、この中期的な経済産業政策の方向性ということの前に、その前提として、現在の経済環境に対する御認識大臣にちょっとお伺いをしたいというふうに思っております。  というのは、やはり今がどうなのかというところの認識の中から中期的あるいは長期的な経済産業政策というものを打ち出すことができると思うからであります。今、格差の問題も論議されたわけでありますけれども、私はこの格差社会というものに対する大臣認識を是非、この際、お伺いをしておきたいと思うんです。  やはり総理は、最初は格差はないんだということを御答弁なさっておられました。しかし、いろいろな資料を基に私ども民主党の議員がそれぞれの委員会格差の実態というものを提示する中で総理の御認識もだんだん変わってこられたなというふうな私は見方をいたしておりますけれども、大臣としてはこの格差社会というものに対する御認識をどのようにお持ちなのか、お伺いをまずいたしたいと思います。
  22. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 議員の言わんとするところ、いわゆる生活保護世帯であるとか、あるいは非正規雇用の増大、また所得格差の拡大等は、この格差をめぐる議論として大変各地でも盛んに言われているところであります。他方格差の問題につきましては、景気変動や高齢世帯の増加等が影響している面も確かにあります。このため、一概に格差が拡大しているとは言えないところもあり、これは慎重に解釈する必要があると考えております。  いずれにしましても、重要なことは、国民の一人一人が持てる力を最大限に発揮できるような経済社会を築くことが私たちとしても大変大事なことだと思っております。  経済産業省は、経済成長実現に努めるとともに、ジョブカフェや創業支援など個人が再挑戦できる機会の拡大に取り組んでいるところであります。特に、この再挑戦、いわゆるリターンマッチ、これにずっと取り組んで成功された中小企業皆さんもこのごろは各地に芽生えてまいりました。  そこで、私は、この中小企業というものをとらえた場合に、全国で立派に頑張って国際的にも活躍をしている中小企業、それぞれ県の代表的な企業を三百社選んで、これを一つのこれからの何らかの御参考にしていただきたいと、こういう意味でそうしたことを今選んでおるところでありますが、私は、その際気が付いたことは、これはこれで成功事例だと、しかし、またこの長い景気の低迷の暗いトンネルの中で埋没してしまった企業皆さんも存在することは事実でありますから、こうした方が改めてリターンマッチに成功し、また再挑戦に成果を上げたというふうな企業につきましても、これをやっぱり参考事例として、私どももそれを改めて勉強するということが大事でありますから、今全国で百社ばかりそうしたことに対して調査をさせていただいているところであります。  これはまあ企業の例でありますが、個人に例えても同じことだと思います。リターンマッチが可能であり、そして人々が、働く気、やる気のある人たちが十分その仕事に就けるような状況をつくっていくことに努力をすることは当然のことだと思っております。
  23. 山根隆治

    ○山根隆治君 政府の統計によれば、各種経済指標を見ても確かに景気回復してきているということですが、しかし、末端の零細企業等の方々お話聞くと、まだまだということを言われる方が非常に多いんですね。それなぜかと、那辺に理由があるかということを考えてみますと、政府の統計でもそうですし、日銀の統計でもそうですけれども、よくよく調べてみると、やはり零細企業からの情報の収集というところが非常に弱いところがあります。ですから、中小企業と一概に言いますけれども、ある程度の事業規模のところのやっぱり統計というものは非常に多いわけで、そこの辺でやはり国民の実感との乖離がどうしても出てきているということを私は指摘せざるを得ないというふうに思っておるんですね。  先ほど松村議員も御質問の中で触れられておりましたように、格差というのは、個人の所得の格差、そして地域格差、あるいは産業間、企業間の格差というのはやはり歴然としてまだある。例えば、今、日本で一番地域でいいというのは愛知県、東海だろうというふうに思っておりますけれども。実は愛知県では、ある方に伺ったんですが、フーテンの寅さんが非常に人気がないという話を聞きまして、映画でですね。これは私、意外だったんですけれども、どういうことかといって聞いてみましたらば、寅さんは働かないから駄目なんだと、こういうことでございまして、なるほどなというふうに思いました。人はいいけど働かない人は駄目だと、こういうふうなお話を聞いて、なるほどな。地域でそれぞれいろんなことがあるから、特に愛知県の場合には銀行等から融資を受ける率、数等も他県に比べて少ない。自立性が高いという特徴もありますけれども、しかし、今やはり国民の実感としては、「働けど働けど尚我が暮らし楽にならざりじっと手を見る」と、そういうふうな心境に私はあるんだろうと思うんですね。  例えば二百万以下の所得の方というのは一八・一%で、五世帯に一世帯そういう方がおられます。あるいはまた、預貯金がゼロという世帯も実は四世帯に一世帯あるわけですね。こういうふうな状況、末端の状況ということを見ると、なかなか国民認識というのはやっぱりギャップが大きいというふうに私は思わざるを得ません。  そこで、恵まれてない方々の象徴的な状況としてよく言われるニート、それから引きこもり、それからフリーターの方々、こういう方々の増大ということが実はよく言われているところでありますけれども、これらの方々、実態としてはどれぐらい数的におられるのか、政府参考人、通知してありますので、正確な数字をお答えいただきたいと思います。
  24. 高橋満

    政府参考人高橋満君) お答え申し上げます。  フリーターでございますが、私ども厚生労働省におきまして一定の定義に基づきまして、総務省の労働力調査、これに基づきまして把握をいたしておるわけでございますが、平成十七年で二百十万人と推計をいたしておりまして、この数自体は、前年十六年に比べますと十三万人減ということで、二年連続減少でございます。  また、ニートでございますが、これにつきましても同様の立場から私どもの一定の定義に基づきまして把握をいたしておりますが、平成十七年で六十四万人と推計をいたしておりまして、十六年と比べますと同数という実態でございます。
  25. 加納時男

    委員長加納時男君) 補足の説明あります。
  26. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 今、数は政府委員から申し上げたとおりでございまして、残念ながら、将来を担う若者がこうした引きこもりあるいはニートとなって、職業経験をしないあるいは勉学もしないという若者が増えているということは日本の将来にとって大変に危険である、残念であるというふうに思っております。  これは私の個人的見解ですけれども、やはりこれは、小さなときからの教育というものも大事ではないかな。働くことの大切さ、支え合うことの大切さということも、小さいときから親御さんが、あるいは学校でもきちんとそういうことも教えていかなければいけないのではないかなというふうに思っている次第でございます。  私ども経済産業省といたしましても、先ほどちょっと大臣から御答弁ありましたように、関係大臣とも、例えばジョブカフェですね、若者のための就労支援の事業、これも進めておりますし、また人材育成の面からも、工業高校あるいは専門学校ですね、これと企業との連携、これをしておりまして、人材育成進めているところでございます。  それから、私これ、経済産業省、私どもがキャリア教育プロジェクトというのをやっておりまして、私も実は今回、これ説明受けた、いろいろな県、大阪府でも、いろんな県でやっているんですけれども、例えばこの福岡県などは菓子作りということで、飯塚市というのはお菓子がとても有名である。そうすると、工場に見学に行って、こういうお菓子を作っている、それだけではなくて、じゃ、ITを使ってどういうふうに流れができているのか、それから今度は実際に作ってみる。しかも、空き店舗などで最終的にはこれを売ってみるというところまで、しっかり一連として、これ一つの例ですけれども、勉強してもらうんですね。そうすると、どれだけ苦労して、お菓子一つ作るのにも大変な努力をして、しかもそれを売るというのは大変なことだという、こういう一連の流れを今一生懸命勉強していただくようなプロジェクトも考えておりますので、それも申し上げさせていただきたいと思います。
  27. 山根隆治

    ○山根隆治君 私、引きこもりのことを伺ったんですが、これは特に調査はしていなかったですかね。
  28. 高橋満

    政府参考人高橋満君) 引きこもりをどうとらえるか、なかなか難しい面がございまして、引きこもりということ自体の把握はいたしておりませんが、ニートについては、ちなみに、無業者、働いていない方で求職活動もやっていない、いわゆる非労働力人口のうち年齢が十五歳から三十四歳で家事もそれから通学もしておらない方、この方をニートと定義をして把握をいたしておるところでございます。
  29. 山根隆治

    ○山根隆治君 引きこもり……。  今お答えをいただいたんですけれども、その統計の取り方によって、定義によって、政府でも内閣府と厚生労働省、違うようであります。今お話しありましたように、専業主婦をカウントするかしないかということで分かれているようなんですけれども、やはりこのニート、それからフリーター、あるいは引きこもりは別といたしましても、ニートとフリーターの数については、これはやはり政府で統一をしていただかないと非常に、内閣府の調査によればあるいは厚生労働省の調査によればということで分かれてしまいますので、まず数字の認識を統一させていかなくてはいけないと思いますので、政府間でこれは是非調整を、定義も含めて調整をしていただきたいと思いますが、この点について御見解を聞きます。
  30. 高橋満

    政府参考人高橋満君) お答え申し上げます。  今のお尋ねの件をお答えします前に、冒頭、フリーターについて、私、二百十万人と申し上げたかもしれません。正確には十七年で二百一万人でございます。  それで、今先生御指摘のフリーターなりニートなりの定義の違いによってかなり数が違うと。ちなみに、フリーターについて国民生活白書では四百十七万人と、またニートにつきましては、内閣府の青少年の就労に関する研究調査、これでは八十五万人と、いずれも先ほどお答えいたしました数字よりかなり大きいわけでございます。もちろんこれは定義の違いによるものというふうに思うわけでございますが、これらフリーターなりニートなりについて、政府としてどの定義、どの数字を基本的な見解として取っていくかということでございますけれども、これにつきましては内閣官房の整理といたしまして、厚生労働省、私どもで定義をした試算値が、これは毎年実は把握できるという点でありますとか、それから特にフリーターにつきましては、この政策に私どもが責任を持っておると、こういうような点から、政府全体の基本的見解としては私ども厚生労働省の試算値を政府内で取っておるというふうに私どもは理解をし、また政府全体としてもそのように取り扱っておるということでございます。
  31. 山根隆治

    ○山根隆治君 大臣、これは今、厚生労働省、我が省の数字が一番権威があると、こういう御趣旨の御発言で、そうなんだろうと思うんですけれども。しかし、外に出てくる数字としてはいろいろと飛び交ったりしますので、是非、それは政治的なこれ判断だと思いますので、ひとつ他省庁との関係も是非調整をしていただきたい、これちょっと要望させていただきますが、いかがでしょう。御努力いただけますか。
  32. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 政策目標を定める上において大変大事なことでありますから、早速に関係省庁と御相談をしてみたいと思います。
  33. 山根隆治

    ○山根隆治君 今御答弁の中で、フリーターの数が二年連続で減ってきたと、ニートについては十六年度と同じだと、こういうことでございますけれども、一方また、これは最新のものというところでは出ていないんですけれども、社員と非社員、この割合、非正規の職員、従業員ということでその比率を見てみますと、例えば一九九〇年は一八・八%を全労働者、勤労者の中で占めておりました。九七年になりまして初めてこれ二〇%台に突入いたしまして、二一・五%になりました。この一九九七年以来、ずっと増え続けているわけでございますね。二〇〇四年にはこれが、今ある、私の手元にある最新のものでありますけれども、二九・一%になっているということでございます。当然パートやアルバイトの方々全部含む数字でございますけれども、やはりこれは、これからの日本社会構造ということを考えると、階層社会というものがこれでつくられてくるおそれがあるのではないかということを私は危惧をするわけでございます。  政府としては、もうこうした非正規の社員の増大というものについてはこれを静観していこうとするのか、時代の趨勢として受け止めるのか、良しあし含めてその辺の御見解をお聞かせください。
  34. 加納時男

    委員長加納時男君) それでは、先に小林務官
  35. 小林温

    大臣政務官小林温君) 委員御指摘のとおり、経済社会環境変化が進む中で、非正規社員の数が増加をしてきたということは事実でございます。その要因を見ますと、例えば労働コストの削減であるとか、あるいは仕事の繁閑への対応というこの企業側の対応によって数字が上がっているという部分もございますし、また近年、個人の価値観の多様化、働き方に対する考え方が多様化しているということも、これも一つの要因ではないかというふうに思っております。一方で、景気回復を受けて、最近の報道等でも見られますように、新卒採用者の増大など正規社員を拡大する動きが見られるというのも、これもまた事実かというふうに思います。  弊省といたしましては、この雇用形態の多様化が進む中で、その形態にかかわらず個々の従業員が企業競争力を担えるような人材に育っていくということが重要だというふうに考えておりまして、現在は、その企業人材育成取組をいかに支援していくかということに力を入れているわけでございます。また一方、産業界でも、企業内の人材育成充実強化等を通じて安定的な雇用の実現に取り組んでいくべきだと、こういう認識も強まっておりまして、この点を踏まえ、企業戦略的な人材育成支援していくために人材投資促進税制の導入もさせていただきました。この税制面での支援も含めて幅広い対策、支援策を進めているところでございます。
  36. 加納時男

    委員長加納時男君) 補足をしてもらいます。  厚生労働大臣官房政策評価審議官村木厚子さん。
  37. 村木厚子

    政府参考人村木厚子君) 先ほど御質問にありました非正規雇用の関係でございますが、先ほどの御答弁にありましたとおり、働く側のニーズから発している部分もあるというふうに私どもも考えております。  そうした意味で、厚生労働省といたしましては、例えばパート社員につきましても正社員と均衡処遇に取り組んでいただくというような形で、正社員であっても、それから非正規の社員であっても安心して働けるような環境、そういったものを整備したいというふうに考えております。また、やはり正社員で働きたいという御希望も大変多うございますので、そこに対しましてはハローワークで正社員としての求人の求人開拓を一生懸命やるということにも努めております。  それから、とりわけ若者につきましては、やはり訓練機会等の多い正規社員で働いていただくということも非常に大事になろうかというふうに思っておりますので、フリーター二十万人常用雇用化プランというのを昨年からやっておりますが、来年度はこれを二十五万人に目標を引き上げて、若者が常用雇用の場で働けるように対策を進めてまいりたいと考えております。
  38. 山根隆治

    ○山根隆治君 今の厚生労働省の御答弁、非常に評価させていただきたいと思います。是非ひとつ若い人については正規社員になれるように、なおそうした施策を積極的に取っていただきたいと思います。  今、政務官から御答弁をいただきましたけれども、言われていることは多分OJTの話だろうと思うんですね。企業に入って、そこで人材を育てていくということが今非常に叫ばれておりますので、それはそれで結構なことなんですけれども、例えば私は、今厚生労働省からの施策の話がございましたけれども、やっぱり正規社員の比率というものを高めるのならば、その促進法的な、法的な措置ということもやっぱり視野に入れて、是非経済産業大臣中心となって、私は、厚生労働省ほかの省庁とも少し調整して研究をしてみたらどうかというふうに思います。  ただ、やはり今、正規社員の比率を一挙に高めるといっても、産業によってはもう非常にその比率が低くなって、そこでもう何十年か経過している産業も企業もあるわけですから、そう一気に法的な規制ということを私申し上げるつもりはありませんけれども、何らかのやはり促進措置というものをやっぱりとっていかなくてはならないだろうというふうにも思うんですね。  そういう意味で、小林務官の御答弁、いま一歩、ちょっと踏み込んで御答弁いただきたいというふうに思っておりましたが、そういう視点からはいかがですか。感想なり御所見ございますか、小林さんか大臣、どちらでも結構ですが。
  39. 小林温

