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2006-05-18 第164回国会 参議院 環境委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月十八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         福山 哲郎君     理 事                 関口 昌一君                 橋本 聖子君                 岡崎トミ子君                 鰐淵 洋子君     委 員                 大野つや子君                 狩野  安君                 西田 吉宏君                 真鍋 賢二君                 大石 正光君                 小林  元君                 谷  博之君                 広野ただし君                 加藤 修一君                 草川 昭三君                 市田 忠義君                 荒井 広幸君    国務大臣        環境大臣     小池百合子君    副大臣        環境大臣    江田 康幸君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       小林  温君        環境大臣政務官  竹下  亘君    事務局側        常任委員会専門        員        渋川 文隆君    政府参考人        内閣官房都市再        生本部事務局次        長        清水 郁夫君        外務大臣官房参        事官       辻   優君        経済産業大臣官        房審議官     深野 弘行君        資源エネルギー        庁次長      細野 哲弘君        国土交通大臣官        房技術審議官   斉藤  親君        国土交通省総合        政策局次長    平山 芳昭君        国土交通省道路        局次長      増田 優一君        環境省地球環境        局長       小林  光君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房都市再生本部事務局次長清水郁夫君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、来る五月二十三日午前十時に、日本カーボンファイナンス株式会社代表取締役社長田中弘君、東北大学東北アジア研究センター教授明日香壽川君及びNPO法人地球環境大気汚染考え全国市民会議(CASA)専務理事早川光俊君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 関口昌一

    関口昌一君 自由民主党の関口昌一です。  もう限られた時間ですので、早速質問に入らせていただきます。  京都議定書に基づいて、我が国は二〇〇八年から一二年まで、温室効果ガス排出量基準年比で約六%削減しなければならないということになっております。環境省が昨年公表した資料によりますと、二〇〇四年度の排出量は逆に約七%増加している現状であります。これは、つまり合計で約一三%削減しなければならないわけでありますが、そのために、より一層国内対策強化していかなければならないと思っております。  そこで、環境省にお伺いしますが、国内温室効果ガス排出量削減対策強化必要性についてどのような認識を持たれていられるか、また昨年政府が策定した京都議定書目標達成計画を来年度に見直す予定でありますが、どのような方向性になるのか、お伺いいたします。
  8. 小林光

    政府参考人小林光君) お尋ねの点、二点ございましたけれども、まず今の対策強化状況と、こういうことでございます。京都議定書目標達成計画、これは今御指摘の六%削減約束達成するということで、約六十項目の対策というものを書き込んでございます、盛り込んでございます。この対策を全部確実に実施するということで初めてこの六%削減達成できる。今回お諮りしております京都メカニズム活用法もそうでございますけれども、こういったものを含めて着実にやっていく必要があるというふうに考えてございます。大変厳しい取組だと思っております。  そうした中で、この目標達成計画見直し方向はどうなのかと、こういうお尋ねでございます。ステップ・バイ・ステップということで、ある程度対策をしましたら、その成果を踏まえて、そして対策を逐次強化するという仕組みにしてございまして、来年度にこの見直しをするということにしてございます。その結果を踏まえて二〇〇八年度を迎えると、こういうことでございまして、特に来年度の見直しについては大変重要なステップというふうに考えてございます。六%削減約束を確実に達成できるかということで、厳格にその進捗状況等を評価して、その上で更に必要に応じて政策の追加ということを考えていきたいというふうに考えてございます。
  9. 関口昌一

    関口昌一君 大変厳しい現状である、そうした中でしっかり国内対策を取り組んでいただきたいと思っております。  京都議定書、これは我が国で生まれ、また我が国の地名を冠した唯一の条約であります。我が国がこの生みの親として国際的に大きな責任を持っていると認識しておりますが、そのためにも、やはりしっかりと国内対策基本的に取り組むべきであると思います。そして、世界にその模範を示す必要があると思っております。  そこで、環境省にお伺いいたしますが、今回の法改正により京都メカニズムを利用してクレジットを取得できるようになったわけでありますが、国内対策基本としてやっぱり取り組むべきであると考えております。この国内対策重要性について竹下政務官にお伺いいたします。
  10. 竹下亘

    大臣政務官竹下亘君) おっしゃいましたように、国内対策が重要である、まず国内で減らす努力からするというのが基本的なスタンスでございまして、この京都クレジットというのは補完的な手段であるというふうに基本的には考えております。  御指摘ございましたように、二〇〇四年度の数字から見ますと、一三・四%の削減、これ本当に並大抵のことではないと思います。この一三・四%に対しまして、閣議決定しました目標達成計画では、まず国内排出削減対策で七・九%減らす、森林吸収源対策、これは三・九%認められておりますので、これも実現していく、そしてその上でなお約束達成に不足する分、一・六%について京都メカニズム活用をしていこうということでございまして、そのことによって九〇年比マイナス六%を達成していこうと、こう考えております。  我が国基本的な方針として、先ほどもお話ししましたように、京都メカニズム活用というのはあくまでも補完的でございまして、国内における排出削減ということを基本として最大限努力していくことにいたしております。単にその数字達成というだけではなくて、我が国が持っております環境技術あるいはいろんな環境対策、実績、これは私は世界最先端を行くものであると思っておりますし、これに更に更に磨きを掛けるということは、まず国内削減をすることで、そのことを通じて環境立国に持っていく、さらには世界環境のために貢献していくためにまず国内からと、この基本をどうしても守り抜いていかなければならないと、こう考えております。
  11. 関口昌一

    関口昌一君 今、政務官から強いお言葉をいただきまして、是非その決意を持って取り組んでいただきたいと思います。  次に、京都メカニズムについて経済産業省にお伺いいたします。  京都議定書目標達成計画によれば、国内対策を最大限努力してもなお足りない差分、約一・六%分ですか、である約一億トンについて京都メカニズム活用により海外からのクレジットを取得することになっておりますが、果たして我が国はそのような大量のクレジット現実確保することは可能であるのか、また今後の予算確保のために経済産業省決意をお伺いしたいと思います。
  12. 深野弘行

    政府参考人深野弘行君) お答えをいたします。  まず、今の量の点でございますけれども、一億トンをこの京都メカニズムによって確保するということを今考えているわけでございますが、この一億トンという量につきまして、これまで国連のいわゆるCDM理事会というところに登録をされましたもの、あるいは現在そういった手続にあります手続中のものから、二〇一二年までに約八億五千五百万トン程度クレジット発行が見込まれております。一方、世界でどのぐらいこのクレジットが必要になるか、これもいろいろな見方があるわけでございますけれども、約七億トン弱ではないかというのがございます。  そういったことでございまして、今のこの進行中のプロジェクトから実際にこれだけのクレジット発行量が出ない可能性もございますので、やはりそのプロジェクトの発掘、あるいはそのプロジェクトが円滑に実施しやすい、そういった環境整備も併せて行い、クレジットの供給の拡大、こういったことに努力をしていく必要があるんではないかと考えております。  それから、予算面でございますけれども、仮にこの一億トンのクレジットというものを確保する、こういうことで、今のこのクレジット価格を見ますと、二〇一〇年時点で十一ドル程度になるという見方もございますし、それから現在の価格は約六ドル弱でございます。こういったことでございまして、これを確保するのに約七百億円から千五百億円程度必要なんではないかというふうに見られております。この確保をこれから始めるわけでございますけれども初年度につきましては百二十二億円を限度といたしまして獲得ができるような、そういう措置をとっております。また、予算としては、五十四億円を経済産業省それから環境省から計上をさしていただいております。  いずれにいたしましても、今後とも、クレジット需給状況なんかを見ながら、必要な予算確保すべく努力をしていきたいと考えております。
  13. 関口昌一

    関口昌一君 しっかりと予算確保のために、できたら見通しまで聞こうかと思いましたけど、まあ決意にとどめさしていただきましたが、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  まず国内対策を中心に一生懸命努力して、そして京都メカニズムを補完的に活用してこの京都議定書目標達成する、これは大変重要なことであると思います。しかし一方で、京都議定書目標は二〇一二年まででありまして、そろそろ二〇一三年以降の国際的な枠組み、これについても国際的な議論を高めて進めていく必要があると思っております。特に、京都議定書を離脱したアメリカや、また京都議定書では排出削減義務の掛かっていない中国またインドなどの途上国など、こうした国々をどういうふうな形で巻き込んでいくのか。いろいろ大きなポイントがあるかと思いますが、いわゆる次期の枠組みについて政府はどのように取り組んでいくお考えか、お伺いいたします。
  14. 小林光

    政府参考人小林光君) 今御指摘のとおり、米国、そして中国インド、これは途上国でございまして、京都議定書には入っておりますけれども削減義務が具体的にはない、こういった国々参加をどうやって求めていくのかと、こういうことでございます。  まず、精神といたしましては、人類共通の問題でございます、中国そしてインドを含むすべての国が参加する実効ある枠組みというものが行く行くは必要だというふうに考えてございます。  そうした中で、米国は依然、京都議定書参加しないという方針を変更しておりませんけれども、いろいろな場でこの米国に対して議定書の批准といったものを働き掛けてきております。後で大臣からもあるいは御披露あろうかと思いますけれども、いろんなチャネルで説得をしているということでございます。また、米国とはワークショップ、あるいはAPPと言われておりますが、アジア太平洋の具体的な削減取組、こういったようなことも一緒に進めているということでございます。また、中国インドなどにつきましては、日中韓の三か国の環境大臣会合といったようなことを通じまして、これも積極的に地球を守る責務というものを発揮するように働き掛けている、こういうことでございます。また、国際的にも既に、米国中国インドなんかも参加いたしますところの対話といいますか、交渉ではございませんけれども、相談といったものがこの枠組条約の下で始まっております。  こういったものにもしっかりと取り組んで、そして各国に対する働き掛けというのを強めてまいりたいというふうに考えてございます。
  15. 関口昌一

    関口昌一君 日本が頑張り、ほかの国も協力して目標達成するということでありまして、特にこの京都議定書に関していろいろ参加が厳しかった国々に対して、しっかりとこの枠組みについて取り組んでいただきたいと要望をさしていただきます。  京都議定書マイナス六%の削減約束、これは地球全体で温室効果ガス濃度を安定させるための最初第一歩であると思っております。中長期的には更に温室効果ガス排出削減を加速さしていかなければならないと考えております。我が国として中長期的な排出削減目標を定めるべきではないかと思いますが、ここは最後に、小池大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。私、小池大臣、非常に環境庁長官に就任されて一生懸命取り組んでいる、私も感動をしている一人であります。最後にお考えを聞かしていただいて、私の質問を終わらしていただきます。
  16. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) まず京都議定書マイナス六%の削減約束でございますが、その前に、すべての国が参加している気候変動枠組条約がございます。そして、その究極目的温室効果ガス濃度安定化ということでございますので、京都議定書最初のこの六%削減というのは第一歩にすぎないという位置付けでございます。しかし、その安定化達成のためには、世界温室効果ガスの総排出量を将来的に少なくとも現在の半分以下にまで削減しなければならないということでございますので、六%どころか、その半分にという話になるわけでございます。  ですから、中長期的な視点に立って、まずは目標達成計画で六%の削減約束、これを達成していく。それに加えて、更に長期的な、そして継続的な排出削減を掲げていく。  それから、先月閣議決定いたしましたけれども環境基本計画がございますが、そこにおきましても、三十年から五十年を射程とする中長期目標を策定することとし、必要な作業を進めると、このように位置付けたところでございます。よって、環境省において、今環境庁ではなくて環境省でございますけれども平成十六年度からは正に中長期的、二〇五〇年というタイムセッティングで脱温暖化社会プロジェクトを開始をいたしております。  それから、昨年の五月には、中央環境審議会の方の国際戦略専門委員会がございますが、そちらにて長期目標に関しての中間報告をまとめていただくなど、中長期的な温暖化対策のビジョンであるとか目標に関する検討を進めているところでございます。  また、そうやって中長期目標を定めて、そこからの逆算、いわゆるバックキャスティングを行っていくということで、そして現実の今の進み方とすり合わせをしながら目標達成に向けて着実に進めていこうと、このように考えておりますので、よろしく御協力のほど、お願い申し上げます。
  17. 関口昌一

    関口昌一君 力強いお言葉をいただきまして、本当にありがとうございました。  今環境庁長官と言っちゃったんですが、私の横に元の真鍋環境庁長官がいらっしゃいましたので、ちょっとそちらの意識が強かったものですから。改めて、小池環境大臣、訂正さしていただきます。ありがとうございました。
  18. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 民主党・新緑風会の岡崎トミ子でございます。よろしくお願いいたします。  日本京都議定書で、二〇〇八年から二〇一二年の第一約束期間に平均の温室効果ガス排出量基準年である一九九〇年比で六%削減することが求められております。実際にはこの間、この温室効果ガスで六%削減するという、これは減るどころか、もう増えているという状況なわけですね。しかし、本来、改めて言うまでもないことなんですけれども、この六%削減すら、必要な温室効果ガス濃度安定化に向けた第一歩にすぎません。まず冒頭、そのことを確認したいと思います。
  19. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) ただいまも関口委員の方にもお答えしたとおりでございますけれども、この我が国の六%削減約束を定めました京都議定書というのは、温室効果ガス排出削減に関しての法的拘束力のあります数値目標を初めて定めた画期的な国際協定であります。そしてまた、京都という名前、冠をしょっているというだけに、我が国にとりましては非常に重たい目標でございますし、重要な取組と言わざるを得ないと思います。  しかし、その前にあります気候変動枠組条約でありますけれども気候系に対して危険な人為的な干渉を及ぼさないレベルで温室効果ガス濃度安定化させるという、それが究極目的でございまして、そのためには世界排出量を少なくとも半分以下にするという必要があるとされているところでございます。  今、これは第一歩にすぎないという確認だと思いますけれども、おっしゃるとおりでございまして、正に長期にわたる取組第一歩がこの京都議定書我が国にとりましてはマイナス六%ということでございまして、今後京都議定書を更に充実発展させまして、また我が国といたしましても中長期的に六%を大きく超える排出削減を実施していくことが必要、そのためにも中長期目標を定め、そしてそれを逆算方式でもって確実な歩みを続けていく。いずれにいたしましても、京都議定書マイナス六%は小さいかもしれませんけれども極めて大きな第一歩であると、このように感じております。
  20. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 六%達成はあくまでもこれは当面の課題でありまして、どうあってもこれは達成しなくてはならないというふうに思います。しかも、許されたあらゆる手段を使って数字上六%削減達成すればいいのではなくて、できるだけ国内エネルギー起源温室効果ガス排出削減して六%削減達成しなければならないというふうに思います。  そこで、京都議定書運用ルールを定めたマラケシュ合意で、京都メカニズムによる削減を補完的なものでなくてはならないというふうにしております。改めて確認したいと思いますが、それはなぜでしょうか。また、京都議定書目標達成計画京都メカニズム活用で一・六%の削減を行うとしておりますけれども、これはどういう考えによるものでしょうか。できることはすべてやって、なお一・六%を京都メカニズムに頼る必要があるということだと思いますけれども、そういうことでしょうか。環境省経済産業省と、ともに伺いたいと思います。
  21. 小林光

