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2006-04-20 第164回国会 参議院 外交防衛委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年四月二十日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         舛添 要一君     理 事                 浅野 勝人君                 山本 一太君                 榛葉賀津也君                 柳田  稔君                 高野 博師君     委 員                 愛知 治郎君                 岡田 直樹君                 金田 勝年君                 川口 順子君                 小泉 昭男君                 櫻井  新君                 福島啓史郎君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 今泉  昭君                 白  眞勲君                 遠山 清彦君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君    副大臣        防衛庁長官   木村 太郎君        外務大臣    金田 勝年君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        外務大臣政務官  遠山 清彦君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        警察庁刑事局組        織犯罪対策部長  米田  壯君        防衛施設庁長官  北原 巖男君        法務大臣官房審        議官       三浦  守君        外務大臣官房参        事官       梅田 邦夫君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省中南米局        長        坂場 三男君        外務省国際法局        長        小松 一郎君        外務省領事局長  谷崎 泰明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (竹島周辺海域海底調査に関する件)  (日中関係に関する件)  (犯罪人引渡条約の締結に関する件)  (日米同盟に関する件)  (在日米軍基地問題に関する件)  (在日米軍再編問題に関する件) ○経済上の連携に関する日本国政府とマレーシア  政府との間の協定締結について承認を求める  の件(内閣提出衆議院送付) ○マルチチップ集積回路に対する無税待遇の付与  に関する協定締結について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 舛添要一

    委員長舛添要一君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長米田壯君外七名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 岡田直樹

    岡田直樹君 自由民主党の岡田直樹でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。  追加で御通告した竹島周辺海域調査の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  海上保安庁調査に対して韓国側が激しく反発をいたしまして騒然とした雰囲気になっておりますけれども外務大臣としてこれからどういう対応を取られるか。  日本側からは、ドイツで行われる国際会議韓国側が独自の地名の提唱をしないならばこの調査を見送ってもいいというような提案もされたと聞いておりますが、これに対して先方の反応はいかがでございましたでしょうか。
  6. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 御答弁なさる前に、皆様方にお知らせいたしますけれども、本日より世界地図外交防衛委員会の部屋に掲げることにいたしましたので、御活用いただきたいと思います。  それでは、麻生外務大臣、御答弁願います。
  7. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 岡田委員の御質問で、現時点におきましては、今般の海上保安庁調査につきましては、いわゆる国際法にのっとりまして冷静に粛々と進めていきたいと考えております。  この調査背景というのは、何でこの時期にやるのかという御意見等々はよくマスコミで書いてあるところではあります。ただ、この六月にドイツで行われる予定になっております海底地形の名称に関する小委員会というのがございますけれども、この委員会におきまして、今調査しようとしております地域海底地名につきまして、韓国側韓国名を提案するという動きが少なくとも現時点まではあっております。このため、日本としてはこの対案を提出する必要がありますので、その必要なデータを収集するというために海上保安庁がこのタイミングで海洋科学的調査を行うということが背景であります。したがって、六月の二十一日から三日間というようにブレーメルハーフェンというドイツの市で行われる予定でございますんで、これに合わせておるということであります。  御存じのように、日本韓国との間ではいわゆる通称排他的経済水域というのがいわゆる正確に画定を両方でいたしておりませんので、重複している部分があります。したがって、双方主張しております通称EEZ排他的経済水域の重複する海域の存在上、両方でということになりますので、したがって今回海上保安庁調査をいたします地域につきましては、双方調査を行うということは国際法上何ら問題はないということであろうと存じます。  また、この調査を行います海上保安庁測量船というのはこれは非商業的目的、いわゆる商業船じゃないということでのいわゆる政府船舶ということになります。したがって、国際法上、このような船舶、いわゆる政府船舶というものに関しましては他国管轄権行使というものから免除されていると、商業船舶ではございませんので。したがって、この日本測量船に対しまして韓国側が拿捕等々のいわゆる執行管轄権行使というものを含む措置をとるというものは、国際法上認められておりません。  政府としては、こういった認識の下、国際法条に照らして冷静に対応していくという考えでありまして、韓国に対しましても同様な呼び掛けを行っておるというのが現状でございます。
  8. 岡田直樹

    岡田直樹君 盧武鉉大統領がまた極端なことを言っております、日本国粋主義政権が侵略の歴史を正当化しようとしていると。まあ、靖国参拝やら歴史教科書問題等を絡めて韓国民反日感情をあおり立てて、そして有利に事を運ぼうと、あるいは韓国民の人気を得ようと、こういう対応だと思いますけれども、これに対する外務大臣のお考え、それと、私は日本として堂々と主張をしていただきたいと思うんですけれども、やはり衝突、真正面からの衝突というのは避けねばならない、非常に難しいところでありますが、大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  9. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは基本的には、先ほど申し上げましたように、国際法上何ら我々に瑕疵があるわけではございません。重複しておるいわゆるEEZ部分というのは、これは日韓以外にもいろいろございますんで、そういったところにおきましても、韓国側はこれまで三回か四回、この地域海洋調査を行っておると記憶をいたしますので、日本側としてもそれに対応して、少なくとも六月のドイツ会議に合わせるということになりますと、私どもとしてはそのまま黙って看過していくというわけにはならないという立場になります。  当然のこととして、日本日本の国益にのっとって、日本立場主張するにはそれに合ったそれなりの資料というものが必要というのは当然のことと存じます。したがって、これに合わせて日本としてこの地域に対して測量を行うという必要があろうと思いますので、いろいろ今後どういう対応になってくるか、円満にいくかいかぬか、これ双方の話合いの話だろうとは思いますけれども、私どもとしてはいわゆる不測の事態というものをなるべく避けたいと思って、平和裏にこのことが解決されるように今外交ベースを通して、次官、大使等々のところにおいて交渉が行われていると御理解いただければと存じます。
  10. 岡田直樹

    岡田直樹君 冷静に、しかし堂々と主張していただきたいと思います。  話題を変えて、ちょうど一年前の中国反日暴動についてお伺いをしたいと思います。  我々日本人国民性として、淡泊というか、一年もたつと忘れてしまうことが多いわけでありますけれども中国韓国人たちはそれこそ六十年前でも百年前でも出来事というのを忘れない、そして外交カードとして使ってくるわけであります。我々も一年前のことを忘れずにしっかりと主張を続けていきたいと思います。  そこで、当時この委員会で我々何度も御質問をいたしましたけれども中国にある大使館総領事館の被った損害総額どのぐらいになるものか、あるいは在留邦人、民間の日本人が受けた損害はどれほどであるか、官民の合わせた損害についてお示しをいただきたいと思います。外務省、どなたでも結構です。
  11. 梅田邦夫

    政府参考人梅田邦夫君) お答えいたします。  昨年、我が方の公館では、北京大使館事務所、それから大使公邸、それから上海事務所に対して暴力的行為があったわけでございますが、総額は約六千万円と見積もっております。それから、日系企業に関連しましては約四十社が被害を受けており、当方被害額を連絡していない企業等もありますが、当方が把握している限りでは合計で約千七百万円の被害が発生したとの報告を受けております。  以上です。
  12. 岡田直樹

    岡田直樹君 この数字について、中国側にお示しになりましたか。
  13. 梅田邦夫

    政府参考人梅田邦夫君) お答えいたします。  中国側にも累次説明をいたしております。
  14. 岡田直樹

    岡田直樹君 当時の町村外務大臣は度々謝罪賠償ということを求めたわけでありますけれども、どうも明確な謝罪というのはなかったように思います。  麻生大臣になってから謝罪賠償を求めたということはございますか。
  15. 梅田邦夫

    政府参考人梅田邦夫君) お答えいたします。  昨年の十月以降に関連しましても、累次大使館中国側との間では様々な協議それから修正要求謝罪要求等を行っております。
  16. 岡田直樹

    岡田直樹君 それは今後のこともありますから、しつこいぐらいにお願いをしたいと思うわけです。  北京大使館、これは中国側の持ち物だと思います。また、上海総領事館日本側の財産であると認識しておりますけれども、これらの修理、修復というものは中国側修復をしたのか、あるいは日本が自前で日本予算でしたのか、どちらでしょうか。
  17. 梅田邦夫

    政府参考人梅田邦夫君) まず、中国大使館及び公邸修復につきましては、既にこれも報道もされておりますけれども、昨年十二月をもちまして終了しております。基本的には中国側費用負担も含めまして負担をしておるということでございます。  上海総領事館につきましては、基本的には中国側が責任を持って原状回復をするということでの合意はございますが、現在、事務所外壁パネル、これは日本製で非常に値段が中国側から見て高いということで、今現在まだ中国側と技術的な意味での調整を行っている途上でございます。
  18. 岡田直樹

