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2006-05-16 第164回国会 参議院 外交防衛委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年五月十六日(火曜日)    午前十時五分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         舛添 要一君     理 事                 浅野 勝人君                 山本 一太君                 榛葉賀津也君                 柳田  稔君                 高野 博師君     委 員                 愛知 治郎君                 岡田 直樹君                 金田 勝年君                 川口 順子君                 櫻井  新君                 福島啓史郎君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 今泉  昭君                 佐藤 道夫君                 白  眞勲君                 遠山 清彦君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君    副大臣        防衛庁長官   木村 太郎君        外務大臣    金田 勝年君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        外務大臣政務官  遠山 清彦君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       樽井 澄夫君        内閣法制局第一        部長       梶田信一郎君        警察庁刑事局組        織犯罪対策部長  米田  壯君        防衛庁長官官房        長        西川 徹矢君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        防衛庁運用局長  山崎信之郎君        法務省刑事局長  大林  宏君        外務大臣官房審        議官       鶴岡 公二君        外務大臣官房審        議官       佐渡島志郎君        外務大臣官房審        議官       八木  毅君        外務大臣官房審        議官       長嶺 安政君        外務大臣官房参        事官       伊藤 秀樹君        外務大臣官房参        事官       水上 正史君        外務大臣官房広        報文化交流部長  岡田 眞樹君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省中南米局        長        坂場 三男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○刑事に関する共助に関する日本国大韓民国と  の間の条約締結について承認を求めるの件(  内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 舛添要一

    委員長舛添要一君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  刑事に関する共助に関する日本国大韓民国との間の条約締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官樽井澄夫君外十五名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 刑事に関する共助に関する日本国大韓民国との間の条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本件趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 まず、議題となっております日韓刑事共助条約について御質問したいと思います。  本件は、アメリカに次ぐ刑事共助条約、これは平成十六年に国会承認を受けておりますが、これに次ぐものであります。犯罪国際化、あるいは外国人犯罪人増加しているというような状況から見ますと必要な条約であり、賛成するものであります。  その上で、今二点お伺いしたいわけでございますが、まず一つは対象国拡大でございます。今言いましたように、外国人犯罪人増加等から見れば、中国あるいはブラジル、フィリピンその他の諸国とも順次締結していく必要があると思いますが、その交渉状況はどうかということが一点目。  二点目は、この刑事共助条約は、犯罪人引渡条約及び受刑者移送条約、この三つが相互連携して行うことがより効果を発揮するというふうに思うわけでございます。犯罪人引渡条約につきましては、その相手国において邦人保護が同程度に図られるかどうかという問題がポイントになるわけでございますが、この点につきましては、我が国邦人を引き渡す場合には東京高裁承認という司法機関の判断を要するわけでございます。そういう点から見まして、特に中国などとも刑事共助条約犯罪人引渡条約それから受刑者移送条約を結ぶべきだと思いますが、これらについての外務大臣のお考えをお聞きします。
  6. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) ただいま福島委員指摘されましたように、正にグローバル化情報通信高度化、人の移動の増大といった状況に伴いまして、国境を越える犯罪が一層深刻化している状況でありますから、その中で、今言われましたような問題への的確な対処をするというために、国際的な連携協力というものがますます重要になってきていると、このように認識しております。こういう認識を持って、我が国としては刑事分野における国際協力促進に適切に対処していくということが大切であると、こういうふうに思っております。  対象国拡大と、それから捜査共助条約に加えて犯罪人引渡条約そして受刑者移送ということに関しましても併せて考えていくべきだという御指摘も、正にそういう考え方を踏まえまして、まず中国との関係そしてブラジルとの関係、そして刑事共助条約、そのほかに受刑者移送犯罪人引渡条約といった点についても、今どういう状況かというのを簡単に説明させていただきたい。  先ほど総論的に申し上げました考え方の下で、まず、中国との関係においては、刑事司法分野におきます日中間での協力を更に進めていく必要があると、このように考えております。これまでも中国側との間で意見交換を行ってきているところでありますが、まず、刑事共助条約につきましては、平成十七年六月に中国との間で予備協議を開催いたしまして、条約締結必要性について中国側認識を共有したところであります。今後、正式交渉早期に開始するように努めていきたいと、こういうふうに考えておるわけであります。  また、中国におきます受刑者移送につきましては、多数の中国人の受刑者改善更生、そして円滑な社会復帰という観点から望ましいというふうに考えておるわけでありまして、先ほど申し上げました予備協議の中で我が方の関心は伝えておりますし、中国との間での受刑者移送の実現に向けて引き続き努力をしていきたいと、このように考えております。  それから、中国におきます犯罪人引渡条約につきましては、引渡しの具体的必要性の有無、そして中国刑事司法制度の適切な運用、引渡しされた者の適切な扱いといった諸般事情を勘案いたしまして検討をしていく必要があると、このように考えている次第であります。  また、ブラジルとの関係も、ブラジル人、その逃亡犯罪人増加というものは政府として取り組むべき重要な課題であるというふうに認識をしておるわけでありまして、こういう観点から、ブラジルとの犯罪人引渡条約の締結可能性を含めまして具体的な方策について法務省を始めとする関係省庁協議をして検討していきたいと、こういうように考えている次第であります。  刑事共助条約についても、ブラジルにおきましては、その必要性実施可能性を総合的に勘案しながら検討していく必要があると、こういうふうに考えております。  また、もう一点の受刑者移送につきましても、我が国が加入しております多数国間の条約であります欧州評議会受刑者移送条約へのブラジルの加入の可能性も含めまして、ブラジル政府意見交換を行っているところであります。
  7. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 中国とは早急に進めていただきたいと思います。  次に、パレスチナ問題についてお聞きいたします。  パレスチナ自治政府イスラエルとも政権交代がありました。私は、パレスチナ問題は中東地域の平和とテロ防止の言わばへそであり、イラクの安定とも関連している問題であるというふうに考えております。  日本植民地支配かかわりなかったわけでございますので、クリーンハンドであり、また日本支援評価されております。これは中東地域諸国からも評価されております。したがって、この双方に働き掛けること、つまりパレスチナに対しましては、私も外務大臣政務官時代にお会いしましたけれどもアッバース大統領に代わる人はいないわけでございますので、このアッバース大統領を支持して、ハマスに対しましてカルテットが示しております三条件、つまり非暴力、イスラエル承認、それからこれまでの合意の受入れについてコミットするように働き掛けていくということ、またイスラエルに対しましては、一方的な撤退ではなくて話合いによる国境画定が必要だということを働き掛けていく必要があるというふうに思いますが、外務大臣の御見解をお聞きします。
  8. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、福島先生から御指摘がありましたように、イスラエルとこのパレスチナというもののいわゆる平和共存ですかね、そういったものを実現していくということは、これは中東地域におきます和平とか安定というものを達成するためには、まず優先順位からいったら一番ぐらい高い話だと思っております。  そこで、日本としてもこれまでいろいろ努力をしておりますのはもう御存じのとおりなんで、具体的には九三年以降いろんな形で約八億四、五千万ドルのパレスチナ支援パレスチナ支援を始め、イスラエルパレスチナ双方信頼醸成というのはずっと努めてきております。御存じのように、まあ我々の顔は余り見慣れた顔じゃありませんから、利害関係もこれまでなかったし、そういった意味ではイスラエルパレスチナ双方からの信頼も高いということも事実だと思います。  パレスチナとの関係でいきますと、これはハマスが初めて代表というのになっておりますんで、少なくともイスラエルと、何ですかね、もうぶち壊しちゃうとか消滅させるとか勇ましい人も世の中にはいますけれどもイスラエルとのやっぱりある程度独立というか、そういったものを認めて共存共栄を図っていくという道を、いろんな方法があるんだとは思いますけれども、やるべく、やっぱり日本としては、これは有馬中東和平大使というのはずっとこれ関係しているんですけれどもアッバース大統領を通じて累次伝達をし続けているというのが現状です。  また、イスラエルに対しましても、私、大臣になりましてから、あそこ大臣が代わっておりますんで、あそこの新しくなったリブニといいましたかね、外務大臣と電話をして、とにかくこれはハマスというのは今回初めて、正式に言えば代表というんで、いわゆる国家経営の経験なんか全然ないわけですから、そういった意味では責任ある立場になったばっかりのところなんで、対応がどうとかとか答えを焦ることなく少し辛抱強くやらぬと、なかなかいらいらしても始まりませんよという話をし、また昨日、エジプトの外務大臣というのが日本に来ておりますんで、この問題に詳しい人でもありますんで、そういったものでこの問題についても話合いをいたしております。  先月の末でしたか、ロンドンで行われたパレスチナ援助調整に関する会合に私ども中東アフリカ局長出席をされました。主要援助国というのは、日本は三番目ぐらいに大きいんだと思いますけれども、その中にあっていろいろ議論をさせていただいておりますんで、今後とも、ここが安定しないとほかのところに出て、そのほかが安定しないと日本石油等々に全部回り回って影響するのはもう御指摘のとおりなんですね。ここが一番の元の元かなという感じがしないでもないぐらい大事なところだと思って、私ども、そういう認識でこの問題に関して頑張ってまいりたいと思っております。
  9. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 今大臣言われましたように非常に重要な問題であります。日本リーダーシップを取って、箱根でやっておりましたような信頼醸成会議、これも重要でございます。  今、その時期ではないかも分かりませんけれどもノルウェーは、このパレスチナ和平について本当にこれ貢献することによってノルウェー外交というのを、あるいはノルウェーという国の世界的な認知を高めた、評価を高めたわけでございます。日本も国際的な対応支援と圧力ということが必要だと思います。やっていって、日本リーダーシップを取ってやっていただきたいということをお願いいたします。  次に、イラクからの自衛隊撤退についてお聞きいたします。  この問題につきましては、日米会談、さきの2プラス2、あるいはその後のバイでの会談でも行われたやり取りがありました。当然のことながら、この地域での、サマワ県での英豪撤退すれば陸自撤退せざるを得ないというふうに考えますけれども、その後の撤退時期等についてどういうふうに考えておられるか、防衛庁長官にお聞きいたします。
  10. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、福島先生お尋ねでありますが、先般、五月一日に2プラス2、その後、日米防衛首脳会談もあったわけであります。もちろん麻生外務大臣も、それは国務長官お話をしたり2プラス2でお話もあったわけでございますけれども。  私どもがまずお話をいたしましたのは、四月の二十八日に第十次の自衛隊を派遣をし、引き続きイラクにおいて人道復興支援活動を続けると、それを表明したわけであります。これに対し、米国側ラムズフェルド長官テロそれからイラク人道復興支援活動には日本のプレゼンスが大事である、日本のそういう対応に感謝をしているというような表明がありました。私も記者会見の場できっちりと、イラク民主国家建設のために引き続いて陸上自衛隊及び航空自衛隊においても汗をかかしていただきたい、それが日本の国益につながることであるという話をいたしました。  様々なケースがあります。最近、政治プロセスで、マキリだっけか、首相の下で今組閣が進んでいるということでございますので、そういう政治プロセス、それから我々の自衛隊が行っているサマワ、ムサンナ県における権限移譲がどういうふうに展開をしていくのか、そういう状況をよくにらみ、それから米国英豪軍と相談をしながら我が国対応考えたいというのが実際の考え方でありまして、具体的に今どういうふうにするかということについて決めているわけではありません。  マキリじゃなくてマリキ首相です、の下で政治プロセスが進んでおりますので、そういうことをにらみながら考えてまいりたいということでございます。
  11. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 今の時期での答弁はそういうことだと思いますけれども、いずれかの時点では英豪撤退することになると思います。そうしますと、陸自撤退せざるを得なくなるわけでございますが、その後の日本存在感イラク復興支援におきます存在感を示していく上で空自の機能を拡大していくということ、また二番目に、ODAを拡大していくこと、三番目には、先ほど申しました中東和平へ積極的に貢献していくということが重要だと考えますので、的確な対応をお願いしたいというふうに思います。  次に、国際平和協力法恒久法についてお聞きしたいと思います。  現在の検討状況、特に私は、治安活動イラク等の事例を見ましても、治安活動あるいは治安部隊訓練等も可能とすべきだというふうに考えますし、国連決議だけじゃなくて、それに基づく多国間合意での参加も可能とすべきだと思いますが、この点、これは内閣官房ですか、どういうふうなお考えですか。
  12. 樽井澄夫