    政府参考人小林光君) お尋ねの点、二つございましたけれども、まずは補足的な性質のものではないかということについてのお問い合わせでございます。  これはもう既に先ほどの答弁でも、あるいは政務官の方から申し上げたとおりでございますけれども、御指摘のとおり、マラケシュ合意におきましても補足的なものというふうに規定をされてございます。そういう意味におきまして、我が国におきましても、京都議定書目標達成計画におきまして、国内対策をもう基本とする、そして国民各界各層が最大限努力してもなお約束達成に不足する、その部分京都メカニズム活用によりまして対応するというふうな方針が既に書かれてございます。  なお、マラケシュ合意に至ります国際交渉におきましても、それではその補足的というのはどういう範囲なのかという議論も実はございました。例えば、EUなどにおきましては、京都メカニズムによって獲得するクレジット上限を、例えば自ら持っている排出枠の五%相当分、あるいは実際に排出している量とそして目標量との差額の半分ぐらいまでにとどめるべきではないかというような御議論もあったわけでございますが、結果としてはそういった定量的な上限というものは定められておりません。しかし、今そういった提案がありましたものに比べましても我が国の現在の方針というのは十分補足的なものだというふうに理解をしてございます。  そういうことでございますので、もう一つのお問い掛けでございますが、国内対策を一生懸命やると、これが大前提だということでもう一度確認をさせていただきたい、こう思います。
  22. 深野弘行

    政府参考人深野弘行君) 今、環境省の方からお話ししたとおり私ども考えておりまして、まず国内対策をきちっとやるということだというふうに認識をしています。そのために、産業分野では産業界自主行動計画、あるいはいろいろなエネルギー効率の向上に役に立つ対策の支援、それから民生・運輸部門も含めまして省エネルギー法強化を昨年やると、そういったことで今全力を挙げて取り組んでいるところでございます。  それから、補足性がどの程度かということにつきましては、今、京都議定書目標達成計画の中で私ども対策を取っておりますので、この補足性というのは日本対策においては十分確保されているというふうに考えております。
  23. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 何をもって補完的と言うのかについて確認しておきたいと思いますけれども一つ国内対策が主で京都メカニズムが従であればいいのか、国内対策を主としつつ削減コストが大きくならないように京都メカニズムで調整するということであるのか、あるいはまた、できるだけ国内対策削減して、どうしてもやり切れない部分京都メカニズムでやるという、こういう考え方なのか、三つお示ししましたけれども、この点、何番目でしょうか。
  24. 小林光

    政府参考人小林光君) 先ほどのお問い掛けと繰り返しになろうかと思いますが、今御提示のありました三つ目の答えということで答弁さしていただいたつもりでございます。
  25. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 国内対策による削減分は増やす余地はありますか。
  26. 小林光

    政府参考人小林光君) 私ども国内対策を一生懸命やりたいと、こういうことでございます。現在の京都議定書目標達成計画におきましては、国内対策を最大限努力すると、こういうことでございまして、私どもとしては既に最大限の国内対策施策を盛り込んでいるつもりでございます。現時点では、この盛り込んだ施策を一生懸命実施するということが非常に重要だというふうに考えてございます。  しかし、今後じゃもっと国内対策強化しないのか、こういうお問い掛けかと思いましたけれども、これは対策施策実施状況を毎年点検をするということでございまして、この京都議定書目標達成計画初年度実施状況点検というのももうすぐ始める予定にしてございます。そういうことでございまして、その中で定量的な評価、見直しを通じまして、必要に応じて更に対策の、あるいは施策の追加ということも検討し、いずれにいたしましても最大限の国内対策が二〇〇八年―一二年の期間実施されるように努力をしてまいりたいというふうに考えてございます。
  27. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 大臣確認しておきたいと思います。  京都議定書目標達成計画について、小池大臣は本会議で、この夏ごろに対策の進捗状況点検予定しており、来年度には定量的な評価、見直しを行う、その際には、排出量の見通しと対策の進捗状況を厳格に評価して、必要に応じて対策施策を追加することで確実に六%削減達成したいと、このように答弁をされております。  次の見直しの際には、これまでのような見直しでは駄目だというふうに思うし、その繰り返しでは済まないと思うんですね。具体的にこの夏の点検はどのように行うのか、具体的に教えていただきたいと思いますし、その結果を受けて、来年度の見直しを待たずに必要な政策強化を行うのか、大きなところでは国内排出権取引制度の本格導入、また環境税の導入、これも視野に入っているのか、お知らせいただきたいと思います。
  28. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) この目標達成計画は、常に目標を立てて、それがいかに実行されているのかどうか、そしてまたそれに不足分があるならば付け加えてやっていくというような形で、PDCAサイクルでチェックをしてまいるというその考え方、それを基礎としてこの目標達成計画を作ってまいりました。  来年度でございますけれども、二〇〇七年度、すなわち京都議定書が始まるその前の年という位置付けになるわけでございますけれども目標達成計画の定量的な評価、見直しは、その結果がその翌年の二〇〇八年から始まります第一約束期間温室効果ガス排出量に直結するわけでございまして、これまでの大綱、そして計画の策定にはない極めて重要な意味を持ったプロセスにならざるを得ないと考えております。  その際には、排出量の見通しと対策施策の進捗状況をより厳格に評価いたしまして、その結果によって、その必要に応じて対策施策を追加するということで、六%削減の約束の確実な達成を図ってまいる、そのための大きなメルクマールづくりになっていくと思っております。  ある意味では、二〇〇八年、二〇〇八年というと随分先のように聞こえるかもしれませんけれども、もう目の前なんですよね。ですから、その意味では、今こうやって石油高騰というようなことも、ある意味では環境という観点からいろいろなエネルギーシフトということも十分考えられますし、またそれを後押しできるような施策ということも、私ども現実に進めていこうとしておりますソーラー大作戦であるとか、そういった形で着実に稼いでまいりたいというふうに考えております。  また、環境税その他でございますけれども、これは真摯に検討していただき、そしてそれに対して御理解がいただけるように、私ども説明、そして御協力をお願いしてまいりたい。  一言で言うならば、もう本当にあらゆる施策を総動員してやっていくという構えが必要なのではないかと思っております。
  29. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 国内排出権取引制度の本格導入については。
  30. 小林光

    政府参考人小林光君) 今、現行、閣議で決めております京都議定書目標達成計画におきましては、国内排出量取引制度については総合的な検討課題というふうにされてございます。京都議定書目標達成計画では、いろいろな技術がこれだけ入ればこれだけの削減が果たせるということは書いてございまして、そういった削減を果たすための言わば政策が、先ほど御指摘ありました環境税、あるいは排出量取引と、こういうことでございます。  そういった裏打ちをする政策の中で、一つのオプション、考え方として排出量取引があるということは正式に京都議定書目標達成計画の中でも位置付けておりまして、これも真剣に検討するということに相なっている次第でございます。
  31. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 現在、EUとか米国の一部の州で、排出権取引制度を導入して一部に大変効果が現れているというふうに聞いております。環境税について、多くの国々でこれも明らかな成果を上げているというふうに言っていいだろうというふうに思うんですね。  こういうことをすべてやって京都メカニズム活用というふうに議論が入っていくというふうに思いますけれども、ただいまの御答弁でそういうようなことで確認してよろしいでしょうか。
  32. 小林光

    政府参考人小林光君) 私ども、繰り返しになりますけれども、いろんな政策というものがその対策技術を普及させるために必要だということで、環境省自身、この環境税という政策、これはもちろん環境税だけで削れるものではございませんけれども、今排出量をいろいろ出している方々に広くあまねくそういった公平な意識を持っていただく、そして負担を求めるという点では他に代え難い政策だというふうに考えてございまして、その導入が必要だということを政府部内では議論をしております。  いずれにいたしましても、その政策する中でいろんな政策を組み合わせて、ポリシーミックスと言っておりますけれども、そういった組合せの中で実際の対策技術を全部入れていけるようにしたいということで、決して環境税あるいは排出量取引が禁じ手ということではございませんので、そういうことも含めて検討していきたいということで考えてございます。
  33. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 次に、経済産業省に伺いたいと思いますが、国内対策国内エネルギー起源の二酸化炭素の排出をゼロ%に安定させるための経団連による環境自主行動計画、これにつきましても京都メカニズム活用が認められておりますが、これは一・六%とは別枠だということなんですね。国民の各界各層が最大限努力しても削減できなかった分を京都メカニズムで賄うということになっておりますが、その数字が一・六%なのだと私の方は理解しておりました。それ以外に京都メカニズム活用を認めるというのは適切と言えるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  34. 小林温

    大臣政務官小林温君) 今御指摘いただいたとおり、我が国産業界は、生産量当たりの排出量など定量的な目標を盛り込んだ環境自主行動計画を策定し、対策に取り組んでいただいております。この計画は、京都議定書目標達成計画においても産業部門における国内対策の中心的な役割を果たすものとしてまず位置付けられております。その目標達成に向けて、現在、産業界は、省エネ設備投資や生産工程の改善など、その達成に向け全力に取り組んでおり、政府もその進捗状況を毎年確認しております。  現在のところ目標達成が困難とされた業種はございませんが、今委員御指摘のように、産業界においては、万が一達成が困難となった場合に備えて、京都メカニズム活用を検討しているところもあるというふうに承知をさせていただいております。  一方、一・六%分相当につきましては、産業部門における自主行動計画を含め、最大限取り組んでもなお目標達成に不足する差分への対応として、国が京都メカニズム活用により対応することとしたものであります。このために、この一・六%分につきましては、国として予算を手当てしてクレジットの取得を行うこととしたものでございます。  質問につきましては、したがって、産業界自主行動計画達成が困難な場合の産業界による京都メカニズム活用は、国内対策である産業界による削減対策の内数になるものでございまして、政府京都メカニズム活用して対応する一・六%分とは別なものというふうに考えております。
  35. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この目標達成計画では、エネルギー起源の二酸化炭素については、産業部門の目安としての目標値、マイナス八・六%としているわけなんですね。その大半は経団連の自主行動計画にゆだねていると。  経団連の自主行動計画の方は、削減目標をエネルギー転換部門と併せて、二〇一〇年度に産業部門及びエネルギー転換部門からのCO2排出量を一九九〇年度レベル以下に抑制するよう努力する。つまり、本当は目標値をマイナス八・六%というふうに産業部門、目安として数字を挙げているんですけれども、こちらの方では抑制するように努力するということで、できるかできないかということについて、数字上の達成としてもどうなのかなというふうに思える表現に書いてある。つまり、努力するとしているにすぎないわけなんですね。  さらに、京都メカニズム自主行動計画達成のために活用するということであれば、必要とされる国内対策が進まない、こういうふうになるおそれもあるんですけれども、この点については経済産業省はどのようにお考えでしょうか。
  36. 深野弘行

    政府参考人深野弘行君) 自主行動計画自主行動計画に関連した京都メカニズム活用の関係ということでございますけれども、今小林政務官からもお話し申し上げましたように、この環境自主行動計画につきましては、国内の設備投資等による生産プロセスの効率化、こういったことが中身でございます。これにつきましては、その実施状況を毎年確認しておりまして、とにかくまずそこで一生懸命努力をしていただくということでございます。また、今、目標達成が困難であるということになった業種はございませんで、この目標達成に向けてみんなが努力をしているということでございます。  ただ、万が一、例えば予想以上に生産量が増えてしまったとか、そういったことによって達成が難しくなる場合がこれは全くないとは言えませんので、そういうことに備えて、一方で京都メカニズム活用ということも検討をしていると、そういうことでございます。
  37. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 日本の企業が持つ優れた技術を活用する、あるいは海外でのCO2の削減排出等を進めていくというのは産業界の大変重要な自主的な取組でありまして、地球規模での温暖化防止に大きく貢献する、こういう部分は私は大変結構だというふうに思っております。  しかし、この国内取組がおろそかになってしまってはいけないという心配なんですね。例えば、比較的安価なオプションが見過ごされたり、あるいは選択されないケース、こういうのがあるのではないかという心配です。むしろ経営者としてはより安いオプションを選ぶというのは当然の選択だというふうに思うんですが、いかがですか。
  38. 深野弘行

    政府参考人深野弘行君) 確かに、国内対策というのは設備投資その他でコストが掛かる面がございます。ただ、これはもう少し長い目で見ますと、やはりエネルギーの使用を減らす、あるいは省エネ型の新しい製品を開発する、こういったことで長い目で見て産業の競争力につながってくるという面がございます。  日本の産業は、これまで大変省エネルギー努力を行い、あるいは製品を開発して競争力を高めてきたわけでございまして、やはりそういったことについてはそれぞれ長期的な視点で取り組んでいるというふうに私ども認識をしております。また、そういった取組がきちっとされているかどうかということにつきましては、公開の審議会の場できちんと確認をしているということでございます。
  39. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 何かよく分からなかったんですけれども。  国内には安価なオプションがあっても見過ごされる心配が高まるということで心配だったんですが、この点については認められますか。
  40. 深野弘行

    政府参考人深野弘行君) どういうものが国内対策を取る場合に最も効果的なのかというのは、正にその事業をやっている方が一番よく分かっておられるんじゃないかと思っておりまして、そういった観点から最善の方策をそれぞれ講じておられるんじゃないかというふうに考えております。
  41. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 海外でのCDMでやるよりも安い国内対策でやりたいということ、そういうものはたくさんまだまだあると思いますので、これはしっかり考えていただきたいというふうに思います。  どれだけ国内努力をしたのか、その努力をした上でないと京都メカニズム活用は認めないということなど、これはどういう場合に認めるのかについて、これ具体的にお教えいただきたいのと、よほど厳格な条件を課す必要があるのではないかというふうに思うんですね。本来、この環境自主行動計画見直し、この達成を担保するための施策をきちんと確定してから、本当であれば京都メカニズムはその後にその活用ルールを定める必要があるというふうに私は思うんですけれども、この点について環境省にお伺いしたいと思います。どうですか。
  42. 小林光

    政府参考人小林光君) 経団連の自主行動計画実施状況、そしてそれをきちっと実施していただくための政府としての仕組み、これは経済産業省、そして環境省一体となっていろいろ考えているわけでございます。  先ほど深野審議官の方からも御説明させていただきましたように、例えば審議会でチェックをする、それから今環境レポート等々で透明性を確保するということでございますが、前回、前年改正をしていただきました温暖化対策推進法の改正法、これによりまして排出量の報告をする、そしてその中では、どんな対策をしてどういった削減をしたかといったようなことの情報の開示もお願いをするということにしてございます。  そうした中で、今おっしゃったような、しっかりちゃんとやっているのか、そしてそれが何か対策に不足があるのかどうか、これは政府だけが見るわけではないかと思いますけれども、いろんな方向から御議論をいただいて、そして経営者としてのきちっとした判断をお願いしていくと、こういうことではないかというふうに考えてございます。
  43. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それでは次に、外務省にODAとCDMについて伺いたいと思いますが、マラケシュ合意でODAの流用は認められないこととされております。日本は、この間、ODAを活用したCDM事業を推進できるように大変努力してきたということなんですが、参議院の経済産業委員会の外務省の説明はこのようにありました。京都議定書目標達成計画でも、経済産業省取組として、「ODAを活用した京都メカニズム推進活用について主体的に取り組む。」というふうに挙げられております。  このODAの活用には慎重であるべきだというふうに考えております。ODAの活用について、流用と、あるいはそうでない活用という、これはどのように違うのかをお聞きしたいのと、もう一つは、国際的なルールではどのようになっているのかを外務省にお伺いしておきたいと思います。
  44. 辻優