    大臣政務官小林温君) 今御指摘いただきましたように、関係各省庁で是非しっかりとしたコミュニケーションを取って、また対応させていただきたいというふうに思います。
  40. 山根隆治

    ○山根隆治君 もし逆に、逆な結論が出るということになりますと、今のやはり形態をある程度認めざるを得ないかと思うんですけど、雇用形態を認めざるを、私、得ないと思いますが、もしそういうことであったとすると、格差社会をなくすためには、私はやはり年金、医療、そして雇用保険含めまして、介護保険も含めて、そうした社会保障制度全般も見直さないと、これは格差がどんどんどんどん広がっていくというふうに思わざるを得ないんですね。  そうなってきたときに、本当に我が国の財政力でそうした多くの方々を抱えるだけの力というのが今我が国にあるのかどうか、将来的にもそれを抱え得るのかどうか、そうした問題も私は惹起されてくると思うんですね。  そうしたやはり幅広い角度からこの問題を考えていかないと、私はそう簡単に結論を出せるようなことにならないだろうというふうに思っておるんですけれども、少し今御議論させていただきましたので、大臣の御所見をちょっと聞かせていただきたいと思います。
  41. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 御指摘は大変重要な視点であるというふうに思いますが、これを直ちに一概に法律でどう対応するかというところへ持っていくのがいいかどうか。産業界の実態等も十分勘案しながら、今、小林務官が御答弁申し上げたとおり、関係する省庁の意見等も十分聞き、場合によっては労働界の御意見も拝聴しながら対応してまいりたいと思っております。
  42. 山根隆治

    ○山根隆治君 少し繰り返しになって恐縮でございますけれども、正規の社員と非正規の社員では、生涯賃金ということで見てみますと、大体統計的にはやっぱり四倍近い格差が生まれるという数字があるわけですね。だから、本当にこれは見捨てられない問題でありますので、今正念場だと思いますので、是非、積極的に調査研究をして一定のやっぱり方向を是非出していただきたいということを、重ねてこの点についてお願いをしておきたいと思います。  企業間の格差ということについては様々な原因もあろうかと思います。企業の努力もありますし、世界経済の中での位置、役割、流れ、勢い、そういうものに影響がされるわけですから、そう簡単に企業間の格差がこうして生まれたということはもちろん言えるものではありません。しかし、成果主義というのが経団連なんかもかなり声高に主張していたこともありまして、それを受け入れて、うのみにしてそのまま受け入れてしまって、そして後から、失敗をしてしまったというふうな反省の弁を述べる企業のトップリーダーもおるわけでありますけれども、大臣はこの成果主義というものに対してどのような評価をなさっておられるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  43. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) この成果主義の賃金、処遇というものは、バブル後の企業財務のコスト制限の、コスト制約の拡大の中で導入されたと思っております。この制度は、従業員の貢献度を反映した処遇を行うことで個人のやる気を向上させるということを目的としておるわけでありますが、企業としても賃金の柔軟性を確保できるメリットもあります。しかし、導入の仕方によっては、従業員の競争あるいはまたストレスの増幅や、チームとして競争力を低下するおそれもある。したがって、能率というのは、一面だけを見るのではなくて全体的なそれこそ成果を見ることが大事ではないかという思いも私どもにはあります。  近ごろは都道府県等におきましてもこういうことを導入してはどうかというふうな御意見も出ておる中でありますが、企業や、都道府県等も同じでありますが、いかなる賃金や処遇システムを採用するかは、それぞれ企業自身、また都道府県自身が御判断するものでありますが、人口減少下で新しい成長実現するためには、従業員が成長し、その能力を最大限に発揮していただくことが極めて重要であります。この認識の下に、経済産業省では、人材を重視する企業のマネジメントの方向につきまして、私たちは常に産業界とも話合いをしながら取り組んでいきたいと思っております。
  44. 山根隆治

    ○山根隆治君 実は、民間の調査機関で労務行政研究所というところがございまして、この成果主義についてアンケート調査を行いました。この調査結果の中では、この制度を導入している企業の七割で、自社の制度に問題があるというふうに会社自体が答えているわけであります。そして、労働側も、これにはもう九〇%を超えている労組で問題があるというふうなことが調査結果として浮き彫りにされてきたわけであります。  今、大臣から一部お話もございましたように、様々な問題点があります。例えば、成果主義で割を食うのは若い人だというふうな面もございます。年長者の方が後輩の面倒を見なくなるというふうな問題、あるいは客観評価の基準などを示すということになると、評価されないことはやらなくなる等々のやはり問題が指摘をされているわけであります。  私、やはりこの成果主義というものは、必ずしもすべてが悪だというふうに思うものではありません。やはり、良いところ悪いところを、民間にゆだねるのではなく、政府としても一定の経過が、時間的な経過がした後で、経済産業省、厚生労働省、総務省あるいは内閣府等も含めて、私は、一度やはり調査研究をしてその発表というものをしてみたらどうかと。それによって、自分たちの産業あるいは企業にふさわしい在り方というものを模索する一つの、一助になるのではないかというふうに思うんですが、この点について大臣の御所見お聞かせください。
  45. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 企業は、それぞれ、能率を上げる、あるいはまた利潤を獲得するためにあらゆる方策を検討しながら、何が自分企業に合っておるかというふうなこと、また労働組合等ともお話合いをしながら対応しているわけでありますから、一々それぞれの会社のやり方に対して私ども経済産業省があれこれ申し上げる立場にはありませんが、今議員が御指摘になっている重要な点につきましては理解するところでありますから、私ども、先ほど来申し上げておりますように、関係省庁産業界、また労働界等の御意見等も拝聴して、今御指摘をいただいた面については研究をしてみたいと思っております。
  46. 山根隆治

    ○山根隆治君 この成果主義を非常にうまく取り入れている企業日本にはたくさんあります。例えば、トヨタであるとかキヤノンというところは非常に今業績がいいところでありますけれども、こういうところは併せてやっぱり終身雇用というものを前面に打ち出して、雇用をしっかり確保するということを打ち出した中で成果主義、実力主義といいましょうか、そういうものを日本的な労働環境の中で取り入れたということで成功例があるわけですけれども、この終身雇用については大臣の御所見いかがでしょうか。
  47. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 終身雇用につきましては、日本的な発想といいますか、お互いに、雇用側とそして労働者の間で十分な話合いの結果、この与えられたパイの中でお互いに生活を営んでいくためにはこの不況の時代はこの程度の給料やボーナスにしていただきたいというようなことを、やっぱり企業者と労働者との間では十分な話合いをして納得の上で対応してきた会社が、今ようやく景気低迷から脱却してやや明るいものを見いだせるようになったときに、今それぞれ例に挙げられた企業は今相当の成績を上げておることは事実であります。  したがいまして、この日本的なやり方については、これまた改めて評価をしなくてはならないと思いますが、同時に、こうしたことを決定するのは企業の経営の方針であり、そして株主の意向も含めて判断されるべきものでありますから、こういう方式がいいのではないかということを経済産業省が出しゃばって物を申し上げるようなことではないと思うんですが、一連の労働問題に対する御指摘は誠に傾聴に値するものでありますから、私どももこうした面について、労働界の代表そして経営者の代表等の意見を改めてお伺いをし、真剣に耳を傾けてみたいと思っております。これがまた日本経済成長の秘密にもなるわけでありますし、諸外国から今ここが注目をされているところでありますから、私どももしっかり勉強していきたいと思っております。
  48. 山根隆治

    ○山根隆治君 キヤノンの御手洗社長はこういうこと言っていますね。終身雇用は、それに安住をして堕落したりするのを防ぐことができれば、日本においては理想的な形だと思います。これは、インタビュー記事を私持ってお話ししているんですけれども、若干、御通知してないんですけれども、経済産業省と厚生労働省の御見解は若干ニュアンスが違ってくるかと思うんですけれども、終身雇用について労働省の方はどのようにお考えになりますか、厚生労働省の方。
  49. 村木厚子

    政府参考人村木厚子君) 終身雇用についてのお尋ねでございますけれども、厚生労働省といたしましても、いわゆる日本型の雇用慣行、企業が長期的に人材に教育投資をできる、こういった雇用慣行というのは企業の生産性を高め、競争力を非常に維持をするというプラスの面があるというふうに私どもも考えております。  いずれにしましても、やはりどういう働き方をしていくかということにつきましては、終身雇用なのか、もう少し転職を前提にするのか、それから成果主義でいくのか、それからもう少し年功的な賃金を守るのかといったようなことというのは、やはり労働者そして企業社会全体で考えていくべき問題ということでございますので、私どもも関係者とよく議論をしながらより良い雇用慣行の在り方について検討していきたいというふうに考えております。
  50. 山根隆治

    ○山根隆治君 私は、やはり企業としては雇用を保障をすると、そういう意味でやっぱり終身雇用というものがバックにあるということは大事だろうと思うんですね。働く方の側は、それは自分の能力を他に生かしたいとか、当然職業の選択の自由があるわけでございますけれども、それを保障するということで社会の私は安定感が増してくるというふうに思いますので、是非、厚生労働省としては積極的に御検討、御研究のほどお願いをいたしたいと思っております。  それでは次に、私は、日本における、日本の、資源のない我が国にとってやはり人間力というか、その人材というものが一番の財産だというふうに思っているわけですけれども、今日の大臣の関係予算等の説明の中で、今お聞かせいただきましたけれども、資源に乏しい我が国にとって優れた産業人材は貴重な宝でありますということがお述べに、今日、先ほどの冒頭のところでお述べになられました。  私もその人材をどうつくっていくかということが非常に今大事だろうというふうに思っているわけでございますけれども、一つには、日本の産業をリードしていくのには理数系のところをやはり強く引っ張っていかなくてはいけない、そうした頭脳を持った方々というものを、より活躍できる場を与える、あるいは能力を引き出す、そういうことが私は必要だろうというふうに思っております。  そして、もう一つは、日本にはなかなか真のリーダーがいなくなったというふうに言われるんですけれども、それは官僚であったり、あるいはまた政治家であったりするのかも分かりませんけれども、まあそういうことがよく言われるところでございます。それはもう総合的な知識というか教養というか、そういうものを身に付けさせるということでの一つの人材の育成ということも大事だろうと思うんですけれども。  実は、文科省でもスーパーサイエンスハイスクールというような構想を持って、これ何年間かもう予算措置をつくってやられておられますけれども、民間の方でもそうしたエリート教育というものがかなり論議されてきておりまして、これはトヨタ自動車などが中心となって実は愛知県に海陽中等教育学校というものがこの四月に開校されるというふうに聞いております。これはトヨタだけではなくて、JR東海、中部電力もその中核的な役割を果たしているということでございます。ここでのカリキュラム等はまだ明らかではございませんけれども、全寮制にして相当エリート教育というものを徹底しようという趣旨でつくられた学校だなというふうに私は思うんですけれども、非常にやはり費用が、私立ですから安くはないというところで、経済的な余力のある御家庭の子供しかなかなか行けないという部分も出てきやせぬかなというふうに思っております。  大臣の世代よりもっと前になるかも分かりませんけれども、日本で旧制高校があって、そこで事実上のやっぱりエリート教育が行われてきたということがあるわけでございまして、今、識者の間ではそうした新しい形での旧制高校の復活というものを主張される方々もおられるんですけれども、大臣はこのエリート教育というものについて何か御所見あればお聞かせください。
  51. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 私は、この国、地方又はそれぞれの産業におきましてもエリートというものの存在は大事なことだというふうに思っております。ですから、能力のある人はどんどん伸ばすという教育があってしかるべきだと思います。  そこで、今議員が御指摘のように、理数系の能力を高めていくことが大事ではないか、これも全くそのとおりだと思っております。したがいまして、今の教育の中でも、もっと小さいときから理数系とか、あるいは物つくりとかということになじんでもらう、そのチャンスを与えるということが大事であると思っております。  先ほど愛知県の全寮制の新設高校の御紹介がございましたが、私も、どういう成果が得られるか、期待を込めて眺めておるところであります。同時に、今、中部地方といいますか、特に名古屋、愛知県を中心とする近県が一体となって新しい観光の取組として産業観光ということをテーマに関係者が懸命なお取り組みをいただいておりますが、私は、そういうところへ修学旅行等で、ただ景色を見てくるというだけではなくて、そのときにある一定の時間は将来の職業等についても体験をする、またそういうところに直接、その産業の重要性ということに小さいときから、あるいはまた高校生のときでもそれに接するということがその人の進路にも影響を及ぼすということを考えれば、積極的に対応すべきだというふうに考えております。  したがいまして、すべて平等であるということは、これは憲法の保障するところ、極めて重要な面でありますが、やはり勉強にも好き嫌いがある、人間にも得手不得手がある、スポーツの世界でも歴然とそういうことが明らかであるわけでありますから、そうした人たちにできるだけ多くのチャンスを与えて、本人がやっぱりそういうことに自覚してその道を進みたいということにならなければいい結果が生まれるわけはないわけですから、私は、そういうチャンスを様々な機会に若い人たちに与えるということ、これはただ役所だけではなくて、一般社会あるいは産業界においてもそういう努力を日々怠ることなく対応していくことが大事ではないかと思っております。
  52. 山根隆治

