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2006-03-16 第164回国会 参議院 経済産業委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月十六日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         加納 時男君     理 事                北川イッセイ君                 佐藤 昭郎君                 松山 政司君                 若林 秀樹君     委 員                 魚住 汎英君                 倉田 寛之君                 小林  温君                 林  芳正君                 保坂 三蔵君                 松村 祥史君                 岩本  司君                 小林 正夫君                 直嶋 正行君                 藤末 健三君                 山根 隆治君                 浜田 昌良君                 松 あきら君                 田  英夫君                 鈴木 陽悦君    国務大臣        経済産業大臣   二階 俊博君    副大臣        経済産業大臣  松 あきら君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       小林  温君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    政府参考人        内閣大臣官房        独占禁止法基本        問題検討室長   西  達男君        公正取引委員会        事務総局審査局        長        松山 隆英君        金融庁総務企画        局参事官     山崎 穰一君        文部科学大臣官        房審議官     山中 伸一君        文部科学大臣官        房審議官     藤木 完治君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        迎  陽一君        経済産業省経済        産業政策局長   北畑 隆生君        経済産業省通商        政策局長     北村 俊昭君        経済産業省貿易        経済協力局長   石田  徹君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        近藤 賢二君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      安達 健祐君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     広瀬 研吉君        中小企業庁長官  望月 晴文君        国土交通大臣官        房総合観光政策        審議官      柴田 耕介君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○経済産業貿易及び公正取引等に関する調査  (経済産業行政基本施策に関する件)  (公正取引委員会業務に関する件)     ─────────────
  2. 加納時男

  3. 加納時男

    委員長加納時男君) 御異議ないと認め、さよう決定さしていただきます。     ─────────────
  4. 加納時男

    委員長加納時男君) 経済産業貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、経済産業行政基本施策に関する件及び公正取引委員会業務に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 若林秀樹

    若林秀樹君 おはようございます。民主党・新緑風会の若林秀樹と申します。  今日は、二階大臣に初めて御質問をさしていただきたいと思います。  私も、民主党の次の内閣ネクスト経済産業大臣ということで、カウンターパートと言ったらちょっとおこがましいんで、そこまでは申し上げませんが、これから民主党経済産業政策責任者として議論をさしていただきたいと思います。  もちろん私は、二階大臣と対決するつもりはありませんので、日本経済発展のためによりよい産業政策あるいはエネルギー政策を構築していくことが重要だという視点質問さしていただきたいと思います。ただ、その意味においては、いろいろ厳しい意見、あるいはある程度批判的な意見も出るかもしれませんが、そういう趣旨で質問さしていただくということは是非とも御理解をいただきたいなというふうに思っております。  まず、産業政策全般ということで伺いたいなというふうに思っております。  御案内のとおり、グローバル経済の進展によりまして、企業はそれぞれの競争条件を生かしながら、核となる、競争力のある事業、まあコアとなる事業をつくっていこうということで、集中選択をやりながら今日に至っているわけであります。そのことは、私は、やはり国としても一緒ではないかと、国としてのやっぱり集中選択が必要な時期に来ているんではないかなという意識を持っております。  例えば、ロンドンでいえば、ああ、ロンドンはやっぱり金融なんだということがまあ認められている、あるいは例えばフィンランドであれば、ああいう携帯電話を始めとするまあIT関係、あるいはスイスだとまあ時計とかいろいろありますように、そのイメージを浮かべたときに、私は、日本は、ああ、やはり物づくりなんだということが、私は、これからやっぱりそういうことを宣言してでも、そこに国づくりの、産業国づくりとしての視点を持ちながらやっていくことが必要な時期に来ているんではないかなというふうに思います。  そういう意味では、あれもこれもと大事なのは分かりますけれど、やっぱり物つくり、最近の景気回復状況を見ますと、やはりすそ野の広い物づくりがやっぱり回復してきているがゆえに今の日本経済良くなっているんではないかなという認識の下に、九〇年代いろいろ、まあ生産拠点の海外への移転がありましたけれど、今はその回帰傾向にある等々を踏まえますと、私ははっきり、やっぱり日本の国として物づくりで食べていくんだということを宣言しながら、そこに資源を投入していくことが必要ではないかなというふうに思っておりますんで、そういう意味での産業政策を明確に打ち出す時期に来ているんではないかと思いますが、その辺についての御認識を伺いたいなと思います。
  6. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま、民主党の明日の内閣といいますか、ネクストキャビネットの若林議員から大変御丁重なごあいさつをいただき、なおまた真摯な御提言をちょうだいしたわけでありますが、今後、しっかりした議論を重ねながら、お互いに党派を超えて、日本中小企業物つくり、どうぞすばらしい御提言を次々とちょうだいいたしたいと思っております。我々は、そうしたことに対して、政党あるいはそれぞれの地域等の壁を乗り越えて、立派なこの我が国経済の再生のためにお力をいただきたいと思っております。  我が国物つくりを支える製造業は、御承知のとおり、GDPの約二割、輸出、研究開発の約九割を占める重要な基盤産業であります。かねてより、私は、大変傾聴に値すると思ってこの期待を込めておったわけでありますが、東海大学の名誉教授唐津先生は、ちょうど今から十一年前、物つくりによって日本経済は再生されると、日本経済の日は必ず昇る、こういう著書までお出しになったわけでありますが、御承知のとおり、我が国経済低迷は約十五年間にわたったわけでありますから、その長いトンネルの中で、せっかくのこの唐津理論は、何となくその長いトンネルの中で埋没しかねないような状況になっておったわけでありますが、最近に至って、ロンドン・エコノミストのビル・エモット編集長が「日はまた昇る」という著書を発表されて、一種のブームといいますかベストセラーになっておるわけでありますが、私どもはそうした声に背中を押されるような形で日本の新経済成長戦略なるものを打ち立てる時期に来ておるんではないか。  改革はだんだんと進んできた、これはまあ議員先生方によっては評価はまちまちであろうと思いますが、それでも、この改革が前に進んでいることだけは事実であります。しかし、そうした中においても、やはりその改革の後に何が展望されるかということを国民皆さんに指し示すことが経済産業省としては重要な役割であると思っております。簡単に申し上げますと、例えば、ゴルフなんかの場合でも、これから先の行く先が、フェアウエーが広がっておるのか、あるいはがけっ縁なのか、あるいは大きな池があるのかということによって、おのずから次の作戦の立て方が違うわけでありまして、私はそういう意味で、これからどうぞ安心してみんなで力強くこの次の舞台に歩んでいこうということができるような政策を示すことが大事だということで、今、先ほど申し上げました新経済成長戦略なるものをこの五月じゅうに公表をいたしたいと考えておるところであります。  アジアの最近の追い上げも極めて急でありまして、ほうっておきますと他国に追い付かれる、あるいはまたその差を縮められることが予想されるわけでありますから、我々は、世界イノベーションセンターとしての我が国物つくり能力を維持、更に強化発展させることに政策は強く取り組んでいかなくてはならないと思っております。正に世界最先端産業を育成するという気構えが必要であろうと思っております。  技能、技術の伝承も最重要課題一つでありますし、製造現場の中核の人材育成等も重要であります。地域産業界と私は、工業高専等にも特に期待を掛けて御一緒に取り組んでいきたいと思っておりますが、全国に点在する工業高校にも是非協力を願って、人材育成に更に力を入れてまいりたい。この人材、人は正に宝だと言われますが、この中小企業あるいは物つくりにおいて人こそ極めて重要であります。  そういう意味で、私どもはその面に情熱を込めて取り組んでいきたい、このように思っておる次第であります。
  7. 若林秀樹

    若林秀樹君 力強いお取り組みの御発言、ありがとうございます。正に私の意を得たりというところで、是非物づくり日本のやっぱり先頭に立って二階大臣、頑張っていただきたいなというふうに思います。  その意味において、経済産業省の在り方が本当に、じゃ例えば物づくりでいくんだといったときに、それに最終的に帰結するような組織体制予算人員の配置になっているのかどうかということがもう一方でやっぱり検証されなきゃいけないんではないかなと思います。そういう意味では、エネルギーはもちろん重要ですし、中小企業対策も重要でしょう。そしてまた物づくりと言ったときに、今調べたところによりますと、八千五百名ぐらいの経産省の職員の方が、役人がいると。部局だけでも数えると百以上あるわけですね。個々で見ると、予算見ると、本当、幅広くやっているの分かるんですけれど、何というんですか、もう予算が限られていますから、八千億あっても、エネルギー特会除いたら四千億ぐらいしかないんですよね。しかし、やることはどんどん広げて、見ますと、本当に一個一個が二億とか三億とか、そのぐらいの予算付けでやっていて、ちょっと一けた違うんじゃないかなと思うところが、感じるところがありますんで、私は、役所ですからやらなきゃいけない、民間とは違い役所がやらなきゃいけないことは分かりますけれど、一方で、組織があれば人がおり、人がいればやっぱり仕事をつくる、仕事をつくれば予算を付けなきゃいけない、それが結果として目指す方の戦略に乗っかっているかどうかということが私は問われなきゃいけないんではないかなと。  そういう意味では、戦略とこの時代環境に合ったやっぱり組織改革というものも一方ですることが、私は経済産業省存在意義が問われるという意味でそういう改革が必要ではないかなというふうに思いますが、この辺の認識についてはいかがでしょうか。
  8. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 私は、若林先生のおっしゃるように、物づくりというものが日本の正に基盤をつくった、今の日本経済の正に繁栄の源をつくったのは基盤技術であり、私は物づくりである、本当にそのとおりであるというふうに思っております。  やはり、そうした認識の下で、製造業競争力強化のために、製造産業局ではものづくり政策審議室というのを設置しているわけでございますけれども、正におっしゃるように、人員それから予算というものももちろんあるわけで、その中でもう少し組織改編が必要じゃないかとおっしゃるお気持ちもよく分かります。ある種そういうふうにしていかなければならないところも、違う課で同じようなことをしているところも実際あると思います。ですから、これはまあ個人的な意見でございますけれども、そういうところは見直していった方がいいかなというふうに思うところもあります。  しかし、先ほど先生もおっしゃっていたように、私ども役所は、物づくりに加えて、通商、大事なこの通商部門、またエネルギー、これも本当に非常に大事です。それから環境、これも、まあ全部大事なんですが、中小企業あるいは知的財産IT消費者の安全等々、幅広い分野をつかさどっているこの役所として、物づくりだけに特化するというわけにはいかないと。しかし、これらのものを的確に対応していくことが、すなわち私は物づくりを支えていくためにも不可欠であるというふうに思っている次第でございます。  やはり、行政ニーズというものを十分に踏まえて組織見直しも図っているところでございまして、先生の後押しもありますので、しっかりとこれからも対応してまいりたいというふうに思っております。
  9. 若林秀樹

    若林秀樹君 ありがとうございます。  是非、積極的な対応をいただきたいと思います。やはり、一番世の中の環境変化に対応しなきゃいけないのが経産省ではないかなというふうに思いますんで、その意味においては、まあ、すべて大事なんですね、意味のない仕事はないんで、みんなあるんですよ。しかし、優先順位を付けるということはやっぱり重要ですし、そのためにはやらない仕事を決めるということからやっぱりスタートすることも一つの手かなというふうに思いますんで、是非、経産省の存在意義を出すためにもそういう積極的な組織改編是非検討いただきたいなというふうに思います。  その意味で次の質問ですが、今、二階大臣は新経済成長戦略というものを今検討中ということでございます。私は久方ぶりにこの経産委員会に所属をさしていただくんですが、最初は平沼プランと、次は中川大臣のときには新産業創造戦略と、今度名前大臣になると、今度、新経済成長戦略という、新が二つ続くわけですけれど、本来であれば、大臣が替わることによって新しい戦略を作りたいというお気持ちは分からないわけではありませんけれども、一方はやっぱり経済戦略を作った以上、それに対する期間とやはり目標を決めて、しっかりそれは期限を区切ってやって、その総括をした後に次の戦略が来るんなら分かるんですけれども、人が替わるごとに、何か名前がよくも分からないし、中身はそんな大きく変わらないような感じもしますし、なぜここで今、新経済成長戦略を出さなきゃいけないかという、その総括をしっかりやった上でやっぱり出すということが必要だと思いますが、その辺の認識について、内容も含めてどういうことを考えているか、お知らせいただきたいと思います。
  10. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 経済産業省は、一昨年、つまり二〇〇四年、この国の将来の産業は何かという観点から新産業創造戦略を策定したことは、今議員指摘のとおりであります。その後、継続的な進捗状況の確認や施策の具体的な推進等、重要であるとの観点から、昨年、新産業創造戦略二〇〇五という形で見直しをいたしました。現在、新産業創造戦略を、我々はこれを引き継いで、アジアとともに発展していく、地域経済発展に貢献するとの観点から、更に新たに、長いこの不況のトンネルからようやく脱出しようとしている今日、将来に明るさを見いだすことができるように新経済成長戦略なるものを策定しようとしているところであります。  私は、今回の新成長戦略の策定に当たっては、よく、審議会等で御審議いただくというのは通例でありますが、私はそれも大事だと。専門家の御意見を謙虚に聞くことも大事だと。しかし、そんなことにだけ頼っておったんでは、今日、この十年、十五年の経済低迷責任はどこへ行ってしまうのかということからいたしますと、私は改めて、この今日の状況に至るまでの間、経済界皆さんは大変な御苦労の中で頑張ってこられたわけであります。我々はその頑張りを受けて、新たな光明を見いだすに至った今日、正に国際的な問題、また中小企業の抱える問題、地方が抱えておる経済的な問題等に対応するために、新たな観点から新経済成長戦略なるものを策定しようと。  それは、全国に、今議員おっしゃいましたが、地方の局の職員が約二千名おります。ですから、この二千名を総動員して、現場にも足を運んで、そして地域の声を聞く。そして、今私どもは、中小企業物つくり世界的なシェアを五〇%以上持っているような企業がたくさん存在しているということを思えば、こうした事業成功例、これを集めてみる。で、一つの県に二つずつ集めるぐらいの感覚で取り組んでいきますと、ちょうど全国では三百ぐらいになってまいります。たくさんそういう企業を抱えている都道府県が存在するわけでありますから、今三百に絞ることがとても困難だというような状況であります。それは、三百集めてくるのに困難であるというんではなくて、三百に絞り込むのが困難だというほど世界舞台で羽ばたいておる日本の元気な中小企業が存在するわけであります。我々はこの事例をできるだけ多くの皆さんの、特に中小企業を経営の皆さんの目に触れていただいて、これならば、この程度ならうちでもできる、おれたちでもできるというものが必ずあるだろう。だから、その面をしっかりみんなで奮起していただくことをやろう。  私も昨日もある席で申し上げたんですが、この成功事例を発表することはそれはそれでいいと。しかし、私たちが各地を回らせていただいている中に、しばらくごぶさたしました、この間大阪でそういう人に出くわしました。後でお手紙がいただきました。私は、随分前にお目に掛かりましたが、その後しばらくごぶさたしておった。なぜか。とても事業に失敗したことによって自信を失って、人前に出てくることをずっとはばかっておった。今ようやく大勢の皆さんの前に出てこれるようになってきた。つまり、リターンマッチに成功したというわけであります。  敗者復活の道があるということに大変我々も勇気付けられるわけでありますが、私は今、全国で百ばかりのリターンマッチ成功者是非この成功事例として取り上げて、それこそこの程度のことならば自分もできると、そういう奮起の材料にしていただこうということで取り組んでおります。  したがいまして、今度のこの新経済成長戦略は一行なりともおろそかにしない。過去のことは私の方からいろいろ申し上げることは差し控えさせていただきますが、やっぱり、ただ白書をずうっと並べたようなそういうものではなくて、ここに書いていることは国民皆さんの御協力あるいは各政党皆さんのお力添えをちょうだいしながら経済産業省が真剣に実行に取り組むと、そのことがなければ、表紙をかぶせてこれが成長戦略だというふうなつもりは毛頭ありません。  したがいまして、どうか皆さん方の、各党皆さん方の御理解と御協力、特に、大体の案がまとまったところで各党にもお示しして御意見をちょうだいしたいと、このように思っておりますので、よろしく御理解のほどをお願いを申し上げます。
  11. 若林秀樹

    若林秀樹君 是非とも、名前だけが変わっただけじゃなくて、中身も含めてしっかりと、これまでの戦略でどういう評価でどういう総括で今度こうなるんだということを説明していただきたいなというふうに思っております。  先ほどから物づくりお話をさせていただいておりますけれど、物づくりということを仮に宣言しいろんな資源を投入するにせよ、私はやっぱり教育というものが重要ではないかなというふうに思っております。先ほど工業専門学校お話がありました。それも重要だと思います。ただ、私はやっぱりそこにたどり着くまでに、小学校、中学校において、物を作ることの尊さというんでしょうか、そういう価値観経験を積むということが実は工業専門科とかに入るとかで物づくりに入るということになりますんで、その間の教育というのが私は重要ではないかなと思っております。  最近は株式投資のソフトがあって、それを子供にやらせてそれを教育だと言っているやに聞く部分もありますけれど、一方、やっぱり物を自ら作る喜び、経験を積むということが重要じゃないかなと、そういうことがどこまでなされているのかなというふうに思います。  私も小さいころ、どこかの自動車会社の見学に行って、エンジンを何か作る、そんな作業に当たって、経験がありますけれど、やっぱりそういうことも、いわゆるハードの経験というのも重要じゃないかなと思いますんで、文科省にちょっと、今どういう状況になっているか伺いたいと思います。
  12. 山中伸一

    政府参考人山中伸一君) 先生指摘のとおり、学校教育におきまして、実際の物を作るといった体験を通じて物づくりへの関心を高める、あるいは物づくりの楽しさ、大切さ、こういうことを小中学校の段階から教えるということは非常に重要だと思っております。例えば、小学校の理科でございますと、ソーラーカーを作ってみたりとか、あるいは電池を使ったプロペラカーを作ってみたりと、そういうふうな実際の知的好奇心を高め、あるいは実感を伴う、そういう教育も行っております。  中学でございますと、技術家庭という科目もございますが、この中では物づくりを通じて生活を工夫し創造する能力と、そういうものを育てるために、技術物づくりという、こういう内容もやっておりまして、すべての生徒が履修するということになっております。  また、全国中学生創造ものづくり教育フェアというものも今開催されておりまして、これは毎年開催されておりますが、ものづくり競技大会でございますとか創造アイデアロボットコンテストといったものが開催されて、毎年参加者が増えて熱気あふれる大会となっております。文部科学省工業高校などの専門高校、あるいは高専における物づくり教育、この充実も重要でございますし、経済産業省あるいは厚生労働省とも連携いたしまして、しっかりと物づくりを支える人材づくりに努めてまいりたいと考えております。
  13. 若林秀樹

    若林秀樹君 是非ともよろしくお願いしたいと思いますし、まあそれぞれの学校の近くにはいろんな物づくり事業所、工場があると思いますんで、そういうところとの交流を含めてそういう教育活動をしていくというのは重要ではないかなと思いますんで、是非力を入れていただきたいなと思っております。  その関連もありますけれど、先ほど来、人への投資というお話がありました。昨日もいわゆる春闘という回答がありまして、物づくり、いわゆる金属産業を中心に久方ぶりの、まあ今はベースアップと呼ばないみたいですけれど、賃金改善が行われたということで、正に私はやはり人への投資というのは必要ではないかなと思います。  その意味においては、この今国会の一つのキーワードであります所得格差という問題がありまして、それを生み出している原因には、一つはやはりいろんな多様な雇用形態、まあパートから派遣、契約、有期限の雇用等々ありながら、やはりこれから物づくり現場を支えるという意味では、人への投資という意味では、余りにも行き過ぎた、非正規社員を多様化することによって逆にいろいろ技術的にも品質的にも問題が出てくる可能性もありますんで、今日の元気な企業を見てみますと、やっぱり長期的な視点で人を大事にするという、そういう会社は逆にまあ元気がいいんではないかなというふうに思いますが、それはやっぱり経産省の立場で、今のこの事業所、工場の、そういうところの雇用についてどういうふうに考えているか、伺いたいと思います。
  14. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 非常に重要な問題だと思っております。今、同一労働、同一賃金などということも打ち出されておりますけれども、なかなか現実はそうはいかないと。もちろん、企業におきましてはコストということも大事であろうと思います。もうからない仕事、商売はやりたくないというのは、まあそれは当然、民間の企業ではそれは仕方がない、当たり前のことではありますけれども、そのために非正規社員ばかりにするというのも大きな問題があると。  しかも、私はこれは実は違う、経済・雇用・産業調査会ですか、それで申し上げたことがあるんですけれども、今、しかも派遣ではなくて請負、これも隠れ請負といいまして、企業は派遣で頼んでいるというふうに装って実は派遣業法でも守られない請負の若者がたくさんいると。つまり、派遣業法でもやってはいけない、一週間ごとに職場を変えるとか劣悪な環境の、健康に害するようなところで働かせる。ですから、二、三か月や長くても半年ぐらいで辞めざるを得ないみたいな、こういうような請負も非常に増えています。一説には百万人以上いると言われている。厚生労働省でもこの数は把握してないということで私も非常に怒りましたけれども、これからやりますということでございます。  そこで、なぜそうなっているかといいますと、やはりこれは経済社会の環境変化が進む中で、労働コストの削減、また業務量の増減、まあいろんなことがありまして非正規社員の数が増加したということは本当に御指摘のとおりであるというふうに思っております。しかし、今現在は御存じのように少しずつ景気も回復をしておりまして、少しずつ最近は修正がされておりまして、正規社員の採用が今年度などもかなり増えてきております。これはまあうれしいことであるなというふうに思っている次第でございますけれども、やはり企業の継続的な発展のためにも、私は、長期的な視野に立った人材育成先生おっしゃったとおり、正に人材育成をしていかなければ長期的な展望に立って企業発展はしていかないわけでございます。  そこで、私どもといたしましても、人材育成を実施していくことが大事ということで、人材投資促進税制、これは御存じのように教育訓練費として増やした分の四分の一減免するという、こうした人材投資促進税制の導入を始めといたしまして、幅広い人材育成支援策を進めているところでございます。  先ほどの実は請負に関しましては、私どもの省で請負・派遣検討委員会というのを最近つくりまして、しっかりと派遣や請負に対する今勉強を進めているところでございます。そして、正に企業等の人材育成の取組を推進していくこと、これをしっかりとやっていこうと。そして、企業競争力の強化がそういうことにおいて図られる、ひいては安定的な雇用の実現にもつながる、その思いでこれからもしっかりと取り組んでまいります。
  15. 若林秀樹

