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2006-03-16 第164回国会 参議院 環境委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月十六日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月九日     辞任         補欠選任  ツルネン マルテイ君     足立 信也君      和田ひろ子君     広野ただし君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         福山 哲郎君     理 事                 関口 昌一君                 橋本 聖子君                 岡崎トミ子君                 鰐淵 洋子君     委 員                 狩野  安君                 西田 吉宏君                 真鍋 賢二君                 足立 信也君                 大石 正光君                 小林  元君                 広野ただし君                 加藤 修一君                 草川 昭三君                 市田 忠義君                 荒井 広幸君    国務大臣        環境大臣     小池百合子君    副大臣        環境大臣    江田 康幸君    大臣政務官        環境大臣政務官  竹下  亘君    事務局側        常任委員会専門        員        渋川 文隆君    政府参考人        総務大臣官房総        括審議官     荒木 慶司君        経済産業省商務        情報政策局消費        経済部長     谷 みどり君        環境大臣官房長  西尾 哲茂君        環境大臣官房審        議官       坪香  伸君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    由田 秀人君        環境省総合環境        政策局長     田村 義雄君        環境省総合環境        政策局環境保健        部長       滝澤秀次郎君        環境省地球環境        局長       小林  光君        環境省水大気        環境局長     竹本 和彦君        環境省自然環境        局長       南川 秀樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○環境及び公害問題に関する調査  (環境行政基本施策に関する件)  (公害等調整委員会業務等に関する件)     ─────────────
  2. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る九日、ツルネンマルテイ君及び和田ひろ子君が委員を辞任され、その補欠として足立信也君及び広野ただし君が選任されました。     ─────────────
  3. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  環境及び公害問題に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務大臣官房総括審議官荒木慶司君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 環境及び公害問題に関する調査を議題とし、環境行政基本施策に関する件及び公害等調整委員会業務等に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 橋本聖子

    橋本聖子君 おはようございます。自由民主党の橋本聖子でございます。  大臣始め副大臣、そして政務官に御質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず、京都議定書の件について御質問をさせていただきたいというふうに思いますけれども、地球温暖化防止を目指す京都議定書が発効して一年が経過をいたしました。そして、昨年七月には主要国首脳会議、十一月にはモントリオール会議ということで、各国が目標達成に向け努力することが合意をされたわけであります。  我が国は、二度のオイルショックという経験を経まして、官民挙げてエネルギー利用率効率を高める努力を続けてきた結果、先進国中最高の水準、エネルギー効率を図っているということで大変な努力を重ねてきたわけでありますけれども、それゆえに九〇年比六%削減目標達成というのは大変厳しい状況にあるのではないかなというふうに思います。  今まで本当にそういったエネルギー利用効率を高めるということにおいて、例えば水の含まれたぞうきんでいえば、絞り切ったところからまた更に絞ることをしなければいけない。ほかの国をそういった意味で比較するのはどうかというふうには思いますけれども、水がじゃぶじゃぶと浸されているようなぞうきんを絞るのとでは、同じ六%、全然違うんではないかなというふうに思うわけなんですけれども。  そういった厳しい状況下に置かれている日本でありますが、今後の状況と、また今の、現在の状況と、これから見通しについて改めて政務官からお伺いをしたいというふうに思います。
  7. 竹下亘

    大臣政務官竹下亘君) おはようございます。  確かにマイナス六%というのは我が国にとりましても決して容易な数字ではございませんが、環境立国を目指すという我が国の気位の高さ、精神的な高さを示す意味でも、何としてもまず達成をして次のステップに進んでいかなければならない課題だと、こう考えております。  そうはいいましても、現実には二〇〇四年度の温室効果ガス排出量、これ速報値でございますが実質七・四%増加しておりまして、マイナス六%との間の乖離というのは一三・四%と、これは本当に決して容易な数字ではないなと実感をいたしております。  今、この六%の削減約束達成に向けまして、昨年の四月に京都議定書目標達成計画というのを閣議決定をいたしました。その中に、低公害車省エネ機器の普及や物流効率化等による省エネルギー推進、これが一つであります。そして、太陽光発電燃料電池バイオマス利用などの新エネルギー導入、これが二つ目であります。三つ目が、国民運動チームマイナス六%の展開であります。そして四つ目、森林の整備保全などの対策を盛り込んでおるところでございます。これらの対策が確実に実施をされれば六%削減約束達成は可能だというふうに考えておりますが、それを可能にするための施策が本当に十分であるかどうかというのは、これからも細心の注意と思い切った対応をしていかなければならない。環境税の創設を含めまして、これから対策実施を確保するための予算措置、その他の施策強化というものをどうしても図っていかなければならないんではないかなと、こう考えております。  また、こうした施策強化の一環といたしまして、今国会には京都メカニズム活用基盤整備するための温暖化対策推進法の一部改正法を提出さしていただいております。これによって一・六%分のマイナスを確保しようという、それを確実なものにしていこうという法律でございます。そしてもう一つは、業務用冷凍空調機器からのフロン類回収及び回収率を向上させるためのフロン回収破壊法の一部改正案も提案をさせていただいております。これらの法案の早期成立に向け、慎重かつ迅速な御審議も併せてお願いをさせていただく次第でございます。
  8. 橋本聖子

    橋本聖子君 七・四%プラス六%ということで結局一三・四%の努力が必要ということは、もうマイナス六%だけでも大変な努力が必要という中で、一三・四という数字はこれは並大抵の努力ではなかなか到達できないんではないかなというふうに、それに近づいていくための更なる工夫ですとか、そういうことも含めて必要になってくるんだなということを改めて感じているわけですけれども。  クリーン開発メカニズム排出量取引利用することが必要な方策だというふうにはもちろん思いますけれども、まずは国内排出量をできる限り削減してしっかりとこの足元を固めていくべきではないかなというふうに思います。  モントリオール会議においても、我が国途上国に対しまして削減義務への将来の参画を呼び掛け、アメリカに対しても温暖化防止への協力を強く要請したと。これは大変すばらしいことといいますか、もっと評価されるべきではないかなというふうに思います。その努力大臣始め環境省皆様方に敬意を表させていただきたいというふうに思います。  これまで我が国は数々の公害と闘って、それを克服しながら経済の成長を続けてきた実績というものがありますけれども、公害対策における高い技術力国際貢献をしていくことはもっともっと可能なはずですし、またそれがこれからこの我が国日本におきまして最も重要なことではないかなというふうに考えます。今後、我が国温室効果ガス排出量世界最大であるアメリカをどのように京都議定書に戻すのかと、そういった道を探る努力というもの、そしてまた、途上国ということでインドですとか又は中国、そういった国が京都議定書から今逃れているわけでありますけれども、そういうような国に対して技術協力共同開発というものを進めていくこと、更には排出権取引などの仕組みを工夫して更に充実をさせていくこと、本当にやるべきことが一杯あるというふうに思うんですけれども。  私は、環境先進国として環境外交主導権をこの日本がしっかりと握って、そしてその国際貢献というものも含めてその力を発揮していかなければいけないときだというふうに思っているんですけれども、そのことについて副大臣からお考えをお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  9. 江田康幸

    ○副大臣江田康幸君) 橋本先生指摘のとおり、今後の、米、中、インド等CO2排出大国を始めすべての国が参加できる実効ある枠組み、これを構築することが大変に重要な課題でございます。  先生の御指摘アメリカは依然この京都議定書に参加しない方針を変更しておりません。我が国はこれまで様々な場において、先ほどもありましたように、アメリカ政府に対して議定書の批准を働き掛けてまいりました。また、日米のワークショップの開催等も通じましてそれを続けてきたわけでございます。  中国インドなど排出量が多い途上国に対しましては、まずは日中韓の三か国大臣会合等小池大臣の方からも積極的な取組がなされていますし、また日中、日印間での二〇一三年以降の気候変動枠組みに関する非公式対話も行われております。  さらには、クリーン開発メカニズム、CDMに関する人材育成とかフィージビリティースタディー、このフィージビリティースタディーなどを通じてこの地球温暖化防止のための対話対策を行ってきたところでございます。特にこのフィージビリティースタディーにおきましては、廃棄物管理とか風力、熱回収酸性雨対策黄砂対策等のプロジェクトを事業調査として開始しておりまして、そのようなフィージビリティースタディーを進めてきているところでもございます。  一方、多国間の取組としまして、昨年末にモントリオールで開催されましたCOP11又はCOPMOP1におきまして、米国や中国インドなどの途上国を含むすべての国が参加する長期的な行動に関する対話の開始が合意されるという成果を得たところでございます。  今後、これらの二国間の働き掛けも引き続き行いながら、この対話プロセスも活用して、すべての国が参加する実効ある枠組みに向けて全力で努力してまいりたい、そのように思っております。
  10. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございます。  短期、中期、長期といった観点でしっかりとそういった努力を続けていらっしゃる内容というものを確実に前に進めていっていただきたいというふうに思います。  環境分野での初のノーベル賞を受賞したケニアのマータイ環境相が来日をされた際、もったいないという言葉世界に広げたいということをお話をしていただきまして、日本人としてこのもったいないという言葉を使っていただいたということを大変誇らしく、うれしく思ったわけでありますけれども、かつて生活文化であった我が国のもったいないの精神、これ私たちは今どのように受け止めたのかなというふうにそのときにつくづく感じました。もう使い捨てというものが当たり前であったり、飽食の時代と言われますけれども、食べ残しがある、物をそれほど大事にしなくなってしまった、そういったようなことを感じたときに、このマータイ氏の言葉を、もったいないという言葉、もう一度日本人の心に取り戻してくれたなといううれしさと同時に、今の日本生活、そういったものの違和感というものを同時に感じていたわけでありますけれども。  そういうときに、小池大臣が、もったいないふろしき、またもったいないバッグというような利用などの活動をもっともっと広げていこう、みんなにそういった意識改革も必要なんだということの国民運動を広げていただいたということは、本当に、そういったもったいないという言葉と、そしてまた今私たち生活のこの状況、実態というものの違和感を取り除いてくれたんではないかなというふうに、正に機を見て敏のそういった大臣の即実行に移された行動に対して、私自身も一緒になって国民運動的な展開をしていかなければいけないなというふうに思ったところなんですけれども。  今、よく最近使われるマイレージなんですけれども、飛行機の場合のマイレージはたまればたまるほど特典があるということでいい方に使われるんですけれども、フードマイレージというのがよく使われるようになりました。そのフードマイレージというのは、食料が生産をされてそして人々の口に入るまでのその距離、量と距離というものを計算をした、そのことをフードマイレージというふうに今言われているんですけれども、二〇〇一年度で何と日本は、数字を聞いただけではどのぐらいのものか分からないと思うんですけれども、食料自給率カロリーベース四〇%というような日本においては、これは莫大な輸送エネルギーを大量に消費しているということで、九千億トンキロという世界最大なんですね。  そういうことを考えると、その食料を多く輸入しているということだけでも温室効果ガスを発生して環境に大きな負荷を与えているというようなことになるんですけれども、この指標をほかの国と比べてみますと、我が国は何と、欧米や韓国、お隣の韓国に比べて三倍から九倍と突出しているということで、輸入食材安全性の問題からだけではなくて、やはり環境負荷観点からもあらゆる面から見直すべきだというふうに考えられるわけなんですけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
  11. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 御指摘のとおり、我が国フードマイレージというのは世界最大、第二位の韓国が約三千億トンに比べまして、その三倍という大きさとなっております。  逆にまた、こういった観点も含めまして、最近は地産地消ということも意識されるようになりました。一方で、この運輸部門地球温暖化対策につきましては旅客と貨物輸送からの排出削減が重要であるということ、これは認識をいたしております。そのためには、国内では荷主と物流業者連携した物流効率化などの対策を進めているというところでございます。  それから、このフードマイレージ、特に日本の場合は海外から輸入してくるというところでかさんでくるわけでございますけれども、それをCO2排出という観点国際貿易に伴う排出という観点で見ますと、これは現時点においてはどの国でどのように計上するかのルールが実はまだ定まっておりません。現在、ICAO、国際民間航空機関、これは飛行機の方ですが、それから船の方はIMO、国際海事機関でございますが、このルールについて検討はされているというところでございます。  いずれにいたしましても、この運輸に伴ってCO2排出する、そしてまたそれを削減していこうということは重要な課題でありますので、今御指摘がございましたフードマイレージなどの考え方については、貨物輸送からの排出削減を図るという上での一つ指標になると考えております。こういった考え方から、国際的な検討状況も見ながら、国際貨物輸送という観点からの排出削減方策について検討してまいりたいと考えております。  それから、カロリーベースで四〇%というお話がございましたけれども、もしこの出されている食料を、食品をしっかり食べて余り食べ残しをしないとなると、そのパーセンテージが五割、六割に上がるということも聞いたことがございます。その意味では、それこそもったいない精神で残さないというのも必要なことかと思いますけれども、ダイエットとの関係もございますけれども、やはり食料というのは本当に有り難いものであるという認識を広げていく意識改革も重要であろうと、このように思っております。
  12. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございます。  やはりこれは、環境という問題は国内だけではなくて、世界はもちろんですけれども、地球規模宇宙規模で私は考えていくべき大きな問題だなというふうにいつも思っているわけなんですけれども、まずは九〇年比六%削減目標達成に向けて何よりも大切なことというのは、やはり国民にいかにこの環境問題というのが深刻な問題かということと、それを理解をしてもらわなければいけない、その理解をしてもらわない限り、私は環境税というものの導入も大変な苦しいものになるんだろうなというふうに思います。  今のフードマイレージ、農水省また経産省といった取組も必要になってくることですし、また、やはり小さいころからの環境教育ということを考えてみれば、やはり文科省への連携というものも当然必要になってくるわけです。  そういった意味では、この環境というものには、環境省主導権をしっかりと握って、各省庁との連携もしっかりと持ちながら是非取組をしていただきたいというふうに思いますし、また、今、政務官からもまた大臣からも環境税導入も含めた考えというのをお聞かせいただいたわけでありますけれども、やはりこれは小池環境大臣がしっかりとした考えの下で先頭を切って世界貢献というようなことも含めてお考えを示し、そしてやっていっていただかない限り私は難しいのではないかなというふうに思っておりますので、是非強い信念、そしてその持ち前の行動力というもの、アイデアというものを生かして頑張っていただきたいなというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。  大臣、最後に環境税について、その意気込みがもしありましたら、お聞かせいただきます。簡潔に。済みません。
  13. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 京都議定書公約達成ということについては、あらゆる手段を総動員していかなければならないと思います。その意味環境税というのは非常に有効な手段一つであると考えておりますので、広くその御納得をいただけるように、またその効果をお示しできるように理解を深めてまいりたいと、深めてかつ広めていきたいと、このように思っております。  いろいろと御激励をいただきまして誠にありがとうございます。しっかり取り組みたいと存じます。
  14. 橋本聖子