    政府参考人(辻優君) お答え申し上げます。  今先生御指摘のございましたように、二〇〇一年に行われましたマラケシュにおきまして、この点については先進国、途上国を含めて大きな議論のあったところでございまして、最終的には今御指摘のございましたようにクリーン開発メカニズム事業に対する公的資金供与がODAの流用となってはならないという決定が採択されまして、これが最終的に二〇〇五年の第一回締約国会合で採択されたと、こういう形になってございます。  では、このODAの流用を生じない限り公的資金をCDMに活用できるというこの流用は何かという、こういう御質問でございますけれども、今正に先生御指摘もありましたようにいろいろと議論のあったところでございまして、必ずしも明確な国際的な定義というところまで作成されておらないというのが現状でございます。また、現にODAを活用いたしましてCDM理事会に申請が出されて通過したという案件はまだ一件もございません。そういう意味においては、今後個別のケースがどういう形で積み重ねられていくのかというところを見守りながら、どういう形でこの流用というものが定義されていくかというのを見ていくことは重要だと考えております。
  45. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ODAのお金でCDMをやりますというのは駄目だと思うんですね。途上国のためにならないと私は思います。  これは日本のイメージの問題であります。ジャパンプロブレムという、日本の問題だというふうに言われているというふうにも聞いているわけなんですが、慎重であるべきだという理由は、様々なODA事業に使われている資金を流用してクレジットを購入するとすれば様々なデメリットが発生するのではないかということが懸念されるわけですね。その心配の一つとして、CDMがなかったとしても実行されてきたような事業による削減をカウントすることによって、以前よりも全体として排出量削減されていないのに削減義務を果たしているということになってしまうことがまず心配の一ですね。それから二番目に、途上国に供与する資金が少なくなってしまうのではないか。三番目に、温室効果ガス削減に貢献しない事業に使われるODA資金、例えば教育ですとか医療ですとか、そういうものが削減されるおそれがあるのではないかということでございます。  ODA資金を使ったプロジェクトに関してはこのような懸念があるのではないか、こういうことを踏まえる必要があるのではないかというふうに考えますが、外務省はどう考えるか、環境省もどのように考えるか、お願いいたします。
  46. 辻優

    政府参考人(辻優君) お答え申し上げます。  今先生おっしゃいましたうちの一つ、いわゆる追加性と申しますか、これのODAがなかった場合に行われなかった事業との、いわゆる民間企業による事業に考え合わしたもの、追加性と申しまして、CDMとしてクレジットによる利益を見込むことを前提に当該案件が実施されることをきちんと説明できる必要がございます。そういう意味においては、ODAが行われるというのは、いずれにしろ行われるものであるという意味において、CDM理事会において厳しく審査される可能性はございます。他方で、今先生もおっしゃられましたように、我が国としましては被援助国の持続的開発に資する案件であれば、これは積極的にODAを活用することも適当ではないかということで御議論させていただいたのも事実でございます。  そういう意味におきましては、我が国としましては相手国の経済社会状況、開発ニーズを踏まえて、CDM化の可能性のある案件を含めて開発途上国の安定と発展に資する案件であれば、これは検討することは十分可能ではないかと思っています。もちろん民間事業によるより安価なCDM事業ということもございますし、そういう点ももちろん考える必要はございますと思います。そういう意味においては、我が国としては先進国、いわゆるドナー側と途上国、いわゆる受入れ国側の間でのきちんと話合いをして、両国の合意というものをきちんと踏まえて案件を進めていく必要性はあると考えております。
  47. 小林光

    政府参考人小林光君) ただいま外務省の方から御説明のありました点と重複するかと思いますけれども、私ども環境省といたしましても、最近は経済と環境そして社会の統合というようなことで、トリプルボトムラインというようなことでございますけれども、国連の持続可能な開発目標といったようなことの実現に向けたODAの重要な役割ということは認識をしておりまして、決してODAが、ほかの分野のODAが減って、そして環境のODAが増えればいいというふうに単純に考えているわけではございません。ただ、そうした中で、しかしODAの資金を活用して実際に途上国が喜ぶ持続可能開発ができ、そして排出量もそうでなかったよりも減るということであれば、これは決して悪いことではないんじゃないかと。そういったケースは、じゃたくさんあるのかと言われれば、確かにいろいろ難しいとは存じますけれども、今外務省答弁ございましたように、具体的に本当に減るかというところが論点だと思いますが、これにつきましては、CDM理事会でかなりきっちりと方法論の審査があり、個別の審査がありということで初めて削減量というものが認定をされるわけでございまして、そのプロセスの中でちゃんとした削減が果たせるかということを確認してまいりたいというふうに考えてございます。
  48. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 推し進めて活用されていくということの方向性ですから、外務省はこのODAの活用に関してのガイドラインということを策定していく、そういうことについては考えておいででしょうか。
  49. 辻優

    政府参考人(辻優君) お答え申し上げます。  基本的な考え方については今御説明したとおりでございます。他方で、今最初に御答弁申し上げたときに申し上げましたとおり、具体的な案件としてCDM理事会を通った案件というのはまだ一件もございません。したがいまして、CDM理事会においてこのいわゆる流用に当たるか当たらないかということの議論がどういうふうに進むかということが、まだ見通しが立たないのも事実でございます。  したがいまして、外務省といたしましては、どういう形でCDM理事会議論されていくのかというケースをまず見ることが重要だと考えておりまして、その後で今先生の御指摘のございましたようなことも含めて検討する必要があれば是非考えていきたいと思っております。  以上でございます。
  50. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 よろしくお願いいたします。  次に、そのCDMの質の問題でありますけれども京都議定書目的のところには、附属書Ⅰに掲げる締約国、これ先進国ですね、それ以外の締約国、途上国ですか、「持続可能な開発を達成し及び条約究極的な目的に貢献することを支援すること並びに附属書Ⅰに掲げる締約国が第三条の規定に基づく排出の抑制及び削減に関する数量化された約束の遵守を達成することを支援すること」、このように書いてあるわけなんですけれども、こうした目的に照らせば、ホスト国がいいと言えばいいと、こういったことではなく、できるだけホスト国の持続可能な開発に資する、そういう度合いの高いCDM、そういう事業をクレジットを取得していくということが望ましいのではないかと思います。  また、日本政府として、事業の選択に当たっては持続可能な開発に資する度合いを考慮することを明確に意思表示をしておかなければならないと思いますけれども環境省としてはいかがでしょうか。建前論なので、これでいいかどうかということなんですけれども、どうですか。
  51. 小林光

    政府参考人小林光君) まず、持続可能な開発に資するそういったCDM、これを中心に置くべきではないかということはもうそのとおりだというふうに思ってございます。  繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたように、持続可能な開発に資するかどうかという判断は単にその受入れ国がするだけではございませんで、CDM理事会におきまして方法論から個々のプロジェクト審査からするわけでございます。そういった中できっちりと持続可能な開発に資する、そして削減もできる、こういったものにクレジット発行されるということになっておりますので、そういったことに従って、国際的なルールに従って対応してまいりたいというふうに考えております。
  52. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 例えば大規模な水力発電所の建設には大きな環境上のコスト、社会的なコストが伴うことが多くて、また地元住民による反対運動が起こる場合も少なくないわけです。これまでも大変に私もそういう話をたくさん聞いてきましたけれども、こういう事業によるクレジットの取得、これは適切ではないと思いますが、いかがですか。
  53. 小林光

    政府参考人小林光君) 御指摘の点は、例えば環境の影響あるいは社会に対する影響といったようなことで、そのプロジェクトが行われる周辺の住民の方々の反対あるいは生活を奪うといったようなことになるようなプロジェクト、これはいけないのではないかということだというふうに思っております。  これは、例えばCDMのプロジェクトにつきましては、締約国会合が決定をいたしました方法論といいますか、どういった形でそのプロジェクトを立案していくかということのガイドラインがございます。その中で、環境影響の分析あるいは環境影響評価の実施状況の結果はどうなっているのか、そしてさらに、今御指摘の、例えば利害関係者からのコメントを求めるといったような手続も実はされることになってございます。そういうことを無視いたしまして、実際に、例えば環境省なりあるいは経済産業省がNEDOに実施機関として仕事を頼むわけでございますが、クレジットの先買い、安いものを例えば買いなさいというようなことでただ単純にお願いをしますと、おっしゃるように将来クレジットの付かない事業を予約してしまうということがあるわけでございます。  そういう意味で、私どもとしても、そういったリスクのあるクレジットを避けるという観点から、そういった今の国際的な手続といったものに準拠して確実なクレジットの取得ということをまずは図っていきたいというふうに考えてございます。
  54. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私はもう数々そういう話を聞いてきまして、事業が着工されてきたということで先住民の方たちに対して大変な被害を与えていると、そういう例もたくさん見てきたわけなんですけれども、こういうものは見解の相違でこうした事業が認められるというようなことがあっては絶対ならないというふうに思うんですね。絶対これはこうしたことが起こらないようにするためには、仕組みをつくるということが、仕組みを担保するということが大事だというふうに思っております。  現在、ODAや国際的な融資の際に使っている環境影響あるいは社会影響に関するガイドラインよりもより厳格なガイドライン、これを作って、かつ厳格に運用すべきではないかというふうに思います。衆議院の附帯決議も付けられたものでありますけれども確認しておきたいと思います。
  55. 小林光

    政府参考人小林光君) 先ほど御答弁申し上げたとおりでございますけれども、実際にプロジェクトが今みたいな御指摘の周辺の住民の反対といったようなことで行われないというようなことになりますと、これは最終的にプロジェクトができない、あるいはクレジットが生じないということでございます。そうなりますと大変日本としても困った事態になると、こういうことでございますから、その衆議院の附帯決議にもございますように、こういったプロジェクトに対してクレジットの予約なんかをなるべくしないような指導といったものをNEDOに対して行っていきたいというふうに考えてございます。
  56. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 しつこいようですけれどもCDM理事会で判断をするので問題の起こりようがないということなんですが、そうはいいましても、姿勢の問題として、日本自ら原則を示して、その原則に沿って運用する姿勢が必要だと思いますが、その点いかがですか。
  57. 小林光

    政府参考人小林光君) もう姿勢については全く共有をしてございます。そういったことをどういった文書にするか、またNEDOにどういうふうに頼んでいくのかということにつきましては、この国会での御審議、そして審議会等々の御審議等々を踏まえて、ある部分では、例えば京都議定書目標達成計画、これを今回の提案させていただいております法案によりますと修正をしないといけない、そこに基本方針といいますかクレジットを取得するに当たっての考え方というのを書いていくことになるわけでございますが、こういったようなものにも入れ込むこともございましょうし、いろんな方法というのを今後考えてまいりたいというふうに考えてございます。
  58. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 日本がしっかり原則を持って、そしてそういう姿勢をしっかり取るということがCDM事業を望ましい方向に誘導するという効果が期待できると思いますが、この点についてはいかがですか。
  59. 小林光

    政府参考人小林光君) 先ほど来、岡崎委員が御指摘になっておりますのは、一般のいろんな民間の開発事業あるいは環境を意識しない社会開発の事業あるいは産業開発の事業といったことでいろんな悲惨な事例があったではないかと、こういうことで、CDMのプロジェクトについてもそういうことが繰り返されるということになってはいけないじゃないか、そのために日本が先導的な役割を果たすべきではないかと、こういう御指摘であるというふうに受け止めてございます。  そういう意味で環境を守るための仕事でございますので、そういうことがないように一生懸命やっていきたいというふうに考えてございます。
  60. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今後とも、国際的なルールは形成過程にあるということでありますので、CDM理事会がチェックするから大丈夫というふうな、任せることだけではなく、また持続可能な開発に資する方向で積極的に関与していただきたいということを要望しておきたいと思います。  それで、これはおとといのプレスリリースなんですが、WWF、世界自然保護基金ですね、それが、FIFA、国際サッカー連盟が六月九日から行われますワールドカップで発生する温室効果ガスをゴールドスタンダードの基準をクリアしたCDMプロジェクトクレジットを取得して相殺するということが歓迎しますと、こういう内容のことがございました。  このワールドカップでは、一か月ほどの大会期間中に通常よりも十万トン程度多くの二酸化炭素を排出するということになるので、FIFAは合計で十万トン程度温室効果ガス削減する三つのCDMを支援することで事実上ゼロにしていこうというものなんですね。しかも、ただのCDMではなくて、世界環境NGO四十団体が推奨するゴールドスタンダードの認証を受けたCDMでクレジットを取得することが大変注目をされているということでございました。  このゴールドスタンダードはWWFが中心となって作ったものでありまして、世界の四十の環境NGOが推奨するCDMや共同実施プロジェクトの認証基準でありまして、実質的には温室効果ガス削減と対象地域の持続的な発展に着実に貢献すると認められたプロジェクトに限られているということ、与えられるということなんですね。  このWWFのプレスリリースには、このゴールドスタンダードクレジットを選択したFIFAは、大会期間中に追加で排出される温室効果ガスを単に相殺するだけではなくて、より環境、そしてその地域に住む人々への配慮を考えた選択をしたと言えますと、大変高く評価しておりました。  今、環境に優しいという評価というのは世界でも大変重要なことだと思っておりますけれども環境立国を目指す日本としましては、イメージ戦略の観点ということからしましても、このプロジェクトを積極的に応援をしていただきたいというふうに思いますけれども大臣、いかがですか。
  61. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 最近は、ワールドカップのみならずオリンピックもそうでございますけれども、そういった国際的なイベントが環境に対してどれぐらい真剣に考えているかのアピール合戦の場にもなっていることは、これは私は喜ばしいことではないのかなと思っております。  我が国でも、愛知万博の開催の際も、様々な食器の、プラスチックではなくてそのまま土壌に返還というんでしょうか、できるような食器を使ってみるとか。そうしますと、それによって国際的にそれが情報として伝えられてメッセージとなっていくというようなこともございます。  今回、六月、ワールドカップの場におきましてそういったメッセージが伝えられること、それがまた環境の面での刺激を誘うということは好ましいことだと思っておりますし、また、せんだっても私、ジーコ監督に日本のふろしきをまた持ってまいったところでございますが、それもごみの減量ということを日本からのメッセージとして伝えてほしいということでお託しさせていただいたわけでございます。願わくば、ふろしきでトロフィーを包んで持って帰ってきてほしいと、そういう意味も込めたわけでございますけれども。  いずれにいたしましても、先ほど来、WWFの件につきましても、そういったプラスのメッセージはしっかり日本としても受け止め、そしてそれに協力できるところはしてまいりたいと、このように考えております。
  62. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  改めて国内対策について聞いておきたいと思いますが、京都議定書目標達成計画に盛り込まれた省CO2型の都市デザイン、省CO2型交通システムのデザイン、この二つについて具体的にどのように取組が行われているんでしょうか。また、これらを実現するために、まちづくりですね、都市計画、この面からアプローチが不可欠と考えますが、その認識について併せて国土交通省にお伺いしたいと思います。
  63. 平山芳昭