    岡田直樹君 当時、日本料理店であるとかいろんな店舗に投石をされて損害を受けたわけでありますが、中国在住日本人方々心身ともに非常な圧迫を受けて、そういう意味での損害も非常にあったというふうに思います。  中国国内法に基づいて損害賠償請求ということをされたケースはあるのかどうか、日本人が泣き寝入りをしたということがあってはいけないと思いますが、そうした裁判の例あるいは総額についてお答えをいただきたい。
  19. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 被害を受けました日系企業につきましては、対応企業ごとに異なるわけでありますけれども、ほとんどの企業は何らかの手当てが終了していると承知しております。  しかし、救済措置が必要であるにもかかわらずいまだに救済措置が得られていない企業、これは具体的には上海レストラン二軒というふうに聞いておりますが、もありまして、これらにつきましては引き続き企業とよく相談しながら、我が方より中国当局に対して適切な対応を求めているところであります。
  20. 岡田直樹

    岡田直樹君 これからも政府としてサポートをしていただきたいと思います。  先日、予算委員会麻生大臣に台湾のことを御質問しましたら、岡田さん、あなたは親台派なのかというふうにおっしゃる方がいました。私は親台派であると同時に親中派でもあると思っておりまして、中国との関係も大事にしなければならない、しかしそれゆえに言うべきことは言わなければならないというふうに強く思います。  反日暴動事件というのは、ある意味では日本側から突き付けることのできる有力な外交カードではなかったかと思うんですけれども、それを余り生かし切れていないのではないか、こういうふうにも思います。  外務大臣の御見解、この事件に関する総括的なお考えというものをお伺いしたいと思います。
  21. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いかなる理由があるにしろ、少なくとも、他国外交特権を与えられておりますいわゆる公館というものを襲撃する、またそれを保護すべき当該国のいわゆる警察官等々がそれを見過ごす等々というのは、これは常識的なことを言って、あってはならぬことだと思っております。それが事実起きておりますんで、そういった意味ではこの話は極めて重要な意味を含んでおると思って、少なくともこの種の話に関しましては、おっしゃるとおり、私どもとしてはっきり物を申せる立場にあると思っておりますので、この点に関しましては、今後とも非常に大きなカードになり得るというお話でしたけれども、私どももそう考えております。
  22. 岡田直樹

    岡田直樹君 粘り強くお願いをいたしたいと思います。  これで質問を終わります。ありがとうございます。
  23. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  本日は、外務大臣並びに警察庁、法務省に、逃亡犯罪人の問題についてお伺いをしたいと思っております。  厚生労働省が発表をしました外国人雇用状況報告という資料によりますと、平成十七年の六月一日現在で事業所に直接雇用をされている外国人労働者、この数字が載っているんですが、前年比で何と一〇・二%増をしているということで、合計十九万八千三百八十人と過去最高の数字を記録をいたしております。出身地域別で見ますと、東アジアが四三・二%でトップでございまして、次いで中南米の三〇・四%、東南アジアの一四%と続いております。受入れしている日本地域なんですが、東京がトップで四万三百五十八名で最多でございます。次いで愛知県の二万五千四百三十六人、第三位が静岡県の一万六千五百四十二名、以下、神奈川、大阪と続いていくわけでございますが。  昨年の年金国会でも議論になりましたが、我が国合計特殊出生率は一・二九に下がりまして、これだけ人口が減ってまいると、当然労働力も減ってくる。国際社会がこれだけグローバル化して、FTA、EPA等々の交渉も盛んになってくる。当然、様々な経済的、政治的要素が相まって、この国には多くの外国人がこのように共存、共生していく社会になってきているというふうに思っております。  ほとんどの外国人がまじめにこの社会で一緒に働き、またそれぞれの立場で御努力をされて生きていらっしゃる方々でございますが、日本犯罪人同様に、どうしても外国人犯罪というものも外国人の流入が増えるに従ってこれまた増加しているというのも事実でございます。  この外国人による犯罪というものも今後大きな問題として、私はこの国の政治問題としてとらえていかなければならないと思うんですが、そのような中、平成十七年十月十七日に静岡湖西市にお住まいの山岡宏明さんと理恵さんの最愛の娘である山岡理子ちゃん、二歳十か月だったんですが、静岡県の湖西市で交通事故に遭い、尊い命を失いました。これは加害者信号無視による不条理な死だったわけでございますが、その後、静岡県警の懸命な捜査によりまして犯人は特定されました。しかし、この犯人も分かっているんですが、いまだにこの犯人は逮捕されておりません。それは、犯人外国人であったからでございます。容疑者のフジモト・パトリシアという女性が逮捕状の出る前日に、何と正に夜逃げ同然の形でブラジル帰国をしてしまいました。  実は、山岡さんの、理子ちゃんのお母さんがホームページでこのことを記しているわけでございますが、少し朗読をさせていただきたいと思います。  平成十七年十月十七日午前十一時半ごろ、悪夢が起きた。私たちは食事を取るため近くのスパゲティー屋に向かう途中でした。理子は大好物のスパゲティーを食べるためスタゲティースタゲティーと喜んでいました。  理子ちゃん、スタゲティーじゃなくてスパゲティーなんだよなんて平和な会話を楽しんでいました。あの交差点に進入するまでは。  信号を青で進入。左の方から信号無視で突っ込んできた軽自動車と衝突、横転、即死でした。二歳十か月と二十二日。余りにも早過ぎる死でした。我が家のアイドルを突然失った私たちの時計はあの日から止まったままです。  何で、何での毎日。あの日あの場所を通らなければよかった。あと一秒早かったらあと一秒遅かったら、チャイルドシートに乗せてあげていたら助かったかもしれないと自分たちを責め苦悩する毎日。そのうち私たちの子供に生まれなかったら死なずに済んだと、そんなことまで考えてしまう。  加害者日系ブラジル人事件後、一度も謝罪に訪れず、逮捕状が出る前日に帰国。同国との犯罪人引渡条約がなく強制捜査ができない状況です。私たちの宝物を奪っておいて今も罪に問われずのうのうと平穏に暮らしているかと思うと悔しくて涙が止まりません。  以来、私たちブラジル国との犯罪人引渡条約の締結を求めていろんな方にお願いをしています。私たち理子のためにしてあげることはこの条約締結により加害者が罪に問われること。そしてますます増えていくブラジル人労働者、それに比例して増えていく犯罪条約がなく悪いことをしても逃げれば大丈夫などという認識を持ったブラジル人が一人でもいれば安心して暮らすことはできません。理子の死を無駄にしないために今後、理子のようなかわいそうな子、私たちのような悲しい遺族を出さないために早急に条約を結んでもらうよう国に訴えていくことだと思っておりますというような文章が載っているんですが、実はこの山岡さんのケースだけではございません。  静岡県では、新聞報道されているだけでも、理子ちゃんの事件から一か月後の平成十七年十一月二十二日、浜松市内レストラン経営者強盗殺人で死亡いたしました。これも犯人ブラジルへ逃亡帰国してしまいました。また、一九九九年七月にも浜松市内女子高生がひき逃げで死亡しました。これも犯人ブラジル人でしたが、ブラジルへ逃亡帰国して、犯人が特定している、居場所も分かっているにもかかわらず、私たちは何もできないでいる状況でございます。遺族の思いを考えると、これは政治としても何とかしなければいけないと思うのは私だけではないはずでございます。  そこで、政府にお伺いしますが、現在ブラジル人による犯罪件数というのはどれぐらいあるんでしょうか、端的にお願いします。
  24. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 過去五年間の来日ブラジル人による刑法犯検挙件数でございますが、平成十三年には三千四百五十七件でございました。それからずっと増えてまいりまして、平成十七年、六千八百十一件でございます。
  25. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それでは、このブラジル犯罪人検挙数というのは逆にどれぐらいになっているんでしょうか。
  26. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 先ほど言いましたのは検挙件数でございまして、検挙の人員につきましてはこの五年間、若干の増減を繰り返しながら余り変わってございません。平成十三年、九百五十八人、平成十七年には一千六十四人でございます。
  27. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 国外に逃亡したブラジル人犯罪者というのは一体どれくらいになるんでしょうか。
  28. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 私ども統計では、年末の時点を取りましてその時点現在で逃亡している人間は何人かという統計の取り方をしております。  平成十三年末現在ではブラジル人三十八人でございましたが、平成十七年末現在では八十六人となっております。
  29. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 八十六人。
  30. 米田壯