    政府参考人樽井澄夫君) 一般法お尋ねでございますが、現在、内閣官房中心にいたしまして、これまでの種々の報告それから国会での御議論等々を踏まえまして、幅広く事務的に検討をさせていただいております。これは我が国国際平和協力全般にかかわります大変大きな問題でございますので、国民的な議論それから国会における御議論も十分踏まえながら検討させていただきたいというふうに思っております。  ただいま先生の御指摘の諸点につきましては、そういった御議論があることは十分に承知いたしております。それらも踏まえまして、更に分析、検討論点整理等々を行っていきたいと思います。
  13. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 今申しました治安活動あるいは治安部隊訓練につきましては、我が国憲法九条との関係で消極的な対応となっているところでございますが、武力による国際紛争の解決ではなくて、正に平和維持活動の一環として行われるものでありますので、この点は憲法九条とは矛盾しないと考えるわけでございますけれども、この点について内閣法制局見解をお聞きしたいと思います。
  14. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) お答えいたします。  お尋ねございました治安維持活動あるいは治安部隊訓練我が国が行うということにつきましては、政府部内で具体的な案について検討をされているというふうには承知しておりません。治安活動対象者をどうするか、あるいは治安活動行為具体的内容をどうするか、武器使用の態様をどうするのか、あるいは治安部隊訓練内容、こういった点につきまして明らかではございません。  そういった状況の下におきまして、ここで憲法九条との関係につきましてお答えすることはなかなか難しいということをまず御理解いただきたいと思いますが、ただ、仮に自衛隊治安維持活動を行うとした場合に、その活動を的確に遂行するために、従来から国際平和協力法等武器使用規定合憲性根拠として申し上げてきております自らあるいは自らの管理下に入った者等の身を守るための武器使用、言わば自己保存のための自然権的権利とも言うべきもの、こういったものを超える武器使用が必要になるといたしますれば、そのような武器使用であっても憲法第九条の禁ずる武力行使に当たるおそれがないと言えるような仕組みを設けることができるのかどうか十分検討する必要があるというふうに考えております。  それからもう一点の、治安部隊訓練でございます。  この訓練自体我が国としての直接の武力行使をするということになるものではございませんけれども訓練を受けた他国の治安部隊武力行使に及ぶということになるとすれば、我が国訓練行為までが武力行使に当たるという法的評価を受けることがないとは言えないと思われますので、したがいまして、こういった場合にはそのような法的評価を受けることにならないよう、訓練具体的内容なりあるいは訓練を実施する場所等諸般事情を総合的に勘案いたしまして慎重に検討をする必要があるというふうに考えております。
  15. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 今国会自衛隊法あるいは防衛庁設置法の改正によります防衛省及び国際平和協力業務の本来業務化ということが課題になっているわけでございます。今国会にも提出するということも考えられるわけでございます。  そういうときに、言わばその根拠法でありますこの国際平和協力法検討を速やかに進めて、両方相まってこの日本国際貢献上、重要なPKOに積極的に対応することが必要であるというふうに思いますので、迅速なる検討をお願いしたいというふうに思います。  次に、FTA戦略についてお聞きしたいと思います。  二〇〇四年の十二月に関係閣僚によります基本方針が、FTA基本方針が定められたわけでございます。それに即して今後とも進めていくお考えなのか、あるいはこれの改定によって東アジア経済圏構想等を取り組んでいこうというふうに考えておられるのかどうか。また、この基本方針でも述べておりますが、今の資源状況石油等から見ればGCCとの交渉、さらにはITで進展著しいインドとの交渉加速化が重要だと思いますが、その点についての見解お尋ねいたします。
  16. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘のありました話は、これは推進をしていくのはこれは大変重要なところだと思っておりまして、これは外務省に限らず、農林省、経産省、いろいろございますので、一体となって積極的に取り組んでいかなきゃいかぬと、まずそう思っております。  具体的には、昨年の十二月に経済連携促進関係閣僚会議というのにおいて決定されました今後の経済連携協定推進についての基本方針というのに基づいて交渉推進しております。今、二階経済産業大臣等々も提唱された例の東アジアEPA構想とか、いろいろ出ておりますけれども、私どもとしては、現在進行中の交渉中の他のFTAEPA、いろいろございますけれども、こういったものを整理などして検討すべき点もいろいろあろうと思いますが、いずれにいたしましても、関係閣僚間で十分に整理して、基本的にはこの基本方針というのに基づいてやってまいりたいと思っております。  インド及びGCCお話がございました。  御存じのように、湾岸諸国と言われるGCCのところから日本石油輸入量の約七五%でございますので、そういった意味では有力な貿易相手国ということにもなろうと存じます。そういった重要性にかんがみまして、物品及びサービス分野においての自由貿易協定、いわゆるEPAじゃなくてFTA交渉を開始することを決定しております。今月の二十日、二十一日には事前会議をもう既に行うことを決めておりまして、GCC早期FTA締結を目指して作業を加速化させる予定にいたしております。  インドの方につきましては、これは昨年の四月の小泉総理の訪問以降特に顕著だと思いますが、IT分野中心として私どもとしては経済関係を一層強化していく必要があろうと思っております。したがいまして、昨年の七月から共同研究会というのを、インドとの間で共同研究会をさせていただいて、包括的な経済関係の強化というものを今検討させていただいておりまして、今年の六月末までにいわゆる提出される予定になっております共同研究会の発表、いわゆる報告書内容を踏まえて、日本インドEPA可能性を積極的に検討してまいりたいというように考えております。
  17. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 次に、日中関係についてお聞きします。  前委員会のときにも少し時間がなかったわけでございますが、正に日中関係は靖国神社だけが問題であるわけではないと思います。問題は、今後の日中関係をどういうふうな戦略的な関係を築いていくかに懸かっていると思います。  中国は第一次世界大戦後の日本、あるいはその後のドイツのような存在だという指摘する意見もあるわけでございますが、要は、中国、この成長する中国国際法秩序の中に取り込んでいくということが重要だと思うわけでございます。経済面ではWTOの中に取り込んでいく。また、知財等もこの中で今取り上げているわけでございます。ところが、軍事面におきましては非常に中国軍事費を増大させているわけでございます。この軍事面におきまして国際法秩序に取り込んでいくことが必要だと思うわけでございます。  この東アジア共同体構想が今検討されているわけでございますが、この中で、その中核として、この軍事面での信頼醸成、あるいは軍事費の透明化、さらには軍事費増大の抑制、それを取り上げていくべきだと思います。その一つのモデルとして、私は欧州のCSCE、つまり欧州安保協力会議のような形、あるいはそれの発展した形でありますOSCEのようなものをこの東アジア共同体の中でつくっていくということを、中核としてつくっていくことを目指すべきだというふうに考えますが、外務大臣見解をお聞きしたいと思います。
  18. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日中関係において、靖国神社だけが問題なのではないという御指摘は全くそのとおりだと思っております。少なくとも、年間約四百万人が行き来するほどの人的交流というものは、二十年前は一万人ぐらい、年間で、それが一日一万人を超えるほどの量になってきておるという事実を見ましても、これは日中間というのは最も重要な二国間関係の一つであるというのは、もうこれははっきりした事実だろうと存じます。そういった意味で、経済も御存じのとおりに発展してきておりますし、こういったのは日本にとりましては大変好機、いいチャンスだというように考えて、少なくとも経済問題、社会的な人事の交流問題等々は、これは最もいい傾向なんだと、私自身はそう思っております。  今御指摘のありました安全保障の面でいきますと、御存じのように、この十八年間で年間二けたのいわゆる防衛費の伸びというのは、かなり急激な伸びになっております。しかもその中が、よくトランスペアレンシー、透明性というものが少々欠いておるのではないかということでもありますので、ここのところはきちんとした形で、中がどういうものに使われているのかとか、どうしてそんなに急激に伸ばす必要があるのかなどなど、いろいろ周辺国の疑問もあろうと思いますので、いろんな意味で、今お話がありましたように、ほかの国で、安全保障等々の観点からお互い相互監視するとかいろんなやり方を、例えばアジア地域以外のところではいろいろやっておられますので、そういったものを参考にしながら、少なくとも、将来の共同体の形成というものを考えました場合に、こういったものを一つの共通目標としつついろいろ私どもとして今後検討していかねばならぬと思っておりますので、御指摘の点も踏まえて検討させていただきたいと存じます。
  19. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 特に日中関係で重要なのは、文化交流、あるいは若者の交流、さらには留学等の促進であります。二十一世紀日中基金、百億できましたけれども、私の試案では一けた足りないというふうに考えます。私は、ODAから返ってくるお金、これはまあ国費として五百億、またそれに見合う民間として五百億、さらに、それに見合う中国側から同じように官と民から五百億、五百億、トータル二千億円程度の基金を何年かにわたって積み立てて、それを文化交流あるいは青少年交流、留学の促進等に充てることが必要だと思いますけれども、これは政治的決断を要するテーマでもあります。  外務大臣の政治的な見解をお聞きしたいと思います。
  20. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) ただいまの御指摘で、現状において、両国国民の文化交流、特に次世代を担う青年の直接的な交流を促進するということは極めて重要だということは、正に福島委員指摘のとおりであると私ども考えております。  今般は、高校生の相互交流を柱とする日中の二十一世紀交流事業を立ち上げたわけでありまして、本事業のスタートとして、中国の高校生の短期訪日代表団が第一陣二百名が今日から来日することになっております。また、委員御指摘のとおり、そういう努力をしてきている中で、十七年度の補正予算において追加出資された二十億と自らの国際交流基金の資金等を合わせまして、計百億の基金の運用益をもって高校生の中長期の招聘事業も実施するということにしておるわけであります。  外務省としては、こうした事業が日中両国の友好と相互理解に役立つ実りある事業になるようにという努力をしてまいりたいと、このように考えておる次第であります。
  21. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 外務大臣の政治的な御見解をお聞きしたいと思います。
  22. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、金田大臣からの御答弁にもありましたように今日からということになっておりますけれども、総じて日本に来た経験のある中国人、若い人というものの帰国後のいわゆる感想等々を見てみますと極めて評価が高くなっておるという事実がありますので、そういったことを考えますと、やっぱり見てみないとよく分からぬと。  何となく、よく例に引かれますけれども、軍国主義がどんどん進んでおると言われて東京に一月いたけれども、軍服を着た人には一人も会わなかったと。これくらい分かりやすい説得力のある話はないと思ってその人の感想を昔聞いたことがありますけれども、そういった事実を私ども知らしむというのにおきましては、こういった交流というのは非常に有意義と私ども考えております。
  23. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 終わります。
  24. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  日韓刑事共助条約について質問をさせていただきたいと思います。  前回の質問で、外国人犯罪についての議論をさせていただきました。日本と韓国も、政治、経済、文化の交流が親密になるにつれまして、現実問題、また犯罪も増えてくるということでございまして、つい先日も韓国の武装すり団による犯罪が大きく報道をされたということでございまして、この日韓の刑事共助条約、早く締結をするべきだということで我が党は賛成でございます。  その立場から質問をさせていただきたいと思いますが、まず、基本的なことからお伺いしたいんですが、ここ五年間で韓国に捜査共助を求めた件数並びに韓国から日本に対して捜査共助を求められた件数というのを数字でお答えいただきたいと思います。
  25. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) お答え申し上げます。  まず最初に、過去五年間の日本から韓国へ求めた共助要請件数でございますが、平成十三年から十七年ということで見ますと合計二十五件でございます。それから、その逆の場合、同じ、同様の期間を取ってみると、我が国共助要請を受けた件数は合計八件でございます。
  26. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この条約締結によりまして、これまでできなかったけれども今後可能になるといった捜査行為共助行為というのはどんなものがあるんでしょうか。
  27. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) やや長きにわたりますけれども、お答え申し上げます。  まず第一でございますけれども、本条約締結されることに伴って日韓間で新たにできることとなる類型の共助としては、第十四条をごらんいただきたいと思いますけれども、いわゆる被拘禁者移送というものがございます。  従来は、この被拘禁者移送に関します共助の実施に関して、従来の国際捜査共助法は共助の要請国との間に条約があるということを前提にしております。したがいまして、今度この条約ができますと、韓国との間でこのような共助の実施が可能になるということでございます。例えて申し上げますと、我が国受刑者が一時的に韓国に身柄を移されて韓国における刑事裁判で証言ができるというようなことが可能になります。  それからもう一つの類型でございますが、この条約に伴って、もう既に行っている類型でありますけれども、範囲が論理的に考えて広がるというものがございます。  具体的に申しますと、従来の、請求国における捜査等の対象になっている行為が被請求国の法令によれば犯罪を構成しない、つまり片方の国でしか罰せられないというようなものについては条約締結していない国との間では共助ができないということになっておりましたけれども、今回の条約ではそういうことを、片方だけであっても、もちろん裁量の判断が働きますが、これが行い得るようになります。  それから、漏れるようなものがないかという御質問の……
  28. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 まだしていませんけれども、どうぞ。
  29. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) 済みません、ついでにお答えしたいと思います。  というのは、条約の一条の二項をごらんいただきたいと思いますけれども、最後のところに、幾つか類型の後に、相互で合意するものもやっていいということになっておりますので、漏れたものがあってもカバーできると。したがって、私が申し上げたかったことは、新たに範囲も広がります、片やちっちゃくなるものはございませんと、こういうことを申し上げたかったわけでございます。済みません、長くなって。
  30. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 佐渡島審議官とは以心伝心で、いい議論させていただいてありがとうございます。  この条約締結に際しまして、今審議官がおっしゃったようなことがあると思うんですが、加えて、いわゆる中央当局と直接やり合うということで、日本の中央当局というのは法務大臣と国家公安委員長になろうかと思います。韓国の場合は法務部長官とおっしゃるんですか、法務部長官という形になると思うんですが、一つのメリットに、この条約締結でいわゆる事務手続が簡略化、迅速化するということがあると思うんですけれども、この条約締結により、刑事共助の事務手続が具体的にどれくらい迅速化されるとお考えですか。
  31. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) 御指摘のとおり、事務当局、中央当局間で直接やるということになりますので、事務処理が軽減されると。具体的にじゃどれぐらい早くなるんだろうかと、こういうことでございますが、実施に移しまして実際に計量してみないとなかなか一概にあらかじめ申し上げることはできませんけれども、間に従来ならかんでおりました双方の外交当局、韓国の外務通商部、それから日本外務省のそこの部分がなくなりますので、相当程度早くなるだろうということは予想できます。
  32. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 もう一点、日本はこの刑事共助条約、幾つくらい締結されているんでしょうか、現在。
  33. 長嶺安政

    政府参考人(長嶺安政君) お答え申し上げます。  我が国は、これまで米国刑事共助条約を署名しております。今回、韓国と署名をしたということで、二本の条約があるということでございます。
  34. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 日本は、二〇〇三年に日米刑事共助条約、この委員会でもやりましたけれども、署名をしているんですが、アメリカの議会承認がまだで、これ次第だということで、実際に発効されるのは今後ということになろうかと思いますが、アメリカ、韓国に加えて、今、中国、ロシアともこの刑事共助条約の準備を協議しているというふうにも聞いております。  韓国は一体どれくらいの刑事共助条約を結んでいるんでしょうか。
  35. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) 韓国につきましては、これまでに十四か国・地域との間で刑事共助条約締結してきております。
  36. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 これ、韓国に比べて日本が極めて少ないと。これ、どういった違いがあるんでしょう、どういった背景があるんでしょうか。
  37. 長嶺安政

    政府参考人(長嶺安政君) 韓国の事情と比較というのはなかなか難しゅうございますけれども我が国に関して申し上げますと、先ほど榛葉委員からも御指摘ございましたように、日米刑事共助条約が結ばれたというのが一つの日本にとってはエポックメーキングといいますか、これができましたので、これから基本的には同様な刑事共助条約を結んでいこうという方向でやっております。  我が国の場合、国内法、先ほども出ましたが、国際捜査共助法に基づきまして、これは国内法上一定の刑事共助というのができる形になっておりますので従来はそれを活用してまいったわけでございますが、先ほど来ございますように、この条約締結するメリットというのを勘案して、今後はまた進めていきたいというふうに考えております。
  38. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この条約締結に際しまして、いわゆる北朝鮮の拉致問題、これの解決に役立つ、若しくは関係する可能性というのはどれぐらいあるんでしょうか、可能性の話で恐縮ですけれども
  39. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) なかなかちょっとこの時点で、あらかじめ具体的な事例がないとどうなるかということはなかなか申し上げ難いところがございますが、一般には、非常に一般論としてあくまでも申し上げますと、例えばお隣の韓国とのネットワークが広がることによって、少なくとも協力可能性が、ポテンシャルには高まるということは申し上げられると思います。  ただ、具体的に、じゃどういう事例がどういうふうに適用できるのかというのは、具体的な事例の発生、あるいはその捜査当局における実際の需要その他を勘案しないと正確なお答えにはできないと思います。
  40. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 是非、この日韓刑事共助条約、フルに活用していただいて、この問題にも対処していただきたいと思います。  犯罪国際化、多国籍化している現状で、この条約というのは不可欠だというふうに思っております。今後、更なる積極的な交渉締結を韓国、アメリカ以外の国々とも是非結んでいただきたいということをお願いいたしまして、次の質問に移りたいと思います。  外国人犯罪に関連するんですが、前回質問をしたブラジル人逃亡犯罪人の問題ですが、前回は山岡理子ちゃんの事件について質問をさせていただきました。引き続き、この問題につきまして事実関係の確認をさせていただきたいと思います。  まず、法務省いらっしゃると思うんですが、日本において、ひき逃げ事件若しくは強盗殺人事件の日本の刑法における時効というのは何年なんでしょうか。
  41. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) お答え申し上げます。  公訴時効、つまり事件のときから犯人を起訴するまでの期間の制限は各犯罪の法定刑に応じて定まっております。お尋ねのいわゆるひき逃げ事件は、道路交通法の救護義務違反の罪及び業務上過失致死傷罪に問われる場合が多いわけですが、その場合の公訴時効期間は五年です。  強盗殺人罪の公訴時効期間につきましては、平成十六年に改正が行われ、平成十七年一月一日以降の事件については二十五年、それよりも前の事件については十五年となっております。  なお、刑事訴訟法の規定により、犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れしているために必要な手続を行うことができない場合には、その間、時効の進行が停止するものと定められております。
  42. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それで、ブラジルの刑法においては、このひき逃げ、そして強盗殺人というのは時効は何年になっていると把握をされていらっしゃいますか。
  43. 坂場三男