    政府参考人(平山芳昭君) お答えいたします。  御指摘いただきましたように、昨年閣議決定いたしました京都議定書目標達成計画、この中に、いわゆるエネルギーの効率的利用というものを社会経済システムに構造的に組み込むことが重要だということから、いわゆる地域や都市構造あるいは交通システム、これを抜本的に見直すように、いわゆる省CO2型の都市デザイン、あるいは省CO2型の交通システムのデザインということが重要だというふうに掲げられております。  具体的にはやはり、特にまず省CO2型の都市デザインについてどういうふうに進めていくのかということでございます。今先生御指摘のとおり、これ実現するためには、いわゆるまちづくりとか都市計画、こういう面からのアプローチということが非常に重要であり不可欠であるというふうにまずは認識をしております。  具体的にどんな対策を今取っておるかということでございますが、都市開発と一体的に環境負荷の削減対策を行うという観点から、例えば複数の熱供給プラント、こういうものを同時に連携しながら整備するというような施策に対しまして補助をする新しいシステムといたしまして、エコまちネットワーク整備事業というものを本年度に創設させていただいております。  また、いわゆるヒートアイランド対策、これ非常に重要でございますが、こういう対策といたしまして、都市緑地法に基づきまして、いわゆる事業者さんが提出いたしました緑化計画、整備計画というのがございますが、そういうものを市町村長さんが認定をすることによる緑化施設整備の計画認定制度というものを設けましたり、あるいは市町村長が都市計画決定をする際、緑地地域内の建築物、これを新築とか増築する場合があるんですが、ある一定規模以上のような割合につきましては緑化を義務付けるというような政策をする、いわゆる緑化地域制度と呼んでおりますが、こういうものを導入する。さらに、いろいろな補助事業も含めまして、水と緑のネットワークの形成を総合的に進めていきたいというようなことを行っております緑地環境整備総合支援事業という事業もございます。  こういうものを総合的に取り入れまして、まずは都市のデザインも省CO2型にしたいということでアプローチをしております。  また、交通システムの方でございます。  いわゆる交通システムの場合、やはりCO2対策という意味で一番大きいのは、マイカーをどう公共交通に転換させるかということは非常に難しい課題ではございますが、重要な課題でございまして、特にそういう場合に、都市の場合には通勤交通、通学交通というのが非常に大きいものですから、いわゆる経済産業省とともに一緒になりまして、交通事業者だけではなく経済界とも一緒になりまして、公共交通利用推進等マネジメント協議会というのをつくりました。これを全国に展開いたしておりまして、それぞれその地域ごとに特性に合ったマネジメントをしていただくという協議会をつくりまして、いわゆる公共交通機関の利用促進を図っていくというのを一つ実施しております。  また、いわゆる自動車運送事業者さん等につきましては、エコドライブという言葉はかなり浸透してきましたが、これを更に推進したいということで、このエコドライブを、気持ちだけでやるんではなくて、実際に本当にエコドライブがどういうふうに行われているかということをいわゆる周りからモニターできるといいましょうか、そういう施設整備をするためのエコドライブ管理システム、EMSと呼んでおりますが、こういうものを導入する場合に補助を実施するようなことも考えておりまして、現在も行っております。  また、道路対策といたしまして、いわゆる渋滞がかなりCO2対策としては非常に悪い影響を与えておりますので、渋滞箇所を効率的に削減するような、いわゆる道路におきましてもCO2削減アクションプログラムというのを作っております。  こういうものを実施しておりますし、それからいわゆる環境を持続的に成長と併せて持っていくという意味では、いわゆる持続可能な交通政策というものが非常に重要でございます。環境的に持続可能な交通政策という意味なんですが、ESTと呼んでおりますが、いわゆるそういうものを地域で先進的に行っていただいている地区があるんですが、そういうところをモデル地域を、先進的なモデル地域を全国から選定をいたしまして、そういうところにその支援を総合的に集中するというようなことも組み入れておりまして、いわゆるありとあらゆる方策を集中しながら、新しい省CO2型の都市、あるいは省CO2型の交通システムの実現に向かって頑張っていきたいと考えております。
  64. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 かなり具体的に国土交通省からお伺いしましたが、それでは、環境省の方の地球温暖化のまちづくりに関する検討会がありますけれども、これはどのような検討を行っておりますでしょうか。大変貴重な研究をされているというふうに聞いているわけなんですけれども、是非それを実現の対策の方に向けていただきたいな、反映していただきたいなというふうに考えます。この検討会の成果、どのように生かしていかれますか、お伺いいたします。
  65. 竹下亘

    大臣政務官竹下亘君) 現在、特に地方都市におきまして、御指摘ありましたように、中心市街地がどんどんどんどん衰退してシャッター街になっている、しかし一方で郊外化をしていくということが大きな問題として注目をされております。  例えば、大型集客施設がどうしてもまとまった土地が確保しやすい郊外に設置される、あるいは各家庭に自家用車が普及したことなどによりまして、地方都市のアメリカ化とでもいいましょうか、そういった現象が進行してきております。地球温暖化対策の観点という点から見ますと、床面積の拡大によるエネルギー消費量の拡大、車社会の進行によるガソリン消費量の増大等を原因とした温室効果ガス排出量の増大が大きな問題となっております。  そこで、御指摘いただきました地球温暖化対策とまちづくりに関する検討会でございますが、主に地球温暖化対策の観点から、持続可能なまちづくりの在り方について検討をしていただいてきております。もう既に五回検討会を開催をさせていただいておりまして、様々な課題について様々な有識者の皆さん方に議論をいただいておるところでございます。  例えば、土地利用施設と交通施設の融合による都市環境政策の形成を目指すといったような問題、あるいはそうした議論の中から今後得られる成果について、関係省庁とも連携しつつ、これはまちづくりという問題も絡んでおりますので環境省だけで推進できる問題ではございませんので、文字どおり、国土交通省もそして内閣府も含めた政府を挙げて施策に反映をしていかなければならない問題である。その際、単に環境に優しいという問題だけではなくて、例えばヒートアイランド対策も含めたアメニティー、快適さということも含めて集約化をしていかなければならないと、こう考えております。
  66. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 是非この検討の成果を生かしていかれますように、よろしくお願いしたいと思いますが。  次、都市再生本部に伺いたいと思います。  京都議定書目標達成計画推進体制の整備についての記述を見ますと、都市における対策に関しまして、地球温暖化対策本部と都市再生本部と連携を図ることというふうになっております。都市再生プロジェクトの決定を踏まえて、関係府省のワーキンググループにおいて、都市再生事業を通じた地球温暖化対策を連携して推進するということが書いてございます。  この都市再生プロジェクトには温暖化対策の観点はどのように反映されているんでしょうか。例えば仙台市でも都市再生プロジェクトが進められておりますけれども、ここでは温室効果ガス排出削減をどのように見込んでいるのか、お伺いしておきたいと思います。
  67. 清水郁夫

    政府参考人清水郁夫君) お答えいたします。  都市再生本部は、内閣総理大臣を本部長といたしまして平成十三年五月に発足しました。それ以降、全国のいろいろな都市再生について取組を進めているところでございます。その中で都市再生プロジェクトというプロジェクトがございまして、現在まで二十のプロジェクトを決定しております。これは、関係する各省庁が連携を取りまして、地元の自治体、それから民間の団体、いろんな主体が一緒になって一つの課題に取り組んでいこうというプロジェクトでございます。  二十のうち、環境対策に関係するものは幾つかございますが、特に温暖化の対策につきましては、平成十六年の十二月に本部決定といたしまして、都市再生事業を通じた地球温暖化・ヒートアイランド対策の展開というものを決定しております。これは、都市再生でいろんな民間の動き、建物の建て替えとか、それに合わせた道路の整備とか、いろんな活動があるわけでございますが、そういった活動をする際、行われる際に、いろんなCO2の削減対策とか、これを組み込む絶好のチャンスでございますので、都市の再生のいろんな活動に合わせて温暖化対策、ヒートアイランド対策をやっていこうということでございます。  具体的には、例えば民間の建物を造る際に屋上緑化を含めました敷地内の緑化をするとか、それから地域冷暖房みたいな省資源型のエネルギーシステム、こういったものを導入する。それから、行政の方としましては、道路の緑化とか、保水性舗装といいまして、道路の表面の熱ができるだけ空気中に早く発散するような舗装、こういったものをやっていこうと。それから、校庭の緑化といったようなこと、そういったものを官民協調してやっていこうということでございます。  この本部決定をするに当たりましては、環境省を始めとする、先生おっしゃいました温暖化対策本部も含めまして、いろんな関係機関と協議をしながら本部決定をしておりますし、特にこのプロジェクトにつきましては、関係省庁の課長クラスのワーキンググループをあらかじめ設置いたしまして、そこでどういう対策を取っていくか、それから本部決定した後の施策推進につきましても調整をしながら、そのワーキンググループで調整をしながら積極的に進めているということでございます。  それから、二点目の仙台の話でございますけれども、仙台につきましては、このプロジェクトとは別にもう一つ都市再生プロジェクト決定をいたしております。それは、地方中枢都市における先進的で個性あるまちづくりというプロジェクトでございまして、仙台市につきましては、緑美しい都市の実現ということで、仙台の緑化を中心とした施策を展開していこうということでございまして、特に都心部の道路の緑化とか、それから市民一人一本、全体で百万本の植樹をしていこうといったような話とか、それから新しい軌道系交通機関、地下鉄でございますが、これを整備しまして、公共交通の利用を促進し都市内での交通の削減をしていくといったような試みを、地元に協議会を設けましてそこでいろいろ相談しながら進めていこうと、こういった取組が仙台においては行われているところでございます。  以上です。
  68. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 仙台で行われていることについて、この排出削減を見込んでいるということでいいんだろうと思いますが、実際に今おっしゃってくださった様々な問題について、きちんとモニタリングをして成果が上がっていると、そういうことを確実にやるべきだと思いますが、その点についてはいかがですか。
  69. 清水郁夫

    政府参考人清水郁夫君) 各地で、今申し上げたような総合的な取組をやろうということで進められているわけでございますが、具体的な数値といたしまして、いろんな事業でもちましてCO2がどれだけ削減されるかといったようなところは、いろいろ検討は行っておりますが、まだきちっと目標を立ててというところまでは至っておりません。  ただ、いろんな関係機関、それから地元での取組、こういった中でそういった議論はされておりますので、これを引き続き前に進めていきたいというふうに考えております。
  70. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 環境省は都市再生本部についてきちんと物を言っているんでしょうか。どういうふうな手続によって環境省の意見が都市再生本部では聴取することができるのかもお聞きしておきたいと思います。
  71. 小林光

    政府参考人小林光君) 先ほど都市再生本部の方から御答弁があったところと重複いたしますけれども、課長レベルのワーキンググループというのが設けられておりまして、そこでいろんな情報交換をしている。その中で、こういったようなことが環境省としても考えられる、できるではないかといったようなことの情報提供、そしてディスカッションを随時やっていると、こういうことでございますが。  特に、環境省といたしましては、この都市再生プロジェクト、再生本部の方からこういう場所で、例えば丸の内とか新宿の周りとか、そういう場所で、各省あるいは地方自治体も民間もそうでございますが、技術を持っている、志を持っている、対策や制度を持っている、そういったところが集中的に参加して、力を合わせて具体的な成果を上げよう、これがポイントでございます。  そういう意味でございますので、私どもとしては特に力を入れておりますのは、例えば新宿の周りで、新宿御苑の冷熱といいますか涼しい空気、これを活用した都市改造とか、そういったようなことについていろんな御意見を申し上げてきているところでございます。
  72. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 だんだん時間が迫ってきましたので、本当は事務局体制がどのようになっているのかについてもお伺いしておきたいところなんですけれども環境省には遠慮せずに物を言うことをお勧めしておきたいと思います。都市再生本部、また国土交通省に対してきちんと受け止めていくことを求めておきたいと思います。  旅客部門ですね、運輸旅客部門、これについても、温室効果ガス削減するために公共交通の利用促進、交通政策、都市構造の見直しが必要だというふうに考えますが、今年度の道路と鉄道のそれぞれに国、地方の公的資金が使われた金額は、道路が八兆円以上に対して鉄道は三千億円弱なんですね。本当に大変な開きがございます。  自動車重量税の一部、またそのほかの道路整備に使われている財源の一部を公共交通の整備と維持管理、鉄道等の運賃補助等に振り向けるべきではないかと思いますが、国土交通省、いかがでしょうか。
  73. 増田優一

    政府参考人(増田優一君) お答え申し上げます。  各地域におきまして交通渋滞を解消し良好な交通環境を構築するためには、道路のみならず各公共交通機関相互の連携を保ち、効率的、総合的な交通体系を形成する、道路行政としても大変重要な課題と認識しております。  このため、道路行政の中におきましても、交通容量の拡大策あるいは交通需要マネジメント、マルチモーダル対策等につきまして関係者と連携して重点的に様々な支援を講じてきているところでございまして、特に、御指摘の道路特定財源を活用いたしまして、例えばハードの面でありますと、連続立体交差事業でありますとか、LRTあるいは地下鉄といった、そういった公共交通施策のインフラ整備に活用してきているところでございますし、また、ソフトな対策という面では、バス、鉄道共通ICカードの開発支援でありますとか、あるいは踏切システムの高度化等々、そういったところにも道路特定財源を活用して様々な公共交通関連の事業をこれまでも支援、推進してきたところでございます。今後とも、是非、公共交通機関の関係者の方々と連携いたしまして、様々な取組を進めていきたいと思っております。  御指摘の、もっといろんなところに道路特定財源を使ったらどうかということでございますが、御案内のように、道路特定財源制度につきましては、昨年十二月に政府・与党で合意されました道路特定財源の見直しに関する基本方針というものが定められておりまして、この中で、「歳出・歳入一体改革の議論の中で、納税者に対して十分な説明を行い、その理解を得つつ、具体案を得る。」と、こういうふうにされておりますので、道路特定財源の在り方につきましては、今後、よく関係方面とも連携して見直しを進めてまいりたいというふうに考えております。
  74. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 是非とも、公共交通というもの、あるいは交通政策、都市政策、構造の見直しですね、都市構造の見直し、こういった観点から、今本当に、道路に八兆円以上に対して鉄道は三千億円弱というようなことで大分開きがありますので、そうした運賃補助等に是非振り向けていただきたいということを再度重ねて要望しておきたいと思います。  ところで、仙台市が四本の都市計画道路を凍結いたしました。全国でたくさんの都市計画道路が計画されたまま数十年経過している、こういうことがあるというふうにたくさん聞いております。事前に伺ったところでも、都道府県と政令指定都市、半分以上、そういうものをどうしたらいいのかという見直しに掛かっているということを伺っておりましたけれども、例えば仙台市の場合ですと、四十年前に中央卸売市場が商店街をつなぐということで計画を作ったわけなんですけれども、もうこれは中央卸売市場が移転したためにその道路を造らなくてもよくなってしまったんですが、計画は実現の見通しがないままそのままになっているということがございます。  いろんな事情があるかもしれませんが、一つには、道路計画に伴う権利制限が掛けられてきた結果、何十年たっても、この計画をやめたということになると訴訟になるんじゃないか、こういう心配が自治体の側にあるというふうにも聞いているんです。住民にとっても当然だというふうに思うんですね。計画でもううちも売ってしまったとかそういうことになっている場合に、いつまで、どんなふうになるんだということで訴訟になるという心配は当然だというふうに思うんですけれども、訴訟を起こされても仕方がない部分があるかというふうに思うんですけれども。  その計画策定から長期間たって合理性を失った都市計画道路については、自治体が円滑に計画を解除する、やめるというようなことができるようにすべきだというふうに思うんですが、この点について国土交通省に一つお伺いしたいのと、この問題で民主党も実はずっと指摘をしてきております。国としてもこういう状況を放置してきたという責任があろうかと思います。何らかの工夫を是非していただきたいというふうに思います。実態をよく把握していただくということ、自治体の声をよく聞いていただくということ、そして必要な取組を進めていただきたいというふうに思います。  まず、この点のところまでお答えをお願いいたします。
  75. 斉藤親

