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2006-03-28 第164回国会 参議院 外交防衛委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十八年三月二十八日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  三月二十四日     辞任         補欠選任      白  眞勲君     富岡由紀夫君  三月二十七日     辞任         補欠選任      富岡由紀夫君     白  眞勲君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         舛添 要一君     理 事                 浅野 勝人君                 山本 一太君                 榛葉賀津也君                 柳田  稔君                 高野 博師君     委 員                 愛知 治郎君                 岡田 直樹君                 金田 勝年君                 川口 順子君                 小泉 昭男君                 櫻井  新君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 今泉  昭君                 佐藤 道夫君                 白  眞勲君                 遠山 清彦君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君    内閣官房長官        内閣官房長官  鈴木 政二君    副大臣        防衛庁長官   木村 太郎君        外務大臣    金田 勝年君        厚生労働大臣  中野  清君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        愛知 治郎君        外務大臣政務官  遠山 清彦君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       松井 房樹君        警察庁長官官房        長        安藤 隆春君        警察庁長官官房        技術審議官    山澤  求君        警察庁警備局長  小林 武仁君        防衛庁防衛参事        官        増田 好平君        防衛庁防衛参事        官        佐々木達郎君        防衛庁長官官房        長        西川 徹矢君        防衛庁長官官房        審議官      道明  昇君        防衛庁防衛局長  大古 和雄君        防衛庁防衛局次        長        金澤 博範君        防衛庁管理局長  横山 文博君        防衛施設庁長官  北原 巖男君        防衛施設庁施設        部長       渡部  厚君        防衛施設庁業務        部長       長岡 憲宗君        外務大臣官房審        議官       鶴岡 公二君        外務大臣官房審        議官       梅本 和義君        外務大臣官房審        議官       長嶺 安政君        外務大臣官房参        事官       伊藤 秀樹君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君        外務省国際情報        統括官      中村  滋君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        近藤 賢二君    参考人        独立行政法人国        際協力機構理事  小島 誠二君        財団法人日本国        際協力システム        専務理事     櫻田 幸久君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び  安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び  に日本国における合衆国軍隊地位に関する協  定第二十四条についての新たな特別の措置に関  する日本国アメリカ合衆国との間の協定の締  結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議  院送付)     ─────────────
  2. 舛添要一

    委員長舛添要一君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件及び参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、政府参考人として、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官松井房樹君外二十一名の出席を求め、その説明を聴取することとし、また、参考人として独立行政法人国際協力機構理事小島誠二君及び財団法人日本国際協力システム専務理事櫻田幸久君の出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 櫻井新

    櫻井新君 おはようございます。  麻生大臣額賀大臣、今日は質問させていただきますので、どうぞひとつ忌憚のない御意見を聞かしてください。  最初に、私は、ODAについて質問をさせていただきます。  私は、昨年二回にわたってインド洋津波災害に関して視察をしてまいりました。アジア人口開発に関する国会議員会議というのがございまして、そのメンバーの一人として行きましたし、同伴者は民主党の高橋千秋先生和田ひろ子先生でございました。  麻生大臣も、委員会で初日に、外務省所管予算案概要説明の中で、我が国の極めて重要な外交手段であるODA予算は、外務省所管分として、対前年比三%減の四千七百三十二億九千百万円ですか、を計上しておるとのことでした。この使途について大臣の言をかりれば、我が国国民の安全と安心を確保するためには、一昨年起きたスマトラ沖地震及びインド洋津波災害経験を教訓とした大規模緊急事態対応のための予算も含まれておるとのことでありました。  そこで、私たちスリランカへ行ったときに大使館で聞いた説明からすると、一昨年の地震の際にはモルディブも含んで、一括で五十億円の初期対策費をちょうだいしたと説明を聞かせていただきました。その結果として、我が国としての十分な初期対応ができたと大使は大変胸を張って喜んでおられました。来年度のODA予算の中で最大で非常時緊急分として幾ら見込んでおられるのか、まず第一に聞かせていただきたいと思う。もうちょっと続けて質問しますから、一緒に併せてお答えいただければ有り難いと思います。  私は、国家予算予備費も含んで、減額ではなくて、日本ぐらいの国になったら、アジア、特にアジア太平洋州については日本が絶対的な責任を負うべきだと思うのでもっと十分の予算を持つべきと思っておりますが、この点について、この減額されたことであなたは満足だったか。まあ、閣内にいるんですから、あなたは不満だってそれ以上の要求はできないんですから聞く方がやぼかもしらぬが、私はもっと積極的にこのことはやるべきだと。ODA予算というのはそう軽く考えるべきではない。この間の常任理事国入り、いい例だと思うんです。ですから、そのことをまずお聞かせをいただきたいと思います。  そこまででまず一つ、一回目のお答えをいただければ有り難いと思います。さっきの二つ
  6. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) まず最初に、来年度分はどうするかにつきましては、昨日、予算が通ったばかりですんで、これ今から細目を分けますんで、きちんと決まり次第御連絡を申し上げさせていただきます。  また、ODA総額につきましてはマイナスではないかという御指摘がございました。誠に御指摘のとおりになっております。ただ、櫻井先生、これは十五か月予算といいますか、補正予算の分を足した、三か月、一、二、三か月分を足しますとプラス三百二十三億円になっておりますんで、トータルでいきますと、国全体としては、そこそこ前年度維持という形になっております。  引き続き、このODAというのは日本が減らし始めたときから他の先進国が増やし始めておりますんで、日本は落ちた、他国は上がってきたという形になっておりますんで、その差がえらく目立つような形になってきております。したがいまして、私どもとしては、昨年度をもって底という形で上げさせていただくという方向で、今流れとして、折れ線グラフの線からいったら、今までずっと下がり続けてきたものが下げ止まって少し上がり始めたというところになってきたというように御理解をいただければ幸いでありますし、今後ともこのODAというのは有効に使われてしかるべきものだと確信をいたしております。
  7. 櫻井新

    櫻井新君 日本は減らしておるにもかかわらず中国はここぞとばかりにどんどんこの予算を増やして、そして今まで親日だった国を親中に切り替えることをやっていることはもうあなたもお分かりのとおりですから、私は、国内的にも災害が起きたときなんかは予備費を活用しているわけですから、必要だと思ったときには大胆にそのことも含んで対処をしていただきたいと。これはお答え要りませんから。  それから次には、スリランカ東海岸ではあの当時、内乱の様相を呈しておるということで、私たちは危ないから行くなということで東海岸側は行けなかったんです。西海岸の一部の津波災害だけ見てきました。そんな中で、予算執行も含めて、その後、五百億円、モルディブも含んで出したという金の執行状況フォローについてお聞かせいただければ有り難いと思います。
  8. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 昨年の十二月に発生をしたスマトラ沖地震関係スマトラ沖というか、インド洋津波被害関係なんですけれども、五億ドル相当、総額になっております。そのうち、無償支援を実施しておりますが、そのうち約半分の二・五億ドルがバイバイって、二国間で支援をさせていただいておりまして、残り二・五億ドルは国際機関等々、国連などなど、そういった国際機関経由で供与をさせていただいておりまして、昨年の一月十九日に二国間のやつは終わっておりますし、国際機関の分につきましても今年の一月二十一日に全額支出の手続を完了をいたしております。  で、フォローをするというところに御指摘をいただいておりますけれども、国内のNGOとかその他関係した方々説明会をさせていただいておりますが、第三者が実施をいたしました中間報告書もう既に発表を、公表をいたしております。そういった意味フォローできるところはしてきていると思いますが、国際機関の方の支援につきましては、国連児童基金というものと、国連、UNDP、国際開発計画と、それからWFPですから国際食糧計画の十五の国際機関というものを通じてこれらの支援やらせていただいておるんです。  それで、今御案内になられましたスリランカに関しましては、これは大使館員被災地に出張をしております回数が約七十回、それからモルディブに関しては御存じのように大使館がございませんので、それでスリランカの方からこれを行かせるという形でやらしていただいておりますが、これが四十五回にわたっております。  いずれにいたしましても、いろいろな極めて交通の便等々なかなか問題のところだとは思いますけれども、私どもとしては、最大限この点に関しましてはやらしていただかねばならぬと思っております。
  9. 櫻井新

    櫻井新君 ありがとうございました。  実際、計画どおりに使われているかどうかということがありますね。私も自分関係したところはやかましいほどしょっちゅう外務省にお願いはしているんですが、現地とも連絡取っているんですが、大臣の方からその辺のことを、まああの金がどっかへ使われたなんて言われないように、とかくよその国ではそういううわさを立てられていることもありますので、あえてフォローという言葉を使ったのでありますから、よろしく頼みます。  次に、モルディブですが、首都のマレから飛行機で約一時間余の南の島に災害状況視察に行ってきましたが、このときのことをちょっとお話しして、あなたの見解を承りたいと思うのは、千二百人くらいの島民住んでいる、そこが全員被災をしたもんですから、島の名前は忘れましたが、隣の島に全員が脱出して、そこで先進国からの援助で元々の島民と一緒になって二千人を超える人たち仮設住宅で暮らしておりました。  そして、今何をしておるのかと、これからどうするつもりだという話を聞いたところが、何もすることがないので、先進国の皆さんから一日も早く私たちの島を津波災害から復興していただき、一日も早く自分たちの島に帰れるようにしてくださいと、こんな災害は初めてなのでどうしていいか分からないから是非先進国で頼むと、こういう話をしておりましたが、私はこの話を聞いて、とっさに我が国、我がふるさとの新潟中越地震災害地復興のことを思い起こして、比べ物にならないほどの考え方の違いについてびっくりいたしました。  そこで、私、聞いたら、元々こんな災害は初めてだと、高波程度はあるけど、こんな津波なんというのは初めてだと、こういうので言っているし、防災という観念も日本から初めて聞かしてもらったと、一九八七年だかの高波マレという島がやられたときに防波堤JICAでやってくれた、そこだけが助かったんですね、そんなことを言っている状況ですから問題にならないと思ったので、私はこういう話をしたんです。  日本被災地では、まず自分たちが立ち上がって地元の復興を始めると。そして、何が足らないからここをこうしてくれ、ああしてくれと、こういう話をするんですよと。私は現地へ行ってみたんだ、そうしたらもう人力で片付けられるようなことばっかりなんだ、災害を受けたところは、その程度の建築ですから。で、あなた方、自分たちで、ここで仮設住宅で暮らしてなきゃならない人は別として、働ける人は全部島へいったん帰って復興自分たちで始めろと。その上で日本に何をしてくれるかと、こういう話を言うのであれば我々は手伝いができる、そうでなければ、こんな自分でやる気がなくて丸抱えでやってくれなんていうところなんか援助する必要はないからやめろといっておれは国へ帰ったら言うぞと、こういう話まで実はしてきたんだ。そうしたら、分かった、分かったという話でしたので。  まあ、そんなことを話をしながら、こういった被災地援助についてやっぱり大臣としてどうすべきかという話も聞かしていただきたいし、私のようなことを言ったって世界は通らぬということであったら、おまえの考えは間違いだと言ってもらっても結構ですが、そういうお話をひとつ承りたいことが一つと、それから……
  10. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 答弁答弁しましょうか。
  11. 櫻井新

    櫻井新君 いやいや、答弁ちょっと待って。一緒に、時間がなくなりそうだから。  それから、実はあそこへ行ってきて、私はその場で日本消防団の仕組み、これは火災だけではなくて水害でも地震でも、天災何が起ころうと、消防団というのはふだんは普通の仕事しているが、いざというときには、号令一下、自分仕事を投げて公のために働くという仕組みもお話をしてきたり、それから昔の田舎に、行政庁には保健婦というのがいて、看護婦さんのちょっとあれですね、教育を受けた人たちですが、これはお医者さんに代わってその場で、実はお医者さんを世話してくれと言ったから、島ごとにお医者さんなんか置かれるもんかいって、これだけたくさんあるのが、おれだって医者のない無医村で育って七十になるまで元気でこうやってきたんだ、それは今言った保健婦さんやそういう人たちのおかげなんだと、だからあんたのところも日本のそういう看護婦制度を勉強してやれやと、そのために我々も何らかの対応措置とってやろうと、こういう話をしながら、してきましたし。  そういうことから、帰ってきてから実は消防庁にも看護婦連盟にもお話をし、担当課お話をして、近々モルディブ人たちを、議長さんや行政府の若干名を呼んで、こういった災害時にどういう対応をするかというようなことを教えてあげようかと、こういうことで対応しておりますが、是非あなたにも御理解と御協力をいただきたいと。このこととさっきのことを併せて御見解を承りたいと、こういうことです。
  12. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 三つ御指摘がありましたけれども最初の、津波が、こんなものはなかったというモルディブの件ですけれども御存じのようにここはかつて津波が一回ありましたんで、そのために日本がいわゆる防波堤を造った。これは三メートルの津波用防波堤を造ったんですが、そこだけ今回も被災をしておりません。これはもう事実であります。  したがって、あそこのガユーム大統領とかジャミールっていいましたか、外務大臣からも、私どもはここは感謝をされると同時に非常に高く評価をされておりますんで、こういった、現実問題としてきちんと、こういうことは二度と起こらないんじゃなくて二度と起きたわけだから、そういった意味では、こういった常日ごろのというのは大事なんだという話は既にして、向こうも理解をいたしております。  二つ目自助努力の話でございますが、これはもう櫻井先生おっしゃるとおり、物すごく大事なところだと存じます。  日本ODAの場合は、これは施しとは全然違うんで、少なくともうちが教えるのは、魚を上げるんじゃなくて、魚の釣る道具と釣り方であって、釣るのは自分たちよと。釣る仕掛けも、それからやり方も私どもやるけれども、教えられるけれども、やるのは自分たちでやるんですよという点は、これはかなり徹底をしていると思っております。  一例だけ申し上げます。この一月三日にインドに行きました。インドODA地下鉄ニューデリーの中に通っております。このニューデリーの中の地下鉄に乗ったんですけど、入口に物すごく大きな、これは日本インド協力によって、ODAによってできましたといって、だれが見ても目に入るようなどでかい広告が出ているんで、だれがやったか分からぬようなことになっている国とは全然違いました。もうきちんと分かるようにしてある。地下へ入っていった。改札所のところにもう一回また書いてあって、円グラフが作ってあって、七五%は日本ODAですと、あとのここの分がイギリスで、インド政府で何とかって書いてありましたけれども、これに乗って、まあこれだけ広告していただいてありがとうございましたとその総裁に礼を言ったら、ミニスター大臣、私どもが感謝しているのはこれじゃないと。  これも確かに感謝しているけれども、私は、何とか、MITだかどこか出た技術屋で、このプロジェクトの最初からずうっと日本技術屋一緒にこの地下鉄工事に参加したと。最初に八時に来いと言うから八時に行ったら、日本技術屋全員作業服で待っていたと。いきなり満座の前でどなり付けられて、八時は仕事を開始する時間だと、今ごろ背広で来るやつはどこにいるんだと言われて、えらい恥ずかしい思いをして、翌日は七時四十五分に行ったら、遅いというような顔されたもんだから、三日目には七時半に行ったと、そしたらみんな着替えていたと。以来四年何か月、とにかく徹底して納期と働くという美学を教えられたと。  少なくとも今インドでは、この何とかって、地下鉄のことをデリーメトロというんですか……
  13. 櫻井新

    櫻井新君 時間がなくなりましたので……
  14. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) はい、済みません。そのメトロメトロというんですけど、それによって日本から教えてもらったのは、とにかく働くという意欲なんだと。労働という美学が、この金の後ろ側労働という美学が付いているんだということを教えてもらって、我々は、これをデリーメトロと言わずベストアンバサダーと呼んでいるんだという話をしてもらったときには、なかなかうまいこと言うなと思って、私どもは正直ちょっと斜めに見る癖が付いていますもんですから、更に援助をもう一個、もう少しよこせという話かなと、いろんなことを考えないわけではありませんでしたけど、でもそういった話は、全員きちんとして時間どおりに事が動くようになった。今でもオペレーションもきちんと動いておるそうです。  そういった意味では、私どもも、おっしゃるとおり、何とかしてくれじゃなくて、自分でする意欲のあるところに積極的に援助するという方向が基本的には正しい援助の仕方だと、私どももそう思っております。
  15. 櫻井新

    櫻井新君 あなたも経営者経験もあるわけですから同じ思いだと思いますが、是非日本のそういう感覚、日本は戦争に負けて餓死者まで出るほどになったあの敗戦当時からわずか四十年で、何にも資源のない国、平野もない国だ、それにもかかわらず世界一の経済力を付けた、そのことをやっぱり教えることが一番大切だと思いますから申し上げた。  ただもう一つ、アメリカにワールド・ビジョンという組織が、カトリックが後押しでできた組織だそうだが、日本建設業消防団一緒になったみたいな組織指導をする人たちなんだね。それで、中心になって指導をする人が派遣されて、それが地域住民を動かして日本消防団みたいなことを教えて振り回しているんですね。すばらしいと思った、プーケットでお会いしてきたんですが。そのことがあるので、あえて、また外務省からJICAやそういった組織を通じてしっかり目を通していただきたいと、こういう意味で申し上げた。  次は、時間がもうなくなっちゃったので、麻生さん、もうちょっと聞きたかったんだけれども、これでこの件については終わりにします。  次は防衛庁長官にお尋ねしますが、過日、防衛施設庁で許せない事件が発覚し、本人たちの処分はもちろんでしょうが、長官言葉ですと、施設庁は解体し本庁に合併するとのことでなかったでしょうか。このことについて、後で一言で結構ですから聞かしてください。  これで防衛庁の士気は本当に上がるのでしょうか。また、防衛庁や自衛隊への国民の信頼、尊敬を得られるでしょうか。私は、防衛庁方々が侍としての心意気をお持ちであればよろしいのですが、まあ中にはそういう方もおられると思うが、全体としてどうかなと思っているから聞くんです。何か忘れておるものがあるような気がしてならない。そして、それが、防衛庁ではどうにもならない、国家として確立すべき重要な決定がなされていないような気がしてなりません。独立国としての本当の防衛体制というのができてるんだろうかと、こんな意味でお聞きをしているわけです。敗戦国から独立国への転換ができていないのではないかと思われるから、今申し上げたようなことを申し上げた。  ある週刊誌に、これは私もその週刊誌で、自分で直接見たんだけど忘れちゃったんですが、このごろ物忘れが激しくなって週刊誌の名前忘れちゃったんですけれども、電車の中で読んだのに、日本を取り巻く隣国の大使館会議での会話だそうですが、中国の大使が、日本は何やったって怒らないから沖縄の国境線越えて潜水艦で突っ込んでみたと。そしたら、帰れ帰れと言っただけでそれっきりだったと。だから、今度は国境線で地下資源開発をやって、今どんどん掘っていると、掘りまくってやると。こういう話、何にも日本は怒らぬから、そうだと、こういって言ったそうですが、まあ言わば怖くないという意味なんでしょう。そしたら韓国の大使が、だからうちは竹島取っちゃったと、こう言ったんです。そしたら、まあ待て、おれは必ず怒らしてやるといって北朝鮮の大使が言ったから、どうすんのって言ったら、ミサイルぶち込んでやると、こう言ったそうなんです。そしたらアメリカの大使が、そんなことで日本が怒るもんかと。おれのところなんて原子爆弾二度も落としたんだと、こういう話をした。そしたらロシアが、だからうちは四島のうち二島を返そうと思ったけれども、みんなそんなことだから、四島をみんな返さぬことにしたとかという会話をやったというような記事が載っておった。表現の仕方は私流で多少狂っているところがあるかもしれませんが、お許しをいただきたいんですが。  そういう、あれですね、会話を聞いて私は本当に唖然としたんでありますけれども、このことについて、本当に国境線というのがしっかり守られているんだろうかと。こういうことと、それから、防衛庁長官にお尋ねしますが、防衛庁としての本当の、あれですね、目的というのは、やっぱり国民を守り、国土を守る、国境線をしっかり守ると、このことが最大のポイントではないんでしょうか。  そこまでのことで、ちょっとお答えあったら聞かしてみてもらいたい。
  16. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) まず、施設庁の不祥事について言及があられました。  今施設庁の内部で、捜査を妨害しない範囲で調査を続けているわけでございますけれども、事実関係の把握に努めているわけであります。  一方で、こういう不祥事が再び起こることがないようにどうしたらいいかということを考えているわけでありますが、そのために、やっぱり一つは、入札について透明性を持つ、競争原理を働かせる。あるいはまた、防衛庁の中の調達部門についてのチェック体制が働くようにする。原価計算をする部門と契約する部門を分離して、お互いに相互牽制が働くようにしていくこと。と同時に、内部だけで、それぞれ陸海空あるいはまた施設庁だとか地方契約本部だとか、それぞれやっているんではなくて、防衛庁全体を監視をしていくと、監察制度をつくってきちっと目を光らせていくと。しかも、なおかつ今度は、お互いにこういうことをしてはいけない、やればやけどすると、そういう懲戒処分を徹底的にするというふうなことを今考えているわけであります。  施設庁については、今、櫻井委員がおっしゃるように、解体をして統合していきたいと、そして人事交流とか防衛庁全体の組織替えをする中で、こういう不祥事が起こることがないような体制をつくり上げていきたいというふうに思っているところでございます。  もう一方で、防衛庁、自衛隊についての士気は上がるのか、それから侍精神はあるのかみたいな御指摘でありますけれども、私は、やっぱり防衛庁職員あるいはまた自衛隊職員だけに責任を押し付けることはいかがなものかと思っております。やっぱり、戦後六十年の中で日本国民日本の安全の問題にどう対峙してきたのか、それから自衛隊とか防衛問題にどういう対処をしてきたのか、そういうことがやっぱり因果関係を持っているというふうに思っておりますので、そこはやっぱり、もうちょっとしっかりとした目で我々も育て上げていくということも必要なのではないかということもあると思います。  一方で、自衛隊員の、あるいはまた防衛庁職員の職務認識としては、やっぱり櫻井委員がおっしゃるように、国民の生命、財産を守ること、安全を確保すること、それは、領土、領海、領空、これはきっちりと主権国家としてその前線に立ってきちっと守っていくこと、これが最大の仕事であるというふうに思っております。まあ、ごく、私は自衛隊の皆さん方も、PKO活動とかあるいはまたイラク、アフガンで前線に行って本当に体を張って仕事をしていく中で、非常に最近は緊張感を持って本来の自衛隊職員としての、自衛隊員としてのそういう問題意識を持ち、緊張感を持って仕事をするようになりつつあると、なっているというふうに感じております。もちろん、従来からも一貫してそういうことを目標にしてきたわけだけれども、実践として活動ができるようになりつつあるところに自衛隊の変わりようが見られるのではないかというふうに思っておりますし、私どもも、武士道精神を持って、日本人としての背骨を持って、誇りを持ってそういう仕事に携わるようにきっちりと環境づくりをしていきたいというふうに思っているところであります。
  17. 櫻井新

    櫻井新君 この間も私、元長官の中谷さんとも話したんですよ。それは、どんなに口を極めて説明をしたって、実態がそうなってなければ、私、さっき大使館会議の冗談だ、皮肉だと思って読みましたけれどもお話ししましたが、竹島はどこの国ですか。竹島は日本の国でしょう。
  18. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) もちろん日本の領土です。
  19. 櫻井新

    櫻井新君 それで今、韓国が入っているんでしょう。違うんですか。
  20. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) まあ、実態的な支配権は客観的に言って韓国が持っていると。
  21. 櫻井新

    櫻井新君 そこで、実態的にそうであれば国境は守られていないと、私はそう思って見ていますよ。沖縄だって北方四島だって、そういう国民の目から見ればそうだから、自衛隊なんというのはあれだけいて何やっているんだと、こういう見方だってあるわけですから、そこのところに毅然とした態度がなければ、私はやっぱり自衛隊員も本当の意味での誇りを持って社会に接することはできなくなるんじゃないか。  そういう場合に、野呂田芳成さんが長官のときに、能登半島と佐渡沖に北朝鮮の船が来たときにとうとう、あれですね、狙撃をして追い返しましたね。ああいう事実があった。私は、警告しても聞かないときはそれぐらいの態度を取って初めて本当に自衛隊としての存在もあり、防衛庁としての存在もあり、そしてまた国民も信頼も尊敬もするようになるんだろうと、こう思っておりますよ。  ですから、そういう意味で、時間がなくなったので細かいことは申しませんが、私はもうちょっとこのことについて、国境線と決めたことについては毅然とした態度でやってもらいたい。もちろんミサイルのこともあるし、ミサイル防衛のこともちゃんと対処しなきゃならぬけれども、それ以上に、日常そこで漁船で商売をしたりいろいろしている人たちがいるんで、いつどこでやられるか分からないんですから、そういうことに安心感を与えられるような体制を取っていただくべきじゃないかと、こう思っているんですが、簡潔にあなたの見解をあなたの立場で。
  22. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 額賀防衛庁長官、時間が参っていますので簡潔にお願いします。
  23. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは基本的にこういう事態に、起こる前に政治的な判断をして、どういうふうに外交ルートでこの問題を解決するのか、解決できないときにそういう自衛隊をどういうふうに使うかということは、正にシビリアンコントロールであり、政治全般の判断によらなければなりません。防衛庁長官なり、あるいはまた我々が単独で行動することはできません。そういう環境を、政治決断をどうふうにするかということが大事なことであるというふうに思います。
  24. 櫻井新

    櫻井新君 最後に麻生外務大臣……
  25. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 櫻井新君、時間が参っております。
  26. 櫻井新

    櫻井新君 はい、承知していますが、まあちょっとだけ。私は始めるのが遅かったんだから。遅れて始まりましたから。
  27. 舛添要一

    委員長舛添要一君) いえいえ、いや、時間はぴったり計算しておりますので。
  28. 櫻井新

    櫻井新君 いやいや、さっき十時に始まらぬかったから、一、二分だけください。  麻生さんね、今、防衛庁長官が言うように、最終的には外交の問題もあるわね。ここをこれ以上強硬にやらぬでくれということだって場合によってはあり得ると思う。それから、国境線が画定していないという場合もある。東シナ海だってそういうことがあるんでしょう。そういうことは外交担当のあなたから、やっぱり国民理解するようにPRもしてもらわなきゃならぬし、外交もきっちりやって、その線をまずやろうと。そして、そのことをペアで防衛庁がしっかり守ってもらうと。そういうことにならないと、自衛官ばっかり責めるわけにはいかない問題だと思いますが。  麻生大臣、私はこういうことをあえて聞くのは、今の世情がそういう格好で何でもあいまいになっちゃった。だから、日常の社会活動までみんな日本は確固たるものがない。だからこそ憲法改正をしなきゃならぬといって我々自民党は今動いているんですが、これも占領憲法みたいな感じの憲法、押し付けられた憲法ですから、本当に独立国としての威信を保てる、日本の品格を保てる憲法を作って、その中にはこういったことの線引きを明確にして、国民理解して協力できる体制を取るべきだと思っているんですが、あえて両長官として、これ外務委員会ですから、そういうことを、あなたがどういう見解をお持ちだか聞かしてください。
  29. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 麻生外務大臣、簡潔にお願いします。
  30. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これが簡潔で最もお答えしにくい質問なんだと存じますが。  いずれにいたしましても、長い歴史のある話でもありますし、戦後、李承晩ラインにさかのぼって、話が長い時間が掛かっておる問題だと思いますんで、これを基本的に平和的に解決するというところを私どもとしては基本的な立場として、きちんと、今おっしゃっていることを大事にしながら、防衛庁長官の方を一方的に責めるのは間違っておるという御自分お話もあっておりましたけれども、私もそう思っております。きちんとして、こういった外交の問題として政治が解決していかねばならぬ大事な問題だと私も考えております。
  31. 櫻井新

    櫻井新君 ちょっと麻生さん、麻生さん……
  32. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 櫻井新君、時間が参っております。
  33. 櫻井新

    櫻井新君 いよいよ予算が上がって次のステップに入るわけですが、いろんな風聞に惑わされず堂々とひとつ王道を突き進んでいただきたいと、心から成功を祈っています。  終わりです。
  34. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 大変基本的な部分を櫻井先生の方から鋭い御指摘をいただきまして、続いて御質問をさしていただきますけれども。  日本の今の平和と日米同盟について、大変今、国民が大きな関心をお持ちになっているではないかなと、こういうふうに思います。この点につきまして、麻生大臣並びに防衛庁長官にお伺いをさしていただきたいと思いますけれども日本の防衛計画の中で、国防の基本方針、昭和三十二年五月二十日に閣議決定されておりますけれども、この中の項目の中で、「外部からの侵略に対しては、将来国際連合が有効にこれを阻止する機能を果たし得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する。」と、こうございます。  先ほどお話を伺っておりまして、やはり日本の領土を守るというのは確かに大事なことだと思っております。ちなみに、周囲百メートル以上の島の数が日本は六千八百五十二ということを聞いておりますし、海岸線の延長が三万四千キロ、これだけのものを守るだけでも大変な作業だと思いますけれども、その中で私は、あえて申し上げるまでもないことでございますけれども、日米同盟の重要性、このことでございますが、日米安保条約によりまして日本の平和と安全が守られてきたことは国民がひとしく理解をし、感じていることでもあると思います。しかし、このたびの米軍再編の問題で、全国各地にある施設が大変国民の注目を浴びております。  こういう中で、日本の安全というものを考えた場合に、先ほど大臣からもございましたけれどもODAも大事な部分だと思いますし、最近では北朝鮮が核を保有しているということを正式に発表をされましたし、そういう中で昨日は、アジア外交に重点を置くべきだという総理の発言もあったようでございます。日本がこの六十年間、他国の力をかりて平和を享受してきたということはもう現実でありますから、こういう部分につきましてのお考えを大臣、お伺いしたいと思います。
  35. 舛添要一