    若林秀樹君 ありがとうございます。  その際に、是非、派遣が駄目だという位置付けで議論しないでいただきたいんですよね。派遣は派遣で重要で、やっぱり職業選択としてそういうことを望む、そこにはやっぱり公平公正な視点という中で議論されるべきだなというふうに思っております。  続きまして、エネルギー問題に入りたいと思います。  食料とエネルギーの確保、自給率の向上というのは我が国の安全保障上極めて重要な問題であります。その中で、まず東シナ海のガス田問題について伺いたいと思います。  最初の質問は、時間の関係上、私の方から逆に申し上げたいと思いますけれど、局長級会議で中国側の提案があって、日本はそれに対して受け入れられないと。ただ、受け入れられないその中身がなかなか見て分からない部分もありますが、向こうは受け入れられないのは分かって出してきて、時間稼ぎじゃないかという批判もあるわけであります。  私も昨年、尖閣諸島から、いわゆる白樺からずっと見てきましたけれど、なかなか、陸続きの国じゃないものですから、国境線を接していないというところにおいてああいう生々しい現場見ると、正にあそこが日中の中間線で、経済的な権益を争ってああいう状況でやっているのかなというのを目の当たりにして、私も非常に感慨深いものがあったわけであります。  この問題の本質をどうやってとらえ、どういうふうに解決していくかということでありますが、やっぱり根本的に、主権が絡む、領土問題が絡むこういう問題については、私は、一つはやっぱり、四十年間近く日本が、向こうが開発しているにもかかわらず何もせず今日まで来たというのが一つのやっぱり大きな点ではないかなというふうに思いますんで、向こうから見れば、うちが開発しているのに四十年間たって突然来たという、ある種の違和感もあるかもしれませんけれど、この辺についてはどういう認識なのか、まずお答えいただきたいと思います。
  16. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 東シナ海におきましては、日中間の排他的経済水域及び大陸棚の境界の画定はなお今日なされておりません。日本国としましては、その境界が日中中間線であるという立場を、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律、EEZ法で制定することによって明らかにするとともに、我が国の主権的権利の行使の一環として、既に一九七〇年代から中間線の日本側において物理探査を実施してまいりました。もう三十四年前のことであります。  いずれにせよ、政府として、東シナ海を協力の海とするべく努力するという政府全体の基本方針の下に、日本の国益を考え、我が国の主権的権利の確保に万全を期しながら、引き続き対話を通じた本問題のできるだけ早い解決を目指して努力をしてまいりたいと考えております。
  17. 若林秀樹

    若林秀樹君 次の質問になるわけですが、今後どのような交渉をして展望を開いていくのかということであります。これについては、日本側からも提案し、向こう側からも提案を受けて、なかなか交渉の進展が望めないような状況で、何か今現時点のお考えがあれば伺いたいと思います。
  18. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先般、委員も御承知のとおり、約五か月ぶりに第四回目の局長協議が再開されたわけであります。一回、二回、三回と継続して行われておりましたが、第四回目の協議の前に協議が中断してしまったわけでありますが、その後、この再開に向けて、私はWTOにおいて、APECにおいて中国の薄熙来という商工大臣とお目に掛かる機会を得ましたので、そこでそれぞれ一時間ずつバイの会談を行いまして、是非このことを中国政府に伝えてもらいたいと。つまり、話合いによって早く両国のためにも開発についての協議をしようではないか、平和の海とすべきであって、対立の中でお互いにいい結果をもたらすことはできないのではないか、その面におきましては意見が一致しておりましたので、必ず中国政府に伝えると、こういうお話の中から、先般、この第四回目の会合に入る前に非公式の協議を北京で行うことができました。  非公式と申し上げても、メンバーは両国ともに局長級でありますから、まあ公式の協議とほぼ変わりありませんが、まずは非公式の協議ということで、三回目の協議に続いて協議が行われ、そして先般私が中国に参りました際に、早く第四回目の局長協議をやろうということを申し上げましたところ、中国側も、話合いは大事なことであるから、第四回目の会議をできるだけ早い機会に北京で行いたいという御提案があったわけであります。  その後、その協議が行われたわけでありますが、今度は東京で第五回目の会議を開くということになっております。新聞紙上あるいはいろんなマスコミ等を通じまして、この協議がどうだった、こうだったという、いろんな御意見が出されておることは私も承知をいたしておりますが、本問題の基本的な解決に向けて日中両国が今努力をし始めたところであります。  私は、この東シナ海を協力の海とすべく努力するという政府全体の基本方針、そして日本の国益を考え、さらに我が国の主権的権利の確保に万全を期しながら、引き続き対話を通じてできるだけ早い機会に解決に更に努力をしてまいりたいと思っております。  よく試掘のことが言われます。私は、今日は委員の御質問に備えて、たった今でありますが、エネルギー近藤資源燃料部長より、先方のいわゆる帝国石油株式会社、この椙岡社長に対して、試掘について今日現在の心境はどうだと、今日現在の準備はどうなっているんだということを確かめてまいりました。今そのメモが届きましたので、簡単ですから読ましていただきます。  試掘をしたいという気持ちは持っておりますが、現時点で試掘をするのは難しいと考えている。ただし、状況が整えばすぐに対応できるよう、様々な準備を進めたいと考えている。このような立場は先日大臣とお会いしたときのものと何ら変更はない。引き続き御支援をよろしくお願いしたい。こういうことでございますから、よく、気の早い人は直ちに試掘をやれと、こう言われておりますが、試掘をやる方の会社が今こういう状況であります。  私は無理もないと思うんです。この人たちに試掘に、早くやりなさいと言う以上は、やはり安全を確保して、そしてこの人たちが心配がないように、あるいは経済的な損害を被るようなことのないように配慮していくことが、私ども、もう一つ責任の考えておかなきゃいけないことだというふうに思っております。  そして、ちょっとお時間をちょうだいして恐縮ですが、よく一部の間違った報道によりますと、私が試掘の道を取らないとか、あるいは試掘権を許可しないとかというふうなことを言っておるといって新聞に書いておりますが、私はそういうことを発言した覚えはありません。私の発言内容は、今日も準備してきておりますが、これは時間が長くなりますから申し上げませんが、必要だったらこのままのペーパーを差し上げてもいいと思います。  そしてそこに、某新聞には、試掘の道は取らない、経産相、中国側と協議推進。もう一つは、東シナ海ガス田、日本の試掘認めぬ方向、二階経産相。あるいはまた、東シナ海ガス田、試掘の道取らぬ、こういうことを言っておりますが、私はこういう問題は、正に万機公論に決すべしであって、私一人が試掘をせろとか、試掘をするなとか、そんなことを言う権限を持っているわけでもありませんし、そんなことを言うつもりもありません。  ただ、安全な状況の中でこの仕事がスムースにいけるようなことを考えていかなきゃいけないというのは当たり前のことであって、これは、安全かどうかは分からぬが、しっかり行って日本国のために頑張ってきてくださいと、これはオリンピックでもなければ何でもないんですから、私はそんな乱暴なことを言うべきではない、私はそんなに思っておる次第であります。
  19. 若林秀樹

    若林秀樹君 今のメモの発言の趣旨がやや分かりにくいところもありますけれど、安全な状況ではないということで今準備は整ってないという意味では、それは中国からのいろんな、様々な妨害も含めてそういうおそれがあるということをおっしゃってますか。
  20. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) いや、この今、試掘権を持っておりますところの帝国石油がこういう状況であるということに対して政府は、多少のことは後で考えるとしても今は早く行きなさいと、早く試掘しなさいと、そんなことを言う資格も権限も我々が持ち合わせておるものではないと、こういうことを申し上げておるんです。  もし、試掘の申請が改めてあった場合に、そのときはその段階で十分周囲と御相談をしながら判断をしたいというふうに思っておる次第であります。
  21. 若林秀樹

    若林秀樹君 試掘権は与えているけれど、実際に更にもう一回申請をして許可をするということでよろしいんでしょうか。
  22. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) いよいよという場合には、政府と相談をするという一札が入っておるわけでありますから、今そういうふうに御説明を申し上げたわけであります。
  23. 若林秀樹

    若林秀樹君 ですから、申請というよりは、相談があって進めるかどうかということをお互いに協議していくということなのかなという感じはしますけれど、基本的に試掘権は与えたということですから、基本的にはそれは民間の帝国石油の判断としてやると。その際には政府と相談してほしいという、そういう中身でよろしいんですよね。
  24. 近藤賢二

    政府参考人近藤賢二君) 具体的な手続でございますので、私の方から事実関係を御説明をいたしたいと思います。  今先生指摘のように、私どもは昨年の四月に申請を受け付けるという話をいたしまして、七月に実際に許可をいたしました。その後、登録料の納付といったものがございまして、昨年の八月の初めだったと記憶しておりますが、原簿に権利として試掘権が設定をされたわけでございます。そういう状況の中で、実際に試掘を実施するかどうかということにつきましては、鉱業権者たる帝国石油の判断によるわけでございます。試掘権の設定の許可を行いました際に、試掘を実施する場合には、前もって政府とよく相談をするようにということを帝国石油に求めたところでございます。その後、帝国石油から試掘を実施したいといった具体的な計画は出てきておらないというのが事実関係でございます。
  25. 若林秀樹

    若林秀樹君 分かりました。  いずれにせよ、民間企業ですし、安全にそういうことが実施できるような環境がまだ整ってないということではないかなというふうに思います。  ただ一方で、やはりこの試掘権を与えたということを念頭に置きながら、毅然とした態度でこれはこの問題としてしっかり交渉していただきたいなというふうに思いますが、ただ一方では、やはり、後の質問にもあるんですけれど、幅広いもっと日中のエネルギー協力を実質的に進めていくということも必要じゃないか。その延長線の中にこの問題も含まれればまた違った解決の道も私はあるんではないかなというふうに思いますんで、その意味では、日本ができること、やれること、省エネ、環境技術、様々な、原子力関係も含めて協力できるところはやっぱりあるんではないかなというふうに思います。その意味で、私は原子力というものが非常に我が国にとって重要ではないか、大きな転換点に来ているんではないかという認識を持っておりますんで、伺いたいと思います。  御案内のとおり、地球温暖化の防止の問題、原油の高止まり、そして原子力政策が各国で見直される。ブッシュ大統領も久方ぶりに原子力発電所を造っていくというような政策変更もありましたし、中国では、これから二〇二〇年までに、私が新聞報道で見ると、原子力発電所を三十六基も造る等々あるわけでありまして、私は、ひとつやはり原子力政策の大きな転換点を、日本としてもこの世界の流れを踏まえながら私はそういう位置付けにあるんではないかなと思いますが、それについて御認識を伺いたいと思います。
  26. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) この現在の原油高などを契機とした正にエネルギーの安全保障への認識の高まりや、また地球温暖化の防止に向けた取組の強化の必要性などを背景にしまして、今や海外では原子力発電の重要性が再認識され、各国でそれぞれ盛んな取組が進められていることは事実であります。その推進や核不拡散とのこの両立を目指した動きが出てきておることは事実であります。私としましても、供給安定性に優れ、二酸化炭素を排出しない原子力発電が我が国において果たす役割というものは今後ますます大きくなるものと、議員認識を同じくするものであります。  このため、現在検討中の新・国家エネルギー戦略におきましても、原子力発電を大きな柱の一つとして位置付けまして、このエネルギーの中に占める比率を三〇%ないし四〇%程度、もっと言えばそれ以上を政策目標として実現のために取り組んでまいりたいと考えております。  安全の確保と国民皆さんの御理解、御協力を大前提として、この政策目標の実現に向けた取組を着実に、そして原子力の推進に万全を期してまいりたいと思っております。
  27. 若林秀樹

    若林秀樹君 ありがとうございます。  私は、これは非常に重要な問題で、やっぱりエネルギー安全保障あるいは核不拡散とのかかわり合いの中で、さっき言いましたように日中協力、様々な協力関係の中で、我が国がきちっとしたエネルギーのこの原子力の技術人材をしっかり持っておくということは、非常に私はこれからの外交上の問題も含めて重要ではないかなというふうに思います。  しかし、一方で、いろいろ、様々な安全に対する不安を起こすようなこれまでの不祥事があり、一方では新たに原子力発電所を造るところが少なくなって、そういう意味でやはり人材的にもやや不安なところが多いと思います。御案内のとおり、原子力工学科的なそういう部門がどんどん少なくなったり名前を変えたり、そういう人材供給の面で私は不安があると思いますし、一方、原子力発電所で働く様々な現場の人も高齢化して、その技能の、技術の伝承という問題もあるやに聞いておりますんで、ここはきちっと国としてのやっぱり役割があるんではないかなと思いますが、この辺の認識について伺いたいと思います。
  28. 小林温

    大臣政務官小林温君) 今、委員から御指摘いただきましたように、我が国では当面の間、原子力発電所の新規建設が比較的多くは見込まれない一方、二〇三〇年前後より大量の原子力発電所の建て替え需要が見込まれております。このため、それまでの間、技術人材をいかに維持強化していくかということが大変大きな課題となっております。  この対応の一環として、日本型次世代軽水炉の開発事業に官民一体となって取り組むこととしておりまして、本開発事業は、従事する多くの技術者に具体的な目標を与えることとなり、技術者の育成にも貢献するものと考えております。この実現のためには、平成十八年度予算案においては、本開発事業の事前調査費五千万円を新たに計上させていただいております。  また、原子力の安定的利用を実現するためには、保守、補修現場の中核を担う技能者の育成や技能の継承が重要であるということも委員御指摘のとおりでございまして、このため平成十八年度予算案においては、地域で行われる保守、補修に関する研修など、技能者育成に対する支援事業六千三百万円を新たに計上させていただいております。
  29. 藤木完治

    政府参考人藤木完治君) ただいま先生から、大学における原子力に関する人材確保の問題についてお話があったかと思います。  御指摘のとおり、原子力の研究開発利用を安全かつ的確に進めるという観点から、その担い手となる優れた人材の確保が大変大事であるということは論をまたないところであります。  そのために、もちろん大学の果たす役割は非常に大きいと我々も考えておりまして、現在は原子力技術応用工学と、あるいは環境エネルギー工学専攻といったような名称の学科専攻において原子力に関する原子力教育を行っているところではございますけれども、原子力関係の専門人材の養成は特に大事だという最近認識がございますので、例えば、平成十七年度、今年度でございますが、東京大学におきまして、原子力の産業発展を支える中核的技術者の養成等を目的といたしまして、工学系研究科に原子力国際専攻及び専門職大学院の工学系研究科に原子力専攻を新設いたしまして、人材育成の強化を図っているところでございます。  正に先生指摘になったように、原子力という名前を冠した学科は確かに減少しております。しかしながら、原子力に関する学問の進展に伴いまして、関連する教育研究、様々な分野、周辺に拡大しているということがございまして、例えばエネルギー科学科あるいは量子エネルギー工学といったような、従来の原子力分野を含む更に広い、幅広いエネルギー関連分野として教育研究が行われるようになったことも、この原子力というその固有の名称が減ったことにつながったものと認識しております。  文部科学省といたしまして、原子力に係る専門人材、これは非常に大事だという御指摘、正にそのとおりだというふうに考えておりますので、今後ともそうした人材が適切に養成、確保されますよう、大学に対しましてその教育の充実に向けた取組を促してまいりたいというように考えております。
  30. 若林秀樹

    若林秀樹君 そういう学問のそういう科を設けたから人材が入ってくるとは限りませんので、やはりそこは、やっぱりこの仕事に就きたいと、魅力ある仕事なんだということを経産省としても後押ししていくこともやっぱり必要ではないかなというふうに思っております。  久方ぶりに質問したもので、用意した質問が余り質問できてなくて恐縮でございます。まあ最後、あと六分なんで、一番最後のちょっと質問にさせていただきたいなというふうに思っています。それはPSE法であります。  御案内のとおり、施行から五年間の経過措置が経て、四月一日からPSEマークが張ってないものが販売できなくなるということで、民主党にも中小、まあ中古製品を扱う業者とか、あるいは楽器店、あるいはミュージシャンからいろいろ批判も含めた御意見をちょうだいしているところであります。  私は、やはり五年が経過してなぜ今になってこういう問題が噴出したのかというそのやっぱり根本的原因をさかのぼると、私は経産省がやっぱり十分な周知徹底をしてなかったんではないかという問題認識を持っておりますが、改めてこの辺について、どういう状況だったか、なぜ遅れたのか、伺いたいと思います。
  31. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 御案内のように、平成十一年に電気用品安全法の改正が基準・認証制度改正の一括法案、つまり十本の法律が一括で処理されたわけでありますが、電気用品安全法に対する、各党からも、この当時の委員の皆様からも特段の御質問等がなされてないわけであります。  それはなぜかといいますと、私は、この法律が今、なぜ今になってというお言葉がありましたが、私も同じ思いです。この間も閣僚懇談会でも申し上げたんですが、九回の裏ツーアウトになってから、ここで制度を変えろ、何か対策を変えろと、こう言われても、これはやっぱりもうここまで来たら、これ三月一杯できるだけ頑張って、やれるところまでやって、そこで改めて考えるべきことがあれば考えていく。川を渡っている最中に、途中で馬を乗り換えるわけにはいかないということさえ私は申し上げておるわけでありますが、これ、最初の段階から、今御指摘のような点も私は全くなかったわけではない。やっぱり多少、この説明にあるいはPRにしっかり努めてはきておるんです、普通の法律並みのことは十分してあるんです。  しかし、もう一段徹底してやっておるかということになると、今のような御意見があちらこちらから出てくるというわけでありますが、私ども、残された期間があとわずかでありますが、今、百万枚のこのPRのチラシとともに、全国に五百か所のこの問題に対応するそういう場所をつくると同時に、これは、この電気安全法に関係する各関係の皆さん協力を得て、延べ約三万人を動員して、この消費者皆さんの御心配にこたえていこうということを精一杯やってみますから、この成果を見とってくださいといって胸張れるような話ではありませんが、しかし、今起こっておる問題はだれの責任かということになってまいりますと、経済産業省責任であることには違いありません。ですから、これは真剣に取り組んでいきますが、五年のこの歳月の間に、だれも何もおっしゃってないわけなんです、ずっと。そして、今急にここへ来て、最後の九回の裏ツーアウトから問題が起こってきたと。  私は、しかし、ここで法律を変えろということの方が、現在のこの法律を改正するということを真剣に受け止めて、そのまま対応しておる全国の多くの関係の皆さんの方が断然数が多いわけです。そして、ビンテージの問題等で、日本の文化が壊れるなどということを言われておりますが、我々は日本の文化を壊すようなつもりは、乱暴なことを全く考えているわけではありません。したがって、このビンテージの問題等については、簡略な手続でもって対応できるようなことを考えておりますし、できるだけ、各党皆さんからいろんな御意見をちょうだいしておりますが、今、先生方にも、我がこの省の取組について一々御意見をちょうだいした先生方には御説明に上がっておるところでございますが、ここまでやるのかと、ここまでやるならばひとつその結果を見ようということで御理解をちょうだいしておるところでありますが、残された期間、改めてここで全力を尽くしてこの対応に取り組むことをお約束するものであります。
  32. 若林秀樹