    橋本聖子君 終わります。
  15. 大石正光

    大石正光君 民主党の大石正光でございます。  大臣所信表明に対して質疑をさせていただきたいと思います。  ちょうど環境庁ができてから今日まで約三十五年になると思われます。その三十五年を振り返って、一体環境行政がどうだったのか、その辺から御質問させていただきたいと思います。  ちょうどその当時は、人間の命というものを大事にする、大変な水俣病や四日市ぜんそくという、大気汚染水質汚濁という人間の健康問題から環境という問題の庁が発足をいたしました。しかし、それがクローズアップされただけじゃなくて、やはりもっと自然を大事にするという、尾瀬という大きな問題が大変国民話題になりました。そして、その話題を中心に一生懸命いろいろやってきたはずであります。  しかし、それから三十五年、こうして尾瀬や自然を守ろうという環境庁の姿勢を振り返ってみると、何か三十五年前の尾瀬よりもむしろ今の尾瀬の方が悪くなっているとしか見えてこないわけであります。その点、環境省としてどういうふうに考えるのか、まずその点をひとつ是非大臣に御質問したいと思います。  本来人間が守るべき自然を人間が勝手に利用して、そして破壊をしているというふうに見えませんでしょうか。大臣、いかがでございますか。
  16. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 環境庁、そして今環境省でございますけれども、環境省役割というのは非常に大きいものがあると思います。それはまず、日本の置かれているというか、日本が位置している状況、例えば南北に長いとかそれから四方を海に囲まれた国であるとか、その意味で、今も桜前線がどんどん伝わってくるわけですけれども、北海道まで、北方領土と言った方がいいのかもしれませんけれども、そうやって桜の前線がずっと伝わるのにも何か月も掛かるぐらい、本当に日本の自然というのは多種多様になっているその一つの現れではないかと思いますし、その分自然環境に恵まれていると、このように思います。豊かな自然環境を保全して、そしてそれを次の世代に確実に引き継いでいくということは、環境庁発足以来、現在の環境省にも課せられた大きな責務であると思っております。  それと同時に、私たち一人一人はこの日本において生かされている、また地球において生かされている、生態系の一員であるということでございまして、また自然を生存基盤としているんだということを改めて認識する必要があろうかというように思います。  今、尾瀬お話がございました。いろんな観点から、例えば、多分後ほど御質問があろうかと思いますけれども、富栄養化が進んでいるのではないかというような御指摘などもあろうかと思います。しかし、尾瀬に限らず、今世界自然遺産など各地でお認めをいただいているところでございますし、そういった自然を守っていくということはまさしく環境省としての役割一つであり、またそれを引っ張っていくのが私の立場であろうかと思っております。  また、自然のみならず、環境庁発足してから三十年余りでございますが、これまでやってきたことを改めて申し述べる機会だということからお答えさせていただきますと、まず、それまで各省庁にばらばらに分散していた例えば公害の問題、公害防止に関する事務、それを環境庁発足することによって一元化をしたということがございます。それから、自然環境の保護と整備という観点も、その分野環境庁発足して加わったわけでございます。そして、それらの基本的な政策の企画であるとか立案、推進、そして関係行政機関との調整総合調整という役割を担って発足した、一九七一年のことでございます。  その後、省となるまで、今申し上げましたように従来からの産業公害であるとか自然破壊といったような問題だけでなくて、生活排水であるとか自動車排ガスなど、産業公害だけでなくて、我々の生活に伴って生ずる公害、それから地球温暖化海洋汚染などの地球環境問題、つまり国内問題だけでなくて地球全体で環境問題を解決していこうということでございます。  それから、化学物質による環境リスクであるとか生物多様性の減少といった新しい問題など、環境問題がますます地球的になるに従いまして、またそれをリードする形で環境庁環境省時代からもう地球という大きな取組をさせていただいたわけでございます。時代の変化もございます。そういった流れに対応して施策の総合的な推進を図るということから環境基本法を制定した、これが九三年でございます。そして、その翌年に初めて環境基本計画というのが取りまとめられたところでございます。  これまでの、何をしてきたかという御質問でございましたので、振り返ってみて、また大石先生の御尊父でありますこれまでの大石長官始め、そしてまたあちらにも名長官がおられますけれども、それぞれの方々が一生懸命この環境ということに取り組まれてきた、それが積み上がって現在の環境省があると、このように考えているところでございます。  また、国民の期待も大きいものがあるということをしっかりと受け止めまして、これからの環境行政ということを引っ張ってまいりたい、また皆様方の御理解もよろしくお願いを申し上げたいと存じております。
  17. 大石正光

    大石正光君 大臣から、三十五年間の環境行政に対してお答えをいただきました。  確かに三十五年前と今とはまるっきり違って、環境というものに対する国民考えがまるっきり違いました。そういう意味では、環境には金が掛かるし、自然を守るべきであるということは、日本人として、世界でもほとんど皆さん御理解をいただいているわけでありますから、環境行政、三十五年前と比べればよっぽどやりやすいだろうと言われております。しかし逆に、多くの人が関心を持てば持つほど逆に言えばやりにくいということもあるんではないかと思います。  特に、尾瀬という自然の象徴にある日本の山、自然の湿地帯、それが三十五年前から比べるとまるっきり形態が変わっているということを大臣はお答えをいただけませんでしたので、私の方から、その実例の写真と、そしていろいろ資料を、委員長に御了解いただいて是非提出をさせていただきたいと思います。  しかし、委員部に話をしましたら、それを全部、五十部用意しろと言われました。五十部一々コピーをするんでは、五百枚のコピーをしなきゃなりません。五百枚のコピー代が私、用意できませんので、委員長に御了解いただいて、二部作成をいたしました。そして、その二部の一部は写真があります。しかし、この写真はコピーできませんので、是非持ち回りでごらんになっていただきたい。それ以外は二部を用意しましたので、是非両側からお願いをさせていただきたいと思います。(資料提示)  ここにあります大きな写真の中で、実は尾瀬と言われれば至仏山、要するにあの象徴的な山が一つの大きな形になります。  今、いろいろ地域の皆様が一生懸命、山の荒廃、登山道が非常に荒廃をして岩だらけになっている、その山の登山道の修復をしようということでいろいろと多くの皆様が努力をし、群馬県に依頼をして実態調査をすることになりました。その実態調査をした結果が平成十六年の資料として出ておりまして、そして、その中で写真が一杯あるわけであります。その写真を見ながら、いかに多くの人が道路を歩くことによって自然破壊を増やしているということがはっきりと分かるわけであります。  そして、この自然破壊が進んだ登山道を付け替えるという一つの大きな方向性が出てきたようでありますが、その方向性がまだ具体的に、環境省として具体的にそれを実行するという話が何も出ておりません。  その点、大臣にはそのことをどのようにお考えになっているか、是非お答えをいただきたいと思います。
  18. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 大石委員から御指摘がございました至仏山でございます。これにつきましては、御指摘のとおり登山道、さらにその周辺の植生が変化をしております。また、土壌の侵食も問題になっております。  そういったことから、平成の初め、平成元年から平成九年まででございますけれども、尾瀬ケ原から至仏山に登る登山道については通行止めにいたしました。その間、十年ほどでございますけれども、土壌の流出防止、あるいはそこに草を植えると、そういった植生の復元を図ってきたところでございます。  そして、今御指摘の付け替えの問題指摘でございます。これにつきましては、平成十四年から群馬県も含めて関係者が協力して緊急対策会議というものを開きまして、そこで調査検討を行ってきた、その中で、その一つの案としてその登山道の付け替えを検討課題にしてはどうかということが出されたわけでございます。  これにつきましては結論は出ておりません。様々な意見ございますので、私どもとしましては当然、環境省もこの緊急対策会議のメンバーでございますので、群馬県始めとして広範な関係者おります。よく相談をして、これからは至仏山をどういう形で保全をしていくかということについて検討をしてまいりますし、修復については当然ながら絶えず行ってまいりたいと考えております。
  19. 大石正光

    大石正光君 自然は人間が入れば入るほど破壊をしていくとよく言われております。そして、結局は、尾瀬が美しい自然であればあるほど多くの皆様がそれを見たい、そして気持ちを感じたい、そういう逆に関心を持たれることがその破壊につながっているということだと私は思います。  そういう意味では、至仏山、大変な、写真を見てごらんになっていると思いますけれども、非常に見られたもんではないような自然であります。是非とも、環境省の指導の中で、群馬県が一生懸命前向きで調査をしたという具体的なひとつ調査結果を踏まえて、入山の制限やそして様々な意味での施策を是非やっていただきたいと思います。  次に、皆さんのお手元にある、実は尾瀬のパンフレットがあります。このパンフレットの中にこのような木道が実は大きく写っております。  皆さん、尾瀬に行かれた方がほとんどであるからよくお分かりだと思いますが、鳩待峠からずっと山を下りていって突然視野が開けたところに尾瀬湿原が見えてまいります。そこには当然ニッコウキスゲやミズバショウ等が広々とした中できれいに咲いて、本当に美しいなという感じを肌で感じてまいりました。それだけに、より多くの皆様が一杯実はそこを訪れるわけであります。  ところが、そこを歩くのは木道であります。その木道は、よく話を聞きますと、当時、尾瀬湿原に東京電力がその水源を確保したり、その地域を保全するために単なる管理道路として木道を付けられたという話でありますが、それは実際に本当のことなんでしょうか。ちょっとそのことを教えていただきたいと思います。
  20. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 尾瀬の木道のルーツでございますけれども、これは、私どもも実は調べましたが、古くからの踏み跡だと言われています。古くは、会津から上州に抜ける場合のショートカットをする際に、尾瀬の比較的歩きやすいところを歩いたというようなことも言われていますし、また猟師の方が歩いたと。結局その中で比較的歩きやすいところを選んだようですけれども、やはりぬかるみがあるということで、その部分を中心に木道を引いたということでございまして、何か決して特定の会社の管理のためではないというふうに承知をしております。
  21. 大石正光

    大石正光君 私も実際に行ってみました。湿原を見やりますとちょうどど真ん中に木道が一杯あります。そして、木道の中を人が一杯歩いております。どの事業でもどの仕事でも、やはり一番いい場所にその人間が行っている。すなわち、自然の景観を壊していることにつながってくるわけであります。  特に最近は、見てみますと、木道が非常に幅広いスーパー木道と言われるような形で、非常に幅広い木道が、本当に今までの二倍も三倍も広い、歩きやすいというだけの話で木道が敷かれて、それを尾瀬林業や皆様方が一生懸命自慢をして話をしております。  私も実際に行ってみて、そのビデオテープで木道の話をされました。雨が降って湿原が水があふれると、水路を渡る橋がある、橋が洪水で流されて、流された中に人がいて、一生懸命また橋を同じ場所に据え付けようと努力をしている。普通一般考えたら、それは場所、位置を変えて木道を造り替えたっていいはずであります。ところが、そのスーパー木道で今度はもっと幅広く高くしましたから絶対流されません、そういう話でありました。  私は、それを聞いてがっかりしました。自然を守っている人たちが自然を破壊していることにつながっている。すなわち、人間がより多く入るようにし、便利なようにすること自体が自然を壊しているということの基本的なことが分かってないんじゃないか、私はそう体で感じました。  それだけに、その木道というものが、なぜ環境省が、ただかつて人が歩いた、造りやすい場所に造ったそのものを自然破壊と思わないんだろうか、そして自然の景観を壊すというふうになぜ思わないんだろうかと環境省の職員に私は話をしました。そうしたら、何と言ったと思いますか。ただ笑ってるだけで一言も答えてくれなかった。本当に聞いてて情けなかったと私は思います。  普通一般考えたら、その自然のすばらしいど真ん中の場所をより多くの人に見せてもらうために、自然破壊を外して、もっと山側の湿地帯の外れとか、その川の水が増水しない場所に移設をして、その自然を守るのが環境省の姿勢ではありませんか。それを、今見たように、このようなど真ん中にこんな大きな幅のものを上から見たら、一体だれが自然がすばらしいと思うんでしょうか。  その基本的な姿勢がなぜつくれないんですか。私はそのことをいつも言い続けているけれども、残念ながら何も答えてくれなかった。だから私は、大臣所信のこの委員会で申し訳ないけれども、そのことを是非質問したいと思って取り上げました。  どのように考えるか、お答えください。
  22. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 私自身は、かつて大石委員長委員視察をされましたときに、尾瀬に同行いたしました。ただし、今のような話は実は初めてお伺いをしたところでございます。  私ども、尾瀬の木道についての基本的スタンスでございますけれども、核心地に踏み込んでいるということでございますけれども、やはり実際に尾瀬を味わいたいという方はたくさんおるわけでございます。その中で、湿原の踏み荒らしなどへの環境の影響を避けるためには、やはり木道は必要だというふうに思いますし、それが尾瀬の魅力に接するということの一つの大きな方法だと思います。なかなかそれ以外の方法で利用していただくことはかえって尾瀬環境破壊になるんじゃないかというふうに思っております。  もちろん、その湿原の保護ということに配慮しながら、また利用者が適切な形で尾瀬とどうやって触れ合っていただくか、そういったことも念頭に置きながら、整備ということを考えていきたいと思います。
  23. 大石正光

    大石正光君 局長、私の質問の内容よく聞いてないんじゃないんですか。  木道が駄目だとは言っているんじゃないんですよ。木道をなぜ自然をもう少し守るような外れの方に移さないかと言っているだけの質問でありまして、木道を歩くことは湿地帯では当然必要なことだと思ってます。  しかし、あなたのお答えは、木道は必要だと言っているだけで、私が質問した、なぜ移設をしてもっと自然を破壊しない場所に移さないかと言っていることに対しての質問の答えには何もなってない。そこの基本的なことの考え方が、違いが、結局このように表れるのではありませんか。  大臣所信の中で、世界遺産である屋久島や白神山地、知床、それをすばらしさを述べられました。そして、かつては尾瀬湿原も同じように言われてきたではありませんか。そのすばらしい自然を維持するためにどのようにやったらいいかという基本的な考え方が何も示されない。ただ来場者が一杯来ればいいというその便利さだけやっているんであれば、この白神山地も、屋久島も、知床も、多分同じように自然破壊につながってくるんではありませんか。  私は、自然の厳しい知床や尾瀬、その厳しい自然の中で生きている動物、植物がそれだけ必死になって生きている姿で、春になったときにその花のすばらしさや自然のすばらしさがあるからこそ、我々はそれを見て感動し、そしてそれに触れようと思って行っている、そういうことではありませんか。それをなぜ、多くの人に見せるという破壊の方向に向かってやっているのか。  環境省の姿勢は、守るという、自然をできるだけ守りながら共存していくという言葉で言われているではありませんか。地球環境もあり、そして自然との共生を図っていく、その言葉と今の言った言葉はまるっきり相矛盾するんでありますけれども、さっきの質問に対してちゃんと答えをしてください。
  24. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 私も、尾瀬にとどまらず各地で自然の活動、これはエコツーリズムも含めて、自然保護運動も含めて、多くの方にお会いをしております。その中で、特に尾瀬について申しますと、尾瀬についても様々な活動が行われまして、いろんなところで話を伺います。  ただ、全体としますと、木道をしっかりした形で、いかにそこから湿原に人をあふれさせないかということについては御指摘を受けますけれども、全体としましては尾瀬自身の利用者は一番多かった時期の半分程度になっております。そういう中でむしろ、いかにその木道をしっかりして湿原を荒らさない形で見るようにするかということでの御指摘はよく受けますけれども、今の木道が特におかしいとか、場所を移設して核心地には入れないようにすべきだということについては、私自身はそれが大きな意見だとは思っておりません。  それから、やはり現在ある場所から移したときに、果たして夜陰に紛れて湿原の真ん中に入ることが本当に止められるかどうか、そこも疑問ございますし、私自身は、この問題の責任者としては、現在の尾瀬の木道の維持しながら、そこからの湿原への、何といいますか、踏み込みをいかに止めるかということで尾瀬を守り、かつその適正な利用を進めていきたいと考えております。
  25. 大石正光