    委員長舛添要一君) どちらの大臣ですか。
  36. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 麻生大臣
  37. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日本の場合は、御存じのように、敗戦直後から今日に至るまで約六十年間、冷戦構造という構造の中にあって、朝鮮事変勃発以来、冷戦構造が明確になります。この冷戦構造が始まってからというものは、少なくとも国際連盟に、いわゆる敵国であって、御存じのように、国際連盟ができますときはあれ、戦勝国側でできておりますんで、敵国側で我々は加入してかれこれ五十数年たつんですが、その間少なくとも、アメリカ軍というものの抑止力を有効に使って、間違いなく日本という国の安全保障を守ってきたということは確かだと思います。  軽武装という表現も当時ありましたし、またその分だけ軍事費に使うべき金を経済復興に集中させ、少なくとも日本は、経済面においては戦後十年をしてもはや戦後ではないという言葉が出て、今日、不況不況、デフレデフレと言われながら、少なくとも今日まで五百兆円というGDPを、世界第二位のGDPを維持し続け得たというのは、この政策としては大いに当たった。もっとしかるべき金は国防費に、軍事費に回してしかるべきだったという御意見も多々ありましたし、いや、もっと経済に、もっと福祉にという御意見もありました。いろいろあるのは確かですけれども、しかし少なくとも六十年間にわたって日本という国は、冷戦構造という構造にも助けられたところも多々ありますけれども、今日まで平和と繁栄というものを続けるに当たって、少なくともいわゆる経済的繁栄を、また民主主義を通じて国家の繁栄と平和というものを希求してきたという政策は当たってきたんだと思っております。  ただ、冷戦構造が崩壊した後どうなったかというと、その当時はすぐ世の中は良くなるような話でしたけれども、これで冷戦が終わって世の中幸せになるみたいな話が随分論調としては多かった。しかし、結果としては、以後、地域紛争、テロ等々、紛争は各地で起こるようになり、幸いにして日本においてはその種の話はありませんでしたけれども日本においても、今、松本智津夫の話が出ていますが、五千人からの人間がサリンで殺される一歩手前まで行ったというのは明らかにテロです。こういったようなものというものを含めて、私どもというのは、我々改めて考えねばならぬ事態に来つつある。  国際情勢は大きく変化してきていると思いますんで、それに当たって日本国際に対する貢献というものも期待をされ、今イラクとかアフガニスタン、いろいろ派遣をしておりますけれども、しかし我々は今、その中近東から日本に輸入しております全油の約九〇%を頼っております。そういったものを安定的に日本に輸入されてくる。それが通商国家として成り立つ基本ですから、そういった意味では、日本国際貢献等々に関する考え方も、私どもは、冷戦構造後、我々のできる範囲はやっていかねばならぬという方向国民世論も動きつつあるのかというように理解をいたしております。
  38. 舛添要一

    委員長舛添要一君) この際、政府に申し上げます。  答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
  39. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 ただいま麻生大臣から大変示唆に富んだ御答弁いただきまして、私も、日本はもう自立するという、自立という意味、もう一回国民が考えなくちゃいけないような段階に入っているんじゃないかなと、こういうふうに思います。  ここで額賀長官にお伺い申し上げたいんですが、自衛隊、今回、統合運用体制に移行するということであります。こういう部分も含めて日本の国防という部分についてお考えを伺いたいと思いますし、また、国内では、いつ起こるか分からない災害、こういうものに対する対処にも迅速に応じなくちゃいけない、こういうこともございます。また、シビリアンコントロール、こういうことについても、最終的判断に対しては政治の関与、これも大事なことでございますから、この辺のところをお伺いをさしていただきたいと思います。
  40. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、まず、小泉委員がおっしゃられた統合運用の問題でございますけれども、これは例えばBMDの対処をする場合、やっぱり隣国からこの場合ミサイルが飛んできたときに、まあ十分ぐらいで着弾すると、そういうときには、やっぱり日本の航空自衛隊それから海上自衛隊、陸上自衛隊がお互いにきっちりと連係プレーしなければこれに対処できないということは、だれが考えても分かるわけですね。今までは分散でやってきたわけでありますから、これをやっぱり機動的に対処していくためには統合運用をしていくことが大事であるということだと思います。  例えば、スマトラの国際緊急援助活動においても、海上自衛隊の輸送船で陸上自衛隊のヘリを運んで、そして援助体制を取るというように、それは有事の際においても平和協力活動においても陸海空が統合した形で効率的に、機動的に運用していくことが求められているということであろうと思っております。  小泉先生の御懸念は、そういうふうに統幕監部が一人の人に権力が集中していくと、これはいかがなものかという御懸念があるのかと思いますけれども、これはやっぱり我々が自衛隊をどう活用するかということについてはきっちりと法律に基づいて動かしているわけでございます。自衛隊を活用する法律は、今、自衛権に基づくことと平和協力活動に基づくこととか、あとはイラク支援法だとかテロ支援法だとか、そういう法律に基づいているということですね。防衛出動においては国会承認が必要であるとか、あるいは予算でもってきっちり縛りを掛けているとか、そういうことのシビリアンコントロール体制は、我々の問題意識がしっかりとなっていくことによって、自衛隊を有効に国家国民のために、あるいは世界の平和のために活用ができるということが私はできると。  戦後六十年の我々の歩みにもうちょっと自信を持って、しっかりとこのアジアの国々の皆さん方にもそういうことはアピールしてもいいんではないのかというふうに思っておりますので、お互いに共通の認識を持ってしっかりと体制をつくっていきたいというふうに思います。
  41. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 日本を安全な状態で平和な国家として存続させるという、これはもう大変な労力が必要なわけでありますけれども、そういう中で、麻生大臣からの先ほどのお話では、確かに戦後六十年いろんな角度で日本もラッキーな部分もあったかなと、こういうふうに思います。しかし、これからは、今、額賀長官がおっしゃったように、日本自身がもっと自信を持って態度を表明していかなくちゃいけない、こんなことも大事なことではないかなと、こういうふうに思います。  そういう中で、私、以前カンボジアのプノンペン、UNTAC入りました。そのときに、行きましたら、自衛隊が整備されたという道路両側に大体、多いところでは十メーターに一人ぐらい、大体二十メーターに一人ぐらいずっと両側に人が立っていまして、その人たちは何のために立っているのかと思ったら、働くところがなくて物ごいでありました。その行き着いたところにタケオの駐屯地ございましたけれども。自衛隊がいかに現地で大変な作業の中で期待をされながら活動をされたかということを目の当たりに見てきました。  そういう中で、それから数年の後に奥尻島で津波がございまして、奥尻島に現地視察に入りまして、今でも多分あるんじゃないかなと思いますが、道路を走っていきますと電信柱の三本ぐらいの高さのところに漁船が乗っておりました。これは津波の恐ろしさというのを目の当たりに感じました。そのときに奥尻島に配備されている通信隊、自衛隊の通信隊の方々が大変な活躍をされたということを聞きまして、一回沖に流された材木だとかそういうものが全部岸にまた打ち寄せ、人が乗っても沈まない程度になってしまう。その下に遺体があるわけでありますから、それを、地元の消防団方々ももちろん懸命な作業をしたということを聞いていますけれども、自衛隊の方が、特別な訓練を受けていたかどうか私は分かりませんけれども、鉄棒でこじ開けた穴から入って、そしてまた遺体をつかんで上に棒を突き上げそこを空けてもらって遺体を収容したという、こういう話を聞きまして、崇高な精神をお持ちだということを、ここまでの教育をされたということに極めて感銘を受けました。  これから日本が独り立ちしていくために必要なこと、それは、これから米軍の再編を含めて、自衛隊の在り方に問われてくると思うんですけれども、ここでお伺いを申し上げたいんですが、今、原子力空母が横須賀に来なければ艦載機は飛ばないという話もあります。しかし、現実は日本は安全ではないと私は思っていますから、そういう意味で、まず横須賀の基地に入っている原子力空母の安全性について、外務省、簡潔な答弁で結構ですから。
  42. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 原子力空母につきましては、二〇〇八年から横須賀に現在あるキティーホークの後継艦として配備をするという方針が米側から示されているわけでございますが、この原子力軍艦の安全性につきましては、累次にわたるエードメモワール、覚書、それから米国の政府声明、これをもって安全を保障をしてきているわけでございます。また、これと別途、原子力潜水艦等が我が国、過去千二百回以上入港しておるわけで、その都度モニタリングをしてきているわけでございますけれども、原子力軍艦に起因するその放射能の異常値というのが検出されたことは一度もないという状況、事実関係がございます。  昨年十月にそのキティーホークの後継艦として原子力空母を配備をしたいというときにも、改めて従来のエードメモワール、政府声明についての内容を含めて安全性に関する保障を引き続き堅持するということは米政府が明確にしておるところでございまして、政府として安全性についての立場を持っておるわけでございますが、片や地元でいろいろ御懸念があるということは十分承知しております。先週二十三日も蒲谷横須賀市長が大臣のところへ見えられましたので、引き続き地元の理解をどうやって得ていくかということで努力をしていきたいと思っている次第でございます。
  43. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 それでは、安全なんですね。
  44. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 政府としては、一貫として原子力軍艦の寄港については安全であるということを確信している次第でございます。
  45. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 まあ、安全であるということで自信をお持ちなようでございますので、しっかりと地元の方々とそういう部分を協議いただいて、理解が得られるまでもう何回でも協議いただくことが大事だと思っておりますので、引き続きの御努力お願いしておきたいと思います。  続いて、厚木基地でございますけれども、私も神奈川選挙区でございますから、厚木基地周辺でマイクを持ったこともございました。全く音聞こえません。乳母車に乗せた赤ちゃんを押しながら、あの赤ちゃんは大きくなってどういう形になるのかなと心配するほど物すごい轟音の中でありました。  これは現地の人っきり分からない状況だと思うんですけれども、それもタッチ・アンド・ゴーのNLP、これも大分前よりも騒音が少なくなったということを聞いておりますけれども、現実にはまだまだ騒音被害は大きなものがございまして、この辺のところで、このたび岩国への五十七機ですか、移転になり、自衛隊が入ってくるという、自衛隊においても四機がジェット機だという、こういう話聞いておりまして、こうなりますと、地元では騒音軽減になるんじゃないかと期待していたところが、騒音大して減らないんじゃないかと、こういう中で四六文書、四六文書に対してこれ抵触するんではないかという話も出ておりまして、みんないろんな意見がかんかんがくがく、けんけんごうごうしております。  この点について分かりやすい御説明をいただきたいと思います。
  46. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 御答弁申し上げます。  ただいま先生御指摘になりました厚木飛行場につきまして、先生おっしゃるように、大変な人口密集地にありまして、騒音ですとか安全といった事柄に関しまして長い間周辺の皆様に御負担をお掛けしてきているところでございます。  それで、その点につきまして、先生お触れになりましたが、昨年十月二十九日の共同文書におきまして、厚木におります、所在しております空母艦載機五十七機を、これを岩国の飛行場、岩国については現在、沖合移設の工事をしておりますが、それを完成後、しかるべき時期に移駐させることにしているわけでございますが、それで、他方において、先生御指摘のように、岩国からは小型の、私ども訓練支援機と言っているU36Aというジェット機四機を厚木に持ってくる予定でございます。これは、U36Aというのは一般的なイメージ的にはいわゆるビジネスジェット機のような形の飛行機でございます。  それで、その騒音の関係でございますけれども、私ども、今現在、厚木におります空母艦載機のスーパーホーネットなどに比較いたしまして、飛行機の距離とそれからその騒音との関係を調べたデータがございますが、それを比較しますと、このスーパーホーネットとU36を比べれば、同じ地点で取りますと、大体二十五デシベル程度低くなっております。これはいろんな距離で取っておりますが、いずれもその程度低くなっております。  そして、そういうことがございますので、トータルといたしまして、岩国からこのU36四機を含む十七機が参りますけれども、逆に岩国へ参ります今のスーパーホーネット等の五十七機が、これが大幅に機数が減少いたしますので、そういったことを考えますと、私ども、この厚木飛行場周辺の騒音の状況と申しますのは相当改善されると、そのように考えておりまして、今のその騒音での御負担というのは軽減できるものと考えております。  それから、先ほど先生御引用になりました文書、これは四十六年の私どもの海上自衛隊が共同使用するときの文書でございますが、確かにそれに、その文書は私どもの横浜の防衛施設局長が大和市長とそれから当時の綾瀬町長に対しまして出した文書でございまして、ジェットエンジンを主たる動力とする飛行機は緊急やむを得ない場合を除いて使用しませんといった趣旨のことを述べております。その後、平成六年二月にも、NLPの支援ですとか等々に関しまして同種の文書を通知いたしておりますので、この点につきましては、先ほど先生、抵触というお言葉もございましたが、我々、そういった過去の通知、文書等を十分に踏まえまして、先生御指摘のいわゆるジェット条項との関係は整理する必要があるといった認識に立っておりまして、現在、地元と御調整を申し上げているところでございまして、誠心誠意御説明をして、そして御理解を得たいと、そのように考えているところであります。
  47. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 簡潔に。  じゃ、今よりも騒音はかなり軽減される、こういうことでよろしいんですか。
  48. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) そのように考えております。
  49. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 当然、飛行経路を含めて危険性も軽減されるということでよろしいんですか。
  50. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 現在の航空機、FAホーネット等につきましても、私ども、米軍当局に対しましては常に地元の安心、安全を考えてオペレーションをお願いしております。これが今度は機数が変わります。そうした中で、まだ一部米軍機が残ることも、ヘリコプター等残ることも事実でございますが、いずれにいたしましても、私ども、安心、安全が第一でございますので、引き続き米軍当局に強く申入れをしてまいりたいと、そのように考えております。
  51. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 キャンプ座間についても同様な部分があろうかと思うんですけれども、この厚木基地周辺一帯については、鋭意これからもたゆみなく努力をされていくという、そういう内容に受け止めました。  改めて相模補給廠、相模補給廠についてなんですけれども、このたび、二百十五ヘクタールのうちの野積み場五十二ヘクタール、その中の十五ヘクタールが地元に返還されるという話聞いております。  この動きの中で、先日、三月の二十日でしたけれども、相模原市が相模湖町と津久井町との合併をしました。六十七万八千人の人口と二百四十四平方キロの大きな市になったわけですけれども、この後にまた城山町、藤野町と合併が進むわけでありますので、この相模原は大変将来大きな発展を期待されるところであるというふうに思っております。  こういうところにつきまして、今回、地元では十五ヘクタールの返還じゃなくてもうちょっとどうにかならないかという機運が大分あるようであります。しかし、十五ヘクタールのほかに上溝の方からの道路のこと、それからまた鉄道、そういうところの部分では共同使用ということで大分方向付けがなされたということを聞きました。  これはこの地域にとってはすばらしい将来が展望されるんですけれども、共同使用ということについて、まだいつか返せって言われるんじゃないかと、こういう気持ちがあるようでありますので、こういう部分も含めて、今後更に御努力をいただきたいなと、こういうふうに思いますが、これについてのお考えを伺っておきます。
  52. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 御指摘のとおり、今回の米軍再編の話合いの中で、横浜線の相模原駅前地区の十五ヘクタールの返還と、このほか先生御指摘ありませんでしたが、西側の野積み場の北側の約三十五ヘクタールについて、共同使用について、合意を見ているところでございます。  で、地元の相模原市の方からは、まあ従来から返還についての強い要望もございましたので、更に増やしてほしいというような要望も来ているようでございますけれども、これについては日米間で相模総合補給廠の土地の利用状況等を精査し、一部なりとも返還可能な土地はないかということでぎりぎりの調整をしたことでございますので、何とか地元の理解を得るように今後とも努力していきたいと思っております。
  53. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 御努力をいただけるということでございますので、大きく期待をしておきたいなと、こういうふうに思います。  改めて、麻生大臣、額賀長官にこれからの国の在り方について大きなお力を賜りたくお願い申し上げて、質問を終わります。  以上で終わります。
  54. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 まず冒頭に、今、小泉委員の方から同じ神奈川の話をいろいろされたので、その重ならない部分だけ伺って、次の質問に入りたいと思いますが。  キャンプ座間について、これは三月末に向けての米軍再編の中で、まあ地元の自治体としては負担増ということが言われておりますし、またその負担が増える分に対する見返りというか、全くキャンプ座間については示されていないんではないかと思いますが、その点について、何か地元座間の星野市長も大変これでは受け入れられないということを防衛庁の方に伝えていると思いますが、何らか進展があるのかどうか、その点を伺いたいと思います。キャンプ座間に限ってですね。
  55. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) キャンプ座間については今交渉中でございます。そして、座間からの様々な要望についてはよく承っております。まあ、一部土地の返還等々についても前向きに話合いが進展しているところでございますけれども、今この時点で具体的にお話しする段階ではないので勘弁していただきたいと思っておりますが、今後とも地元の皆さん方に対しましては逐一報告をさせていただきながら、誠意を持って交渉していきたいというふうに思っております。
  56. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 是非、地元の皆さんが納得はできなくても理解ができるような、少なくともですね、そういう情報開示と交渉をお願いしたいというふうに思います。  今日は、先般の予算委員会でも取り上げさしていただきましたけれども、こういう地位協定あるいは特別協定を結んでも実際に守られていないというような問題があって、そういうことについてまず指摘をさしていただいて、もし守られていないとすればもう少し日本も強く交渉臨んだらいいんじゃないかと、そういう観点から伺っていきたいと思いますが、まず、お配りしました「米軍基地における労働基準法違反の状況」について、厚生労働大臣お越しだと思いますんで、具体的にお答えいただきたいと思います。
  57. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 浅尾議員お尋ねの駐留米軍従業員の労働条件の問題でございますが、政府全体として対応すべき問題でありまして、その改善を図るためには、実質的な使用者であるところの米国側が我が国の法令を遵守するよう粘り強く協議を続けていくことが必要であると考えておるわけでございます。  労働基準監督機関といたしましては、本来、使用者による……
  58. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 答弁、違っているんじゃないですか。どういう違反があるのかということを聞いているんです。
  59. 舛添要一

    委員長舛添要一君) しばしお待ちください。  答弁は、質疑者の趣旨を体して、簡潔かつ明瞭に行うようにお願いいたします。
  60. 中野清

    ○副大臣(中野清君) はい、分かりました。  今までには、解決した問題と、それから……
  61. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 解決した問題は結構です。今の違反の状況を答えてください。
  62. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 現在の中では、例えば臨時従業員に対する年次休暇の付与の問題とか、それから年次有給休暇繰越制度の問題とか、それから妊産婦等の有害業務の禁止の問題とか、時間外勤務に関する労使協定、また就業規則に対する一部不備等がございます。
  63. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 こうした点は労働基準法違反であるということを三年前に指摘をさせていただきました。なおかつ、日米地位協定第十二条五項には、これはもう既に三十年ぐらい前に日本とアメリカとの間で結ばれた、昭和三十五年六月二十三日に発効していますが、日米地位協定の第十二条五項には、雇用及び労働の条件は日本国の法令で定めるところによらねばならないと書いてあります。  そうすると、別に、先ほどの、ちょっと先の答弁を読まれたわけですけれども、政府全体として解決しなければいけないというよりかは、もう既にアメリカも日本の法令を守るというふうに答えているわけですけれども、その点についてこれは交渉、今までどういう交渉を米側としてきて、もう交渉する必要もないと思うんですが、どういうことをやってきたのか、お答えいただけますか。これは防衛庁だと思いますが。
  64. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、浅尾委員がおっしゃるとおり、日米地位協定第十二条五は雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件等について我が国の法令が適用されるということが書かれているわけでございます。これまでの過程で、そうですね、平成十六年から日米合同委員会の下の労務分科委員会において所要の措置が講ぜられるように協議を行ってきているということでございます。
  65. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そもそも、協議を行うこと自体、私はおかしいと思うんですね。日米地位協定日本の法令に従うと書いてある。何のために協議を行うんですか。
  66. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、だから駐留軍等労働者の労働条件を労働基準法に沿った内容とすることが非常に重要であるという認識は持っているわけでございます。このために、労働基準法に定める労働条件を満たしていないものについて、労務分科委員会で、まあこれは防衛庁だけではなくて政府関連の省庁で米国側と協議をしているということでございます。
  67. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 もう一回質問申し上げます。  日米地位協定には、労働の条件は日本国の法令で定めるところによらねばならないとはっきりと書いてあります。したがって、協議をする必要がないんではないか。つまり、日本労働基準法に従わせます、その一言で済むんじゃないですか。なぜそうしないのか、お答えください。
  68. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 日米地位協定第十二条五において、日米「相互間で別段の合意をする場合を除くほか、賃金及び諸手当に関する条件その他の雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに労働関係に関する労働者の権利は、日本国の法令で定めるところによらなければならない。」と規定されておって、「別段の合意」という中にまあ日米労務提供契約的なものを結んでいるというふうに聞いております。
  69. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 では、具体的に伺いますが、この「別段の合意」という中で、労働基準法違反を含めて政府として合意をされた事実はありますか。
  70. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 駐留軍等労働者に日本労働基準法が適用されることは認識しているけれども、駐留軍等労働者については雇用主は日本政府、そして使用者は米側という、そういう特殊な雇用形態になっているので、この駐留軍労働者のことを考えていく場合には米国側と話合いを継続していかなければならないということです。
  71. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 もう一度同じことを繰り返し質問させていただきますが、是非、質問の趣旨を踏まえて答弁していただきたいと思いますが、別段の合意を、アメリカ側が使用するのは分かります、しかし地位協定日本の法令で定めると書いてあって、日米で合意した事実があるのかないのか、それを聞きたいと。つまり、労働基準法違反になっているけれども、これは特例として合意をしたという事実はないはずなんですけれども、そういう事実がありますか。
  72. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今言うように、雇用主は日本政府であるけれども使用者は米国側でありますから、そうするとその経営の、労働条件だとかそういうことについては使用者側との間で一定の考え方ができているというふうに思います。
  73. 舛添要一

    委員長舛添要一君) この際、政府に申し上げます。  答弁質疑者の趣旨を体して、簡潔かつ明瞭に行うように御注意申し上げます。
  74. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 同じ質問をしますけれども、別段の合意を日米で交わしましたか。
  75. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 日米間で別段の合意は交わしてはいないということです。
  76. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 したがって、別段の合意もしていない、日米地位協定では日本の法令を守るというふうになっているんですから、なぜ守らないんですか。
  77. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 守っていただくように日米間で政府を挙げて交渉をしているということです。
  78. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 その交渉というのは、地位協定が結ばれてなくて、なければ交渉するのは認めますよ。しかし、もう地位協定にはっきり書いてあるのを交渉する必要がないでしょうということを申し上げているんです。
  79. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) したがって、日本労働基準法を守っていくことについて、まあ言ってみれば使用者側と労働者の間で結んでいる今の労働条件について改善をきちっとさせようとしているということです。
  80. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 繰り返しになりますけれども地位協定には日本の法令を守ると書いてある。日本の法令を守ってないと、三年前から指摘していると。単に気付かなかったのなら、三年前に指摘した段階で、アメリカも地位協定を守ることを合意しているわけですから、守るというか地位協定に書いてあるわけですから、なぜ直さなかったのですかということです。
  81. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 我々も、これを守らせるために雇用者側としてしっかりと米国と対応していきたいということでございます。
  82. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 労働基準法によりますと、労働基準法違反があった場合には労働基準監督署が雇用主に対して是正勧告をするということになっています。そういうことは厚生労働省としてするつもりはないですか。
  83. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 労働基準監督機関といたしましては、今おっしゃるとおり、本来使用者による自主的な改善を促し、結果として改善を図られることが重要であるということから、この問題につきましても今正に改善のための努力をしているところでありますので、その努力を更に推し進めることが適切であると考えております。
  84. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 問題の本質は、法律によると、日本の法律によるということを日米地位協定に書いてあって、先ほど来指摘をさせていただいておりますように別段の取決めもされていないと。しかも、なおかつ申し上げますと、米軍、駐留米軍で働いております労働者は法律上の関係でいいますと防衛施設庁長官が雇用しているということでありまして、防衛施設庁長官日本労働基準法に合致するように、先ほどお話がありましたように、例えば妊産婦等の有害業務の就業禁止というのがあるんですが、それを就業させているといったようなことについてすぐに是正するというのが当たり前だと思うんですね。  例えば、日本の普通の企業でそういうことが三年前に指摘されて三年間放置していたら、恐らく労働基準監督署は適切な是正命令を出し、なおかつそれで直らなければ、これは罰則規定もあるということでありまして、なぜそういうことをしないのか。  もっと言えば、この地位協定にはっきりと米側が日本の法令によるということを書いてあるわけですから、別に、今日この場で、例えば一か月後には日本の法令によるというふうに答弁をされればいいんだと思いますが、その点について、防衛庁長官、もうその日米地位協定にも規定されているとおり運用しますという答弁ができますか。
  85. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは先ほども言いましたように、また浅尾委員もよく御承知のとおり、雇用主が我々、それは現実に使っているのは米国側でございますから、そういう特殊な状況の中で我々は労働基準法に定める労働条件を満たしていくようにこれは労務委員会で話をしていると。これを粘り強くやるし、今日、浅尾委員指摘もあるからしっかりと対応していきたいというふうに思います。
  86. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 では、防衛庁長官に伺いますが、なぜ日米地位協定に、第十二条五項にはっきりと、労働の条件は日本の、「日本国の法令で定めるところによらなければならない。」と書いてあることを、その旨伝えて、先ほど来申し上げております交渉する内容ではないと、地位協定に書いてあるとおりに守るということなんですけれども、なぜ交渉されるんですか。もし、これで交渉されるんであれば地位協定要らないんじゃないですか。
  87. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、浅尾委員がおっしゃるとおりの矛盾点がありますから、これをだから問題意識を持ってしっかりと米国側と交渉をしているわけです。
  88. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 地位協定に規定されていることですから交渉する必要がないんではないかということです。なぜ交渉されるんですか。
  89. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 労働条件を、米国側が使用している労働条件を改善していくためには、米国側と当然話合いをしていくことは必要であるというふうに思います。
  90. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、なぜ地位協定に、地位協定にこういうこと書いてなければ私こんなこと申し上げませんよ、書いてあるんであれば別段の定めを特に結べばいいじゃないですか。別段の定めも結ばずに交渉もしているというのは明らかに矛盾であり、これは三年前から指摘をしているのに実際に交渉していないことの表れだと思いますし、三年前から指摘をしているのに是正していないというのは国会の軽視だと思いますよ。
  91. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今までもこの三年の間に、例えば週所定勤務時間の四十時間への削減ができている。妊娠中の業務転換、助産婦の時間外勤務の制限及び休日勤務の禁止、助産婦の深夜業の禁止等々については、米国、使用者、使っている米国側と改善の点が見られているわけでございます。
  92. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 繰り返しになりますけれども地位協定日本国の法令によるところ、定めるところに従うと書いてあると。別段の定めがあればこういう質問の仕方はしませんが、別段の定めも、別段の合意もしていないということになれば、その交渉をするということ自体がおかしいと私は思いますが、防衛庁長官は、仮に日米地位協定に書いてあっても、その書いてあることがあったとしても、交渉することがおかしいと思わないんですか。何のために協定があるのか、そのことも含めておかしいと思わないのであれば、お答えください。
  93. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、だから、日本労働基準法に沿って考えた場合に矛盾点がありますから、使用者側の米国側に対して、これを話合いというか、そういう労務委員会の中で改善をさせていくということでございます。実態的に直していくということでございます。
  94. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ですから、質問をよく聞いてください。日米地位協定日本国の法令で定めるところによると書いてあります。ですから、日本国の法令に違反しているんであれば直ちに直すというのが筋ではないかと。なぜ交渉をするんですかと。
  95. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それは、我々は雇用者でありますけれども、使っているのは米国側でありますから、その労働条件があって、その中を改善していくことについて労働基準法に合わせていく努力をしているということになるわけです。
  96. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ですから、協定に書いてあると。使ってるのが米国側どうのこうの、使ってるのが米国側だから日米地位協定の第十二条五項を結んだわけでしょう。だとすれば、何で結んだんですか、ここで。こういう、日本の法令を守るということで。意味がないじゃないですか。
  97. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今これは、繰り返しになりますけれども協定上は労働基準法を守らなければならないということになっているのは承知しているわけです。だからそれを、実際の使用者側と労働者の間のことが守られてない分野があるから改善方を申し入れて改善させたりして労働基準法に合わせていこうという努力、地位にしているわけでございます。
  98. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ですから、協定上書いてあるんであれば、なおかつ事実関係を申し上げますと、雇用主は防衛施設庁長官なんです。ですから、防衛施設庁長官と在日米軍、駐留軍で働いている労働者との間の労働契約、労働協約を労働基準法に合致するように改めればいいだけの話であって、別に日米地位協定の第十二条五項に日本国の法令による、よるところに、よらねばならないと書いてなければ別にこんなことは言いませんが、書いてある。つまり、アメリカ側も日本国の法令によるということを約束しているわけですよ。その協定違反なんですよ。米側に協定違反だってことを指摘したことありますか、過去に。
  99. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 協定違反というか、労働基準法に当てはめていかなければなりませんから、だから合同委員会で話合いをしていると。それで実態的に改善をしていこうということになっているわけでございます。
  100. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私の質問は、米側に日米地位協定違反だという指摘を過去にしたことがありますか。
  101. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) だから、日米協定地位協定の中で労働基準法に合うように、具体的に実質的な改善のために労務委員会が開かれているわけでございますから、その実態的な改善を目指すのが我々の立場であるし、基本的に我々が雇用している、そしてその使用者側の米側とその労働条件の改善について話合いをしているということでございますので、実態的な我々の労働基準法の法律に合わせていくように努力をしているということになるわけでございます。
  102. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私の質問は、米側に日米地位協定第十二条五項に現状は違反してますという指摘をしたかしてないか、その点です。
  103. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 労働基準法に合わせていくように……
  104. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ですから、地位協定に違反しているかしてないか指摘したかどうかということです。
  105. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 明瞭簡潔に御答弁願います。
  106. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 地位協定に合ってない、その労働基準法に合わせなければならないというふうに国内法はなってますから、そういうふうに実態的に改善をしようというふうにしているわけでございます。
  107. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 もう一度同じ質問をします。日米地位協定十二条五項に、現状、違反してるという指摘をしたかしてないか。
  108. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  109. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 速記を起こしてください。
  110. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 地位協定の中で労働基準法を守らなければならないということになっているので、その実態を改善をしていくように話合いをしているということでその話をしているわけで、それ以外のことで違反をしているとか、そういうことを言っているわけではありません。
  111. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 地位協定の第十二条五項に違反しているかどうか米側に指摘したかどうか。イエスかノーか、端的にお答えいただきたい。
  112. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 違反しているというふうに指摘したことは、違反という形で言っているということはないと思います。  ただ、労働基準法は守らなければならないということで、実態的に労働基準法を守らせるように努力をしていると、労務委員会を開いているということと理解をしていただきたいというふうに思います。
  113. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 なぜ、日米地位協定第十二条五項にこれほど明瞭に書いてあるにもかかわらず、地位協定十二条五項に違反していると指摘をしないんですか。
  114. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは何度も繰り返しになりますけれども労働基準法を守ってもらわなければ困るということについて、実際に守られてない分野があるから、これは合同委員会、労務委員会でしっかりと労働基準法に、守ってもらうような形、労働条件をつくっていくように努力をしている。それを、順次改善がされているということを見ていただきたいということでございます。
  115. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 地位協定に明瞭に書いてあることを指摘するべきだというふうに思います。  なぜこういう指摘をしているかというと、労働基準法違反の件も大変重大な問題だと思いますが、この間のいろんな日米の交渉を見ていますと、アメリカ側の言い分はかなり、もう決まったことだからということで国会の方に、後ほど質問をする時間があればグアムの話もしますが、移転経費のことも含めて、決まったことだからということで国会に無理やり承認を求めると。一方で、これはっきりと書いてあるわけですよ、アメリカ側もサインしている日米地位協定に違反しているんです。そういうことについてなぜ及び腰なのかということで質問をさしていただいているわけですから、次回の交渉にははっきりとこの地位協定十二条五項に違反しているということを言うことの確約をお願いしたいと思います。
  116. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、浅尾委員の御指摘についてはよく理解はできます。しかし、現実的に、三年前から合同委員会で、労務委員会で交渉中でございますから、強くこの改善方を申し入れると同時に、我々も労働条件が我が国の国内法に合っていく形をつくるのは当然のことでありますから、強い姿勢で臨んでいかなければならないというふうに思います。
  117. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 強い姿勢云々というのは、地位協定にこういうふうに明文の規定がなければ、強い姿勢というのは正しい表現だと思いますが、明文の規定があるわけですから、地位協定に違反してると一言言えば済む話だと思いますが、なぜ言われないのか、そのことを伺いたいと思います。
  118. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 浅尾先生のおっしゃるようなこの改善方の努力をしているわけでありますから、これまでも続けてきたし、これからも続けていくわけでございますけれども、雇用者として労働条件が国内法に合うようにしていくことは当然のことなので、しっかりと対応していきたいというふうに思います。
  119. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 同じ質問を何度もさせていただいて大変光栄なんですけれども地位協定の十二条五項に違反してると。これは国家間の協定です、約束です。そのことを指摘すれば済む話を、なぜそういう指摘をしないのか。指摘をしないとすれば、その理由を、こういう地位協定をわざわざ結んでいるにもかかわらず、そこに明瞭に書いてあるにもかかわらず、指摘をしないという判断を防衛庁長官がその交渉当事者の総責任者としてされるんであれば、なぜ指摘をしないのか、その点を伺いたいと思います。
  120. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは当然、私どもの考え方としては国内法に合わせて労働条件を改善するのは自然なことでございますから、その考え方に基づいて今交渉中であり、改善されているところもある。で、アメリカ側、使用者側が条件的にこれ、なかなか我々の改善方をのめないということになっていく過程では、私どももこれは地位協定に違反しているじゃないかということを問題意識を持ちながらしっかりと対応していく必要があるというふうに思います。
  121. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 問題意識を持ちながらというか、すぐに、即刻、地位協定に違反しているということを次回の交渉のときに日本側から伝えて、地位協定に違反しているから日本労働基準法に合致した形に改めるという申入れをすれば、普通の状況であればそれで済む話だと思うんですが、そうされないんであれば、その理由を伺いたいと思います。
  122. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これまでの交渉の過程で若干改善されているところもあるわけでありますから、その流れを見て次の交渉の場で進展が、アメリカ、使用者側というかね、の方の対応を見て、その改善方を促すために浅尾委員の御指摘のような形も取らせていただきたいというふうに思います。
  123. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 厚生労働大臣お越しでございますんでちょっと、労働基準法がどれぐらい強行法規としての可能性があるのか。是正が図られない場合、手続としてはこれ、是正勧告というのが法違反が認められた場合はすることができて、それでも是正が図られない場合は司法処分ということですが、罰則などは、民間企業の場合はどういう罰則があるのか、そして是正勧告から通常その司法処分までの間の期間というのはどれぐらい民間企業の場合あるのかを伺いたいと思います。
  124. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 是正勧告をしても守られない場合には、これは司法処分がございます。
  125. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 是正勧告からその是正までの間、守られない場合の司法処分までの間の通常の平均期間というのはどれぐらいですか。
  126. 中野清