    政府参考人(坂場三男君) お答え申し上げます。  ブラジルの刑法の時効に関する規定ということで、私どもは、外務省としてこれを有権的に解釈するという立場ではもちろんないんですけれども、私どもが入手しておりますブラジル刑法の条文に沿いましてお答えを申し上げたいと思います。  ブラジルの刑法の百九条というところに各罪の、罪ごとに法定刑の最高年数を基に何年というふうに時効が決まっておりまして、例えば、刑の最高年数が二年より長く四年以下の場合は八年、四年より長く八年以下の場合は十二年というふうに決まっているわけでございます。  そこで、御指摘のありました交通事故による過失致死の場合でございますが、これはブラジルの道路交通法によりまして最高四年の法定刑ということになっておりますので、先ほど申しましたブラジル刑法の規定からしますと時効は八年であるということになります。  ただし、ブラジルの判例を見ますと、時効の年数を算定するに当たりまして、加重要件というのが規定されております。言わば、より悪質なケースというようなことだと思います。この加重要件を考慮しますと、事故の被害者に対して救急措置を怠っているというような事例が出てきた場合、これは先ほど申しました最高四年という量刑が更に三分の一から二分の一を加重するというような規定になっておりますので、ひき逃げにつきましては正にこの救急措置を怠ったケースということになろうかと思いますので、刑法の百九条の最高年数、つまり四年から八年以下というケースになりますと、時効は十二年というふうに理解をされます。  また、もう一つ、強盗殺人のケースでございますが、これは最高刑三十年ということになっておりますので、これに基づく刑法百九条の規定を見ますと、最高年数が十二年より長い場合ということに該当いたしますので、時効は二十年であるというふうに該当するというふうに理解しております。
  44. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いわゆる外国人が日本国内で犯行を行った後、ブラジル人の場合はブラジルの方へ帰ってしまった場合、いわゆる今外務省として積極的にこれを把握する立場にないということをおっしゃいましたが、やはりブラジルの刑法における時効というのは極めて重要だと思っております。これだけ国際化して外国人犯罪も増え、だからこそ今日も日韓刑事共助条約を結んでいるわけでございますから、やはりこういった主な国の、相手国の国内法の状況もやはりきちっと把握をしておく必要が極めてあるんだろうというふうに理解をいたしております。  それでは、もう一点、ブラジル刑法についてお伺いしたいんですが、これ刑法の百十一条だと思うんですけれどもブラジルの刑法において時効というものはどこから計算をされるんでしょうか。起点はどこになるんでしょうか。
  45. 坂場三男

    政府参考人(坂場三男君) お答え申し上げます。  御指摘ブラジル刑法百十一条でございますが、これは時効の起算、時効期間の起算点につきまして四つ規定を設けております。一つは犯罪行為が成立した日、二つ目が未遂の場合は犯罪行為が停止した日、それから常習犯の場合は常習性が停止した日、四つ目でございますが重婚等の場合は事実が発覚した日と、四つ規定がございます。  このブラジル刑法において海外で行われた犯罪の時効起算点はどうなるのかという点でございますが、実は特段の定めがこの点についてはございません。ただ、一般論としては、海外で行われた犯罪につきましても時効の起算点についてはこの刑法第百十一条、これが適用されるだろうというふうに思われます。
  46. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それでは、具体的にお伺いします。  前回質問をさせていただいた静岡県内で起こりました三件の事件がございました。九九年七月に発生した浜松の女子高生落合真弓さんひき逃げ事件、そして二〇〇五年十月に発生した湖西市の山岡理子ちゃんの交通事故死の事件、そして二〇〇五年十一月に発生した浜松市内レストラン経営者である三上さんの強盗殺人事件、それぞれこの三件につきまして、時効はそれぞれいつになるんでしょうか。
  47. 坂場三男

    政府参考人(坂場三男君) お答え申し上げます。  御指摘のありました個別の事案についてブラジルにおける時効がいつになるのかという点につきましては、最終的にはブラジルで起訴された場合にブラジルの裁判所が判断をするということになるわけでございますが、先ほど申し上げましたような私どもが把握している条文に照らしてどうかということでお答えを申し上げたいと思います。  まず最初の落合真弓さんのひき逃げ死亡事件でございますが、これは一九九九年、平成十一年七月、発生しておるわけでございますけれども、先ほどのブラジルの道路交通法三百二条、それからブラジルの関連の刑法規定に照らしますと、事件発生から八年後、つまり二〇〇七年七月、これが時効期限というふうに考えられます。ただし、これも先ほど指摘申し上げましたけれども、事故の被害者に対する救急措置を怠っているケースということで量刑に当たって加重要件が考慮されるという場合には事件発生から十二年後、したがいまして二〇一一年七月ということになる可能性もあるというふうに思います。  それから二点目、湖西市で発生しました山岡理子ちゃんの交通死亡事故の時効期限でございますが、これも同じ道路交通法及びブラジルの刑法の規定に照らしますと、事件発生から八年後の二〇一三年十月というふうに考えられます。  それから、最後でございますが、浜松市で発生しました強盗殺人事件でございますが、これも同じブラジルの刑法の規定に照らしますと、事件発生から二十年後の二〇二五年十一月というふうに時効期限は考えられます。
  48. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 まず、この落合真弓さんの時効が、時効が延期される可能性もあるけれども、普通ですと恐らく八年ということですから、あと十五か月というふうになっております。遺族の方々はもうこれ政府当局にすがるしかないのが現状でございまして、是非、容疑者の住所、名前も特定されているものもあるように聞いております。政府の皆様が大変この問題、重要視されていることには心から敬意を表しますが、やはり時間が迫ってくるということで御遺族も焦っていらっしゃる。是非、逃げ得ということのないように、前回も質問させていただきましたけれども、引き続きこの問題については御尽力を賜りますように私からもお願いをしたいと思います。  それでは、次の問題に移ります。  大変残念なことが再び起こってしまいました。いわゆる防衛庁の情報流出事件の再発でございます。前回、予算委員会、そして外交防衛委員会で額賀長官と様々な議論、私なりに建設的に議論をさせていただいたつもりでございますけれども長官の方から、このようなことが二度と起こらないように対応していくと力強い決意をちょうだいしたにもかかわらず、この五月一日に、今度は陸自の久里浜駐屯地から、報道によりますとフロッピーにして二百七十五枚分、フロッピーで計算すると、容量にもよるものですから余り当てにならない数字なんですけれども、分かりやすく言うとそれくらいの分量の情報が流出をしてしまった。内容は、SSMシステムの概要であるとか通信科運用と電子戦運用といったような資料であるとか、様々な情報が、今度はウィニーではなくて、ファイル交換ソフト、シェアというものから流出をしてしまったということが分かりました。  まず冒頭、長官にお伺いしたいんですが、私、大変残念な思いでございます。月並みな言葉で言いますと、がっかりいたしました。絶対この問題をもう起こさないと、だからこそ対処をしっかりするんだということを長官自らお約束をされたにもかかわらず、この事件があの対処した後に、対策を講じた後にまた出てしまった。この問題につきまして、この事実につきまして、まず率直な長官のお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
  49. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、榛葉委員のおっしゃるとおり、今度、何といいましたかな、ファイル交換ソフト、シェアによる情報流出ということの事件があったことは事実でございます。  我々は、もうこれまでの一連の「あさゆき」情報流出事案以来、私有のパソコンを一掃して、そしてまた、情報の流出を差し止めるために、データを移転する場合には暗号化をするとか、あるいはまた管理責任を問うとか、様々な対策を講じてきているわけでございますけれども、今度の案件につきましては、かつて自衛隊員であった方が亡くなられまして、その亡くなられた私有のパソコンを家族が使っている過程で流出されたということでございますので、我々も、今後、退役隊員の方々のそういう私用パソコンとか、そういうことについてもきっちりと対応していかなければならないということについて改めて点検を今させているという状況でございますので、更に我々は緊張感を持って対応さしていただきたいというふうに思っているところでございます。
  50. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いや、それは最初にやるべきだったんじゃないんですか。これ、退官をされてもう亡くなっている方だからという御説明ですが、それは正に言い訳であって、大切なのは情報を出さないことが目的で、出ているんですから。そして、出てから、今度はじゃ退役された自衛官もやりましょうと。これ、一番最初からこれやっとけばこのシェアの流出はなかったわけでございますから、緊張感を持ってと再三長官は答弁に前回の質問でもされましたし、こういうことがないように全力を尽くさなければならない、秘密保全体制の点検をきっちりとしなければいけない。やはりきっちりやるというのは、今後、現役もそうでしょうけれども、情報が出る可能性のあるものを全部つぶすと。これが私は国防の、若しくは安全保障の情報管理の最低限のやはり対処方法だったと思うんですが、結局は対応が、対処が、言葉が不適切かもしれませんが、不十分だった、中途半端だった、だからこそ現実問題として、今度はシェアからまた情報が出ているという現実なんですね。  今日、西川官房長をお呼びしてあるんですが、以前私が予算委員会で質問した際、ファイル交換ソフトのインストールを調査して業務上使用したことのある私有パソコン、これ十二万台チェックをされたというふうにおっしゃいましたが、これウィニーだけチェックしたんじゃないんですか。シェアであるとかその他の交換ソフトもこれチェックされているんですか。
  51. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) お答え申し上げます。  結論から申しますと、ウィニー以外のいわゆるファイル共有あるいは交換ソフトという形でいろいろ事情聴取しながらそのチェックをしてきております。  なお、ウィニーについてはその当時非常に猛威を振るっておりましたので、ウィニーについてはそれは全部やりながら、あとどういうものがあるか。実は、これにつきましてちょっと、事案そのもの、先生、先ほど御指摘もございましたように、これ自身が、お亡くなりになったのは平成十四年にお亡くなりになって、大分昔のやつでございますが、当時まだこのシェア等もまだそういう大きく出ておらない時代でございまして、我々自身はこのシェアというものも一応頭に入れた上で交換ファイル全般を調べていると、こういうことでございます。
  52. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私が三月十七日の予算委員会で聞いたときに、どれぐらい十二万台のうち実際にウィニーをインストールしていたんですかという質問に対して、官房長はこうおっしゃっているんですね。「十二万台の私有パソコンのうち八十台のパソコンにウィニーが入っておったということです。」というふうに答弁をされております。  これ具体的に、八十台、これウィニーが何台でその他の情報交換ソフトは何台あったんですか。
  53. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 私の方でそのとき、たしかウィニーと、一番最も問題になっていましたのはウィニーということで、そのときにファイル交換ソフトの点検ということを言っておりまして、八十台あるということでやっております。  今、先生指摘、お問い合わせのものにつきましては、ウィニーのほか七種類のファイル交換ソフトを検出しております。  先生おっしゃるように八十台全部ウィニーということで、実は我々としてはもうウィニー等々、あともまたありまして、そういうファイル交換ソフトが八十という格好で把握しておりました。ウィニーは実際は三十九でございます。それからWinMXですね、WinMXが二十七、それからライムワイアというのが六、それからカボスというのが四、それからビットトレントというのが二、それからシャレアザというのが一、それからシェアが七ございました。これ全部足しますと八十六になりますが、これ同じ方が二つ入れておったとか云々で八十台のパソコンから検出したのが八十六の交換ソフトですと、こういうことでございます。
  54. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 西川さん、それあんまりじゃないですか。徹底的にチェックするよう言った、そしてもう情報を出さないようにと言った、テレビ入りの予算委員会で、総理まで御出席いただいて私はこの問題を質問いたしました。言ったように揚げ足を取るためではなくて、きちっともう情報を出したくない、ですから具体的な情報も余り提示をせずに、情報流出した内容ですね、質問をやらせていただいて、自衛官のみならず、このウィニーやその他の情報交換ソフトを持っていらっしゃる方々に注意喚起をするためにも行ったわけでございます。  このときに、ウィニーが八十台というふうに答弁されているんですよ。内容が分かっているんでしたら、しっかりウィニーが何台、MXが何台、カボスが何台ということを情報提供することによって、カボスであるとかその他のファイル交換ソフトを持っていらっしゃる方々がウィニー以外も情報流出の危険性があるんだということが分かるわけですよね。あのときしっかりとこの内訳を情報公開されておったら、恐らくこの自衛官の方々の御家族も気が付いたかもしれない、シェアが入っているからこれ危ないかもしれない。そういうことが、私はそれが危機管理だと思うんですが、官房長、どうですか。
  55. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 我々、当時の調査の中は、まず一つ調査のやり方でございますが、調査のやり方については、個々人の方がソフトを所有されておるわけでございまして、それについては、いわゆるこういう名前のものだけということではなくして、いわゆる交換ソフトというものはないのかどうかと、こういう機能を果たしているのはないのかどうかという形で言っていただくと。本人はそういう自覚していない場合もございますんで、そういうものを含んで、その上でこちらの者がチェックしてそれを押さえていっているということでございます。  先生指摘の、じゃ一般の方にその辺りを言って、一般といいますか、それを公開すればそういう家族の方がということでございますが、確かにそうするのも一つの手ではございますが、これをやりますと、非常に多くの種類もあり、かえって混乱も生まれると。とにかく、うちとしては相談があればそれに乗って、とにかくヒアリングをして、それでおかしいと、そういう交換機能があるようなものは押さえるという形でやっていったというのが実情でございます。
  56. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 しかし、現実問題としてまた情報が出てしまったという事実は変えられないわけでございます。  どのような情報が具体的に出たのか、そしてこれが機密、秘に当たるものなのか等々は恐らくお答えになられないでしょうからあえて聞きませんが、あれだけ対応すると言って、また、どこから出たのではなくて、防衛庁に関する、自衛隊に関する情報が出たというこの事実が、やはり他国若しくは関係者に私は大きな信頼を失墜させる事件になってしまうというふうに思っております。  恐らく、防衛庁の方では常時ネット上を情報漏れてないかということを今でも探していらっしゃると思うんですが、実際にそういうチェック体制は常時取っていらっしゃるんですか。
  57. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) ネット上の情報監視という形では、ウイルスチェック等をしましてそれに関する情報の収集がございますが、その他交換資料等、あらゆるところで含めまして情報の収集はやっております。
  58. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 しかし、今回は五月一日に流出をして、この事件が発見、確認されたのは何と十日後の十一日なんですね。しかもそれが、防衛庁が見付けたんではなくて、いわゆる報道と2ちゃんねるによってこの情報流出が分かったということなんですね。  これ、防衛庁のチェック体制、機能していないんじゃないですか。
  59. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) これにつきましては、確かに先生指摘のとおり、五月十一日にそういう情報があるという話聞きまして、直ちに調べてやったところでございますが、当方もできるだけの体制でもっていろいろな情報収集やっております。結果的にこういうことになったのは大変残念でございますが、我々としてはそういう努力を引き続き続けていくという形で対応するしかないと、こういうふうに思っております。
  60. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この情報流出事件が防衛庁長官に御報告されたのはいつでしょうか。
  61. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) これは十一日の午後、我々の方へ情報が入りまして、その事実を確認し、なおその流出先をチェックするという段階で、十一日の夕刻には、たしか夕方、夜までには大臣の方に御説明して、報告しております。
  62. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 総理にはいつ御報告されました。
  63. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) これはまだ総理の方には報告しておりません。  と申しますのも、これすぐに分かりまして、これにつきましては、ちょっと分かる範囲までお話しいたしますが、これ元陸上自衛隊の通信学校の教官の方が、まあ亡くなられた方ですが、この方が自宅でどうも持っておられたと。中身につきましても、これ実は教養資料等でございまして、この教養資料等につきましては極めて初歩的な入門書のたぐいで、ある意味では外に大分出ているやつがございまして、秘というものは一切ないということ等ございまして、一応官邸のしかるべきところまでは、我々としてはこういう格好で新聞等でも出るという話は一応はお話はしておりますが、そのダメージ等いろいろ考えまして、この段階では確かに出ていることは事実でございますが、今回は直接総理に御報告というようなことはやっておりません。
  64. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 情報が大したことないからいいという世界ではないと思うんですね。私も含めて素人には、何が秘で、何が大切で何が大したことないのか、それは分からぬですよ。  問題は、新聞に報道されて、また自衛隊から、防衛庁から情報が出たと。トランスフォーメーションや2プラス2を経て、これから巨額な税金をこの自衛隊、米軍再編絡みで私たちの税金を使っていくという問題を、若しくは今、省昇格の話もあるようでございますけれども、国民に御理解を得なければいけないのがやはり立場だと思うんですね。  ですから、その内容が大したことがないからまあいいではないですかということには絶対にならないと思います。国民の皆さんが防衛庁に、そして自衛隊に対して抱くこの失望感というものは取り返しが付かないわけでございます。どうやって国民の皆さんと、米軍ともそうですけれども、国民の皆さんとどうやって信頼醸成をつくっていくかということを、やはりこれ党派を超えてやらなければならない時期に来ているわけでございますから、この情報流出という問題は中身がどうこうという以前に、問題提起をされて、対処をして、にもかかわらず再び出てしまったということに大きな問題点があるということを指摘をし、もう三たびこのようなことがないと信じておりますので、可能性のあるものはすべてつぶしていただきたい、このことを強く要望して、同僚議員に質問を譲りたいと思います。
  65. 柳田稔