    政府参考人米田壯君) はい。
  31. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 犯罪者を逮捕するには、証拠によって犯人を特定して、犯人居場所を特定しなければならないんですが、しかし当然外国への捜査権は及ばないということでございます。したがいまして、逃亡先の国の政府に対しまして捜査などの協力をしてもらう必要があるかと思います。  犯罪者捜査外国依頼する場合は、外国ルート相手国政府依頼する方法、いわゆる捜査共助と、国際刑事警察機構、ICPO、これインターポールとも呼ぶときがあるんですが、このルート依頼をする方法、いわゆる捜査協力というものがあるんですが、そこで、端的に説明を願いたいんですが、外交ルート相手国政府依頼するいわゆる捜査共助というものは一体どんなものなんでしょうか。
  32. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) お答え申し上げます。  いわゆる国際捜査共助でございますが、それは、刑事司法手続裁判前提といたしまして、その必要な証拠外国、先ほど委員がおっしゃいましたように、外国において我が国捜査機関が公権力の行使を行うということはできませんので、外国政府にその証拠提供依頼するということでございまして、もちろん国際法上そういう協力をする義務というものが、法的義務というのがあるわけではございませんので、通常相互主義というものがどうしても前提になるわけでございます。  通常やり方でございますが、我が方から外交上の公文書でございます口上書をもって相手国政府外務省に対しまして、将来同様の相手国側からの申入れがあった場合には協力をするという相互主義を保障いたしまして証拠提供要請をするというようなものを、そういう口上書送付をいたしまして共助要請をするというのが通常やり方でございます。
  33. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ブラジルはこの相互主義をともに取っているんでしょうか。
  34. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) 国際法上の義務として協力をする義務はございませんけれども通常の場合、相互主義の保障の下に協力をし合うというのが通常対応で、ブラジルもその同様の立場を取っているというふうに承知しております。
  35. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 近年の捜査依頼件数というのはどれくらいあるんでしょうか。
  36. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) 私どもが把握しておりますところでは、近年、平成十三年から平成十七年までの数字でございますけれども、このような外交経路を通じました外国に対する我が国からの捜査共助要請件数でございますが、警察依頼によって外交経路を通じて要請しましたものが七十七件、検察庁からの依頼によって行ったものが五十件、合計百二十七件であるというふうに承知をしております。
  37. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 このうちブラジルに対して捜査依頼をしたのは何件ですか、ブラジルに対して。
  38. 舛添要一

    委員長舛添要一君) どなたが答弁しますか。ブラジルに対する件数。  坂場中南米局長。
  39. 坂場三男

    政府参考人(坂場三男君) ただいまこの席でブラジルに対して何件かという数字は持ち合わせておりません。確認いたしまして御報告申し上げたいと思います。
  40. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 後で御報告いただきたいと思います。ただ、今日はブラジルに関して質問通告やっておりますので、しっかり答弁していただきたいと思います。  それでは、このICPOルート依頼する捜査協力というのは一体どんなものなんでしょうか。
  41. 米田壯

    政府参考人米田壯君) ICPOルートの場合は、事件捜査を担当しております都道府県警察からの依頼に基づきまして国家中央事務局となっております警察庁関係各国に対してICPOルートで情報の提供等の協力を求めるというものでございます。  この場合、特定の国に対して協力を求めるというやり方と、広く諸外国に対しまして国際手配などを行うという場合がございます。
  42. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この捜査依頼件数というのはどれぐらいあるんでしょうか。
  43. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 日本から外国に対して捜査共助要請した件数でございますが、平成十三年には七百七十四件、平成十四年、八百七十一件、平成十五年、八百十七件、平成十六年、五百三十四件、平成十七年、四百八十五件でございます。
  44. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 平成十七年で結構ですけど、ブラジルに対して行ったこの捜査協力というのはどれくらいあるんでしょうか。
  45. 米田壯

    政府参考人米田壯君) このICPOルートの場合は非常に捜査のかなり初期の段階から様々な情報の交換をやっておりまして、個々の、何といいますか、国とのやり取りということが、その国との信頼関係等もございますので、私どもとしてはちょっと明らかにはしておりません。
  46. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 どれだけブラジルにICPOルート捜査したか答えられない、捜査共助ブラジル何件かと、数字持っていないということなんで、これはできたら後ほど教えていただきたいと思います。  では、具体的に聞きますが、このひき逃げや強盗殺人、これらの問題は捜査共助要求やICPOルート捜査依頼をされているんですか。
  47. 舛添要一

    委員長舛添要一君) どなたが答弁いたしますか。  米田組織犯罪対策部長
  48. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 余り具体的には申せませんが、当然必要な捜査協力要請は行ってございます。
  49. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それでは、一九九九年、そして先ほど言った殺人事件山岡理子ちゃんのひき逃げ事件、これはきちっと捜査共助要求をしているというふうに認識してよろしいわけですね。
  50. 米田壯

    政府参考人米田壯君) そのとおりでございます。
  51. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございます。  捜査共助犯人が特定したらその犯罪者を引き渡してもらって日本裁判にかけるということが必要になると思うんですが、ところが、犯人が特定されても日本政府犯罪者が引き渡されない場合があるということです。これは、国によって原則として自国民の保護という原則があるわけでございますけれども犯罪後自国へ、自分の国へ帰国してしまった外国人犯罪者日本国内で裁判にかけるというのはどういった方法があるんでしょうか。
  52. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) 外国人犯罪者について、国外に逃亡した場合にその引渡しを受けるということが問題になるわけでございますが、それには条約あるいは国際礼譲に基づきましてその国に逃亡犯罪人の引渡しの請求をするという方法がございます。  また、それ以外の方法として考えられるところを申し述べますと、犯罪者が自らの意思で我が国に戻ってくるというようなことがありますれば、その場合に、我が国の領域内に入った時点で身柄を拘束するということがございますし、またその犯罪者が第三国に渡航をしたということが把握されました場合には、その第三国に対して引渡しの請求をするという方法考えられるところでございます。
  53. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いわゆる犯罪者引渡条約締結されている場合は、外国に逃げた犯罪者が引き渡せる可能性があるということです。自ら国へ、もう一度日本へ帰ってきて自分の意思で出頭するというのは、そういう方がいらっしゃったらこれは有り難い話ですが、現実問題、なかなか難しいのかなというふうに思います。  問題は、現在この犯罪者引渡条約が日米、日韓のいわゆる二国間で、二国、米、韓でしか条約締結されていないという問題でございます。今後、外務省といたしましてアメリカ、韓国以外の国、特にブラジルとか犯罪者が多い国、こういった国々と条約締結する計画はあるんでしょうか。
  54. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) 逃亡犯罪人の引渡しでございますけれども、どういう場合に自国に逃げてきた逃亡犯罪人を引き渡すことができるかということについては、それぞれの国に法制がございまして、我が国逃亡犯罪人引渡法という法律があるわけでございます。  大きく分けまして、その逃亡犯罪人の引渡しをすることができる要件として、相手国との間に条約がなければならないという法制を取っている国とそうでない国がございます。前の方の国内法は、講学上は条約前置主義というようなことが教科書に書いてございますけれども、そういう国との間では条約がないとそもそも引渡しができないわけでございます。そうでない国も我が国を含めてかなりございます。  そういうことで、逃亡犯罪人引渡条約を具体的に締結をするかどうかということは、その相手国の法制、今申しましたような意味での法制、それから相手国との犯罪人引渡しの具体的必要性の有無でございますとか、それからどうしてもやはり刑事司法の世界でございますので、人権保護の問題もございますので、やはり相手の刑事司法制度がきちっとしているのかどうかと、そういったものを総合的に勘案をして締結をするかどうかということを決めるということでございますが、現在、現時点におきましてその特定国との間で交渉を行っているとか、具体的な計画があるということはございません。
  55. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 これだけブラジル人犯罪が増えている中で、ブラジル犯罪人引渡条約を結べないという理由は何なんでしょうか。
  56. 坂場三男

    政府参考人(坂場三男君) お答え申し上げます。  ブラジルとの犯罪人引渡しの問題につきましては、ブラジル政府協議をしておりまして、先般、これは先週のことでございますが、ブラジル外務大臣日本に参りまして、麻生大臣の方からこの逃亡犯罪人の問題についてきちっと協議をしていきたいというお話をしていただきました。  他方、ブラジルの法制についても私ども調べておりますが、ブラジルは、憲法によりまして自国民を引き渡さないということが明記されております。これはブラジルの憲法五条でございます。したがいまして、ブラジルに逃亡した人を引き渡すという前提でございますと、ブラジルのその憲法の規定の問題が出てきまして、更に、ブラジル政府とその法制上の取扱いについて更に協議を重ねる必要があると現在思ってございます。
  57. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 四月十二日に麻生大臣ブラジルのセルソ・アモリン外務大臣と会談をされて、様々な日本ブラジルの問題がある中で、この逃亡犯罪人の問題を重視しているという議論をしてくださいました。これは私どもにとりましても大変心強く、また御遺族も、この大臣の短い間の会談にもかかわらず、この問題を、逃亡犯罪人の問題を両国で一致して解決していくことが重要だという会談をされたということは遺族も大変期待をしておりますし、是非この問題は外交ルート交渉でございますから進めていただきたいと思うわけでございますが。  過去に、今おっしゃいましたように、ブラジルは憲法第五条で、麻薬犯を除いては自国民を外国に引き渡さないという憲法第五条の第五十一項ですか、あるんですが、実は過去に犯罪者を引き渡した例があるということもあるんですが、この憲法にあっても、外交交渉によって引渡しは可能なんじゃないんですか。
  58. 坂場三男