    ○副大臣(中野清君) それはそのときの状況によって異なるわけでございまして、まあ是正ができない場合には、その担当者に対して署長等から再度いろいろ粘り強く要請をするというのをやった上でいろんなことができるわけでございます。
  127. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 簡潔に御答弁願います。質疑者の質問の趣旨を正確に理解して、明瞭にお答えするように政府側に御注意申し上げます。
  128. 中野清

    ○副大臣(中野清君) もう一つ、いわゆるその年休違反の場合でしたらば、三十万円の罰金又は六か月以下の懲役があります。
  129. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 まあ、期間はケース・バイ・ケースということですか、その。
  130. 中野清

    ○副大臣(中野清君) はい、そうです。
  131. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 三十万円以下の罰金又は六か月以内の懲役ということですが、対象はこの防衛施設庁長官になるわけでしょうか、本件でいえば。
  132. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 実際に使っている使用者と国です。
  133. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 普通の民間企業であれば、是正をしなければそういう、最終的には罰金ないしは懲役になると。  それから、繰り返しになりますけれども、二〇〇三年の四月十七日に私、この問題を指摘をさせていただきました。三年間是正がされていないこともかなりあると思いますし、なおかつ地位協定と、まあこれは米軍という特殊な事情があるということを百歩譲って認めるとしても、地位協定の中で法規を守るということで向こう側も認めているわけですから、是非そのことについては次回の交渉ではっきりと日米地位協定に違反しているということを日本側から指摘するというその決意を防衛庁長官に伺いたいと思います。
  134. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今お話をしてきましたように、日本労働条件を守ってもらうように労務委員会で話合いをしているわけでございますから、その進展が進まない、我々の要望が届かない、労働条件が守られていかない、そういうような状況においてはしっかりと地位協定違反もしている、改善をしなければならない、そういう考え方で臨みたいと思います。
  135. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 完全に地位協定違反ということは、協定違反なんですね、これは。  それで、それを粘り強く交渉するということ自体が矛盾だと思いますが、百歩譲って、そういう姿勢で臨まれるということであれば、いつ、あとどれぐらい交渉したら地位協定違反ということをはっきりと米側に言うのか、その期間を伺いたいと思います。
  136. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これまでのその労務委員会の持ち方というのは二か月に一遍ぐらいのペースで持たれているという話を今聞いたんでありますが、そういう中で今、米国側のこれまでの条件、それから対応の仕方というものもあるだろうし、そういうやり取りの中で地位協定の問題について指摘をしながら対応していくことがいいと。  今の時点で何月何日になったらしっかりとこうしますということは、相手のあることですから明言ができるわけではありません。
  137. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 相手があることというか別に、地位協定に書いてあるわけです。相手も認めているわけです、これ、地位協定。なぜそれをすぐ指摘をしないのかということです。
  138. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) だから、今交渉の中でそういう改善方の話合いを二、三か月に一遍ずつ開いていくわけでありますから、そこで改善をされていけばそれはそれで一定の解決になるし、なかなか日本の労基法に合うような改善がなされない場合は強く、地位協定に違反していることだからしっかりとやってねということの中でその形をつくっていくことができるのではないかということです。
  139. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今、二か月に一回というお話をされました。法律違反の状況を放置しておくんですか。すぐ申入れはしないんですか。
  140. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) ですから、次回の交渉がまだ決まっているわけではありませんから、当然、次回の開かれる場合にはそういう形をするし、御指摘のように時期を早めることもできるというふうに思います。
  141. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時期を早める、国会で法律違反を指摘され、なおかつ地位協定違反も指摘されたから、日本側から少なくとも時期を早める申入れをするつもりがあるのかないのか、伺いたいと思います。
  142. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 労働条件を改善していくためですから、それは早めていくことはできると思います。
  143. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は、労働条件ももちろん大事ですけれども、法律違反を見過ごす、なおかつ協定違反を見過ごす、その姿勢が問題だと思いますが、そういう姿勢は問題ではないと思いますか。
  144. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 労働基準法を守らせるために、いろいろ御指摘もいただいて、日米合同委員会、労務委員会を開いて改善方をしてきたということも経緯があるわけでございますから、その上に立って今、今日の御議論の上で我々も、労働条件が守られていないという、基準法が守られていないという意味では地位協定に違反していますよということの視点に立ってこの改善方を強く求めていくということでは浅尾委員の言うとおりに対応ができると思います。
  145. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 委員長に申し上げます。  国会の委員会一つの役割は行政の様々な法的な問題について指摘をしていくということであります。この問題について予算委員会でも取り上げさしていただきましたが、今日はかなり深くこの問題について当委員会で取り上げさしていただきました。したがって、この外交防衛委員会の中におきまして、今後早急にこの問題の解決、法律違反の、そして地位協定違反の解決が図られることを是非取り計っていただくようにお願いしたいと思います。
  146. 舛添要一

    委員長舛添要一君) ただいまの件につきましては、理事会において協議いたしたいと思います。
  147. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 もう一点、その労働基準法関係お話をさせていただきたいと思いますが、改正高齢者雇用安定法というのがこの四月一日から施行をされます。今までは高齢者の雇用については努力規定であったのが、今度は幾つかの形態に分けて義務規定に変わるという理解でありますが、そういう理解でよろしゅうございますか。厚生。
  148. 中野清

    ○副大臣(中野清君) 議員の御指摘のとおりでございます。
  149. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そうすると、米軍で働いております、駐留米軍で働いております労働者についても改正高齢者雇用安定法が義務規定で適用されるということになりますので、防衛庁長官はそのことも含めてしっかりと改善するようにお願いしたいと思いますが、御決意をお願いします。
  150. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今おっしゃられるように、平成十六年の六月に高年齢者雇用安定法が改正をされまして、本年の四月一日から事業主に対し高年齢者の雇用確保措置が義務付けられているわけであります。  現在、防衛施設庁において、同法に基づく駐留軍等労働者に係る高年齢者の雇用確保措置について米側及び労働組合としっかりと協議をしているところでありますので、取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  151. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 では、次の質問に移りたいと思いますが、米軍再編に関してグアムへの移転経費の問題がいろいろと報道をされております。このグアムの移転経費支出のための法的枠組みをどういうふうにされるか、その点をまず伺いたいと思います。
  152. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これはもう今、正に日米の間で協議中でございますから、具体的な形でしっかりと固まっているわけではありません。そういうことで、今の時点でつまびらかに申し上げる段階ではありませんので、これは浅尾委員にも是非理解をいただきたいというふうに思っております。ただ、大詰めの折衝、協議をしているということははっきりしております。
  153. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いや、伺っているのは、別に中身を伺っているわけじゃありませんで、これは当然、国会に対して、まあこれは別の委員会でもそういうふうにお話がございましたけれども、中身が決まった段階で国会に報告をし、そして法律の枠組みの中で処理をされるという理解でよろしいですか、協定ではなくて。
  154. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) まだ、そういう、どういう形で、どういう手法で負担をしていくか、あるいは負担の中身が全部決まっているわけではないから断定的には言えないけれども、一定の法体系、法律の根拠をつくっていかなければならないというふうに思っております。
  155. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そのグアムの移転経費の当初米側の主張は、七五%負担をしてくださいという主張でございました。この七五%の根拠というのを何か持っておられるかどうか。  私は、恐らく七五%の根拠としては、アメリカの国防総省が発表した駐留経費負担の国際比較の中で日本の負担が七四・五%になっているから七五%という数字を出してきたのかなと思いますが、どういう根拠で七五%という数字が出てきたのか、お答えいただけますか。
  156. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 七五%ということも、それは報道ではそういう形になっておりますけれども、日米交渉の過程で、何%しなさい、いや、何%でなければできませんということについて、具体的に交渉がまだ行われているところではありません。ただ、いよいよそういうぎりぎりの協議をしていかなければならないという段階であることは間違いありません。
  157. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今、この七五という数字を伺いました。  それで、その七五というのはアメリカ側の統計で、日本の資料ですと五一%だということなんですが、実は、日本の五一%という数字を出す、日本側の負担、正にその地位協定そしてこの特別協定の中で負担している五一%という数字を計算するに当たっては、米国側負担額の、いわゆる分母ですね、分母というのは日本とアメリカの足したものですけれども、分母の米国側負担額の中に軍人軍属等関係の人件費は日本側の中に含まれています。そして、米側の数字にはこれ軍人軍属等の人件費は含んでいないということになっていますが、そういう理解で正しいでしょうか。
  158. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) そうだと思います。
  159. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私、なぜそういうことを聞くかというと、これ日本の数字に軍人軍属を含めて、そしてそのうちの例えば五割を日本が負担していますよということは、考え方というか、アメリカ側の軍人軍属、お金に色がないという考え方でいうと、も一部負担していると。実際はそうじゃなっていませんけれども、ということになると。つまり、それは日本側の意識の中で米軍、日本にいる米軍の費用の半分を雇ってやっているんだと、傭兵的な考え方になるんじゃないかと。逆にアメリカは、それはそういう考え方は絶対取れないんで軍人軍属は統計から外して出しているということだと思いますが、なぜアメリカ側の軍人軍属の人件費を日本の統計では入れているんでしょうか。
  160. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  161. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 速記を起こしてください。
  162. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それは……
  163. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  164. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 速記を起こしてください。
  165. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは元々、これは本当は、このデータは、それは私が答えるというよりも外務省で答えるのが筋なんじゃないかなと思うんですね。
  166. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、浅尾さんから御指名を受けたわけではありませんけれども、在日米軍駐留経費関連のそれぞれの負担の話なんだと思いますが、米軍の駐留に伴って必要となりますいわゆる経費の範囲のとらえ方の話なんだと思いますが、一概に比較し得ない、判定とか比較し得ないところだとは思いますが、その上で述べさせていただければ、日本政府としては、在日米軍の軍人軍属の給与につきましては、在日米軍の駐留を維持していく上で、米軍の駐留を維持していく上で不可欠な費用というような考え方を持っておって、在日米軍の効果的な活動基盤というものを確保するために正に必要な経費なんだと、軍属含めて必要な経費なんだと考えております。したがって、在日米軍の駐留に関しましては、米側が負担している経費に含めることというのは適当なのではないかというように考えております。
  167. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私の質問は、アメリカ側はそれは入れていないと、要するに、きちきちなので。それで国際比較は、ちなみに申し上げますと、日本が軍人軍属の給与を入れなければ七五%ぐらい、ドイツが三二%、韓国が四〇%、イタリアが四一%、クウェートが五八%ということで、日本は突出して高いということなんです。  これは軍人軍属の給与を入れても若干分母が大きくなる分だけ低くなるわけですけれども、まあ突出して高いことは変わりないと思いますが、そもそもの考え方として、アメリカが入れないのは、恐らく、軍人軍属の給与というのは正に主権のところだから、そこも含めて考えるとなると主権の問題がおかしくなっちゃう。アメリカ側の立場からすると、それを半分、実質上負担してもらうということになると傭兵として雇っているという考え方になるんじゃないかということだと思うんで、日本の数字も米軍の軍人軍属については変えるというふうにした方がいいんじゃないかという問題提起をさせていただきました。別に特に変える必要がないということであれば、長く答えていただかなくても結構ですけれども
  168. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 短い方がよろしいと思いますので、特に変える必要はないと思っております。
  169. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そこは考え方の違いということで理解をいたします。  それからもう一点、在日米軍駐留経費、まあこの特別協定の中でも負担していますが、給与を始めいろんなものを負担しているわけでありますけれども、その立替払があるというふうに聞いています。つまり、実際に特別協定で負担しているのは二万三千人分で、最終的に雇っているのは二万五千人いると。で、その立替払が発生するのが二月、三月分の給与というふうに聞いていますが、その立替払をしている金額はどれぐらいですか。
  170. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、日本側が立替払をし、後日、米側から償還を受ける経費に充てる回転資金として、特別調達資金に基づいて平成十六年度において労務費等で延べ百五十七億円、その他で約十億円、合計百六十七億円となっています。
  171. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 百六十七億円については利子を取っていないというふうに聞いています。普通の日本国の、もし立替払を他国とした場合には、これは交渉だと思いますが、当然、利子を取ってしかるべきだと思います。利子を取っていれば、これは期間が十日から三か月ぐらいになるようなんで、今は低金利ですけれども、額が巨額ですから、利子を取ればそれなりの金額になると。  これ、ずっと利子を取ってこなかった理由は何か、そして今後、利子を取るべきだと思いますが、どうされますか。
  172. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今の、委員もおっしゃるように、これは十日から三か月ぐらいとか償還がばらばらになっていたりしているわけなんだけれども、我々としては、特別調達資金は米軍に対する物、役務の調達及び提供を行うに当たって一時的に立替払をしているということで、調達を円滑に処理していく上での回転資金という認識をしておりますので、利子を取ってくることはなかったということであります。  それから、今後も、償還期限がばらばらであるし、利子を取ることが実際にできるのかどうか、そういうことも含めて、まあ原則的に利子を取るということを今考えているわけではありません。
  173. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は、申すまでもありませんけれども、日米同盟は大事だと思っていますが、しかし同時に、日本の納税者あるいは日本の立場ということをはっきりと交渉の場では言うべきだというふうに思っております。  で、その米側が本来負担すべきものを一時的とはいえ日本側が負担しているんであれば、当然、利子を取ってしかるべきだと思いますし、そういうことを交渉の場で申し入れるべきだというふうに思います。もし、今の指摘でちょっとそういう申入れをしてみようということであれば、お答えいただきたいと思います。
  174. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これまでの経緯もあるし、日米間で円滑に事の運びをしていこうということを考えていくに当たって、今の時点で即座に利子を求めるということを考えているわけではありません。
  175. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時間が参りましたので終えたいと思いますが、最後に一言だけ。  海兵隊のグアム移転で巨額の負担をするというような要求もされていると。そもそも米軍再編は、何も日本側が望んだものだけではなくて、米国の世界戦略の中で行われている部分もあるわけですから、日本の立場をそれぞれの場において主張していくことが結果として国益につながるということを申し上げて、質問を終えたいと思います。
  176. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  177. 舛添要一