    ○柳田稔君 民主党・新緑風会の柳田でございます。  今日は、自衛隊、まあ軍事力の活用について、長官大臣並びに外務の副大臣、いろいろとお考えをお聞かせ願いたいと、そういう思いで質問をさしてもらいます。  私が初当選して国会へ出てきたのは平成二年、一九九〇年でした。米ソ冷戦が終わりまして、米ソが和解したと。それ以来、地球各国で地域紛争が勃発してきたと。まあ、象徴的なのが私は湾岸戦争だろうかなと思ったりもしているんですが、その湾岸戦争のときに、お金を出した、人は出さない、何だ日本はとたたかれたのも記憶に残っております。  当選してPKO、法案を作る必要があるということで、実は私も、当時、民社党でしたけれども、自民党さんは武部幹事長、与謝野先生、社会党が、もう亡くなりましたけど、川崎先生、沖縄の上原先生だったかと思うんですが、公明党さんが草川先生、私もその一員に加わらしていただきまして、PKO、どういう法案を日本は作ればいいのか勉強もさしてもらいました。それ以来、もう十何年間ここに座っておりまして、いろいろ自衛隊のことについて考えますと、九〇年ぐらいから大幅に自衛隊の活用が変わってきたなと実は思っているんです。  ちなみに、私は民社党におりましたから、自衛権は当然持っていると、集団的自衛権も持っているんだという立場で自衛隊については考えてきました。ただ、歯止めは要ると。さきの大戦に突き進んだあの反省を考えなくちゃならないと、その歯止めは要るんだということで、先輩に教わりました。その一番大きなのが文民統制、シビリアンコントロールだと。  先日、周辺事態法だったかと思うんですが、当時、守屋さんが局長で答弁されましたけれども、シビリアンコントロールというのは国会が責任を持つことだと、国会も責任を持つことだという答弁もされまして、そういう話も聞きながら今日まで来ております。特に、2プラス2で新たな合意ができて、また何か始まるのかなと思いつつおりまして、果たしてこの国というか、この国会で軍隊、自衛隊の活用について何か基本的な考えがあるのか、将来の方針があるのか、もう一つ歯止め、本当に歯止めだと思って先輩がつくってきたものを守っているのか、本当に実は不安になってきたんです。特に、ここ五年、どこからか言われて、この国会は押し切られて、最後は強行採決されておしまいと、国会関係ありませんと、そういうものがここ五年間非常に多いんで不安になっています。  そこで、一回原点に戻って、長官大臣、副大臣意見をお聞きしながら整理さしてもらえればと思うんですけれども、まず最初に、自衛隊の目的、存在意義、これは一体今どういうふうに理解されているんだろうというのがまず最初の質問です。長官大臣にお答え願いたいと思います。
  66. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的に、自衛隊日本の平和と独立を守り国の安全というものを保つために直接侵略並びに間接侵略に対して日本を防衛することが主たる任務ということだというように、基本的な認識としてはそういうものだと思っております。    〔委員長退席、理事浅野勝人君着席〕  こういった役割というのは極めて重要なのであって、引き続きこれを継承していくことになるのは当然のことだと思いますが、今言われましたように、昨今というか今日の安全保障を取り巻く国際環境というようなものは、おっしゃるように、確かに一九九〇年の湾岸戦争若しくはその一九八九年ベルリンの壁崩壊、最近では九・一一等々、いろいろな事件が起きたこともあって、従来のような国家間におきます軍事的対立を、いわゆる正式な戦争というようなものに代わって、そういう伝統的、そういったような従来からの脅威に代わって新たに大量破壊兵器とか核拡散とかテロとか、いろんな形で別の脅威に代わりつつあるというのが、多分先生も同じように認識をしておられるんだと思います。  これを踏まえて、日本の場合も、防衛大綱の下にこの日本という国の安全とか国民の安心のために機能的というか多機能でいわゆる弾力的な、いわゆる実効性のある防衛力というものを構築をすることが重要ということになってきているんだと思いますんで、今の世界じゅうほぼ同じような方向を歩んでいるように思いますけれども、私どもとしては、この安全保障環境に合わせて、少なくとも日本自衛隊というものの在り方を改善するための施策というのについて取り組んでいかなければならないのではないかというように考えております。
  67. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、柳田先生がおっしゃるように、自衛隊の基本的な目的は、これは日本の国民と国家の安全を守るということ、自国の安全を守るときには地域の安定が非常に大事であるということ、そういうことについて法律に基づいてどういうふうに活用するかということが基本的にシビリアンコントロールということであるというふうに思っております。  今、麻生大臣がおっしゃったように、冷戦後、やっぱり日米同盟関係とか日本の安全をどう守るかということが問われたと思います。特に、北朝鮮の核開発問題が九四年に起こりました。そのときに、柳田先生も御承知のとおり、我々はどういうふうにすれば日本の国民を守り、地域の安定に寄与していくことができるのかということを考えたときに、法的にきちっと担保されているものがないということに気付きました。それが九六年の日米共同安保宣言であり、そしてまたガイドラインであったというふうに思います。したがって、周辺事態確保法案とかあるいは有事法制とか国民保護法制というものが説かれて、法律に基づいて国民を守ろう、地域の安定に抑止しようということが決められてきたと思っております。  二〇〇一年、テロ事件が起こりました。そして、これは様々な、世界の中で混乱を起こす要因がたくさんある、国家と国家の戦争のようなたぐいではない、しかも、なおかつ大量破壊兵器が拡散をしている、テロ集団と結び付いたときに、世界の平和と地域の安定、いや、日本の安全もどうなるのかということが問われたと、そういう中で我々は自国の防衛とともに地域の安定を考えました。それが、先ほど言ったとおりでありますが、PKOだとか、あるいはイラクのその人道復興支援だとか、あるいはテロ特措法だとか、国際的な平和、地域の安定は日本の安全と安定に直結しているという形から、そういう法律を作りながら自衛隊の活用を図ってきているというのが現状であろうと思っております。  つまり、自衛隊の活用の範囲が国民を守ると同時に地域の安定にも寄与させる、あるいはテロだとか世界の安定にもどういうふうにしていけば我々が貢献できるのかということが問われつつあると。その点について、これからも議論をしていかなければならないということであると思っております。
  68. 柳田稔

    ○柳田稔君 金田大臣、何か御意見があれば。
  69. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 両大臣が今答弁されたとおりだと、このように考えております。    〔理事浅野勝人君退席、委員長着席〕
  70. 柳田稔

    ○柳田稔君 基本的に、日本の安全、日本人の生命、財産を守る、これが自衛隊だと。これは一緒なんですね。これについては、有事法制の成立も相当遅れたなと、我々国会も反省しなきゃならないなという立場なんです。  問題は、自衛隊を海外に出す。これ、自衛隊という言葉を聞いていると何にも力のないものと聞こえる向きもあるかもしれませんが、これは厳然たる軍事力ですから。鉄砲の中に弾入れているかどうか私は知りません。軍事力であることは間違いない。この軍事力をここ五年ほど展開してきていますね。PKOというのは軍事力を利用しないわけですから、ほとんど。それは前提としてPKO派遣していますから、これはちょっと趣旨が違うと思うんですけれども、最近の件は軍事力を海外に展開し始めた。これは非常に悩ましい課題だなと実は思っているんです。  そこで、長官大臣にお聞きしたいのは、軍事力を海外に行って展開する、何か基本があってやられているかどうか、その基本があれば教えていただければと思うんですが。
  71. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 例えば、イラク支援法について、自衛隊が、陸上自衛隊航空自衛隊がそれぞれ人道復興支援活動という限定された中で仕事をさせてもらっているわけでありますけれども、その活動を展開する中でやはり自らの生命、安全をどういうふうに守るかということについては、自らと自らの所属する部隊を守るということについて限定的な形でその人道復興支援がなされていると。したがって、それに応じて武器の携帯を許しているという形になっておりまして、憲法で言う武力行使との一体化には至らない範囲でその武器の携行を許し、そして法律の本来の目的である人道復興支援活動に徹して汗をかいているということであると思っております。  したがって、これは先生のおっしゃるように、きっちりと自衛隊活動させるためには、法律に基づいてその任務、それから活動の中身がしっかりと規定されるということであります。法律を作って、しかもこの過程では国会の言ってみれば承認を得たり、あるいはまた内閣で基本方針をきちっとコントロールする、そういう制約の下で自衛隊活動がなされているというふうに思っておりまして、戦後六十年の民主主義のルールが私は定着しているというふうに思っております。  日本の民主主義は戦後だけではありませんで、やっぱりそれは明治以降、営々と、言ってみれば日本は公平にお互いに政治とかいう、社会生活が行われるという慣習的なものもあり、そういったものが蓄積された形で大正デモクラシーとか戦後のデモクラシーとか、そういうものが総合的にかみ合って今日の民主主義のルールというものができ上がっており、我々はそれについてもうちょっと自信を持ってもいいんではないかというふうに思っております。
  72. 柳田稔

    ○柳田稔君 お聞きしたいのは、イラクもあれば、それとインド洋の給油の自衛隊の派遣もあります。海外に要するに軍事力を派遣したと。  長官は、その時々で必要なことは法律を作って、法案が通ったら出せると、まあそれは現実論なんですけれども、今後、どういったことが予想されるか分かりません。ただ、分からないがゆえに、どういった基本的な考えを持って軍事力を海外に派遣するのか、私は絶対派兵とは言いませんのでね、派遣するのか。どういった基本的な考えを持って軍事力を海外に派遣するのか、その辺をお聞かせ願いたいと思うんですけど、どうでしょうか。
  73. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 基本的には、我々は様々な歴史を経験をし、そして今、国民も、我々が目指しているのは平和国家であり、しかも、なおかつ国民が安心して生活ができるそういう繁栄、豊かな生活ができる国家である。そのためには、やっぱりこれだけ通信だとか輸送力だとか様々な技術が発展しているときに、自分一国だけではそういう国家形成はできない、相互依存関係がある。だから、他国と連携をしながら安定を図り、繁栄を図っていかなければならない。そういう国際的な平和と安定をどういうふうに構築していくか。それが自らの国家の平和と安定につながっている。それは憲法に定められており、しかも、なおかつその憲法の枠内で法律を作って自衛隊を動かしていくというのが厳然たる理由であると。  自らの国益にきちっと寄与し、その国益が国際的な平和と安定、繁栄につながっていくことが望ましい。そういうことが国会とか様々のところで議論されるべきであるというふうに思っております。
  74. 柳田稔