    大石正光君 局長のお考えですから、それは大臣に改めて最後に御質問して、考え方をお聞かせいただきたいと思います。  そして、さらに大臣所信の中で、外来生物の防除事業をするという、要するに、魚やいろんな様々な外来動物が入ってきているから、それを除去しようという仕事をしようということも書いてありました。ところが、その中に外来植物の除去というものは入ってないんですね。  要するに、尾瀬沼ではいろんな資材をヘリコプターが運んで、そしてその資材に全部、種や草が一杯付いてくる。すなわち、いろんな峠の入口では靴に付いている、登山道に付いているいろんなあれを除去してもらって、一生懸命払ってもらって一生懸命入っているけれども、しかし、今いろんなキャンプ場や様々な建設をしているときに、ヘリコプターで突然資材が上から降りてくる。そうすると、その中にいろんな種や植物が来て、帰化植物があっちこっちに非常に大きな影響を及ぼして、尾瀬の自然形態を壊しているという話を新聞にも随分書いてありました。  しかし、いろんな話を聞くと、もしそういうことになれば、一生懸命それを除去するために努力をしている人が一杯いるんですね。その地域の一人には、一つは橘さんという親子が一生懸命自分たち生活している地域の中で、周りの草を一生懸命雑草を取って、その地域には帰化植物がほとんどない、そういうことをやっているわけであります。  ですから、そういうことを守るために、やはりいったんトラックで基地に運ばれた資材が、結局は、その木材を例えば水とか蒸気で洗浄すれば少なくともそれは多少は防げるという、そういう努力をしてできるだけ帰化植物が地域に入らないようにすることも私は当然必要だと思うわけであります。  ちょうど環境というものが様々の中で、ちょうど私、もう五、六年前になりますけれども、衆議院の環境委員長をしておりました。しかし、そのときに、世論の形成の中で、要するに新しい自然をもう一回取り戻そうと、すなわち、自然を破壊し過ぎたから、それを自然を元に戻すために、せめて三十年ぐらい前の自然に戻すために自然再生推進法を作ろうという話が出てまいりました。  そして、その話が具体的になって、その話を法律として達成をすることになりました。しかし、そのときに多くの専門家からいろんな意見を聞きました。しかし、その専門家の中で、私はすばらしいなと思った一つの記憶があります。それはヨーロッパやアメリカであります。すなわち、自然を破壊してやったことを自然に戻そうというときに、その自然は自然のままで残す。日本のように自然を人工的に作って自然に戻すのではなくて、自然に放置をして自然に戻すということであります。  今、ヨーロッパの各地ではあちこちの国立公園が一杯点在しております。しかし、その国立公園に住む動物は、鳥ならば渡り鳥で渡れるけれども、動物は渡れません。かつて人間がほとんど生息してなかったときには、それぞれ動物が行きたいときに自由にえさを求めて要するに歩きました。しかし、動物は自分の歩いた道というのは大体分かっていて、我々が一般的に言う獣道という形でその道ばっかり歩きます。その道を、我々人間が道路を引いたり結局家を建てたりして、全部ふさいでまいりました。そのために動物は孤立をして、その中で暮らすしかなくなった。  ところが、ヨーロッパの多くの人たちは、その各地の公園、国立公園の端をつないで、それを一つの獣道のような形で、人間が邪魔しなくて動物が自然にここを、多くの公園をどこにでも歩けるような大きな、二キロぐらいな幅広い道路を全部つなぐことに一生懸命やってまいりました。そして、人間はそれを地下に潜ったり上に上ったりして決して邪魔しない、そしてすべて自然のままに残すと、そういう自然の再生のやり方をしているという。最初に聞いたときに、私は、ヨーロッパの人間すばらしいものだなと私はつくづく感じました。  日本環境行政のお粗末さ、日本人の意識のお粗末さ、自然に対する意識が非常に少ないということをつくづく感じて、環境という言葉を言うことが恥ずかしいなと思うくらいに実はなったわけであります。  自然再生推進法は、実は自民党の谷津義男君が一生懸命自民党をまとめて、環境省と農林水産省と国土交通省を一つにして、そして新聞に、要するに新しい地交金に対する地方のいろんな工事をするためのいろんな事業の形を変えてやるんではないかと言われたことを私は変えるために、環境省が中心になって国土交通と農林水産を傘下に置く仕組みにしたいと頼みました。彼はそれをまとめて、環境省を頭にして、その下にやるということになりました。  しかし、それを具体的に細かい規約を決めたら、農水も国土交通も、何で環境の下になんなきゃなんないんだって必ず言われる。だから、まず網をかぶせようじゃないかと言って、実は委員長提案でしたんです。ところが、最終的に共産党の反対でそれが全会一致にならなかった。そのために次の国会でそれが成立をしました。  しかし、そういうようなことをやったときに、私は今それを利用した環境省の姿勢が何も見えない。むしろ、国土交通や農水が上手にそれを利用して予算を使っている。私は環境省が一体これをどのように利用しようとしていたのか姿が見えないんですけれども、大臣はそれを実際に決断をされて実行されたことが幾つかおありでしょうか。
  26. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 幾つかお話がございましたので、最後の部分だけお答えさせていただこうと思います。  自然再生事業、御承知のとおり、今地域の方々との協議会を作るということで進んでいるところでございます。例えば、釧路湿原の再生事業ということの第一回の協議会発足のときに私は立ち会ったというか、そこにも視察にも参りました。  今、静かな形でこの自然再生事業が各地で広がりを見せているということでございますし、また地元の納得というか、地元の方針を決める中には一朝一夕にでき上がるというものではございませんし、むしろ自然再生事業に余りに急ぐということは、これは自然再生事業のそもそもの魂の部分に反するのではないかと思っております。  こういった形で、自然を守っていこうという各地域のその熱意がこれから集積をし、また先生が谷津先生始めとする皆様方と心を込めて作られましたこの自然再生事業法が適切に用いられるということを希望をいたしているところでございます。
  27. 大石正光

    大石正光君 大臣いろいろありがとうございます。是非そういう面で努力をいただきたいと思います。  実は、昨年、いろいろ環境省努力をして、ラムサール指定地を指定条約国会議の中で増やされました。そして、この日本でも尾瀬がラムサールの指定地として指名をすることになりました。  ところが、かつて指名された宮城県で伊豆沼という沼があります。東北で二番目ぐらいになった地域でありますが、その沼が非常に汚染がひどくて、大変、ワーストファイブに入るくらい沼の汚染がひどい地域であります。そして、今、私は絶えず主張しておりますけれども、多くの閉塞的な沼や池に対しては外部からの水、人間が使用して浄化した水でも決して入れるべきじゃない、私はいつもそう主張してきました。アメリカやそういう国は全部その周辺に下水をやって必ずやっている。  ところが、その沼に、少し小高いところに汚水処理場があって、汚水処理場から水が全部そのど真ん中に水が流し込まれます。ppmは少なくなりましたというけれども、たまり水にどんどん流しています。ところが、すぐそこの横に下水があるんですね。そこに流せば自然に川に流れていくのがあるんです。  ところが、さらに、そこに今度は温泉を掘ろうという話になりました。ラムサール指定地に温泉の旅館を造るという話であります。ところが、地域が反対しても、町ではそれを許可して宮城県に提出をされました。ところが、いろいろ調べていくと、ラムサール条約の指定地ではそういうことを規制することが何もないんですね。  尾瀬沼も、先ほどお話しのように尾瀬沼が大変汚染をされた。周辺の小屋の人たちがいろんな廃棄物や廃油を捨てることによって富栄養化になって、そしてどんどんどんどんいろんな魚が増えて、形態がまるっきり変わってくる。すなわちそういう自然を、ラムサールの指定地や、その特別指定地域に人間が、意図的ではないにしても、便利に利用して破壊している地域があります。しかし、それは、今のラムサール条約や環境省の姿勢ではそれを規制をできないという形があるわけでありますが、その辺は、局長、何かそういう方法というものはないものなんでしょうか。
  28. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 伊豆沼でございます。これは全国で二番目に、非常に早い時期にラムサール条約の指定湿地になった、登録されたわけでございます。それで、これにつきましては、国指定の鳥獣保護区特別保護地区ということに指定をされております。したがいまして、森林伐採等の地域内でのその行為については規制がされておるわけでございます。  ただ、当然ながら、その周辺になりますとそういう規制が行き届かないということがございます。今回問題となっておりますその温泉につきましても、その周辺で温泉を掘削したいということで、今、知事の判断がこれから待たれているところでございます。  私どもとしましては、全体としまして六千ヘクタールの集水域を持つ伊豆沼でございます。これについては、この生態系については、地域の人々の生活、あるいは土地利用と密接に関係をしております。これが全体として賢明に保全され利用されるということが大事だと思っておりまして、私どもとしては、その生態系について外来種対策もやっておりますし、また水鳥がずっと生息できるように、しっかりモニタリングをやっていきたいというふうに思うところでございます。  温泉につきましては、正直言いまして影響がよく分かりません。したがって、これについては十分その水鳥の状況をウオッチして、本当に影響が出るとなれば、また将来的な対応も可能でございます。現状のところは、自治事務ということで温泉法によって知事さんが判断すると思いますので、そこは知事の判断を待ちたいと。その上でモニタリングをしっかりして、必要があれば将来的に必要な意見を言っていきたいと考えております。
  29. 大石正光

    大石正光君 結果が出てから話をしたんでは自然は破壊されてしまいます。  かつて環境省は、自然が破壊される可能性あるから止めてきたのが本来環境省のスタートじゃないんですか。その基本的な考え方がまるっきり違っている。あの当時は、要するに、経済発展ですべて産業界が言って、通産大臣がべらぼうに大きく反対したのに、環境省はそれにストップをした。すなわち、おそれがあるからそれを止めるんだといってやってきた。その基本的な姿勢で、国民に姿勢は向いていたはずであります。  しかし、今の話を聞いたら、結果だけでやるならば環境省なんて要らないんじゃないんですか。特に温泉で考えてください。塩素が入っていますね。温度が違いますね。一般常識から考えて、水温が高くなって塩素が入ったらどうなりますか、塩害で。そこから考えただけで、今のお答えには私はならないと思うんですね。  もう時間もありませんけれども、大臣がいろいろ所信で言われた、二十一世紀の地球環境考える上において、それぞれ、脱温暖化社会の構築、そしてまた循環型社会の構築、そういう言葉をひとつ述べられてこられました。  当然、日本地球社会の一員として当然のことである、むしろ遅過ぎるぐらいであります。特に地球温暖化法案は京都議定書と言われるように日本が舞台になって作ったことでありますから、是非大臣、大いに声を大きくして、今度こそ是非積極的に進めていただきたいと私は思います。  しかし、今いろいろ質問をした中で、多くのことがあります。一体、環境省の自然に対する基本理念って何なんでしょうか。その基本的な考え方がどのようになっているんでしょうか。まるっきり理念に基づいたものは何もない。ただ迎合して、マスコミや世論に迎合してやっているだけで、国民に対して指導して、こうあるべきであるという提案をしながら指導する姿勢が何もない。このことは、国際社会の一員として地球のことばかり考えればいいということではなく、むしろ自分の足下の日本の自然を守っていくことが地球の自然を守ることにつながっていかないんですか。日本の自然を破壊することは地球破壊することにつながっていくことにはならないんでしょうか。どんな優秀な人でも、どんな人でもある程度になってくるともう一回自分の基本に振り返ります。あのオリンピックのフィギュアスケートの荒川さんだって、あれだけ苦労しながら、フィギュアの基本のスケーティングに、基本に必ず戻って、もう一回やり直したからこそ金メダル取れる大きなスタートができた。アメリカの大きな野球の選手であろうとピッチャーであろうと、必ず原点に戻って一生懸命基本をもう一回にらんで、自分が果たしてそれにきちっと直っているかどうかやりながら、もう一回スタートしている。  環境省だって同じだと思うんです。これだけ日本が求められていると訴えている大臣の所信の中で、なぜその基本に戻った姿勢をきちっと示して、これらの小さなことではあるけれども、小さなことが第一歩であって、大きなことにすべてにつながる原点だ。その原点をきちっと是非とも実行していただかなければ、世界に誇る環境省なんてまるっきりない、日本人として恥ずかしい思いをするだけだと私は思う。  是非、もう時間がありませんから、是非大臣にこのことに対して、全般的で結構ですから、是非お答えをいただきたいと思います。
  30. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 先生のお考え、拝聴させていただきました。  御激励と受け止めまして、しっかりと努めてまいりたいと考えております。
  31. 大石正光

    大石正光君 私の持ち時間はあと二分になりました。  実は、いろいろ御質問の中で、実は容器包装リサイクル法ということも是非質問したいと思っていました。それぞれリデュース、リユース、リサイクルという、私も前にペットボトルのことでそのリサイクルのことを質問したことがありました。この法律案が改めて出てまいりますから、私は、時間がありませんので、そのことは後で質問するとして、その質問をお願いした皆様に申し訳ありませんが、ひとつ御理解いただきたいと思います。  最後になりましたが、今回の委員会に私出たときに、私はつくづく今の仕組みは古い体質だなということを感じました。さっき言われましたように、資料を配付するときに、例えば十枚の資料ならば全部五十部印刷をして回さなきゃならない。私は、委員全員に回せばいいんじゃないか。いえ、それでは困ります、五十部用意してもらわないと駄目です、じゃなきゃ出せません。写真を見せるときになったら、写真をコピーしてください、そう私は言われました。誠に、いかに古い体質であり、現実を無視した今の事務的な仕組みかということを感じました。  先日の国際問題調査会に行ったときに、議員が、野党で座っていましたら、一人一生懸命後ろを歩いている議員がいる。おれの席がない、おれの席がない。どうしたのと言ったら、いや、おれのたしか委員会だよな、調査会だよな。席がないって言うから、かわいそうだから、いいよ、譲ってあげるよと譲って僕は戻った。委員部がおろおろしている。どうなったか分からない。後で聞いたら、いすが一つ足りなかっただけの話であります。毎回同じメンバーが来るのに、こんなお粗末であります。こういうお粗末を今の参議院の委員部は各委員会でやっている。いかに後れているかということを痛切に感じました。  この委員会ではいろいろ質問しませんけれども、是非委員長に私はお願いしたい。それぞれの委員会委員長が必ず集まったときに、今のそういう仕組みをきちっと改めるようなことをちゃんと国会改革の中でしていただきたい、その提案を是非委員長にしていただきたいことを私からお願いをして、私の質問を終わります。
  32. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 委員長としては、今の提案、しっかりと受け止めさしていただきたいと思います。
  33. 足立信也