    若林秀樹君 是非ともしっかりと対応していただきたいなと思います。  私はこれまで、この法律が通ったときには議員ではおりませんでしたので分かりませんが、やはり中古市場への影響を余り、過小評価していたんではないかという感じもしますし、やっぱり周知徹底が遅れたというのも事実であります。  民主党としては、この延長期間を延ばすということのプラスマイナスはいろいろあると思うんですよね。これはやっぱり消費者行政にこれからも影響しますし、立法府そのもののやっぱり信頼性が問われるということ、その意味議員立法で一年間延長するべきかどうかということを検討してまいりましたけれども、最終的には先日の経産省の対応が出てきた。そのことについては一定の評価をしながら、じゃ、これで満足かというと、決してそうではありませんので、残された期間は三月三十一日までですけれども、一方、その後もしっかりとやっぱり対応していただき、民主党としても必要に応じて法改正を含めて今後検討していきたいと思いますので、今、二階大臣が、ある部分はやっぱり反省があったと。その部分も踏まえてしっかりと対応していただきたい。そのことをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。  以上です。
  33. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 どうも、民主党の直嶋でございます。  私も今日は二階大臣に初めて質問させていただくんですが、せっかくの機会でありますので、御承知のとおり、独占禁止法が先般改正をされまして、今年の一月から施行されております。なかなかふだんこの関係についてもお聞きする機会がないものですから、二階大臣にお聞きする前に、独禁法について幾つか公正取引委員長質問させていただきたいというふうに思います。  まだ改定独禁法も施行されまして二か月少しでありまして、どんな具合ですかと、こう聞いたら、いや、まだ二か月ですからよく分かりませんと、こういうお答えが返ってくるんじゃないかと思いながら、しかし、御承知のとおり、昨今、談合については日々ニュースが出ましてマスコミをにぎわしている状況でもあります。特に、今回の独禁法改正では新しい制度が幾つか入りました。この新しい制度を中心にお聞きをしたいというふうに思います。  一つは、今度の改正法で、課徴金制度の見直しもあったんですが、併せまして課徴金減免制度が導入をされました。これは、談合しましたということを申し出れば課徴金を減免すると、こういう俗にリニエンシー制度と、こう言われているものでありますが、これは当時の法案審議の中でも、談合している企業間の連携を崩して非常に、談合行為を解明する意味では非常に効果的なんだと、こういう御説明もされていたわけであります。  まず、ここのところ、従来よりも非常に頻繁に談合事件も摘発をされているわけでありますが、このまずリニエンシー制度について、どういうような運用状況になっているのか、あるいはその効果について、若干先の見通しも含めて公取委員長の御見解を賜れればと思います。
  34. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) お答え申し上げます。  おかげさまで昨年の四月、参議院で改正法案、通していただきまして、十分な周知期間を置きまして今年の一月四日から改正独禁法が施行されております。  その中で大きな柱の一つが今御指摘の課徴金減免制度でございます。一月四日から受け付けるということでやってきております。このことについて、申請があったのかどうかということについて、実は私どももいろんなところから一月は聞かれました。これは、行政の透明性とか情報公開とかいう見地からは実態をつまびらかにすべきだということも分かるわけでございますが、一方、このリニエンシープログラム、課徴金減免制度を使っていただくためには、これを使えば、だれがそれを公取に申告したのかというのが分かってしまうということでは、申請者のやっぱり気持ちがなえてしまって、それではちょっと困るんだというのは、これはどうも洋の東西を問わずそういうことになっておりまして、したがって、この課徴金減免制度を使っていただくためには、その情報を十分に厳格に管理する必要があるという要請も確かにあるということでございまして、紛らわしいんでございますが、今のところノーコメントでさせていただいております。  申告があったのかなかったのかということについて、ノーコメントということでさせていただいておりまして、これから、じゃ、どうするのかということにつきましてでありますが、何も申し上げないというのもこれはやはり問題があると。その両方のバランスをどう取るかというので悩ましいんでございますが、私どもとしては、年次報告というものがございますので、その具体的な名前ということではなくて、何件あったとかいうようなことにつきましては、少なくとも年次報告においては公表させていただくということは最低限やらなきゃいけないと思っておりますが、それ以上のことにつきましてはもう少し様子を見させていただきたいと思っております。アメリカではこういうことは公表しないということで徹底しておるわけでございまして、当局がそのことについて積極的に公表するということについては本当に慎重でなければ、せっかくつくった制度が有効に使われないということになってしまってはいけないという気持ちを持っているということでございます。  ただ、これが使われるか使われないかということの私の感じでございますが、これは法律改正のときにもいろいろ御指摘ございまして、日本の社会にはなじまない、日本の商道徳にはなじまないというお話も随分ありました。しかし、私は、一般的には欧米に比べてそういう風土があるにしても、やはりこれは使われる可能性は十分にあるというふうに思っております。  何となれば、一〇〇%公正取引委員会がその違反行為を知らないで、したがって立入検査をしない段階で最初に公正取引委員会に情報をもたらしたら一〇〇%課徴金掛けませんと、かつ、それが重大、悪質な事件であって刑事告発に持っていかれるという可能性がある場合であっても刑事告発はいたしませんということでございますし、逆に、立入検査を受けた後であっても先着三名に入っている限り三〇%の課徴金の減額を受けられるということでございますので、一方で言われている企業のコンプライアンスということを考えますと、そういうチャンスがあるにもかかわらず課徴金減免制度を使わなかったということにつきましては、会社経営、株主の立場等々からいっても、やはりそう安直にこの制度を使わないということでは済まないということもあろうと思っておりますので、私は日本においても十分これは活用されるというふうに思っております。
  35. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私も個々のことをお聞きしようというわけでもありませんし、このリニエンシー制度の持っている、何といいますかね、微妙なところというのはよく心得ているつもりなんですが、今、委員長からも、日本の社会にも効果がありそうだと、あるというふうに思っていると、こういうお答えいただきましたが、これは改正して施行されたばかりでありますので、先ほど年次報告で御報告ということもございましたが、独禁法というのは個々の行為を取り締まること自体が基本的な目的ではなくて、むしろ独禁法で罰せられるということが談合なら談合の抑止効果を持っている、持つと、こういうところがもう一つの大きな独禁法の目的だと思うんでありまして、できましたら、年次報告と言わずに、効果があるというふうにお踏みになった段階で、差し支えのない範囲でもちろんでございますが、きちっとPRをされた方が法本来の運用からいうと効果的ではないかと、このように思っておりますので、この点は今後の御尽力をお願い申し上げたいというふうに思います。  それからもう一点、やはり新しい制度で、今回改正されて導入されましたのが犯則調査権限というものであります。これは、公正取引委員会がいわゆる行政調査とは別に犯罪調査、犯則調査権限を持つということになったわけであります。  これもマスコミで報道されましたのでちょっと申し上げますと、地方自治体が発注する汚泥とかし尿処理施設の入札談合疑惑で、先日でありますが、公正取引委員会が、この談合の中で談合マニュアルなるものが複数のメーカーによって作られていたと、こういうこともあって、非常に悪質性が高いという判断で犯則調査権を使った調査に入ったと、こういうことが、これは報道された内容を申し上げたんですが、そういうふうに言われております。  それで、公正取引委員会として、この犯則調査権限をお使いになる一つの物差しといいますか、これは全くまた従来の調査とは異なるわけでありまして、この辺りの御所見を、お考えをきちっとお伺いしておいた方がいいだろうということで、この犯則調査権限について、どういうお考えで運用されるのかをお聞きしたいと思います。
  36. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 従来から、刑事告発につきましては公正取引委員会の方針を世の中には明らかにしておるところでございまして、それは改正後も同じでございます。  それは二つございまして、一つは、その違反行為が国民生活に広範な影響を及ぼすような重大かつ悪質なものであると。それから二つ目が、公正取引委員会による行政処分では違反行為を排除するという意味で十分ではないと。簡単に言うと、何回も独禁法違反行為を行っておると、行政処分だけではどうも言うことを聞いてくれないと、こういうケースを想定しての話ですが、この二つを大きく刑事告発の要件として公にさしていただいております。これは改正前も改正後も同じでございます。  それで、従来は、行政調査によって分かった違反行為で今申し上げた要件に該当するようなものについては積極的に検事総長に告発をしてきたと、こういうことでございますが、今回は、その手続において適正手続上問題があるのではないかと、行政調査で分かったことを刑事告発に持っていくのかと。これは手続上もちゃんとやっておりましたが、やはりそれよりは、国税とか証券取引等監視委員会がやっていると同じように、行政調査と犯則調査というものは別にすべきであると、それがその被審人側から見ても適正手続上フェアであると、こういうお話がありましたので、今回、そういう要請にもこたえるべく、犯則調査権限というものを入れさしていただきました。  したがって、その行使が分かるように、それを専ら担当する犯則審査部というものもつくらしていただきまして、国税であれば査察部というものがあると同じように、公正取引委員会においてもこれからは犯則調査権限はその犯則審査部によって行使されるということにさしていただきました。そういうことでございまして、名実ともに体制を整えさしていただいたというふうに思っています。  これからは、今申し上げたような悪質、重大かつ累犯と、こういうケースについては、従来と同様又はそれ以上に積極的に刑事告発をしていきたいというふうに思っております。
  37. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、もう一点お伺いしたいのは、これは改正法の内容ということではないんですが、昨年から成田の件とかあるいは防衛施設庁の、昨日起訴されたんですかね、談合事件が摘発されているわけでありますが、これは今回はいずれも検察による捜査といいますか、公正取引委員会のお名前は出てこないわけでありますが、当然この種のものというのは独禁法上も問題があるのではないかというふうに思うわけでありますが、この辺りについての公正取引委員会の現在の御所見についてもお伺いしておきたいと思うんですが。
  38. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 御指摘の事件、我々も重大な関心を持ってその推移を見守っております。  私どもが申し上げられるのは、旧成田空港公団にせよ防衛施設庁にせよ、個別の事件として公正取引委員会が取り上げるかどうかということはまだ申し上げられる段階ではございませんが、いずれにいたしましても、独禁法違反行為について十分疑いに足る情報が得られた場合には、当然のことながら対応しなければいけないというふうに思っています。たまたま今回は検察当局が刑法に基づく偽計入札妨害罪なり談合罪として捜査をしておられるわけでございますが、私ども、しかるべき情報に接した場合には、きちっと独禁法に基づいて対処していく所存でございます。
  39. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 続きまして、この問題は先般の法改正で余り議論されなかったことなんですが、実は参議院の決算委員会でこの数年議論されてきましたことでありますが、具体的な事例で申し上げますと、防衛庁の燃料入札談合事件というのがありました。これはたしか平成十一年だったと思います。これはもちろん公正取引委員会が摘発をされて、また一方で刑事裁判も行われて、昨年結審をして有罪が確定しているわけでありますが、これについて国会で議論になりましたのは、この談合によって国家として国が被害を受けたと、当然、被害を受けたわけであるから、防衛庁に対してこの被害の、まあ不当利得といいますかね、不当利得の返還を申し入れなさいと、相手が応じない場合は訴訟を起こして不当利得を返させろと、こういうことを申し上げてきたわけで、昨年、決算委員会の決議で要請しまして、去年の暮れに防衛庁も訴訟に踏み切ったわけでありますが、私は、この種の国が被った損害の対応についてなかなかまだ今きちっとした対処がされてないような気がするわけでありますが、この間のこの防衛施設庁の、何といいますか、この行為といいますか対応について、公正取引委員会としてはこの経過含めてどういうふうにごらんになっているか、ちょっとお考えをお伺いしたいんですけれども
  40. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 委員も御承知かと存じますが、公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針という、平成十三年三月九日付けの閣議決定されたものがございます。これは、いわゆる略称適化法と言われる、公共工事の入札、契約についての適化法というのがございまして、それに基づく指針を定めるということになっておりまして、それは平成十三年に定められておりまして、その中で、今御指摘のようなケースについては損害額の賠償の請求に努めるものとされているわけでございます、発注者は。  防衛庁の場合は、それはこれ以前のことでございまして、こういった閣議決定に基づく対処ということではなかったというふうに私思っておりますが、いずれにしても、今はそのようになっておりまして、それを受けまして、これは特に地方自治体について多いんでございますが、違約金条項というものを設けております。都道府県は全都道府県、四十七都道府県、それから政令指定都市も全部、ところがそれ以下の市町村はまだそこまで行っておりませんが、談合ということが明らかになった場合には例えば一〇%、契約額の一〇%を違約金として払ってくれと、こういうことを民事上の契約として盛り込まれておりまして、それが随分広まってきている。関係省庁においてはそれをきちっとやるようにということで地方自治体も指導しておられると、こういうことになっておりますので、これは中央省庁も含めて、その不当利得返還なり、又は損害賠償請求というものは行っていくというのが、これは一般ルールに私はなっているというふうに思っております。
  41. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、平成十三年の閣議決定のお話もありましたが、私は当然、談合で被害を被ったものについてはその被害を損害賠償求めなきゃいけないと、こう思うんです。  今回の防衛庁のケースでいいますと、実は不当利得返還請求なんですよね。これは法違反ではないと。要するに、しかし、不当に得た利得を返しなさいと、まあ簡単に言うとこういうことだと思うんです。こちらは実は時効が十年で長いんです。ところが、民事上の損害賠償請求は時効が三年です。それから、独禁法上、二十五条でしたかね、損害賠償ができます。こちらは無過失責任での追及になりますので立証も簡単だと思うんですが、いずれ、これも時効が三年なんですね。  まあ、防衛庁のケースでも私思うんですが、不当利得の返還訴訟も刑事裁判が最高裁で確定した後やられているんですね。ですから非常に遅れたと。ところが、実際には、もし民間でこの種のことが起これば、やはり不法行為があったということであれば、刑事裁判と併せて民事も訴訟起こすと思うんです。この点、やはりちょっと国としては、さっき違約金の話等もございましたけれども、やはりまず法律にのっとってきちっと対処をしていくと、これがやはりまず第一に求められてくることではないのかなと。  似たような話として、社会保険庁のシールをめぐって起きました談合事件も同様で、これは訴訟しておりません。ところが、同じような事件でも、例えば東京都の水道メーターの談合事件では東京都はきちっと訴訟をして、損害賠償請求している。その他、大阪等でも同様のことが行われています。  ですから、私は、この種のことについてはやはり国としてきちっと不法行為を追及すると、こういう考え方に立つべきだと、こう思うんでありますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  42. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) それは、御指摘のとおり、今は政府としても、先ほど御紹介申し上げた平成十三年の閣議決定に基づいて損害賠償請求をするように努めるものとするということでございまして、直嶋委員と同じ今考え方に立っている。ただ、しなけりゃならぬということにはなっておりませんが、当然、こういう時代の変化もございますし、税金の無駄遣いに対するその批判というものもあるわけでございますから、発注者としては、違反行為があった場合にはきちんと賠償請求なり、時間がたったものは不当利得返還請求なりするということになっていると私は理解しております。  ただ、地方自治体全部含めてそうなっているかということについては自信がございませんが、これからますますそうなっていくだろうと、またそうあるべきだと私も思っております。
  43. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  それで、今の点に関してなんですが、従来は訴訟を起こすにしても、さっき私、防衛庁の件というふうに申し上げましたが、発注官庁が訴訟を起こしているわけですね。これが実はなかなか腰が重いんですね。まあ、なぜ重いかというのは今日はここでは議論しませんが、本当はこれは私はおかしいんじゃないかと思うんです。発注官庁が訴訟を起こさなくても、国として被害を受けたわけですから、まあ公正取引委員会がいいのかどうかは私分かりませんが、どこかの部署できちっとそういうことを対応していくことが併せて必要じゃないかと思うんですが、この点についてはどうでしょう。
  44. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) その御質問は私の答弁範囲を超えると思いますが、まあ私の今までの経験からいたしますと、閣議決定でそういうことにしましょうということを決めているわけでございますから、各その長はそれに縛られているわけでございまして、当然、それに沿った賠償請求なりなんなりしなければ、それはそれで問題にされるということになっているわけでございますので、十分ワークするんではないかというふうに思っております。
  45. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 まあ、閣議決定は、さっき委員長もおっしゃったように、しなければならないではなくて、努力するという内容でして、これがそのままで運用されていいのかということも問題あると思うんです。  ただ、例えばですね、発注官庁が訴訟起こさなくても、例えば指名停止とか、いわゆる行政処分的なことは行われていますね。ただ、私はこれも、多分省庁間で横のいろんなレベル合わせはあるんだと思うんですが、非常に不透明だと思うんです。ですから、行政処分するかどうかはまあ別にして、やはり国の枠組みの中で被害を受けたものは法律に基づいてきちっと対処すると、やっぱりこういうことを仕組みの中で取り込んでいただくと、より、今いろいろ問題出ていますが、こういう談合についてもなくしていくということで非常に大きな力になるんではないかと、こう思っておりまして、この点について、私の権限の範囲を超えておるとさっき委員長おっしゃったんですが、まあ本当は官房長官にも来ていただいてお答えしていただくといいんですが、まあ今日はちょっとそういう時間取れなかったんで、是非努力をお願いしたいと思いますし、議員として大先輩であります二階大臣、もし何かコメントおありでしたら、この点に関してちょっと御所見をお伺いできればと思います。
  46. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 近ごろ頻発しております談合事件等は、日々新聞を読む際に本当に目を覆うばかりの気持ち国民皆さんも見ておられると思いますが、我々国会議員もまた同じような思いであろうと思います。  したがいまして、竹島委員長を中心にしまして、今、公正取引委員会が厳正に対応していただいておるということには我々は拍手を送るべきであると思いますが、これからの対応につきましては、まず公取の判断が中心でございますから、それに合わせて我々もまた機会あるたびに、この閣僚懇談会その他におきましても、こうした問題が再び発生しないようにいかに努力をすべきかというふうなことにつきまして、委員の御指摘を踏まえて、今後、私も積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  47. 加納時男

    委員長加納時男君) 済みません、速記を止めてください。    〔速記中止〕
  48. 加納時男

    委員長加納時男君) 速記を再開いたします。
  49. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それじゃ、公正取引委員長、どうもありがとうございました。  これから先は、独禁法ではなくて、ちょっとEPAの方、EPA、FTAについてですね、大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。  私は、これからの日本経済社会にとって、EPA、FTAを積極的に推進するということは非常に大事なことだというふうに思っていまして、さっき物づくりの大切さの議論もございましたが、やはり自由な貿易体制というのを、自由に貿易できるという仕組みを世界に広くつくっていくということは、正に私は日本の国益そのものだというふうに思っています。したがいまして、EPA、FTAも積極的に推進するべきだと、こういう立場であるということを前もってお断りした上で、幾つか質問させていただきたいというふうに思います。  実は、先般、これは三月七日だったと思いますが、経済連携促進に関する主要閣僚打合せについてということで、これは官房長官が記者会見をされました。その中で、我が国のEPA戦略ということで、基本的な方針はたしか二〇〇四年の十二月に政府がお作りになっていると思うんですが、この方針に基づくんですが、交渉、今後のその交渉に当たっては、その交渉の質のほかスピード、スピードをも重視してやっていくと。そのために、EPAより分野を絞ったFTAあるいは投資協定、こういうものだけの協定もその可能性を追求すると、こういうふうに会見の中でもお話をされております。  これは、今申し上げた平成十六年十二月の基本方針を私はかなり転換をされたのかなというふうに受け止めるんでありますが、この方針転換といいますか、まずこれについて考え方をお伺いをしたいと思います。
  50. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいまの御質問でございますが、現在交渉中の国・地域との交渉をできるだけ早くまとめるように各大臣のイニシアチブの下で全力で取り組むこと、また今後の経済連携の進め方については平成十六年十二月に策定した基本方針に従い前向きに取り組んでいくこと、そして次に、これまで日本が締結、署名したEPAを参考に作成したモデル協定を活用するなど、相手国との経済関係に応じてFTAのみとする可能性や投資協定等の可能性も追求すること、そして、官邸主導の下に政府一体となり経済連携に取り組むために、今後とも必要に応じこのような閣僚打合せを時々開催することによって、主要関係省庁の局長級会合を頻繁に開催していくなどで対応していこうということを申し合わせた次第であります。  従来の方針に特別に変わったわけではありませんが、やはり今議員指摘のように、このEPA、FTAともに、この交渉の質も極めて大事なことでありますが、あわせて、先ほど来御指摘のありましたスピードという面では、私は真剣な取組が必要だと思っております。  そして、例えば低開発国の場合でもそうなんですが、各種の経済閣僚の会合等で御発言を伺っており、またバイの会談等で言われることは、やはり私たちは、援助を下さい、お金を貸してくださいと言っているんではありませんと。貿易をさしてくださいとお願いしておるんです。ですから、日本は先進国であるし、経済大国であるから、我々のところの生産品をできるだけ買い上げていただきたい、貿易をさしていただきたい、そういう願いであることをよく認識してもらいたいと言われるわけですが、私はそうした発展途上国の皆さんの声も十分念頭に入れながら、この貿易交渉というものをできるだけスピーディーに、そして、なるほど日本だと言われるような質の高い協定を締結できるように努力をしてまいりたいと思っております。
  51. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、この時期にこういうことで閣僚の皆さんが打合せをされて、改めてこれ確認されたということで、まあ今の大臣お話だと方針転換ではないということなんですが、これまでの協定の交渉だとか、さっきモデル協定の話もありましたが、いろいろその情勢を踏まえて、やはりこれから効果的なやり方でいこうと、こういうふうに確認されたのかなというふうに思っています。  そのとき、私もこれ拝見してですね、頭に浮かんだことが実は二つありまして、一つは、これが特定の今交渉中のもの、あるいはこれからやろうとしているものを念頭に置いたものかどうかはよく分かりませんが、私の頭に浮かんだのは、一つはASEANとの今協定であります。これもマスコミ報道しか私もよく分かりませんが、今までのやり方ではなくて、むしろFTAの交渉、特に関税率の部分中心にいこうと、やろうということで、改めて交渉に入るという報道がされています。  それからもう一つは、日中韓投資協定というやつですね。日本と韓国の間には、いつできましたか、二〇〇二年だったかですかね、もうちょっと前かもしれませんが、かなりしっかりした投資協定が日韓の間では締結をされているというふうに思っています。多分、今回の日中韓の投資協定はこの日韓で結んだものを三か国の間にできれば拡大をしたいと。もちろん、中国の経済的な日本との関係の大きさというのもあって、まあ経済界からもそういう要望が強いという話も聞いております。  この二つがぱっと頭に浮かんだんですが、これらも念頭に置いた確認だと、こういうことに受け止めてもよろしゅうございますか。大臣大臣
  52. 加納時男