    政府参考人(坂場三男君) お答え申し上げます。  ブラジル憲法には、自国民を引き渡さないと規定をしておきながら例外が二つ書いてございます。一つは、麻薬に関する事犯の場合は引渡しが可能であるという規定がただし書で書いてございますのと、それからもう一つは、ブラジル国籍を取得したのが犯罪後である場合、この場合には引渡しの対象となり得ると、こう規定しております。したがいまして、ブラジル人が引き渡されたケースというのはそのいずれかに該当する事例ではないかというふうに思われますが。
  59. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 そう言うと、今逃亡している八十六名のブラジル人犯罪者は何も手を付けることができないということなんでしょうか。
  60. 坂場三男

    政府参考人(坂場三男君) 引き渡さない場合の問題というものにつきましては、不処罰を許さないという原則からしますと、ブラジル国内で裁きをしてもらうと。実際ブラジルの法制はそのようになっておりますので、実際の犯人に対する取扱いはブラジル国内で裁くというのが原則になろうかと思っております。
  61. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 代理処罰の問題はこの後また議論させてもらいますが、いわゆる犯罪人引渡条約を結んで犯罪人を引き渡してもらうか、若しくは条約がなくても外交礼譲、外交にお礼の礼に譲るという字を書くんですが、外交礼譲によって引き渡す可能性があるというふうに思っております。  ところがブラジルの場合は、先ほど言ったように憲法五条の第五十一項でその二つの例以外は引き渡すことができませんから、これはブラジル外交礼譲によってお願いしても引き渡すことができないということをもう一度確認したいんですが、そういうことですね。
  62. 坂場三男

    政府参考人(坂場三男君) お答え申し上げます。  その点につきまして、どのような事例が過去にあるのかということについて今ブラジル側と話合いをしております。法律上は先ほど申し上げたとおりでございますが、実態がどのようになっているのかということについては引き続きブラジル側と話をしていきまして、今委員御指摘のような事態がどのような形で行われているのか行われていないのかということを調べてまいりたいと思っております。
  63. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それでは、この外交礼譲による引渡し、日本ブラジルの間で過去の実績はゼロということでよろしいんでしょうか。
  64. 坂場三男

    政府参考人(坂場三男君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおりに承知しております。
  65. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 外国人引渡条約犯人の逮捕を依頼して渡してもらうにせよ、外交礼譲によって引渡ししてもらうにせよ、ブラジルに限らず、これ捜査を相手国に依頼する場合、非常にコストと時間が実は掛かるわけでございます。まあブラジルの場合はこの憲法があるということですが、ブラジルに限らずいいますと、日本での捜査の調書であるとか様々な問題を、取調べの調書ですね、そういった様々な法的資料を全部相手国の言葉に直さなければならないもんですから非常にコストと時間が掛かるんですが、このコストというのはだれが負担していくんですか。
  66. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) 引渡しの請求の方法につきましては、委員から先ほど来御指摘がございますように、条約に基づいて行う場合、それから条約がなくても外交礼譲に基づいて外交経路を通じて行う場合と両方あるわけでございますが、そのときの請求に係る費用、今翻訳の費用等御言及ございましたけれども、そういうものは当然のことながら請求国政府日本が行う場合には日本の担当の官庁が負担をして、被害家族の方に御負担ということを御懸念かと思いますけれども、そういう被害家族の方の負担ということにはならないというふうに承知しております。
  67. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 御遺族は、ブラジルのこの憲法五条の五十一項があるためにブラジルから犯罪者を引き渡すことができないのかと、今絶望的な思いをしているわけでございます。当然、人権、二国間の信頼関係等々ありますが、やはり最愛の家族を殺され、そして逃亡されている御遺族のことを考えると、これは何とかしなきゃいけない。  そして、あるブラジル中南米の専門家の方によりますと、ブラジルの憲法というものは比較的日本の法律に近い。これ変えることも間々ありますし、日本ですと憲法というともうアンタッチャブルな世界だという感覚があるんですが、ブラジル憲法は非常に、フレキシブルと言ったら変ですが、変えることが間々あるということが言われているんですが、この点の憲法第五条というのは、恐らく日本だけではなくて、各国から犯罪人の問題、逃亡犯罪人考えると議論が出ているはずなんです。そして、この山岡理子ちゃんの問題もブラジルにおいても大きく報道されている。  この問題は、今後どのような外交交渉をしていくんですか。
  68. 坂場三男

    政府参考人(坂場三男君) お答え申し上げます。  ブラジル自身は、現在二十か国近くと犯罪人の引渡条約を結んでいると聞いております。ブラジル自身が結んでいる犯罪人引渡条約、それにつきましては先ほど申し上げましたような前提での条約締結だろうと、こう思われますけれども、私どもは更に、ブラジル自身のみならずブラジル締結している国とも協議をしまして、今御指摘になったような問題をどのように解決していくのかということについて更に政府間の協議を進めたいと思っております。
  69. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、ブラジルが二十か国と犯罪人引渡条約を結んでいる。日本も当然その制限があるにせよ、これだけ日本で働いていらっしゃるブラジル人が多いわけですから、ブラジルとの締結に向けて努力をすべきだと思っております。  先ほどおっしゃったように、この代理処罰、仮にブラジル人ブラジル帰国してしまって、憲法等の制約によって日本条約若しくは外交礼譲で引き渡すことができない。しかし、さはさりながら、犯罪者ですから、これはきちっと処罰をされなければいけない。これがされるのがいわゆる代理処罰制度、代理処罰主義というものでございますが、記憶に新しいのが福岡での松本さん一家殺害事件で、中国政府外交的に率先して代理処罰を行ったという例は記憶に新しいと思うんですが、この福岡の事件以外に代理処罰が施行された、履行された例はどれぐらいあるんでしょうか。
  70. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) お答え申し上げます。  今おっしゃいました代理処罰というその言葉、報道等で私ども目にするわけでございますけれども、必ずしも適切な言葉かなという疑問は持っております。つまり、やや理屈っぽい話になりますけれども日本犯罪行為が行われた場合に、当然日本は領域に基づく管轄権に基づきまして、日本国民のみならず、外国人日本国内で行った犯罪犯罪としてそれを取り締まるという、そういう刑法上の管轄権を持っていると。他方、国籍をつながりといたしまして、自国民が外国で行う一定の犯罪をこれを犯罪と定めると。これは各国刑法で行われていることでございまして、日本の刑法も国民の国外犯ということを定めているわけでございます。  それで、福岡の件でございますけれども、この殺人という行為につきまして、日本の刑法上、日本の刑事裁判管轄権のある犯罪であると。それと同時に、中国の刑法におきましても、国民の国外犯として中国の刑事裁判管轄権があって、そこで裁判管轄権が競合をしているということであろうかと思います。したがいまして、最終的に中国がこれを自国の刑法に基づいて処罰したわけでございますけれども、これは日本の代理ということではなくて、あくまでも自国の刑事裁判管轄権に基づいて裁判をしたということではないかと。他方、国外犯につきましてはどうしても証拠の収集等困難な点がございますものですから、あの中国の件につきましては、捜査共助というその過程でいろいろ日本側から十分な証拠提供されたのでこういうことになったということであろうかと思います。  したがいまして、今御質問のございました中国以外にどういう代理処罰の件があるのかと、事例があるのかということについては、ちょっとお答えをするのがなかなか難しいところでございます。
  71. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今の説明でいきますと、ブラジルは、じゃ、ひき逃げであるとか殺人、こういったものはどういう処罰になっているんでしょうか。
  72. 坂場三男

    政府参考人(坂場三男君) お答え申し上げます。  ブラジルの場合は、刑法の第七条におきまして国外犯についても処罰すると、一定の要件は書いてあるんですけれども、一言で申しますと国外犯も処罰するということになっておりますので、国外犯、つまり日本犯罪を犯した場合にブラジルに戻ったとしてもブラジル国内で裁くという刑法第七条の規定がございますので、それが該当するというふうに承知しております。
  73. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ということは、この山岡理子ちゃんの問題ほか静岡で起こった二件の問題についても、ブラジルで処罰をするということは可能なわけですね。
  74. 坂場三男