    足立信也君 民主党の足立信也でございます。  私が用意しました質問の前に、大石議員の環境保全に対する熱い思いにつきまして、ちょっと一言申し上げます。  私は大分の出身ですから、昨年、ラムサール条約の登録地に竹田市から玖珠郡にかけてタデ原湿原と、くじゅう坊ガツル、ここが登録されました。昨年、その記念式典があったんですけれども、そこで記念講演をされた九重の自然を守る会の会長の、嶋田会長の言葉をちょっと申し述べたいと思います。  彼は二十分の予定を、環境省の方の到着が大幅に遅れたために四十分間講演されて、その中で彼がおっしゃったことは、単なる観光地にしてはならない、積極的に湿原に入り、山に入り、積極的に守ることが環境保全なんだと、このことを訴えておりました。積極的に人が加わっていって守れるんだということを力説されておられました。このことだけはお伝えしておきたいと、そのように思います。  それでは、私の質問に入ります。  大臣所信において述べられた個別の政策の中で、最初と最後に触れられました石綿に関することと、それから水俣病に関すること。まず、水俣病についてです。  大臣は、水俣病訴訟は、すべての水俣病被害者が地域社会で安心して暮らしていけるよう対策を進めると、そのようにおっしゃいました。  私が用意しました資料①をごらんください。  左から説明していきますが、まずその青は申請件数ですね、認定の申請件数。それから、茶色と黄色が重なっております。茶色は認定件数、黄色は棄却件数です。ちょっと復習になるかと思いますが、順を追って言います。  昭和四十四年に救済法、そして四十六年に事務次官の通知、医療費の自己負担分はきちんと見るということですね。この条件としては、疑わしきは認定するという考えだったと私は解釈しました。  昭和四十九年に公健法ですね。それから、五十二年に環境部長通知の判断条件というのが出ている。条件としてはかなり厳しくなったと、認定に関しては厳しくなったと、そのように思います。  それから、昭和五十三年から臨時措置法、これができまして、その後、これは内容としては国へ申請替えができるということなんですが、その後、認定件数は、茶色の部分ですね、かなり減っていって、棄却件数が増えているように見えます。  そして、平成七年、三党合意、これで一万一千人の方が救済を受けたと。救済を受ける方は、紛争はそこで終結するということになったわけですね。ここで政治解決を選択しない方が五十九名ですか、いらして、この方が訴訟した関西訴訟、この最高裁判決が平成十六年の十月に出たと。その後、申請件数が急増して、現在三千六百七十一人、これは今年の二月現在ですね。お気付きのように、認定件数、棄却件数ともにゼロという事態となっております。  まず、この現実をどのように認識されているかということをお聞きしたいと思います。
  34. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今御質問というか御指摘の中に既に触れられたところでございますけれども、改めて整理させていただきます。  平成十六年十月に水俣病関西訴訟の最高裁判決で国及び熊本県の責任が認められたということでございます。このことにつきましては環境省として真摯に反省をし、謝罪を行ってまいりました。そして、その後、関係者との協議を経まして、平成十七年の四月七日の段階でございますが、今御質問にもございましたように、すべての水俣病被害者の方々が地域社会の中で安心して暮らしていけるようにするための施策といたしまして、「今後の水俣病対策について」という施策を公表し、そして現在推進をしているところでございます。  一方で、最高裁判決以降に、お配りになられましたこのグラフで示されるように、水俣病認定申請を行って行政処分のなされていない方々、二月末現在で、数字で申し上げますと三千六百七十一名となっております。これには熊本県そして鹿児島県の認定審査会委員の委嘱が行われていないということがございます。そして、これら認定申請者の方々について行政処分が進まない状況というのが現在の背景になっているわけでございます。  国といたしまして、この認定審査業務を早期に、また円滑に実施するということは大変重要な課題考えております。できるだけ早期にこの認定審査会を再開するということであるとか、健診体制の確保ができるように、引き続き熊本県そして鹿児島県と協力して取り組んでまいりたいと考えております。  それから、せんだって、三月の九日に自民党の方で水俣問題小委員会が開かれました。そして、そこにおきまして、国においても認定審査業務を行えるようにするために、議員立法で水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法というのがございますが、臨時措置法と短縮して言われているところでございますけれども、これを改正を目指すべきと、目指すということになったと伺っております。  この臨時措置法に基づきまして、国の審査会は県の審査会と連携をいたしまして審査を行うということになるものでございまして、法改正がなされれば国と関係する県が一致協力いたしまして水俣病の認定審査に当たると、このようになると考えているところでございます。
  35. 足立信也

    足立信也君 質問の一と二をまとめてお答えになったような感じだと思いますが、繰り返しますね。  まず、この資料は、環境省の方からこれ数値で全部いただいたのを、それでは分かりにくいので私がグラフに直したものです。数値は環境省からのものです。  今の御説明で委員の方々は分かりにくいんじゃないかと思いまして、私なりに分かりやすく説明したいと思うんですね。  国及び県に賠償責任はあるんだと最高裁が認めた、これはおっしゃっていました。そして、もう一つは、メチル水銀中毒症に起因すると推認できる準拠を示した。これが大きかったわけですね。で、住民は、メチル水銀中毒症のその基準ですね、準拠を満たせば水俣病に認定されるのではないかと判断して、申請者が急増したわけです。ところが、審査する医師側としては、水俣病の判断条件、五十二年の判断条件を用いるべきか、あるいはメチル水銀中毒症の準拠を用いるべきか、非常に当惑しているんだと思うんです。そして、審査そのものへの関与を今ちゅうちょしているという状況です。  昨年二月二十八日の衆議院予算委員会分科会で、この五十二年の判断条件を見直すことは考えていないと、これ環境省が答弁されております。そして、今、大臣の答弁にございました臨時措置法、自民党の中で検討されている。これは、この私が出しました資料の昭和五十三、四年から平成八年までずっと書いてあるここの部分、この期間をまた設けるというような趣旨だと私は聞いております、正確ではないかもしれませんが。先ほど言いましたように、認定件数がぐっと減って、棄却件数がぐっと増えているように見えます。ということだけ付け加えておきます。  そして、もう一度、これから考えられる、まあ臨時措置法も含めて考えるということですが、現実の対処をしなければいけない立場に行政府としてあると思うんですけれども、これはもう方法としては、先ほどおっしゃったように国が関与して半ば強制的に処分内容、行政処分内容を決めるか、あるいは認定基準を見直すかと、その二つしかないと私は思うんですが、先ほどの答弁でもあったかもしれませんが、今後はどちらの方針、あるいは別の方針を選ばれておるのかと、もう一度だけ確認したいと思います。
  36. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 先ほどお答えさせていただいたところでは、国の認定審査の、審査会の再開ということを今自民党の方でお考えいただき、また与党としてこの後お考えをまとめていただくことになろうかと思います。  今、御質問は、その審査会での審査を進めるという観点と、それから、認定の見直しを、判断条件の見直しをするのかどちらかだということでございますが、そのお答えといたしましては、今回の判決そのものが公健法の認定基準としての五十二年判断条件の見直しということを要請したものではなく、すなわちこの判断条件を見直すということについては考えておりません。これは昨年の分科会での答弁と同じでございます。  また、国として、行政としての責任を果たすということから、最高裁判決、そして平成七年の政治解決がございましたけれども、これらを踏まえて、先ほど申し上げましたように、今後の水俣病対策ということについて取りまとめをさせていただいた。個々の対策については関係地方公共団体とも協力して着実に推進をしていく、これが今の国の姿勢でございます。
  37. 足立信也

    足立信也君 審査する側からの立場から考えると、メチル水銀中毒症の準拠がもう最高裁から出たと。これによっていくべきなのか、判断基準によるべきなのか。メチル水銀中毒症であって、メチル水銀への暴露歴、つまり大量に魚介類を摂取したとかいうことがあれば、これはメチル水銀中毒症の患者であって、水俣病だと考えてこれはある意味当たり前かなと思うんですね。ですから、審査する側は非常に迷っている、困っているんじゃないか、これが現実だということだけ指摘して、あとは次回に私譲りたいと思います、この件はですね。  ところで、ちょっとこれ余分なことかもしれませんが、被害を受けたと感じて認定申請をして、認められたら認定、認められなかったら棄却と言うわけですね、その両方をまとめて、これ法律用語でしょうが、処分と言う。被害者が申請をして、今度は処分されるんです。何かこう、ぐさっとくるような日本語ですよね。これは法律用語なんでしょうが、私、このグラフにも環境省の言われるとおりに処分件数と書きましたけれども、非常に心苦しいですよ。被害を受けたって方が申請をして、今度処分かと。これは何とかならないでしょうかね。
  38. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 法律用語というのは、えっと思うような表現が時々あるものでございます。これは法律全体の言葉としてどうあるべきかを考えていく必要があろうかと思います。  それからもう一点、もう一度ここの点を改めて先ほどの判断条件について明確にしておきたいと思うんですが、五十二年判断条件に関しては、水俣病の関西訴訟の最高裁の判決で、高裁判決において、五十二年判断条件は、公健法の水俣病認定要件として、これとは別個に判断準拠を示して、先ほどから御指摘ありますメチル水銀中毒症としての損害を認めたということはそのまま踏襲されているということから、今回の判決は公健法の認定基準としての五十二年判断条件を見直しを要請したものではない、そして、その判断条件の見直しということについては考えていない、この点をもう一度明らかにしておきたいと思います。
  39. 足立信也

    足立信也君 次回へ譲ると先ほど言いましたけれども、最高裁の判決では、あえて水俣病という言葉を使わなかったのは、水俣病患者と称すると水俣病と認定された方に限定されると、認定された方という解釈を与えてしまうので、あえてメチル水銀中毒という表現を使ったということが書かれております。この点だけ発言させていただいて、次へ移ります。  何といっても現場混乱しているのは、やっぱり認定条件、判断条件が非常に、基準が大事だということにほかならないんですね。  そこで、大臣所信の今度は冒頭に触れられた石綿に関することですが、何とおっしゃっているか。円滑な施行に全力で取り組みたいとおっしゃいました。私、前回、二月の質問で、明確な回答がありませんでしたけれども、法施行前に、つまり今年度中に、もう申請受付が二十日からですが、三月中に結果を出しますと言われた項目についてその後の結果をお聞きしたいと、そのように思います。  まず、何といっても認定基準、特に石綿健康被害救済法における指定疾病の認定について。前回は、石綿肺などの石綿関連疾患が全く対象外になることは不合理であると私は考えております。大臣は、これから中環審、中央環境審議会で検討するというお答えだったと思います。その後の結果を説明してください。
  40. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 救済法の指定疾病の範囲につきましては、二月九日に医学的判断に関する考え方についてということで環境大臣から中央環境審議会に諮問いたしました。  その後、翌日の十日、環境保健部会が開かれまして、実務的に範囲等を検討する石綿健康被害救済小委員会の設置が決められ、さらに、その小委員会の開催が、二月二十四日、さらに三月一日と、二回御審議をいただきました。その翌日の三月二日、この小委員会からの御報告を受け、再度中環審の環境保健部会を開催し、御議論をいただいた経緯でございます。  その結果でございますが、石綿を原因とする中皮腫及び肺がんについては、その暴露から三十年ないし四十年という非常に長い期間を経て発症すること、さらには、石綿そのものが広範に大量に使用されていたことから個々の原因者を特定することが極めて難しい。さらに、二点目としまして、多くの方が一、二年で亡くなられることが指摘されました。さらに、自ら非がないにもかかわらず、何ら補償を受けられないまま亡くなられるというこの疾病全体の特殊性が勘案されまして……
  41. 足立信也

    足立信也君 簡潔にお願いします。
  42. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 当面、指定疾患はこの二疾患というふうに判断されて答申をいただいたところでございます。
  43. 足立信也

    足立信也君 分かりました。  それで、小委員会は、おっしゃいましたように二月二十四日と三月一日の二回実施されたわけですね。その前に、パブリックコメントが二月十日から二十日まで行われています。結果は、一昨日ですか、公表されましたけれども、その中で、私もすべて目を通しました、指定疾病に関するものは三十五件あって、その三十五件がすべてが石綿肺などの石綿関連疾患が除外されているのはおかしい、そういう趣旨でした、指定疾病に関してですよ。  で、このパブリックコメントの結果を踏まえた小委員会の報告書は、ちょっと私は納得いかないんですけれども、まず、このパブリックコメントについて、その小委員会であるいは中環審でどれほど審議されたか、その点について教えてください。
  44. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 先ほども申し上げましたように、二回の小委員会におきまして、認定の対象となる指定疾病あるいは認定基準に関して提出されたパブリックコメントの意見をすべて一覧とした資料を提出いたしまして、逐一事務局から説明し、御審議をいただきました。  指定疾病の範囲につきましては、パブリックコメントにおいて石綿等の中皮腫、肺がん以外の疾患についても指定疾病として追加すべきという意見が多く寄せられたわけでございますが、それを踏んまえて小委員会で議論が行われ、先ほど申し上げたような結論、答申をいただいたところでございます。  ちなみに、ちょっと個別の意見でございますが、パブリックコメントにおいて、中小の石綿取扱事業所が集中している地域、あるいは石綿製品製造工場の周辺の住民に胸膜プラークあるいは石綿肺が発見される等の意見が寄せられたことについて議論を個別に行いまして、これらの診断はそもそも難しい、あるいは疾病の定義の誤解あるいは誤診の可能性もある、あるいは胸膜プラークの所見者、さらにはその他の疾患について疑われる者は、将来、肺がんであるとか中皮腫の発生につながる恐れもあるということから、健康管理システムをきちっとしていくというようなことも意見として付記されたところでございます。
  45. 足立信也

    足立信也君 後半部分は私も把握しておりますので後でまたちょっとお聞きしたいと思いますが。  パブリックコメントについては審議は十分されたというような発言でございますが、私も会議録を見せていただきたいと言ったら、会議録はまだできてないということですので、委員の方一名と、それからその小委員会を傍聴した二名の方にお聞きしました。パブリックコメント、特に指定疾病にパブリックコメントを取り上げた議論というものはほとんどなかったんではないかということを言っておりました。これは聞いただけですので、何とも言えませんということだけ付け加えさせていただきます。  一昨日に公表されたパブリックコメントの結果なんですけれども、指定疾病に関する回答、この内容なんですが、石綿健康被害救済法の立法の趣旨は中皮腫と石綿による肺がんの方を迅速に救済することであるから、当面この二つの疾患を指定疾病とすることが適当だというふうに答えている。私、法案をまた振り返って見直しましたけれども、二つの疾患を指定疾病とすることが適当だというようなことは触れられてない、書かれてないと私は思うんですけれども。  ところで、前回の質問で、私の質問に対する大臣の答弁で、「今回の救済の対象としての疾病は、石綿を原因といたします中皮腫及び石綿を原因とする肺がんを想定し、また、かつ昨日の医学的判断に関する検討会において、よりその点を詰めていただいた」、そのように発言されているんですよ。順序が逆なんじゃないかと思うんですよ。法案では、中皮腫と肺がんその他政令で定める疾患と、そのように書かれてあって、石綿による健康被害に対して救済する法案だと。二つの疾患を最初から想定して、その証拠固めを検討会並びにパブコメ、小委員会、中環審とやってきて、それを固めたという趣旨のように取れる。正にそうだと思いますが、初めに二疾患を想定したというふうに答弁されているんですけれども、この想定したのは誰なんですか。  法案の趣旨からいくと、最初に疾患名を決めて掛かった法律ではないんではないか。そういう議論は今までしてこなかったと思うんですが、そういう想定したというふうに発言が、私、振り返って議事録を見るとあるんですね、小池大臣。最初に想定したというのはどなたなんですか。
  46. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 手元にちょっと条文そのものはございませんが、法律の本体で疾病の特殊性という表現がたしか出てまいったかと思います。それで、中皮腫と肺がん、その他政令で定めると。その二つの疾患について指定疾病の条文に出てくるわけでございまして、特殊性というキーワードでもって法案そのものが想定しているというふうにも解釈できると思います。
  47. 足立信也

