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北川イッセイ君 この保証協会の
改革については、私、本当にうれしく思っているんです。
といいますのは、余り昔の話したらいかぬですけれ
ども、実は私、大阪府議会におりまして、このことは府議会の中で、特に大阪府信用保証協会というのがございましたから、その府議会の中でもう十年前から一生懸命言い続けてきてるんですよ。
例えば、保証協会というのは結局、信用力のない人、資産のない人、そういう人
たちが保証料を払って保証してもらうわけですから、その上にまた第三者保証を持ってこいなんというのはとんでもない話じゃないかと。これはまあいろんなケースはありますけど、基本的には保証協会は保証人なしでいいんと違うんかという
指摘もいたしました。それから、保証料については、今まで保証協会を付けてそれで事故がない、何回も繰り返し事故がなかった、そういう先に対しては、これは減免制度というか、そういう奨励金制度をつくるべきやと。これは、損害保険でもそういうふうにやっているんですから、これは
是非ともそういうふうにすべきやという話も、これも出しました。
それから、保証人の話ですけれ
どもね、特に保証人に対する求償権の問題、これなんかも無理やりそこから請求して取り上げたら連鎖倒産するんですよ。ですから、その人に対してはもっと超長期でね、そのぼちぼち返しますという先にはもっと長期で焦げ付いたものを取り返していくというようなことも考えたらどうなんやというような、もうあんた、保証して焦げ付いてるから、一切その後の取引できないというような形になっているんですね。これは逆やないかと、こういうようなことも言ったわけですね。
それから、
金融機関に対して焦げ付いたら一〇〇%返してるんですね。しかも、利息まで付けて保証協会が代弁するんですよ。そんなばかなことない。これはやっぱり
金融機関がお金を貸してるわけですから、
金融機関にも相応のリスクを負わすのは当たり前やないかと。こういう
指摘も、実は本当にこれ、十年前から私
指摘してやってるんです。これ、これ議事録ですよ、そのときのね。これみんなそこへ、同じように書いてあるんです。
で、大阪府の方は、制度融資の中で解決できるものは解決してきよった、しかし基本的には国の制度やから、それは国にお願いをせなしようがないと、こういう話で終わってしまっとったわけですね。それが今回、こうしていろんな形で
改革に乗り出していただけた、非常にうれしく思っていますので、これ
是非ともやっていただきたいと思うんです。
私は、この一〇〇%保証とかね、あるいは利息まで返してる、これが物すごい悪い影響あるんです。どういうことかというと、
金融機関は、一般の民間
金融機関はそれによって全くリスクがないわけですよね。ですから、ちょっと危ないなという先には全部保証を付けてこいと言うんです。ですから、全部調べないんですよ。調べなくて、保証さえ付いたら金貸すんですよね。ですから、
金融機関自体の
調査能力、洞察力、そういうものが全くなくなってしまって、民間
金融機関が堕落した原因はこの保証協会にあると、私はそういうような思いがいたしております。これをひとつ機会に、
是非とも
改革、積極的な
改革に乗り出して、本当に
中小企業が喜ぶような保証協会を
是非ともつくっていただきたい、そういうふうに思います。
次に、商工中金の民営化についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。
商工中金については、これは昭和十一年に国と
中小企業組合の共同出資で設立されたと。その後、果たしてきた役割というのは非常に大きいものがあります。今回、民営化論議が起こりました。これは、政府系
金融機関の行政
改革の中で統廃合と、こういうことが起こってきたわけです。私は、民間でやれることは民間で、これはもう大賛成です。これはもう
是非とも進めていかないかぬ
政策だと、こういうように思うんです。
総論賛成、各論反対というようなことは言いたくないですけれ
ども、しかし、商工中金については、
中小企業の支援という一面から見たら、ちょっとこれ、やはりもうちょっと考えないかぬのと違うかなという面があるんです。今回出ている案は、行政
改革というそういう切り口から考えられておるんですけれ
ども、しかし、この
中小企業支援という一面から、やはり考え直していかないかぬ面があるんじゃないかと、こういうような思いがいたしております。で、そのために、これは行政
改革本部ですか、は、これは行政
改革どんどん進めていこうと、こういうことですから、