    ○山根隆治君 フランスではやっぱりエリート教育というのは有名なグランドゼコールというのがありますし、中国では重点大学、韓国では最近はノーベル賞、日本を意識しているんでしょうけれども、を取らせるための教育ということでかなりやはりエリート教育に力を入れております。  今大臣お話しになった理数系のというのは、私もその主張をさせていただきましたけれども、そればかりではなくて、リベラルアーツという言葉がございますけれども、実利的なものだけではなくて哲学であるとか歴史であるとか、そういったエリート教育というか、そういうものを、教養というのを身に付けさせるということも私は必要だろうというふうに思います。そこで初めて本当の意味での指導者というものが日本に養成されてくるんだろうと思うんですね。  例えば、福沢諭吉の「学問のすすめ」というのを私も何十年か前に読んだことがございますけれども、やはり読み書きそろばんというのが大事だというところの実利的な話もございますけれども、それを言う背景には、やはり江戸二百六十年の歴史の中で、文化の中で、それはもう当然、特に中国からの古典を勉強させるというのは、これはもう必修科目としてあったわけで、それで各藩のリーダーというのはそういうものを必修科目として受け入れ学んできたということでの教養が身に付いたというわけでございます。その上で初めて実利的な勉学もするということが行われてきたんだと思うんですね。  私たちの今の教育制度というのは、非常に根本的なところで、そこのところが欠けていやしないかというのが私の言いたいところ、指摘をしたいところでございますけれども、エリート教育ということについても研究も是非していただきたいということを強くお願いをしたいと思います。  今、お手を挙げましたので、どうぞ御答弁お願いします。
  53. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 経済産業省としましても、今委員から御指摘、また御質問ございましたとおり、この人材を養成するということに我々もできる限りの努力をしようと、そしてアジアの人材を養成しようという意味で、毎年アジアから二千人ばかりの留学生を日本に招聘をする。同時に、日本からも千人ぐらいの留学生を世界に送り出すというふうなことをこれからの政策として是非取り組んでいきたいと思っております。  その元は、やはりアメリカのかつてのフルブライト奨学金のことに端を発しているわけでありますが、少し調べてみますと、フルブライトの奨学金の恩恵を受けた世界の人々は二十五万人おられるそうであります。うち、日本でも六千人近い人がこの恩恵を受けております。  例えば、第一回目等は、竹村健一さんなんかもその一人でありますが、よくよく調べてみますと、現在の有名大学の学長さんであるとか文化人であるとか、また法曹界のリーダーであるとか、ジャーナリスト、政治家、そういう人たちの中にもフルブライト奨学金の恩恵を受けた人が多くいらっしゃるわけでありますが、日本もそろそろそういう、それくらいのことを考えてもいいのではないかということで、我々の発想でアジアということに対して考えておるわけでありますが、先般もこの話を小泉総理に申し上げましたところ、アメリカに対しても、アメリカから日本はフルブライトを始めとする教育関係でもたくさんの恩恵を受けてきたことを思えば、今アメリカに対してもお返しができるような状況日本がなりつつあるわけであるから、このことに対してもよく検討をしてもらいたいということを言われておりますので、今、関係省庁と御相談に及ぼうと、こういうことでありますが、こうした面も含めて、今御指摘のエリート教育等につきましては、他の先進国に負けないような対応をやはりしていかなくてはならない。  先ほども申し上げましたが、平等は確かにすばらしいことでありますし、耳障りのいい言葉でありますが、全部平等で、運動会でも並んでゴールインをするということがいいんだなどということが笑い話のように今伝えられておるところでありますが、やはり当然競争、切磋琢磨があってしかるべきでありますから、我々はそういう面も十分これから配慮をしてまいらなくてはなりませんが、いずれにしましても、このことは正に政党政派を超えた問題でありますので、委員各位の一層の御理解や御指導をいただきたいと切に思うものであります。
  54. 山根隆治

    ○山根隆治君 ありがとうございました。  そろそろ時間が近付いておりますけれども、私は、政治家とか役人、お役人はやっぱり庶民ではない。やっぱり士農工商の中で、農工商が庶民であって、武士階級はそうじゃなかった。つまり武士階級は、今でいえば政治や行政に携わる人たちがそれに当たるんだろうと思うんですね。そういう意味では、私は、武士道精神というか、あるいはヨーロッパの言葉ではノーブレスオブリージュという言葉がございますけれども、そうした自覚というものをエリートに持たせるということが大事であります。  今、私たち、私どもの党では、天下り禁止法ということで役人の、お役人の非常にこうかつなというか、奸知というか、いうことでいろんな不祥事が起きている。それに対して、やはり国民の税金を無駄にさせちゃいけないということへの国民の怒りもございますから、厳しく私たちは究明をいたしているところであります。  しかし、それと同時に、私は、そうした国家の骨格を担っている人たち、官僚も含めまして、そういう人たちにはそれにふさわしいやっぱり待遇というものも私はしっかりと考えていかなくちゃいけない。つまり、自分の将来がどうなるか分からないような、生活がどうなるか分からないようなことで、あるいは、貧しい生活の中で家庭のことを顧みて不安に思っていて、国家のことを考え続けるというのは不可能であります。  私は、やはりそうした意味でも、国家のことだけを考え続けている、そういう官僚というものが大事だろうと思います。それに対するやはり、まあこれ私、反動的な発想かも分かりませんけれども、処遇、待遇というものも十分考えながら、厳しさというものを官僚に求めていくことが大事だと思いますので、この点について、最後一言、大臣の所見を伺って、質問を終わります。
  55. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 我が国の戦後、今日までの繁栄をもたらしたその中に、国家公務員の果たした役割というものは極めて大きいと思っております。このことと天下りの問題とは全く別問題だと思いますが、天下りの不祥事等が発生するたびに、国家公務員自身の今日までの働きや、また現在の勤勉にそして正に世のため人のため日本の国のために頑張っている、そのことがやゆされてこの評価が乱れておりますことを私は大変憂慮しておる一人であります。  どうか、そういう意味で、ただいま委員が御指摘のようなことで、今後、具体的な処遇等については、民間の状況等も十分勘案した上で人事院が適切に判断する必要があるというふうに、正直、私は考えております。  また、国家公務員には使命感を持っていただいて、今言われているような問題、発生しているようなこの不祥事と、現在懸命に頑張っておられる人たちとの間には何ら関係はないわけでありますが、しかし、世の中には他山の石ということもありますから、こうしたことを受けて頑張っていかなくてはならない。  私ども経済産業省におきましても、今皆さんの御理解をちょうだいしながら、新経済成長戦略なるものを世に問おうという、こういう重大なときに、経済産業省そのものの信頼が揺らぐようなことがあってはならない。経済産業省には、今は幸い、そういうことでいろんな疑惑を掛けられているような問題はないが、これはしかし、お互いに他山の石として常に戒めを持って対応していかなくてはならないということを私自身も経済産業省の幹部にも申し渡しておるところであります。  しっかり努力をしますから、どうぞ国家公務員にも温かい目で御支援をいただきますように、よろしくお願いを申し上げます。
  56. 加納時男

    委員長加納時男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十六分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  57. 加納時男

    委員長加納時男君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち公正取引委員会経済産業省所管及び中小企業金融公庫を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  58. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末でございます。  本日は、平成十八年度予算につきまして、私自身、二つの観点から、一つは中小企業に対する政策、そしてエネルギーの安全保障につきまして御質問申し上げたいと思います。  今、委員の皆様、お手元に資料をちょっと配らさしていただきましたが、ちょっとごらんになっていただきますでしょうか。四枚ございますが、左上にございます中小企業事業者の、従業者数の推移というのがございます。これは午前中に松村委員からもお話がございましたが、中小企業の問題、今非常に大きく問題になっているということでございます。  午前中、経済産業省中小企業政策につきましてはいろんな政策を打っていただいているということをおっしゃっていただきましたけれども、実際にこのデータを見ますと、二〇〇一年から二〇〇四年にかけましてどれだけ中小企業が減っているかというのを御理解いただけると思います。  まず事業者の数を見ますと、二〇〇一年は約六百十万社あるものが二〇〇四年には五百七十万社と大幅に落ちている。そして一方、従業員数を見ますと、二〇〇一年に約三千万人だったものが二〇〇四年には二千八百万人に減っているという状況でございます。午前中に中小企業庁長官の方から、例えば平成十五年に資本金の規制の撤廃を行い一円でも起業ができるようになったと、それによって三万五千社の会社が登録されたということでございますが、百万社以上減っている中で三万五千社の意味は何かということを是非、我々国会議員は考えなきゃいけないと思っております。本格的な中小企業対策を行わなければ、この大きな流れは私は変わらないと思います。  また、企業の収益を見ますと、これは二〇〇四年の収益を調べますと、二〇〇四年の企業の経常利益の合計が大体四十五兆円でございます。これは前年に比べまして八・五兆円の増加ということでございますが、この利益のほとんどすべてはもう大企業でございまして、中小企業は利益がほぼ出ないと。午前中に松村議員から九九・七%を占める中小企業という話がございましたけれど、その中小企業がほとんど利益を出せないという状況にあるということをまず問題点として御指摘申し上げたいと思います。  そういう中で、この国会と申しますか、来年度予算の中におきまして中小企業物づくり技術基盤を整備しようということが大きな柱に立ってございます。ただ、昨年、中小企業政策につきましては新事業活動促進法、三つある中小企業法を一つにまとめるということをなさったわけでございますが、その中小企業、新しい、昨年作った法律の成果をどういうふうに評価されているかということを是非大臣にお聞かせいただきたいと思います。お願いいたします。
  59. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 昨年四月に成立しました中小企業新事業活動促進法は、新連携支援の柱としてこの中小企業の新たな事業活動を積極的に支援をしていくということに努力をしております。新連携支援制度は、議員も既に御承知のとおり、異なる分野の中小企業連携して新しい製品やサービスを開発し、それを事業化しようとする取組支援するものであります。一つ一つに大変大きな金額を支給するということはできませんが、今、大体そうしたことで、成功事例につきましては、上は三千万そしてまあ下は千万、二千万という程度の金額を支援して連携事業を進めていこうということで、既に全国で百六十二件の新たな連携を認定しておるところであります。  これはいずれも、技術やノウハウを有する中小企業が得意分野を集めて、お互いのつまり経営資源を持ち寄って新規性の高い連携事業に取り組もうとすることを支援しようとしているものであります。認定をお受けになった中小企業からは、取引先、金融機関から等の評価が上がってきております。専門家からのアドバイスを受け事業計画が充実したなどの声も聞いております。今後とも、高い評価を受けておるこの法律の着実な運用により、中小企業の新たな事業への挑戦をしっかり支援してまいりたいと思っております。  なお、先ほども答弁の中で申し上げましたが、全国の優秀な中小企業、特に国際社会で堂々と頑張っておられる中小企業等をピックアップして全国の三百の成功事例を集めておりますが、三百の成功事例を集めるということに大変困難といいますか、苦労をいたしました。それは少ないから苦労するのではなくて、多過ぎて苦労するわけであります。そこで、取りあえず三百という方針でありますから一応三百にまとめましたが、また来年以降も、今年の三百、次の年の三百というふうに持っていきたい。今お話にもありましたとおり、中小企業日本企業の九九・七%を占めておる膨大な分野があるわけでありますから、これらの皆さんに更に一層奮起していただくために、そういうことも試みようとしているところであります。
  60. 藤末健三

    ○藤末健三君 もう本当に二階大臣には頑張っていただきたいと思います。私、先週、大臣質疑の中で、中国との関係を改善されることについて本当にリーダーシップを取られ、本当に強い意志を持っておられるなということで、私は本当に感動しました。  私は、中小企業の行政、この国のかなめだと思っております。何が大事かと申しますと、本当にこれは失礼なことを申し上げますと、今、中小企業政策が大きな転換期に来ているんではないかと私は思っています。今回のものづくり基本法、正直申し上げて今までのやっていることの塗り直しじゃないかなと。昨年の融合法も、進歩はしているものの、今までの既存の枠組みから私は超えていないと思います。その結果が、この表にありますように、二〇〇一年から二〇〇四年にかけてこれだけ雇用の人口が減り、雇用者数が減り、事業者数が減ってきた。是非、もう予算が減っていくのはしようがないと思うんですよ。  ですから、私がお願いしたいのは、是非、午前中に山根委員からも話ありましたけれども、武士たる、私は経済産業省方々は野武士だと思います。ですから、どんどんどんどん攻め込んでいって、ほかの用地に攻め込み、そして新しい中小企業政策をつくるイニシアチブを是非、二階大臣そして松副大臣そして小林務官お願いしたいと思います。本当に、これを今変えなければ同じような政策をずっとずっと繰り返す。そして、過去の政策評価はない状況をここで止めてください。是非お願いします、これは。中小企業がなくなってはこの国はもたないですよ、絶対、何やかんや言っても。ということをお願いさしていただきたいと思います。  私自身のちょっと問題意識を申し上げますと、この予算関係の説明にございますけれど、その五ページ目に中小企業の金融の円滑化を進めるということが書いております、中小企業の金融の円滑化を進める。これは松村委員からも指摘がございましたけれど、その中におきまして、私は、政府系金融の位置付けはどんどんどんどん変わる中、そしてまたメガバンクがどんどんどんどん地方に進出する中、新しい中小企業の枠組みをつくらなきゃいけないというふうに思っておりますが、特に重要なことは、このお配りした資料の右上にございます。  間接金融、銀行から融資を受ける間接金融から、直接、株式市場から資金を調達する直接金融に中小企業も変えていかなきゃいけないんじゃないかと私は考えております。これはアメリカと日本の比較でございます、証券市場の。  アメリカはこの右にございますように、三角形をしています。これは何かと申しますと、大きい企業ほど大きな株式市場に行くと。そして大事なことは、中小企業が株式を公開し資金を調達する市場がちゃんとあるということでございます。例えばここにございますように、ピンクシート、一万銘柄あると、一方で上のニューヨークの取引市場は数千銘柄ということで、中小企業がちゃんと株式市場から資金を調達できる。  一方、日本を見ますと、どうなっているかと申しますと、東証、大証といった上場企業が大体二千五百銘柄しかない。あっ、二千五百銘柄、一応、もですね、あります。ところが一方、中小企業、小さな企業が上場できるところは、ここにございますように、セントレックス、福岡のQボード、あとグリーンシートというのがございますが、百も行かないですね、数十です。逆三角形になっている。小さな企業が株式市場で資金を調達できる数は極めて少ない。この構造を是非変えていただきたいと思っております。それが中小企業金融の一番のかなめじゃないかと思うんですが、この点につきまして、ベンチャー企業の経験もあられる小林務官お話を是非お聞かせください。お願いします。
  61. 小林温