    政府参考人(坂場三男君) お答え申し上げます。  ブラジルの法制上は可能であるというふうに承知いたします。
  75. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この相互主義の難しいのは、犯罪の、いわゆる罪の重い軽いと言ったら変ですが、それがある程度マッチしていないと、これなかなか難しい問題もあるかと思うんですが、ブラジルにおいて殺人若しくはひき逃げというのはどういう罪になるんでしょうか。
  76. 坂場三男

    政府参考人(坂場三男君) 殺人、ひき逃げの具体的な判決がどのようになっているかということは今承知しておりません。申し訳ございません。
  77. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ずっとブラジル犯罪者が自国へ帰って、いわゆる逃げ得になっていると。絶対許しちゃいけないんです。これはきちっと、裁判をやって無罪かもしれない、しかしきちっと法の裁きを受けなきゃいけない。これだけの問題があって、ひき逃げ、殺人、ブラジルでどうなっているか分からないというのは、これはもう少ししっかり調べておく必要があるんじゃないんですか。  私、なぜこういうことを言うかというと、一九九〇年の六月なんです、入管法が改正されたのは。もう今から十六年もさかのぼるんですよ。このとき、日系三世まで自由に日本に来て働いていいというふうに法整備変わっているんです。法務省、そうでしょう。一九九〇年の六月に変わっているんですよ。  で、どんどんブラジル人方々が入ってきた。ほとんどの方々がまじめに一生懸命働く良識なブラジル人労働者です。しかし、残念ながら犯罪もある。これだけ自由にブラジル人が入ってきて、法整備が全く遅れているんですよ。この十六年、一体何をやっていたんだろうと私は思わざるを得ないんですが、この法整備の不備。だって、日本は、ブラジル人労働者に期待して、労働力としてニーズがあるから受け入れているわけでございますから、受け入れる以上は、きちっとブラジル方々のためにも、ブラジルの名誉のためにもきちっと、逃げ得のブラジル人がいる、犯罪をやっても帰ってしまえばそれでいいんだというようなブラジル人が出ることは、日本被害者だけではなくてブラジルにとっても大変不名誉なことであります。  法務省にお伺いしますが、この法の不備、一体どうなっているんでしょうか。
  78. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) ブラジルも含めまして、それぞれの国で行われた犯罪について、国際捜査共助あるいは逃亡犯罪人引渡し等々、いろいろな国際協力に関する法制を適切に運用して、そういった犯罪者が国外に逃亡することによって処罰を免れるということがないように、その点については適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  79. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 外務大臣にお伺いします。  今までずっと約三十五分間議論をしてまいりました。実は、冒頭、外務大臣にお考えをお伺いしようと思ったんですが、一連の議論をまず聞いていただいて、これは実は、法律を作るのは立法府、我々ですから、私たちの責任も極めて重いというふうに思っております。しかし、これからでもやはりまずブラジル犯罪人引渡条約を、ブラジルに様々な制限があるけれども、結ぶ努力をこれからやっていく。それと同時に、代理処罰できちっと、ブラジル国内でそれぞれの八十六名の逃亡犯罪人をきちっとブラジルの法で裁いていただく、その後押しを外交ルートでやらなければならないと思うんですが、一連の議論を聞いて、外務大臣、いかがでしょうか。
  80. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、榛葉先生御指摘のありましたとおりにほとんどの、かなりな数の人が入ってきているとはいえ、ほとんどのブラジル人が真っ当に働いて、真っ当な利益を得て、真っ当に帰っていっているんだと思っております。その中にあって、一部いなくなってみたり犯罪を起こしてみたりというのが出てくると。そこのところが出ると、今度はほかのまともにやっている人も色眼鏡で見られる等々は、これは両方の国益を著しく害するということになり得るというところが一番問題なんだと存じます。  先ほど言われましたアモリンという外務大臣と過日話をするときにこの問題を指摘して、少なくともおたくでは、外国で犯した自国の犯罪というものに関しては引き渡さないというのは憲法で決められているというので、きちんとその後、確たる証拠で挙がっている問題に関しては処罰しているのかしてないかというのがはっきり分からないような状況では、これはなかなか今後更なる問題を提起することになりかねぬと、これ以上ということに関しては検討してもらいたいという話をしたら、もうこれは向こうもその内容は十分に理解をしているところなんで、憲法上の問題やら何やらがこっちは知った上で言っているんだから、そこのところだけはきちんと今後検討を双方でやろうではないかという話は申し込んであります。  申し込んでありますけれども、今言われましたように、いろんな国とやっているとはいえ、現実問題としてなかなかその法律どおりにいかないところがまた難しいんで、条約締結しても全然実態は動いていないというような話では実が上がりませんので、私どもとしてはその点に関しては、引き続きこの点は、言われている点は、ブラジルに限らずこれはほかのところでも十分にある話で、引き渡さないというところになっている憲法のあるところが話を込み入らせておるというような感じがいたしますんで、その点につきまして引き続き交渉を継続いたしたいと思っております。
  81. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私の知る範囲では、このブラジルとの逃亡犯罪人引渡しのことを積極的に外務省、あちらの外務大臣に訴えてくださったのは、私の知る限り麻生大臣が初めてだと思っております。  これは政治力が極めて必要な問題であります。条約締結、そして外国ブラジルにおいての、まあ言葉があれですけど、代理の処罰というものも外交ルートできちっと求めていっていただきたいと強く要望いたしたいと思います。  実は、御遺族方々が、もういたたまれない気持ちで今署名活動をされていると聞きました。十万人の署名を目標にして、是非外務省にこの条約締結と、ブラジル人ブラジルに帰って、外国人がそれぞれの国へ帰って逃げ得にならないような制度をしっかりつくっていただきたいという、国民が今署名活動を始めている。是非そういった方々の声にも、与野党の先生方、そして政府の皆様にも耳を傾けていただきたいと思っております。  そして最後に、山岡理子ちゃんのお母さんが先日、私が御自宅を訪れた際、こんなことを言っていました。最初はこの容疑者のフジモト・パトリシアという女性を憎くてしようがなかった、しかしその容疑者にも実はお子さんがいる、日本に引き戻して日本の法で裁いて親子を別れ離れにさせるのは、今本当にそれでいいのかという気持ちでいるということもおっしゃっていました。  そして、多くの在日ブラジル人労働者も、大変恥ずかしいと、この事件に際しまして。そして、この署名運動に実は在日ブラジル人の労働者の方々も積極的に協力をしてくれている。これはブラジルの名誉のためにやるんだというまじめな労働者もたくさんいるわけでございます。  どうか二国間のこれからの信頼関係のために、そしてまずもってこの被害者の立場に立った交渉というものを是非強く推し続けていただくことを心から要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  82. 舛添要一

    委員長舛添要一君) この際、一言政府に御注意を申し上げます。  本日の質疑、ブラジル国に関するデータが十分でなくて十分な検討ができませんでした。きちんと質問者の質問意味を体したデータをそろえてくるように要求いたします。とともに、早急に、今日不足していたデータにつきましては本委員会に提示することを求めます。
  83. 高野博師

    ○高野博師君 最初に胡錦濤主席の訪米についてお伺いしようと思ったんですが、時間の都合もありますので、まず最初に日米同盟についてお伺いをして、時間があれば胡錦濤の訪米についてお伺いしたいと思います。  まず最初に、小泉総理が、日米同盟が強固ならばすべてうまくいくと、こういうことをおっしゃっていますが、これは外務大臣はどうとらえておられますか。
  84. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日米同盟がしっかりして日米関係がしっかりしていればということだと思いますが、これは基本的には日米同盟というのは、もう高野先生御存じのように、必要条件じゃありますけど、十分条件であるかどうかは別問題です。ですから、同盟というものは生きておりますんで、その同盟というものが、状況の変化によっていろいろその状況が変化するというのは当然考えておかねばなりません。したがって、それが常に実効あらしめるようにするためには十分条件にさせるというための双方の努力が必要であると思っておりますんで、外交努力の積み重ねというのは常に必要なものだと考えております。
  85. 高野博師

    ○高野博師君 日米同盟日本外交の根幹にかかわるテーマだと思います。十五分ぐらいの簡単な短時間でこの大それた質問は若干控えたいとは思っているんですが、今日は第一ラウンドとして幾つか御質問したいと思います。  そもそも同盟とは何なのかと。パートナーシップとの違いを頭に入れればある程度は明らかになるかなと思いますが、ここはどうでしょうか。
  86. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日米同盟というのは、一般的に言わせれば、いわゆる安保、安全保障条約体制というものを基盤にして日本とアメリカの間で、基本的な価値、利益等々をともにする国として、安全保障面等々、政治及び経済、各分野、ほかにもあるでしょうけど、各分野で緊密に協調していくという関係の総称というものがいわゆる日米同盟関係と言われるものだというように考えております。
  87. 高野博師