  53. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) いや、先にこちら。
  54. 加納時男

    委員長加納時男君) 先。それでは、経済産業省北村通商政策局長
  55. 北村俊昭

    政府参考人北村俊昭君) 事務的にまずお答え申し上げます。  先生から御指摘ありました日本とASEAN地域全体の協定の件と、日中韓の投資協定の件でございますけれども日本とASEANの地域の協定につきましては昨年の四月から交渉をスタートいたしておりますけれども先生もちょっとお触れになったように、なかなか歴史的にも前例のない二国間の協定を持ちながら地域全体とも協定をつくると、そういう非常に難しい協定であることは事実でございます。そういった意味で、協定の交渉の進め方につきまして日本とASEANの間で議論が難航しておりました。  そこで、昨年の十二月に二階経済産業大臣がASEANの貿易大臣と会合を持たれまして、ここでお互いの知恵を持ち寄って早急に解決させようと。そのために事務方で、まあ交渉というとなかなかお互いの立場もあるので、交渉という形ではなくてワークショップという言い方をしましたけれども、ワークショップという形でお互いに言わばかみしもを脱いで、どういうやり方であればうまく進められるのかという、そういう知恵を出させようということで大臣から提案をされまして、ASEAN側もそれは結構だということで、この二月にそのワークショップが開催をされました。  そこで、ほぼ両サイドとも今後の交渉について大体その大きな見取図ができたということで、この四月に交渉を再開をするということになりました。その再開に当たっての第一回目のテーマをそのFTAと、物の関税の削減・撤廃方式について議論をしようということが決まっております。  そういう意味で、先生のおっしゃったようなFTAが物の関税の撤廃を取りあえず議論するわけですけれども、この日本とASEANの協定全体のカバーする範囲は、予定どおり、物の関税の撤廃、すなわちFTAだけではなくて、投資、サービス、あるいは知的財産、あるいは日本からの様々な協力、そういったことを含んだいわゆるEPA、経済連携協定という大きな枠組みの中での協定にしようということについては、両国間の合意は、日本とASEANの合意は変わっておりませんので、そういう意味では、交渉の手順として四月にFTAからまず議論していきましょうということが決まったということでございますので、若干、新聞報道とは今進んでいることは若干違いがございます。  それからもう一つ、日中韓投資協定の話ございました。先生指摘のように、日本と韓国の投資協定、これは恐らく世界的に見てもレベルの非常に高いものでございます。二〇〇三年から発効いたしておりまして、この協定の成果もありまして、御案内のように日韓、特に日本から韓国への直接投資は大きな、大変な勢いで増えております。  こういったことを踏まえまして、今、日本産業界、特に中国に既に投資をし、製造等を行っております産業界から、やはり中国の様々な法制度の運用の問題、あるいは知的財産問題等々ございますので、是非こういったレベルの高い投資協定を日中韓の三国でつくってほしいという議論がございます。これを受けまして、二〇〇三年の日中韓の首脳会談で首脳間の合意として、日中韓の投資協定について政府間協議をさせようということで、これが二〇〇三年の首脳合意がございまして、二〇〇四年、二〇〇五年と現在協議を続けているというところでございます。
  56. 加納時男

    委員長加納時男君) 大臣から御発言ありますか。よろしいですか。
  57. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 じゃ、ちょっと次の、今お話あったんですが、一つはEPAなりFTA、今積極的にやっていこうということで進めておられるわけですが、やはりどこかでそろそろこれの持つ効果というんですかね、あるいは成果というんですかね、例えば貿易量に占める協定国との関係でいうと、これぐらいになりますよ、あるいはこれから先、幾らぐらい目標にしますと。  ちょっと私も聞いた話であれですけれども、例えばEUだとEUの中の域内だけで貿易量の大体六割以上カバーしていると。アメリカの、北米のNAFTAはやはり五割弱ですかね、四五、六%カバーしていると、こういうこともありまして、政府としてこれからスピードを重視して積極的にやっていこうということであれば、まあ全体の日本貿易なり産業に占める、その貿易の比率がいいのかどうか分かりませんが、何らかのやはり効果みたいなものを測定しながら進めていくと、こういうことをおやりいただけると国民から見て非常に分かりやすいんではないかなと、こう思うんですけれども、この点、大臣どうなんでしょう。
  58. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 私は今、直嶋議員の御指摘は誠に当を得ているというか、そのとおりだと思っております。特に、最近の例えば中国とアメリカ、中国とEU、中国と日本との貿易量等を考えてみますと、今までは、御案内のとおり、日本と中国との関係が断然トップにあったわけでありますが、今EUとかアメリカもなかなかこの先、予断を許さない追随をいたしておるわけであります。  そうしたことを考えますと、私たちは、隣国といいますか、極めて近い関係に今御指摘の日中韓三か国の間は存在しておるわけでありますから、この関係がスムースに貿易問題が進んでいくためにまず政府間で事務的なことも大いに詰めていかなくてはなりませんが、同時に国民レベルでも日本と中国、日本と韓国、その友好親善、そうしたお互いにやはり理解し合う雰囲気というものは極めて重要であるということを私も先般中国に参りまして改めて認識をいたしておるところであります。  なお、今どんな点でどういうふうになるんだということをしっかり説明する必要があるんじゃないかと。おっしゃるとおりであります。既に中国に進出をいたしております日系企業が最も重視し、また期待をしているのは、制度の不透明性や恣意的な運用、知的財産権の侵害といった問題であります。  私も先般、薄熙来商工大臣と約二時間半掛けてバイの会談を行いました。二時間半も何を話していたんだといって、どこかの週刊誌にちょこっと書いていましたけれど、お聞きいただける時間があれば二時間半の話合いの内容はつぶさに明らかにいたしたいと思いますが、その中で今直嶋委員からも御指摘のありましたような日中韓の今後の対応等についても十分話し合ってまいりました。特に、知的財産権侵害の問題等において、中国もまた明日は我が身でありまして、中国自体も知的財産権侵害の問題に悩まされる、そういう時代に入りつつあるわけであります。  先般もどなたかが私に言ってくれておりましたが、中国の国内同士でも知的財産権の侵害の問題があると、そういうことでありますが、先般、薄熙来商務部長は、全国に五十か所、この知的財産権の摘発のための本部を、まあ広い中国でありますから五十か所それを設置して厳重に対応するつもりだというお話がありました。そしてお互いに、知的財産権という問題は、日本、中国、韓国という、こういう関係だけではなくて、先般からも御案内のとおり、私どもは国際的な一村一品運動ということを盛んに進めております。  先般もジェトロ本部で開かれました一村一品運動の見本市のようなものがあったわけでありますが、そこに参りますと、電気のかさなんかで、ベトナムで作ったものでありますが、なかなか素晴らしい製品がありました。私はこれは何と言うんですかといったら、コウベランプというんですと言うから、何でコウベランプというんですかと言って聞いたわけでありますが、そういうなかなかちょっとだれでも欲しくなるような製品が並んでおりました。  しかし、それとて知的財産権という問題できちっと保護しなければ、長い間掛かってせっかく作り上げたものが一瞬にしてだれかにまねされてしまうというようなことにもなるわけですから、お互いに知的財産権という問題は、このWTOルール等にもありますが、私どもとしてはこれは今後の貿易を拡大していくためにはもう避けることのできないといいますか、極めて重要なテーマだと思っております。  したがいまして、我々はそうした面で、国民皆さんにも御理解をいただくと同時に、対中国、対韓国、その他の国々に対しても、我々の方からの要望は的確に相手国に求めていきたいと、このように思っております。
  59. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。是非、さっき大臣お話になった成果といいますか、そういうものをできるだけまた公にしていただいて積極的にお願いしたいと思います。  それで、今の大臣のお答え、御答弁の中にもありましたが、この日中韓投資協定とか、あるいは中国とのお話が主だったんですが、これはやはり局長にお伺いしたいんですが、この中には当然今お話に出た知的財産権の保護等も含めて仕組みをつくっていくと、むしろそこが一番重要なところなんだと、こういう受け止めでよろしゅうございますか。
  60. 北村俊昭

    政府参考人北村俊昭君) 今の日韓投資協定を例に取ってお話をさせていただきますと、御指摘のように、知的財産の問題はもちろん含まれておりますけれども、それ以外にいわゆる法の運用に当たっての透明性の確保、あるいは様々な問題があったときの紛争処理の仕方等々についてしっかりとした枠組みが日韓の中に入っております。  そういう意味で、先ほど来直嶋先生から御議論、御指摘のありますような問題について、投資協定、日中韓という形で投資協定がまとまれば、現在の日本産業界あるいは韓国の産業界が直面しております様々なビジネス上の課題についてその解決の枠組みが提供できるというふうに思っております。
  61. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 いろいろお聞きしたかったんですがなかなか、残り時間が少なくなったんですが、ここでちょっと二つの点について大臣にお伺いしたいんですが。  一つは、さっきFTAとか投資協定を優先させると、こういうスピードを重視ということなんですが、もう一つやはりよく言われているのは、いわゆる東アジア共同体。これは特にEPAの重要性を強調するときに、その中から出てきたといいますか、確かにEPAを締結をしていけば、もちろんこれは経済連携協定なんですが、同時に、これはあわせて、やはりある種の政治同盟的な、これだけ密接になるということですから政治同盟的な色彩も強くなると思うんですが、これと今の議論に出ていましたスピード重視との関係、ちょっと印象としては、スピードを重視して部品を先に内容を決めていったんでは、全体の東アジア共同体構想的なものはちょっとおいておいてでもそういうことになるのか。ここら辺のところはちょっと、一つは疑問の第一点です。  それからもう一つは、やはり、よく言われることなんですけど、日本のこの交渉がなかなか進んでいかないのは、やはり国内の連携の問題じゃないかと。国内の、特に省庁間の利害調整も含めた、もちろん省庁の後ろには多分いろんな業界が付いていると、こういうことなんですが、この国内調整がなかなかうまくいかない。ですから、私なんか率直に言って思うのは、EPAじゃなくてFTAでもいいよと、こういうふうに言っても、あるいは投資協定でもいいよと、こう言っても、話の内容によっては、やはり国内調整をうまく円滑にやれるような仕組みをつくっておかないと現実問題としてはなかなか進まないんじゃないかと。  ちょっと時間の関係で二つ一度にまとめて質問さしていただきましたが、ちょっとこの二つの点について、重要な点だと思われますので、現段階でのお考えを聞かしていただければと思います。
  62. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 直嶋議員指摘のように大変重要な問題でありますが、私どもは、例えばASEANという、そういうくくりで考えてみましても、日本に対する期待が極めて大きいわけであります。そして、日本もASEAN諸国が何を考えておられるか、一つ一つの問題に対してどのような反応があろうかということをお互いに慎重に探り合うというのが国際会議の場面であり得るわけでありますが、もう一歩お互いに腹を割って話すというか、もっと突き詰めて考えていくと、すべては両国のためになるわけでありますから、日本だけが何かうんと得をするとかもうかるとかという話じゃなくて、そうした協定を結んで一緒協力し合うことは相手の国の発展のためにも必ずなる。また、相手の国のためになることでなければ協定も成立するわけがないわけでありますから、私はそういう面で、日本に課せられております責任といいますか期待、こうしたことに対して、東アジア共同体を考える場合も、あるいはASEANの問題を考える場合にも、日本がもっと積極的な外交を展開して、そして、これはそれぞれの国々の発展のために日本が果たした役割ということを後々歴史に評価されるようなことでなくてはならないと思っております。  ASEANの会議に参りますと、それぞれ活発な意見を吐露されるものでありますから、私も最初は共同議長などを務めながら、これで今日は夜までにこの会議まとまるんだろうかと。明日からはWTOの会議がまた別の国であるわけでありますから、何としても今日じゅうにまとめたいと思って議論をしておりましたら、やっぱりだんだんと議論が煮詰まってきますと、日本に対する大きな期待から、日本がリードしてくれるならば我々は付いていくと、一緒にやろうと、こういうお話です。そして、日本に随分厳しいことをおっしゃるような場合もありますが、それでも、先ほどはああは申し上げたけれども、しかし我々は日本に対して大いなる期待と感謝の気持ちを持っておる、だから一緒にやってくれと。そしてまた、これはちょっとよその国の名前を指して申し上げるのは言いにくいことでありますが、他の国が一生懸命我々の国にアプローチしてくれる、しかし、それよりも日本にしてもらいたいんだと、私たち日本期待しているんだ、だから日本がもう少し積極的にやってもらいたい、こういう御指摘をいただくわけでありますが、私ども、そうしたこの内外の声に積極的にこたえなくてはならない。  国内の連携はどうなっているかという御指摘がありましたが、私は国内の連携は極めて役所間の間はスムースにいっていると思っております。ただ、こうした問題に対しては、必ず業界との問題が出てくるわけでありますが、業界の皆さんも近ごろは、WTOにしましても必ず、しっかり頑張ってくれという声援をいただきながら前に進めさしていただいておると。WTOけしからぬと言って、WTO粉砕とか言ってこの大会の会場に押し掛けてこられる国もありますが、日本の場合などは要請という形でお見えになりましても秩序整然といたしておりますし、私はこれは積極的な話合いによって物事を解決するということはできると。その関係に精力を使うといいますか頭を使うばかりに、全体のまとめていくということが見えなくなってしまうようなことがあってはなりませんので、私どももしっかり対応してまいりますので、この経済産業委員会先生方の一層の御指導、お力添えを是非お願いをしたいと思っております。
  63. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今お話にあった、特に国内調整の部分で申し上げますと、かなり経験もしてきたわけですから、さっきモデル協定のお話もありましたけど、もう私、かなり事前にこれまでの経験を踏まえると十分調整可能じゃないかと。今までは、何か決まりそうだからというんで慌ててばたばた行くんですけれども、そうじゃなくて、もう学習効果も含めてあるんで、むしろ事前調整的な手法をしっかり取り入れていけばスピードアップはできるんじゃないかと、こういうふうに思っています。  それで、最後にちょっと大臣にお伺いしたいのは、ちょっと、十二時一分ぐらいまでの予定だと言われていますのでお答えの方を短めに、申し上げておきたいんですが、お願いしておきたいんですが、やはりそうはいっても、結局突き詰めていくと、この東アジアではやはり日中韓だと、ASEANの問題もありますが。特に中国は、さっき大臣お話しになったように、日本との貿易量ももう香港合わせるとアメリカをしのぐまでに来ていますし、そういう意味では、例えば東アジアの連携を強めていくためにも、もう中国を抜きにして語れないと思うんですよ。  残念ながら今、日中関係は、総理の靖国問題もあってなかなかトップ同士が会えないと。国会なんかで総理は、自分がFTA担当大臣だと、こう答弁なんかでおっしゃっているんですけど、どうするのかなと思うんですが。まあこのことはおいておきましても、残念ながらそういう状況でありますから、先日、何か大臣も温家宝総理にお会いになったということも報道で存じ上げておりまして、今後の日中関係、どうやって打開するかというようなことも含めて、ちょっと時間が短くて恐縮なんですけど、大臣のお考えのエキスをちょっと聞かしていただければと思います。
  64. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先般、薄熙来商務部長、商工大臣の御招待がありまして、ちょうど国会開会中でございますから慎重に考えておりましたが、内々のやり取りの中から、温家宝総理自身がこの私との会談に臨むと、そういう手ごたえといいますか、そういうことがあり得るという状況に相なってまいりましたので、大変申し訳ないことでありましたが、国会の開会中に中国へ訪問さしていただきました。  そこで、関係の皆さんは、よくこの難しいときに、日中関係の難しいときにおいでになったと、そういうむしろ同情の声が繰り返されたというぐらい日中関係はそう容易なものではない、暖かい春が来ておるというふうな感じではないということを私も思いましたが、幸いにして過去何回かお目に掛かった方々が多くいらっしゃいましたので、率直に意見の交換をさせていただきました。  温家宝総理にも、お目に掛かる前に、私はこうしてお伺いする前に小泉総理と三回話し合ってまいりましたと、同時に小泉総理から温家宝首相によろしくお伝え願いたいということであったということを冒頭申し上げましたら、温家宝総理からも、大変ありがとうと、私の方からも小泉総理によろしくお伝え願いたいと、そういうことで会談は始まったわけでありますが、私は今後、これからの会談等につきましては、もっと頻繁に首脳が交流できるような環境をつくっていかなきゃいけない、この一年何か月ぶりとか、何かこの本当に近い国でおりながら、外交交流が滞っておるというか、渋滞しているような状況をいつまでも続けていくということは私は適当でないと率直に思っております。  そこで、薄熙来というこの商工大臣と投資協定を含めてあらゆる問題について随分話し合ったわけでありますが、その際、冒頭にこうおっしゃるんです。日本のかつてはこの通産大臣、今は経産大臣と呼ばれるそうですが、こうしたことで正規のこの会談は九年ぶりだということを言われまして私は愕然としたんですが、それでは今日はその九年分話し合いましょうということで交渉に入ったわけでありますが、私はもっともっと、先ほど申し上げましたように、頻繁な交流をして、そして心が通うような状況になって、難しい問題をこうしよう、ああしようということを言えるわけでありますから、こんな随分遠いところで離れておってラリーの応酬みたいなことを続けておって、私は、そういい結果を期待するというよりも、我々の側もやっぱり努力をしなきゃいけない、その代わり中国側も努力をしてもらわなきゃいけない。  中国側に対しましては、私は、先ほど来からもお話ありましたとおり、このエネルギー問題あるいは環境問題、これについて我々の方は苦労もしましたが多少の知見は持っておるわけですから、これを中国のお役に立つならば一緒にこの問題に対して研究しましょうと。もう御承知のとおり、黄砂でも降ってくるとすぐ日本へもう飛んでくるわけですから、環境問題、公害問題は中国の問題であると同時に日本の問題でもあるわけでありますから、こうしたことをこれから真剣に対応していこうと、中国側もこのことを了解されました。  了解されましたが、中国のこの国家的なそういうこの機関、機構といいますか状況からいって、私と商工大臣とが合意したからといって、今直ちにそういうことが両国で対応できる状況にあるかどうかということを私も判断にちゅうちょしましたので、私は温家宝総理とか唐家セン国務委員との会談において、我々は商工大臣とこういう話をしておりますが、このことに対して御同意をいただくと同時に、この商工大臣が訪日されることを了解してもらいたいということを申し上げましたら、大いに結構ですから同意しますと、こんなお話になりました。  少し手掛かりをつかむことができたかなと思うことでありますが、何せ微力な私でございますから、もっともっとこの幹部の皆さん各党それぞれいろんな形で中国へのアプローチをこれからなさっていただくように私は期待をいたしておるところであります。
  65. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。終わります。
  66. 加納時男

    委員長加納時男君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後二時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時五分休憩      ─────・─────    午後二時三十分開会
  67. 加納時男