    足立信也君 法案そのものがですか。  先ほど挙げましたように、指定疾病というのは中皮腫と肺がんとその他政令で定める疾病というふうにはっきり書かれているわけですよね。  資料をちょっとごらんください。いろんな、中環審までの中で石綿肺を始めとする石綿関連疾患を除外した理由として、環境暴露で石綿関連疾患が発見されたことはないと、これを何度も何度も繰り返されているわけですね。  で、二番目の資料ですが、これは前回の質疑で共産党の小池議員が出された一次スクリーニングとは別の話なんですね。私、これ口頭で聞いたんです、この左側の十七年十二月二十八日現在という。受診者、これ、住民健康診断ですよ、受診者六百四十九名のうち要精密検査が二百七名いたんですね。そして、要精密検査、精密検査を受けた方のその後の診断がどうなったかということを、当然ここが一番大事なわけですから調べているわけですね、尼崎市としては。医療機関からその回答があったのが左側、百四十一名だったんです。そして、要医療が二名、経過観察七十五名。このうちでアスベスト疾患と診断された人ですね、精密検査の結果、胸膜プラークが二十九名、石綿肺が一名ということだったんです。これを私、口頭で言ったんですね、質問のときに。  その後どうなったんだろうと思ってもう一度お聞きしたんですよ、尼崎市に。そうすると、当然人数増えていますね。要精密検査が二百三十六名になって、医療機関から確定診断といいますか最終診断といいますか、その回答があった方が百八十名、経過観察が九十二名、要医療が三名、肺がんが一名増えました。経過観察の中でアスベスト疾患が五十六名、二十六名増えました。ところが、その内訳は、当然市としては把握しておりました。はてなはてなと書いていますが、口外してはいけませんということで、今回は回答していただけなかったんです。なぜでしょうかね。  これは、指定疾病を決める段階で住民健康診断をやって精密検査をやって結果が出た。そこに、どうも、胸膜プラークはまあ長年掛かるでしょうが、石綿肺がいるんだと、石綿肺の方がいるんだと。その後、人数が増えて、その後どうなりましたかと聞いたら、もう教えられないんですということです。これに対してはちょっと答弁求めるわけにもいかないかもしれませんが、現実はそういうことです。  なぜそういうことになったのかということを皆さんに心の中で考えていただきたいと思うんですけれども、じゃ、この人たちどうするのかということなんですね。  先ほど、確定診断というか本当の診断はちょっと当てにならない部分があるんじゃないかと部長さんお話しになりましたね。診断が当てにならないというんであれば、この方たちはこれから医療保険によって普通の医療を受ける、ずっと受けるわけですね。そういうことですよね、経過観察ですから、受診して、何度も。普通の医療を受けるその診断、その診断が当てにならないってさっき言われたんですよ。だったら、石綿関連疾患については普通の医療で下された診断が当てにならないからって言ったら、それは医療保険で医療が受けられるのかなと。そして、その当てにならない、診断は非常に難しいんだということであれば、普通の医療、医療保険で受ける医療じゃない別の仕組みがないと、この人たちはこれから先、定期的に検査を受ける、あるいは治療を受けることが医療保険上できないんじゃないでしょうか、医師の立場ですから。どう思われます。
  48. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 診断が難しい云々のコメントは環境保健部会あるいは小委員会で出された話でございまして、そのままお伝えいたしました。  専門性の非常に高い分野でございますので、一般の医師あるいはこの労災関係の元々勉強していらっしゃる先生方、若干、その目利きといいましょうか、そういうものに現実的に差が出てくるという問題を指摘されたのかと思います。  そうした方が、リスクの高い方あるいは所見のある方、それが宙に浮いてしまうではないかという御指摘ですが、目下、厚生労働省と環境省連携いたしまして、そういった所見のある方あるいはリスクの高い方をどういうふうに健康管理をしていくかというのは十八年度からスタートすべく、これは具体的に検討を進めております。そういうすき間が、すき間といいましょうか、そういう方々がフォローアップできないようなことにならないようにしたいと考えております。
  49. 足立信也

    足立信也君 そのとおりだと思うんですけれども、中央環境審議会で、もう一つ答申の中で重要なポイントは、先ほどもちらっとおっしゃっていましたが、「胸膜プラークの有所見者や良性石綿胸水、石綿によるびまん性胸膜肥厚の疑われる者については、将来中皮腫、肺がんの発症につながるおそれもあることから、今後、定期的な健康管理を行うためのシステムを整備することが必要である。」というふうに答申されております。当然だと思います。  ということは、これから何十年にわたってその患者さんをフォローアップしなきゃいけないわけですね。ということは、少なくてもある機関、機関というか、オーガナイゼーションという機関ですね、が、その方を登録されていて把握していなきゃ不可能ですよね。この登録制度については、これ多分委員の中からも強い希望があったと思うんですが、この点についてはいかがですか。
  50. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 健康管理の関係の登録ということでの御質問かと思いますが、当然のことながら、一般の住民検診あるいは肺がん検診、そういった既存の検診の場を通じてまず一次スクリーニング的にチェックしていこうと。先ほど申し上げたように、有所見者あるいはいろんなヒストリーとしてリスクの高い方、こういった方々に対して定期的に健康管理をチェックしていこうと。それは当然地域においてしかるべき機関、労災病院的なものがセンターでございます。あるいは、地域には保健所もございます。そういったことをシステム化して、その方を、個人の方を、きちっと五年、六年、フォローアップしていくという体制も併せて構築していくということになろうかと思います。
  51. 足立信也

    足立信也君 フォローアップするために登録とか名前は控えておくということですよね、まあそれは、だと思います。  次に、三月中に報告したいとおっしゃった、この前の質問でですね、緊急大気濃度調査の結果なんですが、今、全国三百六十地点で緊急大気濃度調査をしました。非常にアスベスト飛散が懸念される地域や、尼崎とかもう被害が発生した地域も含まれています。三月中に報告するということを伺いました。その後、結果はいかがでしょうか。  簡潔で結構です。
  52. 竹本和彦

    政府参考人(竹本和彦君) 御指摘のありましたアスベスト緊急大気濃度調査につきましては、現在、専門家の先生方の御意見を仰ぎながら最終的な総合解析を行っているところでございます。先ほど先生の御指摘のありましたとおり、私ども、三月末の、今月末の最終的な取りまとめ、総合的な取りまとめに向けまして現在鋭意作業をしておるところでございまして、取りまとめが終わり次第、速やかに公表をしたいという予定で現在作業を進めております。
  53. 足立信也

    足立信也君 三月十六日というタイミングが悪かったのかもしれませんけれども、もう出てないとおかしいことなんではないかと思いますし、この結果があってこそ、来年度、予算これ組んでるわけですから、更にどの地域に絞ってやるということを決められないんじゃないかと。公表されると思いますけれども、是非皆さんに周知していただきたいと、そのように思います。  残りの時間は、ちょっと私かねがね疑問に思っていることなんですが、昨年のアスベスト被害の総括といいますか、ということで、すき間の問題、縦割り行政の問題も指摘されておりましたが、もう一つ、予防的アプローチということがおろそかにされてきたのではないかと大臣がおっしゃるわけですけれども、この予防的アプローチというのが非常に私ははっきり言って理解できないんです。  どういう意味でおっしゃられているのか分からないんですけれども、英語で言いますとプリコーショナリーアプローチ、日本語で予防的取組方法、又はプリコーショナリープリンシプル、日本語で予防原則。これについて国会図書館で調べてもらいました。  予防的アプローチというのは皆さん恐らく理解されると思うんですが、科学的確実性がなくても被害が甚大になるおそれがある場合には原因と疑われるものを規制すると、そういう考え方ですね。例えば、地球温暖化への二酸化炭素の影響、遺伝子組み換え作物による被害、そしてオゾン層破壊に対する影響が実証される以前のフロン、こういったものへの規制、こういうのが予防的アプローチだと、そういうことなんですね。つまり、人や環境に対して実際の被害が出る以前の考え方です、その前の。  日本では、労災認定、これは職業によって、アスベストに関しますと、アスベストの暴露がはっきりしていて、それが原因で中皮腫や肺がんになった。この労災認定の第一号は、中皮腫患者が一九七八年ですよ。石綿が原因の肺がんは一九七三年ですよ。  実際に被害が出ているんです。しかも、労災認定ということは因果関係がはっきりしているんですよ。そこで予防的アプローチということを持ち出されても、意味が分からない。どういう意味で使っておられるのか。ちなみに、国会図書館で調べた結果、小池大臣がアスベスト被害と予防的アプローチを関連させた発言されましたけれども、世界じゅうでそういうふうに関連させた論文、ゼロですよ。  どういう意味で、予防的アプローチがおろそかだったのがアスベスト被害をどうしたっていうふうにおっしゃるのか。大臣理解の方法でいいですが、因果関係がはっきりして七〇年代に既に労災認定されている疾患ですよ、分かりやすくできれば説明していただきたいと思います。
  54. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 予防的アプローチということは、世界的に申し上げるならばリオ宣言という、その歴史、歴史的というか、そういった区切りという判断ができるわけでございますが、今のこのアスベストに関してでございますけれども、旧環境庁時代に国際的に石綿のがん原性ということが指摘されたのが昭和四十七年以降、また環境保全の観点から一般大気環境中の石綿の状況に関する調査検討を行ってきたわけでございます。そのほか、自治体であるとかそれから関係省庁への排出抑制の要請などをし、対策マニュアルの作成なども各時点での科学的な知見に応じて必要な対策実施してきたものでございます。  また、法律とすれば大気汚染防止法があるわけでございますけれども、石綿の排出規制を未然防止の観点から導入してきたのは平成元年なんですが、それ以前の段階では、文字どおり科学的確実性の不足をもって対策実施を遅らせてはならないとする、正にこれが予防的アプローチでございますけれども、その考え方がまだまだ社会的には浸透もしていなかったということでございます。  そして、昭和六十年の専門家検討会において、我が国の一般環境大気状況から見て、一般国民にとってのリスクは、もしあるとしても石綿に関する作業従事者と比べて著しく小さいとの結論が得られておりまして、これが当時の科学的知見であったわけでございます。  つまり、今御指摘の点は労災という問題と、それから一般大気という問題についての考え方の相違ではなかろうかと、このように思うわけでございますが、いずれにしましても、現在の視点から振り返りますと、当時仮に予防的アプローチの考え方が浸透しているといったような環境が整っていれば、未然予防の観点から更に早期に排出規制を講じることがあり得たのではないかと考えるところでございます。
  55. 足立信也

    足立信也君 繰り返しますが、世界的にアスベスト被害が増大したのは、予防的アプローチというふうに結び付けて発言されたのは世界小池大臣が初めてだということ、この発言は重いと思います。  それから、私、前回の質問で出しました。今因果関係がはっきりしないというようなことをおっしゃったと思いますが、これ官民格差のことを私話しましたけれども、ここに通知があります。昭和六十二年です。その中で、これはどういうことかと、建設大臣官房から全国の地方建設局あての内部通知ですよ。読みます。「石綿は、数々の優れた特性を有するため、広範囲に利用されてきたが、一方においてその有害性が公的に評価された」、そのように書いていますよ。そして、建設省に関しては、これからは新築においては使用しないこと、今あるものは撤去せよと書いている。  その結果、この前詳細に申し上げましたが、更に追加調査で分かったことを言います。防衛庁の場合は二万二千二百棟のうちアスベスト使用は七十棟で〇・三%です。民間は一〇%前後だったということを覚えていられると思いますが、〇・三%。そして、財務省所管の合同宿舎です、公務員宿舎、三千七百六十四棟のうち六棟がアスベストが残っている。〇・一六%ですよ、六十分の一です、民間に比べて。居室はもちろんゼロですよ。こういうことが当然のことながら分かっているから、官のもの、国のものはそういう対策をやったと。民間の方はできていないんだということをもう一度強調したい、そのように思います。  論理的に予防的アプローチというものを、無理なことを押し通そうとするのは、どうしてもやっぱり対策の遅れの責任回避の論を張っているとしか私は思えないんですね。  この問題はこれで終わるわけではございませんから、次回もまたアスベストの問題を取り上げていきたいと、そのように思っております。  私の質問を終わります。
  56. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。大臣所信に対する質問をさせていただきます。  まず初めに、「自然資本 百年の国づくり」につきまして質問させていただきたいと思います。  大臣は、昨年の十二月に、子や孫に自信を持って引き継げる国土環境・都市環境づくりに向けた考え方を「自然資本 百年の国づくり」としてまとめられまして、発表されました。これには地球温暖化などで状態が悪化しています日本の緑、水、空気、生き物、こういったものに対しまして、今後百年を掛けて人工社会資本と組み合わせながら再生をしていく、そして次世代に負の自然遺産を残さない、こういったことを基本理念として提案されているわけでございますが、これは私も大変重要なことだと思っております。  また、今後、国民の皆さんのお考えもしっかりと伺った上で、環境省としても長期施策検討をする上で活用させていただきたいということで聞いております。こういった国土環境・都市環境づくりを国民の皆さんを巻き込んで今後検討しながら進めていくということは私も大変すばらしいことだと思いますので、是非とも積極的に取り組んでいただきたいと思いますが。  また、今、日本の置かれています状況としましても、人口減少が進むということで、そういった中で今まで以上に社会におきます一人一人の個人における役割が重要にもなってきますので、そういったときに個人が心身ともに豊かな生活を送りたいと、そう望んだときに、やはり人間の置かれています、その人の置かれています環境も大きくかかわってきますので、そういった意味でも今後五十年先また百年先、子供たち、孫たちに対して、本当にすばらしい日本のこの環境の中で生きていけるように私たちが責任を持って国土環境、都市環境をしっかりとつくっていくことが重要であるかと思います。  そこで、この「自然資本 百年の国づくり」に、この考え方につながるような取組として少し、一つ例を紹介させていただきたいと思いますが、委員先生方は御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、これは韓国のソウルの清渓川という川のことでございますが、これは三十年前にこの川がふたをされまして、道路ができて、その上に高架道路ができたということで、川がなくなったというか、そういう状況だったんですけれども、この高架道路が三十年たって老朽化したということもありまして、これを再度改修工事をしようかとかそういった意見も出たそうなんですが、そうではなくて、しっかりと、以前ここには川が流れていたので、そういった川の復元を取り組んでいこうと、そういった御意見も上がったということで、どのようにこれを取り組んでいくか、様々、国民を含めてそういった議論が始まったと伺っております。  最終的には、二〇〇二年にソウルで市長選が行われまして、この清渓川の復元を公約に上げた市長さんが当選されたということで、これがこの川の復元という方向で一気に話が進みまして、二〇〇三年に清渓川の復元事業がスタートしたそうです。  昨年の十月にこの清渓川という川が三十年ぶりに復元したということで、私も写真でしか見ておりませんのでしっかりとした様子は分からないんですが、両端に自転車道路ができたり、散策路、また休憩する場所ができたり、また木とか植物が植えられているということで、この都会の中でこういった自然を楽しめるという意味でも、人間としても大変いい環境になったのではないかと思っております。  この清渓川に小池大臣行かれたということで伺っておりまして、是非これを視察された御感想と、このような画期的な取組についての御見解をまずお伺いしたいと思います。
  57. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) チョンゲチョン、清いと渓谷の渓、それから川と書きますけれども、この復元事業、ちょうど完工してすぐ間もなくのころでございますけれども、日中韓の三か国環境大臣会合、TEMMの合間に韓国環境大臣の御案内で視察をしてまいりました。また、近くに、その川沿いに文化館、清渓川文化館というのがございまして、そこで川の歴史であるとか高架道路を撤去して川を復元するその過程についても詳しく説明がされているところも拝見をいたしました。一言で申し上げれば、先ほどの自然再生事業ではございませんけれども、文字どおり川が復元して、そこに人々が本当に喜びながら散策をすると。大変な人出でございました。  あと、もう一点私はすばらしいなと思ったのは、これはソウル市の単独事業で、そのお金を市民から募って、その市民の方々がお金を出すことによって、川の堤のところにタイルがずっと埋め込んであって、そこにお金を出した方々の名前がずっといろんな絵模様などを自分で好き勝手にかいて、楽しいそういう絵がタイルになって、それが組み込まれていて、何か市民の川というようなそういうことが強調されていたのかなと思いました。  そしてまた、そこはすなわち環境教育の現場にもなっているということで、こういった思い切った決断をされました元現代建設の副社長だったんでしょうか、今のソウルの市長ですけれども、今や大統領選候補の一人だというふうに聞いております。  いずれにいたしましても、すばらしい環境を取り戻された一つのモデルではないかと思っております。
  58. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  やはり大量の車が走る道路中心の町から緑と水のあふれる町に変わったということで、大変私も画期的な取組であると思いますけれども、最近、日本におきましてもこういった自然再生事業に取り組まれている方々もおりまして、東京におきましても、渋谷区にあります渋谷川、これも一つなんですけれども、私もこの渋谷川、近く歩いたことがあるんですが、よく見ないと気付かないというか、本当に水も少ないですし、コンクリートに囲まれたような状況ですので、なかなか気付かないぐらいの小さな川でありますけれども、この渋谷川といいますのは、実は「春の小川」の歌ということ、「春の小川」の対象となっているのが渋谷川ということで、この歌を見たときに、レンゲの花とかそういう花が咲いているとか魚たちが泳いでいるとか、そういった歌詞とは想像付かないような状況で、これに対して、ちょうど二〇一二年がこの「春の小川」ができて百周年になるということで、それを目指してこの渋谷川をまた再生していこうということで、そういった取組をされている方がいらっしゃるということで伺いました。  こういうふうな、清渓川もそうですし、渋谷川の再生に向けたようなこういった取組、再生復興事業、こういった事業に対しまして、今後、環境省としてどのようにこの百年先の都市づくり、国土づくりということでこういった考え方を含めてどういうふうに取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。
  59. 小林光