    大臣政務官小林温君) 日本においては、必ずしも金融機関からの融資を受けやすいとは言えない中小とか、それからリスクの高い事業を行うベンチャー企業にとって、直接金融の環境の整備が急務であるということは委員御指摘のとおりでございます。  今、図でも御説明をいただきましたように、例えばヘラクレス、マザーズあるいはセントレックス、グリーンシートと、こういう市場の整備も行ってきたわけでもございますが、例えばアメリカのように、直接金融市場が成熟している国との比較において、じゃ、この日本の逆三角形とはどういう意味を持つのかと、あるいはスピード感においてはどういう意味を持つのかと。それから、多分委員もそういう問題意識持っていらっしゃるかと思いますが、グリーンシートと既存の公開市場との間のマーケットについて、やはりそういう市場が今の時点で存在しないということもこれからの検討課題だろうというふうに思います。  そういう中で、この市場の整備を更に力を入れて行っていくということは当然のことでございますが、それに加えて、例えば経済産業省としても、中小企業投資育成株式会社のファンドを通じた出資による上場の促進、それからベンチャー関連税制、これはエンジェル税制が、まあ数は増えているとはいえ、なぜ余り使われないのかということも含めて、これは、先進諸国の例も踏まえて税制の見直しもこれは検討課題としていきたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、まず一つは、その中小企業のあるいはベンチャー企業のどこに資金のニーズがあるのかということをしっかりと把握していくと。と同時に、昨今は投資家保護ということも、直近の事件等も受けてこれは考慮していかなければいけない観点であるというふうにも思っております。  ですから、ライブドア事件の一つの教訓は、錬金術にたけた企業が大きくなっていくということだと思いますが、正に今こそ技術に着目して、技術を持った中小企業やベンチャー企業我が国の宝にしていくと。私、個人的には、日本にグーグルがあったら良かったなと強く思うわけでございますが、こういう取組を関係各省庁とも是非検討を進めていきたいというふうに思います。
  62. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、小林務官には頑張っていただきたいと思います。恐らく、経済産業省が今、官民交流法とかで民間と役所の方が交流しているじゃないですか。ベンチャーのことを知っている人いませんよ、きっと。小林務官しかいない、極論すると。頑張ってください、いや本当に。  ただ、僕が一つちょっと申し上げたいのは、二つ申し上げます。一つは、今回、僕はライブドアの担当をしてます、ライブドアの事件の。それで、まあ、自分から進んで証券市場の改革ということを今担当しているんですけど、非常に悲しいことが一点だけありまして、それは何かと申しますと、投資者保護の議論しか出ないんですよ、投資者保護、投資者保護と。じゃ、何なのと。お金を使う人はだれですかという議論、全く出ないですよ。それは産業界じゃないですか。なぜあそこで発言されないのかなって僕は疑問です、正直申して。こんなに議論するチャンスに経済産業省の方が、証券市場の問題、今、すごい不備があるじゃないですか、産業サイドとしてなぜ物をおっしゃらないのか、非常に疑問を感じてまして、是非、小林務官、リーダーシップを持ってやってください。まだ間に合いますよ、本当に。産業界が資金の受け手ですから、受け手の議論を、絶対。発信者、お金を出す方の議論しかないんですよ、今は。是非お願いします。  そしてもう一つ、エンジェル税制、もう本当に釈迦に説法でございますけれども、エンジェル税制をきちんとイギリス、フランス並みの制度に変えてください。そうしなければ、もう数十億の効果しかないですよ。イギリス、フランス、数千億ですよ、効果、エンジェル税制の。是非、ほかの省庁との多分争いになるかもしれませんけれども、そここそいわゆる政治家の役割だと思いますので、是非エンジェル税制の確立お願いしたいと思います。  あと、もう一つございますのが、私は、今なぜ証券市場に関心を持っているかということを申し上げますと、一番大きいのは、やはり中小企業技術の伝承なども含めまして、なかなか中小企業が動けない状況でございます。御質問申し上げたいのは、中小企業内、今二〇〇七年問題というのがございます。それは何かと申しますと、大企業技術を持った方々がどんどんどんどん辞められるタイミングになっていると、定年退職で。大企業技術が継承できないということを二〇〇七年問題とおっしゃっていますが、一方で、中小企業も同じような状況でございまして、本当に技能を持った方々がだんだんだんだん辞め始めていると。そういう問題につきましてどのように対応されるかということにつきまして、これは中小企業庁長官、よろしいでしょうか。あっ、済みません、松副大臣お願いいたします。
  63. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 藤末先生のおっしゃるとおりに、私も、我が国経済は、正に経済基盤をつくってくださったのが中小企業であり、なかんずく物づくりであるというふうに思っております。長津製作所という金型の会社、私も見てまいりまして、大変な技術を持っていらっしゃる方がいらっしゃいます。しかし、正に先生の御指摘のあったとおりの問題を抱えているわけでございます。正に熟練の技術者の高齢化というものが問題でありまして、技能や技術の次世代への承継が喫緊の課題であると。個々の技術者の間では当然の知識として扱われておりますそうした技術や技能を円滑に確実に承継するために、物づくり中小企業技術を抽出してデジタル化、体系化をするという、この手法を開発することにいたしております。具体的には、熟練技能者が物づくりの現場で行った製造手順あるいは手法にかかわる判断、その根拠をデータベースとして蓄積できる方法を開発して中小企業者に提供してまいりたいと思っております。  しかし、私が拝見しました長津製作所でも、最後はナノの世界で、手なんですよ。手で確認をして業程を終わるんですね。ですから、このデータベース化とともに、そうした技術を持っていらっしゃる方が、あるいは定年後もいかにそうした企業内で働いていけるかということに関しても私どもはしっかりと注視をしていく必要があると考えております。
  64. 藤末健三

    ○藤末健三君 どうも、是非頑張っていただきたいと思います。  技術の継承につきましては、松副大臣おっしゃるように、私も実は金型メーカーとかいろんなところ回っているんですよ、自分なりに。感じますのは、やっぱりデジタル化だけじゃちょっと駄目だなと。やっぱり最後の微妙なノウハウというのがございますよね、それをどう継承するかが問題じゃないかなと思います。  ただ、一点、先ほど金型の話が出ましたけれど、今私が知っている範囲では、金型の技術者、今中国に教えに行っているんですよ。中小企業の金型の技能を持った方々が、もう六十歳過ぎている方、中国に行って教えられている。私、頻繁に中国に行きますので話を聞いてみますと、何で中国に行くんですかと。中国には教える若い人がいるとおっしゃるんですよ。ついでに申し上げますと、日本には金型科という学科はありません、大学に。中国にはあります、金型科という学科が。そこに呼ばれて技術指導をしている。ですから、やはりその技術の、技能の伝承をする場合に何がキーかというと、技能ってやっぱりコンピューターに入るものじゃないと思うんですよね。人から人へ伝わるものですから、やはり若い方々が技能を伝承できるようなことをこの人材育成の中でもより強力に進めていただけないかと思っております。  また、私が心配していますのは、先ほど申し上げましたけど、中国に今技能がすごく逃げていると思うんですよ。金型もそうです、今申し上げましたように。あと、機械もそうなんですよ。機械の技術者の方々が海外に、海外もはっきり言って中国です、これは。中国に行かれて、中国で地元の工場を動かしながら技能をどんどんどんどん、良く言えば伝承ですよね、悪く言えば流出だと思います、これは、しています、はっきり申し上げて、これは。ですから、一つの判断として、もうそういう古い技術は、技能はもう中国に移っていいんですよという判断もあるかもしれませんけど、その点どうお考えかということを是非教えていただければと思います。お願いします。
  65. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 先生おっしゃる話は大変、一方的に右か左か決められない領域ではないかと思っております。これだけ日本と中国との間で物づくりについての様々な協力あるいは連携関係が企業の間でも行われてまいりますと、一定程度、当然技術について先方へも伝授しなければいけないというところがあると思います。  具体的に、例えば金型メーカーなどの動きを見てみましても、ある程度汎用的なレベルのものについて言えば、これはもう中国へ行ってやるしかないというところはあるわけでございますから、そこについてある一定の技術者が行ってそれを伝授するというのは当然に行われることだろうと思っています。  それで、先ほど出てまいりました長津製作所なんかの例を見ましても、やはりこの日本で営々と磨いていかなきゃいけない分野、先端的な分野というものに対しては、企業もこれは一生懸命日本で若者を探して伝承していくと。また、若者の話も、これはなかなか難しいんでございますけれども、やはりそういう先端的なすばらしいものをやっているところにとって見れば、相対的に、そうでないところに比べて若い人たちがやっぱり職を求めてくると、採用も可能であるというようなこともございますので、これは昔からある国際分業の世界だろうと思いますけれども、日本のそういう先端的な分野が日本で生き残っていくためにも、やはりそういうベースになるところの技術というのはきちっと磨いていく、あるいは伝承していくことが大事だと思います。  そういった面で、私どもは、一方で国際協調で日中の生産関係なんかを考えると同時に、日本の物づくりの技術というのは、だからこそやっぱり深めていかなきゃいけない、そこに政策が必要だろうというふうに考えております。
  66. 小林温

    大臣政務官小林温君) 中国の件でお尋ねでございますが、まず一つには、日本にしっかりとそういう、受け継ぐそういう基盤をつくっていく、そのための人材の育成の整備というのは、これは必要だと思います。とともに、例えば中国の企業が非常に戦略的に、退職者も含めて、高い給料で招いて結果的に技術が流出してしまうということもあるかと思います。ですから、職業選択の自由ということもありますのでこのことを一概に規制することはできませんが、例えば、中小企業もこれからそういう意味では知財の管理というものをどういうふうに企業として推し進めていくかという観点を持つことが必要だというふうに思いますし、退職者が持っている企業のノウハウについては、例えばアクセスできるものを制限したり、秘密であることを客観的に認識できるようにマニュアル化するなど、不正競争防止法で保護されるような営業秘密にするという努力もこれは企業の側で必要だというふうに思いますし、そのことによって使用差止め請求を行ったり損害賠償請求等も行えると、一応法的な枠組みは担保をされているということだと思います。  ですから、これは、政府としても様々な形でその流出防止の取組を行っていくと同時に、特に技術力を持った中小企業においても、こうした意識付けをこれから更に強めていただくということが必要だと、その支援策を行っていきたいというふうに思います。
  67. 藤末健三

    ○藤末健三君 小林務官、是非やってください。不正競争防止法、恐らく中小企業は御存じないと思うんですよ、トレードシークレットの話は。是非、普及していただければと思っております。  また、ベンチャー支援と申しますか、中小企業支援につきましては、私自身よく仲間から聞きますのは、海外に展開したいと。なぜかというと、やはり日本の大企業、あと政府はなかなか新しい製品作っても買ってくれないけれど、アメリカは買ってくれるらしいということをまだ言っている人いるんですよ。  それで、実際に私、調べてみますと、アメリカの大使館には、実際にですよ、今、アメリカのベンチャー企業日本に売り込みをするときにサポートする部隊があります。私は直接会ってお話をお聞きしました。アメリカのベンチャー企業の社長が例えば日本に来たときに、いろんな、どこの企業に行けばいいか全部調べて、通訳までやるんですよね、付いて回ると。営業活動を支援するということをやっております。それぞれ、その一人一人の担当者はどれだけの効果があったかというのを全部評価されるんですよ。というところまでやっている。ところが、日本ってやってくれないよねという話がございまして、是非とも、日本中小企業が海外展開をするときに、特に売り込み、営業の支援をするようなことを行っていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  68. 小林温

    大臣政務官小林温君) 午前中の松村議員質問についても、地方中小企業の販路開拓の支援ということもあり、これも同じ文脈で、海外の支援ももちろん積極的に行う必要があると思います。  ジェトロがそのお手伝いをさせていただいているわけでございますが、独立行政法人化後、今、選択と集中ということを一つの目標に掲げております。今、お話にもありましたが、例えば、我が国企業がどこに販路を開拓したいのかということに対して、例えば、スクラップ・アンド・ビルドでこれまでの拠点を見直し、あるいは中国で新たに二つの事務所、これは広州と青島でございますが、開設するなどして東アジア地域への重点的なシフトも行っておりまして、現在は五十六か国七十四事務所体制ということになっております。  ですから、この努力は引き続き続けていきたいというふうに思いますし、現在行っております、我が国企業が作った製品や部品などをバイヤーに紹介するための見本市への参加、それから販路開拓面での支援、これもまた更に充実をさせる必要があると思います。  そしてもう一つ、中小企業基盤整備機構においても、商社やメーカーのOBなど海外での業務経験を積んだ専門家を今アドバイザーとして契約をさせていただいております。こういう方々にその海外進出に関する具体的な相談に応じていただいて、あるいは投資環境について積極的な情報提供を行っていきたいというふうに思っています。  海外からのお客さんが来られたときに、今、やはり我が国にもっと日本投資をしてくれと、あるいは日本商品のルート開拓をしてくれという需要も強いわけでございますので、このニーズにしっかりと対応できるように、今後ともその中小企業の国際展開、これは国際競争力のアップにもつながりますし、かつ我が国の大事な財産である中小企業支援にもつながると思いますので、進めていきます。
  69. 藤末健三

    ○藤末健三君 小林務官、是非やっていただきたいと思います。  午前中の松村委員の質問ともちょっとかぶるんですけど、展示場は余り意味がないと思うんですよ、僕は、正直申し上げて。展示場に出展することを特にジェトロさん、中小企業事業団さんはなされていますけれど、もっとやっぱり個別のニーズに合わせた、個別のきめ細かい対応をやる仕組みを是非つくっていただきたいと思います。そこは、やっぱりまたそこでも選択と集中だと思うんですよ。のんべんだらりんと何かスペース取って、展示して、見せますよというだけじゃなく、細かいニーズにこたえた行政サービスを是非確立していただきたいと思います。  そして、中小企業の問題につきましては、これは最後にさせていただきたいんですけれど、今私が知っている範囲ではございますが、中小企業の事業の承継、非常に問題だと思います。  私が実際に伺った企業ですと、売上げが大体二百億円ぐらいなんですよ。皆さんがお使いの携帯電話のモーターの銅線を作っている会社があります。あれ、八ミクロン。もう見えません。世界市場の三五%ぐらいを持っているんですが、何が問題かというと、社長はもう七十歳超しています。ところが、継ぎ手がいないんです、継承者が。なぜかと申しますと、二百億の売上げで大体五億の利益、そして社長個人の借金が二十億あるんですよ。ですから、その社長の後を継ぐ方は二十億の借金も一緒に継がなきゃいけない状況になっていて見付からないという状況がございます。  また、こういう問題はやっぱり私が聞くだけでももう数件、私は狭い範囲しか知らないんですけれども、数件、同じような問題を抱えている方がおられますんで、このような事業継承の問題にどう対策を立てておられるかということを教えていただけないでしょうか。お願いいたします。
  70. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 先生のおっしゃるとおり、大変重要な問題であるというふうに思っております。やはり事業用資産については本来非課税としてほしい、あるいは欧州諸国のような例に倣ってほしいというような御要望も種々いただいているところでございます。  中小企業の円滑な事業承継ということは、事業の継続、発展を通じて、地域経済活力活性化の維持、あるいは雇用の確保等に資するものでありまして、極めて重要な私は課題であるというふうに思っております。  こうした観点からこれまで累次の税制改正を行いまして、事業承継に係る主要な相続財産である土地や自社株式に係る相続税、贈与税の軽減措置を創設、拡充してきたところであります。平成十八年度税制改正におきましては、自社株式の物納に係る許可基準を緩和、明確化するなど、物納手続を大幅に改善する措置が講じられる予定でございます。三億から十億に拡大するというような予定であります。今後、自社株式の物納が増加することによりまして、キャッシュに乏しい中小企業の事業承継の円滑化に資するものと期待がされるところであります。  こうした問題に対しまして日本商工会議所や関係する士業団体とともに、事業承継問題に係る総合的な検討の場としまして事業承継協議会というものを発足をさせました。この場におきまして、事業承継円滑化の観点から、法務、税務、金融、様々な分野の実務家の方々とともに専門的な検討を行っているところでございます。  今後とも、こうした場を含めまして、中小企業の円滑な事業承継のために有効な施策について検討してまいりたいと考えております。
  71. 藤末健三