    委員長加納時男君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、経済産業貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、経済産業行政基本施策に関する件及び公正取引委員会業務に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  68. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 自由民主党北川イッセイでございます。  先日のこの委員会で、二階大臣の方から所信表明を聞かせていただきました。その中で特に印象に残りましたのは、世界に貢献する日本の役割、例えば環境問題ですとか、後進国に対する経済支援というような、そういう問題に大変力を入れていっておられると、非常に印象的でございました。また、特に中小企業が主体の物づくり産業、これに対して注力していかなければいけないという姿勢を示していただいたことにも大変評価をしたいと、こういうふうに思っております。  さらに、国家戦略としてエネルギー問題にどう対応していくのかというような問題提起もしていただいたように思うわけでございまして、大変重要な問題ばかりでございますけれども、私に与えられた時間約五十分ということでございますので、時間の許す限り質問をさしていただきたいと思います。  今日は、所信表明をされた二階大臣来ておられませんが、その代わりに松副大臣、そして小林務官、来ていただいておりますので、しっかりと御答弁いただけると、こういうふうに期待をいたしております。  まず最初に、中小企業対策について御質問をしたいと、こういうふうに思うんですが、その前に、先週九日の日に日銀が五年ぶりに、市場に資金を大量に供給するという量的緩和策、これを解除したわけでございまして、私は個人的にはこの政策というのは金融政策を正常化するということで大変賢明な判断であったというように思っておるわけです。  この場でその解除についての賛否をいろいろ議論しようとは思わないんですが、とりわけ中小企業に対してこの解除がどのような影響があるのか、それが大変私も心配でございますし、また一般の中小零細企業の方々も大変そういう面で心配しておられると、こういうふうに思うんですが、それをどのように受け止めておられるか、松副大臣、ひとつよろしくお願いします。
  69. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 北川先生にお答え申し上げます。  大臣が衆議院の本会議でございますので、しばらくの間いらっしゃいませんけれども、どうぞお許しをいただきたいというふうに思います。  我が国経済は、先生もよく御存じのように、踊り場を脱却しまして全体としては回復してきております。中小企業におきましても、もちろん地域や業種でばらつきは見られるものの、緩やかに改善をしてきております。こうした中で、中小企業の資金繰りにつきましても、同様に総じて改善傾向にあるわけでございます。  私も、実は昨日の予算委員会でも同様の質問がありまして、お答えをさせていただいたんですけれども、今回のこの量的緩和政策の解除、これによりまして中小企業あるいは小規模企業の方が自分たち仕事や生活にどういうふうな影響が出るのかというふうなお気持ちであろうかというふうに思います。やはり、御心配であろうかと思いますけれども、昨日の予算委員会に副総裁も、日銀の、出席をされておりまして、極めて低い金利を維持すると、こういうふうにおっしゃいましたけれども、しかし、福井総裁は、当面はゼロ金利を維持する、こういうふうに明言をされておられますし、私どもといたしましても、以前のような貸し渋りや貸しはがしが起きないようにしっかりと注視をしてまいる所存でございます。  中小企業金融に関しましても、不動産担保やあるいは保証人に過度に依存しない融資の制度の促進、それとかセーフティーネット貸付け等の機動的な活用を行うことによりまして、中小企業の資金供給の円滑化に今後とも万全を期してまいる決意でございます。
  70. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 今度のこの解除につきましては、特に中小企業に対する金融面で大変心配があるわけです。今、副大臣が言われましたように、貸し渋り、貸しはがしというのがまた再現しないかと、こういう心配があるわけですね。特に金利が当面ゼロ金利のままでという話ですが、しかし長期的に見ていきますと、必ずこれ金利上がっていくと、こういうように思うんですね。そうしますと、企業の信用リスクというのは非常に厳しくなっていく可能性があります。  これは商工中金の試算ですけれども、長期金利が一%上昇すると、大企業の経営利益については四・二%減少する、それから中小企業については九・四%減益になる、こういう商工中金がデータを出しているわけです。特に中小企業の倒産がこのことによって増加しないか。特に中小企業、非常に、大企業に比べると倍、倍以上の影響をこの金利面では受けるわけです。二〇〇一年に倒産件数が一万九千件、二〇〇五年に一万三千件と、こういうことで倒産件数も大分減ってきたと、こういうようなことで非常にいい傾向であったんですが、それがまたしてもこういう、そういうような形にならないかという心配なんですね。  私は、これはやはり金融機関が本当に何というか、企業を育てようと、そういうような気持ちというか気概というか、そういうものを持ってやはり取引先、中小企業、そういう人たちに接していく、このことが私は一番大事やと、こういうふうに思えてならないんですね。  この問題は金融庁の仕事かもしれません。しかし、金融庁については金融機関の防衛ということが主体でありますから、むしろその取引先である中小企業の防衛ということになってきますと、経済産業省がしっかりとそういうことを、むしろ金融機関が中小企業を育てるんですよという、そういうメッセージをしっかりと発信する、そういうことが非常に大事だと、こういうふうに思うんですが、副大臣、何かコメントがありましたら。また、政務官、いかがですか、何かコメントございませんか。
  71. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 先生おっしゃいますとおり、中小企業は大企業に比べて相対的に間接金融に依存しているわけでございますので、金融事情の影響は最も受けやすい状況にあるわけでございますので、今回の状況につきましても、副大臣申し上げたとおり、大変中小企業については注視、注意力を持って見ていかなきゃいけないというのは、事情にあろうかと思います。  ただ、中小企業に対する金融機関、特にその地域金融機関につきましては、私ども金融庁ともよくお話をしておりますけれども、いわゆるリレーションシップバンキングと金融庁は言っておられますけれども中小企業中身、実情をよく見て、その内容を見て融資をしていくようにというような指導をいたしておられます。その方針につきましては私どもも常々いろいろ意見交換をさしていただいているわけでございますし、現に先般も副大臣にも御出席いただきましたけれども金融庁主催の年度末の資金繰り対策のための全金融機関を、代表を集めて会議をして、これに遺漏ないようにするというような会議も私ども一緒に開かしていただいて努力をしているところでございますので、おっしゃるような注意力はきちっと持っていかなきゃいけないというふうに思っております。
  72. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 本当に北川先生御心配のように、先ほど、今中小企業長官からもお答え、御答弁されましたけれども金融機関の方に集まっていただいて、年度末の私、ごあいさつさせていただいたんです。年末にもさせていただいたんですけれども、そのときに私は今の立場ではありませんでしたけれども、党において政策金融改革について皆様方の御意見を伺ったら、民間の金融機関の方が政府系金融機関要らないとおっしゃったんですね、もう要りませんよと。けれども、最後には、政府の保証があればと、皆さん、おっしゃるんですよ。ですから、それ申し上げたんです。最後まで伺うと、必ずそうおっしゃいますと。けれども、景気がいいときも悪いときも変わることなく社会的責任を果たしていただきたいと、皆様方にはそういう責任があるんですというふうに私も申し上げまして、今回もそれを再度申し上げさせていただいて、今回、政策金融改革の骨子案が出ましたので、まだ細かくは出ておりませんけれども、皆様方、しっかりと中小企業の方が困ることのないようにお願い申し上げますとそのときも申し上げました。  今、長官がお話しいたしましたように、私どももしっかりそれは注視をして、中小企業の方が困らないようにしてまいりたいというふうに思っております。
  73. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 どうもありがとうございます。  本当にこれ、中小企業金融というのはやはり民間の金融機関がしっかり見ないといけないと、こういうふうに思うんです。ひとつよろしくお願いします。  それでは、その景気の話なんですが、今非常に好景気だと、こう言われております。その好景気の原因は一体何だろうかと、こういう話になりますと、徹底したリストラをやって非常に利益率が良くなったと、こういう話もあります。それから、もう大方、将来見込みのないところは大方つぶれてしまったということで、もう自然淘汰が完了したんだというような見方もあると、こういうことであります。それから、中国の景気に引きずられて非常に受注が増えて経済が良くなったと、こういうようないろんな見方があるわけです。経済というのはもう一面だけで動くわけじゃありませんから非常に難しいと思いますが、経済産業省の方の分析というのは一体どうなっているんですか。
  74. 北畑隆生

    政府参考人北畑隆生君) 景気回復の要因についての御質問でございますが、地域中小企業に一部、地域中小企業に回復の遅れがあるというのは先ほどからの御質問のとおりでございますけれども日本経済全体としては、需要面では当初、輸出の好調から始まりまして、現在では企業部門の好調さが雇用や所得の改善を通じて家計に波及をするという段階に達しているかと思います。このような国内の好調な民間需要に加えまして外需が堅調であるということで、需要面では非常にバランスの取れた形での景気回復になっているのではないかと考えております。  供給サイドでは、御指摘のような部分ございますけれども、構造改革政策が着実に進んでおる、産業再生や不良債権の処理の取組が着実に進展をしておる。従来言われました過剰債務、過剰雇用、過剰設備といったいわゆる三つの過剰問題がほぼ解消いたしまして、企業部門の体質強化が全体的には実現したと、こういうことが今回の景気回復の要因ではないかと考えております。  私ども経済産業省でも、産業再生法の改正でありますとか、産業再生機構の創設、こういったことをお願いいたしまして、こういった制度の活用によりまして、企業事業再生でありますとか産業の再編を図るとともに、研究開発促進税制、IT投資促進税制の導入などによりまして、企業の前向きな設備投資を促進し、民間企業の取組を側面から支援をしてきたところでございます。地域、業種、あるいは中小企業の問題残っておりますけれども、現在の景気回復が引き続き持続し、幅広く波及していくよう、引き続き経済活性化策に取り組んでまいるつもりでございます。
  75. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 今、説明ございました。よく分かりました。  まあしかし、その話は日本の国平均の話でありまして、非常にいいところと悪いところが分かれておるということも現実に言われておるわけであります。特に、大企業中小企業の間に非常に大きな格差がある、こういうようなことが言われております。その中小企業の中でも負け組と勝ち組というか、いいところと悪いところが非常に出ておると、こういうようなことも言われておるわけであります。  中小企業の方は、よく考えてみますと、今まで大体下請構造というような形で進められておった。しかし、その下請構造が、中国ですとか東南アジアですとか、そういうところに仕事を取られてしまった、仕事がなくなってきた。そして、その下請構造から抜け出すことができたところ、これが中小企業の中でも勝ち組というか、非常に良くなっておると、こういうことだと思うんですが、相変わらずそこから抜け出せない、やはり非常に苦しんでいる、要するに分かりやすく言えば負け組と、こういうようなことなんですね、が非常に多いわけです。数量の上からいうと、勝ち組よりも負け組の方がはるかに多いと、こういうようなことなんですが。  私は、政治というのは、勝ち組というのは、もう何というか、要らぬことせぬでも勝手にやっていけるわけですよね。政治が手を入れないかぬというのはこの負け組の方なんですね。この負け組の方にしっかりと手を、支援をしていかなければいけない、こういうように思うわけですけれども、その勝ち組、負け組ということの認識についてどういうように考えておられるのか。先ほどは平均的な話をされましたけれども、いいところと悪いところと、そこらのところひとつ教えてください。
  76. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 御指摘のとおり、経済全体は回復をしておりますけれども、それからかつ、中小企業をめぐる景況も緩やかに改善をしているというのが基本認識ではございますけれども、大企業の回復の度合いと比べて中小企業はなお回復に遅れが見られるということもまたマクロにも見えるわけでございます。  また、中小企業の中におきましても業種ごとにばらつきが見られて、例えば製造業は総じてよろしいわけですけれども、その中でも繊維などの一部の内需型の製造業など、あるいは非製造業、小売業だとかサービス業の一部などにつきましては回復の足取りは重くなっているというのが、その全体の状況の中でもばらつきがあるということでございますし、それをまた反映をしているわけでございますけれども地域ごとに見ても、関東、中部、近畿などは好調という企業が多いし、東北、中国、四国などでは伸び悩むなどのばらつきがあるというのがその概観したところのものでございます。それを更に、先生おっしゃいましたように、ミクロに見ていきますと、企業ごとにやはり二極化をしているということも、これもまた、それぞれの事情はございますけれども、事実でございます。  私ども政策のターゲットが、じゃ、どこにあるのかということになりますと、これはやはり九九・七%、四百数十万の中小企業全般について政策対象でないということはいずれもありませんものでございますので、ひとつ日本経済全体の競争力という観点を考えれば、ある程度好調ではあるけれども日本経済引っ張っているような、それを支えているような基盤技術持っているような中小企業について更に手を加えて、今、今現在問題がなくても、今後五年間、十年間の間にこの力を、この状態を維持できるかどうかということに仮に不安があるとすれば、そこには政策の手が要るだろうということでございますし、それから先生おっしゃいましたような、現況でも、この全体の景気が良くなっている最中にでもなかなか回復の路線に乗れないような中小企業につきましても、何らかの格好で、いわゆる私ども申し上げているようなセーフティーネットの政策、安全網の政策というものはしいていかなきゃいけないし、それから、それらが例えばたくさんの外貨を稼ぐわけではないけれども、それなりの雇用を抱え、雇用をちゃんと維持し回っているということ自身は日本経済にとっても非常に底を支える重要な企業群であろうかと思いますので、そういうところについての目配りも必要であるということはおっしゃるとおりであろうと思います。
  77. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 私は実は大阪の出身でございまして、私の地元は大阪の東大阪というところなんです。この東大阪というところは、よく中小企業の町とか、あるいは物づくりの町とか、総理も見学に来られたとか、いろんなそういうことで話題を呼んでおるわけです。中小企業が皆寄って人工衛星を飛ばそうかと。「まいど一号」という名前でやっていこうというような、まあ今年中ぐらいにはその人工衛星打ち上げされるんじゃないかなと思っておりますが、そういうところなんですね。  本当にたくさんの中小企業製造業があります。その大体データを見てみますと、一番ピークでこの東大阪市だけで一万五百の製造業の業者があったんです。それの九〇%以上が二十人以下の従業員の方です。それが現在、十年後ですね、今現在では七千業者になりました。三千五百減ってしまったんですね。その減少の理由というのは、いろいろありますけれども、廃業、もうこれ以上やってられないというので廃業された方とか、後継者がいないですとか、一部よその地域へ行かれたとか。しかし、大部分が、七〇%ぐらいはもう資金繰りがしんどいからということで、金融で融資してもらえないというようなことで倒産状態でやめられたというようなことなんですね。  私はそれぞれの、非常に、地元ですからいろんな付き合いがありますから、それぞれの企業を見ながら、本当に惜しいなと思うところが随分たくさんあるんです。これはもう本当に、負け組だけれども、負け組だけれども、倒産して仕方がないといえばそうなんですけれども、しかし、やっぱり金の卵やぞというのが本当にあるんですよね。  一つの例挙げますと、実はもうこれガレージ工場で二人でやっておられる。もうこれテレビでも紹介されたから御存じやと思いますけれども世界一小さいロータリーエンジン作ろうという、こういう話があって、この人が来られたんです。一生懸命開発したと、七年掛かったと、ようやくでき掛けた、しかし後ろを見たら借金の山でどうにもこうにもやっていけないと、だからもう仕事惜しいけどやめますと、こういうことを言うてこられて、それは残念やないかということで、保証協会にもお願いしてちょっと長期に延ばしてもろたり、返済金を少なくしてもらったりということで、非常にそれでまた意欲を持たれて、これならやっていけるということで仕事を続けられた。今やもう本当に世界が注目するような、そういうエンジン作っている。エンジンというのは、これは何するいうたら、模型のヘリコプターに載せて地図、航空写真を撮るんですよね。普通のエンジンでしたらピストンで震えてうまく撮れないけれどもロータリーエンジンだったら撮れると。こういうようなことで、そういうようなところがありました。  そのほかにもいろいろあるんです。これは大変大きな企業の開発部長さんの話なんですが、車いすを、車いすのまま風呂へ入る車いすを作ろうとしたと。ところが、どうしてもうまいこといかぬと。これはスプリングで引っ張るから、水圧が高くなったらうまく沈まないというんですね。これ何とかならぬかなと随分苦労したんやと。で、あるとき東大阪の工場を回っていて、スプリングを扱っているところがあったからそこへ飛び込んでそんな話をしたら、そんなん簡単やがなと、そんなもん、上、下へ引っ張るから水圧が掛かるんや、横へ引っ張ったら水圧一緒やろというので、箱形のそういうスプリングのシステムを作った。何か本当に目からうろこが落ちたということを言っておられました。そういう町なんです。  そういう、まさしくもう本当に金の卵がたくさんあるわけです。ガレージ工場といいましてガレージを、もう資金はないわ、信用はないわ、よそから出てきてぱっと、その技術一つ仕事をやっておられると。そういうところが今現在非常に、オンリーワン企業になったり、いろんな新しい製品作ったりやっておるわけですね。私は、三千五百社減りましたけれども、そういうところがその中に随分あったんじゃないかというような思いがしてならないわけです。  私は今度の、午前中大臣も言っておられた新経済成長戦略、この中に是非ともそういう、非常にいい企業三百社リストアップしてという話、これはこれで結構です。しかし、そういう負け組の中の、もう資金はないわ、信用はないわ、しかし技術はあると、こういうところにしっかり視点を当てて何か支援をしていくというようなものを、是非ともこの新経済成長戦略、この中に組み込んでいただきたいということをお願いしたいわけですが、いかがでしょうか。
  78. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 私も関西の宝塚に長くおりましたので東大阪にも親しい方がいらっしゃいます。やはり中小企業やっていらっしゃいます。本当にあの町は中小企業の町で、多くの方が頑張っていらっしゃる町であると思います。  今先生お話しくださいました、一生懸命頑張っているのに撤退しなければならない人たちがいると。実は大臣は、新経済成長戦略の中に書かれるんだと思いますけれども、三百社優秀な中小企業を出されるというお話ありましたけれども、それとともに、敗者復活をした、つまり、一度駄目になったけれどももう一回頑張って今良くなったという、そういうところも載せたい、これは個人的なお話の中ですけれども、そういうふうにもおっしゃっていました。私は実はこの敗者復活というのは非常に大事だというふうに思っていまして、ああ、それはいいお話だなと思って大臣お話を伺っていましたけれども大臣も、決していいところばかりは見ていない、そういう本当に苦労してまた敗者復活してきたというところにも光を当てたいと、こういうふうにおっしゃっておりました。  そしてまた、今先生から御質問がありましたことですけれども、正に日本の九九・七%は中小企業であります。ですから、この中小企業が本当にしっかりと活性化をしてもらわなければ、日本の本当の意味の私は経済社会が良くなるとは言えないというふうに思っております。この現在策定中の新経済成長戦略、もう午前中に二階大臣も御説明くださいましたけれども、国際競争力の強化と地域経済の活性化、この二本柱、しっかりとこれを行っていくと。二本柱でございまして、特にこの中でも中小企業の重要性をしっかりと位置付けることといたしております。  例えば、我が国製造業競争力の強化のためには、東大阪にもたくさんございますけれども、プレスやメッキの正にすばらしいものづくり基盤技術を持つ中小企業、こうした工場に対する強化、不可欠でございます。何しろ世界のシェアの五〇%、六〇%を例えば従業員七、八人の小さな工場で担っている。ねじですとか、あるんですね、金型ですとか。ですから、正に日本はすばらしい技術があるわけでございます。  また、地域経済活性化のためには、技術や伝統文化など地域資源を活用することが有効でありまして、地域経済を支える中小企業の役割が重要なのでございます。このために今回、ものづくり中小企業の強化のための法案、これ、明日の衆議院の経済産業委員会質疑に入る予定でございますけれども、この中で研究開発支援や人材育成など総合的な支援を講じてまいります。  また、中小企業地域資源を活用して新商品の開発や販売に取り組むことを支援する地域資源活用企業化プログラム、これについて検討してまいります。つまり、これは外からお金を呼び込む、人を呼び込む、あるいはその地域の特産品を売り込む、またアドバイザーなどの人間を派遣するなどなど、いろいろなことに活用していただけるプログラムでございます。こうしたことをしっかりと検討してまいる所存でございます。
  79. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 どうもありがとうございます。よろしくお願いします。  次に、中小企業金融の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  中小企業の方々にいろいろアンケートを取りますと、やっぱり相変わらず金融支援という希望が非常に多いわけです。最近は法人税あるいは償却期間の短縮、こういうものが非常に多いわけですけれども金融支援、それから人材の確保、これが三大要望というか非常に多いわけですが、その中で金融の問題についてちょっとお尋ねをしたいんです。  まず、中小企業の保証協会の在り方についてであります。二〇〇五年の六月に信用補完制度の在り方に関する取りまとめということが行われました。この取りまとめの中で非常に大事な指摘をいろいろしていただいております。先ほどお話ちょっとありましたが保証人ですね、不動産や保証人に過度の依存をしていないか、そういうことではいけないと、こういうようなことでございます。それから、保険料率を弾力化しなければいけない、こういうことでございます。それから、保証協会と金融機関との役割分担をしっかりと考え直さないかぬと。こういうような指摘がしてあるわけでして、もう既にその中で改革をしてもらった点もあります。  しかし、まだまだこれから改革しなければいけないということもあるいはあるわけでございまして、今までの改革、あるいはこれからどうするのかについて御説明をいただきたいと思います。
  80. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) お答えいたします。  先生指摘の昨年六月の基本政策部会の取りまとめを踏まえまして、できることから速やかにやっていこうということで幾つかのことにも着手をいたしております。  具体的に申し上げますと、今年の四月から、中小企業の信用リスクに応じた新しい保証料率体系を導入する。これは、今まで全く一律だった保証料率を、リスクの非常に少ない人にはまけて、少しリスクが高いんですけれども、今まででしたらこの料率ではお断りしなきゃいけないようなものについても、多少料率を上乗せをしていただいたらその保証をできるというような保証料率の弾力化をするということを導入いたします。それから、同じく四月から、第三者保証人を基本的には求めないということを徹底をしてまいる制度をつくります。  それからさらに、現在、今先生も御指摘がありました金融機関との責任の共有の問題でございますが、現在一〇〇%保証であって、金融機関がリスクを全く負っていない現行制度につきまして、部分保証などの金融機関が適切な責任共有を図る制度を、中小企業に与えます影響についても配慮しながら、できるだけ早期に導入をしてまいるということでございまして、これにつきましては、制度の詳細設計等、それから受ける側の方の金融機関のシステム開発の手順などを踏まえまして、その辺を前提としてできるだけ早期に導入すべく今設計中でございます。  それから、まあ主な点はそんなところでございますけれども、信用補完制度はこれまでも中小企業の資金調達の円滑化に大変、極めて重要な役割を果たしてきたところでございますけれども、最近の中小企業金融を取り巻く環境の変化と、あるいは本制度における構造的な赤字の発生などを踏まえまして、本制度を持続可能で真に中小企業金融に資する制度とするために、今後とも必要な見直しを皆様の御意見を伺いながら実施してまいりたいと思っております。
  81. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 この保証協会の改革については、私、本当にうれしく思っているんです。  といいますのは、余り昔の話したらいかぬですけれども、実は私、大阪府議会におりまして、このことは府議会の中で、特に大阪府信用保証協会というのがございましたから、その府議会の中でもう十年前から一生懸命言い続けてきてるんですよ。  例えば、保証協会というのは結局、信用力のない人、資産のない人、そういう人たちが保証料を払って保証してもらうわけですから、その上にまた第三者保証を持ってこいなんというのはとんでもない話じゃないかと。これはまあいろんなケースはありますけど、基本的には保証協会は保証人なしでいいんと違うんかという指摘もいたしました。それから、保証料については、今まで保証協会を付けてそれで事故がない、何回も繰り返し事故がなかった、そういう先に対しては、これは減免制度というか、そういう奨励金制度をつくるべきやと。これは、損害保険でもそういうふうにやっているんですから、これは是非ともそういうふうにすべきやという話も、これも出しました。  それから、保証人の話ですけれどもね、特に保証人に対する求償権の問題、これなんかも無理やりそこから請求して取り上げたら連鎖倒産するんですよ。ですから、その人に対してはもっと超長期でね、そのぼちぼち返しますという先にはもっと長期で焦げ付いたものを取り返していくというようなことも考えたらどうなんやというような、もうあんた、保証して焦げ付いてるから、一切その後の取引できないというような形になっているんですね。これは逆やないかと、こういうようなことも言ったわけですね。  それから、金融機関に対して焦げ付いたら一〇〇%返してるんですね。しかも、利息まで付けて保証協会が代弁するんですよ。そんなばかなことない。これはやっぱり金融機関がお金を貸してるわけですから、金融機関にも相応のリスクを負わすのは当たり前やないかと。こういう指摘も、実は本当にこれ、十年前から私指摘してやってるんです。これ、これ議事録ですよ、そのときのね。これみんなそこへ、同じように書いてあるんです。  で、大阪府の方は、制度融資の中で解決できるものは解決してきよった、しかし基本的には国の制度やから、それは国にお願いをせなしようがないと、こういう話で終わってしまっとったわけですね。それが今回、こうしていろんな形で改革に乗り出していただけた、非常にうれしく思っていますので、これ是非ともやっていただきたいと思うんです。  私は、この一〇〇%保証とかね、あるいは利息まで返してる、これが物すごい悪い影響あるんです。どういうことかというと、金融機関は、一般の民間金融機関はそれによって全くリスクがないわけですよね。ですから、ちょっと危ないなという先には全部保証を付けてこいと言うんです。ですから、全部調べないんですよ。調べなくて、保証さえ付いたら金貸すんですよね。ですから、金融機関自体の調査能力、洞察力、そういうものが全くなくなってしまって、民間金融機関が堕落した原因はこの保証協会にあると、私はそういうような思いがいたしております。これをひとつ機会に、是非とも改革、積極的な改革に乗り出して、本当に中小企業が喜ぶような保証協会を是非ともつくっていただきたい、そういうふうに思います。  次に、商工中金の民営化についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  商工中金については、これは昭和十一年に国と中小企業組合の共同出資で設立されたと。その後、果たしてきた役割というのは非常に大きいものがあります。今回、民営化論議が起こりました。これは、政府系金融機関の行政改革の中で統廃合と、こういうことが起こってきたわけです。私は、民間でやれることは民間で、これはもう大賛成です。これはもう是非とも進めていかないかぬ政策だと、こういうように思うんです。  総論賛成、各論反対というようなことは言いたくないですけれども、しかし、商工中金については、中小企業の支援という一面から見たら、ちょっとこれ、やはりもうちょっと考えないかぬのと違うかなという面があるんです。今回出ている案は、行政改革というそういう切り口から考えられておるんですけれども、しかし、この中小企業支援という一面から、やはり考え直していかないかぬ面があるんじゃないかと、こういうような思いがいたしております。で、そのために、これは行政改革本部ですか、は、これは行政改革どんどん進めていこうと、こういうことですから、経済産業省はちゃんとやっぱり中小企業のために言うべきことはきっちり主張すると、こういうことが必要じゃないかというふうに思うんです。  商工中金の内容についてちょっとおさらいみたいな形で申し上げますと、現在、商工中金の資本金は五千百七十二億、そのうち政府出資が約四千億、政府出資が七八%ということです。資金量は十兆二千二百億。その資金調達の大部分が債券と預金と、こういうことです。それから、財投については住宅金融公庫のようにたくさん使ってません。五年債券が約一千億円、資金量全体で十兆二千二百のうちのわずか一千億、これが財投から入っておると、こういうことであります。  それから、非常に経営も好調で利益も上げております。十六年度は三十億の税金を払っています。それから、今まで払った税金はおよそ二千六百億円です。ですから、出資金四千億のうちの約半分以上はもう返しておると、こういうようなことでございます。それから、これも住宅金融公庫のように利子補給金ですとか赤字補てん金、これは政府支援は一切受けておりません。それから、自己資本比率は七・八%、民間だけですと、民間だけというのは政府出資を抜きますと三・四%ということです。  この商工中金の現在の格付はBの2、ムーディー社でBの2と、こういうことであります。で、ここでこの格付について、非常にその格付機関が心配をしております。これが民営化されて、仮に政府出資が全部引き揚げられるというようなことになったら、この格付は下がってしまうのじゃないかと、こういう心配であります。格付が下がりますと、債券が売れなくなります。そうしますと、その債券を無理やり売りますから、コストが非常に上がっていく、そうすると金利も上がっていくという形になるわけであります。  それともう一つ私の心配は、この民営化することによって政策的な役割が果たして続けられるんだろうかと。政策的というのは、民間では取り扱わない融資ですね、こういうようなものが続けられるんだろうかと、こういうことが非常に心配なんです。そうした場合の一例としては、工場団地ですとか卸商業団地、そういうようなものの取引がうまくいくかどうかと、こういうことです。  この団地とかそういうのは、ここへ入っている組合員というのは、この組合を通じて間接融資を受けているんですね、まあ又貸しというやつです。端的に言って、一般の金融機関は又貸し禁止ですよね。だから、そういうことが果たしてできるのだろうかと、こういうことなんですね。これが非常に心配をされております。  ここに一つ事例、まあ個々の事例で申し訳ないんですけれども、一番分かりやすい事例ですから挙げますと、これはそういう集合団地をつくらはったわけですね。約三百名の卸売業者が集まってそこへ団地をつくったと。それがやはり中には、三百もありますから、抜けていく人がおる、どんどん抜けていくと。それに対して組合の方は、抜けていったら団地としての形態がなかなか取れませんから、そこを人に貸したりいろいろな工作をしているわけですね。ところが、それを、その金融機関については、一般の金融機関はそれを待てないんですね。早く処分して、はよ返せと、こう言うわけですね。これは、そんなことをしてしまったら、本当それこそ歯抜けになってしまうから、何とか集約的な処置をしたいと、こういうことで商工中金に相談をしたと。そうしたら、商工中金が、その抜けているところを一つに集約をして、そしてそこへ融資をして、その団地に大手のホームセンターに入ってもらって貸すと、こういうようなことができたというんですね。これは一般の金融機関ではなかなかできないことだということで非常に喜んでおられたということがあるわけですけれども、仮にそういうようなことですね。  まあ、負債弁済の融資というか、不良先に対する融資は一般金融機関なかなかしてくれない。先ほど言うた又貸しもしてくれない。そういうことが、果たしてこの商工中金が民営化した場合にそういう政策的なその機能というものが残るんだろうかというような心配をしておられるわけでございます。  そういうことを考えますと、これやはり商工中金は当面、そういう政策的な融資をちゃんと行えるようにとか、あるいは金融債ですね、これも支障なく発行できるとか、あるいは政府出資については当面そのまま残置して信用を保持するとか、そういうような処置が必要なんじゃないかと。そのためには特殊会社にしなければいけないとか、いろんな案があるわけですけれども、そういうようなことが今言われておるわけです。  この商工中金の民営化の問題、経済産業省の立場でどのように思われるか、御所見をお伺いしたいと思います。
  82. 松あきら