    委員長舛添要一君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  178. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 民主党の犬塚でございます。  今、正に世界規模の米軍再編が行われている中で、日本我が国の国益をどう守ってこれに交渉をしていくのかという視点に立って今日は質問さしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。  まず、本題に入ります前に、三月二十三、二十四に行われました日米協議、審議官級協議が行われて、実はこれ、この資料を私も今朝いただいたんですけれども日本側からは金澤防衛庁防衛局次長、そして梅本外務省北米局審議官、米側からはローレス国防副次官が参加と書いてありますので、今日はお二人ここに来ていただいていると思いますので、ちょっとこの会議の内容について御報告いただけますか。
  179. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 三月二十三、二十四日の両日にわたって行われました日米の審議官級協議でございますが、これは、昨年十月二十九日の日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2の下で採択をされました共同文書にあります具体的ないろいろな案件について、それを最終的な取りまとめを行うということで意見交換をしたわけでございます。共同文書におきましては、自衛隊、米軍の間の役割、任務、能力というような分野と、それから兵力態勢の再編という分野と両方あるわけでございますが、この双方について意見交換を実施したわけでございます。  具体的には、役割、任務、能力に関する意見交換のほか、普天間飛行場代替施設の具体的な在り方、在沖海兵隊の削減やグアムへの移駐、それから、それに伴いまして嘉手納飛行場以南の土地の返還というものがどういうふうに可能なのかということについての計画の具体化ということについても話し合っております。また、神奈川県にございますキャンプ座間にあります在日米陸軍司令部の近代化、改編と……
  180. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 済みません、簡潔にお願いします。
  181. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) はい。ということに伴いますいろいろな問題についても協議をしております。  それから、横田空域の在り方、あるいは横田飛行場への航空総隊司令部の移駐に関する検討、あるいは空母艦載機の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐及びそれに伴う関連措置、また、空中給油機、現在、普天間にありますKC130の移駐の問題等々について、これまでの議論を踏まえて、更に積み重ねた議論を行ってまいりました。
  182. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 その審議官級協議の中で、この新聞の報道によりますと、米軍の移転費用が約一兆一千七百億円、そのうちの七五%、八千八百億円を日本側に負担するようにと求めてきていると。それに対して日本側は約三千億円の資金を融資する案を示したと、ここに新聞報道があるんですが、それでよろしいんでしょうか。
  183. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 兵力態勢の再編に関する日米の外務・防衛当局間の協議の中で、海兵隊のグアム移転に関し必要となる経費等の詳細について協議をしているということは正にそのとおりでございます。  こうした点を踏まえた上で、在沖海兵隊のグアムへの移転、これはもう沖縄にとって大変な負担軽減につながるものでございますので、これを早期に実現するために、我が国としていかなる措置をとるべきかということについて検討してきております。  ただ、米側との協議の内容につきましては、大変恐縮ではございますが、米側との関係もあり、まだ引き続き協議が行われていくということでございますので、お答えは差し控えさしていただきたいと思います。
  184. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 個別具体的に、何が幾らあるいはこういう案を示したということを今ここでつまびらかに言っていただかなくてもいいんですけれども、私が伺いたいのは、大臣、一体どういう論理で日本が交渉していくかということを聞きたいんです。  というのは、米軍が一応、一兆一千億だと言っておると、その内容はこうこうこうだと、日本としては、法的にもこんなことできないから、しかしこの部分であればこういう形で支払おうというような、論理的なやり合いがないと、バナナのたたき売りみたいな、交渉にならないような話になると思うんですけど、その辺、大臣、いかがでしょうか。
  185. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、この沖縄の海兵隊司令部の要員、要員というもののグアムに移転するということになっておる話ばかり行きますが、元々は兵力、抑止力の維持と地元の負担軽減、これが、少々二律背反するところをいかに納得させるかというのが優先順位の一番に考えねばいかぬところだと思っております。それを実効あらしめるためにどうするかという話なんだと存じます。  経費の負担につきましては、グアムに移転をするということにしてもらえると、それに伴いまして兵員、家族含めて一万七千とか八千とかいろいろ言われますけど、そういった数字になりますことは、経費や負担の軽減になります。負担軽減、経費の軽減になります。負担の軽減、両方だと思いますが、負担の軽減になる。沖縄の地元の負担軽減。その負担の軽減をするためには、これは今から、あちらもおよそ財政事情は双子の赤字があれだけ立っているぐらいですから金はないと。ほっておくと、これは十年計画、十五年計画で逐次逐次、千人ずつやりますとか何とかずつやりますというんじゃとてもじゃありませんので、経費を少々私どもの方で負担しても、負担の軽減を促進するためには、負担軽減を促進する、早くやるためには、なるべく早くできて、すっと向こうに、まあすっとで行くかどうかは別にして、行くようにするというのが私どもの基本的な考え方のコンセプト、哲学の背景であります。
  186. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 もちろん、米軍が世界規模の再編をやる中で日本の基地を使って、我が国がいかに抑止力を保って、しかも基地の周辺の皆さんの負担を抑えていくかと、確かにここがポイントだと思うんですね。それを、じゃ具体的に我が国の国益の立場に立ってどうやって交渉していこうかという局面だと、今正にそうだと思うんですね。これ、お互いに高いの安いのと言い合っても、決してこれは論理的に交渉にならないと思いますんでね。  では、具体的に、そうしたら、引っ越すとすればですね、まず、その今まで使っていた基地をこれは閉めなきゃいかぬと。閉めて、通常であればこれは原状復帰するわけですね、あと、また使わなきゃいかぬわけですから。その原状復帰の費用というのは、大臣、日米どちらが負担するべきだと思われますか。
  187. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) どちらが負担するべきか。
  188. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 はい。
  189. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) どちらが負担するべきか、ちょっとまだとてもそこまで至っておらぬので、まずとにかく移る先がまだ決まってない段階ですんで、しかもそれ、今から順調にいっても数年掛かる話なものですから、終わった後、どういう状態になるかもちょっとよく分かっておりませんので、その負担を向こうがするかこちらがするか、その跡地の利用の仕方につきましてもいろいろ考えねばいかぬところだと思いますんで。丸々更地にした方がいいのか、そのままある程度何らかの形の、使えるものは使えるようにした方がいいのか、ちょっと正直、そこらのところも極めて不明確だと思いますんで、正直申し上げて、まだそこの段階まで考え方を詰めているわけではございません。
  190. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 それでは、国内のことはいいとしまして、グアムに移転をすると。グアムに移転をする都合は日米両方あるかもしれません。しかし、米軍の世界戦略の中でグアム移転という話は、実は、手元に資料があるんですが、米軍の国外基地再編成検討委員会報告というのがありまして、これ諮問をアメリカの大統領から受けて、去年の五月の九日にこれ報告を出している、これ報告書なんですけどね、同僚議員からもらったんですけれども。この中を見ますと、もう既に、グアムに移転をすると、しかも海兵隊の司令部をグアムに移転するということはもうはっきりここに書いてあるわけですね。  としますと、少なくともグアムに移転する、その部分の新たなインフラの整備の費用っていうのは、これは相手が持つべきじゃないかと思うんですけど、いかがでしょうか。
  191. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的に私ども日本政府として考えておりますのは、沖縄からグアムに移転をいたします兵若しくは家族、そこの関する部分の負担というものを基本的に考えておりまして、先方様がそこで何を、アメリカがそこで何をどうされるかということに関しては私どものかかわり合うところではないのであって、基本的に移転をする家族若しくはその、何ですか、兵の宿舎等々、そういった基本的なところがその対象と考えられるべきものだと思っております。
  192. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今、ちょっとよく分からなかったんですけど、移転をする費用、で、宿舎って最後おっしゃったのはグアムの宿舎ですか、日本の宿舎ですか。
  193. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) グアムに日本から撤退をいたしますんで、撤退をしていく先にできます、こちらから移ります八千人プラス家族等々の住居というようなものが常識的には考えられるところではないかというところであって、いわゆる、何というんでしょうね、その他例えば滑走路とか何とかかんとか言われても、ちょっとなかなかそういったものではないんではないか。軍の関係するものではないんであって、我々の関係しておりますのは沖縄に関連する部分というのが基本的な話合いの対象になり得るところではないかというように考えております。
  194. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 ちょっと話が戻ってしまうんですが、そもそも、いわゆる地位協定の中の負担でもないと、あるいは在日米軍駐留経費特別協定の負担でもないと、こういうものを負担するとしたときには一体どういった法的な枠組みの中でおやりになるつもりですか。
  195. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今はまだ、どこをどうするとか、最終的な詰めができているわけではありません。これは度々防衛庁長官も、先ほど梅本審議官の方からも話がありましたとおりです。したがって、どこをどう詰めるかっていうところまで至っておりませんので、したがって今この段階で実はこういう案ですということを申し上げて、しばらくしたらまた、今週末また違ったりするとまた話が込み入りますんで、私どもとしては、今、相手側のある話ですんで、交渉経過ですんで、何とも申し上げられませんので、ちょっと、この法律をこうするとか新しく法律を作らねばならぬとかいうようなことを今この段階で申し上げられるようなところではございません。
  196. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 法的な枠組みは今話す段階ではないと、しかし期日としては、合意に達しなければいけないのは今月末と聞いておりますが、それでよろしいんですか。
  197. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 相手様のあることでもありますんで、私どもとしては、できれば是非三月末までにと。十月の2プラス2のときにそれでスタートしておりますんで、私どもとしてはこの三月末までに是非と思って精力的に、今週末はたしかアメリカだと、の予定ですけれども、そういった形でできる限りきちんとしたものを積み上げたいと思って、まあ一日遅れたらどうするとか、おまえ二日遅れたら違うじゃないかとか言われるとまた話は込み入るのかもしれませんけれども、少なくとも基本としては、私どもは三月三十一日までに間に合わせたいという意欲を今でも持ち続けております。
  198. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 大臣、ちょっと不思議なんですけどね、どういった法的な枠組みにするかは分からないと、少なくとも既存の地位協定や特別協定の中にはないと、そうした非常に先行き不透明な中で交渉せぬといかぬと。万が一、そういった法的な枠組み、法ですから成立させなきゃいかぬ、もしそれがうまくいかなかったときは、一体どこからこの費用は拠出しようと、今腹積もりはお持ちなんですか。
  199. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 仮定の問題でこうなったらこうなるとか、ああなったらと言われると、ちょっと仮定の問題に関して全部お答えができるわけではございません。  ただ、私どもとしては、今申し上げたように、三月三十一日というのを一応のめどとしてスタートさせたのが去年の十月の2プラス2ですから、その線に沿って私どもとしては誠心誠意これまとめるようにやってみて、その上で、その答えを見た上でしか判断のしようがないというのが現状だと存じます。
  200. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 それでは、百歩譲って、全部で一兆一千億円強という数字は相手の出してきた数字、これは根拠を求めておられますか、今。
  201. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 私ども、協議の中で、アメリカが今グアムにおいて、元々海軍と空軍がグアムには駐留しているわけでございますが、それに対するいろいろな計画を持っておった。そこに対して、また海兵隊が約七千、八千、家族を含めますと一万七千とかそのぐらいの人が入っていくということでございます。  ですから、グアムの中をどういうふうに施設整備をしていくのかということをアメリカは計画を持っております。そこの中の特に海兵隊に関する部分について、私ども、いろんな質問をし、説明を聞いてきているというところでございます。その中で、アメリカ側が現在までにいろいろ考え方を整理し、試算をしたものというようなものについての概略の説明を受けておりますが、まだアメリカも非常に細かいところまですべてが詰まっているわけではない、そういう前提で一定の幅を持った予測というか、見積りというようなものは私ども説明は受けております。
  202. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 いや、私が聞きましたのは、一兆一千億強のアメリカ側が出してきた見積りの根拠を求めたかどうかということを聞いているんです。
  203. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) ですから、アメリカ側として、例えばこの八千人の海兵隊プラス家族が九千人だとすると標準的にこういうような施設が要ってこういうようなことがあると、それは標準的には大体このぐらいの額が見積もられるというようなことから始まりまして、更にそれからいろいろ細かいところを詰めた、これまでの詰めたところ、大体こういうことではないかというようなことについては説明を受けておりますし、こちらの方からいろいろな疑問点は質問をしていると、こういうことでございます。
  204. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 いや、一兆一千億という大変な金ですからね、その根拠を求めたのか求めてないのかということを聞いているわけで、別に空中からこの数字取ってきたわけじゃないわけですからね、その根拠がある程度はしっかりしてないと交渉も何もできないはずなんですね。その根拠を求めたのかどうかというのを端的に答えてくれますか。
  205. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) なぜ、そのような数字を計算として、アメリカ側が今持っているものがどういう過程を経てどういう計算の下に今のアメリカの概略の試算というのが出てきたかという、その根拠は私ども説明を求めて聞いておるというところでございます。
  206. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 それでは、多分これが一番大きな費用だと思うんですけれども、米軍がグアムに移転した際のあらゆるインフラの整備に掛かるお金、総額で幾らぐらいという数字になっていますか。
  207. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) ただいままでいろんな協議を行っております。アメリカ側もいろいろなまだ詰めというものをしている途中でございますし、また協議も引き続き続いてまいります。そういう段階で、今現時点での数字というようなものをお答えするということはちょっと差し控えさしていただきたいと思います。
  208. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 それは、知っているけれどもこの場で言うのは差し控えるという、そういう意味ですね。
  209. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) これは先ほども大臣から御答弁がございましたけれども、検討のまだ途中でございますから、時々刻々、まあ変わると言うと大げさでございますが、いろいろな計算、いろいろな見積りというのをやっている段階でございますので、そういう段階のものを御説明することは差し控えたいと思います。
  210. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 一兆一千億の見積りが時々刻々と変わるわけないでしょう。そんな話をしているから訳が分かんない、交渉もへったくれもないということになるわけで、別に、言える範囲で結構なんですから、一兆一千億の根拠というものを、じゃ向こうに行ってインフラ造るのこのぐらいだからこれぐらい出してよと言われているのかどうかということだけでもいいから答えてくださいよ。
  211. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、アメリカ側がいろいろな試算をして、それは一定の幅の中でこういう試算の今の数字というものはできている。それについては私ども説明を聞いておりますし、また、こちらの方から疑問な点についてはいろいろと質問をしております。そういう中で考え方がだんだんアメリカにおいても整理をされる、その過程で数字が変わったりすることがあります。ただ、それが一遍に三分の一になったり十倍になったりするわけではない、一定の幅の中で動いているということでございます。  ただ、いずれにしても、まだ動いている段階でございますし、協議というものの途中でございますので、詳しい数字についてはお答えを差し控えさしていただきたいと思います。
  212. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 その一定の幅というのが一兆一千億強の中でどのぐらいぶれているのか教えてください。時々刻々というのはどのぐらいの頻度でぶれているんですか。
  213. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) そこはちょっと余り数字の中に立ち入って御説明することは、恐縮でございますが、差し控えさしていただきたいと思いますが、私ども協議をするたんびにいろいろな質問をする、疑問点を質問をする。それに対して、また次の協議あるいはその協議の前にいろいろな資料を説明を聞いているということで、その中でいろいろな数字が変わってくるということはございます。ただ、それは、正に先ほど申し上げましたように、一遍に五倍になったり半分になったりと、そういうことではないということでございます。
  214. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 一遍に五倍になったら日本の防衛予算五兆円以上になってしまうわけで、そんなことはもちろんないんでしょうけど。  これいろいろ伺っている理由は、米軍の海外基地再編検討委員会の報告、これは大統領に出されたものを見ると、はっきり書いてあるんですね。グアムの総司令部、沖縄からの海兵隊の移転に係るインフラ整備の費用は最大限で二・九ビリオンですから、約、為替もありますでしょうけど三千二百億円と、はっきりとここに見積りが書いてあるわけですね。これは、先ほど大臣にお伺いしたときにちょっと申し上げた、いわゆるグアムに司令部を持っていって、そのインフラすべての金額がここに三千二百億円というふうに書いてあるんですよ。これはもう米側の資料ですからね。  それに対して、今回の交渉で一兆一千億円というのは一体どういう計算になっているのかな、どうしても腑に落ちないんですけど、この辺はどうでしょうか。
  215. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) ただいま委員が御指摘になりましたその委員会について、ちょっと事前に通告いただいてないものですから、委員会の報告書そのものをちょっと持っておりませんので、その数字についてはコメントをすることは差し控えさしていただきたいと思います。  ただ、いずれにしても、私どもアメリカとの協議で、これは八千人の海兵隊、まあ約八千人、それからそれに伴って家族が九千ぐらい、その人たちがグアムに移っていったときに生活をするためのベース、それから正に軍として活動するためのベース、そのためには概略こういうようなものが要って、こういうようなものについては大体通常であればこのぐらい掛かると。ただ、グアムにおいては、特殊な、まあ島という特殊な状況にあるので、工事費の見積りがある程度これよりもこのぐらい増える可能性があるというようなことから、一定の幅で大体このぐらいでは、なると、今のところ見られるのではないかというようなことはその都度聞いておるということでございます。
  216. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 両大臣に伺います。  交渉に当たって、相手がどういう腹積もりでいるのか、一体どのぐらいの費用見積りを持って交渉の場に臨んできているのかというぐらいを押さえておくのは当然のことだと思うんですね。  それを、今伺ったところ、交渉の本当の担当者である御本人がですよ、昨日の、まあ今週の交渉の中でちょうちょうはっしとやられているはずの御本人が、この数字、こんな大事な数字、簡単な数字なんですけどね、この数字さえも頭に入っていない。この程度のことで、本当に国民の税金を少しでも安くしようという態度で交渉に臨むことは、とてもじゃないけど、できないと思うんですよ。まずは、両大臣が、何しろこれで交渉してこいと、少なくとも相手の情報としてはこんなものがあると、こういうところを交渉して、あとはおれが責任取るというぐらいでやらないと、担当者はとても交渉できないと思うんですけれども、その辺の心積もりをお聞かせいただけますか。
  217. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘のありましたところで、まず今の資料の話ですけれども、それは私ども理解では、米連邦議会の委託に基づいていわゆる何、作成しているものでしょう、それ、たしか。
  218. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 大統領と……
  219. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 米政府の方針とかまた現在の検討状況を必ずしも反映したものではないという大前提になって話をしていただかないとちょっと誤解を招くと思いますので、それ、米連邦議会の依頼に基づいて作られたものだというように理解しているんですが、その書類と全然別の書類をお持ちなんでしょうか。
  220. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 これは、大統領に諮問をされた米軍国外基地再編成検討委員会の報告書であります。日付が五月九日なんですが、同じものをごらんになっていますでしょうか。
  221. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私どもがアメリカからもらっているものによると、米政府の話だと、米海外基地見直し委員会が米連邦議会の委託に基づいて作成しているものという前提になっているというように理解をしております、まず最初に。  これがあれなんで、ちょっとその内容について私ども一つ一つ、連邦議会の話ですから私どもがコメントする立場にはないんだと思っておりますけれども、少なくとも私どもとしては、いきなり一兆円とか一兆何千億でしたかの話をいろいろ言われたり、話がいろいろ巷間言われておりますけれども、私どもとしては、少なくとも沖縄の負担軽減を促進するというのが従来の目的であって、私どもとしては米軍の抑止力の維持と負担の軽減という二つを両立させるために、私どもとしては、速やかにそれが実行可能あらしめるためには日本としてどういうことができるかというのが大前提。  したがって、私どもとしては、米連邦議会どうの、いろいろ話がありますけれども、グアムの米軍の再編成に伴いましてその全額を私たちが負担をする責任とか義務というのはあるわけでは全くありませんし、私どもの部分というのは、極東の平和とかいろんな表現ありましょうけれども、そういった部分に資するところというのが私どもです。  しかし、その中でも、何といっても沖縄の負担軽減というところが一番の最重点というような点から、私どもとしては、この点の交渉をするに当たっては、最重要な点はそこが促進される、速やかに促進されるというのが優先順位の一番、そういう前提に立って交渉というような形で指示をいたしております。
  222. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 まず一点確認さしてください。  そのお手元の資料、私の手元の資料は米大統領あての文書なんです。連邦議会あてじゃなくて、一行目に、米大統領あてと書いてあるんです。日付が五月九日なんですけれども、同じ資料でしょうか。
  223. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、私どもの方は、コミッショナル・リザーブ──以下委員会というで、大統領及び議会に対し、在外米軍施設に関する報告書として二〇〇五年五月に出されておりまして、米政府見解を表明するものではないが、委員会は、米国の戦略に関する分析のほか等々いろいろいろいろ書いてあるのと同じものなんだと存じますが。
  224. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 そのあて先はアメリカ大統領になっておりますか、それが一点。もう一点は、五月の九日になっていますか。それだったら同じ資料なんですけれども
  225. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 五月の九日になっているか。ああ、五月九日になっております。
  226. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 大統領ですか。
  227. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) なっております。大統領及び議会、大統領及び議会に対して、さようになっております。
  228. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 ですから、これは、大統領及び議会の諮問に答えて作られた公式の報告書なんですよ。  もちろん、先ほどのお話のように、去年の五月ですから当然いろいろな事情はあるでしょう。しかし、取りあえず先方が言ってきた一兆一千億と、ここではっきりと書いてある、二・九ビリオンですから約三千二百億円、この乖離というのは余りにも大きいんですね。その内容を、手元にあるわけですから、交渉担当者は当然のことながらそれ承知しているはずなんですけどね。その件について、どういう問いをこちらの方から交渉の中で発しているんでしょうか。
  229. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 私ども、アメリカ側からいろんな資料が出てくる、それに対してこれが、海兵隊が移っていく、家族が移っていくときに絶対不可欠なものなのかどうか、それからそれの大きさとか施設の規模等について適正なものであるかどうか、また、その価格の見積りが適正なものであるかどうか等々についていろいろ質問をして、一部については回答を得ておるというようなことでございます。
  230. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 私は、議会に対してやっぱり説明責任があると思うんですよ。やっぱり我々がいろいろな質問をして、日本の議会でこれだけいろんなことを言われているんだと、だから交渉力にも迫力が出るわけでありまして、我々は国民の代表ですから。幾ら何でも手元に持っている資料を三千二百億と一兆一千億の差ぐらいはきちんと確認するように大臣の方からも指示していただきたいんですが、いかがでしょうか。
  231. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 重ねて申し上げるようですけれども、確認を申し上げておきますけれども、五月の九日のこの資料を拝見をさせていただきますと、これは報告した相手は米大統領と米議会ということになっておりますが、諮問をいたしたのは米大統領府ではなくて、米国議会がこの諮問委員会に諮問をいたしたというのが正しいあれであります。  その上で、まあ昨年の五月と今と大分また事情も違っているとは思いますけれども、私どもとしては、少なくともその内容について、その後のアメリカの中とかいろんなちょっと向こう側の話ですからどういうものかよく分かりませんけれども、私どもとしては、少なくとも一兆何千億というお話がありますけれども、それを全額日本に払えと言っているわけでもありませんし、私どもとしては負担をできる、理屈の付かない負担はする必要がありませんので、私どもとしては負担の軽減が促進されるという範囲において、私どもはできる限りのことをやったらどうだと、これまで沖縄はいろいろありましたので、私どもとしては、というのが基本的な考え方であります。
  232. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 同じ資料をごらんになっていると思うんですが、米連邦議会が諮問をして大統領あてに返事が来るというのもちょっと不思議な感じがしますけれどもね。  この話これで最後にしますが、少なくとも交渉のベースとしては一兆一千億ではなくてここに出ている三千二百億がベースであって、そこから交渉が始まるべきだということを申し上げて次の質問に移りたいと思います。  今日、本当は本題としてお伺いしたかったのは、2プラス2以降、日本のこの統合運用という、統合運用ですね、自衛隊の統合運用、そして米陸軍司令部のキャンプ座間への移転、同時に陸自中央即応集団がやっぱりキャンプ座間に移るというような形で、どんどんこの日米軍、そして自衛隊、三つの自衛隊の中の統合運用がどんどん加速されていっている状態だと思うんですけれども、まず、昨日ですか、統合幕僚監部というものができたのは昨日ですね。  防衛庁長官に伺います。今までは情報本部というものが統合幕僚会議の下にあった、今度は防衛庁長官の直属になったわけですけれども、これはどんな意味があるんでしょうか。
  233. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 統合幕僚監部が昨日からスタートしたわけでありますけれども、これは陸海空がそれぞれ個別に対応していたものについて、長官の下で一元化をしていく、そして統合幕僚長をつくると。その中で、情報管理は極めて重要なポジションを占めますので、長官の下において情報管理と統合運用と連動させていく、それによって機動的、効率的な対応措置ができるようにするということでございます。
  234. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 この情報本部の取扱いなんですけれども、アメリカのUSストラットコムですか、これと対応するものと考えてよろしいですか。
  235. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) アメリカの何ですか。
  236. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 ストラタジックコマンド、略してUSストラットコムと。
  237. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 直接的に私、それを掌握しているわけでありませんが、それとカウンターパート的に同じ機能を持つものではないです。
  238. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 そうすると、日米の違いはどの辺にあるんでしょうか。
  239. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 情報本部につきましては、アメリカの国防省で申しますと、国防省全体の情報サービスを扱いますいわゆるDIAという組織がございますけれども、機能としては情報本部は米国に例えますとDIAに近いというように認識しております。
  240. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 私は、その情報の話を持ち出して何が言いたいかと申しますと、冷戦時代に対潜哨戒機のP3C、あれ百機以上持っていた。今でも九十七機か持っておりますね。しかし、これはあくまでも米軍との統合運用の中で必要な軍備であって、本当に日本の独自の自主防衛、専守防衛のためにこれだけP3C必要かといったら、決してそうではない。その反対に、今何が一番必要かというと、この間も同僚議員が予算委員会でやりましたけれども、今一番大事なのは、これ、情報じゃないかと思うんですね。  この情報のいろいろな取組があるんですけれども、米軍と比べても、日本の情報通信体制の構築に掛かる費用が非常に少ない、例えばサイバー攻撃対処の構築に二十四億円しか掛かってない。これ、二けたぐらい額が違うんですけれども、この数字はこのとおりでよろしいんでしょうか。
  241. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) 済みません、突然のお尋ねなんで、今ちょっと数字は把握しておりません。
  242. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 これ、昨日通告してある中の一部分、一部なんですね。より高度な情報通信体制の構築というので本年度の予算が千九百六十二億円、その紙はあると思うんですけれども、その中の③サイバー攻撃対処態勢の構築二十四億円、これはこのとおりでよろしいんでしょうか。
  243. 増田好平

    政府参考人(増田好平君) 私どもが整理しております中で、サイバー攻撃対処態勢の整備という項目で十八年度予算に考えておりますのは二十四億円ということで、今お示しの数字でございます。
  244. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 実は、昨年の七月の当委員会で、私、同じ質問をいたしました。  情報に関する我が国の取組、法的あるいは資金的、人為的にこの情報に関する取組は非常に後れているんではないかと指摘をしたんですけれども、ここに平成十三年の防衛庁が作った資料がありますんで、このサイバー攻撃の例のところどころをちょっと読ませていただきます。  九四年から、三月から四月にかけてデータストリーム・カウボーイ事件というのが起こりました。これはイギリスの十六歳の少年が米空軍ローム研究所のコンピューターネットワークに侵入をし、これを占拠するとともに、韓国の原子力開発研究所に侵入して、そして同研究所内の情報をローム研究所のコンピューターにダウンロードしてしまったと、こういう事件が九四年にあっているんですね。しかも、イギリスの空軍は、少なくとも三日間は攻撃されているということに気が付かなかったと。これが九四年ですから、十二年前でございます。  そして、今度は九八年、ソーラー・サンライズ事件というのがあったんですね。これは九八年の二月に、三週間にわたって米国国防省のコンピューターシステムが侵入されたと。そして、当時のハムレ国防副長官は本攻撃を最も組織化された計画性のある攻撃とその当時は評したんですね。ところが、犯人はイスラエルの十代の少年一人、そしてカリフォルニア在住の二人の十六歳の少年であったと。これが九八年ですから、まだ八年前のことなんですね。こういう事件がある。そして、どんどん頻発して高度化、複雑化して国際化しておると。  そうした中で、やっぱりこれはデータの保護というものはしっかりやらなきゃいかぬということで、防衛庁もそして内閣官房の取組も今始まっておると思うんですけれども、どうでしょうか、このサイバー攻撃対処、これに二十四億円というのは余りにも少ないんじゃないですか。これと比べて例えばイージス艦、イージス艦に今どれぐらい費用を使っておられるのか、ちょっと教えてください。
  245. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) イージス艦については今四隻保有しております。四隻保有しておりますが、一隻当たり約千二百億円になっております。それから、最近において平成十四年度、十五年度に二隻調達、それぞれ一隻ずつ調達しておりますけれども、平成十四年については千四百七十五億円、平成十五年分につきましては千三百六十五億円になっております。
  246. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 私はこのイージス艦を、今既に持っている四隻合計で四千九百二十一億円、そして今造っている二隻で二千八百億円、合計で七千七百億円という数字をここに使っているわけですね。これからまた二隻の予定があるというふうにも聞いておるんですけれども、私はこういう使い方がまたP3Cの二の舞になるんじゃないかという危惧を持っているわけなんですね。  例えば、じゃ、このイージス艦の情報収集能力が非常に高いのは分かるんですけれども、例えばこのイージス艦の情報収集能力、日本の場合、本土の防衛ということを考えたときに、陸の上じゃ駄目なんですか。
  247. 大古和雄

    政府参考人(大古和雄君) イージス艦につきましては、高度な防空能力を生かした対空戦闘等を中心とした任務に従事しております。そういう意味で、いわゆる護衛艦として船である必要があるというふうに認識しております。
  248. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 ここにもう一つ新聞の記事があるのを今日持ってきているんですけれども、イージス艦による情報収集で我が国を守っていくと。どの程度の形で守っていくのか、費用対効果はどうなのか。しかしそれに対して、今現実にどういう事件が起こっているのかということを考えたとき、例えば中国、昨年、情報化部隊というのを創設をしたと、この新聞の記事に書いてあるんですけれども。これはどういう部隊かといいますと、簡単に言いますとハッカー部隊、いわゆる電力あるいは通信、そして水道あるいは情報関連、原子力発電所、もちろん我が自衛隊、そういうところに情報を通じてハッキングを行って、そしてそこに侵入し、データの改ざんあるいはデータの持ち出しというようなことまで、軍でハッカー部隊というのをつくっているという記事がここにあるんですね。これは別に中国だけを私はここで責めようとかいう気持ちではありませんで、それはどこの国でもこういう取組がある。  例えば、ここに北朝鮮の記事もあるんですけれども、北朝鮮の山間部ヒョンジェサンにサイバー戦争のための訓練に特化した士官学校があり、過去二十年近くにわたって毎年百人ものサイバー兵士を養成してきたと、少なくとも韓国の軍、諜報当局によると、この情報戦に備えた大学によって北の脅威は高まっていることが警告されているというふうにこれ書いてあるんですね。  防衛庁長官、こういう言わば、この間から防衛庁内の情報漏えいの事件もありました。確かに情報漏えいしないことも大事なんですけれども、逆に表からの、こっちがどんなにきちっとやったとしても表から入ってくる、しかも最新の部隊を使って入ってくるという事態に対処するためにこの二十四億円というのは余りにも少ないと思うんですけれども、どうでしょうか。
  249. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) そうですね、今度の中期防計画の中でも、従来の脅威型の対処能力から、テロだとか情報・サイバーテロとか、そういう新しい事態にいかに敏速に対応していくかということにシフトしつつあるということははっきりしているのでありますが、我々も今後、そういうサイバー攻撃に対処するためにファイアウオールの導入とか重要度に応じた回線構成、防護部隊によるシステム監視、暗号の使用、セキュリティー要員の養成など、そういうことについてしっかりと対応していかなければならないというふうに思っております。  これはもう我々防衛庁だけではなくて、政府全体がきっちりと取り組んでいく必要があるというふうに思っておりますので、それはもう犬塚委員指摘のとおりだというふうに思います。
  250. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今長官おっしゃった中期防の中の情報のところを読みますと、統合運用の強化や情報機能の強化について言及があるんですけれども、しかし情報の保護については一言の言及もないんですよ。それは御認識されていたでしょうか。
  251. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 情報の収集、分析、伝達、そして保護というのは、これはもう当然情報分野における一貫したシステムづくりの重要な部門であるというふうに認識をしているところでございます。  最近はまた我が庁内においても秘情報流出事件等々が相次いでおりますので改めて、国内においてもあるいは同盟関係においても、そういうことについてきっちりと保全体制をしっかりしていく必要があるというふうに改めて認識をしているところであります。
  252. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 我が国の防衛を考えたときに、イージス艦に六千五百億、そしてこの最も大事な、一番身近の今起こっているこの事件に対して二十四億。しかも、中期防にその情報の防衛についての記述がないという事態を是非重く受け止めていただきたいというふうに思います。  やはり、情報を守るという意味で、昨日も問取りで防衛庁の方に随分お話をさせていただいたんですが、防衛庁の中だけの意識を持っておられて、日本全体の意識というのはやっぱり官房、内閣官房の方に出向者がいて、そこで各省庁の人たち一緒にやっているというような話、説明を受けました。  海外の同様な重要インフラ防護機関というのをちょっと調べてみますと、アメリカはIAIP、国土安全保障省、イギリスは国家インフラストラクチャー安全調整局、NISCC、ドイツは内務省連邦情報技術安全局、BSI、フランスは国土保安局、DST等々、相当な取組でやっておられると。  日本の情報セキュリティ対策推進室が立ち上がりまして今活動しておられると聞いておるんですが、現状の取組と、そして使っておられる予算と人数を教えてください。
  253. 松井房樹

    政府参考人松井房樹君) 政府全体としての情報セキュリティーの取組についてでございますけれども、基本的には情報セキュリティー対策は各省庁がしっかり取り組むということは大事でございますけれども、それだけではなくて、政府として統一的、横断的に取り組む必要がありますので、そのために私ども内閣官房情報セキュリティセンターが昨年の四月に設置されたわけでございます。  予算でございますが、平成十八年度予算で申し上げますと約三億五千万円でございまして、職員数は現在約五十名でございます。なお、この上に、我が国の情報セキュリティー政策の重要事項を審議、決定する機関として情報セキュリティ政策会議というものが設置されております。昨年の五月に設置されておりますけれども、これにつきましては、議長であります内閣官房長官を始め六人の閣僚議員と民間有識者六名の十二名で構成されておりまして、平成十八年度予算につきましては運営経費として約一千四百万円でございます。
  254. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 会議予算が一千四百万、そしてその本体の方が三億ちょっと、やはり各国が本気で取り組んでいる中にあって我が国のこのNISCですか、内閣官房情報セキュリティセンター、この取組をもっとしっかりとやっていっていただきたいというふうに要望しておきたいと思いますが、一言、御決意を外務大臣防衛庁長官、お願いします。
  255. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的に、犬塚先生、何となく日本の場合は情報とか諜報とかいうものは元々昔から余り地位が高くない職業なんだと思いますね。織田信長の時代はもっと、ああいったものを使い始めたあの時代にさかのぼって常に地位は高くない。最前線にいる派手な、いわゆるよろい武者着けた方が地位は高いという長い歴史だと思いますよ、この国の場合は。イギリスの場合はMI5になればサーが付きますから、日本でも情報が佐官から将官に上がったのはついこの四、五年のことだと思いますんで、なかなかそういったものに関する意識が低かったんだと思っておりますが、おかげさまでいろいろ御指摘があってみたり、またITというものとかICTというものの異常な発達のおかげでこの情報とかサイバーとかハッカーとかいう言葉が、昔、十年前はハッキングなんて言葉が通常で全く通じる言葉じゃありませんでしたから、そういったものがこれだけ通じるようになったのは随分進歩しているとは思いますけれども、今後この部分はもっと意識を高めた上に金が掛かる、その意識を持たない限りはこういったものはきちんと対応はできない、私も全く同じ意見です。
  256. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) もう犬塚委員がおっしゃるとおり、我々が学生時代にイザヤ・ベンダサンが安全と水はただで供給されていると、情報もその一部だと思いますけれども、コストが掛かると、そういうことについて改めてよく認識をして情報セキュリティーの体制を、防衛庁はやっぱり国の安全を保っていく役所ですから、そういう先頭を切ってしっかりと体制づくりをしていかなければならないというふうに思っております。
  257. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 御存じだと思うんですが、第二次世界大戦中の八木アンテナ、日本はやっぱりこういう技術を物すごい持っているわけですよね。今でも私は日本の情報技術というのは物すごい世界に冠たるものがあると思うんです。それをやっぱり認めて伸ばして、そこでやっぱり日本の防衛を考えていく。八木アンテナは、あれは本当に日本があのとき価値を認めていればレーダーは日本が持っていたはずなわけでありますから、イージス艦やミサイル防衛もいいでしょうけれども、何千億という巨額な金額を米軍との統合運用の中で使うんであれば、やっぱり日本の防衛を真に考えて、情報の方をもっと投資とそれから注意を向けていただきたいと思います。  海外における情報ということも、実はPKOとか人道復興支援等々、今我が国やっているわけですけれども、実は海外においても非常にこの情報の取扱いがまあクリティカルなものだと言われていると。  実は、三月三日の日に、私、青山の国連大学の文民警察の国際貢献というのに参加してまいりました。世界各国の警察署長ですとか、あるいは紛争途中の国々に対して警察官の人たちが行って社会制度の構築支援をしていると、そういう人たちが集まって報告会があったわけなんですけれども、そこで基調講演の質疑でグラハム・デイさんという方が一言言ったのが非常に頭に残りまして、彼はこう言ったんです。安保理は現地のインテリジェンス能力なしにPKOをスタートさせるべきじゃないと、現地のインテリジェンスなかったらPKOを初めからスタートさせるなということをこれは言っているんですね。  実は、ここで警視庁の国際課長の竹内直人さんが見えていたんで、この辺りのことをちょっとここで報告していただきたいと思います。
  258. 安藤隆春