    ○藤末健三君 松副大臣、どうもありがとうございます。  税制、相続税の改革も必要だと思うんですよ。ただ、それは非常に時間掛かるし、壁が厚いんじゃないかと思っていまして、私は本当にお願いしたいのは、借金をきちんとなくすことは可能なんですよ、実は。どういう方法があるかと申しますと、先ほど申し上げましたように、株式市場に出して株式を流動化させれば、それがキャッシュに変わります。株式を、相続税として株式で納税するようなことはしなくてもいい、若しくは、例えば今動き出しています事業継承ファンド、お金、一回事業を継承するときに借金の肩代わりを、全部消してくれるようなファンドも動きつつありますので、そういう仕組みを是非経済産業省がつくっていただければと思いますし、あと、これはもう二階大臣に是非お願いしたいのは、新経済成長戦略、今回つくっていただくもの、この中で明確に中小企業行政の、政策の大きな転換を図ってください。お願いします、これは。今の、同じことを繰り返しちゃ駄目だと思うんですよ。少なくともこの四年間、中小企業の数は減り、雇用者数は減ったこの事実はどうかということを評価していただきたいし、過去の政策評価していただきたい。その中で新しい枠組みを是非打ち立てていただきたいと思います。お願いします、これは本当に。もう、是非、よろしければお答えください。お願いします。
  72. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 中小企業の重要性につきまして、過去の御経験もあり、大変お詳しい御質問をいただいて、私も感心をして聞いておるところでありますが、今御提案のありましたように、今度の新経済成長戦略、これは、大企業から中小企業に至るまで国民皆さんが一目ごらんをいただいて、よし自分はこの分野で頑張ってやろうというような思いによって日本経済の、新しい経済活力をもたらす、そういう意味で取り組んでおるわけでございまして、当然、中小企業には重点的にスペースを割いていこうと思っております。大体の案が今まとまりつつあるところでありまして、今後、実質成長率におきましても二・二%よりもう少し積極的な対応ができないか検討しておるところでございますが、今のところ一応二・二%ということを念頭に置いておるところであります。  したがって、その中で中小企業対策等、地に足が着いたといいますか、そういうものをつくって積極的に取り組んでいきたいと思いますので、この問題に限っては党派を超えて取り組んでいかなくてはならない課題でありますから、是非、御党の御協力お願いしておきたいと思います。
  73. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、本当に大臣お願いいたします。  次に、中小企業の問題につきまして公正取引委員会の方にちょっと御質問を申し上げたいと思います。  恐らく委員の皆様は余り御存じないかもしれませんけど、公正取引委員会下請法という法律がございます。これは何かと申しますと、元請企業、大企業が例えば下請企業に対して値段を安くしろという買いたたきとか、あと自分の製品を買いなさいという購入の強制とか、あと支払の遅延みたいなものがあるわけでございますが、そういうことを違法行為として取り締まるような法律がございますが、この来年予算の、公正取引委員会の来年の予算のこの御説明の中にも下請法の着実な実施ということがございますけれど、私が知る範囲、下請法は余り知られてないんではないかというふうに思います。少なくとも私が知っている範囲、知人ではほとんど御存じの方がおられませんでした。  委員長にお聞きしたいんですが、下請法の普及啓蒙のためにどういう活動を、ここにも書いてございますけれど、なさる御予定か教えていただけないでしょうか。委員長お願いいたします。
  74. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) これは法律ができてから長い歴史がございまして、その下請法の中身を含めて普及活動というのはずっとやってきているわけでございまして、具体的には、商工会、商工会議所の御協力もいただいて全国各地でそういう講習会等を行っておりますし、秋には下請法推進月間というようなことまで設けて集中的にイベントを組んで説明をしておりますし、加えて、下請取引のための、民間有識者に委嘱して推進員という制度も設けて、その地元で生じている下請法関連の問題については相談に乗っていただいたり、又は相談だけでは済まない場合には公正取引委員会なり中小企業庁にそういう情報をもたらしてきちんと当局に裁いてもらうと、こういうことも含めてやっておりまして、まあ十分じゃないということかもしれませんが、これからも引き続きそういうことで重点的にやっていきたいと思っております。
  75. 藤末健三

    ○藤末健三君 もう簡単に答えていただければと思います。  研修をなされているというふうにお聞きしたんですけれど、昨年度、何人、下請法の研修を受けたか御存じですか、委員長。お答えください、もし御存じであれば。
  76. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) 何人受けたか、私、今ちょっと手元にそのデータはございませんが、それはもう何百人というオーダーになっているはずでございます。
  77. 藤末健三

    ○藤末健三君 四百六十人なんですよ。もうこの表をごらんになってください、皆さん。何社あります、中小企業。だから、六百万社ある中小企業事業者に対して講習をされましたと、五百万円使われて四百六十人が受講されたということで、やっていると僕は言えないと思いますよ、正直申し上げて。いや本当に。  ここでも、下請法の第二に、下請法施行経費として九千二百万円を計上されるということを書かれていますけれど、やはりきちんとこの下請法の存在を中小事業者の方々に僕は知っていただく必要があると思います。  特にお願いしたいのは、実際に下請法が、平成十六年から下請法の勧告を受けた企業は名前を公開できるようになったんですよ。それまで名前は出ませんでした。名前出なかったんですよ、法律違反を犯しても。ところが、平成十六年からできるようになったんですけど、実際に名前を公開したやつが新聞に載っているかどうかを調べたんですよ。余り載っていません、はっきり言って。全国紙は載っていません、地方紙にしか、ほとんど。  ですから、やっぱりきちんと知らせるために、講習も必要ですし、きちんとやっぱり新聞なんかに載るような活動をお願いできないですか、委員長
  78. 竹島一彦

    政府特別補佐人竹島一彦君) まだ不十分だというおしかりでございますが、私どもは、下請事業者の置かれている立場が立場だけに、黙って受け身でいたんでは下請法違反事件の情報ももたらされないだろうと。そこで、わざわざこの御時世に、公正取引委員会中小企業庁が手分けをして十万件以上の下請事業者に対してアンケート調査を定期的にやっているわけです。  そういうことで、下請法違反がそのまま埋もれずに、我々がちゃんと手を下せるように積極的な情報の掘り起こしまでやっているということは是非御理解をいただきたいと思います。  それから、御質問のその名前を公表しない云々は、これは私が参りましてから法律改正をお願いして、従来は、分かりましたと言えば公表しないということで、まあ穏便な取扱いをしてまいったんですが、これは公表するぞという改正をさせていただきました。現に公表しておりまして、お手元にお持ちのようにその新聞記事にもなっているわけでございまして、私どもはそれをかばうとか隠すとかという考え方は毛頭ございません。あとは新聞社がそれをどう受け止めるかということでございまして、積極的に広報するというのが、法律改正をお願いした立場上、御推察いただけると思います。
  79. 藤末健三

    ○藤末健三君 いや、本当に委員長が今までなされていることはすごいと思います。ですから、もっとやっていただきたいという、本当にお願いでございまして、いや、本当になされてるんですよ、委員長。ただ、もっとやっていただきたいんですよ。やっぱり、中小企業、今、石油の値段上がってるじゃないですか。原料費上がってるんですよ。それでもやはり、出す製品に値段がなかなか転嫁できない。また、中国との競争がすごいですよ、今は。ちょっと値段を引かなければすぐ、中国に切り替えると脅されちゃうわけですよ、下請企業は。そういう状況を本当に御理解ください。そしてまた、ソフトウエアとかでもなさると思うんですよ、コンテンツ、漫画のアニメをかくところとか、そういう下請業者にも是非目を向けていただいて、より一層本当に委員長に頑張っていただきたいと思いますので、是非お願いします。  次に──どうぞ、委員長、もうこれで結構です。  次に、エネルギーについてお話をさせていただきたいと思います。  今回、二階大臣が中国に行っていただきまして、中国とのエネルギーの問題、ガス田の問題、大きな一歩を踏み出していただいたということを本当に私自身うれしく思っております。中国の問題につきまして、よくガス田の話が問題になりますが、これちょっと、せっかく資料作ったんでごらんになっていただくと、左側の下に石油の海上輸送経路という地図を載せております。石油がどこから来ているかということでございまして、今八割が日本は中東から来ています。その途中でホルムズ海峡やマラッカ海峡などを通過してくるわけでございますが、そのような海峡を今チョークポイントと、石油のチョークポイントという言い方をしまして、その海峡が止まればもうエネルギー輸送は止まってしまうというようなことを言っております。  ただ、一点重要なことは何かと申しますと、実際に今中国が石油を輸入しています。調べてみますと、中国も同じ経路なんですよ。ほとんど一緒です、石油の輸入経路は。で、彼らも輸入する石油の約七割がこのチョークポイント、マラッカ海峡、ホルムズ海峡を通って輸入されているような状況でございます。  そこで、私がちょっと伺いたいのは石油の海上輸送の安全ということでございまして、今のこの図にはかきませんでしたけど、ミャンマーとパキスタンにおいて今中国が港を造っていると。もしかしたら、それは軍港じゃないかという話があります。潜水艦が寄港できるようになるんではないかということでございまして、中国も非常にこの石油の海上輸送路の確保に向けて動き出しているんじゃないかということでございますし、またマラッカ海峡は海賊が非常に出る地域だというふうに言われております。  国交省と防衛庁の方にちょっとお話をお聞きしたいなとは思うんですが、ここはちょっといろいろ難しいところございますので、今日、政府委員の方が来られてますけれど、是非、この海上の輸送路についてもっと世の中の注意が行くようにやっていただけないかと思っております。  特に、中国が今、海上輸送路に対してすごい関心を示しているという状況でございまして、この日曜日、この間の日曜日にちょうどあの日高レポートというテレビがございまして、たしか第七艦隊か何かのレポートをしてたんですけど、もう露骨に石油の輸送の安全における中国の脅威みたいなことをおっしゃってたんですよ。ただ、それを本当に脅威ととらえるかどうかということを、是非、二階大臣、処理していただきたいと思うんですよ。後で御質問します、そこはまとめて。  そこで、そういう状況にあるということを御理解いただきたいということと、もう一つございますのは、石油の海上輸送路だけでなく、中国とのエネルギー政策でいきますと原子力発電所の建設というのがございます。  お配りした資料の右下にございますけれど、これは中国の原子力発電所の設置状況と設置計画でございます。この中にございますように、これから中国、二〇二〇年までに四千万キロワットという莫大な電力を原子力で補おうとしているという状況、そしてまた、今大事なことは、この資料にも書きましたけれど、点線の枠で囲んでございますが、原子力発電所二つ、原子炉では四基になりますが、原子炉の入札を今やろうとしている状況でございます。  こういう中国の原子力の発電所がどんどんどんどん建設が進む中、やはり日本政府としても中国の原子力発電所を落札できるように働き掛けるべきじゃないかと思うんですが、その点につきまして、これはエネ庁長官お願いいたします。
  80. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) お答え申し上げます。  今、先生から御指摘ございましたように、中国、これから原子力発電所を多数建設をしていくということになっておりまして、うち四基は今国際入札に既に付されております。日本といたしましては、これまで中国に対しまして、運転管理者向けの研修事業でございますとか規制機関向けの研修事業を行うというようなことで、原子力安全に役に立つ人材育成協力を積極的に行ってきております。  また、国際入札の点につきましては、昨年の二月に中国国務院の曽培炎副総理、それから呉儀副総理に対しまして、日本企業の参画を政府としても全面的に支援をするということを記しました書簡を大臣から発出をするというようなことで、積極的に取り組んできております。また、こうした取組に加えまして、日本貿易保険、国際協力銀行からも、日本企業の参画に対する貿易保険等の活用につきまして前向きに対応するということで、既に中国側に伝えてきているところでございます。  これからも、こうした中国等での原子力発電所に対する日本企業の参画につきまして適切に支援をしてまいりたいと考えております。
  81. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非頑張っていただきたいと思います。  私が申し上げたいのは二つのポイントがあります、中国の原子炉については。それは何かと申しますと、一つは、今後日本で原子炉がなかなか造れないような状況になっている中、新しい原子炉を造るということはその技術を本当に発展させるためには必要でございます。ですから、我が国原子力技術を維持し発展させるためというのが一つ。  そして、もう一つございますのは、この私がお配りした資料には日本の地図をかきませんでした、わざと。これは本当、ちょっと横に行くと日本なんですよ。中国の今、臨海部に原子力発電所がどんどんできると。で、万が一事故が起きた場合にどうなるかと申しますと、恐らく偏西風に乗って日本に影響が出ることは必至でございます。  今回、先ほどエネ庁長官からもお話ありましたけれど、現在、入札、応札中の二つの原子力発電所につきまして、この今回の入札で決まった原子力発電所が今後の標準になるらしいんですよ、中国の標準になってしまうと。ですから、原子炉四基だけの問題ではなく、その後に続く話でございますので、是非とも強いプッシュをお願いしたいと思います。  エネ庁長官お話にありました貿易保険そしてJBIC、名前はもう、済みません、JBICの融資、これは落札した後の制度なんですよ、実は。落札した後の制度でございますので、今、入札をしている中で日本政府として何をすべきか。二つの観点、原子力技術をどうするかということと、もう一つは、やはりこの国の原子力の安全を維持するという意味で是非取り組んでいただきたいと思います。  今回、二階大臣におかれましては、中国との間の議論を進めていただきまして、本年五月には日中省エネ環境総合フォーラムを開催いただくという、大きな僕は一歩を踏み出していただいたと思います。このような中国とのエネルギー環境分野での協力とともに、日本エネルギー環境ビジネス、企業が中国にどんどんどんどん進出していくように御配慮いただきたいと思うんですが、その点につきましてお教えください。お願いいたします。
  82. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 日中間、幾多の問題が横たわっていることは委員も御承知のとおりであります。私は、その中でもあえてこのエネルギーの問題、正に日中間のエネルギー協力、そして環境問題等は喫緊の急務であるというふうに私は判断をいたしております。このまま放置しておいて、中国は中国の問題だというふうに言っておっても、中国で今御指摘にありましたようなことが発生した場合、あるいはまた黄砂等もしょっちゅう、これ、日本の空に飛んでこないとも限らない。そういう至近の距離にあるわけでありますから、片っ方から見れば中国の問題であったって、言い換えればまた日本の問題でもあるわけであります。そして、一衣帯水の国と言われますが、空はほとんどつながっておるわけでありますから、そうした面から私は、中国と一日も早くテーブルに着いてこれらの問題を協議する必要があるというふうに思っておりましたが、これは一担当大臣だけの判断でできることではありません。  したがいまして、先般、中国訪問の際に、中国の党の幹部、あるいは温家宝総理等にお目に掛かる機会がありましたから、私どもは担当大臣同士この問題で対応しようということで今日まで三回話合いをしてきた、よってこのことに対して総理として是非サポートを願いたいということを私が申し上げましたら、すぐそばに薄熙来商務部長も同席しておられましたが、大変結構なことでありますので、その線に沿って日中の協力をという総理からの同意する旨のお話がありましたので、私ども、今、五月末、東京で開催を目標にしまして既に準備に入っているところであります。  これは委員も御承知のとおり、ただ一回だけの会議で終わらせることなく、今後、日本で開く、次は中国で、中国の次は日本でというふうに回数を重ねて具体的な成果を上がるように、それは日本の側から見ても満足できるように、中国の側から見てもこのフォーラムに参加したことが良かったと、こう思っていただけるようなことに仕上げていきたいと思って目下準備を整えているところであります。
  83. 藤末健三