    ○副大臣松あきら君) 北川先生のるるのお話、胸に響くお話でございました。  中小企業は入口も出口もすべて融資に懸かっていると言っても過言でないというふうに言われております。正に商工中金は民間の金融機関ができないことをやってくださっていたと思います。これは商工中金だけでなく政策金融機関、これまで中小企業が苦しいときも本当に頼りになる金融機関として実績を上げてきたわけでございます。  今回の商工中金の民営化に関しましては、先週末に閣議決定されました行政改革推進法案において、完全民営化をするとともに、中小企業等に対する金融機能の根幹が維持されることとなるよう、必要な措置を講ずるものとするというふうにされております。  今後、詳細な制度設計が行われますけれども、商工中金につきましては完全民営化後も中小企業の方々が不安感を抱くことのないように、中小企業のための金融機関とすることが大切であると私どもも肝に銘じているところでございます。  そして、例えば、外資、ハゲタカファンドなどにねらわれないようにしなきゃいけません。しっかりとした、必要な財政基盤の確保も含めてしっかりとした措置を用意するということが非常に重要であると思っておりますので、細かいことは申し上げられませんけれども先生のお言葉をしっかりと胸に抱いて今後とも対処してまいりたいと思っております。
  83. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 ひとつ、もう行政改革の必要性、重要性、よく分かります。しかし、その切り口だけで進めるということではなしに、この経済産業省中小企業の支援育成、そういうような立場に立ってひとつしっかりと発信をしていただきたいと、こういうように思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、公正取引委員会の関係におきましても、先般、業務内容の説明がございました。その中でも、中小企業に対する支援というような形のことがあったわけでございまして、そのことについてちょっとお伺いをしたいと思います。  中小企業者に不当な不利益を及ぼす不当廉売、優越的地位の濫用などの不公正な取引方法に該当する行為に対し、迅速かつ厳正に対処をいたしましたという報告があったわけですけれども、これについてどのようなことがあったのか、現状どういうことなのかということでひとつ教えていただけますか。
  84. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) お答え申し上げます。  平成十六年度、十七年度はまだ終わっておりませんが、この辺で御説明申し上げますと、まず優越的地位の濫用、これに関しましては、ホームセンター、総合量販店、大手銀行などに対しまして計七件の排除勧告を行っております。それからもう一つ、不当廉売につきましては、同じく平成十六年度以降で申し上げますと、酒類の廉売、公共調達に係る安値入札等に対しまして計十件のこちらは警告を行っております。  加えまして、酒類、石油製品、まあガソリン等でございますが、これを中心に不当廉売につながるおそれがあるといたしまして、千二百六件の注意をしております。  これからも、お話のありました不当廉売、優越的地位の濫用、これについてはしっかりと対応していきたいと思っております。
  85. 加納時男

    委員長加納時男君) 時間になりますので、最後の質問にしてください。
  86. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 ああ、そうですか、済みません。  それから、大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法を告示し、十一月から施行しましたというのがあります。それから、その後、下請代金の支払遅延等の防止法、いわゆる下請法に関する業務については、下請代金の減額、支払遅延などの違反行為に対処し八件の勧告、公表を行ったと、で云々とありますが、これらの問題ですね。  あれは商売なのか、あるいは不当な廉売なのかと。例えば納入業者なんかにしましても、安くできるだけ入れてほしい、これは当然のことですよね。それが大きな企業の圧力によって下げたものなのか、本当の商いとして成り立っているものなのか、非常に難しい点があると思うんですよね。そういうような点とか、それから、もうこの下請なんかにしましても、これ、ここでいろいろ勧告をしたりして止めるのはいいんですけど、その後、下請とその元請との関係がうまくいくのかどうか、これが大変心配なんですね。  ですから、そういう点についてひとつ御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  87. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 大規模小売業者の告示というものをいたしまして、昨年の十一月から施行をしていると。この背景は、厳しい競争場裏の下で、特に小売業の世界で納入業者が大変不当な不利益をその大手業者から受けていると。要するに、バイイングパワーを背景にして事前の了解の下に単価を改定すると、これはもう当然のことでございますが、そうではなくて、いったん決めた単価を事後的に、一方的に減額するというようなことが行われたり、決算時期には決算協賛金を下さいと言って、これも嫌だと言えないような状態で、やむを得ず協力するといったこと、それから、ただ働きというようなことが行われておりまして、これが正に不公正な取引方法に当たるということで、具体的な行為について迅速に処理するためにこの告示をいたしました。積極的にやらせていただいているつもりですし、このことを十分に知っていただくために、特に納入業者の方々に知っていただくために、もう五十件以上の説明会を開きまして周知をしておるということでございます。  それから、今度は下請法についてのお尋ねもございましたが、下請業者がこれ黙っていますと、なかなか公正取引委員会とか中小企業庁にこういうことでいじめられたということはおっしゃってこないわけなものですから、公正取引委員会中小企業庁、手分けしまして定期的に調査を掛けております。それで、やはりこれは下請いじめがあるなという場合には、親事業者に対しまして注意をしたり、場合によっては排除命令をしている。それから、一方的な事後減額の場合には、その値引きした分を返しなさいという原状回復措置も命じているということでございます。  万一、そういうことで親から報復を受けたという場合は、これは下請法で報復措置は禁じられておりますので、厳正に対処しなきゃいかぬと思いますし、そもそも私どもとしては、その親事業者に分からないように、名前が、だれが親事業者のことを公正取引委員会なり中小企業庁に申し出たのかというのが分からないように慎重にやっているわけですが、万が一その取引が少なくて、やったのはだれだということが分かって、それで報復なんということになった場合には、これはもうきちんと厳正にその親事業者に対して措置をとっていきたいと思っております。
  88. 北川イッセイ

    北川イッセイ君 どうもありがとうございました。
  89. 加納時男

    委員長加納時男君) 北川イッセイ君の質問を終わります。  浜田昌良君。
  90. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  二階大臣の所信表明を受けまして、幾つか質問をさせていただきたいと思います。まず最初に、中小企業関連の政府系金融機関の在り方について質問させていただきます。  昨年末に、現在八つあります政府系金融機関を民営化、廃止を含め一つに統合すると、そういう案が取りまとめられました。その中で、我が党の強い主張で中小零細企業や個人向け融資については専門の窓口を設けるなど、明確な旗印を立てるということが確認されましたが、その具体的な在り方は、今後、詳細設計の中で決定されることになっております。中小零細企業にとっては、今まで長年付き合いがあり、その長所短所を熟知してくれている支店との人的な信頼関係、これが財産でございまして、円滑な事業運営を行う上での切実な要望でございます。  そこで、大臣質問したいと思います。今回の政府系金融機関の統廃合に当たっても、中小企業金融公庫、国民金融公庫等の中小零細企業向け金融機関は人的信頼関係が特に重要であることから、全国の専門の窓口ネットワークを維持することが重要と考えますが、御見解はいかがでしょうか。
  91. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 中小企業金融公庫等を始め中小企業向けの政府系金融機関の問題は、我が経済産業省としましても、昨年の末以来、最大の懸案でありました。今後も大きな課題であります。  中小企業の方々が本当に、議員が御指摘になられたように、頼りにしております金融機関、そして今日まで実績を上げてまいりました。例えば、議員も御承知のはずでありますが、商工中金などは、今まで商工中金が相手にしてくれなければどこの金融機関も相手にされない、自分は倒産するより道はなかった、そういう企業が商工中金の金融のおかげをもって今見事に中小企業から大企業の部類にまで進出してくる、そういう実績を上げている場面がしばしばあります。地方に出向きましても、商工会議所の会頭、商工会の会長の皆さんが本当に真剣にこの金融問題に対して御心配をなさっております。  したがいまして、私どもは、今後の詳細な制度設計におきまして、議員も御指摘になられたとおり、我々は借り手の皆さんの利便性と、そういうことと同時に、安心してそこに頼れるという状況をつくっていかなくてはならないと思っております。  先般、公明党から、商工中金を民営化するときにはきっちりと、この民営化はきっちりと行うべきだと、しかし中小企業の経営者やそこで働く庶民の力となるようにしなければならない、あるいはまた商工中金が大資本やファンドなどの特定のものによって支配され、利益優先となり、中小企業向け融資が切り捨てられることとならないようにしっかりとした仕組みが設けられること、これは中小企業活性化対策本部長の白浜先生と、この経済産業部会の桝屋部会長から小泉総理あてに要請が出されておるわけでありますが、私どもこれを拝見しまして、公明党の皆さんがこうした中小企業者の皆さんの心にこたえるような早速の御高配を我々は大変力強く思っておる次第であります。  今後、改めて申し上げますが、詳細な制度設計を行う際に、中小企業皆さんに安心感を与えられるような、そうした立派な改革となるような中小企業金融改革でありたいと、そういうフィニッシュを迎えたい、今後懸命の努力を誓うものであります。
  92. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  特に、我が党の要望書を御紹介いただきまして、ありがとうございます。我が党といたしましても、商工中金が今まで果たしてきた役割を引き続き果たせるようにお願いしたいと思っております。  この商工中金については、先ほど北川委員も御指摘がございましたように、言わば政府保証の金融債で低利の資金調達をしている実態があります。低利で資金調達ができるから中小企業に同様に長期、固定、低利で貸出しができるわけであります。しかし、おおむね七年を目途に完全民営化されることになりますが、その後がどうなるかであります。  そこで、大臣に再度お聞きしたいと思いますが、おおむね七年を目途に完全民営化する商工中金においても、その後引き続き中小企業事業者や団体に対してフルバンキングの、手形の割引から長期固定の低利融資、さらにはセーフティーネット貸付けと、そういうフルバンキングの機能を果たし得る措置が重要と考えますが、その具体的な在り方についてお話をいただきたいと思います。
  93. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 商工中金の民営化に関しましては、御承知のとおり昨年末に閣議決定を行いました。その際、行政改革の重要方針におきまして、所属団体中小企業向けフルバンキング機能を行う機関として完全民営化する、こういうことに相なっております。完全民営化ということにはなっておりますが、中小企業皆さんが現在から見ても使いでのいい金融機関になったと思っていただけるようなことでなければならない、今私どもは懸命に取り組んでいるところであります。  先ほども申し上げましたが、詳細な制度設計を今後行いますが、今議員から御指摘の七年の先のことであります。我々は当然そのことを考えております。七年の先に中小企業の方々がむしろ改革してよかったなと思っていただけるような改革に結び付けることができますように、今後懸命の努力をしたいと思っております。どうか与野党挙げて、相手は中小企業のことであります、皆さんの一層の御支援をくださいますよう私からもお願いを申し上げますが、微力ながら、このことに関して私たちは一歩も譲らない、そういう気持ちで対応していきたいと思っております。
  94. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。  民業に任せられるものは任せ、政府系金融機関の統廃合を行うことも大事ですが、従来担ってきた機能がどこも果たせなくなっては統廃合の意味がありませんので、その点を意識していただいて今後の詳細設計を進めていただきたいと思います。  次に、中小企業金融に関連した公正取引行政について質問を移りたいと思います。  昨年十二月に、三井住友銀行が、融資元という優越的地位を濫用して融資先の中小企業に金利スワップ取引と呼ばれる金融派生商品を購入させていたとして、公正取引委員会から排除勧告を受けました。まず、この事案の概要について公正取引委員会から説明をお願いしたいと思います。
  95. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 昨年十二月二日でございますが、御指摘の三井住友銀行に対しまして、独占禁止法第十九条の規定に違反するものとして勧告を行いました。十二月二十六日に先方が応諾をいたしまして、勧告審決ということで確定をしているわけでございます。  その概要について申し上げます。  今委員もお触れになられましたけれども、三井住友銀行は、同行と融資取引関係にある事業者であって、その取引上の地位が自行に対して劣っているもの、まあ一言で申し上げますと中小事業者ということでございますが、これに対して融資に係る手続を進める過程において、金利スワップの購入を提案し、金利スワップを購入することが融資を行う条件である旨又は金利スワップを購入しなければ融資に関して不利な扱いをする旨を明示又は示唆することにより金利スワップの購入を要請し、金利スワップの購入を余儀なくさせていたものであり、このような行為は正に独占禁止法が禁止している優越的地位の濫用に該当するという判断をいたしたわけでございます。  そのため公正取引委員会は、三井住友銀行に対しまして、当該違反行為の取りやめ、それから独占禁止法遵守の観点からの金利スワップの取扱いに関する同行の内部規定の整備等を命じたところでございます。これらについて、先ほど最初に申し上げましたように、先方は応諾をいたしまして、しかるべき措置がとられているということでございます。
  96. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  金利スワップ自体は何も悪いことではありませんが、その販売方法が問題だと思います。特に、これからは景気回復中小企業へと広がっていくと。そうすると、その資金需要が中小企業に広がっていくと。そういうときに同じようなことが広がっていかないようにしなきゃいけないと、そう思うわけでございます。  そこで、金融庁に質問したいと思いますが、この事件があって以来、この排除勧告があって以来、金融業界に対してどのような指導を行われたでしょうか。
  97. 山崎穰一

    政府参考人山崎穰一君) お答え申し上げます。  昨年十二月二十六日に公正取引委員会より命令が発出されたことを踏まえまして、本年一月五日、各金融機関に対しまして、優越的地位の濫用として独占禁止法上の問題が生ずることのないよう、融資等を通じ取引先に影響力を及ぼし得る立場となりやすいことを踏まえ、取引等の適正性が確保されているか、特に融資等に関連して寄せられている相談、苦情について、このような観点から迅速かつ十分な分析、検討、改善が行われているかという点につきまして自ら態勢面を含め検証を行うとともに、問題があった場合にはその是正を行うことにより適切な対応を図るよう要請を行っております。各金融機関がこうした取組を行いましたことを前提に、通常の検査・監督のサイクルの中で必要に応じ対応を行っていくこととしております。
  98. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 一応、本年一月に指導が行われたということでありますが、本件につきまして、二階大臣中小企業主管大臣というお立場からその所感をお伺いしたいと思いますが、こういう民間金融機関が中小企業者に対して優越的地位の濫用を行うということについて御所感ありましたらお願いします。
  99. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 中小企業が、まず大企業の立場を活用して、地位の濫用によって不利な取扱いを受けるということは断じて許されないことであります。御指摘をされた独占禁止法の不公正な取引方法に該当する違法行為につきましては、独占禁止法の迅速かつ厳正な運用により対処していくことが重要であると考えております。  経済産業省としても、中小企業を始めとする事業者の利益が不当に侵害されることのないように、独占禁止法や下請代金支払遅延防止法の運用等の面で公正取引委員会と密接に連携してまいりたいと考えております。  ただ、私の記憶では、下請代金支払遅延防止法というのは四十年ぐらい前にできた法律であろうかと思っております。ただしかし、これはなかなか言うはやすいわけでありますが、実際のこれを活用するということになりますと、大企業との間で取引が将来どういうことになるかという危険を冒さなければならないような大変難しい局面が予測される場合もあるわけでありますから、これは公正取引委員会やあるいは経済産業省等が特に配慮して中小企業を守っていかなくてはならない。そうでなければ、ただこの法律だけでは下請代金支払遅延防止法、ただこの掛け声だけでは私は実際に中小企業は救われないと思います。そういう意味で我々は十分配慮をしてまいりたい、このように考えております。
  100. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  次に、改正されました独占禁止法の附則には、施行後二年以内の検討及び当該検討結果に基づき所要の措置を講ずることが規定されています。この検討は、現在、内閣府の独占禁止法基本問題懇談会において行われており、特に課徴金に係る制度の在り方、審判手続の在り方とともに、先ほど例に挙げましたような優越的地位の濫用などの不公正な取引方法に関する措置の在り方がテーマとしてなっていると聞いております。  そこで、内閣府にお聞きしたいと思いますが、独占禁止法附則に基づく今後の見直しに向けた検討、特に優越的地位の濫用などの不公正な取引に関する措置の検討状況について、またその今後の見通しについてどうなっているでしょうか。
  101. 西達男