    政府参考人(安藤隆春君) お答えいたします。  当日出席していたのは警察庁の国際課長の竹内でございますが、私は直接出席していませんので直接のやり取りはあれでございますが、そのような報告を受けておりますし、あるいは、軍事部門と文民部門との情報共有について重視すべきではないかという意見があったということを報告を受けております。
  259. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 国内においても海外においても、人道復興支援するときにおいてもこの情報というものが最も重視されていると、正にその一色の半日の論議でありました。  ここまで来ますともう一つどうしても申し上げておきたいのは、昨年もこれ私、言ったんですけれども、実はアメリカの軍事防衛委員会、上院の中の委員会で、二〇〇二年にCNAの技術的、法的な検討がなされているという報告がありました。これ、CNAというのは何かといいますと、コンピューターネットワーク攻撃であります。要するに、防御をするということと攻撃をするということが、このサイバーの世界では一体どこからどこまでが攻撃で、どこからどこまでが防御なのかというところがこれ混然一体としているんですね。例えば、いろいろなところからウイルスが送られてくる、あるいはハッカーが入ってくる。これを防御するためにはやっぱりどこから来ているかということを突き止めなきゃいかぬ。いろいろな、アメリカやあるいはソ連や中国を経由して実は日本から出ているということもこれはあり得るわけですね。そして、ここで特に言われているのは、米軍では、米国ではかなり実現のめども付いたと言うが、ここでどんなことができるかというと、これやるかどうかは別ですよ、しかしネットワーク破壊したり、敵のコンピューターに侵入してデータを改ざんしたり、あるいはワームを放って相手の指揮統制システムをダウンさせてミサイル発射を阻むといったことも可能かもしれないと、ここまで書いてあるわけですね。  ということは、今ミサイル防衛で、ブースト段階ある、ミッドコースがある、ファイナル来る。今ブースト段階はできないようですから、ミッドコースとファイナルでこれ撃ち落とすというのは非常に難しい。そうした中で、本当に防衛を考えて思ったら、やっぱりこういうCNA、コンピューターネットワーク攻撃についてもやっぱり技術的、法的な検討を我が国も始めるべきだと。昨年も指摘させていただいたんですが、この検討を始めるべきだと思うんですけれども、両大臣意欲といいますか、御決意をお願いしたいんですけれども
  260. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 技術的に外務省としてという話になりますとこれはちょっと管轄外なんですけれども、コンピューターというものの発達というものからいきますと、長いこと総務省のこの種の話ばっかりやらされましたんで、そこそこの知識があるという前提で言わせていただければ、可能です。これは、ディフェンスができるということはオフェンスもできるということですから、そういった意味じゃ可能、それを実際にどうするかどうしないかはこれはまた別の話だと存じます。  基本的には今、日本の技術というものは多分最先端の域に達していると思いますけれども、しかしその人たちの値打ちをどれくらい理解されているかと言われると甚だ疑問だと存じます。少なくとも養成するに当たって、ペンタゴンに侵入して、侵入した人だけ採用してあげるというような役人の採用制度が日本でできるだろうかと。私は甚だ難しいなと正直存じます。
  261. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 時間が参っていますので、答弁は簡潔にお願いいたします。
  262. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) しかし、現実問題として、それが現実だと存じますが。
  263. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今の犬塚委員の御指摘ですが、防衛庁の場合なんかですと、攻撃に対してどう守るかということについては、それぞれ、陸上自衛隊においてはシステム防護隊、海上自衛隊においては保全監査隊、空においては航空システム通信隊といって非常に防護を固くして守っているわけであります。統合的な幕僚監部においてもサイバー防護保全班というのを設置して守りを固めようとしているんですが、今度はその両方、攻撃力を付けるということの御指摘でありますけれども、これはもう日本のこれまでの経緯からすると、なかなかそこまで手が回らなかったというのが事実でありますけれども、攻撃は最大の防御でありますから、よく意見を受け止めて、これは防衛庁だけではなくて政府全体としてどういうふうに取り組むか、そういう環境づくりが必要なんではないかという思いがします。
  264. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 終わります。
  265. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲でございます。  私は、まず防衛庁、自衛隊の海外における位置付けみたいなことからスタートをさせていただきたいと思うんですけれども、まず防衛庁長官にお聞きいたします。  さきの二月三日の私の質問、外交防衛委員会において、額賀防衛庁長官が自衛隊のことを日本軍とおっしゃっているんですね。日本軍です。私、びっくりしまして、これは私のきっと空耳かと思ってビデオを見たり議事録を見て精査しましたところ、確かにそうおっしゃっているわけなんですね。前後の文脈から長官もつい口を滑らせてしまったのかなと思って、きっとそのうち事務方から修正の連絡でもあるんじゃないかなと思っていましたら、全然ない。つまり、長官は自衛隊、軍隊だと、日本軍だという認識なんですね。
  266. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 日本軍と言ったことは記憶にないんですが、文言に書いてあるとすれば、きっとしゃべったことでありましょう。自衛隊、防衛庁・自衛隊という表現が正しい表現でございます。
  267. 白眞勲

    ○白眞勲君 大臣が口を滑らせてきっと、かなと私も思ったんですけれども、じゃ何で今になって訂正なんだろうかと。約二か月たっているわけなんですね。それに私が今ここで指摘しなければ、この議事録はそのままほっておかれたわけでございます。つまり、これは事務方にお聞きしたいんですけれども長官には連絡しなかったんですか。
  268. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) お答えします。  申し訳ございません。私らの方は、余りそこ気が付かずに、大臣の方には報告しておりませんでした。
  269. 白眞勲

    ○白眞勲君 事務方の方はこの日本軍というふうに言ったということは認識していたんですか。
  270. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 済みません。私個人としましては、そのちょっとチャンスなくて、聞き落としておりましたもので、そこは認識しないままでまいりまして、済みません。そこのところ、全部の大臣答弁を全部フォローしたことは私自身はなかったもので、知らなかったのが実情でございます。
  271. 白眞勲

    ○白眞勲君 官房長は知らなかったということは、どなたもこのいわゆる議事録を精査する方が、何ですか、防衛庁にはいないということなんでしょうか。
  272. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) この答弁につきましては、テレビ中継等ございますので、何人かがいろいろ聞いておりますんで、気が付けばそれなりに上がってくると、それなりに報告があると思います。ただ、議事録が上がってきて、それ一字一句全部フォローするかと、そこまではちょっと、何かこう、問題のありそうなときにはちゃんとそこをもう一度、再度、そういうことを念頭に置いた形でチェックはいたしますが、通常問題なく流れていったものについては、全部一から十までずっと調べるようなことはいたしておりません。
  273. 白眞勲

    ○白眞勲君 極めて私は問題のある発言だと思って御指摘しているわけなんですね。私もそのときに、読みましょうか、ここ、「英豪軍が決めれば日本軍が撤退するという形ではありません。」と、ぽんと答えているんですよ、額賀長官がですね。当然私もそのときにえっと思ったんですね。  そうしたら、皆さん、これ事務方の方はお聞きになっていないんですか。何かすっと通り抜けちゃったみたいなことを今おっしゃったんですけれども、そういうことで国会って成り立つんでしょうか。もう一度お答え願いたいと思います。
  274. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 今、先生御指摘の点につきましては、ちょっと私のところには上がっては、私もちょっとそこを見落としておりましたので、私は全く気が付かなかったということでございます。
  275. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私は官房長を責めているわけではございません。自衛隊としてあるいは防衛庁としてのシステムとして、こういったものがどなたかは分かっているはずですよね。  もう一度お聞きしますけれども、どなたかが分かっているはずでいて、それが官房長にも上がっていないというシステム自体がどうなっているんだろうかということを問題にしているわけなんですよ。その点についてもう一度お聞きしたいと思います。
  276. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 基本的には答弁をずっと一つの係で聞いておるというのが一つの形になるかと思いますが、現実の問題として、時々聞き落とすところもございますので、今回たまたまそういうことがあったのかと思いますが、いずれにしても、今回上がってこなかったということで、こういう不始末になったということでございます。
  277. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、極めて私は大きい問題だと思っているんですね。もちろん、この一字一語が単に聞き逃したという部分では私はないと思うんですよ。これ、いわゆる防衛庁というのは、日本の防衛をつかさどっているわけですよね。こういう細かいこと一つ一つをきちんきちんとやっていくということが私は、システムとして必要なんだと私は思うんですね。特に自衛隊に対してあるいは防衛庁に対しては、ほかの省庁よりもよりそういったものに対して慎重に期すべきであるという自覚が私は必要なんじゃないかなというふうに思うんですよ。まあ、これが例えば外務省だったら何か分かる気もしなくはないんですけれども、事自衛隊については、こういうぽろっと言っちゃったじゃ済まない部分が私はあると思うんですね。  特に、この自衛隊は日本軍であるという極めてデリケートな問題、これを、いや、何だかよく分かりませんみたいな答えじゃどうにもならないんで、もしかしたらこれは官房長ではなくて、何かもうもっと下の事務方の皆さんかもしれませんけれども、ばれたら事務方のミスということで押し通そうじゃないかというふうに何か思っていたんじゃないのかなと。で、もし何かばれたら、私が指摘すれば、そのときには何か官房長にちょっとこうやって謝らしておきゃいいんじゃないか、あるいは長官に、いや失礼しましたと言わせておきゃいいやみたいな感じで、こういったものを既成事実化させていこうという意図があったんではないかとも思えるんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。
  278. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 先生御懸念のようなそういう特別な考えを持って物事をやっているということは絶対ございませんで、大変そういう意味では、気が付かなかったようで、大変不行き届きでございました。そういうような意図はございませんということでございます。
  279. 白眞勲

    ○白眞勲君 こういったシステムというのはないんですか、今まで。
  280. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 国会の答弁において大臣等が発言される場合には、皆さんが非常に強い関心を職員も持っておりますので、それなりにみんなが仕事をしながらも常時テレビが付いておりますので、それに目を向けるあるいは耳を傾けるということをやっておりますんで、どこかで必ず引っ掛かるというのが従来の形でございます。
  281. 白眞勲

    ○白眞勲君 ということは、ということはですよ、何か白の質問はまあいいやと思っていたということですか。
  282. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 決してそういうことはございません。たまたま何かの重なりで、そこはだれかが気が付いたか、それはいずれにしても上に上がってこなかったというのが実情であろうと、こういうふうに思っております。
  283. 白眞勲

    ○白眞勲君 極めて、まあちょっと言い方悪いですけれども、たるんでいるというふうに私は思えるんですね。日本軍ですよ、これ言ったのが。これ私はもしかしたら、わざと防衛庁長官、今回、日本軍という言葉を使ったのかなと思っちゃったりもしたんですよ。というのは、小泉総理が自衛隊は外国では軍隊だということを以前過去におっしゃったこともありますから、それと連動してお話ししたのかなと思ったんですけれども長官、その辺はいかがですか。
  284. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私もその文脈はまだ見ていないから、よく記憶ないんだけれども、今の先生のおっしゃるように、英豪軍が何、英豪軍が撤退……
  285. 白眞勲

    ○白眞勲君 決めれば、決めれば日本軍が撤退するという形……
  286. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) だから、英豪軍と言ったものですから、その流れで、勢いで軍ということが出てきたんじゃないでしょうかと、今そういうふうに問われればそういうことであって、問題意識を持って軍という言葉を使ったわけではないということは明言させていただきたいと思います。
  287. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、本日、自衛隊のトップでおられる防衛庁長官は自衛隊を日本軍と言い、その表現自体を正当化させるような発言を本日これは撤回ということでいいんですね。
  288. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それは、日本軍というふうに話していたことは、自衛隊ということに直させていただきたいということです。
  289. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、これも、議事録からもこれは何らかの手続を取ってやっていただくということでいいですね。
  290. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 結構です。
  291. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしましたら、ちょっと拉致問題についてお話をお聞きしたいと思います。  最近、拉致関係について、漆間警察庁長官がやる気を起こさせるような発言をした後、相次いで捜査当局が、例えば辛光洙などの令状を取ったわけです。また、四月からは拉致問題対策室を警察庁の中に設置するなど、積極的な対応を示しているというふうにも見えるんですけれども、そこで警察庁にお聞きしたいんですけれども、北朝鮮に圧力を掛けることにより、辛光洙など現在北朝鮮にいるとされる拉致関連手配被疑者の引渡しに何らかの良い影響は及ぼすことになるんでしょうか。
  292. 小林武仁

    政府参考人(小林武仁君) お答えいたします。  警察は、北朝鮮による日本人拉致容疑事案につきまして、原敕晁さん拉致の実行犯でございます北朝鮮工作員辛光洙、有本恵子さん拉致の実行犯でございますよど号犯人魚本公博、宇出津事件の主犯格であります北朝鮮工作員金世鎬のほか、本年二月には新たに、地村さん夫妻の拉致の実行犯でございます北朝鮮工作員辛光洙及び蓮池さん夫妻の拉致の実行犯でございます北朝鮮工作員、通称チェ・スンチョル、これを特定いたしまして、それぞれ逮捕状の発付を得まして、インターポールに対し国際手配を行うよう要請するとともに、外務省を通じまして北朝鮮に対し身柄の引渡しを要求しておるところでございます。  北朝鮮による拉致容疑事案は、一般の国際犯罪とは全く異なりまして、北朝鮮の国家的意思が強く推認される犯罪でございます。また、現在国際手配がなされております辛光洙、さきに申し述べました辛光洙、魚本公博、金世鎬、通称チェ・スンチョルの四名は、いずれも、現在、北朝鮮当局の庇護下等にあるものと見られるところでございます。  こうした特異な事案の処理に当たりましては、警察としては、何よりもまず捜査活動等を通じまして北朝鮮による国家的犯罪の全容を解明し、そこで明らかとなった具体的な事実を北朝鮮に突き付けることが肝要であると考えております。
  293. 白眞勲

    ○白眞勲君 ということは、結局、日本政府が圧力を掛けると、この被疑者の北朝鮮からの引渡しにも何らかの良い影響が出るということではないのかなというふうにも思えるんですけど、つまり外務省のマターであると、こういうふうにも思えると思うんですけど、ちょっと外務大臣にお聞きしたいんですけれども、今回のこういった動きというのが圧力となって拉致問題の解決に向け前向きな影響を与えるとは思いますか。
  294. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 両面あろうと存じます。  基本的には私どもは対話と圧力ということでやってきました。対話だけでは事が進まないのはこれまでの経緯から明らかだと思っています。したがって、圧力が要ると申し上げて、いろいろな形でこれまでやらしてきていただいたのがこれまでの経緯。  ただし、私どもは拉致をされた方々全員生存していると思っていますから。向こう側に生存をしている、だから遺族ではない。拉致家族であって、遺族ではないのです。したがって、生存しているという前提で交渉を進めなければなりませんから、そこは殺害されるという危険性はある程度覚悟せにゃいかぬ。そこが一番話を難しくしているわけですから、私どもとしてはこの対話と圧力のバランスというのに最も気を砕いておりますのはその点です。  したがって、私どもはいろいろ考えて、今回はここまで踏み切る。もう対話は、二月やりましたときも進展はないということで圧力のレベルを上げたというように御理解いただければと存じます。
  295. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、ちょっと聞きたいんですけれども、もう一年半になる、例の横田めぐみさんのものとして北朝鮮側が出した遺骨が日本側の鑑定で別人だったということにつきまして、当時の細田長官が、官房長官ですが、北朝鮮に対して、迅速かつ誠意ある対応をしない場合、日本政府として厳しい対応を取らざるを得ないとの方針、これにも今の大臣お話というのはちょっと付随している部分が私はあるんではないかなというふうに思うんですね。  そういう中で、今圧力のレベルを上げるというふうに明言されたわけなんですけれども、その中には、私は万景峰号の入港を止めることというものもどうかなというふうに思っているんですね。このためには、政府に拉致問題特命チームができたということなんだそうですけれども、その議長であられる鈴木政二官房副長官、どうでしょうか、万景峰号を止めたらいかがですか。
  296. 鈴木政二

    内閣官房長官(鈴木政二君) 違法があれば、当然ながらそれは止めることになると思います。
  297. 白眞勲

    ○白眞勲君 違法というのはどういう意味でしょうか。
  298. 鈴木政二

    内閣官房長官(鈴木政二君) 国内にある法律に沿ってない場合は、必ずそういう対応をしていきたいと思います。適正な対応をしていきたいと思っています。
  299. 白眞勲

    ○白眞勲君 私は、以前、去年の五月に何度か政府に対する質問主意書で、万景峰号を止めたらというふうに投げ掛けたんですね。そのときに政府の回答は、現時点において入港禁止を取ることは考えていないということだったんですけれども、当時の現時点ということになりますと、もう一年半もたっているということ。  それと、昨年の十月の時点でさえ、今度、迅速というこの官房長官のことについて私も聞いたところ、迅速という言葉意味するところからいえば、これは去年の十月の時点で、明らかにそれは時間がたち過ぎるという御指摘ならば、それはそのとおりという御答弁もされているわけで、つまり、もうそれからも半年たっているわけなんで、その法律の違反があれば万景峰号を止めることもということではない。  また別のやり方で万景峰号を、今、拉致問題の特命チームである、その議長である鈴木政二さんが、その辺をもう少しレベルを上げて考えていってもいいんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  300. 鈴木政二

    内閣官房長官(鈴木政二君) 今、白議員がるるお話がありまして、それも一つの考え方もあると思います。  私も就任以来、ちょうど安倍官房長官と同じ就任しまして、私が担当ということで命を受けました。それで、その間、組織を拡充をさせていただきました。  まず第一点の、組織は宮内庁を抜いた全省庁に、この特命チームという名前も以前は拉致幹事会でありましたけれども、特命チームとして全省庁一人ずつ代表で入っていただき、なおかつ、御存じかもしれませんけれども、特に広報問題、国民の皆さんによくもっと理解をしていただくために広報と、今日も外務大臣麻生大臣いらっしゃいますけれども外務省と連携をしまして、海外の広報活動にも重点的にしまして、麻生大臣のお許しをいただいて山中あき子政務官もこのメンバーに入っていただきました。  ですから、内外ともにきちっとした、拉致問題は我が国の重要な、最も重要な問題だということを指摘をさせていただき、今現在、広報活動も、御案内かも分かりませんけれども、政府広報のポスターを来月の中旬までにかなりの枚数、各省庁に、全庁挙げて配付をしていただく今段取りにもなっておりますし、基本的に、今言いましたように、もう一つ大変重要な問題の内部組織としまして、分科会方式で法の執行班、簡単に言いますと、厳正な法の執行が各省連携取れて、そして情報の共有を取って、違法があれば徹底的にこの違法を追及する。もう一つ、情報収集会議という会議を設けさせていただき、これは外務事務次官、そういう等の情報を収集して、外務省との今後の交渉の中においてもきちっとしていく形で今進めておる次第であります。
  301. 白眞勲

    ○白眞勲君 どうでしょう、ですからこそ万景峰号を止めたらどうかなというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。
  302. 鈴木政二

    内閣官房長官(鈴木政二君) 違法があればきちっとしていきたいと思っております。情報等はしっかりと私ども把握を今検討している最中でございます。
  303. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、法の執行ということ、違反があれば当然執行するんだという内容のことでございましたけれども、細田官房長官は一年半前にも既に厳しい対応というお話をされている。私の答弁書でも、政府は、この厳しい対応には、当然、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法、今日はいらっしゃるはずの山本一太議員も一生懸命それに対してはやっていたわけですけれども、その法律、これ使うことによって、やっぱり宝の持ち腐れじゃないですか、今のままでは。ですから、やっぱりこういったものを使うことによって、あるいは万景峰号を止めるんだという、そういう意思とか検討をするという姿勢を示すだけでも大分北朝鮮側に対する、今正に外務大臣のおっしゃった圧力のレベルを上げるんだということにも符合するんではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  304. 鈴木政二

    内閣官房長官(鈴木政二君) 私どもは、今いろんな措置等ございますけれども、経済的な効果のみに注目しなくて、その政治的意義にも着目しながら、それが諸懸案の解決に向けた誠意ある対応を北朝鮮から引き出すという目的が私どものこの観点でありますから、検討して実施を、強烈な実施をしていきたいと思っております。
  305. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっと確認したいんですけど、その中には万景峰号も、強烈な実施と今おっしゃったと思うんですけれども、強烈な実施の中に含まれるということでよろしゅうございますね。
  306. 鈴木政二

    内閣官房長官(鈴木政二君) 違法があれば当然やっていきます。
  307. 白眞勲

    ○白眞勲君 ありがとうございます。  なぜ私が万景峰号にこだわるかといいますと、あの船は、結局、北朝鮮の金正日氏とその幹部たちの食料なども運んでいるわけなんですね。結局、北朝鮮に対しての経済的ないろいろな圧力という中で一番効果的なのは、やはり金正日氏とその側近に対する圧力であると、あの国といいますか、あの北朝鮮の状況からしますと。じゃ、どういった食料を運んでいるかというと、私も聞いた話によりますと、高級メロンあるいはワインあるいは霜降り和牛、そういったものを運んでいるんだということなんですね。私、口では霜降り和牛って言っても、私もなかなか霜降り和牛は口の中に入ってこない。そういうものを運んで、やっぱり向こうに対して、金正日氏の食卓の上にそういったものがなくなると、相当にやっぱりそれはアピール度としてはあるんではないかなというふうにも思っておりますので、是非その辺積極的に、今日は横田めぐみさんの御両親も傍聴にいらっしゃっておりますので、是非その辺を積極的にちょっと、鈴木副長官、せっかくでございますんで、一言もう一度お願いします。
  308. 鈴木政二

    内閣官房長官(鈴木政二君) 白議員の情熱は十分分かっておりますし、私ども、今後、国家の威信と、そして御家族の同じ気持ちになって、引き続き対話と圧力の基本的な考え方を持って更に粘り強く総合的にやっていき、政府と国会と国民が、皆さんと一体となってこの問題を解決していきたいと思っております。
  309. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非よろしくお願いしたいと思います。もういいですから、どうぞ仕事してください、次の。  次の質問に参ります。  今年末に任期が切れるアナン国連事務総長の後任としまして、例えばアジアからはタイのスラキアット副首相、そしてスリランカのダナパラ元国連事務次長、そして韓国では潘基文外交通商大臣が名のりを上げているようなんですけども外務大臣にお聞きしたいんですが、日本としてはだれを支持するおつもりでしょうか。
  310. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 国連事務総長の任期がこの十二月に来るというのはもう御存じのとおりでして、今私どもの知り得ている範囲で三人の候補者が出ております。言われましたとおり、タイ、スリランカ、韓国と、三か国から出ております。  御存じのように、一九六一年から七一年まで国連の事務総長をやったウ・タントというのはたしかビルマだったと記憶しますけれども、この方以来アジアからの事務総長はいないと記憶いたしますんで、その点からいきましたらアジアの中からだれかというので、まあアジアに取らしてもらいたいなというのは率直なところです。  アジアに取らしてもらいたいなというのは率直なところなんですが、あと、だれがいいかと言われると、これはやっぱり、まあ白さん、これは選挙と一緒ですから、やっぱり本人の識見、能力、経験等々いろんなことを考えて、今からまだ時間がありますんで十分に検討させていただきたいと思っております。
  311. 白眞勲

    ○白眞勲君 大体いつごろをめどに考えていらっしゃいますでしょうか。
  312. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ほかの候補者がどこから出てくるか、ちょっとまだよく見えないところもありますもんですから、今この段階で五月とか六月とか七月とか、ちょっと今の段階で言える段階にはございません。
  313. 白眞勲

    ○白眞勲君 ところで、麻生大臣、御自身が出る御意思というのはあるんでしょうか。というのは、韓国も現職の外務大臣が立候補しているということですし、それとも総裁選に出た方がいいのかなと、総裁選の芽がなくなったら国連事務総長選かなと、その辺がどうなのかなというのもあって、また逆に言うと、何か中国が拒否権でも使うんじゃないかとか、そういうような何か話もあるんですけれども麻生大臣御自身はどういうおつもりでございますか。
  314. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 最も向いてない職業だと思いますんで、御遠慮申し上げます。
  315. 白眞勲

    ○白眞勲君 ということは、やはり日本としては常任理事国入りということをあくまでも目指すということでよろしいんでしょうか。
  316. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) やっぱり国連の中にあって日本の持っております役割若しくは能力というのは、我々が思っている以上に高いと改めて感じておりますんで、国連常任理事国入りというのは私どもとしては今後とも目指していくべき課題だと存じます。
  317. 白眞勲

    ○白眞勲君 続きまして、思いやり予算、いわゆる在日米軍駐留経費負担特別協定について御質問いたします。  いわゆる思いやり予算につきましては、一月二十三日にゼーリック副長官日本麻生外務大臣がサインをされたわけですけれども、私、一つ疑問になるのは、向こうが副長官、まあ副大臣ですよね、だったらこちらも副大臣対応するのが外交の常識なんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、過去にそういった例はあるんでしょうか。
  318. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘があっておりましたけど、これは本来は駐日アメリカ大使と署名を行う予定だったんです、これそもそもは。大体、駐日何々大使、昨日ASEANともやりましたけれども、ASEANの大使とこちらが大臣ということでサインをすることになっておりますんで、このときは駐日大使でやる予定だったんですが、そのときにゼーリックの訪問と重なったもんですから、駐日大使の方からの依頼がありましたし、またアメリカからも直接ライス国務長官の方からも要請がありましたので、国務長官の要請を受けたもので、権限は付与されておるということでありましたので、私どもとしては特段の問題があるとは考えておりません。
  319. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私がお聞きしたいのは、過去にそういった例はあったのかということでございます。
  320. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ありません。
  321. 白眞勲

    ○白眞勲君 そう簡単にぽんとおっしゃっていただくと私もびっくりするんですけれども、やっぱり過去にそういった例がないことは、いわゆるこれは極めて異例だというふうに私は思えるんですけれども、何の問題もないというふうに麻生大臣はおっしゃるんですけれども、逆に言うと、途上国に対してもそういったことをやった記憶がないということでしょうから。  これ、例えば日本が副大臣でアメリカが大臣という例もないんですよね。
  322. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) なるべく手短に答弁ということだったんで手短に答弁を申し上げたんですが、外務大臣が他国の副大臣との間で署名を行われた例はないんですが、ただ、我が方の外務大臣と他国の臨時代理大使との間で署名が行われた例も過去に何回かございます。したがいまして、この種の国際約束の署名というものは、これは個々に調整をされておりますんで、別に外務大臣と副大臣との間で署名があることをもって直ちにバランスを欠くというような意識は私の方にはございません。
  323. 白眞勲

    ○白眞勲君 こういった外交の、私も素人ながら感じるのは、外交というのはやはり過去の例というのに基本的にのっとってやっていく部分があるんではないかなというふうに思うんですね。  ここに金田大臣もいらっしゃいます。金田大臣、一月二十三日に日本にいらっしゃったし、もし何だったら自分がサインしますよ、大臣と、麻生さんもきっとお忙しいから、相手も副大臣級だったら私がサインしますぐらいのことはおっしゃってもよかったんだろうと思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。
  324. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) ただいま麻生大臣から御説明を申し上げたような背景の中でその署名が行われたと、こういうふうに認識しております。
  325. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、ですから、金田大臣自分はどうでしょうかということなんです。署名する気ありましたかということです。
  326. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 常に、一般論でございますが、与えられた職務の使命に基づいてあらゆることを、できることを取り組んでいきたいと、こういうふうに思っております。
  327. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや別に、金田さん、別に今ここで御決意を聞いているわけではありません。こういった例のときには、せっかく副大臣という職務が、そういうお役をいただいていらっしゃるわけですから、やはりこういったときには、じゃ私がやりましょうと言うぐらいのやっぱり気持ちというのがあってもいいですし、そういうシステムが外務省にあるからこそ副大臣という立場もあるんではないのかなというふうに私は思うんですけれども、その辺もう一度御答弁願いたいと思います。
  328. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 委員指摘のような気持ちは常に持っているつもりでありますし、そうありたいと、こういうふうに思っております。
  329. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非、もし今度こういった、相手がゼーリックだといってもやはり副大臣がやるのが筋であるというふうに私は思うんですね。向こうから頼まれたから麻生大臣がほいほいと行ってやるんではない。その辺を、大臣、ここの辺もう一回、今度はそういうことをやらないようにしてください。ちょっと御見解をお願いします。
  330. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ゼーリックからやったからいかぬ、仮にほかの、今、白眞さんのお言葉をかりれば、どこか格下の、白眞勲さんか、込み入りまして済みません、白先生のお話でしたけれども、私どもとしては、ゼーリックだからどうたらという話にえらくこだわられるみたいですけれども、私の立場からすると、通常大使がやる、そのときに、例えばどこかアメリカ以外の国が来て、その国の人がたまたま、偉い自分の上司がたまたま来てるんでその人にサインをさせてくれと言われて、格下だからおれはしねえと言うつもりはありません。向こうとしては大使とやる予定だったものが、大使が是非この人にさせてくれと言うんで、向こうの本省の了解も得た上での話でしたら、私どもとしてそれにこだわるつもりは、正直なところ言って、ございません。
  331. 白眞勲

    ○白眞勲君 もしそういったときにも、まあうちにも副大臣がいるから、じゃ副大臣もよろしくというぐらいのことを言ってほしいということなんですけれども、もう一度お願い申し上げます。
  332. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 余り希望される方もいらっしゃらぬと思いますが、どうしてもサインをしたいという金田さんから御希望でもあれば、それはそのとき考えます。
  333. 白眞勲

    ○白眞勲君 続きまして、在日米軍駐留経費負担特別協定で第四条に規定されている米国の節約努力についてちょっとお聞きしたいんですけれども、これって五年前に入れた条文ですよね。節約しますということですよね。つまり、思いやり予算で、何ですか、五年前に、節約の義務というのかな、それを、努力ですか、努力を入れたということなんですけれども、この五年間にアメリカがやった節約の努力というのは、何か省エネ機器を導入したということなんですか。
  334. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 現行の特別協定の実施期間にどういう節約をやったかということにつきまして米側に聴取しております。それについて先方から説明があったものとして、一つは、労務費に関連しましては、在日米軍従業員の組織の統合、それから業務の合理化というような適切な労働者の配置に向けた努力を行った。それから、光熱水料等につきましては、今言われましたような省エネ機器、器具の設置、それから米軍人に対する節約の注意喚起の呼び掛け。三番目として、訓練移転費に関連しましては、これは人員、物資を輸送するわけですので、その輸送方法の工夫と、こういう形での努力をやってきているという説明を受けているところでございます。
  335. 白眞勲