    政府参考人(斉藤親君) 都市計画道路の見直しにつきましてお答えしたいと思います。  御存じのとおり、都市計画道路は、戦後からの高度成長時代に人口の増加、あるいは経済の成長、そして都市の拡大といったことを前提に決定されたものが大変多うございます。近年はもちろん、人口減少とかあるいは低成長、市街地の拡大の終息、こういった大変社会経済情勢が変化しておりまして、我々も都市計画決定後長時間経過を要している中で、その必要性に変化が生じつつあるということは認識しておるところでございます。  このため、国土交通省といたしましては、都市計画道路の必要性につきまして改めて検証をし、その検証結果に基づいて適切な見直しが必要というふうに考えておりまして、先般、地方公共団体がこれを円滑に行えるよう、都市計画運用指針というものを技術的助言という形で御提示申し上げまして、その考え方を示したところでございます。  また、毎年度実務者が集まりまして、全国の都市計画主管課長会議というのが開催されております。この会議でも毎年この見直し必要性を周知させていただいておりまして、さらに、もう既に先生も御質問の中にありましたように見直しがされたところも出てきておりますので、そういった事例をきちっと紹介する形で皆さんに情報提供をしているところでございます。  現在、地方公共団体におきましては、この点につきまして独自でそれぞれが見直しのガイドラインを策定中でございまして、これはかなりの自治体でやられております。そしてさらには、このガイドラインに基づきまして、都市計画道路の廃止も含めまして既に見直しの実施をしているところも随分出てきております。  こうした長期未着手の道路の見直しに向けた取組につきまして、冒頭お話ししましたように、国土交通省としましても、これらの取組が円滑に行われますよう、引き続き適切な助言等を行ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  以上でございます。
  76. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 昨年の最高裁判決、二〇〇五年十一月の盛岡での最高裁判決におきましても、やっぱりずっと放置してきたと、住民がこれに対して不当なことだというふうに言ったと、早急にこういうことについては解消しなければならないということで、こういう判例などについてもきちんと徹底して自治体に知らせる、あるいは住民にまでそれが届くというようなことはしていただきたいと思いますし、まちづくりという観点からも、住民が主体の、住民が誇りを持ってまちづくりについて参画できるという、そういう仕組みが大変大事だと思います。都市計画の中で、今までの在り方ではない見直しが大変必要で、制度設計ですとか運用の面からも促していくべきだというふうに思います。  とにかく、国がこれまで放置してきたということに関しまして、環境省、都市対策、交通対策についても積極的に役割を果たしていただきたいというふうに思います。是非、自らの責任も考えながら積極的なリーダーシップを発揮していただきたいということで、最後大臣にお話を伺って終わりたいと思います。
  77. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 地球温暖化対策についての御議論をスタートに、都市計画に、また交通計画に対してもいろいろと御意見を賜ってきた次第でございます。  これは、各省それぞれの得意どころを生かして、そして連携を取って、そして、先ほども申し上げましたようにもうすべての施策を総動員してこの地球温暖化対策そして京都議定書の六%削減約束ということを国として達成できるように改めて力を入れて進めていきたいと、このように決意をしているところでございます。
  78. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございました。
  79. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  地球環境はますます深刻な状態になってきております。そういった意味では、あらゆる主体、ステークホルダーなどパートナーシップ等が求められているわけでありまして、また議会の役割もますます大きくなってきていると思います。  ところで、実はIPU、列国議会同盟でありますけれども、その総会が、世界から百か国以上集めまして約六百名の議員がケニアのナイロビに集まりまして、日本からは九名が参加し、私も参加をさせていただきました。  IPUの百年を超える歴史の中で、初めて日本が報告文書、案でありますけれども、あるいは決議案を提出したわけで、私もお手伝いをさせていただいたわけでありますけれども、そのIPUの第二委員会のテーマは「環境管理及び地球環境悪化との闘いにおける議会の役割」ということでありまして、お手元に配付をさせていただいております決議内容が本年中に国連総会においても配付されるというふうに聞いておりますが、今後、やはりIPUの更なる改革、強化拡充をいたしまして、世界の議会が今まで以上に真っ正面から地球温暖化問題等を含め、地球環境悪化に取り組むことが必要であるというふうに私自身も強く感じております。  決議文では、地球憲章を想起する、思い起こす、あるいは国連持続可能な開発のための教育の十年の推進とか、あるいは日本がリーダーシップを取っておりますスリーRイニシアティブの推進、あるいはミレニアム開発目標達成、再生可能エネルギーの推進、あるいは砂漠と砂漠化に関する国際年の関係等々含めて言っているわけでありますけれども、さらに本文の五ページでありますけれども、第十二番目の項目、これは相当議論があったところでありますけれども、「ポスト京都枠組みを形成するすべての途上国政府に対し、UNFCCCの原則に従いつつ温室効果ガス排出削減・抑制の責任を負うことを要求するとともに、」ということで、途上国政府についてもいわゆる排出削減・抑制の責任を負うという形でこういう文面を入れることもできたわけでございます。  また、七ページになりますけれども、これも従来から環境省が主張している内容でございます。第三十番目の項目でありますけれども、「各国政府及び議会に対し、国連気候変動枠組条約の気候安定条項を認識しつつ、大幅な温室効果ガス削減及びグッドプラクティスの共有化のために行動し、バック・キャスティング・アプローチ等を用いた応用的調査・研究活動に取り組むよう要求する。」ということで、各国政府に対して、議会に対しても要請しているということで、環境省の立場で私は参加したわけでは決してございませんが、しかし、議会人としては非常に私は、大事なこういう決議文を世界の議会がこぞってこういう形で合意を得たということは非常にすばらしいことではないかなと、そう思います。  以上の内容を踏まえまして質問をさせていただきたいと思います。  京都議定書が採択された一九九七年以降でありますけれども、英国で始まった気候変動税、それから排出権取引を組み合わせた体系としてキャップ・アンド・トレード方式というのがありますが、これは昨年からは欧州連合、EU全域で拡大されたわけでありまして、我が国でもやはり排出削減を今後持続的に進めるシステムを社会の中に組み入れていく、そういう時期に当然来ているわけでありますけれども、この二〇〇八年からは議定書の第一約束期間が始まると。  我が国排出権取引についてはまだこれからという段階であるというわけでありますけれども、私は、環境を配慮した金融の在り方、環境金融、これも環境省が主体的に今や取り組み始めているというふうに聞いているわけでありますけれども、そういう環境金融、あるいは税でありますけれども環境税、そういった様々な経済的な措置を導入したシステムの構築をやはり足早に進めなければいけない、そういう段階に来ていると思いますが、この辺の関係について副大臣、よろしくお願いいたします。
  80. 江田康幸

    ○副大臣(江田康幸君) 先生、IPUでのこの地球温暖化対策、またあるべき姿に向けての御議論に強いリーダーシップを取られて取りまとめに御活躍されたこと、大変に敬意を表するものでございます。その報告は大臣も私も受けさせていただいたところでございます。  先ほどの御質問国内排出量取引につきましては、市場メカニズムをこれを活用しまして、一定の削減量を実現するためのコストを最小化するということでは、費用対効果に大変に優れた制度と考えております。  EUにおきましては、昨年一月から各国内若しくは各国間におきまして排出量が一定規模以上の施設を対象とした域内排出量取引制度が行われていると承知しております。  我が国におきましては、このような排出量取引にかかわる知見、経験、これはまだないわけでございますので、その蓄積を図る上で、平成十七年度から企業が自ら定めた削減目標達成しようというその企業に対しては経済的なインセンティブを与えた上で、いわゆる排出枠の取引の活用を認める自主参加型の国内排出量取引を実施しているところであるわけです。義務型の国内排出量取引制度につきましては、ほかの手法との比較やその効果等の幅広い論点につきまして総合的に検討していくべき課題と京都議定書目標達成計画で位置付けられていますので、今後、義務型を含めた排出量取引制度全般についても議論を進めていくというところでございます。  環境税につきましては、それぞれの排出量に応じまして公平な形で負担を求める有効な政策手法であると考えます。また、環境税というのは中長期的にも現在の国民のライフスタイルとか社会経済システムを脱温暖化へと転換する大きな推進力になるものと考えておるところでございます。  環境省では、平成十七年、十八年の税制改正の議論におきまして、二度にわたって具体案を公表してまいりました。これまでのところ、政府・与党において検討が重ねられてまいりましたけれども、まだ導入するという結論には至ってませんけれども環境税への理解は着実に進んでいると受けております。引き続き国民の、また産業界、関係省庁、御理解が幅広くいただけるように最大限の努力を図ってまいりたいと思っております。
  81. 加藤修一

    ○加藤修一君 排出権取引については、やはり今答弁がありましたように、市場メカニズムをいかに活用するかということで非常に積極的に進めていくべきだと思っております。そういった意味では、キャップ・アンド・トレード方式も一つ非常に大きな参考になると思います。キャップをどう掛けるかということが極めて重要なところでありますので、ある程度の拘束性を持った形でそういう方式を導入するということは非常に大事だと思っておりますので、積極的な対応をよろしくお願いしたいと思います。  次に、大臣にお願いしたいわけでありますが、昨年の十二月にカナダで行われましたCOP11と、それから京都議定書の第一回の締約国会議、MOP1の関係でございますが、二〇一三年以降の次の枠組みについても議論することが決まったと。それがどの程度拘束されるかはそれは今後の話でありますけれども、私は、日本世界をリードする省エネ技術、あるいは先進国中最高水準のエネルギー効率を誇っている我が国こそ、京都議定書の先を見据えた、つまり二〇一三年以降を見据えた先進的なシステムを早急に構築すべきであると、日本はやはり次の枠組みについてのトップランナーであるべきでありますし、リーダーシップをしっかりと発揮すべきであると、そんなふうに考えてございます。  そういう技術における長所があるからといって、それがそのままうまく世界の中にすんなりといくわけじゃございませんので、それをいかに日本がイニシアティブを持ちながらやっていくかというのは極めて私は大事だと思っておりますが、この辺の見解と御決意についてお伺いをしたいと思います。
  82. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) ただいまの御質問の前に、今回ナイロビで開かれましたIPUの議論の中で、議会の役割として「ポスト京都枠組みを形成するすべての途上国政府に対し、UNFCCCの原則に従いつつ温室効果ガス排出削減・抑制の責任を負うことを要求するとともに、他方先進国政府に対し、途上国支援を強化することを要求する。」、この一文を盛られたのはすごいことだなと私、思った次第でございます。  と申しますのも、昨年末のモントリオールでのCOP11、そしてCOPMOP1でございますけれども最後のところ、みんな徹夜をせざるを得なくなったのはそこの項目一つにかかっていたわけで、実は今回、外務大臣に転出されましたイギリスのベケット環境大臣、そして私、そしてロシア、そして主催国カナダのそれぞれ政府代表が、もう本当に深夜に及びましたけれども、そこで最後までこの文言といいましょうか、もつれ込んで、結果として成功に導けたかと思っておりますが、いずれにいたしましても、この文言をさらりと盛り込まれたのはすごいなと思った次第でございます。  そして、御質問でございますけれども、すべての国が参加する実効ある枠組みの構築に向けて昨年末のモントリオールでの会議我が国臨んだわけでございますけれども、そこで今申し上げましたように世界各国の結束を呼び掛けると同時に各国とも積極的に交渉を行わせていただきました。その結果といたしまして、京都議定書を批准していないアメリカ、それから削減約束のない中国インドなどの主要途上国を含みますすべての国が参加する長期的な行動に関する対話の開始がそこで合意がされたわけでございまして、そして二〇一三年以降の枠組み構築に向けて様々な成果を得ることができたわけでございます。  現実に今、ただいまドイツのボンにおきまして、気候変動に対応するための長期的協力の行動に関する対話が行われておりまして、十五、十六と、この協議におきましても我が国から今地球環境審議官が行っております。そこで日本政府代表として発言を行い、またそして、そこでの先導的な役割を担うべく現在ボンの方にも出張しているということでございます。  我が国としては、この対話プロセスに加えまして、APP、アジア太平洋パートナーシップにも参加している国でございますので、これも補完的な取組として活用して、そしてすべての国がその能力に応じて排出削減に取り組むということを可能ならしめるように、また主要排出国によります最大限の削減努力を促す実行ある枠組みの構築に向けまして、更に主導的な役割、果たしてまいりたいと、このように思っている次第でございます。  IPUもそうでございますし、COP、そしてCOPMOP1、COPMOP、いろいろな会議が開かれるわけでございますけれども、その場で、いずれの場におきましても、我が国が先導的な役割を果たせるようないつも決意と、そして裏付けとなります様々な実績などを背景として、より強い立場で臨めるようにしてまいりたいと考えております。
  83. 加藤修一

    ○加藤修一君 力強いお言葉、答弁をいただきました。ありがとうございます。  それでは次に、環境省経済産業省にお伺いをしたいわけでありますけれども、昨年の十一月でありますけれども、北京で国際再生可能エネルギー会議世界七十八か国・地域の代表、あるいは国連とか世界銀行、EUの国際組織委員など千二百人を迎えて開催されたわけでありますけれども、先ほどエネルギーの効率の話をいたしましたが、再生可能エネルギー、これは非常にこれからのエネルギーの拡大を考えていった場合には無視はできないと。それほど大きくパイになるかどうかということについては多少の疑問があるかもしれませんが、非常に大事な視点であると私自身は思ってございます。  胡錦濤主席からもメッセージが寄せられまして、再生可能エネルギーの開発と利用は環境エネルギー問題の深刻化や人類の持続可能な開発は避けられない、そのためにも国際協力の拡大をと、そういう内容のメッセージでありましたが、そういった中で十五か条の北京宣言を採択したということで終わったわけでございます。  そういった中で、やはり再生可能エネルギーの国際的な協力体制の強化を図るということが極めて重要であります。そういった中で、エネルギー憲章条約、これは議定書もございますが、ただ、中身は若干違う部分もなくはないわけでありますので検討の必要がありますが、やはり私は、再生可能エネルギーが促進されるような条約的なもの、そういったものをやはりしっかりと作り上げていくことが大事ではないかなと、このように考えておりまして、この辺についての御見解を両省にお願いを申し上げたいと思います。
  84. 江田康幸