    ○柳田稔君 外務大臣、何か今の質問に対してお考えがあればお答え願いたいと思うんですが。
  75. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日本の場合は、やっぱり旧憲法から新憲法に変わった段階で軍というものに対する考え方は大幅に変わったんだと思っております。少なくとも戦前の場合は、統帥権の問題、御存じかと思いますんで、統帥権の問題からいって、いわゆる国会はこの統帥権に干渉することはできないという解釈の下、戦線が拡大していったという例をもとにしていろいろ反省のされているところもあろうと思いますが、憲法が新しく変わった。  戦争が終わりました六十年前、五十年前、あのころの話ですと、日本の経済力も大したことなく、冷戦構造というものもあって、当時の状況としてはいろいろ日本というものの存在はそんな大きな問題ではなかった。しかし、今現在では世界のGDPの一二%を占めるほどの大きさになり、そして冷戦構造が終わって、極めて不安定な状況というものが醸成されつつある中にあって、日本の経済のために必要な化石燃料、主に石油を中近東から輸入、日本の全輸入量の約九〇%は中近東ということになってくると、この中近東地域の安定というものは、日本という国の経済的繁栄若しくは安定のためには極めて重要と、そういう情勢になってきたときに起きたのが多分湾岸戦争だと記憶します。  結果として、あのときは戦争後に掃海艇を日本は初めて派遣をすることになります。六杯、佐世保、呉、横須賀からそれぞれ二杯ずつ送ったと記憶します。その結果、極めて高い評価を得た。スイーパー、掃海の能力は極めて高かったがゆえに、これが一点と、そのときの将兵の士気、練度も高く国際的な評価を受けた、これが多分この派遣に関する最初だったかなと思っております。  その以前に、御存じのように湾岸戦争のときに百三十億ドル前後の総額を寄与しておりますけれども評価はほとんどゼロに近いということになりました。それがやっぱり考えようによって、当時新聞に出ましたけれども、自分の息子が戦地に行くのに百万円払ったら戦地に行かなくて済むぞと言ったら百万円しゃにむに集めて命救おうとしている行為とどこが違うと、かなり痛烈な批判が書いてあった記憶がありますけれども、そういうように金さえ払えばいいのかという話が随分いろいろなところから出るようになったのが、一九九〇年から今日までこの十五年間の大きな国民の意識の変化だと存じます。  それがあって、今回インド洋の給油などなど、いろいろ海外において後方支援というのを主たる任務としてやっていると思いますが、結果としてこれの評価は極めて高いということになって、日本もいわゆる今の混沌とした状況になりつつあるイラクにおいて、またアフガニスタンなどにおいて、日本の貢献というものが極めて高い評価を得つつあるということだと存じます。  問題は、そこにおいて日本は自国を直接攻撃されていないにもかかわらずそこで武力闘争に巻き込まれると、撃たれりゃ別の話ですよ、こちらの方から積極的に仕掛けるべきではない等々、幾つかの歯止めが掛かっているんだと思いますが、何といっても一番大事なのは、いわゆる文民統制というものがきちんと、少なくともこの六十年間、自衛隊できて以来五十数年間、間違いなくこれまでできてきているということであって、この点につきましては、勝手に最前線においてどんどんどんどん戦線が拡大していったという旧軍、昔の軍のときとは少し状況が違う。少しどころが大分違っておりますし、憲法自体も違っておりますし、国民の意識も違うし、いろいろな意味で私どもはそういった反省の上に基づいて、意識というものももちろんのこと、まあ意識なんてどうでも変わり得るものではありますけれども、したがって、法律においてもきちんとした形でその点が担保されているというように認識をいたしております。
  76. 柳田稔

    ○柳田稔君 話を進めさしていただきますが、文民統制の話が出たので、シビリアンコントロールという、実は冒頭私の方から話しましたように、周辺事態法案だったと思うんですが、当時守屋局長が答弁で、シビリアンコントロールというのは何ですかという私の質問に対して、守屋さんはこう答えたんです。国会が責任を持つことですっておっしゃったんです。  私はそのとおりだと思っているんです。自衛隊を動かすときには当然行政が責任を持つのは当たり前です、これ。同時に、国会も責任を持つ。派遣したら国会も責任を持つ。これがシビリアンコントロールの最低限のやるべきことだと、私は先輩にそう教わっておりまして、そのとおりだと実は思っております。  今大臣が文民統制はずっと今までやられているとおっしゃいました。しかし、インド洋での給油、今回のイラクの派遣、果たして国会承認を与えたでしょうか。つい先日、インド洋の給油、あれ延長したい。延長しますという報告は聞きましたよ、私は。国会承認求められていませんよ、言っておきますが。国会報告聞いて、ああそうですかで終わりなんです。もう一つ、イラク自衛隊派遣しています。あれも国会に対する報告で終わっているんですね。先日ありましたよ、延長しますと。延長しますで終わりなんです、国会は。はっきり言って軽視されているんです。  私は、果たして、大臣が今シビリアンコントロールは今日まで守られているとおっしゃったのは非常に違和感を感じるんですが、まあそれは私の感じですから。  お聞きしたいのは、シビリアンコントロール、文民統制、一体これは何なんですかね。言葉はよく分かるんですが、一体何なんでしょう、シビリアンコントロールというのは。長官大臣お尋ねしたいんですけど。
  77. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これはもう、今、柳田先生がもう御存じの上で御質問なさっているわけでありますが、国会においては、とにかく自衛隊をどういうふうに活用するかということについては、法律に基づいて動かされている、法律に書かれてないこと、以外のことはできない。したがって、国会で法律を作ったり、あるいはまた、どういうふうに活用するかということで予算の審議をされたりしているわけでございますから、これはもう国会のコントロールが利いているというふうに思いますし、日本の国が非常に非常事態になったときには、防衛出動の場合は国会承認が要るわけでございますし、そういうコントロールというものはなされているというふうに思っておりますし、それからイラクとかテロの場合も、法律は二年間だったのを一年間にするとか、それから半年ごとにきちっと報告、基本計画を変える場合は報告をしなければならないとか、国会報告をしなければならないとか、事後に報告をしてきちっと承認を得なければならないとか、そういう条件付で送り出されているというふうに思っているわけであります。  内閣においても、これは閣議決定をしたり、あるいは閣議決定をする前に安全保障会議というのがありまして、防衛問題に、安全保障問題に関する重要なテーマについてはそういう審議がなされるということであります。  また、私の下でも、自衛隊を動かすとき、それは海上警備行動とか、そういうときにはきちっと私のコントロール下にあるわけでございますから、何段階かに分けてそういうコントロールがなされているものと思いますし、また今日のようにそういう国会の場で承認を得なければならないということは、一定の国民の理解を得ることができなければ何にも行動ができないということにつながっていくことでございますので、そういう意味で、私はシビリアンコントロールというものは極めて重いものであるというふうに思っているし、我が国においてもこれはきっちりと作動しているというふうに、作用しているというふうに思っております。
  78. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) シビリアンコントロールについてのお尋ねでしたけれども、基本的には軍事に対する政治が優先する、これがシビリアンコントロールの基本ということだと存じます。  そして、今防衛庁長官の方からお話がありましたように、これは内閣総理大臣というものがいわゆる内閣を代表して自衛隊の最高指揮官という位置にあるということもその一つだと存じます。また、自衛隊につきましては、法律とか予算とかいうものについてはいわゆる国会のコントロールというものの下に置かれておりますんで、シビリアンコントロールというものは制度的にも確保されているというように理解をいたしております。  国民を代表する国会というものがこのように国防に関する事項につきましてはシビリアンコントロールというものの役割を果たしていくという意味で大変重要であるということなんだと思いますけれども、当然のことだと思いますし、こうした制度の運用というものに万全を期していかねばならぬものだと考えております。
  79. 柳田稔

    ○柳田稔君 大臣のシビリアンコントロールに対する考えは聞かしてもらいました。それに対してとやかく今日は言うつもりはありません。  長官の答弁の中で少し気になるのがあったんですが、給油もイラクも法案は作りました。法案を作った後に計画立てるんですね。計画を立てて実施、実行に移すんです。そのときに僕は、報告で済ますのはおかしいんじゃないかと、実際動かすのはそのときではないんですかと、だからこそ国会が責任を持つべきだと。それが私の考えるシビリアンコントロールだという意味で申し上げたんですが、いや、今言ったんですけれども長官考えはそういうことであればそれで結構です。もう法律も作ったし予算も関与したんだからこれ以上やることはないとおっしゃるんならそれで結構なんで、私は、最後の歯止めは実際に活動を始めるときにも国会が責任を持つべきだという思いが強かったので、一言触れさしていただきました。
  80. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、イラクテロについては事後に必ず国会承認を得なければなりません。
  81. 柳田稔

    ○柳田稔君 次に行きます。  在日米軍についてちょっと質問さしてもらいたいんですが、在日米軍が日本にある、存在する意義というか目的というのは一体何なんでしょうか。長官大臣、お答え願えればと思います。
  82. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、日本が独立国家になったときに、日本には自衛隊がありません。したがって、安保条約を結んで米軍が日本を守りましょうという形になって六十年まで来たと。そして今日までも、基本的には外的な敵には米軍が、そして国内の国民を守る防衛作業は自衛隊がという形で日本の防衛とこの地域の安定というものが保たれてきたことは事実であると思います。その中で、日本は基地を提供して日本の安全を守ってもらいたいというのが一つの考え方であったと思います。それが今日まで続いているわけでございます。したがって、基地の問題は、そういう日米安保条約に基づいて今日までにももう大きな社会問題であり、政治問題になっているわけでございます。  したがって、我々は、基地を、米軍基地をなくしていくことによってあるいはまた安全を保っていく選択をするのか、その代わり日本自衛隊がそれだけの能力を高めていくことがどの程度できるのか、そういうことについての選択で、我々は日米安保条約に基づいて日本の国とこの地域の安定を図っていくという選択肢を取ってきたということだと思っておりますので、これは、一定の米軍基地が存在することは我が国の安全と地域の安定につながっていることであるというふうに思っております。
  83. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いわゆる冷戦構造が崩壊をいたしました一九九〇年以降今日まで、かれこれ十六年たったことになろうかとは存じます。その中にあって、確かに西半分、いわゆるユーラシア大陸の西半分におきましては、いわゆる鉄のカーテン等々の冷戦構造がなくなって、ソ連邦が十五の国に解体若しくは分裂、いろいろな表現があろうと存じます、そういう形になってソ連邦が大きく変わり、ユーゴスラビアが七つぐらいの国に分かれたり、いろいろな形で大きな変化が西半分で起きていることは確かだと存じますが、東アジア若しくは太平洋の西岸においては今でも不安定な要素があるというのは事実だと存じます。  そういった状況の中にあって、日本日本の持っております自衛力のみでは自国の安全を確保できないという前提に立って物を考えていった場合に、日米安全保障条約というものの持ちます意義は極めて大きいと思っております。  したがいまして、安全保障条約というものは、これは条約であって、その紙一枚だけありさえすればすべてがワークする、動くという保証はありません。したがって、条約というのは生き物ですから、その条約をいざというときに実効あらしめるようにさせるためには不断の努力は絶えず続けていかなければしようがないものなんだと、私は基本的にそう思っております。  したがいまして、こういった抑止力というものの下で日本の安全を確保していく上において在日米軍というものの意義というのは極めて大きいと思っておりますんで、こういったまあ島国でもありますんで、機動性を有するいろいろな意味での米軍の抑止力というものの果たしておる意義というのは極めて大きいと、私はそのように理解をいたしております。
  84. 柳田稔

    ○柳田稔君 じゃ、ちょっと追加して在日米軍についてお聞きしたいんですが、今の答弁は、日本の安全を守ること、それとこの日本中心とした地域の安定を図ること、そのために米軍は日本にいるんだと、必要性があるんだという答弁でした。  今回の2プラス2ですか、いろんな動きを新聞や先日の参議院の本会議質疑を通しながら聞かしてもらいました。大分変わっているなという気がするんですが。日本は、安全を守ることと地域の安定を図ること、そのために在日米軍はいるんだと。しかし、今回の2プラス2の合意に基づいてやっていることは、この範囲を相当超えているのか異質なものなのか、違うような気がしてならないんですが、長官はそういう感じしません、どうでしょうか。
  85. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、先ほども歴史的な経緯がありました冷戦時代あるいは冷戦後、あるいはまたテロ事件以降、あるいはまた技術力だとか様々な変化に伴いまして防衛の在り方、あるいはまた脅威というものの変質、そういった中で我々は自らの国と地域の安定とをどういうふうに考えていくかということでございますけれども、一方で、今、柳田委員が御指摘のように、我々は日米安保条約の本質的な、基本的な形の中で基地提供をしながら日本の国と地域の安定を守っている、そういう中で、国民感情としては米軍基地の負担をできるだけ軽減をしたいという気持ちもあるわけであります。要求もあるわけでございます。  そういう総合的な流れの中で、負担を軽減をし、しかもなおかつ抑止力を維持し、しかもなおかつ新しいテロだとか大量破壊兵器だとかそういうことにどういうふうに日本対応していくのか、あるいは日米同盟関係で何ができるのか、それがまた世界の安定と平和にどういうふうに役立っていくのか、そういうことが大きな展望の中で今回の米軍再編と、それから我が国日米同盟の在り方、あるいはまた自衛隊の変革というものがなされたものと私は位置付けておるわけでございまして、したがって、弾道ミサイル防衛だとか、テロに対してどうするのかとか、大量破壊兵器はどうするのかとか、そういう脅威に、新しい脅威にどう対応するかということを考えなければならない。  一方で、負担を軽減しなければならないということは、米国自衛隊の情報の共有を強めていくこと、あるいは運用の効率化を図っていくこと、共同使用ができるのかできないのか、そういう能力を高めていくことによって負担を軽減をしていくことができるのかできないのか。そういうことを追求した結果、今度の2プラス2の最終合意ができたというふうに思っております。  それと同時に、やっぱり価値観というものもある。これは、日米の間ではそういう自由主義とか、今おっしゃるような民主主義だとか、あるいはまた自由経済を堅持するとか、そしてこの地域、あるいはまた全体の、GDP一、二位の同盟国でありますから、地域全体のことを、世界全体のことに対する影響力もあるわけでありますから、そういうことをよくよく総合的に考えながら同盟関係信頼関係を強めたというふうに私は位置付けておるところであります。
  86. 柳田稔

    ○柳田稔君 答弁を聞いていた感想を一言述べますと、建前は日本の安全を守るんだ、地域の安定を図るんだと、これが在日米軍の目的であり存在意義ですってお答えになりながら、見てますと、沖縄からイラクにアメリカ兵がたくさん行っているんですよね。じゃ、イラクにアメリカ兵がたくさん行くことが、さっき言った建前に合うのかと言ったらクエスチョンマーク付けますよね。  じゃ、今回のグアムの移転、アメリカは世界を見ながら再編してるんじゃないのと、そのために必要だからグアムに移転するんじゃないのという考えもあるわけですよ。当然、そういう新聞の論調もありますからね。そうすると、さっき言った建前と大分違うなと。じゃ、どこまで日本は負担をすべきなのか、疑問に思う人が多いんじゃないかなと、私はそう感じました。  じゃ、次に行きます。何かあります、いいですね。
  87. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 我々にとっては、やっぱり世界第二の経済大国でありますけれども、これやっぱりエネルギーが安定供給されている中東とか、世界が平和である、安定的であるから、こういう経済活動ができる。やっぱり中東の安定は我々の国益に直結をしている。そしてまた、インド洋とかマラッカ海峡とか、それからこの東シナ海とか六千海里のシーレーンがある、そういう安定はだれが守るのか。我々はそういうことについても思いを致さなければならない。  そういうときにきっちりと、我が国一国だけでこういうことをきちっと確保することはなかなか難しい。それはやっぱり同盟国であり、あるいはまたそういう思いを共通にする国々とそういう安定を図っていかなければならない。その中で、我々は、自らの国と同盟国と、そして国連とか、そういう国際機関とか、そういう中でそういう安定とか国益を図っていかなければならないという意味で、私は、同盟関係信頼関係を強化する意味で、この2プラス2、米軍再編に伴う最終合意というのは大いなる貢献があるのではないのか。向こう十年、二十年のこの日本とこの地域の安定のレールを敷いたものではないのか。そのために、一方で沖縄の負担も減るとなれば、応分のそれは財政的な負担も国民にお願いしてもそれは我慢してもらえるのではないのか、そういうふうに私は思っております。
  88. 柳田稔