    ○藤末健三君 二階大臣、どうもありがとうございます。是非どんどん前に進めていただきたいと思います。  私は、一点お願いしたいのは、私、事務方の方からこうお聞きしていると、エネルギー環境技術の何か協力みたいなイメージが非常に強いんですよ。環境がやっぱり大事みたいな感じのことをおっしゃっていますけれど、私はやはりエネルギーの特に安全保障の問題を中国と一緒にやっていただきたいと思っております。  先ほど申し上げましたように、石油の海上輸送の話、これはもう本当に国の安全にかかわる話だと思うんですよ。それを中国と敵対してやるか、それとも一緒にやるかというのは大きく政策の方向性が変わってくると思いますんで議論していただきたいし、また原子力技術もそうです。そしてまた、今回の予算の中にもございますけれど、アジアでの備蓄、石油の備蓄をどうしていくかというような議論。やはり石油の備蓄なども我が国一国が背負うだけではなく、中国も、僕は正直言って今中国の備蓄計画は弱過ぎると思うんですよ。そういう備蓄計画をきちんと中国にやってもらうとか、そういう交渉を是非お願いしたいと思います。  我が日本は、ガス田だけの話じゃなくてもっと包括的に、我々切れる、エネルギーの分野で切れるカード、相当あると思うんですよ、日本は。そういうカードを総合的に使って、是非、大臣主導で中国とのエネルギー政策推進していただきたいと思います。これはお願いでございます。
  84. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先ほど、海上保安庁の問題等も含めてこの海の安全をどう守るかという観点から御質問ありましたが、私もちょうど、思い起こせば私が運輸大臣当時、時の海上保安庁長官は、今皆様の同僚であります荒井参議院議員が当時、海上保安庁長官でございました。中国との交渉の中において、中国側がこの日本の海賊対策というのはすばらしいということで称賛をするとともに、日本のそういう取締りについて指導を願いたいと、こういうことを言われました。議員も御承知のとおり、中国側が我々の方へ指導をというふうなことは滅多に言わない言葉でありますが、率直にそう言われました。まあ、そこまでお話があるならば日本も積極的にやろうということで、私は当時の荒井長官に話をしまして、このアジア各国のそういう海上保安庁と同じような役所、これは防衛庁の中に入っておるところもあれば、経済産業省のようなところに入っておるところもあれば、いろいろ国によって制度が違います。しかし、要は海上保安庁と同じような仕事をしていただいている国々にお集まりをいただきまして、日本で第一回の会合を持つことにいたしました。その後、この順繰りで他の国々とも協調して一緒になって対応しております。  御指摘にもありましたように、幾ら日本の海上保安庁のそういう技術が進んでおっても、一国だけでできるわけではありません。これは周辺諸国と提携してやっていく。しかも、防衛庁にお願いするのも一つの方法かもしれませんが、防衛庁でございますと、またまた難しい問題がそれぞれの国にあるわけでありまして、海上保安庁ならばどうぞということでありましたので、我々はそれに積極的に取り組みました。  また、国によっては、日本の海上保安庁の技術とともに、日本の船がある一定の年限が来て交代をするときに、その船を我々の国に譲り受けて、もらいたいということを熱心におっしゃる海上保安庁長官もおられるくらい、いろいろ、種々問題があるわけでありますが、私は、アジア各国が協調してやっていく、またアジアの国々が協調して石油備蓄に対応していくなど、私は大変、御見識を伺いまして、我々また、こうした問題についてもこれから協議をしながら対応してまいりたい、そして先ほどのアジアの備蓄と日中関係の石油備蓄の問題等は、今度のエネルギーフォーラムのテーマとして考えていきたいと思っております。
  85. 藤末健三

    ○藤末健三君 大臣、本当にお願いいたします。  あともう一つ、元運輸大臣をなされていたということでちょっと私がお願いしたいことがありまして、今、航路の、例えばマラッカ海峡とかスンダ海峡なんかの海峡の安全確保につきまして、日本が大体百五十億円いろんな国に、マレーシア、インドネシアにお金を提供しています。ところが、その比率を見ると政府は一割しかないんですよ。あとは民間財団などが提供しているという状況でございますし、また私が海上保安庁の方とお話ししていますと、やはり海上保安庁の方は、国際の関係は外務省さんなんだよと、こう振られるわけですよ。そこはやはりもう各省庁のやっぱり壁が相当邪魔していますんで、是非、この石油の安全というのはやっぱり経済産業省だと思います、私は。そういう観点から、経済産業省がイニシアチブを取って、そういう海上輸送路の安全まで見ていただければと私は思います。  もう時間がちょうど来ましたのでお話は終わらさせていただきますけれど、大臣は今度またエネルギーの国家戦略を作られるということでございますが、今回、今日は中国の議論だけを申し上げましたけど、もう一方で、エネルギーの消費大国であるアメリカも是非ごらんになっていただければと思います。  釈迦に説法ではございますが、アメリカが包括エネルギー法を出しまして新しいエネルギー政策の転換を図ってくると思います。その中で、我々日本もやはりアメリカのエネルギー政策とやはり連携した政策を作らざるを得ない、それは間違いないと思うんですよ。ですから、今までIAEA、IAEAといった国際、マルチ、多国間が集まったエネルギー政策の場はございますけれど、恐らくこれからは日本がやはり対中国、対アメリカ、そういう二国間の、バイの場でエネルギー政策を強力に進めるということを、またこのエネルギー国家戦略の中に書き込んでいただきたいということをお願いしまして、私の質疑を終わらさしていただきます。  どうもありがとうございました。
  86. 加納時男

    委員長加納時男君) 藤末健三君の質疑を終わります。
  87. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  本日は、私からは、まず最初に、今同僚議員からも質問ございましたが、資源エネルギー関係予算について、そして次に、これに関連いたします新・国家エネルギー戦略について質問をさせていただきたいと思います。  昨年四月に京都議定書目標達成計画が策定されまして、二〇一〇年に九〇年比六%減、まあ現状からすれば一四%減という厳しい目標に向けて各般の施策が期待されるところでありますが、経済産業省のこの資源エネルギー予算、関係予算においても、省エネルギーは一千四百七十七億円、かなりの金額でありますが、前年度に比べますと九億円の減と。また、新エネルギー関係予算は千三百八十一億円と、これも大きな金額ですが、前年度に比べると八十二億減ということになっております。  そこで、まず松経済産業大臣にお聞きしたいと思いますが、このエネルギー関係予算評価でありますけれども、特に京都議定書目標達成計画策定後初めての予算ということで、そういう点から見て評価は十分でしょうか。
  88. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 浜田先生おっしゃるように、大変厳しい財政事情でございますけれども、エネルギー関連予算につきましては、私どもは必要な予算、しっかり措置をしているというふうに認識をいたしております。  具体的には、温暖化対策、あるいは省エネ対策原子力推進石油開発等については重点的に確保をしているところでございますし、特に温暖化対策に対しましては、政府による京都メカニズムクレジット取得の予算の新設、これなども、先ほどおっしゃいましたけれども、正に十分に措置をしているところでございます。  厳しい財政事情、これは何回も申し上げますように、ではありますけれども、温暖化対策を含むエネルギー予算は必要額を確保できたというふうに私ども考えております。引き続きまして、予算措置も含めてエネルギー政策の遂行に万全を期していきたいと考えております。
  89. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 引き続きよろしくお願いしたいと思います。  次に、東シナ海のガス田の関連予算についてお聞きしたいと思います。  これにつきましては、石油天然ガス基礎調査費が前年同額の百二十九億円、及び三次元物理探査船建造費が三年計画の二年目として二十六億増の百二十七億円が計上されております。  そこで、まず、これら予算の十七年度の成果、またその執行状況等について経済産業省にお聞きしたいと思います。
  90. 近藤賢二