    政府参考人小林光君) 環境省としての都市づくりの取組ということでございます。  今御指摘の、例えば川の問題がございましたけれども、東京の二十三区を取り上げますと、この二十世紀の初頭には東京都内でもその水際線が二千キロ以上あったということでございます、河川等の水際線でございます。これが現在では大体九百キロということで、半減以下ということになってしまったわけでございます。  そうしたことで考えていきますと、やはりそれを、全部社会資本でそういったものを補っていく、これからの時代には困難だろうというふうに考えておりまして、もう委員指摘のとおり、そういった自然資本の力にもっと依存をして、そして過ごしやすい都市づくり、あるいはCO2の少ない都市といったものをつくっていきたいというふうに考えてございます。  こうした方向については、既に閣議決定をさせていただきました京都議定書目標達成計画にも、面的な対策によりまして、あるいは都市改造等によりましてCO2を減らしていくという大きな方向は書かれているわけでございます。  これからはその具体化というのが問題になってくるというふうに私ども認識をしておりまして、先ほど委員指摘のとおり、いろんな方々の考え方も集めて取り組んでいきたい、あるいは各省と連携して取り組んでいきたいというふうに考えておりますが、もちろん環境省としてもしっかりやらなきゃいけないと、こういうことでございます。  まだ始まったばかりの段階でございまして、環境省としての取組は大変少ないわけでございますけれども、例えば新宿御苑の緑地の冷熱、冷たい空気が生まれます。これをその周辺になるべく活用していただいて、そして冷房負荷を減らす、ヒートアイランド対策にしていくといったようなことについても現在検討を進めてございます。  それからさらに、風を長く引っ張っていくということで、いわゆる風の道というふうに言われておりますけれども、風が通っていくような建築物の配置、道路の配置、こういったようなことができないかと、こういったようなことも現在考えているところでございます。  また、水面の拡大、復興、これは先ほど韓国の例がございましたけれども、こういったことにも取り組んでいきたいというふうに考えてございます。例えば、先ほど御指摘のありました渋谷川の源流の一つが新宿御苑の中に実はございまして、そういったようなことで、そこら辺の水路の復活というようなことも地元の方から陳情を受けているところでございます。  そのほか、地球温暖化対策観点でいいますと、コンパクトな町づくりというようなことで、現在、交通機関、なるべく依存しない町というものができないかということで研究を重ねております。  また、長くなって恐縮でございますけれども、学校の校舎、これを建て替えますと建築廃棄物もたくさんできますけれども、既存の校舎を改修をいたしまして、そしてそこで環境対策を施すということで、CO2を減らすだけでなく、そこを中核にして町づくりなんかに父兄の方々を通じて取り組んでいくことはできないだろうか、こういった取組も現在進めているところでございます。  まだ萌芽的な取組ばかりでございますけれども、こんなようなことで今御指摘の問題に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。  以上です。
  60. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  是非、この大胆な発想、取組展開していただきたいと思いますし、先ほども答弁にございましたが、国土交通省やいろんな省庁との連携も出てきますので、そういった意味でもしっかりとまた環境省を中心に積極的に進めていきたいと思います。  そしてまた、今、町全体、国土全体のお話をさせていただきまして、私たちのやっぱり生活の場所は主にこういった建物内ということもありますので、ちょっとハード面についても今少し答弁の中に入っておりましたけれども、このハード面の対応もちょっと改めてお伺いしたいと思います。  今年、環境省の方では、地球温暖化防止ということで、政府率先の取組ということで暖房を消されたり、そういった省エネの取組をされまして、そういった人間としてできる行動一つとしてそういった取組も必要ですし、また、この建物自体の造りもしっかりとまた見直していかなければいけないと思います。  この「自然資本 百年の国づくり」の中にも提案をされておりますが、太陽光発電、太陽熱温水器を設置して、この太陽熱をもう全面活用していく、こういったことも提案されておりますし、また、屋上緑化、壁面緑化、こういった推進、また、建物、ビルを建てる際に、今、省エネマンションということで、断熱材、基本的にはなるべく壁に近い側に断熱材が設けられていると思うんですが、その断熱材を外に近い、外側に近いところに設けることによりまして普通のマンションよりも省エネが進みまして、冷暖房が使う頻度が少なくなるといったような、こういった工事方法もあると伺っておりまして、いろんな様々な取組ができるかと思いますが、この町全体をどうあるべきかということと、またこの点の面で、この建物、具体的にどういう建物を造っていくかというところで、そのハード面の取組をお伺いしたいと思います。
  61. 小林光

    政府参考人小林光君) ハード面ということでございますけれども、現在、石油特別会計、石油石炭税の特別会計を使いまして現在の予算の中で提案をさせていただいております事業でございますが、街区丸ごとCO2を減らしていこうということでございまして、御指摘のような断熱、これはすごく効果がございます。  それに組み合わせまして、新エネルギーを使えるような施設、例えば太陽熱給湯とか太陽光発電と、そういったものもハードに組み込んでいきたい。そしてまた、周りの環境の改善、例えば緑化等々を行っていくということで、総合的にその街区全体を改善していきたいという事業に着手をさせていただきたいということを予算の中に盛り込んでいるところでございます。  御指摘のように、ハード面の工夫で相当程度このCO2を減らすことができますので、そういった更にいろいろな工夫をこれから重ねてまいりたいというふうに考えてございます。
  62. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  そのほかのこの百年先の国づくりの在り方として、私もやっぱりこの限りある水についてもしっかりと今後政策を見直していく必要もあるかと思っております。  水に関しましては、これまでも様々な場におきましても様々議論も出てきておりまして、検討もされているところもあると思いますが、やはり現在、水に関する法律を見ましても、法律だけでも、例えば水質や生態系に関することは環境省であったり、河川、下水道は国土交通省、水道は厚生労働省といったように個別対応にもなっておりますので、しっかりとこの水に関して総合的に取り組んでいくような、また健全な水循環の体系を構築する上でも、水基本法、こういった基本法、理念をしっかりと示していくことが重要ではないかと思いますけれども、この御見解を大臣の方にお伺いしたいと思います。
  63. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 私は、いつも二十一世紀は水の世紀だということを訴えております。環境保全上、健全な水環境を確保するということはもう極めて重要な政策課題一つになっているわけでございます。  今御指摘ありましたように、この春作成を予定いたしております第三次環境基本計画においても重点分野としてこの水の課題を位置付けることといたしております。そしてまた、御指摘のとおり、水に関してはいろんな関係省庁がございまして、その数は五つですね。厚生労働、農林水産、経済産業、国土交通、そして環境ということでございますが、これら関係省庁で連絡会議を設けておりまして、連携協力を図っているところでございます。  そういった意味で、現在の制度体系で十分なのかどうかといったような視点も含めまして、引き続き関係各省と連携を取りながら検討していきたいと考えております。
  64. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  是非とも、やっぱり百年先を見たときに、やはりいつ具体的にどう対応していくかということで、今が大事なときではないかなと思いますので、こういった議論、これまでも様々な専門家の方とか委員の方からも御意見が出て、進んでいるかとは思いますが、是非とも前向きな検討を、水基本法の制定に向けて更に進めさせていただきたいと私も思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、今年は国連砂漠と砂漠化に関する国際年ということで、その取組について副大臣の方にお伺いしたいと思いますが、地球における乾燥地は、現在、陸地の四一%で、そこには二十億人近い方が生活していると言われております。この砂漠化と干ばつによる農業被害も毎年およそ四百二十億ドルぐらいになるんではないかということで、この砂漠化は飢餓や貧困の原因となっております。  この砂漠化の要因も様々、自然的要因であったり社会的、人的要因があるということで理由は挙げられるかと思いますが、しかし、砂漠化といいましても、特に私たち日本から見ますとなかなか身近に感じることができなくて、まだどこか遠くの国の話ではないかといったような、そういったお考えをお持ちの方も中にはいらっしゃるんではないかと思うんですけれども、今年、国連の砂漠と砂漠化に関する国際年ということでなっておりますので、是非ともこれを機会に、国としてもちろん支援もありますけれども、個人としても国民一人一人がこういった砂漠化に関しても、これも地球温暖化の防止の取組にもつながることでもありますし、しっかりと意識を持って取り組んでいくことも重要であるかと思います。  例えば、今地球がどういう状況に置かれているのか、そういった環境教育だったり、また自分たちに具体的に何ができるのかということで、これも例えばなんですが、乾燥地で生産されている綿とか羊毛を大切に使うとか、そういったことで私たちもこの砂漠化防止につながるこういった取組ができるんですよとか、こういったような意識啓発も進めていくことも重要であるかと思いますので、今年が砂漠と砂漠化に関する国際年であるということを是非国民の皆様にも周知していただきたいですし、その上で具体的に何ができるのか、そういった意識啓発をしっかりと環境省中心に進めていただきたいと思いますので、そのお取組について、副大臣にお聞きしたいと思います。
  65. 江田康幸

    ○副大臣江田康幸君) 今、先生の御指摘の砂漠化問題、また公明党が大変に関心強く取り組んでいらっしゃる問題だと思いますが、この砂漠化問題は、御指摘のように、全世界の陸地の約四分の一、また世界人口の約六分の一が影響を受けているという重大な地球環境問題でございます。世界的に見ても、アフリカのサハラ砂漠の南のサヘル地域、アジアでは西アジア、中央アジア、モンゴル、中国の北部等々がございます。  我が国には砂漠がないということから、直接の砂漠化問題はない。また、そのことによって国民の関心もほかの環境問題に比べれば薄いのかもしれません。しかし近年、日本でも黄砂の飛来が増えておりますけれども、この原因としても、中国、モンゴル等の土地の劣化等が指摘されておるところでございます。また、国際的なグローバル化の中で、貿易等を通じて我が国もこの砂漠化の地域と結び付いているわけで、間接的にその影響を受けるということにもなります。  このように、非常に砂漠化問題は我が国にもかかわる重要な問題でございますので、委員指摘のとおり、本年は国連の砂漠と砂漠化に関する国際年でございます。環境省におきましては、もちろん砂漠化問題に関するパンフレットの作成、それからシンポジウム、こういうことを開催しながらこの普及啓発に努めてまいりました。国際年の今年はさらに、先生指摘もございますし、この記念行事として国内外の砂漠化対策の専門家、また研究者、NGOなどによる普及啓発のためのシンポジウムを関係省庁、研究機関と共同で強く、積極的に、アグレッシブに開催をしていきたいと、そのように考えております。  とにかく、砂漠化対策のための普及啓発活動を前に進めてまいりたいと。
  66. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  今お話しいただいたそういった取組、是非ともまた強力に推進していただきたいと思いますし、また砂漠化防止ということで具体的な支援も重要になってまいりますが、一言で砂漠地帯と言いましても様々な生活体系があると思います。例えば農業中心の地域だったり、また牧畜中心の地域だったり、様々現地の方々異なる生活を送られておりますので、是非ともその地域の住民の生活に考慮した支援を進めていただきたいとも思います。  ですので、砂漠になってしまった土地を以前の状況に戻すようなそういった支援とともに、その地元の方々の生活を考慮した支援、この二つを両立したような支援、これが必要かと思いますので、どのように具体的に砂漠地域に支援をしていくのか、その対応をまた江田大臣にお伺いしたいと思います。
  67. 江田康幸

    ○副大臣江田康幸君) 先生の御指摘は、環境保護と生活の両立支援が重要ということでございますが、私もそのとおりであると思います。  砂漠化は現地の人々の生活に大きな影響を与えるだけではございませんで、まきの採取とか、そして過度の放牧、さらには不適切な農耕といいますか、人口増で毎年毎年作物を多く作り過ぎていく、そのために土地がやせていくというようなことがございまして、現地の生活の在り方そのものが砂漠化の原因となっているという面もございます。このため、御指摘環境保護と生活の両立というのは砂漠化対策において非常に重要な視点ととらえております。  九六年に発効しまして我が国が九八年に批准しました砂漠化対処条約というのがございますが、この砂漠化対処条約に関して、そこにも、土地及び水資源の回復、保全と同時に地域社会の段階において生活条件の改善をもたらすものを必要とするとされております。  環境省におきましては、やはり対策としまして、対応としまして、西アフリカのブルキナファソにおきまして効果的な砂漠化対処の方法についての調査実施している例を御紹介させていただきますが、そこでは、現地の村の住民が主体となりまして、NGOがコーディネーターとなって効果的な砂漠化対策技術を視察して、そして隣村で若しくはほかの地域で取られているようなそういう、例えば植林とかそうした、半月工法とか言われるような植生の回復技術なんかもあるようでございますが、そういうものを選別して実際の試験を行って、それが効果的であればそれをガイドラインとしてそのほかの地域へと移転していくと、こういうような砂漠化対処の方法を、そのモデル調査を行っておるところでもございます。  このような検討の結果を海外に提供していくということが砂漠化対処条約の実施を含めて、日本世界の砂漠化対策に貢献していく重要なことであると思いますので、更に努力をしてまいりたいと思っております。
  68. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  この砂漠化の問題は最近ではアジアでも、アジアの発展途上国でも広がってきておりますので、そういった意味でも日本役割も更に大きくなってくるかと思いますので、是非ともこれも全力で取り組んでいただきたいと思っております。  次に、中国への環境協力について、二つまとめて大臣の方に質問させていただきたいと思います。  中国は、もう皆様御存じのとおり、今急速な経済成長の中で大気、土壌、河川、地下水、様々こういった汚染が進んでおりまして、またそれによる健康被害も拡大しておりまして、様々な今環境問題が指摘をされております。  私も昨年末に中国の北京に行く機会がございまして、その北京に住まれている方も、ここ数年間、まず車が急激に増加して大気汚染が大変に進んでいるといった、そういったお話も直接伺いました。  様々こういった中国環境問題が挙げられている中で、日本におきましても、地理的にも隣接しておりますし、風向きや海流の関係中国環境の影響が大変に受けやすいといったこともございますので、これは中日双方にとって重要な課題であるかと思います。  これまでも中国への環境協力進めてこられたと思いますが、更に強力な推進ということで今後どのように取り組まれていくのか、お伺いしたいと思います。  あわせまして、この中国への対応ということで、二〇一三年以降の気候変動の国際枠組みの中で、主要排出国であります中国の実質的な参加が不可欠であると考えますけれども、これもどのように進めていくのか、改めて大臣の方にお伺いしたいと思います。
  69. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 中国が今直面している環境問題が、中国国内のみならず東アジア全体、そして地球全体に対していろいろ大きな影響を持っているということについては、今の御質問の御指摘と共有したいと思います。  こういった認識を踏まえまして、これまで日中韓三か国環境大臣会合、これで毎年大臣同士が、三人の大臣政策対話を続けてまいっておりますけれども、それと同時に、日中友好環境保全センター、今年が十周年になると思います、これらを通じました対中協力実施してまいりました。  それから、昨今のODA改革ということもかんがみまして、対中国、どのような環境協力ができるのかということから、昨年十月に有識者の方々にお集まりいただいて、日中環境協力の在り方についての検討会を今行っていただいているところでございます。この検討結果も踏まえまして、民間の一層の参加も含めた多様なチャンネルで、中国におけます現地のニーズであるとか、それから我が国の国益、そして環境先進国としての我が国の知見を十分に伝えるためにはどうなるのか、そしてまた日中両国にとって本当に役立つ環境協力を進めていきたいと考えております。  それから、中でもCO2排出、気候変動の方でございますけれども、我が国のスタンス、そしてまたせんだってのモントリオールでの呼び掛けの一番重要なポイントとすれば、二〇一三年以降の次期枠組みなどについて中国などの主要排出国を含むすべての国が参加する実効ある枠組みであるとすることが重要だということを重ねて申し述べてきた次第でございます。  中国を含みます、特に中国などの排出量の多い途上国ですけれども、先ほども申し上げました日中韓の三か国大臣会合であるとか、それから日中、それから日印ですね、インドでの、二〇一三年、日中間、そして日印間での二〇一三年以降の気候変動枠組みに対しての非公式対話であるとか、CDMに関しての人材育成であるとか、フィージビリティースタディーなどを通じて地球温暖化防止のための対話、そして対策を行ってきたところでございます。  こういった対話のプロセスを活用してまいるということである一方で、中国も参加国でありますG8の気候変動、クリーンエネルギー、持続可能な開発に関する対話、それから今年の一月に初めて開かれましたけれども、シドニーで開かれましたけれども、クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ、こういった国際的な取組を通じても、中国に対しての気候変動並びに中国環境問題に対しての環境協力、それぞれを進めてまいりたいと考えているところでございます。
  70. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  時間になりましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  71. 市田忠義