    ○副大臣(江田康幸君) 加藤先生、再生可能エネルギーに関してはもう従来より高い見識をお持ちで、太陽光、風力などの御指摘の再生エネルギーというものは二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーでございます。地球温暖化対策として大きな可能性を持つものでございます。このため、再生可能エネルギーの世界規模での利用拡大というのは今後の重要な課題と認識しております。国際的にも、条約上の枠組みではございませんけれども、先ほど御指摘のあった昨年G8で合意されましたグレンイーグルズ行動計画におきましても再生可能エネルギーを推進することが合意されているところでございます。  また、我が国を始めましてオーストラリア、中国インド、韓国、アメリカの六か国が参加しておりますクリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ、APPにおきまして、再生可能エネルギーについても技術の開発、普及、移転に関する具体的な協力を進めているところでございます。  先生の御提言も大変重要であると思っております。ただ、現時点におきましては、直ちに条約づくりというよりも、まずはその前提としてこうしたサミットやAPP等の国際的な場におきまして再生可能エネルギーの普及のために引き続き積極的に国際的に協調した取組を進めていくということが大事かと、そのように思っております。
  85. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答え申し上げます。  いわゆる条約づくりのいかんということにつきましては今副大臣の方から御答弁がございましたとおりでございまして、基本的な考え方については経済産業省資源エネルギー庁も同じでございます。  改めて申し上げるまでもなく、リニューアブルエナジーというのは、各国の資源の賦存量でありますとかあるいは気候状況等々、自然条件も非常に多様でございます。したがいまして、今るる御紹介がございましたいろんな国際的な枠組み、あるいは国際機関の取組の中で、こういった多様性に着目した取組が今着実に進められているというふうに認識をしております。  したがいまして、将来なお一層の環境整備ということで御指摘のような条約というものが必要であるということであれば、もちろんその段階で検討をすることはあろうかと思いますが、まず当面は、今の動いておりますもろもろの枠組みの中で着実に認識の共有あるいは情報交換等を進めていくのが適当かと存じております。
  86. 加藤修一

    ○加藤修一君 再生可能エネルギー促進条約、そういったものが将来的に必要であればと、そういう状況というのができてくればという話でありますが、私は、日本がこういった面については積極的に展開をしていくべきだと思っておりますので、そういった条約という、そういう形式にこだわる必要は当然ないわけでありますけれども、その条約の趣旨に合致するような形でやはり再生可能エネルギーのネットワークを緊密化する等々含めてしっかりと対応していくべきではないかと思いますので、その件について要請をしておきたいと思います。  次に、未利用エネルギーの関係でありますが、我が国は温泉大国ともいうふうに言うところもございます。温泉の熱をどう使うかと。ふろに入るだけではなくして、やはり四十度あるいは百度近い温泉もあるわけでありまして、その熱をカスケード的にどう使うかということも一つ考え方としてあり得るんではないか。アイスランドあたりは地熱を含めてこの温泉をうまく活用しているわけでありますし、日本の草津温泉でも一部使われている話であります。熱交換を含めて使っているわけであります。  あるいは、今後はそれでカリーナ的な発電を行っていくということも考えられているわけでありまして、日本には四十二度以上の源泉が一万三千二百九か所あるわけでありますが、こういう未利用の温泉あるいは熱、地下資源、豊富なものをいかに拾い集めて、ちょっと拾い集めるというのは不穏当な発言かもしれませんが、クリーンエネルギー利用の可能性をより一層拡大していくべきであると。そういった意味では、その拡大に向けての支援をすべきであるというふうに考えているわけでありますけれども、この辺については経済産業省はどのようにお考えでしょうか。
  87. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答え申し上げます。  いわゆる地熱の活用あるいは地熱発電ということのお尋ねかと存じます。  もとより、二酸化炭素を発電の過程で生じないということで、国産エネルギーでもあるということで、大変地球温暖化あるいはエネルギーの安定供給という観点からも非常に重要なものと認識をしております。  先ほど御指摘がございました、日本にたくさんある温泉のいわゆるポテンシャルでございますが、地熱の資源はどれぐらいになるかということにつきましては、ちょっと前になりますけれども平成十三年度にNEDOが、地質の構造なんかから見まして有望ではなかろうかと、今後開発することが有望ではなかろうかというところについて調査をしたことがございます。それによりますと、技術的な観点から可能であるというものがなお約百九十万キロワットぐらいのポテンシャルとしてあるというふうに思っておりまして、こういったものについて、実際の詳細の調査あるいは環境への与える影響等々について必要な補助を行う、あるいは実際に発電の設備を設置するという段階になれば、それについての補助も行うというふうなことで支援をしていきたいと思っております。
  88. 加藤修一

    ○加藤修一君 開発費用の問題が当然あるんでしょうけれども、百九十万キロワットというのは無視できない量であると思っております。  それで、今経済産業省ではRPS法の関係、つまり新エネルギーを一般電気事業者が購入しなければいけないという義務を課しているわけでありますけれども、その見直しが行われているというふうに聞いておりまして、再生可能エネルギーというのは、最近我々、国内でも使われるようになってきているわけですけれども政府では新エネルギーというのを使っていて、なかなかこれは国際社会では分かりづらい用語ではないかなと言われておりまして、もちろんこれについても経済産業省が検討しているというふうに聞いておりますが、やはり新エネルギーという言葉から再生可能エネルギーというふうに改称すべきであると思っております。これは要求しておきますので、よろしくお願いしたいと思います。  それで、未利用エネルギーという観点でございますが、例えば小水力の関係でありますが、このRPS法の見直しの関係で、例えば水力発電対象を今の段階では一千キロワット未満という話になっておりますが、やはり一千キロワット以上についても拡大していくべきではないかと。あるいは、その場合に、水力設備については新設のみを対象にし、今の既設については当然対象にしないと。あるいはさらに、多目的ダムにはやはり利水放流とかあるいは河川の維持放流等のいわゆる環境用水等の関係含めて発電に供するような余裕があるわけでありますから、そういったものも対象にすると。あるいは、現在の電気事業者の新エネルギーの購入の関係で利用義務量が課せられているわけでありますけれども、それもやはり増加をさせるように見直し考えていくべきではないかと。このようにとらえているわけでありますけれども、この辺について見解をお示ししていただきたいと思います。
  89. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答えを申し上げます。  御要請がございました新エネルギーと再生可能エネルギーのいわゆる範疇、定義、概念の整理につきましては、現在、総合エネルギー調査会の方で検討をさせていただいておりますので、引き続きその推移をフォローさせていただきたいと思います。  お尋ねのございましたRPS法の関係でございますけれども、現在これにつきましても、法律が十五年の十二月に一部施行して以来時間が経過しておりまして、法律の附則で三年ぐらいのところで見直しをするということでございましたので、評価、検討をさせていただいている最中でございます。御指摘のございましたものにつきましてでございますが、現在、この小委員会の方で、担当の小委員会の方で報告書の取りまとめの段階に入っておりまして、今パブリックコメントをさせていただいている途中でございます。  それによりますと、水力発電、今御指摘になったように一千キロワット未満、あるいは水路式に限っているような水力発電の対象範囲を拡大することにつきましては、既設の設備の量に比較して、新規でどれぐらいあるだろうかというようなこと、あるいは既設の設備を仮に対象にしたときに、今の範囲の変更によってですね、既設の設備が対象になった場合に日本トータルとしてどうか、あるいはその個別の事業者ごとのこれまでの利用目標とのバランスなどについてどういう影響があるか、どれくらいの意味があるかというようなことについて検討をする必要があるというふうに考えておりまして、今、平成二十六年、二〇一四年でございますが、ここまでを視野に入れました利用目標量の設定作業をしております。  したがいまして、その中で今の問題も検討させていただきたいと思っておりますし、それから多目的ダム云々ということで御指摘がございました利水放流あるいは河川の維持放流等につきましても同じような問題意識で検討をさせていただきたいと思っております。  それから、現在経過措置で少し目標量を少なくしております達成量でございますけれども、二〇〇九年、平成二十一年までの義務量につきましては、実態に合わせまして引上げを考えております。  それから、後先になりましたけれども、次期の目標期間となります平成二十六年、二〇一四年の利用量につきましては、これも併せて、本年度末までに改めて新エネ部会等を開かせていただきまして、検討させていただきたいと思っております。
  90. 加藤修一

    ○加藤修一君 四点にわたって答弁いただいたわけでありますけれども、すべてにわたって検討、検討、検討、検討でございますが、積極的な成果が出るように期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、環境省にお願いなんですけれども地球の気候安定化の関係に当然なってくるわけでありますけれども、IPCCの第三次報告書の中においても触れられております。それは、二〇五〇年で二度Cを限界上昇値としているわけでありますけれども、イギリスの二〇〇三年のエネルギー白書では、二〇五〇年までにCO2排出量現状の四〇%まで削減する方針を打ち出しているわけなんですけれども、こういった点については国環研を中心にして研究がスタートしておりまして、現在から二〇五〇年までに温室効果ガス排出量世界で半減するとの将来図を示しているというふうに聞いておりますが、これ政府は、政府というのは日本政府は、二〇五〇年から現在に至る逆算的な政策目標を課すべきだと。あるいは温度上昇幅を何度で抑えるというふうに考えているのか。あるいは大気中のCO2濃度をどの程度安定化させるのか。そういった点は非常に大事だと思っているわけでありますけれども、どのようにそういうことを考えているか。  そして、IPCCの第三次報告書によれば、先ほど言ったとおりでありますけれども、そういった科学的成果と戦略的アプローチをどうリンクさせようとしているのか。さらに、外交上これは極めて重要な話になってまいります。東アジアとの中でこういった面についてどのような連携を考えているか、そういう展望、ビジョンというのがありましたならば、お示しをしていただきたいと思います。
  91. 小林光

    政府参考人小林光君) 三点お尋ねがありましたけれども、そういった長期的な目標の意義、そして、それについて環境省はどう考えているか、そしてまた、そういった長期的な目標があった場合にそれを政治的に活用する方策いかんと、こういうことだと思います。    〔委員長退席、理事岡崎トミ子君着席〕  まず、第一点でございますけれども長期的な目標、これは世界の今後の対策を決めていく場合に当たって、その合意の枠組み、前提になるということで大変大きな手掛かりになるというふうに考えてございます。しからば、そのことに関しての環境省の検討はどうなっているかと、こういうことでございまして、実は昨年五月、中央環境審議会国際戦略専門委員会において、この温暖化によりますところの悪影響の顕在化を未然防止するという観点で見ますと、将来にわたります温度上昇を工業化前に比べまして二度以内に抑えるという考え方は、こういった長期目標の検討を国際的に進める上で現段階でいい出発点になるんだというような中間報告を取りまとめていただいております。私どももそういうふうに認識をしております。  仮に、二度Cということになりますと、どういった今後排出量の経路というのが予想されるのか。イギリスの例についての御紹介がございましたけれども日本におきましても独自の研究というものを進めてございます。当然最終的に空気中にたまるCO2の量が問題でございまして、それをどういうふうに年次的に足し算していくかということは、いろいろな経路があるわけでございますが、国立環境研究所のモデルによります一つの研究成果では、まず濃度ベースでは四七五ppm、これは温室効果のガス全体でございますが、それ以下に抑えないと二度以上の上昇になってしまう。その四七五ppmで安定化させるということになりますと、これは世界全体の排出量でございますが、九〇年に比べまして二〇五〇年に国環研の研究では五〇%、そして二一〇〇年では七五%の削減が必要だというふうに言われてございます。    〔理事岡崎トミ子君退席、委員長着席〕  そういった大きな削減が要るということで、時間の関係で少しはしょらせていただきますが、一つは、イギリスと一緒になりまして、二〇五〇年、今申し上げました五〇%とかそういった大きな削減ということでございますが、それを実現するための、先ほどIPUのお話にもありましたバックキャスティングといったような方法も用いて、脱温暖化社会をつくっていくためのプロジェクトというのをつくって進めているということでございます。  これを更にアジア諸国にも広めていこうということでございまして、この六月には中国インド、タイ等々含めました二十か国の研究者を集めまして、国際的なシンポジウム、二〇五〇年に向けた脱温暖化プロジェクトのシンポジウムというものを開きたいというふうに思っております。  さらに、もう少しフォーマルなプロセスでいいますと、これ三点目の、外交的にあるいは政策的に長期目標作りなり、長期目標をどう生かしているかという最後の点についてのお尋ねでございますけれども、例えばCOP11の合意に基づきまして、今オンゴーイングでございますけれども、気候変動に対応するための長期的な協力の行動に関する対話という途上国そして先進国が交じった議論が行われておりますけれども、その中でも我が国からは、長期目標を作ること、そしてそれを達成するための道筋について議論をし合意をする、これが大事じゃないかというような訴え掛けもさせていただいているところでございます。
  92. 加藤修一

    ○加藤修一君 ありがとうございました。
  93. 市田忠義

    ○市田忠義君 CDMの制度というのは、途上国が持続可能な開発を達成し、先進国の持続可能な開発に貢献することを支援する、並びに先進国の約束の遵守、すなわち六%削減の国際的な約束の遵守を達成することを支援することを目的とすると、こうなっています。  そこでお聞きしたいんですが、政府が承認したCDM四十八件の中で、フロン破壊事業は何件で、何万トンの排出削減量を予定しているでしょうか。
  94. 小林光

    政府参考人小林光君) 現在、今もう政府が承認をしておりますCDM、JI案件、これのうちCDM案件は四十六件でございますが、そのうちに占める強力なフロン、温室効果ガスでございますフロンの回収・破壊事業、これはどうなのかと、こういうことでございます。  いろんなステージがございますけれどもCDM理事会に正式登録されている、あるいは登録申請中であるというものが四件でございます。これはすべてCDMでございます。そして、ホスト国の承認の審査待ちというものが一件でございます。これはJIでございますが、その都合五件がフロン回収・破壊事業ということが考えられます。そして、その削減量の総量、これはプロジェクト全体の期間を通じた合計量で申し訳ないんですが、一億五千万トン弱というような量になってございます。
  95. 市田忠義

    ○市田忠義君 わずか五件で物すごい数を占めるわけですけれども、そのフロン破壊事業のうち三菱商事と新日鉄が中国で行う事業、これ二〇一二年末までに何万トンの排出権取引量が発生するでしょうか。
  96. 小林光

    政府参考人小林光君) ちょっと足し算はあれでございますけれども、二〇〇八年以降、大体一千十一万トン年当たりということで聞いてございます。御指摘の件は、HCFCの22の製造工場から付随的に出てきておりますHFCの23という代替フロンでございますが、それが無用に捨てられているわけでございます。それが温室効果に付け替わっているわけでございますが、これを焼却施設において破壊をするというものでございます。  足し算をしますと、二〇〇七年七月からクレジットの発生が予想されておりますので、二〇一二年までの京都議定書期間でございますと、五千五百六十一万トンというような計算になろうかと存じます。
  97. 市田忠義

    ○市田忠義君 今おっしゃったように、五千五百万トンを上回る世界最大のCDM事業であります。  ちょっと分かればお答え願いたいんですが、この約五千五百万トンの排出権、これは新日鉄がその一部を購入して、三菱商事がCO2削減を必要とする企業に販売する、そういう計画になっています。この排出権量を現在の取引相場で計算すれば、およそどれぐらいの利益をもたらすことになるか、もし分かれば。
  98. 小林光

    政府参考人小林光君) 現時点でまだ発生していないクレジットでございますので、なかなか私どもとして推計は行ってございませんが、先ほど別の委員のお尋ねで申し上げましたように、例えば一トン当たり七ドルとか十ドルとかいったような値段で掛け算をしていただきますと、おおよその数字になろうかというふうに思っております。
  99. 市田忠義