    ○高野博師君 同盟というのは、同盟の根拠となる条約なり協定なり約束というのがあると思います。そして、共通の利害といいますか共同して守るべき利益がある、あるいは共同して立ち向かうべき相手がある、何よりも長期的、戦略的な大義というのが、この大義を共有するということが必要ではないかと。また、軍事的あるいは安全保障上の目的があると。この軍事あるいは安全保障上の目的が存在しなければ恐らく同盟というのは成り立たないんだろうと思いますが、今大臣がおっしゃられたように、政治的、経済的な目的や利益がある。そして、相互に犠牲を払っても相手の、同盟国の相手を守る義務というのがあるだろうと思います。アメリカは、同盟国が攻撃された場合は、これはバイタルな国益だとしてそれを守るという、これはもう国是としてあるわけですが、何よりも強固な相互の信頼関係が必要であって、そのための不断の努力というのが必要なんではないかと思いますが、日英同盟、かつて日本は日英同盟を結びました。この日英同盟は何で崩れたかということでありますが、それは、答えてくれますか。
  88. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日英同盟が何で崩れたかというのは、日英同盟が組まれているということが自国にとって不利益と考えた国が多かったからだと存じます。
  89. 高野博師

    ○高野博師君 それはそうなんですが、もう少し具体的に言いますと、やっぱり第一次世界大戦のときにイギリスが再三日本の陸軍をヨーロッパに派遣してくれと要求をしたと、それを日本は断ってきたというようなことがあって日英同盟が崩壊していったとも言われていますが、孤立した日本が今度はドイツと同盟を結んだと。イギリスと対立しているドイツと同盟を結んだということは、もう明らかにこれは要するに同盟のベクトルが違う方向に行ったということで、これはもう簡単に崩れると。同盟関係というのは意外と容易に崩れ得るものだというこの認識は必要なんではないかと思います。これが、日本が別な国と、ドイツと同盟を結んだことによって破局的なもう御承知のとおりの歴史になったと、これはもう教訓だと思いますが。  そこで、日米同盟の現状、あるいは問題点があるのかないのか。で、なぜ私今回この問題を取り上げたかといいますと、ある評論家が、日米同盟は病んでいると、日米同盟は空洞化しているとテレビで言ってたものですから、これは本当にそうなら重大なことだなと、決してそうではないんだというところについての政府の明言をいただきたいなと思っていますが、日米同盟は当然として根拠は日米安保条約にあると、日米安保条約の適用範囲は極東だと。しかし、日米安保体制というのは、これは再定義によってアジア太平洋の平和と安定に寄与すると、これは冷戦後の国際情勢の変化によってそういう再定義をしたわけでありますが、日米安保条約そのものが片務的な条約だという、これは日本側の憲法上の問題、あるいは集団的自衛権の行使問題等があるという、そういう背景があると思いますが、そもそも日米同盟の大義というのは何なのかについてお伺いしたいと思います。
  90. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日米同盟の基盤を成しております日米安全保障条約、安保体制というものは、日本の平和と安全及び太平洋地域におけるいわゆる安定と発展のために基本的な枠組みとして有効に機能しておりまして、これは、日本にとりましてこの日米同盟というものを死活的に重要に考えている大きな背景、大義というのは、多分自国の繁栄と安定ということだと思っております。  これにとどまらず、日本としては、やっぱり日本にとって、またアジア地域にとりまして、また共通の価値観を持っております同盟国若しくは隣国等、いわゆる自国にとって国際環境、好ましい国際環境と、自国にとって好ましい国際環境というものを形成するといういわゆる国益というものを考えて、いわゆる今北朝鮮の問題とかテロ等の問題とかいろいろほかにもございますけれども、そういった諸課題に対処していく必要がある。それは、自国にとっても大きな回り回って国益に資するからだと存じます。  したがって、日本日米同盟というものは、自国の国益に資するというところがこの同盟を重視する大義というように理解をしております。
  91. 高野博師

    ○高野博師君 私もそうだろうと思います。  共通の価値観に基づいていると、そしてアジア太平洋の平和と安定に寄与する、それが両国にとって国益になるということだろうと思いますが、そこで、これも何回か取り上げてはいるんですが、世界の中の日米同盟という言い方を日本がしておりますが、アメリカ側はそういう表現をしているんでしょうか。
  92. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) アメリカ政府としましても、国際社会が直面する諸課題というものを解決する上で我が国との同盟関係を重視をしているということは申し上げるまでもないと、このように思うわけであります。  そもそも、世界の中の日米同盟という考え方については、二〇〇三年の五月の日米首脳会談におきましてブッシュ大統領と小泉総理が合意したものでありまして、これはアメリカ政府トップレベルで日米同盟を重視しているという証左であるというふうに考えております。  ブッシュ大統領やライス国務長官を始めとするアメリカ政府関係者は、日米同盟の重要性については繰り返し言及しております。例えばブッシュ大統領は最近のスピーチで、かつて敵国でありました日本が民主主義国家としてアメリカの同盟国となったことに触れまして、イラク復興に関する日本のコミットメントを称賛しながら、私の友人である小泉総理は世界平和の維持に努力をされている、小泉総理とは様々な問題について協力をしている旨述べておると、このように承知しております。
  93. 高野博師

    ○高野博師君 要するに、世界の中の日米同盟という表現をしているという理解でいいですか。そういう表現そのもの。
  94. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) はい。そういう考え方であります。(発言する者あり)
  95. 高野博師

    ○高野博師君 日本側の勝手な思い込みではないということだと思いますが、日米同盟、日米関係は問題ないと思っていること自体は大丈夫なのかなと。同盟関係というのはやっぱり絶えず検証する必要があるんではないかと思います。  そこで今、日米関係両方、日米双方にとってのいろんな様々な難しい問題があると思います。アフガニスタン、イラン、両方の戦争で米国を支持したということ、あるいは自衛隊を派遣したということについて、日米同盟は戦後最良だと言われて、これはいずれにしてもブッシュ大統領と小泉総理との個人的な関係、良好な関係に負うところが大きいと思いますが、信頼関係というのは揺らいでいないかどうかであります。  例えば、米軍再編との関係でいう沖縄基地の移転の問題、あるいは海兵隊のグアム移転の問題、あるいは対イラン政策について、あるいはミャンマーの軍事政権への日本側の援助、若干アメリカは不満を持っていると、あるいはインドネシアも同じようなことが言えると思うんですが、特に、対中外交での日米の対応の違いというようなことで特に日中関係が停滞しているということについて、アメリカ側は相当不満を持っているんではないか。あるいはBSEの問題等もある。様々な問題があります。  そういう中で、例えばアメリカの政権の中でのかつてのアーミテージ副長官のような親日派あるいは知日派というのがほとんどいなくなったと言われている。一方で、親中、親インド派が増えているということがありまして、そういうことからアメリカ側に、対日関係含めて、対アジア政策に、の変化が起きつつあるのかなという感じがしますが、この辺はどのようにお考えでしょうか。
  96. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 高野先生の第一問のところにもあったと、重複するかと思いますが、基本的に日米同盟というのは必要条件であって、十分条件というのは別問題だと思っております。  したがって、これを十分条件にするためには、やっぱりこの種の同盟というのは基本的に生き物です。したがって、状況の変化によってその同盟というものが、一方側に何ら瑕疵がなくても一方的に破棄され得るという可能性というのは常にある、これは数々の同盟というものが破棄された経過を見れば御存じのとおりだと存じます。そういった意味で、努力をし続けることは必要。  今言われたように、アーミテージとかマイケル・グリーンとかトーケル・パターソンとかいろいろ、このところ、日本語ができたり知日派と言われた人たちが第一次ブッシュ政権から第二次に移ったこの一年ぐらいの間に去っておるというのは事実です、間違いなく。私どもも、向こうに行きましたときにその点につきましては、担当者にそれぞれこういった点は、少なくともヨーロッパに詳しい人がえらく増えているように思えるのは、少なくとも中近東に意識が偏り過ぎていて北東アジアに関する関心が薄らいでいるということの証左だというように我々は取るということも考えておいてもらわなくてはならぬということは、会うたびに三回ほど言っておりますんで、向こうとしてもいろいろそれに対しましてきちんとした対応はしてきておりますし、向こう側の言い分も丁寧に、向こう側のあれもこちら側に対して、人事に当たって、いや、これは日本語はできないけれども日本に関して詳しいとか、是非、日本語ができるやつがいなくなったからといって英語はできるんだから、是非今までと同様、我々の意見は、気持ちは変わっていない、対応は変わっていないから、是非引き続き来てもらいたい等々の対話は度々あっているところではあります。  ただ、それも一つの、向こうの言っている話であって、それが実際実行に移されるかどうかというのはまた別の話であって、常にそういう、いざというときには実効あらしめるようにさせる努力というものは不断の努力が必要なものだと、私もそう思っております。
  97. 高野博師