    政府参考人(西達男君) 御指摘になりました改正独占禁止法の附則に基づく検討につきまして御説明申し上げます。  現在、昨年の七月より、内閣官房長官の下に独占禁止法基本問題懇談会、これは各界からの有識者二十名で構成されておりますが、これを開催して検討を進めております。  検討事項でございますけれども、これも附則の趣旨にのっとりまして、一つには課徴金に係る制度の在り方、二つには公正取引委員会における審査、審判の在り方、三つには不公正な取引方法に対する措置の在り方等について検討を行っておりまして、これまで九回が開催されております。  検討状況でございますけれども、これまで経済界、実務家あるいは学識経験者等からのヒアリングを行ってきておりまして、今年に入ってからは個別の論点について検討を開始しておりまして、これまで課徴金に係る制度の在り方について議論が進められてきたところでございます。  今後、公正取引委員会の審査、審判の在り方、それから優越的地位の濫用を含めます不公正な取引方法に対する措置の在り方について順次議論を行って、本年夏ごろを目途に中間的な整理を行う予定にしております。また、本懇談会はおおむね二年間にわたって検討を行う予定になっておりまして、来年六月ごろまでに最終的な取りまとめを行う予定となっております。  以上でございます。
  102. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  まだ不公正な取引方法については審議が進んでいないようでありますが、是非審議を進めていただいて、措置の在り方について御議論をいただきたいと思います。  独占禁止法関係の質問はここでおしまいですので、公正取引委員長、結構でございます。  次に、午前中にも質疑がありましたPSE法、いわゆる電気用品安全法について質問したいと思っております。  今、この電気用品安全法の経過措置切れをめぐって中古品販売店が大混乱をしているわけです。まあ一応、三月十四日に経済産業省から、試験装置の無料貸出しや、ビンテージ物の電気楽器については試験免除するなどの経過措置切れ支援措置が発表になったところでありますが、その混乱はいまだ収まったわけではありません。  経済産業省は、リサイクル、リユースを推進している、そういう省庁であるはずであります。そのような省庁がなぜ中古品業界への周知徹底をおろそかにしたのかなと私は本当に思っているんですけれども、そこで経済産業大臣にお聞きしたいと思いますが、今回の電気用品安全法に係る家電中古品業界の混乱の根本原因は何だと思われるでしょうか。経済産業省組織内での相互チェックが働かなかったということでしょうか。
  103. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) 平成十一年に電気用品安全法が改正されたわけでございますけれども、その後、電気用品安全法の新しい制度の内容につきましては、講習会、セミナーの開催、パンフレットの配布等によって幅広い関係者を対象に周知を図ってまいったわけでございます。  しかしながら、猶予期間の終了に当たって、多くの中古品の関係の方々から知らなかったというふうな声が寄せられるというふうなことでございまして、私ども、一般的な周知についてはいろいろ努力をしてまいったわけでございますけれども、中古品向けというふうなことで周知を図る活動というのが昨年の秋までやってこられなかったというふうなことが今日の結果を招いたというふうなことであろうというふうに思っております。  こうした状況を踏まえまして、中小事業者の方々の負担軽減を図るべく一連の対策を発表したところでございまして、こうしたことを具体的に早急に実施をしていくことによって制度移行の円滑化に努めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  104. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今までの経緯も御説明あったのですが、今回の混乱の原因として、法律の対象の電気製品に中古品を含むと、そういう明示規定がなかったことが問題ではないかという指摘もありました。  そこで、経緯を明確にするために経済産業省質問しますが、この平成十一年改正前の電気用品取締法においては中古品も規制の対象になっていたのか、またその際、法律上は中古品についての明示規定はあったのかについてお答えいただきたいと思います。
  105. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) 電気用品取締法におきましても、新品、中古品を区別せずに電気用品として扱っております。  法律上、電気用品に中古品を含むというふうな規定はございませんけれども、法令上、逆に中古品を除くというふうな規定がない以上、電気用品には中古品も含まれるというふうなことで電気用品取締法の時代から解釈をして運用をしてまいったということでございます。
  106. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 また、そもそも電気用品安全法から中古品販売を適用除外にしてはとの意見もリサイクルショップや中古楽器店からも出されています。  そこで経済産業省質問しますが、今回の経過措置切れにより自主検査を中古品まで義務付けることとなりますが、そのような措置は法の目的に照らして過大な要求となると判断されるのではないでしょうか。
  107. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) 電気用品安全法は、火災、感電等の電気用品によります危険ですとか災害の発生を防止することを目的としておるわけでございます。  それで、中古品につきましても、過去の法律で義務付けられていなかった絶縁耐力試験等の安全性を確認する検査を実際に行った上で、安全を確認してマークを付して売っていただくことが必要であるというふうに判断をしたものでございます。  で、一方で、今御指摘がございましたように、安全レベル向上のためとはいえ、中小事業者の方々に新たに負担を課すというふうなことではあるわけでございますので、制度移行の円滑化に向けて、自主検査に使用する検査機器の無料貸出しですとか、あるいは無料の出張検査サービスを行うという支援措置を発表したところでございまして、こうした措置によって負担感を少しでも減らして円滑な移行をいたしたいというふうなことで考えておる次第でございます。
  108. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 一方、PSEマーク関連のホームページを見ておりましたら、今年の四月以降もPSEマークなしの中古家電製品を買い取りますと、そう宣言しているショップ、リサイクルショップもありました。その当該リサイクルショップでは、電気用品安全法の製造事業者届出を行って、自ら自主検査を行ってPSEマークを張って販売するとのことであります。  そこで経済産業省にお聞きしたいと思いますが、電気用品安全法の経過措置切れを目前にして同法の製造事業者登録が急増していると、そういうことを聞きましたが、その実態はどうなっているでしょうか。
  109. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) 本年に入りましてから、これ三月七日までの数字でございますけれども事業者の届出件数は約三百六十件となっております。前年のこれは一月から三月末までの三か月間の届出件数と比較をいたしまして、これは四倍の数字と、約四倍の数字というふうなことで届出がなされております。
  110. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 前年に比べて四倍の製造事業者が届出されているということでありますけれども、多分、先ほどの紹介しましたホームページにあったような家電リサイクルショップなどが新たに製造事業者として登録しているんだと思います。  そこで、その際の事業者の負担はどの程度なのかという問題であります。  電気用品安全法によれば、ほとんどの家電製品は主な試験として絶縁耐力試験というのを実施すればよいことになっております。しかし、リサイクルショップは個人営業のところも多く、二十万とか言われるこの絶縁耐力試験の試験機を購入するのも簡単でないことから、当該試験設備の無料貸出しや出張検査サービスが今回行われるようになったと、そういうことで聞いております。  また、製造事業者登録においては、従来、届出様式が非常に煩雑であったと、それを簡単にするということも、紙一枚でできるというようになったと、そういうふうに聞いております。  そこで経済産業省質問したいと思いますが、今般発表になった対応策、これによって個人営業のリサイクルショップが製造事業者登録を行うことはどの程度の困難さであると推察されるでしょうか。また、当該対応策によって、移行を希望する全国のリサイクルショップがどの程度の期間で絶縁耐力試験を済ませて製造事業者に移行できるとお考えでしょうか。
  111. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) まず、製造事業者の届出を行うことにつきましては、これは手間が掛かるという以上にその金銭的な負担はないわけでございますけれども、ただ、届出に関しましては、届出書類の様式において型式ごとにお届けをいただくというふうなことで従来やっておるわけでございますけれども、その場合には五十ページにも上る届出にもなるというふうなことでございますので、これを大ぐくりにして提出をすることが可能になるようにしたいと、そういうことで、五十ページが一ページになるぐらいの簡素化を図るというふうなことでございます。届出は、不備がなければ直ちに受理される性格のものでございます。  それから、実際にマークを付するに当たっては検査を実施する必要があるわけでございますけれども、検査機器については、これをお持ちでない方は新たに購入をされるというふうなことで、これはその負担が掛かるわけでございますけれども、この点につきましては、新たに検査機器の無料の貸出しですとか、あるいは無料出張検査サービスなどの支援措置を行ったところでございまして、これによって一定の、負担なく、その負担を軽減して円滑にPSEマークを付することができるようにしようというものでございます。
  112. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 また、リサイクルショップにとっては今後も新規に仕入れた中古品がかなりの部分がPSEマークが付いてないと、こういう状態が当分続くと思います。  そこで、経済産業省にお聞きしたいんですが、今回の支援措置は取りあえず六か月間やるという話なんですけれども、引き続きこのリサイクルショップが営業を続けると考えれば、今後の、この今般の絶縁耐力試験機の無料貸出し、出張検査サービスなどの支援措置を六か月を超えて引き続き実施することが求められると考えますが、御見解はいかがでしょうか。
  113. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) この点は、私どもは移行の円滑化ということで六か月というふうなことで考えたわけでございまして、最初に御指摘がございましたように、必ずしも周知が行き届いていなかったと、そういうふうなことで新たな義務が掛かるというふうなことを御存じなく中古品を仕入れられたというふうな方もあろうかと思っております。そうしたものについて、わざわざ検査機械を買って検査をずっとしていくというふうなことは出費の方が大きいというふうな方に、移行の円滑化ということで、無料で貸出しですとか無料で検査というふうなことを行おうということでございまして、法施行後も引き続き仕入れて販売を事業としてずっとやっていこうというふうな方々におかれましては、是非自ら検査機械を備えてやっていただきたいというふうなことで、取りあえず六か月の措置というふうなことで考えた次第でございます。
  114. 加納時男

    委員長加納時男君) 済みません。  浜田さんは、六か月超えて無料貸出しの措置を延長できますかという質問をしているんで、今の回答だとできないというふうなことですか。ちょっと済みません、私が聞いちゃいけないんだけど、聞いていてどうもよく分からないんで。
  115. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) もちろん、それはその利用の実態とか見ながら適切に判断をしていくべき問題だと思いますけれども、取りあえずはその六か月間の措置として、そういう段階で先のその移行に必要なものは全部終えるというふうなことで取り組みたいということでございます。
  116. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 取りあえず、移行の措置として六か月間やられるということですが、せっかく装置もそろえられますんで、その後検討していただいて、事業者の要望も聞いていただいて、可能であればそういう体制を取っていただきたいと、御検討をお願いしたいと思います。  一方、リサイクルショップが製造事業者登録に二の足を踏むのは、絶縁耐力試験の手間というだけではなくて、製造事業者になった場合に当該中古品に対して製造物責任をすべて負うことになってしまうんじゃないかと、そういう危惧があるからとも聞きました。  そこで、経済産業省にお聞きしますが、リサイクルショップが製造事業者登録をしてPSEマークを貼付した製品は、単に絶縁耐力試験を行っただけであって改良はしていないと、そういうものではないわけですから、その製造物責任は本来の製造業者が負うということに考えますが、御見解はいかがでしょうか。
  117. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) リサイクルショップが製造物責任法上の製造物責任を負うかどうかというのは、実際に何か手を加えたかどうかとか個別の事例に即して判断をされるべきものでございます。ただ、一般論として言いまして、電気用品安全法に基づく届出事業者が旧法に基づく表示がある電気用品について自主検査を行ってPSEマークを付した場合、そのこと自体によって製造物責任を負うというふうなことはないというふうに考えております。
  118. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。それで少しは製造事業者の懸念が晴れるのかなという気がします。  また、電気機器にはギターのアンプなどの音響機器を中心にビンテージ物というのが人気があるわけですが、今般の規制でこのビンテージ物が使えなくなってしまっては文化大国の日本の名が廃れます。また、千ボルト六十秒という現在の絶縁耐力試験がビンテージ物に合わないと、そういうことから、今般、経済産業省においては特定承認制度というのをつくられたと聞きました。  そこで、このビンテージ物の対象となる特定承認制度の概要はどういうものでしょうか。また、この当該特定承認制度で現在のビンテージ物の取引のほとんどをカバーすると考えてもいいでしょうか。若干基準が、定性的な基準でありますので、どれぐらいのものをカバーするのか分かりにくいんで、お聞きしたいと思います。
  119. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) いわゆるビンテージ物と呼ばれる電子楽器については、希少性も高いところから、検査を行った際に破損をしたら元も子もないというふうな御心配の声があるわけでございまして、こうした御心配については考慮をいたしまして、一定の要件を満たすものについては、現在、現行法にございます法律の二十七条で特別の承認を受けた場合にはPSEマークを付さなくとも販売をすることができるというふうな規定があるわけでございまして、この規定を活用をして一定の場合には承認をいたそうというふうなことを考えておるわけでございます。  で、対象といたしましては、電気楽器、電子楽器、音響機器、写真焼き付け器、写真引き伸ばし機、写真引き伸ばし機用ランプハウス又は映写機のいずれかであること、それから既に生産が終了していて他の電気用品によって代替することができないものであり、かつ希少価値が高いと認められるものであることと、それから旧法に基づく表示等があるものであること、それからその取扱いに慣れた方に対して販売するものであるといった要件を満たす場合には承認をするということにいたしたいということでございます。  どのような製品がこれに当たるかは、実際にその承認の申請がございました場合のその承認の運用の中で明らかになっていく性格のものではございますけれども、今後、識者の意見等を踏まえながら公正な運用に努めてまいりたいと思いますし、それから申請をなさる方の予測可能性、確実性という点で、各種の情報の提供にも努めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  120. 加納時男

    委員長加納時男君) 浜田昌良君、あと残り、往復二分でございますので、それを考慮の上お願いいたします。
  121. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 はい。  今後の承認の運用であるということでございましたですけれども、なるべく広く運用されるように考えていただきたいと思います。  それでは、最後の質問にしたいと思います。  この電気用品安全法について、幾つか事務的なやり取りをさせていただきましたが、最後に大臣にお願いしたいと思います。  午前中も、野球でいえば九回裏のツーアウトまで来ていたと、そういうタイミングになっているという話でありますが、そこでこういういろんな策を打ち出されましたんで、こういう製造事業者の届出の簡易化であったりとか、またビンテージ物の特定承認制度、今の話でございますけれども、これに関する省令や告示を早急に何せつくっていただきたいと。  そして第二に、そのことの内容をホームページや新聞、テレビなど各種媒体によって今回の支援策を含め、製造業者の届出の方法、レンタル、輸出など、法的な問題のない方法についてきめ細かく徹底をしていただきたいと。是非それで今の混乱を早く収拾をお願いしたいと思いますが、大臣の御決意をお聞きして、私の質問は終わりたいと思います。
  122. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 浜田議員もこの道ではお詳しいわけでありますが、特に今回の場合には五年間の歳月を経過して、今議員からもお話ありましたとおりに、正に最終の段階を迎えたところでいろいろな問題が発生してきていると、こういうことでありますので、私ども、今回の問題につきまして、消費者の立場等を十分考慮して、経済産業省としては誠心誠意対応してまいりたい。したがって、今議員からも御指摘のありましたホームページやパンフレットその他を活用して、あるいはまた相談窓口を置くなどして対処することは、これはもう当然のことだと考えております。  ただしかし、五年間の法律の実施までの期限があって、途中はずっと平穏無事に過ごしておって、終わりの、先ほど正に九回ツーアウトというふうなこういう状況のときに、にわかに問題が発生してきたと、こういうことでありますので、今後他の法律、経済産業省のみならず、国であらゆる法律の施行に際しまして、その猶予期間があって、その猶予期間の途中までは何にもなくて、間際になって問題が発生して、これは一体どうしたんだ、どうしたんだって、こういうことになるわけでありますから、今回のことを十分この経験を生かして、今後こういうことのないように政府一体に取り組んでいくことを考えていかなくてはならないと思いますが、今回のこの電気用品の問題につきましては、私ども、いろんなところから御意見をちょうだいしたことを十分参考にして、今後、消費者皆さんの御心配のないようにできる限りの努力をしたいと、このように思っております。
  123. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 終わります。
  124. 加納時男

    委員長加納時男君) 浜田昌良君の質問は終わりました。  田英夫君。
  125. 田英夫

    ○田英夫君 大臣は、寸暇を割いて中国へ行かれた。向こうでどういう人たちとどういう話をしたかということですが、主な点だけで結構ですから、お話を願いたいと。
  126. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先般の訪問は、薄熙来商務部長の御招待、公式の御招待ということに相なっておりますが、唐家セン国務委員、温家宝総理大臣、さらに王家瑞中国共産党中央対外連絡部長、中連部長、中連部長と呼んでおりますが、この王家瑞氏等四名の主要な方々にお目に掛かってまいりました。また、その会議に枢要な皆さんがそれぞれ陪席をしていただいたことなどからしまして、いろいろな配慮をいただいたものだというふうに思っております。  話合いの内容でありますが、まず、薄熙来商務部長とは、先ほども申し上げましたとおり、公式の、通産大臣及び経済産業大臣と称するようになってからも九年間、この中国との間で公式の大臣同士の話合いというのはなかったということを二度ほど大臣がおっしゃいました。したがいまして、私は、その九年間分を今日はお互いに取り返そうといってお話合いをさせていただきましたが、二時間半にわたる会談でありましたが、私どもとしましては、今日懸案になっております日中間の経済産業省の抱えている問題について、ほとんど話合いをすることができた。  ただし、もう一つの大きな懸案のガス田の問題は薄熙来部長の御担当ではありませんでしたので、私は、しかしAPECあるいはWTOでお目に掛かったカウンターパートはこの薄熙来さんでありますから、薄熙来さんを通じて、中国の政府及び共産党幹部に対して、私どもはまた日本はこういう考えを持っておるということを確実にお伝えを願いたいということを二度にわたって申し上げてまいりましたが、今回、三度目の会談におきまして、先ほどお話が出ておりました、例えばこのエネルギーの問題につきましては、省エネルギーという問題と環境問題、この大きな両国が抱えております問題について、あるいはまた、一方、私たち日本は、御案内のとおり、今日までこの二つの問題で大変苦しんでまいりました。現在もまあ同じようなものでありますが、しかし、それなりの知見、経験を有するようになってまいりました。これを中国との間の交流で我々の方からもできるだけ協力しようと、そういうお話合いをしてまいりましたが、中国側もこのたびそのことに大変熱心に対応するということでありまして、五月の末ごろまでに東京でこの第一回のフォーラムを開催するという運びになってまいりました。  先ほども御質問の中にもありましたが、このことも通じて東シナ海のガス田の問題なども話し合うようにしてはどうかということでありましたが、私は当然、最初の糸口、最初の、私が就任したときはもう断絶になっておったんですから、ですから、これを糸を手繰り寄せるためにどうすればいいか。したがって、私は、直ちにいきなり試掘ということを私が申し上げるのが得策かどうかということも十分考えてまいりました。このことに対して弱腰であるとかなんとか言う人がありますが、言う人は勝手であります。どうぞおっしゃってください。ただしかし、それだけで問題は解決するか、強がり言っているだけで問題は解決するかということを思いますと、私は、この薄熙来さんたちの活躍によって唐家セン、温家宝等を動かして、ようやく我が国とのこのガス田の問題も交渉のテーブルに着くことができましたし、もう一方、先ほど来申し上げてまいりましたフォーラムも開催できるようになった。  あと経済産業省としては、これから年間に、中国の外務省やあるいはまた中国の商務省等の役人の研修等について我々は門戸を開こうということで、三年間に三百名ぐらいの方々を日本に招いて研修を我々の方から提供しようということでありますが、これも中国側は大変歓迎をして、また同時に、中国側としてもこれからどういう日本との間での交流のお返しができるかということを考えたい。また、このことは王家瑞共産党中央対外連絡部長との間の話合いにおきましても、近ごろは中国のこの中連部においても経済という問題をかなり重視しておりますと。したがいまして、経済産業省といろんな面で意見の交換をさせていただくということは大変有意義なことである、したがって、私たちの側からも、中国のどうぞ中央対外連絡部の方へおいでください、そして私たちの側からもまた経済産業省を訪問して相互交流をやろうというふうなところまで話が進んでまいりました。  取りあえず、以上で申し上げておきます。
  127. 田英夫