    ○市田忠義君 一トン当たり例えば六ドルとすると約三百三十億円、今例えば七ドルだと、もう更に莫大な利益になるわけですけれども。  次にお聞きしますが、HFC23、これはオゾン層は破壊しないが温暖化係数が高い代替フロンですけれども、このHFC23の破壊費用、一トン当たり何ドルぐらい掛かるんでしょうか。
  100. 小林光

    政府参考人小林光君) これについての情報、私ども承知をしてございませんけれども、設備そのものの投資額といったものが、仄聞するところということになりますけれども、大体一千万ドル強というふうに聞いてございます。それにランニングコスト等々が掛かってくるのかなというふうに承知をしております。
  101. 市田忠義

    ○市田忠義君 HFC23破壊の削減コストというのは非常に安い、低いんですよね。それに比べて排出権取引相場というのは、先ほど定かではないけれども一トン当たり七ドル云々ということも言われている。すなわち、クレジットを売って莫大な収益を得ることになると。  そこで、私はお聞きしたいんですが、HCFCの消費量の凍結と全廃、先進国と途上国ではそれぞれ何年になっているでしょうか。
  102. 小林光

    政府参考人小林光君) これについてはいろいろ年号がございますけれども途上国については例えば二〇三〇年とか四〇年といったような物質ごとによった削減スケジュールというふうになってございます。また、先進国におきましては、例えば二〇一〇年といったようなことで削減スケジュールができてございます。  正確に申し上げますと、HCFC、一九九六年で凍結、先進国でございます。そして、行く行くは二〇三〇年で全廃ということでございます。それから、途上国では、先ほど申し上げましたように、二〇四〇年での全廃というのがスケジュールになってございます。
  103. 市田忠義

    ○市田忠義君 今言われましたように、先進国では一九九六年に凍結、二〇三〇年までに全廃と。途上国は二〇一六年までに凍結し、二〇四〇年に全廃すると。すなわち、先進国では生産できないけれども途上国では生産できる。このことが途上国へのHCFC22生産の移転となっているわけですけれども、HCFC22の生産過程でHFC23が副次的に生成される。このHFC23の破壊事業で莫大な利益を得ることができるわけですけれども、そういう莫大な利益を上げるために途上国で新規のHCFC22のプラントを立ち上げるということはあるんでしょうか。
  104. 小林光

    政府参考人小林光君) 御懸念の点は、CDM事業がゆえに地球環境に対する負荷が増えてしまうんではないか、こういうことだと思います。  まず、結論から申し上げますと、そういった事態というのは大変懸念をされますので、実際に例えば今のHCFCの場合でございますと、かねて作っていた量を超えた例えば生産をした場合に生じるクレジットというのは認めないというのがCDM理事会の結論でございます。そういった方法論で行いますので、あえて増産をして破壊量を稼ぐ、そしてクレジットを転売するということは考えていないと、こういうことでございまして、本件御指摘部分も、既に稼働している実はプロジェクトといいますか、HCFCの生産ラインでございますけれども、それのかねてより生産している量に見合った破壊量といったものだけがクレジットになってくるというふうに承知をしてございます。
  105. 市田忠義

    ○市田忠義君 そうすると、純然たる新規への事業はCDMというのは認められないと、既存のやつは可能だと、そういうことですか。
  106. 小林光

    政府参考人小林光君) この方法論というものがCDMの理事会で定められてございます。  これは、もう少し正確に申し上げますと、いろんな条件がございますが、御指摘のHFC23に関して言いますと、これに関する排出規制がない非附属書国におきますところの既存のHCFC22の生産設備から排出されるHFC23であって、かつ二〇〇〇年の初めから二〇〇四年末までの期間に最低三年間の運転実績があって、そしてそれの破壊、副生されます23の破壊の義務付け法令が存在していない、こういった状態ですと、既存設備からのHFC23は大気に出されてもしようがないと、こういうことになりますが、それを破壊するのに限ってクレジットを出すと、こういうことでございます。
  107. 市田忠義

    ○市田忠義君 もう一度お聞きします。端的にお答え願いたいんですが、莫大な利益を得る新規プラント建設に伴うHFC23の破壊に日本はCDM事業を適用するのかしないのか、これはいかがですか。
  108. 小林光

    政府参考人小林光君) これはほかの点にも共通する話でございますが、我が国としては、実際の排出削減に裏付けられた削減といったものを、ほかの排出量取引等もございますけれども、取得してまいりたいというふうに考えてございます。
  109. 市田忠義

    ○市田忠義君 これは、CDM理事会は今継続審議中の問題であります。ただ、昨年十二月の締約国会議では、先進国に対して、途上国におけるHFC23破壊事業はCDM以外の財源から資金支援を行うべきだと、そのことを奨励するということが言われています。  それはどうしてかというと、新規のHCFC22施設でのHFC23破壊で生じるクレジット発行というのは、HCFC22とHFC23の両方あるいはそのどちらかの世界全体の生産を増加させる可能性があると、CDMはそのような増加につながってはならないからこれは対象とすべきではないんじゃないかという検討がCDMの理事会で継続審議になっていると。私は、これはモントリオール議定書、すなわちオゾン層保護の規制、一方は京都議定書という温暖化対策、このモントリオール議定書京都議定書の二つの制度の矛盾でもあると思うんですけれども。  そこで、大臣にお聞きしたいんですが、環境省としては両方削減する必要があるわけですけれども、あるものを規制するためにあるものが増えるというやり方は一つの矛盾だと思うんですけれども、少なくとも、新規の破壊事業へのCDMの適用については慎重であるべきだというふうに私は思うんですけれども大臣基本的な認識はいかがでしょうか。
  110. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 先ほど来、局長からお答えさせていただいておりますように、このCDMの適用につきましては、CDM委員会で非常に厳格な審議などを行っていただいているところでございます。ある意味では、大変厳格なためにそのプロジェクトの認定というのがかなり滞っているというようなこともかねてより言われているぐらいでございます。  いずれにいたしましても、今御指摘ありましたように、このフロン類というのは、温室効果ガスであると同時にその多くがオゾン層の破壊物質であるという両面の見方がございます。そこで、先進国、途上国、それを問うことなくフロン類の破壊などによって排出削減を極力進めるということは、どちらの面から見ましても地球環境の保全の観点から意義が多いものであります。  したがいまして、今後、途上国でのフロン類の破壊などを含めた排出削減が着実に進められるようにしていかなければならない。そして、環境省といたしましては、京都メカニズム活用、それとモントリオール議定書に基づく多数国間基金というのがございます。これを活用することによって、遅れがちな途上国のフロン対策を積極的に支援するということで、総じて地球環境の保全に資するように我が国環境省としても努めてまいりたい、このような基本的な考えで進めてまいりたいと考えております。
  111. 市田忠義

    ○市田忠義君 NGOは、昨年十二月の締約国会議でも、例えば炭素固定や新規HCFC22施設でのHFC23破壊事業をCDM事業として認めることには基本的に反対だという態度を示しています。  ですから、新規のHCFC22の生産プラントでのHFC23破壊事業をCDMから除外するとか、取得できるクレジットの量に上限を設けるなどの対策を検討すべきだと思うんですが、これは環境省いかがですか。
  112. 小林光

    政府参考人小林光君) いずれにいたしましても、今大臣申し上げましたように、このオゾン層の破壊を防ぐということと温室効果を防ぐというのの両立、これは相矛盾するようなことはあってはいけませんので、今後のクレジットの取得に関する配慮事項、これはたくさんあろうかと思いますが、そういった中で慎重に対処していきたいというふうに考えてございます。
  113. 市田忠義

    ○市田忠義君 途上国でHCFC22の生産、消費を増加させるということは、途上国での全廃を遅らせ、これは凍結一六年で全廃四〇年ということですから、途上国での全廃を遅らせて国内規制導入を阻害する可能性があるんじゃないかと思うんですが、その辺はいかがでしょう。
  114. 小林光

    政府参考人小林光君) これは、実は既に衆議院では御審議を賜ってございますけれども、フロンの回収・破壊法という、また日本独自のシステムを私ども持ってございまして、モントリオール議定書では今御指摘のとおり生産規制だけすればいいと、こういう仕組みでございますが、私ども、これは実は議員立法でございますが、それではいけないということで、我が日本におきましては、そういったものでも回収、破壊していくということが国是となっております。  そういった考え方、そして技術を持っておりますので、こういったものをこれから中国とかいろんな国々に移転をしていくと。そのために、先ほど大臣答弁申し上げましたように、多国間基金というのがございますが、こういったスキームも活用して、二国間の回収・破壊プロジェクトの進展といったようなことに使ってまいりたいというふうに考えてございます。  また、次回御審議を賜りたいと思っております。
  115. 市田忠義

    ○市田忠義君 途上国のフロンメーカーがHFC23の回収・破壊設備を導入しなくなる、又はノンフロン代替への転換の私は阻害要因にもなりかねないと思うんです。途上国の持続可能な発展に寄与するといいながら、莫大な追加的利益を得るフロン破壊事業が進められると、逆に途上国での持続可能な再生可能エネルギー事業などが進まなくなる可能性があるんじゃないかと。  ですから、政府は、この途上国の持続可能性に貢献するクレジットを選択して取得すべきではないかというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょう。
  116. 小林光

    政府参考人小林光君) 元々、CDMプロジェクトができましたのも、途上国からの期待によるものでございます。ブラジルが提案をしたと、こういうことでございます。持続可能な開発に対する貢献というのは非常に重要だというふうに考えてございます。  ただ、我が国としてもクレジットを取得していかなきゃいけない。その中でどういった、例えばリスクのあるものを避け、また、なるべく国民の血税でございますから安いものを取得しと、いろいろ配慮することがあろうかと思います。その中で考えさせていただきたいと思います。  それから、若干、質問があった点ではございませんが、フロンの製造設備、中国にほとんど固まってございます、世界の半分ぐらいがそこにあるというような話もございますが。そういうことで、ほとんど、そういった意味では、それ以外のクレジットがこれから出てくるといたしますと、むしろ省エネプロジェクトとかそういった、今、市田委員御指摘のような、より持続可能な開発に資するプロジェクトクレジットというのがこれから出てくるんじゃないか、そういったものにも積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
  117. 市田忠義

    ○市田忠義君 先ほど岡崎委員からも指摘がありましたけれども、ドイツ政府やドイツ技術協力庁は、NGOのゴールドスタンダードのお墨付きをもらったクレジットを市場価格よりも高値で購入しているわけですね。ですから、やっぱり途上国の持続可能性に貢献するクレジットを選択して取得すべきだというふうに私は思います。  さらに、もう一問お聞きしたいんですけれども、CDMについては、実施予定地域が、ラテンアメリカが百三十九事業で五二・九%、アジア太平洋が百十事業で四一・八%というふうになっていますが、アフリカなどの地域がプロジェクトが来ないということが問題となっています。  そこで、日本政府として、こういう格差をなくす方向クレジットを買い取るプロジェクトを選ぶ必要があるんじゃないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  118. 小林光

    政府参考人小林光君) 今御指摘のとおり、現在のプロジェクトの起源となる国というところが大変アジアに偏っていると。これは、受入れ国の、そういったプロジェクトを受け入れる国の法制上の準備の状況とかということがございまして、今、アフリカでは受入れ側の準備遅れておりまして、現在、私どもが持っているデータでは、例えばアフリカは二%程度クレジットの起源にしかなっていないというようなことでございます。しかし、今後、私どもとして、なるべくクレジットがいろんなところから出てくること、これはいいことだと思っております。そして、供給量を増やし、優良なプロジェクトを選べるように、例えばフィージビリティースタディーとか、あるいはキャパシティービルディングとか、そういったことで力を入れて、地域に限らず、そういった供給量が増えるような、優良なプロジェクトの供給が増えるような取組というのはしてまいりたいというふうに考えてございます。
  119. 市田忠義

    ○市田忠義君 私が今日一番言いたかったのは、この日本の一・六%枠のクレジット取得のために途上国の持続的な発展を阻害するようなことがあってはならないと。莫大な利益を上げるために環境汚染物質を大量に生産する、そんなことのためにCDMを活用してはならないと。京都メカニズム活用というのは国内対策に対してあくまで補足性の範囲にとどめるべきだということが言いたかったわけです。  その点について改めて大臣認識を伺って、質問を終わります。
  120. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 御指摘のとおりであると思っております。  地球環境全体として、我が国環境省として、また我が国政府として何をすべきなのかの指針、今、持続可能な社会、地球環境保全という両面が満たせる、ナローパスかもしれませんが、そこの中で的確な選択をしてまいりたいと考えております。
  121. 市田忠義

    ○市田忠義君 終わります。
  122. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 国民新党・新党日本の会の荒井でございます。  先日、鳥取の鳥取大学でやっています乾燥地研究センターというものを拝見してまいりました。非常に、砂漠化に対しての原因、そして調査、それに基づく対策、そして人の育成ということをやっておりました。そのセンター長さんが、海外からも大勢の留学生が来ておりますと。その中で、特に砂漠化が進んでいる国々にとっては、どうして選んだんだとその留学生に聞いたら、砂漠化が進んでいる国々の留学生は、ステータスなんですと、日本ということももとよりなんですが、鳥取の鳥取大学の乾燥地研究センターで学んで国のために砂漠化対応していくのが私たち誇りであると、だから勉強に来ているんだというのを聞いて、非常に感激をいたした次第でございます。  そういう意味で、世界に貢献もしつつ、日本の独自の、先ほど来から御意見が確認的にもありましたけれども、いわゆる京都メカニズムというものの活用、これは国内対策が主であって、それを補足するものではあるということではあるんですが、非常に期待ができる、そうした発展途上国我が国が緊密に連携を取ったり信頼をされたり、相互補完をしてお互いに発展していくという一つのかぎを握っているんだろうというふうに思います。先ほどの市田先生のような御懸念も一方ではありますので、これらについては参考人やらあるいはまた別途お話をさしていただきたいというふうに思います。  そこで、まずエネルギーの面から見ていかなければならないと思いますので、通産省、来ていただいております。  アメリカですね、アメリカは石油とか石炭など化石燃料の大消費国ですけれど、どれぐらい化石燃料を国内で消費して、そしてどれぐらい供給面では海外からの依存に立っているか、これ一つです、数字で結構です。  それから、一方、日本は、その消費量、石油、石炭、化石燃料の消費量、国内消費量と依存度、改めてお聞かせください。  そして三番目は、そのアメリカですけれど、かなりの化石燃料を持っているはずなんです、自国に。仮に国内供給のみで、アメリカのですね、米国のエネルギーを賄うとしたら、現在の試算で何年程度もちますかと。  この点を一括して数字でお願いしたいと思います。
  123. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答え申し上げます。  まず、アメリカの石油、ガス、石炭の消費量でございますけれども数字で申し上げます。二〇〇三年の実績で、石油が十億七千百万キロリットル、それからガスが、天然ガスが六千四百億立米、石炭が八億八千五百万トンでございます。それで、これらの化石燃料につきましてのアメリカから見たときの輸入依存度でございますけれども、石油につきましては六五%、天然ガスが一五%、それから石炭は、実はアメリカは輸出をしておりますものですから、マイナス二%というような状況でございます。  それから、翻りまして日本の同じものについての消費量でございますけれども、これは最新の統計がありますので、二〇〇五年の数字を申し上げますけれども、石油が二億四千九百万キロリットル、それから天然ガスが八百五十五億立米、石炭が一億八千二百万トンでございます。これらの輸入依存度でございますけれども、かつては石炭は日本ある程度ございました。それから、天然ガスについても今も若干はございますんですけれども、いずれをとりましても、ほぼ一〇〇%に近い輸入依存度になっております。  それから、米国のその賦存が結構あるはずなので、仮に全部を輸入に頼らないでやったらどうなるかということでございます。先ほどアメリカも輸入もあるというふうに申し上げましたのであれでございますが、大胆に、経済性でありますとか、あるいは生産設備でどれぐらい使われるかということはちょっと度外視しまして、単純に埋蔵量を念頭に置きまして消費分で考えますと、石油につきましては四年、それから天然ガスについては八年、それから石炭につきましては二百四十六年分の賄うだけの量があるということでございます。
  124. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 そうした大国であるアメリカが京都議定書からこれ離脱しているわけです。一方では、アメリカは、世界に対して様々な分野で民主的な、あるいは市場経済的な意味でのオープンで同時にグローバルなそうした制度等も要求をしているわけですね。じゃ、復帰の見通しというのはどういうふうになっているのかなどと単純に思うわけです。  外務省にまずお尋ねをしたいわけですけれども、これはもう今回の温対法的な話でいえば、常に外務省、経済産業省環境省と連携を取っていただいて三位一体でやっていただいているわけですけれども、三者にお尋ねしたいんですが、なぜ京都議定書から離脱したのか、改めてお聞かせください。そして、復帰の見通しはないのか。この点について、政治面あるいは経済、環境、そういったものに多少言及があっても結構ですけど、総合的な背景や見通しについて外務省の見解をお聞かせください。
  125. 辻優