    ○白眞勲君 この省エネ機器の、何ですか、ってありますよね。この省エネ機器って、これ五年前から今のだと、秋葉原へ行けば、それ替えるときにはみんな省エネタイプですよ。これ別に努力でも何でもないじゃないですか、これ。替えればそれは省エネ機器になりますよ、そうですね。  それから、何ですか、注意喚起だと、その今おっしゃった。省エネの注意喚起とか言って、何か話によると、何か無駄遣いしないように、電気代を、何か自動的に消えるような形にしましょうとか、外へ出るときには電気を消しましょうとかいう、これって節約じゃなくて無駄遣いをやめさせているだけの話じゃないですか。全然これ節約というふうには私は見えないんですけれども、その辺どうなんでしょうか、もう一度お答えいただきたいと思います。
  336. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 今、光熱水料について幾つか御質問がありましたので、これで言うと、幾つか例を挙げると、それは秋葉原で確かに売っているのかもしれませんが、効率的な照明、それから空調設備、それから冷房等々の交換をした、それから改良を行った、それから、今御指摘のあったような家族住宅における感知装置、これ自動的に消えるような装置を入れる、それからシャワーヘッドなんかも節水型に替える、それから使用済燃料をボイラー燃料に再利用する、等々のことをやっているということで聞いておるところでございます。
  337. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、値段的に幾らぐらい節約したんですか。
  338. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 数字的なものにつきましては、必ずしも米側として総量の使う量というものは、それは、どれだけの活動をやるか、それからどれだけの人数がいるかということによって変化するわけですので、この五年間で数字的に、数字の形でこれだけの節約がなされたということは必ずしも示すのが困難な状況にあるということでございます。
  339. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしましたらますます、こういった数字的に出るのが不可能だからといって、何ですか、省エネ機器を買いました、ああそうですか、努力しましたねということには私はならないんではないかなというふうに思うんですね。  ですから、例えばの話、まあ今回はしようがないにしても、どうせ次回は、二年後にまた、今回この協定が通れば、それはまた二年後にやるんでしょうけれども、何か例えば電気料の共同負担をさせるとか、そういうようなスキームを作っていかないと本当の意味での先方としての節約にはならないんじゃないかなと思うんですね。例えば、何ですか、外に出たまんま、買い物から帰ってくるまでエアコン付けっぱなしだとか、場合によっては、何かうわさによると、一週間も何か外に出たまんまだけど、家具が傷むからといってそのまま何かエアコンも付けてあるというような話まで聞いているわけでして、やっぱりこれ、みんなただで日本が負担しているからだよねということがあると、そういうふうにもなりかねないと思うんですね。  ですから、例えば電気代の何割かは日本が負担、あんたも負担してくれというような形のスキームというのを作っていくべきだと私は思うんですけれども、いかがでございますか。
  340. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 今お諮りしております特別協定の交渉の中で、日本側としては、やはり日本側の非常に厳しい財政事情というのを念頭に置いて、もっと節約をしてほしい、そして具体的に我が方が負担する上限の光熱水料等々について引下げをしてもらいたいという交渉をやってきたわけでございます。ただ、片や米側は、いろいろな活動がより活発化しているということ、それから米軍のやはり国防予算における現状ということで、米側としてはもっと増やしてほしいというような主張をして、そういう中で昨年の二月来鋭意交渉してきたわけですけれども、なかなか日米で折り合いが付かないという中で今回の協定に落ち着いているわけでございますが、御指摘のとおり、この協定、効力二年間でございますので、次回の交渉の際には米側の具体的な形での節約、さらにはその節約努力というのを具体的な形で求めていきたいという考えではございます。
  341. 白眞勲

    ○白眞勲君 今おっしゃいましたように上限というような形で、上限を引き下げろと言うと、向こうは嫌だ嫌だって言うに決まっていると思うんですよ、それは、一回決めた上限を下げるのについては。だったら、逆にその上限を少し上に上げても、例えば一割二割をあんた方が最初から負担してくれというようなやり方をするとか、その辺の工夫をしながら相手に節約の努力をさせていくというやり方が今こそ私は必要なんではないかなというふうに思うんですけれども大臣、どうでしょうか、この件について一言お願いいたします。
  342. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いろいろ工場でも経費節減のときに、電気小まめに消す等々いろいろ節約をするコスト意識の話というのはいろいろな方面でやっておられるんだと思いますけれども、これはなかなか本人の意識というものがコスト削減という方に意識が向かない限り、工場長が幾ら言ってもなかなか難しいというのが自分でやった経験でもありますんで、この種の話は、交渉担当者よりやっぱり一人一人の人たちの意識をどう変えさせていくかというところが、これは人様の組織の中に手を突っ込む話でなかなか難しいとは思いますけれども、私どもとしては、金を払う立場から見ると、この点につきましては今後ともいろいろな形で言い続けていく努力は必要だろうと存じます。
  343. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非よろしくお願いしたいと思うんですね。そういうふうにしないと日本の国会が黙ってないよ、納得させられないんだよと。二年後ですね、特に、少なくとも私自身もじっとしていれば二年後もまだ国会議員おりますので、白が納得しませんと言っていただいて結構ですから、是非アメリカ側と十分にそういった節約というものについて協議をしていただきたいというふうに思うんですけれども
  344. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 名前は使わさせていただきます。
  345. 白眞勲

    ○白眞勲君 ありがとうございます。  ところで、防衛庁長官にお聞きしたいんですけれども、政府が在日米軍再編協議で目標としていた三月中のアメリカ政府との最終報告合意、2プラス2、これ開かれませんよね、三月中には。ということは、この在日米軍再編協議の三月末までの最終報告合意は断念したということでよろしゅうございますね。
  346. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、昨年秋の2プラス2の中で三月末の最終合意を目指すと書いてありますから、最後の詰めを急いでいるという段階でございます。ただ、今週の審議官クラスの協議も日程がまだしっかりしておりませんところもありますので、我々はできるだけ今月中に様々な問題について最終合意が得られるように最善の努力はするということでございます。
  347. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、2プラス2は今月中に開かれるんですか。
  348. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、まず日米の間では米軍再編についてきっちりと最終的なまとめをし、その後の対応について、私は、2プラス2をつくって新しい日米同盟関係についてのメッセージを発した方が、国内においても、言ってみれば資金的な負担をすることになるし、していただくことになる方向でありますから、国会においても国民の皆さん方に対してもきちっと説明をさしていただいた方がいいのではないかというふうに考えておるところでございます。
  349. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっと私よく分からないんです。2プラス2が開かれるかどうかをお聞きしているんですけれども
  350. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 最終合意は、文書の上での最終合意を目指して、三月末の最終合意を目指して協議を行っていると。これについては最善の努力をしていると。その結果、2プラス2を、私は、しかるべき時期に両国の日程が合ったときに開いて、そして最終合意の中には、今後実施計画の中にグアムの移転費の問題だとか様々なことについて国民の皆さん方に新たな費用負担をお願いをしたりすることもありますので、国会とか国民の皆さん方に説明していく上でも、そういうそれぞれの閣僚の責任者が会ってきちっとお互いの日米同盟関係の現状、将来についてのメッセージを発した方がよろしいという思いで調整をした方がいいだろうというふうに思っているということでございます。
  351. 白眞勲

    ○白眞勲君 非常に一生懸命お話ししていただくのは分かるんですが、要するに、だから三月末には開かれませんよね。
  352. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 三月末までに最終合意を目指すけれども、2プラスを開く場合は日程がずれるということであります。
  353. 白眞勲

    ○白眞勲君 大体いつごろ合意するおつもりでしょうか、最終合意を。
  354. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 最終合意は三月末を目指して頑張っているということでございます。
  355. 白眞勲

    ○白眞勲君 何か非常に議論が、何かよく、だから、2プラス2は開かれないわけですよね。
  356. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) いやいやいや、中間報告、米軍再編の中間報告という形で昨年の秋にまとめられました。今年の三月末を目標に最終合意をしようということで協議を続けているわけでございます。そして、その最終合意についてはこの三月までにまとめるように最善の努力をすると。その最終合意について将来、将来というか、日程調整をして、2プラス2の上でオーソライズをし、新しい政治的メッセージを発した方が両国民あるいは議会においてもいいのではないかというのが私の考え方であるということです。
  357. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしましたら、続きまして、スマトラ沖地震の緊急援助につきましてお聞きしたいと思います。長官、しばらくお休みいただいて結構でございます。  この件につきましては、先日のODA特別委員会でも私、御質問したんですけれども、極めて私自身重要な問題だと考えておりますので、改めてこの場で御質問させていただきたいと思います。  JICAさんにお聞きいたします。  クントロ長官が私と面会したときに、これからはJICAとやりたいと、こう間違いなくお話しされているんですけれども、もう一度その辺について御確認願います。そういったことを聞いた覚えはないということでしょうか、JICAさんは。
  358. 小島誠二

    参考人小島誠二君) お答え申し上げます。  クントロ長官がどういう趣旨で委員に話をされたか、よく承知しておりませんけれども、技術協力につきましては、当然のことながら、JICAインドネシア政府とも意見交換を緊密にしておりますし、また私どもの責任でございますから仕事をさせていただいておりますけれども、無償資金協力についてJICAが関与してほしいというようなことをJICA関係者に直接御要請があったということについては、私ども報告を受けておりません。
  359. 白眞勲

    ○白眞勲君 私は、そういうふうに依頼をしたというふうにクントロ長官から直接受け取ったわけですね。それに対してJICAさんが、はいとおっしゃったというふうに言っているわけなんですね。それでちょっと何度もお聞きしているわけなんですけれども。  じゃ、ちょっとJICSさんにお聞きしますけれども、十二月の十四日にクントロ長官と会ったということですけれども、詳しく聞いてみると、クントロ長官とはいわゆる名刺交換をしたということなんでしょうか。その辺についてちょっともう一度お願いいたします。
  360. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) それでは、お答えいたします。  私ども現地事務所にも再確認を行いましたが、昨年十二月十四日におきまして、アチェ・ニアス復興庁の次官との協議の席上、クントロ長官が途中から同席されたということでございます。それで、その後に、協議の終了後でございますけれども現地事務所の責任者ほかがクントロ長官に改めてごあいさつをし名刺を交換しているといった経緯がございます。
  361. 白眞勲

    ○白眞勲君 その席にJICAさんはいらっしゃったんでしょうか。
  362. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) そこまで私どもは把握しておりませんですけれども、多分いなかったというふうには聞いております。正確にはちょっと承知しておりません。
  363. 白眞勲

    ○白眞勲君 それ、非常に重要なんですけれども、JICSが本当に、いわゆるBRRですね、BRRとJICSが単独でお話をしていたのか、JICAさんと同席してお話をしていたのかをもう一度確認したいと思うんですけれども、そういう何か、確認しておりませんがいたと思っていますみたいなことを言わないでほしいんですけど、もう一度御答弁願います。
  364. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) では、お答えいたします。  私どもJICSの職員二名と、あと大使館の書記官一名は同席しておりましたけれどもJICAの職員は同席しておりませんでした。
  365. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっとその答弁ね。何で分かっているのにそういうことを言ったんですか、今。何か、まるで何かやましいことでもあるんじゃないですか。
  366. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) 私ども確認しましたときに、正確に申し上げますと、JICAの……(発言する者あり)はい、失礼しました。  JICAの職員が同席しているかどうかという意味では確認しておりませんので、どういう席でお会いしたかということを私どもの事務所に確認したときに、先ほどお答えしたような形で、JICS職員二名そして大使館員の職員一名が一緒にというふうには聞いております。
  367. 白眞勲

    ○白眞勲君 普通ですね、まあ、じゃいいや。  このとき、十二月十四日がクントロ長官とJICSは最初に会ったんでしょうか。
  368. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) さようでございます。
  369. 白眞勲

    ○白眞勲君 クントロ長官が就任したのはいつですか。
  370. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) 昨年の五月だと承知しております。
  371. 白眞勲

    ○白眞勲君 私の記憶だと六月ぐらいかと。まあいいや、五月か六月です。  六月からこの十二月まで会わなかった理由は何ですか。
  372. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) 私どもは基本的にジャカルタで業務しておりますけれども、通常、私どもの業務の話相手といいますのは、BRR、アチェ・ニアス復興庁の次官ということでやっております。
  373. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、一般企業で、百四十六億円もの調達の、いわゆるお客さんですよね。一般企業でしたら、私、普通社長か取締役が発注決めた途端すぐあいさつに行きますよ、長官には。いや、ここ仕事くださってありがとうございますと。もうまずそのスタンスからして私はおかしいと思うんですよ、それ。いつもその下の人間と会ってますって、元々発注元どこなんですか。
  374. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) 私、専務理事でございますけれども、昨年、ちょっと正確な日にちは記憶しておりませんですけれども、五月にインドネシアに訪問いたしまして、そのときバペナス、あとバコルナス、あと公共事業省等々の実施機関と会っておりますけれども、残念ながらアチェ・ニアス復興庁の関係者の方々とお会いしておりませんでした。
  375. 白眞勲

    ○白眞勲君 一番重要なのは、私はクントロ長官も重要な方の一人だということで認識しておりますけれども、なぜ会わないんですか。その合理的な説明をしていただきたい。
  376. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) お答えいたします。  JICSは、私どもはあくまでもインドネシア政府と契約して業務を行っている調達代理機関でございますので、大使館方々あるいはJICA方々とはおのずからちょっと立場が違うという点は是非理解いただければと思います。
  377. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、その前にきちんとあいさつするのが筋じゃないかということに対して御答弁されたじゃないですか、それはそうですけどって。今おっしゃったのに関して、その合理的な説明がないということを私は申し上げているんですけれども、もう一度御答弁願います。
  378. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) そうですね、私ども、先ほどちょっと申し上げましたんですけれども、私自身は、昨年の四月か五月にインドネシアを訪問しまして、そのときの直接の関係機関でありましたバペナスあるいはバコルナス、それから大きな事業の実施機関であります公共事業省等にあいさつは行っておりますけれども、その時点においては、まだアチェ・ニアス復興庁の方にまでは訪問する機会がなかったということでございます。
  379. 白眞勲

    ○白眞勲君 あなたが行った、行く行かないではなくて、いわゆるJICSの幹部として、ですから、別に専務理事を責めているわけじゃないんですよ。ただ、そのJICSの幹部が当然のごとくクントロ長官とは、これ、一般論としてどうですか、専務理事。お会いするのが当たり前なんじゃないんですか。
  380. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) そのようにおっしゃられればそのとおりかもしれませんですけれども、ただいま私どもの理事長がインドネシアに行っておりまして、クントロ長官とお会いするような計画を持っております。
  381. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私が申し上げているのは、今まで会っていないその合理的な理由は何なんですかって。全然説明してないじゃないですか。もう一度お願いします。これ以上聞きませんよ、私。
  382. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) 私ども、先ほどちょっと申し上げたんですけれどもインドネシア政府のあくまでもその調達代理機関という立場でございますので、実際問題として、なかなか私どもの立場ではお会いすることが難しいという側面があることは是非理解いただければと思います。
  383. 白眞勲

    ○白眞勲君 立場で難しいというのも変な話じゃないんですか。  何で、じゃ、JICAはどんどん会って、理事長まで会っているってこの前の御答弁でありましたよね、JICAさんは。何でJICSが会っていないのか。会って、基本的にはやっぱりクントロ長官とアチェの復興に際して具体的に話をするのが皆さんのお役割じゃないんですか。そのために手数料もらっているんじゃないんでしょうか。だったら、何でJICAがもらわないでJICSがもらうんですか。その辺についてお聞きしたいと思います。
  384. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) まず、最後の点でございますけれども、私どもあくまでもインドネシア政府との契約に基づいて行っている調達代理機関でございまして、ノンプロ無償につきましてですけれどもJICAは、おのずからのその運営交付金に基づいて、自らの技術協力として事業を実施しておるわけでございます。  あと、先ほどの点に戻りますけれども、私ども、直接の日本を担当しているアチェ・ニアス復興庁の次官、担当次官でございますので……
  385. 白眞勲

    ○白眞勲君 委員長
  386. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 最後まで答弁してください。
  387. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) はい。  アチェ・ニアス復興庁におきまして、日本の今回のノンプロ、津波に関します無償に関しまして直接責任を持っておられる方は次官でございますので、その次官の方々といつもお会いしているといったところでございます。
  388. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、何度も申し上げているじゃないですか。その次官と具体的な話をしても、だから結局、クントロ長官はJICSはないと言っているんですよ、JICAしかいないというふうにしか認識してないんですよ。ですからこそ、私はこういうふうに申し上げているわけじゃないですか。  ですから、その件について、やはりもう少しこの辺のスタンスというようなものをきちんとされることが私は重要なんじゃないのかなと。インドネシア政府の調達代理機関である以上、その実行、実施している、実施しているのがこれBRRですよね。そのBRRと何で話さないで、インドネシア政府の要請を受けたら当然BRRと会うのが当たり前だと思うんですけれども、どうなんですか。当たり前ですか、当たり前じゃないですか、どうなんですか。その辺、イエスかノーかだけで申し訳ないんですが、答えていただきたいと思います。
  389. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) 私ども、直接の契約相手方はインドネシアのバペナスそして財務省でございます。したがいまして、その財務省、バペナス等とはお会いしております。  ただ、今委員指摘の点につきましては、今後私どもの大きな課題として受け止めたいと思います。
  390. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、その手数料問題についてもう何かよく分かんなくなって、向こうもJICAでやりたいというふうに言っているわけじゃないですか。  ここで、この前もODAの特別委員会で私が申し上げましたように、その机、事務用の机ですね、これが最終的には一社しか、一社が、いいですか、札を入れた。一社しか札を入れてない。それで、その会社に決まったということについて、これは、どうなんでしょうか、JICSのまあ入札規程等があるのかどうかは知りませんけれども、それに違反しているということはないんですか。
  391. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) 違反しているという事実はございません。  入札としましては三社が応札しております。それで、その応札に当たりまして、その応札の内容といいますのは、価格と、あとそれから私どもの入札条件に基づきました仕様書等から成っております。したがいまして、その二つが出された、提出された時点において入札は完了しているわけでございます。
  392. 白眞勲

    ○白眞勲君 せんだってのODAの特別委員会で会計検査院からも、この入札については価格競争と言っているわけですよ。価格競争が、一社しか札を、価格の値段を入れてなければ、これ価格競争にならないじゃないですか。まして、事務用机ですよ。普通の机だ。その普通の机に対して一社しか応札していないという事実がはっきりとあるじゃないですか。それについてどうなんだということを聞いているんですけれども、いかがでしょうか。
  393. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) あくまでも入札といたしましては、私どもの提示しました入札条件に基づきまして、その条件に従った形で応札されるのが建前だと思っております。  それで、その段階でいっても、先ほども申し上げましたように、その場合に、価格と、あと具体的にどのようなスペックのものを納入するのかという技術的な点も併せて応札していただいておるわけでございますけれども、開札時点におきまして、一社につきましてはスペックが十分満たしてなかったと、あともう一社につきましては支払の条件について私どもの条件を満たしていなかったということで失格にしてございます。
  394. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、最終的に価格競争力のあったのは一社だったということですよね。
  395. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) 応札した時点で、先ほども申し上げましたんですけれども、すべて三社とも価格というものは入れてございます。したがいまして、(発言する者あり)いやいや、価格と……
  396. 白眞勲

    ○白眞勲君 一社しか言ってないじゃないですか。
  397. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) 済みません。  価格と先ほど申し上げましたんですが、価格と技術的な仕様をも含めた応札書、この二つを入れているといっていたところでございますので、あと他方、参加社が複数あったということは、おのずから他社におきましては、どこの会社の応札書が失格になるのか、あるいは適格なのかということは当然分からないという状況ございますので、そこにおいてもおのずから価格の競争力は働いていると思っております。
  398. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 残り時間が僅少になっておりますので、質問、答弁とも簡潔にお願いいたします。
  399. 白眞勲

    ○白眞勲君 時間がそういうことでないので、またこの件についてはやっていきたいと思いますが、どうしても私はこの一社というのは腑に落ちないんですね、これね。何というんでしょう、何か疑われますよ、こういうことやると。  それと、もう一つ、ちょっとその疑われるであれなんですけれども、建設機器に関しまして、先日私がお願いしました船積み書類などが商社がやっている関係上ないとのことですけれども、船積みをしているかどうか、確認していないんでしょうか。これ是非御提出願いたいと思います。どうでしょうか。
  400. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) それについては検討さしていただきます。
  401. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、検討じゃなくて、これ、当然船積み書類についてはチェックをするでしょう。そのためのJICS、調達代理機関じゃないんでしょうか。それチェックしているんですか、まず、じゃ船積み書類については。
  402. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 櫻田専務理事、時間が参っておりますので、簡潔に答弁願います。
  403. 櫻田幸久

    参考人櫻田幸久君) はい。  確認してございます。ただ、その中にはいろんな機微にわたる情報が入っておりますので、どこまでお出しできるかということは検討させていただきたいということでございます。
  404. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 白眞勲君、質問をおまとめください。
  405. 白眞勲

    ○白眞勲君 終わります。
  406. 高野博師

    ○高野博師君 それでは最初に、外務大臣に在日米軍駐留経費負担特別協定の意義についてお伺いいたします。  防衛関係費全体に占める在日米軍駐留経費の割合というのは八・六%、これ十八年度で約四千百三十五億円であります。また、各国における米軍の駐留経費負担額と比較しても、ドイツの約三倍、ただしドイツは日本の約倍の米軍が駐留しております。韓国と比較しても約六倍とはるかに大きいと。したがって、日本側がこれだけ大きな負担をしなければならない理由は何かということを、国民理解が得られるような説明をいただきたいと思います。
  407. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、一九九〇年、冷戦構造崩壊をもってユーラシア大陸西半分の冷戦構造は終わったということが大前提だと思いますが、傍ら、その反対側にあります地域、いわゆるアジア太平洋地域におきましては、冷戦終了後も、地域紛争とかまた大量破壊兵器やミサイルの拡散などなど、依然として不安定かつ不確実な情勢が継続しているという私どもの認識があります。このような状況の中で、私どもとしては、日米安全保障条約というものの持っております抑止力というものを引き続き維持していく、そして日本の安全を確保することが必要というのが大前提だと存じております。  したがって、いわゆる米軍というのは高い機動性、機動力というのを有してもおりますんで、この抑止力というものを使って、日本及びこの地域の平和並びに安定というものについて私どもから見て不可欠な役割を任じていると思っておりますんで、このような状況の中にあって、在日米軍駐留経費というものにつきましてはこの安保体制というものを円滑かつ効果的に運用していくために重要な役割を果たしていると、私どもはそのような前提を置いて考えておるというのが私どもの認識であります。
  408. 高野博師

    ○高野博師君 私も同じように認識をしておりまして、日米同盟の重要性、その信頼性を担保するという意味でも、できるだけ米側の負担を軽くするという配慮があってもいいのかなと。しかし、それはある程度限度があるんではないかなというふうに思いますし、東アジアの不安定な安保情勢かんがみても、日米同盟の強化というのはある意味で必要かなと思っておりまして、日本の近隣のある意味で敵対的な感情を持っている国にとってはこの米軍基地が一番怖いとも言われております。  もう一つ、このいわゆる思いやり予算で、先ほど同僚議員から質問がありましたので簡単に触れたいと思いますが、第四条の「経費の節約に努める。」という件に関して、節約したという具体的な数値はないということでありますが、これは水、光熱費含めて地球温暖化という対策にも是非米軍も協力してもらいたいなと思っておりますんで、是非この点についても米側に努力するよう促してもらいたいと思っております。  それでは、先ほど外務大臣からも出ました米軍の抑止力ということも含めてちょっと質問をしたいと思いますが、まず防衛庁長官に、防衛の本質は何でしょうか、お伺いいたします。
  409. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 非常に高度な質問を受けているわけでございますけれども、防衛力全体というと、やっぱり総合的に言えば、日本日本人の国力、それは国民の支持、経済力、文化力、様々の力を総合して国力、そして防衛力にそれはつながっていくことになるというふうに思います。防衛力をこれを幅広く考えると、大小の脅威に対していかなる状況に応じても弾力的に機動的に対処能力を持っているということだというふうに思います。対処能力の一つが、今先生のおっしゃる抑止力ではないのかという思いがいたします。  つまり、我が国に、従来のパターンで言えば、どこかの国等が攻撃をしたときにこれを阻止する力を持たなければならない。その阻止する力は、自らの装備あるいは国民の意識、支持というもので支えられる、と同時に、今おっしゃるように、日米同盟によって抑止力を働かせるということもあるでしょう、あるいは小さな、不審船みたいなことが起こったときに、これに対してやっぱりきちっとした対処能力を持っているということ、そういうふうに考えるのが適切ではないかなという思いがいたします。    〔委員長退席、理事浅野勝人君着席〕  自らの力で、例えばすべてを重武装できちっとやってのけるということが我が国の選択肢としていいのかどうかということは、私は、周りの国々の状況を考えてみただけでも、それはもうちょっと知恵を働かした方がいい。例えばロシアというのは、国土四十五倍、人口は同等、数千発の核を持っている、百万人以上の軍人がいる。中国、国土二十五倍、人口十倍、軍隊二百数十万、核も持っている。米国、国土二十五倍、人口二倍、七つの海を支配している。そういう国々と対等に自らの力で自らを守り、自らの戦略を描くというのは適切であるかどうかを考えた場合は、私は、限定的に防衛力を整備して同盟関係を結ぶということが我々の先人が選択をしたことであり、それは賢明な選択肢であったんであろうというふうに思っております。
  410. 高野博師

    ○高野博師君 そんなにたくさん説明は要りませんで、要するに、防衛の本質は何かと聞いているんですね。そんなに一杯しゃべらなくちゃ説明できないものなのかどうか。  僕が、これ平成十五年三月十四日の石破防衛庁長官の所信の中で、防衛とは抑止力を本質とするものでありますと、組織、法制も戦うためにあるのではなく、戦いを起こさないためにあるものでありますが、そうであるがゆえに、それを実効あらしめるために、組織は精強であり、法制は万全であらねばなりませんと。これ正に本質論を言っているんですね。  それで、私は、その本質論は正しいんですかと、その抑止論というのは古い冷戦時代の考えに基づいているんではないでしょうかということで質問したんです。例えば、その抑止力は国家国家、対象型の戦争のときには有効でありますが、今の新しい脅威、特にテロリズム等に対しては、テロリストが守るべき国家国民も領土もない、国境もない、姿も見えないと。そういうテロリストが大量破壊兵器を持っている、あるいは攻撃しようというときに抑止力は働かないんではないかという質問をしたんですね。    〔理事浅野勝人君退席、委員長着席〕  そこで、防衛庁長官はいろんな答弁をされたんでありますが、その抑止力について、次の年に、これはまた所信の中で、憲法の範囲内において、いかに抑止力が実効性を持ち得るか日々検証していくことこそが国の独立と平和に責任を持つ政府に与えられた責務でありますと、こういう答弁をしているんですね。それも私は、これは平成十六年三月ですが、それもおかしいんではないかと、抑止力の実効性というのはどうやって日々検証していくことができるんだという質問をしたんです。当時の防衛庁長官は一貫して、防衛の本質は抑止だと、こう言っているもんですから、実効性の確認というのは一体どうやってできるんだと。それは、抑止力は今、先ほど長官が言及されたように、ある意味でソフトパワーというような、その国が持っている武力、武装以外の力、文化とか平和主義とか環境とか、そういう政策なり伝統なり歴史なりと、あるいは万系一世のエンペラーがいるとか、そういうことも含めて、この国を攻撃できないという抑止力というのはあるんではないか。  そのときはそこまでは、ソフトパワーには言及しなかったんですが、私は実効性を検証するということはできないんじゃないかと。張り子のトラだってこれは抑止力になる得ることもあるんではないかというようなことをるる議論をしまして、私は、防衛の本質というのは正に防衛そのものだと、防衛の実効性だと、そうではないかということを言いまして、石破長官はそのときの答弁の中で、その年、平成十六年の十二月に防衛大綱を決めますと、それまでに政府といたしましては実効性ある抑止力とは何なのだということについてきちんと分析を行い、答えを出したいと、こういう答弁をされたんですね。  したがって、この答弁に基づいて防衛庁は、抑止力の実効性ということについて、きちんとどのぐらいの時間を掛けてどんな分析をやったのか、お伺いをいたします。
  411. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これまでの防衛計画の大綱においては、もう高野委員御承知のとおり、基盤的防衛力構想ということで、従来の国家国家の脅威にどう対応していくかという形で防衛力が整備されてきた。  それで、おっしゃるように、最近の、特に九・一一以降の国際テロ等々の、あるいはゲリラとか様々の新しい事態に対処するために機動的に、効率的にどう対応するかということで、その防衛力の中心をそういう石破長官あるいは高野委員言葉をかりれば、機動的に、弾力的に実効性ある対応力をどうやってつくるかということに転じてきていると。それが今度の中期防計画等々にも表れているというふうに見ていいのではないのか。それは、統合幕僚監部の設置等々の組織にも表れているし、あるいはまたBMD等の対応にも表れているし、あるいはまたゲリラとか、そういうテロに対してもどういうふうにこれから対応していくかということがシフトされているということに表れているものと思っております。
  412. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、石破長官が言っておられた、防衛の本質は抑止力にあるという考えは変えたんでしょうか、変えてないんでしょうか。
  413. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 防衛力の中には抑止力が、例えば日本全体の安全を考えるときに、抑止力の象徴的なものに核抑止力というものがあるとすれば、自らが核を持つのではなくて同盟関係によってそういう打撃力を持つ、そういうことによって防衛の一端を担う、中心的な役割を果たしてもらうという考え方は存在しているわけでございます。
  414. 高野博師

    ○高野博師君 ですから、防衛庁が一貫して言っていた、防衛の本質は抑止力にあるという考えは変わってないと見ていいんでしょうか。
  415. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 変わっておりません。
  416. 高野博師

    ○高野博師君 本質が簡単に変わるわけはないわけです。  私は、当時の長官が言っておられた、できるだけ武力は使わない、武力そのものを持っていることが抑止になって、これが要するにまあ防衛の本質だというところは、ある程度は私は理解はできるんですが、しかし、それは理想論であると、ある意味で観念論にならないかなと、こう思っていまして、例えば武力の武というのは矛をとどめると書くということは、武器は持っているけれども武器は使わないという、そこに、これは僕は本質というよりもやっぱり理想論ではないかなと、こう思っているんですね。  そこで、今、先ほど聞きましたように、抑止力の実効性というところの分析がどのぐらいされたのかというのがよく見えないんです。これは簡潔に答えてください。
  417. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 抑止力というのは、一つは、日本を攻撃しても効果が生まれないという防衛力を持っているということが一つ。もう一つは、日本を攻撃すれば自ら攻撃した国が崩壊するおそれがあるという、そういう報復力を持っている。それが日本の場合は同盟関係で、その抑止力を維持しているという形が現在の日本の安全保障、防衛体制の骨格になっているというふうに思います。
  418. 高野博師