    ○柳田稔君 長官、そうしたら在日米軍の目的、存在意義の中に、日本の国益を守るためにいますというふうに入れたらどうですか。具体的にと聞かれたら、日本のエネルギーの供給、ほとんどは中東だから、中東に自衛隊を出すのは日本の国益を守るためだから必要なんだって入れたらいいんじゃないですか。でも、それ入れると、何か昔を思い出しますものね。だから怖いのかなと思って、答弁聞いていたんですが。  もうそこまではっきりおっしゃるんだったら、入れた方がいいんじゃないです。そうじゃないと、おかしいですよね。建前はこうですけれども、実態はこうで違いますと。それはまあ感想です。お考えいただければと思うんですが、次に行きます。  次は、この通常国会の中の三月三十日、この参議院の外交防衛委員会、犬塚議員の質問の中で外務大臣が費用対効果というお言葉をお使いになりまして、以前は使っていたのか知りませんけど、私初めて、日本自衛隊で費用対効果を考えなきゃならないという話を聞いたの初めてでございましたんで、はあ、なるほど、そんな考えも最近出てきたのかと思って、先日、犬塚議員の質問に対する大臣の答弁聞きながら思いました。  で、その件について若干質問させていただきたいんですけれども、ちょっとうがった質問をしますので、失礼かもしれませんが。自衛隊というのは費用対効果を考え存在させなければならないものなんでしょうか、大臣
  89. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 初めていわゆる日米安全保障条約というものができました昭和五十一年以降、少なくとも日本の中におきまして、済みません、五一年ですね、五一年以降、少なくとも当時、防衛力というものは日本にはやってられないと、経済復興を優先すると。軽武装、経済重視というのが少なくとも当時の自由党若しくは自民党、それ以降の自民党の基本的な考え方だったと思いますね。  そのときには、当時の状況は朝鮮事変が終わった直後でもありますし、そんなに日本としては状況が良かったかといえば、日本を取り巻く状況は決して良くはありませんでした。一九四九年には、御存じのように、中華人民共和国と中華民国というようなことにもなりましたし、取り巻く環境は極めて厳しい状況にあったと存じます。  そういう中にあって、日本の武装というのを池田・ロバートソン会談というのが行われて当時スタートしたと記憶してますけれども、そのときには、日本は断った、いわゆる再軍備というものを断った。金が掛かるからです。日本はそれを経済復興を優先すべきなんだということもありまして、当時は、それが当時の自由党の考え方だったと記憶してます。  そういった中にあって、日本は、じゃディフェンス、防衛とか国防というものはどうするんだということに関して、アメリカにやってもらうというのができ上がったのがあの日米安全保障条約だったと思います。その当時の情勢だったと思いますが、それから今日まで、基本的に日本とアメリカとの同盟関係というのはかなり冷戦構造下の中にあってうまく作動した結果、日本はいわゆる財政からいきますとかなりな部分を経済に傾斜配分し、いろいろな形で日本の経済復興を成し遂げるに成功したいわゆる政策であったということは確かだと思います。  したがって、その分は最小の費用で、防衛の方はアメリカにという費用からいった場合は、日本を守ってもらう効果は極めて大きかったと。当時から基本的に最小の費用で効果を出すということを考えていた。そういう費用対効果という言葉を使ったかどうか、ちょっとそこまで記憶はありませんけれども、そういうものだと思っております。  今の場合にかんがみましても、やっぱりこの日本の防衛というものを純粋に考えたときに、ヨーロッパ見ましても、いろいろな形で各国が同盟、いわゆる北大西洋条約機構を結んでおるのと分かりますように、日本の場合は、この太平洋の西端においてアメリカとの同盟関係を結んだ。そういった関係において、日本の場合、同盟関係をやめて、日本だけで自主独立の防衛をやるということになった場合に掛かります費用若しくは負担等々をやっぱり考えてみる必要があるんだと思います。  隣には、二〇〇五年には、おれは核を持っているという国が隣に新たにまた出たわけですから、二〇〇五年、そういった国が出たわけで、二〇〇五年二月に出たわけですから、そういった意味では、やっぱり日本としては状況というものを考えます場合に、少なくとも同盟関係を維持して、きちんとそのアメリカの持っております抑止力であったり機動力であったりというものを同盟関係を結ぶことによって両方で活用していった方が効果としては大きいのではないか。私は基本的にそういう考えを持っておりますんで、今、言葉として、言葉じりをとらえるようで恐縮ですがと言われましたけれども、あの費用対効果というものの背景はそういう具合に考えております。
  90. 柳田稔

    ○柳田稔君 先日の答弁の速記を読ませてもらいました、何回も。今の答弁とほぼ一緒だなと思いつつも、防衛力に費用対効果という言葉が適切かなと今でも実は疑問に思っています。  私自身は、各国が各自で判断することだと、軍事力というのは。その国の軍事力はどれぐらい持つもんだというのは、その各国が判断するものだ。なぜなら独立国ですから、当然だと思うんです。いろんな同盟関係、国連もあるわけですから、その辺の関係を見ながら我々はこうする、決断すればいいことで、私はそれが費用対効果に当たるとは全然思えないんで、実は質問させてもらったんです。  はい、ではどうぞ。
  91. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的に全く正しいと思います。  ただ、日本の場合は、難しいのは、敗戦国ですから。この国の場合は、自国で、じゃ自分でやるということを始めて、これだけの経済力を持って防衛力の整備を自前で一方的に進めていった場合、掛かる経費と、また、隣国から持たれるいろいろな疑惑、また脅威に対する対応などなどは、非常に手間の掛かる全然別の次元の話として考えておかねばならぬのが我々のしょっている負の資産といえば負の資産なんだという具合に理解をしておりますんで、アメリカと一緒に組んでいるがゆえに隣国からある程度の安心感を得ているという部分もあるのではないかという点も考えておかねばならぬ点ではないかなと思いますんで、基本的には先生の言っておられるのは正しいと思います。
  92. 柳田稔

    ○柳田稔君 理想的には、我が国存在する軍事力というのは自衛隊だけだというのが理想ですよね、どう考えても。なぜ米軍がいるのかといったら、それはいろんな要件があると、それもよく分かるんです。  ただ、犬塚議員が言いたかったのは、僕が質問を聞いていましてですよ、理想を持ってやるべきじゃないかと、政治はと。その答えが費用対効果と言われたんでちょっとかちんときたんですけれどもね。  ただ、答弁を聞いていまして、ああなるほどなという面もありますし、ちょっと違うんじゃないのという面もいろいろ出ました。次回からいろいろと質問も、2プラス2について質問も始まる予定ですんで、そのときは、もし時間がいただけるんだったらまた詰めて質問したいと思っております。  最後に、我が参議院から出ている金田大臣、答弁の機会が余りありませんでしたんで、何かお考えあれば同僚としてお聞かせ願えればと思うんですが。
  93. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 委員の先ほどからの議論、そして両大臣からの答弁、私も聞かせていただいておりましたが、私の考えは両大臣が述べた考え方と同じということであります。ありがとうございます。
  94. 柳田稔

    ○柳田稔君 終わります。
  95. 高野博師

    ○高野博師君 最初に、日韓刑事共助条約についてお伺いいたします。  もう同僚議員から同じような私が質問したいと思ったことも聞かれていますので、繰り返しは避けたいと思いますが、警察庁に来ていただいているので、若干お伺いしたいと思います。  来日外国人の刑法犯、あるいはこれは国別検挙人数、あるいは全体としての傾向等についてお伺いいたします。
  96. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) 来日外国人犯罪の刑法犯の検挙別人員ベースで申し上げますと、平成十七年中は、検挙いたしましたのは八千五百五人でございます。これを十年前と比較をいたしますと、約一・三倍に増加をしてございます。  これを国籍、地域別に見ますと、まず、昨年、平成十七年は、多い順でいいますと中国中国は大体約四四%を占めております。二位がブラジル、三位ベトナム、四位韓国、五位フィリピンなどとなっております。これ、十年前で見ますと、十年前、平成七年、やはり一位は中国でございまして、四一・七%を占めております。二位が韓国、一一・二%。以下、三位ペルー、四位ブラジル、五位フィリピンなどとなってございます。
  97. 高野博師

    ○高野博師君 外交の重点政策の中で、新たな脅威への対応の一つの柱が国際犯罪対策の強化ということで、刑事共助条約の実施・締結ということがうたわれておりますが、犯罪人引渡条約とか、あるいはこの刑事共助条約、今警察庁からお話のあった中国とかブラジルとか、あるいはほかの国ともこれを結んでいく必要があろうと思います。これらの国々との関係を良好に保つためにも、犯罪に対しては厳しく対処していくということが必要ではないかと思います。  この条約については質問は以上でありますが、せっかく警察庁に来ていただいていますので、北朝鮮の関係で、この犯罪、特に麻薬、覚せい剤、あるいは偽札とか偽たばことか、こういうのが日本の暴力団ルートとの関係で今問題になっておりますが、この辺の対応は今どうされているのか、お伺いいたします。
  98. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) 突然のお尋ねでございますんで、ちょっと余りまとまったお話ができるかどうか分かりませんが、私ども、ともかく薬物というものは我が国で生産をされるということはほとんどございませんで、大麻が自生したり、あるいは栽培しているのは少しございますけれども、大半は外国から来るということで、特に我が国の場合は覚せい剤というものが多いわけでございますが、これが一時期北朝鮮を仕出し地とするというものが大変多うございました。  そこで、私どもも取締りを強化をしておりましたが、先ごろ、先週のことでございますけれども、鳥取におきまして、覚せい剤をいわゆる瀬取りという方式によりまして密輸入したということで、極東会系の暴力団の組長あるいは韓国籍の男等々を逮捕をいたしまして、現在更に関係被疑者の検挙と、それから全容解明に向けて捜査を推進しているところでございます。  その余の問題につきましても、重大な関心を持ちまして今後取締りに努めてまいりたいと思っております。
  99. 高野博師

    ○高野博師君 昨日、北朝鮮の麻薬密輸ルートについても聞きますと言ったんですが、取り下げるということも通告をしてありましたが、結構でございます。警察庁は結構でございます。  日韓関係について外務大臣に幾つかお伺いしたいと思いますが、韓国は隣の国でありますが、先般、アナン国連事務総長が、隣人を選ぶことはできない、そこで生きていく運命にあるんですよと、こんなことも発言されておりますが、日韓関係は最も重要な二国間関係の一つだと、こういう位置付けをされると思いますが、近くて遠い国だともよく言われてきましたけれども、最近は相互理解も相当進んでいると思うんですが。しかし、この近い国をどのぐらい我々が理解しているかというと、私自身も大変心もとないんでありますが、本当によく理解した上でないとこの日韓関係あるいは対韓国政策というのはうまく対応できないんではないかと思うんですが、韓国というのをどういうふうに理解されているのか、その歴史とか文化とか国民性とか、この場では言いにくい面があろうかと思いますが、言いにくければ理解しているということが分かるような答弁をお願いしたいと思います。
  100. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 韓国の場合は、これ歴史的に見ても地理的に見ても極めて近い隣国ということになろうと存じます。加えて、少なくとも朝鮮事変以降というべきか、韓国というのになって、いわゆる民主主義、自由主義経済、市場経済等々、基本的な価値観ということに関しましても、法の支配ということに関しましても価値観を共有しております。アメリカとの間の同盟関係があるというのに関しても日本と韓国は同じでありまして、いわゆる密接な関係にあると思っております。  ただ、今一般的な国民性について客観的な説明をやれと言われてもなかなか難しいんで、長い歴史を通じて、私のおりますところとか舛添委員長のところは、これはかなり地理的には東京に来るより韓国に行った方が近いわけですから、そういった意味ではかなり両方とも気質が似ているといっちゃ似てるのかもしれませんけれども、互いに結構理解し合っているんだと思いますけれども、これまで見ましても、特にこのところ、まず食べ物、焼き肉に始まり、いろんな食文化等々はこの二十年間ぐらいで猛烈な勢いで日本の普通の食場に入ってきた食べ物でもありますし、また昔は、少なくとも儒教だ、漢字の流用だ、いろんな形のものも向こうから入ってきたと思っておりますし、特に最近では映画、音楽、アニメーション、ファッション、いずれも日本の、通称スリーJという、このスリーJのおかげで、韓国の普通のいわゆる人たちの生活の中にこのスリーJ、特に若い人の間で物すごく大きく浸透し、これが大きな力になっている、共通の言葉としてなっておるというのも確かだと存じます。  また一方で、御存じのように、日清戦争、日露戦争のころから朝鮮半島というところにおきましてはいわゆる植民地支配というような不幸な過去もありましたし、併合という時代もありましたし、そういった意味で、国民感情にいまだに影響を与えているということは否定しない方がいいと思います。そんなものはなかったなんという人がいるけれども、私はそれは違うと思っております。特に私どもの世代から見ますと、そんな簡単なものではないというように思っております。  ただ、韓国の対日感情というのを見ますと、少なくとも、一概にこれもまた言えないところですけれども、往来数の数が激増しております。特にビザをノービザにしておりますんで、多分、今年は日本と韓国との間の往来は五百万人ぐらいになるかなと思っております。百万人は増えませんけれども、とにかく五百万人近くなると思っております。今、四百万人ぐらいだと思いますが、四百ちょっとだと思いますが、五百万人になるかなという感じがするぐらいであります。  ビザをやめるといったときにこれは随分いろいろありましたけれども、じゃ犯罪が増えたかというとそんなことはありません。したがって、このノービザは正しかったと自分では思っておりますけれども、またいろんな韓国における対日好感度の世論調査というのは、この十五年間でほぼ倍ぐらいになってきておりますんで、そういった調査結果もありますんで、特に若い人の、高校生等々、訪日された後の感情が良くなっているということでありますんで、私どもとしては、こういったいろいろな情勢ずっとありますんで、私どもとしてはこういった一層の協力というものを進めていくというのが、私ども、北朝鮮の問題とか東アジア共同体の問題とか国連改革の問題とか、いろいろございますが、こういった共通の課題に一緒に対処していく、対応していくということがこの地域の安定にとりましても非常に大事なことではないか、韓国に対して一般的な御質問でいえばそういうことだと存じます。
  101. 高野博師