    ○高野博師君 もう時間ですので、この続きはまたの機会にしたいと思いますが、日米同盟が必要条件であるけれども、十分ではないと。だから、十分でない部分をどうやって埋めるのかということは十分考える必要があると思うんですね。同盟と集団的安全保障というこの関係をうまく組み合わせるというのが、かつて古代ローマでも同じようなことを、同盟関係をいろんなところと結びながら集団的安全保障体制を取っていたと、これが一番安定するということがありますんで、そういうことも含めて次の機会にしたいと思います。
  98. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 在日米軍横須賀基地について質問いたします。  政府の発表では、横須賀基地で行われていた十二号バースの延伸を始めとする改修工事が完了したということです。これについて、四月十三日に開催された日米合同委員会において米軍への提供承認したとされておりますけれども、合意事項の内容についてお伺いいたします。
  99. 舛添要一

    委員長舛添要一君) どちらが答えますか。──額賀防衛庁長官
  100. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 御指摘の十二号バースにつきましては、在日米軍から要望を受けまして平成五年度から整備をしてきたわけであります。  このバースは旧海軍時代から使用されておりまして、建設から相当の期間経過していたため著しく老朽化をしておりまして、特に空母キティーホークの使用にとって長さ等が不足をしておったために係留、整備、補給等に支障を来していた状況がありました。そこで、岸壁の長さ不足、それからクレーンの老朽化、ユーティリティー等の不具合を解消して円滑な運用を図るため整備してきたものであります。  岸壁の整備は平成十七年度末に完成をし、平成十八年四月十三日の日米合同委員会において提供が合意されたわけであります。
  101. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 政府はそれらの施設について、キティーホークによる使用に限定して提供に合意したのか、それとも昨年政府として受入れを表明をした後継の原子力空母が使用することも想定した上でその提供に合意したのか、どちらですか。
  102. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これはキティーホークの使っているときに長さが短かったということと、非常に老朽化をしておって整備をしたということでありまして、原子力空母を想定して整備をしてきたわけではありません。
  103. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 政府は十二号バースの工事について説明してきたこと、そしてこれから原子力空母を受け入れるということ、そのことは全く状況が違うわけですね。  つまり、政府は、昨年十月二十八日、例えば防衛施設部長は、キティーホークを使うことを前提としているとか、あるいは、現在取り進めている設備工事、これは通常型空母を前提としているとはっきり繰り返し述べておりました。  そうすると、これから原子力空母を受け入れるということは、この前提を変えるということになるんですか。
  104. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今までのバースが短くて老朽化しておったから整備をしてきたのでありまして、原子力空母が来たから新しく予算措置をとって対応しているということではありません。
  105. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 しかし、実際、原子力空母ジョージ・ワシントンが来るということならば、これまで説明した前提が変わるということにならざるを得ないわけです。  外務省説明資料として横須賀市に示した米軍のファクトシートによれば、原子力空母ジョージ・ワシントンは、入港中、業務を行うのに陸上からの電力供給が必要とされております。給電のための設備を置く必要があるということですか。
  106. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 一九六〇年代以来、日本に寄港いたしますアメリカの原子力軍艦の原子炉というものは、港に停泊中は通常停止されておりまして、その間、艦内に必要な電力というものは陸上から供給されてきていると理解をしております。
  107. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そうすると、四月の十三日に日米合同委員会で合意した中身というのは、その提供する施設の中には給電設備が含まれますか。
  108. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 四月十三日の日米合同委員会合意というのは、延伸工事を行ってきました横須賀基地の十二号バースの提供等に関するものであって、延伸工事はそのバースの老朽化等のために実施されたというふうに承知しておりまして、空母交代のために行われたものではないと、このように考えております。
  109. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そうすると、今後のことですけれども、給電の設備が必要となった場合には、この建設は日本側提供するものですか、米側が行うものですか。
  110. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) ただいまの点、今後につきましては、いずれにしましても、空母の交代に関する今後の取り進め方ということでありまして、施設整備の面も含めまして今後の日米間の協議次第ということでありまして、御質問の点につきましてお答えすることは困難であると、このように考えております。
  111. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ジョージ・ワシントンの喫水は十三メートル、キティーホークよりも当然大きいわけですね。そうすると、十二号バースに接岸するために通る空母の進入路のしゅんせつ、掘削工事などの工事はすることになるんですか。
  112. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 空母の交代に関します今後の取り進め方につきましては、施設整備やそうした面も含めまして今後の日米間の協議次第でありまして、御質問の点につきお答えするのは困難であるということであります。
  113. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今話を伺いますと、結局、十二号バースというのは通常型空母のために造られると、造られたんだという説明です。しかし、実際には原子力空母が使うということを表明されている。桟橋を二百七十七メートルから四百十メートルに延伸するということを実際に行われた。  ですから、これまで、通常型空母を受け入れると言ってきた、それに対して原子力空母を受入れを表明していくということは、やはり横須賀の市民、それからまた、更に広く言えば日本国民に対して偽りを述べていたということにならざるを得ないんじゃないですか。
  114. 舛添要一