経済産業省はちゃんとやっぱり
中小企業のために言うべきことはきっちり主張すると、こういうことが必要じゃないかというふうに思うんです。
商工中金の
内容についてちょっとおさらいみたいな形で申し上げますと、現在、商工中金の資本金は五千百七十二億、そのうち政府出資が約四千億、政府出資が七八%ということです。資金量は十兆二千二百億。その資金調達の大部分が債券と預金と、こういうことです。それから、財投については住宅
金融公庫のようにたくさん使ってません。五年債券が約一千億円、資金量全体で十兆二千二百のうちのわずか一千億、これが財投から入っておると、こういうことであります。
それから、非常に経営も好調で利益も上げております。十六年度は三十億の税金を払っています。それから、今まで払った税金はおよそ二千六百億円です。ですから、出資金四千億のうちの約半分以上はもう返しておると、こういうようなことでございます。それから、これも住宅
金融公庫のように利子補給金ですとか赤字補てん金、これは政府支援は一切受けておりません。それから、自己資本比率は七・八%、民間だけですと、民間だけというのは政府出資を抜きますと三・四%ということです。
この商工中金の現在の格付はBの2、ムーディー社でBの2と、こういうことであります。で、ここでこの格付について、非常にその格付機関が心配をしております。これが民営化されて、仮に政府出資が全部引き揚げられるというようなことになったら、この格付は下がってしまうのじゃないかと、こういう心配であります。格付が下がりますと、債券が売れなくなります。そうしますと、その債券を無理やり売りますから、コストが非常に上がっていく、そうすると金利も上がっていくという形になるわけであります。
それともう
一つ私の心配は、この民営化することによって
政策的な役割が果たして続けられるんだろうかと。
政策的というのは、民間では取り扱わない融資ですね、こういうようなものが続けられるんだろうかと、こういうことが非常に心配なんです。そうした場合の一例としては、工場団地ですとか卸商業団地、そういうようなものの取引がうまくいくかどうかと、こういうことです。
この団地とかそういうのは、ここへ入っている組合員というのは、この組合を通じて間接融資を受けているんですね、まあ又貸しというやつです。端的に言って、一般の
金融機関は又貸し禁止ですよね。だから、そういうことが果たしてできるのだろうかと、こういうことなんですね。これが非常に心配をされております。
ここに
一つの
事例、まあ個々の
事例で申し訳ないんですけれ
ども、一番分かりやすい
事例ですから挙げますと、これはそういう集合団地をつくらはったわけですね。約三百名の卸売業者が集まってそこへ団地をつくったと。それがやはり中には、三百もありますから、抜けていく人がおる、どんどん抜けていくと。それに対して組合の方は、抜けていったら団地としての形態がなかなか取れませんから、そこを人に貸したりいろいろな工作をしているわけですね。ところが、それを、その
金融機関については、一般の
金融機関はそれを待てないんですね。早く処分して、はよ返せと、こう言うわけですね。これは、そんなことをしてしまったら、本当それこそ歯抜けになってしまうから、何とか集約的な処置をしたいと、こういうことで商工中金に相談をしたと。そうしたら、商工中金が、その抜けているところを
一つに集約をして、そしてそこへ融資をして、その団地に大手のホームセンターに入ってもらって貸すと、こういうようなことができたというんですね。これは一般の
金融機関ではなかなかできないことだということで非常に喜んでおられたということがあるわけですけれ
ども、仮にそういうようなことですね。
まあ、負債弁済の融資というか、不良先に対する融資は一般
金融機関なかなかしてくれない。
先ほど言うた又貸しもしてくれない。そういうことが、果たしてこの商工中金が民営化した場合にそういう
政策的なその機能というものが残るんだろうかというような心配をしておられるわけでございます。
そういうことを考えますと、これやはり商工中金は当面、そういう
政策的な融資をちゃんと行えるようにとか、あるいは
金融債ですね、これも支障なく発行できるとか、あるいは政府出資については当面そのまま残置して信用を保持するとか、そういうような処置が必要なんじゃないかと。そのためには特殊会社にしなければいけないとか、いろんな案があるわけですけれ
ども、そういうようなことが今言われておるわけです。
この商工中金の民営化の問題、
経済産業省の立場でどのように思われるか、御所見をお伺いしたいと思います。