    政府参考人近藤賢二君) お答えを申し上げます。  まず、石油天然ガスの基礎調査費でございます。我が国及び我が国周辺の海域におきます地質の構造の調査ということで、十七年度百二十九億円、先生今御指摘のとおりでございます、計上しておるところでございます。  東シナ海におきます物理探査につきましては、平成十六年の七月から調査を開始したところでございまして、十七年の六月まで実施したところでございます。その費用のうちの十七年度分の費用として約二十億円の支出をしたところでございます。残余の額につきましては、これを用いまして日本近海における物理探査などの必要の調査を行うべく、現在、財政当局や石油天然ガス・鉱物資源機構などとの間で必要な調整を行っているところでございます。  また、三次元の物理探査船の建造費についてでございます。これは、平成十七年度で百一億円の予算を計上しておるところでございます。これにつきましては、昨年の八月から九月にかけまして、調査手続の一環といたしまして、資料の招請手続と、これは招くという字に要請の請という字を書くんでございますが、招請手続というのを行ったわけでございます。これはすなわち、資源エネルギー庁に対しまして三次元の物理探査船の仕様を作成する上で参考となる資料の提供を求めるということをやったところでございまして、現在、提出された資料などを参考にいたしまして仕様書を作成するなど、調達に向けた手続を進めているところでございまして、今後できるだけ早期に公募手続を進めてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  91. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 着実な予算執行をお願いしたいと思います。  そこで、十八年度の予算を執行する上でも、東シナ海ガス田に関する日中共同開発の合意が早期に望まれるところでありますが、三月の六日、七日、北京で第四回局長級協議も開催されました。今回、協議が、その直前の二階大臣の訪中で共同開発への弾みが付くんではないかと、そういう期待もあったわけですが、しかし、中国側から出てきた提案は、いまだ日本の提案とはほど遠いものでございます。  そこで、二階大臣にお聞きしたいと思いますが、このガス田問題に関する現状の膠着状態を打開して、東シナ海を真の意味での協調の海としていく上で、日本にとって今一番必要なものは何であるとお考えでしょうか、御認識をお聞かせ願います。
  92. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 東シナ海のこの資源開発問題につきましては、東シナ海の問題だけではなくて、もろもろの日中関係も影響があったのかもしれませんが、いずれにしましても、私の就任時は日中関係のいわゆる局長級会議というものは中断された状況にあったわけであります。まずは、この中断されている会議をお互いにテーブルへ着く、この努力が必要であるというふうに感じまして、再三、いろいろの場で交渉を続けてまいりました。  そうした努力の結果、先般、中国訪中の際に、ようやくこの本年のいわゆる三月六、七の第四回目の局長級協議に中国側が応ずるということになったわけでありまして、私どもの側からも働き掛けたことでありますから、その局長級会議をやりましょうということで開かせていただきました。  これについては、外交ルートを通じて詳細の日程等を協議し、外務省のアジア大洋州局長が先頭に立って交渉に臨んでおるわけでありますし、私どもの側の専門家の資源エネルギー庁長官以下幹部が同行して一緒に中国側と協議をしておる最中であります。  今度は第五回目の会合になろうとしておるところでありますが、できるだけ早い機会に第五回目の会合を持つことが大事であると思いますが、議員も御承知のとおり、国際会議でこういう微妙な問題を話し合う際に、大きな広いテーブルでお互いの意見を述べ合う、このことも大事でありますが、同時に、この会議会議との間にこれ話合いをしちゃいけないということはだれも言っていないわけですから、この努力を、外交ルートを通じてもっと懸命な努力があってしかるべきだと思っております。  したがいまして、私ども経済産業省としましても、我々に与えられた条件の下に、懸命の努力を怠ってはならないというふうに考えております。  先ほども御質問がありましたとおり、やはり私どもは、このエネルギーの問題にしろ環境問題にしろ、これは中国の問題だと言っていられないような、中国の問題であると同時に日本の問題、日本の問題であると同時に中国の問題でもあるという、こういう極めて切っても切れない間柄、よく言われますが、日中関係はお互いに引っ越しのできない状況の中にある、こういう国柄でありますから、私どもはあくまでも話合いで解決していく、この基本に基づいて積極的に対応してまいりたいと思っております。  話合いで解決するというと、何となく、外から見ておると積極性に欠けておるように言われる人もおるようでありますが、私はそういうことではない。積極性があるからこそ相手国の総理大臣にまで会いに行ってきたわけですから。私は、もっと積極的なやり方がおありなら改めて御指導をいただきたいと、もうこうさえ思っております。
  93. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。  是非話合いで解決すると、それが重要だと思っております。次の五回目の局長級協議の前でも各事務的なレベルでの話合いを頻繁に行っていただいて、その路線で解決をお願いしたいと思っております。  次に、電源特会と石油特会について質問したいと思います。  まず、両特別会計とも従来から多額な不用額が発生していたとして批判を受けていたところでありますが、そこで経済産業省質問いたしますが、石油特会及び電源特会の多額な不用金対策は平成十八年度はどのように対応することになるのか。財政状況の厳しい一般会計への融通貢献策はどうなっているんでしょうか。
  94. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) お答え申し上げます。  今、先生から御指摘ございましたように、石油特会、それから電源特会につきましては、国会等におきまして多額の不用、剰余金が生じているという指摘を度々いただいてきたところでございます。それを踏まえまして、予算の効率化等の見直しを行いまして、不用、剰余金の額は近年相当減少をしてきております。  御指摘平成十八年度予算でございますけれども、この予算におきましては、特別会計改革の一環といたしまして石油特会と電源特会の歳出を更に厳しく見直しをいたしまして、不用の発生いたしております事業の見直しなどによりまして大幅な歳出の削減を行っております。  これによりまして、石油特会につきましては九百九十五億円が一般会計に留保されております。また、電源特会につきましては一般会計に五百九十五億円を繰り入れるということによりまして、両特会合わせまして総額で千五百九十億円を一般会計に融通貢献するということになっております。  これらの結果、両エネルギー特別会計の不用、剰余金の問題は更に大幅に改善されるというふうに見込んでおります。
  95. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ただいまの御答弁で、千五百九十億、一般会計に融通するという話もございました。是非、こういうことを通じて貢献をお願いしたいと思います。  また、二階大臣就任早々、この電源特会と石油特会を統合をすると、そういうことを御提案されているわけですが、今般の行革推進法案では十九年度にそれが実施されるということになったわけであります。  その提案された背景について大臣にお聞きしたいと思いますけれども、この電源特会と石油特会の統合により今後どのようなメリットを出していこうということなんでしょうか、お答え願います。
  96. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) エネルギー特会につきましては、ただいま議員指摘のとおり、行政改革重要方針を踏まえて総合的に見直しに着手しているところであります。  具体的には、平成十九年度までに電源特会と石油特会とを統合します。そして、電源開発促進税をいったん一般会計に繰り入れ、そしてその後、必要額を特会に繰り入れる仕組みといたします。両特会の統合によりまして、エネルギー関連予算の全体像がより明確になると考えております。一層分かりやすい、透明性のある特会になるようにいたしたいと思っております。  電源開発促進税をいったん一般会計に繰り入れることにより、財政資金の効率的な活用も図ることができると思っております。原子力立地等により、財政需要がますます増大するまでの間、税収の一部を一般会計で使うことが可能となるわけであります。このような効果が実現できるように、今後、具体的な作業を懸命に取り組んでいきたいと思っております。
  97. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  是非その両特会を統合して、ただホッチキスで合わせたというだけじゃなくて、それが意味があったという形の統合をお願いしたいと思っております。  次に、新・国家エネルギー戦略について質問を移りたいと思います。  大臣は、新経済成長戦略とグローバル経済戦略とともに、この新・国家エネルギー戦略を策定すると所信表明でも述べられているんですが、内容を事務方からお話を聞きますと、省エネルギーを二〇三〇年までに今より三〇%改善させると。また、石油依存度を現在の五〇%から四〇%にすると、特に運輸部門において石油依存度を八〇%以下にするということでございます。一方、原子力は現在の三〇%から四〇%、若しくはそれ以上にと。全般的に見て、非常に積極的な内容になっておりますが、その具体化策はこれから五月までに検討されると聞いております。  そこで、まず二階大臣質問しますが、このエネルギー安全保障を基点としたこの新・国家エネルギー戦略を今のタイミングで策定する意義というものについて、あと目標年次を、ほかの二つの戦略は二〇一〇年であったり二〇一五年ですが、このエネルギー戦略は二〇三〇年に置かれていると、その意義についてお聞かせ願えればと思います。
  98. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 昨年来、原油の価格の高騰というものは大変な政治問題にもなっているわけでありますし、我が国経済、産業にとっては存亡の重要な問題だというふうに思っております。  議員も御承知のとおり、先般の衆議院選挙の前後、特にこの問題について全国各地から大変な関係者の関心が高まり、強い御要請等を承ってまいりました。私はその後に経済産業省を担当することになりましたので、このような厳しいエネルギーの情勢を踏まえて、エネルギーの安全保障という問題を中心に据えた新・国家エネルギー戦略の策定を強く望んでおりました。  目標年次についてのお尋ねでありますが、エネルギー戦略実現には、議員も御承知のとおり、長期的な取組が大変重要であります。例えば、原子力発電の場合、私も実は昨日、青森県のむつ小川原、あの地点に参りまして原子力の現場をつぶさに視察をしてまいりましたが、関係者お話を聞いておりますと、ここに原子力の設置の話が持ち込まれてちょうど今で二十年になりましたと。二十年を経過してようやくこれからこの地にいよいよ具体的な原子力の問題に可否判断をする、そういう場面に迫られておるときに大臣がわざわざ来てくれてありがとうというお話をいただいたんですが、関係者皆さんが、エネルギーは国家戦略だから、エネルギーは国家の重大なことであるだけに私たちは今日までいろいろな困難があったが協力をしてまいりました、それだけに、私たちの願い、私たちの思いというものをしっかり国で受け止めてもらいたいという、本当におなかの底から絞り出すような村長やあるいは知事の御意見を承ってまいりました。  しかし、私が言わんとするところは、そういうむしろ関係者の御協力によって比較的順調に進んでいるところでも事が始まってから着工、いよいよ可否判断をするまで二十年掛かると、こういうことであります。そこに、余りにも急いでこのエネルギー戦略の目標年次を設定するということには困難があろうというふうに思っております。  そこで、この運転開始まで長期間にわたる調整や準備が原子力に必要だということは、これはもう言うまでもないことでありますが、さらに最近は燃料電池ということにつきましても注目を浴びておるところであります。  エネルギー関係の重要な技術開発は、いずれも二十年ないし三十年必要だということからいたしますと、私どもは、今回の戦略では、こうした長期的な取組を継続しながらなお安定的に推進するために、一応の目標年次を二〇三〇年とさせていただこうと思っておるところであります。
  99. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  正にエネルギー戦略というのは長期を要すると、正にそのとおりだと思います。しかし、その上で、今この時点、確かに原油価格の高騰もありまして、今重要な時期だと思います。決めるべきものは決めていくと、そういう大胆なところは大胆に決めていただく戦略を是非骨太に描いていただきたいということをお願いしたいと思います。  それで、次に、エネルギー戦略の各論として、今後のエネルギー需要の増大が最も見込まれる運輸部門についてお聞きしたいと思います。  この部門については、先ほど言いましたように、二〇%を石油以外の燃料を導入すると、そういう意欲的な目標が上げられておりますが、運輸部門のエネルギーの伸びを踏まえると、これはすごいことだと思っております。  まず経済産業省にお聞きしようと思いますが、二〇三〇年時点で運輸部門の非石油エネルギーを二〇%にするにはどのような燃料をどのような比率で使っていくことになると現時点では予想されるでしょうか。
  100. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) お答え申し上げます。  運輸部門の石油依存度を下げますためには、燃料といたしましてはバイオエタノールあるいはバイオディーゼルといいますようなバイオマスからつくります燃料、それからGTL、天然ガスからつくります液体燃料でございますけれども、そういったような合成燃料を活用をしていくということが必要でございます。また、電気自動車でございますとか燃料電池自動車などの技術も、運輸部門におきます石油依存度を低下させるものとしてその開発に、推進に取り組んでいくということにいたしております。  それでは、それぞれの比率がどのようなものになるのかという点につきましては、バイオ燃料がこれから市場においてどの程度供給されるのか、経済性はどうか、あるいは燃料電池等につきましては、これから技術開発がどのようなスピードで進んでいくのかということによりまして内訳はかなり変わってまいりますので、現時点で確たる見通しを申し上げることはなかなか難しい状況にございます。  ただ、現在、大臣の御指示で策定をいたしております新・国家エネルギー戦略におきましては、具体的にどのように石油依存度を下げていくのか、そのためにどのような対策を取るのかということにつきましては、できるだけ具体的に述べるべく検討をしたいと考えております。
  101. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 確かに、現時点で内訳の比率を示すのは難しいという話ですが、先ほど大臣がおっしゃいましたように、エネルギーの問題は長期間掛かります。例えば、運輸部門の対応であれば、ガソリンスタンドをどうするんだというインフラの整備に時間も掛かります。そういう意味では、是非議論をしていただいて一定の方向性を出していただきたいということをお願いしたいと思います。  特に、今例に挙がりましたそのバイオエタノールでございますけれども、これについてはブラジルや米国等ではかなり使われております。我が国では法律上三%の混入が認められておりますけれども、余り普及はしているとは言えない状況だと思います。バイオエタノールは、京都議定書上はカーボンフリーとみなされます。しかもその供給は、海外からの輸入だけではなくて、サトウキビ、間伐材や建築廃材からも生産できる数少ない国産可能燃料でありまして、エネルギー安全保障の観点からも是非促進していくのが重要と私は考えております。  そこで、先ほど、一月のダボス会議でブラジルのフルラン開発商工大臣と会われ、また本日冒頭の予算説明でも引用されました、バイオエタノールに言及されました二階大臣質問したいと思いますけれども、我が国におけるバイオエタノール、いわゆるE3ですね、この普及の見通し及び促進策についてはいかがお考えでしょうか。
  102. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 御指摘のとおり、サトウキビを原料とするバイオエタノール、これは前に小泉総理がブラジルを訪問した際に大統領との間でもお話があったことによって、ブラジルの側の期待は非常に強いわけでありまして、先般もフルラン担当大臣は、私のところへ是非この交渉に行ってこいということを言われているが何とか日程が取れないかと言うから、いや、私はそのときはあいにく海外出張中だということを言いましたら、香港で、そして先般は今お話しのダボスでこのフルラン氏とお会いをしました。  大変な熱意でございますし、私どももやがてバイオエタノールの導入という面でブラジルと密接な関係を持っていかなくてはならない日が来るわけでありますから、あらかじめこのバイオエタノールの導入についてのお互いに検討をしておく必要があるということで、フルラン氏との間で両国で検討をしようということになって、今、日本の国内でも専門家が集まって、これから具体的な検討に入ろうとしているところでありますが、フルラン氏は、来月、日本にお見えになるようであります。  そこで、京都議定書目標達成計画におきまして、二〇一〇年度までに五十万キロリットルの導入を目標にしておるわけでありますが、これはバイオ関係の燃料でありますから、うちバイオエタノールは大体その半分ぐらいを考えられるのではないか。このために、国産バイオエタノールの製造コストの削減に向けた技術開発、さらに実証実験などをこれから真剣に取り組んでいかなくてはならないと思っております。  また、海外からの輸入につきましては、このフルラン氏がお見えになって具体的に御相談をいたしたいと思っておりますが、国内での対応等に対して、今御指摘にありましたように、ガソリンスタンドの対策の問題だとか、あるいは、沖縄でもサトウキビが作られておるわけでありますから、それらの関係とか、これから調整しなきゃならぬ問題がたくさん存在していることは事実でありますが、我々はできるだけ、今の石油に依存をしておるこの状況を少しでも幅広く他の分野で対応、調整はできないかどうかという面を考えるときに、バイオエタノールはこの有力な候補の一つだというふうに考えておるところであります。
  103. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。  今、大臣が、バイオマス燃料が一応目達計画上五十万キロリットルと、その半分ぐらいがバイオエタノールという話もございましたが、今、国内で使われているガソリンに三%混ぜるだけで百八十万キロリットルですから、そういう意味では、そこにとどまらず、二十五万キロリットルにとどまらずに、もう少し幅広に目標を高く上げてもらってもいいのかなと、そういうふうに期待をしております。  一方、エタノールにイソブテンという化学物質を化合させたETBE、こういう化学物質がありまして、我が国でも石油業界を中心としてこのETBE七%を混入したバイオ燃料が注目されております。しかし一方、この毒性のおそれについて課題がありまして、化学物質審査規制法の第二種監視物質に指定されたと聞くところであります。また、原料のイソブテン自身がガソリンの精製過程で出てくる副産物で、その供給に限界があるのではないかという見方もあります。  そこで、経済産業省質問しますが、ETBEについて化審法の第二種監視物質に指定されたとのことですが、今後の対応とバイオ燃料としての普及の影響はどうでしょうか。また、原料のイソブテンの供給量の限界があるから発展性がないという意見がありますが、これについてはいかがでしょうか。
  104. 近藤賢二

    政府参考人近藤賢二君) お答え申し上げます。  今先生御指摘のとおり、今年の一月でございますけれども、石油業界は、二〇一〇年度に原油換算で二十一万キロリットル、年間でございます、のバイオエタノールを原料とするETBEを導入するということを目指しておるところでございます。経済産業省といたしましても、このETBEの導入ということで、エネルギー源多様化あるいは地球温暖化防止と、その両方の観点から有効であると考えておるところでございます。  ただ、他方、今先生御指摘のとおりでございますけれども、ETBEが化審法、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律という法律の中で第二種監視物質ということに判定をされたところでございまして、これにつきまして私どもは、まず石油業界はこの導入に先立ちまして必要なリスクの評価を行うと。さらに、これを踏まえた導入の可否及び必要な対策の検討を行うというように私どもでも承知をしておるところでございます。  経済産業省といたしましても、ETBEの導入環境整備の一環といたしまして、来年度からETBEの化学物質リスクに関する調査研究というものを行うこととしておりますし、またETBEの導入に当たりましては、この調査研究の結果を踏まえまして、石油業界が環境対策等所要の対策に万全を期すよう促していきたいと、このように考えているところでございます。  また、このETBEを製造する際の原料となりますイソブテンについての御質問がございました。イソブテンといいますのは製油所の精製過程で副生されるものでございまして、これを使いまして、エタノールと混合いたしましてETBEを造るわけでございます。  その量についてでございますけれども、製油所で今イソブテンの供給可能性、現時点で約年間六十三万トンという試算をしておるところでございます。これは、先ほども申し上げました、二〇一〇年度に石油業界が目指しておりますETBEの導入に必要な量で申し上げますと三十五万トンでございますので、現時点でも、二〇一〇年の時点でも約二倍のイソブテンの供給可能性があると、このように考えておるところでございますし、また今御指摘のエタノールを輸入してきて国内でETBEを造る際にそうでございますけれども、海外でエタノールをETBEの形に加工した上で、海外からETBEの形で入れてくるということも可能なわけでございます。  こういったことから、当面、イソブテンの供給量ということでETBEの普及の制約にはならない、このように考えておるところでございます。
  105. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今、海外からのETBEという形での輸入もあるということで、供給の限界はないというような話ですが、なるべく国産の方式を考えていただきたいと思います。  そして、そうしますと、エタノール燃料については、いわゆるエタノール直接混入という、E3とそれとETBEの二つの選択肢があるということになるわけですが、ガソリンスタンドというインフラの整備を考えれば、その種類をいずれ絞らざるを得なくなるんではないかと考えます。  海外では、ブラジルでは二〇%から二五%の直接混入と。アメリカも幾つかの州では一〇%のエタノールの直接混入と。スウェーデン、インド、中国、韓国等でも大体直接混入が主体であります。一方、欧州のフランスとかスペイン等ではETBEが主体であるとも聞いております。  そこで、経済産業大臣にお聞きしたいと思うんですが、今回のこの新・国家エネルギー戦略で、このバイオエタノールに関して二つの選択肢があるんですが、インフラ整備を考えていけば、そろそろその準備を始めているタイミングだと思いますけれども、この方向付け、二つの選択肢を方向付けるタイミングではないかと思いますが、見解はいかがでしょうか。
  106. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) バイオエタノールの燃料については、正に新・国家エネルギー戦略におきましても導入促進を重要施策として位置付ける方針であります。  一方、エタノールの直接混合とETBEの混合のいずれかが適当であるかということにつきまして今お尋ねがあったわけでありますが、これは様々な観点から検討が必要であることは浜田議員も御承知のとおりであります。具体的には、経済性、安全性、さらに大気への影響等につきましても検討が必要であろうと思っております。これらの点につきまして、今後実施するいわゆる実証事業等におきまして評価を進めてまいりたいと思っております。お尋ねの混合方法につきましては、その結果を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
  107. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 是非その結果を踏まえて、そのインフラ整備のタイミングがありますので、早めの結論をお願いしたいと思います。  次に、財務省にお聞きしたいと思うんですが、このエタノール燃料を普及していく上で、私は揮発油税の減免というのが重要だと思っているんです。地球環境上非常に効果があり、またエネルギーの安全保障上もプラスであると、そういう観点から、混入するエタノールに相当する分については揮発油税を減免するというのはどうなのかと。あわせて、今考えると、燃料電池車の水素についてはどのような扱いになっているのか、両方併せて簡単にお答えください。
  108. 佐々木豊成

    政府参考人佐々木豊成君) まず水素の課税の件でございますが、現在、揮発油税は揮発油というものを法律で定義しておりますので、水素はその定義に当たらないということで揮発油税は課税されておりません。  それから、バイオエタノールの揮発油税の減免でございますけれども、京都議定書の目標達成計画におきましてもその導入が目標として掲げられているということでございますが、現在、関係省庁連携の下で複数の利用方法を想定して実証実験が行われているということでございます。  このような具体的な検討が始まったところでございます。まずは、その関係省庁における取組、今後の燃料の普及、利用状況等を見極める必要があると考えております。
  109. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 是非その実証実験の結果を見ていただいて、このバイオエタノールの重要性を踏まえて、それが、揮発油税、現在掛かっていると思いますけれども、それが非課税になるような措置を是非我々も考えたいと思いますので、お願いしたいと思います。  この点について、通告していないんですけれども、二階大臣からもしコメントいただけましたら、お答えいただきたいと思います、バイオエタノールの非課税について。──通告はしておりませんが、バイオエタノールの揮発油税の非課税措置について。
  110. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 今後におきまして、これが相当量になり具体化してくる段階で財務大臣とも御相談をしたいと思っております。今まだそこまで進んでおりませんが、このバイオエタノールを積極的に導入する上においては当然配慮しなければならない問題の一つであろうと思っております。
  111. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  最後に一問お聞きしたいと思いますが、簡単にお答えいただければ結構です。  石炭燃料の話なんですけれども、実は石炭というと窒素酸化物また二酸化硫黄とか、そういうものを思い出して、非常に環境上良くない燃料というイメージがあったんですが、最近の石炭燃焼技術によりますと、ガス化をして燃料電池を付けると石油並みの、石油発電並みの効果を発揮すると、そういう発電技術研究開発されています。しかも、それは、研究開発することは、日本エネルギー安全保障の観点だけじゃなくて、実は中国、インド、こういう国は七〇%以上石炭を使っているんですね。そういう国の安全保障に資していくということであります。是非、日本だけじゃなくて、世界の地球温暖化対策を進める上でこういう技術を広めていくということが重要と思いますが、松副大臣に御質問したいと思います。
  112. 松あきら