    ○市田忠義君 日本共産党の市田です。  今日は水俣問題についてお聞きします。昨年十月から開始された新保健手帳の審査終了件数、該当者件数、そして公健法認定申請取下げ者の人数はどうなっているか、端的に数字だけお答えください。
  72. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) この二月までに審査が終了いたしまして、該当した方は千五百六十三人、それから、このうち公健法の認定申請取下げ者は百九十六人でございます。
  73. 市田忠義

    ○市田忠義君 圧倒的多数がこれまで認定の申請や裁判の原告などになってこなかった新保健手帳のみの申請者であります。今話がありましたが、審査終了件数千八百十八人の八六%が水俣病被害者ということになっています。  次にお聞きしますが、いわゆる関西訴訟の最高裁判決、おととしの十月、これ以降の水俣病認定申請者の数と、そのうちの初申請者数はどうなっていますか。
  74. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 二月二十八日現在でございますが、認定申請者三千六百七十一人でございまして、初めて認定申請した方は三千三百十八人でございます。
  75. 市田忠義

    ○市田忠義君 九割以上の人々が新規の申請者であります。  水俣協立病院の高岡というお医者さんは、検診を受けた九割以上の方々は私たちの基準で水俣病、三割から五割の受診者は最高裁基準はおろか環境省の七七年、一九七七年の判断基準を満たしていると。いまだに救済を要する多くの被害者、患者がいるということをこの数字は示しているというふうに思います。  次にお聞きしますが、最高裁判決以降の水俣病認定申請者、公健法に基づく、のうち、熊本県、鹿児島県の地域別の内訳、熊本県では幾つの市町村、鹿児島県では幾つの市町村に及んでいるかということについてお答えください。
  76. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 熊本県内三十五市町村の千九百九十三人、それから熊本県外二十七都道府県の四百七十四人、これが熊本県の受付分でございます。鹿児島の方でございますが、鹿児島県内十五市町九百六十九人、鹿児島県外の三十一都道府県の二百二十五人となっております。
  77. 市田忠義

    ○市田忠義君 今明らかにされましたように、これまでの公害指定地域や認定患者の発生地域をはるかに超えた言わば不知火海沿岸全域に広がっているということが今の数字でも非常によく分かります。  そこで、更に聞きますが、水俣病認定申請者の年齢別の内訳、余り細かく言われると時間がないので、四十代は熊本で何人か、鹿児島では、四十代、五十代ですね、それぞれ熊本で何人、鹿児島で何人かお答えください。
  78. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 熊本県で四十代の方三百六十五人、全体の一四・八%、五十代の方七百十六人、全体の二九・〇%。それから、鹿児島県でございますが、四十代の方が二百六十七人、全体の二二・四%、五十代の方は三百二十七人、全体の二七・四%でございます。
  79. 市田忠義

    ○市田忠義君 大変若い人にも広がっている。原告の息子さんとか娘さんまで広がっている。私がいただいた資料によると、例えば三十歳から三十九歳までの若い人が熊本で八十一名、鹿児島で五十一名と。しかも先ほどお話があったように、初めて今度申請したという人が九〇%。しかも地域的に広がっている、若い人にも広がっていると。  そこで、私、小池大臣にお聞きしたいんですけれども、九割の人が初めての認定申請者ですけれども、どうしてこれだけ初めての人が多いのか、大臣認識をお伺いしたいと思います。
  80. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 確かに多くの方々、初めて認定申請をされているということだと思います。個別の事情については把握をいたしておりませんけれども、今回のこの申請のきっかけに自らの健康についても調べておきたいというお気持ちなんだろうと思っております。
  81. 市田忠義

    ○市田忠義君 何という環境大臣の判断なんですか。それが判断ですか、もう一度お答えください。どうしてこれだけ、この間、わずかの期間に圧倒的な人数、初申請者が圧倒的だと。この機会に自分の健康を調べておきたいと、そんな答弁ありますか。どうですか。
  82. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) やはり水俣にお暮らしの方々、これまでもいろんな御懸念があったんだろうと思っております。そういった意味で、今回の申請の方に、申請をされて、そして自らのことを改めて確認しておきたいというお気持ち、そしてまた一日も早く安心していきたい、このようなお気持ちの表れだろうと、このように思っております。
  83. 市田忠義

    ○市田忠義君 私はこういう環境大臣を持った日本は不幸だというふうに思います。  大変な被差別意識、実際には水俣病ではないかと思いながらも、金欲しさに言っているだとか、あるいは家族にそういう人がいたら結婚にも差し支えると、いろんな思いで悶々としていたのが、最高裁の判決でああいうことが明確にされたと。ひょっとしたら自分もそうではないかと、言わば勇気を出して思い切って申請を初めてしたという人が圧倒的なんですよ。その気持ちを大臣は、私は真正面から受け止めるべきだと思うんです。  現地へ行って、私、聞いてきました。四十四歳のAさんという男の方。六歳のころから歩いていてもよく転んだと。力が入らず、耳も悪い。顔面神経痛。当時は海が汚く泡が出ていたけれども、魚が大好きでよく食べたと。仕事に就けず、この十年、寝たり起きたりの生活。自分は水俣病ではないかと思った。小さいころからいじめられたりして自分の人生はめちゃくちゃになったと。チッソと国の冷たい対応があったからこんな状態になった。自分は同級生二十六人いるが、差別され、いじめられた。大人になって悔しさだけがある、一生を台無しにされた。力仕事できないと。しかし、今度の最高裁の判決で勇気を出して、自分もひょっとしたら水俣病ではないかと思って申請をしたと。  六十歳代の、このAさんという方の同級生を息子に持っている方は、母親が認定申請許してくれなかったと。自分にもAさんと同級生の息子がいる。自分の子どもにも魚を食べさせたと。ところが、下の息子は魚が嫌いで魚を食べなかった。残した魚を猫に食べさしたら猫が死んだ。上の息子は私が食べさした魚が障害の原因だと思うと、今も本当に申し訳ない気持ちで一杯だと。  もうこういう声を上げたら切りがないぐらい、多くの人がそういう思いで初めて申請しているのに、この際にどうか調べておきたいと、よくもそういうことが私は言えたもんだと。最高裁の判決が出て、自分の権利を主張しよう、そういう立場の人が増えたという認識に私は大臣は立っていただきたいというふうに思います。  水俣病認定申請者の、じゃ処理状況は今どうなっていますか。
  84. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 両県とも審査会が再開されておらず、処理の状況は進んでおりません。
  85. 市田忠義

    ○市田忠義君 大臣にお聞きしますが、どうして審査会が事実上崩壊した状態になっていると認識されていますか、端的にお答えください。
  86. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 審査会のメンバーになっていただけるように、環境省といたしましてもこれまでも熊本県などに伺いまして説得、そしてお願いをして続けている最中でございます。  また、そういったことから、また今申請者の方々多数にも上るということから、熊本県などと連携をいたしまして、今この状況をどういう形で打開できるのかということも模索をしているところでございます。  先ほど別の委員の方に御答弁させていただきましたように、現在、自民党の水俣小委員会の方でこの臨時措置法についての考え方をおまとめいただいている最中と聞いているところでございます。そういった形で対応をしていくということも一つ考え方だと、このように思っているところでございます。
  87. 市田忠義

    ○市田忠義君 全く聞いていることにお答えになっていません。どうして事実上審査会が崩壊状態になっているのかという原因を私は聞いたんです。そうしたら、なってもらうように説得しておりますと、国でと。全然あなたはお答えになっていないんですよ。  認定審査委員を務めるあるお医者さん、こうおっしゃっているんですよ。環境省の認定基準に従って水俣病でないと棄却しても、裁判されたら証人として裁判所で証言せざるを得ないが、裁判所では水俣病となる、どうしようもないと。要するに、二重基準があるから審査会の委員になれないんだと。一昨年十月以降で二十人全員が空席状態であります。  それで、聞きます。  水俣病認定申請者三千数百人のうち、申請日から半年、一年を超えた申請者、医療事業受給者はそれぞれ何人ですか。これは滝澤部長
  88. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 合計で、半年と一年の方がありますが、合計で千七百五十七名でございます。半年以上経過が千六百五十名、一年以上が百七名でございます。
  89. 市田忠義

    ○市田忠義君 熊本県で一千二十五人、鹿児島で七百三十一人。今おっしゃったように、合計、半年、一年、合わせると千七百五十七人です。  さらに、この状態が二年間経過すれば、既に熊本地裁の判決で明らかなように、行政の不作為が問われて違法状態になると。この状態は、熊本県の不作為、その責任が問われることになるけれども、本来の責任は判断条件の見直しをしないで二重の基準にしたままにしている国の責任が厳しく問われることは明らかであります。  今、その判断条件を変えないまま、国の水俣病審査会を設置するという動きがあると。大臣も先ほどの答弁で聞いてないけれども答えられました。そのまま認定作業を進める動きが進めば、認定を申請した水俣病患者を切り捨てることになるんじゃないかと。大臣、どう思いますか。  先ほど別の委員もデータを示されて、棄却者が多いじゃないかと。これは客観的事実です。切り捨てのための国の審査機関なんて。そして、県と国の審査機関の委員を兼務していた人はかつて圧倒的なんですよ。なり手だってないですよ、こんなことで、どうして審査会のメンバーになれるのかと。大臣、いかがですか。──あなたに聞いているんじゃない、大臣
  90. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 先ほどもお答えさせていただきましたけれども、これまでも審査会の委員を務めていただきましたお医者様の方に直接担当者が参りまして、そしてお願いを真摯に続けさせていただいているところでございます。  また、国の方といいましょうか、現在、与党自民党の方での小委員会の流れにつきましては先ほどお答えしたとおりでございますので、重複を避けさせていただきたいと思います。
  91. 市田忠義

    ○市田忠義君 何にも大事なポイントにはあなた、すべての質問にお答えになっていないんですよ。どうして県の審査会の委員のなり手がないのかということについてはいまだに何にもおっしゃってない。誠心誠意働き掛けてやってもらうんだと、今度は自民党の方で国の審査会を作ることになっていますという話だけで、なり手ないですよ。最高裁の判決受けて真摯に反省すると、それが言葉だけでないんだったら、もっと別の答弁ができるはずです。  時間がないので別の問題に移ります。  健康・環境調査について聞きます。  昨年の十月に開催された環境大臣の私的懇談会、これは水俣病に係る懇談会、この第五回会合である委員から、これはたしか前の水俣市長さんだったと思います、お会いもいたしました。この方から、メチル水銀の暴露の範囲を調べなかったなど、行政には排水規制以外にも重大な過ちがあったと。国はなぜ水俣病被害の健康、環境の実態を調査しないのかと委員からも出ている。どうして調査をやらないんですか。
  92. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 健康調査環境調査につきましては、判決の直後の県の御要望の中にもございまして、この一年半、県といろいろと協議をしてきております。  十八年度におきましては、過去にデータの蓄積がございますので、そこを詳細に解析、分析しようということで県と国と合意ができております。  その後、十九年度以降、健康調査というようなことがどのような形で実施できるのか、あるいはできないのか、そこはまだ県とも調整をしておるところでございます。
  93. 市田忠義

    ○市田忠義君 全然積極的でないですよね。健康管理事業というのはやろうというふうにされているんですけれども、これは単なる健康調査なんです。疫学的な調査、検査をやらなかったら、水俣病被害者、患者がいるかどうかというのは分からない。ただ、お年寄りの単なる健康診断やっているだけではだめなんですよ。これはもっと以前から、一九五六年十一月、この時点で水俣を訪れた当時の厚生省の国立公衆衛生院の宮入という方も指摘されていたわけですけれども、これ、疫学検査きちんとやる必要があると。厚生省は、汚染が及んだ住民についても汚染源についても、そういう報告があったのに調査をしてこなかったんです。  私、お伺いしたいんですけれども、熊本は今年の二月九日、健康調査については八代海沿岸地域の一定割合の方の住民健康調査等を行い、また、環境調査については八代海の数十地点における水質等の水銀濃度調査を行いたいと国に要望しています。  環境省は、この熊本県の提案を真剣に検討して、健康・環境調査に向けた協議を進める必要があると思いますが、大臣認識をお伺いしたい。──大臣認識を聞いています。滝澤さんの認識を聞いていません。県の要望にこたえるのかどうか。
  94. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 県の要望は承っております。  総合的な対策としてどうするべきかにつきましては、既に公表させていただいているところでございます。よって、今後とも検討は続けてまいりたいと考えております。
  95. 市田忠義