    ○高野博師君 平成十五年、十六年の所信と十七年、十八年、今回の長官の所信は大きく変わっているんですね。それは、何が変わったかというと抑止に対する考え方が変わっている。在日米軍の抑止力というのは大野長官のときも言及しておりますが、石破長官のときのような言及、本質論的なものはこれは消えているということでありますが、正に十六年度の十二月にできた新防衛大綱は、これは大きな我が国の防衛政策の転換だと思うんですね。この正に防衛白書にも書いてありますが、新たな防衛力の考え方を明示し、抑止効果重視から対処能力を重視した防衛力への転換だと、こういうふうに書いてあるんです。  したがって、これは大きな転換だと思うんですが、そこの転換に至る前の議論が、先ほど長官が答えられたような議論が庁内で相当あったのかどうか。あったと理解をしたいと思いますが、その中で、そうすると現実的にはこの対処能力、新たな脅威や多様な事態に対しては、これも予測困難で突発的な発生する可能性があるために、従来のように防衛力が存在することによる抑止効果が必ずしも有効に機能しないものになっていると。このため、今後の防衛力は即応性、機動性を更に向上させ、各種事態に有効に対処し、被害を極小化することが強く求められると、これは防衛政策の大転換だと思うんですが、どうでしょうか。
  419. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私は、防衛政策の大転換というか、新しく、従来の国家間の戦争、どこかの国が日本を侵略してくるような事態、着上陸事態を想定した防衛力の在り方から、委員がおっしゃるようにテロだとか様々なゲリラだとか、様々な脅威に対応していくことも十分に備えていかなければならないというシフトされた防衛戦略、防衛体制の考え方であるというふうに考えておりまして、従来型の考え方を全部捨て去ったものではない。従来型の脅威というのはやっぱり現存している、明らかに現存をしている。  それから、国と国との関係においても、我々が考えるほど冷静に合理的に考えてくれる国ばっかりかどうかというと、そこにも問題がある。そういうことから、新しい事態、新しい安全保障環境に柔軟に対応できるように幅広く対応方を考えているというふうに私は理解をした方が賢明であるというふうに思います。
  420. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、在日米軍の抑止力というのを、これは大臣も言及されましたが、在日米軍の抑止力、これを持つ、抑止力を持つとする根拠は何でしょうか。
  421. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 日本の場合は戦後六十年、いわゆる専守防衛という形で、侵略とか攻撃に対しては対処するけれども、攻撃力をもって相手の国の本拠地をやっつけるということは制限をされてきているわけです。したがって、同盟関係を結んで、日本を攻めた場合は同盟国である米国がその打撃力をもって日本に代わって攻撃をするということの抑止力が働いているものと思っております。
  422. 高野博師

    ○高野博師君 ちょっと違うんですね。抑止力を、米軍が抑止力を持つとする根拠とは何かということなんです。それは、米軍が正に攻撃に対して対処能力を持っているということだと思うんですね。しかし、それで、防衛大綱の基本方針の中には、「核兵器の脅威に対しては、米国の核抑止力に依存する。」というふうに書かれていますね。これはどういうことでしょうか。
  423. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、核の、核攻撃をしたときに日米同盟関係でその核抑止力が働くということは、同盟関係協定によって攻撃を仕掛けた国が米国から攻撃を受けるおそれがある、そして壊滅的な報復を受けることがあり得る、そういう抑止力を言っているものと思います。
  424. 高野博師

    ○高野博師君 若干かみ合わないんですが、米国の核抑止力というのは、日本に核兵器を持ち込んでなければ、これはアメリカにある核。これが、要するに日本はその核の傘の下にある、したがってその抑止力が働いていると、そういう理解になるのと違いますか。
  425. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) もちろん米国、もちろん日本が核保有国でないわけですから、同盟国である米国が核保有国であることによる抑止力であるわけであります。
  426. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、その抑止力というのは、米軍が持っている抑止力というのはどの範囲まで及んでいるんでしょうか。
  427. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これはまあ昭和三十年代の日米安保条約に基づく、いわゆる極東の範囲において日本の安全を守るということであると認識しております。
  428. 高野博師

    ○高野博師君 ちょっと待ってください。それは極東の範囲だけでしょうか。これは九七年の新しいガイドラインで、アジア太平洋の平和と安定、これに帰するということに変えたんじゃないでしょうか。そこはどうなんでしょうか。
  429. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) アジアの平和と安定に寄与することと、日本の安全を守るために日米同盟が働くものと、若干ニュアンスが違っていると思います。
  430. 高野博師

    ○高野博師君 ということは、米軍の抑止力というのはアジア太平洋には及ばないと、極東だけであるという理解でいいんでしょうか。
  431. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 日本の安全を保っていくためには、日本国及び日本の安全に重大な影響を及ぼす周辺国、そしてまた、それは極東の範囲においての安全が脅かされる範囲ということの中で日米安保体制の影響力が行われる、影響力が浸透するということでございます。
  432. 高野博師

    ○高野博師君 神学論争になるからこの辺でやめておきますが、世界の中の日米同盟というようなことを盛んにこれは川口大臣のときから言っているんですが、僕は若干疑問がずっと持ち続けているんでありますが、しかし、今長官が言われたように、日本を守るための米軍の抑止力の範囲ということであれば、それは当然その基地の負担についても日本は応分の負担をするというのは筋は通るかなと思いますが。  ちょっとテーマを変えたいと思いますが、中東情勢について若干これは外務大臣にお伺いしたいと思います。  先般、プーチン大統領が中国を訪問しまして、中ロの首脳会談の中で、イランの核問題について外交努力を通じた対話による解決を求めるという立場を両国が確認したと。これは対米牽制だと言われているし、安保理事会の議論にも影響を与えるんではないかということも言われておりますが、中ロの戦略的協力パートナーシップ、ちょうど十周年だと。それから両国の貿易額も相当増大しているという中で今ロシアは原油などのエネルギーを供給している、あるいは武器を供与している、いろんな相互の関係は強化されているんでありますが、民主主義を輸出する米国を牽制するというような言い方もこれは報道にありますが、ここは、このイランの核問題についてこの中ロの対応というのは日本はどうとらえているんでしょうか。
  433. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) イランの核問題というのに関しましては、これは国連の安保理において累次議論が積み重ねられているところはもう御存じのとおりで、私どもとしてはこの対応が問題解決に向けた努力の一環であるという意味で共通の認識をしておりますけれども、今回、中ロでプーチン大統領と話があった、そのことの内容と国連安保理の話というのと間に大きな相違はない、基本的にはそう思っております。ラブロフ外務大臣とモッタキと会ったりした話の前に私どもモッタキと会っておりますんで、言ってきた話と、その後モッタキと会った話との裏が確認もしてみないと分からぬところですんで、させてもいただいたり、いろいろしましたけれども、ロシアの対応は基本的にはこの安保理の関係と大きな差はないと、私どもはそう認識いたしております。
  434. 高野博師

    ○高野博師君 外交努力を通じて対話による解決を図るということについては、考え方は日本も恐らく同じだろうと思いますが、しかし、必ずしも中ロの対応に同調するわけにもいかない部分も出てくるのかなというふうに思います。  そこで、イランのアザデガン油田のこの開発の中止をアメリカが求めてきているというような報道がありますが、これは事実でしょうか。
  435. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) アザデガンの話を私どものところに、いろいろ新聞なんかに書いてある話は知らないわけではありませんけれども、少なくともアザデガンの話等々の中止要求等々をアメリカからされた記憶はございません。ことはございません。
  436. 高野博師

    ○高野博師君 日本は原油の輸入の一四%か一五%ですか、イランに依存しているという中で、もし安保理で経済制裁等がされた場合に、この油田の開発というのは中止に追い込まれるのか、あるいは日本はそれには応じないということになるのか、非常に難しい対応を迫られると思うんですが、どうお考えでしょうか。
  437. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、まだちょっとその状態になって何とも言えるわけではございませんけれども、私どもは安保理決議が正式に採択されたときにおきましては、私どもはその国連の安保理の決定に従うというのが基本です。私どもは、それによって石油の輸入等々に影響が出る分は、そのための備蓄は百六十九日置いてあるのであって、私どもはいろんな節約もする上にいろいろな備蓄等々の取崩し等々を考えて対応すべきものであって、私ども国連の安保理というものの決定には従うというのが正しい判断だと思います。  ただ、安定供給と平和の話とのバランスというのはなかなか難しいところだとは思いますけれども日本の都合だけで動くということをするのは国益にはかなわない、長期的には国益にはかなわないと思います。
  438. 高野博師

    ○高野博師君 政府の立場はよく理解できました。私もそうだろうと思います。  しかし、一方で、原油の輸入先をもっと多角化するという努力を相当進めないと、備蓄だけでこれは数か月しかもたないわけですから、こういうことも考えると、中東に対する依存度がどんどん高まっているという現状がありますので、ここは政府の国策としてきちんとこの多角化の努力をすべきじゃないかと思いますが、そこはいかがでしょうか。
  439. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 石油ショックと言われた一九七〇年代の初頭、七〇%台だった中東への石油依存率が今日九〇%に達しているというのは、メキシコ等々いろいろな事情が変化したために日本においても変化が起きざるを得なかった点はあろうと存じますけれども、私どもといたしましては、基本的には輸入元の多角化というものは今後ともエネルギーを石油だけに頼らず、ガスもあるでしょうしいろいろその他、私どもとしてはエネルギーの多角化、多様化というものは輸入元と同時に、私どもはエネルギー源の多角化も含めて政府として真剣に検討していくべき課題だと存じます。
  440. 高野博師

    ○高野博師君 それでは最後に、対中国円借款について若干お伺いしたいと思います。  対中円借款は二〇〇八年までこれは供与を続けるということが一応決定していると理解をしておりますが、今回決定を持ち越した、持ち越しについて麻生大臣が決定を下したと、こう言われているんですが、それはなぜでしょうか。
  441. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 二〇〇五年の対中円借款につきましては、二〇〇五年につきましては、政府部内でいろいろ検討をしてきたところでありますが、現下の日中関係を取り巻いております諸情勢というものを受けまして、政府部内でいろいろ調整をさせていただき、しばらく時間を掛ける必要があるという結論に達しまして、三月末、いわゆる年度内というもののいわゆる供与決定というのを見送るということにさせていただきました。  私どもとしては、これは日中関係の今後の状況というのも踏まえねばならぬと思いますけれども、供与が可能になりますよう、私どもとしては政府部内の調整を今後とも進めていきたいと思っております。  いずれにいたしましても、北京オリンピックは二〇〇八年、二〇〇八年の北京オリンピックまでのいわゆる新規供与は終了するというこれまでの日中関係の共通認識に基づいてこの政府方針に変更はないというように御理解いただければと存じます。
  442. 高野博師

    ○高野博師君 基本的に私もその決定でいいのかなと思いますが、まあ円借款でやる分野は主に環境分野なものですから、中国の環境問題というのは相当深刻になっているということもありますんで、技術供与も含めて円借款はあってもいいのかなと思います。  ただし、これは私の、党の考えではありません、個人の考えですが、今までの対中ODAというのは、やっぱりどこかで全部一回公表したらどうだと、中国国民に。これはどこかで僕は是非主張してもらいたいと思います。何兆円というお金を出していながら、最近は国民はよく分かってきているような部分もありますが、しかし全国民に向けて公表したことは恐らく一度もないと思うんですね。これを主張しながら供与も二〇〇八年まで続けていくということをやってもいいんではないかと思うんですが、最後に大臣の御意見をお伺いいたします。
  443. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、中国国民に対していわゆる対中国ODAというもののPR、広報というものが、これは私は中国国民理解を得る上でも非常に重要だと、私も全く同じように考えます。  この広報については、いわゆる中国語のホームページ等々で情報発信をするとか、現地メディアを対象としたあの経協のプロジェクトの視察ツアーをやるとか、いろいろ援助物資への日の丸とかステッカーとか、いろいろやってはおります。しかし、十分かと言われると、とてもではないけどという感じが、私も同じような感じがしておりますんで、その意味では今後私どもODAについて、この中国国内での広報というものも強化するようにも言っておりますし、私どもも、これちょっと全部というのがどういうやり方するかはちょっと別にいたしまして、この点の広報につきましては努力をするべきであろうと、私もそう思います。
  444. 高野博師

    ○高野博師君 ありがとうございました。終わります。
  445. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 まず、米軍への経費負担全体についてお伺いいたします。  日本政府は、在日米軍駐留経費負担特別協定によるものを含めて、これまで様々な形で米軍に対する経費負担を行ってまいりました。まず主要な経費負担を確認しておきたいんですけれども一つは関東計画、二つ目に沖縄返還に伴う経費、三つ目に湾岸戦争の経費、四つ目にこの法案にも関連しますが米軍駐留経費、五つ目にSACO経費と、この五つについてこれまでの合計負担額、それからそれぞれの負担根拠、そして五つすべて合わせた負担額の総合計ですね、これをお示しいただきたいと思います。
  446. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 御質問の各計画等についての支出でございますが、関東空軍施設整備統合計画、これは昭和四十八年に行いまして、地位協定二十四条に基づく施設区域の提供に係る経費として約四百五十億円。それから、二番目の沖縄返還に伴う経費としては、沖縄返還協定第七条に基づきまして三億二千万ドル。それから、湾岸戦争に関しましては、日本政府と湾岸アラブ諸国協力理事会との間での書簡に基づいて約一兆四千九百億円を負担をしています。そして、在日米軍駐留経費負担、これにつきましては、地位協定二十四条、それからこの特別協定、累次にわたる特別協定に基づきまして、昭和五十三年から平成十七年度まで二十六年間で総額四兆七千百億円。それから、SACO関係経費といたしまして、日米地位協定二十四条それから特別協定に基づきまして千九百五十億円をそれぞれ計上して、また支払をしているということでございます。
  447. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 合計額は。
  448. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) これらを合計いたしますと、その時期によって基準が違ったり、それから通貨のレートが違ったりということで単純に足し算するのが難しいところもございますけれども、あえてその単純計算をすると約六兆四千四百億円、それと三億二千万ドル、こういう計算になろうかと思います。
  449. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 いずれにしても大変大きな額なんですけれども、このほかにもテロ特措法の給油の支援とか、あるいは日本はそういう形で、様々な形で米軍のために金を払ってきたということが明らかになると思います。  在日米軍駐留経費負担特別協定についてお伺いしますけれども思いやり予算は七八年から始まって、その後米軍が、米国が労務費負担の増額要求してきた際に、これは特別協定を結んで、そこから今日の協定に至っているわけですけれども、特別協定について一時的、暫定的なものと説明してきましたけれども、その理由は何でしょうか。
  450. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 今御指摘のとおり、特別協定締結して、ある意味地位協定に対する特則を作って負担をしてきたわけでございますが、これ一時的ということについては、一定の期間に限りまたかつ特定の経費に限って負担をしてきていると、こういうことで、政府としては特別協定の性格というものは暫定的、限定的なものであるという考え方でございます。
  451. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 地位協定二十四条は、駐留負担経費の原則で、その特別協定が暫定的という点では、そういう考え方は変わっていないということでよろしいですね。
  452. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 御指摘のとおりでございます。
  453. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 原則を超える部分の負担は特別協定のその後の改定で、当初二分の一とされた手当の負担が全額になるとか、基本給や光熱水料経費も入り、訓練移転まで含めるというふうに拡大されてまいりました。その後、この特別協定のほかに、日本からの要請で行うから日本が負担するというSACO方式、これも作られました。  政府はその地位協定が原則であると言う、しかしそれにもかかわらず原則を超える日本の負担が生じる状態が二十年近く続いております。思いやり予算を含めると、これが三十年近くなる。これで原則が守られていると言えるのかどうか。今度また、この法案二年延長することになるわけですけれども、一時的な措置とはこれでは言えないんじゃありませんか。
  454. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 政府といたしましては、米軍の駐留に係る経費負担、この原則はあくまでやはり地位協定に基づくものであると。ただ、その下で駐留する米軍の活動をより円滑化をする、効果的にするということが我が国の安全にとってやはり有効であるという考え方で特別協定に基づく経費負担をしてきておるわけでございます。  今回の特別協定につきましては、正に現在行っている米軍の再編というものの行く末というのを見極める必要もあるということから、期間を二年というのに限っている状況でございます。
  455. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日米間にはきちっと取り決めたそういう負担原則というのがあるわけですよね。しかし、それを超えるような形でどんどんどんどんその例外を増やしてきた、それがこの間の経過だと思います。ですから、アメリカは同盟の貢献度報告の中で日本によるホスト・ネーション・サポートについて、七五%という負担割合の高さを高く評価して感謝しているという、世界に類例のないそういう状態になっている、これが現状だと思います。  そこで、大臣にお伺いしたいんですが、やっぱりこういう形でどんどんどんどん原則、負担原則から外れて例外をつくってくると、その中にはやはり様々な形の整備費があるわけですね。二〇〇六年度の提供施設の整備費は六百三十八億円となっておりますけれども、これはいわゆる思いやり予算に当たるものですけれども、その中の内容を見ますと、例えば岩国基地の野外運動場とかキャンプ・ハンセンの野球場、体育館、そんなものがあるわけです。  政府は、財政事情が非常に厳しいと言って国民への支出をいろいろ削減している、そういうときに米軍には相変わらずこういう形で福利厚生、体育施設、そういうものを至れり尽くせりという形で造る、そういう現状があると思うんですね。これに対してやはり国民の側からは、国民の税金、我々の税金を使ってそこまでやるのかと、そういう批判があることは大臣御存じのとおりだと思うんですね。いわゆるこういう支出についてはやはり考え直すべきではないかと思いますけれども、その点についてのお考えをお伺いします。
  456. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、緒方先生から御質問のあっておりましたこの提供施設整備費、通称FIPと称している分につきましては、これは御存じのように、日米安全保障体制の円滑な運営と、効果的な運用というものを確保するという観点から、従来より基本的には地位協定の範囲内で米側の意見等々を聴取するなどしながら、安全保障条約というものを確実に実効性あらしめるためを目的として、日本の財政負担等々、おっしゃるとおりいろいろ苦心をしながら総合的に考えて、日本のそれぞれの施設をそのときの判断によりいろいろやらせてきていただいたところだと思っております。  今、兵力再編等々、いろいろ問題を、新しい問題がまた出てきておりますので、その費用負担の問題も含めまして、これは関係省庁いろいろ相談をしながら検討していかねばならぬところだと思っておりますが、いずれにいたしましても、財政事情というものあっての話なものですから、私どもとしては、これは効果的、円滑に、かつ日米安全保障体制を実効性あらしめるものにしておく覚悟をしておかねばなりませんので、そういったことを考えながら対応していかねばならぬものだと思って、御指摘の点等々踏まえて対応していかねばならぬと考えております。
  457. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今の答弁で、やはり福利厚生、範囲は広いんだけれども、スポーツ施設等々、これらについてはやはり少し見直していくという、そういうふうに考えてよろしいですね。私はそうすべきだと思いますが。
  458. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 兵隊の場合はどこまでがスポーツでどこまでが訓練かというのはなかなか難しいところにあるんです、正直なところ申し上げて。筋力トレーニング設備は、これは兵員のためかそれとも個人のためかと言われるとなかなか難しいところだと思いますけれども、いずれにしても、私どもとしては、そういったレクリエーションというもの、娯楽施設等々、これは必要性というものはよく精査をしなきゃいかぬところだと思っておりますけれども、新規の採択というものは控えることとしていきたいというような基本的な考え方は持っております。
  459. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私はよく横田とかそういう周辺の自治体に行きますけれども、そこの住民がどういう感情を抱いているかということについてもよく考えていただいて、今述べられたようなことも含めて検討を進めていただきたいと要望しておきたいと思います。  次に、在日米軍再編の経費、これがどうなるかという問題なんですけれども、2プラス2合意文書の再編に関する勧告、これを読みますと、国内には新たな施設建設を検討することになる場所がたくさんあるわけです。辺野古、キャンプ・シュワブ、鹿屋、新田原、築城、岩国、座間、横田、小松、百里、千歳、車力などなどです。  国内で新たな施設を建設をする場合、費用は米軍が負担することになるんですか、大臣
  460. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 基本的に今後、この米軍再編に伴ういろいろな諸策が必要である、それを実行するに当たっては資金が必要になってくるという中で、これを具体的にどういう形で行っていくかということは、現在日米間で種々協議をやっている状況でございまして、現在その結論を予断することはできないというのが現時点での状況でございます。
  461. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 政府の試算として報道されたことですけれども、その総額が三兆円にも上るということが言われております。三兆円に上ると、そういう報道があります。で、十年としても一年で三千億円を超えるという大変な額になるわけですけれども、米側はグアムについて日本の負担を要求しているわけですから、国内の日本施設建設についても日本の負担を要求する、そういうことがかなりあるのではないかなと私は推測するわけです。  そこで、お尋ねしたいんですが、合意文書は再編案について、「パッケージ全体について合意され次第、実施が開始される」、そう述べております。政府はその点で負担するんですか、しないんですか。
  462. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) この点につきましては先ほども説明をいたしましたけれども、この再編についていろいろな計画があるわけでございます。これを実施をしていくに当たっては、その実施を行っていくために資金が必要になってくるわけでございますけれども、その点も含めて現在日米で協議中ということでございまして、その結果について予断できないということで御理解いただきたいと思います。
  463. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 費用もパッケージ総額で負担割合を合意するということはあるんですか、可能性。
  464. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 現在協議中でございますので、この結果としてどういうものになっていくかということを私がここで予断することは差し控えたいと思いますが、先般、一部報道で出ていたような、総額で三兆円に上るというような試算を政府としてやっているわけではございません。
  465. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 政府は今まで、地位協定思いやり予算、特別協定、SACO方式など、米軍の関係経費をそういうことで負担してまいりました。再編案の経費負担は今後どういう形で、どういう方式でやることになるのか、そういうことについては検討されていると思いますが。
  466. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 意味がよく分からないんだけど。ちょっと、もう一回言ってくれません、言っている意味がよく……
  467. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 緒方靖夫君、再度御質問ください。
  468. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今度、再編案全体について、いろんなやり方がこれまでありました。今回、再編案の経費負担についてどれを協議していくんですか、どういうことを考えていくんですか。
  469. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) SACOと同じようにやるのかとか、そういう意味
  470. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そうです、どういう方式でやるのかと。
  471. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) SACOは一つの、ちょっと正直申し上げて、決定したわけではありませんから何とも申し上げられませんけれども、SACOというのは一つの考え方だと思います。
  472. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 政府のこれまでの説明によると、提供施設整備費というのは地位協定二十四条二項、日本側負担に基づくとされてきました。これまでいろんなものを造られてきたわけですけれども、再編案による案件、これも結局、そういう方式でやっていくのか、あるいはSACOでやっていくのか、いろいろあると思いますけれども、今大臣はSACO方式というふうにおっしゃられた、それが一つの可能性として強いということですね。
  473. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、これが一番、ちょっともっといい案があるのかもしれませんし、全然別の案が出てくるのかも、ちょっと正直、これは緒方先生、今この段階で確たる案が私自身にあるわけではございませんので、ちょっといい加減な話は申し上げられません。  ただ、SACOというのは一つの、最近やった中ではSACOというのは一つの方法だと存じます。
  474. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 合意文書の再編案には移転ではなく全く新規の施設も含まれております。例えば車力基地のXバンド・レーダー、あるいはキャンプ座間の陸軍新司令部等々ですね。しかも、いずれもこれらは日本側の要請ではなくて米軍の要請によって検討されているもの、そういうふうに承知しております。もちろんリロケーションでもない。こういうものについて日本の負担を検討する理由、これはどういうことに根拠があるんでしょうか。
  475. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 繰り返しの答弁になりまして申し訳ございませんが、先ほどから申し上げているとおり、本件再編にはいろんな、先生から御指摘のとおりの性格のプロジェクトが含まれているわけでございますので、そのそれぞれについて一体どういう形で必要となる資金を負担をしていくか、捻出をしていくかということについては、今後検討をし結論を出していくということの、そういう性格の状況にあるというふうに御理解いただければ幸いでございます。
  476. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 いずれも、日本国民の税金が投入されるということ、その考えには変わりないと思いますけれども、やはり米軍が自分たちの必要で造る、そういう新しい戦略に基づく基地配備あるいはその施設、それに対して日本の負担、これはおかしいということを一言申し上げておきたいと思います。  それから、グアム移転の問題なんですけれども、日米協議ではグアム関連の経費百億ドルのうち七五%を日本側が負担するよう米側は求めていると。さっきからも議論がありましたけれども、そういうふうに言われております。  政府は、グアム移転を合意文書に盛り込んだ際に、額は別としても、そもそも日本が何らかの負担をするということに対してアメリカとの間で合意があったんでしょうか。大臣、お願いします。
  477. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 合意があったかと言われましたけれども、合意があるわけではなくて、検討していくということであります。  在沖海兵隊司令部の要員及びその家族のグアムへの移転というものは、沖縄にとって大きな負担の軽減となるというものでありますし、これをなるべく早く実現するために、我が国としても資金的な措置を含めて検討していきたいというふうに考えているわけであります。
  478. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 払うという合意はないけれども、しかし、どれほど払うかということを議論していると言うんですか。
  479. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) どれくらいということ以前として、払うかどうかも含めてその検討をしていくということでございます。
  480. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 小泉首相は予算委員会で、ある程度費用は持つ用意があると、そう言われたと思います。また、今日の委員会でも大臣は、早く沖縄からの海兵隊を移転させるためならば経費を少々負担してもよいと、そういう考えを述べられたと思います。その際、どういうものについては払う用意があると、そういう考えなんでしょうか。
  481. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、私どもとしては内容を細目全部知っているわけではありません。まだいろいろ、まだざっと出てきている段階ですので何とも申し上げられませんけれども、私どもは基本的に、何度と申し上げて恐縮ですけれども、抑止力の維持と沖縄の負担軽減という二律背反しかねない問題を一緒に解決するというのが、今回私ども一番腐心しているところであります。  その意味で、今沖縄の負担軽減からいきますと、この海兵隊の部分を、兵員含めて、家族含めて約一万七、八千人の人たちを沖縄からグアムに早く移転させるということは沖縄の住民の人たちにとっての負担の軽減になるというのが、私ども一番優先順位の高いと申し上げてもいいところなのかもしれません。  そういった意味で、是非この点を、長い間沖縄県民の方々というのは、いわゆる基地の七五%等々いろんな表現がありますけれども、地政学的にかなり偏ったことになっているという現実はもう間違いございませんので、私どもは今回のこの機会に合わせてなるべく早くということを考えますと、アメリカに、そのままにしておきますと、これいつ移転するのか、十年掛かるのか十五年掛かるのか分からぬということではなくて、なるべく早くということを考えますと、今申し上げたような住居というようなものが一番最初に必要なものかなと思いますので、私どもは、住居といったようなものが私どもとしては理解が一番しやすいところではないかというような基本的な考え方は持っております。
  482. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 外国にある基地、これを造るのに、なぜ日本が負担をしなきゃいけないのかという根本的な疑問があるわけですね。地位協定の負担原則はこれに当てはまりますか。
  483. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) お答えいたします。  日米地位協定につきましては、日本に駐留する米軍についての在り方、かかわり方、権利義務関係を規定しておるわけでございますので、今回考えられておるような沖縄にいる海兵隊がグアムに移駐をする、その移駐したグアムにおいてどうするかということについては、地位協定とは別個の問題というふうに理解しております。
  484. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 その場合、費用を持つと、そしてしかも、そのためには、先ほど大臣からお話がありましたけれども、一定の法的根拠、これを持たなきゃいけないという、そういう答弁もありました。その場合、どういう方式で新たな法的根拠を作るのかどうか、新たに協定を作るのかどうか、それについて大臣にお伺いいたします。
  485. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) まだ基本的によく、ローンにするんだ真水にするんだ、いろいろ御意見はあるのはよく知っておるところですけれども、基本的にこの方式で、この額で、こういうやり方でというのが、まだ確としたものができ上がってない今の段階でこういうような法律をお願いというような、基本的な考え方を今この段階で持っているわけではございません。
  486. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 麻生大臣は何らかの会見のときに、住宅とかそういったものが主たるものとおっしゃられて、金融であればローンの手法も使えると述べられて、住宅関連整備費約四十七億ドルのうち半分を日本からの融資で建設して家賃を返済する方に回す方式も検討されると、そういうことを述べたということをどこかで新聞で読んだんですけれども、それほどの巨額な融資を果たして家賃で回収できるのかどうか、その方式というのは大変疑問に思うんですけれども、どういうお考えかを示していただきたいと思います。
  487. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ちょっとその額まで正確に記憶をしておりませんのであれですけれども、私どもとしては、真水ではなくて融資というのも一つの方法だろうというように考えておりますんで、その回収方法等々、これはいろいろまた別に考えないかぬところなのかもしれませんけれども、直接今現金で出ていくという話とローンとは大分意味合いが違ってくると存じますんで、ローンというのも一つの考え方だというように御理解いただければと存じます。
  488. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 先ほど、住宅、それが中心だという御答弁がありました。アメリカ側はグアム移転には大規模なインフラ整備が必要だと、そういうことを説明しているのを読んでおります。整備といっても、兵舎、住宅、司令部施設、訓練施設などいろいろあると思うわけですけれども、百億ドルというその額というのは、実際どんなものに必要なのか、どういう説明を受けているのか、それについてお伺いいたします。
  489. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ちょっとその内容を、百億ドルも、そのまた内容も詳しいわけではありませんので、私どもが住宅と申し上げましたのは、少なくとも沖縄から移転する主たる部分は、いわゆる兵員の宿舎また家族の住居ということになろうと思いますんで、私どもとしては、そこが一番分かりやすいところだと。  造られますところは、多分全くの、グアムの多分山の中に造ることになろうと思いますので、そのところは多分道路もなきゃ何もないところに造ることになろうと思いますんで、道路等々いろいろ要るのかとは存じますけれども、私どもとしては、基本的にそういうような沖縄と直接関係する、沖縄のいわゆる負担の軽減につながるというようなものを主たるものとして考えるのが筋ではないかというのが基本的な考え方でございます。
  490. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 局長、あれですか、アメリカが百億ドルを何に使うのかという説明、どういうふうに聞かれているのか。  そして、先ほども議論になりましたけれども、アメリカの議会海外基地見直し委員会の五月の報告書、それには二十九億ドルと記載されていたわけですね。何で二十九億ドルから三倍近い百億ドルになったのか、それについても、なぜなのかということをお伺いしたい。
  491. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 現在、そのグアムの移転経費につきましては、日米の審議官級協議を中心として、いろんなところで意見交換、協議をしておるわけでございます。その中で、それなりの米側が考えていることというのも説明もございますけれども、現時点では非常に途中経過のものでございますので、ここの場で詳細について説明するのには必ずしも適さない状況にあるという点を御理解いただければと思います。  それから、御指摘のありましたいわゆるブラックの報告の関係、これにつきましては、そのブラックの報告自身、私どもの作っている報告若しくは我々が関与して作っている報告ではないので、これについてのコメントというのを行うことは困難かと思いますけれども、いずれにしても、いろんな時点でいろんな話があり、かつグアムに移転するその規模というものによって経費が変わってくるというところもあろうかと推測いたしております。
  492. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ここで説明するには適さないというお話ですけれども、アメリカの側は、わざわざ日本人記者を呼んで、ペンタゴンの担当者がこの移転には百億ドル必要だとかそういうことをどんどん述べるわけですよ。ですから、ここは国会なわけですから、やはり必要な話をまた、もちろん触れられないこともあるでしょうけれども、しかしやはりそういうことをきちっと述べていただきたいということを要望しておきたいと思うんです。  今回のグアムに関連した新しい基地施設の問題なんですけれども、グッドマン米太平洋海兵隊司令官は、この計画について、首尾よく移転を進めるためには、グアム及びその周辺の世界的規模の訓練施設の建設が必要だと、そう述べております。  米軍の計画というのは、そういうグアムとその周辺地域の訓練施設、これも含まれているんじゃありませんか。
  493. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 今御指摘になりました太平洋軍の海兵隊司令官の発言というのは、私ちょっと詳細に、申し訳ございません、資料を持っておりませんので、それについてのコメントは差し控えさせていただきますが、全体としてその海兵隊がグアムに移転をするというのに伴って必要な設備また機能が必要になるということであろうというふうに推測いたします。
  494. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 グアムだけではなくて、北マリアナ諸島も含めて大規模な施設だということをグッドマン司令官が説明しております。グッドマン司令官は、確実に海兵隊の戦闘能力を維持し、地域のいかなる事態にも備える、そのためにはこうした施設が死活的に必要だと述べているわけです。まあ知らないわけはないわけですから、局長は。  ですから、そうすると海兵隊の機能強化、そのためにこういう大きな構想が考えられているという、そういうふうになるわけですよね。ですから、その点でアメリカの側は、百億ドルと言っているその額、これはグアムとその周辺地域の百億ドルという、そういうその施設を造るのに百億ドルという、そういう計算をしている、そう思うんですけれども、その点はいかがですか。
  495. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 繰り返しの答弁になり申し訳ございませんが、グアムの移転経費というのにつきましては、現在日米で協議をいろいろやっている途中経過にあるものでございますので、それについての詳細について言及することは差し控えたいと思いますが、ただ同時に、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、海兵隊の司令部要員をグアムに移転をするということ、これはやはり沖縄の地元の負担の軽減というものに大きく寄与するものであるというのが基本にあります。ただ、同時に抑止の維持をしておかなくてはいけないということを併せて考える必要があると思います。
  496. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 要するに、グアム、グアムと言うんだけれども、アメリカが言っているのは、グアム及び北マリアナ諸島も含めた大規模な施設を構想しているわけですよ。実際そうなんです、アメリカの考えは。ですから、その費用というのはそこも含む。局長ははっきり言われなかったけれども、そしてまた大臣からも答弁はなかったんだけれども、やはり私は、今グアムの移転ということでグアムだけを見ていることでは済まない、そういう大きな問題があり、しかもそれは全体としてアメリカの戦略の機能性を高める、合理性を高める、柔軟性を高めるというものなわけですから、やはり日本の費用負担というのは全く理屈に合わない、そのことを申し上げて私の質問を終わります。
  497. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 通告はしておりませんが、これまでの答弁を聞いておりまして、一つだけ疑問に思っておりますのでお伺いします。  今、外務大臣もそれから北米局長も、沖縄の海兵隊を八千人グアムに移駐させるならば費用の面でも削減されるという趣旨のことをおっしゃいました。費用の面ですね、費用負担の面でも。これは、普天間の代替施設を沖縄本島北部の方に造らないとすれば、正におっしゃるとおり、基地負担の軽減にもつながるし、また費用の削減にも大幅にプラスすると思うわけなんですが、今、普天間の代替施設を辺野古沿岸に造るという計画をお持ちですので、じゃ一体、その政府が提起されている辺野古の沿岸案というその施設は、どれだけの費用を見積もってお造りになるおつもりですか。それによって負担が大幅に軽減されるかされないかというのが分かると思いますので。
  498. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはこちらに聞かれた方がよろしいんだと。こちらというのは額賀大臣に聞いていただかぬと、私どもの方でちょっと直接これは担当しているわけではございませんので、大田先生、この点に関してはちょっと答弁いたしかねます。
  499. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 それで結構ですが、北米局長に伺いますが、今私が申し上げた意味は、もしも普天間の代替施設を北部に造らないというのであれば、基地負担の削減にもつながるし、それから予算面でも大幅に軽くなるというふうに考えられるわけですが、移設するとなると、まあ一説には一兆円も掛かると言われています、その新しい基地を造るとなると。そうすると、これが果たして削減になるかという疑問が当然出てくるわけです。その辺のことはどういうふうにお考えですか。
  500. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 今の御指摘の普天間の代替施設の関連でございますけれども、普天間の代替施設につきましては、普天間が現在持っている機能、これが三つございます。一つはヘリの基地としての機能、二つ目は空中給油機がそこに存在をしているということ、三点目は緊急事態におけるやはり物資若しくは人員の集積機能に関連をするものであると、この三つがあるわけでございます。  今回の日米の再編の協議の中で、やはり沖縄の負担軽減をどうやって進めるかということで、この普天間が現在持っている三つの機能のうち二つについては本土に移転をしていきたいと。具体的に言えば、空中給油機、これを普天間から本土に移設をしたい。それからもう一つは、緊急事態における集積機能、そういう機能も本土に移設をしたい。ただし、ヘリコプターの機能につきましては、これは沖縄にいる海兵隊の実戦部隊との関係から、どうしてもやはり沖縄から移すことができないというのは現実としてございます。その中で、同時に、地元からも、沖縄でも一つの大きい要望になってます普天間の危険性というものをできるだけ早く解決、普天間が抱えている問題を早く解決をしたいということで、代替施設をキャンプ・シュワブの沿岸部に、代替施設としてできるだけ早く建設をするということで沖縄の方の負担を少しでも小さくしたいというのが政府の考え方でございます。
  501. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先日、この委員会防衛庁長官にお伺いしましたけれども、実は一九六五年から沖縄の復帰の問題が水面下で、アメリカとの間で議論が始まりまして、一九六五年から六六年にかけてアメリカの海軍省が、沖縄にもう一つ三千メートル級の滑走路を持つ飛行場が欲しいということで調査を始めたところ、沖縄の中南部にはとても置けないし、それから北部の方にも可能性がないから、大浦湾の方に埋め立てて三千メートルの滑走路を持つ飛行場を造ろうということを計画したわけです、これは前にも申し上げたんですが。しかし、アメリカの経済が思うようにいかずに、そのときにはまだ日米安保条約が適用されていなかったものですから、建設費とか移送費というのはすべてアメリカ自体が持たなくちゃいけなかったわけです。それで断念したわけなんですが、その考え方というのはずっと続いてきているわけです。  それで、その意味で、外務大臣も北米局長も、一九六五年から六六年にかけてアメリカ海軍省が具体的に計画を持っていたということは御存じでしょうか。    〔委員長退席、理事浅野勝人君着席〕
  502. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 今御指摘のように、六〇年代にそういう計画があったということについては承知をしておりません。
  503. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 大臣はいかがですか。
  504. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 存じません。
  505. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 どうしてこういうことを伺うかというと、今さっき北米局長は何点かのことを申し上げたわけですね。その意味で必要だと、基地が必要だということをおっしゃったわけですが、実はこの六〇年代に、大きな飛行場と、那覇軍港に代わるような軍港を飛行場に隣接して造りたいということと、いま一つは普天間飛行場のヘリ基地、普天間飛行場にはヘリコプターに弾薬を積む施設がないわけなんです。それで、普天間からよそへ演習に行く場合には、ヘリコプターは嘉手納の方で弾薬を詰めて、それで出掛けるわけなんです。そういうこともあって、弾薬を積み込める施設を北部の方に造りたい、大浦湾の基地に造りたいというその三点セット。一つは、三千メートルの滑走路を持つ空港ですね。それからもう一つは、那覇軍港に代わるような港ですね、大きな船も着けられるような港ですね。それからいまもう一つは、今申し上げた弾薬を積み込む施設ですね、それが可能なもの。これは、規定で、人間の住んでいる宿舎から少なくとも四百メートル近く離さないといけないという規定があって、そういうこともあって普天間にはそれが造れないわけなんですね。そういう事情があって、北部の方にその三点セットの基地を造りたいと。ということは、また言い方を換えますと、今の中南部にいるアメリカの海兵隊というのをすべて北部の方に集約するという考えだったわけですね。  これが断念されたかと思うと決してそうではなくて、七〇年代に入ってそのときの計画をもう一遍持ち出してきて、それが今日につながっていると我々は見ているわけなんですよ。ですから、この種の資料というのは是非お読みいただかないと適切な対応ができないんじゃないかという懸念が、心配があるわけなんですね。その辺は是非、沖縄の公文書館なんかにも資料が入っておりますので是非お読みいただいて、県庁の方にも資料が入っておりますので、ひとつお願いしたいと思います。    〔理事浅野勝人君退席、委員長着席〕  それから、一九七八年に始まったいわゆる思いやり予算がどういう背景から生まれて、どのような経過をたどって今日の在り方に変わったのかということについて、ごく簡潔で結構ですので御説明いただけますか。
  506. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 思いやり予算、これについての経緯でございますけども、基本的には、以前と比べて日本経済がある程度成長してきた中で、米側としていろいろ、為替の話、それから物価の話等々の負担が大きいという中から思いやり予算という考え方、まあこれ、政府としては思いやり予算という言い方をしてないわけでございますけれども、いろいろな経費を日本側で負担をするという措置を開始したというふうに理解しております。
  507. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 どうしてこういうことをお聞きするかといいますと、実は二〇〇〇年の十二月に駐日大使のトーマス・フォーリー氏が朝日新聞に投稿しておりまして、その中で、日本の官僚や政治家の間にホスト・ネーション・サポートの在り方を問い直す動きが出ていると。在日米軍支援思いやり予算と呼ばれ、削減を求める人たちは日米安全保障同盟に対する貢献の基本的な性格を誤解しているということをおっしゃって、そして、決してこの思いやり予算はアメリカに対する謝意を表したものではなくて、当たり前のことだと。そして、過去五年間に米国は毎年平均してGDPの約三%を国防力の維持に充当し、九九年だけで二兆七千五百億円を支出したと。米国が日本に展開する艦船、航空機やその他のシステムの運用や整備には膨大な費用が掛かると。例えば、横須賀を母港とするキティーホークのような航空母艦一隻を運用する費用は一日当たり一億円を超えると推定されると。こういうふうに、巨額の金を使っているから、これは決して思いやりではなくて、日米同盟の強化のためにもっともっと出すべきだという趣旨のことをおっしゃっているわけですが、この点についてどうお考えですか。
  508. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ホスト・ネーション・サポーツという言葉がありますけども、そもそも、大田先生御存じのように、思いやり予算という言葉は、これは政府の言葉ではございません。これはもう在日米軍駐留経費負担というのが多分正式な行政用語というか政治用語、在日米軍駐留経費負担というんで、思いやり予算という言葉は、これはマスコミが作った言葉なんだと記憶しますが。  たしかこれは、何年でしたかね、昭和五十何年だか、円がばかっと上がった、とにかく円高になってドル安になったあのころから、あのころにたしか金丸防衛庁長官だったと記憶しますけれども、あの方が、ちょっとまあ世話になっとんじゃからとかなんとか言って、まあやってやろうやねんというような、何かかなり、国会答弁もそんな調子でやっておられたのが記憶に残ってんですけれども。信頼性を高めるということじゃないかとかなんとかいう話で何となくさあっと通っちゃったという、たしかあのときはそんな、私まだ駆け出しだったんですけど、何となくそんな記憶があります。  そういった当時の状況から、何となくあの方が言われたから思いやり予算というような話になったのかなと、これは想像です。マスコミが作り出した言葉で、何とかだと思いますんで、そこらですけれども、いずれにいたしましても、私どもとしては、今、円高ドル安というようなものが非常に大きな要素になったことは否めない事実だとは思いますけれども。  いずれにいたしましても、在日駐留米軍のいわゆるオペレーション、行動が円滑に実効性をあらしめるために、いろいろな、双方で出し合ったというのが今回のあれであって、私どもとしては、トーマス・フォーレー、議長じゃなかった、あのころはもう大使ですか、の言われる意味というのは、向こうの気分としては分からぬわけではないところではございますけども、私どもには私どもとして、いや、元々はこうだったんじゃないですかと、さかのぼって言えば、円高ドル安も何もこっちが頼んでしてもらった、したわけじゃないじゃないかと、言いたいことは私ども一杯ありますけれども、そこらのところが背景だったと記憶をいたします。
  509. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 お配りしたと思いますが、外務省からいただいた資料一、資料二というのがございます。その資料一の方は二〇〇四年度の負担額の比較表になっておりまして、資料二の方は三年ほど前に同じく外務省からいただいた資料でございますが。  この資料二の方をごらんいただきますと、アメリカ側の負担が二四%で日本側が七六%となっております。ところが、その資料一、つい最近のものを見ますと、アメリカ側の負担が四九%で日本側の負担が五一%となっておりますが、これはどうしてそういうふうに変わっているんでしょうか。
  510. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 在日米軍駐留経費の日米の負担、日本側での負担、米側の負担というものについては、いろいろな経費の範囲のとらえ方もございますし、それから為替レート等々の問題もございますので、一概に単純に算定して比較し得るというものではないというところはあろうかと思います。  その中で、現在一番最新のものとしては、二〇〇四年度の数字というものに基づきまして我々の推計というものを含めて計算したものとして、日本側の負担が五一%、米側の負担は四九%というのが政府としての推計に基づく数字であるということでございます。  片や、過去に当省が作成したという中には、その中で、これは米軍人の給与等がその中に、米側の負担というものの要素として含まれてない形の数字となると、米側の負担比率というのはかなり小さくなっていくというのは事実としてはあろうかと思っております。
  511. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうしますと、以前の表は、アメリカ側の負担として米軍人の給与等は含める必要はないというふうに判断されて表を作られたということですか。
  512. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) その当時の考え方、比較、日本側の負担、米側の負担という中で、米側の負担の中にその時点では米軍人の給与は入れてなかったということに生ずる差異ということで御理解いただければと思います。
  513. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 駐留米軍経費の日米負担の区分は、日米安保条約第六条に基づく日米地位協定の第二十四項一項、二項に定められています。同条一項では、日本国に米軍を維持することに伴うすべての経費は同二項に定める日本側負担分を除いて米国が負担するとあります。この軍人軍属等関係人件費、つまり米軍人給与等は同条一項の対象に入っていますか、入っていませんか。
  514. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 米軍人、基本的に二十四条一項の規定に基づけば米軍人軍属の経費は少なくとも日本側が負担するものには入らないということでございまして、実質的に米側が負担する額に入る、負担をしているということでございます。
  515. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務大臣にお願いいたします。  日米地位協定は日米安保条約の効果的運用のために定めていて、かつ同協定第二十四条によって米軍駐留経費の日米間それぞれの負担を決めたわけですから、同協定第二十四条の規定を厳格に守っても日米安保体制の運用には支障はないと思われるのですが、その点についてはいかがでしょうか、殊更にそれ以外の。
  516. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 基本的に、今御指摘のとおり、日米地位協定に基づけば、その施設区域については日本側が負担をすると、それ以外の経費については米側が負担するというのが日米地位協定に定められている規定でございます。  ただ、先ほどから御説明しているとおり、現下のいろいろな状況の中で在日米軍の抑止力、活動の円滑的、効果的にするためにはどういう措置をとった方が望ましいのかと、これが日本の平和、それから極東の平和と安定というものに対してどう役立つのかという考え方を踏まえて追加的な費用負担を日本側として行っているということでございます。
  517. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今年度の在日米軍駐留経費の日本側負担総額は約六千三百億円となっておりますが、これを本来の日米地位協定第二十四条一項、二項に基づいて規定どおりに計算すれば、日本側の負担はどれくらいになりますか。
  518. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 二十四条一項の規定の関係で、いわゆる地位協定の特則としてこの特別協定に基づき我が国が負担している額というのは、約一千三百九十一億円ということでございます。  それから、地位協定の下で地位協定の範囲内で我が国が在日米軍駐留経費負担として行っている経費というもの、これは内訳としては施設整備費、それから労務費のうちの福利厚生費等が当たるわけでございますが、その額は九百八十六億円という数字になっておる次第でございます。
  519. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 日米地位協定第二十四条の規定どおりにすれば日本の支出は約六〇%で済むわけです。  先日、二十四日、財務省は昨年末の国の債務残高、つまり借金が八百十三兆一千八百三十億円に上り、国民一人当たりでは約六百三十七万円の借金を抱えている計算になると発表しました。このように我が国の財政が米国以上に厳しくなっていることを考えると、果たして我が国にいわゆる思いやり予算を続ける余裕があると思えないのですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  520. 河相周夫