    委員長舛添要一君) どなたが答弁しますか。  額賀防衛庁長官
  115. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは当初は、今おっしゃったように、老朽化、そして新しく切り替えると同時に、岸壁の長さを延長したりしてきたわけでありまして、一方で、今度の通常型原子力空母から原子力空母に替えたいという米国側の事情があり、それを受け入れる体制を整えつつあって、今具体的に今度どういうふうにしていくかについてはこれから日米間で考えていくということであります。
  116. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 原子力空母の受入れを表明したのは町村前外務大臣、十月二十八日、そしてさっき述べた防衛施設部長は、前提通常型空母受入れのためだと同じ日に表明しているわけですよ。ですから、私は、やはりこれは市民を欺くものだと言わざるを得ないと、そのことを指摘しておきたいと思うんです。  最後に外務大臣にお伺いしたいんですけれども、四月の十七日に外務省は横須賀市を訪れて、市が原子力空母の安全性の説明を求めていた件について、米側の説明資料を渡しております。米側の説明のみをもって政府説明に代えるということなんでしょうか。
  117. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、ファクトシートというものをお渡ししたのが四月の十七日だと存じますけれども日本として、これまで原子力艦船の入港というのは一千二百回だか三百回だか日本に入ってきているというこれまでの実績もありますので、そういったような資料を含めまして、私どもとしては、これに関してこれまでの実績というものも併せてこれの参考にしていただければと思っております。
  118. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 政府として独自にその吟味というのはされないんですか。  例えば、米海軍は、原子炉及び放射能事故時の対策計画というのを持っております。私も読みましたけれども、原子炉事故への対策計画書ですよ。米軍はあらゆるシミュレーションを立てているわけですけれども、そういう事故を想定しているときに、これまで大丈夫だからこれからも大丈夫だというのはやはり無責任ではありませんか。
  119. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ファクトシートにつきましては、先週来関係省庁で協議をして検討を行ってきております、受け取って以来。その上で、既に申し上げましたように、従来の、いわゆる政府としては一貫して申し上げておりましたように判断を裏付けるものであったと、千二百回の過去の経緯を見ても裏付けるものだったという評価に至ったということでありますんで、引き続きこの新しくもらったファクトシートも踏まえまして、地元の理解というものをいただける努力をしていくというのは当然のことだと思いますんで、関係省庁で協力をしてまいりたいと思っております。
  120. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 最後です。  政府として、米軍の説明はこうだというそれを示すだけではなくて、独自に分析し、吟味し、説明をされるのかと伺っております。
  121. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 麻生外務大臣、時間が参っておりますので、簡潔に答弁願います。
  122. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今もらったものに関して更に、更にという、今のあれでいきますと、もらったものに関して全然別に調査をしろということを言っておられるんですか。ファクトシートは信用するなということが言われたいんですか。
  123. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 独自の、独自の分析、政府としての吟味はされないのかと伺っている。
  124. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) それは引き続き今までもやっておりましたんで、それは今までもやってきて、ほかの原子力艦船に関してやってきているのと同じようなことをさせていただくことになります。
  125. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 時間ですので、終わります。
  126. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官にお伺いします。  在日米軍基地再編の最終報告の取りまとめに向けた今後の日米間の協議のスケジュールについて教えてください。  また、その前提となる関係自治体との協議をどのようになさっておられるのか、簡潔に御説明ください。
  127. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これまでも精力的に米国側との間で詳細について大詰めの調整をしてきたわけでありますけれども、来週の週初に審議官クラスの協議をすることになっております。と同時に、まだきちっと結論が出てない問題については常時断続的に協議をしていると、継続的に協議をしているということであります。  一方で、各自治体の皆さん方には途中経過についてほとんど逐一御報告をしております。したがって、自治体の皆さん方にも状況の進展に応じてよく理解をしていただいているというふうに思っております。  最終的には、できる限り早く合意に達するために最善の努力をしているということでございます。
  128. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 昨日の沖縄の新聞の報道によりますと、県民を対象にした世論調査の結果、現在政府が進めております新沿岸案に対して七一%が反対しているということが明らかになったということであります。また、県下の四十一市町村の首長に対して調査をしましたところ、十八人が反対し、名護市長の受入れを支持しているのが十四人ということになっております。また、県議会は全会一致で沿岸案に対して反対をしておりますし、それから、これまで十年間反対運動を続けて座り込んできた市民団体も、これからもその座込みを続けて反対をするということを明らかにしております。  このように、その政府の案に対して現地では非常に厳しい状況になっておりますけれども、それに対して政府はどのような解決策をお持ちでしょうか。
  129. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 地元の新聞の世論調査がどういう形で行われたのか、詳しく承知をしておりません。あるいは、問いの設定の仕方によってもいろんな回答の仕方もあるでしょうし、これはよく分析をした上で考えることが必要であると思っております。  いろんな意味で、沿岸案については地元の名護市長さん、それから周辺の町村長さん、あるいは議会の皆さん方が賛成をしてくださっているというふうに聞いております。沖縄県知事も、地元の名護市の判断については尊重すると、それから安全保障については政府の専管事項であると、そういうことも言っておりますので、我々は、地元や沖縄県の皆さん方に理解をしてもらえるように終始説明をし努力をしていくことによって実体的な賛成を得る活動をしていきたいというふうに思っております。
  130. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 以前にアメリカの司令官とお会いしたときに私がその世論調査の結果を持ち出しましたら、そのアメリカの司令官は、ちょうど今長官がおっしゃったように、設問の仕方によって結果が違うと、だからそれは信用できないという趣旨の答弁がございました。そして、私は、それじゃ司令官御自身で世論調査をやってくださいと、そして、もしも結果が違っていたら私の方にもそれ知らせてくださいと申し上げたわけなんですが、今の長官の御答弁は、結局地元の新聞社の世論調査というものに対しては信頼が置けないとも聞こえるわけなんです。ですから、政府御自身が是非世論調査をしていただきたいと思います。  次に、防衛施設庁長官にお伺いしたいんですが、現在、硫黄島で行っている米空母艦載機の夜間離着陸訓練場の主滑走路及び緊急用滑走路の規模及び同訓練場の総面積について教えてください。
  131. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御答弁申し上げます。  現在、硫黄島飛行場についてでございますが、滑走路につきましてはこれは一本でございます。長さは二千六百五十メートル、幅六十メートルになっております。それから、あとその誘導路がございまして、この誘導路の延べの長さは七千百五十メートル、幅二十三メートル及び三十メートルとなっております。そのうち、滑走路と平行な誘導路は長さ二千六百五十メートル、幅三十メートルでございまして、滑走路が閉鎖された場合、緊急用として使用することがございます。
  132. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官にお伺いします。  四月十七日付けの読売新聞は、日米両政府は米海軍厚木基地の空母艦載機が東京・硫黄島で暫定用に実施している夜間離着陸訓練、NLPについて、二〇〇九年度をめどに新たな恒常的訓練施設を決定することで合意し、米側は艦載機が厚木から移転する岩国基地から近い九州や瀬戸内海での訓練実施を求めていると報じています。  これは事実ですか。
  133. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これはかねてから、NLPの訓練場については恒久化的な場所を造ってほしいという要望があるわけでありまして、引き続いてこれは協議中でございまして、今回の再編の協議の間にもできるだけ早くこの結論を得てもらいたいという要求があるわけでございます。しかし、具体的にどこどこでというようなことが日米両国の間で特定されているわけではありません。
  134. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 硫黄島の方は無人島と伺っておりますが、そこの方へ普天間の代替施設を造ってほしいとか、そういう形で言われているわけなんですが、夜間の離着陸訓練や現在の普天間飛行場の実態を見ても非常にその騒音がうるさくて大変だと思うんですが、二千六百五十メートルの滑走路を二つ造る広さの島というのが九州の今の予定されている地域にあるんでしょうか。なぜ硫黄島からわざわざ人が住んでいる、人家が多い瀬戸内海とか九州の方に移そうとなさるんですか。
  135. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今言ったように、具体的にどこどこへというような特定した議論がなされているわけではないんでありまして、それはできるだけ早く造ってほしいという要望にこたえていきたいという気持ちはあるわけでございますが、これから協議をして考えていきたいということでございます。
  136. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうしますと、現在のところはそういう予定は具体化していないけれども、将来は硫黄島から九州若しくは瀬戸内海の島々のどちらかに移すということは検討なさっておられるわけですか。
  137. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) だから、どういうふうに新聞に書いてあったのか定かではありませんが、九州とか瀬戸内海とかではなくて、適切な場所を探さなければならないということであります。
  138. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今申し上げたように硫黄島は無人島だと理解しておりますが、まあ自衛隊がおりますけれども、どうして硫黄島からわざわざ本土の方へ移さないといけないわけですか。その理由は何ですか。
  139. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これはやっぱり米国の訓練あるいは運用的なことから考えて、もうちょっと、距離が離れ過ぎているというようなことを言っておりますので、適切な場所があれば恒久的な場所を造ってほしいということだと思います。だから、その点については、三宅島等もあったわけでありますが、総合的に適切な場所があるかどうかについて我々も早急に対応していきたいという話をしているわけであります。
  140. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 最後に一問だけ外務大臣にお伺いします。  V字形に、離着用と発着用とV字形に造ると、滑走路を、政府はお考えのようですけれども、これまでの米軍との対応関係をずっと振り返ってみますと、協定を結んでも、例えば十時以後は民間地域の上空を飛んではいけないといって協定を結んでも、なかなか実行してもらえない。ですから、米軍に対する不信感が、離着用と発着用とが、失礼、離陸用と発着用とがあったとしても米軍にそれを守らせる担保はあるかということですが、その点について何か協定を結ばれるおつもりですか。
  141. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは基本的には、離陸用、発着用と二本滑走路が、見て分かるように、上から見たら分かるようにできておりますんで、離陸用に関しましては当然のことながらライトが付きますんで、そっちの方から付いてくることになるでしょうし、着陸につきましては角度を変えてこないと、民家の上じゃなく海上の方から入ってくるということによって騒音を避けられるというのは、これは運転をする側から見れば明白ですし、誘導路等々がよほど故意に、どこか、右にされたり左にされたりすることでも起こらない限りは、常識的なところをいけば普通に着陸するのが当たり前のことだと思っておりますんで、協定はきちんと、いわゆる難しい話ではありませんので、すぐに目の前に二つ滑走路がある、どちらを使おう、使うかという話ですんで、故意にどっちかを使用というような話は常識的には考えられないところだと思いますが、少なくとも離陸はこっち、着陸はこっちというような形でのものが協定としてされていくんだろうと。  非常事態というのはどういうことが起きるか想像いたしかねますけれども、片っ方の方が着陸中に片っ方のところでいきなり事故が起きて片っ方の滑走路が使えなくなった等々の、事故等々はいろいろ起こるとは思いますけれども、起こり得ないということの保証はありませんけれども、常識的には通常今申し上げたような範囲で行われるものだと存じます。
  142. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  143. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  144. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 経済上の連携に関する日本国政府とマレーシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件及びマルチチップ集積回路に対する無税待遇の付与に関する協定締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。麻生外務大臣
  145. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ただいま議題となりました経済上の連携に関する日本国政府とマレーシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  平成十六年一月以来、両国間で協定締結交渉を行ってきた結果、平成十七年十二月十三日にクアラルンプールにおいて、我が方小泉内閣総理大臣と先方アブドゥラ・アフマッド・バダウィ首相との間でこの協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、両国間において、物品及びサービスの貿易の自由化及び円滑化を進め、投資の機会及びビジネス環境を改善し、知的財産の保護を確保し、中小企業等の分野における協力を促進するものであります。  この協定締結によって、幅広い分野において両国間における経済上の連携が強化されることを通じ、両国経済が一段と活性化され、また両国間の関係がより一層緊密化されることが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、マルチチップ集積回路に対する無税待遇の付与に関する協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この協定は、平成十七年十一月二十八日、ブリュッセルで作成されたものであります。  この協定は、マルチチップ集積回路に対して適用する関税を無税とすることを内容とするものであります。  我が国がこの協定締結することは、国際貿易における我が国の利益を増進するとの観点から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いを申し上げます。
  146. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  両件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十七分散会