    ○市田忠義君 水俣病公式確認五十周年をやっぱりどういう形で迎えるのかということが今鋭く問われているというふうに私は思います。  被害を受けている地元の熊本、鹿児島両県は、少なくとも、新たな水俣病被害者が熊本県で二万人、鹿児島県では一万四千人いる可能性を示しています。すべての水俣病被害者に対して大臣は謝罪するということをあの最高裁の判決の後に述べられました。先ほども私言いましたが、それが上辺だけでなくて本当の気持ちだったら、不知火海沿岸住民の健康調査実施をやって、水俣病の被害の実相、実態がどうなっているかということを明らかにして、そうしなかったらすべての水俣病被害者にきちんとした救済をすることできないわけですから、改めて大臣認識聞きますが、徹底した不知火海沿岸全体の健康調査実施をして、被害の実相を明らかにすると、被害者の全てを救済すると、そういう立場に立つのか立たないのか、大臣認識をお伺いしたい。
  96. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 以前、「今後の水俣病対策について」ということで、すべての水俣病被害者の方々、地域社会の中で安心して暮らしていけるようにするための施策を現在も推進をしているところでございます。  今後とも、この方針に従いまして、そして一日も早く安心して暮らしていけるような状況をつくっていきたいと、このように考えております。  今後とも、今個々のお話ございましたけれども、総合的に、熊本県そして鹿児島県と、今後どうあるべきかにつきましては検討させていただきたいと考えております。
  97. 市田忠義

    ○市田忠義君 時間がないのでもう一言だけで終わりますが、やっぱり私は水俣病問題の最大の問題は、水俣病被害の全貌を調査してこなかったと、被害を調査することなしに対策はあり得ないということ、真の水俣病解決に必要なことは、水俣病の被害の実相が明らかにされること、それに基づき被害者が全員救済されること、ここにあるというふうに思います。  さらに、すべての水俣病被害者に対して謝罪すると表明しながら二重基準のまま水俣病被害者を切り捨てようとする国の姿勢に対して、最高裁の判断基準による司法救済を求めて今九百人近い方が裁判に訴えておられます。被害者原告の思いは私は当然のことであって、国はこの原告の思いを重く受け止めて、早急に判断条件を見直してすべての水俣病被害者を救済するということを強く求めて、時間になりましたので終わります。
  98. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 大臣始め皆様、御苦労さまです。  私は、グリーン購入についてお尋ねをさせていただき、また御提案を申し上げたいと思います。  今日は本会議の都合で五十分までに大臣の方、所用がありますので、私の方の時間短くいたしまして、また次回の予算の分科会のところでもまたお話をさせていただきたいと思います。  まず、このグリーン購入、環境負荷を小さくする、そのための物品等、これを優先的に購入して、そして環境、これを保全していこうと、こういう考え方でございます。  国の方はこれを義務付け、そして地方の方については努力と、こういったことにしているわけですが、最近、環境省が世論調査をしておると思います。地方公共団体、地方自治団体のグリーン購入の実態とその状況に合わせた理由、これについて簡潔に要点、大きなところの話をお願いしたいと思います。
  99. 田村義雄

    政府参考人(田村義雄君) お答え申し上げます。  まず、平成十二年、議員立法により制定されましたこのグリーン購入法でございますが、先生ただいまおっしゃられたとおり、国等におきましては、環境物品等を選択するよう努めなければならないとされておりまして、毎年度、環境物品等の調達の推進を図るための方針を作成する、そして調達推進を図る、これは義務規定でございます。そして、地方公共団体につきましては、環境物品等への需要の転換を図るための措置を講ずるように努めるとされておりまして、調達方針の作成も努力規定になっていると。もうおっしゃるとおりでございます。  この背景といたしましては、もう簡潔に申し上げますと、地方公共団体の場合の物品調達と、言わば自治事務の最たるものでございますので、国が一律に毎年度の予算執行に関します義務付けを規定することはむしろ妥当ではない、自主性を尊重することによって、それぞれの地域の自然的社会的条件に応じまして需要の環境物品等への転換を図ることによって目的を達成しようというようなことがその考え方だと受け止めております。  なお、お話ございました調査の件でございますけれども、これは昨年の十一月に環境省実施しましたアンケート調査、三月に発表いたしておりますが、グリーン購入の推進の重要性につきましては、都道府県、市町村合わせた全体で八二・三%という、積極的に推進すべきと回答はございますけれども、実際の取組におきましては、すべての都道府県及びほとんどの政令指定都市においては調達方針を具体的に作成しておりますけれども、区市及び町村の調達方針の作成率はそれぞれ、四五・四、町村は一〇・〇となっていることで取組が後れているという実態でございます。
  100. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 今ございましたように、これは議員立法でございました。それだけに本委員会の責任もまた一段と高いわけでございますけれども、今お話があったように、自治事務でもあり、いろんな取組を尊重して、その方が効率が上がる、実効が上がると。これも私重要な視点だと思いますが、実態は、今御報告がありましたように、非常に後れておるというのが残念ながら実態なんです。  それについては、調査、この三月六日でございますが、公表されておるわけですが、昨年のこれは調査ですけれども、一番は、グリーン購入が自治団体ができないというのは、価格が高い。それから、意識ですね、組織的にグリーン調達に対する意識が低い。それから、各課ごとに物品調達をしているので一括でグリーン購入ができない。また、新しい質問項目に、年次的にやっているんですが、人的な余裕、人的余裕がない、担当者の負担増であると。ここの新しい設問についても非常に回答が高いんです。人が、そういうものに対する人手が掛かると。こういったことが阻害要因なんです。最大は、価格が高い、四四・九%。各課ごとの物品調達のため一括でグリーン購入ができない、三六・八%。そして、新たに加わった、人手が足りないと。こういったところなんです。  こういったことについて、環境省が進めておりますが、総務省としては、こうしたグリーン購入の取組などについて何か調査をしたりとか、あるいは環境省連携を取って自治体とその実効あるように連携している、こんなことはございますか。
  101. 荒木慶司

    政府参考人荒木慶司君) お答えいたします。  総務省といたしましては、地方公共団体のグリーン購入の実態調査は行っておりません。  なお、総務省としましては、グリーン購入法に基づきまして地方公共団体が作成するように努めることとされております環境物品調達方針策定経費につきまして、地方交付税措置を講じているところでございます。
  102. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 ところが、五割に満たないんです。いわゆる策定して計画を立てるというのがまだできていない。これは、私はやむを得ないところもあると思うんですね。やはり財政難でありますから、そうしたことよりもやはり安いものを調達したいし、そしてまたある意味においては、ほかに優先したいという施策の実行のために人手も掛かるんでしょう。こういう問題を、ボトルネックを、これは我々自らが協力して取っていく、あるいは協力して、その問題、ボトルネックを解消していくという努力をしなければならないというふうに思うんです。  そこで、どんな地方自治体に対して推進方法を取られるのかということを大体環境省も決めていると思うんですが、どんな推進策を省としては取られるおつもりですか。
  103. 田村義雄

    政府参考人(田村義雄君) お答え申し上げます。  このグリーン購入が進まない要因として今先生がおっしゃられたようなもの、特に価格が高いとか、あるいは組織としてのグリーン購入に対する意識が低いということが主な要因であることも事実でございますので。  価格に関しては、環境に配慮された製品の多くはどうしても最初、生産量も少ないし、市場でのシェアも小そうございますし、製造工程もリサイクル等で複雑でございますから、価格が高い傾向にございます。しかしながら、国を中心としてグリーン購入の推進に今進めております。そういうことに伴いまして、市場に占める割合も少しずつ増えてきております。製品によりましては価格差が極めて小さい、あるいは同等ぐらいの品目も現われてきております。  環境省といたしましては、まず地方自治体におきますグリーン購入に対する意識の向上、これを目指しまして、来年度からでございますけれども、地方自治体向けのグリーン購入のガイドライン、それもできるだけ、グリーン購入の取組も各市町村、様々でございますから、それなりの取組レベルにも応じましたきめの細かなガイドラインの作成を行うこととしております。また、そのほかグリーン購入自体の意識を高めるという意味での説明会とかセミナーとか、こういったことにも力を入れてまいりたいと、そのように考えております。
  104. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 総務省にもお願いなんですが、このように、やはり環境省と総務省を含めましても、また当事者は地方自治団体ですが、なかなか連携が取れてないと、こう言わざるを得ません。大臣としても、またこの辺の連携を是非両省ともお願いをしたいというふうに思います。  そこで、今答弁がありましたけれども、広範囲です。政府で調達する、そういったもののガイドラインありますが、非常に何百種類にもわたるんです。これらを、一部分を取り上げて、随分価格安くなってきたのでということの話なんです。本当に一部分なんですよ。となると、抜本的にこのボトルネックである価格が高いというところ、また新たな人手が掛かるということ、こういったところについて一つの解決策というのは一杯あるわけです。  その一つに、私はカードによりますいわゆる物品の調達あるいは購入というもののシステムを導入してはいかがかと、このように提案をいたす次第なんです。  そこで、経済産業省にお越しをいただいております。経産省の方で一般的に企業や諸外国の例などを見まして、いわゆるこうしたパーチェシングカード、物品購入調達カードなどを取り入れると、いわゆるビジネスモデルとして、BPMと今言っているわけですが、ビジネス・プロセス・マネジメント、今それをすべてITを入れてこうした効率化あるいはユーザーに対するサービスの充実ということを図っていく手段として取り入れて改善をしておりますが、一般的にこうした購入カードの導入というのは効果があるのかどうか、どういったところに効果があるのか、こういったことについて御説明ください。
  105. 谷みどり

    政府参考人(谷みどり君) 先生指摘いただきましたとおり、クレジットカードを利用した調達をいたしますと、まず会計の透明性の向上、電子化の推進事務の合理化といった効果が得られると期待をしております。  まず第一の会計の透明化でございます。物品やサービスの代金の支払をクレジットカードで行います場合には、どのお店で幾ら支払ったかということがクレジットカードの会社で処理されまして、その利用明細書で明らかになるなど、精算事務の透明性が図られるという効果がございます。  第二の電子化でございます。クレジットカードを御利用いただきますと、インターネット上の購買と支払が可能でございます。電子政府の推進にも資するものでございます。  第三の事務の合理化でございますが、クレジットカードを利用することによりまして、現金の受渡しに係る事務などの効率化が期待されております。  経済産業省といたしましては、このような調達事務などにおきましてクレジットカードの利用場面を広げていくことによりまして、公的部門における業務の効率化、合理化が進むことが期待されるものと考えております。
  106. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 今のような研究会を、実は情報化統括責任者会議で平成十五年にこれを決定しているんです。言ってみれば、これは政府の決定ということです。その中で、電子化を進めていきましょうということを言っています。もちろんローカルガバメントの電子化ということも総務省が中心になって熱心に進めておりますが、国、地方を問わず、その中にはいわゆる納入についての改革というものは盛り込まれているんです。  今度は総務省。地方自治法の一部の改正で、クレジットカードによって使用料金を払えるように法改正をいたします。我々がそうして納入できるようにする。今、病院なんかで始まっています。そういったものを広げていく。それからもう一つは、出納長を今度廃止するんです。出納長を廃止する。非常に今いい機会なんです。  ところが、政府がやっています、先ほど言いましたのは、物品調達、謝金・諸手当、補助金及び旅費の各業務・システムの最適化計画ということでございまして、役所側が民間に対して支払をする、物品調達や、場合によっては入札ということもあるんですが、そういうものについてはないんです、これが。ですから、このところを研究に加えていかないと、先ほど経産省が一般論として申し上げたいわゆるバックヤード、バックオフィスとしての自治体の、そして国の予算いただいたものがコスト削減できて、そのコスト削減は財政再建になり、同時に物品調達をするための元手ともなるわけなんです。  ここを協力してカード導入ということを、クレジットカードというものとデビットカード、デビットカードは我々が銀行から引き出すときのカードでございます、お金を。この両方使えることによって初めてこれが地方自治団体のボトルネックである高いものを調達するというものがなくなる。そして人手が要らないんです、今のところ。こういったことが課題となってきます。  そして、もう一つ申し上げたいのは、正に透明性です。談合ばかりです。こういったものについて非常に効果がある。一石三鳥、四鳥のものなんです。小泉内閣の改革の最大の問題点は、今お話聞いていただいた答弁見ても、改革をそれぞれやっているように見えても連携が取れていませんから実効性が上がらないんです。こういった点、小泉内閣の限界であるということを私は一つ指摘させていただきつつ、ポリシーミックスをしなけりゃいけない、こういうことです。  では、例を取ります。また次回もやらせていただきますが、特区規制改革民間開放集中プログラム、十七年の十月、各省庁に対してこれをクレジット会社等々が要望いたしましたが、本当につれない。できない、こういうことを言っている。総務省も内閣官房も、そして環境省もできませんと、こう言っていますね、これ、極端に言うと。こういうことでは、地方に押し付けるだけで実効性上がらないということです。国の方もまだまだできるんです。国の方としてもできるんです。  こういったことについて積極的な取組というものを、これを正に政治決着をするためにも、これは議員立法ですから、我々自らがしっかりと判断しなければなりません。  アメリカの例、私はアメリカの例というのもいいところも悪いところもあると思いますが、非常にいい例です。まず、紙がペーパーレスになりました、アメリカは。ゴア・クリントンチームが、これがいわゆるスーパー情報ハイウエーというのをやっていまして、それを我が国もまねようということで、これは大臣もいろんな形で御協力されたわけです、国として。  一枚の紙、一件当たり、一つのプロセスの中で全部掛かってきます。注文書、購買記録、請求書、明細書、こういった事務の中の紙ベースで一件当たりアメリカの場合は大体日本円で五、六千円のコストダウンを図っているんです、一件当たり。その分、紙はペーパーレスになっている。そして、アメリカ政府としては二〇〇四年段階で十四億ドル削減しました。日本円で大体一千四、五百億円削減しているんです。アメリカは毎年やっていますから、これもう五、六年徹底してやってますので、それでも四年、これだけ減っているということです。こういったことをやってまいりますと、アメリカは一般調達局というところ、一括してここが政府調達はやりますが、こういったものの導入を一生懸命図っていきませんと、役所や地方自治団体にやれやれと言っても、我々ができる範囲の環境をつくってやらないとこうした問題が進まないであろうということでございます。  そこで、最後になりますけれども、時間が今日は十分ほど短くいたしますので次回に譲るといたしますけれども、いかがなんでしょうか、これ。大臣に一言だけ伺いたいんですが、私は、やっぱりポリシーミックス的に連携しないとできない。グリーン購入は行財政改革、パブリック・プロセス・マネジメントと言ってもいいと思いますが、そういったことによって行政改革をする。そのことによって、一体となって初めて国民のグリーン購入や環境に対する意識が上がっていく、そして購入の呼び水となっていくと。これがやっぱり日本が、環境というのが正にナショナルフラッグです、技術を含めて考え方が、大臣が常におっしゃるように。  こういった意味で貢献していくために、いかがでしょうか、今MPNといういろいろなシステムを稼働しようとしているわけですが、クレジットカードやデビットカードを利用して購買調達カードシステムを国、地方にしっかり入れていく。それによってコストを下げ、透明性を上げ、そして価格を下げ、一括購入ができるように各課ごとに横断でこういったことをやることによって市場にインセンティブを働かしてコストが下がり、また一般の方もグリーン購入ができる、こういったことを考えるべきと、こう思いますが、大臣の御感想をお聞かせいただき、議員の先生方に提案書二枚ペーパーを御提案申し上げております、これにつきましてまた次回させていただきたいと思います。大臣の御見解をお願いしたいと思います。
  107. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) せんだって政府としてのCO2排出削減ということで、各省の会計課長に官邸でお集まりいただいたところでございます。  グリーン購入についても政府を挙げて勉強していく必要が当然あると思っておりますし、また、先ほど来お話のございますクレジットカードなどの利用という観点につきましては、会計法上の論点であるとかセキュリティーの確保などの技術的な点なども検討しながら進めてまいるべきではないかなと、このように思うところでございます。  是非とも、政府を挙げて取り組むものにつきましては、連携をよりよくしてまいりたいと考えております。
  108. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 終わります。
  109. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時五十二分散会