    ○田英夫君 御苦労さまでした。  温家宝首相とはどういう話がありましたか。
  128. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 温家宝総理とは、私は当初、薄熙来商務部長の公式招待だということを内外に申し上げておりましたが、だんだんと中国側と詳細な日程を打合せしている間に、唐家セン国務委員はもとより温家宝総理もおいでになる、つまり会談の時間を取るということをほぼ確実だなと思うような、そういう連絡といいますか手ごたえがございました。  そこで、私は、小泉総理にまず御相談を申し上げ、まず国会の開会中であると、したがって、ここでお暇をいただいて中国を訪問するということになればそれなりの、何らかの成果がなくてはならぬだろうと、しかし、今日の中国と日本との間の問題の中で、今出掛けていって何か成果を得るということはこれまた困難な状況の中にあると、いかがいたしますかということで、私は総理にも申し上げました。総理は、しかしせっかくの中国の大臣からの御招待でありますから、国会のお許しがいただければ是非行ってもらいたいと。こういうふうなことであり、ついに温家宝総理とお目に掛かるということになったわけであります。  これは、平時であれば何でもないことであります。何でもないという言い方はどうかと思いますが、一国の代表に対してのことでありますが、今、薄熙来商務部長とは私もかなり親しい間柄ですが、会談の途中で何回か言いました。二階さん、お互いにハネムーンのときなら、今御提案のあったことをすぐ受け止めることもできるし、実行に移すこともできる、今は日中間、現状を維持することが精一杯だと、こういうお話が途中から出てまいるようなこともありました。  しかし、私は、先ほどの温家宝総理との会談で、小泉総理からよろしくお伝え願いたいということであったということを冒頭申し上げましたら、温家宝さんが大変にこやかな様子で、ありがとうございますと、私からも小泉総理によろしくお伝えくださいと、こういうことでありましたので、首脳の間はややもすると冷えているのではないかと御心配される向きもありましたが、私はこのことでほっとする場面であると同時に、温家宝総理も正に胸襟を開いていろんな問題について自らの意見を述べてくださいました。  そこで、今後でありますが、まず、この五月のフォーラムを成功させる。同時に、三月の末か四月の初めになろうと思いますが、中国との例のガス田の協議、第五回目に入るわけであります。かなり今、この話合いはどうなっているんだということになるわけでありますが、二国間で今協議しているこの最中に協議の内容を余り外に公表しないということに、両国の話合いの中でそういうふうになっております。これは私がしてきたんではなくて、この我が方の資源エネルギー庁長官、そして外務省のアジア大洋州局長等が交渉の中においてそういう約束をしてきておるわけでありますから、私どもがいささか聞きかじったことをばんばんと外に言って回るわけにはまいりません。  交渉をまとめようとすれば、余り刺激的なことを言うことが得策であるかどうか。個人の問題ではありません、国家の利益ということを考えれば、私は慎重の上にも慎重でなくてはならないと。強がり言うて力むときは、またいつでも力むときが、力めるときがあるわけであります。私は、そういう意味では、慎重の上にも慎重であっていただきたいと、私はそう思っております。
  129. 田英夫

    ○田英夫君 どうも御苦労さまでした。  中国のことを考えるときには、あの戦争のことをやはり忘れるわけにはいかないと思います。戦争で一体何人殺されたのか、そういうことも含めて、我々はいつまでもこのことを忘れないということを考えなければいけない。  どうもとかく若い人は最近、もうそんなことはいいじゃないかという風潮があるやに思います。これが日中間の関係を悪くしてしまっている。若い者同士合わないと、そういう風潮がかなり広がってきているように思います。  私のように古い人間は、やはりこのことを忘れてはならないと思うんですが、それに、考えると、どうもこれを表に出して言わなくとも、いつも反省して心に持っているということをしなければいけないんじゃないか、そう思うんですね。  何も今のことだけではなくて、戦争のことを考える。特に中国は、朝鮮もそうですけれども、朝鮮、韓国に対してもそうですけれども、戦争で被害を与えたということを考える必要があると、そのことを思います。特に若い人ほどそういうことを考えるようにしなければいけない。日本の若い人は、そんな気持ちはもうない人が非常に多いんじゃないか、これを非常に憂えるものですが。  終戦のころの総理大臣に幣原喜重郎、実際、終戦の直後の総理大臣ですが、憲法をつくったのも実は幣原さん。アメリカの注文を聞いたことは事実でしょうけれども、九条の考え方はまさしく幣原さん。この根源にあるものは、やはり相当な勇気を持って決心をしたと思います。そのことを反省しなければいけないと。  あの人が言っている言葉に、非武装をすること、非武装でいることができれば、これは狂気のさたであると言うかもしれないけれども、大変な勇気であり、またこのことで恐らく世界に信用されるだろうということを言っていますね。これは非武装などということよりも、武装して殺し合いをするということの方が狂気のさただということも言えるわけで、本当に含蓄のある言葉だと思います。  こういうことをやはり若い人たちが考えるようにひとつしたいものだということを申し上げて、終わります。
  130. 加納時男

    委員長加納時男君) 田英夫君の御質問の時間は終わりました。ありがとうございました。  鈴木陽悦君。
  131. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 今日は、野球の九回裏ツーアウトの話が出ておりますが、ラストバッターの鈴木陽悦、どうぞよろしくお願いいたします。  所信に対する質疑をちょっと前にいたしまして、PSE、先ほど浜田委員からもPSEについてお話がありました。ちょっと確認したい部分がございますので、初めにこのPSEについて質問させていただきます。  今回の騒ぎなんですが、五年間の経過措置期間があったにもかかわらず、業界に浸透していなかった。これから波紋を広げていますし、混乱を招いています。過去五年間、十九万部のチラシを配布した、それから経済産業省のホームページで周知徹底を図ったという説明をしておりますけれども、果たしてこれだけで浸透するのかな、クエスチョンマークが付いてしまいます。  そこで、電波によります広報体制、電波媒体による広報体制について伺います。いろいろ調べましたら、政府の広報番組というのは、全国ネットのテレビ、それからFM、短波など九本あります。このほかにテレビスポットなども放送されています。今回のPSEについては、こうした電波媒体による広報はこの五年の中で行われたのか、それとも行われなかったのか、これだけ確認させてください。
  132. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) 法律の内容の周知は、講習会、パンフレット、ホームページの情報の掲載によって行ってきたところでございまして、テレビ、ラジオの政府広報番組を活用した実績はございません。
  133. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 はい、ありがとうございました。確認をさせていただきました。  テレビの視聴率、全体の視聴率一〇〇%といたしますと、一%の視聴率で百万人以上の方が見るわけですね、触れるわけですよね。ですから、九番組ということは、一千万人以上の方がその媒体を使いますと情報が得られるということでありますので、是非、この電波関係、電波媒体というのは非常に大事だと思います。知るべきもの、知らせるべきもの、是非これを徹底していただきたいと思いますが、今後の電波媒体を視野に入れた対応についてお聞かせいただければ幸いです。
  134. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) 今後の周知に関しましては、政府広報番組等の活用等も視野に入れながら、効果的な周知に努めてまいりたいと考えております。
  135. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 それでは、PSE関連はこの辺にいたしまして、大臣の所信表明に関連して質問いたします。  大臣は、先日の委員会のこの所信表明演説で、地域活性化について、「地域ブランドや観光資源地域産業競争力に結び付けられるよう支援してまいります。」と述べられました。また、今月七日の経済財政諮問会議におきましても、「地域の活性化について」という資料を提出されまして、地域活性化を重要課題と位置付けられています。  その書類によりますと、資料によりますと、海外も含めた域外市場産業製造業とか農業、観光業などですね、これと、主に地域内を市場とする域内市場産業、商業とかサービス業など、これが車の両輪としてうまく機能して総合的に地域内の産業が活性化されることが重要だとしています。  そこで、今日何回もお話が出ております、五月に向けて取りまとめが行われております新経済成長戦略に盛り込まれるであろう地域の活性化、地域資源の生かし方、産業の活性化等についての御所見を伺いたいと思います。
  136. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 経済産業省では、ただいま議員指摘のとおり、新経済成長戦略を今懸命にまとめようとしております。これには国際競争力の強化、そして同時に地域経済の活性化、この二本の柱を中心にして肉付けをしていきたいと思っております。  地域産業の活性化の事例一つ申し上げますと、熊本市で地元の有力産業である食品業が観光と結び付けた食のテーマパークを開園し、現在、地元有数の観光地となっておるということが言われております。  経済産業省では、こうした事例が示すように、各地域が創意工夫し、歴史や文化、伝統を含む固有の資源を活用し、地域ブランドや観光資源地域産業競争力に結び付けられるように、現在、具体策を検討しているところであります。  なお、観光につきましても、私は、経済産業省の中で集客交流、つまりサービス産業の分野で、観光という面で検討したこの書類を昨日まとめてみますと、これまあページが厚ければいいというものではありませんが、しかし、経済産業省が観光というところへ視点を合わせただけでこれだけの資料といいますか、これからの方針等について参考になることがずっと集まっておるわけであります。後ほどこれは、今日は間に合いませんが、この委員会先生方にもお配りをして、これはひとつ一目、目を通していただきたい、このように思っておるわけでございます。  観光という面でお話ありましたから、一言申し上げさせていただきますと、先般、私はWTOから帰ってきたその夜でありましたが、あるマスコミ界の有力な方が、イタリアの商工会議所の会頭が来ておると、観光だと。ですから、あなたに会いたいと言っているが、これ何とかならぬだろうかということでありましたから、いや、まあ、今着いたばっかりだけど、それじゃお伺いしましょうということで、成田からその会合の場所に直行したわけでございますが、イタリアは御承知のとおり、観光ではもう日本とは、もう群を抜いた状況に相なっておるわけであります。もう理由は申し上げる必要もないかと思います。  そこで、今海外からの観光客は、イタリアに今四千万人毎年来ておるわけであります。私たち日本はまだ七百万人に到達しておりません。七百万は、間もなくこれを超えることができると思いますが、そういう状況です。そこで、一体四千万人というのは、一体我が日本としては全くの夢物語かというとそうではなくて、今から順調に伸ばしていけば二〇三〇年には四千万人に到達する。しかし、二〇三〇年といいますと、今のイタリアにようやく到達するということでありますから、我々は相当の気合を掛けてこの日本の観光産業、これは地域産業であると同時に私は平和産業であると、こう思っておりますので、この点につきましても是非応援をしていただきたいと思います。
  137. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。その資料を本当に拝見するのが楽しみでございますので、よろしくお願いいたします。  大臣はかつて「観光立国宣言」という本も出されております。それから、観光振興は過密都市でも過疎地でも同じように夢を描けるテーマだと、こういう発言もされております。観光には大変造詣の深い大臣、画期的な観光に対する目線というのは本当に期待させていただきたいと思います。  ただ、観光振興と一口に申し上げましても、いろいろありまして、国交省ですよね、農水省、環境省、文科省、外務省、経済産業省などなどのセクションが多岐にわたっておりますので、省庁間の壁を取り払って取り組まなければなかなか困難な面があると思いますので、その点を是非よろしくお願いしたいし、二階大臣はどのような形でこの観光振興に取り組んでいかれるのか。今おっしゃっていただいた部分とダブると思いますけれども、ダブる部分があると思いますが、また経済産業省がリーダーシップを取っていく面というのはどんな点なのか、もうちょっと踏み込んだ形で聞かせていただければと思います。
  138. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 私は以前、この今の仕事に就く前には自民党の観光対策特別委員長という仕事をさせていただいておりました。そのときにもう既に取り組んでおったわけでございますが、宿題として残してきたことは、観光基本法、これはもう先生も御承知のとおりだと思いますが、今から四十年、もうちょっと前にできた法律であります。したがいまして、一ドル三百六十円というような時代にできた法律であって、海外に出掛けていくというとドルを仕入れるのには大変で、そのドルを持って水杯で海外に旅行に出掛けるというふうな状況の中でできておった法律がいまだに残っておるわけでありまして、それはそれで立派なことなんですが、私はこの機会に観光立国ということを念頭に置いて、この基本法を改めていくべきではないかと思っております。  そして、なお、各省庁にまたがっておるということは観光産業の、何といいますか、本質からいいまして、当然いろんな省庁にまたがっていかざるを得ないところもあるわけでありますが、例えば海外で、よその国では観光大臣というのがおられるわけであります。その人と交渉のテーブルに着くのは、我が方は国土交通省の今ようやく審議官がそのポストとして、カウンターパートとして対応するわけでありますが、私はせめてこの、予算も何も要らないわけですから、観光庁ぐらいのものをつくって、観光庁長官というぐらいの名前を付けて、そして各省庁を束ねていろいろ対応できるようなことも考えるべきではないか。  ただ一点、観光というともう初めから遊びか何かのような、そういうことのように言われておった時代から比べて、今日ようやく観光という認識が大変強くなってまいりました。全国の知事、大きな都市の市長で観光を語らない人はもうほとんどおりません。そして各地域に参りますと、電力会社の社長、会長であるとか、直ちに観光ですぐ何か利益を得るということでないような方々も、観光にみんなが熱心になって各地で観光対策に御協力をいただいている様子を見ますと、ようやく観光も軌道に乗ってきたなと、こういう感じでございますが、いよいよこれからだというふうに思います。
  139. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 御決意のほど、本当ありがとうございました。先ほども申し上げましたが、各省庁の壁を乗り越えて取り組んでほしいと思います。  これに関連しまして、ビジット・ジャパン・キャンペーンについて伺います。  今、大臣からもお話ありましたが、二〇〇五年が六百七十三万人、七百万人にもうちょっとということで、二〇一〇年には一千万人の目標を掲げております。ただ、出ていく日本人と訪日の外国人の皆さんのバランス、まだまだ取れていない、そういう現状で、日本ならではの自然とか文化の売り込み、今後の展開が大変重要でございますが、ここで少々視点を変えて伺います。それは、姉妹都市提携とビジット・ジャパン・キャンペーンの関係です。  姉妹都市提携というのは、古くは五十年ぐらい前から始まっていて、去年末で六十か国、千五百三十一件に上っているということなんですが、ビジット・ジャパン・キャンペーンは四年目ということで、この新しい四年目のビジット・ジャパン・キャンペーンにこれを活用していくべきじゃないかと私は思うんですが、友好姉妹都市関係からこのビジット・ジャパン・キャンペーンに生かされたケースというのはこれまであるのかどうか、また、今後これを活用した展開、どのように考えているのか、お聞かせいただければと思います。
  140. 柴田耕介

    政府参考人柴田耕介君) ただいま、姉妹友好都市関係を活用した国際観光交流促進についてお尋ねがございました。  先ほどお話がございましたように、昨年は六百七十三万人ということを達成いたしましたが、今年は七百五十万という目標を持ちまして、このビジット・ジャパン・キャンペーンを強力に推進していきたいというふうに思っております。  この一環といたしまして、現状では必ずしも十分な取組が行われているとは言い難いものもあるというふうに理解しておりますが、全国で、先ほど先生がおっしゃいました約千五百ある姉妹都市交流を活性化すること、これによって外国人の旅行者の増加を図ることというのは大変重要なことというふうに考えております。特に今年につきましては、そういう意味で、これを活用した交流促進というのを総務省を始めといたします関係省庁と協力をいたしまして進めていこうというふうに考えてございます。  これまでやってきたことを少し申し上げますが、昨年三月には、全国地方新聞四十九紙におきまして姉妹都市交流を活用した国際交流に関する小泉総理大臣のメッセージを掲載いたしまして、地方公共団体や地域住民の方々に啓発を図ったほか、昨年九月には、東京で開催されました国際旅行博、この機会に各国から政府関係者や観光関係者を対象にいたしまして姉妹都市交流を通じた観光交流の拡大に向けたシンポジウムを行いました。  こうした取組の結果といたしまして、昨年十二月には中国浙江省、いわゆる杭州と言いますが、杭州市で開催いたしました訪日観光促進のための行事、杭州ジャパンフェスタにおきまして、浙江省と友好省県でございます栃木県、静岡県、またこの杭州市と友好都市でございます島根県松江市が観光プロモーションを行うなど、姉妹都市を活用した観光交流を深めるための取組が地方で活発化してきております。来年度につきましては、姉妹都市交流を活用した観光交流の拡大のためのシンポジウムを相手国の都市の人たちにも来ていただきまして、全国十か所程度でこれを実施しようということで、この活性化につきまして関係省庁と連携を取りまして強力に進めていきたいというふうに考えてございます。
  141. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 ありがとうございました。どんどん多角的な部分からこういう交流を進めていっていただきたいと思います。  さて、今日ちょっと冊子を持ってきたんですが、去年暮れに、これ大臣も御存じかと思うんですが、中国向けの無料観光パンフレット「走進日本」、走って進め日本というこの本でございますが、翻訳の関係、翻訳物というのは中国ではなかなかチェックされまして出しづらいということで、これは多分観光では唯一のものだと思いますが、これは民間のNPO法人が去年の暮れに創刊をいたしましてスタートさせて、現在二号まで来ています。創刊号の巻頭言には二階大臣のコメントも載っております。この刊行物で日本に関する理解を深めてほしい、日中両国民の友好関係を促進する上で意義があり、中国と日本の懸け橋となることを願う。ちょっと要約しましたが、多分こういった内容でよろしゅうございましょうか。──はい。  国対国の外交、いろんな意味で報道されているようにぎくしゃくしています。また別の角度から、こうした動きが民間レベルから行われているということが、これは一つのみそだと思いますし、今後もこうした展開というのは、いろんな意味で友好関係、それから日本に対する理解を深めていく上で、観光についても非常に有効な部分があると思います。  そろそろ時間でございますので、最後に大臣に、今後の外交と民間との交流、いかにしてアジアの中で進めていかれるのか、その構想ございましたら、最後にお聞かせください。
  142. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 今、先生から広範な視野で観光問題をお取り上げいただいたわけでございますが、やはり国と国との交流を活発にしていくためには、その基礎は人と人との交流であると、私はそう信じています。したがいまして、今度、経済産業省におきましても、海外から留学生を日本に招くためにどうすべきかということで今真剣な取組をいたしております。  これは、ODA等を活用しまして、海外からの留学生、日本で頑張ってもらって、そして卒業した場合に日本で働きたいという人は日本で働いてもらえるような環境をつくる。よく日本の、今十一万人ぐらい海外の留学生が日本に来ておられるようですが、ほとんど、卒業しても日本で就職するのは難しいということで、またそれぞれの国あるいはアメリカ等に流れるわけでありますが、やはり卒業生が日本で活躍できるような状況をつくっていくと。例えば、アメリカ辺りの先端技術を担っておる学生、若い学者の中に中国人やインド人がたくさんおられることは御承知のとおりでございます。そうしたことを考えると、我々ももう少し進歩的に物事を考えなくてはならないのではないかというふうに思うわけです。  それと同時に、ちょっと外れますが、この際申し上げておきたいことは、観光もやっぱり人、人というか人材が必要であります。地方ではまだまだ観光に対しての取組はまだ緩やかであるというふうに私は思っております。ですから、そのために観光大学などという制度がありますが、もう少し、公立大学でもようやく観光学科、観光学部をつくろうという声が出てまいりましたが、そういうことも、かなり急がば回れのような感じがありますが、それでもやっぱりそういう基礎的なことはやっておかなきゃいけないんではないかと思っております。  そして、そういう両国の間に芽生えた、両国の間の姉妹都市の間に芽生えた友好、友情は必ず観光交流に結び付きます。  私もふとしたことで関係のある大連市から、この前、二百名が私の和歌山の田舎の方においでになりました。ちょうど白浜温泉が大変行事をやっている最中でありまして、そこにホテルもなければ、なかなか対応ができかねる。そこで、地方のビジネスホテル等を活用して、まあいろいろ対応を、頭をひねったわけでありますが、しかしそのとき皆さんがおっしゃるのには、いつか必ず二階さん、あなたの地域、あなたの生まれ故郷の方へ行きますよということを前に約束したでしょうと、こう言われるんですよ。私はもう忘れておったんですが。  そして、大勢お出掛けになりまして、大連は御承知のように人口約六百万ぐらいのところでありますし、私の町は三万足らずでございますから、これは全く、どう対応していいかということでありましたが、そしてお互いにそのふるさととかその御縁のところを訪ね合おうということであります。  韓国と日本との間にも難しい問題がいつも横たわっておるわけでありますが、私は二十六年前に高等学校のホッケーチームを率いて韓国へお伺いしたことがございます。地方で県会議員を務めておったころであります。今度、私たち地域にはようやくホッケーグラウンドができましたので、そのこけら落としにはあのときお世話になった韓国の高等学校を招待しようということを私は申し上げて、二つの高等学校をお招きしました。私はあいにくWTOで、海外出張でどうも対応はできませんでしたが、関係者の皆さんが一層奮起すると同時に、在日の韓国人の方々も一生懸命このことにこたえてくださったということからいたしますと、この間、朴元大統領のお嬢さんの朴槿恵さんがお見えになったときに、こんなことを近く私の田舎でやるんだということを言いましたら、本当に喜んでおっていただきました。  ですから、政治的にいろんなことがあっても、人と人とのつながりを広めていくということは極めて大事なことであって、やがてこれが平和につながる。私は、平和外交、平和外交と言いますが、人と人とのつながりが大事だと思います。そして、よく観光振興にといって、ドンパチやっている、平気でやっている、まあいろんな理由があってそういうことになっているわけですが、そういう国の人でも、観光振興で日本から観光客を私の国へどうだとこう言うんですが、これは無理ですよと。この平和のうちにみんなが安心して暮らしているところでなかったら、日本の観光客なんか特に行きませんよといって私は申し上げるんですが。  これは、お互いに観光を通じて平和を守ろうということにもつながっていくんじゃないかと思っておりますので、どうぞ今後ともよろしくお願いを申し上げます。
  143. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 はい、ありがとうございました。
  144. 加納時男

    委員長加納時男君) 鈴木陽悦君の質問は終わります。  本日の調査はここまでとし、これにて散会いたします。    午後四時四十五分散会