    ○高野博師君 私も言いたかったことをみんな言われてしまったんですが。  韓国はハンの文化だと、こう言われていますが、ハンという言葉に恨みという言葉を当てると、これは日本の場合の恨むと全然違う概念で、日本の場合は他人あるいは自分の外部の何かについての感情、怒りのようなもの、恨みのようなもの。しかし、韓国のハンは、自分の内部に沈殿し積もった情の塊だと、これは物の本にそう書いてありますが。で、ハンというのは他人から被害を被らなくてもわいてくる心情だと。自分自身の願いとか能力がある、しかしそれが自分の無力さのためにどうしても果たせなかったときに挫折感を味わう、ある意味での悲しみだと、ハンというのは。そういうことが書いてありまして、植民地時代、日本が植民地政策を進める上で朝鮮半島を研究した中でこういう言葉が出てきたとも言われているんですが。  実際は、ハンというのはちゃんとした定義はないと、こう言われていまして、一つは数量的な一を表す概念だとも言われていまして、一、一つ、それはすべてを表すと。あるいはハンというのは大を表す。これは偉大という、ジンギスハンとかいうのはこのハン。あるいはハングル、ハングルというのは、ハンというのは偉大で、グルというのは文字だと、偉大な文字だと、こういうことも言われていまして、あるいは天の神を表す概念だと、宇宙を表すと。  したがって、このハンというのは簡単に理解できる概念ではないんですが、しかし、このハンという一つの感情が韓国のナショナリズムをつくってきたんではないかということも言われているそうであります。軽々には語れない概念なんですが、この問題についてはもう少し私も研究したいと思いますが。  いずれにしても、今大臣がおっしゃられたように、日韓というのは共通の価値観を持っているという意味で、日韓が東アジア共同体の形成なりアジアにおいて連携をして果たせる役割が非常に大きいんではないかと。そういう意味では両国の理解をもっと深めた上で協調関係を取っていく必要があろうと思います。  そういう中で、今の日韓関係は若干ぎくしゃくをしているんですが、盧武鉉大統領もいろんな発言をされておりまして、これは、報道によりますと、今の日本というのは国粋的な傾向を感じるとか、歴史問題とか竹島問題での日本対応に対して、十六世紀の豊臣秀吉の朝鮮出兵とかあるいは植民地支配について日本が国家的栄光を追求する行為だとかと、こういう発言もされておりまして、あるいは日本は昔から兄貴面をしている、中国のまねをして皇帝をつくったとか。一国の大統領が公にする発言としてはいかがなものかという感じもいたしますが、こういう対日強硬の姿勢というのは国民の支持を得ていまして、九割ほどは盧武鉉大統領の対日姿勢を評価している、支持していると、こういうことが世論調査で出ておりまして。  もう一方で、韓国の安全を脅かす国というのは、一位が北朝鮮、三〇・八%、二位が日本で二九%、余り変わらないというのは、これも影響を、リーダーの影響を受けているのかなという気がいたします。しかし、一方で、韓日の首脳会談を開催すべきだという意見は世論調査ではもう六割を超えていると、やるべきじゃないというのをはるかに超えている、こういう現状があります。  今の韓国の政府に対して、野党のハンナラ党の朴代表は、首脳会談を拒否しているということに対しては批判をしておりますし、韓国政府が北朝鮮による拉致問題への対応政府対応に対して根本的に間違っているという、こういう批判をしております。  それから、先般私もお会いしましたが、韓国の野党の民主党の代表は、今の政府の対日政策というのは国内政治を理由にして強硬策を取っているんだという、それを日本支援しているんじゃないかと、こういうことも言っておられました。これは向こう側が言っている話です。  そういう状況の中で、五月三十一日の統一地方選挙が終わると若干の変化がそれでは見えてくるのかなという気もいたしますが、ちょっと具体的にお伺いをしますが、日韓のEEZ画定交渉再開について、来週二十三日にはカタールでアジア協力対話の際に日韓外相会議が実現するとすれば、大臣からこの交渉再開を呼び掛けるんではないかという観測もなされておりますが、この日韓EEZ画定交渉の再開の見通しについてお伺いしたいと思います。
  102. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘のありましたように、韓国とのこのEEZの交渉というのは、平成の十二年六月以来行われておりませんので約六年ぶりということになろうと存じます。  過日の谷内次官の訪韓のときの話になっておりますので、私どもとしてはやるということで双方合意をしておりますので、何も韓国の外務大臣日本外務大臣と面会するまで待つ必要もないんであって、できることなら今週からでも来週からでも即始める、始めた方がいいと、私どもの方としては、私の方からはそう指示をしております。  したがいまして、用意が整い次第ということになろうかと思いますので、早くいけば今週からでもできないことはないのではないかと思っておりますので、なるべく早くこういったものはスタートさせた方がいいというのが基本的な考え方でございます。
  103. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、潘基文外交通商相が国連事務総長に立候補すると、こう言われていますが、アメリカは反対をしておりますが、まあアジアの番だろうと、こうも言われておりますが、この韓国の外務大臣が立候補することについて、日本政府検討されているんでしょうか。私は、ギブ・アンド・テークで支持するのか、それもあり得るのかなと。例えば、常任理事国入りを支持するとか、あるいはEEZでの譲歩するとか、あるいは無条件でこれを支持するということはあり得るのかどうか私分かりませんが、検討状況についてどうなっているのかお伺いしたいと思います。
  104. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、この国連の事務総長をアジア出身の人がやったという歴史は一九六一年から七一年までの十年間、ビルマの、今のミャンマーのウ・タントという人がなさった以来ありませんので、かれこれ三十数年間、三十五年間ぐらい空いていることになろうと思います。  したがって、日本としてはアジアからというのを申し上げていることは間違いない事実であります。今アジアからスリランカ、タイ、韓国と多分三か国から一応の立候補の表明があり、それぞれの三候補者ともおいでになったりお目に掛かったりしたことがありますので、私どもとしては、その三人以外まだどういうことになるか分かりませんけれども、またアジアから以外ということになるかもしれませんし、まだ何とも言える立場にありませんけれども、少なくとも、何となく経歴やら何やら見ても、国連機関におられた方でもありますし、いろんな意味で優秀であることはもう間違いありません。  そういった意味では、選挙の話ですので、百九十一票の票をどうするかという話になろうと思いますので、私どもとしては、この候補者の中から、まだ他の地域からも出てくるであろうと思いますので、私どもは総合的に最終的に判断をしたいと思っております。今の段階で既に決めたというような状況にあるわけではございません。
  105. 高野博師

    ○高野博師君 もう一つ、若干細かい話ですが、外務省の韓国の情勢分析の報告書が、要するに内部文書がこれはもう韓国側にもう漏れているという報道がありますが、外務省が分析した、これは外務省の文書かどうか明らかにしていないということですが、まあ間違いなくそうだろうと私は思いますが、分析の内容は私は全くそのとおりだと、こう思っておりますが、文書の管理がなっていないんじゃないでしょうか。取扱注意と言いながら注意が全然されていない。韓国にそのまま出ているということで、情報管理とかあるいは危機管理という観点から問題があるのではないかと思います。  その視点でお伺いしますが、この中身は、韓国では反日が政権の支持率を高める効果があるとかいうようなことも書いてありますし、竹島については、ナショナリズムをあおり韓日関係を悪化状態にしながら反日強硬策の効果を維持しているとか、簡単にわき上がる韓国的情緒の無分別な発露だとか、非常に的確に表現しているなと私は個人的に思っておりますが、そもそもこういう文書は外に出るべきではないのではないかと思いますが、その辺はどうでしょうか。
  106. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 委員御指摘外務省の情報管理体制については、まさしく外務省はその職務上様々な秘密情報を扱っているということから、情報管理には常日ごろから意を用いているわけであります。  具体的には、秘密保全に関します規則の制定、そして秘密保全に関する研修の強化、それから諜報活動の対象となった場合の対処要領の制定、それからパソコンからの情報漏えい対策といった多面にわたる取組を行うことによりまして、情報の管理に遺漏なきように期しているところでありますが、今後とも、やはり強力な外交を進めていくための必要な体制整備の一環として、情報管理の強化に不断に努めていくという考え方でおります。
  107. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、最後に、韓国の対北朝鮮政策と関連付けて、六か国協議の見通しについてお伺いしたいと思いますが、今、横田滋さんが韓国を訪問されていると。そこで金英男さんの家族ともお会いされるということでありますが、韓国は対北融和政策を取っているという関係もあって、李統一相は横田さんに会う必要はないとか、あるいは横田さんの訪問の意味が分からないとかというような発言をされておりますが、この拉致問題も横田早紀江さんがブッシュ大統領にお会いされたということもあって国際的な関心を呼んでいると。サミットでは、日本政府はこれをサミットのテーマにするように働き掛けるということも言われております。  しかし、南北の接近が、あるいは融和政策が進んでいると、盧武鉉大統領は食糧援助について核開発と切り離して考えるような発言をして、これをまた別な閣僚が訂正したりとかと、こういう対応が見られますが、そういう韓国の対北朝鮮政策をどう見ておられるのか、そして六か国協議の見通しはどういうふうに見ておられるのか、お伺いしたいと思います。
  108. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 最初に、さっき今月中と言うところを今週中と言ったんだと思いますけど、あのEEZの話、あれは今月中の間違い、済みません、あれは今月中の間違いです。  今、六者会議の話含めていろいろあったんですけれども、高野先生、これは千々に乱れているというか、物すごい感情的には難しいところなんだと思います、正直なところ、他国のことですとはいえ。少なくとも、日本からの拉致された人の数より韓国から拉致された数の方がはるかに多いであろうと言われております。しかし、韓国で拉致されたということは正式にまだ決まったわけではない、正式に決めているわけではありません。  そこで、今回のDNAというのを日本側のいわゆる試料としては韓国に渡しましたし、また韓国側もそれに基づいていろいろ韓国側で調べられるという、その結果はまだ出ていませんから、そのものが出た上で改めて横田さんとの話をするという統一相の話というのは、向こうの政府見解がまだきちんと出ていないのに日本の試料だけでどうのこうのと言うのはいかがなものかと言われるのはもう当然のことだと、私はそう思います。  したがって、今の状況の中において今こういったものが本当だとすると、これは間違いなく事実ということになると、なかなか韓国としての対北に対する交渉は、拉致されたのがそこでDNAのところに出てくると、少々話は国民世論としても何だこれ事実じゃないかという話になりますんで、大きな、今までとは少し違った要素がそこに出てくることになろうと思いますんで、融和する話とこの話とは全然また別の次元の話とはいえ、どう見ておられる、どう見ているかというと非常にしんどい立場にいるであろうなというのが、それ以上ちょっと何とも申し上げようのないというところだと存じます。
  109. 高野博師