    政府参考人(河相周夫君) 御指摘のとおり、現在日本が厳しい財政状況にあるというのは私どもとしても現に認識をしているところでございます。  ただ、先ほども申し上げましたとおり、この在日米軍の抑止力というものをいかに効果的、実効的あらしめるかという観点からして、日本が在日米軍駐留経費について一定の負担を行うということが日本の安全保障にとってやはりプラスであるという判断から、特別協定に基づく措置若しくは地位協定に基づく駐留経費負担をやっているわけでございます。  ただ同時に、御指摘のとおりの厳しい財政状況の中で、できるだけ日本側の財政負担は小さくできるところは小さくしていくということを併せて考えて対応しているところでございます。
  521. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先ほど同僚議員からも似たような質問がございましたけれども、いま一度お伺いしたいと思います。  米国防総省の米議会に対する米軍受入れ国負担に関する二〇〇二年次報告書によりますと、日本の負担額は約四千四百十一億ドルで、米軍を駐留さしている計二十六か国の負担総額約八千三百九十七億ドルの五二・五%、つまり半分以上を日本一国が占めています。ドイツと比較しますと、ドイツには米兵が七万二千人駐留しているのに負担額は約一千五百六十三億ドルですが、それに対し、約四万一千六百人駐留の日本の負担の方がはるかに多いということは一般の国民になかなか理解し難いと思いますが、なぜこれほどよそに比べて負担額が多くなるんでしょうか。
  522. 金田勝年

    ○副大臣金田勝年君) 一般論として申し上げますと、各国が負担しております米軍駐留経費は、その国を取り巻く安全保障環境のいろいろな要因といいますか、そういうものを総合的に勘案して負担されているものだというふうに考えております。したがいまして、我が国とほかの国との基地負担額の単純な比較とか評価といったものはなかなか困難であると、このように考えております。
  523. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛施設庁、おられますか。  陸海空各自衛隊の光熱水料費及びその総額と米軍駐留経費の日本が負担している光熱水料費がそれぞれ幾らになるのか、直近の年度の確定した額、あるいは予算額で結構ですから、教えてください。
  524. 横山文博

    政府参考人(横山文博君) まず、十八年度予算の陸海空自衛隊別及びその他防衛本庁の機関等に係る光熱水料の予算額及びその合計額についてお答えいたします。  陸上自衛隊約百三十三億六千四百万円、海上自衛隊約六十二億七千八百万円、航空自衛隊約七十一億九千七百万円、その他機関三十二億五千二百万円、トータル、合計約三百億九千百万円でございます。
  525. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 平成十八年度の在日米軍に係る光熱水料等でございますけれども予算額について申し上げます。二百四十七億七千三百万円でございます。
  526. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 約四万人の在日米軍が使用する光熱水料費が二十六万余の自衛隊のそれとほぼ同額というのは首をかしげざるを得ませんけれども、なぜそういう結果になっているんでしょうか。
  527. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 大田先生よく御承知のとおり、米軍の施設区域と申しますのは、自衛隊の場合と異なりまして、部隊運用に必要な施設のほかに米軍人等の家族住宅、あるいはこれらの生活用の支援施設としての学校とか病院とか売店という多種多様な施設で構成されておりまして、言ってみれば一つの町を形成しているような特性がございますので、そういった面から、自衛官あるいは軍人の数を単純に比較してその多寡を論ずるのは必ずしも適切ではないのかなと思っているところでございます。
  528. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務省にお伺いいたします。  二〇〇六年二月五日付けの朝日新聞西部版は、大分県日出生台演習場で実弾砲撃演習をした在沖縄米海兵隊が思いやり予算の負担でもって演習終了後に周辺の観光地やレジャー施設へ行ったと報じています。これは特別協定の訓練移転費を利用してのことだと思われますが、我が国は米兵の観光旅行費用まで面倒を見ているのですか。
  529. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 一〇四の移転訓練の後、砲の射撃後に、沖縄に帰る前に、この訓練に参加した在沖米海兵隊が、いわゆる文化ツアーということで、周辺の地域社会、文化に対する理解を含め、良き隣人としての行動が取れるよう、日本の歴史、文化を学ぶための研修という部隊活動という位置付けとして、私どもといたしましては一〇四移転訓練の一環ということで日本側の予算の範囲内で負担をいたしているところでございます。
  530. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務省にお伺いします。  介護保険法の改正によって昨年十月から特別養護老人ホームや老人保健施設、介護療養型医療施設の入所者の住居費、食費が介護保険から外され、原則として全額自己負担となりました。その結果、特養老人ホーム入居者は自己負担額が月三万円以上アップしたため、退所に追い込まれたり、入居待機者が入居をあきらめたと報じられています。  厚生労働省によると、入居者個人負担によるその分の節約額は約三千億円とのことですが、思いやり予算約二千五百億円とほぼ同額です。思いやり予算を削れば老人ホームの入居者の負担を増やす必要はないと考えられますが、その点、米兵を思いやる前にむしろ日本の国内のお年寄りのそういう点を思いやった方が良くないでしょうか。
  531. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いきなりあれだったんで、僕は外務省じゃなくて財務省の間違いかと思って伺っていましたんで、ちょっと恐縮ですけれども。  今のお話伺っていると、多分思いやり予算の額と今回の介護保険の分との額がほぼ同じだから、思いやり予算よりはそちらの方にやったらどうかという御意見なんだと思います。あるいは一つの考え方だとは思いますけれども、私どもとしては、今私どもの周りを取り巻く環境を考えましたときには、少なくともこの地域の不確実性、不安定性というものを考えましたときには、在日米軍との関係というものは非常に重要なものだと考えております。  したがいまして、今直ちにその予算と額が同じだから、こちらからの分を、思いやり予算と言われる在日駐留米軍経費というものを直ちに削るというような考え方はございません。
  532. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 最後に、悲しいことを申し上げたいと思います。  先日、二十七日に名護の市長をしておられた岸本建男さんが亡くなられました。この方は亡くなる数日前に、沿岸案は、滑走路延長線上に住宅があり、学校等も近在し、住民生活への影響を考えても論外、到底受け入れられないと述べたと報じられております。現在の島袋市長もこの岸本前市長のお考えを受け継いでいると報じられておりますけれども、これに対して防衛庁はどのような感想をお持ちですか。  なぜこういうことをお聞きするかといいますと、実は明治のころからこういう問題が起こっておりまして、廃藩置県の前に日本軍の分遣隊を沖縄に常駐せしめるということで、沖縄の大臣国務大臣級の人が東京に出てきて外務省と折衝をして、そして外務省は、どこに基地を置くかというのは国が決めることであって他人がくちばしすることはできないということで、言うことを聞かなければ軍事力で言うことを聞かせるということを強く押して、そして嫌がる沖縄側を苦しめたわけです。そのときの国務大臣の一人の池城安規という人が……
  533. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 時間が参っております。簡潔にお願いします。
  534. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 人がですね、悶死するということが起こった。それから、戦後、土地問題で、比嘉秀平という今の知事に当たる人が、これはまた土地問題で大変苦しんで急に死んでしまったと。それで、基地によって殺されたということが言われたわけなんですが、この岸本さんの死も私は非常に苦しんだことが一つ死を早めたのではないかと悲しい思いをしておるわけですが、どうかその辺も是非理解いただきたいと思います。  終わります。
  535. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  536. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、在日米軍駐留経費負担特別協定延長に反対の討論を行います。  この特別協定による日本の経費負担は、在日米軍に係る経費の在り方を定めた日米地位協定第二十四条の原則に反するものです。政府自身、現行の地位協定第二十四条の原則とは違うことをやると説明し、協定による措置を特例的、暫定的、限定的なものだとしてきました。地位協定の原則に従えば、日本ではなく米国政府に負担をすべき義務があることは明らかです。  更に重大なことは、特例的、暫定的、限定的だとしてきたはずの措置が二十年近くも続けられていることです。しかも、当初手当の一部だけだった負担内容は、米国政府の要請のままに、基本給、光熱水料、さらには訓練移転費まで含め、歯止めなく拡大されてきました。もはや暫定的、限定的などと呼べないことは明瞭です。このような協定を更に二年も継続することは、原則に反する措置を追認し、無用な財政負担を一層向上させることにほかなりません。  政府は、特別協定を延長する理由を日米安保体制の円滑かつ効果的運用を進めるためと説明していますが、今、日米の同盟関係は、米国主導で進められている在日米軍再編によって世界的規模へ拡大強化されようとしています。そうした中で、日本が米軍駐留経費負担を継続することは、日本が先制攻撃を含めたアメリカの世界戦略に寄与することにもつながるものであり、認めることはできません。  以上、反対理由を述べ、特別協定は廃止されるべきであることを主張して、討論を終わります。
  537. 浅野勝人

    ○浅野勝人君 私は、自民党、公明党を代表して、在日米軍の駐留経費を負担する特別協定について、賛成の立場から討論を行います。  この協定は、在日米軍基地の従業員の労務費と、在日米軍が公用のため調達する電気、ガスなどの光熱費、水道料、並びに我が国の要請に基づいて在日米軍が訓練の場所を変更する際に新たに必要となる訓練移転費を日本側が負担することを規定しております。  アジア太平洋地域においては、依然として不安定な政治的、軍事的な状況が存在しております。このような情勢の下で日本の安全を確保するためには、我が国自身の防衛力を着実に充実させるだけでなく、日米安保条約を引き続き堅持し、米軍に施設区域を提供してその抑止力を維持していくことが必要であります。とりわけ高い機動性を持つ在日米軍の駐留は、我が国及び地域の平和と安定にとって不可欠であります。  こうした観点から、特別協定を含む在日米軍駐留経費の負担は、日米安保体制の円滑な運用を確保するためのものであります。  特に今回の協定では、最近の経済・財政事情にかんがみ、日本側の今の負担水準を維持することでアメリカ側と合意していること。さらに、世界規模の米軍再編に伴い、在沖米軍を中心とする在日米軍の兵力の配置に流動化する要素があることから、協定の有効期間を従来の五年から二年に短縮し、今後の情勢の変化に対応できるようにしております。これらはいずれも納税者である国民の立場を配慮した適切な取決めであると考えます。  以上申し述べて、私の賛成討論を終わります。
  538. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 私は、社民党・護憲連合を代表して、ただいま議題となっています在日米軍駐留経費負担特別協定について反対の立場で討論いたします。  御承知のとおり、在日米軍駐留経費におけるいわゆる思いやり予算は、オイルショック以降、ドル安、円高等による米国の厳しい経済事情に配慮し、一九七八年から支出するようになりました。この間、政府の説明では、暫定的、特例的、限定的なものであるとされてきました。  しかし、経済事情等が変わってもずっと継続され、国会を始め国民から条約や協定にもない予算を支出すべきではないとの強い批判が出たため、それをかわすかのように特別協定締結されて今日に至っています。  そもそも在日米軍駐留経費の日米負担の原則は、日米安保条約第六条に基づく日米地位協定第二十四条に規定され、日本側が土地と施設を提供するほかは、米軍を維持するためのすべての経費は米側が負担するという趣旨になっています。つまり、思いやり予算はその原則を踏み外し、正当性のない措置であることは明白であり、これ以上継続することは許されません。  しかも、思いやり予算によって建設された米兵の標準的家族住宅は百五十七平方メートルという広い家であり、約四万人の駐留米軍の光熱水料費は二十六万人の自衛隊の使用分とほぼ同額の約三百億円という状態にあります。さらに、ゴルフ場等の娯楽施設も整備されるなど、国民がその実態を知れば唖然とするに違いありません。  現在の我が国の財政事情は、昨年末には国の借金が約八百十三兆円に達し、国民一人当たり約六百三十七万円の借金を抱えた計算になるという厳しい状況にあります。ちなみに、特別養護老人ホームなどでは住居費、食費を入居者負担とする法改正が強行され、お年寄りを泣かしているというのに、在日米軍に対しては巨額の思いやり予算を継続するのは必要限度をはるかに超えていると言わなければなりません。  一九七八年以来の思いやり予算の累積額は四兆七千億円、それを含む在日米軍駐留経費の日本側負担総額は約十三兆円という巨額に上っています。米軍を駐留させている世界の二十六か国のうち、他の二十五か国の駐留負担額の合計より日本一国の負担分が多いというのも到底納得できません。このように駐留経費が安上がりで済むため、在日米軍は容易に削減、撤去に応じようとしません。よって特別協定、つまり思いやり予算の継続に強く反対することを表明して、討論といたします。
  539. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  540. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  541. 舛添要一

    委員長舛添要一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十四分散会