    ○副大臣(松あきら君) 浜田先生おっしゃるように、中国やインド等におきましては、十分な環境対策がなされないままに石炭の利用が拡大しているわけでございます。私も先般、磯子発電所、Jパワーですね、ここに行ってまいりました。非常にクリーンな、正に電源開発が行っているクリーン技術が生かされているわけでございまして、私どもも一九九六年から中国、インド等の技術者を受け入れて、石炭の効率的な利用やまた大気汚染防止などについて研修を実施しているところでございます。これは五百八十七名の技術者を受け入れているところであります。一九九八年からは、中国等において石炭クリーン利用技術を普及するためのセミナーを開催しております。これは中国では十八か所、セミナーを開催しております。  そしてまた、今お話ししましたJパワー、こうしたクリーンな開発です、電源ですね、をしっかりとアジアに向けてこういうものを進めていって、アジアに貢献してまいりたいと思っております。  御指摘のアジア太平洋パートナーシップには我が国としても積極的に参加をして、石炭の効率的な利用技術開発、あるいはこうした技術、今お話ししたようなJパワーですね、こうした技術を中国やインドに対する移転及び普及について、オーストラリアあるいはアメリカなどと協力をしてまいる所存でございます。
  113. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  終わります。
  114. 加納時男

    委員長加納時男君) 浜田昌良君の質問を終わります。
  115. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 今日の委員会松村委員の野球の話に始まりましたが、私もちょっとさしていただきたいと思います。  今朝、出がけに視聴率、瞬間、見てきたんですが、四三・四%というのが関東地区のビデオリサーチの調べだそうで、瞬間最高の視聴率は五〇%を超えたということで、紅白歌合戦もびっくりという感じの視聴率、それぐらいの燃えに燃えた今回のWBCでございましたが、ここで私、キーワードにしたいのは、国民がこれだけ一緒になれたというあの一体感がオリンピック以来といいますかね、東京オリンピックのときもあの一体感生まれたと思うんですが、今回の野球というのは、その国民的な一体感を生み出したというのは非常に大きな力になったと思います。  これをちょっと地方に向けますと、地域活性化、この地域活性化ももちろんこの一体感というのが非常に重要な役割を占めてくるんじゃないか、そんな思いを抱いた昨日のWBCの試合でございました。地域が一体感を持って取り組む、これは絶対にこれから必要であるし、そうした熱い火を何とか燃やしていかなきゃいけない、それが経済産業省そして私たち委員会の役割でもあると思いました。  そこで、新年度予算委嘱審査の中で、今日も地域活性化に関連した質問をさせていただきたいと思います。  大臣経済産業省の分析では、地域経済の現状は、大都市などの人口、産業の集積のある地域とそれ以外の地域との間でかなりのばらつきが見られると、地域間の格差に対する懸念を示していて、こうした点を踏まえて地域活性化を図っていくのが重要であると位置付けております。こうした中で、経済産業省では、一つとしては産業の振興であり、公的サービスのコスト低減であり、地域を支える人財の育成であり、複数市町村広域圏単位での自立の重要性など、地域経営の視点を重視して地域活性化に取り組もうとしております。  そこで、初めに大臣に、非常に広範にわたりますが、地域格差なども含めました地域活性化の現状認識、そして今後の対応などについて、総合的なお話で結構でございますので、いただけたらと思います。
  116. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) さすがキャスター等で御活躍の鈴木議員のこのWBCに対する考え方、我々はみんな良かった良かったって、勝って良かったって言うんですが、鈴木議員は一体感ということをキーワードとしておっしゃいましたが、正にこの地域経済中小企業の振興等を考える場合に一体感がなくてはできないというふうに思っております。これからもそのキーワードに私どもも重点を置いて取り組んでいきたいと思っております。  我が国の景況といいますか経済状況は、改善の一途をたどっておることには違いがありませんが、まだまだ地域間の格差が存在することも事実であります。しかし、例えば大阪等におきましてもかなり、この全国の動きから比べると関西は難しい、大阪はまだまだだということを言われておりましたが、近ごろの有効求人倍率等は大阪も一を超えるようになってまいりました。  したがって、私がこの間お伺いしました東大阪市などは、やがて人手不足になってくる。まあ久しぶりのことではあるけど、人手不足で社長が求人に走り回らなくてはならないような時期がもうすぐそこに来ておるような感じがするなどのお話を聞いて、だんだん辺りの景色と同じように春がやってきたのかなと、こういう感じがいたしますが、なおまだ問題の地点がたくさんあります。  有効求人倍率一つ考えてみましても、愛知県が一・七というふうな驚異的な記録を示しておる一方、私が昨日お伺いしてきました青森県あるいは沖縄県等においては〇・五倍を下回っておるというのが現状であります。  そして、再々申し上げておりますように、私は、全国で元気のある、国際的に堂々と通用する中小企業の一覧表といいますか、一冊の本にまとめてこれからの中小企業関係者の奮起を促そうということで今印刷に掛かるところまで来ておりますが、これらの三百の優秀な企業といいますか、成功事例であります、一口に言えば。しかし、それらの、どの地域にこの三百が点在しているかと見ますと、やはり元気のある地域とそうでない地域が歴然といたしております。言い換えれば、中小企業のそういう物つくりの優秀な企業がたくさん存在している地域は元気がいい。有効求人倍率にしましても、あるいは地域経済力にしましても、みんないい成績を上げつつあるわけでありまして、これからは、地域経済においてもう一つ元気の出ないところに対してどう対応していくかというのが私たちの大きな課題だと思っております。現在策定中の新経済成長戦略におきまして、こうしたことへの取組が柱の一つと考えております。  具体的には、地域産業のブランド力の強化や海外販売拡大等につきまして、先ほども御意見をいただきましたが、我々検討していきたいと考えております。地域において福祉や子育てなどの社会のニーズにこたえるコミュニティービジネスの振興についても、きめ細かく対応してまいりたいと思っております。
  117. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  ちなみに、秋田は有効求人倍率は〇・五九でございます。もちろん、上げたいなと思っております。地域活性化には省庁の枠を超えた総合的な支援方策というのが必要になると思いますので、地域の持つ特性などを緻密に拾い上げる作業を是非お願いしたいと思います。  ところで、今大臣からも環境ビジネスというお話が出ましたが、新年度予算には環境と両立した企業経営と環境ビジネスの支援が盛り込まれております。これは、地域中心とする資源循環型の社会形成に向けて、新たな環境ビジネスの創出を支援するために必要な経費が計上されております。  そこで、時代のニーズといいますか、環境への関心の高まりの中でこの環境ビジネスというのは新たな展開として注目されると思います。そこで、地域活性化に役立つものとして草の根レベルでの地域環境問題解決を支援する環境コミュニティー・ビジネスモデル事業について伺います。  この環境コミュニティー・ビジネスモデル事業、そもそもの目的、そして事業の内容、またこれまで、十五年度から始まっているということで採択された例もあるんですが、そうした例も含めて御紹介いただきたいと思います。
  118. 深野弘行

    政府参考人深野弘行君) お答えいたします。  経済産業省では、今お話、御指摘がございましたように、NPOや市民が地域企業連携をしながら地域環境問題の解決をビジネスの視点も持ちながら目指していく、そういった取組につきまして、そのモデルとなるものを発掘し支援すると、そういったことを目的といたしまして、環境コミュニティー・ビジネスモデル事業というものを平成十五年度から実施してきております。毎年、これにつきましては公募により事業の募集を行っておりますけれども、平成十七年度には九十三件の応募がございまして、そのうち十三件を採択いたしました。  例を申し上げますと、例えばこれ山梨県のNPOが中心になってやっておるものでございますけれども、屋外イベントなどで今よく使われます使い捨ての食器、こういったものに替えましてリユースの食器を貸し出す事業といったものをやっております。それから、長野県のケースでございますけれども、用水路などを活用して小規模水力を行うと。特に、例えば水車を用いて、これをエコツーリズムにも役に立てていくと、そういった取組もなされております。  こういったものを含めまして、リユース、物の再利用あるいはリサイクルの促進地域のバイオマスエネルギー利用、様々な分野にわたりまして支援を行っているところでございます。
  119. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  この環境コミュニティー・ビジネスモデル事業とともに、今年度が初年度となっています、これもちょっと初めて耳にする方も多いと思いますが、グリーン・サービサイジングモデル事業、これも行われております。物の提供から、その名のようにサービスの提供に切り替えることが新しい環境ビジネスとして注目されていますが、この事業自体まだ新しい取組で、まだまだ浸透しているとはちょっと言い難いんじゃないかと思うんですが。  どうも横文字が結構並ぶ事業が多いんですが、余り、これは小泉総理もどうも横文字が多いとこの間ぼやいていましたけれども、このグリーン・サービサイジングモデル事業について、また同じように、その事業のねらい、それからどのような展開があるのか、伺いたいと思います。
  120. 深野弘行

    政府参考人深野弘行君) お答えいたします。  今のグリーン・サービサイジングでございます。これは言わば、物を売り切ってしまう代わりにその物の使用によって得られる便益を提供すると、そういうふうに発想を変えるものでございまして、これによりまして物を繰り返し使うと、リユースにつながっていく、こういうことを期待したものでございます。  こういった事業の中で、特に環境配慮がなされているものにつきまして他の模範となる事例を発掘して、その事業化の契機を与えるために平成十七年度からこのモデル事業を開始したところでございます。  平成十七年度は四十二件、これ応募がございまして、この中で三件を採択しております。例を申し上げますと、例えば間伐材を加工して木製の積み木を作りまして、これを保育園や幼稚園に貸し出す、こういった事業がございます。専門家がこういった事業の事業化に向けて助言をすると、そういった内容になっております。
  121. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  この環境ビジネスの育成につきましては、十七年度の予算が八千三百万円、新年度は一億二千五百万円という予算額になっております。  環境ビジネスというのは、地域にあるアイデアとか事業の特性などを活用することが活性化の上で大変有効で役立つ、働くと思うんですが、今説明していただきました二つの事業の認知度をこれから更に広めていく必要がありますし、いろんなアクションを起こしていく必要があると思うんですが、その一層の普及のためにどのような方策を取られているのか、また今後の展開をどうされていくのか、伺います。
  122. 深野弘行

    政府参考人深野弘行君) 今お話し申し上げましたような事業で対象としているこういった草の根レベルでの取組が成功するためには、やはり市民、それから地元の企業、自治体など地域関係者の方が連携をしていくと、そういったことが不可欠でございます。したがいまして、そういったことに弾みを付けていくためにもこうした成功事例を積極的にPRしていくということが私ども非常に大事だと思っております。  このためにこの事業をやっておるわけでございますけれども、この成果の広報についてもこれまでいろいろと取り組んできているところでございまして、例えばエコプロ展、エコプロダクツ展と申しますが、環境に関する総合的な展示会がございます。ここで、これと併せてセミナーを開いたり、あるいは年度末にも事業紹介のための成果発表会を事例集の作成も併せて行うといった取組をしてきております。  さらに、今後、先ほどのこのエコプロ展、これは二〇〇六年も十二月に予定をしておりますけれども、ここで言わば環境ビジネスの一村一品といいますか、環境コミュニティー・ビジネス展示物といったことも置きまして、更に積極的に広報に努めていきたいと考えております。
  123. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。  エコプロダクツは今年は十二月の十四日から三日間開かれることになっていますが、一九九九年に始まって、四万人台が去年は十四万人まで増えているということで、この成功事例をたくさんの方に是非知ってほしい。それから、社会見学等で子供たちも随分たくさん訪れるようになった。産業に対する興味といいますか、関心が大いに高まるということは非常に大事なことだと思います。併せて環境に対する意識も高めていってほしい、そんな感じがいたします。  最後になりましたが、環境を始めとして観光振興など新しい発想に立った地域活性化、大いに効果を発揮するよう今後に期待したいと思います。  最後に大臣に、こうした環境経済という新しい視点で政策を進められる決意を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  124. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 地域中小企業や市民レベル、いわゆる草の根レベルで環境問題解決のために積極的な取組が行われているわけでありますが、こうした取組が新しいビジネスとして発展する可能性を持っております。環境問題の解決と地域活性化、両方が一挙に解決するようなこうした問題につきまして、経済産業省としても優れたビジネスモデルとして発掘し、それを育て、また普及を支援をしてまいりたいと思っております。  私ども経済産業省としては、今WTOの問題に取り組んでおるわけでございますが、その際に、発展途上国の国々でいろんな産品をお作りになった場合に、いかにして販売するかということに対して余り得意でないと、そういう国々に対して経済産業省やまたジェトロ等が何かお手伝いすることができないかということで、今これは国土交通省にも御相談申し上げ、日本の代表的な空港で国際版の一村一品運動、今展示・販売を進めさしていただいておる。これは、いっときだけ、一週間だけやるというんじゃなくて、常設のそういう販売コーナーを設けたというところに特徴があるわけであります。  そこで、私ども経済産業省としても、航空会社やあるいはそういう空港等に御協力お願いするだけではなくて、私たち自身といいますか、経済産業省も頭を切り替える必要があるということで、経済産業省で、この間、二十七か国の発展途上国の大使その他をお招きし、この低開発国、発展途上国でお作りになっている品々を経済産業省の一階のフロアに展示場を特設して対応を図ったところでありますが、私は、これからこうした政策的な意味を込めた販売及び展示等につきまして積極的に経済産業省もお使いいただくようにして、常にそうした催しが一階のフロアで行われているという状況、そこから私どもの役所の側も一つ一つ問題意識を共有することができるわけでありますから、今、議員から御指摘環境ビジネスにつきましても、我々、お手伝いができるように努力をしてまいりたいと思っております。  今、環境省の方では、もったいないふろしきと称して、ペットボトル等を再生利用してふろしきをお作りになったのを大臣自らこのキャンペーンの先頭に立って御努力をされておりますが、先ほど私、それをドイツの私のカウンターパートであるグロスという閣僚一行が昼休みにお越しになりましたから、これはペットボトルでできている、まあ廃品活用みたいなもので申し訳ないが、我が国もこういうことに熱心に取り組んでおるということの証拠だから記念に持って帰ってくれと言って、そのペットボトルでできたふろしきを差し上げましたら、絹のようにすばらしいと、これは是非家内に持って帰ってスカーフにしたい、こういうふうに言われましたんで、これは大変効果があるなというふうに思ったわけでございますが。  あらゆる機会、あらゆるチャンスをとらえて、小さいことからでもだんだん大きく膨らんでいくことが期待できるようなことに対しては経済産業省として積極的に取り組んでいきたいと思っておりますので、特に経済産業委員会の先生方におかれましては一層の御指導をいただきますように心からお願いを申し上げる次第であります。
  125. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。私の持ち時間がちょうど、多分もう何十秒前でございますんで、ありがとうございました。これからも強いリーダーシップを発揮していただきまして、よろしくお願いいたしたいと思います。本日は本当にありがとうございました。  終わります。
  126. 加納時男

    委員長加納時男君) 以上をもちまして、平成十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち公正取引委員会経済産業省所管及び中小企業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 加納時男

    委員長加納時男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時一分散会