    ○高野博師君 終わります。
  110. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 議題日韓刑事共助条約については、我が党は賛成であります。その理由というのは、日米刑事共助条約と同じく、近年の外国人による多発する凶悪事件、国境を越える犯罪増加に伴い、これらの事態に有効に対処し、諸外国との捜査協力等の促進と捜査共助の迅速化を図るためのものだと考えるからです。  今日は、防衛庁、防衛施設庁の官製談合事件に関連して、先般、防衛庁検討会がまとめた報告書の概要、ここにありますけれども、この概要にかかわって額賀長官に質問したいと思います。  今回の報告書の概案の取りまとめに当たりまして、防衛庁が三月に再発防止策の基本方向を公表した際、私は三月三十日の本委員会で、官製談合事件を教訓として防衛庁に何より求められているのは、腐敗の温床となっている天下りなどの官、業の癒着システムに文字どおり全庁挙げて徹底的にメスを入れることだと指摘いたしました。その際、防衛庁の技術研究本部における労務借り上げの実態を取り上げて抜本的な見直しを要求いたしました。これに対し、額賀長官はよく実態を調べて検討すると約束されました。  今後、防衛庁ではこの労務借り上げ問題についてどういうふうに対処されていくおつもりなのか、お伺いいたします。
  111. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  先般、そういう質疑があったわけでありますが、今御指摘の労務借り上げ契約の在り方については、副長官を長とする防衛施設庁入札談合再発防止に係る抜本的対策に関する検討会において四月二十七日に取りまとめた報告書概案の中で、一般的な工学の知識があれば可能な作業等については試作品に関する細部知識がなくても実施可能であり、特定の一法人が実施可能とは言えないことから、一般競争入札等へ移行するとの見直しを行うことにしたわけであります。  これまで、防衛技術協会と契約していた労務借り上げ契約については、検討会での議論報告書概案を踏まえ、本年四月から一般競争入札を実施しているということで御理解をいただきたいというふうに思います。
  112. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 契約金額について、一人一日平均十万円以上についてという、そういう問題がありましたけれども、これはどう見直されるんですか。
  113. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) そういう問題については、労務借り上げの契約金額が高いとの批判を踏まえまして、労務借り上げの予定価格の算定方法について見直しを行うわけで、行っていきたいというふうに思っております。
  114. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 企業側の職員を受け入れるために民間企業や防衛技術協会との間で行ってきた随意契約についても、一般競争入札に切り替えることなんでしょうか。
  115. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは一般競争入札を原則にして、そしてその後は丸投げはさせないという形にしたいというふうに思います。
  116. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 先日の質問の際にも指摘いたしましたけれども、防衛技術協会は技術研究本部で行う開発業務の正に受皿として、労務借り上げを通じて二〇〇四年度までの五年間に十億円もの利益を得ております。そればかりか、そのほかにも委託業務などの名目で十五億円の発注を受けている実態もあります。しかも、そのすべてを競争入札なしの随意契約で請け負っております。防衛技術協会との労務借り上げ契約については一般競争入札に切り替えるということですけれども、そのほかの委託業務などについてはどうするつもりなのでしょうか。
  117. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほど言ったように、すべて一点、一般競争入札の対象にするということです。
  118. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 一般競争入札を原則とする会計法に照らしましても、すべての業務発注が随意契約で独占的に行われてきたというのは極めて異常なことだと言わなければならないと思います。  問題は、なぜこのようなやり方が今日まで続いてきたのかということです。その根底にはやはり天下りの問題があったと思います。先日の質問の際にも指摘したことですけれども、防衛技術協会の歴代会長ポストは技術研究本部長経験者の指定席となっております。そのほかの役員の多くも技術研究本部の幹部OBです。顧問を務めた役員十九名のうち、十四名を防衛庁OBが占めております。たった一人、民間から非常勤の理事に就いている方がおられますけれども、この方も経団連の防衛生産委員会の事務局長という方です。職員も、百七十六名いるうち、その八割が防衛庁OBです。このように、防衛技術協会という団体は言わば防衛技術研究本部直轄の天下り先と言われても仕方のない実態だと思うわけです。  そこでお伺いいたしますけれども、施設庁の官製談合事件では公益法人が天下りの待機場所となっていたことが問題になりましたけれども、防衛技術協会でも同じような実態があるのではないでしょうか。
  119. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今御指摘のことについては、理事とか、それから防衛庁の勤務経験者がほとんどを占めているという御指摘については見直しをし、民間出身の方々をこれからも増やしていくと、これから増やしていきたいというふうに思っているところでございます。  防衛庁としては、公益法人へ再就職をして二年程度勤務した後、営利企業に再々就職した役員について最近の調査をしたところ、おっしゃるような事例もあったわけでございます。そのために、我々は今後五年以内に防衛庁と密接な関係にある営利企業に就職することを前提として当該公益法人を退職しないように要請をしたりとか、先般、抜本的な対策を講じようというふうに発表したところでございます。
  120. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 技術研究本部の研究開発をめぐる業、官の癒着はかなり根が深い実態があると思います。  今回、私の質問なども受けて一定の見直しが打ち出されたと思いますけれども、天下り問題や契約の公正性、透明性の確保など一層の見直しを図るべきだと思いますけれども、その点長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  121. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先般、防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策を公表しまして、一般競争入札の拡大、それから建設工事にかかわった人たちの再就職の自粛とか早期退職慣行の是正とか様々の対策を講じているわけでありますし、一方でまた、防衛庁関連の公益法人について見直しを行っているわけでありますから、当然御指摘のような形できちっと対応策を考えていきたいというふうに思います。
  122. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それでは、ちょっと次の問題に移ります。  昨日、一部の報道で、施設庁の官製談合事件で、東京地検による強制捜査の前に当時の建設部長が、談合の配分表などの証拠書類を部下に命じて廃棄させていたことが施設庁の調査委員会の調べで明らかになったと報じられました。それによると、前建設部長は、昨年十一月中旬、施設庁をめぐる談合疑惑が報道された直後に建設企画課の職員ら数名に命じて証拠書類をシュレッダーなどに掛けるなど廃棄させたという、そう言われておりますけれども、これは事実なのでしょうか。
  123. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 一連の施設庁の談合事件が発覚した昨年の十一月、私は施設庁及び防衛庁全体に対しまして、捜査に全面協力をし、事実関係を明らかにしていくことから国民の信頼回復を図りたいという話を再三言ってきたわけでございます。  今おっしゃられた事案につきましては、これまでも捜査に協力するということ、それから、一方でこれから公判が始まるわけでありますから、そういうことに対して影響がないようにしなければならないということがあります。一方で、施設庁で調査会を設けて徹底的にこの事案についての問題点究明と事実関係の解明をしております。  私は、施設庁のこの事案解明の時点で、すべて明らかにすることによって、その上で厳正な対処を図っていきたいというふうに思っておりますので、今の時点でいろいろな影響もありますので、控えさせていただきたいというふうに思います。
  124. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それでは、ちょっと質問を角度をちょっと変えます。  個別具体的なところを聞くのではなくて、調査委員会でこの問題を調べた結果、結論が出ているのかどうか、その点はいかがですか。
  125. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今すべて、縦横十文字にわたって調査をしているところであると。だから、明らかになり次第、全体について全容をお示しをし、厳正な対処をしたいというふうに思っております。
  126. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 もう一度お聞きしますけれども、要するに結論が出るかどうかということは私は影響を与えないと思うんですよ。その点をお聞きしているんです。
  127. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、これまでも事実関係とかを解明するためにヒアリングをしたり様々な形で調査をしてきたわけでございますから、事実関係が判明した段階できちっと公表をし、厳正に対処するということを申し上げて、是非御理解をいただきたいというふうに思います。
  128. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それはなかなか理解できないんですね。  それと、額賀長官が先ほど答弁された、昨年十一月に職員に対して捜査協力への全面協力を指示したとおっしゃられましたけれども、その中には、その指示の中には証拠隠滅をしないことが当然含まれていると思うんですが、それはいかがですか。
  129. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 捜査に全面協力するということですから、当然そういうことも含めて捜査に協力しなければならないということを言明したわけであります。
  130. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 官製談合事件では、九八年の調本事件の反省を生かしていない、生かされていないということが相当強調されたと思います。  当時の事件でも証拠書類の隠滅が行われておりました。今回の証拠隠滅も、もし事実だとしたならば、これは私は防衛庁の大変根の深い、変わらない体質と言われても仕方がないような、そういう問題になると思いますけれども、そういうことについての認識はおありですか。
  131. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 調本事件のときはひどい証拠隠滅がされました。そういう意味では、まさか今回そういう事案があるかどうかについて、報道はされたわけでございますけれども、きちっと全容解明のために全力投球をしている、事実関係が判明したらお知らせをし、厳正に対処するということで言いたいと思います。
  132. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 最後です。  もし前建設部長の証拠隠滅が事実ということになれば、私は調本事件の反省、これは今ひどいと言われましたけれども、今回も私は、報道どおりだとしてもひどいと思いますが、その教訓が生かされなかったということになります。その場合、私は、額賀長官がそれに対してきちっと責任を取るということについて言明されるべきだと思いますけれども、その点について求めたいと思います。
  133. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 事実関係を明らかにし、そして厳正に対処し、再びこういうことが起こらないように再発防止策を作るのが私の責任であるというふうに思っております。
  134. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 一言です。
  135. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 緒方靖夫君、質疑時間が終わっております。
  136. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 額賀長官はやはりこの問題では非常に大きな責任が問われていると思います。これはやっぱり非常に重大な問題なので、やはり今後きちっと私たちは見ていきたいということを述べて、質問を終わります。
  137. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 日韓刑事共助条約締結については賛成ですが、一、二点伺いたいと思います。  まず、法務省にお伺いします。  日韓刑事共助条約の第三条一項と二項によって、捜査共助の対象となる行為は、両締約国でともに犯罪と認められるという双罰性が欠けている場合、共助するか否かを我が国の法務当局の裁量にゆだねられるようになっています。  そこで、双罰性が欠けている事案について韓国側が共助要請をした場合にどのような対応をなさるんでしょうか。
  138. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) 御指摘のとおり、双罰性が欠けている場合についてでございますが、共助を行うか否かの判断は法務大臣が行うこととなります。判断の基準は、多種多様な事案が考えられますので一概に申し上げることはできませんけれども、事案の内容、性質、我が国の法秩序との整合性等の関係する要素を総合的に考慮し、双罰性が欠けるにもかかわらず共助を行うことが相当か否かを判断することになるものと考えております。
  139. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 法務省にお伺いします。  米国側締結手続が遅れていた日米刑事共助条約はこの四月に米議会の上院が承認し、近く発効する見通しであると聞いています。米国との刑事共助条約は、日韓刑事共助条約と違って、双罰性が共助提供の要件になっていません。したがって、我が国の国内法で問われない事案について米側から共助要請があった場合に我が国はどう対処をなさるのか、教えてください。
  140. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) 日米刑事共助条約三条一は共助を拒否することができる場合を定めており、(4)は、双罰性が欠ける場合であって、共助の実施に当たり強制措置が必要と認められる場合を挙げております。したがって、米国から双罰性のない事案の共助請求がなされた場合であって、強制措置が必要でない場合には原則として我が国共助を実施することとなります。  しかし、米国が捜査共助の要請を行うためには、米国の国内法上、特定の具体的犯罪事実を構成することが必要ですし、我が国としては、事案によっては、条約第三条一(1)の政治犯罪に関連すると認められる場合、同条一(2)の請求された共助の実施により自国の安全その他の重要な利益が害されるおそれがあると認められる場合に共助を拒絶できるとの規定を適用することも可能でありますので、法務大臣は適切な対処を行うことができるものと承知しております。  米国から双罰性のない事案の共助請求がなされた場合であって、共助の実施に当たり強制措置が必要な場合には、共助を行うか否かを法務大臣が判断します。この判断の基準は多種多様で、先ほど申し上げたと共通の問題がありますけれども、事案の内容、性質、我が国の法秩序との整合性、共助を実施する場合の関係者に対する負担や不利益といった要素を総合的に考慮して判断することになるものと考えております。
  141. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務省にお願いいたします。  先ほど同僚議員からの同じような質問がございましたが、いま一度確認さしてください。  近年、来日外国人の犯罪が急増し、中でも中国人の犯罪が多く、検挙数では中国人が四割を占めていると聞いていますが、中国との刑事共助条約締結は非常に必要だと思いますけれども、先ほどの御説明では目下交渉を進めているということですが、いま一つはっきりしないのは、例えば韓国の場合ですと、刑事共助条約締結している国・地域が、先ほどもお話がありましたように十四か国・地域、それから署名を終了している国が六か国もあるわけなんですが、我が国は二か国としかやってないというその理由がまだよく分からないんですが、どうしてでしょうか。
  142. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) 我が国の場合には、条約によらずに、従来、国際捜査共助法ということに基づいて、その法律に基づいて捜査共助が基本的には可能であったということでございます。片やアメリカとの場、アメリカとの交渉を通じて条約化をすることに成功いたしまして、私どもとしても一応そのパターンというのが確立をしてきたということでございますので、今後、さきの累次の答弁にもございますように、国際的な協力拡大というのが必要だという認識の下に、このパターンに基づいて拡大を図っていきたいということでございます。  もう一度申し上げると、従来必ずしも、国内法がございましたので可能、その道は開かれていた、ただ、この条約締結することによって促進をされるということで、米国交渉してパターンを学んだと申しましょうか、それに合わせて拡大をしていきたいと、こういうことでございます。
  143. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 まだよく分からないんですがね、お聞きしていて。つまり、韓国がこれだけ多くの国々と既にやっているのに、どうして日本は、その必要性が全くなかったわけですか。
  144. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) いえ、従来から……
  145. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 佐渡島審議官
  146. 佐渡島志郎

    政府参考人佐渡島志郎君) 失礼いたしました。  日米交渉を通じて国内法関連法規がきっちり整ってきたということもございます。したがって、むしろ、比較の上では確かに締結の数は今までは少のうございましたけれども、私ども、今後はなるべく急いで拡大をしていきたいと考えております。
  147. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務大臣にお伺いします。  在日米軍再編の最終報告の共同発表文の最後の部分に、日米安保条約及び関連取決めを遵守しつつ、この計画を速やかに、かつ徹底して実施していくことを確約したとあります。  そこで伺いますが、再編計画を速やかに、かつ徹底して実施していくということは、関係自治体の住民や国民から反対されても力ずくででも実施したいということでございますか。その意味を御説明ください。
  148. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは大田先生、英文の方で、タイムリー・アンド・ソロー・インプリメンテーションという言葉の訳がこの言葉になったというところがまずちょっと御理解いただかないかぬところ、ほかの、まあこの訳が間違っているわけじゃありません、これも一つの訳の方法だと思いますが、少なくともこの計画というものは速やか、かつ徹底して実施していくべきというのは、なかなか、前回、十年間契約して進まなかった経緯も一つの背景としては、双方側に何となく十年間たっても何も動かなかったじゃないかというような点もあります。  それから、やっぱりきちんとこういったものができた以上は少なくとも、長い時間を掛けてこれ契約を、まあ契約というか条約を取り交わした、約束を取り交わしたわけですから、少なくとも抑止力を維持しつつ地元の軽減負担を図るということをするためにはこれは不可欠なものだと思っておりますんで、そういった意味で、個々の再編にかかわる措置のすべてを迅速に実施するということをもって抑止力の維持と地元負担の軽減ということを実行、二つ同時に実行するということを意図してソローという言葉を使ったというふうに御理解いただければと存じますが。
  149. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁にお伺いします。  再編計画では、在沖米海兵隊八千人とその家族約九千人をグアムに移転することになっています。しかし、沖縄県の基地対策室の統計資料によりますと、二〇〇四年現在、家族は八千百四十三人となっておりますが、どうしてこれが九千人になるんでしょうか。
  150. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今おっしゃるように、最終取りまとめにおいては、「約八千名の第三海兵機動展開部隊の要員と、その家族約九千名は、部隊の一体性を維持するような形で二〇一四年までに沖縄からグアムに移転する。」と記述されているわけであります。  その沖縄の統計資料に八千百四十三人となっておりますということでありますけれども、全体的な沖縄の海兵隊の家族数について今の時点できちっと把握しているわけではないので、まあ最終合意書に八千名及び家族九千名と書かれておりますから、それを軸にして考えていくことになると思います。
  151. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 同じく防衛庁長官にお伺いします。  再編計画案には、グアムへ移転する在沖米海兵隊の部隊は、第三海兵機動展開部隊の指揮部隊、第三海兵師団司令部、第三海兵後方群司令部、第一海兵航空団司令部、第一二海兵連隊司令部を含むとありますが、これらを合わせると八千人という理解でよろしゅうございますか。そして、この八千人がグアムへ移って後、在沖米軍は沖縄にどれくらい残るんでしょうか。
  152. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、大田先生がおっしゃるような形で最終報告書には明記されております。しかし、具体的にどこの部隊が何人とか、そういうふうにはなっておりませんので、これから詳細、具体的に協議していく過程で、まあそれ以外にも入るかもしれないし、それは基地の返還がありますよね、嘉手納以南の基地が返還されます。そういうことと併せてどういう人数が増員されるとか、あるいは八千人の中にどういう構成になるのかということはこれから詳細が決められていくことになると思いますので、もうちょっと弾力的にちょっと考えていただきたいというふうに思っております。
  153. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 なぜこういうことをお伺いするかといいますと、八千人出ていくということで沖縄の米軍が削減されるという、一般的に理解しているわけなんですが、新たな基地を造って新たな部隊、例えばMV22オスプレーというのが配置されるというふうに報道されておりますけれども、そういった意味で新たな部隊が入ってくる可能性というのはあるんですか、ないですか。
  154. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 新たな部隊が入ってくるという形で最終報告書に明記されていることはありません。
  155. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 前回のこの委員会長官にお願いしたことは、この八千人とそれから家族の約九千人が去って、そして沖縄の嘉手納以南の基地が返されるということが言われておりますが、すべてが完了して後、在沖米軍の専用施設の何%が沖縄に残ると見積もっておられますか。
  156. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これはなかなか厳しい質問なんでありますけれども、今のところ、ロードマップにおいて書かれていることは、キャンプ桑江、キャンプ瑞慶覧、普天間飛行場、牧港補給地区、那覇港湾施設及び陸軍貯油施設第一桑江タンク・ファームの六施設・区域を返還対象として、キャンプ瑞慶覧だけは部分返還、あとは全面返還という形になっているわけであります。  キャンプ瑞慶覧における返還範囲については、海兵隊及びグアムの家族の移転というものについての具体的な中身が十九年の三月までに決めるということになっておりますので、今の時点で明確に七五%がこれくらいになりますよということがはっきりと言える状況ではないんであります。様々な不確定要素があるわけです。
  157. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 大田昌秀君、質疑の時間が終了しておりますので、簡潔にお願いします。
  158. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 はい。  一部の新聞報道によると、四%しか減らないというような報道もなされておりますので、どうかその辺は是非できるだけ厳密に確認していただいて、県民にも知らしていただきたいと思います。  ありがとうございました。終わります。
  159. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  刑事に関する共助に関する日本国大韓民国との間の条約締結について承認を求めるの件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  160. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二分散会