    政府参考人(辻優君) お答え申し上げます。  今委員御指摘ございましたとおり、アメリカは京都議定書参加しておりません。累次我が国等から働き掛けは行っておりますけど、その状況に変化はございません。  米国がなぜ参加をしておらないかということにつきましては、一つは、途上国中国とかインド等大変主要な排出国があるわけでございますが、そういう途上国削減義務を免除していることが一つ、それから、米国経済に深刻な影響を与える可能性があることが二つ、それから三点目でございますけれども、こういう削減目標の設定の仕方等が科学的な知見が必ずしも確かじゃないと、こういうことを説明しております。  累次働き掛けをしてきておりまして、明確な復帰の見通しを申し上げることは困難でございますけれども、正直に申し上げて、なかなか難しいのではないかとは思っております。
  126. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 米国が自ら排出削減努力をしないで日本やヨーロッパ諸国等が一生懸命排出努力をするというのは、普通に考えましても不公平であると、このように思うわけです。  その不公平な観点でいきますと、経済産業省お尋ねしたいんです。いわゆる高いコストを払うようになるわけですね、設備であったり生産工程に様々な排出抑制の措置を施すわけですから。でき上がった製品とかサービスというのは高く付くはずなんです。我が国の産業、企業の国際競争力というのがコストの面で不利だと思うんです、アメリカと比較して。経済産業省の見解はいかがですか。
  127. 深野弘行

    政府参考人深野弘行君) お答えいたします。  確かに御指摘ございましたように、こういったものへの取組につきましては、設備投資なりあるいは新しい技術の開発、こういった相当な努力が必要になるわけでございます。一方、こういった取組は、生産プロセスのエネルギー効率の改善あるいは新しい製品の開発、そういった面で寄与する側面もございまして、長い目で見て産業の競争力強化に資する点もございます。  我が国は、石油危機以降、省エネルギーへの取組あるいはエネルギー関連技術の開発と製品の開発、こういったものに大変取り組んでまいりまして、この結果、日本の主要産業のエネルギー効率はアメリカなどと比較して非常に高い水準にございます。また、自動車、家電製品を始めとして、省エネルギー性能が非常に優れていて、それが競争力に寄与している、そういったものもございます。あるいは太陽光発電のシステムなどは世界の半分を日本が生産する、そういうことになっておりまして、結果としてそういった技術が日本の成長力の源泉の一つになっていると、そういう面もございます。  私どもといたしましては、京都議定書目標達成への取組が産業の競争力強化につながるように、経済と環境の両立を目指して、技術開発の推進あるいは特に削減効果の大きな技術の導入促進、こういったものに取り組んでいきたいと、そのように考えております。
  128. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 環境に配慮することは災いではない、これはいい。人間として、あるいは当然の私は配慮すべきことだと思いますが、あえて皮肉的に言えば、自らを枠をはめたという災いを転じて、その中であのオイルショックから離脱したように、創意工夫、技術、日本人、日本の持っているものを入れたら解決できたではないかというようなことでプラス思考のお話をされたんですが、一方、アメリカはやってないわけですよ、ダブルスタンダードだ、いつもこのような話をしているわけですね。  そこで、外務省にもう一点お聞かせください。小泉総理の五年間、この間で、知識があればで結構です、なければ結構ですから、この五年間で、批准をしたらどうですか、京都議定書にと、ブッシュさんとそのようなやり取り、会談何遍かやっていますが、この京都議定書についての批准をすべきだという話は行われましたか。御記憶にある範囲でいいです、なければまた後日お願いします。
  129. 辻優

    政府参考人(辻優君) お答え申し上げます。  済みません、今手元に資料がございますが、ちょっと大部でございますのでざっと拾い読みさせていただきますと、二〇〇一年に行われました日米首脳会談でブッシュ大統領に小泉総理が働き掛けを行っております。また、二〇〇二年に行われました日米首脳会談においても同様の働き掛けを行っていると承知しております。  最近はまたいろいろな形で、こちらにいらっしゃいます小池環境大臣からアメリカに対して、それからつい最近では二階経済産業大臣からアメリカに対して、いろいろなレベルでの働き掛けを行っております。
  130. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 この温対法の考える場合の課題というのは、結果的には環境政策であり、エネルギーの安定供給にもつながることであり、そして経済に新たな力を呼び起こすものでもあるんですね。そうした複眼的な、総合的な、包括的な観点からこれらを考えなければならないということなんだろうというふうに思います。  そういう中でいきますと、エネルギーの面で、先ほどもお話がありましたけど、一〇〇%近く我々は化石燃料等は輸入依存しているということです。これは安全保障上非常に不安定というのはだれもが分かるわけです。そういうときにアメリカは、たった四年分ではありますが、自国の石油などはこれは全部掘ってないんです。掘ってなくて、何といいましょうか、これをまだ自分たちの万が一のために取っているとも言えるわけでございまして、こういったことの戦略も取れるのがアメリカなんですね。  今日、チェイニー副大統領とロシアのプーチンさんがかなり、間接的でしょうが、やり合っているというふうなことが国際ニュースで流れております。結局、裏には石油を始めエネルギーというものの背景があって、その中でいわゆる非人権国家、そういった国に対して、ロシアであれば旧ソビエト連邦の国家に対していろいろな人権を含めて圧力を掛けているじゃないかと、そしてアメリカはアメリカでそれを批判しているという言い方をチェイニーさんは言った。そうしたら、今度はプーチンさんの方は、何だと、アメリカも全く人権に配慮していない途上国の国の大統領等をホワイトハウスに招いて歓待しているではないかと、まあこんなような趣旨のように承ったんです。背景はエネルギーです。石油というものが非常にそこに存在している。今の、我々、一リッターでも百四十円ぐらいに今なっちゃっています。  こういったものを考えますと、環境の面ではありますが、極めて日本の安定供給という、世界のエネルギーの安定というものに非常にかかわってくるという政策だと思います。CDMというところに、私はそこを非常に期待したい。発展途上国に対して、補助的ではあるけれども、補完的ではあるけれども日本が発展途上国のそうした環境に対しての対応をすることによってクレジットを取得できるという、そういうやり方、市場原理に似ているところの不安があるのは後ほど申し上げますが、別途、このやり方というのはそれだけの議論の中で出てきたものではあるなというふうに感じておるわけなんです。  そこで、資源エネルギー庁にはどのようにその安全を高めていくかと、エネルギーでということをお聞かせいただきたいと思いましたが、時間の都合がありますのではしょらしていただきまして、いずれにしましても、そういった課題を持って一つのヒント、手掛かりが環境を通じて出てきたというのが今度のメカニズムだと、私はそのように解釈をしているわけでございます。  大臣お尋ねをさせていただきたいと思います。  このように、天然資源が少ない我が国であります。高い設備あるいは生産工程に係る技術、あるいは省エネとか代替エネルギーというような技術や、それに伴う人材というのがいるわけであります。こういう力というものを国際社会の中で大いに発揮していくということが実は日本らしい、アメリカのような一面ダブルスタンダードではない、真正直な私は国際貢献の仕方ではないかと。それが環境、緑の安全保障、あるいは環境の安全保障という形で総合的な安全保障につながるんじゃないかと。お互いの国々が紛争することも、そういった緑の力、助け合うということによって賄われてくるんではないかと。  最近は人間の安全保障などという言葉もあるようでございますけれども我が国が果たすこうした今回のCDMを含めた取組というのはすごく大臣も一生懸命やっておられ、また前の長官もいらっしゃいますけれども、そういう中で培われてきた日本がやっぱり世界に胸を張って、しかしそれは自分だけがいいという意味ではなくて、各国の、先ほどの島根の砂漠化の研究センターに砂漠化した国の留学生が喜んで、誇りに思って、ステータスなんだと言っている。  長い話になりましたけど、大臣の、こうした我が国の国際社会での安全保障的な考え方から大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  131. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) ただいま隣から島根には砂漠はないとおっしゃる声が聞こえてまいりましたけれども……
  132. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 あっ、鳥取でございました。済みません。
  133. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) エネルギーと環境に絡めてのお話であったかと思います。  非常に省エネに対してのコストが掛かるので、我が国は競争力がその分マイナスになるんではないかというお話ではございましたが、先ほど経産省の方からもお話ございましたように、結果として、今我が国の例えばハイブリッド車などが世界でも大変ブームを起こしているということから、その逆で、GM、フォードというアメリカの産業の横綱であるところが格付でも非常にマイナスの評価を受けているというようなことを見ても、我が国のエネルギーがないがゆえに、そこから研ぎ澄まされて出てきた省エネ技術というものが我が国の国際競争力を維持している、若しくはリードしているという現実、これは正に我が国の今置かれている立場、また将来世界における戦略を築く上での大きな柱になってくるのではないかと思います。  日本におりますと、とかくあれ駄目これ駄目と言って自虐的になりがちでございますけれども、これだけ地球の中において様々な天然資源に恵まれた大国がもう多々ある中におきまして、わずか三十七万平方キロメートル、一億二千万人の人口でありながら世界第二位の経済大国であるという現実をもう一度我々は見るべきではないかと思っておりまして、むしろそこで自虐的になるよりは、我が国を支えているこういった環境力をどうやって世界に広めていく、またそれが我が国の、最近はやりの言葉で言うならば国家の品格という言葉がありますけれども、それを高めるには、環境とエネルギーとこの両方の観点を、力を持った我が国のこの存在をどのようにして世界に広めていくのか、それが大きなポイントになろうかと思っております。  現在、財政諮問会議の方でグローバル戦略ということを検討されているわけでございまして、せんだって環境面の対外戦略といたしまして、特にアジアということをその対象といたしましてアジア環境行動パートナーシップ構想ということを提案をさせていただきました。時間の関係で詳しくは御説明いたしませんけれども、六つのアクション、具体的なアクションなども盛り込ませていただきまして、我が国から特にアジアに向けて発信をしていく、それは省エネ技術などの技術力であったり、クールビズも含めての発信を進めていくと。また、人材の育成、鳥取の砂漠の件ではございませんけれども、そういったことも含めて貢献をしていくと。総合的な戦略としてこれから我が国から発信をしてまいりたいと、このように考えている次第でございます。  それから、アジアだけではございませんけれども、エコ・アジアも毎年開催をしているわけで、その積み重ねもばかにならないものがあろうと思っております。  それから、私、環境大臣になりましてからいち早く取り組んだことを今思い出したんですけれども、アラブの環境大臣日本に呼びまして、日本・アラブ環境大臣セミナーというのを開いたことも思い出すところでございます。  アラブという産油国なども多い地域でございますけれども、彼らも環境技術として日本に大変熱い目を向けているわけでございまして、こういった環境を通じた各国とのつながりというのは、広い意味で安全保障にもつながってくるのではないかと、このように考えるところでございまして、環境力と省エネを含めたエネルギーの力、これこそが日本の大きな柱になってくると、このように確信をしているところであります。
  134. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 国家の品格と環境力、大臣のいい言葉だと思います。そして、それが安全保障にもつながると、自らのみならず世界に貢献する安全保障になると、こういう感じがいたします。  そんな中での懸念もあるわけです。それは、例えばこのCDMというのを解説しているものによれば、先進国の政府機関、企業などが資金や技術を提供してホスト国、途上国において共同でプロジェクトを実施する制度であると、こういうことを言っているわけですが、実際には技術移転が必要なんです。資金というのは金で買うことができるんですね。共同出資をして、それでCDMの場合はある事業をやるところに出資もできるわけですから、金だけ出して後はクレジットするということですね、こういうことじゃいけないわけです。技術を移転する人を育てる、そして同時に、そうしたお金で買い取るというようなところはやめていかないと、大臣がおっしゃる品格の部分に大きくマイナスでしょうし、日本を信用するという力の安全保障も働かなくなる。何だ、商売じゃないかと、こういうようなことにならないようにしていかなければならないなと、このように考えるわけでございます。それだけに、アメリカには早急にこれは入っていただくようにしなきゃいけないと。このようなことを引き続き大臣からも、また総理もおっしゃっていただきたいとお願いをいたします。  結びになりますが、鳥獣は島根だったものですから、砂漠まで島根と鳥取間違っておりまして、お許しをいただきたいと思いますが、結びに、政務官お尋ねいたしますけれども、開発途上国環境の問題というのは深刻で、日本の役割も御協力申し上げるというところも一杯ある。それはお互いさまです。そのことになります。環境保全について、発展途上国環境保全についてどのような支援をしていくか、手短にお願いいたしたいと思います。
  135. 竹下亘

    大臣政務官竹下亘君) これまで例えば支援あるいは援助という言葉を私たちはよく使ってきておりますが、私は、環境問題についてはやっぱり地球共同体だと、共同作業だと、協力だというふうなとらえ方で進めていくことが正に国家の品格につながる一つの道ではないかなと、個人的ではございますが考えております。  そういう中において、ODA大綱の中でも重点項目として、開発途上国における環境問題の取組推進していこうということも国家の方針として大綱の中に書いております。また、中国インドネシア、エジプトなどに環境センターというものを設けておりますが、そこを通じた協力、あるいは先ほど大臣がお話をさせていただきましたが、エコ・アジア、アジア・太平洋環境会議、このことを通じて開発途上国環境管理の改善に取り組むと。もう本当に様々なことをやっていかなければならないと思いますし、そうした世界に貢献する国家であると、これはもう正に安全保障にもつながると思いますが、そういう意識の下に、環境分野での協力を推進して持続可能な開発の実現に貢献していきたいと、このように考えております。
  136. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 ありがとうございました。
  137. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時四十七分散会